衆議院

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第4号 平成24年3月14日(水曜日)

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平成二十四年三月十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 池田 元久君

   理事 岡本 充功君 理事 長尾  敬君

   理事 長妻  昭君 理事 柚木 道義君

   理事 和田 隆志君 理事 加藤 勝信君

   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    石森 久嗣君

      石山 敬貴君    磯谷香代子君

      今井 雅人君    大西 健介君

      笠原多見子君    工藤 仁美君

      近藤 和也君    斉藤  進君

      白石 洋一君    竹田 光明君

      玉木 朝子君    道休誠一郎君

      仁木 博文君    初鹿 明博君

      樋口 俊一君    福田衣里子君

      藤田 一枝君    牧  義夫君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    本村賢太郎君

      矢崎 公二君    山崎 摩耶君

      吉田 統彦君    あべ 俊子君

      伊東 良孝君    鴨下 一郎君

      北村 茂男君    菅原 一秀君

      棚橋 泰文君    谷畑  孝君

      永岡 桂子君    長勢 甚遠君

      丹羽 秀樹君    松浪 健太君

      森  英介君    坂口  力君

      高橋千鶴子君    小林 正枝君

      服部 良一君    柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   厚生労働副大臣      牧  義夫君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   厚生労働大臣政務官    藤田 一枝君

   経済産業大臣政務官    中根 康浩君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         栗生 俊一君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  生田 正之君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  榮畑  潤君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     本村賢太郎君

  田中美絵子君     近藤 和也君

  橋本  勉君     笠原多見子君

  山口 和之君     石山 敬貴君

  菅原 一秀君     伊東 良孝君

  永岡 桂子君     丹羽 秀樹君

  松浪 健太君     北村 茂男君

  松本  純君     森  英介君

  阿部 知子君     服部 良一君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  石山 敬貴君     道休誠一郎君

  笠原多見子君     今井 雅人君

  近藤 和也君     磯谷香代子君

  本村賢太郎君     相原 史乃君

  伊東 良孝君     菅原 一秀君

  北村 茂男君     松浪 健太君

  丹羽 秀樹君     永岡 桂子君

  森  英介君     松本  純君

  服部 良一君     阿部 知子君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     田中美絵子君

  今井 雅人君     橋本  勉君

  道休誠一郎君     矢崎 公二君

同日

 辞任         補欠選任

  矢崎 公二君     山口 和之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 現下の厳しい雇用情勢に対応して労働者の生活及び雇用の安定を図るための雇用保険法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

池田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、現下の厳しい雇用情勢に対応して労働者の生活及び雇用の安定を図るための雇用保険法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長栗生俊一君、厚生労働省医薬食品局長木倉敬之君、職業安定局長森山寛君、職業安定局派遣・有期労働対策部長生田正之君、保険局長外口崇君、年金局長榮畑潤君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

池田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。

田村(憲)委員 おはようございます。自由民主党の田村でございます。

 雇用保険法の改正ということでございまして、現下の雇用情勢、経済情勢を鑑みたときに、今回の改正は延長物でございますから、とりたてて反対するつもりもございませんので、早々から、賛成に向かってきょうは議論をさせていただきたいなというふうに思っております。

 もともと我々が政権のときにやってきたものも入っております。そういう意味では、今回の個別延長給付の延長といいますか、これと、雇いどめによる離職者に対する給付日数の拡充措置の延長、これが今まで果たしてきた役割というものがどういうものであったのか、数字を含めて、その成果というものをまずはお聞かせいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 今回の法案、延長を賛成いただけるということで、まずお礼を申し上げたいと思います。

 今回の法案では、リーマン・ショック以降、平成二十三年度までの暫定措置として実施をしてきました今おっしゃった給付日数の拡充措置、これを延長することにしています。

 給付日数の拡充措置のうち、給付日数を最大六十日間延長する個別延長給付制度、これは、平成二十一年四月から二十四年の一月までの累計で、およそ百十八万六千人が対象になっています。また、雇いどめ等による離職者の給付日数を拡充する措置は、平成二十一年四月から二十四年一月までの累計で、およそ三十二万五千人が対象になっています。

 また、今後予想される効果といたしましては、今、足元の雇用失業状況が依然として厳しい状況にある中で、今後、もし仮に歴史的な円高ですとか欧州の政府債務危機などの影響によって雇用失業情勢が悪化した場合であっても、雇用のセーフティーネットを確保して安心して求職活動ができる、そういう効果があると考えています。

田村(憲)委員 今回の延長でどのような成果を期待するかというのは次の質問だったんですが、もうお答えをいただきましたので、この件に関してはお聞きはいたしません。

 とにかく、冒頭申し上げましたとおり、経済情勢は非常に厳しい。これは、リーマンが起こったからというよりか、以前からずっと厳しかったわけです。

 日本の国は、世界的に見ますと、失業率はそれほど高くないという数字になっております。ヨーロッパ、まあアメリカも最近ずっと高うございますので、それから比べれば低いんですけれども、昔の日本から比べれば、大体三%以内であったということを考えますと、やはり今、日本の国の雇用情勢というのは厳しいわけであります。

 その厳しい状況の大もとには、デフレ経済が。事実上、GDPデフレーターで見ると、もう二十年近く、経済、デフレ状況である。

 デフレというのはよろしくないですね。短期的に見ますと、生活者は、余り困らないというか、物が安くなるというのはうれしいんですよね、また安くなったねなんということを言われるんですが、気がつくと、お父ちゃん、お母ちゃんの給料が、半年先、一年先には下がっているということでございます。

 それによって何が起こっておるかというと、名目GDPは、二十年、余り変わっていない。また、国民所得も、同じように、二十年変わっていない。成長していないんですね。ここを何とかしないと。

 アメリカは、この間に、GDP、二倍ぐらいふえていますよね。中国は二十年間で十二倍ぐらいにふえていると思いますので、それは中国に、GDP、抜かれるのは当たり前であります。

 そういうことを考えていくと、やはり、これからマクロ金融経済対策をしっかりやる。日銀がやっと、一%をめどになんというので金融緩和をやりました。私は、これはインフレターゲットだとは思っていませんが、しかし、まあ第一歩なんだろうと思います。

 もっと政治の場が、金融当局等と、また財政当局もそうでありますけれども、こういうところに物を言っていく中で、早く日本の経済を、世界の中で、まともな、世界と同じ足踏みといいますか、歩調を合わせるような経済状況にしなきゃいけない。

 今、ヨーロッパ、厳しいといったって、デフレの国は日本だけでございますから、このデフレを何とかするということが基本だと思いますので、ぜひとも、大臣も、閣議でこういうことを提案をいただいて、まずは経済がよくならないと幾らいろいろなびほう策をやったって雇用はよくなりませんから、いつまでもこういうカンフル剤というわけにはいかないと思いますので、ぜひともその点、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 もう、この雇用保険法は賛成でございますので、これ以上はお聞きいたしません。

 次に移ります。

 今大変大きな問題になっております、例のAIJという問題でございます。

 要するに、投資一任というような形で契約を結んで、このAIJという投資顧問会社に任せっ切りにしておった。非常に高い運用利回りが確保されていると思っていたら、どうも、報告を受けていた運用利回りは全くうそであって、結果的には九割ぐらいが毀損しておる、全体でですね。ということは、ここに委託をしておった企業年金は大変なことになっておるんじゃないのかということで、今、金融当局も調査に入っております。もちろん厚生労働省も、担当しておるところは調査に入っていただいておるんだと思います。

 これに関しましては、いろいろと今議論をされておるようでありまして、自民党は自民党で議論をいたしておりますし、民主党は民主党でそれぞれ部門の方で議論をいただいておるんだろうと思います。

 投資銀行等々がもっとチェックする、保険会社がチェックするなんということが言われておったりでありますとか、いろいろな提案がなされておるようでありますが、それはそれといたしまして、これからの対応、こういうような、AIJのようなけしからぬ投資顧問会社、運用会社を野放しにしない、チェックをしっかり入れるということで、金融当局に頑張っていただかなきゃならぬなというふうに思うわけでありますけれども、しかし、もともとの議論は何かというと、実は、この企業年金の中でも多くの被害を受けております厚生年金基金というところの問題が実質上大きいんですね。

 これは、多分、AIJに一任契約をしていなくても厳しい状況がずっと続いてきておったわけでございまして、それをさらに追い打ちするかのような今回の出来事でありますから、いよいよこれは、もういつまでも目をつぶって知らぬふりはできないという状況になってきておるんだと思います。私の知っておる基金も幾つか大変な被害を受けておるようでございます、個別の名前は明かしませんけれども。

 そんな状況の中で、まず、厚生年金基金が今どういうような状況にあるのかをお聞かせいただきたいんです。

 一つは、この基金の、代行割れが発生しておる基金数と、それから、そこに入っておられる加入者、また給付者、受給者ということですね、この受給者がどれぐらいおられるのか、それから、代行割れまではしていなくても、この上乗せの部分が毀損をして積み立て不足になっておるというような厚生年金基金の数、また加入者、受給者は何人いるか、お聞かせいただきたいと思います。

榮畑政府参考人 まず、代行割れの厚生年金基金の数でございますが、平成二十三年三月末時点で二百十三ということで、全体でこの時点で五百九十五基金ございますから、そのうちの三六%ぐらいが代行割れでございまして、これらの基金の加入者数が合計で約百四十六万人、受給者数が約百三十四万人でございます。

 また、代行部分だけではなく加算部分も含めた給付に必要な額、いわゆる責任準備金を保有していない厚生年金基金の数が四百四十五でございまして、ここに加入しておられる方が三百六十六万人で、受給者の方が二百四十五万人というふうに承知しております。

田村(憲)委員 すると、今お聞きした、その上乗せ部分も含めての積み立て不足の基金から代行割れの部分を引いた二百三十二というのが、これは、代行部分は割れていないけれども、しかし、上乗せの部分の積立金が足らないというような、そういう数字というふうに理解していいですね。

 いずれにいたしましても、全体で、これは三百六十六万人と二百四十五万人ですか、だから、六百万人ぐらいが積み立て不足、何らかの形で積み立て不足になって、将来、影響をこうむる可能性がある、そういうような人数ということでありますから、これはもうすごい数に達してきておるということでありまして、大変大きな問題だと思います。

 さらに、今回、AIJのこの問題で、幾らこのAIJが実質上毀損しておるのか、運用しておる資産がなくなっておるのかというのはよくわかりません、九割ぐらいだというふうに言われておりますけれども。これが仮に全部だめだった場合には、さらにどれぐらいの基金が同じような状況に陥るんでしょうか。

榮畑政府参考人 平成二十三年の三月末の時点でAIJ投資顧問に投資残高のある厚生年金基金は、全部で七十四ございます。

 この七十四のうちで、いわば代行割れ、最低責任準備金を保有していないところが、そもそも三十一あったところでございます。

 それで、残りの四十三でございますが、これは、実は、現在、証券取引等監視委員会で調査中でございますから、どれぐらい投資していたものがなくなっているか、返ってこないのか、よくはっきりいたしませんが、仮にですけれども、御指摘のように、投資していたものの全ての資産が返ってこないというふうに単純に仮定しまして試算してみますと、これによって代行割れとなる厚生年金基金は二十一でございまして、単純に合わせますと、先ほどの三十一と合わせて、五十二となるところでございます。

田村(憲)委員 もともと三十一の代行割れのところがこのAIJに投資一任契約をしていたということですか。ということは、もう本当にわらをもすがるような思いで、この運用利回りが非常に成績のいいAIJに投資一任契約をしていたという話でありますから、やはり、これは厚生年金基金元来の問題というものがあって、それがさらに大きく穴を広げていったというような、そういう背景が見えてくるわけでございます。

 そもそも、こういう非常に内容が悪くなっておる厚生年金基金に対して、厚生労働省として指導をしてきたはずだと思います。指定基金というふうに、内容の悪いところを指定して、それに対していろいろな指導をしてきたはずだと思うんですが、まずは、この指定基金になる基準、それから、どのような指導等々をしてきたのかということをお教えください。

榮畑政府参考人 指定基金の仕組みとは、積立水準が極めて低い厚生年金につきまして、厚生労働大臣が指定を行って、その基金の早期かつ確実な財政の健全化を図っていただくということのための仕組みでございます。現在、八十一の基金を指定基金として指定しているところでございます。

 この指定の基準でございますが、積立金の総額が三年間続けて最低責任準備金の九割を下回っているか、もしくは直近の事業年度で八割を下回っているかというふうなところにつきまして指定をする。これは、昨年から基準を強化して指定というのを進めたところでございますが、そういうような要件で今指定をしているところでございます。

 それで、指定基金として指定いたしますと、この基金は、財政健全化計画、財政の健全化に関する計画というのを作成、提出して、厚労大臣の承認をとっていただかねばならないことになります。

 財政健全化計画におきましては、財政健全化をどうして進めていくか、そのための必要な具体的措置は何なのか、もしくはその措置をとったときに財政がどのように改善されていくのか、そういうようなものを定めた上で、厚生労働省に健全化計画を提出していただいて、それで承認を受けて健全化のいろいろな取り組みをしていただくということになるところでございます。

田村(憲)委員 その財政健全化計画というのは、計画を立てるわけでありまして、当然のごとく、財政上よくしていかなきゃいけないわけでありますから、一つは、投資に対してのいろいろな助言もあるんでしょうけれども、そうはいったって、これだけ投資環境が悪い中で、そう簡単によくなるはずがない。ましてや、厚生労働省が指導して運用利回りを稼げるのならば初めからそうすればいい話であって、そんなことがそう簡単にできるはずがないわけでありますね。

 すると、結果的には、給付水準の運用利回りというものを、大体これは五・五%で見ているところが基金には多いようでありますけれども、これを引き下げるということになる話ですね。もしくは、保険料を加入者から取る、取っていないところもたくさんあるようでありますけれども、これを取って財政を健全化するしかないという話になるわけですね。もしくは、足らないところを、加入している企業がそれを穴埋めする。まあ、幾つかの方法しかないんだと思うんです。

 そもそも、健全化計画で給付水準を下げるというもの、また、将来給付する加入者の利回りを下げるという部分はあるんでしょうけれども、一方で、これから基金が稼がなきゃいけない運用利回りというのもありますよね。これは大体どれぐらいで指導しているんですか。

榮畑政府参考人 平成九年の金融自由化されるときまでは五・五%と一律であったのでございますが、その後、その仕組みを改めまして、今は、基金ごとに実勢の利回りということを予定運用利回りとしていただくということにしておるところでございます。

 ただ、やはり、今先生御指摘のように、利回りを下げることについてなかなか基金が決断できずに、実行上五・五と、続けているところが結構あるところでございます。

田村(憲)委員 そんなことを聞いているんじゃなくて、健全化計画を出すときに、それを指導しなきゃいけないわけでしょう。そうすると、給付の方の利回りというのは、言われています加入者の三分の二という数字の方々の賛成がないとこれが下げられないという話でありますけれども、仮にこれを下げられたとしても、健全化計画上の稼げる方の運用利回りがどれぐらいかということがないことには、その差額で穴を埋めていくわけですから、それはどれぐらいで指導しているんですかという話なんです。

榮畑政府参考人 昨年の十一月に健全化計画の承認基準を改めたところでございまして、その中で、指定基金につきまして、年金資産の利回りにつきましては、より実勢に合った利回りに改めてくれというようなことをしておるところでございます。

 具体的には、その基金の運用利回りの過去五年間の実績の平均か、もしくは基金の最低積立基準額の算定に用いる予定利回りか、もしくは厚生年金本体の直近の財政で出てくるところの利回りか、そのいずれかのうちで一番高いものを上回らないように、いわば低目の利回りを前提として財政健全化計画をつくって財政健全化の措置を進めてほしいというふうに改めて、その旨指導してきているところでございます。

田村(憲)委員 何かよくわからない話なんですが。

 今、厚生年金の実勢利回りという話がありましたけれども、この十年間で一・六%ですよ。一・六%を基準にすると、一・六%で、給付の方をゼロにして、利回りを、それで初めて一・六で穴を埋めていくわけですよね。これはもう事実上無理な話ですよ、無理な話。

 何を言いたいかというと、一つは、三分の二というその合意をするための基準を二分の一にしたらどうだなんという議論が今それぞれのところでやられております。二分の一でも難しいのかなという気もいたしますが、それはそれで、大臣、やっていただくかどうか、これをまた御返答いただきたいんですが、でも、それだけでも追っつかないんじゃないか。

 ましてや、これはもう、指定されたところはかなり毀損しています。なぜかというと、上乗せ部分はもう全部食っちゃって、ないんですよ、積立金は。そして、最低返さなきゃいけない代行部分、この最低責任準備金さえ割り込んでいるので、これを満額まで戻すなんというのはもうほぼ不可能なんじゃないのかなと私は思っているんです。

 大臣、このままでいくと解散できないんですよね。なぜかというと、もう兵庫の方で御承知だと思います。タクシー関係の基金が解散をした結果、当然、残った穴を、この最低責任準備金という厚生年金の代行部分、この代行部分は許してもらえませんから、厚生年金に返さなきゃいけない。すると、足らなくなった部分を、解散しますから、当然、解散すれば、もう受給者はもらえませんよね、加入者も将来もらえません。もらえないどころか、その会社自体が、足らない部分だけは、厚生年金部分だけは埋めなきゃならない。これが埋められないから多くの会社が倒産をしました。

 これ、大変ですよ。だって、そこで働いている方々は、自分たちの将来のその上乗せ部分はもらえない上に、目の前の会社も潰れちゃって、路頭に迷わなきゃいけないですよね。ということは、これは、そう簡単に解散できないんですよ。

 解散ができないでずるずるいくと、最後はどうなるんですか。どうなるんですか、局長、自主的に解散しなければ。積立金が全部なくなっちゃったらどうするんですか。

榮畑政府参考人 私どもといたしましては、まさに、先生が今御指摘のような、積立金が全部なくなるというような事態を避けるために、やはり財政健全化というのをまずやっていただかなければならないし、それでも健全化の方の必要な措置が講じにくいところにつきましては、むしろ代行部分の積立金を何とか回復していただいて、それで早期に解散していただく。

 昨年通していただきました年金確保支援法の中でも、特例解散の規定というのをつくっていただきましたし、そういうようなものを、いわば解散しやすくなるような方策というのも法律上の措置として講じさせていただいておるところでございますから、そういうようなものを使って、解散しやすくなるような工夫というのもしておるところでございますが、私どもとしては、ともかく代行部分というのをキープした上での解散というのを進めておるところでございます。

田村(憲)委員 代行部分だけ埋まれば解散できるからいいと言いますが、健全化計画の中で、例えば保険料を取るとかそんな話になった場合、もうもらえない保険料を取ることになるんですよ、加入者から。だって、代行部分の毀損さえ埋まれば解散しちゃうんだから、将来もらえないのに保険料を払うという話になるんですよ。そんなばかな話はできるわけないし、そもそも、もう代行部分を大きく毀損しておるようなそんな場合には、事実上、これは破綻をしておると言っていいと思います。幾ら健全化計画をつくっても、これはもとには戻りません。こんなことは当たり前じゃないですか、今の状況で、運用利回りで。

 ですから、私が大臣に最後にお願いしたいのは、少なくとも、解散したいけれどもできない、こういうような基金があります。最後は会社が若干なりとも面倒を見るかもわかりませんが、それは、毀損をしている部分を全て面倒を見れば会社が潰れちゃう。こういうところに対して、国が何らかの財政的な支援をして、事実上、円満に解散に持っていく。

 気の毒ですよ、それは。今まで保険料を払ってこられた加入者の方々、また受給を受けてこられた方々は気の毒です。しかし、それでも、最後会社が潰れちゃうことを思えば、国が毀損部分にある程度補助を入れて、破綻処理とは言いませんけれども、解散に持っていって、円満にこれが収束する、そういうことをお考えいただいた方がいいと思うんですが、大臣、基金に対して財政的な支援、これに対して前向きな御意見をいただければと思います。

小宮山国務大臣 今、御党を初め各党で前向きな御議論をいただいていることは承知をしておりますので、またいろいろ御意見も伺いたいと思いますけれども、現時点としては、やはり、ほかの厚生年金の被保険者との公平性ということもございますし、本来事業主が掛金の引き上げなどで埋めるべきもので、そのためにはさまざまな猶予措置などもとっておりますので、そこで最大限やっていただくことが必要だと思っていますので、なかなか今の時点で私から前向きな答弁は、申しわけありませんけれども、できる状況にはないということを御理解いただきたいと思います。

田村(憲)委員 脱税した企業じゃないんです。社会保険料を意図的に納めてこなかった企業じゃないんです。一生懸命頑張ろうと思ってやってきたけれども、こんな経済状況を我々がつくっちゃったから、そこに社会保険庁の方々が天下りもしているんでして、結果的にこうなったわけでありまして、加入している企業、従業員の方々を救うために、ぜひとも前向きなことを検討していただきたいというふうにお願いをいたしまして、質問を終わります。

池田委員長 次に、加藤勝信君。

加藤(勝)委員 おはようございます。自由民主党の加藤勝信でございます。

 きょうは雇用保険法の質疑ということでありますが、まず、その前に、先般の診療報酬改定について二、三御質問させていただきたいと思います。

 たしか予算委員会でも議論がありましたけれども、平成二十二年度の診療報酬改定の際には、本体部分の医科について、入院と外来それぞれについてどういう影響があるかという数字をお示しをいただいておりましたけれども、二十四年改定についてはその数字がお示しされていなかった、こういうふうに認識しております。

 その後、その数字が精査されているともお聞きしております。具体的に、診療報酬本体の医科全体では四千七百億円の増となっておりますけれども、入院と外来と分けるのか、あるいは入院と入院外と分けるのかわかりませんが、それぞれ幾らなのか、まず御説明いただきたいと思います。

外口政府参考人 今回の診療報酬改定におきまして医科の診療報酬に配分した約四千七百億円のうち、入院に配分した額は約三千三百億円、入院外に配分した額は約千四百億円であります。

加藤(勝)委員 今回の診療報酬全体の改定では〇・〇〇四%の増ということでありましたけれども、今お手元に「診療報酬改定の影響について」という資料を配らせていただいております。

 入院、入院外、歯科、調剤ということで、セクター別といいますか、分類をさせていただきました。

 技術料については既に厚生労働省からお示しをいただいておりますが、薬剤費等については、平成二十四年度改定の場合には全体で五千五百億という数字だけでございましたので、それを、現在、薬剤費等が入院、入院外、歯科、調剤で幾ら支払われているかということをベースに案分で試算をして、米印のところは、私の方で試算をして入れさせていただきました。

 その結果を見ますと、入院について見ますと、二十二年度改定ではトータルで三千六百億円のプラス、二十四年度改定では二千六百億円のプラス、こうなっておりますけれども、入院外あるいは外来ということでありますと、二十二年度改定では千三百億円の減、今回についても五百億円の減、こういうことになるわけであります。この入院外の中には一般の大病院のいわゆる外来部分も当然含まれていると思いますけれども、一般のいわゆる診療所がここに入っているわけでございます。

 そうなりますと、今回の改定は、一般の診療所に対しては、その経営には引き続き大変厳しい内容になっている、こういうふうに見られるのでありますけれども、その点はどのように厚生労働大臣は認識をされておられるんでしょうか。

小宮山国務大臣 今委員御指摘の点は、薬価などの引き下げによる財源を医療機関の収入原資として確保するという前提に立って機械的に試算をいたしますと、入院外の診療のみを行う診療所の経営は今回の改定でマイナスになるという方向に動くということだと思っています。

 一方で、実際には、薬価などの引き下げや技術料の引き上げに加えて、高齢者人口がふえたり医療が高度化をしたことに伴う自然増がございまして、こういう医療費の増加分があるために、診療報酬改定によって実際に経営がマイナスになるかどうかは、医療経済の実態調査などによる経営実態の検証をすることが必要だと思っています。

 それで、先ほど申し上げた自然増ということなんですけれども、二十二年度の改定では、入院外が十三・六兆円だったものが、二十四年度の改定では十四・五兆円というふうにふえているということ、そして、今御指摘の一般診療所につきましても全体として五・五%から五・八%に上がっているということもございますので、診療報酬改定、今申し上げました医療経済実態調査や関係する医学会のデータなども参考にして中医協で御議論いただいているのが現状でございますので、地域医療の確保ということはしっかり念頭に置いて、結果の検証を行いながら次の改定を行いたいと考えています。

加藤(勝)委員 今大臣御指摘のように、これから二年間、これは何事もそうですが、価格と量がどう動くかによって全体の診療報酬額そのものが決まるというのはおっしゃるとおりでありますが、本件はいわゆる価格の部分の議論をしているわけですから、少なくとも今回の価格の議論においては、例えば私が示させていただいた分析からすれば、入院外、すなわち一般診療所も含めて厳しい内容になっているということは、ここからは示させていただけるのではないかと思います。

 それから、もう一つは、今、医療経済実態調査のお話がありました。医療経済実態調査では、一般病院、さらに医療法人、国立、公立、あるいは一般診療所、歯科診療所等と、かなりセクター別に分けて調査をしていただいているわけであります。

 そうすると、私ども、細かい診療報酬改定の何の点数がどう変わったかというのは、それがどういうふうに影響するか、なかなかイメージできないわけでありますから、でき得れば、そういうそれぞれのセクターに、診療報酬改定に伴う価格効果、これがどういう影響になったかというのをできるだけ、ある程度前提に立った試算にはなると思いますが、お示しをしていただく。それでまたこうした議論を深めることができるのではないかと思いますけれども、その辺は御努力はいただけますか。

小宮山国務大臣 御指摘の点につきましては、検討する努力をしたいと思います。

加藤(勝)委員 ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。

 それでは、雇用保険法の方に入らせていただきたいと思います。

 まず、雇用保険法のいわゆる国庫負担についてお伺いをしたいと思います。

 今、暫定措置ということで、本則、四分の一を国庫負担にするのに対して、その五五%ということになっているわけであります。

 二十二年度改正のときには、二十三年度中に、いろいろ検討して財源を確保した上でという言葉がたしかあったと思いますが、廃止するとされて、さらに、それができない中で、二十三年改正では、引き続き検討を行い、できるだけ速やかに廃止する、要するに、もとに戻す、こうされていたんですが、この点はどういうことになっているんでしょうか。

小宮山国務大臣 御指摘のとおり、雇用保険制度につきましては、民主党の二〇〇九年のマニフェストで、全ての労働者を雇用保険の被保険者とすることとあわせまして、雇用保険の国庫負担を法律の本則である四分の一に戻す、このようにしているところです。

 雇用保険の被保険者の範囲につきましては、平成二十二年の雇用保険法改正で、適用基準を六カ月雇用見込みから三十一日以上雇用見込みとした結果、非正規労働者に対するセーフティーネット、これを強化できたと考えていまして、その効果として、およそ二百二十一万人の方が新たに雇用保険に加入ができています。

 また、雇用保険制度は、みずからの労働による賃金で生計を維持している労働者を対象とした制度ですので、これに該当する全ての労働者に適用しているというふうに考えています。

 御指摘の本則復帰につきましては、これも言っていただいたとおり、二十三年の雇用保険制度改正で、できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で暫定措置を廃止する旨の規定を設けました。

 来年度につきましては、申しわけありませんが、厳しい財政状況の中で安定した財源が確保できませんでしたので、今回、改正案には盛り込むことができませんでした。これは本則復帰を断念したものではなくて、引き続き、国庫負担の本則復帰ができるように努力をしていきたいと考えています。

加藤(勝)委員 労働者の対象拡大については余り質問しておりませんので、ポイントを絞って答えていただければと思います。

 ただ、その点について、その点というのは、国庫負担の暫定措置の廃止については、今まとめられました、二月の十七日に閣議決定をされました社会保障・税の一体改革大綱を見ても、具体的にその話がないんですね。

 たしか、六月につくったときのあの表の中には何かそれらしいことがあったようには記憶をしているんですが、この大綱の中には一切そういう文言がないということは、今大臣のお話では、諦めたわけではないと言いながら、少なくとも今回の一体改革の中ではその実現の見通しが出てきていない、こういうふうに認識をしてよろしいんですか。

小宮山国務大臣 なかなか具体的な道筋を申し上げるのは難しい今の経済の状況でございます。

 大綱につきましては、素案に掲げたものをそのまま大綱という形にしたということがございまして、おっしゃった昨年六月のときにありましたのは、別表としてつけたところにあったと思うんですけれども、今回、別表のところは別にして、本体の部分を大綱としてまとめたので、入っていないということでございます。

加藤(勝)委員 ですから、入っていないということは、具体的に決まっていない、一体改革の中ではいわば諦めておられる、こういうふうにしか認識ができないということを申し上げておきたいと思います。

 その上で、きょうは大串政務官にもおいでいただいておりますけれども、今回の措置、先ほど田村委員からもありましたように、ちょうど三年前のリーマン・ショックの後、たしか、当時私どもが政権でありまして、当時の麻生総理が、三年間で何しろこれから脱却していくんだ、こういうことでありました。さまざまな補正予算も入れ込みました。そうした補正予算に基づいて経済対策を実施して、景気の回復、雇用失業情勢の改善を図る、したがって、三年間にしましょうと。逆に言えば、三年間でそういう状況をつくり上げましょう、こういう政治の決意でもあったというふうに思います。

 しかしながら、もうその三年がいよいよ三月末で切れようとしているわけでありますけれども、この政府の法案の冒頭にもありますように、「現下の厳しい雇用情勢」ということで、そこから脱却ができていないと、これは多分、政府がそういうふうに認識をしておられるということだと思います。

 となりますと、一体、この間、三年間、何をされてこられたのか、そして改めて今の状況をどう御認識されているのか、御答弁いただきたいと思います。

大串大臣政務官 御答弁申し上げます。

 この三年間に関する御質問でございますけれども、御案内のように、リーマン・ショック、二〇〇八年の夏でございました。非常に大きな落ち込みでございました。二〇〇九年の春ごろからは持ち直しに転じましたが、その後も、円高あるいは海外経済の減速、いろいろな厳しい状況がありました。

 こうした中でありますけれども、私たちの政権になりまして、二〇〇九年の十二月以降になりますけれども、四次にわたって経済対策を講じてきました。二〇〇九年の十二月八日、二〇一〇年の九月十日、二〇一〇年の十月八日、そして二〇一一年の十月二十一日、こういった経済対策を講じると同時に、復興に対しても補正予算を用いて対処してまいりました。

 こういったことを通じて、雇用情勢に関しても、厳しい状況にありますが、一部には持ち直しの動きが見られるということで、完全失業率も改善傾向を見せてきているところでございます。

 ただ、非常に厳しい状況であるということは間違いないので、これからも景気の動向や雇用の情勢には十分に注意を払ってまいりたいというふうに思います。

加藤(勝)委員 今御説明いただいたんですが、そのことを思い出しながらも、そう強力な景気対策がこの間なされていたのかなという、復興関係の予算は確かにありますけれども、大変な疑問を感じるわけであります。

 「現下の厳しい雇用情勢」、こう書いておりますけれども、これは一体どういう点を指しておられるのか。

 お手元の方に「完全失業率と有効求人倍率の動向」という表をつくらせていただきました。これは、上の方の折れ線が完全失業率、下が有効求人倍率なんですね。

 例えば、下の方の有効求人倍率を見ますと、いっときのボトムから、当時が〇・四三倍が現在〇・七三倍と、ある程度戻ってきているというのはわかります。それから、完全失業率も、ここに来てちょっと上がりぎみでありますけれども、この十年間ぐらいを平均すると、たしか四・八とかそんな数字になりますから、その水準よりはいささか低い。こういうのが今の状況かなと思います。

 にもかかわらず、厳しい雇用情勢、こう指摘をされているわけでありますから、そうすると、一体どのぐらいの水準をこれから、多分失業率でおっしゃっていかれるんだと思いますが、目指してやるので二年間と、こういうふうにお考えになっているのか、教えていただきたいと思います。

小宮山国務大臣 なるべく簡潔にお答えをいたしますと、今厳しい状況にあると認識をしていますが、新成長戦略では、失業率をできるだけ早期に三%台に低下させること、これを目標にしています。

 やはり、急激な円高とかタイの洪水による生産調整。また、求人が今増加をしているんですね。これまで働いていなかった女性の皆様が求人数の増加によって求職活動を開始されたということからかと思いますけれども、女性の完全失業率が四・四%と、前月に比べて〇・四ポイント悪化したということもございますので、今後とも雇用情勢を注視しながら、なるべく早期に目標を達成できるように、機動的な雇用対策、これを実施していきたいと考えています。

加藤(勝)委員 今の御答弁の中にもありましたけれども、昨年の十月から失業率がたしか四・二ぐらいまで下がって、このままいくと秋口過ぎには、今おっしゃるように、三%台かなという、多分そんな思いもあったんだと思いますけれども、むしろ、反転で、上がってきている。

 今の御説明の中で、求人数がふえてきた、こういう話でありますよね。そうすると、求人数がふえてきたことに対する対応というのと今回の給付日数をふやしていくというのは、これは、ずれがあるような気がするんですね。急激に離職者がふえてきたときにはこういう対応が役立つわけですけれども、今、一旦雇用市場から出ていた方がまた入ってきたということになると、一部には失業保険の対象になる方も若干いるかもしれませんが、大半はそうではないということになると、これはこれとしながら、もう少しそうした求人に対する対応、そして最終的には、景気がよくなっていかない限りは雇用はふえていかないわけでありますから、そういった対応をしっかりとっていただきたいと思っております。

 そうしたこれからの対応、そして、二年間においてこういう緊急避難から離脱する、それに向けての具体的な方策を、大臣あるいは政務官の方からお示しをいただきたいと思います。

大串大臣政務官 経済全般に関しましては、もちろんリスク要因も、海外経済の要因、あるいは円高の要因等々ございます。ですので、引き続き極めて厳しく注視をしながら、一方で、緩やかな持ち直しの傾向にありますので、その方向をできるだけ推し進めていけるようにしたいというふうに思います。

 それが万全にできるような経済運営の方針としては、できるだけ雇用をふやしていけるような後押しをしていきたいというふうに思っています。

小宮山国務大臣 雇用の対策としては、御承知のように、新卒者に対していろいろなサポートを行うことですとか、あと、成長が期待される分野、労働関係でも、介護ですとか子育てとか福祉関係にしっかり仕事をつくり出すことなど、そうしたことをやっていく。

 一方で、やはり、そうはいってもすぐには対応がし切れない部分もありますので、今回の延長のような措置もとらせていただいているということでございます。

 そうした中で、被災地については被災地で、産業政策と一体になった雇用、そしてまた、これからの雇用の形を先取りできるようなことまで含めてやりたいと思っていますので、全体をあわせて、今ふえてきているその求人数にちゃんと求職者がマッチできるような、そんなマッチングのことにも力を入れていきたいと考えています。

加藤(勝)委員 今回の措置は、あくまでも対症療法でしかないし、今から離脱する人への対応でしかないわけでありまして、本質的には、しかも、円高、若干今円が戻っている部分がありますけれども、円高等々によって、いわゆる電機メーカーを中心に工場が相当閉鎖をされていく、あるいは縮小されていく、特に、企業城下町と言われている地域ではなかなか代替する雇用がないということで、これはしっかりフォローしていかなきゃいけない、こういうふうに私も思っております。

 いずれにいたしましても、円高、デフレから一日も早く脱却するためのもっと大胆な金融政策の展開であり、あるいは本当に景気の回復に資するそうした対策をしっかりやっていただく、それがなくして、おっしゃるような三%台等への回復というのはなかなか見出し得ないということを申し上げておきたいと思います。

 最後に、失業等給付の積立金からの借り入れについて、ひとつお聞かせいただきたいと思います。

 前回の法律改正で、平成二十二年だったですかね、二年間について借り入れができるようにしました。そのときは、予算案において借り入れがたしか計上されていた、こういうふうに認識をしております。しかし、今回の二十四年度予算には、特別会計上、借り入れは一切計上されておりません。にもかかわらず、こうした緊急かつ例外的な暫定措置である借り入れ規定を延長するというのはいかがなものなのかなと、私はこういうふうに思っております。

 一体なぜ、予算で手当てしていないにもかかわらず法律上こういう延長措置をおとりになられたのか、御説明いただきたいと思います。

小宮山国務大臣 委員御指摘のとおり、平成二十四年度の当初予算では、積立金からの借り入れについては計上してありません。これはなぜかといいますと、現在の雇用情勢が今後も続いて、その雇用情勢に応じて雇用調整助成金が支出されると仮定した場合は、当初予算案の額で足りるというふうに見込まれるからです。

 ただ、一方で、円高の影響や欧州の債務危機などによりまして雇用失業情勢が今よりもかなり悪化した場合には、現在の雇用保険二事業の財政状況では今持っているお金が非常に少ないものですから雇用調整助成金の急激な支出増に対応できない。そのためにこういう措置をとらせていただいています。

 実際にもし借り入れが必要になった場合には、補正予算案とともに関連法案を御審議いただくということも考えられますけれども、セーフティーネットとして雇用調整助成金を活用する事業主の皆様に安心感を持っていただくためのメッセージということもございまして、今回その借り入れの根拠を整備することに御理解をいただければと思っています。

加藤(勝)委員 何かそういうメッセージになるとは思いませんし、うがった見方をしたら、いずれにしても予算措置が必要ですね、借り入れをするためには。ですから、そのときに関連法案でお出しになる、しかし、残念ながら、そのときにどうも厚労委員会が対応してくれないんじゃないかと大臣は不審に思っておられるのではないかと私は邪推をするわけでございます。

 そうでないことをお祈りさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

池田委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、雇用対策全般、また、雇用保険法改正案について質問してまいりたいと思います。

 まず最初に、若者の雇用についてお伺いをしてまいります。

 我が国の経済、長引くデフレ、そして急激な円高、また、東日本大震災の影響と、不安定な状況が続いております。

 それに伴いまして、若者の雇用状況も非常に厳しさが増しております。昨年春の新卒者の就職率、九〇%程度ということで、過去最低を記録しております。

 実際、東日本大震災の影響を理由に内定を取り消された卒業生が四百二十七人、百二十六社、震災以外の理由も含めると五百五十六人、百七十九社、内定の取り消しまでは至らなかったものの入社を先送りされた学生生徒も二千四百七十二人に上ることが厚労省の調査で明らかになっております。

 さらに、総務省が先月発表いたしました昨年の労働力調査によりますと、二十五歳から三十四歳の男性の非正規雇用割合が一五・二%に上っているということでございます。

 非常に若者の雇用の実態は厳しいということが言えます。

 確かに、今法案も出ておりますが、高齢者の雇用ということも重要なんですが、それと同様に、それ以上に若者の雇用対策は重要であると考えております。

 私の息子も昨年就職をしたんですが、就活をしている最中、学業もありますので、地方におりましたので、高速バスで深夜こちらに来て、就職活動をしてまたすぐ帰るというような状況で、一社につき何回も来なければならない、なかなか研究には専念しにくい状況でもありました。

 どのぐらいの倍率なのかと尋ねてみましたら、五百倍と。私も、自分の就職したころのことを思いますと、非常に天文学的な数字であると思いました。

 例えば、百人募集するといったら非常に大きい方だと思うんですが、いわゆるネットで登録をしてエントリーをしていくわけですから、ここに、五百倍ですから、五万人の学生が登録をすると、確かに会社の方でも、その就職面接をするということは無理でしょう。ですから、ある程度の基準で、まずそこで選抜をしてしまう。ある学生はもう十社も二十社もエントリーをしても断られる。もうこれは本当に精神的に折れてしまう。そういう中で今の学生たちは就職活動を行っているということでございます。

 ましてや内定がとれなかったとなりますと、小中高、大学、あるいは高校まで勉強してきて、その人生の第一歩で挫折をしてしまうということにもなろうかと思います。

 我が党で、党の青年委員会が昨年十月から十一月にかけて、被災三県を除く全国で若者雇用実態調査というものを行いました。それをもとに提言を取りまとめました。

 例えば、ハローワークと就職支援サイトの連携強化や中小企業に関する情報提供体制の充実。要するに、応募するとなれば、聞いたことのある企業、あるいは上場企業、大企業に集中をしていってしまって、名前も知らない中小企業に全国から学生が応募するということが、なかなかそこが難しいというのが現実です。

 また、職業訓練学校に在籍をしているキャリアコンサルタントの資質向上、また、有効な職業訓練内容の情報提供促進、このようなことを提言いたしました。

 そこで、政府においては、このような深刻な実態を受けとめられて、全力を挙げて雇用対策、特に若者の雇用対策に取り組んでいただきたいと思います。大臣の御見解を伺います。

小宮山国務大臣 私も、そして厚生労働省全体としても、今おっしゃるように、全体の雇用が大事ですけれども、特にこれからこの社会で一歩踏み出して生きていく若い人たちの就職の支援ということは、もう最重要な課題だというふうに考えています。

 そうした中で、御党でもいろいろ調査をしてお取り組みいただいていることは大変ありがたいことだと思っていますけれども、今、全国に新卒応援ハローワークを御承知のようにつくりまして、ハローワークというとどうしても若い人が足を向けるところでないということを改善したいという取り組みをしていまして、そこでジョブサポーターがマンツーマンできめ細かく支援をし、今御指摘のあったような、大企業だけではなくて、あなたにはこういう向いた中小企業があるとか、そうしたサポートをさせていただいていること、それから、平成二十二年十一月に、雇用対策法に基づく青少年雇用機会確保指針を改正しまして、少なくとも卒業後三年以内の既卒者が新卒枠で応募できるようにということをしています。

 また、すぐに卒業までに正規に就職できずにフリーターになった方に対しても、ハローワークで今、きめ細かに支援をしたり、トライアル雇用の活用によって何とか正規に就職できるような取り組みを行っています。

 そして、二十四年度からは、大学生現役就職促進プロジェクトとして、現役の大学生に対してもジョブサポーターがつくことで、これから将来に向けて、向いたところにちゃんと行けるようにというようなことの支援をしようと考えていますし、また、日本再生の基本戦略に盛り込まれました若者の雇用に関する戦略、これをことし半ばまでに取りまとめる予定ですので、総合的に、これは政府全体として取り組めるような形にしていきたいと考えています。

古屋(範)委員 確かにヨーロッパでも雇用情勢は厳しいそうなんですが、特にイギリスでは、公務員を削減したり、他の予算に大なたを振るって、若者のこうした職業訓練、雇用に今後三年間で一千二百七十億円を拠出する方針を決めているそうであります。

 政府全体で、特に文部科学省と連携をしながら、私たちも卒業後三年間新卒扱いというのは経済界に求めてきた点でもございます、ぜひ取り組みをお願いしたいと思っております。

 次に、被災地での雇用対策についてお伺いをしてまいります。

 厚労省の調査によりますと、被害の大きかった岩手、宮城、福島三県で、ことし一月の有効求人数が昨年三月の倍近い十一万人にふえているにもかかわらず、求職者数は十四万人前後で高どまりをしている、こういうことが起きております。

 これは、土木分野の求人が多いというのが現状なんですね。それで、結局、そこに応募しない方々にとってはなかなか就職口がない。企業の側は、求人を出しても人が集まらない。復興の人材不足を起こしているということだと思います。

 また、土木分野は短期、非正規が多いと思います。求職する側は、長期、正社員というものを望む。女性の場合には、やはり土木というのは難しいですね。ですので、女性の雇用状況は、またさらに厳しい。

 特に沿岸部では、水産加工などに女性は従事をしておりましたので、ここが復興していない、これが大きな原因かと思います。

 やはり、復興のスピードが非常に全体的に遅いということが言えようかと思います。

 復興庁が設置をされたのも、ことしの二月ですね。私たちは、震災直後に、速やかに復興庁を設置して、そこでさまざまな権限を集中して復興に当たっていくべきだと申し上げておりました。

 また、何といっても、前総理が三カ月間、やめると言って空白期間をつくった、これが非常に大きいのかなというふうに思います。

 これまで、失業給付の要件緩和あるいは給付日数の延長、雇用調整助成金の拡充、雇用創出基金事業の活用、ハローワークの強化、雇用のマッチング等、雇用対策を行われてきたと思います。

 しかし、実際、大事なのは、被災地における産業の復旧であると思っております。

 東北が特に力を入れてきた農林漁業、ここの復興というのが非常に大きな課題ですし、また医療・介護、こうした分野でのサービス、再生可能エネルギー、またICT分野、自治体クラウドの整備、こうしたさまざまな産業創出を、私たちも防災・減災ニューディールということを申し上げておりますけれども、こうした成長を見込める企業の育成をして、一刻も早い雇用創出、これが重要かと思います。

 これに関する大臣の御見解を伺います。

小宮山国務大臣 とにかく、被災をされた皆様にとっては復興が本当に遅いというその御指摘は、真摯に受けとめさせていただきたいと思っています。

 今委員がおっしゃったこと、そのとおりだというふうに思っています。私も現地のハローワークで職を求めている方たちからお話を聞いても、皆さんやはり、これからの生活の再建というと、働き続けられる正規の社員を求めていらっしゃるんですが、結局、町の復興の計画とかがまとまらないと、なかなか、女性が特に働いていた水産加工場などが、建設をどこにしていいかわからない、そういうようなこともあって、どうしても今は、つなぎつなぎの雇用にならざるを得ない。

 何とか、復旧で何でも仕事になるところから、今度は、復興で働き続けられるものにということで、「日本はひとつ」しごとプロジェクトもフェーズ3まで来ているわけですけれども、当面は、やはり復旧型、何でも仕事にしてつないでいくところと、それから、働き続けられる、町などの復興ともあわせた、産業と一体になったものと、これは並行して走らせながら、そこが切れることなく、将来は、工程表とまではいかなくても、働き続けられる、生活再建につながる仕事につけるという希望を持っていただけるように進めていかなければいけないということも、私も日々言っているところなんです。

 ですから、今、ハローワークなどでは、担当者制をとって、大体一人が十人ぐらい担当をして、なるべく雇用をハローワークに集めることを努力しながら、一つ来るとそれを何人もの方につないでいくようなことをしたり、さまざまな努力をしています。

 それから、フェーズ3の中でも、特に、女性や高齢者、障害をお持ちの方たちの仕事をつくり出すために、市町村が使い勝手よく、企業とかNPOに委託をしてできるような事業もつくっていますが、まだまだそれが浸透していませんので、そうしたいろいろな方法の情報提供も含めて、それは心してしっかりとやっていきたいというふうに思っています。

古屋(範)委員 先週の土曜日、公明党の全国県代表懇談会を被災地の福島で行いました。

 そのときに福島の県代表がイチゴを持ってきてくれました。相馬市で、そこは、イチゴのハウスは津波をかぶり壊れてしまったんですが、その中から、失意のどん底から、やはりイチゴをつくろうとおっしゃって、ハウスを再生し、章姫、紅ほっぺという非常に大きなイチゴなんですが、一ついただきまして、非常に甘くて。

 ですから、農地の復旧とそれから風評被害と農家は闘っていかなければなりません。しかし、ともかくつくるんだという気概で取り組んでいる農家もいらっしゃいます。こうした農業、水産漁業の復興、それは、大臣おっしゃいますように、そのもとの復興計画、都市再生、町づくりが決まらなければ何も始まらない。結局、その先に雇用というものがあるわけでして、大臣、ぜひ、政府を挙げて、ここの大もとの復興計画が一日も早く本格的に促進をするよう呼びかけをいただき、進めていただきたいと思います。

 次に、本法案の質問に入ってまいります。

 今回の改正案では、雇いどめによる離職者に対する給付日数の拡充措置の延長、個別延長給付の延長など、暫定措置が延長されることとなっております。この暫定措置を延長する判断をした理由を改めてお伺いしたいと思います。

 そして、二十一年度改正において三年間とした暫定措置を今回さらに二年間とした理由についてお伺いをいたします。

 そしてもう一つ、この暫定措置の二年間の延長経過後、雇用失業情勢に改善が見られないなどの場合、再延長はあり得るのか、その場合の判断基準についてお伺いをいたします。

牧副大臣 今回の給付の延長については、先ほど来お話ありますように、リーマン・ショック後の最悪の状況からは脱したという認識はあるものの、依然として失業率四・六%と高どまりの状態にあるということで、その延長という判断をさせていただきました。

 なぜ三年じゃなくて二年なのかというお話でありますけれども、リーマン・ショック後の例えば五・四%ですとか、有効求人倍率も最悪の状況というほどではないということが一つありますが、ただ、だからといって、決して楽観できる状況ではなくて、欧州のデフォルト懸念、あるいはタイの洪水による影響、あるいは円高、高どまりしている状況の中で、まだまだ楽観できない状況であるということであります。一年の延長ではやや心もとないので二年というような判断でございます。

 また、再延長はさらにあるのかと。二年後の再延長についてでございますけれども、これも二年後の経済状況の様子というものがまだ景色が見えませんが、例えば中東の情勢等々、まだまだ懸念材料もございますので、そのときはそのときの判断をさせていただくという判断でございます。

古屋(範)委員 ぜひそうならないように、経済の再建、全力を挙げてほしいと思います。

 続いてお伺いします。失業給付に係る国庫負担について伺います。

 本来、失業給付の国庫負担については四分の一となっておりましたが、国庫負担の割合がだんだん低くなっておりました。

 民主党のマニフェスト二〇〇九でこれを本来の四分の一にまず戻すべきではないかとして、これを踏まえて、平成二十二年度中に検討し、平成二十三年度に、安定財源を確保した上で、本則の五五%に引き下げている暫定措置を廃止すると規定をしていらっしゃいます。しかし、この暫定措置を廃止するには、暫定措置に係る規定を削除する法律案を提出する必要があって、国庫負担率を本則に戻す方針だけを規定しているという内容であります。これは本当に、見せかけのマニフェストの実現ではないかと思ってしまいます。

 現に、二十三年度も暫定措置は廃止されない。二十四年度の予算案でも必要な財源は確保されていませんね。したがって、今回の改正案にも国庫負担の本則復帰に係る規定は盛り込まれておりませんが、一体、国庫負担に関する暫定措置の廃止はいつ行われるおつもりなのか、マニフェストはいつ実現されるのかについて、大臣にお伺いをいたします。

小宮山国務大臣 先ほど加藤委員にお答えをしたとおりでございますけれども、厚生労働省といたしましては、二十三年の雇用保険法改正で盛り込まれました国庫負担の本則復帰に向けた検討規定を踏まえまして、本則復帰に向けて財政当局とも調整を行いました。しかし、最終的には、今の厳しい財政状況の中で、本則復帰の前提となる安定した財源を確保することが、申しわけありませんが、できませんでした。このため、二十四年度からの雇用保険の本則復帰は、改正法案には盛り込まれていません。

 これからも、引き続き、なるべく早く本則復帰ができるように努めていきたいと考えています。

古屋(範)委員 やはり財源の裏打ちがなかったということかと思います。

 次に、パート労働者への厚生年金の適用拡大についてお伺いいたします。

 昨日の報道で見た限りでございますが、前原政策調査会長が記者会見をされていますね。パート労働への厚生年金保険適用拡大について、週二十時間以上、あるいは雇用一年以上、年収九十四万円以上などなど条件をつけられて、拡大をしていくという方針を打ち出されたようであります。対象は四十五万と発表されていますね。

 私たち自公政権時代に、二〇〇七年、この厚生年金への加入の拡大の法律をつくって提出をしました。さまざまな事情を勘案して、中小企業への配慮ですとかをした上で、十万人から二十万人を対象とするという法律でございました。

 確かにそこからはややふえているとは思いますけれども、もともと、目標に対して非常に腰が引けた内容になっているのではないかと思わざるを得ません。

 年金だけではなくて健康保険も対象とするということでありまして、新たに加入対象となる数も、最初は相当大きな数を掲げていらっしゃいましたね、百万人から三百七十万人というように私は伺ったように思います。

 確かに、非正規あるいはパートの方々に厚生年金を適用していくということは、将来、無年金、低年金の方を減らすという意味で非常に重要かと思いますけれども、今回の決定をされた内容を確認させていただきたい。そして、この法案提出の時期等について大臣にお伺いをいたします。

小宮山国務大臣 今回の短時間労働者への社会保険の適用拡大、これは、働き方に公正公平な制度にするということ、それから、今の貧困対策、格差対策というような意味合いもございまして、何とか、ある程度の数字をちゃんと実現したいと思ってやってまいりました。

 ただ、一方で、今委員もおっしゃいましたように、今の現下の厳しい雇用情勢の中で、特に中小企業の皆様方から負担が多過ぎるという御指摘もあり、最終的に党で調整をして、前原政調会長に一任をしてこういう結論を出したということでございます。

 三百七十万人というのは全体の将来へ向けての姿でございまして、今回、私どもは百万人というところから打ち出していたんですけれども、どうしても百三万円の壁のところにこだわる御意見もございまして、ただ、そこにこだわりますと主たる生計維持者だけということなので、これからやはり女性たちの働き方もしっかりと公正な形で応援をする必要がある、そういうこともありまして、百万円を切ったところの、これは健康保険の標準報酬の刻みの中で月額七・八万円、年収九十四万円というところからスタートということにいたしました。

 これは第一弾のスタートということで、三年以内にさらに拡大をするということも法案に明記をさせていただいていますので、やはり、働いている非正規の方々の処遇の改善ということと、現下の厳しい雇用情勢、経済情勢の中での企業のおっしゃることと、そこの整合性をとった結果このような形になったと思っていますが、このことによりまして母子家庭の皆さんとか若年フリーターの皆さんの半数ぐらいはここに含まれるということで、一歩前進かというふうに考えているところです。

古屋(範)委員 民主党は新年金案というものを掲げていらっしゃいました。全ての人を一元化していくということでもございましたけれども、その新年金案、民主党の掲げてきた年金案と一体これはどういう整合性があるのかなということを思わざるを得ません。

 先日、予算委員会で参考人質疑を行いました。駒村康平慶応大学教授に私もお尋ねをしてみました。さまざま、政権交代をして、二年半議論をしてきて、共済年金、厚生年金の一元化と短時間労働者への厚生年金の適用拡大、ここに、結局は自公案に戻ってきたことですねとお伺いしましたら、駒村参考人は、御指摘のとおりでございます、そう答えていらっしゃいました。

 ぐるぐるした末に、またあと、遠くには民主党の新年金案というのを掲げていらっしゃるんでしょうが、ともかく、二〇〇七年にこれをもし実施していれば既にこれはスタートしていた制度であります。確かに数はやや少なかったかもしれませんけれども、しかし、それに反対をし、結局、めぐりめぐってまた自公案に、ほぼ自公案に近いものに戻ってきたのかなと思わざるを得ません。

 この問題に関しては、改めてまたお伺いをしてまいりたいと思っております。

 次に、もう時間がなくなってまいりましたけれども、孤独死についてお伺いをしたいと思います。

 被災地の仮設住宅等で孤独死が相次いでおります。先日、岩手、宮城、福島の三つの県での調べによりますと、仮設住宅で二十二人が孤独死をしているということが明らかになりました。私も、この見守りのために、サポート拠点の設置を訴え、進めてまいりました。岩沼市とか釜石市にも行ってまいりました。

 こうしたサポート拠点の設置も少しずつ進んできているようでもございますけれども、この被災三県、六十五歳以上のいる世帯が全体の五九%を占めています。ひとり暮らしも一五%に上っているということで、ぜひ被災地での孤独死の防止について早急に対策をとっていただきたいと思いますけれども、これについていかがでしょうか。

小宮山国務大臣 孤独死、孤立死の問題というのは、いろいろな対応をしていかなければいけないと思っています。

 今、被災地の仮設などでの傾聴というか耳を傾けて聞くということも御党からいつも御指摘をいただいておりまして、これは社会福祉協議会などが巡回訪問をして見守りをする、また、総合相談の支援を行う事業を創設いたしましたし、今御指摘があったような、仮設で安心した日常生活を支えるためのサポート拠点、これを今次第に設置を広げていますので、幅広い方に参画をしていただいて、見守りとか相談、その体制を少しでも早く充実をしたいというふうに思っています。

 こういうきずなとかつながり、こうしたことを大事にして、それを支援する取り組みを国としてもしっかりやることによって、特に被災者の皆様の孤立死ということを防ぎたいと考えています。

古屋(範)委員 被災地のみならず、今、全国で孤立死が続いております。先日も、立川、さいたま、また札幌市、この三市の公明党の地元の議員にも来ていただきまして、その孤立死の経緯を一つ一つ伺ってみました。

 札幌の白石区で起きた事件というのは、世帯主の姉が脳内出血で病死をして、同居をしていた知的障害者の妹が餓死をしたという事例でございました。

 厚労省では、先月二十三日に、まず電気、ガスがとめられますので、電気、ガス事業者などと連携をして、保護が必要な困窮者の把握、自治体の福祉担当部局が一元的に情報を集められるよう、体制強化を求める通知を出されていますね。でも、やはり、通知だけでは限界があると思っております。

 ICTを利用した見守りシステムなどもぜひ使っていただきたいと思うんです。二十四時間三百六十五日の訪問介護サービスの拡充等、さまざまな手だてが必要かと思います。この孤立死を防ぐために、和光市での全戸訪問調査の事例もございます、また、災害時要支援者把握のための支援マップづくりを初めとする、地域における孤立死防止への包括的な取り組み、ぜひこれを国として支援していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 今、厚生労働省では、各市町村で、地域包括支援センターなどを活用して、地域住民による見守り活動の支援ができるようなネットワークの構築を推進しています。

 今御指摘いただいたように、二月二十三日に、電気、ガス会社の事業者との連携強化の通知を出し、徹底をいたしまして、地方自治体の福祉担当部局に情報を一元化するようにしています。

 さらに、これは個人情報保護法との関係も根底にはあるという御指摘もありますので、この法律を今担当しています松原消費者担当大臣とも連携をとって、そういう基本的な問題についても取り組んで、対応はまた、御意見も伺いながら、しっかりやっていきたいと思っています。

古屋(範)委員 障害福祉、そして生活保護ですとか、それから失業給付とか、こうした制度のはざまで、目の前で、きょう食べるものがない、そして餓死をされてしまう。このようなことが起きないように、貸付金、社協の緊急小口資金についても、これは申請してから日数がかかりますので、こうした制度のはざまを埋める対策をぜひ講じていただきたいことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

池田委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 二〇〇八年以降毎年、雇用保険法の改正を本委員会で行ってきました。悪化する雇用失業情勢を踏まえ、また派遣切りの問題などもあり、本当に雇用のセーフティーネットを広げなければということで議論を進めてきたかと思います。

 今回も、年齢や地域条件を考慮して、再就職が困難な場合に基本手当の給付日数を原則六十日分延長する個別延長給付制度を二年間延長するなど、必要な措置として賛成するものであります。

 しかし、依然として、失業者のうち雇用保険受給率は二割台にとどまっており、やはりつなぎ的な改正ではない抜本的な制度のあり方、これを議論しなければならないと思います。

 現在検討されている有期労働法制ですとかパート法の見直しなども、雇用の安定化へつながるものでなければならないし、最低賃金の底上げなど、こうした、本当に雇用のルールをしっかりとつくって安定した雇用をつくっていくということでの議論を引き続き行っていきたい。まず、このことを最初に述べておきたいと思います。

 それで、最初の質問は、震災に伴う失業手当の特例給付、この間も随分議論されておりましたけれども、まず、どの程度の被災者が利用したのかということと、給付が切れた人が既に出始めておりますけれども、そのうち現在も求職中の人はどのくらいいるのでしょうか。

    〔委員長退席、長妻委員長代理着席〕

森山政府参考人 お答えいたします。

 被災された方々への失業給付の給付日数につきましては、震災特例等によりまして百二十日の延長のほか、被災三県の沿岸部等で、十月一日以降、広域延長給付として、さらに九十日の再延長ができることとしました。

 この広域延長給付の被災三県におきます受給者は、平成二十三年十月から平成二十四年一月までで一万二百十一人となってございます。

 また、この広域延長給付が二月十七日までに終了した方々、三千五百十人でございますけれども、そのうち、支給終了時点で就職をした方が九百二十一人、求職活動中の方が二千百六十三人となってございます。

 さらに、この一月中に支給終了し、未就職であった二千九十二人のうち、百五十六人がその後二週間で就職をされております。

 そういう状況でございます。

高橋(千)委員 今、失業給付が既に切れ始めて、そのうち二千百六十三名がまだ仕事が見つかっていないというようなことがあったかと思います。またこれは段階的に出てきて、三月、四月ということで新たな数が出てくるということがあると思います。

 延長をしないのかという議論が随分されてきたわけなんですけれども、そのときに厚労省は、やはり復興段階では、被災された皆様のそれぞれの希望を実現するためにも、働くことで収入を得られるようにすることが大事であるということを述べて、被災者の失業給付のこれ以上の延長給付を行わないと言っているわけです。

 しかし、それはあくまでも仕事があってのことであって、建前は立派だけれども、現実に仕事がない、つけないという実態があるということをやはり見なければならないし、そのための対策をやはり切れ目なくやっていかなければならないと思うんですね。

 そこで、まず伺いたいのは、再就職が難しい理由として、求職者と求人のミスマッチがよく指摘されているわけです。その原因を厚労省としてはどのように考えているんでしょうか。

小宮山国務大臣 これまでもハローワークを通じまして、昨年の四月から十二万人以上の就職に結びつけてきているわけですが、今委員も御指摘のように、先ほど古屋委員にもお答えをいたしましたけれども、やはり地元の主要な産業の復興が、その町の復興計画、市の復興計画がまだであるということから図られていない中で、安定的な雇用の求人が少ないということ、それからまた、建設業の求人が多いなど、特に女性の皆さんなどにはミスマッチがある、こういうことが、なかなかまだ結びついていない原因かと思います。

 これも繰り返しになりますけれども、「日本はひとつ」しごとプロジェクトで、最初は全てのものを仕事に結びつけるという復旧型のものをやってきました。そのことと、これから本当に地元の主な産業、それから、これからの新しい成長産業にもなるであろう福祉の関係、医療の関係、環境のことなどについても新しく仕事をつくろうということもやっていますけれども、全体の復興計画がまだしっかりできていない段階で、スタートをしていないということなどがございますが、何とか新しい仕事をつくり出し、一人一人に結びつけていく。

 特に、仕事に結びつきにくい高齢者、女性、障害をお持ちの方には、市町村のNPOなどにも委託できるようなモデル事業ということも活用して、そこは、精いっぱい仕事をつくり出し、結びつけるために、ハローワークも個別の対応などきめ細かにやっていくということだというふうに考えています。

高橋(千)委員 後の方はこれから少し議論していきますので、ちょっと最初の認識のところですね。

 私、これ、すごくこだわっているんですけれども、やはり何十年もこのミスマッチという言葉は使われてきていて、新卒者の仕事がない問題とか、あるいは定着が非常に悪いということにミスマッチということがよく使われて、どちらかというと仕事をしたいという人が選んでいるみたいな、そういうことで言われることが多いわけですね。また、一部には、求人を出しても来ない企業が、失業手当があるからなのではないか、そういうことを言っていることも報道されていますよね。それを、企業の気持ちは大変よくわかるんですけれども、そうだと言ってはいけないのだということを、ちょっと認識を一致させたいなと思うんです。

 十一日付の朝日新聞に載った調査で、震災後それまでの仕事がどうなったかに対して、震災前と同じと答えた方たち、岩手県が一番多くて四七%、宮城県が三一%、福島県は一六%にとどまっている。福島県は特別な事情があるので低いのは当然だと思うんですが。そしてさらに、震災前に比べて収入がどうなったかというのでは、三県合わせると、減ったのが四七%、なくなったのが一三%。つまり、六割が、減ったか、なくなったか、どちらかであると。その六割の人に、月額で幾ら減ったかというのに対して、一番多かった月額で二十万以上減っているというのが四割に近い数字であることに非常に驚いたわけですね。

 これはやはり今回の災害の特徴にもなるのではないか。つまり、一家の働き手を失ってしまって、ですから、お母さん一人で家計を担わなければならない事情ですとか、夫婦二人でようやっと暮らしていたけれども、共稼ぎでやっていたけれども、二人とも仕事を失ったとか、そういう事情があるわけですね。ですから、仕事があるだけましじゃないかとか、短期でも、あるいは失業保険よりも低いくらいでもいいじゃないかということは決して言えない事情があるんだということをまず押さえなきゃいけないと思うんです。

 また、三月十日付の河北新報では、例えば石巻市で、希望と求人が合致しない理由を、いろいろ調査を報道しています。

 例えば、今の水産加工などの、女性が多くかかわってきたところの再開を待っているというところが四・九%であるわけですけれども、本格的に仕事探しができない、余りにも災害が大き過ぎて、まだそういう環境の立て直し自体ができていないことが一六%ある。それから、そもそも仮設住宅が遠過ぎて、通勤のためのバスがないとか、車がないとか、あるいは保育所が定員いっぱいで子供が預けられないために、そもそも働くことができないとか、そういうさまざまな事情があるんだと。

 ですから、ミスマッチと簡単に言っちゃうんですけれども、そういう事情を踏まえなければ、そしてそこに対応しなければいけないということを、まず少し大臣の認識を確認したいと思います。

小宮山国務大臣 それは委員がおっしゃるとおりだというふうに思います。ですから、ハローワークなどでの仕事をつくるということだけではなくて、保育所の問題とか、全体のことを、これは省庁の壁を超えて、政府全体として取り組まなければいけない課題だと思っています。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 そこで、少し具体的な事業の話を伺いたいと思うんですが、第三次補正で求職者支援訓練に対しての規模拡大を一定図っているけれども、どういうところで雇用を見込もうとしている、つまり、訓練はどのようなことをやろうとしているのか、お願いします。

牧副大臣 具体的に申し上げれば、瓦れき処理などのための建設機械の運転に必要な技能や知識を習得する特別訓練コース、あるいは介護分野の訓練コースの設定に今取り組んでいるところであります。

高橋(千)委員 今、もう少し詳しくそれをお話ししてもらいたかったんですけれども、大体どのくらい考えていますか、雇用の人数とか。

牧副大臣 二十三年度補正予算で、求職者支援訓練で二万四千人の訓練定員を拡充、このうち、被災三県には六千人の訓練定員を配分、二十四年度予算案では、被災三県の訓練定員は、認定上限値、約三万五千人分を予定しております。

 他の道府県と比較して、新規求職者一人当たりで倍以上の訓練定員を確保する予定でございます。

高橋(千)委員 その訓練の制度、昨年の四月に求職者支援制度の議論をここでしましたよね。言ってみれば、訓練自体が十分ない中で、民間に委託をするので不十分な中身になっていますよねということを指摘いたしました。例えば、エステですとかネイルですとか、そうしたものも訓練の一つに位置づけられていて、しかし、訓練を終えたけれども雇用に結びつかないものもあるわけでと、そういう指摘をしましたよね。あるいは、求人に教員も出しているというふうなことを言ってきた。

 それで、私は、もう少しこうした訓練制度、つまり、生活保護と雇用保険の間をつなぐ形というのはもっと必要なんだろうと。拡充していこうという立場は一緒なんですけれども、そこにもっと公が絡むべきではないかということを考えているんです。

 それで、きょうは経済産業省にも来ていただいているので、ちょっとその議論をしてからもう一度厚労省に伺いますけれども、経済産業省が平成十八年から二十一年度に実施した高専等活用中小企業人材育成事業や二十年度第二次補正で今年度末までとしたものづくり分野の人材育成・確保事業、これらはどのような効果があったでしょうか。端的にお願いします。

中根大臣政務官 高橋先生にお答え申し上げます。

 経産省の施策についても御注目をいただきまして、ありがとうございます。

 先生御指摘の高専等活用中小企業人材育成事業は、中小企業ものづくり人材育成事業の一環として、三年間のモデル事業として、平成十八年から十八、十九、二十と行われ、二十一年度を成果普及に充てたということでございます。

 これは、その中の高専等活用中小企業人材育成事業ということでございますが、全国三十四地域において、高専等の設備や講師を活用した地域の中小企業若手技術者向けの講義、実習などを支援したということで、延べ約六千人が参加をし、改善等の意欲を持った人材の育成などにつながったと考えております。

 また、平成二十年度第二次補正予算で措置をした、これは基金事業で、全国中小企業団体中央会にその基金が置かれているものでありますが、ものづくり分野の人材育成・確保事業では、大学、企業等の設備、教員や企業技術者等の人材を活用した、地域中小企業のニーズを踏まえた座学、講義や現場実習を支援させていただきました。延べ約二百四十事業を実施、二万人を超える参加を得たところでございます。中小企業技術者のモチベーションの向上などにつながったと考えております。

 以上です。

高橋(千)委員 前段にまず紹介した事業、これはパンフレットもできておりまして、二種類あるんですけれども、工業高校等実践教育導入事業というのもございまして、私がさっき言った公の問題で、やはり高等技術専門学校、これの資源を活用して、人材を活用して中小企業の若手の技術者を育てていこうというところに着目をしたわけであります。

 受講者の満足度という調査があって、平成十八年には七四・八%、それから十九年八一・一%、二十年八〇・六%ということで、満足度も非常に高い。いいなと思うんですが、これは終わってしまった事業であるということなんですね。

 後の方の、ものづくり分野の人材育成・確保事業も二万人ということがありましたし、これは私は、中小企業の技術そのものが、講師になることも含めて、中小企業団体が実施機関ですので、非常に大事なのではないか。

 先ほど来議論されている、被災地でそういう復興の事業を担う人がいないんだ、技術ができていないんだということで、そういう意味でのミスマッチも起きているわけですよね。そういう意味で、こうした事業が終わってしまうのはむしろ残念なのではないか。モデル事業としてやったのに、本事業がないそうなんですね。やはり、ここを拡張あるいは延長という形で考えるべきではないかと思いますが、もう一言お願いいたします。

中根大臣政務官 ありがとうございます。

 ものづくり分野の人材育成・確保事業につきましては、これは先生御指摘のとおりでございますけれども、二十三年度までの基金として造成しており、東日本大震災後の技術人材の育成にも活用できることから、二十三年七月に公募を行わせていただきました。福島、岩手、宮城といった被災地五地域で約五百五十人の人材育成を含めて、全国で二十六事業を採択したところでございます。

 それで、これは二十三年度に終わってしまいますので、その代替のと言えるのか、そういう事業といたしまして、二十三年度の三次補正で十四・九億円を積ませていただきまして、これは、被災地におきましては、岩手県の中央会、宮城県、福島県の中小企業団体中央会も採択をさせていただいたところでございますけれども、地域の中小企業団体が地域の大学と連携して、学生と企業のマッチングから新入社員の採用、研修、定着までを一気通貫で行う取り組みを支援する事業を新たに実施いたしておるところでございます。

 こうした事業を通じて、被災地の方々を含めて、中小企業の物づくりや人材の確保、育成を支援してまいりたいと考えております。

 以上です。

高橋(千)委員 代替できる事業があるのだというお話だったかと思うんですけれども、そこで、私がこういう質問をなぜしたのかというのは、高等技専の問題、これまでも、減ってきましたねということをいつも指摘して、やはり公的職業訓練の大事さということを主張してきました。

 例えば、気仙沼に行ったときに、復興事業の担い手となるべき事業主の方が、雇いたいんだけれども技術訓練をする場所がないのだ、それで、お隣の一関ですとか北上の職業訓練センターに行っていると。そうすると、それが流出につながってしまうわけですね。ですから、地元に定着するために、なるべく身近なところでそういう職業訓練がやはり必要なんだという立場でやっていただきたい。

 そこで、今、中小企業庁の政策もある、厚労省としても成長分野等人材育成事業などということも考えているわけですけれども、厚労省と経産省がもっと連携して、そして、定着するという立場での、公がやはりしっかりかかわる職業訓練、こうしたことをやっていく必要があると思いますが、大臣の。

    〔長妻委員長代理退席、委員長着席〕

小宮山国務大臣 各省の連携という意味では、「日本はひとつ」しごとプロジェクトを各省連携してやっておりますので、そちらでの連携した取り組みということもあるかと思っています。

 おっしゃいましたように、やはり、日本の基幹産業の物づくり、これをしっかりと訓練する、その技能を訓練するためには、公的機関が関与する必要ということは、私もそういうふうに思います。

 このため、厚労省では、物づくり分野を中心に独立行政法人や都道府県が設置する公共職業能力開発施設、ここで公共職業訓練を実施していますが、被災地でもやはりこの部分にも力を入れる。言っていただいたような成長分野などについては、民間教育訓練機関等を活用するということもございますので、そこのところはそれぞれ役割が違いますので、おっしゃる公的機関での訓練ということにもしっかりと力を入れていきたいというふうに考えています。

高橋(千)委員 成長分野だけが前に出ますと、復興のこれから長い事業の中で、必須分野といいましょうか、それこそ住宅にかかわるあらゆる技術ですとか、そういう地に足のついた事業もやはり重要なわけで、その担い手を育てて、そして定着させていくということもあわせて必要なわけですから、成長イコール規制緩和などにだけ重点が置かれないようにということも含めて、公的職業訓練の大事さということを指摘させていただきました。よろしくお願いしたいと思います。

 終わります。

池田委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 現下の厳しい雇用情勢に対応して労働者の生活及び雇用の安定を図るための雇用保険法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案、長ったらしい、説明的な名前であります。要するに、前置きをつけて、三年間の暫定措置として認められた給付日数の延長や、雇用保険二事業への積立金の流用といいましょうか、借用といいましょうか、この延長を認めてもらいましょう、こういうものだというふうに言っていいと思います。

 しかし、そもそも、この雇用保険二事業についてなんですけれども、二〇一〇年の特別会計仕分けでは、雇用調整助成金を除き、これは特別会計の事業としては行わない、こういう結論が出されていたはずだというふうに思うんです。これについては一体どうなったのかということを思うんですけれども、どうなったんでしょうか。

小宮山国務大臣 御指摘の平成二十二年度の秋に行われました事業仕分け第三弾、ここの評価結果につきましては、雇用保険二事業には執行率の低さといった課題が存在することが明らかになった、このことを踏まえまして、今後は、必要性の低い事業は特別会計の事業としては行わないとされたものと受けとめています。

 平成二十三年度当初予算の編成に当たりましては、この評価結果を踏まえて、仕分けの対象となりました個別事業については、各事業ごとの評価結果を踏まえて見直しをいたしました。そのほかの事業については、必要性の低い事業を廃止するとともに、平成二十一年度の執行率が低い事業を中心に、直近の実績をもとにした所要額の見直しを行いました。

 これを徹底したことによりまして、雇用調整助成金を除いた予算額を平成二十二年度当初予算比で六百六十七億円削減しています。

 ここの部分だけでよろしいですか。二十四年度の部分も。よろしいですか。

 あと、もしよろしければ、さらに平成二十四年度の予算案では、昨年の秋行われました提言型政策仕分けの評価結果も踏まえて、雇用調整助成金や東日本大震災への雇用対策経費を除いた部分について、平成二十三年度当初予算比で、さらにおよそ三百八十七億円削減をしています。

 これは、失業等給付の抑制等の関係から重要な役割を雇用保険二事業は果たしていますので、仕分けの結果を十分に踏まえて、削減できることは削減した上で取り組んでいきたいというふうに考えています。

柿澤委員 これは、逆に言うと、この雇用保険二事業、雇用調整助成金を除き、特別会計の事業としては行わない、こういうすぱっとした見解があの仕分けでは出されているわけですけれども、無駄の排除はしつつ、雇用保険二事業については当分続行する、こういう判断を皆さんとしてはしていらっしゃる、こういう認識に立ってよろしいわけですね。

小宮山国務大臣 今申し上げましたように、無駄だと言われる、削減できる部分については削減をした上で、必要性のある部分については維持をしているということです。

柿澤委員 これについてはいろいろな経過があります。二〇一〇年の特会仕分けの結果が出たのがたしか十月の二十七日とかそんなころだったと思いますけれども、実はその翌日、すかさず連合から、一般会計の財源の当てがない中で、雇用保険二事業の原則廃止などけしからぬ、容認できない、こういう内容の連合の事務局長談話が出されています。

 翌年一月の特別会計の基本方針では、これについて、平成二十四年度以降も、雇用保険二事業を含め不断の見直しを行い、無駄を排除していくものとする、こう書かれてはいますが、現行制度に抜本的なメスを入れない、こういう内容に後退をしてしまった。これは、さかのぼってみると、自公政権時代のこの労働保険特会の見直し方針よりもさらに後退をしている、こういう内容になってしまっていると思います。

 そういう意味では、要するに、仕分けはやってみたけれども、しかし、支持団体からも非常に強いクレームもあったので、方針を撤回して、そして雇用保険二事業は継続することとなりました、こういうことではないんですか。お尋ね申し上げます。

小宮山国務大臣 いいえ、そういうことではないというふうに思っています。仕分け結果は真摯に受けとめた上で、政府全体としてさまざまな要素を総合的に勘案した上で、どのように実施するかを政府として決定しておりますので、それにのっとってやっているということです。

柿澤委員 これは、国民がこの審議も見ながら判断をすることだというふうにも思います。

 この雇用保険二事業、いわば火の車の状態だと思います。この雇用保険二事業が火の車だから、引き続き、積立金の流用、借用を認めてくれという、これはつまり、厚生労働省として、この積立金に相当な余裕がある、こういうふうに見ておられる、こういうことになるんではないですか。

 こう言うと恐らく大臣は否定をされるんでしょうけれども、これは数字でまず確認をしていきたいというふうに思うんです。

 先日の予算委員会でも取り上げましたけれども、労働保険特別会計雇用勘定の積立金、今や、二〇一〇年の決算ベースでいうと、五兆五千億、積立金残高と失業等給付費の倍率、いわゆる弾力倍率は三・五六倍になっているということであります。

 弾力倍率で結構ですので、弾力倍率は、五年前、十年前、一体どうだったのか、お伺いしたいと思います。

牧副大臣 五年前の弾力倍率は二・九八倍、十年前についてはマイナス〇・〇六倍という数字でございます。

柿澤委員 今申し上げたように、二〇一〇年度決算ベースで弾力倍率三・五六倍ということになっているわけですから、むしろ、積立金はどんどんどんどん失業等給付費に比べると積み上がってきている、こういうふうに言えるのではないかと思います。

 そういうふうに積み上がってきて、やはり余裕があるからこそ、この雇用保険二事業の財源に積立金を回す、こういう仕組みを続けても大丈夫だ、このように厚生労働省は判断をしているんだというふうに思うんですけれども、この点はそういう理解で間違いないか、できれば御答弁をいただければと思います。

牧副大臣 弾力倍率が改善しているという認識はもちろんあります、数字でよくなっているわけですから。ただ、それが直ちに余裕があるという判断ではないと私は思っております。

柿澤委員 そういう判断ではない、直ちに余裕があるという判断ではないと、改善をしているということは認識をした上でおっしゃったわけですけれども、まあ、そういうふうに厚生労働省は思っておられるんでしょう。

 本来、弾力倍率が二倍以上であった場合は、現在、原則一・四%である保険料率を〇・四%の範囲で引き下げることができるはずであります。

 雇用保険二事業へ七千八百億円も回している。これさえなければ、失業等給付と積立金残高の倍率は、震災があって給付費が大きくふえたはずの平成二十三年度ベースでも、ほぼ二倍の水準をキープしているんです。

 本来であれば、こういう状況であれば、雇用保険料の引き下げというのが議論されるべきである。提言型政策仕分けでもそのような議論があったというふうにも聞いているんですが、このような議論は行ったんですか。お伺いします。

牧副大臣 今委員おっしゃるように、厚生労働大臣の判断で一定の枠内で引き下げることができるという中で今回の状況を迎えているわけでありますけれども、昨年の法改正で保険料率設定の下限が下がったという状況の中で、今の財政状況や保険料の拠出者である労使を含めた審議会の意見も踏まえて、今後五年程度は制度の安定的運営が図られる水準として、現在の一・二%から一・〇%に下げたということでございます。

柿澤委員 先ほど来、労働保険特別会計雇用勘定への国庫負担のことが取り上げられております。本則で失業等給付費の二五%、現在暫定措置として一三・七五ということで国費がこの特別会計には入っているわけであります。つまりは、一般会計から税金を何千億円も投入して積立金を積み増している状態だ、こういうふうにも見えるわけであります。

 消費税増税を計画するような、一般会計のそれこそ火の車の財政状況の中で、牧副大臣もお認めになられるように、積立金の状況は改善をしているという状況にありながら、このような税金の投入を続けていく、こういうことになるんでしょうか。

 私は、今の一般会計の財政状況でいえば、積立金が不足をしているという、現状、直ちにそういうふうに言えるような状況ではないわけですから、国庫負担というのは停止なり凍結なりする、このことがむしろ妥当なのではないかというふうに思いますが、まず厚生労働省の見解をお伺いしたいと思います。

牧副大臣 財政が火の車なのかどうなのかということは後ほど財務省から聞いていただきたいと思うんですけれども、いずれにしても、雇用保険の国庫負担のそもそもの趣旨というのは、失業が政府の経済政策、雇用政策と関係が深くて、そして、政府もその責任の一端を担うべきとの考え方によるものでございます。このような観点から、積立金の残高に着目して国庫負担を廃止するという考え方は適当ではないと考えます。

 現在の国庫負担率は、御存じのように、保険法の改正によって本則の五五%とされておりますけれども、昨年の法改正時にも国庫負担の本則復帰に向けた検討が盛り込まれておりまして、この点からも、国庫負担を廃止すべきとの主張は適当でないと考えております。

柿澤委員 牧副大臣からも促されましたので、一般会計の財政状況が火の車かどうかについては財務副大臣に聞いてください、こういうことでありますから、この国庫負担、私から見ると、今の積立金の状況であれば、当面サスペンドしても差し支えない状況であるかのようにも見受けられるんですけれども、財務省の立場として、この点についてどのように考えているのか、お伺いします。

五十嵐副大臣 御指摘のように、国庫は火の車でございますが、一方で、雇用保険法上は、先ほど厚労省がお答えになったとおり、国の役割として一定の負担をするということで、できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止する、むしろ二五%に戻しなさいという法律上のたてつけに今なっております。

 一方で、今議員が御指摘のとおり、厳しい一般会計の財政状況がありますので、暫定措置を継続するということに今しているところでございます。

 一方でまた、余裕があるならば保険料率を下げるべきだという御意見が当然ありまして、一・二から一・〇%へ四月から下げるという措置もとっているところであります。

 いずれにしても、失業等給付に係る国庫負担の取り扱いについては、この雇用保険法の規定や一般会計の状況、労働保険特別会計の積立金の水準、これも含めて、過去も上げ下げをしてまいりましたけれども、毎年度の予算編成過程において今後も検討をしてまいります。

柿澤委員 そうすると、今の御答弁でいいますと、財務省としても、五十嵐副大臣としても、本則の二五%に戻す、つまりは、この特会にさらなる国庫負担を増額して投入していく、そういう方向性を是とする、こういう立場であるということでよろしいんでしょうか。

五十嵐副大臣 ですから、状況に応じて、積立金の水準、大体五年間程度安定するという見通しであれば、保険料率を下げる、あるいは国庫負担の暫定措置も入れさせていただいて国庫負担も少な目にさせていただくということを過去もとってきております。二〇%のとき、一四%のとき、二五%の本則どおりのとき、そして今は一三・七五%、こういう上げ下げを状況を見ながらさせていただいているので、今後とも、そういう柔軟な姿勢で見させていただくということでございます。

柿澤委員 私は、原則論からいっても、先ほどのような建前はあるのかもしれませんけれども、しかし、これは保険制度でありますから、保険料の収入というところで失業等給付が賄える、こういう状況である場合に、国庫負担の投入を自動的に制度によって確保するということが果たしてどこまで必要なのか、しかもこの財政状況の中で、こういうふうに思いますが、そうした問題意識は副大臣はお持ちでないんでしょうか。

五十嵐副大臣 当然、国庫も心配ですけれども、失業率もよく注意深く見ていかないと、急に悪くなることもございますから、これはセーフティーネットですので、そのときに備えてある程度の積立金の水準というのもやはり確保しておかなければいけない。そうした状況を見ながら判断をさせていただくということで、今回は、まず保険料率を一・二から一・〇に四月から下げさせていただく、その上で一三・七五%を維持させていただくという現在の判断だということでございます。

柿澤委員 だから、過去最大規模の失業等給付が行われるような状況が続いている中でも、雇用保険二事業が食ってしまっている部分を除けば五兆円以上の積立金が積み上がっている、これがまだ足りないというふうに思っておられるのかというふうにお伺いをしているんですけれども、この点の認識は残念ながら平行線のようであります。

 先日の予算委員会では、雇用保険のソルベンシーマージン比率について小宮山大臣から御答弁をいただきました。平成二十四年度予算の失業等給付に当てはめると二〇七%、金融庁は民間保険会社に二〇〇%以上ないといけないと言っているので、この積立金の規模は過大ではない、こういうことだったと思います。

 まず、そもそも財政破綻リスクが本質的にない国営の保険に同じ水準を適用すべきかどうかということについても議論が分かれるところだというふうに思いますが、いずれにしても、今まで問われてもなかなか明らかにしてこなかった雇用保険のソルベンシーマージン比率がこういう形で明らかになってきたわけであります。

 これが、保険数理の専門家、いわゆるアクチュアリーと言われるような人々の検証をどれだけ経たものかということを思うんです。私は、数字を現時点では聞かされただけですので、どういう計算式に基づいて、どういう仮定を置いてこの数字ができ上がったものかわからない。そして、私自身も専門家でないので、その計算式を見てもにわかには私はわかりません。そういう意味では、保険数理の専門家が複数の目からこの数字について検証、チェックを可能とするために、現時点で、平成二十四年度予算ベースで二〇七%だというこの数字の計算方法を詳細に公表すべきではないかというふうに思いますが、お尋ね申し上げます。

小宮山国務大臣 雇用保険のソルベンシーマージン比率につきましては、保険業法の第百三十条または保険業法施行規則の第八十六条、第八十七条などでその計算方法が定められています。

 今、公表すべきということでございますけれども、保険業法施行規則等に基づいて行っているこの計算方法について、その試算根拠については、さらに精査を図った上で、何らかの形で公表するということを検討したいというふうに思っています。

柿澤委員 精査を図った上で公表というのは、例えば平成二十四年度内ぐらいには実現をする、そういうふうにめどとして見ていいものなんでしょうか。

小宮山国務大臣 今ここで具体的にいつまでということはちょっと申し上げられませんけれども、なるべく早くやりたいというふうに思います。

柿澤委員 御答弁をいただきましたので、それを多として、質問は終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

池田委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 今回の法案は、雇用情勢が厳しい中で、解雇、倒産、雇いどめにより離職をし、再就職に困難がある人たちへの給付日数の延長、それから、雇いどめによる離職者に対する失業給付日数の拡充などの暫定措置を延長するものであり、それ自体は必要な措置であると考えます。

 しかし、もともと三年間の暫定措置を講じる間に、雇用情勢の改善、それからセーフティーネットの充実などを進めるとしていたわけで、この三年間を真摯に検証するとともに、二年間延長する中で、雇用の拡大、質の向上やミスマッチの解消のために実効性のある施策を展開する必要があります。

 この間、予算委員会で、総理、厚労大臣に、政権交代後も非正規労働者の比率がふえていると。政権交代の年の二〇〇九年、日比谷の派遣村もございました。それから生活再建ということも大きく叫ばれて、そういう国民の思いが政治の変革につながっていったというふうに思うわけですけれども、しかし、現実には、いまだなお非正規の労働者がふえ続けている、そういう状況にあるわけです。

 非正規労働者をいかに減らしていくのか、そういう質問の中で、厚労大臣あるいは津田政務官から、いろいろ対策が挙げられました。その中に、有期労働法制の見直しが非常に強調されていたわけですけれども、昨日の労働契約法の改正案の閣議決定が延長というか延期されたわけです。二月二十九日に労政審に法案要綱が諮問され、三月五日に答申が出される予定だったんですけれども、これも延長されているというふうに承知しているわけですが、法案提出の見通しがどうなるのか、何でおくれているのか、ちょっとその点についてお聞きをしたいと思います。

牧副大臣 服部委員御懸念の向きはよくわかります。

 この法案については、昨年末に、公労使で本当に御努力をいただいて、建議をまとめていただいたところであります。この中身について、何か蒸し返しがあるんじゃないかとか、そういう御懸念があるいはあるのかもしれませんけれども、そういうことではなくて、この建議を踏まえて要綱を出させていただきましたけれども、やはりこれは民と民の契約の話でございますので、一たび法律ができますと、契約者同士のあるいは訴訟になったりとか、そういう場面も想定する中で、条文について、やや微妙な部分での微調整が必要であるということで、いろいろなお話も出てきまして、その微調整もややこの辺で落ちつきつつあるところでございますので、若干日にちがおくれましたけれども、何とか年度内には法案を閣議決定して提出したいという希望でございます。

服部委員 懸念しているんじゃないかというわけですけれども、懸念をしているわけですね。今までさんざん、労使間も含めてここ数年にわたって議論をされてきたと思いますので、労働契約法の一部を改正する法律案の要綱というのがここにありますけれども、この中身が後退はしない、そういう厚生労働省の姿勢でいいのかということ、そのことをちょっともう一度改めてお聞きをいたします。

牧副大臣 この要綱の中身から一歩も後退することはございませんので、よろしくお願いいたします。

服部委員 それでは、雇いどめ法理の法制化、これはいわゆる解雇権の濫用に制限をしていくということだと思います。

 それから一方で、五年の期限で無期に、希望があれば転換をしていくということなわけですけれども、特に労働団体からは、五年という期限を前にして雇いどめの懸念等も出されているわけです。そういう意味で、この法律のまず中身をきちっと仕上げていただくということ、それから、それにどう実効性を持たせていくかということも非常に大きな課題になっていくと思います。

 施行後の検証の問題、あるいは制度の見直し、そういったことも含めて、実効性を持たせることのできる法律に仕上げていく、そういう観点での決意もあわせてちょっとお聞きをしておきたいと思います。

牧副大臣 委員御指摘のように、五年を手前にして雇いどめがふえるんじゃないかといったような懸念についても審議会でも議論をされたと聞いております。

 この点については、法律案要綱には、雇いどめ法理の法制化を盛り込むなど、今委員がお話しされたように、五年手前での雇いどめを抑制することに資する対応をあわせて講じております。また、昨年末の労政審の建議では、五年手前での雇いどめの抑制等のあり方について労使を含め十分に検討することとされていて、さらに効果的な対応を今後検討、実施していくことになると考えております。

 今回提案している無期化ルールが真に有期契約労働者の雇用の安定につながるように、今後とも努力してまいりたいと思います。

服部委員 ありがとうございました。

 この建議の中身で、五年というこの期間、これをどう見るかということなんですけれども、大臣、お隣の韓国で二月の二十三日に、二年間社内請負になっていた労働者は、これは二年以上勤務なら正規職だという最高裁の判決が出ているわけですね。お隣の韓国でも非正規労働者が非常にふえて、大変大きな問題になっています。

 この有期雇用で五年ということなんですけれども、海外で五年という長い期間を設定している国というのはそもそもあるんでしょうか。

牧副大臣 私どもの認識では、例えばドイツや韓国が二年、イギリスで四年などというふうになっておりますけれども、これらの国は、法令や労働協約により無期転換の適用除外や利用期間の延長が認められる制度となっている、そんなように認識をいたしております。

服部委員 これはまた、法案の審議のときに改めて議論をさせていただく必要があると思うんですけれども、私の思いとしては、やはり五年は長過ぎる、せめて三年ぐらいの形、韓国では、これはケースはまた違うかもしれませんけれども、二年間働けば事実上正規社員だという最高裁の判決もおりているわけですから、そういう点では、非正規労働者を減らすという意味においてもっと積極的な対応をお願いしたいと思うわけです。

 この法案のいわゆる入り口規制の問題、これが結果的にはなされておりません。原則、雇用は無期である、有期を設定する場合には例外措置を講じていくということがやはり原則だというふうに思うわけですけれども、非正規を減らすためにもこういったきちんとした入り口規制をしていくべきではないのか。そうでないと、かけ声はいろいろ言われるんですけれども、いざ法律をつくるときにはなかなかぴりっとした形になっていかないという印象があるわけですね。

 そういう意味で、これはまだ今からの法案の審議になるわけですけれども、こういった入り口規制をもっと強化すべし、そうでないと非正規労働者は本当の意味で減らないじゃないか、そういう点で、大臣の所見をぜひお伺いしたいと思います。

牧副大臣 確かに、その入り口規制についての議論というのも労政審でかなり活発になされたというふうに聞いております。

 ただ、最終的に、この労働契約を利用できる合理的な理由に当たるか否かをめぐる紛争が多発するんじゃないかという懸念が一方であり、また、雇用機会そのものが減少してしまうんじゃないかという懸念もございますので、今直ちに入り口規制というのは、ちょっと控えた方がいいんじゃないかなと。最終的な、ぎりぎりの判断でございます。

服部委員 入り口規制は控えた方がいいという判断に厚生労働省としては立っておられるという答弁ですか、今のは。

牧副大臣 入り口規制をすることによって、結果として雇用の機会が減少してしまうんじゃないか、そういう懸念はありますので、最終的には、入り口規制は今回は盛り込まれないという判断でございます。

服部委員 いろいろな法律が妥協の産物として出てこざるを得ないという点はまあ理解したとして、やはり政治の方向性として、非正規労働者を減らしていく、だから基本的に無期が原則であると。ですから、基本的にはやはり入り口規制をやっていかないとだめだと私は思いますけれども、ちょっとこの点については大臣に御見解をお願いいたします。

小宮山国務大臣 そういうお考えがあることは十分承知をしておりますが、今の経済状況とか現実的なことを考えたところで、一歩ということをいつも私申し上げさせていただいているんですけれども、一歩前進という形で今回の形をとったということを御理解いただきたいと思います。

服部委員 いや、一歩前進はいいんですけれども、そうじゃなくて、私がお聞きしているのは、入り口規制だとかそういったことをやはりきちっとしていく方向性をお聞きしているわけです、方向性を。

 今回出されるであろう法案の中身にそういったことが規定されなかった。それはいろいろ議論の経過もあるでしょう。しかし、本当は大臣、もっとここは自分はやりたかった、しかし、結果として、妥協の産物としてこうなったということなのか、もう最初から入り口規制については大臣としてもそういうお考えはないということなのか、どちらですか。

小宮山国務大臣 私の意見というのは、厚生労働省をお預かりしております今の立場でございますので、提出させていただく法案で御審議をいただきたいということでございます。

服部委員 では、一政治家、小宮山衆議院議員としての個人の思いはいかがなんでしょうか。

小宮山国務大臣 今、ここの、この委員会では、私は大臣として座っておりますので、個人的な意見を申し上げる立場にはございません。

服部委員 先日、派遣法改正案が通過をしました。製造業の派遣あるいは登録型派遣の禁止が削除されるなど、我々社民党的には、もう全くの骨抜きだというふうに考えているわけです。

 しかし、この件については、また今後議論をするという仕切りになっているわけですけれども、これもちょっと大臣に同じような意味でお聞きしたいんですけれども、この製造業派遣とか登録型派遣を将来的に禁止しなければならないという、この価値観は共有しているというふうに思っていいんでしょうか、大臣。

小宮山国務大臣 これは、労働者派遣法改正案を提出してから六度の継続審議となっている中で、民主、自民、公明三党の御提案によって修正が行われて、今回、政府案に盛り込まれている保護規定の多くも含んだものとして、これもまた同じお答えで申しわけありませんが、前進をしたということで、これで審議をお願いするということでございます。

 繰り返しになりますが、私は今、厚生労働省をお預かりする立場でここの委員会の席に座っておりますので、個人的見解を申し上げる立場にはないということです。

服部委員 しかし、将来的に、では、これは検討を今からされるわけですけれども、政府としては、改めて禁止を提案される方向で検討されるんですか。

小宮山国務大臣 これは、改正法施行後一年経過後をめどに、労働政策審議会で議論を開始していただくことになっています。なっていますというか、そういう考え方を持っています。

 これまでの労働政策審議会での議論、派遣労働者の保護の状況、そのときの雇用状況ですとか経済状況、これを勘案しながら、そこで一から議論をしていただくというふうに考えています。

服部委員 議論をお聞きしていますと、厚労省としてどういう方向に持っていきたいのか、方向性がどうもちょっとお聞きすることができませんでした。

 先日、野田総理と、非正規をやはり減らしていかないといけないんじゃないか、その決意をお聞きしたいというふうに野田総理に言ったときに、非正規がふえるということは社会的な影響は極めて大きい、ですから、非正規の割合が減っていく努力を、これは政府も、企業にも御理解をいただいてその努力をしていくということはどうしてもやらなければいけないことで、認識は一致をしております、そういう答弁をいただいているわけですね。

 ですから、そういう意味においては、先ほどの入り口規制の件もしかり、あるいは今の派遣法の問題ですね、製造業、登録型派遣をもともと禁止しようということで三党でつくったわけですよね、古い三党で。民主、社民、国新の三党でつくったわけでしょう。ですから、それは一つの政府の方針として一旦示されたわけじゃないですか。

 それが修正になってこうなったというのはわかりますけれども、しかし、それはあくまで、国としては、あるいは小宮山大臣としても、その方向は間違いないんだ、そういう決意を聞かせていただけるものだというふうに私は思っていたんですけれども、ちょっとしつこいですけれども、もう一回、その決意をお聞きしたいと思います。

小宮山国務大臣 それは、非正規労働者を少しでも減らしたいという思いはしっかりと持っております。ただ、現実のいろいろな状況の中で、これは政労使で御協議をいただいてこういう形になったということと、国会が今のようなねじれの状況にある中で、少しでも前進をさせたいということで今回こういう形をとったというものでございます。

服部委員 派遣法しかり、あるいは労働契約法の今議論されているものもしかり、そういう立場からすると極めて不十分であるということを申し上げておきたいと思います。

 実は、一月三十日に、厚労省の職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループが報告書をまとめられました。職場でのいじめ、嫌がらせ、あるいはパワハラが非常にふえて深刻な問題になっているわけですけれども、政府としてはこれは初めての報告書だというふうなことでございます。

 まず、厚労省として、この報告書をどういうふうに受けとめておられるのか。あるいは、実際には労働基準監督署などの窓口で対応をどうされていくのか。もっと強化をする、人材の育成をしていく、そういったことを含めて取り組みが必要だというふうに思いますけれども、その点についてお聞きをいたします。

小宮山国務大臣 セクシュアルハラスメントについてもいろいろ取り組んでいますが、パワーハラスメントというのは何がそれに当たるかという認識も足りないということから、今回、こういう会議をつくりまして、職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議、この予防とか解決に向けました提言をあす、三月十五日に取りまとめていただく予定にしています。

 これについては、今御指摘があったように、都道府県労働局とか労働基準監督署などに総合労働相談コーナーを設けていまして、今もそこの相談の一六%がいじめとか嫌がらせに関する相談です。

 ですから、こういうところで相談ができるという周知を含めて、そこの人員の養成、強化ということもいたしますし、そういう形で対応をしっかりとしていきたいというふうに考えています。

服部委員 今の御答弁は、ハローワークのいわゆる相談窓口の強化、そういったこともやっていく、そういう御答弁だったという理解でよろしいわけですね。

小宮山国務大臣 労働基準監督署とか労働局の中で、人員をどれだけふやせるかということはちょっとお約束しかねますけれども、体制を強化するというのは、そこのそういう職員の意識をちゃんと高めるということですとか、あるいは専門家に加わっていただくとか、いろいろな形があるかと思いますので、特にこれは企業などのトップの考え方、メッセージということが大事だと思っていますので、いろいろな形の取り組みをしていきたいというふうに思っています。

服部委員 質問を終わります。ありがとうございました。

池田委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 民主党の初鹿明博です。

 久しぶりにこの厚生労働委員会で質問させていただきます。

 きょうは雇用保険法の一部改正についての質疑ですが、その前に、幾つか、最近話題になっていることで気になることについて御質問させていただきます。

 まず最初は、脱法ハーブについて質問させていただきます。

 脱法ハーブというのは、麻薬や指定薬物の成分を少し変えて、化学式がちょっと違うということで法の規制から逃れている、そういう薬物もどきをまぜた植物片を店頭ではお香と言って販売していて、実際にはみんなそれをマリファナのように吸うんですけれども、店ではお香だと言い張って売っている、それで規制の目をかいくぐっているというものなんですね。新しい指定薬物に指定をされると、すぐに今度は新商品を出してまた逃れていくということで、イタチごっこが繰り返されていて、なかなか取り締まるのに苦慮をしているというものです。

 二月の六日に名古屋で、脱法ハーブを使ったという方が暴れ出して亡くなるという事件がありました。それを受けて、都道府県で、販売をしているお店を調査していったところ、大変なことがわかったんですよ。

 皆さんに資料をお配りしていますが、ごらんになってください。「麻薬成分の入った違法ドラッグ販売」、つまり、店頭に並んでいた商品が、合法だと言って売られていたんだけれども、調べてみたら麻薬の成分がしっかり入っていたということなんですね。店の側からすると、いやいや、これは合法なものしか扱わないと言って輸入しているので、私たちは知りません、知らないで売ってしまったと言って、店の取り締まりまではいかなかったんですが、商品の回収をしたということなんです。

 まず最初にお伺いしたいのは、厚生労働省として、こういう怪しげなハーブを販売している、そういう店舗をしっかり把握されているんでしょうか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、脱法ハーブであるとか言われるもの、これは違法のドラッグでございますけれども、精神が一時的に高揚した状態をつくり出すというふうなことを目的にして、名称上は、香りを楽しめるハーブですとかお香ですとかいうふうなことを称して、特に大都市部の繁華街等でこういうふうなものを売っておる店舗、あるいはインターネット販売をしておるもの、こういうものがふえてきておるということを指摘されております。

 私どもとしても、健康被害の生じるおそれがある、それから、麻薬等の使用につながってしまうおそれがあるというようなことで、この段階からしっかり監視をし、取り締まりをやっていく必要があると思っております。

 法律の上では、前回、薬事法の改正をいただきまして、それに基づいて、十九年の春からは指定薬物という分類を新たに設けております。精神毒性があって、保健衛生上の危害を生じるおそれがあるものについて指定をしまして、製造、販売、輸入等を取り締まっていくものもありますが、これに限らず、違法ドラッグ全体につきまして、今、都道府県の方からも、そういう地域を監視して報告をしてもらいたいということで、この一月も、確認をしましたところ、全国で、インターネット販売等も含めてですが、二百十二店舗において販売をされているということが報告をされているところでもございます。

初鹿委員 私もネットで合法ハーブで検索をしましたら、たくさん出てくるんですけれども、中にはすごいページもあって、大阪千日前にグランドオープンなんて広告まで出しているところがあるわけですよ。それで、そこは堂々と、実は違法な薬物まで売っていた。これは大問題だと思うんですよね。やはりここは厳しく調べていき、取り締まりをしていかなければいけないと思うんです。

 先ほども言いましたけれども、そうはいっても、指定薬物で指定をすると、すぐにその成分をちょっと変えて新しいものを出すということで、今、第五世代とか第六世代のものが出回っているということなんです。本当にイタチごっこなんですね。ただ、やはりできる限り指定をしていって、指定をされたということになると、すぐに店頭から消えていくんですよ。今回も、この麻薬の成分が入っているという商品が出たら、インターネットでもすぐにその商品が削除されるようになっていって売らなくなる。やはりこういうことを繰り返していく必要があるんだと思うんですね。

 あともう一つ、こんなことがありました。一昨日の新聞に出ていたんですが、「「脱法ドラッグ」をコカインと誤鑑定 警視庁、男性を誤認逮捕」、そういう見出しなんですけれども、暴れている男性がいて、現場に警察官が駆けつけて、ポケットの中から白い粉が入ったプラスチックのケースが出てきた、簡易鑑定をしたらコカインの陽性の反応が出た、逮捕してみて、その成分をきちんと鑑定したら、実はぎりぎり化学成分が違っていて麻薬には当てはまらなかったということで誤認逮捕ということになったんですが、これはちょっと警察からすると気の毒ですよね。

 こうやって、ちょっと成分を変えただけでも逃れられてしまう。特に麻薬の場合は所持や使用が禁止されていますが、指定薬物は所持や使用は禁止していなくて、販売とか製造とか輸入ですか、貿易などが禁止をされているだけなんです。

 ですから、まず指定薬物の中で明らかに精神毒性があるものは直ちに麻薬に指定をしていく、そして所持や使用も禁止をする。そして、指定薬物から逃れている新たな商品は、直ちに指定薬物に指定をしていって、販売ルートから消していくということを徹底する必要があると思うんですよ。

 現在も指定薬物の指定を行っておりますけれども、これは年に二回ですよね。これをもっともっと早くやらないと、どんどん新しい商品が出ているわけですから、追いつかなくなると思いますので、これを迅速にやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

藤田大臣政務官 違法薬物の取り締まりに関しては、今委員が御指摘になられましたように、迅速にしっかりやらなければいけない、このように認識をしております。

 その上で、これもよく御存じのとおりと思いますけれども、現在、麻薬については、身体や精神に対する有害性や依存性が極めて強くて、その乱用による弊害が著しいものであるために、輸入や販売だけでなく、個人の所持、使用までも原則禁止するという厳しい規制がかかっているわけでございます。

 指定薬物についても、平成十九年に三物質を麻薬に指定いたしましたけれども、これからも、麻薬と同じ有害性や乱用のおそれがあるものについては速やかに麻薬として指定していきたい、このように考えております。

 そして、薬物の指定についても迅速にという今御指摘もいただきました。現在、国や都道府県が実施する違法ドラッグの買い上げ調査などを通じて、国内で流通が確認された物質について、中枢神経等への影響などが実験データ等に基づいて判明しているものについて、これまで六十八物質を指定してきているわけでございます。

 今後、薬事・食品衛生審議会指定薬物部会の開催頻度というものをふやしながら、逐次対応できるような体制を整えて、指定薬物の指定というものを迅速に行うための方策についても検討してまいりたい、このように考えております。

初鹿委員 指定を迅速にするということは重要だと思うんですが、先ほどの新聞の記事でもあるように、指定をしたとしても店で販売をされ続けていたら意味がないわけで、やはり店にきちんと立ち入って調査をしていくというのは非常に重要なんだと思うんですね。

 そこで、店への立ち入りとなると都道府県の薬務部局の薬事監視員の方が行うようになっているわけですけれども、薬物の問題に詳しい小森弁護士にお話を伺いましたが、やはり薬事監視員の方からすると、店に入って、怪しいものを売っているというところ、背景にもしかしたら暴力団がいるんじゃないかとか、ちょっと怖いなというところがあって、なかなかきつく出ていけない。販売の仕方も、これはお香なんですよと言って売っているわけで、吸飲はしないでくださいとここにも書いていますと言い張るんですね。目の前にパイプでも一緒に売っていてくれれば、いや、これはパイプも売っているから怪しいんじゃないのと言うことはできるんでしょうが、なかなかその辺は巧妙にやっているわけでありまして、薬事監視員も困っているという状況なんですね。ですから、やはりここは警察と一緒になって入っていくということが重要かなというふうに思います。

 それと、先ほども言いましたが、輸入をしてきて、自分たちは合法だと思って売っていますと言い張るんですね。でも、これはお香だと言っても、実際には吸飲をするのを本当は知りながら売っているわけですよ。仮に知っていたとなれば、これは薬事法上の未承認薬の販売をしているということになるわけですから、それで取り締まりをすることもできるはずなんです。ですから、販売店員が言い張ったとしても、明らかにこれは吸飲目的だということを認識しながら販売をしているなら、それはもう未必の故意があるということで、徹底的に取り締まりを行ってもらいたいと思うんですね。

 まずは薬事監視員と警察が連携をするということと、販売店に対する取り締まりをもっと厳しくしていくということについて、お考えをお聞かせください。

栗生政府参考人 委員御指摘のとおり、近年、ハーブでありますとか合法ドラッグなどと称して物品を販売する店舗が増加しております。このような物品の中には、実際に法律で販売が規制されていたり、麻薬や薬事法上の指定薬物を含むものもございます。

 御指摘のとおり、都道府県薬務当局と警察が連携していくということは大事なことだと思っておりますし、そのように努めているところであります。

 今後とも、厚生労働省そして都道府県と連携いたしまして、店舗に対する立ち入りの支援でありますとか、立ち寄りだとか、こういった方法によってまず実態把握をして、そして指導して、麻薬や指定薬物に該当する物品である場合にはその店舗を取り締まってまいりたい、こう考えております。

初鹿委員 ぜひ厳しく取り締まりを行っていただきたいと思います。

 ただ、売る側がなぜいるかといったら、買う人がいるからなんだと思うんですよ。やはり、合法ハーブといえども、これは体に有害なんだということをきちんと啓発していって、使う人もいなくなるようにしていくということが重要なんだと思うんですね。

 特に若い方がここに手を出していって、結果としてだんだんとドラッグにはまっていくというようなことも想定ができるわけですし、先ほどの小森弁護士がおっしゃっていましたが、これは依存の問題じゃないんだ、合法ドラッグ、脱法ドラッグで問題なのは急性中毒を起こす可能性があるんだというんですね。つまり、特定の麻薬の物質に対していろいろな成分を入れていくわけですから、何が何だかわからなくなっているような状態のものなわけですよ。

 三枚目に宝島という雑誌の記事を載せましたが、「合法ハーブは本当に安全か!?」「イリーガルよりも恐ろしい危険とは?」と書いてありますが、この記事を読んでいただければわかるとおり、仮に精神毒性は低いとしても、体に対しての毒性というのはもしかしたらはるかに高いのかもしれない。何が入っているかわからない、そんなものをやはり口にしては絶対にいけないということをきちんと啓発していただきたいなと思います。

 それと、合法だとか脱法だとかということをマスコミの方はよく使うんですが、これはもう薬事法上からいえば違法なわけですから、この合法ハーブとか脱法ハーブとかいう言葉は使わせないで、厚労省は以前から違法ドラッグという言い方をしていますが、あくまでも違法なんだということを徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 委員にはいつも、日ごろから薬物乱用防止、御活動いただいて、感謝申し上げます。

 御指摘のところ、本当にそうだと思います。ですから、違法であるということを、これは厚労省だけではなくて政府全体で認識をして、やはり、それを使ったことが薬物中毒のきっかけになるということもあるかと思いますので、その危険性とか健康被害についてしっかりと周知啓発活動を行っていきたいと思います。

 二十四年度予算案で、違法ドラッグの危険性、健康被害の情報などを一元的に集約して国民の皆様への情報提供、啓発を行うホームページを開設することを予定しています。

 若い人本人だけではなくて、学校とか地域を含めた社会全体にこうしたことをしっかりと伝えられるように努力をしていきたいというふうに思います。

初鹿委員 では、本題に入ります。雇用保険法の一部改正に入ります。

 この法律の内容については、これまで行ってきた暫定措置を二年間延長するというものでありますので、これは、今の経済状況を考えれば、やむを得ないし、やらなければならないことだと思うんですね。しかし、本来ならば、個別延長給付をしないで済むように、きちんと就労支援を行って就職につないでいくということが重要なのではないかなというふうに思うんです。

 失業期間が長くなれば長くなるほど、本人の精神的なプレッシャーも大きいと思いますし、また、就労意欲が低下してしまうということも考えられます。また、長くなれば、全ての人がそうだとは言いませんけれども、中には、もらえるものは最後までもらおうかなという意識になって、ぎりぎりまで本気で仕事を見つけようとしないということも生じかねないんじゃないかなというふうに思うんですね。

 今回、この暫定措置の対象になる労働者の属性を見てみますと、有期の労働で働いていて雇いどめに遭ったという方が一つ対象になっておりますよね。こういう方の場合、有期で、ある程度の期間働いていたとしても、職業スキルという面では十分に身についていないケースが多いんだと思うんですよ。そういう方が、いざ仕事を探そうといっても、やはりなかなか見つからない。これは、窓口に来た瞬間で、ある程度想定できるんじゃないかと思うんですね。また一方で、高齢の方々もいると思いますが、五十代を過ぎているような方、これはもう今の雇用状況からいえば、就職を見つけるというのはなかなか難しい。これも明らかに、窓口に来た段階でわかるわけですよ。

 今、ハローワークに行くと、情報化が進んでいるので、たくさんパソコンの端末が並んでいて、自分で求人票を探せますよね。でも、自分で探していると、どうしても自分の今の置かれている状況というのを客観的になかなか見られなくて、今までの自分の働いていた業種にこだわってしまったり、また給料水準にこだわってしまったり、自分の能力がないにもかかわらずそういう仕事を選んだりとか、ミスマッチが起きてなかなか見つからないんだと思うんです。

 やはり、ここは丁寧に、担当者を一人つけて、本当にきめ細やかな支援をしていくということが重要なんだと思います。それも、通常の期間が切れて個別延長給付が始まってから慌ててやるのではなくて、延長しないで済むように、できるだけ早い段階、本当は行った段階からだと思うんですが、担当者をつけて、職業のスキルが足りない方は職業訓練をあっせんするとか、高齢者の方で今までの業種にこだわりを持っている方については、こういう業種に変わらないとなかなか仕事を見つけるのは難しいですよとか、そういうことを、その人その人の個々の状況に応じて相談に乗って、支援をしていくということが重要だと思うのですが、いかがでしょうか。

牧副大臣 本題に入っていただいて、ありがとうございます。

 それぞれの人間が、仕事を通じて自己実現を図り、そして幸福を追求するという、本来あるべき姿を求めなきゃいけないという認識は、委員と共有するものでございます。そういう中で、ただいたずらに給付を延長するということではなくて、おっしゃるように、よりきめ細やかなハローワークにおける就業に向けての支援というものが必要であると考えております。

 早期の再就職の意欲が高い方や就職する上で課題を有する方に対しては、担当者制によるきめ細やかな職業相談、就職可能性を高める上で職業訓練の受講が必要な方に対しては、キャリアコンサルティングを実施し、本人の適性や能力を踏まえた職業訓練をあっせんするなど、一人一人の状況に応じた支援を行ってまいりたいと思います。

 こうした支援の徹底に努めて、できる限り個別延長給付の延長をすることなく、再就職できるような体制をつくるために全力を挙げてまいりたいと思っております。

初鹿委員 ありがとうございます。

 ぜひ、しっかり取り組んでいただきたいと思うんですが、ここで問題になってくるのは、個々に担当者をつけていくということになると、やはりハローワークの人手不足が深刻だということに行き当たるんだと思うんですね。

 現状でも、ハローワークに行くと、本当に人も多くて、職員の方もあっぷあっぷですよね。これは、やはり人員を、今、公務員の数をふやすということにはなかなか批判も多いわけですけれども、国民のサービスに直結するところはきちんと人を置いていくというのは必要なんだと思うんですよ。

 ハローワークを見ていると、働いている人が非正規の方が多いというのも、やはりこれは問題じゃないかなと思います。非正規ではなくて、やはり正規の職員をきちんと増員していって就労支援を正確にきっちりと行っていくということにこれから取り組んでいただきたいと思いますが、この人員の増員についてどのようにお考えか、お聞かせください。

牧副大臣 おっしゃるように、ハローワークの正規職員数については、長期的には減少しているという状況であります。

 現在の厳しい雇用情勢等を踏まえると、体制強化を図ることは重要だと考えておりますので、その点は、数の上でどうだこうだということは今ちょっと申し上げられませんけれども、雇用情勢に応じた体制をきちっとつくり上げていきたいと思っております。

初鹿委員 やはり、現場のサービスにかかわる部分の人員をふやすことに対しては国民も決して反対はしないと思いますので、来年度以降、ここはしっかりと取り組んでいただきますようにお願いをいたします。

 最後に、また別の話題に移らせていただきますが、皆さん、不育症というのを御存じですか。ことしの一月から、不育症の治療に有効だというヘパリンカルシウムの自己注射が保険適用になったということで、非常にこれは関係者の方、当事者の方にとっては喜ばしいことだというふうに評価をいたします。

 不育症というのは、妊娠はするけれども、二回以上、流産、死産、もしくは生後一週間以内に死亡する早期新生児死亡によって子を得られない場合、死産、早期新生児死亡を繰り返す場合を不育症と定義していて、ある特定の病気が不育症ということではないというふうに言われています。

 実は、この不育症については、私が都議会議員の一期目のときの平成十六年に質問をしているんですよ。もう七年前なんですね。そのときは、定義も曖昧だったし、本当に一般的に知られていなくて、産婦人科の先生も認識のない方が多くいたりして、まずは普及啓発しなきゃということで、東京都に、不育症を知っていますかというポスターをつくらせて、都内の産婦人科に張ってもらうということをしました。

 それから七年たって、やっと国が動いていただいたなという印象なんですけれども、そうはいっても、やはり七年前から今を比べても、余り変わらず、不育症についての認識というのが、特に妊娠をしたばかりのお母さんたちには届いていないんじゃないかと思いますので、この普及啓発というものは非常に重要だなというのと、あと、正確な情報をきちんと伝えることだと思うんですね。何度も流産を繰り返しているからといって、必ずしもこのいわゆる不育症に該当するわけではありませんし、きちんと次に妊娠すればちゃんと子供が生まれる場合もあるし、治療しないと毎回同じ繰り返しになる場合もあるということで、この辺、きちんとやらなければいけないと思います。医学的なことは産婦人科医の仁木先生の方が詳しいと思いますので、あとは聞いていただきたいんですが。

 あと、もう一つ問題なのは、やはり何度も流産を繰り返している方々の心の問題なんですね。非常に精神的にきついと。不妊症の方からすると、妊娠するだけいいじゃないかみたいなことは言われたりするらしいんですが、やはり、一回妊娠して子供が授かったと喜んでいたのに、それがだめだったとなる、この落差は非常に大きくて、精神的な相談というのがこの不育症を支援している団体のところにも多くあるということですので、ぜひ、そういう相談窓口、特に、やはり心理的なケアができる心理職を置いた相談の場所というものをきっちりつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

藤田大臣政務官 不育症について、東京都のお取り組みなども御紹介いただきましたけれども、正確な情報を提供していくということが極めて重要だというふうに認識をいたしています。

 このために、二十四年度予算案でも、各都道府県で不育症の方々の悩みに対応するとともに、正確な情報を提供する相談体制の充実を図る事業というものを予定しております。

 その際、相談対応に当たる者としては、都道府県の実情に応じて、医師、保健師、あるいは心理職等を配置するということも予定をいたしているところでございます。

 また、この相談事業のために、平成二十三年度厚生労働科学研究で、不育症の方々の精神的な面への配慮の重要性、そしてまた相談対応のポイント、こうしたことに関するマニュアルを作成して、関係自治体に配付をしていく予定でございます。

 引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思います。

初鹿委員 もう時間がないので、最後に一つ。

 最後、この資料で、自治体の助成が広がっているという記事を載せましたが、保険適用になったとしても自己負担があるわけで、私は、公費助成をぜひしていただきたいなと思います。この辺は、多分、そうではないとおっしゃると思いますので、これは意見として言わせていただいて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

池田委員長 次に、工藤仁美さん。

工藤委員 民主党の工藤仁美でございます。

 私、昨年の一月の国会からこの厚生労働委員会に入れていただきまして、第一回目の質問を三月二日にさせていただきました。そのとき、残念ながら、野党の委員の皆さん御欠席でしたので、どうぞよろしくお願いいたします。

 その直後の十一日、東日本大震災、そして福島原発の大事故が起こりました。昨日は、その震災から一周年の追悼式もとり行われております。

 小宮山大臣におかれましては、御就任以来、被災地の皆さんの生活再建のために、とりわけ雇用や労働の課題について精力的に取り組んでこられましたけれども、震災一周年を迎えて、改めて、被災地の皆さんの、特に雇用や労働の課題について、御決意を伺いたいと思います。

小宮山国務大臣 被災地の雇用につきましては、ちょうど震災当時、労働担当の副大臣もしていましたので、日本全体が一つになって被災地に雇用をつくり出して一人一人の就労に結びつけようということで、「日本はひとつ」しごとプロジェクトという形で立ち上げさせていただきました。

 当初は、何でも仕事になるようにということで応援をしてきたんですが、先ほどから申し上げているように、これから復興の段階に入って、生活再建の柱がやはり仕事ですので、何としても仕事をつくり出して一人一人の雇用に結びつけたいと思っています。

 それで、計画をつくり、予算も早目につけたかと思っているんですけれども、なかなか現状でお一人お一人の雇用、就労にまだ結びついていない。そういう中で、フェーズ3で、産業と一体になったものと、あとは、特に就労しにくい高齢者、障害者、女性の皆さんなどのモデル事業という形で、市町村がNPOや企業とも連携できるような仕組みもつくっております。

 その仕組みをつくることと、一人一人に結びつけるためには、やはりハローワークなどできめ細かに担当者制をとるとか、情報をどうやって伝えるかということもさらに工夫が必要だと思っていますので、これからお一人でも多くの方の仕事に結びつくように、さらに努力をしていきたいというふうに考えています。

工藤委員 ありがとうございました。

 私も、大臣とともに、被災地におきましてもディーセントワークの実現のためにともに頑張りたいという決意を述べさせていただきます。

 では、きょうの議題であります法案の質問に入りたいと思います。

 雇用保険法改正案及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案ですけれども、この内容を見ますと、いずれも、現在の経済状況そして雇用失業情勢に照らして、改正の必要性は相当高いと考えますので、ぜひともこれは成立をさせていかなければいけないというふうに思います。

 その上で、雇用保険制度における有期契約労働者の雇いどめの扱いなど、今後検討を要するべきと私が考えております点について意見を述べさせていただき、質問をさせていただきたいというふうに思います。

 お手元に資料をお配りいたしましたので、ごらんいただければ幸いでございます。

 まず第一点目ですけれども、現在の雇用保険制度は大変複雑になっております。特に、有期契約労働者の雇いどめの扱いがこのままでいいのかという点について述べたいと思います。

 A3判の大きな方の資料をごらんいただきたいんですけれども、左側に被保険者の種類、1の一般求職者給付から4の日雇労働求職者給付まで、これが被保険者の種類なんですけれども、その中で、私がきょう取り上げたい有期契約労働者というのは、1の一般求職者給付の(イ)の自己都合離職者の表の下の米印のところに「有期労働契約が更新されなかったこと等による離職者(特定理由離職者)」とありますけれども、有期契約労働者が雇いどめによる離職をした場合は、この1の(イ)の自己都合離職者のカテゴリーに入るんです。しかし、これが前回の二十一年の雇用保険法改正で、三年間の暫定措置として、(ア)の特定受給資格者と同様の取り扱いをされることになっており、今回の改正案は、これをさらに二年間延長しようとするものでございます。

 それで、一方、二枚つづりのホチキスどめの方の資料をごらんいただきたいんですけれども、これは特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要の説明なんですが、これは厚生労働省のホームページを印刷したものでございます。

 これの一枚目の特定受給資格者の範囲、この下の方に(7)と(8)がありまして、これが有期契約労働者が雇いどめされた場合の二つのケースでございます。そして、(7)と(8)の場合は特定受給資格者、すなわち倒産、解雇による離職者に分類をされます。

 同じように有期契約で働いていて、同じように雇いどめによって失業しても、それぞれの状況によって、特定受給資格者になる場合と特定理由離職者になる場合がありまして、しかし、この二つの受給資格の範囲というものは給付日数において大きく差があります。それは、お配りしたA3判の大きな方の資料の左側の一覧表を見ていただければわかると思うんですけれども、受給日数において非常に大きく差があります。

 それで、特定受給資格者といいますのは、前回の雇用保険法の改正、それから今回の改正にかかわらず、いわゆる解雇をされた労働者と同じ取り扱いをされ、給付日数がもともと手厚くなっております。

 しかし、特定理由離職者に分類された有期労働者は、仮に今回の改正案が成立したとしても、二年後に延長など何らかの措置がなければ、もとに戻って、また(イ)の自己都合離職者として扱われ、給付日数は大幅に短い期間しか受けることができないということになってしまいます。ただし、離職、失職してから給付まで、支給が三カ月待機をさせられるという給付制限はないにしても、受給日数は大幅に短くなってしまうということでございます。

 そこで、私がぜひとも述べたいのは、有期契約労働者が雇いどめで失業した場合に、これほど給付に差をつけることが妥当なほどに、この二つの分類に置かれる有期契約労働者が、その状況が、例えば契約がどうであったのか、また雇いどめの状況がどうであったのかということが、それほどに違うかということをぜひ述べたいと思います。

 特定受給資格者とされる雇いどめというのは、先ほどのホチキスどめの方の資料の一ページの(8)なんですけれども、更新することが明示されていながら更新されなかった場合、これは一般の解雇に当たるというふうな解釈なんだろうと思います。

 それから、特定理由離職者とされる雇いどめというのは、先ほど申しましたように、ホチキスどめの資料の二枚目の1と、それから下の方に補足1とありますけれども、これを二つあわせて読みますと、契約書にはっきりと更新するという明示がなく、更新する場合もありますよというような程度の記載であって、そして、労働者に働く意思があるんだけれども更新をされなかった場合というふうに読めるのではないかと思います。

 ですから、このような根拠で二つの分類の資格者の人たちが給付においても差をつけられているということなんでしょうけれども、しかし、実際の職場で労働者を有期契約で採用する場合、または雇いどめする場合の状況というのは、本当に、ここに書いてあるように、はっきりと明確に分けられるような状況でそれが行われてはいないというのが実態であると思います。

 雇う側の、事業主さん側の更新の可能性についても、その更新の可能性の意思表示というのは、契約書に明示していないけれども口頭で通知する場合もありますし、また、契約書に明示されたことと口頭の、そのときに担当者が話したことと内容が違うというような場合もあります。また一方で、労働者側にしても、それは雇われる側で非常に弱い立場にあるわけですから、特に、生活のためにすぐ働きたい、働かなければならないという人ほどはっきり口にできないということになってしまいます。

 そういった労使それぞれの思いから、文字による明示がないまま働き始める場合が多く、だからこそ有期契約労働者の雇いどめの相談というものは非常に多いという状態になっております。

 そういったことから、私は、この雇用保険法の今の制度の中で、本人に働く意思があって雇いどめされた場合は、全て特定受給資格者として扱うのが妥当ではないかというふうに思います。

 それで、今後、この制度の検討をされるときに、そのこともぜひ検討していただきたいというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、雇いどめで離職した方のうち、有期契約の更新によりまして三年以上継続して雇用される方、それからまた、有期契約の更新が明示されたにもかかわらず結果的に更新されなかった方につきましては、倒産、解雇等と同じく、特定受給資格者というふうに位置づけて、そしてまた、有期契約の更新を希望したにもかかわらず、結果的に契約が更新されず、労働契約の期間満了により雇いどめされた方は特定理由離職者として位置づけております。

 雇いどめとなった経緯に応じて受給資格を分けておる理由でございますけれども、契約期間が長期に及んだ方、あるいは契約の更新が明示された方につきましては、離職の予見可能性が小さい、あらかじめ再就職の準備をする余裕がない状態で離職を余儀なくされている一方で、特定理由離職者に該当する方につきましては、特定受給資格者ほどには離職の予見可能性が小さいとは考えられないということで、一定の合理性があるというふうに考えておるところでございます。これにつきましては、労働政策審議会の御議論を踏まえて決定をしたものでございます。

 そういうことで、ただいま先生御指摘されましたように、雇用保険制度につきましては、労働政策審議会雇用保険部会におきまして議論がされております。基本給付の水準等につきましては、この雇用保険部会におきまして引き続き今後のあり方を検討するとされているところでございます。

 雇用保険制度全体の議論の中で、またこの問題につきましては、あわせて御議論いただくことも検討してまいりたいと考えているところでございます。

工藤委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、その審議会で議論をされる際には、当事者または関係者からも十分な実態の聞き取りをされた上で検討していただくようお願いいたします。

 それで、私が冒頭申しましたように、今回の改正もそうなんですけれども、特にこういった非正規労働で働く人たちのために、今回の改正でも延長しようとするわけですけれども、こういったように制度が複雑になればなるほど、制度を知らなくて、権利があるのに役所の窓口に相談に行かなかったり、または、やめてからもハローワークに行かなかったりというふうなことにもつながると思いますので、できる限りわかりやすい制度という点からも、先ほどの二つの雇いどめの際のカテゴリー、ぜひとも検討していただきたいというふうに思います。

 次に、基本手当の水準を上げることについて質問させていただきます。

 基本手当の給付日数と給付率については、労働政策審議会の職業安定分科会においても検討が続けられ、今回の法改正に当たっても、検討はされたんだけれども、異なる意見の両論併記ということで、引き続きこの点については検討すべきものとされたというふうに聞いております。両論とは、一つは、雇用保険料率の引き下げとあわせて給付面での充実を図るべきという意見と、一方で、慎重に考えるべきとの意見があったというふうに聞いております。

 この給付日数を手厚くするということについては、先ほど初鹿委員も質問の中で発言されておりましたけれども、再就職の促進効果を減退させることにならないかという考え方もあるのではなかろうかと思います。本来、この失業給付というのは、適切な就労支援をすることによって失業状態から脱してもらって仕事についてもらう、それが目的ですから、必要以上の給付というのはすべきではないというふうに私も考えますが、しかし、実際に雇いどめをされる有期契約労働者、また非正規労働者の多くは、最低賃金に張りついた非常に低い賃金で働いております。そしてまた、一般の正社員が支給されているようなボーナスや退職金もないわけですから、失業すれば、失業保険の給付というのが唯一の生活の糧と言えると思います。

 きょうお配りした資料の右の下に、例として、失業した場合に給付される実際の手当の金額というものを、役所の方に計算をして、記載をさせていただきました。これは、今現在、仮に時間給千円、それから、私の地元であります北海道の最低賃金、時間給七百五円で法定労働時間、週四十時間働いた人が失業した場合に、失業給付を一カ月一体幾ら受けられるのかという計算をしたものでございます。

 非常に低い給付しか受けられない状態で、失業した労働者の皆さんが、落ちついて、意欲と希望を持って就職活動をすることができるのか、非常に私は疑問でございます。意に沿わなくても、生きていくために、また不安定な非正規雇用につくしかないのではないかという実態があるのではないかというふうに思います。

 雇用保険制度は第一のセーフティーネットでありますので、私は、今回の改正は、ぜひとも二年間の延長をしなければならないと思っておりますが、今後、この雇用保険制度を検討する上では、受給の日数だけではなく、給付水準の引き上げについてもぜひ検討をすべきと考えておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 基本手当の水準につきましては、今委員御指摘のように、昨年十二月に取りまとめていただきました労働政策審議会の雇用保険部会報告におきまして、雇用のセーフティーネットを拡充する観点から、給付の充実を図るべきだという御意見、そしてまた、雇用保険財政への影響、あるいは依然として厳しい雇用情勢等を考慮して、そのあり方を慎重に考えていくべきだという御意見など、さまざまな御意見があることを踏まえまして、引き続き、今後のあり方を検討すべきというふうにされたところでございます。

 このような審議会での御指摘も踏まえまして、今後は、まずは、過去十年間程度の制度改正の内容、あるいは雇用保険財政への影響等につきまして、事務的に状況把握をした上で、その後、しかるべき時期に雇用保険部会で御議論いただきたいと考えているところでございます。

工藤委員 ぜひとも検討をよろしくお願いいたしたいと思います。

 最後に、私も、今回の雇用保険制度を有効に活用されるよう働く人たちに広めていきたいと思いますし、また、労働者が生き生きと職場で働けるような労働環境になるよう全力で取り組みたいという決意を述べまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

池田委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

池田委員長 討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、現下の厳しい雇用情勢に対応して労働者の生活及び雇用の安定を図るための雇用保険法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

池田委員長 この際、本案に対し、和田隆志君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 私は、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    現下の厳しい雇用情勢に対応して労働者の生活及び雇用の安定を図るための雇用保険法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 非常に厳しい雇用情勢の中、経済対策を実施し、景気の回復、雇用失業情勢の改善を図るまでの間の措置として、前回の法律改正において、三年間の給付日数に係る暫定措置が講じられたところである。

   しかしながら、本措置の期限が到来する三月末を目前にしても未だ厳しい雇用情勢が続いており、様々な世界経済の要因があるとはいえ、この間の政府の対応が必ずしも十分ではなかった結果といっても過言ではない。そもそも、給付日数に係る暫定措置は、非常に厳しい雇用情勢に緊急に対応するための対症療法である。未だ厳しい雇用情勢から脱却できていないことを真摯に受け止め、円高・デフレからの脱却、さらには、景気回復や経済成長に資する施策の推進により日本経済の持続的な成長を図り、安定的な雇用を確保すること。

 二 給付日数を拡充する暫定措置は、あくまでも緊急避難的措置であり、再就職の促進をより一層図るために、運用面において必要な見直しを図るとともに、関係機関との連携強化などその促進に資する必要な対策を実施すること。

 三 雇用保険二事業については、更なる効率化・重点化により不要不急な事業の廃止を行う等の見直しにより、その安定的な運営の確保に向けて財政の改善を図ること。

   雇用調整助成金の支出のための失業等給付の積立金からの借入れについては、あくまでも緊急的かつ例外的な暫定措置として前回の法改正時に講じられたものであるとの趣旨を踏まえて運用を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

池田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、小宮山厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小宮山厚生労働大臣。

小宮山国務大臣 ただいま御決議いただいた附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重して努力いたします。

    ―――――――――――――

池田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

池田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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