衆議院

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第20号 平成22年5月14日(金曜日)

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平成二十二年五月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 藤村  修君

   理事 青木  愛君 理事 石森 久嗣君

   理事 内山  晃君 理事 黒田  雄君

   理事 中根 康浩君 理事 大村 秀章君

   理事 加藤 勝信君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    磯谷香代子君

      小野塚勝俊君    大西 健介君

      岡本 英子君    加藤  学君

      勝又恒一郎君    小宮山泰子君

      郡  和子君    近藤 和也君

      斉藤  進君    園田 康博君

      田名部匡代君    田中美絵子君

      中野渡詔子君    長尾  敬君

      仁木 博文君    初鹿 明博君

      樋口 俊一君    福田衣里子君

      藤田 一枝君    細川 律夫君

      水野 智彦君    宮崎 岳志君

      室井 秀子君    本村賢太郎君

      山口 和之君    山崎 摩耶君

      山井 和則君    湯原 俊二君

      和嶋 未希君    あべ 俊子君

      菅原 一秀君    田村 憲久君

      武部  勤君    棚橋 泰文君

      長勢 甚遠君    馳   浩君

      松浪 健太君    松本  純君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   総務副大臣        渡辺  周君

   文部科学副大臣      中川 正春君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   政府参考人

   (内閣府子ども若者・子育て施策総合推進室長)   岡田 太造君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       伊岐 典子君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十二日

 辞任

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  柿澤 未途君     江田 憲司君

同月十四日

 辞任         補欠選任

  岡本 英子君     中野渡詔子君

  菊田真紀子君     湯原 俊二君

  田名部匡代君     小宮山泰子君

  田中美絵子君     近藤 和也君

  藤田 一枝君     磯谷香代子君

  三宅 雪子君     小野塚勝俊君

  山口 和之君     和嶋 未希君

  あべ 俊子君     馳   浩君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     藤田 一枝君

  小野塚勝俊君     三宅 雪子君

  小宮山泰子君     田名部匡代君

  近藤 和也君     田中美絵子君

  中野渡詔子君     本村賢太郎君

  湯原 俊二君     加藤  学君

  和嶋 未希君     山口 和之君

  馳   浩君     あべ 俊子君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤  学君     勝又恒一郎君

  本村賢太郎君     岡本 英子君

同日

 辞任         補欠選任

  勝又恒一郎君     菊田真紀子君

    ―――――――――――――

五月十一日

 児童扶養手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)

 母体保護法の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出、参法第六号)(予)

同月十二日

 母体保護法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第六号)

四月二十六日

 社会保障拡充を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第八〇三号)

 同(笠井亮君紹介)(第八四五号)

 同(笠井亮君紹介)(第九二七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九二八号)

 後期高齢者医療制度廃止などを求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第八〇四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第八二六号)

 同(志位和夫君紹介)(第八二七号)

 最低賃金千円の実現を求めることに関する請願(柿澤未途君紹介)(第八〇五号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(市村浩一郎君紹介)(第八〇六号)

 同(岡田康裕君紹介)(第八〇七号)

 同(川村秀三郎君紹介)(第八〇八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八〇九号)

 同(斎藤やすのり君紹介)(第八一〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第八一一号)

 同(神風英男君紹介)(第八一二号)

 同(田村憲久君紹介)(第八一三号)

 同(谷畑孝君紹介)(第八一四号)

 同(長勢甚遠君紹介)(第八一五号)

 同(福田衣里子君紹介)(第八一六号)

 同(牧義夫君紹介)(第八一七号)

 同(矢崎公二君紹介)(第八一八号)

 同(安住淳君紹介)(第八三七号)

 同(石関貴史君紹介)(第八三八号)

 同(鹿野道彦君紹介)(第八三九号)

 同(笹木竜三君紹介)(第八四〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八四一号)

 同(田嶋要君紹介)(第八四二号)

 同(松本龍君紹介)(第八四三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第八四四号)

 同(川内博史君紹介)(第八六九号)

 同(岸田文雄君紹介)(第八七〇号)

 同(中川秀直君紹介)(第八七一号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第八七二号)

 同(山本有二君紹介)(第八七三号)

 同(井上信治君紹介)(第八七五号)

 同(高木毅君紹介)(第八七六号)

 同(津川祥吾君紹介)(第八七七号)

 同(小平忠正君紹介)(第八八三号)

 同(篠原孝君紹介)(第八八四号)

 同(竹本直一君紹介)(第八九三号)

 同(松崎公昭君紹介)(第九〇五号)

 同(石山敬貴君紹介)(第九一〇号)

 同(太田和美君紹介)(第九一一号)

 同(坂本哲志君紹介)(第九一二号)

 同(坂口力君紹介)(第九二三号)

 同(志位和夫君紹介)(第九二四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九二五号)

 同(羽田孜君紹介)(第九二六号)

 同(赤澤亮正君紹介)(第九三五号)

 同(今井雅人君紹介)(第九三六号)

 同(金田勝年君紹介)(第九四〇号)

 同(野田聖子君紹介)(第九四一号)

 同(浜本宏君紹介)(第九四二号)

 同(渡部恒三君紹介)(第九四三号)

 労働者派遣法の抜本改正と最低賃金・時給千円以上を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第八二五号)

 後期高齢者医療制度を中止し、廃止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八二八号)

 同(志位和夫君紹介)(第八二九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八三〇号)

 生活保護の老齢加算をもとに戻すことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八三一号)

 同(志位和夫君紹介)(第八三二号)

 七十五歳以上の高齢者と子どもの医療費を無料にすることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第八三三号)

 七十五歳以上を差別する後期高齢者医療制度の廃止を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第八三四号)

 同(志位和夫君紹介)(第八八一号)

 パーキンソン病患者・家族の療養生活の質的向上を求めることに関する請願(本多平直君紹介)(第八三五号)

 同(坂口岳洋君紹介)(第八六六号)

 同(鹿野道彦君紹介)(第八八二号)

 同(大口善徳君紹介)(第九一七号)

 同(鹿野道彦君紹介)(第九一八号)

 同(岸本周平君紹介)(第九一九号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第九二〇号)

 同(村井宗明君紹介)(第九二一号)

 同(塩崎恭久君紹介)(第九三二号)

 同(高木美智代君紹介)(第九三三号)

 同(町村信孝君紹介)(第九三四号)

 同(鴨下一郎君紹介)(第九三八号)

 同(渡部恒三君紹介)(第九三九号)

 現行保育制度に基づく保育施策の拡充を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第八三六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第九二二号)

 季節労働者対策に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第八六〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九二九号)

 後期高齢者医療制度を速やかに廃止し、高齢者・国民が望む医療制度に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八六一号)

 同(志位和夫君紹介)(第八六二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八六三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第八六四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九三〇号)

 公共工事における建設労働者の適正な労働条件の確保を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第八六五号)

 膵嚢胞線維症の治療環境を実現することに関する請願(川内博史君紹介)(第八六七号)

 同(吉田統彦君紹介)(第八六八号)

 同(石山敬貴君紹介)(第九〇九号)

 国の財源で高過ぎる国民健康保険料の引き下げを求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第八七八号)

 雇用保険・全国延長給付の速やかな発動を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第八七九号)

 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願(生方幸夫君紹介)(第八八〇号)

 建設労働者の労働条件向上を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第八八八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八八九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第八九〇号)

 膵嚢胞線維症の治療環境実現に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第八九一号)

 中小業者とその家族の健康を守る対策に関する請願(鳩山邦夫君紹介)(第八九二号)

 脳脊髄液減少症に関する請願(河野太郎君紹介)(第九〇八号)

 医療崩壊を食いとめ、患者負担の軽減により安心して医療が受けられることに関する請願(柿澤未途君紹介)(第九三七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 児童扶養手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)


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     ――――◇―――――

藤村委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言申し上げます。

 去る四月十四日の委員会につきまして、委員長としてさまざまな御意見を最大限尊重したつもりではありますが、結果として各会派合意の上での委員会運営ができなかったことは、まことに遺憾に存じます。

 委員長といたしましては、引き続き、与野党御協力のもとで、各会派の意見を尊重しながら円満な委員会運営に努めてまいりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

     ――――◇―――――

藤村委員長 内閣提出、児童扶養手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。長妻厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 児童扶養手当法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

長妻国務大臣 おはようございます。

 ただいま議題となりました児童扶養手当法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 一人親家庭は、子育てと生計を一人で担わなければならず、母子家庭、父子家庭のいずれもが生活上のさまざまな困難を抱えております。

 近年の経済情勢や非正規雇用の増加等の雇用情勢の変化等を背景に、父子家庭においても、母子家庭と同様に、経済的に厳しい状況等に置かれている家庭が見られるところであり、このような父子家庭の生活の安定と自立を促進することは、当該家庭で生活する次代の社会を担う子供の福祉の増進を図る上で重要な課題となっております。

 こうした状況を踏まえ、母子家庭を経済的に支える上で重要な役割を担っている児童扶養手当について、父子家庭の父を支給対象とする措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 児童扶養手当につきまして、母と生計を同じくしていない児童を監護し、かつ、これと生計を同じくしている児童の父を新たに支給対象とすることとしております。

 なお、この法律の施行期日は、一部を除き平成二十二年八月一日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

 以上です。

藤村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府子ども若者・子育て施策総合推進室長岡田太造君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長伊岐典子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。室井秀子君。

室井委員 おはようございます。民主党の室井秀子でございます。

 質問の機会をお与えいただきました先輩議員、そして同僚議員、ありがとうございます。

 現在、我が国の経済状況がよくないことは、失業率や景気動向指数、税収の落ち込みを見てもはっきりわかります。今回の児童扶養手当法の一部を改正する法律は、父子家庭に光を与えるものと私は信じております。

 また、今般の子ども手当、児童扶養手当、公立高校無償化、高等学校等就学支援金の施策を通して、すべての家庭の子供たちが豊かな生活を享受できる社会につながるものと確信いたしております。

 さて、厚生労働省が昨年十一月に発表した子供のいる現役世帯の相対的貧困率では、一人親世帯の貧困率が極めて高く、相対的貧困率は五四・三%、大人が二人以上いる世帯の相対的貧困率は一〇・二%ですので、一人親世帯の貧困率の高さは歴然です。

 また、報道によりますと、福島みずほ少子化対策・男女共同参画担当大臣は、長妻昭厚生労働大臣から、母子家庭、父子家庭の相対的貧困率はOECD加盟国三十カ国の中でワーストワンという報告を受けたと記者会見で語っておられます。

 そこで、長妻厚生大臣、お伺いいたします。

 このOECD加盟三十カ国の中でワーストワンへの政府の対応をお伺いしたいと思います。

長妻国務大臣 日本の国の一人親世帯の格差、窮状というのは、これは先進国の中でも相対的貧困率はワーストワンということでございます。

 これについて、やはり家庭でお子さんを育てるというのはそのとおりなんですけれども、ただ、社会全体でお子様を育てることをサポートしていこう、支援していこうということで、今回は父子家庭にも児童扶養手当、あるいは、私ども、子ども手当などなど、現物給付、保育所の整備も含めて、社会全体でお子さんを育てていく、少子高齢社会に突入いたしておりますので、少子化の流れを変えるということも我々は目指していきたいというふうに考えております。

室井委員 大臣、そのとおりです。子供を育てた方は全員わかると思います、本当に子育てというのは生半可ではできません。将来の日本を背負ってくれる子供たちですので、ぜひこの貧困解消に向けて、一人親世帯へのさらなる政府の御努力をよろしくお願いしたいと思います。

 平成十八年度全国母子世帯調査では、父子家庭の困っていることが、それまでの家事支援から家計支援へと大きく変わっていること、御存じだと思います。父子家庭の年間就労収入というのは三百九十八万円です。母子家庭の母の年間就労収入が百七十一万円ですので、計算しますと二百二十七万円ほど多いという結果は出ております。

 確かに数字的に見れば、やはり母子家庭より父子家庭の方が楽じゃないの、そういう意見があるのは確かです。しかし同時に、年収三百万円未満の父子家庭が全体の三六%に上っており、平成十五年の調査と比べても全く変化はありません。依然として経済状況が厳しい父子家庭があるのが現状です。

 資料一を皆さんごらんください。

 資料一は、昨年の三月十七日に甲府地裁で、解雇を無効とし、約五百八十万円の支払いなどを命じた判決記事です。解雇された佐野臣功さんは、男親一人でお子さんを育てている方です。解雇理由の一つに挙げられました、約束以外の早退が多いについて、裁判長は、五歳の子供と暮らす父子家庭であり、子供の体調不良などで早退が多くなるのはやむを得ないとし、解雇は合理的理由を欠き、権利の濫用で無効とされました。私は、この判決、まともな判決だと思います。しかし、控訴審判決がことしの一月二十一日に出され、逆転敗訴です。育児、家事をこなしながら仕事を両立させるには、残業、転勤もある正社員として働くのは大変難しいのです。

 佐野さんの件は氷山の一角だと思います。弱い立場の労働者としては、納得いかない解雇であっても、裁判による解決は経済的負担、心理的負担が非常に大きく、泣き寝入りしている事態がほとんどではないでしょうか。今回のような、育児、家事をこなしながら仕事をしている一人親世帯の方となれば、その負担はもっともっと大きいはずです。厚生労働省は一体何をしているんでしょう。

 個別の裁判結果はともかくとして、国は、母子家庭の自立支援を目指して、よく聞いてください、平成十四年より、児童扶養手当中心の立場から就労、自立に向けた総合的な支援へと施策を転換しているではありませんか。このような国の施策の転換にあって、厚生労働省の組織である労働基準局、労働基準監督署が、佐野さんのような一人親世帯の就労支援を行わなかったのではないでしょうか。

 そこで、長妻厚生労働大臣にお伺いいたします。

 父子世帯を含む一人親世帯の就労に関しまして、不当な差別や解雇に関して厚生労働省の厳しい対応を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 これは一般論としても申し上げますけれども、労働契約法という法律がありまして、十六条で「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」ということがありますので、これは我々も、この条文が守られるように怠りなきよう全国を監督していきたいというふうに考えております。

室井委員 大臣、裁判に持っていくまでには佐野さんは本当に努力なさったと思います。そして、日本国じゅうにこういう方はたくさんいらっしゃいます。どうぞ、厚生労働省の方、働きながら子供を育てることがいかに大事か御存じの方はたくさんいらっしゃると思いますので、ぜひ、先ほどのお言葉、厚生労働省で深く考えてください。よろしくお願いいたします。

 大臣、唐突ですが、五月五日、何の日か御存じですか。

長妻国務大臣 こどもの日でございまして、それに先立って厚生労働省の正面にこいのぼりを上げさせていただきまして、近くの保育所のお子さんたちと一緒にこいのぼりを掲揚させていただきました。

室井委員 はい、こどもの日です。しかし、よく聞いてくださいね、国民の祝日に関する法律では「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。」日となっておりまして、父が抜けております。ぜひここに父を入れてほしいと思います。

 私は、父子家庭へのセーフティーネットは母子家庭と比べてまだ少ないと考えます。例えば、母子及び寡婦福祉法では、平成十四年に一部が改正され、母子家庭の定義に「等」とつけ加えることで父子家庭を含むとしております。同法では、母子家庭等を未成年者、二十未満の子がいる家庭に限定しており、子が二十になったとき、母子家庭の母だった女性は寡婦として引き続き支援を受けられます、女性は。しかしですよ、父子家庭の父だった男性は子が二十になった時点で支援の対象外となっております。父子家庭と母子家庭ではここで大きな差が出てくるということが私、わかりました。

 父子家庭対策の最近の取り組みとして生活支援事業の拡大等がありますが、ぜひ資料二をごらんください。資料二は、国会図書館の資料をもとに私の事務所で一覧表にしてみました。父子家庭、母子家庭、両方に支援があったのが五つ、自治体によって対応が違ったのが六個、母子家庭のみが八個、こういう結果が出ました。父子家庭は母子家庭の支援と比べて公的支援が極めて薄いのが現状です。

 そこで、長妻厚生大臣にお伺いいたします。

 父子家庭へも母子家庭同様のセーフティーネットの充実を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 改めて今、室井先生がつくっていただいた資料を拝見して、父子家庭と母子家庭、かなり支援に差があるということを私も認識いたしました。

 特に、この中で、六番の母子福祉センターでの相談については、父子もサービスの対象とできないかどうか、これは自治体や女性の利用者の意見を聞いていきたい、今後前向きに検討していきたいと思います。そして、十六番につきましても、これはいろいろ福祉事務所等々で自立支援の相談ということでありますが、これも今までは母子だけでありましたけれども、父子もサービスの対象とすることについて、自治体に御意見も聞きながら前向きに検討していきたいと思います。

 いずれにしても、父子と母子の差というのは、これまで日本の考え方の中で、やはりお父さんとお母さん、お父さんは自立している度合いが強いし、仕事もあるんだ、こういう固定観念といいますか、それに引きずられてずっと続いている制度、仕組みというのも一度点検する必要があるというふうに考えております。

室井委員 長妻大臣、社会は大きく構造も変わっております。ぜひいろいろな点から見直しを図っていただきたいと思います。

 実は、私、これをつくりまして、ずっと見ていまして、資料二の十九番目、ごらんください。主たる生計維持者の妻に先立たれた場合は、主たる生計者が妻ということは今多くなってきております、十八歳未満の子がいる場合でも、夫は遺族基礎年金を受けることができません。また、遺族厚生年金は、子供には出ますが、夫には五十五歳以上でなければ支給されません。さらに言えば、夫に先立たれた妻の年収が八百五十万以下であれば、妻には遺族厚生年金は支給されます。

 そこで、ミスター年金であります長妻厚生大臣、この遺族基礎年金、遺族厚生年金の夫への支給の見直しに関しましての取り組み、見解をお伺いいたします。

長妻国務大臣 これについても、私の記憶が間違っていなければ、まさに野党時代、この委員会でそこに座って同じようなことを質問させていただいたわけであります。やはり、差があるというのは合理的な説明ができないのではないかというふうにも考えますので、我々としては、平成二十五年に法案を成立させる予定の新年金制度の具体的な制度設計を進める中で、今の御指摘の点も十分に踏まえて検討していきたいというふうに考えております。

室井委員 心強い答弁をいただきました。

 長妻厚生大臣がこの質問をなさっていたというのを初めて知りまして、うれしく思っております。ありがとうございます。

 次の質問に入らせていただきます。

 さきの衆議院総選挙で我が党が掲げましたマニフェスト、政権公約に子ども家庭省の創立があり、このたび鳩山内閣でまとめた少子化対策大綱、子ども・子育てビジョンに、子育て支援を一元的に扱う子ども家庭省の設立を検討すると明記されました。

 そこで、内閣府にお伺いいたします。

 政府としての、子ども家庭省、これは仮称でございますが、創設を含む子ども・子育て新システムの内容はどのようなものか、お伺いいたします。

泉大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 子ども・子育て新システム検討会議ということで、四月の二十七日に、仙谷大臣、枝野大臣、福島大臣を議長として、大臣会合を、第一回、開かせていただいたところであります。その以前から、各省政務官、山井政務官にも御参加をいただいて作業グループというのをつくっておりまして、この中では、特に待機児童対策、そして幼稚園、保育園を初めとしたすべての保育メニューの再構築ということを含めながら、今委員御指摘になられた子ども家庭省、政府の推進体制、あるいは国と地方との役割、そういったことについて今議論をしているところであります。

 そういった中で、子ども家庭省の議論も今進めているところでありますが、一つの省をつくるというのは大変大きなことでありますので、単独で子ども家庭省の議論だけが進むというよりかは、省庁再編全体の中では確実に子ども家庭省というものをつくっていきたいというふうに考えております。

 では、現在の段階でどこまでやるのかということについては、例えば、幼稚園と保育園の事務にかかわる部分を統合しよう、まずそこから始めようという案が一つありますし、その周辺に広がる父子家庭支援や虐待の問題や、そういったものをこの子ども家庭省に含めていこう。最終的には、教育、生活双方が完全に合致する形での一つの大きな省、いろいろな段階ですとかいろいろな構想が、まだ構想という状況のままでありまして、現在のところは、明確にどの範囲までがこの子ども家庭省に入るというのが決まっておりません。

 しかし、委員おっしゃったような父子家庭支援の問題も、確実に将来的には我々の考える子ども家庭省の範囲に入ってくるというふうに思っているところであります。

室井委員 泉政務官、ありがとうございます。ぜひとも子ども家庭省を設置していただいて、幼保一元化だけではなく、この一人親世帯の支援も子ども家庭省で取り組んでいっていただきたいと思っております。

 本日は、泉政務官、ありがとうございました。どうぞ御退席いただいて結構でございます。

 さて、私は、ここからが一番知りたいところなんです。

 次に、少年犯罪を父子家庭と母子家庭で比較したところ、大変ショックなことがわかりました。さきに資料二で指摘しました、父子家庭のセーフティーネットが薄いのが原因ではないかと思うくらい、父子家庭の子供たちの犯罪発生率は高いのです。

 資料三をごらんください。資料三は、総務省が五年に一度調査しております平成十二年と平成十七年の国勢調査と、警察庁から、近々のはありますが、国勢調査と比べるために、その十七年と十二年を比べておりますことは御了承ください。

 平成十七年の場合、十四歳、父子家庭犯罪発生率一〇・九%、母子家庭犯罪発生率五・三%。この欄をずっと比べてみてください。父子家庭の子供たちの犯罪発生率が高いのが、平成十二年も平成十七年も同じようにわかるはずです。各年齢すべてで、父子と母子を比べた場合、父子家庭の発生率の方が高いのです。また、参考資料として出しております平成十七年の触法少年にも同じ傾向が出ております。

 資料四は、平成二十年の犯罪の少年犯罪の項に、罪種別、年齢・学職別、両親の状態別検挙人数です。この資料によりますと、父子家庭の検挙人数ですが、実父、養父と継父を足しますと五千九百八十六人、母子家庭検挙人数も、実母、養母と継母を足しますと二万四千二百九十五人となっており、一見、母子家庭が多いようですが、平成十七年の国勢調査では、父子家庭は九万二千世帯、母子家庭は七十四万九千世帯で、母子家庭は父子家庭の八倍の世帯数ですので、父子家庭の刑法犯がいかに多いかわかります。ここをどうにかしなければならないのです。

 私は、家庭の努力だけでは限界があり、社会の仕組みを変える時期だと思っております。政府は、子育て支援、ワーク・ライフ・バランス等の推進を掲げておりますけれども、どこか政策の一元性がないように感じます。前政権で光が当たらなかった父子家庭の子供たちを、どうか犯罪の道に入ることを食いとめるためにも、政権交代をした今、長妻大臣、政治主導で解決していただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。

長妻国務大臣 まず、大前提といたしまして、当たり前のことでありますが、ほとんどの父子家庭、母子家庭の皆さんは、本当に頑張って、まじめに取り組んでおられるということでございます。

 我々といたしましては、基本的に、就労支援というのは、これはさまざまな施策を申し上げておりますけれども、特に父子家庭の場合は、母子家庭も同じでありますけれども、家事ですね。働いておられる場合、やはり家事というのが非常に大変になるということで、今、母子家庭、あるいは父子家庭も同じでございますが、ヘルパー派遣事業というのを自治体、国でやっておりまして、家事を手伝うために御自宅にお邪魔をして、いろいろ御相談も含めて御自宅で対応させていただくということであります。

 これは、平成二十年度の実態を見てみますと、父子の利用実績というのが全国で二百八十二件ということで、非常に少ない状況になっておりますし、これを実施している自治体というのも不足しているというふうに考えておりますので、まず、このヘルパーの派遣、家事を手伝うための支援を今後強化して、少しでも親御さんの負担をサポートできるような体制というのもとっていきたいというふうに考えております。

 就労支援を充実させるというのは、これはもとより重要でありますので、ハローワークにも、マザーズハローワークということで、働いているお母さんのための、就労に特化して支援する窓口というのもございます。これは当然、父子のお父様も利用できるわけでございますけれども、こういうことの取り組みを拡充していきたいと思っております。

室井委員 ぜひ、母子家庭、父子家庭問わず、働きながら子供を育てている方、一人親世帯に光を当ててくださるよう、よろしくお願いいたします。

 貧困の格差は本当に子供の教育の格差につながっているというのが、今、社会の見方です。そして、子供の将来に親の収入が影響して、負の連鎖はますます、孫の代、次の代まで続いている、私はそう考えております。どのような家庭環境で育とうとも、子供は社会の宝です。そして、この日本を最後背負ってくれる、未来永劫に続くものです。子供たちが夢と希望を持てる社会こそが、私たちが言う、社会が子供を育てる、そういうことにつながるのではないでしょうか。

 私は、母子家庭、父子家庭にかかわらず、この新しい政権で、影となってきたところに光を与える、そういう政権であってほしいと思います。どうぞ厚労省の皆様方に、これからこのことを肝に銘じて頑張ってほしいものだと思います。

 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

藤村委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 ただいま室井委員は、これまで光の当たらなかった父子家庭の問題が、今日、児童扶養手当が父子家庭にも支給されるようになるという大変画期的なこの今回の法案について、評価の御発言をされて、本当によく資料も集められて、すばらしい御質問だったと思います。それをベースにいただいた上で、私が質問させていただきます。

 では、その施策が母子家庭は果たして手厚かっただろうか、母子と父子の差もありますが、いわゆる一人親家庭というもの、従来は、母親の方が収入が少ないということで、その生活安定ということもあって母子施策の方が先んじたわけでありますが、そのこと自身が今、貧困化、格差の拡大の中で、本当にこれで大丈夫だろうかということが問われているんだと思います。

 大臣もよく御存じのように、日本の母子家庭の場合は、お母さんたちは大体仕事についているわけです。人によっては、ダブルワーク、トリプルワーク、二つも三つもかけ持ちして、お子さんを一生懸命育てている。いわゆる就労率は八四・五%、これは諸外国に比してもまれなくらい、群を抜いて高いわけです。

 しかし、実際に得られる平均の年収が二百十三万円である、これでお子さんを抱えてどう暮らしていくんだろうかということがやはり一番大きな問題ですし、また、常用雇用と非正規の率を分けますと、ほぼ半々ということで、もちろん常用でも賃金は十分じゃないかもしれないけれども、さらに非正規であれば不安定な賃金になる。

 今回、父子家庭への支給が必要とされる大きな理由は、先ほど室井さんも御指摘ですが、実は、年収が三百万円未満の父子家庭が三七%に達したということで、三家庭に一家庭は、父子家庭でも家庭を維持していくための基礎的な収入が不安定であるということだと思います。

 さて、こうした実態に対して、これまで母子家庭について取り組まれたことについて、二〇〇二年度以降、母子家庭の母に対する就業、自立に向けた総合的な支援、いわゆる就労支援が強化されてきたと思います。二〇〇三年には超党派で、母子家庭の母の就業の支援に関する特別措置法で、これは五年間でしたけれども、時限立法をいたしまして、就業に向ける相談窓口、職業能力の向上などいろいろな取り組みをして、そして五年が終わったところです。

 さて、大臣、そもそもこの五年の時限立法の取り組みについて、例えば母子家庭の働き方、例えば正規がふえるとか、あるいは収入が上がるとか、この五年をやってみた結果の総括をまずお願いいたします。

長妻国務大臣 今おっしゃられたのは、五年の時限立法で、もうそれは終了いたしたわけでございますけれども、それに取り組んだ結果、どういう状況になったのかということでございますけれども、例えば、自立支援プログラムというのを策定の件数が、平成十七年度は四百三件でございましたが、平成二十年度は七千百六十二件、あるいは高等技能訓練促進費事業というのが、平成十七年度七百五十五件が二千九十九件。法律、時限立法が終わった後も、それが一つの促進になった部分もあるのではないかと思っております。

 それと、自立支援教育訓練給付金事業につきましても、これはパソコンとかホームヘルパー等の受講に要した費用を給付させていただくというものでありますが、今まで、平成二十年度でいうと大体八九%の自治体で行われておりまして、一〇〇%ではなかったわけでございまして、これは福島大臣を中心に閣議決定もいたしました子ども・子育てビジョンの中には、平成二十六年度までに一〇〇%の自治体で実施してもらおうということで施策を進める。

 そして、高等技能訓練促進費等事業、これは、例えば看護師さんなど資格を取っていただければ、そこで働いていただければ安定的な職となるということで、それについての取り組みというのも、自治体の中では平成二十年度は七四%でありましたが、子育てビジョンで平成二十六年度まで一〇〇%、すべての自治体でやっていただこうということで今取り組んでおります。

阿部委員 今の大臣の御答弁のように、よいものは続け、足らざるはもう一度何が問題であったかを見直すということなんだと思います。確かに、高等技能訓練、これは資格を得て収入が安定するということで一つ評価はできると思うのですが、まず、もともと全体の収入はどうかというところも、ぜひこれはきちんと把握をしていただかねばならない大きな点だと思っております。

 それからまた、確かに、シングルマザーから寄せられている御意見を聞くと、そうやって資格も取れたんだけれども、しかし、今度は労働時間が大変に長くて、子供といる時間、すなわち親子でいられる時間はかえって少なくなってしまったりしている。

 母子家庭あるいは父子家庭を安定させていくためには、収入、それから、やはり人間関係がそこで狭められていますので、まずは親子の関係、それから地域との関係を十分とれるだけの働き方の問題など多様ですので、ぜひこれは、五年間やってみられた後の総括の視点をきちんと持ってやっていただきたい。

 中でも一つ、私が気になる点ですが、このときの時限立法で、同時に、先ほど申しました就労のための相談、大臣も御答弁がありましたが、あるいは技術訓練、技能訓練などのほかに、公共施設において雇い入れの促進ということがうたわれておりました。この実績値と今後の取り組みについて、御答弁、これは局長にお願いいたします。

伊岐政府参考人 特に雇用促進という観点につきましては、母子及び寡婦福祉法におきまして、国及び地方公共団体は、母子家庭の母の雇用の促進を図るために、公共的施設における雇い入れの促進等必要な措置を講ずるように努めるという規定が設けられているところでございます。

 この規定に基づきまして、厚生労働省といたしましても、非常勤職員の求人情報も含めた、さまざまな自治体、公的機関の求人情報を母子家庭等就業・自立支援センターを通じまして御提供するように、地方公共団体等に対して要請しているところでございます。

 これらの取り組みによりまして、平成二十年度現在、国の機関には五十九名、それから地方公共団体や公益法人、社会福祉施設等の関係団体には四百三十二名の母子家庭のお母様が採用されたところでございまして、一定の成果は上がってきているのではないかというふうに考えてございます。

 今後とも、さまざまな機会を通じて、公的な機関あるいは地方公共団体あるいは国の機関における雇い入れの促進等についても協力を要請してまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 一定の評価といったって、百万人からの母子家庭のお母さんがいるんですから、四百三十何人とか言われてしまうと、時限立法がそれだけなのかという感じがしますね。

 確かに、時限立法の初め、平成十六年、百七十九人、平成二十年度が四百三十二人、これは地方ですね。国が四十四で、平成二十年度は五十九です、大臣。お母さんの数、母集団と比べて、こうやって時限立法を特別、頑張りたいとつくって、やはり国の機関、四十四が五十九というのは、私は、余りにも本来の役割を果たしていないのではないか。

 今、官から民という言葉が盛んで、もちろん、民ができるものは民がやればいいと思うのです。でも、母子家庭の、あるいはまた父子家庭の生活の安定とか雇用の安定のために、私は、やはり公共的な機関がそれなりの努力をしていただく、障害者雇用もそうですけれども、そういう視点がないと、本当のセーフティーネットは張れないと思うんです。

 大臣、今局長はそれなりの評価をなさいましたけれども、私は甘いと思うんですね。もっと大胆に、もっと前向きにやっていただきたいが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 法の趣旨、あるいは母子及び寡婦福祉法の第二十九条第一項でもそういう趣旨がうたわれております。厚生労働省においては、ハローワークでも、あるいは年金機構でも、非常勤国家公務員が最近は大変必要になってきておりますので、その部分も含めて、今後、そういうお母様方の就労促進に資するような、そういう採用をさらに強化できないかどうか、検討していきたいと思います。

阿部委員 何も非常勤の国家公務員にしてくれと言ったのではないですから、大臣の前半の御答弁の趣旨をよくとりまして、とにかく国として努力できるところは率先してやるということだと思います。母子家庭の生活の安定、就労の安定ということも必要だと思いますので、お願いいたします。

 次に、児童扶養手当の減額制度の問題についてお尋ねをいたします。

 施行になりましたのは、実は改正は二〇〇二年ですけれども、実際に施行されたのは二〇〇八年四月からで、受給から五年たちますと、最大限で半分に減らしましょうというこの法については、私どもも野党時代、大変問題が多いというふうに指摘をしてきたわけですね。

 そもそも、では五年たったら、先ほど言いました特別措置法を五年やってもほとんど収入は上がっていないんですよね、平均すれば二百十三万ですから。もともと、五年という期限の意味、あるいは五年を設けるときの根拠、あるいはその後のデータなどを集めておられますでしょうか。これも局長にお願いします。

伊岐政府参考人 先生お尋ねの件、すなわち児童扶養手当受給開始後五年経過した受給者等に対する一部支給停止措置につきましては、平成十四年の児童扶養手当法及び母子寡婦福祉法の改正の際に、これは自立を旨とするさまざまな改正が行われたときであったわけでございますが、離婚後の生活の激変を一定期間内で緩和しつつ、母子家庭の自立を促進しよう、こういう趣旨で、就業支援策の強化を図ることとあわせて導入いたしました。

 このとき五年という期間を定めましたのは、この法改正の直近のデータで平成十一年三月のデータがございましたわけですが、児童扶養手当受給者の平均受給期間が五・〇一年となっておりました。これは、児童扶養手当受給状況調査というのが平成十一年に行われておりまして、これが平均受給期間五・〇一年となっておりましたが、こういうことを一つの目安といたしまして、平均的な受給期間まではということで定められたというふうに承知いたしております。

 ただ、先生も御指摘のとおり、平成二十年四月の、いよいよその措置を実施するという際の具体的な要件の検討に当たりましては、これは平成十八年度の全国母子家庭等調査を参考にいたしまして、先生おっしゃるとおり、母子家庭の平均収入はなお非常に低い状況にある、低所得世帯も多くを占める状況にある、その状況が大きく変化していなかったというようなことも踏まえ、また、受給者御本人やそのお子さんの疾病あるいは障害等で就業が困難な事情もあるだろう、個別に見ていくとそういう状況もあるだろうということで、そういう困難な事情がないにもかかわらず就業意欲が見られない方以外は一部支給停止措置を行わないという形で運用を定めたところでございます。

阿部委員 今御答弁いただきましたけれども、なるべく私の質問で言ったところは簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 二ページ目のデータでお示しさせていただいたように、今局長もおっしゃったように、一部支給停止となった受給資格者数は平成二十二年一月においては三千九百五十八人。五年の満期を迎えた方が四十五万三千四百五十九人いるうち、支給停止となった方は三千九百五十八人。実際に、今言われたような、働けるのに働いていないのではないかと思われる、ただ、私はそれもわからないと思う。いろいろな心身の不調で、お母さんたちが本当に疲れ切ってしまっている場合もあるから。

 私は、こうしたことの前提に、長妻大臣、さっきも言いましたが、五年やってみた後の所得調査とか、やはりエビデンス、長妻さんはこれまでも全部、例えばサンプル調査をしましょうとか調査を重んじてこられましたよね。五年という年限はそもそも私ども反対でありましたけれども、やってみて五年で所得は上がっていない。こういう特例事項みたいなものを設けるんじゃなくて、やはり正面から、五年で例えば収入はどう移行するんだろうかということを厚労省としてきちんと調査されるべきだと思うんですね。

 ちなみに、阿部彩さんという、子供の貧困問題でここの参考人にも来ていただいた方のデータを見ますと、正社員になれた場合は二、三年で所得が上がってくるんですけれども、非正規の場合は全然変わらないんですね、ダブル、トリプルに仕事をしても。

 それもありますから、ぜひこれは、五年という年限は私どもは反対、これは大臣もそうだと思います。でも、そのために必要なデータをきちんと、根拠がないじゃないかと、あるいはどうすればそれが本当に短縮できていけるのか、きちんとベースのデータをおとりいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 五年後、一部支給停止となった受給資格者数が今お配りいただいた資料で三千九百五十八人ということでございますので、私ども、実態把握が重要だと申し上げておりますので、この三千九百五十八人について、サンプル的に、どういう方々が一部停止になったのか、その現状を把握していきたいというふうに考えております。

阿部委員 私がお願いしたサンプル調査は、もっと母集団は多いのです。母子家庭、あるいはこれから父子家庭も入れますけれども、その働き方と収入の推移というものをきちんと国としてデータベース化して、できるものはですよ、プライバシーがありますけれども、協力していただける場合はやっていくべきだと思うんです。

 支給停止になった方についても、今大臣がおっしゃってくださったように調査はしていただきたい。いろいろな施策をしていくときに、本当に、五年で二百十三万、ほとんど変わっていないんですよね、特別措置法をつくっても。何が問題なのかを把握する責任がやはり政権を担う者にはあると思いますので、趣旨を御了解いただいて、やっていただきたいと思います。

 次に、女性保護施設というものにおける同伴児童の問題に行かせていただきます。

 皆さんのお手元の三ページ目を見ていただきますと、女性保護施設と申しますのは、DV、いわゆる夫からの暴力等々で緊急避難的に女性が保護を求めるところでありまして、婦人相談所という名前で表がありますけれども、そこで相談した結果、シェルターへの委託も含めて一時保護をしたり、あるいは一時だけで済まずその次の婦人保護施設というところに身を隠すというか、生活の安定のためにいるというケースであります。

 これは婦人相談所とか婦人保護施設となっておりますが、実は、多くの女性たちが子供連れで逃げてくる場合があるわけです。ここに子供がいるということは実はほとんど意識に上っておりませんが、こども未来財団の調査が、これは厚労省からの委託調査だと思いますけれども、緊急一時保護に八千百三十九人の女性が来られると、何と七千五百一名の子供がいる。八割、九割が子連れだということですね。それから、措置入所、一時的であれ措置入所になった千三百二十四人のうちには同伴児童が五百二名いるわけです。

 しかし、この子たちは、これは婦人保護施設という施設にいるわけで、この子たちのための何らかのよりよきケアをするための法的根拠もなければ、また現実的に、例えばこの子たちも、親のDVを見ていて心にも傷を持つ、あるいは逃げてきて学校に行くことが中断される、心も混乱する、学業にも向かうことができないなどの状況にあるわけです。

 こうした子供に対して、これも局長、端的にお願いしたいと思うのですけれども、今後さらに現状調査、特に、この間、部屋でお話を伺いますと、これが母子生活支援施設の方に移行するケースもあるから、すなわち下段ですよね、ということの御答弁をいただいたんですけれども、例えば婦人保護施設にも平均三カ月とかおられるわけですね。その間、学校も中断あるいは子供の心理ケアもないというのではすごく大きな傷になると私は思いますので、今後の実態把握についてどうお考えか、お願いいたします。

伊岐政府参考人 婦人保護施設に入所している女性が多く同伴児童を抱えておられる状態について、さらに実態把握をして、そのお子さんの福祉に怠りないような対策をとるべきではないかというような御指摘かと思います。

 恐縮ながら、やはり婦人保護施設の位置づけだけは申し上げておかなければいけないかと思いますが、これは、売春防止法に基づく女性のための保護施設というふうに法律上なってございます。したがって、私どもの立場としては、現状は、恐縮ながら、保護された女性の状況を中心に都道府県から御報告をいただく形になってございますし、同伴児童に関しましては、その人数についてのみの御報告となっているところでございます。

 ただ、おっしゃるとおり、やはりその後、母子生活支援施設に行っていただくためにも、その一時保護している間に、さまざまなお子さんの状況に対して支援が必要であろうということで、婦人保護施設につきましても、心理療法担当職員の配置であるとか、同伴児童の対応を行う職員の配置等々、予算措置はさせていただいているところでございます。

 これで十分かどうかという御指摘であろうかと思いますので、これは予算の効果等を測定するための何らかの方法での実態把握について検討してまいりたいと思います。

阿部委員 こども未来財団の調査によれば、例えば措置入所部門の同伴児八十四人のうち、学齢児は二十一人いて、通学しているのは三人だけ。結局、学校に行っていないんですね。

 今、局長もおっしゃったけれども、もともと最初にできたのは売春防止法にのっとります。でも、その後、実際には今ふえているDVなどのシェルターになっている。そうすると、当初設けたものと現状の機能と、そしてそこに助けを求めてくる実態は違うわけですから、時代に合わせて、特にチャイルドファーストということを掲げる民主党の皆さんの私どもとの連立政権でありますから、もう少し視点を子供にずらして同時にやっていただきたいと思います。

 大臣も御承知のように、子どもの権利条約の第四条には、「締約国は、この条約において認められる権利の実現のため、すべての適当な立法措置、行政措置その他の措置を講ずる。」と。要するに、子供というものが受ける不利益に対して、きちんとそれを法的にも保護し、そして制度的にも実施していくということがうたわれているわけです。

 権利条約のような国際法は、結べばいいというのではなくて、その後の国内法の整備が不可欠であります。大臣にはこの点についてお伺いをいたします。

長妻国務大臣 今の御指摘の点についても、国内法の整備、どういうものを対象とすべきなのかということは検討課題としていきたいというふうに考えております。

 そして、今その前段で言われたお話でありますけれども、婦人保護施設にお子さんと一緒にということでありますが、やはりそこで一時的にいていただいて、それが余りにも長くならないように、その方がスムーズに母子生活支援施設に移っていただくような、そういう橋渡しというのが十分なされているのかどうかということについても、実態を把握していきたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、母子生活支援施設であれば、お子さんに対する支援、サポートというのも婦人保護施設よりは手厚くなっておりますので、そこの橋渡しというところについて、我々、現状把握をして、できる対策をとっていきたいと思います。

阿部委員 今の大臣の御答弁もぜひそうしていただきたいですが、もう一つ知っていただきたいのは、子供にとって、そうした親の暴力から一緒に逃げて、やはり不安定な最初が大事なんですね。鉄は熱いうちに打てではないですが、そのときしっかりと受けとめてあげるかどうか。

 特に、非常に不安定になっているお母さんとある意味では分けて、空間的に分けるという意味ではないんですよ、一緒に連れてきているから。でも、その状態の子供をまず心理的にも受け入れて、それから、例えば勉強に取り組む一つでも、子供は子供の空間ができるんですね。例えばこの次の施設に移行するまでが二週間、三週間であっても、そこが大事なんです。

 本当に深い傷を負います。これは、子供というものが、お父さんもお母さんも、実は暴力を振るっていても非常に好きだから。それが分離されるわけです。そのときの子供の状況をきちんと支えられるだけの、私は子供にちゃんと着眼した政策をぜひとっていただきたいと思います。

 最後に、父子家庭の支援についてお伺いいたします。

 先ほど来取り上げましたように、かつて父子家庭というと、家事、特に食事等々の問題での不自由が一番高いということでありましたが、近年、所得の問題にさらに低所得がかぶさってきているということを申しました。こういう家事、とりわけ食事等々の問題。

 あるいは、夕方、お父さんが残業する。その間、子供はどこにいるかということで、これまでも、父子家庭のみならず母子家庭もそうですが、先ほど大臣がおっしゃったヘルパー派遣、あるいはトワイライトステイというのがあって、夕方お預かりする一時的な制度がございます。

 これは、実は〇三年から、全国三百カ所のいわゆる児童養護施設等々に併設された子ども家庭支援センターというところでやっておるのですね。大変いい事業なんですけれども、大臣もぱっと考えればおわかりのように、児童養護施設というのはそうそうあるわけではないわけです、全体に三百カ所ですから。父子家庭、母子家庭の子供たちの散らばるのは、もうあらゆるところに今や日常的になっているわけです。

 先ほど室井さんの御発言の中で、父子家庭の子供さんが特に非行等々の率が高いというのも私は大変に貴重な御発言であったと思いますが、まず、子供たちにとって家庭、とりわけ食事の場面。例えば、夕方、お食事をお父さんが帰らないから待っている。お母さんの方がそういうのは手早いですから、あるいは、これまでもなれている、これは歴史の中であって、父子家庭についても、もちろん母子家庭についても、子供が温かな食事を安心してとれる場所というのは、私は非常に重要なことなんだと思うんです。

 お手元の四枚目の新聞記事、朝日新聞の夕刊の五月十日付です。これは、地域の空き店舗を利用して、「ご飯とぬくもり おすそ分けの輪」と書いてあるんですけれども、そこに町のいろいろな、主婦であれだれであれ、お料理をつくってくださる方が持ち寄って、そして、そこに行けば、子供でもおじいちゃんでもおばあちゃんでも食事ができるというスポットが、少しずつ日本でも始まっています。実は、イギリスでは、エージコンサーンというNPOがあって、全英で八百カ所、御高齢者に対してこういう食事サービスをやっております。

 私は、対策というと変ですが、母子家庭、父子家庭は、一つは経済的困難、あるいは次は人の縁、そして家庭の機能というものを何とか社会的にサポートすることが大事だと思います。鳩山政権にあっては、新しい公共ということを打ち出しました。これはどこの町でもできる取り組みで、そこにはだれでもが行ける、子供たちに人の縁もできる、温かみもできる、おなかもいっぱいになる、非常にいい取り組みだと思います。

 一つは、単に児童養護施設のような限られた数でトワイライトステイをやるのではなくて、幅を広げられないかというふうに考え方を柔軟にしていただきたい。ヘルパーさんの問題は、さっき大臣からありましたけれども、なかなかマンツーマンでやるといっても、子供に地域のことが開かれません。

 こうしたことも含めて、父子家庭、母子家庭の支援ということをもう一度柔軟に考え直してみていただきたいが、いかがでしょう。

長妻国務大臣 今御指摘いただいた新聞記事なども、すべてそういうサポートを公務員が担うとそこで不足するもの、すき間を埋めるもの、新しい公共という考え方もありますけれども、地域の方々にそういうことがやりやすいような環境をつくるというのも我々の仕事だと思っております。

 いずれにいたしましても、本当にどういうことにニーズがあるのか。父子家庭、母子家庭、一定の調査、アンケートというのはありますけれども、それをきめ細やかに把握していって、適切な支援を、これは公務員だけではなく、そういう新しい公共ということで、ボランティア、地域ということも、支援が広がるような環境をつくるということで、我々も取り組みたいと思います。

阿部委員 新しい公共とは、ターゲット、対象を絞ることなく、その地域に住むすべての、今、フードアクセスといって、食になかなか到達できない御高齢者もいますから、そういう方にとってその地域の核になるような取り組みをいいます。ぜひ大臣にも、また閣内で積極的に御発言をいただきたいと思います。

 終わらせていただきます。

藤村委員長 次に、馳浩君。

馳委員 おはようございます。自由民主党の馳浩です。

 私は、日ごろは文部科学委員会に所属しているのではありますが、きょうは、同僚委員の了解もいただいて、厚生労働委員会で初めて質問をさせていただきますので、藤村委員長、お手やわらかによろしくお願いいたします。

 それで、児童扶養手当の法案の審議に入ります前に、最初に漢字のお勉強をちょっとさせていただきたいと思います。

 資料として、きょう私はプラカードというか飛び道具を用意してまいりましたので、委員の皆さん方、ちょっとお疲れのようでありますが、頭の体操ということでおつき合いをいただきたいと思います。

 まず大臣、政府に障がい者制度改革推進本部というのがありまして、そこで「障がい者」は「がい」という字が平仮名になっているんですね。この意味するところは何でしょうか。まず、お答えをいただきたいと思います。

長妻国務大臣 会議体をつくるときに議論があったわけでありまして、「障害者」といいますと、「害」のところは漢字で書くわけでありますが、その漢字が適切かどうかという議論がありまして、平仮名ということで本部の名前を統一したらどうかと。これはいろいろな御意見があります。それが逆に不自然じゃないかというような御意見も数々の団体からもございますけれども、いろいろな検討をした結果、平仮名ということになったというふうに聞いております。

馳委員 ちょうど、時あたかも、今、六月の決着を目指して、文化審議会の漢字小委員会で、新たに常用漢字にどういう漢字を採択するかと。したがって、常用漢字に採択をし、日常生活において使っていくわけでありますから、我が国の文化政策そして日常の生活においても必要と思われる、頻度の高い、こういうふうな観点で漢字の採択の検討がされていて、実は、きょう私が指摘をいたします「碍」という字については、採択すべきかどうか、政府の障がい者制度改革推進本部の議論を受けて対応すべきである、こういうふうな現状に今あるんですよ。

 だから私は、今からお示しをするこのプラカードを持ってきたんです。委員の皆さんにもわかるようにつくってきたんですが、田中美絵子さん……(発言する者あり)いない。では、近藤さんにしようか。同じ石川県のよしみということで。

 うかんむりの「害」と書いたときの「障害者」と、いしへんの「碍」と書いた「障碍者」、武部先生、見えますか。実は、同じ「がい」という漢字でも、語源を調べていくと全く意味が違うんですね。このことを私はぜひ御理解をいただきたいと思って、きょう、このプラカードを持ってきたわけであります。

 ちなみに、大臣、戦後、当時は当用漢字といいました。そのときに、このいしへんの「碍」というのは外されたんですよ。ただし、今でも、融通無碍の碍、あるいは日本碍子という会社の碍、こういうふうに私が言うと、皆さんも、ああとうなずいておられますが、使われておりますが、一般には確かに余り使いませんよね。

 そこで、一応、大臣の漢字の知識を伺うというわけではありませんが、うかんむりの「障害者」といしへんの「障碍者」、まず、どう違うと思われますか。

長妻国務大臣 私も全部正確に答えられるわけではありませんけれども、いしへんの方は、意味としては、石があって、それが妨害になって、その人が前に進めないというか動きがとれなくなる、別の何らかのものに妨害されて、妨げられているというような意味合いではないかと思います。そっちのうかんむりの「害」の方は、人に妨げというか害を及ぼすのか、あるいはそこからそういうふうに位置づけられるのかというような感じではないかと思います。

馳委員 大体のポイントはついておられますので、これからちょっと専門的に入っていきたいと思います。

 山井さん、そもそも論を聞きますよ。漢字というのは表意文字ですか、表音文字ですか。さあ、どっちでしょう。

山井大臣政務官 突然の御質問でありますが、表意だと思います。

馳委員 表意文字なんですよ。なぜ表意文字なんですか。これは、あなたは小学校のときに国語の先生に習っていますよ。

山井大臣政務官 ちょっと昔のことで覚えておりませんので、高校の先生である馳先生に教えていただきたいと思います。

馳委員 いやいや、もちろん、私が教えるというそんな僣越な立場でもないんですが、要は、その形が意味を持っている、意味をあらわす、だから表意文字なんですよね。ハングル文字とかローマ字とか、あれは表音文字ですね。音をあらわすということでつけられている。こういうふうな仕分けがされているんですよ。

 そこで、大臣も先ほどおっしゃった、うかんむりの「害」といしへんの「碍」について、ちょっと説明を進めていきたいと思います。

 まず最初に、うかんむりの「害」というのは、これは皆さんもちょっとごらんいただいて、一番下にある口というのは祈りの言葉をあらわしているそうです。その上にありますのは刀剣、刀や剣をあらわしているそうでありまして、うかんむりは、これはまさしくかさでありますから、覆うという意味であって、祈りの言葉を切り刻んで、それをかさで覆い隠すということで、妨げるとか、プラスというよりもマイナスの意味で使われていたそうであります。

 細川副大臣、自害という言葉、御存じですか。この漢字を使って、自害。どんな意味ですか。自害してもらっちゃ困るんですが、自害。

細川副大臣 詳しくはわかりませんけれども、自害は、みずからが自分を害するというか、自害するというのは、自殺をされる、みずから命を絶つというような意味だと思います。

馳委員 つまり、この「害」には、傷つける、切り刻むという意味もありまして、まさしく、みずからを切り刻み傷つける、そしてみずから命を絶ってしまうという、余りいいイメージではありませんよね。

 したがって、現代において、「障害者」と呼ぶときに、漢字でうかんむりの「害」が使われ、妨げるという意味ももちろんございます、これが使われ続けているということに、私も国語の教員として、ふさわしくないなというふうに常々思ってまいりました。

 そこで、先ほど、いしへんの「碍」と言いましたが、実はこれは俗字でありまして、原字を今から出します。加藤勝信さん、見えますか。

 もともとは、いしへんに疑うという字を書いたんです。「礙」という漢字の語源を今から申し上げたいと思いますが、疑うという漢字はそもそもどういう意味を持っているのか。思い迷うさまを形づくるそうです。立ちどまって振り返る様子をいうんだそうです。思い迷う、人が思い迷っている形、立ちどまって振り返る姿、そしてそこから、妨げられる、妨げる、遮る、こういうふうな意味としても使われるようであって、これにいしへんがついているんですね。まさしく石というのは、道をふさぐ石があるんですよ。そして、人が思い迷い、立ちどまり振り返っている姿。いしへんの「碍」というのは、そもそもそういう語源としての意味があるんですよね。

 実は、明治時代の文学作品には、夏目漱石の「吾輩は猫である」、あの作品にはこっちのうかんむりの「害」が使われておりまして、同じ時代の作品として、森鴎外の「金貨」という作品にはこちらのいしへんの「碍」が使われております。森鴎外というのはお医者さんでもありましたよね。非常に文学者としても高名な森鴎外としては、いろいろな意味合いを持たせてこの「障碍」という字を使っておられたのかなと私は類推するわけであります。

 そこで、政権交代したからという意味でもないんですが、私はあえて今から長妻大臣を応援する意味で申し上げるんですが、ちょうど文化審議会の漢字小委員会で、国民に使ってもらう常用漢字の追加漢字を選定している段階で、その中において、政府の障がい者制度改革推進本部の議論を受けて最終的に判断をする、こういうふうな表明がなされているんですよ。私は、あの漢字小委員会の議事録も読みました。そう書いてありました。

 とすると、もともとの「礙」まで私は戻せと言っているのではありませんし、漢字小委員会では、(資料を示す)こちらの漢字を政府の障がい者制度改革推進本部の議論も踏まえて採択するかどうか六月中に判断すべきである、こういうふうな議論になっているんですね。

 そうすると、私は語源から言うのでちょっと失礼かもしれませんが、うかんむりの「害」でいえば、障害者が社会全体に害を与える、負担をかけているわけではないんですよ。むしろ、長妻さんたちが目指そうとしている障害者政策というのは、障害者みずからが、石、つまり世間の偏見、先入観、政策の不備、社会環境の不備、それによって立ちどまり振り返らざるを得ないような現状、環境にあるんですよ、それを解消していこうとする障害者の制度改革が必要なんですよという姿勢をぜひ示してほしいし、その方向性を大臣も政務三役も持っておられると私は信じています。

 だから、あえて字にこだわるのですが、この「碍」の字をやはり採択し、社会の偏見、先入観、社会環境の不備、政策の不備、それを解消していくような政策を政府として強力に推進していくんだ、そういう決意でぜひ臨んでいただきたい。

 昔から、名は体をあらわすという言葉もありますよね。まさしく漢字は表意文字でありまして、我が国の政策が、この漢字小委員会において、文化政策として、さあどうしようかというちょうど曲がり角にあるのが今この時期なんですよ。六月に最終決定をしようかというのが漢字小委員会、文化審議会の判断です。

 何度も言って申しわけないんですが、大臣、私、長くなりましたが冒頭にこういうことを申し上げてまいりましたが、大臣のお考えをちょっとお聞かせいただければと思います。

長妻国務大臣 障害者自立支援法にかわる新しい制度を議論する、そういう場が今ございまして、そこでも議論があるのは、自立支援法もそうですけれども、障害者の、まさに当事者の意見というのが非常に重要で、そこを怠ることはできないということであります。

 その漢字をどういう字を使うのか、平仮名なのか、新しいいしへんの漢字なのかも含めて、やはり当事者の御意見を丁寧に伺う必要があるということで、私としても再度、この障がい者制度改革推進会議で御議論をいただくように、もう時期も六月ということでありますので、もう一回私の方からもお願いをして、どういう表現、どういう漢字がいいのか御議論をいただくようにお願いしたいと思います。

馳委員 その障がい者制度改革推進本部、会議の議事録も私は読ませていただいたら、そもそも障害者という言葉を変えたらどうかと。鳩山総理は、チャレンジドというふうな単語をお使いになったことを私は記者会見で拝見しましたが、でも、それはちょっと本末転倒なんですよね。

 国民にとっては浸透している、障害、障害者という言葉。しかし、我が国は漢字文化圏でもありますが、仮名まじり文字、まぜ書きは私は余りよくないと思うんですね。そうなったときに、常用漢字にいしへんの「碍」も採択をし、法律や公文書にも政府が積極的に使い始めることによって、この政府の方針は障害者政策に対して今までの政権とは違うんだよとか、こういうふうに進めていくんですよという姿勢を示すことも必要ではないのかな、私はこういうふうに思って、あえて、長年ずっと違和感を持っておったうかんむりの「害」ではなく、いしへんの「碍」を使うべきではないのかな、こういう意味でちょっと冒頭申し上げましたが、さて、山井政務官、いかがでしょうか。

山井大臣政務官 馳委員にお答えを申し上げます。

 障害者という言葉には、私も、その言葉そして漢字、両方非常にやはりひっかかりを長年ずっと感じておりました。何か当事者の方々に対して非常に失礼なんじゃないかなというような印象を長年持っておりました。

 ただ、では、それにかわる言葉あるいは漢字としてどれがよりベターなのかという議論になりますと、さまざまな意見も出てくると思いますし、先ほど長妻大臣も答弁されましたように、何よりもその当事者の方々の意向なり思いということを聞きながら、障がい者制度改革推進会議を踏まえてまた検討していかねばならないと考えております。

馳委員 では、児童扶養手当法の改正について質問を進めていきます。

 今回の改正の背景、立法事実には、収入面で困窮する父子家庭の多さと、その父子家庭からの母子家庭同様に児童扶養手当の支給を望む声、これに配慮した結果だと思われますが、それでよろしいでしょうか。

長妻国務大臣 やはり、近年、母子家庭のみならず父子家庭においても経済的支援というものも重要であるということで、いろいろ御要望もございますし、あるいは私どももかねてよりそういう主張をしておりましたので、今回この法案を提出させていただきました。

馳委員 そうであるならば、同様な生活状況に陥っている母子家庭と父子家庭の平等な取り扱いも、改正の趣旨として含まれているのでしょうか。

長妻国務大臣 児童扶養手当を支払うということについては、母子家庭のみならず父子家庭も対象にするということでありますけれども、それ以外の平等な取り扱いということで、先ほども質問がございましたけれども、いろいろ、父子家庭と母子家庭、まだまだ取り扱いが違う施策もたくさんございますので、今のところ完全に平等ということではありませんが、それについて、適切でないようなものについては平等な取り扱いを今後とも検討する必要があると思います。

馳委員 今回父子家庭にも支給するとなりますと、今まで母子家庭に限ってきた理由、法の趣旨、これが破綻をしていないとつじつまが合わないというふうな指摘もできます。

 そこで、今まで母子家庭に限ってきた理由とは何でしょうか。その理由の中で、どこがどう破綻をしている、都合が悪くなったので、そして、つまり父子家庭も同じ状況だから母子家庭同様に児童扶養手当を支給する、こういうふうな結論に至ったのか、お答えいただきたいと思います。

細川副大臣 お答えいたします。

 父子家庭につきましては、母子家庭と比較した場合、平均的に所得が高くて、そして過去の調査でも、家事を支援してほしい、こういうニーズが最も高かったわけでございます。そのため、これまでは、父子家庭は家事中心の支援を行って、経済的支援である児童扶養手当については対象としてこなかったところでございます。

 しかし、最近の調査などによりますと、例えば平成十九年十月に公表した調査でありますけれども、母子家庭並みに大変経済状況が厳しいところがふえてまいりまして、そういう父子家庭でも、これまでは家事の支援というのは大変強かったわけでありますけれども、家計の支援をしてほしい、こういうニーズが第一位に、トップになってきております。

 そういうことで、さらには、父子家庭に対しての経済的支援を求める声というのが大変高くなってまいりまして、平成二十一年にはそういうNPO活動が全国的な組織で結成をされましたり、あるいは全国の市長会とか町村会の方からも父子家庭への支援というのが要請をされてきたわけでございます。

 そういうことで、父子家庭の中にも母子家庭並みに厳しい状況に置かれて経済的支援を要する家庭があるということを重要な課題として認識をいたしまして、今法案の提案となったところでございます。

馳委員 私の質問したことと、ちょっと何か答弁の趣旨がずれているような気がするんです。

 今までは母子家庭に限っていた、これからは父子家庭もと。

 私は、法律が制定された時代をちょっと見てみたんですよ。昭和三十六年の第三十九回臨時国会で、この児童扶養手当法案が成立しているんですね。昭和三十六年、私の生まれた年です。この時代の女性の、結婚した女性あるいは働く女性の置かれている社会環境や家庭を取り巻く社会環境の違いと、そして現代との違いというふうに言えば一言で済むのかなというふうに私は思うんですよ。

 女性は結婚をして家庭に入るものだ、余り、高校、大学を出て就職する人はそんなに多くはなかったですね。そして出産をし、家で家事、育児をやるものだという、恐らくそういう社会通念というものはあったと思いますね。現代、そんなことをもし大臣や政務三役が主張するようなことがあったら、恐らく、失言どころか放言として、あっという間にその座を引きずりおろされると思いますよ。

 となってくると、この児童扶養手当法案によって、母子家庭にお支払いしていたものを父子家庭にも支払うような状況になってきた、そこがまさしく先ほど大臣もおっしゃった、やはり家計が不安だなという部分のニーズが高まってきたということと考えると、父子家庭においても、子供がちっちゃい場合には働きに行けないな、預けるところがなかなかないな、やはりこういうハードルというのは依然として残るので、母子家庭同様に父子家庭に対してもそういうサービスも総合的に提供していく環境づくり、政策づくりが必要だな、私はこういうふうな政策転換の流れがあるというふうに思っているんですよ。

 そこで、次に質問を進めますが、今回の改正による既存の政策体系との整合性についてお伺いします。

 既存の母子家庭支援策は四つの柱から成り立っておりますが、まずその概要と、その中で児童扶養手当はどこに位置づけられて、そして今回の改正で、四本柱の理念、内容について、その存続を含めて変更があるのかどうか。今回の法改正の粗筋になると思いますので、お答えいただきたいと思います。

山井大臣政務官 馳委員にお答え申し上げます。

 馳委員は、児童虐待防止法の件、また子供の教育、子供の貧困解消のために先頭に立って取り組んでこられて、非常に敬意を表するところでございます。

 先ほどまさにおっしゃいましたように、以前は母子家庭の貧困ということが世の中の大きなテーマでありましたが、非正規雇用がふえたりする中で、本当に父子家庭の貧困問題というのがもはや無視できない量というか数というか、そういう時代になってきたというのがこの改正の背景であります。

 お尋ねの母子家庭に対する支援につきましては、子育てと生計の担い手という二重の役割を一人で担わざるを得ないということを考慮して、具体的に申し上げますと、まず第一点は、保育所の優先入所やヘルパー派遣などの子育て・生活支援。そして二点目は、母子家庭等就業・自立支援センターやハローワーク等による相談、職業訓練などによる資格、技能の取得支援などの就業支援。そして三点目は、養育費相談支援センター等における相談、情報提供等の養育費の確保、つまり、離婚したお父さんからいかにお金を、養育費をちゃんともらうかということであります。四点目が経済的支援。

 この四本柱に基づき母子家庭への総合的な自立支援を行っておりますが、児童扶養手当につきましてはこの中の最後の四番目の経済的支援として位置づけているところでありまして、法改正後もこの理念に変わりはないものでありまして、引き続き、この四本柱に基づき母子家庭に対する自立支援策を推進したいと考えております。

馳委員 子育てと生活支援、就業支援、養育費の確保、経済的支援、この四本柱には変更はない、今後とも引き続きということの山井政務官の御答弁であったと思います。

 しかし、この四本柱で父子家庭に適用できない部分もあるのではないかなというふうに思うんです。既存の母子家庭の具体的な自立支援策において、父子家庭に適用されるもの、あるいはされないもの、こういう区別はあると思うんですが、お答えいただきたいと思います。

山井大臣政務官 馳委員にお答えを申し上げます。

 今の四本柱につきまして、まず、このうち子育て・生活支援、養育費の確保については、平成十四年の母子及び寡婦福祉法の改正のときに、父子家庭についても対象にいたしました。具体的には、子育て・生活支援として、保育所の優先入所やヘルパーの派遣であります。また、養育費の確保として、養育費相談支援センターによる養育費の取得等に関する相談対応等を実施しております。

 就業支援関係については、母子家庭の母に対して、母子寡婦福祉法に基づき技能訓練支援などを行っております。父子家庭に対しては、ハローワーク等による一般対策の中で対応しておりますが、就業支援を必要とする父子家庭がこうした一般対策に結びつくよう、平成二十一年度から、母子家庭等就業・自立支援センターで、父子家庭に対する就業相談の実施やハローワークへの引き継ぎ等の支援を実施しております。

 また、経済的支援の柱の一つである児童扶養手当に関しては、今回の改正を考えているというところでございます。

馳委員 そこで、一つちょっと疑問があるんです。

 それは母子寡婦福祉貸付金制度でありまして、これは児童扶養手当と同じ経済的支援策でありますから、この貸付金制度についても、今回の改正とあわせて父子家庭にも適用されるようにすべきではないんでしょうか。いかがですか。

長妻国務大臣 これについても、確かに四つのカテゴリーでいえば経済的支援の範疇に入ると思います。今回の児童扶養手当も入っておりまして、それについては今回法律をお願いしているということで、この貸付金につきましては、父子の方については、今、社会福祉協議会が実施している生活福祉資金貸し付けということが利用可能になっておりまして、そこでの利用を周知を図っていくということでございまして、この福祉貸付金につきましては、引き続き母子家庭向けの対策というふうに位置づけていくことで進んでまいりますけれども、これは今後の課題としていきたいと思います。

馳委員 私、今大臣も答弁をされながら、ううん、これはちょっと検討した方がいいのかなというふうに思いながら答弁されたんじゃないかなというふうに、何となくちょっと拝聴いたしました。

 では、資料がもしあればいいんですけれども、運用上父子家庭にも貸し付けることができるこの都道府県の社協の生活福祉貸付金制度、運用上と言っていますけれども、現実、どのぐらい貸し付けを現在やっているんですか。

 今大臣は、周知をする必要もあるんだけれども、実際にやっている、こういうふうにおっしゃいましたから、まさしく父子家庭でも似たようなこの貸付金制度を使えるはずなんですね。では、どの程度今父子家庭はお使いなんでしょうか。

長妻国務大臣 これは、今の時点でそういうようなことに着目した統計はとっていないというふうに思いますので、今後、どういう形で確認できるかを検討して、例えば父子家庭、母子家庭がどの程度利用しているのか、現状把握をしていきたいと思います。

馳委員 都道府県の社会福祉協議会というのは、本当に、やはりそういう生活困難な御家庭にとってはすがるような思いで相談をする場所になりますね。

 先ほど大臣おっしゃったように、運用上使うことができる生活福祉貸付金制度、父子家庭も使える、それを周知もしている、けれども実際にどの程度使われているかというのは、まだちょっと皆さん、統計をとっておられないんですね。

 できれば、統計をとるに当たると、また面倒な仕事を現場に与えるかもしれませんが、実際どれだけ使っていると言うと、現場の職員たちは、ああ、こういう制度も提供できるんだ、こういう認識を新たにすることもできるわけですね。したがって、私は、まずは実態を把握していただいて、運用上生活福祉貸付金制度があるんですよということを、やはり父子家庭にももっと広めていただければなということをまず申し上げたいと思います。

 次に、生活保護法との整合性についての質問をいたします。

 今回の改正で、児童扶養手当が父子家庭にも適用され、その児童扶養手当は、自立支援策の子育て支援ではなくて経済的支援策として、最後に支給要件として所得制限もあるということでは、生活保護法の趣旨との区別がつかないような気がするんですね。いかがでしょうか。

長妻国務大臣 これは御存じのように、生活保護については、収入のみならず、資産とかあるいはいろいろ、親族等の支援とか、かなり厳格にミーンズテストと言われるものをして判断するということでありますけれども、児童扶養手当は、一人親ということに着目をして、非常に大変な家事あるいは仕事ということで支援をさせていただこうという趣旨でありますので、必ずしも二重の考え方、制度とはならない。生活保護を受けておられる方でも、お子さんが高校生以下であれば児童扶養手当が出るわけでありますけれども、ただ、そのときは一〇〇%収入認定されますので、その上乗せということにはならないということでございますので、二重ということではないというふうに考えております。

馳委員 なかなか一見ではその辺ちょっと区分がつきづらいものですから、ちょっと突っ込むようでありますが、こういう質問を続けさせていただきます。

 関連して、児童扶養手当が所得制限を設けた上で支給されるものであるならば、父子家庭にとどまらず、両親はそろっているけれども経済的に困窮している家庭も児童扶養手当の支給対象にするべきではないか、こういうふうな理屈立てをしようと思えばできますが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 確かに、全く収入だけで考えるとそういうような話も出てくるんだと思いますけれども、収入のみならず、一人親の場合は、では家事、家事というのをやっても収入は算定できないわけでありますけれども、その家事を担わなければならない、一人二役といいますか、一人何役もやらなければならないということに着目をして児童扶養手当というのは設けられた制度だというふうに考えておりますので、そういう考え方でやっていきたいと思います。

馳委員 私、今ちらっと思ったんですが、一人親家庭であって、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に生活している場合には出るんですか、出ないんですか。

長妻国務大臣 これは支給されます。

馳委員 というのは、私は、大臣の今の答弁を聞いていて、それはやはり家事もあるし、子供一人置いて働きに行くというのはなかなか大変だな、一人親家庭への支援策としてこれは当然だと思って聞いていたんですが、一人親であっても、自分の両親と一緒に暮らしている、しかし、世帯が別であったりとか生計を別にしているとか、こういうふうなことというのはあるじゃないですか、田舎へ行ったりすると。田舎じゃなくても、都会でも二世帯住宅などで。そういう家庭も出るのは、何となく趣旨が混同されるんじゃないのかなと思うんです。

 でも、要件としては、一人親であっても親と一緒に生活していたら、一人親ということで出るということでいいんですね。

長妻国務大臣 それは、そういう場合でも支給されるということであります。

馳委員 私としては何となく釈然としないような思いもあるんですが、ちょっと次の質問に移ります。

 関連して、生活保護との関係で、母子加算が復活したことも問題ではないかなと思っております。つまり、母子家庭において、生活保護を受けている家庭と受けずに児童扶養手当のみで頑張っている家庭の経済的支援の公平性の問題があると思います。

 もう一つ、生活保護を受けていない母親が自立意欲を失って、安易に生活保護を受ける方向に流れるというモラルハザードが起きる懸念がありますけれども、これは私の取り越し苦労かな、いや、そういう指摘もできるのかなと思いますが、いかがでしょうか。

山井大臣政務官 馳委員にお答えを申し上げます。

 これは、今回の父子への児童扶養手当というよりも、生活保護の母子加算ということに関することも含めてであると思いますが、生活保護の母子加算の復活におきましては、馳委員が御指摘のようなこともやはり大きな大きな論点になりました。

 やはり、福祉というのは難しくて、必要な方に支援をするということはもちろん重要なんですけれども、公平性というのも非常に重要でありまして、一部の方々が優遇されているのではないか、逆に精いっぱい頑張っている方が後回しになっているのではないかというような疑念を持たれると、制度というのはもたないというふうに思います。

 そこで、御質問の生活保護の母子加算と児童扶養手当に関してです。

 これは釈迦に説法になりますが、生活保護制度というのは、御存じのように、資産や収入、親族からの扶養など、あらゆるものを活用してもなお生活に困窮される方に対して必要最小限度の生活水準を保障する、最後のセーフティーネットであるということを考えております。そしてまた、生活保護の決定に当たっては、資産、収入、稼働能力の有無など、要件を厳格に調査した上で実施するものでありまして、こうした要件を満たした方々に限り利用できる制度になっております。

 また、最近行いましたデータによりますと、一般の母子世帯と生活保護の母子世帯というものを比較しましたところ、通院中の被保護母子世帯の母親の最も気になる病気の約三割がうつ病や心の病気でありまして、一般母子世帯では約一割。また、母子加算をもらっている被保護母子世帯の母親の約七割がDVの被害の経験があり、一般世帯平均では約三割というデータもあります。

 また、高等学校等の進学率を見ると、平成二十一年度では、一般の世帯は約九八%であるのに対して、生活保護世帯は八七%と低くなっております。先ほど一般世帯と言いましたのは、母子のみならず一般の世帯のことでありますが、その九八%に対して、生活保護世帯は八七%と低くなっております。そういう意味では、教育の機会もしっかり確保して貧困の連鎖を防止するということも必要でありまして、そのことも含めて、必要性、緊急性にかんがみ、生活保護の母子加算を復活して支給しているところであります。

 一方、残念ながら、一般の母子世帯も、社会全体で比べると非常に貧困な状況が続いておりまして、先ほどの室井委員の質問にもありましたように、五〇%を超える一人親世帯が相対的貧困率で貧困層に入っているということで、先進国でも最も低い水準になっております。

 その意味では、生活保護を受けている母子世帯に限らず、母子世帯全体の底上げが重要であるということを私たちも重々認識しておりまして、そのために、子ども手当や高校教育実質無償化なども含めまして、子育てや子供の教育に重点を置きつつ、母子世帯全体の就労支援をさらに進めることを通して、そういう不公平という問題が生じないようにしたいと考えております。

 それと、もう一つ質問いただきました、生活保護を受けていないお母さん方が自立意欲を失い、安易に生活保護を受ける方向に流れるモラルハザードが懸念されるということに関しましては、先ほど答弁しましたように、生活保護というのは、資産もあるいは扶養要件も含めて非常にハードルが高いわけでありまして、その意味では、日本の母子世帯は世界的に見ても就業率が非常に高くなっているにもかかわらず、児童扶養手当と合わせて所得が必ずしも一般の母子世帯では高くないというところであります。その意味では、一般の母子世帯の意欲、就業意欲、自立意欲を欠くことのないように、底上げ、全体的な母子家庭への支援策に力を入れてまいりたいと考えております。

 長くなって申しわけありません。

馳委員 そうですね。こういった形で手当は確かに支給される、制度として確保されますけれども、やはり就業意欲を失わないように、働いて自分の生活を自立させて、そして子供を立派に成長させようという意欲をサポートするような政策といったものをどんどん進めていただきたいというふうに思います。

 ちなみに、今山井さんの答弁を聞いていて思ったんですが、厚生労働省は、母子家庭、父子家庭あるいは一人親家庭、こういうふうな分類の中で児童虐待の類型といったものを分析しておられますか。私、実は、後でまたこれを詳しく追求してお伺いしようと思っているんですけれども、つまり、最近痛ましい事件が多うございますし、我々も青少年特別委員会で議論の最中でもありますが、やはり負担の多い一人親家庭、母子家庭、父子家庭、特に虐待の加害者として実母が多いですね。そういった分類といったもの、分析といったものは厚労省の方ではされておられますか。

山井大臣政務官 馳委員にお答えを申し上げます。

 やはり家庭の事情と虐待の問題というのは因果関係がありまして、今馳委員御指摘のように、離婚をされた、新しい男性の方と一緒に住まれた、ところが、新しい男性の方と自分の子供とどっちに愛情を注ごうかという中の被害を子供が受けて、実母の方が残念ながら虐待をされてしまうという痛ましいケースもふえております。

 一人親家庭における児童虐待については、平成二十年度の全国児童相談所長会が実施した児童虐待相談のケース分析等に関する調査研究によると、全国の児童相談所が平成二十年の四月一日から六月三十日までの期間に新規に受理した虐待またはその疑いがあったケース六千七百六十四世帯のうち、二千百七十世帯が一人親家庭におけるものとされており、その割合は三二・一%という調査結果が報告されております。

馳委員 大臣、虐待の事案というのは、リスク家庭という、やはり未然に防止するという水際作戦が一つ大事だと思うんですよ。

 同時に、これは山井さんの得意な分野でありますけれども、虐待があったときに罰するだけじゃだめなんですよね。家族が再統合できるような支援策、それをやはり受けようとする、当然児童相談所の仕事にはなりますけれども、児童相談所は、介入をし、切り離して保護をするだけではなくて、親に対する支援というものも同時にされなければならないんだけれども、残念ながら、児童福祉司の数や専門性について、まだまだ十分ではありませんねという声が全国から上がっております。

 私は、たまたまここの部分で、母子家庭、父子家庭、一人親家庭、置かれている環境において、今後はもしかしたら妊娠した段階から、子供を取り巻く環境についての不安要因、リスク要因をできるだけ解消するような支援が必要ですねと。こんにちは赤ちゃん事業にしても、全部やっている都道府県とまだまだ十分ではない都道府県とでは、やはり温度差がまだありますよね。こういったところをやはり熱を入れてやっていってほしいなと思いながら、私はちょっと申し上げたところであります。虐待案件については、また後ほど伺いたいと思います。

 ちょっと本題にまた戻しますけれども、先ほどの生活保護の母子加算が復活しましたが、従前の母子加算と同じように父子家庭もその対象になっておりますよね。確認です。

山井大臣政務官 馳委員にお答え申し上げます。

 もちろん父子家庭にも母子加算は出ております。そういう意味では、この母子加算復活の議論のときにも、母子加算は父子家庭を含めた一人親世帯全体に出ているのに、児童扶養手当はなぜ母子家庭だけなのか、そんなことも論点の一つになった次第でございます。

馳委員 これは制度としての公平性だと思いますね。

 調査室の資料にも指摘されていたケース・バイ・ケースの案件について、ちょっとお伺いいたします。

 例えば、離婚した夫婦に二人以上子供がいて、それぞれが子供を引き取り養育した場合、今回の改正で、母子、父子の両家庭に児童扶養手当が支給されます。これによって、偽装離婚による不正受給や、さらには安易な離婚を誘発する懸念が生まれます。

 この二点について、どういうふうに対処していくべきか。私も、余りこういう性悪説にのっとるような質問をしたくないんですが、こういう悪利用をしようと思えばできるんですね。それについての対処はどうされるおつもりか、お伺いしたいと思います。

細川副大臣 この件につきましては、厚生労働省の方で調査もいたしております。国がサンプル的に指導監査を行った百自治体の実績では、児童扶養手当が過払いといいますか不正受給されていた件数の割合は、平成二十年度で、受給者のうち〇・四%、そのうち母の婚姻によります過払いというのは受給者の〇・二%、そういう実態調査になっております。

 そこで、そういう不正受給といいますか過払いがないようにするためにどういうことをやっておりますかというと、まず、請求があった場合には、戸籍謄本とか住民票などの必要な書類の提出、そしてまた聞き取り調査、必要に応じては現地の実地調査というものをやっておりまして、そこで受給資格の厳格な調査をやっている、こういうことでございます。

 そして、受給をするようになった後では、毎年一回、八月に現況の届け出を義務づけておりまして、その提出がされる際に、窓口において書類の確認のほか聞き取り調査、受給資格の有無の確認もまた行っております。

 それから、外部から時々、この人は不正の受給者じゃないかというような通報などもいろいろございますから、そういうような通報があった場合には、現地の調査とかそういうことで事実確認なども行っている、そういう調査もいたしております。

 そこで、今回も、この改正で父子家庭に支給対象が拡大されるわけですけれども、これまでやってきたような形で、不正がなされないようにしっかりやっていきたいというふうに考えております。

馳委員 イタチごっこの部分がどんな制度にもあるんですよ。ぜひ公平公正な行政サービスとして提供できるようにお願いしたいと思います。

 こういうふうに議論してきましたが、今回の改正は、児童扶養手当が父子家庭にも拡大されたという単純な問題ではありません。既存の政策体系との問題、生活保護制度との問題など、大きな問題が横たわっております。だからこそ、政権交代前に厚生労働省は、慎重に検討すべき課題が多いと言っていたのだと思います。

 では、今回の法改正に当たって、慎重に検討すべき課題について、具体的にどのような方法で、どのくらい慎重な検討がなされてきたのか、このことをお伝え願いたいと思います。

長妻国務大臣 まず、やはり今回の検討についても、ここでも御指摘いただいたような生活保護との関連性はどうあるべきか、あるいは、先ほど前の方でも質問が出ましたけれども、父子家庭と母子家庭でまだ対応に差がある部分はどう考えるのかなどなど、いろいろ検討させていただいたわけであります。

 その中で、一人親家庭でどういうニーズがあるのかというニーズ調査がありまして、全国母子世帯等調査ということで、これは父子世帯も入っているんですが、これについて、これまでずっと、母子世帯は困っていることのナンバーワンが家計の問題だったんですが、父子家庭では家計は二位でありまして、家事が一番困るということだったんですが、平成十九年の十月に公表した調査においては、もう父子も母子もやはり家計が一番困るところである、こういうようなニーズも出てき、あるいは、全国町村会等々あるいはNPOの活動などなどにおいて要望が強まってきた、こういうようなこともかんがみて、今回、法律を提出させていただいたわけであります。

馳委員 大臣、私が聞いていたのは、今回提出に当たって、政務三役会議あるいは専門家の方々から、政権交代の前には、慎重な検討が必要である課題が多いと厚生労働省みずから認めているわけですよね、その課題をどういうふうにクリアするための検討がなされてきたんですかということを今私が聞いたんです。今大臣がお答えになったのは、私がきょう一番最初に質問したことをそっくりそのままお答えになっただけなんですよね。

 では、大臣、今回法改正するに当たって政務三役で議論された内容というのは、これは公開されていますか。

長妻国務大臣 政務三役会議の議事録というのはとっておりませんが、政務三役会議が終わった後、政務官によるブリーフィングということで、マスコミの皆様方にその中身についての概要を御報告する、こういう手順にさせていただいております。

馳委員 私、報道で、枝野大臣が発言しておられるのを、なかなかいいことを言うなと思ったのは、政策の決定プロセスを明確にしていくこと、これがやはり税金の無駄遣いの一番肝であると。

 そう考えると、政務三役会議もできるだけ公開をし、どういう議論の積み重ねでこの法案の提出に至ったのかというものがだれにでも見ることができるようなガラス張りというのは、長妻大臣ならそういう方針にされたらいいと私は思いますよ。私も、ちょっと資料を読んでいて、かつての厚生労働省の慎重に検討すべき課題が多いという指摘を、では政権交代でどうクリアされたのかなというものがわからないものですから今お伺いをしたということ、このことをやはり、私の質問の意図を御理解いただきたいと思います。

 質問を先に続けますが、支給要件や支給額についてお伺いいたします。

 支給要件や支給額、さらには支給制限など、大部分において母子と父子家庭に差がないのに、なぜ父にのみ、監護している子供と生計を同じくすること、これが支給要件となっているのでしょうか。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

山井大臣政務官 馳委員にお答えを申し上げます。

 今、長妻大臣に対して、どのように慎重に検討したのかということがございますが、少しだけつけ加えさせていただきますと、政務三役会議でも議論をいたしましたし、平成二十一年の七月二日に全国町村会からの要望が、父子家庭にも児童扶養手当をというのが参りましたし、六月三日、全国市長会から参りました。また、十一月十三日は全国市長会からも参りまして、平成二十一年度に入って、そういう自治体からの要望もふえてきたということ。またさらに、全国父子連、父子家庭の親の会の方々もたびたび厚生労働省に要望に来られまして、その中で、本当に父子家庭が置かれている状況というのが年々厳しくなっているということを、要望もお聞きいたしました。

 そして、そういうことを受けて、政権交代後、子供の貧困率そして一人親世帯の貧困率ということを、改めて、厚生労働省として初めて計算して発表させてもらう中で、やはりこれは、国際的に見ても、子供の貧困、一人親世帯の貧困というのが非常に深刻で、その中に父子家庭のことも含まれているということで、こういう判断をさせていただいたわけであります。

 そして、お尋ねの母子の要件と父子の要件が違うじゃないかというのは、実はこの法案のまさに一つの大きなポイントとなっております。

 その理由は、現行では、父子家庭には児童扶養手当が支給されず、また、父が子と生計を同じくしている場合は、母による監護や養育者による養育があっても、母や養育者に手当は支給されないということになっているんですね。要は、一人親世帯の中で今まで出なかったのが、父と子が生計を同一にしている場合だけが抜けていたわけです。その抜けていた穴をすっぽりと今回埋めさせていただいたということが理由の一つ。

 それともう一つは、母と子が生計を同じくしていない場合でも、今までから母が子を監護している場合には支給されていることから、御指摘のとおり、父母と支給要件が異なるのでありますが、それはどういうことかといいますと、今まで、母が子を監護していると、そのお母さんに児童扶養手当が出ているわけです。その場合に、いや、今回新しく、お父さんが生計同一だからそっちを優先しますともしやれば、今までお母さんに出ていた児童扶養手当がお父さんに移ることになりまして、これはやはり、今までと引き続き、お母さんや養育者に手当を支給するという現在の支給関係を今回は変えるべきではない。少なくとも今抜けている人に支給するというのが最大の眼目であって、それ以上父と母の関係を変えてしまうと、そのことによってまた、法改正の本意ではなく、何かお父さんと子供の奪い合いとかそういうことになってしまっては、結局、子供にとって、あるいは一人親世帯にとって、もし不利益変更になっては法改正の趣旨に反するということがございまして、現在の支給関係に変更を加えないという原則にいたしました。

 また、母子家庭のお母さんは、経済的な問題のみならず、それに加えて就業経験等が少ないなど、父子家庭の父よりもさらに厳しい就業状況等に置かれているという状況に関しては、やはり父子家庭と母子家庭の差は依然としてあるということは変わらない、そういう状況認識の中で、これまでの母子家庭を中心としていた児童扶養手当の体系を損なうことなく、母子家庭と同様に経済的に困難な状況にある父子家庭の一部について、同様に手当の支給を受けることができるように要件を緩和したというのが今回の趣旨でございます。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

馳委員 一言で言えば、制度の穴を埋めた。そうしたらわかりやすい、そういうふうに言ってくださればわかりやすいんです。

 次の質問です。

 支給対象の児童について、現在、母子家庭について政令で定めている児童も存在するが、父子家庭の場合において政令で予定されている児童、こういうのは差は何かあるんでしょうか、同じでしょうか。

山井大臣政務官 馳委員にお答え申し上げます。

 現在の児童扶養手当法では、対象児童として、父母が婚姻を解消した児童、父が死亡した児童、父が一定の障害の状態にある児童、父の生死が明らかでない児童が規定されておるほか、これらに準ずる状態にある児童で政令に定めるものと書かれております。

 現在の政令では、父が引き続き一年以上遺棄している児童及び父が法令により引き続き一年以上拘禁されている児童などと定めておりますが、父子家庭への支給対象となる児童については、これと同様の政令にしようというふうに考えております。

馳委員 なかなか政令というものは時々わかりづらいものですから、ありがとうございます。

 続いて、単純に母子家庭と同水準の所得制限を設けて児童扶養手当を支給するということは、これは妥当なんでしょうか。

山井大臣政務官 馳委員にお答えを申し上げます。

 今回の改正においては、一人親家庭という点で、母子家庭並みに困難な経済状況にある父子家庭に児童扶養手当の支給対象を拡大しようという趣旨でありまして、この所得の水準に関しましても、母子家庭に着目して設定されているものと同様にしたわけであります。

 例えば、父子家庭の場合、平均収入が高いからといって、もし父子家庭に関して違う額を設定した場合、収入が高い父子家庭に児童扶養手当が支払われる一方、同じ収入である母子家庭には支払われないこととなって不合理が生じるとか、そういうことがありまして、父子家庭、母子家庭の差はつけないということにしました。

馳委員 次に、児童扶養手当は、一人目が全部支給で四万一千七百二十円、そして加算額は、二人目の子供に五千円、三人目以降一人につき三千円となっておりまして、一方、子ども手当は、単純に子供の数に応じて月額一万三千円を乗じた額が支給されることになっております。

 この制度の公平性というんですか、子ども手当のようにすることでいいんじゃないですか。どうなんでしょう、この辺の考え方。手当なんだから。どうでしょう。

山井大臣政務官 馳委員にお答え申し上げます。

 確かに、これは素朴な疑問なんですね。子ども手当は一人につき額が決まっている、掛け算になる。ところが、児童扶養手当というのは、今おっしゃいましたように、一人目が四万一千七百二十円で、二人目、三人目となると、五千円、三千円という加算にすぎないということで、例えばフランスとかでも、フランスの児童手当、子供手当というのは、子供の数がふえるに従って額を変えていっているということで、これも、国際的にも考え方もいろいろなものがあると思います。

 これについては、簡単に言えば、子ども手当と児童扶養手当の理念の違いということであります。

 児童扶養手当は、一人親が育児と生計を一人で担わねばならないということによる、一人親の構造的なハンディキャップに着目して支給する手当でありますから、児童一人一人に対して支給するのではなくて、世帯を単位として、手当の本体額に加算額を支給する形で考えております。そして、子ども手当の方は、子ども手当の趣旨から、子供一人の育ちを応援するということですから、子供一人に注目して出している。そういう理念、趣旨の違いであります。

馳委員 大体、山井さんは饒舌になればなるほど理念の迷路に入っていくんですよ。手当なんだから、子供一人一人に着目してやればすっきりするんですよ。余りしゃべり過ぎない方がいいですね、いつも思うんですけれども。

 では次の、その子ども手当との関係で申し上げます。

 子ども手当と児童扶養手当、これは子育て家庭に対する経済的負担を軽減するという点でまさしく同じでありますから、この子ども手当と児童扶養手当の根本的な違いというのはどこにあるんでしょうか。

山井大臣政務官 児童扶養手当については、一人親家庭が育児と生計を一人で担わねばならず、また、不安定な就労条件に置かれているといった特定の状況に着目して支給しているものであります。

 一方、子ども手当は、子育てを未来への投資として、次代の社会を担う子供の健やかな育ちを社会全体で応援するという観点から支給しております。

馳委員 やはり理念は一緒にした方がいいような気がするんですけれどもね、手当なんですから。やはり、これは今後の一つの政治的な課題だと私は思いますよ。

 次の質問に行きますが、子ども手当の支給によって、既存の自治体独自の一人親家庭への給付政策が削減される可能性はないんでしょうか。現在、そのような動きはありますか。

山井大臣政務官 馳委員にお答えを申し上げます。

 自治体独自の一人親家庭への給付政策については、個別にその状況を把握はしておりませんが、御指摘のように、子ども手当というものが入るからという理由で施策の見直しを検討しているところがあるというような話は聞いてはおります。

 これらの施策については、あくまでもそれは地方自治体の判断であるかとは思いますが、やはり、子ども手当の趣旨というのは子供の育ちを応援したいという趣旨でありますし、そこでもし地方自治体が今まで独自にやっていた施策を減らすと、一般の世帯に比べて一人親世帯が相対的に不利益をこうむるということになりかねませんので、厚生労働省としては、ぜひ地方自治体にこれからもその独自の施策は続けていただきたいというふうに期待をしております。

馳委員 それもやはり自治体の財源力の差にも影響されるのかなと、私はちょっと心配をいたします。

 子ども手当が民主党の衆議院選挙での公約どおり子供一人当たり月額二万六千円になったら、今回の父子家庭にも拡大される児童扶養手当や生活保護の母子加算などなど各種の手当制度は、財源確保の難しさはもちろん、重複部分をなくしていくためにも、それこそ事業仕分けが必要だと思います。いかがでしょうか。

長妻国務大臣 これは先ほど来、山井政務官も答弁しておりますけれども、児童扶養手当というのは経済的な支援、子ども手当といいますのは、経済的支援という側面も当然ありますが、一人一人の子育て、子育ちを応援するということで、所得制限もかけていない、そして一人一人、第二子も第三子も同じ金額ということでございまして、少子化の流れを変えたいという思いもございます。

 その意味で、それぞれ別の目的でございます上、日本国の子供にかける予算というのは、先進国の中でもGDP比で非常に低い部類に入っている、少子化も、先進七カ国で出生率は最も低い、こういうことにかんがみて、私どもとしては、こういう形で実施をしたいというふうに考えております。

馳委員 私は別に偉そうにアドバイスするわけじゃないんですけれども、ここの議論は、菅直人財務大臣、また枝野さんたちと、手当が幾種類かあるよね、経済的支援という側面でいえば似ているよねという部分と、今、政権でも議論になっていると思いますけれども、いわゆるサービスを、これは学童保育もありますね、保育所、特に都会の保育所整備等々ございますよ。やはり、いろいろなメニューを総合的に踏まえて、その限られた財源だ。菅さんも、六月に財政の中期フレームをつくる、そのための議論はやはりみんなでやりましょうよと言っている時期であって、これは民主党の政権であろうと自由民主党の政権であろうと公明党の政権であろうと、限られた財源、いただく税収をどう使うのかという意味では、私は同じ議論だと思うんですよ。

 だから、手当が、児童扶養手当の分、生活保護の母子加算、子ども手当等々ですね、手当ということでちょっと整理した方がいいんじゃないのかな、同じような財源はもうちょっとサービスの現物支給でも使えるんじゃないのかな。僕は、この議論は避けては通れないし、その議論をすることに長妻大臣も積極的に応じればいいんじゃないのかな、まずこのことを申し上げておきたいと思います。

 次の質問に入ります。

 民主党マニフェストには、「五年以上の受給者等を対象に行っている児童扶養手当の減額制度を廃止する。」と明記されておりましたが、どうして今回の改正案にはこの減額制度の廃止がないんでしょうか。

長妻国務大臣 我々としては、この減額制度の廃止については、鳩山政権一期四年の中で実現をしていきたいというふうに考えております。今回の法律改正案の中にはこれは盛り込んでおりませんけれども、政府の中の調整がつき次第、実行していきたいと思います。

馳委員 わかりました。明快な御答弁ですね。

 この減額制度は、児童扶養手当の性格を、離婚後の生活変化に対する激変緩和措置ととらえる意味合いを持っているんでしょうか。一方、母子家庭に対する経済支援であるとの性格との関連性はどうなるんでしょうか。減額制度、今後、多分今の大臣の答弁では、四年間の中で廃止する、そういうふうに受け取りましたが、それならそれで私はいいんですけれども、いかがでしょうか。

細川副大臣 この一部支給停止の措置につきましては、就業支援施策等の強化を図るのとあわせてこの制度も導入されたものでありまして、委員御指摘のような、離婚後の生活激変を一定期間内で緩和する、そして母子家庭におきます自立を促進する、こういう趣旨でございます。

 そういう中で、この十四年の改正では、一人親家庭への支援策として四本柱、子育て・生活支援、就業支援策、養育費の確保、そして経済的支援策、これを総合的に自立支援をしていくということで、児童扶養手当制度についてもこの総合的な支援策の一環として位置づけている、こういうことであります。

馳委員 次のテーマに入っていきますが、養育費の問題です。

 実は、離婚に当たって、一人親家庭において、養育費の取り決めをしていない母子世帯の割合が五八%、養育費を受けたことのない母子世帯の割合は五九%。いずれも六割ですね。本当に、世の中にはとんでもない男がいっぱいいるものです。けしからぬことですよ。

 そこで、これは厚生労働省だけではないと思いますが、法務省とも連携をしながら、養育費の一層の確保、これに向けてどういう取り組みをしていくべきか。後でまた親権の話はするんですけれども、離婚後は単独親権ですよね。だからといって、離婚したときの養育費の取り決めから逃げていいとはもちろん限らないわけですよ。本当にけしからぬ話ですよ、この数字は。

 この養育費の確保に向けて、厚生労働省としてどうお考えになっていくか、お伝えください。

細川副大臣 委員御指摘のような、けしからぬ数字になってきております。

 そこで、この養育費を確保するということにつきましては、まず、養育費というものは、だれが親権者であろうと、親である限り、きちっと支払う義務、負担する義務がありますので、親ならば当然払う、そういう全体的な機運をやはり盛り上げていくことがまず第一だろうというふうに思います。

 そしてまた、委員も指摘されましたように、離婚をする際にはきちっと、養育はだれがどういうふうに分担をするのかというような、親が子供の養育のための取り決めということをしっかりやるということ、それから、その決めた養育費の支払いを促進する、こういうことが重要であろうというふうに思います。

 そこで、厚生労働省といたしましては、大体養育費がどれぐらいかというような相場を示しました養育費の手引というのを地方自治体に配布いたしまして、その啓発なども行っておりまして、平成十九年度からは養育費相談支援センターというものを設置いたしております。

 そして、このセンターでの事業につきましては、三つありまして、一つは、相談に来られた困難事例の相談対応、二つ目は、母子家庭等就業・自立支援センターの養育費専門相談員など地域での養育費相談に従事している方を対象とする研修、そしてホームページなどによる情報提供などをいたしております。

 そして、養育費の確保で、これは法的にもしっかりやらなければいけないというようなこともありまして、民事執行法を改正いたしまして、従来は、今まで払わなかった養育費を請求する、こういうことでありましたけれども、将来の養育費の部分についてもその請求ができる、強制執行手続もできるというような、そういう民事執行法の改正もできたところでありまして、そういうさまざまなことを使いまして養育費の確保に取り組んでまいりたいというふうに思います。

馳委員 これも実は、大臣、さっきと同じようなことを私は言いたいんですよ。

 これはやはり、むしり取るぐらいでもいいから、強制執行をちゃんとしなきゃいけないですよ。そして、法的措置ができるようになっているんですね。これは実態をぜひ調べさせてほしいです。払えるのに払わない男親というか、離婚をしたときの協議において養育費の問題というのは大きな問題ですよ。ぜひこれは、非常に細川副大臣の言い方も優しいので、本当はもっと強制的なことができるんですよね。したがって、これはもうちょっとしっかりとさせる、法務省とも連携をしながらやるべきだということを私は申し上げたいと思います。

 次に、子育てと生活支援策として保育所の優先入所の法定化がありますけれども、小学校の入学後においては、放課後児童クラブへの優先入所、これについてはどうなっているんでしょうか。

細川副大臣 放課後児童クラブへの優先的な入所はどういうような扱いなのか、こういう御質問でございます。

 この点につきましては、厚生労働大臣告示をしておりまして、「母子家庭及び寡婦の生活の安定と向上のための措置に関する基本的な方針」、この告示の中で、保育所への優先入所、それとともに、同じように、放課後児童クラブの優先的利用について規定を定めているところでございます。

 また、地方公共団体に対しましては、母子家庭や父子家庭が放課後児童クラブを優先的に利用できるような通知も発出しておりまして、全国会議の場を活用いたしまして周知を図っているところでございます。

馳委員 大臣、私は、自由民主党の中で強烈な、学童保育法制化を進めるべきだという論者で、ずっとずっともう十四年間頑張ってきたんですよ。

 御存じのように、児童福祉法では放課後児童クラブ、一般には学童保育という言い方もされておりますが、いわゆる学童、小学生の放課後の居場所、また、休日、祝日等の居場所の問題です。こういう陳情は多分、結構、市会議員さんとか多いですよね。

 今現在でも、小学校の敷地、施設を使ってできるようになっています。あの頭のかたい文部科学省も、大分施設基準の緩和をしてきましたね。私は、もっともっと進めさせるべきであり、ましてや指導員の処遇改善、あるいは、子供の居場所でありますから、その安全性ということ、そして、今求められているのはやはり障害を抱えた児童の放課後の居場所、これは本当に大変ですよ。

 そう考えると、私は、この学童保育の法制化というものはぜひやっていくべきだとずっと自民党の中で叫び続けているんですけれども、なかなかマニフェストに入れてくれなくて、まあこれは内輪の話としても、これは本当に、一人親家庭、もちろんそうですね、母子家庭であろうと父子家庭であろうと、この学童保育は法制化をし、指導員あるいは施設の基準づくり、安全管理、こういったことは厚生労働省も文部科学省もありませんよ、ぜひこれをやっていくべきだということを思っているんです。

 力足らずではありますが私はもっと頑張りますが、大臣、どう思われますか。

長妻国務大臣 今は放課後児童クラブという名前で呼んでおりますけれども、小学校を見ますと、まだ実施率が一〇〇%ではありませんで、それが設置されていない小学校もあるということで、まずはそれについてお願いをして、障害となるものがあればそれを取り除く努力をする。

 そして、ことしに入って閣議決定いたしました子育てビジョンの五カ年計画で、この放課後児童クラブを、現状は定員が八十一万人でございますが、これを平成二十六年度目標値百十一万人にしようと。小一から小三までの全人口の五人に一人の定員が今ありますが、それを五年後に三人に一人の定員までしようということ。

 あとは、よく言われる小一の壁ということで、保育所はある程度夜まで預かってくれるんだけれども、小学校に上がった途端、放課後児童クラブが夜が早いということで、そこで仕事をかわらざるを得ないという親御さんのお話もございますので、そういうことも含めて、現金支給のみならず現物の部分も取り組んでいきたいと思います。

馳委員 今大臣は、私が指摘をした法制化の話はちょっとあえて避けられたような気もいたしますが、この充実というのは、特に、私は川端文部科学大臣にきつく言ってほしいんですよね。小学校の敷地、施設を使えるじゃないかと。ちょっと改築すれば、十分使えるんですよ。親だって安心ですよ。小学校というのは、基本的に小学校一年生の足で歩いて通うことのできる距離にあるわけですよね。学童保育にとってもベストの環境にありますよ。

 これまでの経緯もありますから、民間でやっていたり児童館でやっていたりすることもありますが、小学校においてもできるんですよ、施設も十分使えるんですよということを進めていく必要もあるし、また指導員の、多分これは全国平均を調べたら数字が出ると思いますが、百五十万から二百万の指導員の給与ですよ、こういう現状を放置しておくべきではないということを強く申し上げたいと私は思います。

 最後に、一人親家庭支援策のもう一つの問題を申し上げて、答弁を伺って終わりますが、現在、離婚後の共同親権の法制化運動や、離婚後の親権、監護権のない親からの子供との面会交流を求める運動が大変盛んになっております。私も、共同親権の問題や、親権の問題について取り組んでおります、この面会、面接交流権ね。

 この運動について、手当という、児童扶養手当のこの問題ばかりではなく、私は、厚生労働省として、こういう運動についての認識を深めてもらい、賛成をして、法務省あるいは外務省とも、これはハーグ条約に絡む問題でもありますよね、ぜひ取り組んでいただきたいと思っているんですよ。

 大臣の認識をお伺いして、私の質問を終わります。

長妻国務大臣 まず、今の点におきましては、今法務省が民法の改正を検討しておりまして、その趣旨のことも盛り込むか否か検討中であると聞いております。

 そして、今おっしゃった、両親が離婚しても子供にとっては親子の関係には変わりがありませんし、子供の福祉を害しない限り、子供の成長のため、別れて暮らす親子が面会する交流というのは、これは好ましいことだというふうに認識しております。

 ただ、それについてどこまで、例えばルールあるいは法律ということを課していくのかというのは、これは慎重に考える必要があると思っておりまして、まずは民法の改正の考え方というのを、我々も必要があれば意見を法務省にも申し上げていきたいというふうに考えております。

馳委員 今の答弁、私はちょっと容認できないんですね。

 離婚家庭のことをちょっと。大体母親が親権を持っていますよ。養育費も払わないようなお父さんに対して、要は吹き込むわけですよ、あんなお父さんと、悪口言い放題ですよ。当然、会わせようとしないわけですね。逆に、養育費を払っていたとしても、離婚にはいろいろな事情が男女の間で、夫婦の間でありますから、いいことを言わない、相手に会わせようとしないわけですよ。

 でも、一人親家庭への支援というのは、私たちは、手当の問題は、親への支援というのは直接的なんですが、本質的には子供の最善の利益を守ってやるという観点で、子供にとって、両方の親と会えるということ、離婚をした後でも自分にはお父さんとお母さんがいて愛されている状況にあるんだということをつくり出すということの認識はとても必要だと思っているんですよ。それが、残念ながら、今の民法の規定では単独親権ですから、できない状況にあるんですね。ある意味では、一人親家庭で相手の親に会わせないことは虐待ではないかというふうな認識を示している学会もあります。

 こういうことも含めて、また私は改めて見解を求めていきたいと思いますが、以上、きょうのところはこれで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

藤村委員長 次に、大村秀章君。

大村委員 自由民主党の大村秀章でございます。

 それでは、時間をいただきましたので、その時間の範囲で質問を順次させていただきたいと存じます。

 まず、B型肝炎訴訟につきましてお聞きをしたいと存じます。

 本日、五月十四日金曜日、午前十時から、札幌地裁での和解勧告を受けての原告団との和解協議が始まったというふうにお聞きをいたしております。この和解協議の中でどのような内容の解決策、救済策を示されたのか、まずお聞きをしたいと思います。

長妻国務大臣 まず、B型肝炎につきましては、札幌地裁から和解のテーブルに着いたらどうか、こういうようなお話がございまして、その回答期限が本日でございます。先ほど札幌地裁の場で、国として和解のテーブルに着くというお話を申し上げたわけでございますので、今後、裁判所を介して誠実に交渉をしていきたいというふうに考えております。

大村委員 本日、札幌地裁での和解協議において示された内容というものをお聞かせいただけませんか。

長妻国務大臣 これは、私もまだ詳細に国としてどういう発言をしたかというのは聞いておりませんけれども、基本的には、テーブルに着くということを申し上げ、詳細の交渉は、今後、裁判所を中心に実施をしていくということであります。

大村委員 今、長妻大臣は詳細なことは聞いていないというふうに言われました。これは大変な問題だと思います。要は、B型肝炎の訴訟の問題は、もちろん政府全体で対応するから法務省というのもあるんでしょうけれども、やはり所管は厚生労働省であるはずですから、確かにこの委員会をやっている時間であるとはいいながら、十時から始まっている和解協議について内容を詳細聞いていないというのは、これはゆゆしき発言だと私は思います。

 もう一回尋ねます。きょう十時から始まっている和解協議において、どういう内容を原告団に示されたのか。ちょうど厚生労働委員会というこの機会でありますから、やはり国会そして国民の皆さんにお示しをいただくのが私は責任だと思います。

 もう一回お尋ねをいたします。きょうの十時からの和解協議でどういう内容のものを示されたのか、お聞かせをいただきたい。

長妻国務大臣 先ほど来答弁いたしておりますけれども、本日については、和解のテーブルに着きます、基本的にはそういうお話をしたということであります。

大村委員 それだけでございますか。具体的なもの、中身、どういうふうに進めていくかについては何ら示されていないということですか。ただ単に、和解のテーブルに着きますということを一言言ったということだけですか。それでは協議にならないと思いますが、どういう内容のものを、どこまでのことを言われたのか。どういう論点があるか。例えばこういう論点がある、こういう論点がある、こういうものを詰めていくんですということがあるはずなんですけれども、それについてお聞かせいただけませんか。

長妻国務大臣 基本的には、先ほど来申し上げておりますけれども、本日の時点では、テーブルに着く、交渉をいたしますということを申し上げ、我々としては、和解対象者の確認方法などなどについて論点があるのではないかというふうに考えているわけでありますが、これについて、きょう、具体的な何か提案を提示したということではありません。

大村委員 今、確認方法などなどというふうなことを少し言われましたけれども、などなどということでは困るのでありまして、要は、裁判の和解のテーブルに着く、その場合には国としてこういう点、今、確認方法と一つ言われましたが、こういう点、こういう点について、やはりこれを詰めて原告団にお示ししなきゃいけないからというようなことを言っているはずなんですけれども、そういう点について、中身は一切この委員会でお話しできないということでよろしいですか。

長妻国務大臣 本日は、まず、札幌地裁において、国としては和解のテーブルに着くということを申し上げ、具体的な国としての提言というのは本日はいたしておりません。今後、裁判所を介して国としても誠実に対応するということであります。

大村委員 私は、一言言って、それで和解の協議にきょう一時間以上かかったというふうに聞いておりますが、そんなことはないと思いますね。やはり裁判になって、いろいろ、こういう論点、論点、論点があるはずでありますから、それについてこれから詰めて、そして原告団にお示しをしたいということをお話をされているはずなんですけれども、そういうことは一切、この国会の厚生労働委員会という場で全くお示しをいただけない、非常に残念だと言わざるを得ません。何でそれを隠すのかというふうに言わざるを得ないと思います。

 それでは、じゃ、そのときに、いつまでに、いつをめどにこうしたものを示すということをお考えなのか、その点についてお聞きしたいと思います。

長妻国務大臣 これについては、私どもとしては、政府を挙げて、総理大臣とも何度か協議をし、関係閣僚とも協議をし、大変重大な問題であるということを深く認識しているところでございます。

 その意味で、きょうはテーブルに着くというお話を申し上げたわけでございまして、今後、裁判所を中心に、我々としても誠実に交渉をしていきたいというふうに考えておりますので、その期限を区切っているというのは、裁判所もそういう想定はしていないのではないかと思います。

大村委員 いやいや、和解について、期限がない、いつまでもいいんだ、いつまでも協議をし続けていいんだということを裁判所は考えているということは絶対にありませんよ。それはできるだけ早く、速やかに、和解は、とにかくテーブルに着いてやってくれというのが裁判所の和解勧告ですから、今長妻さんが言われた、そういう期限というのを裁判所は考えていないというふうに今言われた、それはまさに問題発言だと私は思いますよ。それは、今の発言を聞くと、この後ずっと、延々と協議をしていくんだというふうにしか聞こえません。非常に問題だと思います。

 では、例えば、C型肝炎のときは、十月にたしか和解の協議が始まって、十二月の前半に一区切りの和解が、結局最後は和解というか決裂をしたわけでありますけれども、二カ月かかっていないというふうに思います。今回はどのくらいがめどなのか。ちょうど七月に参議院選挙があります。参議院選挙の前なのか後なのか、そのくらいがめどになるのかどうか、その点についてお考えをお聞きしたい。

長妻国務大臣 これについては、和解の成立には国と原告双方の合意が必要であり、和解内容において広く国民の理解と協力が得られなければならないというのは言うまでもありません。

 本件の訴訟については、和解対象者の範囲やその確認方法などなど、いまだ議論が尽くされていない論点も多くて、こうした論点について、和解協議の場において、裁判所の仲介のもと、順次原告団と協議を行っていくことが必要だというふうに考えておりまして、現時点で和解の見通し、期限についてお答えするというのは困難であります。

大村委員 きょう和解協議のテーブルに着いた、しかし、中身は何も言えない。では、いつぐらいをめどにしてやっていくのか、それも言えない。例えば、二カ月後にある参議院選挙をめどにするのかしないのか、前なのか後なのか、それも言えない。何も言えない。まさか、参議院選挙があるから選挙の後まで先送りしようというふうに考えているんじゃありませんか。そんなことでよくも命を守りたいなんて言えたものだ、私はそういうふうに言わざるを得ないと思います。

 参議院選挙の前なのか後なのか、参議院選挙の後まで先送りしようとしておられるのかどうか、その点について明確にお答えいただきたい。

長妻国務大臣 選挙の期日がどうだこうだということを我々はもちろん考えているわけではありませんで、これについては誠実に裁判所の中で我々としては交渉をさせていただくということであります。

大村委員 何もお答えいただけないのは大変残念でなりません。中身も何も言わない、これからの期限といいますか、目標とする目安も言わない、何もない。大変残念でなりません。要は、きょうが地裁の和解勧告の期日だから、とりあえずテーブルに着いて先送りしようというふうにしておられるんではないか、そう疑わざるを得ないというふうに思います。

 それでは、お聞きします。

 原告団はたびたび上京し、こちらに集まって、面会を、面談を求めております。お会いする気はありませんか。

長妻国務大臣 今のところは、私自身は会う予定というのはございません。

大村委員 残念でなりません。

 C型肝炎のときは、私は与党の筆頭理事でおりました。裁判の和解協議中でありました。原告団と当時の舛添大臣、直接ということは難しいというような声もありましたので、私が与野党理事を集めて、その場に原告団にお越しをいただき、舛添大臣に来ていただいて、それで原告団と舛添大臣との面談を二回やりました。面談はやったんです、C型肝炎のときに。B型のときは、今回そういう形でも、どういう形をとっても結構ですけれども、面談をする、お会いをするという考えはありませんか。

長妻国務大臣 今も申し上げましたように、きょうの、もう本当に先ほど、十一時前にそういう回答を申し上げたわけでございまして、今直ちにここで会うということを言えるわけではありませんけれども、今のところは会う予定はないということでございます。

大村委員 面談はもう三月からずっと、三月、四月と原告団の皆さんがこの東京に上京されて集会をやられる、そのたびごとに要望はあったはずです。きょう五月十四日は地裁の和解の協議の期日ということでありますから、ずっとこれまで面談の御要望をいただいているはずなんですけれども、それでも今会う予定はないと言われた。大変残念でなりません。

 この点については、引き続き私は強く要請をしていきたいというふうに思います。

 なお、山井政務官、あなたは、先般私もこの委員会でお聞きをいたしましたが、この委員会でもたびたびと、委員会だけではなくていろいろな場で、国は和解に応じるべきだということを涙ながらに訴えておられました。きょうから協議が始まりました。この和解について、あなたはどういう立場で臨まれますか。

山井大臣政務官 大村委員にお答えを申し上げます。

 昨年、政権交代をいたしまして、与野党の皆さんの力で肝炎対策基本法が成立をいたしました。これも今回のB型肝炎の訴訟とは無関係ではありませんで、初めてB型肝炎の集団予防接種の最高裁のことについて法律の中に明記をしたところであります。また、それを一つの土台として、昨年末、予算において、B型肝炎に効果がある核酸アナログ製剤についての医療費助成というものがこの四月から初めてスタートをいたしました。

 そして、肝炎対策基本法、そしてまたB型肝炎に対する史上初めての医療費助成を踏まえて、そして、きょうから和解協議のテーブルに着くということになったわけであります。

 大臣が答弁されましたように、裁判所を仲介にして誠実に話し合いをしてまいりたいと考えております。

大村委員 山井政務官、和解にならなかったらあなたは議員をやめますね。答弁ください。

山井大臣政務官 大村委員にお答えを申し上げます。

 まさに、つい先ほど和解協議のテーブルに着くという回答をしまして、これから裁判所を仲介とした話し合いが始まるというところでありますので、いい方向に進むように私も努力をしたいと思いますし、裁判所を仲介として適切な話し合いがこれからなされることを期待しております。

大村委員 まるで人ごとのような答弁でしたね。あなたはずっと、この前まで言ってきたんですよ。そのことを、もう全部議事録は残っているわけですから、あなたが政治家として言ってきたことをしっかりとやっていただかないといけない。

 要は、和解にならなかったらやめるのかどうか、そのくらいの覚悟で臨むのかということを聞いているんだけれども、全然お答えにならない。この間もそうでした。そういう意味で、今回の問題について、今の人ごとのような答弁、まさに腰が引けていると言わざるを得ない。あなたの政治家としての資質を問われるということを申し上げたいというふうに思っております。

 なお、我々は、一日も早くこの適切な解決策、多くの患者さんにとってよりよい救済策を講じるべきだということで、この問題をしっかりとフォローしていきたいというふうに思っております。

 次に参ります。

 労働者派遣法の取り扱いについてでございます。これは一言だけ申し上げたいと思います。

 労働者派遣法の法案に入っていたかと思いましたら、今回はこの児童扶養手当の法律に入るということであります。与党側の要請でありますから、予算関連ということもあって我々は受け入れました。ということは、労働者派遣法については、この改正はあきらめたということでよろしいですか、長妻大臣。

長妻国務大臣 これは、内閣として閣議決定をして国会に出させていただいておりますので、もう速やかに成立をしてくださいということをお願いしているところでございます。

大村委員 どうやってやるんですか。では、この児童扶養手当をやめて派遣法にしましょうか。それでもよろしいんですか。お答えください。

長妻国務大臣 基本的に、国会でその段取りというのは話し合っていただくことだと思いますけれども、私としては、これは内閣として閣議決定をして提出した法案でございますので、当然成立をお願いするという立場でございます。

大村委員 いや、議院内閣制ですから、政府・与党一体で調整をしながらやっているというふうに承知をいたしております。そういう中で、与党側から、本来の派遣法を、重要広範議案である派遣法をやっているところをやめて、この児童扶養手当をやってくれということですから、それはそれで了解をしたわけでありますけれども、そういうことをやって、次はまた独法の法律をやるということで与党側から要請をいただいております。

 そういうことになってきますと、この派遣法についてやるということには、率直に言って、もう残りの会期を含めてはなかなか難しいと言わざるを得ないというふうに思います。ですから、この派遣法について、もうこの国会ではあきらめた、これはもういいんだということでよろしいかということを聞いているのでありますので、答弁をいただきたい。(発言する者あり)

藤村委員長 静粛に願います。静粛に願います。

長妻国務大臣 これは繰り返しでございますけれども、内閣として閣議決定をして、国会に審議をお願いしている法律でございますので、成立をお願いするという立場でございます。

大村委員 では、この後、理事会で協議しましょうか。やめましょうか、これを。派遣法に戻しましょうか。やめましょう、それだったら。後ほど理事会協議しましょう。そういう不誠実な、あなた方からこの児童扶養手当そして独法をやってくれということを言ってきたから、本来イレギュラーだけれども、これを受け入れて、この児童扶養手当、そしてこの後独法ということを、日程協議もしながらやってきたわけです。そういう意味で、民主党を初め、この国会のルールというのを全く理解していない。その点については極めて問題だということを申し上げておきたいというふうに思います。

 この派遣法についてはもう事実上難しいということを正直に認めて、この後、では、この派遣法について、いろいろな課題、問題点がある。関係の皆さんは非常に不安になっている。実際、派遣で働いている人たちの雇用ももう維持できないんじゃないか、そういうふうな不安もある。中小企業の人材の確保もできないんじゃないか、そういういろいろな問題点があって、私は、事務方にもいろいろな資料も、データも含めてこれは要求しておりますけれども、そういったシミュレーション、それからそういった対策も全然出てこない。したがって、この派遣法については引き続き、さらにさらに、もっともっと問題を深掘りにして議論していこうということを申し上げているのでありますけれども、なかなかそのデータが出てこない。

 そういう中で、この法案を、こちらを先にやってくれということでありますから、私は、これはちょうどいい時間ができた、十分これから、まだ秋は通常国会があるかどうかわかりませんけれども、そのままいけば、また来年の通常国会ということになろうかと思いますが、それに向けて十分これは問題点を議論し、深掘りをしていきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。

 それでは、この児童扶養手当について質問をしていきたいというふうに思っております。

 私は、自由民主党の母子寡婦福祉対策議員連盟というのがありますが、その事務局長という仕事をやっております。会長は永岡桂子さん、相談役に谷垣さんと伊吹さんがおられますが、そういった立場で母子寡婦対策、全国母子寡婦福祉団体協議会というのがありますが、そうした団体の方から幾つか要望を随時承っております。その要望点を中心にお聞きしたいと思いますが、順番は、母子家庭の母の就業の支援に関する特別措置法というのをまずお聞きしたいと思いましたが、きょうは中川文科副大臣と長安国土交通政務官にお越しをいただいておりますので、まずそちらの方からお聞きをしたいというふうに思います。

 その要望の中で、この全国母子寡婦福祉団体協議会からの御意見、御要望の中で、母子家庭等の一人親家庭について、生活基盤が脆弱で、日常生活の食事が規則正しくとれない子供が増加しているのではないか、したがって学校給食というのは非常に重要だ、したがって、こういう母子家庭、また一人親家庭の子供に対する学校給食の無償化といいますか負担軽減等について御要望をいただいております。

 この点については、事務方からのお答えでは、低所得の方にはそういった軽減をやっておられるというふうには聞きますが、さらに、この母子家庭、一人親家庭についての配慮という点について、この点についてはいかがでございましょうか。中川副大臣。

中川副大臣 お答えをしたいと思います。

 まず、仕組みと概要から説明をさせていただきたいんですが、基本的には、生活困窮者について、母子家庭をもちろん含めての話ですが、生活保護の就学支援対象に入っている子供たち、ここと、それに準ずる形で、市町村あるいは県が中心になって援助をしていく準要保護児童生徒、この二つに分かれるということであります。

 人数からいきますと、要保護児童生徒については、約十三万人ありまして、全体の一・三%に当たります。それから、準要保護児童生徒については、百三十一万人が今対象になっていまして、約一二・七%ということであります。

 そこで、生活保護の対象になっている子供たちについては、学校給食費というのはそれで賄われていくということでありますが、生活保護のレベルなんだけれども生活保護の対象になっていない子供たちというのもおりまして、ここのところを文部科学省の関連の補助金で、市町村がまず踏み出してそれに支援をしていく、そういう制度になっています。ただ、現状は、学校給食費については八人ほどしかこの対象がないということでありまして、ほとんど生活保護でカバーをされているというふうに解釈するところなんだというふうに思っています。

 問題は、この準要保護児童生徒、これは生活保護の対象に準ずる形で県や市町村が手当てをしている部分でありまして、先般の小泉改革、三位一体改革によりまして、ここの補助部分というのが地方交付税化されまして、今、二百九十二億円の枠組みの中で、地方交付税で交付がされております。そんな中で、市町村が実際に就学援助実績として九百十八億円支出をしておるということでありまして、そこのところを市町村の、地域の実情に応じて適切にというか、満遍なく行われていくような、そういう体制をとっていくということだと思っております。

大村委員 三位一体で、その分が地方の一般財源に行ったということも承知をしております。この点については、所得の多い少ないで線を引いてきめ細かくやっていかれるということの方針は、これはぜひさらに進めていただきたいというふうに思います。

 なお、この点について我々からいえば、子ども手当に回すお金があるのであれば、こうしたところにもうちょっときめ細かく対応していくということが必要ではないかということを、子ども手当の議論のときにも申し上げました。結果、来年の子ども手当を倍にするかしないかの議論でそういう声が出てきているということは、我々の主張がまさに的を射ていたのではないかというふうに言わざるを得ないと思います。

 この学校給食の問題、給食代を学校の先生方が、なかなか確信的に支払っていただけない方も含めて、一生懸命徴収に走っている、そういう状況を見ると、やはりこれは考えていかなきゃいけないんじゃないか。もちろん財源の手当てというのはありますが、考えていかなきゃいけないんじゃないかと思います。引き続き、母子家庭も含めた一人親家庭のこうした面についてのきめ細かい対応、給食だけではなくて学校面での対応をぜひお願い申し上げたいと思います。

 中川副大臣、もうこれで結構でございますから。ありがとうございました。

 それでは、続きまして、公営住宅の入居の話につきましてお聞きをしたいと思います。長安国土交通政務官にお越しをいただいております。

 これも、母子寡婦福祉団体協議会の方からも御要請がある話でもございます。公営住宅に対する優先入居、これは国土交通省が通達、通知で各自治体にこういうケースということで示してやっているというふうにもお聞きをいたしておりますが、それでも、やはり倍率が高いとかいろいろなことがあって、どうしてもこの要望が一番、優先入居の住宅の要望が非常に多いわけでございます。

 この点について、確かに、ほかに高齢者世帯、障害者世帯、いろいろな世帯の御要望が多いのはわかりますけれども、母子世帯、一人親世帯につきましてもさらに配慮していただくようなことができないものか、この点について国土交通省のお考えをお聞きしたいと思います。

長安大臣政務官 御指摘の公営住宅についてでございます。

 公営住宅、これは平成二十年度末時点でございますけれども、全国に二百十八万戸あるわけでございます。この中で、優先入居の取り扱いを受け入居している一人親世帯というのは約二万九千戸となっております。

 そもそも、公営住宅に関しましては、今委員御指摘がございましたように、国土交通省の住宅局長の通達で、これは平成十七年の十二月二十六日付でございますけれども、公営住宅における優先入居の概要ということで通達を出させていただいております。公営住宅法の二十五条に基づきまして、特に住宅困窮度が高い方々に対しては、事業主体の判断によって優先的な取り扱いができることとなっているわけでございます。

 この一人親世帯に対する優先入居枠の設定等につきましては、一義的にはやはり地方公共団体等が判断することではございますけれども、委員御指摘ございましたように、母子世帯、一人親世帯の方々は子育てにも御苦労されておるわけでありますし、また生活にも困窮されている方が多いわけであります。そういった方々をしっかりと支えるという意味でも、今後とも優先入居制度の活用が図られるように国土交通省としても努めてまいりたいと考えております。

大村委員 ぜひ、この優先入居の問題につきまして、国土交通省、これは自治体の話でありますから、その通知でということで、要請ということではありますけれども、住宅政策の中で地方の公営住宅について、この点についてまた補助制度をつくるとかなんとかというのはなかなか、全体のバランスの中でどうかという議論はあろうかと思いますが、ぜひ、この通知ということだけではなくて、さらにもう一歩踏み込んだ対応をぜひお願いしたいというふうに思っております。

 長安政務官、これで結構でございます。ありがとうございました。

 それでは、続きまして、冒頭申し上げましたが、母子家庭の母の就業の支援に関する特別措置法について触れたいと思います。

 これは平成十五年の七月に、全会一致で成立をいたしました。参議院から委員長提案で来て、衆議院でも七月に、全会一致で成立をしたものでございます。これは五年の期限ということでございまして、残念ながら平成二十年三月に失効ということになったわけでございますが、この点につきまして、私、お手元に資料をお配りさせていただいております。

 これは厚生労働省にきのうつくってもらったんですが、十五年度から今日に至るまでの、ハローワークから自立支援センター、能力開発、その実績をずっと並べました。十五年度から十九年度、二十年三月というと十九年度でございますが、それによりますと、例えば、母子家庭の母の紹介件数が十九万八千件から三十一万八千件にふえたとか、また、母子家庭等就業・自立支援センターの地方自治体実施率が六一%が一〇〇%になったとか、事業実績の相談件数が一万四千五百件から七万件ぐらいになったとか、正直言って、この五年で相当実績を上げているというふうに思います。

 そもそも、これは成立時が全会一致で成立をした、実績も上がっているということでもありますし、正直言って、いろいろな事情でこれが失効してしまったわけでありますけれども、これは議員立法ということでもありますが、母子家庭の母の就業支援という政策ニーズが少なくなったとか低くなった、そんなことはないと思いますので、これはぜひ、私はいま一度、もう一回光を当てて、この法律についてやはり復活、再開ということを望む声が非常に強いわけでございますから、ぜひ関係の皆さんとも話を進めていきたいと思いますが、この点について厚生労働省のお考えをお聞きしたいと思います。

長妻国務大臣 今お尋ねの母子家庭の就労支援策の推進というのは、これはもうもちろん重要なことでございまして、この特別措置法の力もあり、五年間でございましたけれども、それが一つの弾みになって今おっしゃられたような成果も出てきている。

 安心こども基金を拡充して、今後、看護師等の養成機関に通う際に生活費の負担の軽減を図る高等技能訓練促進費を拡充するということも続けてまいりますし、あるいは、母子家庭等就業・自立支援センター事業における土日に開設した際に加算をするというような制度を、これは今年度から、二十二年度新規事業でさせていただいておりますし、マザーズハローワーク、働くお母さんあるいは就業を求めているお母様の紹介あるいは相談、この事業拠点を、平成二十一年度百四十八カ所から今年度は百六十三カ所に拡充するなどなどしてまいります。

 そして、この法案につきましては、議員立法でもございますので、国会の動向などを見ていきたいというふうに考えております。

大村委員 今のお答えだと、この法律が実績を上げた、成果を上げた、そういう評価はあるというふうには受けとめさせていただきました。これはまた、議員立法ですから関係の議員の皆さんと少し協議を進めさせていただければと思います。

 なお、この法律の中身でありますけれども、例えば、母子家庭の母の就業支援策の実施状況、こういういわゆる白書をつくっているんですね。これは十九年度が最後になってしまったわけでございまして、カラー刷りもありまして、非常にいい資料だと思いますが、例えば、これは法律に基づいてということになるのかどうかあれですけれども、この白書はこれが最後になっておりますけれども、法律をどうするかは別にして、こういう白書のようなものを復活させるというお考えはありませんか。

長妻国務大臣 これについては、この白書を復活するということは今直ちに考えているわけではありませんけれども、ちょうど今、厚生労働白書を作成している段階でもございますので、厚生労働白書の本体の部分にもこういう記述をしっかりとしていきたいというふうに考えております。

大村委員 そういうことになりますと、この白書を復活させるためにはやはり法律がないとだめだ、こういうお答えなのかもしれませんが、ぜひこの点、指摘をしていきたいというふうに思います。

 それから、この法律の内容の中で、例えば、県に自立促進計画をつくるということがありますが、これは今どうなっておりますでしょうか。法律が失効しても、これは引き続きやっておるということでよろしいですか。

長妻国務大臣 これは、法律が平成二十年三月末で失効しましたけれども、この事業については引き続き継続をしているということであります。

大村委員 同じように、例えば、民間事業者に対する国、地方公共団体からの就業促進の協力要請というのもこの法律の中身でございましたが、この点についてはいかがでございますか。引き続きやっておられますか。

長妻国務大臣 これも引き続き継続して取り組んでいるということでありまして、今、こちらにも「事業者の皆様へ」というパンフレットがございますけれども、「母子家庭の母の就業をご支援ください!!」ということで、いろいろ支援の方法など、あるいは母子家庭等就業・自立支援センターとはというようなことについても、事業者の皆さんにお願いをしているということであります。

大村委員 もう一つお聞きしますが、この法律の中で第六条ですね、国、地方公共団体による母子福祉団体等の受注機会の増大への配慮というのがございます。母子福祉団体が、国、地方公共団体、そういったところに、国の物品とか役務の調達に当たっては適切に配慮するということがありますけれども、この点については、今、いかがでございますか。

長妻国務大臣 これについても、母子福祉団体等への事業発注の推進というのを継続しておりまして、母子家庭等就業・自立支援センター事業について母子福祉団体へ運営委託を行っている自治体の数でありますけれども、平成十五年度は三十五自治体だったものが、平成二十年度、最新の数字では六十九の自治体になっているということであります。

大村委員 そういうことで、一つずつ、この法律の条項について今どういう状況になっているかというと、やはりある程度、ある程度といいますか、前進し、実績を上げているということでもありますので、またこれは関係の議員とこの復活等々について議論をしていきたい、協議をしていきたいというふうに思っております。

 あわせまして、母子家庭の母の雇用状況を見ますと、常用雇用が全体の四二・五%、臨時・パートが全体の四三・六%。一方、父子家庭の方は、常用雇用が全体の七二・二%ということでもございます。

 この点に関連してでもありますが、働き方、母子家庭の母の自立促進、就業支援ということで、特にこれはずっと言われてきていることでありますけれども、この常用雇用化、常用雇用の率を上げていくということがやはり必要だというふうに思います。

 この点について、厚生労働省の取り組み、考えをお聞かせいただきたいと思います。

長妻国務大臣 この就労支援というときに、やはり非正規労働よりも常用雇用ということで、安定した働き方を進めていくというのは、これはもう御指摘のとおりでございます。

 そのときに、先ほどからも申し上げておりますような、いろいろな支援策について我々取り組んでいるところでございまして、特に、看護師などの高度な専門の資格を取っていただくことで常用雇用の可能性が高まっていくというふうに考えておりますので、その部分についても支援を強化していきたいというふうに考えております。

大村委員 確かに、いろいろな資格等々を取ることが常用雇用につながっていく、そのとおりだと思いますので、またそれは引き続きしっかりとフォローをしていきたいというふうに思います。

 最後に、養育費の確保の点についてお聞きをしたいというふうに思います。

 これは民主党のマニフェストにも「養育費支払の履行確保などの総合的な支援策を講じる。」というふうにあるのでありますが、この養育費の確保策については、これは大変大事なことだというふうに思います。

 先ほど、同僚の馳議員からもそういう質問がありましたが、この点について、民主党マニフェストにはこう書いてありますけれども、具体的には、何をどういうふうに今日までしたのか。この法案を提案されるということでありますから、このマニフェストに書いてあることについて具体的にどういうふうに取り組んできたかについて、お答えをいただきたいと思います。

長妻国務大臣 養育費の確保というのも重要課題でありまして、これは、離婚母子世帯における養育費の状況を調べてみますと、養育費を支払う取り決めをもとの夫としているというのが三八・八%、四割近い。しかし、現在も養育費を受けているというのは一九%ということで、全体の二割ということであります。

 当然、相手の方が困窮をされていて、払いたくても払えないという方もいらっしゃるとは思いますけれども、これについての支援におきましては、今も、従来から行っている地方自治体の相談機関で受け付けられた困難事例への対応相談ということについて、これをさらに中身を強化していきたいというふうにも考えております。

 そして、母子家庭等就業・自立支援センターの養育費専門相談員というのがいらっしゃいますけれども、その方々に対する研修を強化して、相談の力を向上させていきたいというふうにも考えております。

 この自立支援センターというのは全国自治体に百六カ所ございますけれども、これに対する支援というのも強めていきたいというふうに考えております。

大村委員 この養育費について、厚生労働省だけの施策でということがなかなか難しい面もあるということは承知をいたしておりますが、現実問題として、現在受給しているのはまだ二割を切っているという状況は、これはやはり改善をしていかなきゃいけないというふうに思います。この点についても引き続き、こうした施策を総合的にやって進めていただきたいというふうに思います。

 なお、ちょっと一点だけ聞き忘れましたので、最後に、本当にもう一点だけお聞かせいただきたいと思います。

 先ほどの、母子家庭の母の就業支援ということでございますが、この点につきまして、母子寡婦団体の皆さんからも、やはり就業支援とかスキルアップとかそういったことはもちろん大変大事なことでございますが、やはり企業側等々について、特に母親の方だと思いますが、一人親家庭、母子家庭のお母さんの常用雇用化を進めていく上におきましても、一方で、障害者雇用の促進施策に法定雇用率で一定の水準の義務化というのがあります。

 正直言って、そこまで一足飛びにということは、なかなか法制上、いろいろな問題点はあろうかと思いますが、そういう点もにらみながら、やはり企業側の方に一定の目標をつくってもらう、一定の目標を持って、優先的に一人親家庭、母子家庭のお母さんの一定数の雇用を確保していく、そういったことがやはり必要だと思います。

 その点について、数値目標ということなのかどうなのかあれですけれども、何らかの形の目標といいますか、そういったものを企業側に、産業界に課していく、そういったことをすぐやれというところまで言うつもりはありませんが、その点を検討していく、どういうやり方がいいのか、その点についてお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。

長妻国務大臣 数値目標を障害者のようにかけるという、その気持ちはわかりますけれども、母子家庭の場合は、結婚すれば母子家庭じゃなくなるなどなど、それは変化することもあります。

 そういう意味では、我々としても、先ほど来申し上げております就労支援策というのをきちっと取り組んで、それが結果的にどの程度の効果が上がったのか、それぞれ企業でのそういう率が出れば、そういう率のようなものもサンプル的に調査をして、その経年変化を見ていくなどなどの取り組みというのは検討していきたいと思います。

大村委員 施策を進めていく上におきまして、やはり何らかの目標がないと、これは一足飛びにというか飛躍的に進んでいかないというふうに思います。

 母子家庭、一人親家庭の自立の支援、自立促進というのは、やはり一番のかなめはそこの雇用だというふうに思います。したがって、雇用、特に常用雇用化、そういったことについて、職業訓練、能力開発、スキルアップ等々の支援は充実をしてきていると思います。しかし、そちらの雇う側の方についても問題意識をしっかり持ってもらうという意味を含めて、やはり目標設定等々について何らかの工夫をぜひお願いしたいというふうに思っております。

 時間が参りましたので以上で終わらせていただきますが、引き続き、この法律等々につきまして、また同僚議員の方からしっかりと質問をさせていただきたいと思います。

 以上です。

藤村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

藤村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 自由民主党の加藤勝信でございます。

 まず、質問に入る前に、長妻大臣のお考えを一つお聞きしたいと思います。

 いわゆる普天間問題を中心に、総理の発言がいろいろ変わっている、新聞にもかなり克明に出てきております。

 そして、そういう中で、もちろん政策というものは、何か一つのことを目指して、いろいろ障害が出て変わる、これは確かにあるとは思いますけれども、朝言った話がまた夕方、少なくとも我々に少しニュアンスが変わって受けとめられる。そして、そういうことが特に、大臣もそうです、総理大臣の言葉というのは、そこから発せられる中身によっては、本当に国民の生活そのもの、きょうとは言わないけれども、あした、あさっての生活に大きくかかわってくる。ええっ、こんな話が出てきてどうしようかという話が沖縄であり、また徳之島等で起きているのではないか、それだけ非常に重たいものではないか、私はこう思うわけであります。

 そういう意味で、一連の今回の普天間基地移設にかかわる、特にここ一、二カ月の総理大臣の御発言を大臣としてお聞きになられて、今申し上げた、政治家、特に大臣あるいは総理大臣の言葉、その重み、こういう意味から長妻大臣はどういうふうに見ておられるのか、まず御見解をお聞きしたいと思います。

長妻国務大臣 総理の普天間をめぐる言葉ということで、今お尋ねがございました。

 交渉の過程でいろいろな報道がなされたということで、いろいろな憶測を呼んだということはあると思いますけれども、総理としては、私の理解としては、五月末ということで言われておられますので、五月末に一定の結論を出して、あとは国民の皆様がどう理解されるか、そしてその理解を得るように努力をするということに尽きるのではないかと思います。

加藤(勝)委員 今、大臣の立場でしょうから余り答えられないと思います。

 ただ、私どもも、大臣であり総理大臣であり、やはり国会でこういう質疑をしているやりとり、質問もそうでありますけれども、答弁されるその言葉も非常に重たいものだと私は思います。一生懸命やっているからというだけでは片づけることができない。

 そういう意味で、やはり、あれだけ御自身で日にちを区切られて、そしてそれに向かって再三再四、そうしますとおっしゃられた。それがもし結実、形にならないとすれば、やはり国会そのものの議論、これは何になってくるのかという大きな問題を提起することになるのではないか、私はこの思いを述べさせていただいて、質問に入りたいと思います。

 きょうは、内閣府の泉政務官にもおいでいただいておりますが、まず、「インターネットによる子育て費用に関する調査」というのが四月の二十八日に発表されました。今、それを委員会の中にもお配りさせていただいております。

 これは、私、最初に報道を見たときに、ええっという思いがしました。一つは、何でこの時期なのと。実際、調査していたのは十一月ごろだというふうに承知をしております。私どもの子ども手当の議論に非常に有効な資料でありますけれども、何らこういうお話はなかったのであります。

 この調査について、お聞きをすると、ちょうど政権がかわる節目のころにやろうということを最終的にお決めになられて、それから新政権の中で入札等々の事業が行われたというふうにお聞きをしておりますけれども、その辺の経緯と目的について、まず御説明いただきたいと思います。

泉大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 「インターネットによる子育て費用に関する調査」、四月の二十八日に公表でありましたけれども、これは、子育て家庭に係る支出を積み上げて集計、分析することにより、子育て費用の構造を把握するということを目的として実施いたしました。

 まず一番最初に、この調査が起案をされましたのが八月の十四日ということでございます。そして決裁、これは部局内での決裁になりますけれども、決裁がされましたのが九月の十日、九月十四日に入札の公示、二十八日に契約、そして調査が実際に行われましたのは十一月の一日から十一月の三十日までということでございます。そして、この調査の結果が出てきて納品をされましたのがことしの三月の二十四日ということでございます。

 その後、内閣府の中でその報告書に基づいて概要の整理等々をさせていただき、部内決裁をとらせていただいて、公表に至ったのが四月の二十八日ということでございまして、実際には、現在、約二十五ページ程度の概要版が発表されておりますが、報告書本体については現在も精査中でございまして、六月ごろ公表予定ということになってございます。

加藤(勝)委員 おやりになったのは内閣府でありますけれども、子育て全般に係る話でありますから、関係省庁とも、こういう調査をする、あるいは質問項目の中身等について当然調整されていると思うんですけれども、そういう調整はなされていますか。あるいは、調整はしていなくても、少なくともこういう調査をするというような話を厚生労働省にされていますか。

泉大臣政務官 部局内でのやりとりのどこまでを、何をもって正式のものとするかというのはありますけれども、私が確認をしているところでは四月、この三月の二十四日に納品があって、その後、厚生労働省の方に対しては、内閣府の行った調査においてこのような結果が出ておりますということを御報告申し上げたところでございます。

加藤(勝)委員 調査に当たっては、全く相談、調整はなされていないということですか。

泉大臣政務官 調査の大まかな趣旨については、実施前の昨年夏に厚生労働省に対して連絡をいたしました。この調査の場合はインターネットでの調査ということで、調査項目ですとかをその後決めていったわけですけれども、そういった具体的調査項目についてまでの相談というものは行ってございません。

加藤(勝)委員 厚生労働省にお伺いしたいんですけれども、こういう調査が行われていたということはどこまで認識をされておられましたか。

伊岐政府参考人 局長の立場で申し上げさせていただきます。

 調査をおやりになるというお話を私どもの局の担当課に御連絡いただいたとのことでございますが、御連絡いただいた時点で、私までの報告がすぐさまなされるということにはなっておらなかったということでございます。

加藤(勝)委員 泉政務官にお伺いします。

 この調査目的、先ほどの御答弁にもありましたし、この資料の中にも、「調査目的」と書いた二行目に「今後の政策立案のための検討に資する」、こういうふうに書いているんですが、具体的にどういう政策立案、これはいつかわからないというものじゃなくて、大体、何かこういうのをするときには、こういうのをやるからそのための資料として調査するというのが一般的だろうと思うんですけれども、かなり、子ども手当の話であり、今進めておられる子育てビジョンでしたか、こういう話もあらかたもう大体でき上がってきているにかかわらず「今後の政策立案」というのは、具体的にどういうものを想定してこれをやられたんですか。

泉大臣政務官 これは先ほど説明をさせていただきましたが、起案の段階ではまだ政権交代はなされておりませんでしたので、その当時の目的としては、平成二十年の合計特殊出生率が一・三七と、三年連続で上昇したものの、依然として人口置換水準を大きく下回る状態が続いている、少子化傾向に確かな歯どめがかかっていない状態にあるということで、少子化の一因として、子育てにかかる経済的負担が大きいことが考えられるという問題意識を持っておりました。

 しかし、そういう中で、さまざまな公的な現金、現物給付はありますけれども、家族関係費用については先進国の水準とは乖離があるということで、経済的支援のあり方として、出産、子育て、医療、保育、教育などライフスタイルを通じた家計負担の軽減という観点が重要だということで、子育てに係る費用について、どのような用途にどれぐらい金額がかかっているのかを把握するということを今回の目的にしていたということでございます。

加藤(勝)委員 ただ、資料もつけておりますけれども、質問の最後、子ども手当の使い道はと、こういう質問もあるわけでありますから、かなり子ども手当も、後からつけたのかもしれない、後からというのは、議論している中でこういう話も出たからという意味での後でありますが、後からつけたんだと思いますが、これは当然、こういう質問をしている以上は、子ども手当についても意識をされていたと思うんですが、違いますか。

泉大臣政務官 実は、起案段階の仕様書においては、その部分の表現というのは児童手当というふうに書いてございまして、実際に検討会の中でこの項目について検討するときには政権交代が起こっておりましたので、そこの部分は子ども手当ということに変わったということでございます。

加藤(勝)委員 今の一応の経緯で、今のお話を聞いて、最後の子ども手当の使い道については、別にクロス集計、非常に難しい集計をしなくても、単純に集計すれば出てきている数字でありますから、内閣府であっても、これだけ子ども手当というのは政府を挙げてやっておられるわけですから、やはりしっかり審議に、もし数字、こうやって調査していたわけですから、しかも集計はできていたと思いますから、それをぜひお出しいただかないと、しっかりした審議ができなかった、こういう思いがいたしますので、そのことは強く申し上げておきたいと思います。

 その上で、大臣にお伺いしたいんですけれども、この調査によりますと、二ページ目、めくっていただきますと、使い道について、「最も優先したい「子ども手当」の使い道」というので、一番断トツに多いのが「子どもの将来のための貯蓄」四三・四%、それから下から三つ目、「子どものためとは限定しない貯蓄」四・八%。足すと四八・一%が貯蓄だ、こういう調査結果になっておりますけれども、この結果をどのように見ておられますか。

長妻国務大臣 子ども手当の趣旨といいますのは、第一に経済対策ではないということでありますので、貯蓄に回ったとしても、将来、子供のための貯蓄というのが四三%あるとすれば、それは趣旨の範囲内ではないかと思います。

加藤(勝)委員 たしか、しっかり使ってほしいという話があったように私は記憶をしておりますけれども、全部貯蓄に行っても構わない、こういう御判断だ、そういうことですね。もう一回確認いたしますけれども、貯蓄でも結構です、こういうことですね。

長妻国務大臣 これは、お子さんのために使っていただきたい、趣旨は子ども手当でございますので、そういうことでありますけれども、これについて御家庭がいろいろな判断をされて、子供のために将来に向けて貯金をするということについては、子ども手当の趣旨の範囲内であるというふうに考えております。

加藤(勝)委員 結果的にこれだけの金額を使って、しかもこれだけの方が貯蓄に回す。では、何のための貯蓄にするのか。例えば大学進学だ、高等学校の進学だというのであれば、逆に言えば、そこに重点を絞った方がはるかに意味のある政策だと思います。

 今、二十三年度の、これから、議論をされていると思いますが、今の貯蓄の問題、それから、ここには細かい資料はつけておりませんけれども、「調査結果のポイント」というところで、子育て費用が最もかかるのは中学生、未就学児の約一・五倍、それから、その中の二つ目のポツで、この内訳がいろいろ書いてございます。かなり細かい数字が出てきておりますけれども、この数字と、皆さん方が議論されておりましたこども財団の数字、これは、例えば中学生の費用を比べると、あのこども財団の数字から皆さんが出してきた数字が、中学生の一年間でたしか三万六千七百三十二円、これは別に数字を確認するわけじゃないので、それを今回の調査でいろいろ計算すると二万二千円ということで、六割、七割、減っているという結果がここから見えてくるんです。

 だからということを今お聞きするのではなくて、これだけ内閣府がかなりの有識者の議論を入れて調べた結果が出てきているわけでありますから、今回の資料は、これから議論する、二万六千円をどうするか、あるいはそれを全額現金で給付するか否か等に当然反映されると思うのでありますけれども、その辺のお考えはいかがですか。

長妻国務大臣 これにつきましては、当然、この内閣府のもっと詳細なデータがあるわけでありますので、成果物は六月という話も聞いておりますけれども、それも我々は拝見しますし、あるいは、政府のみならずいろいろな団体が、子育ての費用や、あるいは子育てに何が必要なのかなどなど多種多様な調査をしておりますので、そういうものもできる範囲で参考にさせていただきたいと考えております。

加藤(勝)委員 泉政務官、今のお話を聞いて、皆さんの調査は民間の他の調査と同じレベルだという大臣の答弁のようにお聞きするんですが、そんな調査ですか。

泉大臣政務官 民間の他のレベルの調査がまたこれは何を指すのかにもよりますし、民間でもしっかりした調査というのはございますので、内閣府が調査をした一つの結果としてはこういったものが出ている。

 ただ、気をつけなくてはいけないのは、いろいろな調査の中で、今回はインターネット調査ということで、パソコンをお持ちの方、そして属性的には多少年収の高い方々が母数の中では多くなっているというふうな特徴もございますので、そういった特徴をしっかりと考慮しながら分析する必要はあろうかなと思っています。

加藤(勝)委員 では、ぜひ大臣、政府がお金をかけて、たしか五百何十万でありますけれども、かけてやっている資料ですから、民間の企業がやられる、これは別に無視しろとは申し上げませんが、しかも、今後の政策立案のための検討に資することを目的にとしっかり書いているわけですから、やはりこれもしっかりと、大事な、重要な資料だということで、これからの子ども手当の検討をしていただきたいと思いますが、確認させていただきます。

長妻国務大臣 これは、おっしゃるように政府が税金をかけて行われた調査でありますので、これも参考にさせていただきたい。

 そして、何か民間と同じにするような、多少官尊民卑的なお話であるとすると、私は、民間はまた別の視点で、政府よりもすぐれた調査というのも多々あると思っておりますので、そういうものについても、別の切り口からの調査は参考にさせていただきたいと思います。

加藤(勝)委員 いやいや、官尊民卑で申し上げたのではなくて、政府が政策を議論するのに必要だということでやっている調査でしょうということを申し上げたんです。

 ですから、そういう意味では、目的において政策検討だということがしっかり位置づけられた調査であり、しかも、内閣府という政府の一機関がそれをもってやっているわけですから、そこはしっかり受けとめてやっていかなければ、では、何でこれだけのお金をかけてやったの、だったら、むしろ政権をおかえになったときに仕分けでおやめになればよかったんじゃないんですかと私は思いますけれども。

泉大臣政務官 実は、事業仕分けの中でも、やはり調査については、その後に生かされていない調査というものがあるんじゃないかということの視点はございました。ですので、これは政権交代以前に調査はもう決まっておりましたので、これは実施がなされてしまっているわけですけれども、やはり今後においては、調査全般はまずひとつ大きく見直さなきゃいけないということが一つ。

 そして、今回の調査については、全く時期的にも、そもそも八月の段階で、三月二十四日に契約が、それまでに完了して報告を上げていただくという期日が決まっていたものですので、これはいわゆる子ども手当の審議とはかかわることなく、当初の予定どおりのものであったということで、情報を隠したことではないということ。もっと言えば、それまではこの民間事業者の側でずっと資料を持っていたということで、途中経過で内閣府に情報が届くようになっていたということではなかったということもございます。

 そういう中でいえば、例えば中学生、特に一年生の入学期と三年生の高校に向けた準備のときにお金がやはり多くかかってくるんだということも含めて、我々としても、子ども手当の守備範囲をどこまでするのかという視点では、やはり中学校卒業まででよかったなと思う統計結果も出ておりまして、使えるものなら使いたかったなという感想は持っておりますけれども、そういったことで今回は御了解をいただきたい、御理解いただきたいという思いでございます。

加藤(勝)委員 続いて、大変、子ども手当の中で、在日外国人の海外に居住する子供さんの取り扱い、連日新聞に出ております。先日、枝野大臣がこの問題について、率直に言って対応を間違った、大変申しわけないと陳謝した、こういう新聞記事が出ておりましたけれども、長妻大臣、どのように思われておりますか。

長妻国務大臣 具体的に枝野大臣がどういう状況でどういう場面で言われたかというのは私も詳細に承知をしているわけではございませんけれども、これについては、再三この委員会でも議論があり、平成二十二年度については要件確認を厳格化するということで、今地方自治体にもお願いをしているところでございますし、平成二十三年度におきましては子供の居住要件を国内に設ける方向で検討するというようなことを申し上げているところであります。

加藤(勝)委員 厚生労働省のホームページ、「子ども手当について 一問一答」というのが出ております。その中で、「母国で五十人の孤児と養子縁組を行った外国人にも子ども手当は支給されますか。」という問いに対し、「支給要件を満たしませんので、子ども手当は支給されません。」こういうふうに、いわばその内容が、どういう監護状態になっているか、あるいは生計維持、どういう関係になっているかということは関係なく、頭からだめと書いてあるんですが、これはどういうことなんですか。五十人だったらだめ、数量規制なんですか。

長妻国務大臣 これに関しましては、我々としては、監護要件、生計同一、そして確認の厳格化の中で、過去年に二回面談をする、そして年に三回以上送金をするというようなことを申し上げておりますので、この五十人ということは、これは常識的にあり得ないということだと思います。

 我々、二十二年度は確認の厳格化にいたしましたのは、これは日本人の御両親が国内にいて海外に日本人のお子さんがいるという場合もございます。そういう不利益変更もございますので、二十二年度については確認を厳格化する、そして二十三年度については子供の居住要件を国内に課す方向で検討する、こういうことにさせていただいているわけであります。

加藤(勝)委員 済みません、泉政務官、もしよければもう結構でございます。ありがとうございました。

 大臣、頭からあり得ないとおっしゃいましたけれども、それはいろいろなケースがありますから私も一概には言えませんけれども、中には、一種そういう子供さんを預かって、日本でもたしか戦後あったと思いますけれども、受けて、本当に自分の子供のように何十人という子供さんを抱えて、そして、これは別に養子縁組しているわけじゃありませんけれども、育てていかれた、そういう話も私は聞くわけでありますから、頭からいいとかだめだとかということにはならず、まさに今大臣おっしゃったような、面接をどのぐらい、実際何回会っているかとか、あるいはどこまで生計を持っているかとか、その中身を一個一個調べないと、五十人ならだめで三人ならいいとか、こういうことにはならないんじゃないか。後者の方はともかく、五十人だから直ちにだめだ、こういうことにはならないと思いますけれども、どうなんですか。

長妻国務大臣 私は、五十人というのはあり得ないというふうに思っております。

加藤(勝)委員 何であり得ないんですか。その五十人に対して、ここに書いてあるような要件を満たすことはあり得ないということですか。その趣旨を教えてください。ここに書いてある、年二回お会いする、子供の生活費、学費を四回継続する、一緒に住む、あり得ないことはないと思います。

長妻国務大臣 監護、生計同一、年二回、年三回の仕送り、あるいは、その養子縁組というのだって本当に法的にそういうのを結ぶ、いろいろなことがあるわけで、あり得ないというふうに考えております。

加藤(勝)委員 養子縁組だからあり得ないんです。別に養子縁組である必要はないですよね、子ども手当の支給対象者は。生計維持、生計を一緒だったら、ちょっと正確な言葉は忘れましたけれども、生計と監護の関係があれば対象になるということだったでしょう。

 だから、私が申し上げたいのは、何でもかんでも出せと言っているわけじゃないけれども、きちんと、もしこういう居住要件について、参議院の方で我が党からもこれは出したらどうかと言ったけれども、それを皆さんは拒否されたわけであります。しかし、それであるならば、法律にのっとって一個一個チェックしないと、人数がこうだからこうですよ、あり得ませんよ、それは違うんじゃないんですか。一つ一つチェックしないわけにはいかないんじゃないんですか。違いますか。

 要するに、ここに書いてあるように、五十人だからだめだというのじゃなくて、五十人についてもこういう要件について一つ一つきちんとチェックして厳格に見てくださいというのが答えであって、五十人だから支給対象にならないということにはなり得ないと私は思いますけれども、違いますか。

長妻国務大臣 この五十人ということについてでありますけれども、これはあり得ないというふうに先ほど来申し上げているところであります。

加藤(勝)委員 だから、さっきから聞いているんです。何であり得ないんですか。どこの要件に該当しないからあり得ないんですか。きちんと説明してください。皆さんがやろうとして、拒否をされた人に対して説明されるわけでしょう。大臣があり得ないからで済まないわけであります。

 では、現場で何でだめなんですかと聞かれたときに、どう答えればいいんですか、この要件からいって。

長妻国務大臣 これは、まず監護ということ、そして生計同一ということ、年に二回過去会うということ、そして年に三回仕送りをするということについて、基本的には、通常の家庭において子供の生活に必要とされる監護や保護、生計同一ということでありますので、あり得ないということを申し上げているわけであります。

加藤(勝)委員 いやいや、ちょっとよくわからないんですけれども、前段に言われた要件は達成できないとは言えないと思いますよ。

 それで、最後の、家庭における云々かんぬんというのがよくわからない。では、新たにそれ以外に要件があるんですか。だったら出してください。大臣が今おっしゃった最初の三つ四つの要件、これはここにも書いてあります。これまでも説明がありました。加えて、家族の何とかかんとかと今御答弁がありましたが、別の要件がある、あるいは別の基準、視点があるとおっしゃるのなら、示してください。

長妻国務大臣 これは、先ほど来申し上げておりますように、監護あるいは生計同一、そして過去二回実際に全員とお会いをして、それで生計同一だということ、そして五十人と養子縁組を行うというようなことに関して、あり得ないということを再三申し上げているところであります。

加藤(勝)委員 いや、まじめに答えてください。何があり得ないんですか。何をあり得ないんですか。養子縁組することがあり得ないんですか。それとも、二回会うことがあり得ないんですか。三回送金することがあり得ないんですか。何をあり得ないと大臣は言っているんですか。

長妻国務大臣 例えば監護ということでありますけれども、これについては、通常の家庭における子供一人一人に対する監督、保護、生活の一体性があるとは考えられないということを申し上げているところであります。

加藤(勝)委員 今おっしゃる基準、それはどこに書いてあるんですか。

伊岐政府参考人 この法律が公布されました日に、私の立場で局長通知を出しております。「海外に居住する子どもを監護する場合の取扱いに関する事項」ということで、今大臣が申し上げましたとおり、「「監護」については、少なくとも一年に二回以上子どもと面会が行われており、子どもの生活について通常必要とされる監督、保護の実質が備わっているものとする。」というようなことを書いてございます。また、「生計を同じくする」という部分の説明といたしまして、生活費、学資金の送金が継続的に行われており、生活の一体性があることの実質が備わっているものということを書いてございます。

 先ほどから再三御説明申し上げているのは、同時に五十人の養子について、今申し上げたような監督、保護の実質が備わり、なお生活の一体性があることの実質が備わっているということはあり得ないということを申し上げているわけでございます。

加藤(勝)委員 いや、おっしゃっておられるのは、ないことはないと言っているにすぎないじゃないですか。

 では、具体的に、今おっしゃった子供の生活について通常必要とされる監督、保護の実質というのはどうやって判断するんですか。各市町村はどうやって判断すればいいんですか。今おっしゃった、年二回子供と面会が行われている、これは出ていますね。それから、送金の話もさっきお聞きしました。それ以外に、今おっしゃった実質というのは、具体的にどういう点で各市町村は調査、チェックをすればいいんですか。

伊岐政府参考人 もちろん、監督、保護については一般の社会通念に照らした判断が、当然、主観的意思と客観的事実ということで必要になるかと思いますが、親として子供に対する監督、保護の実質を備えているということは、基本的には、それぞれの子供について必要な保護についての意思あるいは行為が顕在化していることであるということでございます。

加藤(勝)委員 意思はよくわかりません。心の中の問題もあります。行為と今おっしゃいました。具体的に行為を述べてください。

伊岐政府参考人 まず、顕在化した行為といたしましては、私どもも、地方公共団体の方々が判断しやすいように、少なくとも一年に二回以上の面会ということを申し上げております。

 また、養子につきましては、今おっしゃられたように、では個々具体的に判断する必要があるじゃないかというような御意見もあろうことから、すべて厚生労働省の方に御照会いただくようにしておりますが、基本的には、面会も含めて、母国において既に養子として同居しているといったことも含めて判断をすることにいたしているところでございます。

加藤(勝)委員 だから、実質的には、実質判断でしょう、それは。だから、五十人だからどうだということじゃないんじゃないんですか。

 それは再三再四申し上げているのであって、非常に恣意的に、これは一つのやはり権利ですよね、この子ども手当という形で。それを、我々は制限すべきだと申し上げたものを、皆さんはお与えするよと。ただし、厳格に運用するとはおっしゃいましたけれども、であれば、そこははっきりしないと、恣意的に政府がこうだからああだから、しかも市町村ごとによって、今おっしゃるようなことではとても市町村は対応できません。そうしたら、どこかの市町村は非常に厳し過ぎる場合もあるかもしれない、そうでない場合もあるかもしれない、今のお話ではとても市町村はやっていけないですよ。

 だから、年に二回程度こういう面会をしている、これはパスポートでチェックするとたしか大臣おっしゃいましたね。送金は通帳でチェックする、送金しているから本当に使われているかどうかまでわからないけれども、せめてそういうことをしようよということで言っていたんじゃないんですか。

伊岐政府参考人 先ほど来申し上げておりますのは、今申し上げたような要件を、五十人を同時に、養子縁組をしたお子さんを実質を備えて、生計同一及び監護の実を備えるということはあり得ないということを申し上げているところでございます。

 なお、個別判断が必要ではないかということについては、基本的に、法施行当初でございますので、養子という非常に判断の難しいものについてはすべからく厚生労働省に御相談いただいて、先生がおっしゃるような地域間のそごのないようにしていきたいというふうに考えているところでございます。

加藤(勝)委員 それなら、こういうものについては厳格にしなきゃいけないから個々に相談してくださいと書いてくださいよ。

伊岐政府参考人 基本的に五十人についてはあり得ないということを申し上げておりますが、親として個々の子供と密接な監督、保護の関係を持つことが不可能なような数字であるからそういうふうな記述になっているところでございまして、基本的にこちらに相談していただくようなことをお願いする文書は出しているところでございます。

加藤(勝)委員 いや、それは強弁ですよ。五十人ではできない、それは個々の能力と意思の問題でしょう。人によってはできる人がいるかもしれない、できない人もいるかもしれない。それを何で一概的に、できない、こう言えるんですか。

 実態の判断を一個一個した上で決めていく。だって、原則は皆さん配るんでしょう。配ることを前提にお話をされているんでしょう。だったら、最初から禁止すればよかったじゃないですか。そこに最大の矛盾があるんですよ。その矛盾を逆に各地方へ、あるいはこういう形で押しつけている、そこが最大の問題だ、このことを私は申し上げたいのであって、今みたいな強弁をして、それで、はい、わかりましたとは到底言えない。

 また、窓口の、特に市町村ではますます混乱を及ぼす。それであるならば、いろいろなところで、では本当に実質的にされているかどうか、各子供さんごとに、これは別に実子の場合だって必ずしもわかりません。特に児童養護施設、いろいろ議論させていただきました。いろいろな問題は私も聞いております。それは自由に出しておいて、五十人だから頭からだめだ。そんな話はあり得ない、非常に乱暴な行政だ、私はこれを指摘させていただきたいと思います。

 それで、大臣にお願いをしたいのは、この問題は非常に関心が高いわけであります。

 児童手当を受けた人はそのまま、私はいろいろ議論しましたけれども、そのまま全部継続される。だから、今から考えれば、児童手当のころに出しておけばよかったな、こんな話もあるわけであります。

 加えて、四月から申請が始まっております。私どもが、既に児童手当の段階で十九の政令指定都市の方にお聞きをしました。九市の方からお答えいただいて、一部には、海外にいる子供さんということで日本人も含まれますが、千二百十二人、そういう子供さんがいらっしゃるということでありました。一万三千円掛ける十カ月ですから十三万円、掛ける千二百十二人、これで一・六億円のお金になりますね。やはり、こういうことが国民感情から見たら非常におかしい。

 これは大臣、前も議論いたしましたけれども、この実態を調査する考えはございますか。

長妻国務大臣 これは審議のときにも申し上げましたけれども、六月に支給をされた後、実態の把握をして、平成二十三年度の制度設計等に役立てていきたいというふうに考えております。

加藤(勝)委員 後でもう一回お聞きをしようと思うんですが、いつ制度設計をお決めになるんですか。当然、それを考えれば、一定の段階で調査、これは市町村、県に係る話ですから、きょうやってあしたというのは到底いかないわけでありますから、いつ調査をされるんですか。そろそろその時期をおっしゃってもよろしいんじゃないですか。

長妻国務大臣 これについては、予算については平成二十三年度の予算編成過程の中で議論をするということでありますので、それまでに制度設計はあわせて進めなければならないと考えておりますので、六月に支給をした後、七月以降、調査についてはできるだけ早い時期に実施をしたい。

 これは、外国人のみならず、ここの委員会でも申し上げましたけれども、その手当が具体的にどういうふうに使われたのか、あるいはどういう課題があるのか、こういう全体の調査でありまして、その中で外国人も当然調査対象になるということであります。

加藤(勝)委員 いや、どう使われたかという話とだれに支給したかという話は、これは対象者が違うと思うんですよね。どう支給したかというのは、これは市町村がわかりますけれども、どう使われたかは、これは市町村に聞いてもわかりません。

 したがって、今私が申し上げたのは、市町村に対する、県も介在するのかもしれませんが、今言った受給数がどのぐらいいるのか。これは国民はすごい関心を持っているんですよ。おかしいと思っているんですよ。これをいつ調査されますか。少なくとも、四月、五月、六月、今申請が始まったところもあると思いますからきょうとは言いませんが、例えば六月末時点の数字を七月中に聞いて早急に報告する、こういうことを約束できますか。

長妻国務大臣 これは、六月に支給して、七月以降調査をするということでありますので、具体的な調査の中身というのはこれから詰めてまいりますので、今いただいた意見も我々は検討していきたいと思っております。

加藤(勝)委員 いやいや、検討じゃなくて、予算が実際にどう使われたか、どこへ行ってしまったのか、こういう観点ですから、今申し上げた点、要するに、使い道とかなんとかという議論はまた別の調査、あるいはさっきのインターネットの調査も参考にされるということですから、それはしていただければいいと思いますけれども、そうではなくて、具体的に支給がどうなっていたか、そして、六月で支給された段階で具体的にどういう支給が行われていたのか、これを速やかに調査して国会へ報告していただけますか。

長妻国務大臣 七月以降の調査でありますけれども、どういう方に支給をされたのかということでありますが、これは、全部の市町村からどこまでデータをとるかという問題はあると思いますけれども、少なくともサンプル的に、外国人も含めてどれだけの方が申請してそれが了解されたのかということについては、六月支払いが終わった後、なるべく早い時期に我々も公表するべく、検討していきたいと思います。

加藤(勝)委員 いや、これはサンプルじゃなくて、全部でできるでしょう。だって、各市町村できちんとお出しになって、しかも、こう管理しなさいという通達も出されているわけですから。だから、今の段階から各市町村にそう言ってくださいよ。こういう問題があるから、今は申請をして支給するのに大変忙しいでしょう、しかし、それが終わった段階で、こういうことでお願いしますということをお出しいただけませんか。

 大臣、おっしゃっておられるじゃないですか。国民がこれだけ関心を持っているんですよ。一体どこへ行ってしまったのか、どれだけなんだ。まだ具体的な数字は何にも、推計値すら出していない。かつて埼玉県が出したのが新聞記事に出ておりましたけれども、やはりきちんとお答えされるのが大臣のお役目じゃないですか。そして、厳格にやるとおっしゃったんだから、具体的にどのぐらい出ているのかということを示すのが大臣の責任じゃないんですか。

 ですから、六月いっぱいの数字を例えば七月中に調査する、これを約束してくださいよ。

長妻国務大臣 ですから、先ほども答弁いたしましたように、これは地方自治体で電算化、コンピューター化しているところは、これはある程度そういう仕切りでデータ管理すればすぐに出ると思いますけれども、手書きで管理しているところもあるということも聞いておりますので、地方自治体とも御相談をしながら、全数のそういう調査ができればそれはさせていただきたいと思いますが、サンプル調査になるか否かも含めて検討させていただくということであります。

加藤(勝)委員 委員長、前も委員会で引き取っていただいた話でありますから、ぜひ理事会で御協議をいただきたいと思います。この点について、政府の調査についての考え方を確認させていただくということで引き取っていただきたいと思います。

藤村委員長 理事会で協議させていただきます。

加藤(勝)委員 それから、二十三年度以降子ども手当の取り扱い、いろいろと新聞紙上をにぎわせております。引き続き二万六千円でするのか、半分は何か違う形をとるのか、あるいは地方にお任せするのか、いろいろな議論があると思いますけれども、今の時点で、どういうお考えで取り組もうとされているんですか。

長妻国務大臣 私自身としては、これは民主党が衆議院選挙のマニフェストで提示したそういう形を実現するべく努力をする、こういう考えであります。

加藤(勝)委員 済みません、時間が来ておりますが、一問、児童扶養手当についてお聞かせいただきたいと思うんです。

 さっき、大臣が同僚の質問に対して、児童扶養手当の意味について、家事負担がふえることに着目という答弁をされていたようにちょっと聞いたんですけれども、そもそもこの児童扶養手当というものはどういう目的、要するに、お一人になられた、死別、離別、いろいろなケースがあります。今回は父親のケースが入りました。そうした事態のどういういわば経費、これは時間的な経費もあるかもしれませんが、というものを補てんしようとしてつくられているのか、大臣の御認識をお示しいただきたいと思います。

長妻国務大臣 基本的には、今お願いしている法律については、一人親の御家庭の生活の安定そして自立の促進に寄与するために支給をして、結果として児童の福祉の増進を図っていく、こういう趣旨でございます。

加藤(勝)委員 これまでの制度を引き継がれていますからこれ以上質問していいのかどうかあれですけれども、ただ、金額の問題とか、さっき加算の問題が出ていましたよね。それから、さっき、父親の場合と母親の場合、たしか政務官の御答弁だったと思いますけれども、父親が生計維持して監護しているところがちょうどぽっかりあいていたから、たまたま今回埋めているけれども、それ以上やるとちょっと全体のバランスがというお話がありました。

 確かに、補てんするということに私は意味もあると思いますが、しかし、それをした後にどういう形にもう一回つくり直すのかというところは多分宿題として残っているのではないか。そして、その中には今言った金額の問題、加算の仕方の問題等も残っているのではないかと思いますけれども、その辺の大臣の、今回の法案というのは、今申し上げた、山登りでいえば最初に入り口に入ったところだ、これからまだまだそういうことも含めて議論しなきゃいけないと考えておられるのか、とりあえずこれをしておけばしばらくいい、こういうふうに考えておられるのか、最後にその御所見をお伺いしたいと思います。

長妻国務大臣 今おっしゃった点は、先ほど山井政務官も答弁をいたしました、生計同一と監護の要件が父子家庭、母子家庭で違うということでございますけれども、これについては、従来の養育者という方が、既にそのお金が支給されておられる方がいて、その方々に影響が出ないように、今まで出ていなかった穴を埋めていくという趣旨でございますので、これは私は一定の法案として、暫定的なものという位置づけではございませんで、こういう考え方を続けていくというふうな基本的な考え方であります。

加藤(勝)委員 何かもうちょっと前向きな答弁が出るのかなと先ほどの山井政務官の答弁からは思ったわけでありますけれども、その辺はこれからさらに議論をさせていただきます。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 法案の審議に入る前に、ドクターヘリについて何問か質問していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 二〇〇一年の四月に、国内で初めて医師を乗せて現場に急行するドクターヘリが導入をされまして、九年たちました。公明党としても、ドクターヘリの全国配備に向けまして、力を入れて取り組んできたところでございます。

 厚生労働省の研究班によりますと、このドクターヘリ、救急車と比べまして、医師による治療開始時間を平均で二十六分短縮ができる、あるいは患者の死亡率を二七%、また重度後遺症を四七%も減らす効果があるということであります。こうした効果のあるドクターヘリの導入促進につきましては、都道府県と関係機関に強く働きかけるとともに、国は必要な支援をしっかりと行っていかねばならない、このように考えております。そのためには、適正な財政措置というものが何よりも必要であります。

 二〇〇八年四月から全面施行されました特別措置法では、年間一億七千万円の運営費、基準となる一病院当たりの出動回数を年二百四十回としております。これを超えますとヘリの運航会社の持ち出しということで、結局、飛ばせば飛ばすほど赤字が出るというようになってしまいました。ドクターヘリは患者の救命のために出動するものでありまして、この一億七千万円を超える費用についてはヘリ運航会社の負担となるということは、やはりこれはよくないというふうに考えております。全額公費で賄うのが筋ではないかと思っております。このままでは、このドクターヘリ、さらに導入が広まるどころか、赤字で運航会社が立ち行かなくなる、このような懸念がございます。

 日本航空医療学会の調査によりますと、二〇〇八年度は、十六道府県十八病院で五千六百三十五回出動しておりまして、一病院当たりの平均出動回数が三百十三回ということでございます。社団法人全日本航空事業連合会の実績では三百九十回となっておりまして、十二病院で国の想定を超える、二百四十回という想定を超えております。

 こうした中で、本年度からドクターヘリ導入促進事業の補助基準額が引き上げられました。これは評価をしたいと思っております。しかし、各自治体の財政状況が非常に厳しいということもありまして、必ずしもこの運航経費が賄える状況になっているとは言えないわけです。さらに補助金の増額が必要ではないか、このように考えますけれども、長浜副大臣、この点、いかがでしょうか。

長浜副大臣 ドクターヘリに関しましては、国会においてもドクターヘリ推進議員連盟が大変活発な活動をされているということはよく理解をしているところであります。古屋理事はこの議連のたしか発起人という形でありましたし、超党派の議連でありますので、私の昨年の知識では、民主党の多くの議員と、役員は大村理事とか加藤理事とか、社民党の阿部先生もこの役員として活動されているということで、厚労省が推進をするドクターヘリの導入に大変御理解と御協力をいただいていることを厚く御礼を申し上げるわけでございます。

 もちろん、昨年の七月七日の議連の中間取りまとめ、あるいは十一月十八日の決議等も読ませていただいた状況の中において、今御指摘があったところの財政措置を何としてもしていかなければならないということで手当てをし続けているわけでございます。昨年は二十四機分の予算を計上したところでありますけれども、本年度は二十八機分ということで、予算額は二十七億三千万を計上しております。昨年が二十億一千万でありましたので、対前年比では三五%の予算増ということをしているわけであります。

 また、委員の御説明のとおり、出動回数がふえているということもありまして、補助基準額について、ドクターヘリの運航回数の増加等を踏まえてということで、前年度から約四千万円の増額、先ほど一億七千万の二十一年度予算の御紹介がありましたけれども、本年度は二億一千万に引き上げたところでございます。

 今後とも、地域における救急医療体制の確保のため、また、この委員会でもさまざま指摘されております医師不足の問題等を含めて、積極的にドクターヘリの全国配置について取り組んでまいる所存でございます。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 一カ所当たり四千万の増額ということでございます。こうした国の補助金増額の措置に対しまして、きょうは渡辺総務副大臣においでいただいておりますので、お伺いしてまいります。

 各県の対応というものがまちまちでございまして、県によって、予算は考えていないとしているところ、三月時点では、北海道、埼玉、神奈川、愛知、大阪府というような状況でございます。いろいろまちまちでございます。これでは、せっかく国の補助金の増額を認めても、県が予算化をしなければ、こうした運航に関しまして補助金を受けるということができないわけであります。国としても積極的に各県へ働きかけを行ってほしいというふうに考えております。

 それとともに、現在、都道府県の負担分の半額を特別交付税で支援をされているわけなんですが、全自治体が導入を考えることができるよう、ドクターヘリの地方負担分について地方交付税措置を充実すべきではないか、このように考えておりますが、副大臣、いかがでございましょうか。

渡辺副大臣 古屋委員を初め公明党の皆さん方がドクターヘリの導入に大変積極的であることは、私どももよく理解をしております。

 結論から申し上げますと、平成二十一年の三月に交付されました特別交付税から、私ども総務省では、国民の命を守るということで、実は、その自治体の財政力に応じまして地方交付税の措置を引き上げをいたしました。ちなみに、財政力指数が一・〇以上のところは〇・五でございますが、財政力指数が〇・四以下の自治体においては特別交付税による措置率を〇・八まで引き上げをいたしました。

 これは原口大臣のリーダーシップで、感染病ですとかあるいは災害という点について、国民の命に大きく影響を与えることについては特別交付税の措置を手厚くしようということで導入しておりまして、今後も、交付税を持っている総務省としては、地方財政の措置を通じて、ドクターヘリが地域医療体制の充実に適切に対処できるように、厚生労働省ともいろいろ連携をしながら、また自治体の要望を聞いて、適切に支援をしてまいりたいというふうに考えております。

 私どもも、私のことでございますが、静岡県は、実は、県の中山間地を抱える県西部と伊豆半島で非常に二機のドクターヘリが活躍しております。これによって救命された、後遺症を残さずに済んだという大変な声もいただいております。いろいろ改善すべき点も今後出てこようかと思いますが、ぜひまた委員とともに充実に向けて努力してまいりたいなと思っております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 財政力指数に応じて地方交付税を引き上げてくださったということであります。感謝を申し上げたいと思います。

 私たち公明党も、地方議員が多く、ネットワーク政党でございますので、こうしたところ、議会からも声を上げるようにということで、私も今、都道府県議会議員とも力を合わせて努力をしている最中でございますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 ドクターヘリ、最後の質問でございますが、航空機燃料税でございます。これは公共用飛行場の整備の目的税ということでありまして、利活用の恩恵を受けないときのヘリコプターの給油につきましてはこれをぜひ免除していただきたい、このような要望が来ております。もちろん、公共飛行場での給油については課税対象であるということは、これは異議のないところではございます。

 そもそもヘリコプターは、農薬散布ですとか送電線の巡視あるいは測量等の作業に使用されておりまして、作業の性格上、その離着陸は、公共用の飛行場以外の、山間僻地で、設置をされている場所で行われることが多いわけであります。

 そして、この給油も、公共用飛行場以外の場所、ドラム缶、ローリー車からの給油なども行われておりまして、この費用というものは法外に高いものであります。特に、ドクターヘリは救命救急という人命救助という使命を持った仕事をしているということでありますので、公共用飛行場以外の場所での給油に関しましては航空機燃料税をぜひ免除していただきたいと思うんですが、この点、御所見をお伺いしたいと思っております。

長浜副大臣 私自身も税調のメンバーでございますので、税調の中での租特の議論というのが、いわゆる見直しも含めて盛んに議論をされているところでございます。

 と同時に、ドクターヘリの運航に必要なヘリコプターの賃借料、操縦士の人件費、それから保守点検料等の経費、さらには搭乗するお医者様とか看護師さんの人件費、そして、先ほどの補助の基準の中においては、航空機燃料税を含めた燃料費も補助の対象になっているということもありまして、これを租特の手法の中でやるというよりは、今第一問目で議論させていただきました、こういった補助をどうするかという中においてこの問題に取り組んでいければというふうに思っております。

 いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、補助基準の見直し等々を含めて、二十一年から二十二年においても大幅な見直しを行ったわけでありますので、引き続き、国家の補助あるいは先ほど総務省に御質問いただきましたような形での地方財政への補助等についても取り組んでまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 税制面では厳しいという御答弁であったかと思いますが、ぜひ、補助金とそれから税制のダブルで支援をしていただきたいというふうに思っております。今後とも、ぜひ、ドクターヘリ普及促進のお取り組みをお願いしたいと思っております。

 両副大臣、ドクターヘリの質問は以上でございますので、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 次の質問に移ってまいります。通告をしておりませんが、私も、B型肝炎訴訟について一問御質問させていただきたいと思っております。

 先ほど大村委員の方からもございましたけれども、B型肝炎訴訟北海道訴訟の口頭弁論で、国側は地裁の和解勧告に応じるということを正式に表明したということでございまして、和解協議入りしたということでございます。

 こうしたB型肝炎訴訟、先日、十一日ですが、公明党肝炎対策プロジェクトチーム、山口代表も出席をいたしまして、原告団また弁護団の方々とも面会をいたしました。私たちも、これまで薬害肝炎救済法あるいは肝炎対策基本法等々、肝炎対策には力を入れて取り組んでまいりましたけれども、大臣に、今後、和解協議に臨む基本的な姿勢、これについてお伺いしたいと思います。

長妻国務大臣 B型肝炎の問題につきましては、総理大臣初め協議をいたしまして、政府全体で取り組んでいこうということで、関係閣僚も協議を重ねてきょうの回答に至りました。今後、誠実に交渉をし、我々としては、この問題の解決に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。

 大村委員の質問で、詳細に具体的な発言の全容というのがなかなかありませんでしたので、あらましを国会で申し上げましたけれども、必要があれば、きょう発言した短いのでございますが、そういう発言の具体的中身も今手元にございますので、先ほど申し上げましたような中身でございますが、席に着くということと、和解対象者の範囲などいろいろな論点はある段階であるということで、裁判所を仲介として、我々としては誠実に対応していきたいと思います。

古屋(範)委員 先日、原告団の方々も、ともかく時間がないというふうにおっしゃっています。肝硬変から肝がんに進行していくという中で、今おっしゃいましたように、ぜひとも誠実に、国を挙げて全力で和解に応じていただきたいというふうに思っております。民主党は野党時代、和解に応じるということを強く主張されてきたわけでございますので、ぜひともその約束どおりに適切に対応していただきたい、このことを強く申し上げておきたいと思っております。

 それからもう一つ、抗がん剤ドキシルのことについてお伺いをしてまいります。

 抗がん剤ドキシルの算定方法なんですが、昨年四月に、多くの卵巣がん患者が待ち望んでおりました抗がん剤ドキシルが卵巣がんに対して適応追加がされました。二〇〇七年一月に適応追加の申請が出されてから約二年三カ月後の承認でありまして、ドキシルの早期承認を求めて立ち上がった卵巣がん体験者の会スマイリー、ここが展開をいたしました署名活動は十八万人もの方が賛同したと伺っております。これもマスメディアでも大きく取り上げられまして、関係者の方々より感謝の声が多数届いているということでございます。

 しかし、承認はされたんですが、これまでDPC対象の病院でドキシルは出来高払いが認められておりましたけれども、今回の二〇一〇年度の診療報酬改定で、ドキシルは出来高払いの一覧から消えてしまいました。

 ドキシルは「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」で、薬価が高額であることから出来高払いとなったと説明されていた経緯がございます。私は、そのような薬が包括払いになって大丈夫なのかと非常に心配をいたしました。このことについては関係者の皆様からも懸念の声が寄せられているということから、その問題の大きさがわかると思います。

 ドキシルは高価な薬であるために包括払いの範疇にはおさまらないということで出来高払いになったはずであります。それを今回、再発卵巣がんの治療点数もそのままにしておいて包括払いにするということは、結局、医療機関になるべく使うなと言っているに等しいわけであります。三日間の入院で二十六万円の赤字が出ると言われる治療を病院側に努力で賄えと言っても、これは無理があるわけです。

 DPC対象の病院にかかる負担が大きくなることで、よりよい治療法が適切なタイミングで受けられない、そういうリスクを制度的につくるのはいかがなものか。包括化をやるのであれば、診療点数を十分に上げるかあるいは出来高払いにするかということ、どちらかだと思います。本当にドキシルが包括払いで対応できるのか、いま一度、本当に大丈夫なのか検討し、必要に応じて修正するべきではないか、このように思いますけれども、この点について大臣の御所見をお伺いいたします。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

長妻国務大臣 今おっしゃっていただきましたように、卵巣がんに対する抗がん剤のドキシルは非常に高価な薬であるということで、これが四月から診療報酬改定においてDPCの包括評価制度の中に入った、簡単に言うと定額払いになったということで、ということは、高いドキシルを使うとその部分が頭が出てしまうとすると、卵巣がんのもうちょっと安い抗がん剤にしようという病院がふえて、効果がある薬を我々は使ってほしいという立場でありますので、それについてどう考えるのかという御指摘でございます。

 きょうも御指摘をいただきましたので、我々としては、これは十分検討をして、本当に必要があれば、ことしの秋ぐらいまでには、例えばもとに戻す、出来高払いにするというようなことも含めて検討していきたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 ことし秋までに検討をして、必要があればもとに戻す、このような御答弁であったかと思います。ぜひ、これは患者の要望が非常に多い点でございますので、前向きに、また早急に結論を出していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、児童扶養手当改正案についての質問に入ってまいります。

 母子家庭、父子家庭、一人親世帯であっても安心して生活ができるように、これは政治の責任であると思っております。一人親家庭は経済的に非常に深刻な問題を抱えた場合が多い、父子家庭においても同じであります。父子家庭の中には、もともと低所得の方もいらっしゃいますし、また、最近リストラに遭ったという方もいらっしゃいますでしょう。

 今回の改正で、父子家庭に新たにこれを支給するとしたことは、母子家庭と同じ窮状にありながら経済的に厳しい状況を強いられてきた父子家庭の生活が少しでも改善するということで、私たち公明党も、これまでこうした問題点を指摘してまいりましたけれども、これは評価したいというふうに思っております。

 しかしながら、この児童扶養手当、さらに改善すべき点も多く残されているというふうに思っております。公明党としても参議院サイドに対案を提出しまして、どうせ改正をするならもう一歩先に進めたい、このような観点から、今回、対案も提出をしております。

 まず初めに、今回の改正案は、父子家庭に対する児童扶養手当の支給開始のみが主な内容となっておりますけれども、児童扶養手当減額措置の廃止についての内容が盛り込まれていないわけであります。

 民主党のマニフェストでは、父子家庭への支給とともに、五年以上の受給者等を対象に行っている児童扶養手当の減額制度を廃止する、このことが明記をされていたはずであります。また、この減額措置に係る規定を削除することを内容とする児童扶養手当法の一部を改正する法律案も提出をされています。しかし、今回、児童扶養手当の減額措置の廃止が盛り込まれていないということは、一体どういう理由によるものなのか。

 現行制度では、母子家庭の自立を促進する観点から、支給後五年を経過すると最大二分の一削減をするということを定めております。この一部削減については二〇〇八年四月から実施予定でありましたけれども、私たち前政権におきまして、あくまで就業意欲が見られない方のみについての措置とすることで、実質凍結を行いました。この結果、実際、本人の意思に反して一部支給停止となる事例は基本的には見られないはずであります。そうであるならば、この十三条の二の規定を撤廃、廃止することは特段支障がないはずであります。

 民主党のマニフェストに大きく掲げたこの項目、支給停止制度の廃止をなぜ今回盛り込まなかったのか、この理由についてお伺いいたします。

長妻国務大臣 これにつきましては、私どもの民主党のマニフェストに書かせていただいておりますので、一期四年の中で実現に向けて努力をしていくということでございまして、今回については、政府内の調整というものがつかなかったということもございますので、そういうことで努力をしていきたいと思います。

古屋(範)委員 今回の改正案には盛り込むことができなかったということでありますが、ぜひ、これに関しましては、一期四年といわず、早急に検討し、法改正を目指していただきたい、このように考えております。

 次に、一人親家庭の問題につきまして、先ほどもほかの委員からもございましたように、養育費未払いにつきまして抜本的な改革が必要である、このように考えております。

 離婚後も親と子の関係というのは切れないわけでありまして、また、父親、母親の両者に養育責任があるにもかかわらず、養育費を受けたことのない母子世帯、これが平成十八年度全国母子世帯調査によりますと五九・一%でございます。さらに、養育費の取り決めをしていない母子世帯が五八・三%、している者は三八・八%にとどまっているわけであります。

 海外におきましては、宗教上の背景もあるということですが、離婚のときにこうした養育費の取り決めをしなければ離婚は認めないというような国もあると聞いておりますけれども、さまざまな事情でもともと取り決めをしていない、こうした家庭が非常に多いわけでありますし、ましてや、取り決めをしていても支払わないという状況であります。

 国としても、平成十四年の母子寡婦福祉法の改正におきまして養育費支払いの責務等を明記いたしまして、さらに平成十九年には養育相談機関を設立するなど、養育費に関しまして情報提供あるいは支援、相談等の取り組みを行っておりますけれども、やはりこの養育費支払いの状況を見ますと、なかなか改善されていないというのが現状だと思っております。実際、離婚された方に聞きますと、一刻も早く別れたいということで、とてもこういう協議をするような状況ではなかったとか、特に家庭内暴力を受けているような場合には、なかなかこうした協議も難しいということであります。

 法務省との連携はもちろんなんですが、ぜひ大臣のリーダーシップのもとで、欧米諸国のように、養育費の徴収のための特別制度、このようなものを考えてもいいのではないかと思います。そして、支払いがもし履行されないような場合は、その一定額については国が立てかえる、そしてその後取り立てる、このような制度の創設など、養育費支払い制度を抜本的に改革すべきだ、このように考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

長妻国務大臣 まず、おっしゃられたように、欧米諸国を調べてみますと、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリスについては、行政機関等が養育費を強制的に徴収する、こういう仕組みがあるということであります。ただ、調べてみますと、今申し上げた国は、離婚というのは裁判によってのみ離婚ができる、こういう法律というか、きちっと裁判所の認定というのがかませてあるので、そういう手法もやりやすいのではないかと思います。

 翻って、日本は、協議離婚が全離婚の九割を占める、裁判所ではないということでありますので、それを直ちに、どういう仕組みにしていくかというのは検討を要すると思いますが、民事執行法を改正いたしまして、養育費については将来分の差し押さえも可能になるというようなことで一定の改善がなされておりますので、その使用状況といいますか実態も見て、我々、考えなければいけないときが来れば、検討が必要だというふうに思います。

 いずれにしても、相談機関の充実、あるいは今もある、自立支援センター等の養育費専門相談員というのもいらっしゃいますので、そういう方々の強化などなどを通じて、やはり現在も養育費を受けているという母子世帯が二割ということで、これは相手にもいろいろな事情はあるとは思いますけれども、やはり低い数字であるというふうに考えますので、今申し上げたような形で努力をしていきたいと思います。

古屋(範)委員 確かに、法務省との連携、厚生労働省だけではこうした問題を全面的に解決するというのは非常に難しいと思いますけれども、まずできるところから、養育費、この拡充に向けて努力をしていただきたいというふうに思っております。

 やはり、どちらかといえば女性の側にどうしても苦労がかかってしまうというのが現状であると思いますので、この点について、ぜひとも他省庁も、関係省庁を巻き込んで、抜本的に改善をしていただきたい、このように思いますので、よろしくお願いをいたします。養育費の確保につきましては、私たちもかなり前から取り組んできた課題でもございました。

 次に移りますが、児童扶養手当法の第四条の四項、また五項には、いまだ未施行となっております、婚姻を解消した父母について、父または母の前年の所得が一定以上である場合に、児童扶養手当を支給しない、こういう条文が含まれております。そして、この所得の範囲等につきまして、政令で定める旨の規定が盛り込まれております。私たちは、養育費の確保がままならない現状において、この規定は削除すべきではないか、このように考えております。

 実際、この規定は、昭和六十年の法改正の附則において、「政令を定めるに当たつては、婚姻を解消した父の児童に対する扶養義務の履行の状況、当該父の所得の把握方法の状況等を勘案しなければならない。」とされておりまして、今申し述べたとおり、養育費確保の現状を踏まえ、現時点では、この政令は制定する時期に達していないとの判断で、未施行となっております。この規定は、養育費の確保が確実となるなど、環境が整ってから改めて見直すべきであると思っております。

 そこで、現状をかんがみまして、今回の改正において、父または母の所得による支給制限の措置に係る改正規定を削除してもいいのではないか、そのように思いますが、この点に関して大臣の御見解をお伺いいたします。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

長妻国務大臣 これについては検討課題とさせていただきたいというふうに思います。

 この趣旨といいますのは、やはりお金をきちっと持っておられる方は、養育費を払えるわけでありますので払うべきである、こういう考え方、この考え方自体は間違っていないわけでございますけれども、現実に今、母子家庭の約二割程度しか養育費の支払いを受けていないということになりますと、結局、その母子のお母様が、向こうが払わなければ不利益をこうむるというようなことにもなりかねないわけでございまして、今、施行は停止しておりますけれども、この条文を削除する、しないについても検討課題とさせていただきたいと思います。

古屋(範)委員 養育費の確保と表裏一体の問題でありますので、ぜひ検討していただきたい、このように考えております。

 次に、今回の改正で大きな課題となっておりますのが、DV、配偶者からの暴力被害などが原因で事実上離婚状態にある児童への支給の問題であると思っております。

 現在、父親が一年以上遺棄している状態であれば、離婚はしていなくても児童扶養手当の支給対象となっておりまして、DV被害者が子を連れて、避難のためにともかく家を出た場合に、遺棄の認定がおりることもあるというふうに聞いております。このような認定については判断基準が示されておりまして、各市町村において、実際には、機械的に適用するのではなく、事実関係を総合的に勘案して判断している、そのように伺っております。関係者からは、一層の運用改善を求める声があることも事実であります。

 やはり、一番大変な状況にあるDV被害者が、実際には、法的には離婚の協議に入れない。しかし、命からがら、身一つで子供と逃げてきている。こういう場合に、体制整備が非常に大事ではないかと思っております。

 DV被害者にとりましては、子供を連れて逃げ出すというのは、幼稚園や学校も当然あるわけですし、これは非常に大変なことであります。遺棄の認定がおりることもあるというのでは、認定まで待てるのか、また、認定されなかったらあすの生活は一体どうなるのかということであります。生きるか死ぬか、そうした暴力から身を守るために避難をしなければならない、子供たちが悲惨な目に遭わされていて、また子供たちがこのまま、父親に追い詰められ、場所を捜されてしまう、そうした不安がぬぐえない。本当に、心身ともに非常にせっぱ詰まった状況にあるわけです。

 どのように生活していけばいいのか、将来の見通しも立たない、とにかく別居して自分の身の安全を確保しなきゃいけない、離婚をしなければいけないという中で、極度の緊張感、不安というものがあるわけです。このような状況にある被害者にとって、児童扶養手当は一つの命綱である、このようなことが言えるかと思っております。

 そこで、DV被害者家庭に対してより早く児童扶養手当の支給を可能にするために、遺棄というものとはまた別に、DV等の場合の児童を支給対象として追加すべきである、このように考えております。また、余裕のない生活を送る中で、この制度の存在すら知らない、そういう方々も少なからずいると思われます。対象者へ制度の情報が確実に届くよう、この周知徹底が重要であると思います。この点についてお伺いをいたします。

山井大臣政務官 古屋委員にお答えを申し上げます。

 三月の委員会で、公明党の山本香苗委員からもこの点を御指摘いただきまして、今回の公明党の修正案にもこの点が入っているわけであります。

 私も、学生時代、母子生活支援施設でボランティアをしておりまして、本当に別れたくても夫が別れてくれなくて、その夫が、お母さんと子供を取り戻すためにその母子生活支援施設にどなり込んでくる。それから逃れるために、母子生活支援施設ではわざと偽名を使って、本名は名札のところに書かないとか、本名を使ってしまうと夫が追いかけてくる、追いかけてきて、悪い夫であるにもかかわらず離婚をしてくれない、そういうふうなケースを私も何度も見ております。

 そういう趣旨からいくと、今回の古屋委員の御指摘、一年たたないと児童扶養手当が出ない、命綱だからもう少し早く、本当に一番困っているんだから出してもいいじゃないかという趣旨というのは、本当に、ある意味で、その方々の立場に立った一つの御主張であるというふうに思っております。

 それで、山本香苗委員からも御質問いただきましたので、二カ月間、省内でも議論をしておりましたが、三点ほどございます。

 一つは、離婚調停の申し立ての例では、調停を申し立てた後でも、その後、婚姻を継続するケースが少なからず存在するということや、また、自治体の現場でも、離婚していると同様の状態にあると判断するために、夫婦の関係や父と子供の関係などさまざまな要素を踏まえ、状態が一年は継続することを要件とした方が適切な判断が可能となるとの意見もあったり、加えて、現場で適切な事務を行うためには、離婚と同様の状態にある場合について、客観的に判断できる基準の設定が必要となるが、一年以上の期間というのにかわって、例えばそれより短い期間を設定する場合、その期間の設定というものは非常に難しいというふうに考えております。

 さらに、DV以外のケースにおいても、離婚しているのと同様の状態は存在することから、これらのケースとの違いの整理も必要であり、法律上、婚姻している以上、父にも母にも子の教育、監護を行う義務は継続しているものであり、御指摘のケースについては、一年以上たたずに支給するということに関してはなかなか難しいというふうなところでございます。

 実は、一年以上のケースというのは、このケースだけではなくて、ほかの法律の要件でも一年以上というのがありまして、この一年以上というのを変えると、では、これだけなのかというふうにほかにも響いてくるという部分もあるわけでありまして、しかし、古屋委員御指摘のように、やはり命綱でありますから、こういう制度があるということをそういう本当に逃げている母子にも周知徹底していくことなど、必要な母子にこの手当が一日も早く支給されるような努力はしていかねばならないと考えております。

古屋(範)委員 ただいま政務官の方から、三点にわたって、法改正が難しい点について御答弁をいただきました。

 であるならば、政令での対応はどうかということなんですが、こうした、一年というのは非常に長い期間でありまして、早急な対応が必要である。このことから、この児童扶養手当の支給対象になる児童、この法第四条第一項第一号、二号のイに、「父母が婚姻を解消した児童」と規定をされておりますけれども、ここに、ぜひ、DV被害者等が児童とともに生活をしている場合も支給することを追加する必要があるのではないかと私たちは考えているわけであります。

 もちろん、不正受給ですとか偽装離婚ですとか、そういうモラルハザードは、これは防いでいかなければならないわけでありますけれども、事実上離婚したと同様の事情にある児童について、これが現場では明確に確認できるわけでありますので、この問題について、今回の法改正にもし盛り込まないとするならば、これも、先日、山本香苗議員からも要求のあった点でありますけれども、この法第四条第一項第一号、二号、このホの「その他イからニまでに準ずる状態にある児童」として政令で定めることができるのではないでしょうか。

 DV被害者などへの支給は強い要望があるわけですが、今回の法改正においては、三年をめどとする検討事項というふうにしていらっしゃいます。これでは、やはり一刻を争う状態のDV被害者は救われないというふうに思っております。

 今回の改正案に先ほどのような理由で盛り込まないとするのであれば、準ずる状態にある児童として客観的に判断できる基準を早急に検討して、今回の改正に合わせた形でぜひ大臣が政治判断をしていただきまして、政令に支給対象児童として定めていただきたい、このように考えますが、この点はいかがでしょうか。

長妻国務大臣 自治体の実務をしていただいている現場の御意見の中に、やはり、離婚していると同様の状態にあると判断するためには、夫婦の関係や父と子供の関係などさまざまな要素を踏まえて、その状況が一年は継続することを要件とした方が適切な判断が可能ではないか、これは不正受給防止の観点もあるので、なかなか一年以上の遺棄にかわる基準の設定というのは実務の現場からも今の段階では難しいという話をいただいておりますので、我々としても、先ほど山井政務官が法律的な改正については答弁を申し上げましたけれども、いろいろな課題がまだあるというふうに考えておりますので、慎重な検討が必要だというふうに思います。

古屋(範)委員 ぜひこうした政令というもので柔軟な対応をしていただきたい、このことを再度要望しておきたいというふうに思います。

 このDV被害者に加えまして、さらに大きな課題がございます。私たちのもとに非常に多くの御要望をいただいている点でございます。それが公的年金との併給調整の問題でございます。母子家庭の母が失踪してしまっている、その子供が祖父母と一緒に暮らしていまして、その祖父母が老齢年金を受給している場合は、児童扶養手当を受給できないということであります。

 この併給調整については改正案の中でもそのまま残されておりまして、これでは、少ない老齢年金、そこに孫が帰ってきたということで、孫の面倒を見ている祖父母、こうした経済状況というのは非常に、さらに厳しいわけでありまして、児童扶養手当の支給が受けられないということ、その窮状が改善されないわけであります。

 そこで、今回、こうした場合の祖父母への児童扶養手当を支給できるよう、この併給制限の見直しをぜひとも行うべきだというふうに考えております。公的年金等との併給調整の考え方について、再度確認させていただきます。

山井大臣政務官 古屋委員に、まず、併給調整という考え方について御説明をさせていただきたいと思います。

 児童扶養手当と年金というのは、ともに、稼得能力の低下、要は収入が少ないということに対する所得保障という同じ性格を有する給付であることから、両方受け取るということになった場合には、やはり、公的な所得保障を二重に行うということを避けるため、児童扶養手当と年金との併給調整を行って、児童扶養手当を受けられないということになっているわけであります。

 調整の方法としては、年金は保険料の拠出に基づく給付であり、権利性が手当よりもより強いと考えられることから、年金が支給される場合には、年金を優先して、児童扶養手当は支給しないこととなっております。具体的には、ほかにも、併給調整の例としたら、雇用保険と老齢厚生年金とか、労働基準法による遺族補償と遺族基礎年金、あるいは障害基礎年金と遺族基礎年金というような、ほかにも併給調整の例がございます。

古屋(範)委員 これまでも伺ってきた御説明なんですが、この児童扶養手当は、昭和三十六年に国民皆年金制度のもとで死別母子世帯のために設けられ、母子福祉年金の補完的な制度として発足をしたということで、他の公的年金との併給制限があるということでもございます。

 しかし、この児童扶養手当は、その後、母子福祉年金制度の遺族基礎年金への吸収、廃止が検討される中で、昭和六十年の児童扶養手当法の一部改正によりまして、児童扶養手当制度の位置づけが、従来の母子福祉年金の補完的制度から、母子世帯の生活の安定と自立の促進を通じて児童の健全育成を図ることを目的とする、いわば福祉制度という位置づけになったわけであります。

 すなわち、公的年金給付ですとか遺族補償、こうした受給者の所得保障、こちらは受給者の所得保障を目的とする給付でありまして、児童の福祉の増進を目的としているこの児童扶養手当とは趣旨が異なるのではないかというふうに考えております。やはり、この併給調整はもうかけなくてよいのではないかというのが私の主張であります。

 さらに、祖父母がかわって孫を養育する、当然生活費が増大するわけですね。生活に困窮する場合というものも往々にして考えられます。それを一律に、二重の所得保障になる、児童扶養手当は支給しないということは、児童の健全な育成を図るという子供に着眼した児童扶養手当の趣旨から見ても、本当に妥当なのかどうかということであります。

 したがいまして、母が監護しない子供を祖父母が養育することとなった場合に、老齢年金等が支給されていることのみをもってこの児童扶養手当を支給しないとすることについてはぜひ見直さなければいけない、このように思います。再度、大臣のお考えをここでお伺いしたいと思います。

長妻国務大臣 これはなかなか、年金の場合については、併給調整をしている他の手当も多いわけでございまして、非常に難しいわけでございますけれども、遺族年金、今は老齢年金のことでありますが、遺族年金に関しては、例えば母子家庭で遺族年金が入ってくると、これはもう児童扶養手当が支給がとまってしまう、こういうようなこともあるわけでありまして、これについては、私としては検討をしていく、どういう影響があるのかも含めて、いろいろ、すぐにそれが実現できるかどうかは別にして検討していきたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 遺族年金との関連性については検討していくというお答えでもございました。ぜひこの老齢年金の方もその検討項目に加え、ぜひとも前向きに検討をお願いしたい、このように考えております。再度要望をしておきたい、このように思います。

 それから、これも非常に御要望の多い点でございます、児童扶養手当の支払い月につきまして、現行では、毎年四月、八月、十二月と三回になっております。三回しか支払われないということでありまして、現場からは、こうした手当、支給を受けることは大変ありがたいんだけれども、生活費としては、大抵のものがその月一カ月単位で入ってくるというのが通常であり、毎月支給されると非常に助かるんですがという御要望をいただいております。

 これも何度も伺ってきた点でございますけれども、結局、市町村、そうした事務手続、作業効率のことを考えますと非常に難しいというお答えを毎回いただいておりますけれども、支給される側のこうした利便性に配慮していく、市民にとってうれしい行政サービスにもこれはつながっていくというふうに思っております。

 そこで、再度お伺いするんですが、この児童扶養手当について、支払い回数、これを例えば二カ月ごとにすることなど検討ができないかどうか、これについて御所見をお伺いいたします。

山井大臣政務官 古屋委員にお答え申し上げます。

 実は、私も当事者の方々から、四カ月に一遍というのはやはりちょっと間隔があき過ぎじゃないか、待ち遠しい、非常にその四カ月が苦しい、最後の一カ月が特に苦しいという要望をたびたび聞いておりますので、古屋委員に答弁するのは非常に私も心苦しいのでありますが、二つ理由を申し上げますと、一つは、振り込み手数料が増加するということと、御存じのように、児童手当や子ども手当は六月、十月、二月と四カ月単位になっていまして、それと市町村の事務が混乱しないようにわざとずらして、この児童扶養手当は八月、十二月、四月と二カ月ずつずらしていっているわけでありまして、これをもう少し回数をふやすと、ただでさえ今支給で大変だということを言っている市町村にとってさらに負担を与えることになりまして、なかなか非常に厳しい、市町村、自治体の事務負担から考えて厳しいというのが状況であります。まことに申しわけございません。

古屋(範)委員 子ども手当とのこうした支給月の関連性もございますでしょう。また振り込み手数料が増加をするということでもありますが、これも非常に現場の皆さんが困っている点でもございまして、ぜひとも全体的に、こういった支払い月の問題につきましては引き続き御努力をいただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いをいたします。

 最後の質問になってまいります。

 現在、厚生労働省は、総合的な母子家庭の自立支援策として四点、柱として推進をしていらっしゃいます。子育て・生活支援策、それから就業支援策、養育費の確保、また経済的支援策ということであります。これは主に母子家庭を対象としているものであります。父子家庭が対象とされておりますのは、保育所の優先入所、ヘルパーの派遣、養育費確保の取り組み、母子家庭等就業・自立支援センター事業の一部に限られているわけであります。

 しかし、父子家庭におきましても、母子家庭同様、さまざまな苦労を抱えていらっしゃるわけで、父子家庭だからよいというわけではございません。さまざまな側面からの社会的支援が求められております。今後、もっと父子家庭におきましても多様なメニューをそろえていくことが必要であると思っております。また、母子家庭に対する支援策につきましても、さらなる充実が求められると思います。

 雇用情勢が厳しくなりますと、真っ先に影響を受けるのがこうした一人親世帯であります。就業による自立に力を入れる余り、就労させることが目的となって、安い賃金で長時間働かなければいけない、あるいは長期の安定就労につながらない、そういう例も多いという批判を受けております。よりきめ細やかな支援を行っていく必要があるのではないかと思っております。

 これは港区の取り組みなんですが、昨年、港区の区役所に参りまして、ここの子ども課家庭相談センターというところで行っております一人親支援事業の内容を直接伺ってまいりました。

 担当者が、若林係長、女性なんですけれども、この子ども課というところに、児童扶養手当の申請など、そうした一人親、母子家庭のお母さんが相談に来る。多くの方々はやはりDV被害など離婚の問題を抱えていまして、その相談に、子供を育てるということは、やはりその親の生活、それから経済状況、仕事が大事ということで、ここはさまざま、二〇〇七年から、母子家庭、DVで悩む女性を対象に、家庭相談、就労相談、ホームヘルプサービス、休養ホーム事業、教育訓練給付、高等技能給付など、この窓口で一貫して、そのお母さんの精神的なケアですとか、それから生活、住むところがないということもあるんですが、そうした生活万般の相談をここで行っているという、非常に画期的な取り組みを行っております。

 特に、昨年の十月は五日から十日まで、港区ひとり親家庭就職応援会というのを行いまして、区の施設のワンフロアを、五十二社、これは母子家庭のお母さんを対象とするという企業を開拓しました。これを開拓したのは、ハーモニーレジデンスというところの福井真紀子社長なんですが、一人親家庭のお母さんは非常に生活がかかっているので、逆に就労に対しても非常に一生懸命であるということから、この福井社長が五十二社開拓をして、そこに一人親家庭のお母さんたちが、私が行ったときは四日目で、六十二人の方が来たということで、そこで正社員の就職を決めていかれたという方もいらっしゃるんです。

 こうした子供の支援とともに家庭の支援、また母親の精神的な支援とか仕事の支援、こうしたものを一体として行っていくことが大事なのではないかというふうに思っております。子供の貧困、また格差の拡大を防いで、真に必要な子供を守る、必要な方に必要な支援を行っていくということから、こうした全体的な一人親支援というものが必要だと思います。

 最後に、この点に関して大臣の御見解を伺います。

長妻国務大臣 今、港区の取り組みを御紹介いただいて、非常に参考になります。

 あるいは、これは一人親ではないわけですけれども、ある自治体は、親御さんがよく来る公園に相談員を置いて気軽にいろいろな相談に乗るような、そういう体制をしいている自治体もあるというふうに聞いておりまして、国としてもやはりそれをサポートするために、一つは、母子家庭等日常生活支援事業ということで、これは御自宅に、父子家庭も対象なんですけれども、家事をサポートするホームヘルパーといいますか、ヘルパーの方を自宅に定期的にお送りする、こういう事業もございますが、まだまだ利用者が少ないということで、周知の問題あるいは予算の制約等々ございますけれども、これについてもニーズを見て拡充していきたい。

 あとは、マザーズハローワークということで、これは母子家庭だけではないんですが、お母様が働く場合に、それに特化して就職をお世話する公的機関、厚生労働省の労働局でありますが、これが百四十八カ所、前年度ありましたが、今年度は百六十三カ所に拡充する。

 あるいは、親御さんが職業訓練を受けるときに託児サービスも付加するような、訓練ということで、一人親のみならず母親の就労支援についても我々は取り組んでいきたい。

 あとは、何よりも、例えば看護師さんの資格を取るなど、高度な資格があると安定的雇用につく可能性が高まるということでございますので、高等技能訓練促進費等事業というのも、各自治体にその促進を働きかけていくということも強化をしていきたいということで、しっかり取り組んでまいります。

古屋(範)委員 前政権においてもさまざまな一人親支援のメニューを考えてまいりました。大事なことは、そこにどうアクセスをしていくかということだと思っております。そこへの御努力をさらにお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先ほど来お話がありましたけれども、けさ札幌地裁で、B型肝炎訴訟について、国は和解協議に入ることを正式に表明をいたしました。協議入りしないということ、まさかそういう選択はないだろうと確信を持っておりましたので、このこと自体は当然だと思います。

 しかし、国は、救済範囲や賠償額などの具体案については議論が尽くされていないとして提示をせず、七月上旬にならないと具体案が示せないとして、あと二カ月待たされることになりました。

 きょうが期限なので協議入りするとは言ったものの、案が全くないのであれば、なぜきょうまで引き延ばしてきたのか。もっと早く会ってほしいという原告の声になぜこたえることができなかったのか。きのうまでときょうからと何が違うのか。

 大臣の決意を伺いたいと思います。

長妻国務大臣 きょうまで、この和解の裁判所からのお勧めに対して、どう判断して、その後どう展望を開き、そしてこのB型肝炎という非常に重大な課題、これは内閣全体として受けとめなければならないということで、本日、和解協議に入るということを申し上げたわけでございまして、その後も、政府部内できちっと議論をして、裁判所の仲介で一つ一つ、我々、原告の方の御要望もいただいておりますので、一つ一つそれを詰めて、誠実に対応していく、こういう所存であります。

高橋(千)委員 時間がないと原告らが訴えているわけですけれども、この二カ月間、札幌の和解勧告が出されてからの二カ月間だけでも二名が既にお亡くなりになっている、このことをどうお考えでしょうか。これでまた二カ月まで案も出されないということがあってはならないわけです。

 まず、この御遺族を初め原告の皆さんと一刻も早く直接会って謝罪をする、これが必要だと思いますが、いかがですか。

長妻国務大臣 これは、午前中もお答えいたしましたけれども、まさに本日、テーブルに着く、和解協議に入るということを申し上げましたので、きょうのきょうでございますので、今の時点で、会うというようなことをまだ申し上げる段階ではございません。

高橋(千)委員 何でそんなことさえも言えないんですか。きょう札幌に行っている方たちと、物理的な問題があるかもしれませんよ。でも、そういうことではなくて、二カ月、十四日ぎりぎりまで引き延ばしてきた間に、当然、そのことはお考えになっていたと思うんですね。ですから、当然、会うことは一日も早くやるのだ、その一言ぐらいなぜ言えないのですか。

長妻国務大臣 先ほど申し上げましたように、本日午前中、和解協議に入るというようなことを申し上げたわけでございますので、今この時点で、直ちに、お会いをするという予定について、まだ申し上げるということはできません。今のところ、今の段階で予定というのはございません。

高橋(千)委員 これで和解のテーブルに着くと本当に言えるのかしら、何のためにきょうまで待たされていたのかと。本当に時間稼ぎだと言わざるを得ないんです。

 体のぐあいが悪いのを押して、この間も三度の座り込み行動、共同行動をやられましたけれども、その中でも、本当に病状が悪化された中でも厚労省の前で座り込みをして抗議を続けていらっしゃった原告の皆さん、もう本当によく御存じだと思うんですね。

 今お話の中に、原告の要望もいただいていますのでと言っておりましたけれども、いただいておりますのでではなくて、直接会えばいいわけですよ。そのために協議に入ると言ったわけじゃないですか。そのことさえもまだきょう一言も出てこないというのは、本当にがっかりさせられました。

 これだけで時間を費やすわけにはいきませんので、ここで一たんは終わりますけれども、必ず、一日も早く、特に御遺族の皆さんにお会いして謝罪をして、それから本当に両者が納得いく解決へ向けて努力をされたい、このことを重ねて要望したいと思います。

 さて、きょう、児童扶養手当の問題ですけれども、児童扶養手当を父子家庭にも支給されるというこの法案ですけれども、もちろん、これについては私たち、大変歓迎をしております。我が党も、佐々木憲昭議員などがかねてより繰り返し求めてきたところであります。

 当時は、シングルパパは平均するとシングルマザーよりも収入が高いのだといった平均理論、比較理論、こんなことばかり言ってきたわけですけれども、既にその数値でさえも説得力のないものになっている、一般家庭から比べると父子家庭の方がやはり厳しくなっている、そういう実態を踏まえていること。また、仕事と子育てがやはり両立できないで、転職や労働条件の変更をせざるを得なかった、そういう深刻な実態を訴えてきた当事者の運動が実ったものである、このように思っております。

 そこで、最初に伺いたいのは、第一条の目的のところであります。先ほど少し加藤委員なども議論があったと思うんですが、今回、父子家庭を入れることで出だしは少し足してありますけれども、「父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について児童扶養手当を支給し、もつて児童の福祉の増進を図ることを目的とする。」

 実は、この今読んだところで、「児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進」、この部分は一九八五年の改正で追加されたものでありました。一九六一年に児童扶養手当法が成立した当初はこの部分がなくて、ストレートに、「児童扶養手当を支給することにより、児童の福祉の増進を図る」とされていたものでありました。

 この際、子供に着目をして、もとに戻す考えはありませんか。

長妻国務大臣 ここには、今おっしゃっていただいたように、二つあるわけであります。家庭の生活の安定と自立ということ、子供の福祉の増進でありますが、ある意味ではこれは表裏一体でもありますので、特に経済的な支援という側面が非常に強い制度でありますので、この目的、第一条については、表裏一体の表現であるというふうに考えております。

高橋(千)委員 表裏一体とおっしゃったんですけれども、「生活の安定と自立の促進」、ここは、やはりその後の、これからお話をします一部支給停止ですとか、そうした考え方の基本になってきたものであります。ですから、その基本が今変わってきているのではないか、見直しが当然されるべきではないか、要するに、政府の姿勢を伺いたいなと思うわけです。

 一九五九年に国民年金法が成立したときは、夫と死別した母子に母子福祉年金を給付したことが始まりと聞いておりますけれども、当時は戦争未亡人が中心だった全国未亡人団体協議会、現在の母子寡婦福祉協議会に引き継がれていくわけですけれども、その大きな要望運動がございました。ただ、その中に、一割台だったけれども、生別、生き別れの母子家庭もいるのだ、大変さということにそう違いはないのだということで強い要望があって、生き別れも含めた手当となった。そういう経過がこの条文にあったのではないか。

 つまり、一人親という状況を踏まえた上で、その子供の育ちを応援するという、まさに子ども手当に共通する考え方だと思いますけれども、今回、父子家庭も入れたことで、発想はがらっと変わったわけであります。そういう意味でも、この目的は当然見直されていいはずだ。検討をいただきたいと思います。

 そこで、先ほど質問もあったわけですけれども、改めて私からどうしても質問したいわけですが、野党時代の民主党が法案を出し、マニフェストにもあった一部支給停止の廃止、この法案をなぜ今回出さなかったのですか。

長妻国務大臣 これについても、先ほど来御指摘をいただいております。

 これは民主党のマニフェストに衆議院選挙のときに書き込んだわけでございますので、これについては一期四年の中で実現に向けて努力をしていくということでありまして、今回の法案に盛り込まれなかったのは、政府の中で調整がつかなかったという事情もございます。我々としては、一期四年の中で取り組む課題だというふうに考えております。

高橋(千)委員 そこで、さっきの質問に関連があるわけですね。児童の家庭の生活の安定と自立の促進だ、自立の促進を図るという意味で就労支援をやればいいのだということで、児童扶養手当はあくまでも激変緩和だということで大きく考え方が変わったわけです。

 しかし、その就労支援がまだまだ成功したとは言えないし、ましてその根拠法さえも今は失効しているという状況なわけであり、当時は、就労支援と引きかえにやるんだからということでこの法案の改正に民主党も賛成をしたはずであります。そうした中で、そういう考え方に後戻りはしないのだということでよろしいですか。

長妻国務大臣 激変緩和という考え方は、基本的にはとるつもりはありません。

 国のいろいろな就労支援の施策あるいはその施策以外の御自身の努力によってお給料が安定をして、結果的に所得制限よりも上の所得を取られて児童扶養手当が支給されなくなる、こういうようなことを我々は望ましいとも考えておりますが、当然、その個人の努力、あるいは国の施策、あるいは自治体の施策によってもなかなか一定の収入が得られず、不安定な方がおられますので、そういう方について無理にカットしていくというような考え方、激変緩和という考え方に立脚しているつもりはないということであります。

高橋(千)委員 ありがとうございます。貴重な答弁をいただいたと思います。

 二〇〇二年、五年以上受給し、末子が八歳以上の世帯が最大で半額の支給停止、この法案が決まったときに、五年後がそろそろやってくるということで当事者たちが強い運動をいたしまして、私もこの問題を繰り返し質問いたしました。〇七年十一月の質問では、〇二年改正当時二百十二万円だった母子世帯の収入が〇五年で一万円しかふえていないと。当時の大谷雇用均等・児童家庭局長は「低所得世帯が多くを占める状況に大きな変化はなかった」と述べ、五年たったら手当を削減するという根拠がないことを認めたと思います。

 その後、与党合意がされ、事実上の凍結となったわけですけれども、そのときに、働いているか、あるいは求職活動をしているということを証明した場合という条件がつきました。事実上の凍結ということで私たちも大変喜んだわけですけれども、そのことを証明するための詳細な書類を出すことが条件でありました。

 当時、あなたは支給停止の対象になりますと大きく書いた紙が送られてきて、まずそこにびっくりする。ずっと読んでいくと、ちっちゃい字で、ただしこれこれの書類を出した場合は大丈夫なんですよ、今までどおりですよと書かれているんだけれども、それに気づかない人だってたくさんいるし、これはこの書類の書き方そのものが問題なのではないかということを当時お母さんたちと一緒に厚労省にも申し入れを重ねて、改善を図っていただいた経緯がございました。

 そこで、現在、一部支給停止になった方、それでもいらっしゃるわけですけれども、どのくらいいて、また、それによる財政額というのは幾らくらいなんでしょうか。

長妻国務大臣 今手元にございますのは、ことしの一月時点で一部支給停止者数が三千九百五十八人ということでございまして、金額というのは今手元にございませんので、これは、調査できれば調べてみたいと思っております。

高橋(千)委員 ぜひ調査をしていただきたいと思います。大体三億円程度というふうなことを聞いております。

 それで、最初は、私が言ったようにびっくりする書類が来たころ、あのころは、〇八年九月末の調査で六千三百八十四人が一部支給停止の対象となりました。ですから、それから見るとかなりぎゅっと減っているわけですね。

 その当時、厚労省は、引き続きお知らせをしていって、それで救える方がいると思いますということをおっしゃっていました。これも、やはりお知らせをすることによって、いろいろあって、あるいは気づかなくて届けを出していなかったけれども継続支給になった方が相当数いるということが考えられるんですけれども、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 これについては、私どもとして三千九百五十八人の方々の中でサンプル調査をさせていただいて、どういう状況でそういうふうになったのか、今おっしゃられたような要素もあるのかないのかというのを調査して、実態把握をしていこうと考えております。

高橋(千)委員 大臣はサンプル調査が大変お得意で、実態はつかむ必要があると思うんですけれども、私は、正直言ってもういいんだろうと思うんです。財政影響額も余り大きいとは言えません。実質ほとんどの人が継続となっているわけです。全体の〇・四%なわけですね、今回一部支給停止になったという方は。ただ、その方たちに何度も何度も書類を出しなさいというような事務手続、あるいは、お母さんたちがパートの仕事を休んで役所に書類を持っていかなきゃいけないということの大変さ、そういうことを考えたら、そこまでしなくてもいいのではないか。

 つまり、それ以外に現況届というチェック方法がちゃんとございますし、現況届を出したことによって支給が停止になった方や、収入がふえているだろうということで返還を求められている方はたくさんいるわけです。そういうことで、いわゆる本来もらうべきでない人というのは現実にもはじかれていっているわけですよ。ですから、そういうことに余り労力を割く必要はない。だから廃止でいいと私は思っているんです。

 少なくとも、書類は現況届だけでよいのだというふうにすべきではないでしょうか。

長妻国務大臣 これについては、現況届のみということを直ちにということはなかなか難しいと思いますけれども、提出の簡素化ということであれば、郵便やファクスによる提出でもよいこととしております。

 あるいは、五年を経過した際に一回、一部停止措置が適用されない事由に該当することを証明するための書類の提出をお願いしておりますが、その後については、一年に一度、同様の書類を提出していただければ足りる、ファクス、郵便でもいいなどなど簡略化ということに努めてまいりますけれども、いずれにしても、一期四年の中で、これについて廃止ということで努力をしていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 これについては要望しておきますけれども、当初は、やはり期待していたのは、一回書類を出せば後は現況届のときにチェックすればいいのだという理解だったんです。私はそれでいいと思います。

 例えば、保育所の所長さんなどがおっしゃっているわけですけれども、母子家庭のお母さんたちは正社員が非常に少ないですので、届けを出すたびに仕事をかわっている、あるいは間があいている、そうしたことが非常に多いわけです。あるいは派遣のような働き方をしていたりするわけであって、ですから、自分自身が働いているのだ、あるいは求職活動をしているのだということを証明すること自体が非常に大変なことであるという実態もございますので、そこは本当に思い切った簡素化を図っていただきたいし、先ほど繰り返していらっしゃいますので、一期四年の中で必ず廃止をするということで確認をしたいと思います。

 次に、先ほど古屋委員の質問の中で出てきた答弁が、もしやそれでよいのかなという期待をしているのでありますけれども、四月の委員会で一度質問させていただきました児童扶養手当と遺族基礎年金。これは子供さんに出されている併給の問題でしたけれども、わずか八千円の年金をもらったがために四万二千円の児童扶養手当がもらえない。これは、こういう硬直的な制度は当然なくすべきだということで、再度求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 これもたしか高橋委員から、先月ですか、御質問をいただいて、私としては、遺族年金が少ない金額で来て、そして児童扶養手当が停止になるということについて、それを是正するにはどういう方法があるのか、どういう影響があるのか、これを検討してみるということで、役所に指示をしているところであります。

 いずれにしましても、検討をいたしますけれども、それと同時に、年金制度改革ということで我々新しい年金制度をつくるということを申し上げておりますので、その中でも全体の、これにかかわらず、併給をどうするのか、いろいろな論点が数限りなくございますので、そういう中でも調整をしていくということであります。

高橋(千)委員 ありがとうございます。これもなるべく早く成果を見たいなと思っております。

 やはり子供さんがいるということは、一番必要な時期というのは期限があるわけでありますし、所得保障の制度だという説明が先ほどあったわけですけれども、併給したとしても、多分所得制限よりもずっと下の方、枠の中であるという状況で、どっちかじゃなきゃだめ、年金じゃなきゃだめという議論はもう成り立たないのだということで、重ねて要望したいと思います。

 それから次に、制度改善の問題で、要望を含めてお話をしておきたいなと思うんです。

 先ほど古屋委員、DVの問題などかなり詳しく議論をされておりましたけれども、あわせて、例えば、父親が遺棄している認定基準というものがございますけれども、昭和五十五年の課長通知、父が児童と同居しないということが条件なんだけれども、これを詳細に分析していって、これにとどまらないいろいろな要件を課しているわけであります。

 私が相談を受けた例でいいますと、母親のもとに子供さんが一緒に暮らしているわけですけれども、例えば学校帰りなどに父親が自分のうちへ連れていくわけです。おばあちゃんが連れ戻しに行ってまた一緒に暮らすんだけれども、それを繰り返すことになるわけですね。そうすると、DVがあり、実質別居はしているんだけれども、子供をお父さんが連れていったということで一緒に暮らしている瞬間がある、完全別居じゃないというふうな理屈で、その当時も厚労省に相談をしましたけれども、それは手当の支給の対象にならないという回答でありました。

 しかし、これは実態からいうと、やはりお父さんが面倒を見ているとか一緒に暮らしているという実態ではないわけですよね。この点も改善をすぐにやるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 今の話につきましても、やはり自治体の実務の現場の立場からすると、では実態は、本当に詳細に中まで入って、どういう人間関係で、どういう家計なのかというのを確認していく、こういう作業が必要になってくると思いますので、今の時点では、一年の遺棄等々の要件ということについて、我々としてはそれを運用していくということでお願いをしているところであります。

高橋(千)委員 大臣、済みません、今のは一年の話ではなくて、遺棄の実態の中身なんですけれども、要するに、事実上別居はしているんだけれども、父親が連れ戻すことを何度か繰り返すので、完全な別居ではないということで該当になっていないケースであります。

 これは、先ほどお話しした課長通知には、「ただし、遺棄のケースはこれにとどまらず種々のケースがあると考えられるので、」「単に機械的に適用するのではなく事実関係を総合的に勘案のうえ判断されたい。」このように書いているわけであって、当然そこを、事実関係をしっかり見れば対象になることもあるのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 これは、認定基準についていろいろな通知を出させていただいておりますけれども、「父が児童を遺棄している場合とは、父が児童と同居しないで監護義務をまつたく破棄している場合をいうものである。」ということと、「単に機械的に適用するのではなく事実関係を総合的に勘案のうえ判断されたい。」ということも申し上げておりますので、でき得る限りその実態を確認していただくということについてお願いをしているというところであります。

高橋(千)委員 ですから、実態によっては手当の対象になる場合もあるということでよろしいですね。

長妻国務大臣 この実態というのがどういう実態かというのもありますけれども、もちろん自治体が判断をして、これは監護義務を全く破棄している、実態がそういうふうになっているというふうに判断する場合はその要件に当たるということであります。

高橋(千)委員 ここら辺のところを十分検討されたいと思います。

 これは、国保の問題なんかでも同じなんですけれども、機械的にやらないようにと幾ら通知には書いても、そうはいっても、現場には出されている言葉、基準以外に頼るものがないわけですので、それが機械的に近いものになってしまうということもあるので、実態を見れば手当の対象になる場合もあるのだとおっしゃってくださることが一番の効果があるんだろう。担当課長会議だとかさまざまな場において、そこら辺をよく検討されたいということを要望しておきたいと思います。

 こうしてみると、児童扶養手当の課題が非常に多くて、今回できなかった問題についても引き続き見直しを図っていく必要があるなということを非常に今感じております。

 この間、支給停止のことがやはり一番焦点だったものですから、そこに集中してきたわけなんですけれども、そもそも所得制限がとても低いわけなんですね。かつては二百万円以上だった上限が、今は百三十万以下でないと全額の四万一千七百二十円もらえない、それ自体が余りにも低過ぎる。そういうことも含めて、しかも、それでも五八%が全額支給されているということを見ると、いかに母子家庭の年収が低いかということを物語っているわけで、そういうことも引き続いて大いに検討をされたいと思います。

 そこで、要望を込めた質問をもう一点いたしますけれども、所得税の寡婦控除についても、今回、児童扶養手当を父子家庭へということもございましたし、児童扶養手当を受給している家庭がちゃんと対象となるような見直しが当然必要になってくると思います。厚労省としても検討し、税制調査会などでしかるべき声を上げていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

山井大臣政務官 高橋委員にお答えを申し上げます。

 この寡婦控除の充実等、一人親家庭に対する税制については、今、人的控除制度全体のあり方について調査会をつくって議論しておりますので、その中で議論をしてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 ぜひ前向きにお願いをしたいと思います。きょうは初めてお話をしましたので、また次の機会にしたいと思います。

 次に、関連をすると思いますので、子ども手当の問題で少しお話をしたいと思います。

 子ども手当の質疑のときに私は指摘をしているんですけれども、実際に、自治体の独自のサービスが、手当が出るからということで縮小されているということが起こっているのではないかなと思います。

 例えば、五月三日の朝日新聞のニュースですけれども、名古屋市は、第三子以降の三歳未満児を対象とした子育て支援手当を段階的に廃止する、月額二万円を今年度から半額とし、来年度に停止する方針である。

 あるいは横浜市、児童手当を受給する母子、父子世帯、生活保護世帯に市が上乗せしていた独自手当、これは三歳未満児対象、月額二千円ということで、小さいですけれども、今年度から廃止をする。

 それから、大阪府摂津市などでは、学用品や給食費などを支給する就学援助制度の支給基準を来年度から厳格化するということで、これは既にあちこちで起きていた問題ですけれども、改めてこういうのが出てきている。

 それから、例えば京丹後市ですが、ホームページにこんなふうに書いておりました。出産祝い金の廃止。第三子以降を出産された保護者の方に対して、一子につき五万円を給付していました出産祝い金給付制度は、平成二十一年度、二十二年三月三十一日までの出産で終了します。申請される方は、三月三十一日までに申請をお済ませください。なお、三月三十一日までに申請することができない場合は、四月三十日まで申請を受け付けますということで、こればっかりは、三月三十一日までと言われても、おなかに子供さんがいても、予定日が四月以降ならもらえないし、だからといって早く産むわけにもいかないわけです。

 こんな影響が既に各市で起きている。政府はどのくらいこうした実態を把握しているのか。また、今後影響が広がることが懸念されますけれども、そうすると、子ども手当の効果が薄まるように思うんです。どのように考えますか。

山井大臣政務官 高橋委員にお答えを申し上げます。

 以前からこの問題、高橋委員、確かに子ども手当の審議のときから御指摘になっておりました。そして、五月三日の新聞、私も連休中でしたが、一面記事を拝見しまして、高橋委員の顔を思い出したところでございます。

 もちろん、子ども手当の趣旨というのは、社会全体で子育てを応援しようということでありますから、それとの関連性において、一人親世帯の支援を減らすということに仮になったとすれば、それはある意味で、両親がそろっている世帯と一人親世帯との格差を逆に子ども手当によって広げてしまうことになりかねないわけでありまして、やはり厚生労働省としては、今までから自治体が独自にされていた子育て支援の施策や一人親支援の施策というものはぜひ続けていただきたいというふうに期待をしております。

高橋(千)委員 今、政務官、とても大事なことをおっしゃったと思います。やはり格差を広げることにならないかということなんですよね。

 子ども手当が、社会で育てるということで、所得制限なく一律に支給をいたしますので、そのことによって、所得の低い方、いろいろな社会保障で支えられている方と、もっとゆとりの部分に使える方ということで、当然格差が出てくるのではないかということを問題意識として持っておりまして、そのことを、質問を用意しておりました。これは同じ認識でいいのかなというふうに思っております。

 そこで、ちょっと飛ばして、次の質問を言いたいんですけれども、そのために何が必要かというときに、子供の貧困ですとか、ここにちゃんと向き合って、土台を一定の水準に上げていかないと効果が出ない、そこからスタートしないと出ないということがやはりあると思うんですね。この点はいいですか。確認したい。

山井大臣政務官 高橋委員おっしゃるとおりでありまして、所得制限もなしに子ども手当を支給しておりますが、とにかく底上げをしていく、土台を上げていくということが大事だと思っております。

高橋(千)委員 そこで、私たちは、例えば、子供の医療費無料化や学校給食の無料化など、あるいは義務教育の実質無償化ということをやはり本気でやらなければならないというふうに思っているんです。

 今回は、一つ聞きたいのは、子ども・子育てビジョンには、認可保育所の保育料を一割の自己負担に抑えた場合、六千九百億円という試算がございます。この発想の根拠と、なぜ一割なのかについて伺います。

山井大臣政務官 高橋委員にお答えを申し上げます。

 子ども・子育てビジョンの議論の中で参考資料を作成しておりまして、その中の一つで、仮に制度的見直しを行うとした場合の試算を幾つか参考的に提示しておりますが、保育料を一割とする制度見直しの場合の試算として六千九百億円というふうなことを出しております。これはあくまでも機械的な試算でありますが、保育料のあり方については、今後の検討課題であるというふうに考えております。

高橋(千)委員 書いてみただけというのでは困るので、やはり保育料の負担が大きいということで見直しを、一定の軽減を考えているのかということをまず一つ聞きたいと思います。

 それと同時に、厚労省の調査では、昨年の四月で、認可保育所に入っている子供が二百四万九百七十四人、認可外が十七万六千四百二十一人なわけです。当然、御存じのように、認可保育所を希望しているけれども、ないために認可外に入っている子供さんも多いわけです。その方たちは、保育料を下手すれば倍払っていたりするわけで、負担が大きいわけですよね。そうすると、希望する保育所に入れないがために、子ども手当がそこに消えちゃうということもこれありで、さっきの議論と全く同じなわけですよ。

 だけれども、厚労省の試算は最初から認可保育所しか相手にしていない。これはおかしいのじゃないか。つまり、ここは、認可外も認可も、子供であることには変わりはないわけです。子供を育てるための負担を減らすという点では変わりはないわけです。

 例えば、高校授業料の無償化を今回新政権がやったわけですが、そのときに、いろいろ不十分な問題があったとしても、私学にも一定補助をしたように、認可外の子供も含めて保育料の軽減をやるということがあっていいと思いますが、いかがでしょうか。

山井大臣政務官 高橋委員にお答えを申し上げます。

 保育料を下げる気があるのかということでありますが、これについては、先ほどの参考資料でも申し上げましたように、六千九百億円予算がかかる、非常にたくさん予算がかかるということを改めて痛感をしている、そういう状況でございます。

 そして、認可外保育施設の保育料についても補助を行うべきではないかということに関しましては、無認可の保育所に関しましても、改修等の補助などの認可化移行に向けた支援は行っておりますけれども、子供の観点から公平な支援という意見もあるでしょうし、また一方では、認可外保育施設に対して運営費補助や保育料の補助を通じた財政支援を恒久的に行うと、結果として、保育の質が下のままで固定化してしまうということで反対意見もあるわけでありまして、賛否両論ございます。

 こういうことも含めまして、今後も子ども・子育て新システム検討会議で、幼保一体化などを含めて一緒に議論、検討してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 時間が来たので、続きは来週やります。終わります。

藤村委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今回の法案は、これまで母子家庭が支給対象であった児童扶養手当を父子家庭にも広げようというものでありまして、その限りにおいては異論はございません。そういう前提に立ってお尋ねをしていきたいというふうに思います。

 まず、これはもうイロハのイでありますけれども、この児童扶養手当というのは何を目的として支給をされているのか、質問の冒頭に確認をしておきたいと思います。

長妻国務大臣 まず、一人親家庭というものが育児と生計を一人で担わなきゃいけない、また、不安定な就労条件に置かれている、この二つの特徴に着目をして、一人親家庭の児童について金銭の給付を行うことで一人親家庭の稼得能力の低下を補う、これが目的であります。

柿澤委員 この法律の第一条は、「父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、」「児童扶養手当を支給し、もつて児童の福祉の増進を図ることを目的とする。」ということが書いてあるわけであります。

 一人親家庭が一人で生活の収入を賄う、そして就労が不安定である、こういうことから経済的な支援も行っていかなければならない、こういうことがこの法律の目的になっているということだと理解をいたします。

 さて、では今回、父子家庭に支給対象を広げる背景には一体何があるのかということをお伺いしたいと思います。

長妻国務大臣 まず、児童扶養手当は昭和三十年代にできたものでございまして、母子家庭のみを対象としていた。かつては、男性は仕事があって安定的な収入があるだろう、女性は家庭で家事をされているので収入が少ないのではないか、そういう発想がこの法律ができた当時はあったのではないかと思います。

 今や、例えばアンケートをとりますと、全国母子世帯等調査、これは柿澤委員も配っていただいておりますけれども、ここで、ニーズ調査でありますけれども、平成十五年度までは、父子家庭で困っていることの一位は家事ということでありましたが、平成十八年度は家計を何とかしてほしいということで、母子家庭と同じ状況になっている。必ずしも、男性は仕事があり女性は仕事がない、こういうかつての状況ではなくなってきた、男性も女性も同じように支援をする必要があるというふうな背景がありまして、今回、法律をお願いしているところであります。

柿澤委員 今おっしゃられたように、これまで父子家庭が児童扶養手当の支給対象となってこなかったのは、さまざまな要因があるでしょうけれども、端的に言って、母子家庭と比べて父子家庭が生活に困っていない家が多かったというのがあると思います。現在も、母子家庭の一世帯当たりの平均所得は二百十三万円であるのに対して、父子家庭では四百二十一万円ということで、二百万円の差があるわけであります。

 そうはいいながらも、昔のような、男性は仕事があって安定的な収入があるだろう、女性は家事を行うわけだから安定的な収入が一人親になると確保できないだろう、こういう時代ではなくなってきているので父子家庭に支給の対象を広げる、こういうお話だったと思うんですけれども。

 今、長妻大臣もお話をしてくださいました、きょうお手元に配付をした資料があります。「ひとり親家庭の困っていることの内訳」というものでありますけれども、これをベースにした父子家庭の近年の生活の状況というのはどういうふうになっていると認識しておられるのか、厚生労働省としての父子家庭の最近の生活の状況に対する認識を語っていただきたいと思います。

長妻国務大臣 まず、父子家庭の世帯数を把握するというのは大変難しいわけでありますけれども、一定の推計を置いた粗い計算で、平成十七年の国勢調査に基づいたもの、そして平成十八年度の全国母子世帯等調査等による粗い推計でありますが、約二十万世帯ではないかということで、母子世帯が百二十万世帯と推計をされますので、一定の父子世帯がいらっしゃる。

 そして、先ほど委員も御紹介いただきましたように、平均年収は確かに父子世帯が高いわけであります。四百二十一万円ということでありますが、ただ、その中でも、かなり高額の所得の方、一部の方が平均年収を引き上げている傾向があるのではないかということで、その中身を見ますと、父子家庭で年収三百万円未満の世帯は約三七%、四割近くあるということで、母子世帯に比べて平均は高いわけでありますが、必ずしも、みんながみんな豊かであるという状況ではないというふうに考えているところであります。

柿澤委員 先ほど長妻大臣が御言及されましたとおり、父子家庭の困っていることの内訳というのを見ますと、平成十五年は家事が一番大変だというのが三四・六%だったわけですけれども、これが二七・四%になり、家計が苦しいというのが、三一・五%が四〇・〇%になって、初めて家計が苦しいという方が四〇%で第一位となったということであります。

 そういう意味で、近年のこうした変化というものがどのような社会の変化によってもたらされていると皆さんはお考えになられているのかということについて、いま一度お考えを語っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 まず、こういう調査というのは、今御紹介いただいたものも、経年変化を見る、同じ質問を定期的にするという重要性が非常にあるというふうに考えておりまして、父子家庭は今まで家事が最も困っていたものが家計になったということであります。

 その背景には、当然景気状況というのもあると思いますけれども、やはり働き方ということで、急速に非正規雇用の比率が高まったという雇用の不安定さ、雇用の規制緩和というようなこともあるのではないかというふうに考えております。

柿澤委員 今おっしゃられたように、今の全体的な社会の状況、経済の状況、こうしたところから、父子家庭が比較的、母子家庭に比べると経済的に高水準というか、比較論でいえば水準の高い収入を得ていた、こうしたところについても、家計の面で非常に苦しい思いをする方々が多くなってきた、これが基本的には、父子家庭に対してこの児童扶養手当の支給対象にしようという基本的な考え方の前提にあるというふうに思うんです。

 ある意味では、父子家庭の困っていることの内訳という数字を見ていると、家計が苦しいという方がふえている一方、家事が大変だという方が顕著に減っている。そう考えると、はっきり言えば、この経済の厳しい状況の中で、失業してしまっている方がふえて、子育てについては、家事に時間が割けるようになったけれども、しかし、安定した収入が得られないので家計は苦しい、こういう形の状況が見てとれるようには思うんです。

 しかし、では、本当にそうかというと、父子家庭のお父さんの平成十八年における就業率というのが一体どうなっているかということをお尋ねしたいと思います。

長妻国務大臣 この就業率というのは、平成十八年における就業率というものでございますけれども、これが、平成十二年の国勢調査によって無作為抽出した千八百地区の対象世帯から、父子世帯百九十九世帯を抽出したということでありまして、就業率九七・五%。

 この数字について、分母というか、そのサンプル数、母集団が非常に少ないということ等々ありますので、これは本当に今の今日、こういう数字なのか否かというのは検証する必要があるというふうにも考えております。

柿澤委員 かなり先回りして答弁をされてしまいましたけれども、平成十八年度の全国母子世帯等調査結果報告、この冊子を厚生労働省からいただきましたけれども、実は父子家庭の平成十八年度の就業率というのは九七・五%で、この調査によれば、ほとんど就業しているんです。このうち、常用雇用者が七二・二%、決して低い数字ではありません。しかも、父子家庭の年間就労収入もこの間、実は平成十五年から十八年の間、わずかながら上がっているんですね。

 そういう意味で、先ほど来いろいろとお話をしてきた、長引く不況、景気の状況、経済も厳しい、そうした中で、家計が苦しいという父子家庭の方がふえてきたという、この統計から読み取れる解釈が、精査をしてみるとこれは成り立たないということになってしまうのではないかというふうに思います。

 いみじくも長妻大臣が今サンプル数のお話をされました。父子家庭を対象とした平成十八年度の調査の母集団というのはどのぐらいだったのかということをお尋ね申し上げたいと思います。もう一度。

長妻国務大臣 これは、父子世帯の百九十九世帯であります。

柿澤委員 百九十九世帯、このサンプル数で本当の実相がつかめているかについては、やはり再考しなければいけない部分もあるかのような御答弁を先ほど長妻大臣もされました。

 そうだとすると、父子家庭で困っていることの一位は、平成十五年まで家事だった、平成十八年に家計だった、このこと自体も、では、サンプル数の少なさによる数値の部分の精度の問題でどうなのかということにもなってしまうのではないかというふうに思います。

 しかも、この平成十八年度の調査は、父子家庭百九十九世帯が対象になっていますけれども、お手元に配付をした資料の「ひとり親家庭の困っていることの内訳」というのは、サンプル数はもっと少なくて、何と対象は百三十五世帯しかありません。この中の内訳が上がった、下がったといって、本当に社会の実相を映していることになるのかどうか。今の就業率やあるいは平均就労収入の状況、また母子家庭、父子家庭のそれぞれの世帯としての収入の状況というのを見て、そして、ある意味では的確な支援を行っていかなければいけないというふうに思います。

 そういう意味で、これをもとに、家計が苦しいという人がふえたとか、父子家庭の生活困窮度合いが深まったとか言うことは無理があるのではないかと思いますが、どうでしょうか。

長妻国務大臣 経年変化を見るということであれば、経年変化の定期的な調査も、サンプル数というのはそう変動がないというふうに考えておりますので、経年変化の傾向を見るということは一定の意味があると思います。

 私どもとしては、この表だけを見て、今回この法案をお願いしているというものでもございませんで、例えば一人親が男性と女性によって政府の支援策が変わっていくということについて、これは当然、父子家庭でも母子家庭でも同じ所得制限が入るわけでありますので、性別によって変えていくということも今の時代どう考えるのか、こういうような問題意識もあったわけであります。

 あとは、一般的にこれは言えることでありますけれども、一昨年の秋のリーマン・ショック以来、派遣労働、非正規雇用の方々が職をかなり失って不安定になっているというようなこともかんがみますと、あるいは労働の規制緩和も見ますと、全体のことでありますけれども、非常に雇用が不安定になっているということはあるというふうに考えております。

柿澤委員 この調査の結果から、最後に長妻大臣がおっしゃられた部分は必ずしも読み取ることができないということを申し上げておきたいと思います。そういう意味で、思ったよりも根拠があいまいなのかなという印象を抱いております。

 要は、この児童扶養手当というのは、一体何のために支給をしているのか、そして一体何のために父子家庭に広げるのか、そしてなぜこの額なのかという問題になってくるのではないかと思います。

 児童扶養手当というのは、いわば現金給付型の生活支援施策です。年金、生活保護、先般の子ども手当にもそのような性格がないわけでもありません。社会に格差と貧困が広がっているという認識のもとに、このような給付的生活支援策は拡大の方向にあると言っていいと思います。

 その割には、では、一体どのぐらいの支援をして、どのぐらいの収入があれば生きていけるのかという、最低生活費が幾らなのかということについては、きちっとした議論がなされていないように思えます。給付的な生活支援策がいわばふくそうして、一体それが何を目指しているのか、どこまでの生活水準を保障しようとしているか、それがないまま、継ぎはぎの施策になってしまっている傾向が今あるのではないでしょうか。

 そんな中で、生活保護受給世帯の収入が低賃金で働いている方々の収入を大きく上回るような現象も起きているわけです。

 最近では、いわゆるベーシックインカムをめぐる議論が出てきています。最低所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して、毎月最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を無条件で支給するという構想で、これは現実の施策として行うことには相当な無理があると思いますけれども、しかし、例えば民主党も、鳩山総理が政府税調に検討を指示したとされる給付つき税額控除、負の所得税、こういう考え方に立つ政策をこれから志向しているような部分も見られます。

 そうであるとすれば、こういう議論を行う前提として、まず、モデル世帯の類型を幾つか置いて、人々が生活していく上での最低限の費用というのは今一体どの程度のものなのか、政府として試算を行っていく、そうするべき時期に来ているというふうに思うんですけれども、御見解はいかがでしょうか。

長妻国務大臣 これについては、政権交代後、私も、いわゆるナショナルミニマム、最低限度の生活水準ということで、その研究会を立ち上げまして、何度か御議論をいただき、この前も、生活保護の水準以下でお暮らしになっている方々が、機械的な推計も入っておりますけれども、どのくらいいらっしゃるのかという数値も公表させていただいたわけであります。

 いずれにしましても、今回の児童扶養手当で、これだけで生活費が全部賄えるということでできた制度ではもちろんありませんけれども、今の時点では生活保護というのが最低限の生活費ということで、地域によってもその金額が違うということになっておりますが、これについてもう一度、基準なり最低限度の生活の考え方、それは金額だけで本当にいいのかどうかということも含めて、今、ナショナルミニマム研究会で検討して、中間報告を今後出していくという予定にしております。

柿澤委員 今、ナショナルミニマム研究会で研究をしている、こういうお話でした。

 いろいろ申し上げてきたんですけれども、この法案に反対をしようというつもりで言っているわけではありません。給付的生活支援施策が、この人も、あの人も、子供も、高齢者も、母子家庭ではなくて父子家庭もということで、ある種、建て増し建て増しをしてきた家みたいになってしまっていて、目指すべき政策目標が何なのかということに基づいた体系的な整理が必要な時期になっているのではないかと考えて質問させていただきました。

 そういう意味で、最後に御答弁をいただいたまさにナショナルミニマム、私たちはミニマムインカムと呼び、学者の一部ではベーシックインカムと呼び、まあ、名前は何でもいいんですけれども、本当の意味で最低限生活に必要な費用、コストは何なのか、どの水準なのかということをこの際見きわめて、そして、足りない部分を補っていく、そうしたセーフティーネットの再構築が今まさに求められていると思います。そのことを最後に申し上げさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十二分散会


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