衆議院

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第11号 平成24年4月18日(水曜日)

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平成二十四年四月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 池田 元久君

   理事 岡本 充功君 理事 長尾  敬君

   理事 長妻  昭君 理事 柚木 道義君

   理事 和田 隆志君 理事 加藤 勝信君

   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    石森 久嗣君

      工藤 仁美君    熊谷 貞俊君

      斉藤  進君    白石 洋一君

      田中美絵子君    竹田 光明君

      玉木 朝子君    玉置 公良君

      西村智奈美君    橋本  勉君

      初鹿 明博君    樋口 俊一君

      福田衣里子君    藤田 一枝君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      宮崎 岳志君    宮島 大典君

      山尾志桜里君    山口 和之君

      山崎 摩耶君    吉川 政重君

      吉田 統彦君    あべ 俊子君

      鴨下 一郎君    北村 誠吾君

      菅原 一秀君    棚橋 泰文君

      谷畑  孝君    永岡 桂子君

      長島 忠美君    長勢 甚遠君

      松浪 健太君    松本  純君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      小林 正枝君    阿部 知子君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   財務副大臣        藤田 幸久君

   厚生労働副大臣      西村智奈美君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   厚生労働大臣政務官    藤田 一枝君

   厚生労働大臣政務官    津田弥太郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 中山 孝雄君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  外山 千也君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    岡田 太造君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  大西 健介君     玉置 公良君

  仁木 博文君     宮島 大典君

  菅原 一秀君     長島 忠美君

  谷畑  孝君     北村 誠吾君

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  玉置 公良君     熊谷 貞俊君

  宮島 大典君     仁木 博文君

  北村 誠吾君     谷畑  孝君

  長島 忠美君     菅原 一秀君

  柿澤 未途君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  熊谷 貞俊君     山尾志桜里君

同日

 辞任         補欠選任

  山尾志桜里君     吉川 政重君

同日

 辞任         補欠選任

  吉川 政重君     大西 健介君

    ―――――――――――――

四月十八日

 国等による障害者就労施設からの物品等の調達の推進等に関する法律案(田村憲久君外五名提出、第百七十三回国会衆法第一二号)

は委員会の許可を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六八号)

 国等による障害者就労施設からの物品等の調達の推進等に関する法律案(田村憲久君外五名提出、第百七十三回国会衆法第一二号)の撤回許可に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

池田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房審議官中山孝雄君、厚生労働省健康局長外山千也君、社会・援護局障害保健福祉部長岡田太造君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

池田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水野智彦君。

水野委員 おはようございます。民主党の水野智彦でございます。

 本日は、このような質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。きょうは、朝早くから本当にたくさんの方々も傍聴に来られておりますので、緊張した中でやらせていただきたいと思っております。

 民主党は、実は、政権交代の、この前の衆議院のマニフェストで、障害者自立支援法を廃止して新たな障害者総合福祉法をつくるということで、私たちも選挙を戦ってまいりました。そこには、制度の谷間もなくということも含まれて、いろいろなことを我々も有権者の方々にお話をしてきたところでございます。

 その後、二十二年の一月の違憲訴訟弁護団の方と国との基本合意文書や、平成二十二年の六月には、閣議決定された「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」でも、障害者自立支援法の廃止、新法の制定が示されたところでございます。

 我々、障がい者ワーキングでも、我が国の法体制の中から障害者自立支援法というものをなくすということで意見の集約をしてまいったところでございますけれども、これまでの改正自立支援法の中で、応益負担が応能負担になったりという対応策も既に四月一日から行われておるところでございますけれども、今回の新法は、自立支援法にかわる新しい法律であると考えておりまして、民主党マニフェストや今までの閣議決定、基本合意に沿ったものである、そういうような理解でよろしいのかということをまず大臣に冒頭お聞きしてみたいと思います。よろしくお願いします。

小宮山国務大臣 おはようございます。よろしくお願いいたします。

 御質問についてですが、障害者施策については、今御紹介もあったように、平成二十二年十二月の障害者自立支援法、児童福祉法等の一部改正によりまして、自立支援法廃止の最大の理由でありました利用者負担が、応益ではない、益ではないわけですけれども、障害が重い人ほど負担が多くなるという応益負担から、応能負担に改められるなど、抜本的な改正がまず行われました。

 今回の新法では、障害者基本法に基づきまして基本理念を盛り込むということ、それからまた、法律の根幹となる名称や目的規定を変更することにしている、そのことから、マニフェスト等にも掲げられている障害者自立支援法の廃止になるというふうに考えています。

水野委員 ありがとうございます。

 次に、骨格提言の対応についてお伺いさせていただきたいと思います。

 昨年八月に、障害者の当事者が参加する障がい者制度改革推進会議総合福祉部会の骨格提言がまとめられて、私どものところに回ってまいりました。私どもも、昨年から、都合二十九回ほどのワーキングを重ねてまいりまして、骨格提言についてはいろいろな意見がその中で交わされてきたところでありますが、今回の新法の対応を含めて、骨格提言の内容について、段階的、計画的に実現していくということを政府は言われておりますけれども、そういうところの認識について変わりがないのかということ。

 また、これにつきまして、今度の附則の第二条、これは大変意味があるものだというふうに思っております。特に、附則の二条の中の規定で、法施行後三年をめどに検討を行う際の当事者参加というものについて規定されていますけれども、これまでも、政権交代後に設置された五十五名から成る総合福祉部会において、障害者当事者や障害者の福祉に関する事業に従事する方々が当然委員としてなっているわけでございますが、広く意見を聞いてきたというふうに思っておりますが、そういう中で、我々もそのワーキングの中で障害者の方々からヒアリングをさせていただき、また、当事者の方の意見を聞かせていただき、そして、法案がある程度固まった段階では、新法の内容についての御説明をする場も設けさせていただいたところであります。

 そういったところで、今回も、障害者やその家族の方、特に障害者の、附則二条の二項の部分については大変重要なものだというふうに考えておりますが、その辺を、大臣の御意見を聞かせていただきたいと思います。

小宮山国務大臣 総合福祉部会の骨格提言、これは障害当事者の皆様の本当にさまざまな重い思いが込められた貴重なものだと思っています。

 これは、法律による対応に加えまして、報酬ですとか予算、それから運用など、あらゆる政策手段を組み合わせて、これは一度にできればいいんですが、予算の関係とかいろいろございますので、いただいたときから段階的、計画的に実現を目指していくとお約束をしていますので、そのことは当然変わりません。

 このうち、法律に盛り込む必要のあるものについて、すぐに対応が可能なものは今回の新法に盛り込みましたし、検討に時間が必要なものは施行後三年をめどに見直しをする。その際には、今委員が言われたように、当然のことながら、当事者の方、その御家族、また関係者の方などの参画を含めまして、皆様の御意見がちゃんと反映されるような形にしたいと思っていまして、これからまた、法律が施行されるまでの間に、どのように進めていくかしっかり検討させていただきたいと思っています。

水野委員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 特に、やはり障害者の方々の意見を聞くということは本当に、そもそもこの法案が、障害者の方々が、私たちのことは私たちを抜きに決めないでくださいという、そういったところのお話から始まっているというふうに僕は思っておりますので、ぜひ、その辺も含めまして、この法案が、これで終わりの法案ではなくて、これからどんどん皆さんとともにまた話し合いながら、いろいろな部分は修正していく、そういうものであるというふうに考えておりますので、障害者の方々、そしてその御家族の方、また関係団体の方の御意見を今後とも聞くような場を早期につくっていただいて、その場所がどこになるかということも含めまして、ぜひ早期に御検討願えればというふうに思っておりますので、大臣、その辺はよろしくどうぞお願いいたします。

 続きまして、新法の中身について少しお尋ねさせていただきたいと思っております。

 民主党のマニフェストや基本合意等に記載された制度の谷間、先ほども言いましたが、制度の谷間のない障害の範囲ということで、難病の方が今までこれに入っていなかったということで、今回、新法に位置づけられたことは大変な進歩だというふうに考えております。

 難病等を今回の新法に位置づけたことは大変な進歩でありますが、難病といっても非常にたくさんの、小さなものからいえばもう何千という、そういうようなものもあるということから、今回の新法の中には、政令で定める範囲についてと書いてあるんですが、政令の定める範囲ということについてどう考えておられるのか。また、この範囲の検討を進めるに当たって、難病対策全般の範囲と整合性を図る必要があると思っておりますが、この範囲の検討は厚生労働省の審議会の難病対策委員会で検討されているというふうに聞いておりますが、その難病対策委員会の結論はいつ出るのか、この二点をちょっと質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

外山政府参考人 新法の対象として政令で定める範囲につきましては、難病対策の見直し中で、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会で難病の範囲に関する議論を進め、施行に向けて検討することとしております。

 今後は、現行の難病患者等居宅生活支援事業の対象疾患を踏まえつつ、難病対策委員会で見直しが議論されております難病対策において設定されます希少・難治性疾患の定義を基本に検討していきたいと考えておりまして、できる限り早期に結論を得られるよう努力していきたいと考えております。

水野委員 本当にこの範囲というものは大変難しいものだというふうには私も思っておりますが、やはりこれをしっかりやらないと、谷間の向こうにまた谷間があるということにもなりかねませんので、ぜひその辺を早急に詰めていただきまして、結論を出していただければというふうに思っておるところでございます。

 続きまして、今回、重訪の対象が広がったということについてお尋ねしたいと思っております。

 障害福祉サービスの一つである重訪ですけれども、もともと厚労省の方から出てきた案にはこれは載っておりませんで、我々のワーキングの中で、非常に重訪についてのニーズが多いということにつきまして検討させていただきまして、今までは重症の肢体不自由者の方だけということになっておりましたけれども、今回、その範囲を広げさせてもらったということでございます。

 他の障害をお持ちの方々に対しても、今回の新法により、具体的にどのように対象を拡大していくことになるのか、また、そういうふうに考えているのかということについてお聞きをしたいと思います。よろしくお願いします。

岡田政府参考人 お答えします。

 現行の重度訪問介護は、重度の肢体不自由の方であって常時介護を要する障害者を対象としているところでございまして、そのサービスは、身体介護、家事援助、見守り、外出時の介護などを総合的に提供するものであり、長時間の利用を想定したものでございます。

 一方、重度の知的障害の方、それから精神障害の方に対しましては、居宅での身体介護、家事援助につきましては居宅介護という制度により対応し、外出時の介護などにつきましては行動援護という制度によってそれぞれ別々に提供されているということでございます。しかし、見守りなどを含めて長時間の利用をそれぞれ想定したものになっていないということでございました。

 今回の法案の検討過程におきまして、先生御指摘のとおり、民主党障がい者ワーキングチームの御意見などを踏まえまして、重度の知的障害それから精神障害をお持ちの方の地域移行を一層促進し、地域生活の支援を促進するという観点から、重度訪問介護の対象者を見直すこととさせていただいています。

 具体的には、重度の肢体不自由者その他の障害者であって常時介護を要するものとして厚生省令で定めるものという形で法律を改正させていただきまして、重度の知的障害者、精神障害者にも対象を拡大するということとして考えているところでございます。

 具体的な対象者につきましては、現行の行動援護の対象者も参考にしつつ、今後検討させていただきたいというふうに考えているところでございます。

水野委員 ありがとうございます。

 これも非常に大切な話でございまして、今お話も聞きましたが、ぜひ今後も、はっきりとした、もっと詰めた話をまたしていっていただければありがたいと思いますし、また、そういうことを障害者の方々も待ち望んでいるかと思いますので、ぜひ早期にお願いしたいというふうに思っております。

 続きまして、これもいろいろと今話題になっておりますが、支給決定プロセスでございますけれども、障害程度区分については、特に知的とか精神障害者の認定の方がなかなか正確に出ないという課題があったというふうに、私もワーキングの中でいろいろなお話を聞いて思ったわけでございますけれども、総合福祉部会の骨格提言の中では、支給決定に当たって、支給ガイドラインを国や市町村が作成して、ガイドラインで示される水準やサービス内容に当てはまらない事例については協議調整、個人の生活水準や実態に基づいて、本人と市町村間で話し合うということを今回書かれてあるわけでございます。

 これに基づいて新法で支給決定されることが決定されているということでございますが、新法の検討規定において、法の施行後三年をめどとして、障害程度区分の認定を含めた支給決定のあり方を検討するということが示されておりますが、この方向性でいいのかどうか、そして、どのような方向性で見直していくのかということについて御質問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

岡田政府参考人 支給決定のあり方についてでございますが、総合福祉部会の骨格提言におきまして、先生御指摘のように、支援ガイドラインに基づく協議調整というような仕組みが提示されているところでございます。

 こういった点も踏まえますと、検討課題といたしまして、まず、障害程度区分の扱いをどう考えるかということ。先生御指摘ありましたように、現行の障害程度区分につきましては、知的障害、精神障害の方が一次判定で低く判定される傾向があるということで、実態を反映すべきじゃないかという形で見直すべきじゃないかというような御意見もあるところでございます。

 また、支給決定におきまして、障害者やその家族の意向、それから介護者、居住の状況など、その障害者の方が置かれている社会的状況などをもっと反映させていくべきじゃないかというような御指摘もありまして、そういった課題があるというふうに我々としては認識しているところでございます。

 他方、支給決定につきましては、国民の理解が得られますよう、制度としてやはり客観性、公平性が保たれ、安定的な運営が可能であることを確保することも必要だというふうに考えているところでございます。

 こうした観点から、まずは、障害程度区分に係る課題の整理から具体的な議論をしていくことが必要だと考えておりまして、平成二十四年度の予算に、障害程度区分に関する調査、検証のための経費として一億円を計上しているところでございます。

 また、支給決定のあり方につきましては、こうした程度区分に係ります調査研究に加えまして、平成二十二年の十二月に成立しました自立支援法の一部改正におきまして、この四月から、サービス等利用計画の対象者を拡大するというような形で施行されているところでございまして、そうした施行の状況も踏まえつつ検討を進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 今回提出いたしました法案に、法の施行後三年を目途にいたしまして、障害程度区分の認定を含めた支給決定のあり方について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置をするというような形で、こういった検討を踏まえてそうした規定を設けているところでございます。

水野委員 時間が来てしまいましたので、これで終わりにしたいと思いますが、本当に、我々はこのワーキングの中で真剣に検討させていただきました。いろいろな御批判があることももちろん承知はしておりますが、本当に、骨格提言を受けて、それを真摯に捉えてやってきたつもりでございます。

 これは、本当に、障害者の方々と我々政治家、そして行政の方々が、これから障害者問題に踏み出す、その第一歩の、そういう法案だというふうに考えておりますので、ぜひ、これからも、障害者の方々、そして三者がそれぞれ意見を交換しながらよりよい法律にしていきたい、そういうふうに考えているところでございます。

 本日は、質問を受けていただきまして、ありがとうございます。これで終わります。ありがとうございました。

池田委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。民主党の初鹿明博です。

 私も、水野議員同様に、党のワーキングチームの事務局長として、この法案の作成に大変深くかかわらせていただきました。先ほども水野議員からもお話がありましたが、昨年の十月から二十九回会議を重ね、関係団体、また地方三団体や関係者の方からのヒアリングを丁寧に行い、それぞれの団体、それぞれの障害の種別ごとにいろいろな思いがあるんだということを我々受けとめさせていただきました。

 そして、議員間の討議の中でも、当初出された厚生労働省の案からすると、相当議員の意見を何度も加筆修正してここまで積み上げてきた結果がこの法案であるというふうに思っております。津田政務官も、ほぼ毎回会議に出席をしていただいて、議員の間での真摯な議論に耳を傾けていただいておりましたので、我々議員の思いや障害者の皆さん方の思いというものは十分に伝わっていることと感じております。

 今回のこの新法は、言うまでもなく、自立支援法にかわる新法ということで、何が自立支援法で批判をされていたかといえば、それは障害があることが自己責任であるかのような捉え方がされていて、障害が重いほど負担が重くなるという応益制度があったということであります。その点については既に解消がされておりますけれども、やはり総合福祉部会の皆さん方が五十五人集まってまとめ上げたこの骨格提言を、我々はしっかり受けとめていかなければならないというふうに思います。

 そういう意味でも、今回の法案、百点満点と私は思いません。ただ、これから骨格提言の実現に向け、そしてあそこで書かれていた共生社会の実現や地域での当たり前の暮らし、他との平等、そういうものがしっかりと実現をできる、そういう社会にしていく第一歩につながっているんだというふうに強く感じております。

 そこで、お伺いをさせていただきますが、今回の法案は、この骨格提言、そして改正障害者基本法を受けて、新たに理念を創設して、そして自立支援法にかわる新法として提出がされたわけですが、この法案の重要なポイントについてお聞かせいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 委員を初め皆さんの党内での御努力にも感謝をしたいと思いますし、私どもも、これはスタートであって段階的な第一歩だというふうに認識をしています。

 その上で、今回の新法では、今もありましたように、障害者基本法の改正に基づいて、ほかの人たちとの共生、社会的障壁の除去などを新たに理念として規定いたしました。目的規定も改めて、法律の名称を障害者総合支援法とすることにしています。

 その障害者に対する支援を充実させるという観点から、一つは、制度の谷間のない支援を提供するために、障害者の定義に難病の人等を含めること、そして二つ目に、重度訪問介護の対象を拡大することやケアホームをグループホームに一元化すること、そして三つ目に、市町村の実施する地域生活支援事業に、障害者に対する理解を深めるための普及啓発ですとか手話通訳者等を養成する事業を追加すること等の措置を行うことにしています。

 さらに、障害福祉サービス等の提供基盤を計画的に整備するという観点から、障害福祉計画の定期的な検証と見直し等を新たに規定することにしています。

 こうした見直しによりまして、障害者にとって地域生活で安心して暮らすことができる体制を整備したいと考えています。

 こうした措置に加えまして、障害福祉サービスのあり方ですとか障害程度区分の認定を含む支給決定のあり方等、検討にどうしても時間が必要なものについては、施行後三年をめどに見直しの検討を行い、その検討に当たりましては、先ほども申し上げたように、障害者やその御家族、関係者など、当事者の意見を反映するような形を工夫しながらやっていきたいと考えているところです。

初鹿委員 骨格提言で求められているのは、どんな重度な障害がある方でも、地域社会において自己決定が尊重された普通の暮らしが営めるよう支援をし、地域生活への移行を推進するための総合的な取り組みを推進していくということでございます。そういう観点からすると、地域移行を進めていく上で重要なのは、居住の場、住まいの場がしっかり確保されることであるというふうに思います。

 今回、グループホームとケアホームが一元化をされることとなりました。これによって、今まで以上にグループホームが広がっていくことと思われますが、しかし、そうはいっても、やはり懸念があるわけです。

 それは、私は東京が選挙区ですけれども、この前、新潟県のみのわの里のグループホームを見ましたが、非常に大きな一軒家がグループホームに使われていて、本当にすばらしいなと思って、こういうところがもっと広がるといいなと思ったんですが、では、東京に帰ってああいうことができるかというと、なかなか難しいな、施設面でなかなか難しい、いろいろな制約要因があるなということと、あと、事業者の方から一番よく言われるのは、二十四時間世話人さんを確保するのが非常に難しい、この確保に非常に困っているんだということをよくお伺いします。

 そういった制約要因がある中で、このグループホームを量的に拡大していくということを今後どのように進めていこうと考えているのかをお聞かせいただきたいと思います。

津田大臣政務官 初鹿議員におかれましては、与党のワーキングチームの事務局長として大変御努力をいただいたことに私からも感謝申し上げたいと思います。

 御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 今回の新法におきまして、障害者の高齢化、重度化に対応して、住みなれた地域における住まいの選択肢も用意をするという観点から、共同生活住居における介護を柔軟に提供することができるように、ケアホームそれからグループホーム、これを一元化する、そして平成二十六年度からこれを施行するというふうに盛り込んだわけでございます。

 ケアホームをグループホームに一元化した場合、介護を必要とする者としない者が混在する、こういう形で利用することになるため、一つは、利用者全員について必要となる相談等の日常生活上の援助や個別支援計画の作成についてはグループホームの従事者が実施をする、それから二つ目として、利用者ごとに必要性や頻度等が異なる介護サービスについては外部の居宅介護事業者と連携をする、そういうこと等によりまして、利用者の状態に応じた柔軟なサービス提供を行うということを考えておるわけでございまして、この仕組みによりまして、柔軟かつ効率的なサービスを行う選択肢を用意するということを考えているわけでございます。

 これにあわせて、よりひとり暮らしに近い形態で暮らしたいとの要望に応えつつ、多様な住まいの場を確保するという観点から、共同生活住居との連携を前提として、既存のアパート等の一室をそのまま活用することが可能なサテライト型のグループホームを認める方向で検討することにいたしております。

 この取り組みによりまして、障害のある方の住まいの場の確保をしっかり図ってまいりたいと考えております。

初鹿委員 障害を持っている方が地域移行を進めていく上でもう一つ今回重要なのは、重度訪問介護が知的、精神の障害の方にも拡大をしていくことが決められたということだと思います。先ほども御質問がありました。

 ただ、ちょっと懸念があるのは、自治体によって財政力に格差があって、財政力の弱い自治体においては、どうしても、長時間で非常にお金がかかるということになると、それに制約がかかってしまう可能性もあるということだと思います。その辺が懸念が示されていて、骨格提言でも九十三ページで財政調整の新たな仕組みなども提言がされております。

 これがこのまま制度として取り入れられるかどうかは検討が必要だとは思いますが、やはり何らかの市町村間の財政調整の仕組みというか、特に財政力の弱いところへの支援のあり方などを考えないと、せっかくつくった制度が有効に活用されないと思います。

 この点についてどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

岡田政府参考人 訪問系のサービスにつきましては、障害福祉サービスの義務経費化にあわせまして、国費を公平に配分するとともに、市町村間のばらつきをなくしてサービスの水準の底上げを図るという観点から、市町村に対する国の負担の精算基準として国庫負担基準を定めているところでございます。この基準につきましては、二十一年、二十四年の報酬改定にあわせまして、利用時間の増などを踏まえた所要の見直しを行っているところでございます。

 また、この基準を超えましてサービスを提供する市町村に対しましては、一定の条件のもとで財政的な支援を行っているところでございます。この財政的な支援につきましては、障害者自立支援対策臨時特例交付金によって都道府県に造成された基金を活用して行ってきたところでありますが、平成二十四年度予算におきましてはこれを見直しまして、関係団体の御意見も踏まえまして、新たな補助金として継続的に取り組めるようにしたところでございます。

 今回の法律におきましては、常時介護を要する障害者に対する支援などについて、三年後を目途として検討規定を設けているところでございますので、その中で、市町村に対する支援のあり方について、国と自治体との役割分担等も考慮しつつ検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

初鹿委員 次に、支給決定について質問いたします。

 法施行後三年をめどに支給決定のあり方が検討される、措置が加えられるということです。協議調整モデルということが骨格提言ではうたわれていて、この骨格提言の中では、支給決定に当たっての基本的なあり方として、「支援を必要とする障害者本人(及び家族)の意向やその人が望む暮らし方を最大限尊重することを基本とする」というふうになっております。

 しかしながら、知的障害や精神障害の方々の中には、自分の意思や意向というものを的確に表明することの難しい方々がいらっしゃいます。そういう障害者の方々の意思や意向をどのように取り入れて支給決定をしていくのかということがこれから非常に重要になってくるんだと思います。

 そこで、こういう意思決定に支援が必要な知的や精神の障害をお持ちの方々のサービス利用やまた支給決定に当たって、当事者本人の意向を尊重するためにどのような配慮を行っていくことが必要だとお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

津田大臣政務官 お答え申し上げます。

 昨年の障害者基本法の一部改正ということで、この場合、障害者の意思決定の支援に配慮するということが明記をされたわけでございます。行政はもちろん、関係機関がこれを踏まえて対応していくことがまず重要である。

 二つ目は、平成二十二年十二月に成立をしました障害者自立支援法の一部改正法では、相談支援事業者は利用者の意向を勘案してサービス等利用計画案を作成し、市町村はその計画案を勘案して支給決定を行うということになりました。

 ほかに、成年後見制度の利用を支援する事業を市町村の地域生活支援事業の必須事業化することとされ、本年四月から施行されているところでございます。

 さらに、今回の法案では、相談支援事業者の相談支援に対する姿勢として、意思の表明が難しい知的障害者や精神障害者を初め、障害者等の立場に立って行うことの努力義務規定を盛り込んでいるわけでございます。

 こうした制度の趣旨を踏まえて、相談支援事業者は、客観的に把握できる障害者等の意向等だけではなく、障害者等の立場に立って、障害者等が伝えようとしている意思を適切にケアマネジメントすることにより理解し、十分な支援を行うことが重要であるというふうに考えているわけでございます。

 まずは、これらの対応によりまして、障害者本人の意向が尊重されるよう相談支援の充実を図るとともに、今後、支給決定のあり方の見直しの検討につきましても、その実施状況等も踏まえて取り組んでまいりたいと考えております。

初鹿委員 今回のワーキングチームの議論の中で一番議員間で意見がまとまらなかったというか、いろいろな考え方があったのが、実は就労支援のあり方なんですね。骨格提言でも、所得保障の問題と就労のあり方ということで、なかなか十分にまとまり切れていなくて、三年間のパイロットスタディーを行ってというような書きぶりになっております。

 これは本当に三年かけて考えていかなければならない重要な問題だと思うんですが、そうはいっても、今、現状で障害者施設で働いている方々の工賃が非常に低い、これをどうにかしなきゃいけないという問題があります。

 そこで、今回、野党の皆さんとも合意をいたしまして、障害者優先調達推進法案が提案をされることとなりました。この法案が通った暁には、国が障害者の施設から優先的にどんどんと調達を推進していくということになるわけですが、これに当たって、随意契約の対象として役務の提供を追加することを含めて、予算決算及び会計令においてどのような対応を行うつもりでいるのか、財務省の副大臣にお伺いいたします。

藤田副大臣 初鹿議員にお答えをいたします。

 私、よく作業所の文化祭とかへ行っておりまして、すばらしい和紙の封筒とかしおりとか、よく買わせていただいておりまして、最近は、地元の事務所で袋詰めとか発送作業、大変いただいております。つまり、物品そして役務ということでございますが、今回この法案が公布、施行されれば、当然、この方針に基づいて、いろいろな省庁がこの障害者就労施設等からいろいろな調達を進めるということになるわけでございます。

 財務省といたしましても、もちろんそうした調達に関する取り組みを行うと同時に、今回、この法律の審議を経て公布、施行という形になれば、慈善救済施設からの物件の調達につき随意契約によることができるということを今規定しておりますのが予算決算及び会計令でございますけれども、その規定に関して、役務の調達もその対象となるよう、改正に向けて前向きに検討してまいります。

初鹿委員 ありがとうございます。

池田委員長 次に、松本純君。

松本(純)委員 自由民主党の松本純でございます。本日はたくさんの質問を用意いたしましたので、簡潔な御答弁をお願い申し上げたいと思います。

 まず初めに、大臣にお伺いします。

 民主党は、政権交代前の衆議院選挙において、障害者自立支援法を廃止した上で、応能負担を基本とする包括的な障害者福祉の法律を制定するとマニフェストに掲げました。そして、平成二十一年、当時の鳩山総理を本部長として障がい者制度改革推進本部を設置し、そのもとの障がい者制度改革推進会議で検討を開始し、昨年八月には、同会議の総合福祉部会が、新法の制定を目指してという副題を付した障害者福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言を取りまとめました。

 今回上程された法律案では、障害者自立支援法を、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律、いわゆる障害者総合支援法に改めることになっていますが、これは、民主党がマニフェストで約束した障害者自立支援法の廃止、包括的な障害者福祉の法律の制定に対するお答えなのでしょうか。まず大臣の御認識をお伺いします。

小宮山国務大臣 平成二十二年十二月の障害者自立支援法等の一部改正によりまして、これは民自公の御協力により行ったわけですが、自立支援法廃止の最大の理由でありました利用者負担が応益負担から応能負担に改正されるなど、ここでまず抜本的な改正が行われています。

 今回の新法では、先ほどから申し上げているように、障害者基本法に基づいた基本理念を盛り込むとともに、法律の根幹となる名称や目的規定を変更することにしていますので、マニフェスト等にも掲げられている障害者自立支援法にかわる新法になるというふうに考えています。

松本(純)委員 これが廃止、新法なのかという形式的な議論はさておきまして、障害者総合支援法の内容を見ると、この法律は、障害者自立支援法という土台を基礎として、一部手直しを加えて衣がえをしたものであるということは、万人の目に明らかであると思います。

 障害者自立支援法では、身体障害、知的障害、精神障害の三障害を一元化し、また、昼間の活動支援と夜の居住支援とを分離するなど、抜本的なサービス体系の再編を行いました。このため、円滑な施行に配慮して相当の経過措置期間を設けておりまして、平成十八年にスタートしたこのサービス体系の再編はこの四月から本格実施される仕組みとなっております。昨年十二月時点では移行率は七五%程度であったとお伺いしておりますが、四月からの新サービス体系への移行はきちんと完了しているのでしょうか。お尋ねします。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、自立支援法に基づきますサービス体系につきましては、日中活動と居住支援とを組み合わせて利用できるよう昼夜の分離を進めるとか、希望に応じて複数のサービスを組み合わせて利用できるような形に変更させていただいているところでございます。

 こうした新サービス体系への移行が円滑に行われるように、関係者の御意見も踏まえまして、これまで、ケアマネジメントなどの手続を経た上で施設入所支援と就労継続支援B型との組み合わせを認めるなどの規制の弾力化、それから、経営の安定化や新体系に移行できるよう、二度にわたります報酬の改定、それから、障害者自立支援対策臨時特例交付金によります基金事業の期限を二十四年度まで延長して新体系への定着を支援するなどの措置を講じたところでございます。

 御指摘のとおり、新体系への移行率につきましては、平成二十三年十二月末の時点で約七五%でございましたが、改めて各都道府県に対して報告を求めたところ、この四月をもって全ての都道府県で移行は完了するとの報告を受けているところでございます。

松本(純)委員 このように、平成十八年にスタートした障害者自立支援法は、六年間のいわば助走期間を経て、この四月から着実に本格実施されています。また、平成二十二年に自民党を含めて議員立法で成立した障害者自立支援法や児童福祉法の一部改正では、相談支援の充実や障害児支援の強化が図られ、これも四月から実施されています。障害者自立支援法により、障害福祉サービスに要する費用が義務的経費化されて、関係予算が大幅にふえ、またサービス基盤も着実に整備されるなど、成果を上げてきているのではないかと思います。

 改めて、今回の法律案は、障害者自立支援法のよいところはしっかりと維持しつつ、さらにこれに改良を加えていこうという、これまでの障害福祉施策の基本的な考え方に沿ったものであると理解してよろしいのでしょうか。お尋ねします。

西村副大臣 先ほど大臣が答弁されましたとおり、今回の法案は基本的には新法でございますが、障害者自立支援法については、御指摘のとおり、いわゆる支援費制度の問題点を抜本的に改正したものであり、サービスの利用者は着実にふえ、サービス基盤の整備も着実に進んできているものと考えております。

 一方、障害者自立支援法の施行とともに導入されたサービスに係る定率負担について、障害が重くサービスの必要度が高い人の負担が重くなるといった問題点があったということも認識をしております。

 こうした障害者自立支援法について、これまでも、最大の問題であった応益負担を応能負担とするなど、与野党協力して見直すべき点は見直してきたところでございます。

 今般、さらに、障害者基本法の改正もございましたので、これも踏まえつつ、理念規定の創設、目的規定や法律の名称の変更等を行って、社会の側への働きかけを強化いたしまして、共生社会の実現を図る法律へと転換を図ることにしたものでございます。

松本(純)委員 ここで内閣府にも質問させていただきます。

 一昨年四月に、障害者、障害者の家族、事業者、自治体首長、学識経験者など、五十五名もの委員から成る障がい者制度改革推進会議総合福祉部会を設置し、昨年八月には障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言をまとめたわけでありますが、必ずしも制度改革に伴う財源の議論が十分ではなかったのではないかと仄聞しております。

 障害者施策を前進させていくためには必要な財源の確保が前提であることは言うまでもありません。この障がい者制度改革推進会議総合福祉部会においては、財源についても論点を提示し、議論されたのでしょうか。お尋ねします。

園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 先生の御指摘の総合福祉部会でございますけれども、平成二十二年の四月から障がい者制度改革推進会議のもとで開催をされているということでございます。これは、御指摘のように、障害者当事者の方々、あるいは家族の方々、あるいは事業者の方々や、あるいは市町村の代表される方々を含め、多くの、五十五名の委員の皆さん方に幅広く御議論をいただいてきたというふうに私も承知をいたしております。

 昨年八月に取りまとめられました骨格提言の「はじめに」の部分でございますけれども、「障害者本人をはじめ、障害者に関わる様々な立場から、違いを認めあいながらも、それでも共通する思いをここにまとめました。」ということで、やはり、この骨格提言は障害者の方々の思いが込められているというふうに私どもは承知をいたしておりますし、それをしっかりと受けとめていかなければならないというふうに思っております。

 あるべき財源の規模、財源のあり方についての議論でございますけれども、例えば積算の根拠となるデータの把握をするべきであるといったこと、あるいは財政についての基本的な視点、例えば四つの視点をここで挙げられているわけでございますけれども、OECD諸国の平均値並みの水準を確保するであるとか、あるいは地域間格差を是正するであるとか、一般施策での予算を追求するであるとか、障害者施策の推進と経済効果等の関連を客観的に推しはかること、そういったような議論をこの中で提言としてまとめていただいているところでございます。

 この骨格提言には、先ほど申し上げた「はじめに」の部分で、「ここに示された改革の完成には時間を要するかも知れません。」というふうに書かれているところでございまして、やはり、しっかりとこの骨格提言を受けとめながらも、段階的、計画的に進めていくものであるというふうに承知をいたしているところでございます。

松本(純)委員 少し具体的な課題について質問いたしますが、障害者自立支援法では、身体障害者、知的障害者、精神障害者に対しての共通の福祉サービスを提供するという制度に改めましたが、施行後、知的障害者の家族や知的障害者の入所施設の人たちからは、介護保険に倣った形での障害程度区分の認定調査が行われることから、知的障害者や精神障害者の場合には、彼らに必要な見守りなどの支援が評価されなくなってしまっているのではないかという声が聞かれます。

 例えば知的障害者の場合、多くは身体の運動機能的な問題はありませんが、危険がわからず飛び出す、自分や他人を傷つける、固執する、パニック、反社会性など、自閉症状や行動障害をあわせ持つなどの問題があります。このような知的障害者の特性が現行の障害程度区分では考慮されていないため、不当に低い判定が出ているということであります。

 現在、知的障害者や精神障害者に対する障害程度区分の認定に当たり、一次判定で低く判定される傾向があるのでしょうか。また、市町村ごとに、知的障害者や精神障害者に対する障害程度区分の認定結果にばらつきはあるのでしょうか。お尋ねします。

岡田政府参考人 障害程度区分につきましては、先生御指摘のとおり、知的障害、精神障害のある方につきましては、身体障害のある方に比べまして、一次判定で低く判定される傾向があります。二次判定で引き上げる割合が高い状況でございまして、二次判定で、身体障害の方については約二〇%、知的障害の方は四四%弱、精神障害の方は四六%が一次判定より高く判定されているという状況でございます。

 また、市町村ごとに障害程度区分の各区分の割合を比較いたしますと、身体障害、知的障害につきまして、おおむね各市町村で同じような分布を示しておりますが、精神障害につきましては、区分二の判定結果が多い市町村と区分三の判定結果が多い市町村があるというようなことでございます。

 いずれにしましても、こうした点を踏まえまして、知的障害、精神障害の障害の特性をどのように反映するかということが現在の障害程度区分の大きな課題であるというふうに認識しているところでございます。

松本(純)委員 平成二十二年に自民党を含めて議員立法で成立した障害者自立支援法や児童福祉法の一部改正では、原則として全ての支給決定の際にサービス等利用計画案を勘案することとするなど、支給決定プロセスの見直しを行いましたが、実はこのときに積み残しとなってしまった課題が障害程度区分の見直しではないかと思っております。

 特に、知的障害者や精神障害者の支援の必要度が的確にあらわされていない現状は早急に改めるべきではないかと考えておりますが、いかがでしょう。

津田大臣政務官 先ほど岡田部長から答弁があったとおりでございまして、障害の特性がきちっと反映されていないのではないか、見直すべきではないかという課題、これはしっかり我々も認識をしているわけでございます。

 一方で、支給決定の段階で考慮に入れている介護者や居住などの社会的状況を障害程度区分にも反映すべきではないかというような指摘、それから障がい者制度改革推進会議総合福祉部会で提言をされました協議調整方式や支援ガイドラインについてどのように考えるかといった課題もございまして、今般提出した法案におきましては、障害程度区分の認定を含めた支給決定のあり方について、施行後三年をめどとして検討を加えるということにしているわけでございます。

 この検討の過程で、知的障害、精神障害の人について障害の特性をどのように反映するかについても、施行後三年をめどとした検討の中で検討していくということになるわけでございます。

 平成二十四年度予算では、障害程度区分に関する調査、検証のための経費として一億円を計上しており、詳細な基礎データの収集、分析を行い、障害程度区分に係る課題を整理することから手がけていきたいというふうに考えておるわけでございます。

松本(純)委員 障害者自立支援法のもとで、入所施設や精神科病院からの地域移行を促進し、グループホーム等への移行を進めてきましたが、例えば知的障害者が高齢になり身体の衰えや認知症を発症した場合など、障害の重い人やその態様によってはグループホームで暮らせない人がいるのも現実であります。今後の障害福祉が直面する最大の課題は、実は障害者の高齢化ではないかと考えております。

 今回の法律案では、ケアホームをグループホームに統合することが盛り込まれておりますが、障害者の地域生活を最後までしっかりと支援するためにも、障害者が、必要なときに介護サービスを受けながら、みずからの望む住みなれた場所に生活し続けるという選択をできるようにすることが重要ではないかと思いますが、いかがでしょう。

津田大臣政務官 御指摘の点はそのとおりでございます。

 先ほどの初鹿議員の質問にもお答えしましたが、ケアホームをグループホームに一元化をした場合、介護を必要とする者としない者が混在して利用するということになるため、個々の利用者の状態に応じて柔軟かつ効率的なサービス提供が可能となるよう、一つには、利用者全員について必要となる相談等の日常生活上の援助や個別支援計画の作成についてはグループホームの従事者が実施をする。二つ目には、利用者ごとに必要性や頻度等が異なる介護サービスについては、外部の居宅介護事業者と連携すること等によりまして、利用者の状態に応じた柔軟なサービス提供を行うということを考えているわけでございます。

 一方で、なじみの職員による介護つきの住まいを望む声もあることから、現行のケアホームのように、共同生活住居の提供と、これに伴う日常生活上の援助に加えて、介護サービスを一体的に提供する支援形態についても、事業所の選択により引き続き実施できるようにするということにしておるわけでございます。

 こうした考えを基本として、障害者の高齢化、重度化も踏まえながら、具体的な基準等については、今後、関係者の意見も聞きつつ検討していきたいと考えております。

松本(純)委員 特別支援学校の卒業生は毎年ふえ続ける一方で、入所施設や精神科病院からの移行先となるグループホーム等については、その整備は進んできているものの、まだまだ地域における障害者の生活の場が不足しているとの声も聞かれます。また、障害者の親たちは、今我が子のことを一生懸命に面倒を見ていますが、自分たちが亡き後も子供が安心して幸せに生涯を送ることができるのか、常々心配をしながら日々を送っているという切実な声にも接します。

 このような中で、施設に入所することは地域で暮らすことではないとして一律に否定するのではなく、入所施設を地域の人たちとの交流の場にして開かれた入所施設とすることや、さらには、地域に根差した小規模の入所施設といったことも検討していくべきであると考えますが、いかがでしょう。

岡田政府参考人 自立支援法に基づきますサービス体系の見直しの中で、入所施設につきましても、先ほど御指摘ありましたように、昼夜の分離を進めるであるとか、障害者が自分の希望に応じて複数のサービスを組み合わせて利用できるというようなことを通じまして、地域移行を進めるという形で取り組んできたところでございます。

 また、入所施設のあり方といたしましては、単に入所機能にとどまるだけではなくて、相談支援事業の実施、通所・訪問サービスの提供、グループホーム、ケアホームの支援体制の拠点としての機能を地域で開かれた形であわせ持つことが重要であるというふうに認識しております。

 御指摘のような小規模の入所施設も含めました居住支援のあり方につきましては、障害者の高齢化、重度化も踏まえながら、一元化後のグループホームの具体的な基準とあわせまして今後検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

松本(純)委員 知的障害者は自分で意思決定ができず、また、財産管理等もできない人が多いと聞いております。障害者自立支援法では当事者の意思を尊重した契約が重視されますが、知的障害等により判断能力が低下した、契約に支援を要する者に、自己決定イコール自己責任論を押しつけることはできません。こうした親たちの懸念や問題を解消し、福祉サービス利用者の権利擁護を目的として、平成十二年四月から成年後見制度が開始されました。

 しかし、現場からは後見人報酬が高いという声をよく聞きます。普通、後見人は弁護士とか社会福祉士に委託することが多いのですが、その報酬が一万円から三万円と言われており、知的障害者は、障害基礎年金がその収入のほとんどで、就労収入は極めて少なく、その障害基礎年金から生活費を払い、衣服費や、たまに娯楽費を支払ったら、月々手元に残るお金は一万五千円くらいで、その中から病気等にも備えなければならず、とても後見人報酬を支払うことなどできないといった状況にあります。

 また、平成二十二年に自民党を含めて議員立法で成立した障害者自立支援法や児童福祉法の一部改正では、成年後見制度利用支援事業を必須事業としましたが、実施率が低く、充実というにはほど遠いという不満の声も聞かれます。

 このほか、成年後見に係る手続の煩雑さを指摘する意見もある中で、最近、成年後見申し立てなどを相談支援するNPO法人が設立されたり、障害者の親たちがNPO法人を設立し、低料金で成年後見を行うという動きもあると聞いております。

 今回の法律案では、特に知的障害者に対する成年後見制度の利用支援に関し、どのように取り組んでいこうとされているのか、お尋ねします。

岡田政府参考人 御指摘の成年後見制度の利用促進につきましては、厚生労働省といたしましては、市町村が行います成年後見制度の利用を支援する事業に対して費用の助成を行ってきたところでございます。これは、平成二十二年十二月の障害者自立支援法の改正におきまして、本年四月から市町村の地域生活支援事業の必須事業として位置づけているところでございます。

 また、平成二十四年度予算におきましては、都道府県、市町村が行います成年後見の利用促進のための普及啓発、法人後見を行う事業所の立ち上げ支援を地域生活支援事業の補助対象として追加をしているところでございます。

 今回の法律案におきましては、市民後見人などの人材の育成、活用を図るための研修を市町村が行う事業を地域生活支援事業の必須事業として追加するとともに、知的障害者福祉法におきまして、市町村の努力義務といたしまして、後見などの業務を適正に行うことができる者の家庭裁判所への推薦などの措置を講ずること、都道府県の努力義務として、市町村に対する必要な助言その他の援助を行うことを盛り込んだところであります。

 今後とも、成年後見制度の利用促進のために努力していきたいというふうに考えております。

松本(純)委員 障害者自立支援法では、身体障害者、知的障害者、精神障害者に対して共通の福祉サービスを提供するという制度に改めましたが、一方で、精神障害者については、身体障害や知的障害に比べて、継続的な医療面での支援が必要であるという特徴があります。

 精神障害者が地域で生活を行えるようにするには、その特性を踏まえ、福祉サービスだけではなく、医療サービスも含めて、連携のとれたサービスを提供していくべきではないでしょうか。いかがでしょうか。

西村副大臣 御指摘のとおりだと思います。

 障害者自立支援法におきまして三障害一元化としたことで、精神障害の人が受けるさまざまなサービスのメニューが拡大し、精神障害の方へのサービス提供も増加してきております。

 しかし、精神障害において、身体障害や知的障害に比べて、継続的な医療面での支援が必要であるということ、さまざまな周囲の環境の変化などで状態が変わることがあるということ、こういった特徴がございまして、医療サービスと福祉サービスがより密接に連携していくことが重要であると考えております。

 このため、精神障害のある方の地域生活を支えるためには、まず一つには、相談支援や自立訓練のための障害福祉サービスの充実を図ること、そして二つ目といたしまして、医療面の支援として、外来医療やデイケアの充実のほか、訪問医療の拡充も必要であるというふうに認識しております。

 精神保健医療福祉については、平成二十二年六月の閣議決定に沿った検討を現在進めておりますので、その検討状況を踏まえながら、精神障害者が地域生活をするために必要なサービスのあり方について引き続き検討してまいりたいと考えております。

松本(純)委員 障がい者制度改革推進会議では、精神医療の見直しについても議論されていました。

 今回の法律案には盛り込まれていませんが、精神医療の見直しに関する現在の検討状況がどのような状況になっているか、また、今後どのように進めていくつもりなのか、お尋ねします。

津田大臣政務官 お答え申し上げます。

 精神障害者につきましては、症状から見れば退院可能な人が、地域の受け皿が不十分である等の理由で入院を受けているいわゆる社会的入院、それから、家族が保護者としてさまざまな義務が課せられる保護者制度や、保護者の同意に基づく医療保護入院制度、さらには、一般医療よりも低くてよいとされている精神科入院病床の人員配置基準などの課題が指摘をされているわけでございます。

 厚労省としましては、平成二十二年の閣議決定を踏まえ、精神保健医療福祉の見直しについて、厚労大臣政務官を主担当とし、現場関係者や有識者、当事者、家族などで構成される新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チームなどで検討を進めてきたわけでございます。

 閣議決定のうち、退院支援、地域生活支援につきましては、平成二十四年度から各都道府県の障害福祉計画で退院に関する目標値を設定するとともに、アウトリーチについてのモデル事業の実施、医療計画への精神疾患の追加、相談支援の充実を行うなど、平成二十三年内におおむね方向性をまとめ、実施をしておるわけでございます。

 強制入院、保護者制度につきましては、精神障害者ごとに一人決められる保護者、主に家族ですが、だけが支える仕組みから地域全体で支える仕組みへの転換に向け、保護者のみに課せられた責務の廃止、保護者の同意によらない入院手続の検討を進めておりまして、本年六月をめどに議論を整理していく予定でございます。

 さらに、人員体制につきましては、精神病床の機能分化とあわせて検討を行うため、検討会を先月に立ち上げ、六月の取りまとめを目指して議論を進めておるわけでございます。

 こうした議論を踏まえて、精神医療の改革についての厚労省としての中間案をまとめ、広く国民の意見を聞いて、来年の通常国会に法案を提出していきたいと考えております。

松本(純)委員 質問がたくさん残ってしまって、質問し切れずに大変御無礼を申し上げますが、先ほど財務副大臣からは、予決令について、役務の提供についてはこれも随意契約の対象にするというお答えがありましたので、それを受けとめさせていただきたいと思っております。

 そして、最後に大臣にお伺いをしたいと思いますが、障害福祉のこの十年は、支援費制度の導入から障害者自立支援法へと大きな制度改革を重ねてまいりました。新たな制度の導入には当然課題も伴いますが、与野党の協力による取り組み等で改良を重ねてまいりました。

 今回の法案には三年後の見直し検討が盛り込まれておりますが、これまでの積み重ねを顧みずに一足飛びに制度を変えようとするのではなく、やはり制度の改善は一歩一歩、財源の問題も含めて、地に足をつけた議論をしていくべきだと考えますが、大臣のお考えをお尋ねします。

小宮山国務大臣 委員がおっしゃるとおりだと思います。

 先ほども申し上げたように、財源がたくさんあれば、当事者の方の御要望どおり、かなりの速度で進めることができると思いますが、いろいろ現実的な中で、当事者の方の声は重く受けとめながら、これまでもやってまいりましたように、与野党で力を合わせて一歩一歩ここは進めていかなければいけないと私も思っているところです。

 その見直しに当たりましては、当然ながら、当事者の御意見を聞きながら、これは法改正と、それから報酬、予算、運用など、あらゆる政策手段を使って、これは超党派の皆様の力もおかりしながら、確実に段階的に進めていきたいと考えています。

松本(純)委員 ありがとうございました。

 予定の時間となりましたので、質疑を終了いたします。

池田委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、障害者総合支援法案、また障害者施策に関する質問を行ってまいりますので、よろしくお願いをいたします。

 まず初めに、今回提出された法律の題名でございます。これは、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律、このような題名がついております。

 民主党は、マニフェスト二〇〇九におきまして、障害者自立支援法は廃止をして、制度の谷間がなく、サービスの利用者負担を応能負担とする障がい者総合福祉法を制定すると掲げまして、政権交代後の閣議決定等におきましても、仮称としながらも、障害者総合福祉法という名称を使われております。政権交代後に創立をされました障がい者制度改革推進本部のもとに、総合福祉部会で取りまとめられた骨格提言、この中にも、法律の名称を障害者総合福祉法とすべきとされていました。

 今回のこの法律案の中身を見ますと、障害者自立支援法について、法律の目的を改め、理念規定を創設するとともに、障害者の範囲を拡大するなどの改正が行われてはおりますけれども、改正点は決して多くはございません。実質的には障害者自立支援法の改正と言えるのではないかと考えます。

 それにもかかわらず、あえて題名を改正したこと。本法律案は、骨格提言からかけ離れたものであり、障害者総合福祉法の制定を目指してきた検討の成果を反映していない。また、障害者自立支援法の廃止、新法として障がい者総合福祉法をつくるとされていた民主党のマニフェストは結局は実行されなかった。廃止を見送り、改正にとどまる結果となった。このような批判が多いことも事実でございます。

 そこで、改めてお伺いいたします。

 障害者自立支援法を廃止し、障害者総合福祉法を制定するのではなく、今回、障害者自立支援法を改正して障害者総合支援法とすること、実質的廃止としたその理由について伺いたいと思います。

 また、骨格提言で使用すべきとした障害者総合福祉法という題名にしなかった理由についても、あわせてお伺いをいたします。

小宮山国務大臣 先ほどから答弁させていただいているように、障害者自立支援法を廃止すべきという最大の理由でありました利用者負担が、応益負担から応能負担に平成二十二年十二月に改正をされたということが事実としてあります。

 そして、新法では、障害者基本法に基づいた基本理念を盛り込むとともに、法律の根幹となる名称ですとか目的規定を改正することにしていますので、これは障害者自立支援法にかわる新法だというふうに考えています。

 もし、仮に、現行の障害者自立支援法を廃止して新法を制定した場合、自立支援法に基づく給付を受けている障害者ですとか指定を受けている事業者、また実施主体である地方公共団体がその準備とか実施に当たって混乱するのではないかといった運用上の課題もあることを考慮する必要があるという現実の問題があるというふうに認識をしています。

 そして、御指摘の、総合福祉法のように、題名に福祉という言葉を使わなかったことについては、昨年の障害者基本法の改正で福祉という用語を使用しなくなった、こういうことからでございます。

古屋(範)委員 障害者自立支援法の改正案、これは自公民で協議をし、提出をし、成立したものでございますが、我が党では高木美智代衆議院議員がずっと精力的にこの法律案の協議に携わってまいりまして、そのときに実質的に応能負担というものが既にもうでき上がっている、こういう理解でよろしいかと思います。ですので、そのいわば延長線上に今回の障害者総合支援法があるという考え方だというふうに理解をしております。

 私たちも、この障害者施策については党を挙げて取り組んでまいりました。ぜひ、その理念を酌み取った今回の法律である、このことを確認しておきたいというふうに思います。

 次に、基本理念についてお伺いをしてまいります。

 今回、多くの団体から要望としてございました、基本理念に記された「可能な限り」、この文言は最後まで削除されませんでした。サービス給付が十分にできない場合の逃げ道として「可能な限り」という文言を使っているのではないか、サービス拡充等に向けての努力がそがれてしまうのではないかとの懸念の声が寄せられております。

 昨年の障害者基本法改正の際、可能な限りという表現があることが批判されました。これは、基本的な方向に向けて、最大限、できる限りの努力をするという趣旨でこうした表現を使ったとの説明をされておりましたけれども、今回も、その、最大限努力をする、こう捉えてよろしいのでしょうか。確認をしたいと思います。

津田大臣政務官 古屋委員にお答えを申し上げます。

 逃げ道ではございません。

 今回の新法では、昨年七月に成立をしました改正障害者基本法によりまして共生する社会の実現等が明記されたことを踏まえ、新たな基本理念を創設することにしたわけでございます。

 この改正障害者基本法では、地域社会での共生等を基本原則の一つとしているわけでございます。この新法で、これを具体化するものとして、障害者基本法第十四条第五項にも規定されております、可能な限りその身近な場所において支援が受けられることを新法の基本理念に規定することにしたわけでございます。

 この「可能な限り」の文言を用いた趣旨につきましては、昨年の改正障害者基本法の審議で、基本的な方向に向けて最大限の努力をするという、まさに先ほど古屋委員がおっしゃいました趣旨でこういった表現を使っているという答弁がなされたことをしっかり踏まえておるわけでございます。

古屋(範)委員 今政務官の方からも、逃げ道ではないのだ、最大限の努力をしていく、こういう答弁がございました。ぜひその理念を貫いていただきたい、このことを確認しておきたいと思います。

 次に、昨年の七月に成立をいたしました障害者基本法、公明党の提案によりまして、第二十三条に「意思決定の支援」ということが明記をされました。

 重度の知的障害等により意思が伝わりにくくても、必ず個人の意思は存在します。支援する側の判断のみで支援を進めるのではなく、当事者の意思決定を見守り、主体性を育てる支援や、その考え、価値観を広げていくという支援といった意思決定のための支援こそ、共生社会を実現する基本であると考えています。

 この考え方は、国連障害者権利条約の理念であり、保護の客体から人権の主体へという障害者観の転換のポイントであり、意思決定支援、これは、当事者と支援者間の双方向の意思交換のプロセスを通じて行われる、本人を中心として捉えていく支援のあり方であります。

 この意思決定の支援につきましては、知的障害者あるいは発達障害の方にとって、日常の生活や社会参加のあらゆる場面において必要不可欠なものであります。実際には、障害福祉サービスの支援職員や家族等によって担われていると言ってもいいと思います。

 そこで、障害者総合支援法第四十二条に、意思決定の支援に配慮することを明確化すべきと考えます。また、事業者が障害者や障害児の立場に立った支援を常に行うことを明記すべきと考えますけれども、これに関して御見解を伺いたいと思います。

岡田政府参考人 お答えします。

 昨年の障害者基本法の一部改正におきまして、国、地方公共団体は、障害者、その家族などに対する相談業務、成年後見制度のための施策の実施または制度の利用の際には、障害者の意思決定の支援に配慮するということが明記されたところでございます。行政はもちろん、事業者など関係機関がこれを踏まえて対応していくことが非常に重要だというふうに考えているところでございます。

 障害福祉の分野におきましても、二十二年十二月に成立しました自立支援法等の一部改正におきまして、相談事業者は利用者の意向を勘案してサービスなどの利用計画案を作成し、市町村はその計画を勘案して支給決定をすることとされたほか、成年後見制度の利用を支援する事業を市町村の地域生活事業の必須事業化としたところでございまして、この四月から施行されているところでございます。

 さらに、今回の法案におきましては、障害福祉サービス事業者のサービス提供や、相談支援事業者の相談支援に対します姿勢といたしまして、意思表明が難しい知的障害や精神障害をお持ちの方を初めといたしまして、障害者などの立場に立って行うことを努力義務規定として盛り込んだところでございます。

 こうした制度の趣旨を踏まえまして、障害福祉サービス事業者や相談支援事業者は、客観的に把握できる障害者などの意向などだけでなくて、障害者の立場に立って、ケアマネジメントなどを通じて障害者が伝えようとしている意思を適切に理解し、十分な支援を行うことが重要であるというふうに考えているところでございます。

    〔委員長退席、長妻委員長代理着席〕

古屋(範)委員 私たちは、この委員会の最後に修正案を提出したいと考えております。

 今回、民自公で修正協議を重ねてまいりました。我が党では、高木美智代衆議院議員が中心となりまして、長時間にわたり修正協議を行ってまいりました。

 この意思決定につきましても、意思決定の支援、これは閣法よりもさらに拡充した表現が必要ではないかということで、まず、第四十二条には、障害者等の意思決定の支援に配慮するとともに、こうした文言を挿入する。これは障害者基本法から引用しております。

 また、さらに、児童福祉法におきましても、障害児及びその保護者の意思をできる限り尊重するとともに。これは発達障害者支援法からとっております。このような条文をさらに入れて、意思決定を尊重する、このことを盛り込んでまいりたいと考えております。

 さらに、こうした障害を持った方々の意思決定の尊重、これに関しては、現場においてもしっかりと酌み取り、実施をしていかなければならないと考えております。

 さらに、障害程度区分についてお伺いをしてまいります。

 今回の障害程度区分、知的障害、また精神障害の方々に低く出る傾向があると言われております。

 一昨年、自民党、公明党が共同で提案をいたしました障害者自立支援法の改正案には、障害程度区分を障害支援区分に改めると、見直しを盛り込んできました。民主党との協議の中で削除された経緯がございます。

 今回の法案ではこの見直しは含まれておりませんが、知的障害また精神障害の方々の支援、これを一日も早く適切なものにしていく、この観点から早急に見直しを行うべきと考えます。これについての御見解をお伺いいたします。

小宮山国務大臣 障害程度区分につきましては、知的障害、精神障害のある人について、一次判定で低く判定をされて、二次判定で引き上げられている割合が高いという御指摘を受けていまして、もっと障害の特性を反映するよう見直すべきではないかと、こうした課題に対しては早期に対応する必要があるというふうに考えています。

 一方で、介護者や居住などの社会的状況を障害程度区分にも反映すべきではないかという御指摘や、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会で提言された協議調整方式や支援ガイドラインについてどのように考えるかといったような課題もありまして、今回提出しました法案では、障害程度区分の認定を含めた支給決定のあり方について、施行後三年をめどとして検討を加えるということにしています。

 この検討の過程で、知的障害、精神障害の人について、障害の特性をどのように反映するかについてもしっかりと検討していきたいと考えています。

古屋(範)委員 これも、これからお示しをいたします修正案では、第四条、定義のところに、障害支援区分にしております。障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合い、このようにいたしました。障害を持った方々の御意見をしっかりと酌み取った内容にしていきたいと考えております。

 また、附則の方にも、知的障害者福祉法に言う知的障害者及び精神障害者の特性に応じて適切に行われるよう、同条第四項に規定する厚生労働省令で定める区分の制定に当たって、適切な配慮その他の必要な措置を講ずるものとする、このようにも盛り込んでまいりたいと考えております。この点におきましても、今回は、障害支援区分、このようにしてまいりたいと私たちは考えているところでございます。

 ぜひ、修正案の方も成立をさせたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、難病の問題に入りたいと思います。

 今回、難病患者等が障害福祉サービス等の対象となること、これは制度の谷間を埋める上で大きな前進であり、評価したいと考えています。

 そして、障害者の範囲を広げて谷間をなくすことが、多数の難病の中から一定の範囲を特定して、依然として谷間が残ることを前提としている、その線引きの仕方が身体障害の認定と同様の基準であれば、身体障害者手帳を取得して障害福祉サービスを利用する現状と全く変わらない、現状のままではないのかとの指摘もございます。

 現在、厚生科学審議会の難病対策委員会で、今後の難病対策につきまして検討が行われています。難病の範囲等についても一定の方向性が示されることになっているものと思いますけれども、この難病の対象範囲をどうするのか、どこまで含めてくださるのか、また、難病対策委員会の結論はいつ出るのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

外山政府参考人 難病対策の見直しにつきましては、辻厚生労働副大臣をトップとする新たな難治性疾患対策のあり方チーム、それから、厚生科学審議会疾病対策部会や同部会の難病対策委員会、さらには、より技術的、専門的な検討を行うためにことし二月と三月に新たに設置いたしました二つのワーキンググループ等の場で精力的に検討を行っております。

 今回の法案の対象となる方の範囲につきましても、施行に向けて周知や準備に必要な期間にも配慮しなければならないと考えておりまして、そういった観点から、できる限り早期に結論を得られるよう努力していきたいと考えております。

古屋(範)委員 施行に向けて間に合うようにということでございますので、来年の施行を考えれば、ことしの夏ぐらいまでには結論を出す必要があるのではないかと思うんですが、そのようなスケジュール感でよろしいでしょうか。

外山政府参考人 今この段階でことし夏までということは申し上げられませんけれども、先生御指摘のように、実施する市町村のことを考えてやらなきゃいけないと思っておりまして、そういった観点から、施行までにということじゃなくて、できる限り施行に向けて早期に結論を得るように努力してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 できる限り早急に結論を出していただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。

 続けて、難病に関して質問してまいります。

 私たちも、難病対策につきましては、これまで力を入れて取り組んでまいりました。特に、原因不明で治療法も確立されていない難病、特に、患者数の非常に少ない希少疾病、そういう患者、家族の方々の思いを受けまして、難治性疾患克服研究事業の予算増額ですとか、これも一気に伸ばしましたし、また、特定疾患治療研究事業の対象拡大なども図ってまいりました。

 しかし、これらの事業だけでは、実際、難病対策、まだまだ不十分である。これは私も自覚をしております。

 医療保険における高額療養費制度、この見直しも必要だと思います。また、難病の原因究明、治療法の研究開発、薬の開発、こうしたことも必要です。また、病名だけで助成対象を線引きする、結局、ここにまた新たな差別が生まれてしまう、何かを入れれば何かを出さなければいけないとか。このような難病の対策はどこかで抜本的に変えていかなければいけないと、これはずっと考えてまいりました。

 そこで、これらの施策、また、就労、福祉などを含めた総合的な法制度、例えば難病対策推進基本法、このような法律の制定が必要ではないか、このように考えますが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 難病対策につきましては、私たち政務の中でも委員と同じ考え方を持っています。

 医療、研究、就労、福祉など総合的な対策を講じる必要がある。そのため、ことし二月に閣議決定いたしました社会保障・税一体改革大綱でも、医療費助成の法制化も視野に入れまして検討するとともに、治療研究、医療体制、福祉サービス、就労支援等の総合的な施策の実施を目指すということを盛り込んであります。

 今局長から申し上げたように、さまざまな場で今検討を進めていますので、これはこれまでも力を入れてやってこられたんですけれども、どうしても細かいところのつなぎつなぎになっていたものを、これは総合的に、法制化も目指して、なるべく速やかに検討を進めて、結論を出していきたいというふうに考えています。

古屋(範)委員 ぜひ、法律をつくるところまで、難病対策の拡充を行っていただきたい、このように思っております。

 次に、きょう、委員長提案をされることになっております国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律案についてお伺いをしたいと思います。

 周知のとおり、この障害者就労支援施設では種々の就労支援事業に取り組んでいるわけなんですが、そこから得られる収益というのはなかなか思うに任せない、これが現実です。利用障害者に対して支払われる工賃は極めて低い水準にある。このいわゆるハート購入法は、少しでも障害者就労支援施設への受注をふやそう、こういう意図からつくられる法案です。

 厳しい経済情勢のもとで、障害者の就労の現場において、受注の確保、非常にこれは切実な問題でございます。国の機関からの公共調達をさらに進めるために、障害者施設等からの随意契約できる範囲を拡大すべきだと考えております。これは、藤田財務副大臣、いかがでしょうか。お伺いいたします。

藤田副大臣 お答えをいたします。

 先ほども申し上げましたが、私も、いろいろな作業所等でのいろいろな物品、大変すばらしいものを買わせていただいたり、それから私の茨城の事務所でも、いろいろ、包装作業とか発送作業とか、大変丁寧にやっていただいております。

 それで、今度のいわゆるハート購入法案が公布、施行されれば、その方針に基づいていろいろな省庁が調達を進めていくということになるわけでございます。

 そんな中で、いわゆる慈善救済施設からの物件の調達に関しましては、既に予決令の規定で随意契約というものが含まれておるわけでございますが、今回御審議をいただいております法律が公布、施行ということになれば、それを契機として、役務の調達もその対象となるように、改正に向けて、前向きに検討してまいりたいというふうに思っております。

古屋(範)委員 障害者の方々がつくられた物品につきまして、まず隗より始めよ、ここから普及をさせて広げていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 最後の質問に参ります。

 障害者の方々が在宅での就労をしていく、特にテレワークについてお伺いをしたいと思います。

 私も、障害を持った方々のみならず、ワーク・ライフ・バランスの推進ですとか、環境のためにでもあり、あるいは企業の事業継続性、これも究極のバックアップになると思うんですが、また、家庭と仕事の両立、あるいは自分の勉強であるとか地域活動との調和のためにテレワークを推進すべきだと、これまで取り組んでまいりました。

 特に、中央省庁におきましては、総務省では本格実施をしております。これまでも何度か当委員会でも取り上げてきたんですが、印象としては、厚生労働省はテレワークには非常に後ろ向きだなという感じを今までも持ってまいりました。

 特に、障害を持った方々がITを利用して通勤をしなくて済む在宅でのテレワーク、これは非常に有効な働き方だと思っております。

 一九八〇年代から通勤負荷の軽減を目的に導入が行われてきたんですけれども、平成十九年に策定されたテレワーク人口倍増アクションプランでは、障害者雇用率向上、在宅勤務による障害者の業務効率向上等の効果が見込まれております。在宅就業の障害者の支援制度のインセンティブを正しく設定することで、テレワークが障害者雇用分野において大きな力を発揮することが期待されています。

 この障害者の在宅就労としてのテレワークの普及について、これは副大臣にお伺いしたいと思います。

西村副大臣 お答えいたします。

 障害をお持ちの方の多様な就労機会の確保ということは大変重要だと思っておりまして、その意味で、テレワークなど在宅就労で働く障害者に対する支援についても同様に重要なことであると認識しております。

 このため、厚生労働省では、在宅就労する障害者の就労機会の確保に向けて、平成二十四年度から、在宅就労する障害者を支援する団体、中間団体のようなものですが、こちらに対する助成制度を創設し、在宅就労を行う障害者への支援を行っていくこととしております。

 さらに、通勤が困難な障害者等の雇用、就業の促進に向けた取り組みといたしまして、例えばインターネットを利用したIT技術等の習得を行う公共職業訓練、自宅でできるEラーニングコース等でありますが、これを実施し、IT技術等の職業機会の開発、向上を行っております。

 こうした取り組みにより、テレワークなどで在宅就労で働く障害者に対する支援についても全力で取り組んでまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 テレワークを初めとする障害者への就労支援、また総合的な障害者施策の強化を求めまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

長妻委員長代理 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、わずか三時間の審議でこの法案の採決が提案をされました。幾ら何でも、自立支援法を廃止し、障害者が権利の主体となった新法をつくるんだと期待されていたのに、それがこのような形で幕切れとは、怒りで言葉が見つからないくらいであります。二〇一〇年一月に基本合意を結び、喜びの涙を流した原告らが、今や、悪夢のようだと叫んでいます。

 大臣は、二月十六日の予算委員会で、私の質問に対し、名称や目的規定を改正するということから、障害者自立支援法の廃止になると答えました。

 改めて聞きます。その後、閣議決定されて提出された本法案は、確かに名前は違いますが、骨格はつなぎ法案です。障害者自立支援法の一部改正にすぎないと思いますが、これで廃止になったのですか。

小宮山国務大臣 再三お答えをいたしておりますように、平成二十二年の一月の基本合意以降、平成二十二年十二月の障害者自立支援法、児童福祉法等の一部改正によりまして、障害者自立支援法で一番問題となって、廃止をしなければというもとになりました利用者負担が応益負担から応能負担に改正されるなど、抜本的な改正が行われているという事実があります。また、低所得の人に対するサービスの利用者負担の無料化など、予算措置とか運用改善などで対応を行ってきました。

 そして、今回の新法では、障害者基本法に基づいた基本理念を盛り込むとともに、法律の根幹となる名称や目的規定を改正することにしていますので、基本合意にも掲げている障害者自立支援法の廃止になると考えています。

高橋(千)委員 あくまでも廃止だとお答えになりました。もしそれが本当であれば、誰もこんなに怒りの声を上げたりはしないんです。そうじゃないからこそ、今こういう事態が起こっているんじゃありませんか。

 昨日、大臣の読み上げられました法律案の提案理由説明、本当に、正直驚きました。

 最初の二行は、内容の概要を説明いたしますというところから始まっていますが、これまで障害保健福祉施策については、障害者や障害児が自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、障害者自立支援法等に基づき、必要な障害福祉サービスに係る給付等の支援を行ってきましたと。つまり、自立支援法のことを書いているわけです、何の批判もなく。そして、平成二十一年十二月以降、制度改革会議が設置をされました。骨格提言を踏まえという表現はございますが、その間がありません。違憲訴訟と基本合意があったことが全く抜け落ちているのです。

 訴訟は、自立支援法を、今読み上げたこの自立支援法を憲法違反だと否定して、廃止を約束したのが基本合意だったわけです。そして、基本合意は、その文章の中に「障害者の人間としての尊厳を深く傷つけた」と明記をして、原告を初めとする障害者とその家族に反省の意を述べているんです。

 改めて聞きますが、この基本合意にある、尊厳を傷つけたというのは、何をもって尊厳を傷つけたと認識しているんですか。そして、大臣自身がその立場は変わらないんですか。

小宮山国務大臣 基本合意では、障害者自立支援法の立法過程において十分な実態調査の実施や、障害者の意見を十分に踏まえることなく、拙速に制度を施行するとともに、応益負担、定率負担の導入等を行ったことにより、障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに対して反省の意を表したもので、この反省の気持ちということは今も変わっていません。

    〔長妻委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(千)委員 反省の気持ちというのは変わっていないというお言葉でありました。

 やはり、障害があるゆえに、生きていくために必要な支援を受けなければならない、そのことを益だと言われて、逆に、障害が重くなればなるほど負担が重くなる、そのことが憲法違反であるということを指摘した裁判であり、だからこそ、尊厳を傷つけたと述べられたんだと思うんですね。その原点が全く反映されていないということを言わなければならないんです。

 資料にあるんですけれども、四月五日現在、百八十三の自治体で意見が上がっています。廃止とはどうやら違うようだということがわかってから、わずか二カ月から三カ月という短期間でこのように広がっている。これでもまだ、廃止する法案なのにみんな誤解しているのよとでも言うつもりなんでしょうか。こういう地方の声をどう受けとめているんでしょうか。

小宮山国務大臣 それは、地方からの声、そして当事者の皆様の声はしっかり受けとめさせていただきたいと思っています。

 でも、現実の問題としまして、一番根幹になるところが応益負担から応能負担に変わっているということ、先ほども御説明したように、全くがらりと根底から変えてしまうと、今サービスを受けていらっしゃる方、また事業者の方などが全部また最初から手続もしなければならないというような混乱が起こること、そうしたことなどを考慮して、また各党の御意見も伺った上で、今回このような措置をとらせていただいた。

 そして、先ほど申し上げたように、あくまでもこれは段階的にやらせていただく第一歩なので、これからまた一層、当事者の方の御意見も伺いながら、さらに一歩一歩進めていくように努力をしたいというふうに考えています。

高橋(千)委員 さっきも言ったとおり、本当にこれまでもずっと、当事者の声を聞いて、参加でやってきたわけですから、本来ならば、段階的なんだよ、いろいろな困難があるから一歩一歩なんだよというのであればみんな理解しているはずなんです。そうじゃないということがなぜなのかということをさっきから議論しています。

 二月十六日の予算委員会で、私は、総合福祉部会の席上で厚労省の中島企画課長が述べた言葉を紹介しました。結局、法律の廃止とは、本気でやらないといけないということではないんだ、こういう意味の発言をしているじゃないかという指摘をしたのに対して、大臣は、これは不適切である、そして注意をしますということを述べたと思います。それが二月十六日です。

 ところが、その直後の二月二十二日付の東京新聞、今度は課長補佐、さっき話したのは課長、今度は永尾企画課長補佐が、これまでに法律を廃止したのは、らい予防法などごくわずかである、政策に一定の継続性がある場合、廃止とはいっても技術的には改正のことなんです、こう言っているんです。

 つまり、初めから厚労省はそのつもりなんだと、皆さんにはずっと、いや廃止するんだと言ってきて、最初からそのつもりなんじゃないかということを改めて思わざるを得ない、指摘せざるを得ない。どうですか。

小宮山国務大臣 事務方の課長並びに課長補佐がした発言が不適切である場合は、私は、それはしっかりと注意をしていきたいというふうに思っていますし、この間、予算委員会の後、課長の方には、どういう趣旨かということは私の方で調べております。その前後のところも含めて全部読んでほしいということでありましたが、やはり不適切だととられるような発言は慎むようにということは私の方から言いました。

 それについて、やはり事務方の方で私どもが思っていることと違う考え方に基づいて動かしているようなことがあれば、私は、それは一つずつ注意をしていきたいと思っていますし、私どもが考えている方向で施策が進むように全力を挙げていきたいと考えています。

高橋(千)委員 多分これは、単なる不適切ではなくて、やはり本音なんですね。厚労省がずっと準備をしてきた、そういう中でやられてきている話なんです。結局、何度も何度も聞いていけば、大臣だってさっきから、いろいろな手続があるからとかとおっしゃるじゃないですか。それは厚労省が準備した答弁でしょう。そういうことなんですよ。それをやはり言わなきゃいけない。

 ちょっと具体の話に入りますからね。

 それで、さっき、一番の根幹である応益負担が応能負担になったんだからと答弁をされました。骨格提言は、原則無料としているわけですよね。やはりここは、つなぎ法案のときも随分議論をしましたけれども、骨格は、応益負担の仕組みを残しているんですよね。

 実態が応能負担かどうかということではなくて、実態がそうであれば、そのようにちゃんと条文を書きかえればいいんです。原則無料として、そして所得の高い人、払える人には応分の負担をしてもらえばいいということは、もともと言っているじゃないですか、当事者の皆さんが。それをなぜそうしないのか、伺います。

小宮山国務大臣 平成二十二年十二月に成立した障害者自立支援法等の一部改正によって、利用者には家計の負担能力その他の事情をしんしゃくして政令で定める額を負担していただくことになり、法律上も応能負担であることが明確化をされています。しかし、サービス利用量の少ない人については、家計の負担能力そのほかの事情をしんしゃくして政令で定める額よりもサービス提供に要した費用の一割相当の方が低い場合もあるということから、低い方の額である一割相当の負担で足りることがあわせて規定をされています。

 御指摘の規定は、応能負担により利用者に不利益が生ずることのないように配慮をして設けられたもので、応益負担の仕組みを残したものではないと考えています。

高橋(千)委員 応能負担の方が一割を超える場合もあるからという答弁は、この委員会で何度も聞きました。それも方便かなと思うんです。

 つまり、肝心のところは、結局、法律ではないところで、場合によってはその時々に応じて上げることだって可能になるじゃないですか。その仕組みを残すことが問題だということを言っているんですね。

 そして、今大臣が読み上げたところの、家計の負担能力をしんしゃくしと、この一言が残ったことによって、配偶者の収入認定ということは結局残ってしまったんです。これくらい取ってもよかったんじゃないですか。いかがですか。

西村副大臣 障害福祉サービス等の利用者負担についてでございますが、平成二十二年の四月から低所得の障害者等の利用者負担を無料として、実質的に応能負担とすること、平成二十二年十二月に成立した障害者自立支援法等の一部改正法により、応能負担であることを法律上も明確にすること、同じく一部改正法で、障害福祉サービス等と補装具の利用者負担を合算し、負担を軽減する仕組みを導入することといった取り組みを行っております。

 そして、利用者負担額を算定するに当たっては、障害者本人とその配偶者のみの所得で判断する仕組みとしております。配偶者につきましては、民法上、扶助義務が課せられていることなどを考慮いたしまして、負担上限月額を算定する際の対象としているものでございます。

 利用者負担に係る収入の認定に際して配偶者の収入を考慮に入れないということになりますと、財源の確保状況や、医療や介護などほかの制度との整合性、公平性も踏まえた国民的な議論が必要であるというふうに考えておりまして、引き続き検討してまいりたいと思います。

高橋(千)委員 今、二つおっしゃったと思うんです。

 考慮に入れないということは、まず一つは財源の問題。財源の問題については、もうほとんどが無料になって、きのうここで指摘をしたように、一カ月四億であると。その中で、では、家族に、配偶者に影響する部分がどれほどのものだというんですか。財政の問題ではないでしょう。それが国民的に大問題なんですか。そこをまず一つ確認したいです。

 それから、他の制度との関係ということがございました。やはりこれは、障害者の権利条約に基づいて突破してきた問題ではなかったか。そもそも、家族が、本当に、自分が一日でも長く子供よりも生きていなければならない、そういう思いを述べながら訴えてきた、そのことを乗り越えて、今回、親子の関係などは、個人の収入認定ということまでやっと来たわけです。ですから、そういう中で乗り越えて、ここだけが乗り越えられない理由はないはずなんだと思いますが、いかがですか。

西村副大臣 障害福祉サービスに係る利用者負担の推移でございますけれども、無料でサービスを利用している方の割合は、平成二十二年三月の一一%から、平成二十三年の十月時点で八五・五%まで増加をしております。

 そして、自立支援医療に係る低所得者の利用者負担ということにつきまして、平成二十二年の一月の障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と国との基本合意文書で当面の重要な課題とされ、平成二十三年度、平成二十四年度の予算編成過程で検討を行ってまいりましたが、厳しい財政状況の中でどのように財源を捻出できるのかといった大変難しい課題があったために、引き続き検討することとしております。

高橋(千)委員 副大臣、ごめんなさい、それは、次に言おうとしていた自立支援医療の質問に対する答弁でございます。

 私が聞いたのは、今、家族の、配偶者を残したところは、財政的な理由だなんて、そんなものじゃないでしょうと、きのうも言ったように、全体で四億円だと、政府が社会保障と税の一体改革の広報に使った八億円の半分にすぎないと、配偶者にかかわる部分はその中のほんの一部じゃないですかと、そうじゃないですかということを、財源の問題じゃないでしょうということを聞いたんです。それと、他の制度との関係は既に乗り越えてきたじゃないかということです。

西村副大臣 失礼いたしました。

 同じことの繰り返しになるかもしれませんけれども、利用者負担に係る収入の認定に際しては、配偶者の収入を考慮に入れないということでありますと、財源の確保状況はこれまた大変厳しいものがございますし、また、医療や介護などの他の制度との整合性、介護の方等は世帯全員を含むということにもなっておりますので、これらとの整合性、公平性も含めた国民的な議論が必要であるというふうに考えております。

高橋(千)委員 さっき先に答弁してしまった自立支援医療の問題も含めて、結局、最初に大臣が、根幹だった応益負担を応能負担にしたんだからこれはもう廃止に値するんだと言ったけれども、そうじゃないんです。乗り越えていないんですよ。だから、やはりそこはちゃんと見なければいけないし、これでは、権利条約の批准を今目指して、次の新法もつくる予定なんだけれども、それに値しないなということを言わなければならないと思います。

 次の質問ですけれども、難病が加わったことで、本当に、すき間のない制度と呼べるんでしょうか。

西村副大臣 今回の法案におきましては、昨年の障害者基本法の改正で、その他の心身の機能障害を有する者が障害者に含まれたこと、また、閣議決定等において、制度の谷間のない支援の提供を実現することとされており、これにも対応するものでございます。

 このため、障害者の定義に新たに難病等を位置づけ、障害福祉サービスの対象とすることにしているわけですが、対象となる者の範囲については、政令で定めることにしております。

 対象となる具体的な範囲については、現行の難病患者等居宅生活支援事業の対象疾患、百三十疾患及び関節リウマチ、これを参考に、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会での議論を踏まえ、施行に向けて検討することとしております。

高橋(千)委員 制限列挙だとどうしても漏れてしまうんですね。例えば、団体の皆さんは、小児慢性疾患及びキャリーオーバーとか、そうした方たちも入れてほしいと述べておりますが、いかがですか。

西村副大臣 これについては既に大臣等からも答弁ありましたけれども、現在検討中ということでございまして、対象となる具体的な範囲については、難病対策委員会での議論を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 新たなすき間の可能性が残されているということをまず確認しなければならないと思うんです。

 それで、資料の二枚目を見ていただきたいと思うんですけれども、難病患者等で障害者手帳のない方たちに対して、ここに資料がありますけれども、三つ、ホームヘルプ、それから短期入所、日常生活用具給付事業など、難病患者等居宅生活支援事業というものがございます。この利用実績とこれにかかわる予算はどのくらいでしょうか。

津田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 難病患者等居宅生活支援事業の利用実績は、平成二十二年度において、ホームヘルプサービス事業が三百十五名、短期入所事業が十名、日常生活用具給付事業が七百二十九件となっておりまして、その決算額は、約六千五百万円となっております。

 また、本事業の平成二十四年度の予算額は、約二億七百万円となっております。

高橋(千)委員 ホームヘルプで三百十五名、そして短期入所で十名、本当にわずかな事業規模なんですね。だけれども、本当にこれは、やはり市町村が頑張らなければいけないということもあって、困難があるんだろうと。こういうことはもっともっと広げていくべきなんです、いい制度なんですからね。手帳がなくてもこうしたことをやってきた。

 ただ、問題は、これからは、この人たちが、難病が含まれるとなったことによって、今の障害者のサービスと同じサービスを受けるということになるわけなんです。果たしてそれが、今よりも受けられるサービスがふえて、それで負担が変わらないということになるのか。それは難しいと思いますが、いかがですか。

津田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 難病等の人についても、法律に基づく給付対象とすることから、他の障害と同様に障害程度区分の認定などの手続をとっていただくことになります。

 この難病等の方々は周期的、断続的に症状が生じる人や症状自体がわかりにくい人もいることから、平成二十五年四月の施行に向けては、難病等の人についても適切にサービス利用を行うことができるよう、認定調査の際に十分に留意するなど、運用を工夫することで対応していきたいというふうに考えております。

 具体的には、百六項目の認定調査項目の中で難病等の特性をどのように踏まえるか、二つ目には、認定調査票の特記事項にどのような記載をすることが適切であるかなど、各市町村で難病等に配慮した認定調査を行うことができるよう、留意点を具体的に示した指針を作成し、市町村に周知することを予定しておるわけでございます。

 また、既に難病患者等居宅生活支援事業を利用している方については、利用実態等をよく調べた上で、支援の必要な方が引き続きサービスを受けることができるようにしていきたいというふうに考えているわけでございます。

 なお、平成二十五年四月以降の運用状況を見ながら、判定方法自体を見直すことが必要と判断された場合には、今回の法案で盛り込んでいる検討規定を踏まえて検討していくことを考えております。

高橋(千)委員 今、実態を考慮してということと、それから、引き続き利用できるようにということをおっしゃったと思うんです。程度区分が今度支援区分ということになるわけで、支援区分が検討されるのは法施行後三年間だと、それまでの間は今までどおりの認定方法があり、その中にいろいろ医師の意見書とかそういうのを踏まえて運用していくということなんだと今の答弁で理解をしたわけですけれども、私が言っているのは、まず、今まで利用していた人が、当然、入ったんだからもっと広がると思っていたらそうではなくなったということがあってはならない。また、今の制度だって、さっきから言っているように、三百十五名しかいないわけですね。全く足りないわけ。これをもっと拡充していく形で、本当の意味で、対象になってよかったなと思えるようになるんでしょうか。それを約束していただけますか。

津田大臣政務官 高橋委員の御指摘についても、しっかり我々は検討していきたいと思っております。

高橋(千)委員 そこで、今紹介された検討事項のところですけれども、障害区分認定を含めた支給決定のあり方、パーソナルアシスタンス制度、就労支援を含む福祉サービスのあり方等について、三年を目途に検討するとしているわけです。

 ただ、これについては、既に、骨格提言の中で具体的に方向性を示しています。今言った区分認定の問題も、ガイドラインという形で、なくてもいいんだ、新たな仕組みができるんだということをきちんと示しているわけですよね。それが今回は取り入れられていないわけですけれども、その、検討するということは、骨格提言に沿って実現を目指すということなのか、いやいや、それは難しいので違う道を考えるという意味なのか、どうですか。

小宮山国務大臣 それは、検討する際には、骨格提言に沿ってやりたいと思っています。

高橋(千)委員 一つ確認をいたしました。

 私は、この法案の中身一つ一つを見たときに、全否定はもちろんしません。当然、当事者の皆さんがこれまで訴えてきたことが反映をされていたり改善されたものがあるのは承知をしています。

 また、先日、当委員会で長岡のグループホームに視察に行ったときに開口一番言われたことは、つなぎ法で家賃補助ができたのでよかったということを言われました。まさかそのために行ったのではないと思いたいわけでありますけれども。

 結局、それは当たり前なんですよね。それは当事者の運動の反映であります。最初のころは、何を言っても、今改革会議で検討しているからできませんということが随分多かったです。だけれども、それはみんな織り込み済みで、いいものをつくるんだ、だから法律はちゃんとつくるんだと。でも、今できることは、例えば政令ですとか省令で落として今できることはすぐ改善してほしいということをずっと訴えてきた中で、あるわけです。

 ですから、言ってみれば、自民党時代にもそういうふうにやってきた。そもそも、つなぎ法というのは自民党時代につくった法案であります。ですから、その延長にすぎないわけです。だったら、わざわざ障害者自立支援法の廃止を掲げ、基本合意を結んだ政権交代の意味はなかったということなんです。

 ねじれ国会だからといって最初から諦めて、基本合意と骨格提言という当事者との約束、この成果よりも、自民党、公明党に受け入れてもらえること、そのことを優先して、いわば官僚の手のひらで動いていたにすぎない、こう言わなければなりません。

 最後に、私が最も共感したというか、私が一番言いたかったこと、これを、弁護団と原告団が声明に書いていることがまさにそのものずばりですので、読み上げたいと思います。

 「どれほど深刻な政治不信を引き起こしたか本件に関与した政治家に自覚があるのであろうか。 二〇一一年八月三十日まとまった骨格提言は五十五人のあらゆる立場からなる委員の一致した提言であり、政府はその骨格提言の内容を法案として上程するべきなのである。「全国の障害者団体の一致した願いを法案として提出した。反対するならば、反対してみなさい。」と政府・与党は筋を通すべきであった。野党は反対出来るはずもない。 政府が調印した基本合意と政府が署名している障害者権利条約を基礎として作成された骨格提言を政府自ら無視し軽んじた罪はあまりにも重い。」

 つまり、一度もこれに沿った法案を出してこなかった。その法案を出して、それから、どうしても賛同が得られないのであれば、そのための努力をするべきであった。まだそのことをしていないんですよ。そのことを私はどうしても言いたかったんですね。

 一歩一歩ではなくて、まずその政府の姿勢を示さなかった、そういう意味では、やはり約束をほごにされたと怒るのは当然であります。

 断固、認められない、反対だということを指摘して、終わりたいと思います。

池田委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 ただいまの高橋さんの最後の表明、きょうは、実は私の事務所からも、六十九人の障害のある当事者の方も含めた傍聴の要請を受け、お取り次ぎをいたしました。各委員会がある中でこれだけたくさんの方が傍聴を希望される、それも障害の当事者が希望される、固唾をのんでこの審議を見守っている。

 私は、この障害者自立支援法が、そもそも私どもも加わっていた三党連立政権の生みの親であったと思います。障害者自立支援法が成立せんとするときに、当事者団体の方々が、自分たちの声抜きに、自分たちが長年無視されてきた、その長い長い歴史をここで変えたいという強い思いで、私ども当時の野党にも働きかけがあり、また、与党の皆さんも当時そのことに随分いろいろな意味で影響を受けられて、この障害者施策をお考えになったでしょう。

 ですから、当然、その結果としてある今の政権は、現実にお金がどのくらい足りない、これは現実の、政権の抱える最大限の制約です。しかし、そのことと同時に、障害者に向けて、皆さんに向けて、常にその声を受けとめますという姿勢、できることとできないことがありながら、対話をしていくという姿勢を欠いてしまえば、もともとなぜ与えられた信任であるかという根拠が消えてしまうと思います。

 私は、委員長にもお願いがありますが、実は、私の質問で最後で、もう採決をなさるということで、あと、みんなの党も質問がございますが、私と共産党の高橋さんは、強く反対をいたしました。

 その反対の理由は、せめてここに参考人として、これは今後も続いていかなければならない施策の今や途中にあるものであるから、参考人に来ていただいて審議を深めたい。なぜ今この三時間で決着しなければならないのか、誰も、先ほど来の質問の中で、そのお答えは政府側にはないと思いますし、また委員長にもこれは私はお願いをしたものであります。与野党の筆頭同士の合意で、参考人なく採決ということになっておりますが、極めて残念であります。

 あわせて、政府には、例えばこういうことに向けて全国で公聴会を開くとか、もう一度なさるべきであったと思います。TPPでも全国公聴会を、あれが形式だけであるかどうかは別に、やっておられます。この問題がこれからも続くということを考えられた場合に、今どこまではできて、どこからはこれからだということを広く理解していただくための取り組みが圧倒的に欠如しているように思います。

 小宮山大臣に伺います。

 今の私の指摘、せめて、公聴会も含めて、大臣は、例えば税と社会保障の一体改革でもいろいろなところに行かれているということは存じ上げています。それと同じような労力、身はお一つですから大変です。でも、西村智奈美副大臣もおられます。女性三人おられて、私はいい厚生労働省の体制だと思っております。そして、そういうことを裏切ることのないよう、ぜひ当事者の意見を聞くような体制をつくるべきであったと私は思います。

 そして、当事者性とは、例えば私どもが議員であったり、小宮山大臣が政府であったりして、それを、障害者団体から言われたことのどのくらいを取り入れたか、要望があって、じゃ、これしましたよというだけではないんですね。できないときもある。だけれども、どういう方向に持っていきたいかを十分伝える。そして、今はここまでだけれども応援してほしいとお願いされてもいいんだと思います。

 だって、国民的理解が必要で、お金をそこに割いていくにも、社会を変えていくためにも、最も根幹は社会を変えることです。社会の中に偏見や差別がなくなることです。そういうことに向けて本来の努力をなさるべきであったと思いますが、いかがでしょう。

小宮山国務大臣 阿部委員がおっしゃること、私も共感をするところが大変多いところです。

 今回、こういう形で、三時間の審議でということは国会の中でお決めをいただいたことですが、委員もおっしゃっていただいたように、今、私が社会保障と税の一体改革で全国を歩かせていただいている中で、どの会場でも、やはり障害当事者の方からこの問題について多くの御意見をいただいています。ある会場では半数ぐらいがそういう意見だったこともありまして、皆さんの御意見が非常に強いということは私自身わかっておりますので、できることなら、そういう機会をつくるということも考えられたのかと今思っております。

 当事者の方も入っていただいた会議体を政府につくったというのは、やはり政権交代があったからできたものだと思っています。その中で骨格提言をいただいたときに、私もいただいたとき、本当にいろいろな思いがぎっしり詰まっている、本当に重いものだと思います。ただ、現実の問題として、それが一度にはできないので、これは段階的にでも、しっかりと受けとめてやらせていただくと申し上げた気持ちは今も変わっていません。

 法改正でやること、予算措置でやること、また、運用改善でできること、いろいろあるので、その項目の全部がこの法律にどう入っているかで、やっている、やっていないということではないということは申し上げたいと思いますが、全体として、これからもぜひ皆さんと向き合って、しっかりとこの問題は取り組んでいきたいと思っていますので、ぜひ、そういう意味では、委員の御尽力もお願いをして、これは各会派、そして政府、みんなで正面から受けとめて、一つずつ解決をしていかなきゃいけない問題だと考えておりますので、そういう気持ちでやっています。

阿部委員 今、大臣の覚悟のほどは伺いましたが、私は、先ほどの高橋委員とのやりとりを聞いていても、例えば、原則を応能負担にするのと、逆に、現実的に応能負担になったけれども、やはり原則応益負担の考え方が残っているのではないかということと、これは違うと思うんですね。

 これまでのというか、今現在のやり方だと、いろいろな意味で応能負担に近くしたけれども、その骨格部分、根底部分に応益負担の制度そのものが残っているということが実は当事者団体と今のやり方の大きな違いで、きょう、皆様のお手元に、私は骨格提言を項立てしたものを一枚にしていただいたのをお配りいたしましたが、例えば利用者負担のところも、七番ですね、障害に伴う必要な支援は原則無償とするが、高額な収入のある方には応能負担を求める。

 負担を、障害のある方も否定しているわけではありません。ただ、原則の考え方、これが応益とされた障害者自立支援法にすごく反対が強かった。例えば、トイレに行くのも応益か、食事を食べるのも応益か、外に出るのも応益かと。考え方ですね、ここは非常に大事なんだと思うんです。

 大臣にはここで確約していただきたいが、この施策は原則応能負担なんだなということです。なし崩し的に現実が応能負担になったというのではなくて、原則は、これは障害者の権利条約の考え方とも密接なんです、障害があるゆえに不利益をこうむらない。障害があるからサポートしていただくときにお金を出したら不利益なんです。ここが非常に、障害者権利条約が今目指すべき途上にあって、その途上に今の審議があり、今の政策があるということです。

 大臣、いかがですか。

小宮山国務大臣 障害者権利条約を何とか批准し、障害者権利法をつくろうということは、私も議員になったときからずっとやってきたことでございますので、委員が言われることはそのとおりだというふうに思います。原則応能負担ということだというふうに私は考えています。

阿部委員 そういたしますと、応能のときに、もちろん障害者御自身の収入とかそういうことが認定根拠になるわけで、そこを先ほど副大臣の西村さんが、介護保険との並び等とおっしゃいましたが、実は、障害者の権利条約とは、障害者の権利としてそういうことを、御自身の権利として保障するということなんですね。どなたとお住まいかということではなくて。

 これも考え方ですよ。やはり、もし今障害者権利条約に向かっていっているとなるならば、先ほどの西村副大臣の御答弁は、ちょっと私は、ずれてしまうと思うのですね。他の法律との並びですとおっしゃいましたけれども、並びを超えていくものであります。それは、障害ゆえに差別をされないということからもそうなってくるんだと思いますが、大臣、いかがですか。

小宮山国務大臣 それは、どこをベースに物を言うかということの違いかというふうに思います。

 厚生労働省をお預かりしている責任ある立場からしますと、やはり、今のさまざまな社会保障制度の中で、個人単位か世帯単位かということがいろいろなところで問題になっています。このことについては、これはしっかりと検討していかなければいけないと思っているんですが、もちろん、条約の精神というのはすごく大事です。

 ただ、現実に、今の社会保障制度をいろいろと運用している中で、どこだけがどうという話にはなかなかなりにくいという現実があるということもぜひ御理解をいただいて、全体に社会保障制度が、これもやはり個人単位にすれば、当然、その障害当事者個人のことになります。ただ、全体に世帯単位で考えている部分もあること、そうしたこととの並びをどう考えるかということも含めて、これはぜひ、私どもも真剣に議論をいたしますし、皆様方ともこれから検討をさせていただきたいと思っています。

阿部委員 特に障害者の問題は、家族という問題が、あるときは桎梏であったりしたわけです。だからこそ、世界じゅうで、障害者権利条約のときには、本人の例えば権利であり、収入やあるいは生活に着目をするわけです。

 今のようなやり方では、障害者の権利条約が批准できなくなります。他の法律との並びということは、政権としてあるというのは当然でしょう。しかし、権利条約を批准したいという意思があるならば、どこかで超えていかねば批准ができないんです。ここに家族の問題等々を持ち込めば、同じ法体系になってしまいます。

 権利条約の批准というのは、そこほど重要であり、しかし、恐らく、今政権におられる皆さんは、権利条約の批准はやるという覚悟であるんだと思います。そして、逆にそのことでプッシュしてもらってでも、障害者個人単位に、ここは先んじて持っていかねばならない課題なんだと思います。大臣もおわかりだと思いますので、私の意見として強く受けとめていただきたい。

 そして今回、骨格提言と申しますものが幾つかできまして、これは、障がい者制度改革推進会議が英知を集め、また、その下に部会を設けて、いろいろな当事者の、半数は当事者で占めるような部会もつくってつくられたもので、ぜひこれを、大臣は一歩としたいとおっしゃいましたが、そうすると、工程表というのが普通要るわけです。どこまでに、何をゴールとして、どうやっていくか。この六十項目のどのくらいが達成点かとすると、当初の厚生労働省案よりは、民主党のさまざまな部会を経た案の方が少し達成は高くなっていると思いますが、でも、まだまだで、骨格的なところも残されております。

 大臣には、ぜひ工程表というものを明示する努力をしていただきたいのと同時に、いろいろなサービスを受けたくても、そこの地域にそういう基盤、拠点がなければできません。

 思い起こせば、介護保険のときは、ゴールドプラン、新ゴールドプラン、新新ゴールドプランとして、基盤整備を財政的にも位置づけてやった。そのことによって、今、保険とサービスは両輪で回っているわけであります。

 この障害者施策においては、一つには工程表が必要であろう。一つには基盤整備のための、これはもちろん、立法する、財源が必要だ、もう頭がいっぱいになるというのはわからないではありません。でも、そうやって進めていかないと、実は、私がこの前の法案の審議のときに最も気になったのは、本当にサービス提供基盤が地域間で非常に格差があって、そして、残念ながら厚労省が把握しておらないということであります、自治体ごとですから。そうであると、均てん化もされませんし、あるところはサービスが受けられないとなります。

 工程表と、そしてサービス提供基盤の整備について、小宮山さんのお考えを伺います。

小宮山国務大臣 それはやはり、段階的に、確実にやっていくためには、皆様にもわかりやすい工程表というのは必要だと私も思いますので、それは努力をさせていただきたいと思います。

 また、基盤整備につきましては、これは法律だけではなくて、予算措置やら運用やらいろいろな形でやらせていただくと申し上げているんですが、現実には、今厚生労働省と内閣府といろいろと所管が分かれている部分もありますが、そうしたところを連携して、ぜひ、必要な予算措置も含めて、基盤づくりにも努力をしていきたいと考えます。

阿部委員 先ほど来私がお願いした当事者の参加、工程表、そして基盤整備、これらは、行政としてなさるときに、同時に、行政がきちんと進んでいるかどうかをある種チェックしていく体制が必要だと思います。

 大臣はそうした意識は強くおありと思いますけれども、もともと障がい者制度改革推進会議が内閣府にできて、そしてその後、基本法の改正も行われて、いずれも内閣府の中でありました。

 今度、実際、行政としては厚生労働省が施策を行っていくときに、もちろん自分たちは努力しているつもりであっても、当事者から見ればどうか、地域基盤から見ればどうか、工程表はどこまでいったかなどを、ある意味で行政監視といいますか、チェックしていくような場を、それは障害者の当事者も参加でお考えいただけまいか。いかがでしょう。

津田大臣政務官 阿部委員にお答えを申し上げます。

 今回の新法では、法施行後三年をめどに見直しの検討を行うこととしておるわけでございます。この検討に当たりましては、障害当事者やその家族、その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じることを盛り込んでいるところでございます。

 具体的にどのような方法で障害当事者やその家族、その他の関係者の意見を反映させていくかにつきましては、今後、法案の施行に向けて検討を進めてまいりたい、そのように考えております。

阿部委員 津田副大臣はさっきもそうお答えになりましたので、わかっているんですけれども、余りに抽象的過ぎて。そして、例えば関係団体のヒアリングをしただけでも障害者の声を反映したと言われてしまいますので、私の申し上げた、一つはどのくらいのスピードで工程が進んでいるかのチェック機能、そして当事者の声がどのくらい反映されたかということ、地域基盤がどう整備されたかということ、そういうことがきちんと検証されるようなものであっていただきたい。ぜひよろしくお願い申し上げます。

 次に、難病の問題。

 これも何人もの委員がお尋ねでありますが、今回の骨格提言の中でも、非常に大きな変化があったというところに、法の理念・目的・範囲ということがございます。これは、障害の有無によって隔てられないということと、それ以上に、保護の対象から権利の主体へ転換すると同時に、医学モデルから社会モデルへ。今までは、例えば病名がついたり、病気であるがゆえの医学モデルであることから、環境と自分の間に障壁がある、社会と自分の間に障壁がある、そういうことから障害というものを照らし直していこうという大きな転換点であります。

 となると、今度、この施策の対象が、いわゆる障害者として難病も含むという形になる。難病も含むという言い方ではなくて、法の対象となる対象者に、治療法の確立していない疾病その他の特殊な疾病であってというふうに入るわけで、何も難病というふうに規定されたわけではないのですが、先ほど来伺っていると、この難病という今の百三十という疾患プラスリウマチというような疾患モデルで、そこの人たちを給付対象にしようというようなお考えに聞きます。

 障害者基本法の改正でも、そうではなくて、心身の障害ゆえに抱えるさまざまな困難に対しての支援というふうに書いてございますし、そちらが理念法であれば、給付についてもそれと同等、横並びでなくてはならないのではないか。

 特に、障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言というのを津田副大臣は御存じだと思いますが、ここでは、さまざまな、今認められている難病だけでなく、医師の意見書などをつけた場合も含めて、それを演繹して対象にしようということでございます。この総合福祉部会の提言はどう受けとめられましたか。

津田大臣政務官 政務官でございますので、よろしくお願い申し上げたい。(阿部委員「ごめんなさい」と呼ぶ)

 御指摘の点につきましても、私どもとしては、しっかり対応していきたいと思っております。ただ、医学モデルということについての批判がこれまで非常にあったということについては、今後の検討の中ではしっかり反映をしていかなければならない、そのことを踏まえて取り組んでまいりたいと考えております。

阿部委員 いつかは明確ではない、難病のための審査部会といいますか検討部会を待ちながらということをほかの委員の御質問にお答えでしたが、そうではなくて、ここは、本当に障害者基本法の改正にうたわれたような理念を現実にするものとしてやっていただきたいと思います。

 最後に、自立支援医療についてお伺いをいたします。

 障害者自立支援法ができるときに、何だ、この自立支援医療というのはと、私も随分お尋ねをいたしました。これによって、例えば、精神障害のある方等のデイケアとかの自己負担増なども起こるし、また、私のような小児科医の分野は、とりわけお子さんたちの重い病気の方々がこの育成医療というのを受けておられますが、それもまた障害者自立支援医療に取り込まれることによって、親御さんの負担がふえるのではないかということを懸念いたしました。

 見直しの中で、お示ししたような、図にありますような幾つかの軽減措置はとられました。例えば、市町村民税の課税以下であるか、課税世帯であるか、あるいは二十三万五千円以上の世帯であるかなどによって区分けがされました。

 しかし、育成医療という医療、子供たちの医療をお受けの方が十八歳以上になると、ここを出なければならなくて、次は更生医療という方に行きます。そうすると、この減免措置なるものが、がくんと少なくなります。その理由は、更生医療に行くと、いわゆる低所得者については少し減免措置がありますが、中間所得者については、御病気が重くて「重度かつ継続」に行ける、心臓移植とか肝移植の後とか、そういう方以外は御家族の負担能力に応じて払っていただく。

 例えば心臓病を例にとりますと、今、日本の医療は、私が小児科医になって三十八年ですが、随分、各段発達いたしました。二十以上の、長く生存される、心臓病でも重いお子さんたちが四十万人、手術とかをなさいますから、見かけ上は重く見えないとしても、いろいろな生活上の制限を抱えた方が四十万人おられます。育成医療に行かれる方であります。多くはなかなか就労がかないません。御家庭の収入も、市町村民税の非課税世帯以上ですから、中間所得くらいであります。

 この四十万人の皆さんについて、現状、更生医療になった場合の負担が大変に重いという実態がございます。ぜひ実態調査をしていただきたい。そして、しかるべく、もしそこで軽減措置が必要であれば組み込んでいただきたい。

 恐らく厚生労働省は、実態は御存じないのではないか。私は、そうした実態がまずあって、どのように、例えば、長じて後も本当は仕事ができた方がいいんだけれども、できないで、おうちにいて家族が支えてくださっている御家庭は多いんです。小児科医をやっていると実感します。そういう方の実態が全く把握されていない。そして、育成医療は終わり、更生医療だと言われる。むしろ問題は深刻になっていると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

津田大臣政務官 御指摘の実態調査という点については、省内で検討をさせたいというふうに考えております。

 阿部委員御指摘の自立支援医療制度、これは、各医療保険制度の自己負担を軽減する仕組みでございます。医療保険制度は被保険者とその被扶養者の世帯を単位として設定をされているため、自立支援医療の負担額を決める際にも、医療保険と同じ、世帯の所得で決定することにしているわけでございます。これを障害者本人所得のみと改めることは、医療保険制度等との整合性の観点から、慎重な検討が必要というふうに考えているわけでございます。

 さらに、今、育成医療と更生医療、育成医療から更生医療に移ることによってさまざまな課題があるのではないかという御指摘をいただきました。この点につきましては、今後、省内でしっかり検討をしていきたいと考えております。

阿部委員 私は、それだからこそ、そもそも自立支援医療というふうに変えるところからそごが生じますよと。今、津田政務官がおっしゃったような認識があるからです。医療保険制度での仕組みと違ってまいります。そしてまた負担増になる。なったからこそ軽減措置が行われたわけです。

 その結果、しかし十八歳以上になれば、先ほど申しました子供さんの状態は、子供ではなくなるけれども、生活の実態はもろもろに負担がかかってまいります。例えば、高校の無償化という問題がありました。あのときに特定扶養控除が減額されました。でも、高校にもしお子さんが行っていなければ、この御家庭は扶養控除が減るだけで、実際には給付は来ません。果たして生活実態がどうであるのか。

 私は、もともと障害を抱えてお子さんを育ててくださっている御家庭について、やはり社会がサポートしていく、国がサポートしていく、そういう視点がなければ、この国自身が本当にそうした人を排除していくことになると思います。

 津田政務官は、実態調査をなさってくださるとお答えでありました。もう既に四十万人おられます。どのようにお暮らしか、家計はどうか、親御さんも年をとっていかれる、さまざまな問題があります。私は今、心臓病だけを例にとりましたが、子供の慢性の長期の疾患は全部同じ課題を抱えております。ぜひそうした親御さんたちの団体とももっときちんと調査をされて、政策に生かしていくということをお願いしたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。

池田委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 私たちみんなの党は、この障害者自立支援法の一部を改正する法律案、事実上そう言っていいと思いますが、これについて、昨日、最終的な議論を行って、反対することを決めました。

 誤解のなきよう言えば、障害者施策の進展に反対するものではありませんし、また、この法案が一定程度それに寄与するものである、難病患者も含めた障害者の皆さんの地域の自立した生活と自己選択、そして就労等を通じた社会参加の促進が一定程度図られる、そういう内容であることは私たちは認めたいと思います。

 しかしながら、民主党が障害者自立支援法の制定時に反対をし、その廃止をマニフェストに掲げて二〇〇九年の衆議院選挙で政権交代を実現して、廃止を約束した基本合意書を原告団と取り交わして違憲訴訟を決着させ、総合福祉部会でのたび重なる議論を経て新法に向けた具体的な骨格提言をまとめられた。ここまでの経過を考えると、今回の自立支援法の一部改正にとどまる法律案の提案に賛成することはできない、こういう考え方であります。

 一つ一つ聞いていきたいと思うんですけれども、違憲訴訟における国と原告団の基本合意と障がい者制度改革推進本部総合福祉部会における新法案の骨格提言、これは一体不可分のものであると原告団の皆さんや障害者団体の皆さんは当然考えておられると思います。

 違憲訴訟取り下げに当たっての和解の基本合意の文書に、障害者を中心とした障がい者制度改革推進本部を設置して、そこで新たな総合的福祉制度を策定する、こういうことが明記されていたことを考えれば、骨格提言と基本合意の内容、骨格提言は基本合意の内容を詳細にわたって具現化するものでありますから、基本合意と一体不可分と言って間違いないというふうに思いますけれども、この点は厚生労働省は同じ考え方なんでしょうか。お伺いをしたいと思います。

小宮山国務大臣 基本合意文書につきましては、平成二十二年一月に障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と国、厚生労働省との間で取りまとめられたものですが、今御紹介いただいたように、基本合意文書では、「国(厚生労働省)は、「障がい者制度改革推進本部」の下に設置された「障がい者制度改革推進会議」や「部会」における新たな福祉制度の構築に当たっては、」ということがございまして、中略いたしますけれども、各事項について「しっかり検討を行い、対応していく。」とされています。

 この基本合意等も踏まえて、総合福祉部会で障害者に関する総合的な福祉法制の制定に向けた検討が行われ、昨年八月にこの骨格提言が非常にさまざまな意見を取りまとめた重いものとして出されたものと考えていますので、一体かどうかということの返事としては、受けてやったものでございますから一体のものだというふうに考えます。

柿澤委員 つまり、基本合意が守られねばならないように、骨格提言の内容も基本合意を踏まえたものとして守られなければならない、こういう認識はお持ちであるということですね。

 今回、骨格提言の六十項目のうち、法案で全く触れられていないのが四十八項目、検討されているが内容が不明確なのは九項目、不十分ながら骨格提言の内容を法案に盛り込んだのがわずか三項目ということが言われております。

 こういう批判を受けているわけですけれども、そうであるとすると、基本合意と一体不可分の骨格提言の内容を全く十分に反映したものとは言えないわけですから、この点、非常に問題があるということになってしまいますけれども、この点について改めて認識をお伺いしたいと思います。

岡田政府参考人 御指摘の、骨格提言の六十項目の評価の問題でございますが、これは、二月七日に提示いたしました厚生労働省案において盛り込まれた法律事項のみが評価されているというふうに考えております。

 平成二十二年十二月に成立しました障害者自立支援法等の一部改正であるとか、昨年六月に成立いたしました障害者虐待防止法などで対応している事項、それから、法律事項でなくて予算措置であるとか運用改善により対応しているものについては、この評価の中では十分反映されていない、考慮されていないものというふうに承知しているところでございます。

 また、二月七日に提示いたしました厚生労働省案の提示以降、与党での御議論を受けとめて、新たに盛り込んだ項目もあるところでございます。

 いずれにいたしましても、大臣からお答え申し上げていますように、骨格提言につきましては段階的、計画的に実現していくものと受けとめております。

 このような観点から、直ちに対応が可能なものについては今回新法で盛り込み、検討に時間を要するものについては法施行後三年を目途に見直しの検討を行うということにしております。

 また、法律による対応に加えまして、報酬であるとか予算、運用など、あらゆる政策手段を組み合わせて障害者施策の充実に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

柿澤委員 新法制定は平成二十五年八月までに、遅くとも、こういうことであったわけですので、新法という形のものをつくりましたよということだけでなくて、その内容、項目、そうしたことが問われているんだというふうに思います。

 そういう意味でいうと、六十項目のうち法案化されなかった部分が相当程度ある。いろいろな形で対応しているんだという御答弁もいただきましたけれども、しかし、そうした積み残しが残ってしまった。このことについては、大臣はどのように考えておられるんでしょうか。

小宮山国務大臣 先ほど来ずっとお答えをしているように、骨格提言は本当に当事者の皆様のさまざまな思いが詰まった重いものだと受けとめていますので、実現をしていきたいと思っています。ただ、これは、いろいろな財政事情とかもございますので、段階的、計画的に実現をしていくというお約束をしています。

 先ほど阿部委員の方からも工程表というお話がございましたので、どういう形で実現をしていくかということも、可能な限りわかりやすくしていく努力をしたいと思っているところです。

柿澤委員 基本合意文書を見ますと、やはりこの障害者自立支援法のいわば廃止ということにおける根幹部分というのは、私は、見ていると、応益負担の廃止と、また、障害程度区分の抜本的な見直し、この部分だというふうに思うんです。

 障害程度区分についてはどうなっているかといえば、今回、障害支援区分と名前だけ改めた上で、その中身をどう変えるかについては三年間先送りになっているわけです。基本合意においては、障害程度区分制度の廃止を含めた抜本的な検討を行って、遅くとも二十五年八月までに新法を実施するということになっていたわけなので、この法案は基本合意には明らかに沿っていないものではないかと思います。

 この間、足かけ二年かかっているわけですけれども、障害程度区分制度の廃止を含めた抜本的な検討、本来ならば今回の法案提出の際に結論が出て、何がしかの制度が提案をされるべきものだと思いますけれども、こうした検討をどのぐらい行ってきて、結果としてこうした附則になるに至っているのかということをお伺いしたいと思います。

岡田政府参考人 障害程度区分につきましては、知的障害、精神障害のある方々について、一次判定で低く判定される傾向があり、二次判定で引き上げられている割合が高いということから、障害の特性を反映するように見直すべきではないかというような課題が、従来から御指摘を受けているところでございます。

 この課題については早期に対応する必要があると認識していますが、一方で、介護者や居住などの社会的状況を障害程度区分にも反映すべきではないかというような指摘、それから、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会で提言されたように、協議調整方式や支援ガイドラインについてどう考えるかというような課題もあり、今回提出いたしました法律では、障害程度区分の認定を含めた支給決定のあり方について、施行後三年を目途にして検討を加えるということにしているところでございます。この中で障害程度区分の是非についても含めて検討していきたいというふうに考えております。

 また、平成二十四年度予算には、障害程度区分に関する調査、検証のための経費といたしまして一億円を計上しており、詳細な基礎データの収集、分析を行って障害程度区分に係る課題を整理することから手がけていきたいというふうに考えているところでございます。

柿澤委員 ここの部分が、まさに今回の法案の具体的な内容として盛り込まれていなければならなかったはずなのではないかと思います。

 基本合意書には、平成二十五年八月までに新法を実施するということが書いてあるわけですから、そういう点で、どこまでの検討がこの間行われて、そして、結果として、三年間、いわば先送りのような状態になってしまったのか、こういうことをお尋ねしたんですけれども、これから具体化をしていく、こういうお答えになってしまっているわけであります。

 基本合意の中で、もう一つ、最も強く打ち出されている一つは、応益負担の廃止ということであると思います。これについては廃止をしたんだ、こういうふうに国は言うんでしょうけれども、しかし、先ほど来言及をされておりますとおり、骨格提言で求められているのは障害福祉サービスの原則無償化ということであります。

 これについては、やはり限定的にしか無償化は満たされていないと言わざるを得ないのではないかと思います。この点については今後どうしていくのか、お伺いをしたいと思います。

岡田政府参考人 障害者の方のサービスの利用者負担の問題につきましては、二十二年の四月に、予算措置で、低所得者の方に対して利用者負担を軽減するというような措置を講じているところでございます。

 それから、二十二年の十二月に成立いたしました自立支援法改正におきまして、法律上も、応益負担から応能負担であるということが明確化されているというようなことでございます。

 現状として申しますと、現在、利用者負担が無料になっている方は、全体としては八五%強の方が無料だということになっておりますので、この自立支援法の施行に当たりまして大変問題になりました事項については解消がされているのではないかというふうに認識しているところでございます。

    〔委員長退席、長妻委員長代理着席〕

柿澤委員 もう一つ、基本合意には、自立支援法七条の介護保険優先原則の廃止というものが明記をされております。

 この点についてはどうなったのか、お伺いをしたいと思います。

岡田政府参考人 障害者自立支援法と介護保険法の適用関係につきましては、障害をお持ちの方につきましても、他の、障害をお持ちでない方と同様、四十歳以上になれば介護保険料を支払っていただくとともに、サービスの利用に当たっては、現在の社会保障制度の原則であります保険優先の考え方のもと、まず介護保険制度に基づく介護保険サービスの利用をしていただくということになっているところでございます。

 ただし、介護保険サービスに相当するものがない障害福祉サービス固有のサービスと認められるものを利用する場合であるとか、市町村が適当と認める支給量が介護保険サービスのみによって確保することができないと認められる場合には、障害者自立支援法に基づくサービスを受けることも可能になっているところでございます。

 いずれにしましても、介護保険優先の原則の廃止につきましては、介護保険制度におきます負担と給付の考え方、障害者とそれ以外の方との公平性、給付に係る財源のあり方などを含め、総合的かつ慎重な検討が必要であるというふうに認識しているところでございます。

柿澤委員 いやいや、基本合意書をそのまま読むと、「介護保険優先原則(障害者自立支援法第七条)を廃止し、障害の特性を配慮した選択制等の導入をはかること。」このように書いてあるんです。

 書いて、この基本合意書をもとに和解を結んでいながら、今こうして皆さんがおっしゃる新法を提出されて、これはどうなったんですかと聞いたら、慎重な検討を要する、これでは、何のための基本合意書かわからなくなってしまうというふうに思うんですよ。

 もう一つ、通所施設の運営に関して、報酬が日割り計算になったことが経営を苦しくしているということが言われてきました。このため、骨格提言では、利用者の支援に係る報酬は日払い、事業運営に係る報酬は月払い、在宅系支援に係る報酬は時間割り、こういうことが書かれております。これについてはどうなんですか。

    〔長妻委員長代理退席、委員長着席〕

岡田政府参考人 現在、障害福祉サービスなどの報酬の支払い方式は、利用者がサービスを選択し、多様なサービスを組み合わせて利用することができるよう、日払い方式としているところでございます。

 日払い方式につきましては、サービスの利用のない日に、一部の方でございますが、利用者負担や、それから公費の支出を行う必要がないというような仕組みでございます。

 日払い方式と月払い方式につきましては、それぞれメリット、デメリットが考えられますが、日払い方式では経営が不安定になってしまうというような御指摘をいただいているところでございます。

 これにつきましては、日払い方式の導入に際しまして、報酬単価の設定に当たって、利用率を加味して一定の欠員などが生じた場合にも十分対応できるように配慮したというようなこと、それから、生活介護などの利用者が急に利用を中止した場合にも、施設やグループホーム、ケアホームで生活する方が長期間にわたり入院した場合など、そういうようなケースにつきましては、連絡調整や相談援助を加算で評価するなど、いろいろな報酬上の工夫をしたところでございます。

 また、同じ報酬上の工夫でございますが、事業者の安定的な経営が図られるよう、定員を超えて利用者を受け入れられるということについても認めるというような形をとるなど、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。

 報酬のあり方につきましては、医療、介護などの他の制度も参考にしつつ、事業者の経営実態であるとか各サービスの利用実態の状況など客観的、具体的なデータに基づいて、今後ともよく検討していきたいというふうに思っております。

 なお、訪問系サービスに係る報酬については、現在でも時間単位とさせていただいているところでございます。

柿澤委員 やっているんだ、こういう御答弁なんだと思いますけれども、この基本合意に基づいた、それを踏まえた一体不可分の骨格提言、これがどういう趣旨であって、何を目指したもので、どこまで達成されなければならないか、こういうことを一方の和解の合意当事者である政府が一方的に判断をして、ここまでやったから十分なんです、こういうふうには言えないものなのではないかというふうに思うんです。一方の当事者である、当時の原告団であり、またその背景にいる障害者団体、当の障害者、家族の皆さん、こうした方々とのある種の合意をとりながら進めていかなければならない、こういうものなのではないかと思います。

 今回、そういう点で、和解当事者の相手方の合意がきちんと図られた上でこうした法の提出に至っているのかどうか、この点、大臣に認識をお伺いしたいと思います。

小宮山国務大臣 これはやはり、当事者の方と交わしました基本合意書、そして、それをもとにした骨格提言、これも再三申し上げているように、これは非常に重いもので、段階的、計画的に実現していくものだと考えています。

 ただ、その中で、これも再三申し上げるように、一番の廃止の目的であった、応益負担から応能負担になっているということですとか、低所得の方々へのサービスの利用者負担の無料化ですとか、予算措置や運用の改善などで対応を行ってきたところもございます。そして、今回対応できるところについては新法に盛り込み、この後、また三年後をめどに、皆様方とまた検討しなければいけないところをやっていこうというふうに思っていますので、そういう意味では、やはり常に当事者の方と向き合いながら、さらにこれを進めるように努力をしていくということだと思っています。

柿澤委員 だとすると、何でこんなに大変厳しい批判に皆さんさらされているのかということなんですよ。今回、法改正というか新法の提案をされている、この内容がいかに不十分であるかということをさまざまな形で指摘をされている。これは、当事者の皆さんだけではなくて、例えばマスメディアを通じて大変厳しい批判もあるわけです。基本合意という、裁判上の和解のプロセスの中の鍵を握る重要な位置づけのものを十分に踏まえていない、ここの部分に問題があるんだというふうに私は思います。

 きょうは、そういう観点から、法務省の方に来ていただいているんですけれども、そもそも、国がさまざまな裁判の当事者になることがあります。国賠訴訟やさまざまなケースがあると思いますけれども、国が訴訟当事者となった場合に、和解の際に交わした基本合意の内容の根幹部分を仮にたがえるような場合がある、破約というか、そうしたことがあった場合には、これは民法上の債務不履行になり、不法行為を形成する、こういうことにもなり得ると思いますけれども、御見解を伺いたいと思います。

中山政府参考人 まず、前提を少しお話し申し上げたいと思います。

 和解の条項に違反した場合に債務不履行になるかどうかということにつきましては、その条項いかんによります。その和解の条項が法的な債務の履行を約した条項であるならば、それに違反すると債務不履行ということになります。これが一般論です。

 それで、今回の自立支援法訴訟における和解の条項を見てみますと、和解の条項は、平成二十二年一月七日に、当時の厚生労働大臣とそれから原告団・原告弁護団の代表とが、基本合意書のとおり合意をした事実を確認する合意という形になっております。

 ですので、和解に反したかどうかという和解条項との関係で問題になるんじゃなくて、基本合意に反した場合にどういうことになるかということは、基本合意の内容とか法的性質がどういうものなのかということの理解にかかわることだと思っております。

 それで、今の基本合意ですけれども、厚生労働大臣がお答えになったように、政策的な対応を約束していることは間違いないんだろうと考えております。それを超えて、いろいろな民事上の責任が生ずるかどうかということにつきましては、まさに、その基本合意の内容の、あるいは性質の理解にかかわる問題でありまして、今の厚生労働省が政策を現に遂行していらっしゃる現状、それから、基本合意に違反したことはまだ仮定の状況でございますので、法務省としては、現時点ではお答えを差し控えさせていただきたいと思っております。

 以上でございます。

柿澤委員 これは、答弁の仕方によってはかなり重大な問題になると思うんです。これは、この法律という問題ではなくて、国と原告があって、そして裁判が行われている際に、和解をして、そして決着をした、その和解が、本当に条項それぞれが守られているかどうかということをどう認定するのか、こういう問題だというふうに思うんですよ。

 これまでも、恐らく、こうした和解の際に交わされた約束をどこまで政府が誠実に行ってきたかということが問われたケースはあると思うんです。そういう意味で、このような根幹部分で、結局、和解の際に確認されたさまざまな約束が満たされなかった、こうしたケースがあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

中山政府参考人 和解の内容について、それが、根幹部分が和解の条項どおり履行されているかどうかにつきまして、個々のケースを法務省として把握する立場にはないので、正確なことはお答えできないんですけれども、ここ数年のことで私が把握している限りのことで申し上げたいと思います。

 和解の根幹部分、しかも、それが法的な債務の履行をお約束するという和解の根幹部分について、それに違反したという事例につきましては、私は承知しておりません。

 以上でございます。

柿澤委員 これも一般論になることを覚悟の上でお伺いしますけれども、和解に当たって、基本合意、合意文書が交わされた場合、これは合意文書が一言一句守られることは私も難しいと思います。難しいと思いますけれども、しかし一方で、全くの換骨奪胎だったら、これもこれで問題だと思います。どの程度そこを逸脱しても許されるということになるのか、御答弁をいただければと思います。

中山政府参考人 申しわけございません。和解条項の具体的な内容に左右される問題ですので、一般論としてお答えすることは難しくて、御容赦いただきたいと存じます。

柿澤委員 今後も、国家賠償訴訟を初めとして、国を被告とする訴訟は幾つも起こり得ると思います。そして、和解交渉を通じて一定の合意に至り、基本合意が交わされることもあるでしょう。

 昨年、B型肝炎訴訟をめぐって、この厚生労働委員会でも、和解合意を受けたさまざまな議論や立法措置があったわけです。そのときに交わした約束の根幹部分を仮にほごにする、こういうことが簡単に許されてしまうのであれば、私は、国との和解に応じる原告はいなくなってしまうというふうに思うんです。だから、私たちは、今回の法案を、はい、そうですかとやすやすと認めるわけにはいかない。これは、国に対する、また政府に対する信頼にかかわる問題ではないかというふうに思うんです。

 我が党に川田龍平参議院議員がいますけれども、薬害エイズの訴訟、やはり和解になったわけです。和解のときに交わした条項は基本的には誠実に履行されている、それに比べると、今回のケースは極めて問題が多いのではないか、みずからがこうしたことについて、当事者の一人として、この自立支援法をめぐるここまでの経過を見て述懐されておられます。

 そういう点を見ても、今回の基本合意を十分に踏まえたものとは言えないこうした法案提出となってしまったことは、ある意味で、こうした国が訴訟当事者となった裁判の決着のさせ方、その後の履行のあり方として非常に大きな論点を惹起したのではないか、こういうふうに思います。

 最後に、障害者自立支援法施行後、五年余りが経過をいたしました。厚労省からは、この間、障害者の一般就労が三・四倍にふえた、こういう御説明をいただきました。また、小規模作業所についても、七割ぐらいが法内化した、ここについては私は言いたいことはいろいろあるんですけれども、こうしたことを踏まえても、障害者施策はこの間、法によって前進をしてきました、事務方の皆さんからはこうした説明を受けました。

 大臣は、この障害者自立支援法が制定をされ、施行されたことによって、障害者自立に関する施策は前進したと考えているのか、後退したと考えているのか、お伺いをしたいと思います。

小宮山国務大臣 障害者自立支援法は、いわゆる支援費制度の問題点を抜本的に改正したもので、サービスの利用者というのはふえてきていますし、サービス基盤の整備も進んできていますので、これはまだ十分だとは思いませんけれども、後退したということはあり得ないので、着実に進んでいるというふうに考えています。

柿澤委員 大変厳しい批判をしつつ、この障害者自立支援法の制定時には反対をされたわけであります。

 きょうお配りをしましたけれども、政権をとって廃止を明言して、廃止をうたった和解の成立に当たって、鳩山総理が官邸で原告団の皆さんと会って、新しい法律をつくろう、エイエイオーまでやっている。

 今、廃止しようとしたその法律が障害者施策を一定程度前進させた、こういうふうに評価をされ、また、自立支援法の一部改正にすぎない今回の法案をもって廃止であるということを強弁される。政権獲得後の御苦労があったのは私もわかりますけれども、しかし、これでは、選挙前に皆さんが言っていることをこれから信用していいのか、入れる側は困ってしまうのではないかというふうに思います。

 そして、先ほど申し上げたとおり、国との和解交渉に真摯に応じる原告は、これではいなくなってしまうのではないですか。基本合意で明記をされた事項についても、先ほど御答弁をいただいたように、慎重な検討を要する、いきなり後退をしてしまうわけですから。

 こういうことでは、やはり国に対する、また政府に対する信頼が損なわれてしまうのではないか、こうした懸念を表明させていただいて、質問は終わりにさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

池田委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

池田委員長 この際、本案に対し、岡本充功君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。岡本充功君。

    ―――――――――――――

 地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岡本(充)委員 ただいま議題となりました地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案につきまして、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、第一に、指定障害福祉サービス事業者等は、障害者等の意思決定の支援に配慮するとともに、常に障害者等の立場に立って支援を行うように努めなければならないものとすること。

 第二に、市町村が行う地域生活支援事業として、意思疎通支援を行う者の派遣等の便宜を供与する事業及び意思疎通支援を行う者を養成する事業を、また、都道府県が行う地域生活支援事業として、特に専門性の高い意思疎通支援を行う者を養成し、または派遣する事業及び意思疎通支援を行う者の派遣に係る市町村相互間の連絡調整等の広域的な対応が必要な事業を加えるものとすること。

 第三に、市町村及び都道府県が障害福祉計画に定める事項に、障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に係る目標に関する事項並びに地域生活支援事業の種類ごとの実施に関する事項を加えるものとすること。

 第四に、障害程度区分を障害支援区分に改めるとともに、障害支援区分とは、障害者等の障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に示すものとして厚生労働省令で定める区分をいうものとすること。また、政府は、障害支援区分の認定が、知的障害者及び精神障害者の特性に応じて適切に行われるよう必要な措置を講ずるものとすること。

 第五に、政府がこの法律の施行後三年を目途として検討を加える内容に、障害支援区分の認定を含めた支給決定のあり方、障害者の意思決定支援のあり方、障害福祉サービスの利用の観点からの成年後見制度の利用促進のあり方並びに精神障害者及び高齢の障害者に対する支援のあり方を加えるものとすること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

池田委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

池田委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました障害者総合支援法案並びに修正案に反対の討論を行います。

 本法案がたった三時間の審議で、参考人質疑すらせずに採決を行うことに強く抗議をするものです。

 私たちのことを私たち抜きに決めないでの原則はどこに行ったのですか。一昨年の障害者自立支援法違憲訴訟団と国との基本合意文書は、勇気を振り絞って立ち上がった原告と、思いを一つに全国で展開された運動がかち取ったものです。自立支援法の廃止と、初めて自分たちの声を反映し、障害者が権利主体となる新法制定へ向かって、原告団初め障害者と家族、関係者の皆さんは大きな期待を寄せていました。

 ところが、政府は完全にその期待を裏切り、国として遵守すべき法的文書である基本合意をほごにしました。絶対にあってはならないことです。

 本法案は、いわゆるつなぎ法案を核とし、自公政権時代からの障害者自立支援法を恒久化するものであります。名称を変えたから廃止だとは、詭弁としか言いようがありません。障害を自己責任とし、家族収入を含めて応益負担を課す仕組みはそのままです。本人の必要性を考慮せず、利用抑制の手段となっている障害程度区分認定制度についても、廃止は先送りされました。自立支援医療、報酬支払い体系については検討事項にすら挙げられていません。障害者の尊厳を傷つけた法の根幹部分は温存されているのです。

 こうした重大な中身を三党だけの協議でよしとし、国会審議を軽視する姿勢は、議会の自殺行為であり、絶対に許されません。

 また、法案は、総合福祉部会骨格提言を全く反映しておらず、障害者権利条約批准にたえる内容とはほど遠いものです。元総合福祉部会長の佐藤久夫氏は、骨格提言六十項目のうち、不十分ながらも取り入れたのは、法の目的の一項目のみとしています。仮にも骨格提言を尊重するというのであれば、障害者を権利の主体とすることを明記し、「可能な限り」の文言を削除して、程度区分と応益負担による、福祉も自己責任という枠組みを根本から変えなければなりません。

 終わりに、基本合意をかち取り、障害者、関係者が立場の違いを乗り越えて骨格提言をつくり上げた事実は消えることはありません。日本共産党は、今後も、自立支援法は廃止し、障害者権利条約を批准するに足る、障害者を権利の主体とする新法を実現することを求めて奮闘することを表明し、発言とします。

池田委員長 次に、小林正枝さん。

小林(正)委員 私は、新党きづなを代表して、地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案及び修正案に反対の立場から討論いたします。

 二〇〇五年十月に成立した障害者自立支援法は、大変な激論の末、従来の支援費制度にかわって障害者に原則一割負担を求めました。これに対して、障害を持つ人たちは、応益負担の実施は、障害が重い障害者ほど、サービスを受ければ受けるほど負担を強いられるとして、憲法二十五条が保障する生存権の侵害を訴え、違憲訴訟を起こしました。

 裁判の過程におきまして、当時の長妻厚生労働大臣は、障害者の尊厳を傷つけたことを明言し、原告・弁護団との間で、二〇一三年八月までに障害者自立支援法を廃止し、新たな福祉法制を実施することで基本合意いたしました。

 この和解を受けて設置された総合福祉部会は、自立支援法を廃止して障害者総合福祉法を制定することや、障害者を保護の対象から権利の主体へと転換すること、また、障害に伴うサービスは原則無償にすることなどを提言いたしました。

 しかし、今回出されてきました法律案は、総合福祉部会の骨格提言とは著しくかけ離れたものであります。また、これまで原告・弁護団と約束してきたことを全てほごにする、倫理的にも許されないものであります。同時に、看板のかけかえにしかすぎない新法は、二〇〇九年の民主党マニフェストで示された理念や政策にも著しく反していることは明らかです。

 与党民主党は、二年半前、社会的に弱い立場、不利な立場に置かれている人たちを応援する強いメッセージを発して国民から負託を受けたことをお忘れになっているのではないでしょうか。異常に長いタイトルの法案の名称で問題の本質を隠そうとしても、それは余りにもこそくだと言わざるを得ません。

 私たち新党きづなは、国と原告である障害者が和解したものをほごにした事実を極めて遺憾に思います。本来あるべき姿から大幅に後退してしまった本案及び修正案に対して、到底賛成することはできません。

 そのことを申し上げ、私の反対討論といたします。

池田委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案に反対の立場で討論を行います。

 二〇〇六年、自公政権下において、障害者自立支援法は、私たちのことを私たち抜きに決めないでというシュプレヒコールの中で成立いたしました。障害者に対する本格的な所得保障や抜本的な就労対策がないまま、障害福祉の分野に応益負担原則を持ち込み、当事者をして天下の悪法と言わしめました。

 三年後、政権交代を経て、三党連立政権は、障害者自立支援法を廃止し、制度の谷間がなく、利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくることを政策合意に盛り込み、内閣府に障がい者制度改革推進会議を設けました。

 また、障害者自立支援法違憲訴訟団との間で二〇一〇年一月に基本合意を交わし、障害者の尊厳を傷つけたという深い反省に立って、自立支援法の抜本改正を約束しました。この基本合意に基づき、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会が編成され、障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言(骨格提言)がまとめられたのです。

 ところが、それを受けて閣議決定された厚生労働省案は、現行法の廃止を経ての新法ではなく、その実態は、障害者自立支援法の一部改正にすぎないものでした。総合福祉部会が二大指針としていた障害者権利条約や障害者自立支援法違憲訴訟に伴う基本合意文書とは相入れないばかりか、総合福祉部会五十五人の一致団結によって取りまとめられた骨格提言の水準からもほど遠いものです。

 まず第一に、障害者総合支援法、今回の法律は、権利条約の批准に必要な国内法整備であることが大前提であるべきです。しかし、基本理念の規定に「可能な限り」が盛り込まれたことにより、その位置づけが揺らいでいます。障害をカバーして社会参加するための最低限の支援が、お金がない、資源がないという理由で必要な支援が受けられない現状を改め、対等に地域で生活する権利として確保する必要があります。「可能な限り」は削除されるべきです。

 次に、障害の範囲について、「政令で定めるもの」という規定では、病名で対象が決められる可能性があります。骨格提言は、従来の医療モデルから福祉モデル、社会モデルへの障害概念の転換を図ること、谷間を生まない包括的規定をすることを求めており、機能障害、疾病があることを前提に、生活上の困難さを抱える人が対象となるよう、障害者基本法との整合性を図り、包括的な規定に改めるべきです。

 三点目は、検討規定における障害当事者参加の保障が極めて不十分なことです。障害者の権利条約の批准に向けて、障害当事者の参加と情報公開、そして情報到達へのアクセスの確保、そして当事者の決定権の保障を強く求めます。

 四点目は、立法府としての審議が極めて不十分なまま採決を行うことです。本日も百名を超す方が傍聴しておられますが、委員会として、障害当事者を初め幅広い立場の方々からも意見を聞き、十分に審議を尽くす必要があり、しかるに、民自公三党の合意にのみ基づく短時間の審議で採決ということは、到底認められません。

 最後に、障害者にとって未来の十年を目指すものになるよう、今回の法案を骨格提言や基本合意に忠実にのっとった、障害者や難病の方々の思いや実態に応えられるものにつくり変えることを強く求め、私の反対討論を終わります。

池田委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

池田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、岡本充功君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。(発言する者あり)御静粛に願います。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

池田委員長 この際、本案に対し、和田隆志君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。和田隆志君。

和田委員 私は、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 意思疎通支援を行う者の派遣及び養成については、利用者が支援を受けやすくする観点から、窓口は市町村を基本としつつ、市町村及び都道府県の必須事業については、支援が抜け落ちることなく、適切な役割分担がなされるようそれぞれの行う事業を具体的に定めること。

 二 意思疎通支援を行う者の派遣については、個人利用にとどまらず、複数市町村の居住者が集まる会議での利用など、障害者のニーズに適切に対応できるよう、派遣を行う市町村等への必要な支援を行うこと。

 三 障害福祉計画の策定に当たっては、中長期的なビジョンを持ちつつ、障害者の地域生活に対する総合的な支援が計画的に行われるよう配慮すること。

 四 障害者の高齢化・重度化や「親亡き後」も見据えつつ、障害児・者の地域生活支援をさらに推進する観点から、ケアホームと統合した後のグループホーム、小規模入所施設等を含め、地域における居住の支援等の在り方について、早急に検討を行うこと。

 五 難病患者に対する医療、保健、研究、福祉、就労等の総合的な支援施策について、法整備も含め早急に検討し確立すること。

 六 精神障害者の地域生活を支えるため、住まいの場の整備、医療、福祉を包括したサービスの在り方、精神障害者やその家族が行う相談の在り方等の支援施策について、早急に検討を行うこと。

 七 障害福祉サービスの利用の観点からの成年後見制度の利用促進の在り方の検討と併せて、成年被後見人の政治参加の在り方について、検討を行うこと。

 八 障害者の就労の支援の在り方については、障害者の一般就労をさらに促進するため、就労移行だけでなく就労定着への支援を着実に行えるようなサービスの在り方について検討するとともに、一般就労する障害者を受け入れる企業への雇用率達成に向けた厳正な指導を引き続き行うこと。

 九 障害児・者に対する福祉サービスに係る地方税や都市計画制度の取扱いについて、社会福祉事業の円滑で安定的な運営に資するべく所要の配慮が行われるよう、地方自治体に対し周知する等の措置を講ずること。

 十 常時介護を要する障害者等に対する支援その他の障害福祉サービスの在り方等の検討に当たっては、国と地方公共団体との役割分担も考慮しつつ、重度訪問介護等、長時間サービスを必要とする者に対して適切な支給決定がなされるよう、市町村に対する支援等の在り方についても、十分に検討を行い、その結果に基づいて、所要の措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

池田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、小宮山厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小宮山厚生労働大臣。

小宮山国務大臣 ただいま御決議いただいた附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重して努力いたします。

    ―――――――――――――

池田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

池田委員長 この際、お諮りいたします。

 第百七十三回国会、田村憲久君外五名提出、国等による障害者就労施設からの物品等の調達の推進等に関する法律案につきまして、提出者全員より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

池田委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 障害者の方が自立した生活を送るためには、就労によって経済的な基盤を確立することが重要であり、障害者の雇用の促進等に関する法律に基づいて積極的な対策を図っていくことに加えて、障害者が就労する施設等の仕事を確保し、その経営基盤を強化する取り組みが求められております。

 このような観点から、これまでも障害者就労施設等への仕事の発注に関し、民間企業を初め国や地方公共団体においてさまざまな配慮が行われてきております。しかし、国や地方公共団体が物品やサービスの購入を行う際には、競争入札による契約が原則であり、随意契約は例外とされております。このため、民間企業に比べて競争力の弱い障害者就労施設等では、競争入札によって国や地方公共団体との契約を締結することが大変厳しい状況となっております。

 本案は、このような状況を踏まえ、障害者就労施設で就労する障害者、在宅就業障害者等の自立の促進に資するため、国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関し所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりです。

 第一に、国及び独立行政法人等は、物品等の調達に当たっては、予算の適正な使用に留意しつつ、優先的に障害者就労施設等から物品等を調達するよう努めなければならないこと。また、地方公共団体及び地方独立行政法人は、障害者就労施設等の受注の機会の増大を図るための措置を講ずるように努めなければならないこと。

 第二に、国は、障害者就労施設等からの物品等の調達の推進に関する基本方針を定めなければならないこと。

 第三に、各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、毎年度、この基本方針に即して、障害者就労施設等からの物品等の調達の推進を図るための方針を作成しなければならず、当該年度の終了後、遅滞なく、物品等の調達の実績を取りまとめ、公表するものとすること。

 第四に、地方公共団体及び地方独立行政法人は、毎年度、障害者就労施設等からの物品等の調達の推進を図るための方針を作成しなければならず、当該年度の終了後、遅滞なく、物品等の調達の実績を取りまとめ、公表するものとすること。

 第五に、国及び独立行政法人等は、公契約について、競争参加資格を定めるに当たって法定障害者雇用率を満たしていることに配慮する等障害者の就業を促進するために必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。また、地方公共団体及び地方独立行政法人は、国及び独立行政法人等の措置に準じて必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。

 なお、この法律は、平成二十五年四月一日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容です。

    ―――――――――――――

 国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

池田委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付しております草案を国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池田委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十分散会


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