衆議院

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第8号 平成23年4月15日(金曜日)

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平成二十三年四月十五日(金曜日)

    午前十時十分開議

 出席委員

   委員長 牧  義夫君

   理事 郡  和子君 理事 中根 康浩君

   理事 藤田 一枝君 理事 柚木 道義君

   理事 渡辺  周君 理事 加藤 勝信君

   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君

      青木  愛君    石毛えい子君

      石森 久嗣君    磯谷香代子君

      稲富 修二君    大西 健介君

      岡本 充功君   菊池長右ェ門君

      工藤 仁美君    小宮山洋子君

      斉藤  進君    杉本かずみ君

      田中美絵子君    高邑  勉君

      竹田 光明君    玉木 朝子君

      長尾  敬君    仁木 博文君

      初鹿 明博君    樋口 俊一君

      平山 泰朗君    福田衣里子君

      三宅 雪子君    森山 浩行君

      山口 和之君    山崎 摩耶君

      吉田 統彦君    あべ 俊子君

      伊東 良孝君    鴨下 一郎君

      菅原 一秀君    武田 良太君

      棚橋 泰文君    谷畑  孝君

      長勢 甚遠君    松本  純君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森岡 雅人君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       平野 良雄君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           清水美智夫君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  榮畑  潤君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  大西 健介君     磯谷香代子君

  樋口 俊一君     森山 浩行君

  宮崎 岳志君     高邑  勉君

  山口 和之君     菊池長右ェ門君

  西村 康稔君     伊東 良孝君

  松浪 健太君     武田 良太君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     大西 健介君

  菊池長右ェ門君    山口 和之君

  高邑  勉君     杉本かずみ君

  森山 浩行君     樋口 俊一君

  伊東 良孝君     西村 康稔君

  武田 良太君     松浪 健太君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  杉本かずみ君     宮崎 岳志君

    ―――――――――――――

四月十五日

 独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案(第百七十六回国会閣法第九号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

牧委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房審議官森岡雅人君、労働基準局安全衛生部長平野良雄君、社会・援護局長清水美智夫君、年金局長榮畑潤君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。

田村(憲)委員 おはようございます。自由民主党の田村憲久でございます。

 きょうは、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案、これに関しての質疑でございますが、我々も今まで非常に深くかかわってきた法律でございます。そういう意味ではもちろん賛成でございますし、日切れでもございますので、これは早く成立を目指していきたい。そういう思いの中で、冒頭、大臣がおられないわけでありますが、それでもこちらも御協力をさせていただきながら質疑の方を始めまして、なるべくきょうの緊急上程の方に間に合うようにということで御協力をさせていただきたいというふうに思います。

 大臣がおられませんので、この法律に関しては大臣が来られてから御質問をさせていただくということでございますが、まずは、この震災関係の御質問からさせていただきたいと思うんです。

 自民党も、いろいろな団体からヒアリングをずっとさせてきていただいております。その中で、やはり障害者の問題というのが大変切実になってきておりまして、例えば、いろいろなサービスを受けようにも、サービスの供給主体がなくなってしまったりでありますとか、そもそも、いろいろな障害をそれぞれいろいろな理由で隠されておる方々もおられるわけでございまして、そういう中において適切なアプローチというのができていないという部分がございます。

 そういう部分で、では、どこにどのような障害者の方々がおられるのかというのを、被災地も含めて今大変な混乱をいたしておりまして、政府及び地方政府の中において、どこにどのような障害をお持ちの方々が今現在お住まいになられておられるのか、こういう状況をやはり的確に把握をした上で、その方々に対して十分な対応ができるようにしていかなければならないというふうに思っておるんです。

 今、政府で、そのような障害をお持ちの方々の把握というものは十分にされておられるのか、また、されるおつもりなのか、いかがでございましょうか。

岡本大臣政務官 おはようございます。

 今御指摘いただきましたように、障害をお持ちの皆様方の御支援というのは大変重要でありまして、政府といたしましても、厚生労働省より職員を派遣いたしまして、各避難所においてのさまざまなニーズを聴取しているところでもあります。

 また、当初は、福島県等に厚生労働省本省の看護職員を派遣するなどもしておりましたが、現状では、各自治体において、保健師の皆さんなどが中心となりまして、避難所、それから施設のほか在宅も戸別訪問をいたしまして巡回をし、こういった支援を必要とされる方々の状況の把握に努めております。その結果、支援が必要となれば、そのニーズに応じた対応をとるというようなことをしております。

田村(憲)委員 各障害者の方々の団体が、自分らでもいろいろと調べていきたいという話の中で、実は、個人情報の問題が一つネックになっておりまして、今までわかっていたような情報もなかなか開示をしてもらえないというような、そういう声もございます。

 これは、早急にいろいろな関係団体の方々と協力しながら、一番わかっておられるのは関係団体の方々で、どのような問題があるかというのも把握をされておられます。ですから、協力をいただいた上で、どこにどういう障害をお持ちの方々がおられるかということを早く把握していただいて、適切な対応をしていただきたいと思います。

 といいますのは、実は、きょうはこれは質問するつもりじゃなかったんですけれども、きのうも関係部局といろいろと話をしましたが、障害基礎年金がいよいよ支給が、十五日ですからきょうですよね。こういう中で、実は、後見人がいなくなられた障害者の方々が、通帳もキャッシュカードも全部流れちゃって、引き出そうにも通帳もつくれないというような声が入ってきております。

 関係部局とちょっと相談したんですが、なかなか難しい。これは法的ないろいろな壁もありますし、一方で、引き出しに行かれた方々が本当に障害者の方々のかわりになり得る人なのかどうか、こういう確認もなかなか難しいということがございまして、そう簡単な話じゃないんですが、ただ、的確にそういう方々がどこにおられるかということが把握できれば、またいろいろな対応の仕方もあろうと思います。

 障害者の方々にしてみれば、障害基礎年金は非常に、生活の一番の糧といいますか基本でありますから、そういうものが得られないという話になれば、これは本当に生存権にかかわってくる問題になってくるわけであります。

 そういうことも含めて、特に、災害が起こったときに一番大変な目に遭われるのは災害弱者である障害者、高齢者の方々でございますから、ぜひとも早急な対応というものをお願いいたしたいというふうに思います。

 続きまして、これは一点お願いをいたします。もう御返答は結構でございますが、いろいろな混乱が当初ございました。それは、緊急支援物資の運送、輸送等々でもありましたし、また、緊急通行車両の確認標章の部分でもございました。

 どういう問題があったかといいますと、例えば、緊急支援物資の中に医療用医薬品は入るんだけれども、一般用医薬品、OTCは入れてもらえなかったでありますとか、また、緊急車両の通行証をとるのに薬剤師の方々がとりに行くと、薬は運ぶんですかと。いや、薬はありませんと言うと、じゃ、出せませんというような、現場でいろいろな問題、混乱が起こったという話を聞いております。

 多分これは、そんなことは本来はないんだろうと思います。OTCももちろん緊急物資として本来は運ばれるべきものであろうと思いますし、薬剤師の方々も本来、向こうにボランティア等々で入る場合には、緊急車両が入るときの通行証がもらえる対象であったんだろうと思うんですが、十分に意思の疎通ができていなかった。

 担当部局、これは警察だという話だと思うんですけれども、そこと十分な意思の疎通ができていなかったがためにそのような混乱が生じ、結果的にだれが苦しむかといいますと、これは被災者の方々が、本来入ろうとするボランティアの方々が入ってこられないということで、例えば薬等々のいろいろな意味での供給というものに支障が生じるわけであります。

 そういう意味では、調剤も含め、いろいろな部分の問題というものが被災者の方々にとっては不利益ということを考えれば、こういう混乱をなくしていく、多分、薬剤師の方々だけじゃなかったと思うんですけれども、そういう混乱をこれから防いでいくために、やはり十分に平時から、このようなことがあった場合の連絡といいますか、協力というものの体制をつくっておく必要があるんだというふうに思います。

 ですから、ここは、これからまたどこでどのような災害が起こるかわかりません。十分に、このような今回の轍を踏まないように準備をしていただきたいな、こんなことを御要望させていただきたいというふうに思います。

 まだ大臣が来られませんので、なかなか本題に入れませんので、他の質問の方に入りたいというふうに思います。

 これは政務官にお聞きをいたしますが、実は、今も医療関係者の方々が本当にたくさんボランティアで現地に入られております。陸路で入る場合、非常な制限が当初ございましたので、そういう意味では空路が一番時間的にも、またいろいろな便宜上も便利であろうということでございまして、航空会社が増便をいたしまして、緊急臨時便というものをふやしまして、近くの空港に飛んでいただきました。

 このときに、実は医療関係者、これは多分、厚生労働省や都道府県が航空会社に依頼をしたんだと思うんですけれども、このようなボランティアで入る方々は、あらかじめ連絡が入ればその方々の席、あいておれば無料で協力しますよ、つまり、運賃は取りませんよ、ボランティアですからということで、無料で飛んでいただいたといいますか、乗せていただいたんです。

 これは多分、当局の方も御尽力をいただいてそういうお願いをしていただいたからこそ航空会社、航空会社も今大変なんですね。JALにしてもANAにしても、ただでさえ外国人が日本に今来ない状況になっておりまして、そういう意味では国際線は非常に今がらあきの状況でございますから、そういう中で御協力をいただいてきたわけでありますけれども、これがいよいよきょう、一応終わるんです。ということは、これからは、ボランティアで入る方々は、空路で行く場合には有料になってくる。

 そもそも、この医療関係者に対するいろいろな協力というものは、政府、厚生労働省を中心に、こういう状況だから入っていただいていろいろな急場をお助けいただきたいというようなお願いをされたんだろうというふうにお聞きをいたしております。もちろん、ボランティアですから、ある程度は入っていただく方々の自発的な思いの中で御協力をいただくわけでありますけれども、やはり、長くなる、また回数がふえてくるという話になると、それなりの負担というものも生じてくる、増してくるわけでございまして、こういう最低限の実費に対しては、何らかの政府としての対応というものをしていただけないかというような声が各団体から今上がってきております。

 そこで、一々細かいところまでという話になるのかどうかわかりませんけれども、協力団体の方に、協力の度合いに応じて何らかのお金を入れられないかでありますとか、また概算払いで何かお金が入れられないかでありますとか、そういうような、ボランタリーで入っておられるそれぞれの団体が、それ以外の部分で非常にお金がかかる部分に対して何らかの援助というものをお願いいたしたいんですが、政府は何かお考えございますか。

岡本大臣政務官 御指摘のとおり、日本医師会や日本看護協会を通じて被災地に医師や看護師を派遣する場合は、日本医師会等が航空会社と調整を行って航空運賃を免除する措置がとられているわけですけれども、現状では、都道府県知事の要請に基づいて派遣された医療チームの救助に対して、委員御承知のとおり、災害救助法に基づいて、救助が行われた地の都道府県がお金を負担した上で、最大、国が九割その負担をし、残りについても地財措置をとって、実質的には地方負担が極小化されるという仕組みがあるわけであります。

 それ以外のスキームで入られた方をどういうふうに取り扱うかというのは、確かに、御指摘の問題、大変大きな課題でありますし、難しい観点もあるというふうには思いますが、そういったボランティアの気持ちで入っていただいた方へ、やはり一定程度我々も配慮をしていかなきゃいけないという面はあろうかと思います。

 委員から御指摘をいただいたことを含め、また省内の方で考えてみたいと思っています。

田村(憲)委員 これからいろいろな立法をおつくりになられると思いますので、そういう中に何らか一項目入れていただければありがたいというふうに思います。政務官、よろしくお願いいたします。

 大臣お越しになられました。きょうは、大変な協力をさせていただいておりまして、大臣が来られる前から質疑を始めさせていただいておりますが、本題の方に入らせていただきたいと思います。

 戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案に関しての質問でありますが、もちろん、これの趣旨等々は我々も十分に理解をいたしておりますし、当然、この中間年での特別給付金というものは今までも支給をしてきていただいたわけでありますから、新たな対象者の方々に対して今回もこれを同様に支給をいただくための法律というものは、当然早急に可決をいただき成立をしていただきたい、このように思っております。

 ただ、見ておりますと、私も、はたとちょっとおかしなところに気づきました。何らかの理由があるんだと思いますが、今回の対象、平成十五年四月二日から平成二十三年四月一日まででございます。これは、私がきょう配付しております資料を見ていただくと、今回の平成二十三年、ここから二十八年までの対象という形でありますから、そういう意味では間に合っているのは間に合っているんですよね。ところが、問題は、平成十五年というところの起点なんです、起算点といいますか、スタート。

 本来ならば、平成十八年四月二日から平成二十三年四月一日であるならば、要するに、本来三十万もらえるのが、その三十万を待っておるとそれは十年待たなきゃいけないから五年でその半分がもらえるようにしようという、中間年の救済策のようなものでございますので、十八年の四月二日からスタートならばわかるんです。

 ところが、十五年の四月二日ということになりますと何が生じるかというと、本来は、この十五年四月二日の方々は、十八年から二十八年の丸々の対応にならなきゃいけないんですね、三十万の。つまり、三年間分だけ中間年の方に飛ばされているという話になるんです。

 逆に言えば、だからこれが、中間年は八年間の方々が対象になっておるわけでありまして、すると、本来の、丸々三十万円もらえる方々は、これは何が起こるかというと、対象年は二年になっちゃうんですね。不思議ですよね。本来の方々の対象年が二年になって、中間年の方々が八年。

 これは、多分何らかの理由があるんだと思いますが、大臣、理由を御説明いただけますか。よろしいですか。どうぞ。

細川国務大臣 まず冒頭に、おわびをしなければなりません。先ほど参議院の方で本会議がございまして、そちらの方に出席をさせていただきまして、こちらの委員会の方への出席が遅くなりましたことについて、これは大変申しわけなく、おわびを申し上げたいと思います。

 さて、田村委員からの御質問でございますけれども、この戦傷病者等の妻に対する特別給付金につきましては、従来より、同時期に戦没者等の妻に対する特別給付金を併給する、そういうことがないようにということで、支給要件を満たす時点である基準日をそろえ、いずれか一方の特別給付金を支給するというふうにしてきたところでございます。

 他方、戦傷病者等の妻に対する特別給付金は、戦没者等の妻に対する特別給付金に三年おくれて制度が創設をされましたために、御指摘のように、新規受給者の対象期間が二年間または八年間になる、こういうことで差異が生じたというところでございます。

田村(憲)委員 ということだと思うんです、私も。ただ、正直言って、今では合理的な理由にはならないんだろうというふうに思います。新規対象者は今回約八十名ぐらいだというふうにお聞きをいたしておりますけれども、やはり、中間年の、少ない方の対象期間が多くて本来のところが二年間しか対象期間がないというのは、どう考えてもおかしい話でございますし、ましてや対象者がどんどん減っていくわけでありますから、次の改正の時期にはちょっとこれを直していただくような、そんな御配慮というものをお考えいただければありがたいと思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。

細川国務大臣 委員が御指摘のように、この対象者というのは大変御高齢になっておられます。したがって、速やかに支給するということが必要でございまして、その点については委員と同感でございます。

 したがって、次の改正を行う場合には、委員が御指摘のように、どういうふうな方法があるかということも含めて検討してまいります。

田村(憲)委員 ひとつよろしくお願いをいたしたいというふうに思います。御高齢の方々ばかりでございますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、ちょっと質問順序を入れかえさせていただきながら、震災関係の質問に移りたいと思います。

 きょう、配付資料の中で、一番目は今のところなんですけれども、二番目を見ていただきますと、こういう記事が出ておりました。被災者受け入れたのに診療報酬カットということでございまして、これは、東京都北区にあります王子生協病院というところでございます。

 透析患者六人を実は被災地から受け入れたけれども、たまたまこの病院の透析がいっぱいであったので、他の診療所にこれを割り振って、来られた被災者の方々は、大変ありがたい、被災地で受けられなかったのに東京に来て病院で受け入れてもらって、その病院ではなかったけれども、ほかの診療所で透析を受けられた、こういうふうに喜んでおられるんですが、問題は、この病院の入院料一万五千五百円、これが三割カットされるというのが一応制度上決まっておるということでございまして、三割カットされるというふうに連絡を受けたということでございますが、どう考えても不合理でございます。

 その後どうなったのか、そのまま三割カットのままなのかどうかも含めて、大臣、お答えいただければというふうに思います。

細川国務大臣 委員御指摘の件でございますけれども、現行の診療報酬におきましては、入院患者がほかの医療機関の外来を受診した場合には、入院している医療機関の診療報酬を減額する、こういうことになっているところでございます。

 しかし、今回、透析治療が必要な被災地の入院患者の受け入れにいろいろと御協力をいただいている医療機関につきましては、入院した患者がほかの医療機関で透析治療を受けた場合でも、当面、診療報酬の減額措置は講じない、こういうことでやっていきます。

田村(憲)委員 やっていきますということでございますので、減額しないというふうにお決めになられておるというふうに理解をさせていただきます。

 せっかく受け入れたのに、制度の中でがちがちになって診療報酬が減っちゃうという話ですと、善意が本当に無になってしまう話なので、ひとつこういうことはよろしく目くばせの方を、これからもいろいろな部分でこういうものがあると思いますから、お願いをいたしたいと思います。

 同じような話なんですが、これは善意というわけではないんですが、制度の中で、次の私の資料、陸前高田市で社会福祉法人が施設をつくっておって完成までした、ところが津波で流されてしまった。補助金が出るところで、いよいよ申請をしたら、支払われるかどうかわからないというような報告が県からなされて大変だという話なんですが、きょうの新聞に、補助金は支払われるということが出ております。ですから、これが本当かどうかも確かめたいんですけれども、この補助金が、これは愛育会という社会福祉法人の知的障害者のケアホームなんですけれども、どうやら国と県との話し合いの中で支払われるということが新聞の中では一応書いてあるので、多分そういう方向なんだろうと思います。

 これも確認したいんですが、同時に、まだ完成していないもの、こういうものが途中で流されている案件、非常に多いと思うんです。その中には、厚生労働省等々のいろいろな補助制度で動いているものもあると思います。こういうものも含めて、やはり、ある程度できた部分は補助金をお支払いいただかないと、これを建てていた方々は大変な負債の中で苦しまなきゃいけないという話になるわけでありまして、そこに関して、大臣、やはり何らかの助けの手を差し伸べていただきたいなというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。

細川国務大臣 委員の御指摘がございました社会福祉施設に対する整備費でございますけれども、この執行に当たりましては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、こういうのがございまして、これで規律をされているところでございます。

 今御指摘のありました岩手県陸前高田市の社会福祉法人愛育会の知的障害ケアホーム、これが完成した、建ったけれども津波でやられた、こういうこと。これについては、完成していたということで補助金をしっかり支払う、こういうことにいたしました。

 それで、御質問は、建設の途中でありますが、途中でも、かかった費用についてはこれもお支払いをする、こういうことで進めていきたいというふうに考えております。

田村(憲)委員 非常に前向きな御答弁でございますので、いくということですから、していただけるというふうにお聞きをさせていただきます。大臣、よろしく御配慮のほどお願いいたしたいと思います。

 お聞きしたいことがいっぱいあるんですけれども、今回、一つ、計画的避難区域というような新たな指定をするという話が出てきております。

 この中で、今まで、被災地また避難区域等々で、医療、介護保険の自己負担、保険料、また失業給付、こういうものに対して特例を出してきていただいた流れがあります。また一方で、そういうところで失業給付が出ない場合には雇調金というような話もございました。

 この計画的避難区域という、一定期間を置いた中で避難をしていただく区域ですよね、ここにおいては、医療、介護、また障害者自立支援法における自己負担、さらには失業給付、まあ、雇調金はちょっと失業給付と反面に出るところなんでしょうけれども、ここら辺のところの対応はどうされるおつもりですか。

岡本大臣政務官 計画的避難区域につきましては、これまでの避難指示地域や屋内退避指示地域の取り扱いと同様とさせていただきたいというふうに考えておりまして、医療保険、介護保険、雇用保険といった、委員御指摘のこういった保険の特例を適用することとしておりますし、雇調金につきましても、計画的避難区域の指定を受けたことにより事業活動が縮小した場合は、これまでの避難指示地域や屋内退避指示地域における取り扱いと同様とさせていただきたいというふうに考えております。

田村(憲)委員 ということは、今まで雇調金で対応していたところは、雇調金から失業給付の特例に移る場合もあるというふうに考えていいんですか。

岡本大臣政務官 雇調金は、当然事業主の負担もあるわけでありますから、支払いが出てくるわけですから、それに対して、失業給付であれば事業主の直接の支払いはないわけで、そちらに切りかえたいというものが出てくることも想定をされておりまして、もちろんそれにも応じていくということであります。

田村(憲)委員 ありがとうございました。よくわかりました。

 我々もいろいろな要望、提言がありまして、実は、自民党で昨日、第二次提言を出させていただいております。もう政府の方には行っているんだろうと思いますけれども、この中に、きょう私が質問でお願いできない、そういう部分もいっぱい入っておりますから、特に大臣、ぜひとも御一読をいただいて、これは災害救助法の担当の省庁でございますから、全部一読いただいた上で、いろいろな御理解のもとでこれを取り入れていただければありがたいなというふうに思います。

 時間の方がもう残りわずかになってまいりましたので、質問したいことがいっぱいあったんですけれども、最後に、三号被保険者の話を若干させてください。

 三号の特別部会でいろいろな議論が出てきておりますので、その議論を本当はお聞きしたかったんですが、時間がないので、一方的に私の意見等々を申し上げます。

 新聞等々で見ておりますと、要は、空期間というものは一つ考えなきゃならぬだろうなと。保険料を払っていない方々にも、空期間という形で年金給付のための積算期間には入れていこうという考え方が一つの土台としてある。

 それからもう一つは、さかのぼって特例納付のような形で保険料を納付できるようにしたらどうだという話が出ておる。私、その中において、特例納付のような形で運用三号の方々に対応するのならば、本来はすべての方々に対してそれをやらなきゃいけないんだろうというふうに思っております。自民党は、マニフェストの中にもそういうことを書いておりました。

 といいますのは、わからずにやっている方々は仕方がないんですが、意図として、わかっていた人もいるわけですよね。気づいていてという方々も中にはおられるわけであります。そういう方々とのバランスを考えれば、やはりそこは特例納付を全体でやるべきだというふうに思っておりますので、ぜひとも、そこら辺も含めて、大臣、お考えの中に入れていただきたいというふうに思います。

 もう一点、受給者の方々の問題があります。この方々をどうするかという問題がございますから、これは我々としては、例のマクロ経済スライドのときに、物価が上がったときにそれを抑えていく、上がり方を抑えていくという方法があります。こういうものを使う方法も一つあるのかなというふうに思いますから、また御参考にしていただきながらいろいろな議論をしていただければありがたいというふうに思います。

 済みません、時間が来ました。来ていないんですけれども来ましたので、これにて私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

牧委員長 次に、坂口力君。

坂口(力)委員 どうもおはようございます。

 きょうは、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案についての質疑でございますが、この法案につきましては、私たちも賛成でございますしいたしますので、また今までかなり議論を尽くされてきたことでございますから、そんなに多くをお聞きすることはございません。一、二お聞きをして、そして補正予算のことについて少しお聞きをしたいというふうに思っております。

 まず最初に、受給者数というのは、平成二十二年の十二月末現在で二万一千七百四十二人、平均年齢は八十四・七歳だそうでございまして、かなり高齢になっておみえになる。八十四、五歳の女性というのは、比較的最近はお元気ですから、まだ大丈夫と思うんですけれども、しかし、これから四、五年する、あるいは十年するということになってまいりますと、そんなことも言っておれないということになってまいります。

 そこで、いろいろの改正がありましたときに、この皆さん方に御理解をしていただかなきゃならない。御理解をしていただかなきゃならないわけでありますが、内容はなかなか、我々が聞きましても、一遍に、ああ、わかりましたというほど簡単な内容でもないということでありますので、対象者の高齢化も踏まえまして、この制度の周知を徹底するということが大事ではないかというふうに思いますが、それに対してどうお取り組みになるのかということを一つ先にお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、郡委員長代理着席〕

細川国務大臣 委員おっしゃるとおり、対象者の皆さん、大変御高齢でもございます。そういう意味でも、この制度についてよく対象者に知っていただくというためには、周知を徹底する、こういうことが大事かというふうに思っております。

 そこで、戦傷病者等の妻に対する特別給付金につきましては、法律の施行より三年間で請求権が時効消滅、こういうことになっておりますので、支給対象者の高齢化ということもございますので、やはり、そういう時効という制度がございますので、それにかからないように丁寧に丁寧に周知を行っていくということが大事だというふうに思っております。

 それでは、そのために国の方ではどうすべきか、こういうことでございますけれども、まずは政府の広報をしっかりやっていく、こういうこと。それから、地方自治体に対しては、自治体の広報誌などによりまして制度の周知を徹底する、そして、前回受給者データ等を活用した個別の案内、個別の対象者に対しての案内ということについても、これも自治体の方に依頼をしてきているところでございます。

 さらに、平成二十年に改正されました戦没者の父母等に対しての特別給付金から、総務省によりまして恩給受給者データの提供を受けまして、対象者となる可能性がある者に対しては、国の方からは直接、個別請求案内の送付もさせていただいているところでございます。

 今回の法改正につきましては、国から個別請求案内を実施いたすところでありますけれども、その際には、国が確認できている事項につきましてはあらかじめ全部そこに印字をいたしまして請求書を同封いたしまして、申請がしやすいような、そういう便宜も図るということにしておりまして、この対象者に対しては、国として丁寧に最大限の周知をするようにいたすところでございます。

    〔郡委員長代理退席、委員長着席〕

坂口(力)委員 ぜひ、丁寧にひとつお願いをしたいと思います。

 それから、今、田村先生からも少し御質問がありましたけれども、なかなかこれは、内容を見ますと、どの年齢のところ、あるいは、御主人が亡くなられて、そしてどの年齢のところがどれだけかというのは非常に難しいですね。だんだんと高齢化していくわけでありますしいたしますから、これはこの次で結構ですから、もう少しわかりやすい制度にならないかなと。一律に、どの人であっても、戦傷病者の妻に当たる人には同じようにお渡しできるというような、もうちょっとわかりやすい制度にならないかなという気がいたします。

 ここは、ひとつ御検討いただけませんか。

細川国務大臣 なかなかこの制度そのものがわかりにくいというか複雑、委員のおっしゃるとおりであると私も感じているところもございます。したがって、委員が言われるように、ちょっと検討させていただきたいというふうに思います。

坂口(力)委員 それでは、残り時間、補正予算にかかわりますことを少しお聞きしたいというふうに思っております。

 先日のこの委員会におきましても、自民党の加藤先生から御質問がございました。できるだけ重複を避けるようにしながら、私もお聞きをしたいというふうに思っております。

 我々の方に示されております「二十三年度一次補正予算の粗々のイメージ」、「粗々のイメージ」というのもわかりにくい話でございますが、こういうのが渡されておりまして、そして総額は、財源は四兆円程度ということでございます。その四兆円程度の中を見ますと、目につきますのが、やはり年金国庫負担率の引き下げというのがあって二・五兆円、こうなっているわけでございます。

 これが我々の方に示されましたのは、たしか、十一日月曜日の夕方五時から六時ぐらいの間ではなかったかというふうに思います。マスコミが報じますところによりますと、その時点で厚生労働大臣のところには何ら、電話一つなかったということが報じられております。もしそれが事実であったとしたら、これはけしからぬ話でありまして、手順を間違ってやしませんかということを言いたいわけであります。

 三大臣合意があって決められたことでもありますし、そして、そのことが違う目的で使われるということに途中からなる。それならば、一番その担当の厚生労働大臣のところに、こうしたいんだけれどもという話があってしかるべき、一体、菅総理はどうなっているんだ、私が怒る話ではありませんけれども、そう思うんですね。厚生労働委員会の一委員としてもそれは腑に落ちない、こう私は思っております。

 温厚な細川大臣でございますけれども、ここは仏の細川から鬼の細川に変わって一発怒るべきだと思いますが、いかがでございますか。

細川国務大臣 坂口委員には、いつもいろいろな御質問をいただきながら御指導いただいておりまして、本当に感謝申し上げます。

 今回の、年金の二分の一の財源につきまして、これを今度の震災の復興財源に充てるということにつきましては、私としては、今回の震災というものは、かつてなかったような大変規模の大きい災害でございまして、被災者の数も、またその広がりにつきましても、また被害の甚大さ、こういうことも見ますと、本当にこれは国を挙げて、国家を挙げて復旧復興にしっかり取り組んでいかなければいけないということで、これに対しての国家的な支援ということで、補正予算も大変大事だというふうに思っております。

 しかし、一方、年金ということも、これも本当に大事な制度でございまして、老後の安定した生活を送るためには、この年金制度、年金の財政が長期的に安定的に運営もされなければいけないということで、私は厚生労働省の責任者として、しっかりここを確保していかなければならない、こういうふうに考えておりまして、委員がおっしゃるように、私としては、この年金の二分の一の財源について、これは堅持していかなければというふうに思っております。

 したがって、仮に補正予算に年金二分の一の財源を使う、こういうことであるならば、これは、その後、何らかの方法で確実に年金財政の方にきちっと戻してもらえるような、それを確保すること、このことが私は大変大事なことでありまして、そのことがしっかり確保できない限り、この二分の一の補正予算への流用については、私としては、なかなかそれを、はい、そうですかというわけにはいかないというふうに考えております。

坂口(力)委員 やっぱりおとなしい細川大臣ですね。私だったらもっと怒るところですけれども、おとなしい。それは私の方が見習うべきことかもしれません。

 大臣がおっしゃいますように、東北の大災害に対しまして、みんなが協力をしなければなりませんし、補正予算が必要なことも私は十分に理解をいたしております。そして、どういうふうな財源であれ、厳しい財源の中ではありますけれども、そこから財源を生み出して、そして充てるということも、これはおっしゃるとおりだというふうに思っております。

 大臣は仮にとおっしゃいましたけれども、仮に補正予算が組まれるとしたら、こういう意味だと思いますけれども、もう仮にの段階は過ぎているんですね。もう政府の方でも決められ、そして野党の方にもお示しになって、そして大体四兆円規模の補正予算をやりますということはもう示されているわけでありますから、仮に組まれたらというときは過ぎていると私は思います。

 それで、年金の財源につきましては、先日も加藤先生からも御質問がございましたが、過去にもお貸しをして、そして今なお返っていないのが五兆数千億あるという経緯もございます。

 ですから、今回、年金に充てるべき金を災害のために充てるということになれば、その後、一体そこはどうなるのか。三六・五%から五〇%に引き上げるということを決めていたのを、もう一遍三六・五%に戻してくれという話なのか、それとも、五〇%はそのままにして、一時借りるけれどもこれは間もなくお返しをするということなのか、もうぼつぼつ大臣のところにもその辺のところの話は来ているのではないかというふうに察しております。もう来週にも決定をされるという段階だそうでございますので、その辺のところは私は来ているのではないかというふうに思います。

 大臣は記者会見で、第一次補正で使われるとしても、第二次補正でそれは返してもらうようにするという趣旨のことをおっしゃったというふうにマスコミは伝えておりますけれども、それは少し甘過ぎるんではないか。ことしじゅうにできるのなら何も借りる必要はないわけでありますし、また、最初から復興国債と申しますか、そうしたものでやれないこともないと思うんですね。

 後で返してくれるのであれば、国債で出すのも、それからそうではなくて、年金財源で借りて後で返すのも一緒のことですね、これは。一緒のことを、なぜ初めからそうせずに年金のお金を使うのかというところに、多少我々はひっかかるわけであります。財務省はまた返さぬつもりでいるのと違うかというその疑いが先に立つわけでありまして、そんなに人は疑ってはいかぬということかもしれませんけれども、過去に例があるだけに、そういう思いも起こるわけであります。

 初めに申しましたように、財源が必要なこと、そして支援をしなきゃならないこと、これは私たちも重々わかっているわけでありますが、どこからの財源を使うかということを考えますときに、まず社会保障費からというのは、少し手順が違うのではないかというのが私の思いでございます。ほかからもあるのではないかと。そうしたこともきちっとして、それでもなおかつ足りないから社会保障費からというふうに言っていただくのであれば、それは私たちも理解をしなければなりませんけれども、まずさておいて社会保障費から先に使うというのは、その内閣が何を重視しているかというバロメーターにもなる話でありまして、これは菅内閣といたしましても決してプラスになる話ではないと私は思いますね。

 そういう意味からいたしましても、私は、ここはそう簡単に、これからどうぞ先に使ってくださいというわけにはいかないのではないかという気がいたします。

 それで、大臣にお聞きしたいのは、それ以後、今、仮にというふうにおっしゃっていますけれども、もう仮にの段階は過ぎているわけですから、ここは一遍使わせてください、すぐ返しますという話なのか、新しい財源ができたら返しますという話なのか。新しい財源ができるというのは、来年できるか再来年できるかわからないわけですね。そうしましたら、積立金をそれまで充てておいてくださいというのであれば、ことしも充てます、またそして来年も充ててください、再来年も充ててくださいということになりかねない話でありますから、ここは言いにくい話であってもきちっと言っていただいて、整理した結論を出しておいていただかないと、取り返しがつかないことになる可能性があるという気がいたします。

 現在の段階で、言いにくいことはよくわかっています。言いにくいことはよくわかっていますが、我々にも、現在の段階で内閣の中でどういうところまで話が進んでいるのかということは、もう少し情報公開をしてほしい、こんなふうに思いますが、いかがですか。

細川国務大臣 この大震災の復旧復興に向けて、まず第一次の補正予算を組まなければいけない。これは今政府としても急いでいるわけでございまして、それについては今政府の中でもしっかり議論もいたしておりますし、また、野党の皆さんにも御提示をしたということで、その御提示があらあらというようなことで、まだ政府の方で決まったわけではないわけでございまして、今、野党の皆さんにもあらあらの案をお示しして御協力をいただこう、こういうことで進めているものと思います。

 そこで、先生もおっしゃるとおり、社会保障、とりわけ年金について、この重要性、特に二分の一ということを既にずっとこれまで決めてきて、そして今年度の予算にも計上もしてやってきているわけでありまして、私としても、補正予算の方にこれを軽々に使うということについては、これは本当に、初めからそのことについては私も認めていないところでございました。

 そこで、先ほどもお話ししましたように、総合的に判断をして補正予算にこの年金二分の一をどうしても使わざるを得ないということになりましたときには、二分の一というのを堅持するために、今後、二次の補正予算あるいはまた別の方法、いろいろあろうかと思いますけれども、確実に二分の一を堅持できるような、それを私としては、何らかの形の担保をしっかりとっていかなければいけない、こういうふうに強く思っておりまして、そのためには私は最大限努力をしてまいりたい、このように考えております。

坂口(力)委員 もう時間も参りましたからこれで終わりにさせていただきますが、とにかく、復興のための財源を全体でどうするのかという全体像が今のところ示されておりません。これは、これからどうするんだという、何によってどうするのだという全体像をまず示して、そして、それまでのつなぎならつなぎをどうするかという話になるというのが私は手順というものだと思いますけれども、全体像を示さずに、そして、とにかく手っ取り早いところから、取れるところから取ってというようなことでありますと、そこは違うのではないかと。

 大臣に一番最初に相談すべきところを後回しにしたということも手順が違いますし、社会保障を一番先に手をつけるという手順も違うし、手順の違うことだらけが続いているということを大変私は残念に思うということをきょうは申し上げたわけでありまして、大臣のさらなる御奮闘をお祈りいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 議題となっております戦傷病者等の妻に対する特別給付金についてでありますが、額面百万円の十年国債、ことしは五年ごとの中間年として、十五万円の五年国債を支給するという提案であります。

 新たに対象となる方が八十名程度ではないかと聞いておりますが、戦後から六十六年、いまだに新たに受給権を得る方がいらっしゃる、このことに非常に深く思いをいたしているところであります。

 十年ごとに支給額を拡充してきたわけでありますが、それでも、予算は三億五千七百四十三万円。減少している。対象者が減少しているからに違いありません。そうであれば、間違いなくすべての方にお渡しするべきだと思います。

 昨年、私は、戦没者の父母等に対する特別給付金について、お知らせがなかったために請求漏れで時効が過ぎてしまった方の問題を紹介し、総務省の恩給データベースを活用して漏れなくお知らせするべきだ、このような指摘をしたと思います。

 当時の長妻大臣が、「援護年金受給者リストに加えて、総務省の協力を得て恩給受給者リストも活用して、対象となる人に、まず国から直接お手紙を出すということ、これまでしていなかったものを実施する。」と述べました。そして、その後きちんと申請に結びついているのか、フォローもするとお答えになっているわけです。

 まず、この成果がちゃんと得られているのか、そして、今回の改正に当たってさらに努力することが何なのか、伺います。

細川国務大臣 この特別弔慰金、せっかくのこの弔慰金が時効制度によって消滅をするということ、これは対象者の皆さんにとっても大きな損失でありますし、せっかくの弔慰金というのがその効果が生じないということで、これは委員がおっしゃるとおり、しっかり時効にかからないようにするのが国家の務めだというふうに思います。そういう意味で前長妻大臣が、いろいろな形でのフォローアップをしなきゃいけない、こういう御答弁をされたものと思います。

 そこで、平成二十年に改正されました特別給付金、これの対象者となり得る方に対しまして、国から個別の案内を実施したところでございます。

 その後、具体的な取り組みといたしましては、これらの二つの制度、これは平成二十年に改正された戦没者の父母等に対する特別給付金、そしてまた、平成二十一年に改正された戦没者等の遺族に対する特別弔慰金、これらの二つの制度について、国から送付した案内があて先不明で返送された方については都道府県に照会をいたしまして、新しい住所が把握できました方には案内の再送もさせていただいております。

 また、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金につきましては、都道府県におきまして時効の消滅、時効による失権防止対策の実施状況につきまして調査をいたしまして、他の都道府県の取り組みをも参考にするように調査結果を情報提供もさせていただいたところでございます。

 今回の法改正につきましては、国から個別の請求案内を実施するとともに、その請求案内をする際には、国で確認できる事項につきましてはあらかじめ印字をした請求書を同封して、対象者の皆さんの申請の便宜を図るようにもいたしているところでございます。そういう意味で、いろいろと配慮させていただいたところでございます。

高橋(千)委員 前回から返送されたものについても再照会をされていることや、今回はあらかじめ印字をしたものを送っていくということで、なるべく簡便にという形で対応されるということだったと思います。これは本当に徹底をしていただきたいと思っております。

 昨年の質問の際は、大阪地裁で時効のために未払いとなったことで国を相手に争っていた原告、関百合子さん、野村香苗さんについて紹介をいたしました。残念ながら、昨年十月十五日に大阪地裁で敗訴いたしました。原告は控訴して、今、高裁で争っているところであります。

 判決文には、今、大臣がおっしゃられたようなこれまでの国の態度が書かれているわけですけれども、例えば、平成八年十二月十一日参議院予算委員会、個人に向けての通知書が出せないものかどうか研究するという梶山静六内閣官房長官の答弁、平成十年三月十九日の参議院国民福祉委員会における、行政側で把握できる特別給付金の対象者に対しては、新たな措置として未請求者の方々に個別に制度の内容を送付する旨の小泉元総理答弁も紹介をされております。ただ、時効廃止を求める議員立法が成立していないために、憲法に照らして違法ではない、こういう判決であったわけです。

 その文言はこうであります。「特別給付金は、第二次世界大戦において、一心同体ともいうべき夫が戦没したことによって、大きな心の痛手を受けた戦没者等の妻の精神的痛苦を慰謝するために設けられた給付金である。」と意義を述べている。それなのに、昭和四十三年十一月二十七日の、国民がひとしく受忍しなければならないという戦争受忍判決を引き合いに出して、「特別給付金は、憲法によって保障された権利ではない」と言ってのけました。

 私は、非常に強い怒りを感じるのです。五十万人以上の女性たちが、二十代半ばで夫を亡くし、二人、三人の遺児を抱え、筆舌に尽くせない苦労を強いられてきました。三年の時効で資格を失った方は十万人とも言われておりますが、国が、先ほど述べたように精神的痛苦を慰謝するという立場で制度をつくり、しかも、この間繰り返し、未払いが生じないようにと国会で確認し、取り組みをしてきたことを、たった三年で権利が消滅してしまって受けられなかった方たちに対して、憲法違反ではないからと退けることが許されるのでしょうか。

 大臣、お二人の原告の居住地である大阪市議会、箕面市議会を初め、堺、高槻、吹田など大阪府下十二の議会、人口にして大阪府民八百八十四万人の六二%に当たる自治体が、時効を取り消し、特別給付金の未払いを解決するように国に意見書を提出しています。

 これらの戦没者、戦傷病者等の給付金などは、もう時効はなくすべきではないでしょうか。

細川国務大臣 委員のおっしゃる時効の撤廃でございますけれども、そもそも時効制度は、一定期間継続した事実状態を尊重するということで、法的な安定性を図るというのが、これがそもそもの趣旨でございます。また、ほかの制度にも時効制度というものはあるわけでありまして、この時効制度を撤廃するということになりますと、時効制度そのもの、これが非常に大きな影響といいますか、それを受けるというようになってくるということで、なかなか時効制度を撤廃するというのは難しいということでございます。

 しかし、委員が言われるように、この時効制度で失権をされるという方がいるということは、これは法の趣旨にも反するということでもありますから、先ほども申し上げましたように、この制度そのものを対象者の方に周知徹底をする、そのことを丁寧に行っていくということが国としても最も大事なことだというふうに思っております。

 したがって、今回の法改正につきましても、国からの個別請求案内を実施いたしまして、新たな取り組みといたしましては、案内の際に、国で確認できる事項についてはあらかじめ印字をした請求書を同封いたしまして申請の便宜を図るというようなこと、そういうことをいたしまして、対象者の皆さんに権利を行使していただく、申請をしていただくということで、できるだけ時効制度における失権の防止に努めるということで国としてはやらせていただいているところでございます。

高橋(千)委員 今最後におっしゃられたように、できるだけ時効で失権される方がないようにとおっしゃった、そのための取り組みもしていきますと言っているわけです。ですから、これから先、時効を争う方がわっと出てくるわけではないわけです。最初にお話をしたように、対象になる方は残念ながらどんどん少なくなっていく。だからこそ今、わずか三年という時効はもうなくていいのだという立場に立っていただきたい。このことを重ねて要望したいと思います。

 さて、残された時間で、震災問題に関連して質問いたします。

 資料を配っておりますが、厚労省がこれまでも、雇用調整助成金の要件緩和など、雇用確保と企業救済のために取り組んできたことは承知をしています。震災後、今配っていますのは四月八日付の周知のためのチラシでございますが、通達は雇用調整助成金だけでも十本くらい出ているわけであります。それはよくわかるのでありますけれども、実際の運用の問題なわけですね。被災地を応援する上でも、自粛ではなく全体の経済が回るということが重要ではないかと思います。

 また、一つの企業の経済といいますか業態といいますのは、資材、部品、輸送、加工、さまざまに関連をしておりまして、被災地ではないということで簡単に区切られるものではないと思います。

 例えば、青森県は、下にありますけれども、震災に伴う特例ということで、被災地の名前があって災害救助法適用地域というふうに書いていますけれども、青森県は災害救助法の適用になっているのは八戸市とおいらせ町だけであります。ですから、資料にあるような特例が受けられません。しかし、昨年十二月に新幹線が開業したばかりであります。なかなか景気の悪い本県でありますけれども、直近の三カ月の売り上げで比較すると上がっているんです。やはり開業効果があるわけです。そうすると、たったそれだけのことで対象にならないということになるわけなんです。これはいかにも不合理ではないか。

 青森県商工会議所によれば、浅虫温泉では一月もたないという旅館がたくさんある、あるホテルでは五千万円の損失だという、真っ暗やみの中を歩いているような感覚になる、そういう業者の声が寄せられ、どこまで頑張ればいいのか、先がどうなるのか全く見えない不安があると訴えられました。

 激甚災害の指定は全国のはずであります。もはや、特例は災害救助法の地域と限定しなくてもよいのではないでしょうか。

細川国務大臣 雇調金の特例措置について、全国の企業に適用すべきではないか、こういうような御質問の趣旨かと思います。

 今回の雇調金の特例措置につきましては、今回の震災によりまして事業が継続困難ということになって、大量の離職者が発生するということが明らかでありました災害救助法適用地域におきまして、雇用の維持に努力する事業主を迅速に支援するということで、例外、特例を設けたわけでございます。

 また、これらの地域の事業所と一定規模以上の経済的関係を有する事業所や計画停電の対象となります事業所についても、被災地の事業所と同様に、雇用の維持に向けた迅速な支援が必要であったことから、特例措置の一部を追加的に適用もすることとしたところでございます。

 このように、雇用調整金の特例措置は、その必要性に応じて、被災地だけに限らないように全国的に認めているところでございます。

 今後とも、雇調金につきましては、より使いやすい制度となるように、被災地やそれ以外の地域の状況に十分留意をしながら、必要な場合には見直しをしてまいりたい、このように考えているところでございます。

高橋(千)委員 今、限らないようにというお言葉があったわけですが、これははっきりと私が質問したことにそうだと言ったのかどうかは、もう少し確認をしたいと思います。

 例えば、太平洋沿岸部にある牛乳工場の社員、これが内陸の山形県新庄に勤務先があって、被災したから休業手当を払わなくてもよいというふうに言われる、無給で休ませられている方がいらっしゃいます。被災地だったら、後から計画書を出せば雇調金の対象になったはずだと。あるいは、山形市内、本社の運送会社の契約社員。半年契約で四月満了だと言われた。この方も、太平洋側から食料品などを輸送する会社の下請だったそうです。震災後、無給で休ませられているということです。

 被災地にある企業とそうでない企業というのは、やはりこれは関係があるのだ、先ほどの青森県の話も含めて、やはり被災地という救助法の適用地域に限らないということで確認をさせていただいてよろしいでしょうか。

細川国務大臣 この雇用調整助成金の特例などにつきましては、これは一定規模以上の経済的な関係を有する事業所あるいは計画停電の対象となる事業所につきましても、被災地の事業所と同様に、この特例措置の一部、これは特例の、事業活動の縮小の確認期間の短縮、これは三カ月を一カ月にするとか、あるいは災害後一カ月間の生産量の減少見込みということでも申請ができる、こういうように適用をするということになっておりまして、そういう意味で、雇用調整助成金の今回の特例措置につきましては、必要性に応じて、被災地だけというふうに限らないように全国的に認めているということで御理解をいただきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 そこのところが、経済関係が三分の一以上あるとかいろいろありますので、柔軟に対応できるようにぜひしていただきたいと思うんです。

 問題は、それが、特例をした、通知を出したといっても、さっき言ったように、十本もこの間雇調金だけで出ているわけですから、それが本当に徹底できるかということは、やはり出張相談が本当にできなければ無理なわけですよね。その相談と被災者をつないでいかなければならない。

 これは残念ながら時間が来ましたので、続きを来週するということで、要望だけにとどめますけれども、そのために今労働局の出前相談などもやっていらっしゃるということは掌握をしているわけですけれども、そのためにもっと体制を整えていく、人をふやしていくということが絶対必要だと強く要望して、続きをまた来週お願いしたいと思います。

 終わります。

牧委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 私にいただきましたお時間、十分でございますので、本日議題の法案については、いろいろな点でさらに充実をするということの必要性を含んだ上で賛成といたしたいと思います。

 そして私は、本日は、議題といたしましては、まだ、第二次大戦によってお亡くなりになった、あるいは行方不明になられて、御帰国、御帰還のかなわない御遺骨あるいは行方不明者のことについてお伺いをいたします。

 ちょうどこの問題は、震災が、敗戦、第二次大戦にも匹敵するような悲惨な状況であると言われていることと私にとっては重なってまいります。

 まず冒頭、菅政権にあっては、平成二十二年の八月でございましたか、硫黄島における遺骨収集の特命チームをおつくりになりました。そして、その中で、硫黄島ではまだ、お亡くなりになった二万一千九百人の方のうち一万三千人以上の方が御帰還ではないということで、鋭意御帰還を進められたことと思います。

 現在は、ちょうど東北の大震災にあって、自衛隊の皆さんが東北地方に行かれているということで、万全な体制というわけにもいかないようでございますが、ここまでのところ、どのくらいの実績があり、そして今後、震災もございますが、このスピードがとどまることのないようにやっていただきたいですが、いかがでしょうか。

森岡政府参考人 お答え申し上げます。

 硫黄島におきます遺骨帰還につきましては、先生御指摘のとおり、総理の指示のもと、硫黄島からの遺骨帰還のための特命チームが設置されまして、米国の資料調査の結果を踏まえ、渡島手段を含めた自衛隊の協力のもと、御遺族、ボランティアの参加を得て、政府一体で取り組んでいるところでございます。昨年におきましては、八百二十二柱という近年例にない御遺骨の収容ができたところでございます。

 一方、今般の東日本大震災を受けまして、自衛隊の災害派遣に伴いまして、渡島手段の確保等が困難になっているということでございます。今年度の事業の進め方につきましては、防衛省の方と今協議を進めているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、政府一体となって硫黄島からの遺骨帰還に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。

阿部委員 今回の特命チームは内閣官房に置かれて、阿久津補佐官が担当になって、外務省、防衛省、厚労省、総力を挙げて取り組んだという、ある意味で戦後初めての私は腰を入れた対応である、もちろん、これまでもやってこられたけれども、やはりもう年月がたって、なかなか判明しない御遺骨の帰還を願うためには、これくらい力を入れて取り組まねばならないと思いますので、ぜひ、震災の問題もございますが、これが、先ほど申しましたスピードが鈍ることのないようにお願いをしたいと思います。

 そして、今回これだけ、八百名以上の方が御帰還になられたことの背景には、アメリカ側の資料を十分活用されて、どこにどのような形で戦闘があり、また埋葬地があるかなどの情報を得られたとも伺っております。

 米国資料調査経費というものの予算計上も、二〇一一年度では八億一千九十万円と、昨年度に比べて六千八百万円も増加させたということでありますが、今後、やはり海外資料をさらに有効に活用する、特に、海兵隊等の資料館にも資料があると思いますが、その点の活用も含めて、今、公文書館から資料をいただいているのだと思いますが、海兵隊の資料館等々にも調査が及べば、また新たな情報、特に太平洋地域、みんな海兵隊との戦闘がありましたので、新たな情報を得られるやと思いますが、いかがでしょう。

森岡政府参考人 お答え申し上げます。

 硫黄島につきましては、菅内閣総理大臣の指示のもと、昨年夏以降、特命チーム及び岡本政務官を初めとしました厚生労働省職員におきましても、米国国立公文書館等に保管されています米国部隊の行動記録等の資料を米国国防総省の協力を得て調査した結果、集団埋葬地に関する有力な情報を得ることができ、昨年度は八百二十二柱と近年例のない多くの御遺骨の収容を達成したところでございます。

 今年度におきましては約八千万円の予算を計上しているところでございますが、今後とも、米国の保有する部隊行動記録等につきまして、米国国防総省の協力も得ながら、より一層調査を行いまして、遺骨帰還の推進に活用してまいりたい、このように考えているところでございます。

阿部委員 私、今、質問の中で数値を間違えまして、今おっしゃったように八千万で、前年度比六千八百万増であります。

 今、私の伺いましたのは、国防総省等々にもお声をかけていただくということでいいと思いますし、特に、海兵隊の資料館というものもございますので、その情報もぜひ得ていただきたいと思います。

 今回の教訓は、アメリカ、主な戦闘相手がアメリカであった場合、向こう側に情報が残されているというケースが多くて、これからいろいろなところで私はこれは活用できると思いますし、お一人でも早く、いわば行方不明者であります、そして、それが長い年月、六十五年もたてば、生きてお帰りになることがない、御遺骨になり帰還されるという状況ですので、ぜひ御尽力をいただきたいという意味です。

岡本大臣政務官 先ほど審議官の方から御答弁させていただきましたけれども、昨年の十二月、既に、アメリカの海兵隊資料館に私行ってまいりまして、太平洋地域における戦闘の海兵隊側の資料について調査をし、情報を得てきておりまして、太平洋地域、他の島々における旧日本兵の皆さんの御遺骨の収容にそういった情報を活用していきたいというふうに考えております。

阿部委員 ありがとうございます。

 今のように具体的にお答えいただければ今後の進展が望まれますので、ぜひ岡本政務官にもよろしくお取り組みをいただきたい。

 そして、最後にDNA鑑定のことをお話ししたいと思いますが、このDNA鑑定については、皆様のお手元に資料を配らせていただきましたが、多い年で四百件余りが鑑定され、判明する、しないもございますが、これは、拾われた御遺骨に対して、御遺族の側が自分の資料を持っていかれてマッチングをするという形でございます。

 一枚めくっていただきますと、大体、例えば御遺骨が七千二百八十件あって、御遺族の側が二千八百七十二。なかなか、六十五年もたつと、情報が得られて、御遺族が名乗りを上げてくれないのでおくれておりますが、ぜひこのDNA鑑定という手法は今後も充実させていただきたいと思います。

 あわせて、さきの東北地方の大震災、津波においても、まだ行方不明者が一万人以上おられます。今後、時間との経緯もございますが、DNA鑑定というのは、今の東北地方の震災においても、例えば、どなたか判明せず、しかし御遺族、御家族は必死に求められておりますから、充実させていくべき分野と思います。

 細川大臣、この件について、さらに今九機関がDNA鑑定を大学でやっております。予算を充実させるなりなんなり、そして人を育てないとこの部分はスピードアップされませんが、ぜひ、今回不幸な出来事ですが、本当に愛する者をその胸元に帰してあげるためにお取り組みを、ここを強化していただきたいですが、いかがでしょう。

細川国務大臣 DNA鑑定につきましては、私はこれから強化していくべきだというふうに考えております。

 今回の震災の件でも、多数の方が亡くなられました。したがって、この人たちの身元を判明するための資料を、死体検案をするときに資料をきちっと残しておくということで、DNA鑑定ができるような資料もそれぞれの御遺体のお一人お一人について残している、そういうこともきちっとやっております。

 そういうことも含めまして、今委員が言われました戦没者の御遺骨のDNA鑑定の件、それから、さらに私は死因究明ということでもいろいろとそういうことが大事だというふうに思いますので、これから先、DNA鑑定についてのしっかりした体制をつくってまいりたい、このように考えておるところでございます。

阿部委員 ぜひその覚悟でお取り組みいただきたいと思います。

 終わります。

牧委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょう提出をされております、議題となっております戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案については、期間延長ということもあります。また、この法案については、全会一致の見通しでもございます。賛成をさせていただくということをあらかじめ申し上げた上で、十分間の質問時間を与えていただきましたので、今回、ちょっとこの時間を使わせていただいて、人命もかかっている重要な問題だというふうに思っておりますので、原発での作業員の安全管理等についてちょっと触れさせていただきたいというふうに思っております。

 まず一つ目として、内部被曝の健康リスクの基準についてお伺いをいたします。

 十二日に、今回の東京電力福島第一原発事故が国際的な評価尺度で最悪のレベル7ということで、原子力安全委員会の推定で六十三万テラベクレルという大量の放射性物質がこれまでに放出されたというふうに発表されております。

 これは、後からこんなことを言われても、もう取り返しがつかないんです。今から逃げたって、マスクをしたって間に合わないわけです。あえて仰々しく言わないように気をつけたとしても、しかし、それでも相当数の方がそれなりの量の放射性物質を知らず知らずのうちに、例えば経口摂取して内部被曝している、こういうことを考えなければいけない状況にあるというふうに思います。

 しかし、この間、一貫して私も、各党・政府震災対策合同会議の実務者会合等で申し上げてまいりましたけれども、この放射性物質の経口等の摂取による内部被曝というのが、どのような水準でどのような健康リスクをもたらすかについては、これは確たる基準がないというのが現状なわけです。

 この点について、私は、厚生労働省がイニシアチブをとって、こうした状況に立ち至っているわけですから、そうした基準を設けるべきではないかというふうに思っておりますが、見解をお尋ねしたいと思います。

大塚副大臣 まず、今回の被災対応につきましては、各党の皆さんにも御協力をいただいておることを御礼申し上げたいと思います。

 その上で、今柿澤委員が御指摘のように、この内部被曝についてどのような基準でこれから考えていくのかということは、喫緊の検討課題だと思っております。御承知のとおり、放射性物質の経口摂取については、食品についての基準もなかったわけでありますので、大震災発生から一カ月以内に何とか全体の体制をお示ししたいということで、食品については、そのスケジュールで整備をさせていただいたわけであります。

 ただ、その一方で、今御指摘のとおり、原子力安全委員会等がこの原発事故発生直後に幾つかの観測点で観測されたデータをこれまで多分解析していたと思うんですが、私たち自身も必ずしも承知をしていなかったデータをもとにレベル7という事態の認定をしたわけでありますので、これらのデータがどのようにその周辺の住民の皆さんあるいは国民に対して影響を与え、その影響についてどのような基準で考えるかということについては、次の喫緊の課題としてしっかり厚生労働省としても検討させていただきたいというふうに思っております。

柿澤委員 この点については、いつごろまでの見通しを立てているのか、重ねてお伺いをしたいと思います。

大塚副大臣 これは大変難しい御下問でございます。例えば、今回のレベル7というこの認定についても、科学者の間では、放出された放射性物質の量そのものはレベル7のゾーンには入っているけれども、チェルノブイリの十分の一だと言う方もいらっしゃるわけであります。また、そもそも、レベル7の認定そのものについても、若干幾つかの御意見があるわけであります。

 そういう中で、どの地点でどのように放射性物質が検出されたかということも含めて、どのような影響があるかということについては、なかなか簡単に断定ないしは明快な基準をつくりがたいという点についても御理解をいただきつつ、さりながら、国民の皆さんの最大関心事項ですので、できるだけ早く関係省庁と検討させていただきたいと思います。

柿澤委員 喫緊の課題とおっしゃったこの答弁は重いと思いますので、ぜひ早急に周辺住民等の不安を解消すべく、こうした基準を設けていただきたい。やはり情報を、むしろさまざまなリスクを伴うものも含めて開示をするということが、結果的に、自分がどういう状況に置かれているのかということを知ることによって、周辺住民のある種の不安の解消につながる、こういうふうに思っておりますので、特にお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 現場作業員の被曝管理、健康管理の体制について伺います。

 少し時間が迫っておりますので、飛ばしながら行きますけれども、私が聞いたところ、四月二日の時点で、放射線医学の専門医は前線基地のJヴィレッジには配置されていなかったというふうに聞いております。いるのは東電の産業医だけ。私が問い合わせしたのとほぼ同時に、救急医学会等に医師の派遣要請を出しているんです。こういう状況で本当に現場作業員の健康が守られる体制なのかというふうに私は非常に疑問に感じています。

 被曝管理についても同じです。線量計が足りないということで、外部被曝の累積の線量管理も十分にできていない。高い線量の中で働くための防護服も、足りない足りないといってかき集めている。今も内部被曝については管理し切れていない、こういう状況だというふうに私は聞いております。

 例えば、放射線量、累積の線量を管理できないとすれば、採血をして、白血球数の減少等、被曝の影響が出ていないか、こういうことを継続的にウオッチしていくことが必要だと思いますけれども、実はこのような体制もできていないんですよ、今。

 そして、Jヴィレッジでは、ずっと宿泊棟が開放されないで、過酷な現場から上がってきた作業員がずっと廊下や階段の踊り場で雑魚寝をさせられていた。今もそうだということもあるようですけれども、これで作業員のそもそもの健康管理が万全と言えるんでしょうか。大変疑問に思っております。ここに答弁を求める予定だったんですけれども、ここは求めません。

 こうした事実を踏まえてお尋ねをしたいと思いますが、ILO条約百十五号という条約があります。放射線の現場で働くあらゆる労働者の保護に関する条約であります。こうした被曝現場のそうした労働者の保護について、こういうふうに規定をしております。

 第五条、「労働者の電離放射線による被ばくを実行可能な限り低い水準のものとするため、あらゆる努力を払うものとする。」そして、第十二条、「就業中は適当な間隔を置いて健康診断を受ける。」第十三条、「被ばくの性質若しくは程度又はその双方にかんがみてすみやかに次の措置をとらなければならない場合を定める。」「労働者が適切な健康診断を受けること。」そして、「放射線からの保護に関し資格を有する者が、労働者が作業を行なう際の条件を調査すること。」

 こうしたILO条約百十五号の規定に、今の現場作業員の置かれている状況はことごとく違反をしてしまっているんじゃありませんか。こういう状況を、まさに、ILO条約を恐らく所管していると思われる厚生労働省はどういうふうに認識をしておられるのか。そもそも、事実として実態を把握して指導を行われているのか、お伺いをしたいというふうに思います。

大塚副大臣 まず、現在の政府の体制について御理解をいただきたいと思うんですが、この原子力災害に対応した原発内での作業状況等も含めて、これは原子力災害対策本部が情報も含めて一括管理をしております。

 そういう中で、さりながら、そのもとで働く労働者の皆さんの安全は厚生労働省の所管でありますので、当然、私どもも重大な関心を持って臨んでおりますが、今御教示をいただきましたILOの第五条、あらゆる努力をしているか、これは、考え得る限り、今あらゆる努力をしているというふうに私たちも信じておりますし、それは確認はさせていただきたいと思います。

 それから、第十二条の健康診断。私が聞き及んでいる限りでは、輪番で作業に入られた方々は、福島原発から南の方に下っていった茨城の方に待機拠点があるらしいというふうに聞いておりますが、三日勤務するとその拠点の方に移動されて、そこで除染等を受けられて健康管理を受けているというふうにも聞いております。

 ただ、いずれにいたしましても、柿澤委員の御指摘のとおり、ILO条約、我が国も批准をしているわけでありますので、その条約の内容にしっかりと適した対応がこの極限状況の中でも最大限とり行われるように、しっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。

柿澤委員 厚生労働省としては、現場においてあらゆる努力がなされているものと信じていて、そして確認をしていきたい、こういう答弁では私はやはりいけないのではないかというふうに思います。

 実際に、厚生労働省がそうしたある意味では確認を入れることによって現場の状況が改まる、そうした契機を与えることにも私はつながるというふうに思いますし、また、ILO条約という、国際的に批准をされた、日本国も批准をしている条約に違反をしている状況がもし仮にあるとすれば、これは先日の汚染水の大量海洋放出と同じことで、国際社会から見て、一体日本はどうなっているんだという、そうした評価にもつながってしまうというふうに思うんです。

 やれることをやっていないと私は思うんですよ。専門医を配置したり白血球数の推移を採血して確認する、できるはずのことではありませんか。こうしたことを現場でやっていないという実態が私たちが問いかけて次々と明らかになっている、こうした状況を私は厚生労働省として看過し、放置すべきでないというふうに思っておりますので、先ほどおっしゃったように、確認をしていきたい、こういうことでぜひ臨んでいただきたいというふうに思っております。

 質問を終わります。ありがとうございました。

牧委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

牧委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

牧委員長 次回は、来る二十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十二分散会


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