衆議院

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第11号 平成23年4月27日(水曜日)

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平成二十三年四月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 牧  義夫君

   理事 郡  和子君 理事 中根 康浩君

   理事 藤田 一枝君 理事 柚木 道義君

   理事 渡辺  周君 理事 加藤 勝信君

   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君

      青木  愛君    石毛えい子君

      石森 久嗣君    稲富 修二君

      江端 貴子君    大西 健介君

      大西 孝典君    岡本 充功君

      柿沼 正明君    笠原多見子君

      金子 健一君    工藤 仁美君

      熊谷 貞俊君    小宮山洋子君

      小室 寿明君    斉藤  進君

      田中美絵子君    竹田 光明君

      玉木 朝子君    玉置 公良君

      中野渡詔子君    永江 孝子君

      長尾  敬君    仁木 博文君

      初鹿 明博君    浜本  宏君

      樋口 俊一君    平山 泰朗君

      福田衣里子君    三宅 雪子君

      水野 智彦君    宮崎 岳志君

      宮島 大典君    谷田川 元君

      山口 和之君    山崎 摩耶君

      湯原 俊二君    吉田 統彦君

      あべ 俊子君    鴨下 一郎君

      菅原 一秀君    橘 慶一郎君

      谷畑  孝君    長勢 甚遠君

      西村 康稔君    松浪 健太君

      松本  純君    坂口  力君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 長谷川彰一君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           佐々木克樹君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  生田 正之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          小野  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           清水美智夫君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       小栗 邦夫君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           中村 英男君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      横尾 英博君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            伊藤  仁君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            徳増 有治君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           中田  徹君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     山田 尚義君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  玉木 朝子君     浜本  宏君

  樋口 俊一君     谷田川 元君

  福田衣里子君     水野 智彦君

  三宅 雪子君     中野渡詔子君

  宮崎 岳志君     柿沼 正明君

  山口 和之君     笠原多見子君

  吉田 統彦君     玉置 公良君

  棚橋 泰文君     橘 慶一郎君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  柿沼 正明君     宮崎 岳志君

  笠原多見子君     山口 和之君

  玉置 公良君     湯原 俊二君

  中野渡詔子君     小室 寿明君

  浜本  宏君     玉木 朝子君

  水野 智彦君     宮島 大典君

  谷田川 元君     江端 貴子君

  橘 慶一郎君     棚橋 泰文君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  江端 貴子君     大西 孝典君

  小室 寿明君     三宅 雪子君

  宮島 大典君     永江 孝子君

  湯原 俊二君     金子 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     熊谷 貞俊君

  金子 健一君     吉田 統彦君

  永江 孝子君     福田衣里子君

同日

 辞任         補欠選任

  熊谷 貞俊君     樋口 俊一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案(内閣提出第二三号)

 雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)


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     ――――◇―――――

牧委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案及び雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官長谷川彰一君、消防庁国民保護・防災部長佐々木克樹君、厚生労働省医政局長大谷泰夫君、職業安定局長森山寛君、職業安定局派遣・有期労働対策部長生田正之君、職業能力開発局長小野晃君、社会・援護局長清水美智夫君、保険局長外口崇君、農林水産省大臣官房技術総括審議官小栗邦夫君、総合食料局次長中村英男君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長横尾英博君、中小企業庁事業環境部長伊藤仁君、経営支援部長徳増有治君、国土交通省自動車交通局長中田徹君、観光庁審議官山田尚義君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。民主党の初鹿明博です。質問をさせていただきます。

 まず最初に、三月十一日の東日本大震災で犠牲になった方々、そして御家族の皆様に、衷心よりお悔やみを申し上げます。そして、発生から一カ月以上たっていまだに避難所の中で余震の恐怖におびえながら大変な厳しい避難生活をされている皆様方に、心からお見舞いを申し上げます。

 それでは、本日議題となっております求職者支援制度を恒久化する職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案について質問をいたします。

 リーマン・ショック以降、雇用情勢の改善が見られない中で、三月十一日に今回の大震災が発生をして、これはもう東北地方だけではなくて、我が国全体がこの影響で雇用情勢が今後悪化をしていくという非常に厳しい状況になるのではないかということが予想されるわけでありまして、失業中の方々も失業期間が長期化するということが考えられます。

 そういう状況でありますから、まさにこの制度が今恒久化するということに非常に大きな意義があるというふうに思います。そして、この制度は、失業、直ちに生活保護になってしまうということを防ぐ第二のセーフティーネットとして機能するということで設けられているわけでありますから、しっかりと生活保護に行く手前で支えられるという制度にしていかなければならない。しかし、その一方で、不正受給のようなことが起こらないような対策というのもしっかりとるという、この二つの観点で御質問をさせていただきます。

 まず、この給付金の受給要件についてです。

 これまで行われてきた緊急人材育成支援事業、いわゆる基金訓練においては、主たる生計者でなければこの給付金の受給ができませんでした。今回、恒久化をするに当たって、この主たる生計者という要件は撤回をされたということで、この点に関しては非常に評価をします。しかし、一方で、世帯の金融資産が、今まで八百万円以下だったわけですが、これは三百万とかなり厳しくなるわけですね。そこで、世帯についての考え方についてお伺いをいたします。

 この特定求職者の方々、いろいろな方がいると思うんですが、その中でも、特に単身で賃貸住宅に住んでいる方。失業して収入が途絶えてしまったときに、やはり家賃が払えるのかなというのが一番心配でありますし、そこが一番の課題だと思うんですね。特に、私は東京ですから、東京でワンルームに住んでいるとしても、やはり家賃が七万から八万ぐらいには江戸川でもなるんです。なかなか六万円台というのはないんですね。だからかなり家賃の心配があって、一時的に実家に戻らざるを得ないかなという方も出てくると思うんです。

 このときに、では実家で、親の収入が三百万円を超えている、または資産が三百万円以上あるということだと、同一世帯とみなされるわけですから、給付金の受給ができなくなってしまいます。訓練だけ受けられるんだからいいじゃないかという方もいると思いますが、そうはいっても、実家のお世話にはなりたくないなという人も多くいると思うんですね。

 資産があるといっても、実家の状況はいろいろで、収入は基礎年金しかない、そういう親のもとに帰って、そこで親に面倒を見てもらう、これは非常に気が引けると思うんですよ。結果として、親元に戻らずに頑張ろうとなると家賃が払えないから、この制度じゃちょっと限界だなということで、やっぱり生活保護しかないかななんてことになりかねません。

 また、今回、今年度の税制改正では、成年扶養控除を廃止することといたしました。その理由としては、成人に達した人は本来は独立して生計を賄うものだからという説明がされていたと思うんですね。一方で、成人に達したんだから独立しなさいと言っておいて、失業した場合は、親がいるんだから実家のお世話になりなさいというのは、ちょっと矛盾をしているような感じがするんですよ。

 そこで、今までは独立をしていたけれども、失業してやむなく一時的に実家に戻らなきゃならない、そういう場合などを、もう少し世帯の見方というのを柔軟に考えられないのか。同一世帯とみなさずに給付金を出すことはできないのか。その点、いかがでしょうか。

小林大臣政務官 初鹿先生おっしゃるように、今回の制度は、生活保護の手前でしっかり受けとめて再就職に結びつける、こういう制度ですので、何としてもこの時期にこういう制度を発足したい、こういう強い気持ちでおります。

 今回のものについては、世帯での位置づけにかかわらず、失業して訓練が必要となる者が生じることが考えられることから、個人に対しての給付としつつも、世帯の支援が期待できるか、こういうことを含めて給付の必要性を判断することとしております。

 この判断に当たっては、通常支援が期待できて、また、恒久制度として外形的に判断が可能な同居の親、子、配偶者を基本的に世帯と設定して、さらに、一時的に別居していても生計を同じにするという判断をし得る親、子、あるいは配偶者はこれに含まれる、こういう考え方を持っております。そのために、独立していた子供が失業して親元に戻って同居する場合は一つの世帯と判断されて、世帯の収入要件を満たすときに給付の対象となる、このように考えております。

 御指摘のケースについても、給付は行われなくても訓練を受講することはできて、訓練の受講により技術を身につける、こういうことも可能であります。また、給付は訓練の受講を容易にするために支給されるものでありまして、住居が確保されることなどによって訓練の受講を容易にするという環境が整う、こういうことから、現在予定している給付の要件が特段に不利益を与える扱いにはならない、このように考えております。

初鹿委員 特段に不利益は与えないとは思いますが、生活保護をやはり選択してしまう人が出てくる可能性もあるということはぜひ頭の中に入れていただきたいなと思います。

 実家に戻れる人の場合を言いましたけれども、そういう方ばかりではないと思うんですね。年越し派遣村に行って、そこにいた方々とお話をすると、親との関係が悪かったり、実家の親自体が収入が少なくてとてもお世話になれないという場合だったり、そもそも両親とか親類縁者が全くいないという方もいます。そういう方で、一人で暮らしていて、家賃が支払えない、払えなくなる可能性があるという場合は、やはり生活保護に行かざるを得なくなる可能性が高いんじゃないかと思うんですよね。十万円、確かに十万円もらえる、ありがたいなと思うんですが、東京で七万、八万の家賃を払ったら、やはりそこでは限界があると思うんです。

 月五万円の貸し付けがあるからいいじゃないかと言うかもしれませんけれども、長期間失業されている方、または雇用保険も入っていない不安定な就労をされている方が対象になるわけですから、貯金が少しでもあるということは余り期待もできませんし、やはりその人たちも、訓練をして本当に安定した仕事につけるかどうか、非常に不安だと思うんです。借りればいいじゃないかといっても、なかなか借りてという決断ができないんじゃないかと思うんですね。結果として、生活保護に行ってしまう可能性も非常に多いと思います。

 そうならないようにするためには、この求職者支援制度とあわせて住宅手当、家賃を出す、住宅手当と併給ができるようにならないかなと思うんですね。その点はいかがでしょうか。

小林大臣政務官 結論的には、住宅手当の併給は考えていないということでございます。

 この求職者支援制度は、無料の職業訓練と訓練の受講を容易にするための給付を通じて再就職に向けた支援を行う制度であります。住居費を含めて生活費に充てるため、先生おっしゃったように、一カ月当たり十万円を支給して、さらに希望すれば上乗せして貸し付けもできる、こういう制度の仕組みをつくっております。

 一方、住宅手当は、失業により住まいを失った方などに対して、雇用施策などを活用してなお生活保護を受給せざるを得ないような方に対して、生活保護の一歩手前で安心して就職活動ができるように住宅の家賃を支援するという緊急措置事業であります。

 したがって、求職者支援制度による給付を受けられる方は、住宅費にも充てられる給付等を受給しており、住宅手当の趣旨と重複することから、冒頭お話ししたとおり、住宅手当との併給は考えていない、こういうことでございます。

初鹿委員 なかなか前向きではない答弁なんですが、ぜひ、生活保護に落ちる一歩手前で食いとめる、そういう制度であるわけですから、実際にそうなるように運用等、その個人個人の状況に応じて対応ができるようにしていただきたいと思います。

 ちょっと時間がないので、少しはしょっていきます。

 財源についてですが、これは労政審でも指摘されておりますとおり、本来だったら一般会計で負担をすべきだと私も思います。しかし、一刻も早く恒久化をする、そういうことで考えますと、今回特会でというのは理解をするところですが、今後の課題としてぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

 そこで、今まで行われていた基金訓練、これは九月で終わるわけですが、この基金の残額が出る可能性があると聞いております。その残額が出た場合、求職者支援制度に使うということは、大臣合意がなされているということですが、震災が発生してちょっと状況が変わってしまいかねないのかなと心配をしております。年金の財源でさえねらわれたわけですから、ここもねらわれないように、もう一度しっかりと、この基金の残額は求職者支援制度に充てるんだということを確認していただきたいんですね。

 大臣、いかがでしょうか。

細川国務大臣 委員御指摘のように、この法律案を成立させていただきましたならば基金事業は九月いっぱいで終わるということで、その残額をどうするか、こういうことになります。

 これにつきましては、三人の、財務大臣、それから玄葉国家戦略担当大臣、それと私とで、これはこの法律によって成立いたします求職者支援制度の財源に使う、こういう合意もいたしておりますし、そしてまたさらに、労働政策審議会の方からも、この残額については、求職者支援制度、そちらの方に繰り入れるように、こういう建議もいただいておりますので、そのとおりいたしたいというふうに考えております。

初鹿委員 これは被災地の方々のためにもなる制度ですので、この残額は絶対死守していただきたいと思います。

 私も、震災の発生後、現地に何度か入りました。特に被害が甚大だった陸前高田市や大槌町、山田町、宮古市の田老町へ行ってきたんですが、町が本当に全くなくなってしまっているんですね。

 そういう地域でも、やはり訓練を受けて、例えば専業主婦だった方で、だんなさんが亡くなっちゃって、ではこれから介護のヘルパーでもやろうかな、そう思っている人などもいると思うんです。また、今まで漁業をやっていたけれども別の仕事につこうかな、そう思う人もいると思うんです。そういう方々のニーズというのは必ずそういうところこそあるんじゃないかと思うんですが、ではそこで訓練ができるかというと、訓練の実施機関、仮に内陸の方の機関がでは被災地のためにそこでやろうというふうに思ったとしても、訓練をやる建物が全くないですよね。

 そこで、やはり仮設の訓練をできるような施設というんでしょうか建物もあわせて用意をしないと、そこでの訓練というのはできなくなると思うんですよ。今回、交通費を払うから内陸まで通えばいいじゃないか、そういう考え方もあるかもしれませんが、御承知のとおり鉄道も何も崩壊しちゃって、内陸に行くには相当時間がかかりますし、ではそこで住居を確保して一時的に移り住んで訓練を受けるというのも、やはり現実的ではないと思うんですね。

 そこで、仮設の訓練のための施設の設置をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

小林大臣政務官 今御指摘のとおりだと思います。私も宮城県に入り、このような施設を視察してまいりました。やはり地域のニーズもあり、一日も早く仮設実習場、こういうものでもいいから建てて、新しい機械を入れて研修に入る、このことが何よりも大切だな、このように感じました。

 したがって、大事なことは、地域のニーズに合った、それを十分把握した上で、一日も早く実習場など、仮設でもいいですからつくって、地域の方が訓練を受けられるように精いっぱい取り組んでいきたいと思います。

初鹿委員 これは訓練の場所だけじゃなく、病院にしても、施設にしても、商店にしても、会社にしても、全部なくなったわけですから、そういうものを含めて仮設のものをつくることが私は必要だと思います。そこもあわせて要望させていただきます。

 昨日でしょうか、特別財政援助法案が閣議決定されたということです。その中には、被災地の事業主や被災者の社会保険料の免除の規定が含まれているということで、これは非常に評価をいたします。本当に事業主の方、社会保険料を今は払わないでいい、延期になっていますが、これは払えるのかなと非常に心配だったと思います。

 事業主にとって、やはり社会保険料を支払う、これは結構大変なんですね。現在、雇用調整助成金をもらっている、そして自分のところの従業員に給料を払っている事業所も数多くあると思うんですね。そこも、社会保険料は負担をしていると思います。今は何とか雇調金でやりくりできているとしても、なかなか復興が進んでいかないと、事業ができずに、収入が全く入ってこないわけですから、将来的に、何カ月か先にはこの社会保険料の負担というのはやはり重くなってくると思うんですよね。

 そこで、雇調金をもらって事業主が従業員の社会保険料を払っている、そういうケースについても、免除、減免なり、社会保険料を分割で納付するとか、何らかの対応が必要だと考えますが、その点、いかがでしょうか。

岡本大臣政務官 今先生から御指摘がありましたように、現時点においても、社会保険料の関係につきましては、事業所の支援をするべく、被災している県において納期限の延長を行っているところでありますし、また、一定の損失を受けている事業主、雇用保険料を納付することが困難だということであれば納付の猶予を行うということも可能としているところでありますが、今御指摘がありました、今回の震災で大変大きな被害を受けて従業員に対する報酬の支払いに著しい障害が生じている事業所を対象として社会保険料を免除する特例の法案を出したところでございます。

 こちらのところで言ういわゆる報酬の支払いに著しい支障が生じているというのは、おおむね過半の従業員について報酬が支払えていないか、標準報酬の下限、厚生年金であれば九万八千円でありますが、未満の報酬しか支払えていない場合とするという方向で検討をしているところであります。

 したがいまして、社会保険料を免除する、この適用の際の要件としましては、従業員に対する報酬の支払いについて事業所全体として著しい支障が生じているか否かによって判断することが適当ではないかというふうに考えておりまして、事業主が雇用調整助成金を受けている場合であったとしても、その事業所全体の状況を判断していくことが必要だというふうに考えております。

 したがいまして、雇調金を受けていて、しかしながら、その一方で、その企業においておおむね過半の従業員に例えば標準報酬の下限のお給料しか払えない、こういう状況にあれば、これについて社会保険料の免除の特例措置の法案の適用をできるような方向で検討していく、こういうことでございます。

初鹿委員 前向きな御答弁、どうもありがとうございます。

 ぜひ、制度をつくってもこれが事業主に周知されないと意味がないので、その周知の方法についてもしっかり御検討いただきますようお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、宮崎岳志君。

宮崎委員 民主党、宮崎岳志でございます。

 まず冒頭、東日本大震災で犠牲になった方々の御冥福をお祈りし、また、被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。

 私は、かつて新聞記者をやっておりまして、中越地震の際には、被災三日後に現地に入り、いろいろ取材をした経験がございます。そのとき、そういう経験があるものですから、自分は災害というものにいろいろ詳しいものだ、知っているものだという思い込みもあったかのように思います。今回、被災地に震災から間もなく入りまして、これは本当に過去に例のない、自分が記者として経験した幾つかの災害等をはるかに超えたものだということに慄然とし、またそのことで、一人の政治家としてこの復興復旧に全力を挙げなければならないという決意を改めて新たにしたところであります。

 現在、震災復興のために増税をしなければならないというような議論がいろいろなところで行われているようであります。民主党としては、一切党内議論というのは現段階では始まっていないわけですけれども、一部ではそういった議論もある。このことについては私は反対でありますから、増税なき復興を求めていきたいという立場をまずお話ししまして、そして質問に入りたいと思います。

 求職者支援法の関係でございます。

 現行の基金訓練を恒常的な制度にするというものでありますけれども、基金訓練の際に、例えば訓練の実施機関あるいはコースというものを機構の方で認定される、雇用・能力開発機構でございますが、認定をされるということですが、この間に大きな混乱、批判があったのではないかと思います。

 この基金訓練の制度をめぐって、私のところに大変苦情が殺到したというか、恐らく、当選してまだ二年程度ですけれども、その間で最大の苦情、最多の苦情というのは、この求職者支援制度をめぐるものであったということであります。

 例えば、訓練実施機関になりたい、認定を受けたいというところが雇用・能力開発機構に申し込みを行うと、書類の書きぶりみたいなことが指摘されて、本当に形式的なことなんですけれども、何十回も通わなければならない。もう行くたびに違う担当者が出てきて、違うことを言う。本当に思いつきとか主観で判断をして、ここはこう直せみたいな話をする。

 例えば、担当者からこう直して持ってきてくださいと言われて、そのとおり書き直して持っていくと、次の担当者から、何だ、この書き方は、おかしいじゃないかといって、もとに戻したようなことをまた言われるとか、それまでオーケーだったのが、ちょっと午後を挟んだら、お昼を食べながら考えたんだけれども、ここはこう修正しなきゃだめですねみたいな話を言われたとか。

 それから、これで大丈夫だ、受理しますと言われて置いて帰ったところ、締め切り期限の直前に呼び出されて、本当に年末の直前に呼び出されて、これじゃだめになりました、直さなきゃならないんですけれども、本年度の期限はもう終わりますから来年にしてくださいとか、白紙に戻して、コースを変えたらどうですかみたいな話をされるとか、ちょっと普通じゃないようなことをいろいろ言われて、司法書士があきれ果ててとかいう話なんです。

 嫌がらせとしか思えないとか、あるいは、それは何か癒着があるんじゃないかとか、新たな認定を初めからするつもりがないんじゃないかみたいな苦情が本当に多かったんです。

 新たな制度になるわけですから、認定の仕組みも当然、今までと類似のものとはいえ、新しいところで行われるんだと思います。公正、透明、それからスムーズな認定が行われるべきだと思いまして、当然、一部の機関を排除する意図があるんじゃないかとか癒着があるんじゃないかと思われてはならない。

 その中で、例えば、ガイドラインをきちんとつくって事前に公開をして、こういう条件でやりますよというふうにやるとか、明確な指針に基づいた運用等も望まれるところですが、お考えはいかがでしょうか。

小宮山副大臣 今委員がおっしゃったような窓口の対応があったということですから、それはとんでもないことだと思いますので、具体的に挙げていただければ、そこはしっかりと指導していきたいというふうに思います。

 それで、この求職者支援制度の認定職業訓練につきましては、厚生労働省令で現行の基金訓練と同様、その認定基準を定めて、その内容を公表することとしております。

 また、ガイドラインということですけれども、基金事業につきましては、ハローワークで、個別のキャリアコンサルティングを通じて求職者の希望や訓練の必要性を判断した上で、基金訓練に誘導をしております。

 求職者支援制度でも、訓練への誘導については、ハローワークで、求職者の希望や訓練の必要性などを踏まえて、それぞれの求職者にとって最もふさわしいと判断される訓練に誘導していくことが必要だと考えていまして、こうしたことがしっかりと、先ほど言われたような対応にならないように指導していきたいと考えております。

宮崎委員 今、コースの認定というか、新たな実施機関の認定とかそういう点について言ったので、いわゆるキャリアコンサルティングとか受講のあっせんとかはこれから質問しようと思ったんですけれども、ちょっと先にお答えをいただいたんですけれども、一応質問だけ言いますので、感想を述べたいと思います。

 さっきの続きなんですけれども、この制度、ハローワークでキャリアコンサルティングを求職者の方が受ける。まず、学校を紹介されて、そこに行く。それで、書類をそこで、申込書をハローワークで渡されて学校に行くわけですよね。学校で紙を出して、入学試験みたいなものを、審査を受ける。そして、そこで合格すれば、その結果を持ってまたハローワークに行って、では、ここを受講していいですか、あるいは支援金の手続をしてもいいですかみたいなことになる。二段階になっているわけですね、ハローワークの関与というのが。

 ところが、ここを、非常に苦情がありまして、例えば、この学校に行きたいんだということを言っても、コンサルティングの段階で認められない、あるいは、コンサルティングがオーケーになって、一回学校に行って、それで合格して戻ってくると、そこはだめですみたいな話に、ノーに変わるみたいなことがあった。明確な理由があればいいんですけれども、必ずしも、判断基準がばらばらだということがあって、担当者の主観、裁量に頼るようなことになる。

 例えば、基礎演習コースというコース、非常に一般教養的な、社会人としての基礎的スキルを身につけるということであるんですけれども、ある学校に行こうとすると、あるハローワークでは、あの基礎演習コースというのは若い人向きだから中高年はだめですよというふうに言われる、だから別のところに変えてくださいと。ところが、別のハローワークでは、あなたは若いからあのコースには通えませんと。同じコース。あなたは若いからだめですと言ってはねられる。結局、その学校には通えない。

 あとは、サービス業とか工場の現場にいた方が、もう四十半ばぐらいになって現場ではなかなか通用しない、自分も管理職あるいは事務みたいな方に進みたいみたいなことの中で、例えば基礎演習コースに行きたいとすると、あなたは正社員の経験があるからだめだというふうに言われる。ところが、同じ学校に、学校の新卒者の方が内定をとれずに通いたいという話になると、いや、あなたは社会人経験がないからあのコースには通えませんと言って、結局、通えない。ハローワークごとあるいは担当者ごとに、もう全くばらばらな対応だと。

 甚だしい例はこんなのがありまして、例えば、キャリアコンサルティングの結果、七十代半ばの方が学校に来て、じゃ、キャリアコンサルティングの結果来たんだから、働く意欲もあるんだろうし、ふさわしいと思って送ってきたんでしょうといって合格をさせた。そしたら、後から、今度は当のハローワークの方に当然戻すわけですけれども、ハローワークの方から、あんな年齢の方を通すというのは何事だと、あんたのところは不正をしているんじゃないかと言わんばかりの詰問を受けたと言うんですね。それで、いやいや、ハローワークから送ってきたから通したので、何でそんなことを言われなきゃならぬのだ、そういう話なんですよね。

 それで、かなり対応がおかしくて、それが例えば一つところから苦情があるんだったら、たまたま担当者が悪かったのかなとかという話になるんですけれども、幾つも幾つも違うところから同じような苦情が来たんですね。

 結局、そういうところの方々あるいは求職者の方々が言うのは、例えば、特定のところと癒着して、そこじゃないと通す気がないんじゃないかみたいなことを疑ってしまうわけですよ。実態はわかりませんけれども、そう受け取られても仕方がないかなみたいなことも、私も聞いていて思いました。

 ですから、そういう意味で、ガイドラインや指針みたいなものはやはりつくって、そんなに明確な基準じゃなくてもいいと思いますけれども、何歳ぐらいの方がふさわしいとか、社会人経験のある方は、こういう経験がある方はこっちだけれども、こういう経験がある方はこっちとか、何らかの目安は必要じゃないかと思うんですけれども、もう一度、いかがでしょうか。

小宮山副大臣 おっしゃるようなことが事実窓口で行われているということですから、やはり本当にその方にふさわしい訓練を受けていただくというのが趣旨ですので、そういう意味では、ガイドラインと言うかどうかはともかく、こういう方向でやるようにということは必要だと私も思います。

宮崎委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 本当に笑い話のような話だったんですが、実話で、何人もの人から同じ話を聞かされると、ああ、何なのかなというところもございます。これもぜひお願いをしたいと思います。

 それから、震災の件でございます。

 震災で、旅行の中止あるいは手控え、こういうことが相次ぎまして、旅館やホテルは大変な打撃を受けているという現状があります。壊滅的と言っても過言ではありません。

 私の地元は群馬県でありまして、原発事故のあった福島県と隣接をしているということもありますので、放射性物質関係の風評被害というのもあって、観光客、宿泊客が大幅に減少しております。

 震災発生から一週間後、私、水上温泉というところのあるホテルをお訪ねして、状況はどうですかと聞いたんですけれども、一週間でキャンセルが三千人あった、そのホテルだけで。そういうような状況でした。

 それで、きのう、温泉旅館の組合の方にちょっとお話を聞いたんですけれども、書き入れどきであるゴールデンウイーク、宿泊が例年の半数、半減をしているということで、休業とかもありますし、あるいは、特に旅館、ホテルは、非正規雇用の方が多いんですよね。人手を非常に使いますから、それで時間もある程度限定されていたりするので非正規雇用の方が多いんですが、そういう方の首切り、一時解雇と言ってもいいかもしれませんけれども、こういうものが相次いでおります。

 この震災による経営悪化、雇用の悪化は非常に深刻。特に群馬県等ですと、余震なんかが起こるたびにキャンセルが新たに出たり、あるいは、農作物のいわゆる放射性物質による出荷停止等の情報がテレビなんかで流されると、それでキャンセルが出たりという状況でございます。

 ぜひこの経営悪化に対応しなければならないと思うんですが、現状をお示し願いたいということでございます。いかがでしょうか。

岡本大臣政務官 今御指摘がありました、このたびの東日本大震災の影響で、いわゆる旅行やさまざまなレジャーの自粛ムードというのは懸念をすべきものがあろうと思っています。

 けさも新聞に日光のホテルの事例が載っていたと思いますけれども、委員御指摘のそういった震災を契機に大変厳しい経営状況に陥っている状況を少し数値をもって御説明しますと、外国人の日本への旅行が、震災以降、大手三社の取り扱いベースでキャンセル率が九割に達したり、また日本人の国内旅行は、三月の実績が二五から四〇%減であったり、また四月、五月の予約状況は二〇%から四五%の減、こういった話で、所管法人が行った生活衛生同業組合に対する緊急調査によると、調査対象の旅館、ホテルのうち九三・一%が四月の売り上げが減少する見込み、こういう話もあります。

 先ほども話をしましたように、行き過ぎた自粛ムードを払拭するということのために、観光庁などとも連携をして取り組まなければなりませんし、また、日本政策金融公庫を通じて運転資金の貸し付けを実施する、また、雇用を維持する観点から雇用調整助成金の積極的な活用を促す、こういった対応をとってまいりたいというふうに考えております。

宮崎委員 観光庁によると、東日本は、いわゆる関東、東北だけで三十九万人のキャンセルがあった、そのほかの地域でも十九万人のキャンセルがあったという状況で、非常に深刻であるという事態を踏まえて御対応をお願いしたい。

 それで、雇用調整助成金、もう既に結構活用されています。旅館の休業とか一部休業とか、そういったものが多うございます。

 そんな中で、被災地は、一部は支給要件が緩和されているんですが、例えば旅館、ホテル等ですと、緩和の対象になっていない部分も多いわけです。例えば、遡及ができないとか事後の届け出ができない。被災地ではもちろん一部認められているんですが、旅館、ホテル等、被災地に直接かかっていない部分については、なかなかそういうことはできない。ところが、この場合は景気循環でなっているわけじゃありませんから、休業をあらかじめ予定するということはちょっと難しい状況であった。逆に、三月十一日という時点をもってばあんと状況が変わったという現状があります。

 それから、逆に、不正等の可能性が当然あるというふうなことだと思うんですけれども、旅館やホテル等は、休業しているかどうかというのは、外から見ればわかりますし、近所の人もわかるわけで、そんなに不正の余地はないと思うんです。そういうことで、極端な被害をこの観光関係、特に旅館、ホテルは受けておりますので、いわゆる遡及とかあるいは事後の届け出とかというものも認めていただきたい。

 事実、私、きのう聞いたホテルさんの話だと、もちろん今は休業して雇調金をもらっているんだけれども、しかし、もう既に過ぎてしまった分はもらえなくて困っているという声も現実に現場から上がっておりますので、ここをぜひ御対応願えないでしょうか。いかがでしょうか。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の震災の被害の重大さにかんがみまして、雇調金につきましては御活用いただきますように特例を設けてございます。

 具体的には、今先生もお話しになりましたけれども、今回の震災によりまして事業が急激に縮小しました事業主を迅速に支援するために、この確認期間の短縮、あるいは一カ月の生産量が減少見込みでも申請を可能にするといったような特例を設けております。

 これは、九県の災害救助法適用地域だけではなくて、その地域と一定規模以上の経済的関係を有する事業所にまで拡大をしておるところでございます。したがいまして、この旅館、ホテル等につきましても、被災地以外に所在するものでありましても、売り上げの一定割合以上が被災地域から訪れる客によるものである場合については特例の対象になるというものでございます。

 なお、その特例の中で今先生がお触れになりました事後届け出につきまして、休業計画の事後の届け出を認めるという特例でございますけれども、これにつきましては、この九県の災害救助法適用地域だけにおいて適用しております。これは、休業がその地域におきましては行われたことがほぼ確実であること、あるいはまた提出書類等が著しく提出が困難であったというような事情をかんがみまして、例外的に認めたものでございます。

 ですから、それ以外について拡大することにつきましては、休業については実際に行われたかどうか、こういうものを事後的に確認することは甚だ難しいものでございますので、これはなかなか難しいというふうに考えているところでございますけれども、先ほどのような特例などを活用していただきまして雇用の維持というものを図っていただきたいと考えているところでございます。

宮崎委員 今言ったように、いわゆるさかのぼったり事後に届け出したりということが認められない現状にありますけれども、もうはっきりわかる部分についてはやはり対応していただきたいということでございまして、おっしゃることもわかるんですけれども、不正の可能性がなければいいわけですから、ぜひ、特別な業種、特に被害が大きい業種ということで御理解を賜りたいと思います。

 ちょっと時間がなくなりましたので、最後の質問に入らせていただきたいと思います。ほかの質問の関係の方、申しわけございません。いわゆる農産物被害の関係です。

 私、群馬県が地元なんですけれども、農産物の被害というのが大変多かったということです。いわゆる放射性物質による被害ですね。もちろん、出荷停止はホウレンソウなど一部のものなんですが、風評被害が大変すさまじいものであったというふうに思っております。今も、既に出荷停止は解除されたんですけれども、値段は半値ぐらいに下がっているという声もありまして、買いたたかれている、あるいは避けられているという状況でございます。

 そんな中で、一つは、暫定規制値というものが具体的に実効性があるのかどうかという疑問もございます。例えば農薬でいうと、この品目はこれぐらいの規制値、この品目はこれぐらいの規制値というふうに分かれていて、一日にこの野菜は何グラムぐらい食べる、こっちの野菜は何グラムぐらい食べるというふうになっているんですが、例えばパセリとかだと、重さが軽くて表面積が多いものですから非常に出やすいわけですよね、基準を超えやすい。ところが、余り食べない。食べる量というのはごくわずかなわけです。ところが、中身が詰まっているような、実が詰まっているような野菜だと、表面積は少なくて重さが大きいので規制にはひっかかりにくいんだけれども、しかし、その野菜をいっぱい食べるということもある。

 ですから、そういったことをある程度明確に、農薬ほどじゃなくても品目ごとにやっていかないと、本当にこの規制は実効性があるのか、安全を守れるのか、あるいは必要のないそういう出荷停止等を行わなきゃならなくなるんじゃないかという疑問もあります。こういったものについては改善をお願いしたいと思っておりますとともに、ちょっと時間がないので最後に伺いたいんですが、風評被害を防止するということが重要でありまして、ぜひこれは迅速に、危険だという情報を出すのは当然なんですけれども、安全であるということについてもお示しをいただいて、広くアピールしていただくという責任を果たしていただきたいということでございます。

 それから、今回の件について、特に一時金の支払い、私も鹿野農水大臣から、済みません、何度か、質問が幾つも一緒になってしまっていますが、鹿野農水大臣が、迅速に一時金、仮払金みたいなもので対応して、風評被害には対策をとりますというふうにかなり前におっしゃっていただいたんですね、公開の場で。でも、実際そういうふうに進んでいないということで、大変地元の農家の方は困っていらっしゃいます。

 これはぜひ、一回政府のある程度の役職にある人が約束したことですので、迅速にとにかく実行していただきたいということをお願いいたしまして、御回答がいただけるのであればお願いをしたいというふうに思います。

牧委員長 時間が過ぎておりますので、簡潔に。

岡本大臣政務官 委員御指摘の点も踏まえながら、対応をとっていきたいと思います。

宮崎委員 時間が三分超過でございます。大変申しわけございません。

 ぜひ、御対応をお願いいたします。ありがとうございました。

牧委員長 次に、平山泰朗君。

平山委員 民主党の平山泰朗です。

 この厚労委員会におきましては初めての質問なので、お手やわらかにお願いします。

 三月十一日に地震が起きまして、これから、我々政治家の考え方、あり方というのが改めて見直されているのではないかと思っております。

 さて、私はきょう、特定求職者支援制度、この件に関して御質問をしたいと思っておりますが、まず冒頭に、私、一九九九年の十二月に会社を設立いたしまして、なぜ会社を設立いたしましたかといいますと、当時、厚労省が助成金を出しておりました。その助成金があるということを義理の父親から聞きまして、ならば会社をつくろうということで、会社をつくりました。そのおかげで今ここに立たせていただいておると思っております。厚労省の方々にごあいさつ、お礼を申し上げるとともに、当時の自民党の方々にもお礼を申し上げたいと思います。

 私、先日、足立区のハローワークに行ってまいりました。そこで、今、「日本はひとつ」プロジェクトを厚労省の方でやられておると思うんですけれども、その件に関しても伺ってまいりましたが、当時、武道館が避難所になっておりましたので、一日十名ほどの求職者、避難された方々が求職の方に来られてきた。厚労省の方々の御尽力を本当にかいま見させていただきました。

 そこで、改めて特定求職者支援制度に関してお伺いいたしますが、この制度の総額、そして予定受講人数を教えてください。

小宮山副大臣 この基金事業、緊急人材育成支援事業につきましては、平成二十一年七月に事業を開始いたしまして、ことしの九月までの実施を予定しています。この間の基金の総額はおよそ三千九百六億円、基金訓練の受講者の目標はおよそ三十五万人です。

 求職者支援制度につきましては、現在提出している法案が成立し、予定どおりことしの十月から施行されることを前提といたしまして、予算額はおよそ六百二十八億円、訓練の予定定員数はおよそ十三万人を予定しています。

平山委員 まさに大変な金額を使われるわけですけれども、そのことによって、これは雇用保険の費用からも出ているというふうに伺っておりますが、今後、このことによって雇用保険の金額が上がることはないのか。また、フリーライダー的に雇用保険を払ってこなかった方々、こういう方々に対して支払うことになるので、この点は非常に考えていただきたいということと、実は、本来、余るのであれば返納するか減額する、そういうことも考えられると私は思います。そういう意味でもこの雇用保険の金額が上がることがないのかどうか、そのことにお答えください。

細川国務大臣 この求職者支援制度につきましては、現行の緊急人材育成支援事業の実績を見てまいりますと、雇用保険の受給終了者が六割以上というふうになっておりまして、この部分につきましては、雇用保険制度を拡大するとも評価できるというようなこと。また、求職者支援制度を利用いたしまして安定した就職が促進されますと、雇用保険制度の被保険者数が増加をしたり、あるいは雇用保険財政がよくなるというようなこともありまして、そういうことから雇用保険の附帯事業という位置づけでございまして、国庫が二分の一ということにいたしまして、雇用保険の倍の、四分の一というよりは国の負担が多くなっているところでございます。

 雇用保険の保険料の料率が上がるのではないか、こういう御心配でありますけれども、これについては既存の雇用保険の保険料率の範囲内で実施をする、こういうことでございまして、この点については労働政策審議会の方からも建議がございまして、保険料を引き上げなければならないというような実態に陥ることがないように、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っておるところでございます。

平山委員 わかりました。ありがとうございます。

 また、この訓練自体が、全額補助が出る。六万円から十万円となっておりましたけれども、ほとんど費用なしで、ただで受けることができるということで、実際言うと、これは民間企業も講座をつくることができる。その結果、民間企業が多い都市部では供給が過剰となる、地方では不足する。

 こういう地域間格差をどのようにお考えなのか、そして、震災の被災地でこの制度をどのように活用されようとしているか、そのことに関してお聞かせください。

小宮山副大臣 このたびの求職者支援制度では、厚生労働大臣が関係者の意見を聞いて全国レベルの計画を定めています。また、都道府県を単位とした地域ごとに、労働局と都道府県、地域の労使団体や教育訓練機関等との協議の場を設けまして、地域の具体的な訓練計画を定めることにしています。

 この計画に沿いまして、各地域で、質量ともに必要な職業訓練が実施されるよう、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が訓練実施機関の開拓や訓練実施機関に対する支援を行うことにしています。

 こうした取り組みによりまして、各地域で、求職者の方の就職に結びつく職業訓練が質量ともに的確に実施されるように努めていきたいと思っています。

 おっしゃいますように、全体からすると南側の方の地域で割と多いようになっているように見えるかもしれませんけれども、これは、こうした手順をもって決めたものでございます。

 また、御指摘の、今回の東日本大震災によって多くの方が仕事を失われていますので、雇用保険の受給を終了しても就職が難しい方や、そもそも雇用保険を受給できない方もたくさんいらっしゃると思います。基金事業や求職者支援制度は、こうした方を対象とする制度で、現行の基金事業を活用するとともに、この仕組みを求職者支援制度として恒久化することによりまして、被災なさった方が一人でも多く就職できるように努めていきたい、そのように考えています。

平山委員 ありがとうございます。

 私、インターネット業界におったものですから、その点でちょっとお伺いしたいところがあります。

 緊急人材育成支援事業に係る職業訓練の訓練分野一覧という、こういう紙があります。いろいろなことが書いてあるんですけれども、多種多様にわたる事業が書いてありまして、例えば製菓師、電気技術士、機械設計技術者、金属プレス工、建築士、理容、美容、メイク等々あります。もちろんIT関係もあります。介護もあります。

 こういう状況の中、実際これだけ幅広く案内はされているんですけれども、実際の講座としてはほとんどIT系、例えばエクセルの使い方、オフィスの使い方、それだけならともかく、ウエブデザイナーというのがあります。これは私がやっていた仕事なのであえて言わせていただきますと、二百ぐらい講座が五月三十日に始まります。そのうち四十から五十がウエブデザイナー講座です。

 そのウエブデザイナー講座に関して申し上げますと、実は厚労省のホームページに、平成二十二年四月十七日、「長妻厚生労働大臣と基金訓練による就職者との意見交換会」というのが掲載されておりました。その中に、「Dさん(三十代前半 女性) 「Webサイトデザインコース科」を修了後、埼玉県内の会社において、自社のホームページ作成・メンテナンス、パンフレット・チラシ作成業務に従事(期間の定めのない雇用)」というふうに書いてあります。

 このDさんが、長妻元大臣も含めて細川大臣に申し上げておられるのは、クラスメートの就職状況はどうでしょうかと。この方はウエブデザイナーのコースを受けているわけですね。そうしたらDさんが答えたのが、「就職が決まった人はほとんどいません。実務経験がないと難しいようです。Webサイトデザインに関する仕事を諦めて、事務職に転向する人やアルバイトを続けながら就職活動をしている人もいます。」というふうに答えられています。

 つまり、私、何が言いたいかといいますと、デザイナーというのは、なりやすい、簡単になれるし格好いいんじゃないかというイメージが非常に全国的に蔓延しておりまして、たくさんの人が、年間、ウエブデザイナーになりたい、ウエブデザイナーになりたいということで、応募をしてくる。しかしながら、需要と供給が全くバランスが合っていない。供給過多の状況の講座をわざわざ厚労省、ハローワークが生み出す必要があるのか。

 それで、またほかの講座もいろいろ見させていただきますと、ネイルアートとか、いわゆる美容系のアロマテラピー、スパテラピー、とにかく名前が格好いいような仕事ばかりで、どちらかというとガテン系の、電気通信技術者とかフライス・旋盤工とか機械組立工とか、実際には需要が非常にあって供給が追いついていないところ、そういう講座の方がほとんどない。いわゆる人気はあるけれども就職ができないような講座、こういう講座が非常に見受けられるというのが現実だと思います。

 見ていただくとわかるんですけれども、その講座も横文字ばかりで、何となく格好いいようなものばかりで、今のままでは本当に大人のキッザニアになってしまうんじゃないかという危惧をしております。ぜひ、雇用保険からお金を拠出しているわけですから、実際に就職に近づく訓練をお願いしたいと思いますが、その点に関してはいかがでございましょうか。

細川国務大臣 平山委員が御指摘のように、訓練事業をやっても就職に結びつかなければ意味がない。したがって、今度の求職者支援制度、この制度の目的は、何といっても就職に役立つ、そのためには、やはり質の高い訓練をやらなければというふうに思っております。

 そのためには、ではどうしたらいいかということでありますけれども、ここは、これからは、そのコースで卒業した人がどれだけ就職をしているか、このことによって、就職率によって、そういうところに対してはある程度財政的支援を高くするとか、あるいはまた、就職率が悪いようなところのコースというのは、コースを設定する場合に、そういう悪いところはもうやめるというような、そういう就職率というのを特に強く考えてコースの設定をしていきたい。要するに、就職に役に立つ、そういうコースの設定を求職者支援制度ではしっかりやっていきたいというふうに考えております。

平山委員 ありがとうございます。

 考えていただきたいのは、コースを一度受けて失敗したというふうに気づいても、二回受けることが残念ながらできないんです。そうすると、ハローワークが紹介をして余り意味がなかった、ハローワークが紹介するのだから大丈夫だろうと思って行ってみたら意味がなかった、しかし、もう一度違うコースを受けて、もっと堅実なコースをとりたいんだけれども、それもできない。

 そういうことから考えたときに、やはり私は職業構造というものも当然あると思いますので、どの業種でも、供給過多になっているところ、例えば、介護は今、実際足りないと言われていますし、どんどん仕事もあるというふうに聞いておりますけれども、このウエブデザイナーのような、明らかにもう供給過多になっているような仕事に対して講座を認定するというのはいかがなものかと思いますので、ぜひ御考慮をいただきたいと思います。

 そこで、先ほどからの件に関しまして、本来、目的が就職であるはずなのに、どちらかというと制度に対応するために事業がつくられている、講座がつくられているというように、私、行ってみて感じてしまいました。

 ハローワークの方々も忙しいですし、そんなに、現実に即した、就職に即した仕事というのもなかなかつくりづらいということはわかるんですけれども、私は思いますに、実際に雇用募集者を事業先に招いたり、あるいは講座づくりに参加させるような仕組みが必要なのではないか。また、事業をやっている時点から青田買いを検討させてもいいのではないか。そういうことをぜひこの講座の一つの売りということに入れていただけないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

小宮山副大臣 委員が御指摘のような、そうした工夫も検討はしてみたいというふうに思います。

 ただ、全体のコースを通じまして、就職率からいきますと大体六八・八%ぐらい、実践演習コースだと七一・五%ぐらいは就職ができているんですね。あと、実際に効果が上がったコース、そういうことをやった実施機関に対してはインセンティブということも工夫はしておりまして、コースの就職率に応じて就職者一人当たり上乗せをするとか、そんな工夫もしておりますので、ぜひ、いろいろな知恵を出しながら、実際に就職に結びつくようなコース設定をしていきたい、そのように考えております。

平山委員 六七%と言われておりますが、先ほどの資料をまた見させていただきますと、意見交換会において、基金訓練による就職者というのが四名来ておられますが、四名とも一年間の有期雇用、期間の定めのない雇用、期間の定めのない雇用、期間の定めのない雇用、五名とも期間の定めのない雇用になっております。これを就職というのであるならば就職なんでしょうけれども、やはり六七%、数字だけ見るとそうなりますが、厚労省の意見交換会に呼んだ人が五人なのに五人とも期間の定めのない雇用と一年間の有期雇用ということを考えれば、これは外に出す資料ですから、せめてちゃんと就職した人を呼んでいただけたらと。

 わかりました。お答えいただければ。

細川国務大臣 これはちょっと委員が誤解というか思い違いをされているのではないかと思いますけれども、例えば一年とか二年とかそういう有期の雇用と期間の定めのない雇用では、期間の定めのない雇用の方が正規で、しっかり雇用が確保されている、こういうことでございまして、その懇談会に出席をされた方は基金事業によってまさに正規の雇用が確保されたということで、これは私どもとしては非常によかった懇談会だというふうに思っております。

平山委員 申しわけありませんでした。私の勘違いでした。

 では、時間となりましたので、最後の質問とさせていただきます。

 先日、十時ぐらいにハローワークに行かせていただきますと、本当に込んでいて大変な状況の中、ハローワークの職員の方々が一生懸命働いておられました。だれが見ても、これは本当に忙しいなというのがわかります。そういう中でまた新しい制度をつくるということは、ハローワークに対してさらに仕事を負荷することになってしまう。

 そういうことを考えたときに、私は、すべてハローワークで担うことというのも考え物なのかなと思っておりまして、この枠組みの中で、逆に就職あっせんまでワンストップで民間企業にゆだねることはできないのかということをぜひ提案させていただき、お答えをいただきたいと思います。

小宮山副大臣 今、ハローワークの中では、本当に人に寄り添ってそれぞれマンツーマンでやるようなこととか、さまざまな形をとっていろいろ工夫しながらやっておりますので、大変今、ハローワークにおいでいただく方が新卒者も含めてふえているということはそのとおりだというふうに思っています。

 就職の実現のためにハローワークは精いっぱい取り組んでおりますので、民間の力をどのように使えるかということは、また御意見もいただきながら工夫はしていきたいと思っておりますが、なるべくハローワーク機能が充実するように、しっかりと厚労省としては努めてまいりたいと思っております。

平山委員 ありがとうございました。

 仕事というのが、今本当に失業者がふえて、また震災も重なって大変なことになっておりますので、厚労省の方々の役割というのは大きいと思っております。ぜひ、この特定求職者支援制度、頑張っていただいて、日本の雇用を救っていただきたいと結びにしまして、私からの質問は以上とします。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、田村憲久君。

田村(憲)委員 おはようございます。自由民主党の田村憲久でございます。

 きょうは、五十分質問ということで、前回は、五十分でございましたけれども、ちょっといろいろな配慮がございまして時間が短かったものでありますから、残った部分も含めて、大臣、おつき合いをいただきたいというふうに思います。

 まず冒頭、ちょっと年金の議論をさせていただきたいと思っているんですけれども、例の第一次の補正予算案、四月十九日に三大臣合意ということで、財務大臣と玄葉大臣とそして厚生労働大臣、細川大臣が、この財源の問題で、基礎年金国庫負担を二分の一に引き上げる部分、ここを差し出すというような記事が出ておりまして、その後もいろいろな議論を、この委員会でもあったと思うんですが、大臣がしっかりと、基礎年金の国庫負担部分を二分の一に引き上げるための財源、これは守るんだと当初おっしゃられておられたにもかかわらず、何か財務大臣にごまかされたんじゃないのかな、そんな気がして仕方がないんです。

 当初、大臣は、何も話を聞いていないということで怒られて、異例ですよね、財務大臣が厚生労働大臣の部屋に来て頭を下げた、平謝りだったというような、そんなうわさがあるぐらいの、何の連絡もない中でのそういう財務省の一つの方向性というものに対して大臣がお怒りになった。

 だから、そこまで大臣の方がお強い立場であったんだから、私は、しっかりとここはお守りをいただけるのかなと思っておったんですけれども、最後は腰砕けになってしまったのかなというふうに思います。

 私が配った配付資料の一枚目なんですが、ここに自由民主党作成資料と書いてあるんですけれども、書いてあるのは国民年金法等の一部を改正する法律と書いてあります。これは、我が党に民主党から一次補正等々のいろいろな説明の中でついておったものでございまして、ただ、作成がどこと書いていないものでありますから、詠み人知らずというものでございまして、何かよくわけがわからないまま、こういう資料が入ってきたわけであります。

 ここに書いてある内容は、多分あすあたり閣議決定をしてこられるのかなというふうに思うんですけれども、今回、国民年金法等の一部を改正する法律案、このような内容で大体いいというふうに理解してよろしゅうございますでしょうか、大臣。

細川国務大臣 国民年金の二分の一、この財源につきましては、この委員会でもいろいろと議論がございまして、私としては、この二分の一に要する財源については、本年度の法案も提出をして、そして二分の一を確保する、こういうことでありまして、これをぜひ守りたいというふうに思って、また野党の皆さんからも、ぜひそうしろ、こういう強いあれもいただいていたのでありますけれども、今回の未曾有の大震災、これに対して大変な財源が必要だ、こういう応急的な復旧事業にどうしてもお金がかかる、こういうことで、それに対してこの年金二分の一の資金を出してくれ、こういうことに相なりまして、私としても、最終的には総合的な判断としてこれを渋々認めるという結果になったのでありまして、これについては、私が当初からこれは守りたいと言って、この委員会でも申し上げてまいりましたけれども、それが実現しなかったということに対しては、大変申しわけなく思っているところでもございます。

 そこで、三大臣でそういうふうに決着をいたしましたので、今回、法案として出しております今の法案は、これは変えなければいけないということになります。

 それで、今お示しになりましたこの資料については、大体そういうような内容になるというふうには思っております。

田村(憲)委員 苦渋の選択であったかのようなお話だと思うんですけれども、そうはいいながら、これ、いつ返ってくるかわからないというのは困るんですね。といいますのは、これは我々、自己反省でもあるんです。我々が政権のときに何度かこういうことをやったんですよ、財務省にちょろまかされて。これは我々も反省しなきゃいけない。結果的に、うちの加藤委員からもお話があったとおり、何だかでちょっとお金が出てくると返しているんですけれども、しかし、まだ全部返せていない。六兆円弱がたまっているんですね、これは運用部分も含めて。

 そういうことを考えると、やはりこれ、すぐに返してもらうということが大前提になるんだろうと思います、今回の部分は。いや、まだあるんですよ、以前の部分を返してもらわなきゃいけないんですが、しかし、以前の部分と一緒だという、そういうような位置づけじゃ困るんですね、ここは震災絡みだということで急遽出すわけでありますから。

 財源も、これを見ていますと、「税制の抜本的な改革により確保される財源を活用して、」と非常に具体的に書いてあるんですね。ですから、今までのとはちょっと違うんです。今までのは、余裕ができたら返すみたいな書き方でございましたから。ここまで書いてあるということは、確実に返してもらう、そういうことを担保するために、大臣は折衝の中でいろいろなことをお考えになられて、こういう文書に同意をされたのかなというふうに思うんですけれども、であるならば、ではいつ返してもらうんだと。

 私は、今回、本来は国債を発行するなり復興債を発行してこの部分に充ててほしかったけれども、いろいろな力関係があったんでしょう。とりあえずは、この年金の原資と言われていた鉄建機構のお金をこっちへ運用するという話になっちゃった。一次補正の方へ使うという話になっちゃった。であるならば、この後、二次補正等々ある中で、税制の抜本的な改革により確保される財源を活用してというものですから余計わかりづらいんですけれども、何か将来税制改革をやるから、ここに財源ができるんだから、それを返してもらうという意味では、先に国債を発行して埋めるなりなんなりの方法はあると思うんですよ。

 これは、一年以内といいますか、今年度中に返してもらうというふうに理解をしていいんですか。大臣、どんな思いですか。要するに、今年度中に、差し出したお金分、年金の二分の一にちゃんと引き上げに入れる、ですから財政的にはそんなに影響はないんですよというふうな、そういう意味合いで書かれているというふうに私は理解していいんでしょうか。大臣、いかがですか。

細川国務大臣 委員が御指摘の、震災復旧の財源に提供したこの財源について、いつ返してもらえるか、こういう御質問でございます。

 そこで、どのような形で返してもらうかは、これは、二十三年度中に税制の抜本改正をする、また、しなければならない、これは法律でも決められているところでございます。そこで、今、政府の方で検討いたしております社会保障と税の一体改革、これを進めておりまして、その税制改革の中で年金の財源などについても当然議論もされていく、こういうことでございます。したがって、この税制の抜本改革、これを行いまして、それに基づいて年金の方に返してもらう、こういうことになるわけでありまして、したがって、早急にという、できるだけ早く、できるだけ早く返してもらうように私としては取り組んでいく、今のところこういうお答えにならざるを得ないということで、よろしくお願いします。

田村(憲)委員 できるだけ早くというのは、だれができるだけなんですか、できるだけというのは。だれがそれを、できるという行為を行うんですか。それは、そのできるだけを行う人によって、早くというのは変わってくるんですよ。そうでしょう、大臣。

 だから、抜本改革できれば、税制の抜本改革、このスキームが決まった時点で、その時点ですぐに返してもらえるというなら、いや、税収が入るのは将来ですよ。今年度中に新しい制度ができたところで、すぐには税収は上がらないんでしょうから。多分、実際問題、税金を上げるのは将来ですよね。それから返してもらうというなら、これは何年後かわからないわけですよね。それが決まればすぐ返してもらうというならば、それは今年度中という話だと思うんですよ。

 だから、そのできるだけのできるというのは、だれが主体なのかということによって変わってくるので、今年度中ということなのか、いや二、三年先ということなのか、いや五年先だということなのか、大臣の思いとしては、どこにあるんですか。

細川国務大臣 私の思いとしては、できるだけ早くでありますから、今年度中も含めて、こういうことも含めてということができるだけ早くということでございます。

田村(憲)委員 含めてというのは、そうかもわからないし、二年先か三年先か四年先かもわからないという話でありますから、納得はできませんが、担当の大臣としては、今年度中とはっきりと言っていただきたかったというのが私の本音であります。

 といいますのも、これは積立金、先般新聞を見ておりましたら、二十四日でありましたけれども、二〇一一年度中に、年金積立金管理運用独法、ここからいよいよ、また六兆四千億円の取り崩しをしなければ給付に充てられないというような記事が出ておりました。積立金をまた取り崩さなきゃいけないという話なんですよね。

 さらに、二・五兆円。返してもらえるかもらえないか。大臣は返してもらえると信じておられると思いますけれども、財務省もしたたかでございますから。といいますのは、何でこんなことを言うかというと、この法律がまたインチキというか、今私が配付しているこの法律案でありますけれども、線を引っ張ってあるところに、最後から二行目ですよ。これは要するに、元本とそれからその元本の運用収入に相当する額を「合算した額に達するまでの金額を、」と、わざわざ「達するまでの」と書いてあるんですよ。達する金額じゃないんですよ。「達するまでの」というのはどういうことかというと、一遍には返さないということをこれは言っているんですね。

 これは実は十年前の法律、平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律、これは十年前に、我々が政権のときでありますけれども、繰り延べをした法律ですよね、国庫負担部分を。これも同じように「合算した額に達するまでの」となっているんですよね。

 これは何でこんな「達するまでの」という書き方をするかというと、今までずっとたまってきた部分も、一遍にそのあいた分を埋めているんじゃないんですよね。お金ができたらできた分だけ、今まで繰り延べしてきた部分を徐々に埋めているという話でありまして、金ができたときに埋めるというやり方がこの「達するまでの」と。達する額ならば、その額を一回で返すというようなイメージに文章的にはなるんだと思うんですよ。今回のも同じように「達するまでの」と書いてあるということは、なかなか返してくれないんじゃないか、私はこう思っちゃうわけなんですね、この文章の書き方で。

 大臣、どう思われます、この書き方。ちょっと疑問を感じませんか。

細川国務大臣 これまでもこういうような表現で返すということを記載してきたというところがございます。

 今回もこういう表現ということになっておりますけれども、「達するまで」というふうになっても、それは早く繰り入れということだってできるわけでありますから、そこはそのときの政府の意思ということが強く出てくることだというふうに思います。

田村(憲)委員 今まで返ってきていないから言っているんですよ。これまでこうだったですからと言われましたけれども、返ってきていないから私は危ないなと思って大臣に申し上げているので、この法律、出すのは多分厚生労働大臣だと思うんですね。今からでも直せますから、達する額にしておいてくださいよ。「までの」では本当にだまされますよ。まあ、にこっと笑っておられるので、いろいろな御事情があられるんだと思いますけれども、これだけはしっかりと指摘をしておきたいと思います。出てきた法案を見て、またこの場で議論をさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、先ほども言いましたとおり、ただでさえ今年度は六兆円以上取り崩さなきゃいけないという予想が立っております。この二・五兆円、早急に返してもらわないことには大変なことになりますから、その点は御指摘をさせていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。

 実は、先々週ですか、私が震災関連で質問をさせていただきましたときに、今震災地で障害者の方々が災害弱者として大変な御苦労をされておられる、それに対していろいろな救いの手を差し伸べなきゃならぬのですけれども、その居場所がわからない等々の問題があって、それをしっかり調査してくださいと。そもそも、もとから障害者の方々の情報が、個人情報ということもあってなかなか開示されないということで、十分に伝わっておらないということがございまして、避難所じゃなくて御自宅に住まれておられても、どこにおられるかよくわからないという問題を指摘させていただきました。これは震災地の問題であります。

 一方で、震災地以外のところ、そこでも同じような問題がありまして、このような未曾有の災害が起こった、でも、全国じゅうどこで起こるかわからないというもとにおいて、どうやって防災計画等々の中に、障害者も含め、障害者だけじゃありません、避難をするための要援護者、こういう方々の避難をスムーズにするためのいろいろな計画を立てていくかという問題が指摘を実はされているんです。

 先週、民生委員の方がうちの事務所にお越しをいただきまして、今回の震災を受けて、我々もしっかり防災をやらなきゃいけないと思う、避難のことも考えなきゃいけないと思う、ついては、障害者が私の受け持ちのエリアの中でどこにおられるんですかということを自治体に聞きに行ったら、これは個人情報なので教えられないというような話であったと。一方で、隣の自治体ではそれも含めて情報が開示されているところもあると。非常にばらつきがあるという話が出てまいったんです。

 いろいろと調べてまいりますと、私は初め個人情報保護法の担当かなと思いまして、今消費者庁なんですってね、消費者庁にお聞きしたら、個人情報保護といったって、個人情報保護法は民間レベルの話であって、行政の個人情報保護は、これは行政の責任であるから、それぞれの条例で決めているという話なんですね。では、おたくじゃないんですね、防災関係はどこですかとお聞きしましたら、今度は、内閣府の防災担当だと言われまして、きょうお越しいただいていると思うんですが、そちらの方にお聞きをさせていただいた。そしたら、いろいろな計画をつくったりだとかガイドラインを示すのは自分のところの仕事だけれども、現場の仕事はうちじゃないんだと。では、それはどこが所管するんですかと聞きましたら、総務省の消防庁だという話でありまして、きょうお越しいただいていると思うんですけれども、たらい回しの上、やっと消防庁に行き着いたわけであります。

 消防庁の方にちょっとお聞きをいたしましたのですが、そしたら、避難支援のガイドラインみたいなものをつくっておられて、何か「犠牲者ゼロ」を目指すための総合プランというのがあるんですか、その総合プランの中でこのような名簿を作成するようなことを、要するに要援護者の方々の名簿を作成して、その上で災害が起こったときにしっかりと避難をできるような、そういう計画に盛り込むような、そんなことを一応指導はしているんだという話をお聞きしたんです。

 まず、今、全国の中でどれぐらいその名簿の作成は進んでおるんですかね。

佐々木政府参考人 名簿につきましては、随時内容を更新する必要があるために、調査の選択肢としては、未整備または整備中という項目でお聞きをしております。これに基づきまして、平成二十二年三月三十一日時点で、整備中と回答した市区町村の割合は八八・七%となっております。これは、二十一年三月三十一日、一年前の時点と比べますと二二・九ポイント増加いたしているというふうに承知しております。

田村(憲)委員 九〇%近くが名簿の作成に着手しておるというような話だったというふうに思うんです。

 ただ、この名簿というのはどういう名簿かというと、開示することが前提の名簿だと思うんです。だって、それが支援する人にわからなければ、幾ら名簿だけあったって要援護者のところに行けないわけですよね。例えば身体障害者の方々、歩けない方々、そういうところに災害が起こったというときに、助けに入って避難を誘導したりだとか、また、災害で、例えば地震で家が壊れたときに、安否が大丈夫か、救いに行くわけでありますから、そういう意味では、これは開示されることが前提だというふうに思うんです。

 ところが、幾つかの自治体を私も確認したんですが、やはり開示されていませんでした。これからどうするんだということを考えているというような返答はありましたけれども、開示されていませんでした。ということは、着手はしているんだけれども開示はしていないという話が多いんだというふうに思うんですね。

 問題なのは、実は要援護者というのはすごく広い幅になるんですよね。外国人まで入っているところもあると思います。というのは、言葉が通じないという意味で。逃げてくださいと言っても通じない。だから、要援護者に外国人というところまで入っているところもあると思うんです。これはそれぞれの自治体がつくる話になると思いますので。

 これは、整備していきますと、転入、転居がありますから、延々と整備中なんですよ。だから、整備できたところといいますか、着手したところから入った情報から、今度はちゃんと必要な関係者の方々に開示をしていかなければならない。災害はいつ起こるかわかりませんよ。ですから、開示することを進めていかなきゃならぬと思うんですが、それに関しては今何か指導はされているんですか。

佐々木政府参考人 災害時要援護者名簿は、各市町村におきまして、個人情報の保護に配慮いたしながら、要援護者の同意の上で、支援者となり得る方々への開示を行うなど、必要に応じて情報共有がなされているものと認識しております。

 しかしながら、今回の東日本大震災における状況も踏まえつつ、関係省庁と連携しながら、情報共有の方法等につきまして、必要な調査を実施することを検討してまいりたいと考えております。

田村(憲)委員 名簿の着手率を調べるだけじゃなくて、今ちょっとお話があったと思うんですが、これが必要な方々にちゃんと開示されていっているかどうか。もちろん、個人情報ですから、センシティブな問題はあると思うんです。御本人の同意も得なきゃいけない。同意を得るのも大変なんですよ。例えば障害者の方ですと、障害者手帳もしくは例えば自立支援給付等々の情報から、どこにだれだれがどういう障害でお住みかということはある程度行政情報を持っておられると思うんですが、それを同意を得ようと思えば、これはその担当部局が行かなきゃいけないという話になりますからね。ほかの部局が行ったら、その役所の中での情報漏えいになっちゃいますからね。

 だから、これは非常に大変な作業なんですけれども、どういうやり方をするかどうかというのもガイドラインもつくっていただかなきゃいけないと思います。その上で、ちゃんと情報開示がされているかどうかということも含めて、実際この制度が動くかどうかということも含めて、調査を早急にしていただきたいな、こんなふうに思います。答弁をいただきたいと思います。

 もう一点。これは内閣府の方でございますけれども、ガイドラインを以前つくられましたが、今回の大震災を受けまして、そのガイドラインもこれからこの震災を検証する中で見直しをしなければならないというふうに思うんですが、やはりこの問題、以前も指摘をされておられますが、もうちょっと強い口調で具体的に今度の改定をされるガイドラインにはお入れをいただかなきゃならぬというふうに思うんですが、その点も含めて、お二方から御返答いただきたいと思います。

佐々木政府参考人 名簿の作成の本来の目的がちゃんと機能することが必要だ、こういうふうに思っておりますので、先ほど申し上げましたように、まずは情報の共有状況等を調査させていただきまして、必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの災害時要援護者の避難支援ガイドラインでございますけれども、この中では要援護者情報の共有方法といたしまして、先ほど消防庁からもお答えがありましたような同意方式のほかに、関係機関共有方式とか、あと余り効率的でないかもしれませんが手上げ方式とか、いろいろな方式を提示して市町村の取り組みを促進しているというところでございます。

 さらに、私どもとしましては、これまで、それぞれの方式につきまして先進事例の事例集を作成して情報提供して、それを活用していただいてそれぞれの市町村が御判断いただけるような取り組みもしてまいったところでございます。

 引き続き、関係省庁とも連携しながら、まずはこのガイドラインの一層の浸透を図りながら取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。

田村(憲)委員 よろしくお願いしたいと思います。

 この要援護者のかなりの部分が、大臣、厚生労働省所管の方々になってくると思います。担当部局とよく御相談をいただいて、こういう問題に対してしっかりと対応できるように、また、どういうところに問題があるのかということも含めて整理をいただいて、各省と連携をいただきながら対応をお願いいたしたいというふうに思います。これは御答弁は結構でございます。

 それでは、本委員会の質疑をすべき法案に入っていきたいというふうに思います。

 まずは、求職者支援法の方から入ってまいりたいというふうに思います。

 これも我が党の加藤委員から前回質疑があったところなんですけれども、今回の求職者支援法の財源に関しまして、我々がやってきた制度は国庫で基金に積んだ、しかし今回の求職者支援制度は国庫と雇用保険とほぼ半分でお金を入れてこれを進めていくという話でございますが、この事業を雇用保険の附帯事業とした、これは何でなんですか。どういう理由なんですか。

細川国務大臣 これは委員も大体御理解をいただいておりますけれども、今、緊急人材支援事業、これを行っておりまして、その実績を見ますと、雇用保険の受給終了者、その人たちがこの事業でやっている、これが大体六割を超えております。それから、この求職者支援制度、これを利用して職がない人がきちっと就職していけば、これは雇用保険の被保険者数、数もふえますし、雇用保険の財政の方も安定する、そういうところにも寄与するということ、そういうことを考慮いたしまして、そこで雇用保険の附帯事業という位置づけをしたわけでございます。

 しかし、すべて財源は雇用保険というわけではなくて、国庫の方から二分の一、そしてあとの二分の一を雇用保険の附帯事業で、こういうことでございまして、雇用保険の四分の一から比べますと、二分の一ということで、国が相応の負担をする、こういう制度にしたわけでございます。

 この点についてはいろいろ御意見もございます。これも承知をいたしております。また、審議会の方からは、この点についてもなかなか厳しい建議もございました。そういう意味で、この法案では施行後の三年の見直しの検討事項も織り込んでおりまして、それに基づいてまた検討もさせていただく、こういうことにいたしているところでございます。

田村(憲)委員 もともと、対象者が「雇用保険を受給できない者」と書いてありますから、本来雇用保険の対象じゃない方々という話で進めていくわけなんでしょうけれども、今の大臣の御答弁をお聞きしていますと、何か苦しいなと。だって、これで動いて、勤めたら、要するに雇用保険の対象者が減るというか、給付の対象者が減るだとか、そういう何か変な理屈をつけながらお金を出しているという部分は、非常に違和感を感じます。

 実際、私は理解しておりません。しておりませんが、多分、雇用保険というものにかかわる対象者といいますか、遠い意味での、広い意味での対象者を、今までと哲学を変えたのかな。だから、今まで基金事業は全額国庫でやっていたのを、今回、二分の一国庫を入れて、二分の一は雇用保険というようなそんな制度に変えたのかなということでありまして、そこは一つ考え方の整理がされたのかなというふうな気はいたします。

 いずれにいたしましても、では、その範囲がどこまでなのか。どこまでの方々が雇用保険の対象か。だって、これは雇用保険と同じような負担率じゃありませんものね。それよりかは国庫負担が多いわけですものね。だから、そこはまた雇用保険とは違うわけですよね。雇用保険と関連はする附帯事業ではあるけれども、一〇〇%の雇用保険じゃない。だから附帯事業なんですよね。そこの、雇用保険と絡む方々はどの範囲で、絡まない方々がどの範囲だから、国庫負担が雇用保険より多いんですよという理屈が本来はあるんだろうと思うんですよ。そこの整理はこの法律は今のところできていない、この制度はできていないということでございます。

 我々も、参議院のときのマニフェストに、我々がやってきたこの緊急人材育成支援事業、これを恒久化するということを書いておりますので、そういう意味では、そう簡単に反対できないなという部分がございます。一方で、今言った財源の整理ができていないというので、本当は痛しかゆしなんですよ。だけれども、三年後の見直し規定がある。ただ、そこには財源のことは何も書かれておりませんから、我々、修正をさせていただいて、そのような修正がしっかりと各党の御理解をいただけるのであるならば、この法案に対して賛成の意思表示をしていくべきなのかなというふうな、今そんな感想を持っておるような所存でございます。

 ぜひとも、三年後、見直すときには、この財源の問題、財政をどうするんだという問題、ちゃんとある程度雇用保険と国庫の理屈がつくようにここの仕分けをしていただきたいなと思いますので、お願いをいたしたいというふうに思います。

 続きまして、資料を見ていただきますと、こういう資料のちっちゃい縮小版が載っていると思うんですが、求職者支援制度と緊急人材育成支援事業との違いというもの、これを整理しております。

 その中で、訓練の類型というのがございまして、緊急人材育成支援事業の方では、Aグループ、Bグループというふうに分かれていまして、職業横断的スキル習得コース、それから基礎演習コースというのがAグループ、実践演習コース、社会的事業者等訓練コースというのがBグループ。二つあるんですね。これが求職者支援制度では、認定訓練1、認定訓練2というふうに分かれるんです。これは、Aグループがこの1に行って、Bグループが2に行ったというふうに理解していいのでございますか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 今、この資料にありますように、横断スキル習得訓練コース、それから基礎演習コースが新訓練の一番、それから、新訓練の二というものにつきましては、この横断的スキルコースの一部もこれになります。それから、実践演習コースあるいは社会的事業者コース、こちらが新訓練の二の部分に入るということになろうかと思います。

 今、四区分で類型化を、細分化をしておりますけれども、今回の新制度ではそれを大きく二区分にして、基礎的な部分のみを教えるコースと、それから基礎から実践まで一括して教えるコース、こういうふうに類型区分をするということでございます。

田村(憲)委員 なかなか理解できないところがあったんですけれども、以前のAグループ、Bグループというのは、基礎的な演習と実践的なものとが分かれていた。しかし、今回は、ここに「基礎的能力から実践的能力までを習得」と書いてありますけれども、要は下から上まで一気通貫で学ぶコースもできたので、Aグループ、Bグループに対応して1、2ができたんじゃなくて、そこはある程度横断的に移ったというふうに理解していいということですね。すると、そのままじゃないということですね。

 それで、これを見ていて私がちょっと気になったのは、その下に書いてある「認定訓練1→公共職業訓練の連続受講も可能」というのと、それから緊急人材育成支援事業の方は「Aグループ→Bグループ→公共職業訓練の連続受講も可能」というふうに書いてあります。これは実は、何か似ているようで似ていないんですね。

 何を言いたいかといいますと、次のページ、配付資料三を見ていただくとわかるんですが、これが新訓練等の体系です。要は、新訓練1から公共職業訓練には行ける、ところが2からは行けないという話になるんですね。そういうことでいいですよね。

 ところが、前回はAグループ、Bグループから公共職業訓練の連続受講も可能だったということでありまして、Bグループは実践演習コースというのでかなり熟練度が高いコースですよね、ここから公共職業訓練に行けたわけです。前回は、ある程度の能力からさらに能力を高めて、より就職しやすいように、より処遇のいい職場に行けるように公共職業訓練を受けて、そして就職という道筋がとれたのが、今度は新訓練1という、基礎的能力の習得、比較的低いところからしか公共職業訓練に行けない。

 すると、新訓練2、これも能力的には段階があると思います。一番上まで、つまり、公共職業訓練を受けてある程度の能力をつけられた、その上まで行く人もいれば、そうじゃない途中、この絵の中に矢印がありますよね、一番右の矢印は一番低い、こういうところでこの新訓練2を終える方々もおられるわけですよ。こういう方々は公共職業訓練は受けられない。

 前回の制度の方がより高い能力を身につけるチャンスがあったというふうに私は受けとめてしまうんですが、なぜ新しい新訓練の制度では以前のようなコースをなくしてしまったんですか。

小野政府参考人 お答えをいたします。

 今委員御指摘のように、今までは、緊急人材育成事業については、できるだけ幅広くいろいろな訓練機会を持ってもらおうということで、基礎から実践、さらには公共訓練と、いろいろな受講を認めてきた。

 その結果、実は、この基金訓練につきましては、基礎的な訓練が終わった後、次の実践的な訓練を受ける間に、つまり、別のコースをまたあっせんしていくというようなことになりますので、どうしても間隔があいてしまう、そこでやはり能力の習得に時間がかかる場合があるというようなことがわかってまいりました。

 それからまた、一つの訓練コースの修了者でも一定の就職実績、先ほど、全体の平均で六八・八%まで来ている、あるいは基礎演習コースでも七割を上回っているという実態が、平成二十一年七月からこの訓練を実施する中でわかってまいりました。

 今回の二類型に区分を分類し直すということも、そういうことを踏まえて、この新しい制度では、たくさんの訓練コースを、四つすべて設けるというのではなくて、一つのコースで一貫して基礎的なものから実践能力まで習得していただける訓練コースをできるだけ中心にしてまず組もうというふうに考えたわけです。

 そうしますと、今先生がおっしゃるように、確かに基礎から実践までで個々人でいろいろな差が出てくるということはあると思いますけれども、一つの類型的な考え方としては、こういう一貫した訓練と公共職業訓練との連続受講の問題につきましては、やはりいずれの訓練も実践的な能力を付与するという面は色濃く持っているということと、それからさらに、公共訓練というのは一年まで基本的に認めておりますので、こちらの新しい新訓練が三カ月から六カ月ぐらいを標準にしている、そうしますと、さらにそういう連続受講を認めるということになれば、この訓練期間が長期間にわたることになりまして、もちろん訓練を受ければ受けるだけ技能も向上すると思いますけれども、一方で、今回の対象者の方はできるだけ早期に再就職していただかないかぬということを考えて、今回、連続受講というものは認めないことにしたんです。

 ただ、もう一つの基礎的な能力のみを付与する訓練の方については、当然、より実践的な公共訓練に連続受講を認めるということにしております。

 この点につきましては、実は労働政策審議会の方でもいろいろな角度から議論をいただきました。これは報告にも出ておりますけれども、やはり訓練修了後はできるだけ早期の再就職をしてもらうという観点から、こういう基礎的な能力のみを付与する訓練の場合は公共訓練を受けてもらってもいいけれども、それ以外のものはやはり連続受講は認めないということが適当なんじゃないか。ただ一方で、ハローワーク等を通じてこの就職促進というものは今までの基金訓練以上に体系的、組織的な取り組みをするように、こういう御指摘、御報告がありましたので、そういうものを踏まえて今回の整理にしたということでございます。

田村(憲)委員 先ほど、今の制度の中で非常に就職率が高い、そういうお話が副大臣からありました。制度を変えて、これはよかれと思ってやられているんだと思いますが、三年後の検証の中で、もし今よりも就職率が落ちるんだというようなことがあれば、また、就職した内容もあると思います、そういうものを検証していただいて、問題があればまた見直していただきたいというふうに思います。ちょっと私は解せない部分がありましたので、この部分を質問させていただきました。

 さて、次のページをめくっていただきますと、給付要件というのがあるんですね。求職者支援制度、この下から三つ目の丸ですね。「本人及び同居の親、子、配偶者に一定の金融資産(三百万円)がないこと」。右の緊急人材育成支援事業は、これは「八百万円以下であること」。その下は、両方とも同じですね。「現在住んでいる土地・建物以外に、土地・建物を所有していないこと」。こういうような要件がかかっております。

 これは、平時はそうだと思うんです。問題は、今震災地がどういう状況なのかと考えたときに、言うなれば、この要件で本当にこの制度の恩恵が受けられるかどうか。金融資産が八百万円ある人でも、もう家も何もかも全部吹っ飛んじゃって、借金だけ残ったという方も今おられます。これが三百万円になれば、さらに厳しい状況になりますね。それから、現在住んでいる、避難地が現在住んでいるところになるかどうかわかりませんが、例えば親類の家に現在住んでいる、家、土地はあるんだ、しかし、実際問題、家は泥が入って使える状況じゃない、こういう方々もおられると思います。

 これは、新しい法案もそうなんですけれども、そもそも緊急人材育成支援事業も、被災地で十分使えるような要件の緩和がなされているのかというと、どうもまだそうはなっていないということでございます。大臣、これは、ちょっとこの要件の緩和をしていただいて、被災地の皆様方が、まだこれは我々がつくった制度もあと半年残っていますので、ぜひともこの制度を使いやすくしていただくように。それから、新法も、早目にここは対応できるようにしていただきたいというふうに思うんですが、いかがですか。

細川国務大臣 これは田村委員が言われるとおり、震災で被害を受けた方、とりわけ津波なんかで被害を受けた方は、もう一切合財すべてゼロになっております。そういう方がこれまでに収入は幾らあったかということなんかは、それは考慮したらだめだというふうに私は思います。

 いろいろ御提案をいただきましたので、それについてはしっかり検討して対応していきたいというふうに思います。

田村(憲)委員 緊急なことなので、よろしくお願いをいたしたいというふうに思います。

 幾つかまだ残っておりますが、時間が迫ってまいりました。あと一、二点御質問させていただきたいと思います。

 求職者支援法では十万円出る。以前のものは、世帯主、家族がいれば十二万円だったんですが、今回は一律十万円。これも何でかなという整理が私の頭の中ではちゃんとされておりませんし、きのう役所の皆さんと話しても、なかなか納得のいく説明じゃなかったなというふうに思うんです。

 それもそうなんですけれども、さらにわからないのは、以前にも、古屋先生でしたか、御質問になったと思います。求職者支援制度の中においての給付が十万円であるのに、雇用保険の失業給付が十万円以下の方々がおられる。これは全く理解ができない話でありまして、雇用保険の権利があるというならば、その方が雇用保険の権利を放棄すれば、こちらの世界に入ってくれば本来十万円出てもおかしくないんじゃないですかというふうにきのう担当の方にお聞きしましたら、それはできないんですと。そんなことは多分想定されていないんでしょう。

 この制度、とりあえず続けなきゃいけないので、この法案、ここの穴はある程度目をつぶりながらきょうは賛成しなきゃいけないのかなとは思っていますけれども、ここは早急に直していただかないと、本来雇用保険に入っていないような方々のセーフティーネットでこれはつくるわけですよね。なのに、雇用保険に入っている方々がこれよりも余りよくないスペックで失業給付を受けなきゃならないというのは、どう考えても矛盾を感じるんです。

 大臣、この点、早急にお直しをいただけるということで私は理解してよろしゅうございますでしょうか。

細川国務大臣 この点につきましても、以前にも質問をいただいたところでございます。

 この十万円にしたということについては、これは、今の基金事業でも十万ということで行っておりましたので、同様の十万というふうにしたわけでございます。したがって、雇用保険の給付とそこで逆転のような場合も、これもあり得るところでございます。

 そこで、雇用保険の給付というのは、これは所得保障としての賃金を基準としまして、世帯の状況とは関係なく給付をするものでございます。一方、求職者支援制度は、雇用保険を受給できない者を対象に、訓練を受講しやすくするために、世帯の所得要件なども課した上で生活支援を行うもので、これは趣旨、制度が異なるというところでございます。

 しかし、委員が指摘されました点については、労働政策審議会の方でも、この建議で、「雇用保険の給付と求職者支援制度の給付のバランスについては、引き続き検討する必要がある。」こういう強い指摘もいただいておりますので、これについては、委員の御指摘のように、この制度創設後も引き続き検討したいというふうに思っております。

田村(憲)委員 早急にお願いします。自分が雇用保険の権利を放棄してもいいと言われる方がいた場合、いや、あなたは、そうはいったって権利があるんだから、まずそちらの少ない方をもらってくれよなんて、どうも理屈が通らぬなとしか思えませんので、これは整合性をつけていただく必要があると思います。よろしくお願いいたしたいと思います。

 最後に、今回の震災で雇用がたくさん失われました。そういう中において、派遣業者の方々が、今、大きな役割を担おうと、一生懸命努力をされておられます。

 大臣も、次の配付資料四にあるんですけれども、この四で大臣が業界の方々と写真に写っておりますけれども、人材派遣業界への要請ということで、被災した労働者、求職者の就業先の確保、求職者の希望や適性に応じた的確な職場の紹介、また、復興に取り組む企業の人手不足の解消など必要な人材の確保等々、大臣の方から業界に要請をされておられるわけですね。それだけ人材派遣業界、特にこういう緊急時には大変な力を発揮します。今、一生懸命、現地のニーズというものも、いろいろと厚生労働省の方で基準緩和していただいて、特例で入ってもらってもいいというようなこともしていただいたようでございますので、今入って、いろいろなニーズを聞き取ろうという努力もしております。

 一方で、瓦れきの処理等々でこれまた大きな役割を果たしておりまして、その地域の方々を行政が雇って、そして瓦れきの処理をしておられる、こういうところもありますが、なかなか進まないようであります。それよりかは企業が、例えばスーパーだとかレストランが人材派遣に頼んで、人をとりあえず集めてもらって、そして瓦れきを処理して営業を再開したりなんということもたくさん起こっておるようであります。そういう意味では、これはどういう方々がこれによって作業をされておられるかというと、登録型、日雇い派遣の方々なんですね。大きな役割を果たしているんですよ。

 そこで、大臣、労働者派遣法、ずっと、審議をやってくれ、やってくれという話がございます。けれどもこれは継続になっておりますが、こういうものに関して、やはり、今こういう震災時にこれだけの要請をされて、派遣業者を頼りにされているわけですから、これが終わった後、やはりあの法案はしっかりと早急に通すんだというんじゃなくて、大変な大きな役割を果たしている部分がある、だからこの法律も見直さなきゃいけないというふうにはっきりここで言っていただく必要があると思うんです、要請されているんですから。そこの思いを、大臣、ちょっとここでお答えをいただいて、私の質問は終わりたいというふうに思います。

細川国務大臣 労働者派遣の問題につきましては、これはこれまでたびたび申し上げておりますけれども、いろいろな問題があるということで、労働者派遣法の改正案を国会に提案をさせていただいております。ただ、私どもも、派遣制度そのものをすべて否定しているというところではございません。

 今回この大震災で職を失った皆さん方は、本当にたくさんおられます。そういう人たちの生活の糧としての仕事というのを提供していただく。私は、この際は本当にあらゆる方のお世話になって仕事を見つけていただく、このことが大事じゃないかというふうに思って、今回も、派遣業者、人材ビジネスをされている皆さんにも、この際、被災地の被災された方にどうか仕事ができるような、そういうお願いもさせていただいたところでございます。

 だから、今回は全く緊急といいますか非常時でありますからお願いしたわけで、派遣法の問題点そのものがなくなったというわけではないというふうに思いますので、そういう意味で派遣の業界の皆さんにも今回はお願いをいたしたところであります。それに対していろいろと仕事を見つけていただいていることについては、私も、それはそれで感謝をいたしているところでございます。

牧委員長 次に、長勢甚遠君。

長勢委員 おはようございます。

 このたびの求職者支援制度でございますけれども、皆さん御案内のとおりに、リーマン・ショック後の大変緊急のときに、自公政権では時限的な緊急人材育成・就職支援基金制度というものをつくって、それなりに大きな効果があった、意義があったと私は思っておりますが、これを今回このように求職者支援制度に変えるということでございます。

 政府は、前の基金制度を途中でやめて、またさらにそれを追加するとか、大変行ったり来たりのわけのわからないやり方をして今日に来ているわけですけれども、何でこの基金制度がだめで支援制度にしなきゃならないのか。何か基金訓練ではまずい点があったということなのか、あるいは、ただ自民党の政権でつくった制度はけしからぬからやめるんだというだけのことなのか、そこのところを、何のためにこの基金訓練を変えるのか、その理由を教えてください。

    〔委員長退席、郡委員長代理着席〕

細川国務大臣 今の基金事業、緊急人材育成支援事業というのは、平成二十一年の七月から始まっておりまして、前政権、自公政権のもとで始まった制度でございます。

 これについては、大変利用者も多くて、これまでに三十三万人の方が職業訓練を受講して多くの方が再就職に結びついたということで、大きな成果を上げているところでありまして、私どもも、この基金事業が、いわば雇用保険と生活保護の間にいるそういう方々に対して再就職、これをつくり上げてきたということについては、本当に大きな成果があったというふうに思っております。

 したがって、こういういい成果が上がったこの事業については、むしろこれを恒久化する、こういうことがいいのではないかということで、この恒久化制度ということで今回、求職者支援制度ということで提案をさせていただいているところでございます。

長勢委員 端的に言えば、臨時、限時的なものを恒久化するというところだけが違うということですね。つまり、中身はほとんど変わらないけれども恒久化をしたという御答弁だと受けとめてよろしいですか。

細川国務大臣 中身につきましては、これまで行ってまいりました緊急人材育成支援事業、この事業の成果を踏まえて今回の求職者支援制度になっておりますので、そういう意味では、中身についての基本的なところには変わりはないところでございます。そういう意味では、今までの臨時特例的な事業を恒久的な制度にしたということで御理解いただければと思います。

長勢委員 基金訓練は、リーマン・ショックのときの大変な雇用失業情勢の中で臨時にやったところに、制度として特別の制度を特につくったところに意味があったということだと思います。

 現在の状況をどういうふうに評価するかはいろいろありますけれども、もし今も大変な状況だということであれば、その基金訓練を延長すれば足りる話であって、わざわざこういう恒久化をする必要がどうしてあるのか。本来、働く方々も、みずから自己研さんをして働く努力をするということが基本であって、それを、平時においてもそういうことと関係なくこういう制度を設けるということは、モラルハザードを起こすという意味でも恒久化というのは不適切だ。もしここでその必要があるのであれば、この基金訓練を延長すれば足りるのではなかったのか。

 それをして、未来永劫いかなる事態でもこういう制度を設けておくということを考えるのは、もともとの考え方と基本的に思想が違う、このように思いますが、いかがですか。

小林大臣政務官 大臣が答弁されたことに尽きますけれども、改めて私の方から考え方を申し述べます。

 三人に一人が今非正規労働という形になっておりまして、雇用保険を受給できない方々が生活保護に至ることのないようにしていくことが必要だと考えています。したがって、雇用情勢が厳しいときだけでなくて、恒久的にセーフティーネットを強化する必要が生じている、このように受けとめております。

 このため、雇用保険と生活保護の間をつなぐ新しいセーフティーネットを構築することとして、雇用保険を受給できない求職者を対象として求職者支援制度を創設するものでございます。

 急激な景気の低迷だとか、雇用失業情勢の悪化等への一時的な対応ではないことから、予算措置である基金事業の延長でなく、法律に基づく恒久的な制度とする必要がある、このように考えて、今回提案をしている次第でございます。

長勢委員 先般、雇用保険の対象者の数も拡大をしたとか範囲も拡大したところでございまして、そういう意味で、それにもかかわらず、雇用保険の資格を持たないあるいは入っていないという人がおるというのは、もちろんいろいろな方がおられますけれども、ひとえに本人の努力の足りないということも私は大きな影響が出てきているんだろうと思うんです。

 そういう中で、それを安易に甘やかすようなこういう恒久化というのは、私は、日本の文化というか、働く方々の職業意欲というものをあいまいなままにしておくという意味でも非常におかしいことだ、このように思っております。

 では、ちなみに聞きますけれども、雇用保険の受給者でない、入っていない、こういう方々に対する制度として何かあるんじゃないんですか。今、職業転換給付金というのがあると思いますが、なぜそれを拡大しないで、こういう特別の法律をつくるんですか。

細川国務大臣 今委員御指摘がありました職業転換給付金、これを適用して、あるいは拡大して、こういうこともあるんではないかということでございますけれども、この職業転換給付金というのは、障害者などの就職が特に困難な失業者に限定をいたしまして、その知識や技能習得を容易にする、そのために公共職業訓練等を受講する場合の特別の手当を設けている、こういう制度だと思います。

 今回の求職者支援制度は、広く雇用保険が受給されない人を対象にして、雇用保険と生活保護の間をつなぐ新たなセーフティーネットというのを構築するものでありまして、職業転換給付金制度の趣旨から、これを拡充するというような対応はとらなかったところでございます。

 ただ、委員が御指摘のように、モラルハザードが生じるということについては、これは私は、厳に慎むというか、しっかりそこは対処しなければいけない、こういうふうに思っております。

 これは本当に大事なことでございまして、そのためには、毎年、国と都道府県のレベルで訓練の量や訓練コースについて訓練実施計画を策定して、訓練の実効を上げる。それとともに、ハローワークでの訓練受講前から訓練修了後までの相談あるいは支援を徹底するということ。また、訓練開始後、その対象者が就職支援計画に沿った支援というのに応じないような場合は重いペナルティーを設けて、そういう熱心に就職に向けてやっていないような人に対してはペナルティーを加え、そして一方で、一生懸命、就職をしたいという意欲のある方については支援をしていく。

 こういうことに努めていきたいというふうに思っておりまして、委員言われるように、このモラルハザードについては、私は、厳にしっかり対応をしていくということが大事だというふうに思っております。

    〔郡委員長代理退席、委員長着席〕

長勢委員 生活保護に落ちないようにというさっきの政務官の御説明でございましたけれども、生活保護についてもいろいろな評価が今あるわけですね。本来生活保護でない方々も受給しているのではないかといったような問題も指摘されておる中で、その間をつくるということは、いかにも格好はいいんですけれども、きれいに見えますけれども、逆に言うと、第二の生活保護にどんどんどんどん人が入り込むということを容認すると言うに等しいと私は思います。

 つまり、本来就職意欲も不十分な方が安易に生活保護的な求職者支援制度というものに入り込んでくる、そういう意味でも、職業意欲を堅持していく中では、この恒久化というのは大変不適切な制度だというふうに私は感じております。

 そしてまた、今、転換給付金について大臣からも御答弁いただきましたけれども、今の制度は相対的に就職が大変困難であろうという方々を対象にしておるわけですけれども、今非正規という方がたくさんおられるということであるならば、その方々を何らかの形で類型化して、そういう本当に困っている方々を職業転換給付金として拡充するというのならまだ理解もできると思うんですけれども、単に基金訓練を恒久化するというのは、非常にばらまき的な、安易な制度だというふうに私は思います。そういう意味で、非常に疑問を強くするものでございます。

 モラルハザードの話もいたしましたけれども、訓練をしっかりやって早く就職したいという意欲のある人であれば非常にいいんですけれども、中には、そういう意欲も余りなくて、給付金目当ての者も出てくる可能性が高いと私は思うんです。

 基金訓練では、なぜそういうことも目をつぶってでもやったのか。というのは、やはり非常に就職状況が厳しい状況だったから、それに一々構っておられないという状況でああいう制度をつくったんだと私は思うんです。

 しかし、平時にこれをやるのであれば、この支援制度の対象になろうという人が、就職意欲が本当に強いのか、あるいは、それをきちんとやるのかということは相当厳格な審査が必要であると思いますし、また、そういう者が、いいかげんな人たちが排除できるような、もっと厳格な枠組みをつくることが必要だと思いますが、そこら辺はどのように対応してあるんでしょうか。

細川国務大臣 委員おっしゃるとおり、給付金目当てのような者に対しては、本来この制度は利用してもらっては困る、また、させないようにしなければならないというふうに考えております。

 そこで、就職支援を一層強化するために、ハローワークの方では、対象者に対して個別に就職支援計画を作成いたしまして、訓練受講中及び訓練修了後も定期的にハローワークに来所を求めまして、そして訓練修了後も、必要な場合には担当制も用いて支援を行っていくという方針でございます。

 また、訓練開始後に対象者が就職支援計画に沿うような形の態度を示さないような場合、本人が支援に応じないような場合には給付を支給しないということや、また、支給した額の三倍までペナルティーで返還、納付の対象とするというようなことで、厳正に対処したいというふうに考えております。

 そういう意味で、私としましても、委員も言われるように、モラルハザード、これだけは、しっかりと対応して、そのようなことがないようにやっていきたいというふうに思っております。

長勢委員 理屈というか、話としてはおっしゃることはわかりますけれども、現実に、安定所の、ハローワークの窓口でそんなことがきちんとできるわけがないというのは実態として明らかなわけですよ。就職したいと言っているのに、したくないだろう、そういう意欲が欠けているだろうと言うのは、安定所では実際はできないんですよ。そういう実態を踏まえてこういう制度というのは考えなきゃいかぬ。

 だから、恒久化をすれば、そういう方々が大手を振ってこういう制度に入り込んでくるということは、私は、現実にはほとんど避けることはできないだろうと思うんです。そういうことを踏まえて制度というのは考えなきゃならない。現実にできないことをべらべらとおっしゃっても、私はほとんど信用できないなという気がいたします。

 ちょっと話題をかえますけれども、この制度は、先ほど田村議員からも御質問がありましたが、雇用保険が二分の一、一般財源が二分の一という制度になっているようでございます。

 雇用対策は、基本的に雇用保険財源で対処すべき対策と一般財源で対処すべき対策というものに分けられておると思うんですけれども、これはどういう基準で分けておるのかということについて、大臣の所感をお願いいたします。

細川国務大臣 一般会計とそれから労働保険特別会計で行う事業とをどういうふうに分けているか、こういうことでございます。

 一般会計で行います雇用対策というのは、就業経験が乏しい障害者とか新卒者向けの対策とか、あるいは雇用保険の被保険者とならない高齢者対策とか、そういう人たちでございまして、国民全体で共同連帯ということで対処すべき、そういうのが適切な事業、雇用対策というのは一般会計というふうに考えております。

 一方、労働の方の特別会計につきましては、雇用勘定で行う雇用対策につきましては、失業の予防、あるいは雇用機会の増大、そして労働者の能力開発等を図るものでございまして、失業等給付をなるだけ少なくする、抑制を、そういう観点から雇用保険の被保険者等を対象とする事業を行っているものでございます。

 雇用勘定におきましては、労働者や事業主の理解を得られる事業を実施していくことが当然必要でございまして、一般会計、雇用保険勘定、それぞれの趣旨を踏まえて、効果的な雇用対策を実施していかなければいけないというふうに考えております。

長勢委員 るる御説明いただきましたけれども、そんな難しい話ではなくて、雇用保険の被保険者あるいは雇用保険の受給者については雇用保険財源で対策を講じていく。それから、そうでない者、つまり雇用保険の受給者あるいは被保険者でない者は一般会計で対策を講じていく。それによって、両々相まってこういう対策を万全なものにしていくというのが考え方の基本というか、それに尽きるということだと私は理解しておりますが、そういうことでいいですか。

細川国務大臣 基本的にはそのようにお考えになって結構だと思います。

長勢委員 やはり私は、労働政策を財源的にもきちんとしていくためには、この区分をきちんと守っていくことこそが大事だと思うんです。これは、何か財政当局の思いもあるでしょうし、それに対する厚生労働省側の反論がどの程度有効に行われているのかという問題もあって、どんどんその垣根が取っ払われつつある。わかりやすく言うと、雇用対策はほとんど雇用保険財源に依存してきてしまっておるということについて、私は大変危険なものを感じております。

 そういう中で、今度の制度も、本来一般財源で見るべき政策を雇用保険との折半にするというのは、まことにけしからぬ話だと私は思うんです。ちなみに、基金訓練は全額国庫負担というか一般財源でやっておったわけでございますが、にもかかわらず、それとほとんど、先ほどの御説明のとおり、基金訓練とは実態的に変わらないという制度であるにもかかわらず、恒久化するから、何で突然に一般会計ではなくて特会と一般とが折半ということになるのか。これは全然理由がわかりません。というよりも許しがたいことだと思いますが、いかがですか。

細川国務大臣 この点につきましては、これまでにもいろいろと御説明もしてまいりました。

 先ほどの、一般会計か特会か、その区分についてはどういうところで分けるか、こういうことの基準でいきましたならば、当然、長勢委員の言われるとおり、一般会計でこれも負担すべきではないか、確かにそのような議論になるというふうに思います。

 しかし、今回のこの求職者支援制度を恒久化するに当たりまして、この基金事業をずっと実績を見てまいりますと、雇用保険の受給を終了した人が六割以上だ、こういうこと。それから、この求職者支援制度でしっかり再就職をしていただくことによって、被保険者の数もふえるし、労働保険特別会計の方の財政にも寄与していくというようなことも考えて、雇用保険の方の附帯事業、こういうことにさせていただいたんですけれども、それでも国庫の方は二分の一を負担させる。これは、雇用保険に対する四分の一よりは多く負担をさせていただく、こういうことになっております。

 それでも、私は委員のおっしゃることも一方でよく理解もできるところもございますし、また、労働政策審議会の方からは、建議の中で、このことについては厳しい内容の建議もいただいているということもありまして、この法律が施行された三年後にはいろいろとまた見直しをしていく、こういう規定も置かせていただいているところでございます。

長勢委員 全く納得ができません。財務省の理屈にすぎないというか、大変言葉が悪いかもしれませんが、泥棒にも三分の理屈みたいな説明であったような気がいたします。

 今の御説明でいったら、雇用保険財源で見るべきでない労働者というのは、日本人一人もいなくなりますよ、そんなものは。それは全部、何か、いずれ働くであろうとか、過去に働いておったとかというのであれば、みんなそうなっちゃう。ということは、もう雇用対策というのは一般財源でやらないんだというだけのことになってしまうので、そんな弱気な話を大臣にされるのは非常に残念に思います。

 至急、この点は直すべきだ。三年だ、へったくれだという話じゃないです。まして、恒久化をするためにそういう無理なことをしなきゃならなかったということであるから、なおさらのこと、私は、恒久化はするべきではなかった、政策的にも財源的にも、まことにナンセンスなことだなと思っております。

 そのことを申し上げて、ちょっと震災対策について、もう時間がございませんので、まとめて御質問させていただきます。

 自民党から政府に提案をしておりますけれども、大震災対策として、失業給付期間の延長が必要なのではないかということを提案いたしておりますが、それはどうなさるお考えがあるのか、お聞かせをいただきたい。

 また、被災地の方々について失業給付の延長をするということであれば、被災地については休業中であっても失業給付を支給するということに特例をやっているはずでございますが、その分についても延長をしていただきたい、このように思いますので、お願いをいたします。

 それから、特に被災企業については、雇用調整助成金が活用できるように、ぜひ特例的な措置を、要件、手続の緩和を図っていただきたいと思いますが、お考えをお伺いいたします。

 もう一つ、被災地の方々、全国に今散らばっておられるんですね。私どもの富山県にも、現時点ではわかりませんが、一時期は五百人ぐらいもお見えになったと聞いておりますし、その中には、長期間富山におらざるを得ない、おるという方も出ておられるわけで、この方々には、やはり住まいだけではどうしようもないので、働いてもらわなきゃならないわけでございます。

 全国的にそういう場面が起きておるんだと思うんです。そういう方々を、つまり、被災地から来られた方々をその地元で雇う場合には、なるべく雇いやすいようにしてあげる。つまり、雇用助成をするという制度をこういう方々にも適用できるようにしたらいかがかと思いますが、大臣の、ひとつ、ぜひいいお答えをいただきたいと思います。

細川国務大臣 委員から、被災者に対しての手厚い支援をということで、たくさんの御提言をいただきました。

 まずは、雇用保険の方の給付の問題でございます。

 震災によります災害救助法適用地域の事業所に雇用されていた労働者が震災によってやむを得ず失業した場合には、現行の個別延長給付、これは原則六十日、これに加えて六十日分の個別延長給付を実施する、こういうことにいたします。このことは、昨日閣議決定しました特別措置法にも盛り込んだところでございます。

 そして、今お話のありました、震災によって休業になった、そういう人たちに対しても、この給付日数のさらに延長措置というのも対象にする、こういうことでございます。

 また、雇調金についての緩和につきましては、これは今回特例といたしまして、要件を、大変思い切った緩和をいたします。それで雇調金の適用をいたしまして、従業員の雇用の維持を図っていただくということにさせていただいております。

 また、雇用に関しては、例えば富山の方に被災の方が行かれているような場合でも、いろいろな特例をつくっておりまして、特定求職者雇用開発助成金というのがございます。これは、就職が困難な方を雇い入れていただきましたときには事業主に助成をする、こういう制度でございますけれども、この制度を拡張いたしまして、震災時に被災地域に居住していた方と、そして、震災時に被災地域に所在する事業所に勤務をして、今回の震災で離職を余儀なくされた求職者、このような方を雇っていただく場合には、その企業に対して特別の助成をするということも認める、こういうこともさせていただくことにしたいというふうに思っております。

 そういうことで、いろいろと委員が御心配いただいて御提言をいただいていることについてはしっかり対応してまいりたい、このように考えております。

長勢委員 終わります。

牧委員長 次に、松浪健太君。

松浪委員 自由民主党の松浪健太であります。

 今回の特定求職者の就職支援に関する法律案について、今も長勢委員の方から厳しい指摘がありました。第二の生活保護をつくるだけでは不適切だという厳しい指摘もありますし、私もそれはそうだと思いますけれども、一方で、やはり第二のセーフティーネットを整備していかなければならないということは、これは私は間違いのない路線だと思います。

 しかしながら、違和感を感じますのは、先ほどから議論を聞いていても、生活保護に落ちるという言葉がよく使われる。厚生労働省の皆様も、生活保護に転落するということは役所の皆さんも割とよく使われる言葉であります。生活保護というのは、そもそも転落、落ちて使われるものであってはならないというふうに私は思います。

 しかしながら、国会議員であればだれしもが地元を回るわけであります。国民の皆さんの生活保護に対する不信というものは、私はもう本当に深いものがあると。何で年金より高いんや、こういう声を十回以上聞いたことがない、十回未満であるという国会議員は恐らくここにはいらっしゃらないと私は思うんですね。

 ですから、まずは、我々、今回の法案も大事なんですけれども、もともと生活保護のあり方というものも昭和二十年代からほとんど変わっていない。私は大阪市選出ではないですけれども、大阪でも、大阪市なんかも生活保護でパンクしかかっている。そしてまた、国民の皆さんは、中国人の皆さんがこちらへたくさん来て多くの申請を出した、こんなフェアじゃないことがあっていいのかと非常に敏感に反応する。こうした外国人のことについても、通知が出たのが昭和二十年代ですか、それをいまだに準用して使っている。もう限界であります。

 昔は、家族でおじいちゃん、おばあちゃんは支えるというのが一般的だった。しかし、今はもうそうではなくなったということからして、私は第二のセーフティーネット、大事だと思いますけれども、厚生労働省そして我が政府は、まず、生活保護ということについてももう一度、転落する対象ではなくて、本当に真っ当に受けているなという国民のコンセンサスをつくり直すことが本来は先決なのかな、少なくとも並行して行っていくべきだというふうに私は思うわけであります。

 そこで大臣、大臣でなくても結構ですけれども、国民の生活保護に対する意識というものを厚生労働省として何かとらえられているのかどうか、まず伺います。

岡本大臣政務官 御指摘いただきましたように、私も地元を回っていまして同様の話を聞くことはあります。そういう中で、御指摘の生活保護に対するさまざまな御意見があるということは承知をしています。

 一方で、国民の意識に対する調査を厚生労働省としてということで調査しているというわけではありませんが、私が聞いている範囲でも、働くことができる若い人が生活保護を受けているんじゃないかとか、また、医療扶助や貧困ビジネスなどでさまざま制度の問題があって、医療扶助も必ずしも必要でないものを受けているのではないかという声だとか、それから、そもそも先ほど言われた年金との関係での金額の妥当性はどうなのかといったことがあるということは承知をしています。

 このため、自立・就労支援の強化や不正受給の防止等の喫緊の課題に対しては、今後開催する予定の国と地方の協議における議論も踏まえて、制度改正を視野に必要な対応を検討するとともに、生活保護基準につきましては、社会保障審議会の生活保護基準部会において、客観的なデータに基づいて専門的かつ多角的な検証を進めていくということが必要だと思っています。その場でも私は申し述べさせていただきましたけれども、国民の皆様の本当に幅広い御理解をいただくということが何よりも重要だというふうに考えております。

松浪委員 少し岡本政務官らしからぬ役所答弁だったなというふうに思いますけれども、こういう客観データとかそういうものではなくて、我々政治が、政治主導なんでしょう、しなければならないのは、これまでの大きな枠組みがもう使えない、戦後これだけたって使えないということですから、大きなビジョンを描いていきたいと答えられるのが私は適切ではないかなというふうに思うわけであります。

 今まさに政務官がおっしゃったように、生活保護者は本当にふえる一方で、私がそちらで政務官をさせていただいたときよりも本当にすさまじいふえ方をしているわけでありまして、リーマン・ショックの影響もあろうかと思いますけれども、高齢者がふえているということもある。そして勤労者の問題もある。いろいろな問題があると思うんですけれども、まず、現在の生活保護者がふえている特徴と原因というものを厚生労働省から伺います。

清水政府参考人 まず、生活保護の人員数でございますけれども、ことしの一月段階で百九十九万九千人ということになってございまして、この水準は、過去を振り返りますと、昭和二十年代半ばの水準に近くなってございます。

 それで、被保護の世帯数でございますけれども、これは世帯人員数の縮小に伴ってのことだと考えられますが、ここ十年ほどの間、過去最多を更新しているということでございます。

 現在の被保護世帯を世帯類型別に見てみますと、やはり御指摘のとおり高齢化の影響を受けてございまして、最も多い類型は高齢者世帯でございまして、半数弱を占めてございます。一方、伸びに着目してみますと、やはり平成二十年九月のリーマン・ショック後の景気、雇用の悪化というものを契機にいたしまして、その他世帯、すなわち、高齢でも母子でも傷病、障害でもないその他世帯の伸びが著しゅうございます。このその他世帯は稼働年齢層が多いと考えられます。特に、その他世帯の中でも単身の方の伸びが著しゅうございまして、対前年同月比二五%増というのが二十三年一月の数字でございます。

松浪委員 まさに高齢者の皆さんがおふえになる、独居老人がふえる、これは構造的な問題ですから、いかんともしがたい。我々現役世代としてもこれはしっかりとお支えをしたいと思うのは、これは私は日本人として当然の心理だというふうに思いますけれども、今御指摘されましたその他世帯の分であります。その他世帯の分が、本当にどこまで支えなければならないのか。

 この間もテレビで、生活保護を長い間もらっている若い稼働世代の特集がありました。見ていると、家でゲームをして、そして、ハローワークには行くけれども、自分でアポイントを入れる、アポイントを入れるけれども、途中でまたアリバイだけつくって結局行かない、それでゆっくりと生活保護をもらって暮らしている。私らも地元へ行ったら、結構なおっちゃんなんですけれども、生活保護をもらいながら十年ぐらいあそこで釣りしてはんねんという人も本当にいるんですよね。ですから、こういうことを見ると、国民は納得いかぬなというふうになる。

 何よりもまず、生活保護に対して、高齢者の皆さんが生活保護をもらうのが後ろめたいというようなことにも逆になりかねない現状が今想起されている。その他世帯も真っ当な方もいらっしゃると思いますけれども、まさに我々はモラルハザードをどういうふうに解消していくかということがないと、結局、今回の特定求職者についてもモラルハザードが指摘をされる。どこまでいっても我が国の国民の自助努力の精神というものが問われる。

 これは明らかに変わっていると思うんですね。介護保険なんかでも、現場で聞いていますと、十年前、始めたころには、現場では、おじいちゃん、おばあちゃん、介護保険払っているんだから介護保険受けてくださいよとよく言われたけれども、私、現場のヘルパーさんに聞くと、いや、国の施しなんか受けないといって断っている人は当初多かったけれども、最近はそういう人はおられない。制度がしっかり浸透しているからそれは当然なんですけれども、やはりそういう気概が一方で失われ始めているんではないかというふうに私は思います。

 そういう観点で、抜本的に生活保護制度というものも我々は変えていくべきではないか。高齢者医療制度は前期と後期に分けると問題があったかもしれません。でも、生活保護については、体がこれから弱る方と稼働世代と同じにくくる必要は私は全くないというふうに思います。高齢者と稼働世代を切り分けてやることが、その方が私が今指摘をしたように国民の納得は得られやすい。

 高齢者の皆さんはしようがないね、稼働世代の方にも、生活保護も一律じゃないよと。年老いて動けない人と若くてぴんぴんしていて健康な人を同列に扱うこと自体が、国民はアンフェアだ、不公平だというふうに感じていると私は思うんです。ですから、これを切り分けるということを、将来的には政治がリーダーシップを持って、国民に納得いただける仕組みをつくっていただかなければいけないというふうに私は思いますけれども、大臣、いかがですか。

細川国務大臣 委員御指摘の、高齢者とそれから稼働世代を区分して考えるべきだ、こういう御主張、御意見でございますけれども、生活保護というのは、憲法二十五条に規定されている「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」こういうことからいたしまして、そこは無差別、平等にすべての国民、こういうことになっておりますから、基本的には、区別ということはまずはちょっと考えられないというふうに思います。

 しかし、委員の言っていることも考えていかなければならない問題だというふうに思っております。そこで、生活保護の制度につきましては、受給者の年齢、健康状態などもいろいろ考えなければいけませんが、まずは受給者の自立を助長する、こういうことが一つの大きな目的でございます。したがって、そういう意味では、高齢者とそれから稼働世代というのは、これは私も区別して考えていった方がいいんではないかというふうに思います。

 高齢者は、何といっても病気とかけがをしないように、あるいは孤立化を防止するとか、健康的な生活が送れるという社会的な自立の御支援、一方で、委員の御指摘にあるように、働ける人、稼働能力を有する、そういう世代の方々には就労による経済的な自立ということ、これをしっかりやっていくというのが喫緊の課題だというふうに思っております。

 そういう意味で、今回の求職者支援制度というのはこういう人たちにとっても非常に有効な制度だというふうに思いますので、この制度も利用しながら、委員が御指摘されるような、そういう問題をできるだけ少なくしていくということも大事かというふうに思っております。

松浪委員 ちょっと答弁、簡潔にしていただきたいんですけれども。

 大臣がおっしゃる言葉、本当に憲法をかさに着てそういうふうにお答えになるのであれば、私は、政治家である必要はないと思います。我々政治は、民主党は政治主導なんでしょう、そして地域主権なんでしょう。このモラルハザードがなぜ起きるかといえば、国が全部をかさに着て握るからなんですよ。

 私は道州制論者ですけれども、生活保護は、各道州でそれぞれが工夫をすればいい。生活保護Gメンを我々は入れます。我々は、高齢世代と若い世代、稼働世代で分けます。そういうものをもし地方で、今の都道府県の枠組みじゃだめですけれども、それをやった場合に、憲法違反だと即座に言う必要はない。国はそれをチェックすればいいんです。

 ですから、最初から、稼働世代と高齢世代を分ける、この程度のことも拒否してしまうようであれば、政治主導などは、これからの我が国、本当に歴史的な少子高齢化を迎えるに当たって、とても対応はできるものではないというふうに私は思います。

 また、今回の震災においても、私も大槌町というところへ行っていろいろ視察した後、二日ばかり、体育館の中に泊まり込んで、泥かきというのをさせてもらったんです。あれもまさに、副大臣、キャッシュ・フォー・ワークの考え方等を入れていらっしゃる。それもすばらしいというふうに思うんですけれども、実際問題、一軒の家が水につかる、あの泥は大変なんですね。

 畳の上の泥を取る、畳を捨てる、板をはぐ、板の下の泥を取る、そしてそこに石灰をまいて、さあ大工さん、これをもう一回使えるようにしてください。でも、私もこれを身をもってやってみましたけれども、七、八人入って三日はかかりますよね。本当に、そういった家は、まず最初、家をあけたら玄関に冷蔵庫があった。冷蔵庫が浮いてきて、こんな状況になって、それを撤去して、そこまで行くのは、とても被災者御自身にお金を上げるからどうぞというレベルではないわけですね。

 ですから、私は、こういう生活保護の中で、たまたま、家族も抱えているし、仕事を首になって、今必死で求職しているんだという人は、それは除外してもいいと。当然、稼働できない人、女性にも私は余りそういう仕事は無理だと正直自分でやってみて思うんですけれども、そうであれば、生活保護の皆さん、ふだんから、例えば、毎日求職しているわけじゃないでしょう。でしたら、社会奉仕というような仕事も、生活保護、国から権利を得るんだったら、やはりそうした義務も併設をする。

 そして、こういう非常に大きな震災、こういう災害時は、長いこと働いて実績が上がっていない人は徴用されますよというぐらいの、そうしたことがあれば国民も納得をすると僕は思うんですね。生活保護をもらっている人も、共産党は別にして、すると思うんですよね。やはり、実際働くとそう思いますよね。

 ですから、そういったことも地方でちゃんとしっかりと、そういう考え方もできるんだというような未来図を描かないと、私はこれから国民の納得は得られないと思いますけれども、なかなか、可能性、実現性、さっきのを分けるだけでもしんどいので、難しいとお答えになるんだと思いますけれども、答弁を短くどうぞ。

細川国務大臣 委員が言われることも、ある意味では理解できないわけではございませんけれども、生活保護を受けている方に徴用的な意味で仕事を課すということにつきましては、これもまた憲法の規定がございまして、職業選択の自由とか人身の自由とか、やはりこれはまた政府としては憲法を遵守する義務もございますので、そういう意味で、私どもの方から先生の御提案に対してもろ手を挙げて賛成、こういうことにはならないということも御理解をいただきたいと思います。

松浪委員 徴用というのは一つの考え方ですけれども、ふだん社会奉仕ということぐらいはあってもいいんじゃないかということ、私はあってもいいと思います。

 次に、今震災の問題が出ましたので、私、十一月に、過労死ナンバーワンのトラック業界の問題を取り上げさせていただきました。今回、第二のセーフティーネット、震災があってもこういう長期的な考え方を厚生労働委員会でやっているというのは、私はある意味妥当だし、すばらしいことだと思いますけれども、この問題で、やはりあの規制は緩和をし過ぎた、明らかに緩和をし過ぎたということを大臣は当時の答弁でお認めになって、私の方は、余りに現場の状況が厳しいので、厚労省の皆さん、余り指導監督を厳しくし過ぎないでくださいということまで申し上げた。

 結局、それを隠して隠してどうしようもなくなるので、これは厚労省の皆さんもしばらく堪忍してくださいね、それは現場がよくなってから、指導監督に耐え得るような状況になってからやってくださいということで、大臣の方からも、そういう実態もよく調べてやるとか、また、基準局の方でどう対応していくかということも検討させていただきたいと、わざわざ寛大な御答弁をいただいたわけであります。

 今、専門紙では、この規制緩和を、議論のあり方を見直すとか、取りまとめがちょっと延期されるというのは少しは許容すべきかとも思いますけれども、でも、そういう長期的な話を、専門家がそんなに少ないわけでもないので、私は、取りまとめもそんなに延期をすべきではないと思いますけれども、また規制の見直しを凍結するなんという新聞記事が出ているような状況なんです。

 大臣、これについては、大臣のお立場と随分と違うと思うんですけれども、いかがですか。

細川国務大臣 トラックの運転手の皆さんの労働状況については、委員が御指摘のとおり大変厳しいものになっておりまして、これについてはいろいろな観点から対応していかなければというふうに思います。

 今言われましたトラックの保有台数の問題、この規制については国土交通省の方で所管をいたしておりまして、それに対してどういうふうにしていくか、これはこれで国土交通省の対応を注視してまいりたいというふうに思っております。

 しかし、問題は、私どもとしてしっかり対応していかなければならないのは、運転手の皆さんの健康を害する、労働基準法にも違反するような労働条件をどのようにして解消していくか、こういうことだというふうに思っております。

 これについては、基本的にこれを解決するのは、トラック事業におきます最低車両台数の規制のあり方、そしてまた、賃金が非常に低く抑えられる、こういう状況でそういう条件になっておりますので、私どもとしては、国土交通省と連携もとりながら、労働条件の確保もしていきたいというふうに思っております。

 私自身は、これは大変重要な問題として関心を持っているところでございます。

松浪委員 今大臣おっしゃったように、まさに最低保有台数の問題、そしてまた賃金の問題、そして一つ加えさせていただくならば、進み過ぎている、前も八次下請なんということも申し上げましたけれども、余りに多層化し過ぎているこの構造的な問題、大臣も前に答弁でお答えをいただきましたけれども、まさにおっしゃるとおりでありまして、これなくしては、現状を、厚生労働省は過労死でこれが一番になってしまうというような状況を改善することはまずできないということで、今大臣から大変前向きな御答弁をいただき、ありがたく思っております。

 それでは、国交省に伺います。

 三月七日に、震災の直前にワーキンググループがあったということですけれども、端的に、もう短くで結構なので、どのような意見が出されたか教えてください。

中田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生が言及していただいておりますワーキンググループでございますけれども、これは、我が国のトラック産業の将来に向けたあるべき姿を提示し、また公平公正な競争環境の実現のために克服すべき課題を整理するために、自動車交通局長、私でございますけれども、私的懇談会として昨年三月に立ち上げましたトラック産業の将来ビジョンに関する検討会の中で、中間整理が昨年の七月にまとめられております。

 その中におきまして、規制緩和後の課題として、新規参入に当たっての最低車両台数、先生今御指摘の点でございますが、及び適正運賃の収受が取り上げられたところでございます。このため、ワーキンググループを設置いたしまして、これまで三回開催をいたしたところでございます。

 この三回目につきましては、最低車両台数のあり方について御議論をいただきました。そこでは、事業者の規模と経営状況や安全環境への取り組みについては相関関係があるということがわかったけれども、安全を確保するために必要な最低限のコストとは一体何かとか、社内の安全管理体制、教育訓練体制等のため必要となる事業規模はどんなものかということ等をじっくり見きわめた上で最低車両台数のあり方を示すべきである、まずこういう御指摘がございまして、この御指摘に従って今後作業を進めていくということにしてございます。

松浪委員 今おっしゃった適正運賃収受の件とか最低車両台数の相関関係というもの、これも大事なんですけれども、ゆっくりと議論する間もない、厚生労働省にも、そういうものについての調査というものをしばらくそんなに厳しくしないでくださいと私が申し上げているぐらいですから、余りゆっくりしていただいては、これは筋が通らないということを認識いただきたい。

 一部報道で、ワーキンググループ等が議論のあり方を見直すとか取りまとめは延期するということですけれども、延期といっても、これはいつぐらいまで延期をするのか。また、規制見直しを凍結なんという見出しが躍っているんですけれども、この規制見直しの凍結というのは、では、新聞が出しているのは不適切な表現と見ていいのか、それとも、局長としては、この規制の見直しは国土交通省として凍結をしたのか、どちらか伺います。

中田政府参考人 ただいま御答弁いたしましたように、私ども今、トラック産業をいかに持続的かつ収益力のある成長産業として発展させていくかということを検討してございます。その中には、規制緩和後にいろいろな課題が生じたということでその問題に取り組んでいるわけでございまして、この規制緩和後のいろいろな課題の見直しというのは当然してまいります。何か凍結みたいな記事が出ていたようでございますけれども、それは不正確でございまして、そういうことについてこれから検討し、結論を出していくという方向性については変更はございません。

 ただ、具体的なワーキンググループの日程につきましては、震災後の対応で、私ども、緊急支援物資の輸送等、二十四時間三交代制でずっとやってきたみたいな、ちょっとマンパワーの問題もございまして、そういう意味で、日程を今設定し直しているところでございますけれども、今後、この問題について取り組むという姿勢については、いささかも変わるところはございません。

松浪委員 なかなか震災の対応というのが、それも大変なのはわかるんですけれども、今の非常時がこれから先、一年も続くわけではないし、半年も続くわけではない。物流についても、もうかなりの部分、こういう厚労関係であっても、製薬の卸さんなんというのも完全に復旧をしている状況ですし、物の物流というのも、私も現地に行きますと、大分復興してきたというところでしたので、そうそう長く続くものではないというふうに思っておりますので、速やかな議論の復帰をお願いいたしたいというふうに思うものであります。

 国土交通省はもうこれで結構です。ありがとうございます。

 済みません、本論に入るのが大変遅くなってしまいました。

 今回の法案で、以前の緊急人材育成支援事業というのは我々自公政権のもとでやった時限措置で、急づくりであったということで、訓練実施機関についても質の低さというかモラルハザードが生じてしまったということは、我々も素直に認めるものであります。しかしながら、これを恒久化するに当たって、これまで、就職に実際余り役に立たないなとか、それから給付金受給目的の、金目当ての生徒が多くて逆にまじめな人が阻害されるとか、公共職業訓練に比べて出席要件が緩過ぎるとか、さまざまな問題があったわけでありますけれども、これまでの問題点はこれでしっかりと皆さんは認識をされていると思います。

 しかしながら、認可されている訓練実施機関、これをふやすのが当初は大変だったわけですね。一コースつくるのに二百万円ぐらいぽんと渡して、ばあっとふやしてきて、質より量が問われたという現場の状況もあったと思うんですけれども、これからの訓練実施機関の認定基準というのはどうなるのか、また、これまでの認定の取り消しの数とかその理由というのを、短くて結構なので、もう一度確認したいと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 認定基準につきましては、基金訓練でも、訓練定員ですとか施設設備ですとか講師の要件、訓練時間等を定めております。今度の新制度での認定基準につきましても、より就職に結びつくような、より厳格化した方向で検討したいと思っております。

 それから、認定を取り消された件数でございますけれども、今まで一件、基金訓練時代につきましては一件という状況になっております。

松浪委員 政治の世界、いろいろな人の話を聞くもので、この事業については、いや、これやるのおいしいでなんという話もあって、大分私はそういう業者というかそういう業界の人の話を聞いたことがあるんですけれども、その割に取り消し件数がこの程度ということは、恐らく監視の目というのが今までどれだけ機能していなかったかということの裏返しではないかなというふうに思うわけであります。

 そしてまた、今回一カ月の授業料を六から十万円と設定されているわけですけれども、この基本的に六から十万円というのも、なかなか、値段としてはかなり高いものだなというふうに思います。

 例えば大手予備校なんかでも、ハイパー東大理類なんというのは五十四万円とか、京大コース六十四万円とかこれぐらいですから、一カ月にすると、週五日、しっかりと授業をしてこの程度で大手の予備校はやっているわけでありますから、こうした受験と比べるのはいかがといっても、この受験というのは非常に、東大とか京大、そういうコースというのは質の高いものはせめて確保しているだろうと私は考えて、ちょっと今持ち出させていただいたんですけれども、この一カ月の授業料を六から十万円と設定した根拠というのはどういうところにあるんでしょうか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 この基金訓練の横断的スキル習得訓練コース、実践演習コースにつきましては一人一月当たり六万円。これにつきましては、民間教育訓練機関における受講料の平均等を勘案しまして、これは公共職業訓練の委託費の単価でも六万円となっておりまして、これに倣って設定をしたものでございます。

松浪委員 その中身を本当にしっかりと精査いただいて、お金というのは無尽蔵にあるものではないので、そこの質の担保というのをこれからももっとしっかりと見ていただきたいなというふうに思います。

 また、これまでであれば、長いタイプであっても、訓練校と受講生が例えばトラブると、長くトラブルを続けておけばお金をもらえるみたいな実態があったのが、今回は訓練校の方から受講生を、言ったら退校していただいたりというような措置がとれるということは、これは本当に妥当な措置だというふうに私は思っております。

 訓練校と受講生がトラブルになったときに、この指導管理というのはどういうところでやれるのかということ、これについてちょっとまず伺ってみたいと思います。

小野政府参考人 お答えします。

 現在、基金訓練の事業の中では、中央職業能力開発協会が基金を持っておりますので、この指示のもとに雇用・能力開発機構の都道府県センター、これは四十七ありますけれども、ここが、訓練実施機関等々のトラブルの問題とか、事実確認をしたり、あるいは改善に必要な指導等を行っているということでございます。

 新制度では、こういった指導業務は高齢・障害・求職者雇用支援機構が担うことになります。この新制度では、法律上、厚生労働省、それから新しい機構につきましても立入検査権限が付与されておりまして、これに応じないような訓練機関の場合は罰則が適用される、こういうことで法案の規定の中に盛り込んでおりまして、より強化された内容になっていると思います。

松浪委員 今、立入指導権限とおっしゃいましたけれども、この立ち入りというのは、どの程度のことがあった場合に立ち入りまでするということが想定をされているんでしょうか。

小野政府参考人 いろいろなケースがあると思いますけれども、例えば、先ほど委員御指摘の、不正の疑いがあるとか、訓練の実施について認定基準、これは認定をされたわけですけれども、その後の実施状況に、当初の基準から見て非常に逸脱をしておるとか、こういうケースが当然立ち入りの対象になると思っております。

松浪委員 先ほどの質問でも、現在までの認定の取り消しというのは、私らが実態で、実際に行われていた、現制度下ですけれども、現制度で行われている現状、モラルハザードも指摘されながら取り消し件数はこの程度だということでありますので、もうちょっと厳しく取り締まっていただかないと、私は、なかなか国民の皆さんにも理解をされぬし、そして何よりも、まじめに受講される方に対して、別に質が上がらない、今までのようなことはないとは思うんですけれども、そういう状況になると思いますので、どこまでいってもやはりモラルハザードというものについては厚生労働省が本当に厳しく厳しく指導していただいて運用していただきますことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

牧委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

牧委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。菅原一秀君。

菅原委員 自民党の菅原一秀でございます。

 三月十一日の大震災以来、四十六日目を迎えました。昨日の予算委員会に私も出席をしておりましたけれども、仮設住宅の議論のときに、菅総理が、お盆のころまでには全員入居という発言がありました。

 正直といえば正直で、現状を把握した中での答弁であったんでしょうけれども、私も何度も被災地に入り、発災九日目に入ったときと、三週間目、二度目に入ったときと、南三陸町の避難所においては、入り口を入ってすぐのところの老夫婦が三週間同じ場所に段ボールに囲まれている姿を見て、これは本当に仮設住宅は急がなければいけない、この思いを新たにした中で、これからまだ四カ月弱も入居できないかもしれないというようなことを日本のリーダーが果たして言うべきなのかどうか。これはもう何が何でも、結果論としてはそうなったとしても、最善を尽くす、いわゆる災害救助法や建築基準法を弾力運用してどんどん建てるんだ、こういう姿勢を示すことこそがリーダーの今必須の要件ではないかなと改めて思っております。

 言ってみれば、災害は想定外、想定外、しかし対応はしゃくし定規、これが今の現状でありますから、やはりこの点を踏まえて、政府はより一層の力を注ぐべきである。

 あわせて、細川大臣におかれましては、仮設住宅の入居期間、二年間を延長云々というような前向きのお話も一部されています。これも、復興までにどれくらいかかるかわかりませんし、一定の要件を踏まえた中で延長すべきであると思いますし、これはもう早くやってあげないと、そういう整備をしていかないと、被災者だって生活をどう復旧復興させていくかということに関しては計画がありますから、この点、きちっとめどを、早目に延長すべきと思いますが、この点について所見をお願いします。

細川国務大臣 仮設住宅につきましては、菅原委員のおっしゃるとおり、一刻も早く被災者の皆さんが仮設住宅に住めるように、これは全力を挙げてやっていかなければというふうに思っております。

 仮設住宅に入って、その後、どの程度までお住みいただくか、こういう点でありますけれども、一応、法律では、期間が二年ということになっております。

 しかし、委員が言われるようにこの災害は大きな災害でありまして、その復旧復興がどういうふうにいくか、まだ定かでないところもあります。そういう意味では、仮設住宅にお住まいになられることになった被災者の皆さんに対しては、そのことが心配ないように、二年を過ぎても更新ができるように、私の方としては、今度帰れるところができるまで、仮設住宅にも安心して住んでいただくということにしたい、このように考えております。

菅原委員 その入居期間の更新についてはぜひお願いをしたいと思いますし、もっとも、住宅がなければ更新も何もできませんから、所管の大臣という立場の中で、政府で仮設住宅の急ピッチな増設ということをしっかりとやっていただきたい、総理にもよく伝えていただきたい、こう思います。

 きょうの案件であります法案に入ってまいります。

 まず、再三議論がありました雇用調整助成金でございます。

 今回の大震災を受けまして、災害救助法の適用地域においては、事業所の事業主、あるいはその事業と一定規模の経済関係を有する、そういった事業主については、事業活動の縮小の確認期間を三カ月から一カ月にしたり、あるいは災害後一カ月間の生産量の減少の見込みを踏まえた上で申請を可能とする特例措置を講じていただいたことは一定の評価をしたい、こう思っております。ある意味では適時打をいただいたんだなと認識はしているわけでありますけれども、ただ、こういうケースはどうなんだろうと思うんですね。

 例えば、津波で全部会社が流されてしまった。本当に何もなくなった中で、でも、その事業主が、経営者が志一つで、三十人いる、あるいは百人いる従業員一人たりとも解雇することなく、必ず復興に向けて頑張るんだと。そういう方がたくさんいらっしゃる中で、ところが、こういったところについては対象になっていない、支給要件というものが。この要件を見ますと、経済上の理由による事業所の縮小とだけ銘打っている中で、言ってみれば、自然災害でこのような状況になってしまった、災害の直接の被害に遭った場合は対象としていない。

 そういう意味では、不断の努力をしている経営者、事業主に対して法律上の担保が必要だと思うんですが、この点をどのようにお考えでしょうか。

細川国務大臣 雇用調整助成金をどのように適用していくかという中で、問題は、この制度そのものが経済上の理由ということになっております。

 したがって、直接的な災害に遭って休業、こういうことについては本来適用がないわけでありますけれども、今委員が具体的な例として出されましたように、震災で工場が完全につぶれるとかあるいは流されるとか、こういうことがあった場合でも、事業主の方が工場を建てて、そして再開するんだ、その間従業員をきちっと雇用するんだ、雇用を維持するんだ、こういうことであろうと思いますので、私としては、経済的な理由ということを弾力的に解釈をいたしまして、事業主の方が工場を建てるのになかなか材料が来ないとかいろいろな理由もあると思いますので、私としてはできるだけ、そういうことが経済的な理由として従業員を休業せざるを得ないということになっている、こういうふうに解釈をして幅広に適用していくように、このように考えて、従業員の雇用の維持ということをまず考えなければいけないというふうに思っております。

菅原委員 弾力的に対応するというお答え、それは本当にありがたいことでありますが、しからば、そういうメッセージをきちっと被災地の企業なりにもっと発信すべきですよ、総理でも大臣でも。この点、どうでしょうか。

細川国務大臣 それは委員のおっしゃるとおりで、こういう制度の運用については、事業主の皆さんがこの制度を、私としては積極的に活用していただいて、従業員、労働者の雇用の維持を図っていただきたいというふうに思っておりますので、まだまだ不十分なところがございますならば、積極的に広報もしてまいりたい、発信してまいりたい、このようにやらせていただきたいと思います。

菅原委員 ACのコマーシャルじゃありませんけれども、思いは見えないけど思いやりは見えるという言葉がありますように、やはりきちっと言葉で被災地に向けて発信しないと、志一つで、何とかネバーギブアップの思いで復興しようと思っている事業主に、やはり勇気と現実的な対応の可能性というものを示していくということが私は政治だと思いますから、この点をぜひお願いしたいと重ねて申し上げたいと思います。

 この雇用調整助成金でありますけれども、事業主が支払う保険料を財源として、いわば雇用保険二事業から支出をされているわけでありますけれども、御案内のとおり、リーマン・ショック以来の世界経済の状況、それが連鎖をして、日本経済、極めて雇用失業情勢の悪化ということがここ数年起きてきたわけでありますけれども、その結果、拡充した分、結局はこの二事業の財源が底をついてしまった。したがって、去年の雇用保険のいわば失業等給付の積立金から借り入れをするような法改正を行ったわけであります。

 その借入額が、平成二十二年、去年は四千四百億円、平成二十三年度は五百億円ということであったわけでありますけれども、これはいわば三月十一日以前の、やや雇用情勢がいい方向に向くかもしれないという中での五百億の積み上げであったと思います。したがって、この大震災以降の、経済環境が大きく異なるであろうという予測がされる中で、いわば二事業からの借り入れというものが今後どれくらいふえるのか、増額になるのか、この点を教えていただきたいと思います。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、二事業、大変厳しい状況でございまして、今先生お話のありましたように、二十二年度予算で四千四百億円、二十三年度当初予算で五百億円の借り入れを行ってございます。

 今般の補正予算におきましては、先ほど来の雇調金を活用されるということで、雇調金が七千三百億円の追加ということで計上しておりまして、それで、積立金からの借入枠につきましても、七千三百億円を追加するという状況でございます。

菅原委員 そうすると、それを単純計算しますと一兆数千億円になる計算になりますね。この二事業に関して言えば、通年、大体五千億ぐらいの収入、収支でいえば、いいときで二千億ぐらいのプラスといいましょうか収支が出ている中で、この一兆二千億という借り入れが、本当にこれ、返していかなきゃだめですから、返すに当たっては、本当にそれが大変ハードルが高いということはよくわかるんですが、この点、どういうような今御意向を持っていらっしゃるか、示していただけますか。

小宮山副大臣 雇用調整助成金の支出のための積立金からの借入額、これを返済するのに当たりましては、雇用保険二事業の単年度収支が黒字だった場合にその額を返済するということにしておりますので、保険料を引き上げるというようなことは検討せずにやりたいというふうに思っております。

菅原委員 保険料を引き上げる云々の話を僕が今からしようと思ったら先にされたわけでありますけれども、保険料は引き上げないとするならば、単年度の黒字とおっしゃいました、単年度の黒字でなくて赤字になった場合、あるいはとんとんになった場合、これはどうするんですか。

森山政府参考人 先ほど来お話ししましたように、二事業は大変厳しい状況でございます。二事業全体での、その他の雇用対策も含めまして、これはすべて見直しをしているところでございまして、そういう削減等も含めまして、この中の健全な運営について努めてまいりたいと考えているところでございます。

菅原委員 やっぱり副大臣の方がはっきりした答弁があったので、もう一回ちょっと副大臣の答弁が欲しいですね。

小宮山副大臣 なかなか現状の中で、黒字が出たら返すという形をというふうに申し上げましたけれども、いろいろな形で、やはり就業状況、雇用の創出など、立て直しを図った上でないとそれはできないと思っておりますので、しばらくは借り入れがかさんでいってしまうというのはやむを得ない。でも、保険料は上げずに何とかいろいろな形で新しく、雇用の状況をよくしながら努力をしていきたいというふうに考えています。

菅原委員 まず、この二事業の財政破綻を招かない、そういう方向に引っ張っていかないということが大前提だと思います。雇用の情勢をよくしていく、それはやはり景気を回復させなければいけない、成長なくして当然雇用の回復もあり得ないわけであります。

 ただし、一方で、今回の東日本が受けた、あるいは東北が受けたこの激甚な災害は、まさに災害、大震災、さらに原発事故、そしてそれによる風評被害、さらには計画停電によるさまざまな影響が出てくる。そうすると、ことしの上半期から下半期にかけて日本経済が極めて厳しい、過酷な状況に向かっていく中で、これはもう与野党を超えてしっかり日本のために政治がリーダーシップを発揮しなければいけないということは当然でありますけれども、今の政府の対応の中で、場当たり的な状況が見てとれる。

 私は、その際には黒字の部分で返済するというだけではなくて、きちっと一般会計でやるんだと明確な方向性を今のうちに示しておくべきだと思うんですが、この点、どうでしょうか。

細川国務大臣 委員が大変御心配をされております雇用調整助成金、今もこの大震災によりまして大変需要がふえている、こういうことであります。

 そういうことで、収支がマイナスになるということも十分あり得るということでありますけれども、まずは、それらについてはまだ残っているところから補充をするなりいたしまして、単年度で黒字のときにはこれできちっと返していくということをしっかりやっていくということで、まず今やらなければいけないことは、先生もおっしゃるように、今大変な時期でありますから、事業主もそして雇用されている者も、被災によって、何とか先の見通しを立てていく、この雇調金をしっかり活用していただくということが今一番大事なことだというふうに私は思っております。

菅原委員 大臣らしいというか大臣らしくないというか、そんなに財務省がおっかないのかな、財務省と相撲をとるのが苦なのかなという思いもしなくはないわけでありますけれども。

 やはりこれは会計を破綻させないようにしていくということが大前提であり、かつまた、こういう状況の中で、景気が悪化をして税収が減ってくる、保険料の入りも減ってくるかもしれないというようなことで、労使折半じゃなくて事業主側だけの保険料といいましょうか負担でありましょうから、これはやはり、この過酷な状況の中で、特に東日本、あるいはそこで関連する企業が本当に多数ある状況にあります。

 例えば、ペットボトルがありますよね。この前もいろいろな水の供給、物資を運んでいきましたけれども、ある一定のときに、水はあるんだけれどもペットボトルがない、それは何かというと、ペットボトルのふたが被災地のど真ん中にあって、その工場が全部波にのまれてしまってキャップがつくれない、だから水が供給できないというような状況があったんですね。

 ですから、やはりそういうことを考えたときに、いろいろな今回の大震災におけるつめ跡が残した経済的な状況というものは、本当に現実に対して政治、行政がきちっと対応すべきだ、こう考えていますから、そういう状況の中で厳しくなるとするならば、これは一般会計からきちっと補てんをするという覚悟を持って臨むべきだ、これは意見を申し上げておきます。

 次に、失業手当の特例の適用拡大についてお尋ねをしたいと思います。

 このたびの大震災に伴う雇用保険の失業手当、失業給付の特例措置の拡充ということは当然の措置だ、こう考えております。言ってみれば、災害によっていわば休業を余儀なくされたり、あるいは一時的な離職を余儀なくされた方が、失業手当を受給できる雇用保険の特例措置というものがこれまでもあったわけであります。しかし、災害救助法によって指定された対象地域の方は当然その要件に当てはまるけれども、ところが、先ほど来お話しのように、親会社が被災地にあって、そしてまたその下請がちょっと離れた県にあって、親会社がまさに今全く仕事ができない、経営ができない状況の中で、もろともそれをかぶってしまっている下請企業、子会社等々、たくさんあるわけなんですね。

 私は、そういう意味では、雇用調整助成金においては一定の経済関係の保たれている企業に関しては対象となる、ところが失業手当に関しては労働者側の立場に立てば今回は対象になっていない、いわゆるエアポケットといいましょうか、この点はきちっとリカバリーする必要があるんじゃないかな、やはりフレキシブルに対応すべきではないかなと思うんですが、大臣、副大臣、どうでしょうか。

細川国務大臣 菅原委員の言われることも、これもまたある程度理解もできるところでもございますけれども、ただ、雇用保険の基本手当、これは本来は失業したとき、そのときに失業手当を支給して生活を支えていく、こういう制度でございます。

 したがって、今回、大災害によりまして休業せざるを得ないということになった場合でも、これを法律上、失業した、こういうふうにみなしまして、本当に特例としてこれを認めているところでございます。したがって、そうでない被災地以外のところとか、あるいは下請であるとかというところまで適用するのは、なかなか難しいところがございます。

 ただ、私としては、そのときには雇用関係を事業者の皆さんに確保していただくということで、先ほど触れておりました雇用調整金、雇調金、この制度を活用していただいて休業していただく、そしてそこで休業分について補助をしていくというか支援していく、この雇調金の制度をぜひ活用していただければというふうに思っております。

菅原委員 失業手当と雇調金のコラボということなんでしょうけれども、それぞれがまだ万全じゃない状況で、それはちょっと詭弁になりかねませんから、慎重にされた方がいいと思いますよ、大臣。

 私はやはり、こういったときは、従来の法律や法文の中でとらえるのではなくて、あくまでも政権を持っているのはあなたたちですから、その辺はきちっと、弾力的な拡充、さまざまな対応をリーダーシップを持ってやるべきだと思いますよ。だって、これは何百年に一度の大災害であり、日本の非常事態であります。このときに国政の中でリーダーシップ、決断をしなくて、いつするのかな、私はこう思います。ぜひこの点のリーダーシップをお願いしたい。

 この特例措置でありますけれども、失業給付を受けた場合には、今回の災害に伴う休業あるいは一時的な離職の前の被保険者期間は通算されない。使ってしまうとリセットになってしまって、またゼロからやらなければいけない。ただし、この前、大臣の答弁でありましたように、休業して一年以内であれば、一年以内に復帰をするということであれば、もとの受給に係る残りの日数分の給付というのを通算して基本手当の支給を受けることが可能というような答弁をされておりました。

 この救済措置ということでありますけれども、果たして災害の状況が、この一年で復旧復興に向けてその足取りが確かなものになるとは当然思えません。だから、これも弾力運用して、一年なんて言わないで、二年、三年、四年、五年と状況に応じてというような、期間の延長といいましょうか、そういう修正、改正というものをすべきだなと思うんですが、大臣の御所見をお伺いします。

小宮山副大臣 今回のこの特例措置は、雇用保険の基本手当の所定給付日数が九十日から三百三十日とされていることなども踏まえまして、当面の対応として、支給期間を一年間といたしました。

 ただ、委員もおっしゃったように、今回は本当にこれまで経験したことのないような被害の状況でありますので、これの延長につきましてもしっかりと検討していきたいと思います。

菅原委員 重ねてお願いをしておきます。

 求職者支援制度の方に移ります。

 サブプライム、リーマン・ショックと続いて、本当に世界経済が大変厳しい状況になり、かつまた、日本においては長引くデフレ状況の中で、いわば深刻な経済危機に至ったのが三年前という状況。そのときに、いわば非正規労働者が一気に増加をした。そこで、言ってみれば解雇あるいは雇いどめという社会問題が起きて、当時我々は政権を担っておりましたから、自公政権のもとで緊急人材育成支援制度を創設したわけであります。

 言ってみれば、ハローワークがそれらの対象者に対して民間の訓練機関あるいは教育機関の行う職業訓練をあっせんして、その期間は、生活給付ということで、単身者が月十万円、扶養家族がある場合は十二万円を支給するものということで制度を進めてきたわけであります。

 ただし、十万円というのは、最低賃金が、全国でも、鹿児島だとか高知初め八県ぐらいだと時給六百四十二円。例えば、一日に八時間働いて、二十日働けばそれで十万円ですよね。そういうことを考えれば、この額がどういうボリュームなのかということはもう一度よく考えなければいけない。

 この恒久化を進めるということに関して、それが多い少ないという議論ではなく、その額というものが世間一般の世の中のサラリーに対してどういう重みがあるのか、これをまた税金で出すということあるいは保険料で出すということに関しては、この点はよく踏まえる必要があるのではないかな、こう思っておりますし、さはさりとて、こういった中で三十三万人以上の方がこれによって再就職ができたということであります。

 そこで、再三議論になっておりますモラルハザードの問題であります。

 言ってみれば、報道では、訓練を受ける形をとっていながら毎日アルバイトをして、その上に月十万円をもらっていた、こういう若者がいた。あるいは、今まで土木作業しかやったことのない人が、ある日、エステの教育訓練を受けて、実際には、登録はしたけれどもずっと欠席して月に十万円もらっていたケースだとか、この制度の中でいろいろなケースが出てきたのも事実であって、言ってみれば、生活者のいわば生活費を受給するということが目的化してしまったケースも多々出てきております。

 したがって、言ってみれば求職者の適切な選択ということも大変重要になってくるのではないかな、野方図にお金があるわけではない、本当に救うべき人、その志といいましょうか思いを持った方を最優先に救済すべき制度なのではないかと思っております。

 そこで、この対象となる受講者の要件に関して、職業訓練については、意欲、能力、そしてその訓練を受講することが必要と考えられる者と、大きく三つ要件が定められております。

 そもそも、これまでの制度にしても今回の恒久化する制度にしても、長期の失業者あるいは非正規労働者の増加ということがその背景にあって、実際の制度の対象者は、単に雇用保険の受給を終了した者、今もらっていない者、あるいは雇用保険そのものを受けることができなかった、できていない現在の者、こういった方々を救うわけでありますけれども、長期の失業者といえば、一般的には離職後一年以上経過したとされているわけですけれども、実際に、この制度においては、雇用保険の受給を終了した後、直ちに訓練に入って受講するということも可能たらしめている内容になっていますよね。

 したがって、この雇用保険、先ほど副大臣のお話があったように、給付日数が九十から三百三十日、しかし、雇用保険受給終了後就職する人が多くはない。これは実際の数字を多分把握できていないんだと思うんですけれども。

 とするならば、私は、この雇用保険の受給を終了した場合は一定期間のインターバルをきちっと設けて、本当に仕事を探すんだ、仕事につくんだというインセンティブがきちっと働くようにしないと、結局、マックスで三百三十日失業保険を受けて、それでまた今度は、この制度があるから、求職者制度によって自分は救われるんだ、月十万円もらえるんだというようなモラルハザードが生じたとするならば、その人が三カ月たった後に結局職につけなかったらどうするんだというもとのもくあみの話になりかねませんから、やはりこれはきちっとインターバルを設けてやるべきではないか。

 というのは、雇用保険、失業手当をもらいながらこの訓練を受けられるわけですから、それで受けて就職する人もいるわけですから、このオール・オア・ナッシングといいましょうか、右と左の端から端を埋めていく作業というのが、本当にこの税金の使い道、あるいは国民に対する説得ということにつながってくると思いますから、この点はきちっとやるべきではないかな、こう考えていますけれども、この点の御所見をお伺いします。

小宮山副大臣 委員がおっしゃるとおりだと思います。

 ですから、雇用保険を受給している間もやはりハローワークに一定の期間ごとには来ていただいて、どのように再就職を目指してやっているのかということもちゃんと指導というか聞きながら、適切な形で指導していって、そこから、それでもその期間に就職できない場合には求職者支援制度につながっていくというように、きちんとその設計をその人ごとにして、ちゃんとそれぞれにジョブカードなどもつくってきちんとフォローしながら、やはり雇用保険を受けている間、そしてそこで就職できなくてまた先へ、求職者支援制度につながっていくということをきちんとフォローしながら見ていかないと、おっしゃるようにモラルハザードになってしまうと思いますので、しっかりそのあたりはまた御意見もいただきながらやっていきたいと思います。

菅原委員 今の副大臣の答弁で、理論上はそうだし、そういう流れだと理想なんですけれども、実際には法なり制度の裏といいましょうか、網の目をくぐってそういう受給をしている方もいなくはないであろう。とするならば、国民からすればこれは当然納得できませんから、この点はきちっとインターバルを設けて、その状況に応じて対応すべきだなと私は思っております。

 それから、受講者の意欲というものがその受講の要件の一つになっていますけれども、さっきのACのコマーシャルの話ではありませんけれども、見えないわけですよね、意欲がどれだけあるのか。

 今副大臣がおっしゃったように、何度も何度もハローワークに来た人と、一回しか来ていないけれども、物すごく声が大きくて、やる気満々で頑張りますと言う人とを同じに比べて、声の大きい人が対象者になって、一生懸命、口べただけれども汗をかいてハローワークに行ったけれども受講できない可能性の人だっていなくはないわけですよ。

 だから、そういうことを考えたときに、ある意味では、全国のハローワーク、画一的な、そしてまたスタンダードな基準というものを設ける。例えば、何回来たか、どれだけ書き込みといいましょうか、書類で申請をしたかとか、やはりそういう要件を設けるべきではないかなと思うわけであります。

 あわせまして、もう一つ言いたいのは、ハローワーク側のマッチング能力というものがすごく重要になってきます。これは、本人が、幾ら受講者が努力をして意欲を見せ、受講できるだけの一定の能力がある、あるいはその環境があるとするとしても、結局は、役所側といいましょうかハローワークの、きちっとその再就職につながるマッチング能力というものが試されると思いますけれども、この点が、やはりスタンダードな基準というものがないように思います。この点、いかがでしょうか。

小宮山副大臣 おっしゃるとおりだと思います。やはりそのマッチングをするだけの能力を持った人がきちんとハローワークにいないといけない。そのためには、相談に来た方の持っていらっしゃる能力ですとか、あるいは、どういうことをさらに加えると就職ができるのか、また労働市場での求人、求職の条件とか、いろいろなことをやはり的確に把握をしてやらなければいけないと思っていますので、しっかりと、そこでの職員の訓練とか、そうしたことにも力を入れていきたいと思っています。

菅原委員 あわせて、その訓練機関の方の、教える側の講師の質、やはりこれもすごく大事になってくると思います。

 安かろう悪かろうという言葉がありますけれども、数だけそろえればいいというものでもない、かといって、その基準といいましょうか能力を余り狭めてしまうと今度は人が集まってこない、こういうジレンマがあると思うんですけれども、今の訓練のコースというのは、厚労省が定めた基準によって設定をされているのが対象となっている。訓練コースの認定基準の内容というものが非常にあいまいといいましょうか、その辺の一定の水準というものが確保されていない。

 やはり、ここは質も量もきちっと確保できるということを示さなければならないと思いますし、あくまでも、この設定基準、講師の要件、例えば「教育訓練の適切な実施が可能であると認められるもの」となっているだけで、資格だとかあるいはその経験、キャリア、こういったものが余り加味されないで講師になっている状況があります。

 この点は、きちっと新しい制度の中で銘打つべきだと思いますよ。今後、きょう採決するかどうかわかりませんが、そういった流れの中できちっとそのディテールを詰めるべきだと思いますけれども、この講師の質について、どう考えますか。

小宮山副大臣 委員がおっしゃるとおりだというふうに思います。

 ただ、質の高い人をどのように確保するか。一度になかなかいかないとは思いますけれども、やはり、恒久化をする中でその質を高めていけるように、どのようにしたらいいのか工夫をしてみたいというふうに思います。

菅原委員 最後のお尋ねになりますけれども、訓練の質が一定水準以上であるかどうか、そうであるか否かを判断するためには、やはり当該の訓練コースの成果をきちっと適切に測定をするメルクマール、指標、こういったものが必要になってくるんだと思うんですね。それで、その指標を下回ったコースは金輪際対象にしないというようなこともドラスチックにやるべきだと思います。

 しかし、やはり、我々も反省をしなければいけないと思うんですが、今までの制度上では、どうしても厚労省は就職率、どれだけ就職できたか、その結果論だけ、数字だけを見て、結局、そのスキルだとか技能がどれだけ向上して、それが本当に仕事に役に立って、生産性の向上なり日本の経済に資しているんだというような積み上げというものがない。言ってみれば、アルバイト、非正規雇用をひっくるめた就職率だけを前提にして、これだけ訓練を受けたから、この訓練のおかげでこれだけ就職できましたよというような、数字至上主義的な流れがあると思うんです。

 私は、やはりきちっとこのスキル、講師もよくする、求職者も本当に志というかやる気のある、意欲のある頑張っている人たちをきちっと受講させる、かつまた、そこであふれてしまった方々には最大のセーフティーネットを講じていくというようなさまざまな施策の中で、やはりこの訓練ということに関しては、知識あるいは技能が就職に結びつくようにすることが大事だと思います。

 それが、結局今のところ、最終的にどれだけの成果が上がったかというのは、ハローワークと教育機関でしか判断、判定できない。その結果に基づいて次どうしようかということは当然の理だと思いますけれども、これを対外的に、オフィシャルにきちっと判断できる、そういう中長期的な仕組みづくりというものが非常に大事だと私は思います。

 最後に、この点の大臣の御答弁を聞いて、質問を終わりたいと思います。

細川国務大臣 菅原委員のおっしゃるとおり、本当に意欲のある求職者、質の高い訓練、そしてしっかりした就職ができる、こういうことを今度の求職者支援制度で実現をしていかなければいけない、こういうふうに思っております。

 そのためには、今行っております基金事業の点もしっかり検証もしなければいけないと思いますし、今後、求職者支援制度を運用していくときに、どのような形で求職者が訓練を終えて就職していったか、その就職が、能力が高くなっていい職場に就職できたか、こういうことも点検していって、この制度そのものが求職者の支援そして企業のニーズに合った求職者を養成していく、こういう制度にしっかりやっていきたいというふうに考えております。

菅原委員 大臣と副大臣から、菅原委員のおっしゃるとおりというのを七回ぐらい聞いて、対決法案じゃないということなのかなと思いながらも、きちっと形にしていただきたいことを最後に申し上げて、終わります。以上です。

牧委員長 次に、あべ俊子さん。

あべ委員 自由民主党のあべ俊子でございます。

 まず最初に、大臣にお礼を申し上げたいと思います。

 先般の厚生労働委員会におきまして、特に、被災された場所における病院の看護部長さんの御主人と娘さん、息子さん、家も流され、病院で寝泊まりをしている中、その娘さんが看護大学を卒業したばかり、国家試験を受けていて合格しているはずだが本人は亡くなってしまった、だけれども、生きる支えとして、その国家試験の免許証をぜひ特例で出していただけないかと大臣にお願いいたしましたところ、合格証を出してくださるということでありました。

 そうしたら、早速、その委員会が終わった翌週の十八日、現地に入られた大谷医政局長が、国家試験に合格しながら津波で亡くなられた娘さんのお母様に、看護免許証のかわりに大臣の名前が入った、従来であれば合格証ははがきサイズのものだそうでありますが、わざわざ本当に免許証の形のような合格証にしていただきまして、それを医政局長がみずから手渡してくださったということで、心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。(拍手)

 特に、直接持っていっていただけないかとお願いはしたものの、まさかしていただけるとは実は思っておりませんで、翌週にしていただきまして、本当にありがとうございました。大臣のお心の優しさに本当に感動いたしまして、新聞記事にもなったようでございまして、本当にありがとうございました。本当にこのような未曾有の災害であるからこそ、大臣のリーダーシップが大切な時期ではないかと思っております。

 また、続きまして、災害拠点病院、先般、質問をたくさんさせていただきました。そうした中におきまして、やはり、災害拠点病院のあり方の見直しということをしなければいけないと、私は先般もお話をさせていただいたところでございます。

 特に、ある県の例を出させていただきましたが、重油の取得の計画が立てられていないところが半分ほどあったとか、また、これまでの災害拠点病院が阪神・淡路震災のその反省のもとにできたものであったということが、津波を想定していなかったということを考えたときに、特に、衛星電話がマストではなかった、さらには、医薬品に関しては名目が詳細に入っているわけではないということを考えたときに、この基準の見直しが必要ではないかと思いますが、これに対して、また、どの時期にどのような見直しをするかというお考えが先般の委員会から改めてございましたら、御意見をお伺いしたいと思います。

岡本大臣政務官 今委員から御指摘をいただきました災害拠点病院、全国に六百九病院指定をしておりますが、こちらにつきましては、委員から御指摘がありました平成八年五月十日の局長通知であります「災害時における初期救急医療体制の充実強化について」というところで、指定の要件を示しているところであります。

 今御指摘がありましたこの当時の要件でありますから、今般の震災を経て、自家発電の燃料や医薬品等の備蓄、また、衛星電話等の通信手段の確保、施設の耐震性等、災害拠点病院のあり方については、御指摘の点も含め、さまざまな御意見を賜りながら、必要な基準の見直しを行っていかなければならないんだろうと思っています。

 いつ行うのかという観点でいいますと、現在、医療計画の見直しを行っている中でありまして、本年中に新たな指針を提示することとしておりますので、これに合わせて、今後の災害拠点病院のあり方についてできるだけ早急にお示しをしてまいりたいというふうに考えております。

あべ委員 本年中に、ことしじゅうに災害拠点病院のあり方の見直しの結論を出すということでよろしいでしょうか。

岡本大臣政務官 本年中に新たな医療計画の指針と合わせる形でお示しをするということは、結論が出るということであります。

あべ委員 そうしますと、その中に、特に医薬品の備蓄量が急性期だけに限定されて持たれていた病院が多かった。これに関しては拠点病院のいわゆる条件の中に入っていないわけでありますが、この医薬品に関しては、もう少し踏み込んだ形で詳細になるというふうに思っていらっしゃいますか。

岡本大臣政務官 そういう意味では、さまざまな疾患の患者さんが来ることが想定されますし、また、災害時に特段必要になる医薬品もあるというふうに考えています。それは、急性の疾患だけじゃなくて慢性期の疾患でも必要になるものもありますので、今回もインスリンなどが備蓄について話題になったところでありますので、こういったことも含めて議論をさせていただくということであります。

あべ委員 それともう一つは、拠点病院の中で、衛星電話が条件の中に入っていなかったということがございますが、これは政務官、検討の中にお入れになる予定でしょうか。

岡本大臣政務官 先ほどもお話をしましたけれども、衛星電話がいいのか、災害優先電話という方法がいいのか、通常の電話以外の災害時の通信回線の確保というのは一つの課題だろうというふうに思っています。

あべ委員 特に医薬品に関しましては、インスリンということが出ましたが、私どもが自民党の災害対策本部、私、医療班の中でニーズが上がってきておりましたのは、精神科の患者さん方のものというのもかなりありました。それに関しても御検討をするということで、政務官、よろしいでしょうか。

岡本大臣政務官 向精神薬を含めて、それぞれ、先ほどもお話をしましたけれども、需要のあるものをしっかり調査して、それについては検討を加えていきたいと思います。

あべ委員 では、ことしじゅうにその災害拠点病院の基準の見直しを、結論を出されるということであれば、第一回目は大体いつごろになるでしょうか、政務官。

岡本大臣政務官 今お話をしておりますように、医療計画の見直し等に関する検討会、平成二十二年の十二月、昨年の十二月より開催をしているところでありまして、次期の医療計画の期間が平成二十五年の四月から平成三十年の三月までだということを勘案すると、これに間に合うように結論が出てくる、こういう形で、既に開催はスタートをしているということでございます。

あべ委員 それは都道府県の医療計画の話ですよね、政務官。災害拠点病院の見直しとはちょっと違う話だと思うんですが、いかがですか。

岡本大臣政務官 したがって、その計画を見直す中で、先ほどお話をしましたように、本年新たな指針を、この災害拠点病院の指定要件の見直しについても提言をする予定というふうにしているということであります。

あべ委員 さらに、その医療計画のものに関して、政務官が私が質問取りで言った内容を先にお答えいただいているようでございますが、ここをもう少ししっかり聞かせていただきたいと思っております。

 ことしじゅうに結論を出されるということはいいわけでありますが、都道府県の医療計画制度、これは病床数の管理と質の評価ということが主な目的で、実際これが本当に都道府県の医療計画に役に立っているかどうかということが私はずっとクエスチョンでございまして、委員会で何度も何度も言わせていただきました。

 そうした中におきまして、やはり災害時の対策計画というのを、拠点病院の基準の見直しというのは別建てで、都道府県は災害があったときにどうするのかということを明確にすべきだと思います。特に医薬品の調達がどうなっていくのか。今回は、東北大学、さまざまなところから医薬品が足りないという話がありました。その調達を、それぞれ知っているところから連携していくというのが常だそうでございまして、関係者の方に聞きましたら、院長がどこの大学の出身かによって、どこにSOSが出されるかは結構影響があったということも聞いております。

 そうした中にありまして、学閥でつながっている医師の仲間以外に中長期的になったときの連携が必要だとすれば、それは都道府県単位で、災害があったときにどういうチャンネルをお互いに持っていくかということが私は重要だと思っています。これは医薬品だけではなくて人的支援の部分もありますが、その災害時の対策計画というのを、私は、今、医療計画制度がことしじゅうに出されるのであれば、その中に入れ込むということは重要な観点だと思いますが、政務官、これに関してはいかがでしょうか。

岡本大臣政務官 今御指摘がありました、いわゆる災害時の連携のあり方ということにつきましても、医療計画の見直し等に関する検討会が開催されているという話をしましたけれども、今後、医療体制、それも災害時の医療体制のあり方について検討して、本年中に新たな指針を策定していきたいというふうに考えております。

 なお、先ほどちょっとお話をしました、次回はいつなのかということでありますが、場所は少し調整中でありますけれども、現時点では、既に第三回の二月二十八日開催までは終わっているということでありまして、実際に第四回、五月二十三日、できれば、場所はまだ調整中でありますけれども、医療連携のための実際的手法などについて議論をしていきたい、こういうふうに考えています。

あべ委員 では政務官、次回の開催日は私は聞いておりませんが、頑張って始めていただきたいと思うんですが、災害時の対策計画が医療計画の中に入るという認識でよろしいですか。イエスかノーかでお答えください。

岡本大臣政務官 入れることを含めて検討をしているということであります。

あべ委員 検討が非常に多いので、検討だけではなくて、やるとか、次にやるとか、そういうことをぜひやっていただかないと、災害時のことを検討、検討で、一カ月たった今もさまざまな問題が出ておりますから、ここは速やかにやっていただけたらというふうに思っております。

 それに関連してでございますが、特に今回、災害被災地の方々のお話を聞いていますと、在宅で療養されている方々が非常に大きな影響を受けた。やはり急性期が中心になっている日本の医療のあり方がそのまま、今回災害を受けた方々の在宅医療を受けていらっしゃる方々に影響があったんじゃないかということを、非常に辛口でおっしゃる関係者の方も何人もいらっしゃいます。

 そうした中で、先般もお話ししたと思いますが、自民党災害対策本部、私ども、野党としてできることは最大限やりたいと、与党の方にさまざまな法案の提案、いろいろな提案をしながら、さらには自分たちでできることを精いっぱいやってきた中で、特にヘルプ、SOSが出てきましたのが、ALS、さらには自宅にいらっしゃる方々の衛生材料であります。

 この衛生材料に関して、やはり本人たちがストックを余りお持ちでないということもございまして、特にこのことに関しては、ちょっと古いデータになりますけれども、厚生労働省の中医協のコスト調査分科会というのが平成十七年にございました。そのときに、訪問看護ステーションに係るコストの調査ということで出ておりました中で、医療機関が支給しているものは衛生材料の中で三割、患者さんが持ち出しが三割、訪問看護ステーションが調達、ステーションの持ち出し三割ということで、備蓄がない、十分な衛生材料の提供ができていないという実態が明らかになったわけであります。

 そうしたときに、私どもは、このことに関して、衛生材料を置いておくことは薬事法にいわゆる抵触しないので、経営効率を考えると抱えることができない中にあって、やはりこのことに関してもぜひ見直しをしていただければいいのではないか。特に、ステーション、患者さんと直結する、もしくは患者さんのお宅に衛生材料の備蓄をする仕組みが、もう少し診療報酬上も制度上もできたらいいのではないかという意見が出てきたわけでございますが、これに関してはいかがでしょうか。

外口政府参考人 まず、今のルールでございますけれども、訪問看護を提供する際に使用するガーゼ等の衛生材料については、訪問看護ステーションにおいてあらかじめ保管しておくことは可能でございます。そして、在宅医療に必要な衛生材料については、診療報酬上のルールでは保険医療機関が提供することとなっております。そして、こういった衛生材料の費用については、保険医療機関の方で請求するというか、診療報酬上の点数の中に含まれているわけでございますので、訪問看護ステーションや患者の負担は生じないというルールになっております。

 実際の在宅医療の現場に対してこうした仕組みの周知に努めるということも必要ですけれども、より一層在宅医療を進めるためには、関係者の意見を踏まえながら、必要な患者さんに確実に医療が提供されるよう、どのようなことができるのか、よく検討してまいりたいと思います。

あべ委員 ありがとうございました。

 今の仕組みはわかっているわけでございまして、届かないところが問題点になっているので、どうやったら届くかということを検討していくとおっしゃっていましたが、これがなかなか徹底しないのが難しいわけでございまして、ぜひ、通知もしくは広報以外にどうしたら徹底するかというお考えを政務官、お持ちだったら教えてください。

岡本大臣政務官 確かにおっしゃるとおり、在宅はそれぞれのニーズがありますから、そういうニーズに細かく対応していくということが十分できていなかった面もあったと思います。

 今局長から答弁させていただきましたとおり、今回改めて、こういった衛生材料を含む訪問看護で必要なさまざまな材料についての費用のあり方について周知をしていかなきゃいけないし、そういった周知の方法としてやはり、例えば先生も所属されている看護協会の皆さんのお力もおかりしたり、また与野党問わず、各級議員の皆さんのお力もおかりしたり、もちろん自治体の力もかりながら周知をしていく、保険者さんなどを通じても周知をしていく、さまざまな方法をとっていかなければいけないだろうというふうには思っています。

あべ委員 私は、診療報酬が医師のもとに入ることは全くそれでいいと思っておりますが、要するに衛生材料がきちんと回るということが重要でありまして、すなわち、患者さんがその医療機関で受診されたときに、診療報酬はそこに入るけれども、衛生材料がきちっと別建てで動くような仕組みにしていただきたいというふうに申し上げているだけであります。

 政務官、これに関して、看護協会云々ではなくて、これは制度上の問題でございますから、ぜひとも、三分の一患者さんが持ち出しをしている、三分の一訪問看護ステーションが持ち出しをしているという実態を考えたときに、これは、これから通達をして、もしくは広報していった形で訂正されるものだとは、私は平成十七年から全く変わっていないというふうに思うわけでありますから、この制度の見直しを、ぜひ政務官、かけていただきたい。

岡本大臣政務官 委員からせっかくの御指摘がありましたので、もう一度、保険局とこのことについて議論をしてみたいと思います。

あべ委員 ぜひ議論を、いつごろしていただけますでしょうか。

岡本大臣政務官 できる限り早くですけれども、ちょっと打ち合わせをしますが、今月中にはします。

あべ委員 今月中、余り残されておりませんですが、政務官、大丈夫でしょうか。(岡本大臣政務官「議論をですよ」と呼ぶ)議論を始める、一回目ですね。わかりました。ぜひ内容を教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 特に、患者さんたちが、在宅にいらっしゃる方が困らないということが一番でありますので、お金の回し方が違うとか診療報酬の出し方がではなくて、やはり必要な方に必要なものが行くということが優先されるべきだと私は思いますので、これはぜひよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、ヘドロの問題でございますが、今、被災地におきまして、復興に向けて瓦れきの撤去が行われているところであります。ところが、ボランティアがすごく入りたがったのをちょっと抑え過ぎたんじゃないかという意見も、さまざまなところで出ております。

 特に、ヘドロの除去ということがおくれおくれになっている。未曾有の災害でございますから、想定範囲を超えたヘドロが出ているのもわかるんですが、これが乾燥すると粉じんになってくる、空気中に飛散するということがありまして、重金属、アスベスト、さまざま含んで大気中に舞うということが将来的な健康被害に大きくつながるというふうに言われています。

 このことに対して、何か御意見がございましたらお願いします。

小宮山副大臣 おっしゃるように、被災地で今後復旧に向けた作業が本格化する中で、アスベストとか粉じんの発生による健康被害を防止する、これは重要な課題だと考えています。

 アスベストを含めた粉じん対策としては、防じんマスクの着用が効果的であるため、建設事業者に対しまして、瓦れきの処理作業で防じんマスクを着用させるよう指導いたしています。これは、事業者に対する指導を労働局に対して通知をし、建設業関係団体等に要請をしています。それから、企業から無償で提供いただきました九万枚の防じんマスク、これを労働基準監督署等で配布するなどによりまして、防じんマスク着用の徹底を図っています。

 また、初めて瓦れき処理を行う方にも安全で健康不安を感じることなく作業していただけるように、注意事項などをわかりやすくまとめたパンフレットを作成して配布をしています。

 今後も、おっしゃるようにボランティアを初め多くの方々が被災地で復旧作業をされるということが想定されますので、労働災害防止のための講習会、また安全パトロールの実施など、粉じん対策に万全を期していきたいと考えています。

あべ委員 ぜひ、五月の大型連休にも全国から大勢のボランティアが現地入りするというふうに思われますので、その対策はお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、重点分野雇用創出事業の活用ということでございまして、先般の委員会で私が質問をさせていただきました。ボランティアだけで回すのは無理ではないか、やはりしっかり雇用していかなければ、中長期的な災害対策、被災地に対する応援が十分ではないんじゃないかと。また、特に医療者に関しては、さまざまなチームが入っておりますが、これも限界があるということをお願いいたしまして、直接雇用をしていただくということ、特に被災された方々の雇用をお願いしたいというふうに申し上げましたら、大臣が、重点分野雇用創出基金があるからこれをぜひ使いたいと張り切ってにこにこ、仏顔でおっしゃっておりました。

 私は、よし、頼もしいぞと思いまして、大臣、ぜひ、これは紙で出してくれないと皆さん制度がわからないからお願いしますというふうに言いましたら、大臣は、はいと大きくうなずいてくださいました。これは議事録にもしっかり残っているところでございます。

 ところが、この通知を、毎日インターネットで、いつ出されるか出されるかというふうに心配して見ておりましたら、一向に出されず、私が質問して十日もたった四月二十二日の金曜日に、この「重点分野雇用創出事業の活用による被災地等における保健医療提供体制確保について」という通知が出されたわけであります。

 大臣、意気込みはよかったんですが、周りのせいでしょうか、これは何が障害になったのか、教えていただけたらと思います。

細川国務大臣 この件につきましては、委員からの御指摘もございましたので、重点分野の基金事業でしっかり取り組んでいくように、そして災害対策というようなことも含めて広く活用できるようにしたい、こういうことを申し上げたところでございます。

 そして、委員の方からは、医療従事者についてしっかり取り組んで、みんなにわかるように通知もするように、こういう御指摘でございましたので、それに対してそのようにする、こういうふうに申し上げてまいりましたが、今委員から言われましたように、それが四月の二十二日という、遅くなったことについては、これは大変よくなかったというふうに思っております。

 どうして遅くなったのかということを事務方にお聞きいたしましたら、どういう場合にこれが適用になるか、こういうことで、むしろ具体的にいろいろ想定をして、そして、通知を受けた、通知を見た方によくわかるような、そういうことでいろいろ検討していたら遅くなった、こういうことでありました。

 しかし、それについては、それでもやはり遅過ぎるのではないかということで、私の方からは、今後は、こういう通知をするときには、国会で指摘をされたことでありますからしっかり早くやるように、こういう指示をいたしたところでございます。

あべ委員 大臣、ありがとうございます。大臣が不眠不休で、本当に最近お疲れが出ている感じで頑張ってくださっているのはわかっているわけでございますが、大臣が言われたことを早くできる仕組みがやはり体制として大切なのかなと思っておりまして、次の委員会では、どういうふうに活用されているかを聞いてまいりたいと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 では、今回の法案についてちょっと簡単に触れたいと思います。

 自民党の方からもほかの委員からも、さまざま質問があったところでございますが、私は、特にセーフティーネットという観点から、日本のセーフティーネットは滑り台だった、とにかく正社員から転げ落ちたらもう生活保護になるしかないと言われていたものに対して、ある意味、今回、雇用保険、求職者支援制度、生活保護と、滑り台を階段にやりかけているなという感じは非常に評価をしているところであります。

 しかしながら、ちょっと中がぐちゃぐちゃ、整理がされていない部分があるということはほかの委員からも指摘されているところでございますが、雇用保険が職業訓練の給付金よりも低いというのはちょっとやっぱり変なので、これは大臣、雇用保険が高くなるように調整をされるんですか。

細川国務大臣 給付する額というのが十万円ということにいたしましたのは、これは、これまでの基金事業、ここで十万円ということでずっとやってまいりましたので、それを引き継ぐような形で、同様の水準ということで十万円といたしたところでございます。

 そこで、雇用保険の給付額とこの十万円とで雇用保険が低い場合もある、こういう御指摘でございますけれども、雇用保険の求職給付というのは、所得保障としての賃金を基準として支給されるわけであって、世帯の状況等を問うということではない、こういうことでございます。

 そして、求職者支援制度の給付というのは、これは、雇用保険を受給できない者を対象に、訓練を受講しやすいように、そのためにやるわけでありまして、世帯の所得要件も課した上で生活支援というものを行う、こういうことで、これは雇用保険の場合と求職者支援制度の場合とでは趣旨や目的が異なる、こういうことでございます。

 しかし、委員からも御指摘もありましたように、これらについて疑問を呈する方もおられますし、また、労政審議会の方では、制度設計がなされた後も引き続き検討をした方がいい、こういう御指摘もいただいておりますので、これは引き続き検討をしてまいりたい、このように考えております。

あべ委員 大臣、いつまで検討しますか。

細川国務大臣 これは、この法案で、法案が成立いたしましてから大体三年後に見直し規定も入っております。そのときに総合的に、全体で見直しをする、こういうことでありますから、そのときに検討させていただきます。

あべ委員 大臣、三年じゃ政権もかわっているし大臣もいらっしゃらないかもしれないし、早目に私はこの責任をおとりになってやるべきだと思うので、これの検討会をことしじゅうに立ち上げるということをお約束いただけませんか。

細川国務大臣 これは、労働政策審議会の方からも、制度全体についていろいろな点で見直しをしろ、すべき、こういう提言もいただいておりまして、その見直しが法律で三年ということになっているんです。だから、制度を一応施行してもらって、その制度を運用する中で、先生の方の御指摘が的を得たものであったか、あるいはこの十万で行くのがまあまあいいということになるのか、ちょっとわからない。だから、これは運用してみて三年後に検討をしていただいたらいい、このように考えております。

あべ委員 雇用保険というのは払った方がいいのかどうかわからないような話ですよね。

 両方困っているんだと思うんですが、大臣、セーフティーネット、生活保護と働いている人との真ん中がちょっとぐちゃぐちゃになっているので、三年待っているともっとぐちゃぐちゃになると思うんです。ここは政治的決断を先ほどの合格証のように出していただいて、ことしじゅうに検討会をして少しセーフティーネットの整理を、これでは、正社員から落ちたら生活保護しかないという滑り台社会が、階段になったけれども変な階段という話になるので、何かそこは大臣、整理をするために、ことしじゅうにぜひとも検討会を開かなきゃいけないんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

細川国務大臣 せっかくの委員の御提言でありますけれども、この見直し、制度でいろいろなところを検討しなきゃいけないのは、先ほどから出ております財源の問題などにつきましても、大きな問題としてこれは検討しなきゃいけない、こういうことを労政審の方からも指摘もされておりまして、そういうもろもろの検討課題がございますので、それと一緒に検討をさせていただくということにしていただけたらというふうに思っております。

あべ委員 いつ検討しますか。

細川国務大臣 その検討、法律で三年後、こうなっておりますので、三年後になるかと思います。

 ただ、運用してみて、あべ委員の言われるようなまことに不都合なことが生じるというようなことがあれば、それはそのとき早速検討したいというふうに思います。

あべ委員 既に不都合が十分だと思うんですね、私は。特に、特定求職者に関して、雇用保険を受給できない人が対象ならば、なぜこれが労使負担なのかというのも非常に変だと思いますが、大臣、これは変ではないですか。

小宮山副大臣 これは、先ほども御答弁しているかと思いますけれども、求職者支援制度につきましては、現行の緊急人材育成支援事業の実績を見ますと、雇用保険の受給終了者などが六割以上となっています。このことが一つ。また、求職者支援制度を利用することで、安定した就職を促進し、雇用保険の被保険者数を増加させて、雇用保険財政に資することといった点を踏まえまして、雇用保険の附帯事業として位置づけて、国庫が二分の一と、雇用保険の失業等給付の国庫負担割合四分の一より多く負担する、国が相応の負担をした制度といたしました。

 この費用負担のあり方については、労働政策審議会でも議論がありましたので、これにつきましても、施行後三年の見直し検討規定を盛り込んでいますので、これも、この法案が施行されまして、その状況を見ながら検討をしていくということだと思っております。

あべ委員 小宮山副大臣、いつから検討しますか。

小宮山副大臣 先ほどから大臣もお答えをしているように、これは施行をして、確かにいろいろな検討課題があることは議論の中でもわかっておりますので、見直しは三年後としましても、その検討はそれに向けてやっていかなければいけないのだというふうに思います。

あべ委員 そのとおりであります。ですから、それに向けてすぐ始める必要が私はあるのではないかと思っておりまして、特に、既に十分検討の余地があるものが混在をしておりますから、小宮山副大臣、これはすぐにでも始めなきゃいけないことですよね。

小宮山副大臣 先ほどから大臣もお答えしているとおりでございまして、いろいろ懸案があることはわかっておりますけれども、施行をして、やはり実際にどうかということも見ながら検討する必要はあると思いますが、それはなるべく可能な限り早く始めた方がいいというふうには思います。

あべ委員 特に、再就職手当が今減少しているその原因に関しては、その中でも出ているかと思いますが、この原因は何でしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 再就職手当の受給者数につきましては、二十一年度三十九万人となってございまして、二十年度の三十五万人に比べまして四万人増となってございますけれども、二十二年度の二月までの実績では三十三万人となってございまして、同じ数字で前年同月までと比較しますとマイナス一〇・一%となってございます。

 この原因ですけれども、そもそも再就職手当の対象となりますのが、雇用保険を受給されている方が早期に再就職したときに対象になるわけでございまして、受給されている方が、景気の持ち直しに伴いまして減少しているというのが最大の原因だというふうに考えてございます。

 受給資格決定を受けた件数につきまして、同じ二十二年度の二月までの実績を見ますと、前年同月までと比べましてマイナス一六・五%ということで、再就職手当の受給者の減少よりもさらに大きい減少という数字を示してございます。

 ですから、再就職手当の受給者数の絶対数は減少しておりますけれども、受給資格を得た方で再就職手当を受給するという受給率自体は着実に伸びているというふうに思っておりまして、二十一年度に再就職手当の拡充の改正をさせていただきましたけれども、その効果は引き続き続いているんじゃないかというふうに私どもとしては分析しております。

あべ委員 これもさまざまな議論があるところでありまして、全体の職業訓練と給付と体系的に整理をしていかなければ、やはりセーフティーネットというのがシームレスな形のセーフティーネットに本当になっているのかとか、さまざまな不正な受給者なども出ている中にありまして、本当に論点はある中でありますから、これは全体の見直しを早くかけていただきたいというふうに思っております。

 特に、繰り返しの質問ばかりになっておりますが、さらに言えば、国庫負担の本則復帰に関しては、これは多分みんながもう十分言い尽くされたところだと思っておりますが、暫定措置の廃止の検討、これはするするといって、いつやるかということが一番大切でありますから、ここのところも早急にやらなきゃいけない部分だと思っております。

 小宮山副大臣、これに関してはいかがですか。

小宮山副大臣 雇用保険の国庫負担の本則復帰のための安定した財源につきましては、税制措置、また歳出削減といったいろいろな選択肢の中から検討されるべきものだと考えています。

 また、雇用保険の国庫負担の暫定措置の廃止の検討につきましては、その時期をなかなか、私といたしましても具体的に申し上げることはできませんが、国の財政状況、雇用失業情勢、雇用保険財政の状況、こうしたことを踏まえまして、雇用保険制度を安定的に運営できるように、暫定措置の廃止に向けて可能な限りしっかりと努力をしてまいりたいと思っております。

あべ委員 可能な限りしっかりとというのは非常に危ない言葉でございまして、本当にやるのかやらないのか、何か言葉だけで終わっちゃう感じがしますので、検討します、検討しますということを、ぜひとも、特に雇用の関係は若い方にとって非常に大切な部分だと私は思っております。

 今、景気が悪い、また東日本大震災の中でこれから日本の経済がどう落ち込むかわからないときに、日本のセーフティーネットがあいまいであるということになれば、じゃ、まじめに働いてそれで意味があるのか、さらには、まじめにいろいろなものを払って意味があるのかということが全くわからない、この社会は頼りになるのかどうかということになりますので、ここは本当に待たずして、検討、検討ではなく、しっかりとという何がしっかりかさっぱりわからない形ではなく、形に見える形で、いつまで決めるということもやっていただきたいというふうに思います。

 時間になりましたので私の質問を終わらせていただきますが、訪問看護ステーションにおける医薬品に関しては、政務官に今月中に御検討を始めていただくというお約束をいただきました。これは期待をしておりますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、坂口力君。

坂口(力)委員 坂口でございます。

 自民党のあべ先生から、早く終わりますから早く準備しておいてくださいと言われましたけれども、全然時間は早くありませんでした。少し延長したぐらいでございます。あべ先生のように、機関銃を撃つようにとんとんとんとんという質問を私はようやりませんので、私のペースでやらせていただきますから、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 さて、大臣、最近の大臣の記者会見の文言を拝見いたしました。これは、補正予算に関するものでございます。

 四月の十二日火曜日の日の記者会見におきましては、私としては慎重に検討しなければと思っております。これは、年金の財源についての話でございます。第二次補正とか、その他の方法でしっかり手当てしていただくのが当然のことと思っております。こういうふうに述べておみえになります。

 それから、四月の十九日になりまして、十九日には、これまで二次補正で手当てをするということも選択肢の一つだというふうに申し上げてきました。選択肢になってきました。それも含め、今後年金財政の方にしっかりと繰り入れができるような、その方策だけはしっかりやっていかなければと思っております。こういうふうにおっしゃっているわけであります。

 これは四月の十九日でございますが、皆さんのお手元にも配りました「平成二十三年度の基礎年金国庫負担について」、これは大臣間、財務大臣と国家戦略大臣でしょうか、協議をされまして、そして決まりましたことが二点ありました。それは、一つは「法律上、平成二十三年度基礎年金国庫負担割合は二分の一であることを明記する。」、二番目といたしまして、「ただし、平成二十三年度の二分の一と三六・五%との差額は、税制抜本改革により確保される財源を活用して、年金財政に繰り入れることを併せて法制化することとする。」、この二つが決められたわけでございます。

 私、この決められた文書を見せてもらって、そして、昨年末、平成二十二年十二月二十二日に財務大臣、厚生労働大臣、国家戦略担当大臣の合意をされましたのをもう一度拝見いたしました。一項目めは略しますが、二項目め、「平成二十四年度以降、税制抜本改革により安定財源の確保が図られる年度の前年度までについて、基礎年金給付費の二分の一と三六・五%との差額を税制抜本改革により確保される財源を活用して国庫の負担とするよう、必要な法制上・財政上の措置を講ずるものとする。」、こういうふうになっていたわけでございます。

 それで、ちょっと違いますのは、この平成二十二年の十二月は、「基礎年金給付費の二分の一と三六・五%との差額を」と書いてある。ところが、今回のこの合意文書には、「二分の一と三六・五%との差額は、」になっているんです。「を」と「は」と変わってきている。「を」も「は」も同じぐらいじゃないかと言われるかもしれませんけれども、私は、内容がかなり違うというふうに思っております。

 差額をと言ったときには、これはもうこの差額を全部見ますよということを言っている。しかし、差額はと言いましたときには、その差額を全部埋めてくれるのかどうかわからない。税制改正をして、そしてその中でもしも充てる金がありましたらやりますよ、こういうふうにとられる可能性がある。私は、これを読みまして、少し心もとないなという気がいたしました。

 今回の四月の十九日、ここでの合意事項、ここは、一つは、税制改正がなければこれはもう入れられませんということを言っている。もう一つは、税制改革ですべて賄うとは言っていないという気がします。それからもう一つは、税制改革以外で財源を求めることはありません、こういうことを言っている。これは、税制改正をやらなければこれはもう入れませんよということを決定的に言っている。そしてもう一つは、ことしはどんな財源で賄うのかということが書いていない。

 四つ申しましたけれども、大臣、ことしの分はどうするかということが書いてありませんが、ことしの分はどうされるんでしょうか。そこからちょっとお答えいただけますか。

細川国務大臣 この年金二分の一に関する財源につきましては、これを震災の復旧財源の方に回すのは、先生の方からも、そもそも社会保障の財源を復旧事業の方に充てるということはけしからぬ、こういうことで、委員会の中でも、しっかり対応するようにという激励もいただいたわけです。

 しかし、お話を申し上げましたように、この大震災は、本当に国家的存亡をも決めていくような、そんな問題でありますから、この際、年金の方についての私どもの考え、これについては総合的に判断して、復旧財源の方に回すことはやむなしという結論に至りまして、先生の御期待にこたえられなかったということについては私も残念に思っているところであります。

 そこで、ではどういうふうにしてあいた財源を入れていくのかということについては、これは、今後の税制改正と社会保障改革、この抜本的な改革を六月の末までにやる、そういう税制の抜本改正の中で年金の財源についても検討していく、こういうことになっているところでございます。

 したがって、税制の抜本的な改革ということも含めて、ことしじゅうに年金会計の方に繰り入れができるような、そういうことも取り組んでいきたいというふうに思っておりますけれども、先生の方に、ことしじゅうにというようなことでのお約束はできない、そういうことでございます。

坂口(力)委員 大臣がおっしゃることは私も十分にわかっておりまして、これだけの災害でありますから、何とかして財源をつくらなければならない。それも、財源をつくりますときに、どの財源であろうと手をつけてはならぬというようなこともなかなか言いにくい話である。それは私もそのとおりだろうというふうに思っております。

 前回も申し上げましたのは、使うのならば使うとして、その後を、ではどうするんですかと。後をどうするかということをやはりもう少しはっきりさせておく必要はありませんか。これは他の財務大臣や国家戦略大臣ともお話をされて決められるわけでありますから、決められるときに、いや、一たん年金の方に入れていただくように決まってはいましたけれども、しかしそういうわけにもまいりませんので、一時使われることはやむを得ないというふうに思います、しかし、その後はどうしてくれるんですかということは少し議論をしていただかないと、この文言だけからは、ことしの穴があいた分はどこから持ってくるのかということが書いてありませんから、私は心配をしているわけです。

 多分、そんなに方法があるわけではありませんで、財務省さんは、年金の積立金もたくさんありますから、その中で一時賄っておいてください、こういう話に落ちつく可能性が大きいわけですね。

 それで、たとえそこは一時それで埋めたといたしましても、それではそれをいつ返してくれるんですかという話になる。大臣は、ことしじゅうにでもというふうにおっしゃいますけれども、ことしじゅうに返してもらうんだったら、それは私、大臣にこれ以上申し上げることはありません。ぜひどうぞ返してもらってください、こう私は申し上げたいわけでございますけれども、どうもそういう調子にもいかないのではないかという心配もするものですから、申し上げているわけでございます。

 それから、ことしの分は何らかの形で穴埋めをしたといたしましても、それでは、来年からその穴埋めをするだけの財源を確保することができ得るのか。

 税制改正が行われたと仮定いたしまして、そうすると、そこから何がしかの財源が出てくる。そのときに、これは復興財源として使わなければならないというのがやはり先行すると私は思いますね。こういう大災害ですから、そこにまずは入れるということにならざるを得ない。復興財源にも入れるし、そして年金の財源も確保するしという、両方とも確保できるほど多くの財源を確保できればいいですけれども、そういうことをしようと思うと、これは経済にもかなり影響を与えてくることになってくる。

 そんな大それたこともでき得ないというふうになってきますと、ことしはことしとして済ませましても、来年もまた同じことをやらなければならない。再来年もひょっとしたらまた同じことをやらなければならない。そうしたことが続いてくる可能性がありはしないか。ことし一度認めるということは、今後も続くものだ、続く可能性があるという決意を持ってひとつおやりいただく以外にないのではないかという気がいたします。

 これは私の心配のし過ぎかもしれませんけれども、大臣は、ことしじゅうに何とか返してもらえるような手はずを整えたいというお気持ちのようでありますから、そうしていただくのであれば、これはもう何をか言わんや、私、大臣に後から手をたたいてついていきますけれども、そこはどうですか。私の心配の方が大きいか、大臣のお言葉どおりになるかというところは難しいところでありますけれども、もう一言だけ大臣にちょっと聞いておきたいと思います。真情を吐露していただきたい、そう思います。

細川国務大臣 坂口委員の言われるように、これからの復旧復興財源というのは膨大な額になってくる。それをどのようにして工面していくかということも大変難しい問題だというふうに思っております。

 そういう意味では、この年金二分の一の予定していた財源について、ことし戻してもらえるかどうか、こういうことについてはなかなか厳しい問題だというふうに私も思っております。しかし、以前から私も、また坂口先生もおっしゃっているように、この社会保障の特に年金問題については、老後の生活の糧でございますから、年金の長期的な運用について、これを安定化させるということは本当に大事なあれでありますから、そのことの財源に穴をあけていくということについては、私としても、これは何としても返してもらわなきゃいかぬということで、しっかりやっていかなければというふうに思っております。

 そしてまた、この二十三年度には税制の抜本的な改革をして、そしてその改革によって得られる財源を活用して年金の財政の方に入れていく、こういうことも法律でも決められているわけでありますから、これはこれで、今年度中にしっかりした財政の抜本的な改革をしていかなければというふうに思っております。

 今検討しております社会保障と税の一体改革、これは震災があったからといって引き延ばしをするということはよくないのではないか。財政規律の面からいいましても、海外の信用の問題もありますし、社会保障をしっかりやっていく、このことについておくらすということは日本の国家にとってもよくないということで、これを進めてまいりますから、その中で年金の二分の一の財源についてもしっかり確保する。そして、今回の復旧財源に使ったことについても返してもらうということをしっかり進めていくというのが私どもの考えであります。

 先生もおっしゃっているように、これは難しいところがあるけれども、私どもの姿勢としては、その姿勢をしっかり貫くのが私の考え、気持ちでございます。

坂口(力)委員 高い志を持っておやりいただくことは本当に結構でございますし、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思っておりますが、一方におきまして、心配もしながら拝見をしているということでございます。この問題、もうこれ以上申し上げません。どうぞひとつ御活躍いただきますよう、心からお願いを申し上げたいと思います。

 さて、先日でございますが、東日本の大災害に関係をいたしまして、地元の企業の中には、工場も流れ、施設も流れ、もう倒産する以外にない、こういうふうに言わざるを得ない人もありますし、また、そうした中にあっても、何とかして再建をしたい、そして今までの従業員を手放すということはしたくない、何とか続けていきたい、こういう思いで頑張っていただいている皆さんもお見えになる。そこで、これからも何とかして頑張っていきたいというふうに思っていただく皆さん方には少しバックアップをしていかなきゃならない、私たちもそう思っているわけであります。

 先日、少しまとめました提言をお渡しさせていただきまして、これに対しまして大臣の方から早速に御回答をいただきまして、ありがとうございました。その中で、この東日本のケースの場合には、特例としていろいろなことを検討していきたいということが書いていただいてありましたので、非常にそこは感謝をしているところでございます。

 そうなんですが、後でよくよく事務局からいろいろなことを聞いてみますと、そこは単純な話ではないということもよくわかってまいりました。私も知らないことがたくさんあって、きょうはその辺、少し整理をさせていただいて、そして事務局の方からもそれでいいか悪いかちょっとお答えをいただいて、そして、そういう立場にあります企業の皆さん方にも御参考にしていただければというふうに思っております。

 一つは、従業員を休業させる、そのとき賃金を支払うかどうかというのは、その企業と従業員との間に労働契約がきちっとできていたかどうかによるんだそうでありまして、そして、契約がありましたら、休業している人にも払わなければならない。しかし、契約がない場合には、払わなくてもいいといいますか、払わないこともやむを得ないということになるんだそうでございます。

 契約がなければ手当を支払わなくてもよいし、支払わないときには雇用保険や労災保険の保険料を企業が負担する必要はない、賃金を払わないときには保険料を払う必要はないというふうにお聞きしましたが、これも事務局からで結構ですが、ひとつ、私の受けとめ方がそれでいいかどうか、お答えください。

生田政府参考人 お答えいたします。

 賃金の支払い義務につきましては、労働契約できちんと定められている内容につきましてはきちんと払うということになりますけれども、例えば災害で事業所が流されるといったような実態がありましたときに、事業主の責めに帰すべき事由があるときは休業手当を払うというのが労働基準法上決まっておりまして、そういうケースだと労働基準法上も義務が出るんですけれども、そうでないケースにつきましては労働基準法上の義務が出ないということになりますので、事業主に関しては、契約がない限りは支払い義務がないということになります。

 それから、賃金の支払いがないときは、雇用保険、労災保険とも、賃金がございませんので、保険料の支払い義務は一切生じないということでございます。

坂口(力)委員 もし労使の間で契約があって、賃金を払うときには払わなければならないということになりますか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 契約の解釈は、具体的に読んでみないと難しいところもございますけれども、例えば、自然災害があって、どうしても事業が継続できないようなときにも賃金を払うというふうに読めるような契約になっていれば払わないといけないですけれども、なかなか個々の契約の解釈は難しいというふうに思います。

 委員のおっしゃる意味では、契約にちゃんと書いてあれば払わないといけないのは間違いございません。

坂口(力)委員 わかりました。一応、契約がなくて賃金の支払いをしないという企業に対しましては、雇用保険それから労災保険につきましては保険料を払わなくてもいい、こういうことですね。

 今度は、厚生年金それから健康保険の保険料でございますが、厚生年金それから健康保険の保険料というのは、企業が従業員を賃金を支払わずに休業させているとき、このときには、厚生年金それから健康保険、この保険料は払うんですか、払わなくていいんですか。教えてください。

岡本大臣政務官 今回の震災に当たりまして、既に厚生年金や健康保険といった社会保険料の納付期限の延長や納付猶予といった措置は開始をして実施をしているところでありますけれども、今回、震災の被害の甚大さにかんがみて、震災による被害を受けたことにより従業員に対する報酬の支払いに著しい支障が生じている事業所を対象として、社会保険料を免除する特例措置について法案を提出させていただいたところであります。

 その中で、一体どういうときが報酬の支払いに著しい支障が生じているということかというと、おおむね過半の、半分の従業員について報酬が支払われないか、もしくは標準報酬の下限、厚生年金の場合ですと九万八千円、健康保険の場合ですと五万八千円になりますが、これ未満の報酬しか支払われていない場合というところで調整をしたいというふうに今検討をしているところであります。

 そういう意味では、先生おっしゃいますように、ある事業所でおおむね過半の従業員の給料が支払われていないときには、今回の、提出をさせていただいております法律を成立させていただいた暁には、保険料が免除される特例措置が実施をされるということになります。

坂口(力)委員 現状の問題と、それから今度特例措置ができる問題と、少し区別をしておかなきゃいけないと思いますが、現状でありますと、そうすると、厚生年金の場合には九万八千円以下の場合、それから健康保険の場合は五万八千円以下の場合、この両方の人に対しては、これは払わなければならない、現在の法律は払わなければならない。だけれども、今回の特例でそれを払わなくてもいいようにする、こういう立て分けでよろしいですか。

岡本大臣政務官 冒頭お話をしましたように、現時点で納付期限を延長しておりまして、現時点でいつまで延長するかというのもまだ決まっていません。災害がおさまってから大体二カ月とかそういうような期日になるわけですけれども、まだ決まっていませんので、現時点でお支払いを求めているということもないですが、委員御指摘のとおり、この法律、今回提出をさせていただいた法律が成立した暁には、先ほどのいわゆる免除ということができるということになります。

坂口(力)委員 もう一度整理をいたしますと、東北で自然災害を受けられた企業が労働者を休業させます場合に、労働契約がなければ賃金を支払わずに済ますことができる。契約があるときには支払わなければならない。雇用保険や労災保険の保険料は、賃金を払っていないときでも企業は保険料を払わなくてもよい。しかし、労働者は雇用保険を受けることができる。よろしいですか。しかし、健康保険料や厚生年金保険料の場合には、賃金の支払いをしていないときでも保険料を企業は支払わなければならないことになっていたけれども、今回特例としてそれは払わなくてもよいようにする。それでよろしいですか。

 もう一遍言いますか。わかりにくかったから。

岡本大臣政務官 おっしゃるとおりでございます。

坂口(力)委員 それでは、かなり頑張って、災害に遭って本当は何もなくなってしまっているんだけれども、しかしもう一度立ち上がりたい、そして、雇った人たちを手放さずに休業状態にしておいて、一日も早く呼び戻したい、こういうふうに言っていただいている企業の皆さんがお見えになりますから、その皆さんに対してはおこたえをしていただくということになるのではないかというふうに思いますし、先ほどから答弁をしていただいたとおりでありますけれども、なかなか中身は、保険によって払っていいのやら払わなくていいのやらわからない部分があったりして混乱をいたしますので、少し整理をさせていただいたところでございます。

 それから、次の、仕事を始めますときに、仕事を始めたらその特例というのはなくなるのか。それとも、仕事をスタートさせても、しばらくの間はこの企業に対してはその特例が通用するのか。その辺のところはどうなりますか。

岡本大臣政務官 御指摘の点は、報酬がもし発生すればということだと理解をさせていただきますと、給料が支払われて、報酬が支払われるということになりましたら、保険料はお支払いをいただくことになるわけであります。

 ただ、免除の期間も、ぜひ御理解いただきたいのは、健康保険についても、その被保険者であるということを失われているわけではありませんので、引き続きそういった保険も使えるということも御理解いただきたいと思います。

坂口(力)委員 もう一つ、確認だけしておきたいと思いますが、そういう特例がこれからできるわけですね。そうすると、三月の十一日にこの災害が起こりまして、それから一カ月後、二カ月してからそういう特例ができるといいますときに、それはさかのぼって三月十一日から適用になるんでしょうか。それとも、それはできないんでしょうか。そこをお願いします。

岡本大臣政務官 遡及するということでございます。

坂口(力)委員 ありがとうございます。ぜひそういうふうにしていただきたいというふうに思っております。

 さて、それでは、この法律のことにつきましても、全然触れずにほかのことばかり言っておりましてはいけませんので、この法律に関しますことを一、二お聞きしておきたいというふうに思います。職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案と、それから雇用保険法及び労働保険徴収法の一部を改正する法律案の二つがあるわけでございますが、それぞれ一項目ぐらいずつ聞いておきたいというふうに思います。

 まず、求職者支援制度についてであります。

 これは、既に平成二十一年七月からスタートいたしまして続いてきたものでございます。無料の職業訓練及び訓練期間中の生活費給付を行う緊急人材支援事業をもう既に二十一年の七月から実施をしております。これはまだ今の政権にならない前の話でございますが、今日までどういう実績が上がってきておるかということを一つお聞きしたいと思います。

小林大臣政務官 緊急人材育成事業の実績ですけれども、事業を開始した平成二十一年七月から平成二十三年の三月末までの累計の受講者数が、目標の二十三万人に対して三十三万一千二百五十三人、このようになっております。また、訓練修了後三カ月経過した時点で把握した就職率、この目標が六〇%でありましたけれども、六八・八%になっております。

 このように、訓練受講者数、就職率とも目標を上回る水準で推移をしています。就業経験が十分でない方や長期失業の方など、多くの方の就職の実現に成果を上げてきた、このように認識をしております。

坂口(力)委員 お受けになった方が三十三万人になり、そして就職された方が六八・八%、いい数字だといえばいい数字でございます。しかし、これでもなおかつ就職のできなかった人もあるわけであります。

 したがって、今後、これは法律上の問題だけではなくて行政上の問題も含めてですけれども、今日まで行ってきたのでは少し物足りない、もう少しここはこういうふうに直していかなければならないというふうに思われるところがありましたら、ぜひお聞かせをいただきたい。そして、今回のこの法律改正にあわせましてそうしたことを取り入れてもらいたいと思っております。

小林大臣政務官 三点ほどあるな、このように考えております。

 一つは、国及び各地域ごとの求人ニーズ等を踏まえた職業訓練実施計画をきちんと策定すること、これに基づいた訓練コースの認定が必要である、このように考えております。二つは、個々の求職者に対する就職支援の強化をしていく必要もあり、このように思います。また、就職率を個々の訓練の評価指標とすること等、今言った一から三つ目、三点ほど挙げましたけれども、こういうものを今回の法律には盛り込んで、今まで実施をしてきたものに加えて、この辺の強化をしていく必要があり、このように考えております。

坂口(力)委員 その辺のところ、今まで以上に効率がよく、そして皆さんが利用しやすい体制にぜひともしてもらいたい、かように考えております。

 それから、雇用保険法につきましても一つお伺いをしたいというふうに思います。

 失業等給付に係る法定の保険料率を、今度、一・六から一・四%に引き下げるわけですね。雇用保険の財政を見ますと、積立金がまだ四兆円ぐらいありますから、まだ大丈夫かなという気もいたしますが、雇用保険二事業の方の収支状況を見ますと、安定資金残高が五百六十三億円ということになっておりまして、それほど後に残っているわけではない。これは企業側の方だけで出していただく分ですから、企業の方にまたお願いをすればいいといえばそれまででございますけれども、しかし、そうはいいましても、景気の動向がこういう状況でございますから、そう多くのことをお願いすることはできないんだろうというふうに思います。しかし、なくなれば埋めてもらわなきゃならないわけであります。

 今回、一・六%から一・四%に保険料率が引き下げになる、そしてもう一つの二事業の方もあと少なくなってきているというので、今後の経済動向とにらみ合わせて、これは一度決めたことだからこれでやむを得ないという考え方なのか、それとも、もう少しここは今後変える必要が生まれるかもしれないというふうに思っておみえになるのか、その辺のところ、微妙なところでございますけれども、お聞かせいただくことができればと思います。

細川国務大臣 先生おっしゃるように、雇用保険財政というのをどのように安定的に運営を図るか、これが大変大事なことでございまして、とりわけ今回の大震災に基づきます二事業、特に雇用調整金などがたくさん出ていく、こういうようなことも心配の種になっているところでございます。

 今現在におきましては、二十二年度では約四兆円あったわけでございまして、しかし、これがこれから大震災に基づく失業で多く支出が膨らんでいく、こういうようなことで、今度の補正予算で失業等給付費というので三千億円の増加ということで見込んでおりまして、そういう意味で、二十三年度末の積立金というのは約三兆円というようなことで、当面の安定的な運営というのは確保されているというふうに私ども見ておりまして、そういう点では大丈夫ではないかというふうに考えております。

坂口(力)委員 四兆、五兆といいますと大変大きな額でありますし、安心しがちになるんですね。私、最初に労働大臣をさせていただきましたときに、たしか五兆円積立金があったと思います。しかし、その後、景気が悪くなりまして、とんとんとなくなっていきまして、ゼロに近づいたことがありまして、慌てたことがございます。ですから、四兆、今三兆とおっしゃいましたか、三兆、四兆というのは非常に大きな額でありますけれども、一遍失業が多くなりますと、それはすぐになくなっていく、そういう性質のものだという気がいたします。

 したがって、今回一・六%から一・四%に引き下げられて、払う側からすればそれだけ楽になりますし、それは結構なことだといえば結構なことなんですけれども、雇用がこれでよくなっていけばそれにこしたことはありませんが、今回の予想外の出来事もありますから、東日本の状況等を考えましたときに、このことが日本経済に一体、全体としてどう影響を与えていくのか。

 他の地域におきましても、品物不足が起こりまして、そして、建築その他も途中でストップをさせなければならないというようなことが全国各地域で起こっております。そんなことが起こりますと、当然のことながら、そこへ勤めておみえになりました皆さん方は、勤め先が少なくなる、あるいはまた働くことができ得なくなるということで、非常に困っておみえになるところも多いわけでございます。特に住宅関係、その資材、そうしたところに非常に不安定さが増してきているところでございます。

 これは、引き下げていただくことに反対では決してありませんけれども、しかし、経済の動向がこういう状況でありますだけに、不安要因も残っているというふうに私は思っております。

 したがって、ここはいっとき下げていただきますけれども、ことしの後半から来年にかけての状況をごらんいただいて、そして、よくなればそれにこしたことはありませんけれども、非常に厳しい状況が続くということになったときには早目に手を打っていただかなければならない、こう思っておりますが、いかがでしょうか。

細川国務大臣 坂口委員が大臣を務めておられたころの経験から、急に少なくなっていって、そしてあのときは、たしか保険料の値上げということもしたところでした。そういう経験からのいろいろな御提言でございます。

 この大震災によります景気の動向というのはこれから大変重要でございまして、私どもとしたら、精いっぱい雇用の確保ということ、これに厚生労働省としては力を入れてやっていかなければというふうに思っておりますし、政府全体としても、景気についてはしっかり、余り震災の影響を受けずに、何とか早く復旧復興を遂げて景気をもとに戻していく、こういうことをしていかなければいけないと思いますが、坂口委員の言われるように、なかなか経済というのは難しいというふうにも思います。

 したがって、今回は保険料について下げさせていただきますが、これからの経済状況を見まして、見通しとして、これはちょっと大変なことになるというようなことになれば、先生の御提言のように、検討を早くやらなければというふうにも思います。景気の動向次第だというふうに思いますので、またそのときには、先生からも御意見もいただけたらというふうに思っております。

    〔委員長退席、郡委員長代理着席〕

坂口(力)委員 ぜひそういうふうにお願いをしたいというふうに思います。

 前回にも私申し上げたことでございますが、この景気の問題は、これは厚生労働省だけでどうこうできるという話ではありません。ありませんけれども、景気が低迷をいたしますと、一番先に影響を受けるのは、厚生労働省が受け持っている部分が一番いろいろな被害を受けやすいことも事実でございまして、それだけに、慎重に、私たち、これからのことを見守っていかなければならないというふうに思います。

 それで、そのときに、やはり大きい企業もしっかりとしてもらわなければなりませんけれども、それでは、大きい企業だけでうまくやっていけるかというと、日本の経済、そういう調子にはいかなくなってきている。よく私は、大きい企業は渡り鳥だ、こう言うんですけれども、一番住みやすい、都合のいいところにみんな飛んでいってしまう、そして、後に残されたものが大変苦労をするというようなことになるわけでありまして、そういう意味では、今までの中小企業が、親企業からいろいろな仕事をもらって、それでやっていく、そういう中小企業の立場を転換して、やはり自分たちの力で立ち上がっていける、新しいものをつくっていく、技術は持っているわけでありますから、そういうことをやはりしっかりと手がけていかないと、経済の立ち直りというのがなかなかできにくいのではないかというふうに思っております。

 したがいまして、一つは、経済産業省あたりとしっかり連携を密にしていただいて、そして、中小企業に対する手だてというものにつきましても、厚生労働省としてしっかりと手を差し伸べてもらいたいというふうに思っております。

 私の方が少し時間が余ってまいりまして、あべさんの余った時間をもらうつもりでおりましたら、私の方が少し時間が余ってまいりましたので、これぐらいにして、次の方に譲ってもいいですか。大丈夫ですか。後の人はばっちりやるそうでございますので、それでは、私はこれぐらいで失礼させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

郡委員長代理 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 坂口委員、ありがとうございました。ちょっとだけ考慮していただけるのかなと思って、やりたいと思います。

 きょうは、法案そのものについて質問をいたします。

 求職者支援法は、二〇〇九年の七月から緊急人材育成支援事業として取り組まれてきた基金訓練を新制度として恒久化するものだと思います。国の責任で、雇用保険制度の枠外となっている学卒未就職者や自営業廃業者、雇用保険受給終了者など、いわゆる求職者への無料の職業訓練の実施、訓練期間中を含む生活支援を行うということは、我が党としても、提案してきた中身に合致をしており、基本的に賛成であります。

 しかし同時に、先ほど来るる出されておりますように、問題点も多くありまして、制度設計については、今後よく議論をして、改善をしていくことが必要だと思っております。三年後は長いと思いますけれども。そういう立場で質問をしたいと思います。

 まず、今行われている基金訓練ですけれども、ことし三月三十一日現在で、訓練コースが一万四千七十三コースに対し、延べ三十三万一千二百五十三人が受講していると聞いております。ただ、訓練の期間は、一番多いのが三カ月で七割。恒久的な制度にするためには、訓練の内容充実、また雇用に直接結びつくことが重要だと思います。

 そこで、まず、現在認定されているコースが引き続き認定されるのか、あるいは、改めてすべて認定をし直すということなのか、伺いたいと思います。

小野政府参考人 お答えいたします。

 求職者支援制度になりましたら、特に訓練の質を向上させるという観点から、認定基準を改めて策定をするということにしております。したがいまして、新たに設定したこの認定基準にそれぞれのコースが適合するかどうかということで、改めて認定をするということになります。

高橋(千)委員 単純連動ではないということがまず確認をされました。

 ただ、認定をするときに実績を見るということでしたので、結局その実績の評価がまた問題になってきまして、きちんとやられているかどうかということをやはり今の時点で施行の前までに評価をしていくということが大事なのかなと思っております。

 そこで、次にですが、地域によって訓練の格差は非常に大きいです。やはり、就職が困難な地域、ニーズが高い地域であればこそ、訓練の量が少ないといいますか、そういうアンバランスが当然あると思いますけれども、どのようにお考えか。

小宮山副大臣 全体として見ますと相当数の訓練が設定されていると考えていますけれども、地域によりまして訓練の量とか種類などに差が生じていることもあると思っております。

 求職者支援制度では、毎年度、全国レベルまた都道府県レベルで労使団体や民間教育訓練機関など関係者の意見を聞いて訓練実施計画を策定しまして、この計画に沿って訓練の開拓、認定を行うことにしています。こうした仕組みを通じまして、どの地域でも求人求職ニーズに対応した訓練が適切に設定されるように努力をしていきたいと思います。

高橋(千)委員 そうすると、国とそれぞれの都道府県に置く協議会、そして職業訓練実施計画、これが重要になってくると思います。

 そこで、現在は中央職業能力開発協会が行っている訓練機関の認定業務、これを新しい高齢・障害・求職者支援機構がやるということになると思いますけれども、では、職業訓練実施計画を実際につくるのはどこか。大臣がと法律上は書いてありますけれども、大臣が一つ一つつくるわけではないですので、まずどこがつくるのかということです。それから、職業能力開発促進法に基づく職業能力開発計画との関係がどうなるのか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 法案に規定されております職業訓練実施計画につきましては、労使団体あるいは関係機関等で構成されます訓練協議会の審議を経まして、全国レベルのものにつきましては厚生労働大臣、厚生労働省、それから都道府県単位の地域レベルのものにつきましては都道府県労働局、労働局長がそれぞれ策定をするということになっております。

 それから、お尋ねの職業能力開発基本計画、能力開発促進法に基づきます計画でございます。これは、五カ年の計画、中期的なこれからの能力開発の基本施策の方向について定めるものでございます。これに対して今回の法案に基づく職業訓練実施計画につきましては、先ほど御説明しましたが、毎年度の訓練規模、重点分野などに関する具体的な計画という違いがあると思います。

    〔郡委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(千)委員 今の答弁は、能開法に基づく計画は五年で、今、職業訓練計画は毎年だ、それしか違いがないんですよね。そういう問題なのかということなんですよ。要するに、どちらにしても、その地域によってそれぞれの訓練のニーズを把握しながら、また必要な雇用の情報などを把握しながらどのような訓練を組み立てていくかということでは、どちらもリンクする部分があるわけですよね。それとの関係でどうするのかと聞いているのに、五年と一年だ、そういう答弁はないと思いますが、いかがですか。

小野政府参考人 今申し上げましたように、それぞれの計画、特徴があるわけでございますけれども、五カ年の職業能力開発基本計画、先ほど申し上げましたように能力開発施策の基本方向を定めるというものでございますから、そういった基本的な考え方を受けて、当然、職業訓練の毎年の、この法案に基づく職業訓練実施計画というものも、連携をとりながら策定をされるということはもちろんだろうと思います。

 それから、先ほど委員がお尋ねの具体的な認定業務につきましては、新しい高齢・障害・求職者支援機構が行いますので、こういう計画に基づいて、その趣旨を踏まえて認定を機構が行いますので、それぞれ策定主体等々は先ほど申し上げたように特徴がありますけれども、関係の計画、関係の機関が有機的に連携をとる形で計画の策定、具体的な認定が進むように努めてまいりたいと思います。

高橋(千)委員 私は、やはり連携をとるということも大事ですし、この間、能開法の質疑の中で、民間訓練があるからいいじゃないかという、いわゆる規制改革側の議論が随分あって、いや、そうではない、公共職業訓練の位置づけというのはどんなに大事かということを繰り返し厚労省との関係でも確認をしてきた、そういう経緯があって、やはりそこを大事にしていく必要があるのではないか、むしろそこの方が今大事になっているのではないかということを言いたいわけなんです。

 そこで、例えば能開法の第二十三条の三項には、公共職業能力開発施設の長は、公共職業安定所長との密接な連携のもとに、公共職業訓練を受ける求職者の就職の援助に関し必要な措置を講ずるようにしなければならないと書いております。つまり、訓練を実施する責任者、長が、就職支援について必要な措置を講じなければならないという責務が書かれているわけです。

 ところが、一方、求職者支援法には、認定職業訓練を行う者、この責任については触れていないわけですね。つまり、先ほど来の議論があるように、不正があったらしっかりチェックをする、あるいは立ち入りをしていくとか、そういうことはいろいろ書いています。しかし、認定職業訓練を行う者がその就職支援に対してどういう役割を果たすのかということは書かれていないわけです。せいぜい書かれているのは、第十三条「関係機関等の責務」の中に、ハローワークや公共職業能力開発施設の長その他関係者と並列になっておりまして、「相互に密接に連絡し、及び協力するように努めなければならない。」と書いてあるだけなんです。

 ですから、就職支援は結局ハローワークがやれよということなんです。職業訓練をやっている者がどういう成績を残すかということは、正直言ってハローワークのせいよということになりかねないわけなんです。これは非常に重要な責任の部分だと思いますけれども、そこについてほとんど触れていない。認定するのもコースそのものであって、その機関に対してやはりふさわしいことをやっているのかという視点がないんですよ。その点、いかがですか。

小野政府参考人 お答えします。

 今回は、認定される訓練機関については、就職の責任者というのをきちっと置いていただいて、今まで以上に訓練機関みずからも求職者の就職にも最善の努力を尽くしてもらう。

 それから、もちろん、先ほど委員もおっしゃられたように、ハローワークは当然就職の支援を全体的に見るという形で、ハローワーク。それから、実際の訓練機関。それから、今回、認定業務を行います新しい機構、ここにつきましても、訓練を認定するときに、やはりそれが求人ニーズ、求職ニーズに当然沿ったものでなければいけませんから、それは、先ほどお話ししました訓練の実施計画に基づいてお互いの機関が共有をし、ハローワーク等からいろいろな求人、求職のニーズが出てまいりますので、そういうものを新機構がいただいて、具体的により就職に結びつくコースの設定ができるような、そういう形での認定ということも行うということで、新機構も就職支援というものを全く度外視した形で業務を行うということでは全くありません。

 それぞれの関係機関が、まさに法律にありますように、いろいろな役割分担をしながら、最終的には就職率をいかに上げていくか、質の高い訓練をして就職に結びつけていくというのが大目的でありますので、そういう形で各機関が連携をする、そういう過程をとっていきたいと思います。

高橋(千)委員 そういう大目的をやるためには、コース一つ一つに対する認定ではなくて、やはり訓練機関がどういうところであるのかということを丸ごと評価しなければできないのではないか、これは重ねて指摘をしたいと思うんです。関連する質問がありますので、後で大臣や副大臣にもお答えをいただきたいと思います。

 続けますが、受給者に対する給付金、それから訓練奨励金の支給業務はどこがやりますか。

小野政府参考人 給付については、ハローワークを念頭に置いております。それから、訓練機関の奨励金につきましては、都道府県労働局が支給を行うという予定であります。

高橋(千)委員 この支給業務がまた大変煩雑になってくる。先般から繰り返し述べてきた、ハローワーク、労働局の業務が非常に多忙になっている、人をふやすべきではないかということを指摘してきたわけですけれども、また細かい業務が来るのだということでは、私は非常に不安を抱えております。むしろ、給付の問題と訓練の問題というのは切り離すべきではないか、このことを少し考えていきたいなと思います。

 続けます。認定職業訓練を行う者に対して、これが円滑かつ効果的に行われるよう助成することができる、第五条にありますけれども、具体的に、訓練機関に対して奨励金は幾ら払われるのか、そしてその根拠はどうなっていますか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 求職者支援制度におきましては、この奨励金については、今、現行の基金事業の支給額等を参考にしながら、この求職者支援制度では大きく分けて二つのコースに分かれますけれども、一つが基礎的能力から実践的能力までを習得するコース、これにつきましては、就職実績に応じた支給制度として、受講者一人一月当たり五万円から七万円、それから、もう一つのコースであります基礎的能力を習得するコースにつきましては、定額の受講者一人一月当たり六万円とする方向で検討しております。

 その根拠は、民間の教育訓練機関の受講料等々を参考にして、現行の基金訓練もそういう類似の額にしておりますし、公共職業訓練の委託訓練の委託費につきましても同額になっておりますので、そういうものを参考として設定をする方向で検討したいと思っております。

高橋(千)委員 例えば、現在運用されている基準、一日五時間か六時間、そして百時間以上、そういう基準が一点あったかと思うんですね。

 ただ、よく引き合いに出されるリーガルマインドなどですと、受講料が十五カ月コースで四十三万四千円から最大でも六十万円以下だと。これを月割りしますと四万前後になるのかなと思うわけです。そうすると、現在、普通にやっていて六万円よりも安い受講料しか取っていないところが現にあるのに、そこになぜ高い奨励金を払うのかという問題。

 あるいは逆に、受講料は非常に高いんですね。ところが、よくよく見ていくと週一回のコースしかない、そういうスクールも多くありました。そうすると、ある程度、奨励金を出す以上はもうちょっとやってくれよと言われて、週一回で済んでいるものを無理やり週何回もやらせるんですかと。それが本当に求められる求職者支援制度にふさわしい内容になるのかなというのは、非常に疑問があるわけです。いかがでしょうか。

小宮山副大臣 訓練機関に支給する訓練奨励金の額は、今行っております基金事業の支給水準を踏まえて設定をしていますので、適切なものではないかというふうに考えています。

 具体的な認定基準は現在検討中ですけれども、施設設備が訓練を適切に運営できるものなのかどうか、訓練を効果的に指導できる講師が確保できているか、カリキュラムの内容や訓練期間が適切に設定されているか、こうしたことを審査しまして、質の高いコースが認定できるように努力をしていきたいと思っています。

 やっている時間の短いところ、あいている日が短いところとか、いろいろばらつきがあるということは承知をしていますが、そのことがどういう効果を上げているのか上げていないのか、そうしたことも含めて精査をしていく必要があるとは思っております。

高橋(千)委員 仮に六万円が適切だとしたとして、それにふさわしい授業かどうかというのはまた違うわけですね。必要ないのにとりあえず無理やり講座をふやしてみたりその逆だったりということではやはりまずいということをおっしゃっているのだろうと思いますので、そこはしっかりしていただきたい。

 あわせて、今の答弁の中で、講師の問題がございました。私は、仕事をふやす必要があるからといって、やはり何でもいいというわけにはいかないんだろうと思うんです。

 基金訓練が恒久法となることを見込んで、各校が、十万円もらえる、これを前面に出した生徒緊急募集をやっているわけですね。私がハローワークに視察に行ったときもビラまきをしておりました。大募集、緊急募集、基金訓練があって十万円もらえるからということになるわけですね。

 それと同時に、講師も緊急大募集しているのを御存じでしょうか。例えば、ネットにある熊本市の求人では、基金訓練講師として、経験不問、時給八百円から千円、パート労働者というふうにわざわざ書いてある。講師もパート、アルバイトで、これで安定雇用に結びつくでしょうか。

細川国務大臣 委員が御指摘になりましたような事例が仮にあったとすれば、これはとんでもないことだというふうに思います。十万円の給付があるから訓練を受けたらどうかというような、そういうところで募集をするというのは、私は、この趣旨を本当に履き違えた、あるいは悪用する、とんでもないことだというふうに思います。

 また、講師も、質の高い訓練をやってもらわなければいけないのに経験不問だとか、これまたとんでもない講師でありまして、そういうような募集をしているような訓練機関というのは、そもそも求職者支援制度のもとでの訓練をするような機関としてとても認められないというふうに私は思います。

 したがって、そういうことがないようにしなければいけないというふうに思いますが、そのためには、これから始まりましたら、訓練機関が広告を出す場合にはこの基準とかを出し、また、講師についてもきちっとした基準を設けながら、講師を認めるという認定のときに、今言われたようなところの講師なんかについては認定をしないというようなことで、この制度をしっかり運用してまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 大変厳しい大臣の答弁でありましたので、しっかりやっていただきたいと思います。

 ちなみに、公共職業訓練、能開法に基づく訓練では、訓練講師の資格が要るはずなんですね。やはりこれは本当に大事だと思うんです。

 さっき言いましたネットの求人には、講師または講師助手と書いているんですよ。そうすると、講師に対してもちゃんと経験不問と言っているんだけれども、問い合わせすると、いやいや、助手ですからと逃げられる可能性がある。これは限りなくグレーだと言わなければなりません。やはり、講師は講師、助手はあくまでも事務スタッフであったり相談スタッフであったりときちんと分けていなければ、何か問われたときに、いやいや、助手ですからと言われることがないように、明らかにそれがねらいだなというふうに受け取れますので、さらにつけ加えて指摘をしておきたいと思います。

 さて、基礎訓練の後、公共職業訓練に移行することができるようになっていますけれども、その割合はどのくらいでしょうか。

小宮山副大臣 基礎訓練を受講した後に公共職業訓練を受講した方の人数全体は把握していませんが、基金訓練の実践演習を修了した方の七・七%が、次に受講できる公共職業訓練の受講を希望していたというデータはあります。

 公共職業訓練、離職者訓練につきましても、雇用のセーフティーネットの観点から大変重要な役割を担っていると考えていますので、二十三年度、今年度は、過去最大だった昨年度とほぼ同じ規模のおよそ二十二万人の職業訓練を実施する予定です。

 基金訓練、そして求職者支援制度に基づく職業訓練とあわせて、求職者の希望や適性に応じた訓練コースを設定することで、しっかりとその就職を支援していきたい、そのように考えています。

高橋(千)委員 基礎訓練、実践コース、そして公共職業訓練と、ずっとたどり着くわけですけれども、出だしが先ほど言ったような問題があっては困るということと、やはり、公共職業訓練ということの意味、非常に大事であるということと、これを拡充するということで確認をしてよろしいでしょうか。

小宮山副大臣 そのとおりだと思います。

高橋(千)委員 そこで、先ほど最初にお話ししたように、求職者支援制度そのものは重要だし、いろいろあっても賛成をするつもりであります。

 しかし、結局、先ほども議論になっているんですけれども、提案されている求職者支援制度で雇用保険と生活保護のすき間を埋めるということは、やはり無理な話ではないかということなんです。十万円よりも少ない失業給付ということ自体が大問題であるわけですけれども、月十万円ではやはり生活していけないわけですね。だけれども、給付を受けるためには、もう今度は欠席してはいけないことになっていますので、アルバイトする暇もないわけです。やむなく生活保護を受けたとしても、十万円が収入認定されてしまう。差し引きになっちゃうわけですね。そういう点では、生活支援という点でも大変不十分なことが難点だと思います。

 言いたいのは、やはり雇用保険の拡充こそが重要ではないか。これまでも繰り返し指摘をしてきたわけですけれども、日本は、諸外国に比べて、失業者のうち雇用保険の受給率がやはり低いわけですね。全失業者の五人に一人しか受給をしておりません。それでも、一番新しい数字を伺いましたけれども、二月現在、三百二万人の失業者のうち五十七万人が失業給付を受給しているということであります。

 そうすると、基金訓練に比べると、カバーしている分野はもっと大きい、非常に大きい。しかし、震災で九十万人超を見込んでいるわけで、受給できない人は数百万人という、三百万から単純に引いても二百万以上いらっしゃるということになるわけですから、やはり、雇用保険があり生活保護があり基金訓練があっても、まだすき間はあくということになっちゃう。そうすると、やはり雇用保険そのものをもっと拡充するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

細川国務大臣 雇用保険の充実というのは、これは大変大事なことでありまして、今回のこの改正法案でも、労働者の生活の安定、再就職の促進ということで、失業給付の充実やら、あるいは保険料の料率の引き下げなどで充実をさせよう、こういうことでございます。

 また、拡大ということもいろいろと考えておられると思います。例えば、自己都合などとは区別すべきではない、こういうのが先生の持論でありますけれども、ただ、解雇などの離職者は、離職前に再就職に向けた準備をするというのはなかなか困難で、したがってそういう人には手厚くはしなきゃいかぬ、こういう要請がございます。

 しかし、また一方、自己都合の離職者につきましては、受給資格要件や給付日数を解雇等の離職者と同等にするということになれば、これまた安易な離職を招きかねないんじゃないか、こういう危惧などもございまして、先生のこれまで言われていることについては、やはり慎重に検討もしていかなければいけないんじゃないかというふうに思っております。

高橋(千)委員 わざわざ質問を分けたのに、意を酌んでいただいて、今、自己都合のお話をされたわけですけれども、やはりこれは、私、もともとはなかったわけですから、自己都合で待期させられる、あるいは給付日数が削られるということは、全面的になくすべきだと思っています、今でも。少なくとも、今のこの震災という特別な事情の中で、その自己都合の仕組みが今でも生きているというのは、やはり非常に問題ではないかと。

 本人は、それは確かに会社からやめてくれとは言われなかったけれども、事実上もうやめざるを得ない状況に追い込まれたんだということは十分想像できるわけでありまして、もう被災したんだからやむを得ないというふうに解釈してしまったとか、あるいは、今の原発の混乱の中で自主的に避難をしたらもうやめろと言われたとか、さまざまそういうことがあるわけですよね。そうしたことも十分酌むべきだということは、これはもう当然、よろしいですよね。

細川国務大臣 確かに、こういう大震災でございますから、いろいろな意味で被災者については、この雇用保険法についても、いろいろ適用などについては考えていかなければというようなことで、事業所が震災によってやむを得ず休業する場合には、失業とみなして、特定受給資格者、すなわち解雇等離職者として基本手当を支給するなど、これは特別の、特例措置を講じております。

 ただしかし、事業所が事業を行っている場合には、これは労働者本人の判断で自主避難というようなそういうことでは、就業困難となり離職をしたと、自分の意思で離職をされておりますから、これは先ほどの例とはちょっと同等には扱えないんではないか、こういうふうに思っております。

 事業所が事業を行っている場合には、やはり、現に就業の機会があるわけでございますから、やむを得ず休業、解雇された場合とはちょっと同一には扱いはできないんではないかというのが私どもの考えでございます。

高橋(千)委員 大臣、今の最後のお言葉では、ちょっと私、承服しかねるところがございます。

 仮に自主避難が自分の意思で行ったじゃないかと言われたとしても、国がいろいろ、二十キロ、三十キロとかというのを後でふやしたり減らしたりという混乱があったわけですよね。あるいは、自主避難を奨励するということもあったわけです。そうした中で混乱があった。そのときに、自主的に避難した人に対して問答無用で解雇ということは、まず普通はあり得ないわけです。本人の意思をよく聞いたりとか、弁明の機会を与えるということだってあるわけですよね。それをなしに、結局、会社が一定程度だれかを整理したいなということの口実に使われたのではないかと、これはもちろん福島の人の話ですけれども。

 そういう事情もあるわけですから、そこをしっかり酌んでほしいと言っているわけなんです。自分の勝手でしょうと言えるような状況では今はないのだということを重ねて指摘したいかなと思います。そこは事情をよく酌んでいただきたいと。よろしいですよね。

細川国務大臣 こういう今度の災害で職を離れるという人には、いろいろな事情があると思います。そういう意味で、先ほどの例のように、自分の意思で離れるという形はとっているけれども、これは事業主の方からそういうふうに仕向けられたというか無理やりさせられたというような、そういういろいろな事情があれば、それは当然そういう事情を考慮して適用していく、こういうことになるかと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 それで、最後に一言だけ指摘をしたいかなと思いますけれども、私はやはり、先ほど言ったように、このいろいろな混乱を考えると、給付が結びついているものですから、十万円ということがあるものですからいろいろな問題が起きる、また、業務の複雑さも起きると思うんです。なので、やはり訓練と給付は切り分けて、雇用保険の充実や生活保護のあり方についてしっかり検討すべきだと思うんです。

 生活保護に落ちるとかそういうことでは本当はなくて、先ほど来議論されていますけれども、憲法二十五条に保障された権利で、だれにでも保障されている。それが一たび生活保護になってしまったら二度と抜けられないのではなくて、むしろ、今は手だてがないので生活保護に頼るけれども、チャンスがあればいつでも抜けられるのだということを、無理やり追い出すのはだめですよね、だけれども、そういう制度にもっと変えていく必要があるのではないか、そういう議論をしてきたはずなんですよ。

 ですから、そういうこととあわせて、この訓練制度についてよく議論を今後ともやっていきたいなということを指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 次の柿澤さんが来られるまでの間、なるべくぴたりとはまるようにやらせていただきます。

 私は、きょうは、まず冒頭、震災の問題でお尋ねをいたします。法案についてはその次に触れさせていただきます。

 東日本大震災というのは雇用面でも大きな打撃を与えておるということは、各委員御指摘でありました。今、厚生労働省の方で、今回の東日本大震災が雇用に与えた影響というものをどのように集計しておられますでしょうか。一点目です。

小宮山副大臣 これもたびたびお答えしていますけれども、どれだけの方が職を失ったかとかそういうことは、被害の全体像もまだ把握できていない中で、確実な数字はございません。

 ただ、被害の大きかった岩手、宮城、そして福島の三県の湾岸部のところで八十四万人の方が働いていらしたと。その数字しか今は把握をしておりません。

阿部委員 今の小宮山副大臣の御答弁は、その地域にあった事業所と就業者数を大体あらあら試算されたもので八十四・一万人ということであります。

 そして、この地域というのがどういう地域かということを考えますと、実はハイテク産業の心臓部になっていたり、もちろん、農業、漁業、あらゆる仕事があったわけですが、私が大変今懸念いたしますのは、こうした部分で、合わせてどんな職業訓練をこれから計画していかれるのか。当然、転職ということもなさらなきゃいけないしということもあって、その全体像を、また、お考えはどのようにありましょうか。

小宮山副大臣 被災した方が職業に新たにつかれるために、地域のニーズに合った職業訓練をどう組み立てていくかということは大変重要なことだというふうに考えています。

 ただ、今、当面のものですけれども、被災者向けの特別コースの設定などをしまして、建設関連分野を初め、公的な職業訓練を機動的に拡充、実施をしていきたいと思っております。

 被災地での訓練コースの検討状況ですけれども、青森県では建設機械オペレーター科、これを四コース、五月下旬、六月上旬に二コースずつ開講を予定しています。また、岩手県で建築系の総合オペレーション科三コース、これは五月下旬に開講を予定しています。また、宮城県でも建築系の訓練コースを五月から六月に開講を予定しております。

 また、補正予算で機構のポリテクセンターの建築関連分野訓練の定員の拡充ということで一億円を要求しておりまして、これは千八百人分と考えています。

 また、二十三年度の当初予算で、公共職業能力開発施設で実施する職業訓練で四・五万人、民間教育訓練機関を活用した委託訓練で十七万人、基金訓練で十二万人、基金訓練を恒久化する求職者支援制度の職業訓練で十二・六万人の合計四十六万人分の職業訓練を計画しておりまして、被災した方々のニーズに合った形を、今、当面はとにかく瓦れきの処理とか仮設の建設とか建築関係が重要になってくるので、当面はそういうものを考えているということです。

阿部委員 いろいろな製造分野でいえば、きょうの毎日新聞によれば六割程度は回復という報告もありますが、果たして本当にこれを力強く後押ししていくための施策がどうであるかということも重要なんだと思います。今、小宮山副大臣は主に建設関係、イメージしやすいわけですよね、瓦れきをどけて、建物を建ててというのは。それは主に復旧にかかわります部分で、逆にこの地域が本当に経済活性を持って復興していけるための支援というものも必要なんだと思います。

 お手元に前回と実は同じもので内容が違うものがお示ししてありますが、これは被災を受けた訓練センター、前回の質疑のときにも、人的被害がどうであるとか、床下浸水であるとか、全部が床上まで水につかってしまったなどの被災状況をお知らせいたしましたが、逆にここにはどんな訓練科があって、そしてそれが今後どんなスピードで再開していくかということをきょうはお尋ねいたしたくてこちらを用意いたしました。

 人的被害があった、すなわち被害のひどかった石巻やテクノアカデミー浜、これは福島ですね、それから今少し小宮山さんもお触れになりました宮城県のポリテクセンターなど、いずれも中止、中止、中止となっているような、要するにいついつ再開のめどとか再開予定とかが全然立たないものは、実はこの地域の職業訓練にとって極めて重要な内容を含んでおります。

 私がこの前視察してきたのは一番上のポリテクセンターですが、ここでは例えば制御システム技術科などといって、コンピューターを用いて物づくりの製造過程をやるものなんですね。でも、これが私の背より高いところまで浸水しておりまして、泥をかぶっています。開いていただいた二ページ目、これは実は精密機械の部分のところではないのですが、どこまでかぶったかということ、これは被災後四十日たったところですが、全部ヘドロが張りつきまして、コンピューターの上も机の上も、何もかもヘドロまみれであります。当然、精密機械であれば中まで全く使えないわけです。

 でも、このポリテクセンターや、先ほどの私のお示ししたテクノアカデミー浜あるいは石巻の高等技術専門校などは、非常に堅実な産業の下支え分野をやっておるわけです。ここの部分の回復を、実は今回復が進むのは、パソコン講座みたいなものはコンピューター一つで、そして教える人と受ける人の訓練でいきますけれども、こうした分野、特に日本の物づくりの、それもハイテクで中心的なところであったというところをもう一度回復していくために、再度お伺いいたしますが、このポリテクセンター部分におけるパソコンとかOA関係でない部分の機材を全部リニューアルいたさねば使えません。一台二千万、三千万の機械も使えません。それで果たして、先ほど補正の一億とおっしゃったけれども、それを当てにしておられるのか、ここをいつまでに立て直して、どこでやってくださるのか。小林政務官、お願いします。

小林大臣政務官 実は私も、宮城県の多賀城市にある宮城ポリテクセンター、四月十六日に視察をしてまいりました。今、阿部先生おっしゃったように、私の背よりか高いほど水が来ていまして、すべての機械が水没した、こういう状態も見てきました。したがって、現在、あの状態では到底訓練の再開が難しい、このように把握をいたしました。

 被災地の地域で産業復興に向けた人材育成、本当に大変大事だと思いますので、ほかのポリテクセンターなどももちろんこれから復旧作業に入りますけれども、特に宮城のポリテクセンターを早期に復旧することは大変重要である、このような認識を持っております。したがって、今般の補正予算で、仮設の実習場等の整備を行うための経費として約十五億円計上をいたしました。

 補正予算成立後、仮設の実習場の整備を速やかに進める、そしてできるだけ早く、早期に訓練が再開できるように取り組んでいきたいと考えておりまして、特に、ことしの秋ぐらいまでには電気設備あるいは溶接訓練コースの一部を再開したい、また、できれば年内に住宅の建築訓練コースなどを再開したい、こういうスケジュール観を持ってこれから取り組んでまいりたいと思います。

阿部委員 ぜひお願いしたいと思います。

 もちろん、当座の復旧の瓦れき処理あるいは建物を建てることにも人の雇用は生まれますが、それが次に続いていくような、本当の回復に向かうように、今御答弁いただきました点、あわせてお願いいたします。

 ちょっと予告外ですが、小宮山副大臣に、現地で聞いたことの実情を少しお伝えしたいと思います。

 これは気仙沼で聞き取りいたしましたが、タクシー運転手さんの場合などは、二十四人の運転手さんを抱えた会社が、本社全壊、本社機能が全く立ち行かないというので、全員解雇になりまして、今、労働争議をやり、一部の人が雇用の再開になりましたが、売り上げに応じた賃金しか払われない。あるいは、運送会社の運転手さんも、これも会社が全壊で、一時金のみで首を切られております。あるいは、製氷工場の職員の場合には、四月初旬に、三月分の給与や退職金もなく、一律十万円の見舞金でありました。自動車工場の場合も、会社全壊、三月末で十万円の一時金。加工工場もほぼ同じような、これはいろいろな職種の方に聞いてまいりましたけれども。

 それで、「「日本はひとつ」しごとプロジェクト フェーズ1」というものの最後の方に「解雇・雇止め・派遣切りへの対応」と書いてはあるんですけれども、今、私の聞いてきた皆さんは、ほとんどその対応がない。会社がつぶれちゃったんだからしようがないじゃないのと言われましても、仕事がない、生活が立ち行かない、本来であれば失業給付等を受ける立場にあるんだけれども、そうしたことの手だても立っていないという方が非常に多うございました。

 この点について、せんだって高橋委員は、ハローワークの職員も足りないじゃないかという御質疑でしたが、私も、彼らの労働相談を持っていく先とか再雇用の相談先というのは極めて不十分だと思いましたので、きょう、予告外ですが、もし御答弁があればお願いします。

小宮山副大臣 今、阿部委員がおっしゃったのと同じような話は、私も、岩手の大船渡や久慈へ行ったときにも同じように聞いてまいりました。

 そういう意味で、厚生労働省としては、雇用調整助成金とか雇用保険の失業手当とかいう形で仕組みはつくったつもりなんですけれども、そのことがやはり事業主の皆様の耳にもちゃんと届いていない、それから働いていらした方のところにも情報がちゃんと届いていない。そこがうまくマッチングをしませんと今のようなことになるということは認識をしております。

 戻った後、今ハローワークでは、いろいろと相談に乗って、出張相談なども避難所でしていますけれども、事業主の方に向けて、商工会議所などで事業主の方の相談をやっていたり、そこがばらばらだといけないので、なるべく早くしごと協議会というのをつくるように言っているんですけれども、当面、解雇を防ぐという意味でも、そうした事業主の方と働いている方と双方に、ちゃんと一緒にあわせて相談ができるような仕組みをということで、今、そうしたことも始めています。

 ハローワークの方は、全国から応援の要員を継続的に入れて、つくった制度がしっかり周知をされて、実際に解雇されないように、働かないといけないので、そこはしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

阿部委員 小宮山副大臣も現地でお聞きになったということですので、聞けば聞くほど深刻で、漁業関係者の場合なども、通年雇用ではないので、その方のもともとの就労形態が不安定という方もおられて、そして今、仕事がない状態など、深刻きわまりないと思いました。

 そして、労働基準監督署もそうですし、ハローワークもそうですし、そうしたサポート体制をまずサポートすることを重ねてよろしくお願い申し上げます。

 では、本案に入らせていただきますが、求職者支援法が今回新たに審議をされ、私どもの党としては賛成の方向ですが、きょう御指摘のいろいろな点、例えば、なぜ職業転換給付金制度を使わずこれをやったかとか、あるいは、今後保険財源を使うことの問題点とか、あるいは、訓練の質をどう担保するのかなどは、私も同じ思いでございます。とにかく走りながらやるしかないかなと。新しい制度ですし、不備もありましょうし、しかし、これを何とか定着させながら、働く意欲を失わないでその方が暮らし続けていただきたいという思いであります。

 そして、この支援法の入り口には、職業訓練に送り込むときにまずジョブカードが義務づけられておりますが、このジョブカードを取得するために、キャリアコンサルタントという方がついて、一人一人の訓練を受けるときの指導をなさるわけですが、現在、全国で二万千三百九十人いると言われておるこのキャリアコンサルタントの質というと変ですが、果たしてそれはどうかということ。それから、育成に係る費用としてジョブカード講習費というのが計上されていますが、もともと、ジョブカードをつくるための講習費だけで足りるのか。キャリアコンサルタント全体はいかなる位置づけで、どう充実していくのかについて、お伺いいたします。

小林大臣政務官 今先生御指摘のように、登録キャリアコンサルタントの役目は非常に大きいものがあると思っています。

 先生おっしゃるとおり、平成二十三年二月末現在で二万一千三百九十名いらっしゃいます。本年度、さらに九千人の養成を計画しております。そして、基本的には三年ごとの更新制度をとるとともに、講習修了後も最新の情報を提供するなどしてフォローアップを行って、この登録キャリアコンサルタントの質の向上に現在も努めております。

 今後とも、充実を図っていくために、こういうような施策をしっかり進めていきたいと思います。

阿部委員 私は、一つ、素朴なお尋ねなんですけれども、せんだっても、民間委託されて、OA関係の講習を今の制度にのっとってなさった方が受講したんですが、講師の先生の方が自分よりパソコンについての知識がなかったということを相談されたんですね。では、それはどこに言っていったらいいんだろうと。さっきの高橋さんのお話とも共通なんですが、そうした場合に、ジョブカードをつくるキャリアコンサルタントのところは、そうしたチェック機能を果たせるのかどうか。それじゃ、訓練をだれが担保していくのかというのは、幾ら何でも、全部厚労大臣もできないだろうし、それから、県にいろいろな協議会をつくりますといっても、そこが駆け込み寺になるのかというか、受講者から見て問題があったときに、一体どこに言っていけるんでしょうか。私は、これは非常に疑問に思った、そういう御相談を何件か受けたものですから。

 これは予告外ですが、もしお願いできれば。

小野政府参考人 お答えいたします。

 今度の新制度では、認定業務を高齢・障害・求職者雇用支援機構が担うということになりますので、そこで認定をした場合、当然そのフォローも行っていく必要があると思います。つまり、認定をしたその訓練が一体どういう形で、つまり認定したとおりに行われているのかどうか、そういうところもよくチェックをしていく必要があろうかと思います。

 今委員御指摘のような問題を未然に防止していく、あるいは、未然に是正をしてそういうことが起こらないように、結果的には求職者の方の訓練の質ということにもかかわってまいりますので、実際、主体としては新機構が中心となって、関係機関とも連携をしながら指導、是正をしていく、こういうことになろうかと思います。

阿部委員 今私がお伺いしたかったのは、受講者側からの声を吸い上げる仕組みをぜひつくっていただきたいんですね。これは、受ければわかると思うんです、本当に役立ったか。

 逆に、今あるのは、出している側のサービスについて、それよりさらに統括している側が評価しているだけで、その結果何%就労したかどうかで、そういう通信簿形式になっているんですけれども、学校でも子供が先生を評価するというのが最近よくありますよね。職業訓練の場合も、そういう側面も、せっかく受けて、えっ、何であの先生は私より知らないのと思われるようなことが相次いでいれば、やはり、その受講結果をいろいろ受講生から聞き取る、そして吸い上げてフィードバックしていくという相互作用をぜひやっていただきたいと私は思います。

 もう一つ、ジョブカードについてお伺いをいたします。

 ジョブカードは、私自身は大変いい仕組みであったと言ってはいけませんが、あると思うのですが、しかし、いろいろな仕分け、セレモニーの中でちょっと変質してきているのかなと心配になります。特にジョブカードは、若い人たちにとって、自分の仕事、キャリアをどういうふうに自分の中に取得して、次に組み立てていくかという、将来を見通すためにも重要だったと思うのですが、今の場合だと、訓練のためにまずジョブカードが要るよという、どこかちょっとスタートが違ってきている。

 このジョブカードは、かつてはというか、今でもやっていますが、商工会議所の皆さんにかなりお願いをして、実際の仕事があるという、その次の自分の仕事の展望と、自分がそうしたカードを用いて能力を上げていくという、非常に連携のある形でやってきて、広まりもしていたんだと思うのですが、この間、政府の流れは、どちらかというと、雇用・能力開発機構なりなんなりに全部寄せてしまって、訓練の前提としてこれを持ちなさいということになって、かえって就労に結びつきづらくなるかもしれないと思うわけです。

 これは細川大臣にお伺いいたしますが、例えば二〇〇九年十二月に発表された新成長戦略(基本方針)では、二〇二〇年までに三百万人にするということでありますが、私はむしろ、ジョブカードの生きた使われ方の方が重要と思いますし、これまで商工会議所などにも広くお願いしていた地域の仕事づくりとジョブカードという方式を改めて評価してみるべきでないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。

細川国務大臣 ジョブカードにつきましては、非正規労働者、あるいはこれまで就職していなかった方とか、そういういろいろな方が正規の仕事につくために、私はなかなかいいツールだというふうに思っております。

 だから、阿部委員がおっしゃるように、いかにしてこれをうまく活用して、非正規の人たちあるいは職のない方が新しい職業につけるように、しかも、その能力をみずから磨いて、そして就職ができるように、それをキャリアコンサルタントがうまく誘導していけるようないろいろな仕組みをやはり考えて、この制度そのものはいい制度だと思いますので、これは有効に活用できるようにしっかりやっていきたいというふうに思っております。

阿部委員 結果的には商工会議所に委託していた分を削っての措置でありましたので、私はちょっと心配になりまして、ぜひ、本当に現実に仕事をやっている部分と結びつけてお願いをしたいと思います。

 では、終わります。

牧委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、各党各会派の皆さんの温かい御協力をいただいて、無事四回目の委員会質問をさせていただきます。ありがとうございます。

 求職者支援法ということで、先日の一ラウンド目は被災地の雇用拡大を目指してのさまざまな御提案をさせていただきましたが、今回は、厚生労働省の雇用にかかわるさまざまな制度について見ていきたいというふうに思っております。

 今回の求職者支援法、求職者支援制度は、リーマン・ショック以来のいわゆる第二の雇用のセーフティーネット、こういう流れを引き継ぐものだというふうに思います。この雇用の第二のセーフティーネットとして今まで七つの施策を導入していますが、今回、この求職者支援制度など四つに集約をするということになっております。これら七つの施策は、リーマン・ショックで仕事を失った日雇い労働者が職業訓練を受ける機会がないまま生活保護に流入するケース、こういうことが目立ったため、当時のまだ自公政権が急ごしらえで立ち上げた、いわば失業給付と生活保護の間を埋めるものだというふうに言われてきました。

 その中の一つで、解雇されて住まいをなくした人に生活費や住居を提供する就職活動困難者支援事業というのがあります。さて、これですが、二十二年度、五億円を投入し、年間九百人の利用を見込んだわけですけれども、この就職活動困難者支援事業というものの成果がどうであったかということをお伺いしたいと思います。

小林大臣政務官 今御指摘の就職活動困難者支援事業については、リーマン・ショック後の緊急対策として、民間の職業紹介事業者に委託して、事業主都合等の離職に伴って住宅を喪失して就職活動が困難になった方の就職支援を行う、こういう目的で運用が始まりました。

 平成二十二年度は、九都府県で実施をして、百六十八人を対象に支援を行い、平成二十三年三月末時点で五十五人が就職に至っている。

 この事業は、緊急対策として一定の役割は果たしてきたと考えますけれども、利用者が少ないことにもかんがみて、二十二年度をもって事業を廃止いたしました。

 今後は、求職者支援制度、住宅手当制度等を活用して必要な支援を行っていく、こういう考え方でございます。

柿澤委員 今御答弁をいただいたとおり、五億円を投入し、年間九百人の利用を見込んでいたわけですけれども、利用したのは百六十八人、こういうことになったということです。

 もう一つ、一年以上の失業者に民間事業者が再就職支援した上で生活費を貸し付けるという長期失業者支援事業というのもありますが、これは年間一万人の利用を想定していたようですけれども、年間の利用はやはり半分以下になっているということで、これは御答弁は求めませんけれども、この二つの事業について、厚労省は今回廃止ということにしたわけであります。

 はっきり申し上げますけれども、厚労省がやっているこういった第二の雇用のセーフティーネットの施策は、利用も進まず、雇用・就労機会の拡大に必ずしも結びついていないというふうに私は思います。

 一つ、よい参考事例がありますので、御紹介をしたいというふうに思います。昨今、ほぼ同じインターンシップの施策を厚労省と中小企業庁がやっているんですけれども、その二つの比較検討をしていきたいと思います。

 まず厚労省ですけれども、昨年九月から開始したのが新卒者企業実習推進事業、いわゆる新卒インターンシップ事業というものです。内定を得られない学生や卒業後三年以内の若者に対して最低三日から一カ月までのインターンシップを受けてもらう、ハローワークが主体となって、企業がハローワークと打ち合わせをしてインターンシップの内容を確定する、ハローワークがインターンシップ希望者に内容を説明して応募を募る、こういう形の事業であります。

 昨年九月から五千人の枠でこの募集を始めましたけれども、応募したのは全国でわずか二十人というふうに伺っております。三月末をもってこの新卒インターンシップは終了したようですけれども、五千人の枠に二十人というのはただごとでないというふうに思います。これはどうしてこんなふうになってしまったのか、お伺いしたいと思います。

小林大臣政務官 今委員がおっしゃったとおり、この新卒インターンシップ事業、平成二十三年二月末までの実績は、開始企業が十六社、開始人数は二十六人にとどまって、平成二十二年度限りで終了をいたしました。

 これは、新卒応援ハローワーク等に来所する方々の多くが、速やかに正社員として雇用されることを希望しており、直接の正社員就職の紹介や、正規雇用へ結びつく可能性がより高いと感じられる三年以内既卒者トライアル雇用奨励金等の事業を利用したためと認識をしております。

 これまでの一連の対策においては、新卒者、既卒者の就職環境が非常に厳しい中、最大限の支援を行うために、多様な選択肢を準備したところではございますけれども、結果として、速やかな雇用に結びつかない新卒インターンシップ事業はニーズが低かったもの、このように認識をしております。

 今後は、利用者のニーズが高いジョブサポーターによるきめ細かな支援や三年以内既卒者を対象とした奨励金を活用して、新卒者、既卒者の就職支援に全力で取り組んでまいりたいと思います。

柿澤委員 速やかに職を得たいという方々のニーズに合わなかった、こういうことですけれども、厚労省の新卒インターンシップは、ある意味では、もう成功をしっこない、そういうスキームだったんじゃないかと私は思います。受け入れ企業側には一日当たり三千四百円の謝金が支払われますけれども、インターン実習生には全く支払われない、事実上ただ働きの制度になっていて、なおかつ、インターンシップの実習期間中に企業側が入社を勧誘することを認めていない。全部ハローワークを通せと。これは、企業にとって非常にやりにくい制度だったというふうに思います。

 一方、これに対して、同じ内容でありながら利用が多いのが、中小企業庁が昨年二月から実施している新卒者就職応援プロジェクトというものであります。新卒の未就職者を対象として、中小企業において六カ月間のインターンシップ機会を提供する、こういう内容です。これは、受け入れ企業、一人当たり日額三千五百円ですから、基本的に厚労省と同じなんですけれども、しかし、実習生に対しても日当七千円を支給する、こういう内容になっています。

 昨年二月から募集を始めたわけですけれども、応募が殺到して、あっという間に当初の予定の五千件の実習成立に達したため、六月で募集を一たん打ち切る、こういう経過もあったというふうに聞いております。

 厚労省の新卒インターンシップ事業と比較をして、この中小企業庁の新卒者就職応援プロジェクト、同じ、企業でインターンを行う、こういう内容でありながらこちらは大成功している、こうしたことになった理由は何であるかというふうに中小企業庁は考えておられますか。

徳増政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘のとおり、新卒者就職応援プロジェクトにつきましては、昨年四月時点での就職先が決まっていなかった新卒者の皆様に声をかけさせていただきまして、平成二十二年度前半には約五千人の方に御参加をいただき、全国の約二千五百の中小企業でインターンシップを経験いただきました。その結果として、約一千八百人の新卒者の方々が就職されております。

 このインターンシップを通じまして、新卒者の方々にも、また受け入れ企業にも、大変貴重な経験ができた、それぞれが、中小企業に対して、あるいは新卒者に対しての認識を改めたという評価をいただいたところでございまして、これまで中小企業というものを実際に経験することのなかった新卒者の方々が、いい機会を得て就職に結びついたものというふうに考えているところでございます。

柿澤委員 かつてこの厚生労働委員会で、雇用に関して、若年者雇用の統計をひもときながら、実は中小企業の求人というのはあるんだ、マッチングの問題で、学生さんたちがなかなか中小企業の求人に見向きもしてくれない、こういう状況を解消することによって、結果的に若者の雇用機会の拡大につながるのではないか、こういう話をさせていただいたことがあったと思いますけれども、まさに、新卒者就職応援プロジェクト、このインターンシップによってそうした機会が与えられたということでもあるというふうに思います。

 厚労省のインターンシップと違って、この事業の場合、ハローワークではなくて、人材派遣会社や地元の中小企業団体がインターンシップ応募者と受け入れ企業の間のマッチングを担当している。インターンシップではあるけれども、目的は就職応援ですから、受け入れ先企業は新卒採用意欲のある企業に限定をしたというふうにも聞いております。具体的には、新卒の求人情報を最近出した実績がある、こういう企業に限定をしたというふうにも聞いております。

 その結果、昨年十月時点でインターンシップが終了した千三百十四人のうち、就職がかなった方が五百人近くに上ったというふうなことであります。厚労省は九月開始で五カ月後に申し込み十八人、中小企業庁は二月開始で同じ五カ月後の六月末に五千人を上回る。まさにこれは大きな違いがあらわれているというふうに思います。

 私は、これはやはり、ハローワークを通じてこういった若い人やあるいは長期の失業者に対する応援をしていくということに一つ限界があるのじゃないかな、こういうふうにも感じています。厚労省の制度はハローワーク利用者に限定をされていて、中小企業庁の方はそのような限定はない。若者はハローワークにはなかなか行かないんですよね。民間の求人サイトなどを利用して働き口を見つけるというケースが大変多いわけです。

 厚労省のインターンシップは、企業側もハローワークと打ち合わせをしていく必要がある。なので、これは申請や認定に相当の手間がかかっている。中小企業庁の方は、人材派遣会社とかそういったところが申請、給付の手続を代行してくれるということでありますし、また、企業への支援金の支払いや学生への日当の支払いもそこにお任せをすることができる制度になっていた。また、そもそも、学生への日当が支払われるという点で大きな違いがあったわけです。

 これまで厚労省が雇用就業支援という形でやってきた政策の多くは、企業に対して、お金を上げるから人を採ってください、こういうやり方だったのではないかというふうに思うんですけれども、これからはやはり、こういう採用意欲のある中小企業を今すぐ働きたいという学生や若者にしっかり結びつける、こういうことが必要だというふうに思います。

 厚労省のさまざまな施策を今紹介させていただいてきましたけれども、三つの事業を紹介しましたが、いずれも極めて利用度合いが低い。こういうことを踏まえて、この第二の雇用のセーフティーネットの施策をこれまでの反省に立ってしっかりと進めていかないと、また政策目的が達成できずに、お金を結果的に無駄に使ってしまう、こういうことになりかねないのではないかというように私は思います。

 細川大臣、何か御答弁があればお伺いをしたいと思います。

細川国務大臣 柿澤委員の方からは、厚生労働省がこれまで雇用対策として打ち出してまいりました施策についてのいろいろな評価がございまして、その評価について、大変厳しい御評価、これは私も聞いておりまして、結果としては、本当によくなかったというふうに思っております。

 ただ、最後のインターンシップの件でありますけれども、これは中小企業庁と厚生労働省を比較されたもので、これについてちょっと私の方から、新卒者についての就職に対してどのようなことを行ったかということでお話をさせていただきたいと思います。

 確かにインターンシップでは効果は出ておりませんけれども、厚生労働省としては、新卒者の皆さんに早く就職をということで取り組んでまいりまして、ジョブサポーターによりますきめの細かい支援をいたしまして、一万四千人の雇用が開始をされている、こういう三年以内の既卒者トライアル雇用奨励金、こういうことも厚生労働省としては行ってまいりまして、新卒あるいは既卒の三年以内の皆さんには本当に役に立ったのではないかというふうに思っております。

 ただ、委員御指摘の点については十分反省もしなければいけませんし、これからの求職者支援制度の運用についても、その反省に立っていろいろと対応していかなければというふうに思っております。

柿澤委員 今回の求職者支援制度についてですけれども、これは、雇用保険が切れた、そうした方々に対して、職業訓練を受ければ生活費十万円を支給しますよ、こういう中身でありまして、もちろんセーフティーネットとしての意義は私は認めないことはありませんが、しかし、これは活用のされ方がよくないと本当に筋の悪いばらまきになる、そういう可能性もあるように思います。

 そもそも、雇用政策と福祉政策の中間にあるものでありますので、そういう意味で非常に中途半端な制度にもなりやすい。職業訓練を受けている間は生活費がもらえるので、それを目当てに職業訓練を受ける、こういうことになりかねないというふうに思います。

 一番、非常に危惧をされるのは、これが就労にどうやってつながるのか、この道筋がなかなかはっきり見えないというところだというふうに思います。私は、現金給付をするんですから、しっかりと、最終目標である就労というところに結びつけなければいけないというふうに思います。

 その意味で、私は、やはりこれを、就労すれば返済しなくていい、そうした融資制度にして、そして、就労が達成できない場合はお返ししてもらう、こういう貸し付けの制度にした方がより就労へのインセンティブが利用者個人に発生するというふうに思いますけれども、その点についてはお考えはいかがでしょうか。

小林大臣政務官 今回の求職者支援制度、これは、訓練を受講する求職者が安心して訓練に取り組むことができる、こういう支援の仕方を考えました。対象者が現在失業している、こういうことを考えると、最終的に返済しなければならない貸し付けというよりか、やはり給付という方法が適当、このように考えました。

 しかしながら、委員御指摘のように、給付に依存するようなモラルハザードを起こしては極めていけない、このようにも思います。したがって、きょうも何人かの委員からこういう御指摘もございましたので、モラルハザードが起きないように、しっかりこれは取り組んでいきたいと思います。

 そのため、ハローワークでの訓練受講前から訓練修了後までの相談、支援を徹底していく、訓練開始後、対象者が就職支援計画に沿った支援に応じない場合のペナルティーを設ける、こういうことなどをして、制度の対象となる求職者が就職に向けて真剣に取り組むことになるよう、制度運営にしっかり努めてまいりたいと思います。

柿澤委員 ハローワークを通じたさまざまな支援が必ずしも所期の目標を達成できなかったということを、私は幾つか御紹介させていただきました。

 今、利用者に対するペナルティーのお話が出ましたけれども、では、ハローワークに対するペナルティーはどうなんだということをお伺いしたいというふうに思うんです。

 本当のことを言って、ハローワークを通じてこの求職者支援をやっていくという場合に、就労という結果を実績として達成できなければ、やはりハローワークにもその責任を帰さなければいけないというふうに思います。

 その意味で、今後、この制度を運用していくに当たって、やはり、途中経過として、まず制度利用者の就労状況をきちっと公表すること、そして、もし仮にこの達成実績が思わしくない場合、こうした形でのハローワークを中心とした、柱としてこの事業を進めていくことをやはり考え直していく必要があるというふうに思いますが、御見解をお伺いいたしたいと思います。

細川国務大臣 求職者支援制度のもとで運用がされまして、一体どれぐらいの方がこの制度に基づいて就職が実現できたかということについては、この制度にとっても一番大事なことだというふうに思っております。そのためには、就職状況というのも節目節目できちっと公表もしていくべきだというふうに考えております。

 そういうことで、この求職者支援制度、私は、職のない方が給付も受けながら職業訓練を受けて、そして就職に結びついていくということ、あらゆる方法をとってこれがうまく実現していくようにしっかりやっていかなければというふうに思っております。

柿澤委員 時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

牧委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

牧委員長 この際、内閣提出、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案に対し、柚木道義君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。柚木道義君。

    ―――――――――――――

 職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柚木委員 ただいま議題となりました職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案に対する修正案につきまして、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、第一に、本法の施行日前に、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が行うこととなっていた準備業務を独立行政法人雇用・能力開発機構が行うこと。

 第二に、特定求職者の就職に関する支援施策のあり方についての検討を行うに当たっては、その支援施策に要する費用の負担のあり方について速やかに検討し、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

牧委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

牧委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、柚木道義君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

牧委員長 この際、両案に対し、渡辺周君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。田村憲久君。

田村(憲)委員 私は、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案」及び「雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 現下の厳しい雇用失業情勢にかんがみ、求職者支援制度が第二のセーフティネットとして、就職の促進を図るべく、その機能を十分に発揮することができるよう制度の運営に万全を期すること。特に、職業訓練の対象者については、意欲と能力を有し、職業訓練等の支援の必要性が認められる者とすること。また、職業訓練の認定に関しては、技能の向上が図られ、就職に資するものとなっているなど訓練内容などについて適切に審査を行うとともに、不正受給の防止策を講じること。

 二 「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案」の附則の規定に基づく施行後の見直しにおいては、雇用保険制度や生活保護制度の在り方をも見据え、雇用保険の被保険者も含めた求職者全体について、職業訓練や各種の給付制度など就職支援施策全体の在り方を財源も含め総合的に検討し、必要な対応を図ること。

 三 雇用保険制度については、激甚災害の特例措置が適用された場合の取扱いなど委員会での指摘を踏まえ、被保険者の立場に立った対応を検討すること。

 四 雇用保険の国庫負担の本則復帰については、雇用保険制度の安定的な運営を確保するため、早期に安定財源を確保し、その実現を図ること。

 五 未曾有の被害をもたらした東日本大震災は、雇用面においても甚大な影響を及ぼしていることから、雇用対策に係る特例措置の周知徹底に努めるとともに、被災者が早期に生活再建ができるよう、被災者に対する就労支援など雇用対策の一層の充実・強化を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

牧委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧委員長 起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、細川厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。細川厚生労働大臣。

細川国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。

    ―――――――――――――

牧委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

牧委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 東日本大震災被災地の医療施設等の実情調査のため、来る五月六日金曜日、宮城県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十八分散会


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