衆議院

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第1号 平成22年8月3日(火曜日)

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本国会召集日(平成二十二年七月三十日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 鉢呂 吉雄君

   理事 青木  愛君 理事 石森 久嗣君

   理事 内山  晃君 理事 黒田  雄君

   理事 中根 康浩君 理事 大村 秀章君

   理事 加藤 勝信君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    大西 健介君

      岡本 英子君    菊田真紀子君

      郡  和子君    斉藤  進君

      園田 康博君    田名部匡代君

      田中美絵子君    長尾  敬君

      仁木 博文君    初鹿 明博君

      樋口 俊一君    福田衣里子君

      藤田 一枝君    細川 律夫君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    室井 秀子君

      山口 和之君    山崎 摩耶君

      山井 和則君    あべ 俊子君

      菅原 一秀君    田村 憲久君

      武部  勤君    棚橋 泰文君

      長勢 甚遠君    西村 康稔君

      松浪 健太君    松本  純君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    江田 憲司君

平成二十二年八月三日(火曜日)

    午後三時二十五分開議

 出席委員

   委員長 鉢呂 吉雄君

   理事 青木  愛君 理事 石森 久嗣君

   理事 内山  晃君 理事 黒田  雄君

   理事 中根 康浩君 理事 大村 秀章君

   理事 加藤 勝信君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    小原  舞君

      大西 健介君    岡本 英子君

      笠原多見子君    菊田真紀子君

      菊池長右ェ門君    郡  和子君

      斉藤  進君    園田 康博君

      田名部匡代君    田中美絵子君

      長尾  敬君    仁木 博文君

      初鹿 明博君    花咲 宏基君

      樋口 俊一君    福田衣里子君

      藤田 一枝君    細川 律夫君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    室井 秀子君

      森山 浩行君    山口 和之君

      山崎 摩耶君    山崎  誠君

      山井 和則君    あべ 俊子君

      菅原 一秀君    田村 憲久君

      武部  勤君    棚橋 泰文君

      長勢 甚遠君    西村 康稔君

      松浪 健太君    松本  純君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月三日

 辞任         補欠選任

  園田 康博君     笠原多見子君

  長尾  敬君     山崎  誠君

  藤田 一枝君     小原  舞君

  山口 和之君     菊池長右ェ門君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     藤田 一枝君

  笠原多見子君     園田 康博君

  菊池長右ェ門君    山口 和之君

  山崎  誠君     花咲 宏基君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  花咲 宏基君     森山 浩行君

同日

 辞任         補欠選任

  森山 浩行君     長尾  敬君

    ―――――――――――――

七月三十日

 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律案(馳浩君外四名提出、第百七十三回国会衆法第六号)

 国等による障害者就労施設からの物品等の調達の推進等に関する法律案(田村憲久君外六名提出、第百七十三回国会衆法第一二号)

 国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百七十四回国会閣法第四一号)

 予防接種法及び新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(第百七十四回国会内閣提出第五四号、参議院送付)

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百七十四回国会閣法第六〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

鉢呂委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 厚生労働関係の基本施策に関する事項

 社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する事項

 労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項

以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

鉢呂委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田衣里子さん。

福田(衣)委員 民主党の福田衣里子です。

 このたびは質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。本日が人生で初めての質問で緊張しておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 私が生まれて初めて委員会の傍聴を行ったのは厚生労働委員会で、この部屋でした。当時、私は薬害肝炎の原告として、二十六歳になったばかりだったと思います。山井政務官が私が書いた手紙を当時の柳沢厚生労働大臣に読んでくださいました。あの日まで、政治も政治家も信用ならない、冷たいものだと思い込んでおりました。しかし、そうではなく、私たちのように弱く小さな存在の声を受けとめ、代弁してくれる、同じ目線から自分のことのように考えて行動してくれるものなのかと感動いたしました。

 そして今、傍聴席ではなくこの場から自分の言葉で質問させていただけることに、人生の不思議さと感動を覚えております。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 まず、先日、政府としても和解協議を開始すると方針を示されましたB型肝炎訴訟についてですが、その動きは遅く感じます。患者の命は待ってはくれません。一日も早い解決を目指していただきたいと思いますが、どういった論点で和解協議を進めているのか、大臣、お聞かせください。

長妻国務大臣 福田議員におかれましては、今後とも、厚生労働全般について、本当に現場をよく知っておられる立場から御指導をいただきたいということをお願い申し上げる次第であります。

 今の御質問でございますけれども、この内閣といたしましても、総理を中心に、この問題について速やかに、そして、非常に大きな問題でございますので、解決に向けて努力をさせていただこうということで、今、和解協議を進めております。

 各担当大臣を決めて大臣協議も繰り返しておりまして、先日でございますが、七月六日にまず和解協議を札幌地裁で開始いたしまして、そして、国としても、いろいろな論点がありますが、大きく二つ申し上げますと、母子手帳について、これまではこれにこだわるという姿勢を見せておりましたけれども、これについて、母子手帳を持っておられない方については、合理的な代替証拠による立証ができるということや、あるいは、母子感染でないことの証明については、お母様が既にお亡くなりになっておられるという方については、年長の兄弟の方の血液検査の結果による立証ができるなどなど、従来の国の提案にこだわらず提案をさせていただいているところであります。

 次のスケジュールといたしまして、九月一日に札幌地裁で国としてお話を申し上げるというような期日になっておりますので、鋭意、今後、必要に応じて各大臣も含めて協議をして、九月一日の回答に備えていきたいというふうに考えております。

福田(衣)委員 和解協議において論点ごとに協議を進めるということですけれども、それが時間稼ぎではないか、全体像を示すべきという意見もあります。今後、九月一日というスケジュールというお話でしたけれども、政府の方針等、もっと具体的なタイムスケジュールというものをお聞かせいただけたらと思います。

 大臣並びに肝炎問題に詳しい山井政務官からも一言お願いいたしたいと思います。

長妻国務大臣 今の御指摘というのは、我々も重々それを考え、行動をしているつもりでございます。

 裁判所からも、七月二十八日の和解協議の場において、和解の全体像というようなことの発言もございました。九月一日に向けて、これまでの原告の皆様、そして従来の国の主張について、我々としてできる限り全体像を示すべく、今鋭意取り組んでいるところであります。

山井大臣政務官 お答え申し上げます。

 原告の方々も、本当に御病気で苦しんでいる方々も多いわけですから、間違っても引き延ばしをしているというような誤解を持たれぬように、スピード感を持って取り組んでいかなければならないと考えております。

福田(衣)委員 原告は、長く苦しい闘いを強いられております。私も原告だったころ、この闘いは一生終わらないんじゃないか、そういった不安の中、毎日を生きていました。その闘いを終わらせてくれたのは、紛れもなく政治決断でした。ぜひ、一日も早い政治決断をお願いいたします。そして、原告たちの長く苦しい闘いを終わらせてください。よろしくお願いいたします。

 続きまして、薬のネット販売についてお尋ねいたします。

 厚労省が行った一般用医薬品販売制度定着状況調査、いわゆる覆面調査の結果、薬局、薬店、ドラッグストアにおいて第一種医薬品について購入前にきちんとした説明があったというのは半数程度しかない、とりわけ、チェーンドラッグストアよりも独立店の方が説明をしていないという結果が出ましたが、この状況についてどうお考えか、足立政務官、お願いいたします。

足立大臣政務官 お答えいたします。

 まず、この現状についてでございますけれども、福田議員が提出された資料に出ておりますけれども、まず、問題があるなと思われること、重要なことを挙げてみますと、右側の2にあります、店舗従業者が名札をだれもつけていないが二八%。それから、4のところでも、第一類の医薬品について購入前に説明があったか、説明自体なかったというのが二〇%ある、こういう状況でございます。また、(2)のところの郵便等販売に関する調査でも、対象の十件中六点において、本来は郵便等販売では購入できないにもかかわらず購入することができてしまった、こういうような実態でございます。

 これは、平成十八年の薬事法改正の趣旨は、対面販売を原則とする、それからリスクに応じた規制を加えるという趣旨だったと思います。これを行政としてはしっかり定着させるのが役割だ、そのように認識しております。

 では、どうするかということでございますけれども、第一に、これで留意すべき点がわかったわけですから、都道府県に対して情報提供を行って、都道府県の薬事監視での活用を図る。第二に、この調査を今年度も同様の趣旨で行って、実際に定着が進んでいるかどうかしっかり調べるということで対応していきたいと思っております。

福田(衣)委員 現在、ネット販売のことも問題になっていると思いますけれども、対面販売であってもこんな状況なんだから、ネットで売ったっていいじゃないか、そういった話にはならないはずだと思っております。国民の命と安全を守るという本来の目的を見失った議論ではなくて、本当にすべき議論や対策をとることから始めていただきたいと思います。そして、薬剤師、登録販売者においても、対面販売の意義をきちんと果たすように指導を行っていただきたいと思います。

 ネット販売については、まずきちんとした実態調査を行い、ルールをつくり、そしてそれを取り締まる方法を確立した上で、どうしていくかということを議論していかなければいけないと考えますが、現時点で、実態調査の結果、そして取り締まる方法などといったものはあるんでしょうか、足立政務官、お願いいたします。

足立大臣政務官 先ほどと重複しない範囲でお答えいたします。

 この結果につきましては、先ほど申し上げたように、薬事法改正の趣旨が定着していないということは言えることだと思います。ですから、今後も、それがどのように進んでいくかという調査を本年度も行う。

 では、それを徹底するためにどうしたらいいかということにつきましては、先ほども一部申し上げましたけれども、これは都道府県による薬事監視というものがございますので、この結果をしっかり伝えて、このような状況に今なっているんですということで指導の方を徹底していくべきであろう、そのように思っております。

 今後は、通信販売のことが今ございましたけれども、定着状況の調査の中で調査数をもう少し広げる。十件だけの調査で六件がそういうことができてしまったということになっていますから、これは数を広げて販売制度の定着を促していきたい、そのように思っております。

福田(衣)委員 ありがとうございます。

 医薬品は、一般の商品と同じように考えるべきものではないと思います。だれもが、まさか風邪薬や市販の薬で副作用被害に遭うなどと考えることなく服用していると思います。被害に遭って初めてその恐ろしさに気づくものです。そのリスクを少しでも減らすことが行政の役割です。被害に遭ってからでは取り返しがつきません。

 そもそも医薬品というものは、薬事法にのっとって規定されて初めて医薬品です。また、その取り扱いも含めて医薬品と言えます。使い方によっては効果をもたらすこともあれば、使い方やその用量をたがえば毒にだってなり得る物質です。検証や総括もないままネット販売を促進するということではなくて、きちんとした検証を行った上で、安全性が担保できるシステムを確立した上での議論としていただきたいというふうに思います。

 続いて、話は前後いたしますが、肝炎の予算について質問させていただきます。

 昨年の臨時国会におきましては、肝炎対策基本法の成立のため、厚生労働委員会の皆様、そして政府の皆様には大変御尽力いただき、本当にありがとうございました。

 この四月から、インターフェロン治療や核酸アナログ製剤に係る医療費が上限月当たり原則一万円となり、自己負担額もさらに軽減されました。しかし、来年度予算の概算要求では、すべての省庁において一律一割カットとの方針がなされ、厚生労働分野でも、年金、医療に係る義務的経費と自然増の一・三兆円についてはカットしないものの、その他の予算はカットの対象となるとのことです。

 昨日も、肝炎対策基本法の成立に伴い設置された肝炎対策推進協議会が開催されました。委員のメンバーに患者、そして患者御遺族といった当事者を含むこの協議会の声を踏まえて予算をつけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。大臣、お答えください。

長妻国務大臣 概算要求についての基準というのが示されたわけでございまして、これは一定の分母について一律一〇%削減という方針がございますけれども、これはもちろん、すべての事業をそれぞれ一〇%削るということではございませんで、やはり必要性の低い事業、無駄な事業、あるいは天下りを食べさすためだけの事業などなど、メスを入れるということでございますので、今おっしゃっていただいた肝炎治療に係る医療費の助成につきましては、今後受給者が増加することが見込まれること等を踏まえて、引き続き、患者の方々が適切な医療を受けられるように、必要な予算額の確保に努めていきたいというふうに考えております。

福田(衣)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 しかし、そもそも民主党の掲げる手厚い社会保障、コンクリートから人へという政策理念を考えますと、厚労分野においては予算がふえてもいいはずなのに減るということはおかしい話だと思いますが、大臣はこの点をどうお考えでしょうか。

長妻国務大臣 この一〇%ということでありますと、厚生労働省の与えられた分母の中で一〇%を計算いたしますと、千二百八十七億円を削るということで、これは経常経費でございますので、かなり労力を要するものであるというふうに考えております。

 ただ、その一方で、やはり厚生労働行政、私も大臣に就任して、非常に無駄が多いなというふうに感じております。そして、ことしの四月一日には省内事業仕分け室という組織をつくりまして、もう一年じゅう事業仕分けを省内でも、きちっと外部の厳しい有識者を入れて、マスコミフルオープンでやってまいりましょう、こういうような姿勢で取り組んでおりまして、何とかこの削減目標を実現していきたいというふうに考えております。

 そして、当然、削減ばかりではありませんで、ネーミングとしては元気な日本復活特別枠ということで、これは一兆円を相当程度超える枠ということで概算要求の基準の中でも決まりましたので、ここに我々もいろいろな提言、提案をして、何とか必要最低限の社会保障、そして国民の皆様から要望の高い、緊急度の高いものも含めた社会保障等についてきちっと要求をしていきたいというふうにも考えております。

福田(衣)委員 ありがとうございます。

 早口となりましたが、これで質問を終わらせていただきます。国民の命と健康を守るためにおられる大臣、政務三役の皆様を、私も精いっぱい支えていけるように頑張っていきたいと思っております。

 本日はありがとうございました。

鉢呂委員長 次に、樋口俊一君。

樋口委員 民主党の樋口俊一でございます。

 六年前、参議院の予算委員会におきまして、薬事行政について質問をさせていただきました。当時の厚生労働大臣は坂口力先生でありまして、前向きな御答弁をちょうだいしました。

 その結果、二〇〇四年の六月に厚生科学審議会で一般用医薬品販売制度の改正に向けての検討会が立ち上がりまして、約一年半、二十三回に及ぶ審議の結果、二〇〇五年の十二月末に一定の答申が出ました。それをベースに二〇〇六年の通常国会において薬事法が改正されたわけであります。昨年の六月に、約半世紀ぶりと言われます一般用医薬品の販売制度が変わる薬事法が施行されました。それから約一年たったわけでありまして、先ほど福田委員からもネットの話もございました。まだまだいろいろと問題が残っているのも事実でもございます。

 この改正薬事法の趣旨は、医薬品をリスク三分類し、そして、専門家である薬剤師、また新たな資格者である登録販売者、その方々が常に店舗でお客様に対して対面でしっかりと情報提供をしていくという考え方がこの改正薬事法の骨子でもあります。

 そういった中で、特に責任について、今まで厚生労働省の方は許認可責任、それから製造メーカーについては製造者責任、そしてお客様、患者さんの使用者責任、この三つの責任があったわけですけれども、改正薬事法によって販売者責任という新たな責任を求めて、まさにこの安全性をきちっと担保していこうということが今回のこの改正薬事法の大きな観点であります。

 そこで、最初に長妻厚生労働大臣に、先ほどの福田委員からもお話がございましたネットの問題について、薬事法を所管する厚生労働省としての立場、また対面の原則ということについての基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。

長妻国務大臣 樋口委員にお答えをいたします。

 このネット販売、あるいは電話で申し込んで郵便で販売するということも入っておりますけれども、これについては、今おっしゃっていただきましたように、医薬品を三つに分類して、それぞれリスクに応じて対応する。一番リスクの低い第三類医薬品はインターネット等の販売は可能だということでありますが、第二類、第一類について、第二類は、これは来年の五月末までは離島の方や継続使用者は販売可能である、第一類は、これは基本的には対面であるというようなことで、今整理をさせていただいているところであります。

 そして、もう一つ重要なポイントといたしましては、やはり対面できちっと説明をするということはこれはもう一定程度必要なことでありますけれども、現状として、本当に対面というふうな枠を定められたものについて対面の説明がなされているのかどうか、余り説明をしないで販売をしていればそれはその原則というのは崩れてしまうわけでありますので、そういう現状がどうなっているのか。調査等も今ございますけれども、今後とも、それがどういう状況になっているのかという実態把握もした上で、対応が改善が必要であればその改善をしていくということに努めていきたいと思います。

樋口委員 長妻大臣がおっしゃるとおり、改正薬事法が施行されて一年ということで、まだまだその趣旨徹底がそういった店舗においてなされていないというところもあるというふうに聞いております。そこはやはりきちっと、行政としてもしっかりと御指導いただく、あるいは販売する立場としても研さんをしていくということで、法律に基づいた、コンプライアンスをしっかりと担保していかなきゃならないということは、私も十分認識をしているところであります。

 ただ一方で、行政刷新会議の方で、インターネットの規制緩和という切り口の中で議論が今出てきております。たしか、さきの通常国会において自民党の松浪健太委員の方からも、インターネット業者の裁判の結審について、これは業者の敗訴になったわけですけれども、そのときの足立政務官からの御答弁もございました。

 インターネット問題についての今までの経緯と、それからこれからの問題について省内でどのような議論をなされるか、ちょっとその点についてお聞かせいただければと思います。

足立大臣政務官 経緯ということでございましたけれども、これまで行政刷新会議、そして厚生労働省のところで、事務レベルだけではなく政務レベルでも何度も協議をいたしましたけれども、これは第一次報告書においては掲載がないということでございます。つまり、結論に至らなかったということでございます。

 私どもの立場といたしましては、その議論の詳細をつまびらかにするつもりはございませんけれども、私どもは、平成十八年の薬事法改正で、対面販売の原則、そしてリスクに応じた規制を加える、これをしっかり保っていくのが行政の役割であるということの中で、この一類、二類、三類の分類につきましては、やはり今までの副作用報告の件数を見ておりましても、妥当性は非常に高いと思っております。これをしっかり、そのリスクに応じた対面のやり方、あるいは三類はインターネット等、郵便販売ができるという区分につきましても、私は整合性のあるものだと思っておりまして、まずは行政の立場としてこれをしっかり定着させる、そして、その進捗状況と申しますか、定着度合いをしっかり把握していくということが役割だ、そのように思っております。

樋口委員 きょう、内閣府の方から田村政務官にも御出席をいただいております。お忙しい中、ありがとうございます。

 菅内閣が発足して早々、規制緩和という切り口でこのインターネット問題を行政刷新会議の方でお取り上げになられたということを聞いております。基本的には規制緩和という切り口で御議論をなさっておられるということなんですが、先ほどもるるお話をさせていただいておりますように、薬事法を所管するのは厚生労働省、薬害の問題やさまざまなそういう事件、事故について対応していくのも厚生労働省であるということで、責任の所在は、すべてやはり所管官庁である厚生労働省なわけであります。ですから、私からいえば、やはりこのインターネット問題についても本委員会で議論するというのが筋ではないかな、このように思う一人でもあるわけであります。

 インターネットというのは大変利便性といいますか、便利なツールであり、国民も、そういう意味ではさまざまなものに活用をされておられることも事実であります。ただ、一方では、やはり今、児童ポルノの問題だとかインターネットの負の問題もいろいろあるわけでありまして、やはりその辺の、ポータルサイトのコンプライアンスの問題というものもしっかりと押さえてもらわなければならないんじゃないかなと思うんですね。

 実は、昨年の五月十一日に、先ほど申し上げました医薬品の販売制度を円滑化する検討会で、その委員のお一人であります楽天の三木谷社長がこういうふうな発言をなさっておられます。検討会で、この改正薬事法に定められた販売者責任を実質的に担保する処置として設けることになった販売記録の保存に関して、議論の中で三木谷社長は、我々は基本的にプラットホームである、その提供者であって、この薬事法の規制の対象者としては、基本的には薬局、薬店がやられることだと思っていますと。つまり、その場の提供だけであって、最終責任は私たちにはない、このように発言をされているわけでございます。

 また、今回、参議院で副議長に御就任されました自民党の尾辻先生が、昨年の参議院本会議の代表質問で、規制緩和が一部の業者や企業のビジネスチャンスの場となってはおりませんか、こういった御質問もされているわけでございまして、所管官庁でもない行政刷新会議、内閣府の方として、このインターネット問題をどのようにお考えになるか、その辺をぜひ、田村政務官からの御答弁をお願いしたいと思います。

田村大臣政務官 まず、委員が先ほどおっしゃっておられました本件、インターネットの医薬品販売につきまして、この委員会で議論すべきではないかというのは、まさに今こうやって議論をさせていただいているわけでありますし、先ほど、私も途中からしか聞けませんでしたけれども、福田委員も議論をしていらっしゃいました。委員会で議論するかどうかというのは委員会でお決めになることですし、それは大いに議論していただきたいというふうに私も思っているところであります。

 それとはまた別に、行政刷新会議の規制・制度改革分科会におきましては、例えば国民の声とかですね、決して、別に業界の代弁者になろうという意図は全くありませんので、もちろん日本の経済成長という視点もありますけれども、それと並んで国民の利便性とかそういった広い観点から意見を集めて、それは委員に限らず国民の声なども含めて集めて、それを担当の政務三役に投げかけるという立場であります。

 本件につきましては、厚生労働省の長妻大臣を中心とする三役、そして最終的には内閣になりますけれども、そちらで最終的にはお決めになるということでありまして、行政刷新会議規制・制度改革分科会としては、さまざまな意見をいろいろな観点から問題提起をして議論をさせていただくという立場で今議論をさせていただいているところです。政府の中でも議論をさせていただいているところです。

樋口委員 田村政務官のお話で、さまざまな声というのがございました。楽天のホームページを開きますと、インターネットの販売が不便になった、皆さんどう思いますかと、そういう誘導質問でクリックしていくということですから、実際に署名をしているという数じゃないんですね。ですから、機械的にこれだけの数があったということで判断するのもどうかなという部分がありますので、その辺もしっかりと押さえた中で議論をしていただければありがたいなというふうに思っております。

 時間がもうなくなってまいりました。最後に、今、予算編成で皆さん大変知恵を絞っておられると思いますけれども、医療費がますます高騰していく中で、何か抑制策として考えなきゃならない。それには、WHOの方から提言がありますセルフメディケーション、一般用医薬品を活用することによって医療費を抑制していく、こういう提言がございます。これに関して厚生労働省の御意見をお聞かせいただければと思います。

足立大臣政務官 今、セルフメディケーションについて、一般用医薬品のことをおっしゃいましたが、もう少し広い意味でとらえると、自分自身の健康に責任を持って、軽度な身体の不調は自分で手当てするということだと思いますから、サプリメント等も入ってくるんだろうと思います。この件につきましては、本年度、十億円という予算の中で、漢方やあるいはサプリメントについて、しっかりエビデンスがあるものかどうか調べるという試みをしております。しかし、委員がおっしゃるこのセルフメディケーションということは、私は非常に重要な概念だと思っております。

 そんな中で、一般用医薬品に限って申しますと、先ほど来の議論の続きを言わせていただきますと、この一類、二類、三類という分類を不断に見直すということが非常に重要になってくる。成分ごとに、二類に入っているのが本当に二類でいいのかどうか、この調査をしっかりやっていきたいと思っております。そして、昨年の六月からこれは変わったわけでございますから、それ以前とそれ以降がどのように副作用報告等が変わってきたかという調査もしっかりやっていきたい。セルフメディケーションについては非常に重要である、そのようにとらえております。

樋口委員 高齢社会を迎えて、ますます生活習慣病だとか、さまざまな高齢者の病気がふえてまいります。推定では三兆円ぐらいの医薬品の費用がかかるというふうにも言われているわけでありますけれども、イギリスやオーストラリアではそういった商材をスイッチしていくということで医療費抑制策を成功している国もございますので、ぜひスイッチの推進も含めてよろしく御検討いただき、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鉢呂委員長 次に、大村秀章君。

大村委員 自由民主党の大村秀章でございます。

 それでは、質問時間の中で何点か質問させていただきたいと思います。

 まず、この厚生労働委員会でこういう形で質疑の時間をつくるというのは、実は五月二十八日以来ということでございまして、実に二カ月有余ぶりということでございます。

 六月の頭に鳩山総理が突如やめられて、そしてその後、民主党、与党側による審議拒否という状況が続いて、そして六月十六日にそのまま閉会ということになってしまいました。まさに国会の議論、国会の仕事を放棄する、極めて問題だと言わざるを得ません。(発言する者あり)黙りなさい、君たち。静かにしなさい。

 まさにこれは学級崩壊状態だと言わざるを得ません。きょうの新聞だと、予算委員会は少し殊勝に、何か静かにしてきたということでありますが、議論をやっていくという姿勢がないと言わざるを得ないのは、極めて残念だと申し上げたいと思います。

 そういう中で、今回のこの社会保険病院、厚生年金病院については、さきの通常国会の終盤で、独立行政法人の法律、参議院に行って、委員会も本会議も開かれずに廃案になってしまった。また、障害者自立支援法の改正法案は、ここで、多数決ではありましたが、委員長提案でその法案が行って、委員会は通って、あと参議院の本会議だけになったのでありますけれども、それもとうとう最終日、閉会中審査も請願の審査もやらずに廃案になってしまった。これは極めて問題だというふうに言わざるを得ません。

 とにかく参議院選挙目当てに、とにかく議論にふたをして、とにかくどんな法案があっても全部廃案にしてしまっても構わない、この社会保険病院、厚生年金病院も、受け皿となる法案も廃案になっても構わない、それよりも議論をしてぼろが出るのが怖いということで、閉じて、参議院選挙に突っ込んで、あの結果でございました。

 私は、この一連の経過の中を、ぜひ、まず反省の弁を聞いてからこういう話を進めていきたいというふうに思っておりますが、まあ、これは参議院の話でありますが、そういう経過の中で、今回、九月末に、社会保険病院と厚年病院の、RFO、いわゆる年金福祉施設整理機構の期限が来るということでございます。

 ですから、そういう意味で、これは与野党各党、協議、話し合いをしながら、とりあえずこの九月で期限が来るものを二年間延長しようということでほぼ話がまとまって、我々も、中でいろいろな御意見はありましたけれども、そういう方向でまとめてきたわけでございます。ですから、これをまず申し上げ、そしてそのスタンス、基本的な考え方をお聞きいたしますが、今回、RFOを二年延長する、社保病院、厚年病院について、年金福祉施設整理機構に移管したものを延長するということであります。

 これは、もう多くは申しませんが、そもそもこの議論の原点は、平成十四年ぐらいから我々が自民党の中で議論を始めました。年金保険料でつくったもの、そして健康保険の保険料でつくったもの、病院はそれぞれ一定の役割を果たしたのは事実でありますが、それも含めて、合理化、効率化をしながら、そして健康保険、年金保険の財政の運営にも資そう。そして、地域の医療は実際には民間病院が担っている、多くは民間病院が担っているという実態にあるということから、そういったものを民間に移管しながら地域の医療も担っていただこう、こういうことで、この間ずっと議論、協議を進めてきたわけでございます。

 したがって、今回、このRFOというもので受け皿を二年延長するということでありますから、この考え方は社保病院、厚年病院についても生きているということで、今回二年延長だというふうに我々は考えます。したがって、厚生労働省、政府としても、二年間延長いたしますが、やはり、これは保険料でつくったもの、これはできるだけ民間に譲渡、売却をし、そして民間で機能発揮をしていただいて、この保険の財政にも資するんだという考え方でよろしいですね。まずその基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。

長妻国務大臣 まず、この法案は議員立法ということでございます。私どもにとっては、期限切れが目前に控えている中で大変ありがたい法案であるというふうに、議員各位には感謝を申し上げるところであります。

 その中で、今御質問がございましたけれども、RFOの趣旨というのは、今おっしゃっていただいたように、年金保険料でつくられたものがやはりきちっと活用されなければならない、こういう理念でつくられたものだと承知をしておりますけれども、病院というのはほかのリゾート施設とやはり性格が異なるということで、これはもう前の政権でも一定の要件をかけておられたと思っております。

 私どもも、この法案の審議のときにも申し上げましたけれども、やはり一つは、病院機能を維持して、必要な病院であれば維持をして、更地にして何かマンションを建てるとか、そうではなくて、地域医療の確保を図っていただく。そしてもう一つは、地元住民、地元自治体の御理解をいただく。こういうようなことがあった上で、お引き受けをいただけるところがあればそれはそこにお売りをするということで、これは浜松の事例でも既に売却ということもあるわけでありますので、我々としても、今のような前提の中でこの問題についても対応していきたいと思っております。

大村委員 前回、五月の答弁とほぼ同じということでありますけれども、長妻大臣は、この年金の保険料については、年金給付以外には一切使わない、使ってはいけないということを、原理原則をずっと言っておられたと思います。

 そういう観点からすると、やはり、これはRFOという年金福祉施設の整理機構を二年延長するということの中でありますから、この二年間の間に、できるだけ、保険料でつくったものは民間に譲渡、売却をして、それでもって地域で医療の機能も発揮してもらうということを今確認をさせていただいたということでよろしいかと思いますけれども、そのことをもう一回確認をしたい。

 それとあわせて、二年間延長となりますが、この間、二年延長だから、とにかく二年間、時間の猶予ができたということで何もしないということでは困りますので、そして、二年間延長したからといって、やはり取り巻く状況が変わるということでもないと思います。したがって、この二年間を待たずに、私は、社保病院、厚年病院については、できるだけ早い機会に、これを将来どうするのかということも、地元も含め御意見も聞きながら、今後どうしていくかをビジョンも含めてやはりお出しをいただく必要があるんじゃないか。

 ですから、もうこれは独法ということにはこの二年間ならないわけでありますし、そういう意味では、できるだけ民間にお渡しをしていくという基本的な考え方のもとで、できるだけ早い機会に、今後のビジョンとか、今後どう持っていくか、あり方、そういったものをお示しいただきたい。それをまたこの場で議論を、また二年待つのではなくて、できるだけ早く議論をしたいと思いますけれども、その考えをお示しいただけますね。確認したいと思います。

長妻国務大臣 この売却の方針については先ほど申し上げたとおりでございまして、一定の前提、これは、地域医療をきちっと継続して担っていただくという前提と、地域住民、地域自治体の御理解をいただくという前提の中でこの方針を進めていきたいというふうに考えております。

 そしてもう一つは、この議員立法が成立をしていただければ、我々も再度、この病院がある自治体にもう一度きちっと、もう一回お話を詳細に確認をして、どういうような御方針を持っておられるのか、あるいは、地域住民の方の御意見等も、病院の担う役割等も、再度我々も詳細を把握して、今後の対応についても、今御指摘いただいた点も含めて我々検討していきたいと考えております。

大村委員 今大臣からもそういうお話がありましたが、ぜひ、二年という時間が稼げたということではなくて、とりあえず受け皿ができたわけですから、この間にできるだけ早い機会に、その方向性、ビジョンを出していただきたい、そのことは注文しておきます。また次の機会にこれはしっかりとチェック、フォローをしていきたいというふうに思います。

 さて、二つ目に、B型肝炎の訴訟の問題についてお聞きをいたします。

 先ほど、民主党の福田議員からもお話がありました。この点について私は、この春以降、ほぼ毎回質問させていただいておりますが、遅々として進みません。答弁も、まさに官僚答弁ここにきわまれりという答弁しかいただいておりません。

 札幌地裁、一番早く進んでいる札幌地裁でいえば、三月十二日に和解勧告があり、二カ月後の五月十四日が勧告の期日であった。そして七月の六日、また二月たって和解の協議が初めて行われ、そして二十八日、また和解の協議が行われ、また今度は九月の一日だと。これだけの日程だけ見ていると、先ほど福田議員も言われましたが、どうも何か時間稼ぎではないかというふうにもとられるのではないか、原告団の皆様、そしてまたマスコミの報道等々見ても、どうも時間稼ぎをして、まともな具体的な解決策、救済策が出てこないのではないかというふうにとられても仕方がないというような報道がずっとされております。

 なぜ、何で具体的な解決策、救済策が見られないんですか。何でこれを出さないんですか。政権与党なんですから、それを出すのがやはり政権与党としての責任だというふうに思います。この点について、三月の十二日から始まって、もう五カ月近くがたって今日に至るまで、一体何で具体的な解決策、救済策、具体的な、全体的な具体案がなぜ出てこないんですか。お答えください。

長妻国務大臣 これについては、もちろん引き延ばしなどという意図は毛頭ございませんで、関係閣僚も含め、この間、何度も会合を繰り返し、総理も含め会合を繰り返し、そして、厚生労働省の中でも、担当部局も含め、日々作業をしているところであります。

 七月六日にまず国側から証明方法について提案をさせていただいて、これは、今までずっと国がこだわっていた、母子手帳を持っていないとだめだ、こういうようなことについて、その発想は変えていこうというようなことを裁判所で原告の方にも申し上げ、そして、母子感染でないことの証明についてはお母様の血液検査ということもこれまで国は言っていたわけでありますけれども、それについても、それにこだわるわけではないというような、ほかにも幾つかございますけれども、そういう御提案を申し上げ、そして、それについて裁判所から、来月の一日、九月一日にさらに詳細の回答、協議を求められておりますので、今鋭意、我々政府の中でその中身について取り組み、そして、今後必要があればまた閣僚とも協議をして九月一日に備えていくということで、この問題については本当に重大、重要問題というふうにこの内閣でとらえているということであります。

大村委員 今具体的なことを全部は触れる時間がありませんが、例えば、母子健康手帳以外でもいいということを七月の六日に言われた、その内容も私も聞いておりますが、だからといって、では合理的なその代替証拠の具体案、いや、母子健康手帳じゃなくてもいいですよ、でも、こういう場合ならいいんです、こういうケースならいいんです、そういう代替的な、代替証拠の具体案を示すのはやはり国の責任ではありませんか。それは、健康手帳じゃなくてもいいですよ、こういう場合でもいいですよ、でも、あとは原告の皆さんがしっかり証明してくださいということでは、これは話が進んでいかないというふうに思います。

 例えば、この母子健康手帳以外の合理的な代替証拠の具体案、これを示すおつもりはありますか。今検討されておられますか。そのことだけでもお答えください。

長妻国務大臣 これについて、我々が先ほど申し上げました母子手帳の件について裁判所で申し上げ、その後、七月二十八日に、今度は原告の方から裁判所に御意見があったわけでありまして、それを踏まえて九月一日に回答を申し上げるということにしておりますので、今おっしゃられた点も含めて、我々、でき得る限りの回答をできるように今鋭意調整をして、省内でも、あるいは今後必要があれば閣僚間でも、それについて意思決定をしていきたいというふうに考えております。

大村委員 例えば、その母子健康手帳以外の代替証拠の一つの案として、昔予防接種を受けたということで、自治体の予防接種の台帳なんていうことも考えているようなことも、ちらちらといいますか、報道とかそういったことで聞くんですが、例えばそれを、原告団の皆さんが政府の方に、役所の方に、そうした予防接種台帳が全国の自治体にどのぐらい残っているんだということを調査したかと言ったら、調査していないと言うわけですよ、厚生労働省は。実際に、自治体の行政の書類なんていうのは五年しか残しませんよ。だから、そんな昔のやつなんかないんですよ。だから言っているんです。合理的な代替証拠といったって、まともに考えているのか疑わしい。だから聞いているんです。お答えいただけますか。まともに考えているんですか、合理的な代替証拠。

長妻国務大臣 これは先ほどるる経緯を申し上げましたけれども、そして、七月二十八日に原告の方から国が提案した先ほどの提案について御意見をいただいておりますので、それも含めて九月一日に回答をするということで、あらゆることを想定して、今、鋭意議論をし、詳細な分析等も含めて取り組んでいるということで、もう来月の一日には一定の回答をしていきたいというふうに考えております。

大村委員 先ほどから九月一日と言われますが、九月一日、次回の協議には、具体的なこの解決策、救済策、その全体的なパッケージでの解決策、救済策、どういう基準で認定をするのか、それからまたどういう形の救済をするのか、金額を含めてそういった全体像が出る、九月一日に出すということで、今大臣が言われたことはそういうふうに我々は受け取ってよろしいですか。簡潔にお答えください。

長妻国務大臣 それも含めて今政府の中で協議をしているということで、我々、繰り返しになりますけれども、本当にこれは時間がない話で、速やかに解決しなきゃいけないというふうに考え、かつ、非常に重大な問題であるというのはもう重々承知をしているところでありますので、そういう意識のもと、我々として九月一日に回答をする、その中身を今協議しているということであります。

大村委員 九月一日、全体の解決策、救済策を出すことを含めて協議をしていると今言われましたが、先ほどから、一日には出すんだというふうに言っておられますね。そういうふうに受け取ってよろしいんですか。もう一回だけ確認をいたします。明快にお答えください。九月一日に具体的な解決策、救済策を出しますね。明快にお答えください。

長妻国務大臣 九月一日に具体的に全体という意味がどこまでの範疇を示すのかということもありますけれども、九月一日に七月二十八日の御意見を受けた話を申し上げるということであります。

大村委員 これは引き続き、しっかりチェック、フォローしていきたいと思います。

 その九月一日はもちろんそうして出していただかなきゃいけませんが、こういうふうに今言われましたから。あわせて、前々から、これも私も何度もこの場で申し上げておりますが、患者団体、原告団体の弁護団の皆さんもいつも言われるんですが、やはり裁判の協議というのは月一回ぐらいしかない、だから、やはりそこに至る、その間、そこで協議してまた一カ月後ということになると進んでいかない、だから、それはそれとして、実務の協議の場、直接協議をしていく実務の協議の場を設けてほしいということをずっと言われているんです。

 五月は、そういうことはしない、考えていないと言われましたが、今のこのスケジュールでもうここまで五カ月ぐらいたってしまいました。ぜひ、九月の一日にそういうのを出されるということを言われましたので、それはしっかりフォローしていきますが、あわせて、この実務の協議の場、原告団、弁護団と持っていただけますか。そのことも明快にお答えください。

長妻国務大臣 これについては、この委員会で同種の質問をお受けしたと思いますけれども、裁判所が中に入ってこの協議をするということで、原告の皆様のみならず、原告団に加わっていない同じような方々が日本全国、多くいらっしゃいます。そういう意味で、裁判所の中での協議を中心に我々進めていきたいというふうに考えておりますので、今のところは裁判所の中での協議ということを考えております。

大村委員 そういうことだと、一カ月に一回の協議でああいう七月六日、七月二十八日の抽象的なものしか出てこないと、まさに時間稼ぎとか引き延ばしとか、先ほど山井政務官も言われました、そうとられないようにするといいながら、一カ月に一回だとそういうふうにとられるわけです。だから直接協議の場をつくれというふうにこれまでも言ってまいりました。ですから、私は、今の大臣の答弁は大変残念でなりません。ぜひそのことも、引き続き、きちっとフォローしていきたいというふうに思っております。

 もう時間があと数分になりました。最後に、きょう資料をお配りしております、それに基づいて、厚生労働省内部のアンケートも含めて、厚生労働大臣初め政務三役の姿勢について少し質問していきたいと思います。

 新聞記事、七月二十九日読売新聞、「「厚労相指示に納得」一%」、「職員アンケート 「おごり感じる」四八%」ということでございます。また、残業時間が霞が関で、これは労働組合の皆さんがアンケートをとったものでございますが、政務三役への対応が大変だ、だから残業時間が厚生労働省断トツで七十時間を超えていると。自由記述の欄には、「大臣の指示が細かくて、多すぎる」「職員は駒ではなく人だ」ということまで書かれております。

 二ページ目も、これは政務三役、これは厚生労働省の資料ですが、おごりを感じる四八%、納得のいく指示が示されている一%、そういう評価しかないという現実がございます。

 それから三ページ目、マネジメント関係、コミュニケーション関係、これは自由記述から一部抜粋。

 例えばマネジメント関係では、「枝葉とも思われる細かすぎる指示を出すこと」とか「今やろうとしている仕事に、それだけの価値があるのか考え抜くべき。」「職員のワークライフバランスを考えた指示を出すべき。」「政務から優先順位がなく現実的なスケジュール感のない宿題が山ほど出されていることが、問題」と。

 あと、コミュニケーション関係では、「政治主導を進めるあまり、政務三役と、職員との連携がうまく取れていないように感じる。」「大臣とのコミュニケーションを緊密にして、チームワークを作ってほしい。互いの不信感が著しい。」

 要は、ここまで書かれているわけでございます。まさに組織としては末期的な症状じゃないかと言わざるを得ません。こんなことで仕事が進んでいくというふうには思えません。

 このアンケートについて、大臣、いかがお感じですか。こんな状況で、あなたと事務方がこんなに不信感があって、これから年金とか医療の問題とかやっていけるんですか。このアンケートについてどうお感じになったか、率直にお答えください。

長妻国務大臣 まず、これはさらに職員の皆様に説明をしなきゃいけないというふうに考えております。

 私も、職員の方から具体的な声を私の政務秘書官経由等々でいろいろ吸い上げているつもりでありまして、まずは、省内事業仕分け室を四月一日につくって、何で厚生労働省だけみずから無駄をこれだけやらなきゃいけないんだ、こういうような怨嗟の声もございましたし、天下りについても、公益法人まで広げて天下りの方に一定の要件をかけて退任をしていただく、この措置も厚生労働省だけの措置でございまして、非常にほかの省庁に比べて厳し過ぎる、こういう声が上がっていて、我々も毎週、これまでそういうことは前政権ではなかったように聞いておりますけれども、月曜日、幹部の方を集めて午前中時間をとって朝礼をして、何度も何度も我々の発想を申し上げ、それを職員の方に浸透するように申し上げているところであります。

 細かい指示ということについても、我々も、例えば国民の声を、今までは統計さえとっていなかったものを、国民の皆さんのメール、電話、手紙、それを分類して毎週必ず発表する、そして改善をするということについても労力が大変だと。

 これは一々挙げれば切りがないですけれども、土曜日にはサービスコンテストということで、年金事務所、ハローワーク、いろいろな事務所の、全国からサービスを競い合ってサービスを共有していただくような取り組みも、今までなかったものも次々に始めさせていただいて、それについて、やはり本当になぜこういうことをしなきゃいけないのか。

 これから国民の皆さんに御負担をお願いするときに、一番金を使う厚生労働省がまだ天下りがあって、まだ税金の無駄遣いがあったら、だれも負担を容認いただけない、こういうようなことを何度も何度も申し上げ、今まで厚生労働省は信頼が地に落ちていた、これから再起しなきゃいけないということも申し上げているんですが、これは我々も反省しなきゃいけないのは、そういう意思が、ねらいが末端まできちっと伝わっていないとすれば、さらに御説明を申し上げ、あるいはいろいろな御指摘も謙虚に聞いて、さらに厚生労働省改革はこれを手を緩めずに、国民の皆様のためでありますので、取り組んでいきたい。

 そして残業についても、これも見させていただきますと、旧労働系がふえているということでございまして、雇用対策を矢継ぎ早に打ったというようなことも影響しているのではないかと思いますけれども、今後、残業時間が長いというのは事実でございますので、これについても分析をして改善をしていきたいと考えております。

大村委員 要は、何で伝わらないかというと、このアンケートの三十六ページの抜粋のところにもあるんですよ、大臣にこそビジョンを熱く語ってほしいと。あなたにはビジョンも政策もないから下に伝わらないんですよ。事務局に、事務方に伝わっていないんですよ。

 要は、民主党というのは、皆さんは政治主導を履き違えて、私が見ていたら、自分たちで勝手にひとり芝居かきりきり舞いをしているというふうにしか見えません。マネジメントも何もできない。政策も、そんなことで政策は前に進みませんよ。

 だから、長妻さん、あなたは野党の時代に、官僚機構は乗りこなすんだと言っていましたね。これは乗りこなしているんですか。要は、この厚生労働省という機構から、これはもうまさに拒否されているんですよ。拒否されているんです。全く乗りこなすとか、マネジメント、グリップもきいていない、そんなことで政策が前に行きますか。そんな話じゃないんですよ。

 例えば、私は、ここに今、手元に資料があります。二年前の三月の資料ですよ。長妻議員から役所へ要求した資料で、あした委員会があるというので、夜の八時十分に、あしたの朝七時半までに千五百四十一件の年金の資料を一覧表にして出せというようなものが来た。私は当時筆頭理事をやっていたから、こんなのいいかげんにしてくれ、こんなのではもうこれ以上審議できないよということを言いました。要は、厚生労働省の職員だって、別にあなたの私兵だとか使用人じゃないんですよ。ワーク・ライフ・バランスなんか全然できてないじゃないですか。そういうことを積み重ねている。

 僕は、さすがに役所に入ったらそんなことは、当時、二年前にあった、こんな夜中の八時に出して、あしたの朝七時半なんという、わけのわからない資料要求みたいなことはやめるかと思っていたら、同じことをやっているわけです。だから、事務局、事務方からあなたは拒否されているんですよ、ビジョンもないし、政策もないし。

 だから、きょうは本当はこの後年金も医療も、年金だって、月七万円の最低保障年金をやると言って、何にも示されていないじゃないですか。年金制度というのは、幾らの保険料を何年払ったら幾らの年金になるかなんですよ。何にも出ていない。それから、高齢者の医療制度の改革といったところで、これも具体的なものが財源も示されない。あと、だれが運営主体になるか、市町村なのか県なのか、何もない。

 そんな政策もビジョンもないから、こうやって役所の皆さんからあなたは拒否されているんです。政務三役も拒否されているんです。とにかくこういった政治姿勢、やり方は改めて、きちっと反省してまともな仕事のやり方をしてください。そうしなければ前に進まない、そのことを申し上げておきます。できなければやめなさい、我々がすぐかわってあげます。

 以上で質問を終わります。以上です。

鉢呂委員長 質問は終わりましたので、次に進みます。

 次に、加藤勝信君。

加藤(勝)委員 今、大村委員からも御指摘がありましたけれども、いわゆる独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構に関してまず御質問させていただきたいと思います。

 さきの通常国会において、内閣、厚生労働省がお出しになられた独立行政法人地域医療機能推進機構法案、これが最終的に廃案となったわけであります。そして、その前提として、現行のRFO自体はこの十月一日で解散、こういうことになっていたわけでありますけれども、こういう事態の中で、厚生労働省としては本件について一体どうしようと考えていたのか、まず大臣のお考えを教えていただきたいと思います。

長妻国務大臣 これについては、御存じのように、閣法で国会に法案を提出させていただいておりまして、途中まで審議もございましたけれども、結局は時間切れでこういう結果になったわけでございまして、我々としては、社会保険病院を一つに束ねて、さらにガバナンスをきかせて地域医療に資するような、そういう枠組みの法案を提出させていただいていたということであります。

加藤(勝)委員 そうではなくて、それが廃案になって、そしてRFOが十月一日に解散になるという状況で、厚生労働省はその事態に対してどう対応しようとしたんですかとお聞きしているんです。

長妻国務大臣 その事態に対して我々としては、参議院選挙の後に臨時国会がある、当然そこで閣法を提出して、そしてそれを成立していただくというような発想を持っておりましたけれども、いろいろな働きかけ、情報収集などもいたしましたが、七月の参議院選挙の後、まさにきょうの国会でございますけれども、非常に期間が短い、会期が短いというようなこともあって、衆参で閣法というのは非常に困難であるというようなことを我々は考えて、そして今回、議員各位が御議論をいただいて、このRFOの延長ということで、これは宙に浮きかねない事態でありましたけれども、そういう議員立法について皆様方の御提言があったということでありますので、これは大変ありがたいことであるというふうに考えております。

加藤(勝)委員 ということは、大臣は、廃案になった閣法をできればお出しになりたい、こう考えていたということですか。

長妻国務大臣 これはいろいろな、民主党のみならず、修正などもそこに加わり、いろいろな御議論が出てきたわけでありますので、それを踏まえて、私どもとしては、会期が許せば、物理的にそういう環境が整えば、そしてもう一つは、参議院は、これは言うまでもなく、ねじれ国会になったわけでございますので、当初の我々の選挙前の想定とは全く国会の風景も変わりましたので、参議院選挙の直前の時点では、今私が申し上げたような、そういう発想を持って動いておりました。

加藤(勝)委員 では、正確に聞かせていただきます。

 参議院選挙が終わった後、この臨時国会等に対してどう対応しようと考えたんですか。閣法でいければ閣法でいこう、こう考えておられたということですか。

長妻国務大臣 参議院選挙の後も、会期が一定期間とれる、そして参議院の議席数に応じた会派の賛同が得られる、こういうようなことを前提として、できれば閣法で法案を期日までに通したい、こういう思いは持っておりました。

加藤(勝)委員 今、そこをなぜお聞きしたかったかというと、お手元に配らせていただいておりますけれども、閣法でお出しになられた独立行政法人地域医療機能推進機構法案、これは法案自体を示せばよかったんでしょうけれども、趣旨説明の骨子と、そして、上段には現行のRFO法案を書いてありますけれども、全然違うんですね。RFO法案というのは、整理合理化を進めていきましょう、そして厚生年金保険業務等の適正な財政運営に資しましょうということ、まさに譲渡していきましょうというのがこのRFO法案であって、そして下の機構法案は、そうではなくて、むしろ運営をしていきましょうと。

 したがって、機構そのものの性格も全然違うし、当然、その機構を通してやろうとしている目的も全然違う。まさに百八十度と言っていいほど違うんですね、大臣。

 ということは、大臣自身は、逆に、今の延長、むしろ賛成ではないんだ、今のお話を聞くと。むしろ閣法のように、基本的には現状の形で運営をしていく。正確に言えば、社会保険病院等を次の機構に移行してという、閣法でお出しになられたこういう姿をあくまでも追求していこう、こういうこと、その中に非常な矛盾があると私は聞こえるんです。

 ということになると、大臣の意向と民主党さんも含めたこの委員会の意向が全然違う、こういう話になるんじゃないんですか。

長妻国務大臣 社会保険病院、全国多々ありますけれども、九月末で法的根拠がなくなるということで、これは宙に浮いてしまうということになるわけでございまして、やはりそういう事態は何としても避けたい、こういうお気持ちが議員各位にもあるというふうにも考えているところであります。

 その中で、今の質問でありますけれども、まず、本日議論をいただく、そして参議院でもいただくということで、その法案が成立をいただければ、その後、どういう対応がとれるのか、先ほど大村委員にもお答え申し上げましたけれども、今後なるべく早く、一つ一つの病院についても、地元の御意思、住民のお話などもさらに詳細にお伺いをしていくというような作業もしていきたいというふうに考えておりますので、この法案が成立をしていただいた後に、我々としては検討課題として取り組んでいきたいと思います。

加藤(勝)委員 ここは非常に大事なことでありまして、私どもの認識、いや、正確には私の認識としては、そもそもこの働きかけ、別に私どもから積極的に働きかけをしているわけではないわけであります。少なくとも、民主党さん等々がそういった問題意識、要するに、解散になってしまう、どうするか、そういう問題意識でお動きになられ、我々も、確かにそうだなというところで出てきた。そして、こうして委員長のおまとめをいただいているわけでありますから、当然、厚生労働省として、そんな他人的な、何かこちらにお任せというのはそもそも変で、むしろ厚生労働省自身がまさにお考えになるべき、こんなのは閣法でやらなきゃいけないような話だと私は思います。にもかかわらず、今大臣のおっしゃっているように、しかも向いている方向が違うという話では、全然話にならないわけであります。

 確かに、閣法をお出しになられた。参議院選挙までは、勝てばこのままいけるかもしれない。しかし、新しい状況の中でこれからのことを考えた。そして、民主党から、今申し上げたような形で二年間延長があるということは、先ほど大村委員からもお話があったように、あくまでも、これから二年間、譲渡を一生懸命もう一回やりましょうと言うから二年間延長するわけであって、たまたま今の状況をそのまま継続しようというものでは全くないわけであります。そこのところを明確にしていただかないと、我々自身がこれを一緒に進んでいっているというその自信自体が消えてしまうわけでありますから、大臣、そこは非常に大事なところであります。

 やはり、大臣として、閣法の考え方はむしろここで切りかえられて、もう一回きちんと、この二年間譲渡をしっかりやっていくんだ、そのことを明確にお示しをいただきたいと思います。

長妻国務大臣 これも先ほど大村委員の質問にもお答え申し上げましたけれども、これは、病院機能、地域医療を守っていくという機能を残すという前提、そして地元住民、地元自治体の御了解と御理解、そういう前提で売却を進めていくというようなことを申し上げております。

 その中で、売却努力をしてもすぐにできない部分については、さらにガバナンスをきかせるなどなど、その病院がより地域に貢献するような、そういうあり方も同時に模索をして対応していくということで、双方は必ずしも全く矛盾するという話ではないと思っておりまして、そういう中で、今後どういう対応をするか検討していくということになるということであります。

加藤(勝)委員 私ども党内の議論では、もしそういう大臣の御発言だったら、到底、我々は賛成していないと思います。賛成できないと思います。

 そうではなくて、改めてもう一度、この二年間、いろいろな経緯、反省を踏まえて、大臣のおっしゃるような地域医療としての機能、これはもちろん維持していかなきゃなりませんけれども、それを維持していく中で、さらに譲渡が進むようにさまざまな努力をしていくんだ、こういう意思表示があったから、わかりました、それでは一緒になってやりましょうというのが我々の判断の基礎にあるわけでありますから、そこが、もし今大臣のおっしゃっているように、そうでないというんだったら、これは基本が全部崩れるわけであります。

 もう一回確認させていただきますけれども、いろいろな前提条件はわかりました。しかし、その前提条件の中で、もう一度、これからの二年間、いろいろな経緯、経過を踏まえて、より譲渡が促進できるような努力を最大限行っていく、そういう覚悟でやっていく、これを明言いただけますか。

長妻国務大臣 ですから、先ほども大村委員に答えたのはそういう趣旨でありまして、一つ一つ、地元の自治体、地元の住民のお話などを再度聞いて、そういう努力を先ほど申し上げた二つの前提の中でしていくということであります。

 ただ、そのときに、これは前の政権も、通知がありますけれども、ほかのリゾート施設と同じ形で売るということはだめです、そういう住民の御理解、地方自治体の御理解、あるいは売却先も指定がされて、地域医療を守るという担保がないとだめだというようなことが前の政権でも言われておりますので、当然、それは注意をしながらその努力をしていくということであります。

加藤(勝)委員 大臣、それは当たり前のことでありまして、それを前提に議論をさせていただいているということでありますから、今、そのと言っていたから明確じゃありませんが、譲渡をしっかり行っていく努力を最大限していただく、こういうふうにまずお聞きをさせていただきました。

 その上で、これから二年間あるわけでありますけれども、どういう努力をされていくのか。それについてのいろいろな具体的な、例えば、譲渡しやすい環境というんでしょうかね、仕組みをつくるとか、そして個々の案件についてどう取り組んできたか、こういった点について、国会に対して定期的に御報告をいただきたいと思いますが、していただけますか。

長妻国務大臣 これも先ほど御答弁申し上げましたけれども、もしこの議員立法が成立をいただければ、その後速やかに、病院がある場所の自治体、地域住民の方に再度細かくヒアリングをして、この病院を仮に売却するとしたらどういう手段があるのか、あるいは、どういうことを前提にすれば地元、地方自治体のコンセンサスが得られるのかなどなどについて、我々としても、もう一回きちっとヒアリングをしていきたい。

 つまり、要は、病院が譲渡されたことで地域医療崩壊なんということにならないように、地域医療をきちっと守るような体制が、必要最小限のものが確保できればそれは売却ということになるわけでありまして、前政権でもそういうことを言われているわけでありますので、そのことについて、これはお求めがあれば、あるいは御指示いただければ、我々としても資料を、この委員会か、あるいは委員個人か、どういう形かということは御指示いただければと思いますが、お出しをするということはもちろんいたします。

加藤(勝)委員 大臣のお約束をいただいたというふうに認識をさせていただきます。

 続きまして、子ども手当について少し御質問させていただきたいと思います。

 予算委員会でもいろいろ議論がありました。そうした重複はちょっと省かせていただきますけれども、まず一点として御確認をさせていただきたいのは、この満額支給については見直しをしている、見直しをする、こういうことで認識をさせていただきたいというふうに思いますけれども、そういう認識で構わないんですか。

長妻国務大臣 これについては、平成二十二年度については、昨年夏のマニフェストで、月額一万三千円を中学三年卒業までのお子さんすべてに支給をするということで、これは今実施をしている最中であります。そして来年については、昨年夏のマニフェストでは、全額現金で一カ月二万六千円支給をするというのが昨年のマニフェストでございました。

 これについて、私も、菅内閣での厚生労働大臣就任の記者会見でも、全額現金は難しいというようなことをその就任会見で申し上げました。そして、参議院のマニフェストでは、一万三千円を上乗せをしていく。ただ、上乗せの中身は現金か現物支給か、これについては今後の検討課題とする、平成二十三年度の予算編成の中で決定をしていく、こういうことを申し上げたところであります。

加藤(勝)委員 従前の大臣の答弁は、満額支給します、そして加えて、いわゆる現物給付の一つである例えば保育所の充実を別途図っていきます、こういう御答弁でありましたから、これは予算委員会でもさんざんされていましたけれども、明らかにそこは変わってきている。これを前提にお話をしていただかないと、我々も認識もはっきりできないし、国民の方々も、一体どういうことになるのかと不安はむしろ高まるのではないか、こう思うわけであります。

 そういう中で、ことしの三月、この厚生労働委員会に鳩山前総理がおいでになって、田村委員に対して、いつごろまでにはっきりするのか。そのときに、たしか、六月ごろまでには中期財政フレームを出します、そういう中でこの子ども手当の姿もはっきりしていくでしょう、こういうお話があったんですけれども、そのときも、大臣はもちろん厚生労働大臣でおられたわけであります。しかし、残念ながら、中期財政フレーム等は出てきましたけれども、この子ども手当の姿については、我々、具体的に何も見えることがなかった。

 これから、八月末が多分予算要求の締め切りだと思いますけれども、それまでには一つの形としてお出しになるつもりですか。

長妻国務大臣 一万三千円上乗せをする、この部分について、参議院のマニフェストではいろいろ例示もしてありますけれども、現金、現物、現物といえば、ではどの現物なのかということについて、概算要求に間に合わせる、政府の中で協議をして、そして財政当局あるいは各方面の御理解もいただいて、八月末ということですべて詳細なものを出せるかというと、今の段階ではそれはなかなか難しいのではないかと感じているところでありまして、一定の概要を八月末にお示しして、本当の詳細の部分部分、これに幾ら、これに具体的にどのようなものというものについては、平成二十三年度の予算編成、年末にかけての予算編成になってくるというふうに考えております。

加藤(勝)委員 私どもとしては、参議院選挙のマニフェストで、全面的な見直しをしますということを掲げさせていただきました。

 そして、この子ども手当、いずれにしてもことしで一回切れるわけでありますね。そしてまた二十三年度は新しい法律がどうしても必要になってくる、子ども手当としてやろうとすれば。したがって、前回の国会のように、その支給時期がどうのこうのというのではなくて、既にいろいろ議論しているわけでありますから、これはぜひ前広にお示しをいただきたいと思います。そうでなくて、ぎりぎりにお出しになられて、いやいや、四月から支給しなければ、正確に言えば六月からですね、支給をしなければいけないからということを言われても、これは我々としては到底対応し得ない、このことをまずこの時点で強く申し上げておきたいと思います。

 それから、仮に一万三千円のままになれば、いわゆる扶養控除の廃止に伴って、例えば三歳未満のお子さんを持って児童手当を受けておられた、こういう世帯はほとんどが負担増、一人っ子の場合は負担増になるわけであります。そういった問題は一体どうするのか。

 あるいは、大臣は先ほど、一万三千円からの上積み部分だけの話を、地域の実情にゆだねる等々、マニフェストにも書いてありますけれども、例えば児童手当のように所得制限をつけて、約一割の方々を対象から外せば、それだけで幾ら出ますか。二千五百、七百億ぐらいの規模は出てくるんですね。安心こども基金というのはちょうど二千七百億でした。そして、今の保育サービスの関係でいえば四千億弱の規模でありますから、毎年それに匹敵する金額がそうした措置をするだけでも出てくる。我々は、そういうことをすべきだということを主張していたことを指摘させていただきたいと思います。

 それから、大臣がおっしゃっておられた、子ども手当の議論のときに大変問題になりました、在日外国人の在外児童への子ども手当の支給状況、これを調査する、こういうふうに大臣がおっしゃっておられました。

 私ども自民党の方で調査を若干させていただきました。都道府県全体でありましたけれども、在外の子供さんについて、継続扱い分については七つの自治体を除いて七千二百四十六人、新規申請分については十の自治体を除いて五百人、トータル七千七百四十六人。しかし、お答えいただいた自治体の中には、すべての市町村が網羅されているわけではないというお答えもありました。それらを計算すると、六月支給分だけで二億円、二十二年度支給分全体でいえば、当然、五倍ですから十億円、こういう数字になるわけでありますけれども、大臣の方での調査、これはいつまでにどうされて、どう発表されるのか、お示しをいただきたいと思います。

長妻国務大臣 今の御指摘の国外に居住する子供の支給状況の把握でございますけれども、これは七月の二十七日に調査票を出させてもらいました。といいますのは、この六月の支給ということで、これは実際に支給をしたという、申請というよりも支給をしたというような形も含め、申請状況を正確に把握したいということでございまして、自治体とも御相談いたしまして、八月の二十七日を締め切りとさせていただいておりますので、九月中、九月でもできるだけ早い時期にお示しをしたいと思っておりますが、九月末日までに公表をさせていただきたいと考えております。

加藤(勝)委員 ぜひその報告、取りまとめ次第御報告をいただきたいと思います。

 時間もなくなりまして、最後に一問というか一点について、前雇用均等・児童家庭局長の人事についてお聞きをさせていただきたいと思います。

 新聞等では、これは降格人事だと指摘をされております。しかし、大臣は記者会見において、降格ではない、一定の範囲内の適材適所人事だ、こういうふうに記者会見で説明されたとマスコミの報道には出ておりました。

 今回の独立行政法人、この前局長が出向されるところでありますけれども、ポジションは総括研究員ということで、理事より下のポジションであります。それで、理事の方の年収をお聞きしますと大体一千四百万でありますから、理事より下のポジションということになれば大体一千二百万円程度、こういうことになろうと思います。他方、本省の局長は大体一千七百万円程度の年収があります。他方、課長クラスは一千二百万です。したがって、年収だけ比較すれば、明らかに局長クラスから課長クラスに降格した。

 ただし、人事院の降格というのはあくまでも役人の世界ですから、今回役人の外に出ますから、確かに形式的には降格とは言えないと思いますけれども、しかし、これは実質的な降格ではないかと私は思います。

 降格をしてはいかぬとかいいとかいう議論をするつもりはありません。しかし、実質的に降格を行っているのであれば、それは降格をしたということを明らかにし、そして、なぜそうしたのかということを説明することがまさに政治主導であり、また、今やろうとしている公務員制度改革の流れになるのではないかと私は思うわけであります。

 にもかかわらず、いや、それは降格人事じゃないんだ、こうやってごまかすこと自体が、むしろそうした説明責任を放棄することになると思いますけれども、大臣、これは実質的な降格人事じゃないんですか。そして、その理由は何なんですか。お示しいただきたいと思います。

長妻国務大臣 これは、もう今お名前も挙げていただいて、個別の人事が、具体的にどういう理由でこの方がこのポストからこちらに移ったのか、詳細を平場で一つ一つ申し上げるということについては、恐らく前政権も含めて、民間の企業も含めて、なかなかそれは難しいのではないかというふうに考えております。

 そして、私も降格でないと申し上げましたのは、これは国家公務員法上に規定もございまして、降格規定というのがございますが、その降格という意味には当たらないというふうに申し上げたわけであります。

 そして、一般論として申し上げれば、厚生労働省は昨年の十月に人事の評価基準を変えまして、三つがあります。

 無駄削減。今までは、天下り団体は要らないのに、それを維持するお役人がこれは頑張ったということで評価を受けていたのが、必要のない天下り団体はなくす、ポストはなくしていく、そういう方が評価を受けるコスト意識が一つ。もう一つは業務改善ということで、今までは制度をつくったらつくりっ放し、こういうような、国会で指摘をされてもなかなかそれの改善がならないということもありましたけれども、それをでき得る限り改善する。三番目が情報公開。五十年前に、消えた年金問題、紙台帳がおかしいという資料が厚生労働省の中にありました。こういうことをずっとほっかむりをしていくということが公務員道だというような価値観がこれまであるとすれば、それを変えて、不祥事でも都合の悪いことでもみずから公表していく。

 こういう主な観点を出させていただいて、そして人事も、我々政務三役含め行ったということであります。

 先ほど来、いろいろ省の中のことについても質問がございましたけれども、それらについてもできる限りオープンにしていくと同時に、私も厚生労働省の職員の方の代表でもある立場でありますが、と同時に、国民の皆様から送り込まれた、厚生労働省をきちっと指導してこい、これまでの無駄遣いや天下り、これら信用が地に落ちた、消えた年金問題もそうです、それを立て直してこいというふうに送り込まれた立場でもあると思いますので、なかなか職員の方と相反することもありましょうが、ただ、その代表でありますから、職員の方の意識もきちっと変えて、国民の皆さんの負託にこたえるように、職員の方に意思疎通もきちっとしていくということについては、これからも努力をしていきたいと考えております。

加藤(勝)委員 最後に一言。済みませんけれども、今の質問は、私は全然そういう質問はしておりません。私がお聞きしたのは、先ほど一人一人の降格の話はできないとおっしゃいましたけれども、我々の時代にこういうような人事というのは多分ないと思います。そして、これから公務員制度改革を通じて降格という制度を設けていくとすれば、それは個人の話だとしても、なぜそうしたかという説明責任は人事権者である大臣にあるんですよ。あなたがきちんと説明しなきゃいけない。それを逃げる。そういうスタンスだから、さっきのアンケート調査みたいな話になるんですよ。

 これは、大臣、本当に人事権者というのは非常に重い責任を持っております。こういう人事をしたのであれば、それだけのことをしっかりと説明していただきたい。

 先ほど、無駄削減の話がありました。確かに、子ども手当をやったからばらまきだと。もしそれがそうなら、責任をとるべきなのは、大臣、あなたじゃないんですか。このことを指摘させていただいて、終わらせていただきます。

鉢呂委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 初めに、全国五十二の社会保険病院また十の厚生年金病院を運営する独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構、RFOについてお伺いをしてまいります。

 さきの通常国会におきまして、来年四月に新設予定でありました地域医療機能推進機構に社会保険また厚生年金病院を移管する、公的病院として存続をさせるという法案が提出をされ、審議をされ、衆議院を通過いたしました。公明党では、既に独自の運営委託先を持っており、現在の病院の機能、体制を維持したまま機構へ移行するということが困難になっておりました例えば東京北社会保険病院など、地域医療に重要な役割を担っておりますこうした各地の社会保険病院が存続できるよう、修正案も提案をしたところでございます。

 特に、この北区にあります東京北社会保険病院、私も現地に太田前代表とともに参りましたけれども、北区のみならず、板橋区、それから出産に関しましては埼玉県までカバーをしている。地域医療の非常に重要な役割を担っている病院でございます。

 その結果、各党の賛同も得て、この東京北社会保険病院等の四病院など厚労大臣が定める病院につきましては、同機構からの委託を受けて従来の委託先のもとで病院が存続できるよう改められました修正案が衆議院では可決をした経緯がございます。

 しかし、御存じのように、突然の首相交代ということ、それから、参議院では委員会の開催が中止をされまして、採決をめぐり紛糾したということでありまして、結局、最終的には参議院では本会議が開かれないままに国会を閉会したという前代未聞の事態が起きました。その結果、関係者が一日も早い成立を望んでおりましたこの法案が、たなざらしにされたまま廃案となってしまったわけであります。

 現在運営をしている独立行政法人は九月末には解散をしてしまう、新たな受け皿組織の設立を決めなければ病院の運営母体がなくなりかねない、そういう事態となってまいりました。こうした先行きの不安から医師や看護師がやめてしまう、こういう混乱を起こす懸念もあるわけです。

 閣法が廃案となった時点、その後選挙に突入をしたわけなんですが、公明党としても非常にこうした事態を憂慮いたしまして、しびれを切らしてと申しますか、自民党国対にも御相談をし、また民主党にもこちらから御相談、提案をするという形で、今回、RFOを二年間延長するという議員立法の提出となったわけであります。

 ただし、これはあくまでも緊急避難的な法案であります。RFOを二年延命させても、暫定的な運営主体であることに変わりはないわけです。職員がさらに流出しかねない、モチベーションもさらにもっと下がっていってしまうという懸念がございます。安定した公的病院として存続をさせるとの政府方針は担保されたとはこれだけでは言えない、現状を放置するだけにすぎないという見方もございます。

 報道によりますと、さきの法案が廃案になったときに、長妻大臣は各病院に対しまして、臨時国会に法案を再度提出して速やかに成立を図る、地域住民に安心してもらえるよう、また医療の現場に不安や混乱が生じないよう最大限に努力をするという文書を送られたそうであります。

 この短期間の臨時国会が決まってから、これはあくまでも短期間ですので、閣法を提出するのは無理だという御判断、先ほども答弁にございました。秋の本格的な国会に関しましても、ではいつスタートするのか、そういう中でどういう枠組みで議論ができるのか、さまざま不透明な要素がたくさんあります。

 こうした中で、閣法が廃案になった時点で、まず本来であれば政府・与党が、この後どうしていくのか、それに対して汗をかき、動いていくのが筋ではないか、私はそのように思っております。無責任ではないかと思っております。

 私の住んでおります神奈川にも、川崎社会保険病院等がございます。早急なる社会保険病院、厚生年金病院等の公的存続法案の成立を求める陳情書、これも私のもとに届いております。関係者がみんな求めておりますのは、公的施設として明確な存続法案の成立であります。

 そこで大臣、今後、政府・与党として、社会保険病院、厚生年金病院の公的存続を明確にする法案を、二年間先延ばしするのではなくて、私たちも提案をいたしました修正案も入れた形で閣法を速やかに提出すべき、このように考えますけれども、御決意はいかがでしょうか。

長妻国務大臣 まず、今回の件で本当に全国の社会保険病院、厚生年金病院で働いておられる方々が御不安を持つということがあってはならないわけでありまして、先ほども御答弁申し上げましたけれども、いずれにしても、売却努力をするにしても、地域医療の機能は維持をする、これを前提としてそういう売却努力、そして地域医療の機能はきちっと維持をした上で地元の方、地方自治体、この方々も納得する、こういう前提があるということで、何かそれをもう全部なくしてしまう、土地を、更地を売却するとかそういう発想はもちろん全くないわけであります。そこを誤解なきようにまずきちっと伝えていくということが一点。

 その後、今後そういう病院の機能が、日々地域に貢献する病院として、どういう形態であれそれは続いていくわけでありますので、その中身がさらに改善できないのか、あるいはそれぞれの病院の有機的なネットワークというものがさらに強化できないのか、あるいはいわゆるガバナンス、その病院のきちっとした一体的運営がなされているのかどうかということについては検証をしていくということで、そして我々は検討をして、必要性があれば何らかの法案なり枠組みを考えていくということになると思います。

古屋(範)委員 大臣、何度も地域医療を守るということをおっしゃっておりますけれども、ぜひ、重要な地域の医療を守るためにも、こうした通常国会に提出をされた閣法、修正案も含めまして、早急な提出、成立に向けて最大限努力をされていくよう、このことを再度要望しておきたいというふうに思っております。

 きょうは、次に医療制度について質問してまいります。

 報道によりますと、高齢者の医療制度につきましては中間取りまとめの案が出たとも伺っております。こうした高齢者の医療制度は非常に大きな問題でもあり、この議論はまた次の機会にしてまいりたいと思っております。きょうは、高額療養費制度の見直しについてお伺いをしてまいります。

 がんあるいは難病、重い慢性疾患の患者また家族にとりまして、高額療養費制度は、医療費負担が少しでも和らぐということ、セーフティーネットとして非常に重要な役割を果たしております。医学の進歩とともに医療費の自己負担というものは非常に伸びております。こうした現在の高額療養費制度を使いやすくしようと改定をするたびに、逆に複雑化をしているという側面があります。使い勝手が悪くなっているとの指摘もございます。

 この制度の問題につきましては、私たちも参議院選挙の重要政策課題に掲げて戦ってまいりました。これまでの予算委員会でも山口代表あるいは井上幹事長も取り上げておりますし、本委員会においても坂口元大臣から何度か提案があった問題であります。私も、たくさんの家族また患者御本人からも、長期にわたる医療費の支払いが大変だという相談を伺っております。医療費の負担に耐え切れない患者、家族、よくない言葉かもしれませんが、お金の切れ目が命の切れ目、こうなりかねない、そうした悲鳴が伝わってまいります。高額療養費制度を、経済的負担から治療をあきらめる患者たちを救うための制度にしていただきたいとの要望もございます。

 先日、日本リザルツ、これは飢餓とか貧困に対して取り組んでいる団体でありますけれども、結核対策も非常に熱心に取り組んでいる団体、白須紀子さんという事務局長の御紹介で、若い女性にお会いをいたしました。日本は結核の中蔓延国と言われていて、年間二万人以上が新規の結核を発病しているということなんですが、この女性は、二〇〇六年五月から半年間の結核による入院生活をした。

 完治はしていらっしゃるんですけれども、その後、さまざまな体の不調があって幾つもの診療科にかからなければいけない、そのために、診療科ごとの医療費というのは高額療養費の上限額にはぎりぎり届かないんだけれども、総合すると相当な医療費の支払いになってしまう、仕事もなかなかできない、両親の老後の蓄えをすべて使い果たしてしまった、自分がこうした病気でいること自体非常に心苦しい、そういうふうにおっしゃっていました。就職もしたいし結婚もしたいんだけれども、結局は経済的な負担を相手にかけてしまうかもしれないということで、非常に涙ぐみながら制度の拡充を訴えていらっしゃいました。

 高額療養費の診療科ごとの算定方式につきまして、政令改正をされて、ことし四月以降、病院単位で診療報酬明細書を作成する取り扱いとなることから、高額療養費の算定についても今度は病院単位で行うことになったということで、これは一つの前進であると思っております。しかし、病院が別であれば別計算になるという問題が残されております。まず、この政令改正について御説明をいただきたいと思っております。

 また、高額療養費制度それ自体も知らないという方々も多くいらっしゃいます。ということで、今回の高額療養費の算定が病院単位となったことについても患者に周知されなければ意味がないということになってしまいます。この算定方法の変更を国民に知らせていく方法、これについてもお伺いしたいと思います。

足立大臣政務官 私も、海外で暮らしたことのある人たちからよく言われることですが、日本の国民皆保険制度はすばらしい、その中でも高額療養費制度というのはやはり極めてすぐれているということをよく言われます。しかし、今委員がおっしゃるように、なかなか認知度が高くなっていないという問題もございます。

 そんな中で、この四月から政令の改正があった事柄についてまずは申し上げます。

 これは、旧総合病院といいますが、百床以上の収容施設を持って、内科、外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科等を有している、もう少し条件がありますけれども、そういったところが診療科ごとにレセプトをまとめていたという実態です。それを病院単位にするということで、これで、入院施設を持つ医科のところはほぼ全部、病院単位で見るということになったわけでございます。

 しかし、このことがなかなか知られていないということも今御指摘があったとおりでございますけれども、この政令改正は、この内容を各保険者、そして都道府県、地方厚生局に周知しております。

 高額療養費制度そのものについてもまたわかりにくいという指摘も今ございました。これは私は、やはり保険者機能の一つの重要な要素に、この高額療養費制度をしっかり周知するということも入っていると思いますので、一義的には、保険者から被保険者に対して申請手続とかあるいは情報提供をしっかりやるということが大事だと思います。

 厚生労働省としましても、七月二十三日に、ホームページに高額療養費制度に関する手引というものを掲載させていただきまして、さらに国民の皆さんがよりわかりやすくなるようにしていきたい、そのように思っております。

古屋(範)委員 保険者等、周知徹底をしているということでございますけれども、これは朝日新聞五月十八日付の記事でございますけれども、やはり高額療養費制度は非常に複雑であるという記事であります。

 この中にも、関東に住むCMLの男性患者なんですが、九年前からグリベックを飲んでいるそうなんですけれども、三カ月に一回、二十万円の治療費を払っている、しかし、高額療養費制度のことは一昨年、患者団体の会報で初めて知ったということでありまして、この家族からも、親類から二百五十万円の借金をしたこともある、どうして病院で何も教えてくれなかったのかという記事が載っております。

 ですので、ぜひもう少し積極的な周知徹底、今、がん患者も非常に多いことでもあります。高額の治療を受けていらっしゃる方が非常に多い中でもありますので、政府としても厚労省としても、もう一歩積極的な周知徹底を行っていただきたい、このように思っております。

 次に、自己負担限度額の引き下げについてお伺いをしてまいります。

 公明党は、高額療養費の自己負担限度額の引き下げを強く訴えてまいりました。がん対策、また難病対策、私も今取り組んでおりまして、こうした患者の方々の大変さ、治療の大変さ、やはりそれもありますけれども、経済的負担、生活の困難さ、これは本当に厳しいものがあります。特に治療費におきまして、慢性疾患の患者の方々もそうなんですが、高額療養費の毎月約八万円の限度額を生涯ずっと払わなければいけない、こういう方々がいらっしゃるわけなんです。

 ここで問題なのは、年収二百万くらいの、低所得者よりも少し多い所得層で、これが一般所得の区分に入ってしまうということであります。この点については、一月の予算委員会でも公明党の井上幹事長から、また坂口元大臣からも指摘があった点であります。

 公明党では、医療費の窓口負担が一定額を超えた場合に払い戻される高額療養費制度を見直し、七十歳未満の年間所得が三百万円以下世帯、住民税非課税世帯を除く、この負担上限額を現行の月額約八万円から月額約四万円に引き下げる、このことを掲げております。

 景気の低迷で、やはり年収二百万あるいは三百万の人たちがふえております。限度額がきついという人も多いはずなんです。こうした低所得者の区分を少しでも超えてしまう方々、これが一般区分となってしまうわけです。そうなりますと、自己負担限度額が二倍以上にはね上がってしまうというわけなんです。この負担を軽くするため、一般区分をもう少し細分化して、所得の低い方の負担限度額を引き下げるよう求めてきたわけであります。

 この点につきましては、社会保障審議会の中で議論が始まっているというふうに承知をしております。速やかにその具体案を取りまとめて、早急に実現をしていただきたいと思いますけれども、この議論、どのような状況なのか、お伺いいたします。

足立大臣政務官 社会保障審議会の医療保険部会、これはまだ七月十四日が第一回目でございます。どの程度進んだかということに対しては、まだ一回ですのでなかなか申し上げにくいんですが、これはもう委員、また坂口委員を初め公明党の諸先生方も何度も質問されたことでもございますし、まさに七月十四日にスタートしたのは、高額療養費制度のその負担の部分をどうするかということと、出産育児一時金、今年度いっぱいで終わってしまう制度をどうしていくかということを主に話し合っていただくために設けたことでございます。

 そんな中で、どんな議論があったかということは、その審議会の中で申し上げたのは、通常国会で質問や要望のあった事項、後で議員がさらに御質問されると思いますから、そのこと以外のことを申し上げますと、患者負担の実情を踏まえて自己負担限度額を引き下げてほしいということ、その場合の財政影響を示してほしい、あるいは、自助自律の考えを阻害しないように議論する必要があるというような意見が出されておりました。

 まさにおっしゃるように、住民税非課税世帯と高額な上位所得者の間が余りに広過ぎるということはおっしゃるとおりでございますので、まさにこのことを二十二年度中に議論するという方針で臨んでおります。

古屋(範)委員 第一回目が開かれたということでございますけれども、その中でも出たかと思いますけれども、外来における現物給付についてお伺いをしてまいります。

 通院治療の場合、高額療養費制度を使っても、還付されるまでの三カ月程度、高額な立てかえというものが非常に負担が大きいわけです。患者にとって非常に大きな負担となっております。がん治療でも、入院治療よりも、今さまざま治療方法も進歩して、外来治療がふえております。特に高額な抗がん剤治療、外来が多く、立てかえ総額が百万に上るケースもあると伺っております。こうしたがんあるいは慢性疾患の治療は終わりなく、三カ月待つことなく、超過分を支払わなくてよい制度があれば、患者、家族がどんなに安心して治療を受けられるかということであります。

 この通院の医療についても、入院と同様に立てかえなしで済む方策がないかどうか、これについて大臣にお伺いしたいと思います。

長妻国務大臣 これは先ほど足立政務官からも、高額療養費は世界的に見ても非常にすぐれた制度だという話がありましたが、やはり何点か御指摘をいただいた論点の一つが今のお話でございます。

 入院の場合などは、これは立てかえないでも済むわけでありますが、特に窓口、外来の場合は、一たん立てかえていただいて、その後お金をお戻しするということで、これについても、事務の問題も含めいろいろな障害があるわけでありますが、これも同じように、先月の十四日から社会保障審議会、これは患者さんも入っておりますし、医療関係者もおられますし、保険者もおられるということで、その皆さんで、この現物給付化についても見直しの中の一つの論点として今議論を始めているところでございますので、これについても一定の期間、議論をしていきたいと思います。

古屋(範)委員 もう時間が残り少ないので、二問まとめてお伺いをいたします。

 七十歳未満では、二万一千円を超えないと世帯で合算できないという制度になっております。この二万一千円という制限をぜひ撤廃していただきたい。なぜ二万一千円なのかというふうにも思いますし、そのことをお伺いしたいというふうに思っております。これが一点です。

 それから、最後になりますけれども、高額療養費の高額長期疾病、これにつきまして、対象となる疾患が現在三疾患となっております。経済的負担によって治療を中断せざるを得ないという患者を生まないために、長期にわたって継続して治療を続ける患者へ医療負担の軽減策の一つとして、高額療養費における高額長期疾病、特定疾病の特例の対象を三疾病から広げていくべきである、このように考えております。

 この二点について、大臣のお考えをお伺いいたします。

長妻国務大臣 これも、七十歳未満に限ると、自己負担が一カ月二万一千円以上のレセプトでないと、御家族がいる場合、合算できないということがあります。もう一点は、高額長期疾病ということで、今は確かに三疾病しかございません。

 これについて、両方についてお答えをいたしますけれども、双方ともなかなか直ちに実行するというのは非常に難しいというふうに感じております。ただ、中長期的な課題として今後検討課題とさせていただきたいというような答弁にとどめさせていただければと思っております。

古屋(範)委員 医療が高度化することによってふえてくるこういった医療費の負担、こういうものに対しまして、高額療養費制度が国民にとって使いやすい制度となるよう、ぜひ前向きな御議論をこれからも進めていただきたいと思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

鉢呂委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 まず、独立行政法人地域医療推進機構法案、前国会で衆議院を通過しながら時間切れで廃案になったということは、本当に残念でたまりません。先ほど来議論がされているわけですけれども、九月三十日で根拠がなくなる。これは一刻の猶予もできません。

 私は、RFOそのものが受け皿にならない、そもそも性格が違うものだということはもう当然わかり切った問題でありまして、これは延長法案そのもの、この後話題になるわけですけれども、そのもの自体を本当はよいのだろうかということは思っております。ただ、時間切れになって病院の根拠がなくなってしまったら本当にどうなってしまうのかというその思い一点で、万が一のための保険であり担保だという立場で賛成をしようと思っているわけです。ですから、二年延長したら二年待てる時間がある、そう思うわけにはいかないわけです。

 政府として、本体である機構法案を一日も早く出し直し、成立させるべきと思いますが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 これも先ほども御答弁申し上げましたけれども、このRFO法、今、延長の議員立法を出していただいているわけでありますけれども、これが成立いたした後、それでもうすべてが直ちに売却ということになるわけではありませんので、その病院がその後も地域医療をきちっと担っていただくということで、さらに改善ができる部分は改善をしていただくし、連携を強化していただく部分はしていただくなどなど、それら病院についても機能強化を日々図っていくというのは我々の職責でもあるというふうに考えております。

 そういうその後の運営の中で、我々としては、検討をして、必要があれば、今おっしゃっていただいたようなそういう法案を提出していくということになると思います。

高橋(千)委員 ちょっと待ってください。私はこれ一問だけで終わるつもりだったんですけれども、必要があればということは、そうじゃない場合もあるということですか。これは重大な答弁ですけれども。

長妻国務大臣 今のお話でございますけれども、結局、RFOの法案であっても、その病院は歴然として必要性があるし、それは続いていくわけでありまして、仮に売却するにしても、病院機能はそのまま維持して売却をするということであります。しかし、その売却前においても、その病院は、何かRFOの枠組みだとその後その病院のサービスはそのままに据え置きという発想ではもちろんありませんで、サービス向上、地域医療に貢献するように日々業務を見直していく、そしてネットワーク化も促進をしていく、こういうことは我々の職責として取り組んでいくということであります。

 ただ、それをしている中でこの法案というものがその二年より前に必要だということになりますれば、我々は必要性に応じてそれを検討していくということであります。

高橋(千)委員 きょうはここは要望にとどめますけれども、RFOがやはりもともと整理、売却を目的とした機構であったということ、それを一定の条件をつけてここまで引っ張ってきたのは、自公政権の責任もあるわけです。そういう中で、もう解散目前だと思っていたところにもう二年頑張ってよと言っても、どれだけの仕事ができるのかというのは実態としてあるわけなんですよ。

 ですから、一刻も早くちゃんとした機構法案が欲しいのだというのが現地の声であり、本当に住民の皆さんの声だ。だからこそ前回の国会で可決するところまで持ってくることができたんですから、やはり、そのことを忘れないで、新しい法案を一刻も早く出していただきたいということを強く要望しておきたいと思います。

 次に、きょうは、高齢者医療制度改革会議の中間取りまとめ案が七月二十三日に発表されましたので、そのことを質問したいと思います。

 大変複雑な制度でありまして、なかなか説明しがたいものでありますけれども、資料を一枚配りました。一言で言いますと、後期高齢者千二百万人を市町村国保に戻すのだ。しかし、財源について、つまり医療給付など、そうしたものは県一本という今の制度を残すということ。そして、二百万人と言われている現役サラリーマンとその被扶養者は被用者保険に戻す。こういうことが骨格として言われていると思います。

 それで、一言で答えていただきたいと思うんですが、大臣は後期高齢者医療制度を廃止すると言ってきたわけですが、この新制度、どういう名前にするつもりですか。

長妻国務大臣 まだこれは何か確定的なものを決めているわけではありませんけれども、ただ、今おっしゃっていただいたように、一千四百万人、七十五歳以上の後期高齢者医療制度の方が、一千二百万人は国保、二百万人は被用者保険に戻るというか入るわけでありますので、特に名前をつける必要がないということも我々は考えております。

高橋(千)委員 予想外の答えでありました。特に名前をつける必要がないとおっしゃった。よく、イクメン、カジメン、あるいはかるたなど、さまざまなキャッチフレーズですとかわかりやすい言葉を工夫されている大臣ですから、何かひねりにひねったものが出てくるのかなと思っておりましたけれども、逆に言うと、これはやはり廃止に値しないということなんだろうと。一般紙の中にも、これは廃止ではなくて修正ではないかという指摘がありますけれども、そのことを吐露したことにほかならないのだろうと思うんです。

 後期高齢者医療制度の最大のポイントは、高齢者を別枠にして医療費抑制を図ろうというものでありました。その骨格が残っているという点が最大の問題なんです。

 改革会議で長妻大臣は、もはや失敗は許されないと述べたと聞いております。しかし、会議の参加者自身が中間取りまとめについて、今の年齢区分と変わらないから反対だ、あるいは、新制度の骨格としては期待外れだ、高齢者から説明を求められても説明できないという意見が相次ぎました。岩見隆夫氏は、今の制度に利点があったというところからこの中間取りまとめが入っている、この会議の姿勢が問われる、そこまで厳しい指摘をしているのです。これに対して何も答えていない、国民の理解を得る前に改革会議の皆さんの理解を得ていないというのが実態ではないでしょうか。

 さて、具体論に入ります。

 国保なので、後期高齢者も若い人も保険証は同じです。ですから、家族が同じ保険証で世帯主が払うということになりまして、見かけはもとに戻ったように見えます。しかし、おじいちゃんやおばあちゃんの分だけ保険料の計算方法が違うというわけであります。

 まず一問目は、収納や保健指導は市町村がやるけれども、財政、医療費給付は後期高齢者だけ別枠で県一本だといいます。その県一本というのは、今の広域連合がやるのでしょうか。

足立大臣政務官 今の御質問に対してストレートにお答えしますと、委員もおっしゃっているように、中間取りまとめ案でありまして、この案が取れるのは八月の終わり、それまでに公聴会や意識調査をやる。最終取りまとめは十二月を考えております。

 ですから、今、広域連合かあるいは都道府県かという指摘だと思いますが、これは両論併記の形で、まさにこれから年内に向けて議論をしていただくという形になっております。現時点では決まっておりません。

高橋(千)委員 決まっていないということでありました。十二月までに決められるとはとても思えません。きのうの福岡の公聴会でも、公聴会といいながらほとんど意見を聞いてくれなかった、一方的な説明ばかりだったということが既に出されております。

 では次に、広域連合もしくはこれにかわる県単位の運営主体、今決まっていないとおっしゃった、いずれにしても県単位であることは間違いない。それで、市町村に後期高齢者分の医療給付に見合う納付金を請求することになると思います。つまり、これは保険料のかわりですけれども、市町村はこれによって後期高齢者分の保険料を決めることになりますけれども、当然、収納率は一〇〇%ではないために、どのようになるのでしょうか。実際の収入より市町村の持ち出しがふえるのですか。市町村の事務的、財政的負担が大きくなると思いますが、いかがでしょうか。

足立大臣政務官 この仕組みといたしましては、今回、中間取りまとめで書かれているのは都道府県単位ですから、同じ都道府県であれば保険料は同じであるというふうに原則として書いてある。これはやはり都道府県単位で標準的な保険料率を算定する必要があると思います。

 次に、市町村がどういうふうにかかわっているかということになりますが、収納状況によって、これは収納率が極めて低い場合は、その市町村の保険料率はやはり多少上がらざるを得ないような事態になるんだと思っております。逆に言うと、収納率が非常に高ければ、その市町村の保険料率は標準的なものから若干下がっていくような形、つまり、収納努力によってそこにインセンティブが働くというような形になるんだろうと思います。

 ですから、都道府県で一つのという考え方でございますけれども、標準的な保険料率を算定する、そして市町村が実際その収納状況を勘案して、市町村で保険料率が最終的に決まっていくという形になるんだと思います。

高橋(千)委員 今、上がらざるを得ないということをまず確認いたしました。

 それで、インセンティブというお言葉を述べたわけですけれども、しかし、これは市町村が自分たちで集めて自分たちで運営をしているのではなくて、県一本で、これこれを納付しなさいと言われて、それに見合わなかったら保険料を上げなきゃいけないと。これは大変なことになるわけですよ。収納という本当に困難な仕事を市町村に押しつけておきながら、自分たちは、まあ自分たちといってもそれはだれかまだ決まっていないんですけれども、とにかく納めろという形で、インセンティブを置くからいいじゃないかと。それは、その責任のなさが後期高齢者のときも大問題になった、それがさらに強まるということになるのではないかと指摘をしておかなければならないんです。

 続けていきますけれども、入り口は市町村国保で一緒なんですね、現役世代も後期高齢者も一つの保険証なわけです。だけれども、後期高齢者の財政は今言ったように別枠という、混在した状態が起きる。ですから、これはあくまで経過措置であって、いずれは全年齢を対象とした都道府県国保ということが提案をされていると思います。前国会で成立をした医療保険法、広域化等方針がその環境づくりになるというふうに思うわけですけれども、そうすると、都道府県一本の国保ということに対しては、市長会や知事会でもさまざまな意見が分かれているわけです。そういう中で、一本化というのは簡単ではないだろうと。例えば保険料一つ見ても簡単ではないと思います。

 そうすると、この経過措置、今その混在した状態から県一本になる経過措置は、間の時間、何年くらい考えておりますか。

足立大臣政務官 何年ぐらいを考えているかという質問でございますけれども、その前に、中間取りまとめの中で書かれているのは、全年齢を対象に都道府県単位の財政運営ということに至る二つの方法があるであろう。それは、全国一斉に行う場合と、できるところからやっていく、これについて結論を年内に得たい、検討していただくということになっているわけです。

 なぜそうなっているかと申しますと、委員御案内のように、市町村国保は、その保険料の算定の中で、所得割あるいは均等割、世帯割、資産割と、四方式というものから二方式というもの、市町村によってばらばらである、これを一遍に調整するというのはかなり難しいのではなかろうかということになってくるわけです。このことも年内にしっかり結論を出すということになっておりますので、何年までにということについては、今の議論の中間まとめの性質上、今申し上げたように、何年というふうに正確に答えることがなかなか難しい問題だと思います。

高橋(千)委員 下手すれば十年かかるわということを担当課からも聞いております。そういうことを、これはもうその間はもたないだろうということを言わなければならない。

 今おっしゃったのは、全国一斉の場合と、できるところからという場合と、二通りありますとおっしゃいました。

 それで、資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、まず大きい方は、七月十六日の静岡市内でやった国保課長の講演であります。今回の高齢者医療制度改革は市町村国保の広域化を進めるための大きなチャンスだ、みすみす逃すべきではない、年末に発車するバスに乗りおくれると当分そのバスは来ないだろうという例えをしておりますが、一体何でそこまでチャンスだと思っているのかしらと思うわけですね。

 この資料の中には、一斉にやる場合と二通り書いてあります。

 大阪がいち早く手を挙げました。何を言いたいかというと、大阪は、府内の市町村すべて均一の保険料にしたい、そのために、市町村が出している繰り入れを一切廃止するべきではないか、こういう提案をしたということが、この右下に小さな囲みで書いているわけであります。

 これは、なぜチャンスと言っているかというときに、やはり市町村にしてみれば、赤字の繰り入れ、一般財政からの繰り入れは、もうこれ以上は大変だ、なくしたいという気持ちは確かにあるんだと思うんです。だからこそ市町村からは一本化、一本化という声が上がっている。

 でも、本当に県一本にしたら財政は好転するんでしょうか。収納率引き上げのための県単位のペナルティー、つまり市町村同士で、あなたのところはだめだよと競わせる。あるいは、県が持っているペナルティー、調整交付金の問題もございます。かつて足立政務官に質問しました。こうした形で医療費抑制を競わせることにならないか。それができない前に繰り入れをやめようということになれば、本当に大変な自治体が、市町村がいきなり負担がふえるとか、住民の保険料がふえるとか、さまざまなことを起こらせるわけです。

 一本になったら好転するということは簡単には言えない。そういう危険性をはらんでいると思いますが、いかがですか。

足立大臣政務官 後期高齢者医療制度の中で、広域連合という形をとることによって、市町村での保険料の差が五倍程度から二倍以内におさまった。そしてまた、市町村国保についても、これは広域化を図らなければなかなか財政的にやっていけないであろうということの合意はほぼあるのであろうと私は思います。

 この改革会議の中でも、先ほどの質問になるかもしれませんが、都道府県単位でいくべきだというのがかなり多数でございます。それに対して、知事会等、異論を唱える団体もありますけれども、今その知事さんたちに一つずつ御意見を伺ったところでは、もう十を超える知事さん方が、これは都道府県単位で、都道府県でやるべきだというような意向も示されておりますので、この点については必ずしも都道府県で一つが有利になるとは限らないではないかという議論、これは市町村によって上がるところも下がるところも出てくるという意味合いかもしれませんが、少なくとも市町村という単位よりも都道府県の単位の方が負担の平等性ということについては高まる、そのように考えております。

高橋(千)委員 時間が来ましたので、要望にいたしますけれども、やはりそういう議論の根っこにあるのは、国保の財政が余りにも不安定だからとても市町村だけではできないということや、国保になだれ込んできたら受けられないとか、そういうことがあるんだと思うんですね。

 ですから、私たちが老健に戻せと言っているその大前提にあるのは、やはり国保が安定した財政でなければならないということなんです。ですから、国の支出を国保に対してもっとふやしてまず安定させる、それで保険料をもっと引き下げる、そのための努力をするべきだと思います。

 その点では、改革会議の議論の中でも、それを中間取りまとめに明確に書いてほしいという議論が随分ありましたよね。残念ながら、今回、あいまいな表現に終わりましたけれども。

 そこは本当にやらなければどんな議論も進まないだろうということを指摘して、また次の機会に譲りたいと思います。

 終わります。

鉢呂委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 きょうは、いわゆるRFO、この機構の二年延長の法案を審議するわけですが、本来であれば、さきの国会で地域医療機能推進機構法案ができて、そして、各関連する病院や働く皆さん、地域の皆さんが安心して自分たちの日々の診療に取り組める状態が来ることを何より願っておりました。

 しかし、不幸なことに、そうしたことにならず、とりあえずの暫定的な受け皿ということで、私自身としてはこの二年延長の議員立法に賛同をいたしますけれども、それにしても、私はきょうの質疑を聞きながら、一体、政治の意思、特にこの内閣の意思はどこにあるんだろうということが改めて見えなくなっております。

 実は、きょうは予算委員会もございまして、菅総理に低炭素社会に向けてかじを切るために政府は何をするかをお尋ねしたのですが、これにおいても同じような傾向が見られました。

 いろいろな御意見があって、必ずしも衆参で多数をとっていないためにできないこともある、そういう状況、いわゆるねじれ国会ではありますが、私は、今一番いけないことは、国民に対して政治は何をやりたいと思っているのか、内閣はどうしたいと思っているのかが見えないことであろうかと思います。特に、こうした病院等々の存続に当たって内閣の意思が見えない。それは、先ほど来、長妻大臣は、病院としてはそこで地域医療を担うんですよということを繰り返しおっしゃいましたが、大臣に伺います。

 さきの国会で、先ほど私が申しました地域医療機能推進機構法案の提案理由説明のところには、「地域医療に貢献しつつ安定的な運営が行えるよう存続を図る」と、ここには二つの目的があったわけです。「地域医療に貢献しつつ安定的な運営」、大臣はこの「安定的な運営」とは何だと思われますか。

長妻国務大臣 やはり、安定的運営ということでありますと、これは地域医療を永続的に担うんだというようなことを自治体あるいは地域住民の方々がお感じになる、何よりも中で働いておられる医療関係者あるいは入院されている患者さんがそういうふうにお感じになり、日々業務改善あるいは医療技術、サービスの向上に努めていくということだと思います。

 その意味では、我々も、売却するにしても、その前提で売却をするということを先ほども申し上げたところであります。

阿部委員 やはりそれが、大臣は医療の実態を御存じないんだと思いますね。

 足立政務官に伺います。病院を安定的に運営するために何が一番必要でしょうか。お願いします。

足立大臣政務官 私なりに今考えておりますが、やはり将来にわたって存続が約束されている事態であること、特に不採算部門を扱う分野にとってはしっかり支援が約束されていること等が、これは例えば、特別養護老人ホームを民間に開放あるいは株式会社にという話もありましたが、事業の安定性と継続性ということにかかわってくる、それが安定した経営につながっていくんだろう、例を挙げて申しわけないんですが、そう思います。

阿部委員 今、足立政務官からは、例えば、社会保険関連病院は老人保健施設もやっておられたり看護学校も持っておられたり、ある意味では、医療に必要なさまざまな側面、あるいは厚生年金病院であればリハビリのための保養施設を持っておられたり、そういうものが総合的に運営されるということで地域医療機能を推進させるということで前回の閣法があったんだと思います。

 私が安定とは何かと問われれば、やはり、これはどこの病院も今そうですが、人材が流出しないことなんです。医師がいて、看護師がいて、コメディカルがいて、その大事な大事な人材がぼろぼろぼろぼろ歯が抜けたようにやめていかれる、これが一番、病院が赤字になる原因でもあります。

 その意味で、私は、前のRFOは、いつ、どこに経営母体が変わるか、方針が変わるかわからない中で、医療者として一生懸命やっていけといっても無理だと思います。大事なスタッフを確保するために、ある永続性なり、全体の経営形態が見えたり、運営形態の方向性がわかるということが必要なんだと思います。

 そして、例えば、社会保険関連の病院ではいち早く何に取り組んだかと申しますと、看護師さんの研修、これはことしからほかの病院でも努力義務になりましたが、看護師さんの研修を逆に先んじて、新人をきちんといろいろな各科ローテート方式にして、看護師さんたちがここで研修したらここに定着できるというような方向をとりながら、少しずつ少しずつ、時代が看護師不足であるのに努力し、そしてそのことは、ちょうど昨年、民主党が政権交代されて、ああこれでこの病院が存続していけるという、そのことを担保にして、さらに前に進んでいるんです。

 さっき大臣は、これから地域に聞いてみてから考えるとおっしゃいましたが、それは余りにも生き物としての病院を御存じない。

 そして、そうやってでも、もし今、地域に仕事と病院がなければ、その地域がつぶれるんです。これは、この選挙のときにも各地に行って本当に思いました。きょうは予算委員会では、仕事がないという話を菅総理に伺いました、どうやって仕事を起こすか。もう一つは、医療の受け皿がない。病院がなければ、地域に住めなくなっていくんです。

 ですから、先ほど来、何人かの方が、では大臣、このRFOを二年延長する、その間にも方針は示さないんですかと。私は、それは余りにも無責任だし、逆に言うと、それは時々の選挙は数で変わります。しかし、自分たちの信じた信念を一生懸命語って、語って、語って、そのことがメッセージになって、また病院の皆さんにも頑張ってもらえるようなことくらいはやっていただかないと、やはり余りにも悲し過ぎます。それは、政治によって病院が翻弄されているからです。

 私は、きょうのこの質疑、自分の質問時間はわずか十分ですけれども、そして大臣の答えは求めませんけれども、医療現場にいた者として、そして、この審議をかたずをのんで見ている地域の皆さん、病院の職員の皆さんにとっても、大臣が困難な立場にいるのはみんなわかっているんです。でも、それこそ鳩山さんではありませんが、思いも述べていただきたい。どんなふうにしたいのか。それまで失っちゃったら、政治とは何なのか、何のために政権におられるのか、私はわからなくなると思います。失礼かもしれませんが、きょうの審議を聞いての私の感想です。

 そして、次の質問に移らせていただきます。

 きょうは、実は、朝のNHKニュースで、七月十七日に改正臓器移植法がスタートいたしまして一例目になるかもしれない子供からの臓器提供が、虐待の疑いがあるかもしれない、否定できないということで、臓器提供が見送りにされたという報道がございました。

 まあ親御さんが判断するわけですが、現在、厚生労働省では、どのような条件が整った病院からのドナーとなることを可としているのでしょうか、この点についてお願いいたします。

長妻国務大臣 NHKなどの報道があったということでございますけれども、これについてどういう状況なのかというのは、本日の十七時、もう十七時を過ぎましたけれども、日本臓器移植ネットワークのコーディネート部長あるいは広報部長から厚生労働省の記者クラブ関係者に対して事実関係のお話をするというふうに聞いておりまして、我々も一定程度は把握しておりますけれども、そこで詳細が公表されると思っております。

 そして、今の御質問でございますけれども、これは今、十五歳未満のお子さんからの脳死での臓器提供施設といたしましては、四つございまして、高度な救急医療に対応できること、適正な脳死判定を行う体制がある、施設内で臓器提供に関する合意が得られている、そして最後が虐待児童への院内体制が構築されていること、これらの要件を満たすというようなことでございます。

阿部委員 四番目は院内に虐待防止委員会等が設置されているということだと思いますが、きょう私は予算委員会でも質問させていただきましたが、今、虐待は、毎年百人以上の子供がそれで亡くなり、それの受け皿体制は、大臣もきのう記者会見されておっしゃっていましたが、医療の場面だけでなくても、必ずしも十分ではありません。これは厚生労働省として、内閣として、もっともっと、虐待の未然防止から、虐待された親御さんのケア、アフターフォロー、そして何よりもその被害に遭った子供たちのために何が必要か、再度この事件をきっかけにお考えをいただきたいと思います。

 質問を終わらせていただきます。

鉢呂委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 質問に先立ちまして、後ほど採決が行われる独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法の一部を改正する法案について、我が党としての意見を申し述べておきたいと思います。

 今回の法案は、ことし九月で廃止となる予定だった独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構、RFOの存続期間を二年延長するものであります。このまま廃止をされれば、全国五十二の社会保険病院、十の厚生年金病院、保有主体がなくなり、宙に浮いてしまうことから、いわば苦肉の策として提案をされたのが今回の法案ということになります。

 通常国会で提出をされた独立行政法人地域医療機能推進機構法案では、RFO廃止後の社会保険病院、厚生年金病院の受け皿として、新たに独立行政法人をつくって移管をするという計画でしたけれども、参議院段階で審議未了、廃案ということになっています。その後に行われた参議院選挙の結果を踏まえ、この地域医療機能推進機構法案の成立の見通しが立たなくなったことから、当面、RFOの存続期間を単純に二年間延長するということになった状況だと思います。

 しかし、これで果たしていいんでしょうか。もともとRFOは、五年間の時限的な組織として、社会保険庁等から現物出資を受けたすべての施設について、この五年間で売却、譲渡等の結論を出すことが前提でありました。しかしながら、この間に譲渡が決まった病院は社会保険浜松病院ただ一つで、ほとんどすべての病院がこの先の引き受け手を見つけられないまま期間が経過をしてしまったということになっている。こういう状況の中でRFOの存続を単純に二年延長しても、それはいわば問題の先送りにすぎないのではないかというのが私たちの考えであります。

 私たちは、社会保険病院及び厚生年金病院は、地域医療の機能が重要だというならば、財源とセットで地方に移管をするというのが筋であると考えております。さきの通常国会における独立行政法人地域医療機能推進機構法案の審議の際にもそのように申し上げ、長妻大臣からも、地方や民間で引き受けていただくのがRFOの精神だ、こういう御答弁をいただきました。それならば地方移管等の方向性を明確に出すべきだということを申し上げましたけれども、長妻大臣は、そのような交渉を拒むものではないということをおっしゃるだけで、積極的に財源とセットで地方移管の方向性を出していくという姿勢は見られることがありませんでした。

 しかるに、今回提案をされているRFOの二年間単純延長案というのも、社会保険病院や厚生年金病院の今後の方向性や先の見通しについて何ら示さず、単に現状のままをあと二年続けるというものになっています。これでは結局、二年後には今とほとんど変わらない、いや、個々の病院を見ればむしろ現状より劣化してしまっているかもしれない、こういう状況の中で改めて病院の先行きを考えなければいけない、こういう状況に二年後陥ってしまうことは明らかではないかと思います。地域医療の重要性は認識をしておりますけれども、しかし、それは先の見通しなしにずるずると現状維持を続けていくことを正当化するものではありません。そして、先の見通しがなければ、問題となっている医師や看護師の人材流出もとまることはないと思います。

 RFOを存続させるとしても、期間をもっと短く切るべきです。そして、期限ぎりぎりまで放置する事態が繰り返されないよう、先の見通しを一刻も早く明らかにする仕組みの法定が必要と考えます。例えば、RFOの存続期間を一年限りとして、その間、できる限り早期に計画を策定するなどして、各病院の今後の方向性について、地方移管なら地方移管、民間譲渡なら民間譲渡と、期限を切って明確に示していくことが必要であると思っております。このような先の見通しを早期に示すという視点を欠いたまま、ただ単に病院の保有主体である独立行政法人RFOを二年延命するだけの今回の法案は、単なる問題の先送りとのそしりを免れません。

 したがって、委員長提案の法案でありますけれども、後ほど反対をさせていただくということをあらかじめ申し上げておきたいと思います。

 そして、質問に入ります。

 ちょっと質問項目を飛ばさざるを得なくなってしまいましたが、自殺、うつ病対策の関連で一つお尋ねを申し上げたいと思います。

 現在、厚生労働省で、自殺・うつ病対策プロジェクトチームの会合が開かれております。七月二十七日にもこのヒアリングが開かれて、長妻大臣も御出席をされたというふうに聞いております。ここで議論のテーマになったのが、精神科や心療内科で処方される向精神薬の多剤大量服用が自殺を引き起こす要因になっているのではないか、こういう状況をどうするかということに関してだったというふうに聞いております。

 この問題については、私もかねてからかかわってまいりました。今委員各位に配付をさせていただいた資料を見ると、驚くべき現状がここから見てとれます。

 これは不審死の行政解剖を行っている東京都監察医務院の監察医、水上創医師の論文でありますけれども、表を見ていただきたいと思います。衝撃的な数字です。自殺という事例の中、三百十七例ありますけれども、実はこの自殺という事例の中をたどっていただくと、中毒物質という一覧の中で、バルビツレート類というところからその他及び詳細不明の向精神薬、ずらずらっと並んでいる、これは全部、禁止薬物とかではなくて、精神科で処方されている向精神薬を服用してのケースであります。実に三百十七例中二百八十九例までがこうした向精神薬を服用した上で自殺を図られた、こういうケースだとこの水上医師の論文の表は示しているわけであります。また、この論文中では、この向精神薬を多剤併用して、相互作用等の要因が自殺を引き起こした可能性が高いということが指摘をされています。

 ことし六月、厚生労働省で、向精神薬の処方に関する注意喚起をしておられますけれども、精神科医療の現場では、こうした形で複数の向精神薬を医師向け添付文書の適量を超えて大量に処方する、いわゆる多剤大量処方がまかり通ってしまっている現状がある。諸外国では、今や単剤処方が主流で、日本のように、多剤大量処方が精神科において広く行われることは異常とも言われております。

 そして、向精神薬の過剰服用等によって家族を自殺等で亡くされた方々でつくる市民団体の皆さんからは、例えば、こうした精神科、心療内科による向精神薬の多剤大量処方をこれから先防いでいくために、審査機関におけるレセプト審査の段階で多剤大量処方をチェックする仕組みをもっともっと強化するべきではないか、こういう要望書が厚生労働省あてに提出をされているとも聞いております。

 七月二十七日に行われましたこのプロジェクトチームの会合でも、長妻大臣から、発表をされた医師の方にいろいろなお尋ねの場面もあったというように聞いております。

 問題意識をお持ちであられるということを感じ取って、それを踏まえて大臣にお尋ねをしたいんですけれども、こういう形で、精神科あるいは心療内科で処方をされている薬剤を服用することによって、結果として、薬物依存やあるいは自殺に至るケースがこれだけ多く報告をされている。こうしたことを厚生労働省として、今のプロジェクトチームの議論を踏まえて、どのように防いでいく取り組みを進めていかれるか、ぜひこれは大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。

長妻国務大臣 私も柿澤委員と同じ問題意識を非常に強く持っておりまして、今の論文とは別に、まさに今おっしゃっていただいた自殺・うつ病対策プロジェクトチーム、厚生労働省で開いておりますが、七月二十七日に、国立精神・神経医療研究センターの松本室長の発表を私も直接聞いて、お尋ねもしましたけれども、その中では、自殺者七十六人の方のうち、精神、心療内科の受診歴があった方で、かつ、自殺時に治療目的で処方された向精神薬を医師の指示より多く過剰摂取したというのが、自殺された七十六人のうち二十二例あったというような発表もございました。

 これは、かねてより薬漬けという問題が精神疾患、例えばうつ病等の治療で言われているところでありますので、我々としては、ことしの四月一日から、まず、認知行動療法という、薬を使わないでうつを治す療法、コンサルティング的な要素を使うわけでありますけれども、対話によって改善をしていく、これについて初めて四月一日に診療報酬をつけさせていただきましたけれども、まだまだそれはお医者様が治療をしたものに限るものでありますので、今後、そういう薬によらない療法、あるいはアウトリーチなど、御自宅にお邪魔をしてきめ細やかにチームでそういう方々のケアをするなどなど、対策を今取りまとめて、実行できるものについては速やかに実行していくということ。

 今、御紹介いただきましたが、六月二十四日には、全国の医療機関等に向精神薬の処方に関する注意喚起をしてくださいというお願いも強力にさせていただいたところでありますので、この問題については今後とも取り組んでいきたいと思います。

柿澤委員 厚生労働省として自殺対策を今進めている中で、こういう問題がある。そして、私は、やはりレセプト段階でのチェックというのをもっともっときかせることによってこういう多剤大量処方が防げるのではないかというふうに考えております。こうしたことをおっしゃる方もたくさんいらっしゃる。実際、レセプトの写しを拝見させていただきましたけれども、かなりの内容のものが結果として審査をそのままスルーで通ってしまっている、こういう現状を切々と訴えられました。こういう視点もぜひ持っていただきたい。

 今回、質問の時間もなかなか十分とれませんで、内容に踏み込むことができませんけれども、また機会をつくって、こうしたお尋ねをしてまいりたいというふうに思っております。ぜひこれからも取り組みを強化していただきますように最後にお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

鉢呂委員長 この際、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等において御協議願っておりましたが、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得た次第であります。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 本案は、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の存続期間を二年間延長し、平成二十四年九月三十日までとしようとするものであります。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鉢呂委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております草案を独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法の一部を改正する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鉢呂委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る六日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時七分散会


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