衆議院

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第13号 平成25年5月22日(水曜日)

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平成二十五年五月二十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 松本  純君

   理事 上川 陽子君 理事 高鳥 修一君

   理事 棚橋 泰文君 理事 冨岡  勉君

   理事 西川 京子君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      今枝宗一郎君    岩田 和親君

      小田原 潔君    大岡 敏孝君

      大久保三代君    大串 正樹君

      勝沼 栄明君    金子 恵美君

      川田  隆君    黄川田仁志君

      小松  裕君    古賀  篤君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      鈴木 憲和君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高橋ひなこ君

      とかしきなおみ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    中谷 真一君

      永山 文雄君    丹羽 雄哉君

      福山  守君    藤原  崇君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      山下 貴司君    山田 美樹君

      吉川  赳君    大西 健介君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    横路 孝弘君

      足立 康史君    伊東 信久君

      河野 正美君    坂元 大輔君

      新原 秀人君    伊佐 進一君

      輿水 恵一君    中野 洋昌君

      柏倉 祐司君    中島 克仁君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   法務副大臣        後藤 茂之君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   厚生労働大臣政務官  とかしきなおみ君

   厚生労働大臣政務官    丸川 珠代君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉田  学君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     武田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       高倉 信行君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  香取 照幸君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     勝沼 栄明君

  大久保三代君     福山  守君

  大串 正樹君     吉川  赳君

  小松  裕君     小田原 潔君

  田畑 裕明君     大岡 敏孝君

  高橋ひなこ君     山田 美樹君

  豊田真由子君     中谷 真一君

  永山 文雄君     川田  隆君

  丹羽 雄哉君     鈴木 憲和君

  堀内 詔子君     岩田 和親君

  三ッ林裕巳君     藤原  崇君

  横路 孝弘君     長妻  昭君

  宮沢 隆仁君     河野 正美君

  輿水 恵一君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     堀内 詔子君

  小田原 潔君     小松  裕君

  大岡 敏孝君     田畑 裕明君

  勝沼 栄明君     青山 周平君

  川田  隆君     永山 文雄君

  鈴木 憲和君     丹羽 雄哉君

  中谷 真一君     豊田真由子君

  福山  守君     大久保三代君

  藤原  崇君     黄川田仁志君

  山田 美樹君     高橋ひなこ君

  吉川  赳君     大串 正樹君

  長妻  昭君     横路 孝弘君

  河野 正美君     坂元 大輔君

  中野 洋昌君     輿水 恵一君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     今枝宗一郎君

  黄川田仁志君     三ッ林裕巳君

  坂元 大輔君     宮沢 隆仁君

    ―――――――――――――

五月二十日

 憲法二十五条に基づく権利としての福祉確立に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六三四号)

 同(笠井亮君紹介)(第六三五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六三六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六三七号)

 同(志位和夫君紹介)(第六三八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六三九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六四〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六四一号)

 パート労働法の実効ある改正に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第六四二号)

 予防接種改善に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第六四三号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(山本公一君紹介)(第六四四号)

 同(大串正樹君紹介)(第六六二号)

 同(平口洋君紹介)(第六六七号)

 同(大見正君紹介)(第六七三号)

 同(柚木道義君紹介)(第六七四号)

 同(松本剛明君紹介)(第六八七号)

 同(亀井静香君紹介)(第七二〇号)

 同(大串博志君紹介)(第七二九号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第七三四号)

 同(北村誠吾君紹介)(第七四八号)

 同(小熊慎司君紹介)(第七五五号)

 同(畑浩治君紹介)(第七六二号)

 同(古屋範子君紹介)(第七六三号)

 同(野間健君紹介)(第七七一号)

 社会保障拡充に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第六六一号)

 建設労働者の労働条件向上に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六六六号)

 児童福祉としての保育制度の拡充に関する請願(野田毅君紹介)(第六七一号)

 中国残留孤児の配偶者の生活支援に関する請願(漆原良夫君紹介)(第六七二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六九六号)

 同(笠井亮君紹介)(第六九七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六九八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六九九号)

 同(志位和夫君紹介)(第七〇〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七〇一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七〇二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第七〇三号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第七三〇号)

 同(中谷元君紹介)(第七三九号)

 同(野田毅君紹介)(第七四〇号)

 二・五%の年金削減をやめ、安心の年金制度を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六七七号)

 同(笠井亮君紹介)(第六七八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六七九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六八〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第六八一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六八二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六八三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六八四号)

 パーキンソン病患者・家族の視点に立った療養生活と質的向上に関する請願(江田康幸君紹介)(第六八五号)

 同(葉梨康弘君紹介)(第六八六号)

 同(大口善徳君紹介)(第七二八号)

 同(古屋範子君紹介)(第七四七号)

 年金二・五%引き下げの中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六八八号)

 同(笠井亮君紹介)(第六八九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六九〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六九一号)

 同(志位和夫君紹介)(第六九二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六九三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六九四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六九五号)

 障害者福祉についての新たな法制に関する請願(岸本周平君紹介)(第七一八号)

 同(吉田泉君紹介)(第七三五号)

 同(小熊慎司君紹介)(第七四九号)

 同(野間健君紹介)(第七七二号)

 安全・安心の医療・介護実現のための夜勤改善・大幅増員に関する請願(亀井静香君紹介)(第七一九号)

 全てのB型・C型肝炎患者の救済に関する請願(大串博志君紹介)(第七二一号)

 同(野間健君紹介)(第七六四号)

 同(小里泰弘君紹介)(第七七八号)

 社会保障の切り捨て中止に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第七二五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第七六五号)

 全国一律最賃・時給千円以上の実現に関する請願(野間健君紹介)(第七五六号)

 患者・利用者負担を大幅に軽減し、いつでも安心して受けられる医療・介護の実現を求めることに関する請願(吉川元君紹介)(第七七六号)

 患者窓口負担の大幅軽減に関する請願(吉川元君紹介)(第七七七号)

は本委員会に付託された。

五月二十一日

 安全・安心の医療・介護実現のための夜勤改善・大幅増員に関する請願(第一九三号)及び保育・子育て支援制度の実現に関する請願(第二八六号)は「石川知裕君紹介」を「高橋千鶴子君紹介」にそれぞれ訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)


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     ――――◇―――――

松本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案及びこれに対する柚木道義君外三名提出の修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 原案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官吉田学君、消防庁審議官武田俊彦君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官高倉信行君、医政局長原徳壽君、老健局長原勝則君、保険局長木倉敬之君、年金局長香取照幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冨岡勉君。

冨岡委員 おはようございます。自由民主党の長崎市選挙区、冨岡勉でございます。

 先般から、本委員会においても、年金関連二法案、本当に深い議論が続いております。本日も、七時間という長時間にわたって田村厚生労働大臣初めいろいろな関係の皆様方に御質問が続くわけでありますが、これらの問題については、本委員会でも与野党の質問に対して、いわゆるいろいろな問題を勘案しながら問題解決に向かっていっている、このように私も承知しているわけであります。

 そこで、本日は、私は、これからの問題を横目で見ながら、年金問題全体について、まず基本に戻って改めて基礎的なデータを確認し、今後の年金制度のあり方についてお考えを伺いたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 資料を使って説明をしたいと思いますので、お手元の冨岡勉の資料一をごらんください。

 これは、似たような表は見られたことがあるかと思いますが、改めて年金担当の若手の方たちにつくっていただきました。正確に、横軸に人口というんですか人数を、縦軸に金額を正確に加味して作成されたものと思ってください。いわゆる年金制度の種類別人口分布及び支給年金額を示したものであります。

 今回問題になっている第三号被保険者はおよそ一千万。いわゆる国民年金のみを受け取られている方は、自営業を中心として一千九百万人。民間サラリーマン、いわゆる厚生年金保険加入者は三千四百五十一万あるというのが読み取れます。また、共済年金等は、国家公務員共済、地方公務員共済を含めて四百四十一万。

 この表をずっと見ていただくと、まず、非常に印象的なのは、金額。国民年金は国税が半分入っておりますが、一階の部分、それから厚生年金、二階の部分、三階の部分。私たちが今議論しているのはこの四角に囲まれた厚生年金基金の部分、わずかと言ったらいけませんけれども、四百三十七万のこれを議論して、三階部分をいかに充実させるかという制度だったんですが、代行割れ等で、逆に、下掘れというのか、穴があいてしまっている。

 したがって、我々は、将来、この表を見ながら考えていかなくちゃいけない。いわゆる四角の部分の制度を熟知すると同時に、なぜこういうふうな、金額の差が相当あります、これは。したがって、これに対する対応を今後考えていかなくちゃいけない。

 いわゆる国民年金は、現在、月額一万五千四十円を四十年間、我々も国民年金でございます。二十九歳で国会議員になられた方は今から払わなくてはいけないということになります。ただ、きちんと払い続けたとしても、最高支給額は現在のところ六万六千円であり、実態の数値を申せば、国民年金支給額は平均、ここに小さく書いてありますので後でお読みください。注の一から三までの中に平均額をきちんと書いております。いわゆる老齢基礎年金、一般的に国民年金と言われているものは五万八千円、そして、厚生年金保険の平均額ですけれども、十六万一千円、さらに、この右端の国家公務員共済の月額は一人平均二十一万四千円、地方公務員共済は二十二万一千円。何と三倍以上の差があるわけであります。

 すなわち、学生のときから毎月今後一万五千円を振り込んでも、六十五歳から支給されるのは、学生の特例等を使えば支給額が減少しますので、恐らく六万円にも満たない方がたくさん出てくる。夫婦二人で一体十二万円で暮らせるかということが問題になっており、こういう点からいっても、平均十三万とか十四万とか言われている生活保護受給者との、一生懸命払い続けたのに払っていない人より少ないのか、これが今国民の間でいろいろ問題になっているのは皆様よく御承知のことではないかと思っております。

 これまで、民主党さんを初めいろいろな政党が抜本的な改革を唱えてきましたが、その財源をどこに求めるかということで、抜本改革を行うことなく、三つの大きな保険制度を維持しながら現在に至っております。

 そこで、最初にお尋ねするのは、現行の年金制度は今後このまま維持していくのか。まず、問題があると考えているのか、いないのか。まず、問題点の認識を田村大臣にお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 おはようございます。

 今委員からお話ございました現行の年金制度、問題点があるのかないのか、それは問題点がないわけではないわけでございまして、幾つかの問題点がございます。

 一つは、非正規雇用の労働者の方々、こういう方々が、今、国民年金の方にかなり移っておられる。一定の条件、今三十時間以上、これから制度改正で若干その方々も厚生年金に来るわけで、適用拡大という法律が昨年通りましたが、しかし、基本的にはまだまだ残っておられます。その方々が、本来ならばどう考えるかということで、厚生年金の適用拡大というものをこれからどのような計画で進めていくかということはまず一つあると思います。

 それから、無年金者の問題をどう考えていくか。これも大きな課題でございまして、本来、国民年金で、加入義務があるにもかかわらず加入をされていない方々に対して、どのように加入勧奨をしていくか、こういう問題がございます。

 それから、国民年金の水準というものをどう考えるか。これも、これからマクロ経済スライドがかかっていくということでございまして、実は厚生年金よりも長くかかるんですね。厚生年金はたしか二〇一九年でマクロ経済スライドが、現行二十一年度改正で終わるという話なんですが、国民年金は二〇三八年までマクロ経済スライドがかかります。その分だけスライドが余計にかかるわけでありますから、支給水準というものが引き下がるわけでございますので、この問題をどう考えるかという問題もあろうというふうに思います。

 殊さら、ほかにもいろいろと考えれば問題はたくさんあるわけでございますので、一々申し上げるだけで時間をとるわけでありますが、主な問題点ということで考えれば、このようなところが大きな問題として上がってきておるわけであります。

 一方で、年金制度全体で考えますと、所得代替率五〇%というものを守るという中で、これは三十五万八千円という所得世帯でありますけれども、それに対して、均衡財政、支給と保険料が均衡を果たすということから考えれば、積立金に関しては、この一―三がどういう状況か、大体、おおよそいいのではないかなという気はいたしますが、まだ結果は出ておりませんから、どうなるかによって結果は違ってまいりますが、おおよそ必要な積立額というものは確保できるであろう。

 それから、合計特殊出生率、これは、前回予想したときよりかはかなりいい状況に今足元なっておりますから、出生率の方も、決して今の数字がいいというわけじゃないですよ、ただ、予想よりかはいい数字になっておるという部分では、年金財政というものは均衡はしておるのではないのかなというふうに今推測がされるわけでございます。

冨岡委員 ざっと御説明を受けても、フリーターの問題、あるいは全く無年金者がいるということ等々、いろいろな問題を抱えながらこの年金制度はこれから問題解決していかなくてはいけないと思っておるんですが、ここに、一番大きな人口比である国民年金、特に基礎年金の受給者というのを、プライオリティーというか順番をつけるとしたら、これに対する対策を、やはり、資料一の、ここまで金額の差があり続けて維持していくのは、常に時限爆弾を抱えて年金制度を少しずつ扱っているような印象を拭えません。

 したがって、これは予算の問題とか消費税の問題とかいろいろな問題があるんですが、例えば、国民年金にずっと払い続けて、六十五歳から年金を受けて、平均寿命、男女の平均がありますけれども、八十五歳まで仮に生きたとして、二十年間の支給額を計算してみます。

 退職金等々いろいろあるんですが、それから幾ら年金をもらうかとざっと計算してみると、我々、例えば国会議員もそうですが、五万八千円からで計算すると、八十五歳までに国民年金受給者は一千四百万円、一方、地方公務員共済は五千三百四万円、実にその差は四千万円近くになります。

 したがって、自営業の方は、六十五歳になったときに、逆に言えば四千万ぐらいの預金、貯金がないと、地方公務員、多分学校の先生とかいろいろあるんでしょう、その方たちと同じような生活はできない。四千万、退職金等が吹っ飛んでしまうような額の差が、生涯、片方は受給され、片方はそれがないという、ここら辺を若い人に言うと、えっ、そんなにですか先生、こういう反応が返ってきます。それを若い人は計算しないし、知らないんですね。

 したがって、私は、この日本が誇る社会保障制度、一見いいように見えるんですが、健康長寿の期間を著しく長く楽しむようになってきた昨今の状態からいえば、これを何とかしていかなくてはいけないという思いが非常に強うございます。

 今、厚生年金基金の問題がずっとされているけれども、人口比あるいはいろいろな部分からいえば、三階部分をふやすとかふやさない話なんですよね、この表からいえば。この小さな部分と言ったら叱られるかもしれないけれども、これをずっと見ていって、この不合理さをやはり我が国は何とか解消しようとしてきた、けれども、できていない、そういう状態が今あります。

 したがって、これをちょっと調べてみましたら、ここに、第一号被保険者、下からずっと見て、国民年金の、国民年金基金というのがございます。ひげのようにちょろっとついていますね。へばりついているというような言葉で表現します。これは、五十二万人あります。

 この制度についてちょっと専門の方に、まずは、どういう制度か説明していただけますか。

香取政府参考人 おはようございます。御答弁申し上げます。

 国民年金基金制度でございますが、これはもともと、規定上は置いてあったものなんですけれども、平成元年の改正で具体的に今の形にいたしまして、それまで事実上機能していなかった規定などが動いたものでございます。

 今先生お話がありましたように、サラリーマンの方は、一階の年金、二階の年金、そして三階の企業年金その他がございます。自営業者の方につきましても、老後のさまざまな生活ニーズに合わせて、そういった企業年金等を持つ被用者の年金制度とのバランスをとるということでこういった制度を創設したというものでございまして、いわば自営業者の方々の上乗せの、基本的には私的な年金の部類になりますが、上乗せの年金ということでつくられたものでございます。

冨岡委員 今御説明のあったように、これがいわゆる国民年金の上乗せ部分。しかし、このグラフで見るように、実態はほとんど稼働していない、知らない。六万八千円の、年金がもらえるような、掛金をもちろん納めれば、これに国費は入っていますか。私が言いましょうかね。四分の一、国費が投入されているでいいですか。ちょっと確認しましょう。

香取政府参考人 恐縮です。

 先ほどちょっと若干舌足らずで、国民年金には付加年金制度というのがございまして、一部、国民年金の本体の中に付加的な、月額四百円だったですか、付加をしてもらうという部分があります。

 付加年金部分については、先生おっしゃるように、四分の一の国庫負担がついていますが、この国民年金基金に関しましては、基本的には国庫負担は入っておりません。全額掛金でその給付を賄うという構成になってございます。

冨岡委員 ただし、代行している部分は自動的に付加年金が代行されているわけですよね。その場合には、やはり国費が入っているということですよね。

 したがって、平成二十三年度には十二億円。ただ、これは全員が入ったとすると、五百億ぐらいの金額にならざるを得ないんですね。だから、これは恐らく、税と社会保障制度の一体改革においては、この制度を普及するのかどうか。

 そして、この六万八千円余も、国民年金受給者がそれをもらいに行くために加入するような、このグラフ上、余りにも差が大きいので、そういう制度にするべきじゃないかと私自身は思っているんですが、専門の方の御意見。

 そして、何でこれはこんなに細いのか。太らせる気はないのか。これをお聞きしたいと思います。

香取政府参考人 国民年金基金ですが、これはサラリーマンの方々と同じで、やはり老後の所得保障のことを考えますと、公的年金、サラリーマンの方は二階もありますが、一階あるいは二階の年金に加えて、そういった私的年金をきちんと充実していくという意味では基本的には同じことなので、今回、厚生年金基金については制度改正をお願いしていますが、先生の絵にありますように、サラリーマンの場合にはDB、DCといった企業年金があり、それはそれなりに制度も発展しているわけなので、国民年金についても基本的にはそういったものとして、あと個人の方は個人型のDCというのもあるんですが、そういったものとあわせて、基本的にはそういう役割を果たしておりますので、その意味では、企業の方の企業年金と同様に、やはりそれなりに自助努力で老後の保障をするものとしてきちんと位置づけていきたいというふうに思っております。

 ただ、人数が少ないというのは、一つは、国民年金自体が、一号の被保険者が全体としては数が減っておりますし、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、一応想定しているのは自営業者の方なんですが、やはり一号の中で自営業者の比率は下がっておりますので、全体として母数も少なくなっておりますしするので、国年基金については我々も制度の普及に努めておりますけれども、任意加入ということもございまして、おっしゃるような意味で、広い年金の加入という形には残念ながらなっておらないということでございます。

冨岡委員 まさにそのとおりですね。だから、基金が、地域型が四十七、そして職能型、例えば薬剤師年金とかいろいろあると思うんですが、それが二十五あって、代行をちゃんとしているわけですよね。何でこれが普及していないのかというのが、ちょっと僕も不思議でならない部分があるんですが。

 では、大臣、ちょっとその理由と今後のお考えを聞かせてください。

田村国務大臣 一点、先ほど問題点で抜けておったのが、これだけ言っておかないと怒られますので。

 マクロ経済スライドが、今、物価が上がらないのでかかっていないんです。これで均衡するものですから、これがかかってこないと財政が均衡しないということでございまして、アベノミクス等々で景気がよくなって物価が上がってくることによって、もちろん賃金が上がることが前提でありますけれども、マクロ経済スライドがかかって均衡していくということ、これが大変今大きな問題となっております。特例水準の解消は、もう既に昨年法律が通ったということでございます。

 今の問題なんですけれども、国民年金は、今局長から話がありましたが、自営業者を基本として考えておりました。自営業者というのは収入がございます。六十五になっても収入があるわけです。例えば、先生もお医者様を続けられれば収入がある、政治家も収入があるという話でございますから。

 実は、商売をやられている方々は、若いときのような活動的な商売はできないにしても、六十五以降も、例えばお店を開きながら、収入が減ったとしても、それと併用しながら国民年金をもらって生活をするということが実は生活設計の中で根本的に組み込まれた、そんな制度であったということが前提にあるわけなんです。

 ところが、今、非正規雇用の方々がふえてきた。すると、そういう方々はそもそもフローの収入もなかなかないわけでございますから、それに耐えられない。国民年金基金はそもそも、やはり収入がなければ掛けられないわけですよね。上乗せで保険料を払う。もちろん所得控除ですから得は得なんですよ、全額所得控除がかかりますから。

 しかし、収入がなければやはり上乗せで掛けられないわけでございまして、今、大方といいますか自営業者以外の方々は、なかなか収入が多い方々は少ないですから、その分なかなか国民年金基金まで手が回らないということも、実は国民年金基金が広がっていかない一つの理由でありますし、テレビ等々を含めていろいろなPRもしてきたんですけれども、広報活動も足らないのかもわかりません。

 そういうことも含めて、これからも国民年金基金というものに対して一定の、我々、広告といいますか、言うなれば宣伝をやっていかなきゃならないな、こんなふうに思っております。

冨岡委員 今後、税と社会保障の制度の一体改革の議論が進むと思います。早目に、こういう議論をして結論を出していっていただきたいと思います。もちろん与野党を問わずこういう議論に参加し、年金制度のしっかりした、健全な運営に当たっていきたいと私自身は思うところであります。

 ありがとうございました。

 さて、そうして年金生活者が安心して年金を受給しながら生活をしていくわけですが、突然やはり病気になります。

 救急体制についてちょっとお伺いしたいんです。

 独居老人とかがふえてまいります。その救急、一次救急、二次救急を預かる中小病院あるいは大学病院で、救急車のたらい回しの事件が起こり始めました。これはニュースとかで見る。

 そこで、まず消防庁にお尋ねしたいんですが、患者さんから救急依頼の要請を受けた際に、現場に到着し、搬送受け入れ病院まで要する時間と、病院に受け入れ要請を何度して受け入れられたか、簡単に答えてください。数値だけで結構でございます。

武田政府参考人 今お尋ねのありました、救急要請を覚知してから現場到着までに要する時間でございますが、平成二十三年中の全国平均は八・二分でございまして、十四年中から一・九分延びている状況にございます。

 また、病院収容までに要する時間ということで申し上げますと、二十三年が全国平均三十八・一分で、平成十四年よりも九・三分おくれている状況にございます。

 また、医療機関への受け入れ照会の回数でございますが、四回以上受け入れ照会をしている重症以上傷病者の搬送事案でございますが、平成二十三年中では全国一万七千二百八十一件、全搬送件数の三・九%となっております。

冨岡委員 最近そういった時間とかが延びてきているというのが、一つは、やはり、たらい回しという表現じゃないけれども、探すのに苦労しているという実態をあらわしていると思います。

 そこで、その原因を考えていくと、やはり、受け皿になっていた有床診療所の減少というのにたどり着くわけです、私自身は。そこで、表の二―一を見てください。これでいくと、非常に急峻というか、ステディリー、絶え間なく下がっていっている。したがって、これが、今非常に地域の医療を不安定にさせている原因の一つではないかと思っております。

 有床診療所は、地方では、繁忙をきわめる大病院のクッションアブソーバーというか、そこに一旦行ってまた紹介を受ける、そういう、地域での、特に過疎に悩む人口千人未満ぐらいの地域では、医療・介護施設としての役割を果たしております。

 また、大都市圏においては、専門性の高い医療と緊急時の医療を提供しているんですが、一方、僻地とか離島においては、病院と在宅、病院と介護施設をつなぐ役目、また、在宅医療の後方支援となる病床であります。さらになお、終末期医療や介護を含めた多彩な対応ができる唯一の入院施設であることを私たちは知っているわけです。

 すなわち、地域密接型の病床であり、今後、人口減少が進み、人口単位でいえば千人、二千人程度の、皆さんがいつも住んでおられるふるさとは多くはこの程度のものかと思いますが、そういった僻地といいましょうか地域では、かけがえのない医療施設と言うべきであります。

 これを温存していく政策がとられるべきと思いますが、どうなんでしょう。いかがお考えでしょうか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 有床診療所につきましては、外来を行いながら入院医療の提供もできる、また、地域住民の医療ニーズに対応できる小回りのきく医療施設として、地域で重要な役割を担っていると考えております。

 このため、厚生労働省としましては、有床診療所につきまして、医療計画作成指針において、在宅医療の体制構築に関して非常に期待されるという役割を明確化したこと、また、僻地診療所等では運営経費や医療機器の購入あるいは施設整備等に対する財政支援も行っております。また、有床診療所のネットワーク構築や急性期等の後方支援体制の強化のための施設整備について、地域医療再生基金を通じた財政支援も行っているところでございます。また、一番大きなのは、最近では平成十八年の医療法改正時に、有床診療所の入院期間、いわゆる四十八時間制限の撤廃を行いまして、対応をしてきたところでございます。

 今後とも、有床診療所が地域医療の中で担っている重要な役割を踏まえて、各般の支援を行っていきたいと考えております。

冨岡委員 いろいろ対策を打たれているようですが、やはりエビデンスは、証拠はこれなんですね。これはもう何も言うことはないですね。何も効果をあらわしていない、これが事実でございます。

 したがって、この原因は一体何だろうかと思って、いろいろ局長さんから指摘があるんですが、最大の原因は余りにも低く抑えられた入院基本料にあるのではないか、こういう指摘があります、これは運営されている有床診療所の皆様方からの御指摘なんですが。

 それは一番最後の資料を見ていただくと、後でゆっくり見てください。一カ月たつと、極端に言えば三百五十一点、三千五百十円、これはカプセルホテルよりも低いんじゃないか。そういうので、冷暖房がきいて、いろいろなキュアを受けられる方の費用としては余りにも低過ぎる、この点はどうですか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 有床診療所、地域の在宅医療の拠点としても、病院、介護施設の後方の支援としても、大変重要な役割を果たしていただいていると思っております。

 今御指摘の入院基本料でございますけれども、基本は、病院に比べまして、診療所ということで、医師や看護職員等の配置基準が定められていない、もしくは緩和をされておるというふうな施設基準を踏まえた評価になっていることは事実でございます。

 その上ででございますが、個々の有床診療所が担っていただいている医療、地域での医療の機能ということに着目をした加算ということで評価をするというような仕組みをとっております。この入院基本料そのものにつきましても、二十二年の診療報酬改定でも、病院や介護施設から受け入れられたときの初期の加算というものも創設しておりますが、さらに直近の二十四年の診療報酬改定でも、緩和ケアをしっかり頑張っていただこう、あるいはターミナルケアをしっかりやっていただこうということでの評価を新たに設けるというようなこともしております。

 それから、在宅医療の機能の強化ということで、二十四時間の対応あるいは緊急時の対応をしっかりやっていただきたいということで、複数の医療機関の連携、あるいは病床を有する医療機関との連携のもとに、緊急での往診、あるいはみとりをきちんと最後までお願いをしたいということで、そういうところをやっていらっしゃるものについての評価を引き上げたということもやっております。

 さらに、時間外、二十四時間でも電話等でもきちんと対応していただきたいという点を評価する。

 それから、一般病床、療養病床を持っていらっしゃる、この間で患者さんの容体に応じて柔軟に使える、それから介護の療養病床を持っていらっしゃる場合もある、その間でも柔軟に使えるようなことで取り組みが進むようにしております。

 来年に予定されている診療報酬でも、またしっかりと議論をしてまいりたいというふうに思っております。

冨岡委員 いろいろおっしゃっても、現実的にたらい回しがふえてきて、減少しているのと相関性がありますから、やはりエビデンスに基づいたポリティクス、政治をしていくべきだろうと思います。この数値とか現実をしっかり注視してください。ぜひ、厚労大臣、副大臣、大臣政務官を含めて、この議論を詰めていただきたいと思います。

 質問を終わります。

松本委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、厚生年金法等一部改正案につきまして質問してまいります。よろしくお願いを申し上げます。

 まず、第三号被保険者不整合記録問題の事実確認をしておきたいと思います。

 先日の本会議におきまして、民主党長妻議員より、

  民主党政権は、これまで長年にわたって放置されてきた主婦年金問題を明らかにした上で、不公正を是正するため、平成二十三年十一月に主婦年金追納法案を提出しました。

  しかし、自民党は審議を拒み、昨年十一月に解散するまで、一年間もこの法案をたなざらしにしました。それによって、本来の年金支給額より年間約五億円も多く支払われることになってしまいました。

このような御発言がございました。

 まず私が申し上げたいのは、民主党政権下で、私たち与党の法案審議に関する協力、これは非常に大きかったという事実でございます。タイトな日程の中、平成二十四年度通常国会、臨時国会を通しまして、数々の重要法案を成立させてまいりました。

 通常国会だけでも、数えてみました、閣法七本、議員立法六本、この厚生労働委員会で成立をさせております。ましてや、昨年は、税と社会保障の一体改革があり、厚労大臣は出ずっぱりで、百時間もの審議をあちらで、我々もほとんど厚労委員会のメンバーが向こうに参りまして、審議を行い、年金法を初め、厚生労働省所管の法律も多く成立をさせたわけであります。

 そして、そもそも主婦年金法案を提出する時期が余りにも遅かったと言えます。

 主婦年金の救済問題をめぐりまして混乱が生じましたのは、平成二十二年三月、当時の長妻厚生労働大臣の判断であります。国会審議を行うことなく、切りかえ忘れをほぼ無条件に救済する、いわゆる運用三号制度を決められました。このとき、運用ではなく、法改正により改善策を講ずる、この判断が必要ではなかったかと思っております。

 国会審議を経ずに、平成二十二年十二月、運用三号の実施を厚生労働省の課長通達で決められました。この課長通達の決定過程も判然といたしておりません。

 それが国民や野党からの批判を受けたために凍結をし、その通達自体、後任の細川大臣は知りませんでした。これは、我が党の坂口元大臣が、この厚生労働委員会の場で、後任の細川大臣に、書面による大臣の引き継ぎがあったかどうか確認をし、委員会中に厚生労働省に確認をしてもらったところ、書面による引き継ぎはなかった、これが明らかになりました。そして、大臣の進退問題にも発展しそうになったわけでございます。

 そして、平成二十二年三月、当時の長妻大臣の運用三号の判断から、十二月の決定通知までに九カ月、そして、その凍結を経て、約一年たった平成二十三年十一月に、ようやく主婦年金追納法案が提出をされました。

 法改正が必要であったにもかかわらず、課長通達を行った。そして、その提出した法律に対して、審議が遅い、成立をさせることができなかった、拒んだという御発言でございます。この発言には矛盾を感じざるを得ません。

 その後、本法案の提出、きょう審議に至っているわけでございますが、改めて、この事実関係について大臣の御所見をお伺いしたいと思いますし、また、この第三号被保険者の記録不整合問題への対応についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、この法律案で、保険料の徴収時効が成立をしている不整合期間について、厚生労働大臣に届け出ることで老齢基礎年金の受給資格期間に算入をすることができます。

 そして、不整合期間を有する者は、年齢が五十歳から六十歳までの間について、特定保険料の納付ができるようになることとしております。

 また、現に受給をしている者を対象として、納付期限までに納付をした特定保険料に応じて、改定される年金額の減額幅は一割限度とするということになっております。

 このように、不整合記録問題に対する抜本的改善策として、法的措置を講ずることに加えて、不整合記録を正しい年金記録に改定をして、公平性を保ちつつ、既に年金を受給している方々への配慮など、この法案は評価ができるものと思っております。

 一方で、九五%の方々は真面目な訂正手続をされて年金記録を訂正している、この実態を考えますと、届け出を行わなかった方に対して、意図的に保険料負担を回避したとの見方もあって、本人の責任はかなり重い、救済措置は不要という御意見も一方であります。

 改めて、本法案の救済措置の必要性についてお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 まず、後段の部分からですけれども、不整合記録問題でありますが、三号被保険者の方々にこういう問題が生じたということ自体は、年金の取り扱いを行ってまいりました社会保険庁等々、厚生労働省にも大きな責任があったということは改めて我々は申し述べなければならないというふうに思います。

 その上で、記録の訂正をまずいただく期間というものを、今委員がおっしゃられましたとおり、過去十年間にさかのぼっての部分に関しましては、三年間の期間をもって、納付をしていただければ年金記録というものは回復するということにしたわけでございます。これは、我々もいろいろな問題があった中でこういう問題が生じたわけでございますので、このような措置を講じようと。

 しかしながら、その間に、過去十年間の部分を振り込まないといいますか、納付していただけない方々に関しましては、これやはり年金の減額はいたし方がないことでございまして、減額をする。

 しかし一方で、その期間がもし失われれば年金をもらえないという方々が、これは二十五年という支給開始のための、受給権のための年金の納付期間というのがあるわけでございまして、これを失ってしまうと無年金になってしまいますから、これに関しましては、空期間というんですけれども、期間は保証しましょう、しかし、お金はついてきませんよと。納付実績がないわけですから。こういうような措置を中に盛り込ませていただいたわけであります。

 なお、今までもらっていた部分に関しては、これは返せというのはなかなかつらいところがあります。年金というのは日々の生計を立てる大きな糧でございますから、そこに関しましては、返せとまでは申し上げない。

 それともう一方、減額も、余りにも減額になりますと、これは生活がなかなかできないということになりますから、上限一〇%を設けさせていただいたというのが今回の年金改正の中の内容でございまして、これに関しましては、いろいろな御議論はあるんですけれども、もちろん我が党にもいろいろな議論がございます。

 しかしながら、法案を通していくという意味では、そもそも、当時政権与党でございました民主党政府の中において出されてきたものでありますけれども、それと整合性をとりながら早く措置しなきゃいけないということで、それぞれの御意見というものを今の現与党においても調整をいただいて、このような法案を提出させていただくということでございますので、一定の御理解をいただきたいなというふうに思うわけであります。

 そういうような措置をとらせていただくこの年金法案でございますが、では、そもそも、今、長妻先生が本会議でいろいろなことをおっしゃられたというお話がございました。

 年金記録の不整合が生まれたこと自体は厚生労働省それから社会保険庁の大きな問題でありますが、二十二年の春にそれがわかったわけでありまして、当時、長妻大臣であられました。わかってすぐにこういう法律で対処しようとすれば、多分、その年中には大体法案というものは臨時国会にも提出できたのであろうというふうに今おっしゃられましたけれども、その推測は我々もできるわけでございますが、そこを、どうもその年の十二月に、課長通知という形で、法的な根拠のない形で、しかも救おうという形でこれを発出されたということでございまして、それが、次の年、大臣がかわられた後に実はこの課長通知が出たわけでありまして、細川大臣のときでございました。

 細川大臣がその後の国会審議で、私は知らなかったというような御発言をされたわけでございまして、意思の疎通ができていなかったということに関して、細川大臣もたしかおわびを申されたんだというふうに思います。そんな記憶がございます。正確には、後ほどまた記録の方を確かめたいというふうに思いますが。

 その結果、国会での議論になって、課長通知なる法的根拠のないもので救済するというのはおかしいのではないかというような議論が出た後で、法案を当時与党が作成をされて、その年のたしか十一月、臨時国会に提出をされたということでございますから、もし当初同じような措置をされておられれば一年間早く法律が提出をされておったのであろうということも、これは推測の域を出ないわけでございますけれども、推測はされるわけでございます。

 その後すぐに法律を通せばよかったじゃないかという御議論もあるんですが、その当時、私はずっと筆頭理事をやっておりまして、法律はいっぱい通しているんですね。実は、昨年の通常国会、七本閣法を通しましたが、これは委員会提出法案まで入れますと何と十三本法律を通しておるわけでございまして、法律という意味では過去類を見ないぐらい、その前の年も実は私が筆頭理事をやっていたんですけれども、この年も十三本通したんですけれども、それ以前から比べると、そんなに法律を通していなかったものですから、私は野党の国対からかなり怒られたんです。

 しかし、そこは与野党のそれぞれの筆頭同士の信頼関係というのがありまして、それだけの法律を通してきたという事実もございますので、決して法律を邪魔したわけではないです。ただ、理由がいろいろございました。その理由をここで話すとまたいろいろなことになりますから、もう細かい話はしません。

 ただ、当時の与党の筆頭理事と野党の筆頭理事の私が話して、どれが優先順位として、法律をたくさん通すために、しかも可及的速やかに必要なものを通すためにどれが必要かということを話し合った上で決めてきたことでございまして、決してこの三号法案、これをないがしろにしてきたわけではないということは、与野党筆頭間の信頼関係の中において、私は申し上げたいというふうに思います。

古屋(範)委員 この第三号問題について、私も全く同じ認識でございます。国民生活にとって必要なものは、野党であろうとも、審議の協力、それ以上に、労働法などにつきましては、その法律の存立そのものにつき協力をしてきたということをここで申し上げておかなければいけないというふうに思います。

 大臣おっしゃいましたように、本法律案は、やはり救済という側面、そしてまた公平性、ここのところを最大公約数をとったバランスのとれたものであるというふうに私も考えます。

 そこで、不整合期間の届け出漏れの対策についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 不整合期間を受給資格期間に算入をしていく、この期間が長期に及んでいる被保険者、既に年金を受給している高齢者が無年金になることを防止できるという、評価できるものでございます。

 この措置を受けるためには厚生労働大臣への届け出が必要とされております。届け出がなければ受給資格期間への適用が受けられず、第一号被保険者の保険料未納期間とそのままなってしまうわけであります。こうした届け出がない方々の中には、制度が理解できなかった、あるいは届け出を行うことそのものが困難であるという方もいらっしゃると思います。

 そこで、不整合期間に関する対象者への通知をする場合、これらの方々も確実に救済が図られるようきめ細やかな対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

高倉政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたように、今回御審議いただいている法案におきましては、不整合期間の届け出でございますとか、あるいはさらに、その上で不整合期間に係る追納など、対象者の方御自身に手続をしていただく必要がございます。この手続を確実に行っていただくために制度のきめ細やかな周知を徹底していくべきという御指摘はそのとおりでございまして、重要な課題と考えております。

 そのための対応策でございますけれども、一つには、まず、一般的な広報ということで申しますと、今回の制度の内容や手続の方法につきまして、年金事務所などの窓口にリーフレットを用意する、また、厚生労働省及び日本年金機構のホームページを活用すること、さらには、市町村などの関係団体に周知の協力を依頼することなど、広く広報を行うこととしております。

 加えまして、個別のお知らせというのも大変大事と思っておりまして、日本年金機構において、対象者の方をできる限り把握できるよう新たにシステムを開発しまして、個別にお知らせを送付していく。そのこととともに、お知らせした上でなお、お手続を一定期間たってもいただけないという場合には、再度のお知らせもしていくなどのきめ細やかな対応に努めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 これにより、年金を受給できるかできないか、もしそのような方がいれば非常に人生にとっては大きな問題でございますので、丁寧な対応をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、第三号被保険者制度そのものについてお伺いをしてまいりたいと思います。

 私も、大学を卒業してからは厚生年金を納付しておりましたし、その後は三号になり、現在は国民年金ということで、その都度都度きちんと届け出は行ってまいりましたけれども、そもそも第三号問題を今後どうしていくのかということが大きな課題でございます。

 高齢単身世帯の年金受給額あるいは所得を比較してみました。男性の年金平均は百五十二・八万円、女性の方は百二十七万円。また、収入の状況を見ますと、男性は二百四十九・二万円、女性の方は百六十五万円ということで、やはり、高齢になって、男性と女性、女性の方が非常に収入が低いという統計がございます。

 女性が一人になって、家があればこのくらいの収入でも何とか食べてはいけるかもしれませんが、家がない、家賃を払ってとなると、非常に、これは大変困窮に陥るんだろうということが予測をされるわけでございます。

 この公的年金制度の中で、サラリーマンの夫に扶養されている第三号被保険者、これにつきましては、不公平感をもたらしている、見直すべきだという意見がございます。特に今、共働き世帯がふえています、また単身者あるいは自営業者の妻、こういう方々から、第三号は保険料を支払っていないという不満の声が上がっているわけであります。

 一方では、厚生年金は、夫婦世帯単位で同一拠出、同一給付が成り立っていて、不公平ではないという見解もあるんですね。世帯単位での賃金額が同じであれば、共働き世帯も一人で働いている世帯も、保険料額は、年金額も同じであって、これは不公平じゃないじゃないかという意見も一方でございます。

 この第三号被保険者の見直しについて、平成十三年、少し前になりますけれども、女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会の報告、あるいは、平成十四年、厚生労働省の社会保障審議会年金部会で提示された「年金改革の骨格に関する方向性と論点」など、この十年以上にわたり議論が繰り返されてまいりました。当事者にとってもなかなか難しい問題だなというふうに思います。

 多くの識者と同じように、私は、第三号問題については、全ての人が納得して満足する制度改正はなかなか難しいんだろうと思います。しかし、女性の就労を促していくということとともに、できる限り男性と同等の就労、処遇機会を実現していく中で解消していくべきだと考えています。

 この第一歩として、昨年の八月、年金機能強化法によって、短時間労働者への厚生年金適用要件が週二十時間以上に、ほんの少し拡大をされました。この適用拡大の議論とあわせて、第三号のあり方についてお考えをお伺いしたいと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 先生御指摘のように、今の公的年金、男性と女性の間で年金額にも格差があるという問題がございます。これは、御案内のように、実は給付設計上は、男性、女性、全く同じ設計になっているわけでございますが、御指摘のように、男性と女性とを比べますと、女性の方が賃金が低い、それから、女性は、非正規の方が多いので加入期間が短いというようなこともありまして、年金額が少なくなっている。

 年金制度側としては、一つは、できるだけやはり女性の方にも二階の年金がつくようにということで、御案内のように、厚生年金の適用拡大を考える。あるいは、年金制度の側で、就労の継続の御支援を申し上げるということで、産休とか育休取得時の保険料免除でありますとか、このような措置を講じてきております。これは、先ほどお話ありました、平成十二年、十三年のさまざまな報告書等を踏まえた対応ということになります。

 それから、三号につきましては、十六年改正で、御案内のように、夫婦共同拠出で共同で受給をするという形にして、その考え方から、離婚等の場合に夫の報酬比例年金を分割するというような制度もつくったということで、基本的にはそういった形で対応してまいったわけでございますが、三号本体については、やはりいろいろ御議論があって、先生まさにおっしゃるとおりで、さまざまな立場からの御議論もあります。

 今の一体改革法案の中でも、三号の問題は、いわば残された大きな検討課題の一つということになっておりまして、現在、国民会議あるいは公党間でも御議論がされているわけでございますが、そういった議論も踏まえて、できるだけ事務的にも対応してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 やはり、厚生年金の世界に女性も入ってくれば、老後の経済的基盤というのは安定していくんだろうというふうに思います。厚生年金の適用拡大については、昨年の税と社会保障一体改革で一歩前進をいたしました。しかし、やはりこれはさらに進めていくべきと考えます。

 やはり、外食産業とかスーパーマーケットなど、パート労働者を多く雇用しているところは反対の意見が多いですし、これは本当に景気、経済の影響も大きいと思います。また、一方で、御本人にとっても、将来の年金よりも今の手取りの方が必要だという御意見もあり、なかなかこれは難しい問題を抱えておりますけれども、低年金・無年金者を減らし、また、女性の高齢になってからの生活の安定ということを考えると、やはり、厚生年金の適用拡大、これはその中で努力を続けていくべき課題と考えます。

 次に、この第三号被保険者制度に対して、自営業者や共働きの世帯から見れば不公平だという意見もあるんですが、一方で、女性の就労に対する影響も指摘をされているわけです。

 短時間労働者に関する調査結果では、女性の短時間労働者の二六%が就業調整をしているという実態がございます。そして、その理由の一つとして、四三・二%の方が、一定額、百三十万円を超えると配偶者の健康保険とか厚生年金等の被扶養者から外れる、自分で加入しなければならなくなるからというふうに回答されているわけなんですね。

 男女雇用機会均等法が施行されて四半世紀以上たつわけなんですが、平成二十三年の調査では、民間企業の課長職以上、女性は七・二%にとどまっております。指導的地位に女性が占める割合を二〇年までに少なくとも三〇%にするという政府の目標からは、ほど遠いわけであります。

 安倍総理は成長戦略の中で、全ての上場企業に対して、役員の中に一人は女性を登用するようにということを求めていらっしゃいます。能力ややる気があっても責任ある役職を任されない、そう感じている女性は少なくないと思っております。女性が活躍できる社会、男性の働き方もその中で変わってくるものと思います。

 役員の女性比率が四割強という世界一のノルウェーでは、法律で上場企業に四割以上を義務づけている。私も、子ども家庭大臣に以前お会いしましたけれども、どうやってやったのかと。まず法律を施行するんだという端的なお答えをいただきました。

 日本でも、企業に、いつまで、何人の女性を管理職に登用していくかという目標を定めるなど、積極的な企業を政府は後押しをすべき、このように思います。これについて、御所見をお伺いしたいと思います。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 女性のスキルアップを図るということで、そういった環境を整えていくというのが非常に大切である、もう委員の御指摘のとおりでございまして、やはり、こういった、頑張っている女性を積極的に活用しようとしている企業をこれから支援していくというのはとても重要なことだと思います。

 委員も先ほどおっしゃいましたように、女性の活躍している管理職以上の比率が、日本は、統計にもよりますけれども、平成二十四年で六・九%と、先進国の中では本当に下の方でございまして、このような状況が何で起こるかというと、必要な知識と経験の不足、さらに勤続年数の短さ、こういったものがあります。

 これを克服するために、研修制度を充実させたり、そして、女性が継続して就労ができるような環境整備、さらに、格差の解消を目指した取り組み、ポジティブアクション、目標をしっかり定めていただいて、個別企業に積極的に働きかけを行っていこう。さらに、女性が継続して働けるように、育児の話、両立支援体制、こういったものも充実させていきたいと思っております。

 平成二十五年度の予算におきましては、女性の活躍に積極的に取り組む企業への助成金の支給加算制度、これを創設させていただきました。

 五月の十九日に、若者・女性活躍フォーラムの提言におきましても、女性が積極的に活躍していく、こういうインセンティブをしっかり設けていくことが大切である、こういった御提言もいただいておりますので、引き続き、頑張っている企業の背中を押しながら、女性の活躍の場をつくっていきたいと思っております。

古屋(範)委員 政務官、ありがとうございました。

 育休法の改正、これは私も、前回の改正、長年取り組んでまいりまして、改正をすることができました。

 また、先日、安倍総理は、今原則一年、最長一年半という育児休業を三年に延長するよう、企業の自主的な取り組みを求めていらっしゃいます。これは、選択肢をふやすという意味ではいいことなんだとは思いますが、やはり、三年休むよりは、短時間でもっと早く復帰をしたい、保育所をしっかり整備してほしいというのが女性の側の本音ではないかというふうに思いまして、この三年育休というのも、必ずしも皆さんが喜んでいるわけではないということもつけ加えなければいけません。

 しかし、ここに光が当たっているということと、選ぶ側が、さまざまな人生設計の中で選択肢をふやしていくということは非常に必要だと思います。

 そこで、改正をした育休法なんですけれども、男性の育児休業取得率というのが平成二十三年時点でわずか二・六%ということで、非常に低いわけであります。

 前回の育休法の改正点で、父母ともに育児休業して、一定の要件を満たした場合には、子が一歳二カ月に達するまで育児休業を取得できるというパパ・ママ育休プラス制度が始まりました。これは、私が求めてまいりましたパパクオータ制というものを導入したものでございます。

 長時間労働を前提とした働き方を見直して、フレックスタイム制度、短時間勤務、テレワーク、勤務時間や場所の自由度を広げるなど、柔軟な働き方で、男性も積極的に子育てができるよう、それこそが女性の活力を生かすことになるのではないかと思います。

 この点について御所見をお伺いします。

とかしき大臣政務官 委員御指摘のとおりでありまして、男性の育児休暇を促すことはとても大切なことでありまして、女性が働いていく上では、やはり男性と女性がともに協力し合って子供を育てていく、こういった体制が整わないと、女性の社会進出はなかなか実現できないわけであります。

 御指摘のとおり、平成二十二年から新しい法律が施行になりまして、これによりまして、休業期間延長、先ほどおっしゃいましたようにパパ・ママ育休プラスとか、こういった新しい制度を充実してきているところでありますが、中でも、育児休暇を利用したい男性は三一・八%もいらっしゃるにもかかわらず、実際に利用していただいているのが二・六三%と、思いと現実がなかなか一致していないのが今の現状でございます。

 このために、政策といたしましては、育児のための短時間勤務の義務化等を盛り込んだこの法律の周知徹底をさせていくということと、あと、くるみんの認定の一層の促進、さらに、助成金、頑張っているところの表彰制度など、こういった企業の取り組みを促進していくような形を考えております。

 私、あした、実はイクメンプロジェクトのイクメンの星の方にお目にかかる予定でありまして、イクメンの活動をどれだけ世の中に普及させていくことができるか、現場の声をお伺いして考えていきたいな、こういうふうに思っております。

 これからも、女性が活躍できる場をどんどんふやしていきたいと思っておりますので、またお力添えのほどよろしくお願い申し上げて、御答弁とさせていただきます。

古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

松本委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 本当であれば、先ほどの古屋先生のイクメンの話も、私も超党派議連としてさせていただきたいところなんですが、それはまた別途させていただくとして、きょうは、先週の議論に続いて年金の質問をさせていただきたいと思います。

 もちろん、法案審議のこともやるんですが、その大前提として、先週、議論、やりとりをさせていただいた、今後の、我々、国民の皆さんの年金の受給額が、景気や雇用、賃金をよくしていくという前提でやるはずのアベノミクスの物価上昇の影響によって、場合によって減額ということになってしまう、この議論がしっかりと、まず土台がしっかりしていないと、幾らこの法案の議論をやっても、土台がぐらついていては国民の皆さんの信頼も得られないという部分で、前回に続いて、もう少し議論を深めさせていただきたいと思っています。

 資料、これは、前回おつけしたものを一ページ目以降つけておりまして、厚生労働省からいただいたこの資料を前提に、四ページ目以降で、前回つけていた資料をさらに、もう少し、委員の先生方やあるいは傍聴されている皆さんも含めてわかりやすいように、二〇一四年、一五年段階であれば、四ページを見ていただければ、特例水準の影響による減額、あるいはマクロ経済スライドの影響による減額、そして、ここには物価上昇先行の場合の減額という表現をしていますが、いわばアベノミクスの進行による物価上昇の影響ということで、わかりやすく書かせていただいておりまして、こういった資料を前提に議論を深めさせていただきたいと思っています。

    〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕

 私は、繰り返しますが、アベノミクスがいい悪いということをこの委員会で申し上げておりません。やはり、デフレからの脱却、そして、当然、賃金上昇、雇用の増加、こういったことは重要だと思っています。ただ、その副作用としてこういった年金の受給額減少というようなことが起こるとしたときの対策の是非であったり、あるいは、そもそもそういうことをどう考えるのか、こういったところを、ぜひしっかりと認識を深めさせていただきたいと思っているところでございます。

 それで、委員長、今ちょっとかわられているんですけれども、理事もされていらっしゃるので御存じだと思うので、ちょっと確認をさせていただきたいんです。

 前回の厚生労働委員会での私の質問の中で、まさにこのアベノミクスによる物価上昇による年金受給額の減額、こういった影響について、これは本当に、大変、三千万人に上る年金受給者の方々に影響してくる話ですから、ぜひ集中審議をやっていただきたいということをお諮りいただきたいということを申し上げたわけですが、それは理事会でどういう協議になったでしょうか。

西川(京)委員長代理 追って、委員長交代の後に、委員長からお答えいただきたいと思います。

柚木委員 では、委員長が戻られて、ぜひ御報告いただきたいんですね。

 私がお聞きをしておったところでは、実は、きょう、この重要広範という年金のこの議論に安倍総理が御出席をいただいて、そしてしっかりと議論を深めた上で採否に進んでいく、そういうことだとお聞きをしていたわけですが、きょう、総理がお越しいただけないというふうにお聞きをしているわけでございます。

 私は、これは本当に、委員長がおられればですが、今、代理で座っていただいておりますので、その代行のお立場で、ぜひ委員長にお伝えいただきたいですし、私からも戻られた際にはお願いしたいと思っているんですが、改めて、このアベノミクスによる物価上昇が年金受給額の減少を含めて与える影響について、採決までに私はしっかり集中審議を行っていただきたいんです。

 これは、ぜひ、もう一度、きょう、まだ理事会が行われると聞いておりまして、お諮りいただけませんか。

西川(京)委員長代理 その御趣旨は、理事会に諮って、また、委員長にもお伝えしたいと思います。

柚木委員 と申しますのも、前回、田村大臣が、この後、山井委員がしっかり、議事録を、資料も準備をされていて、安倍総理の従来の、アベノミクスによる物価上昇による年金受給額への影響を答弁された内容を、前回、事実上、覆す答弁をされたわけですね。

 つまりは、この資料の一ページ目、まさに物価上昇二%、賃金上昇二%、あるいは物価上昇一・五%にした議論もしました、あるいは二、一の真ん中の箱の議論もしました。いずれにしても、名目上は、田村大臣はこれを実額と言われましたが、混乱しますから、きょうは使う言葉を名目と実質でそろえさせてくださいね、名目上は上がる、しかし実質は物価上昇が先行することによって年金受給額が減額になるという数字も含めて、お認めをいただいたわけです。

 そうすると、後ほど山井委員の御質問にもあるんだと思いますが、これまで安倍総理は、物価が上がれば年金も上がるんだ、そしてまた、五兆円の運用益が出て、そしてその部分が年金の上昇につながるんだというように、国民の皆さんが本当に受け取るような御答弁をされてきたわけです。しかし、田村大臣は、前回の私とのやりとりで、安倍総理も物価上昇によって年金減額が起こるということは認識しておられるというような御答弁を実はされたんですね。

 本当にそうなのか、総理が本当にそう認識されているのか。ある意味、与党の委員の皆さんからも、それは総理に聞いてみなきゃわからないんじゃないかというような御発言もあったわけですね。私はそのとおりだと思いますよ。総理御本人に、やはりこの委員会で、集中審議で説明をいただくべきじゃないかというのが私の考えなんです。先ほど委員長にお願いをしたとおりでございます。

 それで、具体的な質問に入ってまいりますが、一ページ目、これは前回の田村大臣とのやりとりで使わせていただいた資料でございます。

 これは、平成二十七年四月、まさにことしの十月、二十六年四月、二十七年四月、この三年間で特例水準が解消されていくという中で、物価上昇を一番上の箱が二%、賃金上昇二パー、真ん中が物価上昇二パー、賃金一パー、そして一番下がそれぞれプラマイ・ゼロの場合で推計をしたものでございます。

 この中で、先ほど申し上げましたように、名目上の年金額は上昇する、しかし実質的な年金額が減少するということをお認めいただいた上で、大臣がおっしゃったのは、実質的な減額というのはアベノミクスの影響ではなくて、マクロスライド効果で、かつ、そもそもマクロスライドの発動効果が十分に発揮されていない、そういう特例ルールがあるために、多分、たまたまこのタイミングでアベノミクスによる物価上昇が起こったときに、その年金減額によって本来水準に近づくということになるんだという認識を示されたわけですね。これは私の理解ですよ。

 ただ、そうおっしゃる大臣の御認識にも、私は、ひょっとしたら誤認というか、誤りがあるのではないかということを実は思っているわけでございます。

 資料四ページ目をごらんいただければと思います。一ページ目の資料の数字の前提によって私が計算をしたものを四ページ目におつけしているんです、全く同じ前提で。

 二十七年四月の年金水準をごらんください。二十七年、二〇一五年四月からの年金水準等で、箱でいえば、右から二番目の大きな箱ですね。ここに書いておるのは、上側、ケース1は、物価、賃金ともにプラマイ・ゼロ、そしてケース2は、物価上昇二パー、賃金上昇一パー。一枚目の資料でいえば真ん中の箱ということであります。

 これで、私もちょっとそれぞれ月額の減額分をちゃんと、いただいた一ページ目の厚労省の資料に従って計算してみました。そうすると、特例水準引き下げ、これは〇・五パーです、この年。この影響が、基礎年金、厚生年金、月額ベースでそれぞれ三百三十四円、千百七十六円、これが減額の影響です。

 ちなみに、マクロスライド、これも本当は一・二が発動するところが、大臣おっしゃるように、これはゼロ以下にはなりませんから、事実上〇・五%しか発動しない。この効果は、まさに上と同じで、三百三十四円と千百七十六円、基礎年金と厚生年金、月額ベースです。

 しかし、物価二パー上昇ですから、実質上は、当然、一引く二ですから、一%分、物価上昇先行分の減額効果がここにあらわれる。これは、金額で出せば、見ていただければすぐおわかりです、倍の数です。基礎年金、厚生年金、月額ベースでそれぞれ六百六十八円、二千三百五十二円ということになって、トータルでのマイナスの影響が、一番下にある、基礎年金ベースで月額千三百三十六円、厚生年金で月額四千七百四円。当然、年間にすれば、万円単位の大変大きな影響になっていくということでございます。

 大臣、これを見ていただくと、厚労省の数字を前提に、そして、物価上昇率二パー、賃金一パーというのは十分起こり得る数字です。こういうことが実際に、数字としてここにお示しをしたわけですが、これは、マクロスライドあるいは特例水準も含めて、この減額分の影響以上に、アベノミクスで物価が上昇したときの、物価上昇先行の場合の減額の影響の方が大きいというのが数字上出ているわけですが、この数字をお認めいただけませんか。

 ちょっと、大臣にお聞きしているんです。違うことを吹き込まないでくださいね、この間の調査会みたいに。

西川(京)委員長代理 田村厚労大臣、御答弁よろしいですか。

田村国務大臣 済みません。もうちょっと、あらかじめ御説明をいただくと、これは多分、誰が見てもそう簡単にわからないですよ。いきなりこれを出されて、どうだと言われても、なかなかよくわからない。

 私の認識は、多分、物価が二%上がって、賃金が一%しか上がっていないから、そもそも物価スライドが一%しかかからない、この部分で物価と年金の上昇率が一%ということになるだろう。しかし一方で、特例水準の解消とマクロ経済スライドの発動がその本来物価スライドがかかる一%部分を帳消しにするから、事実上は名目で年金は上がらないから、ですから、物価上昇した分だけはそのまま目減りするというか、損をするという解釈でよろしいですか。(柚木委員「はい、そうです」と呼ぶ)

 こういう前提を置けばこういう前提ですが、そもそも、賃金が上がるということに関して申し上げれば、このような賃金の上がり方かどうかというのは、これは経済状況ですから、そもそも我々は、アベノミクスというのは物価よりも賃金を上げるということは大前提でやる政策ですよね。賃金が上がるというのは、名目です。簡単に言えば、実質賃金ということです。実質賃金がゼロ以上であれば、名目では物価上昇率よりも上に行きますから。ということです。

 それを目指しておるというのと、これは、二〇一四年ですから、まだ消費税の影響はないんですね。(柚木委員「いや、出ますけれども入れていません」と呼ぶ)消費税の影響入っているんですか、これは。(柚木委員「入っていない、入れると複雑になるので」と呼ぶ)ないですよね。

西川(京)委員長代理 直接話し合わないでください。

田村国務大臣 済みません。

 二〇一五年だから、だから、消費税のことは、これは別になります。ちなみに、マクロ経済スライドは、消費税が、物価が上がった場合でも感応しますから。仮にアベノミクスが失敗して物価が上がらない、賃金が上がらないという場合は、消費税だけは三%上がります、八%になりますから。消費税が三%上がると物価が大体二%ぐらいは上がるであろうというふうに推測されます。その場合は物価スライドはかかりませんから、仮にアベノミクスが失敗して賃金が上がらなければ。そうなれば、そもそも、消費税を上げた分の物価上昇率がそのまま年金の目減りになるということでございます。

 ですから、アベノミクスの物価上昇という前に、まず必ず消費税という大前提での物価上昇があるというのは、皆様方がこの法律を提出されたわけでありますから、消費税増税法案を。ですから、そこは御理解の上、年金制度も御理解いただいておられたと思いますので、御理解の上での御整理であるというふうに認識はいたしております。

柚木委員 多分、そういう答弁をいただけると思ったので、六ページ目の資料を用意しておりますのでごらんいただけますか。

 よりわかりやすく、今おっしゃっていただいたように、当然、アベノミクスというのは、物価上昇が先行しても、いずれ賃金上昇が上回ることを目標としているわけですね。

 それで、ケース1、2、3と御用意をさせていただきました。

 今議論していたのが、物価上昇二パー、賃金上昇一パーのケース。これはまさにまだ賃金上昇が上回っていませんから、わかりやすくするために「今一つのアベノミクス」というふうに囲みました。二番目、物価と賃金の上昇率がそれぞれ並ぶ、つまり、追いついてきた。これは「まずまずのアベノミクス」という言い方をしました、便宜上。大臣が言われるように、目標どおり物価上昇を賃金上昇が上回ったケース、これは二パー、三パー。別に賃金上昇が四パーでも五パーでもいいんですよ、同じことですから。この三つの前提で議論をすれば、より明確になるわけです。

 そこで、縦の箱を見てください。

 一番上が、マクロ経済スライドによる実質的な年金額の低下分。次の箱が、アベノミクス、やらない場合にマクロスライドが発動すると言われましたが、これは物価上昇しなければ発動しませんから、いずれにしても、アベノミクスの物価上昇による実質的な年金の低下分。そして、それを合わせたものが実質的な年金の減額分になるわけです。

 これをごらんいただきますと、まず、今議論をしてきた物価二パー、賃金一パー上昇の場合、これは先ほどの議論のとおり。しかし、これは実は、ポイントは、平成二十八年四月以降にしたことなんです。つまり、一五年、一四年は特例水準の影響も入って三つの要素になりますから、今の議論のとおりなので、マクロスライドとアベノミクスの物価上昇による影響をより比較しやすくするために書いたもので、もっと言うと、大臣、これからの質問に直接関係しませんが、さっき大臣がおっしゃった消費税とアベノミクスによる物価上昇の関係ですが、これは実は、実質的な減額については別枠なんですよ。

 ですから、まず消費税はちょっとおいておいて、マクロスライドとアベノミクスによる低下分の影響をわかりやすく、実際のマクロスライドは十年間平均で〇・九で調整値が出されていますから、実際には二〇一六年が一・一、その次も一・一、ずっと続きますが、平均すると〇・九ですから、もう少し先のところまで議論するために平均値で置いています。大差はありません。月額平均でも数円程度です。

 それで、アベノミクスの影響、それぞれごらんください。

 実際に、大臣がおっしゃったように、ケース2もしくはケース3、「まずまずのアベノミクス」あるいは「目標どおりのアベノミクス」が実現した場合には、実質減はマクロ経済スライド分の影響のみで、トータルでも変わりません。一番下の箱、マイナス〇・九%、月額ベースでそれぞれ出しています。

 しかし、私が非常に懸念しているのは、アベノミクスが本当に物価先行の後に賃金上昇が追いついてこなかったとき、あるいは、その時期によっては、ここにケース1で書いたように、アベノミクスの物価上昇分、この部分がマクロスライドの減額分に加えて実質的な減額に影響が出てくるわけです。ちなみに、消費税が入ればさらに減額になります。だから、大臣にとってよくない話になるので、あえて除いたんです。

 アベノミクスとマクロスライドの関係で考えたときに、一番下を見ていただきますと、「まずまずのアベノミクス」あるいは「目標どおりのアベノミクス」に比べると、物価上昇を賃金上昇が上回らなかったときには、残念ながら、実質的な減額、しかも、マクロスライドの影響を上回る。もっと言うと、先ほど来私が申し上げている、前回の、マクロスライドが全部発動、機能しなかった、そういうときにアベノミクスの物価上昇によってそれが本来水準に近づくということになったんだという答弁も、このケース1の場合は当てはまらないんです。〇・九全てが発動するんです。

 ですから、マクロスライド全てが発動しても、仮にケース1のような状況が起こったときには実はこれだけの実質の減額になる、こういうことが起こっているわけで、大臣、この数字は確認いただけますね。

田村国務大臣 何かもう、物価が上がるのはだめだ、つまり経済成長するなとおっしゃっておられるように私は聞こえて仕方がないので、デフレがずっと続いてきたからこういう状況が起こって、特例水準みたいな問題も、まあ、これは我々が年金を下げなかったからという責任がありますから、そういう意味では我々も責任を感じておりますが、このような問題が起こったんですね。

 つまり、なぜかというと、そもそも、年金というものが実質のみならず名目で下がるという状況は、国民の皆様方が、年金が名目で下がる、実額というのは使わないでくれという話ですから、名目イコール実額ですよ、実額が下がるということは許せないというお叱りをいただいてきて、なぜこんな状況ができたんだというお怒りを我々はいただいてきたわけでありますよ。ですから、そういうお声を反映して、本来ならば物価スライドで年金を下げなきゃいけなかったのに、下げないということで、結果的には財政状況を悪化させてしまったという罪つくりな状況を我々はつくった。

 そういう反省のもとに、やはりデフレの状況はよくないだろう。二十年前と比べても国内総生産が名目で余り変わらない、国民所得が名目で変わらない、つまり、日本の国は全くもって名目で経済成長していない。こんな状況だから、今ほど来ずっと話してきたように、保険料収入はふえないわけですよ、標準報酬月額が上がらないから。それで、社会保険自体がもたないという議論をずっとこの間してきたわけじゃないですか。

 そこで、物価を上げて、まともに経済成長をできるような国にしようというのは、多分、民主党政権であったときも同じようなことをおっしゃっておられたと思うんです。そのときに、物価だけ上げるなどということをあなた方もおっしゃっていなかったと思いますよ。

 それは、まさに、物価が上がり、それ以上に賃金が上がる、つまり、実質賃金上昇率がプラスになるということを前提に物を考えてきたからこそ、あの例の……(柚木委員「関係ある答弁だけお願いします」と呼ぶ)いや、違うんです、関係あるんです。皆さん方とともにつくった消費税法案の中においても、そういうようなくだりが附則に入っていたわけじゃないですか。

 ですから、考えていることは私は同じだと思う。つまり、物価が上がったにもかかわらず、それ以上に賃金が上がらないという状況を経済政策の中でつくるというのは、これは経済政策としては決してよしとしないわけでありますから、それ以上に上がるということを前提に考えているのがアベノミクスでございますので、実質経済成長をプラスにして、実質賃金をプラスにする、こういう政策に全力を尽くしてまいりたいということで、御理解をいただければありがたいということでございます。

    〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕

柚木委員 大臣、答弁の内容は私も共有できるんですが、聞かれたことにぜひお答えいただきたいんですね。

 もう一遍確認しますよ。

 六ページ目、この「今一つのアベノミクス」のケースが、大臣言われるように起こらなければいいですよ、それは目指してくださいよ。しかし、起こったとき、どうするんですか。起こったときに、ここに申し上げた、マクロスライドの減額分以上の効果がアベノミクスの物価上昇によって起こるこのケース1の箱の数字、これは、数字は正しいんですか、違っているんですか。イエスかノーでお答えください。

田村国務大臣 あえて申し上げれば、アベノミクスでなかろうが、デフレ下であろうが、そういうことは起こるわけでございます。

柚木委員 我々は、もちろんデフレからの脱却、私も、最後、財務省で仕事をさせてもらいましたから、もちろん取り組んできました。しかし、二%のインフレターゲットということを明示して、まさに、日銀の副総裁がそれが実現しなければ辞任するというような、そこまで明確なインフレターゲットで我々は取り組んできていないんです。ですから、前提が違うわけです。それで……(発言する者あり)ちょっと、ごめんなさい、委員長、真剣な議論をしているので、ぜひ、ちゃんと聞いていただきたいんです。

 私は、デフレからの脱却は必要だと冒頭も言いましたよ。そして、賃金上昇、それに伴う雇用の増加、私は、ぜひ、本当に目指していただきたいと思っているんですよ。ただ、どんなによく効く薬にも副作用があるわけですよ。その副作用のことまで考えて働くのが、我々政治家あるいは大臣のお仕事じゃないですか。だからこそ、起こらないことを前提に議論していては、国民にとって不誠実だと思うんですよ。

 仮に、今回だって、賃金、あれだけ総理が財界にもお願いしてやった。しかし、直近の数値で、では、賃金は上がったか。そういう状況にまだなっていないじゃないですか。だから、私は聞いているんです。もしならなかったことも含めて、そういった状況が起こったときに、それをどう考え、対策の必要性があるのかないのか。それをちゃんと我々は先取りして議論をしていくことが、責任ある、もっと言うと、三千万人の年金生活者の方々にも、あるいはこれから年金生活になられる現役世代の方々にも、前回あえて対策として申し上げたように既裁定の方、今、年金を既に受給されている方だけじゃなくて新規裁定の方も含めて、今後、こういういわば「今一つのアベノミクス」の状況が起こったときに、生活はあるわけですから、そういう方々に対しての対策として、例えば基礎年金部分、まさに低年金者の方々への影響を緩和すべく、マクロスライドの対象から除外するとか。

 あるいは、きょう、もう少し細かく考えてきました、アベノミクスの物価上昇の影響、デフレの影響、どちらでも同じことなんです、もらう方にとっては、そのことが起こったことが問題なんです。

 そのときに、例えば、今回、このケース1の場合でいえば、マイナス一・〇%分は、マクロスライド以外に減額の効果が発生したときに、その上回った部分について、何らかの低年金者の方々への、マクロスライドから回避するのか、あるいはもう少し、全部を回避するということではなくて、工夫ができるのか、これを、新規裁定者の方も含めて、マクロスライドの対象から基礎年金部分は除外をする、こういったことも考えられたらどうですかということを、私は本当に真剣に提案しているわけですよ。

 年金財政にとってプラスでも、個々の年金受給者にとってマイナスのことが起こるというのが今回のこのケースなわけですから。財政の健全化は我々も必要だと思っているんです、だから特例水準をやるんでしょう。

 しかし、このプラスの物価上昇の影響が起こったときに何も考えないかどうかというと、これは話は別で、やはり、マクロスライドも、二〇〇四年に、当時私は、翌年初当選でしたから国会議員じゃありませんでした、しかし、そのときの経緯も、大変な議論があって、騒然とした空気の中で強行採決がなされて、その〇四年に決まったマクロスライドが、今回、史上初めて発動されるのがこのタイミングで、かつ、たまたまこの時期にアベノミクスによるインフレターゲットの時期が重なってこういう状況が起こり得るわけですから。消費税も、目的はそれぞれあるけれども、まさに人為的に物価が上がることになるわけです。現象面としては、アベノミクスによる物価上昇も、物価が上がるということでは同じなわけです。

 大臣、私は、この物価上昇の影響分がプラスでマクロスライドに加えて起こったときに、その対策をとる必要性については、消費税も、まさに低年金者の方々には五千六百億円のお金を使って、まさに皆さんと協議をして、そういうことを決めたわけでしょう。だったら、同じように人為的にアベノミクスによって物価上昇が起こるときに、その対策を考える。ここで、やります、あるいはこういう内容をしますとまで言わなくてもいいですよ、そういう対策を講ずることを検討する必要性については、あるのかないのか、お答えください。

田村国務大臣 済みません、訂正します。デフレ下ではそういうことが起こらないので。私、興奮して、デフレでも同じことが起こると申し上げましたが、デフレ下では起こりませんので、これはおわびを申し上げたいというふうに思います。

 それから、今のお話なんですけれども、これは、委員のおっしゃられている趣旨はよくわかりました。要するに、アベノミクスじゃないんですね。ノダノミクスでも……(柚木委員「わかっていない」と呼ぶ)いや、ノダノミクスでも同じように物価上昇策をやりたいと言っていたんです、野田さんは。ただ、それが実現ができなかっただけの話であって。

 安倍さんになって、まだ実は実現できていないんですよ。今、柚木先生、賃金が上がっていないじゃないかとおっしゃられましたが、連合の数字を見ても、賃金は上がっているんですね。(発言する者あり)ベアは上がっていませんが、一時金を含め、上がっているんです。年金は一時金等々も入ってまいりますから、そういう意味からいたしますと、これは上がっているんですね、賃金は。しかし、物価はまだ上がっていないんですよ、足元。つまり、まだ完全に物価は、水面下で、上がっていない。皆さんは、何かもう物価が上がった上がったと言われていますけれども、消費者物価は上がっていないんです、マイナスなんです。

 ですから、そういう意味からすると、今、そういう懸念の状況ではまだない中において、我々も一生懸命アベノミクスで経済成長を目指していきたいと思いますが、皆さんもノダノミクスでやはり経済成長を目指そうとしたわけです。ですから、これは、アベノミクスの問題じゃなくて、お互いに同じ方向性を向いていたけれども、その中において、共通の課題としてそういう問題が起こり得る可能性がある、その場合にどう考えるんだという御提案というふうに承らせていただきました。

 その上で、確かに、そういう経済状況が起これば実質的な年金額が目減りをする、物価上昇分に対してスライドがかからない分だけ目減りをするというようなことは、これは事実ですよね。そういう経済状況をつくっちゃいけないわけです、お互いに。

 しかし、それに対して何らかの、例えばマクロ経済スライドをとめるということになると何が起こるかというと、これは世代間不公平が起こりますね。つまり、その分だけ後世の世代に対してしわ寄せが行くわけでありまして、それをよしとするのかどうかというのは一つございます。

 それはまさに、以前から私が申し上げておったとおり、七十歳から七十四歳の一割負担、これを二割の本則に戻せと、皆様方、民主党の方々もおっしゃられた。なぜかといえば、世代間の公平性というものを保つためだと。この議論と同じ議論になってくるわけであります。それを防ごうと思うと、何らかの公費支出という話になってくる。これは税金であります。その財源がどこにあるのかという議論も、これはやらなきゃいけない。

 いずれにいたしましても、そういうことも含めて、三党でも御協議をいただいておるわけでございますから、御協議の中で、どういう選択肢があるのかという御提案もまたいただければ、真摯に私どももそのお話はお聞かせをいただきたいというふうに思います。

柚木委員 今、重要な答弁をされたのと同時に、非常に、私は認識が違うところもあるわけです。

 重要な答弁だと思ったのは、まず、こういった「今一つのアベノミクス」のケースで、このようにマクロスライド以上の物価上昇による減額が起こり得るということを今認められたというのは、前回に続いて、大きな答弁だと思っています。

 そして、もう一つ重要だと思ったのは、今まさに、こういったことが起こったときの対策の必要性について言及をされたことです。今後、国民会議の中で、あるいは三党協議も含めて、ぜひ、このようなことが起こった場合、起こらなければそれは杞憂で済むわけですよ、起こったことも考えるのが政治だと思いますから、そこを実際にしっかりと国民会議あるいは三党協議でぜひ議論をいただきたい。その必要性についてお認めをいただいたことは、私は、誠実な答弁だったと思っていますし、大きな答弁だと思いますよ。

 ただ、認識が違うのは、ノダノミクスですか、そういう言い方もしていただいたわけですが、これは我々も、もちろん成長戦略、今まさに、医療分野でいえば、我々の医療イノベという取り組みを健康・医療戦略室という形で引き継いでやっていただいている、いろいろなこと、同じように我々も、もちろんデフレからの脱却、そして成長戦略、やってきているわけです。

 しかし、アベノミクスと同じようなインフレターゲット二パー、しかも、今のような、まさに次元を超えた金融緩和というような、こういうことで我々はやってきていなかったというのは事実でありますから、方向性は同じでも、その度合い、さじかげん、これによって副作用も大きくなるわけですから、そこは方向性は同じでも、さじかげんのところが非常に重要だという意味では、私は認識が異なっております。

 もっと言うと、国土強靱化法案を出されるんですよね、十年間で二百兆。こういうやり方を我々はしていません。財政再建もセットでやらなければ、長期国債金利が今〇・九パー、上昇しているわけでしょう、利払いが六兆円以上ふえるわけでしょう。やり方が違うということは申し上げておきたいんですね。

 ただ、今重要な答弁をされたので、世代間格差の是正、不均衡の是正、前回も私も申し上げました。ですから、今大臣、いい御答弁をいただいたので、私もぜひお聞きしたいんですが、確かに私も、世代間不均衡の是正の必要性については共有しているんですね。ただ、大臣がおっしゃられたことと少し認識が違う。

 それから、その手法については、実は、一致できるところもあるかもしれないと思ったんです。

 まず一つは、盛んに、現役世代と年金世代との不均衡の是正の必要性、前回の委員会でも大臣は御答弁されていたんですが、一口に年金世代、高齢者と言っても、まさに今のアベノミクスの株高によって資産を莫大にふやされるような方、裕福な方もおられれば、生活保護水準ぎりぎりで、貯蓄もなくて、本当に生活困窮者という状況で生活されておられる方まで、さまざまいらっしゃるわけですよ。

 ですから、私は、世代間不均衡の是正は重要だけれども、その視点は忘れちゃいけないけれども、しかし、低年金生活者など、そういう方々の暮らしに与える影響は、一口に年金生活者というくくりじゃなくて、もう少し血の通った、きめ細やかな区分けの仕方が必要だというのが、私のポイントの一つなんです。

 もう一つは、ちょうど大臣が、医療費の適正化の部分、あるいは不均衡是正の部分の御発言がありました。

 まさに、現役世代と年金世代との不均衡是正というのは、今回のこの年金のマクロ経済スライド、こういった形ももちろんそうですが、それに加えて物価上昇による減額というような形でやらなくても、まさに今大臣が例示されたような高齢者医療の窓口負担の話だったり、さまざまな別の切り口でやることができるわけですから。

 私は、この年金の減額、そうでなくても本当に苦しい方々がたくさんおられる中で、その中でさらに、マクロ経済スライドですら大議論になったのに、さらに言えば財産権、年金権の問題まで議論がされたのに、加えてアベノミクスの効果による減額で不均衡是正をやらずとも、そのほかの方法があるべきだ、そしてまたそのほかの手法をとるべきだというのが、もう一点、私との認識の違いなんです。

 そういう意味でいえば、その違う方法で不均衡を是正するというメニューについては、しっかりと議論をすれば一致できる点はあると思うんですね。

 だから、こういう認識の違いに立ったときに、ぜひ大臣、もう一遍、先ほど私お尋ねしましたが、この世代間の不均衡を是正するときにどういう方法があるのか。

 先ほど私は、低年金者の方々への、例えば新規裁定者も含めて、マクロスライドの発動を、仮にその効果以上の物価上昇による減額が起こるのであれば、その減額部分について何らかの緩和策を講ずるべきではないかということを例示したわけです。国民会議の中で議論いただければということを言われましたが、私が今例示しているような低年金者の方々への何らかの配慮の必要性、私が申し上げているような、マクロスライドをどういう形で発動させるのか、この部分でもそれが必要性があるかどうか。やるかどうかじゃなくてもいいですよ、検討の余地があるかどうか、もう一度お答えください。

田村国務大臣 まず、柚木議員がマクロ経済スライドをとめればいいとおっしゃったので、私は、世代間格差が生まれますねというお話をさせていただきました。

 その上で、私は、三党協議でお話をしていただければというお話を先ほどしたので、国民会議とはあえて申し上げなかったんですが、必ず必要だからやってくださいという話じゃなくて、そういう問題意識があられるのならば三党間の中でおやりになられればいいんじゃないですかと。

 なぜかといいますと、これは、まさに現役世代も同じことがやはり起こるんですよね。それは、現役世代だって、物価が上がっているのに賃金が上がらないわけですから。

 だから、そういう意味からしたら、現役世代もそして年金世代も同じように、経済政策の失敗、仮にそうなれば、ノダノミクスであろうとアベノミクスであろうと、その失敗の中においてお苦しみになられるわけでありますから、そこで私は、世代間格差というような問題、お年寄りも若い方々も同じような、経済状況での実質的な収入の目減り、こういう状況になるのではないですかというお話をさせていただきました。

 ちなみに、昨年の七月から九月の四半期の経済成長率はマイナス三・五%ですよ。ですから、ノダノミクスと申し上げましたが、現状はそういう状況だったんです。この一―三はプラス三・五%です。アベノミクスは失敗したというふうなことをおっしゃられておりますけれども、事実、答えとして、一月から三月の実質経済成長率は年率で三・五%です。

 これは、十分にその点は違うということは御理解をいただきながら、アベノミクスが失敗だというようなことを常におっしゃられますから、そうじゃないということを御理解いただければありがたいというふうに思います。

柚木委員 失敗とは一言も言っていないです。さっきから、成功するように願っていますが、そうでなかったときのことも考えるのが我々の役割ではないんですかということを言っているわけですね。

 それで、賃金上昇も、これは数字の出し方で違いますから、上がっていないと。私はそういう数字も見た上で申し上げているので。

 これについて、細かい話ですから、なぜならば、「まずまずのアベノミクス」でも「目標どおりのアベノミクス」でも、実際に、マクロスライドで減額をする、こういうことは起こり得るし、仮に賃金が一%上がっても、今の状況では一パーまだ上がっていないわけですから、物価上昇二パーの場合には、これは残念ながら物スラで、マイナスのこの新たな要因が加わるという事実については、こういう状況が起こったときには変わらないわけですから。

 こうなったときにはどういう対策を講ずるのかというのは、今、国民会議ではなくて三党協議ということを言われましたから、いずれにしても、その必要性については、大臣は、認めるのであれば三党協議でやってくださいということを言われたわけですから、私は、そこは共有いただいているんだ、誠実な御答弁だと思っているんですね。

 ただ、私は、やはり今回、マクロスライド以上に物価上昇によって年金減額が起こるのであれば、こういうところで不均衡是正ではなくて、ほかの分野でしっかりとやっていく。そういうことをやらないと、もっと言うと、大臣、最新の世論調査でも、アベノミクスで賃金や雇用がふえる、上がるんじゃないかと期待をしている方、そうでない方と拮抗していますが、若干上回ってきているんですよ。

 では、お尋ねしますが、アベノミクスで、確かに、ケース2、ケース3のようになればいいですよ。しかし、ケース1のようなことになることだって、まだ今の賃金の上昇の度合いを見ていると、私はあり得ると思っているんです。これを期待しているんじゃないですよ、あったときにどうするんだという議論で、では、年金生活者三千万人の方は、アベノミクスによる物価上昇で年金が減り得るというようなことを想定していると思いますか。

田村国務大臣 ちょっと言われている意味がわからないんですが。

 アベノミクスで、まあ、アベノミクスという言い方が余りよろしくないので、経済状況を冷静に判断して、今のは、物価が上がったけれども賃金は上がらないという意味なのか、物価と賃金が上がったんだけれども、マクロ経済スライドがかかるからその分は上がらないという意味なのか、ちょっと整理した御質問をいただければありがたいというふうに思います。

柚木委員 仮にケース1のような状況が、過渡期でもですよ、この後、確かにケース2、ケース3のようにいくかもしれない、でも、いかない状況が続くこともあり得るんです。

 それを私も、そういうことが起こったときにもちゃんとした対応をとらなきゃいけないので、それぞれこれを試算したのが、その前のページの五ページ目の資料でございます。これも、最初の一ページ目の資料に基づいてケース1、2とやって、ケース2の「今一つのアベノミクス」が仮に起こったときにどのようなことが起こるか、もちろん起こらなければいいわけで、それをフェアに議論したいから、次のページにケース2、ケース3をあえてつけたんです。

 ですから、起こったときに何をするかを考えなきゃいけないんですね。仮に起こったとき、こういうことが起こるんですよ、大臣。

 先ほど申し上げましたように、マクロスライドと物価上昇の先行分、それぞれの割合、〇・九減と一・〇減、真ん中の箱。平成二十八年四月以降、こういう月額の減額が起こります。トータルでは実質一・九%減です。

 私は、実質の方が重要だと思いますよ。千円のお金を出してこれまで買えていたものが、もし千百円になったら買えなくなるわけですから。年金生活者にとって重要なのは実質で、この実質が、月額ベースで、基礎年金千二百十三円、厚生年金ベースで四千二百七十六円。こうなったときの、その先、これがもし仮に続いたら、よくなればいいんです、この資料も捨てていただいていいんですよ、そうでなかったときに、この議論が重要なんです。

 そのときのトータルでの影響を一番右にまとめました。

 二〇一四、一五年は、特例水準の解消も含めた影響ですから、マクロ経済スライドの影響が〇・五パー。物価上昇先行の場合、これは二、一の場合ですよ、これが一・五パーということで、年額にすると、基礎年金部分で一万二千円、厚生年金部分で約四万二千五百円、こういう減額になる。

 そして、それ以降が、ケース2の状況が仮に起こったとき。マクロ経済スライド分の累計では七・二%分の減少額。額にすれば、基礎年金年間五万五千二百円、厚生年金十九万四千四百円。

 ちなみに、仮に、アベノミクスの巡航速度で物価二パー上昇で、賃金上昇がそれを追い越せなかったとき、追い越せたらいいんですよ、追い越せない場合には八%分の減額になるということで、この場合は、基礎年金ベースで六万千三百四十円、厚生年金ベースで二十一万六千円。

 これを累計すれば、十年間で、マクロ経済スライドでの減額効果が、基礎年金ベースで五万九千二百十円、厚生年金ベースで二十万八千五百十円。物価上昇分が、基礎年金七万三千四百十円、厚生年金ベースで二十五万八千四百八十円。そして、この二つを足したものが実質的な減額ですから、基礎年金ベースでは十三万円台、厚生年金ベースでは四十六万円というような状況が、仮にうまくいかなかったときに、起こったときにどうするんだという議論をしているんですね。

 ですから、私は、うまくいけば、この資料は捨ててもらっていいんですよ。うまくいかなかったことも考えて、今、事前にちゃんと対策を講ずるということをやっておく。私、先ほど、では大臣が年金が減ると考えている、今、ケース1のケースで言っているんですよ、こういう状況が起こったとき、アベノミクスによる物価上昇、もちろん賃金も後から上がってくる、しかし、その過渡期の中で、この状況が何年続くかわかりません、過渡期の中でそういう状況が起こり得ると考えている年金生活者が本当にいるんですかということを尋ねたわけです。

 では、もう少し明確な尋ね方をします。

 こういう状況が少なくとも賃金上昇が上回るまで続いたとき、今、国民の、特に年金生活者の皆さん、あるいは今後年金をもらう方も含めてで結構です、年金の実額が減る、減り得るということに対して理解をいただける、マクロスライド以上の影響でですよ、理解をいただけると思いますか。

田村国務大臣 何度も申し上げて恐縮なんですけれども、給料よりも、賃金よりも物価の方が高いわけでしょう。ということは、これは働いている人たちも同じことが起こっているんですよね。年金をもらっている方々も同じようなルールでやるわけですよ。

 ということは、それで年金をもらっている方だけ助ければ、世代間の公平は壊れちゃいますよね。低所得者だけという話になれば、働いている中にも低所得者はいっぱいいるわけでありますから、その方々も同じことが起こるわけで、全員を救えという話になるわけですよね。全員を救えるかどうかというのは、それは財政との絡みがあると思いますが。

 ちなみに、今委員がおっしゃられたような状況、十年近く、賃金の方が物価よりも低い、つまり物価は高くて賃金が低いという状況が十年も続けば、その間に政権交代が起こって、変わっているんじゃないですか。そんな状況で国民の皆様方がそもそも信任されるとは思えないわけでありまして、そのようなことを起こさないようにするのが我々政治の責任だ。

 しかも、普通ならばそうなるであろう、経済政策が成功すればそうなるというのが、これが普通。我々はそのために今の経済政策をやろうと思っているわけでありまして、それは野田総理も同じ思いだったというふうに思うんです。だから、我々安倍内閣だけが特別じゃなくて、野田さんも同じようなことをしようと思った。だからこそ、前原さんは日銀に対してインフレターゲットを求められたわけじゃないですか。私は予算委員会のときに前原さんとこの議論をしました。そのときには、日銀総裁に対して同じ思いで、思いを共有しましたよ。

 ですから、そこは同じだった話なので、なぜそれが今になって急に違うことをおっしゃられて、危惧ばかりおっしゃられるのか、よくわからない。ともに協力し合いながらやりましょうよ。ちゃんと給料が物価以上に上がっていく社会をつくりましょうよ。

柚木委員 これは、私も前原さんのお話を聞く機会もありますから、こういう手法で、まさに方向性は一緒でも、程度の問題というのは非常に大きいわけですよ。その議論の時点で認識を共有されたのかもしれませんが、今、前原さん御本人も非常に危惧されていますよ、今のやり方を。

 そういう中で、私は、そもそも、十年間この状況が続くことを前提に言っているんじゃないんです、さっきから注意深く言っているんですよ。十年間じゃなくても、何年間か続くかもしれません。物価上昇が賃金上昇を上回っている状況が何年間でも続いたら、その分、減額効果はマクロスライドにプラスアルファで、つまり、アベノミクスによる物価上昇によって人為的に起こるわけですから、その期間の対策を、もし起こったときどうするんですかということで、十年間こんな状況が続いたら、私もそれはとんでもないと思いますよ。

 だから、そういうことを防がなきゃいけない。しかし、起こったとき、あるいは何年間でそれが上回るのか、そういうことも考えるのが我々の仕事だということを申し上げているわけです。

 それから、もう一つ申し上げれば、本当に今のようなやり方で、私はこの国の経済の、今、十年間で二百兆も含めて、何とかそれを上向かせようという努力をされていることについてはお認めをします。しかし、財政再建については正直後回しになっている。それから、社会保障の議論も、はっきり言って置き去りになっている部分があるわけです、国民会議の状況も。

 そういう状況の中で、本当に、経済だけじゃなくて、財政やあるいは社会保障も含めて、国民の皆さんが、そういう状況ならば消費税が上がることも含めて、しようがないね、あるいは、マクロスライドで減額されることに加えて、えっ、知らなかったけれども、アベノミクスで年金減るの、でも、それが仕方ないねと思っていただけるような手法を今本当にとられているかどうかについては、プラスとマイナス、効果と副作用、それぞれ含めて考えることが誠実なあり方だということを私は申し上げているんです。

 ですから、私、現役世代、当然重要ですよ、年金世代の方だけのことを言っているんじゃないんですよ。現役世代の方もいずれ必ず年金世代に入っていくわけですから……(田村国務大臣「そういう話じゃないでしょう」と呼ぶ)いや、現役世代の方も、もっと言うと私より若い年代の方と話をしても、もっと言うと、最近、私のフェイスブックにも書き込みがありましたよ、我々の年金は大丈夫なんですか。現役世代の方も、自分たちが年金世代になることを今から心配している中で、えっ、アベノミクスがうまくいったら年金もふえると思っていたら減るのと。これは、今の年金世代の方だけじゃなしに、現役世代の方々にとっても不安の種なんです。

 そして、もっと言えば、将来不安や生活不安があれば、当然、お金を使う財布のひもを締めちゃうわけですよ。せっかく今、使ってくれ、使ってくれとお金をじゃぶじゃぶ刷る。何で企業が、その分、設備投資に十分回らないのか。まだ先が見えないからじゃないですか。個人も一緒ですよ。賃金が上がらないと考えている方が八割というデータもあるわけですよ。だったら、お金を使えないどころか、さらに将来年金が減ると思ったら、ためよう、誰だってそう思うわけですよ。

 そういう状況にある中で、私は、現役世代の皆さんは、まさにこの国会の中でも、生活保護の適正化もやるけれども、しかし、生活困窮者の方々に対しては支援するんでしょう。そういうことはこの国会で今まさに議論しようとしているわけじゃないですか。そのことについて何も必要性ないということは全く言っていないわけです。それはちゃんとやるんです。

 しかし、明らかに意図的に、マクロスライドの発動以外の効果、さらに言えばマクロスライド以上の影響が、今回のアベノミクスの、今後の物価と賃金の上昇の推移によっては起こり得る。そのことは即、年金生活者の方々の生活が苦しくなる。特に低年金者の方々のことを私は言っているんです。

 お金持ちの方には申しわけありませんが、世代間不均衡の是正にもっと力をかしていただきたい。我々は、富裕層へもう少し御負担をいただくということも一体改革のときに提案をしたわけです。皆さんは反対されたわけですよ。まさに我々は、生活が苦しい方、これは現役世代も年金世代の方も同じように対策が必要なんです。

 そういう視点の中で、現役世代はもちろんそうですよ、しかし、大臣、今の大臣の御答弁だと、現役世代の方のことは考えるけれども、では、年金生活者の方は後回しにしてもいいというふうに聞こえますよ。高齢者の方は、低年金者の方は、対策を後回しにしてもいいんですか。

田村国務大臣 ちょっともう、何か捏造に近いような話になってきたので。

 私が申し上げたのは……(柚木委員「こういう状況が起こったらどうするんですか」と呼ぶ)聞いてください。私が申し上げたのは、物価が上がって、賃金がそれよりも上がったのが低ければ、現役の方も年金生活者と同じように生活が苦しくなるんでしょう。しかも、現役世代の中にも本当に困窮されている方もいるわけでしょう。その方は苦しくなるんですよ。高齢者だけを救うという話になったら、そちらの方が漏れるんじゃないですかと。(柚木委員「だけをと言っていない」と呼ぶ)いやいや、そういう話で、今、何かの形で年金を補填するという話になれば、若い方々は年金をもらっていないんですから、ということは補填ができないわけじゃないですか。だから、私は、同じ立場で国全体がそれは貧乏になっちゃうわけですよ、そういうことは防がなきゃならないと。

 アベノミクスで、アベノミクスでと、何か、アベノミクスをやれば、そのまま今委員がおっしゃったような状況が生まれるみたいなことばかりおっしゃられますが、実際問題、消費の話も今されましたけれども、国民消費はこの一―三は二・三%プラスですよ。だから、実質経済成長率三・五%ですよ。

 だから、そういうことを考えても、やはり今の政策というものがそうならないように、我々は一生懸命努力をさせていただくわけであります。

 少なくとも、いろいろな不安もあります、だけれども、株も上がってきた、いろいろな意味で、ちょっとは将来に希望が見えるのかなというような雰囲気になりつつあるのも事実ですよ、いろいろな統計を見ていますと。そのときに、不安な部分はいいです、それはそういう最悪の場合もあり得ないとは言わない、何%かの確率で、あるかもわからない。

 しかし、そこを殊さら大きく言われて、せっかく皆さんが、久々に、もう十数年来ずっとデフレで給料が上がらない社会だったけれども、もしかしたらこれで上がるかもわからない、そんな期待をお持ちになりかけているときに、それをまたぞろ、悪い、悪い、悪い、悪いとおっしゃらずに、どうか一緒に日本の国のことを思って協力をいただいて、この国の経済再生と、ともに国民の生活が豊かになるための方策というものを考えながら、一緒に御協力をいただければありがたいなというふうに私は申し上げております。

 そもそも、同じ思いを共有しながら、民主党の中にも、我々の議員連盟で一緒に活動してこられた方々がいっぱいおられるんですよ、申し上げますけれども。金融緩和というものをやらなきゃいけない、インフレターゲットをやらなきゃいけないと。これは、同じ議連で、民主党の方々の方が多かったんですよ、この議連には。

 だから、同じ共有をされている思いの方がおられますから、一緒になって景気をよくしていこうということをお願いさせていただいておるわけでございます。

柚木委員 今、大臣はやはり正直な方だなと思いました。

 本当に、確かに、起こらないようにすることを全力でやるのは、それは当たり前で、我々の務めなんです。しかし、そういうことがあり得ないとは言えない、数%の確率というのが。私は、それが数%なのか、何十%台なのか、そういうことも含めて精緻な議論を、まさに集中審議でやるべきじゃないですかということを、委員長戻られていますから、提案を前回したわけです。

 年金問題の、アベノミクスによる年金の受給額への影響、この集中審議を、まさにこの年金の法案を議論している、重要広範に指定されている、総理がちゃんと出席をいただいて、何できょう総理が来ていないんですか、総理がちゃんと出席をいただいて、今のような議論を、田村大臣が言われていることも含めて、ちゃんとこの場で議論をして、国民の皆さんにそのことを共有した上で、ひょっとしたらアベノミクスで物価が上がって、賃金上昇が追いつくまでの間に年金が減るかもしれない、もし減ったときに、そうなれば必ず減るわけですが、減ったときにどうするんだということも、これまでの安倍総理の御発言の中では全く想定されていないわけですから、そのことを、ここに出ていただいて、議論をすべきだということを提案したわけです。

 委員長、その議論、どうなりましたか。

松本委員長 柚木委員要求のいわゆる集中審議につきましては、理事会における協議要請がございませんでしたので、協議には至っておりません。

 本日の委員会につきましては、理事会において、理事、オブザーバー全会一致で、円満に開会をさせていただいております。

柚木委員 私がお聞きをしているのは、総理は時間をとっていただいていたと。三時間。しかし、それを、では二時間でもいいからという話をしたけれども、だめだというやりとりがなされたということを聞いています。

 ですから、ぜひ、改めて、この重要広範が採決されるまでに、ぜひ、この後、理事会、今休憩中なんですよね、御協議いただけませんか、委員長。午後から。午後から出てください。

松本委員長 ただいまの御要求に関しましては、後刻理事会で協議をいたします。

柚木委員 まだ午後の審議もあるわけですし、きょう、二時間、三時間、確保していただいたわけで、そういうやりとりも実際に調整がされていたわけですから。(発言する者あり)確かに、表の議論と水面下の調整はあるでしょう。

 しかし、私は、今からでも、この議論の状況を踏まえて、安倍総理が国民の皆さんに、年金生活者の方々だけじゃなくて、将来の年金生活になられる現役世代の方も含めて、今後のアベノミクスの推移によっては、私はそんなこと望んでいませんよ、仮にそういうことになったときには、つまりは物価上昇を賃金上昇が上回らなかったときに、マクロスライドによる年金の減額以上に、本当に年間で数万円単位の減額の効果があらわれる、こういうことになったときにどうするんだということを、ぜひ、総理にここに御出席をいただいて、私はちゃんと採決までに議論をいただきたいと思うんです。

 午後からでも、まだ時間はありますから、ぜひ、先ほど後ほど理事会でとおっしゃっていただいたわけですから、そのために理事の皆さんがいらっしゃるわけですから、私は、朝の理事会の状況は今何か聞こえてきましたけれども、まだある、委員長おっしゃっていただいたわけですから、ぜひ午後からの総理の出席をお願いし、そして、田村大臣、現役世代の方は重要です、しかし、年金生活者の方にとって、私は、アベノミクスは冷たい、大臣も残念ながら少し配慮が少ないんじゃないかということを残念ながら感じたことを申し上げまして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 引き続き、大臣にお伺いしますけれども、仮にの話なんですけれども、ことし一月から十二月までの物価がプラス二・八%アップしたときに、来年の四月からの年金はどうなりますか。

田村国務大臣 仮にという話ではありました。まずあり得ないと思います、まだ足元はデフレですから。マイナスなんですよ、物価は。

 ですから、まずあり得ない、よほどのことがないとあり得ないと思いますが、仮にそういうことが起こって、賃金が同じだけ上がれば、そのときには、特例水準とマクロ経済スライドが両方ともかかるということになろうというふうに思います。

長妻委員 ということは、来年四月の年金額はどうなるんですか。

田村国務大臣 特例水準の部分が一・五、一ですね。ちょっと待ってください。

松本委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

田村国務大臣 申しわけありません。

 特例水準が一・五残っているんですね。だから、一・五と、マクロ経済スライドの一・三かな、両方とも合わせて二・八であります。

 そういうことはまず起こらないとは思いますが、起こったとすれば、賃金が物価上昇分以上上がっていたというふうに前提を置けば、その分だけ本来年金は上がるはずですが、それを、昨年皆様方がお通しをいただいた特例水準の解消で一・五消えて、残りの一・三は、皆様方も必要だと言っておられますマクロ経済スライドが発動されますので、そのまま二・八が消えますから、年金は名目額では変わりません。実質額では、物価との関係を考えれば、マイナス二・八ということになると思います。

長妻委員 私もそのとおりだと思います。

 この二・八というのは、おっしゃるように、あり得ない数字だとは思うんですが、限界事例を申し上げたわけで、今の数字どおり。

 つまり、これは事実として我々認識しなきゃいけないのは、ことしの物価上昇率が、賃金との見合いもありますけれども、賃金は実質的賃金上昇率ではありませんから、物価との見合いの話ですので、恐らく物価になると思うんですけれども、物価が二・八%以下、ことし一月から十二月の平均上昇率が二・八%以下、その場合は、来年四月の年金額は、実質的に名目値は上がらないというのは、これは、我々、共通理解としてやはり理解をしていかなきゃいけない。つまり、一言で言うと、インフレになったときに年金受給者の方は大変だ、それは認めて、我々は共有しなきゃいけないと思います。

 そして、もう一つ事例を申し上げますと、では、仮に、多少ありそうな事例として、ことし物価が一%アップした、そして来年物価が一・六%アップした、来年の一月から十二月の平均。これは事務局はすぐ計算できると思うんですが、その場合、来年四月の年金額と再来年四月の年金額というのはどういうふうになりますか。

田村国務大臣 まず、一・〇上がるんですね。すると、特例水準の一を解消しますからゼロですね。つまり、今と名目額が一緒ですよね。

 その次が一・六。一・六上がりますと、特例水準の〇・五を解消をして一・一ですが、マクロ経済スライドがかかってきますから、それが一・二でありますから、全部はマクロ経済スライドはかかりませんが、マクロ経済スライドの範囲の中で全てのみ込みますので、これまた、名目では変わらない、年金額は一緒ということでございます。

長妻委員 おっしゃるとおりだと思います。

 つまり、物価が上がるとなったときに、この議論は柚木議員もされましたけれども、結局、党首討論のときから尾を引いている議論なんですね。

 海江田代表と安倍総理が議論をして、海江田代表は、インフレになって大丈夫なんですか、年金受給者が厳しいでしょうと言ったときに、安倍総理が、いや、これは物価スライドがあるから、それは大丈夫なんだ、こういうふうにおっしゃられたので、それは、物価スライドというのは確かにありますけれども、ただ、そこにマクロ経済スライドがかかったり、来年、再来年については特例水準がかかったりして厳しいんですよ。それは厳しい、年金受給者にとってはインフレは厳しいということをやはりお認めをいただいた上で議論をしないといけない。

 しかも、特例水準が仮に全部なくなったとした後にも、マクロ経済スライドが恐らく一・二パーとか、マイナスですね、あるいは一・一パーとか、こういう形でかかってくるので、つまり、ずっと物価上昇が、一・一パーとか一・二パーが、特例水準が終わった後も続くと、年金はゼロなんですね、上昇はゼロ。

 しかも、仮に物価が上がったとしても、例えば二%、アベノミクスで言われている物価が上昇しても、それは二%上昇しても当然二%年金額は上がりませんから、マクロ経済スライドは一パーちょっとですから半分以下の上昇になって、つまり、物価が二パーになっても、半分ぐらいは名目値は年金額が上がるけれども、当然その全部は上がらないよと。

 こういう現実があるというのは、多くの国民の皆さん、御存じないかもしれないと思います。これは購買力の低下というのもありますから。まず、こういう現状を共有して、そして安倍総理、大臣、あるいは国民会議等々で、その前提でまず議論するということを確認させていただきたいと思います。

 そして、もう一点、この国民会議なんですが、先週の金曜日、開催されましたけれども、配付した資料の三ページ目に、田村大臣が最後、国民会議で御挨拶をされたんですね、その言葉を、ネット中継されていますから、これをテープでとって起こしたものでございます。

 ちょっとここでお伺いしたいのは、この左の一番、二番、三番、四番、五番というのはこちらでつけたパラグラフの数字なんですが、この四番のところで、「国民年金は賃スラがかからない分だけ目減りが激しくなって」おるというのは、つまり、国民年金は厚生年金よりも目減りが激しいというふうにお認めになっていらっしゃるんですが、この賃スラがかからないで目減りというのはどういう意味でいらっしゃいますか。

田村国務大臣 まず、前段の部分ですけれども、前段の部分といいますのは、マクロ経済スライドがかかるから要するに実質上年金は目減りするというのは、細かい精緻な御議論は、国民の皆様方は細かくは御理解いただいていないかもわかりません。しかし、後世の世代になればなるほど年金のもらえる金額というのは、今の方々の水準から比べれば低くなるという意識は、皆さんお持ちであります。

 ということは、細かい精緻な議論は御理解いただいていない方がおられると思いますけれども、全体としてこれから目減りしていくんだな、つまり、今の水準よりも名目の金額は上がったとしても、実質の金額は下がっていくんだな。これはよく所得代替率という言い方をしますよね、働いているときの平均賃金に対して年金をもらうときに何割ぐらいかなという話でありますけれども。こういうのが下がっていくということは、マクロ経済スライドがかかっていくことによって起こるわけでありますけれども、これはわかっていただいておるというふうには思います。(発言する者あり)

 安倍さんは、マクロ経済スライドのことは申し上げておりますので、予算委員会のときもおっしゃっておられました。ですから、そういう意味では、マクロ経済スライドのことは御理解をいただいているはずです。これは明確に言っておきます。

 そして、今のお話でありますが、これは、ちょっと私、言葉が間違っておりまして、訂正をさせていただきます。次の会議で、私、訂正をさせていただこうと思っておったんですが、ちょっと言い方が間違っております。

 賃金スライドは両方ともかかるので、賃スラの話じゃなくて、これは前回の、つまり、十六年再計算から二十一年の検証のときにどういうことが起こったかというと、賃金が下がったんです、賃金が。賃金が下がりますと、厚生年金、二階部分は、給付の方、将来の給付も平均賃金に対してで払いますから、下がるんですよね。ところが、国民年金の方は定額で動きますので、賃金の下がり分には、そこは影響は将来に対しては受けないわけでありまして、それによって財政収支が厳しくなるんです、一階部分が。それによって、厳しくなった分だけマクロ経済スライドを長くやらなきゃいけない。

 厚生年金、二階部分は二〇一九年で終わるというような計算になっているんですが、国民年金、基礎年金の方は二〇三八年までマクロ経済スライドをかけないと財政が均衡しないというふうな計算になっておるという意味でございまして、それを賃金スライドと言っちゃったんですが、これはちょっと明確ではございません。つまり、給付の賃金への感応性と言った方がいいのかもわかりません。

 こういうような違いがあるものですから、国民年金が厳しくなるというような結果になるということを申し上げたということでございます。

長妻委員 そうすると、この「マクロ経済スライドがかかっていない分だけ、」というのは、これも間違いだと思うんですが、これは随分雑な発言だなという印象があるんです。

 いずれにしても、今おっしゃったように、国民年金はマクロ経済スライドのかかる期間が長い、その分だけ厚生年金よりも、「毀損」という激しい言葉を使われていますが、国民年金の方が毀損というか目減りが非常に激しくなる。厚生年金より国民年金の方が目減りが激しくなる、この認識はよろしいわけですね。

田村国務大臣 ここで、「マクロ経済スライドがかかっていない分だけ、」というのは、申しわけありません、厚生年金、二階部分は数字がかかっていない、国民年金の方は長くかかるという意味をこういうふうに略して言っちゃったものですから、逆のような意味に捉えられたということは、正確な表現じゃなかったので、ここはおわびを申し上げます。

 実は、次の国民会議に出たときに、これは訂正をしようと思っておった部分でございましたけれども、まだ議事録もできてきていないものでありますから、申しわけありません。

 そういうことでございまして、目減りという言い方が正確かどうかはわかりませんが、マクロ経済スライドが長くかかる分だけ、先ほども申し上げました、二階は二〇一九年まで、一階部分は二〇三八年までスライドしていく、つまりその分だけ水準が引き下がっていくわけでありますから、その分だけやはり国民年金の方が引き下げ幅が大きくなるということであります。

長妻委員 私、日本の年金の問題の大きな一つが、国民年金の問題というのが非常に大きいと思っております、今の目減りの激しさの問題も含めて。

 そして、大臣もそこを御理解いただいて、この五番目のパラグラフですけれども、「そこで低所得対策ということで、福祉的給付というものを昨年考えた」と。これは三党で法律を通して、福祉的給付は始まりますけれども、「それでも本当に足りるのかどうかという議論はしなければ」ならないと。

 つまり、足りるかどうかという議論をしなきゃいけないというお話でありまして、これは私も同感なんですけれども、では、どんなような議論をするべきだとお考えでいらっしゃいますか。

田村国務大臣 これは、私は以前から、実は野党のときから、この問題は予算委員会で指摘をしてきていた問題なんですね。

 これはなぜかというと、民主党の年金案も同じことが起こるんです。民主党も、最低保障年金七万円と言っておりますけれども、完成が四十年後という御答弁でございましたので、仮に法律が今成立してスタートしたとしても、四十年後、七万円を満額もらえる方が出てくるという話になるんだと思うんです。

 実はそのときには、スタート時七万円の水準だったものが、我々はマクロ経済スライド、皆様方はみなし運用利回りという話だったと思います、これで引き下がっていくんですよ。率は違いますよ、マクロ経済スライドとみなし運用利回りというのは。計算の仕方は違うんですが、同じように年金は目減りしていくんですね。結果的には、七万円と言っておったものが、五万七千円だったと思います、皆様方が出された資料では。こういうふうな金額に、これは二〇六五年でしたか、七五年か、忘れちゃいましたけれども、なっちゃうと。

 つまり、同じように、皆様方は最低保障部分、我々は国民年金部分、基礎年金部分、これがやはり目減りをどんどんしていく、目減りといいますか、実質的な価値がどんどん減っていくということが起こるんですね。

 これで、私は、あなた方も同じことが起こる、だから七万円の最低保障年金というのはおかしいじゃないですか、スタートしたときにもう七万円の価値がないじゃないですか、完全スタートのときに、こういう話を、当時、岡田副総理にさせていただいて、ただし、我々の国民年金も同じようなことが起こるので、ここはどうするべきかということは考えなきゃいけませんねというようなことは、議論をさせていただいた覚えがあるんです。

 そこで、どういう方法があるか。今、福祉的給付というものが、昨年三党で合意をして、導入をいたしました。いろいろな方法はあると思いますが、これも一つかもわかりません。これならば、一番困っておられる低所得者の方々に、直接ピンポイントで出せるわけであります。全体を底上げしますと、それは、たくさん年金をもらっている方々はどうなんだと、厚生年金の部分にも基礎年金はあるわけでありますから、そういう議論もあるかもわかりません。

 いずれにいたしましても、いろいろな議論があると思いますので、これに関してどういう方法がいいのか、また、その水準がどうなるか。

 もっと言うと、今六十五歳からの年金支給額が、将来は上がる可能性があるかもわからない。それは我々は選択制という言い方をして、前回の選挙のときですか、公約の中に入れました。六十五歳からもらいたい人は六十五歳からもらえばいい、七十歳からもらいたい人は七十歳からもらえばいい。七十歳からもらえば、その分だけ厚くなりますよね、年金の支給額は。生涯現役社会をつくって、余裕がある方はもう六十五歳からもらって、少ない年金でも、俺、それでいいよという方もおられるかもわからない。しかし、今働けるのなら七十まで働いて、それから七十で引退して年金をもらえばいいじゃないか、そのときには手厚い年金になっていますよという方法もあるかもわからない。

 実は、そういう、種々の選択の中でどれがいいのかということをいろいろな御議論をいただきたいなということで、国民会議の方で、最後、そのような御挨拶をさせていただいたということでございます。

長妻委員 そういう実質的価値の論点というのも、おっしゃるようにあると思うんですが、もう一つ、非常に大きい国民年金問題の論点としては、この十五ページなんですけれども、これは厚生労働省につくっていただいた資料です。

 これは大臣に事実関係をお伺いしますけれども、被用者、雇われている人で、厚生年金に入れないで国民年金の一号になっている人というのは何人いらっしゃるわけですか。

田村国務大臣 平成二十三年の国民年金被保険者実態調査報告というのがございますが、この中で、調査対象となった第一号被保険者千六百五十万人のうち、常用雇用と臨時・パートを含めた被用者の人数は五百九十三万人という数字が出ております。

長妻委員 私は、民主党も年金の一元化、最低保障年金を出した一つの動機というのは、この非正規問題、これが、なかなか解決が今の現行制度ではできにくいという深刻な問題意識を持っております。

 つまり、恐らく一割以上はこの中に学生アルバイトが含まれているとも思いますけれども、いずれにしても、六百万人近い人が、雇われているのに、事業主負担を出してくれないで、そして国民年金に入っている。この層が、本当の自営業の方はもう今や二割ぐらいですから、昔は自営業の年金として国民年金はスタートしたんですが、本当の自営業の方よりも未納が多いんですね、雇われている人の国民年金の方々が。

 ここを何とかしなきゃいけないということなんですが、六百万人近くも働いている人、会社に雇われている人が会社の年金に入ることができない、こんな国は先進国を調べてどこにもないと私は思うんですが、それは大臣もそういう認識でございますか。

田村国務大臣 日本の場合は、三十時間働いておるという一つの基準において、厚生年金に入るかどうかということを決めておったわけでありますが、昨年の法律改正で、二十時間以上、そして収入が月額で八万八千円という形に変えたわけでありまして、これによって被用者年金に対する非正規雇用の方々の適用拡大が若干広がったわけであります。

 他の国は、どちらかというと、労働時間というよりかは賃金を中心に考えておりまして、例えば、イギリスなら週百七ポンド、ドイツならば月額賃金四百五十ユーロ、こういうような形で賃金で決めておるというような形でございます。

 全くいないわけではございませんが、日本は比較的基準が厳しいものでありますから、多くの方々が被用者年金に入れないという実態がございますので、これも御党と三党で、これから適用拡大を広げていく中において、こういう方々を順次厚生年金に吸収していかなきゃいけないねという考えでは一致していたと思います。

 ただ、一点、そのときに、例えば流通関係、スーパーでありますとか、いろいろなそういうような業界の方々が、負担がふえるものでありますから、なかなか、突然、ばんと多くの方々が厚生年金等々に入るという話になると、その分だけ企業の持ち出し分がふえて経営に影響が出てくるから、いきなりそんなにはふやしてもらっては困るというような、いろいろな御意見がある中において、とりあえずは、まずはスタートは二十五万人程度からということで、昨年法律が成立をいたした次第であります。それは委員も御承知のとおりであります。

長妻委員 あえて私は激しい言葉を使いますけれども、やはり日本は、この非正規雇用が、企業の健康保険とか厚生年金とか、事業主が拠出するものに数百万人の方を入れてくれない、これは私は異常だというふうに言わざるを得ない。世界では、これほどの規模が放置されているというものはない。この非正規雇用、非正規保険問題というのが、私は、やはり最大の解決しなきゃいけない課題だと。

 今、田村大臣、世界を御紹介いただきましたけれども、この配付資料の六ページ目にも国会図書館に調べていただいたものがあります。例えば、ドイツでは十五時間未満は強制加入じゃない、ただ、任意加入できる。日本は週三十時間未満は基本的には入れないわけですね。イギリスでは一週間のお給料が一・五万円ということでしょうから、非常にこれは低い。スウェーデンでも年収が二十二万円ということですから、ほとんど微々たるものではないか。アメリカも年収が十二万円以下、あるいはカナダも年収が三十五万円以下ということで、日本ほどハードルの高い国というのは先進国ではないわけであります。

 しかも、先ほどの十五ページの表に戻りますと、では、国民年金で一番滞納者がいらっしゃるグループはどこかといったときに、一位が滞納者三五%の常用雇用の方。常用雇用、正社員で雇われているのに厚生年金に入れないグループ。そして、二番目に滞納者の比率が高いのが、臨時・パート。アルバイトやパートの方々のグループ、国民年金に入っているグループが二九%ということで、ここを何とかしないといけない。

 おっしゃっていただいたように、昨年三党協議で、二十五万人ですか、パート、アルバイトの適用拡大をいたしましたが、ただ、四百万人とか六百万人とか言われている中のほんの一部。ただ、我々も与党でしたから、ほんの一部でも大変な抵抗、抵抗と言うとちょっと失礼なので、理解いただけない、そういう動きというのが非常にあるわけですね、事業主負担がふえるのは困ると。

 ただ、人を雇うときに、事業主負担なしで、社会保障は払わないで雇えるなんというのは、私は世界のスタンダードからするとおかしいというふうに言わざるを得ないわけです。

 そこで、我々は、年金の一元化、最低保障年金という、会社に勤めていれば全てそこに入る、一つの年金に入る、報酬比例の事業主負担が半分出る保険に入るという年金制度を提唱して、そして、基礎年金とは違いますけれども、最低保障年金という部分は全額税金でやる、こういう案を出した。ところが、自民党は、それはだめだとおっしゃる。では、自民党は今の非正規問題をどうやって解決していくんですかと聞くと、いやいや、適用拡大をすると。ただ、適用拡大といったって、十万人、二十万人を、あと五、六年後に十万人拡大して、こういう動きにならざるを得ないので、劇的な改善というのはできないんですね。

 非正規の方が企業の年金に入れば、そのグループの未納はなくなります。つまり、源泉徴収で保険料をいただくわけですから、未納が即座になくなるわけですね、この現在の数字でいえば六百万人近くの方が。

 我々の制度がだめだということであれば、では、自民党というか、田村大臣はどういう制度をするのか。制度は変えないということでは、これはちょっと、到底理解を得られないと思うんですが、いかがですか。

田村国務大臣 まず、民主党の年金制度自体を全く否定するつもりはないんです。

 ただ、今から年金制度がスタートするのならば、そういうものを用意スタートで導入するということは選択にあるかもわかりません。しかし、昨年の議論の中で、今の年金制度と並走して四十年かからないと完結しないというような御答弁が各責任者から出ました。その間は二つの年金制度が走る中で、みんな、何が何だかわからないわけです。

 しかも、安心だと言っても、四十年後の方しか安心にならない。それは今の方々が本当に安心と思えるかどうかとなると、そんなリスクをかけてまで、言うなれば、大幅に年金制度を改定して、しかも、それによって大幅に年金の給付金額がふえるのならばいいんですけれども、確かに低所得者には厚いかもわかりませんが、一定水準以上は年金額が逆に減っちゃう、こういうこともわかってきた。そして、自営業の方々は保険料を倍払わなきゃいけない。これでは、払った保険料に対してもらえる年金の対比が、とてもじゃないですけれどもバランスがとれない。

 さらには、年金の保険料も、どうやら、一五%とはいいながら、遺族年金や障害者年金の部分を含みますと、今の一八・三と変わらなくなっちゃうというような問題が出てきて、これは、そこまで議論をして、リスクをかけてやるような制度か。

 さらに、財源としては、幾つかのパターンがありましたけれども、一番手厚い年金がもらえるパターンであっても、消費税五%以上かかるというような案でしたね、さらに。

 ですから、そういうことを含めて、我々は、これはなかなか難しいんじゃないかという御議論をさせていただきました。これは前段です。

 では、どうしたらいいかという話なんですが、皆様方の年金制度を仮に導入したとしても、企業の負担は同じですよね。企業は、あなた方の制度を導入すれば、事業主負担をパート労働者の方々に対して払わなきゃいけないわけですよね。

 つまり、今、企業はすごく抵抗があるとおっしゃられた。確かに、一部の団体では抵抗があります。その抵抗は同じように起こるんですよね、あなた方の案を導入しようとすれば。やめてくれ、そんなことをしたら、とてもじゃないけれども我々が営業が成り立たない、企業として財政的にもたないと。これは同じなんですよ。

 我々は、適用拡大をするということをやる。しかし、これも理解をいただかないと、すぐには六百万人分というのは無理ですよ。だから、今スタートをした。

 実は、十九年ですよ、今よりも六年前に我々はこれを提案しました。ところが、当時、民主党政権は、それは悪口を言うつもりはありません、いろいろな理由があって、賛成いただかなかった。そして、導入がおくれたんですね、五年ほど。ですから、スタートがおくれていますから、当然、進みぐあいがおくれているということもございます。

 しかし一方で、これは同じ思いで、この六百万人に近い方々は、事業主のもとにおいて働かれておられるのであるならば、やはり一定程度は厚生年金の方に、被用者年金の方に移っていく方が理屈としては合っているよねという中で、ここの適用拡大をこれからもやっていく必要があるねという意味では、お互いに共有をされたわけであります。

 どうせ抵抗があるのならば、今の制度の中で御理解をいただきながらこれを広げていく方が、よほどリーズナブルに年金の安定性というものを保てるのではないかというのが我々の考え方でございますから、御理解をいただければありがたいというふうに思います。

長妻委員 これほど野党の案の批判をする大臣というのは初めて見るんですけれども、ちょっとがっかりするんですね。どっちが与党かわからなくなるような答弁だと思います。

 我々の制度も、いろいろ欠点はあると思います。メリット、デメリットはあると思いますが、ただ、我々の制度がだめだと言うからには、今の御答弁というのはその批判に大半を費やしたわけですが、では、どうするんですかと。

 今のお話は、今の年金制度は変えないで適用拡大を頑張っていく。できないですよ、それは。それは十万人ぐらいは、何年後か、三年後か四年後にできるかもしれませんが、この世界でも異常な非正規問題を、では、どうするんだと。そういう案を出していただきたいんですよ。責めているわけじゃないですよ、出していただきたいんですよ。出さないとやはり責めざるを得ないというか、責めて、出していただけるのであれば、それはやはり国益にかなう話でありますから。

 つまり、世界では、例えば事業主負担の軽減策とか、いろいろ工夫してとっている国もあるわけですよ。ですから、今のままの体制で、制度も変えないで、適用拡大を頑張るということであると、これは変わらないわけですよ、劇的には。だから我々は提案を出しているんだから、自民党も出してくださいよ。そして、自民党も新たな提案のメリット、デメリット、我々のメリット、デメリット、それを議論するということがフェアな態度で、そちらは出さないで、民主党はだめだだめだ、自分たちは案がありませんというのは、ちょっとフェアな態度じゃないと思うんですが、いかがですか。

田村国務大臣 済みません、私は悪口を言ったわけではなくて、当時、予算委員会や社会保障一体改革特別委員会でこういう議論をさせていただいて、それに対して明確な答弁がなかったという事実を申し上げておるわけでございまして、そういうような流れの中において今の三党の協議があるんだと思います。

 それで、先ほど言いましたとおり、仮に皆様方の年金制度を導入しようとしても、同じように事業主は負担をしなきゃいけない、ということは、同じような圧力を受けるんです。今委員が大変な圧力を受けたと言われましたが、同じ圧力は、我々の制度の適用拡大でも、皆様方の年金制度を導入しようとしても、受けるんです。

 だから、同じ状況の中で受けるのならば、今の中で、同じ状況ですからね、やった方がリーズナブルではないかと言っただけの話で、これをやるために、今、何か委員がいろいろな提案をされました。今の制度の適用拡大をするために、事業主に対していろいろな優遇策を考えたらどうだというようなこともおっしゃられましたが、そういうことも含めて三党協議の中でお話をいただいているのではないのかなというふうに、私は中身は聞いておりませんのでわかりませんが、そのように今まで思っておったわけでございます。

 ぜひとも、非正規雇用者の方々に対しての適用拡大につながっていくようないろいろな案を議論していただいて、お出しをいただいて、また我々の方にフィードバックをいただければありがたいなというふうに思います。

長妻委員 事実関係を申し上げますと、ここには、山井議員と私と梅村議員が民主党からは三党協議に出ていますが、自民党は、制度は変えるつもりはない、こういう立場なんですよ、三党協議の中では。ですから、私が、大臣に御決断をいただいて、政府として、その制度を、抜本かどうかは別にして、変えるという決断をしていただいて、その非正規雇用の問題を前に進めると、お互い。

 我々民主党の制度をおっしゃっていただきましたけれども、我々の制度は、御存じのように、基礎部分、基礎年金、今の基礎年金と同じではないんですが、その部分は全額税金ですから、これは制度設計にもよりますけれども、比例報酬の部分だけに保険料をいただくわけですよ。今は基礎年金部分の保険料もいただいているわけですね。そうじゃなくて、基礎年金部分の保険料はもういただかないわけで、これは全部税金ですから。ですから、そういうようなことの制度設計もして理解を得ていく。

 そして、移行期間も、確かに四十年という期間、自然体でいけば四十年。四十年の移行期間であれば、個々人にとってはフェアなんですね、スウェーデンはこれを人為的に操作して二十年で移行しましたけれども。

 ですから、そういう議論は幾らでもしますが、ただ、では、自民党が今与党ですから、今のままで、民主党はもうだめなんだ、それで、俺たちも制度の対案はないんだ、こういう話になると、にっちもさっちも進まないんですよ。

 自民党の若い議員の方もきょういらっしゃいますけれども、やはり、別に対決ということじゃなくて、三党協議をやったのも、国家百年の計で、社会保障を選挙の争点に余りしないと。それで、三党でこれは握って、そして、きちっとした、どの政党が政権をとっても、それは国民の皆さんが安心できるような形にするということで始まったはずなんだけれども、その自民党からはなかなか案が出てこない。

 つまり、非正規雇用の方はどうするんですか。企業に勤めているのに、国民年金、そして、あるいは国保にならざるを得ないという方が数百万人もいらっしゃる。

 これはちょっと大臣にもお伺いしたいんですが、日本国の事業主負担というのは世界に比べてそんなに高いんでしょうか。

桝屋副大臣 私の方からお答えを申し上げます。

 きょう委員の方からも御提出をいただいた、皆さんのところに配付してある資料、私が紹介するのも変でありますが、七ページ、国立国会図書館の資料を頂戴いたしました。ごめんなさい、十七ページだそうです。委員のお話が突然飛びましたから頭がついていきませんでした。十七ページに委員が御紹介をいただいております。

 事業主の社会保険料の負担水準について今お話がございました。

 これについては、公的な制度で保障する分野の範囲と、それから、それを保険制度で運営するか、あるいは税財源で運営するかという違いが、負担の水準の違いになっているんじゃないかと思うわけであります。

 今お話がありました事業主の社会保険料のみの国際比較では、我が国と同様に社会保険方式を中心に社会保障制度を運営しているドイツあるいはフランスと比較すれば、決して日本の負担は高くはないと考えております。

 アメリカの事例もありますが、アメリカの事例は、事業主が従業員のために民間保険を活用しているということもありまして、その負担を考慮すれば、決してアメリカも低くはないというようには思っております。

 いずれにしても、企業の競争力の観点などから、事業主負担を考える際には、社会保険料の負担のみで考えていいかどうか、法人税などの他の負担、企業負担なども含めてここは判断をしなきゃいかぬのではないかと思っている次第でございます。

長妻委員 ただ、生身の人間を企業が雇うときに、社会保障は一円も払いません、そんな虫のいい話というのは、これだけ、数百万人の方がいらっしゃるというのは、私は、また繰り返して、余りいい言葉じゃないですけれども、異常じゃないかという強い危惧を持っていて、何とかしなければいけないと思っております。

 十ページ目でありますけれども、日本は、事業主負担と被用者の負担、折半というのは当たり前だと思われているかもしれませんが、アメリカでも事業主の方が比率が高いんですね。イギリスでも年金でいえば事業主の方が比率が高いし、フランスでも高い。ドイツは折半ですけれども。

 ですから、やはり人様を企業が雇うというからには、社会保険に、企業のに入れる、これが大原則なんで、自民党も、ぜひ、制度を変える、そういうところにかじを切っていただきたいと思うんですが、大臣、これでも、制度は変えない、それで適用拡大を徐々にやる、この路線は変えないんですか。

田村国務大臣 アメリカなんかは、経済対策で税金が入っているんですよね。だから、本来はこれは一緒なんですけれども、入った分だけ事業主の負担が上がっている等々、これは各国のをよく、ちょっと、私、分析させてください、本当にどういう状況なのか。フランスだけは、非常に労働組合が強いものでありますから、こういうような結果なんだと思いますが、ほかのところは種々の事情があろうと思いますので。

 それで、こういうこともあるかもわかりませんが、私さっき申し上げたのは、長妻委員、こういうことなんですよ。どちらにしても導入しようと思えば、皆様方の年金制度で、事業主の方々に、要は、非正規雇用で働いておられる方々を厚生年金に入れてもらう、こういう制度ですよと言えば、抵抗があるわけですよ。同じように、我々の制度でも抵抗がある。これは、スタートするためには、同じ抵抗を受けなきゃいけない、それを説得するわけですよ。

 そのときに、いろいろな、今委員がおっしゃられたみたいに、さっき言われたじゃないですか、何か事業主にメリットがあるようなことをやって入れていったらどうだと。そういうことをぜひとも三党協議の中でおっしゃっていただいて。

 今の制度でもできるはずなんですよ、いろいろな案を出せば。要するに、事業主の方々に納得をいただいて、それならやろうという話になればいいはずでありますから。同じ抵抗を、それを何とか御理解いただくという意味では、どの制度でも一緒でありますから。それならば、今の制度の中で話していただければ、多分三党協議は比較的うまくまとまるのではないのかなとは思いますが、私がこれ以上申し上げますと、そもそも三党での御議論でありますから、行政の者が余り口を挟まない方がいいと思いますから言いませんけれども、そういうような御議論をしていただければ前に進むのではないのかな、そんな感想を持っております。

長妻委員 やはり、大臣は年金を所管する大臣ですから、もうちょっと大臣、こういう国会答弁で前向きな答弁をしていただくと国は動くので。

 例えば、九ページ目でありますけれども、おっしゃっていただいたように、フランスですね。フランスでは、低賃金労働者を対象とする社会保険料の事業主負担軽減措置を実施している。これは税金で実施しているそうであります。

 そうであれば、大臣、適用拡大を劇的に進めるための、事業主負担に対する軽減策、あるいは激変緩和策、こういうものも検討をするというようなことはいかがですか。

田村国務大臣 フランスではいろいろな理由があるんだと思います。当然、その分だけ財源の問題もあると思いますが。

 私におっしゃっていただくのもいいんですけれども、年金の議論は、要は、政権がかわって、それで行ったり来たりするのはやめようということで、三党で協議会をつくられたわけですよね。

 それは、皆様方が政権与党のときに、そういう思いの中で三党協議に入ってこいとおっしゃられて、当時野党の自民党と公明党が、それはいろいろとありました。だけれども、やはり社会保障制度は、いろいろとあるけれども、皆が納得する中で、政権交代があっても余り変わらないようにしようということで、三党協議に入っておりますので、私におっしゃっていただくのもありがたいんですけれども、ぜひとも、三党協議の中でそのような御議論をしていただく中で、議論を進めていただければいいのではないかなというふうに思います。

長妻委員 だから、さっき言ったように、三党協議では、もう自民党は、制度は変えません、こうふうになっているんですよ、年金制度は変えないと。こういうふうになっているから、私も本会議で、安倍総理に、自民党の総裁ですね、質問をしたり、ここで質問をして、ぜひ、皆様からも、事業主負担の軽減策あるいは対応策を検討すると、そのぐらい政府でしていただけないですか。

田村国務大臣 恐縮ですけれども、抜本的な改革はしないということを多分自民党の皆様方はおっしゃっておられるので、制度の細かい修正等々は、それは私はお考えもあると思いますよ。抜本的に年金制度を一から変えるなんというのは、とてもじゃないですけれどもリスキーだという意味でおっしゃられているという意味だと思います。

 ですから、それも含めていろいろと御議論を、私、正直言いまして、いろいろな御提案をいただくんですけれども、これで私が何かを言ったときに、三党協議はどうなっちゃうんだという話。これは越権行為になりますから、私は余り言えないんですよ。そういう約束で、昨年、三党協議を進めよう、特に年金、それから高齢者医療に関してはそういう議論をしようということでお立ち上げになられた。

 当時は私も実務者でございましたから、そのように記憶をいたしておりますので、まずはそちらでおまとめをいただかないと、私が直接ここでいろいろなことに対してお答えをすると、そもそもルール違反になると思います。それは委員も十分に御承知の中で三党協議をお進めになっておられると思いますので、ぜひともそのルートでしっかりとした御議論をいただきますように、よろしくお願いをいたします。

長妻委員 何か、この三党協議が隠れみのになって。大臣は、年金の責任者ですよ。そんな、党の意向を聞かないとわかりません、わかりませんと、そういう話でいいんでしょうか。

 しかも、事業主負担の軽減策というのは、軽減策だけでいえば、別に制度をいじる話じゃないんでしょう、軽減策というのは。軽減策だけであれば、あるいは激変緩和策であれば、適用拡大の。適用拡大するというのだって、制度じゃないですからね。

 ですから、制度じゃない話の中で、では、できることを検討していく、事業主負担について、軽減策等について。それはいいんでしょう。それぐらい言ってください。

田村国務大臣 事業主負担の軽減策、これだけ抜き出しておっしゃられると、我々もなかなかお答えをしづらいです。しかし、適用拡大を進められるように、要するに事業主の方々に御理解をいただける、そういうようなことの不断の努力というものはしていかなきゃならぬと思っておりますし、それは三党協議の中でもそういう方向性だったと私は認識いたしておりますよ。

 だから、あのときは、この制度が前提での御議論でありましたから、やはりそういう議論であったと思いますので、抜本改革という話になってくるとなかなか話が進まないのであるとすれば、そういうお話し合いをぜひとも三党協議の中でやっていただきたい。

 我々も我々で、どうすれば、要するに、非正規雇用の労働者の方々が年金の方に入れるか、これはいろいろな知恵を絞っていかなければならない、このように思っております。

長妻委員 何だか妙ですね。制度については三党協議だから、自分はそれはなかなか言えないと。今度、私が制度じゃない話を言っても、それも三党協議だから自分は言えないと。では、年金について何にもできないということじゃないですか。何にも権限がないんですか。

 だから、田村大臣、何にもやらないとなると、やはりこれはいろいろ厳しく言わざるを得ないので、そうしたら、適用拡大を進めるための環境整備を議論していく、環境整備を検討していく、このぐらいはいいんじゃないですか。どうですか。

田村国務大臣 何にもやらないと、今、ここに法案を二つ出しているじゃないですか、まず。これは年金法案ですよ。そういう言い方はないんじゃないですか。こういう法案を出してきているわけなので、何にもやっていないわけじゃございません。

 その上で、今おっしゃられた部分は、我々も同じ、共通意識を持っていますから、それについては、さっきから、しっかりと適用拡大を図れるようにいろいろと知恵を絞ってまいりたいというふうに申しておるじゃないですか。

 しかし、ここで、私と委員だけで決めるわけにいかないでしょう。だって、委員が民主党の代表かどうかもわからないんですよ。ましてや、三党の協議もあるんですよ。ここで決めちゃってどうするんですか。だから、そうやって申し上げているんですよ。

長妻委員 大臣は、だって、年金の責任者ですからね。

 今の現状を鑑みて、適用拡大をするための環境整備について、では、検討していく、それはいいわけですね。

田村国務大臣 だから、さっきから、それは方向性として考えていると言っているじゃないですか。

 ですから、それは、この非正規雇用の労働者の方々をどうするかという問題は大変大きな問題で、無年金という問題になれば、これは将来大変な状況になるわけですよ。だから、そうならないように、我々も、これは大きな課題として、先ほども、実は、自民党の委員の方の質問に対しても、ここは大きな問題だから、どう解消するかということを考えていかなきゃならないというお話もさせていただいておるわけでありますし、これはまさに国民会議の中でも議論をいただいておるわけでありますし、そこは思いは共有をしておるわけであります。

 ただ、個別具体的な話をここで投げかけられましても、それをやったらどうですかとか、そういうことを言われても、ここでそれは言えないでしょう。だから、そういうことを申し上げておるわけであります。

長妻委員 私、別に、個別具体的にそれをやれと言っているわけじゃなくて、検討をしてくださいと言っているんですよ。

 事業主負担、これが重くなるからいろいろ反対があるんだけれども、では、適用拡大を進めるために、今の枠組みでいうと、これは共通認識だと思いますよ、十万人単位で、何年後かにまた十万人ということで、微々たる者にしか拡大できない。ただ、その拡大を促進するために、何らかの新しい措置を検討していくんだ、それはいいですよね。

田村国務大臣 だから、委員がおっしゃられたような措置かどうかはわかりませんが、何らかのことをやらないと、それは進んでいかないわけであります。それはなぜかというと、御理解いただけないわけでありますから。

 だから、御理解いただけるためのいろいろな検討をさせていただくと言っているじゃないですか。それでもう許してくださいよ。

長妻委員 今、ある程度明確におっしゃっていただいたので、ありがとうございます。それはぜひ進めていただきたい。そして、対案を出していただきたい。

 私、何でこういうことを言っているのかというと、配付資料の一ページ目で、三党合意違反に近いんですよね、今の状態というのは。つまり、三党合意の抜粋を載せていますが、一つ、昨年六月十五日、「消費税率の引上げにあたっては、社会保障と税の一体改革を行うため、社会保障制度改革国民会議の議を経た社会保障制度改革を総合的かつ集中的に推進することを確認する。」ということで、消費税の引き上げの条件なんですよ、これは。

 だから、国民会議の期限を八月二十一日にしているのは、これは意味があって、来年の四月に八%に上げる六カ月前に閣議決定しないと消費税は上がらないので、その六カ月前というのはことしの十月だから、その二カ月前の八月に目鼻をきちっとつける、消費税を上げる閣議決定の前に。ということで、これは、私も実務者としてかかわっていましたから、年金制度と高齢者医療制度、これを念頭に置いて、消費税の引き上げの前にその目鼻をつけましょうね、こういう合意なんですよ。

 ところが、全然それが進んでいないし、大臣は、三党実務者協議を見ると。それで、御自身で、なかなか自分は今前に出られないんだというような趣旨の答弁をされておられる。

 これは、そうであれば、やはり政府からもどんどん発信をしていただいて、こういうことをやったらどうか、あるいは、まあ、結論は確かに三党協議というのはあるでしょうけれども、検討をどんどん進めて、いろいろな、Aパターン、Bパターン、Cパターンというか、選択肢をやはり提示する、こういうようなことも大変重要じゃないかということを申し上げているわけで、これは消費税を上げる条件ですからね。これが本当にいいかげんになると、国民の皆さんにとっては、消費税上げるな、こういう話になりかねないと危惧をしているところであります。

 そして、きょうは国民会議の事務局も来ていただいているので、先週の金曜日の国民会議、年金について非常にいい議論があったと思っておりまして、報酬比例年金をつくるとか、最低保障機能を持たせるとか、そういうかなり制度を変えるべきという議論がたくさん出たと思います。現行制度でいいんだという意見は余り出なかったんじゃないかと理解しているんですが、制度改革、報酬比例、一元化の観点からどんな意見が出たか、御紹介いただけますか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 国民会議、先週五月十七日に年金において御議論をいただいた中では、三人の委員のプレゼンテーション、あるいはお一人の委員の方からの資料提出などを踏まえての、年金について幅広い御議論がございました。

 現時点で何か取りまとめがなされているとか、あるいは結論が出ているという状況ではございませんが、委員のプレゼンテーション、あるいはそれを踏まえた議論においては、例えば、年金改革議論の基本的なアプローチ、あるいは短時間労働者への厚生年金の適用拡大、段階的な年金制度への統合の道筋、マクロ経済スライドの見直し、支給開始年齢の引き上げなどについての御議論がなされたところでございます。

 また、時間をかけた御議論の中でございますので、その幾つかの御発言を、網羅的、正確にこの場で申し上げるのは余りできませんけれども、今委員の方から御指摘のあったようなこと、関連すると思われるものをあえてこの場で紹介するといたしますれば、委員からの御発言の中には、五十年以上前にも所得比例年金制度が望ましいという議論が行われてきたけれども、所得捕捉難などの制約の中で、当面できることから始めていこうという形で今の仕組みができたという歴史的な経緯の御紹介であるとか、あるいは、低所得者対策を年金でやるのか、あるいは制度横断的、総合的な手法でするのかは議論が要るとか、あるいは、二段階に分けて社会保険を統合していくことについては、まずやらなければいけないこと、そして遠い将来に人々が許容範囲であると考えれば一元化に動くということでいいのではないかという御発言とか、あるいは、被用者を被用者らしい年金制度に入れていくことが重要などの御発言、網羅的ではございませんが、御質問ですのであえて紹介すれば、そのような形でございます。

長妻委員 多くの議員から年金一元化の議論というのは出ているんです。時間軸は別にして、遠い将来なのか、かなり早い時間軸なのかということで、ぜひこの議論をさらに深掘りしていただきたい。

 次回、六月三日は、何か年金制度は議論をしないで、どの制度になっても共通の、制度とは関係ない課題を議論するというようなまとめになったということも聞いておりますけれども、これはぜひ、年金制度を議論するのが本丸でありますので、これは要請をしておきます。

 そして、もう一点、いろいろ年金制度には問題があるんですけれども、今、年金制度については、税金の使い方が私は非常に問題があるんじゃないかと。

 つまり、基礎年金部分に毎年十兆円もの税金が入っているんですが、それはいいんですけれども、それが、高額受給者だろうが低額受給者だろうが、同じように基礎年金の半額部分に税金の補助が入っている。月四、五十万もらっている人も月数万円の人も、同じように基礎年金の半額にトータルで十兆円の税金の補助が入っているというのはおかしい。高額受給者の税金部分は我慢していただいて、低額受給者に寄せていくということを、我々、与党のときに強く申し上げているところでございまして、法律については、自民党の反対で、これは残念ながら附則になった、こういう課題も一つあります。

 そして、もう一つが、国民年金の報酬比例。今も御紹介いただきました。国民会議でもそういう話があったということで、資料の十九ページを見ていただきますと、自営業はほとんどの国で固定の保険料じゃないんですね。自営業の方も、それぞれ収入に応じた何%かの保険料を払って、報酬比例の年金ということになっているわけでございまして、これをぜひ、日本がおかしいわけですから、世界のスタンダードじゃないわけでありますので。

 それと、これに関連をして資料でおつけしておりますのが、十二ページから、昭和三十五年に国民年金が導入されたときの議事録、国会答弁でありますが、年金局長は、国民年金、自営業についても、所得比例の考え方で保険料を徴収するという根本の考え方については、これは望ましいというようなことを答弁されているんですね。この十三ページも、十四ページも。ただ、物理的に所得捕捉の方法がないから、まずは当面は固定の定額で始めようと。まずは当面始めよう、そういうようなことで始まったものが、五十年間ずっと定額になっちゃっているんですよ。

 しかも、初めは自営業の年金で始まった国民年金が、今や、自営業は二割、あとは無職とか被用者、こういうことになっていて、ここを手をつけないとだめだということで、我々は提言をして、消費税を上げるまでに年金制度をまとめましょう、自公民でということを、覚書を、三党合意をつくって、それで提言をしているわけでございます。

 ぜひ、今、個別の具体的問題、非正規の問題、税金が高額受給者にも平等に入っている、おかしいんじゃないのかという問題、そして、国民年金が報酬比例、ほかの国はほとんどそうなのに日本だけが定額、イギリスも一部はそうなっておりますけれども、そういう問題について、これは田村大臣、田村大臣個人的には、では、年金制度は変える必要があると思うのか、そうでないのか、この御所見をお聞かせいただきたいと思います。

田村国務大臣 年金をたくさんもらっている人から引っ剥がせという話だと思うんですが、将来の人生設計を途中で変えちゃうというのは果たしてどうなのかと思いますが。

 そもそも、高年金者の方々は所得代替率がすごく低いんですよ。多分御承知だと思いますよ。これはちょっと古い資料なんですけれども、大体トレンドは変わらないと思います。夫婦世帯で二十万円の収入の方々ですけれども、所得代替率七三。非常に高いんです、低所得者の方々は。それが、夫婦で七十万の方は所得代替率三六%なんですよ。

 ただでさえそういう制度設計になっているんです。そこからさらに取るなんという話になれば、もう年金なんか入らない方が得だという話になっちゃいますよ。払った以上にもらえないなんという話が出てくるわけですよ。

 だから、我々は、そういうものを考えるならば、年金の世界でやる話じゃなくて、それは税でやるというのが一つの考え方だと思います。収入の多い方々、そういう方々から税で取って、低い方々に何らかの形でつける。それは、福祉的給付という形で、前回、去年でありますけれども、三党で合意した上でやったわけですよね。そういう考え方にのっとったわけですよ、あのときは。

 それから、あと、おっしゃられた中においては、自営業、これも所得比例をつくればいいと。できればそれは、それも一つの考え方かもわかりませんが、そもそも標準報酬月額はつくれません、自営業者は毎月毎月収入が変わりますから。農家は年に一回の収入、こういうような、まあ、農家の種類にもよりますけれどもね。だから、それぞれ難しい中において、今こういう制度を導入しておる。

 もし、明確にいろいろなことができるというのなら、私もどんな制度があるのか教えていただきたいと思います。

 それから、さらに申し上げれば、比較的に年金の情報のある主要国を見ますと、日本と同じパターンは、イギリスがそうであります。国民年金は、イギリスは、同じような、報酬比例じゃありません。それから、報酬比例の国というのは、アメリカ、スウェーデン。さらには、国民年金だけ、自営業者だけというような形で報酬比例をつくっておるという国は、それはあります。一元化じゃない。これはドイツやフランスであります。そのような形で、それぞれ、世界じゅう、制度が違うということでございます。

 でありますから、我が国は、国民年金基金などというような制度で、上乗せするような制度をつくっておるということでございます。

長妻委員 時間が参りましたので、これで質問を終わりますけれども、ただ、できない理由を山ほど言うのが年金担当大臣の役割なのかということは、ちょっと強く申し上げたい。

 イギリスでも、高額の自営業者は定率で払っていますから。しかも、それは年金額に反映されません。

 あるいは、所得代替率が高額受給者は低いから、それはおかしいんじゃないかということは、これは今、格差社会で所得再分配をする、こういう社会保障の流れから、私の考えとはかなり違うということを申し上げ、この二十ページに、こういう高額受給者の税金をカットする法律を我々は出したんですね。国会に出していますので、ぜひ、こういう年金のいろいろな課題について、全部今の制度で大丈夫、大丈夫、大丈夫という答弁を繰り返すんじゃなくて、せめて検討ぐらいは大臣の責任でしていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

松本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五分開議

松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 定足数が足らなかったということで始まりが少しおくれましたけれども、うちも一人来ていませんので大きなことは言えませんけれども、ぜひ、与党が責任を持って定足数を満たしていただきますようお願いを申し上げたいというふうに思います。

 時間が限られていますので、早速質問に入ってまいりたいというふうに思います。

 まず冒頭に、午前中も話がありました、インフレになった場合に実質的な年金支給額が目減りをするという問題、きょうも柚木議員からはさまざまなパターンについて緻密な議論というのがあったんですけれども、その中で、例えば、物価が上がるのに合わせてではなくて、賃金の方の上昇がおくれるようなパターンというのもありましたけれども、ただ、私もちょっと、複雑で、正直言ってなかなかついていけない部分があって、私はもっと単純に考えているんです。

 この間、この委員会での質疑を通してわかってきたことというのは、まず第一には、アベノミクスで物価が順調に上昇していけば特例水準が思ったより早く解消する可能性が高いということ、それから、特例水準が解消されると、今度はマクロ経済スライドがスイッチオンになって、そして、マクロ経済スライドが発動されれば、年金額の改定率というのは、物価の上昇率から一%程度、〇・九であったり一・二であったりしますけれども、スライド調整率が引かれますから、当たり前ですけれども、年金支給額は物価ほど上昇しない、ですから、名目の金額がふえても実質的な年金支給額は目減りをする。ここまでは、多分、皆さんアグリーなんだというふうに思うんです。

 十七日の委員会の会議録を、私、もう一度読ませていただきました。そうすると、大臣は、マクロ経済スライドというのはそもそもそういうものなんだという趣旨の答弁をされているんですね。私は、それもそのとおりだと思うんです。うちのほかの委員がどう言われるか、ちょっとわかりませんが、私は、ある意味、大臣の答弁というのはそのとおりだと思うんです。

 ただ、問題は、きょう午前中も長妻議員も触れられておりましたけれども、国民の皆様、特に高齢者が、アベノミクスでこのままインフレがどんどん進んでいくと、実質的な年金支給額が目減りをするということを十分に本当に理解されておられるのか。きょうもその議論がありました。

 それから、マクロ経済スライドという仕組みは、確かに、本来そういう仕組みであって、それが働かなければ年金財政の長期の安定というのは得られないわけでありますけれども、急激なインフレと、本来は別の話でありますけれども、例えば消費税率の引き上げというのが偶然に重なってきた場合に、何も手を打たないで年金生活の高齢者の生活というのが本当に守れるのかどうなのか、ここはまた別途の議論が私は必要だというふうに思っているんです。

 こうしたことは、何も我々が野党として委員会で指摘をしているだけじゃなくて、いろいろな識者の方々もこのようなことは指摘をされております。

 私は、その代表的なものをきょう資料として皆さんのお手元に配らせていただいております。

 まず一つ目は、大和総研の主席研究員、鈴木準さんが書かれている記事でありますけれども、エコノミスト誌の記事です。

 「どうなる年金 物価上昇分ほどは増えず 二十年で二割の減額が待ち受ける」というふうに書かれています。下線を引いてある部分の後半部分ですけれども、「一%のスライド調整率が二十年間続けば、年金受給者の購買力は約二割低下する。また、実質賃金上昇率を一%とすれば、現役世代対比でみた年金受給者の生活水準は三割以上低下する。」ということが書かれています。

 それから、もう一つの論説ですけれども、一枚めくっていただくと、「二%インフレの隠れた目的」という、小黒一正一橋大学准教授の論説であります。

 ここで書かれているのは、マクロ経済スライドが順調に稼働したときは、「貧困高齢者が急増していき、今の若い世代が高齢者になる二〇五〇年には約二五%にも達する。」とし、「このような年金給付の実質的削減こそが、二%インフレの実現を期待するもう一つの隠れた目的なのである。」というふうな指摘をされているんです。

 そこで、改めて、もうこの間、何回も何回もこの委員会で議論されていることでありますけれども、今、私が紹介をした識者のこの文章を見ていただいて、二年で二%というインフレを政策誘導するのがアベノミクスですよね、そのことによって実質的な年金支給額が目減りをする、それが消費税率の引き上げと他の負担増と重なってきたときに、高齢者の暮らしは本当に大丈夫なのか。

 それでもなお、大臣は、いや、マクロ経済スライドというのはそういうものなんだから、これは仕方がないのだと言い切られるのかどうなのかということについて、もう一度御答弁をいただきたいと思います。

田村国務大臣 委員もおっしゃられましたとおり、そういうことを前提で民主党政権時代も御理解いただく中において特例水準を解消しようということを御理解いただいて、マクロ経済スライドが実はインフレ下でしかきかないからこういうことになるので、それでは年金がもたないではないかというので、デフレ下できくようにした方がいいんじゃないかという御議論も当時民主党でやられたことも覚えておられるというふうに思います。ですから、そこは共有の認識が自民党にも民主党にもあるんだろうと思うんですね。

 そして、実は民主党の年金制度も、中を見ていただくとわかると思いますが、賃金上昇率に対しまして、みなし運用利回りということで、民主党は、百年間下がり続ける制度設計をやっているんです。我々は、マクロ経済スライドで、厚生年金は二〇一九年まで、国民年金部分は二〇三八年まででとめるんですが、民主党の年金制度案というのは、実は百年間下がり続けるというような制度設計になっていたんです。そこは、だからどうだという話ではないんです。

 どういうことかというと、つまり、年金を均衡させようと思うと、どうしたって今もらっている方々の水準は高い、そして、それを均衡させるためには、その水準を下げていかないと均衡しないという中において、長期計算の中でお互いにそういうものをつくっておるということが年金の仕組みであるということであります。

大西(健)委員 ですから、私は、さっき、まず言ったように、ほかの委員がもしかするとそうじゃないと言われるかもしれないですけれども、私は、マクロ経済スライドというのはそういうものだということは認めているんです。

 ただ、それを、二%インフレを二年間でという急激なインフレを政策誘導するわけです。そのことによって、三年間で解消していこうという特例水準も早く解消されて、スイッチが早く入って、そして、それに、別の話だけれども、消費税率引き上げだとかいろいろな負担増が重なってきたときに、年金財政にとってはこのマクロ経済スライドは必要なんです、ただ、高齢者の暮らしがそれで本当に大丈夫なんですかということを言っているんですね。

 このことはもうこれ以上言っても多分水かけ論になりますから、ただ、今、そのことはこの委員会の審議で私は明らかになったと思います。ですから、これは、私はあえて、アベノミクスの不都合な真実というこのことを、ちゃんと参議院選挙でも有権者の皆さんにお訴えいただいて、そして御理解をいただいて審判を得ていただきたいということをお願いして、次の問題に移っていきたいというふうに思います。

 次に、法案の中身、まず、厚生年金基金制度の見直しについてお伺いしていきたいというふうに思うんです。

 民主党政権で検討されてきた案と今回の案の一番大きな違いというのは、一部の健全な基金を残すかどうかということですけれども、この部分については、我々は既に修正案を提出させていただいております。

 先日の本会議でもこの話があったんですけれども、いまだ、その答弁を聞いても、あえて残す理由というのが私は納得がいかないんですね。そして、そこに、さまざまなことが新聞でも書かれていたりします。

 例えば、手数料を取る銀行業界から残してくれという話があったから残したんじゃないか、あるいは、民主党政権がつくった案をとにかく少しでも変えたいから、そういうことで残したんじゃないかとか言う人もいますけれども、私は、そこに厚生労働省にとって貴重な天下り先になっている厚生年金基金を少しでも残したいということがあったんじゃないか、やはりそういう邪推がどうしても働いてしまうんです。

 私は、厚生年金の一部を国から預かって、そして運用するというこの代行制度そのものが、代行制度があるから年金官僚が厚生年金基金に天下るというその理由になってきたという部分は、これは否めないというふうに思うんですね。

 そこで、改めて、厚生年金基金への天下りの実態について、ここで皆さんと確認をしておきたいというふうに思うんです。

 皆様のお手元に、厚生年金基金への国家公務員等退職者の再就職状況調査という資料をお配りさせていただいております。御確認をいただきたいんですけれども、全体の六三%に当たる三百六十六基金に天下り役員がいて、そのほとんどは厚労省、旧社保庁の出身者なんです。そして、国家公務員OBの役職員数、全部で七百二十一人です。うち、何と六百八十九人が厚労省、社保庁の出身者なんです。これはやはり普通じゃないんですよね。自然な状態ではないというふうに言えると思います。

 そして、三番目の、星印をつけた「公募状況」というところですけれども、ここにはこう書いてあります。「役員に国家公務員再就職者のいる三百六十六基金中、平成二十二年九月以降に役員任期が到来したのは二百基金。うち役員の公募を実施した基金は三十七基金」と書いてあるんです。二百基金その期限が到来したのに、何で三十七基金しか公募をしないのか。これは全く私には理解ができないんです。

 皆さんのお手元には、もう一枚めくっていただくと、過去五年間に厚生年金基金に再就職をした厚労省OBの一覧というのも配付をさせていただいております。これを見ると、二〇一〇年の九月に、当時の長妻大臣が、役員についてはできるだけ公募にしてくださいということを通知している後も、ちゃんとこうやって天下りしているんですよ。

 なぜこの長妻大臣の通知というのが守られなかったのかと考えているのかということについて、田村大臣から御答弁をいただきたいと思います。

田村国務大臣 委員に前段の部分をちょっと御説明させてください。

 先ほど、アベノミクスで、要するに、マクロ経済スライドとそれから特例水準が解消されると言われましたが、実は、二〇一四年に消費税を引き上げます。消費税を五%から八%に引き上げると、当然物価も引き上がるわけでございまして、三%分、これは一概には言えませんが、大体、三%消費税が上がると二%ぐらいは物価が上がるということになりますから、アベノミクスの効果が出る以前に、まず消費税で上がるという可能性があるという中において、今言われたような、年金が上がらないという可能性があるということでございまして、そこは政党の話の中で御理解をいただければありがたいというふうに思います。

 今の点なんですが、これは、私も、長妻大臣のときのことをどう判断するのかというのはなかなか難しい、どうお答えしていいのかわからないんですが、仄聞するとといいますか、私なりに推測をさせていただきますと、長妻大臣がとにかく書簡を出されまして、公募によるものをしろというふうに出されたわけでありますが、実施率が二割という状況でありました。それはなぜかというと、十分に理解が進んでいないとしか考えようがないということであります。

 そこで、小宮山大臣のときに、昨年の三月三十日付で、公募の手続について具体的に定めた事務マニュアル、このようにやりなさいよというようなマニュアルをお出しいただいたということ。それから、各基金の役員の改選時には、改めて、各地方厚生局から基金に対して個別に公募要請を行い、その実施状況について報告を求めることというようなところとしたようでございます。

大西(健)委員 では、田村大臣は、これを踏襲されて、今回、一部基金が残るということですけれども、そこからは天下りを完全に排除していくという方針でやっていかれるつもりなのかどうなのか、お答えいただきたいと思います。

田村国務大臣 それにのっとって、こういうような方針を出されておられますし、我々も考え方は同じでございますから、こういうところに天下りがあって誤解を招くようなことがあってはいけないというような認識であります。

 ただ、一つ言えますのは、人事権は、直接、基金の役職員について我々は解任権はないんですね。ですから、要は、長妻大臣もこれだけ書簡を出されたんですけれども、やめさせることができなかったというのはそこにあるんだと思います。

 ちなみに、これによってどれぐらいの天下りされている基金が残るかわかりませんが、しかし、今、天下りと言っていいのかどうかわかりませんが、OBがおられる基金も、もう解散を打診してきておるような基金もございますので、それも含めて、しっかりとした対応をこちらもさせていただきたいというふうに思っております。

大西(健)委員 確かに人事権はないんですけれども、やはり、言ったことがサボタージュされているんだったら、これはなめられたという話になるので、ぜひしっかりとやっていただきたいと思うんです。

 なぜそこにこだわるかというと、今回、AIJ投資顧問が年金基金を消失させたこの事件で、社会保険庁OBが代表を務めているコンサルタント会社が、OB人脈を使ってAIJをどんどん紹介していった、そのことによって被害が拡大したという指摘があります。

 そのOBというのは石山勲氏なんですけれども、週刊東洋経済に掲載をされた石山氏のインタビューというのを皆さんのお手元にお配りさせていただきました。

 これをごらんいただくと、その中には、このコンサルタント会社をつくったときの資本金もAIJに一部出してもらっている。あるいは、役員にもAIJの関係者がいる。そして、石山氏自身が、社保庁人脈を通じてこのAIJの商品が広がったこと、あるいは自分自身が広告塔に利用されたことについても、一部ちゃんと御本人も責任を認めておられるんです、このインタビューの中で。

 そこで、社会保険庁OB人脈を通じてAIJ事件の被害が拡大したということに関する認識と、その責任について厚労省がどうお考えになっているか。これは年金局長からで結構ですので、お答えいただきたいと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 AIJ事件発生後に、当時の辻副大臣のもとに特別対策本部を設置いたしまして、厚年基金の運用体制についての実態調査というのを行っております。

 その中で、AIJに委託の実績のあります八十八の基金につきまして、どういう経緯でAIJを知ったのかということについて調査をいたしております。それによりますと、AIJを知ったきっかけとして一番多いのは、個別の勧誘によって契約に至ったというのが約五〇%。それから、ほかの基金から話を聞きましたというのが一四%。運用コンサル経由というのは五%ということになってございます。

 この八十八の基金の中には、国家公務員のOBのいる基金、いない基金があるわけですけれども、それぞれ別々にとりましても、この割合にはほぼ変わりがなかったということなので、御指摘のそのOBの方がどういう御認識かということはさておき、この調査結果から見ますと、OBの存在とAIJの委託というのがOB人脈によって広まったということは直接にはちょっと言えない、そういう状況にあろうかと思います。

 また、別途、基金の運営に関しましては、さまざまな形で透明性を確保するということで、今さっきの役職員の公募のこともそうですが、あと、こういった運用のコンサルを使う場合には、金融商品取引法に基づく登録を行っていること、あるいは当該コンサルと個別の運用会社との間に関係がないことを確認するといったようなことを、運用のガイドライン上明確にして、そういう取り扱いをするようにという指導を行っているところでございます。

大西(健)委員 今の答弁は私はちょっとびっくりしたんですけれども、ここに至っても、関係ないんだとおっしゃるというのがどうなんだろうなと。確かにコンサルから直接聞いたわけじゃないけれども、それぞれの基金にOBがいて、横で連絡をとり合ったりして、こんな商品があるぞみたいなことは恐らくやっていて、それがやはりつながっていることは間違いないと私は思うんですね。

 いろいろな、今そういうデータを示してということでありますけれども、私は、やはり素直にお認めになった方がいいんじゃないかなというふうに思います。

 それから、AIJの営業、販売部隊を担っていたのはアイティーエム証券という会社ですけれども、実は、後藤法務副大臣は、このアイティーエム証券との関係について、過去にインタビューに答えられています。

 そこで、本日は、後藤副大臣に本委員会に出席をお願いしておりますので、直接、事実関係を確認させていただきたいと思います。

 まず、後藤副大臣、アイティーエム証券の株式をこれまでに取得をしたことがありますか。取得の時期、保有株数、それから、そうした事実関係とあわせて、取得に至った経緯について御説明いただきたいと思います。

後藤副大臣 委員にお答えを申し上げます。

 私は、現在、アイティーエム証券株式会社の株式を二百株保有をいたしております。これらは全て、国会議員に初当選する前の平成十二年に購入したものでございます。

 大蔵省退職後、当時、マスコミでも、新しい業態の証券会社として取り上げられておりましたアイティーエム証券の株式の購入を知人らに勧められまして、資産の運用の一つとして購入したものと記憶をいたしております。

大西(健)委員 ありがとうございます。しっかりと事実関係を説明いただきました。

 もう一つ確認したいんですけれども、アイティーエム証券の関係者から、寄附を受けたり、パーティー券を購入してもらったことというのはありますでしょうか。

後藤副大臣 パーティー券につきましては、私の政治資金管理団体である藤信会において、アイティーエム証券に、平成十三年六月七日に四十万円、平成十四年六月十八日に四十万円を購入していただいております。

 寄附については、藤信会において、アイティーエム証券の代表取締役である西村氏から、平成十二年六月十三日に五十万円の寄附を受けております。

 また、自由民主党長野県第四選挙区支部において、アイティーエム証券から、平成十五年十月三十一日に十万円、平成二十一年十一月二十七日に十万円の寄附を受けております。

大西(健)委員 後藤副大臣から、隠すことなく、しっかりとお答えをしていただいたことについては感謝を申し上げたいと思いますけれども、AIJにとっては、過去のことではありますけれども、いまだ株式は取得したままになっているわけですよね。大蔵省証券局総務課での勤務経験を持っておられる副大臣が株主に名前を連ねておられるということは、これはある意味で、会社の信用力を担保する意味で、大きな意味があったというふうな捉え方もできるというふうに思います。

 老後の支えであるはずの年金資産二千億円が消失したというのがこのAIJの事件なんです。この詐欺に遭った被害者の皆さんの憤りや怒りというのははかり知れないものがあるというふうに思いますけれども、今、お答えをいただいたような内容があったということについて、この法案がこの国会に出されていて、それを出している安倍内閣の一員である副大臣がアイティーエム証券とそういう関係にあったということについて、それを知った被害者の方々がどういうふうに感じられるのか。

 そのことについて、副大臣みずからの責任についてどう思われているか、お答えいただきたいと思います。

後藤副大臣 御質問にお答えする前に、一つ補足をさせていただきます。

 先ほど申し上げましたパーティー券、寄附金等につきましては、副大臣に就任するに当たりまして、政治資金法にのっとりまして適正に届けられたものであるというふうには思っておりましたけれども、社会の耳目を集め、多くの被害者を出した事件の関係者や会社からの寄附金等であるために、全額返金することといたしまして、当時、顧問弁護士を通じて、相手方弁護士に、なかなか連絡がとりにくかったのでありますけれども、本年二月一日に全額返金をいたしていることだけはちょっと補足をさせていただきたいというふうに思います。

 また、アイティーエム証券の株主となったことは事実でありましたけれども、AIJとアイティーエム証券の資本関係や取引関係ができたのは、当時は私は全然知りませんでしたが、それから大分たってからのことではあります。

 私は株主でございましたけれども、アイティーエム証券の経営には一切タッチしておりませんでしたので、本件についての詳しい事情は現在でもよくわかりません。

 しかし、経営再建のためにAIJの実質的支配下に入ったアイティーエム証券が投資家に迷惑をかけたということは、株主としてもまことに残念なことであるというふうに思っております。

大西(健)委員 返されたということは私は適切なことだと思います。ただ、先ほども言いましたけれども、いまだにその株式を持っておられるわけですから、今、この法案がここにこうやって出されて俎上に上がっているわけですから、被害者の皆さんがそれをどうお感じになっているかということは、ぜひ胸にしっかり手を当てて考えていただきたいというふうに思います。

 後藤副大臣、ここで結構ですので、ありがとうございました。

 次に、第三号被保険者の記録不整合問題への対応について質問していきたいというふうに思うんですが、まず確認をさせていただきたいというふうに思います。

 本法律案では、公布の日から特定保険料の納付の期限までのおよそ四年九カ月にわたり、年金額を現に受給している額のままとする特例措置を講じていますけれども、この四年九カ月という期間の過払い相当額については後で返還を求めるのかどうなのか。

 このことについて、求めるのか求めないかということを、事務方からで結構ですので、端的にお答えいただきたいと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 御指摘のありました、納付実績に見合った追納が行われなかった部分につきましては、追納期間終了後に額を改定する。それから後につきましては、認定いたしますが、さかのぼって返還を求めるということはいたさない対応になっております。これは、一昨年、民主党政権時代に決しました、昨年の解散で廃案になりました法案と同じ内容でございます。

大西(健)委員 そうなんですね、返還を求めないんです。

 それでは、今から私が会議録を読みますので、大臣、ちょっとこれをよく聞いておいてください。

  過去に保険料の納付に基づかなく支給されたものについて、あえて遡及をして返還を求めないという、やはり我々そもそも、元々やっぱり保険料に基づいて初めて年金は支給される、その原則はしっかり堅持すべきだと思いますが、それ以上に、私自身、問題になっているのは、過去の分ではなくて、これから五年間分も含めて遡及を求めないという中身になっているわけであります。

  簡単に申し上げますと、公布して半年以内に施行されるということになっております。そして、施行後二年たったところで先ほど御説明があった特例納付が行われ、そして特例納付は三年間でございます。それの終了するまでは今と同じように払われ、しかもその分については運用三号で適用された方は除外されておりますけれども、それ以外の方の分については払い続けると、こういうふうになっているので、これまでだけでもいろいろ問題があるし、これから五年近い分についても遡及をしないという原則論はいかがなものかなと。

という会議録なんですけれども、大臣、今私が読んだ会議録、誰の発言かおわかりですか。もしわかれば。私、田村大臣だったらわかるんじゃないかと思うんですけれども。

田村国務大臣 いろいろな思いの中で、私が申し上げたんだろうというふうに思います。違いますか。

大西(健)委員 済みません、大臣じゃないんです。大臣じゃないんですけれども、これは、昨年七月十九日の参議院の社保・税一体改革特別委員会での加藤勝信衆議院議員の発言なんです。加藤議員は、ずっとこの委員会で田村大臣と一緒に理事を務めておられました。現在は安倍内閣の官房副長官です。

 今読み上げた会議録の発言は、先ほど局長に答えていただいた内容とは全く逆のことを言っているんですね。与党になって考え方が変わりましたというのは、私はあっていいと思います。思いますけれども、問題は、この発言がなされた文脈なんです。加藤氏のこの発言というのは、今、同じく安倍内閣で官房副長官を務めておられる世耕議員の質問に対して答えているんです。

 世耕さんがまずこう言っているんです。「さて、これ、自民党としてこの主婦年金追納法案の早期成立に協力する用意があるのかどうか。今、長妻さんからも言われました。これは我が党の年金問題のスペシャリストである加藤勝信議員にお伺いをしたいと思います。」そう言って、今度は加藤さんが、「今回出していただいている法案について、与党側から早く審議をする云々という議論もあります。しかし、同時に、やっぱり中に幾つか私は問題点があると、かように考えております。」と言っているんです。そこで、今度、世耕議員が、「じゃ、具体的に、加藤議員、何が、今出ているこの主婦年金追納法案の問題点、自民党として懸念している点なんでしょうか。」と言って、先ほど私が読み上げた会議録になっているんです。

 つまり、自民党が主婦年金の追納法案の早期成立に協力できないその理由は、今言った、五年分を返還しないということが問題だから応じられないと言っているんですよ。

 これは、さっき午前中に古屋委員の質問に対しての大臣の答弁でいろいろ言われましたけれども、今言ったように、安倍内閣が出している法案と、今二人の官房副長官が、安倍内閣の官房副長官がですよ、過去に、こういう理由だから審議にこれでは応じられないと言っていたのと同じ法案を出してきているんですよ、今。

 午前中は、古屋委員の質問に対して大臣はあのようにお答えになりましたけれども、先日の本会議でも、長妻委員から、何で我々が出したときには審議してもらえなかったんですかと言ったら、それは、社保・税一体改革関連の法案の審議もあり、結果的に衆議院解散で廃案になったと言っていますけれども、これは今の会議録を読むと違うんですよ。今の会議録を読めば、審議してやってもいいけれども、五年分の過払い相当の返還を求めないようになっているから審議には応じられないんだと言っているんです。

 そして、今、皆さんがだめだと言った同じ内容の法案を出して、我々に審議してくださいと言っている。これは私、理不尽じゃないかと思うんですけれども、大臣、どうなんでしょうか。

田村国務大臣 私が言ったのかなと思っていましたが、違っていまして、済みませんでした。

 実はいろいろな議論があったんです、自民党の中で。加藤さんのような御議論、私はその中間だったかな。あと、いやいや、民主党のような意見も一つとしてあるねという御議論もありまして、党の中で意見を集約しなきゃならない。しかし、ほかにもいろいろな法案がありますよね。それぞれ、自民党の中で党内手続をやっていかなきゃいけないわけであります。

 一方で、国会では、閣法でいろいろな法案が出てくる中で、私はその当時、野党の筆頭理事、当時の与党の筆頭理事の方の名前はあえて言いませんけれども、その方といろいろな御議論をやっておりました。時間をかけて、どうしようと段取りを組んだときに、いや、この運用三号、この法律ですよね、年金の記録の不整合問題、この法案をやるのには党内で議論をしなきゃいけないけれども、どれをやろうといったときに、早いものからお願いします、こういう議論だったんですね。

 もう一つ、大きな問題がこのときにありましたが、それはもうここでは申しません。どうしてもおっしゃれと言うのならば、それはその方の御許可を得て申し上げますけれども、大きな問題があったんです。その問題を乗り越えるか乗り越えられないかというのは、この法案を審議する上で大変大きな問題点であった、御議論であった。こういうことがあったことも実は理由でありますが、もうこれ以上聞かないでください。聞かれない方が私はいいと思いますよ。

大西(健)委員 その話と、この間の本会議の答弁と、今言っている、この会議録に残っていることは違う。五年分の返還を求めないことが理由だから審議できないとおっしゃっているわけじゃないですか。そう会議録にしっかり残っているじゃないですか。それと同じものを出してきておられるんだから、そこは、いろいろあったけれどもと、そこぐらいは何かもうちょっと謙虚な御姿勢があっても私はいいんじゃないかというふうに思いますけれども。

 そのことや、きょう最初に取り上げた、インフレになっていけば年金の実質的な支給額が減るというようなことを、やはりこの国会の審議を通して国民の皆さんに私はよく知っていただくことが必要だというふうに思いましたので、きょう、こういう質疑をさせていただきました。

 ぜひ謙虚な姿勢で、今、我々は修正案も出しておりますので、修正案への歩み寄りも含めて、また審議をお願いしたいということを最後にお願い申し上げまして、時間が来ましたので私の質問を終わらせていただきます。

松本委員長 次に、山井和則君。

山井委員 三十分間、質問をさせていただきます。

 柚木さん、大西さん、長妻さんからも話がありましたが、アベノミクスによるインフレによって実質年金が目減りしていく問題、この問題は、本当は安倍総理に重要広範議案ですから質問したかったわけですが、重要広範議案なのに安倍総理が出てこないということに強く抗議をしたいと思います。

 それで、先ほど、大西さんが本当にいい議論をされました。「どうなる年金」、先ほどの大西さんの配付資料でありますけれども、要は、ポイントは、物価上昇分ほどはふえず、実質減額になってくるということなんですね。ですから、この鈴木準研究員のペーパーにも書いてありますように、購買力は二割低下する。名目は据え置かれても、購買力が低下したらしようがないわけであります。

 さらに、次の二ページ目のペーパーにおいても、アベノミクスの副作用、つまり、二%インフレを目指す隠れた目的として、「このような年金給付の実質的削減こそが、二%インフレの実現を期待するもう一つの隠れた目的なのである。」というふうに書かれております。

 ですから、田村大臣、まず最初にお伺いしますが、結局、二%インフレの実現を目指すと年金給付が実質的に削減になっていく、こういう認識、これは共有するということでよろしいですか。

田村国務大臣 冒頭、大西委員には、同じ法案を出させていただいておりますので、そこは謙虚に、民主党案を、出させていただいているということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 それで、今、山井議員の御質問なんですけれども、これは、もう委員も重ねておっしゃられずとも十分に御理解をいただいて、委員も与党のときに、この年金制度案というのがわかっておられる中で、特例水準の解消も、そして、マクロ経済スライドが発動されないということで、年金が危ないのではないかというお話もされておられたわけでございますから、当然のごとく御理解をいただいておられるという意味でおっしゃったんだというふうに思いますが、まさに、物価が上昇したときに物価分だけ年金が上がらないということで世代間の公平というものをだんだんに実現していく、こういうような制度であるわけですね、これは。

 だから、もしこれをしないとどうなるかというと、ある日突然、年金がもらえないというような世代が出てくるわけでございます。そうはできないわけでございますので、徐々に、物価が上がっているときに名目額は下がりませんよ、マクロ経済スライドはあくまでも名目額を下げてまではかかりません、しかし、物価が上がっているときに、物価が上がった分と同じだけ年金の支給額が上がらない。つまり、実質で年金の価値が今よりも下がって、それが将来的に所得代替率という形で、今よりも所得代替率が下がる。ただし、五〇%というものはしっかりと守りましょう。

 これは、モデルケース、三十五万八千円の世帯での所得のところでございますけれども、こういうルールで平成十六年に出させていただいた法律ということで、一度の改定、二十一年の財政検証を経て現在に至っておるということでございます。

山井委員 きょうは朝から田村大臣の答弁は逃げて逃げて逃げて、私たちは、マクロ経済スライドの問題点を言っているんじゃないんです。そのことはみんな言っているんですから。要は、二%のインフレターゲットの問題点を言っているにもかかわらず、田村大臣は、わかっていながら、全てマクロ経済スライドの問題にすりかえて答弁をされているわけであります。

 では、聞き方を変えましょう。

 マクロ経済スライド、二〇一五年にはマイナス一・二%ですね、物価上昇引く。一六年はマイナス一・一、一七年はマイナス一・一。では、二%インフレ目標をアベノミクスで目指すということが、マクロ経済スライドが一部ではなくてフル発動することを加速する、そういう理解でよろしいですか。要は、インフレ率が一・二とか一・一以下だったらマクロ経済スライドはフル発動しないわけですから、フル発動しやすくさせるということでよろしいですか。

田村国務大臣 わなにははまらないように、よくよく用心深く答えます。

 賃金上昇率とのバランスがあるわけでございまして、仮に物価上昇率と賃金上昇率が同じ以上ですね、賃金が。つまり、実質賃金上昇率がゼロ以上ということを前提に考えますと、今委員がおっしゃられたように、一・二、マクロ経済スライドがかかるときに、一・二以上の物価上昇率、賃金上昇率、こういうものが実現されたときに、そのままマクロ経済スライドが、その年予想されたものが全て発動する。これがもしされなければ、年金は破綻の道に進んでいくわけですよね。

 マクロ経済スライドが計画的に実行されるから長期的に年金というものは財政均衡するわけでありますから、我々は、常にそういうような経済状況をつくらなければ年金は長期的には安定しない、これが年金の制度設計でございます。アベノミクスは関係のない話であって、アベノミクスであろうとなかろうと、そのような経済状況をつくらなければ、そもそも年金が持続可能ではないという制度であるということであります。

山井委員 幾ら言っても、そこは逃げて逃げてということであります。

 安倍総理の答弁をちょっと見てみたいと思います。

 配付資料の十二ページ、これは党首討論ですね。四月十七日、海江田代表との党首討論。

 海江田代表は、私たちがきょう議論しているのと同じことを実は言っているんですね。「今のような急激な二%の物価上昇ということは考えておりませんでしたから。ごく短期の間にですね。」民主党政権のときは、そんなことは想定していなかったんですね。それで、線を引いてありますように、「物価が上がったときに、例えば年金生活者はどうすればいいんですか。」と、実質目減りするという問題点を党首討論で指摘をしているわけです。

 これに対して、安倍総理が何と答えているか。十三ページの上、「物価が上がっていけば、物価スライドしますから年金は上がっていく」という答弁を安倍総理はしておられます。

 田村大臣、このとき、物価が上がっていけば物価スライドしますから年金は上がっていくわけですということですが、安倍総理が言っているのは、名目のことを言っているんですか、実質のことを言っているんですか。

田村国務大臣 二つとも読み取れると思いますけれども、普通は、物価が上がったときに物価と同じだけ賃金が最低上がる、つまり、実質賃金上昇率がゼロ以上であるということを普通は経済状況の中では想定するわけですね。実質賃金がマイナスなどということになれば、まさにそれは生活がしづらい、経済政策的にはいい状況ではありません。普通よりも悪い状況でありますから。

 だから、普通に考えれば、実質賃金はゼロ%以上と考えれば、物価が二%上がれば名目賃金も二%上がっておるということでございますから、そうなれば、物価スライドがそのまま発動されます。

 ただし、そこでマクロ経済スライドというものがかかりますが、二%であるならば、〇・九から一・二、三ぐらいのマクロ経済スライドでありますから、そういう意味からすると、名目では残りの差額分上がったことになりますから、年金額というものは、名目額、つまり実額では上がったという話になると思いますので、そういう想定のもとで総理がおっしゃっておられるというふうに私は理解いたします。

山井委員 田村大臣の答弁によると、これは名目ということですね。実額、名目。

 では、実質の年金は、物価が上がっていけば上がるんですか、下がるんですか。

田村国務大臣 これも、わなにはまらないように。

 物価と同じだけ賃金が上がっておればということで、名目賃金と物価上昇率が同じ、イコール以上というふうに設定した場合でありますけれども、この場合は、当然、マクロ経済スライドがかかりますから、そうなれば実質は物価以上には上がらないわけでありまして、それが、この厚生年金といいますか、厚生年金のみではない、公的年金の制度なんですよ。

 これは山井先生はもう十分に、厚労族として御造詣の深い方でありますから、そんなことは百も、二百も、千も、一万も、十万も承知でおっしゃっておられると思うんですが、そういう制度でございますから、これはもうそういう制度として御理解をいただくべきであろうというふうに思います。

山井委員 田村大臣おっしゃるように、マクロ経済スライドも働くわけですから、実質年金は下がるんですよ。田村大臣はわかっている、私もわかっている。問題は、安倍総理はわかっていないんじゃないのということなんですよ。

 田村大臣、わかっているわけですか、実質下がるということを安倍総理はわかっているということでいいんですか。事務方に聞かなくていいでしょう、そんなことは。田村大臣。

田村国務大臣 済みません、ちょっと議事録をすぐ出させようと思っていた……(山井委員「これ、これ」と呼ぶ)いや、これではなくて、予算委員会でこの議論をまたやっているんです。参議院の予算委員会でしたか、その中で、マクロ経済スライドのことをたしか言われていたのではないのかなという記憶でございましたので、今それを捜しておったわけであります。

 私の記憶では、マクロ経済スライドのお話をされておられたというふうに思いますので、そのことは御理解をいただいておられたのではないのかなというふうに思っております。

山井委員 マクロ経済スライドのことをわかっていたら、これはテレビ、生中継が入っているわけですから、党首討論、その場で、物価スライドになれば年金は上がっていくんですとは、私はちょっと言い切れないと思いますよ。なぜならば、今も田村大臣お認めになったように、物価が上がってもマクロ経済スライドで実質年金は下がるんですから。

 年金生活者にとっては、名目の賃金上昇率と実質の賃金上昇率と、どっちが重要だと思われますか、田村大臣。

田村国務大臣 これも、もう委員も百も承知でおっしゃっておられるんだと思いますが、そうやって物価も下がっているから年金もその分だけ下げさせてくださいと言って、お叱りをいただいて、結局下げないということを我々自公政権時代にやっちゃったんですよね。

 それはなぜかといいますと、お聞きをすると、実額が下がるというのは、幾ら物価が下がっているからといって、余りにも精神的に影響がある、だから、実額が下がるということは、これはやはり余りにも厳しいのではないかというお叱りの言葉が当時多くあったことも事実であります。

 ですから、そういう意味からいたしますと、もちろん実質も大事でありますが、やはり名目額も大事でございまして、名目額が上がるというのは、確かに、実質的にいえば物価上昇率よりも下がっている、低いかもわかりませんけれども、年金が実額で下がるよりかは、上がる方がまだいいという御判断をされる方々もおられる。これはもうそれぞれでございます。

 でありますから、言われている意味はよくわかるんですが、制度としてこういう制度でつくられておるわけでございまして、これは、この制度、厚生年金、国民年金という今の制度がある限り、こういうことが起こってくるわけでございます。

 重ねて申し上げれば、同じような、全く同じとは言いません、全く同じとは言いませんが、同じような仕組みが、民主党の年金案の中でも、これはみなし運用利回りという形で、マクロ経済スライドに近いようなもので下がっていくという制度がついておりますので、そういう意味では、年金というのは、長期的にはそういうことをしませんと、今は要するに支給水準が高いですから、これを長期的に均衡させようと思うと、そういうことをして世代間の公平を図っていくということをやらざるを得ないというのがお互いの共通理解だというふうに私は思っております。

山井委員 田村大臣、答えられないんですよね。実質と名目の年金上昇率、どっちが大事か。生活者にとったら、実質の方が大事に決まっているじゃないですか。

 田村大臣も、マクロ経済スライドがそういう制度なんですと、そこまでおっしゃるんだったら、党首討論、全国民が見ている前で、安倍総理も正々堂々と、申しわけありませんが物価スライドで実質の年金は下がりますと言ったらいいじゃないですか。このテレビ討論を聞いた多くの高齢者は、ああ、実質の年金は上がるんだなと普通思いますよ。私は、一歩間違うと国民をだましたことになりかねないと思いますよ。

 例えば、その下の段落に、「皆さん、この三カ月間だけで私たちは四万人の雇用を生み出すことができました。」これも本当ですかと後で調べたら、求人数がふえただけで、雇用はふえていないんですよね。非常に雑なんですよ。

 だから、私は、田村大臣に言いたいのは、もし安倍総理が、実質年金がマクロ経済スライドで下がると知っているにもかかわらず党首討論で上がるんだと言うんだったら、これは非常にだましに近い発言だと思いますし、私は、本当にちょっと、御存じないんじゃないかというふうに思わざるを得ません。

 その理由は、次のページをお願いします。十四ページ。

 田村大臣が先ほどおっしゃったように、我が党の大久保勉議員が参議院の予算委員会で質問したんですね。線を引いております。「アベノミクスがめざす二%の物価上昇目標により、年金受給者の生活が苦しくなると追及。」

 だから、民主党は実質のことを言っているわけですよ。名目じゃないんです。生活が苦しくなるか楽になるかは実質年金に決まっているじゃないですか、そんなもの。

 この議事録で、どう言っていますか。十五ページに移ります。

 「安倍総理に質問します。」と。線を引いてあるところを読み上げますよ。大久保勉議員です。「年金受給者が二%のインフレでどのような影響を受けるか」「物価目標二%が達成され、その後しばらく二%前後の物価上昇が続いた場合、年金生活者にとっては生活が私は苦しくなると考えます。」

 実質年金が下がるんですから当然ですね。二%のインフレになった場合に〇・九%マクロ経済スライドを引くことになっていますから、事実上、二%の半分、一・一%しか年金の支給は上がらない、これは当然ですよね。

 それに対して、安倍総理はどう答弁しているか。下の段落です。線を引いたところですね、安倍総理の答弁です。

 「しかし、しかしですね、ここは大切な点なんですが、もし二%上がっていけば、皆さん、初年度は間に合いませんから」、初年度というのは今年度ですね、間に合いませんから、十月に下がる。しかし、「一%下げなければいけませんから、次の年」、来年ですね、来年度からは「下げなくてもいいんですよ。一%下げなくてもよくなるんです。」と答弁をされています。

 これは、二%ことし物価上昇になれば、来年の特例水準引き下げ、一%下げなくてもよくなるんですか。

田村国務大臣 まず、初めの海江田代表とのやりとりですけれども、海江田代表も余り正確じゃない御質問をされているんですね。アベノミクスで急激に二%物価が上がったら、そうしたらこれはどうなるんですかと言った後に、年金者の生活は苦しくなるでしょうと。

 これは、そういう制度ですから。皆様方も御理解をいただいて運用してきた制度ですから。アベノミクスであろうと何であろうと、マクロ経済スライドがかかる率よりも上の、要するに物価スライドが年金にかかれば、そのマクロ経済スライド部分は吸収をされる制度でございますので、多分、海江田代表もそんなことは十分御承知でおっしゃっておられたと思いますので、まず御質問からして、ちょっと私は何やらよくわからない御質問だなというふうに思うわけであります。

 その上で、「もし二%上がっていけば、皆さん、初年度は間に合いませんから一%下げなければいけませんから、次の年からは下げなくてもいいんですよ。一%下げなくてもよくなるんです。」ということでございますので、初年度というのは今年度ですか、今年度二%上がれば、来年度残り一・五%ですから、一・五%を来年度これで全部下げちゃうわけでありますから……(山井委員「でも賃スラになるでしょう」と呼ぶ)賃スラ。

 言われている意味がわかりませんが、前提は、済みません、年金のスライドの賃スラというのは裁定時にしか起こらないものでありますから、既裁定の方々は賃スラという制度は導入をいたしておりませんので。

 正確に申し上げればこういうことですか。物価スライドの上限とする中での賃金上昇部分でのスライドという言い方でいいですか。

 そういう言い方からしますと、二%、ここで言っているのは、先ほど来ずっと私が申し上げているとおり、実質賃金上昇率、これがゼロ以上ということ、マイナスではないということを前提にいろいろなことを考えるのが普通であろうということであれば、ここは、名目で賃金上昇率も物価上昇率と同じ二%ですから、すると二%のスライドが起こるということで、初年度一・五残りが残っておる中において、二%、物価上昇率に合わせて賃金上昇もしておりますから、それによって年金が上がるはずのところを、特例水準解消で一・五%がなくなりますので、そうなると、次の年からはもう下げなくていいという話であると思います。それは特例水準部分をですね。

山井委員 非常に不正確なごまかし答弁。

 つまり、物価がどれだけ上がるかじゃないんですよ。今は物価の上げ幅よりも賃金の上げ幅の方が低いんです。その場合、年金改定率は賃金上昇率によって決まるんです。ということは、一%下げなくてもよくなるためには、物価がどれだけ上がるかというよりは、賃金が一%実質上がるかどうかによってこれは決まるんです。物価じゃないんです。

 そして、田村大臣にお聞きします。

 来年四月の改定の時点で、物価の上昇率が一%以上になる可能性というのはあるんですか。

田村国務大臣 まず、正確な説明をさせていただきます。

 賃金上昇率と申しておりますが、使っているのは標準報酬月額、これを使っております。今委員は、足元では実質賃金上昇率はマイナス、つまり、物価上昇率よりも賃金は上がっていないとおっしゃられましたが、二十二年度、二十三年度はプラス〇・三ずつでございます。でありますから、物価よりも賃金の方が上がっているということでございますので、今委員がおっしゃられたことは不正確だというふうに御説明をさせていただきます。

 その上で、来年の四月から一%上がるかどうか、つまり、今年度、物価が一%上がるかどうかということですか。(山井委員「いや、賃金上昇率が一になる可能性があるのか」と呼ぶ)

 実質賃金上昇率をおっしゃっておられるのか、名目賃金上昇率をおっしゃっておられるのかがわかりませんので、再度御質問をお願いいたします。

山井委員 年金改定にかかわる賃金上昇率を聞いているんです。

 もう少し言いますと、これは三年間の平均ですよね、年金改定にかかわる賃金上昇率は三年間の平均なんです。二十二年度、二十三年度、二十四年度です、三年間の平均。今、田村大臣が言ったように、二十二年度〇・三でしょう。二十三年度〇・三でしょう。あと、そうしたら、トータルで三年間の平均が一%になるには、トータル三%上がらないとだめですから、二・四%賃金が二十四年度に上がらないとだめなんですけれども、二十四年度というのはもう終わっているんですよね、この三月に。そんな可能性というのはあるんですか。わかったでしょう、言わんとすること。

田村国務大臣 山井議員、頭を整理しましょう。

 あなたが今おっしゃった〇・三%というのは実質なんですよ。実質賃金上昇率が〇・三%で、名目ではございません。つまり、もし仮に、この二十四年度、三年間の最後の年、これが実質賃金上昇率〇・三だとしましょう。つまり、〇・三、〇・三、〇・三だとしましょう。すると、物価上昇率が仮に一%ですと、実質賃金上昇率〇・三というのを名目にかえると一・三になるんですね。そういうことなんです。

 ですから、名目と実質をごっちゃにされるから、何やらよくわからないような議論になりますけれども、仮に、二十四年度も同じように実質賃金上昇率〇・三%であって物価上昇率が一%であれば、そのときには一%以上をクリアするということになります。

山井委員 でも、それはまだわからないわけですよね、どうなるかは。

 だから、下げなくてもいいんですよということを言い切るから問題なんですよ、これは。全然そんなこと、まだわかっていないじゃないですか。だから、そこを、結局賃金が決まらないと明らかにならないことを、物価が二%上がったらしなくていいと言うから、これはおかしくなってくるんですよ。

 次も同じ話ですよ。

 これは十七ページですね。デフレを脱却すれば年金の減額がとまると。これも結局名目のことを言っているわけですけれども、インフレになった場合、実質には年金は減っていくわけです。

 だから、私、これ以上は言いませんが……(田村国務大臣「そのとおり」と呼ぶ)そうでしょう。そうであれば、実質年金が下がるにもかかわらず、安倍総理がテレビの前でインフレになったら年金は上がる上がる、ふえると言うから、私はこれは非常に不誠実だと思っているんです。

 時間が余りありませんので、来年四月以降、このようなことで、インフレになればなるほど年金が実質切り下げになっていく。それと関連して介護のことを最後に一つお聞きしたいんですけれども、こういう、年金は下がっていく、さらに、聞くところによると、要支援の百三十三万人を介護保険から外すという検討もされていると聞く。

 さらに、先日行われた都市部の高齢者の介護の研究会では、都市部の特養待機者が非常に多いから地方に特養をつくってそこに入れよう、そんなことも検討し出した。そんなことをしたら、家族や知り合いもそこに面会にも行きにくいじゃないですか。私は、これは大反対、現代版━━━━━だと思います。都市部の特養待機者が多いからといって、田舎や地方に特養を建ててそこに入れる、現代版━━━━━です。

 例えば、ドイツでは、老いた木は植えかえるなという言葉があって、年老いた人たちはできるだけ住みなれた地域でいられるようにすべきなんです。それを今回、産業競争力会議に言われたからといって、厚生労働省がそんなことを真に受けて検討する、とんでもない話ですよ、これは。

 このような年金の切り下げや老人医療費の自己負担アップ、それにこの介護保険の切り下げ、こういうのは本当に私は大問題だと思います。介護の要支援を切り離すことは問題だ、そして都市部の高齢者を地方の特養に入れることは大問題だと思いますが、このことについて、田村大臣の見解をお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 今、山井議員から、この議事録の、「今までのデフレから脱却したことによって年金は下がらなくなるんだということは申し上げておきたい」と言われている文言で、やはり名目を言われているということがよくわかりました。実質のことは言っていません。

 やはり安倍総理は名目のことを言っているんです。だから、物価が上がれば年金は上がる。だから、それでいいという話じゃないですか。先ほど来から、わかっていなかったと言われますが、もともと安倍さんは名目のことを言っているんですから、それで何ら問題がなかったというふうに思いますよ、私は、これを見て。

 それで、今のお話でございますけれども、いろいろな御議論があります。それはあります。そういう御議論がいろいろとある中において、介護を受けられる方々、それから提供される方々、保険全体の財政、いろいろなことを考えて政策を決めていくわけでございまして、山井委員のお話はそういうお考えということで承らせていただきました。

山井委員 いや、いろいろな考えがあるというんじゃなくて、ただでさえ、年金は目減りする、消費税もアップする、そういう中で、要支援の百三十三万人を介護保険から外すと本当に大変なことになりますよ。介護の社会化に逆行して、本当に家族の方々も大変になりますし、また、今、週に一回、ホームヘルパーさんやデイサービスに行っている要支援の方々が行けなくなると、うつ病が悪化したり、認知症が早まったり、要介護度が悪化したり、本当に深刻な問題だと思います。

 また、繰り返しになりますが、厚生労働省の仕事は高齢者の尊厳を守ることですから、地方に特養待機者を移すような、そんな非人間的なことはぜひやめていただきたいと思います。

 それに、田村さんも最後認めたように、安倍総理は名目のことしか言っていないんですよ。だから、大西さんもおっしゃったように、実質の年金が下がっていくということを安倍総理は一切おっしゃらない。しかし、年金生活者にとって、生活実感としてより切実なのは実質の年金のことなんです。

 だからこそ、これは、アベノミクスの不都合な真実であって、アベノミクスの副作用であって、アベノリスクなんですよ。ぜひ、田村大臣、安倍総理にこのことは言っていただきたい。アベノミクスによるインフレによって実質年金が下がる、そのことを正直に年金生活者の方々に説明をされた方がいいと思いますということを、ぜひ安倍総理に言っていただきたいと思います。大臣、いかがですか。

田村国務大臣 安倍総理はもう十分に名目と実質のことはわかっておられると思いますが。

 何度も申し上げますけれども、民主党がやられていたような状況の中でデフレが進みますと、年金は破綻します。どんな年金も破綻します。それはもう当たり前のことで、だから、そうならないように、物価も上げ、賃金も上げ、本来の制度がちゃんと稼働するようにしていこう、そして年金が長期的に安定するように。

 ただし、その中においていろいろな問題もありますから、これは長妻先生といろいろなやりとりをやりました、その中でもいろいろな問題点がある、そういう問題点は三党でいろいろと御議論をいただきたいということを申し上げておるので、どうか前向きによろしくお願いをいたしたいと思います。

山井委員 最後に、アベノミクスは年金の実質の切り下げ策であるということを強く申し上げて、質問を終わります。

松本委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 重要法案に対しての質疑ですので、私は、今回の法案に関しての質疑をさせていただきます。日本維新の会の伊東です。よろしくお願いいたします。

 今回御提出いただいた法案、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案ということで、実は、法案の内容としては三つございまして、一に、厚生年金基金制度の見直し、二に、第三号被保険者の記録不整合問題への対応、三に、その他となっています。その他の中に、国民年金法等の一部を改正する法律等のまた一部改正ということになっていまして、私に与えていただいた時間は一時間ですので、この三つに関して満遍なく質疑ができればと思います。

 一と二に関しては、十分というわけではないんですけれども、私自身も質問させていただいていたので、三のその他に関してから、まずは御質問させていただきたいと思います。

 この三のディテール、詳細を見ますと、障害・遺族年金の支給要件の特例措置及び国民年金保険料の若年者納付猶予制度の期限を十年間延長するとなっております。これをまた細かく見ますと、障害・遺族年金と若年者納付猶予制度と二つになっておりまして、まず、障害基礎年金などの保険料納付にかかわるところについてお聞きしたいと思います。

 日本においての社会保障というのは、本当に助けを必要としている方に徹底的に手厚いことをするということだと思っておりまして、日本維新の会としては、自立する個人によって、自立する地域、自立する国家ができ上がり、本当に手助けが必要な人に手厚く保護ができるということを理念にしております。

 それで、障害者の皆様に関して、先日、ある騒動というのがございました。作家の乙武洋匡さんという方がおられまして、銀座の六丁目、詳しく名前は出ておりましたけれども、店の名前は申し上げませんけれども、イタリアンレストランがございまして、かなり有名なレストランだそうですけれども、そこに乙武さんが予約して行こうとしました。

 二階にあるレストランでしたけれども、当然、エレベーターはついておりましたけれども、奇数階にしかエレベーターがとまらなかったんですね。そういうわけで、エレベーターで上がることができなかった。乙武さんは、申しわけないですけれども、抱きかかえて連れていってほしい、そうお願いされたところ、店側の反応として、さて、ここからは報道からの、私自身、報道の一部だけを信用したり、一方的な情報を信用するのはいけないので、そのことを前提として、書いてあることをそのまま申し上げます。

 事前に連絡がなかったので無理です、こういった回答があったそうです。これも、言った言わないの水かけ論ともなっているんですけれども、うちの店はこういったスタイルですのでというような回答もあったそうです。

 乙武さんは、ツイッターでそのお店の実名を公表して、御自身の心情を述べて、このことに対して、ツイッターのフォロワーを中心に、マスコミ、いろいろ巻き込んで騒動となっておりました。昨日のツイッター、SNSの中では少し鎮火する傾向にあったと思うんですけれども。

 こういった事象を捉えまして、障害者、社会保障という観点から、田村大臣に、御意見、御感想をお伺いできればと思います。

田村国務大臣 冒頭御質問ございました件ですけれども、私も、個別の事情をよくまだわからない状況で、どういうお店側の状況であったのか、また、乙武さんがどういうような状況だったのかよくわからないんですが、普通、障害があろうがなかろうが、差別をしちゃいけないわけでありまして、そこは共生の中で、皆が幸せに生きていけるような社会をつくらなきゃいけない、そのために努力をしなきゃいけないわけですね。

 この場合、エレベーターがなかった、なかったというか、二階にとまらなかったということであるならば、お店の方が御協力をして、乙武さんを二階にお連れするような御努力をいただくというのが必要であろうとは思いますが、ただ、そのときのお店の状況がどういう状況であったのかもわかりませんし、そのときの、どういう対応、言葉一つがどういう対応であったかもわからないものでありますから、これ以上のコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、今、障害者差別解消法案が国会に出されておりますけれども、合理的配慮という民間事業者の努力義務があるんですね。これは、細かいことはこれからいろいろと決まってこようと思いますけれども、なるべく障害のある方々が普通に生活ができるように、合理的な配慮をすることを努力義務としておるわけであります。

 そう考えたときに、過度に無理がなければ、普通はいろいろなお手伝い、御協力をして、そのような障害をお持ちの方々が普通に御生活ができるような、そういうようなお手伝いといいますか協力は我々はしなきゃならぬということでございますので、そのような精神にのっとって、これはまだ法律は通っておりませんけれども、そういう精神にのっとって、我々は、日々、社会というものが、障害があろうがなかろうが、人に優しい、そのような環境であるべきであろうというふうに思っております。

伊東(信)委員 大臣、ありがとうございます。

 政治家というのは方向性を示すものでありますから、まだこれから成立なり議論されるであろうという法律に関して、その方向性というのは十分お伝えいただいたと思います。過度に無理がなければ、お手伝いをする努力義務も必要ではないかということです。

 実際問題、障害のある方を抱きかかえて二階に上げるというのは、ある意味、介護の範囲にも入ってくるわけですね。その場合、介護に携わる方というのは専門職でありますように、我々医療従事者もそうなんですけれども、そこにも安全性がなければいけないわけですので、簡単に、では、お店が引き受けて、けががあったり事故があったりしたら、それこそ大変なこととなります。

 ただ、精神として、理念として、政府としての、国としての方向性として、きょうお配りした資料なんですけれども、これは二〇〇七年の内閣府のアンケート調査に対する質問と回答結果なんですね。日本、ドイツ、アメリカの三カ国に対して、障害者の社会参加に対する国際比較調査を行った。

 若干よく似た事例なので、簡単に読み上げます。

 車椅子を使う方がレストランを利用できるようにするためには、レストランの経営者は、店の入り口を階段からスロープに改修したり、車椅子でも使えるトイレを整備したりする必要があります。また、視覚障害者や聴覚障害者の人が、企業の会議に参加できるようにするためには、点字の資料を用意したり、手話通訳を用意したりすることが必要となります。例のように、障害がある人が障害のない人と同じような生活をしていくためには、いろいろな配慮や工夫が必要となることがあります。

 さて、ここからです。

 「このような、障害のある人への配慮や工夫を行わないことは、「障害のある人への差別」になると思いますか。」つまり、考慮をしないことが差別になるというようなお尋ねがありまして、そのことに対しての回答がこのようになっています。

 日本は、差別になると思うのが四二%と、五〇%を切っておりまして、ドイツ、アメリカは、六四・八、七〇パー。もちろん、思わないという方も、ドイツ、アメリカ、欧米において。アメリカにおいて、四分の三、配慮をするべきだ、配慮をしなければ差別になるというような考え方があります。

 これは、いわゆる統計でありまして、アンケート結果であります。

 バリアフリーという言葉が日本の中でも使われてきて久しいわけなんですけれども、日本におけるこういった概念というのは、やはり国としての体制と、あともう一つ、教育の問題等もあると思うんですけれども、先ほどの御答弁と同じでも構わないです、このアンケート結果に関する、先ほどの乙武さんのことも含めて、御意見を伺えればと思います。

田村国務大臣 日本が、これを見ると、合理的配慮という話になると思うんですが、これに対して、他の国はこれをしないことに対して差別になると思うということに対して、日本はその率が低い。ドイツ六四・八、アメリカは七〇、日本が四二%という意味では、この合理的配慮というものに対して、日本はドイツとアメリカに比べればやはり意識としては低いというようなことがこれから読み取れる。これ自身、私はどういう資料かわかりませんけれども、この資料が確かなものであるとすれば、そういうような感覚が受けとめられるのではないかというふうに思います。

 いずれにいたしましても、日本も、差別解消法を二十八年四月にいよいよ施行するわけでありまして、それまでの間に、この合理的配慮というのは日本人は本当になじみがないんですよね。これはなかなか、どういうものを合理的配慮しなきゃいけないのかというのがわからないものでありますから、ガイドラインをそれまでにつくりまして、こういうものは合理的配慮に当たりますよとか、こういうものはそれには当たらないかもわかりませんねというような、そういうガイドラインをつくってまいりたいというふうに思っております。

 そういうものができてくれば、ある程度意識というものが、どこら辺かというのが安定的になってくるのかなというふうには思います。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 ガイドラインをつくって、かつ意識をということでしたので、そういった意識というか概念のもとに、この法律、今回の修正案についてお尋ねを始めていきたいと思うんです。

 ちなみに、出典なんですけれども、以前、麻布中学校の入試問題を出しましたけれども、これは灘中学校の期末テストの問題です。そこの学校の先生に出典を尋ねましたけれども、内閣府からのアンケートでこういった事例があったので出典に関しては大丈夫だということです。

 今回の、障害基礎年金及び遺族年金を受給する際にはと載っているんですけれども、遺族年金と障害年金のことをちょっと分けて議論しなければいけないんです。

 障害年金を受給する場合は、保険料納付済み期間及び保険料免除期間の合計。けがをされて保険料免除期間というのはわかるんですね、働けなかったとか、けがをされてそれどころじゃなかったということなんですけれども、保険料納付済み期間の合計が三分の二以上ということは、三分の一払っていなくても対象になるということなんですけれども、三分の二と決めた数字的な根拠、及び払っていなくても受けられる、この根拠をまずお教えいただきたいんです。

香取政府参考人 国民年金の障害年金と遺族年金、今、先生お話がありましたように、その時点で、つまり障害の事案が発生した時点で、もちろん制度に加入をしていて、過去の納付期間に対して三分の二以上持っているということですが、これは制度発足当初からのルールですが、基本的には自主納付の制度ですので、やはり一定、きちんと保険料を納付している、未納が少ない、ちゃんと持っているということが必要だということで、三分の二というのが定められているんだと思います。

 ちょっと私も調べてみないと定かではありませんが、もともと、二十から六十までの四十年の加入期間に対して二十五年で老齢年金が出る、大体それぐらいの納付済み期間で制度が設計されていますので、三分の二というのは、やはりある一定の割合以上、半分以上、一定の割合で納付がされているということがいわば受給を受けるための拠出の要件であるという、何といいますか、ちょっと相場観と言うとあれですが、そういう考え方だと思います。

伊東(信)委員 何となく、あやふやな答弁のような感じがしまして、昨夜の通告のときにも一抹の不安は感じていたんですけれども。

 それでは、答えやすいように質問を変えていきたいと思います、かえって答えにくくなるかもしれませんが。

 それでは、障害年金に対する対象者なんですけれども、障害等級でいえば一級、二級に相当するということなんですけれども、障害の原因も含めて、どういった方々がこの対象になると予想、もしくは現状なっておりますか。

桝屋副大臣 これまたなかなか、委員のお尋ねの趣旨がよくわからないので。今委員がお尋ねになったのは、障害基礎年金一級、二級に該当する方々はどういう方々なのかと。

 それは、当然、今申し上げましたように、納付要件を満たしておられる方、厚生年金であれば初診日にきちっと厚生年金に加入しておられるという納付要件を満たした上で、問題は、障害の程度が、国民年金であれば一級、二級、別表がございまして、その一定の障害の程度に該当する、厚生年金でありますれば三級まであるわけでありますが、その障害の状態が、年金が定める障害の程度、認定基準に合致するという方々が対象だろう。

 概して言えば、肢体不自由、身体障害、知的障害、それから精神障害も入っておりますし、さらには、難病の皆さん方もいらっしゃいます、疾病をお持ちの方もいらっしゃいますが、やはり、概して、重度の障害、稼得能力だけでなくて、日常生活に相当の支障をお持ちの方々がこの支給の認定基準の対象になるだろうというふうに理解をしてございます。

香取政府参考人 御答弁いたします。

 障害等級の話ですが、障害一級、二級、三級というふうになっております。

 一級障害ですが、一級障害は、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度の障害、「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度」と書いてございまして、具体例としては、両目の視力の和が〇・〇四以下、あるいは両手の全ての指を失う、あるいは両足を足の関節以上で失う、この程度でございます。

 二級は、必ずしも他人の助けをかりる必要はないが、日常生活は極めて困難で、就労等ができない程度の障害をいうということになっておりまして、今の例でいきますと、片手の全ての指を失う、あるいは片足の足関節以上を失うといったのが二級ということになります。

 障害等級については、精神障害、身体障害、あるいは内部障害、それぞれ基準がございますけれども、大体どういう基準でその障害等級を見るかというと、今のような考え方で、これは個別に障害の状況に応じて医師の判定を受けて認定をして、それぞれ一級、二級、三級と判定をするということになってございます。

    〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕

伊東(信)委員 ありがとうございます。後半のお答えが正解ではないかと思っております。

 ということは、例えば、労災の方も入れば、いわゆる骨肉腫によって切断される方もおられれば、中には心疾患でペースメーカー、在宅酸素も入っているわけなんですね。この一級、二級の方であれば、働くことが困難なわけです。

 ところが、昭和六十年からの、この法律の中で、直近一年間に保険料未納期間がないことで要件を満たすということが、では、働けない方のこの直近一年間の保険料はどなたが払うんだということなんです。加入期間の三分の二以上ということであれば、この法案というか、もともとの法律自体がちょっと矛盾しているように感じましたので、御質問させていただきます。

桝屋副大臣 今言われた直近一年間要件でありますが、この一年間、誰が一体保険料を払うのかという意のお尋ねですね。

 これは、先ほどから言いましたように、障害年金の場合は、初診日の確定が非常に重要でありまして、その障害が発生する原因となった疾病、その初診日、その前一年でありますから、したがって、大概の場合は御本人の就労に伴う年金保険料でという理解に相なると思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 初診日なんですね。初診日ということは、労災であっても、そのけがをする以前にきちっと払っておけば大丈夫ということで、過去において払っていない期間があったとしても、今まさにちゃんと払っておけば、もし障害が起こった場合でも障害年金の対象になる、そういう理解だと思いますので、私の期待していた答えですので、ありがとうございます。

 この法律に関して申し上げたいことは、後の三号運用問題にもかかわるんですけれども、では、いわゆる精算という概念ですね、今までの、例えば三号運用制度だったら、三号運用制度の空期間をどうするのか。後ほど質問しますので、これは聞いておいていただければいいんですけれども。だから、三分の二以上で、三分の一払っていないとしても、直近一年間。だから、今までのことはさておき、年金は払いましょうというお話だと思うんです。

 ただ、問題は、昭和六十年にこの法案が国民年金法等の一部を改正する法律でできまして、今回で三十年終わりました。三回延長して四十年目になるんですけれども、少し長いように思うんですけれども……(桝屋副大臣「今回で三回目」と呼ぶ)三回目ですか、三十年になるんですかね。いずれにしても長いように思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

桝屋副大臣 こうした措置を、先ほど委員からお話されましたように、六十年に十年の時限措置として制度を導入した。本則は、大原則はやはり納付要件をきちっと充足していただく。

 しかしながら、委員が先ほど御説明になりましたように、全体納付要件は無理だけれども、直近一年は払っていれば、例えば障害年金であれば納付要件を満たすことができるということで、やはり多くの年金被保険者の方が、保険料をしっかり払おう、払えば、いざというときに大きな力になるんだ、こういうインセンティブが働くわけでありまして、この特例措置を、今、三回と言われましたけれども、今まで二回延長して、今回三回目の延長ということでありまして、やはり特例措置の延長ということで整理をしているということでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 ただ、質問の趣旨としては、三回延長するのであれば、もともとの障害者に対する国の考え方ということにおいて、そういう延長延長ではなくて、では、もうこの法案自体を決めてしまってもいいのではないか、そういった質問なんですけれども、その点に関してはいかがですか。

桝屋副大臣 そのお尋ねだろうと思ってお答えしたのですが、本則に入れてしまえ、制度として常態化すればどうかということでありますが、先ほど申し上げましたように、障害年金の基本的な納付要件、三分の二という納付要件、これはやはり大原則として、この整理は崩すことはできない。

 しかしながら、障害者の皆さん方のために、あるいは、しっかり保険料を払っていただくというインセンティブを働かせるためにこの特例措置を設けているわけで、特例措置ということでやはり位置づける必要があるのではないかと思っている次第でございます。

伊東(信)委員 では、この法令に関する、いわゆる参考資料の中に書いてある文言なんですけれども、この特例措置というのは国民の理解を得るために有効という文言が入っているんですけれども、この文言は、まさしく副大臣のおっしゃっている意味でしょうか。確認のために聞きます。

桝屋副大臣 年金をとにかくお支払いいただく、年金の保険料を納めていただくということは、実は、私どもも多くの皆さんに、とりわけ国民年金等は、若い方の、きょうも一日議論がございましたけれども、もう保険料を払わないみたいな方がいらっしゃるものですから、そういう方々に一番説得力のある説明は、やはり、疾病や事故で障害が発生したときにこれは本当に役に立ちますよ、大きな力になります、こう申し上げるわけであります。

 そういう意味で、まさにこの特例措置というのは、今申し上げました、国民の理解を得る、保険料を払っていただく、その必要性、年金の必要性を理解いただくと同時に、保険料を払っていただく、この理解をいただくための措置だということでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 実は、実際に、関西において経済界で従業員に対してアンケート調査を行いますと、今おっしゃるような、けがをしたときのために年金は必要だという考え方はコンセンサスを得られているようですので、この特例措置に関して、特例措置じゃなくて法案に入れた方が、特例だという、それで時間を浪費する気持ちはないので、この議論はおいておきます、理解いたしましたので。

 では、それと対照的に、若年者納付猶予制度ということなんです。

 同居している親の所得にかかわらず、本人の所得が基準額以下の場合は保険料納付を猶予できるということなんです。社会情勢、三十歳以下の若者に対する雇用の問題に関してこのような措置だとは思うんですけれども、はたまた、十年間延長ということは、十年間、聞き方が悪いかもしれないですけれども、アベノミクスは効果を発しないということなんでしょうか。先ほどの障害年金と少し温度差があるように感じるんですけれども、この若年者納付猶予制度に対するお考えをちょっとお聞かせください。

丸川大臣政務官 アベノミクスは成功に向かって全力を尽くしてまいるということではございますが、一方で、三十歳未満の若年者の皆様方というのは、将来、親元から自立をして、自分で後に保険料が払えるようになる可能性のある方たちでございますので、今、経済状況等によって就職が困難、あるいは失業しておられるとしても、後にお支払いいただけるというような制度を設けることによって、非常にこれは、平成十六年からこれまでの時限措置として導入した間にも非常に有効であった、今まさに委員がおっしゃっていただいたような、年金制度の保障というものの網から漏れないようにする意味で大変有効であったというふうに考えております。

 そこで、これからまた十年延長させていただくという趣旨を盛り込ませていただきましたが、これを特例措置としてさらに延長するかどうかということについては、まさに、今後、社会経済の状況を踏まえて検討していくことになるというふうに考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。後ろの方でうなずいておられる方もおられますけれども。

 検討されるのであれば、つまり、一つ御指摘したいのは、こういった法案を、修正案でありますし、前の二つがあると思うんですけれども、やはり、せめて記述するときは三、四と分けて書いていただいた方がより理解が深まるかなというのが私の方の指摘でございます。

 重ねて申し上げますけれども、本当に救済の必要な方には救済をするという精神に基づきまして、自立する個人に自立する国家は基づきますという理念に基づいて、次の質問に移らせていただきたいと思うんです。

 それでは、一の厚生年金基金制度の見直しについてお尋ねをしたいと思います。

 前回の私の質疑の中でも御質問させていただいたと思うんですけれども、厚生年金基金制度、新設は認めない、五年間の時限措置として特例解散制度を見直す、そして、上乗せ給付を支援するために他の企業年金などへの積立金の移行についての特例を設けるということなんです。

 そもそも、基金自体が非常なるピンチに、非常なる危機に陥っている、今の状況が悪いということは共通の認識だと思いますので、それでは、その措置として、解散と移行、以前、他の党さんから、解散するのがいいのか、残すのがいいかというようなオルタナティブな、二者選択の御質問があったと思うんですけれども、移行と解散、どちらの方を政府としてはお考え、お進めになっているのでしょうか。

桝屋副大臣 移行か解散かどっちがいいか、政府の基本方針はということでありますが、そこはまさにそれぞれの基金が判断をいただくことだろうと思うんですね。

 もう何回もこの委員会で議論がありましたけれども、国がつくった厚生年金基金制度でございまして、十分な積立金を持って適切に運用している基金まで代行を返上させて、次へ移行しなさいというようなことは、これを強制的にやるということはなかなか問題が大きいと考えているわけでありまして、したがって、これらの基金については自主的な移行を促しつつと、何度も御答弁申し上げましたが、存続という選択肢も残しているわけでございます。

 ただ、一方、今回の法案で、これも何度もお話をしておりますが、基金の新設は廃止をする、それから、施行日より五年以降は、代行資産の保全の観点から、十分な積立金を持たない基金には解散命令を出す、こういうことでございます。

 厚生年金基金制度は全体として縮小させる、他の企業年金への移行を促すという取り組みでございまして、基金の財政状況に応じた適切な対応をそれぞれ基金で判断していただきながら進めていく、こういうことであろうと思います。

伊東(信)委員 実際、この場合、国と企業、官と民との融合された、一種独特の、日本独特の制度であるところの責任の所在というところになるわけなんですね。それで、国として、いわゆる民間でやっているところを国の都合で解散さすのはいかがなものかというような御意見は前回もお伺いしていますので、確認の意味でその御答弁も承りました。

 ただ、例えが悪いかもしれないですけれども、適切かどうかがわかりませんけれども、いわゆる後出しじゃんけんのような措置にならないように、つまりは、例えば、よく私は手術の例えを言いますけれども、手術をする際、あってはならないことだけれども、合併症といいまして、副作用というリスクは、やはり事前に伝える義務があるんですね。

 であるのならば、現時点で、これは少し危ないのではないか、もしくは、現時点でも制度自体が担保されているかどうかについての説明義務というのがあると思うんですね。そうでなければ、五年の間に要件を満たさないから解散というのも、それもちょっとあんまりな感じもするんですけれども、その点に関しては、いかがでしょうか。

    〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕

香取政府参考人 御答弁を申し上げます。

 今回の措置は、大臣、副大臣等々が御答弁申し上げているように、代行割れのリスクがある、現にもう代行が割れているといった、運営上、何がしかのリスクがある基金につきましては、早期の解散を促するということで、さまざまな特例措置を講じて、基本的には解散あるいは他の企業年金への移行ということを申し上げる。

 その上で、非常に、積立金が十分ある、三階の部分についてもきちんと持っていて健全である、あるいは過去も問題がないという基金については、基本的には、存続という選択肢を残して、御判断でと。

 ここはそうなるわけですが、仮に、存続をした基金が、将来、財政状況が悪くなった場合にどうなるか。そのことについては、法律上も、今回さまざまとっている、連帯債務を外すでありますとか、三十年で分割しますでありますとか、さまざまな特例措置は、五年間の時限措置です、五年後以降、もしそういった問題が生じた場合には、そういった特例措置はなしで、ある意味直ちに解散命令がかかるという事態になりますということは、この法律上も明らかにしていますし、個々の基金に対しても、御判断するときの材料としてきちんと御説明申し上げる。

 そのときに、五年後に解散命令を出すときに、どういう状態になったら解散命令を出しますよということになるかということについては、もともとの、今の健全の基準である、代行部分に対して一・五倍以上の積立金を持っている、あるいは、二階部分、三階部分も含めて必要な責任準備金を積立金として持っている、この状態を下回った場合には基本的には解散命令がかかる対象になりますということは申し上げて、その上でどうするかということをこの五年の間で御判断いただくということで御説明をして、各基金で御判断をいただいてということで考えております。

伊東(信)委員 今の御回答は、五年間の猶予を持って、その後は解散の方向ということで理解したんですけれども、それでよろしいのでしょうか。

田村国務大臣 本則には存続ということはないんですね、これは附則の方で入れておりまして、基本的には解散をいただくということが前提の法律になっております。

 ただし、先ほど来お話がありますとおり、そうはいっても、政府が一定のルールを決めてこういうような基金制度というものをつくったわけでありますから、それに合致するだけの財産を持っておる基金、それから、代行割れをすることはまず一、二年では考えられないような基金、こういうところに関しましては特例的に存続するということを認めるような、そういう、附則に書く法形態になっているわけなんですね。ですから、前提は、解散をいただくということになっております。

 一方で、残ったところも、財政状況が悪くなれば、当然解散をいただくということになりますし、それから、こういうところにも、他の年金への移行をされた方がいろいろな意味でお得な部分もありますよということも促していく。また、移行に関しての優遇策等々も考えていくということでございます。

 ただ、どうしてもお残りになられたいという選択をされるところは、それはやはり国がつくった制度でございますから、それを無理やり、だめだということにはならないであろうということで、そのような道を残したわけであります。

 ちなみに、五年以内に、残れるチームに見合うだけの条件が整わないところは、これはもう御退出をいただかなければ仕方ないわけでございますので、解散をいただくということであります。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 本日、まだ私の方には通告は来ていませんけれども、採決があるのであれば、参考にさせていただきたいと思います。

 この点に関して、基金に関して、少し矛盾した質問になるかもしれないですけれども、いわゆる連帯債務に関してです。

 連帯債務を行わないということは、求めないということは、かえってこの制度自体、もしくは厚生年金制度自体へのさらなる圧迫もしくは負担になるのではないかという議論もあるのですが、そもそも基金というのは、企業の負担、労使部分の負担、そして国の負担、いろいろな要素をもってこの三階建てが、年金制度というのはできているんですけれども、この連帯債務に対しての整理というのは、どこがどの割合で負担をすることになるのでしょうか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 解散するときに、例えば代行割れをしていた部分については、加入企業でそれぞれ分担をして、厚生年金本体に最低責任準備金の足らない部分をお返しするということで、実は、連帯債務を各構成企業の間でどのように分担するかということについては、一応、基本的には基金の中で御相談をして決めるというのがルールになっています。

 その上で、我が方で幾つかの分担の考え方のパターンをお示ししておりまして、例えば頭数で割るとか、母体の企業の財政状況であるとか、幾つかの考え方をお示しして、そこは基本的には基金の中で、構成企業の間で御相談をして、それぞれ確定をするということになります。

 確定しますと、それぞれ自分の持ち分を返し始めるわけですが、御質問があったように、途中でどこかの企業が倒れた場合には、今の現行制度ですと連帯債務がかかっていて、事後的に残りの企業に負担が行く。そこを今回は遮断するということで、連帯債務を外す取り扱いを行うということでございます。

田村国務大臣 二つ論点があったというふうに思います。

 今の局長の説明で、要は、どこかに負担を大きく負いねかせて、そこを計画的な倒産か何かをさせて、なるべく代行部分の負債を払わないというようなことが起こっては大変ですから、そこはちゃんと正当に、なぜこの企業がこれぐらいの負担割合なのかということも含めてチェックをちゃんと我々やらなきゃいけないというふうに思っております。

 それともう一点、なぜ連帯債務を外すのかということなんです。

 実は、これはずっと外れてこなかったわけでございますけれども、これが一つネックになってなかなか解散しない。なぜかというと、今までもそういう事例があったんですが、解散した後、それぞれの債務を持ったわけでありますけれども、景気が悪くていろいろと倒れていく、倒れるごとにその債務も残ったところが負うわけでありまして、最後まで残ったところは最後は大変な負担になる。そしてそこも倒れたときには、この年金の原資は一切返ってこなくなってくるわけであります。

 そうなると、何をやっていたかわからないということでございますので、なるべく多く返していただくという意味から、これは悩むところではあるんですけれども、合理的に考えて、ここは連帯債務を外した方がより多く返ってくる可能性があるのではないかというような判断もさせていただいたということでございます。

伊東(信)委員 連帯債務を外すということに関しては異論はないので、ここでこれに関する質問は終わらせていただきたいと思うんです。

 それでは、冒頭にお話ししましたように、満遍なく御質問させていただきたいと思いますので、三号被保険者に関する御質問をさせていただきたいと思います。

 第三号の被保険者でなくなった者は、第二号被保険者の被扶養配偶者でなくなった旨を、配偶者が勤務する事業主等を経由して厚生労働大臣に届け出なければならないこととする。

 二つお尋ねしたいんですけれども、経由というのはどういう意味か。すなわち、事業主か配偶者、どちらが届け出をするのか。もう一つは、事業主等という、この「等」というのは、事業主以外、何があるのでしょうか。

高倉政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお尋ねいただきました、二号の方の配偶者の方が被扶養から外れた、その情報をどういう形で、今回の法律義務づけで日本年金機構に経由して届けていただくかでございますが、まず、事業主御自身がやっていただくというのがございますけれども、「等」は、健保組合、健康保険組合の方からも年金機構にお届けいただく。健保組合の被保険者の方が、その被扶養配偶者が実は被扶養から外れた、この情報は健保組合がお持ちでございますので、それをこちらにいただくということでございます。

伊東(信)委員 事業主等を経由する届け出の義務を課すわけなんですけれども、この場合も、例えば、御夫婦の事情で届け出がおくれたりとか、さまざまな理由もあると思うんですけれども、事業主からの届け出を徹底させるような措置というのは考えられているんでしょうか。というのは、三号の空雇用問題というのが運用三号の問題の原因となっていますので、このチェックというのは、次は漏れがあってはならないことなので、どのような対策を講じているか、お教えください。

高倉政府参考人 お答え申し上げます。

 健保組合におきましては、組合員及びその被扶養配偶者が自分の健保組合が医療費を負担しなければならない方かどうかということに対しては、当然ながら大変センシティブにふだんからチェックをしておられると承知をしております。そういうお立場にある健保組合において、それぞれのやり方でそのチェックはしておられるわけですけれども、その結果を教えていただく。

 ちなみに、協会けんぽにつきましては、既に日本年金機構自身でそこの適用の部分の事務を年金とあわせてやっておりますので、これは以前から徹底をしておるわけでございますけれども、制度的には穴があいておりました健保組合部分について、その健保組合の側に義務を課すことをもって、そこは穴がなくなるというふうに考えておるという状況でございます。

伊東(信)委員 健保組合ということは、医療保険ということですね。

 登壇したときにも少し申し上げたんですけれども、いわゆるマイナンバー法案によって、こういったことも改善できるのではないかと思うんです。恐らく再度の質問になると思うんですけれども、であれば、やはり、こういった社会保障を全部マイナンバー法案の中に一体化させて、医療保険のナンバーもマイナンバーの中に入れる方が合理的なように思うんですけれども、その点に関してはいかがでしょうか。

田村国務大臣 いろいろな事務手続の簡素化という意味で、マイナンバーというものを利用しようという方向性にあることは間違いありません。

 ただ、マイナンバーという番号をそのまま使うかどうかというのは、これは、また一方で、個人情報というものに対してのリスクを考えた場合どうかという議論もありますので、個人情報が漏れるということだけは絶対に避けなきゃいけないという点もございます。

 マイナンバーというものを利用しながら番号管理をうまくやっていくということでは、委員のおっしゃる意味もよく理解いたしておりますから、このようなものに関しても利用できるのではないのかなというふうに思います。

伊東(信)委員 医療保険制度自体にマイナンバーを入れるかどうかというのは、私も医師ですので、また違う議論というのはわかっておりますので、この点に関してはこの場ではお聞きしません。今おっしゃったことはよくわかりました。

 ただ、どうしても、この問題を徹底的に解決しようと思えば、例えば、第三号被保険者の中では、収入要件を満たさなかったにもかかわらず保険に届け出ない方もおられると思うんですね。このチェックというのは今の制度の中ではないと思うんですけれども、その点はいかがですか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 被扶養の関係は、確かにお話しのように、もともと百三十万とか百十万とか七十万とかいうオーダーですと申告をしませんので、市町村サイドは持っていないということになりますが、それは、健保組合なりなんなりが被扶養者の認定をするときに、定期的に所得の把握をする、所得証明をとって被扶養の認定をするというスキームをとっておりますので、定期的にチェックはされるということになります。

 もちろん、所得を隠しているとかいう話になるとちょっとまたあれなんですが、それは必ず被扶養の認定であるとか、企業ですと自分の企業の扶養手当なんかともリンクしていますので、そういうところで健保組合サイドで把握ができるということになります。

 なので、通常のサラリーマンをおやめになったりしたものは、年金の中で、一号三号、二号三号の組み合わせで見つかるのですが、扶養の関係は年金からだと必ずしもわからないので、今回、健保組合、あるいは共済も含めてですが、医療保険サイドの保険者からデータをいただくという形をとることで、今御指摘のところはチェックができるようにということを今度新たに導入をするということでございます。

伊東(信)委員 つまり、オール・オア・ナッシングではなく、最低限度のギャップは生じるかもしれないけれども、ある程度は防げる、徹底的ではないけれども、より、徹底的になりますかね。まあ、いいです、そういった感じで理解します。

 時間も残すところあと五分ですので、どうしても、専業主婦に関しての法案、そして女性の雇用の問題、第三号被保険者に関しては、こういった問題が出てくると思います。いわゆる子育て支援、そして専業主婦をやられている方は尊重して、年金にかかわる、今でしたら賦課方式ですし、将来積み立てになるかもしれませんが、御自身で年金をお支払いするという観点で、女性の雇用に関して、いろいろ御提言を私の方からも最後申し上げたいと思います。昨晩、通告を終わってから思いついたので、変な質問はしません、ですので、こういうのがあると思っていただければいいです。

 医療機関において、看護師さんも女性であるんですけれども、女性の医師の労働の問題というのは我々の緊急の課題でもございます。それで、女性の方が医師として働ける環境という観点と、もう一つ、アベノミクスの三本目の矢である成長産業に関してなんですけれども、両方合体させた、いいお話がございます。

 先週の日曜日、神戸大学の方に、京都大学のiPS細胞研究所から神戸大学の方にもiPSの講座ができました、その会合がありまして私も行ってまいりました。そのときに、iPS由来のT細胞、免疫の細胞、これをつくりまして、そこにウイルスを入れまして、変異させます。iPSというのは皮膚から何かの細胞をつくるんですけれども、その細胞をまた遺伝子を使って変形させてがんの治療をするということです。

 いわゆるがんというのは、三十三万人、悪性腫瘍で現在亡くなられる方があるということで、既存の治療法は確立されていない。しかしながら、それだけたくさんの方がおられるので、医療を市場として捉えるのもなんですけれども、医療産業という観点で潜在的マーケットが大きい。そして、もともとの、要素技術というんですけれども、iPSも今いろいろなところで使われているので、その要素技術としての前例がある。この三つが医療の成長産業のポイントだそうです。これは青井教授の受け売りですけれども。

 この観点で、神戸大学では、免疫療法を、iPSを使って変異させてプラスアルファでやっていくんですけれども、ここでポイントとなるのは、これは基礎医学、研究ではなくて内科学の中に入っているんです。これは内科なんです。内科の中にiPS研究所をつくっています。もう一つ、京都大学に一極集中するのではなくて、いろいろなところに分散していこうという趣旨のもとに今動いています。

 女性の方というのは、どうしても育児や家庭のことで時間をとられるんですけれども、臨床であっても、フレキシブルな時間で、かつ、患者さんを診る時間、この細胞を扱う時間ということで、女性の雇用をこれによってふやしていきたいと。今までは、基礎だったので研究職だけ、つまり科学研究費、文部科学省の管轄だったんですけれども、厚生労働省の対象になっていくことで、非常にこの成長戦略の医療分野に関していろいろな方がいろいろな分野で広がりがあるということを、神戸大学の方でお伝えくださいということなので、伝えます。

 ですので、これも女性の雇用の一つなんですけれども、産官学、いろいろ一体になって、やはり日本の国をよくしたいと思う気持ちは与党も我々維新の会も同じですので、今回の法案でいろいろ議論がございましたけれども、まずは前に向かって進んでいくというのが日本維新の会の方針ですので、そのことを最後にお伝えして、私の質問を終わらせていただきます。

松本委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 私も一時間頂戴をしていまして、長いといえば長いですが、この問題は大変重要なテーマでございますので、しっかり、この一時間の時間にふさわしい質問、質疑にしてまいりたい、そのためにまた御協力をお願いしたいと思います。

 きょうは法案の審議ということですが、まず最初に、きょうの審議をずっと拝見、拝聴をしていまして、私は、民主党、自民党、公明党のことを国民会議派、こう呼んでいまして、なかなか非生産的な議論が続いているな、こういうふうに思っています。

 さきにここで私が質問させていただいたときにも、民主党がかつて政権をとられたときに、きょう、先生方、前に座っていただいていますが、民主党の先生方が言われたことの視点というか、問題提起はもう極めて正しい、ほとんど、私は個人的には九九%賛成です。

 ただ、上げて落として申しわけないですが、政権の座にあった間に、その問題提起に対応するソリューションを、国民の皆様が納得のいく形で、あるいは厚生労働省がしっかりと支えられるような形で処理をできなかった点は、現実にそうだったということで、やはりその責任は重いと思うわけでございます。

 さらに、今、国民会議派と申し上げましたけれども、山井先生初め民主党の先生方、やはりマクロ経済スライドの話は余りどうかなと。どうかなと言うのもなんですけれども、余りこの話をやっても、田村大臣がおっしゃったように、消費税に賛成された。その話を維新がやるなら意味があると思うんですよ。維新がその話をやるのであれば、何の後ろめたいところもなく、徹底的に田村大臣とやりとりすることが多分できると思います。だから、聞いていて、やろうかななんて思ってしまいましたけれども。

 民主党さんは消費税増税に賛成したんだから、その上で、今マクロ経済スライドの問題を取り上げて政策論争をするというのは、客観的に言って、第三者からいって無理があるなと。この点においては田村大臣の方に軍配が上がる、こういうふうに私は思うわけでございます。

 さて、それで、きょう私がいただいた時間でやりたいことは、やはり、きょうまさに民主党さんと自民党さんで、またこの問題提起は正しい、抜本改革はやらないのか。自民党は抜本改革はやらないのかという問題提起は、極めて正しいと思います。

 実際に抜本改革をこの年金の分野でやろうと思うと、必ず負担と給付の抜本見直しをやるということです。負担と給付の抜本見直しをやるということは、要は負担と給付の見直しですから、給付の見直しということは、今までもらっていない人に差し上げたり、あるいは今までもらう約束になっていた人から剥がさないと、負担と給付の見直しなんかできるわけがない。

 にもかかわらず、この厚生年金基金の審議においては、さきにも私は質問させていただきましたけれども、いわゆる訴訟リスクのような、要すれば、今まで何の瑕疵もなく頑張ってきた基金あるいはその加入者にとって、例えば今回の民主党提案のように、一定期間で解散を強制するというようなことをとった場合には、訴訟リスクがあるんじゃないかという議論がくすぶっているわけです。

 それに対して私がその議論をすると、委員席から民主党の方々は、いや、そんなリスクは当然ないんだ、こう言われるので、きょうは両陣営に前に座っていただいて、その点を明確にしておきたいというのがきょうの最大の論点の一つであります。

 今申し上げた訴訟リスクについて、全ての基金を強制的に解散させた場合の訴訟リスク、いわゆる財産権の問題、この問題について、田村大臣、そして民主党、それぞれのお考えをお聞かせください。

 どちらからがいいのかな。では、田村大臣からいきましょうか。

田村国務大臣 これは、前回も私は御説明をさせていただきました。公共の福祉と絡めて委員から御説明があったというふうに思いますが、要は、いかに年金財政、これは厚生年金の本体であります、ここに対して御迷惑をおかけしない、するという中において、財産権ということの絡みがどうあるべきかという話だというふうに思います。

 そういう意味からいたしますと、やはり、そもそもの制度設計に合致した対応をされてこられる、もしくは、今までの事例から見たら、その期間内において代行割れする可能性というものがほとんどない、そういうような基金に関して、もし無理やりこれを解散させるということになった場合に、そもそも、そこからもらっておられる給付者の方々もおられるわけでありまして、その方々の財産権というものはあります。働いている方々の期待権というものもあるのかもわかりません。

 そういうものを公共の福祉と照らしても、厚生年金本体に迷惑をかけないということがかなりの確率で確かであるということであれば、そこから解散をさせて戻すとなれば、これは、公共の福祉とはやはり一線を画した中において、財産権の侵害というものを訴えられる、そういう訴訟リスクがあるのではないか、このように我々は認識したわけであります。

 一方で、もう既に代行割れをしている、もしくは代行割れする可能性が十二分に考えられる、このような基金に対して解散を促す、もしくは解散命令を出す、このようなことに関しては、これはやはり厚生年金本体、これに対する毀損をするリスクがあるわけでありますから、公共の福祉という意味でこれに対して解散をさせることに対しては、これは十二分に訴訟リスクに対して耐えられるのではないか。

 もちろん、訴訟リスクですから、訴訟する権利は幾らでもありますから、リスクはあるんですけれども、あとは、訴訟リスクの可能性といいますか重さといいますか、そういうものを考えた場合に、我々はそう考えたということでございます。

山井委員 足立委員、質問ありがとうございます。

 先日の足立委員の質問も聞いておりまして、恐らく足立委員は、全廃した方がいいというふうなお考えを持った上でこの質問をしてくださっているのではないかと思っております。

 私たちは、結論から言いますと、訴訟リスクは少ないというふうに考えております。

 今回、一割の健全な基金は残すということでありますが、いわゆる健全というのも、過去十年、十二年の過去のデータにだけ基づいてそう判断しているわけであって、これは今後、株などがどう乱高下するかわからないということで、この代行制度については、必ず、もしかしたら代行割れが起こるというリスクはゼロとは言えないと思っております。ですから、私たちは全廃すべきと考えているわけであります。

 しかし一方、代行制度が廃止されても、厚生年金基金は代行給付を行わない確定給付型の企業年金制度に移行することが可能ですから、その場合は、代行部分の給付は基金ではなく国が給付ということに変わるだけでありまして、受給者にとって実質的な不利益は生じません。

 また、何より重要なのは、代行制度を廃止すると、企業側にとってはスケールメリットは運用として少なくなるわけですが、しかし一方、代行部分の給付責任は最終的には厚生年金本体が負うことになるわけで、もし、リスクが少ないといいながら、万が一の場合、代行割れになった場合には、その肩がわりは厚生年金基金に入っていない全ての被保険者が肩がわりすることになってしまいまして、これはまさに公共の福祉に反するわけであります。

 そう考えてみたときに、訴訟リスクは非常に少ないというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 民主党提案に賛成かどうかというのは、私は質問者であって答弁者ではございませんのでお答えしませんが、しかし、端的に言うと、山井委員が今おっしゃったラインはよくわかります。

 私もさきの質問の機会に田村大臣に申し上げた。既に厚生年金の本体が毀損してきた歴史がある、あるいは、厚生年金基金の制度についても、累次の見直しを経ても解決をしなかった。そういう意味では、ある種の政策の、言葉は悪いですけれども、政策の失敗を繰り返してきた。そういう意味では、私の立場からいえば、自民党政権に対して、長年の、二十年、三十年タームでのこの年金制度に関するハンドリングという意味では、余り信用をしていないということがあるものですから、そういう過去の自民党政権の年金のハンドリングの経緯を踏まえると、山井委員の説明の方が説得力があるかな、こう思いますが、田村大臣、何か反論はございますでしょうか。

田村国務大臣 反論というわけじゃないんですが、毎年基金の年金財政はチェックしていきますので、今言ったルールが欠けた場合には、当然、こちらとしてはその対応をしっかりと見守るわけであります。対応しない場合には解散命令等々をかけるわけでありますから、当然、そういう意味からすると、厚生年金の本体部分に影響を与えないように、早目に早目に処置をしていくわけでございますので、そこに毀損が起こらないようにやっていくということでございます。

 考え方というか、哲学の違いみたいな話でございますので、これ以上御議論をしてもなかなかもう歩み寄れないのはよくわかっておりますけれども、我々は、訴訟リスクというものを最大限避けたいという思いの中でこのような制度設計をさせていただいた。そしてまた、今申し上げましたとおり、厚生年金本体には迷惑をかけないというような制度設計のつもりでこれはつくったわけでございますので、その点は御理解をいただきたいというふうに思います。

足立委員 ありがとうございます。

 私も、この点、これ以上やっても詮ないと思っていますので、かつ、お忙しいと思いますので、本件、これでいいですか。もし、いや、俺たちももう一回反論だというのがあればあれですけれども。では、よろしくお願いします。

柚木委員 失礼いたします。

 反論というよりは、まさに大臣も御答弁されておられましたけれども、重きをより置く視点がどちらかということで御答弁を申し上げたいと思います。

 まさに財産権への配慮とそれから公共の福祉の観点との比較考量についてということで、二題目、いただいておりました。

 これは本当に、結論から申し上げますと、厚生年金基金を全廃しても、それは公共の福祉に適合するものでありまして、財産権に対する合理的な制約として、容認すべきものであると考えております。

 その理由といたしましては、これは大事なところなので少し説明をさせていただきますと、年金受給権、これは憲法二十九条第一項の財産権に該当する中で、第二項に、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」とありますが、最高裁判例では、「法律でいつたん定められた財産権の内容を事後の法律で変更しても、それが公共の福祉に適合するようにされたものである限り、」違憲ではないと。

 その内容につきましては、一旦定められた法律に基づく財産権の性質や、その内容を変更する程度、それから、これを変更することによって保護される公益の性質などを総合的に勘案してということになっておるわけですが、こういった判例も出ております。

 本件では、仮に代行制度が廃止されることになっても、先ほど山井提案者からありましたが、厚生年金基金は代行給付を行わない確定給付年金制度に移行することが可能であること、その場合には、代行部分の給付が基金ではなく国からの給付に変わるだけですので、上乗せ年金部分は企業年金として存続することから、受給者等には実質的な不利益が生じない。よって、財産権の内容が変更される程度、この視点からは軽微である。

 それから、代行制度につきましても、これは本来、国民全体の年金財政の財源に組み込んで、助け合いの財源として充当すべき保険料を、この間質疑もありましたが、厚生年金基金という一部の方が独占的に利用し、利益を享受してきたものだとするならば、これは公的年金と企業年金の財政責任が非常に混在していると言わざるを得ません。

 そして、この間御指摘ありましたように、近年は代行割れとなっている基金も多数発生しており、この責任が、最終的には、まさに大臣もそうならないようにとは言われましたが、この年金本体が負うリスクを考えたときには、関係のない被保険者にも負担を肩がわりさせることになりかねない。

 こういうリスクを排除することは極めて重要な公益であるという観点から、我々は、この基金の全廃は、財産権に対する合理的な制約として容認されるべきものであると考えておるところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 改めて今御答弁いただきましたが、私は、個人的に、今おっしゃった民主党の方々のラインがやはり適当な御見識だろうなというふうに思っております。

 なぜそう思うかというと、これは本当に重要なところだと思うんです。この感覚の違いが、やはり今の自民党政権、自公政権の、ある種の社会保障に係る政策の非常に大きな枠組みを決めていると思うんですね。

 それに対して、今、民主党の方々が御答弁いただいた感覚は、今後、年金を含む社会保障制度の抜本改革をやっていこう、やっていく必要があるんだという公益に関する感覚、あるいは公共の福祉に関する感覚、政策に関する感覚、これがやはり違うんだろうなというふうに思います。

 国民会議派と一括してしまいましたが、国民会議という場は、まさにその改革をすべきなのか、しない方がいいのか、どちらが国民の福祉に供するのか、それをやはり討論いただいて、争い、そして、ある種これは議論ですから、論理でどちらが勝つかということで、公開しているわけですから、国民の目から見てどちらの言葉、論理に説得力があるかということをぜひやっていただくようお願いしたいと思います。

 お忙しいと思うので、民主党の方々への質問はこれで終わりたいと思います。ありがとうございます。

 今、国民会議、あるいは自民党、あるいは民主党ということで、私、僣越なことですけれども申し上げました。

 ちょっと質問の順番を変えますが、お配りをしているこの紙は、先ほど、恐らく一枚目はもう民主党の方も配られた資料だと思います。これはいわゆるクローバックということでいいと思うんですが、年金の給付額を、ここでは、低所得者に年金額を加算するのにあわせて、高所得の基礎年金受給者、高所得の老齢基礎年金について一部支給停止にするという御提案が、これは政府案ですかね、当時、民主党政権の時代ですから、これは民主党政権の時代の政府案として、政権の案として出た案でございます。

 こうしたクローバック、いわゆる年金でいうと、よく民主党は当時、最低保障の議論をするときに、スウェーデン方式に倣ったような紙を配っていたんですね。私はそこがそもそもの間違いだったと思っていまして、民主党は最初からカナダ方式で議論をすべきだったと思うんですね。カナダ方式にはこのクローバックというのがしっかりと入っている。このクローバックの議論をやはりちゃんとした方がいい。

 なぜならば、社会保障、年金の議論は、配るばかりの議論ではだめなんですね。支給開始年齢を引き上げる議論も要るだろうし、あるいは給付水準をカットするような議論も要るだろう。消費税増税の議論は既になされたわけですけれども、私たちは、相続税あるいは所得税の議論をもっとした方がいい、こういうふうに思っているわけでございます。まさに給付の削減、端的に言うと、まあ私ばかり、先ほども事務所に帰るとうちの事務所のスタッフからしゃべり過ぎだと言われたんですが、やはり国民の皆様によくわかっていただく必要があるので申し上げるんです。

 今の制度は、可処分所得が低い、苦しい現役の世代が消費税を払う、大変苦しい生活をしている若い現役の人たちが、高額所得の高齢者、この方々の年金を払っているんですね。今の制度は明らかにおかしいんです。

 民主党政権のときのこのクローバックの制度、これはなぜ実現をしなかったんですか。当時の政府が提案したものが実現しなかった、その経緯について、今の政府にお伺いをします。

桝屋副大臣 お答えします。

 恐らく委員は皆御承知の上でお尋ねになっているんだろうと思いますが、今委員が御指摘になりましたように、高所得者の年金額を、支給停止と今言われましたが、調整することについては、おっしゃるように、所得再分配機能を強める観点から議論が行われた結果、前の政権のときに、年金機能強化法案の政府原案において、低所得者に年金加算を行うこととセットで提案をされたという経緯がございます。

 その後の話でありますが、この措置を導入した場合の影響について、三党で議論が行われました。先ほど大臣からも、現行制度の所得代替率の説明もございました。今の制度でも、相当、高所得者の所得代替率というのは低いんだ、こういう御説明もありましたが、さまざまな声がある中で、三党での議論では、高齢になっても比較的高額の所得が見込めるような者が、国庫負担相当分であっても年金額を減らされることで、保険料納付インセンティブに悪影響を与える、私が言っているのじゃありません、そのときの議論であります。それから、約束した給付が支払われないのは社会保険の原則に反するのではないかという懸念も示されたわけであります。

 これらの三党協議の結果、高所得者の年金額の調整については法案から削除され、引き続き検討する旨の附則が置かれることになった、こういう経緯がございます。

 こうした経緯を踏まえつつ、引き続き議論されるんだろう、こういうふうに理解しております。

足立委員 まさに今副大臣がおっしゃったような経緯でこの案は潰れたわけでございますが、私は、必ずこういう制度は将来必要になる、近い将来必要になるし、こういう議論をしないのであれば自民党政権は絶対続かない、ちょっと偉そうですけれども。私は本当にそう思っているんです。負担と給付の見直しは絶対必要。

 今副大臣がおっしゃったように、いろいろな指摘があった。ここでは、例えば、今、保険の性格上、約束していた給付を下げるということは、それは保険の原則に反するという御指摘がありました。だからこそ、実はきょう、まさに入り口のところで訴訟リスクの議論をしたんですね。

 結局、大義、すなわち公益あるいは公共の福祉という観点で、そういういわゆる給付を削減するある種の約束違反、財産権の侵害、それをカバーして余りある公共の福祉の観点があるかどうかが問われているわけです。

 だから、自民党にはそういう大きな公共の福祉の観点が、長く政権におられた歴史の中で、やはり私は失われてきているんだろうなと。だから、そこのリスクをリスクとしてやはり感じちゃうんですね。しっかりと抜本改革の構想を練り上げれば、その抜本改革の枠の中で、一部財産権を、ごめんなさいというようなところが出てくるのは、これは必然だと私は思います。

 そういう意味で、きょう最初から申し上げている訴訟リスク、あるいは財産権への配慮と公共の福祉の観点との比較考量という観点が、ここでも同じように出てきて、民主党は提案したけれども、自民党を初めとして反対してこれは潰れたということを改めて確認しておきたいと思います。

 もう一つ、今副大臣がおっしゃった理由の中で、約束だからという話と、もう一つ、保険料を支払うインセンティブに影響を与える、要は、そういう制度変更をするんだったらもう払わないよというような議論があるということであります。

 そもそも、この年金というのは、保険料というのは、きょうも出たかもしれませんけれども、基本的には強制加入、強制加入という言い方はよくないのかな、強制徴収じゃないですね、いわゆる自由加入ではないですね。にもかかわらず、そういうように、保険料を加入者が支払うそのインセンティブに配慮をしなければいけないのは何でなんですか、というのは質問になりませんか。

桝屋副大臣 今の委員のお尋ねは、そもそも強制適用ではないか、強制徴収なんだからインセンティブのことなんか気にしなくていいと。

 こうはおっしゃいましたけれども、やはり多くの国民の皆さんは、我が国の全体の社会保障制度の中で、年金制度、これは医療も同じだと思いますけれども、強制徴収であるがゆえに、それだけ強い関心をお持ちであるのも事実であります。その結果、自分が強制徴収されたその保険料がどう使われ、どう年金として設計されるかということは、私は、委員が思っておられるほど、国民の皆さん、簡単ではないだろうというふうに肌で実感として感じている次第でございます。

足立委員 ありがとうございます。

 通告との関係でちょっと入り乱れたかもしれませんが、ごめんなさい。

 この保険料の徴収の問題というのは、やはり、これから我々がこの年金制度を、あるいは社会保障の負担と給付を見直していく抜本改革をするに当たって、先ほどの財産権と公共の福祉の関係の比較考量と同じように、制度の基礎として、この徴収の仕組みというのは本当に大事だと思うんですね。

 今、年金の保険料については、今のお話でいうと、いわゆる自主納付ということになっているということですが、歴史的にはいろいろな議論はされてきたらしい、これは事務方にもお伺いをしました。

 現時点で、この年金の保険料徴収について、現状がどうなっていて、その改善に向けてどのようなお取り組みになっているか、事務方でも結構ですのでお答えください。

高倉政府参考人 お答え申し上げます。

 国民年金の保険料、その納付率の状況でございます。現状と改善に向けた取り組み状況ということでお答えさせていただきます。

 国年保険料納付率につきましては、近年、国民年金加入者の就業状況の変化、あるいはまた年金制度に対する不信や不安などを背景といたしまして、低下傾向にございます。

 具体的には、一番近い時点での満年度の納付率、平成二十三年度の当該年度内の分の現年度納付率という部分で申しますと、五八・六%という大変厳しい状況にあると認識しております。

 なお、直近の月々の動きで見ますと、今の現年度分の納付率、ことしの二月末現在では対前年同期でプラスに転じてはおりますけれども、まだまだ厳しい状況にございます。

 そのような中で、この国民年金の未納対策をどうするか。これは、年金制度に対する国民の信頼を確保して、そして国民皆年金を堅持していく、この上で大変重要な課題と考えておりまして、基本として、私ども、未納者の属性などに応じたきめ細かな対策が必要ということで、幾つか分けて取り組んでおります。

 具体的には、一つには、低所得者の方々への場合は、文書や電話による免除制度の周知、勧奨、また短期の未納者、まだそんなにはたまっていないといったような方々に対して、戸別訪問などによる納付督励などの業務、こういったことをやっておりますけれども、その部分を効率的、効果的に行う観点から、民間に委託する市場化テスト事業という形でやっておる、これを、いろいろインセンティブ構造を変える等の強化をしております。これが一点。

 二点目としては、高所得者でありながら未納という方々に対しましては、差し押さえなどの強制徴収の対象者を拡大してきております。

 三点目、最後でございますけれども、負担能力がありながら一定期間納付しない未納者、中間的な方々が中心ですけれども、特別催告状というようなものをお送りしまして、納付していただくか免除手続をしていただくか、きちっと手続をとっていただかなければ強制徴収に移行していきますという予告状のようなものを出すというものも、近年、新たな対策として進めてきております。

 さらに、現状での検討状況としましては、これは、昨年八月に成立いたしました税制抜本改革法におきまして、「年金保険料の徴収体制強化等について、歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し、実施すること。」とされたことを踏まえまして、現在、内閣官房副長官を座長とする検討チームにおきまして検討いただいているところでございまして、この御議論も踏まえて、未納対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 さまざまな御努力をされておられることはよくわかります。

 一方で、今まさに冒頭おっしゃったように、今の実態は、端的に言うと、四割以上の人が払っていない、かつ、その改善についても、前年同期比で上がったり下がったりですから、要は膠着しているわけですね。決して改善の見通しがまだ持てていない、数字の上では持てていないのが現状です。

 私は、四割の未納というのは、言葉は悪いけれども、別に年金に対する信頼を、逆にこういう議論が失わせることをもちろん恐れながらでありますが、もう既に今の制度はそういう意味では破綻をしているというふうに言う方々がいても仕方がない、そういう納付率だと思います。

 そういう中で、さまざまな方々が抜本改革ということを議論する。我々維新の会は、まだ公約としてきっちり整理していませんが、端的に言えば、クローバックのような議論は必ず入れるべきだ。クローバックのような議論を入れるのであれば、さっきの財産権の問題もそうですから、その点は私は問題ないと思っていて、むしろそういう徴収の問題をきっちりと解決しないと、これは制度としては完結しないな、こういうふうには思っています。

 この徴収の問題については、今おっしゃったように、一部強制徴収ということで取り組まれていますが、大変なコストがかかるという中で、私は、一つ注目すべきは、いわゆるマイナンバーみたいな制度と、そして歳入庁のような議論、これはいろいろ批判があるのはわかっていますが、少なくともこの徴収の仕組みについては、抜本的な議論をというか、しっかりとした議論をもう一回やらないと、四割以上の未納付があるような中でどう議論しても、それはもう誰からも評価もされないし信頼もされない、こういうふうに思うんですね。

 その観点から、きょうは内閣官房にもおいでをいただいていますので、歳入庁構想、今、我々も含めて野党五党で歳入庁の法案を提出させていただいていますので、この法案についての現時点での政府のお考えをお答えください。

山際大臣政務官 今のお話の歳入庁の法案についてですが、もともとこれは、昨年成立した税制抜本改革法のときに、自民党、公明党、民主党の三党合意に基づいて、「年金保険料の徴収体制強化等について、歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し、実施する」、ここに基づいて行われているものと承知しております。

 政府といたしましては、この三党合意に基づきまして、内閣官房副長官を座長とする関係省庁の政務官による検討チームを開いておりまして、まさに税制抜本改革法の規定に基づいて、この徴収体制強化を歳入庁のことも含めて今検討しているところでございます。

 一方、野党が法案で提案されている歳入庁については、現在の国税庁に近い職員数で新たに年金保険料の徴収業務等を行わせるものであるというふうに承知しておりまして、その場合に、業務に必要な人員をどう確保するのか、そしてまた、そもそも年金保険料の納付率向上につながるのかどうかという根本論の話、また逆に、国税の徴税能力が低下するおそれはないかといった観点から慎重な考え方もある、このように認識してございます。

足立委員 山際政務官、ありがとうございました。

 この歳入庁の法案自体はまた別途審議があるかと思いますので、その際に詳しくやりとりをしたいと思います。

 ただ、一番、私がいろいろな方とこの歳入庁について議論をしたときによく言われるのは、国税庁といわゆる年金機構、旧社保庁、この二つのある種の文化というかがやはり余りに違うと。わかったようなわからないような議論ですけれども、よくそういう議論をまことしやかにおっしゃる方がいます。違う組織で長年やってきた、税を徴収し、あるいは社会保険を徴収し、社会保険を徴収している方はその給付もいろいろな仕組みの中でやっているということですから、そもそも違う組織なんだということもわかるんですね。

 ただ、実は、この後ずっと、まだお時間を頂戴して、若干、税と保険料という話をしたいと思うんですが、そもそも税と保険料の性格が既に相当入り乱れてきているわけであります。これだけ税と保険料が、例えば、年金制度、医療制度、介護制度という保険制度の中に、大変大きな公費が入っているわけでありますので、そういう中で、私は、歳入庁の議論というのは非常にその合理性が高まってきている、少なくとも以前よりは高まってきている、こう思うんですね。

 これに対して、いわゆる国税庁の関係者の方が、勘弁してくれ、俺たちは非常にちゃんとやっているんだ、ちゃんとやっていないチームと一緒にしないでくれという気持ちもわかる。しかし、私は、この歳入庁の議論はやはりしっかりと、先ほど山際政務官の方から、歳入庁も含めて議論していくんだ、こういうふうにおっしゃっていただいていますので、我々も含めて、これは国会の場でもしっかりと歳入庁構想の法案を含めて議論をしていきたいと思います。

 ただ、やはり大事なところは、さっきの財産権の問題、この歳入庁の問題、そして、今から、あと残り時間で御議論、御討論をいただく税と保険、あるいは年金と福祉、こういう一応立て分けがある制度が混然一体となって、私は、バケツにばんそうこうを張る、こういう言い方をするんですけれども、包帯でぐるぐるに巻いて、バケツが一体バケツなのか何なのかわからなくなっているのが、今の、戦後続いてきた、自民党政権がつくってきたこの日本の社会保障制度の現状である、こういうふうに、僣越ながら思うわけであります。

 それ以上話はもう深入りしませんが、今申し上げたように、実は、日本の今の年金制度というのは税も入っている。さらに言えば、きょうお配りをしたこの資料、一枚目は成立をしなかった。もうちょっと詳しく、もう時間も限られていますから私の方から申し上げると、こういう提案をしたけれども、クローバック、すなわち、高所得の老齢年金の受給部分については、その一部、特に税金の部分、半分税金で面倒を見ているわけだから、その税金の部分の高額の部分は支給を停止する、そこで生まれた財源を、ここには、この制度でいうと七百億円の財源が生まれる、こう書いてあります。

 この財源が、もともと実はこの二枚目の制度に乗っかっていたんですね。五千六百億円の七百億円ですから六千三百億円ですか、という制度だったけれども、その財源がなくなったのでその分を減らして、こういう年金生活者支援給付金という法律ができたということでございます。

 また、この給付金が、ちょっと誤解があったら訂正していただいたらいいですが、低所得高齢者・障害者等への福祉的給付なんですね。これは、この給付は福祉なんですか、年金なんですか。通告にないかもしれませんが、大臣でも、どうでしょうか。

桝屋副大臣 ちょうど私が浪人中の法案でありまして、私も関心を持って見ておりましたが、当初、年金本体でということもございましたが、福祉的給付として措置されたというふうに理解してございます。

足立委員 この二枚目の図には、基礎年金の給付額に対して赤いラインで付加しているわけですね。すると、これは年金に福祉が上乗せされているということでよろしいですね。もう一度お願いします。

桝屋副大臣 おっしゃるとおりでありまして、あくまでこの福祉的給付の対象者は年金受給者でありますから、所得の少ない年金世帯に対する給付でございますので、そういう理解でいいと思います。

足立委員 幾つかこの点について確認というか議論をしておきたいんですが、この制度は実現をした。この制度は、年金生活者支援給付金を受けられる対象者、これは基本的には、今、名前にもあったように、低所得あるいは低年金の方々を対象にしているわけですが、なぜこの支給範囲になったんでしょうか。この低年金の範囲について、どういう理由でこうなっているのか、御答弁をいただければありがたいです。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 この制度は、今副大臣が御答弁申し上げましたように、基本的には低年金の方々に対して一定の所得保障を行うという趣旨で議論されたものでございます。

 当初は、御説明申し上げましたように、年金制度の中で、公費を用いて加算を行うということで御提案申し上げたわけですが、当然、一定の所得制限をかけるとか、一定の要件をかけて、いわば事後的な事由で年金額の変更を行うというような制度設計になります。

 これについては、やはり、社会保険制度として設計されている年金制度で、いわば給付の額自体を所得制限で動かして、かつ、それを公費で入れるというのが、全体の制度体系上なじまないのではないかということで、趣旨としては、あくまで低所得、低年金の方に対する加算ということで、年金制度の上に乗っかるものでありますけれども、制度体系上の性格としては、福祉的なものとして年金の体系の外で加算をする、こういう議論になったということであります。

 したがいまして、対象者の物の考え方は、基本的には低所得で低年金という考え方なので、具体的に申し上げますと、最終的には、施行時、二十七年の年金額で決めますが、その方の公的年金の収入と所得の合計額が老齢基礎年金に満たない方に関して、かつ、世帯全体、家族全体が住民税非課税である、こういういわば通常福祉の世界で使っている低所得の定義を持ってきまして、これに該当する方ということで、かつ、五千円の額に対して月々の拠出に応じた加算ということで対象を考えるという形にしたということでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 大臣、今局長から御答弁いただいて、私も本当に申しわけないなと。何が申しわけないかというと、やはり、厚生労働省の方々は、民主党政権の時代にこういう案をつくって、政権交代とともに、さまざまな調整を経て、こういう制度を……(発言する者あり)政権交代の前ですね、野党である自公と調整してこういう案に落ちついたわけでありますが、今あったように、年金の上に加算するけれども、年金制度の外でやるというような、これは、私たちはまあわかりますけれども、普通は理解に苦しむと思うんですね。

 私は、実はいろいろなところで、言葉が悪いですけれども、今の年金改革、少なくとも政府・与党の年金改革、社会保障改革はびほう策にとどまるという言い方をさせていただいているんですが、なぜ私がびほう策、びほう策と言うかというと、それはまさにこういうことなんですね。こういうことというのは、普通こんなことをしないだろうと思うような、非常にいびつな、福祉と保険が入り組んだ制度、こういうものが繰り返されてきているんです。

 詳細は繰り返しませんが、今の社会保障制度というのは、本当に、特に年金、そして医療なんかはその最たるものでありまして、バケツをつくった、水を入れた、当時はそれで運んでいたんですね。ところが、ところどころからひびが入ったり穴があいたりして水が漏れる。水が漏れると、漏れているぞということで、ばんそうこうを張るわけです。それをもう張って張って、びほう策を繰り返してきて、大変なバケツに今はなっているんです。

 繰り返し申し上げるけれども、民主党は、もうこのバケツはやめて新しいバケツにしようと言った。それはそれで、当時の役人たちは、これはおもしろいと思ったんですよ。こういう改革ができれば、これはまた新しい時代をつくることができるぞと思った人もいた。しかし、結局またこういう制度が繰り返されていく点について、やはり非常に残念な思いをしている方々もいるということなんですね。

 もう一つ、この表で申し上げると、副大臣、これは福祉だとおっしゃっていただいた。

 一回切った方がいいですか。では、大臣。

田村国務大臣 当時、私もこの議論の中に入っていろいろなことをやっておりました。これは福祉なんですが、しかし、年金の色彩を持っているんです。なぜかというと、消費税というのは使われる使途が決まっていまして、一般の福祉の事業には使えないんです。そこで、これは福祉的給付といいながら、年金の色もつけました。

 言うなれば、無年金者の障害者の方々に給付をやりますよね、これは先ほど来話が出ています。あれは一応、年金の中のお金ではないんですけれども、年金という色彩でしているんですね。これと同じようにしませんと、これは消費税を使えないということでございまして、福祉的給付といいながら、実は、年金の一種というような形の中で整理をさせていただいておるわけであります。

 それで、先ほど来のクローバックの話がございまして、カナダは、まさに委員がおっしゃられたとおり、一階は全部税なんですよ。税だから切れるんですよね、税だから。

 なぜかといえば、当然、そのときの収入で切るものといえば、普通、税の世界の話であって、収入があるからたくさん税を取ろう、控除をなくそうというのは、これは一つの方法なのかもわかりませんが、しかし、この基礎年金というのは半分税で半分保険料なんです。何が起こるかというと、税の部分を切っちゃうと、将来収入がある可能性のある方というのは、それはもう国民年金を払わないという可能性が出てきますよね。全部税ならば、それはもう関係ない世界ですから。

 だから、こういう制度、カナダのような制度もあるんでしょうけれども、国民年金の場合はどうしても半分税で、しかも、昔は三分の二が保険料で三分の一が税でありました、今やっとこれが二分の一、二分の一ですから。すると、やはり国民年金の保険料を払うというインセンティブからすると、自営業の方々にしてみれば、これぐらいの収入がある方はおられると思います、六十五を超えられて。すると、もうそんなのは入らないでおこう、そういうことも起こってくるので、ちょっと制度として、やはりカナダとは違うと。

 だから、抜本改革をやれという話になられるのかもわかりませんが、これも先ほど来申し上げましたが、抜本改革というのはかなり時間のかかるものであります。委員もおっしゃられていた、例えば完全積立制なんという話になれば、過去の勤務の債務をどうするんだという問題はどうしても離れられない。そういう継続性のあるものを、抜本改革して、いい制度ですよというのが、我々も知恵を使ってもなかなか出てこないという中において、このような形で、現在の年金制度をなるべく皆様方に御信頼いただける方向で、何とか改良していこうということをやってきたという経緯があるということでございます。

足立委員 今大臣からおっしゃっていただいたように、この民主党政権の時代の案は、クローバックといっても、税金の部分だけになっているわけですね。保険の部分はさわらない。こういうことになっているわけですが、保険のところをどうさわるかについては、まさに、きょう、冒頭からお話をさせていただいたような話があるし、その際には徴収の方法もあわせて議論をする必要がある。

 こういうことで、この抜本改革あるいは年金改革、医療の制度改革というのは、やはり全体を議論しないと、一部だけやると、こっちがないからだめだ、こっちを議論するときは、こっちがないからだめだということで、何も変わらない。これからの改革は、やはり全体の社会保障のあり方について、だからこそ、自民党の社会保障ビジョン、民主党の社会保障ビジョン、そして維新の社会保障ビジョン、公明党さんの社会保障ビジョン、こういうものを出し合って、私が申し上げているのは、その根底にある思想の違いというのがあると思うんですね。

 きょう、冒頭、財産権と公共の福祉と申し上げたのは、そこの感覚の違いがベースにあることをおいておいて、さあ、クローバックがどうだ何だということが、若干、それは議論として不毛じゃないかという大臣の感覚は、私も全く共有します。

 共有しますが、民主党政権の改革が大変残念な状況に終わったので、そういう意味では、改革派と現状維持派がもしいるとすれば、とりあえず、足元では現状維持派が勝った、勝っているということなんですが、私がこの質問で繰り返し申し上げているのは、しかし、現状の制度を見てくださいと。現状の制度を見るにつけ、足元では現状維持派が勝っているように見えるけれども、この制度はもう立ち行きませんよと。やはり、民主党が当時問題提起をした抜本改革の議論については、必ず出てくるということを繰り返し申し上げているわけでございます。

 ちょっと抽象的な話になってしまいましたので戻りますが、今の低年金の方に対する補足的給付について議論しました。

 私は、実は、ちょっとほかの質疑もあってきょうは外していたので、一部聞き漏らしたかもしれません。大臣が今おっしゃっていただいた無年金の方に対する措置もあるかと思います。この無年金に対する対策がどうなっているかということと、この低年金に対する給付金とそれから無年金に対する措置、この辺が全体としてどういう整合性になっているか、局長の方からお願いをします。では、大臣から。

田村国務大臣 実は、その点は我々もかなり議論したんです、なぜ無年金者等々にはつかないんだと。それは無年金者の方がかわいそうじゃないかという議論もあったんですね、その当時。

 ただ、そのときに、最終的に民主党の方々と議論したのは、やはりこれは年金という色彩である。ですから、先ほど言ったとおり、消費税が使えるというのは、年金という位置づけだから消費税が使えるのであって、福祉的給付とはいいながら年金の一部である。低所得者に対して付加的に給付する年金的色彩を持った福祉的給付金であるということでございますので、無年金者にはつかないという整理、位置づけをしたような記憶がございます。

足立委員 ありがとうございます。

 田村大臣、私は繰り返し申し上げますけれども、大臣のことは尊敬申し上げていますが、今みたいな話は、まさに私が申し上げているこの話の象徴で、今おっしゃった年金的色彩を持っている福祉的給付も、非常に、何だ、それはというようなものを編み出してきたのが、この……(発言する者あり)民主党政権ですか。一緒にね、だから国民会議派ですね。自公と民主党を含む国民会議派が編み出してきた制度というのはこれなんですよ。

 それは、ぎりぎり、法制局やいわゆる官僚の中で頭のいい人たちが、何とか、では、これでいきましょうとつくってさしあげたんだと思いますが、いわゆる政治家が仕切る話ではもうないですね、これは。本来、私たち政治家は、元官僚で、僣越ながら、申しわけありませんが、田村大臣ほどの方であれば、やはり政権をとっている間にもっと本格的な議論をやって、民主党の方々も参ったと言えるような社会保障改革に取り組んでいただかないと、今の政権も先行きは厳しいな、こう言わざるを得ないわけでございます、僣越な話で済みません。

 もう時間がございませんので最後になりますが、きょうずっと申し上げたのは、例えば、財産権と公共の福祉、徴収の問題、年金と福祉、あるいは保険料と税金、こういうさまざまな軸で、一体、日本の年金制度、医療制度、社会保障制度をどうしていくのかという議論を本当にしていかないといけない。

 繰り返し申し上げるけれども、民自公の国民会議派の方は、こういうお化けみたいな制度を生み出してきてしまったこの点については、僣越ながら、私たち維新の会は、今後の委員会質疑あるいはさまざまなところで、この議論はやはり正面から訴えていかざるを得ないと考えております。

 田村大臣、お取り込み中ですけれども、最後に、やはり、今申し上げた、税と保険料、年金という保険制度と福祉、こういう点で入り乱れている、制度が入り組んでしまっていることは大臣もお認めいただけると思うんですよ。現状が多少複雑になってきている。保険料と税の問題、あるいは福祉と年金、さらに言えば負担と給付、こういう軸で制度の見直し、それを抜本的と言うかどうかはまた民主党さんとやっていただいたらいいんだけれども、今申し上げたような視点での見直しというのは、今、国民会議を含めて、これから御議論をされていかれるでしょうか、どうでしょうか。

田村国務大臣 これは、我々が、自民党が野党になったときにも、税と保険料と、いろいろなものが入っているけれども、全体の受益と負担というものはどう整理すべきだろうという議論は、いろいろと党内ではやってきておりました。

 問題は、そうはいいながらも、歴然と今、医療なら医療保険制度の中で、抜本と言えるかどうかはわかりませんが、高齢者社会に備える形で高齢者医療制度というものをつくって、これは、別建ての保険をつくったわけでありますから、かなりの改革であったことは確かだと思うんです。

 ただ、その中で、保険が成り立ちませんから、公費を入れざるを得ないという制度設計がある。だから、そういうものに対して、税ですぱっと、では、税でもう医療は全部やるんだと。それはわかりやすいですよね。実際問題、そういう国はありますが、それが結果的に、そのために財政状況等の影響があって、いっときかなり医療を縮小したという国もありました。その後、また拡大しておりますけれども。

 だから、税は税で、その時々の財政的な制約というもので大きく社会保障が影響を受けるという可能性もあるわけですね。保険制度というものは、安定的に保険料収入というものが一定のルールの中で入ってくるわけでございますから、保険方式の方がいいという議論もある。

 ですから、いろいろな御議論はあるんですが、すぱっと、これならば全て解決するなというような制度が、いまだ我々も拝見をしたことがないわけでありますし、そういう議論は、議論の中では出てくるんですけれども、では、これでやったらきれいさっぱり全部片づくねというような、そういう御議論をいただいたということは今のところないという状況であります。

足立委員 これまでの国会等での議論は、まさにおっしゃるとおりだったと思うんです。

 ただ、なぜそうだったかというと、やはり、負担と給付、例えば負担を上げるとか、消費税は増税されたわけですけれども、給付の削減とか、いわゆる本当に苦しいところへの取り組みが足りなかったからだと私は思っています。要すれば、パッケージとして、改革案というのは、やはり相当国民に対して痛いというか厳しい内容に、それはもうならざるを得ない。

 ただ、私は、最後にやはり申し上げておきたいことは、年金であれば、先ほども申し上げたけれども、お金のない現役がお金のある高齢者に、まあ、消費税増税がそうですね。消費税で、お金の余りない現役が消費税で払ったお金が、お金をたくさん持っている高齢者の年金に行くというのが今の制度なんです。

 そういう制度が本当にこれからも理解を得られるのかについては私は否定的だし、むしろ、年金については、やはり、さまざまな、消費税のみならず、相続税や所得税にもしっかりと向き合ってその税源を充てていく。そして、年金については、生活保護や失業保険との兼ね合いもありますね。まさに老齢年金と生活保護との逆転現象ということが言われる。だからこそ民主党さんは、低年金、無年金について光を当てて政権をとったわけです。

 だから、そこについては、引き続き課題はあるんですね。そういう生活保護、失業保険、そして老齢年金というこの三つを全部一体で考えて、そして、私は、もう時間が来ていますね、済みません。その現金給付制度については、やはり税にある程度頼らざるを得ない。一方で、大臣が今おっしゃっていただいた医療については、やはり、保険の性格をきっちり堅持しながら、むしろ医療提供体制の出口のところの改革もしっかりとやっていくことが、今足元で一番重要だというふうに考えています。

 私の意見を申し上げても仕方ないんですが、以上のようなことを、私あるいは維新の会としても、これからさまざまな局面で正面からお訴えをしていきたい、こういうふうに申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 大変にありがとうございました。

松本委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する質疑で、五月十日に本会議で私もさせていただきましたが、先週の金曜日ときょうと、きょうも朝からということで、大臣も副大臣も大変お疲れだと思いますけれども、私の本会議での質問の追加みたいな感じと、きょう、さまざまな委員の方々がいろいろなパターンもありながら議論も尽くされておりますので、総論的な意味合いと、それにかかわる社会保障の問題、その辺のことを私にも少しお時間をいただければと思います。

 言うまでもなく、超高齢化社会となった我が国において、厚生年金基金自体、その役割と企業年金制度の将来像について、本会議でも安倍総理にお尋ねをしました。代行割れ問題の早期解決を図るとともに、厚生年金基金制度を全体として縮小していくと安倍総理も答弁をされて、何日間かの質疑の中でもそのような答弁となっております。

 確認の意味も含めまして、厚生年金基金、代行割れをして、非常に解散したくてもできない、今回の法案はそれを救済するためのということはもう認識した上で、一部、一割の健全な基金に対して、その役割は終わっておらず、今後も継続されるということになっております。

 そういう意味で、こういう代行部分を含む厚生年金基金、これから超高齢化社会、さらにこのピークはもっと先にあるわけですが、退職後の社会保障という意味も含めまして、こういった制度自体、本当にもう役割は終わったということなのか、それとも、健全にうまくやっているところであれば、これはこれからの高齢化社会の中でまだまだ役割はあるということなのか、その辺についてお考えをお聞かせください。

田村国務大臣 企業年金という意味では、これは役割はあるわけでありまして、企業年金がなくなればいいとは我々思っておりません。もちろん、基礎的な生活の中においての一定の収入という意味では、厚生年金本体の部分である程度賄っていただけるというふうに思っていますけれども、現役時代の生活の質というのがそれぞれあるわけでありまして、そういうものをいかに落とさずに維持していくかということを考えた場合に、それぞれの企業で企業年金というものがある。またそれは、一部では退職給付の肩がわりみたいな部分もあるのであろうと思います。

 ですから、企業年金という意味では、今からさらにその役割というものは大きなものがあるというふうに思います。

 そこで、DBであるとかDC、要するに確定給付型の企業年金でありますとか確定拠出型の企業年金、いろいろなものがあるわけでありまして、そういうものをうまくそれぞれの御判断で選択をしていただきながら、企業と連携して、このような企業年金、三階部分というものをしっかりと確保していただきながら生活の質を維持していただきたい、こういうふうに思うわけであります。

 厚生年金基金に関して申し上げれば、その先駆けであったようなところがあるわけであります。初めは、それはいろいろありました。厚生年金の給付を厚くするために掛金を上げなきゃいけないとか、いろいろな理由があったわけでありますけれども、いずれにしても、スタート時にはそれなりにスケールメリットがないと、やはりしっかりと運用利回りが出ていかないというような、特に運用利回りがそれなりに稼げた時代でありますから。そういう意味からいたしますと、スケールメリットがあるだけの資産を持った方が三階部分が厚くなるということもございまして、このような形で代行部分といいますか、これを確保しながら運用を回すというようなやり方であった。

 ところが、低成長時代、運用が、なかなか出ない、こういう時代がやってくる。特に、リーマン・ショックだとかいろいろな、予想ができないような金融不安、いろいろなことが起こる中において、大企業等々の厚生年金基金はもう既にやめた方がいいであろうというので、多くは解散をしていかれました。

 その中で、総合型と言われるような、中小零細が入っておられる、また、産業的に、産業別といいますか、そういうようなところが残ったというところがありまして、そういうところの多くが代行割れ、つまり、運用利回りが出ない。

 しかし、五・五%という約束は果たさなきゃいけないというような中で、これを改正しようにも、規約で、一定程度の方々の賛成がなければ規約改正ができない等々のいろいろな理由があって、これがうまく、財政再建といいますか、財政状況を改善できなかったという状況の中で、かといって、解散といっても、連帯債務があったら、先ほども申し上げましたけれども、そもそも、解散手続をして解散したら周りの仲間たちがどんどんどんどん倒産をしていく。その倒産していくところの負債が、債務がそのまま、基金の年金債務ですよね、これがキャリーオーバーのように自分のところに来るということになれば、次から次へとその重みで倒れていって、最後の一社までいってしまうなんという話になると、そもそも、返していただく代行部分に毀損が生じるわけでございます。

 そういうこともやはり改善しなきゃいけないということで、今回、解散しやすいようにということも含めて、そして、ちゃんと厚生年金の原資が返ってきやすいようにということも含めて、連帯債務というものを外すなり、ほかにも幾つかあるんですけれども、そういうような施策を講じて、もうそろそろ解散をされた方がいいんじゃないですかというような法律を提出させていただいたわけであります。

 なお、先ほど来言っておりますとおり、しかしながら、約束どおりちゃんとやっているところを、財政的にまだそこまでの不安がないところに関しましては、いきなり国がつくった制度で国が潰すということになりますと、これは不合理であろうということもございまして、こういうものに関しては附則で残すということを決めさせていただいたということでございます。

 今回の法律を出させていただく経緯というものがこういう理由であったということを御説明させていただきました。

中島委員 御答弁の中から、企業年金自体は、これから迎える高齢化の社会の中で、社会保障の一環として必要、むしろ国として進めていかなければならない。そういう認識の中で、先ほども申し上げましたように、本法案に関しては、救済したくてもできない、もう既に危なっかしいというところに関して解散しやすくする、もしくは、その後のことも継続してやっていけるように、DB、DCも含めて他の企業年金へ移行しやすくする、そういう意味では非常に理解をしているつもりです。

 また、一方で、本会議のときにも、代行部分のない他の企業年金については、企業や個人の自助努力による私的年金を充実させる観点から、柔軟で多様な設計ができるよう、規制緩和などを進めていきたいと安倍総理も答弁されておりました。

 具体的に、規制緩和というのはどういう意味なのか、柔軟で多様な設計とはどのようなことを示しているのか、お答えください。

桝屋副大臣 今回の法案では、上乗せ資産を保有している基金について、当該資産を他の企業年金に移行して上乗せ給付を続けやすくするための支援措置を盛り込んでいるところであります。それが今、規制緩和という言葉で表現をされたわけであります。

 具体的には、基金解散後に、事業所単位で既存の確定給付企業年金、あるいは中退金、中小企業退職金共済に残余財産を移換できる、そのための税制上の特例を講じる。これは法律で行っているわけであります。それ以外に、今後、政省令において、より簡易な手続等で設立できる確定給付企業年金の導入でありますとか、あるいは確定拠出年金に移行する場合の規制緩和、積立基準などの規制緩和などを行う予定でございます。

 こうした取り組みを進めていきたいと思います。

中島委員 他の企業年金へ移行するための規制を緩和していくという意味ということでよろしいですね。多様な設計というのは、これから迎える時代に沿って、企業年金のあり方、また設計をきちんとやっていく、それを進めていくという理解でよろしいですね。わかりました。

 そもそも、一階の部分、二階の部分を含めた公的年金と、企業に働く方々、一般の方々ですから三階の部分ですね。何度も言うようですが、やはりこれから迎える時代、非常に大事な部分、世界の年金制度を見ていても、そこを非常に重要視している。むしろ、企業年金自体をしっかりと確立するということがこれから備えとして非常に大事な部分だ、そういう認識の中で、今後の公的年金と企業年金の役割分担、どう整理していくつもりなのか。もし、これから整理するということであれば、順番が逆なんじゃないか。

 今回、厚生年金基金、そこでかかわっている方たちもおられる。今まで厚生労働省は、先ほども答弁にございましたように、この厚生年金基金自体、もともと国が関与して進めてきたわけですよね。ある一定期間、規制も緩和して、これから規制緩和して企業年金というような意味合いも含めながらやってきたという背景がある中で、順番が逆のような気がするんですが、いかがでしょう。

田村国務大臣 やはり企業年金は大変重要だというのは先ほど申し上げたとおりでございまして、既に確定給付型の企業年金に関しましては八百万人の方々がこれに加入をいただく、また、確定拠出型が四百二十万人で、合わせて一千二百二十万人以上の方々がこのような形で企業年金という形に加入をいただいておるわけであります。

 問題は、確定給付型企業年金というのはちょっと怖いところがありまして、要は、給付が一定でありますから、運用割れ等々すると、企業がその分を負っていかなきゃいけないということで、企業がそのあいた部分を、債務を負わなきゃいけないわけですよね、一定のルールのもとで。企業にしてみれば、それは非常にリスクがあるということでございますから、そこを何とか考えてほしい。

 一方で、確定拠出型は、これは拠出によって、あとは、どう運用利回りするかは、それぞれ御本人が一定の知識を持って、信託等々と相談をしていただきながら、どうするかということをお決めいただくわけであります。ただし、御本人が運用失敗等々をされる、もしくは関心がなかったりしますと、思ったような利回りが出ずに、結果的に、年金をもらえるときになったときに、こんなものだったの、もっとだと思っていたのになんという問題がありますから、そこのところの御理解というものもしっかりいただかなきゃいけない、そのような問題点もあるわけであります。

 確定給付型に関しましては、先ほど言いましたように、穴があいた場合どうするんだというような、そういう恐ろしいところもありますので、キャッシュバランスプランという制度を導入いたしております。これは、一定程度は確かに運用利回りを出すんです、確定給付的なところで。しかし、もう一方のところは、例えば国債の運用利回りに連動するなどというような形で、うまくバランスをとりながらリスクの方も分散しよう、これは企業側のリスクなんですけれども、そういうふうな制度でございます。

 とにかく長期的に安定して、将来に向かって、ちゃんと年金、これは企業年金でありますけれども、こういうものが確保できるように、今までいろいろな改正等々はやってきておるわけでございます。

 これからも、とにかく将来のそれぞれの皆様方の人生設計という意味からすれば、先ほども申し上げましたけれども、厚生年金二階部分までだけでは、なかなか自分たちの現役時代の生活、ましてや、先ほど来ずっと民主党とも議論しておりましたけれども、やはり今の世代の方々、年金世代の方々の方が得は得でございますので、だんだんだんだん、今よりかは、所得代替率、現役時代の平均賃金に対してどれぐらいの年金がもらえるかという率でありますけれども、これは下がっていきます。五〇%というルールは我々は守るという話はしているんですけれども。

 こういうふうな中において、その部分を、やはりそれぞれの自助努力、企業と協力する中において自助努力をしていただいて、このような形。そういう意味では、御本人が、マッチング拠出なんということで確定拠出型の企業年金に関しては本人も出せる、また、上限額を上げるなんということもやってきておるわけであります。

 それぞれ御努力をしていただく中におきまして、将来の人生設計というものをおつくりいただきたいという意味で、企業年金を育ててまいりたいなというふうに思っておるような次第であります。

中島委員 やはり明確なビジョンですね。いろいろ、さまざまなシステムの中で、先ほども申し上げましたように、数十年前には、厚生年金基金は、これがいいということで国もお進めになった。

 要するに、大きな企業はいいんですよね。今回の厚生年金基金でも、今まで一生懸命それを運用しようとしてきた中小企業の部分だと思うんですね。そういう方たちにとって、今、先ほど言ったように、DBとかDCとか、そういうものに移行をというふうな進め方、移行しやすくなっている、このこと自体はいいんですが、本当に、では、この先、それでいいのかどうか、また同じようなことが繰り返されるんじゃないかということも危惧されるんですね。

 先ほどから、午前中、何日間かも、これから抜本的なとかいろいろな論議がある中で、やはり企業年金自体はこれから迎える時代に非常に大事だという認識の中で、やはり中小企業の方々にしっかりと三階部分を確保するための方針というか明確なビジョンというのをはっきりと示さないと、今回、厚生年金基金も結果的にはこういうことになってしまっているわけなので、三階部分を充実させるために、厚生労働省、しっかりと国のビジョンを示していただきたい。

 今まで、それを何とかやっていこうとしてこられた方々、職員の方々も含めて、やはり説明も非常に大事な部分だと思いますし、これも本会議のときに、質疑において、厚生年金基金の解散に伴い基金職員が職を失うことに対して、総理は、従来同様、各基金や母体企業において対応いただけるものだと考えているというふうに答弁されました。率直な印象としまして、ちょっと冷たいなという印象を受けたんですね。国の方針で実質的に廃止に持っていくのであれば、職員の雇用確保も国が方針を示さなければ、解散事務を含めた実務にも支障を来すんじゃないか、そういったことも印象として受けました。

 雇用を所管する厚生労働省、その辺についてどういうふうに考えておられるか。

香取政府参考人 各基金で働いておられる方々の雇用の問題でございます。

 基金で働いておられる職員の方の数なんですが、代行返上を除いて、今残っている基金が五百六十二あるんですが、全体で二千名弱ぐらいの方になります。いわゆる代行割れしている基金で七百、いわゆる予備軍と言われている一・五を下回っているところが一千人ぐらい、健全基金が二百名程度なんですが、もちろん基金によって大小はありますけれども、各基金で、数名から、多いところでも十名、大体それぐらいのオーダーで各基金ごとにこういった方々の雇用の問題をお考えいただくということになります。

 雇用の問題については、基金は、設立のプロセスで、それぞれ任意で設立していますし、実際の雇用も、あるいは基金自体の性格も民間のものですので、直接、雇用について、これは総理の答弁の繰り返しになりますが、国が個別の雇用について何がしかあっせんをする、介入をする、直接的に行うということはなかなか難しいということだと思います。

 もちろん、ハローワークその他、我々もいろいろな雇用の支援対策を持っておりますので、そういったものを活用しながら対応申し上げるということはありますが、特別に何がしかのことを行うというのは、これまでの基金の解散でもそういうことは制度的には対応してきておりませんので、なかなか難しいかなと。

 基本的には、五年間の移行期間の中で、全体の資産をどう畳んでいくか。基金全体の財産分与、あるいは債務の分担云々という幾つか片づけなければならない問題がございますので、こういった解散後の職員の方々の雇用問題につきましても、各基金それから母体企業のそれぞれの御議論の中で御相談いただいて対応いただきたいというふうに考えてございます。

中島委員 やはりちょっと冷たいなという感じがしますけれども。

 全面的にとは言わないんですが、ある程度、何度も言うようですが、国が決めて、それに準じてやりなさいと、そういう方針を決めたわけなので、例えば、今後の企業年金のあり方、そこにかかわっていけるように、経験もあるということも含めまして、十分な説明と今後の配慮ある対応をお願いしたいと思います。

 もともと、やはり日本の年金制度、ペンションガバナンスも含めて、人口の再ピラミッド化、本当に根本的な構築の部分がやはりしっかりとできていない。軽視したというか、それによってこの現状を招いているということは否定できないことだと思います。そういう中で、こういう時代を迎えて、さらに超少子高齢化の中でこれからどうしていくのかということになるわけです。

 ちょっと話題をかえますが、昨年の六月に、きょうも民主党さんと自民党さんで、三党合意の話、社会保障と税の一体改革、それに伴う消費税増税という話がありました。

 我が党は、増税の前にやるべきことがあると一貫して言っております。徹底した行財政改革、医療分野においても、病院経営のあり方、そして世界一高い薬の値段、医療機器が非常に多い、そういうまだまだやるべきことはたくさんあるという認識の中で、もちろんここにいらっしゃる方は、増税された分が今のシステムを維持するためのことだということは十分理解しております。

 ただ、一般の国民の方は、例えば私のふるさとであります、何度も言うようですが、医師不足、看護師不足、救急車のたらい回し、そういった現状の中で、消費増税されればそういったことが解決できるんだというふうに思っていらっしゃる方はたくさんいるんですね。

 この委員会でもたくさん議論されました。アベノミクスで物価上昇によって年金も目減りする、そういう可能性も否定できない、そういう中で、この秋の景気動向を見ながら、来年の四月に消費税増税、私の目にはそれに一直線というふうに見えますが、この時期に、先日も報道がありました、先ほど山井議員からも質問があってちょっと答弁を聞けなかったんですが、介護保険の中から要支援者を切り離すという報道がありました。今議論されているということが大々的に新聞に出まして、私のところにもたくさん問い合わせが来ました。

 今どういう現状になっていて、本当にその見直しを考えているのか、その辺、お聞きしたいと思います。

原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。

 社会保障と税の一体改革では、介護保険料の増加を抑制するために、給付の重点化、効率化が求められております。軽度者に対する介護給付の見直しにつきましても検討事項の一つであると考えております。

 具体的に、社会保障制度改革国民会議や社会保障審議会での御議論をちょっと御紹介いたしますと、単に軽度者、要支援者を介護保険の給付から除外をするということだけではなくて、介護保険制度に基づきまして市町村が行います地域支援事業、これによりまして、地域の自助や互助も活用しながら、効率的、効果的に高齢者の生活を支えていく、あるいは介護予防というものを進めていく、こういうふうにしていってはどうかといったような御意見が出されております。

 いずれにしましても、地域支援事業等による地域の受け皿の整備などの課題もございますので、幅広い議論が必要ではないかと考えております。

 厚生労働省といたしましては、今後、社会保障制度改革国民会議や社会保障審議会介護保険部会の議論も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

中島委員 議論されているということで、私は絶対反対ですね。

 切り離すということは、各自治体に投げるということになります。でも、そもそも介護保険自体が理念先行なんですね。今も大変きれいなお言葉で、もちろんそのとおりいけばいいんですが、介護保険自体、自治体によって随分取り組みはさまざまだと思います。

 特に、要支援の場合は、介護予防ということで、その介護予防は、ある意味重度化を防ぐという大きな役割を担っています。そういったことも含めまして、これでもし、その各自治体、今でも自治体によって格差が広がっているわけですから、それを、要するに財政重視によって、そういう切り離しのようなイメージ、先ほども言ったように、増税されるのにどうして切り離されるんだ、やはり国民の皆さんには十分な説明も必要ですし、私自身はそれにはちょっと待ったという認識を持っています。

 ですから、そういった中で、先ほどから、社会保障と税の一体改革、私自身は医者として在宅医療をやっていましたが、きょうの議論を聞いて、仲よくやってくれとは言いません、私たちは三党合意の中に入っていませんし、そもそも増税には反対です。お互いやり合うのではなくて、大臣の答弁でもありました、一緒にやっていこうと。やはりいいものを見出していただいて、その中でやっていかないと、もしそれができないんだったら増税はやめてほしい。その中で、やるべきことはまだまだあるはずです。そういう認識の中で、国民の皆さんにしっかりと説明を果たしていただきたい。

 その中で、社会保障の問題、医療や福祉、介護、全てにおいて、今、一方では、再生医療も含めて成長戦略としてなっているわけですね。ですが、一方では、地域の医療や介護というのはやはり生産性がありません。ですから、影の部分と言ってしまうとちょっと語弊があるかもしれませんが、そこにどうやって光を当てていくかということがむしろ厚生行政には非常に大事な部分かなと。八〇%の方がうまくいっていたとしても、残りの二割が、経済だったらそれでいいかもしれません、八割いけばいいだろうと。でも、厚生行政は残りの二割の人に光を当てられなかったら何の意味もない、そのようにも考えております。

 私自身は、同じような質問をしてもしようがないんですが、年金も含めた社会保障の問題、その教育制度。

 私たち、国民年金からいけば、徴収率は今は半分ぐらいですか、五六%ぐらい。要するに、自助、公助の中で、共助となれば健康保険はそうなりますけれども、そういう中で社会保障が成り立っている認識が非常に薄れているんだろうなと。

 私、在宅医療をやっていて、少子高齢化の一番の問題は、もちろん、担い手が少なくなる、介護者も少ない、看護師も少ないという面はあるんですが、一番の問題は、今、私のふるさとでも、三世代で住んでいるうちはほとんどなくなりました。要するに、おじいさん、おばあさんと一緒に住んでいないんですね。私はおばあちゃん子でしたから、こうやって医者になって高齢者医療にかかわるのは非常にスムーズでした。ただ、一緒に住んでいるおじいさん、おばあさんは必ず先に亡くなりますから、子供ながらに悲しい思いをする。その感覚がないお子さんがこれから高齢化に向かってふえていく、実はそれが一番問題なんじゃないか。介護職についても、そういう思いをしていない子供たちが将来本当にそこにやりがいを持って仕事ができるんだろうか。そういったことが非常に少子高齢化の、単純に数だけではなくて、そういう感覚の問題。

 そう考えていきますと、早くビジョンを示してというのは、今の中学生、高校生たちに、今の社会保障の成り立ちや年金制度、非常に難しいですよね、これを理解して、自分が働いた職業によって随分システムが違う、そういったものではなくて、年金の問題、健康保険の問題、社会保障全体がしっかりと働くことでうまく循環しているんだ、そういう認識を持たせないと、これから非常に危うい、制度そのものではなくて、感覚的な問題も含めて非常に危惧されるなと。

 現在の年金教育というか社会保障教育、そういった問題について、今の取り組みを教えていただきたいと思います。

高倉政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、こういった年金制度の考え方あるいは社会保障全体につきまして、小さなころからその骨格、根幹の考え方を御理解いただくということが本当に支え合っていく上で不可欠、重要なことであると考えておりまして、これまで、特に若い方々の理解や信頼を得るための取り組みも進めてきております。

 具体的に、今行っております取り組みとしましては、まず、教育委員会あるいは中学校、高等学校などにお願いをしまして、年金制度に関するポスターやリーフレットの配布をしていただいております。

 また、毎年十一月を、私ども、まだ余り知られていないかもしれないんですが、ねんきん月間と位置づけておりまして、日本年金機構が全国でさまざまな地域に応じた取り組みをいろいろやっておりますが、そのねんきん月間における取り組みの一環で、これは全国一本でやっているエッセーの募集という事業で、中高生を含めた「わたしと年金」をテーマにしたエッセーの募集、幸いなことに、昨年、中高生の参加をいただいて、入選作品もございましたが、そういった形で少しでも普及啓発をということでやっております。

 また、具体的な制度の理解、これも大事でございますので、学生期間中の国民年金保険料納付を猶予する制度のリーフレットや申請書など、これは対象年齢に差しかかる直前ぐらいの専門学校ですとか、あるいはもう対象年齢に入ってくる大学の方々が対象でございますが、そういったところの学校への備えつけの依頼ということをしております。

 また、考え方をという意味では、ただリーフレットを見てもなかなかわからないということがございますので、実際の説明会を開催させていただこうということで、これは大学、高等学校等に働きかけをして、そういう機会をいただいて、適切な人間を派遣して説明会をする、こういったような取り組みを実施しているところでございます。

 また、そういった私どものサイドだけからの働きかけでもなかなか限界もございます。やはり、実際に学校教育等に携わる教育現場における教材も準備していって、先生方にも御理解をいただいて、自信を持って教育いただけるように、そういった問題意識で、現在、学識経験者や関係団体の有識者で構成する、社会保障の教育推進に関する検討会、こういったものも進めておりまして、教材のあり方などの議論も行わせていただいております。

 こういった成果を含めて、さまざまな形で、年金制度、社会保障制度への理解、信頼が深まるよう、引き続き努めてまいりたいと考えております。

中島委員 次の世代を担う子供たちにしっかりと、今の成り立ちというか、それができないと、やはり将来大変厳しいかな、そういうふうに思います。ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 もう時間になってしまいました。

 先ほども言いましたように、三党合意のもとで、今、社会保障と税の一体改革、大臣からも答弁ありました、政権がかわっても、やはり社会保障の問題は普遍性だと思います。何度も言うようですが、お互い痛いところを突き合う、そういうことではなくて、どんな政権になっても普遍性でしっかりとこれからの未来につながっていくように、それができないんだったら、増税はぜひ待ったをかけたい、待ったしていただきたい、そのことをお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 一日、御苦労さまでございました。

 きょうは、第三号被保険者、いわゆる主婦年金の記録不整合問題について質問をいたします。

 資料の一枚目に、この問題の経緯をつけておきました。

 発端は、旧社会保険庁の職員アンケート、消えた年金問題の取り組みの中で、あの不整合記録問題の存在が判明をしたということであります。

 ところが、その後、非常に時間がかかっておりまして、受給者は不整合期間があってもそのままということで、運用三号が出されたのが、その一年後の平成二十二年の十二月であります。

 その翌年、平成二十三年の一月から取り扱い実施がされた直後に、予算委員会で、最初は鴨下議員だったと思いますが、明らかにされたということでありました。

 私も、その後に本委員会で、三月九日ですけれども、質問を行いました。そのときの質問を読み返してみますと、正直あきれるわけですね。

 つまり、この問題が発覚した当時、この十一月のころですね、臨時国会で、年金確保支援法案、つまり、十年追納できるという法案を審議しておりました。そのときに、政府は、民主党政権ですけれども、保険料は毎月毎月払ってもらうのが基本である、十年さかのぼるということ自体モラルハザードになりかねない、そういう厳しい答弁がございました。私は、十年と言わずにもっとさかのぼったらいいんじゃないかということも議論をしたわけですけれども、そうすると、要するに、月々払うということが弱まるというふうなことが厳しく言われていたわけです。

 だけれども、その時点でわかっていた、この問題は。ただ、頭の片隅では、追納を二年やっちゃえば最大で二十五年間チャラにするということを考えていたんだよね、それはちょっとひどいじゃないですかということを指摘いたしました。

 当時、ちょうど私が質問した前日でしたけれども、総務省の年金業務監視委員会、郷原会長のもとではこういう報告書を出しています。「法律上想定している金額を超えた年金給付を行うことを、立法措置によらず、厚生労働省の課長通知によって画一的に認めるものであり、違法の疑いがある。」とまで指摘をしました。ところが、同じ日の午後には、お膝元の年金記録回復委員会は、運用三号については当時の対応はやむを得ない、こういうふうな見解を示して、大分ギャップがあるという指摘をしたわけであります。

 ですから、なぜ問題が発覚した後も適切な対応がとれなかったのか。まさか田村大臣は、当時はやむを得なかったということは言わないと思いますが、この点についての見解を伺いたいと思います。

田村国務大臣 今、高橋委員のお話をお聞きしておりまして、当時のことが鮮やかによみがえってまいりました。

 とにかく、今言われた日にちでいきますと、平成二十二年の三月ごろ、春、これがわかってきたわけで、とんでもない、そのような一課長の通知でこういうことを、法律もないのに国民の権利義務を変えちゃうみたいな話はおかしいのではないかという議論をさせていただいたわけでありますが、その前の年にもう既にわかっていたわけでございます。

 そういう意味からいたしますと、実際問題、これ自体そのときに手を下しておれば、つまり、そういう運用の仕方がいいというわけじゃありませんよ、違う制度で法律を出す準備をしておれば、もっと早く法律は提出をされていたのではないのかなというふうに思うわけでありまして、法律を提出されたのが平成二十三年の十一月でございますから、一年は早く法律が提出できていた可能性はあるわけでございます。

 でありますから、そもそもこの課長通知の運用自体にも疑義があったわけでありますけれども、何よりも、課長通知で何もかも済まそうとしたところ、ここに大きな問題があり、しかも、それがまた遅いんですよね。おかしいということがわかってから課長通知を出すまでが遅いので、その間十カ月とか七カ月ぐらいですか、八カ月ぐらいですか、何をやっていたのかなということも私は不思議でございまして、八カ月、もっとですかね。

 とにかく、何が何だかよくわからない中で、次の大臣が知らないまま実施されていたということも含めまして、ちゃんとした対応をしておれば、もう少し早くこの問題が解決に向かって動き出しておったのではないのかなというような感じを持っております。

高橋(千)委員 本当にこれは、正直、あのとき議論したときも言ったんですが、なかなか明快な解決策はない、どうしても何らかの不公平が残るということだったんですよね。でも、だからこそ早く提起をするべきであったし、今議論されている空期間を処置することや追納を設けることなども、できるだけ早く出せばよかったということは、本当に当時も悔しい思いをして指摘をさせていただいたと思います。

 大臣が今、法案を一年早く出せたという話をおっしゃいました。民主党さんは、出した後の審議を自民党さんが邪魔をしたということをおっしゃって、どっちもどっちだなという感じがするわけですけれども、まさにこの時点では、やはり経過を見ると、明らかに当時の政権の対応が遅かったということは指摘をしなければならない、私はこのように思いますし、その当時、大臣が知らないというふうなことを言ったかもしれないけれども、政務三役は知っていたわけで、ここにもお一人いらっしゃいますけれども、そういうことだということはあえて指摘をさせていただきたいと思います。

 それで、当時は、既に不整合であることを知らずに受給している方がどのくらいあるか、掌握されていませんでした。その後、社保審の年金部会で一定の数字が出されております。それが資料の二枚目です。

 あくまでも想定ということで、「粗い推計」というふうに紹介をされておりますけれども、現在、不整合期間を有する対象者数で、既にもらっている方、受給されている方は五万三千人くらいいるであろう、そして、一番気になるのが、それがどのくらいの月数かということでは、下の方に書いてあって、平均すると一人当たり不整合月数が約六・八カ月である、最も長い人で百二十八月である、ただ、被保険者、現役世代は最大で二百二十四月、こういうようなデータが出たわけであります。

 そこで、このような調査、例えばサンプル数ですとか、どのように行ったのかということと、この結果についてどのように見ているのか、伺いたいと思います。

高倉政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、配付資料の二枚目の「粗い推計」、これの推計の方法、そしてまた、結果としてこういった人数と推計されていることについてどのように受けとめているかという御質問でございます。

 まず、推計の方法の部分でございますけれども、これは、日本年金機構の社会保険オンラインシステム上の記録から、なかなか直ちには人数をぴたっと特定することができない状況にありましたものですから、推計ということを行ったということでございます。

 まず、母体としまして、オンラインシステムの中から不整合にあると考えられる状況、配偶者が一号なのに三号になっているというその人数の総数、これはカウントはできたものですからカウントした、そしてまた、扶養外れの対象者数のところも数を数えております。その上で、そういった分母の中から、例えば死亡者の方などは除かないと問題が特定できない、あと、一月未満のものは除かないと問題が特定できないということから、その部分についてサンプル調査を行ったところでございます。

 先ほど、どれぐらいの人数かということでございましたが、サンプル調査につきましては、不整合記録を有する受給者については七百人、それから被保険者等についても七百人、いずれも、全体の母体の中から無作為に抽出をいたしましてそれを調べた、その割合をもとに、全体のオンラインシステムデータで把握している人数から推計をしていったというのが方法論の部分でございます。

 その人数、結果として、五・三万人、四十二万人という大変な、それなりの人数の数字でございます。

 別途、この一連のいろいろな点検の中で行っております推計の中で、そもそも、第三号被保険者から第一号被保険者に変わって、種別変更の届け出が必要となった延べ数がどれぐらいかといったようなことも片方でやっておりまして、それから見てみますと、大多数、九五%程度は適切な届け出を行っていただいてはいたということが、他方で推計されております。

 しかし、それでは、九五%が適切に届け出をやればそれで済むかというと、そういうことではない。五・三万人、四十二・二万人という方が、受給者、被保険者それぞれ訂正されていないということは、年金制度の運営に対する信頼を損なう非常に深刻な問題と受けとめておりまして、速やかな是正が必要と考えております。

高橋(千)委員 今、サンプル数がそれぞれ七百人ということでしたので、かなり誤差があるかどうかというのが非常に心配されることで、もちろん、今、九五%が適切だと推計されるけれども、それでよしとはしないということをおっしゃいました。そのとおりだと思います。ただ、できるだけこの数字の範囲内でおさまってくれれば、影響が思ったほどではないと言えれば助かるなということは、一つ希望しているところであります。

 そこで、この数字の中に出てくる現役層の未訂正が四十二万人強いるわけであります。そうすると、この方たちは、年金裁定のときには判明するわけですけれども、それまでほっておくと、結局いきなり無年金になるおそれもあるわけで、これもなるべく早く変更しなければなりません。

 ですから、どのように周知徹底をするのか、それから、そうはいっても不整合期間が非常に長いとか、影響が大きい、そういう方たちへの配慮をどのようにするのか伺います。

高倉政府参考人 お答え申し上げます。

 不整合記録を有する被保険者の方々の訂正を進めていくための具体的なやり方でございます。

 何といっても、不整合記録がございますということをお伝えしまして、手続をとっていただくようお願いをしていく、これが一点目でございます。その上で、記録を訂正いただいた後には保険料の後納など、今回の法案で提案させていただいております仕組みが成立しました場合に、そういった後納の関係の内容もお伝えしていく、この大きく二点におきまして、きめ細やかな周知が必要と考えております。

 具体的には、日本年金機構におきまして、不整合記録を有する方のうち、先ほど先生御指摘の被保険者、受給者じゃなくて被保険者の方へのお知らせの送付という部分につきましては、新たに開発したシステムによりまして対象者を把握して、まず、被保険者の方々に対しては今月末から、不整合期間の訂正についてのおわびと届け出のお願いを個別に送付を行っていきたいと考えております。

 その上で、届け出を提出していただいた方を対象に、未納となる期間につきまして、既に成立しております現行の十年後納の制度、これは現行法制下でできますので、その現行の後納制度の具体的な案内を差し上げてまいりたいと考えております。

 また、その上で、法案を成立いただきました場合には、改めて不整合期間の届け出、またそれに係る追納などの制度につきまして、対象となる被保険者や年金受給者の方々に、これは個別にお知らせを送付していこう、これもシステムを開発して、具体的な、その方にきちっとお知らせが届くように、システムを整えた上で個別のお知らせをやっていこうと考えております。

 さらに、お知らせをしただけではなくて、その後で、手続をいただけていないという場合には、一定の間隔を置いてでございますが、再度のお知らせもして、きめ細やかに対応してまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 答弁、もう少し簡潔にお願いいたします。

 時間がちょっともったいなくなったので、少し問いを飛ばして、次に行きたいと思います。

 実は、今回、もう一つ法案が出されていまして、障害年金、遺族年金の支給要件特例の十年延長。本当は、聞きたかったのは、その十年目の期限というのは三年後なんですよね、二〇一六年の三月末だと。何でそんなに早く出すんですかと言ったら、しばらく年金関連の法案が出そうもないみたいなことを原課がおっしゃいましたので、いや、それは困るよというのが私の趣旨であります。

 たくさんの積み残された課題があるんだから、三年先のことを今やらないで、この大事な期間に必要なことをやっていきましょうということで、建設的な提案をしたいと思っております。

 そこで、第三号被保険者記録不整合問題については、障害年金または遺族年金を受給している者については受給権を維持する措置を講ずる、このようになっております。これらの年金は、もともと保険料納付実績について特例を認めているわけですから、単なる、払った者だけが見返りがあるという保険の原理だけではなく、福祉的な意味を持たせている、そういう経過があるわけだと思うんですね。

 そこで、まず一つは積み残しの課題、手当と年金の併給問題です。私は、二〇一〇年から繰り返しこの問題を取り上げてきました。年金優先の原則があるために、私が紹介したのは、たった八千円の遺族年金をもらったがために四万二千円の児童扶養手当をもらえない。しかも、本人は知らなかったので、返還まで迫られているというケースでありました。

 これは幾ら何でもひどいじゃないかということで、二〇一〇年五月十九日の児童扶養手当法改正の際の附帯決議において、「在り方について検討すること。」ということが盛り込まれました。一刻も早くこうしたものは見直していただきたいと思いますが、大臣どうでしょうか。

田村国務大臣 今委員言われました児童扶養手当と公的年金の関係でありますけれども、両方とも稼得能力の低下に対する所得保障という側面があるので、そういう意味からすると、同一の性格を有するものを二つは受けられないということで、どちらかになる。その場合、年金が優先をされるものでありますから、今言われたみたいに、少ない年金があったとしても、それを受けてしまうと、結果的に児童扶養手当が受けられないというこの大きな問題。これは、我々も本当に、私も大臣として言うのは変ですけれども、非常に不合理な制度になっているなというふうに思います。

 そこで、ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会、これは、第一回は五月二十九日の水曜日に予定をいたしております。今委員が言われたような趣旨、ここもしっかりここで御議論をいただいて、やはり問題のあるところに関しては、もちろん今私がここで結論を言ってしまうと、そもそもここで御議論いただく必要がなくなるわけでありますけれども、しかし、しっかりとした御議論をここでいただいて、誰が見てもおかしいという制度に関しては何らかの解決策を見出していただきたい、私も期待をさせていただきたいと思います。

高橋(千)委員 大変前向きな答弁であったと受けとめたいと思います。二十九日の児童部会の議題にもきちっとこの問題が盛り込まれておりましたので、期待をしたいと思います。

 次に、もう一つの大きな課題が、無年金障害者の解決であります。

 私も一応、無年金障害者議連の副会長に名を連ねているわけでありますが、松本委員長も委員の一人だと思います。

 この問題は、私なんかよりもずっと歴史がありまして、資料の三枚目につけておきましたけれども、二〇〇二年七月に坂口元厚労大臣による坂口試案というものが出されております。坂口先生は、御勇退されるまで、熱心に、議連として方向性をまとめる、そういう作業をしておりまして、何としても形にできないかということで、きょう発言をさせていただきます。

 ここに、一、二、三、四というふうに書かれておりまして、例えば、「昭和五十七年一月の国籍要件撤廃前に障害事故の発生した外国籍の者。」推計で〇・五万人というふうな形で、どういうときにこれが起きるのかということとおよその人数ということがされています。

 つまり、障害となったときに未加入あるいは未納だった方は無年金になってしまうわけですけれども、それが、制度の発展過程においてやむを得なかった、つまり、学生の場合は任意加入だったわけですし、主婦の場合もその当時任意加入だった、そういうふうなことが整理をされていって、〇四年は、特定障害者ということで、学生と主婦に対しての特別障害給付金が出されるようになったということがあったと思います。

 まず、現在、こういう方たちがどれだけいるのか伺いたいと思います。

香取政府参考人 実際にもう既に制度の中で受給されている方については、その数字を把握しているわけですが、法案の措置になっていないいわゆる在日外国人の方に関しては、自治体等の聞き取り調査等、単独事業でやっている自治体があるので、そういった自治体を通じた聞き取り調査というのを二十二年に実は行っていて、一定、把握をしたわけなんですが、やはり、もともと年金の側に記録がない方々ですので、国の側としてはなかなか情報把握ができない。

 それから、今の坂口先生の推計でも、非常に数が少ないので、サンプルで調べるというのもなかなか困難。

 自治体で調べたときでも、それぞれ自治体でその給付の範囲を考えて整理をしているので、なかなかその全体像を把握するということが難しいということで、現段階では、当時を超えた実態の数字の把握あるいは推計というのはなかなか困難な状況でございます。

高橋(千)委員 困難というだけの答えだったわけですけれども。

 それで、次の資料を見ていただきますと、とはいえ、厚労省がこのような調査を行ったわけであります、在日外国人無年金高齢障害者に対する自治体の独自支援策。

 ですから、無年金ですので、自治体として何らかのことをやっているというのを、これは全部を網羅しているわけではありませんけれども、六都道府県と五市町村の状況を書いてあります。大阪府でいいますと、対象人数が百七十二名で、月額が二万円。兵庫県は、百十三名で三万三千八百円。京都市が、五十五名で四万一千三百円。そうすると、これは結構、特別障害給付金に近いくらいの額を頑張って出しているということがあるわけですね。

 そうすると、自治体は把握をしているわけですよね。把握をしていて、やはりこれは何らかの措置をしなければならないとして頑張っていることを、一旦は調査しているわけですから、これをやはり全国的に見ていけば、実態がもう少し浮かび上がってくるわけですよね。やはりそれをやってほしいということをきょう言いたいと思うんです。

 この〇四年の特別障害者給付金法の附則、それから両院の附帯決議でも、やはり先ほどの坂口試案の中にあるように、福祉的措置として解決をしなければならないということ、また、家族が高齢化するという中でもう急ぐことだということで、これらの所要の措置を講ずることということが決議をされているわけなんです。

 そういうことを踏まえて、まず、実態の調査を行うべきではないか、そして実現をするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

香取政府参考人 繰り返しの御答弁になりますが、今の数字を見ていただきましても、極めて数が少ないということと、各自治体ごとに支給要件が違っているので、個別にそういう制度を自治体でおつくりになったところはデータがとれるのですが、全国的にこれを調べるということはなかなかちょっと難しいということで、現段階では、先ほどの御答弁の繰り返しになって恐縮ですけれども、実態調査その他を行って調べるということはなかなか困難な状況にあるというふうに考えております。

高橋(千)委員 大臣に伺います。

 当時の決議を読みますと、「無年金障害者の生活を支える家族の高齢化等の実情を踏まえ、国民年金制度に加入できなかった在日外国人その他の特定障害者以外の無年金障害者に対する福祉的措置については、本法の附則の規定に基づいて、」この附則をわざわざ修正してこういうことを盛り込んだんですよ、「早急に検討を開始し、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずること。」

 運用三号に比べても、これは明らかに、入りたくても入れなかったんですよ、外国人の場合は国籍要件があったんですから。自分で納めたくても納められない。その人たちが要件を撤廃されたときに無年金になっちゃった、これは幾ら何でも不合理だね、そういうことを解決していくのが求められているのではありませんか。大臣の決断をお願いします。

田村国務大臣 繰り返しの答弁になって恐縮でありますけれども、国民年金法は、かつて被保険者を日本国民に限定しておったわけでありまして、昭和五十七年の法改正によって、国籍要件が、将来に向かって撤廃されたわけであります。このような取り扱いにつき、最高裁は違憲性はないと判断をいたしておるわけであります。

 結果、いろいろあるわけでありますが、他方、日本国籍を有しなかったため障害基礎年金の受給権を有しない障害者の方に対する福祉的措置について、特別障害給付金法の附則において、検討すべき旨、規定をしたわけであります。

 ということに関しまして、結果的には、やはり五十七年以前の、国籍要件が撤廃される前の案件に関しましては、なかなか、非常に難しいということでございまして、国会における議論や関係者のさまざまな御意見を踏まえて、引き続き検討はさせていただきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 ですから、福祉的措置としてわざわざ附則に盛り込み、決議までしたのではありませんか。それに対して、先ほど来大臣は流暢な答弁をされているのに、なぜこのときだけ官僚答弁をただ読むのかと本当に残念でなりません。これは、本当に積み残された課題として急ぐべきだということを重ねて指摘したいと思います。

 最後の問いとして、八五年に第三号被保険者制度が成立したときに、女性の年金権の確立ということが叫ばれました。しかし、そもそも、主婦年金以前の問題として、厚生年金が創設された四二年、そのときは、最初は女性が適用除外でありました。そもそも、おくれて制度ができてきた、そういう背景がございます。そして、働いていた人でさえ、年金額が非常に低いという実態があります。

 資料の最後に、厚生年金の男女格差をつけました。

 これは、年金額が、下はゼロ円から始まりまして、上に行くほど高いわけですけれども、この濃い方が女性ですので、低い方に女性が張りついているというのが一目でわかると思うんですね。男性は月額二十万円前後、女性は十万円付近に集中をしております。基礎年金のみの受給者の七六%は女性です。そして、その平均は四万七千円にすぎません。

 下の表を見ていただくとわかるように、二〇一二年版女性白書によると、ひとり暮らしの男性が百四十二万人に対して、女性は三百五十九万八千人、長生きだということかもしれませんが。そのひとり暮らしの世帯がこの低い年金なわけですから、四万から八万の年金でやっている、大変な厳しい実態になる。

 こういう実態について、大臣の認識、御所見を伺いたいと思います。

丸川大臣政務官 女性の一人としまして、先輩方の御尽力によって我々女性がきちんと年金を受けられるようになったことについては、感謝を申し上げたいなと思います。

 その上で、基礎年金を含む厚生年金の受給額の平均を男女で比べたときに、男性より女性の方が低くなっているというこの原因についてですが、年金額の算定の基礎となる標準報酬額が女性の方が低くて、さらに、厚生年金の加入期間も女性の方が短くなっているということによるものです。

 このため、男女の機会の均等、そしてまた、均衡待遇、こういうものの取り組みをさらに進める一方で、また、年金制度においても、短時間労働者への厚生年金の適用拡大、そして育休、産休中の保険料免除措置を実施するなどして、全体として女性の年金が確保されるよう取り組むことが大切であるというふうに考えております。

高橋(千)委員 一言言わせていただきます。

 安倍総理は、成長戦略に女性の活躍は欠かせないとおっしゃっております。しかし、イメージ的な戦略のみではいけないと思います。今おっしゃった均衡待遇も、私たちは均等待遇と言っていますが、大事なことだと思いますが、肝心の雇用の現場での賃金格差の解消、あるいは不安定雇用への打開策が示されていない。これでは、やはりまずいと。

 好きなだけだっこ、これは非常に、私、余りにもばかにしていると思うんですね。育児休業中の賃金保障そのものをふやしていかなかったら、とてもじゃないが休めないし、幾らイクメンをといったって、男女の賃金は非常に格差があるわけですから、男性が休むと、がくんと世帯の収入が減るんです。

 そういうところを具体的な施策をやっていかなければ、幾ら好きなだけだっこといったって、好きでやっているんじゃないわよと訴えたくなるわけですから、うたい文句ではない施策を訴えて、終わりたいと思います。

松本委員長 以上で原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松本委員長 この際、お諮りいたします。

 ただいま議題となっております柚木道義君外三名提出の修正案について、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、撤回を許可するに決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 この際、本案に対し、上川陽子さん外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の五派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。中島克仁君。

    ―――――――――――――

 公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中島委員 ただいま議題となりました公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、政府は、この法律の施行の日から起算して十年を経過する日までに、存続厚生年金基金が解散しまたは他の企業年金制度等に移行し、及び存続連合会が解散するよう検討し、速やかに必要な法制上の措置を講ずるものとすることであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 以上です。

松本委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 厚生年金基金は、厚生年金の一部を基金が代行する制度として一九六六年に創設され、国の指導のもとに維持されてきた制度です。資産運用のスケールメリットが期待される一方、代行割れの場合は、公的年金である厚生年金を毀損するおそれがあります。

 バブル崩壊後の超低金利政策のもとで、大企業を中心とした事業所は、代行部分を次々返上し、現在は中小零細企業が基金の中心となっています。代行割れや代行割れ予備軍の基金は九割とも言われる一方、倒産した事業所の負債まで残された事業所が負わされるなど、基金を解散したくてもできないのが指摘をされていました。

 AIJ投資顧問問題で鮮明になったように、この間、資産の運用規制の緩和や、市場の実態と乖離した予定利率の設定を放置してきたことなどが事態をより深刻にしました。

 本法案は、連帯債務を外し、解散をしやすくする条件を整えた点では、遅きに失したとはいえ、当然の措置です。しかし、これから解散に向かう基金の事業所は多くの負債を返済していかなければならず、それは事業本体の経営をも影響を与えることになります。

 こうした国の対応の失敗のツケを残された中小の事業者に負わせるという姿勢には反対です。また、上乗せ給付は退職金の一部であり、緩和策を設けて従業員個人に運用リスクを負わせる確定拠出年金等に誘導するやり方は、賛成できません。

 第三号被保険者の記録不整合問題について述べます。

 この問題が発覚した当時、保険料の十年追納を可能とする年金確保法案が国会で審議されており、早期に是正をする機会がありました。課長通知で取り繕おうとしたこと、これを国会で追及されるまで明らかにしなかった政府の責任は重大です。

 煩雑な制度の周知不足や、既に受給されている方の権利をできるだけ守ろうというための法改正であるというのなら、質疑でも指摘したように、この問題以外にも、以前から指摘されていた無年金障害者の問題、あるいは年金と他の手当の併給制限の問題など、国会決議などで解決を求められながら放置されてきた課題の解決もあわせて行うべきです。

 いずれの問題も、公的年金制度による老後の生活保障が十分に果たせていないことの反映であり、改めて、国際公約である最低保障年金など、暮らせる年金制度へ抜本改正を目指すべきです。

 なお、消費税の増税を行いながら特例水準の解消やマクロ経済スライドによる給付削減は行うべきでないことを主張し、反対討論とします。

松本委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、上川陽子さん外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

松本委員長 次回は、来る二十四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十分散会


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