衆議院

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第17号 平成24年8月1日(水曜日)

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平成二十四年八月一日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 池田 元久君

   理事 岡本 充功君 理事 長尾  敬君

   理事 長妻  昭君 理事 柚木 道義君

   理事 加藤 勝信君 理事 田村 憲久君

   理事 岡本 英子君 理事 古屋 範子君

      石森 久嗣君    稲富 修二君

      大西 健介君    川口  浩君

      工藤 仁美君    小室 寿明君

      斉藤  進君    白石 洋一君

      田島 一成君    田中美絵子君

      竹田 光明君    玉木 朝子君

      仁木 博文君    西村智奈美君

      橋本  勉君    浜本  宏君

      樋口 俊一君    藤田 一枝君

      宮崎 岳志君    谷田川 元君

      山口 和之君    山崎 摩耶君

      吉田 統彦君    和田 隆志君

      あべ 俊子君    井上 信治君

      鴨下 一郎君    北村 誠吾君

      菅原 一秀君    平  将明君

      高木  毅君    谷畑  孝君

      永岡 桂子君    馳   浩君

      松浪 健太君    松本  純君

      青木  愛君    石井  章君

      小林 正枝君    玉城デニー君

      三宅 雪子君    坂口  力君

      高橋千鶴子君    宮本 岳志君

      阿部 知子君    浅尾慶一郎君

    …………………………………

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   厚生労働副大臣      西村智奈美君

   厚生労働副大臣      辻  泰弘君

   厚生労働大臣政務官    藤田 一枝君

   厚生労働大臣政務官    津田弥太郎君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            小林 広之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 関  博之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           常盤  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  外山 千也君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  生田 正之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 中沖  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          小野  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           山崎 史郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  榮畑  潤君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月一日

 辞任         補欠選任

  工藤 仁美君     谷田川 元君

  樋口 俊一君     小室 寿明君

  和田 隆志君     橋本  勉君

  あべ 俊子君     高木  毅君

  菅原 一秀君     井上 信治君

  棚橋 泰文君     北村 誠吾君

  永岡 桂子君     平  将明君

  長勢 甚遠君     馳   浩君

  高橋千鶴子君     宮本 岳志君

  江田 憲司君     浅尾慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小室 寿明君     浜本  宏君

  橋本  勉君     川口  浩君

  谷田川 元君     田島 一成君

  井上 信治君     菅原 一秀君

  北村 誠吾君     棚橋 泰文君

  平  将明君     永岡 桂子君

  高木  毅君     あべ 俊子君

  馳   浩君     長勢 甚遠君

  宮本 岳志君     高橋千鶴子君

  浅尾慶一郎君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  川口  浩君     和田 隆志君

  田島 一成君     工藤 仁美君

  浜本  宏君     樋口 俊一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

池田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する岡本充功君外二名提出の修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 原案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省労働基準局長金子順一君、職業安定局高齢・障害者雇用対策部長中沖剛君、年金局長榮畑潤君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

池田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。

田村(憲)委員 おはようございます。自由民主党の田村でございます。どうも拍手をありがとうございます。

 今、委員長からもお話がありましたけれども、高年齢者の雇用安定法ということでございます。この法律の今回の改正は、ちょうど我々が与党のときに、年金の支給開始年齢の引き上げを図りました。当然のごとく、厚生年金部分も含めて、いよいよ、六十からその年齢が引き上がっていく最終段階に入ってきておりますので、定年が六十という話になると、給料ももらえない、年金も一銭も入ってこない、そういう方々が来年の四月から出てくる、これにどう対応するか、そういう法案でございますので、基本的には、我々も、これは自分たちがやったことの後始末と言ったら怒られるんですけれども、対応するための措置でございますから、これは必要なものであるという認識は当然ございますし、ぜひともこれを進めていかなきゃならぬなという我々の意思もあるわけであります。

 一方で、企業の側から見れば、ちょっと待ってくれと。それはなぜかというと、そういう経済状況をつくるのが政治や政府の責任じゃないんですかという気持ちもわかるんですね。これまた我々の責任でもあるんです。長らくデフレをずっと続けてきたというのは、自民党に大きな責任がございますので、これはみずからも反省をしながら、一方で、ここ一、二年を見ますと、ちょっと今の政府もどうなのかな。それは、為替レート、余りにもひど過ぎますね。円高を放置しっ放し。一ドル七十円台が常態化し出しました。

 企業、特に製造業、輸出産業等々は、国際競争力の面から見て、製造現場を日本の国内に置いておくのがほとんど不可能になってきておりますから、昨今のところを見ますと、ユニ・チャームさんが、製造設備を海外にいよいよ六五%というような話が出てまいってきておりますし、日本電産も六四%、自動車でも、日産ももう半分以上というような状況になってきているわけですね。

 国内雇用ということを考えれば、当然、六十歳から継続雇用をしなさいというのを全面的に義務づけるというのはわかるんですけれども、国際競争力から考えて、今の状況の中でこれを本当に適用したときに、そもそも国内に雇用を残そうなんというような、そういう企業責任というものがどんどん薄れていく、いや、責任感はあっても、それが現実的にもう無理な状況に入ってくるのではないか。

 そう思いますと、政府には、きょうは厚生労働大臣でありますから、こう申し上げるのは酷な話なんですけれども、とにかくこの円高を、米ドルに対しても、それからユーロに対しても、これを何とかしないことには、もう大変な状況になってきておるという御認識はお持ちをいただきたい。

 ぜひともまた閣議で、これは為替政策だけじゃありません、金融緩和、金融政策も含めて、アメリカやヨーロッパが数十兆円単位で金融緩和をやったんですよ。QE2だとか、ヨーロッパも、それこそ金融不安の中で、それだけのお金をばらまいたと言ったら怒られますけれども、実際問題、金融緩和をしているわけですよ。日本だけが、何か基金だとかいってちまちまやって、実際問題、ベースマネーはふえていないという状況でありますから、ちゃんと同じ規模ぐらいでやっていただいて、とにかく円高、もちろんデフレというものを退治もしなきゃいけないんですが、円高に対しても対応していただきたいと思います。

 委員長も、そうそうと言っていただきましたから、ぜひとも閣議で、そういうようなことがあった、要望があったということをお伝えいただきたいというふうに思います。

 さて、余りこの話ばかりやっておりますと時間がなくなりますので、本題に入りますが、厚生労働省に、今回の基準制度の廃止に伴って、どれぐらいの方が継続雇用者として増加、ニーズが増加するんだということをお聞きしますと、大体一・八%ぐらいと見て一万人弱ぐらいかななんという答えは返ってくるんです。しかし、産業界に聞きますと、いや、そんなものじゃないと。

 実際問題、これから年金の支給開始年齢も引き上がりますので、今までは、一部でも年金をもらいながらでありましたから、そういう意味からすると、何とか働かなくてもいいかななんという方もおられましたけれども、全面的に年金をもらえないという話になってくると、当然要望はふえてくるんだと私は考えるんですね。

 そこで、これまでに継続雇用を希望していなかった層も含めて、今回、継続雇用を、来年の四月からどれぐらいの方が希望するようになるというふうに今予想をされておられるのか、お聞かせください。

中沖政府参考人 お答えを申し上げます。

 法改正によりまして基準制度を廃止した場合、直接的には、これまで基準非該当として離職していた方を新たに制度の対象とする必要があるわけでございまして、これが一万人程度という数字、これは先生よく御存じのとおりでございます。

 また、基準制度の廃止によりまして、基準を設けている企業の継続雇用率、これは六九・五%でございますが、これが希望者全員の継続雇用企業の継続雇用率八二・三%まで上がるとすると、さらに五万人程度ということの増加が見込まれるわけでございます。

 なお、こうした基準制度の廃止とは別に、先生御指摘のとおり、年金支給開始年齢の引き上げに伴いまして、ではどの程度の方が継続雇用を希望するようになるかでございますが、これは、実は継続雇用を現在希望しない理由として、職場の人間関係が悪い、ほかの会社へ転職したい、健康上の理由、家族の介護、独立開業など、なかなか継続雇用につながりにくい理由を挙げる方も相当多数ございますので、なかなか予測することは難しいわけでございますが、仮に、これまで継続雇用を希望しなかった者全員が新たに希望するようになれば、十一万人程度になると考えております。

田村(憲)委員 すると、以前御説明いただいていたような一万人ぐらいかなという話ではなくて、最大限という話だと思いますけれども、一年間に十一万人。これは、毎年毎年という話になって、六十五までという話になれば、当然数十万人の方が対象になってくる可能性があるということでありますから、やはり企業にとっては大変な負担になってくるんだと思うんですね。

 もちろん、今も継続雇用をかなりしております。しておりますから、全くもって六十五までどんどんどんどんこれが新しくふえてくるという話じゃないわけでありますが、しかし、それにしても、数十万人規模でこれからそういう新たに希望される方々がふえてくる。

 もちろん、政府も、企業の負担の軽減策、いろいろと考えていただいておるわけでありまして、改正法の、雇用先のグループ企業への拡大というもの、これは、グループ企業ならいいですよということで、一定の基準を示していただいておる。それから、もちろん経過措置を講じていただいて、年金の支給開始年齢の引き上げと大体同じように、一歳ずつ、継続雇用をする義務というものを緩和してやるといいますか、こういうような経過措置を設けていただいておるというのはわかります。

 しかし、もう一歩踏み込んでいただいて、例えばグループ企業以外であったとしても、その企業を雇用先としてあっせんし、労働条件を提示すれば継続雇用というふうにみなすといったような大胆な措置という方法も考えられますよね。

 要は、六十歳を超えて定年を超えられた方が、どこか働く先、つまり収入を得られる先を見つけられる、そういうような準備といいますか、努力を企業がすれば、結果的には、働くところが見つかれば、年金の支給開始が延びたとしても収入はあるわけでありますから、そういう方法もあるのではないのかなというふうに思うわけでありますが、これに対してはどうお考えですか。

小宮山国務大臣 おはようございます。

 今の御質問ですけれども、継続雇用でその対象になる方が安定して雇用される、そのためにはやはり企業が責任を果たせる範囲ということだと思うんですね。

 この範囲については、ほかの法令でもいわゆるグループ企業といって定めているものがあって、意思決定を支配し、または重要な影響を与えられる関係にある範囲ということで、建議に示されたとおり、一つは親会社、そしてまた子会社、同一の親会社を持つ子会社間ということで親会社の子会社ということ、それから関連会社などにすること、この四つのケースを考えているわけなんです。

 さらにそれを広げるということは、ほかの法令でグループ企業と整理されている範囲を超えるということになりますし、事業主としての責任を果たし得る支配力、影響力を及ぼしているということも言えないので、そうなると定年後の雇用が確実に確保されたとは言えないのではないか。ですから、こうしたおっしゃるような企業へのあっせんなどをもって雇用確保措置義務を果たしたとみなすことはできないのではないかというふうに考えます。

 一方、グループ企業以外への労働移動を支援するために、一つは、受け入れ先に対して雇い入れ一人につき七十万円の助成金を新設していますし、また、中小企業の事業主の方が再就職支援を有料職業紹介事業者に委託した場合の費用の助成の拡充、こうしたことを行いまして、グループ企業を超えた企業全体での雇用先の確保ということには支援はしていきたいというふうに考えています。

田村(憲)委員 わからないこともないんですけれども、実態として、あっせんをしていければ、働き先というものがちゃんと確保していければいいわけでございます。どこまでが企業の責任かという問題はあると思います。それから、どこまで確保をしっかり担保できるかというような問題もあると思いますけれども、ちょっとここは幅広にこれからも検討いただいて、実態としてこれからちゃんと確保できていけるんだとするならば、そこまで広げていただくようなことも検討いただければありがたいな。今回の法律には書いてありませんけれども、実態としてそういうものが、実際問題、実行でき得るものであるならば、これから先検討いただければありがたいな、こんなふうに思います。

 ただ、グループ企業、いいですよというのは、大企業はできるんですよね。それは、いろいろな関連の企業、自分のところの、企業としての支配力を発揮できる企業があるんだと思うんですが、今回のこの法律は、大企業だけというわけでは当然ないわけでありまして、中小零細全てにかかるということであります。

 すると、中小企業はグループ企業を持っていない場合が圧倒的に多いわけでありまして、言うなれば、この例外規定といいますか緩和規定も、実際まだ適用することはなかなか難しいという話になってくるわけであります。そうすると、こういうようなところは、ではどうしたらいいんだろう。

 もちろん、中小零細の中には、そもそも六十を超えて雇い続けているところもたくさんあるのはよくわかっています。それは、もともと人手が足らない。新卒者を大企業はなかなか雇ってくれないといいながらも、若干、直近の数字を見ていますと、大分中小零細それから大企業、新卒者の方々がうまくみずから選択をしていただけるような、これは厚生労働省の御努力もあったんだと思いますけれども、うまく雇用のミスマッチを解消するような方向に、中小企業の方にも新卒者の方々が目を向けていただくようになってきました。

 その点はいい方向に動いているなと私は思うんですが、それでもなかなか中小零細は新卒者も確保できないという状況の中で、六十を過ぎてもまだいてくださいよなんという形で逆にお願いして働く方々の確保をされておられるというのはよくわかっているんです。

 ただ、そうはいっても、中小零細にもいろいろなところがあります。中小企業でも中堅企業もあります。そういうような状況の中で、やはり不況業種の中においては、そろそろ六十で、人員的にいろいろ考えながら、自然人員整理をしながら、新たに解雇をせずに何とか企業を運営していこうというところもあるんですね。六十歳でやっとある程度、人件費というものをこれで削減できていけるな、もしくは、これから事業も縮小をしていかなければやっていけないなという産業も建設業を中心にあるんですよ。

 そういうところにしてみれば、六十歳でやっとと思っているところに六十五歳まで継続雇用をなんという話になってくると、目算が外れたという話になってくるわけでありまして、かなりこれはいろいろな努力をしてもらわないとこの継続雇用というものをしっかりとやっていただけないという状況になってくるわけであります。

 そういう場合、例えば、高年齢者の雇用継続給付の拡充でありますとか職域拡大等助成金の充実、職業能力開発等の推進、こういうものをやって、相当手厚い支援を準備していかないと、これはなかなか中小零細企業にはきついという問題もあるわけでございまして、今もいろいろな制度がございますが、これはそろそろやめようかと言われているような制度もあるわけでございまして、そういうものをちゃんと存続していただきながら、今ある制度の拡充というものもしっかりとお考えをいただいておるのかどうか、お聞きをいたしたいと思います。

津田大臣政務官 田村委員にお答えを申し上げます。

 中小企業につきましては、定年延長、継続雇用制度の導入に伴う負担の軽減を図るため、定年引き上げ等奨励金の支給等の援助を行っているわけでございます。これを、より効果的な支援を行うようにするため、今御指摘をいただきましたけれども、高齢者の雇用環境の整備あるいは職域の拡大に重点を置いた助成制度となるよう抜本的な見直しを検討してまいりたいというふうに考えております。

 先ほど大臣の方から答弁をさせていただきましたグループ企業以外への再就職に対する支援、これらもしっかり活用していかなければならないと考えております。

 また、田村委員から今御指摘をいただきました高年齢者雇用継続給付、六十歳になると新たな雇用契約を結ぶわけでございますが、その場合に賃金が一定の率でダウンをしますとそれに対して雇用継続給付金ということで賃金の一五%を支援するという制度でございます。この制度が、労働政策審議会の中で、労使は継続を希望されているんですけれども、公益委員が、こんな制度はもうそろそろ廃止にしろというような意見がございまして、一時ちょっと危なかったわけでございますが、労使でしっかり結託をしていただいて、存続させよということで、存続をしていただくことになったわけでございます。この制度もしっかり活用していかなければならないと考えております。

 また、能力開発の推進につきましては、職業生涯の長期化等が進む中、労働者の段階的、体系的な職業能力の開発、向上を促進するということでありまして、ポリテクセンターを初めとした公共職業訓練の実施、キャリア形成促進助成金を活用した企業による労働者の能力開発、あるいはキャリアコンサルティングを活用した個人の主体的な能力開発というような、キャリア形成をしっかりしていく取り組みを進めてまいりたい、そのように考えておるところでございます。

田村(憲)委員 ありがとうございます。結託という言葉がいいのかどうかわかりません、結束をしていただきながら、多分これを守っていただいたんだというふうに思いますが、ぜひとも、必要な制度というものをこれからもしっかりと充実していただきたい、このように思います。

 今回の法案が出たときに、いろいろな報道で、ちょっと誤解を招くような表現もありました。それは、六十五歳まで定年が延長する、そういうような誤解を招く報道もあったのも事実でありますが、実際問題は継続雇用でありますから、一旦労働契約が終了して、その後継続して雇用を新たに結ぶという形であります。

 そうなれば、当然、条件も変わってくるわけでありまして、定年までのいろいろな労働条件から、新たに労働条件を組んで契約をするわけでありますから、そこは、いろいろな意味で、例えば、働く時間も変わってくるでありましょうし、賃金も変わってくるでありましょうし、そもそも、職種も含めていろいろなものが、もちろん、できないものは無理でありますけれども、変わってくるのであろうというふうに思います。

 その点、誤解のないように周知徹底をしていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、いかがでございますか。

津田大臣政務官 お答え申し上げます。

 この継続雇用制度で労働者を定年後に再雇用する場合、新たな労働契約を締結する、今御指摘いただいたとおりでございます。

 勤務場所や職務内容などの条件は、労使の合意で決まるわけでございます。継続雇用する場合に事業主が提示する労働条件につきましては、労働者が納得するようなものまでは求められておりません。

 しかし、法の趣旨を考慮した合理的な裁量の範囲内のものであることが必要であるというふうに考えられるわけでございまして、厚生労働省としましては、大臣告示で、高年齢者雇用確保措置を実施する上での留意事項を示しております。この措置が各企業で労使の十分な協議のもとに適切かつ有効に実施されるよう、指導を行ってまいりたいと考えております。

 また、継続雇用制度の円滑な運用に資するよう、企業現場の取り扱いの考え方を、今述べた内容も含めて労使双方にわかりやすく示し、周知啓発に努めてまいりたいと考えております。

田村(憲)委員 今、合理的な範囲というような話もございましたが、もちろん、例えば、労働時間が変わる、それから仕事の内容が変わる、そういうことはあると思います。だから、それに応じて賃金が下がるというのは、これはいたし方がない部分だと思うんですね。仕事が同じなのに賃金が下がるというのは余りよくないですね。だから、これはちゃんとした、仕事の内容に応じて下がるというのが本来であるんだと思う。

 ただ、一方で、ではあなた、週一日でいいよ、一割だよなんということがまかり通ると、これまた何をやっているかわからないという話になっちゃうわけですよ。それは、労働者の権利として、最低限、これぐらいのところは守らなきゃいけませんねと。

 今回の場合、例えば、年金がなくなることに合わせてというのならば、せめて、年金がわりの部分は最低の賃金としてもらわなきゃいけない、示さなきゃいけないとか、そういうような何らかの、最低限度のものを本来はお示しいただかないと、企業もどこまでこれはやっていいのかわからないし、そもそも、働く側も、こんな条件なら働くなと言っているようなものじゃないかというような話にもなりかねないわけでありまして、そこら辺の基準というものはお示しをいただけるんですか。

小宮山国務大臣 継続雇用後の賃金に関しましては、高年齢者雇用安定法に基づく基本方針で、事業主の留意事項といたしまして、「継続雇用されている高年齢者の就業の実態、生活の安定等を考慮し、適切なものとなるよう努めること。」というふうに示しています。

 継続雇用の後の労働条件、これは、労使で十分に話し合って、双方の合意で成立をするものであるために、今おっしゃったような個別の事情を反映した具体的な賃金の水準などを示すことはなかなか難しいというふうに考えています。

 厚生労働省としましては、高年齢者雇用確保措置、これが各企業で労使の十分な協議のもとに実施されるように指導していきたいというふうに考えています。

田村(憲)委員 おっしゃるとおりで、労使でしっかりと協議をしていただいて、後でもめごとが起こらないように、せっかくの制度でありますから、そこをうまく指導していただくようにお願いをいたしたいというふうに思います。

 さて、ちょっと時間の方もだんだん迫ってまいりました。

 経済団体や中小企業団体の調査によりますと、やはり、今回の改正によって、新卒者の抑制、これを心配される声が多いですね。大体、三八・四%が、そういうものを抑制する可能性があるというふうに心配をしておるようでありますけれども、これは、若年層には余り影響がない、団塊の世代がこれからどんどんどんどん労働市場から退出されるので、若い方々には影響ないというふうに政府はお答えになられていますけれども、やはり企業はどうも感覚が違いますね。

 そう考えたときに、現下の若年者の厳しい雇用環境を踏まえ、それこそ高齢者雇用以上に、学卒対策に対してこれからどのような政策といいますか、先ほど私がお話をさせていただいた部分もありますけれども、傾注をされるつもりなのか。

小宮山国務大臣 今委員も言われましたように、全体、マクロ的に見ますと、超少子高齢社会ですから、私どものような団塊の世代が退職をしていくということと、それから若い人たちが減っていくということで、それほど影響はないと言われていますけれども、私も、やはり若い人たちへの影響ということを、今回この法案を考える中で一番心配をし、配慮しなければいけないと思っていました。

 そうした中で、今非常に厳しい雇用情勢の中で、先ほどちょっと委員も御評価いただいたように、中小企業とのミスマッチをなくすようにとか、ここ数年、若者のところは相当力を入れていまして、年配の人しか行かない場所だと思われていたハローワークに新卒者専門のハローワークをつくって、ジョブサポーターがしっかりと相談をきめ細かくして就職に結びつけていくとか、トライアル雇用を活用していただくなどしてまいりましたけれども、今後、雇用戦略対話で合意されました若者雇用戦略、ここにかなり体系的に盛り込んでいますので、それをしっかり実施して、若い人たちはこれから本人の将来へわたっての人生と、それから日本の社会にとりましても、これから長く働き続けてもらう大切な人材でございますので、そこは十分に対応していきたいというふうに考えています。

田村(憲)委員 やはり若い方々をしっかりと就労させる、就労の場を提供する、これは本当に、失われた何年と言われましたけれども、ちゃんとキャリア形成できない若い人たちがだんだん年を召していかれる、これはやはり将来的に国にとっても大変な損失でありますし、もちろん御本人たちにとってみれば、それこそ老後の生活も含めて大変不安なわけでありますから、この部分、一番大事な部分だと思いますので、もちろん高齢者の雇用を確保するというのも大事ではありますけれども、私はそれ以上に、実は若年者の方が大事だというふうに思っておりますから、この点はしっかりとこれからまた対応していただくように、私からもお願いをいたしたいというふうに思います。

 さて、今回、修正案というものが出てまいりました。きょうは提出者には御質問はいたしませんが、大臣にあえてお聞きをいたすわけでありますけれども、この修正案におきまして、実際問題、働けない方々まで継続雇用をするのかという心配が、経済界には、産業界にはあったわけであります。それに関して、これからいろいろと指針を示していっていただくというのが九条等々の改正で書かれる、提出をされておるということになっておるわけでありますけれども、この三党修正案が成立すればこうした懸念が払拭されるのであろうというふうに思うんですが、その指針の内容というのはどういうプロセスでこれから決まっていくんですか。

中沖政府参考人 お答え申し上げます。

 今回提出されました修正案におきましては、高年齢者雇用確保措置の指針を定める際には、関係行政機関との協議、労働政策審議会での意見聴取が必要であることが規定されておるわけでございます。

 したがいまして、修正案どおりに改正法が成立した場合には、指針策定のプロセスとしては、まず、一月の労働政策審議会の建議内容あるいは今回の国会の議論を受けまして原案を作成した後、関係行政機関と協議、あるいは労働政策審議会での議論、パブリックコメントを経て策定する運びとなってまいります。

田村(憲)委員 すると、関係者にいろいろと話を聞きながら、労働政策審議会の方でいろいろと議論をして、審議をして、その上で大臣がお決めになられるというお話だったというふうにお聞きをいたしました。実際、この修正案の中に入っております「心身の故障のため業務の遂行に堪えない者」、これは一例でありますけれども、このように、就業規則のそれこそ解雇、退職事由に該当する、そういうような方々をある程度具体的にこういう指針の中で示していくのであろうなというふうに思います。

 ただ、問題なのは、労働政策審議会の中でちゃんと議論をされたときに、経済界は経済界、労働者側は労働者側でいろいろな意見を表明されるんだと思うんですけれども、ちょっと心配なのは、民主党政権になってからかなり労働者側の意見が色濃く反映をされることが多くなってきた。それはそれでいいんですよ、悪いというわけではないんですけれども、経済界の声がなかなかうまく届かないというような部分もちょくちょくお聞きをいたします。

 これは先ほども言いました。もちろん、我々は労働者を守らなきゃいけない、これはもう前提にあります。ただ、一方で、働く雇用の現場がなくなっちゃったら、そもそも労働者は働けないわけですよ。だから、そういう意味では、ちゃんと企業も国内に雇用を残せるような状況もつくっていかなきゃならない。あわせて、そういう意味で、経済界のいろいろな議論もちゃんとお聞きをいただきながら、こういうものをおつくりいただく。

 最後は多分、大臣告示のような形で指針を示されるんだと思うんですけれども、反映をいただかなきゃいけないわけでありまして、しっかりと経済界の御意見もお聞きをいただけるということで、大臣、よろしいですか。

小宮山国務大臣 高年齢者雇用確保措置の実施運用指針につきましては、労働政策審議会での審議を経て策定することと修正による新九条四項でされています。公労使三者構成の労働政策審議会には使用者側代表も参画されていますので、審議を通じてその考えを十分主張していただきたいと思っています。

 厚生労働省としては、厳しい経済情勢や労働現場の実情を考慮して、経済界の御意見は十分尊重していきたいというふうに考えています。

田村(憲)委員 しっかりよろしくお願いをいたしたいと思います。労使ともに納得のいくような案をつくっていただいて、とにかく後でいろいろなもめごとが起こらないようにということで、これはよろしくお願いをいたしたいと思います。

 今からこの法律が通って、来年の四月には、実際問題、新しく年金をもらえない方々が生じてくるわけでございますので、そのときにしっかりと継続雇用ができるようにしていかなきゃならないということになりますと、逆算していくと、秋以降すぐに、法案が通ってからすぐに労使協議を開始して、その上で就業規則や労働協約の改定をやっていかなきゃいけない。それから、労務管理の見直しも進めていかなければならないわけでありまして、これは結構大変な日程感ですね。

 そう考えたときに、やはり本法律案が成立後速やかに、今申し上げたこのような実施運用指針、それから基本方針、関係通達などを施行していただいて、各企業が、労使が新制度に向けた協議を円滑に進めていく。これは周知徹底をすぐにやっていただかなきゃならぬわけでありまして、大変な混乱の中で各企業、労使ともに進めていく中においては、厚生労働省の責任は大変重いものがあると思います。

 あわせて、先ほど言いました中小企業に向けたいろいろな政策、支援策の対応例、それから経過措置も入っておりますから、こういうものを企業にやはり周知徹底していかなきゃならぬということでございまして、これは本当に覚悟を持ってやっていただきませんと、来年の四月になって企業がばたばたして、本来予想していなかったような問題が生じる可能性があるわけでありまして、大臣、これはちゃんと対応していただく覚悟はございますか。

中沖政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、各企業が、法の施行日までに、就業規則の整備あるいは労働協約の締結によりまして、企業内の人事労務管理制度の準備を整えていただくことは大変重要なわけでございます。このため、改正法が成立した場合には、速やかに、省令の整備、指針の策定のため、労働政策審議会での議論を開始したいと考えております。

 また、改正法の内容、先生御指摘のように、助成金あるいは経過措置、そういったものも含めまして丁寧に周知啓発を行えるよう、今年度の予算にも一定額計上しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、事業主団体等によります傘下団体、傘下企業向けのセミナーの開催を行う、パンフレット等わかりやすい周知啓発資料を作成し、労働局、ハローワークで周知を行う、主要なハローワークで専門支援員を増員いたしまして、事業所訪問等を行って啓発を行うなどを予定いたしております。

 また、このほか、独立行政法人でございます高齢・障害・求職者雇用支援機構におきましても、具体的な対応例の紹介も含めて、きめ細かい相談、援助を行ってまいることにいたしております。

 事業主が円滑に準備を進めることができるよう、しっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

田村(憲)委員 特に、高齢者の継続雇用といいますか、対応の難しいような企業の確保措置といいますか、要するに、高齢者を継続雇用するときの、どういう仕事をつくっていくか、こういうような意味での対応例みたいなものも含めて、ちゃんと中小零細を含めて対応していただきたいな、こんなふうに要望いたしたいと思います。

 しかし、日本の国の今の状況を考えますと、正直言いまして、大企業、強い労働組合のある、そういうようなところの労働者の方々、これは非常に雇用が安定をしております。例えば解雇規制、これは日本の場合は非常に厳格なといいますか、厳格という割には法律としてちゃんと確立していないわけでありまして、ある意味、裁判の判例等々で、四条件といいますか四要件が示されておる。その中で、企業はなかなか解雇をしづらい。

 それはそれで悪いことではないのかもわかりませんが、それは、日本の国がほっておいてもどんどんどんどん成長していって、それこそ、海外のいろいろな企業と比べてアドバンテージがあったころはそれでもよかったのであろうと思うんです。しかし、一方で、今、日本の企業というのは、はっきり言いまして、競争力というものがだんだんだんだん弱くなってきておるわけであります。

 その中において、大企業、強い労働組合のあるところ、こういうところの正規社員の方々が大変守られておるということになれば、そのしわ寄せが一方で中小零細に行ったりいたしておりまして、中小零細は、結構、解雇というのは、それほど難しくなくされちゃう。それに対して、本来ですと労働争議を起こせばいいんでしょうけれども、労働組合もないわけでありますから、なかなかそれもやりづらい、泣き寝入りという部分が非常に多いわけでありますよね。そういうことを考えると、非常にアンバランスである。

 一方で、非正規の方々は非常に安価に使われておる労働力、こういう問題点もあるわけでありまして、よく大臣が、均衡待遇じゃなくて均等待遇をなんてことを各委員会でおっしゃっておられるのを聞くわけでありますけれども、実態として、企業は企業で全体の労働に対する制約があるわけですね、これは費用としての。そう考えると、非常に守っている方々がおられれば、当然、全体を考えれば、安く使わざるを得ないところもあるわけであります。

 本来、私は、有期で働く方々は、それこそ無期で働く方々よりも時間当たりの賃金は、同じ能力であれば高くなきゃならないと思っているんですよ。それはなぜかというと、有期というところで、企業からしてみればリスクヘッジしているわけですよね。となれば、その部分だけ、働く方々からしてみれば、強い立場にあるわけでありまして、有期の方々は高い時間当たりの賃金で働くというのが本来の、市場原理の中での労働のあり方だと私は思っているんです。ところが、今、なかなかそうはなっていないというのが現状ですよね。

 この解雇規制というものも、労働者の権利はしっかりと守りながらでありますけれども、やはりグローバルスタンダードにしていかなきゃならないんじゃないか。きょうは来ておりませんけれども、柿澤未途委員のこの間の質問にもございましたけれども、日本が解雇に非常に厳しい、余りにも厳しい、そういう状況であるということを考えれば、いろいろなものを世界標準にしていくということを考えれば、この解雇という部分も含めて、解雇規制も含めて、グローバルスタンダードに合わせていく必要があるのではないか。一方で、もちろん、働く方の権利はしっかり守らなきゃいけない。

 これはなかなか難しい、相矛盾する部分でありますけれども、そういうものを総合的にどうあるべきかということを、日本の企業の競争力、それから雇用の確保という部分も考えて、そろそろ大きな議論をしていかなきゃいけない時期に来ているのではないのかなというふうに思うわけでありますけれども、大臣、その点はどうお考えですか。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃったことは、私も、ほぼ同じような問題意識を持っています。だから、恐らく、解雇のしやすさ、しにくさということだけではなくて、もっと自分の能力に合った仕事に転職ができるとか、いろいろなセーフティーネットとか、それから能力評価、職業能力をどうやってどんどん高めていって、それがちゃんと評価される仕組みをつくるかとか、全体の労働市場のあり方をもっと大きい視点から考えないといけないのではないかというふうに思います。

 今おっしゃったように、非正規雇用が四割になった中で、その人たちがどうやって能力開発をしてステップアップをしていくかというのは、本当にここは大きなテーマだと思っていて、今省内も、局縦割りではなくて、そういうことを大きなところで考えるようにということを言っていますし、これは省縦割りでもなくて政府全体として、またこれは党派を超えて皆様のお知恵もいただいて、これから日本の労働をどのようにして、それぞれの人が能力をアップして発揮しながら、働きやすく、また企業も成長していけるような、かなり大きな視点で話をしていかなければいけない重要な課題だという認識を持っています。

田村(憲)委員 もう時間でございますが、私自身も誤解を招いた言い方をしていると困るんですけれども、解雇しやすいようにという話じゃないんですよ。明確化をしていくことが重要である、必要であると思います。

 最後に、重ねて、先ほどの大臣告示で出される指針の部分、これは経済界の意見もしっかり聞いていただくようにお願い申し上げて、私からの質問をこれで終了させていただきたいと思います。

池田委員長 次に、青木愛さん。

青木委員 国民の生活が第一の青木です。

 気持ちを新たに、今度こそはという思いでまた頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 本日は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。重なる部分もあろうかと思いますけれども、まず、この法案の趣旨について確認をしながら質問させていただきたいと思います。

 平成二十五年度、来年度以降、厚生年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられる、定額部分は既に、六十五歳になる、そして報酬比例部分が、現在の六十歳から六十五歳まで三年ごとに一歳ずつ引き上げられて、平成二十五年度から三年間が六十一歳、そこから平成三十七年度まで、六十五歳へと引き上げを完了するという形で進められていく。

 現行制度のままですと、来年度には、雇用が継続されず、年金、報酬比例部分でさえ支給されないという無収入になる方が生じるおそれがあるということで、こうした事態を回避するために、雇用と年金を確実に接続させて、六十五歳までの希望者全員の雇用を確保する、現行の継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みを廃止する、そのことが主な趣旨だと理解をしておりまして、年金も支給されない、仕事も続けられない、無収入になってはこれは本当に大変でありますので、これについてはしっかりとした取り組みをお願いしたい、こちらからもそのようにお伝えをさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、これは、年金の受給開始年齢の引き上げに合わせて、さらに六十五歳まで働いてくださいということでもあろうかと思います。要は、国が年金の支給開始年齢を、国の財政事情に合わせて、ある意味一方的に法律で決めて段階的に引き上げてきたわけであります。定年もほぼ六十歳で定着をしておりますし、六十になれば年金をもらえると、その後の人生設計を考えていらっしゃる方も多かったというふうに思います。

 六十歳になればもらえると思っていた年金が先延ばしになって、いつまでたっても、もらえるか、もらえるかと思っても、それが先延ばしになっていく。そして一方で、今、保険料も、掛金の方も毎年上がり続けているわけであります。さらには、このたびの消費増税の課題もございます。国の財政の都合で次から次へと、ある意味一気に国民ばかりに負担を強いる施策が今進められているというふうに思います。

 この点について、まず、どのように今御認識されているか、御見解をお伺いできればというふうに思います。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃったように、本当に年金というのは老後のその人にとっての大切な生活の支えになりますので、そこが最初のプランどおりにいかないということは非常に大きな支障が出るだろうということはわかりますので、それで計画的に進めているということなんですね。

 確かに国の財政事情もありますけれども、御承知のように、今、年金の制度でも、自分たちで払った賦課方式の保険料と国からの税金と両方で成り立っていますので、これだけの超少子高齢社会で担い手が少なくなっていく中で、やはりどうしてもそれは、保険料を上げるか、支給開始年齢を先に延ばすか、そのどちらかしかないということだというふうに思うんですね。

 ですから、その両方うまくいくというのはこの超少子高齢社会の中ではなかなか難しいので、そこの整合的なところでどうするか、いろいろな議論の中で今の形になってきているというふうに考えています。

青木委員 だからこそ、この年金制度の抜本的な改革が必要だったと主張してきたかというふうにも思います。

 今の年金制度は、ピラミッド形の人口構成をもとにつくられているというふうに思うんですけれども、人口予測というのがもっと早くからできなかったのかというふうにも思うわけです。この間、さまざまな無駄な施設がつくられ、またいろいろな運用が行われてきたわけでありまして、もっと早くこうした予測を持って、本来であれば、とっくの昔に見直しを行っていなければならない状況であったかというふうに思うんですけれども、こうした予測はできなかったんでしょうか。厚生労働省の方にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

榮畑政府参考人 まさに、年金制度は、長期的に将来を考えながら、制度の財政の安定というのをどう図っていくかということを考えていくことがやはり大変大切なことだろうと思っています。

 そういう点で、今回、二〇一三年度に六十歳から六十五歳までの間の特別支給の老齢厚生年金の一階部分の支給開始年齢を引き上げていくのは、平成六年度ですから一九九四年度にこの改正をさせていただいて、それで、かなりの長時間をかけて、徐々に徐々にこういうふうな形にさせてきていただいたところでございます。

 また、その後の平成十二年改正の中でも、まさに大変長い時間をかけて、特別支給の老齢厚生年金を六十歳から六十五歳まで支給開始年齢を引き上げるというふうにさせてきていただいたところでございますから、長期的な将来というのを考えながら、やはり公的年金の支給というのは高齢者の方にとって大変大事な、生活していくにはどうしても必要なことでございますから、時間をかけてゆっくりと施行できるような形でさせていただいておるところでございます。

 そういう点で、長期的な計画を立てながら、徐々に徐々にやっているというところでございます。

青木委員 ゆっくり時間をかけてということでありますけれども、平成六年と十二年とその改正が行われているわけでありますが、私が申し上げているのは、もっと早くから、もっとその以前からこういう予測ができなかったのかというふうに思うわけです。

 本当に国民の皆様が真面目に、政府を信じて、国を信じて保険料を掛けてきたわけですけれども、何か欠陥商品を売りつけられたような、そんな印象も受けるわけであります。

 これから、先ほどもお話が出ていましたけれども、団塊の世代と言われる一九四七年から四九年生まれの方々、再来年には全員が六十五歳を迎えます。この方々がどんどん引退をして、年金受給年齢になって、再来年には支給対象者が劇的に増大をする。さらには、平均寿命も延びておりまして、支給期間もさらに延びることが予想されるわけでございます。

 この先、今度は七十歳まで支給開始年齢を引き上げる、そしてそれに伴って、また雇用も七十歳まで継続するのだ、こうした可能性もあるのかどうか、お伺いをさせていただきたいというふうに思います。

小宮山国務大臣 年金の支給開始年齢の引き上げにつきましては、昨年六月の社会保障・税一体改革成案を受けまして、中長期的な観点から、それぞれ個々の人たちの生活設計にもかかわる重要なテーマですので、社会保障審議会などで御議論をいただいてきたんですね。ですから、すぐに上げるような、法案の提出をするかのような報道が一時あって大分誤解も受けたんですが、すぐに何かをするということではありません。

 ただ、先ほど申し上げたように、保険料を上げるか、給付額を下げるか、支給開始年齢を先延ばしするかしか、今維持をしていく方法がない中で、ずっと長年考えて、ずっと百年先まで考えて年金のことは仕組んでいくという中で、今までの政権でもそういう形をとられてきたということなんですね。

 この支給開始年齢をさらに上げるかどうかということについては、現在進行している支給開始年齢の引き上げとの関係ですとか、今言われた高齢者雇用の進展の動向などに留意をしつつ、中長期的な課題として支給開始年齢のあり方について検討をすると一体改革の大綱でもされていますので、政府としては、その方針に基づいて対応していきたいと考えています。

青木委員 引き上げる可能性もあるというふうに理解せざるを得ないというか、そういう御答弁だったというふうにも思います。

 前政権下でこの受給年齢を六十五歳まで引き上げたと先ほどもお話がございまして、民主党としては反対をしていたのではないかというふうに思いますけれども、先ほどから大臣が、年金の受給額を減らすか、支給開始年齢を先に延ばすか、保険料を上げるしかないというふうにおっしゃっているのは、本当に、民主党の流れとちょっと違うなというふうに今率直に思うんです。

 だからこそ、年金制度を抜本的に変える、財源についても、最低保障年金のところは消費税を充ててしっかりとしたものをつくっていくんだ、国民の皆様方に本当に将来安心をしていただけるように変えていくんだということだったんだというふうに思います。

 今のお話を聞いておりますと、前政権がやっていた年金制度をそのまま、それをもとにして踏襲しているというような御発言に思えてならないわけでございますけれども、これは、生涯を通じて働きたいという希望の方もいらっしゃいます。また、その環境をつくることも、それはもちろん大事なんですけれども、この問題はやはり分けて考えなければいけない。問題の本質が違うところにあるというふうに思うんですよね。ここまで、国民の皆様方にしわ寄せをしている現況まで国が対処してこなかったというところに問題の本質があろうかというふうに思っておりまして、私どもは、何とか、まだ国民の皆様方に信頼を持っていただける、そういう社会保障を、しっかりしたものを考えていきたいというふうに思っております。

 この法案について言いたいことは大体今のことで全てなんですけれども、あともう幾つかこの法案について御質問もさせていただきたいというふうに思います。

 時間にもよりますけれども、働く人の立場から二点。

 まず、六十歳を超えますと、個人個人の職務に対する能力の差は若いときよりも顕著になることが考えられます。身体的な衰えをほとんど感じない人もいれば、顕著にあらわれてくる人もいます。基本的には個々人の希望によって選択できる仕組みが必要と考えますが、継続して働くことを希望しないという方もいらっしゃると思います。六十二歳、六十三歳まで働きたいという方もいるかもしれません。希望しても働けない方もいらっしゃると思います。

 さまざまだと思うんですが、働き続けられる環境を整備することとともに、個人が選択できる制度をつくることも大切かというふうに思っているんですけれども、その点について御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

小宮山国務大臣 今回は定年延長ではなくて、そこでまた契約を結び直すわけですので、その中で、先ほどから申し上げているように、労使双方でしっかりと協議をして、労働条件とか働く日数とかいろいろなことを決められるようにということを考えていますので、そういう意味では、今委員がおっしゃるように、その人の希望に合わせてできるような方向でこれが運用されていくようにというふうに思っています。

青木委員 例えば、六十五歳よりも早く退職をしたいという方がいらっしゃる場合、やはり年金というのは七割くらいしかもらえないんでしょうか。

榮畑政府参考人 公的年金ですから、定められた支給開始年齢から早く受給するという場合につきましては、基本的には、早く受給したときも、定められた支給開始年齢から受給したときも、生涯を通して見たら大体均衡になるように、早く受給し始めるときには一定の額を引いた額というのを支給させていただくというような仕組みになっておりまして、例えば、六十五歳の場合、六十歳から受給したら、先生今お話しのとおり、大体三割引きというような格好になるところでございます。

青木委員 やはり七割しかもらえないということなんですけれども、保険料を掛け始めたときの最初の約束はどうなるのかということがあろうかというふうに思います。六十歳でもらえると思って掛けてきたわけでありまして、六十五歳より早く退職すると年金は今の時点では七割しかもらえませんよということも、これもちょっと本来はおかしいのではないかというふうにも思っておりまして、いずれにしても、いろいろな選択ができるしっかりした制度をつくっていただきたいということを本当に心からお願い申し上げておきたいと思います。

 あともう一点は、事業者側の負担増に対する対応について御質問させていただきたいと思います。定年後の高齢者雇用を義務づけられる企業の負担についてでございます。

 特にこの景気の厳しい中で、消費税は上がるわ、法人税は下がらない、今度は希望者全員の六十五歳までの雇用確保を義務づけられるということでは、企業の競争力の低下あるいは人件費の増加で、特に、ますます経営そのものが今極めて厳しさを増している中小企業が少なくないわけでありますけれども、こうした企業に対する対策として、せんだっても質問にあったかと思いますけれども、企業規模別の対策を講じるといったようなことも必要ではないかと思います。その辺についてはどうお考えになられていますでしょうか。

西村副大臣 今回の法改正によりまして、新たに継続雇用制度の対象とする必要がある定年退職予定者は、最小で約一・〇万人、最大で五・五万人程度というふうに見込まれます。

 一方、団塊世代の大量退職により、今後十年間で六十歳から六十四歳の層は約百五十万人減少するということが見込まれますので、マクロでの影響は限定的なのではないかと考えているところです。

 今回の基準の廃止は、いずれにしても個々の企業に負担をお願いする事項でありますために、負担軽減策はとっていく必要があるだろうということで、段階的に引き上げられる老齢厚生年金の支給開始年齢に合わせて継続雇用の対象者を限定できる仕組みを認める十二年間の経過措置を設けましたことと、継続雇用制度で高年齢者が雇用される企業の範囲をグループ企業まで拡大するということ、そして、グループ企業以外への労働移動を支援する助成金の新設といった措置を講じることにしております。

 こうした措置を通じて、企業の理解を得ながら、円滑な施行に努めてまいりたいというふうに考えております。

青木委員 その助成金の方も、新しい雇用先を見つけるための助成というふうに捉えておりますけれども、実際問題、中小企業は今、経営難に陥っているところが本当に数多くありまして、大企業の場合は、ある意味、社会貢献という側面もあろうかと思いますけれども、中小企業は潰れてしまっては何にもならないわけでありますので、ぜひ、この点しっかりと対策を講じていただければというふうに思います。

 あともう一点、高齢技術者の活用についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 中小の製造業などでは、機械よりも正確な高齢技術者の職人としての腕を若手技術者に伝承するため、現場技術者としてではなく、指導者として会社に残ってもらって、後進の指導に当たっていただいている企業も多いと伺っています。小さな町工場に世界一の技術があることも珍しくないわけでございますが、こうした高齢技術者の持つ職人わざ、日本にとっての技術立国としての礎でございますが、この技術が伝承されないというのは本当に深刻な問題でございます。

 高齢技術者が指導者として長く働けるような、そうした仕組みの構築について何らかの支援策が必要ではないかというふうに思いますけれども、この点について御見解をいただければというふうに思います。

西村副大臣 委員御指摘の点についてですが、やはり、超高齢社会に対応していくためには、高齢者に、今まで培ってきた職業知識や経験を生かして、技能の伝承と後進の育成を行っていただくということは重要であると考えております。

 そのためには、御指摘のとおり、高齢技術者の活用を図るための新たな職域拡大やそのための雇用管理制度の構築なども含めまして、企業が高年齢者の知識や経験を有効に活用できるように政府としても支援を行っていくことは有益であろうというふうに考えています。

 厚生労働省といたしましては、高年齢者の職域の拡大、そして雇用労務管理制度の構築に取り組む企業に対して助成金の支給を行っております。このほか、高齢・障害・求職者雇用支援機構が企業に対して高年齢者雇用に関するアドバイスも行っております。こうした支援を一層充実していけるように、今後とも検討していきたいと考えています。

青木委員 最後に、大臣にお伺いをしたいと思います。

 今後、高齢者の方々が、単に養われる立場ではなくて、さらにリードしていく立場で活躍をしていただけるような、何かそうしたビジョンをお聞かせいただければというふうに思うんです。総理も、とかく、先送りできないとか、待ったなしで今やらなければ間に合わないといったような、せっぱ詰まった感じを受けるんですけれども、希望の持てる、夢のある、消極的な考え方ではない、何かそうしたビジョンというか、大臣の意欲を最後にお聞かせいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

小宮山国務大臣 なかなか、夢と希望のあるビジョンというのも難しいところなんですけれども、今回、社会保障の改革の中でも、やはり高齢な方も障害をお持ちの方も、そして若者も女性も、それぞれ自分の持っている力を発揮して社会の中に参画をする、参加をする権利があるという考え方で、就労促進ということを位置づけているんですね。

 そういう意味で、全員参加型の社会ということで、先ほどもちょっとお話しした、今の仕組みの中ではなかなか能力開発がうまくいかないところもあるので、それは国全体として、どうやってそれぞれの人の持てる力をスキルアップしていくかということも含めて、それぞれの方たちが自分の能力に合った働き場があって、生き方がある、そういうような社会をぜひつくっていきたいというふうに考えています。

青木委員 ありがとうございました。

池田委員長 次に、坂口力君。

坂口(力)委員 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する質問をさせていただきたいと思います。

 そうはいいますものの、質問もだんだん後になってまいりますと、もうほとんどの話が出尽くしてまいっておりまして、さて何を聞くかなと少し苦労しながらきょうは質問をさせていただかなければなりません。重なるところもありますけれども、お許しをいただきたいと思います。

 今回のこの法律ができましたときに心配をしなければならないのは二つあって、先ほど田村先生からも出ましたけれども、一つは、企業が十分それに対応をしてくれるかどうか、対応し切れなくなって外国へ出ていくようなことになりはしないか、それは一つの問題点だと思いますし、もう一つは、やはり若い人たちの働く場所が大丈夫か、余計に減るようなことはないか、この二つが大きな問題点だというふうに思っております。

 まず最初に、完全失業率、昨日でしたか、一番最近のが出まして、四・三ですか、少し改善をされてきたこと、非常に結構だと思いますが、平成二十三年、一年間で見ますと、全体で四・五%、そして五十五から六十四歳までの人ですと四・四%、六十五歳以上の人は二・二%。

 一見、六十五歳以上の人、二・二%と完全失業率が低いのはなぜかなという思いがするわけですが、これは多分、六十五を過ぎた皆さんは、もう働くつもりはありませんという、働きたいという意思表示をされない人がふえてくるために、ここは数字が減ったのではないかというふうに思いますが、あるいはほかに理由があるのかもしれません。ここはひとつお聞きをしたいと思います。

 それから、有効求人倍率の方を見ますと、昨年の全体では〇・五九、有効求人倍率は非常に低かったわけですが、その中でも六十五歳以上の人は〇・五七と、全体が〇・五九なのに、そこに〇・五七あるというのは、高齢者に対する呼びかけと申しますか、何とか来てくださいという雇う側の声が比較的あるような気もするわけですね。

 この辺の状況をどういうふうに分析をしておみえになるのかということを、まずお聞きをしたいと思います。

中沖政府参考人 お答え申し上げたいと思います。

 まず一点目、高齢者におきまして完全失業率が低くなっている理由といたしましては、一つには、やはり六十五歳以上の就業者数が、平成十五年から平成二十三年にかけまして、四百七十七万人から五百七十一万人へと非常に大きく増加していることがございます。

 その一方で、先生先ほど御指摘がございましたとおり、年金等の生活費が確保できるような方はやはり労働市場から引退すること、こういったことが考えられるわけでございまして、雇用の伸展、そしてまた就業からの引退の両方が影響しているものというふうに考えております。

 次に、有効求人倍率でございますが、以前は大きな差があったわけでございますが、平成十九年から、募集、採用時の年齢制限、これを禁止したこともございまして、かつてほどの大きな差はないわけでございます。ただ、先生御指摘のとおり、やはり比較的高い数字があるわけでございます。

 こうした数字の背景といたしまして、やはり中小企業については、若年者を採用しにくいというような企業もございます。定年制を廃止する企業も相当あり、七十歳まで働ける企業の割合が大企業の二倍近いというような数字もございまして、やはり高齢者を貴重な戦力として活用しようという考えや態度が大変強いということが、こういった数字に反映しているのではないかというふうに考えております。

坂口(力)委員 そういう気持ちが全体にあるんだったら、それは非常に結構なことだというふうに思います。

 さて、もう一つの問題としまして、継続雇用制度を導入した企業の割合は八二・六%に達しておりますが、しかし、希望者全員が六十五歳まで働くことのできる企業の割合は四七・九%、約四八%にすぎない。

 この数字の差というのも少し気になるところでありまして、先ほどお話がありましたように、比較的、高齢者の皆さん方はまだお元気だし、そして、今後、長く雇い続けなければならないということもないし、技術もあるので何とか雇いたいという人がふえてきている。そのふえてきているという割に、今度は、希望者全員が六十五歳まで働くことのできる企業の割合は五割を切っているというのは、ここも少し、数字だけを見ますと納得がどうもいかないような気がしますが、この理由につきましてどのように分析をしておみえになるか、お聞きをしたいと思います。

中沖政府参考人 先生御指摘のとおり、継続雇用制度を導入している企業の割合は八〇%を超えているわけでございますが、その一方で、希望者全員が六十五歳以上まで働くことのできる企業の割合は五割を割っている、四七・九%であるわけでございます。

 現在、継続雇用制度の対象となります高齢者の基準といたしましては、健康上支障がないこと、働く意思、意欲があること、出勤率、勤務態度といった内容であることが多いわけでございますが、事業主の意向として、やはり何かのときのためにどうしてもこの基準を残しておきたいというような意向があって、なかなか基準の廃止に踏み切れないケースもあるということが数字に影響しているとも考えております。

 しかしながら、基準該当者を継続雇用する制度を導入している企業のうち、過去一年間に継続雇用を希望する者がいた企業は三万六千社ございますが、このうち、実際に九三%の企業で基準該当の離職者がゼロでございまして、いわば実態として見れば、実質的には希望者全員を継続するような実態が出てくるわけでございます。

 また、希望者全員が六十五歳まで働くことができる企業の割合の推移を見ましても、年々上昇傾向にございます。

 こうしたことでございますので、私どもといたしましても、できるだけ早く全ての企業が六十五歳まで全員働けるような形になるよう努力してまいりたいと考えております。

坂口(力)委員 この問題、もう一問だけちょっと聞きますが、この数字を見ると、希望者全員が六十五歳まで働くことのできる企業の割合といいますと、全員がやはり六十五歳まで働けるという企業だけをここで取り上げておみえになるのか、それとも、全員ではないけれども、大半の人は六十五歳まで働くことができる企業というふうに取り上げておみえになるのか。がんじがらめの一〇〇%ではなかったとしても、もう少し少ないと申しますか、八割か九割は雇っているというぐらいの割合というのはどのぐらいあるのかということがわかっていますか。

中沖政府参考人 四七・九%の内訳でございますが、これはいろいろな内訳があるわけでございまして、もちろん、定年制をなくしている企業もございます。また、六十五歳以上の定年を設けている企業もあるわけでございまして、四七・九のうち、定年制がない企業、六十五歳以上定年の企業が一五%程度あることは事実でございます。

 また、四七・九の割合の中で、では、全部やっているんですかという御趣旨だったと思いますが、これは一応、基準を廃止した企業を挙げているわけでございまして、したがって、希望すれば全員が雇用される体制になっているわけでございます。

 先ほど、実態としてということを申し上げたわけでございます。これは、基準制度がありながら、基準の適用になって、基準から外れまして離職する方がいるような企業の割合、これは全体の七%程度であった。したがって、九三%の企業では、基準はあるんですが、しかし、全員が実態としては継続雇用されているという企業が基準制度のある中でも九割以上を占めているという答弁でございました。

坂口(力)委員 ちょっとわかりにくいところがありましたけれども、結構です。さらに分析をしていただきたいというふうに思います。

 その次に、これは大臣に少しお聞きをしなきゃならないと思いますが、日本経団連の二〇一一年の人事労務に関するトップマネジメント調査によりますと、これは二〇一一年の九月二十九日の調査でございますが、希望者全員の六十五歳までの継続雇用が義務づけられた場合の対応として、約四割の企業が若年者の採用数の縮減を行うと答えている。

 これは先ほども議論のあったところでありますが、大臣の方からも、田村先生の質問に対しまして、十分に対応するという御答弁がございました。十分に対応していただけるんだというふうに思いますけれども、しかし、ここはなかなか難しいところだと思うんですね、実際の問題は。

 全体としましては、今、失業率四・三%。しかし、十五歳から二十四歳のところは、ちょっとよくなったとはいいますものの、今七・五%ですね。それから、二十五から三十四が五・三ぐらいでしょうか。やはりここは少し高い。都道府県別に見ますと、青森が七・〇、沖縄が七・一、ここが際立って失業率が高いわけですけれども、この沖縄、青森よりも、十五歳から二十四歳までの若年層のところの失業率は高いわけですね、七・五と高いわけです。だから、地方へ行きましたらもっと高くなっているんだというふうに思いますけれども、ここを一体どうするかということだと思います。

 一つは、外国に出ていきます企業も多い。それから、国内に残っております企業はだんだんとロボット化が進んでいく。また、いわゆる自営業といいますか、小企業といいますか、農業とか漁業をのけましても、自営業というのはこの二十年ぐらいの間に大体半分になっていっていますね、こういったことも影響すると思うんですが、千二百万ぐらいありましたのが六百万を切りまして、五百七、八十万ぐらいのところに自営業が来ている。もうどんどんと日本の中で減ってきている。こうした問題もありますので、なかなか全体としては、若い世代をそこで育んでいくということは非常に難しい環境にある。

 一方におきまして、年金との関係もありますので、六十五歳までは雇っていただかなければいけませんよ、これは当然と申しますか、お願いをしなければならないところだというふうに思いますけれども、しかし、それならば、もう若い人たちはそんなに採れませんよというふうに企業の方から言われますと、そうすると、これはどうしたらいいか、本当に思案に暮れるところなんですね。

 だから、大臣からも、名案があって、出していただければいいですけれども、なかなか名案もないところだというふうに私は思いますけれども、ここは同じに悩んでいかなきゃならないところだというふうに思います。

 現在のところ考えられる、こういうことをしたらどうだというお考えがありましたらお聞かせをいただきたい、こう思います。

小宮山国務大臣 先ほど田村委員の御質問のときにもお答えしたように、私も、今回、年齢の高い方の雇用をしっかり継続できるようにするというのはもちろん大事な問題ですけれども、先ほど田村委員はそれ以上にとおっしゃいましたけれども、私も気持ちとしてはそう言いたいぐらい、若者のところの雇用をどうするかということをきちんとしないと、これは日本のこれからの将来にもかかわりますし、若い人たちの人生にもかかわるので、本当にここは皆さんのお知恵も最大限いただきたいと思っているところです。

 おっしゃいますように、やはり企業がきちんと日本の中で成長していける、存在していけるという状況をつくらなきゃいけないので、先ほど御指摘のあった金融とかは私の範囲ではございませんけれども、これは政府を挙げて、昨日、日本再生戦略をつくりました。これにもいろいろ御意見はあると思いますけれども、これから成長していく分野にしっかりとバックアップもいたしますし、規制も可能な限り緩和をするなどして、医療ですとか環境とか、それから福祉の部分もそうですよね、そうしたところでしっかりと雇用が確保できるような、海外に行かなくても日本できちんとやっていけるということを、これは国を挙げてやっていかなければいけないことだと思っています。

 そういう中で、やはり特に日本の労働法制とか今の労働市場がなかなか移動がしにくいところがまだまだある中で、高齢者を雇用し続けるということは、企業もいろいろと財政状況もあるから、新しい人を採りたくても採れない、そうならないように、今、若者の雇用戦略もつくりまして、今もやっていますけれども、なるべく学校、大学と連携を密にして、学校にいるときから、一人一人の若者の能力が企業の求めているものと結びつくような形を、これは経済産業省とか文部科学省と連携をしてやっていかなければいけないということで、具体的には、今、ジョブサポーターがかなり就職支援ハローワークなどでも仕事をしてくれていますので、それを今年度から現役の学生にもということで、大学の中に相談の窓口をつくったり出張相談をしたり、ジョブサポーターが大学にも入っていく形で、何とか、学業をしているうちから、企業が求める人材になっていくようにというようなこともやろうというふうに思っています。

 私が一番問題意識を持っているのは、大学を出て、企業に入ってからオン・ザ・ジョブ・トレーニングでどんどんスキルアップをしていくという形が、今、非正規がこれだけふえていることもあって、壊れてきている。その中で、どうやってスキルアップをするような職業能力をつけていく仕組みを、企業の中だけではできないと思いますので、それもやはり国の戦略として、省庁もまたぐ形でやらなければいけないし、また、働き方についても、雇用されて働くというだけではなくて、自分で新しく仕事をつくり出す。これは委員とも一緒に協同労働のことなどもさせていただきましたけれども、新しい働き方も生み出していくということも必要だと思いますし、これは本当に、あらゆる知恵をいただいて検討していかなければならない、これからの労働については最も大きな課題だという意識を私は持っています。

坂口(力)委員 ありがとうございます。

 一つお願いでございますが、この法律が実施されますまでの間、少し期間もございますので、その間に、若者の雇用につきまして、さらなるひとつお力添えと申しますか、新しい対策をお考えいただきますようお願いをしておきたいと思います。

 そういうことを考えますと、結局は、大臣もおっしゃいましたが、産業規模が拡大をしていかなければならないわけでありまして、高齢者も若年者も両方とも雇用ができるというふうにしようと思えば、これはもう産業規模が拡大する以外にないわけですよね。

 厚生労働省の雇用対策、特に旧労働省系の雇用対策ということになりますと、これはどちらかといいますと技術訓練が中心なんですね。だけれども、技術訓練をいたしましても、それを受け入れてくれる企業というのが少なくなってくるということになりますと、ただ単に技術訓練というよりも、新しい産業開発をする人をつくり出していくということが大事じゃないかと思うんです。

 先日も、経済産業省の中小企業庁の長官ともお話をちょっとさせていただきまして、長官の方も非常に熱心に今おやりいただいておりますが、六十歳を過ぎた皆さん方の中で、今までの経験を生かしながら新しい産業を生み出していく能力を持った人が非常に多い、その人たちに何とかもう少し手を差し伸べれば、その人たちがより新しい働く場所をつくってくれるのではないかということに非常に興味を持っておるというお話をいただきまして、私もそういう希望を持っておりましたので、意見の一致を見たところでございます。

 したがいまして、厚生労働省の方の、そういう六十歳以上の人たちの、技術指導ということではなくて、もう少し大きい意味での、産業を生み出していく、そういうことに対する手当て、それに対しまして、そんなに大きな資金が要るわけではなくて、中小企業庁の長官のお話によりますと、まず三百万あれば十分というふうに多くの皆さんがおっしゃっている。だから、何千万というような金を今まで用意して、借りてくださいということを言ってきたけれども、それは少し大き過ぎて、もう少し少ない財源をお貸しすることによって新しい企業をつくり上げていただくところがかなりある。そういう意欲を持っている優秀な人材が今この団塊の世代に集まっている。その人たちの力をもう少し活用させてもらうべきではないだろうか。そうすると、そこに若い人たちもまた雇ってもらえるようになるのではないか。

 こういうことでありますので、これからの産業開発あるいは技術開発を支援するプログラムというものを厚生労働省の中でもおやりいただくことができれば一つの前進になるのではないかという提案でございますが、御意見がございましたら、お答えいただきたいと存じます。

小宮山国務大臣 私も、委員がおっしゃるような形で、能力、技術を持っていらっしゃる高齢な方が新しく仕事をつくり出してくだされば、それは、御本人がいいというだけではなくて、そこにまた新しい雇用を生み出して、若い人たちも雇っていただけるということで、大変望ましい姿だというふうに思います。

 今厚生労働省の中でそうしたことに対する支援が足りないというのは御指摘のとおりだと思いますので、先ほどの技術訓練中心の今のやり方も含めて、私もそこは問題意識を持っておりまして、これは厚生労働省の中で、今、新しく創業する方への支援としては、創業後一年以内に労働者を雇い入れて雇用保険の適用事業主となった場合に、創業費用の三分の一を支給するということはあるんですけれども、それにとどまっておりますので、御指摘がありましたような中小企業庁の取り組みはもちろんのこと、こうしたことについても国家戦略担当大臣と日ごろからいろいろ話をしておりますので、これは政府を挙げて取り組む、その中で、厚生労働省が労働をお預かりしている省庁としてしっかりと役割を果たしていくために何ができるかということは、またお知恵もいただきながら、しっかりと検討させていただきたいというふうに思います。

坂口(力)委員 ありがとうございます。

 雇用保険とのかかわりもあると思うんですね。雇用保険はどういうところで使えるかといえば、そういう新しい産業をつくり出すようなところまでこれが使えるのかどうかという問題は確かにあると思いますから、その辺も少し整理をしていただくことができればというふうに思います。

 そして、先ほど中小企業庁の長官のお話を申し上げましたけれども、これから各省庁間の連携を密にしていただきまして、そして、一つの法案を出すにいたしましても、今回、六十五歳までの継続雇用ができるようにしますという法案を厚生労働省で出しますときに、一方におきましては、企業の立場に立って、企業がそれに対応できるように、企業のことも考える何らかの政策というものをつくっていただかないといけないわけでありますから、そこは厚生労働省の範囲を超えるところでありますので、政府の中でそうしたお話し合いを続けていただくということが実際に大事ではないかというふうに思いますので、そうした立場でひとつこれから議論を進めていただきたいというふうに思っております。

 余ると思っておりました時間も、そうでもなくなってまいりましたので、少し先を急がせていただきたいと思います。

 先ほど大臣がお話しになりましたように、日本再生戦略原案というのが七月の十一日に発表になりまして、昨日でございましたか、内閣の方で正式決定をしていただいたということでございます。

 それで、その中身を拝見いたしますと、環境、医療、観光などの分野で六百三十万の雇用を創出するということになっております。随分大きい額だなというふうに思いますが、これは大枠での話でありまして、私がやらせていただいておりましたときにも五百万というのを出したことがありまして、その中身は、しかし、五百万といいましても、本当にきちっと働ける場所が五百万かといえばそうではなかったわけでありますので、六百三十万も多少は水膨れした数字ではないかというふうに思いますけれども、しかし、こういう案をお出しになっている。

 その中に、きょうは厚生労働省の雇用に関するものでありますから、そこは少し絞らせていただきますと、ライフ成長戦略という部分がありまして、二〇二〇年までの目標が書かれています。

 医療・介護・健康関係サービスの需要に見合った産業育成と雇用の創出が提案されまして、ここで新市場約五十兆円、これも大きいですね、そして新規雇用が二百八十四万人、こうなっているわけであります。この二百八十四万人、もしもできてまいりましたら、高齢者の皆さん方、若い皆さん方、働く場は随分改善されるというふうに思いますから、半ば期待をいたしておりますけれども、しかし、本当にこれはできるのかなという疑問符もまた、つけているところでございます。

 と申しますのは、特に医療、介護というのは、ここの産業をふやすというのはこれはいつも出るんですね。いつも出るんですが、ここの医療、介護のところをふやそうと思いますと、そうすると、保険点数にどうしても影響してくるんですね。医療費が大きくなるという問題とこれは裏表の話になってくる。だから、いつも大変ここへの期待は大きいんですけれども、医療、介護への期待は大きいんですが、ここで多くの人を雇う、あるいはここの産業をさらに大きくしていくということになりますと、そのことが裏返しになって保険点数の引き上げに結びついてくる、全体としての医療費の拡大に結びついてくる、こういうことに私はどうしてもなるというふうに思っております。

 それを、保険点数に結びついてこない、医療費の引き上げにはならない医療・介護・健康産業というのは一体どんなものがあるというふうにお考えになっているのか。これは事務方でも結構でございますが、どういうことでこれを書かれたのかということを答えていただける人、お見えですか。なければと言ったら大変失礼ですけれども、大臣にお答えいただく以外にない。

小宮山国務大臣 きょうは医療、介護の方で担当している事務方もおりませんので、私でよろしければ私の方から答えさせていただきます。

 おっしゃいましたように、今回の日本再生戦略、かなり大ぐくりなあれかもしれませんけれども、先ほど申し上げた重点分野として、福祉、医療、介護、これはライフイノベーションで医療機器とか医薬品のところもございますけれども、医療、介護も重要な部分だということで、御紹介いただいたように、二〇二〇年までに、医療・介護・健康関連サービスでおよそ五十兆円、二百八十四万人の市場と雇用創出の実現を目指すとされています。

 その中で、おっしゃったように、やはり、結局、これをやると医療・介護費が増大をするということ、これはもちろん公的な保険でやる部分がかなり、この五十兆円のうち三十七兆円が公的保険部分、ただ一方、十三兆円は民間市場に参入してもらおうというふうに考えていますので、そこの部分をなるべく大きくしていけば、それだけ公的な負担というのは大きくならないで済むという部分はあるかというふうに思っています。

 これからどういう部分でやっていくかということで、もう坂口委員に申し上げるまでもございませんけれども、今回、個別化医療ですとか、それから、高齢者とか障害者、また介護現場のニーズに応えるロボットを導入する、そういうことですとか、また、健康サービス産業という形で、いろいろな生活支援にかかわる事業、また生活習慣病とかがんの発生予防とか、いろいろな工程表をつくって、二〇一二年度までに実施するもの、一三年度、一四年度、一五年度、それで二〇二〇年までにというかなり細かい工程表を今回はつくっておりますので、これが絵に描いた餅にならないような形で、御心配の、さらに医療費、介護費が増大して保険料が高くなってということになりませんように、いろいろな配慮もしながら、割と精密にプランはつくっておりますので、あとはこれをどう実施するかだと思いますので、そこは関係省庁、連携をとって、民間の力をどこまでかりられるかということが委員の問題意識との焦点になる部分かと思いますので、そうしたところも可能な限り全力を挙げてやっていきたいというふうに思っています。

坂口(力)委員 十三兆円の民間産業とは何か、もう一言聞きたいところでございますけれども、時間が詰まってきておりますので、それは次の宿題にさせていただきたいというふうに思います。

 それで、そんなことを私も考えておりましたやさき、七月三十日現在の医療費適正化基本方針の改正案というのが送られてまいりまして、その中を拝見いたしますと、医療費適正化計画というのを十八年の医療制度改革において制度を創設するというのが参りました。これは皆さん方の方へ行っていないかもしれない、済みません、皆さん方にお出しをしてから私の手元に配られてまいりましたので。そういうのが来ました。これを見ますと、これらの目標の達成を通じて、結果として医療費の伸びの抑制を図られることを目的とする、こう書かれてあるんですね。

 だから、一方におきましては医療費の伸びを抑制するという案をつくりながら、一方においては医療、介護、その他のところで新しい産業の育成をしていく多くの人をつくり出していきます、働く人たちをつくり出していきますということをやっておみえになる。これは二律背反するところでありまして、なかなかここは、最初に申しましたように、難しいところであるということでございます。

 ですから、きょうはもう時間も参りましたので、もうこれ以上申し上げることは控えたいというふうに思いますが、そうした全体の中で考えますと、そこでそれだけ多くの人を本当につくり出すことができるのか、つくり出すことができるのはいいけれども、そうすると医療費を非常に押し上げることになるのではありませんか、しかし、一方で医療費を抑制するということをおやりになるんだったらそこはどうされますかということを本当はお聞きしたいんですけれども、時間も参っておりますので、もうお聞きをせずに、これで終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

池田委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。よろしくお願いします。

 今回の高齢者の雇用安定法改正案は、そもそもの政府原案は基本的に評価をしておりました。すなわち、就労人口が減少して、また高齢者の雇用促進は経済の活力の維持向上のためにも必要であるという観点と、一方で、厚生年金の支給開始年齢の引き上げのすき間を埋めるためには、六十五歳まで安心して働くことができるという趣旨の法改正であったと思います。

 ところが、急遽出された民主党、自民党、公明党の三党による修正案には、大きな懸念どころか、ちょっとこれはいかがかと思うことがございますので、冒頭、修正案の提案者にお尋ねをいたします。

 三党の修正案では、これまでですと、継続雇用制度の対象者を限定しないで、とりあえず全体をいたしましょうという法の基本理念からは逸脱していまして、心身の故障のため業務の遂行にたえない者等の継続雇用制度における取り扱いを含む指針を出そうということであります。

 この心身の故障のため業務の遂行にたえない者等というものの解釈の中で、企業の中で、例えば、内部告発者とか、複数の労働組合があった場合の少数組合の役員や組合員などが、業務の遂行にたえないという理由で継続雇用が拒否されるような事案が想定されるかどうか、岡本提出者にお願いします。

    〔委員長退席、長妻委員長代理着席〕

岡本(充)委員 この修正案は、原案でもあります継続雇用制度が希望者全員を対象にするということがまず基本です。一方で、各企業において定められる就業規則の解雇、退職事由に該当する者については定年前であっても退職させることができることから、定年後も例外的に継続雇用しないことができると解される、こういう話であります。

 今御指摘のように、では、今回修正案を出した、これをもって、例えば、内部告発者や少数組合の組合員などがそのことを理由として継続雇用を拒否されるのではないかという御懸念がおありのようですが、その御懸念は当たらないと思っています。

 それは、現に、例えば内部告発者を解雇することは、そもそも公益通報者保護法第三条違反であり、違法であること、また、少数組合の組合員を解雇することも、労組法の七条など、判決もあるようですけれども、こういったものと照らし合わせても、これ自体が適法と解されないことから、あり得るものではない。

 しかしながら、今御懸念のあるような、そもそも我々の考えの中でも、恣意的に誰かを排除する、こういうようなものを考えて今回の提案をしているわけではなくて、労使双方にわかりやすく示すということを考えているということです。

阿部委員 もちろん、この提案にそんな恣意的なものがあっては困るわけで、それがないことはもう前提であります。

 しかし、今までの例えば雇用継続制度における基準などは労使の話し合いの中で決められておりましたから、端的に言って、それより後退する提案だと私は思います。改正案が最もよい、現状がその真ん中、こんな修正したらそれ以下と思います。グレーゾーンを残すということです。

 例えば、せんだって高橋議員がなさった質疑の中で、勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、従業員としての責務を果たし得ないというのが、政府側の御答弁では、この「業務の遂行に堪えない者等」の「等」に入るというんですね。

 「等」とは何かと高橋さんが聞かれたときに、今私が申し述べたような、勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、従業員としての責務を果たし得ないというのが「等」だという答弁なんですけれども、これは、実は、そういうことがあれば、そもそもモデル就業規則で書かれている今の、「勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、従業員としての職務を果たし得ないとき。」というのは、もう解雇要件にそもそもあるわけですね。それを、解雇要件にも明記し、わざわざ、今度の「等」は何ですかと聞いたら、またそれを持ち出してくる。なぜ屋上屋を重ねるようなことをなさるのか。

 やはりここは私は労働者側にとって非常に条件の悪化になると思いますが、何か歯どめ策はあるんですか。

岡本(充)委員 今お話がありましたように、今回、労使協定により継続雇用制度の対象者を限定できる、いわゆる対象者基準が廃止をされるわけです。このことから、継続雇用制度は希望者全員を対象とすることが基本となる。その際、就業規則における解雇、退職事由に該当する者については継続雇用の対象外とすることがあり得るというふうなことを考えているものでありますして、いずれにしても、政府案に先立つ労政審の建議でも、労使協定による対象者基準は廃止することが適当であること、その際、就業規則における解雇事由または退職事由に該当する者について継続雇用の対象外とすることもできることが適当であること、また、対象者基準廃止後の継続雇用制度の円滑な運用に資するよう、企業現場の取り扱いについて労使双方にわかりやすく示すことが適当であることとされています。

 この修正案では、この労政審の建議を踏まえ、対象者基準廃止後の継続雇用制度の円滑な運用に資するよう、企業現場の取り扱いについて労使双方にわかりやすく示すために、高齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針の根拠を定めるということでありまして、この労政審の建議というのがまさにそのもととなっているというのが、まさに委員のお尋ねの歯どめだと思っています。

阿部委員 もともと就業規則で書いてあるのですから、そのこと自身は、わざわざ今回のその「等」の条件にしなくてもいいことではないかと言っているんですね。

 そして、まして、労使の間の今までのさまざまな取り決めを外してしまうわけですから、これはやはり弱い労働者側と使用者側の恣意性というものが拡大すると見るべきであります。その歯どめが、今のガイドラインの、今までの就業規則のことをそのまま持ってくるのでは歯どめにならないでしょう。就業規則は、だって、労使でお互いに決めているんですから。私は、この修正案の持つ最も問題はその点にあると思います。

 続いて、背景について少し厚生労働大臣にお伺いいたしますが、もともと、今回、一体どのくらいの方が六十歳を過ぎて雇用の継続になるかということで、大臣のお手元に年齢別常用労働者数というのを、これは厚生労働省に昨夜いただきました。これを見ていると、当然ながら、平成十七年に比べて、特に三十一人以上の規模の企業を対象とした現在まででは、高齢者の比率はふえております。全体二千七百五十二万人のところ二百五十三万人と、一割あたりが、一割弱ですが、六十歳以上になっておられる。もともとこうやって高齢者の雇用の継続を図ってきたことの一つの成果なのですが、その一方で、実は、希望しながら雇用継続されず離職した方の割合は一・八%あって、七千六百人だということになっております。

 私は、これらの七千六百人の男女の内訳、あるいはそもそもの常用労働者数の高齢者の、あるいはもともとの労働者の男女の内訳をきちんと出すべきではないかと。全く統計上にないという厚生労働省側の御答弁でありました。

 例えば就業率を見ても男女差は明らかでありまして、六十歳から六十四歳は、男性では七〇・六%、女性では四四・二%。そして、いろいろな集計で聞きますと、実は、女性も男性もなべて、六十五まで、あるいは七十歳まで、今日は働きたいというような希望が多い中であります。

 なぜここで男女の別をきちんと集計されないのか。一九八六年の男女雇用均等法に始まって、女性も当たり前に働き、暮らし、希望すればそれが継続する、もう本当にそれは基本理念であります。

 今回のこの法の改正を機に、必ず男女別をとっていただきたい。それは、雇用継続された者、継続されなかった者おのおのですが、いかがでしょう、大臣。

小宮山国務大臣 私も、委員がおっしゃる趣旨はそのとおりだというふうに思います。

 現状では、事業主の負担も考慮して、男女別に把握は行っていないということで、今御紹介いただいた六十―六十四歳の男女別の就業率なども、これは総務省の労働力調査によって把握をしているというものなんですね。

 この改正法案が成立いたしましたら、高年齢者の雇用状況の報告の見直しを行う際に、やはり御指摘の点も私も入れるべきだと思っておりますので、労働政策審議会で公労使の御意見をいただいて、必要性の有無も含めとありますけれども、有無を含めじゃなくて、要るに決まっていますので、それはとれる方向でしていきたいというふうに思います。

阿部委員 特に、これからの高齢社会は女性の方が長寿であります。そして、その長い老後の生活保障のスタートというか、非常に重要な地点がこの雇用の継続にかかっておりますので、ぜひそういう観点でやっていただきたいと思います。

 そして、もう一つ大きな問題がございます。実は、これは主には男性にかかわることですが、九八年から我が国の自殺者は三万人を超えております。男女ともに増加しておりますが、お手元の資料を見ていただきますと、このうち最も増加が著しく、また高どまりをいたしておりますのが、これは男性のグラフでありますが、五十五歳から六十四歳の男性の自殺数でございます。一九九七年、これは消費増税の年ですが、以降、自殺者は三万人を下らなくなったが、その中で特筆すべきは、三十代の後半、三十五歳から四十四の自殺者がじりじり上がってきている、そして、先ほどの五十五から六十四が高どまりしているということであります。

 内閣府で自殺のいろいろな対策は打っておられますけれども、私が最も懸念しますのは、この年代にちょうど雇用の継続問題が大きくのしかかっている、背景になっているということであると思います。

 次の資料を見ていただきますと、ここには年齢別、原因・動機別自殺者数というのが挙がっております。資料の中ほどに、五十から五十九、六十から六十九というこまがありまして、ここで最も多いものは健康問題になっておりますが、引き続いて、当然ながら、経済・生活問題というものが自殺の原因の二大要因になっております。

 私は、このことと雇用の継続問題、どういう影響なり影なりを落としているのか、もちろん、集計すると無業者の自殺が一番多く出るんですけれども、日本が本当にこれから少子高齢社会に向かっていく中で、健全に、健康を保ちながら、そして働き続けられるということは社会の安定に不可欠であると思いますので、労働という軸と、そしてこういう高い自殺率という実態をあわせて、何らかの調査、あるいは問題意識を上らせて、これから御検討いただきたいが、いかがでしょう。

小宮山国務大臣 これも委員御指摘のとおりだというふうに思います。

 自殺、特に、お示しいただいた高年齢の方の自殺というと、これはやはり仕事とか今後の生活との関連があるかと思いますし、働き盛りのところの部分については、私も、過労死、過労自殺などについてずっと取材もしてまいりましたけれども、そういうような働き方と非常にかかわるところがあるという意識は持っております。

 このことも、御指摘いただいているように、内閣府で主にやっているんですけれども、ここはやはりもっと厚労省もかかわった形でいろいろ調査とか検討をすべきだということは、私もそれはおっしゃるとおりだと思いますので、そういう方向がどのようにできるか検討させていただきたいと思います。

阿部委員 我が国が自殺大国と言われて、実は、あれほど熾烈、苛烈な競争があるアメリカの二倍であります。その要因を一つ一つ丹念に分析し、取り除いていくこと、ある意味で、それしか私はこの今のありようを変える道はないと思います。今の大臣の御答弁も前向きで、ありがとうございます。

 そして、そうしたバックグラウンドの中で私がとりたてて問題としたいのは、この「心身の故障のため業務の遂行に堪えない者等」という一項が入ることのマイナスの影響であります。多くの健康の問題、心身両方あります。うつ病から自殺というコースもありますし。そうすると、体の問題も心の問題も抱えて、当然それが通常の労働の遂行にたえない場合はさっきの就業規則等々で解雇になることもあるわけですが、またさらに雇用継続のところもそうですよとわざわざ特記されるような修正案になっているのではないかと懸念します。

 特に、大臣が七月二十七日の本委員会で菅原議員にお答えになった、六十五歳までの希望者全員の雇用を確保する必要があるということで、今回は継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みを廃止するなどの法案を提出している、ここは肝なんだと思うんです。

 私の懸念は、にもかかわらず、こういう限定、そしてバックには高い自殺率がもう断トツなんですね。このこととあわせて、与える影響について懸念いたしますが、大臣はいかがお考えでしょう。

小宮山国務大臣 労働政策審議会の建議では、継続雇用制度の対象者基準の廃止を適当とするということとともに、就業規則の解雇、退職事由に該当する人について継続雇用の対象外とすることもできる、継続雇用制度の円滑な運用に資するよう、企業現場の取り扱いについて労使双方に示すことが適当であるという旨も示されています。

 このたびの修正案は、労使双方にとって制度の円滑な運用に資する御提案だというふうに受けとめていますが、厚生労働省としては、この修正案どおりに改正法が成立いたしました場合には、建議の内容ですとか委員の御指摘も含めた国会での御議論も考慮しながら、なるべくその御懸念がないように指針をつくっていきたいというふうに考えています。

阿部委員 私は、指針の作成はもちろん重要ですし、それが、さっきも申しました、労使の間で、まだ労側としてまとまって守られていたものも外れていきかねない中でのガイドラインですから、必要と思いますが、それと同時に、大きなバックグラウンド、まず社会的バックグラウンドにきちんと手をつけていただかないと、その中で本当に不測の事態が生じてくるであろうという懸念ですので、大臣にはしっかりとそこを取り組んでいただきたいと思います。

 今、働き方ということが、さっき大臣もおっしゃいましたが、三十代の働き盛りでも、また、こういう長い寿命を得た私たちのその高齢期に向かう入り口でも問題になっている大変に厳しい社会があると思います。

 そういう中で、最後の質問に行きますが、厚生労働省が、去る三月二十七日に、望ましい働き方ビジョンというものをおまとめになりました。きょう皆様のお手元にも示してございますが、このビジョンの中では、いわゆる有期労働などの、あるいは派遣などの、いろいろな非正規と呼ばれる働き方と、それから典型的な正社員というものの真ん中に、いわゆる多様な正社員、中二階のようなものを設けて、そこに、逆に非正規から中二階に上がって、やがてはジャンプアップして正社員になれる、その一助としたい、あるいは多様な働き方を、本当に多様な今の社会背景に基づいてつくっていきたいということであろうと思います。

 しかし、これをちょっと見たときには、あれ、これは今のコース別人事管理制度、すなわち、総合職とか一般職とか準総合職とか中間職とか専門職とか現業職とか、今でももういろいろなコース別人事管理があるわけですね。これと一体何がどう違うのかをまずお尋ねいたします、このビジョンの言われるところは。

小宮山国務大臣 いわゆる多様な正社員、これは期間の定めのない雇用契約で、職種とか勤務地とか労働時間などが限定的な正社員をいいます。

 いわゆるコース別の雇用管理は、一般的には、労働者の職種、資格、雇用形態、就業形態などに基づいて複数のコースを設定して、コースごとに異なる配置、昇進、教育訓練などの雇用管理を行うシステムをいいます。

 具体的には、総合職、一般職などのコースを設定して雇用管理を行うもののほか、業務内容ですとか専門性などによって複数のグループをつくって、グループごとに処遇面で異なった取り扱いをするものですとか、勤務地のみに着目をして、採用した事業場の周辺などに勤務地を限定した雇用管理を行うものも含まれていますので、コース別の管理と多様な正社員というのは、多様な正社員に込められた意味というのはかなり広い意味があるというふうに思っておりますので、ここは違うというふうに考えています。

    〔長妻委員長代理退席、委員長着席〕

阿部委員 大臣も、よく考えると、でも実は何が違いだろうと思われると思うんですね。

 例えば、総合職に比べての一般職のコース別管理の類型では、一般職は主に定型的業務に従事し、転居を伴う転勤がない。それから準総合職は、総合職に準ずる業務に従事し、一定地域エリアのみ転勤がある。もう既に今のコース別管理でも多様に細分化されて、おのおのコース別管理になっているわけです。

 私が懸念いたしますのは、いわゆる多様な正社員というのが、B級社員、二級社員、一・五級のような扱いを受けかねない、そこについての歯どめ策がどうあるかなんです。

 これは、皆さんの想定では、非正規から一回ここにちょっと上がって、そこから正社員に上がりましょう、あるいはコース別管理のような、どこかに類似がありますよということですが、逆に、上から下に、そして、例えばいろいろな条件が、フルに働けないから多様な正社員の方になりましょう、それから、下からは、正規になるにはなかなかだから、ここで働きましょうと、あんこの中ばかりが膨らんでくるような形になって、結局、労働全体で見ると、労働条件の向上に結びつかない懸念があります。

 もちろん、自分が望んで多様な働き方が実現されるのはいいことなんです。だけれども、この前の有期から無期への転換を見ておりましても、労働条件がよくなっていく見通しがなかなか見えない。ここに何かそれを加味しないと、多様と言われながら、さっきの中二階、B級グルメになってしまいかねないと思いますが、大臣、いかがでしょう。

小宮山国務大臣 委員がおっしゃることも理解ができる部分ももちろんございますので、私どもとしては、正社員になるためのステップとしてこれをつくったつもりなんですが、それがそういう御懸念が生じないように、何とかいい形で処遇の改善につなげている企業はどういうものなのかということを把握して、こういうやり方がありますよという事例を示すとか、そういうようなこともしていきたいと思いますし、いわゆるステップアップしていくためには、私の問題意識としては、先ほどもお話をしていたとおり、まずステップアップしていくだけの能力をどうやってつけていくかということが、特に非正規の人たちの能力開発、職業訓練をどうするかというのは、これまでなかなかしっかりとした方針が、私から見ると、つくり上げられてこなかったという思いがありますので、今度、非正規の職業訓練、スキルアップをどうするかということを集中的に検討する会をつくりたい。

 これは私から指示をいたしまして、今そういうこともしていますので、本来は中身を詰めてからこういうビジョンが出てくればいいんですけれども、ちょっと逆にはなってしまいましたが、何とかいわゆる多様な正社員がステップアップしていく形できちんと位置づけられますように、そうした中身のこともあわせて取り組んでいきたいと考えています。

阿部委員 今の大臣の御答弁のように、大切なのはキャリアアップ、スキルアップのためのさまざまな機会を得ることだと思いますね。一番、非正規の皆さんはそれが到達しがたいし、また、ずっとこれまでの、いわゆる雇用の継続が当たり前であった時代には、会社の中でおのずとそういうことができた時代がありましたが、今は、それこそキャリアの転換もいろいろな職場の転換もあるわけで、そういう中で、実は、雇用政策としてのいろいろな訓練機会の拡大にもっともっと力が注がれるべきである。

 私は、正直言って、そういう観点から見ると、今度の社会保障と税の一体改革は、その部分の、雇用対策というか雇用政策の部分が非常に薄いと思います。もっとそこにお金をつぎ込み、もうそれは、我が国がこれから国際社会に生きていくときの人材の育成のあり方にもかかわります。

 ちょうど、この高齢者の雇用の問題が若年雇用を阻害するのではないかというようなお話がありました。これは、思い起こすと、女性の雇用は男性の雇用を阻害すると言われた時代もありましたが、これらは実はトレードオフではなくて、おのおのがキャリアアップしたり、あるいは協力し合ってやっていくということが望ましい社会であります。

 今、参議院で社会保障と税の一体改革、論議されていると思いますが、公共事業の方は出てきても、なかなか公共職業訓練の充実とか、そちらが論議に上りません。最も大事な若者の就労も、実にそこが肝であります。今、若者は、ピーターパンのようになってしまっていて、なかなかおのれの適職を見つけられない、自分でどのように自己形成していっていいかわからないという部分ですので、大臣には重ねてこの点をお願い申し上げます。

 そして、最後の質問になりますが、せんだっての審議の中で、有期雇用から無期の転換というところでも、この多様な働き方、西村副大臣がお答えになりましたが、しかし、あの有期から無期への転換においては、やはり、無期になったとしても正社員ではない、賃金格差もあるという実態が続くのだと思います。

 最後に、西村副大臣に、予告外のことで恐縮ですが、この部分を、ここにたまり込んで、いつまでも正規社員が遠くなる、どんどんどんどん遠くなる、もっと頑張れもっと頑張れ、そうじゃなきゃ正社員に行かないよというような形にならないために、副大臣として何をお考えか、最後に伺います。

西村副大臣 御質問いただきました。ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、もっと頑張ればということが余り過重になると、これはまた働く人たちへの圧迫ということにもなりかねませんので、そこはよく注意をしていかなければいけないと思います。

 ただ、無期転換いたしますと、その後は、使側との交渉力が強化されるということが予想されますし、また、普通に、順当に、無期化することによるスキルアップということも図られていくのではないかと思いますので、そういった促しを引き続き厚生労働省としてとっていきたいというふうに思います。

阿部委員 一言申し添えますが、私は医療現場で、准看と正看という、同じ業務をやりながら身分の格差のある実態を見てきました。本当にそういう格差は問題が大きいと思います。

 今お進めの政策がその二の舞になるのではないかと懸念しておりますことを申し添えて、終わらせていただきます。

池田委員長 以上で原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

池田委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。宮本岳志君。

宮本委員 ただいま議題となりました高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案及び民主、自民、公明三党提出の修正案に対し、日本共産党を代表し、反対の立場から討論します。

 法案は、少子高齢化が急速に進展する中で、高年齢者の就労促進と、公的年金の支給開始年齢の段階的引き上げに伴って生じる可能性がある無年金、無収入という事態を回避することがその趣旨とされています。

 法第九条に定められた高年齢者雇用確保措置のうち、継続雇用制度は、労使協定によって定められた基準によって継続雇用制度の対象を限定できるものとなっていました。質疑の中で大臣も認めたように、この基準が使用者の恣意的な選別基準として運用され、高年齢者の雇用機会が奪われてきた現実があります。この仕組みを廃止し、文字どおり希望者全員が定年後も再雇用されるようになることは、我が党も要求し続けてきた内容です。

 一方、年金支給が始まって以降、六十五歳までの期間について、従来どおりの選別基準が十二年間にもわたって適用できる経過措置は、希望者全員が再雇用され、定年後の就業機会を確保するという法の目的をゆがめるものとなり、なくすべきです。

 また、継続雇用される企業の範囲を従来の子会社レベルからグループ会社へと拡大するとしていますが、そもそも現行法は、継続雇用後の賃金や雇用形態を初めとする労働条件に関する規定がなく、これまでも再雇用先での雇用形態が有期や派遣に変えられ、賃金を初めとする労働条件が現役時代と比較し極端に引き下げられたり、労働条件が希望に合わないと拒否すると、その後一切再雇用先をあっせんしないなどの実態がありました。今回の措置で、こうした事案が一層拡大する懸念は拭えません。

 三党提出の修正案は、今回の法改正で廃止する継続雇用制度の対象を限定できる仕組みにかわる新たな基準を法律で定め、選別できる仕組みを復活させることにほかなりません。

 これまでの選別基準が曲がりなりにも労使協定で定められてきたことに比べ、修正案は基準を国が法律で定めるというものであり、その法的効果は労使協定によるものとは全く性質が異なります。選別基準の廃止に抵抗し、再雇用の機会に解雇が安易にできるようにしたいという財界の意を酌んだ修正であり、断じて認められません。

 以上、政府提出法案及び三党提出の修正案に反対の討論といたします。

池田委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案の原案に賛成、民主、自民、公明三党提出の修正案に反対の立場から討論をいたします。

 超少子高齢化社会の到来と労働力人口減少時代に突入した今日、高年齢者の労働力率を上げることは焦眉の課題となっています。加えて、厚生年金報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げが開始されることもあり、六十歳定年後に希望する人全員の雇用を確保する必要が強く望まれていました。

 現行制度では、労使協定による基準制度を設ければ、定年後に継続雇用を望む人に対しても継続雇用を拒否することが可能となっていました。こうしたことから、政府は、この基準制度を廃止し、希望者全員の雇用を確保する方向を明確化した改正案を提出しました。同法案は、多くの労働者、とりわけ中小企業で働く高年齢者の支持を受けたと思います。

 ところが、三党修正、高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針を追加するという案は、この指針をとってみても、修正案に記されているように、「心身の故障のため業務の遂行に堪えない者等」の雇用継続を使用者が拒否できるというものです。拡大解釈の可能性を否定できず、現場に混乱を与えかねない内容となっています。

 しかも、厚労省の指針をもとに、あとは使用者の判断で雇用継続するかどうかを決めることになり、これでは現行の労使協定が前提となった基準制度以下と言わざるを得ません。

 雇用を安定化させることは日本再生の最大の柱です。政府案は少なくとも理念と方向性において前向きなものでした。それをわざわざ逆方向に向ける三党修正案は、どう考えても納得できません。三党修正案に反対、そして、原案に賛成いたします。

 雇用の劣化が指摘されています。誰でもが希望を持って働けるようにするために、もっともっと国会は真剣に考えねばならないことを最後に指摘して、私の討論といたします。

池田委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

池田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、岡本充功君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

池田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

池田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局長小林広之君、総務省大臣官房審議官関博之君、文部科学省大臣官房審議官常盤豊君、厚生労働省医政局長大谷泰夫君、健康局長外山千也君、医薬食品局長木倉敬之君、職業安定局派遣・有期労働対策部長生田正之君、職業安定局高齢・障害者雇用対策部長中沖剛君、職業能力開発局長小野晃君、雇用均等・児童家庭局長高井康行君、社会・援護局長山崎史郎君、保険局長外口崇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

池田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石森久嗣君。

石森委員 民主党の石森久嗣でございます。

 本日は、一般質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。若干風邪ぎみでございまして、聞き苦しい点もあるかと思いますが、御容赦いただきたいと思います。

 猛暑の折、脱水で、熱中症で、そして血液がどろどろになって、脳梗塞になる方も非常に多くあると言われております。本日は、一般質問ということで、脳卒中対策について御質問させていただきたいと思います。

 脳卒中、皆さん御存じのとおり、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血を称して脳卒中と言います。脳の血管が突然破綻して、意識を失って倒れる病気の総称と言われております。かつては、ぽっくり病と言ったり、いろいろ言われている中で、一九六〇年代、脳卒中は死亡原因の第一位でありました。

 その後、高血圧のお薬や、あるいは啓蒙活動、生活習慣病の改善等々で減少傾向にありますけれども、歴代の日本の総理大臣も、この脳卒中に倒れて帰らぬ方となっております。

 御存じのとおり、一九七五年には佐藤栄作総理が料亭で倒れました。一九八五年には田中角栄総理がやはり脳梗塞で倒れ、二〇〇〇年には小渕恵三元総理も心原性脳塞栓症で倒れました。そのほか、長嶋監督、あるいはサッカーのオシム監督も、同じように脳卒中、脳梗塞で倒れました。有名な選手、木原光知子さんも、即死状態で、クモ膜下出血で帰らぬ人となりましたし、また、野球選手だった木村拓也さんも、頭痛があったんですけれども、翌日まで我慢し、結果的に一週間後にはお命を落とされた。多くの著名人も帰らぬ人となっております。

 栃木県の地元の市長さんのお嬢さん、三十七歳の方も、最初は、四肢がしびれるということで病院に搬送されましたけれども、脳卒中の専門医がいない中で入院をされました。その夜から突然に意識がなくなって、そして脳外科医が呼ばれて来たときにはもう手おくれで、大学病院に運ばれたときには完全な脳幹梗塞ということで、三カ月たった今でも、やっと意識は戻っているものの、四肢は動かない。三十七歳でもそういう状況があります。

 原因は多くあります。しかし、こういう対策をとっていかなければいけないと私はかねてから思っておりました。

 死亡者数は、がんが三十五万人、心疾患が十九万人、脳卒中が十二万人。死亡者数全体の百十九万七千人、平成二十二年度の数字からしますと、三分の一の方々が、脳卒中やあるいは心臓疾患、いわゆる全身血管病で亡くなっておられます。

 あと、入院、外来患者数でも、平成二十年では、がんが三十七万七千四百人、心疾患が十八万八千五百人に対しまして、脳卒中は三十九万九千人、四十万人近くと言われております。循環器系の疾患と合わせますと、大体六十万人の方々が、入院あるいは外来で治療を受けられているという非常に大きな数であります。

 平均在院日数でも、がんが二十二・四日に対しまして、脳卒中は百四・七日と、最も入院日数が長いのがやはり脳卒中であります。

 国民医療費に換算しても、がんは三兆三千九百九十三億円、しかし、循環器系疾患、脳卒中あるいは心筋梗塞を合わせたものでも五兆五千億と、国民医療費でも非常に多くの予算を費やされております。

 要介護の原因としても、循環器系疾患を合わせれば四割が要介護という状況になっております。

 脳卒中は、御存じのとおり、予防としては、生活習慣の改善あるいは啓蒙活動が大変重要であります。そして発症後、救急体制が非常に大切であり、脳梗塞は三時間、脳出血は六時間、そしてクモ膜下出血は二十四時間と、ゴールデンタイムはほぼ決まっております。

 そしてまた、退院後は、リハビリテーションは、当然、回復期そして維持期と、ずっと一生涯リハビリで支えられていかなければなりませんし、社会全体で支える体制もまだまだ十分とは言われておりません。

 そのような中、厚生労働省として、生活習慣病について今までどういう取り組みをされてきたのか、そして、脳卒中医療計画、医療計画が来年、二十五年度には見直されて新しい五年を迎えることになりますが、かつての五年間、どういうことが問題であって、そしてこれからの五年間に、どのような改善策をされて、医療計画、特に脳卒中を中心とした医療計画を見直されているのか、まず御質問させていただきたいと思います。

大谷政府参考人 脳卒中につきましては、予防ということが大変重要でありますから、それについての施策も講じてきたところでありますけれども、特に、今お話しいただきました医療計画との関係について申しまして、この医療計画というのは、都道府県が地域の実情に応じて必要な医療提供体制の確保を図るために定めるということでありまして、平成二十年度から、この脳卒中というものも四疾病五事業ということでそこに記載され、事業が執行されている。ちょうど今、二十四年がその五カ年計画の五年目というところで、最終年度に当たっているところであります。

 そこで、基本的に、次の医療計画は平成二十五年度から開始するということでありますので、各都道府県においては、今行っている地域医療計画の中で、地域の医療資源や連携等に関する情報について現状を把握、分析し、次の計画についての対策を進めているというふうに承知しております。

 この都道府県の担当者向けに現状を踏まえた医療計画策定のための研修会を開催するなど、都道府県で、こういった脳卒中を含め、四疾病五事業の対応を進めるよう、こちらからも指針を出し、お願いしているところでありますし、その動向を今見詰めているところであります。

石森委員 ただいまのお答えがありましたとおり、今検証している作業中ということであります。

 何しろ、現場の脳卒中専門医あるいはメディカルスタッフからしますと、やはり搬送されたときにもう手おくれになっているケースが非常に多くありますので、ぜひ過去五年間を振り返っていただいて、脳卒中のみならず、全身血管病としての捉え方の中で、特に心疾患は過去二十年間ずっとふえてきております。また、脳卒中は減りつつありますけれども、ほぼ横ばいでありますので、やはり介護の原因の中心である脳卒中、そして医療費を大半使っている脳卒中を、しっかりとこの五年間、見直していただければというふうに思います。

 そのような中で、脳卒中、先ほど言いましたとおり、脳出血、クモ膜下出血、出血性の疾患については、ある程度治療については確立をされてきております。しかし、やはり虚血、脳梗塞についてはまだまだ十分ではありません。

 その中で、二〇〇五年に、tPAという、アルテプラーゼ、血栓溶解薬が日本で、アメリカの十年おくれで認可をされました。そのtPA、三時間以内に病院に搬送されなければ治療はできません。でも、三時間では到底使うことができない。やはり二時間、一時間で、なるべく早く搬送されなければいけないという状況であります。

 そのような中で、やはり日本のtPAの使用頻度というのは欧米からすると極めて少ないと言われておりますけれども、その頻度の数値的なものをまず教えていただければと思います。

大谷政府参考人 tPAの実施数でありますけれども、脳卒中学会に報告された研究によりますと、平成十七年に脳梗塞に対するtPAの使用が保険で承認されて以降、その数は大幅に年々増加しておるというふうに聞いておりまして、例えば、一年目に当たる平成十七年では、この報告によれば、推定使用症例数は三千二百八十一、それが、四年後の平成二十年から二十一年の九月までにおいては七千六百九十九例、こういった報告を承知しているところでございます。

石森委員 年々tPAの使用量はふえてきているものの、適応基準あるいは施設基準というものが結構曖昧なところがありますので、やはり乱用が目立って、ある市なんかは乱用することによって出血性梗塞を起こしてしまって重篤な合併症を防いでいられないということもありますので、ぜひそこは適応基準を厳密にしながら、ある程度選択と集中、今まで一生懸命やってきたところができなくなるということは避けなければいけませんけれども、やはり救える命が逆に救えなくなってしまうことを防がなければいけませんので、その適応基準についてはしっかりとこの五カ年計画の中で見直していただければというふうに思います。

 そのような脳卒中、国民病と言われるこの脳卒中、死亡率は下がっているけれども、でも発症率は下がっていないんですね。ですから、発症率をもっともっと下げるためには、脳卒中対策基本法あるいは循環器系疾患の対策基本法をしっかりと整備していくことが必要だと私は思います。

 日本人の死亡率が、三人に一人ががんの中で、片面、三人に一人が循環器系の疾患で亡くなっている。そういう意味でいいますと、がん対策基本法に対する、脳血管疾患あるいは心疾患あわせての循環器系あるいは脳卒中対策基本法をしっかりと整備していくことが必要だと私は思いますが、現場の医療スタッフはみんなそのような思いでおりますので、ぜひ、小宮山厚生労働大臣に、その決意というか、現場のスタッフに対しての力強いメッセージをいただければと思います。

小宮山国務大臣 脳卒中の対策基本法の法制化については、超党派で今検討が進められていると承知をしています。

 今委員御指摘のように、日本の死亡者の数の中で、がん、心疾患、肺炎に次いで四位の非常に多い疾患でありまして、その後遺症で生活の質が損なわれるということもあるために、医療計画によって医療提供体制の整備を含めて、生活習慣病対策などの発症予防から急性期、リハビリテーション、介護に至る全体を視野に入れた対策を進めることが重要であると考えています。

 現場でのいろいろな御努力にも感謝を申し上げたいと思います。

 今後とも、これは議員立法で今検討されているということなので、その動きを注視しながら、引き続き脳卒中の対策の推進をしていきたいというふうに考えています。

石森委員 ありがとうございます。

 小宮山大臣から脳卒中対策基本法に向けて前向きな御意見をいただいたというふうに捉えさせていただきたいと思います。

 残すところ二分になってしまいましたので、飛ばして、最後の一問に入らせていただきたいと思います。

 がらっとかわりますけれども、TPP、環太平洋経済連携協定について御質問させていただきたいと思います。

 政府は再三、公的医療保険あるいは皆保険制度は守っていくんだということをずっとおっしゃっておりました。しかし、昨年の十月に行われました参議院の厚生労働委員会の中で、小宮山大臣は、田村智子委員からの質問に対しまして、物品の市場アクセス分野で取り上げられる可能性があるということをおっしゃっておりました。

 これは、議事録も読ませていただく中で、市場アクセス、そして、先発、後発医薬品のいずれも公平な市場アクセス機会を確保するための一つの方策という表現がされております。この市場アクセス機会、公平なというのを私が考えますと、これはまさに、中央社会保険医療協議会、中医協に、欧米の有識者なのかどういう方かわかりませんけれども、価格決定の場に送り込みたいというか、中医協の中に関係者をしっかりと参入させて、そして価格をコントロールしていきたい、そういうふうに読めるんですけれども、そのように向こうは言ってきている、そのような理解でよろしいのでしょうか。小宮山厚生労働大臣、お願いします。

小宮山国務大臣 ストレートなお答えになるかどうかわからないんですが、アメリカは、昨年九月に公表しました医薬品へのアクセス拡大のためのTPP貿易目標によりまして、TPPの協定交渉参加国にいろいろな提案を行っている模様です。

 このアメリカの提案がどのように議論されているのかの詳細は、まだ参加をしていませんし、明らかではないんですが、これまでの政府の情報収集によりますと、医薬品に関しては、償還制度の透明性等を担保する制度を整備して、手続保障というのが今おっしゃった部分だと思うんですが、手続保障を確保することについて提案をしている国がある一方で、貿易交渉で議論する権限がないと主張している国があるというような情報です。

 仮にTPP協定交渉に参加する場合であっても、政府としては、医薬品の価格、さらには医療費全体の高騰を招くような薬価制度の変更が求められるようなルールを受け入れることをするつもりはありませんし、今の手続保障ということで日本の審議会にアメリカの委員が入るなどということはまず考えられないことだと思いますので、日本の医療制度、薬価の制度というのはしっかりと守っていきたいというふうに考えています。

石森委員 皆保険制度を守る、公的医療保険制度を守るということは当然でありますけれども、やはり中医協、医薬品の価格決定あるいは医療機器の価格決定を二年ごとにされている中に米国の有識者が入ってくる、そういうことに対しましては、医師会のみならず、現場としてはもう戦々恐々としておりますから、それを称してTPPを全面的に反対ということになってしまうかどうか、本当にこれは非常に大事なことでありますので、昨年の十月からもう本当に十カ月近くたっておりますので、ぜひ情報収集をしていただいて正しいメッセージを出していただかなければ、本当にTPPに対しての曲がった解釈をされておりますし、それから解釈を変えることができませんので、ぜひ御努力をしていただければというふうに思っております。

 質問を終わります。ありがとうございました。

池田委員長 次に、斉藤進君。

斉藤(進)委員 民主党の斉藤進です。

 本日は、十五分ということですので、短い時間となりますので、急ぎ足で行かせていただきたいと思います。

 本日は、来る薬事法改正、もしくは名称新たな法律の制定になるかもしれませんが、特に医療機器分野について、これまで医療機器に携わる多くの識者、関係者からお話をいただいた党内の薬事法小委員会における議論を踏まえて質疑を行いたいと思います。

 医療機器の承認の歴史を見ますと、旧厚生省時代には比較的審査は早く行われておりました。財団法人医療機器センターに移管した後も、後発医療機器の審査は四カ月程度でした。一部変更の審査については一から二カ月でございましたが、その後つくられたPMDA、医薬品医療機器総合機構に審査が委ねられたことにより、状況は一変しました。

 PMDAは、高額な手数料を取って長時間の煩雑な審査を行うというもので、従前と比べて審査手数料は十から十五倍となり、審査期間も優に三倍以上になってしまいました。医療機器についての専門性を持たない審査員が多数を占めたために、時間をかけて審査を行わざるを得なくなったと言われ、業務一件の所要時間にかかわる人件費、物件費、各種経費を積み上げる算出方法により、極めて高額な承認審査費用が手数料として設定されています。お手元の資料を皆様にもごらんいただければと思います。

 また、性格の異なる医薬品と医療機器が改正薬事法という同じ法律で規制をされていて合理的な審査業務になっていないことも、いたずらに審査期間を延ばしている原因にもなっています。

 この結果、中小企業が大部分を占める医療機器業界に経営の圧迫や新製品開発の意欲減退という形で深刻な影響を及ぼし、我が国の医療機器産業全体の衰退まで招きかねない状況です。同様に、外国製の医療機器であっても、日本の医療現場に届くころには二世代、三世代古いモデルになってしまい、日本の患者の方々が先端医療の恩恵を受けられない状況が続いております。

 そのため、現在の薬事法から医療機器を切り離して、別の法体系の中でその位置づけを明確化した方がよいという要望が識者や関係者からあり、それが、今回、薬事法小委員会においてこの議論が行われてきた経緯にもなっております。

 新成長戦略にも位置づけられている医療イノベーションの中で、高い技術を持つ日本の医療機器メーカーが国際競争力をつけていくという観点からも、抜本的な制度改正は避けて通れません。

 ここで質疑の一点目ですけれども、医療機器について迅速かつ適切な承認、認証を行うために薬事法等の改正について議論されてきましたが、薬事法令の医療機器の関係条項を医薬品とは別に新たに医療機器の章として追加し、法律の名称についても変更を検討するのか、それとも、目的規定の見直しや法律の名称の変更にとどまらず、他国のように実質的な、新たな医療機器法の制定を考えているのか。

 私は、デバイスラグを初め、多種多様にわたる重い課題を解決するためには、単なる薬事法の改正、名称の変更に終わるのではなく、PMDAの大幅な改組とあわせて、薬事法から切り離した、医療機器のための独立した医療機器法を制定しなければ抜本的な解決につながらないのではないかと考えておりますが、大臣の見解をお伺いいたします。

小宮山国務大臣 医療機器につきましては、医薬品とは違う特性があるので、今の法体系ではなかなかデバイスラグが解消しないということは、これは現場からもいろいろ御意見も伺っています。規制のあり方を見直すことが必要だと考えています。

 このため、委員御指摘の医療機器法の制定など法体系のあり方を含めて、企業ですとか医師など専門家の関係者の皆さんからの意見も聞いた上で、政府としては、ことし六月に医療イノベーション五カ年戦略を取りまとめました。その中で、薬事法につきまして、医療機器の関係条項を医薬品とは別に設ける、そして、後発医療機器の審査について民間の登録認証機関を新たに活用することですとか、医療機器の製造、品質の管理に関する規制の国際的な整合性を図ることとしています。

 その上で、こうした条項を医療機器の章ということで章を別建てにして、あわせて薬事法の名称について変更する、こうしたことによりまして、もちろんPMDAも、人数をふやしたりとか、なるべくドラッグラグ、デバイスラグの解消に努めるように今いろいろと改善をしているところですけれども、医療機器につきましても迅速で適切な承認、認証ができる仕組み、それをしっかりとつくっていきたいと考えています。

斉藤(進)委員 ちょっと一問一答のような感じになってしまうんですが、これに関連した質問で、患者救済の制度として、健康被害救済制度をPMDAが行っているんですけれども、これは、審査承認制度を同じ組織で行っているという、利益相反そのものではないかという声も上がっております。

 医薬品、医療機器を審査する組織と救済する組織が同一というのはシステムとして問題がないのか、救済資金が枯渇してきた場合、審査、承認を厳しくして審査手数料や調査費用がさらに加算されるというインセンティブが働く可能性があるという声も聞かれる中、救済制度自体をPMDAから独立させるべきではないかというふうにも考えておりますけれども、これについて見解をお伺いします。

木倉政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、PMDA、医薬品医療機器総合機構におきましては、承認審査の仕事と、それから市販後の安全対策、フォローをして副作用情報等をきちんと集め対応すること、それから、万が一、残念ながら副作用が生じてしまった場合における救済の仕組みということでやらせていただいております。

 これは、やはり安全性を当然の前提として医薬品の承認をしていく、これは医薬品についての救済制度でございますけれども、そういうものとして、より審査における安全性の確認ということを的確にやるためのものとしても役立っているものというふうに思っています。

 ただ、一方で、先生おっしゃいますように、承認につきましての手数料のあり方、その専門性を高めることについて、あり方をきちんと法律改正を伴って対応していくということは、当然必要なことだというふうに思っております。

斉藤(進)委員 二点目の方に移りたいと思います。

 医療機器の規制に関する国際比較において、クラス3以上では、EUの場合、国の厳しい監督を受けた民間の専門機関が第三者認証を行っており、米国は、新医療機器についてはPMA、後発については五一〇kで実質的同等性の判断をしております。

 機会を捉えて審査の迅速化が図られていますが、EUのようにクラス4を含めた3以上の高度管理医療機器についても第三者認証等で行うという考え方を参考に、登録認証機関をさらに活用した新しい迅速な承認、認証制度を我が国においても確立すべきと考えますが、これについてどのように捉えているでしょうか。

藤田大臣政務官 第三者認証の拡大についてでございますけれども、現在、大臣承認が必要な高度管理医療機器の中で、約八割が既に市場に流通している医療機器と構造等が同じ後発医療機器となっています。したがいまして、これらの審査については、安全性を確保しつつ審査の迅速化を図るために、薬事法の改正によって、民間の登録認証機関を活用した承認、認証制度を新たに設ける見直しを行いたいと考えております。

 あわせて、PMDAについては、革新的な医療機器の審査に、より重点的に取り組めるように見直しを図ってまいりたいと思います。

斉藤(進)委員 三点目は、品質マネジメントシステムのQMS省令についてお伺いしたいと思います。

 本来の国際規格に対して解釈と規定において不整合があって、承認コストの増加と上市の大幅なおくれにつながっているため、QMS省令と国際規格との整合性を向上させるべきとの声があります。また、日本で医療機器製造販売承認を取得するためには、ISO13485とほとんど同じ内容であるQMS適合性調査に合格しなければなりませんが、日本のQMSに適合しているといっても、輸出する際には何の役にも立たず、別の認証機関よりISO13485を取得しなければならないという二重構造になっております。国内にとどまっている中小企業が海外輸出を目指す場合に、現在、大きな障害となっています。

 さらに、QMS調査の実施基準は一つであるにもかかわらず、都道府県やPMDA、民間の登録認証機関など、異なる主体が別々に同一製造所に対する査察を実施すること、同じような調査が三回行われることなどが企業の負担を増大させております。

 ISO13485の認証を取得している業者に対しては、国際整合の観点から、調査を省略したり、異なる主体を登録認証機関に統一することなども含め、QMSの国際整合や重複調査の合理化といった改善を進めるべきですが、見解をお伺いします。

藤田大臣政務官 簡潔に答えさせていただきます。

 QMS調査については、現在、薬事法の規定に基づいて実施されておりますけれども、医療イノベーション五カ年戦略において、特にリスクの高い医療機器を除いて、例えば製品群ごとにするなど、調査対象をまとめてすることができるようにすることとしております。

 ということで、それを踏まえて、薬事法の改正ということに厚労省としてもしっかり取り組んでいきたいと思います。

斉藤(進)委員 時間がないので、ちょっと質問を飛ばしたいと思いますが、通告していた五点目のことについてお伺いします。

 既存の医療機器企業では、資本金三億円以下の中小企業が七〇%に及びます。中小企業の多い医療機器業界に対して、現行の高額な審査手数料の減額など、支援体制の整備が必要と考えますが、具体的にどのような手法で対応をとることが考えられるのでしょうか。このたびの改正において、この部分の支援について考えていることがあれば、お伺いしたいと思います。

藤田大臣政務官 医療機器産業はとりわけ中小企業が多いということで、その支援策は大変重要だと認識をしています。

 きょう、委員の方からも資料をお示しいただいておりますけれども、大変大きな金額になってしまっているということで、先ほどから医療イノベーション五カ年戦略のことを申し上げておりますけれども、その中でも、この審査手数料のあり方について検討を行って、そして必要な措置を講ずるということになっておりますし、また、昨日閣議決定された日本再生戦略の中でも、この審査手数料のあり方の検討を行うとされたところでございます。

 こうしたことを踏まえて、厚労省としても、中小・ベンチャー企業の審査手数料のあり方についてしっかり検討していきたいと思います。

斉藤(進)委員 時間がそろそろ迫ってまいりましたけれども、最後に、ちょっと二点ほどお伺いしたいと思います。

 いろいろと審査員の問題がずっと取り沙汰されてきたわけでございますけれども、一つには、薬事戦略相談の状況と、スリートラック審査体制で現状はどのように変わっているのか。特に、改良と後発のところで一体何が違うのかというところが見えないというお話もいただいておりまして、そこの違いについて、どういう状況なのか説明をいただきたいということ。

 あともう一つは、最後になりますが、今回の課題は、PMDAの創設以来の運営方法、そのあり方自体から起こるべくして起こった話であると考えております。PMDAが医療機器審査をやらなければならない合理的な理由が問われると同時に、この組織の大幅な改組や手数料等に依存する運営方法の変更が迫られているというふうに考えておりますけれども、これまでの反省点も踏まえて、また、新たな法人制度への移行も含めて、今後の方向性をどのようなものにしようとしているのか、お伺いをしたいと思います。

 二点、お願いします。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、薬事戦略相談でございますが、これは昨年七月から開始をしておりますけれども、開発の初期の段階から大学やベンチャーの皆様と方向性をきちんと合わせていって、審査の方向性を明確にしていくということに取り組んでまいっております。

 医療機器の相談もたくさん受けておりまして、この六月末まででも、事前面談まで進みましたのが五十九件、あるいは、個別のデータでの対面助言まで進んだものが四件ということで、着実に伸びているというふうに思っております。将来の予見性をきちっと示していくことをやっていきたいと思います。

 それから、スリートラック制、これは、革新的な医療機器と改良的なもの、それから後発品というもの、これを、それぞれの専門チームをつくりまして、それぞれが迅速に進むような体制をとるということで取り組んできております。

 御指摘のように、後発、改良の概念がわかりにくいということにつきましても、きちんと企業の皆さんの御意見を聞きながらこれを明確にしていかなきゃいけないということでございまして、今、その取り組みの状況としては、目標年次に対しての総審査期間というのは着実に短縮は図られていると思いますが、もっと取り組みを進めなきゃいけないというふうに思っております。

 最後に御指摘いただきましたように、PMDAというところで医薬品と並び立つ形で医薬品医療機器総合機構として取り組みをさせていただいておりますけれども、まだまだその審査人員の増員も途上にございます。それから、工学系の方、臨床系の方ということをもっとふやしていって、チームを強化しなきゃいけない。

 そのようなことで、私どももこの夏からは、科学委員会ということで、外部の本当に第一線の研究者の方々にも日々アドバイスをいただけるような組織もつくりまして、取り組んでいきたい。そして、手数料だけに偏らない、公費の必要性についての検討ということについても、再生戦略で掲げていただきましたところに基づきまして具体的な検討を進めて、より迅速に世界に医療機器が我々からも出していけるような努力をしてまいりたいというふうに思っております。

斉藤(進)委員 ありがとうございました。

池田委員長 次に、玉木朝子さん。

玉木(朝)委員 民主党の玉木朝子でございます。

 本日は、貴重な時間をいただき、ありがとうございます。限られた時間でございますので、現在、厚労省において検討が進められております難病対策のあり方について、集中してお伺いをさせていただきます。

 昨年の九月、厚生科学審議会疾病対策部会が十年ぶりに開催されまして、医療費助成のあり方等について具体的な検討が始まりました。他方で、政府・与党内でも難病対策のあり方について検討が重ねられ、本年一月、政府・与党社会保障改革本部において、社会保障・税一体改革案を取りまとめ、その素案がもとになりまして、二月には、社会保障・税一体改革大綱が閣議決定をされております。

 その大綱の中に、「難病患者の長期かつ重度の精神的・身体的・経済的負担を社会全体で支えるため、医療費助成について、法制化も視野に入れ、助成対象の希少・難治性疾患の範囲の拡大を含め、より公平・安定的な支援の仕組みの構築を目指す。 また、治療研究、医療体制、福祉サービス、就労支援等の総合的な施策の実施や支援の仕組みの構築を目指す。」と書かれております。

 閣議決定の文書に難病の法制化という文言が記述されたのは初めてのことだと思っております。難病の法制化は、長年、全国の患者が熱望してきたもので、難病当事者である私にとりましても感無量の思いでございますし、その意味では、閣議決定を高く評価しております。

 難病対策委員会は、ことしに入って、医療と研究、それから介護と看護の二つの面からワーキンググループが設置されまして、実に精力的に審議が進められております。私も毎回傍聴させていただいておりますが、こんなに熱心に、熱くこの審議会、委員会が議論されたことはなかったのではないかと思っております。七月十七日の対策委員会では、今後の難病対策のあり方についての論点整理も行われまして、いよいよ最終段階に来ているのではないかと思っております。

 そこで、改めて、難病問題に精通し、陣頭指揮をとっていただいておられます辻副大臣にお伺いいたします。

 ここまでリードされてきたことに感謝を申し上げるとともに、大切な時期ですので、改めて、法制化をどのように進めようとされているのか、副大臣の決意を含め、お聞かせください。

辻副大臣 玉木委員からは、難病対策につきましても、熱意ある御提言をいつもいただいておりますこと、感謝申し上げたいと思います。

 この難病対策につきましては、御承知のとおりでありますけれども、医療費助成や研究事業の対象疾患の拡大を求める数々の御要望に対する対応、また、法的背景がないがゆえの予算確保の困難さ、その結果としての都道府県における超過負担の継続的な発生などさまざまな課題を抱えているところでございまして、公平、安定的な支援の仕組みをつくっていくことが喫緊の課題だ、このように考えております。

 このため、昨年九月でございますけれども、私も副大臣に就任をさせていただいて以来、厚生科学審議会疾病対策部会や同部会の難病対策委員会、また、省内の難治性疾患対策の在り方検討チームなどの場で精力的に議論を進めさせていただいてきたところでございます。その中で、御指摘の二月における社会保障・税一体改革大綱の中に、法制化も視野に入れた検討を進めていくということが盛り込まれているところでございます。

 このような経緯の中で、今月八月には、疾病対策部会におきまして中間報告を取りまとめていただく予定になっておりまして、今後とも、総合的な難病対策につきまして、法制化も視野に入れて、できるだけ早く結論が得られるように力を尽くしていきたい、このように考えております。

玉木(朝)委員 ありがとうございます。

 辻副大臣には、たびたび対策委員会にも出席していただいて、全力を挙げて取り組んでくださっておられることは重々承知をいたしております。その上で、もう一言お願いしたいと思います。

 私も、当事者として患者会活動を続ける中で、難病対策の法制化は必要不可欠なものと熱望いたしておりました。そのような中で、一人の議員としてこのたびの改正にかかわらせていただけることは大変ありがたく思っております。そうはいいましても、新しい法律を検討するとなると、一筋縄ではいかないという難しさがあることも承知いたしておりますが、その上で、大臣に一言お伺いしたいんです。

 今、ここが、法制化に向けての正念場であると私は思っております。そこで、例えばでございますが、次期通常国会への提出を目指す気持ち、構え、方向性をお持ちいただいていると理解してよろしいかどうか、重ねて、大臣、副大臣にお答えいただければありがたいと思います。

辻副大臣 御指摘をいただきました、ことし二月の閣議決定におきましては、「法制化も視野に入れ、」「支援の仕組みの構築を目指す。」ということが決定されているところでございます。来年の通常国会という御指摘でございますけれども、その来年の通常国会も視野に入れて対処していきたい、このように考えております。

小宮山国務大臣 今副大臣からお答えしたとおり、これまでも難病対策をいろいろとやってきましたけれども、細かいところでいろいろ手当てをしても、なかなか抜本的にできないので、ぜひ法整備をということで進めていますので、御協力いただければと思います。

玉木(朝)委員 大変ありがとうございます。

 それでは、次に移らせていただきます。

 難病の法制化は、単なる医療費の支給法ではなくて、難病患者の生活全般を支える総合福祉法的なものだと私は理解いたしております。その際、最も重要なのは、難病の定義であると思っております。

 難病が明記されました法律は、厚労省の設置法を除くと、今までございませんでした。さきに成立しました障害者総合支援法の第四条に、「治療方法が確立していない疾病」とあるのが恐らく初めてでございます。それまでは、難病対策要綱等の行政指導文書で対応されてきただけでございます。したがって、難病をどのように定義づけるかは非常に重要な課題であると思っております。

 また、障害者総合支援法におきましては福祉サービスが対象となりますが、一方、難病の法制化では、医療、研究、福祉、それぞれの対象をどのように制度設計するかが大きな課題であると思います。

 そこで、現在、公費対象疾患は特定疾患五十六に限られております。まさに、特定の患者のみが対象となっています。制度の谷間をなくすという観点から考えますと、医療費の助成対象、福祉サービスの対象だけではなく、難病という大きな枠の中で疾患群の研究を進め、病名も確定できず苦しんでいる患者の希望となるような定義づけが必要と考えますが、副大臣のお考え、いかがでしょうか。

辻副大臣 玉木委員よく御承知のとおりでございますけれども、難病の定義、範囲のあり方というのは、医療費助成、治療研究、福祉サービスなどさまざまな施策の対象範囲のもととなるものでございまして、非常に重要なものと考えているところでございます。

 御指摘もございましたように、これまでは、難治性疾患克服研究事業の研究助成を行う対象として百三十疾患あったわけですけれども、その中では、希少性、原因不明、治療方法未確立、生活面への長期の支障、そういったいわゆる四要件ということで対応されてきたところがあるわけですけれども、そのことについての新たな検討というものが求められている、このように考えているところでございます。

 そんな中で、現在、難病対策委員会で、定義の基本的な考え方や、個別施策の対象範囲との関係など、さまざまな論点につきまして活発に御議論をいただいているところでございます。先ほども申し上げましたけれども、これらの議論も踏まえまして、八月に疾病対策部会で取りまとめていただく予定の中間報告におきましても、難病の定義、範囲のあり方につきまして、一定の整理をしていただく予定にしております。

 また、同時に、ことし六月に成立をしていただきました障害者総合支援法に基づきまして、来年の四月の施行に向けて、福祉分野の難病の対象疾患、これについての決定をしていかなければならないという課題にも当面しているところでございます。

 今後とも、難病に苦しんでおられる患者の皆さん方の状態に寄り添いながら、必要な支援が公平かつ公正に行われるように、難病の定義について検討を進めていきたい。委員からの御指摘も受けとめていきたいと思います。

玉木(朝)委員 御承知のように、難病は、国際的には五千とか六千もあると言われておりますが、診断が確定できない病気が今後もふえることは予想できます。

 我が国の難病対策では、特定疾患治療研究事業で五十六。それから臨床調査研究事業として百三十。それから奨励分野で二百十四。個々の疾患に多少問題はあるものと思いますが、少なくとも二百、三百近くの疾患は診断基準が定まっておりまして、コアとなっている難病だというふうに考えています。この周辺に、いわば診断も確定できない、しかも難治性疾患が幾つもあるわけで、研究や相談などの難病対策が講じられる必要があるのではないかというふうに考えております。

 制度の谷間をつくらないためにも、入り口は広く受け入れていくことが必要だと思っておりますが、重ねて、副大臣にこの点に関してお尋ねしたいと思います。

辻副大臣 私も、厚生労働委員会に所属をさせていただくことが多かったのでございますけれども、たしか尾辻先生のころにも谷間をなくすということをおっしゃって、厚生労働大臣でしたけれども、お取り組みをいただいて、それ以来時日が経過しておりますけれども、まだまだその大きな課題に答えが出ていないところがある。そして、この難病対策というのは、つくづくと、与野党を超えて超党派的に対策を講じていくべき課題である、政治が答えを出すべき、もっともっと光を当てるべき領域だ、このように思っております。

 私も、副大臣にならせていただきまして、患者の方々等にお会いする機会も多くなりまして、余計にその思いを強くしているところでございまして、皆さん方の与野党を超えたお力を賜る中で、制度の谷間に置かれたというふうな形で、障害者対策では一定の前進が出ているわけでございますけれども、医療等の対策において、根本的な解決が導かれるように努力したいと思います。

玉木(朝)委員 ありがとうございます。

 それでは、最後に、財源についてお尋ねいたします。

 社会保障四経費は、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に関する費用とされております。

 しかし、参議院で公明党の先生からの御指摘もございましたが、医療費助成、研究事業対象の拡大、何より都道府県の超過負担など、持続的な制度をつくることは避けられない課題であると思っております。四経費の一枠として、消費税を活用することをぜひ御検討いただきたいのですが、大臣の所感をお願いいたします。

小宮山国務大臣 今回の国分の消費税収、これは、法律上、今御紹介いただいたように、全額社会保障四経費に充てるとされておりますので、現在、難病対策は入っていないんですね。

 難病対策は、公平、安定的な支援の仕組みを構築することが喫緊の課題だと思っています。

 このため、厚生科学審議会の疾病対策部会ですとか、同部会のもとの難病対策委員会、そして新たな難治性疾患対策の在り方検討チームなどで議論を進めまして、今月にはその疾病対策部会で中間報告を取りまとめていただく予定ですので、今後も、難病の治療研究のさらなる推進ですとか医療費助成の法制化、これも視野に入れまして、安定的な財源の確保を含めて、総合的な難病対策について、できるだけ早く結論が得られるように全力を挙げていきたいと考えています。

玉木(朝)委員 難病は、確率は低いんですけれども、国民のどなたでも発症し得る可能性があると私自身は考えております。

 一旦罹患すると、治療法が未確立のため、患者も家族も長期にわたり苦しむことになります。他方で、財政的には、都道府県の超過負担が過大になり、従来の制度では維持することが困難な状況になってきております。

 法制化は、次期通常国会でぜひ実現できますよう、私はお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

池田委員長 次に、谷畑孝君。

谷畑委員 自由民主党の谷畑孝でございます。

 小宮山大臣には初めての質問ということで、消費税と社会保障の一体改革ということで、特別委員会、予算委員会、厚労大臣がもう中心的な役割を果たしていること、本当に御苦労さまである、こういうふうに思っています。

 私も、かつて坂口大臣のもとで厚生労働の副大臣をしたり、時には筆頭理事をさせていただいて、与野党が本当に年金問題で激突したその委員会の中心でございまして、それから早いもので、もう三年がたつわけでございます。

 きょうは、二十分ということですので、労働問題に絞ってお話をしたいなと思います。

 私は、昭和二十二年一月十日におぎゃあと生まれて、ベビーブームだと言われ、団塊の世代、こう言われたわけですけれども、いつも青年だと思っていますけれども、気がついたらもう六十五歳ということで、見回してみたら、この委員会で私を超えている人というのは本当にもうほとんどいないのではないか、そういうような感じがするわけであります。

 私は、農村に生まれまして、男兄弟五人で、農家でございました。稲刈り、田植え、それから植木の水やり、そういうことを家族全員で手伝ったり、時には親戚も手伝ってもらって田植えをする、稲刈りをする。私も嫌々ながら稲刈りをやったりしたものであります。台風が来ますと、稲がもう本当にべたっと寝たままになるので、重労働であります。

 しかし、それが終わった後の、親戚と一緒に雑談をしながら食事をすることだとか、あるいは、仕事が終わって、夕日を見ながらたき火をするということ、小さい子供なりに、働くことは、つらいときもあるけれども、本当にまた楽しいものだ、こういうことを幼いときに学んだような感じがいたします。

 それと、私はどうしても忘れることができないのは、農村でありますので、親戚が亡くなりますと、親族が棺おけを担いで村の墓場に行くわけでありまして、そのときに、棺おけをあけて、そして皆、よう働いた手だ、こういうふうにして手を握っていました。僕らも、小さいころ、その風景を見て、ああ、よく働いた手だ、こういうようにして、労働に対する尊敬というのか、また、働いた人に対する尊敬というのか、そういう野辺の送りというのか、そういうことで、労働の楽しさ、苦しさ、そして一家を支えていくこと、また、仕事を通じて人生哲学というのを開いていくんだ、これが労働という私の小さいころの意識であります。そういうことを思い出しては、苦しいことがあっても、いろいろあっても、前を向いて頑張っていかなきゃならない、人は死ぬまで働くことが大事なんだ、こういうふうに私は思っているわけであります。

 この医療、年金、介護というでっかい厚生労働という役所でありますけれども、その中で、労働というのは私はまた大事だ、こう思っておりますので、まず、小宮山厚生労働大臣、NHKでずっと働いていた姿も少しテレビで拝見したこともありますけれども、一言、大臣としての労働に対する意義なりとらえ方を、ひとつ所見をいただけたらありがたい、こう思います。

小宮山国務大臣 委員の御自身の体験も含めた労働観を承りまして、ありがとうございます。

 私も、労働については、NHKにいたときも労働の解説をずっとしておりましたし、大分つき合いは長いというふうに思っておりますが、やはり人間は、生まれてきた以上、それぞれの能力を生かして働いていく、そのことによって自分の生活を支えると同時に、社会にも役立ちたいということ、そのことが実現できるような、それぞれの能力に応じて働くことが全ての人にできるような社会をつくっていくということが大事だというふうに思っています。

 そういう意味では、今回の社会保障の一体改革の中でも、もう少し労働のところにスポットが当たってもよかったんですが、これは、私どもがつくる中ででも、やはり、とにかく若者も女性も高齢な方も障害をお持ちの方も、それぞれの力を生かして社会に参加をしていく、全員参加型社会というふうに言いましたけれども、そういう社会を目指していくのだということは、これは初めて盛り込みました。

 ただ、具体策として消費税財源のどれだけを引っ張ってきてみたいなところまでいかなかったこともあってか、御審議の中でもなかなか労働のところが論点にならないのは、私も、歯がゆい思いと、そこまでまだ私どもの政策が至っていないという反省と両方持っておりますし、私も議員になって十四年目になりますけれども、参議院、衆議院通じて、厚生労働の中でどうしても、おっしゃったように、年金、医療、介護、今は子育てもですけれども、厚生分野の占めるウエートが非常に大きいために、委員会が二つ一緒になったので、本当はもっと今、働き方、労働のことを審議したいと思っても、その時間がなかなかとれない、そういうジレンマというか、例えば厚生労働委員会の中に労働を常にやる小委員会でもつくったらどうかとも言っていたんですが、今、この立場になると、そうするとますます忙しくなるとか言われておりますけれども、そこはもう少し国会として考えて、今、働き方、労働ということにもっと焦点を当てていく必要があるということは、私も、多分同じ感覚だと思いますけれども、持っております。

谷畑委員 僕らの若いころは、高度経済成長ということで、忙しい日本の社会でございました。しかし、この間、失われた二十年ということで、日本の経済も停滞をしてまいりました。社会も、グローバル社会ということで、中国、インド、ブラジルということで、新興国の発展が非常に目覚ましい、こういうように思うわけであります。

 それと同時に、政治も、もう最近、大事なときには、参議院も与野党逆転したり、あるいはまたそれぞれの党の中で意見が違ったりして、いろいろと騒がしくなり、特に大阪などは、既存政党に対して、決められない政治、こういうスローガンというのがすっと入っていくというのか、私も地域を回っておって、いや、国会は大変でんな、こう言われるたびに、どう返事をしたらいいかちょっと戸惑う、そういう感じがしてならないわけなんです。

 しかし、そうはいえども、そういう閉塞感のある社会、そういうものがいつまでも続くわけじゃない。特に若年層の人材育成というのか、これがやはりこの日本の閉塞感をしっかりと打破していける、そういうようにしなきゃならないんじゃないか、私はそういうふうに実は思うんです。

 そういうことで、大臣、特に若年層の人材育成、こういうことについて所感をひとつお聞きいたします。

小宮山国務大臣 これはやはり、若い人たちをどのように人材育成をしていくか、そして、先進国でもちゃんとグローバルで活躍できるような人材を育てることも含めて、これは政府を挙げて、そして、これはもう与野党を問わず、皆さんのお知恵をいただきながら、ぜひしっかりつくらなければいけないというふうに思っています。

 今、非常にいびつな働き方と私が言うといけないかもしれませんけれども、やはり非正規雇用がこれだけ多くなり、今までずっと終身雇用でもっていた、どんどん企業の中でスキルアップをして、年功序列の賃金で心配なく生活していけるという形ではなくなってきた中で、今回の日本再生戦略の中にも入れましたけれども、先ほどもお話ししたように、大学、学校と連携をとって、学生の間から、どういうような仕事を選んで働きたいか、その人の能力に合うものはどういう企業かということを、ことしからジョブサポーターも大学で相談窓口を持ったり出張相談するようにいたしましたし、また、経済界がどういう人材を求めているかということも含めて、これは経済産業省、文部科学省とも連携をして、しっかりと若い人たちが夢を持って自分の能力が発揮できると考えられるような、そんな仕組みをつくっていく必要があるというふうに思っていますので、いろいろ厳しい状況ではありますけれども、それぞれの若い人たちが働きがいを持って働いてくれませんと、この日本の社会も発展していきませんので、そこはぜひお知恵もいただきながら、全力を挙げてやっていきたいというふうに思っています。

谷畑委員 私、この間、四月に、私の選挙区で、かわち政治研究会という市会議員さん、地方議員の会がありまして、二十二名の議員団と一緒に韓国へ、経済、教育、それから文化、そういう角度から、目的をしっかり持って視察に行ったわけであります。

 そのときに感じたことは、特に、私学の高等学校へ行ったわけですけれども、韓国の場合は、教育長、これは選挙なんです、公選をするわけです。だから、教育の目標をしっかりと訴えて選挙をやるわけなんですね。だから、教育委員会は地方議会の中で構成されるわけです。だから、教育の目標がはっきりしているわけなんですね。

 それで、韓国の場合は、いわゆる国際的に通用する人材をつくる、こういうことをはっきりと目標を立てています。というのは、人口が約五千万少しですから、産業が内需だけで勢いが出ているというわけじゃありませんから、どうしても海外に経済の目を向けていかなきゃならない、こういうことなんですね。だから、私の韓国の友人も、兄貴はアメリカに留学し、弟は中国へ留学し、皆それぞれが国際的に、そういう国際的に働くこと、どこでも働けるような人材が身の回りにもあるわけなんですね。

 だから、そういうことを見てきまして、さて日本はと振り返ってみたら、やはり、円高という問題があったり、あるいはデフレという状況があったりして、日本の企業も海外へどんどん進出しないともうやっていけない。私の選挙区でも、やはり海外へ進出している企業と、していない企業で明暗がはっきり分かれてしまっている、こういう状況なんですね。だから、そういうことから見て、私はやはり、大学側、それから企業、いわゆる企業が求めている人材、そういうミスマッチはまだまだ日本においてはいっぱいあるんじゃないか、こういうように思えて仕方がないんですね。

 だから、そういうことで、やはり送り出す大学側、もう少しはっきり言いますと、大学側も、キャリア教育を担っていく事務方のメンバーと大学の授業をする教授、これは別々ですよね。だから、本来、大学側がもう少し企業に向けていけるようないわゆるイノベーションの人材をつくり出したり、あるいはグローバルにできる人材を出したりという、そういうことがやはり非常におくれておるんじゃないか。

 きょうはちょっと文科省に来てもらっていますけれども、その点についてどのように考えていて、またどういうような施策を打っているのか、ちょっとそのあたり、お聞きしたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 人材育成に当たっての大学と企業の連携ということでお尋ねをいただいたわけでございます。

 昨年の七月でございますけれども、研究開発あるいはそのグローバル展開という点で、我が国をリードする二十の企業と十二の大学のトップが集まりまして、産学協働人財育成円卓会議というものが発足をしたところでございます。

 この円卓会議におきましては、産業界と大学が協同して人材育成に当たること、そして、産業界と大学が互いに率直に意見交換を行うことの重要性が論じられまして、その議論の成果といたしまして、ことしの五月に、参加企業と大学が取り組むべき事柄を示したアクションプランというものを作成いたしました。

 具体的には、今御指摘がございました、グローバル人材をどう育成していくのか、あるいはイノベーション人材をどう育てていくのかというようなことについて、具体的な提言をアクションプランの中でいただいているわけでございます。

 そして、今後は、このアクションプランに基づいて参加企業、大学が人材育成の取り組みを進める、そして、その企業の範囲だけにとどまらずに、広く情報を発信して、アクションプランの考え方を普及させて、産学協同による人材育成の取り組みを社会全体に広げる契機とするということが期待されているところでございます。

 文部科学省におきましても、さらにこうした連携、協同の場の形成が進むように力を注いでまいりたいというふうに考えております。

谷畑委員 もうあと二、三分で終わりという紙が回ってきましたので余りこれはできないんだけれども、私、その円卓会議の中で、読ませてもらったら、結構各大学側も努力されて、頑張っていますよね。

 例えば慶応大学も、経済産業省の主導で、いわゆる企業の現場で働いている技術者を含めて、そういう人たちを派遣してもらって教育の中で取り組んだり、そういう中で、現場の体験に基づく講義というのが非常に好評であるということ、そして、最先端のエレクトロニクス製品がどういうような形で開発されておるのかとか、そういうことで、学校で学ぶことと企業で将来それがどう花が咲いていくかという、そういう教育というのも非常に好評を得ているというものもありますね。

 そしてまた、早稲田大学などはすごい数の留学生を送り出している。年間二千名を送り出しておりますし、また四千名の皆さんが世界から大学にやってくる。そういうことで、グローバルを含めて本当に努力された状況がある。

 しかし、このようにして先端を走っている大学もあれば、まだまだそこまでいかない、大学の基盤そのものも、財政基盤も弱い、こういうことがあろうかと思いますので、私も、ぜひひとつそこは文科省なり経済産業省がもっと連携して、しっかりやっていく必要があるんじゃないかと思います。

 では、これで最後にします。

 厚生労働大臣、私は、この雇用問題というのは、やはりばらばらではいかぬのじゃないかと思うんですね。だから、若年層の人材を育成するというのは、厚生労働省と文科省、それから経済産業省、そういうところが強い連携を持って、国家戦略をしっかりと立てて、そういう状況の中でやはりつくり上げていく、こういうことが非常に大事だ、このように思っています。

 それと、年金、医療、介護というこのでっかい省、でか過ぎる、小回りがきかない。少なくとも、労働関係と医療関係、やはり大きく二つぐらいに分割をする必要があるんじゃないか、そういうふうに思います。

 以上、最後、もう時間になりましたので、それだけ申し上げて、質問を終わります。

池田委員長 次に、あべ俊子さん。

あべ委員 自由民主党、あべ俊子でございます。

 本日は、一般質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 最初に、市町村国保に関して質問させていただきたいというふうに思います。

 特に、今国会におきましても、市町村国保の財政運営の都道府県単位化を推進する観点から制度改正が行われまして、平成二十七年度からの保険財政共同安定化事業について、全ての医療費に拡大することになっているわけであります。

 医療費について、これで地域間格差の縮小も期待されるわけでございますが、医療費において地域間格差がなぜあるのかということの分析を厚生労働省はどのようにしていらっしゃいますか。

外口政府参考人 医療費の地域間格差でございますけれども、医療供給側とそれから患者さん側とまず大きく二つに分かれると思います。

 医療供給側で申し上げれば、医療機関が充実しているところと過疎地のように医療機関のまだ充実していないところでは当然差が出ます。それから、患者さん側で申し上げれば、例えば高齢者の比率の多いところとかでは、医療の総量が多いわけですから、当然、医療費が高くなるわけでございます。

 そのほか、いろいろな地域的な要素があると思いますけれども、大きなものはその二つだと思います。

あべ委員 そういたしますと、この医療費の地域間格差に関して、高齢者が多いのに関してはさまざま調整もされているわけでございますが、特に供給側の問題の、医療が充実しているということに関しての、厚生労働省として、ここの部分に対する抑制ということはきちんとしていらっしゃるんでしょうか。

外口政府参考人 医療提供に対しての地域差というのをどう埋めていくかということでございますけれども、御案内のように、医療の提供体制と医療保険制度が、これは車の両輪でもありますので、一緒にバランスがとれていかなければいけないと思っています。

 提供体制をどうするかの方は、これは都道府県の方で、今、医療提供体制の整備の方は責任を持って計画を立ててやっているわけでございますけれども、共通の指標ということで、医療計画作成指針等を示して、それぞれの地域の課題に対応する数値目標を設定する。また、国の方としても、それらに対しての補助金等の制度を設けているところでございます。

 それで、医療保険の方では、先ほど先生御指摘の、前回の法改正のときに財政調整機能、これを強化しましたので、そこで、医療提供体制がまだ充実していないにもかかわらず医療費の調整をすることによって保険料が高くなってしまうことのないように、これは県の調整交付金の方で調整できるようにということで、ガイドラインも示しつつ、今いろいろな対応をしようと進めているところでございます。

あべ委員 特に患者側の、高齢者が多くて医療費がかかるということに関しては、やはりしっかりと財政調整の部分はしていかなければいけないと思うのですが、供給体制の充実し過ぎている部分も含めた部分に関して、都道府県にお任せということでは、私はこの医療費の抑制ができないのではないか。特に、医療費における自然増分、年間一兆円というのが本当に自然増なのか。それは、自然増というのは、厚労省における無策なのか、都道府県の怠慢なのかということはもっと明確にしていかなければいけない。今回消費税を上げるに至っても、この部分は幾らあったって財源が足らなくなるところでございますから、では、何のために、今その議論も進めながら、医療制度に関しましても、社会保障制度に関しても、足りなくなったら調整していくんだということだけでは済まない問題ではないかと思うわけです。

 また、保険料に関しましても、確かに地域間格差がございます。二十二年の一人当たりの保険料に関して、最高が北海道のある村でございますが、これが十四万一千六百五十円、さらには、一番最低と言われるところは沖縄県のある村が三万円台という、四・三倍の違いがあるわけであります。同一の都道府県においても、東京と長野に関しては二・八倍、秋田が二・五倍、北海道や沖縄でも二倍ということになっているわけでございますが、そうした中で、保険料を算定する場合に、いわゆる旧ただし書き所得ということで、四方式を使っているわけでありますが、所得や固定資産に応じていわゆる定率の負担、さらには、被保険者数と世帯ごとの定額の負担をお願いする仕組みでありますが、この負担割合をどうするかで保険料の額が変わってくるということが言われています。

 いわゆる応能負担と言われる所得割と資産割、さらには、逆進性の部分の応益負担というところがあります。応益部分ということが均等割と平等割と言われておりますが、この均等割と平等割というのは、そもそも導入したその理由は何なのかということと、これをすなわち応益部分として存続することが本当に公平性に資するのかということの観点でお答えいただきたいと思います。

外口政府参考人 まず、保険料の方は、応能割と応益割、量としては大体半々ぐらいになっているわけでございます。その応益割が、今先生御指摘のように、加入者それぞれの一人当たりでかかっていく均等割と、それから、世帯でかかる世帯割とか平等割とか申しますけれども、そういったことになっているわけです。

 基本は均等割なんでございますけれども、なぜそれに平等割が加わっているかというと、これは地域によって、地方の方で多いと思うんですけれども、例えば所得が少ないけれども家族の多い世帯があるわけです。そういったところに対して補正をするというか、そういった考えに基づいて、均等割を補正する目的でそういう世帯割があると承知をしております。

 ちなみに、応益割の中の均等割と平等割の比率ですけれども、大体、標準的には三五対一五というようなパーセントの比率になっております。

あべ委員 これは昔つくられたのではないかと思うんですが、私は、これが余り機能しなくなっているのではないか。特に均等割、世帯一人当たりの定額に関しまして、今おっしゃった数字だと思うんですが、特に家族が大家族であることのある種のペナルティーみたいなものなんだと思います。さらに言えば、平等割の一世帯当たりの定額、特に所得が低くて家族が多い場合の補正として出している部分は、特に所得が低い地方においてひとり暮らしになったときに、一体、ここの調整部分が本当に機能するのかということを考えたときに、世帯割という負担の部分に関して、世帯割をなくすことによる保険料の地域間格差でどういう影響が生じるかということ、これは通告してありますので、シミュレーションされたものをぜひお答えいただきたいと思います。

外口政府参考人 平等割をなくしたときどういう影響があるかということでございます。

 まず、応能と応益と分かれているうちの応益の中が均等割と平等割の組み合わせになっているわけでございます。そういうことでは、平等割をなくしても、応益割という固まり自体は変わらないわけですから、ですから、応益割の格差については変わらない。ただ、平等割をなくせば、さっき御指摘のように、ひとり暮らしの方とか、そういった方では負担がふえる。それから、逆に、家族の多い方については、失礼しました、平等割をなくした場合に、所得が少なくて家族が多い方については加入者割になってしまいますので負担がふえる、それで、ひとり暮らしの方についてはその逆になるということでございます。

 細かい市町村ごとの数字については、これはちょっと計算はまだできておりません。

あべ委員 私は、今回、大臣に質問せずに外口保険局長に質問しているわけでございますが、外口保険局長が説明が何か曖昧になるような部分をやはりつくっていくのはいけないと思っておりまして、現在の複雑な保険料の方式をもっと簡素化しないと、保険局長がその状態であるのに、国会議員なんか多分中身がわかっている人はほとんどいませんから。そうすると、国会議員の中身がわかっている人がほとんどいない中、この制度を我々が政治主導で変えろといったってそれは無理な話でございますから、そこのところの複雑化した制度が私はとても大きな問題だと思っております。

 大臣に改めてお伺いいたします。

 今、保険局長が、非常にわかりやすくとは言えないような、シミュレーションも出ていないような内容を御説明されたわけでございますが、この保険料の計算方式に関して、もっと簡素化すべきだというふうに大臣は思いませんか。

小宮山国務大臣 どうお答えしていいかちょっとなかなか難しいところですが、この今の仕組みがどうしてできたかは保険局長がお答えしたとおりです。

 ただ、私も、こちらの厚生系の方は専門ではなくて、この立場について、本当にこの保険料の仕組みというのは非常に複雑で、このことも予算委員会でお尋ねをいただきましたけれども、即私が答えるというのはどうしてもこれは不可能でございますので、今までの歴史的な経緯の中でこういう仕組みがつくられてきているとは思いますけれども、委員がおっしゃりたい、そこの一部だと思われる今の世帯の人数も減ってきている、いろいろな状況も変わっている中で、これをよりよくするためにはどうしたらいいか、その検討は必要だというふうに私も思います。

あべ委員 特に、国民健康保険という医療保険制度であるわけでございまして、保険制度という名前がついているからには、私は、応能部分をもっとしっかり制度化するべきでありまして、応益部分を余りにも詳細にしていくと保険ではもうないのではないか、国民皆保険制度に関して本当に日本は皆保険なのかということが、この国民健康保険の中身を見ていると思うわけでございます。

 大臣、何かよく国会がぐちゃぐちゃしておりますが、在任中、どれぐらいの期間になるか全くわかりませんが、しっかりとこの国民健康保険に関してはもっとわかりやすいもの、政治家が説明できない制度をやはり国民にわかりやすく伝えるのは、本人、国会議員がわかっていないわけですからそれは無理でございまして、政府参考人でいらした外口保険局長もシミュレーションがすぐ出てこないような、役人の方々にいろいろ数字を聞くと、それは計算しないとわからないという答えがよく出てくるんですね。

 ですから、計算しなきゃわからない、それも担当の官僚ではなく、計算をする部署にわざわざ頼まないとできないような、そのような複雑な計算式をやっているのでは事務費が膨大になっていくということを考えたときに、簡素化するということは、社会保険制度をしっかり一体改革していくという観点でも重要なところであるというふうに思いますので、ぜひこれは大臣にお願いをしたいというふうに思います。

 次に、総合診療医について質問させていただきます。

 総合診療医に関して、今、さまざま議論が厚生労働省の中でもされているところだというふうに思うわけでございますが、私、特に、前にも申し上げたとおり、地方の病院を前職であったときに全国回って歩きました。そういうときに、やはり地方の病院に関してとてもいろいろな意見が出たのが、大学病院と連携をしていくときに、その大学病院から送られてきた先生方が臓器別である。臓器別の専門医であるがゆえに、それも肝臓外科とか肝臓内科とか非常に詳細にわたったものであって、地方において、そのような臓器別の専門医よりは、やはり全体を診ることができるそういうドクターが欲しいということは、地方において何度も何度も言われた部分であります。

 この総合的な診療能力を有する医師の必要性に関して、厚生労働大臣のお考えをお伺いいたします。

小宮山国務大臣 それは委員おっしゃるとおりだと思います。

 今回、社会保障と税の一体改革を御理解いただくために各地を手分けして回っていますけれども、特に地方の方へ参りますと、そこでの地域医療の話というのが恐らく一番多く出てきた課題で、その中で、やはり今言われたように、かなり細分化をし高度化している中で、一部の臓器の専門のお医者様というよりは、総合医として全体を診られるお医者様が必要だということはあるのだと思います。

 厚生労働省の中でも、そういう総合医をつくるというか養成をする方向で今検討しているところですけれども、もちろん専門の部分をきわめるお医者様も必要だと思いますし、総合的なことが診られる、そのお医者様がそれぞれの地域にいるということの必要性は、私もそのとおりだと思います。

あべ委員 さらには、日本は専門医の数が多過ぎるということも言われておりまして、この専門医の認定の制度そのものをやはり変えていかなければ、本当に質が伴った専門医がどうかということに関しても、さまざま議論が出ている部分でございますが、特に、かかりつけ医というのも今まであったわけでございますが、外口保険局長にお聞きしますが、総合診療医とかかりつけ医というのは一体何が違うか、教えてください。

外口政府参考人 恐縮ですが、医政局の範囲だと思いますけれども、前医政局長としてちょっと申し上げますと、かかりつけ医というのは、主に地域の開業医さんとかで、小さいころからずっとお一人をその地域で見てくださっている方で、総合診療医というのは、最近出てきた言葉でもありますので、そういった概念も含んでおりますけれども、それだけではなくて、多くの専門性をかつて持っていた方、それから、あるいは専門的に総合医としてのトレーニングを受けている方、そういった概念がまじっているものだと思っておりますけれども、患者さんにとっては、どちらも大変役に立つ仕組みではないかと思っております。

あべ委員 大変失礼いたしました。政府参考人が外口保険局長しかいらっしゃらないので、本当に、医政局長であったときのお顔の方が実はなじんでおりまして。

 いずれにいたしましても、この総合診療医に関しましては、さまざまなところで反対意見も出ているところであります。しかしながら、疾病のあり方、さらには地方においてどういう医師が必要であるかということを考えたときに、この総合診療医ということがしっかりとできてくることが地域の医療を守っていくことでもございますし、さらには、臓器別になり過ぎるのは、私は、さまざまな審議会に余りにも専門医を呼び過ぎているのではないかと思っているところでございまして、日本の医療の中心はどこにあるのか、疾病期間の一番長い期間はどこなのかということを考えながらさまざまな有識者会議をやっていただきたい。

 有識者会議をやっていくときに、特に医療のさまざまな方々から言われるのは、有識者というのは色つきの意味ではないか、知識ではないのではないかというふうに言われておりまして、やはり日本の医療制度が偏ってきた、地方にとって余り優しくなくなってきたのはこの有識者会議のあり方にも私は大きくあると思いますので、大変きょうは外口保険局長に御迷惑をおかけしましたが、総合診療医に関しても、大臣、これからもよろしくお願いします。

 きょうは質問の時間をいただきまして、ありがとうございました。

池田委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、午前の法案の部と、それから午後の質問の順番について、各会派の皆さんに御協力をいただきました。ありがとうございました。

 そうしてまでも、どうしても質問をしたいことがございました。きょうは大臣にお願いをしておりますので、よろしく真摯な御答弁をお願いいたしたいと思います。

 まず伺いますのは、七月十八日に、全国ハンセン病療養所入所者協議会第七十四回臨時支部長会議で実力行使決議がされました。実力行使とは、ハンストと座り込みを決行するというものであります。

 大臣は、この決議について承知をしておりますか。また、なぜ全療協の皆さんがそこまで決断したと思われますか。

小宮山国務大臣 その決議のことは承知をしています。そして、私もいろいろお話を伺っていますので、皆さんがそこまでされなければいけない状況をつくっていることは大変申しわけなく思っていますし、そこまでしても、やはり高齢化が進展している中で、ますます介護などの人員が必要なのに、全体の枠が狭められる中で、そこが低下をしてはいけないという強い気持ちをお持ちだというふうに思います。

 ただ、療養所の皆さんがハンストをされるということは本当にお体にもよくないことですし、そうしたことにならないように、今、裏と言ってはいけませんね、総務大臣と話をしたり、いろいろなことをしながら、ハンストなどされなくても、御希望が少しでもかなうように努力をしているところです。

高橋(千)委員 今の御答弁で、十分趣旨はわかっているということだったと思うんです。

 私も、この炎天下で八十歳を超える高齢者が座り込むなど、本当に命にかかわる事態でありますので、できれば避けてほしい、このように思っています。でも、それはやはり大臣の答弁次第であり、政府の対応、これを本当に見なければならない、そこまでせっぱ詰まっているということだと思います。

 資料の一番下にその決議文をつけてあります。「実力行使の具体的手段は、ハンガーストライキと座り込み等である。全療協に結集する全支部によりこれを決行する。」全国に十三ある療養所で一斉にハンストを行うということ、当然、市民団体も支援に入る、そういう覚悟をしているとか、あるいは、いつやるんですかと支部からの催促も来ている、そういうせっぱ詰まった状況を今迎えております。

 今、大臣が少し定員のことで触れたと思いますけれども、定員削減、欠員不補充、新規抑制等により、医療、看護、介護、給食などのサービスが著しく損なわれており、我々の生存権を脅かしていることを強く訴えると指摘をしています。

 ハンセン病問題はもう終わったと思っている人もいるかもしれません。しかし、二〇〇一年、らい予防法違憲訴訟で、地裁判決後、国が控訴を断念し、国と原告団の協議の中で、最後の一人まで国が責任を持つこと、社会で暮らすのと遜色のない生活と医療を保障すると約束をされたはずです。現在、入所者は全国で二千百三十四名、平均年齢八十二・一歳、七十歳以上が九四%、八十歳以上が六六%を占め、年間百五十人前後が亡くなっております。

 政府のこの二つの約束は今も変わりませんか。そして、今現在、遜色ない状況と言えるでしょうか。

小宮山国務大臣 厚生労働省は、平成十三年の基本合意書などで、入所者の皆さんの医療の整備拡充などの恒久対策や、今言われた、社会の中で生活するのと遜色ない水準を確保するため、入所者の生活環境と医療の整備を行うことをお約束しています。

 また、いわゆるハンセン病問題基本法や国立ハンセン病療養所における療養体制の充実に関する決議、これでも、国として医療、介護の体制整備を講じることになっています。

 こうしたことから、入所者の皆さんが社会の中で生活するのと遜色のない水準を確保するために、入所者の皆さんの生活環境、医療の整備、これを行うという立場は堅持をしていますし、この立場は変えていません。

高橋(千)委員 立場は変えていないということ、まず確認をさせていただきました。ただ、現状がそうなっているかということは、決してそうは言えないからこそ、今こうした決意をしているということだと思うんです。

 決議文にあるように、生存権を脅かしているとはどういうことでしょうか。高齢化と体力の低下が進み、現在、寝たきりが五百一名、不自由者棟入居者数は千百三十三名にも上ります。不自由者棟では、マンツーマンの介護、看護を必要としています。しかし、人手不足のために、十分な食事介助や入浴介助もできません。認知症で徘回されると、職員がその分人手がとられるので、命を守るために拘束をせざるを得ない、こういう訴えもあります。朝の三時半から洗面介助が始まります。一旦洗面して、また寝てくださいと言うしかないといいます。調理師免許のある人も、退職後不補充のために、派遣などで賄い、数年で全部外注になるのではと危惧されています。

 生命の危険、人間としての尊厳が奪われている状態だと言えないでしょうか。この認識を共有されますか。

小宮山国務大臣 それは、一言で言えば、共有いたします。

 私も、多磨全生園に伺って、今本当に介護などで人手が大変必要だという状況も拝見をし、皆さんからのお話も伺ってまいりました。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 多磨全生園で保育園の開所のときに、大臣が、幾らおわびをしても足りないという挨拶をされたこと、報道されておりました。

 本当にそれを実行に移さなければならないと思うんですけれども、この要求の中心は、全国に約七百名いる賃金職員の定員化であります。

 国による定員合理化方針は、二〇〇九年七月一日の閣議決定で、二〇一〇年から一五年まで五年間で一〇%の合理化とし、全国三十万二千二百六十三名の定員に対し、年間二%強の六千六十六名を各省庁に割り振っています。厚労省は七百十二名が割り振られているわけであります。

 しかし、その内訳については各省庁が分配するものであり、一律、各部署に二%を求めているものではないと思いますが、これは総務省に確認をいたします。

関政府参考人 お答えいたします。

 今お話のありました、各府省にお示ししております合理化目標数でございますが、これは、その府省全体の総数の数字でございます。実際に各府省におきましてどの部署でどの程度合理化するかは、それぞれの府省において決定されるものであります。

 以上です。

高橋(千)委員 それぞれの府省において決定されるということで、一律ではないというお答えだったと思います。だけれども、実際には一律に、毎年同じ数字が削減をされているんですね。ここを今総務省に確認いたしましたので、考え方を変えようじゃないかということをまず最初に一つ、確認をいたしました。

 そこで、昨年、ハンセン病対策議員懇談会、参議院の中曽根弘文会長が務めている懇談会と、ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会、川内会長の両議懇の席上で、定員管理の障害となっている、昭和五十八年、一九八三年の閣議決定について議論がされました。「技能・労務職員等が携わっている事務・事業については、民間委託等の合理化措置を積極的に講ずることとし、これらの職員の採用は、公務遂行上真に必要な場合を除き、昭和五十九年度以降行わないものとする。」これが大きなネックになっていたし、当時、大島青松園の官用船問題で、私たちも申し入れ、大きな行動をしたわけであります。

 その席上で、総務省は、真に必要なものと今読み上げたところ、これは厚労省が決めるんだということを答えていますけれども、間違いありませんか。

関政府参考人 お答えいたします。

 今お話のありました、公務遂行上真に必要な場合か否かにつきましては、任命権者たる各省大臣において適切に判断される、このように考えております。厚生労働省の場合であれば厚生労働大臣ということになろうかと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 一律ではないということ、そして、この必要な場合を除きということは厚労大臣が判断ができるんだということが確認をできたと思います。

 そこで、ことしの四月三日の閣議決定は、さらに、「新規採用抑制の方針について」というものがございます。これは資料の一枚目につけてありますけれども、毎年このような新規抑制ということが決定をされている、全体として非常に厳しくなっているということがあると思うんです。「社会保障・税一体改革において国民負担をお願いする中、政府としても、公務員総人件費削減など自ら身を切る改革を実施する必要がある。」私たちは、この立場に対して、そうではない、必要なところには人をきちんとつけるんだという立場で主張しているわけであります。

 しかし、中を見ていただければわかるように、大幅に上回る抑制をするんだ、約六割をするんだと言っているんだけれども、「厳しい採用抑制方針を基本としつつも、平成二十五年度の定員審査等の結果、真に必要と認められる場合に限り、追加の採用について検討することとする。」やはり、このように真に必要なことは認めるんだということが新しい閣議決定の中でも書かれていると思うんです。

 それで、質問の一つ目は、この権限は総務大臣にあるのかということが一つであります。

 そして、ハンセン病療養所の場合は、やはり、国の隔離政策による被害者であるという特別な事情があります。二〇〇一年五月二十五日の小泉総理大臣談話では、「我が国においてかつて採られたハンセン病患者に対する施設入所政策が、多くの患者の人権に対する大きな制限、制約となったこと、また、一般社会において極めて厳しい偏見、差別が存在してきた事実を深刻に受け止め、患者・元患者が強いられてきた苦痛と苦難に対し、政府として深く反省し、率直にお詫びを申し上げるとともに、多くの苦しみと無念の中で亡くなられた方々に哀悼の念を捧げるものです。」と述べています。

 国として謝罪し、名誉回復と福祉増進を図ることはまさに政府の意思であるはずです。政府の一員である総務大臣も、この特別な事情に配慮して、賃金職員の定員化について配慮するべきと思いますが、いかがでしょうか。

関政府参考人 お答えいたします。

 今お話がありましたように、平成二十五年度の採用抑制方針の閣議決定におきましては、その中で「厳しい採用抑制方針を基本としつつも、平成二十五年度の定員審査等の結果、真に必要と認められる場合に限り、追加の採用について検討すること」とされております。

 その検討でございますが、定員審査を行うとともに、各府省ごとの採用者数の上限値を決定する総務大臣において、各府省から要望がありました場合にこの検討を行うということになっております。ですから、総務大臣のもとで検討を行う、各府省の要望を受けてやるということになります。

高橋(千)委員 今、小さくまた繰り返しておっしゃいましたけれども、総務大臣に権限があるんだけれども、しかし、それは総務大臣が自分の頭でだめよと言うのではなく、各省庁の要望を踏まえてということだったと思います。それが今私が述べた特別な事情があるということであります。

 それと同時に、言うまでもありませんが、先ほど小宮山大臣も述べられたように、二〇〇八年のハンセン病基本法には、十一条で「国は、医師、看護師及び介護員の確保等国立ハンセン病療養所における医療及び介護に関する体制の整備のために必要な措置を講ずるよう努めるもの」と明記をしています。また、二〇〇九年七月の国会決議は「国の事務及び事業の合理化及び効率化の必要性は理解しつつ、入所者の実情に応じた定員の在り方及び療養体制の充実に万全を期すべきである。」としています。翌年五月には参議院でも同様の決議が行われています。

 私は、この「必要性は理解しつつ、」という言葉には反対だと議懇で発言をしています。ただ、どうしても、それを乗り越えてみんなが一致すること、このことが大事だったわけで、私たちの意思は、ハンセン病療養所の職員については定員合理化枠から除外せよというものだったわけであります。厚労省は、この立場に立って賃金職員の定員化を求めていくべきではないでしょうか。

小宮山国務大臣 国立ハンセン病療養所も国の行政機関であることから、定員削減の対象から除外をすること自体は難しいというふうに思っています。

 ただ、今委員がるるおっしゃったこと、また、全国ハンセン病療養所の入所者協議会を初め、関係の方々からの強い御要望もいただいています。

 それで、先ほど総務省ともやりとりをしていただきましたけれども、これまでも、今年度も定員の削減はしますけれども、それとは別に増員をして、削減を実質上減らすという措置をとっておりますので、先日、私の方から直接総務大臣に対しまして、国立ハンセン病療養所の定員について特別な配慮をしていただきたいということをお願いしてあります。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 総務大臣に直接お願いをしたということですけれども、ただ、定員合理化の除外は難しいという前提が、大臣自身がそこにとらわれていますので、どうしてもそこは差し引きでいうと大したことない話になっちゃうわけなんです。つまり、やはりそれは、国会の意思はそうじゃないんだということを繰り返し述べています。

 今、定員化がどのくらい図られてきたかというのを聞いたときに、担当の方から、二十二年度から二十八名、五十八名、二十六名とお答えがあったんです。だけれども、〇九年度までの五年間というのは、八十七名、毎年削減をしていました。そして、二〇一〇年度からは、毎年五十五人削減をしているんですね。それプラス、六十八名定年退職をしている。それを不補充の中での二十六名ですから、全然足りないわけなんです。このペースでいきますと、全国で七百人いると言っていますから、三十年かかるんですよ、全部が定員化するのに。そうしたら、もうとっくに、申しわけないが、入所者の方は残っていないかもしれない。十年が勝負だとみんなおっしゃっているんです。そういうことを考えなければなりません。

 そこで、少し資料の三枚目に書いているんですけれども、人事院にも来ていただいています。

 これからは、賃金職員のことを期間業務職員というふうに呼ぶんだと。二年前からこういうふうになっていますが、その趣旨について伺います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘ございました期間業務職員制度でございますが、これは、平成二十二年の十月から新たに設けたものでございます。

 いわゆる賃金職員を含みます従前の日々雇用の非常勤職員につきましては、任用予定期間はあるものの、形式的には任期が一日単位で、制度上、いつでも退職させることができるなど不安定な地位に置かれていたところでございまして、人事院といたしましても、従来、累次の勧告時報告等において、見直しの必要性について言及してきたところでございます。

 この問題につきましては、御指摘ありましたように、定員管理等の他の制度ともいろいろ関係する部分がございます。人事院といたしましては、政府の関係部局あるいは関係団体とも十分意見聴取等を行って検討を進めた結果、現行の関係諸制度の中でとり得る措置といたしまして、日々雇用の仕組みというものを廃止いたしまして、同一の会計年度内で任期を定めることができる新たな期間業務職員制度というものを設けたところでございます。

高橋(千)委員 大臣に簡単な質問をしますので、一言で答えていただきたいと思うんですね。

 国が日々雇用という雇用形態を持っていること自体が私は誤りだと思います。賃金職員は、まさにこれにはなじまないと思うんです。

 ただ、まず、今すぐに、この期間業務職員というものになってしまって、いきなり、賃金職員が定員化されないもとでですよ、これを読むとわかるように、連続二回までは限度として認めるけれども、基本的には公募なわけですよね。これは首を切られることになるんでしょうか。まさかそれはないということ、最低限の確認でありますけれども、伺います。賃金職員が雇いどめではないことを、まず確認。

小宮山国務大臣 賃金職員という仕組みをつくっていますので、これは、雇いどめということではないというふうに思います。

高橋(千)委員 確認をさせていただきました。

 派遣法ですとか有期雇用の問題をずっとこの間議論をしてきて、期間契約で長く雇用する、細切れ雇用をやるということはやはり見直していくんだ、正社員に転換するんだと国自身が言って法改正をしてきたんですから、やはりこういう働き方を是正していかなければならないと思うんですね。

 賃金職員という言葉そのものが厚労省にしかない、国立病院にしかないわけであります。何かということ。かつて、ハンセン病療養所では、入所者に強制的に労働をさせていました。ハンセン病違憲国家賠償訴訟全国弁護団連絡会は、人事院規則の一部改正に当たり、つまり今の問題ですけれども、本来は、当初から正規の常勤職員とすべきものであったと指摘をしています。隔離政策のもとで、療養所運営に不可欠な業務を入所者自身に担わせていたのです。

 患者作業は、本来許されない不当なものであって、判決の中でも、入所者が好むと好まざるとにかかわらずやらざるを得なかった実情と、ハンセン病患者に行わせることが不適当な重労働の存在や、患者作業による症状、後遺症の悪化などの実態が認定されたと指摘をされているところなんです。

 両親がハンセン病患者だった宮里良子さんは、著書「生まれてはならない子として」の中で、星塚敬愛園に入所した母親が、豚舎で豚の飼育の作業をしていたと書いています。もともと指が、感覚麻痺という病気だったんですけれども、それは、らい菌が原因ではなくて、そういう麻痺がある中で労働して、傷口から細菌が入って、感染症が原因で指をなくした、二次障害なんだと訴えている。これは、本当に多くの元患者さんの皆さんに共通する状況なんですね。そういう強制的な労働の中で、こうした、これはみんなハンセン病の後遺症だと思っているかもしれないけれども、そうではないんだという実態がございます。

 これほど過酷な作業を、職員がやるというふうに返還いたしました。でも、そのときに、定員枠が足りないという理由で、便宜的に賃金職員の形をとったにすぎないんです。療養所の運営に不可欠であり、順次定員化を図っていくものだったはずです。これが賃金職員の実態であり、速やかに解決を図っていくべきではなかったでしょうか。大臣。

小宮山国務大臣 委員の御指摘は、そのとおりの部分がかなりだというふうに私も思います。

 ただ、先ほどから御議論いただいているように、これも国の施設でございますので、定員の枠がある中で、可能な限り賃金職員の正職員化を図っているところですので、今後とも、できる限り賃金職員の正職員化を図っていきたい、そういうことでございます。

高橋(千)委員 そのできる限りの中身を、今までのテンポではだめなんだ、これではやはりハンストを決行せざるを得ない、そういう局面なんだということなんです。

 先週、十数年間働いてきたという女性の賃金職員に、私は、やめたいと思ったことはないかと聞きました。何度もあると答えました。辞表を書いて常に持ち歩いていたと言うんです。賃金もずっと下がるばかりですし、人手不足で十分な介護もできない。そういう職場に希望を持てずにいる日々だった。でも、入所者の皆さんに、いつもありがとうと声をかけられるので、また頑張ろうと思うと言うんですね。

 入所者は、小金をためて、時々会いに来る家族に気に入られたいと思っている方がいる。それは、亡くなったときくらいは、お骨を引き取ってもらって、ふるさとに帰れるかもしれないというかすかな期待を抱いているからだといいます。でも、多くの方は、亡くなっても会いに来る人もいなくて、賃金職員の皆さんにみとられて、園の中の納骨堂におさめられます。賃金職員は、入所者にとって、自分たちの労働をかわってくれた職員でもあり、生活の介助者でもあり、かけがえのない家族でもあるということなんです。

 名誉回復をかち取ったはずの闘いの後に、介助の手が足りない、そのために人間らしく生きていくことが難しい、尊厳も奪われるような最期が待っているとしたら、ハンストに命をかけることくらいどうってことないんだ、そのくらいの決意をしているんだと。

 そのことを正面から受けとめて、最後に一言お願いいたします。

小宮山国務大臣 それはしっかりと重く受けとめたいと思います。

 先ほどからるる申し上げているように、全体の定員枠の中とかいろいろな実情がありますが、その中でも、私の方からも、厚生労働省の中には国立ハンセン病療養所もあって、そこは国会決議もあり、いろいろな国としての責任があるのだから、そこの定員は削減できないのだということは、再三にわたって言ってまいりました。でも、まだそこが、力及ばないところがありますので、今後とも、一生懸命そこのところが確保できるように最大限努力をしたいというふうに思います。

高橋(千)委員 国会としても応援したいと思います。よろしくお願いいたします。

池田委員長 次に、岡本英子さん。

岡本(英)委員 国民の生活が第一の岡本でございます。

 本日は、一般質疑の時間をいただきましたので、私の方からは、児童虐待防止対策について質問をさせていただきたいと思います。

 小宮山大臣が、今までもこの児童虐待防止対策についていろいろと御尽力をいただいていることは十分承知をしております。その上で、きょう、お手元に資料を配らせていただきました。

 まず一ページ目に出させていただきましたのが、児童相談所における虐待相談対応件数と児童福祉司の推移を出させていただきました。大臣も、この表を見て思いはあるかと思いますが、ぜひ答弁のときにその思いも述べていただきながら、お聞きしていきたいと思っております。

 新聞報道などによりますと、先月の七月だけでも、静岡県伊東市と埼玉県朝霞市で、一時保護された子供が家庭復帰を果たした後に、親から再虐待によって死亡するという大変痛ましい事件が起きました。

 一時保護をしたり、一時保護の解除をしたり、これは児童相談所の業務でありますけれども、児童相談所が平成二十三年度に対応した虐待対応件数は、今見ていただいたとおり、速報値で出ております五万九千八百六十二件となっています。このため、資料一枚目のこの折れ線グラフと棒グラフの数値を見ていただいてわかるとおりに、児童福祉司の数が相談件数を賄えていない状態になっています。この児童福祉司の増員配置が私は必要なのではないかと思っておりますけれども、大臣の見解を伺いたいと思っております。

 そしてまた、この虐待を受けた子供たち、この子供たちと、その保護者に対する心のケアも必要なのではないかと思います。再虐待防止対策としまして、児童福祉法の施行令に、児童福祉司と同様に児童心理司の配置基準を規定すべきではないかと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。

小宮山国務大臣 児童相談所で、本当に職員の皆さんが忙し過ぎる日々を送っておられることは、私も、超党派の議員での児童虐待防止法の改正なども含めてずっとかかわってきたことから、よくわかっています。

 それで、今委員がおっしゃったように、平成十一年度と比べて、児童福祉司の数の方も二・一倍にふやしているんですけれども、それを上回って、児童相談所の虐待相談件数が五・一倍にふえている。ますます過重になっているということはよくわかっています。

 このため、厚生労働省としましては、総務省に対して、地方交付税措置の拡充を要望してきていまして、その結果、標準団体、人口百七十万人当たりの児童福祉司の数が、平成十一年度の十六名から平成二十四年度の二十四名へ、これは二・一倍に増加をしているということです。

 また、ことし三月、児童福祉法の施行令を改正して、児童福祉司一人当たりの担当区域の標準となる人口を、おおむね五万から八万までというものを四万から七万までに改めました。

 また、後半でおっしゃいました児童心理司については、人口当たりの配置基準が定められていませんけれども、児童相談所のその他職員として地方交付税措置をされています。そのため、地域の実情に応じて確保することは可能ですけれども、今後、その配置基準の明確化につきまして、関係省庁と相談をしていきたいというふうに思います。

岡本(英)委員 ぜひこの児童心理司の配置について、早急に対応していっていただきたいと思っております。

 また、日本では、児童相談所が、虐待通告を受けた子供の安全の確認、そして確保から、虐待を受けた子供、虐待をした保護者の指導、支援、親子の再統合までも、児童虐待に関し、ほぼ一貫して全ての責任を有する体制となっています。私自身は、子供を保護するために保護者との関係がこじれた後も児童相談所が保護者への指導措置を行う責任を有しているということは、いかがかなというふうに思います。このシステムでは、保護者との関係を築きにくいのではないかというふうに感じます。

 一方、欧米の先進諸国におきましては、虐待を受けた子供への保護、支援、そして虐待をした保護者への指導というものは、司法当局の判断、命令に基づきまして福祉部局がこれを行うとする制度が一般的であります。もうこれは大臣も十分御承知のことと思いますが、この制度の方が、私は、虐待をした保護者にとっても指導を受けやすいと思いますけれども、以前からこの制度のあり方には多くの御意見がいろいろと出てきておりますが、日本ではなぜこの同様の制度を取り入れることができないのか、その理由をまずお聞かせいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 お答えする前に、先ほど私が答弁した中で、平成二十四年度二十四名と申し上げたようなんですが、三十四名ですので、訂正をさせていただきたいと思います。

 そして、今お尋ねの件ですけれども、これも、以前から児童虐待のことを話す中で、虐待を受けた子供を保護して安全を確認することと、また、その親などに対してケアをしていくということ、そこを同じ場所でやることがどうなのかということは、ずっと議論になっているところです。

 日本でも、司法当局が子供の保護、支援や保護者指導に関与している場面もございます。例えば、平成十九年の児童虐待防止法改正で導入された臨検、捜索制度、これは、裁判所の承認を得て保護者の住居に立ち入って、チェーンカットをして子供の安全を確認するという形にしています。

 また、保護者が虐待を受けた子供の入所措置に反対する場合には、家庭裁判所の承認を得ることで入所措置を可能にしている。また、保護者指導の実効性を高めるため、家庭裁判所は、都道府県に対して保護者指導を勧告したときは、その内容を保護者に伝達することができる仕組みにしています。

 保護者指導に対する司法当局の一層の関与につきましては、親権のあり方を検討した社会保障審議会の専門委員会でも議論をされましたが、司法と行政との役割分担に照らして難しい面があるということがありまして、運用面での対応を検討するよう求められています。

 これを受けまして、ことし三月、児童相談所運営指針を改正して、児童相談所が家庭裁判所に対して保護者指導の勧告を上申する手続を明確化したということで、がらっと変えるということはなかなか難しいので、こういう形で法改正をしたり、勧告を出したり、勧告を上申するような仕組みを指針を改正して行えるようにしたり、一つずつ進めているというのが現状でございます。

岡本(英)委員 先ほど諸外国と言いましたけれども、まさにアメリカ、イギリス、フランス等は、司法当局とのしっかりとした連携をとった中での、虐待をされた子供、そして、した親への対処というものをしております。できれば、日本も、少しずつということで今大臣から御答弁いただきましたけれども、画期的な第一歩を踏み出していただけるように、大臣のもとでやっていただければと私は強く要望したいと思います。

 そして、司法との連携をしっかりつくり上げていくことが求められている中で、司法との連携について、さらにどのようにこれから取り組まれたいと思っているのか、大臣の見解を伺いたいと思います。

小宮山国務大臣 委員からは、アメリカの例とかもございましたけれども、アメリカも、州によってまたいろいろ対応が違ったりとか、諸外国の状況もいろいろと調査をしながら、超党派での法改正もしてまいりましたけれども、日本の中で、先ほど心理職のお話がありましたけれども、専門家が少ないとか、対応の仕方がなかなか思うようにいかないところがある。

 その中で、この司法の関与につきましては、先ほど申し上げた、虐待されているかもしれないときに、プライバシーの一番もとになる家に、チェーンカット、鍵を壊して入るということの是非についても、もうかんかんがくがくの議論が一年ぐらいあった結果、こういう形で入れる臨検制度をつくったりしてきていますので、日本の中のいろいろなあり方の中で、国民の皆さんの御意見も聞きながら、可能な範囲で、でも、子供の命がかかっているのはわかっていますから、司法の関与がさらにどのように必要なのかも、また委員からも御意見もいただきながら、検討ができればというふうに思います。

岡本(英)委員 児童虐待防止対策は、一時保護や施設入所措置だけではなくて、虐待を受けた子供への支援や、また、虐待をしてしまった保護者への指導を通じて、家庭の再統合を目指していくものだと思います。

 一方、先ほど申しましたように、七月に起きてしまいました静岡県や埼玉県での事例は、虐待の疑いで一時保護をして、この一時保護を解除した後に死亡に至ってしまったというまことに痛ましい事例であります。

 政府は、このような一時保護や施設入所措置等の解除の後に起きた虐待件数というものを把握されているのでしょうか。

 もし把握していないのであれば、今後、相次いで起きてしまった事例を踏まえまして、一時保護や施設入所措置等の解除の後に起きた虐待の事例数や分析を行って、虐待を行ってしまった保護者への指導体制がどうなのか、分析、検証する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

西村副大臣 今御指摘の二つの事例、本当に痛ましいことだったと思います。

 児童虐待による死亡事例の分析ということでございますけれども、児童虐待防止法に基づきまして、地方自治体が有識者から成る検証委員会で検証して、課題や対策を検討してきております。

 また、厚生労働省といたしましても、社会保障審議会の下にございます児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会というのを設置いたしまして、そこで全国の児童虐待による死亡事例を検証しています。

 その中で、平成二十二年度中に発生、発覚した心中以外の虐待死事例四十五例のうち、児童相談所が関与した事例は七例、一五・六%です。このうち、一時保護や施設入所措置等の解除後に死亡した事例は、この中にはなかったというふうに承知しています。

 昨年の専門委員会の検証では、一時保護等の解除後の死亡事例についてヒアリングを通じて分析を行いまして、この結果、児童相談所が措置解除を判断するためのアセスメントの能力の向上と関係機関による家庭復帰後の支援体制の整備などを提言いたしております。

 御指摘の事例につきましても、今後の専門委員会の検証で分析をしてまいりたいと考えています。

岡本(英)委員 児童虐待防止対策を進めていく上では、この関連法を所管しているのは国でありますけれども、実際にこの法を担っていくのは都道府県であると思います。また、市町村であり、この相互の連携というものが不可欠になってくると思います。従来から、虐待防止法の対策の取り組みについては、自治体の間での格差が大きくあるというふうに言われております。この格差を少しでも小さくしていく取り組みが必要なのではないでしょうか。

 政府はどのような対策をこれまで講じられてきたのか、そして、これからどのような対策を講じていくのか伺いたいと思いますし、先ほど御答弁でいただきましたように、児童福祉司の管轄人口も、大変変わってはきておりますけれども、これも、人口四万から七万人に一人配置している自治体は四十九自治体、人口四万人未満に一人配置している自治体は二十自治体と、差が出ていることも事実です。ですので、ここの部分について、今後の対策について伺いたいと思います。

西村副大臣 御指摘のとおり、児童虐待に対応するためには、児童相談所、そして市町村を初めとする関係機関がそれぞれの役割を十分に発揮して、連携して取り組んでいくことが重要であると考えております。

 このため、市町村を中心として、地域の関係機関で支援を必要とする家庭について情報を共有し、共同して支援するための子どもを守る地域ネットワークの設置を進めておりまして、現在、これは設置市町村が九九・五%までまいりましたけれども、その機能強化を図っているところであります。

 また、児童相談所に関してですが、児童虐待対応の中核となります児童福祉司などの職員につきまして、地方交付税措置の拡充を進めております。こういったことで、先ほど大臣から答弁ありましたとおり、児童福祉司一人当たり四万から七万までというふうに改めましたので、その中で引き続き職員配置の充実を図っていっていただきたいというふうに考えております。

 今後とも、地方自治体の体制強化に努めますとともに、有効な方策を示して、地方自治体の取り組みをしっかりと支援してまいりたいと思います。

岡本(英)委員 一時保護所や社会的養護を担う児童福祉施設が、今、都市部ではパンク状態ではないかと私は危惧しています。一時保護した後、本来なら施設入所などが必要であるにもかかわらず、一時保護所が満杯のためにやむを得ず一時保護を解除したり、また、施設においても、本来なら保護者のもとに帰すのにはまだ時期尚早と思われる事例にでも、新規の入所者枠を確保するために入所措置を解除せざるを得ない状況があると聞いています。そのような状況の中で、先ほど来から、先日、七月に起きました静岡県そして埼玉県のような事例が起きてしまっているのではないかと思います。

 そして、約四割の自治体において、定員を超えて一時保護を実施しているのが現状です。社会的養護を受けている子供たちの数は四万五千人です。このため、都市部を中心に一時保護所や社会的養護を担う児童福祉施設の整備を計画的に進めるべきですし、また、対応策をしっかりと出していく必要があると思いますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃったように、私のかかわった事例でも、栃木県で三歳と四歳の男の子が、児相で保護していたのに帰してしまって、二人とも亡くなったケースがありましたけれども、それもやはりバックアップ施設になる施設がなかったからということがあるんです。ですから、おっしゃるとおりだと思います。

 この社会的養護のあり方については、昨年の七月に社会保障審議会の社会的養護専門委員会で取りまとめました「社会的養護の課題と将来像」、この中で、家庭的養護の推進ですとか、児童養護施設の小規模化、また地域分散化の取り組みなど、今後の方向性を示しています。

 これに従いまして、大きな施設をつくるというのではなくて、グループホーム、ファミリーホーム、それから里親も含めて、社会的養護の量的な拡充を進めていきたいと考えています。

 また、一時保護所につきましても、地方自治体の要望も聞きながら、引き続き整備に取り組んでいく必要があると考えています。

岡本(英)委員 厚労省では、平成二十三年七月に取りまとめました「社会的養護の課題と将来像」に基づきまして、社会的養護を拡充するために、約三十年ぶりに、先ほど御答弁でもいただきましたように、職員配置基準を引き上げ、さらに、社会保障と税の一体改革により約七千億円の財源を確保し、保育所待機児童対策のほかにも、社会的養護の職員体制の強化を図ることとされております。

 しかし、この社会的養護の職員体制の部分なんですけれども、職員配置基準引き上げの具体的内容を見てみますと、例えば、児童養護施設における児童指導員、保育士の引き上げは、六対一、子供六人に対して一人から五・五対一と、わずか〇・五人分にとどまっています。まさに、子供の数は小数点ではあらわすことができませんので、現実にはかわりばえがないのではないかというふうに私は懸念を持っております。

 これは、従来の予算編成過程と同様に、社会的養護を所轄する厚生労働省の雇用均等・児童家庭局内、あるいは省庁内での予算のやりくりに終始をして、思い切った抜本的な充実のための財源を確保することができない、このために、理念だけは高く打ち出したものの、実際の施策は既存の予算編成のやりくりに終始をしているためではないかと私は思っています。

 また、社会的養護を担う施設職員の体制強化のために、消費税引き上げ分を財源にするとのことですけれども、国民世論が分かれており、いわゆる景気条項によって施策の実施時期が不透明なものを財源とすることに大きな疑問を感じています。

 本来、社会的養護は、親を亡くし頼るべき親戚もいない子供や、親がいながら虐待などにより親と暮らすことができない子供に対して、公的責任で社会的に養育、保護するという崇高なものであると思います。

 繰り返しになりますけれども、厚生労働省は「社会的養護の課題と将来像」でこの充実に向けて高い理念は示しておりますが、その実現に向けての取り組みの第一歩としましては極めて小さいものであると感じているのは、私だけではないと思います。

 今こそ、容易な消費税値上げではなく、省庁の垣根を越えて、徹底的な無駄の排除を進めることによって安定した財源を確保し、子供に関する施策の中でも、他の先進諸国の中でも最も日本がおくれている分野の一つと言われておりますこの社会的養護に係る施策の抜本的な拡充を早期に講ずるべきではないかと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

小宮山国務大臣 社会的養護、この施設の職員の配置基準を含めて、ここを質を上げていくということの必要性は私もずっと以前から考えていまして、昨年、子供担当の副大臣になったときに、現場の方たちに集まっていただいた検討会をつくって、具体的に案を出してもらいまして、それを審議会にかけて決定をしているということなんですね。それで、昨年の四月から、運用などの改正でできるものはしています。

 ただ、予算措置につきましては、これは三十何年ぶりの改正なんです、配置基準について。六対一を四対一にしたいんですけれども、これを五・五対一にするだけでも、これまでの厚労省の中の予算の三倍の予算が必要でした。でも、それはぜひ必要だからという指示をして、こういう形でやりましたけれども、厚労省の予算も、本当に幅広くいろいろなものに、生活にかかわるそれぞれに必要なものですので、それ以上、今の通常の予算の中でやるのは現実問題としてなかなか難しい。

 そういう中で、今回、消費税を上げさせていただく中で、子ども・子育て支援を、拡充するのが一%ですから、全体のパイも少ないんですが、その中の〇・七兆円は子供に充てる、その柱の一つにこの社会的養護を入れてありますので、消費税を上げさせていただいた折には五・五対一から四対一にできるということだと御理解をいただきたいと思っています。

岡本(英)委員 まず、子供の命のかかっているものでございますから、できれば来年度の予算から取り入れていただくように、本予算にしっかりと組み込んでいただけるように、私からは改めて要望させていただきたいと思います。

 また、先ほど大臣の方から、対策の一つとして里親制度についてのお話もございました。

 熊本市で社会福祉法人聖粒会慈恵病院が設置、運営をしております「こうのとりのゆりかご」は、望まない妊娠に一人悩む女性やその胎内に宿った子供の命を守ることに大きな役割を果たしていると、誰もが異論がないところであると思います。一方、この「こうのとりのゆりかご」を法的に位置づけることについて、国は積極的ではないということを承知しております。

 そこで、まず伺いますが、政府は、現在、この「こうのとりのゆりかご」をどのように評価されているんでしょうか。

小宮山国務大臣 これは、「こうのとりのゆりかご」が本当に、自分では産んだけれども育てられない保護者にとって、また生まれてきた子供にとって役に立っているということは事実だと思います。

 ただ、この「こうのとりのゆりかご」ができたときから、国論を二分するぐらいのいろいろな議論があって、これは親の育児放棄を促進するんじゃないかというような御意見があったりとか、親にとっては、匿名で預かってもらえますので、子供の命をつなぐことができるメリットがある反面、子供にとっては、自分の出自がわからないで預けられるというような問題もあるかというふうに考えています。

 そういう意味で、できれば預けないで済むようように、女性健康支援センターとか児童相談所などの窓口で相談をして、その後の社会的養護につながるようにしていただければと思っていますけれども、今存在して、そこが利用されているということで、存在の意味というのはあると思いますが、国がこれをどうこうするという話にはならないというふうに考えています。

岡本(英)委員 実際に、この「こうのとりのゆりかご」、平成十九年度から二十三年度までで八十一人利用されているわけです。こういった現状を踏まえた中で、私は、法的に位置づけることも必要なのではないかと思います。御答弁の中にありましたように、確かに、匿名のまま預ける方もおられます。子供の出生のもとがわからないという不安もありますけれども、現実に匿名のまま預けざるを得ない状況の人がいるわけですから、助長する危険があると言うだけではなくて、現状に対応した形での法での位置づけというものが必要ではないかと思いますので、要請をしたいと思います。

 次に、こうのとりのゆりかご検証会議というものが開かれた中で、この「こうのとりのゆりかご」がやはり今必要なのではないかという声が大きく上がってきているのも事実だということが書かれておりました。

 そういった意味で、国として早急に、この「こうのとりのゆりかご」を含めまして、望まない妊娠等に対する相談支援体制のあり方について検討していく必要があると思いますけれども、御答弁をいただければと思います。

小宮山国務大臣 今回、「こうのとりのゆりかご」、これにかかわる問題で提起をされた課題につきましては、社会保障審議会の社会的養護専門委員会でも、社会的養護のあり方全般を議論する一環として検討してきました。

 これに基づきまして、今言われた望まない妊娠などで悩む妊産婦などが安心して相談できる体制の整備ですとか、また、関係機関が連携協力して里親とか養子縁組などの具体的な支援につなげることを、昨年の七月、地方自治体に要請しています。

岡本(英)委員 もう質問時間が終わりましたので、子供たちの命がかかっている問題でございます。ぜひ、この問題の対策を一刻も早く取り組まれることを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

池田委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、生活保護改革、特に働くことができる人の自立を促す包括的な支援策についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 高齢化、また景気の低迷などの影響によりまして、生活保護を受けている人が今年三月時点で二百十万八千九十六人であります。昨年七月以降、九カ月連続で最多を更新しております。高齢者のほか、失業などを理由に働き世代の受給者もふえておりまして、今年度の総給付額三兆七千億円を上回りまして、二〇二五年度には五兆二千億円、四〇%増へと増大をしていく見通しでございます。

 生活保護受給者がふえる要因としては、生活困難な高齢者が増大をしていること、それから、リーマン・ショックを契機に、働けるのに生活保護に頼る働き盛りの人たちがふえた、このように言われております。働ける人たちが自立できるよう、この生活保護制度の見直しを早急に図る必要があると考えます。

 公明党は、二〇一〇年十二月に発表いたしました新しい福祉社会ビジョンの中で、将来における貧困の拡大や格差の固定化を防ぐために、社会保障制度を再構築し、個人の努力や選択に起因しない不平等な社会構造の問題解決に取り組む必要がある、このように主張しております。

 現在の生活保護制度は受給のハードルが高い、その一方で、一度受給者になるとなかなか自立できない、利用しにくく出にくい制度であると言われております。単なる生活保護費の抑制ありきではなくて、私は、入りやすく、また出やすい制度にすることが重要であると考えます。

 そこで、入りやすい政策についてなんですが、虚偽の申請等に対しては厳格な罰則を定めた上で、手続の簡素化、あるいは書類審査による短期救済を実現することが必要なのではないか、このように思いますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。

    〔委員長退席、長妻委員長代理着席〕

小宮山国務大臣 基本的には、今委員がおっしゃったように、必要とする人にはなるべく早くちゃんと受けてもらえるようにして、そこから出やすい制度にするというのは基本的な考え方だというふうに私も思います。

 そして、お尋ねの件ですけれども、生活保護は、御承知のように、利用できる資産ですとか能力、そのほかあらゆるものを活用していただくことが前提ですので、生活保護の受給を申請した人に対して、生活状況などの聞き取りですとか、収入や資産などに関する書類の提出などを通じて、生活保護の要件を満たしているかどうか、これを確認することは必要です。ただ、できる限り速やかに保護を実施するかどうかを判断できるように、書類などが複雑な部分があれば、まだ検討する余地があれば、そこのところはしていきたいというふうに思います。

 福祉事務所は、保護を必要とする人が急迫した状況にある場合などには、申請を待たずに職権によって保護を決定することができるという仕組みもございますので、そうしたこともあわせて、全体をよい形にしていきたいと思います。

 また、ことし秋に策定予定の生活支援戦略の中では、経済的な困窮者、社会的孤立をしている人を早期に把握することについても検討することにしています。民間の事業者との連携も強化をしながら、地域で支援を必要としている人に着実に支援がより早く届くように、その仕組みを整えていきたいというふうに考えています。

古屋(範)委員 大臣今おっしゃいましたように、入りやすく出やすい生活保護への改革、これも早急に行っていただきたいと思います。

 次に、子供また若者が将来生活保護に陥らない、そのための施策についてお伺いをしていきたいと思います。

 具体的には、受給者の自立に向けた職業訓練、あるいは働く意欲を促す、その働く手前のボランティア活動、こうしたものを、生活保護を受給しながら、日常生活の再建、就労、地域社会への参加、これがスムーズにできる方向に変えていかなければいけない。

 中でも、貧困の連鎖を防止するために、子供、若者への教育支援が非常に重要です。無業あるいは低所得、将来無年金、その遠因というのはやはり教育にあると思います。やはり、中学卒業あるいは高校中退者、こういう方々への支援というのが非常に重要だと考えております。学業を中断した人、また、職業訓練を受けなかった方、この再起のチャンスをどう与えていくのか、まだまだメニューが足りないのではないかと思います。

 私は、先週、七月の二十四日なんですが、こうした取り組みを行っております横浜の磯子区にある株式会社K2インターナショナルジャパンに行ってまいりました。ここでは、グループ組織のNPO法人などと連携して、若者の自立、生活支援、また、就労支援、不登校支援など総合的に取り組んでおります。二〇一〇年からは横浜総合高校への訪問事業を行っております。二〇一一年からは基金訓練で戸塚定時制高校卒業生が自立に向けたプログラムを実施しています。

 横浜市内の定時制高校に通う、働きながら通学する生徒の半分、五割が自分の収入で家計を支えている。ですから、K2インターナショナルジャパンの方も、やはり今この定時制高校が高校生にとっての最後のセーフティーネットのような存在になっているとおっしゃっていました。そこで、入学時の生徒数が、中途退学によって、結局、最後は半減をしてしまう。キャリアカウンセラーが週一回学校を訪問して個別就労支援などを行っているそうです。

 そこには、児童養護施設を転々として、最後はもうお財布に数百円しかなかったとか、あるいは発達障害を抱えている、あるいは長期間引きこもりをしている。最長二十三年間引きこもりだったという方がいらっしゃいました、ここの相談窓口の受付をしていましたけれども。

 そういう若者に対して、医療機関と相談しながらアドバイスをしていく、カウンセリングをしていく。また、この中に食堂があって、にこまる食堂、全部が二百五十円のメニューでやっている食堂なんですが、そこで働いたり、学童クラブで子供たちの面倒を見たり、また、農場も借りて野菜をつくったりして、その野菜で食堂を経営していく。寮があって、やはり寮に入ってもらって生活を支援しているようであります。

 こうしたNPO、また、企業の自立支援プログラム開発や人材育成について、財政上、制度上の裏づけを行って普及を促進していくべきではないか、このように思いますが、大臣、いかがですか。

小宮山国務大臣 今委員から神奈川での例をとって御説明をいただきましたけれども、おっしゃるとおりだというふうに私も思います。

 この秋めどにつくります生活支援戦略、これも、生活困窮者の支援を体系的にすることと生活保護の見直しを両輪としてやりたいと思っているんですが、これは、七月五日の国家戦略会議で今回の生活支援戦略の中間まとめも報告をしています。

 その中に、今おっしゃった、NPOとか社会的事業をしている民間と協働、最初、この厚労省の中でも民間を活用してと言っていたので、活用ではない、ともに働くのだ、協働だということをずっと今徹底しておりまして、NPOや民間機関との協働によって、一般的な就労はできないけれども、サポートをすればできるという方に、今おっしゃった、社会的な自立に向けたサポートつきの中間的就労などを含めた多様な就労機会を確保するということを一つの大きな柱として盛り込んでいます。

 今後、社会保障審議会に設置されました特別部会で、制度化に向けてさらに具体的に進めていきたいというふうに考えています。

古屋(範)委員 二〇一〇年の国勢調査によりますと、若者男性、十五歳から三十四歳の無業者数というのが約二十万二千人、それに対しまして、中年、三十五歳から五十四歳の男性の無業者というのは約三十万人ということで、実は中年の方が一・五倍も多くなっています。これは、中年で約三万二千人も増加をしている。五年間で無業の高年齢化が進行した。この世代が、かつて無業であった方がとうとう中年に至っているということが言えるかと思います。そして、学歴が低いほど無業からの離脱が難しいという研究結果もございます。ですので、そうならないために、まず高校生あるいは若者へ生活支援、就労支援を徹底して行っていくことが将来のためになる、このように思います。

 そこで、病気とか障害を抱えていたり、また育児や介護などで仕事につけないなど、生活困窮に陥りやすい人々がいかに自立をして貧困水準を上回る生活を送れるようにするのかという問題の取り組みも必要だと思っております。必要なのは再教育また職業訓練制度のさらなる拡充であります。

 昨年十月から始まりました求職者支援制度、これは自公政権当時にも予算措置をしていたものを、政権交代をし、法制化したものと理解をしております。しかし、ここの利用を希望しても門前払いになっている人が少なくないというのですね。受け入れるのは就職が期待できそうな人に絞っているという民間機関もあるそうです。訓練期間から三カ月後の就職率が三割を下回ってしまった場合などは対象機関として国の認定が受けられなくなるためだともおっしゃっています。

 また、技能が乏しい求職者にとって職業訓練の役割は非常に大きいんですけれども、すぐに安定した職につくのは非常に難しいというのが現実であります。キャリアアップできるように継続的に支援すること、職業訓練を受けた方々を受け入れる受け皿、就労機会を拡大することが重要であると思います。こうした拡大も含めまして、訓練を受けられる機関、また内容、受講中の生活費の支援など、さらなる検討が必要だと思っております。

 また、専門性の高い技能を身につけることができる高等技能訓練促進費等事業については、現在母子家庭を対象としているんですが、対象者の拡大を検討するなど、こういうことも考えられるのではないかと思っております。

 求職者支援制度のさらなる拡充について、お考えを伺いたいと思います。

生田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十月にスタートいたしました求職者支援制度は訓練修了者の就職の実現を重視した仕組みとしておりまして、具体的には、これまでの職業訓練の就職率が高い訓練コースから認定するということ、それから、実践コースにつきましては、就職実績に応じて訓練奨励金を上乗せして支給するということ、それから、個人ごとに就職支援計画を作成して、訓練受講中それから訓練修了後に定期的にハローワークへの来所を求めることなどの制度上の対応を行っております。

 就職率の目標は、基礎コースで六〇%、実践コースで七〇%という目標を設定いたしておりますが、あくまでも初期段階の数字ではございますけれども、基礎コースでは六九・七%、実践コースでは七一・八%となっております。

 これからの対応なんですけれども、今後とも、雇用保険を受給できない方を早期に就職に結びつくことができるようにするという必要はあると思っておりまして、これまでの施行状況を踏まえながら、訓練コースの設定について工夫するということや、訓練修了者向けの求人の開拓などを含めまして、ハローワークによる一貫した就労支援にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 次に、出やすい部分の施策として、就労意欲を喚起する仕組みの導入についてお伺いしたいと思います。

 現行制度は、原則として、働いて収入を得ると、その分生活保護の給付額から削られてしまうわけであります。働いても働かなくても同じでは、働かない方が楽だと思ってしまうわけです。生活保護から抜け出そうという意欲がそがれてしまうと思います。さらに、生活保護から抜け出ようと懸命に働いて、抜け出られた途端に、社会保険料ですとか病院の窓口負担を一気にまた背負わなきゃいけない。ここの落差は非常に大きいわけですね。これでは、働く意欲というのはなくなっていくんだろうと推察されます。

 そこで、働く意欲をなくす要因を取り除くためにも、就労に応じて手元に残るお金を少しふやすよう工夫もして、就労意欲を促す改革をすべきではないかと思います。例えば、就労収入の一部を積み立てて、自立時に活用できる制度、就労収入積立制度を創設すべきと思いますが、いかがですか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の就労収入積立制度でございますが、これは、働く能力のある生活保護受給者に対しまして積極的に就労するインセンティブを与えるものとして意義があるもの、こういうふうに考えてございます。

 そこで、先ほど来紹介されていますが、生活支援戦略の中におきましても、この就労収入積立制度の具体的な制度設計について検討を進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。

古屋(範)委員 今検討していらっしゃるということですので、ぜひ実現をしていただきたいと思っております。積み立て分は減額の対象とならなくて、将来に備えることができる、非常に意欲が湧いてくると思います。就労、自立への意欲が高まる効果が期待できますので、制度設計を急いでいただいて、早急に実現をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、ケースワーカーの増員についてお伺いしてまいります。

 生活保護受給者が増加する一方で、行革で公務員数が抑制をされている。特に都市部では、福祉事務所のケースワーカーが一人百世帯から百三十世帯を担当しているところがあります。ケースワーカーの仕事は非常に負担が重いために、公務員の中でも人気がなくて、数年で異動する人も少なくないと聞いております。ですので、経験のない若い方が担当して、なかなか技能不足になってしまう、また、全体的にも常時人員不足に陥っている、これが現状です。

 ケースワーカー一人が持っているのは平均九十二世帯、二〇〇九年度ですけれども、国の基準八十世帯を上回っています。百世帯を超えている自治体も多くて、人が足りず十分な訪問もできない、多くのケースワーカーからこのような声が上がっております。

 訪問業務を、例えば経験豊富なNPOなど、外部委託をするとか、あるいはデータシステムを全国一律にすることで事務作業を簡略化するなど、負担軽減をするとともに、国庫補助等の支援により標準配置基準八十世帯に一人を実現していく、ケースワーカーの増員を図るべきと思います。いかがでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、ケースワーカーでございますが、これは、生活保護受給者の自立支援や不正受給の防止という点で大変大事な業務でございます。

 このため、ケースワーカーの確保に関しまして、これは平成二十一年度以降でございますが、毎年度、この増員のための地方交付税の算定上の人数、これをふやしてございますし、また、ケースワーカーの業務を負担するために、例えば福祉事務所の方に就労支援員等を、そういう方々も配置する、こういうことも進めているところでございます。

 最終的に、今御議論がございましたが、まさに官民協働という体制が大変大事でございますので、今回の生活支援戦略におきまして、まさしくこういうケースワーカーの方と、一方でNPO等の民間の機関の協働という形でいろいろな支援を行っていく、こういう形で進めてまいりたい、このように思っている次第でございます。

古屋(範)委員 今局長からも、官民協働でというお答えがありました。ぜひ、民間の力を生かして進めていっていただきたいと思います。

 それから、生活保護の受給率を押し上げている要因として忘れてならないのが精神疾患患者の増加だと思います。実は、生活保護費の約半分が医療費で、その三分の二が入院費、そして、その半数を占める疾患が精神関連であることは意外と知られていないと思います。

 過去十年間で、日本の精神疾患の患者数、九八年の二百十八万人から、〇九年には三百二十三万人へと、約一・五倍となった。また、うつ病など、就労に困難を伴う気分障害の患者数は四十八万人から二倍以上の百四万人となっているということであります。

 厚生労働省、一昨年九月に、自殺、うつによる社会的損失、試算を公表されましたね。二〇〇九年における社会的損失の合計額が、自殺、休業による所得の低下、うつ病による生活保護支給費、医療費の増加など、合わせて約二・七兆円に上ると言われております。この中で、うつが原因の生活保護受給者への給付金、三千四十六億円と見積もって、医療費では二千九百七十一億円節約ができる、ここを改善すればですけれども。ですから、うつで休んでいる方々にいかにスムーズに職場復帰をしてもらえるか、ここが大きな課題だと思います。

 厚生労働省も、うつの早期発見、また早期対応のためにストレス検査を事業者に義務づける、労働安全衛生法の改正案を提出されています。早期発見から社会復帰まで、一貫した支援体制を拡充すべきと思います。まず、この点についてお伺いしたいと思います。

 また、これまでも何度か質問してまいりました、うつに有効な認知行動療法の普及でありますけれども、二〇一〇年の四月から保険適用になったんですが、まだまだ人材が不足をしております。

 認知行動療法センターのサテライトである高田馬場の研修センターに行ってきたんですが、センター長の大野先生も非常に一生懸命やっていらして、精神保健福祉士ですとか看護師とか、多くの方が意欲的に研修に来ていらっしゃいます。仕事帰りにここに来て、専門研修を受けて、認知行動療法を実施できるようになる、この裾野が広がることが期待されております。

 しかし、なかなか予算が少なくて、ここの研修センターも、ぜひ常勤職員も配置していただきたい、このように思っております。教材も全部大野先生が自前でつくって、苦労しながらやっていらっしゃいます。ぜひ、この研修会を全国レベルで展開できるよう、十分な予算確保をしていただきたいと思います。これはいかがでございましょうか。

西村副大臣 委員今御指摘の、うつ病についてでありますけれども、働き盛りの方がうつ病にかかりますと、重症化して、就労が困難となる場合もあるというふうに伺っております。したがって、うつ病を早期に発見し、適切な診断や治療によってなるべく早く社会復帰できるような体制づくりをしていくことは重要であろうと思います。

 しかし、働き盛りの方といいますと、うつの症状があってもなかなか気づかないという方もいらっしゃって、初めは体の症状を訴えて、かかりつけ医を受診することが多いんだろうと思います。うつ病の早期発見、早期治療のためには、内科医などかかりつけ医の役割と精神科での適切な対応がこの点からも重要だと考えられます。

 こういった観点から、かかりつけ医がうつ病の適切な診断をできるように、平成二十年度から、かかりつけ医うつ対応力向上研修といたしまして、内科医等に対するうつ病に関する研修を実施するとともに、地域自殺対策緊急強化基金の活用によりまして、各自治体で、かかりつけ医から精神科医へ紹介するための取り組みを実施してきております。

 そこで、このうつ病についての治療法ということでありますけれども、薬物療法とあわせて、面接を通じて治療を行います認知行動療法、これも有効であるということが明らかになっています。

 認知行動療法を普及させるために、認知行動療法を実施できる人材の養成が重要であるということですので、平成二十二年度から全国的な研修を開始いたしております。

 それぞれの大学などもお借りして行ってきておりますけれども、今後とも、こうした実践的な研修を行って、認知行動療法を行うことができる医療関係者の確保と質の向上を図っていきたいというふうに思います。

藤田大臣政務官 職員配置のことについてお尋ねでございましたので、私から一言お答えをさせていただきたいと思います。

 認知行動療法の普及や人材育成というのが大変重要だということ、これはもう委員御指摘のとおり、厚労省としてもそのように認識をいたしているところでございます。そして、高田馬場に開設されたこの研修センターの役割というものも大変重要だというふうに思っておりますが、細かいことは省略をいたしますけれども、残念ながら、今、独立行政法人に対しては総人件費の抑制ということが求められておりますので、直ちに常勤職員の増員ということは難しい状況があろうかと思いますけれども、しかし、センター内の状況については理事長の判断でいろいろと行われているというふうに思っておりますので、必要な支援についてはしっかりと厚労省としても行ってまいりたいと思います。

古屋(範)委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

長妻委員長代理 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 大臣初め皆様、長時間、本日はお疲れさまです。私の質問で最後ですので、よろしくお願いいたします。

 私は、きょう、臓器移植を取り上げさせていただきます。

 せんだって、二〇一二年六月十四日のことでありますが、富山大学の附属病院で六歳未満の男の子に初めて脳死判定が行われて、翌日十五日の日に心臓、肝臓、腎臓、角膜等が摘出され、移植をされました。報道では、一方で、命のリレー、レシピエントとその家族の感謝というようなことが伝えられましたが、臓器移植というのは常に明暗ございまして、生きる側の命とそこで終わっていく側の命という問題がございます。

 私は、特にこの小児の脳死の事例について、果たしてこの男の子が十分な治療を得るための環境というのが我が国に整備されていたかどうかということでお尋ねをしたいと思います。

 この富山大学病院では、いわゆるPICU、子供のためのICUはありません、もともと、富山県のどこかの病院で、この子は事故で心肺停止になり、富山県の大学附属病院に運ばれてきて、六月七日の日に主治医から脳の回復の可能性がないというふうに伝えられました。お母さん方、家族にとって、この回復の可能性がないという言葉ほど絶望的な言葉はないわけでありまして、この言葉を受けて、御家族は、では移植できないかなとお考えになったんだと思うのですが、実は、この坊やが脳死と臨床的に判断されたのは六月十日のことであります。通常であれば、六月の七日から、もう回復の可能性がないと言われて、臨床的脳死判断までの間が一番緊張の、そして家族にもきつい数日であります。

 そういうことが本当にベストに治療されたということをやはり社会も御家族も確信していただくためのPICUの整備だと思うのですが、この数たるや、そもそも我が国は先進国の中で一から四歳児の死亡率が高く、この一因としてPICUの整備不良ということが言われている中ですが、残念ながら、全国で、いわゆる救命救急センターに併設されるものが現在二十五床、それから、小児専門病院に併設されるものが百七十床というふうになっていて、全国でわずか百九十五ということになっております。

 通常、これは欧州などに比べますと、子供の数などに合わせて言えば七百床が必要だと算定される、学会での研究班の報告であります。現状で三割にも満たない。四年前に比べても微増ではありますが、果たして、一旦救急的な事故があった場合に、本当に受け入れが十分であろうかということが問題になります。

 特にこのPICUの整備状況について大臣にお伺いしたいですが、あわせてもう一つ、この集計のとり方が平成二十年度から変わっておりまして、PICUには二つの主な目的があります。術後の患者さんを、子供の手術の後をケアする方と救急搬送。この区分けがなされないまま集計が平成二十年以降は行われるようになりました。

 私は、術後も大変だと思うけれども、本当のとっさの事故のときの、心底、急にいつでも受けてもらえるPICUというものが重要と思いますが、平成二十年以降の集計ではそれが見えなくなってきております。救命救急センターにある部分はいいのですけれども、小児病院などに併設部分ではそこがわからなくなってきている。

 充実への取り組みと、これらを明確に、特に救命救急対応の充実も含めてお願いしたいが、いかがでしょう。

小宮山国務大臣 小児科医でもいらっしゃる委員御指摘のとおり、小児集中治療室、PICU、整備をしていくことは大変重要だと考えています。

 今御紹介いただいたように、二十一施設に百七十床、そして救命救急センターの二十五床を加えると今百九十五床ということで、これが、平成二十年の三月末と比較して六施設十床増加していると言われていますが、それしか増加していないということかと私も思います。

 PICUの整備については、省内の、重篤な小児患者に対する救急医療体制の検討会、ここでも整備のための支援が必要とされています。厚生労働省としては、平成二十二年度の予算から小児集中治療室施設整備事業を設けて財政支援を行っているところです。

 統計のとり方が、なぜ平成二十年から術後と救急を分けなくなったのか、今ちょっと聞いていたんですけれども、私のところに上がってきていません。

 これは、その経緯も含めて、やはり救急に対応するところ、私も必要だと思いますので、また、わかるように、どういうふうにしたらできるのか、そのことも含めて検討させていただきたいと思います。

阿部委員 恐らく、救急対応のものも微増はしておるのだと思いますが、それらが確実に数値として上がってくることがやはり重要だと思います。整備をしてふやしていくということが重要ですので、よろしくお願いしたいと思います。

 あわせて、もう一点あります。

 先回の臓器移植法改正以降、実は、それまでは御本人の意思というものにのっとって臓器移植は行われてきたわけですが、改正以降は御家族の同意という形になりました。

 もう一点、実は、現象的に変わった面がありまして、改正前は、主治医の側から治療の選択やあるいはドナーとなることを提示していた例は八十五例中五例で、わずか六%でしたが、改正後は、まだ十七例しかありませんが、十一例が主治医の側からドナーとなられることの選択肢を提示するということになりました。

 法改正がなされましたので、医療現場もそのように対応していると思いますが、ここで厳密にしていただかねばならない点があると思います。特に、医師の側から臓器提供を申し出られる場合に、それは確実に臨床的脳死を条件として満たした後でなければ、先ほどの例は患者さん側から言い出したのですけれども、見ておりますと、これからは医師側からというのが多くなります。そうすると、この法案が最初にできた平成九年のときの附帯決議にも書かれておりますが、脳低体温療法を含めあらゆる医療を施した後に行われるものであって、さらに厳密に、臨床的脳死判定の後にそのオファーを、申し入れをすべしという、これは国会の総意の知恵でつくられたその後のガイドライン等々がございます。

 この点も、周知徹底、再度していただきたいが、いかがでしょう。

小宮山国務大臣 脳死下での臓器提供、これは十分な救命治療が行われた上で脳死判定が行われる、これはもう当然の前提だと思います。

 今御指摘の臓器移植のガイドラインでは、脳死判定を行うまでの標準的な手順に関して、主治医などが脳死とされ得る状態と判断した場合には、その後、臓器提供の機会があることを告げることにしています。

 医療現場では、十分な救命治療を行ったにもかかわらず、病状の回復が厳しい場合、家族の求めなどに応じて、病状説明の一環として、主治医が臓器提供の可能性に言及することがありまして、こうしたことはガイドラインの趣旨に必ずしも反しないと考えていますが、とにかく救命治療、これが十分に行われることが重要ですので、脳死下での臓器提供事例に係る検証会議で検証することも含めて、また、おっしゃったように、ガイドラインの徹底ということはしっかりとやっていきたいというふうに思います。

阿部委員 慌ただしい臨床現場で、親御さんにとっても、脳の回復の可能性がないというふうに言われることと、臨床的脳死と、その次の法的脳死とも、ほとんど絶望の中で聞きますから、わけがわからなくなるわけであります。今大臣御答弁のように、十分な救命治療ということが原点ですし、また、検証会議の中で、そのような患者さん側への伝えられ方も含めて検証していただきたいと思います。

 次いで、同じ臓器移植で、いわゆる自殺、自死された方からの臓器提供についてお伺いをいたします。

 午前中も取り上げさせていただきましたが、我が国は自殺大国、年間三万人が自殺をしておられる国であります。昨年の四月に行われた十五歳未満の、これも男子の脳死下の臓器提供第一例でありますが、報道によれば、その地域の新聞に列車に飛び込んだ事案があって、その少年ではないかと、これは報道によればですが、言われております。すなわち、学校の始まる日に飛び込まれたという事案があったわけです。これがそのドナーであるかどうかは特定はされておりませんけれども、今、子供たちの自殺が大変ふえていて、お手元の資料、これは大津のいじめ自殺でも問題にされておりますが、自殺した生徒児童数が、平成二十三年、高校生まで含めると三百五十三人と、警察庁調べで著しく増大をいたしております。小学校、中学校、高校生、おのおのかなりの数に上り、にもかかわらず、下の段ですね、例えば文部科学省が学校から報告を受けてまとめている自殺者の数とはかなり開きがあるという実態があります。これは大津の事案でも明らかになりましたように、なかなか学校の教育委員会が自殺として把握していない。

 再度、臓器移植の話に戻しますと、実は臓器移植にあっては、子供からの臓器提供は、虐待がないことということを一応、例えば児童相談所等々に問い合わせます。この一例目も児童相談所には問い合わせされて、何カ所かはちょっと答えがなかなか行き交わなかったようですが、とりあえず問い合わせはされた。でも、本来であれば、学齢期の子供ですから、学校でのいじめ問題、学校生活問題もあわせて問い合わせないと、誰もこの子を守れない。こういう事案、この事案そのものとは申しません、しかし、類似のことがこれからもあるかもしれない。

 残念なことに、自死を選ぶ子供たちは、親御さんにはなかなか自分の苦しい状況を言えない中で亡くなっていく、親御さんさえ気がつかない事案もあるわけであります。その子の人権を守るためにも、子供における臓器提供にあっては、虐待の事案とともに、自殺ということもきちんと、学校なりの状況、ヒアリングも含めて、今後は考えていくべきであろうと思いますが、大臣、いかがですか。

藤田大臣政務官 今委員の方から御指摘がありましたけれども、自殺に至る背景というのは大変複雑な、いろいろな問題があろうかと思います。そして、それらをきちっと解明していくということはとても大事なことだというふうに考えるところでありますけれども、自殺をされた方が脳死に至った事例については、これも委員も既に御承知のとおりでありますけれども、事件性がある場合には、警察の捜査が終了した後でなければ臓器の摘出ができないこととされているところでございます。

 また、現在の臓器移植法やそれに基づくガイドラインでは、親族への優先提供の場合を除いて、自殺例と他の死亡例とを特段区別していないということになっております。

 そのため、個別の臓器提供事例というのが法令に沿ったものであるかどうかということ、これは引き続きしっかり検証しなければいけないと思います。

阿部委員 私が指摘したかったのは、この一例目となった事案でも、自殺は除外できない、自死は、それだけの情報が集められていなかったんじゃないかということであります。

 だって、大津の事案だって、警察も実は情報を得ていたけれども、そこにアクションしていないということがあるわけです。本当に隠れてしまっている子供たちの死だと思いますから、そういう視点を持つこと。虐待もそうです。虐待のあるかないかをきちんとチェックしようというのも、それは子供の人権の観点です。その子が自殺に追い込まれた結果の、そして親御さんも気づかない中での臓器提供ではなかったかということも、これは考え得る問題だと私は思うので、今の藤田政務官のお答えをさらに深化させていただきたい。誰が子供を守るかであります。

 そして、引き続いて、きょう、朝日新聞の記事を、七月十四日、二枚目に載せてございますが、この間行われた提供百八十人の中で約一割が自殺というふうに、これは、臓器移植ネットワークに朝日新聞の記者がいろいろ、臓器移植ネットワークが出された資料に基づいて問い合わせた結果であります。

 我が国の国民に伝えられるいろいろな情報の中に、私は何も自殺だけを取り上げて、それを事ほど大きく言えとは申しませんが、一体どんな背景でドナーとなられているかというふうな情報の提供の仕方というのが、やはりまだまだ充実していないと思います。アメリカのUNOSなどでは、救急搬送された理由、そして死亡原因を含めて発表がされております。

 今後の発表のあり方ですけれども、工夫が必要であることは認めながら、よりよい情報が国民にも開示されていくことを私は工夫していただきたい。

 あわせて、小宮山大臣にお願いがありますが、御自身が自殺をされて、それはさっき藤田政務官がおっしゃったように、家族に上げたいというので自殺なさっては困るので、それは家族への提供はできないことになっておりますが、例えば、死を選ばれた御本人の臓器の提供を、いろいろな関係が複雑に絡み合う御家族が提供の同意者になるということは、実はもう少し私は社会的に検討してみる必要がある。これは社会文化的かもしれません。人間の関係性の複雑さであります。

 私は、願わくば、自殺された方からの臓器提供は、今の法律のように、家族同意になってしまった場合に、そこにいろいろな複雑な要因がありますから、もう少しこのあり方について検討していただけまいかと思いますが、大臣、いかがでしょう。

    〔長妻委員長代理退席、委員長着席〕

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃったように、自殺された方の場合は、家族の関係も含めて、いろいろなことがあるだろうということは推察ができます。

 現在の臓器移植法も、平成二十一年に議員の皆様方のさまざまな御議論の中から制度改正が行われましたので、今、厚生労働省としては、今のこの制度をしっかり運用するということがまず第一かと思っています。

 自殺の場合の、ケースの発表の仕方については、どのような工夫があるかということは検討もしたいと思いますが、また、今委員御自身もおっしゃったように、これは国民の皆さんの議論、また国会での議論の中で、自殺についてどういうふうに扱うかということについても、厚労省ももちろん考えますけれども、議員の皆様にもまた御検討いただければというふうに思います。

阿部委員 私は少なくとも有識者会議のようなことを設けていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、臍帯血の移植について伺います。

 元厚生労働大臣、長妻さんのときに、私的臍帯血バンクというのが問題になりました。

 臍帯血、赤ちゃんのへその緒をバンクに置いておく、それも私的、民間バンクなのですが、この民間バンクのつくばブレーンズというのが二〇〇九年九月に経営破綻いたしました。

 臍帯血はいろいろな利用法がありますが、それが同時に、民間に預けて、自分の将来のために、自分というか子供の将来のためにということで行われていることでありましたが、この民間のつくばブレーンズが破綻して、千五百人余りの臍帯血が宙に浮くという事案が生じました。この事案を受けて、長妻元厚生労働大臣が、厚生労働省に調査をしなさいというふうに、その私的バンクはどんなものなのか、どんな業務をしているのか、全国に幾つあるのかということを指示されましたが、実は、私が質問主意書で何回か厚労省とやりとりし、今回に至るも、そういうものが四つ会社があって、しかし、その業務内容はわからないという答弁書しか返ってまいりません。

 しかし、小宮山大臣に伺いますが、日本造血細胞移植学会というところが、会長名で既に、皆様のお手元の資料の三枚目につけましたけれども、平成十四年に、厚生労働省に、こういう私的バンクのあり方について、やはりいろいろと問題があるから、実態並びに基準等を設けてほしいという要請をお出しになったのと同時に、厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会においても、安全性について公的バンクと同等の基準に従うことが必要であるとの合意を得たので、今後、引き続き実態把握を行うとともに、安全対策について精査することが必要であるという指摘を受けておられます。

 私が言いたいのは、長妻大臣が指示しても実態も把握は進んでいない、審議会で言われても厚生労働省としてお取り組みではない。これはやはり、これから議員立法でこの公的バンクの方の充実を図ろうとするさなかにあって、公的を幾ら取り締まっても、民間バンクの方が筒抜けで、いろいろな望ましからぬことが横行すれば、この臍帯血を本当に有効に利用していくということにも陰りを見せると思います。

 改めて、小宮山大臣として、今、現状、我が国にどのくらいの私的バンクがあって、どんな業務の内容をしているのか、これを調査していただきたいし、私は、そのための方法はいろいろあると思いますが、とにかく、長妻元大臣が厚労省に言われたこと、そのことをやっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

小宮山国務大臣 私的臍帯血バンクとして把握できたのは四件ということは私も聞いています。そのうちの一つが破産をしたつくばブレーンズということで、今現在は三つということですね。

 採取とか保管目的は、公的バンクは血液疾患治療、私的バンクは再生医療という傾向が強いということも私の手元には調査の結果として来ております。今おっしゃいましたように、この臍帯血のプライベートバンク、これがどんどんふえているということではなくて、現存しているのは三つだというふうに把握をしております。

 その公的臍帯血バンクの基準などのあり方については、今委員もおっしゃったように、超党派の議員立法で今おつくりになる方向かと思っていますので、そういう基準のあり方を検討した上で、それに準じてまたプライベートバンクへの対応を検討する、そのときにまた調査もするということも考えているところです。

阿部委員 そのやり方では、さっき申しましたように、片っ方を規制強化する、しかし、そのざるから抜けたところに広範な、それも再生医療に使われているといいながら実態はわからないわけです。大臣、官僚から聞かれて、再生医療に使われていると聞いていると言うけれども、何をしていると思われますか。ほとんど誰もわからないのですよ。

 そして、ちなみに欧米ではこういう公的、私的という差はないんです。それからもっと言えば、これから再生医療の中で臍帯血はとても重要な役割を担うわけです。

 あわせて、もう一つ最後にお願いしたいですが、お手元に資料の四があります。今、世界では、遺体から組織、皮膚や骨がとられて、これが闇ルートで流れていくということ、簡単に言うと、これが横行しておりまして、アメリカの国際調査報道ジャーナリスト連合というところが問題視をいたしたものであります。

 私たちの肉体から出てくる臓器や組織、へその緒も含めて、これは非常に社会的な問題を惹起する。だって、骨の取引というのも、考えてみてもおぞましいと思います。しかし、私的な臍帯血バンクをそのままに、今のままに、公的な方だけ法制化すれば必ず同じことが起きます。

 大臣は、まず議員立法でできてからとおっしゃいましたが、そうではないとする私の指摘を受けとめていただきまして、もう時間の関係がございますので、これで終わらせていただきますが、問題はそこにとどまらないと認識していただきたいと思います。

 終わります。

池田委員長 次回は、来る三日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五分散会


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