衆議院

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第6号 平成23年3月29日(火曜日)

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平成二十三年三月二十九日(火曜日)

    午後三時二分開議

 出席委員

   委員長 牧  義夫君

   理事 郡  和子君 理事 中根 康浩君

   理事 藤田 一枝君 理事 柚木 道義君

   理事 渡辺  周君 理事 加藤 勝信君

   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君

      青木  愛君    石毛えい子君

      稲富 修二君    大西 健介君

      岡本 充功君    工藤 仁美君

      小宮山洋子君    斉藤  進君

      田中美絵子君    竹田 光明君

      玉木 朝子君    中野渡詔子君

      長尾  敬君    仁木 博文君

      初鹿 明博君    樋口 俊一君

      平山 泰朗君    福田衣里子君

      三宅 雪子君    宮崎 岳志君

      山口 和之君    山崎 摩耶君

      吉田 統彦君    あべ 俊子君

      鴨下 一郎君    北村 茂男君

      菅原 一秀君    高木  毅君

      棚橋 泰文君    谷畑  孝君

      西村 康稔君    松浪 健太君

      松本  純君    坂口  力君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   議員           城島 光力君

   議員           渡辺  周君

   議員           西村智奈美君

   議員           山井 和則君

   議員           郡  和子君

   議員           柚木 道義君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           清水美智夫君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  外口  崇君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十九日

 辞任         補欠選任

  石森 久嗣君     中野渡詔子君

  長勢 甚遠君     高木  毅君

  西村 康稔君     北村 茂男君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  中野渡詔子君     石森 久嗣君

  北村 茂男君     西村 康稔君

  高木  毅君     長勢 甚遠君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

三月二十八日

 国民生活等の混乱を回避するための平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案(城島光力君外六名提出、衆法第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国民生活等の混乱を回避するための平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案(城島光力君外六名提出、衆法第三号)


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     ――――◇―――――

牧委員長 これより会議を開きます。

 城島光力君外六名提出、国民生活等の混乱を回避するための平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。柚木道義君。

    ―――――――――――――

 国民生活等の混乱を回避するための平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柚木議員 ただいま議題となりました国民生活等の混乱を回避するための平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律に基づく子ども手当の支給は、平成二十三年三月で終わることになっております。

 このため、これにより生ずる国民生活等の混乱を回避するために、同法の子ども手当について、暫定的に平成二十三年九月まで支給することとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 まず、平成二十二年度子ども手当支給法の子ども手当について、平成二十三年九月まで支給することとしております。

 また、この法律の施行期日は、平成二十三年四月一日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

牧委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

牧委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省職業安定局長森山寛君、社会・援護局長清水美智夫君、保険局長外口崇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。

田村(憲)委員 自由民主党の田村でございます。

 まず、本日の委員会の持ち方について、委員長に一言申し上げたいと思います。

 先ほど、理事会で、委員長職権で採決というようなことをお決めになられました。今、趣旨説明をなされて、そして質疑をして、しかも採決と。そもそもこれは、議運でも採決でおろしたような異常な法案でございます。それをこのような形で、しかも委員長職権で採決をお決めになられた。冒頭、一言抗議を申し上げたいと思います。

 さて、大変な災害、震災でございます。そのような意味では、東北地方の方々、また関東の方々、被災を受けられた方々には本当に心からお見舞いを申し上げたいと思いますし、また、お亡くなりになられた方々には御冥福をお祈り申し上げたいというふうに思います。

 今、本当に真剣にあの地域を何とか復興しようと、大変な生活の中で御苦労をされておられる皆様方、本当にエールを送って、我々、できることすべてを尽くして、復興に向かってお手伝いをしてまいりたい、こんなふうに思っておるわけでありますが、そんな中で、まずは、きょうはつなぎ法という話でありますが、この震災関係の質問を幾つかさせていただきたいというふうに思います。

 医療の現場も、もう現地は大混乱でございます。なかなか薬が届かないでありますとか、入院患者に対して十分な食料が届かない、水が届かない、こういうような問題がずっと続いてきておりましたが、政府の方も御努力をいただいて、徐々にではありますけれども、物も届き出した。まだ届いていないところもたくさんありますが、何とか届き出した。そして、いろいろな医療機関も動き出してきておるという話もお聞きいたしております。

 そこで、実は、今回の災害は、自治体機能そのものを失うような、そんな災害であるわけでありまして、そういう地域はたくさんございます。ということは、あわせて、保険者、例えば国民健康保険の保険者、国保の保険者でありますとか介護の保険者も、事実上機能不全、もう機能自体がなくなっている、こういうようなところが結構あるんですね。日々の医療というものは提供できる、介護というものは提供できる、しかし一方で、保険者から収入が入ってこないということになれば、これは運営ができなくなってくる。今までとはちょっと違う状況の災害であります。

 いろいろと今政府の方で、この医療でありますとか介護に対しましては、本人の負担部分、一部負担部分を免除しようということをお決めになられたり、保険料等々に対しましてもいろいろな御配慮をいただいておるわけでありますが、そもそも、医療機関、介護機関の収入が断たれると、これ以上サービスは提供できないという話になってくるわけでありまして、そのような保険者機能が完全に麻痺してしまっている、そういう保険者のかわりに、私は、国が何らかの手当てをして、医療、介護機関等と収入を確保していかなければならぬというふうに思っておるんですが、大臣、これに関して早急に手をお打ちいただけますか。

細川国務大臣 医療機関に対する診療報酬の支払いが滞ることのないよう、今回の震災で被災し、審査支払機関に費用を支払うことができなくなったような市町村等につきましては、当面、審査支払機関が金融機関から資金を借り入れるなどして立てかえ払いをするということを今鋭意検討させていただいております。

 今後とも、被災地の状況を注視しながら、住民や医療機関の立場に立って柔軟に対応してまいりたい、このように考えております。

田村(憲)委員 なかなか保険者は立ち上がらないという話になると思うんですよ、これだけの災害ですと。場合によっては、国が代行するということも考えて、この診療報酬の支払いをしていくということもお考えをいただかなきゃならぬなと思いますが、その点はいかがですか。

細川国務大臣 当面は、先ほど申し上げましたように、審査支払機関に費用を支払うことができなくなったような市町村、これについては当面、審査支払機関が金融機関から資金を借り入れるなどして立てかえ払いをする、こういうことで検討を鋭意やっておりまして、これを検討する過程でまた委員のような御指摘もありましたら、それも検討もしてまいりたいというふうに思います。

田村(憲)委員 大変重要なところであると思いますので、御検討をお願いいたしたいと思います。

 続きまして、本当に痛ましい話で、御遺体が今もたくさん野ざらしになっておるというお話をお聞きいたします。本当に尊厳を持って御遺体の取り扱いをしていかなければならないわけでありますが、実は、この御遺体の件に関しまして、当然、検案をやらなければならないという話で、現地から、検案をするときに検案料を取られたというような話が幾つか入ってまいってきております。数万円の検案料を取られたということであります。

 では、なぜ取られたのかなというふうにいろいろとこちらの方で調べてみますと、そもそも、災害救助法において、二十三条の十号に「救助の種類」として「政令で定めるもの」と書いてあります。そして、この政令の方の八条の一号に「死体の捜索及び処理」というふうになっております。

 さらに申し上げれば、その処理の中身は災害救助基準というものに書かれておりまして、ここで「死体の処理」のところに「検案」と。検案というのは「救護班以外は慣行料金」と書いてあるんですね。つまり、救護班の検案は、言うなれば無料、これの適用になりますから。それが、以外というのはどういうことかというと、救護班の方々では十分に間に合わない場合には、地元のお医者さんがこれをやるという話であります。

 そこで、では、実際どう運用されているのかというのを調べてみますと、厚生労働省の中で、災害救助の運用実務というものをおつくりになられております。平成八年ですかね。

 この中の三百六十九ページに、「国庫負担の対象となる費用の限度」というところ、「ウ」でありますけれども、「検案に要する費用は、通常は救護班の活動として行われるので、特別に費用を必要としないと思われるが、救護班によらない場合も全くないわけではないので、かかる場合は当該地域の慣行料金の額以内を、実費の弁償費として支払うものとする。」と書いてあるんです。すると、これは、災害救助法の中で適用されるので検案料は要らないというふうに読めるんですが、一方で、その手前に、実はこういうことが書いてあるんです。

 三百六十七ページなんですが、「処理の内容」、「検案」というところの「(イ)」でありますけれども、「検案は、死体の処理として行う場合は、救護班によって行うことを原則としている。しかし、死体の数が著しく多い場合とか、救護班が医療、助産等を行っていて検案を行うことができないような場合は、一般開業の医師によることができる。但し検案書の作成については、救護班によろうと一般開業医によろうと本制度の対象として行うことは認められない。」つまり、災害救助法の対象にならないというんです。「すなわち、検案書は届出の書類として遺族関係者の必要に応じて作成すべきもので、死体の処理として行う場合の必要不可欠の事項ではないからである。」こう書いてあるんです。

 ところが、埋葬をするためには、検案書がなければできないんですね。身元の不明な方はできますけれども、身元のわかった方は検案書がないとできないんです。つまり、ここで必要不可欠ではないと書いてあるんですが、事実上は必要不可欠なんですね。なぜ現場で数万円取られたという事案があるかというと、本来ならば、検案は救助法の適用ですから払わなくていいんですが、しかし、検案書作成代というふうな話になると、これの対象にならないから、だからそこで支払いが生じる、こういう話になってくるんだろうと思うんです。

 私は、ここに書いてあります、検案書はこの救助法の対象にならないということは合理性が認められないというふうに思っておりまして、なぜこんなことが書かれたのかがよくわからない。もし合理性がないというふうにお思いになられるならば、検案書の作成代も、ぜひともこの法律の対象にしていただきたい。以前は合理性があったけれども今は合理性が認められないという場合も、ぜひともこの対象にしていただきたい。

 現場は、何も持たずにお逃げになられた方々がたくさんおられるんです。本当に悲痛な思いで御遺体と再会されて、そして、それを埋葬するのに、何もない中でお金を取られるなんという話が起こってきたらこれはもう大変でございますので、ぜひともそのようなことのないように、また一方で、もし今まで取られたという方々がおられたら、それも遡及してちゃんとこの対象として、そこは国の方がちゃんと費用を弁済していただけるように、そんなふうにお願いをいたしたいと思うんですが、大臣、いかがでしょう。

細川国務大臣 田村委員がおっしゃるように、通常、御遺体に対しては、検視をし、そして検案をするわけです。検視は警察の方がされ、そして検案についてはお医者さんが行うわけですね。そして、そのお医者さんは死体検案書というものを書き、その死体検案書を市町村に届け出て、埋葬許可証が出て、それで埋葬をする、こういう手順になっているわけなんですけれども、今回のような場合は、阪神・淡路の震災と同じように、埋葬許可証は要らない、こういう特例にさせていただいております。

 そこで、この死体検案書につきまして、これは委員が言われるように、私も、これを災害救助法の埋葬に必要なそういう手続としての死体検案書だ、こういうふうに考えるのが合理的じゃないか、こういうふうに思いますので、私としては、この際、これについては災害救助法の適用をする、こういうことにさせていただきましたので、そのように通知も周知もさせていただきます。

田村(憲)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 本当に今、悲痛な中で、頑張って生活を再建しよう、復興しようと思っておられる方々、一番身近な家族が亡くなられて一番大変なときにそのような問題が起こらないように、これも対処していただけるということで、そのようによろしくお願いをいたしたいというふうに思います。

 それでは次に、今、雇用の問題もこの震災の関係で大変な状況になってきております。家も失われた、もちろん家族も失われた大変な中で御苦労をされておられるんですが、一方で、各地域から、ではこちらで雇用をぜひともつくるからこちらへ来なさいというような話も出てきているんですね。もちろん住宅も含めてという話になってくるんだと思うんですけれども。

 そのときに、阪神・淡路大震災のときに特定求職者雇用開発助成金というものを利用して、この対象者に震災者を入れて、これは四十五歳以上だったかもわかりませんけれども、助成金を出してこれを後押ししよう、何とか手伝おうというようなことをやったわけでありますけれども、現状、このような声がいろいろと出てきている中で、今回のこの震災もこの制度の対象にぜひともしていただきたいというふうに我々は思っております。

 予算の方が多分、いよいよ成立するという話になってくるのでありましょう。そういうようなときに、今まで確かに対象に入っていませんでしたけれども、とりあえず予算でお金ができれば、後から補正で足らない部分は積み増していけばいいわけでありまして、なるべく早く、もう本当に予算ができ上がったらすぐに適用できるような状況で、震災をお受けになられた方々も対象に入れていただきたいというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。

細川国務大臣 今回の震災というのは未曾有の震災でありまして、職を失った方というのは、これはもう本当にたくさんの方がおられるということが想像できます。そういう意味では、委員が御指摘の特定求職者雇用開発助成金については、これが適用されるのは、通常、高齢者や障害者など就職が困難な方をこの助成金によって採用していく、こういうことでやっているわけなんですけれども、これは、今回の震災に対しまして、委員が言われました、阪神・淡路のときにも助成金を適用いたしまして、雇い主に対してのいろいろな助成金を支給したわけなんですけれども、委員が今言われましたように、今回の震災によっては本当にたくさんの方が離職を余儀なくされるわけでありますから、したがって、私といたしましても、阪神・淡路のときと同じように、議員の御提案も取り入れまして、現地のニーズに十分留意もしながら積極的に検討してまいりたい、このように考えております。

田村(憲)委員 そのときには、四十五歳という前回のを取っ払っていただいて、年齢制限なしによろしくお願いをいたしたいというふうに思います。

 雇用の問題、雇用調整助成金を弾力的に運用いただいて、この災害地域だけではなくて他の地域も含めて、このような状況でございますから、いろいろな材料、部品等々が手に入らない等々、いろいろな影響があると思います。そういうところにこの雇用調整助成金を適用できるようにというような、我々の要望をのんでいただいたような形で実行をいただいているということには大変我々も感謝をいたしておりますが、一方で、今、復興需要じゃないですが、いろいろな資材、物資が震災地の方に行っております。ところが一方で、他の地域、西日本などは、そのためにいろいろな材料が手に入らずに、実のところ、いろいろな企業が、今、仕事はあるんだけれどもそれを実行できないというような状況も起こってきております。

 これだけ東北で大変なときに、他の地域がまたこのような状況で失業問題が出てまいりますと、これは支える側の方までおかしくなっちゃうという話になってまいりますので、これはなかなか大臣お一人では難しい話なんですが、例えば住宅関係なら国土交通省でありますとか、他の分野なら経産省でありますとか、いろいろな分野の省庁と連携いただいて、他の地域の仕事もうまく回るように、場合によっては震災地のいろいろな復興のための仕事というものを他の地域にも回していただいて、日本、オール・ジャパンでそれを支えられるような、雇用を守れるような、そんな状況もおつくりをいただきたいと思いますので、そこはひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。これは御要望でございます。

 震災関係のことをずっとやらせていただいておりましたが、きょうは、このつなぎ法案の議論が本題でございます。そちらの方に、残された時間、質疑をさせていただきたいというふうに思いますが、大臣、二十三年度子ども手当法案、これは撤回されるつもりはないんですか。

 これは私、不思議で仕方がないんですけれども、これはよくよく考えると、今度民主党さんが出された法案、このつなぎ法というもの、これは半年間の、六カ月間の期限の法律ですね、時限立法。つなぎですから当たり前ですよね。ところが、二十三年度の子ども手当法案も時限立法なんですよ、一年間の。つまり、一年間の時限立法、これもある意味つなぎなんですよね。これをさらに短い半年でつないでしまうというような、わけのわからない構成になっているんです。しかも、期間が同じなんですよね。この四月一日から十月までは、両方ともが同じ期間、併用しているんです。

 ということは、本来ならば、大臣、これは政府・与党一体ですから、まず二十三年度子ども手当法案を撤回いただくところから始まらないと次の議論ができないと思うんですが、撤回いただけませんか。

小宮山副大臣 今回のつなぎ法案は、御承知のように、各党、二十三年度の子ども手当法案についてはいろいろな御意見があり、このような状況の中で今まだその意見がまとまらないという中で、四月以降、国民生活とか、あるいは、今ずっとお話があったように、被災地あるいはそこを支えるために市町村が大変御苦労いただいているときに混乱を呼ばないということで、緊急的にこのつなぎ法案が提出されたものと思っております。

 これが可決、成立したときには、今後、これは半年間でその後のことはまだわからないわけですので、そこについては各党からいろいろな御意見もいただいて、またその先のことを考えさせていただくということで、今すぐということにはまいりませんけれども、これが可決した暁には、しっかり皆様方と御議論いただけるような状況をつくっていきたいというふうに考えております。

田村(憲)委員 大臣にお答えいただきたいんですが、すると、二十三年度子ども手当法案はこだわらないということでいいんですね。今、副大臣は何か、これからいろいろと各党と話し合うから、そういう意味では、二十三年度子ども手当法、原案ですね、これにはこだわらないというふうに私は聞こえたんですが、こだわらないということでよろしゅうございますね。

細川国務大臣 この子ども手当法案、私どもといたしましては、この二十三年度の子ども手当法案、これは最善の法案だと思って提案をしたところでございます。しかし、残念ながら、この年度末までにはとても可決できるようなそんな状況ではありませんので、それで与党の方からいわゆるつなぎ法案が出てきた、こういうことでございます。

 私としましては、このつなぎ法案を可決していただいて、そのつなぎ法案が終われば、当然、その先どうするか、こういうことになるわけですから、その点については、これは各党いろいろ御意見もございますから、そこには真摯に耳を傾けて、子ども手当法案、委員の言葉で言わせれば、そういう意味では、あくまでも二十三年度の子ども手当法案にこだわるということはないということは申し上げたいと思います。

田村(憲)委員 いや、それなら撤回いただいて、つなぎ法案の後からできる法律というものをもう一回出し直していただければいいので、なぜこれを撤回されないのか、さっぱりわからないんですよ。本会議で撤回を言っていただけばいいわけでしょう。そんな難しい話じゃないと思うのに、これを撤回していただければ、我々も委員会審議にすんなりと、賛成するかどうかは別ですけれども、参加はできたんですよ。委員長が職権できょう採決を決める必要はなかったんです。これは、私は大臣の責任だと思いますよ、撤回していただかないのは。

 今度、提案者の方にお聞きしますけれども、これは四月一日からですよね、スタートが。ということは、子ども手当の四月一日からかぶっている部分は否定しているということになるんですが、子ども手当を認めていないということでいいんですか、その期間は。

渡辺(周)議員 この議論につきましては、我々、とにかく、政治情勢の中で、今回この二十三年度のそもそもの子ども手当法が通らないという上で、新たな制度をさまざまな党と、これはいろいろ御提案いただいております。恒久的な制度の構築に向けて幅広く意見を真摯に受けとめるという意味で、いいものをつくるということを前提に、我々はこれから皆さんとお話をさせていただきたいと思います。

 当面、さまざまな自治体の事務作業等に影響を及ぼさないように、当面の二十二年度の単純つなぎ法案という形で何とか御理解をいただいて通しながら、その間に新たな制度をつくる。そして閣法の方については、それは合意が、各党各会派とよりよいものをつくるということができるのであれば、政府の方でも適切に判断されるのではないかな、我々はそういうふうに考えております。

田村(憲)委員 どれだけ聞いても解せないんです。それはなぜかというと、政府が出された法律を、与党、それを支える与党が完全に否定をしちゃっているんですよ。

 国税、地方税の方、あれは要するに、政府提出法案を与党がかき消すような法律をつくりづらいだろうからということで、結果的には自民、公明がそのつなぎ法を出しているんです。これは理屈はわかりますよね。政府のもの、これを与党が否定はできないだろうから野党が否定したんだ、それに与党が乗ってきた、これはまだわかりますよ、まだ。

 この子ども手当のつなぎ法案は、政府が出したものを、同じ期間がかぶっているんですよ、それを与党が否定して出すなんということが、こんなことは私、日本の議院内閣制の政治の中においてあり得たら、もうこれは成り立たないんじゃないのかなと思うわけでありまして、さっぱり理解ができません。理解ができないからどう思うんだとお聞きしても、多分提案者の皆さんも、我々も理解ができないというふうに思われるんだろうと思います。至極政治的な、政局的な問題なんだろうと思いますから。

 いや、もし、きれいに今の私の質問にお答えできる自信があるのなら、挙手をいただいて、お答えいただいても結構でございますけれども、挙がりますか。

西村(智)議員 今ほど渡辺提出者がお答えになったこととまた重なるかもしれないんですけれども、政府の法案は政府の法案として、それは政府の立場から最善のものとして出されたものであると思っております。党の中でも、この政府の法案については、それは私たちが考える方向性と一致するというふうに思っておりました。そういう提言を党の側からも政府に対して出しており、そしてそれを踏まえる形で政府の方で立案していただいたものであるということが理由です。

 しかし、事この期に及んで、四月一日の施行期日までに法案成立のめどがなかなか立たない。これは各党からいろいろな御意見をいただいておりますし、私たちもそれに真摯に耳を傾けて、今後の子ども手当のあり方については時間をかけて議論してまいりたいというふうに考えております。しかし、さまざま事務作業などのことを考えると、どうしてもこれはつながなければいけないということで提案をさせていただいております。

田村(憲)委員 全然わからないので、それならば撤回していただければわかりやすいんです。撤回すればすべてがきれいになるんですよ。こちらを撤回しないのに出されるからわけがわからないので、そんなことは普通あり得ないんです。責任ある政府・与党は、そういうことはしません。やはりちょっとおかしいんじゃないのかな、これは私は憲政の常道を逸しておるというふうに思うんですが、まあ、いつまで議論をしても答えは出ないんでありましょうから次の質問に移りますけれども。

 昨年の子ども手当の議論の中で、外国人のお子さん、海外に住んでいる外国人のお子さんですね。お父さん、お母さんは日本で働いている。そこにも子ども手当が支払われる。この問題をどう認識されているんですか、こうお聞きしたら、やはりそれは問題がありますよねという話になった。一方で、児童養護施設には子ども手当が支払われない、安心こども基金から支払われる、これもやはり一律に子ども手当にした方がいいんじゃないんですか、こういうような、まあ、子ども手当を我々はよしとは言っておりませんでしたけれども、こういう話をしたら、それもそうですねと。

 それが二十三年度の子ども手当法案に生かされて、いろいろなものが入ってきた。給食費等々の天引きが、できるというのもちょっとおかしな話で、あれはさせなきゃいけないんだと思うんですけれども、保育料の天引き等々、これもできるようになった。一定の前進はあったんだと私は思うんですね。

 ところが、つなぎ法を見たら、それが入ってないんですよ。これは何でかなと。みずから過ちを改めておられるのに、つないだやつにそれを入れていないということは、結局は、例えば外国人の居住要件をつけていないわけですから、同じように、あなた方がよしと思っていないことがこれから半年間続くんですね。何でこれを入れなかったんですか。

柚木議員 失礼いたします。

 御指摘の点につきましては、いずれも国会でも議論があった問題でございますし、早急に改善することが望ましいと私たちも考えておりまして、したがいまして、政府提出の二十三年度法案には盛り込まれておったところでございます。

 ただ、制度の見直しにつきましては、例えばシステム改修等に相当な時間を要しますし、また、各種様式の変更あるいは関係機関との調整、さらには制度の周知などの、変更時の地方の事務負担が大きい。そして、もう一つ、ぜひこれは御理解をいただきたいのが、災害対策に注力されておられる被災地の自治体の事務負担等を考慮いたしまして今般のつなぎ法案には盛り込まなかったということでございますので、ぜひ御理解をいただければと思います。

 あと一点だけ。先ほど児童施設のお話がございましたが、後ほど御質問もあるかもしれませんが、これにつきましては、確かに、本来、子ども手当による支給を行う必要があると考えておりますが、これは二十二年度と同様、政府の方で、安心こども基金を活用して、子ども手当相当額が行き渡るように特別な支援を行う考えであると聞いております。

田村(憲)委員 いや、よくわからないんですけれども、二十三年度の子ども手当法案は四月一日からスタートで、それが通ることを前提であなた方はやってきたわけですよね。もし急に、きょう子ども手当やりましょうよ、我々は賛成に変わりましたと言ったらどうするつもりなんですか、二十三年度の法案やって。そんな、四月一日からスタートするのをわかっていて法案を出していて、つなぎ法は、そこは入れられないなんていう議論があるわけないですよね。

 被災地の方々のことを考えるなら、それこそ運用で、そこだけはうまくやればいいんです。その運用は、我々は賛成しますよ。変な運用をされるぐらいならば、そういうように被災地のことを考えてやる運用ならば、我々はそれは異論を出しませんよ。

 だから、言われていることがもうむちゃくちゃですね、今の話でも。だって、子ども手当は四月一日から二十三年度法案、これを目指して今まで動いてきたのに、つなぎ法案は同じところが変えられないというのなら、これは準備が何もできていなかったと。そもそも、二十三年度子ども手当法が通ったってですよ、ここの部分はそれがちゃんと動かなかったという話になっちゃうじゃないですか。私は、非常に苦しい今答弁だったなと。

 まあ、お気持ちはわかりますよ。いろいろなことがあって、こういうようなわけのわからないつなぎ法案を出さざるを得なかったという話だと思うので、提案者の方々をここで余り追及しても仕方がないのかなというふうには思いますけれども、納得がいきません。

 我々は、やはりこういうような大きな災害、震災があったときですから、子ども手当も凍結をする。そしてその上で、できる限りこの子ども手当に要するお金というものをやはり被災地の方の復興に回すべきだというふうに思っているんです。このつなぎ法で、二十三年度法と比べて幾ら財源を回せるんですか、復興の方に。

城島議員 お答えしたいと思いますが、今回の大震災で、やはりこれはもう本当に、国民こぞってこれに対して対応していかないかぬ大震災だと思います。ですから、今回のこの震災について、これは与野党も超えて、そして国民全体で心を一つにしてやっていくべきだ、負担も国民広く負担をしていくべきだというふうに思っております。

 そういう中で、御承知のように、子ども手当は、それまでの控除というのを、特に年少扶養控除を廃止して手当に変えたという仕組みの中で、児童手当にオンした形になっております。したがって、何かこの子ども手当だけがとりわけ別途の財源を使っているということではなくて、そういう大きな控除を廃止して手当にしたということでありますから、子育て世代に対してとりわけ負担を求めるということではなくて、広くやはり負担をしていくべきだと思います。

 そういう中でいうと、今回のものは半年ですから、約千百億円ぐらいになると思います。したがって、ここについては、我々のつなぎ法案の中でも、やはりそういった被災地に対しての負担も、さらには子育て支援、とりわけ被災地の皆さんにもかなり両親を亡くされたお子さんたちもいらっしゃいますから、そういったことも含めて対応していかないかぬなというふうに思っております。

 いずれにしても、このつなぎ法案の成立の後、与野党の中でこれは真剣に論議をして、合意点を見出していきたいというふうに思っているところではございます。

田村(憲)委員 短い時間で質問をさせていただいておりますので、お聞きをさせていただいたところだけお答えをいただければいいので、その前段、後半の方が長いというのはちょっと問題がありますよ、城島さん。

 今、一千百億円という話が出ました。児童手当は総額で約一兆円ですよ、我々がやっていたころ。それから年少扶養控除が、地方と国を合わせて大体一兆一千億円です。だから、二兆一千億円ぐらいですよ。今回、つなぎ法が大体二兆七千億かかるんですね、平年度ベースで。そうすると、それだけ見てもその差額は六千億ですよ、六千億、回そうと思えば。だから、一千億ぐらいという話じゃないんですよ、本来ならば。

 でも、あなた方は、なぜか知らねど、去年の子ども手当、これを固執した問題で、今、年少扶養控除やいろいろな話が出ましたよ。だけれども、それ以上のものをばらまいちゃったんだ。それは間違いないんだ。来年度の、二十三年度ならば二・九兆円ですから、さらに広がるわけですよ。

 ならば、児童手当と年少扶養控除のところまで最低戻して、その財源を、六、七千億を復興のために入れるべきじゃないですか、私はそう思うんですよ。

 我々はやはり、まず被災地にでき得る限り今はお金を、財源を回して、復興のために我々もいろいろ努力する。そして、そのためには国民の皆様方も一定の御協力をいただくというのが筋だと思いますが、もう質問時間が終了いたしました。

 何か、最後答えることがあればお聞きをいたしまして、私の質問を終了いたします。

牧委員長 城島君、簡潔にお願いします。

城島議員 我々は、先ほど申し上げましたように、トータルの財源もしっかりと、無駄の削減やあるいは公共事業の徹底した見直し等も含めて、ちゃんとした財源をとってきているわけであります。

 したがって、今回、ここだけを特に財源に回すということであれば、それは増税したところを率先して負担させるということでありますから、国民全体の負担をしっかりと考えていくということが大事だというふうに思います。子育て世代だけを取り立てて負担をということには、なかなか問題であるというふうに思っております。国民全体の負担をやはり考えていくべきだと思っております。

牧委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 このたびの東北地方太平洋沖地震による被害、これは今、国民に対して大きな困難をもたらしております。被災された皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、今こそ復興に立ち上がるとき、このように私自身も決意をいたしております。

 公明党としましても、対策本部を設置いたしまして、被害状況を今全力を挙げて調査しております。被災者が多い上に被害も広範囲に及んでおり、避難生活の長期化を見据えた対応、そして生活再建支援対策が今後重要になってまいります。

 壊滅的な打撃を受けた自治体が非常に多い。国や都道府県による支援、また、市町村の財政力に配慮した対応が求められているわけであります。さらに、膨大な量の災害廃棄物の処理の問題もございましょう。また、農地の壊滅的な被害、農水産業の甚大な被害、これも想定をはるかに超えております。加えて、いまだ福島の原発の様相というのは予断を許さない状況下にございます。避難また屋内退避が長期間に及ぶこととともに、食品や水道等への広域的な放射能汚染への懸念が広がっております。

 政府においては、国民の復旧復興活動のサポートに全力を挙げるとともに、一日も早い復興に向け、万全を期していただきたいと思っております。特に、今回の被災地の復旧復興と被災者支援には、十分な予算措置、これが肝要であることは言うに及ばないことでございます。拡大する一方の被害状況を見ますと、現在、与えられた二〇一〇年度の予備費、二千三十八億ということですが、これもあっという間に底をつくことでしょう。

 政府は二十三日、今回の大震災による住宅あるいは道路などの直接的な被害額が十六兆から二十五兆に及ぶということを試算されました。自然災害では最大規模のものであると思います。この試算には福島の原発事故、また放射性物質による汚染の影響は織り込まれていないわけですので、当然、これを上回る額になるということが予想されます。

 こうした震災の復旧復興に必要な財源について、当面、補正予算の編成が急務であります。さらに、国債の新規起債あるいは臨時増税案まで浮上してきている。その前に、やはり思い切ってこれまで掲げていらっしゃった民主党のマニフェストは見直すべきである、子ども手当についても抜本的にこれは見直さなければいけない、私はこのように考えております。

 私たちも、国会議員の歳費三割を復興に充てよう、このことを提案申し上げ、自民、民主ともに合意をいただいたということでございます。日本全体でこの復興に、皆が一丸となって進んでいかなければいけないときであります。子ども手当の優先度は高いとは言えないと思います。高速道路の無料化も、農家の戸別補償に関しましても、同じであります。災害の復旧より優先する施策とはとても思えません。

 いずれも、確かに民主党の看板施策でありました。しかし、ここはもうメンツにこだわっている場合ではないと思います。震災復旧の財源にこれを大胆に切りかえていく必要がある。そうでなければ、国民は納得いたしません。例えば、子ども手当を返上して、親を亡くした子供たちのために使う、農家の戸別補償は農地の復興に充てていく、あるいは高速道路の無料化も、今甚大な被害をこうむったインフラ整備に充てていく、こうしたことがなければ、幾ら国民全体で御負担をといっても、これは到底、国民は納得いたしません。

 不要不急の施策は来年度予算から削る、凍結をする、組み替える、こうした修正を行って震災対策に回すべき、このように思いますが、大臣、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、藤田(一)委員長代理着席〕

細川国務大臣 かつてないような大災害でございまして、この災害を受けました皆さんをまず救済、支援していくこと、そして復旧復興に向けて、これは国を挙げてやっていくということが今喫緊の最も大きな課題だというふうに思っております。そのためには、また膨大なお金もかかるわけでございまして、そのお金をどのように調達していくか、こういうことになっていくわけでございます。

 そこで、委員いろいろと御提案をいただいております。その資金をどのようにして調達し、使っていくかということについては、これはまた、優先的にどうやっていくか、どこから優先的にお金を持ってくるか、いろいろあるかと思います。ただ、委員は、子ども手当について、このお金をこの災害の復旧復興に使うべきだ、こういうふうにおっしゃられておりますけれども、次世代を担う子供に対する支援、これもまた一方で大変重要だと私は思っております。

 したがって、二十三年度の子ども手当法案について、これをすべて、これをぜひ通させていただきたいというふうには当然私は考えておりません。ここはやはり、子ども手当法案を提案しましたけれども、このつなぎ法案を通していただいて、そして、与野党お互いに議論をしていただいて、そこで子ども手当の内容を決めていくことも大事かというふうに思っておりまして、子ども手当法案に考えておりましたそのお金を一部復旧復興の方に出すということも、これもまた私は大事なことかと思っております。

古屋(範)委員 大臣も、二十三年度の子ども手当法案、これをすべて成立させ、それを実行するとは限らないという御答弁であったかと思います。であるならば、なぜ取り下げないのか、ここが非常に理解できない点でございます。単年度の法案、六カ月のつなぎを出してこられて、それで、その中から財源を回す、これでは筋が通らない、このように思います。

 生活基盤を失った被災者、これはまさに、今回は津波でございますから、もう土地もない、家もない、家族も失った、そこからどうやって復興をなし遂げていくのか。これはもう、中途半端な対応ではとても乗り切れるような災害ではございません。未曾有の震災への対応には、民主党マニフェストの凍結あるいは抜本的な見直しにより生じた財源を支援に充てるべき、こうした覚悟、大胆な決断が課せられております。大臣、それでも二十三年度法案をなぜ取り下げないのか。

 改めて、子ども手当二万六千円を全額国費で支給するというこの二〇〇九年マニフェストについてお伺いをしてまいります。

 子ども手当は、民主党が二〇〇九年の衆院選挙で掲げた看板施策。そのマニフェストに基づいて考えるならば、二十三年度法案は、平成二十三年度から中学生まですべての子供を対象に月額二万六千円全額国費で支給をする、こういう法案になっていなければいけないわけであります。

 私の本会議の質問に対して菅総理は、マニフェストは国民との約束であり、引き続きその実現に向けて取り組んでいくのが基本であると考えている、このように答弁されました。マニフェスト実現に向かっていく、二万六千円に向かっていくと答弁されています。

 その一方で、民主党の岡田幹事長が子ども手当の見直しに言及し、その中で、児童手当法の改正であっても新法でも問題は中身だ、各党と胸襟を開いて話し合うべきだ、このようにおっしゃっていまして、二月二十八日午前の衆院予算委員会で菅直人総理は、与野党協議の中での可能性として発言されたと語っています。理解を示したわけです。さらに岡田幹事長は、この一カ月後の先週二十六日、子ども手当の本体について取り下げてもよいと発言したと報じられております。このように、非常にさまざまな発言が飛び出している。

 被災地域の子供たちは、経済的支援に加えて精神的なケアも必要、これまで以上に手厚い支援が必要となります。さらに、今回の震災は全国の産業にも大きな打撃を与えています。御存じのように、部品が一個、東北でつくっていたものが届かなければ、西日本にある会社だって生産がストップしているんです。計画停電で、大きく今、経済的な打撃を受けております。

 家を失い、また水も食料もない、寒い、親族を失った、親を失った、こういう子供たちの支援、これが優先じゃないですか。子育て支援、これは重要だとおっしゃいました。私たちだって同感です。子ども手当の前の児童手当、これは公明党が四十年間やってきた施策であります。私たちも子供への支援は大事だということは重々わかっております。しかし、このような状況で何が優先か、これは再考が必要であります。

 その上で、きょう記者会見で山口代表は、公明党としてこのような案でいくということを発表いたしました。我が党といたしましては、対象を中学三年生まで、月額一律一万円に引き下げる、所得制限は従来の児童手当法に沿った形とする。ただし、被災地においては配慮が必要、所得制限を設けないでいくべきだ。そうしますと、全体で一・九兆円の財源が必要となります。二十三年度の子ども手当法案、そのまま実行されますと二・九兆円の財源が必要。そうしますと、一兆円程度震災復興にこれを充てるべき、これが公明党案であります。

 大臣、今回が非常によいチャンスであるとも思っております。潔くマニフェストを変更して、子ども手当の抜本的な見直しを行って、二十三年度法案を取り下げるべき、こう申し上げたい。そして、直接的な被害額が十六兆から二十五兆と言われるこの災害の復興に充てるべきです。子ども手当二・九兆、今回のつなぎ法案でも二・二兆という巨額な財源が必要となります。この点についていかがでしょうか。

    〔藤田(一)委員長代理退席、委員長着席〕

小宮山副大臣 古屋委員もよく御承知のとおり、日本ではとにかくこれまでGDPの中の〇・八%しか子供にお金を使ってこなかった、そうした中で子供政策が必要だということは重々おわかりなことだというふうに思います。

 今回、私ども、二万六千円を目指してはまいりましたけれども、こういう状況の中で、つないでいただいた後で、皆様方から、今おっしゃったような公明党さんの案もいただきながら、何が必要なのかということをきちんと議論して、それがまとまった際には私どもの二十三年度の法案は取り下げさせていただくと言っておりますので、これはちゃんと論理的には合っていることだと思います。つなぎ法案は半年分ですから、その先の半年をどうするかということもございますので、ただ、この後は真摯に皆さんの御意見も伺いながらやっていきたい。

 ただ、その際に、先ほど城島提出者もおっしゃいましたように、子供の世帯だけにいわゆる増税になるような形、もう控除を外しておりますので、そこで子供の家庭だけ増税になるのはおかしいので、これは国民にちゃんと平等に負担をいただく中で、この子ども手当をどういう形にすれば、今のような非常事態になった中で、しかも子供の世帯にしっかりとした手当てもしながら御負担も公平にいただく、そういう方法をぜひ胸襟を開いて各党で御論議をいただきたい、そのように私どもも思っております。

古屋(範)委員 つないだ後、皆さんで考えましょう、そういうお答えだったかと思いますけれども、じゃ、そのつなぎ法案の後、子ども手当をどうするか、その質問に入ってまいります。

 まず、この二万六千円の支給額の根拠、これについて私が昨年長妻大臣に質問したときは、「第一に、子供の育ちに必要な基礎的な費用の相当部分をカバーする、第二に、諸外国の手当制度と比較しても遜色ない水準とするといった点を総合的に勘案して、」というお答えであった。先日の本会議で細川大臣は、子供の育ちに必要な基礎的な費用の相当部分をカバーすること、次に、諸外国の手当制度と比較して遜色ない水準とする、そのようなお話でありました。これは長妻大臣と全く同じ、官僚の書いたものでありましょう。

 そして、菅総理は本会議で、この質問に対して、当時、一瞬ちょっとびっくりしたことを覚えているという発言をされました。私、非常に驚きました。全国民も驚いたことと思います。

 さらに、このびっくり発言の前、二月初めの予算委員会では、我が党の竹内議員が、もともとの子ども手当は一万六千円であった、この積算根拠はとの質問に対して、櫻井財務副大臣は、支給額を議論した会合に出席していないので根拠については存じ上げない、あるいは野田財務大臣は、突然一万円上げた根拠について背景は存じ上げていない、非常に無責任な答弁をされています。

 総額二兆九千億の巨額の財源を充てる子ども手当、これに対して、財務大臣、副大臣、一体この二万六千円、これは本当に子育て世代にとっても、この子ども手当を一年間、単年度で昨年支給して、ことしがわからない、それだけでも子育て世代にとっては迷惑をかけているということも言えるわけです。にもかかわらず、二万六千円の根拠がわからない。

 菅総理を初め、こうした現閣僚のあいまいな答弁。この根拠を欠くマニフェストに巨額な財源を投じる必要が一体あるのか。子ども手当法案の成立に対する真摯な姿勢、何としてもマニフェストを実現しようとか、二十三年度の子ども手当法案を実現させる、そういう情熱のかけらも感じられません。ですから、本法案の審議が本格的に始まる直前につなぎの話が出てきたんだと思います。本気で二十三年度法案を成立させるおつもりがあるのか。今回の不測の事態に便乗したつなぎ法案、これは問題の先送りにすぎません。この際、児童手当の原点に戻った上で考え直すべきだというふうに私は考えます。

 この二十三年度子ども手当法案、既に審議に入っている状態でつなぎ法案、なぜ、六カ月で切れるつなぎを出してきて、そして今この場でそれよりも先に審議をしなければならないのか。そして、この二万六千円の根拠、再度これについてもお伺いをいたします。

小宮山副大臣 二万六千円の根拠は、別に官僚が書いたものではございません。これはもともと民主党の子供政策の中でつくったもので、子供たちの育ちにかかる経費はいろいろな計算がありますけれども、二万六千円のもとになっているのは、子供たちの最低限の生活費と教育費、これはゼロ歳から中学生までさまざま違いますけれども、それを平均するとおよそ二万六千円に近い二万五千幾らかになるということで編み出したものでありまして、これは民主党が子供政策の中でしっかりと根拠を持ってつくった数字ですから、官僚が書いたものではございません。

 それで、いろいろなことをおっしゃったので、どこにお答えをしていいかわからないんですが、二万六千円はきちんと根拠があるということ。

 そして、そもそもは年少扶養控除と配偶者控除を廃止して子供の数で割った一万六千円からスタートした、それが一万円積んだ二万六千円になったというところで、そこの根拠のところ、それの出てき方について、菅さんや岡田さんは、そのときは一瞬びっくりしたということを多分正直に言われたんだと思いますが、その後、議論の中で、やはりその二万六千円の必要な経費を出していこうということで積み上げたものでございますので、それはきちんと根拠を持ってやってきたものだと思っています。

 そして、先ほどから申し上げているように、さはさりながら、やはりこういう事態の中でもあり、ただ、もとへ戻ってしまいますけれども、この緊急なときにつなぎ法案を出さないと、さまざまな自治体や国民の皆様にも御迷惑をかけるということで、与党の方でこういうつなぎ法案を出されましたので、別にここでごまかそうとかいうつもりはなく、私どもがつくりました政府案は、これはぜひその趣旨は生かしていきたいと思っているものです。

 ただ、金額やそのほかのやり方については、これは各党で、こういう事態の中で御議論をいただいて、建設的な議論をしていただきたいということを申し上げているので、それは私どもの本当に子供たちのためを思う政策の真意でございますので、ここは掛け値も何もなしに、ぜひそういう形でお願いをしたいと思っております。

古屋(範)委員 二十二年度単年度で出してきて、二十三年度も単年度、そしてつなぎ。これは非常に場当たり的と言わざるを得ません。

 もう時間ですので、最後の質問に移ります。総合的な子育て支援について伺ってまいります。

 保育所利用の仕事と子育ての両立支援、この認識について、読売新聞の調査におきましても、首長アンケートで重視する子育て支援策として挙げられたのは、まず学童保育の充実、六五%、また保育所の拡充、六一%、これが目立っております。これに対して、子ども手当の維持拡充は一二%でありました。非常に低い。この結果からも、全国の知事、市町村長は、保育所整備をするための地方への財源を望んでいるわけであります。

 実際、保育所待機児童数は昨年十月一日時点で四万八千三百五十六人、前年度から二千二百九十八人ふえました。そして、この中には、潜在的待機児童、あるいは東京都の認証保育所などの自治体独自の保育所、あるいは認可外保育施設を利用している児童数は含まれておりません。

 他方、女性の育児休業の取得を見ると、平成二十一年度で八五・六%まで増加をしております。この数値は育児休業を取得する以前に職場をやめた方は含まれず、いまだに女性の六割以上が結婚や出産を機に退職している現状があるということであります。御存じのように、働きたい、あるいは働かねばならない、しかし保育所に入れない、認可外保育所に入れれば高い、自分が稼いだ給料もそこで消えてしまう。この現状を御存じでしょう。

 そこで伺います。

 政府は、認可保育所を希望しながら入所できず、やむを得ない理由で認可外保育施設を利用している数がどのくらいいるか把握をしていらっしゃるのか、また同様に、認可保育所の基準を満たしていながら自治体の財政事情等により認可されていない認可外施設がどのくらいあるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。

 また、こうした現状を打開するために、仕事と子育て、この両立を可能とするために、ぜひ今回、住民税の年少扶養控除の廃止分、この増収分に関しましては、子ども手当ではなく、それぞれの自治体の地域の実情に応じた子育て支援、保育サービス、現物給付に回していただきたい。この記事の中にも、横浜市の市長はそうおっしゃっています。この点に関して御見解を伺います。

小宮山副大臣 保育所の待機児童の数は、先ほど委員がおっしゃいましたのは秋の数で、秋は春よりも多くなるので、昨年の四月一日現在は二万六千人ということでございましたが、それに対して認可外保育所を利用している人は十八万人。ただ、このうちのどれだけの割合の方が本当は認可に入りたかったとおっしゃっているのかという、その正確な数字はありません。

 また、都の認証保育を初め、認可外保育所でも基準を満たしているところがあるということは認識をしておりますが、正確な数字はつかんでおりません。

 そして、おっしゃいますように、確かに保育所が必要だということは、私も体験もし、身近でもよくわかっておりますし、そういう意味では、子ども・子育てビジョンの中で、毎年五万人分保育サービスをふやすということを考えておりますし、この震災がありましてちょっと今ストップをしておりますが、幼保一体化などの新しい子ども・子育てビジョンの中で、しっかりとそういう子供の居場所については対応していきたいというふうに考えているところです。

 そして、最初におっしゃった、市長さんたち、各地方の皆さんとも協議の場を持って、そこのやり方については、なるべく自治体がニーズに応じてそうした子育てサービスができるようにということもやっていきたいと思います。

 長くなって済みません、もう一点だけ。

 先ほどいろいろ希望のお話がありましたけれども、今でも、子育てをしている方たちが一番望んでいらっしゃるのは、経済的負担にこたえてほしいということであることを一言つけ加えさせていただきます。

古屋(範)委員 その数を把握されていないということ自体、問題であるということを指摘しておきます。

 この大震災の中で、不要不急なものは震災復興に回すべき、そのお覚悟をお示しいただきたい。そのことを申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 私、持ち時間五分ですので、答弁も簡潔にお願いいたします。

 まず、本当に残念に思うのは、今回、このような形で子ども手当つなぎ法案という審議になったことであります。この子ども手当の法案は、今年度も来年度も、単年度限りの法案として提出されていました。今回のように、来年度の子ども手当、どうなるのかわからない、毎回こうでは国民に信頼される制度とは言えません。

 我が党は、子育て支援は総合的に進めるべきで、現金給付と現物給付を車の両輪のようにバランスをとりながら拡充すべきだと考えています。その上で、支給額については当面一万三千円を維持しながら、安定的な制度をつくるべきだと考えています。提案者の見解はどうでしょうか。

城島議員 お答えいたします。

 まさしく我々も、現金給付と現物のサービスというのは車の両輪だというふうに思っております。したがって、バランスをとりつつ総合的に拡充していくべきだと思っております。

 二十三年度の子ども手当につきましては、いわゆる二十四年度以降の年少扶養控除等の廃止に伴う地方税の増収分、この取り扱いについて、残念ながら、地方と協議を重ねてまいりましたけれども合意に至らなかったというところが単年度になった原因でありますので、ここはしっかりと協議しながら、我々も当然恒久法にしたいというふうに思っておりますので、しっかりとそういう安定的な制度にしていきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 今お話があった年少扶養控除が廃止されているために、結果として負担増が生まれますよね。そのことについてどう手当てをされていきますか。

西村(智)議員 特に三歳未満の手当額は、所得減要因と所得増要因によりまして実質手取り額の逆転現象が起きます。正直に申し上げまして、私たち党の立場からいたしますと、この逆転現象は解消したいというふうに考えておりました。しかし、各党さまざまな御意見があって、短期間では合意を得ることが難しいということから、与党として、国民生活や地方の現場に混乱が生じないように、今回、緊急的につなぎ法案を提出したところでございます。

 現物給付と現金給付の車の両輪でやはり子育て支援というのは進めていくべきであろうと考えております。

高橋(千)委員 実質負担増となる逆転現象があるけれども、そして解消したいと思うけれども、できなかったという答弁であったと思います。

 これは、私たちも修正案をつくる過程で大変悩んだのですけれども、この子ども手当法案の枠組みの中ではなかなかできないことなんですよね。だって、最初に税制改正、決まっちゃっているんですもの。だったらこれは、党として、同じ党なんですから、では、それをどうするか、税制改正をもとに戻すとか、そういうことをやっていかなければだめなんです。そのことを、大臣に一言お願いします。

小宮山副大臣 控除から手当というのは民主党の税調の一つの基本的な考え方でございまして、これはやはり高額所得者の方から低所得者の方に流すという考え方なので、それに見合った形で今回子ども手当の設計をしています。

 そういう意味で、この先、その逆転現象のところなどをどうするかということも、各党の御意見も伺ってまた検討したいと思っていますが、基本的にはそういうことです。

高橋(千)委員 全く納得できませんけれども、これは引き続いて検討してください。別に子ども手当つなぎ法案が通っても通らなくても、この問題はやらなきゃいけないことを指摘したいと思います。

 私は、震災のために不要不急の予算を回して財源をつくれということ自体は賛成ですけれども、だからといって、被災地ではない子供たちを犠牲にしていいとは思っていません。周りの子供と同じことができない、手当が希望だったのに、その希望を奪わないでくれというあしなが育英会の子供たちの声を聞きました。深刻な子供の貧困そのものを忘れてはならないのです。

 震災の子供たちを救うという、そのことを考えても、児童養護施設の拡充や就学援助など、子供の貧困解決のために本当にやらなければならない、このことのために、だからといって、ほかの子供たちは我慢しろということには絶対くみすることはできません。総合的な子供の貧困対策をしっかりとやっていく上で、子ども手当を安定的な制度として検討されることを述べて、終わりたいと思います。

牧委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 私も五分ですので、よろしくお願いいたします。

 昨年、平成二十二年度の子ども手当法案が審議され、一年の、本当に時限の立法でしたが、誕生しましたときには、初めてこの政治の世界の中で子供自身が対象となる仕組みができたということで、私は大変うれしく思ったことを覚えております。しかしまた、平成二十三年度も単年度法で出されて、子供が一年で育つわけではないのにと不安な思いを抱いたら、今度は六カ月というつなぎで、どんどんどんどん子供の先行きがちょん切られていくという中での審議です。

 しかしまた、政治の場は、同時に、あらゆる知恵を集めて、最も必要な子供支援をやる可能性も持っていると思います。私は、その観点から、先ほども取り上げられました児童養護施設についてお伺いをいたします。

 平成二十二年度から二十三年度の政府案の改正の主な点は、二十二年度では除外されざるを得ず、安心こども基金にゆだねた形の児童養護施設の子供たちへの給付が直接子供たちになされるということでありました。果たして、この安心こども基金では、一体、現実にどのくらいの子供たちに給付が行ったのでしょうか。測定値というか予測値しかここには挙げられていません。四万人こうしたお子さんがいる中で、一万人がこども基金の見込み値ということでありました。見込み値と実測値、現実はどうであるのかというのを、細川厚生労働大臣に一つお伺いいたします。

 また、残念なことに、つなぎ法案では、この点は相変わらず、先ほど柚木さんの御答弁に、安心こども基金でつなぐからとおっしゃいましたが、やはりつながれないんじゃないかと思います。私は、つなぐにしても、もう一つ、タイガーマスク法案と勝手に言っていますが、いろいろなタイガーマスクがランドセルを八百個以上子供たちに寄せたということは、国民の総意ですね。私は、一番困った子供を何とかしようと思う社会の気持ちをとうといと思いますから、今度のつなぎ法案で、たとえ六カ月であれ、六カ月だって一年の半分ですからね、ここが抜け落ちてしまうことに、提案者はどんなふうに考えておられるのか。大臣と提案者にお願いいたします。

小宮山副大臣 私もおっしゃることにかなり同感をする部分がございますが、先ほど申し上げているように、今回はなるべく実務的につなぐということだったので、残念ながら、政府案に盛り込んだことが盛り込めていない。そういう意味では、実質的に同額が行くつなぎ、安心こども基金の対応をせざるを得なかったということで、その後各党で御論議いただくときには必ず児童養護施設の子供たちのことも盛り込んでいただけるように御審議をいただきたいと思います。

 今おっしゃったタイガーマスクのことを契機に、今、厚生労働省の方でも、児童養護施設を改善するために、現場の方を集めて、もう四月からできるところはやるというような形で取り組みも進めておりますので、あわせて御理解をいただきたいと思います。

柚木議員 阿部委員よりの御提案もしっかりと踏まえて、このつなぎ後のことまで含めた制度の設計というものを、先ほどの高橋委員からの御提案もありましたと思いますので、各党の皆さんのお考えも伺いながら、しっかりとした制度にしていきたいと思います。

阿部委員 お二方とも、申しわけないが、質問の趣旨に真正面で答えていただきたいんですね。私は、つなぎの間も問題でしょうと申しています。なぜそこまで、つなぎであったって組み込んでいただくことはできなかったのかと。

 だって、先ほどの古屋さんの御質問でも、今度、震災の中でもうたくさんの親御さんのない子が出ているんですよ。もう涙が出るような光景ですね。その子たちに何もできない国会ですか。四万人いるうち一万人しか安心こども基金に行かないんですよ。それも予測値です。私は、現実に聞いた限り、もっと少ないと思います。とても使い勝手が悪い。やはり政治は、一番困ったところに、それも親もない、頼るものもない子供に私たちが何をできるかだと私は思います。

 限られた時間ですので、もう御答弁の時間がないと思います。そして、両法案とも、本来の二十三年度法案の中でということでしたが、ぜひつなぎの皆さんにはもう一度この点を考えていただきたいと思います。終わらせていただきます。

牧委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、五分間ということで大変短い時間ですけれども、この厚生労働委員会で五分間質問をさせていただいたのは、前回、鳩山政権のときの子ども手当法案で五分、総理入りの委員会をやったときに質問させていただいたんです。そのときに、バウチャーを考えたらどうですか、こういうお話をして、総理から、来年度以降考えたい、こういうふうな御答弁をいただいて、おお、やったな、こんなふうに思った覚えがあります。しかし、一年たってみるとこんな状況になってしまって、今や年度末に綱渡りをしなければならない、こういう状況になってしまっている。これは、全体的に考えて、子供たちのことを考えるとやはり残念なことだというふうに言わざるを得ません。

 そして、この先の子ども手当の制度をどうするか、こういうことでありますけれども、先日、このつなぎ法案の御説明に、みんなの党の政調会に渡辺周代議士にお見えをいただきました。そのとき、もちろんつなぎ法案の御説明をいただいたんですけれども、その間、つなぎの間にゼロベースで子ども手当そのものを制度として見直していくんだ、こういうお話があったことを記憶しております。にもかかわらず、今回、閣法の子ども手当法案を取り下げるということになっていない、そういう状況になっているわけです。

 一体、ゼロベースなのか、あるいは子ども手当を推進していくということなのか、ちょっとわかりにくい状況になっていると思います。民主党さんとまた厚生労働省と、両方の見解をお伺いしたいというふうに思います。

渡辺(周)議員 先日、つなぎ法案の説明で御党の政策の会合に出させていただきましたが、そのときの発言でございますが、党の幹部からも大胆な見直しということは、もう既に何回か累次にわたって我が党の岡田幹事長も発言をしております。先ほど来御答弁しておりますように、各党各会派からいろいろな御意見をいただいて、いいものがあるならば、それは今の二十三年度の子ども手当法案にこだわらず、我々としては皆さんで合意が得られるものをつくっていきたいという趣旨で私は発言したものでございます。

 当然、その趣旨で、これからとにかくこの半年間、つなぎをやっている間に、皆さんと、新たな恒久的に子供さんを安心させられるような、ぜひ、子供を持つ家庭に負担をかけないような、いいものをつくっていきたい、そういう思いでございます。

細川国務大臣 政府の方が提案をいたしました二十三年度の子ども手当法案につきましては、これはもう年度内での成立がとてもとても難しい、こういう状況になって、そこで、このままでは国民の皆さんやあるいはまた地方自治体が混乱をする、こういうことで与党の方でつなぎ法案を提案していただいた、こういうことと理解しております。

 したがって、今の段階では政府案を取り下げるということは考えておりませんけれども、しかし、つなぎ法案が成立をいたしまして、そして、成立したとしても六カ月後どうなっていくのか、こういう問題もございますので、これは各党でいろいろと協議をしていただいて、そこで成案を得ていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。

柿澤委員 閣法を取り下げないまま、このつなぎでゼロベースですと言われても、ゼロベースになっていないではありませんか。そういう意味で、私たちは、今後ゼロベースで議論をする環境が整っていない、こういうふうに御指摘を申し上げたいと思います。

 もう一点だけ。

 つなぎ法案ですから、必要最小限であることが迫られるものだと思います。そういう意味で、児童手当に戻ると自治体のシステム変更等の事務負担が大変だ、こういうことは私も被災地等のことを思えば理解をしないわけではありません。しかし、児童手当に戻っても事務上も問題ない、こういうことを言っている自治体も結構あるんですね。被災地の自治体を除けば、つなぎ法案で全国一律でつなぐという必然性は実は余りないんではないかというふうにも思いますけれども、その点について御回答をお願いしたいと思います。

郡議員 お答えをいたします。

 震災の前でしたけれども、全国市長会から緊急要請が出されておりました。法案が通らなければ所得制限を伴う児童手当が復活することとなる、そうなりますと、基礎自治体は新たに所得調査などを実施し、膨大な費用と労力を費やして急遽電算システムを整備し、支給対象を特定する事務を行わなければならなくなるというふうなことで、何とか成立、成案を図っていただきたいという要請が出ていたところでございます。

 今し方お話のあった問題のない自治体というのは、ごく少数の支給対象者のいる自治体に限られているのだろうと思います。もちろん、被災地、私どももそうですけれども、被災地を応援する、支援する自治体も含めまして、大変な事務負担が生じるものと思いますので、ぜひとも一律にお願いをしたいと存じます。

柿澤委員 言いたいことはたくさんありますが、もう時間を過ぎておりますので、終わりにしたいと思います。

 以上です。

牧委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

牧委員長 この際、本案に対し、柿澤未途君から、みんなの党提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。柿澤未途君。

    ―――――――――――――

 国民生活等の混乱を回避するための平成二十二度における子ども手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柿澤委員 ただいま議題となりました国民生活等の混乱を回避するための平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、みんなの党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 民主党政権で創設された子ども手当は、国の一方的な決定で全国一律で何兆円もの現金支給を行う、地方分権、地域主権を否定するものであり、撤廃すべきものであるというふうに私たちは考えます。しかし、このたび、東北・関東地方を襲った地震や津波は各地に未曾有の被害をもたらしました。これらの地域においては、既に地方公共団体の機能を失ったと言えるところすらあります。地方公共団体が機能している場合においても、今何よりも大事なことは被災者対策及び災害復旧対策にその全力を傾けることであります。そこで、被災地の窮状を踏まえ、地方公共団体の事務処理上の混乱を回避するため、本修正案を提出いたしました。

 修正の要旨は、次のとおりであります。

 第一に、平成二十三年東北地方太平洋沖地震により著しい被害を受けた県として厚生労働大臣が指定する県に限り、平成二十二年度子ども手当支給法の子ども手当について、平成二十三年九月まで支給すること。

 第二に、厚生労働大臣は、著しい被害を受けた県としての指定に当たっては、あらかじめ当該県の知事の意見を聞かなければならないこととし、当該県の知事が厚生労働大臣に意見を述べる場合には、あらかじめ当該県の区域内の市町村の長の意見を聞くものとすること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

牧委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

牧委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 私は、自由民主党・無所属の会を代表いたしまして、国民生活等の混乱を回避するための平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案に対し、断固反対の立場から討論を行います。

 討論に入る前に、三月十一日に発生いたしました東日本巨大地震及び津波により亡くなられた方々、御遺族の方々、被災をされた皆様、そして原発事故に伴い避難を余儀なくされるなどさまざまな影響を受けておられる方々に対し、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 法案に対する反対理由を述べる前に、当厚生労働委員会において、審議中である政府提出法案との関係も整理されないままに、本法案の趣旨説明、法案の審議及び採決が委員長の職権において強行に行われたことに対して、まず強く抗議をするものであります。

 反対の第一の理由は、今回の大震災の復旧復興には十兆円を超える財源が必要とされる中、国債の格下げにも見られるように、我が国の厳しい財政事情のもとで、子ども手当の支給に二兆円を超える巨費を投じる余裕など全くないということであります。

 反対の第二の理由は、政府・与党一体と言いながら、政府提出法案では三歳未満の子供への月額二万円の支給、民主党提出法案では一万三千円の支給と、全く異なる内容の法案が別々に提出されていることであります。全く異例であり、余りにもいいかげん、無責任きわまりない対応であります。

 反対の第三の理由は、政府提出法案を撤回しないということは、つなぎ法案の次には政府提出の二十三年度法案を通そうということであり、そもそも多くの国民が疑問を呈している子ども手当の延命を図ることは断じて認めることができません。

 反対の第四の理由は、そもそも子ども手当の必要性と効果が全く不明確であるということであります。こうした非常事態の中で、子供のために必ずしも使われていない子ども手当を支給することが本当に必要なのでありましょうか。

 反対の第五の理由は、国外に居住する外国人の子供への支給は続く一方で、児童養護施設などに入所している子供への支給は行われないという欠陥が引き続き放置されるということであります。また、市町村が強く要望していた学校給食費などの天引きも実施できません。単なるつなぐだけの法案を提出する姿勢は全くの怠慢であります。

 今、私たちが何を差しおいても取り組まねばならないことは、子ども手当のばらまきを継続することではなく、被災者の生活支援、被災地域の復旧復興などを一日も早く実現すべく、財源の確保を初め予算、法律などあらゆる手だてを尽くすことであります。その点を申し上げて、私の反対討論を終わります。

牧委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 私は、ただいま議題になりました国民生活等の混乱を回避するための平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の討論を行います。

 子ども手当は、昨年もことしも一年限りの法案しか出さなかったことが最大の問題です。

 日本共産党は、子育てに関する予算が諸外国に比べ極端に低く、子供の貧困が深刻であることから、子ども手当の必要性については同じ立場であります。一方、現金給付だけが突出するのではなく、保育や子供の医療費無料化などの総合的な子育てサービスと車の両輪で進めるべきであると主張してきました。こうした立場から、金額の上乗せ分は保育所などの基盤整備の充実に回すこと、当面一万三千円の手当で恒久的、安定的な制度にすること、保育料や給食費などの天引きはしないという点を中心とする修正案を準備していました。ところが、二月二十四日に本会議で審議入りしたにもかかわらず、当委員会では全く議論もしないまま今日に至ったことは極めて遺憾であり、与党の責任は重大です。

 我が党は、子ども手当が期限切れになり、以前の児童手当に戻すことは避けるべきと考えています。もとの児童手当に戻れば、中学生以上の子供に対しては支給されなくなり、また、既に支給されている額で暮らしを補い、子育てを考えている国民に混乱をもたらすことは必至です。つなぎという今回の措置はやむを得ないものとして賛成しますが、政府は、必ず安定的な法案を責任を持って提出すること、その際、与野党の一致を目指して、運営においても誠意ある対応をするよう、強く望みます。

 終わりになりますが、このたびの大震災は、多くの国民と子供たちのとうとい命を奪いました。津波が去った後の現場は、人生観が変わってしまうほどの惨状であります。まだ全体像は掌握されていませんが、多くの震災孤児が生まれています。親を亡くした悲しみ、生活の基盤を失った不安感、そして、津波を目の前で見たという恐怖が今後も襲ってくるであろう子供たち。政府は、何としてもこの子供たちを守らなければなりません。そのことをぜひ約束していただきたい。私たちも、この未曾有の災害を乗り越え、子供たちに明るい未来を渡すために全力を尽くす決意を述べて、討論といたします。

牧委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 私は、社会民主党・市民連合を代表して、国民生活等の混乱を回避するための平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案について、賛成の立場から意見を述べさせていただきます。

 賛成の理由は、平成二十二年度子ども手当支給法が失効し児童手当法が復活することにより発生する市町村事務の混乱を回避し、あわせて支給水準を維持するためには、とりあえず本法案の成立が必要と考えるからです。

 本来なら恒久法としての子ども手当法の成立を期すべきですが、東日本大震災や福島第一原発事故がもたらした社会不安のただ中にあって、子ども手当の本格実施に向けた展望、その姿を示すことは困難な状況であり、給付の制度設計や保育等現物給付とのバランス、財源の確保などについて、国民の理解と合意形成に向けて十分な議論をする時間的ゆとりがありません。できるだけ早い時期に、連動する税制、社会保障制度における負担と給付の関係を整理し、国民に明らかにして、改めて判断を仰がなければならないと考えます。

 OECDの調査によれば、日本は、先進諸国の中で唯一、再分配後の貧困率が再分配前より上昇している国であり、直近の子供の相対的貧困率は一四・二%、七人に一人の子供が貧困の状態にある中で、日本の子供に対する公的支出は他国に比べて非常に少ないのが現状です。また、一人親世帯の貧困率は五四%であり、加盟国中第一位です。さらに、近年、児童虐待などの痛ましい事案も急増しています。

 孤立と貧困は、親からゆとりを、子供から笑顔を奪います。これらの課題は、社会全体の子供という観点に立って子供の育ちを支える社会基盤をつくっていく中で、抜本的な解決を図る必要があります。

 まず、国がすべての子供の育ちに必要な基礎的な生活費用を補う子ども手当を全国一律に給付することは、特に所得の少ない若い子育て家庭に対して有益であると考えます。さらに、喫緊の課題である保育所待機児童の解消については、それぞれの自治体で地域の実情に合ったやり方で保育所を整備するというように、現金給付と現物給付は子ども・子育て支援において車の両輪であり、バランスを図りながら進めていくことが重要です。障害や御病気を抱えたお子さんや御家庭に対するきめ細やかなサポートも、あわせ必要となります。

 そうした総合的な施策のためにも、まず、子供一人一人に台帳をつくり、その子供にかかわるあらゆる情報をここに記録した上で必要な支援を提供していく仕組みも、各自治体で早急に確立されるべきです。

 以上、子供政策を政争とはせず、速やかに恒久法の制度設計に取り組むべきことを申し添え、私の討論を終わります。

牧委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

牧委員長 これより採決に入ります。

 城島光力君外六名提出、国民生活等の混乱を回避するための平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、柿澤未途君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

牧委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十五分散会


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