衆議院

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第9号 平成23年4月20日(水曜日)

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平成二十三年四月二十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 牧  義夫君

   理事 郡  和子君 理事 中根 康浩君

   理事 藤田 一枝君 理事 柚木 道義君

   理事 渡辺  周君 理事 加藤 勝信君

   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君

      青木  愛君    石毛えい子君

      石田 三示君    石森 久嗣君

      稲富 修二君    大西 健介君

      大西 孝典君    岡本 充功君

      工藤 仁美君    小宮山洋子君

      斉藤  進君    田中美絵子君

      竹田 光明君    玉木 朝子君

      長尾  敬君    仁木 博文君

      初鹿 明博君    平山 泰朗君

      福田衣里子君    三宅 雪子君

      宮崎 岳志君    山口 和之君

      山崎 摩耶君    吉田 統彦君

      梶山 弘志君    鴨下 一郎君

      河井 克行君    木村 太郎君

      菅原 一秀君    棚橋 泰文君

      谷畑  孝君    徳田  毅君

      長勢 甚遠君    西村 康稔君

      松浪 健太君    松本  純君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    山内 康一君

    …………………………………

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山内 健生君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           尾崎 春樹君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      渡辺  格君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  外山 千也君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       平野 良雄君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          小野  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       高井 康行君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      横尾 英博君

   参考人

   (日本銀行理事)     雨宮 正佳君

   参考人

   (原子力安全委員会委員) 代谷 誠治君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  樋口 俊一君     石田 三示君

  あべ 俊子君     木村 太郎君

  菅原 一秀君     梶山 弘志君

  松本  純君     河井 克行君

  江田 憲司君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     大西 孝典君

  梶山 弘志君     菅原 一秀君

  河井 克行君     松本  純君

  木村 太郎君     徳田  毅君

  山内 康一君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     樋口 俊一君

  徳田  毅君     あべ 俊子君

    ―――――――――――――

四月十九日

 職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案(内閣提出第二三号)

 雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案(第百七十六回国会閣法第九号)(参議院送付)

 職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案(内閣提出第二三号)

 雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

牧委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員代谷誠治君、日本銀行理事雨宮正佳君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官山内健生君、文部科学省大臣官房審議官尾崎春樹君、科学技術・学術政策局次長渡辺格君、厚生労働省医政局長大谷泰夫君、健康局長外山千也君、労働基準局安全衛生部長平野良雄君、職業安定局長森山寛君、職業能力開発局長小野晃君、雇用均等・児童家庭局長高井康行君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長横尾英博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河井克行君。

河井委員 皆様、おはようございます。自由民主党の河井克行です。

 細川律夫大臣には、昨年の十一月十二日、この委員会におきまして、昭和二十年八月六日に広島市北西部を中心とした地域で降りました、あの黒い雨についての質疑以来であります。きょうは、私は大臣とだけ、政治家同士の話し合いをさせていただきたい、質問したいというふうに考えておりますので、ゆめゆめ、後ろに座っていらっしゃる役所の方が差し入れた文書を丸読みするような、そんな政務三役と議論するのは時間の無駄でありますので、ぜひ大臣には御理解いただきたいと存じます。

 今回、三月の十一日、東日本大震災、大地震と大津波、その後起こりました福島第一原子力発電所の一連の原子力事故、これを受けて、せんだっての委員会でも御紹介しました、上安・相田地区黒い雨の会、私の地元であり、幼いときから育ってきた地区の皆さん、およそ二百五十名が結成をしたこの会から、会員の皆さんから、たくさんのお手紙をちょうだいいたしております。幾つかをこの場で御紹介いたしたいと存じます。

 私たち広島で被爆した者としては、内部、外部の被曝、すなわち、人体、作物、土壌など、放射線による悪影響があると、今回の福島原発事故により考えております。広島、長崎のように被爆範囲が明確に解明されていない現在です。そういったことで、福島では、今やることは現場の実態調査で、風や土壌のサンプリングが必要です。時がたつとわからなくなります。計算では解析に無理が出ます。放射線被曝は同心円ではない、天候が大であると思います。後々に引きずられないように徹底した調査をしていただくように求めております。というのも、私たちは、広島市で、被爆範囲、地域拡大を国に求めて活動している上安・相田地区黒い雨の会、約二百五十名です。国は、大雨、小雨の放射性物質降雨地域で線引きをしました。それも、絵にかいたように大雨と小雨と楕円です。私たち小雨地域は外されてしまいました。残された被爆者です。健康面でも病んでおりますというお手紙。

 もう一つは、このたびの福島原発の報道を見るにつけ、私たち黒い雨の会が、黒い雨が降ったことを認めてほしいと運動を続けていることに対し否定的な国の返事に解せないものを感じております。地図上に物差しを当て線を引いたように、大雨と小雨地区に村を二分に分離されているのか。その当時は、放射能による危険性等もわからないまま、黒い雨で死に浮いた川魚や黒い雨のかかった野菜などを食べ下痢をすることがあったが、それもわからないままに日が過ぎたように思います。福島の報道を見るたびに、改めて私たちが経験したことは大変なことだったと思っております。

 もう一通。

 最近の傾向として、原爆投下時にゼロ歳から七歳ぐらい低年齢の人、現在七十歳前、黒い雨の会員の中で、がんでの死亡者が多くなっている。投下された時代、私たちも親も、放射能についての知識は全くありませんでした。当日の昼食や夕食から、自宅近くの小川か井戸で野菜を洗い、食べていた。トマトは黒いところの汚れを洗い、夏は毎日食していました。そして、翌日から、地元の川ですけれども、安川にて泳いでいた。

 黒い雨の皆さんからすると、今回の事故は決して他人事ではない。心優しい被爆者の皆さんは、新たなる、そしてさらなる不幸が福島の地で広がることが決してないように祈っていらっしゃる。そして同時に、六十六年前の夏のあの日に自分たちの身に降りかかった災い、今回の事故を契機に、より一層深刻に、不安に感じていらっしゃる。幾つかのお手紙だけ紹介させていただきましたが、大臣にもその一端を御理解いただいたものと思います。

 そこで、直ちに政府において取りかかってほしいことがあります。それは、さきの黒い雨の会員の皆さんのお手紙にもありましたし、広島大学の放射線医学の専門家の方からも、ぜひ強く国会の場で訴えてほしいと要請をされてきたことであります。つまり、人々の被曝量を大至急調査していただきたい。つまり、内部被曝の有無の緊急調査を大至急やっていただきたいということなんです。

 このことについて、実は、昨日、説明に来られた厚生労働省の担当者と話をしたところ、いや、それは経産省や内閣府や他の省と協議をしている最中ですと、言葉を濁すばかりでありました。私は、今起こりつつあることの事態を正確に把握していないんじゃないかと大変心配になったんです。そして同時に、こう聞きました。なぜ急がなくちゃいけないのか、その科学的な根拠は何ですかというふうに重ねて聞いた、何度も聞いたんです。全く答えていただけない。あげくの果てには、国会でもいろいろと質問されていますから急ぐんですと。まあ、個人の担当者の方を私は責めるつもりはありませんが、現にそういう発言がありました。私はもう驚いて、いすから転げ落ちそうになった。

 大臣、厚生労働省の役割は一体何ですか。厚生労働省設置法第三条、ここにその目的が書いてある。答弁してください。

細川国務大臣 河井委員とは、昨年、あれは十一月でしょうか、広島の黒い雨のことについて、住民の皆さん方の気持ち、そして、しっかりした国での調査、そういうことをすべきだ、こういうことを強く訴えられました。私もそれに答えて、これについては国の方でも検討する、こういうことでございました。そこで、検討会も設置をして、今検討をさせております。

 そのときに、河井委員の方から私に、ぜひ読んでほしい、こういう資料も後で私の手元に届けていただきました。それは、原爆の被害者の意識などの実態調査の報告書でございました。その報告書も私、拝見させていただきましたけれども、特に印象に残りましたのは、被爆された方がどんなに苦労されて戦後生きてきたか、暮らしてきたかということでございました。

 その中には、身体的な御苦労も大変あったようでありますけれども、精神的に苦労された、特に差別などもたくさん受けた、こういうこと、あるいはまた、そういうことが原因で原爆の被害者としての、表に出すことをはばかった、届け出もしなかったというような、そういう本当に原爆の被害者の御苦労が手にとるようにわかる、そんな気持ちでございました。

 そういうことも踏まえ、今回、福島の第一原子力発電所で大きな事故がありまして、放射能が原発の周辺の人たちにも被害をもたらした、こういうこと、そういう被曝を受けたと思われる原発の周辺の人たち、その実態というのを早期に調査して、そして影響を受けたと思われるそういう住民の皆さん方にもその調査の結果をしっかりお伝えもして、そして将来の御本人の健康のためにその調査を生かしていく、こういうことが大変重要だというふうに私は考えております。

 そういう意味では、あの調査報告書にも載っておりましたけれども、時がたつとだんだん忘れるところもある。そういうことで、早く、記憶の新しいときに、そして正確にこれを調査して、今後の御本人たちの健康の管理のためにもやらなければというふうに思っております。

 そういう意味で、事務方が先生に説明した点については大変失礼な説明の仕方もあったかと思いますけれども、私といたしましては、この調査はしっかりやるべきで、しかも早急にやらなければというふうに思っております。

河井委員 今大臣から、内部被曝の住民調査の重要性、御答弁いただきました。

 設置法の第三条には「厚生労働省は、国民生活の保障及び向上を図り、」と書いてあるんです。ほかの役所じゃないんです。あなた自身が率先して、国民の命を守るためにリーダーシップをとって早期にやっていただきたい。

 それで、今、早期とおっしゃいましたけれども、なぜ早期にしなきゃいけないかという理由なんです。今の大臣のお答えを聞いていますと、記憶が薄らいでいくとか、そういうことをおっしゃいました。私が尋ねているのは、そういうことではなくて科学的な根拠、なぜ住民の内部被曝の調査を急がなくちゃいけないのかということについて、その理由をお示しください。

細川国務大臣 まず、原発での放射能漏出がありまして、それによって住民の方がどのような被曝量であるのか、これを調査すること、これは御本人の健康管理のためにまずは一番大事だというふうに思いますし、しかも、その調査の過程で、どこでどういうふうな形での調査によってそういうことが出てきたかということがわかりますと、本人の住所とかあるいは行動範囲とか、そういうこともわかってまいりますから、そこからの退避、避難ということ、これも決まってまいりますから、そういう御本人の健康管理、そして今後どういうふうな形での避難の地域を決めていくとか、そういうことでも大変大事なことだというふうに思っております。

河井委員 大臣、よく御理解されていないんじゃないんでしょうか。急がなくちゃいけない科学的な理由があるんです。つまり、放射性物質の種類によって半減期が異なりますね。私が今ここでお教えするのも変な話なんですけれども、その半減期をここで答弁いただきたかったんですよ。それが大事なんです。一般論の話じゃないんです。

 では、お尋ねします。セシウム137と沃素の生物学的な半減期は何日ですか。

岡本大臣政務官 科学的な話ですので、少し私の方からお話をさせていただきます。

 放射性沃素の半減期につきましては八日間、それからセシウムは、その核種、同位体にもよりますけれども、137であれば三十七年間、こういうふうに考えております。

河井委員 大臣、それぐらいは知っていてくださいよ、大事なところなんですから。だから、これを過ぎると見えなくなるから急いでくださいと言っているんです。

 専門家にいろいろと話を聞きますと、やはり、沃素、これは八日間の半減期、この十半減期の間に測定しないことには見えなくなってしまう。特に子供の命がかかっている話でありますので、実際に三月十五、十六日に放射線が多く放出された、そのような指摘をされておりますので、六月の十五日までには測定を緊急にやっていただかないことには、子供たちの甲状腺から沃素を、ないことを願っておりますけれども、検出することが不可能になってしまう、そういう指摘もあるんです。

 だからこそ、急いで、厚生労働大臣のリーダーシップでやっていただきたい、そのように言っているわけでありまして、時期も含めて、このことについてのお考えをお示しください。

細川国務大臣 今、原子力災害対策本部のもとにあります原子力被災者生活支援チーム、ここにおきまして、経済産業省、文部科学省、それから原子力安全委員会の関係省庁と、そしてまた放射線医学総合研究所、こういうところと協議を進めておりまして、専門家の意見も聞きながら今検討をいたしておりまして、詰めの段階に来ているということでございます。

 委員がおっしゃるように、これは早急に、早く結論を出して事を進めていかなければというふうに思っております。

河井委員 重ねて申し上げますが、専門家の意見によると、六月の十五日まででないと検出すること自体ができなくなってしまう。事は緊急を要します。先ほどおっしゃったように、いろいろな役所と協議するばっかりではらちが明かない。ですから、最初から申し上げている。厚生労働大臣がきちんとしたリーダーシップを発揮していただきたい。

 私がこれを申し上げるのは、あの六十六年前の広島の悲劇を繰り返してもらいたくないんですよ。同時に、セミパラチンスクですとかあるいはチェルノブイリで起きたあの悲劇を再びこの日本の国土の上で起こしたくない。外部被曝も深刻ですけれども、内部被曝によってさまざまな、この前の委員会でも質問しましたとおり、カイナール症候群ですとか、そういった事柄が起きてくる。特に子供たちの命を脅かす重要な問題だからこういう指摘をさせていただいている。

 もう一度ここで、さきの黒い雨の会の会員の皆さんからの別の手紙を紹介させていただきますと、先ほど大臣がおっしゃった検討会、厚生労働省に設置をされたその検討会について、大変失望したという意見が相次いでいるんです。

 私は、二月に行われた第二回検討委員会に傍聴させていただいて思ったことは、原爆、放射能、爆風、熱風、ちり、黒い雨について余り知っておられないということ、全く理解されておられない検討委員会の方たち、がっかりして私たちは東京を後にしました。形だけのように思えてなりません。

 もう一つの別のお手紙ですと、検討委員会が設置されても、耳を疑いたくなる検討委員の発言状況は、どこまでも凝視して、早急に救いの光を当てていただきたく思っている私たちの気持ちを無視することでありますという事柄が出ております。

 なぜこれほどまでに、先ほど大臣がつくったつくったとおっしゃるこの検討会に対して直接の関係者が失望しているのか、これはしっかり受けとめていただきたい。これは公開の席ですから、みんながその場で聞いているんです。

 つまり、人選のミスがあった。私は、あの委員会の席で申し上げました。厚生労働省の役人の振りつけどおりに発言するような学者、専門家はゆめゆめ入れるべきではないというふうに申し上げた。ところが実際には、私はこの分野の専門家ではありませんからなんてことをその検討会の席で言っている委員がいるわけですよ。それを被爆者が聞いているわけですよ。これは人選ミスと言わないで一体何と言えばいいんでしょうか。ちゃんとわかっている人を入れる、過去起こった現実にきっちりと向き合う人を入れるのが私は当然だというふうに思います。

 その上で、第二回までは、失望を買いながらも検討会が開かれてきた。ところが、第三回については、きのうの厚労省の担当者の説明によると、開催のめどが立っていないという。私は、大臣、本末転倒だと思っているんですよ。福島の第一原発の事故のことがあったからこそ余計に、この黒い雨について、国として、正当な科学的な知見にのっとって正当な結論を早急に出すべきじゃないですか。何でこのことでおくれていってしまうのか。

 そういう報告は大臣、聞いていらっしゃいますか。第三回の開催のめどが立っていないという話。

細川国務大臣 この検討会の委員の方々には、座長の佐々木康人さんのように専門家が多いわけでありまして、福島原発の事故で、いろいろなところでその知見を皆さんにいろいろお話もされるというような、そういう時間を費やしておりまして、委員の先生方が集まっていただける、そういう時間的な、なかなか難しい。こういうことで、そのような報告は受けておりますけれども、今委員が御指摘になりましたように、このことについては私も大事だというふうに思いますから、できる限りこの検討会を開いて、そしてそこで検討をしていただくように、私の方から督励をしたいというふうに思います。

河井委員 過去に起きた行為を直視しないことは、現在を無視することで、これから起きる私たちの未来を破壊することだと私は思っているんです。しかも、この黒い雨のことは、六十六年前に過ぎ去った過去ではない、今なお苦しんでいる、現在進行形の災禍なんです。この過去に起こり現在続いている災禍に対して正当に対処することなくして、今、別の地で起こり始めた福島の問題について正当に対処することはできないと私は思います。

 だから、もしその対応でお忙しいんだったら、大臣、そんな役人の言いなりになるような、しかもこれは参集者ですからね、会議の委員でも何でもないんですよ、参集者という位置づけなんですよ。差しかえるべきですよ。もっとちゃんと、しっかりとした考えを持った人に差しかえてでも早く招集をして、それで、いつ結論を出していただけるんですか。大臣、この前も早期早期とおっしゃった。いつ結論を出していただけるのか。

 もちろん専門家の会議ではありますけれども、事務局は厚生労働省に置かれているわけですから、ここでも大臣の指導性を発揮していただきたい。いつごろをめどとお考えになっていらっしゃるか、あわせてお答えをください。

細川国務大臣 先生方の日程とかいろいろあるかと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、私も早急に会合を持たなければというふうに強く思っておりますので、早急に開催をするように督励をしたいというふうに思います。

河井委員 報道によりますと、チェルノブイリでは広島原爆の四百倍のセシウムが放出されたと言われております。福島では広島の四十倍のセシウムが今時点で放出されたと言われております。災いに重い軽いは決してない、あってはならないと私はかたく信じています。しかしながら、このような数字を目の前にしたときに、事の深刻さ、大臣もよくよくおわかりいただけるものと私は信じております。あなたの責任と行動に日本国民の命がかかっていると言っても言い過ぎではない。覚悟を持って政府の中で発言をし、行動してください。

 最後に、時間が来ましたので一言、御決意をおっしゃっていただきたい。

細川国務大臣 私も、この原発の事故が住民に与える影響というのは深刻な問題だというふうに考えております。委員が御指摘になりましたように、私の職分としてしっかり取り組んでまいります。

河井委員 終わります。

牧委員長 次に、木村太郎君。

木村(太)委員 大臣初め皆さん、おはようございます。

 きょうは、基本的なことをやりとりできるということでありますので、三十分間、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、今回の東日本大震災、私の地元青森県も被災県でありまして、被災者また被災地の皆さんが懸命に頑張っているということで、これからもみんなでバックアップしていきたいというふうに思っております。

 被災県である地元青森県が、先般、県としての、直接的な県内の被害総額というものを発表しまして、約四百五十五億円ということを発表しました。県でも出しているわけですから、国としても現時点での直接的な被害額というものを把握しているのか、まず確認させていただきたいと思います。

東副大臣 お答えさせていただきます。

 今回の大災害の復旧復興を着実に進めるに当たりましては、御指摘のように、被害額を明らかにすることが極めて重要であるとまず認識いたしております。その上で、被害額については、各省庁において、地方公共団体等からの報告に基づいて集計しているところでございます。

 現在の全国の被害額は、今後の調査によって変更の可能性もありますけれども、例えば、国土交通省所管の公共土木施設は、四月十五日の時点で約一兆七千億円、農林水産関係は、四月十七日時点で約一兆四千億円となっております。

 今回の大震災では、被害が極めて大規模かつ広範囲に及んでいるため、現時点では被害額の全体は不明であり、引き続き被害全体の把握に努めてまいりたいと思っております。

木村(太)委員 もちろん、副大臣がおっしゃるとおりだと思うんですが、ただ、全体の被害額は、これからも時間が経過すると、まただんだんふえていくと思うんです。でも、ある時点で、その都度その都度、全体の国内の直接的な被害額というのはやはり国民の皆さんにお知らせすることが大事だと思うんですが、どうですか。

東副大臣 御指摘のとおり、その都度その都度、明確になり次第、国民の皆さん方にこの大震災を共有していただくという意味も込めまして、また、被災地の皆さん方とともに私たちは早急に取り組んでいかなくちゃいけない課題が山積しているわけでありますから、御指摘のとおり、わかり次第、報告に努めさせていただきたいというふうに思います。

木村(太)委員 副大臣、どうぞ、もうよろしいですよ。

 内閣府が先般、三月二十三日だと思うんですが、今回の大震災のマクロ経済的影響の分析を発表しております。また、これは私の地元のことを取り上げますが、日本銀行の青森支店が、十五日の日に、今回の大震災を受けまして、一年ほど先までの影響を試算して、損失額というのを推計で約千三百億円というふうに発表しております。

 ということは、ほかの岩手、宮城、福島、茨城等でもこういう試算をしているのかなというふうに思うわけでありますが、全国的にこういった試算を日銀がしているのかどうか、あるいはする予定なのかどうか、日銀にお答えをいただきたいと思います。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 全国的な被害額の試算とのお尋ねでございますけれども、今回の試算による被害額につきましては、政府において、直接的に毀損したストック額の被害十六兆円から二十五兆円という試算がございますので、私ども、震災の影響ですとか政策対応を検討する際の前提といたしましてはこの政府試算を参考としておりまして、これとは別の試算を行うことは現在では考えておりません。

 ただし、被災額の試算ということとは別に、私どもは、被災地の各支店におきまして、ただいま議員からも御指摘ございましたとおり、震災の影響についてさまざまな調査を行っております。また、サプライチェーンを通じました間接的な被害ということにつきましては、被災地に限らず、全国の支店からさまざまな情報を収集してございます。

 私ども、今月二十八日に開催されます金融政策決定会合におきまして、先行きの日本経済、物価の見通しを検討し、発表する予定でございますが、その際には、こうした支店を通じて得られました情報も丹念に点検した上で、日本経済の先行きについての見方を示してまいりたい、こういうふうに考えてございます。

木村(太)委員 日銀もどうぞ、もう退席してよろしいですよ。

 そこで大臣、今内閣府の副大臣も答えていただきましたが、被災地、被災者の皆さんに一義的に最大限バックアップしていく、これはもちろん大事なことだと思うんですが、しかし、今回の大震災によりまして、企業の倒産、廃業、あるいは一時業務停止、こういったことで、いわゆる解雇や新規学卒者、未就職学卒者の内定の取り消し、こういったことで二次災害的な動きが深刻化しているということも我々きちっと対応していかなければならないと思うんですが、こういった状況、全国的にはどうなっているのか、お聞かせください。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 数字の関係でございますが、被災地を中心としました全国での企業倒産あるいは休業の全貌、これはまだ明らかになっておりませんけれども、被災地である岩手、宮城、福島、三県の労働基準監督署などには、三月二十二日から四月十四日の間で合計一千五百二十七件の解雇関係の相談がございます。

 それからまた雇用調整助成金、これは休業した場合に助成をするものでございますけれども、これにつきましては、三月二十八日から四月三日の間で、全国で一万二千七百四十六件の震災に係る相談が寄せられてございます。

 それからまた内定取り消し、入職時期の繰り下げでございますけれども、内定取り消しは四月十三日までの間に二百十八人、入職時期の繰り下げは千四百八十一人という状況になってございます。

木村(太)委員 何も手を打たなければその数字というのはますますふえていく可能性が、あるいは全国的に波及していくような予想をするわけですが、今局長から数字がありましたけれども、大臣、こういった動き、いわゆる二次災害的な雇用面での対応というものをどのようにしていくつもりか、お答えください。

細川国務大臣 今回の大震災によりまして、職を失った人、あるいは休業を余儀なくされている人、さらには、内定の取り消しとか、そういう若い人たちが仕事につけないとか、そういう本当に雇用の問題が深刻になってきております。そしてまた、一方、被災されて仕事ができなくなっている人たちが、いよいよこれからの生活をどうしたらいいかということを深刻に考えていく、そういう時期にもなっております。そういう意味で、雇用の回復といいますか、これを私どもとしてはしっかりやっていかなければというふうに思っております。

 そういう意味で、当面の緊急の総合対策といたしまして、「日本はひとつ」しごとプロジェクトというのを取りまとめまして、その実施に全力で取り組んでいるところでございます。そういうところで、今のところ、被災者を対象に求人が六千六百四人出てきているというところでございます。

 私どもとしては、この対策の大きな柱といたしまして、一つは、雇用調整助成金の要件の緩和をいたしまして、できるだけ、この雇用調整助成金を適用して、雇用の維持に努める、こういうこと。それから二つ目は、被災地以外でも影響が出ている新卒者につきまして、その新卒応援のハローワークを利用いたしまして、ジョブサポーターによる就職支援などの、そういう被災地だけでなくて全国的な応援で雇用の確保をしようということにいたしております。

 そして、これは経済界の方にもいろいろとお願いをしなければなりませんので、私みずから、日本経団連、全国中小企業団体中央会とか、あるいは商工会議所の連合会、そういうところに赴きまして、ぜひ今回の震災で失業した方の雇用をお願いしたい、こういうことも申し入れてまいりました。また、人材ビジネスをしている派遣業の皆さん方とか、そういう方にも直接お会いをいたしまして、官民一体となった雇用をよろしくということで直接のお願いもいたして、何としても雇用の確保に力を入れてこれからも頑張っていきたいというふうに思っております。

木村(太)委員 ただいまの答弁、私、大変評価しております。もちろん、先ほど言ったとおり、被災者、被災地を優先、しかし、全国的に二次災害的なそういった悪化が出てきているので、そのこともしっかりやるという大臣の答弁ですので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、雇用のことでもう少し聞きますが、震災とはちょっとかけ離れた話になりますけれども、例えば、昨今のデフレ経済のもとであっても、あるいは、いわゆる景気がいいときであっても、日本国内を見ますと、雇用情勢を記すいろいろなデータを見ると、例えば有効求人倍率とか見ますと、下位の県というのは大体いつも同じ顔ぶれなんですね、景気のいいときであっても悪いときであっても。例えば、それがまた県民の平均所得を見た場合でも、大体顔ぶれが一致するんですよね、下位のグループが。

 我々、自公政権のときに、そういった下位の県なんかに国の雇用対策の諸施策を、助成率をかさ上げしたりとか、こういった仕組みがたくさんあったんですね。

 菅総理がよく、一に雇用、二に雇用、三に雇用というふうに絶叫するときがあるんですが、今の政権では、そういった下位のグループに対してのさらなる手厚い仕組みというのが生かされているのかどうか、確認させてください。

細川国務大臣 私も、もともと出身が四国の高知県というところなんですけれども、ここも大変、いつも悪いところで、委員の御出身の青森といつも肩を並べるようなそんな悪いところで、そういう意味で雇用の問題なんかについても、私も、そういう全国的に比べると悪いところ、よくないところに対しては、それなりの力を入れてやっていかなければというふうにいつも思っておるところでございます。

 そういう意味で、今委員が御指摘になりました、強いところと弱いところ、雇用なんかでも悪いところ、いろいろありますから、そういうための地域雇用開発促進法というのがございまして、地域に応じた雇用対策に取り組んでいる、こういうところでございますけれども、私どもが始めましたのは、地域の雇用の創出についてどういうふうにしていったらいいかということで、重点分野雇用創出事業、地域地域で特にその成長を期待できるような、そういう分野に力を入れて雇用を創出していこうと。

 こういうことで、この雇用創出事業に、平成二十一年度の二次補正では、各都道府県に千五百億円規模の基金を造成いたしまして、さらに、平成二十二年度の予備費、補正予算によりましては一千億円の積み増しをいたしまして、そういうことで、これらを活用して雇用の創出ということを図ることをいたしておりまして、地域開発促進法とあわせて、この重点分野雇用創出事業を進めているところでございます。

木村(太)委員 それはわかりました。ですので、自公政権のときと比べて、例えばかさ上げ等をしているその数とかあるいは総額、予算的に見た場合にふえているのか縮小しているのか、確認させてください。

岡本大臣政務官 先ほど御指摘いただきました当該助成金につきましては、平成二十年度の第一次補正により創設した助成であり、制度発足から一定程度経過したことにより安定した雇用機会の創出に必ずしもつながっていないこと、予算額の縮減等の観点から、制度について分析を行って、先ほど大臣がお答えをさせていただいたとおり見直しを行うこととしたところでありますが、実際の実績といたしましては、二十一年度は二十七億二百九十八万六千円の予算で、実際には不用額が十億円ほど出ておりまして、こういった実績でありました。二十二年度は七億五千八百五十二万六千円、そして二十三年度が、このたびふやしまして十六億七千七十九万円、こういうふうになっております。

木村(太)委員 ですので、自公政権と比べてどうなのかということ、多いのか少ないのか、さらに拡充しているのかどうか、それだけでいいんです。

岡本大臣政務官 したがって、この制度の特性にかんがみて、効率的な、そしてまた効果的な対策をとっているというふうに御理解をいただきたいと思いますが、金額だけで見れば、二十一年度に比べると、不用額があったので予算として積んでいるお金と実際に使ったお金というのは違いますが、予算だけで見ると確かに減っておりますが、実際に二十一年度は不用額は十億円出ているということを御理解いただきたいと思います。

木村(太)委員 私が調べたところでは、例えば、かさ上げがあっても上限が少なくなっているんですよ。また、対象となっている雇用関係の制度の数も減っているんです。だから、総理が一に雇用、二に雇用と絶叫することと、実際は、制度あるいは予算的に見た場合に、縮小しているんですよ。そこを私は問題視しているんです。

 だから、先ほど大臣がおっしゃった、そういったことをさらに充実して、ぜひ雇用対策、特に厳しいところに対して努力をしていただきたいというふうに思います。

 では、次に入りますが、先般、改正臓器移植法に基づいて、十五歳未満の少年からの日本で初の移植というのが行われたわけでありますが、現在、その移植を受けた患者の皆さんの容体はどういう状況なんですか。

外山政府参考人 日本臓器移植ネットワークでは、移植術を行った後、移植を受けた患者の経過報告を定期的に移植施設から受けておりまして、現時点では、移植直後の状況について把握しているところでございます。

 今般の、十歳以上十五歳未満の方からの脳死下臓器提供につきましては、提供された全臓器に関して、十四日までに無事五名の方への移植術が終了したと承知しております。

木村(太)委員 だから、それを受けて聞いているわけですから。今の、移植を受けた患者の皆さんの容体は順調に推移しているのかということを聞いているんですから。

外山政府参考人 施設からの報告は、おおむね、移植直後、それから一週間後、一カ月後、三カ月後等々となっておりまして、逐一、今現在の患者の病状について報告を受けるシステムになっておりますけれども、特別変わった状況があったという報告は受けておりませんので、そのように認識しております。

木村(太)委員 大臣、今回の改正移植法に基づいての十五歳未満の少年からの初の移植、このことを大臣はどう評価されていますか。

細川国務大臣 臓器移植法が改正をされて施行された、昨年八月ですか、夏ですね、施行されて初めて、十五歳未満の方の臓器移植が今回行われました。

 この亡くなられた少年には私は心から御冥福をお祈りしたいというふうに思いますし、この御承諾をいただいた親のお気持ち、御子息を失った悲しみの中でこういう御決断をいただいたことに心から敬意も表し、感謝も申し上げたいというふうに思っております。

 臓器移植につきましては、今後とも、この法律のもとで適切に行われていくように私は見守ってまいりたいというふうに思っております。

木村(太)委員 厚労大臣として見守るという言葉は、どう解釈したらいいんですか。なるべくこういう事案がますますふえてほしいという、いわゆる推進が図られるべきだ、そういうふうな思いですか。

細川国務大臣 法の趣旨は、これは、こういう臓器移植を望む方もあれば、消極的な方もおられるわけですね。しかし、これを望む方のお気持ちと、そしてこの臓器移植を待っておられる患者の皆さん、そのお気持ちが合致いたしまして臓器移植が進んでいくということについては、私は、厚生労働省としては、法の趣旨にのっとってこれを進めてまいる、こういうことで私は評価したいというふうに思っております。

木村(太)委員 では、次に入ります。

 きょう、委員会の最後に、参議院の方から、雇用・能力開発機構法を廃止する法律案の再議決が予定されているようであります。先般、私は、この委員会で厚労大臣とこのことについていろいろやりとりさせていただいたわけですが、これまで、関係する自治体やいわゆる施設の現場との調整が進められてきたと思うんですけれども、いま一度、時間がなくなりましたので、大臣に一つだけ聞きます。

 衆議院で可決されたときに附帯決議がなされて、その際、その附帯決議の中で、「当該期間」三年間「が経過した後、運営状況等を踏まえ、国の責任によって運営することを再考することも含め支援等の在り方について検討し、」という附帯決議の文があるんですが、そのとき、大臣は、十二分に尊重してまいります、こういうふうにおっしゃっているわけですが、その気持ちは変わりませんね。

細川国務大臣 これは、そのときと気持ちはいささかも変わりません。

木村(太)委員 では、次に入ります。

 いわゆるドクターヘリについてですけれども、全国的にもドクターヘリの設置あるいは運用というのが進んできていると思うんですが、私の地元の例でいいますと、これまで八戸市を中心に運用されているものですから、私の青森県というのは地理的に大きく分けて二つに分かれていまして、私は津軽地域というところなんですが、こちらの運用がなかなか進んでいないというか、活用されていないという実態があるんです。例えば北海道なんかも、もっと広大な面積ですからいろいろなことが起こり得ると思うんですね。私は、ドクターヘリ未設置県もまだまだあると思います。

 今後、国として、このドクターヘリの設置、運用を積極的に進めるに当たって、未設置県を優先的に進めていくのか、あるいは地理的な、絶対的な条件によって、既に一機運用している県であっても、複数の運用を目指すならばそれはまたそれで検討するのか、その辺、少し確認させていただきたいんですが。

細川国務大臣 ドクターヘリにつきましては、地域の実情に応じた効率的かつ効果的な導入が重要だというふうに考えておりまして、厚生労働省としましては、必要な場合には複数機を導入するということも含めて、都道府県の判断を尊重して支援を行っているところでございます。

 御指摘がありました北海道では三機のドクターヘリの運航を行っておりますけれども、また一方では、千葉県と茨城県のように、近隣の県で共同でドクターヘリを運航するということもありまして、これは効率的な運用というようなことも踏まえまして、地域の実情に応じて柔軟に対応していく、それに対して国もしっかり応援をしていきたいというふうに考えております。

木村(太)委員 つまり、未設置県が必ず優先されるというルールでもないし、既に設置されている県であっても、隣の県とも県境を越えて運用しながらも複数機の運用を目指す場合、それはそれでまた厚労省としては推進の立場ということでよろしいんですね。

細川国務大臣 そのとおりでございます。

木村(太)委員 次に入ります。

 民主党のインデックス二〇〇九という中に、「歯科技工物については、安価な輸入品の増加等により、品質管理体制を見直す必要が生じています。歯科技工物のトレーサビリティーの基準を定めるとともに、高い技能を持つ歯科技工士の評価等、技術料や歯科基本料の見直しを検討します。」こう書いているんですが、私は、海外での技工物について何度か質問主意書等で民主党政権の姿勢をただしてきたんですが、全く誠意のない回答、答弁書だったんですね。しかし一方で、このインデックスでこううたっているんですね。今後、どう対応しますか。

岡本大臣政務官 今御指摘になりました補綴物の作成工程のトレーサビリティーの確保につきましては、国外で作成された補綴物の安全性の確保を行うという観点から、既に第一段階として、平成二十二年三月末に、歯科医師が国外へ補綴物の作成を委託する際の使用材料等に関する基準を策定し、周知をしているところですが、そのトレーサビリティーにつきましては、平成二十二年四月から、補綴物等のトレーサビリティーに関する意見交換会を開催しておりまして、三月十五日に開催して、そこで取りまとめをする予定でございましたが、御案内のとおり、震災の発生によりましてこの会議が開催できなかったわけでありまして、近日中に開催をして、この場で取りまとめるという方向でやっております。

木村(太)委員 国民の皆さんに約束したインデックスの方針に従って、しっかりと対応していただきたいと思います。

 では、次に入ります。

 腎疾患対策についてなんですが、二十三年度予算は、腎疾患対策費、あるいは慢性腎臓病特別対策事業、腎疾患対策研究事業、三つの柱があると思うんですが、これは自公政権のときと比べてふえているんですか、減っているんですか。

外山政府参考人 平成二十三年度予算全体では約二億四千万円でございますけれども、自公政権時の平成二十一年度と比べてみますと、腎疾患対策予算全体では約六千七百万円減額でございまして、その内訳としては、先生が今おっしゃった、普及啓発事業では約四十万円の減額、それから慢性腎臓病特別対策事業では約二百七十万円の増額、研究事業で約六千九百万円の減額となっております。

木村(太)委員 三つ全体を合わせると減っているんですよ。またこういうところにも、私は、民主党政権の冷たさ、実態的に中身を見ると、そういうマイナスが目立っているんですね。

 時間が来ましたので最後に聞きますが、私の地元に、厚労省の御指導もいただいて、つがる総合病院という中核病院が、いよいよ二〇一三年開院に向けて動き出しております。全国的にも中核病院は重要視されていると思うんですが、今後の国としての支援をお聞きして、終わりたいと思います。

岡本大臣政務官 今御指摘いただきましたつがる総合病院を含め、地域の中核的な病院は、地域の医療機関の中心的な役割を担うことが期待をされております。つがる総合病院につきましても、急性期医療を担う中核的な施設として整備がされるということは承知をしております。

 厚生労働省では、二十二年度補正予算による地域医療再生基金や二十三年度予算による地域医療センター運営経費等により、広域的な医療課題への対応や地域の医師不足病院の医師確保を支援するなど、青森県とも連携をしながら、中核的な病院も含めた地域の医療提供体制全体の充実に資するように取り組んでいきたいというふうに考えております。

木村(太)委員 終わります。ありがとうございました。

牧委員長 次に、福田衣里子さん。

福田(衣)委員 民主党の福田衣里子です。このたびは、質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 質問に先立ちまして、三月十一日に東日本を襲った大震災により、多くのとうとい命が犠牲となり、今なお避難生活を余儀なくされておられます被災者の皆様に、心から御冥福とお見舞いを申し上げます。

 私も、これまで可能な限り被災地へ足を運びました。瓦れきの山を前に、何度も押し寄せる津波がすべてを壊し、多くの命をのみ込んでいったということが伝わってきました。内定が決まった職場が流され、合格通知が届いた学校が流され、家も大切な人も、すべてを一瞬にして失った被災者の皆さんは、つらいはずなのに、支え合い、譲り合いながら生きておられました。

 しかし一方で、当初は生き残っただけでよかったと心から思われた被災者の中には、今後の不安感や長引く避難所生活から、既に自殺者までが出ているという現実があります。被災者の皆さんが希望を失わないように、政治が全力を尽くしていかなければいけませんが、一カ月たった今でも続く余震に復旧作業が妨げられ、また、原発も収束のめどが見えないのが現状です。きょうは、中でも、原発事故の被曝についてお尋ねしたいと思います。

 私は長崎出身ですので、被曝がどれだけ長い年月、人々を苦しめ続けるかということを感じてきました。今の対応が将来の国民の健康被害、人生被害に大きくかかわってまいります。

 まず、一番被曝の危険性が高い原発内で働く作業員です。驚くことに、最近まで線量測定器を全員が持っていなかったとお聞きします。線量測定器を全員が持つようになったのは、いつからでしょうか。

松下副大臣 大変大切な御質問をいただいております。

 三月二十四日に、三号機のタービン建屋内での水たまりに足を長いことつけていて、そして被曝したのではないかという疑いのある人が三人出ましたことから、全員が線量計を持っていないということがわかりました。直ちに対応、全国に線量計のかき集め、そして集合をいたしまして、四月一日からは千個の線量計をもって対応しているということでございます。

福田(衣)委員 事故後、二十日もたってからです。しかも、三月十八日には八百個近く入手されていたということも聞きました。足りないのではなくて、平常時の規定に沿って、グループ長が持っていればそれでいい、そういった対応だったのではないでしょうか。今は平常時ではなくて非常事態ということを御理解いただけたらと思います。

 さらには、そういった作業員は、参考資料の一枚目にありますように、求人サイトで時給一万円で募集したアルバイトもいるようで、この募集要件には、研修なし、雇用形態アルバイトと書かれていますが、このような不安定な立場で、原発や放射能について知識がない方に作業を行わせること自体、いかがなものかというふうにも思いますが、こういった短期間での作業に当たられた方々に対しての健康管理のフォローや補償といったものは、一体どうなっているでしょうか。

岡本大臣政務官 今、資料でお示しをいただきました、「えんむすび」と書いてある、求人サイトだと思いますが、こういった形で募集をされているというような実態も、委員から大変重要な点で御指摘をいただきました。

 厚生労働省といたしましては、緊急作業に従事された方の作業期間や被曝の線量に応じて、どういったデータベースを構築していくかということは今考えているところでありますが、健康管理をどのようにしていくかということは大変重要な観点ですので、専門家の皆さんの御意見を聞きながら、その実施を検討していきたいというふうに考えております。

福田(衣)委員 被曝量が二百五十ミリシーベルトに達しないように管理されているというふうに思いますけれども、その二百五十ミリシーベルトという基準は、厚労省によると、内部被曝、外部被曝合わせて換算しているということでしたけれども、その内部被曝を測定するホール・ボディー・カウンター、これで測定する対象となる方は一体どういった方で、その測定のタイミングというのはいつになるんでしょうか。

松下副大臣 原子力発電所の問題になっているサイトで働いている、作業をしている人たち、日中は四百名から五百名、それから夜が二百名から三百名、二十四時間体制でローテーションを組みながら仕事をしております。

 その中で、安全装備品を装着していることで、完全防備で仕事をしているわけですけれども、不測の事態が発生する、そのことで内部取り込みが生じて口から入ったという可能性のある人がいるかもしれないということでございまして、例えば、水浸しの中に転んでしまったとか、あるいは防護マスクが外れて吸ったかもしれないとか、あるいはどこかでずれて中に入ったかもしれないとか、そういうことがあるかもしれない。

 そういう可能性のある人については、Jヴィレッジという、ちょうど二十キロの地点に一つの基地がございますので、そこに入っていただいて、まずスクリーニングをする、そして洗浄する、そういう除染の作業をいたします。その上で、小名浜にこういうホール・ボディー・カウンターを一台設置しておりまして、そこできちっと見ていただくという手続をとってやっております。

 今、四月十四日までの状況でございますけれども、百七十九名の方たちにそういうボディーカウンターをしたということでございまして、今のところ、内部被曝が生じたという報告は受けておりません。

 以上でございます。

福田(衣)委員 タイミングとしてはいつになるんでしょうか。測定をするタイミングというのは、作業の途中なのか、作業が終わってからなのか。

松下副大臣 考え方でございますけれども、累積線量が百ミリシーベルト、これを超過したと考える人に対して即座にやるということでございまして、安全装備品を装着しているけれども、さっき申し上げましたけれども、外れているとかいろいろなことで吸い込んだ可能性があるかもしれない、直ちにそれは帰っていただいて見るということでございます。

福田(衣)委員 これまで二十八人が百ミリシーベルトを超えて、最高百九十八ミリシーベルトという値を出しているという結果で、百七十九人中二十八人ということで、測定したうちの六・四人に一人が百ミリシーベルトを超えていたということになってしまうというふうに思います。

 このホール・ボディー・カウンターも、そう簡単には、小名浜まで行かなければできない。そして、作業員の白血球数については、東電に検査を指導はしているけれども、厚労省としては把握まではしていないというのが現状だというふうに思います。

 このような状況下であるわけですので、万が一に備えて、虎の門病院の谷口修一先生を中心に、作業員の方々の造血幹細胞の事前採取の必要性を提案されていると思いますけれども、しかしながら、参考資料の二枚目、三枚目にあるように、原子力安全委員会は、現時点で採取の必要はないというふうに回答しております。この点に関して、厚労省としてはどのようにお考えでしょうか。

岡本大臣政務官 御指摘になられました造血幹細胞、自己の造血幹細胞を事前に採取しておくということについては、原子力安全委員会から現時点では必要ないという見解をいただいてはおりますが、関係者や学会等からはさまざまな御意見もあり、重要なポイントだというふうに考えております。

 厚生労働省といたしましては、先日、今回の事故で緊急作業に従事をする労働者の労働安全衛生法上の線量の上限を二百五十ミリシーベルトまで引き上げたところでありますけれども、この範囲内でできるだけ抑えるということが肝要だと、まずその点に注力をしていくということが必要であろうかと考えております。

福田(衣)委員 想定されるリスクを軽減する医療技術が存在することがわかっているのですから、必要ないとするのではなくて、最善の策を尽くす努力というものを、姿勢をとっていただけたらというふうに思います。

 また、チェルノブイリ原発事故でも、イギリスのセラフィールドのケースでも、大人より細胞分裂のスピードが速い子供や胎児に及ぼす影響は大きくて、甲状腺がんや小児白血病を発病しています。住民に対する長期的な健康への影響調査を行う方針を先日示していただきましたけれども、特に、子供に対する影響については大人以上に特別の枠で実施していただきたいというふうに考えるんですけれども、お考えをお聞かせください。

岡本大臣政務官 今御指摘をいただきました点も、大変重要な観点だと思っています。

 調査につきましては、原発周辺の放射線の健康影響に対する評価、住民の追跡調査においても、福島県等地元自治体の意向を十分に尊重しながら、子供に対する配慮を行っていくという、そういう御指摘についても我々としてしっかりと対応していきたい、適切に行っていきたいというふうに考えています。

福田(衣)委員 ありがとうございます。

 広島、長崎の原爆においての追跡調査の結果というものもありはするんですけれども、原爆は一瞬の被爆であって、今回のように比較的低いレベルの放射線を長期間にわたって受ける、こういったケースによる健康被害というのは、わかっていないことも多いのではないかというふうに思います。ぜひ、長期にわたる健康被害調査というものを行っていただきまして、住民の健康を守り続けていただきたいというふうに思います。

 長崎の被爆者は、長崎出身、原爆に遭った、それだけで、結婚できない、奇形が生まれると言われて子供も産ませてもらえないとか、仕事にもつきにくい。だから、原爆手帳があればいろいろな手当があるんですけれども、もらえないといった状況でした。今でも、二世、三世といった苦しみというものが続いている。

 こういったことも考えますと、今既に、福島から避難してきた子供が放射能がうつるといじめられたりだとか、ガソリンスタンド、ラーメン屋さんとかが福島ナンバーだったら入店拒否というようなこともいっぱい起きている、そういった差別、偏見の事例を耳にします。その対象は、被曝していようがしていまいが関係なく、福島出身という、それだけだというふうに思います。

 私も、C型肝炎は血液で感染するので、日常生活では感染しないということを一生懸命訴えても、言ってもなかなか理解してもらえない、わかってもらえないというような経験がありました。それも現実だというふうに思います。

 結婚、出産、就職、保険に入るとかも今だったらあると思いますけれども、さまざまな人生の節目において、つまずいて傷つくようなことにならないような対策をとっていただきたいというふうに思います。

 今のように、安全ですが食べないでください、安全ですがつくらないでください、安全ですが避難してください、そういうふうに言われても、何をどう信じていいかわかりません。何だかわからないから怖いし、必要以上に偏見や風評というものを生むのではないかと思います。

 関係者の皆様がそれぞれの場所で精いっぱい御尽力いただいていることだというふうに思いますが、過去、それぞれが保身に走り、被害を過小評価し、国民と情報を共有してこなかった、そういったことがこれまでも多くの被害をもたらして、拡大していったというふうに感じています。そのようなことにならないためにも、国民の命と健康を守る厚労省として、それを第一義に行動と発言を行っていただきますようお願いいたします。

 時間が足りないと思いまして早口にしゃべったら早く終わってしまいましたので、ちょっと時間が余りましたけれども、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、石森久嗣君。

石森委員 民主党の石森でございます。

 福田衣里子さんが時間を余らせていただきましたので、私の方で十分に活用していいのかどうかは委員長に一任をしたいと思いますが、まずもって、機会をいただきましたことを御礼申し上げますと同時に、今回の被災地の皆様に本当にお悔やみを申し上げます。また、栃木県も被災地として、多くの半倒壊、倒壊の家屋がありますし、四名の方がお亡くなりになられました。本当にお悔やみを申し上げたいと思います。

 さて、私は、避難所の衛生管理について、冒頭御質問させていただきたいと思います。

 今なお二千五百カ所の避難所がありまして、十四万七千人という方々が避難所で暮らされております。濃淡はあるものの、結構衛生管理のいいところもありますけれども、今なお、一カ月以上たっているにもかかわらず、衛生管理が非常に劣悪な環境もまだあります。

 先日、四月の六日から十日までの間、政府の方でも調査をされました。それは、ホームページにもありましたとおり、例えば食事、おかずや温かいものが時々しかない、四〇%、あるいは、下着が不足している、四七%、あるいは、入浴が週に一回しかないというのが三三%、いまだに入浴が一回もできていないという避難所が五%。もちろん、回答率は三三%と低いのではありますけれども、かなり劣悪な状況は、濃淡はあるものの、まだ存在しているという状況でございます。

 先日、石巻の避難所の方に行ってまいりました。まだライフラインが通っていない避難所でありまして、一カ所一カ所部屋を見てまいりますと、今なお、床に本当に毛布を一枚敷いてそこで寝ているんですね。でも、隣の避難所に行きますと、畳の上にしっかりと布団を敷いて寝ておられる、そういうこともありました。やはり、そういう環境を整えていくことも必要だと思います。

 それについて、厚生労働省、そして政府の皆様はどうお考えになっているのか、まずお聞きしたいと思います。

岡本大臣政務官 先ほどの福田委員もそうでありますけれども、石森委員も現地にお入りをいただいたということで、本当にそういった活動に対してまず敬意を表させていただきたいと思います。

 今御指摘になりました、避難所における衛生管理を含む環境の確保ということでありますが、避難所の生活が長期化してきております。

 避難所は、一般的に開放的な空間というか、空調がなかなかききづらい環境にあるというところもありまして、結果として、一部の避難所においては、これまでインフルエンザが一部で発生をするというような話があったり、また、これからの季節、気温が上がってくると、感染性の胃腸炎のリスクがやはり高くなってくるということも想定されます。

 また、先ほど御指摘がありました食事の面でも、十分行き届いているかというと、なかなか、先ほどのアンケートにありましたように、必ずしも十分な食事、栄養が届いているというふうに考えにくいケースもあります。低栄養やストレスなど、またさらには体力低下などによって高齢者等に肺炎が発生しているという話も聞いておりまして、こういったさまざまな状況をどのように改善していくかということが課題になります。

 先ほどのアンケート、回答率が低いという御指摘もありましたが、アンケートに回答ができていない地域が、避難所がさらにどうなっているのかというのは心配な点もありますが、それぞれの避難所において衛生管理等を向上させて、巡回する保健師等により、定期的な部屋の換気やトイレの清掃、手洗いやうがいの徹底、こういった保健指導に取り組むとともに、管理栄養士が避難している皆さんの食事の点検を行うというようなこともさせていただきたいというふうに考えております。

 また、先ほどの感染性胃腸炎なんかの場合には、出てくる食事を残しておいて後から食べるというようなことは、今後気温が上がってくると、やはりそれもリスクになってくるかと思いますので、こういったさまざまな観点できめ細かく避難所の環境の改善に取り組んでいかなければならない、このように考えております。

石森委員 ありがとうございます。

 厚生労働省においても、そういうお尋ねをしますと、やっていますという答えが返ってくるんですけれども、現実に、私のボランティアチームでもう十回ほど現地に入っておりまして、私も過去四回入りました。農協の皆さんから御提供いただいたお米を持っていったり、あるいは地元の皆さんがカレーをつくっていただいて二回ほど、岩手あるいは宮城、そして南相馬の方に入ってまいりました。自転車も五十台持っていった。

 その中で、やはり確認してみますと、本当に劣悪な状況があるんですね。それで、ではなぜ二次避難しないのかお聞きしてみますと、やはりそこに住んでいたい、ここから離れると仮設住宅に入れないかもしれない、物すごい不安があると。何しろ現地にずっと残っていて、流されたおうちでもいいからそこに毎日行って掃除をしたいんだ、なくなったものを捜したいんだという思いがあります。家族が亡くなってそこから離れたくない、そういう思いがある。でも、反面、そこにずっといたとしたら、必ず低栄養の状態で感染症が蔓延することは明らかなんですね。

 DMATの方々、あるいは石巻赤十字病院の皆さんが、石巻市の全部の避難所三百カ所、ローラーをかけて調査をいたしました。そのデータを皆さん御存じだと思いますけれども、今、本当にこの二次災害を防がなきゃいけない。あの淡路大震災では、一四%の方々が震災関連死で亡くなられている。もう既に、この今回の震災でも二百八十二人の方が亡くなり、恐らくもっとふえていると思います。

 先日も行ったときには、三階でお年寄りが倒れたというので、私も医者だったもので、ばあっと行ったんですけれども、真っ青なんですね。これはまさに、起立性低血圧じゃないんですよ、完全に低栄養なんです。認知症の方がいまだに避難所におられる。そういう環境をどうにかしなきゃいけない。でも、市の職員の方々も疲労こんぱいで、どうすることもできない。

 地域主権と言っておりますけれども、地方自治が今機能していない中でやるべきことは、そういう避難所の方々をやはり集団で二次避難させなきゃいけないと思うんですね。それには、国が、例えば九月までには仮設住宅に皆さん必ず入れるようにいたしますから、少なくともそれまでは二次避難していただきたい。真っ当な食事がとれる、低栄養を改善できる、温かい布団で寝られる、毎日お風呂に入れる、毎日歯磨きができる、先ほどありましたとおり、そういう本当に人間としての最低限度の生活ができる環境をやはり国の力で進めていかないと、それで工程表を進めていかないと、恐らく現地の方々というのは、特に東北の方々というのは、地元に残りたいという気持ちが物すごく強いということが私はわかりました。

 そういうときに、市の職員の方々が言っても、余りにも近過ぎるから説得できないんですね。そういうときに、健康を守る、何しろ二次避難していただきたい、例えば週に二回は現地にバスで出すから、その間は二次避難していただきたいということをメッセージとして、工程表をつくって発表していただきたいというふうに、私は現地に何度となく入る中で感じました。どうでしょうか。

岡本大臣政務官 御指摘になられましたように、さまざまな理由で次の避難所に移動することを希望しない方がおられるということがあることは承知をしておりますし、これらの方々について、なかなか一律に移動を促すというのは難しい面があるということも今委員が御指摘をされたとおりで、確かに我々もそのように考えています。

 市町村においても、避難されている方々の実情を踏まえつつ、その心情に十分配慮しながら対応していく必要があるというふうになっていますが、今お話がありましたように、どのような形で被災者の皆さんや関係者の皆さん方の納得が得られるようになるのかということについては、その納得が得られるような方策を考えていくことが肝要だというふうに考えておりますので、また委員からの御指摘も踏まえつつ、我々としてもさまざまなアイデアを出していかなければいけないんだろうと考えています。

石森委員 そうですね。やはり現場対応がいいと思います。個別対応がいいと思います。

 ある避難所のトップの方にお聞きしますと、不公平感が出てしまうのが一番怖いんだとおっしゃっているんですね。例えば、お年寄りを優先して仮設住宅にとか、あるいはお子さんが四月から学校がスタートしますから小中高のお子さんをお持ちのお母さん、お父さんの家族を先にと言いますと、こういう極限状態だと必ず不公平感を感じて文句が出てしまう。ですから、ある意味、集団的にコミュニティーをつくった、その集団の避難所で全部移動して不公平感を出さないような、そういう対策をぜひとっていただきたい。

 人の命を守るために、食で、やはりビタミン剤、本当にビタミン系が、A、D、E、K、C、Bが減っていけば必ず免疫機能が下がって、肺炎やあるいはノロウイルスの蔓延というのは防げませんから、ぜひその前に二次避難を進めていただくように、重ねてお願いを申し上げたいというふうに思います。

 それでは、次の質問なんですけれども、原発の放射線障害について御質問させていただきたいと思います。

 私の栃木県も、食品衛生法上、出荷制限、ホウレンソウ、カキナ、今解除をされましたけれども、被害を受けました。そういう関係で、当初から農水委員会、農水部門会議やあるいは厚生労働委員会の方で質問させていただいた中で、一番先にデータをいただいたものがあるんですけれども、緊急時モニタリング、これは福島県内の農作物の緊急モニタリングなんですね。これは、洗浄していないものを当初は間違ってとったというふうに証言をされていたんですけれども、このデータがありました。

 これを見ますと、もちろん同じ日に隣でとったものを洗って、隣でとった洗っていないものと比較しているわけではないんですけれども、洗っていない状態のモニタリングをしますと、沃素、セシウムが大体十倍から百倍ぐらいのオーダーで、非常に高いんですね。そして、洗い流すと落ちてくる。当然、洗い流すこと、洗浄によって放射性物質が洗い流されますから放射線量が下がるのはわかるんですけれども、このモニタリングというのは、今継続はされているんでしょうか。

岡本大臣政務官 基本的に、食品のさまざまな放射線による影響については、それぞれの自治体において、厚生労働省は原子力安全委員会等の助言も受けつつ、計測の方法について方向性を示したところでありますけれども、それに基づいて継続して行われている数値についてはすべて公表して発表しているところでありまして、そういった意味では、最終消費者の皆さんに安心して、出荷制限、摂取制限がかかっていない農作物、水産物については食べていただけるような対策をとっているところであります。

石森委員 私が言いたいのは、飛来してきて落ちてきた放射性物質から出ている放射線というのは、洗う前が非常に高い、洗って下がる、それは当然だと思うんですけれども、その隣の土壌にも落ちているはずなんですね。

 それで、今、土壌検査をいろいろやられているということを聞いておりますけれども、どういう土壌検査をされているのか、教えていただきたいと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省においては、福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の放出状況を把握し、国民の安全、安心、政府の適切な対応に資するため、総合的な放射線モニタリングを実施しております。その過程で、例えば、環境試料ということで土壌であるとかあるいは陸水等の放射能濃度を分析し、公表しているところでございます。

石森委員 土壌の調査について、どういう土壌の調査、要するに、飛来してきたものが表面についている土壌を調査しているのか、あるいは五センチまで土を掘り起こしたものをとっているのか、あるいは十五センチまで掘り起こしているものをとっているか。

 土壌調査というものが幾つかあるようなんですけれども、その種類とやり方とその根拠について教えていただきたいです。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、土壌のサンプリングにおきましては、一定の深さの土をとりまして、その中に含まれている放射性物質の濃度を分析しております。したがいまして、濃度としては、単位でいいますとベクレル・パー・キログラムという単位で取りまとめて公表させていただいているところでございます。

石森委員 また何が言いたいかといいますと、飛来してきた放射性物質が放射線を出している。今後、農家の方々が稲作をスタートするわけですよね。そういう土をさわるわけなんですよ。もちろん、その十五センチ、何センチか掘ったものを調査して沃素やセシウムをはかることはいいと思うんですけれども、ただ、表面についている土壌というのは、そういうものだけでは正確にはかれないと思うんですね。

 あるいは、幼稚園の砂場で遊ぶ子供たちが例えばそういう土をさわるとなると、やはり表面についた放射線量が本当に厳密にどうなのかということを発表する、数値を測定することの方が私は意味があると思ってはいるんですけれども、なぜか土を掘り起こしたもの。もちろん、根から吸収されることを考えて農水省の方は十五センチという規定をされていると思うんですけれども、表面に落ちた土壌上の放射線量というものを今後測定する意味はないのでしょうか。

 やはり、これから、農家の方々、あるいは水産業をされる方々なんかは海に出るわけですから、そういうことを考えますと、本当に、体内被曝だけじゃなくて、そういう土から来るもの、海から来るものの放射線量を測定するべきなんじゃないかなと思います。

 時間もなくなってきましたので、その点について、今後、そういう表面の土壌についての測定をする意義があるかについて後で御回答だけいただきたい。

 そういう意味で、私が医療機関にいたときには、必ずフィルムバッジをつけるんですね。これは、当然、核医学のところから放射線が出ますし、あるいはレントゲン技師さんも当然つける。こういうフィルムバッジ、放射線量を測定するバッジを、例えば、今日本では、個人線量をはかる業者が四つしかないんですけれども、その四つには、子供たちにつけた方がいいんじゃないかという問い合わせが殺到しているというふうに言われております。幼稚園の先生たちも、外で遊ぶ子供たちにつけなきゃいけないんじゃないか、あるいは、農家の方々とか水産業に出る方々もつけなきゃいけないんじゃないか、そういうふうな声も出てきているんですね。

 私も、やった方がいいんじゃないかなと思います。もちろんやることは大変ですけれども、今、それぐらいの危機状態にあると私は思っています。

 それについて、二点、お伺いしたいと思います。

渡辺政府参考人 まず、前の御質問にお答え申し上げますが、今とっている土については、土の表面の部分をとって、そこの土の中に含まれている放射性物質の濃度を分析してございます。

 それから、空間線量、フィルムバッジの話がございましたが、私どもは、サンプリングをするとき、あるいはそれ以外の場所においても、空間におけるガンマ線の量、いわゆる空間線量率と言っておりますが、そういうのはいろいろな場所ではかって、これもあわせて公表しているところでございます。

石森委員 わかりました。

 土については、その測定値をもって安全であるということを言えると言ってよろしいわけですね。

渡辺政府参考人 土につきましては、その中に含まれている放射性物質、例えば沃素であるとかセシウム137であるとか、そういうものの濃度を私ども調べて公表させていただいておりますので、それをもとに、安全上問題があるのかないのかという判断ができるものだと思っております。

石森委員 わかりました。

 あと、フィルムバッジについては、また別途検討していただきたいというふうに思います。

 時間も押し迫っておりますので、最後になりますけれども、何度となく被災地の方に赴きますと、やはりいまだに瓦れきが山積みになっております。先日、岩手の本当に北の方の野田村あるいは田野畑村の方に行ってまいりますと、仮置き場に、十メーター、二十メーターの大きな大きな瓦れきの山になっているんですけれども、その中には当然、アスベストが含まれた建材が多く含まれております。

 発生するアスベスト粉じんに関する対策はすごく必要だと思っておりますけれども、被害に遭われた地域、あるいはそのほかの地域、あるいは瓦れきの撤去にかかわる業者や置き場の作業という意味で、その対策というのはどういう形で行われているかについて、ちょっとお聞きしたいと思います。

平野政府参考人 復旧工事に当たられる労働者の安全と健康の確保ということは非常に欠かせないものでございまして、既に、瓦れきの処理等の作業で防じんマスクを着用することなどの粉じん暴露防止などの徹底について、関係業界団体の方に要請しております。

 また、その瓦れきの中に、先生御指摘のようにアスベストが含まれるという可能性がありますことから、防じんマスクの着用を指導するとともに、関係団体から無償で提供いただきました九万枚の防じんマスクを労働局あるいは労働基準監督署で配布いたしまして、防じんマスクの着用の徹底を図っているところでございます。

 引き続きまして、復旧作業での粉じんの暴露防止対策につきまして、関係機関とも連携をしながら、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

石森委員 まだ若干、二分ほどありますので、もう一つつけ加えさせていただきたいと思うんですけれども、電力の使用制限。

 計画停電では、医療機関がてんてこ舞いになって、栃木県ではやっと救命センターが除外されたということもありましたけれども、今後、夏に向けて、計画停電は備えとして持っているけれども、電力使用制限ということで考えられているというふうに聞いております。

 医療機関についても、先日来、医師会の方からは、あのオイルショックのときのように、医療機関や鉄道や学校などが除外されたとおり、医療機関を除外していただきたいということを言っておりますが、それについて、厚労省また経産省の方でどうお考えになっているのか、今の段階での御回答をいただきたいと思います。

岡本大臣政務官 御指摘のとおり、停電や電力の制限によって人命に重大な影響を及ぼすことは、何としても避けたいというふうに考えております。そのため、医療施設をいわゆる計画停電や電力の使用制限から除外することも含めて配慮を求めてまいりましたし、また、厚生労働省としては、自家発電機などの確保の支援を補正予算ですることができないかということを今検討しているところでございます。

 一方で、医療施設等であっても、生命や健康に直接かかわる部分ではない部分の電力については、できる限り節電をお願いしていくという対応もとっていかなければならないだろう、このように考えております。

横尾政府参考人 お答え申し上げます。

 先般、八日、電力需給緊急対策本部におきまして、夏の電力需給対策の骨格を取りまとめております。その中で、需要抑制の取り組みとして、一千万キロワット以上の需要抑制をとりあえず図るという目標にしてございます。

 この中で、今委員御指摘のとおり、計画停電につきましては原則不実施ということにして、この状態を維持するために、ピーク時の最大使用電力の抑制幅をあらかじめ示しながら、需要家の側でいろいろな創意工夫を凝らして抑制をするということを目指そうということでございます。

 その中で、今御指摘のありました電力の使用制限でございますが、これは、契約電力五百キロワット以上、いわゆる大口の需要家においてあくまで民間の自主的取り組みが前提でございますが、これを補完する意味で、電気事業法第二十七条の活用というのも検討してございます。

 今御指摘ありますとおり、この使用制限について、適用除外等いろいろな特例の御要望は伺っております。ただ、全体の需給ギャップの中で、国民各層、すべての事業者が一体として取り組まなければならないということで、まずはどういう創意工夫ができて需要の抑制ができるか、厚生労働省ともよく議論していきたいというふうに考えてございます。

石森委員 ありがとうございます。

 大口については使用制限令ということも考えられると思いますけれども、小口の需要家については、さっきの四月八日の経産省からの通達では、取り組みについて自主的な計画を策定、公表、さらには、所管省庁は計画の策定、公表を促すというふうに言われております。

 今、中小企業、零細企業は非常に厳しい経済状況で追い詰められている中で、さらに電力使用制限で追い詰めるというのは非常に厳しいと思いますので、ぜひそれまで、本当に努力をしていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 どうもおはようございます。民主党の稲富修二でございます。

 まず、このような質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。そして、被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、政府におかれましては、不眠不休でお仕事をされていると伺っております。心から敬意を表する次第でございます。

 きょう、私からは、主に被災地の子供について御質問させていただきたいと思います。副大臣、きょうは来ていただいて、ありがとうございます。

 私も、子を持つ親として、やはり何かあった際に、子供はどうなんだということがまず頭をよぎるわけでございます。それはどの家庭でも変わらないと思います。また、こういったときにこそ、子供の安心、安全を守り、そして地域の子供の笑顔を取り戻していくということこそが政治の役割であり、国の仕事であるという思いでございます。そんな思いから、幾つか御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まずは、震災の遺児、孤児についてでございます。これは、副大臣が発災直後から熱心に取り組まれているというふうに伺っております。実態調査にも努めていらっしゃるというふうに伺っておりますが、現時点で、震災の遺児あるいは孤児、どれぐらいの数に上っているのか。そして、特に孤児の場合はどのような生活をしているのか、その点をお伺いしたいというふうに思います。

小宮山副大臣 子供のことにいつも関心を持っていただいて、ありがとうございます。

 お尋ねの点ですけれども、今回の震災で両親を亡くしたあるいは行方不明の孤児につきましては、これまで、現地の児童相談所の職員と応援に入りましたほかの地域からの児童相談所の職員がチームを組みまして、避難所などを回りまして確認した結果、四月十九日現在で百十人いると確認をしています。

 両親を亡くした子供につきましては、やはり親族が見るのが一番望ましいと思うんですけれども、今多くの子供たちは、遠い御親戚なり親族の方が見ておいでだと聞いておりますが、その方たちに経済的な負担がないようにということで、親族里親、この制度を積極的に使っていただくようにとお話をしているところです。それでも親族がやはり長期的には引き受けられないという場合には、養育里親、あるいはそれを、集団であるファミリーホームなど、なるべく家庭に近い形で受け入れられるように今努めているところです。

稲富委員 ありがとうございます。

 実態調査という言葉で四文字になりますと簡単な言葉ですけれども、恐らく、現地で子供のつらい状況を調査していくというのは、現場の方々は大変な御苦労がある中だと思います。さはさりとて、これはやはり着実に実行し、そして進めていかなければいけない。一時金を支給するにしても、里親制度を活用するにしても、やはり行政の力が必要であるという現状でございます。

 あしなが育英基金、育英会さんが、今回の震災に対して特別一時金を支給されるということで、四月十九日現在、一時金の申し込みが四百三十九名いらっしゃる。うち、片親を失った子供さんが三百六十九人、そして両親とも失った方が五十人ということで出ているということでございます。

 先ほど副大臣からお話がありましたように、この規模というものは、今後を考えますと、ますますこれからふえていく可能性があるということで、先ほど里親というお話がありましたけれども、今後そういった受け入れる体制が十分にあるのか、あるいはそういった生活はどうなっていくのか、その点をお伺いしたいというふうに思います。

小宮山副大臣 現在確認されています百十名につきましては、一時的に今施設に入所している子供が二人いるんですけれども、そのほかは親族とともに生活をしていまして、そういう意味で親族里親の制度をしっかり活用していただければと思っています。

 また、親族で引き受けられない場合につきましては、養育里親、これを活用していきたいと思っていますが、被災地の自治体の中で、まだ委託をされていない登録里親が二百六十二名いますので、そういう意味では被災地の中でこの里親の受け入れということで対応ができるのではないか。ただ、それが難しい場合は、やはりファミリーホームとかそうしたものも考えなければと思っているところです。

稲富委員 ありがとうございます。

 同時に、孤児、御両親を失った方の学業について、やはりこれからそれも支えていかなければいけないというふうに思いますが、その点の支援についてはどのようになっているでしょうか、お尋ねをいたします。

尾崎政府参考人 お答え申し上げます。

 震災遺児を含めまして、被災地の子供たちの学業支援ということで、その経済的支援は非常に重要でございます。就学困難な児童生徒の数が相当数に上りますものですから、小中学生に対します学用品、通学費、給食費、こういった就学援助につきまして柔軟な対応が必要であるということで、その認定あるいは支給につきまして、なるべく弾力的に取り扱ってもらいたいという趣旨の通知を、震災直後の三月十四日の段階で、各都道府県教育委員会の方に連絡を差し上げております。

 また、あわせまして、高校生につきましても、各都道府県で実施をいたします奨学金につきまして、学力要件とかを問わずに緊急採用制度を弾力的に運用してもらいたいということ、あわせて、その場合に、対象者がふえた場合に、各都道府県にもともと措置をしております奨学金の基金、これを取り崩して構わないという趣旨の連絡も差し上げているところでございます。

 今後とも、小中学生の学用品、通学費その他の経済的な支援、高校生の奨学金事業につきまして、国において、万全の体制がとれますよう、補正予算におきましても積極的な対応をしてまいりたいと考えてございます。

稲富委員 続きまして、児童福祉施設についてお伺いをしたいと思います。

 まず、児童養護施設や乳児院といった児童福祉施設の被災状況についてお伺いをしたいというふうに思います。

小宮山副大臣 児童養護施設や乳児院につきましては、幸いなことに、被災状況として、人的な被害、建物の倒壊などの被害は報告をされておりません。

 しかし、一部の施設で、外壁のタイルの脱落や壁の亀裂、水道管の破裂、かわらの落下などの被害がございますので、これはなるべく早く復旧をしたいというふうに思っております。

稲富委員 ありがとうございます。

 私も、実は現地に、養護施設を見てまいりまして、あるいは電話でのヒアリングをしてまいりました。本当に幸いなことに、児童の被害がなかったということでございました。ただ、先ほど副大臣から御答弁いただきましたように、建物の修繕が必要であるということがございます。私が行ったところでも、まだ余震も続く中で、やはりこれからその建物は修繕が必要ではないかということをおっしゃっておりました。

 あるいは今回、直接の被災はなかったものの、例えば、地域小規模施設にいらっしゃったけれども、その施設そのものが被災したわけじゃないんですが、その施設をオーナーに返さなきゃいけなくなった。そこにいた子供たちを施設に戻すということになって、児童養護施設で、六人いた子供たち、地域小規模の子供たちを再び受け入れることになったということで、その児童養護施設で、毎年予算を組む中で大変な御苦労をしながら運営されていると思うんですね、そういう中で、ことしはやはり経費がふえるということもございます。

 先ほどありましたように、建物の経費、あるいは今回の被災に際しての経費、もろもろあると思います。そういったことでぜひとも御対応が必要かというふうに思いますが、その点の御見解を伺いたいというふうに思います。

小宮山副大臣 今おっしゃいました具体的な後段のケースにつきましては、また詳しくそのケースを伺いまして、可能な限りの対応をしたいと思っています。

 今回の震災で被害を受けました児童福祉施設の復旧費用につきましては、社会福祉施設等災害復旧費補助金の補助対象となっているほか、激甚災害に指定されましたことから、国庫補助率のかさ上げが行われるということです。

 早期着工が必要な場合には、都道府県の担当部局の指導のもとに、被災部分がわかるように写真を撮っておく、こうしたことなど、被災事実が証明できるようにしておけば、災害の被災状況を査定する実地調査前でも着工できる、すぐにできるようにしてございます。

 今回、大災害でございましたので、必要な予算が子供たちのために十分に用意できますように努めていきたいと思っています。

稲富委員 続きまして、もう一つ児童養護施設についてなんですけれども、二つ目なんですが、十八歳を過ぎた子供についてです。この自立の問題というのは、今回の被災、震災に限らずのことでありますけれども、こういった事例がございます。

 三月十一日に震災ということで、三月に卒園をして新たな就職先あるいは新たな施設に行くことになっている子供というのがおります。就職先が決まっていたお子さんはそのまま行けたんですけれども、施設に行く予定になっていたお子さんが、施設そのものがなくなったということで、行き場がなくなって、措置延長したという事例がございます。

 これに限らず、十八歳で園を出て、そして、措置延長があるにしても、社会に出るということは、非常に困難な部分もあるかなというふうに思います。これは、今回の震災に限らず、中長期の課題かもしれませんが、特に、来年にかけても、では地域の雇用の場があるかと言われると、恐らく大変厳しい状況の中で、そういう受け皿、十八歳で措置延長する中で受け皿をつくるか、あるいは何らかの自立を促すような仕組みなりそういう政策なりというのが私は必要だというふうに思いますが、中長期の視点もあるかと思いますが、その点の御見解を伺いたいというふうに思います。

小宮山副大臣 委員が御指摘のように、これは中長期的にずっと取り組んでいかなきゃいけない問題としまして、十八歳を超えた子供たち、二十歳までは措置の延長が可能ということにしているんですけれども、なかなかそれが実際に運用されていない。今回の被災地につきましては、特にこうした形のものが子供の自立支援にぜひ必要だと思いますので、個別のケースも含めて、またしっかりとその辺はフォローしながらやっていきたいというふうに思います。

 また、被災地の児童養護施設に入所する子供の自立支援に当たりましては、施設を退所した子供たちに対して、住居の提供、あるいは今おっしゃったような、なかなか難しいとは思いますが、就業・生活相談を行う自立援助ホーム、こうしたものをしっかりと活用すること。また、施設を退所する子供の就職、アパート等の賃借の際に身元保証人を確保できるようにする身元保証人確保対策事業の活用。こうした、今ありますけれども、なかなか通常からまだまだ活用されていないところを、被災地では特に力を入れて周知をして使えるようにしていきたいと思っています。

 また、施設の家庭支援専門相談員、これは退所後の子供からの相談に継続的に応じることになっていますので、普通のケースでも大変なところ、おっしゃるように今回被災地ということで、一層、二重三重に大変な状況になっていると思いますので、しっかりとフォローができるようにしていきたいというふうに思っております。

稲富委員 ありがとうございます。

 被災児童の保護、支援ということはよく言われるわけですが、それから、やはり自立までの過程という支援が必要かというふうに思います。これは今回に限らず、中長期的に取り組んでいかなければいけないのではないかというふうに思っております。

 今回の被災に関して、私は、あしなが育英会さんやユニセフさんと意見交換を何度かさせていただきました。そういう中で、例えば先ほど遺児や孤児の現状把握の話がありましたけれども、そういった、NGOやNPOが率先して活動していらっしゃるという場面がたくさんございます。現場でもそういう場面がたくさんあります。そういった方々と政府が何らかの行政としての連携ができないものかということを常に私も考えることがあります。

 現場では、同じようなことを別の団体がやっているということもありますし、同じような調査を別の団体がやっているということもあります。そういった意味で、これはまた、すぐではなくて中長期かもしれませんが、行政とそういった形での連携というものをぜひ図っていただきたいというふうに思うわけですが、その点の御見解を伺いたいというふうに思います。

小宮山副大臣 おっしゃるとおりだというふうに思います。

 そして実際に、まだまだ足りないとは思いますけれども、厚生労働省でも、例えばユニセフの皆さんが絵本などを子供たちに届けるとか、やはり各国でのいろいろな、緊急の際の子供の心のケアも含めたさまざまなノウハウを持っておいでですので、厚生労働省の児童家庭局、その中の育成環境課とか、そういうところの今回孤児のことも対応している人たちと今相談をしながら、一緒に連携をとってやってもらっております。

 私も、先々週の末に大船渡と久慈へ行きましたけれども、そこは子供たちの状況を見に行くというミッションを持って行きましたので、ユニセフさんからの絵本などのカタログとか、それからこいのぼりのカタログとかを持っていってやったりとか、今後とも、やはり民間の方の力も、あらゆる力を活用して、子供たちが少しでもいい状態になった方がいいと思いますので、また具体的な御指摘もいただければそこもきちんとやりますし、いろいろな形で連携をとっていきたいというふうに考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 最後に、子供政策全般についてと予算についてでございます。

 子供といっても、今回、私も現場に行くと、随分と地域によって被災状況も子供が置かれた状況も異なります。きょう申し上げたような子供、養護施設の子供もいれば、あるいは、先ほど福田委員が御質問されていた、福島から避難している子供さんもいらっしゃる。あるいは、両親は御健在であるにもかかわらず、職を失って生活の基盤を失っている子供、あるいは避難所の子供の心のケアというものも喫緊の課題としてございます。一言に子供といっても、本当に地域によって、ケースによってさまざまなことがあります。

 やはり、私、三月十一日を境に、政策の優先順位というものが大きく変わったし、変わらなければいけなかったと思います。子ども手当というのも、もちろんその例外ではなかったというふうに思います。しかし、私は、その理念といいますか、社会保障政策の中で子供が中心になる、あるいはその大きな柱になるんだということは、これはいささかも変わってはいけない部分だというふうに思っています。

 そういった意味で、これから、第一次補正、第二次補正と組まれることになろうかと思いますけれども、そういう中で、子供の予算をしっかりと確保して、そしてその中で、先ほどのさまざまなケースに対応していくということが大事ではないかという思いを持っております。

 その点、ぜひ、子供政策というものを優先的に、後回しすることがないよう、縦割りという弊害を打ち破って取り組んでいただきたいという思いを述べさせていただきまして、その御決意をぜひ伺って、私の質問の終わりとしたいというふうに思います。お願いします。

細川国務大臣 委員が御指摘になりましたように、子供の育ちというのを社会全体でしっかりと応援していくというのは大変重要なことだというふうに思っております。

 今回のこの大震災で、子供たちが大変な被害を受けました。この震災の復旧復興に関しての取り組みの中で、子供に対しては、やはり私は最優先でやっていかなければというふうに思っております。そのための一次補正、あるいはまた二次補正、それらについての予算の確保、これについてはしっかり優先的にやっていきたい、このように考えているところでございます。

稲富委員 どうもありがとうございました。

牧委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 まず初めに、震災の影響によります雇用問題についてお伺いをしてまいりたいと思っております。

 四月に入りまして、被災地のみならず全国的に、従業員の解雇に踏み切る、こういう会社がふえております。被災地では、基幹産業の農業や水産業だけではなくて、多数の企業が壊滅的な打撃を受けました。取引先の多数が被災をした、資材も燃料も不足して事業継続のめどが立たない事業所というものも全国に広がってきております。また、電力不足の方も、今少し暖かくなり計画停電は中止をしておりますけれども、日本の製造業を支える基盤産業にとどまらず、産業界全体への影響も大きくなっていくことが予想されます。

 雇用危機に陥って悲鳴を上げている人は数知れない。私の方にも、中部地方であっても九州においても仕事がない、こういうようなお声が随時入ってきております。岩手、宮城、福島各県の労働局には、解雇や休業手当に関する相談が三月末時点で八千件だと聞いております。また、内定取り消しが百四十四件だということです。一方、被災者が避難をしている隣接県のハローワークにも、同じように、職を求める人あるいは相談に訪れる人が長い列をつくっている。これまでにない規模の被災者が職を失った状態であり、早急な雇用対策が求められております。

 徳島、鳥取など、被災者の雇用を発表する自治体も出てきております。また、政府も、緊急雇用対策として、被災した離職者を対象にした雇い入れ助成金、このようなものに取り組みを進められています。さらに官民を挙げた取り組みが必要となっております。

 私のもとに、派遣先事業主から雇用調整によって失業、休業を余儀なくされて困っている、このような相談も来ております。そこで、これまで、従業員や派遣、請負の解雇を予定している事業所については、雇用調整助成金などを利用してできるだけ雇用をつなぎとめてほしいということで、災害救助法適用地以外の事業所へ拡大をお願いいたしました。

 この要請に対して政府の方でも、雇用調整助成金の特例措置を支援の必要な災害救助法適用地域に広げることに加えて、被災地の事業所と取引関係が密接な被災地以外の事業所及び計画停電の影響を受けた事業所について、新たに特例措置を設けてくださいました。これは大変感謝をしております。

 現在の特例措置の適用となりますのが、青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉、新潟、長野のうち災害救助法適用地域に所在をする事業所の場合、また、ここに該当しない事業所であっても、上記の災害救助法適用地域に所在をする事業所と一定規模以上、総事業に占める割合が三分の一以上の経済的関係を有する事業所、それから三番目に、計画停電の実施地域に所在をして計画停電によって事業活動が停止をした事業所、このような条件がございます。

 まず、この適用地域についてなんですが、青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉、新潟、長野のうち災害救助法適用地域に所在する事業所や計画停電の影響地域に限らず、これをぜひ日本全体に広げるべきだ、このように考えております。

 また、解雇や自宅待機などを言い渡されている方々は、この当該地域にとどまらないという実情がございます。メーカーの日本国内のサプライチェーンの機能は、日本国内事業所の全域に波及をしているのが現状であります。資材、原料、原材料不足で生産縮小から雇用維持に対する不安を抱えているのは、関東、中部、九州、全国に及んでおります。

 労働者の雇用維持、確保のためにも、雇用調整助成金等の適用地域を限定せずに、ぜひ全国に拡大していただきたい、このように考えますが、いかがでしょうか。

小林大臣政務官 古屋委員御指摘のように、雇用調整助成金を活用していただいて解雇を極力防いでもらう、こういう目的で雇用助成金の使い勝手をよくする、こういうことで今政府は取り組んでまいりました。

 災害救助法適用地域において雇用の維持に努力をする事業主を迅速に支援できるように特例措置を設けた、先ほど先生がおっしゃったとおりです。これは被災地域に限らず、これらの地域の事業所と一定規模以上の経済的関係を有する事業所などについても、被災地の事業所と同様に雇用の維持に向けた迅速な支援が必要である、こういう判断から、特例措置の一部を追加的に適用しております。

 したがって、災害救助法の適用地以外のところであっても、そこでいろいろな部品をつくっていた、そういうものがうまく供給できない、こういうことになれば、被災地域に限らず適用していくということを決めてございます。

 今後も、雇用調整助成金がより使いやすくなるような制度として、被災地やそれ以外の地域の状況について十分留意をして、必要な見直しを図ってまいりたい、このように考えています。

古屋(範)委員 徐々に拡充をされているのも承知をいたしております、手続も簡便にということも御努力をしていらっしゃると思いますが、ぜひ全国への適用を前向きに御検討いただきたいと思っております。

 さらに、特例対象地域の事業所と直接取引の事業所だけを対象にするのではなくて、間接取引の下請企業、またその企業の請負事業主、派遣事業主にも除外せず適用すべきと考えております。

 大企業はもちろんなんですが、今一番大変な思いをしているのは中小零細だと思います。また、下請、請負、派遣等であります。間接取引のある下請、中小零細、派遣、請負等で働く多くの方々も同様に雇用保険の対象となっているわけなんですが、適用除外となるのはやはり不公平ではないかと思っております。

 このようなときこそ、弱い立場の中小企業主あるいは働く方々を切り捨てるのではなく、すべての事業主に適用になる、これがやはり雇用の安定につながるものと思っております。大臣、これらも除外することなく適用していただきたい、このことをお願いしたいと思います。

 また、一定規模以上という条件もぜひ緩和していただきたい、このように思います。総事業量に占める割合が三分の一以上、この経済的関係を有する事業所の適用対象を拡大して、三分の一ではなくもう少し緩和をして、例えば十分の一とかこういう緩和をし、経済的関係を有する事業主にもさらに適用していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

細川国務大臣 雇調金について被災地以外のところにも適用していく、こういうことについては、災害を受けたところの事業主については雇調金の要件を特例をつくって緩和して、そして雇用の確保をしなきゃいかぬ、こういう趣旨でやっているわけです、特例を。だから、それ以外のところに適用するということになりますと、被災地と同じように、いろいろと大変だという程度というのを決めなければいけないわけですね。そのために、一応私どもの方としては、三分の一ということに経済的な関係があれば適用をする、こういうふうに決めたわけです。

 特に、委員の言われることはよくわかるわけでありますけれども、そういうことも含めて、実は、被災地の事業所と一定の経済的な関係がある事業所の事業主については、被災地域に元請のある下請や、あるいは被災地域に発注元のある請負、あるいは派遣先が被災地域にある派遣業者も含まれる、こういうことで、これらの事業の事業主については雇用調整助成金の適用をする、こういうことに拡大をいたしておりますので、そこは御理解いただきたいというふうに思います。

古屋(範)委員 被災地域に派遣先があった場合には適用されるということでございます。

 総事業量の三分の一といいましても、やはり小さな部品一つなくても製品にすることができない、こういうところがございます。長期的に見れば、そういうところへの支援もやはり必要かなと。それは、厚労省の管轄だけではなく、全省挙げての支援かとなってくると思いますので、ぜひまたお取り組みをよろしくお願いしたいと思います。

 それから、被災地から他県へ避難をした方の保険証の発行についてお伺いをしてまいります。

 山梨県に避難をした方からの御意見をちょうだいしました。南アルプス市に避難をされていらっしゃる方が五十人ほどいるということであります。その中で、四人の方々が国保の保険証を南アルプス市役所から発行されたということです。

 この際問題なのが、南アルプス市役所の発行した保険証を、被災した方が窓口で、口頭で被災者であるということを告げなければいけないということになっております。被災をされていることをわざわざ言わなければいけない、これは非常に心理的な負担にもなると思います。当然、周りにいる方々にも聞こえるわけであります。担当部署には、口頭で言わなくても済むような方法を何とか考えてもらえないかと思っております。

 このことにつきまして、公明党の市議からも、保険証と一緒に証明できるカードをつくって、何らかのフォーマットがあればできるのではないかと市役所の方に提案をしたんですけれども、市としては、勝手につくることは非常に難しいという回答があったそうです。できれば国からそうした様式を提示してくれたら非常に助かるのだが、担当からそういう意見があったということであります。

 被災者であることを言わずに保険証を発行していただけるよう配慮ができないか、そうした簡単なカードの様式など国として提示をすることができないのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

岡本大臣政務官 御指摘をいただきました、被災者の方で生活にお困りの方が、医療機関の窓口でその旨の申し立てを行うだけで窓口負担なしで受診ができるということ、これは、ある意味、通常の仕組みというわけではなくて、被災者の皆さんの利便性を考えての取り組みでありまして、一定期間経過した後には、市町村が一部負担金等免除証明書というものを発行して、これを医療機関の窓口で確認することにより免除をするという仕組みに戻すということを考えております。

 この一定期間というのは、その市町村の体制が整うということでありまして、これは被災地においてはまだちょっと時間がかかるかと思いますが、今御指摘の他県、山梨県の南アルプス市のように、対応可能な市町村においては、早期に交付していただいてよいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、全国的に証明書の交付をお願いすることになっていくというふうに考えておりますけれども、被災者の避難の状況や市町村の事務処理体制に十分配慮していかなければならないというふうに考えております。

古屋(範)委員 政務官、ありがとうございました。

 行く行くはきちんとした体制を組んでいかれると思うんですが、被災地の役所は当然もう人手がないし、今、罹災証明あるいは避難所の支援等々、満杯だと思います。ですので、確かにもといた被災地の役所に多大な負担をかけるということは避けなければいけないと思うんですが、総務省の方も、全国避難者情報システムですか、これをつくっていくということを発表していらっしゃるんですが、一定期間、現地の役所に多大な負担をかけないように、なおかつ、他県に避難した方については、そうした証明書なりそういうものを早く届けてあげられる、そこは柔軟な対応を考えて、ぜひ知恵を出していただきたい、このように思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、避難所での女性への配慮についてお伺いしてまいりたいと思っております。

 震災の非常時、女性への配慮というのは、まず、多くの方々が生きていくことさえも大変という、食料がない、水がない、そういう状況ですので仕方がないんですが、やはり後回しにされてしまう問題だと思います。東日本大震災でも避難所の生活が長期化をしてまいります。そういう中で、プライバシーの確保ですとか、そのほかいろいろな面で女性が困っている点が多いのではないかと考えます。

 これは河北新報、四月十三日の女性記者が行ったルポなんですけれども、気仙沼市の中学では、仮設トイレが男女共用であり抵抗感を持つ女性が多いのではないかとか、十日間も着がえができなかった。この後、下着が届いたかとは思いますけれども、こういうこともある。また、気仙沼市総合体育館では、幼児を抱える方が多く、他の避難者からうるさいと言われてしまう。やはりこれは、子供のいない方にとってみれば、寝たいときに泣き声がして眠れない、こういうことは確かにあろうかと思いますが、本当に申しわけないなと思う母親は非常に多くのストレスを抱えてしまうというふうにも思います。また、これは仙台・若林区の六郷中学なんですが、体育館へ夜の出入りが自由になっていてだれが入り込むかわからないとか、トイレが屋外にあって防犯上非常に危ないのではないか、夜行くのも怖いというような、さまざまな点がここに載せられておりました。

 避難所で、男女別の更衣室、洗濯物の干し場、授乳室、子供たちが周囲を気にせず遊べる場、こういったものを設置する工夫をしてほしいなというふうに思います。また、お互いのプライバシーを尊重することで、長期化をしていく中でもよりよい人間関係が保てるのではないかと思います。

 また、心のケアも大切です。男性とはまた違った悩みもあります。女性だけで不安やつらさ、そういうものを率直に言い合える場が必要なのではないかなと思います。阪神大震災のときには、避難所でセクハラあるいはその他のいろいろな問題が起きたとも聞いております。男性が家、仕事を失ったことでストレスがたまってしまう、こういうこともあるのではないかと思っております。被災地は、さまざまな悩みについて声を上げにくい状況です。

 そこで、避難所に女性スタッフを置くなど、総合的な女性の悩みにこたえられるような窓口の設置なども配慮をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。では、副大臣。

小宮山副大臣 同じ女性同士ということで、目が合いましたので、私の方から答えさせていただきたいと思います。

 これは、避難所を最初に設置したときからずっと、阪神のときの経験も踏まえまして、女性への配慮あるいは妊婦さんや赤ちゃんを出産したばかりの方への配慮ということはずっと言ってまいりました。それで、女性専用のトイレの設置とかプライバシー確保に必要なパーティション、それからマット、テント、こうした必要な設備を用意する場合には、災害救助法で国庫負担で行う、そのようなことも周知をしてまいりました。

 ただ、やはり避難所ごとによって随分差がございまして、きちんとできているところ、そうでないところ、あります。特にトイレの問題などは、非常に、やはり女性に必要な用品などもそこに置く女性専用のトイレが必要だと思いますし、やはり皆さんが見ている前で授乳をするというのも大変でしょうから、そういうための部屋があればもちろんいいですし、そうでなければ区切りをするとか、そうしたことも、なるべく厚生労働省の方からもお願いをしているところです。

 ただ、いろいろなところで、やはり、避難所、場所によっては自治組織みたいになっているので、その自治組織の中にまた発言できる女性が入っていくということもぜひ必要ではないかというふうに思っておりまして、福祉避難所のところでは出産したばかりのお母さんや赤ちゃんなども入れるようにもしておりますので、また委員からもいろいろな御意見をいただいて、具体的にそのあたり、最大限のサポートをしていければというふうに思っております。

古屋(範)委員 副大臣おっしゃいましたように、避難所において、まだ水がなく、衛生状態そのものが劣悪であるというところさえもございます。福祉避難所ではある程度守られているとは思うんですが、それぞれの避難所にどういうニーズがあるのか、ぜひきめ細やかな女性への配慮をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 先ほどの議論にも既に出てまいりましたけれども、私もドクターヘリについて次にお伺いをしていきたいと思っております。

 医師、看護師等が乗り込んで、すぐに治療ができるドクターヘリ、搬送しながら治療ができるドクターヘリ、私たちも推進をしてまいりました。ドクターヘリの全国配備、これは二〇〇三年の公明党のマニフェストに掲げまして、ドクターヘリ特別措置法、二〇〇七年に成立をさせることができました。現在では、地方議員とのネットワークで各県、全国配備を目指しておりますし、また地方議員の横のネットワークを活用して、単独で配備が難しいというところは広域でカバーができるように、今そういう活動も推進をしております。

 この空飛ぶ救命救急センターと言われるドクターヘリが、今回、東日本大震災では大活躍をいたしました。大震災の発生後、当然、今回は津波で陸路が断たれ、瓦れきが散乱しているという中で、ドクターヘリがフル活動いたしました。十六都道府県の十六機が直ちに被災地に派遣されて、負傷者、入院患者の懸命の救出に当たったそうであります。

 このように、大震災が起きてから、初動段階だけでも百人以上の重傷患者を搬送、岩手の花巻空港にはピーク時で十八機が集結したということを聞いております。ドクターヘリがなかったらこの命が失われていたのではないか、このように思います。

 ヘリに医師を搭乗させているために、早くから現場、搬送中にも患者に医療行為ができるというのがドクターヘリのメリットでもあります。現在、お伺いしたところによりますと、二十二都道府県で二十六機が配備されているということでありますが、いまだ全国配備には至っていないわけであります。二〇一一年度中に、これは三十二都道府県まで配備をする予定だということも伺っております。特に過疎地、医師不足の地域、これはドクターヘリの導入、喫緊の課題であると思っております。

 国民の安全、安心を確保する上で、このドクターヘリの全国配備、これは一刻も早く進めていただきたいと思いますが、これについて御見解をお伺いします。

細川国務大臣 ドクターヘリにつきましては、その有用性といいますか重要性といいますか、これはこの間、国民の皆さんが本当に認識したのではないかというふうに思います。とりわけ、今回の大災害におきましては、このドクターヘリというのが大活躍をさせていただきました。本当によかったというふうに思います。

 初期の段階の、DMAT、緊急医療チームの人たちが現地に入るのを、そういうのもこのドクターヘリでやらせていただいたり、あるいは、この震災で被災を受けた病人の方を搬送するなど本当に大活躍をさせていただきまして、本当にドクターヘリの存在というものが再認識もされたものだというふうに思います。

 そういう意味では、これから全国的な展開という、まだまだ不十分だというふうに思いますので、いろいろなこれまでの実績も踏まえまして、また、地域の事情にもよりますから、例えば複数県で協力し合ってドクターヘリを持つとか、そういう共同運航も含めまして、全国的なドクターヘリの普及について推進をしてまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 大震災でのドクターヘリの有用性というものが確認されたと思いますので、そうした広域での共同運航も含めまして、ぜひ全国をカバーできるように推進をしていただきたいと思っております。

 さらに、ドクタージェットの実用化についてお伺いしてまいりたいと思っております。

 ドクターヘリのその先にドクタージェットというものがあろうと思っております。これは、やはり医師が治療しながら患者を搬送する小型ジェット機であります。

 北海道は非常に広いということで、道央、道北、道東の圏域に一機ずつドクターヘリは配備をされているそうなんですが、救命率の向上、また患者の後遺症の軽減に非常に効果を上げているということであります。そうした救急医療の機能をさらにドクターヘリから拡大をしていくということで、広域の医療圏をカバーしようと期待を集めているのがこのドクタージェットであります。

 北海道では、昨年九月六日から十月五日までの一カ月間、ドクタージェット研究運航というものが行われたそうであります。

 ドクタージェットの利点といいますのは、ドクターヘリはおよそ半径百キロ程度の運航となっております。ジェット機の方は、航続距離は約二千五百キロと非常に長い距離を飛ぶことができるということで、ヘリの空白地帯を、道南とか十勝地方もカバーすることができる。それから、有視界飛行を条件とするヘリと違って、夜間の運航も可能だ。また、今回の研究運航に使用されたジェット機は、高度三千メートル以上の上空を飛ぶために、真冬の大雪など悪天候にも左右されにくい。飛行速度もヘリの三倍、非常に速いということであります。

 今回の研究運航では、専門医による治療が必要との判断から、札幌から高知県へ搬送する、あるいは静岡から札幌へ搬送したり、さらに、日本臓器移植ネットワークから要請を受けて、臓器移植の輸送も行ったということであります。

 今回の北海道の研究運航は、道内の医療機関や自治体で構成する北海道航空医療ネットワーク研究会が取り組んだものであります。北海道だけではなく、飛行場を有する離島などでも有効ではないかというふうに考えております。

 遠隔地にいる患者の搬送、あるいは夜間の運航、飛行速度、さらに悪天候にも左右されない、さまざまなメリットがあるドクタージェットについて、ぜひ、実用に向けて、国としても、モデル事業を行っていただき、導入実現に向けて推進をしていただきたいと思っております。この点について、御見解を伺います。

岡本大臣政務官 今御指摘がありましたドクタージェットにつきましては、委員御指摘のように、メリットがあるというのも事実であります。

 一方で、やはり滑走路が一定程度長く必要で、先ほどお話がありました北海道においては複数の空港がありますが、空港がないとなかなか行けないとか、空港から実際に収容先の病院までの距離の問題だとかということもございます。あと、費用面においても、若干ドクターヘリに比べると高くつくというところがあります。

 しかしながら、今委員御指摘がありましたように、北海道航空医療ネットワーク研究会が行った今回の研究について、我々もしっかり注視をしながら、また、ことしも行われるというふうにも聞いておりますので、そういった実績、結果、この研究の成果を踏まえつつ、私たちとしてもさまざまな皆さんの意見を踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 この震災でドクターヘリの有用性を確認できたと思っておりますので、ぜひ、その先にあるドクタージェットにつきましても、確かに非常に財源の要る話だとも思っておりますが、ヘリとジェットあるいはドクターカー、そういうものを機動的に使いながら救急医療、またこうした大きな災害の対策に当たっていただきたいと思います。

 若干質問を残しておりますが、そろそろ時間ですので、残りました質問は次の機会に回したいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

牧委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先週、雇用調整助成金の要件緩和の問題などを取り上げさせていただきましたが、そのとき、続きをやりますと言っておりましたので、続きから入りたいと思います。

 ハローワークが避難所などに出向いて労働相談、職業相談などをやっていく必要があると思います。特に、宮城、福島、岩手の三県において、また、それ以外に県外で避難者を受け入れている避難所で出前労働相談などがどのくらいやられているのか、また、そのために必要な人の派遣はどのようにされているのか、伺いたいと思います。

小林大臣政務官 今御指摘のように、出張相談など、大変大事だ、このように思って対応しております。宮城、福島、岩手の三県で三十七カ所、相談件数として六百八十件対応してまいっております。そのほかの県では八十カ所、相談件数七百五十七件、これは四月の十日現在でございます。

 そして、宮城、福島、岩手、この三県では、出張相談に加えて、失業給付や雇用調整助成金の支給申請などが急増しております。さらに、今後、未払い賃金の立てかえ払いだとか労災保険の給付請求などが大変多くなる、このように見込んでおります。したがって、これらの業務を迅速に処理するために体制の整備が必要である、このような認識を持っております。

 したがいまして、労働行政の全国ネットワークを生かして、全国の労働行政職員の中から、現在百四十三名の応援職員を派遣してもらっています。さらに、岩手、宮城、福島の三労働局には、それぞれ五十名の非常勤職員を配置したい。今まで経験をしたOBの方とか即戦力になる、そういう方を含めて非常勤職員をこれから配置していく、現在もその努力をしているということでございます。

高橋(千)委員 そこで、前回も指摘して要望にとどまったわけですけれども、被災した労働者や事業主を助けようと厚労省が膨大な通達を出しているわけです。その趣旨は非常に理解をいたしますし、活用したいと思います。

 一定の規模のある事業主であれば団体を通して通知というか周知をしておりますので、大手の企業は基本的には理解をしていると思うんですね。

 ただ、労働者が知らなければ、企業から、被災したんだから仕方ないだろうとか、節電のためだからやむを得ないんだとか、さまざま言われると泣き寝入りをせざるを得ない状態になるわけです。また、労務などに専門の人を配置できない零細企業でも、本来なら使える制度があるのにもかかわらずできないという同様の状況があると思います。

 ですから、今政務官からお話があった未払い賃金立てかえ払い制度とか、使える制度があるということをまず知らせるということが本当に大事だし、自分も相談すれば何か使えるかもとまず気づいてもらわなければ、出前相談があるよと言ってもそこまでたどり着かないんじゃないかと。これは、私は避難所を見てそれをすごく思ったんです。それが、いっぱい資料が張ってあるんですね、掲示板に。だけれども、肝心の労働相談のところがよく見えないよということで指摘をしていますので、例えば、被災したって使える制度がある、あきらめないでというメッセージが伝わることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

小林大臣政務官 今、高橋先生から御指摘いただいたとおりだと思います。せっかく、私たち、いろいろな制度を工夫しても、それが実際に活用される方にしっかり伝わっていないと意味がない、このように考えております。

 そのために、今先生おっしゃったように、インターネットを見てくれとかあるいはホームページを見てくれと言っても、なかなかそういう状況じゃないということは十分わかっておりますので、ペーパーにしたり、壁新聞的にしたり、あるいは政府広報など、これを活用して今周知をしているところでございます。私も先週の土日、宮城の方に入りましたけれども、やはり掲示板はいっぱいあるんですが、いろいろな掲示がされておりますので、見やすい工夫だとか訴える工夫、こういうことが特に必要だなと思いました。

 日本が一つになって支えていく、こういう気持ちでこの周知についてしっかり努めていきたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 掲示板は本当に、行政の思いもあるし、またいろいろなボランティアの方の思いもいっぱいありまして、非常に一生懸命見ているんですね。山形でしたけれども、個人の方が、自宅でおふろがあるよ、アウディで迎えに行くよと、本当に心温まる掲示もありました。ただ、そこから本当に自分が必要な情報を探すためには、もっと強力なメッセージが必要である。テレビ広報も使う、また掲示板を区分けするとか、そういうことが必要ではないかなと思います。

 そういう意味で、先ほど来人の話をしているわけですけれども、サービスのやり方もやはりワンストップが大事である。例えば、仙台市であると、罹災証明はだれでもとりますので、まず市役所のフロアに行くんですけれども、最初の窓口でよく話を聞いて、税金なのか、住宅なのか、それとも雇用の問題なのかというのを聞いて、そのフロアの中に窓口が全部あるわけです、それで最初の人が導いてくれる。そういう体制がやはり必要なんだろうと。

 埼玉のスーパーアリーナでも、大体そういう形で県の職員の方が窓口となって、ハローワークの出前相談もやられておりました。私は、ただ、震災の一週間前にそのスーパーアリーナの向かいにある埼玉労働局に視察に行ったばかりでありまして、ハローワーク大宮は職員一人当たりの相談件数が全国一という、大変多忙であるということを聞いてきたばかりなんですね。ということは、全国で二千四百を超える避難所があるそうでありますから、頑張っているけれどもまだまだ足りないというのは事実なわけです。

 資料を見ていただきたいんですけれども、そもそも二十三年度の常勤職員、これは昨年度より百八人減っております。それに対して非常勤職員は一万八千五百六十二人。こうすると、ハローワークの窓口、三人に二人が非常勤職員という計算になるわけです。先ほど説明があったように、他局から応援してもらっている、この数字が全国百十五人ということで、岩手、宮城、福島、それぞれの数字が書いてありますけれども、今、さらに五十人ずつ追加の配置をするということを言っているわけです。

 だけれども、労働行政全体が減っている中で、百三十人減っている中で、全体が大変な中で応援に行くという体制は絶対無理なんだということで、やはり今回の補正の中でもそういう配置もするべきなんです。ほかから、他部局から回すというだけではなくて、必要なところはふやす。

 大臣に伺いますが、ぜひ労働局の職員をふやすべきではないでしょうか。

細川国務大臣 今回の大震災によりまして、働いている人たちが休業したり、あるいは職を失ったり、いろいろなことで、職をどういうふうにして確保していったらいいか、これは大変重要なことでもありますし、また、職を求める人たちにしっかり対応していかなければいけないというふうに思います。

 そういう意味ではハローワークなどの仕事量は大変ふえるわけでございますから、それに対して職員をどのように対応させるかということがございますが、今行っておりますのはハローワークの全国ネット、これを利用いたしまして、まずは専門であります職員の応援を求めているところでございます。それでまだ十分でない、足りない分については、これは臨時の職員を雇う、こういうことで、臨時職員も加えまして、万全を期すように今その体制を整えているところでございます。

 そういう意味で、全国でのネットワーク、そして臨時の職員を採用することによって対応していきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 全国のネットワークとおっしゃいましたけれども、私も先週お話ししましたし、たった今の議論にもあったように、全国で今影響があるわけです。また、全国で避難者を受け入れているわけですよね。避難してきた方の相談も必要だし、また、全国の事業所が、被災地との関連や、あるいは全体の自粛ムードですとか計画停電ですとか、そうしたさまざまなことで影響を受けているわけです。そういう意味では、全国の体制がやはり厚くならなければならない。

 そういう点で、ネットワークで賄うよというだけではだめなんだということで、思い切った対応を重ねて指摘したいと思います。

 同じく、年金の対応はどうでしょうか。

 たまたまスーパーアリーナで私が相談を、いろいろお話を聞いていたときに出会った男性、福島県浪江町の方でありますけれども、ちょうど誕生日が来て、年金の裁定を郵送で申し込んだ。そうしたら、その翌日が地震だった。届いているだろうかと本当に心配されていたんですね。私、早速問い合わせをしました。地震後は郵便事情も悪かったです。だから、おくれて来るんじゃないかと期待をしたんですが、やはり届いておりませんでした。津波で流されたと思っています。ただ、そういう場合も、年金番号が名前や住所を告げるとわかったので、避難先で受けられますよということをお知らせすることができたわけです。ただ、知らない土地で足もないのに、事務所に行くのは大変だよなと思うわけですね。

 でも、たまたま出会ったから対応できましたけれども、そういう方がこれから出てくるわけです。要するに、年金通帳を流されたけれども、裁定は今後どうなるんだろう、これからもらえるんだろうかとさまざまな悩みを抱えるし、老後の生活の糧ですから、本当に大事だということで、年金の出前相談も必要になっておりますけれども、どのようにされているでしょうか。

大塚副大臣 御指摘のとおり、書類を失われた方等、多数お困りの方がいらっしゃいますので、年金事務所の職員が被災地の避難所等を巡回いたしまして、年金相談や各種届け出等の申請の受け付けを行わせていただいております。

 なお、そうした巡回相談のときには、労働局等の職員とも共同して、ワンストップで御相談に応じさせていただいております。

 一応実績を申し上げますと、四月十九日時点で、ワンストップ相談の形で四十二回、年金事務所単独で五十三回、合計九十五回の御相談に応じさせていただいたところ、約千四百件のいろいろな御相談があったということでございます。

 今後もこうした対応をしっかり図らせていただきたいと思います。

高橋(千)委員 今、労働局の職員と連携をしてとおっしゃっていましたけれども、最初にお話ししたように、労働局の職員も大変な状況である。そして、その年金事務所から三十六名、職員を派遣しているということを聞いております。

 ですから、これも同じことが言えるわけですよ。年金事務所も今大変多忙なんです。なぜかというと、社会保険庁の解体に伴い五百二十五人が分限免職にされました。一方では、一千名以上の民間からの職員を採用し、その半数が非正規職員なわけですね。かなりの退職もあると聞いております。専門の人がいなくなっちゃって、その上に、消えた年金問題のその後の対応ですとか相次ぐトラブルの対応で経験のある職員が少なくなったために、窓口が多忙になっている。

 本当に私は、彼らこそ、五百二十五名、分限免職で今も職場復帰を目指しているわけですが、そういう人たちこそ職場に戻して、年金業務の第一線で活躍してもらうべきだ、このように思うわけです。

 今回の法案も同様の問題を含んでいるわけですね。これは前回の質疑でも指摘をしたわけですけれども、非公務員型独立行政法人としては初の扱いとして、引き継ぎ規定がありません。国による解雇なわけであります。これは、指摘されている天下りとか無駄なものはやめればいいわけですけれども、残された機構は、結局、これから求職者支援制度の受け皿になり、この深刻な雇用失業情勢の中で公的職業訓練を担っていく大事な役割でもあるわけです。そういう点でも、廃止をするべきではないし、雇用も維持するべきだ、少なくとも希望する人に対してはきちんと採用していくべきだと思いますが、大臣、最後に一言お願いいたします。

細川国務大臣 雇用・能力開発機構を廃止することになったという経緯につきましては、これまでもしばしば申し上げてきたとおりでございます。

 したがって、今般の見直しにおきましては、この雇用・能力開発機構を廃止するとともに、組織そのものを抜本的に見直して、解体的に出直しをする、こういうことで、職員の労働契約についても採用方式をとるということになったところでございます。

 そういうことにはなりましたけれども、しかし私としては、職員の雇用問題ということについては十分に配慮をしなければいけないということで、意欲やあるいは能力のある職員については、雇用問題が生じることがないように、雇用については最大限の配慮を行っていきたい、このように考えているところでございます。

高橋(千)委員 今の最大限の配慮を必ずやっていただきたいことと、しかしそうはいっても、そういう法律であるということを理由として、この法案には賛成できないことを言っておきたいと思います。

 終わります。

牧委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 私も皆様と同じように、今回の震災による被災、そして、そこでまだ多くの方々が避難所にお暮らしですが、これから生活再建していくためにも仕事の問題が不可欠であるという観点からお伺いをいたします。

 冒頭ちょっと、質問の予告にないことですが、先ほど高橋委員と小林政務官のやりとりを聞きまして、確認をさせていただきたいんです。

 今、全国に避難所が二千四百八十四カ所あるかと思うのですが、そのうちいわゆる出張相談をなさっているところは三十七カ所というふうな御答弁でありましたが、圧倒的に少ないというか、二けた違うと言うとオーバーですが、一けたは違うと思うのです。

 今後、厚生労働省の方針として、先ほど高橋委員も御質疑でしたが、ハローワークの人も足りない、それから、県のお力をかりても、労働局の方をかりても足りないと思うんですね。それで、この仕事の相談ということの体制強化をどんなスピードでなさるのかというのを一点、冒頭お願いいたします。

小林大臣政務官 委員御指摘のとおり、相談窓口、出張していく、足がない人たちが多いものですから、車がない人が多いものですから、これは大変大事だと思っております。

 ただ、避難所も一カ月少し経過していまして、初めのころは、相談に行っても相談の件数がなかなかふえてこない、こういう実態も正直ございました。しかし、これからは相談件数が相当ふえてくると思いますので、やはり、私たちがみずから足を運んで出張相談に応じてくる、このことは大変大事だと思いますので、精いっぱい対応していきたいと思います。

阿部委員 今の御答弁を受けてもう少し厚生労働大臣に具体的に決意もお示しいただきたいのですが、さっき申しましたように、圧倒的に少ないんですよね。それで、私も何カ所か避難所へ行かせていただいて、今、仮設住宅、住居の問題も問題になっておりますけれども、結局、仕事と住居というのは、鶏と卵みたいな回転をしていまして、仕事がどこかでめどがつくならば、仮設のみならず、住居についてもいろいろな方策を考えられるというところにあると思うんですね。

 大臣には二つ質問ですが、先ほど政務官にもお話しいたしましたが、大臣は、どのくらいのスピードで、どのくらいの量ですね。私は、ハローワークの方も、やはりもっと数をふやしていただきたい、これは量の問題ですね。

 質においては、やはりこれまで、例えば住宅は国土交通省、それから仕事は厚労省と、縦割りでありました。ここをドッキングさせて、個人を中心に、もっと一緒に探していくような方策に切りかえないと、なかなかこれから仕事がなければ、結局は生活保護に頼らざるを得ないという方が膨大に出てきて、先手を打った方がいいんじゃないかなと思うので、量の充実と質、これをどうなさるのか。特に住宅政策と労働政策のドッキングをどういうふうにお考えかをお願いいたします。

細川国務大臣 先ほどの出張相談でありますけれども、避難所の数の割にはこれまで行ったところが少ないのではないか、確かにその御指摘は当たっていると思います。

 私も聞いてみましたら、その相談も、これまではチームを組んで、年金のことも、あるいは雇用、それから生活相談もできるような形で、ワンストップのような形でやっていた。そうすると人数もたくさんかかりますし、そういうことでなかなか進んでいなかったのではないかということも聞きました。

 そこで、これからは、一人でもいいから各避難所を転々と回っていただいて、そこでとりあえずはいろいろな要望あるいは相談事を受けるというような形で、まずは、多くの避難所を回れるように、効率的にやらせるということをしたいというふうに思っております。

 それから、後半の点でありますけれども、これはもちろん仕事と住まいというのを両立もさせなければなかなかうまく要望をかなえられないというふうに思いますので、これについては、緊急総合対策といたしまして取りまとめました「日本はひとつ」しごとプロジェクト、これを四月四日につくりまして、被災地以外のところも含めまして都道府県で労働局が中心となりまして、自治体あるいは関係機関、そして団体などが連携をするしごと協議会を設置することといたしました。

 その協議会の中で、被災した方の受け入れを希望する事業主、そして人手不足の事業所あるいは社宅のある事業所などの情報を集めまして、ハローワークで求人開拓をまずはやっていく、そういうこと。もう一つは、その関係の自治体も入って、そこでは、公営住宅それから雇用促進住宅などの住宅情報を収集いたしまして、そこで被災者に提供する。こういう協議会をつくって、いろいろな情報を集めて、そこでマッチングをさせて、仕事と住まいを一緒に供給していく、こういう取り組みをやっているところでございます。

阿部委員 ぜひきめ細やかに、そして、仕事というところも視野に入れながらお願いをしたいと思います。

 もう一点だけお願いいたします。

 今、大臣の御紹介の「日本はひとつ」しごとプロジェクトでございますけれども、これは確かにいい取り組みですが、実際にそれだけの陣容ができるだろうかということでお尋ねをいたします。

 この「日本はひとつ」のプロジェクトの中に、職業訓練の機動的な拡充・実施というのがございます。しかしながら、お手元に配りました資料は、お示ししたように、そういっても、東日本大震災で職業能力開発施設がどこも損害を受けております。職業訓練をする場所もない。これら、まだ再開も、めどというだけで、できておりません。では民間事業者に投げるかというと、これも通年どおりの予算措置しかございません。

 そうなってくると、例えば何かで仕事を失った、そして次の仕事を見つけたい、だけれども訓練も必要だしと。瓦れきの処理は一つの雇用政策ですが、それのみではとてもとても将来につながりませんので、この点、こうやって被災した職業訓練所の再開や、あるいはどういう形で補てんしていくのか。民間事業者に委託訓練もあると申しますが、これも具体的にどう進んでいるのかだけ、簡潔にお願いいたします。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 この震災で被災された離職者の方々の早期の再就職の支援、そのための職業訓練の充実というのは非常に重要な課題であると我々も認識をしております。

 このため、今般の震災によりまして被災された方々に対する訓練につきましては、やはり地域の訓練ニーズをしっかりと踏まえながら、被災地域はもとより被災者の受け入れ先の地域でも、被災者向けの特別コースを設定するなど、建設関連分野を初めとした公的職業訓練を機動的に拡充、実施していきたいというふうに思っております。

 今委員御指摘の、訓練施設が被害を受けているということで、特に被害の大きいところはその資料のとおりなんですけれども、青森、岩手、宮城、福島、茨城の五県、公的な訓練施設は三十四ございますけれども、そのうち継続しているものが十八施設、一時中断しておりますけれども早期再開のめどが立っているところが十二施設、なお再開未定のところが四施設。この四施設につきましても、例えば同じ県内の他の訓練施設で訓練を行うとか、そういう形で訓練枠をしっかりと確保していきたいというふうに思っております。万全を期したいと思っております。

阿部委員 私は、現状を復活させるだけじゃなくて、もっとふやしてくれという質問ですから、よろしくお願いします。

 終わります。

牧委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内です。

 東日本大震災の被災地では、多くのNPOが活動して、大勢のボランティアの方が支援活動に当たっていらっしゃいます。厚生労働省の担当分野であります、子供、障害者支援あるいは高齢者の支援、こういった分野で活動しているNPOもたくさんあるわけでありますが、そういった被災地で活動するNPOに対する厚生省の支援制度はどういったものがあるでしょうか。

岡本大臣政務官 山内委員もNPOで御活躍をされていたということを承知しておりまして、NPOの問題に大変関心が深い、今回そういった中で御質問をいただきました。

 今回、被災三県において、四月十七日現在で、延べ十二万人の方が災害ボランティアセンターの紹介によりボランティア活動を行っていただいているところでありますけれども、災害の発生の際に被災地の社会福祉協議会がNPO等民間団体と連携してボランティアセンターが設置できるようにということは、阪神・淡路大震災を契機に、この経験を踏まえて行っているところでありますが、厚生労働省からは、こういった社会福祉協議会があります各自治体に対して要請を行ってきたところでございます。

 災害ボランティアセンターにおいては、被災地のニーズの把握、ボランティア派遣調整や必要な情報の発信が行われているところでありまして、今回の震災については、中央共同募金会が募集するボランティア団体、NPOの活動支援の寄附金について、寄附者に対して税法上の措置が講じられるよう、厚生労働省としても、財務省と協議をし、働きかけてきたところでございまして、こういったいわゆる資金面での制度というものも拡充をしてきているということを御理解いただきたいと思います。

山内委員 情報提供とかボランティアセンターの設置ということはよくわかったんですが、ぜひ、直接的にNPOに対する助成の仕組みみたいなものを厚生労働省でもつくっていただきたい。特に、今回の震災限定の、三年限りとかでもいいと思うんですけれども、NPOに対する助成の仕組み。

 例えば、内閣府の事業ですけれども、新しい公共支援事業というのがありまして、これは鳩山政権のときにできたスキームなんですけれども、都道府県に運営委員会というのを置いて、そこに基金をつくって、都道府県の運営委員会、そこは民間人が入った運営委員会なんですけれども、そこからNPOに対する助成を決めていくという、非常にいいスキームだと思います。

 こういうスキームを内閣府でつくっていて、各県に割り振ると一つの県当たり一億円ちょっとなんですけれども、同じことを厚生労働省でもつくって、子供、障害者、高齢者、こういう分野で活動しているNPOに対して直接資金を支援できるようにしていく、そういうスキームがあったらいいんじゃないか。

 国のお金を都道府県に任せて、そこの運営委員会がNPOにファンドをつけるというか助成をする、こういうものは従来なかなか認められなかったんですけれども、鳩山政権の一つの成果として、これまでだったら財務省が認めないようなスキームをつくってもらったわけですから、ぜひ厚労省でもやってもらえないか。それも、都道府県というよりは、恐らく自治体、市町村のレベルにそういう基金をつくって、何とか市の社協と協力しながら、何とか市の中の民間の有識者の方とかに集まってもらって、その地域で活動する、子供、障害者、高齢者、こういうNPOにお金をつけていく、そういうスキームを震災対応限定でやってもらうということが必要ではないかと思うんですが、そういった検討は厚労省ではなされているでしょうか。

細川国務大臣 今回の震災についての被災者を支援する、その支援について、ボランティアやあるいはNPOの皆さん方が本当に献身的に行っていただいておりまして、私の方からも本当に感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 そういう意味では、一つには、先ほど政務官が御答弁いたしましたけれども、そういうボランティア、NPOの皆さん方にいろいろと応援ができるような、そういうことで、中央共同募金会の募集に対しては税法上の優遇措置を、こういうことで財務省に働きかけまして、ボランティアの皆さん方に仕事をしていただきやすいような、そういうこともさせていただいたわけであります。

 今、委員からのいろいろな御提言もございますので、いろいろと、厚生労働省としてそういうことができるかどうか、これはこれまでの内閣府の取り組みも参考にさせていただきながら検討させていただきたいというふうに思います。

山内委員 時間がないので、一方的に意見というか提案を言わせていただいて、もしよろしければ、最後に一言コメントをいただければと思います。

 私、たまたま仙台のNPOセンターというところに大学時代の友人が働いていて、厚労省に雇用創出基金事業というのがあって、そこで急遽、震災対応でもこういうスキームが使えるようになって、しかもこれはNPOが使ってもいいと書いてあります、これはなかなかいい制度なので、その友人に教えてあげたんです。そうしたら非常に興味を持ちました。

 NPOの人たちが知っていたら喜ぶスキームがあるのに知らなかった。これは、こういう現場で日々被災者と向き合って働いているNPOの人たちというのは、インターネットを見ながら厚労省のスキームを一件一件見ていく時間もなかなかないと思うんです。

 ですから、いいスキームをせっかく持っているんですから、メニューをつくって、どういう使い方をすればいいか、あるいは、場合によっては厚労省の若い職員の人が現場の近くに行って、NPOの人たちにこういうスキームがありますと申請書の書き方まで教えてあげる、そういうきめの細かいサービスをやれば、せっかく既存のスキームだけでもやれることはたくさんあるのに、例えばこのスキームだと、瓦れきの撤去、支援物資の仕分け、仮設住宅運営のコーディネート、そういうところにお金がつけられると書いてあります。

 いいものを持っているんだから、活用してもらうために、もっと自分の方から、厚労省から出かけていってサービスをする、こういうことも必要なんじゃないかなというふうに思います。

 それと、二点目。外務省は、NGOと正式な定期協議というのを十年以上前からずっとやっております。ODAの分野では、日本に限らず先進国はどこでもそうですけれども、NPO、NGOと政策当局がフォーマルな場で政策対話をやってお互いに意見交換する、こういうことをやっております。

 厚労省は、多分インフォーマルなそういう場というのは過去にもあったと思うんですけれども、ぜひ正式な政策対話というか、被災地でやっているNPOの人たちと例えば政務官とか副大臣レベルの人が行ってひざを交えて意見を交換する、そういう場というのを持っていただくと、現場の情報がダイレクトに入ってくるし、お互いにとっていい関係が築けるんじゃないかなと思います。

 そういうことを外務省ではもうやっていますので、ぜひ厚労省でもやっていただければなということを一つ御提言申し上げたいと思います。

 それと、もう時間がないので、一方的にもう一つ言いたいと思います。

 阪神大震災の後に一気にボランティア活動が肯定的に評価されて、国会でもNPO法ができました。ある意味で阪神大震災というのは、大変悲惨な事件でありましたけれども、その後のNPOの第一次の発展期のきっかけとなったというような効果もあると思います。今回の東日本大震災でも、多くの若い人たちがボランティアに駆けつけて、阪神のときに生まれたNPOが、今回、そのときのノウハウを生かして非常にいい仕事をしている、そういう事例もたくさんあると思います。

 今後、阪神のときに広がったこういうNPOの流れを政府としても後押しするような仕組み、特に情報提供が大変重要ですけれども、同時に資金面の助成というのが今後は私は必要だと思います。被災地の自治体は予算的にも非常に厳しいと思いますから、三年でも五年でも区切っていいと思いますので、そういう被災地で活動するNPOに対する助成を国としてやってあげるということが非常に重要だと思います。寄附金の優遇に関しては別途税調とかでやってもらっていまして、そちらにも期待しておりますが、あわせて、直接的に事業費を補てんする、助成する仕組みというのが非常に重要だと思います。

 大体、先進国の平均を言うと、寄附半分、公的補助半分みたいなケースが非常に多いわけですね。ということは、日本の国内のNPOは、給食サービスみたいにコストをリカバリーできる部分は別として、相手が障害のある方、子供、そういう場合はなかなか料金を徴収できないサービスも多くなりますから、もっと政府として資金の援助をやっていく。寄附が半分、公的助成が半分ぐらいが私はベストのバランスかなと思っております。

 日本の場合はこれまで、行政が優秀だったがゆえにNPOの発展がおくれているという側面があります。そういった意味では、これからこの震災を境にNPOに対する公的な助成をもっと拡大していただきたいと思いますし、そのときに、役所は金も出すから口も出すという形には絶対にしてはいけないということが言えると思います。

 例えば、国際社会における難民援助の例なんかでいうと、国連のUNHCRという機関がありますが、UNHCRの職員が直接難民支援をすることは実は余りありません。ほとんどの場合、国連機関というのは、現場のNGOと業務委託契約を結んで、実際に作業、サービスを提供しているのはほとんどがNGOです。お金を出しているのが国連というパターンがほとんどです。

 そういう意味では、国際スタンダードに近い形で、ある程度NGOの自由度を高めて、かつ、この仕事をやったら幾ら出すみたいな公共事業の発注みたいなやり方ではなくて、逆ですね、プロポーザルをNGO、NPOから出してもらって、それが厚労省の掲げるミッション、厚労省の業務の範囲内であればそれに予算をつけていく。そういう形で、民が主導の事業に対して政府として支援をしていく、そういうスキームを今後はふやしていくことが必要だと思いますし、民主党政権がずっと言ってきた新しい公共の考え方にも合致していると思うんです。

 そういう新しいスキームをこれを機会にどんどんつくっていただきたいというふうに考えております。それについて政府のお考えをお聞きします。

細川国務大臣 山内委員から、御自分の経験も踏まえまして、大変貴重な御提言もいただきました。これは、厚生労働省としても、その御提言を踏まえまして、しっかり検討してまいりたいと思います。

山内委員 以上で質問を終わりますが、ぜひ前向きに御検討をお願いしたいと思います。

     ――――◇―――――

牧委員長 次に、第百七十六回国会、内閣提出、参議院送付、独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案を議題といたします。

 本案は、前国会で本院において議決の上参議院に送付したものを、参議院において継続審査に付し、今国会におきまして、施行期日を「平成二十三年四月一日」から「平成二十三年十月一日」に改めること、職業能力開発促進センター等の用に供されている資産について、都道府県への譲渡の特例の期限を「平成二十五年三月三十一日まで」から「平成二十六年三月三十一日まで」に改めること等の修正を行って本院に送付されたものであります。

 したがいまして、趣旨の説明を省略したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

牧委員長 これより質疑に入るのでありますが、本案につきましては、その申し出がありません。

    ―――――――――――――

牧委員長 この際、本案に対し、山内康一君から、みんなの党提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。山内康一君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山内委員 ただいま議題となりました独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案に対する修正案につきまして、みんなの党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 独立行政法人制度は、そもそも行政改革の目玉として導入されたものでありますが、当初の期待に反し、非効率的な事業運営、官僚の天下りの受け入れなどの問題点が指摘されたことから、平成十九年以降、民営化や民間委託の是非が検討されてきたという経緯があります。

 中でも雇用・能力開発機構は、私のしごと館を初め、放漫な組織運営のあり方が大きな問題となってきたところであり、自公政権下の平成二十年十二月の閣議決定で、雇用・能力開発機構の廃止と他の法人への業務移管などが決められておりました。

 その後、二十一年九月に政権交代となりましたが、民主党のマニフェスト二〇〇九を受けて、独立行政法人の抜本的な見直し、事業の横断的見直しなどが閣議決定されてまいりました。また一方では、事業仕分けにおいて、職業能力開発総合大学校が廃止を含め検討を求められるなど、従来から独立行政法人廃止を主張してまいりました我がみんなの党の期待も高まったのであります。

 しかるに、今般提出されております法案は、自公政権下の閣議決定どおり、ほかの独立行政法人に統合するのみという非常に安直な解決策を踏襲するものにほかなりません。業務移管先である高齢・障害者雇用支援機構は、雇用・能力開発機構よりもずっと規模が小さい組織であり、今回の統合はまさに看板のかけかえにすぎません。

 参議院において既に施行日等の修正はなされておりますが、この際、それに限ることなく法案を抜本的に見直す必要があると考え、本修正案を提出いたしました。

 修正の要旨は、次のとおりであります。

 第一に、この法律の施行の際に独立行政法人雇用・能力開発機構が行っている旧職業能力開発業務に係る権利義務は、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構ではなく、国が承継するものとしますが、その後は国は、職業能力開発促進センター等及び職業能力開発総合大学校の設置及び運営を行わないこととしております。

 第二に、この法律の施行の際に独立行政法人雇用・能力開発機構が行っている、いわゆる雇用促進住宅など旧宿舎等業務に係る権利義務は、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構ではなく、国が承継するものとしております。

 第三に、職業能力開発において、より民間の力を活用するよう、職業能力開発促進センター等に用いている資産を、雇用・能力開発機構が譲渡価額及び運営費の補助の特例により譲渡できる譲渡先として事業主等を追加するとともに、職業能力開発総合大学校については、厚生労働大臣が認めるときには、この法律の公布の日から平成二十三年九月三十日までの間に事業主等に対して譲渡することができるものとし、当該譲渡についても、譲渡価額及び運営費の補助の特例と同様の特例が適用されるものとしております。

 第四に、所要の規定の整備を行うものとすることとしております。

 以上が、修正案の趣旨説明であります。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

牧委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

 この際、山内康一君提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。細川厚生労働大臣。

細川国務大臣 衆議院議員山内康一君提出の独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。

    ―――――――――――――

牧委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 第百七十六回国会、内閣提出、参議院送付、独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、山内康一君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

牧委員長 この際、本案に対し、柚木道義君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 私は、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 厳しい雇用情勢の中で職業訓練の必要性や重要性は従来にも増して高まっており、職業能力開発については、引き続き国が責任を持って対応していくこと。また、本法による職業能力開発業務の移管等に際しては、些かも職業訓練機能が低下することのないよう努めること。

 二 企業活動の高度化に対応しうる人材を育成するため、職業能力開発事業の一層の拡充・強化を図るとともに、労働者一人一人が高度な知識・技能を修得することができるよう、職業訓練体制の整備・充実に努めること。

 三 労使や地域の職業訓練ニーズが職業能力開発業務の運営に的確に反映されるよう、新たに独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に設置される運営委員会等が実質的に機能する仕組みを整備すること。

 四 財形持家融資業務については、利用件数が減少している状況等を踏まえ、今後の在り方について引き続き検討すること。

 五 独立行政法人雇用・能力開発機構が解散されるに当たり、同機構の職員に雇用問題が生じないよう、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構及び独立行政法人勤労者退職金共済機構における職員の労働条件及び採用基準を早期に提示すること。また、国は意欲、能力のある者が引き続きその能力等を活かして就業できるよう責任をもって対応すること。

 六 地方自治体への移管がなされた地域職業訓練センター及び情報処理技能者養成施設については、各地域の雇用対策に果たしている役割等を十分に踏まえ、利用実績が高く存続が望まれる施設が廃止されることのないよう、少なくとも移管後三年間については、地域の意向を反映しつつ国において必要かつ十分な財政的支援を行うこと。また、当該期間が経過した後、運営状況等を踏まえ、国の責任によって運営することを再考することも含め支援等の在り方について検討し、必要があると認めるときは引き続き支援等を行うこと。

 七 東日本大震災により、雇用の維持・確保、さらには創出が緊急の課題となっている状況にかんがみ、雇用対策のため万全の措置を講じること。併せて、東日本大震災による被災者の就労の促進を図るため、被災地の復旧及び復興に伴う職業訓練のニーズなどを十分に踏まえ、被災地域や被災者の受入先の地域で職業訓練を迅速かつ的確に実施すること。また、雇用促進住宅について、被災者への提供を積極的に行うなど最大限の活用を図るとともに、弾力的な運用を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

牧委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、細川厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。細川厚生労働大臣。

細川国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。

    ―――――――――――――

牧委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

牧委員長 次に、内閣提出、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案及び雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。細川厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案

 雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

細川国務大臣 ただいま議題となりました職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案並びに雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案について申し上げます。

 非正規労働者や長期失業者が増加する中で、求職者に対するセーフティーネットを整備し、その早期の就職を支援することの重要性が増大しています。

 このため、雇用保険を受給できない求職者に対し、職業訓練を実施するとともに、職業訓練を受けることを容易にするための給付金を支給すること等を通じ、その就職を支援することとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、この法律は、雇用保険の失業等給付を受給することができない特定求職者に対し、職業訓練の実施、職業訓練受講給付金の支給その他の就職に関する支援措置を講ずることにより、特定求職者の就職を促進し、もってその職業及び生活の安定に資することを目的としております。

 第二に、厚生労働大臣は、特定求職者に対する職業訓練の実施目標等の重要な事項を定めた職業訓練実施計画を策定することとしております。また、厚生労働大臣は、職業訓練実施計画に照らして適切なものであること、特定求職者の職業能力の開発及び向上を図るために効果的なものであること等の要件に適合するものであることの認定をし、この認定を受けた認定職業訓練を行う者に対して、必要な助成を行うことができることとしております。この認定に関する事務については、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に行わせることとしております。

 第三に、国は、職業訓練受講中の生活を支援し、職業訓練を受けることを容易にするため、特定求職者に対し、職業訓練受講給付金を支給することとしております。なお、偽りその他不正の行為により給付金の支給を受けた者に対しては、支給した給付金の全部または一部を返還すること、また、一定の場合には、その二倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができることとしております。

 第四に、公共職業安定所長は、特定求職者の就職を容易にするため、職業指導及び職業紹介等の就職支援措置を効果的に実施するための就職支援計画を個別に作成し、その措置を受けることを特定求職者に指示することとしております。また、職業安定機関、認定職業訓練を行う者等の関係者は、特定求職者の就職の支援について、相互に密接に連絡し、協力するように努めなければならないこととするほか、公共職業安定所長の指示を受けた特定求職者は、その指示に従うとともに、みずから進んで、速やかに職業につくように努めなければならないこととしております。

 第五に、認定職業訓練を行う者に対する助成及び職業訓練受講給付金の支給については、現行の事業主のみが負担する雇用保険二事業とは別の雇用保険法の附帯事業として行うこととし、国庫は、職業訓練受講給付金に要する費用の二分の一を負担すること等としております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 最後に、この法律の施行期日は、平成二十三年十月一日としておりますが、認定職業訓練に関する施行前の準備等については、公布の日から施行することとしております。

 次に、雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。

 我が国の雇用失業情勢は依然として厳しい状況にあり、また、非正規労働者や長期失業者の割合が長期的に上昇する中で、雇用のセーフティーネットの充実等を図ることが必要となっております。

 このような状況に対応し、労働者の生活の安定、再就職の促進等を図るため、雇用保険制度において、基本手当及び再就職手当の見直しを行うとともに、雇用保険率を引き下げる等の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一は、雇用保険法の一部改正であります。

 まず、労働者の生活の安定を確保するため、失業等給付における基本手当日額の算定の基礎となる賃金日額について、その下限額、上限額等を引き上げ、これにより基本手当日額の引き上げを図ることとしております。

 次に、失業者の安定した再就職へのインセンティブを強化するため、暫定措置として給付率の引き上げ等が行われている再就職手当について、給付率のさらなる引き上げを図った上で、暫定措置を恒久化する等の見直しを行うこととしております。

 また、雇用保険の国庫負担について、引き続き検討を行い、できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとしております。

 第二は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。

 雇用保険の失業等給付に係る保険料率について、雇用保険の財政状況等を勘案し、千分の十四とすることとしております。

 なお、この法律は、平成二十三年八月一日から施行することとしておりますが、雇用保険の国庫負担に関する部分については公布の日、失業等給付に係る保険料率に関する部分については平成二十四年四月一日から施行することとしております。

 以上が、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案並びに雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

牧委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十四分散会


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