衆議院

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第2号 平成25年3月15日(金曜日)

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平成二十五年三月十五日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 松本  純君

   理事 上川 陽子君 理事 高鳥 修一君

   理事 棚橋 泰文君 理事 冨岡  勉君

   理事 西川 京子君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      大久保三代君    大串 正樹君

      勝沼 栄明君    金子 恵美君

      小松  裕君    古賀  篤君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      高橋ひなこ君  とかしきなおみ君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      丹羽 雄哉君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    三ッ林裕巳君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      大西 健介君    中根 康浩君

      古川 元久君    柚木 道義君

      横路 孝弘君    足立 康史君

      伊東 信久君    新原 秀人君

      宮沢 隆仁君    伊佐 進一君

      輿水 恵一君    柏倉 祐司君

      中島 克仁君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   厚生労働副大臣      秋葉 賢也君

   厚生労働大臣政務官  とかしきなおみ君

   厚生労働大臣政務官    丸川 珠代君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            佐村 知子君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  矢島 鉄也君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            榮畑  潤君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            中野 雅之君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           村木 厚子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    岡田 太造君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  香取 照幸君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  金子 恵美君     勝沼 栄明君

  古川 元久君     中根 康浩君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     金子 恵美君

  中根 康浩君     古川 元久君

    ―――――――――――――

三月十四日

 予防接種法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予防接種法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

松本委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府男女共同参画局長佐村知子君、厚生労働省医政局長原徳壽君、健康局長矢島鉄也君、医薬食品局長榮畑潤君、労働基準局長中野雅之君、社会・援護局長村木厚子君、社会・援護局障害保健福祉部長岡田太造君、保険局長木倉敬之君、年金局長香取照幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。豊田真由子さん。

豊田委員 自由民主党、豊田真由子でございます。本日は、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 初めてでございまして、ちょっと失敗もあるかもしれませんけれども、どうぞ御容赦くださいませ。

 まず初めに、社会保障制度の人材の確保についてお伺いいたします。

 一体改革でも眼目となっております、持続可能で充実した社会保障制度の確立のためには、消費税を含む安定財源の確保、サービスの重点化、効率化といった観点に加えまして、何よりも、その制度、現場を担う十分な数の良質な人材の確保が極めて急務であります。

 来年度予算におきましても、在宅医療、在宅介護の推進、認知症対策の強化といった、高齢化、少子化に対応したきめ細やかな施策が打ち出されておりますけれども、やはり、現場に参りますと、まだまだ道半ば、これからという状況でございます。

 その理由はさまざまございますけれども、やはり担い手が圧倒的に不足をしておる状況だと思います。在支診、在支病なども数はふえましたけれども、実際、在宅医療のかなめとなって地域でとり行っている方はごく一部でございます。

 また、私も地域に参りますと、高齢者の施設あるいは病院などで、入院が長引いてしまって、もう外に出なくちゃいけないんだけれども、自宅ではとても見ることができないという切実なお声もたくさん伺うところでございます。

 ちなみに、私の地元埼玉県は、人口十万人当たりの医師数が全国で最下位でございます。約百四十人。お隣の東京都の約半分という状況でございます。また、私の地元では、基幹病院である市民病院で小児科医がいなくなってしまって、小児救急・入院が閉鎖をされるというような事態も生じております。決して医師不足は過疎地だけの問題ではないということを、改めて先生方に御認識いただきたいと思います。

 こうした状況の中、施設であっても、それが病院あるいは在宅医療・介護でありましても、年をとっても病気になっても、この日本においては安心して暮らすことができる、これをやはり一番に考えて実現していかなければならないと思います。

 そのためには、今申し上げましたような、さまざまな専門職種の方がチームをつくって、一体となってそれぞれの場所で精いっぱい力を発揮していただけるような、きめ細やかな、それぞれのニーズに沿った人材の確保、育成、そして配置というものを行わなければいけないと思いますが、そのために国として今後どのような対応をしていただくのか、お伺いしたいと思います。

秋葉副大臣 ただいま豊田先生から、大変貴重な御提言も踏まえた御質問をいただきました。厚生労働省の職員時代には、まさにエキスパートとして御活躍をいただいてまいった分野でもございます。

 今御指摘のとおり、高齢化の進行に伴いまして医療や介護サービスのニーズが高まる中で、質の高いサービスをしっかり提供していくためには、医療・介護分野の人材確保は喫緊の課題でございます。

 医療分野の人材確保の取り組みにつきましては、地域枠の活用によりまして地域的な偏在の是正を図るとともに、在宅医療に適切に対応できる人材を育成するために、平成二十五年度予算案におきましては、多職種の協働による在宅チーム医療を担う人材育成のための予算を計上するなどの取り組みを図ってきているところでございまして、大分、医学部の定員増も図られてきておるところでございます。

 このほか、認知症につきましては、認知症の人の日常の医療をかかりつけ医が担えるように、従来より認知症対応力の向上を図るとともに、平成二十五年度予算案において、一般病院の医師、看護師等が認知症ケアについて理解し、適切な対応を行うための研修を新たに計上する等の取り組みを行ってきているところでございます。

 また、介護職員につきましては、介護分野における人材の定着や育成という観点から、訪問介護員、ホームヘルパーの研修体系の見直し等を積極的に進めているところでございます。

 今後とも、これらの取り組みを継続、拡充しながら、医療・介護サービスに必要な人材の確保を適切に図ってまいりたいと考えております。

豊田委員 どうもありがとうございます。

 次に、社会保障のもう一つの柱であります保育、子育て支援についてお伺いをいたしたいと思います。

 私も、三歳、五歳の二人の子供がおりまして、こうして今ここで話させていただくことができるのも、保育園で見ていただいているからでございます。やはり保育所の問題は、待機児童の問題ですとか、あるいは、今、核家族化が進んで、専業主婦のお母さん方も含めてやはり孤立をしている、そういった声をきめ細やかにどこまですくえるのか、それを聞き取れるのかということ、私も必死でやってまいりたいと思います。

 そして、待機児童の解消、杉並区などでも問題になっておりますけれども、まずはやはり認可保育所をふやす、そうしたお声が強いところでございます。そのニーズを満たす一方で、私は、都市部における土地の問題などを考えますと、単純に、画一的に認可保育所をふやせば問題が解決するということではないと思っております。

 まず第一には、当然、子供たちの快適な、そして安全な生活が守られるということ、そのための質を確保するということ、これを怠ってはなりません。そしてまた、地域には幼稚園あるいは小規模な保育を提供している方などもいらっしゃいます。こうした方を含め、保育所、幼稚園、いろいろな関係者の方、まだまだ、こども園を含めた国の新たな政策というものに対しての御支持が広がっていないのかなというのが、私、いろいろお話を地元で伺ったときの正直な感想でございます。

 こうしたお声を貴重なものと捉えまして、将来的には子供の数が減っていくという状況、そうしたことも勘案し、やはりこの保育行政は、長期的、総合的な視野に立って、貴重な子育て資源をさまざまに活用しつつ、待機児童を解消し、また保育の充実を図っていく必要があると考えますけれども、国としての今後の御方針を、この御決意を伺えればと思っております。

田村国務大臣 おはようございます。

 豊田委員には、今も副大臣からお話がありましたけれども、厚生労働行政の方でしっかりと今まで頑張ってきていただいたわけでございまして、議員になられてからもますます御活躍いただきますことを心からお祈り申し上げます。

 今、保育の、待機児童の問題、つまり、量の問題と質の問題をいただきました。

 質の問題は大変重要でございまして、杉並の件は、やはり、認可のしっかりとした最低基準、これを守った上で子供が預けられるようにという本当に親御さんの切なる思い、そんなところであろうというふうに思います。

 昨年、子育て三法を三党合意のもとで成立いたしました。

 その中で、やはりしっかりと質を担保しながら量の方も確保していく、これが重要であるということでございまして、多様な設置主体といいますか、保育所等々を含めて運営主体の方にも参画をいただこうということで、もともと、株式会社、NPOも参入できるわけでありますけれども、これはなかなか、一方で、裁量が認可においてあるという話、それともう一方で、質というものをどう担保するんだというようなお話がございましたので、しっかりとその認可の基準というものを適正化させていただく。

 例えば、しっかりと財政基盤というもの、これを確保していただくということ、それから、運営者の社会的信望というもの、さらには、社会福祉法人等々を運営された経験のある方をその中にやはりしっかりと配置いただくというようなことを含めて、株式会社等々を認可するものとする。つまり、しっかりとした基準をクリアしているものは認可をしなければならない、そういうような法改正をさせていただいたところであります。

 一方で、今言われました小規模保育、これに関しましても、地域型の保育事業ということで、これはしっかりと規定をしたわけでありますが、ここも今まで基準はなかったんですけれども、参酌の基準ではありますが、基準をしっかりとつくって、その中で質のいい保育を提供いただこうというようなことを考えております。

 さらには、幼稚園等々とも連携をするということでございまして、幼保連携型認定こども園というものも、しっかりとこれは法律の中に定義をしていったわけでございます。

 そういう意味では、やはり質をしっかり確保しながら、量的にもこれを拡充していくということが大変重要であろうというふうに思っておりますので、そのような方針のもとで、この待機児童解消というものに取り組んでまいりたいというふうに思っております。

豊田委員 大臣、どうもありがとうございます。

 やはり保育に限らず、介護、医療、あらゆるそのサービスを提供する方が、私は、そのケアを、お世話をする側の方が幸せでないと、本当によいケア、心からの笑顔でのケアというのはできないんじゃないかなというのを、現場も見て、また昔から思っております。

 そのためには、やはりそうした従事者の方の処遇の改善、また、さまざまなきめ細やかな配慮を行政側が行うことによって、誇りとやりがいを持ってその職務に邁進することができ、その結果として、お世話を受ける側の方、また御家族の方、皆さんが幸せになるというハッピーな社会保障制度になっていけば、それをつくっていきたいなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、我が国のワクチンギャップ、予防接種の問題をお伺いしたいと思います。

 今般、通常国会で予防接種法の改正が予定されているということで、Hib、小児用肺炎球菌ワクチン等を定期接種化されるということでございます。子供の健康を守る、また保護者の方の費用負担を軽減するといった観点から、早期の成立を希望いたしております。

 一方で、これが実現いたしましても、まだワクチンギャップは残っております。

 私も、何でもかんでも定期接種化、ただにすればいいとは全く思いません。もちろん、有効性、安全性、費用対効果、そういったことを勘案した上で、必要なものを国として判断するということだと思っておりますが、そうした前提に立ち、おたふく、水痘、B型肝炎などは、その有効性、安全性が確認され、他の先進諸国でも定期接種化されているものでございますので、財源の確保等の問題はあるかと思いますけれども、定期接種化を推進し、我が国がワクチン後進国から脱却できるように、そして、子供たちの安全、安心、命を守ることができるようにしていただきたいと思いますが、今後の展望はいかがでございましょうか。

秋葉副大臣 今先生御指摘のとおり、日本も、いつの間にかワクチン後進国になってきた面がございます。

 これから、我が国の予防接種は、先進諸国と比べて非常に公的な接種の機会が少ないという、いわゆるワクチンギャップという状態に直面しているわけでございまして、この早期解消ということが必要だというふうに思っております。

 このため、昨年の五月、予防接種部会の第二次提言におきまして広く接種することが望ましいとされた七ワクチンのうち、Hibなどの三ワクチンにつきましては、地方の財源を確保した上で、定期接種化を先行的に実施するということにさせていただいているところでございます。

 この国会でも提出させていただいております法案は、我が国の予防接種策を大きく前進させる第一歩であるというふうに認識しているところでございます。

 ワクチンギャップのさらなる今後の解消のために、残りのおたふくや水痘などの四ワクチンを定期接種に位置づけることにつきましても、今後、財源の確保の方策も含めまして、地方自治体等の関係者と協議をさせていただきながら、前向きに検討してまいりたいと存じます。

豊田委員 どうもありがとうございます。

 この関係でもう一点。

 定期接種化するかどうかというお話、今お答えいただきまして、ありがとうございます。

 そして、さらにそれ以前の問題として、先進国では当たり前に使われているけれども我が国ではそもそも認可をされていない、定期接種化以前に認可されていないので使えないワクチンというものもまだございます。当然これは薬にも同じ問題がございます、いわゆるドラッグラグでございます。

 私の経験をお話しさせていただきますと、スイスとフランスで一人ずつ、仕事をしながら子供を産みまして、向こうは五種混合、六種混合という便利なワクチンがございます。これは、日本では認可をされていませんので、使えません。

 まず、子供が痛い思いをする回数が圧倒的に少ないです。それと、親の側から見ても、子供を病院に連れていくというのは結構な負担でございまして、あと、やはり、そもそも元気な子供を小児科に連れていくということで、何か感染するというようなリスクもございますので、こういったワクチンを推進するということは、子育て支援の一環にもなるのかなというふうに思っております。ぜひよろしくお願いしたいと思っております。

 そしてまた、新たな薬、こういった創薬分野、医療分野は、成長戦略の観点からも非常に注目されているところだと思います。こうした薬やワクチンといったものの開発、生産、販売等におきましては、国内の産業の振興、発展、また、メーカーに対する支援といったものも成長戦略の観点から御検討いただければなというふうに考えておりますが、いかがでございましょうか。

 今の二点、お願いいたします。

秋葉副大臣 これも大変重要な御指摘をいただいたというふうに認識しております。

 ワクチンの開発や生産の担い手でありますワクチン産業を国内で育成することは、健康危機管理上も極めて重要だと認識しております。

 また、実際に、保護者にとっても負担感にもつながっているという現状も指摘されている、そのとおりだと思います。

 厚生労働省としましても、これまでも、全国民分の新型インフルエンザワクチンを約半年で生産できる体制を構築する事業を実施してまいるなど、ワクチンの研究開発の促進と生産基盤の強化に取り組んできたところでございます。

 また、ことし一月に閣議決定されました緊急経済対策に基づいて、新興・再興感染症などに対する新たなワクチンの開発に関する研究を推進するための経費として、二十五年度予算案に三億円を計上させていただいているところでもございます。

 今後は、新たに設置する予定の評価・検討組織におきまして、御指摘の混合ワクチンなど、開発優先度の高いワクチンの開発の検討をするとともに、本法案においても策定されることと予定されている予防接種基本計画の中で、予防接種の研究開発の方向性を示すことなどにより、企業が研究開発を進めやすい環境も整備してまいりたいと考えております。

豊田委員 ありがとうございます。

 最後に、さきの大戦による戦没者、戦傷病者、また御遺族に対しての援護の問題を伺いたいと思います。

 私、厚労省におりましたときに、医療、介護、福祉の分野に加えまして、この援護行政にも一年間携わっておりました。御遺骨の御帰還に行きまして、白木の箱を胸に抱えて飛行機に半日乗っておりまして、そのときも非常にさまざまな決意をしたのでございますが、今回、戦没者の妻、父母に対する特別給付金、前回支給された国債が最終償還を迎えるということで、この法案が提出されたと思いますけれども、これは必ず実現していただきたいと思います。

 そして、この援護行政、祖国を思い、家族を思って異国の地で亡くなられた数百万の方々、そしてまた、体に、心に傷を負って帰られた戦傷病者の方、そして、最愛の家族を失って、その悲しみの中に耐えてこの戦後の混乱期を乗り越えてこられた遺族の皆様、今、風化をしていっているのではないかという懸念がございます。戦争を知らない世代も、私もそうでございますが、ふえてまいりました。

 しかし、この現在の日本の平和と繁栄は、こうした大変な御労苦とお悲しみの上に築かれたものであるということにもう一度思いをいたし、その上で、今我が国を取り巻くさまざまな厳しい国際環境にどのように誠実に対応していくのか。この戦後六十七年守り抜いてきた平和をこういった観点からも堅持していくんだということ、そして、そのことを次の世代に伝えていくという観点からも、この厚生労働分野における援護行政は非常に重要なものであると私は思っております。

 こうした、さきの大戦の戦没者、戦傷病者、遺族の援護について、国の改めての御決意を伺えればと思います。

丸川大臣政務官 豊田議員が議員となられてその思いを新たにしていただいたこと、本当にありがたいことだと思っております。私自身もまた、政治家となりまして、このような立場から、戦没者、戦傷病者、また戦没者の御遺族の皆様に国の立場から援護ができるという、このような仕事をさせていただけること、本当にありがたいことだと思っております。ともに思いを一つにして頑張ってまいりたいと思います。

 私たちは、日本人として、この日本の平和と繁栄の礎には、さきの大戦におけるとうとい犠牲と、そして、戦傷病者の皆様、また戦没者御遺族の御苦労があったということを絶対に忘れてはならないと思います。

 こうした方への援護は国の果たすべき責務でございまして、今後ともしっかりと取り組んでいく決意でございます。

 今国会には、御遺族の御要望も踏まえまして、戦没者の妻や父母等に対する特別給付金を継続して支給するための法案を提出しておりまして、早期の成立をぜひお願い申し上げたいと存じます。

 また、戦没者の御遺骨の収容など、残された課題にも引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

豊田委員 本日は、たくさん御準備、また御答弁いただきまして、まことにありがとうございました。

 先生方の御指導を踏まえながら、私、頑張ってまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。また、よりよき社会保障、厚労行政の未来、ともに歩んでいただければというふうに思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、まことにありがとうございました。

松本委員長 次に、中川俊直君。

中川(俊)委員 自由民主党の中川俊直でございます。

 私も豊田委員と同様、国会で初質問ということになります。国の厚生労働行政を担うこの委員会の一員として、謙虚、懸命に歩んでまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしく御指導を賜りますようにお願いをいたします。

 まず、田村大臣の所信表明演説にもありましたように、厚生労働行政は、まことに大変幅広く、生活や雇用、また医療、介護、福祉、また年金に至るまで、国民の生活に本当に密着したものばかりであって、国家国民の人生設計そのものを担う大事なところであろうというふうに存じます。

 また、人口減少、超少子高齢化社会の時代のフロントランナーを走る日本にとっては、まさにこれから我が国の制度設計というものが、世界じゅうが注目をしている、そうした中で、厚生労働行政の担う役割は大変大きいと存じます。

 そこで、今回は、これからの日本の心のケアのあり方と、さらには、持続可能な年金制度のあり方、この二つに絞って、私の方は質問をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 近年、日本は、高度経済成長の名のもとに、戦後、どちらかというと経済成長ばかりを追い求めて、何か、心の豊かさとか、そういったあり方についての点というのを見失っていたのではないかという指摘が後を絶ちません。

 実は、私自身が心のケアの専門家である精神対話士という資格を取得しておりまして、きょうは桝屋副大臣もいらっしゃるんですけれども、今、全国に千人ばかり有資格者がおりまして、公明党の地方議員の先生方も三人ばかり資格を取得されております。

 こういった中で、うつ病やニート、引きこもり、また独居高齢者、おひとり暮らしの高齢者の方々と対話を通じて多くのところで接させてもらっているんですけれども、どうも、やはり、現代社会に潜む心の病の深刻さというものを痛感してなりません。

 そこで、まず第一にお伺いをさせていただきたいんですけれども、直近の数字で結構ですので、厚生労働省として把握をしています一年間の自殺者の数、うつ病患者の数、ニートの数、引きこもりの数、独居高齢者、おひとり暮らしの高齢者の数についてお聞かせください。

丸川大臣政務官 中川議員にお答えを申し上げます。

 まず、御自身の精神対話士としての経験から、こうして心の問題を抱えた皆様方に温かいまなざしを向けてくださっていることに、本当に感謝を申し上げたいと存じます。

 まず、我が国のうつ病等の気分障害の患者の皆様の数ですが、平成二十三年で九十六万人で、これは十数年で倍以上に増加をしております。

 また、ニートの方々、こうした方たちの人数は、平成二十四年で六十三万人でございまして、最近五年ほどは六十万人程度で推移をしております。

 また、引きこもりの方々の数、これは推計でございますけれども、世帯数で申し上げますが、二十六万世帯。

 また、六十五歳以上の高齢者の単身の世帯というのは、平成二十二年で四百七十九万世帯で、これは増加傾向でございます。

 そして、自殺者、平成二十四年での自殺者の数でございますけれども、およそ二万七千八百人でございます。

中川(俊)委員 ありがとうございました。

 もう一度ちょっと、皆さんとともに、心の時代の数字ということで状況を共有させていただきたいので、復唱させていただければと思うんですけれども、一年間で命を絶たれる方が十三年連続で三万人を突破していたのが、最近ちょっと下降傾向になりました。これは、二〇〇六年の自殺対策基本法等々以降、心の対策等々にしっかりと寄せられたものの成果であるということはあると思います。

 こういった中で、自殺者が二万七千八百五十八人、うつ病の方が九十六万人、また、ニートが六十三万人、引きこもりが二十六万世帯、さらには、独居高齢者の方が四百七十九万世帯、このような御指摘をただいまいただきました。

 ただ、一方で、うつ病の方の数、先ほど九十六万人ということでありましたけれども、東日本大震災等々の傾向がありまして、そちらの方の統計というのもしっかりととれていませんし、必ずしも、百万人を突破してから減少傾向であるとも言えないような状況であります。

 さらに言うならば、病院に実際に行ってうつ病と診断されている方が九十六万人ということで、実数でいうと、本当に、四百万人とか五百万人とか、そういった数が全国各地にいるというような状況であります。

 そこで、うつ病対策についてお伺いをさせていただければと思います。現在、どのような対策、またどのような予算づけ等々を政策としてなされているのか、お伺いをさせてください。

丸川大臣政務官 うつ病対策については、うつ病の早期発見、そして早期の治療が必要だというふうに考えております。

 平成二十年度から、うつ病を抱えた方々に接することが多いかかりつけ医の方々、そして看護師さん等を対象といたしまして、早期発見への対応力を向上させるための研修を実施させていただいております。

 また、平成二十三年度からは、薬物療法以外でうつ病の治療に効果がある認知行動療法、これは、うつ病になりやすい方の考え方の偏りを面接を通じて修正していくという療法でございますけれども、この認知行動療法の普及を図るために、精神科医の先生方等に対して研修を実施させていただいております。

中川(俊)委員 ありがとうございます。うつ病の対策についてもお伺いをさせていただきました。

 次に、ニートと引きこもりの対策について伺わせていただければと思います。

 ニート、引きこもり対策については、先ほど、補正予算等々でも地域若者サポートステーションですとか、これが十億円から五十億円に増強されたというような話も聞いております。また、引きこもりの地域支援センターなどがありますけれども、こういったものがどういう活動をなされていて、また全国にどのくらいの数があるのか、教えていただけますでしょうか。

丸川大臣政務官 ありがとうございます。

 まず、ニートの方々に対しての地域若者サポートステーション、おっしゃるように予算がつきまして、合宿型の訓練なども復活をさせていただきましたけれども、これは、一人一人の状態に応じて、臨床心理士などによる相談で課題を共有しながら、コミュニケーション訓練ですとか、それから職場体験など、就労に向けた支援等も行っております。平成十八年度から設置を開始いたしまして、平成二十四年度は全国に百十六カ所、この地域若者サポートステーションが設置をされております。

 一方、引きこもりの方々に対しての支援でございますけれども、その専門相談窓口というのが、そもそも、精神保健福祉センターであるとか、あるいは保健所、あるいは児童相談所など、その年齢等に応じていろいろな窓口で相談等は受けさせていただいております。それに加えて、このひきこもり地域支援センターというのが、平成二十一年度から、都道府県それから指定都市を中心といたしまして設置を開始いたしまして、今、全国三十六自治体、三十八カ所に設置をされております。

 このひきこもり地域支援センターにおいては、関係機関との連携を図りながら、アウトリーチです、相談や訪問、こういうことに力を入れ、また居場所づくりといった支援も行っております。

中川(俊)委員 ありがとうございます。

 私が今この質問で最も言わせていただきたいのが、地域若者サポートステーションにしろ地域支援センターにしろ、本当にすばらしい取り組みであろうと思うんです。私、精神対話士として多くのクライアントさんと接させていただいて、実は親御さんたちがこういった存在を知らないという実態があるんです。

 例えばハローワークなどは全国的に認知されていますけれども、地域若者サポートステーションとかそういったものを、自分たちの子供たちがニートや引きこもりになって家にいて、実際問題、戸別訪問をさせていただいても、ピンポンを押すとそういった四十歳の方々が出てきて、その親御さんがかわりに働いている、そんなような現状を地元でも見るんです。

 一体どうすればいいんでしょうかという中で、ここでお願いがあるんですけれども、ぜひ厚生労働省としても、認知、もっと知名度を上げるような啓蒙活動であったりですとか、またマスコミを通じての広報活動、さらには、ぜひ田村大臣みずからそういったところを視察いただいて、こういった施設がありますよというような形でどんどんアピールをしていっていただいて、本当に困っている親御さんというのも数多くいらっしゃいますので、どんどんそういったものを活用していただくように方策を練っていただければ、このように思うところであります。どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に、六十五歳以上の独居高齢者対策について伺います。

 先ほどありますように、本当にこういった数というのが右肩上がりで推移をしておりまして、昨今、単独の独居世帯数がおよそ四百七十万世帯、さらには、二人だけの六十五歳以上の高齢者の家庭が五百八十二万世帯あります。そして、調べてみると、親と、昨今の現代社会を象徴するように未婚のお子さんと二人暮らしで、こういった世帯というのは三百七十四万世帯いるというような状況であります。

 これからのそういった孤立した時代という中で、今の独居高齢者対策の施策、また予算がどのように組まれているのか、可能な中でお答えをお願いいたします。

丸川大臣政務官 どのような取り組みをしているかということについてお答えを申し上げたいと思います。

 まず、民生委員それから社会福祉協議会が、見守り、相談支援というのを実施していただいておりますほか、各市町村の地域包括支援センターで高齢者の皆様方の総合相談を行っております。

 また、地域包括支援センターが、自治会それから地域の関係機関、そうしたところにネットワークを組織していただいて見守りを実施している、これは市町村ごとに取り組みがさまざまにございまして、さまざまな努力を各市町村でやっていただいております。

中川(俊)委員 ありがとうございます。

 こうした取り組みもぜひどんどん広めていただくように、本当に何か、例えば厚生労働省のホームページの一元化の中で、心の対策というような形で一つに絞って、こういったテーマのこと、心に悩んでいることがあったらぜひここを見てくださいというような活動を繰り広げていただければというふうに思っております。

 次に、ちょっと伺いたいことがあるんですけれども、近年、心理士の国家資格化の動きなどが報道されていますけれども、今検討されている資格の条件、またどのような資格となるのか、見通しについてお聞かせをいただければと思います。

岡田政府参考人 お答えさせていただきます。

 臨床心理士など心理職の方は、保健医療のほか、福祉や教育、司法、産業などさまざまな分野で役割を担っていただいているというふうに考えております。また、東日本大震災の被災地でも、被災者の方々に対し心のケアを行うなど、心理職の方々の役割は非常に重要になっているというふうに考えております。

 こうした心理職の国家資格化につきましては、関係団体から超党派の国会議員の先生方に対しまして、その資格が持てます要望が現在出されているところでございます。

 現在、新たな国家資格の名称として心理師といった案が出されているとか、その業務といたしましては、保健医療、福祉、教育などさまざまな分野で関連職種と連携して国民の心の問題への適切な対応と予防を担うことなどが議論されているというふうに承知しております。

 その要望書の中でも、国家資格であるその資格を受験するための資格についても、学部で心理学を卒業した方であるとか、その後、大学院での修士課程ないし専門課程を修めた方であるとか、学部で心理学を修めて卒業した後に施設における数年の実務経験をしたというようなことが、具体的な提案がされているというふうに聞いております。

 こうした御提案をもとにして現在議論がされているというふうに承知しております。引き続き、こうした関係者の御議論の状況を注視していきたいというふうに考えているところでございます。

中川(俊)委員 ありがとうございます。

 こうした時代背景の中で、心理士の国家資格化というものも重要であるというふうに私も認識をしておりますが、私、ちょっと何点か、本当にここで問題があるというふうに思っているんです。

 心理士というのは、まさに医療現場で、治療をベースにした心のケアであって、実際問題、本当に悩んでいる人たちにそばで寄り添うというところではないというふうに思うんです。

 そういった中で、先ほどおっしゃった、大学院を卒業しなくては、専門職課程とかそういうのを終えなくては資格が取れないというと、実際に心のケアに苦しんでいる人たち、そういった人たちに寄り添うことというのは、私は不可能ではないかというふうに懸念をしておるんです。

 やはり、多くの中で苦労をしてきて、そういった中で介護の資格を持って介護士をやられていて、本当に人の心の痛みのわかる人、こういった人たちに、まさに心の時代の中での寄り添っていく専門職というものも、実際問題は、これは別問題として、国としても大いに活用していくべきであろうというふうに思っています。

 精神対話士のほかにも幾つかの仕事が専門職でもありますけれども、例えば、精神対話士の場合は学歴などは有しておりません。しかし一方で、合格率は本当に一〇%ぐらいの狭き門で、それこそ大学院を修了した者から、中学までしか卒業していない方まで、幅広く資格を有しているわけであります。

 こういった中で、例えば、若い世代の子供たちが親を殺してやりたいほど憎いと言っても、こういった言葉に対して、傾聴し、受容し、共感をして聞いていくというスタイルをとっています。

 それはどういうことかといいますと、例えば、そういうふうに親を殺したいほど憎いと言っても、そんなに悩んでいたんだね、つらかったね、私たちでよかったら何でも聞くから話してよという形で、まず心を開いていくわけであります。私たちも多くの事例を見てまいりましたけれども、子供たちが本当に多くの涙を流しながら、とうとうと、今まで言えなかった心の扉をようやく開いて、その上で、みずからの言葉によって、生きる希望とか、そうした次なる目標というものをようやく話してくれて、そういった中でまた社会に復活をしてきた、こういった事例も数多く見てまいりました。

 先ほど来の地域若者サポートステーションですとかそういった数多くの施設、また、東日本大震災でも心理士だけをやたらと御省として取り上げていらっしゃいますけれども、そういった観点からは、本当に人の心を癒やして寄り添うという専門職という存在があります、そういったものの活用も大いに御検討いただければと思います。

 時間が限られてまいりましたので、ちょっと、年金制度、そして最後に大臣に対する御所見についてお伺いをさせていただき、質問させていただければと思います。

 年金もやはり若い世代の閉塞状況の一つになっていまして、将来の年金、医療制度は大丈夫か、そういった指摘が後を絶ちません。二〇二二年には二人で一人の高齢者を支えて、二〇四〇年には一・五人で一人という試算もありますけれども、こういった中で、現行の賦課方式による年金制度というのは実際問題大丈夫なのか、その辺についての御見解を聞かせていただければと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 現行の年金制度につきましては、急速に少子高齢化が進む中で、平成十六年に大きな制度改正をいたしておりまして、ここで、基礎年金の国庫負担については二分の一とする、あるいは、マクロ経済スライドといった制度を導入することによりまして、制度の長期的な持続可能性というものを高めるという制度改正をいたしております。

 今回、社会保障・税一体改革の過程で、この基礎年金の国庫負担につきましては、消費税の導入をいたしまして、消費税財源をもって二分の一を恒久化するという制度改正をいたしました。また、いわゆる特例水準の解消、物価の下落にかかわらず年金額を据え置いてまいりました部分につきまして、今回解消するという制度改正をしていただきましたので、マクロスライドを発動する条件がそろったということで、この平成十六年の財政フレームが完成をしたというふうに私どもは考えております。

 基本的には、この十六年改正のフレームを前提に、今後定期的に財政運営を検証していく、その都度必要な手当て、制度改革をしていくことによりまして、長期的な制度の安定は図られるものというふうに認識をいたしております。

中川(俊)委員 ありがとうございます。

 とにかく、今の若い世代は、将来の年金を含めた社会保障、こういったものが本当に大丈夫なんだろうかとか、また、失われた二十年の中で、そういった非正規雇用というものに最初についたがために、スパイラルのように、非正規雇用の連鎖からずっと抜け出せなくて、そういったものでうつ病になったり、引きこもり、ニートといった現状になってきております。

 最後に、田村大臣にお伺いをさせていただいて、質問を終えさせていただければと思います。

 やはり、安倍総理のもとで強い日本を取り戻していくためにも、老若男女問わずあらゆる世代が強い気持ちを取り戻していく、また、本当にそういった意味での厚生労働行政の果たす役割は大きいと思いますが、その辺の大臣の御見解、決意をお伺いさせていただければと思います。

田村国務大臣 老若男女、本当に日本の中でしっかりとみずからの立場を守っていただくといいますか、その意味では、生きがいのある生活という意味で、働けるうちは働こうという意欲のある方々、そういう方々が社会に参画していただくことは大変重要だというふうに思います。

 生涯現役社会ということを安倍内閣でも言っておるわけでありますけれども、高齢者もそうなんですが、若年者の失業率がやはり非常に高いわけでありまして、そういう意味では、ここをどうするか。特に、今、ニート、それから引きこもり、フリーターの話もございました。学校を卒業した時点で就職がかなわないと、そこでどうも自己喪失感が生まれて、結果的には、その後ずるずるとという場合がございます。

 そこで、新卒応援ハローワーク、こういうものを設置しまして、しっかりとまず卒業時に何とか就職していただくような、そんなお手伝いをしていこうということで、これはキャンペーンを張っております。

 それから、若者自体も、一度失敗しても、若者自体のハローワーク、これは窓口をつくって、これ自体がないところでもハローワークにちゃんと支援の窓口をつくっておりますので、そういうものを利用していただきながら、まずは、やはり自分自身に自信を取り戻していただきながら、その上で働いていただく、こういうような応援をしてまいりたいというふうに思っております。

中川(俊)委員 田村大臣、ありがとうございました。

 とにかく、経済も心もともに追い求めた強い日本であることを本当にこれからも目指していくことを心から念じまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、三ッ林裕巳君。

三ッ林委員 自由民主党の三ッ林裕巳でございます。

 私も今回が初質問となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、きょうは、三つの質問をさせていただきます。控除対象外消費税の問題、それと特定健診の問題、そして病児保育、病後児保育について、この三つの問題について御質問をさせていただきます。

 私は、これまで医療に医師として三十年間携わってまいりました。主には大学病院そして地域の市立病院を通して、これまで医療、介護について私は携わってまいりました。そして、当選させていただきまして、この厚生労働委員会に所属しましたこと、私は大変光栄に思っておりますと同時に、強い責任を感じております。

 まず、控除対象外消費税の問題でありますけれども、今、日本の医療は民間医療で成り立っている、これが基本であります。そして、控除対象外消費税の問題、いわゆる損税は、今、医師の間で大きな問題となっております。これが来年の四月には、経済の状況にもよりますけれども、八%、そして、再来年には一〇%になると言われております。

 このような中で、今、五%の段階で、大学病院で大体年間三億六千万、そして個人の開業医では二百万、三百万の損税が生じております。必要のない消費税、現在これを支払っております。

 これが八%、一〇%になるということに対して、本当に、これは医療崩壊につながる危険性がありますので、ここはしっかりと、これからの消費税の問題には対応していただきたい、このように思っております。

 特に、消費税の問題ですけれども、これまでは診療報酬に上乗せするという形でやっておりますけれども、これがこのままでいいのかどうか。当然、現在、中医協で議論の最中でありまして、それは重々承知の上での質問になりますけれども、これからの消費税の問題、果たして、診療報酬に上乗せする、これに対しては医師の間ではかなり不安がありますので、この不安をやはり払拭する必要があると思います。上乗せするだけでいいのか、それとも課税としてしっかりやっていくべきなのか、大臣の御見解をお聞きしたい。よろしくお願いいたします。

田村国務大臣 大変大きな問題であるというふうに認識いたしております。

 消費税をスタートしたときに、いろいろな議論がありました。医療に対して課税をすべきかすべきじゃないか、いろいろな議論の中で、やはり、医療保険というのは国民の健康の大もとであるということで、基本的にこれは課税すべきではないという形の中において、非課税と。

 そして、結果的に今、損税という問題が、先生おっしゃられたとおり、生じておるわけであります。診療報酬の中で、スタート時に〇・七六%、それから五%に引き上げるときに〇・七七%、合わせて一・五三%入っているという話ではあるわけでありますが、数度の診療報酬改定の中で、では、それが今どこにあるのかはっきりわかるのかという御議論も、いろいろと医療関係者の方々からも頂戴しておるところであります。

 そして、いよいよ八%、一〇%ということになってまいりますから、そういう意味ではこれは大変大きな問題になってきておるわけでありまして、特に、高額の医療機器等々を購入されたところは、やはりその分だけ損税の影響が非常に大きいわけでありますから、大変なことになるということでございますので、ここに対してどういう方法があるのか。

 今、中医協での議論があるというようなお話がございましたけれども、ここで、どういう形でこれを見ていくのかということで今御議論をいただいておりますが、一方で、それだけではやはり他の部分というのは見られないわけでございますから、とりあえず、八%のときはちょうど診療報酬改定と重なるものでありますから、そこである程度また、再度これは勘案していこうというような議論を今していただいておる最中でございます。

 ただ、その後また、一〇%というのがすぐ控えておるわけですね。この時点では抜本的にやはり見直さなきゃいけないのではないかという議論を、実は党の税調の方でも御議論いただいております。実質的に軽減税率という形で課税をするのか、ゼロ率課税のようなことを考えるのか、いろいろな議論をいただいておりますが、ただ、そのときには、当然、全て帳簿上わかってしまうので、今の概算経費率みたいな問題をどう考えるのかという話も出てくるんですね。

 そうなると、やはり医療機関も、それぞれの病院でありますとか診療所によって若干なりとも考え方が違ってくるという部分もあるわけでありまして、そこを調整しながらこれは決めていかなければならないという話でございます。一〇%までには少しばかりまだ時間がございますから、党の方で御議論をいただきながら、政府の方もその中に加わらせていただいて、また関係者の方々の御意見も当然聞きながら、よりよい方向というものを模索してまいりたいというふうに思っております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 医療にかかわる消費税の問題については、法律で、引き続き検討するということになっておりますけれども、やはり、一〇%になるときに、結局、再来年の十月を予定しておりますけれども、それまでにしっかりと、一〇%になるまでに、課税のあり方、診療報酬は診療報酬で手当てする、消費税の問題は課税は課税として対応する、別々に分けて考えていった方がいいと思いますし、そうしなければとてももたないと思います。

 一〇%になるまで、時間的にはもう限られておりますが、一〇%になってから手当てを考えるというのでは医療現場はもちませんので、ぜひともそれまでにしっかりとした結論をしていただきたい。その点につきまして、もう一度お願いいたします。

田村国務大臣 これは、党の税調の議論というのがございます。税は、やはり与党の議論というものが非常に重いというのは、もう委員も御承知のとおりでございますので、そちらの方で間に合わせるように御議論をしていただくというようなお話もお聞きをいたしておりますので、与党の方ともしっかりと連携をしながら、憂いのないように対応してまいりたいというふうに思っております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 続きましては、特定健診の問題について質問させていただきます。

 特定健診につきましては、これは内臓脂肪症候群、要するに、本当に働き盛りの中高年の方が突然死をする、心筋梗塞になる、そういった原因が内臓脂肪の肥満に原因している、こういうことで、特定健診、できるだけ予防に着目した点で、これは私は、すばらしい、特定健診というのは今根づいているなと思っております。

 ただ、特定健診におきまして、要するに、生活習慣病である高血圧、糖尿病、そして脂質異常症、これを予防的に改善して、心筋梗塞、脳梗塞、こういった突然起こる疾病を予防して、社会の損失をなくす、そして経済的損失をなくすということでありますけれども、今、日本に、高血圧の患者さんは二千万人、糖尿病の患者さんは五百万人いると推計されております。そして、糖尿病に絞って考えますと、この五百万人の方が終末期は心筋梗塞や腎不全になっていくわけでございます。

 腎不全の患者さんが三十万人、今この日本で治療を受けております。どういう治療かというと、血液透析治療を受けております。この血液透析治療は、一カ月五十万の費用がかかります。これは身体障害者一級になりますので、全て国の費用となります。一人当たり六百万の医療費が今かかっております。これが三十万人ですから、一兆八千億、一つの病気でこれだけの費用がかかっている、そういう現実があります。

 これではなかなか医療がもたないというのはもう当然のことでございますけれども、この糖尿病をできるだけ少なくしていこう、減らしていこうという意味で、特定健診はいい。

 ただ、私は医師でありますけれども、特定健診の中に、歯科から見た、一昨年、口腔保健法が成立いたしまして、歯科医療が、歯科だけ、口の中だけではなくて、やはり歯科の全身に与える影響というのは非常に大きいものがあります。

 私は、この特定健診が始まるときに、特定健診を策定する中心人物の方でございます東京逓信病院の宮崎滋先生のもとで、一緒にやっていたんですが、歯科の医療に、いわゆる歯周病疾患ですね、歯周病疾患というのが糖尿病の悪化を進めている、これはエビデンスとしてもしっかりありまして、できれば歯科検診、これは、自民党の選挙公約でありますJ―ファイルにも、メタボ健診に歯科医療を参入させること、こう書いてあります。

 私としては、今ある特定健診に歯科医療の歯周病検診、これを入れることによって糖尿病の疾患の患者さんの数は減るし、それによって終末期である腎不全の方、これも減っていく、こういうことを考えると、経済的にまた国の費用も下がってくる、このように考えておりますが、歯周病検診を特定健診に参入させる考えといいますか、それをお聞きしたい。どのようにお考えなのか、秋葉副大臣、よろしくお願いいたします。

秋葉副大臣 ただいま先生から、本当に長年にわたる医療の現場を踏まえた御意見、御質問だったというふうに思います。

 私自身も、健康診断などは学齢期からいろいろな場面で義務づけられておりますが、歯科だけは一回だけで、その後、十分な歯科の検診の機会がないということについて、充実を図るべきじゃないかという問題意識を持って取り組んできたところでございます。

 特に、歯と口腔の健康については、健康で質の高い生活を営む上で極めて重要だと考えておりまして、新年度に始まる第二次の健康日本21におきましても、八十歳で二十本以上の自分の歯を有する人の割合を平成三十四年度で五〇%とするなど、具体的な数値目標なども設定をしているところでございます。歯科口腔保健に関する知識等の啓発普及、八〇二〇運動のさらなる推進に取り組むことも重要だと思っております。

 また、先ほど御指摘をいただきました、一昨年の八月に歯科口腔保健の推進に関する法律が成立をしたところでございまして、この法律を踏まえまして、今後、例えば、口腔の健康に関する調査研究のさらなる促進、歯科口腔保健の推進に取り組んでいくことが重要だというふうに考えております。

 現在、保険者による特定健診におきましては、メタボリックシンドロームに着目して、生活習慣病の予防による医療費適正化を目的として実施をしております。さらに、先生御指摘の特定健診に歯周病も含めた歯科検診を追加することにつきましては、歯科口腔保健と生活習慣予防との関連について、科学的な見地からさらに検討を進めてまいりたいと思います。

 また、歯科検診が医療費の適正化効果を有するかどうかという見地からも検討してまいりたいと考えておりますが、先生の御質問にもございましたとおり、極めて有効であるという意見もございますので、積極的に検討して、前向きに取り組んでまいりたいと思います。

三ッ林委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 最後の質問ですけれども、保育に関しまして質問させていただきます。

 私は、選挙中から、病児保育、病後児保育、これを訴えてまいったわけでございますけれども、今政府の進めている認定こども園、これは私も拡充していくことに大賛成でございまして、よろしくお願いしたいと思っております。

 ただ、病児保育、病後児保育、これは、お子さんがちょっと熱を出したときにそれを受け入れる、そういった施設を病児保育、病後児保育といいますけれども、なかなか根づいていないのが現状でございます。

 そして、病児保育は、これからの女性の社会進出には非常に欠かせない施設だと私は思っております。今、核家族が九割以上というこの日本の現状の中で、人に預けられない、こういった状況もありますし、女性の方が仕事をしていて、保育所にお子さんを預けていて、熱が出たから引き取りに来てください、そういったってなかなか行けない、そういう現実があるわけであります。これは、私は、いろいろな方から聞きまして、病児保育、病後児保育を何とか日本に根づかせたいな、そういう思いであります。

 ただ、やはり現場の方にお聞きしますと、非常に大変だということなんですね。私は、板橋区で、知っている先生がやっているので調査したところ、板橋区は七十万人の人口があるわけですけれども、そこで三施設しかないんですね。帝京大学病院と板橋区医師会病院、それと個人の気持ちでやっている、そういう三カ所だけで、病児保育はとても受け入れられない。一生懸命やっている個人の先生は、もう日曜日もない、毎日やっている、そういう状況なので、とにかく数をふやしてほしいということなんですね、数をふやす。

 何が足りないかというと、やはり助成金が足りないんです。今回、予算も昨年度よりはふえましたけれども、やはり病児保育を根づかせていくためには、助成金をもっとふやして、これに取り組む姿勢が必要だと思うんですが、病児保育、病後児保育に対しましての見解を、とかしき先生、お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

とかしき大臣政務官 病児・病後児保育について御質問いただきまして、本当にありがとうございます。

 子供の病は本当にいつ起こるかわかりません。私も女性の多い職場で働いた経験がございまして、本当にこれで困っている方々を多く拝見いたしました。やはり、保護者が就労等の問題で、なかなか子供を預かってもらう場所を探していくことが難しくなっております。これは、女性の社会進出のためにもとても必要な措置だと考えております。

 平成二十五年度の予算案でも必要な経費を計上して、事業の拡大を図るように頑張っておりますけれども、やはり先生おっしゃるようにいろいろ問題も抱えておりまして、年間の延べ利用者数に応じて今補助が行われているということで、いろいろ満足できるような状況にはないことは十分に承知しております。

 今後は、子ども・子育て会議におきまして、量的な拡充とそして質的な改善、この両方の検討を行って、利用者のさまざまなニーズにお応えできるように積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 私も同じ女性の立場として、積極的に推進していきたいと心がけております。よろしくお願いいたします。

三ッ林委員 ありがとうございます。女性の進出は成長戦略の一つでありますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 そして、病児保育の一つの必要なものにお迎え事業というのがあるんですけれども、これは、お母さんが会社で働いていて、お子さんが保育所で熱を出して、迎えに来てくれといったときに病児保育施設がお迎えに行く、このお迎え事業がなかなかないんですね。このお迎え事業というものを展開していくことによって、病児保育、これはしっかり根づいていくことかなと思っております。

 私の選挙区でも、六市二町あるんですけれども、一カ所しかありません。何とかこれをやっていきたいと思いますが、どうぞ今後ともよろしくお願いします。

 以上、三点質問させていただきました。初質問で至らない点がありましたが、どうもありがとうございました。

松本委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一でございます。

 私も新人議員でありまして、初めて質問させていただきます。

 私が本日質問させていただきたいのは、大まかに言いまして二つです。一つは、まず国の難病対策、もう一つが、医薬品のインターネット販売というものについて質問させていただきます。

 まず、難病対策。

 いわゆる難病といいますのは希少難治性疾患、これは、国民の誰にでも発症する可能性がある。もちろん確率は少ないんですが、生物の多様性というものを人類が持ち合わせている以上は、必ず一定の割合で発症して、苦しまれる方々がいらっしゃいます。そうした意味からも、こうして不幸にも難病に罹患された方々、御家族、これを社会全体で包含していく、そしてまた支援していくということは、人類社会においての一つの必然であると私は思っております。

 しかし、現在の難病対策、さまざまな課題があるのも事実でございます。

 例えば、まず一つは不公平感です。

 現在指定されているほかの難病と同じように、希少であって、まれであって、そして治療も難しい。同じように苦しまれているのに、病名が難病と認められていないために、何ら補助がないという方々がいらっしゃる。

 また、もう一つの問題は、難病対策に対する法的な裏づけがないということです。毎年毎年、予算要求が必要になります。シーリングの対象になります。

 その中で、難病への助成というのは、本来であれば国と地方が折半をして負担することになる。例えば、二〇一二年では千二百七十八億円の総額の事業費、このうち、国は、本当は約六百三十九億円の負担をする必要があるんです。ところが、結果として、予算措置、国は実は三百五十億円しかなされていない状況です。結局は地方が、国の足らない差し引き分の二百八十九億円と、そして自分たちの折半分、これを全部負担している。いわゆる国が地方に責任を押しつけている状況であるのも事実であると思います。

 こうした現状の制度を抜本的に見直していく必要があると思いますが、現在、この難病患者の公的支援制度について、厚生労働省においては新法制定を目指して議論されていると伺っております。その方向性について、まず大臣にお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 難病対策、大変重要な問題でございます。

 安倍総理も、潰瘍性大腸炎という難病のもとでお苦しみになられて、一度総理をおやめにならざるを得なかった。そんな中で、いい薬ができて、根治はされていませんが、症状を抑えられるということで、再度復帰をされて今に至っておるわけでございまして、総理の方からも、難病問題は大変重要な問題だというような、そんなお言葉をいただいております。

 やはり医療費助成、それから研究費等々の事業、いろいろな問題があると思います。今、百三十の研究疾患に対して、五十六疾患しか医療費助成が出ていないという問題。そもそも、研究も奨励事業になっている部分もございます。これをどうするんだという問題もございまして、厚生科学審議会のもとで難病対策委員会をつくっていただいて、一年四カ月にわたっていろいろと議論をいただいてまいっておりました。

 一月に提言をいただきまして、今委員おっしゃられました、一つは、その対象範囲をどうするんだ、もうちょっと拡大した方がいいじゃないか、こういう御議論もいただいておりますし、一方で、地方の超過負担、これが、本来国が持たなきゃいけない部分まで含めて、地方に今面倒を見ていただいているという部分がございます。

 二十五年度に向かっては、若干この負担、三百五十億円からさらに国の負担をふやしたわけでありますが、それでもまだ超過負担は生じておるわけでございまして、それも含めて、厚生労働大臣、私と財務大臣、総務大臣、この合意の中において、法制化も含めてしっかり議論していくということを今回合意させていただいたわけでございまして、委員会の方でいただいた提言をもとに、これから財源をしっかり確保するということが前提でございますけれども、法制化に向かって準備をさせていただきたいというふうに思っております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 私が現在伺っているところによりますと、先ほど大臣のおっしゃられた五十六疾患、これが最終的には、もしかすると三百疾患ぐらいにまで拡大されるのではないかという話も伺っております。こうした新しい取り組みが難病対策というものを一歩前進させることを期待しております。

 その上で、難病患者の方々が現在不安を持っていらっしゃることがあるんです。それは、新しい難病対策の検討において、こうあります。難病医療の専門医が症状の程度を判定して、受給者かどうかを決めるというようになっております。それによって、現在支援を受けている方々で真に必要としている医療費の助成、これが打ち切られることがあってはならないと思っております。また、医療の質を落とすようなこともあってはならない。

 そういった意味で、専門医が、これが難病ですというふうに指定をする基準というものが非常に重要になってくると思っております。

 これについて、先日、ある難病指定を受けていらっしゃる患者の方から、こういう不安の声を伺いました。

 実は、難病といっても、病気によってその症状にむらがあるんです。調子がいいときもあれば、悪いときもあります。調子がいいときは外に出て自分たちで本当に働くことができる。ところが、調子が悪いときは枕から頭すら上げることができない、こういうことを伺いました。

 もし、働ける調子のよいときに補助の対象から外された場合、いざ症状が重くなったときにどうなるのか、こういう不安な声をいただきました。

 また、対象から外された後、病状が例えば急変して悪化した、その際に、すぐにこの治療を受ける、このときに医療費助成を受けられるような、迅速でまた円滑な手続ができるかどうかという不安な声もいただいております。

 そしてまた、もう一つは、現在この補助の対象かどうかというのが、実は、就労支援にもリンクしております。つまり、難病患者の皆様が、就労を支援するため、働く環境をつくっていくために、今、さまざまな制度があるわけですが、その中で、もしこの患者は症状が軽いからといって補助対象から外すということになると、どうなるか。

 そもそも、症状が軽いから働けるのであって、就労支援の意味があるんです。症状が重い人に限定をしてしまうと、働けないわけです。そういう意味では、就労支援の意味がなくなってしまうという不安の声もございます。

 そうした状況に陥らないかということに対して、そこで、質問させていただきたいのは、こうした難病の認定の基準あるいはその運用について、今どういう方向で検討を進めているかということについて、お伺いをさせていただきたい。

矢島政府参考人 医療費助成の対象患者につきましては、一月に厚生科学審議会難病対策委員会で取りまとめられました提言におきまして、「症状の程度が重症度分類等で一定以上等であり、日常生活又は社会生活に支障がある者」とされております。

 対象患者さんの具体的な認定基準につきましては、今後、難病対策委員会において、個々の疾患の特性も踏まえながら御審議をいただくこととしております。

 また、提言では、症状が軽症化し、医療費助成の対象とならなくなった患者については、再度、症状が悪化した場合の円滑な手続のために、登録者証を交付することとされております。

 さらに、就労支援につきましては、服薬や通院等を続けながら就労できる方がふえてきておる、就労は切実な問題となっているということから、提言では、難病患者が仕事と治療を両立できるように、難病患者に対する就労支援の充実を図ることとされております。

 こうした提言の内容を踏まえつつ、難病患者の長期にわたる療養と社会生活を支える総合的な対策の実現に向け、努力をしてまいりたいと考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 現在、難病で苦しまれている方々の不安の声をぜひ酌み取っていただきまして、医療や療養の質を落とすことのないようにお願いしたいと思います。

 厚生科学審議会の委員会で、先ほど御発言いただきました一月二十五日にまとまった提言に、こうあります。「疾患の克服を目指すとともに、難病患者の社会参加を支援し、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指す」とあります。そのためには、国民の理解というのが不可欠であると私は思います。

 例えば、先ほどの就労支援の話ですが、難病患者の方々がハローワークで申し込む雇用開発助成金というのがあります。これは、難病の方を受け入れた中小企業に対して、百三十五万円支払われるということになっております。

 ところが、難病患者の声、こういう声をいただきました。体の調子がよくて働けるときは企業は何も言わないんです、ところが、いざ調子が悪くなって数日仕事を休まなきゃいけなくなる、連続で休まなきゃいけなくなった、すると、無理解な企業からこう言われる、働けると聞いたから採用したのにと。こんなに休んでもらっちゃ困るということを言われるわけです。

 無理解な企業というのがほんの例外であればいいなとも思うんですが、しかし、少なからず、こうして難病で苦しんでいらっしゃる方々が頑張って働こうとしても、今の社会の無理解の中で苦労されている方々というのは多々いらっしゃると思います。

 こうした企業とか社会に対して、難病患者の方々の状況を理解していただくため、これまで厚労省もさまざま施策をとっていただきました。例えばガイドラインであったりとか、あるいはマニュアルであったりとか。

 そこで、こうした補助制度、あるいは支援制度、こういう制度もありますよという宣伝も含めまして、さらなる情報発信とか周知が必要であると思いますが、その辺の見解を聞かせていただければと思います。

秋葉副大臣 ただいま先生から御指摘いただきましたように、まさに、さまざまな制度をしっかりと告知をして認識していただくということは大変重要なことだと認識しております。

 この一月に厚生科学審議会難病対策委員会で取りまとめられました提言の中におきましては、各疾患の概要や専門的な医療機関等に関する情報をさらに充実させるとともに、難病患者を支援する各種制度、そしてサービスの周知を強化するということとさせていただいております。

 また、今後は、既存の難病情報センター、この難病情報センターには、まさに使い勝手のいいさまざまな情報が網羅されております。こういったものも十分活用しながら、また、こういったサイトがあることも普及啓発を図りながら、患者団体や自治体等とも協力しつつ、難病患者、家族、そして国民への普及啓発をより一層推進してまいりたいと考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 この難病の患者の方々、実は周りの方々にこのお話をしたときに、こう言われたそうです。難病であれば、生活保護を受けてゆっくりしたらどうかと言われたそうです。でも、その方は、自分は働けるうちには少しでも働きたい、税金も納めていきたい、社会保障費も納めて、社会を支える側でいたいということをおっしゃっておりました。こうした思いで、偏見あるいは制度の壁がある中で頑張っておられる難病の方々もいらっしゃる。こうした方々を大いに応援できるように制度づくりをお願いしたいと思います。

 次に、一般医薬品のインターネット販売についてお伺いをします。

 田村大臣は、二年前、厚生労働委員会におきまして質問されました。その中で、安全性の観点から、当時の大臣にこう要望されました。ネット販売の議論について、大変慎重になっていただきたいと。

 しかし、過日、最高裁での判決は、ネット販売を一律に禁止した省令は改正薬事法の範囲を逸脱しており、無効であると。もちろん、これによって最高裁がネット販売は安全ですというお墨つきを与えたわけでは全くございません。ところが、実際は、これで薬のネット販売というのは事実上の解禁状態ということになりました。

 現在、省内でさまざまな検討会を開催されて、いろいろなルールづくりをされていると思います。

 そこで、大臣にお伺いをしたいのは、この最高裁の判決を受けて、大臣はすぐに談話を発表されました。また、先週、三月の八日、規制改革会議から、制度的枠組みを遅くとも半年以内に設ける、これを強く求めるとの見解が出されております。こうした状況を踏まえて、大臣の現在の御所見をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 以前私がそういう質問をしておったということを改めて思い出させていただきました。

 当然、一般用医薬品といっても、これは医薬品でありますから、薬としてのリスクもある、副反応のおそれもあるわけでございまして、慎重にお取り扱いをいただかなければならないものだというふうに思います。

 ことし年明け早々、最高裁で、一般用医薬品第一類、第二類、これを厚生労働省令で一律に郵便等販売を禁止するということに関しては、改正薬事法の委任する範囲として認めることができないというふうな判決をいただきました。一律に禁止することということがついております。ということは、禁止することだけじゃないんです。一律ですから、全て禁止するのはだめだというような、そういう判決であったのであろうと思います。

 そういうことを鑑みながら、一方で最高裁の判決ということも鑑みながら、これをどう取り扱っていくかということでございまして、検討会を立ち上げさせていただきました。いろいろな御議論がございます。この中でも、関係業界の方々、それから医学、薬学的な専門家の方々も入っていただいております。さらには、薬害の被害者の立場の方々も入っておられますし、消費者の方々も入っていただいております。さまざまな御意見がございますけれども。

 一方で、規制改革会議の方からも御意見が出てきたわけでございまして、こういう御意見をしっかりいただきながら、検討会の中で、最終的に、それぞれ一定程度方向性として得られる合意というものがなければ、これはなかなか最終的な決定ができないわけでございまして、そういうような御意見の中で一定方向を見出せるような解決法といいますか、最終的な取りまとめをいただいて、その後、厚生労働省のもとで判断をさせていただくということになろうと思います。

 もちろん、利便性という部分もあろうと思いますが、やはり薬でありますから、安全性の確保をどうとるか、これが重要なところでございまして、その部分もしっかり勘案しながら対応してまいりたいというふうに思っております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 私自身の考え方を申し上げさせていただきますと、国民の命と健康を守るという観点から安全性をいかに確保するか、ここがしっかりと担保されない限りは慎重な対応が必要になってくるであろう、私もそう思っております。

 もちろん、インターネットによって、先ほど利便性と大臣の方からお話がありました。世の中は大きく変わりました。例えばオンライン教育であったりとか、あるいは金融商取引だって電子化される、行政手続だってオンラインでされる。

 医療の分野であっても、遠隔医療というのも今普及をしております。そうした意味で、医薬品についても、自由にいつでも買えるという利便性の向上というのは、これは時代の流れでもあろうと私も思っております。まさしく、消費者の選択肢を広げるという意味があると思うんです。ところが、そうした利便性を追求する前に、安全性を最大限高めていくということがまず必要であろうと私も思っております。

 そうした意味で、この安全性をどう確保するかという点について幾つか質問させていただきたい。

 現在のこの議論において、医薬品のネット販売の安全性といった場合にどのような具体的な懸念があるかについて、お考えをお伺いしたいと思います。

とかしき大臣政務官 質問にお答えさせていただきます。

 委員がおっしゃいますように、インターネットによる一般の薬の販売におきましては、利便性の反面、安全性をやはりどう担保していくのかというのがとても重要になってまいります。

 例えば、どんな具体的事例が考えられるかと申し上げますと、購入者の方が、これは適切なサイトかそうじゃないかということがなかなか判別しにくくて、購入者の意識がないまま違法なサイトから、そしてさらに、不適切な医薬品を購入してしまう場合が考えられます。

 また、購入したサイトで何かしら相談をしようとかトラブルを抱えたといった場合に、相談しようとしましても、例えば、突然そのホームページが閉鎖してしまったりということも考えられます。ということで、責任の所在がはっきりしないということが多々考えられます。

 ということで、先ほど大臣の方からもお答えさせていただきましたように、今、検討会の方で新たなルールづくりについて御検討いただいているところであります。

 厚労省といたしましても、この検討の結果を踏まえまして、一日も早くルールができるように、ガイドラインができますように心がけていきたい、このように考えております。

 ありがとうございました。

伊佐委員 ありがとうございます。

 この大きな懸念は、先ほど政務官の方から示していただきましたとおり、さまざまな課題の中で、大きく分けると私は二つじゃないかと思っています。一つは、副作用の問題、健康被害の問題です。もう一つが、違法業者の問題です。ネット販売を考えていく際に、この二つをしっかりと対応できるのかどうか、ここを議論していく必要があると思っております。

 そこで、まず副作用についてですが、もちろん、全ての医薬品は効果と同時に副作用というものをあわせ持っている。その中で、服用を誤ると事態は深刻になります。

 例えば、過去五年間のこういう報告があります。副作用は全部で千二百二十件、そのうち死亡症例が二十四件あります。この二十四件のうち、十二件は、実は総合感冒薬、つまり、風邪薬の副作用で死亡した例なんです。

 こうしたリスクを軽減していくためには、一つは、医薬品についての情報提供というのが不可欠です。例えば、飲み合わせであるとか、してはいけないことであるとか、こういう場合はお医者さんに相談してくださいということが必要です。もう一つが、先ほど政務官もおっしゃった、相談体制。何かあったときと、あるいは何か起こるのを未然に防ぐために、相談できる体制をつくっておくということだと思います。

 私は、こういう話を伺いました。ある患者さんは、座薬は座って飲む薬だと思っていましたとか、あるいは、食間服用と言われて食事中に薬を飲んでいますとか、あるいは、高い薬だったので一日三回服用するのを節約して二回にしました、手元に置いていますとか、こういうお話も伺ったこともあります。

 薬の正しい服用の仕方あるいはリスクについてしっかりと説明していく、この情報提供であって、また、患者からの相談に応じて必要があれば医療機関に診断を勧めるというこの相談体制、こうした体制づくりがネット販売でもできるかどうかというのが重要な議論じゃないかと思っておりますが、こうした点について、お考えを伺いたいと思います。

榮畑政府参考人 一般用医薬品の販売に当たりましては、その販売方法がインターネットであるかどうかにかかわりなく、買った方に対しまして、専門家により、適切な情報提供とか相談対応が進めていかれる必要があるというふうに思っております。

 先ほどからもお話が出ておりますが、省内で、現在、一般用医薬品のインターネット販売等の新たな仕組みに関する検討会で、そういうふうな点も含めて、諸課題につきまして精力的に検討を進めていただいているところでございます。

 厚生労働省といたしましても、できる限り早く、まさに安全性が確保された新しい仕組みというのをつくっていきたいと考えておるところでございます。

 以上でございます。

伊佐委員 もちろん、ネット販売においてさまざまな工夫があるのも存じ上げております。例えば、薬剤師の方々が医薬品の選定から出荷まで全ての流れに関与をして、あるいは管理をしていくということも可能かもしれません。また、ネットならではのトレーサビリティーというのもあります。つまり、双方向でのやりとりの記録というのを残しておくことができる、こういうメリットがあるのも事実でございます。

 しかし、考えておくべきことは、販売者側が期待する消費者像というものと、実際にパソコンの前に座ってクリックして医薬品を買う消費者像というのは、違っている場合が多々あるということなんです。

 例えば、販売者側から見れば、ネット上で自己チェック欄を設けておけば正しく購入するだろうという期待があります。でも、実際は、例えば内容を読んでも読まなくても、クリックをどんどんしていけば薬を買えてしまう。少なくともこういう状況を改善していく必要があるのではないかと私は思っております。

 もう一点。これまで、副作用の健康被害を起こさせないような制度づくりについて質問をさせていただきました。もう一つは、安全性の確保として、大事なことは何かといいますと、違法業者、偽造医薬品の取り締まりです。偽造医薬品とは、例えば表示された成分が入っていないとか、あるいは表示と異なる不純物が混入している。

 平成二十三年度に調査が行われております。その中で、海外に所在地のある日本向けの販売サイト、ここで健康食品六十九製品を購入して調査をしました。そうすると、この六十九製品のうちの五十八製品から医薬品成分が検出されたということがありました。

 現在、WHOによると、インターネット販売のうち、特に所在地を隠匿しているような非合法なサイトにおいては、五〇%が偽造医薬品を販売しているという報告を出しております。

 そこで質問ですが、こうした違法サイトとか、あるいは、服用するだけで健康被害を及ぼすような偽造医薬品、この取り締まりが重要だと思っております。あるいは、信頼できるかどうか、ネット販売の業者を見分ける制度が必要じゃないかと思っております。そこの見解についてお伺いしたいと思います。

榮畑政府参考人 先生御指摘のように、インターネットの販売について検討していく際に、販売業者がインターネット上で適正な販売業者かどうかを判断できるためにどういうふうに対策を講じていけばいいか、そういう点も大変必要な検討課題だろうと思っております。

 先ほどからお話ししております、一般用医薬品のインターネット販売等の新たな仕組みに関する検討会におきまして、適正な販売業者であるかどうかをどう判断できるかという点も含めまして、まさに御議論、検討を進めていただいているところでございます。

 そういう結果も踏まえながら、できる限り早く新しい仕組みをつくっていかなければならないと思っておるところでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 厚労省が現在推進しておりますのは、セルフメディケーションというものがございます。これは、自分の健康については自分自身で責任を持ってください、そしてまた、軽度な体の不調については自分で手当てをしましょうというものでございます。

 このセルフメディケーション、さまざまな文脈で語られるんですが、例えば医療費を抑制していく、あるいは健康管理に対する意識が高まっていくというような点もございます。あるいは、医療とか薬に関する知識が身についていく。

 こうしたセルフメディケーションというのは、当然、自己判断ですから一定のリスクがある。このリスクをいかに軽減させるかというのが大事なことだと思っておりまして、そこには当然、専門家を含めたサポーターが必要であると思っております。

 そうした意味でも、厚労省がセルフメディケーションを推進していく中で、一般医薬品の利用というのが大きな意味を持ってくるのではないかと思っております。

 安全性を確保してリスクを最小限にしていくという観点で、例えばネット販売の世界においても、当然、専門家を含めたサポーターが必要であると私は思っておりますが、見解をお伺いしたいと思います。

とかしき大臣政務官 セルフメディケーションについて質問にお答えさせていただきます。

 セルフメディケーションというのはとても重要でございまして、やはり、お一人お一人が、自分で薬をどういうふうに利用しながら自分の健康を維持していくか。これに関して、やはり専門家のアドバイスがとても重要になってまいります。

 ですから、セルフメディケーションを適切に推進していくためには、一般用医薬品について専門知識を有しております薬剤師等の専門家がきちっとした情報提供を行いまして、そして、その有用性や安全性をきっちり担保できるようにしていくことが重要であると考えております。

 厚労省といたしましても、今後とも、適正使用、そしてさらに啓発、薬剤師の生涯学習の充実強化、こういった店頭でのカウンセリングの質の向上を図るように、積極的に専門家の適切なアドバイスができるような関係をつくっていきたいと思っておりますし、そういった体制をつくっていきたいと考えております。

 ありがとうございました。

伊佐委員 以上で質問を終わりたいと思うんですが、最後に一点だけ。これは通告をしておりませんので、お願いという点で言わせていただきます。

 全く違う話ですが、昨日、大阪の印刷業の労働者の胆管がんの発症について、これまでの業務との因果関係がずっとはっきりしなかったということで労災認定がされませんでした。相当な時間を経過したんですが、やっと厚労省においてその因果関係を認める研究会の報告が出されたということをお伺いしました。元従業員の皆様に対して、一刻も早く労災認定の手続を進めていくべきだと私も思っております。

 これは、決して一企業だけの問題じゃないと思っています。こうした因果関係というのを国がしっかりと十分検証して、その中で、今後、こうした不幸な事態を起こさないという適切な規制が必要であると思っております。こうしたことを最後にお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 以上、終わります。ありがとうございました。

松本委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 本日は、この国会初めての質問の機会を賜りました。委員、関係各位の皆さんの御配慮に心より感謝を申し上げ、また、私自身は実は通算すると七十回目の国会の質問ということにもなります。一つの節目の質問ということでもありまして、しっかりと質疑をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、前半は、先ほど伊佐委員の方からも一般用医薬品の販売とインターネットの関係の質疑をされておりまして、多少重複するところもございますが、これは大臣の方に幾つか質問をさせていただき、また、途中からは、今、民主党の柚木ですと言ったんですが、超党派イクメン議連というものをこの間、御参加の先生方もきょう委員の中にいらっしゃるんですが、超党派の立場で、当時の自民党の代表世話人をお務めいただいていた田村大臣に質疑をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、まず、一般用医薬品の販売とインターネットを用いた医薬品販売のあり方につきまして、二、三、質問させていただきたいと思います。

 御案内のように、薬事法の定める一般用医薬品の分類でございますけれども、一類、二類、数字で区分するのが、一般の方からするとそもそもわかりにくいのではないかという指摘もございます。海外などではもっとわかりやすく、例えば薬剤師薬とか薬局薬とか、消費者にわかりやすいネーミングとなっているようでもございます。

 それで、薬事法の法文を読むと、第一類医薬品というのは、薬剤師の関与をより明確化させるものと理解をいたします。そうであるならば、薬剤師が積極的に関与する医薬品という意味で、薬剤師医薬品などという名称も考えられるのではないでしょうか。その方が、薬剤師の皆さんも、みずから積極的に関与していこうというモチベーションも高まるはずでございまして、最近言われるように、薬剤師不在の薬局というようなことから脱却できるのではないかと思うんですが、医薬品の分類について、ネーミングも含めて検討いただけないか、田村大臣に伺います。

田村国務大臣 名称の話、一般用医薬品に関していただきました。

 薬事法改正、平成十九年に、第一類、第二類という形で、第三類まで含めて名称をつけてきたわけでございまして、そういう意味では、やっと周知されてきたところで、名前を変えること自体、また混乱が生まれるのではないのかなという気もいたします。

 一方で、委員おっしゃられたとおり、わかりやすい名前をつけてしまえば、それだけ、後、いろいろな問題が起こらない可能性もあるのであろうというのも、それは、言われる御指摘、理解するところでございます。

 今、インターネット等の販売に関しましても、いろいろな議論を検討会でしていただいております。私の方も、先生の御意見をしっかりと踏まえながら、これからいろいろな御議論はさせていただきたいというふうに思います。

柚木委員 ありがとうございます。

 本当に、一般の利用者の方、患者さんにわかりやすいネーミングというものを、ぜひ議論を進めていただければと思います。

 次に、医薬品のネット販売のルール検討会が省内で開催されていると承知をしておりますが、ここでは、郵便等の配送の質の保証にも踏み込んだ検討がなされているのかどうか、これを確認させていただければと思っております。

 また、ネット販売をする業者の方が、特定の商品に限って販売するようなものであれば、例えば薬物の乱用を助長するとか、あるいは劣悪な商品を売りつけるようなことがあってはならないわけですが、そういう懸念も私は生ずると思っております。

 あるいは、営業の継続性ですね。この継続性をあえて行われないような業者であったりしては、これは医薬品流通に大きな支障を来すことにもなると思っております。

 したがいまして、ネット販売のルールづくりに当たりましては、事業者が従前の薬局等の施設基準を満たす、いわゆるリアル店舗をきちんと構えているかどうかというのは一つの重要な論点だと思います。

 こういった問題について、国民の健康を守ると所信でおっしゃられている大臣の御見解を伺えればと思います。

田村国務大臣 まずは、郵便等々で販売する場合、運送といいますか輸送等々ですね、ここで品質をしっかりと確保できるのかというお話であったと思います。

 そもそも、医薬品を保管する場合も、湿度でありますとか温度、それから直射日光等々をやはり気にしなきゃならぬわけでありまして、それは当然、輸送するときもそういうものを考えなきゃならぬわけでありますね。特に液体なんかの、シロップのせきどめでありますとか、そういうものに関しましては品質が変わりやすいということもございますので、そういう部分も、今後、この検討会の中でいろいろと御議論をいただけるものだというふうに思っております。

 それから、もう一方で、無店舗で、インターネットでだけ配送する、そういうような薬局、薬店というものは認めるのかという話なんですが、そもそも、やはり店頭で売るということが薬局や薬店の前提となっておるというふうに認識いたしておりますから、そういうものは認められないというふうに思っておりますし、実際問題、日本オンラインドラッグ協会等におきましても、そういうことは前提に考えていないというお話でございますので、そういうことにはならないというふうに理解をいたしております。

柚木委員 大臣がしっかりとした御見解をお持ちということで、安心をしたところでもございます。

 先ほどの伊佐委員からも、やはり利便性と安全性という部分、本当にございますので、しっかり今の御所見の中で議論を進めていただければと思います。

 もう一点、そういった中で、医薬品販売の現状という観点から質問をさせていただきたいと思っております。

 先ほども少し申し上げましたが、第一類医薬品の販売について、薬剤師が積極的に関与をしていない、あるいはできていないと言うべきなのか、そのようなデータが、政府のこれは覆面調査というんでしょうか、多々報道もなされておるところでございます。

 薬剤師の方が第一類の医薬品をきちんと販売できていない、こういうことですと、例えば、具体的に言えば、現行の薬事法が規定します書面を用いての説明、これも十分に行われていないという状況と言わざるを得ない。

 そうすると、対面販売が必要、重要だと主張したとしても、そこがいま一つ、国民からしてみれば説得力に欠けるということなんだと思うんですね。

 ですから、国民目線からいたしますと、書面などなくとも自分で使うことができるし、薬剤師さんに説明してもらわなくても使えるよと言われてしまっても、現状からすれば仕方がない部分があると言わざるを得ません。

 リスクが高いから薬剤師の方が積極的に関与する第一類医薬品を規定したということであれば、そのリスクを軽減するために薬剤師の方が何をできるのかを国民に明示する必要があると思います。

 政府は、第一類医薬品の販売で十分な働きができていないという現状にある薬剤師のこの部分についての対応をどのようにお考えなのか、現状をどのように脱して、国民が望む情報提供をするようにしていくのか、あるいは、職能としての薬剤師にどのような役割を期待しているのか、大臣のお考えをお示しください。

とかしき大臣政務官 御質問についてお答えさせていただきます。

 私も薬剤師でございますので、両方の立場からお答えさせていただきたいと思います。

 委員御指摘のとおり、平成二十三年度の調査結果によりますと、専門家による情報提供を求める販売制度の定着は進みつつあるというふうに報告は受けておりますけれども、しかしながら、第一類の医薬品の販売の際に、文書を用いた説明が徹底されていない事例が見られたところでもあります。

 ということで、今後も、こういったことがないように、販売制度の定着、きちっと文書でも徹底されるようにこれからも図っていきたいと思っております。

 薬剤師としましては、やはりチーム医療、これから特に在宅医療などでは重要な役割を果たしていくかと思いますので、生涯学習の充実など、質の向上に努めていきたいと思います。

 ありがとうございます。

柚木委員 ありがとうございます。

 ぜひ、そういった実態を伴った形になるようにお願いをいたします。

 それでは、残りの時間、冒頭申し上げましたイクメンプロジェクトというんですけれども、どちらかというと、本来ならば女性支援の一環だとも思うんですね。この点を踏まえながら質疑をさせていただきたいと思っています。

 実は、先ほど超党派のイクメン議連と申し上げましたが、田村大臣が自民党さんの代表世話人をお務めいただいていて、現在は福岡座長さんが引き継いでいただいてということで、公明党が谷合先生で、古屋先生は今おいでになりませんが、メンバーに入っていただいていたり、あるいは維新の会の上野先生もおられます。先ほどの伊佐先生もお越しをいただいたり、いろいろな各先生、本当においでいただいていまして、みんなの党の先生ももちろんおいでいただいたり、その他の先生も、きょうは委員会にいらっしゃるんですが、よかったらぜひ御参加をお願いできればと思うんです。

 私自身も、二歳の娘がおりまして、妻が育休から復帰をして、今、短期間勤務ということでやっているんですが、この四月からはフルタイムで勤務になる。保育園は霞が関の文科省の中にあるわけですが、二歳児で、私が、妻の勤務が変更するのがわかった時点で応募したら、待機児童七人目なんですね。

 私も、財務政務官時代なんか特に、妻が仕事で出張で帰ってこないようなことがあるものですから、七時ぐらいに送って、十時、十一時ぐらい、最後の一人で、もう寝ているような状態で迎えに行って、地下鉄で一緒に帰ってくるような日々も送っておりまして、これはもちろん、私がということじゃなくて、私ができないときには妻が当然やってくれている。どちらもできないときには、うちは、たまたま実家に妻の母が、見ていただけるような環境もあったりして、何とかやりくりしているんですが、今後どうなることやらというのが、我が家の実情、実態でもあります。

 私の場合には、たまたま出産に立ち会う機会をいただいたり、その前、両親学級などにも参加をする機会もいただいたことも含めて、自分もしっかりと可能な範囲で家事、育児をシェアしていかなければというような問題意識の中で、もちろん、問題とか負担ばかりじゃなしに、喜びもあれば、そういう意味では負担もあるというのが現実だと思うんです。

 そんな中で、各党の先生方と、これは特に超党派というのがポイントでありまして、ある意味、社会保障と安全保障は特に、これは政権がどうなろうが、しっかりと継続的にやっていかなきゃいけない、国民会議も含めて。そういう問題意識の中で、イクメンという一つの取り組みにスポットを当てて取り組ませていただいているということでございます。

 イクメンだけではなくて、最近では、イクジイという、実は顧問に各党の厚生労働大臣経験者の先生、自民党さんでいえば川崎大臣、尾辻大臣、公明党でいえば坂口大臣、うちでは長妻さんということで、それぞれ大臣経験者にも顧問になっていただいていたりするわけですが、このイクジイというのも、経営者、管理職の年代の方々も含めての御理解がやはり重要だと考えると、重要な視点だと思っています。

 さらには、最近では、イクメン活動を通じて、地域で子育て活動に積極的に参加をするイキメン、地域で育児参加、こういった方々も取り上げられるような状況にある中で、これはぜひ、今後、大臣がもちろん先頭に立って、そして、超党派ですから、各委員の先生方にもお力添えをいただきながら、しっかりと前に進めていけたらと思っています。

 ちなみに、このイクメン議連は、老若男女、既婚、未婚、お子さんの有無、全く関係ありません。全ての方にお声がけもさせていただき、全ての方がまさに、例えば、結婚、出産、子育てをやっていこうと思っていただけるようなことを目指してもおりまして、全ての皆さんの視点をいただきながら前に進めていけたらと思っておるところでございます。

 実は、今回、この超党派イクメン議連というのは、昨年、総理官邸あるいは厚労省、財務省への申し入れ、田村大臣も御同行いただいた部分も含めて、イクメンアクションプランとかイクメン政策宣言とか、端的に言えば、男性の育休取得率三割を目指すとか、イクジイ、イキメンもふやしていこうとか、そういったことを具体的な行動プランとして掲げて、申し入れをさせていただいたわけです。現在の安倍政権の中でも、肝いりの、若者・女性活躍推進フォーラム、大臣もメンバーの閣僚でいらっしゃいますが、そういったところで、まさに具体的に前に進めていくという決意も表されているところでございます。

 ちなみに、ダボス会議で有名な世界経済フォーラムが昨年発表いたしました男女平等ランキング、日本は百三十五カ国中百一位。前年が九十八位ですから、ダウンしている。他方で、ベストファイブは、アイスランド、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、アイルランドということで、北欧が独占されています。

 なぜこういうことを申し上げるかというと、日本のモデルになり得るイクメン先進国のノルウェーでは、九三年時点では男性の育休取得率が四%。それが、パパクオータ制度を導入して、女性の方が一年育休中に男性が一カ月半取得すれば、育児休業給付金が十割受給できる。逆に言うと、取得しなければ、できない。そういった制度を導入したら、三年後に七〇%の男性が育休取得。さらに三年後に九〇%の男性が育休取得ということになって、出生率もV字回復で二ポイント程度。OECDでは第三位。さらには、その後の制度改定で、こういった効果もあったことから、さらに男性の法定育休期間を二カ月半に延長している。

 クオータ制の是非はあると思うんですが、こういった事例があって、ノルウェーの首相と、私はたまたま財務政務官のときにお会いする機会があったんですが、こういう言い方をしていました。

 男性の育児参加、女性のM字カーブ解消は、ノルウェーなんかでは油田収益とかもあるんですね、そういったこと以上の国益であると。だから、そういうところに予算を投じて、日本でいえば今雇用保険の中から出している部分も、一般財源でそういうことをやっているんですね。ですから、日本だとかなりの議論になると思うんですけれどもと質問したら、全くノープロブレムです、当然、国民はそういうところに使うべきだと思っていると。

 こういった状況もあることも踏まえながら、具体的な質疑に入らせていただきたいと思っています。

 今、ノルウェーの事例を申し上げたわけですが、大臣、イクメンを今後ふやしていくために、現行の我が国の育児休業給付金は五割という現状があるわけですが、これを引き上げること、そして、パパクオータまでは申し上げません、そういった効果を生み出すような制度も考えていくべきだと思いますが、その点について伺いたいのと、もう一点。

 そのための財源として、今般、一体改革が前に進んでいく中で、消費税財源についても、子育て支援に七千億充当もあるわけですが、今後の議論の中で、まさに、私は、消費税財源も含めて、この給付金の引き上げに向けた財源確保の議論を進めていくべきだと考えますが、大臣、ぜひ前向きな御答弁をいただければと思います。

    〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

田村国務大臣 イクメン議員連盟、柚木委員が肝いりでおつくりをいただきまして、共同代表を私も当時させていただいておりました。まさか、こういう立場で御質問に御答弁をさせていただくとは思っておりませんでした。

 私も、役所に来まして、まず、厚生労働省はどれぐらいなのかなというふうに、調べさせました。全国平均、今、二・六三%ぐらいだったというふうに記憶しておりますが、厚生労働省は一〇%を実は超えておりまして、平成二十三年度で一一・四%。やはり、そういう意味では、リードしなければならない役所としてそれなりに努力してきているんだなということを改めて感じました。

 働く「なでしこ」大作戦、民主党政権におきまして、二〇二〇年に男性の育児休業取得率を一三%までという話がございましたが、これはもうできちゃいますので、まず大幅に前倒しして、平成二十六年度に一三%を実現しようというふうに厚生労働省の中で私はかたく指示をいたしました。さらに、二〇二〇年においては三割を目指せということを一応指示いたしまして、何とか厚生労働省、まず見本という形ではないんですけれども、進めてまいりたいと思っております。

 あわせて、役所全体ですと、人がたくさんいるから回るじゃないか、中小零細はそんなことはできないだろうという御意見もありますので、例えば、地方の厚生局でありますとか労働局、それから基準監督署、こういうところも調べたら、結構高いんです、そういうところも。では、どうやって人をやりくりしているかということも含めて、事例集をつくれということを申しまして、今だんだんそれができ上がってきておりますので、それをまたネット上で公開をしてまいりたいな、こういうような努力もさせていただきたいというふうに思っております。

 実は、取得率を上げるためには、当然、あわせてしっかりと休業の補償もしなきゃならぬという話で、今、五〇%は雇用保険から出ておりますが、これを上げようというと、委員おっしゃられますとおり、そもそも失業給付が五〇%からという話でありますから、それを上回るような給付率というものは問題があるのではないかというのが、当然、雇用保険を扱っておられる方々の御意見であることは理解しなきゃならないということであります。

 では、別の財源をしっかり持ってこい、特に消費税を上げるからという話でありましたが、残念ながらこれは、我々がやっているときに、例の三党合意をしたんですけれども、その中に入れられていないんですね。これが我々は残念だなというふうに思っておりまして、本来は、そこにしっかりと明記をしておけば、胸を張って、ここへこれだけ持ってこられるんだということが言えるわけでありますが。

 いずれにいたしましても、財源をしっかり確保することが前提でございますので、これはなかなか与党だけではできないわけでございますから、超党派で協力をしながら、何とかそういう方向性に向かっていけるように、ともに努力をしてまいりたいなというふうに思っております。

柚木委員 大臣が最後に言っていただいたそういう方向に行けるようにということで、我々超党派議連としても、まさに今後の国民会議の議論、確かに三党合意の中にはそういう書かれ方をしている、と同時に、昨年成立した子ども・子育て支援法の附則第二条に、私は、この読み方は当然イクメン支援も含めて財源充当と読める文面だと思っていますので、本当に超党派でこういうことに対しても応援しようじゃないかと。女性が頑張れるということは、やはり男性がその分、シェア、分担をするんだということも含めて、先ほどの待機児童の解消ももちろん重要、私も直面している。しかし、それ以外のところについても財源充当をぜひみんなで力を合わせて進んでいきたいと思いますので、先ほどの方向性を目指していきたいと言っていただいたところをぜひ大事にしていただければと思います。

 続きまして、イクメンの施策を進めていく上で重要なポイントが、一つ、やはり企業に対する支援だと思うんですね。

 きょう、皆さん方のお手元に資料をお配りしておりますが、二枚目以降を見ていただくと、両立支援助成金の概要、代替要員確保であったり、休業中の能力アップ、就業の継続、あるいは子育て支援助成金など、こういう制度があったり、あるいは、次世代法の中に、くるみんといって、育休とかをちゃんと整備している企業も含めて、行動計画を立てて実施したところに、これは千七百社ぐらいが取得をされていますが、こういう制度があったりするわけですね。

 ちなみに、こういうことをしっかりやる企業ほど、実は、ある調査によれば、企業のいわゆる粗利率が二倍以上高い傾向という調査もあったり、あるいは、国際的には、女性の活躍促進が進む企業ほど経営指標が高い。そのためには、逆に、家庭でイクメンがしっかりとそういうサポートもするという背景も含めて重要な視点だと思うんですが、具体的に、企業を支援していくという意味で、私は、具体的な施策を今後拡充していくことというのも、安倍総理も所信でおっしゃっていますから、これは当然やっていくと。私も、きょうはそこまで踏み込まなくて、むしろ逆に、アナウンスメント効果も含む企業に対する支援策というものを二つ提案させていただきたいと思います。

 まず一つは、両立、均等の企業に対する表彰制度が、ファミリー・フレンドリー企業とかがあると思うんですね。私の地元岡山でいえば、ベネッセコーポレーションとかが最初の受賞だったり、日本IBMさんなんかでも、いわゆる男性の育休に管理職も含めて非常に取り組みが進んでいる。そういうのがあるんですが、それはあくまでもワーク・ライフ・バランス先進企業というか、ファミリー・フレンドリー企業という名称なんですね。

 ここは、ぜひひとつ、イクメンプロジェクトも肝いりで今やっていただいて、父さん育児の日で十月十九日はイクメンの日と、そこでいろいろ発表されているんですね。イクメンの星とか、余り知られていないと。

 PRも含めてなんですが、私はぜひ、このときにイクメン先進企業、つまり、男性の育休取得率二・六三というのは調査で出ていますから、これは業種業態別なのか規模別なのか、そこをどう整理するのかは御検討いただく中で、そういうイクメン先進企業というのも表彰する。民間がイクメン・オブ・ザ・イヤーとかイクジイ・オブ・ザ・イヤーとかもやっていますが、ぜひイクメン先進企業というところに光を当てて表彰いただく。正直、余り予算がかかるようなものでもないと思いますし、それを一点お願いしたい。

 もう一点は、実は、経済産業省と東証が連携して、なでしこ銘柄、つまり、女性の管理職が一定の指標を超えたときに、そこがそういう銘柄で選ばれて、当然、企業価値、ブランドイメージも高まって、優秀な人材も集まって企業の業績も好転すると。ある意味、側面後方支援とも言えると思うんですが、イクメン銘柄、これをぜひ、厚労省と東証とで協議をいただく中で工夫をいただければ。

 この二点、ぜひちょっと前向きに御検討いただきたいんですが。

    〔上川委員長代理退席、委員長着席〕

田村国務大臣 イクメンを支援する企業を表彰する、どういう基準にするのかというのはあると思いますけれども、決してこれは悪いことではないことは当たり前でありまして、お金がそれほどかからないというのは魅力的な話でございます。しっかりと検討させていただいて、ぜひとも実現に向かって進めてまいりたいというふうに思います。

 それから、イクメン銘柄に関しては、厚生労働省からどこまで東証に対して影響力があるかわかりませんが、大変おもしろいといいますか、意味のある申し出でございますので、こちらの方も何らかの形で東証の方にお願いをさせていただきたいというふうに思っております。

柚木委員 ありがとうございます。

 そういういろいろな取り組みの中で、アナウンス効果も含めて、ぜひ男性の方が育休をとりやすい環境をといいますか、制度面からもそうですけれども、マインド面からもぜひ応援をいただければと思っています。

 次に、内閣府さんの方にちょっと具体的なお伺いをします。

 先ほど申し上げたように、安倍総理は所信で女性支援の具体化を明言されておられまして、二〇二〇年に三〇%の女性管理職達成は、今のペースだと非常に厳しいんだと思うんですね。

 そういったことを考えたときに、今後フォーラムでの議論が進んでいくというのはお聞きしているんですが、そのフォーラムの議論の中で、若者と女性とそれぞれのフェーズでやっていただくということなんですが、このイクメンプロジェクトについても、例えば関係のファザーリング・ジャパンとか、そういう有識者というか団体の方なんかも、何か意見聴取される機会も予定があるようなので、ぜひこのイクメンプロジェクトというのも一つ特出しをして、推進をいただきたいというのが一点。

 それからもう一つは、自治体との連携です。

 これは、例えば広島県湯崎知事がみずから育休をとられて、独自の支援策もされて成果を上げられていたり、あるいは福井県の企業子宝率といって、企業在籍時のお子さんの出生の数が公表されて、そういうところで働きたいという方でどんどん人材が集まってきたり、いろいろな効果も生み出しているなど独自の施策があるわけですが、イクメン特区というか、イクメン特区的なというふうに言った方がいいのかもしれませんが、そういう自治体とのモデル事業、これをぜひ内閣府さんの方で御検討いただければと思いますが、いかがでしょうか。

佐村政府参考人 今先生お話ありましたように、二月十三日に第一回の若者・女性活躍推進フォーラムが開かれまして、女性の活躍促進の取り組みを行う企業等への支援や、あるいは女性の継続就業、再就業支援に向けたキャリアアップ支援や、あるいは男女がともに仕事と子育てを両立できる環境の整備といった課題が挙げられてございます。

 それで、今後、これもお話ありましたように、女性活躍促進の視点から議論を重ねる中で、育児に積極的に参加をしている、いわゆるファザーリング・ジャパンに関係する男性も含めて、幅広いライフステージの方のお話を伺うということにしております。

 男性の育児参加の促進につきましては、委員から御指摘のありましたイクメンプロジェクトやあるいは自治体との連携、先進的な取り組みを支援する事業などを含めまして、女性の活躍促進策の一つとして、厚生労働省など関係省庁としっかり連携をしながら、政府全体として検討してまいりたいと考えてございます。

柚木委員 ありがとうございます。

 ぜひ、厚生労働省とも連携をしてお取り組みをお願いします。

 最後、ちょっとイクメンと関連して、最近、ケアメンという言い方は御存じですか、大臣。介護する男性。言葉で言うとこうなんですけれども、男性介護だけじゃなしに家族介護、今、結構切実な状況になってきていますよね。その視点で一つ伺いたいというか提案なんですが、本当に、孤独死、孤立死、特に都心部、あるいは家族介護などでケアラーへの支援ですね。無理心中、ともすれば殺人、我が岡山県でもそういう痛ましい事件もかつてありました。

 そういう中で、もちろんイクメンがふえていくと将来のケアメンがふえるんじゃないかという見方もあるんですが、現状、今すぐ、やはり今の実情を考えたときに、ちょっと一点、質問が全く別の視点になるんですが、家族介護を、もちろんそれも一生懸命されている方はおられるんですが、やはり介護の社会化という中で介護保険制度を導入して、この間、介護職員の処遇改善、これをやってきた。

 本当に、この前の自公政権さんのときに、処遇改善交付金一万五千円、その前の九千円。我々は、当時四万円アップを掲げて、議員立法で全党一致で委員長提案でこの一万五千円の処遇改善を実現した。そういう意味では、残りあと一万六千円まだ頑張らなきゃいけないということで、実は、当時、私も政府にいたときに、それこそ補正でやろうじゃないかという話もあったぐらいなんですね。財務と厚労でちょっとやりとりを政務の中でやっていました。

 そういう状況を考えたときに、この年度末に介護職員の処遇改善加算の効果が出てくる。年度末、つまり今月中です。この調査結果を踏まえて、二年後の報酬改定を待つんじゃなくて、本当にこの必要性が認められるときには、期中改定とまでは申しませんから、まさに処遇改善、我々議員立法についてもこれはちょっと検討しなきゃいけないなという議論もあるんですが、ぜひ、政府の方でもこういった点についての早急な対策をお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 まず、家族介護の問題は、子育ても大事でありますが、こちらは大変な状況でありまして、子育てはある程度めどが立ちますよね、幾つになったら手から離れていくと。しかし、介護の場合はどこまで続くか、それはよくわからないわけでありまして、そういう中において、ケアラーの方々、家族介護をされている方々は大変御苦労をいただいておる。

 実は、ケアラーを応援する勉強会、議員連盟をつくろうと、自民党の中でも、私、大臣になる前に動いていたんですが、残念なことにというか大臣になっちゃったものですから、そちらの方は今携わっておりません。でありますから、そちらはそちらでしっかり支援をしていかなければならないと思います。

 一方で、社会的な介護という意味からすると、介護職員の方々の処遇の改善、自民党政権、自公政権でもやってまいりましたし、その後を受けて、民主党政権下でもおやりになってこられました。

 これは、実際問題、どういうような状況かしっかり勘案しながら、さらに上乗せというお話はよくわかるんですが、一方で、やはり財源という大きな問題があるのは事実でございます。財源のめどがしっかり立たないことには、それはなかなか進んでいかないという問題もございますし、介護職員だけではなくて福祉職員、福祉職というのはいろいろなところでまだ待遇が低いんですね。だから、そこも考えていかなきゃいけないということでございますので、総合的に勘案しながらこれは検討していく問題だというふうに思っております。

柚木委員 御答弁ありがとうございました。

 最後に、ちょっと宣伝しておきます。厚労省のイクメンストラップ、私もつけていますので、大臣、ぜひ、バッジまでつけろとは申し上げませんので、使っていただいて、活用いただければと思います。介護の方もあわせてよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 まずは、田村大臣、御就任おめでとうございます。私も、初当選からずっとこの厚生労働委員会に所属をさせていただいておりまして、厚生労働行政に精通した田村理事の御質問を聞かせていただいて、勉強させていただいておりました。また、私も四十代ですけれども、安倍内閣最年少閣僚ということで、大変期待をしております。頑張っていただきたいというふうに思います。

 さて、大臣が野党の理事のときには、国会はねじれ国会という状況ではありましたけれども、与野党歩み寄って、成果を上げてきた部分もたくさんあるというふうに思っています。

 特に、大臣も非常に熱心な障害者福祉の分野、この分野においては、障害者基本法の改正、そして障害者総合支援法、障害者優先調達法いわゆるハート購入法、それから障害者虐待防止法と、三年の間に着実に私は前進が見られているのではないかというふうに思っております。

 去る二月九日ですけれども、滋賀県の大津で、第十七回のアメニティーフォーラムが開かれました。大臣も毎年この会議には御出席をされているというふうに伺っておりますけれども、私も、今回、パネルディスカッションに参加をさせていただきました。

 その場でやはり話題に上がったのが、この通常国会で障害者差別禁止法がどうなるのかという話が、そのパネルの場でも話題になりました。

 自民党の福岡資麿参議院議員や公明党の高木美智代衆議院議員も、障害者差別禁止法については、これまでやってきたように、自公民の枠組みでしっかりと一致協力してやっていくべきだということで、そこでも意見の一致を見ておりました。

 しかし、今回、提出予定法案一覧というのを拝見いたしますと、障害者差別禁止法については、検討中というところに分類をされております。

 もちろん、所管はこれは内閣府でありますけれども、これまで非常に障害者福祉の問題にも熱心に取り組んでこられた田村大臣、内閣の一員として、障害者差別禁止法を早期に成立させるんだという強い御決意を賜れればと思います。

田村国務大臣 この障害者差別禁止法、大変重要な法律だというふうに思っています。障害者権利条約を批准する上でも大きな要素のうちの一つであるということは間違いがないわけであります。

 その中において、一方で、厚生労働省といたしましても、この差別禁止法のみならず、雇用の分野で、障害者雇用法の方を国会に出していきたい、このように思っています。これは私の所管でございますから、ぜひとも今国会に提出をさせていただきたいというふうに思っております。

 一方で、差別禁止法でありますが、これは内閣府でございますので、直接私の担当ではないわけでありますけれども、やはり、先ほど言いましたとおり重要な法案であることは間違いないので、何とかこれも提出できるべく努力をしてまいりたい、努力をしてまいりたいというか、私は内閣の一員でございますから、そういう意味では、内閣の一員としては努力をさせていただきたいなというふうに思っております。

大西(健)委員 まさに所管ではないわけですから、直接お答えいただくのは難しいと思いますけれども、私は気持ちはにじみ出ていたのではないかなというふうに思っております。

 今お話が出た、障害者雇用促進法の関係ですけれども、皆さんのお手元に資料を配付させていただいております。

 これは、労政審の障害者雇用分科会と、そして障害者政策委員会の差別禁止部会、それぞれ案を検討してきたわけですけれども、例えば、ここに抜き書きしてあります「差別の禁止(合理的配慮の不提供)」の部分です。差別禁止部会の方では、合理的配慮の不提供は差別であることを明文で規定して、これを禁止するとはっきりと書いている。ただ、労政審の方は、端的に事業主への合理的配慮の提供義務とすることで足りると考えられると。ここは、現時点ではということですけれども、一致していないわけです。

 ただ、法律になりますと、例えば不提供があった場合に、損害賠償等を求めるというような裁判を起こすときには、この法的規定が法的な効果、裁判上の効果というのも生んでいくわけですから、ここの整合性というのは私はしっかりとっていかなければならないというふうに思っています。

 そういう意味で、我々は、障害者雇用促進法と障害者差別禁止法、これは車の両輪である、セットで考えていくべきであるということをこれまで申し上げてきました。したがって、本来であれば、同時にこの通常国会の中で成立をさせていただきたいというふうに思っております。

 ただ、障害者雇用促進法については、例えば精神障害者の雇用の義務化とか、ほかにも重要な柱が含まれています。ですから、余りにもセット論にこだわるばかりにどっちかがおくれてしまうというようなことが起きてしまっては、またそれはそれで私も困るなというふうに思っています。

 大臣、この障害者雇用促進法、先ほどお話に出していただきましたけれども、差別禁止法と、この二つの法律、我々は車の両輪と申し上げてきましたけれども、この二つの法律の関係をどういうふうに捉えておられるか、お答えをいただきたい。大臣に。大臣でずっと、通告は大臣でお願いしているはずです。

丸川大臣政務官 委員長の御指名でございますので、答弁をさせていただきます。

 今御指摘の障害者差別の禁止に関する法案の検討について、内閣府で鋭意行われているというふうに聞いておりますけれども、障害者雇用促進法の一部改正案を提出するに当たりましては、既に事務レベルにおいて調整をさせていただいております。

 御指摘の労働政策審議会でございますが、こちらの分科会にも障害団体の代表の方が入っていただいて、御議論をさせていただいて、今御指摘のような内容が出てきておりまして、今後とも両者の内容の整合性を図ってまいりたいと思っております。

大西(健)委員 しっかり整合性をとっていただきたいというふうに思います。

 丸川政務官に対しては、また後ほどちゃんと出番をつくっておりますので、ぜひ大臣にお答えをいただきたいというふうに思っております。

 アメニティーフォーラムの会場の場でも、多くの障害福祉の関係者の皆さんから、障害者差別禁止法の成立に向けて、田村大臣への期待の声というのをいっぱいいただきました。ぜひ内閣の一員として、担当大臣として調整をしていただきたいなというふうに思っております。

 ところで、私、会場の場で、大臣のビデオメッセージというのを皆さんと一緒に拝見しました。その中で、大臣がアールブリュットに触れられていて、関係者の皆さんからも、さすが田村さん、アールブリュットについてちゃんと触れたねという感心の声が上がっていたんです。

 委員の皆様の中には、アールブリュットというのは初めてお聞きになる言葉だという方もいらっしゃるかもしれませんけれども、加工されていない、生のままの芸術という意味のフランス語、正式な美術教育等を受けていない方が独創的な方法でつくられた絵画や造形のことを指す言葉であります。

 当日、会場ではアールブリュットの展覧会というのも行われておりまして、私も関係者の皆さんからぜひ見てきてくださいということを言われたものですから、拝見をしました。精神的な障害をお持ちの方や知的障害の方がつくられた独創的な作品、私も大変感動して拝見をいたしました。

 また、これは別の話でありますけれども、私の地元には刈谷ハイウェイオアシスというサービスエリアがあるんですけれども、そこのお土産物屋で使っている紙袋、その紙袋には、障害者の方が、すぎな作業所という作業所の皆さんが描かれた絵画が印刷されていまして、これはちゃんと使用料が作業所に入る仕組みになっています。

 私は、こうした障害者の皆さんの芸術活動、これは非常に重要だなというふうに思っているんですけれども、アールブリュットについてあえて触れられた大臣ですから、非常に思いを持っておられるというふうに思いますので、障害者の芸術活動への支援について、大臣からお考えをいただければと思います。

田村国務大臣 アールブリュットのお話が出ました。

 実は、私の地元でも、芸術活動、これは音楽も含めてでありますけれども、やっておられる施設がございます。年に一回、必ず増上寺の展示会室でそれを展示する。本当にすばらしい絵でございまして、結構、何十万かで売れていくというようなものもあるわけでございます。

 そういう意味では、本当に一般の芸術家が一生懸命勉強しても身につけられないような、そういうようなすばらしい感性というものを持っておられる障害者の方々はいっぱいおられるんですよね。そういうすばらしいものに応援をしていくという意味では、大変重要なことだというふうに思います。

 厚生労働省としましても、全国障害者芸術・文化祭の開催、こういうものに対して支援をしたりでありますとか、また、展覧会の開催等々に対する取り組み、こういうものに対する支援、さらには、芸術活動に対する調査研究事業、こういうものに対しても補助を行っておるような状況でございまして、いろいろな御要望をたくさんいただくわけであります。その中において、もちろん財政的な制約がございますけれども、できる限りお手伝いをしてまいりたいというふうに思っております。

大西(健)委員 ありがとうございます。ぜひ前向きにこれからもやっていただきたいというふうに思っております。

 一つ、通告した部分、ちょっと時間の関係で飛ばさせていただいて、先ほども少しお話が出ていましたけれども、先月、杉並区役所で、認可保育園に入園できなかった、そういうことを不服とする赤ちゃん連れのママたちが異議申し立てを行ったということが大きく報道されておりました。都市部での待機児童問題、これは今なお大変深刻な状況が続いております。

 皆さんのお手元に資料をお配りさせていただいておりますけれども、「子育て」という左側の部分ですけれども、民主党政権では、政権交代後、保育の受け皿を大幅にふやしてまいりました。まず、政権交代直後の二〇一〇年度、対前年度比二・六万人増。翌年度は四・六万人増。二〇一四年度までに保育の受け皿を二百四十六万人にするということを目指して拡充を進めてまいりました。

 また、先ほど柚木委員からもお話がありましたけれども、社会保障・税一体改革の中では、消費税引き上げ分の財源のうち、七千億円からできれば一兆円ぐらい子育て支援に回そうということも決めてまいりました。

 こうした前政権の取り組みを、大臣としてどのように評価をされているのか。また、これからこれをしっかり継承してさらに前に進めていくのか、変えていくのか。その部分の方針について、御答弁をいただければと思います。

田村国務大臣 待機児童をどうやってなくしていくかという取り組みは、自公政権のときからずっと進めてまいった取り組みでもございます。民主党政権になってそれを加速していただいたのは確かでございまして、受け入れ待機児童数に対する枠をふやしてきていただいておるということも事実で、今年度、五・四万人という形で枠をおふやしいただいた。

 これは、来年度に向かってはさらに七万人という形で進めさせていただきたいというふうに思っておりますが、一方で、問題なのは、保育士の方々がやはり足りない。百万人以上資格者はおられるんですけれども、実働で働いておられる方々は四十万人強なんですね。六十万人ぐらいの方々が、実は、資格はお持ちなんですけれども、現場でお力を発揮いただいていないということでございますから、そこで、補正予算等々でこの方々の処遇改善ということも組ませていただきました。当然、枠がふえれば保育士も要るわけでございますから、そちらの方にもしっかりと対応させていただきたいというふうに思っております。

 どんどん枠をふやしていただいているんですけれども、待機児童はちょっとしか減らないんですよね。ですから、ふやしてもふやしても次から次へと潜在的な待機児童が出てくるということもございます。ですから、今度は、その潜在的な待機児童も含めて、どれぐらいの待機児童がいるのかということも各自治体に正確な情報をぜひとも出していただいて、しっかりした対応をしてまいりたいというふうに思っております。

大西(健)委員 素直にまず評価をしていただいたということはありがたいことだというふうに思いますし、さらに加速をさせていく。まさに、確かに、潜在的な待機児童を掘り起こすということもあるというふうに思います。

 それから、保育士について処遇改善をされた。私は、これもいいことだというふうに思います。

 ただ、先ほど柚木委員からもありましたけれども、我々は介護職員に関しても処遇改善をぜひ同時にしていただきたいし、まさに人への投資、これは我々も大賛成であります。公共事業にお金を使うよりも人にぜひ使っていただきたいということは、私からも申し添えておきたいというふうに思います。

 それから、保育に関してでありますけれども、もう一問お聞きしたいと思います。

 私の地元の碧南市で、二〇一〇年ですけれども、認可保育所でおやつを喉に詰まらせてお子さんが亡くなるという非常に不幸な事故がありました。この御両親が、先日、厚生労働省を訪れて、そして、保育所で起きた事故の報告や調査を義務づけることをぜひしてほしいという要望書を提出されました。

 最愛の息子さんを失って、そして、その事故原因を第三者委員会を設置してもらって調査してほしいとずっと求めてこられる。ただでさえ悲しみのどん底にあるのに、そのために大変な労力や、あるいは時間を費やさなければならないというのは、私は大変酷なことではないかなというふうに思います。

 記者会見でも、大臣、たしか前向きなお答えをしていただいていたと思いますけれども、改めて、こうした保育所での事故についての報告や調査について、御答弁をいただきたいと思います。

田村国務大臣 本当に痛ましい事故でございます。本当に、亡くなられたお子様には、心から御冥福をお祈り申し上げたいというふうに思いますが、何年かたって、こういう形で改めて声を大きく上げておられるということを、我々も真摯に受けとめなきゃならぬというふうに思います。

 今までも何度か厚生労働省から通知を出してきておるんですが、改めて、事故に対しては迅速に報告を出していただくこと、これをお願いすると同時に、やはり、特に認可となりますと、本来、義務といいますか、実施義務は自治体が負っておるわけでございますので、自治体は、しっかりその再発防止も含めて検証をしていただかなきゃならぬということでございまして、検証体制をしっかりとつくっていただくように、こういうお願いも今回させていただきました。

 なお、それを制度的にどう担保していくかという話なんですが、これは、これから子ども・子育て会議の方で、いろいろとこういうような安全対策、報告対策も含めて制度論的に御議論をいただくというふうに思いますので、そちらの方でしっかりと御議論をいただいた上で対応をさせていただきたいというふうに思っております。

大西(健)委員 ありがとうございます。

 まさに、事故が起こってからもう何年もたっているのにこういう活動をされているというのは、自分たちのような悲しい思いをする人を二度と生んじゃいけない、そういう思いからだというふうに思います。ぜひ、これからもしっかりとやっていただきたいと思います。

 このケースでも、碧南市に何回も求めたけれどもなかなか調査委員会をつくってくれない、愛知県に行って、そして、大村知事が碧南市につくるようにということで第三者委員会ができたという経緯がありますので、ぜひ前向きに、これからもよろしくお願いしたいというふうに思います。

 もう一点、先ほどと同じで、民主党政権で行ったことについての大臣の評価ということをお聞きしたいと思うんですけれども、先ほど「子育て」で見ていただいた資料の右側、「医療・介護」というのが載っております。

 自民党政権で、社会保障費を二千二百億円ずつ削減するということをやっていました。それについては、政権交代後、しっかりと我々がとめた。そして、二〇一〇年度診療報酬改定を十年ぶりにプラス改定した。そして、二〇一二年度にも二期連続でプラス改定をした。そのことによって、病院の赤字が改善をして、そして、医師不足、こういうこともいっときに比べれば大分ましになったというふうに言われております。

 そういうことについて、大臣がどう評価をされているのか。また、社会保障費の一律の抑制、二千二百億円削減みたいなことを復活させるということが今後あるのかないのかというのも含めて、御答弁をいただきたいというふうに思います。(発言する者あり)

田村国務大臣 ちょっとお静かにお願いいたします、山井委員。

 これは、実は自公政権のときから診療報酬等々でやってきたのも事実でございました。医師不足に対して、例えば救急医療に対して診療報酬の加算をするでありますとか、また、それぞれ地域で、医師不足、いろいろありますから、そういうところに対してもいろいろと目くばせをしてきたのも事実であります。また、そもそも医療クラーク、こういうものに対して、事務作業等々があるからお医者様が本来の仕事以外のことに手を煩わせるということもありましたので、そういう対応もしてまいりました。

 そういう意味では、いろいろとやってきたのは事実でありますけれども、ただ、民主党政権になって、確かにおっしゃるとおり、診療報酬改定二期連続プラスというかゼロというか、マイナスが続いておったのに対してゼロ改定をやられたというのは、それなりに意義があったのかな、このようには理解をいたしております。

 ただ、一方で、病院等々に対して非常に診療報酬がついたわけでありますが、大きな病院はよかったんですけれども、中小病院に関しましては、逆に、決してこれはプラスではなかったというようなお声もお聞かせをいただくわけでありまして、そういうことを勘案しながら、次期診療報酬改定に関しましては、やはり必要なところに点数をつけていくということをやっていかなきゃならぬというふうに思っております。

 あわせて、一律に二千二百億円というお話がございましたけれども、厚生労働省といたしまして、一律に医療費自体を削減するというような考え方は持っておりません。

大西(健)委員 安倍政権では、とにかく何か民主党政権がやったことは気に入らないから、片っ端から変えようみたいなところがあるように感じられるんですけれども、私は、きょうの田村大臣の答弁を聞いて、非常に素直に評価もしていただいていますし、さらに進化すべきところは進化をさせるということをお答えいただいたと思って、大変評価をしております。

 それでは、話題をがらっとかえて、TPPについてお伺いしたいんですけれども、きょうの午後にも、安倍総理、交渉参加を表明されるというふうに伺っております。

 昨年の総選挙の前の十一月に、JAは、TPP交渉参加反対の国会請願紹介議員一覧というのを公表されました。

 皆さんのお手元に配付をさせていただいておりますけれども、田村大臣もここに紹介議員として名を連ねておられます。ちなみに、印をつけ忘れたんですけれども、秋葉副大臣もここには入っております。

 それで、この請願というのは、表題のとおりでありまして、TPP交渉参加を反対する。聖域なき関税撤廃を前提としたとか云々という話ではないんだというふうに思います。

 それから、JA全中は、先日も大きな集会を開かれておりましたけれども、今もって交渉参加は反対だというふうに思うんですね。

 ですから、ここに紹介議員として名を連ねられているということは、田村大臣はTPP交渉参加に反対なんでしょうか。

田村国務大臣 この時点では、反対でございました。

 なぜかといいますと、民主党政権でございまして、正直申し上げて、非常に稚拙な外交等々をやっておられる民主党政権のもとにおいて、この外交交渉、入っていただければ国益にかなわないであろうな、そういう認識を持っておりました。これは厳しい言い方かもわかりませんけれども、そういう意識のもとでは、我々は、民主党政権下におけるTPP交渉には反対をいたしておったわけであります。

 しかし、今、安倍政権で、私が閣僚でございます。そういう意味で、自分自身を信じられずして外交なんてできないわけでございまして、新しく安倍政権になって、しっかり国益にかなって交渉参加をしていくことに関しましては、これは前提がございます、最後は総理が御判断をされることでございますけれども、総理が御判断をされるのであるならば、それは、我々は総理に従うというのは当たり前の話であろうと思います。

大西(健)委員 私、予算委員会にも参加しておりましたけれども、予算委員会でも、聖域なき関税撤廃を前提としないという当たり前のことを文書に起こしてもらうために、実は自動車で譲っていたんじゃないかと。では、それは本当に外交交渉として非常に外交手腕があるのかというと、私は極めて疑問だと思いますけれども、ただ、内閣の一員としては総理の決定に従う、これは私は当たり前のことだというふうに思います。

 ただ、JAの方々はそうはお思いにならないんじゃないですか。JAの方々は、選挙の直前に紹介議員になって、交渉参加に反対すると言っているから応援しようと思われた。そういう意味では、JAの方々はだまされたと思っておられるんじゃないかというふうに私は思います。

 それでは、次に、ちょっと別の話題に移りたいというふうに思うんです。

 皆さんのお手元に、二月二十五日付の日経新聞に掲載をされた、ヒューマントラスト社社長と丸川政務官の、雇用と派遣のあり方についての対談、全面広告というものをお配りさせていただきました。

 先日、丸川政務官は本委員会でも、御挨拶の中で、労働分野を担当されるということがありました。ヒューマントラスト社は、規制を受ける側の派遣業者です。

 しかも、これは内容が私は問題だと思うんですけれども、内容を読むと、囲っておきましたけれども、「ニーズが多いものを抑えるとアンダーグラウンドに潜り労働者保護はさらに難しくなる。そうなってはいけないと強く思います。」

 前のところでこの阪本さんというのが何を言っているかというと、日雇い派遣が法改正で禁止されたけれども、短期雇用が経済に活力を与える一端を担っていることにも目を向けていただければと思いますと。つまり、日雇い派遣が禁止されて困っているという話をして、それに対してこういうことを言っておられるんです。

 これは、厚労省の公式見解なんでしょうか。これを素直に読みますと、労働者派遣法の規制をより緩和すべきだというふうに言っておられるというふうに私は思いますけれども、これが公式見解かどうなのか、丸川政務官にお答えいただきたいと思います。

丸川大臣政務官 委員は、労働関係の議論についてはよく御存じだと思います、厚生労働委員会におられましたので。

 日雇い派遣を禁止するということが民主党政権の中で出てきて、すぐに労働市場で何が起きたかといいますと、日雇い派遣をやっていらっしゃる方たちを、今度は、日々紹介という形態で仕事に紹介するという方向へ……(大西(健)委員「委員長、私は公式見解かどうかだけを聞いているんですよ。時間を無駄にしないでください」と呼ぶ)はい。

 日々紹介という形態になりました。結果、労働者は、日雇い派遣ですと、雇用関係は派遣会社と結ぶことになります。ですから、行く先は毎日違うかもしれませんが、例えば一カ月、三十一日以上……(発言する者あり)頑張って早くしゃべります。三十一日以上雇用される見込みがある、あるいは二カ月以上雇用される見込みがあるということになると、雇用保険やそれから社会保険の適用の対象になってくる可能性があるわけです。ところが、日々紹介になると毎日毎日雇用主が変わるわけであります。そうすると、今言っているような問題を、今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会でぜひ議論していただきたいという厚生労働省の見解であると理解しております。

 途中で切れたので申し上げますが、つまり、日々紹介ということになると、今度は毎日雇用主が変わって、同じように労働者は現場に働きに行っているかもしれないが、雇用主が毎日変わることによって、むしろ派遣よりも、雇用保険であるとか社会保険であるとか、そういうものを受ける機会から遠ざけられる結果になってしまっている状況が発生した、こういうことについてきちんと議論していただきたいということを、私は厚生労働省の中の見解の一つとして申し上げました。(発言する者あり)

大西(健)委員 いや、本当にそうですよ、今、山井理事からも話がありましたけれども、自民党、公明党さんも賛成して、日雇い派遣については法改正して禁止したんですよ。それを、まだそれから何年もたっていない、何年どころか全然時間がたっていないのに、厚生労働省の見解としてやはりこれは厳し過ぎるから緩和するということを言ったんだったら、それは私は大きな問題だと思いますよ。

 しかも、これは全面広告、報酬はもらっていないということですけれども、この広告は、皆さんが規制をする対象の業者がお金を払って新聞広告を出しているんですよ。

 それは厚労省の見解だと今会議録に残ったというのは、私は大変大きな問題だというふうに思いますので、今後、これはちょっと、きょうは通告していませんから厚労省の事務方には聞きませんけれども、私、内々、事務方から聞いているのは、厚労省の公式見解じゃない、これは丸川参議院議員の見解ですという方を聞いていますよ。全然一致していないじゃないですか。これは、私、理事会でもしっかり協議をしていただきたいというふうに思っております。

 それから、もう一枚、同じような全面広告に田村大臣も出られているんですね。最後につけておきましたけれども。

 この広告ですけれども、一月十四日ですけれども、全国紙各紙、重立った新聞に、横倉日本医師会会長と羽生田日本医師会副会長との新春鼎談というのが一斉に掲載されました。くしくも、この次の日の十五日、日本医師連盟は、七月の参議院選挙に、ここに載っておられる羽生田副会長を自民党の医師連の組織内候補として擁立されるという発表の記者会見もされております。

 私、田村大臣の政治資金管理団体の収支報告書、三年分の公開をされているものも拝見させていただきました。日本医師連盟から百万円、日本歯科医師連盟から三百五十万円、日本薬剤師連盟から二百五十万円、日本薬業政治連盟から三百万円、整形外科医政協議会から二百万円。医療関係団体からこの三年間で、ここに今申し上げただけで約一千二百万円、献金を受けられています。

 私、田村大臣はずっと厚生労働政務官や委員長、それから自民党の部会長を務めてこられて、もちろん、そういう皆さんと関係があるのは当たり前のことだというふうに思いますけれども、これを見ると、昔の言い方で言うと、いわゆる厚生労働族議員と言ってもいいかというふうに思います。

 我々、二〇〇九年の政権交代で国民の皆さんが期待したことは、政官業の癒着を断ち切ることにあったと思うんです。国民から見れば、これを見ると、果たしてこうした公正な判断というのができるのかどうなのかということを国民が疑問を抱くことがあっても無理はないというふうに私は思います。

 そこで、最後にお聞きしますけれども、少なくとも大臣在任中、こういう関係団体から政治献金を受けないということをされたらいかがでしょうか。

田村国務大臣 新聞の件は、公益法人の団体でございます。

 厚生労働省もいろいろな審議会でいろいろなお知恵をいただいておるところでございますから、大臣規範等々にのっとって違反ではないというふうに思っておりますし、余りこういうのは、やめた方がいいんじゃないですか。民主党政権時代も、政務官や大臣が同じように全面企業広告でばんと新聞の一面に出ているんですよ。ですから、余りこういうことはやられない方がいいと思います。

 あわせて、政治献金のお話でありますけれども、これは、多分、選挙区支部等々にいただいていたと思うんですが、利益が相反するところからもいただいているんですね。ですから、社会保障全般で田村を応援いただいておるというふうに私は思っておりまして、一団体等々に私は偏ったことをしておるつもりは全くございません。

 その上で、大臣のときは、さすがにそうはいっても、これをいただくということは私も適当ではないなと思っておりますので、大臣のときには、いただくつもりはございません。

松本委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

大西(健)委員 済みません。委員長、ありがとうございます。一言。

 在任中はもらわないと大臣に言っていただいた、私はそれは大変立派なことだというふうに思います。

 民主党時代も、政務三役が確かに広告に出たことがあります。だから、私は、田村大臣の広告は別にして、丸川政務官のものについては、ただ、民主党政権のときは、広告に出ていても、その省庁の言っていることと同じことを言っているんです。

 さっき言ったように、これは公式見解であるならば、私は厚労省の立場と食い違っていると思いますので、そのことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

松本委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 まず、今、大西議員がなさっておられた議論から始めたいと思います。

 通告はいたしておりませんけれども、丸川政務官、改めてお尋ねをいたしますが、大西議員が配付をした資料に掲載されていることは、厚生労働省としての公式見解だということで確認させていただいてよろしいでしょうか。

丸川大臣政務官 お答えを申し上げます。

 対談の内容の肩書のところに「参議院議員」と書いてありますように、参議院議員丸川珠代としての見解がまずそこに述べてあると。

 その上で、先ほど申し上げたのは、こうしたこともあるので以降の部分でありまして、今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会、これは昨年十月からやっているところですが、ここにおいて、ぜひしっかり幅広く議論をやっていただきたいというのが厚労省としての見解でございます。

中根(康)委員 参議院議員としてのとか、政務官としてのと使い分けるんですか。これからも使い分けるつもりなんですか、それは。それはおかしいですよね。

 それは、政務官・参議院議員丸川珠代議員だということであろうと思いますので、そこは使い分けるような詭弁というか逃げ道はつくらない方がいいと思います。

 そして、先ほどの政務官の御答弁、御説明の中にあったことは、派遣労働をめぐる一つの側面ではあるとは思いますけれども、あくまでも一つの、片方から見た側面であって、労働者派遣法が改正されたその原因となったさまざまな弊害、こういったものを置き去りにした説明の仕方であったと感じ取りました。

 ここは、政務官になったわけでありますので、単に参議院議員、単にと言っては失礼ですけれども、参議院議員ということだけではなくて、幅広く、労働状況といいますか、派遣をめぐるさまざまな問題点、これを改善していくという姿勢で臨んでいただきたい。

 これは公式見解かどうかということについては、まだまだ議論の余地が残るところであろうと思いますので、ぜひ、理事会などで御協議をいただきたいと思います。

 また、ぜひしっかりと整理をした報告をこの委員会にしていただきたいと要望をいたしておきますが、委員長、整理したものを委員会に出してもらうことはできるでしょうか。

松本委員長 後刻、理事会で協議いたします。

中根(康)委員 理事会で協議をしていただくということを、委員長からおっしゃっていただけました。

 余り、緊張感を持った空気の中で質問を始めるというつもりはなかったんですけれども。

 改めて、田村大臣、厚生労働大臣御就任おめでとうございます。適材適所というのは、私は、まさにこのことだというふうに思います。田村大臣のこれからの厚生労働行政の推進に、心から、本当に心から期待を申し上げるところでございます。

 そしてまた、その上でといいますか、これも通告をしておりませんでしたけれども、けさ、新聞各紙あるいは報道でさまざま大きく取り上げられているのが、成年後見制度をめぐる東京地裁の判決。

 本来ならば権利擁護のための成年後見制度が、これを利用して後見人がつけられるとその当事者には選挙権がなくなってしまう、権利擁護のための制度が権利を剥奪するという大変矛盾したものになっているということに対して、久しぶりに裁判で痛快な判決が出たと私は感じておりますけれども、この東京地裁の判決、大変重要な、意味のあるものだと感じ取っております。

 これは、政府として、ぜひ、控訴をしないで、判決をそのまま受け入れていただくということで、田村大臣、閣僚といいますか内閣の一員として、御尽力といいますかお取り計らいをいただけないものかと思いますが、通告をしておりませんのですが、御見解をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 所管は法務省なんだというふうに思います。

 これは、以前の禁治産者制度のときに、新しく成年後見制度を入れるときに議論をされた部分だというふうにたしか記憶をいたしておりますが、そのときには、なかなかそこがかなわなかった部分、今回のこの判決というものは一つの司法の判断であろうなというふうに思います。

 いずれにいたしましても、法務大臣がどう御判断されるかという話でございますので、それをしっかりと我々も見守っていきたいというふうに思います。

中根(康)委員 厚生労働大臣の立場ではそこまでが限界なのか、あるいはもう少し踏み込んだ御見解をいただけるのかと少し期待をいたしておりましたが、ぜひ、この地裁の判決は尊重をしていただいて、それと同時に、私ども国会の立場でも、公職選挙法の改正ということにやはり取り組んでいかなければならないということを、改めて決意を新たにさせていただいたところでございます。

 さて、通告をしたことに入っていきたいと思いますけれども、安倍総理の所信表明演説、「今こそ、世界一を目指していこうではありませんか。」と言っておられます。

 実は、これと最もほど遠い状況にあるのが、我が国の子供の貧困率。配付をさせていただいております資料の一をごらんいただければ一目瞭然でございますが、子供の貧困率は、一三・七%で、OECD三十カ国中十九位、一人親世帯では五八・七%で三十位、何と最下位ということでございます。

 ここに、安倍総理の所信表明演説の原稿が手元にありまして、改めて読み返してみますと、「家計のやりくり、教育、子育て、介護。こうした不安に目を向け、一つひとつ対応することも、政治の使命です。」あるいは、さまざまおっしゃっておられた後、「その主役は、子どもたちです。」ということも言っておられます。それから、さらにページをめくると、「全てを家庭に任せるのではなく、社会も共に子育てや介護を支えていきます。」とおっしゃっておられます。

 このように、世界一を目指していくということの中には、決して経済成長だけの世界一ということではなく、子育てしやすい国づくり、教育の充実した国づくり、いわゆる社会的に弱い立場に置かれた人たちに寄り添うという意味での世界一ということも含まれているというふうに私は演説を聞かせていただきました。

 貧困の連鎖という言葉がありますけれども、これを断ち切るために、子供の貧困というものにスポットを当てた政策がやはり重要だと考えております。

 民主党では、今、資料二をごらんいただけますように、これは概要でございますけれども、こういった法案を準備いたしております。

 この柱は、やはり何といっても、貧困率の具体的な削減目標、数値目標を示して達成を図る、目指すということ。

 それから、相対的子供の貧困率、これはこの資料の上段の左側の箱に書いてありますけれども、相対的子供の貧困率、平成二十一年で一五・七%であるものを三年ごとに一〇%ずつ削減する、そして平成三十三年までに一〇%未満にするということ。

 それから、一人親家庭の貧困率を平成二十一年の五〇・八%から三年ごとに一〇%ずつ削減して、平成三十三年までに三五%未満にするということ。

 そして、この目標を達成するために、閣僚や有識者のみならず、当事者も加わった会議での意見を十分聞きながら、政府や都道府県が子どもの貧困対策計画をつくるということ。

 こういう内容の子どもの貧困対策法案というものを今準備させていただいております。

 超党派の議員立法という形で、自民党、公明党の皆さんを初めとする全ての会派の皆様方に御理解をいただきながら、もちろん、議論の過程においては、さまざまな微調整、修正ということもあるかもしれませんけれども、そういったことを踏まえて、成立を目指していきたいと思っております。

 安倍総理の所信表明演説からすれば、むしろ、これは政府として法案をつくっていただきたいような内容ではございますけれども、国会の方でもしっかりと頑張って、こういう法律をつくっていきたいと思っております。

 もう少しこの法案について申し上げますと、上段の右側の箱に、学習機会の確保こそが貧困の連鎖を断ち切る鍵だという思いで、政策づくりの前提となる実態調査をしっかりとやるということも盛り込んでおります。

 例えば、貧しくて毎日同じ服を着ていると、からかわれたり、あるいは、いじめられたりということが生じてしまって、そのことが原因で学校へ行きたくなくなってしまう。こういうことが学力をつける機会の喪失になって、ひいては、いわゆる貧困の連鎖の始まりになるということでもございますので、子供をめぐる貧困、これは子供には全く責任がないわけであります。

 責任はどこにあるかという議論はまたおいておくにしても、社会あるいは政治、親、みんなが総がかりで、将来を担う子供の状況の改善には取り組んでいかなきゃいけないということであろうと思います。

 資料三をごらんください。

 詳しくは説明を申し上げませんけれども、ここに記載されておりますように、イギリスでは、一九九九年、既に数値目標の入った法律ができております。イギリスでできて、日本でできないはずはありません。

 現に、今の下村文科大臣は、三月十二日の衆議院の予算委員会で、自民党も議員立法の準備をすると、自民党として前向きな考えを持っていることを表明されました。田村大臣も、子どもの貧困対策法案を成立させることに、ぜひ、下村大臣同様、あるいはそれ以上に応援をしていただきたいというふうにお願いを申し上げるところでございます。

 インフレは、二%のインフレターゲットといいますか、目標を設定しているわけでありますので、日本の将来を担う子供たちの政策でありますので、具体的な貧困率の削減目標を盛り込んだこういった法案に対して、田村大臣から、応援をしていただけるかどうか、お気持ちといいますか、御見解をお聞かせいただければありがたいと思います。

田村国務大臣 子供たちの貧困の連鎖というものは、何としても防いでいかなきゃいけないと思います。でありますから、子供の貧困という問題に大きく取り組まれようとされておられる中根委員の姿勢には、心から敬意を表したいというふうに思います。

 その上ででありますが、議員立法でございますから、我々厚生労働省は、もちろん、できたものに対してしっかりと対応していくということはやっていかなきゃならぬというふうに思っておりますけれども、これから各党でどういう内容になられるかという話だと思います。

 一点、貧困率という考え方も一つの考え方なのかもわかりませんが、フローの所得だけで見るのが本当にいいのかどうか、ストックのこともありますし、そもそも、おじいちゃま、おばあちゃまから援助があるという場合もあります。一方で、親はフローは持っているんですけれども、父親が非常に態度が悪くてお金を家に入れないなんというような家庭もあるわけでありまして、そういうところをもうちょっときめ細かく見ていって、本当に子供たちに何が必要か、どういう子供たちが困っておるのか、そういうところまであらわせるような何かがあればいいのかなというふうには思います。

 いずれにいたしましても、各党で御議論をいただく話だというふうに思いますので、御議論いただいた上で、しっかりと貧困の連鎖というものを断ち切っていただければよろしいかなというふうに思っております。

中根(康)委員 大臣というお立場ではなかなかお答えしにくいことをお聞きして恐縮ではございましたけれども、ぜひ下村文科大臣同様に、これまでの厚生労働行政におけるさまざまな知見を、自民党議員の一人として、自民党の立法作業といいますか、国会のこういう立法作業にアドバイスを賜りたいと改めてお願いを申し上げるところでございます。

 話は少しまたかわりますけれども、厚生労働省としては、資料四のような、生活困窮者自立支援の法案を検討中だと聞いております。

 後で時間があれば質問いたしますけれども、三年間で七百四十億円の生活扶助費削減、それと、生活保護基準額やそれを勘案して決められる住民税非課税限度額の基準の範囲内で利用される各種の生活支援制度の利用者負担増という問題、いわゆる連動問題。生活扶助基準の切り下げと低所得者の生活支援制度における利用者の負担増、こういうダブルパンチということでございますけれども、こういったことが将来起こりかねないということの中において、資料四にあるように、新たな相談支援体制とかあるいは学習支援ということは、これはとても大切なことだと思います。

 与党はもちろん多数でございますので、予算だけが通って、生活扶助、生活保護、この水準が切り下げられて、そして生活困窮者、低所得者に対する支援というものが置き去りにされてしまう、予算が通って削減だけが先行をして、支援が置き去りにされてしまう、こういうことにならないように、ぜひ、生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会の報告書の概要をしっかりと踏まえて法案をお取りまとめいただき、法案の名前はまだわかりませんけれども、こういったことを盛り込んだ法律案をこの国会に提出してもらいたいと思います。

 その上で、国会として、この委員会としてしっかりと議論をして、いいものであれば成立をさせていくということが私は必要なことだと思っております。つまりは、生活保護水準の切り下げと生活困窮者の支援体制の充実ということは、本来セットでなければならないということであろうと思います。

 これが、まだ法案の提出が確定的であるとは言えないという状況であるとも聞いておりますが、ぜひ大臣のリーダーシップで、この法案をある意味最優先で国会に提出していただき、国会で議論ができるような状況をおつくりいただけますようにお願いを申し上げますが、いかがでございましょうか。

田村国務大臣 この生活困窮者の方々に対する支援の法律でありますけれども、これは、当然、今国会に何としても提出をさせていただきたいというような思いを持っております。

 今言われた総合的な相談事業ですね、それから、そもそも家賃等々の問題でなかなかうまく職についていけないという方々がおられますから、そういうものに対する補助でありますとか、お子さん方を含めて学習支援の幅も枠もこれは広げていかなきゃいけないというふうに思っております。

 さまざまな支援を、もちろん、就労支援というのはもう当たり前の話なんですけれども、進めてまいりたいというふうに思っておりますが、あわせて、法案が成立しても施行するまでには時間もかかるわけであります、その間どうするんだという話もあります。

 その間、家賃をずっとやってきておりましたけれども、期限が切れますので、これの延長でありますとか、さらにハローワーク等々と協力しながらの就労支援でありますとか、そのような事業。

 それから、そもそも、新しい法律が成立した後どういうふうに動いていくかということも含めて、モデル事業をやってみる必要はあろうと思います。そういうモデル事業も、これはぜひともこの間におきましても進められるように、予算等々でしっかりと手当てをしてまいっておるわけでございまして、対応してまいりたいというふうに思っております。

中根(康)委員 モデル事業、これももちろん大切なこと、重要なことであると思いますけれども、もう一度、ちょっと答弁がはっきりわからなかったんですが、必ずこの困窮者支援法案を提出していただくという約束ができたのかどうなのかということでありますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 そのつもりで、今、準備をいたしておるということでございます。

中根(康)委員 ぜひ最大限の努力をしていただいて、これは、先ほどと同じことを繰り返しますけれども、予算は恐らく通っていきます。通っていくと、生活保護水準は最大一〇%切り下げられるということになります、八月以降。これだけが先行して、困窮者支援制度が法案の提出すらされない、国会で議論の機会すら与えられないということでは、これは田村大臣らしくないということになってしまいますので、大臣が大臣たるゆえんは、まさにここをセットで出してもらうということにほかならないと思いますので、ぜひ、ここは強くお願いをしておきたいと思います。

 三年間で七百四十億円削減をする。ですから、出さないということにもしなってしまったら、まさか、七百四十億円、もちろん三年間ですけれども、これを公共事業に回すのかということになってしまうわけであります。法案を出して成立すれば、学習支援だとか、就労支援だとか、家賃補助だとか、ここに正々堂々と対策をつくっていくことができる、予算も財源も確保していく裏づけができるということになるわけでありますので、まさか公共事業に横流しをするというようなことにならない意味でも、ぜひ法案を出していただきたいということでございます。

 ぜひ、これは同じ御答弁になろうかと思いますので、申し上げて、お願いをしておきたいと思います。

 ところで、その七百四十億円の削減ということでございますが、そのうちの五百八十億円はデフレ分だということを聞いております。アベノミクスと言われる政策では、これからインフレになっていくというようなことが予想されるわけであります。

 資料五に新聞記事が、きょうは用意させていただいておりますけれども、円安、もちろん円高是正ということは私どもも求めてきたこと、追求してきたことでございますが、一方で、円安が進めば、こういうさまざまな物価の値上がりということも現実問題として起こるわけでございます。

 ある意味、この生活保護基準の切り下げを決めた、予算を決めた段階で、これは語弊があるかもしれませんけれども、これほどアベノミクスが急激な効果を上げるとは思わなかった、円安がこれほど急激に進むとは思わなかった、こういう状況の中でお決めになった予算だということであるとするならば、将来、もしかしたら予想以上に早くインフレが進んでいくということになるかもしれない。

 すると、低所得者、生活困窮者の家計を、暮らしを直撃する事態が早く訪れることになるかもしれないということでございますので、改めて、このデフレ分で削減をするということについては、将来インフレが近いうちにやってくるかもしれないという状況の中においては、考え直してもいいのではないかということであろうかと思いますが、大臣、このあたりはいかがでしょうか。

田村国務大臣 今、インフレではないんですけれども、そういうふうな形で、二%、これは、当然、実質経済成長を伴った物価上昇であるわけでありまして、名目でしっかりと経済成長させていくという意味での物価目標政策でございますから、そこは御理解をいただきたいというふうに思うわけでありますけれども、生活扶助の基準を見直すということ、これは、ゆがみの是正部分、それと今のデフレの部分、これをあわせてでございます。四・七八%がその中で物価下落部分だということで御説明をさせていただいております。

 物価が上昇したらどうするんだという話なんですけれども、御承知のとおり、民間最終消費支出、これを一つの要素として、毎年の生活扶助額というものをいろいろと勘案いたしております。でありますから、物価が上昇するという話になれば、当然、民間最終消費支出の方もふえるであろうというような予測のもとに、これは見直されるということは十分にあり得るわけでございます。

 一方、思うより早く起こった場合どうするんだという話でありますが、もともと、四・七八%、三年かけてこれを適正化いたします。ということを考えますと、そういう意味では、初めの一年目にいきなり四・七八ではございませんから、そこのところはある程度そこの部分でうまく緩衝材になるのかなというふうには思っております。

 いずれにいたしましても、これはこの八月から始まる。その次の年度の頭、つまり来年の四月からに関しては、これまた、今言いました民間最終消費支出というものの予想のもとで、新しい基準額というものを設定する可能性というのは十分にあるということであります。

中根(康)委員 ということは、三年間で七百四十億円削減をするということが現時点では方針として決められているけれども、来年度あるいは再来年度の予算をつくるときには、その時々の物価の動向といいますか、そういったものを改めて勘案して、必ずしも今の予定どおりに削減をするとは限らない、削減を取りやめることもあるという意味合いでよろしいですか。

    〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

田村国務大臣 ですから、再来年度ですね、今の話は。再来年度、二十六年の四月という話になるんだと思うんですが、ちょっとその考え方がどうなのか、削減というか適正化部分はそれであるわけであります。

 しかし一方で、必要と認められる、つまり、先ほども言いました、民間最終消費支出が伸びるという中において生活扶助額を見直すというような決定がされたときには、それは、そこからまたふえる。減らしてふえると言った方がいいのかわかりませんが、適正化した上でふえる部分は、当然、毎年生活扶助額というものは、上がるか上がらないかは別でありますけれども、それぞれの指数を見て判断をいたしておりますので、その部分は上がるのならば上がるという話になると思います。

中根(康)委員 前回の十九年度の見直しのときにも、ある意味というか、明らかにデフレ状況であったということはあると思うんですね。それと、今回はまたデフレで削減をする。

 前回はデフレであったけれども、ある意味政治決着で据え置いた。今回はデフレをそのまま反映させる。これは、前回と今回と、どういう政治判断の違いがあったんでしょうか。

田村国務大臣 前回の改正時に、もう既にこの部分は指摘があったわけであります。その後、さらにデフレが進んでおりますから、そういう意味では、前回のたまりの部分以上にまたたまってきた、デフレの部分が。

 しかし、前回までさかのぼっては下げておりません。今回の部分においてのみ下げさせていただいたということであります。

 それはなぜかといいますと、やはり、生活保護の方々だけでなくて、低所得者の方々は世の中にたくさんおられるわけでありまして、そういう方々も、収入が減ったり、いろいろな形の中で御苦労されておられるわけであります。その方々との調整もする公平性という部分も見ていかなきゃならぬということの中において、今回、このような適正化を図らせていただいたということであります。

    〔上川委員長代理退席、委員長着席〕

中根(康)委員 時間が参りましたので、最後に一問だけお願いをして、終わりたいと思います。

 生活保護基準の切り下げは、最低賃金にも影響するわけであります。

 総理は大企業に賃上げをしてくれとお願いしておきながら、一方で、この政策によって最賃は上がらない、むしろ上げない理由を政府みずからがつくっている。これは少し矛盾したやり方ではないかということでございますけれども、大臣、このあたりはいかがお考えでしょうか。

桝屋副大臣 最賃に係るお話ですが、委員、先ほどから生活保護の基準の切り下げ切り下げと厳しく言われておりますが、私どもは、民主党政権からずっと検討されてきた適正化を行ったというふうに理解をしているわけであります。

 そういう意味では、もう委員全部おわかりになってお尋ねになっていると思いますが、最賃は、労働者の生計費、労働者の賃金水準、それから企業の賃金支払い能力、総合的に勘案をして決められるものでありまして、生保の部分は、まさにこの最初の労働者の生計費、ここに影響を与えるわけでありますが、機械的に最低賃金に影響を及ぼすものではないと我々考えているわけでありまして、今後の最賃の検討状況の中で、ここは慎重に検討されるべきものだと考えております。

中根(康)委員 終わります。ありがとうございました。

松本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、生活保護問題一本で田村大臣に質問しますので、よろしくお願いいたします。

 ことし八月から、生活保護受給世帯の九六%の方が平均六・五%の引き下げになります。衆参の予算委員会で多くの議論がされてきました。

 私は、〇七年の保護基準の見直し議論があったときも何度も議論に立っておりますけれども、しかし、基準そのものは下げなかった、そういう経緯があったと思います。このことを本当に大事にするべきではないか、その経緯を本当に踏まえるべきではないか。改めて、引き下げをやめるべきだ、このように申し上げます。

 大臣は、引き下げの理由について、繰り返し、ゆがみの是正と答弁をされています。

 しかし、基準を引き下げるということは、生活保護法が、憲法二十五条に基づく、そういう法律である限り、最低生活費とはこの程度と国が決めることになります。国民の暮らしが大変になっているのに、その底辺のところと比べて下げていく、これは、憲法二十五条に保障される健康で文化的な最低限度の生活がこのレベルというふうに下がっていく、こういうことは許されるんでしょうか。

田村国務大臣 以前も予算委員会等々でお答えいたしておりますけれども、そもそも、ゆがみの是正というのは、第一・十分位という一定のグループの中の平均的な数字の中で、そのゆがみというものを生活保護の生活扶助の基準に当てはめて是正をしたというような手法でございます。

 具体的には、年齢、世帯人数、地域、こういうところを合わせてゆがみを是正した。言うなれば、生活保護世帯の中でも格差があったといいますか、不公平感があった、それを是正したというところでございます。

 もう一方は、これは今委員おっしゃられませんでしたけれども、物価の下落分というものを勘案して今回の適正化をさせていただいたということであります。

高橋(千)委員 その比較したことをゆがみだと言い切ってしまっていいのか。それは基準部会の検討あるいは報告書から見ても、決してそうではないと思うんですね。

 なぜ、年収の階層を十分類して、その一番下である一の十分位と比較したのか。そもそも、人口は一〇%ということで割っていったということかもしれないのですが、年収で見ますと二・六%にしかなりません。所得の高い二割の世帯は全体の四割を占めている。そもそも、格差がその中にあらわれているわけです。この一の十分位の可処分所得の平均は九十二万円、最大でも百三十五万円。OECDの基準で見る相対的貧困線以下にあるわけですね。

 ですから、消費実態調査をする上で、サンプルの中に生活保護世帯が紛れ込んでいるかもしれない、それを除かなければ比較できない、こういうことが基準部会で最初に注意事項として出されているわけですね。しかも、報告書の中では、一の十分位の階層には生活保護以下の所得基準で生活している者も含まれることを留意すべきである、このように書かれているわけです。

 そもそも、そういう比較がおかしいのではありませんか。

田村国務大臣 重ねて申し上げますが、金額の比較はいたしておりません。つまり、ゆがみの是正をしただけの話でありまして、そもそもの生活扶助基準というものは、今までの経緯の中で使ってきたものであります。

 ただ、そこに物価下落分というのを今回は勘案したわけでありますけれども、さっき言われたような、言うなれば、第一・十分位の平均的な金額というものをこれに当てはめたというわけではございませんでして、重ねて申し上げますけれども、地域でありますとか、年齢でありますとか、それから世帯人数、こういうもののゆがみをちょうどこれに当てはめたということでございますから、基準の金額をこれに合わせたというわけではございません。

高橋(千)委員 金額を合わせたものではないということは十分承知をしております。しかし、そもそも限界がある。

 これは、資料の一枚目につけていますけれども、留意事項の丸が六つありまして、三つ目にちゃんと書いているように、「今後、政府部内において具体的な基準の見直しを検討する際には、今回の検証結果を考慮しつつも、同時に検証方法について一定の限界があることに留意。」する、このように述べているわけですよね。

 ですから、金額じゃないけれども、要するに、子供のいる世帯が乖離しているんだと。そこをかなり下げるというふうな格好に実態は反映しているわけですよね。

 それプラス、デフレの影響だということで、デフレの問題はきょう議論をしませんけれども、比較しているのはどっちも同じ影響を受けているわけですよね。だから、それを突然に基準部会が、つまり、これまでずっとデフレだったのに、そのことを考慮しないできたのに、何で今、取ってつけたように、多分、財政効果を上げるためだと思いますが、そういう形でデフレ論が出てきた。これは全く納得いくものではありません。

 それで、この資料の上の方についているように、大臣がさっきから、ゆがみ、ゆがみとおっしゃる乖離の部分ですね、夫婦子一人、子二人、高齢単身、こういうふうに比較したデータがございます。それを見ても、実は高齢単身が四・五%。これは、私が言っているように、一番低いところと比べてもさらに四・五%生活保護世帯の方が低い、そういうデータなんですね。これはもう言うまでもなく、老齢加算の廃止とか、こうした影響があったのではないか。

 ですから、いろいろ限界があるデータの中でもこんなに低いんだということがあるにもかかわらず、実際に二枚目の資料を見ますと、ほとんどプラスのところはないんだと。一番プラスで、プラス〇・一ですよ。あとは全部三角がついている。これは本当に是正されたと言えるんですか。

田村国務大臣 ゆがみの議論と物価の議論と、ちょっと分けて考えなきゃいけないんだと思うんですが、ゆがみの方の議論をすると、委員がお配りをいただいた、一枚目の一番上のエのところですよね。このように、上がるところもあれば下がるところもあるということであります。それに物価を勘案する。

 ちなみに、一四%下がるところがありますけれども、これは最大限一〇%という話でありますから、そうは書いてありますけれども、物価も勘案した上で一〇%までしか下げていないということであります。

高橋(千)委員 私は、多分、こういう議論をすると必ずおっしゃるのが今のせりふであって、そのままやるともっと下がるところがありますよ、一〇%では足りないところがありますよということだと思う。それは幾ら何でもあり得ないでしょうということで議論してきた。

 でも、その逆だってあっていいじゃないかと。乖離があるところがあったら、ある程度頑張ったよというのもなくて、結果としては、全体としては下がるところだけなんだということでいいのかということを今指摘したわけであります。

 要するに、低いところは大いに是正をすべきだ、だけれども、高いところをいきなりそのまま直すのはおかしいというのが、これまで積み重ねてきた議論じゃないかということであります。

 議論を続けます。

 保護基準の引き下げに連動して三十四の事業が影響を受ける、このことも繰り返し予算委員会などで議論をされてきました。政府として、わざわざ資料をつくってきたわけですよね。私自身も、昨年の一体改革の委員会で、例えば非課税世帯ですとか、就学援助ですとか、影響があるということを指摘してきました。

 私は、これは、全てはカバーできないと思います、どんなことをしたって。だって、自治体に委ねなければならないことがあるわけですから。

 ただ、私がきょうあえて大臣に指摘をしたいのは、やはり生活保護基準というのは、二百十五万人と言われる生活保護受給者を守っているだけではなくて、数千万人に及ぶであろう一般の人々の生活の下支えになっている。つまり、生活保護基準に近いくらい収入が低い人には税金を課さないんだとか、あるいは、減免をするのだ、そういって、せめて、収入が低いけれども可処分所得を守っていく、そういう役割を果たしてきた。だから、基準というのは、生活保護受給者のためだけのものではない、そう言えますよね。

田村国務大臣 これも委員も御承知だと思いますけれども、生活保護基準というものを我が省としては一定のルールのもとでつくっているわけでありまして、例えば、今言われました住民税の非課税限度額等々は、それを加工してお使いになっておられる。これは、総務省の方が何を基準にするかということで、生活保護の生活扶助基準というものをお使いになっておられるということでありますが、全く機械的に連動はいたしておりません。それは向こうの方でいろいろと加工されているわけでございますので。

 そういうこともございまして、もう御承知のとおり、閣僚懇談会の中において、こういうものに対して影響をなるべく及ぼさないようにというような合意をいたしました。

 また、さらに申し上げれば、税というのは自公政権の中におきましては党が結構影響力があるというのは、もう御承知のとおりでございまして、税調の幹部の先生方ともお話をさせていただきまして、私がその旨をお伝えさせていただきましたら、それに関しては、十分に勘案しながら、来年度はこれは変わりませんから、再来年度、住民税の場合は変わってまいりますので、そちらの方の決定に向かって、しっかりとあなたの考え方というものに留意していくというようなお話はいただいております。

高橋(千)委員 技術的なことではないんです。加工しているというのは十分わかっていますし、それを踏まえて昨年も議論をしています。

 そういうことを言っているのではなくて、生活保護が、さっき言っているように、憲法二十五条を踏まえたいわゆる最低生活、ナショナルミニマム、そうであるからこそ、これが一定の基準になっているんだ、いろいろな、いわゆる低所得とはどういうものかというのを考えるときの。そういう意味での大事な下支えになっている、そういう役割を持っているんだという、理念というか、認識の問題ですね。

 それはそうだと、一言で。

田村国務大臣 今まではそうでございました。といいますのは、基準世帯というものがあって、そこから、それぞれの生活保護の、世帯人数だとか、そういうものを足し合わせて基準を決めておりました。

 ところが、今回はゆがみの是正をしましたので、それぞれの地域、それぞれの年齢、それぞれの世帯数というのが所与になっておりますから、これをそれぞれのいろいろな制度の最低基準というものに使えるかどうかというのは、これからの議論の中で、皆様方が、それぞれの制度の御議論をいただく話になってこようと思います。

高橋(千)委員 今非常に重要な答弁だったと思うんですね。だって、今まではそうだったかもしれないけれどもとおっしゃいました。

 そうすると、生活保護のいわゆる法の理念そのものが変わってしまうのか。だって、基準額というものは、地域によって、あるいは世帯数によって変わるのは当たり前のことですよ。

 そんなことを言っているんじゃないです。それが下がったらやはり連動して下がるとかということは、下支えの役割がなくなってしまうということを私は指摘しているんです。そういう位置づけなんだよねということで、もう認識が変わっちゃった、自民党政権になって変わっちゃったということですか。

田村国務大臣 要するに、それぞれの制度は、それぞれの制度の目的や趣旨、そういうものにのっとってやられているわけでありまして、厚生労働省が生活扶助の基準、生活保護の基準を使ってくださいと言っているわけじゃないというのは、もう御理解いただいていると思います。

 それを、何を使われるかということに関して、今までよりも使いづらくなったことだけは確かでございまして、それはなぜかというと、今までみたいに標準世帯というものがなくなっちゃったんです。全てのものが所与になっていますから、例えば、それぞれの制度が今までの生活保護の全ての世帯に当てはめてやっているわけではないわけでありまして、それぞれの制度の中におけるそれぞれの世帯の、要するに基準というものをどう使うかという場合に、今までみたいに機械的にはこの生活保護の基準を使いづらくなっておるものでありますが、そこは勘案されながら、それぞれの制度がどうされるかということを御決定されるんだというふうに思います。

高橋(千)委員 ちょっと大臣、そこまで言っちゃうというのは、使いづらくなっちゃった、まるでほかの省庁が勝手に基準を参考にしているんだみたいな、そんなことを言っていいのか、それだけの重みのあるこの歴史的な法律を、そこまで言っていいのかと指摘しなければなりません。

 私は、社会保障制度改革推進法、やはりここのところに穴があいたのが、社会保障は自己責任というところから来ているのかなということを言いたいんですが、きょうは具体的な話をしたいので、ちょっとそこは抑えて、次の機会にしたいと思っています。

 そこで、保護を受けている人は、みんな満額もらっているわけではありません。これは相当誤解されていると思うんですね。中には、年金をもらっている、でも余りにも少ない、だって働いているときのお給料が少ないわけですから、とても暮らしていけない、あるいは、それでプラスパートで夫婦でやっと十二万四千円とか、そういう方もいるんです。そういう方がもらっている保護というのは数千円の場合もあります。何か、みんなが丸々もらって丸々楽しているみたいなイメージを持っている方がいるけれども、とんでもないんですね。

 そういう方たちが、一定の収入があるがために、これで、要するに基準が下がることによって、あなたは該当しませんとなっちゃうんじゃないか、はみ出してしまうんじゃないか、それを大変心配されています。いかがでしょうか。

田村国務大臣 今のお話、例えば二十万の方が、一割仮に下がったとして、まあ一割は下がらないんだと思うんですが、一割下がったとしたら十八万だと。そうすると、十九万収入があって、二十万の基準に一万足らないから一万もらわれている方が、もらえなくなっちゃう可能性があるのではないか、生活保護から退出をされる可能性があるのではないかという御指摘だというふうに思います。

 理論上はそういうことはあると思いますが、そもそもそこまで本当に収入がある方がどれぐらいおられるかということ、それから、あったとしても、現場では、数千円でまた生活保護の世界に戻られるという話になると、やはり病気になったりして医療の費用がかかっちゃうと大変だということでありますから、その程度ですと、運用の中で、これは安定的に脱するということが一つの条件でございますから、そう簡単には生活保護から脱するというわけにはなかなかいかないという判断をされると思いますので、全くいないかと言われれば、全くいないとは言えませんけれども、そうはおられないのであろうというふうに認識いたしております。

高橋(千)委員 ここもとても大事なことで、本当にそうだと思うんですね。

 数千円の保護からはみ出した分、何万円という扶助、今、住宅ですとか医療とかにはねてくるというのでは、保護をもらっている人よりもがくんと下がってしまうことになるわけで、それを考慮しているということを大臣は答弁されたんだと思うんです。その趣旨は、私、基準を下げるなということをまず前提に言っていますが、徹底していただきたい。すごく大事なことだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、政府の影響の中に、最低賃金、これが入っていないのはどういうことでしょうか。これも、最低賃金法は、基準の見直しが議論されていた〇七年に改正をしておりますけれども、御承知のように、生活保護との連動ということが議論をされて、法律が改正されました。最賃を下げないまでも、頭打ちになるという作用が働かないのかと大変心配していますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 御承知のとおり、これも委員はお詳しいと思いますけれども、最低賃金は、地方の最低賃金審議会の方で御議論をいただくわけでありますけれども、労働者の生計費でありますとか賃金水準、さらには企業の支払い能力、こういうものを勘案しながら、公労使でお決めをいただくわけであります。

 生活保護等々の基準を一定程度配慮するというような話はありますが、しかし、これは機械的に連動しておるわけではございませんから、決して、今回のことで最低賃金が下がったりだとか、上がりにくくなるということにはならないというふうには思っております。

 ただ、一方で、最低賃金というものは、当然、どちらかというと、大企業よりかは中小企業の方に適用されることが多うございます、中小零細の方に。

 そういう意味からいたしますと、経済の状況というものを十分に勘案しないと、それほど大きな引き上げというものは望めないわけでございますので、そういう意味では、今我々も、三本の矢を射込みながら、日本の経済をしっかりと力強いものにしていく中において、このような最低賃金も上がりやすい、そんな環境をつくろうというふうにいたしておるような次第であります。

高橋(千)委員 上がりやすい環境でなくて、ぜひ上げてほしいという立場で、今これから質問いたします。

 まず、最低賃金と生活保護、これは本来は全然制度が違うものであり、時間給であるということもあるんですね。だけれども、この法律を改正したことによって、比較をするということを初めてやりました。最低賃金の審議会でこれを検討したわけですけれども、その比較をどのように計算するのか、簡潔にお願いします。

中野政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘がございましたように、中央最低賃金審議会におきまして、平成二十年にその比較方法について整理されているところでございます。

 この整理によりますと、各都道府県の地域別最低賃金額を、時給でありますので月額に換算し、そこから税や社会保険料を控除した後の金額と、生活保護のうち、衣食住という意味で、若年単身世帯の生活扶助基準の都道府県内人口加重平均に住宅扶助の実績値を加えたものということとの比較ということで、行っているところでございます。

高橋(千)委員 時間の考え方なんですけれども、なぜ所定労働時間、百七十三・八時間ですね、なのかということですよね。これは、週四十時間、フルタイムで五日間、一年間休みなく働くということを意味しております。これは、今や三六%が非正規だという時代に、あるいは、パート労働者が圧倒的に多い、フルタイムではない方たちが圧倒的に多い、そういう中で、これを比較するというのが現実的なのか。

 当然、毎月勤労統計などで見ると、平均実労働時間は百五十五時間、こういうデータがございます。それを比べると、実際には、もうほとんど全ての都道府県が生活保護を下回っている、こういう実態になると私は思いますが、いかがですか。

中野政府参考人 ただいまの点につきましては、最低賃金審議会におきまして、この比較の際に労使の間で議論があったところでございます。

 その際に、片や働いておられる方、片や生活保護を受給されている方というその実態の比較からすれば、働いている方の収入といたしましては、法定労働時間をベースにした考え方が適切であろうということで、議論の結果、その審議会で整理されたということでありますので、これによって比較されていくということが適切であろうかと思っているところでございます。

高橋(千)委員 ぜひ大臣に伺いたいと思うんですけれども、これまで、最低賃金と生活保護の乖離を解消してきた、あと六つしかないよと言っています。でも、私が言っているように、実労働時間で比較すると、ほとんどなんです。まだ生活保護に追いついていません。その原因が、今説明をされたように、最低賃金審議会の中でそういう実態だったと。

 使用者側の意見は、最低賃金を月額換算する上で用いる労働時間については、実労働時間をとることは適切ではない、法定労働時間をとるべきである、このように言っています。つまり、長くフルタイムで働く、これを見るべきだと言っています。

 片や、最低賃金を上げてほしい、こういう議論になりますと、今や正職員で終身雇用のような形態はもうないから、パートなどがふえているから、高卒初任給並みというわけにはいかぬと議論している。

 全く身勝手なんです。実態がパートだから最賃を上げるわけにはいかないと言っておきながら、時間だけはフルタイムの正社員と比較しているんですね。これはおかしいじゃないですか。

 実態で比較をしてこれだけ乖離があるんだ、だったら、乖離があるんだったら生活保護費を下げて乖離を直しましょうじゃないんですよ。最賃を上げる、そういう立場に立つべきではありませんか。

田村国務大臣 委員のようなお考え方もあるんだと思います。それぞれの考え方があるんですが、いずれにしても、最賃を上げるためには、企業もそれなりに、その賃金で事業が運営していけるようにならなきゃいけないという実態もあり、そして、最低賃金というのは、もちろん大企業でも適用しているところはありますけれども、中小で最賃で雇われているところは多いわけですね。

 そうすると、最賃が、今度、事業が運営できない中で上がっていくというような話になれば、当然、中小零細企業にはそれは大変な負荷がかかるわけでございますから、最賃が上げられるようにそういう経済環境をつくるというのが、我々政府、政治の役割だというふうに思っておりますので、そのような形にできるように頑張ってまいりたいと思います。

高橋(千)委員 最賃の議論をすると、必ず中小企業の問題が出てきます。当然、審議会の中でもそういう立場で議論がされるわけです。

 しかし、だからこそ、中小企業の対策もしっかり同時にやれということがこれまで議論をされてきたことと、そうやって雇用者の給料をふやすことが、結果として、めぐりめぐって中小企業の支援になるじゃないかということも議論をしてきたところです。

 震災後、最賃の引き上げが一円とかそういうときに、こういう議論がありました。

 二〇一二年版経営労働政策委員会報告。中小零細企業の存続を脅かす最賃引き上げということで、財界の方たちはおっしゃっています。震災後、三県の地方最賃が全会一致とならなかったことは、労使一丸となって復旧復興を目指す機運に水を差す結果となった。最賃引き上げによって雇用調整や自主廃業、倒産に追い込まれる企業が出てからでは取り返しがつかないことを肝に銘じておくべき。ここまでおっしゃっているわけです。

 しかし、同じ被災地の、例えば岩手日報などは、「事業所が徐々に復活し、震災で職場を失った被災者がようやく戻り始めている。そうした人々の生活を支えるためにも、賃金水準を上げる必要があるのではないか。」信濃毎日などは、「これで最低の生活を保障する時給と言えるのだろうか。」こういう指摘をしています。岩手は六百五十三円、長野は七百円、そういう水準なんですね。やはりそういう立場に立たなきゃおかしいじゃないかと地元紙が言っているわけです。

 当時、厚労省は、中小企業の皆さんが雇用を維持して頑張っている、それを応援するために、社会保険料の事業主負担を免除したではありませんか。民主党政権の時代でありますけれども、あっという間に打ち切られました。こういう形で応援する方法があるんですよ。それをやればいいじゃないかと。中小企業は大変だ、大変だというのであれば、大企業にばかり減税をしないで、中小企業に実のある支援をするべきだ、こういう立場に立って言いたいと思います。

 資料の最後につけておきましたが、平成十九年、柳沢大臣のときです。これは諮問書ですね。最低賃金審議会に対して諮問をしております。

 このとき、私は委員会で、最低賃金の決定権は大臣にある、これは条文がそうなっています、これで大臣に確認をしました。その後の審議会のときに、柳沢大臣が、パート労働者など非正規雇用が拡大して、働き方の多様化が進んでいる、だから最低賃金をぜひ引き上げたいと厚労委員会で答弁したということを、審議会にわざわざ大臣が出向いて発言をされています。

 その上で、この目安について、賃金の底上げに関する議論に配慮してくださいと言って、その後ろについている底上げ戦略推進円卓会議、この中でも、格差の固定化を防止するという議論がされたんだということ。これは、政府の意思が明らかにここに託されているわけです。

 だからこそ、安倍総理が予算委員会で、一九六〇年、最低賃金法を制定したのは岸内閣だ、二桁引き上げを達成したのは第一次安倍内閣だ、自慢ではないがと胸を張っていらっしゃいました。田村厚労大臣が、その第二次安倍内閣のもとで、こうした明確な最賃引き上げの意思を示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 この合意に基づいて柳沢大臣がおっしゃられたことから、生活保護との逆転を是正してきたわけであります。残すところあと六都道府県というところまでやってまいりました。そういう意味では、その思いはそのままずっと引き継がれているんだというふうに思います。

 一方で、今も賃金が上がっているところがあります。それは、やはり経営状況がよくなってきているから、そういうところは上がっているわけでありまして、一方で、今回の春闘でも厳しい回答を出されたところもある。それは、非常に厳しい経営状況の中でそうせざるを得なかったのかもわかりません。

 最賃という意味からすると、繰り返して申し上げますが、この意思をそのまま継いで最賃を上げていくためにも、まず経済全体の底上げがないことには、これは全てに普遍的に係る最低賃金というものでございますから、なかなか委員がおっしゃられるような大胆な最低賃金の引き上げというものが見通せないわけでございますので、そうなるべく経済環境の整備にしっかりと努めてまいりたい、このように思っております。

高橋(千)委員 やはりそれは経済環境の整備と一体でなければ、今のままだと、大企業は、かなりの支援策があるし、まだ内部留保もございますからいいかもしれないけれども、本当に中小企業は、めぐりめぐってくるのはいつになるのかという議論になるんですよ。

 そういう中で、今、使用者側からは、最賃と生活保護を連動させたことが厳しいんだ、今度の見直しの中でこの整合性のあり方について再度議論することが必要である、こういうことまで出ているんですよ。まさかそれはないですよね、大臣。

田村国務大臣 審議会でお話しいただくことでありますけれども、まあそれはちょっと、今までやってきたことに対する否定でございますから、いかがなものかというふうに私自身は個人的に思います。

 いずれにいたしましても、そういう声が出ておるということ自体、経済状況がまだ十分によくなっていないということでありますから、そういう言葉が出ないような経済環境に持っていくというのが我々政府の仕事であるということを肝に銘じております。

高橋(千)委員 最後に、要望します。

 労働総研の調査で、私たちは最低賃金全国一律千円というのを目指しているわけですけれども、仮にそれをした場合に、働いて、なお生活保護を受けている方たちが、今、一二・九%いらっしゃいます、そういう方たちが抜け出せるわけです。そうすると、十六万世帯がワーキングプアから抜け出せる。そうすると、何か保護がふえてお金がなくてというマイナスの考え方ではなくて、最低賃金を引き上げて、全体の地域経済を循環させて、そしてワーキングプアから抜け出すんだ、そういう前向きの発想をするべきではないか。

 ぜひ田村大臣には、審議会に御出席をいただいて、強い意思を示していただきたいということを要望して、終わりたいと思います。ありがとうございます。

松本委員長 次に、宮沢隆仁君。

宮沢(隆)委員 こんにちは。日本維新の会、宮沢隆仁であります。

 日本維新の会初の厚生労働委員会の質問に立てて、非常に光栄であります。

 まず、自己紹介を少しさせていただきます。

 私は、三十年間脳外科医をやっておりましたが、実はもともと脳が大好きでありまして、それで脳外科へ行ったようなもので、この政治の世界に入りまして、私にとっては非常に刺激的な世界であります。

 なぜかといいますと、もともと私はメディカルブレーンということでずっと三十年やってきまして、その後、ここ三年ぐらい経営大学院へ行ってビジネスブレーンをちょっと構築しまして、その後、突然ポリティカルブレーンの世界へ入りまして、非常に優秀な方々ばかりで、しかも、そこにビューロクラートブレーンが入るということで、これはもう私にとっては非常におもしろい世界であります。

 おもしろいとばかり言っていてもいけませんので、ちゃんと仕事をやるつもりではありますが、永田町の印象を一言で言いますと、政治家の先生方は非常に多忙である。かつての国民の一人として、こんなに政治家というのは忙しいんだというのが今わかりました。それで、よく歩いていますし、よく考えていらっしゃいますし、交渉して戦っているというのは、これはもう非常に脳に結構な環境だと思っております。

 これも国民の目から見ていて、テレビをつけると、結局、社会保障云々、お金の話がほとんどなんですね。それで、私は、もともと哲学が少し好きだったんですが、政治の世界で、生きる意味だとか、いわゆる最期の迎え方とか、そういう話をもうちょっとしてもいいんじゃないかとずっと思っていました。

 この間、予算委員会で、ちょっと二番煎じになりますが、こういう、考動志民という言葉を出させていただきました。人間は、考えて、どんどん動いて、志を持って生きれば元気に長生きできる。これはもうまさに今の高齢者社会に必要な言葉ではないかと思っています。特に今後の高齢者社会においては、一般には高齢者には優しくというようなことを言われているんですが、私は余り過度に優しくしなくていいと思っています。高齢者は、どんどん勉強をしてもらって、動いていただいた方がいいと思います。

 余談ですが、患者さんとして見ていると、公務員の方が定年後は非常に危ないというのが私の一般的な印象で、結局、年金等のお金がどんどん入ってきて、急に動かなくなっちゃうんですね。特に男性の方が危ないです。だから、御留意ください。

 私は、政治家としての基本スタンスは、団体には今、医師会はもちろん、依存しておりません。厚生労働省に特に肩入れをしようというつもりもありません。国民とあと医療従事者双方にバランスよく肩入れして、真に国民のための医療が何かというのを考えていきたいと思っております。

 もうちょっとイントロダクションのお話をさせていただきますと、僕は、日本というのは、今、患者さんに想定できるんじゃないかと思うんですね。大臣の皆さんは外科医、官僚の皆さんはナースとか検査技師に相当するかもしれないです。我々議員は同僚外科医である。

 普通、外科医というのは、ピアレビューといいまして、相互に監視し合って、余りひどいと糾弾して、場合によっては手術をやめさせるということもあるんですね。一定のレベルに達していない者は、もうその場で手術室から出てもらうということもあります。政治の世界でもそういうことが僕はあっていいと思うんですね。だから、僕は、官僚の皆さんのレクチャーを受けていても、一定のレベルに達していないと思ったら、即刻苦情を言います。そのぐらいの緊張感と自浄作用があっていいのではないかと思います。

 本題に入ります。

 通告とはちょっと順番が異なると思うんですが、まず、官僚の方には伝えたと思うんですが、福島県立大野病院事件という、我々医者にとっては非常に重要な事件があるんですが、これは、とかしき政務官に聞いてよろしいですか。御存じでしょうか。どのような事件か、概略を説明していただけますか。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 平成十六年の十二月、福島県立大野病院において、前置胎盤患者の帝王切開に際して、大出血により患者が死亡したという事件であります。

 患者の死亡後、二十四時間以内に所轄警察に届けはありませんでした。

 しかし、平成十八年の三月、業務上過失致死及び医師法第二十一条の違反によりまして、福島県の地方裁におきまして起訴をされ、平成二十年の九月、無罪確定したという事件でございます。

宮沢(隆)委員 どうもありがとうございました。

 昨日、厚生官僚の方々にお聞きしたときも、そこまででとまっちゃったんですね。それが結局、現場と永田町の意識の乖離なんだろうと思うんです。

 このとき、最終的に無罪にはなったんですが、逮捕されたときは、恐らく私の記憶では、手錠をかけられたような状況で車に乗せられたんですね。ほとんど殺人者扱いです。その場面を見て、まず我々医者、特に外科医は大ショックを受けまして、それをきっかけに外科医をやめた人も結構いるんですね。まあ、ちょっとやはり福島県警の行き過ぎだったと最後は反省はしたようなんですが。

 その後、さすがに警察もまずいと思ったのか、あとはやはり世論が、このままだと外科医はいなくなるというようなところまでいって、無過失補償制度というのが必要じゃないかと。

 結局、簡単に言いますと、外科医が手術をやりますと、一〇〇%安全な手術というのはないわけで、何らかの合併症で患者さんが亡くなるということはあるんですね。今の趨勢は、とにかく、体にメスを入れてうまくいけばそれでオーケー、うまくいかなかったらそれは医者のミスじゃないかという方向へ、やはり遺族の方はそういうふうに思われるのも無理はないんですけれども、そういう傾向がちょっと世の中にある。それをやっていくと、結局、外科医はいなくなりますよね、結果として。現実に、今どんどん減っています。

 それで、その無過失補償制度で、例えば合併症等で患者さんが亡くなっても、それは過失と認定せず、何らかの補償を遺族の方にしてあげようという制度。これが数年前に世の中に出て、私はもうてっきり法制化するぐらいまでいっているんじゃないかと思っていたんですね。

 その辺、政務官の方が御存じでしょうから、ちょっと今の進捗状況を教えていただけますでしょうか。

とかしき大臣政務官 お答えいたします。

 こちらの方は、民主党のマニフェストを受けまして、平成二十三年の八月から、医療に係る無過失補償制度のあり方についての議論を開始いたしました。

 現在は、その前提となる医療事故の調査制度のあり方について集中審議を行っている状況であります。

 なかなか、構成員の方々の意見が今ちょっと分かれているところもありまして、なるべく早期に結論が得られるように鋭意努力をしているというのが現状でございます。

 以上です。

宮沢(隆)委員 私は、この経緯を聞いて、現場で仕事をやっていた人間としてちょっとびっくりしたんですけれども、平成十六年の事件で、無過失補償制度が始まったのが平成二十三年八月ですよね。その後、医療事故の調査の仕組みのあり方検討部会が平成二十四年、去年ですよね、二月に始まった。それで、ことし二月に十回目を終えた。

 まず感じたのは、何でこんなに遅いんだろうという、まあ国民一般の感想ですよね。そこをちょっと、なぜかというのを教えていただけますか。これが厚労省のペースなんでしょうか。

とかしき大臣政務官 お答え申し上げます。

 こちらの問題に関しましては、やはり今現在も構成員の意見がいろいろ分かれるように、多様な意見がございまして、なかなか集約が難しいということがございました。

 あと、もう一つ申し上げるのがちょっと抜けておりましたけれども、自民党の方でも、平成十九年の十二月に、医療紛争処理のあり方検討会というものの取りまとめが行われました。

 ということで、十九年に取りまとめが行われまして、私の記憶ですとたしか二年ぐらいこの検討会は行われていたかと思いますので、自民党の方でもこの問題点はかなり検討させていただいたという経緯がございます。

 以上です。

宮沢(隆)委員 自民党がやっていたというのは、私、知りませんでした。

 私が問いたいのはスピードなんですよね。その審議のスピード。事を進めるスピード。

 では、とりあえず過去のことはいいとして、今後どういうスピードで、どういうスパンで、何を目指して、いつまでにこの問題をやっていただけるんでしょうか。お願いします。

田村国務大臣 少しばかり今の補足をさせていただきますけれども、自民党では、無過失補償制度の議論は産科をやったときでございました。出産に伴う一定のリスクに対して、過失があれば保険はおりますけれども、無過失はおりないということで、これに対して、民間の保険会社と協力して無過失の保険制度をつくったということでございます。

 一方で、こちらの案件は、要は、調査機関をつくろうと。つまり、医師法二十一条において、不審死等々は届け出義務がある。それによって警察が医療の現場に入ってくることに対して、やはり医療現場の方は大変な違和感というか、それを感じておられる。それに対して、第三者機関にするのか院内の機関にするのかを含めて、調査機関をつくって、その上において、例えば故意、過失、こういうものがあった場合には警察をどうするのかというような議論をしておったわけであります。

 しかし、その中において、故意はともかく、過失というものに対して、どこまでを警察、また司法権というものに委ねるかということがございまして、結果的には、その議論がずっと続いておるというわけでございまして、現状も、その議論が途中でとまっておるような状況でございます。

 でありますから、無過失補償制度という議論は、自民党の中ではその議論はなされていなかった。今、政府の中においても、とかしき政務官のお話のとおり、では、どこまでが無過失での死というものなのか、これはなかなか判定しづらい、すると、どこまで補償するべきなのか、こういう議論もいろいろございまして、なかなか、民主党政権の途中からこの議論がとまって、そのまま政権交代をして現状に至っておるというところであります。

宮沢(隆)委員 経過はよくわかりました。

 申しわけないんですけれども、今後の見通し、どのくらいのスパンで、スピードでやっていけるとお感じでしょうか。

 このままずるずる御議論、御議論といってずっといったら、いつになるんだろうというのが我々国民の感覚なんですけれども、もうちょっと明確に、例えば二年後ぐらいには何とかまとめるようにしたいとか、そういう形で言っていただけるとありがたいんですけれども。

田村国務大臣 なかなか、第三者機関をどうするかという議論も含めて、無過失補償というよりかは、今現状はどちらかというと、調査機関をどうするか。医療現場というものの医療行為に対して警察権というものが介入することに対して、やはりこれは大変な御心配があるということでございまして、そういうものがなるべく入らないような形で、しかし一方で、患者さんの立場からすれば、それは現状、なぜ命を落としたかがわからないわけでありますから、そこの部分も含めて十分に情報が開示できる、そういうような機関をつくるのをどうしようという議論を今現状もさせていただいておるということでございます。

宮沢(隆)委員 わかりました。これ以上同じ質問はしません。

 もう一つ、私、ちょっと資料を見て思ったのは、いわゆる第三者機関とか有識者会議とかというのがいろいろな部署であるようなんですけれども、決められない政治の原因の一つは、そういうところにもあるんじゃないかと思うんですね。

 要するに、政治家は一生懸命決めたいと思っているんだけれども、何とか機関、第三者機関が、のんびり、のんびりやっていて、いつまでも結論を出さない。であれば、その第三者機関は解散してもいいと思うんですよね。要するに、治療できない第三者機関というような感覚ですよね。だから、厚労省もその辺を考えていただいて、第三者機関のメンバーの選別とか、そういうのをもうちょっと洗練させてほしいと思います。

 では、この問題はこれで終わります。

 その後、医師不足問題のことをまた問題としたいんですが、この間、予算委員会でもちょっとお話ししましたけれども、資料一をごらんになっていただいて。奮発して、カラーで出しました。

 これはカラーで見ると一目なんですけれども、全般にやはり東北地方ですね。十万人対医師数と二次医療圏別の十万人対医師数、微妙に違うんですが、全般にやはり中部から東北地方が黒っぽくなっています。これは、あくまで絶対数の問題なんですね。

 それで、実はきのう、診療科別、産婦人科、小児科、脳外科、いわゆる救急が多い診療科の同じような分布地図を出してもらおうと思ったんですが、意外とないんですよね。厚労省からも余り出てこなかった。

 私は、現場で医者をやっていて思っていたのは、やはり政策というのは、リスクの高い業務に従事している医者を重視してやっていくのが一番無難じゃないかなと思っています。それは、政策だとか診療報酬制度そのものですね。

 それはちょっと飛躍し過ぎなんですが、大臣にお聞きしますけれども、これは絶対数だけの問題なのか、ほかにどのような問題が内在しているのかというのは、もう一回、改めて答弁いただけますか。

田村国務大臣 予算委員会で、たしか委員から御質問をいただいた覚えがあります。

 絶対数もやはりOECD諸国と比べれば低いというのは、現状ございますが、一方で、診療科、それから地域、こういう部分においてもやはり適切な配分がなされていないというところで、医師不足感というものがある。

 さらには、今、医師国家試験に受かられる方、三〇%以上は女性の方々でございますけれども、女性の方々が、出産等々を機に現場をリタイアされるとなかなか帰ってきていただけないというような現状も、そういう意味では、定員枠はふやしつつはあるんですけれども、その中においてなかなか医師が充足していかないというような、そんな感覚があるうちの一つの答えになってくるのかもわかりません。

 いずれにいたしましても、絶対数とともに、適切な配分がなされていない中において、必要なところに必要な医師が配置されていないというような現状があると思います。

宮沢(隆)委員 問題点の認識は私も同じなんですが、では、なぜいつまでも解決しないのかという点については、どのような見解をお持ちでしょうか。

田村国務大臣 昔は、いわゆる医局という機能が非常に強うございました。徒弟制度という意識も非常に強かったんだというふうに思います。ですから、教授から、どこどこに行って勉強してこいと言われると、もう次の日には荷物を丸めてそこに行っていたなんという話も、私もよくお聞きをしたわけであります。

 そのころから比べると、医師といえども、労働性というものも大きくなってきておるといいますか、そういう権利意識も強くなってきておるのでありましょう。

 それと、ちょうどそのころに臨床研修制度を改革したということもございます。それによって、マッチングシステム等々で、コンピューターで自分の条件とまた求める臨床研修医とのマッチングで、後期研修を含めてそういうところに行くというような話がある中において、医師の偏在みたいなものが生まれてきたということもあったのでありましょう。

 ただ、そうはいいながら、いわゆる医局というものがそのままずっと残っていたとしても、お医者様の意識の変化というもの、やはり年齢とともに、昔の徒弟制度からだんだん意識が変わってきているという部分もあったでありましょうから、全く以前と同じように、ちゃんとした教授等々の話の中で、本人は行きたいか行きたくないかわかりませんけれども、そういうところに配置できていたかどうかというのは、それは今からなかなか検証できない話でございまして、いわゆるそういうようないろいろな問題がある中で、昔はうまく配置できていたものが今は配置できていないというところに現状がある。

 ですから、今、地域医療支援センター等々でそういうキャリア形成まで含めて相談に乗る中において、必要なところに医師が配置できるような、そんないろいろな努力等々、もしくは、研修等々に関しましても、地域枠、都道府県枠というものをつくって、そこで、研修の枠がありますから、その地域の方に行っていただく、もちろん、その県の中での偏在をどうするかという問題はあるのかもわかりませんけれども、今、そのようないろいろな試行錯誤を繰り返しておるというような状況でございます。

宮沢(隆)委員 おおむね私もそのように思います。

 私も、いわゆる医局にずっと所属しておりまして、やはりその当時、三十年前は教授の権限は絶大でした。やはり、嫌な思いをした若い医者もいっぱいいたようで、ちょっと権力が強過ぎたように思うんですね。

 それを是正しようということで、厚労省が気を使ったのかどうかわかりませんが、正確な年限は忘れましたけれども、平成十何年かに研修医制度というのを大幅に変えて、確かに教授の権限は激減しました。

 ところが、大学病院に医者がいなくなってしまって、各地域から医者を引き剥がすような形になって、それがきっかけで医師不足が慢性的になってしまった。

 この間、厚労省の医学教育のお話を聞いたら、それを是正しようといろいろ政策を考えておられるようなんです。

 その中で、私がつい最近、ある医学部長から聞いたお話で、医学部を新設しようという話が出ている。特に、自民党の中で議連をつくって、東北地方復興のためにひとつ医学部をつくろうかという話が、一つの象徴というか目玉としていいんじゃないかというような話が出ているようなんですが、それは真実なんでしょうか。よろしくお願いします。

田村国務大臣 私も、党本部には長らく行っておりませんので、今どういう現状のお話なのかわかりませんが、新聞等々ではそのような報道があるということは承知をいたしております。

宮沢(隆)委員 資料二をごらんいただきたいと思うんです。これは、医学部を卒業した卒業生の数をずっと昭和三十六年から追ったグラフなんですけれども、一時、昭和五十四年―六年ごろは、医師を抑制しようということで、厚労省の政策でその後プラトーになっていて、その後、やはりこれは足りないということで、平成十七年ぐらいからまた定員をふやし始めて、二十五年までに九千四十一人までふえています。約千四百人ぐらいふえて、結局、医学部を十校新設したのと同じ状況になっているんですね。

 それで、資料三をごらんいただきたいんですが、これはある雑誌からとったものなんですけれども、今、日本全国でこれだけの医学部をつくりたい人たちがいるわけです。まさかこれが全部医学部になるとはとても思えないんですが。

 現実、今、この医学部新設については、医師会、医学部長病院長会議は反対しております。ぜひつくりたいと言っているのは、やはり被災地の三県の中に一つということで、自治体がつくりたいと言っています。ところが、東北大学ほか東北の大学はみんな反対しております。

 私は、まず、医学部をつくる前にやることがいっぱいあるんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。要するに、医師不足、偏在を解消する手だてとして、医学部をつくる前にやることがいっぱいあると私は考えるんですが、それについては大臣はどのようにお考えですか。

田村国務大臣 適正な配置といいますか配分を実現するために、先ほど申し上げた地域医療支援センターのようなものを各県におつくりいただく、今、順次つくっていただいております。

 そういうところで、キャリア形成も含めて、医師の魅力、それぞれのお医者様の魅力を感じていただけるような仕組みもつくりながら、適正配置していく方法もあると思いますし、また、それぞれの県に対して、研修枠というものを一定程度決めていくこともあると思います。また、女性の医師等々が離職をしないような形での出産等々を含めてのいろいろな対応、育児に対しての対応、いろいろなこともあると思います。

 それは、やることはいろいろとあると思いますし、今現状は、医学部新設はしておりませんけれども、それぞれ地域の医学部の定員枠をふやす中において、地域枠というものもつくって、なるべく地域に残っていただくというような努力もいたしておるわけでございます。医学部新設をするかどうかという議論は、私は直接はお答えしませんが、いろいろな方法はあるということは事実でございます。

宮沢(隆)委員 わかりました。医学部新設は、現時点では検討されていないということ。そうではないんですか。

田村国務大臣 そもそも、厚生労働省が検討するような案件ではございませんでして、これは許認可は文科省でございますので、文科省の方で御判断をいただく話であろうと思います。

宮沢(隆)委員 もちろんそうです。

 ただ、厚労省のお考えとして、あるいは大臣のお考えとしてどうかということをちょっとお聞きしたかったんです。それが限界であれば結構です。

 では、最後に、またちょっと予算委員会とダブっちゃうんですが、高齢者の医療費一割負担をなぜ二割負担に戻せないのかということなんです。

 もう何回も予算委員会等でも繰り返されていますので、余り同じことを繰り返しませんが、資料の五と六を見ていただきたいんです。これを見れば一目なんですけれども、国民負担率、これは年代別じゃなくて全体なんですが、一九七五年のトータル二五・七%から二〇一二年三九・九%まで、どんどんふえています。

 本当はこの中で世代別というデータが欲しかったんですけれども、間に合わなかったんですが、これを見るだけでも、恐らく、それぞれの時代の若者世代の負担というのは、どんどんふえているんだろうと思います。六も同じことを言っているグラフです。

 自民党の小泉進次郎議員の世代、私の息子なんかはもう今二十代ですけれども、どう見てもかわいそう過ぎて、このままではいても立ってもいられないというのが私の正直な気持ちですね。だから、別に私の年金が多少削られてもいいと私自身は思っています。だから、本当に若い世代のことを考えて、これから社会保障政策を進めていっていただきたいと思います。

 以上です。どうもありがとうございました。

松本委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 よろしくお願いします。日本維新の会、伊東信久です。

 田村厚生労働大臣、先日は、予算委員会での基本的質疑、どうもありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

 私も外科医でして、医師免許を持っているんですけれども、たくさん聞きたいことがあるので、さくさくと本題に入っていきます。

 私自身の言いたいことはただ一つ。医療費が、十兆五千五百八十七億円。社会保障制度でありながら、一般会計に十兆もの、十兆強を超えて一般会計に入るのは、制度設計をやはり見直す必要があるのではないかというのが、まず私の提言なんですね。恐らく、国民も、政府も、我々政治家も、財源アップという、特殊な手段というのはなかなかやはり難しいというのは共通認識であります。

 例えば、共助としての財源としては、企業負担であるから、サラリーマンの方のお金は入っていない、共助でですよ。協会けんぽも数が少ない。国保、特に、この高齢者社会において、後期高齢者の人数がふえていれば財源的に厳しいというのは、これは本当に共通の認識だと思います。

 しかしながら、十兆円もの医療費をかけているのにもかかわらず、二〇〇〇年になりますけれども、WHOで調査したところ、日本の医療というのは世界一ということだったんですが、二〇一〇年、そこから十年後に、ロイター通信で国民の皆さんに医療に関する満足度をお聞きしたところ、スウェーデンでは七五%ほど満足だ、イギリスでは五五%ほど満足だ。しかしながら、日本での満足度は一五%だったんですね。

 これは結構日本医師会も報告したりしているんですけれども、この事実に関してどうお考えかというよりも、患者として、皆さんはどのようにお感じになっているか。今の日本の医療に関して何%ぐらい満足しているか。ちょっと共通認識ということで、まずは、私と同じ昭和三十九年の田村厚生労働大臣と、あと、同じ大阪のとかしき政務官に、今の医療にどれぐらい満足されているかということ。

田村国務大臣 なかなか難しい。私自身が医療サービスを受ける患者側としてという判断でよろしゅうございますでしょうか。

 そうなってまいりますと、今言われております救急でありますとか、もちろん産科という部分も、妻は関係しますけれども、私は直接関係しないわけでございまして、ふだん受ける、風邪を引いたりですとか、盲腸で緊急入院したりですとか、そういう医療でございますから、七割ぐらいは満足をいたしております。

 ということはどういうことかというと、今言われておりますような、医師の適正配分がされていない、そういう目に遭われた方々は、多分もっと低いのであろうなというような認識であります。

とかしき大臣政務官 御質問いただきまして、ありがとうございます。

 実は、ついこの間まで私も落選中でございまして、医療現場で薬剤師として仕事をさせていただきました。

 医療サービスを提供する側から考えますと、非常に、医療現場に携わっている医療従事者の方々がかなりの好意で日本の場合は一生懸命仕事をしているなというのが私の印象でございます。

 それに基づいて、患者の皆様の方が満足いただけるかどうか、ここはまたちょっと別の話でございまして、細かくケアをしている割にはなかなかそれが評価していただけないというのが今の実態ではないかなというふうに思います。

 日本で持っております皆保険制度というのは、非常に有効に機能していて、どなたにでも医療を受けられるチャンスが与えられる。本当にこれはすばらしい制度でありますけれども、なかなかこのすばらしい制度であるということを国民の皆様に御理解いただけていないのが、私も、今、厚生労働省の立場からすると、ちょっと残念だなと思っているところであります。

 以上です。

伊東(信)委員 後半のとかしき政務官のお話、ありがとうございます。

 確かに、今の日本の国民皆保険制度に関してなんですけれども、田村厚生労働大臣も所信表明で、「持続可能な社会保障制度を確立」というお言葉と、「医療については、国民皆保険を今後とも堅持する」ということを提言としておっしゃっていました。

 今からの私の質問もそういうことなんですけれども、今の統計はバイアスがかかっておりまして、このパーセンテージというのは、医療へのアクセスのしやすさ、つまり、かかりやすさという点が主だそうです。そうなると、やはり、日本の一五%というのは、何かしら医療を受けるに関して壁がある。

 では、GP、かかりつけ医とかの方針は、厚労省も政府も推進しようという方針ということをお伺いしたことがあるんですけれども、つまりプライマリーケアなんです。

 実際、医師の立場から考えて、同僚の悪口を言うのはちょっと嫌なんですけれども、今の保険制度であれば、例えば、これだったら三、四日で治るとかいう病気が一週間、二週間かかっていくと、残念ながら収益は上がっていくんですよね。つまり、実は、本当に質もどうかなというような危惧もされているわけです。

 だけれども、予算委員会での基本的質疑でお話ししましたように、どうもその辺のチェックになると、医師の能力のありよう、例えば、医師会の生涯教育制度とかで研修を積んでいるとか研さんを積んでいるかということはチェックはできますけれども、国家試験とかで、例えば、技術の試験をつけるとか、いわゆるコミュニケーション能力をつけるとかいうような案も出ているみたいですけれど、なかなかこのチェック機能が難しい。

 では、制度として、医療保険をとりあえずは抑えるには、包括にしてしまう。つまり、病気によって保険の点数を決めてしまうというような案とかもあるんですけれども、こういった考えに関しては、大臣、どのように思われますか。

田村国務大臣 まず、かかりつけ医制度というものは、我が省の方も、医療提供体制の中で、在宅医療も含めてでありますけれども、これから広めていかなきゃならぬというふうに思っておりますが、ゼネラルプラクティショナー制度自体は、これはちょっと概念として、かなり、イギリスやヨーロッパのものと日本とかかりつけ医が同じかというと、そこは違うということを御理解いただきたいというふうに思います。

 その上で、包括、マルメでどうだという話がありますが、これも、いっとき、後期高齢者に関してそういうような話が出たときがありました。後期高齢者医療制度、大変お叱りをいただいて、長寿医療制度というふうに名前を変えたんですが、このときに、当時、民主党さんから、そういうマルメというものは、お年寄りの医療の権利というものを阻害して、年齢によって差別するじゃないかというお叱りをいただきました。

 結果的に、マルメになりますと十分な医療を提供されない可能性もあるという意味では、それも一理あるということでございまして、現状は、DPC制度等々ありますけれども、そういうようなものに関しましては、全体的に全て普及しているという状況ではないということであります。

伊東(信)委員 確かに、実際、イギリスとかのGP制度も完璧なものではないというような調査結果も出ていますので、田村大臣のお話は正しいと思います。

 ただ、マルメであれば、包括であれば適正な医療が受けられないかどうかという問題に関しては、例えば、いわゆる日本の医療病名の複雑さにも関係してくるんですね。それは、いわゆるレセプトとかという問題、医療病名という問題にもかかわってくるんです。

 つまり、先ほどから統計の話をしていますけれども、有病率というのは非常に難しくて、糖尿病であっても、糖尿病の網膜症であったり腎症であれば、科がかわってくるわけです。だけれども、全体を診るのが糖尿病だということなんですね。つまり、合併症が多くなると、それをどこまで診ればいいのかという問題が出てくるんです。

 では、提言として、かかりつけ医のレベル、GPのレベルと言っていいのか、これは別に一般開業医でもいいんですね、一般開業医に来るレベルまでを包括にすれば、もちろん、私も開業医をやっていましたので、自分の首を絞めるような発言なんですけれども、包括にすれば、医療の質もそんなに下がることはない。なぜかというと、高度医療は大学病院とか大きな病院とかそれを専門にした病院に行けばいいということで、一部包括にするというのは制度上難しいのでしょうか。

田村国務大臣 病院等々で、今、DPC制度でマルメの部分もございます。一方で、救急等々、出来高の部分もあるわけでありますが、今のは、開業医等々ですか、そこをマルメにしようというお話でしょうか。

 ですから、それも含めて、以前、我々の政権のときに、全てがマルメではないんですよ、ないんですけれども、そういう選択制というものを提示させていただいたんですけれども、非常に国会でもお叱りをいただき、また世の中でも余り評判がよくなかったということで、結局撤回をさせていただいたということでございます。

伊東(信)委員 済みません、ちょっとよくわからなかったところは、そのお叱りを受けた部分は、質が落ちたということでしょうか。

田村国務大臣 当時は、高齢者の方々に対する中において選択制という形で御提示をさせていただいたわけでありますけれども、結局、診療するにしても、どこまでやっても同じですから、同じ病名に対して。という話になれば、十分な診断、検査もやらないであろうということがあるのではないかというお叱りを当時いただいたということでございます。

伊東(信)委員 十分な検査が行われないのではないかという御指摘は、医師免許を有する者としてはなかなか耳の痛い話なのではございますが。

 それでは、にもかかわらず、例えば大きな病院とかで入院日数も決まっている。では、地域医療というのがあって、今度は介護という問題に入ってくるわけなんです。

 今回の厚労省の提言の中に、介護と医療のきっちりとしたすみ分けと、かつ、両方の提携ということなんですけれども、地域医療において、これが理想ではあるんですけれども、非常に難しくて、それが成功している事例というのは非常に少ないです。私が開業し住む大阪、兵庫、東京、幾つか病院を持っているんですけれども、その地域において、両方、介護と医療が成功しているところは病院自体も潤っていますけれども、ほとんどが成功していないんですね。

 では、介護側の包括の部分に医療の一部を、もう一つの提言です、さらに進んだ提言として、難しいとなれば、例えば、本当に診て話を聞くだけ、診て聴診器を当てるだけ、そういったような医療もやはり行われているのも事実なんですね、特に訪問医療の場合。では、それをそのまま介護の方にマルメとして移行すれば、今度は医療費が削減できるのではないかという、医師としての私の提案はどうでしょうか。

とかしき大臣政務官 ありがとうございます。

 委員の御提案も承りました。

 ところが、医療と介護、やはり制度がちょっと成り立ちが違っておりまして、これを今すぐ一元化というのはなかなか難しいところでございます。

 例えば、一つは保険者が当然異なるということと、利用者側の方の自己負担、それぞれそれも異なっているということと、サービスの利用面とか、例えば、介護保険制度のサービスは、要介護の認定とかケアマネジメントが行われるサービスの利用面とか、いろいろ違いがございますので、なかなか医療と介護を一体化してサービスを提供するのは難しいというのが現状であります。

 ただ、年を重ねてまいりますと、医療と介護を行ったり来たりというのは、どうしてもこういう状況は避けられなくなってまいりますので、これをやはり、包括的な支援、支えていく仕組みを今後検討していくことが大切であるというふうに厚労省の方でも考えております。

伊東(信)委員 実際、介護の認定とかを医療機関が行うわけなんですね。ところが、介護事業者というのは、御存じのように、いわゆる一般企業も入っていたりするわけなんですよ。ここにやはり問題がある。

 とかしき政務官のおっしゃっていただいたことはまさにその核心でして、介護と医療のいわゆる制度の違い、ここにやはり問題があると思いまして、そこの構造自体をもう一度見直す、今までの既成の概念が本当に正しいのかどうかというのを検証したいというのが日本維新の会の精神でございますので、そのあたりのところ、もうこれは無理だと考えずに、検討いただいたらいいと思うんです。

 時間もちょっと過ぎてきましたので、もう一つの医療費削減に関する提言としまして、予算委員会の基本的質疑では、保険外の併用療法について御質問させていただきました。いわゆる併用療法には二つあるという話ですね、評価療養と選定療養と。

 それで、評価療養というのは、一般的で、今後保険に導入する可能性があるというような医療で、七種類ある。選定療養というのは、そうではない、前提としないもので、十種類あるということなんですけれども、その十種類の中で、いわゆる差額ベッドとかアメニティーに関するものというのがあったんです。

 前回、さんざん先進医療については制度、評価に関して御質問したので、ちょっと今回はその話をせずに、では、今度は選定療養の方に目を向けてみたらどうかなと思いましたところ、歯科のいわゆる材料、つまり義歯に関して、これをセラミックにしたり金属にしたり、金属も、チタンであったりとか金であったりとか選べるわけなんですね。金属床の総義歯、これも選定療養の方に入っているわけなんです。

 つまりは、同じ歯科治療の中で、この二つは歯科の保険の領域では保険外併用療養費として入っているのに、医師の方ではこれを解釈を変えて、選定療養の中に拡大していく。混合診療という言葉を使いたくないのでちょっと言いづらくなっていますけれども、選定療養の方に拡大解釈を伸ばしていくというような考え方はできませんでしょうか。

田村国務大臣 選定療養の中に何が入るかというのは、そのものがどういうものかによって入ってくるわけでありますが、今委員が何を対象に選定療養の中に入れるべきだとおっしゃっておられるのか、ちょっと私も理解ができないものでありますから。

 例えば、医療の高度な技術でありますとか、高度な機械を使用した医療行為でありますとか、そういうものですと、これは選定ではなくてやはり評価の方に入るわけでありまして、先進医療等々に入ってくるものだというふうに思います。

 今言われた、選定療養の方にどういうものを具体的にお考えになられているのか、ちょっと私もわかっていないものでありますから、それに対してお答えがなかなかできない、そういう状況でございますけれども。

伊東(信)委員 幸いにして、私のやっているPLDD、パーキュテイニアス・レーザー・ディスク・ディコンプレッション、椎間板ヘルニアのレーザー治療というのは、先進医療に入っているんですよ。だけれども、例えばその認定機関というのは三機関ほどしかないんですね。

 前回のお話によると、一つは、一般化するものというようなお答えをいただいたんです。ところが、一般化しないような先進医療もありまして、その中の認定のギャップというのがあるんですね。

 これはどういったことかといいますと、大学の機関でもいわゆる流派というか派閥がありますので、全般的に広まるというか、力の強いところだったら多く広まるわけなんですよ。ところが、例えばiPS細胞なんかが本当にその最たるもので、ノーベル賞をとったから今回広がっているわけで、それまではなかなか広まらなかったわけなんです。なぜならば、山中先生のオリジナルだからですよ。

 そうなると、研究者の部分としてどんどん進めていかなければいけないですけれども、このiPS細胞は、山中先生もおっしゃっているんですけれども、唯一の希有な成功例なんですよ。こういったすぐれた技術がいわゆるアベノミクスの三本の矢の中に入れば、そういう思いで申し上げているわけなんです。

 実際、レーザー治療というのは、前回田村大臣がおっしゃっていただいたように、今まで使っていたレーザーの応用なんですね。だったら、その場合、PMDAを含めての認証というのはちょっとハードルが下がったりもしたわけなんです。だけれども、例えば心臓のステントであるとか、整形外科で使う材料とか、今チタンを使っていますけれども、また新たなるレア金属が使われる可能性があるんですね。

 先進医療と、つまり評価療養と研究段階の間がないから、その間、選定療養として使うことというのは、もう一歩ハードルを下げてはできないでしょうかということです。難しいですか。

田村国務大臣 済みません、私も先生のように専門家じゃないものですから、具体的に今おっしゃっているものがどういうものに値して、その材質が違うものが医学的にどういう影響があるのか、それがどういうような評価を受けるものなのかどうか、ちょっとわからないものですから、何とも言えませんが。

 iPS細胞という意味からすれば、それに伴う再生医療というものは、前回も申し上げたと思いますけれども、果たして、今、評価療養の中の先進医療に入るのか、それとも、ここをいろいろなことを考えながら、さらに、いろいろな評価の枠はあるんだと思うんです。

 これからどういうものをこの評価療養の中のメニューとして加えていくかという意味では幅はあると思うので、どちらかというと高度なといいますか、患者にとってよりよい医療であるならば、やはりそれは一般化していくことが大前提であって、一部の方だけが使われる技術というものであるならば、それは、医療保険というのは一般の全員に対する保険でありますから、そぐわないのであろう。

 しかし、先生がおっしゃられたものも、多分、みんなに使っていただきたいという意味では一般化をされるものだと思うんですよね。本当に一部だけという話ではないと思うので。そういう意味からすると、やはり評価療養の中のどこかのカテゴリーに入るか、もしくは、時代に応じて新しいものが出てくるならば新しい枠をつくるのか。そこに関してはいろいろな議論はあろうと思います。

 なかなか、選定療養といいますと、これはちょっとまた考え方が違ってくるものでありますから、そういうものの中で幾つか入れるという話になってくると、基本的にはアメニティーに近いものというような発想になってこようというふうに思います。

伊東(信)委員 趣旨としましては、残念ながら医者にも差があるということです。結局、幾ら先進医療でも、使いこなせる人間と使いこなせない人間があるので、その場合に、臨床数、治験数とかでどうしてもラグがある場合がある。その場合の折衷案としてお話ししたつもりなんですね。つまり、ドラッグラグの中には、申請ラグとか書類のラグと、あと研究のラグがあるけれども、人間の技術的なラグが実際は起こっている、そういった意味です。

 ちょっと簡単な話で、これは単なる質問なんですけれども、平成十七年度に、厚生労働省の課長からの通達になるんですけれども、保険外併用療養費についての通達がありました。平成二十年度あたりに一旦改正されましたけれども、その中に、直接の診療にかかわらないものとして、インフルエンザのワクチンと、美容に関する(しみ取り等)、三つ目にいわゆる禁煙治療、ニコチンパッチとかを張ったりするものというのが入っているんです。

 この美容(しみ取り)というのが、端的で、かつ、ちょっとわかりにくいものになっているんですけれども、まず、単なる単純な質問です、これは評価療養、選定療養というカテゴリーになるのでしょうか。

 もう一つは、その入るゆえんというのは御理解いただいていますでしょうか。

 美容というのはアンチエージングまでという話がありますけれども、アンチエージングの中に今度再生医療が入ってくるとなると、これは拡大解釈になるおそれがあるんですけれども、その辺のところは厚生労働省として、大臣として把握をされていますでしょうか。

田村国務大臣 済みません、私も医療の専門家じゃないものですから、通告がないものですから。

 今のしみ取りは、美容のしみ取りじゃなくて、何のしみ取りですか。

伊東(信)委員 美容のしみ取りというふうに記載されています。

 通告の部分で、これに関してはきのうちょっと申し上げたんですけれども、なかったんですか。済みません。

田村国務大臣 これは多分、通達しております二の「療養の給付と直接関係ないサービス等」の四番のところの「医療行為ではあるが治療中の疾病又は負傷に対するものではないものに係る費用」ということでございまして、「美容形成(しみとり等)」は一部負担を取ってもいいものということで列挙させていただいております。

伊東(信)委員 恐らく、きのう、ばたばたとして通達に関する連絡がうまいこといっていなかったんだと思うんですけれども、ちょっと細かい議論になってしまうので、これはもうよろしいです。

 では、最後に。

 私は、いわゆる少子高齢化という問題に関して、高齢化と少子化というのはやはり分けて考えるべきだと思っております。少子化対策、少子化対策ということなんですけれども、実際の出生率というのは、昭和四十年代の中旬にどんと落ちてから、ほとんど低いまま保たれているわけなんですね。では、ここで少子化対策をして、何かミラクルメディスン、特効薬があるか、いい妙案があるかというと、それもなかなか難しいお話でして。

 政府の対策として、子育て支援、待機児童の解決など、生まれてきた子供を大切にしようという方針はよく理解できるんですけれども、では、生まれてくる子供を健やかに、健全に育てようという目的で、先般報道されています、出生前診断というのがあるんですね。

 本来は、医療機関であったり大学病院であったり、倫理委員会というのができたりするんですけれども、出生前診断に関して、倫理的なものも含めての政府のお考えというのをお聞きしたいんですけれども。

田村国務大臣 昨今、いろいろとこの問題が出ておりまして、学会の方から、一定の基準にのっとってこれに対して検査をするようにというような方向が出たわけでありますけれども、今回の手法は、実は、精度が高いという報道もあるんですけれども、年齢によってもかなりばらつきがございます。

 ですから、やはり十分に遺伝学的なそのような情報等々をしっかりと検査された方々にも伝えていく必要があろうと思いますし、そういう意味では、完全に出生前の診断ができるという話ではございませんので、一定の学会の考え方にのっとってそれぞれの医療機関等々が御対応をいただくようにということで、我々も注意を促させていただいておるという状況でございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 実際、やはり世間一般的には、パンドラの箱をあけるのではないか、知って幸せな情報と幸せじゃない情報があるのではないかという論議もあるんですけれども、医療従事者としては、ではどうするか、解決の問題になって、今度は出生前治療という話になるんですね。特に、小児の先天異常の中で心疾患であれば、出生前診療というのは有益ではないかと。

 ということになると、また先ほどのお話の先進医療の範囲になってくると思うんですけれども、これがまさに、いわゆる技術者が限られてくる、その認定をする人間と認定されたい人間が同じになるんですよね。では誰が判断するかというのが非常に難しい問題になると思いますので、そのあたりに関して、きっちりと政府の中で御討議していただければと思います。

 本当に、時間となりまして、まだまだお聞きしたいこともたくさんあるんですけれども、時間をいただければいただくほど細かい話になってしまいますので、きょうはこの辺にします。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 本日は、尊敬する田村大臣に広く質問をさせていただける貴重な機会でございますので、雇用、年金、そして医療にわたって御質問を申し上げたいと思います。大臣所信に対する質疑ということですので、できるだけ大臣から御答弁をいただければ幸いでございます。

 まず最初に、雇用から始めたいと思います。

 今、規制改革会議で、四分野、四つのワーキンググループができておって、その一つが雇用分野ということでございます。

 雇用の規制改革を議論するときには、必ず、格差、あるいは、最近でいうと若年者雇用の話が出てきます、派遣労働等ですね。昨年のある新聞でも、竹中平蔵慶応大学教授、今、政府の委員にも入られていますが、規制緩和が非正規をふやしたと考えるかという質問を記者から受けて、いや違う、こういうやりとりがいろいろございます。

 こういういわゆる労働分野の規制緩和と格差との関係についての大臣の御所見を伺いたいと思います。

田村国務大臣 労働分野の規制緩和が格差を生じさせたかどうかというような御質問であろうというふうに思います。

 非正規、特に、今もおっしゃられました、労働者派遣法等々の改正で派遣労働の幅が広がったというのが格差を生んだ、そういう一つの大きな条件であるといいますか要件であるというような御意見があるのは承知をいたしております。

 やはり、それぞれの制度、光と影の部分があるのは事実でございまして、確かに、今の非正規で働く方々の待遇、処遇がいいとは我々も思っておりません。なるべく正規に近づくように、同一価値労働同一賃金とよく言われますけれども、そのような形にどう持っていくかというのは大変大きな課題であるというふうに思っております。

 一方、当時、バブルが崩壊してから何年かたって、正直申し上げて、産業の空洞化で雇用がなくなるというような話がございました。そのときに、やはり多様な働き方を求められた方々もおられましたし、それを求めた企業側もあった。

 この規制改革に関して申し上げれば、必ず政労使、それぞれ話をしながら決めていくわけでございまして、労使側それぞれの議論をしっかりとしていただく中で、それぞれの制度改革が行われたわけであります。

 ちなみに、平成十四年から、製造業への労働者派遣の解禁が行われた後の失業率を見ますと、十四年の六月、八月が失業率五・五%、この後、十五年に労働者派遣法の改正で製造業がオーケーになったわけでありますが、十七年には四・四%、そして十八年には四・一%、十九年には三・九%と、実は失業率は下がってきております。

 ただ、その後、リーマン・ショックという不幸なことが起こりまして、その中においては、確かに、一部、派遣業等々でお勤めになられている方々がいろいろな形で仕事を奪われて大きな問題になったということも事実でございますけれども、そういう意味では、決して労働者派遣法の改正が全て悪かったわけではないわけでありまして、一定の役割というものは果たしたというふうに思います。

 重ねて申し上げれば、だからといって、我々は安住しておるわけではございませんでして、非正規で働く方々の待遇を向上していくという不断の努力をしていかなければならない、このように思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 私の大臣の御答弁への期待は、もう少し前向きなものでお願いしたかったんですが。

 小泉改革、私も当時経産省におりまして、ずっと横で労働規制改革も拝見をしておりましたが、当時の規制改革は、今大臣もおっしゃられたように、雇用情勢自体は、金融政策を初めとするマクロ経済に相当依存をするわけでありまして、一方で、働き方という意味では、いろいろな働き方を希望される方がいらっしゃる。

 したがって、派遣等の働き方については、大臣おっしゃったように、もちろん環境整備も必要でございますが、大きな社会経済のトレンドに合わせて規制がしかるべき形で改革をされていくことは必要であって、当時の労働規制改革は、事態を悪化させたのではなくて、事態をむしろ緩和をした、その結果として、今おっしゃったような失業率の改善があった、そういうふうに私は理解をしております。

 ちょっと今、大臣の御発言というか御答弁で気になったのが、派遣等の非正規について、でき得れば正規に近づけていく方向でと。非正規を正規に近づけていくというお言葉がちょっと一部まざっておったんですけれども。

 今、規制改革会議で上がっております論点、この紙がどのバージョンかわかりませんが、公表されている「雇用分野」一から八。

 この中の八番目に、「労使双方が納得する解雇規制の在り方」。労使双方、公労使で雇用労働制度をつくっていくということについては全く私も異論はございませんが、解雇規制について課題があって、金銭解決等、やはり何か制度的な見直しが必要ではないかという論点が一つ。

 さらに、一番上の一つ目には、「勤務地や職務が限定された労働者の雇用に係るルールを整備することにより、」云々。

 これは、私は裏表だと思っていて、いわゆる正社員とか正規雇用と言われているものの形が、それ自体がもうちょっと多様化して、正規と非正規が二つに分断されたものではなくて、もっとなだらかに、多様な労使双方のニーズに応えられるような雇用制度、労働法制が必要だと考えておりますが、大臣のお考えを伺います。

田村国務大臣 まず、先ほどのお話でございますけれども、決して派遣労働者が必ず正規になれなどと言っているわけではございませんでして、派遣という働き方を選ぶ方は、当然、派遣という働き方を選ばれればいいわけでございますし、派遣の中においても、派遣元と継続して無期で雇用されている方もおられるわけでございますから、いろいろな形態があると思います。

 一方で、本当は正規雇用、正規労働を目指しているのに派遣で安住されている方々というのは、やはりなりたいわけでありますから、正規になるようなルートをしっかりと考えていかなきゃならぬという思いの中で、それは紹介予定派遣等々を派遣業の中にも導入するということも含めて、いろいろな議論はありますねという話を今しておる最中でございます。

 一方で、今のお話でございますが、非正規と正規という、日本の正規というのは、非常にある意味、経営者側から見ると、労働者に対してかなりの権利性を持っている、そういう働き方でございまして、どこかに転勤しろと言えば転勤せざるを得ない部分もあるわけでありますし、それから、残業を強いられた場合には、もちろん三六協定等々はありますけれども、残業をしてもらうことが前提みたいなところもあるわけであります。言うなれば、欧米のジョブ型のような働き方、朝の九時から夜の五時までみたいな働き方で、職種はこれですよ、勤務地はここですよというものとは違う。

 そういう意味では、権利性が違うものでありますから、そこが大きく解雇法制に影響しているところもあるのであろうなと、これは私が個人的にそのように分析をさせていただいておるわけであります。

 そんな中において、そういう二元論ではなくて、やはり働く方々にもいろいろなニーズがあるわけでありますから、今言われたような、中間的なところで働くような働き方があってもいいのではないかという議論は、実際問題これからでありますけれども、議論の中の俎上に上がってくるのであろうなというふうには思っております。

足立委員 大臣、ありがとうございます。

 今まさにおっしゃられましたように、労働法制については、特に働き方については、解雇とそれから配転、以前、私たちが子供のころの父親は、みんな単身赴任で、配転をされて、どこでも行ったわけですね。それに対して、解雇からは守られていた。これからは、さっきの働く勤務地の限定というのは、配転はないけれども、当該地域で工場が閉鎖される場合には、場合によっては解雇もやむなしというような多様性がこれからの解雇法制には必要だということだと私は承知しております。

 これから規制改革会議で本格的に議論があるということでございますが、いずれにせよ、この労働法制については、そういう空中戦だけでは何ともしがたいところがあって、公労使のしっかりと地に足のついた議論、そして厚生労働省の皆様の作業なくしてしっかりとした労働法制を築けませんので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 では、次に、大きくテーマをかえまして、年金でございます。

 きょうも限られた時間でございますので、年金の詳細に入るつもりはございませんが、今、国会の方でも、国民会議の国会版とか、さまざまな場で年金改革について議論がなされておりますが、大体、年金改革を議論する場に出ていって思うのは、とにかく誰もデータを持っていない。

 厚生労働省だけが、こういう、年金制度における世代間の給付と負担の関係についてのさまざまなモデルケースであったり、公的年金のいろいろな資料が山のようにございますが、全てモデルケースで、それは拝見することがあっても、分解してまた一からこっちで組み立てるということは一切できないデータになっております。

 さまざまな経済学者等々もいろいろな提言をしておりますが、特に、世代間の給付と負担の関係についての合意形成なくして日本の年金の未来はないわけでありますから、ぜひ、さまざまな主体がしっかりと分析をし、地に足のついた提言を各所からできるようなデータベースの公開というか、そういったことをお願いできないかなということで、一応、通告でいろいろお願いしたときに、そういう合意形成を図るためには徹底した情報開示とそれに基づく議論が不可欠だと思うがどうかという質問を投げさせていただいていますので、御回答をお願いします。

桝屋副大臣 大臣からお話があるかもしれませんが、暫時、副大臣から。

 極めて大事な御提言をいただきました。今、国会において社会保障改革国民会議の議論が進んでおります中で、多くの国民が、委員おっしゃるように、年金の特に世代間の給付と負担、この関係については本当に大きなテーマであります。

 したがって、恐らく、財政検証ごとに詳細なデータは出しておるのでありますが、きょう、今の委員の御発言を聞いて、本当に多くの国民がきちっとした議論ができるデータベースを我々がちゃんと御提供できているかというと、これがなかなか。

 したがって、多くの国民が、とりわけ若い方が、もう年金は将来だめなんだ、私はもう年金をもらえないんでしょうと。それが未納につながっているみたいなこともあったりするわけでありますから、委員御指摘のとおり、積極的にわかりやすい情報開示、しかも議論のしやすい情報開示にしっかり努めていかなきゃいかぬ、このように感じている次第でございまして、大臣とともにしっかり努力したいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

足立委員 ありがとうございます。大変前向きな御回答をいただけたと存じます。

 年金は、申し上げるまでもなく、お金の、財政とその給付でありますので、足し算、引き算でございます。医療の世界は、あるいは医療、介護の世界は、私は、掛け算、割り算もできるし、微分積分もできる、何でもできる世界だと思っていまして、やることが山ほどある、こう思っています。

 ただ、医療も医療財政がございますので、まず一点、医療財政について。

 実は、私も役所をやめてから二年ほどどぶ板をやっていまして、その間、霞が関のデータからはちょっと離れておりました。改めていろいろ勉強させていただくと、いかに足元の医療財政に係る、大臣も所信で協会けんぽの話に言及していただきましたが、市町村国保を含めて、もう綱渡りの年々を暮らしている。

 国民会議に丸投げというか、丸投げというのは言葉が悪いんですが、国民会議での合意形成を待つというのも一つでございますが、そこも大変心もとない状況にございます。我々維新の会としては、しっかりとこの合意形成を前に進めるための活動に取り組んでまいりたいと思います。

 まず、ぜひ大臣に、今、TPPでも皆保険ということで議論になっていますが、この医療の皆保険制度における国費の投入の経緯と今後の見通しについて、御説明をいただければと思います。

田村国務大臣 その前に、ちょっと誤解を招くといけませんので、改めて発言させていただきます。

 先ほどの中間的な就労というものが、解雇につながりやすいという意味ではございません。あくまでも、日本の国は労働契約は自由なもとにおいて行われるわけでありまして、それを濫用することを制限するというような法理になっておりますので、ここは、司法がどう判断されるか。それぞれの働き方と、それから解雇というものに対してどう司法が判断されるかでございますから、こういう働き方をつくったからといって、解雇がしやすくなるという話ではないわけであります。それは司法がどう判断するかということであることは御理解をいただきたいというふうに思います。

 といたしまして、今のお話でございますけれども、国費をどう考えるかという話でありますが、そもそも国民健康保険というものは、基本的に事業主負担もないわけでございますから、そういう意味では、公費というものを二分の一見ているわけであります。

 一方で、協会けんぽに対しましても、今、一六・四%ということで法案を出させていただく準備をいたしておりますけれども、そういうものに対しても国費を入れようという話でありますが、そもそも保険だから公費、国費を入れる必要はないんじゃないかという御意見もあるんだと思います。

 そういうような御意見があることも存じ上げながら、あえて申し上げれば、今、二分の一入れておりますのがもう一つございまして、それは、長寿医療保険制度、後期高齢者医療制度というものでございます。介護もそうであります。これは、国費は四分の一でありますけれども、公費が二分の一、約でありますけれども。

 これは、やはり、高齢化というリスクは保険というものの中ではなかなかのみ込めないねという流れの中において、社会的に高齢化という一つのリスクがあるわけでありますから、これは税という世界の中において全体のリスクを負担しようよ、ヘッジしようよというような考え方であろうというふうに思うわけでありまして、これからさらに高齢化が進んでいったときに、では、この公費負担をどうするんだという議論は当然どこかでなされるものというふうには考えております。

足立委員 今の大臣の御答弁、よく理解はできます。

 しかしながら、足元の保険料率の推移とか、あるいは特別の措置として、特別の措置でもないかな、暫時苦しい財政を国費で埋めてきている実態も足元であるわけですので、またそれを延長していくという中で今やりくりしているわけですので、少子高齢化の流れの中で社会保障を支えるときに、それは保険料なのか国費なのか、その辺の議論は、おっしゃるように大変な大議論でございますが、これをしっかりこれからまた、私ども、御議論をさせていただきたいと思います。

 それから、一点、先ほど追加で御答弁いただいた、中間的な働き方が解雇しやすくなるという意味ではないぞということです。

 その御趣旨もわかるんですが、結局、イメージが今の正社員にあると、それはそういう言い方になるんですが、労使双方ともが何を期待しているかということが大事で、ある勤務地に限定されて雇用されているということで、そこに限定された期待しか持っていない労働者が将来生まれれば、その方が当該同じ会社にあっても、その地域の事業所が閉鎖されたときに、退職をすることをもって、今大臣がおっしゃったいわゆる整理解雇に当たるかどうかとか、その辺は解雇法理の話ですが。

 私が申し上げたのは、要すれば、これまでよりは多様な雇用のイメージがあっていいだろうということでありますので、大臣、では、一言お願いします。

田村国務大臣 それも含めて、実態が非常に重要なふうになるんだと思います。

 例えば、そういう働き方であっても、例えば、Aというスーパーで働いていた方が、Aが閉鎖になったときに、果たしてそれで解雇できるかどうかというのは、近くにBというスーパーがあって、そこに何人かのうち数人が移転して働くということになれば、残りの方々も合理的な期待を持つわけであります。

 そうなったときには、果たして本当に整理解雇というものが認められるかどうかということも含めて、裁判所が、司法がどう判断するかということであるということを含めて、御答弁をさせていただいたということであります。

足立委員 ありがとうございます。おっしゃっていることはわかります。

 加えて、今、大臣から再三、司法という話がございました。

 この分野は若干司法が先に走っている分野かもしれませんが、私は、判例法理が前に走るのがいいのか、あるいは、しかるべき形で、公労使で法律でその枠組みを決めていくのがいいのか、そういうことも含めて、また御議論をさせていただきたいと存じます。でも、丁寧な御回答をありがとうございます。

 もう時間も限られていますが、最後に、今、医療の入り口をしましたので、医療制度改革について質問を申し上げます。

 私、ちょうど今、政治を志して間もないんですが、まだ役人であった時代に、小泉郵政解散のときに政治にぐらっときたことがございましたが、そういう意味でも、小泉改革には若干思い入れがあります。当時の小泉政権時代の、例えば年金のマクロスライドとか、すばらしい改革がなされてきた。医療についても、平成十八年の医療構造改革、医療制度改革大綱にさまざまなテーマが書いてございます。

 実は、質問として、その進捗状況はどうですかという質問もありますが、ちょっと時間がないので飛ばします。

 これは、いろいろできたこともあるし、できていないこともあるということでございますが、その中で一つだけ、具体例をもって現状について御紹介をしたいと思うんです。

 当時、医療法人の枠組みをいろいろ変えようということで、社会医療法人というのを新設する、公募債で資金調達をすることもできるとなっていたやに記憶をしておりますが、そういう背景もあって、医療法人会計基準をちゃんと整備した方がいいということで、医療制度改革大綱の中にも「会計の在り方について検討する。」ということを、閣議決定をした文書の中に、会計基準について検討すると。

 実は、皆様御承知でしょうか、今、さまざまな法人がある中で、会計基準がない法人は医療法人だけ。当時、私は、これはおかしいぞということで、厚労省にやんややんやと隣から言って嫌われたんですが、しかし、閣議決定で医療法人会計基準について検討するとなった。

 その後、どうも動いていないようにしか見えないので、その後の検討状況を教えてください。

とかしき大臣政務官 質問にお答えさせていただきます。

 現在、四病院団体協議会が中心となって検討を行っておりまして、先ほど委員もお話しになりましたけれども、公募債を発行する医療法人については会計基準を策定いたしました。それ以外の医療法人については、慎重な意見が多数ございまして、まだ成案を得られていない状況であります。

 現在は、その四病院団体協議会を中心に検討を再開しており、厚労省といたしましては、この取り組みを注視しているという状況でございます。

足立委員 今、公募債を発行する法人については策定をされたとおっしゃいましたが、すると、医療法人会計基準はあるということでしょうか。私は、ないと理解しているんですけれども。

とかしき大臣政務官 お答えいたします。

 公募債である社会医療法人債を発行する社会医療法人については、その状況を明らかにできるようということで、平成十九年の三月に会計基準を制定いたしたということでございます。

 以上です。

足立委員 おっしゃるのは、ごめんなさい、事前の勉強でも出てきていなかった話で、ちょっと戸惑っておりますが。

 当時、そういう閣議決定をされて、その後、四病協で医療法人会計基準検討委員会というものが設置をされて、それでずっと検討してきたが、内部で反対があって頓挫をして終わっている。

 恐らく今おっしゃっているのは、何だろうな、事務方も含めてそうですか、ごめんなさい、医療法人会計基準がもうあると。再度確認させてください。ちょっと、私の認識と余りに違うんだけれども。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 一般の医療法人に関しては成案は得られていないというのが状況でございます。(足立委員「それは見られるということですか」と呼ぶ)はい、公募債を発行している社会医療法人については会計基準を策定しているということで、一般に関しては成案は得られていないということでございます。(足立委員「その公募債を……」と呼ぶ)

松本委員長 政務官が発言が終わりました。着席するまで待ってください。

足立委員 大変失礼しました。

 すると、公募債を発行されている医療法人については、当該医療法人会計基準に基づいて外部監査を受けているという理解でよろしいでしょうか。

とかしき大臣政務官 監査を受けているところでございます。

足立委員 この医療法人会計基準については、実は大変、当時、医療界の中でも、いろいろ反対意見もあった。

 しかし、なぜ私が、きょう、この所信質疑において、こういう若干個別の話を一つ事例として申し上げているかということだけ御紹介したいんですが、私は経産省におりました。経産省では、いろいろな税制とか、あるいは、法務省と連携して、会社法制をずっと整備してきた。倒産法制も整備してきた。合併、分割、MアンドA法制も整備をしてきた。

 ところが、医療を初めとする非営利法人の世界は、何にもないんですね、合併規定もない、関連の税制も当然ない。これから医療が効率化をし、さまざまな国民のニーズに応えていくためには、非営利の世界にあっても、そうした制度的イノベーションというものは取り入れていく必要がある、これが一つでございます。

 それからもう一つは、なぜ営利法人の世界で会計基準が重要視されるかといえば、投資家保護の観点ですね。多くのお金を投資する、特に一般投資家が関与する場合については、一般投資家保護の観点から、さまざまな規制が加えられている。

 医療についてはどうでしょうか。保険料、もちろん、保険者機能がしっかり働けば、保険者がチェックをする。でも、融資も行われている、いわゆる持ち分の出資も行われている。さらに言えば、先ほど冒頭、大臣といろいろ御議論させていただいた、大きな国費が投入をされている。国民に対する説明責任という観点から、私は、この医療の世界において会計基準もまだないというのは、異常な世界だと思っております。

 これからさまざまな医療制度改革、社会保障改革を御議論させていただくに当たって、まず、こういった基礎的なことだけはぜひ早急に整備をしていただいて、本格的な制度改正に向けて議論を深めていただければと存じます。

 本日は、大変ありがとうございました。

松本委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 きょうは、維新の会の議員も初め、医師の議員が多く質問をされておるようでございますが、私も医師でございます。

 私は、ふるさと山梨県北杜市で在宅医療に従事をしておりました。その前は外科医として十年働いておりましたが、在宅医療に従事した立場で、先日の火曜日の予算委員会でも、今の地域医療の現状、課題についての御質問をさせていただいたところでございます。また、ちょっと委員の方にも御理解をいただきたいという思いもございまして、予算委員会の一番最後に質問し切れなかった部分から、少し御質問をさせていただきたいと思います。

 在宅医療、国の方でも、先日の大臣の所信の中にも、在宅医療の推進といったことが盛り込まれております。

 その在宅医療に私も十年前から取り組み、私のふるさとは八ケ岳の麓なんですが、非常に広い、過疎な地域でございます。そういった中で、一軒行くのに二十キロ、三十キロと、片道四十分ぐらいかかる、そういったところを訪問診療に歩いて、がんの終末期の方、または通院困難な高齢者の方を診させていただいている。

 そんな広い地域をカバーしていくのに非常に重要になるのが、訪問看護ステーションでございます。

 国の方も、在宅医療のかなめとしての訪問看護ステーションの重要性というのは非常に認識をしているところだと思います。ゴールドプランにおいても目標の数を設定しておりまして、そのために努力をなさっていることは重々承知しておりますが、現実に、訪問看護ステーションの数は、その六割程度にとどまっている。

 そういったことの中で、その原因は何かということを前回まず質問させていただいたわけでございます。訪問看護ステーション、私自身は、二・五人人員基準、これが非常に高いハードルになっているんじゃないか、そういったことを御質問させていただきました。

 被災地においては、石巻と南相馬で、基準を緩和した一人訪問看護ステーションというのが被災地特例で行われておりました。ちょうど一週間前の金曜日に、被災地特例の延長、そして訪問看護ステーションの基準の見直しについて、給付費分科会が開かれて、その結果がちょうど一週間前に出て、被災地特例に関しては半年延長という結果が出たんですが、人員の見直しについては必要なしという御結論が出た。

 そこで、大臣に御質問したのは、改めて、人員基準二・五人を見直す必要なしと、逆に言えば二・五人にしているその根拠を示してくださいということで御質問したんですが、きょうはちょっと委員の方も含めて、もう一回御答弁いただきたいと思います。

田村国務大臣 訪問看護ステーション、ゴールドプランで設定した数字よりも六割ぐらいにとまっているじゃないかというお話をいただきました。ゴールドプランですから、かなり昔の計画でございますから、新たな計画をどうするんだということも考えなければいけないんだと思うんですけれども。

 数がふえないというお話がございましたが、しかし一方で、利用者は、二十一年四月、二十五万九千人から、二十四年の十二月で三十二万七千人にふえておりますし、もちろん箇所数も五千四百九十九から六千四百十五カ所にふえておるということでございまして、決して減っているわけではないんです。

 そこで、委員は、一人事業所みたいなものを認めないからだめなんだというようなお話でございましたが、被災地に関しましては、どうしても看護師等々が確保できない等の理由によりまして、そこに訪問看護ステーションがなければ本当に全くもって困った状況になられるというお話の中で、特例的にこれを延長させていただいた。それまで三自治体であったと思いますけれども、これを二自治体、一自治体はもう結構ですというお話でございましたので、二自治体に関しまして半年間の延長をしたということでございます。

 では、なぜ二・五人なんだ、一人じゃだめなんだというお話なんですが、やはり多様なサービスを提供いただきながら、二十四時間三百六十五日、緊急時も対応いただかなきゃならぬということになりますと、一人では基本的にはやはり無理であろうと。

 前回も言いましたけれども、有識者、特に看護の現場等々でお話をお聞きしましても、できれば五人ぐらい一事業所にいないと、十分なサービスの提供、それから三百六十五日二十四時間という対応は難しい、もし何かあったときに十分に対応ができませんよというようなお声が多いわけでございまして、議論の中でもそういう議論がある中において、やはり一人事業所というものに対しては、これは認めることができないというような結論に至ったわけであります。

中島委員 先日、ちょうどその後終わってしまったんですが、大臣の御答弁を聞きまして、もちろんそういう部分もあるかと思います。きょうも医師の偏在問題も出ましたけれども、私は、まさにこの問題は看護師の偏在問題だと思っています。

 大臣がおっしゃられた、恐らくイメージなさっている、もともと在宅医療に意識が高い病院で併設されているような看護ステーションがあります。例えば、介護保険でいえば、特別養護老人ホームに併設されているようなデイサービス、大変施設基準も整っていて、人員も配備されます。それと同じように、看護師さんに至っても、もちろんそういうところもあることも私も重々承知しています。

 一方で、医師の立場からいいますと、在宅医療を推進する目的で、在宅療養支援診療所というものが診療報酬上に設けられました。この数は、今、一万二千ぐらいありますよね。ただ、これも非常に格差が広がっている。私の地元山梨県は四十五カ所しかないんです。それに比べて、東京、大阪、福岡、都市部にやはり集中するんですね。山梨県のその四十五カ所の中でも、やはり県庁所在地である甲府市に固まってしまう。要は、効率がいい部分に固まってしまうんですね。

 私がさっき認識の問題で言ったのは、そもそも、地域包括ケアシステムの中に組み込まれている在宅医療、そういったものは、いい制度ではあるんです。いい制度ではあるんですが、医療資源もしくは介護資源が伴わない地域においては、やはりそこをクリアするのは非常に難しい問題なんですね。

 先ほど大臣もおっしゃられました、安全、安定性ということになりますと、私は、在宅療養支援診療所の医師でございます。やはり、一人でやっているわけですね。それに対しては、非常に拡充して、どんどんふやしてくださいという、ある意味、そちらはそういう方策。その成果あって、一万二千カ所ということになっておるわけですが、実際には、私も酒を飲みます。二十四時間三百六十五日、電話で待機して、何があっても来なさいという診療体制で一応届け出はしてあるわけですが、大事なのは、患者さんのその首座が在宅にあるということなんです。

 要するに、在宅で診ている患者さんを診る医者、もしくは看護師も、やはり生活の中で診ていく、非常に地域に密着した部分が大事だ、そういう観点が逆になければ、むしろ、在宅療養、在宅医療・看護というものは成り立たない。

 そういう意味から含めまして、医師、そして看護師の中でも、助産師さん、あと鍼灸師さん等は一人開業が認められておるわけですが、あえてもう一度聞きます。どうして医師はよくて看護師はだめなんでしょうか。

田村国務大臣 先生御承知だと思いますけれども、医師、お医者様は診療をされるわけでございますね。その医師の指示に従って、看護師は医療行為をするわけでございますよね。そういう意味からすると、医師は、診療する側でございますから、常に付き添う必要はないわけでございまして、そのときそのときに適切な判断をして診療行為をすればいい。それにのっとって看護師がその後のいろいろなケアをしていくわけでございますから、ある意味、患者さんに対して、医師よりもやはり看護師の方が接する時間帯がより多いわけでございます。

 そう考えれば、やはり、医師の数と看護師の数がどれぐらいの比率かはよくお考えいただければわかるわけでございまして、そういうことを考えても、当然のごとく、医師は一人で何とか対応できるかもわかりませんが、それと同じような対応を看護師がするというのは、同じ患者の方々を抱えながら同じ対応をするというのはなかなか難しい部分だというのは、先生も御理解をいただける部分だというふうに思います。

 それともう一つ、サテライト型という制度がございますので、そうであるならば、サテライト型でしっかりと、一つの法人のもとに、そのような運営をしながら協力しながらやっていくという方法もございますから、そういうものを御利用いただきながら、何とか絶え間ないサービスを御提供いただければありがたいのではないのかなというふうに思います。

中島委員 医療現場は、本当に大臣もよく御存じのことで、あれだと思います。おっしゃるとおりな部分と、やはり、私はまだ納得いかないところがあるんですね。

 それの理由は、先ほど言ったように、私は、誰から聞いた話ではないです、実際に私も訪問診療をやっていて、一番やはり身近にいて頼りになるのは看護師さんなんですね。

 今、大臣もおっしゃっていただいたように、言うまでもなく、福祉もそうですけれども、医療は特に医者だけで成り立つものではないです。もちろん、医療全体を成り立たすためには、看護師さんや介護士さん、コメディカルの方含めて一つの医療体制、そしてそれが、先ほど偏在という言葉を私は使いましたが、やはり医療資源が圧倒的に少ないんですね。

 恐らく、地域間格差、そして全体的なニーズも含めていきますと、これから社会保障、特に医療費の問題は考えなきゃいけない、そういう中で、やはりこれからのキーワードとなるのは、地域の実情に合ったシステムだと思います。

 先ほど言った地域包括ケアシステム、非常にすばらしいんです。いい制度なんですが、しかし、それが地域になじまなければ何の機能もしないということなんです。

 ですから、私自身は、やはり看護師さん、そして、実は、この三月をもって訪問看護ステーションをやめてしまう看護師さんもまさに身近にいます。その理由は、先ほど二・五人と、そもそも二・五人という人間は存在しないわけですが、要するに、一人常勤なんですね。残りの一・五人は非常勤なんです。

 私は、地域において、そういう少ない訪問看護ステーションの常勤の看護師さんが何をしているか、この目で見ています。要するに、訪問看護ができないんです。地域において、市のケアマネ業務を依頼されたり、それ以外の業務に追われてしまうわけです。残りの一・五人で訪問看護をするわけです。その中のうちの一人が、結婚した、お産をしたという理由でやむなくやめてしまう。その常勤の看護師さんは訪問看護をやりたくて始めたんですが、実際は、訪問看護をできずに他の業務に追われてしまう。残りの一・五人の方にやってもらうというのがほとんどのパターンなんです。ということになると、一・五人です。変わらないと思います。

 ですから、私は、その地域の実情に合ったスタイル、私は前回も言ったんですが、二・五人と一人、どっちがいいという議論をしているのではないんです。一人から始めさせてくださいと。

 要するに、これは事業とすれば一緒だと思います。ラーメン屋さんをつくるとします。まあ、ラーメン屋さんと一緒にしてはいけませんが、東京のような大きな都市部で、駅前で何万人もの方が通るところと、私の田舎のように、駅前でも全く人が通らない場所、同じ場所で開業するとしますね。もともと制度自体が全国一律、都市部も過疎の地域も全部一律だとしますと、医療や福祉はほとんどそういう制度になっていますが、ラーメンをつくれる人が三人いても、東京では恐らく賄えるかもしれません。だけれども、そういう田舎のところに行って、ラーメンをつくれる人が三人いないとラーメン屋さんをつくっちゃいけません、そういうことになったら営業できないわけです。

 要するに、それぞれのキャパに合ったスタイルから、恐らくイメージなさっているのは、しっかりと二十四時間、勤務表をつくって、誰が休んでもカバーし切れるような、そういったものを恐らく大臣はイメージなさっていると思いますが、先ほど言った、在宅療養している、生活を首座にして療養している方を診る、医者も看護師も生活をしながら診る、そういう感覚が非常に重要なんですね。だとすれば、決してその二・五人がいけないとは言っていないです。先ほど大臣が言ったように、もっと拡充できて、五人、七人でできればもっといい、これは私もよくわかります。しかし、それがなかなかできない現実がある。

 そうであれば、隣のおじいさん、おばあさん、近くにいる方を、私は資格があるから診に行こうと。そういったものはやはり国家資格があって診ているわけですから、そういうものからしっかりとスタートさせてあげて、それが条件が整っていけば二人、三人とふえていく、そういうところからスタートさせるようなことにしておかないと、先ほど言った地域包括ケアシステムも絵に描いた餅に終わってしまう。在宅医療というものが本来どうあるべきか、そういう観点から、無理な理由を考えるのではなくて、むしろ、そういったことを実現できるためのそういう感覚、考え方で取り組んでいただきたいなというふうに思っております。

 ですから、その辺について、大臣のふるさとは三重県ですね。恐らく、そんな地域間格差はたくさんあるんだと思います。先ほど言った在宅療養支援診療所もそうなんです。在宅の最大の目標は在宅死ということになるんですが、決して伴っていないんですね。在宅療養支援診療所が多いから在宅死の割合が高いかというと、全くそうはなっていないんです。

 ですから、例えば離島なんかがあります、瀬戸内とか、あと長崎県の方とか。離島において、一つの離島に二・五人の看護ステーションの基準を満たせといっても、それはやはりできない。地域において、その規制緩和、それが予算をかけて、お金をいっぱいかけてもなかなか実現できない。

 むしろ、その地域の医療、福祉、それ以外の産業にも同じことが言えるかもしれませんが、規制緩和をして地域の資源を最大限に活力を見出す、そういった考え方で、何とか一人の訪問看護ステーションを認めていただきたいと強く思うわけですが、きょうの意見を聞いて、もう一度大臣に御答弁をいただきたい。

田村国務大臣 おっしゃられますとおり、財政支援をずっとふやしてきている中で、診療報酬改定においても、これは前政権の話でありますけれども、往診の緊急加算でありますとか深夜の加算でありますとかをずっと続けてきて、そちらの方を広げていこうと。

 確かに、現場のお医者様にいろいろとお話をお聞きしますと、看護師がもっといればいろいろなことができるのにねという話はよく私もお聞きをするんですね。それが、訪問看護ステーションという形がいいのかどうなのかという議論もあるのかもわかりません。

 いずれにいたしましても、一人というところに対するリスクというものは確かにあることは御理解をいただけるというふうに思います。言われるとおり、多い方が絶対問題はないわけでありますから、よりよい、質の高い看護サービスを提供できるわけでありますから、その点は御理解いただけると思うんですが。

 一人というものを、では、一般化して認めていくということになったときに、例えば、今の、ただでさえ不足しているという看護師のマンパワーというものがどのような形で分散していくのかとか、いろいろなことをまた分析、検討してみないと、なかなか、一人というものを積極的に進めていくということを、今、厚生労働省として、ここで申し上げるのは非常につらい。

 ただ、今おっしゃられる中で、一人から始めてという御議論はありました。

 私も頭の体操の中で、一人から始めて例えば一年以内に二・五人にいくようなものはどうなんだろうとか、いろいろと頭の体操はできるわけでございまして、一度そういう頭の体操をさせていただきながら、一方で、安全性も含めてしっかりと、どういう形になるのか、議論はさせていただきたいなというふうに思います。

中島委員 積極的に考えていただける御答弁と私は理解いたしますけれども、私は結構しつこい人間でして、実は、本当に在宅医療そのものを、この後もちょっと御質問の中で話をするんですが、非常に危惧しているんですね。

 在宅医療そのものが、今は病院で亡くなる方の数が八〇%、そして在宅で亡くなる方が一三、四%ですね、残りは介護施設ということになるわけですが、六十年前には全く逆の数字だった。そういった中で、国として在宅医療推進ということは、在宅医でもありましたから、ある意味ありがたいことではあるんですが、ここ最近、過疎の地域においての高齢化、独居のひとり暮らしのお年寄りや老老介護の方、そういった方々の姿を見ていて、この先、本当に在宅医療自体進めていいのだろうかと。

 その理由は、恐らく、これは都会地域では余り関係ないかもしれませんが、やはり高齢者の方への虐待ですね。目に見えるそういう虐待はもちろんなんですが、例えば胃瘻をしている方。もちろん訪問介護なんかも入りますが、基本的にはおうちの方が胃瘻のチューブを交換するとか、要するに、お食事がわりの管理をしてもらわなきゃいけない。そういったものを全くやってくれない家族は、たくさんではないですが、ふえてきています。

 私のふるさとで、ちょうど一年ぐらい前ですか、一人息子さんがお母さんの首を絞めて殺してしまった。私自身は、もちろん、そのこと自体を肯定しているわけではないです。ただ、そういう方は、どうしてそうなるか。一生懸命見ているんですね。その方は、お母様が寝たきりになってしまった、東京から帰ってこられて、一生懸命見れば見るほど追い詰められたんです。結果的にそういう事件が起こってしまう。そういった事件一歩手前の方が、それはたまたまではなくて、少しずつ少しずつふえている。これは本当に、自分がやっていて実感しています。

 在宅医療そのものが、恐らく、住みなれた家で住みなれた地域で最期までと、何となくすばらしいことのように思われがちですが、しかし、大前提は環境です。在宅、御自宅の環境はもちろん、地域の環境。ただ、その地域の環境そのものが、医療資源に乏しかったり、財政面でも乏しかったり。高齢化率は都市部と比べて、うちのふるさとも三〇%を超えています。

 そういった現状の中で、何度も申し上げるように、やはり地域の実情に合った制度でなければ全く根づけないんですね。そこにお金を幾らつぎ込んでも、やはり、それよりは、ある資源をどうやって結びつかせていくか。

 先ほど、サテライトという話の中で、やはり経営母体というのは非常に大事なんですね。在宅支援診療所が都市部に集まってしまう一番の理由は、効率なんです。私が広い範囲を一日どれだけ車で回っても、二十人が精いっぱいですね。しかし、都市部であれば、自転車で回って、むしろ在宅医療、訪問診療だけでも、もう経営が成り立つぐらいの手厚い診療報酬になっているんです。ですが、地域に行って効率の悪い部分では、なかなかそういうわけにはいかない。そういった理由で、これだけ偏在が起きてしまっている。

 これは、先ほど言ったように、訪問看護ステーションにも同じようなことが言えると思うんです。ということは、やはり地域の実情に合った、一人の看護師さんで在宅の患者さんを診られるのは恐らく五、六人です。イメージとすれば恐らく何十人もというふうに思われているかもしれませんが、実はそうではないんです。一人で認めてあげて、医師とかほかの職種と同じように、同じ国家資格を持っている方が、近くのおじいさん、おばあさんを診てあげるということに対して、評価をしてください。

 実際にそういう形が、今、被災地ではそうだったんですが、ボランティアでやっていたわけですよね。ボランティア精神で、資格を持っている看護師さんがそういった方を診ていく。そういったことに対して、やはり、国家資格をちゃんと認めて、やったことに対しては報酬制度の仕組みをちゃんとつくりましょうと。

 今、四十万人、五十万人と言われている資格を持った看護師さんたちが、なかなか職場復帰できないという現実もあります。子育てをしながら、お子さんをおんぶしながら近くのおじいさん、おばあさんを診に行く、ある意味、そういった掘り起こしにも確実につながる問題だと思います。

 積極的な御答弁と私は受けとめまして、恐らく、これから質問のたびに繰り返し繰り返しお願いをしていくことになるのかもしれませんが、ぜひその辺も含めて御理解をいただきたいと思います。みんなの党は人が少ない分、質問の機会も非常に多いと思いますので、これからもどうかよろしくお願いしたいと思います。

 きょうはこのぐらいでこの話題は終わらせていただきたいと思います。

 まだ時間はありますね。

 続きまして、先ほど言った在宅死、要するに、最期の場所ですね。

 今は八〇%が病院、診療所を含めた医療機関、一三、四%が御自宅、そして残りが介護保険の施設ということになると思います。その設定が、私自身は非常に危惧すると先ほどお話ししましたけれども、これから高齢化も、ピークはこの先ですが、同時に、死亡率のピークというのをまたこれから迎えるわけです。ピーク時には百八十万人、年間に亡くなる人の数がふえていくというふうにも今言われております。

 そういった中で、済みません、資料の三ページ目にございます。これは、社会保障と税の一体改革の医療・介護サービスの拡充ということで、将来像を示されたものです。平成三十七年度、医療の数字ですが、基準病床数、これは平均よりもまだ日本は高いということで、機能分担をして、急性期、亜急性期、慢性期というような分け方で、結果的には基準病床数を減らしていく。それに対して、介護保険の施設の拡充を目指すというような内容だと思います。

 この中で、在宅介護、小規模多機能、これだけ突出して割合が高いんですね。七・六倍に拡充するという数字になっておりますが、まず、こういう計画を出された根拠をお示しいただきたいと思います。

田村国務大臣 小規模多機能型の居宅介護施設でありますけれども、これは、要は、地域包括ケアを支える大きな役割を担うべき、そういうような資源であるというふうに思うわけですね。

 スタートしたのがまだそれほど古いわけではございませんので、今、一生懸命整備といいますか、数をふやして、とにかく居宅介護の拠点として進めておる最中でございまして、二〇一二年で七万人、現状、今七万人である利用者を、二〇二五年に四十万人までふやそうという計画でございますので、そういう意味では伸び方が非常に大きいというふうに御理解をいただければありがたいと思います。

中島委員 この計画でいきますと、単純には何とも言えない部分もあるんですが、このペースでいきますと、亡くなる方の数と、病床数、介護施設、そんな感じでやっていくと、大体四十万人から五十万人の方の最期の場所が確保できない、これは通説としても言われております。

 私はやはり、この表を見て、このままいきますと、確かにそれは言えるかなと。これを見ると、その残りの四十万人、五十万人の人を、まさか在宅でと思っているわけではないでしょうねと言わざるを得ないんですね。

 私は、先ほども言ったように、非常に危険性を秘めています。もうこれ以上、在宅医療、むしろ進めていいのかどうか。先ほど、今、八〇%、一四、五%、数%。私はやはり、将来像として、現実的な問題として、ついの住みかの介護施設ではなくて、終わりの住みかとしての介護施設、その設定を確実にするべきだというふうに思っています。

 現実的な病院死の割合を六十数%、そして、介護施設での終わりの住みかとしての位置づけをしっかりと設定しておくべきだと私は思っているんですね。そうしないと、やはり不確実な要素がたくさんある在宅医療に残りの四十万人、五十万人の人を、できればそっちへというやり方は、非常に危険性をはらんでいるというふうに考えております。

 大臣、もし、イメージとして、死亡率のピーク時に、病院死、御自宅、介護保険の施設、もしくは新たな施設として、何かお考えがあれば聞かせていただきたいと思います。

田村国務大臣 非常に難しい御質問ですけれども、今、医療提供体制の見直しをということで、次の医療計画に向かってのみ込んでいこうということで議論をしておるわけでありますが、もちろん、高度な急性期、急性期でありますとか慢性期、そんな中において、在宅というものも、これは連携をしながらの中でありますけれども、言うなれば、大きな役割を果たしてくるというふうに思います。

 その中で、例えば末期のがんなんかは、これは在宅でもちゃんと、在診の先生方と協力をしていれば、最期、人生を全うされるところが在宅ということも十分にあり得るんだろう。もちろん、そこには、他にも薬剤師の先生方だとかいろいろな方々が介在するわけでありますけれども。

 一方で、ずっと在宅で診ておったんですけれども、本当に最期の部分だけ病院でというような方々も、本当に一日、二日という形になるのかもわかりません、そういう方々もおられるのであろうというふうに思います。

 あわせて、特養、老健という、老健が本当にいいのかどうかはまた議論なんですけれども、特養等々に関しては、そういう役割を一定分果たしていくということも、十分にこれは予想をされるというふうに思います。

 あとは、その数がどういう形になるのかというのは、これからいろいろと研究をしてまいらなきゃいけないと思います。

 いずれにしても、ピーク時に四十万から五十万、亡くなる場所がないというようなお話が言われておるわけでございますが、そうならないように、しっかりと対応してまいらなきゃいけないというふうに思っております。

中島委員 時間になりましたので終わりにしますけれども、私はやはり、最終的というか、ピーク時にどういう割合で着地点を見出すかというところは大前提として、結果的にそうではなくて、それを目指すというものがないと、非常に危険性をはらんでいるというふうに認識しておりますので、今後とも、そのような考えのもとに御検討を重ねていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

松本委員長 次に、内閣提出、予防接種法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。田村厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 予防接種法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田村国務大臣 ただいま議題となりました予防接種法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を説明いたします。

 予防接種は、感染症の脅威から国民の生命及び健康を守るために有効な手段であり、歴史的にも、我が国の感染症対策において大きな役割を果たしてまいりました。しかしながら、現在、他の先進諸国と比べて公的に接種するワクチンの数が少ない、いわゆるワクチンギャップの問題があり、その解消を初め、予防接種制度について幅広い観点からの見直しを行う必要がございます。

 今回の改正は、これまで補正予算により実施してきたHib感染症等の三つの予防接種について、地方財源を確保し、地方財政措置を講じた上で、平成二十五年度以降は予防接種法に基づく恒久的な仕組みとするほか、予防接種施策の総合的な推進を図るための所要の措置を講ずるものであります。

 以下、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。

 第一に、一類疾病の名称をA類疾病とし、定期の予防接種の対象疾病にHib感染症、小児の肺炎球菌感染症及びヒトパピローマウイルス感染症を追加することとしております。また、二類疾病の名称をB類疾病とし、新たなワクチンの開発や感染症の蔓延の状況等に機動的に対応できるよう、政令で対象疾病を追加できることとしております。

 第二に、厚生労働大臣は、予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、厚生科学審議会の意見を聞いた上で、予防接種基本計画を定めることとしております。

 第三に、副反応報告制度を法律上に位置づけるとともに、厚生労働大臣は、その報告の状況について厚生科学審議会に報告し、必要があると認めるときは、その意見を聞いて、予防接種の適正な実施のために必要な措置を講ずることとしております。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、平成二十五年四月一日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要です。

 御審議の上、速やかに御可決いただくことをお願いいたします。

松本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十九日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十七分散会


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