衆議院

メインへスキップ



第4号 平成23年11月30日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十三年十一月三十日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 池田 元久君

   理事 岡本 充功君 理事 中根 康浩君

   理事 長妻  昭君 理事 柚木 道義君

   理事 和田 隆志君 理事 加藤 勝信君

   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君

      石森 久嗣君    磯谷香代子君

      稲富 修二君    大西 健介君

      工藤 仁美君    斉藤  進君

      白石 洋一君    菅川  洋君

      田中美絵子君    竹田 光明君

      玉木 朝子君    長尾  敬君

      仁木 博文君    野木  実君

      橋本  勉君    初鹿 明博君

      樋口 俊一君    福田衣里子君

      藤田 一枝君    牧  義夫君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    山口 和之君

      山崎 摩耶君    吉田 統彦君

      秋葉 賢也君    井上 信治君

      鴨下 一郎君    菅原 一秀君

      橘 慶一郎君    徳田  毅君

      永岡 桂子君    長勢 甚遠君

      松浪 健太君    松本  純君

      坂口  力君    佐々木憲昭君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   総務副大臣        黄川田 徹君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   財務副大臣        藤田 幸久君

   厚生労働副大臣      牧  義夫君

   厚生労働副大臣      辻  泰弘君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   厚生労働大臣政務官    藤田 一枝君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  榮畑  潤君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月三十日

 辞任         補欠選任

  竹田 光明君     野木  実君

  玉木 朝子君     磯谷香代子君

  吉田 統彦君     菅川  洋君

  あべ 俊子君     徳田  毅君

  棚橋 泰文君     秋葉 賢也君

  谷畑  孝君     橘 慶一郎君

  松本  純君     井上 信治君

  高橋千鶴子君     佐々木憲昭君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     玉木 朝子君

  菅川  洋君     吉田 統彦君

  野木  実君     竹田 光明君

  秋葉 賢也君     棚橋 泰文君

  井上 信治君     松本  純君

  橘 慶一郎君     谷畑  孝君

  徳田  毅君     あべ 俊子君

  佐々木憲昭君     高橋千鶴子君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

十一月二十九日

 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案(内閣提出第五号)

同日

 社会保障制度改革に関する請願(高村正彦君紹介)(第二一一号)

 患者・利用者負担を大幅に軽減し、いつでも安心して受けられる医療・介護の実現を求めることに関する請願(城内実君紹介)(第二一八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三三三号)

 国の財源で高過ぎる国民健康保険料の引き下げを求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二五八号)

 保育・幼児教育・子育て支援・学童保育施策の拡充に関する請願(重野安正君紹介)(第二五九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二六〇号)

 同(石川知裕君紹介)(第二七〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二七一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二八四号)

 同(阿部知子君紹介)(第二九七号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二九八号)

 同(服部良一君紹介)(第三二〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三五二号)

 現下の厳しい雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の拡充・強化を目指すことに関する請願(阿部知子君紹介)(第二九二号)

 同(重野安正君紹介)(第二九三号)

 同(中島隆利君紹介)(第二九四号)

 同(福田衣里子君紹介)(第二九五号)

 同(石森久嗣君紹介)(第三二一号)

 同(工藤仁美君紹介)(第三二二号)

 同(篠原孝君紹介)(第三二三号)

 同(野田国義君紹介)(第三二四号)

 同(宮崎岳志君紹介)(第三二五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三五三号)

 同(大西健介君紹介)(第三六〇号)

 窓口負担を軽減し、保険のきく範囲を広げお金の心配がない保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(大西健介君紹介)(第二九六号)

 同(服部良一君紹介)(第三一八号)

 同(吉田統彦君紹介)(第三一九号)

 同(近藤昭一君紹介)(第三五一号)

 高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三三二号)

 安心して受けられる医療の実現を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三四八号)

 医療崩壊を食いとめ、患者負担の軽減により安心して医療が受けられることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三四九号)

 患者負担大幅軽減、後期高齢者医療制度の廃止を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三五〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百七十七回国会閣法第二二号)

 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案(内閣提出第五号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

池田委員長 これより会議を開きます。

 第百七十七回国会、内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省雇用均等・児童家庭局長高井康行君、年金局長榮畑潤君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

池田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 いつもは高橋千鶴子議員が質問をするんですけれども、きょうは、かわりに私が質問をするということで、よろしくお願いをいたします。

 法案に関連してお聞きをしますけれども、前提として、最初に確認をしたいと思います。

 基礎年金に対する国庫負担のあり方について、二〇〇四年度の与党税調税制改正大綱、これは二〇〇三年十二月十七日に発表されておりますけれども、その中には、お配りした資料にありますように、「年金課税の適正化を行う。この改正により確保される財源は、平成十六年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担の割合の引上げに充てるものとする。」それから、「恒久的減税(定率減税)の縮減、廃止とあわせ、三位一体改革の中で、国・地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行う。これにより、平成十七年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源を確保する。」こう書かれていたと思いますが、これは間違いありませんか。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、平成十六年度の与党税制改正大綱で、年金課税の適正化により確保される財源は、平成十六年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担の割合の引き上げに充てる、定率減税の縮減、廃止による増収分により、平成十七年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源を確保するとされています。

 これを踏まえて、各年度の予算編成過程で、基礎年金国庫負担引き上げが決定され、それを実現するための法律改正が逐次実施されてきたというふうに承知をしています。

佐々木(憲)委員 次の資料、二枚目を見ていただきたいんです。

 もともと、この年金課税の強化と定率減税の廃止で財源をつくるというアイデアは公明党が考えたものでありまして、日本共産党は財源はほかにあるじゃないかということでこの増税には反対したんですけれども、当時、公明党は、必要な財源は、定率減税を三段階で廃止して約二兆五千億円、年金課税で約二千億円、合わせて二兆七千億円を確保できる、こう言っておりました。

 財務省にお聞きしますけれども、定率減税の廃止、年金課税強化で、実際に幾ら増収になったでしょうか。

藤田副大臣 お答えいたします。

 お尋ねの国税に関する影響でございますけれども、平年度ベースで、年金課税の見直しが二千四百億円程度、これは、公的年金等控除の見直しによる増収が千百六十億円、老年者控除廃止による増収額が千二百四十億円の合計二千四百億円、それから定率減税の縮減、廃止が二・六兆円程度、合わせて二兆八千四百億円程度と見込んでいるところでございます。

佐々木(憲)委員 年金の財源として、今説明がありましたように、この方針でいきますと、二兆八千四百億円が入っているわけです。これだけあれば、基礎年金の国庫負担割合二分の一、この財源は十分に確保できたはずなんですね。

 では、実際に使われたのは幾らでしょうか。

榮畑政府参考人 平成十六年の税制改正における年金課税の改革による増収分のうち、基礎年金の国庫負担の二分の一への引き上げのために充当された額は、平成十六年度では約三百億円でございますが、平成十七年度以降これを通年度化しておりますから、それとしましては約千六百億円ということでございます。

 また、平成十七年から十八年にかけまして定率減税の縮減、廃止が行われまして、これの国庫の増収分のうちで基礎年金の国庫負担の引き上げのために投入された額は、合わせまして約三千三百億円と承知しております。

佐々木(憲)委員 二兆八千四百億円の増収があった、しかし、ほとんど使われていないんですよ、年金のためには。

 この資料の三枚目をあけていただければわかりますけれども、十分な財源がありながら年金のためにはまともに使われていない。この下の黒っぽい階段のようなところ、この部分だけしか使われなかった。だから、結局足りないというわけですね。では、足りない分はどこからか見つけなきゃならぬということで、大変な四苦八苦をしているわけであります。

 厚労大臣にお聞きしますけれども、年金の財源として二兆八千四百億円、これだけの財源が確保されていながらまともに回っていない、私はこのやり方は非常におかしいと思うんですけれども、率直な感想をお聞かせいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 平成十六年度の与党税制改正大綱を踏まえまして、平成十六年度以降の予算編成過程で、それぞれの年度の基礎年金国庫負担割合の引き上げ幅を決定して、その実現を図るための法律改正を、これは逐次、少しずつですけれども実現をしてきているというふうに思っています。

 厚生労働省としましては、年金財政の長期的、安定的な運営を図る観点から、基礎年金国庫負担の段階的な引き上げについて毎年度の予算編成過程で最大限の努力を行っておりまして、ことしもまた努力はしていきたいと思っていますが、大変厳しい財政状況の中で可能な限りの額を確保していくということだというふうに承知をしております。

佐々木(憲)委員 これだけ財源がありながら回せなかったというのは、自民党も公明党も、そう決めていながら実行しなかった責任があるし、民主党も当然、これは財源確保の目的どおりにその財源を使う、そういう努力をしてこなかったというのが問題だと私は思うんです。

 次に、話題をかえますが、小宮山大臣は、民主党の中で子ども手当の創設に初めから非常に深くかかわってこられて、子ども手当をつくり出す、生みの母といいますか、そういう方だと思っておりますが、子ども手当がなぜ必要だと思っておられたのか、その辺の考え方をまず聞かせていただきたいと思います。

小宮山国務大臣 それは、もともと税制改正の中から、財源の話から生まれてきたもので、さまざまな控除がありますけれども、控除は高額所得の方に有利なので、控除はなるべく複雑なものを廃止して、必要な方に社会保障のサービス給付にしようという、控除から手当にという考え方がもともとございました。

 それで、年少扶養控除ですとか、当時は配偶者控除も考えていたんですが、そうしたものを廃止した財源を何に充てるかといったときに、子供に対する社会保障給付費が、高齢者の、当時も今も恐らく同じぐらいだと思いますが、十七分の一ぐらいという、本当に世界各国の中で非常に少なかった。ですから、その控除で出てきた財源を子供への手当にしようというのがもともとの発端です。

 考え方としましては、もちろん家族が育てるんですけれども、今、家族の人数が二人台と少なくなった中で、家族だけでは支え切れませんので、そういう意味で、社会全体で子供の育ちを支えていこう、それが子ども手当をつくり出したもとの考え方でございます。

佐々木(憲)委員 子ども手当も含めまして、年金ですとか児童手当、児童扶養手当、こういうものは、法律によって差し押さえというものが禁止をされているわけです。国税徴収法などによる差し押さえ禁止規定だけではなくて、それぞれの社会保障制度の給付についても、わざわざこの差し押さえ禁止という規定が書き込まれております。

 その理由はどこにあるのか、説明をしていただきたいと思います。

高井政府参考人 例えば、子ども手当の受給権について申し上げますと、ほかの社会保障給付と同様に一身専属的な権利である、こういうことから、現在の子ども手当特別措置法第十四条によりまして、受給権の譲渡、担保提供、差し押さえが禁止されている、こういうことでございます。

佐々木(憲)委員 実際の子供の養育支援ということで、それが確実にそのために支給されるように、要するに、出されたものは差し押さえてはならない、子供のために使うんだ、こういうことで禁止規定というのがあるんです。

 ところが、現実にはこれがなかなか守られていない。国民健康保険税とか住民税、自動車税などを滞納したという理由で、年金や子ども手当が銀行口座に振り込まれた途端に地方自治体の課税当局で差し押さえが行われるという事態が発生しております。

 例えば、昨年一月に、千葉県長生村で年金の差し押さえというのが行われました。差し押さえに遭った七十七歳の高齢者の方が栄養失調で餓死するという大変痛ましい事件であります。

 木造二階建てのアパートの一階の部屋で、冬なのに薄い布団をかけ、あおむけに寝た状態で亡くなっていた。この男性はひとり暮らしで、ミイラのようなやせ細った体であった。税金の滞納を理由にして、年金が振り込まれた銀行口座をいきなり差し押さえた。電気もとまった暗い寒い部屋で孤独死をしていたということであります。

 お配りしておりますのは、二〇〇八年六月十一日の鳥取県で起こった児童手当の差し押さえ事件の資料であります。これは、差し押さえられたことを示す預金通帳なんですね。本人の了解のもとで、資料として皆さんのところに配付しております。

 不動産業者、仮にAさんとしますが、この方の銀行口座に振り込まれた児童手当十三万円が鳥取県東部総合事務所に差し押さえられております。理由は、県税の滞納が二十四万あったからだ、こういうわけです。見てわかりますように、残高が七十三円なんですね。そこに十三万円が振り込まれた。十三万七十三円、この全額がごっそりと県税事務所によって差し押さえられて持っていかれたということです。

 その下の資料、それからその次の資料も似たようなものであります。

 この後ろの方の、福島県郡山市による子ども手当の差し押さえ。この人も、母子家庭のお母さんで、これは残金わずか四十三円です。四十三円のところに、十月七日、五万二千円の子ども手当が振り込まれた。「コオリヤマシコドモテアテ」と書いてあります。これも瞬時にして五万二千四十三円が差し押さえられて、残金ゼロなんです。

 本当に血も涙もないやり方でありまして、差し押さえてその相手がどういう状況になるのか全く考慮されていない。餓死をしたり、あるいは生活ができない、こういう事態になっているわけです。

 こういうことが起こっているということについて、小宮山大臣はどのような感想を持ちますか。

小宮山国務大臣 個別の徴収については厚生労働省がやるところではございませんが、そこの法令に基づいて行われていることだというふうには思います。

 ただ、この子供に対する手当は、とにかく子供の育ちと子育てをしている家庭に向けて支給をされているものですので、それはその目的のために使われるようにしておくべきだというふうに私も考えております。

佐々木(憲)委員 このどの事例も共通しておりますのは、納税者の実態を調べていないということなんですよ。これを差し押さえたらこの人はどうなるのかということについて調べていない。いきなり差し押さえをやる。しかも、ねらい撃ちをやっているわけです。払い込まれた当日の、払い込まれた直後、数分後、差し押さえる。こういうのは余りにもひどいと私は思っております。

 財務副大臣にお聞きしますけれども、こんなねらい撃ちのような差し押さえは、衆議院の財務金融委員会で、与謝野財務大臣や安住財務大臣はこれまでどういう答弁をされていたか、紹介をしていただきたいと思います。

藤田副大臣 お答えをいたします。

 衆議院の財務金融委員会におきまして、安住大臣は、差し押さえ禁止財産となっている子ども手当などが預金残高のない口座に振り込まれているのを待って、これをねらい撃ち的に差し押さえされるようなことは差し控えるべきであるというふうに答弁をしております。

 また、与謝野大臣も、当時は児童手当でございましたが、具体的に支給されたものが実際使用できなくなるような状況にすることも禁止されているというふうに解釈することが正しいと思うというふうに答弁をされております。

佐々木(憲)委員 このように、政府の答弁でも、差し押さえ禁止対象となっているものは、その目的どおり使われるべきであって、差し押さえてはならないと。これは基本なんですね。

 財務大臣の答弁がありましたけれども、小宮山大臣も同じだと思いますが、もう一回確認しておきます。

小宮山国務大臣 これまでもいろいろと、裁判の判例もいろいろな形で出ておりますし、先ほど申し上げたように、それぞれの役所が法令に基づいてやっていることだとは思いますけれども、この子供に対する手当は、やはり子供の育ちとその子育てしている家庭が使えるようにしておくべきだというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 総務省も当然同じ立場だと思いますけれども、この、残金がないところに子ども手当が振り込まれた、ねらい撃ちのように全額差し押さえるというのは、これは差し控えるべきだと思いますが、そういうことは確認してよろしいですね。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 まず、税についての基本的な考え方でありますけれども、負担の公平の観点から、まず、必ず納めていただくということでございます。これは原則でございます。しかしながら、滞納者やその家族の最低限度の生活の保障等の社会的配慮から、法律で一定の財産について差し押さえを禁止されているところであります。

 そしてまた、法律上、子ども手当を受ける権利については差し押さえが禁止されておりますが、しかしながら、同手当が銀行口座に振り込まれた後には、その性格は預金に変化いたしまして、差し押さえは禁じられていないというふうなものと認識しております。最高裁の判例等も出ておるみたいでございます。

 その一方で、滞納処分の実施に当たっては、滞納者の個別的、具体的な実情を踏まえ、滞納者の生活を著しく窮迫させるおそれがあるときなどにおいてはその執行を停止させることができるとされておりまして、地方団体の税務当局の判断に基づき、適正に対応されるべきものと考えております。

 この問題については、やはり、法律のたてつけと、それから、その法律を具体的に適用する中での課題だ、こう思っております。

 市町村当局も、あるいはまた市町村議会も、福祉の向上のためにみんな汗をかいておるわけであります。地域主権の時代でありますので、現場でしっかりとした適切な判断がなされるものと思っております。

佐々木(憲)委員 何かもう一つ歯切れの悪い答弁なんですね。

 私が聞いたのは、財務大臣の答弁、小宮山大臣の答弁、これと基本的に同じかというふうに聞いたんですね。

 つまり、残金がないところに子ども手当がぼんと入る、あるいは年金が入る、それを全額差し押さえるというのは、目的のために使われなくなるじゃないか、したがってそういうことは差し控えるべきだ、これが政府答弁なんですが、同じかどうかと聞いているんですよ。

黄川田副大臣 法律のたてつけはそうでありますけれども、具体的な適用となれば、例えば今般も東日本の大震災で、義援金、弔慰金あるいはまた生活再建支援金等々も、法律上、子ども手当と同じような制度設計だと思っております。

 生活ができなくなる、あるいはまたそういう部分の中で適切な判断ということでありますので、税務当局も我々も、さまざま、前の渡辺副大臣のときにも答弁されて、そして税務当局にも機会あるごとにしっかりとした配慮をしなさいということを申しておりますので、適切な運用ができていると思っておるわけであります。

 ただ、聞いていることが違うと。それぞれ厚労省もあれも、残金がない中ですぐさま引き去るのはどうなのかというところでしょうから、それは私も、他の委員と、政府の人間でありますので、同じ考え方であります。基本的な認識であります。

佐々木(憲)委員 もう時間ですので終わりますけれども、先ほども少し言われましたが、以前、渡辺周総務副大臣は、人の命までも、生存権さえも脅かすような、まさに問答無用の徴収、徴税があっては絶対ならない、こういうことが二度とないよう万全の対策を当然国もすべきであろうと答弁しているんですよ、国もすべきであろうと。こういうことを答弁しているわけだから。

 何か、例外があるかのような、あるいは、振り込まれたら別な性格に変わってしまうと。そんなことはありません。子ども手当は子ども手当です、振り込まれても。そういうものをでたらめな解釈で差し押さえて、当たり前だみたいなことを各地方自治体がやっているということ。それを正すというのが、本来、総務省なりあなたの立場だ。そのことをしっかりと肝に銘じてやっていただきたい。このことを最後に申し上げまして、終わります。

池田委員長 次に、坂口力君。

坂口(力)委員 おはようございます。

 今、佐々木議員から定率減税の話が出ましたけれども、確かに、この定率減税を廃止しますときに、我々は、これを基礎年金の二分の一の国庫負担を埋めるために使うということを前提にしてと申しますか、その約束のもとに賛成をしたわけであります。

 しかし、これは財務省に裏切られましたね。明らかに裏切りでありまして、毎年毎年、年末になりますと、それは全額入れてほしいということを何度も何度も我々は主張いたしましたけれども、それが実現されませんでした。私個人は、そういう意味で財務省に対して不信の念を持っておりますことを一言申し上げて、私の質問に入りたいと思います。

 さて、半時間でありますから、そんなに多くのことをお聞きすることはできませんが、最初に、民主党の年金改革案につきまして、少しだけお聞きをしておきたいというふうに思います。

 なぜまたこれをお聞きしようというふうに思ったかといいますと、二十七日日曜日の日経新聞の社説に、「増税の前に年金・医療費の膨張防げ」という見出しで記事が出ておりました。この記事には私たちも異論はございません。

 しかし、その中を読んでみますと、必ずしも賛成しがたい部分が存在をする。特に民主党の年金改革に触れた部分でありまして、そこにはこう書かれております。

 不公平なばらまき年金にしない歯どめ策の一つが民主党が〇九年の衆院選で公約した抜本改革案ではないか、消費税で賄う最低保障年金と保険料を充てる報酬比例年金を組み合わせた新制度だ、実現に向け前原誠司政調会長は一三年に法改正したいとの考えを示しているが、早くやるべきだ、こういう内容でございます。

 そこで、大臣にお聞きしたいのは、これは新聞の記事でありますから、新聞の言うことですから、大臣は全然関係のないことではございますけれども、民主党が目指します年金制度というのは、現在の年金よりも給付額の少ない年金を目指しているのか、それとも現状は維持したいというふうに考えておみえになるのか、あるいは今よりもよい年金を実現するということを前提にして考えておみえになるのか。総論的なことで結構でございますから、そこをひとつお聞きしておきたい。

 それは、この新聞に書かれておりますと、何となく、民主党が掲げました案は、現在の制度は不公平なばらまきの制度であって、それを直すために、それを将来拡大しないようにしていくための年金だ、ばらまきというのもよくわかりませんけれども、将来拡大していくのを防ぐための年金だというふうにとれなくもない。

 御感想をひとつお伺いしたいと思います。

小宮山国務大臣 年金制度がばらまきだというふうには、全く民主党としても考えていないということだと思います。

 その一元化の年金のねらいというのは、もう委員は御承知のとおり、厚生年金、共済年金そして国民年金、それぞれ掛金も給付額も違う、また、途中で仕事がかわっても非常に複雑な仕組みになることから、日本の国民であればすべての人が一つの年金制度、同じ年金制度でやっていこうというのがもとにございますので、そこで年金の額をもっと下げようとか、そういうことを考えているものではないというふうに思っております。

 とにかく、最低保障年金をきちんと税で担保した上で、その上で所得比例に応じた年金を積んでいく。ただ、その最低保障年金をどこの収入まで入れるのかというようなことなどの詳細な設計は、二〇一三年度中というマニフェストの方針に基づいて、今、党の方で検討されているというふうに思っております。

坂口(力)委員 おっしゃることはわかりました。

 それで、新しい年金制度に今着手されるんだろうというふうに思いますが、選挙前に既に大綱を示しておみえになるわけでありますし、民主党政権になりましてから二年が経過をいたしました。もうそろそろ内容は固まってきているのではないかと私は思っております。

 民主党が目指します年金制度にしましたら、国庫負担は大体どれぐらいになるというふうに試算をしておみえになるのか、そこをちょっとお聞きしたいと思います。

辻副大臣 民主党の年金制度についての財政的な御質問でございますけれども、現在も民主党内で御検討いただいているという状況だと理解をしておりますので、その点について、財源がこうだということを、今私どもとして申し上げるものはございません。

坂口(力)委員 つれない返事ですね。

 民主党政権が、年金の改革を掲げて、そして、それだけではありませんけれども、それを中心にして衆議院選で大勝されました。それであるならば、少なくとももう二年たったわけでありますから、かなりの対策が検討されてしかるべきだというふうに思っておりますし、幾つかの前提を置きながらこれは計算をしておみえになるのではないかと私は思っております。しかし、いまだ明らかにされていない。

 民主党の政治は、すべてをオープンにするというのが民主党の政治であります。計算をしてそれを表に出さないということがあれば、それは民主党政治の根幹にかかわる問題ではないかと私は思います。

 党の方は党の方でこれは計算をしておみえになると思いますが、党が計算をされましたものは、これは政府の方にも上がってくるはずであります。皆さんが御存じの範囲の中で、それはどのぐらいなものなのかということについて、もう少しお話をいただきたいと思います。

辻副大臣 つれないという御指摘をいただいて、恐縮でございます。七年前の年金法のときは、坂口大臣のもとで参議院で私も筆頭理事で議論させていただいて、強行採決で後ろに引き倒された経験を持っておりますけれども。

 いずれにいたしましても、御指摘のように、政権交代の後二年たって、まだ十分具体的な姿が提示されていないではないかという御指摘は真摯に受けとめさせていただかなければならないと思っておりますし、オープンな議論ということを心がけて、政府・与党一体となって取り組んでいかなければならないと思っているところでございます。

 いずれにいたしましても、与野党間の協議もいただきつつでございますけれども、新しい年金制度の詳細につきましては、今後とも、与党のサイドの議論も踏まえさせていただいて政府として検討を進め、平成二十五年の法案提出というものを目指していきたい。この過程におきまして、またいろいろ御議論もいただき、御指導もいただきたい、このように思っているところでございます。

坂口(力)委員 二〇〇四年の年金制度のときには、辻副大臣から厳しい質問を受けまして、私は大変苦労したことを今思い出しておりますが、これは、長妻元大臣はにやりとしておりますので、何かもう、多分私はあるんだろうというふうに思っております。

 元と申しますか、民主党政権で閣僚を務められた方から、民主党の年金制度に対する計算はできているという話が流れております。これは、よそからそういう数字が出てから、実はこうでございますということを言うのは、甚だ、大政党に対して傷のつく話であります。むしろ、今までの前提をこういうふうに置いたらこういう結果であるということについては、これはやはりはっきりさせるべきだと思います。

 国民の皆さん方に対する約束でありますし、そしてそれは、前提によりましていろいろの数字に私はなると思うんです。額が大変多くなるかもしれないし、少なくなるかもしれない。だけれども、それは負担と給付の関係の話でありますし、税制をどれだけ入れるかという話でありますから、それはあからさまにして、そして、国民に実はこうでございましたということを言っていただくのが政府の役割ではないかというふうに思います。

 もし皆さんの手元に今ないということでありましたら、ひとつ党の方とも至急御相談をいただいて、今国会中にその数字を明らかにしていただきたいと思いますが、いかがですか。

辻副大臣 党の方での御検討の中にあったかどうかというのは、必ずしも私ども十分承知しておりませんし、今現在手元にあるわけでございませんけれども、先生からの御指摘を踏まえまして、与党の方にも聞いてみたいと思います。

坂口(力)委員 ぜひそうしていただきたいと思います。

 小宮山大臣は一年間副大臣も務められたわけでありますから、もう十分に心の中にそれは受けとめておみえになるのではないかというふうに思っておりますが、きょうはこれ以上詰めるのはやめておきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 時間がなくなってきましたから、次の問題に移りたいと思います。

 今回、この法案が出まして、そして、私たちもこの法案には賛成をしたいというふうに思っております。来年度の財源は何とかなるんだろうというふうに思いますけれども、次の税制改正までの間の何年か、これは二年なのか三年なのかわかりませんが、その間の毎年毎年の二兆五千億も、これはもうこの法案で大体見通しがついたというふうに考えていいのか、それとも、いや、そうはいかないんだ、毎年毎年、七転八倒の苦しみをしながら年末に二兆五千億を確保しなければならないんだというふうに思っておみえになるのか。ここは年金局長でも結構ですから、ひとつお答えをいただきたいと思います。

榮畑政府参考人 今回御審議をお願いしていますこの法案では、平成二十四年度から税制抜本改革により安定財源の確保を図られるまでの間につきましては、平成二十一年の税制改正法において平成二十三年度中に法制化するとされております税制抜本改革により得られる財源を活用して、基礎年金の給付費の二分の一と三六・五%の差額を国庫の負担とするよう、必要な法制上、財政上の措置を講ずるということを法案の中に書き込ませていただいております。

 いずれにいたしましても、私ども、平成二十四年度の基礎年金の国庫負担二分の一につきまして、平成二十四年度の予算編成の中でこれが確実に維持できるように、財政当局とまさにこれから折衝していくことになりますから、私どもとしても、いろいろな方策を考えながら、この二分の一の獲得に全力を挙げていかなければならないと思っておるところでございます。

坂口(力)委員 かなり苦しい答弁ですけれども、ことしはわかりました、何とかなりますと。だけれども、来年もまたことしと一緒のようなことを繰り返さなきゃならないようなことは困りますので、先ほど定率減税のときの話も出ましたとおり、本来ならば、これはもう片づいていた話でありますが、それが片づかずに今日まで来ているということでありますから、あとは、これがスムーズにいくように全力を挙げていただきたいと思いますし、これは局長の手腕でことしじゅうにその道筋はつけてもらいたい、こういうふうに思いますが、もう一言だけ、決意のほどを述べていただきたい。

榮畑政府参考人 この基礎年金国庫負担二分の一は、年金制度を長期的、安定的に進めていくために必ず必要なものであると思っておりますから、二十四年度につきましてもこれを維持できるように、ともかく、予算編成過程の中で最大限、全力で取り組んでいって、二分の一というのを続けていくように努力していきたいと思っております。私どもとしても一生懸命取り組むつもりでございます。

坂口(力)委員 お願いしておきます。

 それで、もう一つお聞きをしたいと思いますが、年金の方から国の方へ貸し付けをしたものがまだ残っておりますね。平成六年から平成十年までの間、これはまだ返済されていないわけでございますが、元本合計三兆八百四億円残っておりまして、利息も含めますと五兆七千億ぐらいになるのではないかという試算もございます。これは非常に大きな額ですね。

 年金財政も厳しい中でございますから、この貸し付けてありますものをどう返してもらうのかということも、ここははっきりしておかないといけないと思いますが、これにつきまして、今後、返済をしてもらう道筋というのはついているんでしょうか。

小宮山国務大臣 おっしゃいましたように、過去に貸してある、繰り延べになっているものが元本ベースで三兆八百四億円もあるということで、この繰り入れが行われなかった部分は積立金で今充てているわけですので、これはできるだけ速やかに返してもらわなければいけないというふうに思っております。

 二十四年度の予算の概算要求の組み替え基準についてという九月二十日の閣議決定によりまして、繰り延べの返還につきましては予算編成過程で検討するとされておりますので、これは事項要求にしてございますから、今後、年末の予算編成までに、財政当局からしっかり返してもらうように、私の方も全力を挙げて交渉をしたいというふうに思っております。

坂口(力)委員 一発で返ってくればそれにこしたことはありませんけれども、国の財政も厳しい中でありますから、一遍にはなかなか返ってこないんだろうというふうに思いますが、今後、返してもらうスケジュール、それだけははっきりとさせていただきたいというふうに思います。

 それが三年間で返るのか、五年間で返るのか、それはわかりません。しかし、こういうスケジュールで返しますということさえはっきりしておればこちらも安心でありますけれども、それがありませんと、またとられっ放しという話になってしまいますし、財務省に対する不信の念がまた出てくるわけでありますので、そう不信の念を持たなくてもいいように、これはきちっとしてもらいたいというふうに思っておりますので、その辺よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 さて、もう最後になりますが、新しい年金制度を前原政調会長が二〇一三年には提出をするということを言っておみえになりますが、二〇一三年に提出をするということは、少なくとも来年はこの年金制度の姿というものを固めていただかなければならないということになりますね。来年それを固めていただく過程におきましては、こういうふうに固めつつあるという経過なるものもやはり国民にお示しをいただく必要があるのではないかというふうに思います。

 それで、党と政府の方と違うと言われればそうですけれども、しかし、これは一体の話でありますから、一三年に法律を出すというためには、現在かなりなことが準備をされていなければならないというふうに思いますが、現在の進行状況と申しますか、現在はどの程度のところまで来ているのかということをもう一つお話を伺っておきたいと思います。

辻副大臣 税と社会保障の一体改革の議論の過程で、五月であったと思いますけれども、民主党からも年金制度改革についての考え方というものが提示されておるところでございまして、そこに一つ基本的な方針が明示されている、このように理解をしております。

 そして、政府内で平成二十五年の法案提出を目指すということを申し上げているわけでございますけれども、その五月に提示されました与党の方針を踏まえ、与党の今後の御議論を踏まえ、そして野党の皆さん方とも御協議を重ねる中で法案の提出につなげていきたい、このように思っておりまして、先生からの経過を示すべしという御指摘もしっかりと受けとめさせていただいて議論を進めさせていただきたい、そのように思っております。

坂口(力)委員 もう最後の質問にさせていただきたいというふうに思いますが、そうしますと、ことしの社会保障と税の一体改革の話がございますね。どれだけ税を求めるかという前に、社会保障でどれだけかかるかということを明らかにしなければなりません。そうなりますと、ことしの暮れに決まります社会保障と税の一体改革の中で、何と申しましても年金は社会保障の柱でございますから、そこで年金改革のアウトラインは示されるというふうに理解してよろしゅうございますか。

辻副大臣 当然、来年の法案で対処するということも考えられるわけでございまして、そういった意味合いにおきまして、当面、一体改革の中で盛り込まれた項目、あるいはその他の項目も含めまして、与党との協議の中で、また野党の皆様方の御意見もいただきながら、年内にある程度の方向性を持って来年の法案につなげていくべきものがあると同時に、より抜本的な改革については二十五年の提出に向けて少し時間をいただいて検討していくということだと思っております。

 いずれにいたしましても、年内に一体改革の中の年金にかかわる項目について方向性を出していくということはしていかなければならない、このように思っております。

坂口(力)委員 先ほど最後と言いましたけれども、もう一度、最後に立たせていただきました。

 今副大臣がおっしゃいましたのは、来年の予算でということをおっしゃいましたが、そうすると、前原政調会長は一三年ということを言っておみえになりますが、来年の国会に出していただくということになりますと、一年早まってきている。早まっているのは結構です、早い方がいいと私は思うんですが、来年出すということになりますと、今かなりな準備が進んでいないと来年出せないわけですけれども、そこは大丈夫ですか。

 これは副大臣のお言葉ですから非常に重いわけでありまして、いや、それは来年じゃなくて再来年だというんなら今のうちに訂正しておいてもらいたいと思いますし、来年出すと言っていただくんだったらそれは結構でございますので、来年ぜひお願いをしたい。

辻副大臣 私の発言が不備だったらおわび申し上げますけれども、社会保障・税一体改革の成案の中におきましても、年金の部分におきまして、新しい年金制度の創設というところと現行制度の改善ということがあるわけでございまして、私が、年内か年を越す部分もあるかもしれませんけれども、当面、方向性を出すべきと言いましたのは現行制度の改善に当たる部分でございまして、平成二十五年度提出というのは新しい年金制度の創設にかかわる部分でございますので、そこの部分は、一体改革の中で明示されていることについての対応ということで御理解をいただければと思っております。

坂口(力)委員 本当の最後ですけれども、現行年金制度の改正と新しい抜本的な年金改革とは違うわけでありまして、二〇一三年に抜本改革をするのに、その前の年に現在の年金制度の改革を行うのかどうかということですね。一三年に抜本改革を皆さんがやるというふうにおっしゃるのなら、現在の年金制度の改革を来年やる必要は余りない、一年きりの話でありますから。来年やりましても、実行は再来年になるわけでありますから。だから、そこのところはもう少し整理をしていただいて、そして今後に臨んでいただきたい。御要望を申し上げて、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

池田委員長 次に、和田隆志君。

和田委員 おはようございます。民主党、和田隆志でございます。

 厚生労働行政の大先輩である坂口先生の質疑の後をお受けいたしまして、小宮山大臣に、この年金問題について取り組んでいく姿勢を中心にお伺いしてまいりたいと思います。

 まず、先ほどの坂口委員の御質疑をお聞きしておりまして、私も、今、与党の一員としまして、先生の御指摘は非常に重く受けとめながらお聞きしておりました。なぜかといえば、年金問題は国政選挙のたびに国民の皆様方の一番大きな関心事項として争点となり、とにかく、どの党もが改革しますと訴えて選挙を通過してきている。しかし、なかなか抜本的な改革には着手できていないという状況が長年続いてきたわけでございます。

 質疑の項目に入る前に、先ほど坂口委員の方から、政府・与党一体となって、とにかく早く案を示せという大きなメッセージがあったかと思います。私自身、それは本当に、与党についた者の責任として、一日でも早い方がよいというふうに考えていますが、先ほど御質疑をいろいろ聞いておりまして、政府側から御答弁されるべき話もありましたが、与党側の方から、野党の議員各位の方にも今の臨んでいる方針をぜひ御理解いただきながら、そして、この年金問題につきましては、与野党を問わず、国会議員全体が意識を持って取り組んでいただきたいという気持ちを込めて、最初に私の方から、今の与党、実は年金ワーキングチームというのが創設されまして、私自身、その座長を務めている関係から、御説明しておき、その上で質疑に入ってまいりたいと思います。

 先ほど坂口委員の方から、最後の方で御質疑に出てまいりました、六月末に、政府・与党が一緒に議論しまして一体改革の成案というものをつくりました。その際に、いろいろと激論の末だったのでございますが、私たち民主党が政権をいただくときに国民の皆様方にお訴えしました、新しい年金制度をつくるという項目もその表の中に入っています。

 しかし、この新しい制度をつくるには諸々の検討が必要であり、やはり本当に期間がかかるものだというふうに思っていまして、それを視野に置いた上で、二〇一三年の、つまり、我々が政権交代をさせていただいた後、四年の任期を想定しているわけですが、その前の通常国会には新しい年金制度の姿をお示しして、皆様方に選挙で信を問いたいということでございます。

 しかし、では現行制度の改善をその前にやって意味があるのかというような御質疑があったかと思います。これも与党の方でいろいろと議論を始める際に激論したわけでございますが、私どもは意味があると思っています。それは、新しい年金制度は、どのような形でつくるにせよ、やはり新しい制度に移行を完了するには、どなたがお考えになったとしても数十年かかります。その数十年の経過期間の間に、現行制度をある程度、改善に改善を重ねて、できるだけ国民の皆様方に御納得いただける姿に変えていくことも必要であろうというふうに考えておりまして、そういった意味におきまして、ステップを踏んで、まず第一段階では、その数十年かかるであろう新しい年金制度に近づけるという視野も持った上で、そして、しかし現行制度がそのまま立っているという前提の中で、どんな改善が可能なのか、それを議論して、国会にも御提出申し上げたいというふうに思っているわけでございます。

 そういった意味におきまして、抜本的な改革を二〇一三年の法律で出そうとしておきながら、現行制度の改革を今御議論いただきながら、来年の通常国会に法案として御提出申し上げるという政府・与党の姿勢、ぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 結論づけて言えば、現行制度の改革というものが、新しい年金制度の創設に向けて、その路線の方向へ向いた上での改善だというふうに議論してまいりたいと考えています。

 ここまで説明をさせていただきまして、ここから先、質疑に入りたいというふうに思います。

 今回の基礎年金の国庫負担分について長年議論してまいりました。これはもう前政権時代から本当に真摯な御議論をいただいてきて、二分の一まで引き上げることが必要である、しかも、それが本当に安定的な財源をもって充てなければいけないということは、恐らくほぼ全国会議員の共通理解事項だと思います。そこから先、ではどんなツールによってそれを手当てするのか、それはこれからまだ御議論が続いていくんだと思いますが、ようやくこの二分の一の引き上げまで国会で御議論いただけるようになったということは、非常に年金行政については一歩前進ということだろうと思います。

 そして、今議論されておりますのは、現行制度の基礎年金部分について、二分の一まで国庫負担をしっかりとした財源をもって充てるということの御議論でございますが、私自身、これに取り組んでおりまして、やはり、現行制度についての表現だけにとどまらず、先ほど申し上げたとおりですが、今私たちが議論しているすべての項目は、将来どんな年金像にしていくべきなのか、そんな議論の中で、今やっている議論はどのように役立つんだろうか、こういったことを国民の皆様方に御理解いただきながら進めていくべきであろうというふうに考えます。

 そうした意味におきまして、小宮山大臣に御質問させていただきます。

 当然ながら、現行制度上、二分の一まで国庫負担を引き上げれば、その分、現在の受給世代の方々に安心をもたらすことができるわけでございますが、それだけにとどまらず、将来の年金の姿との関係で、この二分の一の引き上げというのが議決されて成立したならば、どのような効果がもたらされるとお考えなのか、そこをぜひ国民の皆様方に向かって御説明いただきたいと思います。

    〔委員長退席、長妻委員長代理着席〕

小宮山国務大臣 和田委員には、年金のワーキングチーム座長として、わかりやすく、これから三十年あるいは四十年かけてやっていく中で、そこまでの間、今までの年金制度の方は続いていくわけですから、そこを改善しなければいけないということを御説明いただいて、ありがとうございます。

 お尋ねの件でございますけれども、基礎年金の国庫負担二分の一、これは長期的に安定させていくためにぜひ必要なことなので、そこの基礎年金を安定した財源できちっとつくっていくということは、今民主党が考えようとしている新しい一元化された年金制度の最低保障年金を税で賄っていくという、そこの土台の部分につながっていくものだというふうに考えていますので、そういう意味では、基礎年金の国庫負担二分の一、しっかり財源を確保して安定させていくことは、将来の新しい年金の最低保障年金部分につながっていくものだというふうに確信をしております。

和田委員 今御答弁いただいたように、我々が考えております将来の年金の姿として、先ほど坂口先生の方からもお話がございましたが、所得比例年金に加えて最低保障年金という制度をつくり、そこで、本当に、税財源を活用しながら、ぎりぎりの生活をしていらっしゃるであろう高齢者の方々の生活をしっかりと維持、安定させていくということを考えているわけでございます。

 私がぜひ大臣との間で意識を共有させていただきたいのは、その最低保障年金というのを受け取る世代の方々は今現在働いていらっしゃる方々だということでございます。しかも、先ほど申し上げたとおり、新しい制度に移行するために数十年が必要だということは、むしろ若い世代の働いている方々にぜひともこの仕組みについて御理解いただきたいというふうに思っています。

 つまり、今回の国会で御議論いただいております二分の一の国庫負担、現行制度についてのものではございますが、私たちが考えている将来像にも適用されるものだと考えており、税財源を最低保障年金というものに使っていく以上、今働いていらっしゃる若い方々のために、要するに今、よく世の中で、保険料を払ってもなかなか年金はもらえそうにないから、このままでは、自分たちは日本で働いていていいんだろうか、こんな疑問意識を持つ若者世代がいらっしゃるだけに、その方々にこそ、メッセージとして、こういった改正を行わせていただければ、将来の皆様方、若い世代の方々がお年寄りになったときの年金がしっかりと確保できるのであるという方向性だと思いますが、この点について、大臣、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 委員が言われるとおりだというふうに思います。

 どれだけの期間をもって完成形という形にするか、全部新しい年金を受け取る世代になるかというと三十年とか四十年とかになりますので、今の働き盛りの方々が新しい年金の、恩恵と言っていいんでしょうか、受け取る方になるので、そこのところは社会保障改革全体をわかりやすく御説明しなきゃいけない。

 その中でも、年金制度については、今の改善と新しい年金につながっていくことと、そこは政府・与党一体となって、また野党の皆様にも御理解をいただきながら、政治をお預かりしている者として、皆さんの力もいただいて、しっかり皆さんに御理解いただくようにしていかなければいけないと私自身も強く思っています。

和田委員 ありがとうございました。

 そういった意識を共有しながら取り組んでいきたいと思います。

 さて、今政府・与党で取り組んでいることをこの場で御報告しながら、先ほど、野党のサイドの委員の方々からの御質疑もありましたように、やはり私ども年金に関する議論もできるだけオープンにしていこうというふうに考えているところです。

 そこで、大臣、今民主党の中では、先ほど申し上げたように、厚生労働部門会議という場の中に年金ワーキングチームが設置され、そこで昨日も議論をしたところでございますが、これから先、きょう部門会議での御了承はいただきましたが、一体改革調査会、いわゆる愛称で言えば、細川前大臣の名前をつけて細川調査会でございますが、そこに、今後、近いうちに御報告申し上げ、そこで税調と合同で会議を開いていただいた後、政府に御提言いただくという運びになっています。

 こういったことを要するに手続として踏んでいこうと思っていますが、きょうの時点では、そういった議論の中で、政府側を代表して、厚生労働大臣としては、与党とこの年金制度の改革、とりわけ現行制度の改善部分につきまして、どのような原理原則で臨んでいくべきだとお考えか、それをぜひこの場で御開陳いただきながら意識を共有していきたいと思います。いかがでしょうか。

    〔長妻委員長代理退席、委員長着席〕

小宮山国務大臣 ことし六月三十日に一体改革の成案をつくりまして、その中で年金改革の目指すべき方向を出しているわけですね。公平な形の一元化ということと、あとは、やはり今の制度の改善ということで、単身高齢者、低年金者、無年金者の増大に対して最低保障機能を維持するとか、あるいは高齢な方の貧困を防いだりするための強化をする制度のこと。とにかく国民の皆さんから安心して信頼していただける制度につくっていくという、そこはもう政府・与党で共通の理念を持っていると思っておりますので、今個別にいろいろ御指摘をいただいている、与党で御議論をいただいたものについては、政府としてもしっかり受けとめさせていただき、これからの議論を実のあるものにしていきたい。

 それで、与党からいただくと同時に、国会で各野党の皆様にも御協力いただかないとこれは実現をしてまいりませんので、先ほど坂口委員からも、持っている情報はオープンにしてという、今、和田委員からもございましたけれども、なるべくオープンな形にして、活発な議論をいただき、現在の制度の改善についても、取り組めるものは積極的にやっていきたい、心一つにしてやっていきたいというふうに思っています。

和田委員 これから取り組んでいく際に、先ほども申し上げて繰り返しになって恐縮ですが、新しい年金制度の創設に向けて現行制度を改善していくということでございます。

 しかし、そんな中でやはり貫いていきたいというふうに思うのは、新しい年金制度として掲げているものが、例えば、働き方を年金制度によって選択するような、どちらかに寄ったような年金制度であってはいけない。働き方に中立的でなければいけない。今までは、確かに生活、文化の関係で男女差が設けられた制度もありましたけれども、そういったことが、これからの世代向けには、男女の差によらず年金制度の適用を受けられるようにしなければいけない、こんな考え方をぜひ共有していきたいというふうに思っています。

 そこで大臣、実は、オープンにするという意味も含めて、報告を打つ際の報告書はまた後でオープンにさせていただきますが、現在、ワーキングチームで議論に出ている内容としては、年金制度のあるべき姿に向かって改革を一歩でも二歩でも進めていくことは賛成であるという議員が多くいらっしゃって、非常に心強いと思っています。しかし、その一方で、私たち与党、野党にかかわらず、年金制度についての問題が数々指摘されてまいりました。

 例えば、国民年金保険料の未納問題等は、本当に、全体として国民皆年金制度を掲げて国家を運営している中で、国民年金については未納の方が四割もいるというような問題が放置されていたのでは、幾らそこから先、現行制度のほかの部分を改革しようと訴えても、そこをしっかりしてこいという有権者の声がたくさんあるというような指摘も起きています。

 こういった意味におきまして、現行制度の改善に取り組んでいく中で、今までに指摘された部分についても、しっかりと厚生労働省の事務方を指導していただきながら歩を前に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 おっしゃるとおりだというふうに思います。

 やはり、国民年金保険料の納付率の向上対策など、そういう業務の改善、運営の改善についてはしっかりと指導していきたいというふうに思っています。

 今、戸別訪問をしたりとか負担能力がある高所得者の方への強制徴収とか、とにかく、どんどん納付率が下がっているのを何とかとめて反転をさせていきたいということで、新しい年金機構になってから特に力を入れて取り組んでいるところですけれども、これもやはり公平で安心できる制度にしていくための基本中の基本でございますので、そこはしっかりと指導してやっていきたいというふうに思っています。

和田委員 ぜひ、その取り組みがあればこその法改革実現の可能性を高めることだと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、時間が残り少なくなってまいりましたが、一つ、世の中でも大きな話題になっております特例水準の解消について、いろいろと議論が起きている中で、大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。

 今まで政権運営をしてこられた自公政権の皆様方には、大変恐縮ではございますが、やはり、年金制度が原理原則として保険制度であるということからすれば、今まで数十年間運営する中で物価スライドという原則を貫いてきたことは、この最近数年間も本来ならば貫くべきであったのではないかという議論をワーキングチームでも行いました。そして、ぎりぎりの生活をされている方々について、何も配慮が必要でないということではなくて、本当にここの部分は年金制度の中で救うべきなんだろうか、そういった疑問意識もわいておりまして、これから先、生活保護と年金制度についての概念整理も必要ではないかというようなことも議論している次第です。

 いずれにせよ、今現在、特例水準の解消については恐らくいろいろな議論があるところではございますが、大臣が、与党との間で、またもっと言えば、議論に参加していただく意味におきましても、野党の皆様方との間でも、こういったところまではぜひやりたいという考え方を述べていただければというふうに思います。

小宮山国務大臣 特例水準につきましては、先日の提言型の政策仕分けでも御指摘をいただき、その当日に、私もずっとそういうふうに思ってまいりましたので、特例水準の解消には取り組みますというふうに私の方から明言をさせていただいております。

 これはやはり、三年で解消するか五年で解消するかという、生活をしていらっしゃる方への与える影響もございますが、これはおっしゃったように、当然下げるべきところを下げてこなかった、それが二・五%、累積して七兆円分、これはやはり将来の世代にツケ回しをしているということになりますので、ここの解消については、おっしゃるように、やはり低所得の方がお困りにならないように、生活保護の制度も、不正受給の見直しとか、あるいは自立支援のためにNPOの皆さんたちと共同してちゃんと寄り添った形でやっていくとか、いろいろなことを今考えておりますので、その辺のフォローも含めた上で、特例水準の解消には、与党の皆様、また野党の皆様の御意見もいただいて、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えています。

和田委員 時間が終わりましたので、最後に一言申し上げて終わりにしたいと思います。

 今るる御答弁いただいたように、これから先の年金制度の改革については、今まで本当にいろいろ申し上げにくかったところも多々あるとは思うんですが、本当に国民の皆様方全体のための年金制度をつくろうと思えば、ある層の方々には我慢してくださいと申し上げなければいけない、ある層の方々には、将来、皆様方の生活を安定させるためなのですから、ぜひとも今の時点での御負担に御理解をくださいといったことも申し上げなければならないというふうに考えています。

 その環境をつくるためには、国会全体でその意識を持って取り組むことが必要であると考えておりまして、与党もさることながら、野党の皆様方にも御議論に参加いただくための環境醸成に政府側でも与党側でも全力で取り組んでまいりたいということを意識共有させていただいて、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

池田委員長 次に、橋本勉君。

橋本(勉)委員 民主党の橋本勉でございます。

 きょうは初めてこういう機会を与えていただきまして、心から感謝を申し上げます。

 私は、今の三名の方と比べて、年齢は近いところもあるんですけれども、厚生労働部会については全くの素人でございます。小宮山大臣は美人で、いつも明快な発言をされていらっしゃるのを敬意を持って聞いておりますので、またお答えいただきたいと思います。

 ただ、私は、最近一つ気になっているのは、野田総理もそうですが、やや、上から目線の政策みたいなところが多くなっているんじゃないかなと思っているんですね。

 地元を回っておりますと、増税はやめてくれとかデフレを解消してくれとか、そういった言葉が異様に多い。僕は、やはり、国民生活第一を唱えるべく、民主党政権の一員として、ちょっと心もとない気持ちでいるということでありますので、そこら辺をしっかりと質問させていただきたいと思っております。

 今回、消費税の引き上げというものも、恐らく、この二分の一の国庫負担の中に盛り込まれているというような解釈でありますが、消費税の引き上げの議論が先行して、社会保障と税の一体改革というものが後になってきているんじゃないかと思うんですね。

 今、確かに同時にやっているんですけれども、国民の側から見ますと、最初、増税だけされて、そして後、最低保障年金というのは、何だ、決まらなかったんじゃないかというような懸念が出てこないとも限らないと思うんですが、そういう意味で、手続の順番として、今回のこの法案を決めるということについて、大臣、いかがお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 それは、今回の、年金の二分の一に消費税を充てようとしていることと、全体の、社会保障と税の一体改革と、ちょっと区別をして、分けてお話をした方がいいと思うんですが。

 全体の、社会保障の一体改革につきましては、今、先に増税が出ていると言いますけれども、それはメディアの皆様への私どもの説明の仕方もあると思いますが、政府としては、社会保障改革をまず先に出して、全体像として、これからの本当に超少子高齢社会の日本で安心して生活していただくためにこんな形で社会保障を持続可能なものとして設計します、それについてはここの部分だけは切り込ませていただきたいというようなお話をしながら、言うまでもなく、全体の無駄を省いても、今、税収が毎年四十兆ぐらいの中で社会保障費の国庫負担分が三十九兆ある、これでは持続可能なわけがないということは皆さん御理解いただけると思いますので、まず社会保障のあるべき像をお示しして御理解をいただいて御負担いただくという形にしたい。私は、今、社会保障の部分の取りまとめを厚労省の推進本部で責任者としてやっておりますので、それはもう毎回そのように事務方にも言っておりますし、そういう像を描きたいと思っています。

 そうした中で、今回、税制の中で五%消費税を上げさせていただきたいという提案をするに際しては、年金の二分の一に当たるのは、そのうちの、機能強化のうちの一%分です。そのほかに、やはり制度を改革して、私どもは、全世代型にして、子供、子育てとか若者を中心にした就労とか、これまでの高齢者三経費ではないような形で制度設計をしていますので、その全体にその五%が回るということをしっかりわかりやすく、今、社会保障の全体像の取りまとめを十二月の上旬をめどにやろうとしておりますので、それをまとめて、それから皆様方にわかりやすく、いろいろな資料も提供をしながら、国民の皆様にも、それから一緒に議論をしていただく野党の皆様にもお示しをしていきたいというふうに考えているところです。

 社会保障の改革がまず先にあってというふうに私どもは考えています。

橋本(勉)委員 今、社会保障の改革も同時にやっているということであります。

 では、消費税を上げるということもありましたので、ちょっと一言申し上げますと、消費税、例えば逆進性の問題があり、またインボイスの問題等が解決されていないという中で、価格転嫁が十全に図られていない。消費税の改革すら完璧にされているというわけではない上に消費税で社会保障改革というようなことになると、まだまだこれは十分ではないと思います。

 そしてまた、一番問題は、先ほど和田委員もお話があったと思いますが、世代間の負担格差というものも非常に大きくなっていると思います。今、十九歳以下の方が、負担と給付の格差というのは七千七百万ぐらいある、要するに負担の方がふえている、二十代から四十代も負担の方がふえているというようなデータが三菱UFJリサーチから出ております。

 そういうような中で、今回増税をして、そしてもらう給付が少ないということになったら、さらに格差を拡大してしまうんじゃないか。また、年金を名目として増税をさせることが年金不信の拡大につながらないのかどうか。こういう問題は、やはり、同時期にやるとか後から社会保障改革をやるとかいうのではなくて、しっかりとそこの見通しだけははっきりさせておいてこの増税論議をやるべきではないかと私は思っております。

 そういう意味では、社会保障の一体改革というのは非常に大きな大きな問題であります。

 二〇〇九年の民主党のマニフェストで、最低保障年金七万円のために消費税を充てると考えていました。これは安定財源であるということで、僕は、消費税というものは、ある程度妥当だと思っています。しかし、年金制度改革というのは、さっき和田委員もおっしゃったように、これから数十年かけてやっと完成するという話でありますので、ならば、消費税というのは、改革の案を出して、その後で足らない税金を上げていくというようなことを今ならやってもいいのではないかと思っているんですね。

 そして、税金のほかに、いろいろやり方があるんじゃないですか。

 私も、これは、特別会計の不用額の推移ということでちょっと出させていただきました。二十二年で剰余金が四十一兆円、そして不用額が二十一兆円、年金の特別会計だけでも三兆円ぐらい不用額があるということでありますので、こういったものの活用、吟味というものがされないでいきなり二・五兆円分の増税を持ってくるというのは、僕は、これはいかがなものかと思います。

 それで、もう一つ大事なこと、グラフでちょっと示させていただきましたけれども、宍戸駿太郎さんの、増税をして財政収入が上がるのかどうかというデータをちょっと出させていただきました。計量経済学の権威でございます。

 例えば、VATアップというのは、付加価値税三%アップしたときにGDPは四年間、五年間で五%下がっちゃうというグラフであります。五年間で五%GDPが下がって財政赤字がふえてしまっては元も子もないと思いますので、まさにこういう問題を、財源を吟味しないでいきなり増税ありきという結論を持ち出してこれは社会保障のためだよというのは、私は危険だと思います。

 私の考え方はいろいろあります。こういった不用額とか、それから剰余金。もう一つは、日銀の通貨発行も、これは短期的には一つのいい政策ではないかなと思います。

 つまり、短期的と申し上げたのは、別に、二・五兆円が、消費税が今十二・五兆円ありますので、それを年金に使って、十二・五兆円一般会計であいた分を短期的に埋め合わせてもいいという考え方であります。この不況、デフレの中では短期的にはいろいろな方法があるじゃないか、そういう意味を申し上げているので、短期的な方法だと思って言っているわけであります。

 十二・五兆円とか、今度もし増税をするならば、日銀の通貨発行をして、デフレも解消できる、円高も解消できるでしょう。そして、今、日本とアメリカの金利差が少なくなっているので、自民党さんがやってこられたような、ああいった円キャリーというものはないと思います。

 そういう意味で、今本当に財源としてはそういう選択も十分考えてもいいんじゃないかなと思っているところでございますが、そういう財源論からいって、増税ありきという考え方にもたらすということはいかがなんでしょうか。ちょっと大臣の簡単な御答弁をお願いします。

小宮山国務大臣 なかなかそう簡単にお答えできるものではございませんが、先ほどの、前の質疑もお聞きいただいたように、今回、基礎年金の二分の一のところを安定させるということは、将来に向けて、先ほど言われた、若い世代にとって持続可能でメリットがあるというふうに考えています。このままでいったら、本当に、それこそ若い世代の年金というのは先細っていってしまう。とにかく二・五兆円が毎年必要なんですから、これまで二年間の間に、かき集められるものというか、可能なものは工夫をしてやってきました。だけれども、毎年毎年二・五兆円要るというのに、この不用額とかそういうところだけでできる話ではありません。

 先ほど申し上げたように、これは高齢化の要素があったりとかいろいろな要素があるので、おっしゃる年金の二分の一だけに消費税の五%分を使うわけではありませんし、先ほど申し上げたように、子供の方への支援ですとか若い人の就労の問題とか、全体に充てるために今どうしても毎年一兆円ずつ増加をしている社会保障費を賄うためには御負担をお願いしなければいけない。

 そのために、やはり、医療、年金、介護だけではなくて、今の社会保障制度の中でもう少し御負担をいただける部分がないかということも当然やっておりますし、先ほどから、増税が先に出ているというふうにおっしゃっていますけれども、決してそうではないように、社会保障の改革像を先にお示しをして説明をしたいと思っていますので、今の委員の御指摘は当たらないと私は思っています。

橋本(勉)委員 今、社会保障費が毎年一兆円ずつふえるという話ですけれども、例えば一兆円ずつふえて十年で十兆円。今、十二・五兆円。五%上げたとして、地方へ回っている分が大体四割ぐらいあります、交付税を含めて、一%の消費税。そうすると、大体六割ぐらいから七割ということになると、六兆円とか七兆円ぐらいが全部年金に使ったとして賄えるというぐらいですので、どんどんどんどん一兆円ずつふえていったらとても追いつかないんじゃないかなという、あらかじめの試算ですけれども、そういうような考えもちょっといたしておりますので、いわゆるもっともっときめ細やかな議論というのは私はしておかないといけないところではないかなと思っております。

 年金問題、これについては、国民生活第一という視点に立って、しっかりとすべて、消費税を上げるかどうかも、我々も政権与党として頑張って議論をしていきたいと思っておりますので、またよろしくお願い申し上げます。

 それから、時間がありませんので、地元から、せっかくこのチャンスを与えていただいて、そんなに多くのチャンスは与えていただけないんではないかと思っていますので、ちょっと追加の質問だけさせていただきたいと思います。

 それは、保険医に対しての指導監査という件でちょっと質問をさせていただきます。

 私は、医者でもありませんし薬剤師でもありませんので、別に、第三者的な立場でこの問題を今考えさせていただいております。

 例えば、道路交通法の免許の取り消しというのは、一億人で約五万人ぐらいあるので、確率的に〇・〇五%免許取り消しがあるんですよ。そして、保険医の取り消しもかなり高いんですね。二十万人いて五十人ぐらい取り消し処分が毎年されているということになると、〇・〇二五%で、かなり近い数字だと思いますね。そして、医者が免許を取り消されるというのは、これはもう自殺を強要されるというような大変な問題でありますので、ここは私もいろいろと調べました。

 二〇〇八年四月に神戸地裁、福島地裁、甲府地裁とか、毎年毎年、取り消し処分の取り消しみたいな判決が出されていたり、今回、二〇一一年六月、東京高裁で、保険医の取り消し処分が裁判で違法とされて、国はもう上告を断念して、保険医取り消しは違法だということがこれで確定したという高裁の決定もあります。

 そういう意味で、ちょっとこれ、注目してみないと、お医者さんも安心して治療できない、そして我々患者も安心して保険医にかかれない、そういうことが戦々恐々としてあるんじゃないかと思いまして、質問だけさせていただきたいと思います。

 岐阜でもありました。個別指導から監査に移る段階で、混合診療が違法だけれども、混合診療は最初の監査で疑いないとはっきりしているにもかかわらず監査に移っちゃったということで、行き当たりばったりでずるずるずるずるといってしまって、もう監査が四回もされているということであります。四月から始まった指導から始めて六カ月以上、七カ月ぐらいたってもまだ結論が出ていない。私も国税局出身でいろいろと調査しておりますけれども、ちょっとこれは異常だ。小さな店ならば一週間で調査は終わります。

 そういう意味で、相手の、調査者の気持ちを考えて、もう必要がないにもかかわらず監査が続けられているといった問題については、これはゆゆしき問題だと思いますし、奥さんが自殺未遂されたり、病院に運ばれてしまったというようなことがありますので、そこまで至ると何をか言わんやでありますので、しっかりと技官の教育というようなもの、そしてまた、いわゆる裁量権逸脱と思われるところについては、もう潔く、ごめんなさい、これで帰ります、こういうことをやっていただかないと、これはお互いにとって不幸になると思いますので、ぜひともよろしくお願いをしたいところであります。

 では、お答えだけ、簡単に、一分だけ、よろしくお願いします。

藤田大臣政務官 今委員の方からお話がございました監査中の個別の事案についてのお答えは差し控えたいというふうに思っておりますけれども、御指摘のように、指導医療官についての研修、資質の向上ということについては、これからもしっかりと努めてまいりたいと思っております。

 ただ、監査の際には、医師会の方であるとか歯科医師会の方であるとか、こうした方々の立ち会いのもとにも行われているということでございまして、これからも公正かつ適切な実施に努めてまいりたい、このように思っております。

 確かに、監査の結果取り消しとなった保険医療機関からの訴訟が提起をされて、そして敗訴をした事例というものがあることも事実でございますが、このことについても、これからさらに監査が適切に行われるように、先ほど申しましたような資質の向上であるとか、あるいはいろいろな研修等も評価をいたしまして、そして適正な保険診療が行われるように努めてまいりたい、このように考えております。

橋本(勉)委員 ありがとうございました。しっかりとやっていただきたいと思っております。

 もう一つだけ。これは、障害者の方、知的障害者の方がいらっしゃいまして、今話題になっています障害者自立支援法を廃止して新たに障害者総合福祉法をつくる段階の話でございますが、知的障害者の問題は非常に根が深いものがあると、私も、会って気づかされました。

 そういう意味で、今度、新法になって、単純に、身体障害者とはちょっと違う世界がありますので、今、五段階、六段階で介護を区分けして効率的に運営しておりますけれども、知的障害者の場合はそういうのが本当にうまく当てはまるのかどうかというのが一つの疑問であります。

 そして、もう一つは、では逆に、精神科病院とか養護施設とか障害者の支援の施設を廃止して、そしてグループホームとかケアホームに移すというようなことも、本当にいいのかどうかということもちょっと疑問であります。

 知的障害者は非常に若い人が多いので、こういった人たちの処遇をどうしていくか、この後、新法でそんなところをしっかりとつくりかえていただけるよう、または、余り一方向に行かないようにお願いをしたいと思います。

 ちょっと一言だけお答えをお願いします。

牧副大臣 今の御指摘の向きがいま一つよく私なりに理解できませんが、障害者自立支援法のもとで、障害の区分にかかわらず、でき得る限り地域で皆さんと一緒に生活をしていただくという方向性のもとで、知的障害、精神障害の方々についても同じ扱いをする中で、その障害程度区分の客観的な見方についてのお話だと思います。

 でき得る限りの努力をする中で、一律、ただ客観的にコンピューターで処理をする第一段階の審査を経て、よりきめ細やかな医師等の判断のもとで二段階目の判断を行うところで、一段階目と二段階目のずれが知的障害の方にはややあるということの質問の向きだと多分思いますけれども、そこら辺については、よりきめ細やかな配慮のもとで今後の政策を進めてまいりたいと思っております。

橋本(勉)委員 時間が参りましたので、本当に最後に一言だけ。

 民主党が、二〇〇九年マニフェスト、いろいろありましたけれども、一番大切なのは国民生活第一、本当に、下からの目線で改革をいただけるよう、ぜひともそのところだけよろしくお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

池田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

池田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 午前中に引き続き、今回議題となっております年金法の改正について御質疑をさせていただきます。

 午前中、短い時間でしたけれども、委員と大臣、副大臣のやりとりを聞いておりまして、幾つか確認をしたい点がございます。

 まず、坂口委員がお尋ねのことと関係いたしてでございますが、たしか二十日の「日曜討論」で、御党の前原政調会長は、二〇一三年に年金の法案を提出なさるというふうにおっしゃっておられました。まず、このことは、政府と党は違いますが、小宮山大臣としては、深く所掌の行政にかかわることですし、どのように受けとめておられるのか。また、そのことは、民主党は政権交代の折から、この年金問題は一丁目一番地に掲げておられたことですので、きちんとそのような日程にあるのかなどについてお答えください。

小宮山国務大臣 それは、民主党が選挙の前にマニフェストに、二〇一三年度中に法案を提出すると言ってまいりましたので、それに向けて、一元化の新しい年金制度を今党の方で御議論いただいていると承知をしています。

 連携をとって、政府・与党として一体になって、これは法案を提出し、今の年金制度の改善は、先ほど申し上げたように、新しい年金に全部移行するにはどうしても四十年とか三十年は少なくともかかりますので、その間は、やはり今までの制度設計の中で改善すべきところはしながら、つないでいくということだと思っています。

阿部委員 既にある年金の制度から、大胆に、抜本的に改正なさるとすると、やはり二〇一三年はすぐそこですから、少なくとも工程表くらいはお出しにならないと。今、あくまでも、今回の改正もそうですが、これまでのものの補強というか手直しというか、そういうものと考えられますし、抜本的に改革なさるとおっしゃるのであれば、その工程表等の提出はどうお考えでしょうか。

小宮山国務大臣 それは、社会保障の改革全体の中で、先ほども十二月の半ばごろまでには取りまとめの方向を決めると申し上げましたが、その全体像で、どういう形につくり上げていくのか、そして、どこをどう改善し、またやっていくのかということも含めまして、工程表も含めてお出しをしたいというふうに考えています。

阿部委員 これまでいただいております税と社会保障の一体改革の方は、年金の改革のところだけ真っさらで何にもないんですね。下は、例えば低年金を改めるとかパートの適用をするとかいろいろお考えがあり、ただ、それは前政権から引き続いてやってきたことである。

 今のお答えだと、その真っ白な部分、税と社会保障の一体改革の中で空白になっています、そこに何か工程表が書き込まれると考えてよいのかということを再度、しつこいようですが、確認します。

小宮山国務大臣 どういうふうに年金のところを書きあらわすかは、これからまた党でそこを検討されているところと相談をしながらですが、これはそんなにおかしいことではないと思っていますよ。全体像の中で、直近にやっていくことと、例えば支給開始年齢のように、百年安心のために、長期的に安全のために考えていくものと、それで、新しい年金制度についてはどういう工程でやっていくかということもそこに書き込むというふうに私は考えています。

阿部委員 なぜおかしなことと思うかで、二点具体的にお伺いいたします。

 では、今の大臣のお言葉をかりれば、この間、大臣も時々口にされましたが、年金の受給開始年齢の先送りですね。これは、御党のおっしゃる抜本改革にも引き継がれるものであるという意味ですねというのが一つです。

 それから、今までの年金制度は、基礎年金の部分に社会保険料の企業負担が半分近く入っております。これを御党の場合は消費税でやるとマニフェストの中でありましたから、これは大幅な、大胆な改革だと私は思うんです。それに工程表もなく飛び込めないでしょうということで伺っており、また、それがいいかどうかの論議もあるところだと思います。

 実は、今回出された社会保障と税の一体改革でお上げになるという五%は、この年金の財源を、基礎年金を消費税でやるなら、これプラスあと一〇%くらいかかるわけですよ。今、国民には、五%だ、五%だ、五%だ。でもこれ、抜本改革の財源じゃないですよね。私は、素直に、正直に国民に説明しないと、抜本改革のための財源はまた要るんだ、でも今度の五%も要るんだ、もしかしてあと一五%要るんだと、それならそれで、是か非かは別ですよ、民主党のお考えですから、お出しになる、それが政党の責任だと思います。

 二点、いかがでしょう。

小宮山国務大臣 支給開始年齢については、何回かこちらでも御説明をしたように、現在の財政状況とか出生率の動向からすると、今すぐやるというものではない。ただ、今の、賃金が上がっていないこととか、全体の年金を支える要素の中で、これから百年ずっと安心とは限らないので、それは財政を見直しながら考えていくということで、新しい年金制度になっても、その考え方は基本的にあるというふうに考えています。

 それから、消費税につきましては、当面、今二〇一〇年代半ばまで五%と言っている中には、おっしゃるように、その年金の抜本改革の部分は入っていないというふうに認識をしています。というのは、二〇一三年度に提出をし、実施をするのはその先になりますが、今申し上げたように、新しい年金制度にするのには何十年か必要なわけですから、最初のところでそんなに一度にたくさんのお金が必要ということではございません。ただ、おっしゃるように、新しい年金制度にしたらどれだけ御負担いただくのかということはお示しをする必要はあるというふうに考えています。

 午前中の審議でも申し上げたように、今回、基礎年金の部分にしっかりと財源を確保するということは、これからつくろうとしている一元化の年金の最低保障部分の安定につながるものなので、関連性はあるというふうに考えています。

阿部委員 今の二点は非常に大きな問題で、受給開始年齢をこれから先、我が国は六十八歳、あるいは七十歳にするんだというふうにお考えであれば、当然、その間の就労の問題、収入の問題をあわせてパッケージでお出しにならなければ、不安だけが国民には生じますね。大臣は、すぐやることじゃない、今の補強じゃないんだとおっしゃいましたけれども、本当にそれでいいのか、財源的に大丈夫なのかということも、国民も不安であります。

 ですから、それは明示されて、例えば、就労の保障、そして、いついつから六十八歳、そのときには一体改革はどこまで進んでいるとパッケージで並べないと、ぽつんぽつんぽつんとやっては、非常に、年金というのは安心のもとですから、私は、国民へのメッセージとしていかがなものかと思います。

 それから、二点目については、国庫負担をこの財源の二分の一にするというのは、別に民主党のマニフェストに沿ったものじゃなくて、そもそもずっと、基礎年金の充実というのは前政権も我が党も求めてきたことであって、大臣がそうおっしゃるなら同床異夢かもしれません。何も、その次の、基礎年金を全部消費税でやる一歩として、これをみんな今回成立させるものでもないんだと思います。非常に差があるんです。

 何度も申しましたが、長年かけて、企業の負担される社会保険料も含めて、基礎年金部分を実は支えてきているわけです。この考え方の差異というのは非常に大きい。これを、消費税というのは保険料納付と結びつかないものですから、そういうふうにお変えになるなら、よっぽど私はそこで、要するに考え方の違いをちゃんと国民に伝えないと、今まではさんざん、保険料を納めなければもらえないという宣伝が行き渡っていたわけですから、国民も混乱すると思います。

 ぜひ、またこれは年末にかけて、二つとも重要です、支給開始年齢の延長、それから、一体、本当に消費税だけで基礎年金はやれるのか。どんな工程を踏んだらやれるのか。それが示されないと、私は、本来の御党が掲げた政権交代の柱ではないと思います。

 私自身は、それはちょっと過大な消費税になる、そして今の制度からかけ離れているということで、やはり地道な改革を積み重ねていくべきだという意見に立っておりますので、また追って討議をさせていただきたいと思います。

 あわせて、先週閣議決定されました、いわゆる主婦年金と申しますか、三号の、それも、本来は一号に申請し変わっているはずの方の年金、低年金などにならないようそれを追納して救済させるための法案というふうに位置づけておられるやに伺いますが、その法案の中身に入る前に、基本的なことで、きちんとその前提の調査がなされたのかということを私はお伺いしたいと思います。

 そもそも、三号から二号ないしは一号というのは、どうしてこれだけ多くの不整合記録が発生してしまったのか。

 今受給されている、既に受給されている方で五・三万人、被保険者で四十二・二万人。二年以上の不整合記録を訂正し、年金に影響があるとすると、受給者が五十・三、被保険者六十七・三万。年金史上まれに見る不整合の軍団がここに発生しておると思います。

 なぜ発生したのか。原因究明、これについて厚生労働省はどのようにお取り組みでしょう。

辻副大臣 第三号の記録不整合問題につきまして、何ゆえ発生したかというまず一つの御質問でございますけれども、それはやはり、昭和六十一年の基礎年金創設当時にさかのぼることでございますけれども、第三号被保険者制度のやり方自体に、当初より必ずしも十分配慮されていなかった部分があったのではないか。そして、それ以後の運用におきましても、今から振り返れば、この時点でもっとこうしておくべきではなかったかという点があるわけでございます。

 また改めての法案の審議にもなろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、第三号被保険者制度の制度のそもそもの成り立ち、そしてそれ以後の運用の中で足らざる部分が結果として今日の事態につながった、このように考えているところでございます。

 そして、御質問のもう一点は、私どもが設置しております三号記録不整合問題に関する検証会議についての御質問だと思うわけでありますけれども、この会議の目的は、第三号被保険者不整合記録問題の発生の原因と背景を明らかにすることによって、年金行政、年金業務の適正化と同種の問題の再発防止を図ることということにさせていただいているところでございます。

 このため、いわゆる運用三号を実施するに至った経緯及びその背景にある第三号被保険者制度をめぐるこれまでの年金行政の実情などについて、さまざまな資料、文献から事実関係等を確認、調査するとともに、昭和六十一年以来の関係者への書面調査やヒアリングを進めさせていただいているところでございまして、現在実施をしているというところでございます。

阿部委員 もしそういう段階であれば、この三号問題について法案を閣議決定するには、まだ準備していないということなんじゃないでしょうか。だって、なぜ起こったかも、運用上の問題も含めてこれから点検するというときに、どうして、救済にしろ何にしろ、法案が出るのか。やはりそれは民主党らしくないと思いますね。

 何が起こったか。例えば、よく昔やりました、サンプル調査をしなさいとか、全件、サンプルじゃ足りない、全体を調べなさいとか。私は、その手法はよかったと思うんです。やれることはやった方がいいし。

 ただ、今の御答弁では、実は、本来やるべきことをやらないで、救済という側面があるからお出しになったその真意は少しはわからないではないですが、しかし、きちんと原因を究明しないと、国民の側からは不信が募るだけになってしまいます。逆に、主婦の中にも余分な分断や対立を生むということで、だれが悪くてなぜこうなったのかということを、もうちょっとちゃんとして示す必要があると思うんですね。

 恐らく副大臣も御存じでしょうが、ちょっと皆さんにお見せするのを予告しませんでしたが、もう前から何回も取り上げている、これは「新年金法」という、名著と呼ばれています吉原健二さんの御本です。これは、昭和六十一年の国民皆年金のときに、それまでの経緯などをまとめた御本でありますが、既に発足当時から、この主婦年金というか三号の発足当時から、つくった吉原さん自身が大変に懸念の点を幾つも述べておられるんですね。

 「第三号被保険者の的確な事務処理に万全を期さねばならない」。的確とはどういうことかというと、それまで、例えば、主婦の方の約七割は自分で任意に納めておられて、三割は納めていなかった。その方に、これからは、夫とペアで、あなたの立場は三号というのになりますよということの周知徹底はどうであったか。また、こういったことがうまくいくかどうかは新しい制度の将来を左右するというふうな認識、そこの切りかえがうまくいくかどうかが将来を左右すると述べておられるんですね。

 これだけではありません。大体みんな同じであります。「被用者の妻である三号被保険者の事務処理の問題があります」、すなわち、事務処理をちゃんとやれやれとどこでも主張しておられて、「運営、事務処理の面では非常に難しい問題です」、そして「市町村にお願いするだけでいいのかどうか。これからは被保険者の雇用関係と同時に身分関係もしっかり把握しておかなければ非常に不公平になります」と。

 要するに、この問題のそもそもの、三号をつくられた当時から、事務体制の不備や、それについて市町村だけに任せて大丈夫だろうかという懸念や、結果としてそこがちゃんとされなければ不公平になるという、いわば行政側の受けとめがあったんだと思いますね。そこをもっと深く掘り下げないと、だれにどんな責任があったのか。

 例えば主婦が、自分がそれまで保険料を払っていたけれども、今度、夫の三号で、払わなくていいとなった。あるいは、夫が亡くなったり離婚したりして、今度、また一号か二号に変わらなきゃいけないけれども、それを忘れたとします。もし忘れたとしても、六十歳になって年金をもらうときの裁定作業がきちんとそこで過ちを修復できれば、こんな何十万という単位の不整合記録は発生しなかったんだと思うんですね。

 辻副大臣にぜひお願いがありますけれども、裁定のときは、住民票やら戸籍やら持っていって、婚姻関係とか現住所とか全部見るわけですよ。なぜその裁定作業がこれだけ落ち度が大量発生したのか、これをどう調べられますか。具体的におっしゃってください。

辻副大臣 御指摘いただきましたように、基礎年金制度当初からそのような御指摘があったということでございますけれども、私が申し上げましたように、今から振り返るならば、当初から、就職をされた時点で、第三号の方の第二号の申し出というものも自動的になされるような形ができなかったものか。その後に、就職の方は、されたのが平成十四年でございましたか、あるわけですけれども、今日に至るも離職の場合は連動はしていないという状況にあるわけでありまして、そういった意味で、今から振り返るならば、当初から足らざる部分を抱えて制度が発足したということに一つの大きな根源的な理由があるのではないかと私は思います。

 いずれにいたしましても、そのようなことも含めて、先ほど申しました調査会議において検討をさせていただいているという現状でございまして、それは、十二月末ぐらいにまとめて発表し、公表もさせていただきたいと思っております。

 なお、原因究明と対処の法案との関係という御指摘がございましたけれども、今申し上げましたような原因も大事でございますけれども、しかし、そのような不整合が、存在が明るみに出た以上、そのことの速やかな対処も必要でございまして、同時並行で進めさせていただくべきものと思っております。

阿部委員 年金は公平性と公正性が第一であります。今のようなやり方で進めたら、私が指摘したのは、裁定のときが一番問題だったんじゃないかということです。届け出の忘れはあり得ることだと思います。しかし、それが裁定されるときにちゃんとしていれば、これは違った展開になっていたでしょう。

 小宮山大臣にお願いがありますが、今度なさるという調査は、どんな裁定をしたのか、例えば、ある事務所は非常にそういう見逃しが多かったのかどうか。原因究明をしないと、それをあたかも、主婦の中で、自分が忘れた、そして逆にごまかしたというような言い方までされたら、本当にここで主婦の間の分断が出てまいります。

 やはり、忘れることも間違うこともあるけれども、それをちゃんと行政側がやらねばならぬと当時言っていたんですよ。なぜできなかったのかを大臣はきちんと把握して、そして、申しわけないが、それから年金の救済法案なるものを出していただけまいか。手順が違うと思います。

 二点、お願いします。済みません、もうこれで終わりなので。

池田委員長 小宮山大臣、簡潔にお願いします。もう終わりです。

小宮山国務大臣 おっしゃいましたように、裁定時に大きな問題があったということは私もそのように思いますので、どうだったかというのは調査をすればよいと思います。

 とにかく、平成十年に共済も含めてチェックをふやす前までが七七%、間違っている部分に占めておりますので、そこに問題があったことは確かだというふうに思っています。

 ただ、今回は、どうやってもどこかに不公平が残ってしまうということは否めませんけれども、その中で、過去のいろいろミスがあったところ、これは行政側の責任もございますから、これから追納を促進する法案だということを言わせていただいていますが、そういう意味では、公平に救済ができるようにということで、今、不整合があることをわかりながらそれを続けていくということは、また不整合が拡大をいたしますので、並行して、これは法案を出し、速やかに御審議をいただきたいというふうに思っております。

阿部委員 責任をあいまいにすると不公平だけが生じます。次回、また法案に即して審議します。

 ありがとうございます。

池田委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今回、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案という、まあ摩訶不思議な法案が出てきたわけです。

 平成二十一年改正所得税法附則百四条の規定にに従って、消費税を含む税制の抜本的改革が行われることを前提に、そこで確保された税財源を年金の国庫負担を二分の一に引き上げる財源として活用することをあらかじめ決める、まるで消費税増税の予約というか事前差し押さえのような法案だというふうに思います。こういうようなものが法案としてありなのか、提案をされた時点でそのように感じました。

 附則百四条には、「消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする」とも書いてありますが、しかし、それこそその前提として、「平成二十年度を含む三年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として」と書いてあるわけです。

 それで、経済状況を好転させることができたんですか。できていないでしょう。この前提条件を満たさない場合、消費税を含む税制の抜本改革のための法制上の措置というのはそもそもあり得ないというふうに思いますけれども、見解をお伺いいたします。

三谷大臣政務官 確かに、平成二十一年度税制改正法附則百四条には、消費税を含む税制抜本改革の実施に当たり、経済状況を好転させることとされております。これは、この抜本改革実施のための前提でありまして、現時点や法案提出時点の経済状況について言及しているものではありませんと私たちは考えております。

 また、この法案につきましては、附則百四条に示された道筋に従って、本年度中に国会に提出することとしております。

 なお、御指摘の経済状況の好転につきましては、六月に定めました一体改革成案におきまして「名目・実質成長率など種々の経済指標の数値の改善状況を確認しつつ、東日本大震災の影響等からの景気回復過程の状況、国際経済の動向等を見極め、総合的に判断する」とされておりまして、まさにこの方針に従って、ここで言います経済状況の判断をしてまいりたいと思っています。

柿澤委員 委員長もいろいろ言いたいことはあると思いますが。

 要するに、今の御答弁は、消費税増税を実施する時点で経済が好転していればいいのであって、決める段階で経済がどうであろうと関係ないのだ、こういうことをおっしゃったわけですよね。実施段階において、これから経済の状況がどうなるかということはあらかじめ見通すことはできない部分が残るわけで、これは要するに、この法案も含めて、ないものをつかもうとしている、こういうことになるんではないかというふうに思います。

 私たちは前々から申し上げているとおりのスタンスをとっておりますので、こんな状況の中で、消費税の増税によって、年金の国庫負担を二分の一に引き上げるための財源を先に予約しておく、こんな法案、到底認められないというふうに思います。

 もう一つお伺いをしたいんですが、今回、国庫負担二分の一への差額の財源について、当面、復興債で穴埋めをする、こういう話になりました。しかし、これも、復興債が年金財源となり得るということに、だれが聞いても違和感を持つんじゃないかと思うんです。年金と復興とどのように関係があるのか。こんなことが正当化されるんであれば、そもそも復興債というのは何なのか、単に償還期間の少し短い赤字国債だということになってしまうのではないかと思います。

 復興債の対象となり得る事業の定義についてどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。

小宮山国務大臣 これは、この二分の一の部分は今年度の当初予算に計上してありましたけれども、一次補正で、緊急的に東日本大震災の復興費用に転用されたものです。ですから、今回の三次補正では、この復興費用に転用した分を復興債で補てんする、返してもらうということなので、これは適切なものだと思っています。

 その根拠としては、東日本大震災からの復興のための特別措置法の六十九条に「平成二十三年度の当初予算に計上された基礎年金の国庫負担の追加に伴い見込まれる費用を同年度の一般会計補正予算(第1号)において東日本大震災に対処するために必要な財源を確保するために減額した経緯に鑑み同年度の一般会計補正予算(第3号)に計上された当該費用は、復興費用とみなして前項の規定を適用する」とされているところでございます。

池田委員長 財務政務官に聞きますか。

柿澤委員 いや、いいです。三谷政務官から御答弁をいただくところだったんですけれども、小宮山大臣が御出馬いただきましたので、御答弁をいただきました。

 来年以降、年金債が検討されているんでしょうか。これも基本的に、年金債といいながら、事実上は、場合によっては、償還期間の短い、そして償還の財源が特定をされている、結局は赤字国債を発行するというのと何も変わらないということになるのではないかと思います。

 四十四兆円というたががはまっているところで、そこから上乗せをしない、そういう理屈をつけてこのようなやりくりをしているんだというふうに思いますけれども、このようなアクロバティックな形で財源のやりくりをつけていくということが果たして正しいのかということは申し上げておきたいというふうに思っております。

 さて、続きまして、私は、年金積立金の運用についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 ちょっと三谷政務官、お時間ありましたら、まだお残りをいただきたいと思うんですが。

 年金積立金の運用利回りの過去十年間の平均というのがどのようになっているのかということについて、まずお伺いをしたいと思います。

榮畑政府参考人 平成十三年度から平成二十二年度までの十年間における年金積立金の収益率は一・五七%、累積の収益額にして約二十三兆円でございます。

柿澤委員 一・五七%ということでありますが、二〇〇九年の財政検証では、積立金の運用利回りというのは四・一%とされていたはずでありますけれども、なぜ下回っているのか、お伺いをしたいと思います。

榮畑政府参考人 先ほど、平均の収益率が一・五七%と申しましたけれども、これは十年間でございますが、この間、日本の国内株式の株価がなかなか上がらない、もしくは外国債とか外国の株式につきましては為替差損等々ございまして、そういうふうなものもあって、ただ、株価についてはいいときもございまして、そういうような長期間の累積の結果が一・五七%というふうになったところでございます。

 年金の財政検証で使っております利回り、御指摘のとおり、四・一%というふうになってございますけれども、これは、いわば超長期、基本的には百年間というのを通しての平均ということでございます。年金の財政計算からとってみますと、基本的には、年金の給付費の額というのは賃金上昇率に連動して上がっていきます。したがって、収益率の実績が賃金上昇率をどの程度超えるかということが、年金財政にとっては大事なところでございます。

 先生御指摘のあった四・一%という数字は、平成二十一年の財政検証で採用した数字でございますが、これは、いわば平成三十二年度以降の長期的な賃金上昇率を二・五%と見て、そして、これを一・六%上回って四・一%としたところでございまして、長期的には、この賃金上昇率を一・六%超えられるかどうかということが年金財政上必要なところでございます。

 また、短期的には、超長期の四・一%というよりは、二十一年に内閣府が出しました「経済財政の中長期方針と十年展望」から、年金財政上必要となる運用利回りと賃金上昇率の差を設定しておるところでございまして、この差が確保できているかどうかというのが大事になります。

 この短期的な差でございますが、平成十三年度から二十二年度までの平均で見ますと、賃金上昇率を超えることは、実績で二・一六%になってございまして、この同じ期間につきましては、財政検証等で設定しておる差が〇・六%でございますから、これよりも二・一六%と実績の方が高いということで、いわば賃金上昇率の対比ということで考えますと、年金財政上必要な資金運用の収益率というのは確保できているというふうに考えておるところでございます。

柿澤委員 なかなかこの御答弁を耳で聞いてすべてを理解することは難しいかもしれませんが、要するに、マクロ環境としてデフレが続いている、そして賃金上昇率が、それこそ長期に想定していた二・五%プラスに達していない、こういうことであるから、四・一マイナス二・五イコール一・六で、この一・六のところに見合う実質の運用利回りがあればこれでいいんだ、一・五七が十年間の平均だから、基本的には堅調にやっているんだ、こういう答弁ですよね。実質の運用利回りは及第点なんだ、こういうことだと思います。

 三谷政務官にいていただいたのは、ここのところを聞いていただきたいと思ったからなんですけれども、でも、そのデフレこそが問題なんじゃないかというふうに思うんです。

 今回の法案というのは、私が冒頭言わせていただいたように、年金財源のために増税の予約をするような、こういう法案ですよ。デフレ下に増税をすれば、需要を冷え込ませてデフレが加速する、結果、税収は上がらない、それは賃金上昇率にも影響を与える。先ほど民主党の橋本勉議員がまさにおっしゃられていたそのとおりなんです。

 要するに、一方でバラ色の名目運用成績を掲げながら、その実現にブレーキをかけるような政策を今とろうとしているということなんじゃないか、これを私は申し上げたいわけです。

 そもそも、民主党が野党時代にあれだけ批判をしていた二〇〇九年の財政検証の数字を前提にして年金財政を議論していること自体に非常に違和感も覚えるわけですけれども、その財政検証の前提となる運用利回りの数字も達成できていないわけです、少なくとも名目ベースでは。このままいけば年金積立金は枯渇しますよというようなことを平気で言っている。

 本来、財政検証のとおりでいけば、二〇〇九年に百四十四兆円の積立金は、二〇三〇年度に百八十兆まで積み上がっていくはずだったのではないですか。これは非常におかしいことになっているんではないかと思うんです。

 言わずもがなのことをお伺いいたしますけれども、この年金積立金の運用をしているのは一体どこであるか、小宮山大臣にお答えをいただきたいと思います、一言ですから。

榮畑政府参考人 年金積立金の資金運用につきましては、年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFと呼んでおりますが、その独立行政法人にやっていただいているところでございます。

柿澤委員 御答弁いただきました。GPIF、年金積立金管理運用独立行政法人、読んで字のごとし、年金積立金を管理運用する独立行政法人です。

 年金積立金の運用ポートフォリオは、国内債六七%、国内株式一一%、外国債券八%、外国株式九%、こういう資産配分になっているということです。安全運用の名のもとに、ポートフォリオを全く動かさずに、非常に保守的な運用をやっていると言っていいと思います。にもかかわらずと言うと市況が悪いので酷な部分もありますけれども、二〇一〇年の運用実績では、二千九百九十九億円の赤字を出しております。

 このGPIFの役員報酬についてですけれども、どのような水準になっているか、お伺いをしたいと思います。

池田委員長 榮畑年金局長、簡潔にお願いします。

榮畑政府参考人 GPIFの役員報酬につきましては、独立行政法人通則法の規定によりまして、国家公務員の給与、さらに、独立行政法人の業務の実績等を勘案して定めることになってございまして、平成二十二年度の実績について申し上げれば、GPIFのトップの理事長の報酬総額は、約一千七百万円でございます。

柿澤委員 理事長の報酬は一千七百万ということであります。

 GPIFのような年金資金の運用を手がけるファンドは、世界じゅうにたくさんありますし、国内にもあります。ファンドマネジャーは運用成績によって評価されるのが当たり前であります。損失、赤字を出せば首になることもある、これも当たり前です。

 だったらということで、GPIFの役員報酬というものを前年の運用実績に連動させる、こういう方式に改めたらどうかと思いますけれども、御答弁をお願いいたします。

藤田大臣政務官 GPIFの役員報酬についてのお尋ねでございますけれども、運用実績というのは市場の動向によって短期的に大きく変動するものでございますので、単年度の運用実績をそのまま役員報酬に反映させるのは必ずしも適切ではない、このように考えています。

 しかし、独立行政法人制度では、業務の効率化や質の向上などの観点から、報酬にはその役員の業績が考慮されることとなっておりまして、GPIFの役員給与規程上も、報酬の一部、賞与でございますけれども、これは、独立行政法人評価委員会において、法人やその者の業績を考慮して増減できることとなっているところでございます。

柿澤委員 先ほど来、マクロの経済状況が好転しなかったからもともと掲げていた予想の運用利回りに達成しなくてもいいんだというような趣旨の感じられる御答弁がありますけれども、こういうことは、私は、民間のファンドマネジャーであればあり得ないことだというふうに思うんです。それに、私は、運用成績が悪かったときのことだけを言っているつもりはない。結果がよければよかったで、それで連動して役員報酬を上げればいいと思うんです。もっともっとそうした、ある種、成果に連動した役員報酬の体系をつくっていくことが、この積立金の運用の改善につながっていくのではないかというふうに思います。

 結局、こうしたことをやらないというのは、もともと、運用利回り四・一%、そして賃金上昇率二・五%、こういう数字が財政検証の数字のための、ある種、いわば虚構に似たそういうものだということを皆さん自身がそう理解をしていらっしゃるからなんではないかというふうに思います。

 GPIFの、いわばベンチマークとして、前提として置かれている数字も、この今の財政検証の前提になっているというわけで、それを前提にして、その実績を上げないと役員報酬下がりますよということを押しつけようとすると、そもそもそれは、私たちから言わせれば、ある意味では年金財政の収支の帳じり合わせのためにつくり上げられた虚構の数字であって、その虚構性は野党時代に民主党さんも随分批判をされてきたわけですので、こういうことを達成できないから責任をとれということはGPIFに結局言えないんだろう、こういうふうになっているんではないかと思います。

 その一方で、国民には年金の財源のために消費税増税の予約をするような法案を出してくる、私は、こういうことではとても理解がされないのではないかというふうに思っております。

 そのことを最後に申し上げさせていただいて、ちょうど質疑時間が終了いたしましたので、質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。

池田委員長 次に、田村憲久君。

田村(憲)委員 大臣、お疲れさまでございます。大分お疲れのようでございますけれども、私が最後の質問者でございますから、五十分なんですが、半までには終われというきつい命令もあるようでございます。なるべく半までに終わるように頑張ってまいりたいというふうに思います。

 まず、きょうは年金の審議なんですが、ちょっと冒頭、違うものから入らせていただきたいと思います。

 今、介護報酬の改定に向かっていろいろと準備が進められておりますが、この中で、介護職員の人件費の差を調整しなきゃならぬということがございまして、そこで都市部に介護報酬の加算をしようじゃないかという議論が今進んでおるやに聞いております。

 問題は、都市部に加算されますと、その分、田舎の部分が削られて都市部に加算だという話になると、結果的には地方の方がこれは運営していけなくなっちゃうわけですね。ですから、確かに都市部のいろいろな介護で働く方々の賃金を考えると、今の報酬というものが十分にそぐっていない部分もあるんでありましょうけれども、であるならば、そちらを上げて、地方の方を下げずに、地方は地方でちゃんと必要な分を確保するということを念頭に置いていただきながら、今回介護報酬改定をお願いいたしたいわけでありますが、陳情ではないんですけれども、私が納得いくような御答弁をいただければというふうに思います。

小宮山国務大臣 委員は十分御承知のように、介護報酬は、やはり地域間の人件費の違い、これを調整するために、サービス別と地域別に介護報酬の単価の差を設けております。

 二十四年度の介護報酬改定に向けて、国家公務員の地域手当に準拠した見直しを行うということで、そのことが今委員がおっしゃった、都市部は上がるけれども地方の方は下がるのではないかということだと思いますが、財政的に増減を生じさせないようにすること、財政中立が原則だということが介護給付費の分科会で合意をされているのが今の状況でございまして、その影響が大きい自治体については余り激変が起きないようにとか、いろいろな配慮が必要なことは私も十分そう思いますが、社会保障審議会の介護給付費分科会の議論を見ながら、予算編成過程で決定されます介護報酬、これはサービス単価と地域区分ということで改定をするわけですけれども、それがしっかりと、地方の方で運営ができなくなるようなことがないように、その辺の配慮も含めながら、この分科会での議論を見てやっていきたいというふうに考えています。

田村(憲)委員 ですから、プラス・マイナス・ゼロになると、プラスのところが出てくれば、マイナスの区分のところが出てくるわけですよね。マイナスの区分のところが出てくれば、そこが十分に今、賃金に比して余りあるほどの報酬であればそれはそれでいいんでしょうけれども、余りあるような状況でないわけですから、そこを削られれば、それは加算される区分のところは報酬がいいですよね、ところが、逆に減算される区分のところが出てきたら、そこはやっていけなくなるわけであります。

 介護報酬を議論している審議会ではどういうような話になっているかわかりませんが、そこは大臣が、しっかりと今の介護の現状を見ていただいて、やはり最終的には決断をしていただくべきだというふうに私は思うんです。それに対してはいかがですか。

小宮山国務大臣 今申し上げましたように、今その分科会で検討されていますので、そこの検討状況を見ながら、また、これは予算編成過程で介護報酬と医療報酬のどれだけ財源を確保するかということを財務省とやるわけですので、その中で、少なくとも地方の方で経営が立ち行かないようなことのないように、そこは目配りをさせていただきたいと思います。

田村(憲)委員 最後に目配りしますと言われましたので、そこは信用したいと思いますから、しっかりとした結論を出していただきたいと思います。

 今、診療報酬の話をされました。

 これは十一月の二十六日の新聞で、大臣が、今まで診療報酬は少しでもプラスにと言ってきたわけでありますけれども、何か記者会見で、全体を据え置きに持っていくためには、医師の人件費などの本体部分、これはプラスと言わないとゼロになりにくい、つまり、少しでもプラスと言っていたんだけれども、ゼロになりにくいということは、もうゼロでいいというようなことを記者会見で言われた。

 そして、その後、改定率ゼロを容認するのかという質問に対して、今やむを得ないと言ったら財務省と折衝ができなくなるから意を酌んでほしいなどということを言われたというふうに新聞では報道をされておられます。

 これを聞いていると、何かもうゼロでいい、マイナスにならなきゃいいというふうに容認されたような、そんな報道になっているんですが、これは事実ですか。

小宮山国務大臣 診療報酬については、政権として取り組んでいる提言型政策仕分けの中で、そこの中での仕分けの結果としては本体を切り込めということが出ましたので、本体を切り込んでしまったら今医療の改革、充実のためにやっていることができなくなるので、それはないということを申し上げたのが私の主眼とするところでございまして、御承知のように、今、救急ですとか産科とか小児科とか、そういう診療科の偏在をちゃんと是正していくということ、医療と介護の役割分担と連携を強化する、在宅医療を充実する、それから勤務医の方の処遇を上げるとか、今医療改革としてやろうとしている中身がきちんと実現できる財源はしっかりと確保したいというのが私の真意でございます。

 それで、薬価の方はジェネリックが入ったりするので下がる部分がありますから、それで本体とネットのところのプラスマイナスというところと、それは違うものですけれども、仕分けの結果は本体を切り込めという話になってしまっていたので、そうではないということを申し上げました。

 それで、少しでも今の状況をよくするためにプラスにしたいという思いはそのまま持っております。ただ、仕分けの結果は重く受けとめて取り組みたいと言っていることとの整合性からいくと、プラスにプラスにプラスにとばかりは言っていられないということを申し上げただけでございます。言っていることは以前と変わっておりません。

田村(憲)委員 言っていることが変わっているんですけれども。今のお話だと、何かゼロをもう容認している、マイナスにならなきゃいいというように聞こえましたよ、私には。

 同時に、先ほど言った、ここで、新聞の報道ですから、これを全面的に信用するつもりはないから大臣にお聞きしているんですけれども、全体を据え置きに持っていくためには、医師の人件費などの本体部分はプラスと言わないとゼロになりにくい、これはゼロになりにくいということは、ゼロを目指しているということですからね。

 ゼロになりにくいと言われたのは事実なんですか、それとも、これは報道がうそなんですか。

小宮山国務大臣 そこは、会見のやりとりの中でわかりにくい表現になっていたら申しわけないというふうに思いますが、前回の改定のプラスというのも、〇・〇幾つというほんのわずかの改定でございますので、それはもちろん、そこをプラスにした意義は、政権交代の後、非常にあるんですけれども、今回もそんな二%、三%上げていくということはなかなか難しいと思っておりますので、それは少しでも上げるということは、そこのネットのところでいいところの線まで持っていくという意味でそういうことを申し上げました。

田村(憲)委員 だから、ゼロになりにくいとは言わなかったんですね。これはゼロになりにくいということは、ゼロを目指しているということですからね。これは言っていないということですね。こういうような発言はされていないんですね、記者会見で。

小宮山国務大臣 それは、そういう言い方をそのときに、記録にあるわけですから、しているのだと思います。

 ただ、そのゼロというのが全くプラスにならないということかというと、私が申し上げたように、前回が〇・幾つかの上げ幅であったということと、私の真意としては、必要な改善のところにちゃんと着手ができるというか、続けてやっていけるだけの財源は確保したいということを申し上げたので、そこでの表現ぶりがそういうふうになっていて不適切であれば、そこはおわびをしたいと思いますが、きちんと必要な財源はとっていきたいということは変わっておりません。

田村(憲)委員 不適切です。

 ゼロというのは〇・幾つというプラスじゃないんです。ゼロの発見というのは数学的には非常に意味があったんですよね。

 では、これは大臣が発言の仕方を間違えたというふうに私は認識をいたします。プラスをあくまでも目指すということでいいんですね。(小宮山国務大臣「はい」と呼ぶ)では、そのように承らせていただきました。これはプラスを保てなければ、そのときには責任をとっていただくという話になると思いますね。

 ここまでは年金の話じゃございませんでしたので、本題に入らせていただきます。

 今回の、一部を改正する法律を一部を改正するんですか、この法律案ですけれども、先ほど柿澤未途委員から非常に不誠実な法案だというようなお話もございました。

 確かによくよく考えますと、もともとは恒久財源で二・五兆円と言っていたものを、鉄建公団の埋蔵金を持ってきたわけですよね。だから、スタートが詐欺師なんですよ。詐欺で持ってきた金を、今度は何か泥棒にとられたみたいな話で、泥棒に返せと言って返してもらうような話でありますから、本質論から言えば、これはやはりおかしいのは事実だと思います。それは恒久的な財源を充てるのが本来であって、復興債というものを充てるのはやはりおかしいというのが本来だと思いますが、しかし、それでも、年金に安定的な財源をとれないと困ってしまいますので、百歩譲って仕方がないんだろう。詐欺師の実入りを何とか守ってやるみたいな話なんだろうと思うんですよ。

 それはそうとして、それは二十三年度部分なんですね。問題は、第十六条の二、「特定年度の前年度が平成二十四年度以後の年度である場合において」等々、これは配付してある資料でありますけれども、ここに書いてある傍線のところを見ていただくと、「税制の抜本的な改革により確保される財源を活用して」「必要な法制上及び財政上の措置を講ずるものとする。」こう書いてあるんですね。

 この「税制の抜本的な改革により確保される財源を活用して国庫の負担とするよう、必要な法制上及び財政上の措置」というのは、具体的にどういうものが想定されるんですか。

小宮山国務大臣 今提出させていただいている法案では、平成二十四年度の基礎年金国庫負担二分の一、これを維持するために、税制抜本改革によって確保される財源を活用してつなぐ何らかの措置を講じていくこととしているんですが、その具体的な内容については、今後の予算編成過程の中で検討していくことになると思います。

 政府としては、社会保障と税の一体改革、これには全力を挙げて取り組んでいきますので、抜本改革によって確保される財源を前提にして、それを活用して二十四年度の基礎年金国庫負担分二分の一を維持する方法、例えばつなぎの国債ということで問題はないというふうに考えています。

 この二分の一を維持して長期的に安定をさせるためにも、社会保障と税の一体改革でしっかりと改革に取り組んでいくということでございます。

田村(憲)委員 大臣、何かつなぎの国債に限定されましたけれども、これは、つなぎの国債しかないという、年金債というような書き方、名前で最近新聞を躍らせていますけれども、そういうことでいいんですか。これしかないということでいいんですか。

小宮山国務大臣 先ほども、例えばという言い方をさせていただきました。

 何らかのつなぐ方法をとらないと、空にすることはできないということで、例えばつなぎ国債については、平成二年の臨時特別公債、これは湾岸戦争のときに出したものをそういう形で、つなぐ国債という形でされましたし、今回の復興債もそういう形だと思っています。それから、平成六年の減税特例公債のときにもやはりこういう形で、これまでも出されてきておりますので、こういう形はとり得るというふうに思っております。

田村(憲)委員 すると、仮にあなた方が昔言っていた埋蔵金なるものが見つかっても、これには充てられないということなんですか。無駄を見つけても充てられないということなんですか。

小宮山国務大臣 ここの二年は、いろいろな形でやりくりしてまいりました。先ほども答弁をさせていただきましたけれども、二・五兆を毎年出してくるということは、いろいろ無駄を省いていろいろなものに充てるといったことがうまくいかなかったことについては、ことし八月に、岡田前幹事長のもとで、マニフェストの検証の中で、財政の見通しなどが適切にできなかったことはおわびをするということも総括をされておりますが、そこのところは私からも申しわけなかったと申し上げたいと思いますけれども、とにかく、寄せ集めでいろいろなものをかき集めてきても二・五兆には到底ならないということでございますので、こういう形で考えさせていただいています。

田村(憲)委員 二・五兆集まらないというのは、あなた方がマニフェストで言ってきた、埋蔵金は毎年数兆円出てくるというのが間違いだったということをお認めになられたということで、それはそれで、評価はしないけれども、素直にみずからのうそを認めたんだなということで我々は認識はしますが、二・五兆円出てこなくたって、何千億円か一兆円かは出てくるでしょう。そういうものも部分的にも充てられないというような、そういう認識でいいんですか。

小宮山国務大臣 それは、先ほど具体的には予算編成過程でということも申し上げましたので、そういう中でいろいろとやりくりもしていかなければとは思いますけれども、これは年金のことだけではなくて、御承知のように、厚生労働予算もいろいろなところで必要がございますので、それをどこに何を充てるかということはこれからの予算編成の中でのことですので、ここに全く充てられないのかどうかということは、今ちょっとお話はできないというふうに思います。

田村(憲)委員 局長、充てられるんですか、今大臣、全く充てられないということはないと言っていたけれども。この条文の読み方で、埋蔵金はこれに充てられるんですか、局長。

小宮山国務大臣 充てられるのかどうかはここでお答えできないと申し上げたので、充てられるということは申し上げていません。

田村(憲)委員 いや、充てることができるんですかというの、この条文で。

 局長、埋蔵金を充てることはできるんですか、この条文で。

榮畑政府参考人 今の法案上、先ほど大臣申しましたけれども、税制の抜本改革により得られる財源を活用して国庫の負担とするよう、必要な法制上及び財政上の措置を講じると書いておるところでございますが、具体的にどういうふうな措置を講ずるかという……

池田委員長 大きな声で。

榮畑政府参考人 具体的にどういうふうな措置を講じていくかにつきましては、今後の二十四年度予算編成過程の中で検討していくということになろうかと思っております。

田村(憲)委員 いや、埋蔵金は充てられるのかどうか。充てるかどうかじゃなくて、この条文で充てることができるのかどうかということ、それを聞いているの、局長。埋蔵金が仮に出てきたときに、充ててもいいというような財政的な余裕があって、これを年金の二分の一引き上げの財源にこの条文で充てることができるの、できないの。

 何でこんなことを聞くかというと、「税制の抜本的な改革により確保される財源を活用して」と書いてあるから、埋蔵金は活用されていないからということを言っているんだよ。

 将来上がる消費税ですよね、多分、これ。消費税を根拠に、その財源を活用して国庫の負担とするようと書いてあるわけでしょう。埋蔵金は違うわな、全く。

 だから、その埋蔵金をこの条文の書き方で充てることができるのかと聞いているんですよ。充てられるか充てられないかだけ答えて。

榮畑政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、今お出ししている法案の中では、税制抜本改革により得られる財源を活用してというふうに書いておるところでございまして、具体的な内容につきましては、今後の予算編成過程の中で検討していくことになります。

田村(憲)委員 自民党の部会でも充てられないという御答弁をいただいていますし、財務省からもそういう話を聞いているんですよ。だから、これはもう、読んでいただければそのままでございますので。充てられないんです、埋蔵金が出てきても、この書き方だと。だから我々は問題視しているんですね。

 もっと言えば、それは財務省がどう思っているかわかりませんが、今までの財務省の、癖からいえばというのは変ですけれども、DNAからいえば、多分、積立金を取り崩せと。取り崩した積立金は、将来、消費税を上げるから、そこから返しますからと。今までの取り崩しはその根拠はなかった、だから返さないんだ、五兆円ぐらい。だけれども、今回取り崩したお金は将来の消費税でちゃんと返させますから、今度は約束つきですよ、担保つきですよみたいな話なんですよ。

 これは大臣、絶対に避けなきゃならない。これはもう認識は一致していると思いますが。一方で、今言われましたよね、将来、消費税で上げた分で返してあげるから国債で手当てしてくださいという、その年金債なる考え方も、これは我々としては容認できない。

 なぜか。それは、年金債なるもので、将来上がるか上がらないかわからない消費税を財源にして、年金の二兆五千億にこれを充てるということを公に認めるわけにいかないですよ、我々も、そんな無責任なことを。我々はその消費税を上げることに今もう関与できていないんだから。

 だから我々は、このような文言が入っている限りは、この法案には賛成できないというふうにここで申し上げたいというふうに思うのであります。

 それで、年金債みたいなことを言われましたよね。すると何が起こるかというと、まず、償還年度は何年なんですか、その年金債なるものは。そして、消費税をこれから上げるという話なんでしょうけれども、六月に出てきた案では五%を一〇%に上げるという話でありました。中身もいろいろなものがございました。大体、二・五兆円は、二分の一の基礎年金の引き上げのために一%分は使うとか出ていましたよ。しかし、つなぎの部分の年金債を返すためには幾らなんて書いていないんです。ということは、これから税と社会保障の一体改革を最終的に年末までに詰める中で、そういうことまで全部詰めなきゃいけないという話になってくるんですよね。

 財源はあるんですかね。地方だって、まだ話し合いはついていないでしょう。今度、消費税を上げた部分を地方とどれだけ渡し合いするかなんて話は、まだ話はついていないんですよ。このついていない中で消費税を一〇%まで上げる、まあ、まだそこまでは完全には決めていないと言われるのかもわからないけれども、もうこれは国民のだれが見ても、その方向で動いていることは間違いありませんよ。まだ全体の中が決まっていない中で、またとらぬタヌキの皮算用をして、年金債の償還部分、まあ、百年安心だから百年償還ですなんて言われれば、百分の一で済むからなんというので大して金額は上がらないのかもわかりませんが、そんな無責任なことを言えるわけないでしょうから。

 そこまでちゃんと考えて言っていただかないと、はっきり言って、我々は納得もできなければ、国民も理解もできない。こういう無責任な文言を今の時点で入れておるということに対して、私は抗議をさせていただきたいと思います。

 大臣、何かあれば。

小宮山国務大臣 五%の内訳の中の機能強化の三%相当の中に年金二分の一の安定財源がございますが、その下にちょっと米印で「税制抜本改革実施までの二分の一財源」ということも加えてございますので、それは五%の中に入っています。

 おっしゃるように、社会保障と税の一体改革は、これは政府・与党だけでできるものではございませんので、なるべく早くに野党の皆様ともお話をして、合意をした上で、これはどこの党が政権をとったとしても、社会保障の改革はやらなければいけないということは十分御承知だと思いますので、一緒に考えさせていただければと思っています。

田村(憲)委員 入っているのは何年償還ですか。ちゃんと入れているんでしょう。このつなぎの部分は、何年償還の、国債発行する、その財源が入っているんですか、その五%の部分の中に。では、何年償還かがなかったら、そんなの入れられないじゃないですか、毎年毎年五%の中なんだから。

 だれがわかっているの。副大臣、どうぞ。

辻副大臣 償還期間とかそういった部分については、まだ決定を見ているものではございません。

田村(憲)委員 腰だめの数字よりもひどいね、それは。そんないいかげんなことでよくこの五%を緻密な計算だとか、そんな話ができてくるのか私はよくわからないけれども、非常に無責任な税と社会保障の一体改革というものを六月に出されて、閣議決定もできずに閣議了解ですか、したということがよくわかりました。

 まだ幾つか本当は聞きたいことがあるんですが、五十嵐副大臣もお越しをいただきましたので、御質問させていただきたいと思います。お忙しいところをお越しいただいて、本当にありがとうございます。

 日曜日に見ました、あのテレビの放送を、うちの林芳正政調会長代理と話をされた討論を。あそこで副大臣は、年金の確定債務が四百五十兆円、三百五十から四百五十兆にこの十年でふえたと言われたんですかね。それで、もう年金は破綻しているというような発言をされたと私は受けているんですが、そういう認識でいいですか。

五十嵐副大臣 年金が破綻したとは、破綻するとも言っておりません。ただ、そういう傾向が問題である、社会保障全体について、やはりこのままではいけませんということを申し上げたと思います。

田村(憲)委員 いやいや、確定債務の話の後ですから、社会保障全体じゃないですよね。これは年金の確定債務、言うなれば過去債務と言った方がいいのかもわかりません。今、年金をやめた場合に、積立金と差っ引いたらどれだけ足らないかという話なんでしょう。これを言った後にそう言われたということは、年金がだめだという話だというふうにだれもが受けとめますし、財務副大臣がそんなことを言えば、もう年金の保険料なんか納めないですよ、だって。

 無責任な発言をされるなと思って朝テレビを見ながら自分の会合に出ていったんですが、あの確定債務というものは、あっちゃだめなんですか。

五十嵐副大臣 確定債務は、あってはいけないというものではありません。ただ、問題は、それがかなりの量で膨らんでいるということが問題だということです。

田村(憲)委員 だから年金は、では破綻とまでは言わないでおきますが、危ないというふうにおっしゃったという認識でいいんですね。(五十嵐副大臣「いや、危ないとは言っていませんよ」と呼ぶ)いや、そう言われていましたよ。テレビを見ているんだから、みんな。

 では、副大臣、年金が破綻するというのは、具体的にどういう状況のことを年金が破綻するというんでしょうか。

五十嵐副大臣 年金制度がなくなるということはないです。国が破産しない限り、年金制度がなくなるということはありません。

 ただ、年金の計算が合わなくなると、これは大変いろいろな問題があります。それは、年金財政については、合うようにしなければいけないということだと思います。

田村(憲)委員 今、年金の計算が合わなくなるという話がありました。

 大臣、年金の計算が合わなくなるというのはどういうときのことをいうんですか。どういう状況になったら年金の計算が合わなくなるという話になるんですか。

小宮山国務大臣 私の発言ではないので、御本人に聞いていただかないと、私もよくわかりません。

田村(憲)委員 では、副大臣、年金の計算が合わなくなるというのは、どういう状況になったときに合わなくなるというんですか。

五十嵐副大臣 給付とその財源の計算が、数字が合わなくなるという状態だと思います。

田村(憲)委員 今の年金制度の中において、そういう状況が発生するのはどういうときでありましょうか。

五十嵐副大臣 基本的に、今は修正積立方式から賦課方式に変わっておりますから、そういう意味では、今、年金をいただいている方の財源は、今の働いている方々の保険料プラス年金の運用益、そして税金で成っているということは確かでございますが、しかし、国がそのお金を補給できなくなるぐらい国家財政が危なくなってくれば、これはそのバランスがとれなくなってくる、そういうことだろうと思います。

田村(憲)委員 ということは、国が二分の一の基礎年金がもう払えなくなっちゃうというときが、計算が合わなくなるという認識なんですか。

五十嵐副大臣 いや、直ちにそれで年金が危なくなるということではないけれども、年金制度を含めた社会保障の信頼性は乏しくなってくるだろうと思います。それは国家に対する信認が落ちるということでございます。

田村(憲)委員 いやいや、年金制度を含めた社会保障じゃないですよ。年金の話をしていて、年金の計算が合わなくなるというのに対して、副大臣は、国が金が払えなくなったときだみたいなことを言われたから。

 しかし、国が金を払うのは、共済はありますよ、国家公務員共済や地共済はあるにしても、だけれども、今、基本的には、基礎年金二分の一ですよね。これを払えなくなるときであって、そういうことが起こり得るという話なんですか、今のは。

五十嵐副大臣 いや、国民に対して、年金制度が破綻をして年金制度がなくなってしまいますとか、年金が払えなくなりますということを言うべきではないと思いますが、基本的に、年金は給付と財源がバランスしなければいけないし、二・五兆円の国庫負担分については、きちんとやはりそれを見ていくべきだと思っておりますし、バランスは均衡しなければいけない、こう思っています。

田村(憲)委員 年金が破綻と言われる状況はどういう状況かと申しますと、基本的には、マクロ経済スライドがかかりますから、破綻しないんです。スライドがかかる期間がずっと延びるだけなんです。

 ただ、一点問題があります。それは何か。所得代替率、今現行、一世帯十五万八千円かな、一人で見ると十七万九千円だと思います。その方の所得代替率が五〇%、これを切るようなところまでマクロ経済スライドがかかっちゃうと、これは約束を破ったことになるんですよ。それが計算上危なくなるという話であって、これは坂口大臣がおつくりになられたんです。そこまで緻密につくり、しかも、五年ごとに財政再計算、再検証と今言うのかな、そうしていますから。

 よく、百年たったら一年分の給付しか積立金を持たないというような言い方をしますが、五年ごとにそれをずっと続けるわけですから、永遠とそれにはならないんですよ、実は。これは永続する仕組みなんですよ。そういうふうにつくってあるんです。だから、所得代替率が守れなくなったときは、それはだめだという話になるんですが、昨今、非常に無責任な発言が政府から多い、何かもう年金はだめみたいな話。計算上、ちゃんと成り立つような計算になっているんですよ。そこをちゃんと御認識いただきたい。

 そして、これは大臣にも申し上げたいんです。六十八―七十、支給開始年齢を引き上げるといったときに、先ほども百年安心のためにはなんということを言われましたよね。百年安心はこちらでございますので、そちらじゃないんですけれども。これは百年安心で制度設計してあるんですよ。なぜ支給開始年齢を六十八や七十に引き上げなきゃならないのか。これは年金が持続可能なためじゃないですよ。持続可能な制度をつくってあるんだから。

 さっきも、局長、言いましたよね、運用利回り四・一%、高過ぎるじゃないかと。ところが実際は、実質賃金一・五、物価上昇率一、合わせて二・五。四・一から二・五を引いたものが実質の運用利回りの一・六。実質運用利回りが一・六を超えていれば、これは運用利回りもいいんです。

 ということは、そんな中で六十八や七十に引き上げたらどうなるんですか。大臣、年金はどうなるんですか。

小宮山国務大臣 六十八歳―七十歳まで引き上げることはすぐにしないということは申し上げているとおりで、ただ、おつくりになったように百年安心をキープするためには、いろいろな財政の状況、出生率、それから経済の、賃金の上昇率とかを見なければならない。ただ、今の中で、そこの賃金の割合というのはどんどん減っているわけですから、そういう意味では、絶えず見直しをしなければいけない。それで、必要があれば引き上げるということもしなければいけない時期も中長期的にはあるかもしれないということでやっていることでございまして、直近の、今回の改正でやることはないということは申し上げているとおりです。

田村(憲)委員 わかってもらっていないですね。賃金が下がっても大丈夫なんですよ、基本的には。問題なのは、デフレが続くと、これから年金を来年度から三年間かけて二・五%引き下げるということを大臣は覚悟されたようでありますが、これはなぜやらなきゃいけないかというと、問題が一つあるんですよ。このたまりをなくさないとマクロ経済調整が始まらない。これは平成二十三年度から始まるというような計算になっているんですね。ごめんなさい、二十三年じゃない、二〇一二年。二〇一二年からやらなきゃならない。これが発動できないから、だからこれは大変なんですね。

 ということは、逆に言えば、物価を上げなきゃならない、賃金を上げなきゃならないというのは、そういう意味では正解でありますけれども、しかし、それは、逆に言えば、デフレ、そして賃金が下がり続けるという話になれば、年金だけじゃありませんから、日本の経済はもちませんから、そんなことはやっちゃいけないんです。

 だから、これから我々は全力を挙げてデフレをとめなきゃならないという話でありますが、そこは一致しているんだと思うんですよ。それを、延々と続くから六十八歳や七十歳まで年齢を引き上げなきゃならないというのは、やはりおかしいでしょう、大臣。将来に向かって我々は経済成長をする国をつくろうという意味では思いが一致しているわけですよね。なのに、いつまでも賃金がマイナスであり続ける、デフレであり続ける、そんなことを前提に年金制度を組むんですか。今の話だとそういうことですよ。

小宮山国務大臣 それは、私どもも、今、政権としても、経済成長がしていけるようにいろいろと今考え方をまとめて、それを実施すべく全力を挙げてやっているところです。

 ただ、やはり、いつまで絶対安全かということは、それはないわけですから、常にリスク管理として先々のことを検討するということは私は必要だと思います。

田村(憲)委員 そんなことを言い出したらもう切りがないじゃないですか。それは、いつ何が起こるかわからないからといったら、それはそうですよ。それはもう、もしかしたら、大変な感染症がはやって、国民の方々ががさっと人口が減っちゃう可能性だってないとは言えない。

 そんなことまで言い出したら切りがなくて、年金制度なんか成り立たない話であって、そしたら、六十八―七十に年金支給開始年齢を今の制度の中で引き上げていけば何が起こりますかね。何が起こるんでしょう、大臣、年金制度の中で。おわかりですか。

小宮山国務大臣 委員が何を意図して何をとおっしゃっているのかはわかりませんけれども、とにかく、働いて、ちゃんと雇用と年金がつながらなければいけませんから、それは、六十五歳まで働けるようにという法案を提出させていただけるように今やっているところでございますので、その先に上げるとなれば、それは相当な準備期間といろいろなことをしなければいけないので、そんなにすぐやる話ではないということも申し上げています。

田村(憲)委員 お教えしますと、六十八―七十まで働ける環境がつくれて、そして六十八―七十まで年金の支給開始年齢を引き上げる、しかも、今の年金制度の中でちゃんと所得代替率五〇%が守れるという環境が続いていけば、何が起こるかというと、年金財政がよくなって、所得代替率が上がるんですよ。

 だから、将来、六十八―七十まで年金の支給開始年齢を引き上げます、ただし、そのときには今よりも年金がもらえますよというふうにおっしゃるのならば、これは意味があると思う。一方で、それを言わずに、何か不安ばかりあおって、六十八―七十まで年金を引き上げなきゃもちませんから、もちませんからなんというような無責任な話は私は今やるべきじゃない。

 ましてや、今、合計特殊出生率は上がっているんです。これは前回の再計算のときよりもかなりの勢いで上がっているんです。次の再計算のときには、かなりこれは期待できる数字が出てくるんじゃないかと私は思っていますよ。

 そんな中において余り年金が危ない危ないとおっしゃられると、余計に、国民年金、もう保険料を払わないという人が出てくるんですよ。危ないのならもう払わないと。だから、そういうふうなことはおっしゃっていただきたくないんです、政府として。

 副大臣は言われていないと言われましたけれども、私はテレビでそう聞きましたし、うちの家内もそう聞きましたので、どうかコメントをひとつお願いします。

五十嵐副大臣 発言に気をつけなければいけないというのはそのとおりだと思いますが、ただし、アメリカも賦課方式からまた積立方式に変えようとしていますけれども、積立方式にもし変わった場合、二階建て部分の計算が合わなくなっている部分が三百五十兆から四百六十兆円へ上がっているというのはやはりいいことではないわけで、おっしゃるとおり、私もマクロ経済スライドを知っていますから、七兆円分もう既に間があいている。出生率も上がったり下がったりして、今のところは調子が少しよくなってきたということは確かですけれども、これはしかし、今の数字でいっても、一・三七でいっても、二世代回ったら人口は相当減るわけですよ。

 ですから、これは危険は危険なので、それを認識しながら、やはり適正な負担と給付の割合を考えていくようにみんなで改善していきましょうということは、私は間違いではないというふうに思います。

田村(憲)委員 その七兆円もまた間違いで、平成二十一年に再計算していますから、かなりそれも埋めた上で計算し直しているんですよ。だからもうちょっと正確なことを言ってくださいよ、副大臣。新聞で書いてあるようなことをそのまま言っちゃだめなんです。

 そういうことでありまして、非常に無責任な発言が多いので、ちゃんと年金をしっかり守っていく、もっとも、民主党の皆さん方はこの年金制度すら、先ほど来の話で、抜本から変えちゃおうという話ですから、こんな制度はどうでもいいと思っておられるのかもわかりませんが、ただ一つ言えることは、民主党の年金制度も賦課方式ですからね。積立方式じゃないんですよ。当初は積立方式なんて言っていましたけれども、あれも賦課方式ですから、そこはやはり同じ問題を抱えながらいかなきゃいけない。

 そして、確定債務なるものがふえるのは、当然、高齢化が進めばそれは仕方がない話なんですよ。それでももつ制度をつくったのが坂口大臣のときのこの年金制度であるという認識もお持ちをいただきたいなというふうに私は思います。

 副大臣、恐縮ですが、もう一つ御質問をさせていただきます。

 そのときの番組で、消費税を上げたら子ども手当を増額するかのような発言をなされました。これまた我々からしてみれば、まず子ども手当とは何事だ、そうじゃなかっただろうというのがまず一つ。そしてさらに、増額なんて今まで聞いたことないですよ、今までの三党協議の中で。消費税が上がったらそれで増額するなんて言われたら、もう協議は一からやり直しですよ。これはどういう意味なんですか。間違いなら間違いだと謝ってくださいよ。

五十嵐副大臣 私の方から子ども手当の話を持ち出したわけではないし、子ども手当がテーマだったわけでもないわけですね。要するに、消費税が引き上がったときの逆進性対策をどうするかといって、キャスターの方が子ども手当の増額という話を口にしたものですから、私はもちろん存じておりますから、恒久的な制度である児童手当にもう変わっておりまして、新しくなった児童手当法に基づく手当、子供に対する手当という意味でキャスターもお使いになったと思って、そのまま表現を続けてしまったことが間違いだったと思いますけれども、それはもうわかっておりますので、それはもとの子ども手当に戻せとか、民主党の子ども手当を増額するんだという意味ではございません。

 要するに、何らかの逆進性対策のいろいろある中の一つとして、いろいろな手段で考えなければいけないという例示を、給付つき税額控除とかあるいは生活保護の給付とか、そういう中の一つとして、これは現物も現金もあると思いますけれども、何らかの逆進性対策を考えなければいけないという意味で申し上げたつもりでございますが、時間の制約がある中で、言葉が足りなかったということは事実でございますので、訂正をさせていただきたいと思います。

田村(憲)委員 それでは、子ども手当でもないし、子ども手当でもないしと言うと、また小宮山大臣が、そこまでははっきり言っていないわよと思われるかもわかりませんが、子ども手当でもないし、それから、その子供に対する手当なるものを増額するという意味でもなかったんだという認識でいいですね、副大臣。そこで首を縦に振っていただければ。

五十嵐副大臣 要するに、何らかの逆進性対策を考える、検討する必要はあるという趣旨で申し述べたものでございます。

田村(憲)委員 否定していただきましたので納得をしたいと思います。

 大臣、物価スライドのたまり分二・五%を来年の四月から三年かけて引き下げるということを、この間、民主党の事業仕分けですか、提言型政策仕分けですか、ここでそういう話をおっしゃられたということでありますが、これは三年で二・五%という話になりますと、今新聞にもよく書いてありますけれども、今年度は物価も下がっていますから、多分〇・二、三ぐらい下がるんでしょう、それに二・五の三分の一ということを考えると〇・八、七ぐらいなんでしょう、来年、一%年金の支給額を下げるという話になりますが、大体そこら辺の覚悟はもうなされているということでいいんですか。

小宮山国務大臣 これは党の方でも検討していますし、あと、審議会でも御審議をいただいていますが、特例水準を見直ししないと、先ほど委員もおっしゃったように、マクロ経済スライドも解消するまでは働きませんので、ここはしっかりとやらなければいけないと思っています。

 ただ、それが、今おっしゃったように、年金で生活していらっしゃる方への影響ということも考えて、三年がよいのか、あるいは五年ぐらいという御提案もあるかと聞いておりますので、来年度からは始めたいと思っていますけれども、それを三年でやるのか五年でやるのかということはこれから検討だというふうに思っています。

田村(憲)委員 これが本当に懸案課題で、二・五たまっちゃったというのは制度の中の不備だったと思います。本来、もうちょっとちゃんと目配りした制度をつくっていれば〇・八のままとまっていたので、これがその後、一・七物価下落したんですけれども、発動できないんです、一・七分、発動できないという仕組みになっていたんですよ。これは辻副大臣はよくおわかりだと思いますが、結果的に二・五までたまりがふえちゃった。

 ただ、大臣、物価スライドというのは本来何のためにあるんですか。

小宮山国務大臣 それはその時々の物価に合わせて額を決めるためにありますので、今おっしゃりたいのは、前に下げたときの水準以下でないと下げられないという今の仕組みの問題をおっしゃっているのだと思いますから、やはりこれは前年の物価に合わせて、下げるべきときは下げられるように変えていくということだというふうに思っています。

田村(憲)委員 そういう意味なんですけれども、本来は年金生活者の方々の生活の安定のためにあるんですよね。物価が上がったときには年金の支給額も上がって、それで何とか生活の質を維持する。だから、デフレなんて当時想定していませんから、下がったときには下げても大丈夫だろうという話なんです。

 ただ、これは忍びない話で、我々といいますか、一般消費者物価と多分高齢者が生活されている物価と全く実感が違いますね。介護保険料が今度また上がりますよね。介護保険料は平均五千円ぐらいまで行くんじゃないかという話ですよね。今四千二百円弱ですよ。医療保険も上がっているんですよ、どこもかも。高齢者にとってみれば上がることばかりなんですよ。通信料が下がったりだとか、パソコンの価格、家電の製品価格が下がったって、多分若い人のようには買いませんよ。

 そうすると、高齢者物価というのを考えないと、物価が下がったから高齢者の年金を下げるなんというのは、高齢者の方々はやがて生活できなくなっちゃうんじゃないのかな、私はこういう問題意識を持っていまして、かといって、正直言って、まだいい知恵はありません、今ある年金制度がそれに対応していないから。でも、本当に年金改革をするのならばこういうところを考えていただくべきであって、何か最低保障年金なんという議論じゃないと私は思いますね。

 ちなみに、最低保障年金は今幾ら保障することになるんですか。

辻副大臣 民主党の御提示しております考え方によりますれば、七万円ということになっております。

田村(憲)委員 いやいや、基準年度がいつかわからないですけれども、それから物価は下がっているんですよ。物価スライドをかけないの。物価スライドをかけないという話になれば、あなた方はこれからそれを目指すんでしょう、それならば今もう下げる必要はやはりないじゃないか。我々の制度においては物価スライドをかけなきゃいけないという話になりますけれども、あなた方は、次に来るんですよね、七万円という制度。それに向かってこれからつなぐんでしょう、さっきの話。

 本来ならば、先にそちらがあって、それから橋をつなげるための今の制度の改革があるのが普通ですが、あなた方は、逆に、今の制度の改革をやって、つなぐ橋は後からつくる、もしかしたら届かないかもわからないけれども。でも、その中で、最低保障年金が七万円ということだけはわかっているわけです。

 であるならば、この最低保障年金というのも、いろいろな生活を基準に考えているわけだから、物価スライドと同じように、いつ七万円かわかりませんよ、平成十五年だったのか、いつかはわかりませんが、あのころだったような記憶はありますよ。であるならば、あのころ七万円ならば、それから物価が下がっていますから、もうちょっと変わっているんじゃないですか。

辻副大臣 御質問が最低保障年金についてというふうに理解しましたので、民主党として提示されてきた最低保障年金の満額が、現在七万円という数値であるということを申し上げたということでございますけれども、最低保障年金の制度設計もまだこれから決めていかなければならないということでございますので、今日時点における年金額との対比というのは必ずしもイコールではないのではないかと思いますけれども、いずれにいたしましても、これから制度設計をつくっていきたいと思います。

田村(憲)委員 多分、そんな意識がなかったんだと思いますよ。でも、まじめに考えれば、やはり物価スライドをかけていかなきゃいけないんです。あの七万円は七万円で根拠があったはずなんですよ、当時、あなた方がつくったときに。それは生活と絡めて、あったはずなんです、国民生活と絡めて。ならば、そのころから、物価スライド、物価が下がっているのならば、それは当然下がっているはずで、それが下がっていないという話になれば、やはり今回の引き下げというのは、あなた方の年金の制度改革の流れの中ではやるべきじゃないという話になるということを最後に申し上げて、ちょうど時間となりました。終了させていただきます。

池田委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

池田委員長 この際、本案に対し、岡本充功君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。岡本充功君。

    ―――――――――――――

 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岡本(充)委員 ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の趣旨は、平成二十四年度から税制の抜本的な改革により所要の安定した財源の確保が図られる年度の前年度までの各年度について、三六・五%の国庫負担割合に基づく負担額と二分の一の国庫負担割合に基づく負担額との差額に相当する額を、必要な税制上の措置を講じた上で国庫の負担とするよう、必要な法制上及び財政上の措置を講ずるものとすることであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

池田委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

池田委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案及び民主党、自民党、公明党提出の修正案に反対の討論を行います。

 暮らせない年金、未納率の増大による空洞化などの深刻な事態が推移し、年金制度はかつてない危機に瀕しています。そうした中で、基礎年金の国庫負担二分の一を維持し、制度の安定化を目指すのは当然のことです。

 ところが、国庫負担二分の一は、本則に明記されているにもかかわらず、附則による読みかえで先送りされ、二〇〇九年度改正からその場しのぎの手当てで措置されてきました。野党時代の民主党も、これで百年安心とは余りにも国民をばかにしていると厳しく批判し、反対しました。

 本法案は、民主党による政権交代後初めての本格的な予算編成となったにもかかわらず、結局、制度の抜本改正には手がつかず、臨時の財源探しで措置するやり方が踏襲されたものであります。

 まず第一に、予定していた鉄建機構の剰余金が復興財源に回ったからという経過はどうあれ、復興債に財源を求めることは認められません。

 二つに、来年度以降については、抜本的な税制改革による財源確保と明記したため、消費税増税が避けられないことです。消費税は、言うまでもなく、所得の低い人ほど負担が重くなる逆進的な税制であり、社会保障の財源としては最もふさわしくないものです。年金給付は、今年度既に、物価が下がっているからといって〇・四%下げられました。来年度以降も、据え置かれた分を取り戻すとして、さらに下げられようとしています。年金生活のお年寄りには二重の負担を押しつけることになり、断じて認められません。もちろん、支給開始年齢の先延ばしはあってはなりません。

 また、税制改革による財源の確保は、もともと二〇〇九年の自公政権時代の改正法にも盛り込まれていたものであります。税制改革という言葉は避けたからといって、実質増税であることに変わりはなく、修正案にも賛成できません。

 社会保障の財源については、国民に負担を押しつける一方で聖域化している大企業減税や軍事費にメスを入れ、不要不急の大型開発や無駄遣いと政党助成金をやめることが優先だと思います。支え手をふやすためには、雇用の安定化、そして制度の信頼性が重要であり、最低保障年金制度の創設、各党が一致している加入期間を十年にすることなど、安心の年金制度の確立を目指し、さらに各党が知恵を出し合うべきことを訴えて、討論といたします。

池田委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

池田委員長 これより採決に入ります。

 第百七十七回国会、内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、岡本充功君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

池田委員長 次に、内閣提出、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小宮山厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小宮山国務大臣 ただいま議題となりました特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法案について、その提案の理由と内容の概要を説明いたします。

 B型肝炎訴訟については、平成十八年の最高裁判所判決で、集団予防接種等の際の注射器の連続使用によるB型肝炎ウイルスへの感染について国の責任が認められた後、全国各地で同様の訴訟が提起されましたが、裁判所の仲介のもとで和解協議を進めた結果、平成二十三年六月二十八日、国と原告との間で基本的な合意がなされました。

 この問題は、かつて例のない非常に大きな広がりを持つものであり、長期にわたって責任ある対応をとる必要があるとの認識から、現在訴訟を提起されている方々だけでなく、今後提訴される方々への対応も含めた全体の解決を図るため、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。

 第一に、この法律は、集団予防接種等の際の注射器の連続使用により多数の方々にB型肝炎ウイルスの感染被害が生じ、かつ、その感染被害が未曾有のものであることから、特定B型肝炎ウイルス感染者とその相続人に対し、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等を支給するための措置を講じることにより、この感染被害の迅速で全体的な解決を図ることを目的としています。

 第二に、確定判決または和解もしくは調停で、集団予防接種等の際の注射器の連続使用によってB型肝炎ウイルスに感染したことを証明された方々とその相続人に対し、その病態等に応じた額の特定B型肝炎ウイルス感染者給付金を支給することにしています。

 この給付金については、早期にこの問題を解決するため、提訴を促す観点から、五年の請求期限を設けることにしています。

 また、この給付金の支給を受ける方に対しては、訴訟等に係る弁護士への報酬と特定B型肝炎ウイルス感染者であることを確認するための検査費用について訴訟手当金を支給することにし、その後病態が進展した場合には追加給付金を支給することにしています。

 第三に、確定判決等で集団予防接種等の際の注射器の連続使用によってB型肝炎ウイルスに感染したことを証明された方々のうち、まだ症状が出ていない方に対し、検査等に係る一部負担金相当等を支給する定期検査費、母子感染防止医療費、世帯内感染防止医療費、定期検査手当の支給を行うことにしています。

 なお、この法律による給付の内容は、国と原告との間で結ばれた基本合意書の内容に基づき定めたものです。

 第四に、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する業務は、社会保険診療報酬支払基金が行うことにし、支払基金は、給付金等支給関係業務に要する費用に充てるため、基金を設けることにしています。

 また、政府は、支払基金に対し、給付金等支給関係業務に要する費用に充てるための資金を交付することにしています。

 第五に、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の請求期限や、その支給に必要な財源については、この法律の施行後五年を目途に給付金等の支給の請求の状況を勘案し、検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講じることにしています。

 最後に、政府は、平成二十四年度から平成二十八年度までの各年度に支払基金に対して交付する資金については、経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律の施行により一般会計の中で増加する所得税の収入の一部を活用して、確保することにしています。

 なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内で政令で定める日から施行することにしていますが、支払基金の給付金等支給関係業務等については、公布の日から施行することにしています。

 以上が、この法律案の提案理由とその内容の概要です。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

池田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

池田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十二月二日金曜日午前九時、参考人として全国B型肝炎訴訟全国原告団代表谷口三枝子さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十二月二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.