衆議院

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第25号 平成23年8月3日(水曜日)

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平成二十三年八月三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 牧  義夫君

   理事 郡  和子君 理事 中根 康浩君

   理事 藤田 一枝君 理事 柚木 道義君

   理事 渡辺  周君 理事 加藤 勝信君

   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君

      石毛えい子君    石森 久嗣君

      稲富 修二君    大西 健介君

      岡本 充功君    工藤 仁美君

      桑原  功君    小宮山洋子君

      斉藤  進君    田中美絵子君

      竹田 光明君    玉木 朝子君

      長尾  敬君    仁木 博文君

      初鹿 明博君    樋口 俊一君

      平山 泰朗君    福田衣里子君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    山口 和之君

      山崎 摩耶君    吉田 統彦君

      あべ 俊子君    鴨下 一郎君

      菅原 一秀君    棚橋 泰文君

      谷畑  孝君    長勢 甚遠君

      西村 康稔君    松浪 健太君

      松本  純君    坂口  力君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            尾西 雅博君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  岡  誠一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術総括審議官)       矢島 鉄也君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       宮野 甚一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  宮島 俊彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   黒木 慎一君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二日

 辞任         補欠選任

  柿澤 未途君     江田 憲司君

同月三日

 辞任         補欠選任

  青木  愛君     水野 智彦君

  竹田 光明君     桑原  功君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  桑原  功君     竹田 光明君

  水野 智彦君     青木  愛君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律案(第百七十四回国会閣法第四一号)(参議院送付)

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

牧委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る八月一日、東日本大震災被災地における雇用・失業対策等の実情調査のため、福島県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、民主党・無所属クラブの郡和子君、中根康浩君、藤田一枝君、柚木道義君、渡辺周君、自由民主党・無所属の会の加藤勝信君、田村憲久君、公明党の古屋範子君、日本共産党の高橋千鶴子君、みんなの党の柿澤未途君、そして私、牧義夫の十一名であります。

 初めに、改めて、このたびの災害によりお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様方に対し、衷心よりお見舞いを申し上げます。

 また、被災者に対する支援や復旧復興等に従事されている関係各位の御尽力に対し、心から敬意と謝意を表させていただきます。

 それでは、調査の概要について申し上げます。

 まず、福島県郡山市にある福島県農業総合センターにおいて、門馬センター所長等より、農林水産物の緊急時環境放射線モニタリングの概要等について説明を聴取するとともに、鈴木福島県農林水産部長より、原子力災害に伴う肉用牛の安全確保に関して、牛肉の全頭検査に必要な屠畜及びモニタリング体制を国の責任で早急に構築することについての要望を受けました。その後、現在の牛肉の検査体制、BSE検査との関係等について質疑応答を行った後、農林水産物の放射線モニタリングの分析の実施状況を視察いたしました。

 次に、郡山市日和田保育所におきまして、放射線が検出されたため除去した園庭表土の仮埋設の状況等を視察し、箭内郡山市こども部長、佐々木保育課長等より、郡山市における園庭、校庭の表土除去の取り組み、震災後の子供の心のケアに対する取り組み等について説明を聴取いたしました。その後、震災後の子供の様子の変化、外遊びができないことの子供への影響等について質疑応答を行いました。

 続いて、ハローワーク郡山におきましては、施設内を視察した後、羽曽部所長より、ハローワーク郡山管内の雇用失業情勢及び被災者、避難者に対する就労支援等についての説明を聴取し、震災後の雇用情勢の推移、雇用保険の受給期間の終了が間近に迫った方への対応等について質疑応答を行いました。

 次に、東京電力福島第一原子力発電所事故の収束のための前線基地となっているJヴィレッジに向かいました。移動の車中において、絹谷福島労働局長より、東日本大震災の発生に伴う緊急対応等及び福島第一原子力発電所の事故処理に係る作業員の健康管理等に対する福島労働局の対応等について説明を聴取し、質疑応答を行いました。その後、Jヴィレッジにおきましては、河合東京電力福島第一安定化センターJヴィレッジ運営部長等より、事故処理作業に当たる労働者の安全衛生の管理等について、施設の視察を行いつつ説明を聴取し、質疑応答を行いました。

 以上が調査の概要であります。

 今回の調査では、農作物に対する放射性物質の影響については、確実に検査を行うことを第一歩に、食の安全をより一層確保し、風評被害を防ぐ必要があること、放射性物質を除去しただけでは、子供に対する放射性物質の影響への親御さんたちの強い不安はぬぐい去れていないという現実、原発事故により避難している方々の、いずれは地元で以前の生活に戻るのだという強い思いと、その強い思いを踏まえながらも避難者の生活を支えるために地元以外での就労を促す必要のあるハローワーク業務の困難さ、原発事故の早期収束を図りつつも作業に携わる方々の安全に万全を期すこと等について、強く思いをいたした次第であります。

 最後に、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げ、派遣の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

牧委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局長尾西雅博君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官岡誠一君、厚生労働省大臣官房技術総括審議官矢島鉄也君、労働基準局安全衛生部長宮野甚一君、職業安定局長森山寛君、雇用均等・児童家庭局長高井康行君、老健局長宮島俊彦君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官黒木慎一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田衣里子さん。

福田(衣)委員 民主党の福田衣里子です。本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速ですが、まず最初に、B型肝炎訴訟について御質問させていただきます。

 B型肝炎訴訟は、集団予防接種において注射器の連続使用によって感染したとして、一九八九年に感染者五名が提訴したのが始まりです。それから十七年、二〇〇六年に、最高裁判決で国の責任が確定しました。その後の今回の訴訟を合わせると、最初の提訴から二十年、ようやく基本合意書締結に至りました。

 まず、最大の課題である賠償金の財源についてお尋ねします。

 政府は、期間を限って国民全体で広く分かち合う観点から、税制上の措置により〇・七兆円を確保し、あわせて厚生労働省における基金の剰余金の返納、遊休資産の売却等により〇・一兆円を確保する、残余の〇・三兆円については、様子を見て今後の対応を検討するとしています。私もこの問題にかかわってきたので、財源論については、もっといい方法がなかったのかと自責の念を抱いております。

 けさ、広島の実名公表原告の宮長さんから事務所にファクスが届きました。内容は、裁判を取り下げたいという内容でした。書いてあるまま読みますが、裁判のために、実名を公表してきた方たちの名前がネットで挙げられて、誹謗中傷どころか、国賠こじき、死ねと言われている、総理は謝罪はしましたが、メディアでの取り上げは増税が先行しました、この裁判の意味、この病気についてきちんとした説明がなされず、新たに別の差別、偏見が生まれています、そういった内容でした。

 私も以前、金がかかる肝炎患者は早く死ね、そういったことを言われたこともあります。原告らは新たな苦しみに遭っています。そのことをぜひ知っていただきたいです。

 この問題にかかわらず、国が賠償責任を負った問題に対して、何の悪いこともしていない国民が負担を強いられて、一義的に責任がある者は問われず、痛くもかゆくもないというのは、普通に考えて、納得いく話ではありません。

 今回のように賠償額が過大な訴訟が起きるたびに増税、五年後のB型肝炎の財源についても、足りそうになかったら引き続き増税なんでしょうか。今回を機に、新たなスキームを考えるべきと思います。

 例えばですが、国家公務員の給与一割削減の法案も出されています。その扱いについて、国家賠償対策基金のようなものをつくって、国会議員も同様にその基金に拠出する。一割のうち一%でも、五百億の財源が生まれます。残念ながら、国が被告となっている訴訟は、係争中のもので一万件以上あります。今後、福島原発の賠償においても、訴訟の起きる可能性は非常に高いと思われます。また、五年後以降のB型肝炎の財源もここから確保することができるのではないでしょうか。

 今回のB型肝炎の訴訟を機に、国家賠償の財源のあり方を検討すべきと考えます。一省庁としてのお答えは難しいと思いますが、一政治家として、お考えを細川大臣、お聞かせ願えないでしょうか。

細川国務大臣 おはようございます。きょうもまたよろしくお願いをいたします。

 B型肝炎、せんだって基本合意書が成立をいたしまして、今後の対応について閣議決定もしたところでございます。

 そういう中で、B型肝炎の患者の皆さん方がネットなどでいろいろと誹謗中傷される、私は、こんなことはあってはならないと強く憤りを感じるところでございます。

 このB型肝炎訴訟につきましては、これは予防接種によって、注射器の連続使用などによって生じたものでございます。予防接種については、多くの方が予防接種によって健康であったということがございます。一方で、残念ながら、一部少数の方でこのようなB型肝炎に感染するという結果が生じました。したがって、予防接種によって健康を保たれた多くの皆さんによってこの患者の皆さん方の損害を分かち合うということが必要ではないかということで、この問題についてはそういう方向で解決をしてきたところでございます。

 いろいろ、厚生労働省だけではなかなか解決をしないところもありますけれども、一方では、むしろ厚生省の方で予算を用意しろというような意見も出されたところでございます。しかし、私どもとしては、厚生労働省の社会保障の給付、そういうところから捻出をするということは絶対に許されないということで、これについては強く抗議もいたしてきたところでございます。

 その中で、〇・一兆円につきましては厚生労働省の方でこれを負担する、こういうことになりましたけれども、これは、基金の剰余金の返納の部分とか、あるいは遊休資産を売却するなどによって賄ってまいりたい、このように考えておるところでございます。

福田(衣)委員 この問題は、当面五年間の財源の確保ということですので、残りの二十五年間の財源についても今からでもやはり議論を始めるべきだと思いますし、こういった訴訟に対して毎回増税で賄う、まあ増税しなくても結局は税金で賄っているわけですから、そうではなくて、やはり一義的に責任のある国家公務員、時の政府が負担すべきというふうに考えますので、そういった新たなスキームづくりというものを行っていただきたいと思います。

 先ほどの答弁の中にもございましたように、厚労省からの予算で〇・一兆円用意すると。その中で、本当に不安なのが、社会保障費だったり給付費がカットされるのではないか。そのことは絶対にないということを、ここでいま一度確約していただきたいと思います。

 やはりB型肝炎の患者の皆さんも、このことによって、自分たちの救済によって社会保障が削られるということは不本意だと思いますし、あってはならないと思いますので、ぜひそこは確約をお願いいたします。

細川国務大臣 先ほども申し上げましたように、社会保障の給付費、そこから捻出をするということになりますと、その給付を受けている対象の人たち、この人たちにしわ寄せが行くということになります。そういうことがあってはならないということで、社会保障の方には絶対に手をつけないということで、それ以外の、先ほど申し上げましたように、基金の剰余金とかあるいは遊休資産の売却とか、そういうことで賄ってまいりたい、お約束をしたいと思います。

福田(衣)委員 ありがとうございます。

 また、この救済制度のスキームに乗れない患者もおられます。訴訟では救われない肝炎患者の支援が重要です。

 菅総理自身も、御自身のブログに、「薬害エイズでは、和解が成立した頃、発症を抑える画期的な新薬が開発されて、亡くなる方は激減しました。」「B型肝炎の発症を抑える治療薬の研究開発に対する強い要望も受け、早速その場で、厚生労働大臣に強く指示しました。」と書かれていますが、大臣は具体的にどのような指示を総理からされたのか、お聞かせください。

細川国務大臣 この点の菅総理からの私に対する指示につきましては、言われました場所につきましては、基本合意書が締結をされましたその日に、B型肝炎訴訟の患者さんの原告団の皆さんと官邸で総理が歓談をされました。そのとき私も同行をいたしておりまして、その歓談のときに、患者の方から、B型肝炎を治療する、治すための研究をぜひやってほしい、こういうことを、総理の方に陳情がございました。そこで、総理がそのことに答えて、ではその研究を進めてまいりますと。厚生労働大臣の私にも、そういうことでよろしくということで、その場で私に指示があったところでございます。

 そこで、この治療研究に取り組むようにということで指示がございましたので、私の方では、最新の医科学の進歩を踏まえつつ、関係省庁ともいろいろと連携いたしまして、肝炎研究の推進に鋭意取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。

福田(衣)委員 総理のブログには、「実際の行動に表すことが、今日からの国の務めです。」と書かれています。

 指示を受けて一カ月以上経過していますが、どのような計画で、いつまでに研究開発を進めていくのか、具体的な方針というものがお決まりでしたら、お答えいただきたいと思います。

岡本大臣政務官 私も官邸に、七月一日だったでしょうか、呼ばれまして、総理から具体的にB型肝炎の現状と課題について聞かせてほしいということでしたので、私もお話をさせていただき、その帰り際に、しっかりと取り組むように、こういう指示を受けたところであります。

 この指示、また、大臣へ総理からあった指示も含め、受けまして、肝炎研究、これまでもその推進を図ってきたところではありますけれども、さらに、どういった課題があるのかということについて、研究者や製薬メーカー等にヒアリングを行ってまいりました。

 本当に課題が多くて、整理をする必要があると思っていますし、同じ肝炎ウイルスでも、B型とC型では、ウイルスの性質ももともとのウイルスも違うわけでありまして、必ずしも同じような治療方法でいくわけではありません。こういった課題をきちっと整理して、今後、お金をつければ開発ができるというものではないと思いますので、どういうような支援をしていくのがいいのか、これはぜひ考えていきたいと思っています。

福田(衣)委員 ありがとうございます。

 B型肝炎に関しては、完治する薬というものがまだ開発されていませんので、しっかりとしたビジョンをつくって、一日も早くそういった薬の開発に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、福島原発作業員の問題についてお尋ねします。

 私もこの間、原発作業員の問題に取り組む作業班の班長代理として取り組ませていただいております。また、厚生労働省内にも対策室をつくっていただきまして、本当にありがとうございました。

 作業員の被曝管理については、長い期間、手書きでの管理で、Jヴィレッジにおいても、バーコード化されたのは六月八日、写真入り作業員証への変更の方針が工程表で示されたのが、つい最近の七月十九日です。長い間、テロリストが入ってもわからないような状況だったということです。

 危機管理をどう考えているのか、びっくりなんですけれども、そういった状況の中、これまで作業に従事したことのある作業員全員に対してホール・ボディー・カウンターを指示したところ、連絡がつかない、元請に聞いてもそんな人はいないと言われた消えた作業員が大勢いることが判明しました。混乱していた三月ならまだしも、四月に入っても百七十四人がいまだ不明ということです。

 あらゆる方法で捜されているということですが、これまでの取り組みでは見つからなかった作業員について、今後どのような手法で捜していくおつもりなのか、お聞かせください。

小宮山副大臣 七月二十九日、東京電力からの報告ですと、東電福島第一原発の協力会社の作業員のうち、三月中に緊急作業に従事した者で、これまで三十人と連絡がとれていなかったものが、確認ができて、今それは十人に減っているということです。

 御指摘のように、四月から新たに緊急作業に従事した者で百七十四人、合計百八十四人の連絡先が不明ということで、これは本当に、おっしゃるように、その管理がなっていないということで、厚労省の方からも強くいろいろ指導しているところですけれども、今御紹介があったように、最初は紙に名前だけ書かせていて、それで捜せないということでしたので、六月八日からはID番号のバーコードつきの作業員証を発行し、七月下旬からは写真つきの入構証で、ですから、今後このようなことはないようにしているんですが、これまでの、その紙に書かれた事業場名と氏名の中から、別の協力会社と紛れていないかとか、あらゆる手を尽くして捜すようにということを指示しているところです。

福田(衣)委員 所在不明の作業員の中には、線量超えをしている人もいるかもしれません。さらに、今回の調査でわかったように、同一人物がいた。そういった線量については、これまで分散されていたわけですので、それを合算したら、ある程度の線量になっている人もいるかもしれません。早急に作業を進めて、累積線量確定を急いでいただきたいというふうに思います。

 また、四月の段階で、保安院から厚労省に対して、今回の緊急作業によって、五十ミリシーベルト超えの作業員が千六百名という予測が伝えられていたことが最近明らかになりました。保安院からは、東電に対して見積もりを口頭で指示したということでしたが、どういった基準で見積もりを東電にお願いしたんでしょうか。

松下副大臣 事故収束に向けた工程が進捗するに伴いまして、福島第一原子力発電所で作業に当たる作業員の被曝量の増加が想定されたわけでございまして、作業員が他の原発での作業にも従事する必要があるということから、緊急時の、現在ですけれども、被曝線量限度、二百五十ミリシーベルトですけれども、それと平常時の被曝線量限度は、これは別枠で管理しなければ他の原発で作業に従事できなくなるという懸念が示されたわけでございます。

 このために、原子力安全・保安院の事務方から東京電力及び協力会社に対して、事故収束に当たる作業員の被曝量の試算を口頭にて指示しまして、報告内容を取りまとめて厚生労働省に提出したということでございます。

福田(衣)委員 この見積もりを最近まで公表しなかった理由と、予測が過大であったことについて御説明願えますでしょうか。

松下副大臣 この試算は、あくまでも内部検討用の資料ということでございまして、公表すべき情報とは考えていなかったということでございます。厚生労働省とのいろいろな意見交換をする中で、検討用の資料として出したものということでございます。

 事業者から提出されたデータは、その時点でのこれまでの被曝量の傾向と今後想定される作業から算出したものでございますけれども、詳細な作業工程や作業環境から推計したものではなくて、発災直後で具体的な工程等が不明な中で、大まかな傾向から概算したものということでございまして、検討用の資料ということで厚生省との意見交換に使わせていただいた、そういうことでございます。

福田(衣)委員 最初の見積もりが保守的であったということに加えて、工程表のステップ1も順調に進んでいるということであれば、緊急時の臨時措置として緩和した二百五十ミリシーベルトという暫定値を、少しでも被曝を抑えるためにも、通常の緊急作業時の被曝線量限度の百ミリシーベルトに一刻も早く戻すべきと思いますけれども、その点はどのようにお考えでしょうか。

小宮山副大臣 これも委員がおっしゃるように、これは本当に緊急時のための被曝線量として、ICRPがここまでなら大丈夫というものの半分の二百五十に設定をしているところです。

 ただ、全体の作業工程を考えて、そこを押さえながらどうやってこれを下げていけるかということで、私としてはなるべく早くこれをもとに戻すことが望ましいとは思っておりますけれども、厚生労働省としては、個人の被曝線量をできる限り低く抑えるために、今、必要な人員の養成とか確保ということを経産省に要請をしているところなんです。

 例えば、同じ型の原発をやっているところからもう少し人が呼べないかとか、本当に養成をすると、五年、十年かかるというんですけれども、当面必要な作業がいろいろあるわけですから、そこでもっと人がふやせないかということと、あとは、放射線作業届を提出させて一人当たりの被曝線量をなるべく低く抑えること、そういうことをしながら、なるべく早くこれをもとへ戻せるように、全体の作業工程も考えながらしっかり検討していきたいと思っています。

福田(衣)委員 時間が参りましたので。

 やはり、作業に当たれるのが、年間五十ミリシーベルト、五年間で百ミリシーベルト、それを超えると作業に当たれなくなることを恐れて、上げてほしいという意見もありますけれども、そうではなくて、作業に当たれなくなった方たちの雇用であったり生活保障のスキームというものを構築していく、そういったことに向けて取り組んでいただきたいと思います。

 チェルノブイリのときは、作業員を犠牲にして事故の収束を図っていきました。ここ日本では、一人の作業員も犠牲にしない、その強い思いで、厚労省としても省を挙げて取り組んでいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、樋口俊一君。

樋口委員 おはようございます。

 冒頭、貴重な一般質疑の時間をお与えいただきました渡辺周筆頭理事、理事初め委員の皆さん方に厚く御礼を申し上げます。

 時間も十分という短い時間でございますので、早速質問をさせていただきます。

 七年前の二〇〇四年に、通常国会で、六年制の薬学教育の法案が成立しました。私も、参議院議員をさせていただいて、その法案にかかわった思いがございます。二〇〇六年からスタートをしまして、来年の三月にはその六年制の薬学生が卒業してくるということでございます。四年間から六年間という濃密な時間、そして、その内容についても、臨床薬学を中心に、実習を中心とした実践的な内容でカリキュラムが組まれているわけであります。

 ところが、一方、国家公務員の薬剤師の俸給に目をやりますと、全くこの点に関して検討がなされていないというのが現実でございます。医療職(一)、(二)、(三)と三つ分類されておりますけれども、(一)は医師、歯科医師、そして、(二)の方に薬剤師、その他臨床検査技師とか放射線技師とか、そういう多くの医療関係者が含まれて、(三)に看護師さんという分類になっております。

 この六年制薬剤師が誕生するに当たって、こういった俸給表についても見直しをされるお考えがあるのかどうかというのが一点。

 それから、きょう皆さん方にお配りをさせていただきました参考資料でございますけれども、具体的な初任給についてもお伺いをさせていただきたいと思います。

 現状の四年制の卒業生の薬剤師は、十七万八千二百円という給与になっているわけであります。そういったことに対して、今度の六年制の薬剤師の俸給、給与についてどういうお考えがあるのか。特に、大学四年卒の看護師さんで十九万八千三百円、こういう初任給になっておりますので、この辺の比較も含めて、ぜひお考えをお聞かせいただければと思います。

尾西政府参考人 ただいまお尋ねの薬剤師の俸給表の新設という点でございますけれども、国家公務員の俸給表は、一定規模の職員が役職に応じて在職しているような、そういった職種を対象として設けることとしております。ところが、一般職給与法が適用されます国家公務員であります薬剤師につきましては、近年、国立大学の法人化ですとか、あるいは国立病院の独立行政法人化によりましてその数が減少しておりまして、現在約百三十名程度となっておりまして、この人数ではちょっと独立した俸給表の新設は困難であるというふうに考えております。

 他方で、来年の三月から六年制の教育課程を修了する薬剤師が誕生するということを踏まえまして、国家公務員に採用された場合、どうするかということであります。

 これは現在、先ほどお話がありました医療職俸給表の(二)におきましてその初任給をどこに格付けるかということにつきまして、厚生労働省の意見もお聞きしながら検討を進めているところでございます。

 具体的には、そういった六年制薬剤師の初任給に関しまして、修学年数の二年間の延長をどう評価するかということが問題になるわけですけれども、その前提としまして、看護師を含む他の医療関係職種とのバランスをどう考えるかという点につきまして、医療行政全般を担当されております厚生労働省からも意見を聞きながら、現在検討を進めているというところでございます。

樋口委員 ありがとうございました。

 人事院の方で検討しているということでございますが、俸給表の見直しも含めてぜひ御検討をお願いしたいというふうに思います。

 今の答弁について、細川厚生労働大臣、御意見があればぜひお願いしたいと思います。

細川国務大臣 薬剤師の俸給の問題につきましては、私は、薬剤師の専門性に見合ったしっかりした処遇をしていただかなければならないというふうに思っております。

 今のこの俸給表では、これは余りにも公平でない、薬剤師の専門性をきちっと評価していないというふうに強く思っておりまして、人事院の方に対しては、七月の十三日に、六年制教育課程を受けた薬剤師の給与改善に関する要望書というものを提出いたしたところでございます。

 引き続き、能力に見合った適切な処遇を受けることができるように、人事院に強く要請をしてまいりたい、このように考えております。

樋口委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 特に、民間の勤務薬剤師も国家公務員の薬剤師の処遇に大変連動してまいりますので、ぜひその点も踏まえて御検討をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、年金問題について御質問をさせていただきます。

 年金というのは、安心して暮らせる老後についてのしっかりとした基盤を国がつくっていくという根幹がございます。それに対して、今般の東日本大震災について、その財源を埋め合わせするということで、年金の積立金の方から二・五兆円を復興債の償還に繰り入れるというふうなことが一次補正で行われました。

 これから三次補正に向けて、この二・五兆円の穴埋めを厚生労働省としてどう考えておられるのか、お聞かせいただければと思います。

細川国務大臣 この基礎年金の二分の一国庫負担につきましては、年金財政を安定するためにどうしても必要な措置だというふうに考えて、これは当初予算にも計上をいたしたところでございます。しかし、残念ながら、この大震災が発生いたしまして、そちらの方にどうしても一時的に使う、使わせてほしい、こういうことで、厚生労働省としても全体的な観点からこれを了承したわけでありますけれども、これはあくまでも一時的にということでそれを了承したわけでありますから、私としては、早急に返してもらわなければというふうに思っております。

 この二・五兆円につきましては、震災の復興対策の規模や財源に関する検討の中で、復興債によって賄うべきというような議論も承知をいたしております。そういう中で、私としては、この議論も踏まえまして、復旧復興に転用されました二・五兆円につきましては、今後の第三次補正予算が組まれる際に返還をしていただくよう強く要請をいたしているところでございます。

 いずれにしても、年金財政をしっかり安定的に運営するためには、この二分の一を年金会計の方に取り戻していくということがどうしても必要で、できるだけ早く返してもらうように取り組んでまいりたい、このように考えております。

樋口委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 あと、もう時間がございませんので、最後の質問をさせていただきます。

 さきの社保と税の一体改革の中でいろいろな議論があり、党・政府の結論が出ました。しかし、私が考えるには、医療行政、これから高齢社会の中で一兆円ずつ毎年医療費がふえていくという状況の中で、保険医療制度の中だけで考えるのじゃなくして、保険医療制度外の部分で、国民が健康にどう暮らしていけるかという部分もやはりいろいろな観点で考えていく国の施策が必要だと思っております。

 そういった中で、今、国民の多くの方が健康維持のためにサプリメントを服用されているわけですけれども、どうも玉石混交で、害のある部分もございます。やはり厚生労働省がしっかりと医薬品という形で認可したものの中で、そういった健康を維持していただくような観点のお薬を今後認めていただく。

 お薬には、治療と予防という効果がございます。それは薬事法で認められているわけですけれども、予防という効果はワクチンしか今認められておりません。そういう意味で、例えば生活習慣病の予防について効能、効果のあるものについて、一般用医薬品でもそういう観点での表示ができるように、ぜひ前向きに進めていただければというふうに思っておりますので、この件についての厚生労働省のお考えをお聞かせいただければと思っております。

岡本大臣政務官 一般論としてお答えをさせていただきますと、先生御指摘のとおり、予防ができるということであれば、それは大変好ましいことであろうと思います。それが本当にサプリメントでできるのかということでいうと、必ずしも、どういうものがその効果があるかというのをしっかり見きわめていかなきゃいけないと思いますし、先生御指摘のとおり、課題があると思います。

 そういった課題をしっかり整理しながら、今後、もちろん、効果があるものについて、また我々としても、それは効果があるということを評価しなきゃいけないときが来るかもしれませんけれども、現時点においては、今保険医療で見ていく治療という中で対応しているということも御理解をいただきたいと思います。

樋口委員 保険医療制度外のものについてのさまざまな施策、これは一例でございますけれども、その他多くのことがございますので、ぜひ厚生労働省、前向きに取り組んでいただくようにお願いを申し上げます。

 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

牧委員長 次に、田村憲久君。

田村(憲)委員 田村でございます。

 大臣、通告外のことを一点お聞きをするんですけれども、今、国会、ねじれ国会だということで、マスコミは、与野党がいろいろな部分で対立して震災復興が進んでいかないだとか国会が動かないなんということを言われていますけれども、この厚生労働委員会、三月十一日、東日本大震災発生以降、きょうで十二本目の法律を採決することになると思います。すべてこれは可決です。しかも、すべての法律にわたって、必ず野党がその中で賛成に加わっている。ねじれ国会の中では、こんなことは普通は考えられない。

 十三本、最近で通したのは、一番多かったのは安倍さんのときですが、このときはねじれの前で、たしか強行採決が多かったときだというふうに記憶しておりますから、そういう意味では、私は、与野党は大変なこの震災の前で協力をして、もちろん復興もそうでありますし、それ以外の国のいろいろな法律に対しても、国民のために我々は一致団結して国難を乗り越えようとしておるというふうに思っておるんですが、大臣はどうお考えですか。

細川国務大臣 まさに未曾有の震災でございました。その震災の被害を乗り越え、克服をしていくということにつきましては、これは国会の中で与党、野党を問わず協力して、この国難ともいうべき事態に対応をしていくべきだというふうに個人的に思っております。

 そういう意味で、この厚生労働委員会におきましては、本当に真摯な議論もしていただきまして、法律も多数成立をさせていただきましたし、私も、与党の皆さんの御意見もできるだけ取り入れて、そして行政にも対応するようにやってきたつもりでございます。野党の皆さんの審議に対しての御協力も、心から私は感謝をいたしているところでございます。

 今後とも、よろしくお願いを申し上げます。

田村(憲)委員 よく御理解をいただいているというふうに思います。

 しかし一方で、今、福田委員から御質問がありました。今回のこのB型肝炎に関しての閣議決定ですよね。党内でこんなにもめているのかなと。何をもってして閣議決定しているんだと。これは私は本当にびっくりしまして、与党だからちゃんと政府とある程度すり合わせをして出してこられた閣議決定だというふうに思うんですよ。多分これにのっとってこれから法律を準備されてくるんだと思いますが、与党の中でまとまっていないものを我々は話できませんから。

 今この国がおかしくなっているのは、与野党じゃなくて与党と政府の中じゃないですか。そこがまとまらないからこうなるんでしょう。そこはしっかりと御認識をいただいて、この国が誤りない方向に行くように、まとまった形でこれから政権運営をしていただきたい、こんなことを冒頭お願いをさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、今委員長からも御報告ありましたけれども、先般の委員派遣、これに関しましての一般質疑、私の方から質問を幾つかさせていただきたいと思うんです。

 実は、福島の農業総合センターに行ってまいりまして、あそこも、牛を全頭検査していかなきゃならぬ、そういう方針のもとで御苦労されておられます。ゲルマニウムの半導体の検出器、要するに、これは放射線がどれぐらい含まれているかというものを測定するものでありますけれども、今四台、やがて六台ふやして、福島の牛を全部この中で検査ができるようにというようなことを要望され、同時に一方で、福島は全体で、屠畜するのは福島産の牛の一、二割だというんですよ。あとは県外で屠畜をされておられるということでございました。そういう意味では、他のところ、つまり福島県産の牛を屠畜されているところにもぜひともこの全頭検査に御協力をいただきたい、こういうお話でございました。政府に要望されておられました。

 一方で、三重県もこれは大変でございまして、我が方も、汚染された稲わらが流通していたんですよ。もちろん牛からはおかげさまで暫定規制値を超えるものは出てきませんでしたが、しかし一方で、福島と岩手の牛、これは入ってきた牛ですけれども、基準を超える、そういう牛が見つかりました。もう三重県にまで波及してきているんです。私の地元は松阪ですから、そういう意味では本当にもう戦々恐々ですよ。大丈夫なのか、大変な心配。松阪牛も値段が若干下がりましたよ。そういう意味では、もう全国的な問題になってきているんですね。

 それで、検出装置、放射線をはからなきゃいけない。測定機器を、今、簡易測定器等々も導入しながらということを大塚副大臣も御勘案されながら、それに対していろいろな助成もしていこうというような発言もされておられるようでありますが、いずれにしてもこれは機械をそろえなきゃいけないんですね。お米も出てきますよ、お米もこれからやろうという話になってきますから。これはどれだけあっても機械が足らないんですよ。

 そこで、各自治体から要望が上がってくると思います。これは、厚生労働省でも文科省でも内閣府でもいいんですけれども、とにかく一元化して、そういう要望が上がってきたら機械を世界じゅうから見つけてきてマッチングする、大丈夫ですから政府に言ってきてください、そういう仕組みをつくってくださいよ。だれが答えられますか。大臣ですか。だれですか。

大塚副大臣 まず、問題意識は田村委員と私ども厚生労働省、全く一緒でございますので、検査機器の拡充に向けて全力を尽くしたいと思います。

 ゲルマニウム半導体検出器は、今、厚生省と文科省のを合わせて三百台近くありますけれども、それでも全然足りません。したがって、簡易検出器について、先般、これも使用するという方針を打ち出しました。

 しかし、それでもまだ足らざる状況になり得ると思っておりますので、先般はある電機メーカーがベルトコンベヤー方式で十二秒で牛の検査ができるという機器を開発したということも聞いておりますので、そういったものの実用性の検討も含めて、政府全体で先生の御指摘に沿うようにしっかり対応させていただきたいと思っております。

田村(憲)委員 各自治体がばらばらでやり出しますと、これは大変なんですよ。それぞれ手足も持っていないところもある。ですから、政府が責任を持ってこういう検査機器をそろえるように、よろしくお願いいたしたいと思います。

 なぜこうなったかというと、牛の場合はやはり稲わら。きょうの私の資料を見ていただいたらわかりますように、こうやって、これは三月十九日ですよね、それぞれの関東農政局生産経営流通部長、消費・安全部長あてということで、東北もそうですよ、これは農水省の方からこのような通知が出ております。

 読みますと、「乾牧草(サイレージを含む)」、これは入っているんですけれども、稲わらが入っていない。稲わらは危ないというのが入っていない。こういうような、ちゃんと細かい詰めをしない仕事をすると、こういうことが起こってくるんだろうなというふうに私は思うんです。

 一方で、この牧草も、三百から五千ベクレルのものに関しては肉用牛以外には使ってもいい、こういうふうになっていますよね。つまり、肉用牛には使っちゃいけないと。でも、これは流通を許していると、肉用牛に間違って使われる可能性も出てくるんです。ましてや、稲わらの方に関しては、そもそもが気にもとめていないわけですから。稲わらは流通することさえ前提に置いていない。だから三重県にも来ちゃったんですよ。

 こういうことを考えると、本来なら、まず全部とめるべきだった。屋内にあるものも屋外にあるものも全部とめる。その上で、安全をちゃんと確認した上で流通を図る、もしくは全部国が買い上げて、輸入してでもこのような牛の飼料等々、牧草等々をちゃんと東北、関東地域に安全なものを流通させる、こういうことをやって初めて、今流通している食品は大丈夫ですと、枝野さんが言ったようなことが言えるんですよ。

 私は、枝野さんは大変無責任だったと思いますよ。こういうちゃんとした細かい詰めを、牛の内部被曝までも勘案しながらそういうことを言ってこなかった。私は、責任あると思いますよ。

 農水省、なぜこのような稲わらを載せなかったのか。そして、今なお三百から五千ベクレルの牧草を肉用牛に使わないということで流通をさせているのか。私はとめるべきだと思うんですけれども、いかがですか。

篠原副大臣 田村委員、三月十九日の通達についてお尋ねだと思います。

 私が正直なところを答えさせていただきますと、この畜産関係者、農林水産省の中でも一番危機管理の意識がございます。比べてみていただくとわかるんですが、こちらの方は私が陣頭指揮を我が省の中ではとって、筒井副大臣とともにとってやりました野菜等の汚染の問題がありました。この通達が出たのは、官邸それから厚生労働省といろいろ相談いたしまして、三月二十一日です。それよりも前に、課長通達ですけれども、これは大変なことになるということでこの通達を出しただけでも、私は二重丸のことをしてくれていたのではないかと思っております。

 ただ、田村委員御指摘のとおり、稲わらというのをきちんと明示していなかったということはやはり丁寧さに欠けたのではないかと思っております。その点では深く反省しております。

 それから、現在でございますけれども、稲わらは流通しているということはございません。徹底的にチェックいたしまして、畜産農家は数が多いわけですけれども、三重県に行った稲わらも宮城県から出ているわけです。それ以外はほとんど、栃木県は栃木県の近所の、耕畜連携というのでやっています。岩手県も同じ。宮城県から、十六業者ほどおりまして、それで全国に流通させているわけです。ですから、どこに行ったかというのはわかっております。それで、わかりましたので、もう使うなということで。

 それから、相当汚染されている稲わらがございまして、六十九万ベクレル、五十万ベクレルというのは半端な汚染度合いじゃありません。近づくだけでも問題ですので、そのまま、とりあえず近づかないでほっておくようにということで、この後どう処理するかというのもただいま検討中でございます。

田村(憲)委員 二重丸、よくやったといってこんなことが起こっているんじゃどうしようもないですね。我々も、BSEのときに、これは安心だということを宣言しましたが、全頭検査をやったんですよね、あのときは。つまり、簡易検査をやったんです。今回、簡易検査できないのかなと思ったら、今、大塚副大臣が言われたように、簡易測定器で簡易検査ができる、スクリーニングができるという話ならば、もっと早くからやればよかったんですよ。騒ぎになってから、スクリーニングをやろうという話でしょう。どう考えても後手後手に回っているとしか考えようがない。

 少なくとも、官房長官が流通しているものは大丈夫だとおっしゃるのならば、全頭検査してから言うのが当たり前じゃないですか。当時から牛の話はあったんですよ、大丈夫なんだろうかと。それを胸を張って二重丸だとおっしゃってこういうことが起こるならば、これは私、政府は危機管理意識が非常に甘い、そう言わざるを得ないというふうに思います。

 続いて質問に入りますが、これ、いよいよ測定していくんですけれども、一つは、部位によって検出値が違うという問題が今マスコミ等々で言われ出し始めました。これは大変な問題です。一番高いところを本当に検査できるのか。これは一体、これは厚生省ですかね、どういうふうにお考えになられているのかというのが一点。

 それから、内臓の問題です。三重県も全頭検査を始めます。そのときに、きのうも三重県の担当者と話しておりましたら、内臓、これは取り扱う業者が違います。ですから、肉の部位を測定器にかけている間、その牛が白か黒かを判断しなきゃいけない、それまで内臓の流通をとめなきゃいけない。それがうまくできるかどうか、これは頭を抱えています、こういう話でありました。

 国として、これは基準をつくるべきだというふうに思いますが、厚生労働大臣、いかがお考えですか。

岡本大臣政務官 今御指摘の、部位によって違いがあるのではないかという御指摘でありますが、そういう意味でいいますと、そういう報道があったということは承知をしておりますけれども、これからそこはしっかり調べていかなければいけないところだろうと思っております。農林水産省とともに検証していくということにしていきたいと思いまして、この結果を受けて対応していきたいというのが一つ。

 それから、内臓につきましては、今お話がありましたが、放射性物質検出についての検査が、この結果が判明するまでの間、とめ置く必要があるというふうに考えていますので、そういった方向性でいきたいというふうに考えています。

田村(憲)委員 混乱が生まれないように、政務官、厚生労働省の方からちゃんと各県に、これから牛の検査をする場合の基準というものをつくっていただいて、御通知なりをしていただきますようにお願いをいたしたいと思います。

岡本大臣政務官 七月二十九日にもそういったことで連絡はさせていただいておりますけれども、改めて、こういう内臓の問題等、また部位についての結果が出て、それを通知する必要があれば、またその検査の方法を見たいと思いますが、現在は、筋肉を調べるということで、調べ方についても御連絡をさせていただいている。セシウムは筋肉にとどまる可能性が高いということで、比較的筋肉量の多いところをとる、こういうような通知はしているところです。

田村(憲)委員 きょうは内閣府からもお越しをいただきまして、実はこの間、食品安全委員会の方から、暫定規制値というものの次に、ちゃんとした規制値をつくるための一つの基準ということで、生涯百ミリシーベルト、これが一つの基準になってくる、こういうような話が出てまいりました。

 なかなか理解しづらい話でありまして、今の暫定規制値とはまた違う一つの基準なんだろうというふうに思います。なかなか今まで世界じゅうでこのような案件が、前例がない中で、苦労されてそういう一つの基準を出されて、これからパブコメにかけて、厚労省がそれにのっとって新しい規制値というものをつくられるんだろうというふうに思いますが、この考え方、ちょっと教えていただければ。お願いいたします。

園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 食品安全委員会におきましては、三月の二十日に、まず厚生労働大臣から、放射性物質の食品健康影響評価、これについて諮問がございました。それを受けまして、今先生からの御指摘のとおり、食品安全委員会の中でワーキンググループを設置させていただきました。放射性物質の食品健康影響評価に関するワーキンググループということでございます。このワーキンググループにおいて、七月の二十六日に、案ということで、影響評価の案を取りまとめをさせていただきました。

 その中身についてでございますが、御案内のとおり、今暫定規制値という形で、ICRP等の国際基準を参考にし、そして厚生労働省において一定の規制値を設けていらっしゃるということでございますけれども、今回私どもの食品安全委員会の中のワーキンググループでまとめさせていただいた案の概要を申し上げますと、まず二点、大きく分けてございます。

 一点目は、生涯における追加の累積実効線量がおおよそ百ミリシーベルト以上で放射線による健康影響があるという形で取りまとめをさせていただいています。ただ、それについては、先ほど申し上げましたように、追加の累積線量ということでございますので、すなわち、日本における平均の自然放射線量、これが年間、パー年でございますが、一・五ミリシーベルト、それから医療被曝等々がございますけれども、これなどの通常の一般生活における放射線量は除いた分における一般の方の実効線量が百ミリシーベルト以上というふうに、まずこれでまとめさせていただいております。

 それから、あと小児、子供に関しましては、これはやはり、より放射線の影響を受けやすいという可能性が見込まれるのではないかということでございますので、甲状腺がんであるとか白血病であるとか、そういったところも考慮をしていく必要があるということでございます。

 これが、まさしく案として今取りまとめをさせていただいているところでございまして、今後、三十日間のパブリックコメントを経まして評価書を最終的に取りまとめて、厚生労働省に答申をさせていただくという形になると存じております。

田村(憲)委員 わかりづらいんですよね、これ。人生八十年だとか今なってきていますけれども、では、二十の人と五十の人と、これからどれだけの食品を食べていいんだと。つまり、何百ベクレルのものはいいんだと分かれるという話になっちゃう可能性が出てきますよね、生涯という話になりますと。

 だから、厚生労働大臣、これから基準をつくるのは大変ですけれども、やはり、ちゃんと国民の皆さんが安心できるような、そういう基準をつくっていただきませんと、この間のお茶の問題だとかいろいろな問題が今反響を広げておりますから、ぜひとも、正しい、国民がだれが見ても納得できるような、そういう規制値というものをおつくりいただきたい、これは要望させていただきたいというふうに思います。

 さて、視察の中で、委員派遣の中で、保育所も見てまいりました。表層土、グラウンドの表層土、園庭の表層土をはがして、そしてそれを穴に埋めて、ちゃんと水が漏れないようにゴムで、ビニールシートでこれをくるんで、土の中に、トレンチの中に埋める、こういう作業をされておられました。

 文科省が出された通知の中で、二つ方式を出されております。一つは、トレンチの中に保管して、遮水シート等々で丸める、囲む、こういうような方法。もう一つは、上下の置換法、置きかえ法、これによるものだと。

 トレンチの中に保管するのには、遮水シート、なぜかというと地下水に漏れ出さないためという話なんですが、上下の置きかえ法は、これは地下水に漏れちゃう。実は、行ったところが、うちは保管していますからいいんですけれども、上下置きかえは考えなかったんですかとお聞きしましたら、それだと地下水に漏れちゃいますよねと。何かよくわからないんですけれども、当然それは、ちゃんと遮水シートをした方が安心だというので、土地もあるし、我々はこちらを選びましたという話なんですが、これはちょっと一貫性を欠くんですよね。

 上下置きかえ方式は大丈夫なんですか。地下水に対して何の影響もないと言えるんですかね。政務官、いかがですか。

笠大臣政務官 今、田村委員から御指摘ありましたように、私ども、二つの方法が有効な方法であるということで確認されておりますが、まずもって、今ありましたように、一カ所に埋めてというやり方の方が、ほとんど今その方法を採用されているということでございます。

 そして、今の上下の置きかえについては、これもやはり日本原子力研究開発機構等々とさまざまな助言をしておりまして、今御指摘のとおり、地下水への影響についても十分考えられますので、この場合には、表面にあった放射性物質を埋め戻す場合に、粘土層に挟み込むようにして埋めていくというような技術的なアドバイス、助言もしながら、そうしたことがないように対処している。

 ただ、今、本当に置きかえの方を採用してやっているところというのは少ないというふうに承知をしておりますので、さらに徹底するようにいたしたいと思います。

田村(憲)委員 危ないかなと思ってやらないんだと思うんですよね、それは。

 私、何でこんな質問をするかというと、やはり今、学校の現場、それから保育所、幼稚園、お母さん方が、子供が大丈夫かと大変な心配をされているんです。それは政府に対して信頼がないからなんですよね。政府は、これは三・八マイクロシーベルトですかね、その基準内ならば大丈夫だ、空間放射線量、これなら大丈夫だと言われていますけれども、でも、それでもやはり親は心配して子供を外で遊ばせない。私らが行った保育所もそうでありました。大丈夫な基準なんですよ、〇・五まで落ちているんですよ、それでも遊ばせない。これは政府に対する信頼性がないからなんですね。

 こういうような問題も、一方では遮水しなさい、一方では水が漏れちゃうかもわからない、こういうような心配があるのに、両方とも示す。

 同じような案件が実はもう一つありまして、四月十九日の事務連絡で、これは実は厚生労働省から出されているものなんですが、中身は一応、文科省からの指導のもとだという話でございますから文科省にお聞きしますが、「別添」に「以下の事項は、これらが遵守されないと健康が守られないということではなく、可能な範囲で子ども等が受ける線量をできるだけ低く抑えるためのものである。」と書いてあって、それは、校庭や園庭などの屋外での運動後には、手や顔を洗い、うがいをする、これはわかりますよ、これは忘れないでやってくださいという話ですよね。それから、土や砂を口に入れないように注意する、これも注意してくださいという話ですよね。あと、ほか、よくうがいするとか、靴の泥は払うだとか、土ぼこりや砂ぼこりの多いときは窓を閉める、これは予防だからわかりますよ。

 ところが、その中に「特に乳幼児は、保育所や幼稚園において砂場の利用を控えるなど注意が必要。」と書いてあるんですよ。これは予防じゃなくて、本来子供が健全に育つために砂遊びというのは重要な役割なんですよね。こういうものをここに入れていると、これは「遵守されないと健康が守られないということではなく、可能な範囲で子ども等が受ける線量をできるだけ低く抑えるためのものである。」というにはそぐわないですよね。

 何かを防ぐものじゃなくて、本来子供がやるものをやらないでくださいという話ならば、こういう書き方をせずに、やめてくださいと書くのか、それとも、やるときには例えばこういうことを注意してくださいというならまだわかりますよ。やらないでください、できるだけやらないでくださいというときに、この砂場の利用を控えるというのが書いてあるわけですよ。これを親御さんが見たら、どっちなんだ、砂場は危ないのか危なくないのかわからないと。もちろん、我々が行った保育所は、砂場も当然クローズドですよね。それは外でも遊ばせないんだから。

 つまり、何を言いたいかというと、やはり、親御さんらが安心するためには、政府への信頼性というのが一番重要なんです。そして、親御さんらとの対話の中で、基準値、大丈夫だから、だから外でも遊ばせてくださいということを、やはりあなた方が努力をして、親御さんに御理解をいただきながら、子供たちの健全な育成というものを図らなきゃいけないんですよ。いつまでも外で遊ばせないというわけにもいかない。しかし、不安があれば、遊ばせれば、そこで精神的な他の意味でのストレスがたまってくるかもわからない。

 そういう意味で、政務官、これからどのような形で、子供たちの外での遊びというもの、親の不安というものを解いていかれるつもりですか。

笠大臣政務官 今御指摘ありましたけれども、あくまで砂場では一定の、この当時の三・八マイクロシーベルト以下の場合に利用することについては差し支えない、しかしながら、今お話がありましたように、やはり、その土だとか砂とかを口に誤って含んでしまう、そういう危険性があるので、その注意喚起ということで促したところでございます。

 これはあくまで夏休みまでの暫定的な数値でございますので、これから、我が省も含めて今政府の中でしっかりとした基準というものを改めて検討し、そうした不安を解消できるように、その数値とあわせて、また、注意事項あるいは留意事項というものがどういうものが必要なのかというものもしっかり精査をして、不安をなるべくしっかりと解消できるように臨んでいきたいと思います。

田村(憲)委員 時間なのでやめますが、政務官、もう一度確認しますよ。

 「特に乳幼児は、保育所や幼稚園において砂場の利用を控えるなど注意が必要。」と書いてあるんですよ。つまり、控えるということは使わないという話ですからね。口に入ったらうがいするという話じゃありませんから。そこはよく御理解をいただいて御答弁ください。

 以上で終わります。

牧委員長 次に、加藤勝信君。

加藤(勝)委員 自由民主党の加藤でございます。

 今、田村先生から御質問がありましたけれども、園庭等の土壌の放射線の低減施策、措置についてまずお伺いをしたいと思います。

 きょうの読売新聞の一面に出ておりますけれども、これは私立幼稚園で園児二千人が退園、県外へという、福島県全体で幼稚園に通っている子供さんが一万九千百九十三人ということでありますから、そのうちの約一割が退園等々しているということで、特に小さい子供さんを持っておられる御家庭、お父様、お母様方は大変御心配されているということでありまして、私どもも、先日、郡山市内の保育園に行かせていただきまして、委員長ほか理事の皆さん方と視察もさせていただきました。

 まず最初に教えていただきたいのは、こうした放射線量の低減施策の対象というのはどのぐらいの保育園に及ぶのか、そして、その中で今どのくらい、表土の入れかえというんでしょうか、低減策がなされているのか、実態についてまず教えていただきたいと思います。

高井政府参考人 お答え申し上げます。

 保育所等の園庭の土壌入れかえに係る経費を第二次補正予算に計上いたしておりますけれども、福島県のモニタリング調査結果等を踏まえまして、保育所等二百四十八カ所分を計上しているところでございます。実施予定園については、これから自治体からこの補助に係る申請を受け付けますので、それによって実施箇所数を把握していきたいというふうに考えております。

加藤(勝)委員 今の二百四十八カ所というのは、福島県内の全体の何割ぐらいなんですかね。

高井政府参考人 二百四十八カ所といいますと、認可外を含んでおります。それで、今手元にある数字でいきますと、二百四十八のうち認可保育所は百三十三カ所なんですが、福島県内の保育所は三百三十二カ所と今手元の数字はなっておりますので、三百三十二のうち百三十三ということでございます。

加藤(勝)委員 今、私の方から「保育所・幼稚園の園庭の土壌放射線量低減策支援について」という紙を用意させていただいております。

 まず一つの質問は、上が保育所で下が幼稚園なんですが、保育所の場合には三・八マイクロシーベルト以上か以下で線が入っております。下の幼稚園の方は一・〇マイクロシーベルト以上、こういうことになっているんです。きょうはちょっと文科省の方においでいただいておりますが、文科省においては、要するに幼稚園の場合、この三・八マイクロシーベルト、こういう基準ではなくて、一律、一・〇マイクロシーベルト以上は同じ、こういう考え方でやっているということでよろしいですか。

岡政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省においては、園庭等の空間線量率が毎時一マイクロシーベルト以上の幼稚園を対象に、園庭等の土壌に関する線量低減策について、設置者の希望に応じて学校施設の災害復旧費の枠組みで財政的支援を行うこととしているところでございます。

 先生御質問の三・八マイクロシーベルト以上と以下につきましては、予算の措置が若干違っておりますが、ほぼ財政支援は同じというふうに考えております。

加藤(勝)委員 先日行かせていただいた郡山市の保育所でいきますと、この三・八マイクロシーベルトというのは地表高五十センチのレベルでありますけれども、それで三・八を超えているところは、保育所の中では、除去前はありませんでした。しかし、一・〇マイクロシーベルトまでいくように、場合によっては二回、三回だったかもしれませんが、土壌の入れかえをしているということです。

 厚労省にお伺いしますけれども、これは何で三・八というところで補助の基準を変えているんですか。

高井政府参考人 お答え申し上げます。

 この財政支援につきましては、社会福祉施設の災害復旧費の枠組みにおいて行うということで現在考えたところでございます。三・八のところで線を引きましたのは、三・八マイクロシーベルト以上あった保育所につきましては、先ほどもお話がありましたように、いろいろな留意事項がついているということから、激甚法の補助率を適用していこうということでここで線を引いている。それから、三・八未満につきましては、通常の災害復旧費の基本的な補助率を適用しようということでこのような補助率にしたということでございます。

加藤(勝)委員 補助率を変えるということは、当然、表土を入れかえることに対する緊急性の認識が厚労省は違うから変えるわけですよね。文科省はさっき御答弁がありましたようにほとんど一緒ということになっていますが、同じ三歳から五歳の、もっと小さい子供さんも保育所にはいる、同じように使うという場所で、文科省の関係する施設は一・〇マイクロシーベルト以下までいろいろな意味で施策をします、厚労省の場合にはその間にもう一つ段階を設けますと。これは何でこういうふうに変わってくるんでしょうか。大臣にお伺いしたいと思います。

高井政府参考人 繰り返しになりますけれども、私どもの整理といたしましては、文科省並びで設定しているわけでございます。文科省におきましても三・八マイクロシーベルト以上、激甚法の補助率がということでお聞きしており、政府部内、この三・八以上は激甚法で補助率は適用しようと我々は考えたところでございます。

加藤(勝)委員 いや、さっき文科省の方はほぼ一緒だとおっしゃった。皆さん方の、厚労省のこれは一緒ですか。私立の保育園は四分の一と十二分の二ですよ。だから、要するに十二分の一、約一割違うんですよ。これはおっしゃるように一緒なんですか。

高井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘のように、保育所の場合におきましては、三・八を超えるところとそれ未満のところではこのような表の補助率になって、違ってきておるところでございます。

加藤(勝)委員 よくわからないんですが、要するにそれでいいんですかという質問をずっとさせていただいているので、大臣、いかがですか。

細川国務大臣 確かに加藤委員が御指摘のように、このように幼稚園と保育所で支援の率が違うということは、やはり幼児が放射線を浴びるのを阻止というか、できるだけさせないように、そういう施策そのものは全く同じでありますから、そういう意味で、このように違っているということについては私も少しこれは考え直さなければいけないんじゃないかというふうに思いますので、検討をさせていただきます。

加藤(勝)委員 先ほど田村委員からもありましたけれども、子供さん方を抱えている親御さんの安心という意味において、幼稚園は一・〇、保育所はとりあえず三・八だ、こんなことではわからなくなってしまうわけですね。ですから、まず、少なくとも、どういう制度にするか、しかも、同じ年齢の子供さん方が通ったり遊んだりする場所について同じような施策をするというのは、当然受け手の信頼から見ても必要だと思いますから、そこはぜひ御検討いただきたい。

 もう一つ、同じ私立の保育所と幼稚園の設置者というところを見ていただきたいんですが、保育所の場合の三・八マイクロシーベルト以上でも、私立保育園の場合は設置者が十二分の二の負担をすることになるわけであります。それから、認可外、認定こども園についてはさらに高くなると思います。国の補助が私立保育園の場合、三・八マイクロシーベルト以上のところ、最大百分の八十・九と書かせていただいていますが、ここが三分の二の六六・六ということになりますから、設置者の割合はそれだけ高くなるという、同じ保育関係の施設における差異ですね。

 そして、同じ私立であっても、保育園が十二分の二に対して、私立幼稚園の方は、二分の一と書いてありますが、米印でありますように、公立とほとんど一緒だ。公立の場合には、三分の一負担について九五%の、交付税措置ということではありますけれども、そうすると、実質九八%ぐらいは国が負担をする。私立においてもほぼ同程度になるように支援するというふうに書いてあるわけでありますから、そうすると、私立の幼稚園の場合については数%に対して、私立の保育園については六分の一ですから一六、七%ということになってしまうわけでありまして、やはり設置者の負担も随分違う。

 この辺もやはり同じような、放射線に対する低減ということでありますから、そこはやはりバランスをぜひとっていただきたいということをお願い申し上げますとともに、最後に、こうしたかかった費用は、結果的に東電に対して当然賠償の対象になると思うんですが、その点はどうなんでしょうか。

岡本大臣政務官 そういった国庫補助のいろいろなばらつきというかあり方というのは、津波災害でも実際御指摘はいただいています。しかし、残念ながら、全部一律ということもまた、逆の意味で問題があるのかなということは感じているところであります。

 いずれにしましても、こういったかかった費用、これから政府全体で、原子力賠償のあり方、どうしていくかという検討の中で議論が進んでいくものだと承知をしております。

加藤(勝)委員 今、政務官、非常に不思議なことをおっしゃった。一律はいかがなものかと。皆さん方は、新システムの中で一律にしようとされているんじゃないんですか。そういう観点からして、我々は新システムに対して議論はありますけれども、少なくともこういう放射性汚染、こういう問題に関しては一律の対応があってしかるべきだ、私はそう思いますけれども。

岡本大臣政務官 いや、私は、津波の被害などでもというお話をしたところでありまして、津波の被害なんかでも、施設ごとに国の支援の割合が違うということについて議論があるという中で、一律にするということについても、それが本当にいいのかということの一方での議論もあるということをお話ししたまでです。

加藤(勝)委員 いや、だから、政務官がおっしゃっているのは、私は一律にすべきだと申し上げるのに対して、そうではないと言っているわけじゃないですか。(岡本大臣政務官「そういう意見もある」と呼ぶ)いや、だから、そこのところは、皆さん方の方向とも私は違うと思うし、本件については、全く一緒というのはないかもしれないけれども、ほとんど同じぐらいのレベルにしていくというのが当然の対応だということをつけ加えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

 では、大臣にひとつ、統一の見解を教えていただきたいと思います。

細川国務大臣 私は、これは、同じような子供の養育の場でありますから、できるだけ同じような対応をしていくということを考えていきたいというふうに考えております。

加藤(勝)委員 ぜひそのように対応して、同じようにというのは、下げるんじゃなくて、高い方へ合わせていただくことをお願いしたいと思います。

 それで、実際問題、そうはいっても、一マイクロシーベルトのレベルに表土除去をしても、正直言って使われていないというのが、私どもが行かせていただいた保育園の現状であります。親御さんから、やはり心配だ、子供は外で遊ばせないでくれ、こういう指摘がある中で、多分、いや、そうはいっても、遊ばせていいよという親御さんもいると思うんですが、それをまたばらばらにしたら、今度子供の中において非常に問題があるということで、多分いろいろと本当に御苦労されているんだというふうに思います。

 さっき、文科省の方もいろいろ議論をしていくという話が田村委員からの質問でございましたけれども、厚労省も、福島県内の保育所等の園舎・園庭等の利用判断における暫定的考え方についての通知というのが出されているわけでありますけれども、たしか田村委員の資料の中に入っていたと思います。その中で、やはり、おおむね八月下旬までの期間を対象に、それによって措置の追加も考えると。

 こういうことも含めて、実際、せっかく表土をかえている、しかしそれでも使われない、しかし、子供は外で遊んだ方がいい、やはりその辺のバランスの中で、各園任せではなくて、厚労省としてもこの問題について取り組むべきだと思いますけれども、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

高井政府参考人 現状を御報告させていただきますけれども、今の保育所の土壌の入れかえを行うということによりまして空間線量の大幅な低減がなされるというふうに考えておりますけれども、先生御指摘のように、やはり保護者の方でいまだ不安を感じておられるというようなことで、屋外活動について控えているという実態が見られるところでございます。

 今回の視察におきましても、心のケアについて自治体の方で取り組みをしておられますし、私どもといたしましても、関係省庁と連携しながら、線量を減らす、安心できるようにするということに取り組んでまいりたいと考えております。

加藤(勝)委員 ぜひそのような取り組みをお願いしたいと思います。

 それから、先ほど、津波等々の措置について一律の対応云々もありましたけれども、こうした子供さん方の施設だけじゃなくて、医療機関、特に民間医療機関をどうするかという問題も当然これから議論をさせていただかなきゃいけない、そのことを一言加えさせていただきたいと思います。

 それから、やはり雇用というのは大変大きな問題であります。

 先般、これは大臣のお取り組みで、被災者雇用開発助成金、これは被災企業が、被災したことに伴ってこれまで勤めていた方を一回解雇する、そして、どうにか立ち上げていこう、一番いいのは、やはりもともといた人に入ってきてもらおう、しかし、それが対象にならないという指摘があって、いろいろ御苦労されて、今回、成長分野等人材育成支援事業の拡充ということで、一つの職業訓練をその中で行ってもらう、こういう仕組みでいろいろお考えいただいたということだと思います。

 その辺は、いろいろ御工夫をいただいたことに対して評価をし、感謝を申し上げたいと思いますが、ただ、やはりそうはいっても、被災企業が立ち上げるといういわば通常ではない状況の中での職業訓練ということになるわけであります。計画を立てるのも、普通であればできることが、それどころじゃないという状況の中でやっていくということでありますから、そこは非常によく勘案をしていただきたい。しかし一方で、余りルーズにすると制度というものがもたなくなるということはありますけれども、そこはぜひ、実態に沿った中でこの本来の趣旨が生かされるような運用を大臣にお願いしたいと思うんですが、大臣の御認識をお願いしたいと思います。

細川国務大臣 職業訓練といえばオフJTの方が一般的に多いのではないかというふうに思いますが、災害を受けて、そして再起してやっていこう、こういう企業において、オフJTだけではなかなか利用しにくい、こういうこともあって、そこで、オン・ザ・ジョブ・トレーニング、企業の中でやる訓練も一緒に行えるような、そういういろいろと工夫をした形で支援をしていく、こういうことにいたしております。

 そこで、どういう形でやったらいいかということについては、これは余り企業主に負担がかかってもいけませんし、かといって、安易な形でいきますとこれはまたモラルハザードにもなりますので、そこは私ども気をつけておりまして、どういう訓練コースがあるかというような具体的なことも企業主にお示しをして、うまくやれるようなそういう工夫もぜひしたいということで、そういうための説明会なども積極的にやっていって、この制度をぜひ活用していただくようにしたいというふうに考えております。

加藤(勝)委員 ぜひ、それはせっかく大臣が工夫をしてつくっていただいた制度でございますので、まさにうまく適切に運用していただきたいというふうに思います。

 それから、これは新聞報道でありましたけれども、勤務先が津波とか地震によって被災をして瓦れき等がある、したがって操業を停止しました、したがって、そこで働いていた方は雇用関係が切れて失業保険をもらっていると。しかし、一日も早くそれが立ち上がり、経営者も立ち上げたい、では瓦れき処理ということで、ボランティアに行って少し片づけたり何やかんやしようというときに、その新聞によると、そういうボランティアであっても、「「会社の指揮命令下でなされたのであれば、無報酬であっても就労していたと考えられる」(厚労省)」という括弧つきの厚生労働省のコメントがあったんです。

 私は、特に指揮命令というのは、例えば瓦れきをここからこっちに運んでくれとか、これは当然あり得ることだと思いますし、これは無報酬であれば基本的にボランティアということで処理されていいのではないかと思いますけれども、その辺の見解について厚労省にお伺いいたします。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 瓦れき処理等の雇用保険の取り扱いにつきましては、今先生御指摘されましたように、瓦れき処理等をボランティア、これはボランティアでございますので、自発的かつ報酬を得ない労務の提供という形で行った場合には、雇用保険の認定につきましては、それは失業というふうに認定をしていくということで、この取り扱いについては通知も発出しているところでございます。

 ただ、今先生おっしゃいましたように、これは事実認定の問題だとは思いますけれども、御指摘のように、瓦れき処理を雇用関係つまり業務命令によって行ったという場合には、就労しているわけでございますので、これについては失業とは認められないということだと思います。

 もちろん、先生御案内のように、不認定となった日の分につきましては、これは受給期間内でございますけれども、後ろ倒しになるという仕組みでございますので、私ども、このボランティアに係る先ほどの取り扱い、こういうものをちゃんとしっかり周知してまいりたいというふうに考えているところでございます。

加藤(勝)委員 だから、その後半があるからわからなくなるんですが、要するに無報酬なんですよ。無報酬であっても就労関係があるとみなされることがあるということですか。

森山政府参考人 もしこれが業務命令で無報酬であれば、これは賃金不払いというような別の問題になってくるだろうと思っています。

 ですから、その業務命令であるかどうかというところにつきましては、やはり事実関係の認定だと思っておりますので、先ほどのボランティアの通達、こういうものを踏まえまして、そういうものを周知することによって適切に判断していきたいというふうに考えているところでございます。

加藤(勝)委員 法律の運用のたてりというのはあるとは思いますけれども、実際の現場からすれば、何しろ早く立ち上げて、早く会社が復活して、早くそこで本来の雇用関係を結びたいという思いの中で動いている話と、まさにそうした不法就労みたいな問題とは、私はちょっと切り分けて運用していただくというのが本来の筋だと思いますし、余りいろいろなことを言い出すと、していいのかしていけないのかわからなくなってしまうんですね。だから、やはりそこははっきりさせていただきたいというふうに思います。

 失業の実態についても少しお伺いしたかったんですが、ちょっと時間がないので。

 最後に、きょうは国民年金改正法等についての議論がございますけれども、この中で、いわゆる三年間の期間限定で十年間過去にさかのぼって保険料が納付できる、こういうような中身もございますけれども、まさに被災の前にいわゆる運用三号の問題というのが大変議論になりまして、大臣ともいろいろ議論をさせていただきました。

 結果として、社会保障審議会の第三号被保険者不整合記録問題対策特別部会の報告書、これは五月二十日に出ているんですけれども、その中において、最後に「おわりに」ということで、「政府において速やかに成案を得た上で、国会において立法化に向けた議論が行われることを期待する。」こういうふうに書かれております。

 よくわからないのは、「成案を得た上で、国会において立法化に向けた議論」というのはどういうことを指しているのかわかりませんが、いずれにしても、この運用三号の問題というのは、放置していい問題ではありません。特に、あの問題があったわけですから、これからどういう形でこの運用三号問題に関する対応を考えておられるのか、具体的なスケジュールをお示しいただきたいと思います。

細川国務大臣 この運用三号問題につきましては、委員が御指摘のように、社会保障審議会の特別部会におきまして議論をしていただきまして、五月二十日に報告書をいただいております。

 この報告書の中では、年金記録の不整合期間については空期間とすること、直近の十年間等に生じた不整合期間については保険料の特例的な追納を可能とするというような、抜本的な、具体的な内容が提言をされております。

 そこで、私どもとしましては、この御提言も踏まえて、今どのような形で条文をつくっていくかということの検討をしたり、あるいは年金で共済年金の方とも関係をしてまいりますので、その関係省庁とも調整をいたしておりまして、抜本改善策の案を取りまとめる作業を今進めておりまして、それがまとまり次第、法案を提出していきたいというふうに考えております。

 また、この三号不整合記録の再発防止ということもいろいろと申し上げたいと思いますけれども、これには、まず御本人の種別変更の届け出が適切に行われるように、被保険者に対する制度の周知や啓発を一層行っていくということ。

 それから、医療保険におきます扶養外れの情報、これは百三十万をオーバーした場合のことなんでありますけれども、この情報が日本年金機構に入っていくような、これは現在では共済あるいは協会けんぽ、これらの情報が入るようになっておりますけれども、健保組合の方がまだ入ってきていない。だから、そこが入れるようにきちっと今協議もいたしておりまして、その法案の中にも組み込んで、そこできちっと情報がとれるようにしていくということも今作業を進めているというところでございます。

加藤(勝)委員 ちょっと具体的なスケジュール観というのがお出しいただけなかったんですけれども、いずれにいたしましても、「速やかに」と報告書でも書いてございます。具体的なスケジュール、大体いつごろまでにというめどを持って対応していただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

牧委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、一般質疑の終わりました後に年金確保支援法の採決がある予定でございますので、最初、年金関連の質問をしてまいりたいと思います。

 私たち公明党が二〇〇四年以来一貫して推進してきたのが、この国民年金保険料納付期限を現在の二年から十年にするという改正点でございます。無年金また低年金問題の解決へ一歩前進である、このように考えております。

 この法案では、納付意欲を阻害するとの懸念があることも踏まえまして、この納付期限の延長を三年間の時限措置といたしております。せっかくの今回の措置でございますので、この三年間という期間なんですが、この対象となる方々、できるだけ多くの方々が事後納付ができるように対応していかなければならないと考えております。この周知徹底について、まずお伺いしてまいります。

岡本大臣政務官 御指摘いただきましたように、閣法として提出をさせていただいた法律を衆議院において、三年でしっかり頑張るように、こういうことで修正をいただいたところでありまして、この三年間をしっかり我々は周知徹底に努めなければいけない、それは考えております。

 したがいまして、この法律を成立させていただいた暁には、年金事務所等の窓口にリーフレットを用意して皆さんにお知らせをしたり、また、政府広報や厚生労働省及び日本年金機構のホームページを活用して、広くお知らせをしていきたいというふうに考えています。

 とりわけ、十年で、つまり十年を過ぎるとこれは支払うことができなくなりますから、十年に近い古い記録を持ってみえる皆さん方に優先してお知らせを送付することを予定しておりまして、こういった皆様方にまずしっかりとお知らせをしたいというふうに考えています。

古屋(範)委員 ぜひ積極的に政府の側から働きかけて、周知徹底をしていただきたいと思っております。これによって年金の受給資格が得られる方がいらっしゃると思いますので、徹底をよろしくお願いしたいと思います。

 私たち公明党は、現行の年金制度をよりよい制度に改善するために、この無年金、低年金問題を解決すべき第一の課題と考えまして、さまざまな提案もしてまいりました。

 まず、今回の事後納付二年から十年への延長措置でございますが、さらに、受給資格期間が現在二十五年、非常に長期間となっております。世界的に見ても非常に長い年月であります。これを十年に短縮すべきと考えております。国民年金などの受給資格を得るのに、こうした二十五年の加入資格、現在の不況、また年金不信などで、保険料の未納がふえております。七月十三日に厚労省が発表いたしました二〇一〇年分の納付率は五九・三%であります。前年度より〇・七ポイント低下をして、五年連続で納付率が下がっており、過去最低を更新いたしました。老後に低年金、無年金になる人がふえる可能性が高くなり、さらなる対応が迫られております。

 そこで注目をされますのが、七月一日に閣議決定ではなく閣議了承された、税と社会保障の一体改革案でございます。民主党が二〇〇九年の衆議院選で、社会保障、年金の抜本改革、消費税の維持、こういうマニフェストを掲げられて政権交代を果たされたわけであります。しかし、今回の一体改革案を見ますと、社会保障は現行制度の延長線上と言わざるを得ません。全く抜本改革となっていない。そして、消費税の維持ではなく、引き上げが明記をされている。このような案が示されました。一体どうなっているんでしょうか。

 民主党は、マニフェストで、子ども手当、高速道路の無料化など、財源について、税金の無駄遣いを根絶して歳出削減をするとおっしゃっていました。今さら言うまでもございませんが、政権を担った後、歳出削減はこのとおりには進んでおりません。安定的な財源も見出していない。そして、今回、消費税の引き上げを明記した。これは完全にマニフェスト違反であります。

 これは、朝日新聞七月十二日付、民主党の政策責任者であり大臣でもある玄葉光一郎さんがこのようなことをおっしゃっています。「ただし、財源についてはマニフェストに欠陥があった。高齢化に伴い、社会保障費は毎年一・一兆円ずつ自然に増えていくが、その分を考慮していなかったのは甘かった。」まさに党の政策責任者が平然とこういうことを言われている。驚きを禁じ得ないわけであります。

 前政権におきましては、二〇〇四年、年金の改革を行いました。民主党は大反対をされた。この委員会のドアを壊してまで、体を張って大反対をされて、御自分たちのマニフェストを掲げて政権交代をされたわけであります。

 しかし、自然増一・一兆円は余り考えていなかった、こういう発言がございました。私たちは、この社会保障費の自然増といわば悪戦苦闘してきたと言っても過言ではございません。給付と負担のバランス、また、持続可能な社会保障制度を確立するためにはどうしたらよいか、年金、医療、そして介護と、累次の改革を行ってまいりました。それに反対をされて政権交代をされたわけであります。

 そして、その民主党のマニフェストの柱である年金の一元化あるいは最低保障年金の創設、この大改革を掲げられたわけですが、今回の一体改革案では、国民的な合意に向けた議論や環境整備を進める、こういう文言で片づけられています。衆院選で既に国民は民主党のマニフェストを選び、支持をされて、そして政権交代が果たされたわけです。今さら、議論する、これはないのではないかと思っております。衆院選で公約した最低保障年金の創設というこの新年金制度の設計を先送りされた。今回もまた給付する対象範囲や消費税は何%になるかなど、具体的な数字は一切示されておりません。

 一体、新年金制度はいつ具体化されるおつもりなのか。いつかは実現する、そのまま逃げ切るおつもりなのか。改めてお伺いしたいと思います。新年金制度の具体的な姿、制度設計、これはいつ出されるのか。二年前の衆議院選では年金改革を公約として政権交代を果たしたのですから、今回の一体改革案で民主党の主張する年金制度の制度設計をはっきり示すべきであった。それを示さなかった理由について、国民に御説明をいただきたいと思います。

細川国務大臣 年金制度、特に新しい年金制度につきましては、私どもは、所得比例年金と最低保障年金を組み合わせる、そして一つの公的年金制度にいたしまして、すべての人が加入をする、こういう方向を目指しております。すべての人が加入する制度、そういうふうに改めていくというのは本当に、年金の制度の抜本的な改革でありますから、これは国民の皆さんの合意というのが不可欠でございます。

 また、自営業者の人も含めて一元的な制度を実現する、こういうことになりますと、やはり社会保障・税にかかわる番号制度の導入、そしてまたそれの定着とか、あるいはまた、税と社会保険料を一体的に徴収する体制、歳入庁というようなことを考えておりますけれども、それをつくるというような、そういう環境整備が必要でございます。

 こうしたことから、今般の一体改革の成案では、新しい年金制度につきましては、その方向性と骨格を示しまして、国民的な合意に向けた議論や環境整備を進めて実現に取り組んでいきたい、こういうことであります。

 そこで、いつということでありますけれども、一応、私たちは、平成二十五年度、ここで新しい年金制度の法案を提出していきたい、こういうふうに考えております。ただ、委員もおっしゃったように、年金制度は大変難しいといいますか、改革そのものがなかなか容易ではないということ、これはこれまでもずっと政権につかれた人たちが大変苦労をされたところでございます。

 私どもも、やはり国民的な合意を得るということについては、それはそれで大変な努力をしなければいけないというふうに思っておりまして、そのためには、この国会でのいろいろな御議論、あるいは与野党間の協議をさせていただいて、与野党間のいろいろな合意も得ていただくというようなことを前提としながらこの二十五年の法案の提出をお願いしてまいりたい、このように考えているところでございます。

古屋(範)委員 年金は難しい、自営業者との一元化は難しい、そんなことは初めからわかっていたと思います。前政権においては、既に厚生年金と共済年金の一体化をするという法案も提出をしておりました。平成二十五年に法案を提出するのであれば、その構想、共通番号制度をいつまでに導入するのか、その他の制度設計も明確に既に示されていなければできないのではないか、このように思います。抜本改革するのであれば、その費用はけた違いに大きいはずであります。これをはっきり示さなければ、その増税幅も決まるわけがないわけであります。

 これは七月二十二日付朝日新聞、記者の山田史比古氏はこのように書いています。「民主党の一体改革案では、最低保障年金の支給対象を「一定レベルを超えたら徐々に減額、あるレベルで給付ゼロ」としたが、その水準額は示さなかった。実は、厚生労働省が内密に四案を試算し、生涯の平均年収が「三百万円を超えたら減額、六百万円で支給なし」とする案で一度はまとまった。これなら、二〇五五年度の年金支給に必要な財源は三十八兆七千億円で、今の制度を維持するより十二兆円近く増える。それでも中間層は年金が減るうえ「財政的に無理」などの反対論が出て、試算は封印された。」このように書いております。

 これまで私も本委員会で年金について質問してまいりましたけれども、改めて公明党の主張しております提案についてお伺いをしたいと思っております。

 この新しい年金制度がいつ実現するのか、いまだこの最低保障年金の範囲は示されておりません。

 公明党は今回の年金確保支援法案とあわせまして、年金受給者を拡大する対策として、受給資格を現行の二十五年から十年に短縮、そしてその上で、年金の受給額が少ない人には基礎年金を税金で二五%上乗せする加算制度の創設を訴えております。この公明党提案の受給資格の短縮そして加算年金制度の創設について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

細川国務大臣 今の御質問の前に、番号制度のことについてちょっと言い忘れましたけれども、税と社会保障の共通番号、この番号制度については、ことしの秋にもその法案を提案したいということで、今準備を進めているところでございます。

 そこで、御党の受給資格期間の短縮あるいは低所得者の加算制度の導入の件でございますけれども、今度の私どものこの六月三十日に決定いたしました改革案の中で、年金の最低保障機能の強化の観点から、御党の言われます受給資格期間の短縮、低所得者への加算といった、現在発生しております低年金、無年金問題への対応策も検討項目として掲げられております。

 そこで、今後どのようにしてそれらについてやっていくかということにつきましては、社会保障審議会の中に年金部会を今月中にも立ち上げまして、この現行の年金制度の改善などについて、制度化に向けた具体的な議論をしてまいります。そのときに、今言われました受給資格期間、これはもう短縮の方向です。そして、低所得者の加算制度、これも導入をする。どういう形でやるかということについて、この八月にも立ち上げますその部会で検討させていただきまして、税制の抜本的な改革とともに来年の国会にでも提案をするように取り組んでいきたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 今、大臣の御答弁を伺っていまして、今回の一体改革案は、民主党マニフェストに沿った案ではなく、むしろ公明党の年金案に沿ったもののように聞こえてなりません。しかしながら、今、足元の低年金、無年金の方々を救うために、受給資格期間の短縮、これも導入の方向とおっしゃっておりますし、また、加算年金制度の導入、これはぜひとも実施をしていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。

 次に、先ほど加藤委員からも質疑がございました第三号問題についてお伺いをしてまいります。

 専業主婦の年金切りかえの漏れの問題が非常に深刻であります。厚生労働省の推計で、切りかえ漏れのある人、九十七万四千人である。また、記録を修正すると四十七万五千人の年金が減額をされる。このため、厚生労働省は対応策を検討して方針を固めたと伺っております。

 この救済策を進める過程で、政府の方針が変わる、実施をめぐり大きく混乱をしたこと、これは震災前でもございました。記憶に新しいところです。問題の原因は、前大臣のもとで、法律によることなく、課長通達によって、私たち、特に年金の審議をしていた国会議員にも知らされることなく、この救済策を進めていたという事実であります。そして、その時期がまさしく納付期限を延長しようという年金確保支援法案が検討された時期と全く重なっていたということで、私も大変憤慨いたしました。この第三号被保険者の切りかえ漏れの問題、ぜひ、最終的に、救済のあり方については速やかに決着をつけるべきだと考えております。

 この救済策を国民年金法改正案としてまとめて今国会に提出するというふうに私は聞いていましたけれども、できるだけ早くと先ほどの答弁にはございました。これがおくれればおくれるほど救済がおくれることになりますので、ぜひ、速やかにとおっしゃったんですが、次の国会で御提出をいただきたいと私は考えるのですが、いかがでしょうか。

細川国務大臣 この三号被保険者の不整合記録問題、これにつきましては、先ほども議論になりましたけれども、社会保障審議会の特別部会で審議をしていただきまして、そこから五月二十日に報告書をいただいているところでございます。

 その報告書では、不整合期間については空期間とする、あるいは、直近十年間に生じた不整合期間については保険料の特例的な追納を可能とするというような、抜本的な、具体的な内容が提言されておりまして、その提言に沿って、今、法案の準備をいたしております。

 なかなか、これまでの年金制度では初めてのような条文もつくらなければいけないとか、いろいろ苦労するところの部分もございまして、おくれております。また、共済の方の年金もありまして、財務省あるいは文科省、それから総務省、そういうようなところとの調整もしなければいけないというようなこともありまして、今、鋭意進めているところでありますけれども、私としたら、それができ上がり次第、国会の方で御審議をさせていただきたい、このように考えておりまして、これは間違いなくそのような形で早急に進めていきたい、このように考えております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。ぜひとも速やかに法案提出、お願いしたいと思っております。

 次に、震災関連の質問に移ってまいります。

 私も、一日の日、厚生労働委員会の理事として福島県に現地調査に行ってまいりました。

 特に、Jヴィレッジに参りまして、一日三千人の方々がそこで着がえをし、作業に出かけ、そして戻ってこられて線量をはかり、そして戻っていかれる。除染場もありました。もちろん、診察をする場所もございました。そこで飛び交っている言葉などを聞くにつけましても、本当にこれは並々ならぬ御苦労があるなと作業員の方々に関して感じました。また、作業員の方々の管理のバーコード化につきましても六月八日にスタートした。また、写真入りの管理については七月下旬、といっても七月末日にやっと導入がされたということで、これだけの方々の管理、本当に厳密にできるのかどうか、あの状況を見ただけでも私は非常に危惧を感じました。

 それで、放射線管理の被曝管理の一元化ということでお伺いをいたします。

 この東京電力福島第一原子力発電所の事故からもう五カ月がたっているわけなんですが、国とか電力会社も想定をしなかった事態に対して、これまでなし崩し的に規制、関与が行われて、放射線管理のずさんな実態が明らかになってきました。こうした実態の検証を随時行って、万全な対策を図っていかなければならないと思っております。無用な被曝労働とそれによる健康被害を極力なくしていかなければなりません。

 私は、先日、日本原子力研究開発機構の柴田徳思先生の講演を伺いました。

 それによりますと、日本を初めとして多くの先進国では、放射線作業者に対する線量限度の値は、国際放射線防護委員会、ICRPの勧告を尊重して、生涯線量が一シーベルトを超えないようにするために、五年間ごと百ミリシーベルト及び一年間五十ミリシーベルトを上限値として規定している。しかし、日本では個人ごとの線量を集積する体制が整っていない。雇用が多様化をしております。特に非正規、また日雇い雇用、日雇い派遣というような方々も多いわけです。ましてや、医療研究分野では異動も多いということで、放射線作業者については、法令上の線量限度を超えていないことを確認するシステムが現在ありません。このために、線量限度を超えて被曝をしている放射線作業者が確認をされているにもかかわらず、法的に必要な措置がとられていない。そして、その放射線作業者個人の生涯線量を、作業所が異なっても同一個人であることを確認できるようにすべきであるという御提言をいただきました。米国ですとかEU諸国では、この一元管理が実施をされているそうであります。

 国としては、放射線作業者の被曝線量を一元的に管理するシステムの確立の必要性を十分に認識して、具体的なその方法、法令等で規制、徹底をしていく必要があるのではないか。被曝管理の一元化について、所管する省庁、関連する法令及び事業者が多い。あそこの三千人は本当に相当な数の子会社に雇われた、それもまた派遣社員も多いのが現実です。一元化に向けた具体的な検討を早急に開始すべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

細川国務大臣 委員御指摘のとおりだと思います。こういう放射線の業務に従事する方の健康の管理というのは、そのときだけではなくて、やはり生涯、後発的にも起こりますから、これはしっかり管理をしていかなければというふうに思っております。

 そこでまず、今、東電の第一原発の緊急作業に従事をしている人、この作業員の皆さん方については、作業についた人全員のデータベースを国が新たに構築いたしまして、これは生涯を通じて一元的な管理をする、こういうことにいたしました。そして、専門家の委員をお願いして、検討会でどういうふうにこれをやっていくのかということの詳細を今検討していただいているところでございます。したがって、第一原発の作業員はこういうふうにして一元的に管理をするということで、これは特に高い放射線を被曝する可能性も高い、こういうことで長期的な健康管理を行う目的でこういうふうにしたわけであります。

 しかし、そのほかの放射線業務につかれている方もたくさんいるわけですね。その人たちについての一元的な管理をして長期的に健康管理をしていくということにつきましては、これは厚労省だけではなくて、他の省庁、文科省とか経産省とか、そういうところとも協議をいたしまして検討をしてまいりたい、このように考えております。

    〔委員長退席、郡委員長代理着席〕

古屋(範)委員 ありがとうございます。

 確かにこの問題は文科省また経産省と、他省庁にまたがる問題でもございます。縦割りではなく、それぞれ協力をして、ぜひ一元管理に向けて早急に制度設計をつくっていただきたいと思っております。

 次に、仮設住宅のサポートセンターの問題について質問してまいりたいと思います。

 仮設住宅に入って孤独死というような事件もございました。私も、仮設住宅におけるあらゆる健康支援あるいは生活の支援等々、サポート拠点の設置を訴えてまいりました。やっとその第一号が岩沼市に設置をされまして、先日、十一日に行ってまいりました。

 この岩沼市は、仮設住宅の建設を非常に急ぎまして、市長を先頭に頑張って、役所の職員なども積極的に被災者の仮設住宅への移転を呼びかけていらっしゃいました。そこで最も早く避難所のゼロを確立した市であります。

 里の杜地区というところがあるんですが、合計三百八十四戸の仮設住宅の整備がいち早く完了いたしまして、千人余りの希望者すべて入居が終わっております。もともとの集落がそのまま入ることができた、非常に地の利のいい、ここの真ん中に総合福祉会館があり、その周辺に仮設住宅をつくることができ、役所等もここに集積をしているという非常に恵まれたところではございました。

 この仮設住宅で、孤独死ですとかあるいは心のケアのことなども含めまして、高齢者また障害者が安心して生活が送れるようにということで、被災者を包括的に支援するために里の杜サポートセンターというところが市の総合福祉センターにつくられました、本当に一部屋なんですけれども。

 この運営は青年海外協力協会、JOCAというところに委託をしております。当初、私は、どちらかというと福祉法人ですとかあるいは介護の関連の方々に委託をしていくのかなというようなことを想像していたんですが、実際に岩沼市では青年海外協力協会に委託をしておりまして、まず最初、二人の若い方がこの任務に当たっていらしたんですが、お一人はケニアで二年間難民支援を行ってきたということで、実際そういう方々が被災者支援を行うというのは非常に適しているなと私自身は感じてまいりました。

 このJOCAは、震災発生当初から岩沼市と、幅広い専門性とかまた人的リソースを駆使して、ずっと一緒に支援活動を行ってきた、その延長線上にサポート拠点の委託があったわけです。早速二名の方が仮設住宅を回って、今やはり暑いですので、ともかく非常に暑いんですね。ですので、熱中症対策のことなど一軒一軒回っていらっしゃって、内職をしたいんだけれどもその職はないかどうかとか、そういうような相談も受けていらっしゃいました。

 ここは単独世帯というのが非常に少ないということもあり、どちらかといえば恵まれた家族環境でもあり、集落もそのまま入っているということだったんですが、普通はやはりばらばらになったり、近所づき合いもない、あるいは単独世帯が多かったりというところが非常に多いのではないかと思っております。孤独死、あるいは孤立、引きこもり、こういうことを防ぐためにも、ぜひこのサポート拠点をつくっていかなければならないと考えております。

 名取市などで仮設住宅での孤独死が報道されました。被災者の皆様は、やはり悲しみがあり、その上、避難所にいてやっと仮設住宅に入ったわけですけれども、この時期をどう支援していけばよいのか、国として最大の支援をしていただきたいと思っております。このサポートセンターの取り組み、ぜひ被災地全体に広げていただきたいと思っております。

 仮設住宅入居者のためのサポート拠点の整備の現状、そしてこの設置の促進についてお伺いをしたいと思います。

岡本大臣政務官 今御紹介いただきました岩沼市の事例を含めて、現在、サポート拠点の設置に向けて、小規模な拠点も含めて七十九カ所程度の設置が見込まれていまして、随時開所していくというふうに理解をしております。

 被災県と相談をして、今後、やはりニーズを踏まえて対応していく必要があると思いますので、委員から御指摘をいただきました意見を我々もしっかり受けとめて取り組んでいきたいと思います。

古屋(範)委員 もう一つ確認をさせていただきたいんですが、この事業、第一次補正予算案で介護基盤緊急整備等臨時特例基金の積み増しが行われまして、地域支え合い体制づくり事業としてこのサポートセンターの設置が進められております。対象となる、災害救助法の適用を受けた市町村を有する都道府県の中でも、岩手県、宮城県、福島県の三県を重点的に予算がつけられまして、各二十億、十分の十を国が負担するということになっております。

 私も、こういう被災後の社会的弱者に対する包括的な機能を持った地域のサポートセンターをまずきっちり設置してほしいと思いますし、また、人が回れる頻度というものも限りがありますので、ぜひITなども活用して見守り体制を確立してほしいと思っておりました。非常時緊急通報装置というものが全く設置をされていないようであります。少し時間的余裕のある場合だったら人が行けるかとは思うんですが、脳卒中とか心筋梗塞というような場合にはこうしたITを使った見守り体制も非常に有効であります。

 このことをITを使った見守り体制ということで市会議員また県会議員にも私もお話をいたしました。そこで、予算を使いたいと市から県に申請をしたんですけれども、これは宮城県なんですが、予算がないと言われたそうなんです。今後、サポート拠点の維持のために予算を使い切りたくない、これが県の意向だそうです。基金を積んで残しておきたいという意向だそうです。これでは、市では限られた予算内でサポート拠点の整備をしなければいけない、なかなか地域住民のニーズに合わせて自治体が自由に制度設計ができないと心配をしております。

 このためにも、地域支え合い体制づくり事業予算を今後も引き続き、第三次補正予算、そして来年度予算でも必ず十分な予算を確保してほしいと思っております。このことをぜひ細川大臣から明言していただければ、各県も、使い切らずにとっておこうと思わずに、安心して第一次補正を使えるのではないかと思っております。この予算の確保についてお伺いをしたいと思います。

細川国務大臣 委員が御指摘になりましたように、第一次補正予算におきましては、地域支え合い体制づくり事業ということで約七十億円を確保いたしておりまして、仮設住宅におきます高齢者の安心した日常生活を支えるため、総合相談あるいは居宅サービス、生活支援サービス、地域交流など、総合的な機能を有する、お話のありますこのサポート拠点の設置、運営を推進いたしているところでございます。

 そこで、岩手、宮城、福島県、この三県におきましては、このサポート拠点の設置状況については、先ほど報告をしていただきましたけれども、今は七十九カ所程度なんですが、今委員が言われたように、まだそれでも自治体の方の要望もあるというふうにも聞いておりまして、私どもとしては、どんどんやっていただきたい、また、やらなければならないというふうに考えております。

 したがって、第三次の補正予算におきまして、厚生労働省としては、引き続き、このサポート拠点がしっかり整備をできるように、そのためのニーズにもいろいろとこたえられるように次の補正予算でしっかり組ませていただきたい、このように考えておりますので、委員の方からも、そういうお話がありましたら、ぜひそういうふうに自治体に伝えていただきたい。私どもの方も、きちっと自治体の方にも伝えてまいりたいというふうに思っております。

    〔郡委員長代理退席、委員長着席〕

古屋(範)委員 大臣の方から三次補正で積み増すと御答弁をいただきましたので、これで安心して県の方も一次補正を使うことができると思いますので、ぜひ予算の確保をよろしくお願いしたいと思います。

 時間がなくなりました。最後に雇用問題、一問だけお伺いいたします。

 七月八日の質問の際、被災者雇用開発助成金、地域雇用開発助成金といった被災者雇用を促す助成制度について、再雇用も対象にということでお願いをいたしました。小林政務官の方から、事業再開を目指す事業主については、資金面での支援を必要としているケースが多いので、事業の再開に当たって以前働いていた労働者を再雇用する場合、事業主の負担を軽減するために何らかの支援をしたい、このような御答弁をいただき、その結果、今回、中小企業主に対する支援措置として、成長分野等人材育成支援事業が拡充をされました。これは非常にありがたいと感謝をいたしております。

 この事業、少しわかりづらいとの御指摘もいただいておりますし、また、担当部局、被災地、地元企業に対して周知をしっかり図り、活用していただきたいと思っております。これについて、一言お願いできればと思います。

小林大臣政務官 七月八日のこの委員会で、委員の方からそういう御指摘もございました。また、参議院の予算委員会でも同趣旨の発言もありまして、検討させていただきました。

 その結果、先ほどおっしゃったように、成長分野等人材育成支援事業の中で何か対策を講じていきたいということで、OJTだとかオフJTだとか、そういう研修を行った場合に支援をしていこう、こういう判断をいたしまして、そこの部分を拡大したということでございます。再雇用の人でも、場合によっては、同じ会社ですけれども違う仕事をやっていかなきゃいけない、こういう機会もあるんじゃないか、こういうことからこの制度を活用したところでございます。

 御指摘のとおり、せっかく拡大いたしましたから、周知が十分図れるように、これからも厚生労働省として精いっぱい対応をしていきます。

 以上です。

古屋(範)委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。

牧委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 私も一日、委員会の視察に参加をさせていただきました。古屋委員のお話にもあったわけですけれども、Jヴィレッジにも初めて行くことができまして、そのとき見た光景は大変衝撃的に思いました。

 一日三千名の作業員が仕事をしているわけでありますけれども、皆さん、多くの方が無表情で、不安ですとかあきらめですとか怒りですとか、いろいろな思いを押し殺しているのかな、そういう思いをいたしました。

 タイベックスを脱いでスクリーニングをするわけですけれども、そこの場面を我々は見せていただいたんですけれども、案内をしてくれた東電の方が、今、あの方たちは汚れたところから来て、検査をして、きれいなところに戻っていくのだ、そういう表現をしたわけです。汚れたところと言いました。そしてまた、汚れているのでと言わんばかりなのか、私たちが視察をするときに、この人たちに触れないようにというようなことを非常に言われました。大変、なぜこんなことになったのかということを考えていると、この表現はないだろう、とても許せない、そういうふうに思いました。

 この間、原発労働者の被曝問題について何度か取り上げてきたわけですけれども、厚労省としてもさまざまな対策をされて、全国から派遣による医師の常駐体制などは非常にありがたいと思っております。

 ただ、夕方、帰りますと、大変ショックなニュースが飛び込んでまいりました。十シーベルトと。これはすぐに、ジェー・シー・オーの臨界事故で亡くなった二人の作業員のことを思い出しました。まさにそういう値であります。

 一分半で緊急作業時の被曝限度量である二百五十ミリシーベルトを超え、一時間では死亡すると言われている放射線量、これが福島第一原発一号機、二号機の原子炉建屋の間にある主排気筒付近で測定されたという発表だったと思います。

 なぜ、今になってこれほど高い数値が検出されたのか。またその後、建屋内で五シーベルトという検出もあったわけでありますけれども、どちらも、まあこれ以上測定不能ということで、十ではないわけですよね、十以上ということである。そういうことが非常に衝撃を与えたわけですけれども、原発敷地内でまだほかにもあると思いますが、どのように考えているのか、まず保安院に。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 その放射線レベルの高い状況がこれ以上ないのかということでございます。

 東京電力によりますと、瓦れき撤去作業後の線量の確認を行うために、線量を測定するガンマカメラで撮影したところ、一、二号機の、先ほどお話のございました主排気筒の底部付近の配管に高い線量というものを確認したわけでございます。これを受けまして、一昨日、一日に、同社の作業員三名でございますが、配管表面を測定した結果、時間当たり十シーベルト以上の放射線量が確認されたということでございます。また、昨日でございますが、一号機の原子炉建屋内において時間当たり五シーベルト以上の放射線が確認されたという状況でございます。

 現在、瓦れき撤去の作業を行い、撤去した後に放射線の線量の確認を行うという作業を行ってございますし、また、原子炉建屋内におきましては、放射線量率の調査を継続して行っているところでございます。

 その高い線量率が今後計測される可能性、これは瓦れき撤去や建屋内での測定調査を行っているところでございますので、可能性はあるというふうに承知しております。

高橋(千)委員 今、まだこの先もそうした高い線量が検出される可能性があるということであったと思います。また、ベントのときの放射性物質が配管内に残ったのではないかということが、専門家の説がるる報道などにも紹介をされているわけですけれども、そうなると、原子炉容器内にさらに高濃度の放射性物質が残っているという可能性も否定できないし、そして現時点の作業の中では、その高濃度の放射性物質が完全に閉じ込められており外への影響がないとは言えないということも否定できないということになるのではないか。イエスかノーかで。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 どういう形でこういう高濃度のものが出たかということについては調査中でございますが、先生御指摘のように、ベントの過程において放射性物質が放出されたもの、それが付着した可能性があるということでございます。現在、調査を進めているところでございます。

高橋(千)委員 その次の質問にはあえてお答えがなかったかなと思います。やはり、非常に腹立たしい思いがいたします。ベントの時期から見て、これほど長い間たってからまたこの十シーベルトという高い放射線量が出てきた、ではその間どうなっていたのかという本当に不安の声が広がるのは当然ではないかと言わなければならないと思うんですね。

 次に進めたいと思うんですけれども、資料を配っているわけですが、先に後ろのページを見ていただいて、昨日東電が公表しました作業の写真であります。ちょっと色が変わっているところがその検出された配管のところだと思うんですけれども、正直言って、こんな原始的な作業をやらなければならないのかということに大変衝撃を受けたわけですけれども、作業員が三人、被曝した最高値は四ミリシーベルトと紹介をされています。これらの作業員が東電の正社員なのかどうか、また、勤続年数について伺います。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 三名の作業員の方が約四ミリシーベルトの被曝をしてございますが、これらの方々はいずれも東京電力の正社員ということでございます。

 また、それぞれの勤続年数でございますが、一名の方は約三十年、他の二名の方は約十年の勤続年数であるというふうに聞いております。

高橋(千)委員 はい、わかりました。

 そこで、厚労省は、前回この問題を指摘したときに、五月二十三日から、一日の被曝線量が一ミリシーベルトを超えるおそれがある作業について、事前に放射線作業届を富岡労働基準監督署に出すよう指示をしているという答弁をしています。

 それが実際にそうなっているということを私たちは一日に確認してきたわけですけれども、では、今回の作業、三人の方が約四ミリシーベルトの被曝をされたということでしたけれども、予想される被曝量を何ミリシーベルトと東電は届け出をしていたのですか。厚労省に伺います。

宮野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の放射線測定業務につきましては、七月二十八日に東京電力から放射線作業届が富岡労働基準監督署に提出をされております。

 この作業届によりますと、予想される被曝線量につきましては、これは作業期間一カ月間でございますが、平均で約二ミリシーベルト、最高で約十四ミリシーベルトという内容になっております。

高橋(千)委員 ちょっと今、私、昨日聞いたときは十ミリシーベルトというふうに聞いていますけれども、一カ月間ということは、最大で十四ミリシーベルトになるのは、これは一カ月作業した場合という趣旨で報告だったということですか。

宮野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、この作業につきましては、これまでも継続的に作業を行っております。その中で、この平均二ミリシーベルト、最高十四ミリシーベルトにつきましては、具体的には六月の実績を踏まえてこの数字で届けが出されているというふうに承知をしております。

高橋(千)委員 ですから、聞いているのは、一カ月続けると最大の十四になるという意味ですかと。

宮野政府参考人 作業届としては、一カ月間で平均二ミリシーベルト、最高で十四ミリシーベルトということでございます。

高橋(千)委員 わかりました。

 私、これは届け出があったということをゆうべのうちに確認しております。それで、結局、放射線管理をするために、一ミリシーベルトを超えるだろうと思われる作業は届け出をしてくださいと厚労省は決めた。しかし、現実にそれが何かの歯どめになったのかなと。要するに、これは避けられぬ被曝だから仕方がないということなのか。一月たつと十四ミリシーベルトですよとわかっていたものを認めるのか。二百五十、全部、限度はそこだからしようがないと思っているのか。率直に厚労省の考えを伺いたいと思います。

宮野政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回の放射線測定業務でございますけれども、これは、あらかじめ高い線量の場所を特定して、無用な作業員の被曝を避ける上で重要な業務であるというふうに考えております。

 今回の事案につきましては、遠隔操作によりまして瓦れきを撤去した後の環境放射線量の変化を測定するに当たりまして、離れた場所からガンマカメラで放射線量が高い可能性がある場所をあらかじめ把握した上で、作業員の被曝のリスクも考慮して、先生がお配りになった資料にもありますように、約三メートル離れた場所から棒の先に計測器をつけて測定をしたものでございます。

 いずれにいたしましても、今後も、瓦れき処理等の進展によっては、高い線量の場所が発見されるということも十分考え得るところでございますので、今後ともこの環境放射線の測定を実施する必要はございますけれども、作業に当たっては、できるだけ線量の低減が図られるように、東京電力に対しましても指導を徹底してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 私は、十シーベルトで、今回の被曝が四ミリシーベルトなんだということで、とても承服できる事態ではないのではないかと。それが、今後も当然そういう作業が予想できるということで、これで対策がとれているというふうにとても言えないということを言わなければならないなと思います。

 それで、ちょっと関連しますので資料に戻りますけれども、この間、情報公開を請求した団体があったということで、新聞報道で話題になった文書でありますけれども、四月一日に保安院が労働局と協議した、「放射線業務従事者の線量限度について」という文書であります。

 ここには、真ん中に書いてありますけれども、今後の緊急時作業により、百ミリシーベルトを超える者が三百二十名、五十ミリシーベルトを超える者が千六百名と試算をしている。それで、もともとの基準は年間五十ミリ、五年間で百ミリシーベルトという総量規制があるわけなので、それを守っていれば全国の原発の管理業務に重大な弊害を招くおそれがある、このように書いているわけです。

 これをめくっていただきますと、今後一年間で、最大三千五百名くらいの熟練技術者が必要となる。著しい逼迫ということで、今後一千名から二千名前後の熟練技術者が不足する事態が継続する、これは、福島第一原発の処理及び全国の原子力発電所の運用に重大な支障を来す、このように書いているわけであります。

 ということは、要するに、線量を守っていれば人が足りなくなるので、原発を維持管理ができなくなるので、もうそれはしようがないのだ、つまり、緊急作業を別枠として、二百五十ミリシーベルトを超えた人はほかの原発での作業は認めてほしい、そういうことを保安院が言ったということになるわけですね。これは本当に、原発の稼働が安全よりもまず先にあって、非常に手前勝手な議論ではないか、私はこのように思います。

 まず、三百二十名、千六百名の根拠は何か。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 当時、四月一日の前後の状況でございますが、事故収束に向けた工程が進捗するに伴いまして、福島第一原子力発電所で作業に当たる作業員の被曝線量の増加が想定されていたところでございます。作業員は他の原発におきましても作業に従事する必要があるということから、緊急時の被曝線量限度と平常時の被曝線量限度は別枠で管理しなければ他の原子力発電所で作業に従事できなくなるという懸念が示されていたところでございます。

 このため、当時、原子力安全・保安院の事務方の方から、東京電力及び協力会社に対しまして、事故収束に当たる作業員の被曝量の試算を口頭にて指示をいたしまして、報告を受け、その内容を取りまとめて厚生労働省に提出したものでございます。

 当時、事業者から提出されたデータにつきましては、その時点でのこれまでの被曝量の傾向と今後想定される作業量から算出されたものでございます。詳細な作業工程や作業環境から推定したものではなく、具体的な工程等が不明な中、大まかな傾向を概算として示していただいた、それを厚生労働省に提出したということでございます。

高橋(千)委員 要するに、何の根拠もないわけですよね。これは上に書いてあるように、プラントメーカーがこれだけ必要だと言っている、では、そのバックデータは何かといったら、一切データがないわけです。それをまとめた東電がこのような数字を出してきた。

 被曝の問題が起こったときには、十シーベルトでも、四ミリシーベルトにとどまりました、それほどではないですよということを言っている、あるいは避けられるということを言っていながら、予測するときは過大な数字を出しておいて、これだけの被曝のおそれがあるから、足りなくなるから、それで、安全を守れということではなくて、基準を緩和しろ、そういう形になっていくわけですよね。

 では、保安院は、言ってみれば、東電の言い分を丸々言っているにすぎないわけですね。いわゆるその従事者を守るという立場は、保安院は何もしないということですか。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 当時におきましては、今後増大するであろう被曝線量、それを見積もって、他の原子力発電所、これも安全管理にどうしても必要なものがございますので、その状況について試算という形で集めて厚生労働省に提供したということでございます。

 保安院におきましても、線量限度について、それぞれ原子力事業所ごとに規制値として定めております。今回、現地に、保安検査官が福島第一原子力発電所に常駐しているところでございますので、被曝線量についても、しっかり保安検査官によってその状況について監視するという体制をとっているところでございます。

高橋(千)委員 全く答えになっていないと思います。七月十三日の東電に対する指示を読んでも、評価の体制ができていないということを指摘しています。いわゆる内部被曝の評価が時間がかかっている。そのためにきちんと体制をとれということは言っているけれども、それを避けるための努力とかそうしたことについては一切触れていないということを指摘しなければならないと思います。

 最後に大臣に伺いたいと思うんですが、済みません、ちょっと通告と違うことを聞きますが、大臣は、緊急時の被曝線量限度を二百五十ミリシーベルトと決めたときに、これはある意味、苦渋の決断だったのかと思うんですね。これは今だけだ、本当に緊急時だからやむを得ないという、そういう判断をされたわけですけれども、今議論をしている保安院のこの文書というのは、ICRPの勧告によると、生涯一シーベルト、つまり、二百五十ミリシーベルトを超えるような緊急作業を生涯に四回やってもいい、それで担保されているよという議論になっているわけですよ。

 本当にそれでいいのかということをやはりしっかり受けとめていただいて、大臣の決意を伺いたいと思います。

細川国務大臣 原発での作業をされている皆さんについての被曝量、これをしっかり管理しなきゃいかぬというふうに思っております。

 私も、この緊急作業というのはあくまでも緊急時にその作業をする人の被曝量の数値ということで設定をしているわけでありまして、その緊急時がいつまでもずっと続くということはいかがかというふうに思っておりますので、そこはどういう形に持っていくかということについては検討もしなければというふうに私自身は思っております。

 やはり第一原発のところで仕事をされている、この原発の事故を収束するために本当に一生懸命仕事をしていただいておりまして、そのことについては私は本当に敬意も表する次第でありますし、その作業員の方々が被曝をされて体の調子がおかしくなるということにはさせたくない、してはいけないというふうに思いますので、放射線の管理についてはしっかりやっていきたいということで、今後、長期的な意味でも、データベースをつくって健康管理をしていくということもさせていただくということになっております。

 委員の御指摘のこともしっかり踏まえまして対応してまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 終わります。ありがとうございました。

牧委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 八月一日のせっかくの福島への視察は、直前にみずから転倒いたしまして骨折をして、本当に盛りだくさんな、いろいろなところをお訪ねするこの厚生労働委員会の意味ある視察に参加できずに、委員長初め各委員の皆様には申しわけないと思います。まず冒頭、みずからの不足を恥じておわびを申し上げます。

 引き続いて、質問に入らせていただきます。

 きょうは、篠原農水副大臣にもお越しいただきまして、食の安全、とりわけ今牛肉のセシウム汚染の問題が著しい拡大を見せておりますので、その点について主に質疑させていただき、後半、子供たちの、特に食の安全をめぐる子供たちの問題という赤ちゃんの問題に触れさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、篠原副大臣にお伺いいたしますが、八月二日の朝日新聞でしたか、私は、安愚楽牧場という、オーナーを募って、出資をして、牛の肥育、繁殖などをする、いろいろそういう業者はございましたけれども、比較的日本の中では残ったと言われる業者がもう配当できなくなるというような状態になったという新聞記事を読みました。同日、いわゆる牛の出荷停止が四県に及びまして、岩手、宮城、福島、栃木でしたか、四県からの牛の出荷停止ということがございました。

 振り返ってみれば、私は議員になって十一年たちますけれども、牛たちの問題はO157に始まり、BSE、口蹄疫、またO157、そして今度の放射性物質による汚染と、極めて、生き物を飼い、それを肥育して食に供していくというところで大変に苦労の多い分野だと思いますが、我が国の中でこれだけダメージを受けた場合に、今農水省に頑張っていただかないと今後本当に業として立ち行かなくなるのではないかと、今回の事態でまた不安を大きくいたしました。

 一方で、TPPなどがあり、海外からの食料の輸入、食の自給率の問題にもかかわってきます。今、スーパーに行きますと、オーストラリア産の方が確実にお買い物の手が出ているようで、もちろん、海外のものでもいいものはいいと思えばいいんですけれども、国内において一生懸命肥育してきた畜産家がいかに歯がゆく、そして悔しい、いたたまれない思いをしているかと思えば、これから先、農水省として、これを業として成り立たせていくための強い決意と対策、何をすればよいと思っておられるかについて、冒頭お伺いいたします。

篠原副大臣 農業生産者に思いをはせていただきまして、ありがとうございます。

 まず、安愚楽牧場の件でございますけれども、安愚楽牧場というのは、私、農林水産副大臣を拝命して、翌日から宮崎県の口蹄疫現地対策本部長で行っておりましたが、そのときに、もう安愚楽牧場というのがいろいろ取りざたされておりました。今度また話題になっておるわけでございます。

 その点についてちょっと述べさせていただきますと、預託という形になっております。厚生労働委員会の皆さんは余り御存じないかと思いますけれども、安愚楽牧場は、お金を集めて、そして農家の皆さんに、牛も子牛も自分で購入し、えさも供給して、そして牛を飼ってもらう。ですから、危険は安愚楽牧場が担うわけですけれども、作業するのは高齢の農業者、夫婦二人で、七十歳の人と七十五歳の人というような感じでございます。

 言ってみれば、すぐお気づきかと思いますけれども、私は、現代の畜産における小作状態だと思っております。こういったことが行われるのは、正直言って、私の感覚では余りよくないことだと思っております。一番最初の、南相馬の物すごく汚染された牛、四千三百五十ベクレル・パー・キログラムの牛も、実は安愚楽牧場の一員でございます。そういった問題を抱えているのではないかと思います。

 しかし、大半の農家の皆さんは、朝から晩まで牛にえさをくれて、酪農家ならそれに乳を搾ってというか、勤勉な農民の代表が畜産農家になるのではないかと私は思います。ですから、世界じゅうで、農業政策の中で一番手厚いのが畜産農家に対するものでございます。穀物の場合は、大規模になりまして機械で一気にやってというようなことになりますけれども、畜産農家というのは毎日えさをくれてということになりますから。

 そういった意味では、私はぜひ、こういった状況の中でございますけれども、畜産農家を全面的にバックアップすべきではないかと思っております。

 TPPについて触れられました。これについても、私はほかの委員会でもちょっと申し上げたわけですけれども、この際、円高にもなった、外国のは安全なんだから、思い切ってTPPに参加して、外国の安い農産物を供給するのが日本国政府の役目ではないかと。私は、とんでもない言いがかりだと思います。畜産農家あるいは漁業者に何の罪があったか。それでこんな混乱に陥れている。

 我々、東京電力、福島県は東京電力傘下ではないですけれども、電力を供給していただいている。そういったことを考えたら、できる範囲で福島の農家、畜産農家の皆さんを応援すべく、まあ、汚染されていない方がいいわけですが、基準値以内のものは食べて応援するというような気持ちを礼儀として私は持つべきではないかと思います。こういったことを国民の皆さんにも訴えていくべきではないかと思います。

 もちろん、農林水産省としては、全面的に畜産農家をバックアップしていく所存でございます。

阿部委員 今おっしゃったように、食べて応援はしたいのだけれども、果たして、ぽっと高い放射線濃度の牛が出たりすると、やはり、このたびのことも不意をつかれたというところもあると思うんですね。きちんと測定されていて、ある程度の了承がついていれば、今回のようなことにもならなかったと思うのです。

 私は、後段、また御質問をいたしますが、やはり、このたびの事象に学んで二つ対策が必要で、一つは、きちんとした測定体制。実は、今後いろいろな食品に同じように問題が起きる、そのときに、本当にその業を守るためには、安全なんだ、安心なんだという測定がきちんとしているという測定体制についての見直しを今やっていただかないと、例えば桃なども、せんだっても私も福島へ参りましたけれども、九割、収入が減っているんですね。桃は今はかれば、一個一個は高いものではないのだけれども、それがきちんと測定されているかどうかというところの信頼性がまだ伝わっていないんだと一つは思います。

 それからもう一つは、やはり、その業をなしてくださっている人たちをどうサポートするか。私は、安愚楽牧場の例も、確かに、安愚楽だと一括管理で、幾らという形で請け負って、マルメですよね、その中で処していくというやり方で、農家にとってはある意味では簡単かもしれないけれども、でも、ある意味では負担が強い。例えば、飼料を幾らのものを与えればどれだけその範囲内で抑えられるか。医療でも、マルメというときついものですから、非常によく身にしみて私はわかるつもりであります。宮崎の口蹄疫の農場にも行きましたし、南相馬のこの問題になったところにもお訪ねをいたしました。

 でも、また同時に、その人たちが必死の中で、例えば三月十九日といえば、まだ食べ物も自分たちもない中で稲わらを与えていた。そして、先ほど篠原副大臣がおっしゃっていただいたことで、私は本当にそうだと思ったんですけれども、実は、非常に高い稲わらの濃度ですね。例えば、郡山、相馬、喜多方などでは、これは宮城県産の稲わらなんですが、五十万ベクレル・パー・キログラムのセシウム、それから、二本松、郡山、須賀川、白河、会津坂下いろいろでは最大六十九万ベクレル。そうすると、その稲わらを扱っていた農業者の皆さんの健康はどうだろうか、内部被曝しなかったろうかと、私はもう本当に素直に不安になるわけです。

 稲わらであれば、ほこりも立ちますし、それから、与えていた期間、特に、警戒区域や緊急時避難準備区域以外は知らなかったということもありますから、でも、高い放射線濃度のものを知らずに与え、自分も吸収したかもしれません。

 それで、ここが悲しいところで、縦割りで、では今だれが、この放射性物質による汚染の健康被害の予防や適切な対処に責任を持つのか。

 私は、例えば今、篠原農水副大臣、この農家の方々、高い濃度の稲わらをやっておられた方々、この方たちに何か農水省としてアナウンスメントがありましたか、健康診断を受けてくださいとか、内部被曝も心配ですよとか。私は、それが行き渡らないと、まず、業をなすには、業をなす人をつぶしたら、もとがつぶれます。

 私は今、この問題で非常に不安に思っているので、さっき、高い稲わらの濃度だったと副大臣はおっしゃってくださったので、まさにそうです。それゆえに、この扱っていた農業者の皆さんの健康診断を、厚生労働省と御相談なさるなりなんなりしてやっていただけまいか。どうでしょうか。

篠原副大臣 阿部委員、さすが、盲点をついていただいたのではないかと思います。私も実は、そのことが最初に気になりました。畜産農家は、外の、違う倉庫に置いてある農家もありますけれども、通常は、牛の二階に干し草、稲わらを置いておるわけです。そこからどんどん落として、毎日くれていたりということになります。

 体内被曝、体外被曝というのがよく言われますけれども、経口的体内被曝、ほこりで必ずしているはずです。もちろん、さわって、経皮、皮を通じた体内被曝もあります。ですから、食物を通じた経口的、口を通じた体内被曝、消費者のことばかりに目が行っていますけれども、一番は、農業者が相当汚染されているわけです。

 ですから、我々、健康診断まではいっておりませんけれども、六十九万ベクレル、五十万ベクレルというのは半端な汚染の度合いではありません。例えば、汚染された汚泥、汚染汚泥については、十万ベクレル以上は隔離しておけといいますが、それの五倍、六倍、七倍ですから、今、応急処置をしてもう近づくなということで、その後どのように処置するかというのを今検討中でございます。

 それから、もう一つ言わせていただきますと、五十万ベクレル、六十九万ベクレルに汚染されるところへ、農業者はもちろんですが、そこの近くに子供たちがいたらどうなるかということ、人の汚染ということも考えなければいけないのではないかと思います。

 極端なことをちょっと言わせていただきますと、我が日本国では、野菜や稲わらや牛の方がちゃんと検査をされ、人の検査がされていないのが実態ではないかと思います。この点は深く反省して、こちらの方に早く目を向けていかなければいけないことではないかと私は思っておりますので、御指摘がございましたので、厚生労働省とも相談いたしまして、畜産農家の健康診断をいち早くしていただくように手配をしたいと思っております。

阿部委員 明確な御答弁、ありがとうございます。やはり私は、この問題は皆未経験ですから、でも、一つ一つわかったことから対処し、人を守り、そして、もちろん食の安全も守りということで日本が立ち直っていかねばならないと思います。

 今の四県を、今度は私ども消費者の立場に立って、この出荷停止を解除していくときに何が必要であるか。これは細川厚生労働大臣にお願いをしたいと思いますが、どのようにお考えでありますか。

岡本大臣政務官 今御質問いただきました出荷制限の解除に当たっての条件についてでありますけれども、先ほどからお話がありますように、福島県における緊急時避難準備区域等、並びに宮城県、岩手県、そして栃木県の特に指示する区域等については、現在、全頭検査を実施し、暫定規制値を下回った牛肉については販売を認め、福島県、宮城県、岩手県、栃木県のその他の地域については、農家ごとに初回出荷牛のうち一頭以上を検査する全戸検査で、暫定規制値を十分下回った農家については、牛の出荷、屠畜を認めることとし、その後も定期的な検査の対象とする、このようにしているところであります。

阿部委員 福島県については全頭、そのほかには農家ごとの検査と申しますが、もし農家ごとの検査をして、また、その検査しなかった牛からたまたま、たまたまです、いろいろな条件がありますから、出た場合に、私は、この畜産業というのが本当に二度と立ち上がれないと思うんですね。

 先ほど、田村委員かどなたかの御質問にありましたが、例えば、今業者さんも臓物と肉と分けて処理しますよね。この牛がストップがかかったときに、臓物もストップをかけるかどうかと。これを一頭一頭やっていると、大変に、実は工程がストップするわけです。そうであるならば、逆に、肉も臓物もなるべく消費に近い段階で、オンラインでベルトに流してチェックしていく。そういう形で、全頭というか、食べる肉なら肉、まあ食べるとは言いません、そこまで解体された段階で、全部チェックで流すくらいしないと、本当に私は食の安全は回復できないと思います。

 どこにどのくらいたまるかも、私たちは残念ながら知見を持っていません、初めてだから。そのときに、本当に国民に、消費してくださいと私は農家のために言いたいんです。でも、それには、そうしたら高かったよということが一つでも出たら、今まで言っている国の側の言葉も全部私は崩れ落ちてしまうと思います。

 私がちょっと席を外しているとき、大塚副大臣が御答弁くださったようですが、このオンラインで流して、例えば富士電機が、昨日の日経新聞に出しておりました。もう今は、検査は、この科学立国日本で技術は必ず開発できます。そして、なるべくコストと手間暇と、そして抜けがないような検査体制を新たに考えて構築しないと、本当にこの食品行政は成り立たないと私は思いますが、もう一度、私は、一戸の農家の一頭を調べてばらばらにしてというのは、絶対に同じことがもう一回起こると思います。どうでしょう。

大塚副大臣 大変重要な御指摘をいただいていると思います。

 今の御質問にお答えする前に、今、岡本政務官から答弁をさせていただいた点についても、解除条件は岡本政務官が申し上げたとおりなんですが、それに加えて、該当の県も、全頭検査をやるというようなことを方針として打ち出している県が多数なわけでありますので、こういったところもどんどん、消費者の安全、そして生産者の風評被害を防ぐために進化をしている過程でございますので、また、その点についても整理して御答弁等をさせていただきたいと思います。

 その上で、さらにその先に何があるかといえば、今先生がおっしゃいましたように、全頭検査というのが事実上、実務的にかなり難しいというところに大変な悩みがあるわけでありますので、今、富士電機さんの名前が出ましたけれども、十二秒で、ベルトコンベヤー方式で検査できるという、この機器が九月から発売という報道でありましたが、この実用性についてもしっかりチェックをして、導入すべきは導入したいと思っております。

 いずれにいたしましても、この富士電機さんの製品を含め、放射性物質の検査機器先進国にならなければこの事態は乗り切れないと思っておりますので、関係省庁と協力をして、そういう方向で全力を尽くさせていただきたいと思います。

阿部委員 まさにおっしゃるとおりで、一歩先んじないと、この日本の危機は乗り越えられない。でも、危機はチャンスですから、ぜひ政治の主導においてそうした方向性を出していただきたいと思います。

 次の質問は牛乳です。

 皆さんのお手元にございますのは、被災の直後に、特に沃素などが高くて牛乳の出荷制限というものが行われましたが、その後、解除されて、しかし、だんだんセシウムの値が上がってまいりました。これは物の理でございまして、宮城県、新潟県、岩手県など、一関市で二十四、新潟の囲ってございますところで十三・五ベクレルですね、宮城で十二と。一枚目の表ですが、これだけをとれば、あっ、百ベクレル・パー・キログラム以下なんだと思われますが、実は、この牛乳のセシウムの測定というのは、一枚あけていただきますと、いろいろな酪農家から集めた牛乳をクーラーステーションで一緒くたにして集めたものではかります。そうすると、もしどこかのところに高いものがあっても希釈されてわからない、だけれども、全体ではオーケーよという考え方なんですね。

 でも、これも汚染ということを考えれば、本当にこれでいいのかというきょうは問題提起と、もう一つ、実は、このミルクを脱脂粉乳にすると十倍くらい濃縮するわけですね。お茶っ葉も、荒茶にすると濃縮しますよね。そうすると、今私が読み上げた十二とかは百二十になり、二十幾つは二百になって、基準値を超えてしまいます。だがしかし、日本では、ミルクは全くはかられていません。

 この点についても、私はぜひ改善が必要と思います。特に、子供たちが飲むものですから、安心して牛乳もあるいはミルクも飲める体制にしていただかないと、今、お母さんたちは、ミルクは大丈夫かという不安に襲われています。はかるということは、まず安心の第一歩になります。濃縮ということも考えて、岡本政務官、どうでしょう。

岡本大臣政務官 御指摘のとおり、乳児用の粉ミルクの安全性の確保を図るというのは大変重要な課題でありまして、国立医薬品食品衛生研究所において検査を実施しまして、測定をしたものにつきましては、五十ベクレル以下であるということは確認をしたところでありますし、また、製造業者に対して、自主検査の結果を公表してくださいというお願いをさせていただいております。

 ちなみに、国立医薬品食品衛生研究所における粉ミルクの検査は、十五商品行わせていただいたところでございます。

阿部委員 では、それをきちんと公表して、お母さんたちに伝えてください。

 あと、母乳の問題もありますけれども、時間がないので、次回にいたします。

 ありがとうございます。

牧委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 先日も、五月十一日の厚生労働委員会で、被災地における診療報酬の特例的加算についてお話をいたしました。

 あのとき、仮設診療所の話をしたんですが、仮設住宅群に仮設診療所をつくって、外から医師や看護師を千人規模で送り込もうというのが、これはよさそうに聞こえて、地域の医療機関は、患者をとられて疲弊をしてしまうんじゃないか、こういうことを申し上げました。それよりも、被災地の診療報酬を特例的に二倍に上げれば、地元医療機関は医師もふやすし、また、医療法人もほうっておいてもやってくるようになる。

 中医協が八月一日から被災地の訪問をされておられますが、被災地からも同様の声が上がっているというふうに聞いております。

 中医協が、まず、八月一日に訪れた岩手県で、岩手県医師会の石川会長が、壊滅した沿岸部の医療機関だけでも加算で支援できないか、時限措置でもいい、それが現場の医師会の声だ、こういうふうに話していたということであります。

 まさに、被災地における医療の提供体制の再構築ということが大変重要な課題となっているわけですけれども、こうした被災地から上がっている被災地における診療報酬の特例的加算というものを考えられないかどうか、お伺いをしたいと思います。

大塚副大臣 お答えを申し上げます。

 既に委員からもこの委員会で御指摘をいただいたことなどもございまして、必要な緩和措置は行っております。例えば、被災に伴って看護職員の配置基準を満たさなくなった場合等の緩和措置等を行っております。

 ただ、それをさらに来年の四月一日からの診療報酬改定を待たずに加算措置が必要かどうかということについては、これは今後の議論だというふうに思っております。

 今御指摘のとおり、八月一日から中医協の委員が三県を訪問しておりますので、中医協の皆さんの意見も伺った上で、今御指摘の点については検討すべきものというふうに考えております。

柿澤委員 検討すべきものであるというふうな位置づけをいただきましたけれども、診療報酬の改定、もともと予定をされているものでありますが、その取り扱いをめぐっても、一年延ばすべきじゃないかとか、いろいろな議論になっておりますが、いずれにしても、被災地の復興を目指していく上でやはり医療の基盤というものが極めて大切だということは認識を共有できるのではないかと思いますので、こうしたまさに現場の声を大事にしていただければ、こういうふうに思っております。

 きょうは、取り上げる一般質疑のテーマが多岐にわたりますので、次に進みたいと思います。

 訪問看護の一人開業の問題については、私、継続的にこの委員会で取り上げさせていただいてまいりました。そして今回、被災地における訪問看護ステーションの一人開業が特例的に認められる、こういう措置が行われたわけであります。

 一人開業の規制緩和をずっと求めてきた訪問看護のキャンナスの方々、被災地支援のボランティアナースの派遣人数が何と三千人を超えたということで、避難所の体育館に泊まり込んでやっている。最も現場で頑張ってきた方々ではないかというふうに、私も被災地に足を運んで感じております。

 そして、被災地における一人開業が基準該当サービスとして特例的に認められて、やってみようと意欲を出していたんですけれども、いざ届け出を申請先の自治体にしてみると、基準該当サービスに指定をしない、こういう事態が今相次いでおります。気仙沼市で出してみたところ、だめ。八戸市で出してみたところ、やっぱりだめ。今度仙台市で出してみたところ、またどうも非常に難しい、こういう回答を得ているようであります。

 こうした事態が相次いでいるということを厚生労働省としてはどういうふうに見ておられるのかということをお伺いしたいと思います。

宮島政府参考人 お答えいたします。

 今回の看護師一人による開業というのは、これはまあ震災の状況ということで、柔軟なサービスを可能にするためということで行ったものです。

 私どもも、申請しても受け付けられなかったというか、そういった話を認められなかったという話を聞いて、被災自治体にどうしてそういう扱いになったかと聞いたところ、多くのそういう自治体では、既存の訪問看護ステーションがあるのでそれ以上はどうかというようなお答えがあったということです。

 そういうことはあったわけですけれども、厚生労働省としては、その今ある看護サービスで十分ニーズに対応できるのか、今後適切に、さらに実態を把握したいというふうに思っております。

柿澤委員 厚生労働省として自治体に聞いてみたら、既存のものがあるのでそれ以上はいいだろう、こういうことで一人開業の特例的な申請をいわば却下している、こういう答えがあったそうでありますが、社会主義国家じゃないんですから、計画的な需給調整で、一人開業の訪問看護ステーションの事業所が一つできただけでだめ、こういうことは私は正当化できないんじゃないかと思います。これは結果的に、市町村、自治体の言っているニーズというのは、利用者のニーズというよりも、既存事業所の現状を反映しているということにすぎないのではないかと思うんです。

 実際、気仙沼では、先ほど申し上げたように、避難所においてボランティアで被災者をケアしていて、こうしたことについて大変評価をする声が上がっている。しかし、こういうことを長期的に行おうとすれば、やはり保険給付の対象にしないとなかなか続かないわけで、だからこそ、今回こういう特例も認められたので申請をしているわけです。そういう状況であるにもかかわらず、現状、訪問看護ステーションは足りているから、一人開業、基準該当の指定はしませんよということが続いているというのはいかがなものだろうか、こういうふうにも感じております。

 一方、七月二十二日に閣議決定をされております行政刷新会議規制・制度分科会の追加方針では、このナースの一人開業について規制緩和を認めるかどうかということについては、平成二十三年度中に結論を出すということが明記されております。そこには、被災地で特例として認められた地域の実施状況を踏まえて検討ということも書いてあるわけです。にもかかわらず、被災地の特例的な緩和でさえ申請先の自治体に受け入れてもらえないということでは、これはポジティブな実績を積み重ねたくてもできないということになってしまうと思います。

 こうしたことで果たしていいのかというふうにも思いますので、ぜひ御見解をお願いいたしたいと思います。

大塚副大臣 先ほど、老健局長が現地の情報を聞いた上での状況を報告してくれましたが、もう一度実情をよく精査して、今先生御懸念のようなことにならないように適切に対応させていただきます。私のところにも、その当事者と思われる方々からお手紙もいただいております。事実関係をよく確認して、万が一にも住民本位の判断にならないような展開を回避したいというふうに思っております。

柿澤委員 心強い御答弁をいただきました。

 一人開業については、いろいろな賛否両論分かれている。分かれているからこそ、今回特例的にやってみて、果たしてどのような影響や効果が出るだろうか、こういうことを見ようということが今回の趣旨でもあると思いますので、それが全部門前払いでは話にならないということだというふうに思います。

 続いて、福島県における妊娠、出産の状況についてお伺いをしたいと思います。

 今回、厚生労働省から、福島県内における妊婦の数、出産数の推移、月別、市町村別、前年同月比、こういうものについて資料を出してもらったんですけれども、きょうはあえて配付はしておりません。震災後の県内の妊娠届け出者数というのがどういうふうに推移しているかということを最も知りたかったんですけれども、これについて、残念ながら、資料を今のところお出しいただいていません。

 福島県内の出産数について見ると、震災後の四月は前年比マイナス百七十五人、五月はマイナス二百十六人、やはり減っております。震災後の混乱で調査票が正しい月に計上されていないとか、そもそも調査票が上がってきていないとか、こういうことがあるために数字の信頼性にはやや疑義があるということでありますが、しかし、肌で感じる実感としても、また医療機関などに聞いても、やはり福島県内の出産あるいは妊娠の届け出数というのは減っているのではないかということを感じます。

 これは、やはり放射線の関係で、福島県内で妊娠生活そして育児をすることへの不安が高まっていることと無縁ではないのではないかと思います。このような不安に対して、厚生労働省としてどのようにサポートしていくのかということをまずお伺いしたいと思います。

細川国務大臣 妊婦の方やあるいは乳幼児への放射線の影響ということについては、これは住民の方々も大変不安に思っていることだろうというふうに思いますので、それを取り除くことが大変重要でありまして、被曝線量の評価と適切な健康管理が重要であるというふうに考えております。

 福島県におきましては、震災時に妊娠していた方やあるいは乳幼児を含めまして、全県民を対象として県民健康管理調査を実施するということになっておりまして、当省としても、この調査には全面的に必要な支援を行っていきたいというふうに考えております。

 従来から、妊婦や乳幼児につきましては、健康診査や保健指導等によって健康管理を行っているところでございますけれども、関係省庁におきましても、除染の実施など取り組みを進めておりまして、妊婦や乳幼児が安心して生活ができるような、そういう必要な対応を進めてまいりたい、このように考えております。

柿澤委員 妊婦や子供の安心のために、線量評価また適切な健康管理ということで、全県民を対象とする健康調査を福島県が行っているのでそれに協力をする、こういうお話でありましたが、これは、放射線被曝について、どうやって最小限のものにしていくか、放射線防護の観点ではなく、いわば事後的な健康チェックのことにすぎないのではないかと思います。

 また、除染のことについても言及をされましたが、今の御答弁を聞いていますと、関係省庁がということでありまして、これは厚生労働省として主体的に取り組んでいるものだというわけではない。そういう意味で、出産そして育児、こういうものをまさに中心になって取り組む省庁としては、いささか心もとない、こんな気持ちもしたところでもあります。

 放射線に対する感受性が胎児、乳幼児において高いというのは、先日も参考人質疑で強調されていました。遺伝子の、細胞分裂が行われているそのスピードが速い、そうした乳幼児のときに、やはり放射性物質が入ってその遺伝子を傷つける、こういうことが大きく影響するんだ、こんな話だったと思います。だから、妊婦さんやあるいは育児中のママさんたちの心配は、これは理由のないものではないわけです。このままでは、ここで産んでいいのか、子育てしていいのかと、妊婦や育児中の女性が福島県を離れる、こんなことが相次いでいくことにもなりかねないというふうに思います。

 先ほどの質疑でも取り上げられましたが、月曜日の委員派遣で、保育園の園庭、表土除去をして二マイクロシーベルトから〇・五マイクロシーベルトに低減した。しかし、低減しても、それでも保護者は心配して、やはり園庭では遊ばせられない、こういうことにもなっているわけです。さらに、きょうの読売新聞、福島県内の私立幼稚園の園児二千人が、既に県外に転園したり、あるいは幼稚園に通うのをやめたりしているというふうにも報道されているわけです。

 こうした状況の中、やはりもう一段踏み込んで、ここで生活をしていて、放射線の影響を最小限に防ぐことができる、自分の身を自分で守ることができるような、そうした取り組みが今求められているのではないかというふうに思います。

 子供への放射線の影響を防ごうと、福島県は六月に、県内のゼロ歳児から中学生までの子供たち、およそ二十八万人を対象に線量計を配付することを決めました。子どもを守る緊急プロジェクト、こういうわけですけれども、しかし、配付をされているのはこれですよね。累積線量を管理するためのいわゆるフィルムバッジ、ガラスバッジであって、これはリアルタイムに線量が表示されるわけではありませんので、子供がこれを持っていても、放射線の高いところに行かない、避ける、こういう回避行動を促すようなものではないわけです。結果的に、これはどの程度の累積の被曝を子供がしているかということを後から確認するためのものにすぎない。これでは、子どもを守る緊急プロジェクトといったって、子供を守れないんじゃないかと思います。

 きょうは、リアルタイムに線量を図ることのできる、ベラルーシのポリマスターという会社の放射線量測定端末を持ってきたんですけれども、これはいろいろカスタマイズをされていて、リアルタイムに線量が出る。〇・一八マイクロシーベルト・パー・アワーと今出ておりますけれども、さらに、この端末で、個人ベースで累積線量の積算管理をインターネットとパソコンを使ってできるというようなものであるそうです。

 これがどうだとかいうつもりはありませんけれども、しかし、やはりリアルタイムで線量を把握できて、そしてみずから回避行動をとれるようなものを子供に配付、貸与すべきではないかというふうに思います。これこそがまさに、放射線の一定程度の線量が測定をされている、そうした福島県内で妊婦さんや子供たちが安心して出産をし、そして育っていく、そうした環境を確保することにつながるのではないかと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。

大塚副大臣 私が答弁させていただいた後に総括審議官からも御答弁させていただきますが、今サンプルとしてお示しいただいたものが〇・一八をお示しになっているということなんですが、今、東京都で観測されているデータは〇・〇幾つという単位ですので、やはり製品によってデータの出方がかなり違うという点については、ぜひさらに委員もいろいろ御検討いただいて、我々にも御示唆をいただければというふうに思っております。その上で答弁させていただきます。

矢島政府参考人 子供のリスクも含めまして、国民のリスクをしっかり考えて万全を期すため、計画的避難区域、緊急時避難準備区域、特定避難勧奨地点が設定をされているところでございます。

 一方、福島県におきましては、みずからが放射線量を確認することで、自身の積極的な健康管理につなげ、また不安の解消につなげるために、放射線量を測定する機材でありますガラスバッジですとかサーベイメーターを貸与する事業を行っていると承知をしております。

 なお、線量計の選定につきましては、個人の積算被曝線量の把握ですとか、あるいは、委員御指摘のように、地域の空間線量の把握といった目的に応じまして、持ち歩きや取り扱いの容易さ等も考慮して、これは市町村の要望もございまして、その市町村の要望も踏まえ、県を中心に検討されているものと承知をしております。

 厚生労働省といたしましては、福島県が主体となって行う県民健康管理事業に対しまして必要な技術的支援を行いまして、住民の皆様方の健康及び安心、安全の確保に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

柿澤委員 そういう御答弁は結構なんです。

 そして、大塚副大臣から御答弁いただきましたが、何かこの測定器の信憑性に疑義があるような言い方でしたけれども、このポリマスター社のつくっているものは、既に日本の政府機関に多数納入をされていて、今回、原発事故で線量計が足りないというときにも、緊急輸入をされて使用されているものです。そうすると、政府の測定のあり方に疑義が持たれてしまうということにもなってしまいかねませんので。

 いずれにしても、こうした、ある意味ではまさに子供たちを守るという上では、みずからが、みずからの手で、放射線量の高いところには近づかない、こういう回避行動をとれるようなことが必要になってくると思います。

 福島県内の津々浦々、スポットスポットで、どこが線量が高いかということをすべてを見通すことはできないわけでありますから、こうしたものをやはり基本として配付、貸与していくということが必要ではないかと思います。最後の矢島さんの御答弁では、なかなかそういう御決意までは感じることができなかった。こういうことは私は残念だと思います。

 時間も経過をしておりますので、御答弁があれば、はい、これで終わりにします。

大塚副大臣 まず、先生の御指摘の趣旨はよく理解できますので、そういう御趣旨に沿うように、大臣以下、しっかり検討して対策を練りたいと思います。

 なお、私が申し上げましたのは、別に疑義を申し上げているわけではなく、これは、食品の検査機器も含めて、機器によってデータの補整が必要であったり、機器によって出る傾向値が違うなど、今回のこの放射性物質の影響の計測に関してはそういう傾向があるということをぜひ御理解いただいた上で、国会でもあるいは行政の中においても適切な対応をとる必要があるということを申し上げたところでございますので、ぜひ御理解をいただければ幸いでございます。

柿澤委員 終わりとさせていただきます。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

牧委員長 次に、第百七十四回国会、内閣提出、参議院送付、国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案は、前国会で本院において修正議決の上参議院に送付したものを、参議院において継続審査に付し、今国会におきまして、施行期日を「平成二十三年四月一日」から「公布の日」に改めるとともに、国民年金保険料の納付可能期間の延長に関する規定の施行期日を「平成二十四年四月一日までの間において政令で定める日」から「平成二十四年十月一日までの間において政令で定める日」に改めること等の修正を行って本院に送付されたものであります。

 したがいまして、趣旨の説明を省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

牧委員長 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 第百七十四回国会、内閣提出、参議院送付、国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

牧委員長 この際、本案に対し、柚木道義君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。古屋範子さん。

古屋(範)委員 私は、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 国民年金保険料の納付可能期間の延長を時限措置としたことに鑑み、事後納付の対象者や対象期間を分かりやすく説明し、できる限り多くの者が事後納付できるよう本措置を広報するとともに、本来、納期限までに保険料を納付することが原則であることを周知徹底すること。

 二 低所得者に対する保険料免除制度の周知・勧奨のほか、保険料徴収対策等を徹底することにより、将来の無年金・低年金者の発生防止に万全を期すること。

 三 責任準備金相当額の納付の猶予を受けている総合型の厚生年金基金について、設立事業所の事業主の一部が事業を廃止した場合の他の事業主の負担の在り方について、厚生年金本体に与える影響、事業主の事業継続の確保の観点等を踏まえつつ、検討すること。

 四 第三号被保険者の記録不整合問題について、速やかに必要な対応策を講ずるとともに、記録不整合問題の再発防止策を徹底すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

牧委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、細川厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。細川厚生労働大臣。

細川国務大臣 ただいま決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

牧委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

牧委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十六分散会


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