衆議院

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第19号 平成22年4月23日(金曜日)

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平成二十二年四月二十三日(金曜日)

    午前九時十一分開議

 出席委員

   委員長 藤村  修君

   理事 青木  愛君 理事 石森 久嗣君

   理事 内山  晃君 理事 黒田  雄君

   理事 中根 康浩君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    大西 健介君

      岡本 英子君   菊池長右ェ門君

      郡  和子君    近藤 和也君

      斉藤  進君    園田 康博君

      田名部匡代君    長尾  敬君

      仁木 博文君    初鹿 明博君

      樋口 俊一君    福田衣里子君

      藤田 一枝君    細川 律夫君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    室井 秀子君

      山崎 摩耶君    山井 和則君

      山本 剛正君    坂口  力君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  菊田真紀子君     近藤 和也君

  田中美絵子君     山本 剛正君

  山口 和之君     菊池長右ェ門君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  菊池長右ェ門君    山口 和之君

  近藤 和也君     菊田真紀子君

  山本 剛正君     田中美絵子君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

四月十六日

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)


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     ――――◇―――――

藤村委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、自由民主党・改革クラブ所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

藤村委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、自由民主党・改革クラブ所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。長妻厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

長妻国務大臣 おはようございます。

 ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 労働者派遣制度につきましては、労働力の需給調整を図るための制度として創設されましたが、雇用の規制緩和という大義名分のもとに行き過ぎた規制緩和が行われた結果、日雇い派遣など社会的に問題のある形態が生じてしまいました。

 また、一昨年来の我が国の雇用情勢の急激な悪化に伴って社会問題化したいわゆる派遣切りにおいて、常時雇用する労働者でない方の労働者派遣についてはその雇用の不安定さが、製造業務派遣についてはさらに技能の継承の問題が指摘されており、これらの問題に的確に対応した措置を講ずる必要があります。

 このため、常時雇用する労働者でない方の労働者派遣及び製造業務派遣を原則として禁止する等、労働者派遣事業に係る制度の整備等の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、派遣労働者の雇用の安定や保護を図るため、常時雇用する労働者でない方について、雇用の安定等の観点から問題が少ないいわゆる専門二十六業務への労働者派遣などの場合を除き、労働者派遣を行ってはならないこととしております。また、一昨年来のいわゆる派遣切りにおいて、製造業務における派遣労働者の雇用の不安定さが問題となったことから、製造業務については、雇用の安定性が比較的高い常時雇用する労働者を派遣する場合を除き、労働者派遣を行ってはならないこととしております。

 第二に、雇用管理上問題のある派遣形態を禁止し、派遣労働者の雇用の安定や保護を図るため、日々または二カ月以内の期間を定めて雇用する労働者について、その適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務以外の業務については、労働者派遣を行ってはならないこととしております。

 第三に、派遣労働者の賃金等の待遇の確保を図るため、派遣元事業主は、派遣労働者の賃金等について、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡に配慮しなければならないこととするとともに、労働者派遣に関する料金の平均額と派遣労働者の賃金の平均額の差額が労働者派遣に関する料金の平均額に占める割合等の情報を提供することを義務化することとしております。

 第四に、違法派遣の是正に当たって、派遣労働者の希望を踏まえつつ雇用の安定が図られるようにするため、禁止業務に従事させた場合、無許可事業主等から派遣労働者を受け入れた場合、派遣可能期間の制限に違反した場合、常時雇用する労働者でない者を派遣労働者として受け入れた場合またはいわゆる偽装請負の場合については、当該行為を行った時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申し込みをしたものとみなすこととしております。

 このほか、法律の題名を労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律に改めるとともに、所要の規定の整備を行うこととしております。

 最後に、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六カ月を超えない範囲内において政令で定める日としておりますが、常時雇用する労働者でない方についての労働者派遣や製造業務への労働者派遣の禁止については、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、常時雇用する労働者でない方についての労働者派遣のうち、雇用の安定に大きな支障がない等の一部業務については、その労働者派遣の禁止を、さらに二年を超えない範囲内において政令で定める日まで猶予することとしています。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

藤村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 これより質疑に入ります。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。足立厚生労働大臣政務官。

足立大臣政務官 発言の機会を与えてくださいまして、ありがとうございます。

 四月九日の衆議院厚生労働委員会において、阿部知子議員からいただいた、回復期リハビリテーション病棟の在宅復帰率に関する「老人保健施設に帰ることは在宅復帰とみなされるんですか。」という御質問に対して、私は「みなされます。」と回答いたしました。この発言は事実と異なったものであり、訂正をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 回復期リハビリテーション病棟からの在宅復帰とみなされるものは、介護老人保健施設を除く介護施設や自宅への復帰であり、医療機関や介護老人保健施設は含まれておりません。それは、介護老人保健施設は、在宅復帰を目指してリハビリテーションを行う施設であり、回復期リハビリテーション病棟と同様の趣旨の施設であることから、在宅復帰とみなされないこととなっております。

 このため、私は「みなされます。」という発言を訂正し、医療機関と同様とみなされます、つまり、介護老人保健施設に帰ることは在宅復帰とみなされませんと訂正させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございます。

藤村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 ただいまの足立政務官の訂正の御発言は確かに伺いましたが、それを踏まえて再質問をさせていただきます。

 去る四月の二十一日、私が先回この質問に関連して取り上げた多田富雄先生がお亡くなりになられました。七十六歳でありました。

 ちょうど二〇〇六年の老人保健法の改正による、いわゆる疾患別の日数制限、リハビリの打ち切りに対して、心から怒りの念を持って、朝日の論壇等々に投稿され、当時野党であった私ども社民党も、また現政権の厚生労働を担当しておられる長妻大臣も、この件を繰り返し取り上げてまいりました。

 果たして、政権がかわって、本当に多田先生が御指摘された点にどのように新政権が向き合っているか。私は、大変に残念ながら、今のお話も含めて、多田先生にお伝えする言葉がありません。

 私が四月九日に質問したことは人づてに聞いてくださっておったようで、四月十一日まではお元気に活動もしておられましたし、いろいろな意味でこの政権に期待していただいて、そしてなおかつ、まだ私どもの政権がかなえられていないテーマだと思います。

 多田先生の御指摘は、簡単に申しますと四つございました。

 そもそも、リハビリとは何か。リハビリテート、もう一回生き直すという意味であって、単に機能の回復ということだけがその目的ではないということ。

 疾患別に日数制限を設けるということは、それまで医師の裁量権であった、例えば、どんな慢性期の疾患にも、糖尿病だから何カ月で治療終わりとかはなかったわけです。リハビリもまた、医師たちが一生懸命考え、その方に最適なものを設けてきた。日数制限とは、そうした医師の本当に患者さんに向き合うその思いを阻害するものではないか。

 そして、二〇〇八年段階で取り入れられた、今足立政務官の御指摘の、何%の方がどこに帰ったら、それをもって成果とみなして、それによる診療報酬を変えていく、成果主義と申しますが、これについても御批判を抱かれておりました。

 四点目は、今の大変に高齢化が進んだ社会で、脳血管障害等々を初めとして、いわゆる身体に御不自由を抱えた方のリハビリや介護に関する学会であるリハビリテーション学会が、もっと社会的に発言し、時代を正しい、国民の望む方向に積極的に導いてほしいという四点でありました。

 私は、いずれの課題もまだ道半ばと思いますし、その中で、今、足立政務官にいただいたお答えは、私は、四月九日、足立政務官が、老人保健施設は、そこにお帰りになった、そこに入院された場合にはいわゆる在宅復帰とみなされますという方が自然な感情なんだと思います。

 なぜならば、お手元の資料三ページをおめくりいただきたいと思います。

 ここには老人保健施設とは何かということが、これは老人保健施設のホームページからとらせていただきました。これは社団法人宮崎県老人保健施設協会のホームページですが、老人保健施設というものの五つの機能が述べられています。

 今、いろいろな施設がございますが、いわゆる大体終身でお入りになる特別養護、介護老人ホームと違って、老人保健施設は、中間施設、ある期間を定めて、そして在宅に向けた復帰施設であります。簡単に言えば、包括的ケアサービスを提供し、リハビリテーション施設であり、在宅復帰施設であり、在宅生活支援施設であり、地域に根差した施設である。

 この老人保健施設の誕生の歴史を振り返れば、こういう施設を設けることで、在宅復帰により取り組みやすいよう、在宅率を高めるためのものでありました。ところが、成果主義と呼ばれる、回復期病棟の在宅復帰率を何%と定めていくときに、なぜこれが除外されるのか。

 この「リハビリテーション施設」と書いてあるところの中で、ここには、「集中的な維持期リハビリテーションを行います。」と書いてございます。私ども、医療の中では、急性期リハ、回復期リハ、維持期のリハ、この維持期のリハを行いながら在宅に向けるための施設であります。

 ただいまの御説明を伺いますと、回復期リハビリテーションに類するもの、回復期リハビリテーションと同様の趣旨の施設であると。このあいまいな、同様の趣旨の施設と言うことによって曲学阿世になってしまったと私は思います。これが厚生労働省のお考えでしょうか。これから老人保健施設をふやしていこうというやさき、私は、ここは言葉を、回復期リハと維持期リハをあいまいにして、そして逆に言うと、自分たちのつくった成果主義を守るためにそのような御答弁ではなかったのかなと邪推してしまいます。

 政務官に伺います。

 私たちのこれまでの概念の中では、老人保健施設は在宅復帰に向けた維持期リハであり、いわゆる回復期リハに類するものではありませんでしょう。であれば、私は、もともとこんな、何%が在宅復帰なんていう基準を設けて医療を成果主義にすることはおかしいと思いますが、せめて、そのおかしくやったことをまた、そこを覆い隠すためにこんな間違った概念整理をして老人保健施設の位置をおとしめるべきではないとあえて言えば思います。

 これをも含めて在宅復帰とみなされたらどうですか。在宅復帰に向かわしめる施設なんですよ。私は、過ちはこの政権で正していただきたい、根本も正していただきたい。でも、当面、今の足立政務官は、四月九日は素朴な気持ちでというか、普通に問われてお答えだったんだと私は思います。であれば、今の、みなされませんというお答えは、逆に、もう一度吟味していただきたい、考え直していただきたい、全体のリハビリ計画なんですから。いかがでしょうか。

足立大臣政務官 まず、多田富雄先生は私にとっても医学上の大先輩でございまして、御冥福をお祈りいたします。

 今の阿部議員の問題意識は私も共有しておりまして、ですからこそ、二年後の診療報酬と介護報酬の同時改定に向けて、その医療と介護の中間的という、今、リハビリテーションを例に挙げて御提示されましたけれども、私は、そこは見直す重要な課題である、そのようにまずは取り上げております。そのことで政府内にも会議体を形成し、広く意見を集めたい、そのように考えております。

 まず、現状を委員の皆さんに正確にわかっていただく必要があると思いまして、現状を申し上げます。

 在宅復帰率を置くことがいいのかどうかということでございますが、在宅復帰に含まれる施設をまず申し上げます。自宅、それから特別養護老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅、有料老人ホーム、軽費老人ホーム及び養護老人ホーム、そして認知症対応型グループホームなど。在宅復帰に含まれない施設としては、医療機関、そして今の介護老人保健施設、老健というふうになっているわけでございます。

 在宅復帰を目指す維持期リハビリテーションという概念をどのようにとらえるか。

 在宅復帰率ということにつきましては、回復期リハビリテーション病棟一と二で、特に一の方がその復帰率を要件としておるわけでございます。現状は、これは六〇%となっておりますが、統計によりますと七五・七%が在宅復帰率ということになっていますが、委員の御指摘は、そのことが回復期リハビリテーション病棟からの追い出しにもつながっているのではないか、そして一連の形となっていないのではないかという指摘だと思います。

 私は、医療を提供する施設、そして住まいということを重点に置いた施設ということをもう一度考え直さなければいけない、その中で、リハビリテーションの段階的なものはどのようにとらえられていくべきなのかということをしっかり議論すべきであるということを考えておりまして、そのように検討していきたいと思います。

阿部委員 後期高齢者医療制度にしても、このリハビリの問題にしても、現実に、そこで生きている人間の一刻一刻は、検討している間にも奪われていくということであります。私は、これはいつも指摘するところであります。

 そして、今、足立政務官がるるお述べいただきましたが、実は、事の背景は簡単で、医療リハじゃなくて介護リハを使ってくれという概念があるだけなのです。そこで勝手に、人間の実態じゃなくて概念から切り分けて、医療リハを使う施設あるいは医療系施設にはもう帰さない、そこはパスして、高専賃等、介護リハでいくところに行こうと。

 しかし、この介護リハでやれという考え方にも、実はこれも、二〇〇六年お亡くなりになりましたが、国際的な社会学者の鶴見和子さんが大変に厳しい御指摘をしておられます。介護リハを使えということは、介護メニューの中でリハのそこを使うとほかのメニューは減るわけです。それは当然、本当に在宅でやろうと思うときに、介護リハのいわゆる実際に提供されるものも医療リハとは異なっている。あえて言えば、御老人たちに、もうあなたはどう見てもそれ以上よくならないから、あきらめなさいという死の通告ではないかと。実際に、鶴見さんはこのことを書いて数カ月でお亡くなりになったわけです。

 私どもが国際的に誇るこうした多田富雄さんにしろ鶴見和子さんにしろ、この国で老いるということをどう考えておられるでしょうか。

 この冒頭にお示ししたのは、高齢者医療制度改革会議の中で述べられている近藤先生の御意見で、せんだっても御紹介しました。今やらねばならない私たちの課題は、御高齢期の医療、どうあるべきか、医療像、そしてリハビリの問題であります。時代をかけた大きなテーマなんだと思います。

 私は、先ほどのお答えでも、在宅復帰率が何十%であるから云々、ここはもちろん、みんな病院側は努力をいたします。でも、その前提には、重い人を一割五分以上入れるけれども、在宅復帰させるために、なるべく一割五分近くでへばりつけてしまう。もう出口じゃなくて入り口規制が行われるわけです。そうなると、一体、リハビリを本来必要とする人は、そして、あればそれからリハビリテート、生き直すことができる人はどうなってしまうのか。

 入院基本料の設定は一割五分というところの入り口、出口は何十%、六〇でも七〇でも、それは勝手に決めたことですから。しかし、その体系全体の中でリハビリ医療を位置づけ直すということが、せめて多田さんや鶴見さんへの手向けではないかと思います。

 長妻大臣に伺います。

 私が問題意識とするところは、大臣と本当に同じだと思います。二〇〇六年来の厚生労働省の方針は明らかに間違っております。この国を幸せにしない。私は、骨太な見直しをもう一度お願いしたいと思いますが、御答弁を求めます。

長妻国務大臣 私もリハビリの重要性というのはよく認識しているつもりでございます。

 野党時代に、この問題について、当時の政府が、ある意味ではリハビリを続けても回復の見込みがない場合は打ち切るような、そういう発想を持っているという懸念を持ちまして、当然、維持期のリハビリというのも重要なわけでありまして、維持をする目的のリハビリであっても、それを打ち切るとさらに悪化をしてしまうということは言うまでもないわけでございますので、これについても問題意識を持って取り組んできたつもりであります。

 そういう野党の意見もあったのか、政府としては、当時、従来の機械的な、日数にかんがみてリハビリを切ってしまうということじゃなくて、改善が期待できるとお医者さんが判断する場合はそのまま日数を延ばす、そして状態の維持を目的とするようなことの場合でも一定の評価をするというような姿勢になったということであります。

 これは、今月、四月の九日、阿部委員の質問にも私答えましたけれども、今そういう措置がなされていますが、平成二十年度から始まったこの措置が具体的に今どういう状況になっているのか、患者さんに不都合な状況が出ているのか否かということの現状把握をきちっとしていこうということで、今調査の指示をしておりまして、それを公表して、その中身について問題があれば是正をしていく、こういうような姿勢で取り組んでまいりたいと考えております。

阿部委員 では、引き続いて、本日のテーマの労働者派遣法に移らせていただきます。

 先ほど長妻大臣からこの法案の御説明がございましたが、私の理解が間違っているのか、最後に、このほか、法律の名称と目的を変更いたしましたと。このほかと述べられましたが、そもそも、今回の労働者派遣法の改正は、これまで労働者派遣業の業法が主であったこの派遣法を、明らかに労働者保護のための法律と目的を変え、それゆえに名称も変えたものと理解してよろしいでしょうか。

 そのほかではないんだと私は思います。メーンの改正が、これは、これまで労働者派遣業の業法とその就業形態を決めたものであったものから、そこに働く人に着目して、労働者保護の観点で法律を改正するものであると考えてよいでしょうか。

長妻国務大臣 この趣旨説明で申し上げたことは、法律の名称に保護という言葉を入れたということでございまして、今委員がおっしゃっていただいたようなそういう趣旨であります。

阿部委員 新政権が発足いたしましてこの法律を与党として出す以前に、既に、政権交代前に三党でこの労働者派遣法の改正案もつくり、しかし、実際には成案を見ませんでしたけれども、今与党にある三党は、もともと、この労働者派遣という形態が今の働く人たちにもたらしているさまざまな問題に着眼して、何とかこれを改善したいという思いで始まったと理解しています。

 そして、今回の改正はその一歩であり、まだまだ課題は残されながらも、それは、一つには、労政審等々の仕組みを一たんは通って法案化するというこれまでのルールを大事にするということからは、まだ今回到達できないものも実は残されていると思いますが、私は、何よりも、目的を明示し、この内閣としての姿勢を示したということにおいて評価をしたいと思います。

 しかし、その中で、同時に残された課題の中のまず最も大きなものからきょう質疑をさせていただきます。

 ここで、いわゆる常用雇用の派遣労働者、常時雇用する労働者であれば、さまざまな意味で、派遣はこれからも了とされております。製造業への派遣も含めてであります。では、この常時雇用する労働者と呼ばれている派遣労働者の実態については、政府はどのようなデータをお持ちなのか。

 例えば、あるところに三カ月派遣、そして一カ月ほどあいて、またあるところに二カ月派遣。これは例示ですけれども、この合間の期間の一カ月は、どこか、派遣元から派遣先に行っていない状態があるといたします。この間、例えば給与はどうなっているのか。

 そしてもう一つ。派遣業をやっていて、なかなか景気も悪く、派遣先の仕事が減る。このときに、いわゆる雇用調整助成金、普通の労働形態であれば、仕事が減ったとき、そういうことで賃金補てんをされるわけですが、この雇用調整助成金、実績はいかがなものであるか、これを細川副大臣に伺います。二点お願いいたします。

 では、ごめんなさい、細川副大臣には後者をお願いいたしまして、前者は長妻大臣で、あと足立政務官には、お時間を割いていただいてありがとうございます。

 長妻厚生労働大臣、この常用派遣の皆さんの派遣されていない間の賃金、労働形態。社会保障はもちろんあるでしょうね、派遣元と契約しているんですから。賃金についてはどうでしょう。

長妻国務大臣 今おっしゃられた件については、平成十七年に行った調査がございまして、つまり、派遣元と常用雇用の契約を結んでいる、しかし、その派遣元が派遣先との契約が切れたときにその労働者はどうなるのかということでございます。

 この調査によると、五四・九%の人はすぐに別の派遣先を派遣元が見つけて雇用が続いたということでありますが、二三・二%の方については、ほかの派遣先を一定の期間を置いて見つけてもらったということです。

 問題は、その一定の期間、仕事がない期間は、ではどうなっていたのかということでありますが、今申し上げた二三・二%の中で、約半分の方は派遣元から休業手当をもらっていました。それは常用雇用でありますから、もらうのは当然でありますが、ただ、それ以外の半分の方は休業手当の支給がないということでありますので、これは中身を詳細に確認しなければなりませんが、問題のある可能性がある、こういう調査がございます。

細川副大臣 雇用調整助成金につきましては、リーマン・ショック以来の大変な不況の中で、この制度が大変利用されてきた。このことで、解雇されずに雇用が確保されているということがございます。

 そこで、派遣の場合について、具体的な数字を申し上げますと、雇用調整助成金の支給対象となった派遣労働者数、これは本年二月で六千人、これまでに延べ人数十四万人でございます。

阿部委員 前段の長妻大臣の御答弁には、平成十七年の調査でありますし、今般、この派遣法の改正に伴ってぜひ再調査をしていただきたいと思います。

 と申しますのは、さっき大臣もおっしゃったように、次の派遣までの間が、何も仕事がなくて休業補償がある人が半分であれば、残る半分は何もない。すなわち、労働者保護の観点から、全くこれは不安定な収入になるわけでありますから、ここは、サンプル調査でも構いませんし、実態調査をぜひやっていただきたいと思います。

 私がそうお願いするまたもう一つの理由は、常用雇用の派遣であって、派遣先への仕事の終わりが派遣元との雇いどめ、そこの派遣元で仕事がもう契約が切れるというようなものになっていることはないのかということを懸念しております。これも、もし調査がおありであれば教えていただきたいし、また、そうした実態が起きたときに何か是正措置に入られているのか、これは細川副大臣にお願いいたします。

長妻国務大臣 まず、前段のお尋ねでありますけれども、この法案では、登録型派遣の原則禁止の施行、これは公布後三年以内の政令で定める日でございますが、その期間までに、今おっしゃった常時の雇用で派遣元に雇われている方が契約が切れたときに、例えば休業の手当が出るのか否かについて、再度調査をして公表をさせていただきたいと思います。

 そして、後段のお尋ねでございますけれども、これは派遣の契約が切れるといったときに、その労働者はどういう状況になるのかということでございますが、今審議いただいている法案の中の第二十九条の二というところで条文を入れさせていただいておりまして、今申し上げたような場合については、派遣先の義務として、そういう労働者に対して新たな就業の機会の確保等について必要な措置を講じなければならない、そういう趣旨の条文を入れさせていただいて、派遣先に対して一定の義務を課しているところでございます。

阿部委員 ちょっと後段は私の聞き方が悪かったのかもしれません。派遣先との契約は終わって、そして、そのときに派遣元で、それがもう派遣元との契約の終わりになっているようなケースがあるのではないかということであります。今大臣のお答えは、派遣先が中途で解約したことのお話でありました。

 引き続いて、ちょっとデータを見ていただきたいと思います。私がそうしたことを伺いますのは、四ページ目の資料をごらんいただきたいのですが、これは平成二十年十一月、厚生労働省がお調べになった資料で、雇用契約別の対象労働者の中途解除に係る雇用状況についてであります。

 このとき、中途解約された方は三万五千八百八十六人、そのうち常用型が二万五千二百八十五人おられて、常用型といっても有期の常用型と無期、期限の定めのないといって本当に無期の方と、常用であるが有期という方もおられるわけですね。例えば、一年以上であって、しかし一年半とかそういうのもありますでしょう。そう見ると、圧倒的に有期の常用雇用の方がいわゆる派遣切りの対象になっております。

 この資料について、私はいろいろな分析が必要なんだと思います。相手方が中途解約する場合もあるでしょうし、相手との契約の終わりがこちらの派遣元との契約の終わりになっていたり、常用雇用と言われながら、有期の場合に、実際にも派遣切りに遭っているし、この法律がまだまだ、今回私どもの提案したものがその点において課題を残していると思いますから、大臣にきょうのお問い合わせ、まず、この数値はどうごらんになるか、そして、このことについてはどのように対処なさるか、お願いいたします。

長妻国務大臣 今御指摘の表でございますけれども、有期で派遣の契約が切れた、そして、その有期の労働者を派遣元がどう扱うのかというような趣旨でございますけれども、今、合計で有期では常用型、二万八百八十四人の方がいらっしゃる。そして、その中で一万八千六百六十四人が離職をされている。その中でも解雇というのが一万六千百八十九人いらっしゃる。期間の満了が千八百八十三人、こういうことでございますので、常用型で有期の方について、派遣契約が終わってしまうと非常に派遣元との雇用関係が不安定になる、こういうことが示されているというふうに考えております。

 これについては、先ほどちょっと答弁を申し上げたように、今回の法案の中には、派遣先の都合で契約を切った場合でありますけれども、それについては派遣先が、こういう労働者の方について基本的な新たな職場の情報提供などなどの義務を課す、これを新たに条文に本法案で入れさせていただいているということで、それ以外の、正社員化の道を開くような別の政策もございますので、そういうものも組み合わせて支援をしていきたいと考えております。

阿部委員 派遣元との契約関係の終了も、他の正規労働者と変わることがない、きちんと要件が必要と思いますから、そのような方向に御検討していただきたいと思います。

 終わります。

藤村委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 民主党の初鹿です。

 派遣法について質問をさせていただきます。

 しかし、その前に、ちょっとお手元に資料をお配りさせていただいておりますが、また、新聞の記事を三枚ほどつけさせていただきましたが、この記事について先に質問をさせていただきます。

 この記事は、生活保護受給者に病院で向精神薬を入手させ、それを買い取ってインターネットで転売して利益を上げていたというものです。御承知のとおり、生活保護の受給をされている方は医療費が無料になるということで、簡単に言えば、ただで薬を持ってこさせて、それを買い取って、生活保護者からすれば多少のお小遣いになる、そして、それを買った方からすれば、その薬を転売して多額の利益を得るという、非常に悪質な犯罪が行われていたということが明らかになった、そういう記事であります。

 私は今、中根議員を会長にして、貧困問題を考える議員連盟の事務局長を務めておりまして、無料低額宿泊所の問題などについて取り組んでおりますし、また、私は地元でライオンズクラブに入っているんですが、そのライオンズクラブで、薬物乱用防止教室の認定講師ということで、実際に小学校や中学校に行って、子供たちに薬物乱用をしないようにということで講演をしております。そういう立場からしても、この問題はもう看過できないものだというふうに思っております。

 記事の二枚目、三枚目にこの手口が割と詳しく書いてあるんですが、それを見ると、一人の生活保護受給者が、恐らく複数の病院に行って三十日分とか一カ月分の薬をもらってきて、それを集めて転売しているということなわけだと思います。であるならば、この医療券を発行している自治体がレセプトをもう少し丁寧に見ていたら、これは見抜くことができたんじゃないか、何か不自然だったんじゃないかということに気づいたんじゃないかというようにも感じるわけです。

 これは西成地区というところで起こっているんですが、記事を見ますと、販売をして、買った人たちが三十四都道府県に、お客さんがいるということなんですね。では、これは入手先が果たして大阪だけなのかなということも疑問に思うわけです。もしかしたら全国的にも同様のことが行われている可能性もあるんではないか、そういう懸念がされます。

 そこでお伺いしますが、まず、このように生活保護受給者につけ込んでというんでしょうか、利用して、こうやってお金稼ぎをするようなことについてどのようにお考えになっているのかということ。そしてもう一つは、今申し上げたとおり、ここだけの問題ではないかもしれないので、ぜひ各自治体に、この生活保護の医療券を使って病院に通院をしている、その中でこういう同様の事例がないのかをしっかり点検するように通知を出すなりしていただきたいと思いますが、御見解を伺います。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

山井大臣政務官 初鹿委員、御質問ありがとうございます。

 この貧困ビジネスについては、初鹿委員も民主党の議連の事務局長をやってくださっているということですが、やはり、これからますます社会のセーフティーネット、生活保護が重要になっているときに、一方では、一部でこういう悪質な無料低額宿泊所もありますし、また、こういう薬の不正な転売、譲渡というものが明らかになると、生活保護行政自体が成り立たなくなってまいります。

 そこで、今回の事案に関しても、大阪市の生活保護担当課長を本省に呼ぶなどして事実関係を確認しておりますが、初鹿委員も御指摘のように、これは本当に大阪だけの話なのか、非常に深刻な問題だと思っております。

 もちろん、こういう譲渡に関しては、麻薬及び向精神薬取締法の六十六条の四で、向精神薬をみだりに譲り渡し、または譲り渡す目的で所持した者に関しては三年以下の懲役に処するというように罰則規定もございますが、まずは自治体に調査をこれから依頼して、まさにおっしゃったように、同じような薬を、重複受診してこの向精神薬を買っていないか、こういうことの実態を早急に自治体を通じて調査をして、対策を練ってまいりたいと思います。

初鹿委員 ぜひお願いをいたします。

 医療費の削減にもつながるわけですし、また、生活保護費も今非常に多くなっているわけですから、不正受給を防止するという面でも意味があることだと思います。

 このようなやり方が成り立っているという背景には、やはり薬物乱用をしている、そういう方が非常に多いという問題点もあるんだと思います。

 私も、もうここ五年ぐらい、小学校、中学校で薬物乱用防止教室の講師をやって子供たちと話しておりますが、今、インターネットが発達しているので、非常に簡単に情報が得られて、子供たちも薬物のことをよく知っております。

 最近では、中学三年生が大麻を持っていたということで神戸で逮捕されるということがことしの一月、ありました。三月には、大阪の府立高校の教頭先生が大麻を持っていたということで逮捕もされております。去年は、有名な芸能人が覚せい剤の違反で大騒ぎになりました。これは薬物乱用防止を、やはりしっかりとめていくということが私は必要だと思います。

 そこで、長妻大臣、厚生労働省が薬物乱用の防止を所管する官庁でありますから、大臣として薬物乱用防止にかける決意をぜひお聞かせください。

長妻国務大臣 初鹿委員におかれましては、小中学校における薬物乱用防止教室の講師の経験もあるということで、これまでの啓蒙活動に大変敬意を表するものであります。

 一番我々が取り組んでいて多少有名になっているのは、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動ということで、これはもう何年も取り組んでおりますけれども、若者層に対して薬物乱用防止ということを呼びかけるキャンペーンでございますが、これはさらに続けていきたいというふうに考えております。

 そして、平成二十一年度からでありますけれども、すべての日本国の高校三年生を対象に啓発のパンフレットを配付するということにしておりまして、今後、徹底的にこういう問題については、薬物乱用はだめだというようなメッセージを、特に若い方中心に送り続けていきたいというふうに考えておりますので、今後とも御指導いただきますようお願い申し上げます。

初鹿委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、本題の派遣法に移らせていただきます。

 我々民主党は、昨年の衆議院選挙で政権交代を果たすことができました。幾つか要因があると思います。後期高齢者医療制度が導入をされた、それに対する批判であったり、長妻大臣が取り組んできた、消えた年金や消された年金の問題であったり、また、医療崩壊が大変深刻になっているということであったりと、幾つか要因があると思うんです。

 その中でも、一昨年、リーマン・ショックがあって衆議院選挙が引き延ばされたその年の年末に派遣切りが行われ、そして、日比谷公園に仕事もなくなって家もなくなったような方々が集まるという派遣村、そういう事態が起こったことに、国民の不安や、また政治や社会に対する怒りが集結をして、その結果が我々政権交代を実現することにつながった大きな要因になっていると私は感じております。そういう意味でも、この派遣法というのは我々民主党にとって非常に重要な法律であると思います。

 恐らく多くの国民は、今まで日本は、私が子供の当時、安定した仕事をして、収入を得て、そして幸せな家庭がつくれるというふうにみんな思っていた。ところが、バブルが崩壊したころから、どうも違うんじゃないかと漠然と不安を持っていた。その不安がまさに現実のものとなったのがあの派遣村であって、このままじゃいけないという思いが我々に託されているんだということを、私たちは決して忘れてはいけないんだと思います。

 昨年、厚生労働省としては、一昨年のようなことがあってはならないということで、公設の派遣村を設置いたしました。大臣も年末に、代々木のオリンピックセンターに行かれたと思います。私も十二月三十一日に、あちらに行きました。そして、入所者の方々といろいろお話をしてきました。

 ある方は、三十代、派遣切りに遭ってしまった。そして、ポケットから百六十円を私に見せてくれました。手持ちのお金はこれだけになってしまったんだと。学校を出て、就職難でなかなか仕事につけなくて、アルバイトやフリーターをやっているうちに日雇いの、日々日雇い派遣で働くようになった。しかし、家賃が払えないでネットカフェで寝泊まりをするようになって、年末、クリスマスが過ぎたころから仕事がなくなる、日雇いの仕事がなくなる。気がついたらお金が百六十円になってしまった。いや、本当に派遣村があって助かったということを言っておりました。

 また、五十代の男性の方は、トラックの運転手をして二十年以上働いてきたけれども、会社が倒産。会社が借り上げたアパートに住んでいたから当然追い出される。貯金がなかった自分も悪かったけれども、そのまま仕事にもつけず、家もなくなる。家がないから仕事につけない、そういう中で、今ここにたどり着いた。そんなお話も聞かせていただきました。

 この公設派遣村の問題で話をすると、必ず、本人が、自己責任なんじゃないか、派遣労働に働くようになったのは自己責任じゃないか、また、甘やかし過ぎじゃないか、そういう御意見もあります。東京の石原知事も、甘えているというようなことを言っております。確かにそういう方もいるでしょう。でも、果たしてそうなのかということを我々は考えなければいけないんじゃないかなと思います。

 特に、製造業派遣で首を切られてしまった方々、三十代の方が非常に多かった。私は四十一歳ですが、ぎりぎりバブルが崩壊するかしないかのときに大学を卒業する世代でした。私よりも三年、四年後の世代は超就職氷河期で、卒業する生徒数と求人数を考えたら、必ず就職できない方が出るという時代であったわけです。確かに、努力をして就職をきちんとできた人はいるから、そうじゃなかった人は努力不足と言えるのかもしれないけれども、果たしてその一言で片づけてよいのかなというのを私は非常に感じるんです。

 また、高校しか出ていない、また中退だったり、中学しか出ていないような方々、自分の努力ができなくて、していなくて学歴をつけられなかった方もいるかもしれませんが、その中には、家庭の環境によって、経済的な理由で進学をあきらめているという方もたくさんいるはずです。そういう方々がすべて自己責任で派遣労働をしているというふうに片づけてしまってよいのかなと、私は非常に疑問に感じているんです。

 特に、我々成功している者からすると、ここにいる方はみんな多分成功していると言っていいと思いますよ。いい大学に行って、それなりの仕事についている。でも、我々は実は、親から学費も出してもらった方が大半です。そして、多くの人に支えられて今の立場を持っている。親に甘えたり、また仲間に甘えたりして今のこの立場がある。そのことをもしかしたら我々は忘れていたのかな、そんなふうに思うんです。仕事もなくして家もなくしてしまったような方々、頼る家族がいなかったり、家族がいても頼れなかったり、つまり、甘える相手がいなかった結果ああなったんじゃないかなというふうに私は感じます。

 そういう方々がいるということを忘れて、単に甘えているんじゃないかというように一刀両断するのは、私はいかがなものかなというふうに思います。

 そこで長妻大臣にお伺いするんですが、この派遣切りが行われてしまった状況、また派遣でこうやって首を切られた方々が自己責任と言えるのか、私は社会や政治にも大きな責任があったのではないかというふうに感じておりますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

長妻国務大臣 本当に、今るるおっしゃられたとおりだと思います。

 私どもは、今は恵まれた立場にいるし、一定の権限も持っているということで、本当に、そういう与えられた立場の中で全力で職責を全うしていく、これを尽くしていくということで、今のお話に関しても、我々、今回派遣法の改正案を提出して、問題を一定程度解決していきたいという思いで審議をお願いしております。

 そして、今のお話、自己責任云々のお話でございますけれども、特にこの労働市場というのは、ほかの市場と全く違いますのは、力関係ということで使用者と労働者、これはもう圧倒的に使用者の方が立場が基本的には強い。こういう市場の中で、ある意味では、労働者の選択というのは景気の変動によっても異なりますけれども、やはり派遣という形態以外なかなか選択肢がない。好きでそれを選ぶというような論調もありますけれども、そうではなくて、その選択肢以外は非常に難しいという中でそういう働き方をせざるを得ないという方もいらっしゃるというのは、歴然とした事実でございます。

 そういう中で、日雇い派遣というたった一日の契約の派遣も法律で許してしまう、これはどう考えても行き過ぎた規制緩和であると思っておりますので、やはり政治の力で一定のルールはきちっとつける。そのルールのもと、自由な労働市場で多くの能力を発揮していただく。まず、こういう一つの考え方というのを確立しなければ、社会や労働環境というのは崩れかねないというふうに思っております。

初鹿委員 まさに大臣が言うように、今まで政治家が目を向けてこなかったところがそういうところにあるのではないかなと思います。どうしても強い者、声の大きい者の立場に我々は引きずられることがあったのではないか、そこに反省をして、我々民主党政権はこれからの政権運営に臨んでいかなければならないんだろうということを非常に強く感じます。まさにそれが鳩山総理が言う命を守る政治につながっていくのだということも私は感じております。

 そこで、この派遣法ですけれども、民主党政権が発足して、まず最初にこの改正に取り組んできたということは非常に評価もしますし、労働政策審議会の中で、三カ月間という本当に短い時間の中で、労使、全く相反する考え方であったものを何とかぎりぎりの調整でまとめ上げたということには、本当に関係者の皆様には敬意を表するところであります。これもやはり鳩山総理が言っている、命を守るんだ、政治が命を守るんだという思いが双方に伝わって合意をしたんだというふうに思います。

 しかし、ここで新聞の記事を添付させていただいておりますが、なかなか厳しい論調が新聞でも記載をされております。朝日新聞の四月二十二日ですが、派遣法改正案に異議があるということであります。これを読んでいると、しかし、どうも十分に理解がされていない、逆に我々の側が説明が十分にできていないところもあるのではないかなというふうに感じますので、その点も改善をしたいという思いで少し質問をさせていただきます。

 まず、ここで問題だと挙げられている中の、まずは登録型派遣は専門的とされる二十六業務が例外とされているということでありますが、この専門二十六業務については、代表質問でも幾つか質問がありました。実態を考えてみると、もう現在の時代とはそぐわないようなものまで専門だとされている。例えば事務機器操作などというのは、今だれでもパソコンを使える時代に、果たしてこれが専門でいいのか。その一方で、介護とか看護とか、ただでさえ人材が不足をしている分野が専門に入っていないという問題もあるわけです。

 このようなことを考えると、やはりこの専門二十六業務の見直しというもの、対象を絞り込んだり、また、新しく広げていったりということをするべきだと思いますが、お考えを伺います。

長妻国務大臣 登録型派遣の原則禁止の例外として、この専門二十六業務ということについて挙げさせていただいておりますが、当然、この二十六業務を装って派遣をしてはいけないわけでございまして、それについては、ことしの二月八日に全国の労働局長に通知をいたしまして、指導監督を集中的に実施しているところであります。

 そして、この二十六業務についてでありますが、その中身をどうするのかということは、私どもとしては不断の見直し、検討が必要だと。時代とともにやはり職業や専門性というのは変遷していくわけでございますので、これについては、いずれかの時期に、労働政策審議会、労使の代表の方がいらっしゃる場で、この二十六業務について、その見直しが必要か否かも含めた検討をしていただこうというふうに考えております。

初鹿委員 検討していただけるということですが、この法律、この登録派遣の原則禁止が施行されるのは三年以内ということなんですから、三年あるんですよね。せめて、施行される三年目に、施行されるときには見直しが終わっているようにしていただきたいんです。

 見直しをいつから始めるのか、ぜひお答えください。

長妻国務大臣 まず、この法案を今審議していただいているんですけれども、この法案が成立をいただいた場合は、その後の作業といたしましては、六カ月以内に施行される日雇い派遣の原則禁止などの詳細な実施に関する政令とか省令等の内容を詰める必要がありまして、まずそれを労働政策審議会で御議論をいただく。その後、今申し上げた二十六業務の御議論でありますので、これはもちろん三年という期間以内にその議論をして、できる限り三年以内に結論が出るようにお願いをしていきたい。そして、その結論を最終的に我々政務三役が決定をしていきたいというふうに考えております。

初鹿委員 法律が施行されるときには見直しが終わっているということだというふうに私は理解をさせていただきました。

 それでは次に、製造業派遣の例外とされる常時雇用をされる労働者について質問をいたします。

 これについては、先ほども質問がありましたし、代表質問の中でもさまざま御指摘がされているところであります。

 資料をお配りしているんですが、「常時雇用される」に該当する者ということなんですけれども、ここには記載されていないんですが、先ほど阿部議員の資料の方には書かれておりましたが、日々雇用される者でも、日々更新されて事実上無期契約と同等の者や、また、一年以上雇用が継続していたり、一年以上雇用される見込みのある者も、日々雇用でも常時雇用と定義の中に含まれるということになっております。

 この定義なんですが、日々雇用というのはやはり不安定な雇用でありますから、ここは少し見直すべきではないかなと思うんですね。ぜひこの点について見直すべきではないかと思いますが、御見解を伺います。

長妻国務大臣 今おっしゃったことは、常時雇用されるという定義の話でありますけれども、これについては、労働者派遣事業関係業務取扱要領というところであります。

 これについて、日雇い、日々雇用だけれども、それがずっと毎日毎日更新されて一年を超えるというような趣旨であるわけでございますけれども、現実的に、そういう考え方というのは現実に即したものなのかということを私自身も考えているところでございまして、今回の法改正によって日雇い派遣が原則禁止されることとなるため、その施行にあわせて日々雇用される方が常時雇用される者に該当しないということとして、業務取扱要領を見直すことといたします。

初鹿委員 ありがとうございます。

 次に、常時雇用の中でも、この資料の2に当たる場合です。有期雇用ですが、反復されて更新をされていく場合も常時雇用とみなすということでありますが、やはり新聞等で指摘されているように、では派遣契約が打ち切られた場合には、またこれも契約が切れてしまうのではないか、更新がされないのではないかというような指摘もされるわけですから、せめて法改正後は、契約更新の回数を労働契約に明記をするとか、常時雇用をされている労働者だということが明確になるようにするべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 今の御指摘も、一年を超えて引き続き雇用されると見込まれるのが口約束などでは、逆に言うと、こちらもチェックしようがないというか、検証しようがないということになりますので、これについては、契約書等に更新回数を明示することが必要であるというようなことを書いた派遣元指針、これは大臣告示でございますけれども、それに明示をしていきたいというふうに考えております。

初鹿委員 次に、この2のケースで、一年以上の雇用見込みがあったとしても、例えば派遣契約が何らかの理由で解除になって契約が切れた。それによって、ちょうどそこで更新の時期になって雇いどめになってしまうというケースも考えられるわけですが、この場合はどのようになるんでしょうか。

細川副大臣 その場合は、一年以上の雇用見込みが間違いなくあったという、その契約で、途中で雇いどめになる場合、これは、さかのぼってそれが派遣法に違反するということにはならない。

 ただしかし、労働契約法というのもまたありまして、それは、有期の契約については、それを途中で解除するためには、やむを得ない理由がなければできない、こういうことになっておりますから、そのやむを得ない理由なのかどうかということを判断することによって損害賠償などの問題が出てくる、こういうふうに考えます。

初鹿委員 つまり、派遣法だけではなくて、労働契約法とか労働基準法とか、そういう別の法規でしっかりと守られているということで、途中で雇いどめになるというケースはなかなかないだろうというふうな理解でよろしいんですよね。そういうことでよろしいんですね。わかりました。

 では、続きまして、今度は事業者の側に関する質問をさせていただきます。

 この規制を強化することによって、人材の確保が困難になるのではないかという指摘がされております。一部には、この派遣法の規制が強くなると、海外に生産拠点を持っていってしまうのではないかというようなことを言う方もいますが、それは費用対効果を考えるとあり得ない話だと思うんですが、中小企業にとってみれば、やはり受注が安定しない、そういう業種も多いわけで、そういう方からすると、この派遣というのは非常に便利であったし、非常に効率がよかったんだと思うんですね。

 このような中小企業が人材が確保できなくなって、事業が困難になっていくということについてどのように考えているのか、お答えください。

細川副大臣 確かに、初鹿委員が言われるような、そういう懸念もあるわけでございます。しかし、そういう中小企業の需要に対しては、常時雇用をしていただいて、それで需要を満たしていただく、こういうこと。

 それから、短期のあれにはなかなかそれも難しいということがあれば、そこは直接雇用をしていただくようなそういう紹介事業で満たしていただくだろう、そういうことがいろいろありますので、私どもとしては、三年間の猶予期間を持ちまして、そこで中小企業の皆さんがお困りにならないような、そういうことを考えているところでございます。

初鹿委員 あともう一問質問があったんですが、時間がなくなりましたので、ここで終わらせていただきますが、ぜひこの派遣法、国民が本当に期待をしている法案なので、しっかりと審議をして速やかに成立をさせ、派遣労働で働いている人が安心して働けるようにしていきたいと思いますので、頑張っていきましょう。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、藤田一枝君。

藤田(一)委員 民主党の藤田一枝でございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思いますが、大変注目をされている派遣法の審議がきょうからスタートをしたわけでございます。

 御承知のように、この労働者派遣法、制定されたのが一九八五年でございます。その後、さまざまな社会的な、あるいは労働をめぐる変化、とりわけ労働ビッグバンという流れの中で規制緩和というものが進行をいたしまして、当初の常用代替の防止、そして臨時的、一時的労働力需給調整としての派遣法の位置づけというものが大きく変化をして、雇用における格差というものをもたらしていく、その要因にもなったとさえ言われているわけであります。

 今回の法改正というのは、こうした実態を是正していく、そして、先ほど阿部議員の方からも指摘がございましたし、初鹿議員の方からも同様の指摘がありましたけれども、労働者の保護、そして雇用の安定の充実を図っていく、このことを目的として改正案が提出されたと理解をしておりますし、そのことは高く評価をするところであります。

 しかし一方では、企業側のニーズとして、雇用責任のない非雇用、いつでも切れる雇用調整、そしてまた社員よりも低い人件費などのコストの面から、規制強化に対して反対する声というのも少なくないわけでございます。したがって、大変、労働政策審議会の答申も、公労使の厳しい議論を反映した結果にとどまっている。したがって、派遣労働者の低賃金あるいは不安定雇用を解消していくためにはまだまだ多くの課題が残っている、このように認識をしているわけでありますけれども、この点については大臣も同様の御見解であると理解をいたします。

 それでよろしゅうございましょうか。これは改めて聞くまでもないのですが、冒頭の阿部議員の質疑を聞いていて、ぜひもう一度そこは確認をさせていただきたいということで、質問をさせていただきます。

長妻国務大臣 いろいろな論点があると思うんですけれども、まず一つは専門二十六業務について、やはり時代とともに専門性や職業の中身というのは変遷をしてまいりますので、そういうものについて今後とも不断の見直しをしていくなどなどの論点はあるというふうに考えております。

 何よりも、雇用のパイを広げていくということで、これは新成長戦略にもかかわることでございますけれども、それについても政府挙げて取り組んでまいりたいと思います。

藤田(一)委員 ありがとうございます。

 それでは、具体的な問題について何点かお尋ねをしたいと思います。

 先ほどから、常時雇用の定義の話がいろいろと議論されておりました。なかなかこれはわかりにくい点がたくさんございます。特に、今回は、登録型派遣、それから製造業派遣については常時雇用される労働者以外、例外を除いて禁止ということになったわけであります。しかし、この定義が、特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区分規定に基づく定義になっているということで、大変わかりにくくなっている。

 先ほどの質疑でも、常時雇用という言い方と常用雇用という言い方が繰り返し、いろいろな形で出てくるわけでございます。細かい点は、初鹿議員の方からの指摘もございましたので省略をいたしますけれども、一般的に、常用というと、期間の定めのない雇用というふうに理解をするわけでございます。そこがなかなかすっきり落ちないということが大変大きな問題でありまして、特に、常用有期雇用なんというのは、私はあり得ないというふうに理解をしているところであります。

 今回、業務取扱要領の見直しもされるという御答弁も先ほどございましたけれども、ぜひ今後、この定義、きちっと厳格に、明確にしていただきたい、このことをまず強く指摘させていただきたいと思います。

 それから、あわせてお尋ねをいたしますというか、これも先ほどの答弁が出ておりますので、そのことに重ねての指摘になりますけれども、専門二十六業種の見直しの問題。

 これは、審議会に諮問をされるという御答弁もいただきましたので、ぜひそのようにしていただきたいんですけれども、本当にこれは偽装が行われてきている大きな要因の一つなわけです。そして、この専門二十六業種、正社員の代替として使われて、特に女性労働者が集中をしてきているという問題があります。ですから、ここはしっかりと中身の見直し、きちっとやっていただきたい。能力の資格認定ということも今後は必要になってくるのかもしれませんが、ぜひしっかりと見直しを図っていただくように、大臣の方からもリーダーシップを発揮していただきたい。お願いをしておきたいと思います。

 そして、ここからはお尋ねでございますが、あわせて、日雇い派遣、今回、ポジティブリスト化という問題が出てきたわけでございます。

 日々または二カ月以内の派遣を禁止するということで、今回、日雇い派遣の問題、禁止規定が出たわけですけれども、専門二十六業務の中から、ポジティブリスト化で十八業務は例外規定にするということになる予定だと伺っております。

 これも非常に、ポジティブリスト化をすることによって、登録型の派遣と同様の問題が今後起きてくるのではないか、あるいは抜け道に、抜け穴になってしまうのではないかということが大変懸念をされていくところでございます。これはやはり厳格に運用をしていただかないといけない。

 特に、このポジティブリスト化については、六カ月以内に、先ほどの御答弁でも整理をされるということでありますから、この点の見直しについて、ぜひ厳格な運用、抜け道がないような、ポジティブリスト化の例を見ていたらば、やはり同じなんですね、受付とか案内とかというのも入っていて、これは適正な雇用管理に支障を来さない業務とかという形になっているんですけれども、どうもなかなか理解できない。

 先ほどから大臣の御答弁でも、日雇い派遣ということは非常に問題があるんだ、こういうことが非常に大きな格差の要因になったんだというお話もあるということからすると、このポジティブリスト化ということは非常に厳格に見ていかなければいけないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いしたいと思います。

細川副大臣 委員の御指摘のとおり、それについては厳格にやっていかなければいけないというふうに思っております。

 具体的には、専門性があって労働者の交渉力の高い業務については、これは労働者保護の観点からも問題がないというふうに考えております。このため、いわゆる専門二十六業種のうち、特別な雇用管理を必要とする業務、あるいは日雇い派遣がほとんど見られないような業務を禁止するということ、それ以外の業務について、例外を政令に定める、こういうことになっておりまして、それを今後、委員が御指摘されるように、厳密に、抜け道がないような形できっちりと規定をしてもらうように労政審で審議をしていただき、それをもって、どのようなことが認められるかどうかということを決めてまいりたいというふうに思います。

藤田(一)委員 ありがとうございます。

 先ほどの初鹿議員が資料として提出された新聞記事ではないんですけれども、この法案が抜け穴だらけだということになってしまったのでは、せっかく改正をするという意義が薄れてしまうわけですから、ここの中のなかなか読み取りにくい部分を、この委員会の審議、国会の審議を通じてしっかり詰めて、そしてそこをきちっと埋めていただきたいというふうに思いますので、今の点についてもぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、違法派遣についてお尋ねをしたいと思います。

 違法派遣というのはいろいろな形で行われてきて、先ほどの専門二十六業種の問題でも厚労省は適正化プランというものを出されたりとか、あるいは違法派遣についていろいろな指導、勧告だとか命令だとかということで、この間、大変強化をされてきているわけではありますけれども、大変大きな問題がございます。

 今回、迅速的確な対処ということが盛り込まれたわけでありますけれども、問題は、違法派遣の認識の問題であります。いろいろな点が出されていますけれども、故意ではなくて過失だった、それは知らなかったんだというふうに言われた場合にどうなのかということが大変心配をされています。

 この点については、やはりそういう言い逃れということがないようにしていかなければいけないということだと思いますけれども、この点についてどのように御見解を持っていらっしゃるか、対処されようとしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

細川副大臣 このみなし規定を入れましたことは、これは、違法をしていたからもうそこで派遣が終わりだということで、労働者の皆さんが解雇されるというか職場を離れるような形になってもいけないわけでありますから、違法派遣をしていた派遣先は労働者に対して雇用契約、労働契約の申し込みをした、こういうみなし規定を入れたところでございます。

 では、派遣先の企業が違法を知らなかったということでその責めが免れる、そういうことでは委員が御指摘のようにおかしいということになろうかと思います。

 そこで、知らなかったということで、過失がそこにない、こういうことも要件に入れておりますから、これは、派遣先の知らなかったということについては、知らなかったことについて過失がなかったということを相手先が、派遣先が証明をする、こういうことにもなってまいりますから、ほとんどの場合がなかなか難しいというように考えております。

 ただ、全く知らなくて、それに過失がなかったような場合にもこのみなし規定を入れるということはちょっと規制がきつい、こういうことでそういう形にしたところでございます。

藤田(一)委員 そうしますと、知らないことに過失がない場合を除くとなっているわけですけれども、この過失がない場合というのは、企業側が、使用者側が立証できなければいけないんだ、こういうことでございますね。そういう形で厳しくやっていくという御答弁であったと理解をいたしますので、ぜひお願いしたいと思います。

 あわせて、みなし規定の導入でありますけれども、このみなし規定を導入するということによって、派遣先に対する抑止的な効果というものが大変強く出てくるんだということを伺っております。

 しかし、このみなし規定の導入、ここに今回列挙された、禁止業務に従事させること以下五点ありますけれども、それだけではなくて、違法派遣というのはいろいろな形で起きる可能性があるのではないか。むしろ、列挙された行為だけではない、全体的な厳しいチェック体制ということが派遣先に対しても今後やはり必要になってくるのではないか、このように考えるわけであります。

 従来、派遣元に対して、指導、勧告、命令、こういうものが行われてまいりました。今後、このみなし規定の導入だけではなくて、派遣先へのさまざまな指導というんでしょうか、そういうものをどのように行っていこうとされているのか、その点もあわせてお聞かせをいただければと思います。

細川副大臣 先ほど、みなし規定での、知らなかった、あるいはそれについて過失がないということ、そういうことについて御説明してまいりましたけれども、ちょっと加えますけれども、ほとんどの場合、だまされたというようなとき以外は、これは雇用先、派遣先のみなし規定が適用されるというようなことでございます。

 それからまた、違法派遣が繰り返されるというような悪質な派遣先に対しては、まず指導助言して、そして勧告、公表というのがこれまでだったんですけれども、これからはそういう指導助言というようなことではなくて、悪質な業者に対しては、指導助言をせずに即座に強力な勧告、そしてその企業名を公表していくというような、そういう厳しい態度で臨むこととなっております。

藤田(一)委員 ありがとうございました。

 いずれにしても、厳しい姿勢で対処をしていただきたいということをお願いしたいと思います。

 そして次に、有期雇用派遣労働者の無期雇用への転換についてお尋ねをしたいと思います。

 今回、努力義務規定ということでこの規定が入ってきたわけでありますけれども、派遣労働者の正規雇用への転換というのはなかなか難しい状況がございます。一度非正規という雇用形態で働くと、なかなか正規雇用にはなれない。もちろん、みずから希望して選んでいる働き方なんだという指摘も一方ではありますけれども、しかし大半は、実はやはり正社員という募集がなかったから派遣で働いているんだ、こういう理由が大変多いというふうに私は認識をしております。

 そういう人たちが正社員を希望して何とか転換したいといっても、実際には、履歴書段階で落とされてしまうケースがこれまた大変多いということでございます。理由は何かというと、やはりスキルが形成されていないとか、キャリアが蓄積されていないとか、こういう形で落とされてしまって、採用までいかないというわけであります。

 ここはやはり、派遣労働者の正規雇用への転換というのはこれからとても大事になってくるわけでありますから、具体的な就労支援策というものが必要であろう。従来の奨励金のような形も一つの方法でありますし、また、それが少し、時限立法的な形ではなくて、安定的に使用者にとっても利用できるというようなことも必要なんだろうと思いますけれども、いずれにしても、今回厳しく規制をかけたこととの抱き合わせで、やはり就労支援策強化をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 今の御指摘は重要な点でございまして、労働者については無期雇用がより望ましいわけであります。そのときに、派遣元に無期雇用されてもいいし、派遣先に無期雇用されてもいいわけでございまして、その双方について支援策というものを講じる必要があると考えております。

 今御審議いただいている法案については、三つの努力義務を派遣元に課しております。一つは、期間の定めのない派遣労働者または通常の労働者として雇用する、こういう努力義務であります。二番目については、紹介予定派遣の対象としてほしいという努力義務であります。第三には、期間の定めのない労働者、つまり無期雇用者への転換を促進するため、教育訓練等を行うという努力義務であります。

 それと同時に、今おっしゃっていただきましたような、派遣先が派遣元から派遣された労働者を直接雇い入れる場合は一定の奨励金を支払うという制度がございますけれども、これについて運用をして、雇用の安定を図っていきたいというふうに考えております。

藤田(一)委員 ぜひ、この就労支援策というものをさまざまな面から強化していただきたいというふうに思います。教育訓練等も大変重要でございますし、インセンティブを働かせていく奨励金ということも必要だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 それから次に、今回、対象から外れました派遣先の使用者責任という問題について、一言だけ触れさせていただきたいというふうに思います。

 派遣先の使用者責任というのは、やはり免れないのではないかと私は考えているわけであります。特に、派遣先にはさまざまな労働者の使用に対して、例えば労働安全衛生上の規定も適用されるわけでありますし、あるいはセクシュアルハラスメントの防止義務というようなことも求められているわけでございます。そういったことも考えますと、やはり派遣先の使用者責任ということをもう少し明確にしていくということが、派遣法をこれから強化していく上で必要なのではないか。

 ぜひ、これは今後の検討に加えていただいて整理をしていただきたい、このように考えます。いろいろな審議会の議論の中でも指摘があったというふうに聞いておりますので、ぜひこの点について検討を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

細川副大臣 派遣先の責任については、委員が御指摘のように、大変重要なことでございます。

 そこで、審議会の方でもいろいろと検討をいただいておりましたけれども、結論が出ずに先延ばしになったことがたくさんありまして、例えば派遣先の団交応諾義務だとか、そういうものも先送りになっております。

 それらの派遣先の責任については、派遣労働者の保護というような観点からこれをさらに検討していく、こういうことで、この改正案の附則の第三条第二項を設けておりまして、そこには「派遣先の責任の在り方等派遣労働者の保護を図る観点から特に必要と認められる事項について、速やかに検討を行う」、こういう規定を設けております。

 この規定をつくっておりますから、この法律が成立をいたしましたら、その後、速やかに労働政策審議会の方でこの議論をやっていただく、こういうことになっております。

藤田(一)委員 ぜひ団交応諾義務については認めていただきたい。労使間で解決できる問題もあるわけですので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、派遣労働者の待遇の改善についてお尋ねをいたします。

 今回は、派遣先労働者との均衡を考慮しつつ、賃金、労働条件の決定に配慮をするということになっているわけでありますけれども、常用代替防止の観点からも、やはりここは均等待遇原則ということが必要ではないかと私は考えております。パートタイム労働法でも差別的取り扱いは禁止というふうになったわけでありまして、ここは派遣法も同様にならなければならないのではないか。雇用における格差の是正ということについては、均等待遇ということが絶対に必要であります。

 もう重ねて申し上げる必要はないと思いますけれども、例えば、EU、欧州連合では、二〇〇八年の十一月に、派遣労働者指令ということで均等待遇を指令しております。そういうことをしているわけでして、均等待遇についてちゃんと検討するときを迎えているのではないか、このように考えていますが、ぜひここは大臣の前向きな御答弁をお願いしたいと思います。

長妻国務大臣 今のおっしゃっていただいた点でございますけれども、派遣労働者については、同じ仕事をしているにもかかわらず、派遣先の労働者に比べて賃金などの待遇が低く、不当である、こういうような指摘をいただいていることも事実であります。

 そのため、今御審議している改正案では、派遣労働者と派遣先の労働者が同じ業務についているのであればバランスのとれた待遇を求めるという趣旨で、派遣先の労働者との均衡を考慮する旨の規定を設けさせていただいております。これは、第三十条の二という規定で「均衡を考慮した待遇の確保」ということでございまして、まずはこういう措置で、労働者の皆様方がバランスを欠くような、そういう待遇がなされないように、我々としても指導していきたいと思います。

藤田(一)委員 大臣がおっしゃらんとすることは理解はいたしますけれども、均衡と均等はやはり違うんですね。ですから、そこはきちっと踏まえていただきたい。

 そして、この間もこのやりとりを何回かさせていただいていたんですけれども、なかなか厚労省の方の御回答は、評価基準や物差しがないとか、あるいはヨーロッパは産業別の賃金構造だとか、そういう話がいろいろと出てまいります。でも、もう具体的に、ここはその物差しづくりも含めて検討するときを迎えていると私は思っているんです。

 特に、今回、新成長戦略の中でも、同一価値労働同一賃金、均等待遇という言葉はやはり入っているわけでありますし、国連の女性差別撤廃委員会やILOからも再三勧告を受けている。こうしたことについて、政府は一定の回答をしていかなければならないわけであります。旧政権のときに、私ども野党のときには、これはおかしいと随分いろいろと言い続けてきましたが、政権がかわったわけでありまして、今度はその回答は大臣がなさるということになるわけであります。

 民主党のマニフェストでも、同一価値労働同一賃金、均等待遇原則ということは記載をいたしております。ですから、ここは一歩踏み出す、そういう決断で、今すぐ、あしたからできる、あさってからできるということではありませんけれども、きちっとその目標に向かってスタートを切っていただきたいということを私は申し上げたいと思います。

 大臣、もう一回御答弁、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 今申し上げたように、まず、この法案の中で「均衡を考慮した待遇の確保」という条文を設けさせていただいておりますので、この法律が施行された後、その実施状況、実態を把握して、そして是正すべき点があれば、それは課題として我々も対応する、こういうような姿勢は持ち続ける必要があるというのは同感でございます。

藤田(一)委員 ありがとうございます。

 働き方をこれから見直していかなければいけない、ワーク・ライフ・バランスということも盛んに言われている、こういうときに、どうしてもこの問題は避けて通れません。国際社会からもおくれをとっているということでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 最後に、もう一点だけお尋ねをしたいと思います。

 今回の法案、大変大きな転換、一歩ということでありますけれども、非正規労働者の増大ということ、そして格差の拡大ということは大変今深刻な問題になっています。派遣法の改正だけで問題は解決しないということは十分承知をしておりまして、特にこれからは有期雇用契約のあり方ということが大変大きな問題になると思います。

 この派遣法でも有期雇用契約のスキームというのが一部取り込まれているわけでありまして、これはせんだってお尋ねしたときにも、細川副大臣のもとに研究会が設置をされているということでございましたけれども、ぜひ、冒頭申し上げた不安定雇用の解消、派遣法だけでは解決できないさまざまな問題もあるわけでして、労働者の不安定雇用の解消が可能となる検討、有期雇用契約のあり方に対する検討ということを期待したい、このように思っています。

 この点について、ぜひ御決意をお聞かせいただきたいと思います。

細川副大臣 有期契約につきましては、大変重要な問題でございまして、今厚生労働省の中に有期契約の研究会を設置いたしまして、せんだって、その中間報告もしたところでございます。

 働く者にとって、有期契約をどういうふうに定めていくかということは大変重要な、大事なことでありますから、これからしっかりとまた進めていきたいというように思います。

藤田(一)委員 大変ありがとうございました。期待をしております。

 質問を終わります。ありがとうございました。

藤村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時一分散会


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