衆議院

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第26号 平成23年8月23日(火曜日)

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平成二十三年八月二十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 牧  義夫君

   理事 郡  和子君 理事 中根 康浩君

   理事 藤田 一枝君 理事 柚木 道義君

   理事 渡辺  周君 理事 加藤 勝信君

   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君

      石毛えい子君    石森 久嗣君

      磯谷香代子君    稲富 修二君

      大西 健介君    岡本 充功君

      金子 健一君    工藤 仁美君

      桑原  功君    小宮山洋子君

      斉藤  進君    田中美絵子君

      竹田 光明君    玉木 朝子君

      中屋 大介君    長尾  敬君

      仁木 博文君    初鹿 明博君

      樋口 俊一君    平山 泰朗君

      福田衣里子君    三宅 雪子君

      宮崎 岳志君    山口 和之君

      山崎 摩耶君    吉田 統彦君

      あべ 俊子君    鴨下 一郎君

      菅原 一秀君    棚橋 泰文君

      谷畑  孝君    長勢 甚遠君

      西村 康稔君    松浪 健太君

      松本  純君    坂口  力君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   国務大臣         玄葉光一郎君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       高井 康行君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二十三日

 辞任         補欠選任

  青木  愛君     金子 健一君

  工藤 仁美君     中屋 大介君

  竹田 光明君     桑原  功君

  玉木 朝子君     磯谷香代子君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     玉木 朝子君

  金子 健一君     青木  愛君

  桑原  功君     竹田 光明君

  中屋 大介君     工藤 仁美君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

八月二十二日

 平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法案(内閣提出第九〇号)

同月九日

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(川村秀三郎君紹介)(第二一八三号)

 同(後藤田正純君紹介)(第二一八四号)

 同(高木美智代君紹介)(第二一八五号)

 同(太田和美君紹介)(第二一九二号)

 同(初鹿明博君紹介)(第二一九三号)

 同(保利耕輔君紹介)(第二一九四号)

 同(江藤拓君紹介)(第二二〇四号)

 同(竹田光明君紹介)(第二二〇五号)

 同(今井雅人君紹介)(第二二一八号)

 同(古川禎久君紹介)(第二二一九号)

 同(向山好一君紹介)(第二二二〇号)

 同(加藤紘一君紹介)(第二二四三号)

 同(今津寛君紹介)(第二二四八号)

 同(若泉征三君紹介)(第二二六二号)

 同(阿部知子君紹介)(第二二六六号)

 同(竹内譲君紹介)(第二二六七号)

 最低保障年金制度の実現と緊急の年金改善を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一八八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一八九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一九〇号)

 塩原視力障害センターと伊東重度障害者センターの存続に関する請願(佐藤ゆうこ君紹介)(第二一九一号)

 後期高齢者医療制度即時廃止、安心の医療を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二二〇〇号)

 高齢者が安心して受けられる介護保障制度の実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二〇一号)

 最低賃金千円の実現に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二二〇二号)

 同(吉泉秀男君紹介)(第二二八五号)

 安心・信頼の年金制度と国の直接運営を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二二〇三号)

 保育、子育てにかかわる費用の大幅な軽減を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二一七号)

 社会保障を充実させ、国民の暮らしを守ることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二二三九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二四〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二四一号)

 パーキンソン病患者・家族の治療療養生活の質的向上の総合対策に関する請願(田村憲久君紹介)(第二二四二号)

 難病、長期慢性疾患、小児慢性疾患の総合対策を求めることに関する請願(竹内譲君紹介)(第二二六四号)

 社会保障としての国保制度の確立を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第二二六五号)

同月二十二日

 カネミ油症被害者の恒久救済に関する請願(阿部知子君紹介)(第二三〇〇号)

 同(坂口力君紹介)(第二三〇一号)

 同(遠山清彦君紹介)(第二三〇二号)

 同(福田衣里子君紹介)(第二三〇三号)

 同(河村建夫君紹介)(第二三一〇号)

 同(谷川弥一君紹介)(第二三一一号)

 難病、長期慢性疾患、小児慢性疾患の総合対策を求めることに関する請願(玉木朝子君紹介)(第二三〇四号)

 同(玉木朝子君紹介)(第二四七〇号)

 最低賃金千円の実現に関する請願(吉井英勝君紹介)(第二三〇九号)

 同(石川知裕君紹介)(第二三四四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二三七六号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三七七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三七八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二三七九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三八〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三八一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三八二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三八三号)

 HTLV―1総合対策に関する請願(川内博史君紹介)(第二三二〇号)

 子ども手当の存続を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三二一号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三二二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三二三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二三二四号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三二五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三二六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三二七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三二八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二三二九号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(川内博史君紹介)(第二三三〇号)

 同(山田良司君紹介)(第二三四五号)

 同(横光克彦君紹介)(第二四七一号)

 安全で行き届いた医療・介護を実現することに関する請願(志位和夫君紹介)(第二三四三号)

 後期高齢者医療制度即時廃止、安心の医療を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二三六五号)

 後期高齢者医療制度を速やかに廃止し、高齢者・国民が望む医療制度を目指すことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三六六号)

 最低保障年金制度の実現と緊急の年金改善を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三六七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三六八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三六九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二三七〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三七一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三七二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三七三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三七四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二三七五号)

 大幅増員と夜勤改善で安全・安心の医療・介護の実現を目指すことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三九七号)

 ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、高齢者への肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンの予防接種法位置づけに関する請願(吉泉秀男君紹介)(第二四一四号)

 肝硬変・肝がん患者等の療養支援などを求めることに関する請願(赤松正雄君紹介)(第二四六四号)

 同(重野安正君紹介)(第二四六五号)

 同(玉木朝子君紹介)(第二四六六号)

 同(福田衣里子君紹介)(第二四六七号)

 同(松本純君紹介)(第二四六八号)

 同(柚木道義君紹介)(第二四六九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法案(内閣提出第九〇号)


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     ――――◇―――――

牧委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。細川厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

細川国務大臣 おはようございます。

 ただいま議題となりました平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 子育てに係る経済的支援については、昭和四十七年の児童手当制度の発足以来、これまで順次拡充が行われてきたところでありますが、平成二十二年度等における子ども手当の支給に関する法律に基づく子ども手当の支給は、平成二十三年九月分限りとなっております。

 このため、現下の子供及び子育て家庭をめぐる状況にかんがみ、平成二十四年度からの恒久的な子供のための金銭の給付の制度に円滑に移行できるよう、子供を養育している方に対し、平成二十三年十月分から平成二十四年三月分までの子ども手当を支給することとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、子ども手当の支給についてであります。

 中学校修了前の子供を監護し、かつ、これと生計を同じくするその父または母、未成年後見人またはこれら父母等が指定する者等に支給することとしております。

 また、父母等が別居し、生計を同じくしない場合には、子供と同居している者に支給することとしております。

 さらに、子供が児童福祉施設等に入所している場合には、その設置者等に支給することとしております。

 なお、子供については、国内居住要件を設けることとしております。

 子ども手当の額は、一月につき、三歳未満の子供については一万五千円、三歳以上小学校修了前の第一子及び第二子の子供については一万円、三歳以上小学校修了前の第三子以降の子供については一万五千円、小学校修了後中学校修了前の子供については一万円としております。

 第二に、子ども手当の費用についてであります。

 子ども手当の支給に関する費用については、児童手当相当部分は児童手当法の規定に基づき、国、地方公共団体及び事業主が負担することとし、それ以外の費用については、全額を国が負担することとしております。

 なお、公務員に係る費用については、全額所属庁が負担することとしております。

 第三に、交付金の交付についてであります。

 子ども手当の支給と相まって、子供及び子育て家庭の支援に資するよう、市町村または都道府県に対し、交付金を交付することとしております。

 第四に、受給資格者の申し出による学校給食費等の徴収等についてであります。

 まず、受給資格者の申し出により、子ども手当を、受給資格者が支払うべき学校給食費等の支払いに充てることができることとしております。

 また、受給資格者が保育料を支払うべき者である場合には、市町村長が子ども手当の支払いをする際に保育料を徴収することができることとしております。

 このほか、差し押さえ禁止等の受給権の保護や公租公課の禁止を定めることとしております。

 なお、平成二十四年度以降の恒久的な子供のための金銭の給付の制度について、この法律に規定する子ども手当の額等をもとに、児童手当法に所要の改正を行うことを基本として、法制上の措置を講ずることとしております。その際、全国的連合組織の代表者その他の関係者と十分に協議を行い、その措置について理解を得るよう努めることとしております。

 また、この法制上の措置を講ずるに当たっては、給付を受けようとする者の所得の額が一定の基準を超える場合に給付を制限する措置について、その基準について検討を加えた上で、平成二十四年六月分以降の給付から適用することとし、あわせてその制限を受ける者に対する税制上または財政上の措置について検討を加え、所要の措置を講ずることとしております。

 最後に、この法律の施行期日は、一部を除き平成二十三年十月一日とし、所要の経過措置等を講ずることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

牧委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

牧委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省雇用均等・児童家庭局長高井康行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。

田村(憲)委員 おはようございます。自民党の田村でございます。

 きょうは、二十三年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法、この審議でございますが、玄葉大臣にお越しをいただきました。初めての厚生労働委員会だと思いますけれども、ようこそお越しをいただきましてありがとうございます。

 といいますのは、なぜお越しをいただいたか。この法律案は、三党合意ということで、自民、公明、民主、そちらからいえば、民主、自民、公明かもわかりませんけれども、この三党で合意をした上でその骨格といいますか基本的なものができてきておるという意味では、我々もこの法案を全く否定するつもりでもありませんし、こういうような形の中で、何とか国民の皆様方に迷惑がかからない形で、子供に対する手当というのでありましょうか、そういうものが途切れることなく支給ができるということ、これは非常に大きな意味があるということで合意をしたわけであります。

 ただ、問題は、この合意文書なるものがありまして、当然、その中には玄葉大臣が党の政調会長として名前をお書きいただいておるというものでございますので、民主党さんは、政府それから党、これを政策的に一致するという意味で、玄葉さんが大臣という形で閣内にも入っておられるということでありまして、どちらが表でどちらが裏かわからないんですけれども、同一人物でありますから、そういう意味では党内のいろいろな問題も約束のもとにおいて動かされておるのであろうと我々は信じて、この三党合意というもの、これにのっとってこの法律の審議をし、賛成をしていきたいと思っておったんです。

 ただ、急に民主党さんからビラが出てまいりました。それがこの「「子ども手当」存続します。」、こういうビラですね。これを見たときに、我々はびっくりしちゃったんです。あれっ、たしか来年の四月からは児童手当を基本に法律をつくるといいますか改正する、こういう話であったはずなのに、「「子ども手当」存続します。」なんというものが急に出てきちゃった。これで、一体どうなっているんだろうと、我が党もてんやわんやでございます。

 正直言って、信頼関係があるから三党合意というものはなされるわけでありまして、それが急にこのような形で、しかも、「「子ども手当」は続くのでしょうか?」このQ、クエスチョンに対して、アンサーが、「はい、そうです。三党合意により恒久的な制度になりました。」なんて出てまいりますと、我々が三党合意した内容と違うじゃないかという話になるわけでございまして、これはぜひとも玄葉大臣にお越しをいただいて、どういうことであったのかという話をお聞かせいただかなきゃならない、こういうことで、実はきょうはお越しをいただいたわけであります。

 それで、裏面を見ますとさらにひどいんですよ。裏面は、何と、「二〇〇〇年から民主党が「チルドレンファースト」を主張。旧政権下でも」これは自公政権ですね、「時代の要請を取り入れ政権交代前には約一兆円まで増額されました。」と。何か、民主党がチルドレンファーストと言って、その結果、時代の要請、世論が喚起されて、そして我々の政権時代にも一兆円までふやした、こういうようなイメージを与える文言が書いてあるんです。

 ところが、この児童手当法の改正、実は、四度にわたって民主党さんは反対されているんですよね。つまり、増額のところで反対をしてきて、書くところでは何か我々の主張が取り入れられて一兆円まで増額されましたなんというような、本当に言っておられることとやっていることが違うんじゃないか、右手で握手を求めて左手でぶん殴ろうとしているんじゃないか。これは信頼関係が壊れちゃうんですよ。

 玄葉大臣、こういうような、あなた方が出したビラですよ、三十五万枚。これを見てどういう御感想をお持ちになられますか。

玄葉国務大臣 田村委員がおっしゃっていただきましたけれども、子ども手当は三党で合意したものでございます。

 これに至るまでは、きょう御出席の坂口先生、そして鴨下先生、我が党は城島政調会長代理が精力的に、まさに先ほど田村委員がおっしゃっていただいたように、子供に関する政策をいつまでも、いわば政争の具のような扱いに国民から見られるようなまねをしていてはいけないということで、それぞれがある意味妥協するような形で今回の合意がなされた。最後の詰めは、おっしゃるとおり、私が入って、三党の政調会長で行ったものでございます。

 そして、そのビラにつきましては、本当のことを言えば、私は全くわからなかったです。ただ、わからないでは済みませんので、それは党として出したものでありますから、私にも責任があるというふうに思います。

 「「子ども手当」存続します。」というこのフレーズ自体は、やはり、一言で言えば不適切だったというふうに私自身も思います。つまりは、子供に対する手当が存続します、先ほど田村委員がおっしゃっていただいたように、子供に対する手当なら十二分にわかるんですけれども、子ども手当とはっきり言ってしまうと、やはりこれは行き過ぎだなというふうに言わざるを得ないということで、岡田幹事長がいわゆる会見でお話をされ、実際にそれについて訂正を行うということではないかと思います。

 そして、恐らく広報委員会の方々がお考えになったのは、これは私自身も実は感じましたが、どうしても報道が、昔の児童手当にそのまま戻っちゃうんじゃないかというふうに、どうしても誤解を与えてしまうような見出しが多かったので、恐らくそのことを強く意識し過ぎてそういう表現を使われたのかなというふうに思っております。

田村(憲)委員 今、なぜこのようなビラが出てきたかという経緯も若干お触れになられたというふうに思いますが、「子どもに対する手当」という書き方が三党合意の書き方でありました。でも、これはどう考えても子ども手当という言葉を意識されて、御党の広報の方々が、多分、マニフェストを撤回したのか、何なんだ、子ども手当は民主党の金看板じゃないか、こういうような責めを受けられて、誘惑に駆られてこう書かれたんだろうなと私は推測をさせていただくんです。でも、それだと本当に三党の信頼関係が壊れちゃうんですよ。

 ですから、今、玄葉大臣、申しわけなかったとは言わなかったような気がするんですけれども、訂正をすると岡田幹事長がおっしゃったというふうに言われましたけれども、私は、一言、こういうものが自分の目にとまらずとも出たということに対しては、おわびとまでは言いませんけれども、遺憾であるというようなことをやはりおっしゃっていただきたいというふうに思いますが、いかがでありましょう。

玄葉国務大臣 不適切な表現が使われたということは遺憾だというふうに思います。

 ただ、同時に、先ほど、かつて児童手当に民主党は反対していたのではないか、こういうお話がございました。当時は、実は私も直接は存じ上げないんですけれども、自公の努力は理解しつつ、恐らく、私の推測ですけれども、額が十分じゃないなというような思いもあったのではないかと私は思うんです。

 今回、自民党さん、そして公明党さんの協力を得て、昔の児童手当に戻さずに、しかし、おっしゃるように、児童手当法を活用して、いわば、中学生あるいは第三子以降、ある意味、法形式上は児童手当でありますけれども、新しい子ども手当に対する制度をつくり上げたということは、自民党さん、公明党さんも含めて、もう少し子供に対する光というものを当てていこうという認識はだんだん一致してきたんだろうというふうに考えております。

田村(憲)委員 今の言葉は、先ほどあなたがおっしゃっておられたことと違う。なぜか。新しい子ども手当制度をつくったとおっしゃられた。子供に対する手当と言っておられたのに、急に子ども手当と今おっしゃられた。それは訂正するんですか。どうですか。

玄葉国務大臣 そこは、子供に対する手当というふうに訂正したいと思います。

田村(憲)委員 つまり、今の話を聞いていると、子ども手当というものはこの三月で終わる。今出てきたものは特別措置法ですよね。だから、これは子ども手当なんだろうと思います、名前が子ども手当と書いてありますから。しかし、子ども手当は三月で終わる、廃止される。四月からは児童手当。この児童手当法を基礎に置いて法律を改正するわけだから、児童手当法の改正なんですよ。だから、四月からは児童手当でいく、名前はですよ、そういうことでいいんですね。

玄葉国務大臣 これは田村委員も実は御存じでおっしゃったんだろうというふうに思いますけれども、四月からの名称につきましては、三党の政調会長の間で、別途、名称については検討するということで合意を内々しております。

田村(憲)委員 私、きのう、うちの政調会長、石破さんに確認したんです。そういうことをおっしゃられるので、本当にその名称に関しては検討をこれからするんですかと聞いたら、そんなことは一言も言っていない、こうおっしゃられていましたよ、きのうの夜の十一時ごろに。名称をこれからどうするかなんという話は一切していないと。あなた方は、口頭でやったとおっしゃられています。しかし、うちの石破政調会長は、やっていないとはっきりとおっしゃられていました。

 つまり、それはあなた方は口頭でやったとおっしゃられるのかもわからない。しかし、うちの政調会長がそうじゃないと言う限りは、やはり文書になって残っていないということは、こういうことになるんですよ。だから、そこが詰まっていないということは、やはりそういうような議論はなかったのであろうと我々は思いますよ。

 児童手当法の改正をするんですから、まさか児童手当が子ども手当と、法律の中で書きかえるんですか。児童手当法の改正だけれども、中身はこれを子ども手当というなんて、そんな詭弁を言われては困る話で、これはやはり児童手当に戻るんです。

 私は、名前のことをどうやこうや言っているんじゃないんですよ。児童手当と子ども手当、これは基本的にやはり目的、趣旨、それから理念というものが違うから我々はここにこだわっているのであって、そういう意味からすれば、児童手当法になるんですからね、そう書いてあるんですから、その目的は児童手当の目的ということでいいんでしょう。玄葉大臣、ここをしっかりお答えください。法律にそう書いてあるんですよ。児童手当法をもとにと書いてあるんですよ。ということは、目的まで変える必要はないわけでしょう。目的が変わっちゃったらおかしくなっちゃいますよね、新しく法律をつくればいいんだから。

 ここをはっきりお答えいただかないと、ここが一番肝ですよ。我々が三党合意というものをしてこの特別措置法をつくる、これにおいて、ここの部分があったから我々は三党合意に乗ったわけでありまして、ここが壊されたのではもともとが成り立たなくなるわけでありますので、その点はどうでありましょう。厚生労働大臣でも結構であります。

小宮山副大臣 三党合意の中には、「児童手当法に所要の改正を行うことを基本とする。」とだけ書いてありまして、どこを検討するということは、三党の間でいろいろお話し合いがあったと思いますけれども、次また二十四年度の制度にする中で、また三党で真摯な御議論をいただけるものと思っております。

田村(憲)委員 ということは、目的まで変えちゃうということですか、副大臣。これは児童手当法、要するにこれを基本に置いて所要の改正をするわけでしょう。その児童手当法の目的を変えちゃったら、もとから児童手当じゃなくなっちゃうわけですよ。

 法律の目的というのはそんな簡単な話じゃなくて、その法律の根幹でありますから。その中のいろいろな支給の形態、金額等々を変えるというのは、もちろんそれはあるでしょう。我々も今まで改正してきたんですよね。支給金額を上げてきたんですよ。そういうところが変わるというのはいいですよ。目的が変わるなんて話になっちゃったら、そもそもこれは児童手当法の改正じゃなくなっちゃうので。副大臣、そこはどうなんですか。

小宮山副大臣 二十四年度以降の制度につきまして、今回の三党合意では、子供の年齢や出生順位に応じて手当額に差が設けられるとともに、所得制限が導入されるなど、従来の子ども手当と異なる点があります。ただ、一方で、手当額が大幅に増大して支給対象も中学生まで拡大する、また、所得制限世帯への税制上、財政上の措置を講じるなど、従来の児童手当と異なる点もございます。

 このため、来年度以降の制度の目的、理念については、今後の検討事項とされた点を含めた制度の全体像を整理する際に検討していくということが自然なのではないかと思っています。来年度以降の制度については、目的規定も含めて、各党の意見も十分に伺いながら検討をしていきたい、そのように考えています。

田村(憲)委員 大臣でも副大臣でも結構なんですけれども、何か今の話だと目的まで変えちゃうと。目的まで変えちゃったら、もう新しい法律をつくった方がいいじゃないですか。児童手当法の改正を行うのに、目的を変えちゃったら、もう法律としての根幹の基礎の部分がなくなっちゃうということでありまして、まさかそんなことを我々は念頭に置いて三党合意をしたわけじゃないので、三党合意がほごになっちゃいますよ、そんなお答えをされると。

 もう一回お聞きをします。明確に答えてください。

小宮山副大臣 今、児童手当法の目的は、「この法律は、児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会をになう児童の健全な育成及び資質の向上に資することを目的とする。」とされております。二十二年度等における子ども手当の支給に関する法律の目的は、「この法律は、次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援するために、」というふうになっておりまして、児童手当の方は家計を支援する、それから子供の健全な育成、それで子ども手当の方は子供の健やかな育ちということで、オーバーラップをして重なっておりますので、言っていることはそんなに違わないというふうに思っております。

田村(憲)委員 では、子ども手当と児童手当の違いはどこにあったんですか、その目的、理念のところで。

 もともと、きょうの資料にもおつけしていますけれども、あなた方が二〇〇七年十二月二十六日に提出といいますか、ホームページにアップをされた「現行の児童手当と民主党の子ども手当の比較」という表がありますよね。資料がついていると思います。この「目的」のところに書いてあること、現行の児童手当はおっしゃられたとおりであります。民主党の方は、「次代の社会を担う子どもの成長及び発達」、そしてその間に何と書いてあるかと思うと、「現行法では、いくつもの目的が混在しており、何のための法律かわかりません。」と。あなた方が児童手当の目的が何のための法律かわからないとまで書いてあるんですよ。

 これは一緒だということは、あなた方の子ども手当の趣旨、目的も何のためかわからないということで、みずからそういうふうに思われておられるということでいいんですか。

小宮山副大臣 私どもが子ども手当をつくったときには、子供のための手当ということで考えておりました。ただ、今回三党で、各党が本当にいろいろな状況の中で真摯にぎりぎりの議論をされた結果、恒久法である児童手当法に乗せる形で子供に対する手当をということでございましたので、そこは、この目的規定というものの中に、これまで自公政権でやってこられた家計を支援するということも当然入ることだと思いますが、そこのところについては三党合意の中では詰めた議論はなかったと聞いておりますので、そうしたことも踏まえて、当然今までの皆様の合意に基づいてそこは考えていくということで、そんなに大きな問題が生じることではないと私は思っております。

田村(憲)委員 それなら、もとから児童手当と子ども手当をこんなにわざわざ違いますとあなた方は書く必要なかったんですよ。その当時は野党だから、違うところを出さないとそれは選挙を戦えないということがあったのかもわかりませんが、こういう無責任な対応をされると、後で困らなきゃいけないという話になってくる。

 それで、明確にやはり違う、変わったところというのは、あなた方はもともと子ども手当という法律といいますか制度の中の理念として、社会で子供を育てるんだという考え方がある。そして、そこには、所得に関係なく子供一人一人に着目して、親がどれだけ所得があろうが関係ないんだ、子供としては一人一人社会の一員であるから、親の所得と関係なしに全員に子ども手当を支給するんだ、こういうようなところがあったわけですね。だから、この表にも、「所得制限をなくし、すべての子どもに支給」する、こう書いてあるんです。ここが、あなた方が考えておられた子ども手当の最も肝な部分ですよね。

 それが、所得制限がつく、これは四月からですよ、そういうことが今回の三党合意の中に盛り込まれた。この時点で、我々は、やはり児童手当の理念というものに変わったのであろうな、あなた方もそこは理解しながら、妥協もあったんでしょう、三党合意の中でそういう精神を盛り込んだのだろうなというふうに思うから、我々は三党合意にオーケーと言ったわけですよ。そういうことでいいんでしょう。

小宮山副大臣 民主党としては、すべての子供を社会が支援するということが基本的な理念でして、その理念自体は、今回、新しい子供に対する手当の中でも維持ができる部分があるというふうには思っています。

 ただ、所得制限をつけたことというのは、おっしゃるように、三党でぎりぎりの調整をされ、また大震災への財源が必要ということもありまして、苦渋の決断をしたということで、そこが変わったということはおっしゃるとおりだと思います。

 ただ、その点について、控除から手当ということで控除を外している関係から、子供を育てている家庭だけに増税になるということは何としても避けたいということで、これは三党合意の中でも、税制上、財政上の措置をそうした所得制限のかかった家庭にも加える、そのことは次の二十四年度の制度に向けて検討していくというふうにありますので、そういう意味では、基本的に全体の子供を支えるという理念はキープをされている、そのように思っております。

田村(憲)委員 今、控除から手当だという話がありましたけれども、三党合意に書いてあるのは、要するに、所得制限がかかった方々、こういう方々に対して「税制上、財政上の措置を検討し、平成二十四年度から所要の措置を講じる」と書いてあるんですよ。

 税制上の措置とは何かというと、この中には所得控除も入れば税額控除も入るんですよ。ということは、控除もこの中に書いてあるんですよ。今、副大臣は控除から手当みたいなことを言われたけれども、この中に控除も入っているじゃないですか。それから、財政上の措置というのは金額を給付するだけじゃないんですよ。幅広に考えれば、所得制限がかかる方々には例えば保育料を軽減するだとかというのも財政上の措置でしょう。いろいろなことが想定されるわけですよ。ですから、あなた方は都合のいいようにそうやっておっしゃられて、そういう宣伝をされるけれども、三党合意というものはそう決めつけたわけでも何でもないんです。

 ましてや、一言申し上げれば、この三党合意の中には扶養控除のあり方についても入っているんですよ。「平成二十四年度税制改正までに総合的に検討する。」と書いてある、今回、法律には書いていないですけれども。法律に書いてあるのは、あくまでも、先ほど言った、税制上、財政上の措置を検討し、二十四年度から所要の措置を講ずるものとするとしか書いてありません。しかし一方で、三党合意には、扶養控除、年少扶養控除のあり方について、二十四年度税制改正までに検討すると書いてあるんです。

 だから、あなた方が手前勝手にいろいろなことをおっしゃっていますけれども、決してそれが三党合意でなされたわけではないんですよ。そういう発言をされると、我々は、この三党合意って何だったんだろう、本当にこのままこの法律、賛成していいんだろうか、そういう気持ちになりますので、我々の納得のいく答弁をしてください。そうじゃないと、この法律、大変なことになりますよ。

小宮山副大臣 おっしゃるように、三党合意の中で、所得制限世帯も含めた扶養控除のあり方についても総合的に検討するというのは事実でございます。

 私は今、民主党として考えてきた子ども手当の考え方の理念の部分と、それから実際にこれから検討されていくべきものと、ちょっと整理をしないで申し上げたのは申しわけないと思っておりますけれども、私どもは、控除から手当で、高額所得者よりも低所得者の方に実質的に厚くなる手当の方がいいと考えてきましたが、今回、皆様の、繰り返し申し上げるように、三党で合意をされた結果が、こういう形で、税制上、財政上の措置を所得制限世帯にすることや、所得制限世帯も含めた扶養控除のあり方について、二十四年度税制改正までに総合的に検討するとなっているので、それは当然、皆様方、御検討いただいて、それに基づいた制度にするものと考えています。

田村(憲)委員 何か、本当に賛成していいのか、非常に我々は不安になってまいりました。

 少なくとも、児童手当の目的、目的の中に理念も入っています、これがなくなることがないということをここで言明いただかないと、私は、今ここでこの法律の議論をするわけにはいかなくなってくる。党に戻って、もう一度党の決定をお聞きしなきゃいけなくなってくる。児童手当のこの目的、理念というものは、四月から改正される中においてちゃんと含まれるということでいいんですね。大臣、答えてください。

細川国務大臣 来年度以降の子供に対する手当については、どういうふうにやっていくかということについて、これは、三党合意の中ではこういうふうな規定になっています。児童手当法に所要の改正を行うことを基本として、法制上の措置を講じる、こういう規定でいくというのが今のこの特別措置法の内容になっているわけですね。

 したがって、この児童手当法に所要の改正を行うことを基本としてということは、これは、現在の児童手当法の目的規定も踏まえて、そして子ども手当のよい点も生かして、そして、御党を初め各党の意見も伺いながら検討をしていく、こういうことであります。

田村(憲)委員 微妙な答弁でございましたが、目的が残るということで、ちゃんと今お答えいただいたような気はします。そこは、もし目的が変わるような前提だとすれば、我々はこの法律に対して、特別措置法に対して賛成ができない。しかし、今大臣がそうやってお答えされたので、微妙な言い回しであったような気はしますが、目的が残るというふうに確認をさせていただきます。それでいいですね、大臣。

細川国務大臣 先ほども申し上げましたように、児童手当法に所要の改正を行うことを基本として、法制上の措置を講じる、これが三党合意の文章でございます。そこで、そうしますと、現在の児童手当法の目的規定も踏まえつつ、子ども手当のよい点も生かして、そして、御党初め各党の御意見も聞きながら今度の法律をつくっていこう、こういうことであります。

田村(憲)委員 理念が残るということを確認いたしました。

 さて、こうやって、民主党の金看板であった子ども手当という制度が恒久法にならずに結果的にはなくなるということが、この特別措置法をつくるに当たって決まったわけであります。

 さあ、なぜ、二万六千円、すべての子供たちに配るということができなくなったのか。

 まず、二万六千円、すべての子供たちに子ども手当を配るということは、これは断念をしたというふうに確認させていただいていいですね。これは細川大臣でも玄葉大臣でも結構でございますけれども、しっかりと国民に、うそをつかずにお答えください。

玄葉国務大臣 これまでも、予算委員会などで、いわば財源の問題、あるいはねじれの問題、あるいは経済の低迷による税収の問題等々で、参議院選挙の際に、まず一万三千円を支給するんだ、そして、現金、現物サービスのバランスをよく考えていくんだということを既に申し上げているというふうに私自身は認識をしているところであります。

 二万六千円につきましては、現時点におきまして、いつまでにそれを実現するということを言えるという段階では残念ながらないというふうに考えております。

田村(憲)委員 ですから、断念したということでいいんですね。断念したとはっきりとお答えをいただければ。また配りますという話にはならないでしょう。

玄葉国務大臣 そこは、今マニフェストの検証をしている最中でございますので、最終的にどういう表現にするか。

 ただ、現時点で、残念ながら、二万六千円というのはもう既に難しいということは申し上げなきゃいけないというふうに思っています。

田村(憲)委員 今、理由はねじれだとか景気が悪くて税収が下がっただとか、いろいろなことをおっしゃられましたが、まず、景気が悪くなったのはあなた方が政権をとる前からでございまして、そういう意味では、あなた方が政権をとるときには大体税収の落ち込みというのは予想されたはずであります。

 それから、ねじれ。これは、あなた方が政権をとったときはねじれはなかったんですよ。ねじれていなかったんです。衆議院も参議院も、今の与党が過半数を握っていたんですよ。あなた方が政権をとって政策を運営する中で参議院でねじれが起こったんですから、こんなものは、ねじれを原因にする、そういうような話じゃないんです。

 そして何よりも、もう言い尽くされた言葉でありますけれども、無駄を排除してこの民主党のマニフェストを実現するんだ。特別会計、本会計合わせれば二百七兆、今は二百十数兆円ですかね、これの一割は削減できる。少なくとも十六・八兆円は捻出できる。だから五兆四千億円、子ども手当満額、これは全額国庫負担。今違いますよね、子ども手当、あなた方がやってきたのは全額国庫負担になっていない。これさえも実は実現できていなかったんです。地方からかなりあなた方は攻撃されたというふうに思いますよ。

 つまり、全くうその上に、この子ども手当というものの実現に向かってあなた方はやるやると言ってきたわけですよ。そこが壊れたということをはっきりと国民の皆様方に言わないと。

 きょうは、玄葉大臣は震災を言いわけにされませんでした。その点は評価しますよ。よく、震災があったからなんて言われる方がおられる。とんでもない。震災とこれとは全く違う話です。ここをしっかりと踏まえていただいて、あなた方が言ってきた絵そらごとである子ども手当というものは瓦解をしたんだということをはっきりとお認めください。

玄葉国務大臣 これは、田村委員も重々御存じでおっしゃっているんだというふうに思います。ですから、先ほど申し上げたように、もう参議院選挙の時点で、なかなか二万六千円というのは難しいので、一万三千円ということを書いたわけでございます。

 ただ、先ほども申し上げましたが、これは実は、自民党さんも公明党さんも理解していただいているように、やはり子供に対してできるだけ手厚くサポートしていこう、そういう思いは共通だというふうに思いますし、その意味で、民主党政権になってその点は少なくとも拡充されてきている、手厚くなってきている、そのことはお認めをいただきたい。

 ただ、同時に、その具体的な数値目標を達成できていないということは認めざるを得ないというふうに思います。(発言する者あり)

田村(憲)委員 手厚くなんてなっていないじゃないかという話がございました。それは、子供のための控除、所得控除と合わせればどうなんだというと、大して変わらないじゃないかという話になるんだろうと思いますよ。

 私、冒頭から、子ども手当と言われる、要するに、民主党がビラまで配って子ども手当だと言われると。こういうようなことが何で起こったのかなと思いますと、玄葉大臣は、私はそんなの見ていなかった、そんなことは言っていないと言われましたけれども、あなたが配られた、多分そうだと思いますが、民主党のこの内部資料があるんです。この中に、あなたが、「法律としては恒久法である「児童手当」の改正で対応しつつ中身は「子ども手当」としていくこと、」と書いているんですよね。

 あなたがはっきり言っているんですよ、子ども手当だと。だからああいうようなビラができたんだと私は思います。そして、広報、機関紙、宣伝する必要もないんですが、こういうあなた方の機関紙がありますよね、これにまでしっかりと、子ども手当、続きますと書いてあるんですよ。

 そういう意味では、これはやはりあなたが関与しているんですよ、この資料を見ると。それに対してあなたはどういうふうな認識をお持ちなんですか。

玄葉国務大臣 そこは、先ほども申し上げましたが、子供に対する手当と言うべきだったというふうに考えております。

田村(憲)委員 そういう甘い認識で三党合意というものに臨んでいただくと、我々だってこんな質疑をする必要もなかったんです。党内がごたごた、うちももめる必要もなかったんですよ。ほら、だまされた、こういう話に我々の党内もなっているんですよ。ちゃんと認識をいただいて、これから、片方では大連立なんということを言われている方もおられるようでありますけれども、こんなことで信頼がないようじゃ、そんな話をされたって、こっちにしてみれば、一体何なんだという話になりますからね。

 今回、子ども手当から特別措置法という形で総事業費が減額になりますよね。これに合わせて国費も削減をされる。一千二百億円ぐらい国費の負担部分が減ります、残りの半年間の部分において。

 問題なのは、三党合意、これはこれでやっているんですね、特例公債法の合意というもので。そこの二番目の項に、「上記歳出の見直しと併せ、子ども手当等の見直しによる歳出の削減について、平成二十三年度補正予算において減額措置することを、特例公債を発行可能とするための法案の附則に明記する。」こう書いてあるんです。これを見ると、減額補正をやるんだろうと。

 きょうは財務政務官、来られておりますけれども、当然、一千二百億円、子ども手当、我々は四Kと言っていますから、これを削減したものは、赤字国債を三次補正で減額をいただいて、その上で、もし復興に使われるのならば復興債を発行いただく、こういうふうに我々は要求をいたすわけでありますけれども、そういうような手続をとっていただくということでいいですか。

五十嵐副大臣 お答えをいたします。

 復興債もそして赤字公債も借金であることに変わりがございません。復興債は財源であり、赤字公債は財源ではないということもございません。

 私どもとしては、先生おっしゃいましたように、一千億円ちょっと、一千億円強がこれで歳出削減できますので、その分をストレートに復興の費用に充てたいというふうに考えているところでございます。

田村(憲)委員 失礼しました、副大臣でございました。申しわけありませんでした。

 副大臣、副大臣の上司である財務大臣が、要は、復興の財源は増税でやると言って、これから民主党代表選挙に臨むという話でありますけれども、復興債と赤字国債はそういう意味からすれば違うんですね。もし復興に使うとすれば、赤字国債の部分を復興に使えば、それは、財務大臣が言われる内容ですよ、復興債のための増税で償還をするというものには当たらないわけだ、一千二百億円かそれぐらいは。これを復興債に置きかえていただければ、これは増税によって償還をするという話ですよね。当然、そこは、中の内容は変わってくるわけでありまして、我々は、やはり無駄は無駄として省く、一千二百億円、赤字国債を。その上で、必要なものは復興財源として復興債、これで対応していただく、これが筋だと思いますけれども、いかがですか。

五十嵐副大臣 復興債を発行してその財源を明らかにする、これは将来の増税等で賄うわけでございますからということでありますが、それだけではなくて、約三兆円分、今、城島政調会長代理のもとで懸命の作業をしておりますけれども、その税外収入の道、節約の道を模索しているところでございます。そうすれば、復興債の減額、あるいは、来年度の予算編成の上でもむしろそれによって余裕ができるということでございますので、歳出削減努力、財源を生み出す努力の一環として、今、この子ども手当を使わせていただきたい。その方が、ストレートに財政健全化、御党が主張されているものにも役に立つ、こう考えているところでございます。

 先生の考え方が成り立たないと言っているわけではございません。そうした方法もあり得ると思っておりますが、しかし、それは迂遠な方法であって、むしろ直接、歳出削減努力あるいは歳出の効率化の努力によって得たものを復興に振り向ける方が、それは国民にとっても歓迎されることではないか、こう考えております。

田村(憲)委員 もう時間ですので終わりますが、これは税外収入ではありません。削減をした中で出てくる、要するに余剰金みたいな話になるのでありましょうけれども、赤字国債を減らすか、それか、要するに残すかというのは、その部分は、あなた方財務省が主張している復興財源たる増税、これで償還されるかされないかという意味では、一千数百億円は、残るか残らないかという意味では大きな違いなんですよ。そこを認識していただいてちゃんと三次補正を組んでいただきますように、これはお願いをいたしたいというふうに思います。

 以上で終わります。

牧委員長 次に、菅原一秀君。

菅原委員 自民党の菅原一秀です。

 今の田村委員のやりとりを聞いておりまして、本当にきょうの子ども手当特別措置法案、反対していいのかどうか、賛成していいのかどうか、非常に混迷をきわめた感を抱きました。

 まず冒頭、厚労大臣にお尋ねをします。

 大臣にとって、三党合意とは何だというふうに考えておられますか。あわせて、政府と与党の考え方、政府・与党という言い方をよくしますが、この考え方は一致してしかるべきだと思いますが、この点。二点、冒頭に確認をしたいと思います。

細川国務大臣 菅原委員も御承知のように、子ども手当につきましてはことしの九月まででありまして、十月以降については決まっておりません。その場合、決まらなければ……(菅原委員「その各論は後で聞きますので、三党合意は何かということについて」と呼ぶ)はい。決まっていないところで、それではどうするかということで、民主、自民、公明、三党の皆さんが今後の子供に対する手当をどうするかということで、それぞれ考え方が違うところを、そこをいろいろと御協議いただいて、今後の子供に対する手当についてお決めいただいたということでございます。

 与党とそれから私ども政府といたしましては、当然、三党合意で決められましたことについては政府としてそれを尊重して、その合意内容を実現していくために最大努力をしなければというふうに考えております。

菅原委員 どうも聞いておりますと、三党合意に対する感覚が、余り重きをなしていないように感じます。

 今、各論でおっしゃいました。今回の子ども手当のあり方について三党合意を持ち得たという説明はあったけれども、本当にそうなのかどうか、またブレークダウンをして聞いていきたい、こう思います。

 二番目の政府と与党、これは、もう一度確認しますが、与党の考え方が主であって、政府はそれを受けて行政を具現化していくということなのか。つまり、行政の考え方も、政府の考え方も、党の考え方もすべて一致しているというような認識を基本的にお持ちかどうか。つまり、党はこう言った、でも政府はこうだ、役所はこうだ、大臣はこうだ、副大臣はこうだ、こんなようなやりとりがここ半年間、見てとれるものですから、この点、ちょっと改めて確認をしておきたいと思います。

細川国務大臣 与党と政府の関係につきましては、議院内閣制を今の憲法が採用している以上、これは本来、与党の考え方と政府の考え方が一致をして、政府としては与党の考え方に沿って政治をやっていかなければいけないというのが基本的な認識でございます。

菅原委員 各論に入ります前にもう一点だけ。

 今週というか来週というか、民主党の方で代表選が行われるようであります。まだ菅さんがやめると言っていないのに代表選の日にちだけは決まっているという非常におもしろい状況になっているわけでありますけれども、この民主党の代表選のキーマンであろうと言われる最大グループの小沢元代表は、マニフェストの原点に返れ、今こう言ってはばからない。したがって、自分が推す候補も、マニフェストを守る人間ならば推す、こう公然と明言をしているわけですよね。

 ということは、三党合意をして、つなぎでこの法案を出して来年三月まで子ども手当をやる、しかし、新しい政権が、小沢元代表が推す候補が総理になった場合に、もとのマニフェストどおり子ども手当に戻し、二万六千円出し、五・三兆円をどこからか出してくるというようなこともなくはないと思うんですが、今後、だれが総理になったとしても、きょう、ここにおける議論というのは未来永劫生きていくんですか。確認をしたいと思います。

細川国務大臣 この点につきましては、今回の措置法の中に、来年度からの子供に対する手当についても規定をするように、こういうことを附則でしっかりと定めさせていただきます。

 私といたしましては、三党合意というものは当然遵守していくべきでありますし、今回この法案を成立させていただきましたならば、今回の特措法に規定をしておりますように、平成二十四年度以降の子供に対する手当についても、その内容どおりしっかりそれは法律をつくって対応していく、こういうことになると思います。

菅原委員 今、細川厚生労働大臣から明言をいただきました。

 懸念されるのは、小沢元代表が、例えば新たな総理が誕生したときに、あれは前政権の言ったことだからと言って撤回をして、オールクリアにして、ゼロからまたということも十二分に考えられる。したがって、だからこそ、今、大臣の答弁は非常に重いと私は思っておりますので、全国民の前でそうおっしゃったわけですから、これは民主党としてもきちっと党の根幹として据えていただきたい、こう思います。

 先ほどお話があったビラについてお尋ねをしたいと思います。

 八月四日の民主党、自民党、公明党の三党合意によりまして、今回の特別措置法案はそれを法制化するものだというふうに理解をしております。

 言ってみれば、我々からすれば、今回の三党合意は、ちょうど二年前の二〇〇九年の政権交代の総選挙、あのときに民主党が掲げた一丁目一番地の子ども手当、これを撤回することになっただけではなくて、いわば、自助自立の考え方、これに真っ向から反対してきた、そして子供の育ちは社会全体でするんだという根本的な考え方、これは誤りであったということを広く国民に知らせているのと同趣旨である、私はこのようにとらえております。そしてまた、その分、大変、これが今回の三党合意の果実なのかな、こんなふうにも思っているわけであります。

 したがって、この三党合意に忠実に基づく法案の趣旨であれば、これは私どもはやみくもに反対するものではない、こう申し上げておきたいと思います。

 ところが、今回、この三党合意の後に、いざ法案の提出、そしてまたこの審議入り直前にこのようなビラが出たわけであります。このビラには、繰り返しになりますが、「誤解しないでください 「子ども手当」存続します。」と大きな見出しを掲げて、子ども手当は「三党合意により恒久的な制度になりました。」こう銘打っているんですね。何だこれはと驚きましたよ。

 これは、どこに恒久的な措置と三党合意に書いていますか。大臣、副大臣、いずれでもお答えください。

小宮山副大臣 このビラにつきましては、先ほど玄葉大臣からもお答えをいたしましたように、子供に対する手当と書くべきところであったものを、これまでの子ども手当がそのまま存続するような印象を与えたことは申しわけないというふうに思っております。

 「恒久的な」というのは、児童手当法というのが恒久法でありますので、それに所要の改正を行うということで、二十四年度からのものは恒久法になる、そういう意味だというふうに思います。

菅原委員 やや詭弁を弄されたような気がいたしますが、児童手当を土台にして、そこに基づく子ども手当は恒久的に存続するということですか。もう一度。

小宮山副大臣 申し上げたのは、この三党合意にある、法制上の措置として児童手当法に所要の改正を行うということで三党合意されておりますので、これは、児童手当法が恒久法ですから、そこに子ども手当と書いたのは誤解を与えて申しわけないと申し上げましたように、二十四年度からは、恒久法である児童手当法に所要の改正を行う新たな子供に対する手当ができるということだと思っています。

菅原委員 非常に文章が包括的に、いろいろな意味合いにとれるふうに書かれています。これはまた後で議論をしたいと思います。

 これは報道機関、今配付してある資料に、読売新聞、毎日新聞、御案内のとおり、「子ども手当廃止正式合意」、読売新聞、それから毎日の夕刊には、「子ども手当廃止決定 民主「目玉」はや放棄」、こうなっているんですが、世間、国民はそういうふうにとらえているわけですよ。

 これは、この認識で、国民がとった認識で正しいんですか。正しくないとするならば、この報道機関に厚生労働大臣名で抗議をしましたか。修正を求めましたか、訂正を求めましたか。

小宮山副大臣 先ほどからも御答弁申し上げているように、これまで行ってきた子ども手当は事実上廃止です。これまでの、一万三千円行ってきた子ども手当ではなくなるわけですから、三党合意のもとで今回やっているわけなので、そういう意味では、額が変わったことなどからしても、これまでの子ども手当は事実上廃止だというふうに思っています。

 ただ、先ほどから申し上げているように、恒久法の児童手当法にそれを改正する形で、これから二十四年度に向けて、さまざまな検討課題について各党でまた御議論をいただけるというふうに思っております。

菅原委員 今、小宮山副大臣が、正式に廃止というのは正しいというような御認識を示されました。

 でも、もっとさかのぼれば、二万六千円と言ったのを一万三千円にした時点で、しかもこれを全額国庫負担と言っておったのが、そうではない、つなぎ的なやり方で財源を見つけ出してきて施行してきた、この時点でもう子ども手当は事実上、有名無実化しておったんだ、こう思うんですね。

 このビラについて、岡田幹事長はあのようにうちの石原幹事長にも謝罪をしてきた。公の場でもおっしゃったんでしょう。ところが、その舌の根も乾かないうちに、今度はプレス民主という機関紙ですよ、機関紙に全く同様のことが書いてある。これについてはまだ議論されておりませんけれどもね。

 こうなると、ビラを出して、それは訂正をすると言った。しかし、本当に訂正するのか、訂正して回収するのか、金輪際世の中に出回らないようにするのか、この辺、全く誠意が示されておりません。しかも、今申し上げたように、このプレス民主という機関紙には、恒久的にこの子ども手当を存続する云々という表現がされております。

 この点も非常に、何といいましょうか、こうかつ的、言ってみれば結婚詐欺みたいなもので、結婚したい、ゴルフもマージャンも酒もたばこもやめますと。ところが、結婚の日取りが決まった途端に、いや、月に一回ぐらいはゴルフいいでしょう、酒もたばこもまあまあ常識の範囲ならいいでしょうと言っているようなものですよ。それぐらい非常に悪質なビラ、かつまた機関紙だ。

 党の機関紙にこのようなことを載せていいのかどうかも含めて、この点、確認をしたいと思います。

小宮山副大臣 御承知のように、ビラよりもプレス民主、こういう冊子にする方が印刷などに時間がかかることもありまして、今回、後から出てきたということは、先ほどのビラと同じように誤解を与える表現だったことは申しわけないと思っております。

 このプレス民主につきましても、訂正版を既に発行してございまして、そこのページ分を改めて印刷し直し、「与野党協議の結果 子どもに対する手当が継続されます」、そのほか御指摘いただいた点を訂正したものを既に全員のところに配付してございます。

菅原委員 先ほど玄葉大臣が、今いらっしゃいませんけれども、私はわからなかった、知らなかった、広報委員の方々のいろいろなそんたく、しんしゃくでこういうことになった、だから岡田幹事長が訂正する旨の発言がありました。

 我が党も含めてそうですけれども、やはり党あるいは政権政党というものは、政権、政府、そして党、また、そこがどこの部署であろうがきちっと一本化して、どこから切ってもきちっと同じ絵が出てくるような形にしなければならないのではないかな、こんなふうに思うわけであります。

 十八日の岡田幹事長の記者会見で、岡田さんが、不適切な表現、こういうふうに言っているわけなんですね。そういう中で、これは非常に大事なところで、来年度以降の児童手当法を改正する法律を今後出されるわけです。そこには、所得制限が盛り込まれて、支給額もバリエーションをつけるということで銘打っているわけなんですね。

 大臣、そういう意味では、このビラは明らかに間違いである、不適切だということでよろしいんですか。

細川国務大臣 委員御指摘のように、民主党が出したビラの内容について、幹事長が十八日の記者会見でも、今の子ども手当の一万三千円がそのまま続く、これから来年度以降も続いていくというふうに受け取られかねない表現があるので、そういう意味で不適切であったというふうに考えております、こういう御説明をされております。(菅原委員「同じ認識ですか」と呼ぶ)私も全く同じ認識でございます。

菅原委員 そうしたら、この法案を所管し、また子ども手当を所管する大臣として、このビラの訂正のみならず、撤回、回収ということを党に要請されましたか。

小宮山副大臣 もう既に、党の方でこのビラについては配らないようにということを指示しておりまして、また、ビラについては、この法案が成立し次第、三党合意に基づいたものを改めてつくるというふうに聞いています。

菅原委員 ということは、この法案がもし通った場合に、その後に訂正をして、それからビラを配る。

 というのは、岡田幹事長が十八日の同じ日に、法案が通ってから配ればよかった、こういう発言をされているんですよ。ということは、その不適切な表現をされているというくだんのビラを、法案が通ってから配ればよかったというふうに記者会見で言っているということは、訂正してから配るということなのかどうか。この点、もう一回確認した方がいいですね。

小宮山副大臣 今申し上げましたように、三党合意に基づく内容のものを改めて配るというふうに言っておりますので、多分、そのタイミングという意味では、この法案が通るまで皆様に対して不快な思いをさせることが起きてしまったことが残念だという意味でのタイミングの問題だと思います。

菅原委員 このビラですけれども、配り始めた民主党のある方が言っていましたよ、全然受け取ってくれないんですと。おまえ、そんなものを配っているんだったら、被災地に行って瓦れきを運べと言われる。当たり前ですよ。こんなことをやっている場合じゃないんですよ。

 やはり大臣、ここで私は改めて謝罪を言っていただきたい。

 これだけいろいろな混乱が生じた。それで、まさに信なくば立たずという言葉があるように、三党合意というのは、先ほど冒頭に大臣がおっしゃったように、非常に大事なもの、重いものであるという認識をお持ちであるとするならば、このようなビラや機関紙が世の中に出た、私たちの政党名までここに書かれている。私たちは何も相談を受けていませんよ。一言、政党名を入れますよ、三党合意という言葉を入れますよと、我々がもしそういう対応をするのであれば、当然、公党として、党の広報部なり広報委員会なりに申し入れますよ。全くそういうマナーもなっていない。

 こんなことも含めて、この三党合意に背くような結果になっている今、大臣としてこの混乱について謝罪を求めたいと思いますが、いかがですか。

細川国務大臣 ビラの件あるいはまたプレス民主の件、これらについての表現におきまして大変不適切なところがあったということにつきましては、これは大変申しわけなかったというふうに思っております。

 大事なことは、三党で本当にいろいろ考え方なども違うところを担当者が大変な努力をされて、ぎりぎりのところで合意をされた。そういう合意を信義を持って守り抜いていくということが、これは公党間のまさに信義、礼儀だというふうに私は思っております。

 そういう意味で、今後、与党、野党の間でいろいろな件で協議がなされて合意ができる。そういう合意ができたときには、それをしっかり守っていくということ、これをすることによって、公党間の信義、そしてまた国民の政治に対する信頼も回復をしてくるものだというふうに私は確信をいたしておりますので、委員が言われるように、合意をしたことはしっかり守っていくということがまずは大事だというふうに思っております。

菅原委員 やはり、細川大臣の誠実な人柄が今の答弁に出ておったと思います。こちらも重く受けとめたい、こう思っております。

 所得制限についてお尋ねをいたします。

 三党合意によって、平成二十四年度からの手当については九百六十万程度、それ以上には所得制限をかけて、その対象世帯には支給されない、こういうふうにうたっているわけであります。

 この額自体、私自身、個人的にはまだまだ高いと思いますよ。というのは、これはよくよく内容を調べてみますと、主たる生活維持者なんですよ。夫婦合わせて九百六十万を超えた方々ではなくて、例えば、だんなさんが九百六十一万で奥さんが専業主婦。ところが、だんなさんが九百五十九万円、奥さんが九百五十九万五千円、合算して二千万近い、そこには出るというパラドックスも生じているわけなんです。

 私は、やはり所得の再分配機能あるいは福祉という観点からすれば、もっとその辺はめり張りをつけるべきだと個人的には思いますが、この点の議論は、きょうここではあえていたしません。こういう盲点があるということをやはり世の中の人に知らさなければいけない、こう思っています。

 従前の児童手当には、もともとこの所得制限があったわけです。限られた財源の中で、本当に手当を支給する必要のある世帯、生活に困窮している方にはきちっと手厚く、そしてまた、そういう効果が比較的薄い高額所得者世帯には、手当を、児童手当のときは八百六十万以上はしなかった、してこなかった、こういう経緯があるわけですね。これは、我々自民党がかねてから主張してきた、一番、子育てあるいは社会保障に関する原点の一つでもあるんです。

 ところが一方、民主党の方は、子ども手当の理念は、先ほど来お話があるように、小宮山副大臣は、この三党合意の中にはいろいろな概念が包含されるというような答弁を繰り返しされておりますので、改めて確認しますけれども、子供一人一人の育ちを社会全体で応援するというこの民主党の考え方は、この所得制限を設けることによって変わるんですか、変わらないんですか。

小宮山副大臣 大変難しいんですけれども、ぎりぎり変わらないというふうに思います。

 なぜならば、先ほど申し上げたように、これまで所得制限がかかっている家庭について、児童手当は全く手当がございませんでしたけれども、今回は、税額控除、あるいは財政的な措置、税制上の措置、そういうことをとることによって、すべての子供に対して何らかのことができるのではないかと思っております。

 それから、先ほど、困っている人たちにそれだけ多くというのは、それはそういう思いはございます。そういう意味では、控除というのは高額所得の方に多くなりますので、それをもっと、控除の恩恵にあずからない人たちにもするというのが控除から手当の、民主党のそもそもの考え方でしたので、それは先ほどから御指摘いただいているように、その控除のあり方についても、二十四年度の制度をつくるまでにまた三党でしっかりと議論をすることだと思っております。

菅原委員 控除のお話は後でしますけれども、今お話があったように、ぎりぎり変わらないということは、そもそも民主党の子ども手当の理念というのは、二万六千円をすべての子供のいる世帯に出す、全額国庫負担でやる、所得制限は設けない、こう言っておったわけですよ。

 これが、所得制限が設けられ、しかも支給額が大幅に変わり、半分以下になり、かつまた、今後の議論でありましょうけれども、所得制限をかけられた世帯には出ない、あるいは出ないかもしれない、こういう論議があるとするならば、これはぎりぎりどころか、大きく理念が変わってしまっている、こう国民には映るんだと思いますよ。幾らここでいろいろな議論をしていても、これはやはり、国民からすれば全然話が違うじゃないか、こう思うんです。

 そこで、確認しますけれども、そもそもの児童手当法には、子育ては、一人一人の子の育ちは社会全体で応援をするというようなことが含まれていますか。含まれているという認識はありますか、従来の児童手当法に。そういう認識はありますか、ないですか。

小宮山副大臣 児童手当法の目的そのものには書いていないというふうに思います。

 ただ、先ほど申し上げたように、新しい子供に関する手当については、恒久法である児童手当法にのっとって、それに乗せる形でいろいろなことを検討していく中で、私どもの考え方もできれば民主党として主張をして、そこでまた新たな合意ができればいいというふうに思っております。

菅原委員 ということは、来年の四月以降に児童手当法を改正する、その中には、今副大臣がおっしゃったような、子の育ちは社会全体で応援するという理念を盛り込むんですか、盛り込まないんですか。

小宮山副大臣 それはまた三党の中で御議論をいただけると思いますけれども、私個人的な思いとしては、子供政策をつくってきた者として、民主党としては入れていただきたいというふうに主張をさせていただくのかと思いますけれども、それは、今まで真摯な議論の結果、三党がぎりぎり合意されたように、今度、その目的規定についても、またぎりぎりの三党の折衝にかかることだというふうに思っております。

菅原委員 今、大変丁寧でスマートな答弁だったので、ちょっとだまされそうになっちゃうんですけれども、やはり、来年四月にはこの理念を書かなくはないかもしれないというような趣旨の、つまり、子の育ちは社会全体で応援するとは書かないとは今言っていないんですよ。これは三党の合意あるいは今後の議論の中でと言っているんですけれども、この法案を通すために、特例公債もしかり、そうですよ、この法案を通すために非常に玉虫色になってカメレオンのような発言を繰り返されると、我々、受ける側としては、とてもとても審議に応じられないよね。

 どうですか。もう一回確認します。その考え、個人としてはと言ったけれども、副大臣ですよ、あなたは。

小宮山副大臣 児童手当法に所要の改正を行うこととするということが三党合意にはございますけれども、何を検討して、何をその中に盛り込むということは、まだ三党で検討されていないというふうに聞いておりますので、そこのところはまた検討をしてやっていただけるというふうに思っております。

菅原委員 多分この議論はずっとこうやって続くんだろうと思いますので、こういう中途半端な形でのきょうの議論というのは、やはり我々は認められませんよ。理事、大丈夫ですか。こんなことで、やっぱりおかしい。一般国民からすると、とてもとても理解できない。

 時間がないから、あわせて、きょうは財務省からもおいでをいただいております。確認をしておきます。

 この七月二十二日の参議院の予算委員会で、菅総理は、マニフェストに関して、財政的な見通しが甘かったと言って、あわせて、三・一一の東日本大震災を受けて、マニフェストに掲げたことすべてを優先するというよりも、この震災対策をより優先する場合も当然あり得る、こういうふうな発言をして、それはむべなるかな、当然だ、私どももそう認識をしております。

 ところが、どうもそこにも論理のすりかえが見られるというふうに認識をしております。それはなぜかというと、そもそも財政的な手当てがなくて、十六・八兆のお金を無駄の削減と租特の見直しといわゆる埋蔵金から発掘して充てると言っていた四K、このうちの一丁目一番地の子ども手当、これを結局、我々は、まずこのばらまきは廃止をして、そのお金はきちっと特例公債も含む国債の発行を圧縮させるべきだ、三月十一日以前はそう言っていたんですよ。あるいは景気回復に資するようなお金の使い方をすべきだと言ってきたわけですよ。それが三・一一以降は、私どもも、当面措置した予算の中においては、これはきちっと復旧復興、あるいは放射能対策、原発処理に充てるべきだということをいろいろな委員会でも主張してきたわけですね。

 ところが、今回、先ほどもお話があったように、支給額を変えることによって約一千二百億円のお金が捻出をされる。このお金については、端的に、どこにどう投入するおつもりですか。財務省として、やはり国債の圧縮をするんだ、特例公債を少しでも減らすんだというようなことなのか、その点はどうですか。

五十嵐副大臣 政府・与党としても、二十二年度の最後に発行する予定の国債を二兆円減らしております。それは、不用額と、それから税収の上振れの増加分が出た、それによって圧縮をさせていただいておりまして、将来になるべくツケを回さないようにというような努力をしております。

 この子ども手当の見直しにつきましても、先生御指摘のとおり、精査しなければなりませんが、一千億強、予算が出てくる、財源が出てくるということでございますので、これは復興財源に充てさせていただきたいと思っているところでございます。

菅原委員 五十嵐副大臣、あわせて聞きます。

 そうすると、今回、この三党合意で、この特別措置法による子ども手当については二兆二千億から二兆三千億、こういう所要額だというふうに三党で合意をしているわけなんですよね、認識をしているわけなんです。所得制限をかけるということは、当然、九割カバーということを、これはいろいろな議論があったと思います。現実、九割カバーで、ということは一割の方は支給されなくなる。とするならば、そこの額が、端的に言うと、約二兆の一割だから約二千億円ですよ、このお金も新たに出てくる。これについてはどこに回すんですか。

五十嵐副大臣 今後の予算編成過程において必要な検討を行っていく必要があると考えております。

 御指摘のとおりでございまして、所得制限基準を超える世帯について財源捻出が可能となるのであれば、最優先課題である復興のための財源に充てることが基本になるものと考えております。

菅原委員 小宮山副大臣にここで確認をします。

 先ほど答弁の中で、所得制限世帯については税制上、財政上の措置をとるということを先般の委員会でも答弁されていますよね。十日の財務金融委員会で、共産党の佐々木委員だったと思いますけれども、そういう答弁をされています。その財源はどこから持ってくるおつもりですか。

小宮山副大臣 三党合意の中で所要額二・二から二・三兆円程度ということも合意をしておりまして、その中には税制上、財政上の措置の分も含まれていると理解をしています。

菅原委員 そうすると、所得制限をかける、そこの部分は税制上、財政上の措置をする。つまり、そちらからすると、一〇〇%カバーしたいという意思がそこにある。なおかつ、そこの財源について、今副大臣がおっしゃったように、千二百億も二千億も含めて復興復旧に回す、あるいは財政再建に資するような形にしたい、こうはっきりおっしゃっている。それぞれ、一つの政府で言っていることが違う。この点を確認したい。もう一度。

小宮山副大臣 もともと、一万三千円ずつ支給をしておりますと、年間の所要額が二・七兆円でした。それに対して今回、三党合意に基づく形でやって、そこに税制上、財政上の措置を加えても二・二から二・三兆円ということで、先ほどの一千億余りというのは、今年度の残り分が、あと支給が年間の四分の一であるから一千億ぐらいということで、今回、年間で考えれば、二・七兆であったものが二・二から二・三兆ですから、四千億余りのお金が出てくる。それを復興に回すということで、五十嵐副大臣の答弁と何にもそごはないというふうに考えております。

菅原委員 時間がないけれども、事務方は今の答弁でいいのかね。

 二・七兆円というのは、たしか一万三千円を二万円に上げると言っていたときの話とは違うと思うんだけれども、そこの部分の差額の話じゃないんですか。それを結局、一万三千円、もとに戻したから、そこの七千億の話ではないんですか。

小宮山副大臣 先ほど申し上げたとおりで、二万円にする場合は二・九兆必要でございますので、二・七兆というのは一万三千円の年間の所要額でございます。合っております、私が申し上げたことで。

菅原委員 二・九兆と今言い直された。二・七兆とおっしゃった。

小宮山副大臣 申し上げたのは、二万円に上げたかったときの所要額は二・九兆円で、ただ、四月からの中では一万三千円にしておりますので、そうすると所要額が二・七兆ということです。今行われている子ども手当の中では二・七兆で予算を組んでおりましたので、この後、今回こういう形をすることによって、残りの、年間の四分の一分ですから一千億余り、年間にすれば四千億余りのお金が出てくるので、それを復興に充てるということです。

菅原委員 最後、確認します。そこの部分の四千億は、副大臣のお考え、大臣のお考えでは、復興に充てる、復旧に充てるということは明言されました。ということは、そこの部分をもって税制上、財政上の措置に回すというお考えはないわけですね。財務副大臣、そこは大丈夫ですか。言っている意味がわかりますか。

五十嵐副大臣 それは予算編成上の観点でそのときに検討するということでございますが、基本的な考え方としては、先生のおっしゃるとおり、復興に優先して充てたいということでございます。

菅原委員 いろいろとまだよくわからない不明な点もありました。この後どういうふうな決断をするかわかりませんけれども、やはり私ども、現金給付のみならず、現金給付と現物給付、ベストミックスで本当の子育てをしていく、将来の子供を育てる、頑張って働いて子育てをしている世帯、生活に困窮している世帯にきちっと手厚く保障していく、こういう考え方で今後とも臨んでいきたいと思います。

 以上でございます。

牧委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法案について質問を行ってまいります。

 八月四日、民主、自民、公明、三党の幹事長、政調会談で、民主党政権の最大の目玉政策でありました子ども手当、これが今年度限りで廃止をするということが合意をされました。来年度からは自公政権当時の児童手当を復活、拡充する、このことも合意をされました。

 今回の法案は、この三党合意に基づいてつくられたものであります。現行の子ども手当は平成二十四年度から廃止をする、民主党がマニフェストに掲げてきた子ども手当ではなく、自公政権時代の児童手当をベースに拡充をしていくということでございます。

 そして、この三党合意によりまして、今後、十月から支給に空白が生じる最悪の事態は避けることができました。民主党政権となって二年間、二転三転してきた子育て世帯への現金給付策が、これで、二十四年度以降、恒久的な制度へと一歩近づいたということが言えようかと思っております。

 さらに、今回の財政規模が、平年度ベースで二兆二千億から三千億ということであります。当初の二兆九千億と比べて、年間で六千億から七千億円が削減される。これを大震災の復興に回すことができます。この点においては評価ができると私は考えております。

 民主党の最大の目玉政策でありました子ども手当、これは当初から政策目的があいまいで、財源も確保できず、迷走に次ぐ迷走を続けてまいりました。最初に単年度限りの法案が出てくる、そして今年度、当初提出した内閣提出の法案は撤回をする、そして半年間つなぎ法案、このような、非常に子育て世帯にとっても予見性がない、家計にとってもこの先どうなるかわからない制度。迷走に次ぐ迷走を続けてまいりました。

 政策意図についても、少子化対策、今度は家計支援、それで今度は景気対策と、くるくると変わってまいりました。財源のめども全くない。政権公約で掲げられた、国費で月額二万六千円、全体で五・五兆円。この巨額な財源が必要なマニフェスト。民主党は無駄を排除し十六・八兆円の財源を捻出する、こう豪語されていましたね。しかし、政権交代したものの、まずは半額の一万三千円、この金額ですらきゅうきゅうとしている。この現状を見れば、当初からマニフェストの財源の裏打ちはなかったということが明らかになりました。それとともに、簡単に実現できるかのように宣伝したこと、これは極めて無責任と言わざるを得ません。

 財源の制約がなければ、私たちだって、子育て世帯に現金給付をしていきたい、それは同じ思いであります。しかし、その財源を捻出することは民主党政権にとって不可能であった。現実的な財源の中で何を優先し、いつまでにどうするのか、これを示すのがマニフェストであります。その意味で、財源がその一番の根本です。ここがなかった。毎年支給額が変動して、子育て世帯は非常に迷惑をしている。一体我々の家庭は子供にとって何を始めたらよいのか、続けられるのか、来年度はどうなるのか、半年後はどうなるのか、これさえもわからなかった。

 子ども手当は、民主党政権の屋台骨、目玉政策でした。他の政策の断念とは決定的に意味合いが異なります。非常に大きな意味を持っております。これを取り下げられた。これは、民主党みずからが政権公約の破綻を認められたということとイコールではないか。衆議院任期満了までの四年間で公約を実現する、そう言ってきたにもかかわらず、その根幹をわずか二年で放棄する。民主党は、任期満了まで政権にとどまる正当性を既に失っています。丁寧な説明なくして国民の理解は得られないと思います。

 大臣、この際、子ども手当は必要な財源が確保できず破綻をした、このことを国民にしっかりと御説明いただきたいと思います。いかがでしょうか。

細川国務大臣 子供に対する金銭給付の制度については、これまでいろいろと変わってきたというような、そういうことで御迷惑をかけている面もあるかと思いますけれども、来年度以降につきましては、今般の三党合意によりまして、今回のこの特別措置法の中でも、附則におきまして、政府は、特別措置法に規定する子ども手当の額等をもとに、児童手当法に所要の改正を行うことを基本として、法制上の措置を講ずる、こういうことを規定したところでございます。二十四年度以降の制度につきましては、今後とも、各党の意見を十分に伺いながら、今回の合意に沿ってさらに具体的な内容を検討してまいりたいというふうに考えております。

 子ども手当につきましては、震災復興への財源拠出の必要性、さまざまな状況変化がある中で、衆議院のマニフェストでお約束をした内容が達成できていないという委員の御指摘につきましては、これは私も国民の皆さんに大変申しわけないというふうに考えているところでございます。

 一方、マニフェストにおきます子育て支援施策は、社会全体で子供一人一人の育ちを応援するという考え方に立ちまして、現金の給付だけではなくて、待機児童の解消など保育サービスの拡充、あるいはまたワーク・ライフ・バランスの実現など、引き続き総合的な子育て支援施策を充実してまいりたい、このように考えているところでございます。

    〔委員長退席、郡委員長代理着席〕

古屋(範)委員 細川大臣は国民に申しわけないと殊勝な言葉を述べられておりますけれども、そうした反省、謝罪、果たして民主党の皆さんは持っていらっしゃるのかどうか、非常に懸念がございます。

 私も、この民主党が刷られたビラ、このことに触れないわけにはまいりません。やっと三党合意ができて、いよいよ国会が正常化してくる、その直前に、「誤解しないでください 「子ども手当」存続します。」、このビラを三十五万枚も刷られた。一体、本当に今回の三党合意を踏まえた特措法を成立させようという気持ちがおありになるのか。政府・与党一体です、まさにそれをぶち壊すビラではありませんか。私たちは、坂口元大臣が実務者協議に入り、真摯な協議を続けてきたわけであります。そうした野党の姿勢を踏みにじるようなビラであります。

 この民主党の政策ビラ、「「子ども手当」存続します。」とタイトルに書いてありますね。「三党合意により恒久的な制度になりました。」、このようにも明記をされております。子供への現金給付総額がまるで倍増したかのように強調されています。

 私もよくよく裏表読んでみましたけれども、子ども手当は廃止になりませんと。よくよく読んでみると、「「子どもに対する手当」制度を存続する」と中では言っているんですが、見出しには「子ども手当」となっているんですね。非常に許しがたい、私たち公明党が一貫して推進をしてまいりました児童手当の拡充をまさに民主党の成果であるかのような言い方をしているビラであります。実績を横取りするような、こそくな内容のビラとなっております。

 児童手当は、まず自治体の制度として私たちはスタートをさせました。そして、昭和四十七年の一月、国の制度化を主導して、今日まで着実かつ一貫して児童手当制度を拡充してまいりました。約四十年間になります。公明党が連立政権に参画をする平成十一年十月以前、児童手当の支給対象児童は二百四十万七千人であったんですね。支給総額は一千五百八十七億円、これだけでした。それが平成二十年度には、支給対象児童が一千二百九十万人、支給総額は約一兆円まで大幅に拡充をしてきたわけであります。

 このように、現行の児童手当制度は、始まって以来十年以上の年月をかけて法案提出に至ったわけです。今申し上げましたけれども、この施行に当たっては、三年間で段階的に支給対象を広げてまいりました。このように一貫して児童手当の拡充に取り組み、五回にわたって制度を拡充してきたのが公明党でございます。この際、限られている財源の中できっちり対応いたしております。

 この裏側には、御丁寧にも児童手当制度の沿革まで載せられていますね。どうせ載せるのでしたら、このわきに、民主党が児童手当制度の拡充に四回反対したと民主党の態度も付記をしていただきたかったなと私は思っております。二〇一〇年、政権交代して以降、「「子ども手当」制度発足」とあるんですが、ここには児童手当制度は残っていることも明記をしなければいけなかったでしょう。児童手当に子ども手当という名前をくるんで、そして今の制度になっている、そのこともぜひ付記をしていただきたかった、私はそう思っております。

 この児童手当制度をばらまきと批判された。当委員会においてもはっきり私はそのとき聞きました。そして、法改正四回、拡充案に反対をし続けてきたのが民主党であります。よく平然とこのようなものが、我が党がやったような形でお書きになれるなと、私はその神経を疑わざるを得ません。さらに、二〇〇〇年から民主党がチルドレンファーストを主張、旧政権下でも時代の要請を取り入れ、政権交代前には約一兆円まで増額されましたと。皆さんは反対されてきたわけです。にもかかわらず、このような表現をされている。

 これに対しまして、民主党の岡田幹事長は十八日に、法案が成立する前にビラを配布したということは大変申しわけないことだと。成立後でも私はこれはよくないと思います。誤解を与えかねない表現で、不適切だと謝罪をされました。そして、このビラ配布中止を行った翌日、十九日発行の党機関紙プレス民主で、子ども手当の存続が決定しましたとする記事を掲載されたとの報道を目にしております。機関紙は七万部印刷をされたそうですね。地方組織にもお配りになられたということであります。民主党が子ども手当存続をアピールする政策ビラを配布し、反発を招いたわけですが、また機関紙も発行する。一体どういうふうにお考えなのでしょうか。

 事実上のこのうそのビラ、機関紙を製作するに至った経緯、また、内容に関する国民への釈明、謝罪が必要かと思います。そして、本法案にも明記をされておりますけれども、「平成二十四年度以降の恒久的な子どものための金銭の給付の制度について、この法律に規定する子ども手当の額等を基に、児童手当法に所要の改正を行うことを基本として、法制上の措置を講ずるものとする。」このように法案にございます。今後、総理もかわられ、内閣もかわられるかもしれませんけれども、この三党合意の内容、そして、当然のことながら、本法案のこの条文、重視をしていただきたい。これに関しまして、明確な答弁を求めます。

    〔郡委員長代理退席、委員長着席〕

細川国務大臣 まず初めに、この子供に対する手当、自公政権下では児童手当、この制度の拡充に向けて、御党を初め、多くの皆さん方が長年努力をされた結果、児童手当が一歩一歩前進をしてきたということ、このことについては、私は、御党を初め、皆さん方にも敬意を払っているところでございます。

 また、ビラの内容について委員から御指摘がございましたけれども、このビラの内容につきましては、岡田幹事長が十八日の記者会見、これによりまして、今の子ども手当が、一万三千円がそのまま続く、これから来年度以降も続いていくというふうに受け取られかねない表現でありますので、そういう意味では不適切であったというふうに考えています、こういうふうに岡田幹事長は説明をいたしておりまして、私も同じような考えでございます。

 また、今後の問題でありますけれども、今、この特措法案、三党合意に基づいて提案をさせていただいております。この法案の中に、附則の中で、政府は、特別措置法に規定する子ども手当の額等をもとに、児童手当法に所要の改正を行うことを基本として、法制上の措置を講ずる、こういうことも規定をいたしまして、今回のこの特措法の法律の中にこのことも規定をいたしております。したがって、成立をさせていただきましたならば、この法律に基づいて、来年度以降の子供に対する手当について、これをまた法律をつくっていく、こういうことになります。

 したがって、それは三党合意のもとに行われています今回の特措法、そして二十四年度の法制上の措置でありますから、政権がかわろうとも、これは絶対に守ってやっていかなければならないことだと私は思っております。

古屋(範)委員 大臣の御答弁、児童手当の原点に戻る、このことを確認させていただきました。そう受けとめてよろしゅうございますね。もう一度確認をさせていただきます。

細川国務大臣 先ほども申し上げましたように、措置法案の附則におきまして「児童手当法に所要の改正を行うことを基本として、法制上の措置を講ずる」、こういう規定でありますから、したがって、そういう趣旨で法制上の制度をしっかり構築していく、こういうこと。これは三党合意の内容でありますから、これは当然実現していくということになります。

古屋(範)委員 ただいま大臣から、児童手当法でいくということを、言質をとらせていただきました。しっかり、どなたが大臣になろうとも、これは遵守をしていただきたい、このことを申し上げておきます。

 次に、来年度以降の所得制限についてお伺いをしてまいります。

 本法案で、手当額について、年少扶養控除廃止の影響を考慮して、中学校修了前まで原則一万円ですけれども、三歳未満、小学生までの第三子以降の子供は一万五千円とする、このような配慮措置が盛り込まれております。

 また、平成二十四年度六月以降は所得制限を適用されることも明記をされております。その基準については、従来の児童手当と同様、中学校修了までの子供を持つおおよそ九割の家庭が受給できるよう、夫婦、児童二人世帯で年収九百六十万円程度、このようなことが三党合意で確認をされました。こちらも従来までの基準を緩和する方向となっていると思います。

 この所得制限の対象となりますのは子育て世帯の約一割ほどということで、この世帯に対する目配りが非常に重要になってくる、このように思います。やはり、恒久的な制度ができない、恒久財源がない中で、税制改正は行われ、年少扶養控除の廃止がいわば先行して実施をされてしまった、そのように思います。先走っての税制改正であったかもしれない。全体ができるかどうかわからないのに、このところだけが先行してしまった。

 現在、出生率が回復傾向にある、団塊ジュニア世代を含みます三十五歳から四十四歳の母親、ここが出産をする数がふえております。晩婚、晩産化傾向の中で、この世代はどうしても、年齢を考えると、所得が高く、制限の対象となりやすいわけです。

 これまで、仕事が忙しい、また、税金も納めている、保育料は所得に比例するために高い、しかし、何も支援されたことがない、こういう感覚があった層かと思います。この方々が、単年度、またあと半年間、子ども手当を支給されてしまった。この方々にも、子育てをしながら頑張って働くのが大事だ、あるいは、頑張りを認めてもらえた、所得に関係なく、子育て世帯は社会から応援されている、こういうメッセージが明確になる政策が必要かと思います。税制改正が先走ってしまったわけですから、やはりこれは手当てをしていく必要があります。

 附則にも、平成二十四年度以降の所得制限を受ける世帯に対しては税財政上の措置の検討が盛り込まれておりますけれども、今後、平成二十四年度以降の恒久的な子供のための金銭給付制度において、この所得制限、また、所得制限を受ける世帯に対する税制上、財政上の措置を講ずるに当たりまして、子育て世帯に対する支援策として、世帯の所得に応じてどのような支援がふさわしいのか、ぜひ全体的なイメージを皆様に御提示する必要があろうかと思っております。

 そこで、子ども手当のかわりに扶養控除が廃止をされていたことで税負担が重くなる世帯に対しまして緩和措置等の支援策を講じることが重要になってまいりますけれども、これに対してどういうお考えなのか、ここを確認させていただきたいと思います。

細川国務大臣 この所得制限の導入でいろいろと影響を受ける世帯が出てくる、この緩和措置についてどういうふうに考えたらいいか、こういうことであります。

 今回のこの合意に基づく内容でいきますと、比較的所得の高い方を中心に実質手取り額のマイナスが生じることは事実でございます。

 一方、今回の合意の内容は、チルドレンファーストやあるいは控除から手当へといった考え方も大事にしながら、しかし一方で、震災復興のための財源を捻出するためにはぎりぎりの判断だったというふうに思っております。

 実質手取り額がマイナスになる方については大変申しわけないというふうに思っておりますけれども、この事情も御理解をいただけたらというふうに思っております。

 なお、平成二十四年度以降の所得制限世帯につきましては、今般の三党合意に沿って、税制上、財政上の措置についての検討を加え、所要の措置を講ずるということを法案に規定をしているところでございます。

 それから、委員が言われましたように、子育てで大変厳しい世帯に対してどういうふうに支援をしていくかということは、現金の給付もあるかと思いますけれども、また一方で、待機児童の解消とか、あるいはまたワーク・ライフ・バランスだとか、そういう施策をしっかりやることによって子供を育てる環境をできるだけ充実していくということが大事なことだというふうに思っております。

古屋(範)委員 恒久財源がない、恒久制度がつくられない中で、いわば見切り発車で子ども手当というものをスタートさせていった、その結果が結局はこういうひずみとなっている、子育て世帯に非常に迷惑をかけている、そのことを重く受けとめていただきたい、私はこのように思っております。みんな、子ども手当に振り回されてしまった。そのことを考え、ぜひ、この所得層への配慮、きちんとした形で手当てをしていただきたい、このことを強く求めておきます。

 次に、このたび法改正に盛り込まれました、児童養護施設入所の子供への支援等についてお伺いをしてまいりたいと思います。平成二十二年度子ども手当法に盛り込まれた検討規定の対応でございます。私たちが修正を申し込み、それが盛り込まれた点でございます。

 まず、児童養護施設等に入所している子供、あるいは里親に託されている子供、非常に難しい家庭事情を抱えている子供ということが言えるかと思います。この子供たちへの支援についてお伺いをしてまいります。

 平成二十二年度法では、子育て支援に係る全般的な施策の考え方あるいは支給対象の不備などについて問題点がございました。公明党は、よりよい法案とするために、二点、修正を提案し、検討規定に盛り込まれた経緯があります。

 まず、子ども手当の対象から、児童養護施設に入所する子供、あるいは里親のもとにいる子供などが漏れておりました。これについて、次代の社会を担う子供の健やかな育ちを支援するとしている子ども手当の理念に反する、最も援助を必要としている子供に対して手当が支給されない、これはあってはならないのではないか、このように申し上げまして、これは二十二年度から安心こども基金による特別支援事業として対応していただきました。しかし、これによって、同一施設内において特別支援事業の助成を受ける子、そうでない子、これが混在する、このような問題もございました。

 そこで、平成二十二年度子ども手当法の附則の検討条項に「児童養護施設に入所している子どもその他の子ども手当の支給対象とならない子どもに対する支援等を含め制度の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」ということを盛り込みました。

 今回の法案でこの対応がどうなったのか、これについてお伺いをしたいと思います。

小宮山副大臣 おっしゃるとおり、児童施設にいる子供など、本当に必要な子供への手当てというのは必ずやらなければいけないことだと考えておりまして、今回の特別措置法案では、平成二十二年度の子ども手当支給法附則の検討規定を踏まえまして、すべての子供たちが手当の恩恵を享受できるよう、これまで子ども手当が支給されていなかった、親のいない施設入所の子供など、これは里親も含まれておりますが、それについては、施設設置者あるいはその里親に支給するという形で子ども手当の対象といたしました。

 従来は、子供が施設に入所していても親に子ども手当を支給している場合がありましたが、今回の特別措置法案では、施設に入所している子供に関しましては、親ではなく施設設置者に支給することで取り扱いを統一することといたしました。

古屋(範)委員 今回の東日本大震災でも、両親を失い施設に入らざるを得ない、このようなお子さんもおられます。ですので、今回そのことが法律にきちんと明記された、このことは大変よかったと思っております。しっかりと実施をしていただきたいと思っております。

 次に、地域の実情に応じて子育て支援サービスを拡充するための新たな交付金制度についてお伺いをしてまいります。

 子育て支援策につきましては、このような現金給付、そしてまた現物給付、このバランスを図りつつ施策全体を拡充していくことが重要となってまいります。この点、平成二十二年度の子ども手当法の審議においても大変議論となりました。現金に偏ってしまってはいけない、皆さんが求めているのは、やはり、待機児童の数を見ましても、また、潜在的な待機児童の数を見ましても、保育サービスを求めていらっしゃる。公明党が主張いたしまして、「平成二十三年度以降の子育て支援に係る全般的な施策の拡充について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」このことも検討条項に盛り込まれました。

 そこで、今回、新たな交付金の創設がなされることとなったと理解をしております。この新たな交付金なんですが、これまでの次世代育成支援対策交付金を改組して、平成二十三年度予算において、既に新たに五百億円が措置をされていますね。しかし、この事業はもともと予算措置で行われていたものでありまして、二十二年度では三百六十一億円が計上されていまして、プラス約百四十億なんですね。非常に少ないと私は思っておりまして、皆が必要としている保育サービスを考えますと焼け石に水だな、あえて条文に入れたにもかかわらずこのように少ないのかというのが私の印象です。

 平成二十三年度子ども手当法案が撤回をされまして、つなぎ法にこの規定がなかったため、執行できておりません。半年間の執行のおくれが地域における子育て支援サービスの提供に影響を及ぼすことがないように、ぜひ早急に執行していただきたいと思っております。

 平成二十四年度以降の恒久制度においてこの交付金はどのような扱いとなっていくのか、これについてお伺いをしたいと思います。

小宮山副大臣 今回の特別措置法に基づきます新たな交付金、おっしゃるように従来の次世代育成支援対策交付金を改組いたしまして、地方が独自の子育て支援サービスまた待機児童解消を実施するために、市町村などに対して交付することを予定しています。事業が円滑に実施できるように、四月からの事業につきましても交付対象として、施行後できる限り速やかに執行していきたいというふうに考えています。

 来年度以降もこうした子育て支援の現物サービスの拡充、大変必要なことで、二十四年度以降の制度について、おっしゃるように今回は実増は百四十億ぐらいしかできませんでしたけれども、さらに各党や地方の御意見も十分に伺いながら、しっかりと拡充をしていきたいというふうに考えています。

古屋(範)委員 総合的な子育て支援が大切です。ぜひ、現金給付に偏ることなく、ここにしっかり力点を置いて進めていっていただきたいと思っております。

 次に、今回の措置の実施主体となる市町村の負担について考慮をお願いしたいということを申し上げたいと思っております。

 二年前に子ども手当が始まって以来、当初単年度、そしてつなぎと、子育て世帯だけではなく、自治体にも非常に迷惑をかけております。皆、この次のシステムはどうなるのか、予見が成り立たない。非常に人騒がせといいますか、迷惑な制度でございます。

 子ども手当の創設時は、自治体は児童手当に対応した設計システムをまず変更する、ソフトを子ども手当用につくり直した。さらに今後のことを考えると、今のシステムを改修するなど、対応を迫られることになりますね。また、所得制限の導入で、対象世帯の所得を把握する調査も行わなければいけない。各自治体には、既に今後について住民からの問い合わせもふえてきているそうです。システム改修の費用、事務負担増への懸念もあるというふうに私は伺っております。さらに、国内居住要件の新設など、制度変更に伴いまして、現在子ども手当を受給している場合であっても改めて申請を行わなければいけない。受給漏れが起きないように、対象世帯に対して十分な周知徹底を行う必要がございます。

 そして、こうした作業は市町村が行うこととなりまして、現場からは最低一年は必要との声が聞こえてきております。しかし、現実にはもうそんな期間はないわけです。新制度の実施に当たっては、市町村のシステム改修、また支給事務等、煩雑にならないよう、国としても十分な配慮が必要となってまいります。どういう対策をお考えなのか。

 また、特に被災した自治体、ここは市町村の職員の方も被災され、あるいはお亡くなりになっている方もいる。日本全体から今応援態勢もございますけれども、被災者の支援で手いっぱいである。こうした被災地の自治体への支援、これが非常に重要となってまいります。そこで、こうした被災地の市町村に対して国としてどのような支援を行っていくおつもりなのか、これについてもお伺いをしたいと思います。

小宮山副大臣 今回の特別措置法案での支給額や支給要件の変更、またおっしゃるような申請事務などにつきまして自治体に御負担をおかけすることになりまして、これは大変申しわけないというふうに思っています。

 厚生労働省といたしましては、QアンドAをつくってそれを活用していただくことや、担当者会議の開催などを通じまして早期に情報提供を行うとともに、今回の制度見直しに伴うシステムの改修などの事務費について補助をという声を強くいただいていますので、国からしっかり補助が行えるように検討をいたしまして、自治体での円滑な施行に努めていきたいというふうに考えています。

 その際、おっしゃるように、特に被災地の市町村はただでさえいろいろと大変なところですので、御指摘のとおりきめ細かな対応が必要だと考えていまして、個別に県を通じて状況を確認しながら必要な対応を講じていきたいというふうに考えています。

古屋(範)委員 ぜひ被災地へのきめ細やかな支援をお願いしたいと思っております。見切り発車をしてスタートした子ども手当、恒久的な制度ができないままにスタートしたものが、こうした自治体へも大きな負担となり迷惑をかけている、このことも責任を感じていただかなければならない、このように思っております。

 次に、地方との協議の場についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 平成二十二年度また二十三年度の子ども手当制度の検討過程におきまして、国と地方との協議は行われてきているはずなんですけれども、地方側は、合意を得ないままに決定されたと、国に対する不信、不満、これが渦巻いております。私の地元の知事からも、これは何度も伺いました。平成二十四年度以降の制度については、このようなことがないよう、ぜひ地方自治体と十分な協議を行っていただきたい、このように思います。

 十二日に国と地方の協議の場が開催をされたということです。子ども手当の見直し方針が説明をされて、引き続き協議を行っていく、このことが確認をされたと伺っています。

 二十四年度以降の制度について、中学生を支給対象に加えるなど、これまでの児童手当よりも予算規模が大きくなります。その分、地方また企業に新たな負担増を求めることとなり、今後の協議で国と地方の合意ができるのかどうか、ここが注目をされております。恒久的な制度づくりに向けて、今後、十分に地方との協議を行っていただきたい。

 この国と地方の協議の場の位置づけはどうなっているのか。今後、混乱を回避する上で、ぜひ政策決定過程を明らかにしていただきたいと思います。この点、いかがですか。

小宮山副大臣 今回は、大変時間がなかったので十分だとは思いませんけれども、細川大臣からそれぞれの地方の団体の責任者の方には電話などでお話をしたところです。

 今後、平成二十四年度以降の制度の検討に際しましては、この法律案の附則で、三党合意を踏まえて、地方自治法に規定する全国的連合組織の代表者その他の関係者と十分に協議を行い、これらの者の理解を得るよう努めるものとすると規定をしております。この規定を踏まえまして、国と地方の協議の場を初め、それ以外の場も含めまして、地方団体と十分に協議をしていきたいと考えております。

 来年度以降の制度については、各党そして地方の御意見も十分に伺いながら検討していきたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 今の政権は地方をちっとも重視していない、地方軽視の政権だと言っている知事さんもおりました。ぜひ地方の意見を大事に協議を行っていただきたい、このように思います。

 最後の質問に参りたいと思います。

 本法案とは直接関係がないんですが、子供の健康、難病のお子さんを持つお母様から、先日、切実な声を伺いましたもので、その点について質問してまいります。胆道閉鎖症についてでございます。この早期発見についてお伺いをしてまいります。

 十六日なんですが、この胆道閉鎖症患者会、肝ったママ's、このお母さん、また国立成育医療研究センター松井病院長よりお話を聞きました。

 胆道閉鎖症というのは、原因不明で胆管に炎症ができまして、出生児の九千人に一人の割合で起こる病気です。生後二、三カ月までに、黄疸ですとか、淡黄色、白っぽい黄色の便が出る、あるいは濃黄色尿、濃い黄色の尿が出る、時には出血などが起きると言われていまして、十年生存率はわずか一六%であります。早期発見、早期手術が重要です。

 胆道閉鎖症の乳児では、生後約一カ月までに便の色に異常を来すということが多いそうです。毎日お子さんの便を見ている、その色をチェックする方法、これがさまざまな方法が模索をされております。

 今回お話を伺った、松井病院長が導入をした便の色のカラーカードもその一つなんですね。はがき形の便の色のカラーカードがありまして、現在、早期発見のツールとして、栃木県、新潟県など九自治体で取り入れられています。さらに改良した新版カード、色調定量化便色カラーカードの普及が求められています。この新しいカードを普及するために、昨年十二月から神奈川県では二十六市町村でパイロット事業が行われています。今年度でこの事業は終了してしまいます。この事業で得られた結果は、今後の胆道閉鎖症の総合的な診断支援につながるものと考えております。

 この早期発見の一番よい方法として、新版カラーカードを母子手帳に挿入して、お母さんたちに気づいてもらう、これが最も効果的なスクリーニングだということです。脳の切開手術をしなければならなかった同症のお子さんを持つお母さんから、この事業に対して強い要望をいただきました。

 母子手帳改訂への検討がこの秋から始まると聞いています。ぜひとも母子手帳にこのカードを挿入して、里に、自分の実家に帰って出産をしている人もいますので、出産前からこのことをお母さんに伝え、そして出産後すぐに自分の子供の便の色がチェックできるようにしてほしいと思っております。

 母子手帳は市町村によって若干違いがありますけれども、一カ月ごろの保護者の記録というページの欄外に、便の色が薄い黄色、クリーム色で、白目や皮膚が黄色、黄緑色である場合には、胆汁が流れにくい状態があるので、一日も早く小児科医等の診察を受けてくださいと記載されているんですが、こうした文書だけでは色はわかりません。そこで、このページにカードを挿入してほしい、このように思っておりますけれども、前向きな御答弁をいただければと思います。

小宮山副大臣 乳児に日常的に接する保護者自身が乳児の便をチェックするということは、健康管理で非常に重要なことだと考えています。

 御指摘の便の色のカラーカードによる胆道閉鎖症の早期発見につきましては、厚生労働科学研究によりまして一部の地域で試験的に実施されていまして、その活用方法などが検討されているところです。

 厚生労働省といたしましても、この研究成果を参考にして、今委員からは母子手帳に挟むという御提案がございましたが、御意見も伺いながら、このカラーカードの活用方法について積極的に検討をしていきたいと考えています。

古屋(範)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 いずれにいたしましても、真に子育て支援に資する的確な政策を打っていただきたい、このことを申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、今夏の電力需要一五%カットを目標とする節電対策に伴ってですけれども、日本自動車工業会が、七月から九月まで平日に休みを振りかえることで土日操業を決めました。厚労省は、この土日出勤せざるを得なくなった保護者の児童について、保育所が新たに休日開所をした場合などに安心こども基金で支援することを決めたということを承知しています。

 例えばトヨタは、中部電力の管内であり、本来、節電義務の対象となっておりません。自主的に決めたとはいえ、労働者が一方的に休日出勤をやれと言われるものではないはずです。就業条件の変更であり、労使の合意がなければできないはずですけれども、確認をしたいと思います。

 また、下請関係は、取引先が複数あるために結果として毎日出勤せざるを得なくなる、こういう状況が生まれています。そうした影響の大きさについても考慮し、避けられるものは避ける、つまり休日出勤の押しつけにならないようにすべきだと思いますが、考えを伺います。

小宮山副大臣 節電対応のためでありましても、委員が御指摘のように、所定の休日や労働時間などの労働条件を変更する場合には、労使でよく話し合っていただく必要があります。

 下請の企業も、労働者に過度の負担を強いることのないよう、発注元とも取引条件などについて十分調整を図りながら、労使でよく話し合った上で節電に伴う労働条件を決めていくことが重要だと考えています。

 また、こうした労働条件の変更に当たり就業規則等の変更を行う場合には、労働基準法に定める所定の手続を経る必要があります。

 厚生労働省では、労使の話し合いのポイントや必要な手続をまとめたパンフレットを十万部作成いたしまして、全国の労働基準監督署で労使からの相談に応じています。今後とも、必要な情報提供、またきめ細かな相談対応に取り組んでいきたいと考えています。

高橋(千)委員 済みません、もう一言確認をさせていただきます。

 今、下請の話が一言、答弁にありました。間に挟まっちゃうわけですよね。要するに、元請からは、期日までにやってくれ、土日操業しているんだからそれに合わせてくれなきゃ困ると言われる、しかし労働者の立場は守らなきゃいけないということで、やはり間に立って、結局取引できないよということになったり、それで労働者にしわ寄せが来たことで一方的に下請企業だけが責められるということがないように、やはりきちんとそこを徹底すべきだ。そして、さっき言ったように、節電義務の対象にはなっていないのですから、基本は、避けられるものは避けるべきだという考えでよろしいでしょうか。

小宮山副大臣 おっしゃるとおりだと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 トヨタの関連産業の多い愛知県内では、四十三市町、百二カ所で休日保育の実施に今回踏み切りました。千五百人を超える子供たちが利用をしております。

 今週の日曜日に、豊田市と名古屋市の市立と民間の保育所に行ってまいりました。大変なんですね。とにかく、シフトをつくるだけでも大変です。当然、周りの園からも園長さんや保育士さんが応援に来てくれますけれども、毎日ローテーションが変わります。それで、毎日そのローテーション、決めるだけでも大変。だって、よその園に行くと、幾ら経験のある方でも、ぞうきん一枚、その場所がわからない、勝手がわからない中で、引き継ぎの時間も十分にとれない。それで子供たちは新しい子供がやってくるということで、本当に大変で、親も目いっぱいですし、保育者も目いっぱいなんですね。

 百円ショップでかごを買って、特別な子供たちと、ちゃんとまざらないようにしております。休日はお弁当なものですから、お弁当箱に名札をつけて、間違ってもほかの子供と違わないようにということで、大変な繊細な注意を払っているという状況でございました。

 そういう中で、豊田市では、トヨタなど電力需要にかかわる子供とそうでない子供、例えば美容師さんですとか看護師さんですとか、休日はもともと休みじゃない、日曜日は休みじゃない方たちはたくさんいらっしゃるわけです。そういう方たちと差別しないんだということで、含めて、振りかえで平日に休んでいるんだからということで、それを条件として、全員、休日の保育を無料にしました。

 一方、名古屋市では、もともと休日開所を望む声が多かったために、ふたをあけてみたら半々なんですね、もともとやってほしかった人と今回の電力関係の方たち。そうすると、子供にこの子は電気と印をつけるわけにいきませんよね。ですから、結局今までと同じ基準で、有料になっちゃったわけなんですね。

 そうすると、これはどちらも一理ある。一理あるけれども、大人の都合あるいは業界の都合で新たな負担が生まれたり子供たちが振り回されるというのは、やはり避けるべきだなと思います。

 そこで提案ですが、通常の休日保育事業の補助割合は三分の一です。これを、今回の特別事業は二分の一です。少なくともここまで引き上げるべきだ。私はもう十分の十でもいいと思って言ったんですが、少なくともここまで、特別事業と通常事業を区別しない。できないわけなんです。そうやって全体の保護者負担の軽減を図る、そして保育者の労働強化にしない、これくらいはやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

小宮山副大臣 節電で休日出勤が行われると聞いたときから、こうしたことが起こることはわかっておりましたので、しっかりと対応するようにということで、検討はしてまいりました。

 そして、ことしの夏、七月から九月の電力需給対策の実施に伴って休日保育などのニーズが増加しましたことから、通常の休日保育事業とは別に、安心こども基金を活用した休日保育特別事業を今実施しています。

 通常の休日保育事業はおっしゃるように補助率が三分の一ですが、今回の特別事業は、今委員がおっしゃったように、平日利用を基本としている保育所運営費の補助率と同様の二分の一と既にしてあります。それで、休日利用に着目した追加的な保育料は徴収しないということを厚労省としては決定をし、そのように通知をしています。

 ただ、実情が市町村によってばらばらなことも把握をしておりますので、今回の特別事業により、保育所での実施体制の整備に必要な人件費などを厚生労働省としては財政支援をすること、こういうことなどもしっかりとお伝えをして、引き続き、平等に、そして円滑にこの事業が実施できるように努めていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 ですから、率直に伺いたいんですよ。トヨタ関連の子供は無料で、そうじゃない子供さんが無料じゃないということになっちゃうのはおかしいでしょうと。もともと日曜日は休みじゃないんだ、そういう人たちが利用料を払って、あるいは高いところに行ってという苦労をしていたわけですよ。だったら、せめて三分の一から二分の一ということで通常の休日保育もやって差をつけないようにする、これはもう一歩踏み出すべきではないですかという提案をしています。いかがですか。

小宮山副大臣 これは財源のことなどもございますので、御承知の、これから子ども・子育て新システムをぜひ御協力いただいて実現をする中で、保育をさまざまな形で充実をさせていく、そのことに向けて、それまでの間どれだけのことができるかは、最大限努力をしていきたいというふうに考えています。

高橋(千)委員 納得はいかないんですけれども、当然、矛盾しているということは感じていらっしゃると思うんですね。

 そこで、実際、トヨタは、木、金に休めと言ったわけですが、今後木曜日も操業すると言っています、大変忙しくなるので。なぜかというと、エコカー減税がいよいよ締め切りだということで、駆け込み需要に備えて、深夜操業も、一時までの二直という交代があるんですが、それを三時まで二時間引き延ばす、こういう状態を今やっているわけですね。ですから、何か子供を応援しているつもりが労働強化を認めることになってはならないので、ここは本当に厳重にお願いしたいと思います。

 一言だけ。新たな交付金制度というのが今回の子ども手当にも組み込まれております。先ほど百四十億というような数字があったと思いますが、組み替えですので純増は大した額ではないわけです。ただ、ここでやはり自治体が、これまでとは違って、こうした子供に差別を与えないということも含めて対応できるんだという、この交付金に込めた思いを一言お願いしたいと思います。

小宮山副大臣 おっしゃるとおりで、この交付金によりまして、地方独自の、それぞれの地域に合った新たな子育て支援サービスへの支援、それからまた、最低基準を満たす認可外保育所施設への支援などの待機児対策など、いろいろなことを新たに市町村が独自で実施できるように交付をすることを予定しています。

 おっしゃいますように、次世代育成支援対策交付金が昨年度は三百六十一億円ということで、全体としては純増は百四十億でございますけれども、ぜひこれを皆様の御協力もいただいてこれからまた充実をさせていきたい、そのように考えております。

高橋(千)委員 よろしくお願いしたいと思います。

 新システムについては、これまでも指摘をしてきたとおりですので、また次の機会に譲って、子ども手当そのものの議論をしたいと思います。

 我が党は、昨年三月の子ども手当法案のときから、なぜ一年限りの法案なのかということを指摘したと思います。それは、恒久法としての子ども手当のスキームが完成しなかったというのが率直な理由だと思うんですけれども、もしそうであれば、功を焦らず、児童手当法の拡充でよかったのではないか。そうであれば、これから先の議論というのはよい方向に向かうわけですよね。つまり、所得制限はもともとある、それをもう少し緩和していこうじゃないかと。

 先ほど古屋委員の御指摘もあったわけですけれども、もともと、児童手当法というのが長年にわたって拡充をしてきた中で、子ども手当に対する時代の要請というものもあったのではなかったか。ですから、そういう粘り強い議論を続けていくべきだったと思うんです。逆になっちゃったんですね。ばっとアドバルーンを上げて、どんどんしぼんでくる、そして一年限り、半年限りということで、つなぎ、つなぎとやってきたわけです。

 ですから、一番振り回されたのは国民であって、混乱を与え、信頼を失ったと思います。もう私は、この点では民主党政権の意味をなさなくなったに等しいと思います。

 大臣に伺いますが、子ども手当をめぐるこのような混乱について、自民党さん、公明党さんに対しての謝罪ではなくて、国民に対して、やはり責任をどのように考えているのか、それが聞きたいわけです。どうぞお願いします。

細川国務大臣 今回、三党の合意は、これは何も措置をしなければ九月でもう切れちゃう、そうしますと国民生活に大きな影響を与える、こういうことで、ぎりぎりの状況で、意見が違ったところがありましたけれども、各党が実現可能な着地点を見出したものであるというふうに承知をいたしております。

 子ども手当につきましては、震災復興への財源拠出の必要性などさまざまな状況変化がある中で、衆議院のマニフェストで約束をいたしました内容が達成できていないということに対しては、これは率直に、国民の皆様に大変申しわけないと考えているところでございます。

高橋(千)委員 半年前も、何も措置しなければ児童手当に戻ってしまって、極端に下がるじゃないかということで、我々も苦渋の決断で賛成をしたわけですが、本当であれば、半年前、成立しなかったわけですよね。そういう事態だったということから考えれば、この間の努力がやはり足りなかったであろうということを重ねて指摘しなければならないと思います。

 支給額は、来年四月以降も同じだと考えているのでしょうか。だとすれば、一万円、一万五千円の根拠は何でしょうか。簡潔にお願いします。

小宮山副大臣 来年度以降の子供のための金銭給付制度につきましては、特別措置法案の附則で、今般の三党合意に沿いまして、政府は、特別措置法に規定する子ども手当の額等をもとに、児童手当法に所要の改正を行うことを基本として、法制上の措置を講ずるということを規定いたしました。

 平成二十四年度以降の制度につきましては、各党の御意見も十分に伺いながら、今後、今回の合意に沿って、さらに具体的に内容を検討していきたいと考えています。

 三党間の協議の内容につきましては、所得税、住民税の年少扶養控除廃止の影響を考慮して、実質手取り額の減少を回避、緩和するために金額を決められたというふうに伺っています。その金額は、三歳未満及び三歳から小学校修了前の第三子以降を一万三千円から一万五千円に引き上げる一方、これに必要な財源として、中学生や三歳から小学校修了前の第一子、第二子の手当額を一万三千円から一万円に引き下げる、こうしたものと考えております。

高橋(千)委員 ですから、根拠が、なぜ一万円なのかというのもわからないし、今のは、今後、来年も同じだという意味でお答えになったんでしょうか。ちょっと説明がわからないんですが。

小宮山副大臣 今、二・二から二・三兆円で所要額も三党で合意された中から考えますと、この金額は同じだというふうに思っています。

 その根拠については、先ほど申し上げたように、実質手取り額の減少を回避並びに緩和するためにこういう金額を出したというふうに聞いております。

高橋(千)委員 今、手取り額の減少を回避するためにというお答えだったかと思います。

 では、それが今回どうなるのかということを少し考えていきたいと思うんですけれども、前回のつなぎ法案の時点で既にわかっていたことですけれども、一万三千円の子ども手当でも、所得税の年少扶養控除の廃止によって増税となり、実質手取り額が逆転する階層があるということを指摘したところであります。そのときに、提出者が、三歳未満については逆転をしますということをお認めになり、それを避けたかったけれどもできなかったという答弁をされていたと思います。

 この間、そのことを、どういう検討をしてきたのかということと、今回は、三歳未満に限って一万五千円ということで、手当から見ると二千円増になったわけですけれども、この実質手取り額における逆転現象は解消するのでしょうか。

小宮山副大臣 政府といたしましては、その逆転現象が生じるのが主に三歳未満の層であることなどから、三歳未満について支給額を七千円上乗せして二万円とする法案を通常国会に提出をいたしましたが、国会での御指摘も踏まえまして、与野党協議を行って、ことし十月以降の制度のあり方を検討するためにそれを取り下げました。

 今回の特措法に基づく給付が支給された場合、手当を受給する世帯のうち、比較的年収が高い方で実質手取り額のマイナスが生じると考えています。

 一方、今回の合意につきましては、震災復興のためなどの財源を捻出する必要があるといった緊急的な要請も考慮しまして、ぎりぎりの調整の結果、まとめられたものと聞いています。

 実際にマイナスになる家庭がないかと言われれば、ございますので、マイナスになる世帯については大変申しわけないと思っておりますけれども、先ほど大臣からも御答弁した全体的な子育て支援を充実していくこと、これは各党とも御同意いただけるところだと思いますので、何とか子供を総合的に支援をしていくということで対応していきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 今、あるということで、逆転現象は解消されないということをまずお認めになったかと思います。

 それで、資料を一枚だけ出しておりますけれども、これまでの厚労省の資料を簡潔にまとめたものであります。「子ども手当の見直しでこう変わる」ということで、今、額についてまず整理をしたものと、それで、二〇一二年六月からは所得制限が導入されるということが既にこの法案に書かれております。それと、所得税の年少扶養控除の廃止は既にされている、プラス、住民税の年少扶養控除の廃止によって実質手取り額がどうなるかということを、一定の仮定をもとに、夫婦、子供一人ということで計算をしているわけですけれども、三歳未満、あるいは三歳から小学生で、三百万円のところでようやっと六百六十七円と、本当に情けない数字がプラスに出るわけですが、そこから上は、五百万円でマイナス三百七十五円、八百万円でマイナス四千八十三円という形で、マイナスが立つということで、網かけをしてみると、圧倒的にマイナスの方が多くなってしまうわけですよね。

 そこで、所得制限の世帯に何らかの手当てをするということが議論をされたようであります。その中で出てきた数字として、九千円還付をするということが言われているわけですね。そうすると、九百六十万のところで所得制限をかけられて、この一千万のところを見ますとマイナス九千八十三円、これが九千円を払うと八十三円だけのマイナスになって、ほぼとんとんになるわけですが、見ていただくとわかるように、逆に、所得制限のかからない、年収の少ない世帯の方が実質手取りが減る、また逆転になって格差が拡大するといいますか、おかしなことになるわけです。どうお考えになりましょうか。

小宮山副大臣 所得税と住民税の扶養控除廃止によりまして、最終的には、今御指摘のように、年収一千万の世帯で月額九千八十三円、年収一千五百万の世帯で月額一万三千二百円の減収になります。こうした点も踏まえて、三党間の協議の中で、所得制限世帯に対する措置として九千円という意見が出たものと聞いております。

 また、御指摘のように、仮に九千円の措置を講ずる場合、児童手当時代との比較で見れば、所得制限ぎりぎりで手当を受給できる方に大きな手取り減が生じますが、児童手当の時代との比較ではなくて、一万三千円という現在支給している子ども手当との比較を見れば、所得制限超えの世帯の方がそれ以外の世帯よりも支給額が少なくなる、そういうことも言えるかと思っています。

 いずれにしましても、今回の合意について、先ほど申し上げたように、さまざまその財源を捻出する必要が震災復興などのためにもある、緊急的な要請ということも考慮いたしまして、ぎりぎりの調整の中で三党でおまとめいただいたと思っております。

 繰り返しになりますが、マイナスになる御家庭については、総合的な子育て支援策の中でしっかり対応できるように、これも超党派で皆様のお力もいただいて、子供のための政策がとっていければというふうに考えています。

高橋(千)委員 非常に答弁が、三党合意がなかなか本意ではなかったのよというような気持ちが伝わってくるような答弁でございますが、非常に矛盾しているわけですね。

 例えば、私が、子ども手当と比べたら逆に減る人の方が多いじゃないかということを言いますと、いやいや、児童手当と比べれば多くなるんだなどという議論をおっしゃる方もいますし、そういう資料を厚労省自身が出してきたわけなんですね。だから、非常に、つじつまが合わないことを無理やり合わせているんだということを言って、結果として、とにかく手取り額が減ってしまい、多くの世帯に御迷惑をかけるということは厳然たる事実だと言わなければならないかなと思います。

 それで、たくさん質問を用意していたんですが、時間の関係で少し順番を変えたいと思います。

 それで、先ほど来ずっと議論をされているように、もう自民党、公明党さんは、そもそも子ども手当は廃止なんだとおっしゃっているし、来年四月以降は児童手当法に戻るということを三党合意に盛り込んだとおっしゃっているわけですよね。もともと今回の法案も、新法ではありますけれども、土台が児童手当法になっておりますので、基本的には戻っていると言わなければならないわけです。ただ、まだ所得制限は始まっていないだけということではないかなと思います。

 そこで、児童手当法に戻るとすれば、財源の割合がどうなるのかという問題が出てきます。

 つまり、昨年以来は、スキームとしてまだ子ども手当でしたので、地方負担の割合は、児童手当と同じ部分だけは地方負担は同じですよ、三分の二の負担は同じですよ、それ以上の上積みした部分、これは子ども手当によるものなので、全額国庫負担としておりました。そうですよね。そうすると、これは児童手当法に戻ってしまうと、理論上は、上積み部分というふうに分けることがおかしくなってしまう。つまり、全体が児童手当と同じ負担割合にならなければ理論上はおかしくなるのではないかと思うんです。

 その際、全体を児童手当と同じ負担割合にすれば、地方負担はどのくらいになるでしょうか。

小宮山副大臣 御指摘の点につきましては、所得制限世帯に対する給付をどうするのか、事業主の負担をどうするのかなどによりましてその地方の負担も違ってくる。国と地方の負担割合が児童手当法と同じだと仮定したとしましても、地方負担額を計算することというのは、その前提条件が、どういうふうに検討するかによって、今出すことは困難だというふうに思います。

 いずれにしましても、二十四年度以降の制度につきましては、各党の皆さんの御意見も十分に伺い、今回の合意に沿ってさらに具体的な内容を検討することとしていますが、先ほども御紹介した特別措置法案の附則で、その際、地方六団体の代表者等と十分に協議を行い、これらの者の理解を得るよう努めるものとするとされていまして、この規定に沿って、地方の理解も得ながらしっかりと対応していきたいというふうに考えています。

高橋(千)委員 そうはいっても、協議がこれからあって、具体的にどうなるかわからないと言っているけれども、これまでのように、ここまでは児童手当のスキームよという理論は成り立たないわけですよね。

 児童手当が一兆円だったときは、大体地方負担は五千九百億くらいですかね。そうすると、五五・九%くらい全体の事業費の中で持っているわけです。これを三分の二と単純に計算しても、一千億以上は負担がふえるということになるわけで、どういうふうに制度設計をするにしても、これはこれまでの理論は成り立たない。そこは率直に認めて、きちんと議論をスタートしなければならないと思いますが、いかがですか。

小宮山副大臣 繰り返しになりますが、これからの二十四年度の恒久的な制度に向けて検討がされる中で、いろいろ前提の置き方によってその金額は変わると思いますので、そのときに地方をどう考えるかというのは、国と地方、それから皆様ともいろいろ協議をしながら、それによって必ずしもふえるということを今申し上げることもできないというふうに思っております。

高橋(千)委員 もちろん、私はふやせとは言っていませんから。地方負担は基本的になくすということで子ども手当が始まったわけです。だけれども、理論上児童手当に戻ってしまえばそういう問題が起きるんだと。ですから、つじつま合わせの議論では済まないんだということを重ねて指摘をしたいと思っております。そういう弊害が結局地方にも回ってくるし、国民に来るんだということを言いたかったわけであります。

 そこで、昨年の子ども手当の審議では、子供の貧困が大きなテーマとなりました。今回も、震災の影響で両親を亡くした子供さんは二百人を超えております。リストラ、被災で廃業、あるいは雇用保険がもうそろそろ切れるという状況でもあります。ですから、子供をめぐる環境はさらに悪化したと言わなければならないと思うんですね。

 また、被災地ではない子供にとっても、好転する材料は何一つないと思うわけです。これは逆に、被災地があるということでの逆の影響、そこにはいろいろな支援があるけれどもということもございますので、好転する材料というのは何一つないと言わなければならないんですね。

 三月のときに、あしなが育英会の子供の紹介をしました。周りの子供と同じことができないのに、それが手当によってできるようになった、それが希望だったんだ、その希望を奪わないでほしいという声を紹介しました。今、あしなが育英会が震災の子供たちを本当に助けて活躍しているということも報道されていると思います。

 こういう子供たちをめぐる環境がよくはなっていないということについての認識と、そういう意味でも、直接貧困家庭に届く手当を削るべきではない、高速道路などと一緒に論じるべきではないんだということを指摘したいと思いますが、大臣の見解を伺います。

細川国務大臣 先月公表されました国民生活基礎調査、そこでは、子供の貧困率は一五・七%、子供がいる現役世帯の相対的貧困率は一四・六%と、大変高い水準となっております。その背景として、所得の低い非正規労働者として働いている親が増加をしているというふうに考えられておりまして、子供を取り巻く環境というのは大変厳しいものがあるというふうに認識をいたしております。

 しかしながら、親の経済力、あるいはまた幼少期の生育環境、これによって人生のスタートラインの段階から大きな格差が生じて、世代間を超えて格差が固定をしていく、こういうことがあってはならないというふうに考えております。

 そこで、今般の特別措置法に盛り込まれております子ども手当につきましては、まさにそうした人生のスタートラインの段階を金銭面から確実に支援をしていく、こういう仕組みであるというふうに考えておりますけれども、支給額について、震災復旧復興のための財源の捻出というようなことについてぎりぎりの判断だったというふうに考えております。

 政府といたしましては、この子ども手当の支給等の現金給付とあわせて、保育サービスの拡充、あるいはワーク・ライフ・バランスの実現など、子育て支援に係る総合的な政策を推進して子供の育ちを応援してまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 子供の貧困が今回の子ども手当の大きな動機であったにもかかわらず、こうした政局やさまざまな大人の事情で子供たちを犠牲にするということがあってはならないということを指摘して、終わりたいと思います。

牧委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、民主党政権と連立をしておりましたころ、子ども手当という、子供自身を給付の対象とする手当をつくるということに積極的に賛成してきた立場ですので、きょうの審議をいろいろ承っても、民主党内、あるいは民主党と他党との関係で厳しいいろいろなことがおありであったことは理解しながらも、やはりこの法案の行く末を大変案ずる立場から質問をさせていただきます。

 先ほど、高橋委員と小宮山副大臣のやりとりの中で言われたことですので、今度は細川大臣に確認をしたいと思いますが、今度の法案は、「恒久的な子どものための金銭の給付の制度に円滑に移行できるよう、」ということが特措法の趣旨となっておりまして、先ほどの小宮山副大臣の御答弁では、お手元にございます、民主党のおつくりになった「子ども手当と、もともとの児童手当の比較」というものにございますように、月額、三歳未満一万五千円、三歳から小学生は第一子、第二子一万円、第三子一万五千円、中学生一万円と、この額をベースにして、考え方は児童手当を改正していくということでよろしいですか。この二点、お願いします。

    〔委員長退席、郡委員長代理着席〕

細川国務大臣 三党の合意におきましては、子供に対する手当の制度のあり方、この制度上の措置というものは、子供のための現金給付については、上記の支給額等をもとにして、児童手当法に所要の改正を行うことを基本とする、こういうことで、この支給額等につきましては、先ほど委員が言われました額をもとにして決めていく、こういうことになります。

阿部委員 そういたしますと、これは大臣でも副大臣でも結構ですが、この民主党のつくられた児童手当との比較というところにのっとって、ここには、年収九百六十万円のところで、所得制限をまだかけていない場合の給付総額が二・二から二・三兆円という試算がありますが、もしも所得制限をかけた場合、この給付総額は幾らになりますでしょう。お願いします。

小宮山副大臣 これも、所要額についても三党で合意をしておりまして、二・二から二・三兆円ということです。

阿部委員 今のは私への御答弁ではないですが、それは、所得制限をかけたところを何らか手当てするということがあるのでということですね。私の質問は、そうでない場合の総額はどのくらいですかということで、これは二・一兆円だそうです。

 それから、もう一つ質問いたしますが、もともとの児童手当法、一番右の端ですね。ここでは、現金給付が一兆円と書かれておりますが、所得、住民税に係る年少扶養控除と、子育て世帯ということで特定扶養控除ということを考えますと、子供世帯を含めて子供たちに給付されていた、あるいは税額で引かれていたものの総計は幾らになりますでしょう。

小宮山副大臣 その控除を合わせますと二・一兆円です。

阿部委員 私が何を言っているかというと、もし所得制限をかけたら、結局前と同じ額を控除でやっているか給付でやっているかの差でしかないのですが、結局、パイ全体はふえていなくて、同じ子育て世帯内での分布を変えただけではないかということを指摘したいと思って、私は小宮山副大臣に今のような御質問をいたしました。

 一枚めくっていただきますと、先ほど高橋委員が御指摘もありましたが、そもそも、今から二十四年の六月に至るまでの間も、一体幾らの所得層で実際の現金とあるいは減税分とがイコールになるのかというのをつくっていただきまして、最初にいただいたのが、上の、八百万円のところでマイナスが立つよという表でありました。

 しかし、これをよく精査してくださいとお願い申し上げましたら、一番下にございますように、六百八十五万円のところで既に、この秋からのつなぎ法案でも、従来の子ども手当ではなく児童手当と比べた場合、すなわち、さまざまな控除があって現金給付があってというものと比べた場合に、既に六百八十五万円の世帯でゼロになってしまうというか、そういう結果になるんですね。

 これを来年の六月以降、すなわち住民税がなくなっちゃったら、倒されたら、一体幾らの世帯からマイナスになるか。これはもう先ほどちょっと高橋委員が御指摘でありますが、厚生労働省としては、住民税の扶養控除もなくなり、そして先ほどの厚生労働大臣の御答弁で年齢ごとの区分で給付額を決定したとしても、幾らの世帯からマイナスが立ちましょうか。

小宮山副大臣 住民税の年少扶養控除が廃止となる場合を試算いたしますと、月額マイナス二千七百五十円となります。このため、三歳未満、三歳から小学生の実質手取り額が四百八十八万円でマイナスになると計算をしています。

阿部委員 そうしますと、さっき高橋さんは五百万円というデータをお出しいただきましたが、先ほど小宮山さんの御答弁はマイナスが出る世帯には申しわけないとおっしゃいましたが、一体マイナスの出る世帯はどのくらいなんでしょう、子育て世帯の中で占める比率は。年収五百万円くらいからもうマイナスが立つというお話でありました。それは一体、子育て世帯の中のどれくらいなのか。

 専ら所得制限の話は、一千二百万とか一千万とか、まあ九百六十万でも、比較的中間所得より上の世帯について言われますが、この五百万円内外ということを考えると、子育て世帯全体で見て、どのくらいの世帯では少なくとも現金給付ではマイナスが立つでしょうか。

小宮山副大臣 申しわけありませんが、どれぐらいの世帯という計算は、今ございません。

阿部委員 これはぜひしていただきたいんですね。何かここの論議はずっと所得制限の話になっているけれども、直撃されるのは中間所得層なんですね。それはさっき高橋さんが御指摘でありますが、五百万、六百万、七百万、八百万、その世帯が非常に負担が加わって、それは全体で見れば、自公時代の児童手当よりもさらに現金給付はマイナスが立ち、控除はなくなる。

 そうすると、一体この数年間何をしてきたのか、私たちの政治は。日本で一番大事な対策は少子化問題であると認識して、みんな政治家はここに集っているわけです。先ほどの御答弁では、それを現物給付の方でとおっしゃいましたが、やっぱり私は違うと思うんです。現金給付は所得再分配ですし、現物給付はやはり実質サービスで物事の考え方を整理していかなきゃいけない。

 ちなみに、三枚目をおめくりいただきますと、これは、なかなか子育て世帯の年収というのは出てこないので、厚生労働省の方でおつくりいただいた男性のサラリーマン、そこでの年収分布を出していただきました。当然、五百万円までが一番多いわけであります。もしかして半数以上の世帯でマイナスが立つんじゃないかと危惧するわけです。

 ぜひこの法案の、私は、六カ月のつなぎですから、次に本格施行になるときに、今のままでは五百万より上の世帯から五百万円の下の世帯に移行したにすぎない、分配方式を変えたにすぎないことになってしまって、中間にある子育て世帯を本当に支援することになるのかどうか、懸念をいたします。

 今回、私どもは、法案への態度は、ここで法案がなければもとの児童手当に戻って混乱が多いということにおいて賛成はいたしますけれども、果たして、先ほど大臣の御答弁の額で、いろいろな控除を倒してしまってなくしてしまったら、子育て世帯のど真ん中がマイナスになりますよということを厚労省としてはどう自覚しておられるかなんですね。

 細川大臣、御答弁を伺います。

小宮山副大臣 私からちょっと一つだけ。

 ただし、五百万円の世帯では、中学生分が児童手当の場合はなかったので、その部分はプラスになるということだけ申し上げたいと思います。

阿部委員 それはちょっと違うんですね。十五歳まで合算するとやっぱりマイナスになります、これは計算をいたしましたから。またよく御検討ください。

 五百万の世帯でも十二年あるんですね、十二歳まで。このマイナスを合算していくと、住民税を倒しちゃうとマイナス四十万になり、片っ方の児童手当の中学生がもらった分では十六万くらいしかふえないと、私の試算では思います。ですから、今、副大臣とはちょっと御意見が違いますけれども、また試算をしていただきまして、次の改正のときに。

 それから、委員会室からお話のあった、だから控除も見直すんだよというお話がありましたが、しかし、この法案を見ると、控除の見直しは高所得世帯のところしか言及されていないんですね。所得制限のかかる世帯の控除を見直していただいても、はっきり言って、今私が指摘した階層にはきかないんですよ。私が問題にしたのは、この法案には所得制限世帯以上しか税制の見直しが言及されていないということであります。

 そこで、総務省から政務官の逢坂さんに来ていただきまして、ありがとうございます。

 私は子供の医者ですから、子育て世帯をずっと見てきて、年収にして五百万円前後、手取りではありませんよ、年収と呼ばれるところで五百万円前後から控除を全部外してしまったら、実際、この次、この額でも現金としてはマイナスが立つということは極めて深刻だと思っております。かつて三党の連立におりましたころ、住民税の扶養控除は外すべきではないと私は主張しました。影響が広過ぎるということと、実際にマイナスが出過ぎるということであります。

 政務官は、今私がるる申し述べましたことをお聞きになられて、どのように思われますか。お願いをいたします。

逢坂大臣政務官 ただいま阿部委員が指摘になったような事実というのは、このままの仕組みでいくとあり得るものだというふうに認識をいたしております。

 ただ、今回の年少扶養控除の議論でありますけれども、二十二年度の税制改正の議論の中におきまして、控除から手当へという考え方、あるいは子ども手当を導入するということで浮上したものであります。その際に、住民税においても国税と同じ税体系の中で制度設計がされることが妥当ではないか、あるいは自治体の側からも、国税と地方税、同じような仕組みにすべきではないかという要望があった中で、今回の年少扶養控除というのは住民税にも適用するということになっておりますので、税制上の体系としては整合性がとれているものだと認識をいたしております。

 ただ、今後、税制の体系だけで、国民の皆様がどういう最終的な収入になるかというのは、税制だけではこれは議論できませんので、八月四日の「子どもに対する手当の制度のあり方について」の三党合意に従ってこの内容というのは議論されるべきものであろうと認識をいたしております。

阿部委員 私も、今逢坂政務官のおっしゃったとおりだと思うんですね。実際に子育て世帯の現金収入、手取りが減れば、やはり子供を育てるというのは何だかんだでお金が要ることだというのは、もう皆さんも重々おわかりだと思うんです。

 せっかくこれだけ大騒ぎして、二年間たってもとより悪くなっちゃったというのでは、余りにも私たちは政治にかかわっている意味がないし、私自身は、何度も言いますが、子ども手当で、現金給付で充実していって、御家庭ではなくて子供にということに賛成ですけれども、それでも、もし全体が児童手当をベースに戻すのであれば、ぜひ御検討をいただきたい。

 それは、所得制限世帯以外の住民税の扶養控除、本当は所得税もそうですが、来年四月から始まるのは住民税ですので凍結ができますから、ぜひよろしくお考えいただきたいが、細川大臣、いかがでしょう。

細川国務大臣 子供に対する手当の問題については、各党いろいろ考え方が違いがある、その中で子供の健やかな育ちを支援していく、こういう形で一体どうすればいいのかということについて、これは三党合意でも、それまで本当に難しいところをいろいろと協議していただいて、ぎりぎりのところでこの合意が成立したものだというふうに承知をいたしております。

 したがって、その実績を踏まえまして、二十四年度からの制度についてもこれはまた話し合いによって決めていく、こういうことになっておりますので、その際しっかり検討をしていただくということがよろしいかと思います。

阿部委員 私は、もちろん三党が合意されたので、それは事実でありますから無視はいたしませんけれども、何度も指摘するように、子育て世帯内で所得再分配をしていてどうするんだということを言いたいんですね。もともと、社会がと言ったのは、やはり全体のシステムの中で、子供を育てている世帯に給付していこうという意思だったと思いますから、そこをぜひよろしくお願いしたいと思います。

 続いて、養護施設の子供たちのことでお尋ねをいたしますが、これまでの議論の中でも、養護施設にいる子供たちが、実際には監護という言葉を使われてお手元には置いていない親御さんに行くというのはいかにも不都合であるということで、今回は施設の設置者に行くということになったと思います。一歩前進と思いますが、しかし、これには物理的に実際にやらねばならないことが多々ございます。

 一つは、子供の住民票は親のところにある場合が多いので、市町村ではそれを見て子ども手当を給付しますが、実際に施設にいれば、施設にいるということを市町村情報に流さなければいけません。このための取り組みがどうなされるのか。

 お手元の新聞記事は、実は消えた子供たちと言われる子供たちですが、これは小学校入学以降で住民票はあるけれども学校には来ていないという、すなわち実態と、子供がどこにいるのかわからなくて、住民票上はいるんだけれども学籍簿には載らない子たちが、何と、ことしは千百八十三人いるということなのであります。

 自治体が住民票で把握する能力の限界と、そして、本当に子供に対して給付をきちんと届けていきたいのであれば、社民党が連立時代に提案した子供台帳、子供一人一人の台帳を住民票とは別につくってフォローしていただきたい、子供が消えちゃうときがあるわけですから。それくらいやらないと、今の時代、子供たちは守れないと思います。

 自治体支援と子供台帳について、母子手帳を渡しているんですから、そのときに市町村側も控えを持って子供の台帳としていけばできることだと思いますが、いかがでしょう。

小宮山副大臣 例えば児童虐待防止などにつきましては、子どもを守る地域ネットワークを設置しまして、それで進行管理台帳ということを関係機関で共有してやっているというような例はございます。

 ただ、全体の子供たちについて子供台帳ということは、やはり子供のプライバシーへのいろいろな影響を考えるというようなこと、それから台帳作成の市町村の事務負担などということもあり、すぐに、はい、やりますという形にはなかなかいかない。

 御意見も伺いながら、そういう子供の把握のできる方法をぜひ検討していきたいと思っています。

阿部委員 少なくとも、チルドレンファーストと言った小宮山さんには申しわけないけれども、抜けちゃう、ざるのように抜け落ちていく子供がいるということに政治が最も力を入れなければ意味がありませんよ。本当にこのままでは、消えた高齢者というのがありましたけれども、消えた子供たちが次々と出てまいります。政治主導でやっていただきたい。

 最後に、お手元には、実は福島県の養護施設の放射線量の高さを示したものであります。これは、会津戦争のころに孤児がたくさん生まれ、その孤児たちを何とか養護しようと思った女性がつくった福島市内の養護施設ですが、広大な緑の中にある分、実は、お手元に示しましたように、大変高い放射線のレベルを示してございます。

 これを、実は園長が一カ所一カ所丹念にはかって、だって、子供は二十四時間このスペースにいるわけですから、何とか子供たちの放射線被曝を軽減させたいと思ってやっておられますが、ここでやっぱり費用が生じてまいります。土の入れかえだけじゃなくて、木の剪定、何から何まで。

 こうしたことにかかる費用は、国と東電の責任において必ず全額やっていただけるのですねということに、これは細川大臣、今、この施設ではどのくらい出るだろうか、基準額を算定されて、それではできないなといって、全部自分でやっておられるんです。膨大な尽力、手間暇です。こうしたことには、当然国が子供たちを守っていくんだという決意を示し、それを自治体にも知らせていただきたい。お願いします、細川さん。これで終わります。

    〔郡委員長代理退席、委員長着席〕

細川国務大臣 児童福祉施設に係ります土壌の入れかえに係る財政支援につきましては、空間線量率が毎時一マイクロシーベルト以上を観測した場合には、災害復旧の枠組みで国庫補助を行うということにいたしております。

 この国庫補助につきましては、土壌の入れかえ方法等については費用が異なるということもありますので、補助単価などについてはあらかじめ設定するものではございませんで、土壌入れかえに実際に要した費用をもとにいたしまして補助を行うということにいたしております。

阿部委員 今の大臣の明確な御答弁を、各自治体に必ず伝えていただきたい。自治体から来る、養護施設に来る情報が基準単価的なものを示されると、本当に手も足も出ないのです。

 それからもう一つ、厚労省としてぜひ独自にお考えいただきたいのですが、例えば三・八マイクロシーベルトを超えると、激甚法の指定になって国庫補助がふえます、除染について。しかし、この三・八というのは、学校とか保育園で、ある時間、限られた時間しかいない場合の基準であります。ここは二十四時間、子供が過ごします。文科省の基準にのっとっていればいいわけではないのです。やはり厚労省として、これだけの高い基準値があるということをお考えいただきまして、もっと補助率を考えるなり、先ほど大臣がおっしゃいました、それは目安として全体が除染されるように積極的に取り組んでいただく、いかがでしょう。

細川国務大臣 いろいろと委員の方からは御指摘をいただいております。私どもとしては、やはり園児が健やかに育っていくということ、そして心配のないようにということも考えていかなければなりませんので、検討はさせていただきたいと思います。

阿部委員 今回でなく前回は、保育園の除染の問題を取り上げさせていただきました。校庭が一メートルで測定するのであれば、保育園は五十センチとか地表とか、もっと近いところで、子供の生活空間を見たところで測定をして対策をするということが必要になってきます。

 私は、何度も申しますが、この間の厚労省の姿勢が、文科省基準をそのまま引っ張ってきてやっておられるのではないか。しかし、それでは子供は守れない。年少なほど子供たちへの被害は大きいということをきちんとお考えいただきまして、厚労省は厚労省できちんと独自の取り組みをしていただきたいですが、この点はいかがでしょう。しつこくて済みませんが、お願いします。

細川国務大臣 当然、幼稚園と保育所の場合の、子供たちの年齢も違うということもございます。そういう点も考慮して、厚生労働省としての考え方もしっかりやっていきたいというふうに思っております。

阿部委員 年齢と生活時間が違うということ、それから、そこでかかる費用をきちんと補助していただくことをお願い申し上げます。

 そして最後に、この委員会へのお願いですが、先ほど私と小宮山副大臣のやりとりの中で、もしも住民税の扶養控除まで外した場合に、一体どのくらいの世帯に影響が出るだろうかということですね。これを十五歳までというトータルの現金給付で考えても構いませんし、また、現物と合わせての支援と考えても構いませんが、大事な点ですので、次回、この次の年度の始まるまでの早い時間にお答えをいただけるようお願い申し上げて、少し時間を余して私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

牧委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 時間も迫っておりますので、質問に入らせていただきたいと思います。

 平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法案、マニフェスト撤回と言われている民自公の合意に基づいて、子ども手当を事実上廃止して、児童手当法をベースとする新たな制度に修正をするということになった。これを踏まえて、先行的に今年度分の子ども手当の支給額等の見直しを行うというものであります。

 今回の法案もそうですけれども、基本的にこの民自公の三党合意がベースとなっておりますので、その点について政府の考え方をお聞きしたいというふうに思います。

 そもそもこの合意は、政府として、厚労省としても、これに基づいて来年度に向けて子ども手当の見直しをしていく、こういう基本的な立場を共有しているということで間違いないかどうか、まず大臣に御答弁をいただければと思います。

細川国務大臣 子供に対する給付について、せんだって三党合意が成立をいたしました。その合意に基づいて今回の特別措置法も御提案をさせていただいておりますし、また、この特別措置法の中に、二十四年度からの子供に対する手当についての法的な措置も記載をいたしておりますので、三党合意がそれによって実現をしていくということになると思います。

柿澤委員 三党合意に基づいて今後の見直しも進めていくということになる、こういう理解でよろしいかと思います。

 八月四日の「子どもに対する手当の制度のあり方について」という三党合意の中身なんですけれども、今回、所得制限の導入が三党合意において明記をされて、今回の法案の附則にも盛り込まれています。合意文書においては、所得制限の基準について、夫婦と児童二人世帯で九百六十万程度、こういうふうになっているわけです。

 そのような所得制限をいかなる根拠において設定することになったのか、また、そもそも、なぜ所得制限というものを受け入れることになったのか、お伺いをいたしたいと思います。

細川国務大臣 具体的な三党間での議論、この詳細なやりとりについては私は存じておりませんけれども、児童手当制度では、その支給対象であるゼロ歳から小学校修了までの子供のおおむね九割の者にこの手当が支給される水準として、所得制限というような基準が設定されていたところだというふうに伺っております。具体的には、サラリーマンの専業主婦世帯で子供二人の場合では、年収八百六十万となっております。

 一方、三党合意であります子供に対する手当につきましては、支給対象児童が中学生までも対象というふうに拡大をしておりまして、仮に児童手当と同様な考え方でいけば、ゼロ歳から中学校修了までの子供のおおむね九割の者に手当が支給される、そういう水準を試算いたしますと、サラリーマンの専業主婦世帯で子供二人の場合では、年収九百五十四万円になる、こういうことでございます。

 こうした点を踏まえまして、三党合意では、所得制限の基準として年収九百六十万程度、夫婦と児童二人世帯とされたのではないかというふうに考えております。

柿澤委員 今の話を伺っておりますと、基本的にすべての子育て世帯の九割程度が支給の対象になる、こういうことを強調されていたと思いますので、ある意味では、九割ということでほとんどの子育て世帯が支給の対象になる、こういうことで、すべての子供の育ちを社会で支える、こういう理念に九割方何とか適合しているんじゃないか、こういうことが受け入れた根拠ということになるんでしょうか。ちょっと、もう一度お伺いしたいと思います。

小宮山副大臣 これも再三答弁を申し上げましたけれども、やはり、さまざまな、緊急にこの財源が必要という中で、三党でぎりぎりの合意を図った結果だというふうに思っています。その九割プラス所得制限の部分も、何回か申し上げているように、それは財政的な措置、税制的な措置をとりますので、何もしていないというわけではございませんから、すべての子供を対象にしていると言えると思っています。

柿澤委員 私は、これは、やはり一番最初に子ども手当を法案として審議した際に、最もいろいろ議論があり、なおかつ現政権の皆さんがこだわった部分だというふうに思いますので、やはりこれは大きな撤退だというふうに私は思っております。

 子供の育ちを社会全体で支えると言ってきて、それで所得制限をかけるというのは、一見すればこれは、お金持ちの子供は支えませんよ、こういうふうに言っているかのようにも感じられてしまう。そういう意味でいうと、私は、この子ども手当の制度の見直しに当たって、撤退をするならそこにはそれなりの論理的な根拠がなければならないのではないかというふうに思います。

 例えば、所得が比較的高額である人の家庭は、出産や育児に関して何が問題かというと、経済的な問題が一番ではない、こういうことが何か根拠として調査の結果わかったとか、こういうことがない限り、結果的に、その財政的な理由と、あと合意を結んだ他の政党の要求に応じて、一番こだわってきたポイントを捨ててしまった、こういうふうになってしまうのではないかというふうに思います。

 そうした意味で、所得制限をかけることが正当化されるそのための論理的根拠をどの程度、今回の合意を結ぶに当たって用意したのか、こういうことをもう一度お尋ねをしたいというふうに思います。

小宮山副大臣 再三申し上げているように、やはり所得制限をかけるということは、三党のぎりぎりの調整の中のことだったということです。

 それで、その根拠というのは、直接イコールで結びつくかどうかわかりませんが、所得階層別の調査としては、内閣府が平成二十年度に行いました少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査というのがございまして、それだと、経済的支援措置を望む人が、世帯収入にかかわらず、七割前後、保育などの子供を預かる事業の拡大を望んでいる割合は、世帯収入にかかわらず、約四割前後です。

 また、その希望する経済的支援措置の内容を見ますと、世帯収入の低い階層ほど、児童手当の支給年齢の引き上げですとか、児童手当の金額の引き上げを望む傾向がありまして、世帯収入の高い階層ほど、多子世帯に対する所得税の減税とか、保育料等の必要経費の所得税の減税などを望む傾向があるという調査はございます。

 いずれにしましても、再三申し上げているように、現金給付、それから現物給付、ワーク・ライフ・バランス、いろいろなことをあわせて、しっかりと子供、子育てを応援していきたい。

 国会の中でこれだけ子供のことを審議するようになったのは政権交代の後かと思いますので、ぜひ、今のような経済状況の中で、皆さんのお知恵もいただきながら、しっかりと支援をしていきたいと考えています。

柿澤委員 今の御答弁ですと、子ども手当の制度が導入される前の調査でありますが、所得階層にかかわらず、経済的な問題、また現物給付的な保育園の待機児童の問題、こうしたことを出産、育児における障害と感じている比率は余り変わらない、こういう話だったというふうに思います。

 そうだとなると、なおさら、今回の見直しに当たって所得制限を課するということを受け入れる根拠が皆さんの側からはなくなってしまうのではないか、結局これは、自民党さん、公明党さん、こうした児童手当をつくってきた側からの要求にある意味では屈して、こうした形で考え方を変えたということになるのではないかと思います。

 さて、みんなの党は、結党以来の精神として、地域主権ということを主張しております。なぜか。住民生活にかかわる行政サービスは住民に近いところで判断して行うのが最適かつ効率的な行政につながる、こういう基本的な考え方があるからであります。

 では、子ども手当はどうか。国による一律の現金給付であり、さまざまなニーズを抱えた全国のどこの自治体でも、どのようなニーズがあるかは捨象して、一万三千円、二万六千円、あるいは一万円、一万五千円、こういう現金を配る。ある意味でこれは、国がたくさん集めてたくさん配るという、これまでの中央集権的な国の政治の象徴とも言えるような施策だというふうに私は思っています。だから私たちは、この子ども手当、国による全国一律、金太郎あめ的な現金支給は反対をしているんです。

 初めての子ども手当の支給根拠法となった、鳩山内閣当時の、平成二十二年度における子ども手当の法案の審議も私担当しましたが、そこで、印象に残る二つの言葉がありました。

 一つは、自民党のあべ俊子先生の言葉で、国会の方では待機児童の話がいつも話題になりますが、私の地元では子供がおらぬので、保育園の人数が集まらないという問題があるときに待機児童の話で議論されてしまうのは、全く地域のばらばらを無視していることだなと思うのであります、こういうふうにおっしゃられたんです。

 これは私にとっては非常に衝撃で、小宮山副大臣も東京ですからおわかりをいただけると思うんですけれども、私の地元も江東区で、豊洲とかでマンションがどんどん建っていますので、幾ら保育園を二十園、三十園つくっても、四百人、五百人の待機児童が毎年出てしまう。住民の要望も大きくて、入れないから何とかしてくれ、こういうふうに言われるわけです。だから当然、子育て支援、少子化対策というと、まず考えるのは待機児童の問題なんです。しかし、中国地方、岡山県ですか、あべ先生にとってはそうではない。これは結構、私にとっては衝撃的な言葉でありました。

 つまりは、事ほどさように、そもそも、子育て支援において何が必要か、地域によってニーズがこれほどまでに違うということなんだというふうに思います。

 もう一つ、印象に残る言葉がありました。三重県松阪市の山中光茂市長、子ども手当を当初の二万六千円の満額支給をすると、子ども手当支給分として国からおりてくるお金は人口十七万人の松阪市で七十六億円、これは松阪市の個人市民税の税収に相当する額だということだと。これだけのお金があったら、松阪市は毎年毎年無税地域を実現できる、市税は取らなくていい、こうなっちゃう。松阪市の保育園、四十ぐらいあるそうですけれども、保育園全部無料化しても、七十六億の一割、八億円でできる。給食費も、小中全部無料化するのも二億円でできる。こんな額を国から一律手当で配れと言われるよりも、この半分の額でいいから、自治体が自由に使える金として交付してくれたらと。給食費、医療費の無料化や放課後児童クラブ、地域の子育て支援センター、大概の地域の子育て政策の課題はこれによって解決してしまうだろう、こういうふうにおっしゃっていました。

 今回、もちろん一万円、一万五千円ですから七十六億円とはいかないでしょうけれども、仮に三重県松阪市においてこの法案に沿って給付を行うとすると、支給額、国、地方の負担額はそれぞれ年間ベースで幾らになるのか、お尋ねをしたいと思います。

小宮山副大臣 平成二十三年度の松阪市での給付につきまして、国に報告されている平成二十三年度の松阪市の子供の数をもとに試算をいたしますと、三重県と松阪市の地方負担額は平成二十二年度のつなぎ法の場合と変わらず、それぞれおよそ二億円、国費はつなぎ法の場合と比べ、およそ一億円減のおよそ十五億円となると考えています。

 今回の特別措置法というのは、八月四日の三党合意を踏まえまして今国会中に法案を出す、提出するということで準備をしたものですが、地方とは、先ほど申し上げたように、細川大臣の方からお電話などをして対応してまいりましたし、来年度以降につきましても、また地方の御意見もしっかり伺っていきたい。

 それで、先ほどおっしゃったように、ただ、地方によってもいろいろ御意見があって、手当の給付は全国一律でやってくださいというところが地方の中でも非常に多いというふうに考えておりますので、その手当と、それから、地方が自由に使える地域の実情に応じた現物給付、いわゆるそういったものに対してどうするかということも、また各党の御意見も地方の御意見も伺いながら、次の制度設計のときに検討ができればと思っております。

柿澤委員 見直した結果といえども、合わせて十七億ですか、現金支給。保育所整備にも小児医療の無料化にも充てることが許されない十七億円の現金支給が法律によって松阪市に配れといっておりてくる、こういうことになるわけです。

 今、小宮山副大臣がおっしゃられたように、現金給付だけでなく現物給付を、車の両輪だ、どちらもやるんですよ、こういうふうにおっしゃられました。確かに今回の法案は、地域の実情に応じた子育て支援サービスを拡充するための交付金、こういうことがうたわれている。自由度の高い自治体のための交付金、これは非常にいいことだと思いますが、その規模が果たして幾らになるのかということでありますが、どのぐらいの規模を今回想定しているのか、お尋ねを申し上げたいと思います。

小宮山副大臣 これも先ほどからお答えしているように、地方への交付金は五百億円で、これまでの次世代からの組み替えということで、純増百四十億円ということです。おっしゃるように、ここをできれば規模を拡大していって、地方が自由に使っていただけるお金がふやしていければいいというふうには考えています。

柿澤委員 これは交付金規模は拡大していきたいという話ですけれども、基本的にどのぐらい必要だという積算はどういう根拠に基づいて行われることになるのか、お尋ねしたいと思います。

小宮山副大臣 それは、子ども・子育てビジョンで量的な拡大については五年の計画を考えております、現物について。それからあと、子ども・子育て新システムの中で多様な形のいろいろなものを考えておりますので、そうしたことをあわせて、今ここで金額をすぐ出すことはできませんが、かなり、これから子供の数が少なくなっていくに従って、現金給付よりも現物給付の財源の割合がふえていくことになるというふうに考えています。

柿澤委員 今ここで全体像を出すことはできない、こういうお話でありましたけれども、しかし、どのぐらいの予算が今後子育て支援策として必要になるかということについては、現政権は既に一定の試算を持っているのではないですか。

 平成二十二年度の子ども手当法案の審議と同時並行で、内閣府の少子化対策担当から、子ども・子育てビジョン、先ほどおっしゃられたとおり、発表されています。これは、今後の子育て支援策の方向性として、保育所の整備等の現物給付を含めて、何をどのように進めていくのか、それを政府全体の方針として網羅的に書いたものです。

 ここで四十項目程度の数値目標が掲げられていて、待機児童の解消に向けて、二〇一四年度までの五年間で認可保育所の定員を順次二十六万人増、また、三歳児未満の保育サービス利用率を二四%から三五%へ、こういうことが書かれています。

 ここで今後必要とされている予算規模というのは、今お手元に配付をさせていただいた資料をごらんいただけるとわかりますが、追加の所要額としては年ベースで〇・七兆円。そして、〇・七兆円のその右側を見ていただくとわかりますが、平成二十一年度から二十六年度までの必要費用累計額を見てみると、これは十兆円ということになっています。現政権が掲げる数値目標を達成するためには、すべてを合計すると十兆円ということであります。

 これを満たせるような予算計上が果たしてできるのかという問題であります。どう考えているのか、お尋ねをしたいと思います。

小宮山副大臣 お示しいただきましたその十兆円というのは、平成二十一年度から二十六年度の姿になっておりまして、これは五年間で平均して二兆円ということになります。お尋ねの平成二十二年度及び平成二十三年度の予算ベースの給付費の推計額は合計でおよそ四兆円ですので、順調に進んでいるというふうに考えています。

柿澤委員 では、子ども・子育てビジョンにおいてさまざまな数値目標が掲げられておりますので、それに従ってお伺いをしていきたいと思います。

 去年の子ども手当法案の質疑でも病児・病後児保育については取り上げさせていただきましたが、平成二十六年度で延べ二百万人、こういう数値目標が掲げられています。それに向かっての進捗状況をお尋ねしたいと思います。

小宮山副大臣 現状では、病児・病後児保育については、平成二十二年度で延べ三十九万人、認定こども園については、平成二十三年四月一日現在で七百六十二カ所、家庭的保育については、平成二十二年度で〇・四万人となっています。

 こうした事業につきましては、待機児童の解消を初め、子ども・子育て施策を総合的に推進しまして、子供の育ちを支える観点から非常に重要なので、子ども・子育てビジョンの目標の達成に向けて着実に推進をしていきたいと考えています。

柿澤委員 一つ一つ問うていこうと思ったんですが、お尋ねをまだしていないところまでお答えをいただいたので、逆にこちらから申し上げますけれども、認定こども園二千カ所以上、平成二十四年度に、今七百カ所ですか。家庭的保育、平成二十六年度一・九万人というのが数値目標ですけれども、現時点で〇・四万人、五分の一ぐらいですか。この数値目標、全然達成しそうにないんじゃないですか。

 子ども・子育てビジョン、これは、まさに現物給付の必要な数量というか、このぐらいがやはり子育てニーズを充足するには必要だろうということで、政府として試算をしたものであります。それが、年度目標の五年間の達成目標をこのままいくと全然達成しそうにないということになると、これは結果的に、やはり現金給付の施策を優先する余りに現物給付の施策が追いついていない、こういうことを事実上示していることになるのではないかと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。

小宮山副大臣 平成二十三年度予算では、子ども・子育てビジョンの目標達成に向けまして、内容面での充実を図っています。病児・病後児保育につきましては、看護師等が保護者の自宅へ訪問して一時的に保育する方法も新たに補助対象にする。また、認定こども園については、一定の要件を満たす保育所型、幼稚園型も新たに補助対象とする。家庭的保育については、待機児童解消「先取り」プロジェクトの具体的施策として盛り込まれました、複数の家庭的保育者が同一の場所で実施する形態も新たに補助対象とするなど、いろいろ工夫をしてきているところです。

 ただ、おっしゃりたいのは、全体に財源が足りないだろうということだと思いますので、それについては、またこれから御審議をいただく子ども・子育て新システムの中で、全体、社会保障と税の改革の中で、税制改正で〇・七兆円、ほかも含めて一兆円という額をとっております。それがあればこの子ども・子育てビジョンの量的な拡大プラス質的な拡充もできるかと思っておりますので、ぜひまたこの点についても各党の御意見も伺いながら、子供たちを応援するということは皆さん同意していただけることだと思いますので、財源がない中でやり方を工夫できればと思っています。

柿澤委員 では、お伺いをいたしますが、この子ども・子育てビジョン、保育所の整備についても、病児・病後児保育、認定こども園、家庭的保育、何でもいいですけれども、とにかく、ここに書いてある子育て支援策の具体的な現物給付のメニューというのは、これはほとんど自治体がやる政策であります。自治体がやる政策を国が数値目標を決めて達成しようとする、この場合、国から自治体の施策を推進するためのきちんとした裏づけがなければ、これは自治体にやってくださいといって丸投げしているのと同じことになる。どういう裏づけが子ども・子育てビジョンの数値目標の達成において、国においてあるんでしょうか、お伺いをしたいと思います。

和田大臣政務官 柿澤委員にお答えいたします。

 今おっしゃっていただいたように、子ども・子育てビジョンに書かれておりますそれぞれの目標について、地方自治体の方に御実施いただくものがかなり多くあるということは御指摘のとおりだと思っています。

 先ほど来御議論いただいているように、その中でも国が財源措置を講じながら地方自治体に実施していただくべきものにつきましては、全力を挙げて財源措置を講じていくということを、内閣府は一つのコーディネーター役だというふうに認識いたしておりますが、厚生労働省さん、文科省さんを初め、しっかりと予算をとっていただくよう要請をしていきたいと思っています。

 また、それ以外にも、項目を見ていただきますと、民間団体などが実施していただければそれなりに財源措置が、要するにできるだけ小さくおさまる中で達成できる目標もございますので、そうしたところに対する慫慂策として、ある地域ではこんな事例が実施できて効果が上がっていますということを紹介させていただく、こんなことも考えております。

 各項目がどんな内訳にせよ、到達目標まで達することが我々としては責務だと考えておりますので、毎年毎年子ども・子育て白書などを取りまとめていく際に、項目についての達成度、進捗状況などをしっかりとはかりまして、それぞれの所管省庁にその実施についてしっかり要請していきたいというふうに考えています。

柿澤委員 今の御答弁を聞いて自治体の方々が、子育て支援策、国がしっかり面倒見てくれるからこの数値目標の達成に向けて頑張ろう、こういう気持ちになれるでしょうかね。

 現実には、子育て支援策、いろいろやりたいことが自治体はあるんですよ。あるけれども、しかし、その財源の裏づけが自治体もなければ、国の十分な裏づけも用意をされていない。先ほど申し上げたとおりです。その一方で、現金給付の政策は国が法律で決めて、二兆円という大きなお金を地方におろしてくる。そして、それをそのまま子育て世帯に現金で配りなさいというふうに指示をしてくる。これが私はおかしいのではないかというふうに申し上げているんです。

 もちろん、子育て世帯に対する現金給付を私は政策として一概に否定しているわけではありません。そういう選択をする自治体があってもいいと思います。それに使えるお金があって、首長や議会や住民がそのように判断すれば私はいいと思います。しかし、この有限な財源を使って、しかも地域が求める子育て支援策の財源を場合によっては圧迫している、そういう可能性もはらみながら、国の法律による一律の現金給付を地域にやれというのは、それは地域のことは地域が決めて行うという、まさに地域主権の考え方に全く反しているのではないかというふうに思うんです。

 来年予定されている子供に対する手当の制度の抜本的見直しに当たっては、全国一律の現金給付はもうやめて、財源ごと自治体に任せて、自主的、自律的に決める子育て支援策に使ってもらう、こういう考え方を持つべきだというふうに思います。そのような修正案を私たちは今回も出すし、来年の通常国会にはこのような考え方での対案を改めて出させていただきたいというふうに思っております。

 このようなやり方こそが、地域主権を一丁目一番地といいながら、同じく一丁目一番地というチルドレンファーストのために、国による一律の現金給付の押しつけという真っ向から地域主権に反するような政策を同時に行うようなコンフリクトを避けることにもなるというふうに思います。これは、一丁目一番地で迷子にならないための方法だと私は思います。

 今回、半年間限定のつなぎ法案ですから、最終的に修正案が場合によって否決された場合でも、大混乱を避けるために賛成はさせていただきたいと思いますが、今後、私たちが今申し上げたような、現金給付を国が一律で地方に押しつけるのではなくて、それだけの財源をしっかり地方に回して、そして自主的、自律的、効果的に使ってもらう、こういう考え方を持つべきだというふうに思います。

 大臣の御答弁をいただいて、終わりとしたいと思います。

細川国務大臣 今回、この特措法案を提案させていただいておりますのは、先般の三党合意の内容に沿って提案をさせていただいております。

 また、その法案の中には、附則の中で、二十四年度以降の子供に対する手当についても規定をいたしておりまして、三党合意に沿った二十四年度以降の子供に対する手当の法制化も予定をされているところでございます。

 委員が御指摘のような、現金給付と現物給付のバランスの問題、あるいはまた地方が自由に使える交付金、このようなことも私どもとしてもいろいろと考えているわけでありまして、委員が言われるような、一挙にそんなことにはなかなか難しいと思いますけれども、地方が自由に使える交付金などについてはしっかりと充実をさせていきたい、このように考えているところでございます。

柿澤委員 五百億対二兆円ですから、私は、これはチルドレンファーストではなくて、事実上子ども手当ファーストになってしまっている、こういう状況ではないかというふうに思います。

 それだけ申し上げまして、質問は終わりとさせていただきます。ありがとうございました。

牧委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

牧委員長 この際、本案に対し、柿澤未途君から、みんなの党提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。柿澤未途君。

    ―――――――――――――

 平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柿澤委員 ただいま議題となりました平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法案に対する修正案につきまして、提出者のみんなの党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 民主党政権で創設された子ども手当は、国の一方的な決定で全国一律で何兆円もの現金支給を行う、地方分権、地域主権を否定するものであると私たちみんなの党は考えております。

 民主党、自民党、公明党は、かかる重要案件を公開の議論もせずに三党間だけで合意したことを、政府の提出法案としてそれぞれ適切な見直しを行った、こういうふうに言っておりますが、地方の協力を得ずしては給付さえままならぬこの制度について、地方の意見も聞くことなく、全国一律の現金給付を続けることには何の正当性もありません。しかも、本法案が成立することによって増大する事務負担を担うのは、何の意見を述べる機会も与えられなかった市町村や都道府県であります。

 そのような理不尽を正し、貴重な財源を地方に交付することによって、地方公共団体が自主性、自立性を持って子育て支援を行うことができるようにするため、本修正案を提出いたしました。

 修正の要旨は、次のとおりであります。

 第一に、題名を、子育て支援に関する地域の自主性及び自立性を高めるための児童手当法を廃止する等の法律とすること。

 第二に、児童手当法を廃止すること。

 第三に、政府は、平成二十三年度において、市区町村または都道府県に対し、児童を養育する者に対する金銭の給付その他の子育て支援のために市区町村または都道府県が実施する事業に要する経費に充てるため、政令で定めるところにより、交付金を交付すること。

 第四に、政府は、平成二十四年度以降において地方公共団体が十分な自主財源を用いて子育て支援に関する施策を講ずることができるようにするため、地方消費税の税率を引き上げることについて検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。この場合において、消費税と地方消費税を合わせた納税者の負担は増大させないものとすること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

牧委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

牧委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、柿澤未途君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

牧委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十五分散会


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