衆議院

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第12号 平成23年5月11日(水曜日)

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平成二十三年五月十一日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 牧  義夫君

   理事 郡  和子君 理事 中根 康浩君

   理事 藤田 一枝君 理事 柚木 道義君

   理事 渡辺  周君 理事 加藤 勝信君

   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君

      青木  愛君    石毛えい子君

      石森 久嗣君    稲富 修二君

      大西 健介君    岡本 充功君

      工藤 仁美君    小宮山洋子君

      斉藤  進君    阪口 直人君

      田中美絵子君    竹田 光明君

      玉木 朝子君    長尾  敬君

      仁木 博文君    初鹿 明博君

      樋口 俊一君    平山 泰朗君

      福田衣里子君    三宅 雪子君

      宮崎 岳志君    山口 和之君

      山崎 摩耶君    吉田 統彦君

      鴨下 一郎君    菅原 一秀君

      棚橋 泰文君    谷畑  孝君

      長勢 甚遠君    西村 康稔君

      松浪 健太君    松本  純君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   内閣府副大臣       末松 義規君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 武川 恵子君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  高宅  茂君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      渡辺  格君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  外山 千也君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       梅田  勝君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          小野  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           清水美智夫君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  宮島 俊彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  阿部 知子君     服部 良一君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

五月九日

 辞任         補欠選任

  服部 良一君     阿部 知子君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

同月十一日

 辞任         補欠選任

  三宅 雪子君     阪口 直人君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  阪口 直人君     三宅 雪子君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

五月十日

 介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

牧委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る五月六日、東日本大震災被災地の医療施設等の実情調査のため、宮城県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、民主党・無所属クラブの郡和子君、中根康浩君、藤田一枝君、柚木道義君、渡辺周君、自由民主党・無所属の会の加藤勝信君、田村憲久君、公明党の古屋範子君、日本共産党の高橋千鶴子君、社会民主党・市民連合の服部良一君、みんなの党の柿澤未途君、そして私、牧義夫の十二名であります。

 報告に先立ちまして、このたびの災害によりお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様方に対し衷心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、調査の概要について申し上げます。

 まず、宮城県東部の女川町立病院に向かう車中において、石井東北厚生局長より、今回の津波により甚大な被害を受けた石巻市、女川町の被害状況等について説明を聴取するとともに、石巻市については車中より視察を行いました。

 石巻市は一面瓦れきの山と化し、辛うじて残っている建物も一階部分は無残な状態で、まさに想像を絶するものでありました。東洋一とうたわれておりました渡波地区の水産加工工場地帯においては、倉庫に保管された魚介類が内陸部へ流されて放置された結果、避難地区の衛生環境を悪化させ、避難者の健康を害したとのことでありました。また、津波により亡くなられた方々が土葬されたところには色とりどりの花が供えられておりましたが、その光景は何とも痛ましく、そこにたたずむ女性の姿に涙を禁じ得ませんでした。

 視察先の女川町は、リアス式海岸の港町であり、女川湾が小高い山に挟まれた地形であったことから、瞬時に高さを増した津波が襲いました。このため、女川駅は流出し跡形もなくなるなど、筆舌に尽くしがたい惨状となっており、海側に開いた細長い谷地はほぼ壊滅状態でありました。海抜十六メートルの高台に立つ女川町立病院ですら、その一階部分は大きく損傷し、ピロティーの柱近くには瓦れきが積み上がっている現場を目の当たりにして、改めて津波被害の凄惨さを痛感した次第であります。

 次に、女川町立病院におきまして、安住女川町長、齋藤院長、阿部事務長から、女川町及び女川町立病院の被害状況等について説明を聴取するとともに、津波に対する護岸基準の明確化、医師への手当等の金銭的援助についての要望を受けました。その後、医療機器の被害状況、今後の施設の活用見通し、現在の医療の提供及び採算性の状況、避難所の衛生状態、二次避難の必要性の有無等について質疑応答を行った後、病院内を視察いたしました。

 女川町においては、今回の地震、津波により約一割の住民が死亡、行方不明となり、住宅家屋の約八割が津波で消失したとのことでありました。また、女川町立病院においては、最大十八・八メートルの津波が計測され、一階部分にあった医療機器、通信機器、薬局等が使用不能になりました。震災後は、一日三百人の外来患者を診療しており、現在も地域医療振興協会等から医師の派遣を受けているとのことであります。

 今回の津波による被害は甚大であり、現在、町の人口動態や年齢層等について見通しが立たない状況にあります。そのような中にあって、女川町立病院は地域医療の維持、再建に向けて懸命の努力を続けておられ、これから明らかになるであろうデータを見きわめながら、病院の規模やどのような医療を提供するか考えたいとの力強い発言がありました。

 次に、仙台市泉区にある社会福祉法人愛泉会が経営する特別養護老人ホーム愛泉荘に向かいました。

 愛泉荘におきましては、施設内を視察した後、本郷愛泉会理事長及び早坂潮音荘園長等から今回の大震災による影響及び施設の概況等についての説明を聴取いたしました。

 愛泉荘自体は被災を免れたものの、荒浜地区にあった同法人が経営する施設が津波等により使用できなくなったことから、行き場を失った入所者の方々を受け入れています。愛泉荘の定員は五十六人、これに対して約百人が現在も身を寄せており、ほぼ二倍の過密状態にあります。私どもが視察した際、本来は四人部屋の部屋を七人で使用しておりました。

 定員超過の状態は何も愛泉荘ばかりではありませんが、このような状態が続くことは入所者にとって好ましい状態とは言えず、働く意欲のある職員も多くいることから、たとえ仮設であっても、一日も早く新たな施設を用意する必要性、さらには国と地方の連携の緊密化の重要性を痛感いたしました。

 なお、愛泉荘からは、国の施策についての地方自治体への周知徹底と被災施設への迅速な情報提供、被災施設の移転先用地の提供、金銭的支援等についての要望を受けました。特に、介護施設においては、事業者と職員は一体であり、仕事への意欲が持てる、光の見える政策を強く訴えておられました。これら愛泉会の要望等を踏まえて質疑応答を行いました。

 以上が調査の概要でありますが、私どもは、この調査を通じまして、今回の災害のつめ跡がいかに想像を絶するものであったか再認識するとともに、将来への不安を抱え不自由な生活を強いられている方々の心の叫びをしっかりと受けとめてまいりました。

 視察先の女川町立病院の時計は、今も被災した時間である午後二時四十六分を指したままとまっておりました。しかし、このまま時をとめてはなりません。将来に向けた新たな時を刻むため、今回の視察で受けました数々の御要請を強く国政に訴えるとともに、一日も早く被災地を復旧復興し、被災者の皆様がもとの生活に戻ることができるように支援を行っていかなければならないと、派遣委員一同、決意を新たにしたところでございます。

 最後に、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げ、派遣の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

牧委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官武川恵子君、法務省入国管理局長高宅茂君、文部科学省科学技術・学術政策局次長渡辺格君、厚生労働省健康局長外山千也君、医薬食品局食品安全部長梅田勝君、労働基準局長金子順一君、職業安定局長森山寛君、職業能力開発局長小野晃君、雇用均等・児童家庭局長高井康行君、社会・援護局長清水美智夫君、老健局長宮島俊彦君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉木朝子さん。

玉木(朝)委員 民主党の玉木朝子でございます。このたびは、こうして貴重な時間を与えていただき、心から感謝を申し上げます。

 本日で震災の被害からちょうど二カ月になりました。震災を受けられた方々に、心から哀悼の気持ちをささげたいと思います。

 去る五月二日、私自身も難病患者という立場から、日本難病・疾病団体協議会の皆様とともに被災地をお訪ねし、障害を持つ方々や難病患者の方々の訴えを聞いてまいりました。日々の生活が安定しない中での療養生活は不安が先に立ち大変なものと推察しながら伺いましたが、皆様、大変な中でも頑張って生き抜かねばという活力が感じられ、復興に向けて私ども議員も頑張らなければという力を与えられた視察でもございました。

 また、厚労省から発していただきました数々の通達は、迅速かつ的確なメッセージが多く、被災地や避難地で治療を受けるに当たり大変役に立ったという声がありましたこともお伝えをさせていただきます。

 ただ、やはり今後長期にわたり療養を続ける上で問題も山積しておりますので、質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、難病支援センターについて伺います。

 御承知のように、難病支援センターは各都道府県に設置されており、地域の難病患者に対し、医療生活相談を初めとして、患者の文字どおりの心のよりどころとしての役割を果たしております。しかしながら、私が伺った被災地では、その支援センターは事実上機能が停止するような状況に至っておりました。

 例えば福島県などでは、センターが入っておりましたビルが使えなくなっておりまして、これもまた被災を受けた本庁舎の中で、本庁舎の中の方たちが大変な状況の一番端の方に、相談員が二人、本当に遠慮しながら書類の山に埋もれて患者さんたちの電話を待っているというような状況でございました。

 今、最も求められておりますのは、行政と患者、そして家族、団体との密接な連携だと思っております。その意味からも、難病相談・支援センターについて詳しくお伺いしたいと思います。

 厚労省におかれましては、支援センターの被害状況、また現況について調査をしておられますでしょうか。そして、支援センターは、そもそも国と県が半分ずつ負担して開設したところでございますが、被災地での現在の状況では、県でセンター復興の費用を捻出するのは困難と考えられます。できましたら国が全額負担をし、一日も早く再稼働するようにする必要があると思いますが、いかがでございましょうか。

大塚副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、福島県の難病相談・支援センターにつきましては、これは震災以前は県の分庁舎の一部を使用して業務を行っておりましたので、その庁舎が被害を受けて事務室として使用ができなくなったということでございます。しかし、福島県庁の本庁舎の難病担当課の中に事務所を移動しまして業務を継続している状況であります。

 一方、岩手県と宮城県については、施設の被害はないという報告は受けております。

 もっとも、施設の影響はなくても難病患者御自身は今いろいろな厳しい状況に置かれておりますので、被災三県のセンターにはいろいろな御相談がございます。例えば、停電のため酸素補給ができないとか、どの医療機関にかかってよいかわからない等々の御相談に対しては、医療機関の紹介を行ったり支援物資をお届けする等の対応を可能な限り尽くしているというふうに報告を受けております。

 また、後段で御質問でありましたこの復旧でございますが、確かに県の方もその他の災害対応で大変財政的にも厳しい状況の中で、このセンター復旧のためにどのような対応をしていくかということについては、これからセンターの実施主体である県と相談しながら、当然、厚生労働省としては、できることはすべてやるということで万全を尽くさせていただきたいというふうに思っております。

玉木(朝)委員 ありがとうございます。厚労省の方でもセンターの当初の調査はしていただいているということで、大変ありがたく思っております。

 ただ、そのセンターによりまして運営主体がいろいろございます。県でやっているところもございますし、宮城や岩手のように難病団体が委託を受けてやっているところもございます。そうした中で、患者団体が患者の安否を確認したいというようなときに、個人情報保護法という法律が大変壁になりまして、行政機関との連携がうまくとれていないというような実情がございますことも御理解をいただきたいと思います。ぜひ、こうしたことも、こういう状況でございますので柔軟な対応、御指導をお願いしたいということをつけ加えさせていただきたいと思います。

 次に、難病患者や障害者の避難所の状況についてお伺いをいたします。

 在宅の障害者や難病患者にとって、現況の避難所生活は非常に困難であり、多くの方々が縁者を頼って肩身の狭い思いをしながら在宅で暮らしております。特に、トイレ、あるいは避難所の中では感染症等の、健康な方々とは違った事情がたくさんございます。こうした方々の実況を把握していただくとともに、患者が安心して生活できる場を提供する必要があると思いますが、いかがでございましょうか。

岡本大臣政務官 御指摘をいただきました、障害や病弱者等災害時の要援護者の支援ができるような避難所を、こういう御指摘でありまして、これにつきましては、福祉避難所というものを厚生労働省としてこれまで御紹介をして、この委員会を含めて御紹介をしてきたところであります。

 福祉避難所といいますのは、介護の必要な高齢者等に対して介護員等が配置され、ケアが行われるだとか、また、要援護者に配慮したポータブルトイレや手すり、仮設スロープの設置によるバリアフリー化等、こういったことが行われ、その行われるに必要な費用についても災害救助法に基づく国庫負担が行われているところであります。

 従前に、平成二十二年三月三十一日現在でありますけれども、東北三県では、宮城県で百七十七カ所、岩手県で七十四カ所、福島県で三十七カ所が福祉避難所の事前指定を受けておりますけれども、こういったあらかじめ福祉避難所として指定されていない避難所においても、スペースを区切って要援護者に配慮した支援などを実施するなど工夫をしていただければ、先ほどお話をいたしました国庫負担の対象としているところでありまして、ニーズをしっかり踏まえて、また委員からも御指摘をいただきましたら、そういったニーズも踏まえつつ対応をしていきたいというふうに考えています。

玉木(朝)委員 ありがとうございます。現状把握をしっかりとお願いしたいと思います。

 次に、被害を受けました病院の耐震化についてお伺いいたします。

 このたびの震災におきましては、被災地から離れました私の地元宇都宮におきましても、国立病院機構宇都宮病院が大変な被害を受けました。私も、施設の被害状況を見せていただくとともに、関係者から直接話を伺ってまいりました。重症心身障害児者の病棟では特に甚大な被害を受けておりまして、壁が落ち、それから天井がはがれ、地震のときは、職員が障害児の上に覆いかぶさって被害を防いだというふうに語っておりました。

 現在でも、四十名定員のところに病棟二個分、六十七名が入所しておりまして、一人一人の療養スペースがとれないばかりでなく、おむつ交換時のプライバシーも保たれておりませんし、食事についても落ちついてとることができておりません。また、感染者が出ても隔離するスペースもないということで、担当の方々が大変困っておられました。災害時には隣接する特別支援学校の体育館に避難して、けが人が出なかったことが奇跡のようだったということも話しておられました。

 宇都宮のほかの医療機関はこうした被害を受けていないんですね。宇都宮病院だけが大きな被害をこうむりました。宇都宮病院は障害者の入所施設でもあります。この施設にこれだけの被害があったということを考えますと、古くなった施設の耐震化、そして免震化対策は早急に行う必要に迫られていると思います。

 既に、昨年来より、補正予算で耐震化に取り組まれているというふうに聞いておりますが、今後どのような計画で進めようとしておられるのか、具体的な考えをお聞かせいただきたいと思います。

細川国務大臣 玉木委員にお答えいたします。

 病院の耐震化、これは大変重要で、今委員から、具体例も挙げられて、その重要性が述べられました。

 これまで政府の方としては、病院の耐震化につきましては、災害拠点病院、救命救急センター、また二次救急医療機関、これらを対象といたしまして、二十一年度の第一次補正予算で千二百二十一億円、これは医療施設耐震化臨時特例交付金ということで各都道府県に交付をいたしております。さらに、平成二十二年度では、予備費により三百六十億円積み増しをいたしまして、この耐震化の促進をしてきたところでございます。

 これからどのようにこの耐震化を進めるかということにつきましては、医療施設耐震化臨時特例交付金をさらに積み増しをしていって、耐震化の方については前向きに検討して進めていきたい、このように考えているところでございます。

玉木(朝)委員 ありがとうございます。早急な対策をお願い申し上げます。

 続きまして、在宅で人工呼吸器や酸素濃縮器を使用しながら療養されている患者さんのことについてお尋ねをいたします。

 こうした在宅でいろいろな器具を使いながら暮らしておられる患者さんにとりまして、このたびの計画停電は本当に命にかかわる非常事態でございました。因果関係は不明でございますが、救出がおくれたために死亡に至った患者さんがおられたというようなことも、私どもの患者団体を通じて私のところに報告も参っております。

 非常用発電機の設置や酸素ボンベの配付につきましては、厚労省から四月八日、通達という形で出していただいております。大変細かく指導をされておりますが、医療機器メーカーによって一つ一つの対応が非常に違うという現状もございます。事の重大性を考えますと、今後ともより強い指導が求められていると思いますが、その点いかがでございましょうか。

岡本大臣政務官 委員が御指摘になられました、いわゆる計画停電の実施に伴う在宅医療機器の使用のトラブル、こういったものをどう防ぐかというのは非常に重要な観点でありまして、我々も、三月十三日に、三月十四日以降、東京電力がいわゆる輪番停電を行うということを発表したその夜も、かなり、本当に名実ともに徹夜でさまざまな手だてを講じようと努力をしたところでありまして、事務連絡を日本医療機器産業連合会や日本医療機器販売業協会へ出すなど、取り組みを進めてまいりました。

 これにより、医療機器メーカーにおいては、停電に備えて、酸素濃縮装置の使用者には酸素ボンベの配付、人工呼吸器の使用者にはバッテリーの配付を行って、東北電力、東京電力管内のエリアでありますけれども、こういったところで対応をとったところであります。

 こうした対応に加えまして、医療機器メーカーにおいては酸素ボンベや自家発電装置を配付する等のバックアップ、こういったこと、これはもちろん委員御指摘のとおり検討されるべき課題ではありますが、しかしながら一方で、法制化をして義務づけるとかいうことについてまでは、これが料金にはね返るというようなことも考えられて、全国でこれをやるというのはなかなか難しいところもあるのかなと正直感じております。

 いずれにいたしましても、在宅で医療機器を使ってみえる皆さんが安心して療養できるような環境を整備していくということは必要でありますし、またいろいろな皆様の御意見を伺いながら、対応できることを検討してまいりたいと考えております。

玉木(朝)委員 ありがとうございます。ぜひとも的確な御指導をお願いしたいと思います。

 最後に、難病対策検討チームについてお尋ねいたします。

 このたびの災害につきましては、阪神大震災の教訓を踏まえまして本当に迅速な対応をしていただいたことに感謝いたしております。

 しかしながら、これから患者が被災地で、そして避難地におきまして、厳しい条件の中、生活しなければならないことは事実でございます。特に、指定されていない長期慢性疾患を持つ患者にとりまして、医療費の問題は、被害を受ける以前にも増して重い負担になっております。また、報道によりますと、厚生労働省は、高額療養費制度のあり方について検討を開始されるというふうに聞いております。

 こうした状況を踏まえますと、昨年、政府の御英断で設置していただきました省内横断的な検討チームを一日も早く再開していただきたいと熱望をいたしておりますが、いかがでございましょうか。

大塚副大臣 御指摘の検討会につきましては、去年の四月の二十七日に第一回、十一月の十一日に第二回を開催しまして、三月の十五日に第三回を予定しておりましたが、地震の関係で今延期になっております。しかし、早急に第三回、開催をいたしまして、しっかり検討を進めさせていただきたいと思います。

 同時に、あす、政府の社会保障に関する集中検討会議に、厚生労働大臣から厚生労働省の案の一部を説明させていただく予定になっておりますけれども、その案の中でも難病対策についてはしっかり取り上げて御報告をさせていただく予定でございますので、今後ともしっかりと対応させていただきたいと思います。

玉木(朝)委員 本当に前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 実は、このたび、視察に参りまして患者さんたちと話をしまして一番感じましたことは、皆さん、被害を受けながらも、また、被害を受けないながらも、例えば栃木の地ですと、福島からの透析の患者さんを受け入れ、茨城の透析の患者さんを受け入れますと、どうしても、一番それに対して影響を受けますのが、一緒に透析を受けなければならないような地元の患者でございます。遠隔地の方の透析を受け入れるために、地元の患者が朝の六時ごろから透析に行ったり、あるいは夜の十時ごろから透析を受けに行ったりというようなことも多々ございました。

 ただ、そうしたときに患者たちが、自分たちはうちも流されない、生活する場所もある、だから我慢して、一緒に何とかこの危機を乗り切らなければいけない、そのような声をたくさん聞きました。また、福島の地でも、自分たちはまだいいんだよ、こうして生きていて治療が受けられるだけいいんだよというような声もたくさん聞かせていただきました。

 ただ、やはりこうしたことはなかなか長く続くことではございません。やはりどこかでほころびが出てしまいますし、大変な状況になってくることもあると思います。どうか、一日も早く復旧されまして、安心、安全な治療が受けられますことを心から念じまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。民主党の柚木道義でございます。

 私からも、被災地の皆様、二カ月に当たるわけですが、本当に心からお悔やみとお見舞いを申し上げた上で、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 後半部で、実際に現地に委員派遣で行かせていただいた部分、お尋ねをさせていただきますが、その前に幾つか、今非常に国民的な心配事でもある点について少し御質問させていただきたいと思います。

 冒頭、生肉食中毒について何点か大臣に対してお伺いをさせていただきたいと思います。

 もう連日、この件については報道がなされておりまして、けさもある朝刊に、御長女のお誕生日に家族みんなで食事をしに行って、そしてお母様、おばあ様がお亡くなりになり、そして御長女御本人、弟さんが現在も入院中で一進一退の状況にいらっしゃる。お父様の悲痛な声が述べられておりました。

 そういう中で、昨日も細川大臣の方からも定例会見の中で、今後の対策について、例えば、生食用の肉の取り扱いについては罰則規定を設けた上で新たな指針を定める、あるいは、その間、制度改定までの間、メニュー表示を飲食店に要請する、さらには、卸売業者と飲食店、今回もさまざまな食い違いが指摘をされておりますけれども、そういった間の契約において生食用か加熱用かを文書で契約を交わすとか、さまざまな対策が今後講じられる、そのような方針はお聞きをしておるわけでございます。

 ただ、そういう中で、同時に風評被害等への対応もとっていただかなければならないとも思っています。

 そこで、今方針が示されている今後のその先のもう少し具体的な部分について、現段階でお答えいただける範囲でぜひ御答弁をお願いしたいんですが、罰則規定というお話がございます。これは、例えば焼き肉の本場といえば韓国ということになるのかもしれませんけれども、韓国などの事例では、生食肉については食品衛生法上の罰則規定として、違反した場合には、食中毒などの被害が出ていなくても一カ月の営業停止と食品や原料の全量廃棄処分を受ける、こういうようなこともお聞きをしております。

 そうした他国の事例、日本でも、今後罰則規定を具体的に検討される場合には、やはりこのような多少厳しい規定もやむを得ないと私は考えるわけですが、大臣、今後の罰則規定の中身について、現段階でお答えいただける範囲で結構ですから、御答弁をお願いできればと思います。

細川国務大臣 今回の食中毒事件につきましては、私の反省としましては、法律によって行政処分、そしてまた刑事処分ということができるような体制になっていればこういう事件はあるいは起こらなかったのかもわからない、そういう気持ちもございます。したがって、今回の事件を契機といたしまして、法律による処罰ができるような、そういう改正もしていかなければというふうに思っております。

 その際、どういうふうな形での法整備になるかという点につきましてはこれからいろいろ検討するところでございますけれども、柚木委員がおっしゃるように、食に対する信頼ということと、それからやはり、食べることによって命を落とすようなことがあるということは、これは決してないようにしなければなりませんので、そういう法規制についても相当厳しくなるようなこともまた検討もしていかなければというふうに思っております。

 いずれにしましても、私はこれは早くやらなければというふうに思っておりまして、いろいろな手続がございますけれども、この秋、九月いっぱいぐらいには大体その手続を終えて十月の初めから施行できるような、そういう法整備をしていきたいというふうに考えております。

柚木委員 法規制の罰則の部分も厳しくやっていくという御認識を伺いました。また、九月いっぱい、十月には対応するということでございますが、これから夏場が非常に心配でございまして、正直、秋で本当にいいのか、そういう国民の皆さんの御心配もあると思うんですね。これは今そういう御答弁をいただきましたが、今回は法改正ではなくて告示改正でやれるということですから、できる限りそれを前倒しでやっていただくことを、ぜひ御努力をお願いしたいと思います。

 もう一点関連して伺いますが、今回、五月の五日付で厚生労働省の方から自治体に向けて、「生食用食肉を取り扱う施設に対する緊急監視の実施について」という通知を出されていますけれども、これも、今回緊急監視ですが、一時的にということではなくて、先ほど韓国の衛生管理の御紹介をいたしました。各自治体に、食中毒の流行時期の直前などを中心に飲食店などへの特別検査の実施体制、これは自治体が当然、今回早速、埼玉県などでもそういう対応をとるというような報道も出ていましたけれども、ぜひ厚生労働省として各自治体に、今回の緊急監視ということだけではなくて、今後、そういう時期に応じてそういったことを実施することもあわせて御検討いただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。

岡本大臣政務官 五月五日に出しましたのは、いわゆる現状について我々としても報告を求めたいというものがあって出しているところでありますが、実は、従前も、毎年夏の時期に、いわゆる生食用食肉それから食鳥処理施設の適正な管理に関して、管理の徹底を要請する文書を毎年出し続けていたということもありまして、しかしながら、その一方で、それではこういった事態を防げなかったという反省もまたこれあり、どういうふうにしてそこを徹底していくのかという課題もあわせて検討しなければならないと思っています。

 したがって、いわゆる皆さんに徹底してくださいとお願いをするだけでは残念ながら今回の事態を防げなかったということも、これは我々として受けとめなければいけないんだろうと思っています。

柚木委員 ぜひ、そういうことにならないための実施体制を国と自治体と連携をしてとっていただくことをお願い申し上げたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 福島第一原発事故によります放射能被曝の影響と対策について、幾つか伺いたいと思います。

 特に、この間もこの委員会でも御質問もあったかと思いますが、福島県内の校庭利用における子供たちへの年間被曝許容量二十ミリシーベルト、これについて、それぞれずっと調査が今行われて、この影響について、今後、夏休みをめどに、場合によってはこの基準の見直しも含めた対応をとり得ることを想定しながら、現地の調査が行われている。聞くところによりますと、あす最新の調査状況を原子力安全委員会の方に報告される、そういうふうにも聞いております。

 非常に、子供たちの被曝の影響というのが、さまざまな国際機関からも今回の日本の対応について懸念が示されたり、あるいは原子力安全委員会の中でも意見が分かれるようなところも実際に起こっている中で、見直しについてもちょっと後ほど伺いたいんですが、まず今できることとして、放射線量低レベル化への環境づくり、取り組みですね。

 例えば除染を徹底する、チェルノブイリの事例なんかも含めて、校庭にヒマワリとか菜の花とかを植えてとかいろいろなことも伺っていますが、この徹底であったり、あるいは、実際に学校の表土を削っても、それが近くに山積みされて高濃度で置いてあっては全く意味がない中で、学校校庭は文部科学省所管だと思いますが、今後、低レベル化へどういった措置をとっていくことを考えているのか、まず伺います。端的にお願いします。

渡辺政府参考人 文部科学省におきましては、四月十四日の時点での調査で線量が高かった五十二校について、児童生徒等の受ける線量が継続的に低く抑えられているかどうかを確認するため、継続的なモニタリングを実施するとともに、教職員に積算線量計を携帯していただき、実際の放射線量を確認することといたしております。

 それからさらに、独立行政法人日本原子力研究開発機構が五月八日に表土の上下置換等に関する実地調査を行いました。これにつきまして、結果が取りまとまり次第、原子力安全委員会に報告し、効果的な方法であると確認された場合は、空間線量を低減するための有効な選択肢の一つとして、福島県教育委員会、市町村教育委員会等の関係者に示してまいりたいと思っておるところでございます。

柚木委員 具体的に、削った表土を一定の御理解をいただける場所に埋めるというような話も聞いておりますから、具体的な対応をぜひ早急にとっていただきたいと思います。

 それで、こういう対応、今文部科学省に伺ったわけですが、当然、所管の省庁を超えた対応が求められるわけですね、子供たちは学校以外の地域でも生活をされているわけですから。そこで、やはり政府の原子力災害対策本部が、それぞれの地域での実態調査に基づいた形で包括的な対応方針、あるいは、こうすればいろいろな形での外部被曝、内部被曝を含めて防げるよというようなことを自治体や関係機関に対してもっと明確に周知をしていくことが私は必要と考えるんですけれども、これに対して、対策本部の方、きょういらっしゃいますか、御答弁いただけますか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のとおり、放射能の影響といった形をどういうふうに今後改善させていくのかということでございますけれども、実は、四月の十七日でございます、東京電力が今後の事故の収束に向けた道筋というものを公表してございます。それにつきまして、政府全体といたしまして、確実にそれが実施に移せるようにサポートしていくというようなことで進めてございます。

 その中では、具体的に六カ月から九カ月後には、ある程度、一部の方々でございますけれども、避難されている方々を含めまして、どのようなところが戻れるのかどうかといったことを示すというふうなことを目標に掲げてございます。

 それを具体的に関係省庁が適切なタイミングでそういったアクションをとられるように、まずは当面必要なことといたしまして、環境モニタリング、それを強化していこうではないかというような形で、政府全般及び東京電力、さらには地元の自治体と協力をして、まずはモニタリングをしっかりやっていくというようなことで、現在、そのモニタリングを進めているところでございます。

柚木委員 時間がないので、そこから先の、あしたの原安委への報告も受けて、そういう政府としての対応をしっかり示してください。

 次に、委員派遣で伺ってまいりました、私も皆さんと一緒にお伺いしたわけですが、私の方は、女川町立病院の視察を踏まえたことを中心に、まず細川大臣の方にお伺いをしたいと思います。

 今回、被災をした岩手、宮城、福島、三県から私もきのうお話を聞くと、報道とちょっと違うということで、こういうことなんです。応募があれば、設置する仮設住宅群に仮設診療所を整備するという通知を五月中に発出する、そういうことで聞いております。ただ、仮設住宅はできても、診療所がなければ、近くに診療所がない場所では診療が受けられないでは当然困るわけですから、実際に仮設診療所はいつごろ整備されることになるのか、この見通しを、大臣、お願いいたします。

細川国務大臣 仮設診療所、これは、避難されている方が仮設住宅というようなところで生活をする、その場合の医療をきちっと提供するということで仮設診療所を確保する、そういうことで、予算上は十四億円計上をいたしております。

 そこで、設置の時期でございますけれども、設置場所を含めて、これは、この事業の補助先の県が、仮設住宅などの建設時、地域の実情、こういうことを勘案して県の方で決定をするということでありますけれども、そういう決定に対しては、私どもとしては、できるだけ早く決定をするようにということで促していきたいというふうに思っております。具体的にいつということは私どもの方では明言はできないんですけれども、これは県の方が状況に応じて早期に設置するように私どもとしてはこれを督励していきたい、こういうふうに考えております。

柚木委員 督励をしていきたいということであれば、当然、仮設住宅ができてなるべく早くということだというふうに思いますので、あるいはほぼ同じぐらいのタイミングでということを目指していただけるということだと、今うなずいておられますので、そういう形での対応をぜひお願いしたいと思います。

 続きまして、私もその病院の方からいろいろお話を伺う中で、当然いろいろな対応が今後必要なんですが、一つ、この時期に、来年実は、診療報酬と介護報酬の同時改定が予定をされているわけです。ただ、被災地の現状を考えると、いわゆる中医協での議論の前提となるさまざまな調査、医療経済実態調査など、正直そういう状況ではないわけですね。地域の医療計画そのものを見直さなきゃいけない。

 そういう中で、ぜひお伺いしたいのと同時に、多少これはお願いでもあるんですが、例えば、いろいろな選択肢が今も出ていますね。改定の延期ということ、あるいは被災地に対しては何か災害加算のような形、場合によっては一点十円のところを被災地においては十五円とか二十円とか、そういうことも技術的な話ですけれども考えられるかもしれませんし、当然、被災地においてはお医者さんを初め病院職員の方を確保しなきゃいけない。病院間連携や病院、診療所連携、医療、介護連携、あるいはその連携のためのIT、ICTなどのネットワークの整備など、これは復興七原則に技術革新ということも含まれていますから、こういうことも含めた同時改定ということなんだと思うんです。

 ですから、ぜひ、同時改定ということがあるわけですが、被災地の医療機関、これは介護施設もそうだと思いますが、介護報酬、ここに一定の配慮をいただくことができないかという部分。

 それから、ちょっと時間がないので、この部分に関連して伺うと、あした示されると聞いている、政府の社会保障改革集中検討会議に厚労省案を出す。そこに、今後の医療、介護サービスの提供体制について、来年の報酬改定に向けて、効率化、重点化、機能強化などが柱となると。

 それは確かに選択と集中だと思うんですが、私が懸念するのは、重点化の名のもとに、例えば、被災地でも本当に健康状態が悪化してという話が先ほどの玉木さんの御質問にもありましたけれども、いわゆる軽度の方々への例えば報酬切り下げによる軽度切りのようなことが、これはやはりあってはならない。これは介護予防、重度化予防の観点からも必要だと思うんですね。その辺の配慮もぜひいただきたいということも重ねてお願いをし、重なるのでもう一つだけ、最後にまとめて、済みません。今後の非常時への対応。

 これは医療機関、介護施設などが中心ですが、今後地震、津波の影響が非常に懸念される地域では、例えば医療機関や介護施設などの災害用電源、ガソリン、水、食料、あるいは通信設備ですね。今回聞いたのは、衛星携帯電話が非常に役立ったと。これを例えば今後自治体とか災害拠点病院あるいは福祉避難所などに設置を考えるとか、こういうようなことを今後それぞれ医療、介護分野でぜひ御検討いただきたいと思いますけれども、ちょっと時間がないので、まとめて御答弁をお願いいたします。

岡本大臣政務官 まず一点目ですけれども、来年の診療報酬改定の前提となるさまざまな調査があると思いますが、先ほど御指摘のあった医療経済実態調査などの調査、これは、どういう調査手法をとるかということは被災地への配慮が必要だろうと思っています。

 もちろん、診療報酬でどういうふうに被災地への手当てをするのかしないのか、こういったことについては、少なくとも現時点では一次補正で成立をしましたさまざまな支援策、これをまず活用していただくということ、そしてそれを、その実績を踏まえつつ、その次の議論がスタートするんだろうと思っています。

 それから、社会保障と税の一体改革における軽度医療の切り捨てがなされないようにという御指摘でありますが、今まさにあしたに向けて最終盤の詰めを行っているところでありまして、きょう、こういった御指摘もいただきましたことを踏まえつつ、我々としてもしっかりと検討していかなければいけないだろうと思っています。

 それから、災害に対して少ししっかり準備を、備えをしておくべきじゃないか、こういう御指摘をいただきました。

 これにつきましても、先ほどの一番目とも絡むことですが、医療計画の見直し、五年に一度の医療計画の見直しを迎えつつあります。年内をめどにこういった議論も始まると思います。どういったものをどういうふうに用意し、備えるのか、これはまさにそういったものと絡めつつ、年内にこういった議論が進んでいくのであろう、こういう理解をしているところであります。

柚木委員 ぜひ善処をお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、郡和子さん。

郡委員 民主党の郡和子です。

 このゴールデンウイークの期間中、私は、亡くなった友人のところをお悔やみに回り、そしてまた、津波で何もかも失った友人とようやくめぐり会えて抱き合うことができました。また、避難所でさまざまな方々からお話を聞いてまいりました。被災地の泥のかき出し作業や後片づけもお手伝いさせていただきました。このボランティアには本当に遠方から大勢の方々においでいただいて、大変感激もいたしましたし、感謝の思いでいっぱいでございました。

 しかし、美しかった田園には、ひしゃげた車や船や家財道具が散乱したままでございますし、そしてまた、瓦れきの山々が続き、行けども行けども、二カ月たった今でも、現実のものとは受け入れがたい風景が続いております。夏には大勢の海水浴客でにぎわった東北一の海水浴場の砂浜も、すっかり消えてなくなっておりました。あの日以来、世界がとまってしまっているのではないか、委員長の御報告にもありましたけれども、そんなこともまた実感するゴールデンウイークの期間中でもありました。

 震災直後は無我夢中で過ごされていた方々も、それぞれがさまざまな問題と向き合って、心身ともに痛んでおられます。民主党政権は、とりわけ弱い立場の人たちに寄り添う政権であるということを、そうあり続けてほしい、そういう気持ちできょうは質問させていただきたいと思います。

 まず、震災で親が亡くなった子供たちに対する支援です。

 現状を伺わせていただきたいと思います。孤児の数、そして、現在、その孤児たちがどのような環境に置かれていると把握していらっしゃるか。親族里親も推進するというお話でしたけれども、現状について御説明願いたいと思います。

高井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の震災で両親を亡くした、または両親が行方不明の児童につきまして、これまで被災地の児童相談所職員と他県の児童相談所職員がチームを組んで各避難所を巡回して、現状の把握に努めているところでございます。

 両親を亡くした子供の確認でありますとか、子供との面談、養育と生活に関する親族との話し合いを実施しているところでございまして、五月十日現在、このようなお子さんは百四十名が判明しているところでございます。これらの児童の多くは、親族の自宅で生活している。親族里親の制度も積極的に活用しながら、継続的に支援していきたいと考えております。

 また、親族が養育できなくなった場合には、里親でありますとかファミリーホームなどを活用して、できる限り家庭的な環境で養育できるようにしていくこととしております。特に、親族里親制度につきましては、現在、児童相談所から親族の方にこの制度につきまして説明し、申請を受け付けている段階でありまして、申請があれば速やかに認定手続を行うよう自治体に要請しているところでございます。

郡委員 まだ落ちつくまでにはしばらく時間がかかるのかもしれませんけれども、一時的に親にかわって養育する里親という制度ですけれども、私は、本当の子供として引き取って育てるという養子縁組制度、これも進めてはいかがかというふうに思っております。マッチングもぜひ試みるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

高井政府参考人 今回の震災で両親を亡くしたお子さんにつきましては、現在、ごく一部を除きまして、親族が今引き取って養育しているという状況でございます。今後、この親族が養育できなくなった場合には、先ほど申し上げた里親、ファミリーホームの活用をしていくこととしております。

 さらに、御指摘の養子縁組制度を活用するかどうかにつきましては、子供本人や親族の希望によるというところがございますので、該当するケースは多くないかと思いますけれども、子供や親族が希望し、かつ適切な場合につきましてはこの養子縁組制度を活用することになると考えておりまして、いずれにしても、長期的、継続的な視点に立って取り組んでいく必要があると考えております。

郡委員 よろしくお願いいたします。

 次は、高齢者の目線で仮設住宅についてお尋ねします。

 仙台では、プレハブの仮設住宅への入居が始まりました。前回、私の当委員会での質問で、高齢者が仮設住宅を利用しやすいようにバリアフリー化すると確認をさせていただいたところでございます。しかし、現在建築が進んでいる仮設住宅、玄関にスロープが設けられてはおりますけれども、住宅の内部は、床の上にユニットバスを置く方式で建てられているものですから、トイレやおふろに入る際には段差が二段ございました。手すりの数も足りません。高齢者や障害者が自分でできることをこれでは減らしてしまう可能性もあるのではないか、そんなふうに心配いたしました。

 車いすでも使用可能なバリアフリー住宅を安価に迅速に提供されるよう、関係業界へ働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

清水政府参考人 応急仮設住宅のバリアフリー化に関する御質問でございます。

 御指摘のとおり、バリアフリー化といいますものは、高齢者、障害者のみならず、だれにとっても利用しやすいということでございますので、応急仮設住宅の浴室あるいはトイレには手すりを設置していただくということも重要だというふうに考えてございます。

 また、もう一つ、福祉仮設住宅という言葉で言っておりますけれども、スロープはもちろん、日常生活上特別な配慮を要する高齢者の方々、複数、いわばアパート形式で入っていただき、そこに生活援助員の部屋も設けるといった福祉仮設住宅というタイプのものもございます。

 私ども、こういうものをできる限り整備していただくよう、四月十五日にも一部図面入りで関係県に通知を出したところでございます。

 また、今お尋ねの、まだ手すりが足りないではないかといった点につきましては、必要でありますれば、整備がある程度進む段階でさらなる補修といったものも考えてまいりたいと思ってございます。

 費用的にも、応急仮設住宅本体の設置などの災害救助関係の費用は、二十二年度予備費、二十三年度予備費、それから先般の第一次二十三年度補正ということで四千四百億円余り積んでございます。

 さまざまな工夫を重ねて、高齢者や障害者はもちろんのこと、被災された方々ができる限り安心して生活が送れるよう、努力を重ねてまいりたいと考えてございます。

郡委員 一般仮設住宅、手すりをもう少しというふうなお話がありましたけれども、とにかく段差が、お部屋の中、玄関入っても、十五センチ余りの段差が二つあって、そうじゃなきゃおふろに入れないという状況なんですね。これを改善できるように、ぜひとも御尽力をいただけるようにしていただきたいものだと思います。

 それから、二〇〇四年の中越地震の際には、仮設の四百五十戸当たり一画に介護拠点が設けられて、これが大変、要介護度の悪化や孤独死の防止につながったというようなことが報告されております。仮設住宅地域に高齢者向けの介護サービスなどを提供する拠点を建設する方針も示していただいて、補正予算もつけていただきましたけれども、どのようなもので、いつごろ設置できる見通しなのか、お尋ねします。

宮島政府参考人 サポート拠点のお尋ねですが、サポート拠点、これはフルスペックみたいな形にすると、総合相談とか訪問介護とか訪問看護とかデイサービス、おふろ、地域交流の場とか障害者の日中活動の場とか子供も来るというフルスペックもありますが、そういうのと、小さな、総合相談と地域交流サロンぐらいのものとか、いろいろな、その仮設のつくり方によって、タイプはその実情に応じてやっていただこうというようなことで考えております。

 これは、二十三年度補正予算で国の方、成立いたしましたので、今、被災した県、市町村に働きかけを行っておるところでございまして、そちらの方でも、県、市町村内の予算措置というようなことが必要になってきます。ただ、私ども聞いているところでは、かなり積極的に取り組んでいただいているということで伺っておるところでございます。

郡委員 ぜひ、仮設住宅のみならず復興住宅においてもこのようなサポートセンターをつくっていただくようにお願いをしたいと思います。

 それから、今回の震災の影響で体調が悪くなった御高齢の方々も少なくありません。仮設住宅での在宅介護では対応し切れないんじゃないかという声も上がっています。介護が必要な高齢者を受け入れて、職員の雇用の拡大にもつながる仮設の高齢者の福祉施設、これが必要なのだというふうな声が聞かれるんですけれども、前回も、これはできないという御答弁があったやに記憶しております。これを重ねて、ぜひとも整備に力を尽くしていただきたいということ。

 それからまた、被災施設の借入金については、復旧までの間、元本と利子の返済を凍結する必要もあると思われますけれども、この点についてはいかがでしょうか、お尋ねします。

宮島政府参考人 仮設で特別養護老人ホームということになると、これは、防火防災上の観点とか、あるいは、エレベーターができないので平家にするしかないので土地の確保をどうするんだとか、いろいろな問題があるので、私どもは今、こういうものは、会議場とか宿泊施設、既存のそういうものを借り上げて、そこの借り上げの補助はしますからそこでやってくださいというようなことで提示させていただいているところでございます。

 それから、認知症のグループホームなどになりますと、賃貸住宅を借り上げるですとか福祉仮設住宅などでもできるのではないかというようなことで、これも進めていきたいというふうに思っています。

 それから、被災施設の借入金でございますが、これは、独立行政法人の福祉医療機構が、震災の三月十一日から当面六カ月間の元本と利息については返済の猶予を実施しております。周知に努めたいと思っております。

郡委員 ぜひ、これまでにない事態ですので、柔軟に対応していただきたいということを重ねてお願い申し上げます。

 ところで、甚大な被害を受けました特養ホームなどの介護施設が、とりあえず、今お話しになられたように別のところに移って暫定的にケアをする場合ですけれども、入所者に欠員が出た場合、新たに入所者を受け入れることが可能なのかどうか、お尋ねします。

宮島政府参考人 被災前に介護施設に入っておられなかった高齢者の方でも、災害で被害を受けたということで、介護施設に入所することが困難になったというようなこともあると思っております。

 厚労省の方では、旅館やホテルなんかでサービスを受ける場合でも、新規入所の必要性が高いと県や市町村が判断すれば、これは新規入所でもいいのではないかということで、明確化していきたいということを考えております。

郡委員 ありがとうございます。

 特別養護老人ホーム、宮城では全半壊、十施設ございました。これを復旧させるまでの道のりというのも、結構長い時間がかかるだろうなというのを率直に感じているところです。東北は、日本に先んじて超高齢社会を迎えていた地域でもございます。復旧復興に向けては、日本の介護福祉のモデルとなるような、そういう形をつくれるように、ぜひ厚労省としても御尽力をいただきたいというふうに思います。

 おしまいに、外国人の技能実習生についてお話を聞きたいと思います。

 東北の特に沿岸部に関しては、外国人の技能実習生や研修生が大勢仕事をしていた地域でもございました。あるNPOが避難所を巡回しておりまして、四月の中旬のことでございましたけれども、中国人の研修生の女性十四人が地域の集会所で生活をしているというふうな報告がございました。

 残念ながら宮城県は、どこの国の人がどこで生活しているかといった情報がございません。外務省のホームページでも、東北地方にいる外国人の安否については関係団体などと連携して調査中というふうにしか記されておりません。

 実習生らについてはどのように把握をなさっているのか、そしてどう対応されているのか。また、帰国された人、日本に残っている人、それぞれについてお答えを願いたいと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 震災後の技能実習生の状況につきましては、国際研修協力機構が行いました調査結果によりますと、この調査の対象は東北六県、それから茨城県、千葉県に滞在されておられた技能実習生の方でございますが、二万七百八十七人おられましたけれども、そのうちの約三割、六千六十二人の方が帰国をされたと。残る一万四千七百二十五人の方が引き続き滞在をされておられるということでございます。

 この引き続き滞在されている方のほとんどは技能実習を継続されておられますけれども、そのうち、安否の確認がいまだできていない方がお二人、それから、安否の確認はできたわけですが、その後連絡がとれなくなった方が四人、それから、震災直後に技能実習の継続が困難であった方が十九人というような状況になっています。

 ただ、この十九人の方につきましても、十人の方は既に技能実習が再開されておられるということでございますし、残る九人の方につきましても、賃金の支払いを受けながら、実習の継続に向けて待機をされているという状況にございます。この待機されている九人の方につきましては、現在、監理団体の方が移籍先の実習実施機関を探しているということであります。また、国際研修協力機構の方でも、移籍先の開拓とか情報提供等の支援を行う予定にしております。

 そのほか、技能実習生の方に対しましては、国際研修協力機構を通じて、母国語による電話相談に加えまして、被災地などにおきます母国語による相談会を実施するとか、あるいは被災地域を中心にして、メンタル面での、メンタルヘルスについての巡回相談等を行っているということでございます。

 こういった対応を通じて、技能実習生の方にきめ細かく支援をしていきたいというふうに考えております。

郡委員 きょうは法務省にも来ていただきました。技能実習及び研修の在留資格で滞在していた人で再入国許可をとらずに出国した人に特別措置が設けられることになりましたが、ビザの申請に必要とされる書類、これはどういうふうになっているのかということと、それから、今まだ日本にとどまっている被災を受けた実習生、研修生で実習が中断された方に対して、在留期間などの手続について何らか配慮されているのかどうか、続けて伺いたいと思います。

高宅政府参考人 お答えいたします。

 まず、ビザの手続でございますけれども、通常の場合につきましてまず申し上げますと、外国人が技能実習を行うために来日する場合、在外公館におきまして査証申請を行う前に、法務省の出先機関であります地方入国管理局で在留資格認定証明書の交付を申請し取得するということになっております。これに対しまして、今回は、再入国許可を取得せずに途中で出国した方、この方たちについては、この在留資格認定証明書なしに在外公館で査証を申請するということとしております。

 そこで、資料につきましては、外務省の方の資料になるわけでございますが、外務省において査証申請の際の提出資料を必要最小限に限定するという形をとっております。

 具体的にどう簡素化しているかということでございますが、例を挙げますと、団体の監理のもとで傘下企業で技能実習を受けるという場合は、もしこれを在留資格認定証明書で通常行いますと、通常十六種類の資料の提出を求めております。今回の措置で、外務省に対してやる場合には、実習実施機関であるとか監理団体、あるいは労働条件に変更がないという前提でございますが、その場合には、旅券の写しなどの研修、技能実習をやっていたということがわかる資料、あるいは今後の計画書など、四種類の提出資料で足りるというような簡素化を図っております。

 それから、後半の、在留中の方の問題でございますが、技能実習につきましては一定の期間制限がありまして、技能習得の期間が一年以内、あるいはそれにさらに習熟する活動の期間と合わせて三年以内というようなことがあるわけでございますが、青森、岩手、宮城、福島、茨城各県に居住されている被災者である技能実習生の方が被災地で避難している場合など、実際に技能実習を行っていない期間をこの期間に含めないという形で、技能実習を実質的に行う期間が短縮されることのないよう配慮しているというところでございます。

 それから、もし実習実施機関が被災して継続不可能ということになりました場合には、引き続き他の機関で技能実習をすることが可能であれば、もちろんその機関の受け入れ体制が整っているということが前提でございますが、技能実習での在留の継続を認めるという扱いとしております。

郡委員 外国人の方、言葉の問題もございましょうから、とりわけ十分なフォローが必要なんだろうというふうに思っています。

 今回の震災では、日本人ばかりでなくて外国人の方々も多数犠牲になられました。また、今し方お話があったように、この実習生の中にも、お二人がまだ安否が不明だということでございます。

 今も、きょうが震災からちょうど二カ月になるわけですけれども、宮城、福島、岩手では、行方不明の方々、きのう現在で九千八百七十六人です。御親族の皆さんたちの御心境はいかばかりかというふうに思いますし、また、住宅の全半壊につきましても、これは十一万世帯にも上っているということで、生活の再建までの道のりというのはまだまだ遠いということなんだろうと思います。

 しかし、本当に、知恵を絞って、ぜひとも末永いフォローをいただきながら復旧復興をなし遂げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

牧委員長 次に、田村憲久君。

田村(憲)委員 それでは、三十分、おつき合いをいただきたいというふうに思います。

 五月の六日、委員長とともに理事の皆様方と委員派遣、私も行ってまいりました。

 まず、女川の町立の病院に視察をさせていただいたわけでありますけれども、女川町という町、ちょうど港からすり鉢状のように山が迫っておる、そういう町でございました。病院は十六メーターのところに、多分これは津波のことも考えられて、平成九年でしたか、建て直されたということでありましたが、その十六メーターのところを越して津波がやってまいりまして、そして一階は完全に浸水してしまった。ですから、医療機械等々は全部オシャカになってしまった、こういうお話を安住町長さんからお聞かせいただき、また院長さんからお聞かせをいただいた、そういう視察であったわけであります。本当にすさまじい津波、大体このすり鉢の縁に町立病院があるようなものでありまして、そこまで津波が来たということは、ほとんど全部水で満たされちゃったという話です。

 八割の住宅が流された。八割の住宅ですよ。また一方で、亡くなられた、行方不明の方々が町民の一割強。八割流されて一割強の犠牲者であったわけでありますから、そういう意味では十分に防災意識は高かったのかもわかりませんが、それでも町長さんは、一千名を超える皆様方がお亡くなりになられ、また行方不明になられておられることに対して、大変な悔しさをにじませておられました。

 これから安全、安心な町づくりをどうしていくべきか、これから女川町の再生のためにどういうような町づくりをしていくべきか、そんなことに大変頭を悩まされておられた。そしてまた、未来の女川町に向かって着実にこれから頑張って町民の方々とともに歩んでいくんだ、そういう決意も聞かせていただきました。

 そんな中で、町長さんが、地域医療振興協会というところとこの病院自体は一応提携しておるようでございまして、この震災時も延べ百名を超える医師の方々がここにやってこられて、とりあえず救急の医療というものでは、救急時において何とか対応を、まあ対応といっても、医療機器がもう使えないわけでありますから、そういう意味では本当に一義的なプライマリーケアを提供した、しておる、こういう話でありました。

 ちょうど、今まであった一般病床、これを減らしていって、また一方で、療養病床もあったんですけれども、これを減らしていって、老健をふやしていこう、それから診療機能というものを強化していこう、こういう話でございましたけれども、それを、さあこれからどうするんだと。というのは、今までともう想定が変わっちゃっていますから、これから町民の方々がどれだけ町に残られるかわからない、こういう状況の中で、それも心配なんだと言われておりました。

 ただ一方で、一番心配なのは医師不足。もともと医師が足らない地域ですからね、この東北の太平洋側。そういうような最も医師の足らないところがこのような形で、また医者がいなくなる、もしくは、報道なんかでは、院長先生がみずから辞職をされた、辞表を出されて去られたというような病院もあるようでありますけれども、そのような状況であります。

 ですから、これは国が挙げてここの地域のこれからの医師をどう確保していくかということを考えなきゃならぬわけでありまして、何か国がそこにうまく派遣できるような仕組みをつくったりですとか財政的な手当てをしていかないと、これは自然に任せておったのでは、今までの医師不足対応策ではとてもじゃないですけれども、ただでさえ震災があって大変な状況でありますから、追いつかないというふうに思うんですけれども、これに関して、今、大臣、何か方策をお考えでありますか。

細川国務大臣 今、委員が視察をされてこられたその状況もお聞きをしまして、これからの医師不足、これに対してどのような対応か、こういう御質問だと思います。

 これまでは、いろいろな団体から医師の派遣ということでいろいろな医師チームが派遣されてきて、診療に当たられてきていたと思います。

 今後の問題でありますけれども、お医者さんの方が、応急な形で来られた方がだんだんと本来の業務に引き揚げられるということも聞いておりまして、今後の医師の確保というのが大変大事であろうというふうに思います。

 一つは、臨時的な形で医師を確保するという形でやれるのは、重点分野雇用創造事業の基金事業がございます。これは災害対策ということも入れておりますので、これによってお医者さんを確保していただく、こういうことも一つあるかと思います。

 それから、地域医療再生基金、これは以前から基金を積んでおりまして、これの利用ということが一つあります。これについては、被災三県につきまして交付額を上限の百二十億交付する、こういうことになっておりまして、それで県の方で重点的にやっていただくということで医師の確保もしていただけたらというふうに思いますし、また、そのうちの十五億円については既に前倒しで交付するということで、医師の確保をそれでお願いもしたい、こういうことを思っておりまして、そういうことから医師の確保をしていく、こういうことが私どもの医師確保の方針でございます。

田村(憲)委員 いろいろと今までも医師の確保策をやってきたんですけれども、お金をつけるだけじゃなかなかできない、要するにお医者さんはそこに行かない。もともとある程度高度な医療を提供できるところには、キャリアアップやいろいろな自分の経験を積む意味でもお医者さんも来るんですけれども、どうかこれは国が関与して一つ仕組みをつくって、あの地域に医師を派遣できるような、何かそういうものをつくらないことには、そこにお金も入れていくというようなことをやらないことには、そう簡単には医師不足を解消できないんじゃないか。全く機能していないような病院も公立病院にも今あるわけで、そこまでちょっと踏み込んで、現場の声を聞いていただいて、大臣、しっかりと地域の医療を守っていただけるようにお願いをいたしたいというふうに思います。これはお願いいたしたいと思います。

 その後、実は仙台に戻りまして、特養の視察をさせていただきました。愛泉荘という特養であったわけでありますが、同じ法人内のもう一つの特別養護老人ホームが津波で流されまして、命からがら、命を失った気の毒な方々もおられたんですけれども、五十名近くが移ってこられて、もう一つの愛泉荘というところで、多床室の特養だったものでありますから、その多床室のあいているところにベッドなり、当初は布団だったんですが、それを置いて、今のところお住まいになられておられるということであります。

 きょう資料につけておりますけれども、厚労省が出していただきました「高齢者、障害者等の要援護者の緊急的対応について」ということで、こういう通知を出されて、例えばホテルでありますとか、そういうようなところがあいていればそこを施設がわりに使ってもいいですよということを通知を出していただいておったんですけれども、なかなか意思疎通が自治体とできていないようでございまして、厚労省の方は通知を出しているんですが、十分に趣旨が伝わっていなくて、話し合いをしてもなかなかうまく理解してもらえないというような話を理事長さんからお聞きいたしました。これは引き続き各自治体に、こういうような方法で施設等々の確保、場所ができれば、同じように事業を運営していただいていいですよということを、意思を徹底していただきたいと思います。

 あわせて、そういう仮設といいますか暫定的に場所を使っているところ、ここには新規の入所者は受け入れられないという話になっているらしいんですね、あくまでも暫定だからと。これはやはり、すぐに新しくつくりかえられればいいですけれども、なかなかすぐにはつくりかえられない、その間、特養で預かってもらいたいというニーズもあるんです。ぜひともこれは、新規もこういうような暫定的なところ、その後また続けるわけですから、新しいものができればそこにそのまま入っていただければいいわけですから、新規の方々も受け付けていただけるようにしていただければありがたいんですが、大臣、いかがですか。

細川国務大臣 二つ質問だと思いますが、一つは、周知徹底ができていない、こういうことでございます。これは、三月十一日、震災があったその日に、緊急ですから、もうそういうことを厚生労働省としては通知をさせていただいたんですけれども、しかし、現場の方にそのことが周知徹底していないという御指摘でございますから、なお徹底するように督励をしたいというふうに思います。

 それから、もう一つの御提案の、既に施設に入っていた人が仮設の方に行く場合はいい、しかし、入っていなかった方を仮設の方にも入れてくれ、こういうことですね。これは、私もその点はよくわかります。この災害が大規模で長期化しているということでもありますから、新たに施設を利用されるということは仮設の方でも適用できるように、委員の御意見も入れさせてやっていきたいというふうに思います。

田村(憲)委員 よろしくお願いいたします。これはなかなか長期化しそうなものでありますから、そのような形で新たなニーズをちゃんと受け入れられるような、そんな制度にしていただきたいというふうに思います。

 あわせて、今仮設という話が出たんですけれども、敷地内に仮設で部屋を建てて受け入れるという考え方はないのかと。例えば、特養をやっておられるところのあいている敷地に仮設の部屋をつくって、そこに被災されて来た方々に入っていただくだとか、もっと言うと、公設民営みたいな形で、仮設を公設でつくって、そこで社会福祉法人が要するにお預かりをするというような形で特養を運営できないか。

 いろいろなバリエーションがあると思いますので、ここも研究をしていただいて、今の現状、そう簡単にはすぐに新しいものができるとは思えませんので、そのような仮設の部分というものもぜひともお考えの中に入れていただけるとありがたいんですけれども、いかがですかね。

細川国務大臣 敷地内に仮設というお話でありますが、いろいろ検討をさせていただきます。委員が提案をしていただいた、公的なものをつくって、それを民間の方に委託して運営をしてもらう、こういうことも一つのいい形の案だというふうに思いますので、そういうことも含めてしっかり検討したいと思います。

田村(憲)委員 よろしくお願いいたします。

 それでは次に、例の食中毒の問題に移らせていただきたいというふうに思うんですが、これは、もう既に四名の方がお亡くなりになられて、さらに二十数名の方々が重症化されておられるということでございまして、大変大きな問題であります。

 そもそも、私がきょうお渡しした資料を見ていただくと、厚労省といいますか、これは政府の広報ですかね、この中に、下の方、「近年増えている「カンピロバクター」「腸管出血性大腸菌O―157」の食中毒」なんというところで、一番下に、「特に抵抗力の弱い子どもや高齢者は、重い症状になりやすく、合併症を起こして死亡する例もあります。」と書いてあるんですけれども、厚労省として、これは、子供やお年寄りにはなるべく生肉を食べないでいただきたい、こういうようなメッセージというふうに我々は受け取っていいんですかね。これはどうですか。

梅田政府参考人 厚生労働省といたしましては、これまでも、今議員御指摘のような政府広報等を通じまして、それからまた、いろいろな通知でも出しております。子供や高齢者が生の肉を食べることにより重い食中毒になる例がございますので、不安の有無にかかわらず、生肉や加熱が不十分な肉を食べないように周知しているところでございまして、引き続きこれからも、子供や高齢者ほか抵抗力の弱い方においては生肉を食べないよう周知してまいりたいと考えております。

田村(憲)委員 大臣、今のお話ですと、不安の有無に関係なく、子供、お年寄りは生肉を食べないでくれ、厚労省の方針としてはこういう方針だというんですが、それでよろしいですか。

細川国務大臣 生肉というのは、昔から肉は生では食べてはいけないというようなことをずっと我々も言われてきたわけでありまして、それはやはり危険だ、とりわけ体力の弱い子供とか老人の方はそれは危ない、こういうことであろうと思いますので、それはそれで私ども厚生労働省としては、体力の弱い子供とかお年寄りについては食べないでほしい、こういう方針であろうと思います。

田村(憲)委員 先般テレビを見ておりましたら、蓮舫大臣が、不安がある場合は、生肉の料理を子供、御高齢者、健康状態がすぐれない大人の方が食べることは控えていただきたいと。不安がある場合はと言われたんですね。

 今の話では、不安の有無にかかわらずと。不安があったら成人も食べちゃいけないんだと私は思うんですよ。これは、やはり蓮舫大臣は非常に発信力の強い方でございますので、間違ったメッセージが届くと私は問題があるんだと思うんですが、大臣、ちょっとこのメッセージはよろしくないというふうにお感じになられますよね。

細川国務大臣 個別の話でありますからなかなか言いにくいところがありますが、不安がある場合は、生肉の料理を子供、御高齢者、健康状態がすぐれない大人が食べることは控えていただきたい、こういう不安があるという表現が、これは先ほど私が話をしたこととはちょっと違いますね。

 私としては、やはり生肉というのはそもそも危ないというところがありますから、それは、特に子供、お年寄りは気をつけてほしい、食べないでほしいというのが厚生労働省の考えでありますから、不安だからというのではなくて、基本的に子供とお年寄りなどは控えてほしい、こういうことだろうというふうに思います。

田村(憲)委員 私も大臣と同じ考え方ですから、ここはちゃんとメッセージが国民に伝わるようにということで確認をさせていただいたんですが、申しわけありません、ちょうど末松副大臣にお越しをいただいております。担当の副大臣でございますので、この点、ぜひとも蓮舫大臣にお伝えをいただきたいと思うんですが、何かコメントがあられれば、どうぞ。

末松副大臣 蓮舫大臣も、この御発言をされてから非常に規制強化に前向きでいらっしゃいますし、これは蓮舫大臣に聞いていただかなければわからないですし、私も大臣にお話をしますけれども、多分、お年寄りの中でも健康な方でがんがんやっていて、何か食べる権利はないのか、そういう方のためにちょっと控えた表現の前置きだというふうにお考えいただければいいのではないか、私はそういうふうに考えております。

田村(憲)委員 いつも理論的な副大臣がちょっと理論的じゃない御答弁だったというふうに思うんですが。

 私は、やはり蓮舫さんは非常に本当に情報発信力が強い方ですから、誤ったメッセージが届くのは余りよろしくないなというので、食品安全委員会が違う考え方なら別なんですけれども、厚生労働省と同じ考え方ならば、やはりちょっとお言葉を選んでいただければありがたいなというふうに思います。

 実は、そういう中において、今この基準がどうなっているんだというのをお聞きしますと、馬、牛は衛生基準がある、豚、鳥はないと。ところが、先ほどもお話がありましたが、鳥の刺身なんというのは今普通に出ているわけなんですよ。カンピロバクター等々危ないということを厚生労働省も言っているわけで、私はなぜこういう話をするかというと、国民の皆さんがリスクを余りよくわからずに食べておられる場合が非常に多いのではないのか。生肉というのは、本来、成人でもかなり覚悟を持って食べていただかないとだめだと思っています。

 今回、新しい基準をつくられると。新しい基準をつくられて、法改正といいますか大臣告示でやるというお話らしいんですが、罰則まで含めてという話なんですが、新しい基準をつくったら、そのとおりにしていればまず大丈夫だという話なのか。それでも、やはり生肉だから、それ相応にみずからでリスクを負っていただきながら食べていただかなきゃいけないのか。そこをはっきりしていただかないと、この基準を守っていますから、後で何かあったときはやはり政府が悪かったんじゃないか、こういう話になるんですよね。

 やはり、生肉というものは、焼いてある肉から比べればリスクは高いはずなんですよ。大臣、そこはどうお考えですか。

大塚副大臣 大変重要な御指摘だと思います。

 基準をつくっても、それを守っていれば安全というふうに言い切ることはなかなか難しいと思います。逆に、今までのルールでも、今回の件が起きるまで、現実には大丈夫だった方々が大半なわけでありますので、実は、該当の卸売業者と焼き肉店、ここの業者も今までずっと出していたわけですから、一体なぜ今回起きたのかということをしっかり確かめた上で、かつ今までよりは厳しい基準を設けつつ、それでもしかし、生肉は基準を守っていれば絶対安全ということではないということはしっかり周知をしていく必要があると思っております。

田村(憲)委員 実は、どれぐらいの健康被害がここ数年間に生肉であったかということもお聞きをしたいと思っていたんですが、時間がないものですから、報告をまたいただければというふうに思います。やはりそれなりに出ているんですよね、ここ数年間でも。

 ですから、多分、ほかの食材と比べれば、食中毒等々で健康被害が出ているリスクというか数が多いんだと思います。もとから生肉というものは非常にリスクが高いという認識、これをやはり厚生労働省としてしっかり出していただきたい。今まで以上にこういう情報発信をしていただいて、食べられる方々に、なるべくなら本当は食べていただかない方がいいのかもわかりませんが、それぞれ嗜好がありますから、どうしても食べたいという人に食べるなとは言えませんから、そのときには、みずからもよほど気をつけていただかなきゃならぬということを広報いただきたいなというふうに思います。

 これは、秋口に新しい衛生基準をつくる、そして大臣告示で法律に反映させるという話でありますが、秋口というのは多分十月一日だという話なんだと思います。どういうような日程で十月一日に新しいものをおつくりになられる予定ですか。

梅田政府参考人 食品衛生法に基づく規格基準の設定に当たりましては、食品安全委員会の食品健康影響評価を受けることとされております。評価に必要な資料が整い次第、食品安全委員会に評価の依頼を行うこととしております。

 また、食品安全委員会における評価と並行して、薬事・食品衛生審議会への意見聴取やパブリックコメント、消費者庁への協議を行うなどというような手続がございますので、それらを行いまして、本年十月の施行を目標に必要な手続を進めてまいりたいと考えております。

田村(憲)委員 いや、だから、その日程は大体どんなスケジュールで進むんですかという話です。どれが何カ月ぐらいというのがあるでしょう。

梅田政府参考人 食品安全委員会の方へ提出いたしますいろいろな資料を整えるのに、これから調査に入ります。これが六月の初めぐらいまで調査を行いまして、その調査をまとめて、まとめました上で食品安全委員会の方に評価を依頼することになります。それから、今度はパブリックコメント等に三十日等かかります。そういうものがございますので、ある程度の結論をいただくのが九月初めになるのではないかと考えております。実際、こういうものを施行するに当たりましては、周知期間等もございますので、それを含めて、十月一日を目標とするということでございます。

田村(憲)委員 このためにきょうは末松副大臣にお越しいただきましたけれども、食品安全委員会の方にこれは行くわけですよね。食品安全委員会は、こんなものに大体半年ぐらい今まではかかってきておるという話でありましたが、今の日程を見ていただければわかりますとおり、半年もかけていたのでは十月一日に間に合わないんです。ですから、この評価を食品安全委員会に、それはいいかげんな評価をしろというんじゃないですよ、しかし、最優先でこれをやっていただかないと十月一日には間に合わない、こういう話になるんですね。

 副大臣も十月一日、なるべく早くと思われるんならば、やはり食品安全委員会に、今の話を聞いていると、六、七、八、三カ月以内にはもう結果を出していただかなきゃいけないという話なんですが、最優先でやっていただく決意があるのかどうか、これをお聞きしたいと思います。

末松副大臣 今の点、本当に重要な点でございます。

 食品安全委員会の方は、もう依頼が来れば即座に検討を開始するということにしております。

 それで、今の日程、最高三カ月という話がございますけれども、通常のやり方でいけば半年とか一年かかるんですね。そうじゃなくて、今回の事態、非常に重視をしまして、深刻に受けとめておりまして、その意味で、蓮舫大臣からも食品安全委員会に対してこのお話をさせていただいたり、そして、私が食品安全委員会から聞いたところでは、専門委員会の皆さんを含め、ここは早急にやるという御覚悟があるように私は受け取っております。

 中立性とか客観性とかそういったものがありますので、私どもから食品安全委員会にやれと言う立場にはありませんけれども、それはもう私どもも、多分、そこは断固としてやられるという御決意があると伺っております。

田村(憲)委員 よろしくお願いをいたしたいというふうに思います。

 それでは、最後にもう一問。

 例の一次補正予算で三党合意というのが出てまいりまして、配付資料の三ですね、これは自民党の政調会長室と書いてありますが、名前が書いてありますとおり、それぞれの三党の政調会長の皆さんが署名をされておられます。

 この一番、「子どもに対する手当の制度的なあり方や高速道路料金割引制度をはじめとする歳出の見直し」云々ということがずっと書いてあります。結果的に言いますと、要は、年金の二分の一の財源を復旧復興のためのお金に使われたというようなこと、これがやはりおかしいじゃないかということで、これから二次補正をつくるに際して見直しも含め検討する、こういうことです。

 我々からしてみれば、もともと鉄建公団のお金を使うこと自体泥棒ですから、泥棒がとってきたお金をまたかっぱらいに盗まれたみたいな話で、要は、本当は恒久財源をちゃんと手当てしてくださいよと言っていたものが違っていたわけですよ。これ自体、どこかから違うお金を持ってきたんで泥棒ですよね。それがまたかっぱらわれちゃってお金がないという話で、では実際どうするんだというんで、配付四のこういう法律を出されたわけですね、大臣。

 ところが、この法律では我々は十分じゃない、ちゃんと手当てしてもらえるかどうかわからないということでこの三党合意に至ったわけです。ということは、この法律は我々としては認めていないんですよ、認めていないんです。これは国会にもう提出されています。まだ委員会には付託されていませんから議論できませんけどね。

 この法律をまず撤回していただきたい、撤回を。じゃないと、やはりこの三党合意というものが、民主党政権が真摯にこれを三党合意として出されたかどうかというのは、提出したこの法律を撤回していただくかどうかというところに私はかかっていると思うんです。

 大臣、ぜひとも撤回をしていただいて、見直しに向かって新しい検討ができるように、そういう環境を整えていただきたいと思うんですが、いかがでございましょう。

細川国務大臣 この年金の二分の一の問題については、委員会の田村委員の質問のときには常にこの質問でありまして、これはたびたび私の方からも答弁しているように、基礎年金への国庫の二分の一というのは年金の長期的な安定のためにも本当に大事なことで、これはしっかりやっていかなければということで、そのための法案も提案をしていたわけなんですけれども、今回、大震災でこういうふうになっちゃって、そちらの方の復旧の財源にもどうしても必要だ、こういうことで、これは私としてはもちろん不本意でありましたけれども、政府の総合的な判断、こういうことで復旧の財源の方に入れる、こういうことになったわけであります。

 そこで、三党合意もありまして、第二次の補正予算の編成過程で検討する、こういうことになっておりますけれども、この法案には明確に、国庫で二分の一にやるとか、あるいは免除になった部分について、これは年金の支給ときに半額はきちっとやるとか、いろいろな内容も入っておりまして、私どもとしては、この法案についてはぜひ審議をしていただきたいと思っているわけでございます。

 ただ、三党合意でありますから、そこは党の方でも検討をしていただくということで、私どもとしては、いずれにしても早く年金会計の方に、今回の二分の一の差額の問題については、復興復旧財源の方に回したわけですから、それは返してもらうのはできるだけ早くということで、これは党の検討の中でもしっかりやっていただきたい、こういうふうに思っております。

田村(憲)委員 もう時間ですからやめますけれども、財務省から押しつけられたこの法案、大臣もいいと思っていないんだと思うんですよ。これだと本当に年金財政、二分の一に引き上げるためのお金が来るかどうかわからないから我々は三党合意をつくったんですね。ですから、大臣のお立場からすれば、三党合意もあるんだから早くこれは撤回しろよということをあえて菅さんに申していただいて、厚生労働省の責任で撤回していただければよりよい方向に行くという話でございますから、御覚悟をお決めいただきますようにお願い申し上げながら、私の質問を終わらせていただきます。

牧委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうの今までの質疑と若干重なる部分もございますが、確認の意味も込め、順次質問を行ってまいりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず初めに、焼き肉チェーン店で発生をいたしました集団食中毒についてお伺いをしてまいります。

 富山、福井、それから神奈川、三県で相次いだ焼き肉チェーン店焼肉酒家えびすの集団食中毒は、男児二人を含み、今四人の死亡者が発生をしております。重症者が二十四人という事態にもなっているわけであります。今回の事件は、不適切な形で生の肉を口にする怖さ、危うさというものを改めて思い知らされたわけでございます。私も、大臣と同じように、子育てをする中でも、やはり子供には生肉は食べさせなかったというように記憶をいたしております。しかし、時代とともに食文化も変わってきているかとも思います。

 店側のこうしたずさんな衛生管理が次々と明らかになってまいりました。生食用の衛生基準はあっても罰則がない、違反を承知で加熱用牛肉を生で出すことが業界で常態化していたことを知らなかった、そういう消費者がほとんどではないかと思います。

 今回のように、加熱用の転用が横行する背景には、基準に違反しながらも罰則がない、これが非常に大きな原因だと思います。それでも、衛生的な取り扱いを厳守している業者は多い、こういうところがほとんどなんだろうとは思います。今回の食中毒事件は、特定の業者のモラルが厳しく問われるケースではあります。だからといって、強制力がない基準頼みでは、やはり消費者は安心できないと思います。悲劇をこれ以上繰り返さないために、厳正な衛生基準が不可欠と思います。焼き肉店の衛生管理にとどまらない複合的な問題ととらえて、原因と過失、この徹底究明をお願いしたいと思っております。

 細川大臣は、六日、対応の不備を認められ、罰則を盛り込んだ新たな衛生基準を設ける姿勢を示されております。

 これはやはり、こういう事件が起きてしまった後、非常に残念であると思っております。

 さらに、新たな規制強化策として、一歩踏み込んで、飲食店に対して、衛生基準にのっとって処理をした生食用であることをメニューとか店内に表示をするように、こういう要請を出されています。消費者の不安を取り除くためにも、生食用の表示についても一刻も早く義務づけを行っていただきたい。

 この問題は、食の安全また人命に直結するものでもございます。法的不備を把握しながら是正しなかった厚労省の責任は重いと思っております。とうとい人命が奪われた今回の事件を機に、馬肉、鳥肉なども含めまして、生肉を出す飲食店の一斉調査、総点検を行っていかなければならないと思います。そして、指導を徹底すべきであります。そして、罰則つきの新たな基準の策定など、衛生基準の改正を急いで、再発防止に努めなければならないと思っております。

 大臣の御見解をまずお聞きしたいと思います。

細川国務大臣 今回の食中毒事件、これは大変な事態が発生したというふうな認識をいたしております。お子さんを含めて既に四人の方がお亡くなりになっておりまして、そしてまた重篤な方もたくさんおられる、こういうことでございます。したがって、私どもとしては、何としても再発を防止しなければというふうに思っております。

 そのためには何をすべきかということでありますが、委員も御指摘のように、今回この件が起こったのは、やはり強い刑事罰がなかったというような、そういうところもあると思いますので、まず私は、きちっと刑事罰があるような、そういう形に基準を変えていかなければというふうに思っております。

 その手続につきましては、先ほども議論となりましたけれども、いろいろな手続、食品安全委員会へのいろいろな諮問などもございまして、あるいはパブリックコメントとかございます。そういうこともありまして、本当に急がせて九月いっぱい手続がかかるだろう、それで十月施行、こういうことを考えております。

 そこで、では、それまでどうするかということ、それまでにまたこういうふうな事態が起こってはいけない、こういうことで、そのためには、まず、焼き肉店などの店舗で消費者が生肉用で基準にのっとった処理をしているということがはっきりわかるような、そういうことを店内にきちっと表示をする。例えばメニューだとかあるいは掲示をするとか、そういうような形でやるということ。

 もう一つは、業者間の関係。業者間のところでは、いろいろな取引ですから、その取引の契約書なり文書、そういうところに生肉用であるというようなことをしっかり明示をしなければならない、こういうことで指導をしていくということで、消費者の面とそれから業者の面、両方から、法律でしっかり刑事罰でできるまで、そういうことで徹底をしてやっていきたいというふうに思っております。

古屋(範)委員 十日の通知で、そうした生肉用の処理をしたとメニューあるいは店内に表示をする、あるいは取引間でも文書で明示をする、このような指示を出されたということは非常に評価をしたいと思っております。

 こうした制度を施行するのが十月の初めということでありますので、急いでも十月ということでございますが、ぜひ迅速に進めていただきたいと思っております。また、これから暑くなってまいります。また、電力の供給不足で室内の温度も上がるかもしれませんし、年々、夏も温度が上がっているようにも思います。ですので、それまでの間、ぜひ慎重にも慎重を期する対応をお願いしたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 次に、震災関連の質問に移ってまいります。

 いよいよ二カ月目に入りました。いまだに十数万人が避難所生活を続けていらっしゃるということであります。プライバシーの維持あるいは衛生上の問題、こうした避難所生活が長引くということは、健康の水準を維持する上で非常に大きな脅威でもあります。

 今、仮設住宅の建設、まだまだ進行が遅いのではないかという印象を持っております。

 四月の二十五日に宮城県に行ってまいりました。東松島市の避難所で、昼間は皆さん、お天気のいい日は作業に出ていらっしゃるんですが、四カ月のお子さんにミルクを飲ませている女性が本当に避難所にまだ残っていらっしゃって、ほかにも、孫が二人いるので一日も早く仮設住宅に移りたいと、切実な声を伺ってまいりました。

 政府は、こうした長期化を防ぐ決意を明確にして、仮設住宅の建設促進など、あらゆる手だてを講じなければならないと思っております。菅総理は、お盆までに仮設住宅を完成させるということを明言していらっしゃいます。ぜひそれを履行していただきたいと思っております。

 しかし、実際にはこの建設が難航しているということでもあります。

 また、他の自治体の公営住宅などへの移転も、受け皿がありながらも進んでいないと思います。この理由として考えられますのが、ほかの自治体にもし出て公営住宅あるいは宿泊施設等に入った場合に、避難についての情報がそちらに十分伝わっているのかどうか、ここは非常に点検をしていかなければならない点であります。また、ほかの自治体に移った場合に、どうしてももといたところとの結びつきが薄れる、あるいは途絶えてしまう。また、今整備中の仮設住宅に入れないのではないかというような不安が広がっております。

 しかし、三月二十五日付の厚生労働省社会・援護局総務課長名で各都道府県災害救助担当主管部長あてに発出をされております「平成二十三年東北地方太平洋沖地震に係る災害救助法の弾力運用について(その三)」には、公営住宅等を避難所として利用している被災者の方が、その後、応急仮設住宅に入居することも可能であるとの旨、これを了知されたいと発信されています。

 そこで、今、衛生状態が余りよくない避難所から他の県の公営住宅等へ二次避難を進めていくことが重要だと私は考えます。本当に、避難所の廊下、ピロティー、そういうところにも避難の方は暮らしていらっしゃるわけであります。それよりも、他の県であったとしても、公営住宅や宿泊施設に入った方が当面の生活はやはり向上していくと思われます。

 そうした場合でももといた場所の仮設住宅に戻れる、このことを再度明言していただいて、二次避難が進むような措置をとっていただきたいと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

細川国務大臣 今回の震災で今避難生活をされている方、その方々が県外で、例えばホテルとか旅館とかそういうところに避難していただいて、そこで生活をしていただく、あるいは他の県営のいろいろな公的な施設へ入られるとか、いろいろ、そういうことで、費用はすべて最終的には国の方で面倒を見るということで、ぜひこういう制度を利用していただきたい、こういうことは自治体の方にも勧めてきております。

 ただ、被災者の方の中では、余り遠くへは行きたくない、もう帰ってこられないのではないか、こういう御心配をする方もおられるわけですね。したがって、私どもとしては、短期間でも結構です、こういうこともちゃんとお知らせもいたしております。

 そこで、委員の御指摘の、一たん例えば県外の公的なところに入った方が、今度は地元で仮設住宅ができたからその仮設住宅に入れるかどうかという点でありますけれども、これは、私どもの方としては、そういうことを利用していただけるということでありまして、そういう点は心配なく、県外なら県外の施設などに入っていただけたらというふうに思っております。

古屋(範)委員 県外に避難された方への情報提供、また、仮設住宅に応募する場合、その取り扱いに関してもぜひ公平に、小さなお子さんがいるのかあるいは高齢者がいるのか、そうしたことも勘案して公平な取り扱いをしていただきたい、ぜひこのことを要望しておきたいと思います。

 次の質問に参ります。

 二カ月に及んでまいりました避難所生活における、健康を守る取り組みについてお伺いをしてまいります。

 避難所生活の長期化の中で、ボランティアの医療救護班等、多数活動していただいております。その中では、なかなか引き継ぎや記録がないという場合、あるいは特定の地域に集中する医療の不均衡、また衛生状態の悪い避難所ではインフルエンザ、ノロウイルス、こういった感染症の流行も心配されております。また、これから夏を迎えるに当たりまして、暑さ対策、食中毒の対策、このようなものも必要です。

 こうした感染症、また生活不活発病などを防いでいくために、診療だけではなく、避難所全体の衛生環境、栄養等にも目配りをする、避難所医療保健チームといった被災者の健康を守るチームも必要ではないかと思っております。食事、健康面などのガイドラインを含めて、健康で文化的な最低限度の生活を保障する、また、プライバシーが守れるような配慮も必要だと思います。

 こうした現状を放置していくというのは許されないと思います。こうした点においての御見解をお伺いしたいと思います。

外山政府参考人 委員が日本国憲法第二十五条の国民の生存権と国の社会的任務の規定に言及されましたけれども、私どももそういう考え方でやっております。

 それで、今まで、大震災発生当日には、食中毒や感染症の発生予防の留意点であるとかエコノミークラス症候群の予防、あるいはその後、健康を守るためにというふうな文書、それから、エネルギーやたんぱく質といった栄養の基準等、災害のフェーズごとに時系列的に戦略的にいろいろな通知を出してきているわけでございます。そして、それをもとに、避難所ごとにいろいろ置かれている環境は異なりますけれども、基本的な衛生面、健康面の確保といった形で、保健師や栄養士、医療関係職種が一体となってやってきているということでございます。

 ただ、委員御指摘のとおり、震災から二カ月が経過してきているということで、若干長期化も見込まれる、それから、御懸念の夏場の脱水や感染症の問題、これも懸念されるということでございますので、こうした状況を踏まえまして、今後、避難所の管理者を初めとした関係者が、健康対策に関しまして、いろいろな分野があるわけでございますけれども、分野横断的に守るべき一定の目安ともいうべきガイドラインを作成いたしまして、被災者の健康管理に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 管理者に対して横断的なガイドライン、しっかりと徹底をしていくということでもございますので、やっと大震災で避難をされた方々が、避難をした先で健康を害する、また命を落とすというようなことがないよう、ぜひ徹底をお願いしたい、このように思います。

 私も、二十五日に公明党の女性議員で現地に行ってまいりました。そこで、心身障害者の作業所などを運営する名取市の社会福祉法人みのり会というところでは、サービスを利用する障害者五人が、保護者、家を失って、現在、施設職員と一緒に暮らしているということでございます。

 ここのみのり会に入所施設はなく、五人を長期保護していくのは非常に難しいということであります。ここのデイサービスの通所のところはもう津波で流されて、全く使えなくなっております。重度の二人は四月中旬に宮城県の大和町の障害者施設に入所をした、残りの方々も五月中に岩沼市のグループホームに移る予定であるそうです。

 しかし、みのり会の方々は、できればいつの日か呼び戻してあげたいとおっしゃっていまして、地元を離れた重度の二人が入居できる介護施設を建設したい、そうした理事長の思いを何とか実現させてあげたいというふうに私も感じました。

 現在、名取関下土地区画整理組合の事務所として使用していた建物を宮城県農業共済組合連合会から仮の施設として提供していただいているそうなんですが、四月七日の余震で内装が崩れ、換気扇なども落ちた状態になってしまったということです。

 震災に伴う公的支援については、福祉分野にも手厚く支援を行うべきであります。こうした福祉施設への財政支援は欠かせないものであります。鈴木理事長から、安全な内壁と、床も補修をしたい、また障害者用のトイレを改築したい、しかしその費用がないというお声をいただきました。

 こうした、仮設であっても障害者用への改修について、これらの費用の支援についてお伺いをしたいと思います。

大塚副大臣 仮設であってもそうした障害者の方に配慮した補修等の費用をという御指摘でございます。

 現在、障害者の皆さんは、先生からも御紹介がありましたように他の施設等に受け入れていただいておりますが、現在仮設住宅を建設している中で、障害のある方も利用しやすい構造や設備を備えた福祉仮設住宅も建設を進めているところでございます。したがって、そういうところにお入りをいただくということと、それから、今先生が御指摘のように、既にお入りになっている、お使いになっている施設がそういう配慮が十分でないところがあれば、そこについては今後しっかりと対応をさせていただくことにぜひしたいというふうに私たちも考えております。

 財政的な面もございますので、財務省とも相談をして、しっかり対応させていただきたいと思います。

古屋(範)委員 被災をした障害施設の方々は、非常に希望を持たれると思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 先ほど田村委員からも質問がございました。先日、当委員会の現地調査で行ってまいりました仙台市の愛泉荘、ここは非常に満杯状態でありまして、多床室なんですが、そこに仮設のベッドを持ち込んで、ぎゅうぎゅうの状態で今施設運営がなされております。また、職員の方々も、みずからも被災しながら、その疲労もピークに達しているという状況でもございました。潮音荘というところからこちらの愛泉荘の方に多くの方が移られているという状況の中で、ぜひ福祉施設を再建したいという強い願望を持っていらっしゃいます。

 私からも、こうした特養ホームに関しましてぜひ規制緩和を、こうした非常時において、仮設であっても新たな受け入れができるように、あるいは施設においても、これまでの規制というものをこうした災害時においては一時凍結をする、また緩和をする、こうした措置をぜひとっていただきたい、このように要望したいと思いますので、一言よろしくお願いします。

大塚副大臣 二つ御指摘があったかと思いますが、特養の運用の弾力化については、既に発災当日から、入居者の定員超過利用を認める、あるいはその際の介護報酬の減額を行わない等の対応をしておりますので、今後もそうした対応をしっかりさせていただきたいと思います。

 そして、仮設ということでございましたが、先ほども申し上げましたように、福祉仮設住宅というものをこれからしっかりつくってまいりますので、そうしたことを充実させることで介護が必要な方等に対してもしっかり対処をさせていただきたいと思っております。

古屋(範)委員 また、女川町立病院にも行かせていただきました。こちらは一階が流されているという悲惨な状況でもございました。

 私は特に心のケアに取り組んでまいりましたけれども、女川町には鹿児島で自殺、うつ対策に取り組んできた宇田英典先生が入っていらっしゃいまして、ここでは心のケアチームとして被災者の対応に当たっていらっしゃったそうでもございます。しかし、そこのチームが帰られて、齋藤院長も、これからは地元の医師、保健師等がこうした心のケアにも当たっていかなければならない、このようにも語っていらっしゃいました。

 これから仮設住宅を建設していく中で、高齢者の生活支援、これを包括的に提供するサービス拠点というものをつくっていこうとされています。しかし、仮設住宅の建設そのものがなかなか進んでいかない。町長なども、仮設住宅の建設にいわば手いっぱいであるという感じでございます。ちょっとでも面積があれば、それは住宅として使いたい、なかなかこうした地域の包括的にサービスを提供する拠点づくりまで思いが至らないような印象を受けました。

 ですので、確かに行政の側も今、仮設住宅の建設にいっぱい、また避難民の支援にいっぱいいっぱいではあろうとは思いますが、この仮設住宅を建設していくその途中で、こうしたサービス拠点、この実行プロセスがどの程度進んでいくのか、これは現地に任せているだけでは進行しないというふうに思います。

 また、イメージとしても、何か立派なものをつくらなければいけないのではないか、そう思ったらとてもつくれない、また、つくらなくてもいいのではないか。用地の確保、また担い手、マンパワー、そういうことも非常に難しいと思ってしまうのではないかと思います。ですので、モデル地域、こういうものができて、そこを皆が目指せるような体制をぜひお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

細川国務大臣 委員が御指摘のように、仮設住宅ができても、その中に入られた高齢者に対してのしっかりした支援がないと、例えば神戸のあの震災のときには、仮設住宅でお年寄りが一人寂しく亡くなるというような事例もあったわけでありまして、その高齢者の方をしっかりと支援する、こういうことで、政府としては、サポート拠点というものをつくって、そこで仮設住宅に入られたお年寄りをいろいろな形で支援をしていく、こういうことを考えております。

 そこで、それがなかなか進んでないというか、そこまでまだ余裕がないのかというようなお話でありましたけれども、今のところ、それでも三十カ所程度設置をするということで進んでいるようでございます。

 私どもとしては、このサポート拠点というのは、高齢者の皆さんを支援するためには本当に重要なことだというふうに思っておりますので、災害に遭った被災県、市町村に対してこういうものをぜひと、こういうことを今後とも積極的にお勧めをしていきたいというふうに思っております。

古屋(範)委員 三十カ所ということですので、ぜひこれを広げていただきたいと思います。

 最後の質問になります。

 先日、避難所の女性への配慮ということを質問させていただきました。小宮山副大臣からも非常に重要であるとの御答弁をいただいたところでございます。

 先日、高齢社会をよくする女性の会、樋口理事長等から、女性・高齢者の視点から東日本災害対策への要望書というものを受け取りました。これも政府には既に提出されたと伺っております。この要望では、国、自治体の防災会議の女性比率を三割に高めること、災害に対応する女性の活躍を促進すること、また、介護職等有資格者の予備役制度の導入、仮設住宅等新たなコミュニティーの中心にケアセンターを創設することなどの幾つかの提案を伺っております。

 災害時にやはり避難所においての女性への配慮、こういうものは、重要な会議の中で、例えば中央防災会議など、女性の存在が不可欠かと思います。そこで、国、自治体の防災会議の女性比率についての現状、女性比率を三割に高めていくべきと考えますけれども、この点について内閣府にお伺いいたします。

武川政府参考人 国の中央防災会議につきましては、現在二十六人おられるうち二人が女性委員となっております。二十六人中、学識経験者は四人でございますけれども、そのうち一人が女性でございます。

 また、地方の防災会議につきましては、都道府県防災会議委員に占める女性割合は、平成二十二年度の内閣府調査によりますと、二千四百二十九人中百名、四・一%が女性となっております。また、十の都県で女性委員がおらないという状態になっております。

 昨年十二月に閣議決定いたしました第三次男女共同参画基本計画では、防災分野での女性の参画の促進を重点分野の一つとして掲げております。その中で、平成二十七年までに防災会議に女性委員のいない都道府県をなくすということを成果目標として掲げております。

 今後とも、防災会議への女性委員の登用の促進につきまして、関係機関や地方自治体に積極的に働きかけを行ってまいります。

古屋(範)委員 防災に女性の視点は欠かせないと思います。二十六分の二、あるいは地方において四・一%、非常に少ないと思います。今後も比率を高めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。

牧委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 あの大震災から、きょうでちょうど二月がたちました。死者数一万四千九百四十九人、行方不明者九千八百八十人、そしてなお十一万七千八十五人が不自由な避難所生活を強いられております。

 毎日新聞が一月前にアンケートをとった百人に対する二月目に当たっての追跡調査で、生計のめどが全く立っていないと答えた方が二七%、六割が前回と同じ避難先におり、職場が被災し休業中が二五%、失業が二〇%で、前回調査以降仕事を再開した人は八%にとどまっているといいます。生活の基盤を取り戻す、そのための仕事、雇用の確保が本当に重要だと考えます。

 きょうはそういう視点で質問していきたいと思いますが、まず、震災後、被災地の解雇、離職状況について、把握している数字で示されたいと思います。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 特に被害が大きかった岩手、宮城、福島の三県の労働基準監督署等に寄せられました解雇あるいは雇いどめに関する相談につきましては、五月二日までに二千十五件となってございます。

 また、雇用保険の離職票等の交付件数はこの三県で六万九千六百二十八件、これは四月下旬まででございまして、受給資格決定件数は三県で四万二百十五件と、前年に比べまして約二・五倍に増加をしております。

 このように、被災地の雇用状況は大変厳しいものになってございます。

高橋(千)委員 今、七万人近い方が離職票を提出されて、その受給決定が二・五倍になったという状況がうかがえたと思います。

 その一方で、三十人以上の退職を出した場合に事業主が事前にハローワークに提出することが義務づけられている大量雇用変動届は、これは三月末までの数字ですけれども、全国で二百八十七事業所で、前月比よりも三十九カ所減っているわけですね。そして、岩手はゼロ、宮城は一、福島は十一にとどまっております。

 これは、震災で事業再開が不可能な場合は出す必要がないということになっていますので、本当に被災してしまって再開ができない場合はもうやむを得ないわけですけれども、出す必要があるのに出していないところがあるのではないか、実際と乖離はしていないのか、今後これはしっかりと見定めてほしいと思っております。

 そこで、大臣に伺いたいのは、事業所が被災したからといって、イコール解雇がやむを得ないということにはならない、これは当然なことだと思いますが、まず確認をしたいと思います。

細川国務大臣 これは、震災によって工場が被災した、こういうことで、それだけの理由というようなことで解雇が認められるということはございません。

 解雇というのは、これは使用者と労働者の間で労働契約というのが定められております。その労働契約というのは、労働契約法によりまして、これについては、解雇する場合には、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用をしたということで無効というふうになっております。

 したがって、委員が御指摘のように、震災で工場が流されたというような、そんな理由だけでは解雇はできない、こういうことになっております。

高橋(千)委員 明確な答弁を大変ありがとうございました。

 こういうときであっても、労働基準法あるいは労働契約法、こうしたルールというものはきちんと守られるべきであるということ、その上に立ってさまざまな事情を考慮されるということがあるのだという仕組みになっているのかなと思います。四月八日付の「東日本大震災に伴う解雇、雇止め等に対する対応について」という通知も出されておりますし、東日本大震災に伴う労働基準法等に関するQアンドA、こういう形で政府が周知をしてきたということは十分承知をしているところでございます。

 同時に、例えば全国展開をしているなど余力がある事業所がこの際と解雇をするようなことがあってはならないと思うんです。ですから、一般的に制度を周知徹底するというだけではなくて、直接的な指導、これが必要だと思います。例えば、解雇の相談に対してのあっせんということも当然あるかと思うんですけれども、そういう具体的な取り組みはどの程度されてきたのでしょうか。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 労働基準監督署におきましては、種々の相談が働いている方から寄せられることもございますし、それから新聞その他の報道というようなことで、いろいろなことを端緒にいたしまして事案の把握に努めているところでございます。

 震災を理由とすれば無条件に解雇ができる、雇いどめができるというようなことでは決してないわけでございまして、こうした観点から、事業主に対しまして解雇に関するルールの啓発指導などを実施しておりますが、その際には、労働契約法や裁判例の趣旨だけではなくて、雇用を維持していただくための雇用調整助成金の活用等につきましても、あわせて必要な啓発指導等を行っているところでございます。

高橋(千)委員 私が質問したのは、啓発指導ではなくて、具体的に指導なりあっせんなり、どの程度やられてきましたかと聞きました。

金子政府参考人 岩手、宮城、福島の三県におきまして震災後指導いたしました事案の数は、合計百六十一事案になっております。

高橋(千)委員 わかりました。

 そこで、さらに具体的に質問しますけれども、よく言う自宅待機という言葉がございますよね。これは法律用語ではないと思います。被災して、めどのわからないまま自宅待機を命じられている人も非常に多いわけです。でも、これは休業扱いとして、本来給与の支払い義務があるという理解でよろしいと思いますが、どうでしょうか。

金子政府参考人 休業手当の支払い義務があるかどうかということですので、法律の解釈の問題としてお答えをさせていただきます。

 労働基準法第二十六条におきましては、使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合、これは労働者に対して休業手当の支払いが罰則をもって義務づけられているところでございます。

 しからば、使用者の責めに帰すべき事由というものが一体いかなるものかということになるわけですけれども、震災などの天災事変等の不可抗力の場合はこれに該当しないと解されております。その場合、不可抗力といっても、柔軟に解釈されても困るわけでございますので要件を定めておりまして、その原因が事業の外部から発生した事故であるということ、それから事業主の方が通常の経営者として最大の注意を尽くした、それでも避けることができないものだった、こういう二つの要件を満たすものということで不可抗力ということを解釈しているわけでございます。

 自宅待機のケースというのは、さまざまなケースがあるということで、結局は、今申し上げたような観点から、個別の事案ごとに判断されることになるというふうに考えております。

高橋(千)委員 柔軟に対応されては困るという答弁だったと思います。

 ただ、実際には、最初に言ったように、法律用語ではないわけですので、自宅待機と言われたときに、それがどういう意味を持っているのか、つまり、限りなく解雇に近い自宅待機の場合もあるわけですよね。そこの対応について非常に見きわめていく必要があると思うんです。

 そこで、解雇予告手当。労基法第二十条によって、使用者は、労働者を解雇する場合、三十日前に予告するか三十日分の平均賃金を支払わなければならないとされております。そこで、ただし書きなどで、今お話しされたことと同じ趣旨ですけれども、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合などで労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告や解雇予告手当の支払いは不要とされております。

 この除外認定でありますけれども、先ほど紹介したQアンドAによれば、事業場の施設設備が直接的な被害を受けたために事業の全部または大部分の継続が不可能となった場合は原則としてこれに当たる、除外されるというふうに記されているわけです。

 ただ、事業所が被災をしたといっても、地域一帯が津波で流されてしまったというところにある事業所と、内陸部で、地震で、もちろん全壊もあるけれども一部損壊でとどまっているとか、さまざまあるわけですよね。ですから、全部または大部分の継続が不可能となったということを事実認定するためには、当然労働者の意見も聞く、そして現地調査を行う、そういう必要があると思いますが、いかがですか。

金子政府参考人 労働基準法第二十条に関します解雇予告の除外認定についてのお尋ねでございますけれども、これは、議員から御指摘がございましたように、通常は三十日前に予告をしていただくことが義務づけられているわけですが、非常に特別な場合には、労働基準監督署長の認定を個別に受けることによりまして、この予告を要しないということができることになっております。

 しかし、これは使用者の恣意的判断で運用されては困るわけでございますので、あらかじめきちっとした形で労働基準監督署が調査をいたしまして必要な認定を行うということになっております。

 認定の際の考え方でございますが、これも議員から御指摘がございましたけれども、まずもって、天災事変の場合につきましては、震災等で事業場が倒壊したなどの事情が現実にあるということ、これに加えまして今後の見通しということでございまして、事業の全部または大部分の継続が不可能になっている、こういったことを調査し、確認した上で判断をすることにしております。

 認定申請の実務におきましては、関係者から直接事情を聞くほか施設の被害状況を確認するというようなことで、企業、事業主からの申し立てのみに頼ることではなくて、客観的な資料の提出を求めた上で適切に判断をしていく必要があるというふうに考えております。

高橋(千)委員 そこで、具体の話をさせていただきたいと思うんですけれども、株式会社コロナ、これは愛知県小牧市に本社があって、全国十県十九施設、五千二百名の従業員を擁し、映画、外食、遊技場を集積した複合施設とあります。コロナワールドという名前で郊外型大型店などと一体に立地をしておりますので、御存じかと思います。

 仙台市にあるコロナワールド二店、被災して現在休業中ですけれども、アルバイト従業員五百六十八名全員が自宅待機を命じられました。震災当日は責任者の対応が大変ばらばらで、金庫を持って家に帰れと指示をされた人もいました。後で金庫だけとりに来て、解散だと言われたそうです。あるいは、避難しろ、帰れと言われた人、自宅待機だと言われた人、ばらばらなんですね。何の指示もなかった方もいらっしゃるわけです。そういう中で翌日より出社ができていないわけで、その後、労働組合を結成して本社に結成届けを出しました。本社、つまり小牧市です。そうしたら、だれが解雇と言っていますか、現在は自宅待機の扱いになっています、書面は出していないがと語ったそうです。

 そもそも、自宅待機などと言いながら、めども示さず、休業手当も払わないでいること自体がおかしいと思うんです。ところが、組合の要請で四月二十五日に離職票を出したわけですが、それより十日前の十五日には、解雇予告手当の除外認定を仙台労働基準監督署に提出し、二十一日に承認がおりているのです。二十一日、職員に離職票を出す前です。ですから、解雇とは言っていないとしらを切る一方で、解雇予告手当の除外認定をちゃっかりとっておく、まさに悪質きわまりないやり方だと思うんですね。

 この二店は、私も先日前を通ってきましたが、内陸部なので、形は残っております。ホームページを見ても、「安全状態確認中のため当面の間、営業再開は未定」と書いてあるので、被災して使えなくなったということを言っているわけではないわけです。

 ですから、労働者の意見も聞かず、写真を見ただけで、現地調査も行っていないのです。こうした決定は問題があり、除外には当たらないと思いますが、いかがですか。

小宮山副大臣 今委員が御指摘になりましたような企業の個別の対応については、私も適切ではないと思います。

 ただ、この認定につきましては、先ほどから申し上げているように、解雇予告の除外認定の審査では、一つは、天災事変のほかやむを得ない事由のため、二つ目として、事業の継続が不可能となった場合に調査を行って認定をするということになっておりまして、今回の場合、申請が仙台にある二カ所のコロナワールドについて出された後、その申請書を持参した人事部長から事情を聴取して、罹災届出証明書、それから第三者機関が調査をいたしました被災建物調査報告書、これは天井とか外壁などの破損、崩落などが顕著で、その外壁も致命的な被害を受けているとの所見とか写真に基づきまして、近く再開、復旧の見込みがないものということを労働基準監督署で判定したということなので、ここの手続自体はきちんと行われたというふうに認識をしております。

高橋(千)委員 今の答弁はちょっと矛盾していませんか。適切ではないとおっしゃったのにここはやられたということで、結局、現地は見ていないわけですよね。

 そして、八日の日に団体交渉がありまして、秋口に再開するから、そのときはまた募集するよ、そういう答弁だったそうです。ですから、当面、いつ再開というのは見通しが答えられないにしても、そう遠くないときに再開するということは当然見通せたはずなわけですよ。しかも、それが労務に未熟なのではなくて、そもそも解雇予告手当の除外という特別な制度を知っていて申請をしているわけですから、離職票を出す前に。これはもう非常に悪質なものであると言わなければならない。ただ、それを、悪質だという表現は使えないでしょうから。

 いずれにしても、そういう使用者による法の悪用、恣意的に使われてはいけないと先ほど局長は答弁をされました。これは、コメンタールを見ても、本来ならば、恣意的に支払いを逃れようとする者に対して規制をするのが本来の仕事なはずなわけですよね。なのに、逆にお墨つきを与えちゃった。そういうことはあってはならないと思う。いかがですか。

小宮山副大臣 先ほど、適切でないと私が申し上げたのは、今回のこの認定がというのではなくて、委員がおっしゃったような、ばらばらな対応が最初にあったということは適切ではないですねということを申し上げましたので、この認定としては、仙台の方の基準監督署ではきちんと手順をとってやったと聞いておりますけれども、おっしゃるような悪用があっては決していけないわけですので、また、その後、フォローをさせていただきたいと思います。

高橋(千)委員 しっかりフォローをお願いいたします。こうした事例を放置せず、厳しく対応してほしいということであります。

 東北は、確かに中小企業が大部分であります。でも、名前は聞いたことがない名前、小さい名前であっても、親会社は大手自動車産業、電機産業の工場が集積しているんですね。例えば宮城県多賀城市のソニー、一千人の雇用問題が今焦点となっています。四万人削減が取りざたされているパナソニック、福島、宮城など各県内に関連工場があります。トヨタ、日産、住友電装など、完全子会社が多い。そういう実態をちゃんと見ていただきたい。

 大会社であるからこそ、解雇回避の努力は本来なら可能なんです。政府はこの間、経団連などに雇用問題への配慮に関する要請を行っておりますが、ちょっと腰が引けているんですね。やはり震災を口実としたリストラはするべきではないということをもっと堂々と申し入れるべきだ。大臣の決意を最後に伺いたいと思います。

細川国務大臣 先ほども申し上げましたように、震災を理由に無条件で解雇というようなことはできないということは、これは申し上げてまいりました。こういう震災で本当に苦労される、被災されて、しかも職場を失うということは、これはもう本当に本人にとっては大変であります。そういう意味では、解雇というのはできるだけしないような、雇用の維持に努めるのが私ども行政の責任でもあるというふうに考えておりまして、雇用の維持、あるいは、休業などの場合に雇用調整助成金あるいは雇用保険法の震災だけの特例というのもつくりまして、それによって、雇用の維持あるいは労働者の生活の維持というのを図ってきているところでございます。

 委員が言われるように、大きな企業はそれなりのしっかりした責任も果たしていただかなければいけないというふうに思います。したがって、私は、経団連とか商工会議所とかそういうところに赴きまして、雇用の問題については、雇用の維持の観点からしっかりやってくれるようにというお願いもいたしまして、要請書も提出してまいりまして、これについては、各傘下の企業にも、企業の方から連絡もしているようでございますので、なお、私たちとしても、雇用の維持にはしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 今後、さらにこうした問題が起こってくる可能性が避けられないと思いますので、本当に今言った決意をしっかりと示して、企業に対しても堂々と指導していただきたい、このように訴えて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 先ほど来、各委員がお触れになりましたように、本日で、震災、津波、そして原子力発電所の事故から二カ月がたちました。この大きな震災被害に対しまして、この間、被災された住民の皆さんの、非常に慎み深く、また人に温かく、そして今は一心に復興を御自身も歩んでおられる姿というのは、世界の中でも本当に高く評価されていると思います。

 と同時に、私は一人の医療者として、この災害に当たって数多くの医療関係者が、それこそ不眠不休で、あるいはみずからも被災されて、なおかつその地域の皆さんを支えるべく努力されてこられたことにも、深い敬意と、そしてまた、同じ働く医療現場の者としては誇りも感じるものであります。

 実は、この災害を通じて十八名の医師たちがお亡くなりになったと言われています。中には、八十一歳と七十一歳の御高齢な御夫妻で、岩手県の鵜住居村という過疎の村を支えて五十年以上やってこられた方が、町ごと、村ごと津波にさらわれたなどの事案もございました。

 また、数多くの、大槌町も山田町も陸前高田市でもそうですが、そこの基幹病院が被災され、その中におられた医師が、御自身の家族を失ったりあるいは御自身も被災されながら、ずっと今も頑張っておられるということもあろうかと思います。

 そうした努力や姿は、医療というのは地域を支える本当の大切な公共インフラであり、命のとりでと言われるようなものであり、復興にも不可欠な拠点になると私は思います。

 そういう思いからすると、現在政府によって行われております復興会議や、あるいは、この六月にも取りまとめを見るという税と社会保障の一体改革会議の中に、いかにこの間の、本当につらく苦しい、しかし立ち上がろうとするいろいろな人々の努力が酌み上げられているのかどうか、非常に不安に思うものです。

 もっと言えば、細川厚生労働大臣には、そうしたいろいろな人々の努力の結果をぜひこの国の再生の中に織り込んでいただくべく御発言をお願いしたいと、まず冒頭、これはお願いでございます。

 私は、今回取り上げますのは、震災後二カ月がたちまして、例えば三月十三日、現地を支援するために百九十三余りの緊急医療支援隊が入っておりましたものが、今は緊急医療支援隊、いわゆるDMAT等々は任務を終え、しかしながら、もともと医療の人材の乏しかった地域ゆえ、五月九日現在も約百四チーム、四百五十七人の医療関係者が入り、この地域を支えているということでありました。ちなみに、前回同じことを質問いたしました、四月の二十八日においては、百三十三チームで五百九十二人の支援の方でありました。

 私は、こうやって見てみると、どんどんどんどん支援の方は少なくなっていっているのですが、なぜ少なくなっていくのかというと、相手の、例えばお医者さんあるいは看護師さんがこれだけ足りませんよという相手側の要求に基づいて厚労省はそれなりの努力をしているというふうには伺いましたが、果たして本当にこういうやり方で今後の復興に道を開けるのかどうかということが私は大変懸念されます。

 例えば、厚生労働省にあっては、甚大な被害をこうむった病院、例えば県立の大槌もそうでしょう山田病院もそうでしょう、陸前高田の病院もそうでしょう、そうした甚大な被害をこうむり、ほとんどもう拠点としてなくなってしまったところ、そこが再生していくためにはどんなビジョンを描いているのか。あるいは、各地域でどの程度従来の診療能力に戻っているのか。

 しかし、御承知のように、従来では足りないのですね。一つは、被災をされて、皆、体も非常に状態が悪いということ。避難所生活も長期化しているということ。本当に力強く復興していくためにはどんな手助けが必要とお考えか、これは細川厚生労働大臣にお伺いしたい。

 なお、先ほど来の御質問を聞いていますと、大臣は金銭的な支援のことはおっしゃいました。だけれども、これは医療現場からいえば、お医者さんに幾ら給与を払いますからと準備しても、実は配置できません。お金でやれるものであればまだしもです。私は、それだけの支援ではこの地域が本当に人々の健康を支えていくようにはなれないと思いますので、冒頭、細川大臣に、この件についてのお取り組みをまずお伺いいたします。

細川国務大臣 今回の震災で被災をした地域というのは、もともと医療過疎といいますか、医療に関しては十分でない、そういう地域が多かったというふうに思います。そういう意味で、今後こういう地域を再構築していく、そのためには、まず、高度な医療については医療機関を集約化する、その一方で、日常的な医療については住みなれた地域で受けられるのに必要な医療機能を確保する、その二つをあわせて医療機関の連携を進めていく、こういうことが重要ではないかというふうに思っております。

 このための当面の取り組みといたしましては、被災した病院等を支援するため、災害復旧に係ります通常の国庫補助率から引き上げた、そういう額で、このための予算を二十三年度のまずは第一次の補正予算に計上いたしているところでございます。

阿部委員 お取り組みいただいていることはもう前提ですので、しかしそれだけでは足りないだろうという趣旨なのです、質問は。

 例えば、タイム誌、タイムという雑誌があって、そこに取り上げられた菅野武さんというまだ若い医師でしたが、この方は、公立志津川病院で、どんどんどんどん津波が上がってくる、患者さんを救いながら自分も屋上まで行き、屋上で二日間ヘリコプターが来るまで待つということで、タイム誌が取り上げた日本の医師の一つの献身的な姿でありました。

 彼はもともと自治医科大学の御出身で、この被災に際して、実は、自治医科大学は、OBの皆さん百人余りがいろいろな形で支援に入っておられます。

 私は、ぜひ大臣にやっていただきたいのは、これは自治医科大学のそうした取り組みにもきちんとヒアリングをしてみて、どんなふうに拠点配置したらいいのか、あるいは、そのほかにもいろいろ現地で頑張ったお医者さんたちがおられますから、それをしっかり厚労省が酌み上げて、そして、どことどう連携を、ネットワークをつくっていくのか、今がそうしたビジョンをかく時期であります。

 そして、今までよりもまさる活動をしているところもいっぱいあると思います。この公立志津川病院では、もう一人、菅野さんの上司の西澤先生という方も、地域の、むしろ出向く診療を広げたり、気仙沼の市立病院でもそうですし、石巻でもそうです。

 私は、そうしたことを厚労省がしっかり聞いていただくことによって新しいビジョンやマッピングができてくると思います。正直言って、このまま政府の復興会議や、あるいは、あの税と社会保障の一体改革の会議も、震災後は実は厚労省が全然出ていないところで会議が行われてまいりました。私にとっては、それで本当にこの復興から立ち上がるためのビジョンが描けるんだろうか。

 あすですか、きょうですか、厚労省からも御提案があるということですが、もっとお聞き取りいただいて、本当に命を支えるネットワークができるようにしていただきたいし、そのことが細川大臣の大きな役割でもあり、大臣ならできると私は思っています。心優しく、そして人の話を聞くのに本当に真摯だからです。

 今それをやらないと、はっきり予測されることは、税と社会保障の一体改革はとにかく消費税を上げたいというお話であります。その一方で、選択と集中と言われて、地域の実際の下支えは切り捨てられかねません。

 私は、一人の医療者として大変懸念しておりますので、まず大臣には、今申し上げましたこと、聞くべき相手はたくさんいると思います。本当に一人一人、医師たちは頑張られました。看護師さんもそうであると思います。その他の医療スタッフも、皆さん苦しい中頑張られたので、その経験を酌み上げるということをぜひお願い申し上げたいと思います。

 次の質問に行きます。

 次には、被災した介護保険施設などの関連で、お手元に資料をお届けさせていただきましたが、これはこの地域にございますいわゆる介護保険関連の施設がどのように被災したかであります。

 政府の調べでは、三県で四十七施設、そしてお亡くなりになったり行方不明になった方は四百二十四人ということでありますが、一方、共同通信社の調べでは、壊滅的被害をこうむった施設が岩手と宮城だけでも五十三施設、お亡くなりになった方も四百三十八人と、少し数値は違ってございますが、いずれにしろ、たくさんの数のこうした介護の拠点が失われております。

 そして、今政府ではそれらの再建のために経済支援をなさるということは伺っておりますし、おのおのかさ上げをなさっていることも存じておりますが、だがしかし、先ほど来御質問にありましたように、新たな用地を取得してそこにかかわる土地の代金、あるいは建物も、何分の何かは補償されたとしても、それを二重ローンを抱えながら大変人件費比率の高い介護の分野を提供していくということは、至難のわざとは申しませんが、やはり非常に現実的に困難が多いと思います。

 細川大臣にあっては、どのような手だてで、やはりただでも実はこうした御高齢者の介護の拠点は少なかった東北地方です、ふやしていかねばならないときに、よりふやしていけるためにどんなお取り組みをなさるのか、これもお願いいたします。

大塚副大臣 これも大変重要な御指摘をいただいているわけでございますが、まずは復旧をしないことにはその次に進めないという面もございますので、国会でお認めいただきました補正予算で復旧については五百六十三億円を計上させていただきましたので、これらをしっかりと使わせていただきまして、そうした施設の復旧をまずさせていただきたいというふうに思っております。

 ただ、その後に、先生御指摘のように、どのように新しい姿をつくり込んでいくのかということについては、先ほど社会保障改革の厚生労働省の案にもお触れをいただきましたけれども、大臣の御指示のもとで、東日本大震災に遭われた被災地が、今先生が御指摘いただいたような観点も踏まえて、どのような医療、介護を含めた社会保障体制を構築すべきかということについての考えもその中に盛り込まさせていただいておりますので、私どもといたしましては、復旧をするだけではなくて、その先に、限られたリソースの中で、一人でもいわばケアの谷間に落ちるような方がいらっしゃらないような、きめ細かい、そういう先進的な地域をどうやってつくっていくかということを明確に記しておりますので、今回の改革案をベースにしっかりと対応させていただきたいというふうに思っております。

阿部委員 用地の取得から建物の建設に至るまで、先ほど来の御審議の中では、例えば公設民営というような考え方はどうかということもありましたし、かなり、本当にそこにきちんとお金を入れるという覚悟がないと、私は、これは復旧もできない、もちろん復興もできない。復旧でもとに戻すことがなかなか、その地域が使えなくて新しい土地を求めなければならないという負担があることはもう御承知だと思います。

 ここで厚労省にしっかりその見積もりをしていただかないと、ビジョンをかいていただかないと、私は公設民営も一つの選択肢だと思います、わざわざ土地を取得し、また建ててというのは本当に耐えられないと思います、経営母体が。そのことも含めて、ぜひここはお取り組みをいただきたい。あす、きょうかな、出るものに期待したいと思います。

 最後に、皆様もお取り上げの避難所の問題に触れさせていただきます。

 私も震災以来、毎週末被災地を訪れ、避難所も同じところを何回か重ねてお訪ねをするようにしてまいりました。その中で非常に気がついたことは、やはり比較的お元気な方から、当たり前ですが、次のところに出ていかれる。これは、職が見つかったり、住宅を借り上げたり、あるいは仮設も入れたりなさるのでしょうが、逆に言うと、虚弱であったり、そこからいろいろな御病気を抱えがちな方が残されていくという、これは神戸でもあった現実ですが、それが著しく目に見えてわかるというのが今回の被災であると私は思います。

 一方、介護認定の方は、現状でも要介護認定の申請待ちが二千九百六十件ほどあり、待っているというだけではなくて、実は、今は介護認定があるかないか以上に、高齢化し、被災し、孤立しがちな人、被災者の皆さんを、集団ごとと申しますと変ですが、一人一人を認定する作業以上に、皆さんをどう支えるかという保健活動が一つは必要で、これはさっき古屋委員も御指摘でありましたが、そのお取り組みはどうかということ。

 あわせて、仮設、仮設というお話ばかりが出ますが、例えば住宅を共同で借り上げて、介護保険の認定があるや否やの別なく、だれかのサポートやケアを必要とする虚弱な御高齢者も含めて、私はケアハウス的な運営を早急になさるべきだと。仮設ができるまで待っていればいるほど、実は生活能力が落ちていくのが目に見えています。

 この点について御答弁をお願いいたします。

大塚副大臣 多くの委員の皆さんから御指摘いただいているこの点については、仮設でどのように対応するかということと、代替施設としてどういうふうに対応していくのか、そして最後に本格的な施設をどう復元するのか、この三段階になっていると思っております。

 仮設という意味においては、先ほども古屋委員にも御報告申し上げましたが、仮設福祉住宅、そしてまた、仮設住宅の集合の周りにサポート拠点をつくる、こういう形でいわば仮設対応をしてまいります。代替施設としては、これはやはり事務局の方から答弁させていただきましたが、周辺のホテルであるとか、観光施設で立派なインフラがありますので、そういうものを借り上げる、一時的にいわば介護施設として使っていく。さらにその先に、本格的に、先生御指摘のような方々にしっかり入所していただくような施設をつくる。

 しかし、その間も、虚弱な方々という表現をお使いになられましたけれども、そういう方々の対応がいわば脆弱になることのないようにしっかりとやっていかなければならないと思っております。

阿部委員 私が申し上げたかったのは、例えば要介護認定がおりてからの措置、例えば大きな施設を借り上げてというのは、それは介護保険施設としての借り上げだと思うんですね。そうではなくて、その中間に、例えばグループリビングのような形での借り上げという方式も取り入れていただきたい。悪くなってからよりは、その前に、本当に体と心を休められて、人の縁があるような、まとまりのある住宅が必要で、それは何も仮設とは限らない、五、六人の規模でもいいと思います。そうした視点をぜひ持っていただかないと、ますます、残るのは御高齢者だけということになると私は思います。

 以上、時間が参りましたので、ぜひ細川大臣には、政府の中でもしっかりと発言して、社会保障がゆめゆめ削られることのないよう、むしろ、これを機に羽ばたいていただけるようお願いいたします。

 終わらせていただきます。

牧委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 私も連休中に、被災地に足を運んでまいりました。これで二カ月間で四回目になります。福島県、宮城県の十市町村を今回は回らせていただきまして、もちろん、厚生労働委員会の女川町の現地視察にも合流をさせていただきました。

 福島県では、新地町、南相馬市、相馬市、飯舘村と回ってまいりました。その中で、南相馬市立総合病院に行ってまいりました。ここは、原発から二十三キロというところにありまして、現在、緊急時避難準備区域に指定をされております。原発事故が発生をして、入院診療を現在停止中である、入院中の患者も全員外に出した、二百三十ベッドあるわけですけれども、今はそこには一人もいない、こういう状況であります。もともと常勤医十一人、そして非常勤三人の十四人体制で診療していましたが、今や、院長を含め常勤医四人で外来、当直、一次救急をやっている、こういう状況であります。

 当初は屋内退避ということが呼びかけられて、自主避難者が相次いで行きましたので、南相馬市も七万人の人口があったんですけれども、一万人台までがたっと減ったわけです。ところが、今度、緊急時避難準備区域ということになって、緊急時に避難する準備さえしていれば原則としては市民生活を続けていて構わないということにされたことで、どんどん南相馬市に人が戻ってきているんですね。一万人台まで落ち込んだ市内での生活者は、市も正確には把握していないんですけれども、今や大体四、五万人になっているんじゃないかというふうに言われています。

 それに伴い、医療ニーズもふえてきています。市役所に聞いたところ、五月八日の数字ですけれども、市内の救急搬送が九件あって、そのうち四件はこの市立総合病院で診ているということでありました。

 三十キロ圏外ですけれども、みなし三十キロと言われていた鹿島厚生病院は、八十床の入院が既に再開をしております。南相馬市立総合病院についても、何か脳卒中に限って七十二時間だけ、また五ベッドだけ入院が今後認められるようになる、こういうふうにも言われています。

 しかし、聞いてみますと、やはり、市役所も南相馬市立総合病院も入院を再開したいんだ、こういうことであります。まず一つは、外来では病院経営がもう成り立たない。現状、このままいくと月一億円ぐらいの市の持ち出しになってしまうんじゃないか、こういうことが言われておりますし、外来に関しては開業医の皆さんが南相馬市で今も診療を続けていらっしゃるので、こちらは入院に特化して、残った常勤医で、そうしたことで、機能分担を南相馬市内でやりたいんだ、こういう話でした。

 もちろん、原発の緊急時に避難をしなければいけない地域に入院をさせるということの是非もあるんだとは思いますけれども、これだけの市民が戻って生活をしているという現状にかんがみて、入院診療の再開なり、あるいは、原則的に外来で今後もやってもらうということであれば、今度は今の診療体制を続けるための財政的な何か支えが必要になってくるのではないかというふうに思いますが、こうした点について御答弁をお願いしたいと思います。

細川国務大臣 今、具体的なお話として、南相馬市の医療の関係について御質問がありましたけれども、南相馬市の医療問題、それだけではないんですけれども、南相馬市の方からもいろいろ要請もございまして、先週の末だったと思いますが、総括審議官を筆頭に、たしか四名か五名の厚生労働省の担当者が南相馬市の方に出向きまして、市長さんと直接、医療などについても検討というか話し合いをさせていただきました。

 それによって、南相馬市立病院につきましては、とりあえず、七十二時間以内の緊急入院に対応する五床の入院再開に向けて準備をしているということで、それをさらにどれくらい充実させていけるか、検討もしていきたいと思いますけれども、そういうことで、南相馬市の方と厚生労働省の方では医療に関してはいろいろとお互いに相談をし合ってやっていっている、こういうことでございます。

柿澤委員 相談をしながらやっていっているということでありますけれども、今申し上げたように、先ほど七十二時間、五ベッドということでお話もいただきましたけれども、こうしたことでは医療機関の経営上なかなかこれは成り立たない、こういうことは一方の真実としてある。ここをあわせて考えないと、なかなか、持続的に医療基盤を維持することができなくなってきているということを、ぜひ御理解いただきたいと思います。

 この話を踏まえて次の質問に移りたいと思うんですけれども、先ほど仮設診療所のお話がありました。報道でも出ておりますが、厚労省は、被災三県の仮設住宅群に原則、仮設の診療所を整備する方針を固めた、診療に当たる医師や看護師らも被災地では足りないということで、日本医師会などに長期の派遣要請を出して、常時千人程度の応援を送り込む、これは共同通信の記事ですけれども、こういうことが書かれております。これは大変いいことのように思えますけれども、しかし実際は、実はそうでもないのでもないかというふうにも思います。

 確かに、被災三県は、かねてからある種の医療過疎地でありました。福島県でいえば、人口当たりの医師数が全国平均を大きく下回る三十八位という、震災前からそういう状況だったわけです。被災を受けてさらに医師不足が進んでいる、こういう状況にあるわけです。そこで、津波で被害を受けた地域医療を支えるために全国から医師の派遣を受けて、こういうことになるわけですけれども、しかし本来は、これはやるべきは、外から連れてきたお医者さんに仮設住宅の診療を支えてもらう、こういうことではなくて、むしろ、この南相馬市立総合病院のような、現地における既存の医療機関をどういうふうに強化して支えていくかということなのではないかというふうに思うんです。

 今回の厚労省の仮設診療所の構想のように、そうした既存の医療の、いわばサプライチェーンといいますか、そういうところの外側から医師を投入するということになると一体これはどうなるかというと、既存の医療機関は、これはある意味では患者をとられてしまう部分があるわけですから、さらに経営的にもいろいろな意味でも疲弊が進んでしまう。仮設診療所も派遣された医師もずっとそこにいるわけではないわけですので、いつかはそこを去っていくことになるわけです。

 そういった形で、現地に派遣をされた医師が去っていき、そして仮設診療所が、仮設住宅がだんだんだんだん解消される中でなくなっていくとどうなるかといえば、そのときに残されてしまうのは、さらに弱った地元の医療機関だということになってしまうのではないかと思います。これでは何にもならないというふうに思うんです。

 災害に強い地域をつくるというのであれば、災害の際に、地震や津波が起こった際に、そこにいる医師、医療機関、これをやはり強くしなければならないというふうに思うんです。災害が起こって、その後でその地域の医療基盤を支えるために入っていく、このことは大事でありますけれども、しかし一方で、ずっと永遠にそこで地域医療を支えていく、そうした方々に対する強化策というのを怠ってしまうと、やはり結果として、そこの地域の医療基盤が災害から大体立ち直ったときには弱まっていたということになりかねないのではないかと思います。

 そういう意味で、むしろ医師の派遣をするのであれば、仮設住宅群にお金を出して、診療所を新たにつくって、そこに医師を派遣して補助金を出すとか、こういうやり方ではなくて、例えば地元の自治体が非常勤として医師を雇う、そして、その自治体あるいは地方公共団体のニーズに沿った形で地域の医療機関に派遣を行うとか、こういう形であるべきなのではないかと思います。

 また、同時に考えますと、こういったことは、例えば被災地における診療報酬を特別に、特例的に少しかさ上げをする、こういうことをやれば、被災地で診療している地元の医療機関も経営的に余裕ができて、新たに医師を増強することができるようになる、あるいは、医療法人も新たに医療機関を開設する、こういうことにもつながっていくのではないかと思います。こういうやり方をむしろとっていくべきではないかというふうに思いますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

岡本大臣政務官 今御指摘をいただきました、被災地における医療の立て直しをどのように行っていくかという観点でありますけれども、我々は、決して被災地外から医師を大量に投入をして、現地の医療体制を崩壊させてしまうことを目的としているわけではないということは御理解をいただけるとは思います。

 災害において急激に高まった医療ニーズにしっかりこたえていくという意味において、当初はDMAT、JMATなどの災害医療チームの派遣を皮切りに、今は中長期のビジョンをにらんで、どのようにしていくかということを考えているわけでありまして、一次補正においても、我々は、医療施設等の災害復旧を見越して、七十億円の予算を積み、定額ではありますけれども、積算箇所数として、医科二十七カ所、歯科二十一カ所、大体三千万円の定額の補助をする中で仮設の診療所を建てていきたい、こういうふうに考えています。

 この仮設の診療所というのは、あくまで仮設でありますから、行える医療というのも当然限定をされてくるでありましょうし、また、先ほどの南相馬市のお話がありましたけれども、地域における中核医療を担っていただく病院が徐々に、一気にはいきませんけれども、こうやって五床だけでもスタートをして、そこから少しずつ診療能力を高めていっていただく中で、結果として地域医療の立て直しを図っていくということが必要なんだろうと思います。

 先ほど答弁をさせていただきましたけれども、診療報酬の件につきましては、既にこの一次補正で盛り込んでおりますさまざまな補助や、またその補助率のかさ上げ等の効果、また、融資制度を利用していただく中で、その実績等も踏まえつつ、来年の診療報酬制度改定に向けてさまざまな議論が行われることであろうというふうには理解をしておりますけれども、まずはこの第一次補正の効果というものを見ていく必要があるのではないかというふうに考えております。

柿澤委員 先ほど、ちょっと報道を見ておりましたら、まさに阿部委員の質問で登場いたしました南三陸町の西澤医師の話が、きょういろいろと報じられています。南三陸町の西澤医師は、今回災害医療支援で入った医師の皆さんに、このタイミングを区切りにしてもう帰ってもらう、そして、自立をして、南三陸の医療体制をつくり上げていく、そういう方向に一つの決断をしてこれから歩んでいこう、そうした決意をしておられるようであります。

 まさにそうした形で、いつまでもその地域において医療を提供する、そうした医療機関あるいは医師の皆さんをどういうふうにバックアップをしていくか、こういう視点を持ってこれからもお取り組みをしていただきたいというふうに思います。

 少し時間が押してまいりましたので、最後の質問に移りたいと思います。

 原発作業員の作業環境及び造血幹細胞の事前採取についてであります。

 東電は、二重扉を開放した福島第一原発の一号機の原子炉建屋内において、放射線量が最大で毎時六百から七百ミリシーベルトだったということを九日に発表しました。さらに、きのうは、一号機の建屋の二階で計測をしたところ、毎時千ミリシーベルトという高濃度の放射性物質が測定をされたということであります。五分間計測をしたら、床から一・六メートルの高さのところで計測器の針が振り切れたというんですね。

 本来ならば、これから工程表に基づいて、この一号機の建屋内で作業員が入って作業をする予定であったわけでありますけれども、このような高い線量が測定されているもとでの作業を私は極めて憂慮しております。これまでも、福島第一原発の現場作業員については、放射線防護の体制も線量管理もきちんとできていないのではないかというふうに申し上げてきました。現場での状況を完全には予測しがたい以上、予期せぬ大量被曝に備えなければならないと思います。

 かねてから、造血幹細胞の事前採取と凍結保存が有効であって、そのような備えをすべきではないかと、私も各党・政府震災対策合同会議実務者会合で再三申し上げてきましたけれども、現時点では必要ないという政府の見解が繰り返し示されてきたところであります。

 さて、話はかわるようで、お尋ねをしたいんですけれども、きょうは防衛省から松本政務官に来ていただいています。

 福島第一原発事故の発生直後、現場には、陸上自衛隊のNBC兵器専門部隊、中央特殊武器防護隊が派遣をされたというふうに聞いております。何がどのように入ってどういう作業をしたのかということ、そして、活動した隊員について、事後のメディカルチェックの状況について、被曝線量はどうであったか、あるいは白血球数の減少は見られたか、こうしたことについてお伺いをしたいと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 まず、お尋ねの、三号機が爆発したときの隊員の被曝の状況でありますけれども、その隊員四名については、三月十四日、十五日に、放射線医学総合研究所において、採血、採尿、それからホール・ボディー・カウンターによる検査を受けた実績がございます。

 その結果については、累積の外部被曝量の最大値は二十二・七ミリシーベルト、ホール・ボディー・カウンターでの放射線集積はなし、つまり、内部被曝を調べる装置でありますけれども、そういった状況は確認されていない。さらに、白血球の減少等という話でありますけれども、血液検査の結果は正常値の範囲内であったと聞いております。

 その他の隊員につきましては、これは例えば放水の作業等に従事している隊員等でありますけれども、現時点で健康診断を行っておりませんけれども、作業の状況に応じて、これは先ほど申し上げたように、三号機の爆発のときに従事していた隊員の被曝量二十二・七ミリシーベルトというのが最大であったものですから、それよりも低い被曝量であったことから現時点では健康診断を行っておりませんけれども、作業の状況に応じ、医官による診察を、そして任務終了後には健康診断を行いまして、必要に応じて自衛隊中央病院等において診療を受けさせることとしておりまして、隊員の健康管理には十分配慮してまいりたいというふうに考えております。

 それから、爆発当時の作業状況でありますけれども、これはちょっと突然の、通告がなかったので、必要があれば資料等を届けさせていただきたいというふうに思います。

柿澤委員 今の御答弁の中で、負傷した四人の隊員の方々以外の方々については、健康診断というかそうしたことを行っていないというふうに言われていましたが、その後、任務終了後に健康診断を行うというふうなことも答弁をされているので、その二つの整合性がちょっと理解ができなかったんですけれども、任務そのものは、現時点で、この化学防護隊の皆さんは基本的には現地から離れておられる状況だというふうに思いますので、健康診断はもう既に行われていなきゃいけないということになると思いますが、どうなんでしょうか。

松本大臣政務官 これは先ほどもお答えしましたとおり、累積の放射線量が三号機の爆発のときに従事していた隊員の二十二・七ミリシーベルトというのが最大であった。その他の隊員については、私が聞いているところで、ちょっと今正確な数字はありませんが、八・八ミリシーベルトというのが最大であった。直ちに健康に影響が出るというようなレベルではないということから健康診断というものは行っておりませんけれども、現在、郡山の駐屯地であるとかあるいはJヴィレッジで待機を続けておりますので、任務が終了すれば自衛隊中央病院等において健康診断を行って、診療を受けさせるということで、いずれにしても健康管理には十分配慮してまいりたいというふうに考えています。

柿澤委員 時間が経過しましたので、二つの質問を同時にやって終わりにしたいと思います。

 現場に投入された中央防護隊、この隊員の皆さんについて、現場に投入される前に造血幹細胞の事前採取及び凍結保存が検討されたないしは実行された、こういう話を仄聞したところなんですけれども、そうした事実があったかどうか、お伺いをしたいというふうに思います。

 もう一つ、造血幹細胞の事前採取及び凍結保存の大量被曝に対する医学的な備えでありますけれども、これまで累次、現時点では必要ないという答弁が行われてきましたけれども、厚生労働省の見解もそうしたことが繰り返されております。しかし、今申し上げたように、これから行われる工程表に基づく作業は、予期せぬ高い被曝線量の中での作業になる可能性が非常に蓋然性として高いというふうに思いますので、そうした大量被曝に対する備えをやはりここからはきちんと行っていくべきではないかというふうに思います。

 こうした状況にあってもなお、現時点でも必要がないという御答弁になるのかどうか、あわせて厚生労働省にお伺いをしたいと思います。

松本大臣政務官 三号機の爆発の際には、事前に爆発するよとか、これから何か作業を行うとかというのをそもそも知り得ていたわけではありませんので、最大の被曝量だった隊員について事前に造血幹細胞を採取するというようなことは検討は行っておりません。

 その後でありますけれども、造血幹細胞の事前採取については、日本造血細胞移植学会の会長の御意見を伺いました。伺った結果、検討した結果、隊員の累積被曝量が低いこと、さっき申し上げたように現状では二十二・七ミリシーベルトが最大であるということ、さらには事前採取には時間を要し、副作用を伴うおそれがあること、さらには造血細胞移植の効果は血液毒性による障害の修復に限定される、そういったことから現時点では必要性は乏しいと判断をしております。このため、これまでに隊員の造血幹細胞の事前採取を行った事実はありません。

 今後の対応でありますけれども、防衛省・自衛隊としては、今後の作業の状況を踏まえながら、今、放水等は生コン圧送機等に変わって、その後もまた変化、所要が変化しておりますので、今後の作業の状況を踏まえながら、造血幹細胞の事前採取の必要性について適切に判断してまいりたいというふうに考えております。

大塚副大臣 厚生労働省といたしましても、現時点では先生御指摘の判断は変わっておりません。

 四月の二十五日に、日本学術会議がこの件に関する見解をまとめておりまして、現時点においては不要かつ不適切と判断するという見解を示しております。もし資料をお持ちでなければ、これは公開資料ですので、理由が幾つも書いてありますので、お届けをいたします。

 ただ、先生御指摘のように、事態は新しい事実が日一日と明らかになる面もありますので、どういう対応が厚生労働省として最適であるかということについては、引き続き虚心坦懐に検討してまいりたいというふうに思っております。

柿澤委員 後段の御答弁をいただいたことは非常に重要だというふうに思います。

 時間も大きく超過しておりますので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

牧委員長 次に、内閣提出、介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。細川厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

細川国務大臣 ただいま議題となりました介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国の介護保険制度については、制度施行後十年が経過をし、サービスの利用者数が施行当初の約三倍となるなど、高齢者の暮らしを支える制度として定着いたしております。一方で、今後の急速な高齢化の進行に伴い、医療ニーズの高い高齢者や重度の要介護者の増加、単身高齢者のみの世帯の増加への対応、介護人材の確保等が喫緊の課題となっております。

 このような中で、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らし続けることができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく提供する地域包括ケアシステムを構築するため、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、重度者を初めとした要介護者の在宅生活を支えるため、二十四時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の新たなサービスを創設することとしております。

 第二に、たんの吸引等の医行為が必要な者に対して適切なケアを実施できるよう、介護福祉士や研修を受けた介護職員がたんの吸引等を実施できるようにすることとしております。

 第三に、平成二十四年三月三十一日で廃止をすることとされている介護療養型医療施設について、入所者の状態像や他施設への転換の実態を踏まえ、平成三十年三月三十一日まで、既存の介護療養型医療施設の存続を認めることとしております。

 第四に、介護基盤の整備等により今後急激な上昇が見込まれる介護保険料の上昇の抑制のため、平成二十四年度に限り、財政安定化基金の一部を取り崩せるようにすることとしております。

 このほか、介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期、有料老人ホーム等における利用者保護規定の創設、市民後見人の育成の推進等の所要の改正を行うこととしております。

 最後に、この法律の施行期日は、平成二十四年四月一日としておりますが、介護療養型医療施設の存続及び介護福祉士の資格取得方法の見直し延期等については、公布の日から施行すること等としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

牧委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十四分散会


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