衆議院

メインへスキップ



第15号 平成25年5月29日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十五年五月二十九日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 松本  純君

   理事 上川 陽子君 理事 高鳥 修一君

   理事 棚橋 泰文君 理事 冨岡  勉君

   理事 西川 京子君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      大久保三代君    大串 正樹君

      金子 恵美君    小松  裕君

      古賀  篤君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高橋ひなこ君

      とかしきなおみ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    永山 文雄君

      丹羽 雄哉君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    三ッ林裕巳君

      務台 俊介君    村井 英樹君

      八木 哲也君    山下 貴司君

      大西 健介君    中根 康浩君

      長妻  昭君    柚木 道義君

      横路 孝弘君    足立 康史君

      伊東 信久君    新原 秀人君

      宮沢 隆仁君    輿水 恵一君

      樋口 尚也君    柏倉 祐司君

      中島 克仁君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君

    …………………………………

   議員           中根 康浩君

   議員           山井 和則君

   議員           柚木 道義君

   議員           中島 克仁君

   議員           柏倉 祐司君

   議員           薗浦健太郎君

   議員           古屋 範子君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   総務副大臣        坂本 哲志君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   厚生労働大臣政務官  とかしきなおみ君

   厚生労働大臣政務官    丸川 珠代君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    須江 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       高倉 信行君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           村木 厚子君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 唐澤  剛君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  船橋 利実君     務台 俊介君

  堀内 詔子君     八木 哲也君

  柚木 道義君     長妻  昭君

  伊佐 進一君     樋口 尚也君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     船橋 利実君

  八木 哲也君     堀内 詔子君

  長妻  昭君     柚木 道義君

  樋口 尚也君     伊佐 進一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 生活保護法の一部を改正する法律案(内閣提出第七〇号)

 生活困窮者自立支援法案(内閣提出第七一号)

 子どもの貧困対策法案(中根康浩君外八名提出、衆法第一九号)

 子どもの貧困対策の推進に関する法律案(薗浦健太郎君外一名提出、衆法第二〇号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

松本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、生活保護法の一部を改正する法律案、生活困窮者自立支援法案、中根康浩君外八名提出、子どもの貧困対策法案及び薗浦健太郎君外一名提出、子どもの貧困対策の推進に関する法律案の各案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る三十一日金曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省統計局長須江雅彦君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官高倉信行君、社会・援護局長村木厚子君、政策統括官唐澤剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中英之君。

田中(英)委員 おはようございます。自由民主党の田中英之でございます。

 本日は、厚生労働委員会で初めて質疑の機会をお与えいただきました。先輩、各同僚の皆さんに感謝を申し上げさせていただきながら、限られた時間でありますので、即質疑に入らせていただきたいと思います。

 私の方は、生活保護法の一部を改正する法律案についてお伺いしたいと思います。

 生活保護法は、昭和二十五年、憲法二十五条に規定された、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」こういった理念に基づいて、本当に長い、六十数年にわたって、国民の皆さんの生存権を保障する制度として大きな役割を果たしてきた、これは事実としてあろうかと思います。

 しかしながら、昨今、社会経済情勢においてもでありますが、毎年、生活保護受給者の数が増加をもしております。平成二十五年二月の時点では、二百十六万人に達するまでに至っているということであります。予算といたしましても約三兆八千億円と、大きな財源となって、これは、政府、また地方自治体においても、この生活保護の財政というものが厳しい、そして財政を圧迫するものになっているということはよく言われると思うのであります。

 また、今日まで大きな制度の改正というものがなかったということも、これは一方、事実としてございまして、近年、生活保護にまつわるさまざまな課題、問題というものがありまして、今回、この改正案が出されたものと認識をいたしております。

 今回の改正案は大きく四つに分かれておりますけれども、生活保護費の不正受給問題によって、国民の生活保護制度に対する信頼や、また、公平感というものが薄れてしまっている状況もあります。また、社会情勢が厳しい状況でもありますので、稼働年齢層と言われる世帯が生活保護をもらい続けて、仕事をすることなく、探すこともなく、そういった現状にあるということに対して、多くの国民の皆さんも不信感を持っておられる。何で働かはらへんのやろ、こんな思いに至っておられる方も多いのではないかというふうに思っております。

 私自身は京都市が選挙区でございますが、京都の市会議員もさせていただいておりました。実は、残念なことでありますけれども、五月の十六日、収入の申告をしない、詐欺という形で逮捕者が出る、こういった問題も起こっております。後ほど申し上げますけれども、しかし、その裏には、自治体等々のさまざまな努力があって、実はこの不正が発覚したということであります。

 一方で、世帯の類型別を見ますと、高齢者世帯や母子世帯、傷病・障害者世帯も、当然ながら、これは全体がふえておりますので、ふえているところでありますけれども、その他の世帯というところがこの十年間に四倍になる、そういった状況であります。

 また、この生活保護費、生活保護のさまざまな財源の使われ方でありますが、やはり医療費にかかわる部分というのが大きな部分となっております。過剰診療や過剰な薬、この問題というものも、今、いろいろなところで問題視されている事実がございます。

 しかし、こういったケースが多いかといいますと、私自身はごくごく一部にすぎないという認識をも持っております。本当に必要な方々がこういった生活保護というものをしっかりと受給できる体制というものは、これは守っていかなければならないと思っております。公平公正な制度であり、国民に信頼される制度を維持、継続するためにも、今回のこの制度改正というものは早急に取り組んでいただきたい。

 実際に事業を担っている地方自治体からは、恐らく、やっとここまで進んでくれたのかな、こんな思いを持っておられる方もおられるでしょうし、私自身も、地方政治にかかわる中で、こういった不正問題等々に関しては、どうしたら変わっていくんだろうということに疑問を持っておりましたので、そういった意味では大変喜んでいる一人でございます。

 そこで、まず、一問目になりますけれども、不正受給、また不適正な受給、これをどのようになくしていくか、この対策についてであります。

 平成二十三年度は、この不正受給で発覚したものが三万六千件、お金にしますと百七十三億円というふうになっております。確かに、不正受給でこのようなことが増加しているんですけれども、少し先ほど申し上げましたとおり、いろいろな努力があって、不正であったものが表に出てきたという認識を私自身は実は持っております。

 さらに正していくために、今回は、さまざまな項目が追加されたということや、福祉事務所の権限を拡大していこうということ。今回は、さかのぼって、過去に生活保護を受給された方々、こういった方も調査の対象になるということにもなっております。

 先ほどのような、京都市の、残念なことでありますけれども、稼働収入の無申告や過少申告、また、各種年金などの無申告を調査するために、今回は、官公署等の情報提供を求めることに対して回答を義務づける、こういったことをも実はつくっていただいております。

 私自身は、こういったことによって不正受給がなくなっていくということは、当然ながら、いいことであると思っておりますし、推進をしていき、賛成をしていく立場であろうかと思っています。しかし、今回、この官公署のこういった資料云々ということに関しましては、恐らくプライバシーの問題や個人情報というものが多々含まれていることと認識をいたしております。

 そこで、こういったプライバシー、個人情報というものをどのように守っていこうとされるのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。

村木政府参考人 お答え申し上げます。

 生活保護は、最低限度の生活の維持のために、資産や収入等、あらゆるものを活用していただくということが要件になっております。このため、保護の実施機関は、適切な保護の決定に当たりまして、申請者等の資産の状況ですとか収入の状況、就労活動等々の状況について把握する必要がございます。

 今般の改正で、先生から今御指摘をいただきましたように、官公署が保有するこれらの情報について、官公署の回答義務を創設し、早期に、正確に情報が得られるようにしたところでございます。

 一方で、先生の御指摘のように、これらの情報は、その性質上、非常に慎重に取り扱うべきものというふうに私どもも考えているところでございます。

 当然、福祉事務所の職員は、地方公務員法に基づきまして、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないということになっておりますので、その意味では個人情報保護は徹底されるものと考えておりますが、福祉事務所が入手するこれらの情報については、保護に必要な範囲にきちんと限定をするということと、その取り扱いについて十分に留意をしていくということを徹底してまいりたいと考えているところでございます。

田中(英)委員 今御答弁いただいたとおり、保護に限定するという部分もあろうかと思いますけれども、やはり個人情報というものを徹底して守っていただける、そういった環境整備というものに努めていただきたいと思います。この点についてはお願い申し上げたいと思います。

 また、日ごろから生活保護の受給者の実態をしっかり把握するために、ケースワーカーさんの問題というものがございます。ケースワーカーの数が足るのか足らないのか、こういった議論は、実際にこの実務をされる地域ではよく議論に上がってくるところであります。

 二十五年度は、ケースワーカーさんを増員していただくための措置がとられております。確かに、こういった措置をしていただくことによって、ケースワーカーさんが受給者に対してしっかりと目の行き届く、そういったことをしていただけるというふうに思っております。今年度、そういった意味では、増員していただいたということになりますので、その経過を見てということでありますが、今後、まだまだケースワーカーをふやしていかなければ、やはり仕事を担っていくことが難しい状況もあります。

 この点について、ケースワーカーを今後ふやしていくべきと考えますけれども、いかがか、お答えいただきたいと思います。

丸川大臣政務官 委員御指摘のとおり、ケースワーカーの皆様に生活保護の受給者の皆様の個々の実態を把握していただいて、それに応じて適切な支援を行っていくということは非常に重要なことであるというふうに考えておりますし、また、ケースワーカーさんお一人の担当件数というのが、地域によっては非常に過大であるというような御指摘を受けていることも事実でございます。

 こうした中で、今年度に向かって、まず、平成二十一年度以降ずっと、毎年度、地方交付税の算定上の人数というのはふやしてきておりますけれども、特に平成二十五年度においては、都道府県で三人、市町村では二人という、これまで以上の、さらに上乗せしての増員というのを行ったところであります。地方自治体全体の職員数が減少する中で、受給者が一方では増加しているという状況はこちらでも認識をしておりますので、こうしたことを行ったわけであります。

 一方で、今回の法改正の中で、今まで予算事業で就労支援員というものを行ってきたわけでございますけれども、それに係る事業というものを、今度は法律の中に明確に事業として位置づけるということになるわけでございますので、こちらの方も、安定的な財政の確保という意味では一歩前進という思いでございます。

 今後とも、自治体がきちんとケースワーカーを確保できるような支援というものに努めてまいりたいと思っております。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 ケースワーカーの問題というものは、恐らく、細かな部分かもわかりませんけれども、実務をするところではかなり議論になっております。そういったことも踏まえていただいて、今後の動向も踏まえて、対応をよろしくお願いしたいと思います。

 申しわけございませんが、時間の方が実は余りないわけでありまして、少し通告した質疑を飛ばすことになるかもわかりませんけれども、御容赦いただきたいと思います。

 今度は、医療に関しての生活保護についてのことであります。指定医療機関については、当初、実は聞こうといたしておりましたけれども、申しわけございません、時間がありませんので飛ばさせていただきますが、生活保護受給者の医療に関して、この薬の部分です。

 ジェネリック医薬品を推進していくということ、私自身も、実は、この後発医薬品を推進していくということは大前提として持っております。しかし、少し気になるのは、これが過度になり過ぎて、実際は先発の医薬品の方がその患者の方には適合する、こういった状況もあります。

 確かに、医師の処方箋等々を見ながら、病院でもそのような処方がされるでしょうし、また薬局でもそのような処方がされるとは認識いたしております。今回の法案でも、患者さんがそのように申し出をされた際は、一旦は先発で処方して、いろいろと説明する中で確認をして今後の対応を考えるということにもなっております。

 私自身、お願い申し上げたいのは、このジェネリックを過度に、そういった患者さんの健康を害することが起こらないような形で推進を図っていくということをお願いしたいと思いますが、その点についての御答弁をお願いします。

村木政府参考人 ジェネリックでございますが、これはもちろん、先発医薬品と品質、有効性、安全性が同等であるものについて承認が行われるものでございます。しかしながら、一般的に言って、やはり医薬品の処方に当たっては、個々の患者の方の状況に応じて処方を行う必要があると思います。

 今回の新たな取り組みでも、医師が専門的な判断によりジェネリックの使用を認めている場合に限り、服用を求めていくということで、一律に強制的に服用をお願いするものではございません。

 法律に、ジェネリックを医師が使用を認めた場合に限り、医療機関も含めた関係機関が受給者に後発医薬品の使用を促すということを法制化するということでございます。

 運用に当たっては、医療機関、そして受給者御本人の理解をしっかり得ながら、円滑に実施をしていきたいと考えております。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 やはり、どんな方であっても健康を守っていくということでありますので、生活保護受給者であっても、その健康を害するような形がないように、薬についても取り扱いをしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 では、恐らく最後になろうかと思います。

 健康や家計の管理ということも、今回は、この中に含まれているわけであります。健康の部分は、恐らく、いろいろと指導する中で、守っていく方向性に誘導ができると思っております。実は、家計の管理でありますけれども、なかなか実態としては難しい。生活扶助費も、住宅の扶助費も、また医療の扶助費も、これが一括して現金として入ってくるわけでありますので、その方々がどのように使われるかというのは、もう御承知いただいているとおりかと思います。

 そういった意味では、私自身、一つ、これはよく相談を受けてきたケースがございますので、その点について御説明をさせていただいて、御答弁を願いたいと思います。

 住宅扶助費であります。これは、平成十八年に代理納付ができるようになりました。しかしながら、地方自治体の中ではこれがどのように進んでいるかというと、全く進んでいないことはないです、一歩一歩という状況です。

 実は、これによって、そこに住まわれている方々がいるわけでありますけれども、その方が家賃を払われないので大家さんが泣き寝入りをする、こういうケースがございます。ですから、そういったケースが減るように、これは十八年度にこういった制度を決めたわけですから、地方自治体にも率先してこのことを取り組んでいく、こういったことを国としても強く求めていただきたいと思いますが、この点についてお伺いしたいと思います。

丸川大臣政務官 生活保護費の適正な支出を図ることは非常に重要なことでありまして、家計管理という点におきましても、住宅扶助については、家賃の支払いに的確に充てられるべきものであるということで、代理納付を推進させていただいているところであります。

 具体的には、福祉事務所の判断によりまして、受給者が家賃を滞納している場合や、あるいは、金銭管理能力が十分でないので家賃滞納につながる可能性がある場合という点については、福祉事務所が、家主に直接、家賃を納付することができるというふうにしてきたところです。

 さらに、今年度からは、この代理納付の仕組みというものを利用して、見守りとセットという形で、賃貸人の安定的な家賃収入を確保するというようなことで、民間賃貸住宅への受給者の受け入れをする仕組みというものを推進することにしておりますので、さらに代理納付制度が進むように支援をしてまいりたいと思っております。

田中(英)委員 ありがとうございました。

松本委員長 次に、新谷正義君。

新谷委員 自由民主党の新谷正義でございます。

 本日、厚生労働委員会で初質問ということになります。よろしく御指導賜りますようお願い申し上げます。

 それでは、時間がありませんので、早速質問に入らせていただきます。

 まず、生活保護法改正案について質問いたします。

 生活保護法第一条は、その目的について、「その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」と規定しています。生活保護については、最低限度の生活を保障するということが前面に出ていますが、もう一つ大きな目的が、自立を助長するということであります。

 また、生活保護法の第四条は、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」と規定しています。つまり、生活保護受給者は、最低限度の生活を保障される権利を有すると同時に、自立を目指して努力するという義務を負っているとも解することができると思います。

 現在、社会保障費が増大しまして国の財政を圧迫する中で、国民の税金によって生活保護が賄われています。生活保護受給者の方にも、今後、セーフティーネットとしての生活保護制度を持続可能なものとするために、いかに自立に向けて努力していただき、いかに義務としてできることをやってもらうか、こういったことが課題になると考えています。

 このような基本的認識のもと、質問に入らせていただきます。

 まず、先ほど、田中委員も少しお話がありましたけれども、ジェネリックの使用促進について質問したいと思います。

 最初に、誤解のないようにちょっと申し上げたいんですけれども、生活保護受給者は、高齢者や持病のある方が多く、そもそも医療ニーズが高いということもありまして、ほとんどの方は必要な医療を受けているということでございます。無駄な医療を受けている方はごく一部であると認識しております。

 先ほど、田中委員のお話にもありましたとおり、後発医薬品の使用促進につきましても、医薬品には、先発医薬品しかなく、後発品では代替できないものがございまして、そのような場合は、国民の医療水準を保つためにも、先発医薬品が使用されないということはやはりあってはならないことだと思います。

 しかし一方では、後発医薬品は先発医薬品と同等の効果を持つケースもあり、安価な後発品を使用することで医療費が安く済むケースが数多くあります。

 現在、生活保護費の半分を占めるのが医療扶助ですが、削減できる部分は限られていると思います。その中で、現在、後発品の使用促進については、限られた分野として、政府を挙げて取り組んでいるものと承知しております。

 しかし、後発医薬品の使用状況を見ますと、一部負担のある一般の受診者よりも、自己負担のない生活保護受給者の方が使用率が低い状況にあります。これでは、生活保護受給者に対する医療扶助について、国民の理解を得るのは難しいのではないかと思います。

 このため、医療扶助においては、先発医薬品しかないのであれば、それはもちろん、それを処方するということになりますが、後発医薬品があるのであれば、極力、後発品を使用すべきだと考えています。そして、これは、生活保護法第四条の、あらゆる努力をする義務に含まれるものであると考えています。

 また、後発医薬品の使用を促進していくためには、例えば、後発医薬品があるにもかかわらず、医療扶助の診療において、医師が先発品の処方にこだわり後発品を出してくれない、その場合は、その理由をカルテに記載してもらうことを義務づけさせてもらうなどの工夫が必要ではないかと考えています。

 今回の改正では、法律上に、「可能な限り後発医薬品の使用を促すこと」という文言を明記することとしております。今後、具体的に、どのようにして後発医薬品の使用を強力に進めていくのか、先ほど申し上げた私の提案も含めて、見解をお伺いしたいと思います。

桝屋副大臣 おはようございます。お答えを申し上げます。

 今委員から、ジェネリックの使用についてお尋ねがございました。

 国全体で後発医薬品の普及を図るという中で、委員からもお話がございました、生活保護でのその普及割合は、医療保険全体に比べておくれているということもございまして、平成二十五年度より、既に課長通知を発出しておりますが、医師が後発医薬品の使用を認めている場合には、後発医薬品を原則として使用するということを求めていくこととしてございます。

 あわせて、医療機関も含む関係機関が生活保護受給者に対して後発医薬品の使用を促すことについて、法制化することとしているわけでございます。

 これは、後発医薬品の処方を行う医療機関において、患者との信頼関係をもとに、個々の状況に応じて、専門的な知見に基づいた丁寧な説明を行って理解を促していくことが、患者に服用を促す意味では効果的であると考えたことによります。

 委員の方から、義務化という話、生活保護法第四条に基づくお話もございましたけれども、まずは、こうした取り組みを着実に実施して、その効果等を検証しながら進めてまいりたいと考えてございます。

新谷委員 ありがとうございます。

 やはり、医者が処方しないと後発品は出ないものですから、そちらの方の対策も、今後、ぜひ強力に検討いただければと思います。

 次に、生活困窮者自立支援法案について伺います。

 生活困窮者自立支援法案につきましては、生活に困窮する者に対して早期に手厚い支援を行うことにより、生活保護に陥ることなく困窮状態から抜けられるようにするものであり、ぜひ早期に成立すべきものだと考えております。

 具体的な内容について伺っていきたいと思います。

 まず、生活困窮者自立相談支援事業についてであります。

 本事業の実施については、最も重要となるのは、相談支援業務に携わる人材の確保ではないかと思っています。いわばワンストップのみで制度を活用できるよう、調整役となる人ですけれども、これがこの事業のかなめになると考えております。

 こういった相談業務に携わるには、いろいろな制度に関する幅広い知識のほか、さまざまな支援機関との連携調整能力や総合的な視野を兼ね備えていることなども必要でありまして、こうした人材の数と質をどのようにして確保するかが大きな課題になると思います。

 この生活困窮者自立相談支援事業に携わる人材をどのように育成してどのように確保するのか、また、全ての自治体でこの事業が有効に機能するための方策について、御見解を伺いたいと思います。

丸川大臣政務官 生活困窮者の方が抱えている複合的な問題というものをきちんと的確に評価、分析するという能力、また、関係機関とのネットワークの中できちんと連携して包括的な支援ができる能力というものは、相談支援員の方には非常に重要な力だというふうに考えております。

 こうした方を確保するために、まず、研修内容の標準化というものを図りながら、一貫性のある養成を図ることが必要であると考えていますので、当分の間は、これは国において相談支援員の養成を直接行う予定であります。

 また、その後、その定着状況も踏まえまして、都道府県単位での人材養成に引き継いでいくことを想定しておりまして、こうした取り組みを通じて、相談支援員の質と量の確保を図ってまいりたいと考えております。

新谷委員 ありがとうございます。

 ぜひこれは、この制度のかなめになると思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、生活困窮者住宅確保給付金について伺います。

 先ほど、田中委員からも住宅扶助に関してちょっとお話がありましたけれども、こちらは困窮者の方で、私、少し質問させていただきたいと思います。

 住居の確保は、自立するための第一歩でありまして、離職した者が安心して就職活動を行う上での基盤となるものでもありますから、この住宅確保給付金を法律上に位置づけて恒久制度にしていくことは、すばらしいことだと考えております。

 ただ、どうしても出てくるのが、貧困ビジネスが介入してくるのではないか、そういった懸念であります。囲い込んで不当に家賃収入を得るような、そういった業者が出てくるのではないかというおそれがございます。また、もし、この住宅確保給付金が困窮者に対して現金で支給されるようなことがあれば、これをギャンブルに使ってしまうなどのようなことも想定されると思います。やはり、私は、家主等への代理納付にすべきではないかと考えております。

 そこで伺います。

 この住宅確保給付金制度に貧困ビジネスが入ってくることをどのようにして防止するのか、また、この給付金は生活困窮者に直接現金で給付するものなのか、あるいは代理納付にするものなのか、伺いたいと思います。

村木政府参考人 新法に基づく住宅確保給付金でございますが、これは現在も予算事業で住宅支援給付を実施しております。

 この現在の住宅支援給付におきましても、現金給付ではなくて代理納付の仕組み、具体的には、実施自治体から、住宅の貸し主あるいは貸し主から委託を受けた事業者の口座へ振り込むという形をとっております。新法におきましてもこのやり方を継承して、代理納付の仕組みを続けたいというふうに考えているところでございます。

 それから、やはり貧困ビジネスといったようなものの介入というのは大変心配な点でございます。

 新しい住宅確保給付金の実施自治体につきましては、今回、必要があれば、新法に基づいて、住宅の現物の確認、それから受給者もしくは貸し主等に対して報告を求めることができるということになっておりますので、これらの規定を使いまして、給付金が適切に支給をされるように努めてまいりたいと考えております。

新谷委員 ありがとうございます。

 私、地域医療に携わっていたんですけれども、その中で、現金給付というのは大体において制度の形をゆがめるという印象がございます。可能な限り代理納付か現物支給か、そういった形でお願いできればと考えております。

 最後に、子供の貧困の連鎖の問題について質問いたします。

 残念ながら、親から子供への貧困の連鎖が生じているという悲しい現実がございます。貧困家庭の子供が十分な教育を受けられず、子供が成人しても貧困から抜け出せないという傾向がございます。

 そこで、今回、我々与党は、子どもの貧困対策の推進に関する法律案を提出しています。子どもの貧困対策に関する大綱を策定し、子供の貧困対策に関する基本的な方針を示す内容となっておりまして、いわゆる基本法的な性格を有するものです。これをベースに、生活困窮者自立支援法による学習支援など、個々の対策をしっかりと打っていく必要があると思います。

 一方で、この子供の貧困対策においても、現金給付ありきの発想があるとしたら、結局は子供の将来のために利用されず、また、ゆがみをもたらすものになりかねないということを危惧いたしております。

 この貧困の連鎖に対しては、やはり、地域の実情に応じて柔軟かつ適切な支援が実施できるよう国が支援すべきである、そして、その支援の内容は現物給付が中心であるべきと考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 子供の貧困対策、これは、子供が生まれ育った家庭環境によって子供の将来が左右されてしまうことにならないように、そういうふうに取り組むことが重要である、このように考えております。

 このため、学習支援といたしましては、生活保護受給者世帯の中学生に対して、新たに、今までは中学三年生を対象にしていた学習支援を、これからは、平成二十五年からは、新たに中学一年生まで拡大させていただきました。

 さらに、高校進学に向けた学習支援を充実させていくほか、生活困窮者自立支援法に基づきまして、こちらは学習支援の制度化に取り組んでおります。具体的には、保護者に対しまして、高校の進学についてアドバイスしたり、学習することの重要性、これの理解を促すような支援を盛り込んでおります。

 また、就労支援といたしましては、生活保護世帯の皆さんの就労支援の増員、さらに、就労支援策を強化していこうということで、例えば一人親の方に対しては、資格、技能の取得等の支援を行わせていただいております。

 そして、生活保護者の高校生に対する中退防止、このために生活支援を行ったり、そして、家庭訪問、これも、働く時間帯を考えて夜間とか休日とか、こういった時間帯に個別相談を行えるようにさせていただきました。

 このほかには、相談支援事業の創設ということで、それぞれのおうちの状態に合わせてパーソナルサポートをさせていただくような充実を図っております。

 これらの取り組みを総合的に進めまして、単なる現金給付ではなくて、なるべくそれぞれの家庭の状態に合わせて、きめ細やかなる支援をさせていただくことを考えております。

新谷委員 ありがとうございます。

 一部の先進的な自治体では、積極的に家庭に介入することによって、高校進学率がほぼ一〇〇%近くまで上がったという事例もございます。ぜひ、積極的に現物給付の形で取り組んでいただければと思います。

 以上で質問は終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

松本委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 大臣初め、きょうは長時間の質疑になります、大変お疲れさまでございます。よろしくお願いいたします。

 我が国の社会保障制度は、国民皆保険、また、皆年金を達成いたしまして、いわば世界に誇れる社会保障制度であるということが言えるかと思います。それを根底で支えているのが、憲法第二十五条を具現化しております生活保護制度であります。

 しかしながら、この生活保護制度は、厳しい雇用状況など、昨今の社会経済状況の変化を踏まえた対応が必要になってきている。また、制定後、この六十年間、大きな制度改正が行われてこなかったということもあり、国民の信頼が揺らいでいる部分もございます。

 さらに、経済的困窮、社会的な孤立を招く生活困窮者をめぐる問題も深刻化をしてきたということで、このたび生活保護法の改正、提出をされたものと考えます。

 先ほどの質問とも重なる部分もございますが、今回の改正の論点につきまして、順次お伺いをしてまいりたいと考えております。

 まず初めに、生活保護の申請の法定化の問題についてでございます。我が党内でもさまざまな議論がございました。

 生活保護法案において、保護の申請の際に、必要な書類を添付して、書面を提出する規定を法律上新たに設けるということになっております。しかし、生活保護を申請する方の中には、そもそも、この書類を準備することが困難である方、また、書面に必要事項を記載することが困難であるという方もいらっしゃるわけです。

 現在、このような方については口頭申請が認められているなど、現場において柔軟な運用が行われております。今般、保護の申請手続を法律で規定していくということに伴って、申請が厳格化されてしまうのではないかという声が上がっております。

 この懸念について、厚生労働省から、運用は変えないのだということを部会等でもお伺いをしております。皆様方が御心配されないよう、皆さんの心配を払拭されるよう、改めてこの件について確認をさせていただきたいと思います。

田村国務大臣 おはようございます。

 今、古屋委員から御指摘いただいた点でございますが、今般、二十四条に、申請書類を提出するということでありまして、同時に、そのときに必要な添付書類等々を提出いただくということが書かれたわけであります。

 ただ、本当にいろいろな御心配をいただいたのは我々も遺憾でございまして、誤解を招いたのなら申しわけなく思っておるわけでありますけれども、これはまず、書類といいますか、口頭で申請をされたときに、受理は当然するわけでございまして、手続に入るわけでありますけれども、その一環として、やはり申請書類というものが必要になるわけでございますから、これをお書きいただく、今までもそういうふうになっておるわけであります。

 あわせて、必要な資産の状況でありますとか、いろいろなものがやはり生活保護を決定するには必要でございますから、そういうものも、現行もお求めをさせていただいておるわけでありまして、そこも変わるわけではないわけであります。

 今御心配をなされた、口頭でなければなかなか申請をお出しになれない方もおられます。そういう方々に関しましては、当然、今までどおりの口頭で御申請をいただいて、それをまた職員が筆記で書いて、代筆をして申請書類をつくるということも、これもこれまでどおりでございますので、そこが変わるものでもありません。

 では、なぜこういうような、二十四条に書き込んだかといいますと、それは一つ、今回、調査というものを厳格にしようということにしたわけであります。それは、不正な申請というものがいろいろと散見される中において、そちらの方はしっかりとしなきゃいけませんよ、そういうお声もございまして、その要請から、そのように調査の厳格化をしたわけであります。

 そうなりますと、やはり法律をつくる上において、調査を厳格にする、調査権限の強化ということになれば、当然、申請の時点でも何らかのことを書くというのがバランス上必要であるというふうに我々理解をいたしまして、法制局とも相談する中で、そのような理解の上でこれを書かせていただいた。

 ただ、申し上げましたとおり、実態は全く変わらないわけでありまして、私も、原局の方に確認しましたら、様式も変えないということでございますので、そこは全く今までと実態は変わらないというふうに御理解をいただきたいと思います。

 あわせて申し上げれば、それも含めて、五月の二十日に全国の担当者会議の方で、その旨をしっかりと我々の方から示させていただいて、御理解をいただく努力をいたしております。

 なお、提出書類の期限、これも御心配をいただいております。必要な書面等々がそろわなかったらどうなるんだ、これは申請そのものが無効になるんじゃないかというようなお話もございますが、先ほども言いましたとおり、受理はさせていただいておりますので、当然、保護決定までの間にお出しをいただければありがたいわけでありますが、ただ、決定するために必要な内容であることは間違いないわけでございますから、なるべく早くお出しをいただいた方が保護決定にこちらもスムーズに進めるわけでございますので、それは御利用される方も、なるべく、できる範囲で結構でございますので、早目にお出しをいただいた方がありがたいという思いはあるわけでございますが、決して期限があるというようなわけではございません。

古屋(範)委員 ただいまの大臣の答弁で明確になったと思います。

 現在行われている手続と変わらない、それは申請の時点で厳格化をするものではないということでございます。特に、障害などをお持ちで書面に記入ができないような方々においては、口頭でできるということでもございました。それは、二十八条、今回、調査ということが厳格に盛り込まれております。これとの対になるといいますか絡みで、その申請の時点で提出をするということが今回の法律に盛り込まれた、そういうたてつけになっているという理解だと思います。

 ぜひ、人権にかかわることでもあり、その窓口において、それをあえて規制を強化するというようなことがないよう、既に徹底をされているようでございますけれども、重ねてこの点はお願いをしておきたい、このように思います。

 次に、扶養義務者への通知の規定の問題についてお伺いをしていきたいと思います。

 生活保護法では、扶養義務者による扶養は保護の要件とはなっておりません。しかし、今般の改正案については、保護の開始の決定の際に、扶養義務を履行していない扶養義務者に対して通知を行うという規定、扶養義務者に対して報告を求める規定を新たに設けるということになっております。

 そこで、この規定が設けられることが、生活に困窮する方の保護の申請をためらわせることになってしまうのではないかという懸念がございます。

 例えば、DVを受けている、虐待を受けている、あるいは借金を背負わされる、このようなケースは私の身近にもさまざま実際にはあるわけでございまして、親戚縁者とは、そういうところとはとても連絡はとれない、とりたくないという方々もいるわけでございます。

 この懸念について、厚生労働省からは限定的な運用をされるというふうにお伺いをしておりますけれども、副大臣、この点について確認をしたいと思います。

桝屋副大臣 扶養義務の扱いについてのお尋ねでございます。

 この点も、今委員からもお尋ねがありましたけれども、明らかに生活保護受給者を十分扶養することができると思われる人に対して、逆に何らの対応も行わない、そのまま保護費を支給するということは、委員からもお話がございました、国民の生活保護制度に対する信頼を逆に失わせることになりかねず、それは適当でないだろうということで、扶養が可能と思われる扶養義務者にはその責任を果たしていただきたい、これは今までもそういう取り扱いでございました。

 一方で、行政が家庭の問題に立ち入ることは慎重にも慎重を期すべきということも、これも当然でありまして、本当に保護が必要な人が保護を受ける妨げとならないよう、委員がおっしゃるようなそうしたことが起きないように、慎重に対応していく必要がある、過度の介入は厳に慎むべきだ、このように考えております。

 このため、扶養義務者への通知や、扶養義務者に報告を求める規定の適用につきましては、今申し上げましたように、明らかに扶養が可能と思われるにもかかわらず扶養を履行していないと認められる、極めて限定的な場合に限ることといたしまして、この内容については省令で明記をしてまいりたいというふうに考えてございます。

古屋(範)委員 ありがとうございます。

 副大臣がおっしゃいましたように、一方で、やはり国民の信頼を取り戻していかなければいけない。お笑い芸人の方の事例も確かにございました、話題になりました。また、一方では、個人個人の実情というものを的確に把握していかなければいけない。この両面、しっかりバランスのとれた運用をお願いしたい、このように思います。

 次に、就労自立支援についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 昨年の八月、当委員会におきまして、やはり生活保護について質問をいたしました。そのときも、自立を促すために就労意欲を喚起する仕組み、就労収入積立金制度の創設をということを提案したところでもございます。

 近年、増加傾向にある生活保護者の中には、高齢化の影響もあるんですけれども、自立が容易でない、そういう高齢者のほかに、稼働可能な方々がふえてきてしまっているということがございます。

 高齢の方々の受給世帯は四二・五%、非常に多いわけなんですけれども、障害者世帯、傷病者世帯が三二・六%、母子世帯七・六%。その他世帯というところですね、約二十五万世帯、一六・九%となっており、ここが稼働年齢層というふうに考えられるというわけでございます。

 この稼働可能な世代に、ここのところを自立を促していくということが必要になってくるんだろうというふうに思います。生活保護受給者の自立を助長する仕組み、これは必ずしも現在十分であるとは言い切れないと思っております。その中で、生活保護受給者の自立を促進する仕組み、これを充実させていくということは極めて重要でございます。

 私たちも、この前の自公政権の折に、就労自立給付金ということで、こういう制度もさまざまつくってきたつもりでございますけれども、今回の生活保護制度の見直しで、運用面も含めてさまざまな見直しが行われていますけれども、生活保護受給者の就労支援についてどのようにお考えか、この点についてお伺いをしたいと思います。

桝屋副大臣 働く能力がある生活保護受給者が就労して自立をしていただくということ、その支援をしていくという観点、極めて重要であると考えております。

 これまでも、委員が御指摘になりましたように、福祉事務所に専門職の就労支援員を配置しまして、就労支援を強化し、実際に先進事例もございまして、就労、増収につながるなど、一定の成果を上げるということもございました。

 今般の見直しにおきましては、働ける方の保護からの早期脱却に向けまして、保護開始直後から脱却に至るまで、切れ目のない就労支援を行うことを明確にいたしました。

 具体的には、就労自立が見込まれる方につきましては、原則六カ月以内に就職することを目指して、本人の納得を得た集中的な就労支援を実施すること、これを明確化いたします。

 そして、みずから積極的に就労活動に取り組んでいる方に対しては、その活動に対する経費等を踏まえて、就労活動促進費を支給する。

 さらには、就労した場合に対象となる勤労控除の全額控除となる額の引き上げや控除率の見直し、これもやりたい。

 それから、保護脱却後に、これは税とか社会保険料の負担が新たに生じることになるわけでありますから、こうしたことを念頭に置きました就労自立給付金、委員からもお話がございました、これを創設するということで、さらに就労支援のツールを充実していきたいと考えているところでございます。

古屋(範)委員 ぜひ就労自立に向けて、こうした具体的な支援を実効性あるものにしていっていただきたいと思います。この就労自立給付金は、就労に向けて非常にインセンティブになる制度だと思いますので、これもしっかりと実行をしていただきたい、このように思います。

 次に、不正受給についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 平成二十二年の不正受給は、約三万六千件、約百七十三億ということでございます。これに対する御意見もさまざまいただいております。この生活保護費の不正受給については、把握されているケースを金額ベースで見ると、全体の保護費の〇・五%という水準ではありますけれども、やはり一部であっても不正受給があるということ自体、この制度に対する国民の不信感というものを招きます。私たちの税金で行っているのだからというような厳しいお声が届いてまいります。生活保護全体への、この制度全体への国民の信頼を失いかねないということであります。

 そのような中で、この不正受給対策を行っていくこと、これは生活保護制度の信頼を確保する、また、支援が必要な方に安心して受給をしていただく、これは両面から非常に必要なんだと思うんですね。

 そこで、今回の生活保護制度の見直しで、さまざまな不正受給対策を講じていらっしゃいます。これについてお伺いをしたいと思います。

桝屋副大臣 この不正受給の話は、私自身も余り言いたくないわけでありますが、やはり、委員からもお話がございましたように、公費によってその財源が賄われているという生活保護制度でございます。不正受給という問題、これはまさに制度に対する国民の信頼を揺るがす極めて深刻な問題であるため、委員御指摘のとおり、厳正な対処が必要であると考えてございます。

 このため、今回の改正法案の中では、まずは地方自治体の調査権限を拡大するということで、具体的には、求職活動等に関する状況の調査も可能にしたい、あるいは、過去、受給者だった者についても調査ができるようにしようというようなことなどを入れてございます。

 それから、罰則の引き上げや不正受給に係る返還金の上乗せなどの生活保護制度の見直しを行うこととしてございます。

 なお、委員からも御指摘もありました、この見直しに当たっては、保護の要件、あるいは真に支援が必要な方には確実に保護を行うという生活保護制度の基本的な考え方を変えるものではなくて、支援が必要な方に対して適切な保護を実施しつつ、制度の信頼を確保するための対策を進めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 次に、医療扶助についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 先ほども質問がございました。この医療扶助については、一部には医療機関への重複受診などの問題があるということも指摘をされております。生活保護受給者が必要な受診を抑制することがないよう、これは十分な留意が必要でございます。必要な適正化を行う必要がある、両面において必要なんだと思います。

 公明党は、厚生労働大臣に対しまして、ことしの三月一日ですけれども、新たな生活困窮者対策の制度化及び生活保護制度の見直しに関する要望を提出させていただきました。指定医療機関制度の見直し、あるいは後発医薬品、ジェネリックの使用促進などを求めたところでございます。

 今回、どのような対応を行っていくのか、この点についてお伺いをいたします。

桝屋副大臣 医療扶助につきましても、今委員がおっしゃったように、公明党から大臣に強く申し入れをいただきました。先ほどからの質問にありますように、生活保護費、支給費の中で半分ぐらいを占める大きな部分でございまして、国民の信頼を確保する上でも重要な課題だと考えてございます。

 このため、医療扶助の適正化に向けまして、一部の医療機関等による不正事案については厳正に対処する必要があるために、今回の法改正案では、指定医療機関制度について、指定それから取り消し、この要件の明確化や、指定の有効期間の導入等の見直しを行っているとともに、国による指定医療機関への直接指導も可能とするというふうにしてございます。

 それから、ジェネリックの話でありますが、これは、さらなる使用を促進するため、平成二十五年度、先ほどもお答え申し上げましたが、医師が後発品の使用を認めている場合には、原則として後発品を使用していただく運用を既に始めてございます。改正案では、医師が後発品を認めている場合には、医療機関も含めた関係機関が、受給者に対して、後発品の使用を促すことを新たに規定しているところでございます。

 こうした取り組みを通じて、医療扶助の適正化をさらに推進してまいりたいと考えてございます。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 次に、生活保護の手続の現場でございます自治体の体制整備についてお伺いしたいと思います。

 生活保護受給者の一番のサポート役は、やはりケースワーカーです。このケースワーカー、近年、受給者が急増しておるために、一人が担当する生活保護受給者の世帯が非常に大きくなってしまって、なかなか面倒が見切れないというのが現状であります。この点についても、私たち、申し入れの中で、ケースワーカーの増員ということも申し上げました。

 生活保護制度の見直しに当たって、自治体の過度の事務負担の増とならないように、また、生活保護受給者に対して適切な支援も行っていくという観点から、福祉事務所のケースワーカーの増員、この体制整備を図る必要があるというふうに考えます。この点についてお伺いします。

村木政府参考人 御指摘のように、福祉事務所の体制整備は非常に大事でございまして、特に、ケースワーカーはその中心だと私どもも認識をしております。

 地方自治体の職員自体は、全体、減少しているんですが、生活保護の受給者が急増をしている、このところ非常に増加をしていたということにも鑑みまして、平成二十一年度以降、毎年度、地方交付税の算定上のケースワーカーの人数をふやしております。

 特に、平成二十五年、今年度でございますが、都道府県で三人、市町村で二人と、これまでにない増員を図ったところでございます。

 また、ケースワーカーをしっかりサポートするという意味で非常に大事な就労支援員につきましても、これまでは予算事業でございましたが、今回、生活保護法に明確に事業として位置づけ、財政的な支援もしっかりするということでございます。

古屋(範)委員 ありがとうございます。

 ケースワーカーの存在は非常に大きいと思いますので、この増員を図る、これをしっかりと実行していただきたい、このように思います。

 ここまで、健康で文化的な最低限度の生活を維持するための生活保護制度、これについてるる質問をしてまいりました。この生活保護法の改正とあわせまして、貧困の連鎖を断ち切っていく、将来に向けて、子供の学習支援、あるいは生活保護に至る前の生活困窮者に対して、生活保護に陥らない、こういう支援を行っていくということがあわせて非常に重要になってくると考えます。

 貧困の連鎖に関しましては、生活保護受給世帯のうち約二五%の世帯は、自分が子供のころも生活保護であった、このような数字があります。また、高校進学率につきましても、一般世帯では九八・二%ですけれども、生活保護世帯では八九・五%、一〇ポイントの差がございます。これはもう歴然としております。

 せんだって、埼玉のアスポート事業に行ってまいりました。

 ここは、県で、教育支援、それから就労支援、それから住宅支援、この三つの支援を行っていまして、特に教育支援、貧困の連鎖を断ち切るために、保護家庭の子供さん、特に高校受験の中学三年生を対象といたしまして、特養ホームを借りて、特養ホームは本当に無償で、ですから電気、水道代も持ち出しということで、保護家庭の中三のお子さんを集めて、教員OBの方などが全体を見ながら、家庭訪問もしていくそうです。

 孤立している、引きこもりだったり不登校だったり学習についていけなかったり、こういうお子さんのために家庭訪問もして、その特養ホームで行っている学習支援の場に来てもらって、たくさんの大学生にボランティアで来ていただき、マンツーマンで勉強を教え、高校受験に臨んでもらう、このような支援の場に行ってまいりました。

 すばらしい制度だと思いました。特養に入所されている方々も、何かきょうはたくさんのお客様が来ているというような感じで、そわそわ、浮き浮きしたりしているような、そんな雰囲気も見受けられました。

 このような事例も踏まえまして、今般、政府の方から、生活困窮者に対する自立の支援を講ずる生活困窮者自立支援法案が提出をされたところでございます。

 この生活困窮者支援制度の構築には、財源措置として、私たちの要望も踏まえていただき、自立相談支援事業、住居確保給付金については国庫負担四分の三、また、就労準備支援事業などは三分の二の補助ということで、国の費用としてこれが確保されたということは非常に評価をしております。

 この支援が全国において実効ある形で実施できるよう、先ほど申し上げたモデル事業を踏まえて、十分な予算を確保していく、このことが必要と考えます。この生活困窮者支援の財源について、まずお伺いをいたします。

丸川大臣政務官 今、先進的な取り組みの事例を御紹介いただきましたけれども、そうしたものも参考にして、私たちの生活困窮者自立支援法の中でも、例えば、先ほど答弁にありましたように、学習支援の対象を中学一年生まで拡大するというようなことも含まれておりまして、ぜひとも、この新制度の中で、福祉事務所設置自治体において、平成二十七年度の施行の際には、事業を適切に実施できる事業規模としていくことが非常に重要であるというふうに考えております。

 そのために、今年度からモデル事業を実施することとしておりますけれども、このモデル事業を通じて、事業効果の検証、それから人員体制、どの程度の人員が必要なのかという検討を十分に行いまして、必要な事業規模を確保してまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 ここが一番重要ですので、何とぞよろしくお願いします。

 この埼玉の学習支援の事業、平成二十三年度の成果として、この教室に参加をした三年生、三百五人中二百九十六人が高校進学を果たしている。九七%ということで、平成二十一年度の保護世帯の進学率は八六・九%ですので、一〇ポイントも上がっているんですね。貧困の連鎖を断ち切るという意味でも、大変重要な事業です。その裏づけとなる財源の確保にぜひとも全力を尽くしていただくよう、お願いをいたします。

 最後の質問になります。就労訓練事業についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 就労訓練を行う事業者に対して、生活困窮者の就労に向けた適正な支援が行われること、また、生活困窮者に対して不当な取り扱いを行わないということも担保する必要があります。

 実施事業の認定基準、また認定方法はどのようにお考えか、この就労訓練事業についてお伺いを申し上げます。

丸川大臣政務官 お答え申し上げます。

 就労訓練事業、これは都道府県知事等が、政令市、中核市も入りますけれども、認定を行うこととしておりまして、この認定を受けた事業が認定基準に適合しなくなったときには、都道府県知事等はその認定を取り消すことができるというふうにしております。

 この認定基準については、制度の施行までに厚生労働省令で定めることとしております。

 具体的なその項目などについては現在検討中なんですけれども、例えば、各種法令等に照らした事業所の適正性、それから就労支援に必要な体制に関する事項などを規定することを想定しております。

 就労訓練事業については、今年度から、モデル事業実施に当たって既にガイドラインを作成しておりまして、まず、これに沿ってモデル事業を実施して、その運営状況を、どうなのかということを踏まえながら、具体的な認定基準を検討することというふうにしております。

 いずれにせよ、制度を利用する方にとって真に自立に資する仕組みとなるように、適切な認定の仕組みを構築するようにしてまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

松本委員長 次に、横路孝弘君。

横路委員 日本の生活保護制度というのをヨーロッパの制度と比べてみますと、一般的に言われているのは、人口対比でいうと、日本の場合は数は非常に少ない。三分の一か四分の一ぐらい。給付の内容のレベルは、欧州に比べてそんなに低いわけじゃありません、むしろ高いという評価も受けています。

 そこで、問題は、日本の社会も大分変わってきまして、所得の低い人たちがどんどんふえていっています。その低所得者の中で、では、一体、今生活保護を受けている人というのはどのぐらいいるんだろうか。よく捕捉率という形で議論されておりまして、学者によって数字は大分違いますが、平均的には二割ぐらいかなと。もっとも、四、五年ぐらい前の数字をベースにしていますが、二割ぐらいかなというように思いますけれども、今、大臣、低所得者の中で生活保護の受給対象になっている人は大体どのぐらいの割合だと思いますか。本当に必要な人の中で、給付を受けている人というのはどのぐらいかということです。

田村国務大臣 今、生活保護の水準がヨーロッパと比べて決して低くはないというようなお話もいただきました。

 どこまで、低所得者の皆様方の中で生活保護を受けておられる方々が、カバーできているという言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、おられる方、なかなか私も、必要な方にどこまで行き届いておるかということ、実態がなかなか、調査はつかめていないわけであります。

 しかし、必要な方々にはやはり生活保護をしっかりと受けていただかなければならないわけでございますので、それが受けられないという社会は、これは私は正常じゃないというふうに思っておりますので、受けられるような、そんな環境を整えてまいらなきゃならない、このように思っております。

横路委員 先日も、大阪で母親と子供が餓死をしたというような、本当に悲しい事件が出ました。

 捕捉率、学者によりまして、平均で大体二割ぐらいなんですね。これは、人口対比の数字とも、やや合っているんです。もし二割だとして、現在の受給者でいいますと、対象者というのは一千万人を超えるんですね。この一千万人を超えるということは、やはり理屈に合っていまして、例えば、所得だけで言いますよ、年収二百万以下の人はどのぐらいいるのかというと、民間の給与実態調査でいきますと、一千万を超えています。それから、国民生活実態調査でいうと九百万ぐらい。やはりかなりの人が、年収二百万以下という生活をしている方がおられるわけですね。

 一つは、貧困というのはどこで線を引くかというのは、OECDでの相対的貧困率というのがありますが、あれの例えば子供の貧困率を二〇〇九年の数字で見ますと、十七歳以下で一五・七%で、これは総体でいうと三百二十三万人になるんですね。

 ですから、実際、今生活保護を受けている人と、低所得者層が幅広くなっていて、そういう中でもって、本来受けるべき人、受けないで餓死する人も出てきている日本の社会です。

 やはりそういうところをしっかり認識していただかなければいけないし、私は、生活困窮者対策というのが新しく出てきた、これは評価しています。これはやはり、貧困層が広がっているということを前提にして、既存の生活保護制度だけではなかなか対応できないから、もっと広げようということなんでしょう。

 だから、貧困層が広がっているという認識を厚生労働省はしっかり持っていただきたいと思うんですが、それはいかがでしょうか。副大臣でも結構です。

田村国務大臣 なかなか収入だけでは捉えられない部分があると思います。資産もありますし、そもそも、私どもの地方の方では、年金収入等々、余り確かに多くないんですけれども、家に田んぼ、畑があられて、みずからおつくりになられて、それで自活しておられるという方々もおられるわけでございますから、なかなか収入だけでははかれないのかなというふうには思います。

 今般、この生活困窮者に関する法律に関しましては、貧困層が広がっておるというか、実態として、やはりそこで生活保護に至られる方々がふえてきておるのは事実でございます。でありますから、その前に、支援をする中において、生活保護に至る前に御自立をいただくというような制度を今回考えさせていただいておる。

 生活保護受給者の方々はふえておりますから、そういう意味では、生活保護に至られる方々はふえておる、そういう実態があるのは確かでございます。

横路委員 生活保護の周辺には、やはり今の日本の社会が持っている社会問題がいろいろ出ています。厚生労働省からも、生活困窮者の今回の法案に関連して、大変いい資料が出ています。

 それはどういう資料かというと、現在、生活保護を受給していないが、生活保護に至る可能性が高い者が稼働年齢層において多数存在をしているということで、一つは、申請、事務所に来たけれどももらえなかった人、これが四十万人。それから、非正規の労働者、これはもう今三五・二%ですから。それから、年収二百万以下の給与所得者、先ほど言いましたように、一千万前後ぐらいおられます。あるいは、もうちょっと超えているかもしれません。

 あるいは、高校の中退者、五万四千人。中高の不登校が十五万一千人。この不登校の人というのは引きこもりになる可能性というのがあります。それから、ニートが六十万人、引きこもりが二十六万世帯というように、つまり、今は生活保護をもらっていない、例えばニートでもって家で親に面倒を見てもらっている、しかしながら、では親が亡くなった後どうなるんだろうかというと、生活保護につながっていく可能性というのがあるわけですね。こういう層も含めて指摘をしています。

 これは非常に正しい指摘なので、私どもは、やはりこういうところを少しでも問題解決して貧困層を解消していく、こういうことが非常に大事なことなんだというように思っています。

 それで、今回の生活困窮者、一体どのぐらいを対象にして事業をやる計画なんでしょうか。事業計画のレベルはどうなんでしょうか。局長で結構です。

村木政府参考人 今回の新しい法律でございますが、法律の定義そのものは、生活困窮者は、経済的に困窮し、最低限度の生活ができなくなるおそれがある者というふうに定義をしてございます。

 事業規模を、今の段階で、この層で何人というところまで申し上げるのは非常に難しいんですが、対象者として非常に我々が、恐らくこの対象の中心になると思っている層が、一つはやはり、福祉事務所にいらっしゃった方々の中で、その時点では生活保護の申請に至らない方、これは年間四十万人ぐらいいらっしゃいます、これは一つの大きな対象だろうと思っております。それから、今先生が御指摘になられました引きこもりの方、これは二十六万世帯。それから高校中退者五万人ということで、こういった方々がこの新しい法律の中心のターゲットになるのではないかというふうに考えているところでございます。

横路委員 確かに、福祉事務所に来て申請を受け付けてもらえなかった人というのは、困っておられるから相談に行ったわけですから、対象者なんですが、しかし、そこでガードしちゃって、生活保護に行くのを防いで生活困窮者にする、そういうことになりかねないなという心配はしています。そんなことにはならないように、そのことだけは申し上げておきたいと思います。

 何か答弁がありますか。

桝屋副大臣 お答え申し上げます。

 まさに委員が御心配をされるように、新たな支援策が、支援のための制度が、生活保護制度をはじくための水際作戦のように使われてはだめですよ、こういう御指摘でございます。

 まさにそうだと思っておりまして、新制度ができても、保護が必要な人には確実に保護を実施するという生活保護制度の基本的な考え方を変更するものではありません。生活保護の要件を満たしている方は、新制度に基づく支援を受けているかどうかにかかわらず、保護を申請、受給することは可能であります。

 同時に、委員から先ほどお話がありましたように、生活保護手前の層への早期支援を実施する、この制度も必要でございます。

 福祉事務所へ保護の申請に来られても、結果的に保護の要件に合致しないという方もいらっしゃるわけで、そうした方々への支援、特に相談窓口におきましては、我々としても、待ちの姿勢ではなくて、生活困窮者を早期に把握し、そして支援につなげる、こういう取り組みをしっかり取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

横路委員 それで、生活困窮者なんですが、今ありましたように、経済的要因ということがベースになっているんですね。しかし、今のいわばソーシャルインクルージョンという考え方からいいますと、社会的要因による生活困窮者への支援というのが非常に大事なんですね。

 現実に、地方自治体では、就労支援だけではなくて、社会的な自立をどうするか、日常生活をどうやっていくのかということ、きめ細かいそういう対策をやっている市町村が随分ふえています。

 ですから、これは一応、対象者は経済的困窮がベースになっていますけれども、しかし問題は、社会的に孤立している人というのも、これはやはり、事業そのものにはそういう事業もあるわけですから、経済的困窮だけに絞らないで、社会的インクルージョンということも考えて政策を進めていただきたいというように思いますが、この点はどうでしょうか。

村木政府参考人 新しい法律ですが、今、副大臣からお話をしたように、アウトリーチのような手法も含めてしっかりやりたい。

 この法案を議論する際に、やはり困窮者というのは、いろいろな課題、複数の課題を抱えておられること、それから、委員がおっしゃったように、社会から孤立をしているということが非常に大きいというふうに言われております。

 新制度で相談の窓口をしっかり充実するわけですが、そこの相談機能の中に、相談機関がいつまでも相談に乗るというわけにはいかないわけでございますので、地域が支える機能を強くする、地域のさまざまな資源を強化して、御相談にいらっしゃった方をそこにつなげるというようなことをぜひやっていきたいというふうに思っておりますので、事業をそういう形で運営したいというふうに思います。

横路委員 この困窮者制度の核は、自立相談事業なんですね。ここにいろいろな人を集めて、例えばハローワークだとか教育の関係者とか、あるいは民生委員も入ってもらうとか、もちろん自治体もそうですけれども、いろいろな人たちに入ってもらって対応策をしていこうということ。

 生活保護というのは申請主義ですよね。生活困窮者というのは、これは申請しなきゃだめということはなくて、積極的にそういうところから情報を集めて、この人はやはり少しバックアップしなきゃいけないというようなことでやるわけで、申請主義ではないんでしょう、これは。

村木政府参考人 もちろん、対象者を把握ができないと相談には結びつかないので、申請に来られる場合もございますが、社会的に孤立をしている方が多いということで、地域のさまざまな福祉の団体や、民生委員や、町内会や、いろいろなところと連携をとって、事務所へ来られない方についても、問題のある方を早くに発見して支援につないでいくということが大事な点だというふうに思っておりますので、そういう意味では、申請主義という形をとらないということだと思っております。

横路委員 いろいろなことが発見のきっかけになり、現実に、市町村の事業の中ではそういうことを、例えば電気、ガス、水道、あるいは新聞がずっと置いたままになっているとか、いろいろな情報を集めてやる。小さい町ですとそういうことができるわけでございますが、都会ではなかなか難しい面もあります。

 前に、札幌で、餓死者を出した後に、申請を受けてどう対応したかという調査をしたことがあります。そのときに、対象者に対してまた連絡票を送付したんですが、送付した対象者というのは、申請書を持ち帰ったとか、そのとき調べたのは、電気、ガス、水道がとまっているかどうかということを調べて連絡をして、来てもらって、来てもらった人のうちの三分の一ぐらいが生活保護の対象者だというように認定されました。

 今回の餓死の大阪のケースは、やはり電気、ガス、水道はとまっていたようですね。周りとも余りコミュニケーションがない、孤立している中で、今、事情はまだよくわかりませんけれども、やはり、こういうあちこちに目を光らせていく体制というのが必要なので、そのために、この相談事業の核をどうつくるかということが大変大事です。

 それで、福祉事務所の仕事が非常にふえるので、NPOと社会福祉法人に委託しようということなんですが、これはNPOを軸にしようというんですか、軸は、やはり福祉事務所が軸なんですか。

村木政府参考人 新しい相談の事業でございますが、これは、自治体の事情がさまざまでございますので、自治体がその実態に合ったやり方ができるようにしようと思っております。

 そういう意味では、福祉事務所が生活保護では中心でございますが、この新法については、別の部署を担当部署にしたいという自治体もございますので、自治体の中での部署をどこにするかということ。

 それから、外部に委託をできるようにしようというふうに思っております。その外部委託も、よいNPOがある自治体もございましょうし、NPOというようなものがそもそもないよというふうにおっしゃっている自治体もあるところでございます。

 そういうところは、例えば社協ですとか、それから、大きな社会福祉法人、力のある法人があれば、そういうところにもお願いをしたいというような声も聞こえておりますので、それぞれの自治体で、事業ごとに、その自治体の中で力を持っているところに委託ができる形をとりたいと考えているところでございます。

横路委員 相談事業に関して、そういうことなんですか。つまり、NPOに委託して相談事業をやってもらうということもあり得るわけですね。

村木政府参考人 はい、相談事業に関してもそうでございます。

横路委員 その場合は、さっきも議論がありましたように、やはり、個人情報の保護とプライバシーの保護ということが非常に重要になってきますね。

 情報というのは、例えば、学校では就学援助をもらっている子供がいますから、その子供の様子を見ていて、学校の先生が、ああ、ここの家庭はいろいろに、家庭訪問をしてもわかるわけですから、情報が行く。そういう情報がやはりちゃんと、しかし、その中でもって守られなければいけないので、これは非常に難しいと思いますよ。そこもしっかり考えていただきたいというように思います。

 何か考えていますか。

村木政府参考人 この事業、法律の構成としては自治体が行う事業でございますので、事業の実施をNPO等に委託する場合も、それに従事する方々には守秘義務をかけるということで、しっかりプライバシーを守っていきたいというふうに考えております。

横路委員 この法案、困窮者自立支援法ですが、相談支援、住居の確保、就労準備、一時生活支援、家計相談支援、中間的就労などによって自立を支援しようというわけなんですが、相談支援と住居確保は必須事業ですよね。それ以下の、就労準備、一時生活支援、家計相談支援は任意の事業で、自治体任せになっています。

 そうすると、相談事業などによって解決すべき課題が整理されて、これをやろうといったって、自治体は任意事業ですからやっていませんということになれば、せっかくやった意味がなくなるんですね。

 ここはどうされますか。本当は、やはり、ちゃんとみんな引き受けてやるような仕組みにしなければ、実際に機能しなくなりますよ。

村木政府参考人 先生御指摘のとおり、相談と住宅確保給付金を必須として、その他は任意事業という形で法律を組んでおります。

 もちろん、ある意味で、全ての自治体に全ての事業について義務を課すというやり方もあろうかと思います。ただ、この法律は新法でございますし、また、地域主権、地方分権ということを考えますと、一律の義務ということがいいかどうかということで、さまざま、自治体ともいろいろと御相談を重ねた結果、こういう形になっております。

 これからモデル事業を実施いたしますので、その中で、どういう形で事業をやればいいかということをきっちりと形をつくって自治体にお示しをすることで、自治体が、これはやってみたい、やった方が住民のためになるということを納得いただいて、自治体に実施をしていただければというふうに思っております。

 また、補助率も、物によっては、三分の二という通常の補助率よりは高い補助率を確保して、法律に定めて、予算確保もしていこうということでございますので、さまざまな方法で、できるだけ多くの自治体で事業をやっていただけるように努力をしてまいりたいと考えているところでございます。

横路委員 これは、大臣、本当に大事なポイントなんです。

 確かに、地方の方から、この制定過程の中で、補助率をどうするんだというのは非常に大きな問題になりましたし、それは地方自治体にとって深刻な問題なんですね。しかし、そこで必須事業と任意事業に分けてしまえば、厳しいところは、これはやらないということになりがちになるんですね。

 ですから、今、御答弁ありましたけれども、これからモデル事業をやってということですが、やはり、基本的には、相談事業をせっかくやって、どうしようかということを決めたけれども、それに対して仕事ができないというのでは意味がないわけですから、ちゃんとやれる体制をつくっていくように、自治体に対する支援も含めて、これから検討していく。実施するのにまだ時間はありますから、その間に検討して、こういう方向を解消するように努力してください。

 大臣、いかがですか。

田村国務大臣 必須事業の方でいろいろな課題が挙がってきて、それに対して対処がないということになれば、何のためにこの制度を動かすか、わからないわけであります。

 今、モデル事業の話も出ました。もちろん、自治体は、地方自治でございますから、みずから考え、動かれるわけでございますから、そこを我々が強制的にいろいろな束縛をすることはできないわけでありますが、しかし、方向性としては、これは各自治体も御理解をいただいているというふうに思います。

 財政的には、補助率の違い等々もありますが、そこは十二分に我々も御説明をさせていただいて、ともに、前向きに、この事業というものが進んでいくように、厚生労働省といたしましても、各自治体に前向きな対応というものをお願いしてまいりたいと思いますし、そのために、やれる範囲のお手伝いをしてまいりたい、このように思っております。

横路委員 自治体は、いろいろな分野で本当に工夫してやっている自治体が多いと私は思います。そういうケースを取り込んで、一つはやはり財政問題がありますから、協力してもらうといっても、やはり必要なお金は、かかるわけですから、そこのところを検討するように、十分、これはお願いをしておきます。

 次に、不正受給の問題なんです。

 不正受給の悪質なのはどんどん取り締まればいいと思うんですが、問題は、稼働収入の無申告と収入の過少申告というので半分を超えているんですね。

 一体、稼働収入というのはどの程度の金額なんですか、どれだけを隠したんですかと聞いても、どうも答えが出てこないんですが、これは何かわかっているんですか、わかっていないんですか。

村木政府参考人 申しわけございません、金額については集計がございません。

横路委員 それから、高校生のアルバイト収入も、無申告に該当するんです。実際のケースとして、お金を取られている、一万か二万取られているようなケースもあるんですね。もちろん、この場合には就労の控除というのはありますから、それはきくんですけれども、あとは取られている。

 高校生のアルバイト収入についてどういう扱いをしているかというのも、何か、問い合わせをしても答えがないんですが、これも実態はよくわからないんでしょうか。

村木政府参考人 高校生のアルバイト収入についても、基本的な考え方は、就労の収入ですから、収入に算定をして、その分はほぼ引いていくということになりますが、勤労に関する基礎控除ですとか、未成年の就労ということで、そういったものに関する控除とか、それから、例えば修学旅行に行くためとか、その高校生にとって必要になるもの等々に充てるというときは控除をしていくというような形で実施をしているところでございます。

    〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕

横路委員 高校生活もお金がかかりまして、部活だとかいろいろな授業、外部に出かけていく授業などありまして、ですから、こういうのを、今までだと未成年控除ですか、これで控除しておったようですが、今度は控除額は一定になるんでしょう。この特別控除はなくなるんじゃないんですか。特別控除を残した上で、控除率は一〇%にして、ほかの控除がプラスになるんでしょうか。

村木政府参考人 今回、特別控除の制度はなくなります。

 これは、就労に関して臨時的に必要になるものを控除をするという考え方でございますので、これはなくなりますが、勤労収入に関する基礎控除のベースの額を引き上げるというようなことをいたしますし、未成年の控除、それから、高校生活に必要なさまざまな費用に充てるようなものについての控除は、引き続き実施をするということでございます。勤労控除のところは額が上がるということでございます。

横路委員 もうちょっときめ細かくやってもらいたいと思うんですね。

 特に、自立支援をするというわけでしょう。働いている人のインセンティブがなくなりますから、これがやはり今までの一番の問題なんですよ。働いた分、差し引かれてしまうと、若干は残るにしても、やはり意欲がなくなります。

 ここでもって、二つほどまとめてお伺いしたいんですが、一つは、新しく、自立するための就労自立給付金制度というのができますよね。これで、働いている人の中で、ある程度貯蓄というか、形はそういう形にしていくという制度が一つ。

 それから、大学だとか専門学校への進学、これは、母子家庭の母親の子供に対する一番の希望は何かといったら、やはり進学なんですよ。大学にやりたいという親が三割ぐらいはおられるわけです。やはり、それに応える。高校に対する制度ができるまでも最高裁判決が必要だったわけですが、今度大学で、こういうのはやはり認めてあげて、働く意欲というのはなくしたら絶対だめだと思うんですね。

 そういう点から、インセンティブをしっかり充実するというのは大変大事なので、この二つ、大学に対する進学の貯蓄制度と、それから、あと、自立のための、生活保護をやめて出た瞬間に住宅費用だとか税金だとか社会保険料だとかかかるわけですから、相当な準備がなければ、はい、もういいですよと言われたって、行きようがないわけですね。だから、そのことをしっかり支援するということは、今度の改正の中でも大変重要なポイントだと思います。

 この二点についてお答えいただきたい。

田村国務大臣 自立をいただくという意味で、就労の活動をするための促進費というものも今回は準備をいたしております。それから、今おっしゃられましたとおり、働いてから何かと入り用がある。不安ですよね、生活保護から実際問題自立いただくときに、いろいろなものもかかるかもわからないということで大変御不安もあるということで、それに対しては、就労に向かっての給付金ということで、バーチャルな積立金のようなものをしっかりと準備できるような形をとったわけであります。

 あわせて、今までなかなか、大学といいますと、生活保護家庭で大学を目指すというのは、何というのでありましょう、公にどんどん進めてくださいよというわけにはいかないという部分もあったわけでありますけれども、やはり、もうそういう時代ではないであろうということでございまして、自立につながる、そういう意味での大学での目的を持った学びというものに対しましては、それに対しての準備ができるような制度をつくったわけでございます。

 しっかりと準備に向かって貯金をしていただく中において、大学に入ったときにこれが準備できるような形がとれればという思いの中で、そのような制度を中に盛り込ませていただいたような次第であります。

横路委員 問題のポイントは、一つは、やはり労働市場なんですね。働く場所を確保するということです。

 これは、今まで、福祉から就労ということで、ハローワークを含めて、福祉事務所でも、地域によっては非常に働く場所の開拓に努めているところがありまして、この一年間の数字を見ると、それで開拓されたのが二万一千人ですね。常用雇用が六割ぐらいで、期限の定めのあるのが残り、二五%ぐらいということになっています。

 問題は、これから労働市場をどうするかという政策、今は地域で努力しているという感じなんですね、国の政策としてさらにこの点をどうするかというのが非常に重要になってきます。

 この点、何か特に今回の困窮者自立支援法に関連してお考えになっておられますか。

村木政府参考人 若年者の雇用は、労働政策、産業政策全体の中でやっていくウエートが非常に大きいと思いますが、今度の生活困窮者支援制度とそれから生活保護法の改正に関して申し上げれば、一つは、福祉事務所とハローワークの連携を確実なものにするということで、全ての福祉事務所にハローワークが出張ってきていただいて、必ず、就労を望んでいる方々の相談にしっかり応じていただく体制をつくるということ。それから、ハローワークの持っている情報を、求人情報などを自治体にも活用していただくということで、自治体と国の機関の連携に今以上に努めるということをしたい。

 それから、生活困窮者支援制度においては、引きこもりですとか高校の中退とか、若い人の問題が非常に多いわけでございますので、若者サポートステーション等々が行っている事業との連携というのをしっかりしていきたいというふうに考えております。特に、引きこもり等々の方の支援については、今度の新しい就労準備の事業等々が役立つというふうに考えておりますので、このあたりの強化もしていきたいと考えているところでございます。

横路委員 次に、医療扶助の適正化の問題で御質問いたします。

 NHK取材班が去年の十月に出した「病院ビジネスの闇」という本があるんですが、それを見ると、行路病院ネットワークというのがあって、患者のトレードという病院の言葉があって、患者を回している、患者の方は、病院回りといって、あちこち回っているというような実態がきめ細かく指摘をされています。

 それで、最近、厚生労働省の方も、入院日数が百八十日を超えるなど入院が長期にわたっている人に対する実態調査、それから、過度に、被保護者が同じ月内に同じ診療科目を十五日以上受診している、それが三カ月続いているというようなことの調査をやっていますよね。調査をやって、いろいろな指摘があります。

 これは、調査された結果で、病院というのは変わっていっているんですか。それとも、同じような病院が、数字を見ると相変わらずそう変わっていないんですね、実際の対象、調べた結果の数字は。それはどうなっているんでしょうか。

村木政府参考人 御指摘のように、頻回受診ですとか長期入院については、ケースをピックアップして指導をしております。そういう意味では、個別のそれぞれのケースについては、状況の適正化ということに努めているところでございます。

 それから、今までこういったことを、組織的に問題のある医療機関をピックアップするということがなかなか難しかったわけでございますが、昨年度から、電子レセプトのシステムの機能強化を行いまして、こういった傾向が強い、不適正なことがあるのではないかということが想像し得る、想定できる、疑われる医療機関を容易に抽出できるようになったところでございますので、こういったところに狙いを定めて指導に入るということができるようになりました。

 今回、法改正によりまして、国もそのお手伝いができるようになったということでございますので、今まで十分でなかったこともあり、この医療機関の適正化ということについては、これからさらに徹底をしたいというふうに考えているところでございます。

横路委員 二十三年度でいいますと、返還措置をとった件数が五千四百四十四件、金額は一億四千万を超えているということなんですね。

 問題は、今度の法改正で指定医療機関について要件を厳しくします、これは非常にいいことだと思いますが、指定の取り消しを受けたのが、例えば二十三年度も四件あります。取り消しを受けるというのは相当悪質なんですね。

 この指定医というのは、健康保険医の上に、健康保険医が対象になって、それで申請を受けて指定医なんですよ。指定医を取り消して、健康保険医の方は、これはどうなっているんですか。

田村国務大臣 今般の法律改正も含めてでありますけれども、当然、指定医を取り消した情報は、保険医というものをやられているわけでありますから、情報の方はお伝えをさせていただきますので、そちらの方で適切に対応をいただけるものというふうに存じております。

横路委員 ただ、今まで、取り消しというのはないんですよね、今までは。

 健康保険医の上に指定医があって、こっちで悪質なことをやって取り消しになったものが、健康保険医としてはそのまま仕事をしているというのはやはりおかしいので、この辺はよく考えてください。取り消しというのは相当悪質なケースですよ。それは法体系が違うとかいろいろなことはあるんでしょうが、しかし、少なくとも、その上に乗っかってでき上がっている指定医制度ですから、これはやはり厳しくやっていただきたいというように思います。

 それはよろしいですね。

田村国務大臣 そういうような御指摘もございますので、今回、情報公開をしっかり密にしまして、そのような悪質なものに対してはしっかり対応いただくということにしてまいるということでございます。

横路委員 次に、皆さんからも議論があった住まいと住居の問題なんです。

 平成二十五年度の予算編成に向けた財政制度審議会の意見の中に、住宅扶助について、「いわゆる「貧困ビジネス」について、実効ある規制を実施できるような枠組みの構築を図るべきである。」と指摘をされています。住居の扶助についてですね。

 これがやはり非常に大事なので、実際の調査をした件数を見ますと、金銭の管理をしていたり、それから、問題なのは、みんな二種なんですね。一種は一つもないわけですよ。

 一種と二種の違いは何かといえば、一種は生活扶助を行うということなんですね。二種の方は住んでだけもらうというのが、法律からいうとそういう定義になっているわけです。しかし、実際は二種。一種はちゃんと認可が必要ですよ。これの基準ももっと明確にしなきゃいけないんですが、みんな二種扱いで、しかも届け出をしたのと届け出をしないでやっているのがある。

 ここに、今、社会福祉法二条三項の無料低額宿泊事業ですね、問題はこの無料低額宿泊事業です。これが、施設の数が四百八十八あって、入っている人は一万四千人、そのうちほとんどが生活保護です。それから、法律に何も位置づけのない施設が千三百十四あって、一万六千人が入っているわけで、ほとんど全部、生活保護の受給者です。

 これの調査はやって、どうなのかという実態はここに書かれています。金銭の管理を行っているとか、いろいろと問題もたくさん指摘してあるのが、これは平成二十三年六月の施設の調査結果です。

 こういう調査をやっても、その結果に基づいて法律の体系をどうするかということを何もやっていないんですね。前に民主党政権のときに、それこそ山井さんも参加して検証委員会というのをつくって審査したけれども、これも結論を出していないんですよ。

 今、日弁連からも、これはやはりおかしい、少なくとも一種に該当する事業を二種扱いにして、何の認可もあれもなしにやっているという指摘があります。やはり福祉事務所の方から回されたというのが多いんですね。

 これはやはり貧困ビジネスの典型的なものでありまして、財務省の方からも規制をちゃんとやりなさいという話もありまして、これは実態を踏まえて、いや、中にはしっかりしたところもあるんですよ。NPO法人と社会福祉法人の二つが多いわけで、このごろ社会福祉法人も参加してきています。

 要するに、やはり一種と二種と法的に整理をして、それから規制するところはちゃんと規制するということをやらないと、よく言われるように、生活保護費を全部、管理している宿泊施設が管理して、いろいろなものを引いちゃって、大したものを出していないのに結構高く取られて、残り二万か三万を渡すというような仕組みがまだ行われているんです、この調査実態を見ますと。

 ですから、これは、ぜひこの無料低額宿泊施設について、多分厚生省も地方自治体も、ほかに泊まるところを探すのは大変だと。市営住宅だとか、例えば県営住宅もそうですが、そういう住宅があいているところに、埼玉県ですか、できるだけそっちに入れるようにしている。雇用促進事業団のアパートなんというのはどうなりましたかね。もう潰す予定でもって、まだ今、ある程度残っているところもあるとも思うんですが、そういうところを活用するということと、それから、民間のアパートに入るというのも、なかなか、いろいろな問題もあって、すぐそこに紹介をするということをやられていない福祉事務所もあります。

 この問題は、ちょっと実態を調査されて、その上で、法的に、社会福祉法上どうなっているのかということの整理をされて、そして、今まで、検討しては、もうみんな何か途中で、何が理由かわかりませんが進んでいないという状況にありますので、この際しっかり整備をしていただきたいというように思いますが、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 今、第一種と第二種の話も出ましたが、そもそも何の届け出も何にもしていないようなところも、一万以上というお話もございました。

 問題意識がないわけではございませんでして、以前、民主党の皆さん中心にこの無低の法律というものをお出しになろうというような方向性があって、我々も、当時野党でございましたけれども、協力をしようと思ったんですが、なかなか国会の情勢等々でうまくいかなかったということを残念に我々も思っておるわけであります。

 御指摘の点も踏まえまして、これは社会問題化してきているわけでありますし、現状でも、ひどいものは取り締まれないわけではないわけでありますけれども、我々の法律にのっとってという形になりますと、しっかり法律をつくらなきゃいけないということにもなろうと思います。

 各般のいろいろな御意見をいただきながら、この問題をどうしていくべきか、しっかり検討させていただきたいというふうに思います。

横路委員 ぜひ進めていただきたいと思います。

 それで、せっかくですから、山井さんがおられるので、子供の貧困政策について幾つかお尋ねします。

 まず、日本の特徴というのは、一人親家庭の貧困率が異常に高いということですね。それから、従来は、所得の再配分をやったら、むしろ貧困率は上がっているということでありました。これを是正するために、子ども手当とか高校の授業料の無償化という政策を進めてきたと思うんですね。なおかつ、母子家庭の母親ほど、これは日本ほど働いている親はいないんですよ。世界で一番働いているんです。それにもかかわらず、なかなか、貧困率が高い、これが直らない。

 一つは、やはり雇用なんですね。人間の社会の中で、これはいつの時代でも、どこの国でもそうですが、人々が生きていくために必要な要素、非常に大きな要素は、一つは、まずやはり平和であるということです。もう一つは、働く仕事があって、その仕事を一生懸命やればその収入で生活ができるというのは、社会的基盤の非常に大きなウエートなんですよ。日本社会の、生活保護を含めたいろいろな問題が出てきているのは、ここが崩れたからなんですね。これは、小泉さん、竹中さんの改革以来、ずっと崩れてきているわけですよ。アメリカ的なやり方が入ってきた。

 問題は、どうすることになるかというと、雇用ですから、最低賃金を引き上げるとか、ヨーロッパは同一価値労働同一賃金ということであります。そして、子供に対する保育や教育へのいろいろな配慮ということが必要なんですね。

 参考になるのは、イギリスのブレア政権が政権をとったときにやった政策があるんです。

 一つは、労働時間を、残業も含めて週四十八時間、上限規制ですね。それから、インターバルが十一時間。十一時間、間をとるということ。それから、最低賃金千円の、最低賃金制度というものをつくりました。それから、年休は四週間で、そのうちの二週間は連続してとらなければいけないとか、小学生以下の子供それから十八歳以下の障害児を持っている親は働き方を企業に対して要求できるというような、生活と仕事の両立政策というのをブレア政権は出しまして、これでその前のサッチャー時代の貧困を解消していこうということで、成果を上げているんです。

 日本でも、ともかく、最賃だとか同一価値労働同一賃金、それから、もっと子供の保育や教育に対する支援、これがやはり不十分だから一人親の家庭の貧困率が非常に高い、一番働いているけれども高い、こういう現状だと思いますが、山井さんの見解を。

山井議員 横路委員にお答えを申し上げます。

 まず最初に、この子どもの貧困対策法、今回審議することができることになりました。これはやはり、あしなが育英会出身の下村文部科学大臣のリーダーシップのもと、与野党が本当に協力し合いながら、こういう審議ができることになったこと、また、古屋先生初め公明党の皆さんにも大変応援をしていただきまして、ここまでこぎつけました。そういう意味では、この子どもの貧困対策法、何としても成立させねばと思っております。

 今、横路委員御指摘のように、なぜ日本の一人親家庭の貧困率が五〇%を超えて、国際的にこれだけ高いのか。

 ここにグラフもございますが、例えば、あしなが育英会さんの、遺児の母親の年収の推移によりますと、一九九八年には平均で年収が二百一万円だったものが、二〇一〇年には百十三万円というふうに、半分ぐらいに減ってきているわけですね。そういう意味では、お子さんを抱えて、お母さんは必死になって働いている。しかし、それでも貧困から脱することができない。

 まさに横路委員が御指摘のように、これは構造的な問題でありまして、最低賃金の引き上げや、ヨーロッパのようにパート労働についての同一価値労働同一賃金を実現し、差別をなくす政策が必要であると考えております。

 さらに、今回の子どもの貧困対策法が成立しましたら、今審議をしております生活困窮者支援法の中でも、無料学習支援教室や職業訓練の実施、就労支援、そういう政策の後押しにもなると思いますし、また、政府が下村文科大臣を先頭に検討しておられます給付型奨学金、こういうものの後押し効果もあると考えております。

横路委員 貧困というのは貧困の連鎖があって、貧困が、教育だとか健康だとか、あるいは就職だとかということに非常に影響を及ぼすと言われています。

 一時、学力の低下というのが非常に問題になりましたが、あれは調べてみますと、例えば五分位にしますと四分位、上から八割のところは別に何も下がっていないんですが、最後の二割のところの下がり方が激しいんですね。だから、あれは、全体で時間をふやすのではなくて、下の二割に対する補習授業などをやって、そこの底上げをすることが本当は必要だったんですね。それが、文部省は方針を間違えたというように私は思っております。

 しかも、そのことが、割と親の収入に比例してそういう構造になっているというのも、悲しいかな、日本の社会の現実でございまして、やはり何といっても、貧困を解消していかなければ、日本の将来も子供の将来もありません。

 ということで、今回の法律になったわけでございますが、そのためにどうするか。問題は、貧困を減少させて、解消させるというならば、やはり数値目標を持って、イギリスのようにやった方がいいんじゃないかと私は思いますけれども、いかがですか。

山井議員 横路議員の御質問にお答えを申し上げます。

 私たち野党提出の法案では、子供の貧困率、一人親世帯の家庭の貧困率の削減を、三年ごとに発表されますが、それを毎回一〇%ずつ下げる、改善させることを目標にするということを明記しております。

 それはどういう意味かといいますと、やはり、政府に子供貧困対策を丸投げするということではなく、立法府として、強力かつ迅速に子供の貧困率を削減するという明確な意思を示す必要があるということ。

 それと、この子ども貧困対策法にとって一番重要なのは、実効性ということであります。実効性というのは何かというと、後々、その法律の実効性を検証できねばなりません。その意味では、こういう数値目標は、実効性を担保する一つの有力な方法であると思っております。

 例えば、あしなが育英会の職員を昔されていました山本孝史参議院議員を中心に、がん対策基本法というのがつくられましたが、がん対策基本法の中でも、十年以内にがんによる死亡者を二〇%削減するという数値目標が掲げられまして、ここにグラフもございますが、やはり、おおむねその削減目標どおりに、今、がんによる死亡者が減っていっております。その意味では、このような数値目標をつくっていくことが実効性を高める一つの方法ではないかと思っております。

 ちなみに、政府の法律で、閣法で農業対策基本法というのもございまして、これも、農業対策基本計画の中で、食料自給率を四一%から五〇%に引き上げていくという数値目標を入れているところでございます。

 以上です。

    〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕

横路委員 この問題は、超党派でよく話して、いい法律にしていただきたいというふうに思います。

 終わります。

松本委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 戦後最大の生活保護法の改正がここで議論をされております。と同時に、ことしの八月からは、戦後最大の切り下げ幅である生活保護費の切り下げというのも実行がなされるわけでありまして、非常に曲がり角に来ているというふうに思っております。

 生活保護法は、ほかの法律と違いまして、最後のセーフティーネットということで、これにほころびがあると次は死が待っているとなりかねないので、非常に機微に触れる条文の解釈をめぐる議論というのがあると思います。

 ケースワーカーの方とも話しましたし、元ケースワーカーの大学の先生とも話しましたけれども、結局は運用なんだ、こういうようなお話もございますので、きょう、いろいろなお話をお伺いしていきたいと思います。

 まず、最大のポイントは、二十四条というのが新設をされまして、つまり、これまでは、生活保護を受ける際の申請書類について、条文には規定がなくて、省令の規定であった。これが条文に格上げをされた。水際作戦が合法化されるのではないのかという懸念も、世の中に広がっているところであります。

 これについて、その二十四条が入った経緯をお伺いいたしますと、これは、村木局長に民主党の部門会議でお伺いをしましたところ、初めは二十四条はなかった、つまり、申請書類の法文化、法律に格上げする条文化はなかったけれども、内閣法制局と話すうちに、調査権限が強まるのであればその条文も入れた方がいいんじゃないのかというふうに、内閣法制局からの指摘があって入れた、入れざるを得ないというような趣旨がありました。

 その後、いろいろな議論の中で村木局長は多少言い直して、法制局からの指摘もあるが政府全体で決めた、こんなような御答弁があったわけですが、村木局長、これで間違いございませんか。

村木政府参考人 民主党の会議で私が説明をしたときに、私は、法制局からのアドバイスというふうな言葉を使ったというふうに記憶をしております。法制局から技術的なアドバイスをいただいて、政府全体として決定をした、厚生労働省の責任において決定をしたということでございます。

長妻委員 先ほど、冒頭、私は、この生活保護法というのは非常に機微に触れるものであると申し上げました。二十四条が、申請書類が条文に、その申請書類の書面の中身も条文に書き込まれるというのは、非常に世の中に不安、不信が広がっておりまして、技術的なアドバイス程度であれば、これは削除して、入り口については従来の、今と同じような扱いにするというのが世の中の疑念を払拭するし、自治体も含めて、非常に従来のままというメッセージ性にもつながると思うんです。

 内閣法制局長官に来ていただいておりますけれども、これは、どうしてもこの二十四条、書面の中身を、規定を条文でしないといかぬ、こういう強い内閣法制局の主張というのはあるんですか、ないんですか。

山本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 今回の生活保護法の改正法案におきましては、二十八条と二十九条という形で調査権限を強化することになっております。そうした中で、当局の担当者といたしましては、その調査等の対象となる事項については、まずは申請者から求めることが法律に規定されている方が法律上首尾一貫したものになる、その方が望ましいということで、法案の下審査の段階でそういうことを指摘したというふうに言っております。

 これに対して、厚生労働省の方におかれましても、保護の決定のために必要な事項については申請者から申請の際に求めることは、現在の厚生労働省令でも規定されているところでもあり、特段の異論はなく、結局、第二十四条第一項、第二項として法律案に規定することになったものと承知しております。

長妻委員 私の理解では、この二十四条をめぐって、かなり現場では、あるいは保護を受けておられる方、あるいは貧困層の方、あるいは支援団体の方に強い不安が非常に広がっている。村木局長は、技術的アドバイスなんだと。今、法制局長官は、その方が望ましいんだと。この程度の話であれば、私は削除をしていただくということが非常にいろいろな意味で必要なんじゃないかと思うんですが、法制局長官にもう一回お伺いします。

 その首尾一貫性で、この条文はどうしてもなければいけない、そういう強いこだわりがあるということなんですか。

山本政府特別補佐人 この二十四条第一項、第二項につきましては、実は、このような規定がなければ論理的には誤りというものではございません。

 それで、これを規定することで、先ほど申したような法律上首尾一貫することになるという趣旨のもので指摘したわけでありまして、その指摘を受けてどのように対応するかは、それは厚生労働省の御判断によるものと思います。

長妻委員 論理的な誤りではないと。私も法制局の御担当の方とお話ししましたら、そういう趣旨なんです、入れれば入れたで望ましいと。

 初め、厚生労働省は二十四条は入っていなかったわけですから、法制局がそういう趣旨でありますから、こだわる必要は私はないと思いますので、村木局長、これは削除というのはできないんですか。

村木政府参考人 閣法を提出している立場として申し上げます。

 法制局の審査も受けて、法律的な首尾一貫性がその方があるということでございましたので、そういう整理をしたということでございます。

 運用は変えないと大臣からも御答弁をいただいたとおりでございますし、法律上、より規定が明確になって、何が入り口で必要があるかということが明確になるという点では、法律上の首尾一貫性、整合性としてはよろしいかということで、私どもは提出をしたところでございます。

 あとは、この国会の中で御議論をいただいているわけでございますので、閣法を提出した立場として申し上げます。

長妻委員 何だかこれは、本当に生活保護の方々の現状や不安や、機微に触れる運用の現実を御存じなのかどうか。

 ちょっとアドバイスされたから二十四条を入れたと。これは、入れれば大騒ぎになるというのを本当は予測しないといけないんですね、担当局長として、あるいは政府として、大臣もそうですけれども。もう出しちゃったので、手続的にもう終わっちゃっていますから、あとはちょっとどうにかしてくださいというような趣旨の発言にも聞こえるわけです。

 これは大臣にお伺いするんですが、この条文があってもなくても運用は変わらないんだ、しかも、それはあった方が望ましいけれども、論理的に別に矛盾があるわけではないんだというような趣旨の答弁がありましたけれども、これは大臣、やはり疑念がいろいろありますから、そういう意味では、同じであれば削る、こういう御判断はいただけないですか。

田村国務大臣 今、村木局長も言いましたけれども、実態は変わらないということでございます。

 確かに、この二十四条というものが入った中で、世の中で、これで窓口で申請を要するに受け付けてもらえないというような心配、不安、そういうものが、保護を受けられる方々にとって不安な思いをされたということに関しては、我々、十分に情報発信できなかったなということで、申しわけなく思っております。

 ただ、こうやって国会でいろいろな御議論をいただく中で、今、この現状でも、そういう案件がいろいろと言われて、お叱りいただく部分もあるわけでありますけれども、こうやって改めてこの問題が注目をされる中で、実はそういうことではないんだ、ちゃんと受理はされる、その上で、必要な書類の中において保護決定をされていくわけでありますから、改めてこれを周知させていただくという意味では、委員等々からこの問題を御指摘いただいたということは、我々は真摯に受けとめさせていただくと同時に、あわせて、もう各自治体に、担当者会議におきまして、我々はしっかりと伝えさせていただいたわけでありますけれども、改めて各自治体には周知徹底を図らせていただきたいというふうに思っております。

長妻委員 議場の皆さんも傍聴の皆さんも、たくさん来ておられますけれども、不思議に思いませんか、今の答弁。

 つまり、二十四条という条文があってもなくても運用は同じなんだということであれば、これは疑念を呼んでいるわけですから、なくてもいいじゃないですか、二十四条。しかも、何か法律の要件というか理論的におかしいということであれば、それは入れなきゃいけないんだけれども、そういうことでもないということであれば、取ってくださいよ。

田村国務大臣 今、長妻委員もおっしゃられましたとおり、法律としてよりいいという、つまり、調査権限を強化するという意味と、その中においては、必要な書類等々に関して、ちゃんと申請時にこういうものの調査の対象というものが明確になるという意味では、それは法律としてはよりいいと、今、長妻委員はおっしゃられたわけでありまして、そのような意味で入れさせていただいたわけであります。

 運用実態は変わらないということでございますし、そうじゃないとよく御指摘をされるような案件が、言われるわけでございます。現行でも、窓口で、実際問題、申請を受け付けないというような事例があるのではないかというようなことも言われておるわけでございますから、そういうことも含めて、ここで、より大きな、このような形で、一つの焦点といいますか、問題というふうな御指摘をいただく中において、我々は、これは今までと変わりませんと。しっかりと各自治体の窓口においては、まずは受理をしていただくということはやらなきゃいけないわけでありますから、そうしてくださいということをさらにお伝えさせていただくわけでございまして、これを契機にさらに徹底をしてまいりたい、このように思っております。

長妻委員 比較考量という言葉があるんですよ。つまり、どちらの利益が大きいのかというのを比較考量する。

 確かに、法制局長官もおっしゃられました、その方が望ましい、望ましい程度の話もあると。

 しかし、二十四条を入れると、皆さんは運用は変えないと言っても、本当に皆さんの手から離れて、法定受託事務とはいえ、それはいろいろな雰囲気、世の中の風、世論、あるいは地元の現場の雰囲気などなどで、そういう疑念を、戦後最大の改正ですから、持っておられるわけですよ。

 だから、なぜ、二十四条をもう削ろう、そんな疑念、心配をかけて申しわけなかった、削る、こういうふうに言えないのかというのが非常に不思議なんですね。

 大臣、どうしてもこれを削れないのは何でなんですか、比較考量論でも。

田村国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、まず、何ら変わらないということは御理解をいただいたというふうに思います。

 ですから、変わらないですから、要は、御心配いただいておるような形にはならない、させない。させないというのは変でありますけれども、逆に言うと、そうならないようにさらに徹底をしてまいりたいという意味では、それは変わらないということはもう御理解をいただいたというふうに思います。

 では、なぜ、それならばこれを取れないかと。それは、もう国会の方に提出をさせていただいておるということでございますので、提出をさせていただいたものの中において、国会で御議論をいただきたいということでございます。

長妻委員 これがよくわからないところなんですね。

 つまり、運用は変わらないと。変わらないけれども削らないというのは、どうして二十四条を削らないのか。何か違う話になるのかどうかというように思ってしまうんですよ。

 ですから、これについて、大臣は内閣の立場で今答弁されておられますけれども、閣法ということで、一回閣議決定をされたというのはわかりますが、ただ、それは、仮に誤りであれば、議院修正ということだってあり得るわけですから、自民党の厚生労働の専門家の立場としてはどう思われますか、削除ということについて。

田村国務大臣 今、自民党には立派な厚生労働関係の議員の方々がたくさんおられるわけであります。私は今、政府の人間でございますので、与野党間のいろいろな話し合いという中には加われないわけでございます。

 適正な御判断をしていただく中において、この御審議を進めていただけるものだというふうに思っております。

長妻委員 これは配付資料にも書いてありますけれども、調べていただくと、私はてっきり、申請書類のことというのは、いろいろな保険などで全部条文に書いてあるものだと思っておりましたが、全然そうではありませんで、国民年金法でも全く条文で申請書のことは触れていないし、雇用保険法でも触れていないし、児童扶養手当でも触れていないし、児童手当でも触れていないし、国保でも触れていないし、障害者総合支援法でも触れていない。主要なものを見ていただきましたけれども、触れていない。

 ただし、最近できたというか、介護保険法では、申請書類は出しなさい、これは書いてあるんですね、条文に。ただ、配付資料の六ページでありますが、今回の生活保護の改正案のように、保護の開始または変更を必要とする事由とか、あるいは、援助をしてくれる者の状況、今まで受けた援助と将来の見込みとか、こういうものも書きなさいと法律で文書の細かいところまで規定しているものというのは、介護保険法でもないわけであります。

 ほかの法律で余り見られない、社会保障関係にないものをここだけなぜ入れるのか。ほかの法律だって、不正を防止するため調査権限があります。そこがわからないところなんですが、いかがですか。

田村国務大臣 まず、申請書類を出していただくというのは、それは口頭にしろ、いろいろな手続をする上において、何においても必要だということは御理解をいただいていることだというふうに思います。

 それを今回入れさせていただいたわけでありますけれども、その中において、所得、収入等々を含めていろいろなものが具体的に書いてあるのはなぜか、こういうような御指摘でございますよね。

 一つは、やはり生活保護という制度が、もう委員も御承知だと思いますけれども、資産調査、特にミーンズテストというような、いろいろな状況をしっかりと確認させていただくということが前提である。これは、ある意味、国民の信頼性というものも含めて、しっかりとした調査をさせていただくというものが、他の制度と比べて一番そこのところも厳格であるという中において、このような形で書かせていただいておるということでございまして、そこは厳格であるということは委員も御理解をいただいておると思います。

 そのような意味で、ほかの制度と若干なりとも違っておりまして、具体的にこのような形で書かせていただいておるということであります。

長妻委員 私の理解では、いろいろな専門家とも意見交換しましたが、やはり書類の詳細について法律の条文で書くというのは、これはバランスを失しているというような意見もあるわけですよ、ほかの法律にもほとんどありませんから。

 六ページですけれども、結局、今までは法律でなかったもので、法律で規定される文書の具体的中身。こんな法律は余りないと思うんですが、申請者の氏名及び住所、あるいは、要保護者の職業及び申請者との関係、保護の開始または変更を必要とする事由、これは全て法律で条文に書いてあるわけです。そして、資産申告書、収入申告書、働いて得た収入、働いて得た収入がない者、恩給、年金等による収入、その他保護の決定に必要な書類。

 ここまで細かく書いてあると、これは窓口の運用として、法律にきちっと書いてあれば、これがなければやはりそれはなかなか先に進めませんというような趣旨に、これは皆さんの思いとは別にひとり歩きするのではないのか、こういう強い懸念があります。今の質疑でも、私は、これを聞いている方もおかしいと思われるんじゃないかと思います。望ましいだけで、これだけ多くの不安、不信を与えている条文を残していくというのは、ほかに他意がないとすれば、それは削除していただきたいというふうに強く申し上げます。

 次に、生活扶助CPIのことをお伺いします。

 これは、冒頭申し上げましたように、戦後最大の生活保護費の切り下げが、ことし八月に実行されるわけであります。これについて、何でそれだけ戦後最大の切り下げ幅なんだといったときに、平成二十年と二十三年の物価を比べると、特に生活扶助CPI、生活扶助の方の買うような品目を比べると、四・八%物価が下がっている、だからそれに見合って生活保護費も下げるんだと。

 こういう生活扶助CPIという指標をつくられたんですが、ちょっと中身を分析しますと、統計的にもおかしなやり方がなされているというふうに私は感じるんですね。

 どういう意味かというと、平成二十二年で実は総務省が調べる品目が入れかわっているんですね。削除された品目もあるし、追加された品目もあるし、統合された品目もある。平成二十年の生活扶助CPIの調査対象品目は四百八十五品目なんですよ。ところが、平成二十三年は五百十七品目なんですよ。つまり、買い物かごに入れる品目が、平成二十年と二十三年、違う品目の物価上昇を比べて、これは四・八%も下がったので生活保護もそれだけ下げますというのは、統計的にもおかしな話だと思うんですが、いかがですか。

田村国務大臣 このCPIの話ですけれども、五年に一回中身を見直すんですね、総務省の中において。いろいろな考え方はあるんですけれども、普通といいますか、一般によく言われておりますのは、そのときに、一つは、これはラスパイレスを使っていますから、どうしても年数がたってくると上方に物価自体がバイアスがかかるという問題があります。

 この上方バイアスの問題は、一つは今ラスパイレスを使っているという理由なんですが、もう一つは代替の弾力性という問題がありまして、例えば、安いものを皆さんは買うわけでありますけれども、バスケットの品目が変わらないという話になりますと、安いものを買わずに、高どまりしているものが物価の中で対象になる、こういうことになりますから、より実態に合わせるという意味からすれば、五年に一度品目をかえるということでございますので、そのような性格上、これは品目が五年ごとにかわる。

 そのちょうど間に今回の我々の調査が入るということでございまして、逆に言うと、バイアスを直す、より実態に近い消費の中での物価、つまり、生活に一番影響のある物価という意味合いで総務省が算出してきておるものだというふうに認識いたしております。

長妻委員 これは、ちょっと大臣、実際の中身をおわかりになっていないんじゃないでしょうか、今の答弁は。

 総務省もきょう来られているので、お伺いしますけれども、総務省も、CPI、これは全体の物価の指数、CPIを出しておられるわけで、確かに総務省のデータでも、平成二十年に品目の入れかえがありますから、例えば平成二十年と二十三年を比べるときに、総務省の全体のCPIも、それは品目が違う同士を比べる。

 ただ、違う同士を比べるときには統計学的にやらなきゃいけない調整があると思うんですが、どういうふうに総務省はやられているんですか。

坂本副大臣 今委員おっしゃいましたように、消費者物価指数は五年ごとに基準を改定しておりまして、品目と、そしてそのウエートの見直しを行っております。

 言葉で言うと非常に難しくなるわけですけれども、十七年基準の指数と二十二年基準の指数とを二十二年基準で比較するためには、基準時点であります平成二十二年におけるそれぞれの基準の指数の比を算出して、それを用いて十七年の指数を掛けて二十二年基準の指数に換算する、そういう方法をとっております。

長妻委員 だから、厚労省はそれをとっていないわけですよ。何でとらないんですか。

田村国務大臣 ちょっと今の、よくわからなかったので、もう一度御説明をいただければありがたいと思います。

須江政府参考人 改めてお答え申し上げます。

 私ども総務省が作成しております消費者物価指数は、五年ごとにその基準を改定しておりまして、先ほど副大臣が申し上げましたとおり、品目やウエートの見直しを行っております。

 その際、家計のバスケットの中身に応じて品目を見直しておりまして、家計の消費の中で一万分の一以上の消費を占める品目を選定しているという意味で、品目やウエートの見直しを行っているわけでございます。

 そして、例えば、平成十七年基準の指数と二十二年基準の指数とを二十二年基準の方で比較するということのためには、基準時点である平成二十二年におけるそれぞれの基準の指数、品目ごとの基準の指数の比を算出いたしまして、これを用いて換算するという方法をとっているということでございます。

田村国務大臣 今、補正をしたものも発表されていますけれども、補正していないものも発表されておられますので、二つあるということであります。

長妻委員 では、今の総務省の基準で補正した数字を教えてください。(田村国務大臣「何をですか」と呼ぶ)補正した数字。

田村国務大臣 これをやろうと思いますと、多分、品目一つ一つ見直すという話になってまいるというふうに思います。(長妻委員「いや、違う、違う」と呼ぶ)いや、それは、品目を見直さなきゃできないんですよ。

 というのは、なぜかというと、現行の品目で、以前の品目、つまり、それに置きかえて割り戻すという手法でございますから……(長妻委員「違う、違う」と呼ぶ)そうじゃないんですか。ちょっと御説明を、私はそう理解していますから。

長妻委員 これは、今の総務省の説明は、平成二十二年に品目が大幅に入れかわったわけですね。平成十七年から二十二年は、品目は入れかわっていないんです、基本的に。だから、平成十七年、十八年、十九、二十、二十一、二十二を、それぞれ物価の指数を出して、それぞれ比較をしていく。そして、そのときに、二十二年の物価の指数を一〇〇と置きかえて、それぞれその前の年も含めて、それで比例して指数を出していく。

 そして、二十二年は一〇〇ですから、二十二年から品目が入れかわりますから、二十二年スタートで、二十二年を一〇〇として、二十三年の指数を決めていく。

 これは換算比率とか接続指数というんですが、そういう操作をされたものもあるとおっしゃられたので、厚生労働省もそれを総務省と同じようにして発表しないと、CPIの本来の趣旨とは異なる。私は、間違っている可能性があると思うので、その補正値を発表してくださいと。先ほど、あるとおっしゃったんだったら。

田村国務大臣 まず、それは間違っているというわけではないと思います。そういう補正したCPIも発表されておられるということでございますので……(長妻委員「誰が」と呼ぶ)総務省。補正する前のというか、生のCPIも出されておられるわけでありまして、それは、今委員がおっしゃられた補正のCPIだけが世の中で流布されているわけではないということでございます。

 そこは御理解をいただくという前提で、今、補正というのは、技術的に補正を総務省がされておられるんだと思いますが、改定前の品目で算出したと書いてありますから、要するに、改定前と改定後の、つまり、改定後の品目で二十二年を置き直すというような話になってまいりますので、これに関しては、違うか。ごめんなさい、ちょっと検討させてください。(長妻委員「ちょっと、速記をとめてください」と呼ぶ)

松本委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

 田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 非常に技術的でややこしい話なので、申しわけありません。

 申し上げますが、平成二十年の分の総合CPIを、改定前品目で算出した平成二十年総合CPI掛けることの、改定前品目で算出した平成二十二年総合CPI分の改定後品目で算出した平成二十二年総合CPIということでありまして、いずれにしても、品目を置きかえないと出ない、先ほど私が申し上げたとおり。

 機械的に出る話ではなくて、一度品目を置きかえてもう一度試算をし直さなければ出ないというようなものでございますので、今回は採用しなかったということであります。

長妻委員 非常にこれは乱暴な話だと思うんですね。こんなCPI、少なくとも私は聞いたことがないわけです。今、補正とおっしゃいましたけれども、これは総務省も、CPIは、基本的にはそれが基本なんですよ、品目がかわるときの手法というのは。

 ですから、私が申し上げているのは、四・八%も物価が下がっちゃった、生活扶助CPI。

 これは十九ページにもお示ししておりますけれども、これは総務省の資料でありますが、収入が低い人ほどデフレの恩恵を受けないんですね。収入が低い人ほど、その人たちが買う買い物かごの商品というのは、お金持ちが買う買い物かごの商品ほどは下がらないんですよ。

 ところが、これを見ていただくと、おかしな数字が出ているのは十八ページでありますけれども、生活保護の方々が買う品目は、平成二十年と二十三年を比べると四・七八%も下がっているから、その分、生活保護費を下げる。しかし、一般の方全体では二・三五%しか下がっていない。これはおかしいんですよね、どう考えても。

 ですから、そういう計算をしているというのは問題があると思うので、総務省基準で、CPIを計算するのであれば、生活扶助CPIと銘打っているからには、総務省と同じような、今の計算の田村大臣がおっしゃったものをぜひやっていただきたい。かなり数字は違うと思いますよ。

田村国務大臣 今も申し上げましたとおり、我々は、総務省の数字というものは二つあるわけでありまして、これも一つ発表されている数字でありますけれども、以前の品目でやらせていただいておるということでございますので、その当時の生活の実態というものは、そういうような品目で買っておられたわけでありますから、それとあわせて、現行の品目の実態に合わせたものとの対比の中で示させていただいておるということでございます。

長妻委員 これは、田村大臣、おわかりになっておられるのか。

 もう一回繰り返しますと、なぜおかしいと言っているかというと、平成二十年の生活扶助CPI、生活保護の人が買う買い物かごの中身は四百八十五品目。平成二十二年に品目が大きく入れかわったので、平成二十三年と比べているわけでありますが、平成二十三年は五百十七品目の買い物かごの品目になって、四百八十五品目と五百十七品目、単純にふえたものじゃなくて、減ったものもふえたものも統合されたものもあって、違っているんですよ、品目が。違うもの同士を単純に比較して、引き算して四・七八%というのは、これはおかしいですよ。

 だから、申し上げているのは、換算比率などの、総務省が使っているような適切な統計的補正値をちゃんと入れてくださいよ。何か不都合があるんですか、それを入れるのは。

田村国務大臣 足元の消費の実態というものが今回のバスケットの中にあるわけですよね。それがどれぐらい下がったかということでございますから、それがどこか問題があるのかという話であろうというふうに思います。

長妻委員 ちょっと、かなり驚く答弁なんですね。

 つまり、平成二十二年に品目がかわっているわけですよ。確かに二十三年の指数は足元ですよ。それは二十三年は足元ですよ。これは比べなきゃいいですよ、指数を。

 ただ、二十三年の指数と全く違う二十年の指数を引き算しているわけですよ。引き算してマイナス四・七八という数字を出して、それで、これが生活保護の人たちが下がった物価だから、この分を下げますというのは、これはおかしいですよ。どうなんですか。

田村国務大臣 今、指数とおっしゃられました。要するに、そのときの消費の実態、つまり、そのときの、いろいろなものを買う、中身も違うでありましょう。それで指数化して、要するに、そのときの消費の実態に合ったものから、今の足元の消費の実態に合ったものでありますから、当時は買っていなかったわけですよね、今のものを。だから、それとそれとを単純に比べて物価が下がったという話にはならないのであろうと。

 全体として指数化していますから、そのときの消費の実態に合わせて指数化した物価、そこから今回の実態に合わせて指数化した、つまり、より生活の実態に即した消費、これに指数化したもので差を見ておるわけでありますから、そこは実態に即しておるというふうに考えております。

長妻委員 今の理論は田村理論ですよ、厚労省田村理論だと思います。総務省はそういうふうにしていません、そういう発想じゃないですから。

 総務省、もう一回、換算比率のやり方をちょっとわかりやすく説明いただけますか。

須江政府参考人 重ねてお答え申し上げます。

 総務省が作成しております消費者物価指数は、五年ごとに基準を改定しておりますが、五年ごとの基準時点での家計のバスケットの中身を、一万分の一以上消費される品目について、そのウエートを整理して、その上で見直しを行っているわけでございます。

 そして、例えば、十七年の基準の指数と二十二年の基準の指数を新しい方の基準で比較するためには、新しい基準年である平成二十二年における十七年の品目の指数と二十二年の指数を両方出しまして、その比を使って、逆算して十七年と比較するということをしております。

松本委員長 田村大臣、今のを受けて、どうですか。

田村国務大臣 ですから、私、先ほど来申し上げておりますとおり、例えば、二十一年なら二十一年の生活保護家庭がどういうものを消費しておられたかというものと、それから、二十三年なら二十三年、二十四年、そこで消費しておられたものとの、要するに、生活実態に合わせたものの指数ですから、指数と指数を比べるという意味では、それは全体の、そのとき買っていると思われるものから算出した指数ですから、まさにそのときの生活消費実態に合わせた指数同士を比べておるということでございますから、それは一つの考え方であろうというふうに思いますが。

長妻委員 総務省はそういう考え方をとっていないんですよ。やはり公正にやるために、今のような、換算比率を出して、私もそっちの方が正確だと思いますよ。しかも、これは数字がかなり変わるわけですから。

 そうしたら、大臣、ぜひ総務省標準の計算、生活扶助CPIもやっていただけますか、これはできますから。

田村国務大臣 ですから、先ほど来申し上げていますとおり、もともと生活保護というのは、本来は、どういうふうに推移してきたかというと、民間最終消費支出というものに合わせてきたわけであります。

 そういう意味からすると、消費というところに重きを置いておるところがあるわけでありまして、まさに生活保護世帯の消費ということを考えた場合に、消費実態というものは、いろいろなもの、その時代、その時代で買うものが違うわけでありまして、それに合わせて総務省がバスケットの中に入れておると。それを指数化したものを比べるのが、そのときの生活保護家庭の買っておられる内容、それに即しているのであろうというふうに思うわけでございますから、指数同士を比べるというのは一つの考え方であろうと思いますので、それがなぜおかしいのか、ちょっと私は理解ができないという話であります。

長妻委員 これは大臣、なぜおかしいかというと、総務省はそういう考え方でやっているんですよ、ある程度適切に。これは完全に品目がかわっていますから、完全にはできないですけれども、総務省はそういうふうにやっているんですよ。何で厚労省は、生活扶助CPIといって何がおかしいかわからないというのは、それは大臣、理解が足りないと思いますよ。これをよく理解していただいて、ぜひそれを計算していただきたいんですよ。違う結果が出ますよ。

 CPIというからには、CPIという商標というか、こういうネーミングを使うからには、同じようにやってくださいよ、計算を。品目が違うのに、何で単純に引き算をしているんですかということを、まず強く申し上げます。

 そして、最後に、これは確認をしなければいけないんですけれども、扶養についてなんですが、今回、改正案の二十八条の二項に、「報告を求めることができる。」という規定が新たに設けられました。

 これは、日本は非常に扶養については厳しい国なんですね。私もそれは気になるところではあるんですけれども、十一ページを見ていただきますと、これは厚生労働省が提出した資料なんですが、ほかの国の公的扶助制度についての扶養の範囲。

 日本は、御存じのように民法で規定されている三親等以内の親族なんですが、ほかの国、例えばドイツは、血族または姻戚と同一の世帯、つまり、血族というのは、父母、祖父母、おば、おじですね、こういうもの、プラス同一の世帯、一緒に住んでいるところということで、非常に限定されている。フランスは夫婦間と未成年の子供、スウェーデンは夫婦間と未成年の子供、イギリスも夫婦間と未成年の子供、アメリカも夫婦間と未成年の子供ということなんですね。

 日本だけ、アジア特有なのか、これほど広い扶養の話があって、十三ページを見ていただきますと、三親等といいますと、本人が真ん中にいたら、例えば、ひ孫の配偶者まで入るんですね、ひ孫の配偶者。あるいは、当然、孫の配偶者も入りますけれども、おじさんの配偶者、あるいは、めいとか、全員と会っていないという方もいらっしゃるとは思いますけれども、こういうかなり広い範囲になっている。

 今の原則というのがあるんですね。現在の原則というのは、十四ページにありますけれども、生活保護で、扶養義務者に通知を出すんですね。通知を出すんですが、基本的には、法律上絶対的扶養義務者にだけ出す。絶対的扶養義務者というのは親兄弟、子供でありますけれども、それ以外については特別な事情があるときだけ提出する。

 一 その者が、過去に当該申請者又はその世帯に属する者から扶養を受けたことがある場合

 二 その者が、遺産相続等に関し、当該申請者又はその世帯に属する者から利益を受けたことがある場合

 三 当該親族間の慣行又は当該地域の慣行により、その者が当該申請者又はその世帯に属する者を扶養することが期待される立場にある場合

この三のいずれかにある場合は、絶対的扶養義務者以外にも通知を出せるということなんです。

 今回、報告を求めることができる規定が新たに置かれましたけれども、そうすると、この規定を生かした上、さらにこれは対象を、つまり、求めることができる対象というのは厳しく限定されるというふうに理解してよろしいんでしょうか。

田村国務大臣 まず、海外との違いというのは、それは歴史的や文化的なものがあるんだと思います。

 この生活保護の場合、民法から引っ張ってきておりますので、そういう意味では、扶養義務という意味からすれば民法上の範囲ということになっておるわけでございます。

 ただ、今、報告等々に関しまして申し上げれば、これは軒並み行くわけではないということはもう御理解いただいておるというふうに思います。蓋然性の高いといいますか、要は、扶養していただける可能性が非常に高い、こういう方であって、もちろん、その中において、人間関係が家族とはいえどもいろいろございますから、人間関係として切れておられるという方、もしくは虐待や何かで避難されてこられた方、そういう方を含めて、そういう方には当然行かないわけであります。

 言うなれば、家事審判等々でこれは……(長妻委員「いや、どんな方に。対象者の条件」と呼ぶ)いや、ですから、そういう中において、蓋然性の高い方に関してこのような報告書をお送りするということでございます。

長妻委員 蓋然性の高いというのは、どんな要件ですか。

田村国務大臣 十分に扶養いただける条件の整っておられる方、つまり、家裁の方に家事審判を起こして、裁判等々でしっかりとそれまでの保護費に対して請求をさせていただける、そういうような方に関しては報告を送らせていただくということになります。

長妻委員 そうしますと、私が今読み上げた、現在、通知の対象範囲の特別な事情というもの、これは守られるわけですか、報告を求める対象者においても。

村木政府参考人 現在の民法上の扶養義務の範囲でも、三親等以内の親族については特別な事情がある者ということで、民法でもそこは限定をされておりますので、今実施をしているところから拡大をすることはないということで考えております。

長妻委員 これは重要なんですが、では、今実施するところから拡大がない、拡大はないか、同じなのか、今実施しているものよりも絞るのか、この求める規定ですね、それはどっちですか。

村木政府参考人 扶養照会については、現在と変わらない、縮小も考えておりませんし、拡大も考えていないということでございます。(長妻委員「求める」と呼ぶ)

 それから、報告を求める通知を行うということについては、これは極めて限られたものというふうに考えております。

長妻委員 そうすると、通知の三条件よりも、これよりも狭い、限られる、こういうことでよろしいんですか。

村木政府参考人 そのとおりでございます。

長妻委員 扶養のことは、さっき世界の例も見ましたけれども、いろいろな専門家とも話しましたが、非常に日本は厳しいのではないかと思います。

 例えば、女性がいらっしゃって、その女性の三親等の中に生活保護を受けておられる方がいらっしゃる場合、その女性と一定の財産を持って結婚された方がいて、御家庭ができた場合は、やはり扶養義務になる。しかも、かなり遠い関係で、一度も会っていない方もその中にはいらっしゃるかもしれませんけれども、そういうところまで厳しく厳しくやっていくと、本来の趣旨とはかけ離れてくるんじゃないのかと思います。

 最後に、田村大臣に一点だけお考えをお伺いしますが、貧困というのは、社会の責任なのか、自己責任なのか、どっちだと思いますか。

田村国務大臣 まず前段のお話でありますけれども、扶養義務というものは、実態をしっかりと現場が把握をいただかなきゃいけませんから、人間関係が全くない中で扶養してくださいということにはなかなかならないということでございますから、そこは常識の範囲の中で、現場が御理解をいただくという話になると思います。

 それから、今のお話でありますが、社会の問題か、個人の問題か。これは両方ともあると思います。

 社会が貧困を生み出すような環境、経済環境も含めて、そういう環境をつくっている、そういう中において生まれてくる貧困もあれば、御本人が努力をされない、もしくは、御本人が外れた道を歩かれるという中において貧困に入られる方々もおられますから、両方ともあろうというふうに思いますが、我々は、社会の貧困をなるべくなくすように努力をしてまいらなければならない、このように思っております。

長妻委員 時間が参りました。これで終わりますが、二十四条の問題、生活扶助CPIの問題、私は、これは非常に大きな問題、おかしいと思っておりますので、引き続き、また申し上げたいと思います。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉祐司でございます。

 お時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 我が党は、この後、昼から、この生活保護関連法案、党内、賛否がございまして、それに資するような議論をさせていただければと思います。

 また同時に、午前中、私が最後なんですが、今まで議論されてきたことと重複する部分がございます。これは、適宜、申しわけないんですが、通告している部分も含めて割愛をさせていただくところも出てきますので、御了承いただければと思います。

 まず最初は、生活保護の適正給付額というものは果たしてどれぐらいなのか、当然、日本において。どれぐらいが望ましいのか。これは、答えるのは非常に難しい質問だということは重々承知しておりますが、お尋ねしたいと思います。

 日本の生活保護の制度というのは、海外と比較すると、間口が狭い、入りにくく出にくいというふうに言われているわけでございます。

 生活保護受給率は、本邦で一・六%。イギリスは九%、ドイツ八%、フランス、スウェーデン、五%、四%ということで、相対的に日本というのは生活保護受給者の方々は少ないということでございます。

 しかし、こちら、一枚目の資料を見ていただきたいんですが、これも各国比較で見ますと、相対的に給付のお金が海外に比べてやや多い印象がある。日本と韓国は、親の扶養は子がするものだということで、年金の方が生活保護よりも圧倒的に低いという特殊な国ではございますが、世界標準ということを考えると、やはり少し特異的な印象が拭えません。

 私は東京ではないんですが、都心を例にとると、単身の方で、生活保護費八万円、住宅手当五万三千七百円、これが上限ですね。つまり、十三万円というお金が給付される。ただ、最低賃金というのは、社会保障負担も考えると十一万円、年金に至っては、四十年真面目に未納をせずに納めても六万五千円というような状況になっているわけでございます。

 真面目に汗水垂らしてきた御高齢の方が首をかしげざるを得ない。そして、これから働こう、この日本で生涯を全うしようという若い人たちの人生観といいますか勤労観、それにゆがみを生じる、そういった懸念も持たざるを得ないのが正直なところでございます。

 特に、若い人たちの勤労の価値というものをどうやって担保していくのか、これはぜひ議論していかなきゃいけないとは思うんですが、漠然とした質問で恐縮なんですが、生活保護の適正給付額、年金、最低賃金との兼ね合いを、位置づけを中心に、大臣のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

田村国務大臣 まず、年金と生活保護という意味からしますと、ちょっと比べる対象が違う部分があると思います。

 年金は、そもそもは、特に国民年金のことを言われておられるんだと思いますが、自営業の方々の制度でありまして、その人生設計、制度設計で考えられてきて、想定してきたことは、一定年齢に達すると、やはり稼働能力といいますか、それが狭まってくるといいますか、少なくなってくる、すると、若いころ自営業で、いろいろな形態でお働きになっておられた方の収入が減ってくるであろう、その減ってきた収入と、それから国民年金と合わせて生活をいただくというような、そういう一つの設計を想定していたわけであります。

 もちろん、そうじゃない方々も含めて、貯蓄もあられるでしょうし、資産もあられるであろう、そういうこともあるわけでありまして、そういう中において、一定の老後の、フローで入ってくる収入と、今までためていたもの等々と合わせながら老後設計をしていただく、こういう方々もおられる。

 一方で、生活保護の場合は、そもそもミーンズテストをしっかりやった上で、資産がない、それから貯金も持てないという中において、毎年、生活扶助、それから住宅扶助等々、医療扶助もあるでありましょうけれども、そういうものの範囲の中で生活をしていただくということでございますから、ここをどう考えるんだということは、ちょっと比べるものが違う。ですから、多分、地域によっては、生活保護費の方が基礎年金費よりも低いところも、若干ではありますけれども、あるんだろうというふうに思います。

 それから、もう一つ、最低賃金との比較という意味からいたしますと、これは、最低賃金というものが生活保護費よりも少ない地域というのがまだ残っておるわけでありまして、これは早急に解消を目指していかなければならないものであるなというふうに、我々も認識をいたしております。

 ちなみに、国民年金ということをいえば、前から申し上げておりますとおり、マクロ経済スライドという制度が厚生年金よりも長くかかるように今なっておりまして、実額が減る、名目額が減るということはないんでしょうけれども、今の金銭価値と比べると目減りをしていくということが起こってくるものでありますから、これに対して将来どう対処していくかということは、これは中長期的な課題であるという認識は持っております。

柏倉委員 答弁ありがとうございます。

 大臣おっしゃるように、年金受給者、それは、そもそも、下支えする財産を多少なりともお持ちの方が年金をもらっている、そういったところで単純に比較できないというのは重々我々も認識をしておるんです。次の質問でしようと思っていたんですが、そもそも、年金をもらっている人の財産なり家族のきずななりというものが、今徐々に少なくなっている、希薄になっているという状況がございます。これは、そういったところも含めて議論を深めていかなきゃいけないのかなというふうには、私は個人的に思っております。

 それで、次なんですけれども、海外との比較で、先ほど申しました、入りにくく、ひょっとしたら給付が多いのではないかというような思いを持っていらっしゃる方もいる。そういうところで、もっと入りやすく、そして、多少薄くなっても入りやすくした方がいいんじゃないか。低くするというのはいろいろな議論がありますけれども、間口を広げる、これに関しては皆さん異存がないように思うんですが、その辺のお考えをお聞かせください。

丸川大臣政務官 公的扶助をどのように位置づけるかというのは、それぞれの国においての考え方というものがあろうかと思いまして、比較でいただいているこの資料の中でも、例えばフランスに関して言うと、資産調査がなく、公的扶助が対象になるという一方で、日本では、資産を有している世帯は、まずその資産についてきちんと検討をした上でということになります。

 こうした制度の理念の違い、またそれに基づく制度の対象者、要件の違いなどがありますので、一概に比較は難しいとは思うのですが、少なくともこの日本においては、生活保護というのは最後のセーフティーネットであるということが理念でございまして、その役割を担っていることを考えますと、支援が必要な人には確実に保護を実施するということと同時に、自立を助長していくということも非常に必要だというふうに考えています。

 このため、生活保護制度について、今回、就労自立支援の強化などの見直しを行うとともに、生活保護受給に至る前の時点、生活困窮時点で自立の支援を図るということを新たに設けさせていただきたいということで法案を提出したのでありまして、これらを一体として総合的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

柏倉委員 ぜひ適正な運用をお願い申し上げます。

 もう一つ、最後にこれに関連して、年金、最低賃金、いわゆる公的扶助、生活保護のあり方を議論する場であった社会保障制度の低所得者対策の在り方に関する研究会というのがあったかと思うんですが、昨年七月以来、総選挙なんかもあって開かれていないというふうに伺っています。

 こういった議論をぜひオープンにしていただいて、我々にも議論をするマテリアルを提供していただければなと思うんですが、今度いつ開かれる予定でしょうか。

唐澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の低所得者対策の在り方に関する研究会でございますけれども、御指摘いただきましたように、昨年の五月と七月と二回開催をして、今日に至っております。

 この研究会そのものは、もともと、社会保障・税一体改革の中の取り組みといたしまして総合合算制度の検討を進めるということが一つ、それからもう一点につきましては、今お話がございましたように、社会保障制度の中で各制度ごとに低所得者対策が設けられておりますので、こうしたものと年金などの関係につきましても御検討をいただくという観点から設けております。

 現在は、低所得者対策につきましては、主に、社会保障制度改革国民会議が設置されておりますので、そちらの方での御議論や、あるいはそれぞれの個別の審議会などで御議論をいただいているところでございます。

 先般、番号法というものも成立をしてまいりましたので、番号制度の稼働と定着を前提とした総合合算制度というものを検討していこうという議論になっておりますから、私どもといたしましても、番号法案が成立したことも踏まえまして、今後、必要に応じてこの研究会を活用させていただきながら検討を進めてまいりたいと考えております。

柏倉委員 メーンは社会保障国民会議の方に移ったという認識でよろしいですかね。各々検討会でされているということで、ぜひ継続して、そしてオープンにというのが私どもの訴えたいことでございます。

 それでは、次に、先ほど大臣のお答えいただいた答弁の中でも、私申し上げましたけれども、年金受給者の生活保護に関して、徐々にふえてきているというのが事実のようでございます。この十年間でおよそ二倍にふえているというふうに聞きました。

 国民年金は、衣食住というものはある程度足りているという想定のもとで組み立てられてきたセーフティーネットなわけで、足りない部分を補うというところに主眼が置かれたものだったわけですね。ところが、先ほど申し上げたとおり、その前提が今崩れてきている。

 そういった中で、年金を受け取ってはいるが、それで足らなくて生活保護も受給されている方は二倍になっているというふうに聞いていましたが、具体的に、どれぐらいの世帯なのか、そして、どれぐらい平均的に年金を受け取っているのか、そして、その人たちの平均の年金の加入期間、わかれば教えてください。

村木政府参考人 お答え申し上げます。

 生活保護受給世帯の中で年金受給世帯でございますが、保護世帯全体が百四十七万世帯、このうち約五十万世帯が年金を受給しているという状況にございます。

 世帯単位で見ますと、一世帯当たりの平均受給額は約五万三千六百円でございます。六十五歳以上のお一人当たりで換算してみますと、四万七千九百九十七円ということでございます。

 なお、平均年金加入期間については把握をしておりません。

柏倉委員 平均年金加入期間が少なければ、当然、年金受給額も減るわけです。恐らく、そういったものが背景にあって、いわゆる無年金、低年金の方がほとんどなんじゃないかなというふうに思います。

 どちらにしても、年金をきっちり納めてもらう、これが、将来的にも、生活保護受給者というものを、自立していただくというか、抑えるというところで一番大事な政策になるかとは思うんですけれども、ただ、現在の年金の未納率、もう既に四割を超えている。特に若い人たちが年金を払わなくなっている。これは一番大きな問題なのかなというふうに思います。

 こういった人たちに、いかに年金をしっかり払ってもらうのか。これは、生活保護を考える上で避けて通れない問題だと思うんですが、どのように、若年者とは言いません、年金の未納者の方にさらに払っていただくのか、これに関して政府の見解をお尋ねいたします。

高倉政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ございましたように、若い方々の納付率の問題というのがとりわけ大きな問題となっております。

 年齢の高い方々に比べますと、一般論としては、年金受給のメリットを身近に感じにくい等の問題もあって、納付率が低くなっているところと考えられますが、国民の皆様に老後に年金をきちっと受給していただくためには、若いときからずっと年金保険料をきちんと納めていただけるように、しっかり取り組まなければならないと考えております。

 そのために、まず、若い世代ということで申しますと、国民年金の加入年齢は二十で、加入年齢に達した方々に加入のお知らせを差し上げるリーフレットにおきまして、年金制度の意義も含めてお伝えするといったことをやっております。また、学生の方々には、保険料の納付猶予の特例もございますので、大学などにその関係のリーフレットを備えつけていただくなど、意味をしっかりと伝えていく周知の取り組みを進めております。

 その上で、具体的な未納の対策という部分につきましては、未納者の属性に応じたきめ細かな対策が必要という考え方から、所得状況に応じて、低所得の方々へは文書や電話によって免除制度の周知、勧奨を行っていく、高所得の方で未納という方々には差し押さえなどの強制徴収の拡大を行っていく、また、負担能力がありながら余り納付しておられないというような方、中間的な方に特別催告状を送付していく、そういった属性に応じた対策を一層進めてまいりたいと考えております。

柏倉委員 いろいろな御努力をなされているんだなというふうには思いますが、なかなか、言葉は悪いんですが、やはりびほう策のような印象も拭えません。

 先ほどナンバー制と関連した改革という答弁がございました。我々みんなの党も、歳入庁の設置、これに関しては進めていきたいというふうに考えているんですが、この問題、やはり歳入庁をきっちり設置して、所得捕捉をしっかりやるという前提のもとに合理的な所得再分配を行う、これがやはり根本的、抜本的な改革だと思うんです。

 この歳入庁の設置の意気込みをぜひお聞かせいただければと思います。

山際大臣政務官 歳入庁そのものに関しましては、昨年成立いたしました税制抜本改革法において、自民党、公明党、民主党、三党合意に基づいて、これをきちんと検討するという文脈の中で、先般、内閣官房副長官を座長とする関係省庁の政務官会議というものを開き、そこで今、歳入庁をつくるということも含めまして、鋭意検討を進めてございます。

 一方で、野党が法案で提案されている歳入庁については、現在の国税庁に近い職員数で、新たに年金保険料の徴収業務等を行わせるものと承知しております。その場合、業務に必要な人員をどう確保するのか、そもそも年金保険料の納付率向上に本当につながるのか、また逆に、国税の徴税能力が低下するおそれはないのかといった点から慎重な考えもある、このように承知してございます。

 こういったことも含めまして、さまざまな観点から、年金の納付率をいかにして上げるかという大目標に照らして、この歳入庁の問題というものも検討してまいります。

柏倉委員 ぜひ積極的に検討、設置をお願いしたいと思います。

 次は、扶養義務に関して質問をさせていただきたいんですけれども、先ほど長妻議員の方からいろいろな議論、活発な議論がありました。そこで、議論、答弁、重複するといけませんので、これに関しては、申しわけないんですが、大幅に割愛させていただいて、一点だけ伺いたいんです。

 この扶養義務なんですけれども、日本は厳しいというようにおっしゃる方もおられます。イギリス、フランス、いろいろな欧米諸国は、扶養義務というのは未成熟の子か配偶者間だけだ、なぜ日本は、血族、親、これに対しても扶養義務があるのかというような議論もあります。

 ただ、私は地元は栃木県なんですが、田園地帯、農村地域なんですが、そういったところはまだまだ日本の原風景というか、素朴な人たちもいっぱい住んでおられて、そういった人たちから意見を聞くと、子が親の面倒を見るのは当たり前だろう、特にお金を持っているのであれば当然だろうというようなことをおっしゃる方も大勢いらっしゃるのは事実です。

 先ほど、ドイツでも、一緒に住んでいる人に関してのみ親子間で扶養義務が発生するという話がありました。私は、親と子であれば、一緒に住んでいる、住んでいないに関係なく、一定の財産があれば扶養した方がいいんじゃないかというような考えを持っています。

 ドイツでも、きっちり十万ユーロを超える収入、一千万、一千二百万を超える収入がある場合というふうに規定しているんですね。これは私も至極当然の規定だと思っています。

 日本でもこういったところをしっかりと、そういった両方の議論があるのは承知しているんですが、子の親に対する扶養義務、これをきっちりと収入を明示して定める、定めた方がいいんじゃないかというふうに思いますが、その辺に関してお考えをお聞かせください。

丸川大臣政務官 まず、今御指摘いただいたお話でございますけれども、民法上、成人した子とその親の扶養の関係というものは、一定の親族間に認められる一般的な扶養義務というものがございますが、親とまだ成人していない未成熟子間、あるいは夫婦間のように、相手に自分と同一程度の生活を保障するという義務までは、子供が成人している場合というのは、これはないというふうに承知をしております。

 また、生活保護法においては、民法に定める扶養義務者の扶養というのは、全てこの法律による保護に優先して行われるというものであって、それが前提あるいは要件となるものではございません。

 そういう中で、生活保護法では、扶養義務者がいる場合に、その扶養が保護に優先されるということなので、十分に扶養が可能だというふうに判断される方については、その責任を積極的に果たしていただきたいと考えております。

 一方で、扶養義務者にどの程度の扶養の責任を果たしていただくかということについては、それぞれの個々のケースに応じて判断をする。受給者と扶養義務者が、どの程度の親族関係の近さ、濃密さがこれまでにあったのかという交際状況であるとか、あるいは、扶養義務者自身が、一体、ではどのぐらいの収入や資産があるのかというようなこと、その扶養義務者自身が生活をどの程度のレベルでしているのかというようなことをやはり個別に判断することの方が望ましかろうというふうに考えております。

 この一律の基準を設けることは、こういう考え方に基づくと、なじまないというふうに考えておるわけでございますが、ただ、家庭裁判所への申し立てというのも一方で積極的に活用していただけるようにするために、その手続をわかりやすくしましたマニュアルであるとか、あるいは具体的なモデルケースを地方自治体に御提示することにしております。

柏倉委員 ありがとうございます。

 各論は非常に難しいんだと思います。ただ、一杯の飯を分けても食う関係が親子じゃないかな、それが自然じゃないかなというような考えもあることを重々お含みおきいただいて、議論を進めていただければと思います。

 次は、不正受給に関してなんです。

 きのう、きょう、新しいニュースでは、大阪の方で、残念なことに、生活保護申請はしたけれども、その後行方が知れずに、マンションでお亡くなりになっていたという悲惨な例もありました。非常に心痛むわけなんですけれども、ただ、一方で、やはり不正受給のニュースも後を絶たないのは事実でございます。

 不正受給のニュースが出て一番被害をこうむるのは、実は、つましく暮らしている生活保護受給者の方だということでございます。私も地元で医者をやっております。当然、生活保護の方も診察するんですが、大半の方がつましく真面目に生活している方々なんですね。しかし、こういったニュースが出るたびに、やはり要らぬ詮索を受けて非常に迷惑をこうむっているという方が多いのも事実です。

 兵庫県小野市では、福祉給付制度適正化条例というのができて、遊興等の不適切と思われる支出を生活保護受給者がしている場合は情報提供ができるという条例ができました。

 平成十六年の最高裁では、生活保護の使途に関しては、世帯主等に当該世帯の家計の合理的な運営を委ねているものと解するのが妥当であるという判例が出ているんですね。しかし、八年たって、法律的には条例ということで、最高裁とは比べてはいけないのかもしれませんが、時代の要請というのは、不正受給に関しては厳罰主義を求めている、志向しているのかもしれないというような印象もございます。

 そこで、不正受給というようなもの、政府の説明を受けますと、実際は、本当は二・四%で、その不正受給額は〇・五%にしかすぎないということを伺いました。では、どういうケースが多いんですかというと、アルバイトを申告し忘れたというような例が多かった。そういった軽微な、意図的というよりは過失に近い不正受給が多いんですというお話でした。

 そうであればいいんですが、やはり、添付してありますいろいろなニュースがございます。こういったところを見ますと、本当に、この二・四%、不正受給総額〇・五%なのかというふうに疑いたくなるのも事実でございます。

 この辺、統計的なもので、そのように受けとめてもいいのか、それともこれは氷山の一角なのか、素朴な疑問が残るんですが、その辺のところ、政府の見解をお聞かせ願います。

桝屋副大臣 不正受給、先ほども議論がございましたけれども、委員おっしゃるように、不正受給の報道も多く見られるわけであります。

 数字を申し上げますと、平成二十三年度の不正受給件数は三万五千五百六十八件でございまして、平成二十二年度と比較して一万二百十三件増加している、金額が百七十三億一千三百万、前年度と比較して四十四億三千九百万円増加している、こういう状況でございます。

 増加している要因というのは、今いろいろお話がございましたが、やはり一つは、そういう世間の厳しい批判ということもございまして、それぞれの自治体で、課税調査による稼働収入の把握でありますとか、あるいは年金調査による年金収入の把握とか、こうしたことの強化、徹底が図られた結果ではないかな、こう思っております。

 引き続き、こうした不正受給が起きないように、不正防止対策をしっかりと講じていきたいというふうに思っている次第でございます。

柏倉委員 ありがとうございます。

 さまざまの対応策があるかとは思うんですが、あと、どうしても、市の職員の方は窓口の最前線に立たれて、恫喝を受けるという可能性もある状況の中で対応しなきゃいけない、こういったことを考えますと、現場感覚でいいますと、不正受給にきっちり対応できる専門官といったような人も必要ではないのかなというような意見もございます。それについても一考していただければと思います。

 時間もありませんので、最後、外国人不正受給の問題が議論されて久しいと思うんですが、先ほど申しました、国民の一・六%の方が生活保護を受給している。しかし一方で、外国人受給者は有資格者の五・五%、これは自民党の片山さつき先生の出された数字でございますけれども。

 なぜこういったことになっているのか。これは偽装結婚というものの予防策も含めて、どのように対処していくのか。これに関して、最後、答弁をいただければと思います。

桝屋副大臣 委員、今の外国人問題以前に、不正受給、特に専門家を配置しろ、こういう御提言もいただきました。現に、福祉事務所では、現場の警察官を経験された方、OBを登用したり、さまざまな工夫をしているということも御理解いただきたいと思います。

 それで、外国人でありますが、日本人であるか外国人であるかを問わず、不正受給については厳正に対処しなきゃならぬ、こう思っております。

 なかなか難しいのでありますが、入国直後の外国人からの生活保護の申請に当たりましては、その者が在留資格の取得時に入管当局に提出をした資料がございます。生計維持能力を証明する書類であるとか、身元保証人のデータとか、そうしたものがあるわけでありますから、まずこうした資料の提出を求めて、入国要件と生活保護の要件を満たすかを厳密にチェックすることによりまして、適正な保護の実施に取り組んでまいりたいと思っている次第でございます。

柏倉委員 どうもありがとうございました。

 質問時間が終了しましたので、これで終わりにします。

松本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山井和則君。

山井委員 四十五分間、質問をさせていただきます。前半は、生活保護法改正について、後半は、子どもの貧困対策法について、お聞きをしたいと思います。

 我が党のスタンスは、生活保護については、不正受給はしっかりと厳しく取り締まらねばならない、しかし、真に生活保護が必要な人、援助が必要な人にはしっかりと援助をせねばならない、この認識はみんな一緒だと思っております。また、子供の貧困ということに関しては、やはり子供の貧困というのは子供には少なくとも全く責任がないわけですから、政治が、社会がしっかりと守っていかねばならないと思っております。

 そこでなんですが、きょうの配付資料二十二ページを見ていただけますでしょうか。

 先日、大阪市北区でお母さんとお子さんが餓死をされているということが発見されたという、大変痛ましい事件が発覚をいたしました。御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。

 このお母さんが、転居前の自治体に対して、昨年の七月四日に一人で窓口を訪れ、来月に就職できる話もあるが、援助がいつまで続くかわからないと話したということで、生活保護の窓口を訪問した、そういう報道もあるわけですが、この事実関係について、田村大臣、お答えください。

田村国務大臣 本当に痛ましい事件といいますか出来事でございまして、私も心から御冥福をお祈り申し上げたいというふうに思います。

 事実関係でございますが、今、山井委員がおっしゃったとおりでありまして、七月四日に、守口市によるとでありますけれども、母親が一人で窓口を訪れて、来月には就職できる話もある、援助がいつまで続くかわからない、援助というのは知人に援助していただいておられたようでありますけれども、いつまで続くかわからないと話をされ、市の担当者が、見通しが立たない場合は連絡してほしいと伝えたわけでありますが、その後連絡がとれなくなり、窓口にも来られなくなった、その後、このような事柄が起こったわけでございます。

 これに関して、ちょっと我々も事実関係をしっかりと確認しなければならないと思っております。現在、警察の方もいろいろと捜査に入っておられるというようなお話もお聞きをいたしております。いずれにいたしましても、守口市の方にもしっかりと事実の確認をさせていただきたいというふうに思います。

山井委員 これは、生活保護窓口を訪れておられるわけですよね。ということは、生活保護の申請をされたんですか。

田村国務大臣 聞いておりますところでは、そうではないという話でありますが、これも確かな情報ではございませんので、守口市の方に確認をさせていただきたいというふうに思います。

山井委員 一部報道では、DV問題が背景にあるのではないかという話もあるんですが、一回、七月四日に窓口を訪問された、それ以降、守口市は何らかのコンタクトをとったんですか、とっていないんですか。

田村国務大臣 DVがあったかどうかも、これは一部そういうような話もあるようでございますが、確認を我が省としてもとれておりません。

 その後、守口市が、守口市の方からどのようなアプローチをされたのか、その後、窓口に来られることはなかったという話でありますけれども、その後、守口市がどのような対応をされたのかも含めて、調査をこちらの方からしないことには実態がわかりませんので、事実関係をいろいろとお聞きをさせていただきたいというふうに思っております。

山井委員 私、今回の事件で一番残念に思っておりますのは、餓死をされてしまった、三歳のお子さんと一緒に。そこに至るまで、なぜお母さんは行政に援助を求めなかったのかなと。本当に、これは一体どこの国の事件なのかということを思います。やはり、最後のセーフティーネットということで、まさに生活保護があるわけですから、餓死をするのであれば、なぜ行政に相談に行かなかったのかということで、それが私も最大の謎なんですよね。

 ですから、守口市の窓口でどういうやりとりがあったのか。そして、なぜ、もっと困窮した大阪市に転居してから窓口に行かなかったのか、行けなかったのか。ここはぜひ検証していただきたいと私は思うんです。やはりこれは、再発を絶対に防止せねばならないことだというふうに思います。

 その検証と、検証は、今、するとおっしゃいましたが、再発防止策として、私は、やはり今回のこの痛ましい事件に対して、困ったときはぜひ市町村の窓口に来てください、本当に大変なときは生活保護という制度がありますよということを、厚生労働大臣が声を大にして、メッセージとして発する必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 先ほど委員が、DVだというような話もあったというふうにおっしゃられましたが、これはわかりません。わかりませんが、もしDVだということが仮に、この事例に限らずあったらば、そのときには、やはり御本人はいろいろなことをお考えになられ、もし申請をするなどというような話になったときに、扶養者はいないんですかと、すると、それが御主人にわかってしまうとなれば、またそれで連れ戻される、もしくはまた被害を受ける、こういうようなことも想定をされながら、実は窓口では物が言えないというようなことも推測されるわけであります。この事例とは限りません、この事例がDVだったかどうかはわからないわけでありますから。

 ですから、そういういろいろなことを思いながら、多分、本当に困って保護申請をされる方々は窓口に来られるんだというふうに思います。そういう事情を一つ一つ聞きながら、申請をされる方の立場に立って対応していただくということが窓口の方々には必要になってくるわけでありまして、当然、DVのおそれのある方は、その相手に対して連絡することはないわけでございますので、そんなことまで含めて、きめ細やかな対応をやはりそれぞれの窓口、自治体でやっていただくように、我々からはこれからもお願いをさせていただきたいというふうに思います。

 この件に関しましては、まずしっかりと調査をした上で、調査結果に基づいていろいろな問題点が出てくれば、その問題点を解消できるように我々としては対応はさせていただきたい、このように思っております。

山井委員 こう言ってはなんなんですが、やはり、こういう新聞報道が出た後での後追いというのでは、私は厚生労働省の対応は遅過ぎるんじゃないかと思っているんです。ですから、迅速に、やはりこれは再発を防止しないとだめなわけですから。

 それで、この間、生活保護の不正受給に対して、非常にマスコミからも国民からも厳しい視線がありました。不正受給に対して厳しい視線は当然なんですが、しかし、一方では、だからといって、本当に困っている方が生活保護の申請をちゅうちょするということがあっては絶対ならないわけですし、今回、お子さんもお亡くなりになってしまっているわけなんですね。ですから、このことについては、ぜひ再発防止も早急に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 この守口市の窓口で、DVなりの、そういう相談がもしあったのであれば、例えば、私も学生時代、母子寮、母子生活支援施設というDV被害のお母さんと子供の駆け込み寺で六年間ボランティアをしていて、多くのお母さんと子供が逃げ込んできて、ですから、そこの施設では、表札は名前がちょっと変わっていたりするんですよね、夫が追いかけてきたりするから。でも、やはりそういうところで安心して生活を立て直して巣立っていったお母さんと子供に私はたくさん出会ってきたわけですから、そういうところにつなげたかもしれない。なぜそういうことができなかったのか、こういったことはぜひ検証していただきたいと思います。

 それで、例えばこの資料の中にもございますが、三ページを見ていただきたいんですが、これは藤田孝典さんの「ひとりも殺させない」という本の中の一節。

 線を引かせていただきましたが、例えばここにありますように、生活保護の申請に行ったけれども拒まれてしまった、妹の旦那さんに頼ってくれと言われた、でも、そのことを妹さん御夫妻に話したら、支援しなければいけないなら姉妹の縁を切ると言われて、それでもう姉妹の縁が切れちゃった、それで、生活保護は受けたくありませんと彼女は泣き出してしまった。

 結果的には生活保護は受給できたということなんですが、やはり下に線を引きましたように、「入口の段階で本人が自立していくモチベーションを下げてしまったり、唯一細い糸でつながっている親族との関係性を断ち切って孤立させたりということになってしまいかねない危険な状況」にある、「親族は精神的な支援を、金銭的な支援は社会で」というふうに藤田さんは書いておられます。

 その翌ページにもありますように、「窓口まで相談に来ているのに、亡くなった人たち」「失業していて生活できないと訴えたのですが、息子に若干の収入があったので、「息子さんともう少し話し合ってください」ということで帰されてしまっています。病気もあったお父さんは、まだ残暑の厳しい九月に熱中症で亡くなってしまいました。」

 だから、今回のこの生活保護法の改正で、間違っても、こういう水際作戦と言われるようなことが広がっていったり、ハードルが高くなってはならないと思います。

 けさの長妻議員との質疑の中で、改めてわかったのは、二十四条の改正というのは、変えなくてもいいんですと、法制局長官も、論理的には変えなくてもいいんですと。それで、田村大臣からも、いや、別に変わらないんですということですよね。ここで聞いている人間は、まあ、変わらないんだなというふうに思うでしょうが、やはり普通の福祉事務所なりの現場は、根本的に法律が変わったんですから、今まで書いていなかったことがどっと書き込まれたわけだから、変わったと理解する人も当然いると思うんです、それは。常識的に考えたら、全く変わらないのに法律が変わるということは、普通はないわけですから。

 ですから、誤解なのかもしれませんが、全く運用は変わらないのに、法律が変わったことによって申請のハードルが高くなったかのような誤解をして、そのことによって万が一犠牲者が出たら、これは大変なことになってしまうんですね。

 田村大臣、これはどうされますか。通知、政省令、とにかく今回の改正は、法制局長官が言ったように、法律の一貫性の、調査との関係で入れたにすぎないのであって、運用は全く変わらないんだということをきっちり言わないと、いや、変わったと誤解してしまいましたでは、これはもう被害者が出ますから大変なことになりますから、通知を出されるなり、政省令なり、きっちり、絶対そういう誤解が生まれないようにせねばならないと思います。田村大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 そのような誤解、誤解というか、まだ運用を窓口の方ではやっているわけじゃないので、関係者の皆様方が不安に思われた、そういうふうになったというのは、これは本当に遺憾な話でございまして、申しわけなく思うわけでありますが、先ほど来申し上げておりますとおり、全く運用が変わるわけではないわけでございまして、それも含めて、五月の二十日に、全国の担当者の方々においでいただきまして、担当者会議でその旨をしっかりと周知させていただきました。

 しかし、それでもまだ十分ではないというお声もございますので、さらに通知を送らせていただいて、徹底をさせていただきたい、このように思っております。

山井委員 かつ、これは関係者だけじゃなくて、本当に困窮しておられる方々も、新聞やテレビを見て、ますます生活保護の申請が難しくなったんじゃないかとやはり思われる方もいるんですね。

 そういう意味では、残念ながら、一旦、マスコミには、今回の法改正が申請厳格化というのが一回もう出てしまっているわけですから、そのために今修正協議も行っておりますが、ぜひともこれはマスコミの方々にも、今回法改正したけれども、申請は全く厳格化していないんだ、運用は全く変わらないんだということをある意味で書いてもらえるように、田村大臣からも発信をしていただきたいと思っております。

 次に、生活保護のお子さんたちの進学のことについて議論を移したいと思います。

 私も、この間、何人かの生活保護家庭のお子さんたちと話をさせていただきました。やはり、みんな、貧困が原因で進学に悩んでおられる方が多いんですね。

 ある中学生の男の子は、漫画が大好きで、将来漫画家になりたい。そのために、高校に行った上で専門学校に行きたいんだけれども、やはり家計の状況では難しいということを悩んでおられました。また、ある高校生の女の子は、子供が大好きだから保育士になりたい。保育士になるためには、学校の先生に相談したら、大学か専門学校には行く必要がありますよと言われたけれども、やはり、妹も弟もいるし、自分だけお金を使うわけにもいかないし、なかなか難しいかなというふうに悩んでおられます。

 そういう意味では、子供に貧困の責任は全くないわけですから、やはり、望めば、そういう進学やそれに連なる将来の就職の夢が絶たれることがあってはならないと思います。

 そこで、この五ページを見ていただきたいんですが、今回、高校生がアルバイトをした場合の勤労控除の見直しということをされるとお聞きしました。

 私も改めてびっくりしたんですが、私の知り合いの高校三年生、高校に通いながら、毎日、夕方から晩までマクドナルド、土日も朝から晩までマクドナルド、夏休みもなくマクドナルド、年末も正月も休まずにマクドナルド、働いておられるんですよ。これは、本当に家計が苦しいから、そうやって、学校に行って、余っている時間は一切、土日も休まずに、ずっと働き続けているんです。それでも七割ぐらいが課税されるわけなんですね。

 別にその子だけではなくて、生活保護家庭は、貧しいからお小遣いはもらえない、あるいは、修学旅行に行きたい、そのお金は自分で稼がねばならないので、みんな夕方コンビニで働いたり、さらに、お母さんが生活保護家庭でちょっとうつ病で体調が悪いから、妹と弟の御飯もつくったりとか、そのためにもクラブ活動もやめるとか、本当に私は、生活保護家庭あるいは生活困窮家庭の子供たちというのは、変な話、私たち大人以上に頑張っているんじゃないかなというふうに感じます。

 ですから、そういう意味では、生活保護へのバッシング、不正受給に対してバッシングがあるのは当然ですけれども、そういう本当に困っている家庭の人たちに対してもバッシングが及びかねないということに関して、私は非常に心配なんです。

 高校生がアルバイトをした場合の勤労控除の見直し、どのように、より多く高校生の手元に残るようになるのか、田村大臣、お答えください。

田村国務大臣 勤労控除の見直しでありますけれども、具体的に、高校生の皆様方がアルバイトをされたときに、今回の見直しで、仮に三万円月額で収入があった場合に、今、手元に残るのが二万三千三百八十円でありますが、これが二万七千八百円、四千四百二十円増加であります。六万円の場合は、二万八千八百九十円が三万一千円、二千百十円増加ということになっております。

山井委員 本当でしたら、もっともっと引き上げていただきたいと思います。

 今、生活保護が恵まれ過ぎているとかいろいろな議論がありますが、恐らくその議論は、こう言ったらなんですけれども、働いていないのにお金をもらい過ぎじゃないかとか、そういう議論があるんじゃないかと思うんですけれども、この高校生なんかは逆なんですよ、それだけ働いても七割は手元に入ってこないんですから。

 そういう意味では、本当に必死で働いている、にもかかわらず、なかなか進学が難しいという苦労で、おまけに弟や妹の面倒まで見ねばならない。やはり、こういう子供たちは社会全体で応援せねばならないと思いますが、この数千円のアップも、残念ながら、先ほど長妻さんからも話がありましたが、八月に生活保護基準が引き下げられてしまって、子供が多い家庭ほど、より引き下げられるわけですから、この引き上げ分も、一歩間違ったらプラス・マイナス・ゼロになってしまいかねないという不安を持っております。

 田村大臣、一言お願いしたいんですが、私はやはり、生活保護家庭であれ、貧困の責任は子供たちには一切ないわけですから、望めば専門学校や高校に進み、夢というのは、生活保護家庭であっても貧困家庭であっても持っていいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 今まで、一般世帯の大学進学率が、大学、短大進学率五三・六%ということでございまして、一般家庭においても半分強ということでございますので、生活保護制度において、保護を受けながら大学進学を認めることは、現時点では適当ではないというような考え方に立ってきたわけでありますが、これは私はおかしいなと思っておりまして、大臣になって、担当者と何度か議論をしました。

 やはり、貧困の連鎖と言われている中で、大学に行くことによって、進学することによって、それで自立していける、貧困の連鎖を断ち切れるということであるのならば、それは、その道をちゃんと、行けるような道をつくるべきなのではないか。そういう中において、この大学進学等、もちろん自立をしていただくことを目標にそういうような大学に行っていただくわけでありますから、そういうことに関しましては、預貯金を持てるようにしようと。今まで持てなかったんですね、それさえも。

 月々の生活の半額ぐらいしか持てなかった預貯金を、それを大学準備金というような形の預貯金というような形で持てるようにしようというふうなことで、今般、制度改正の中にこれを盛り込ませていただくわけでございまして、まさに山井委員と同じ思いで、前向きに自立する、そういうお子さん方に対しては応援できるような制度にしていくべきだ、このように思っております。

山井委員 私もつくづく思うんですが、中学生、例えば、十八ページにありますが、一般の世帯と生活保護世帯の高校進学率、九八%が一般で、生活保護世帯が八七・五なんですが、実は、下にもありますように、全日制高校だけで見ると、六七%なんですね。定時制が一二%、通信制が五%。三人に一人の生活保護の中学生は、全日制高校には行けていないんです。

 つまり、中学生、高校生が、国の制度はどう動くんだろうか、生活保護費はふえるんだろうか減るんだろうか、それを固唾をのんで見守っていて、それによって自分の人生をどうしようか、妹、弟のことを考えたら、高校に行かずに働いた方が弟と妹にとってはいいかな、自分は大学に行きたいけれども、それはわがままで、妹と弟のことを考えたら、そこまで願ったらだめなのかな、そういうことを本当に固唾をのんで見ているわけです。

 ですから、これは、本当に与野党を超えて、そういう子供たちを応援することが必要だと思っております。

 そのことに関連して、子どもの貧困対策法について質問をさせていただきたいと思います。

 なぜこんなに子供の貧困が深刻化しているかといいますと、ここに資料もございますが、これはあしながの遺児の母親の年収の変化なんですが、例えば、一九九八年には二百一万円だったものが、二〇一〇年には百十三万円になっております。こういうふうに非常に年収が下がっていってしまっているわけですね。これは別にお母さん方が怠けておられるわけではないんです、必死に子育てと仕事の両立に励んでおられるわけです。

 そんな中で、例えば、今、学習支援というのが、厚生労働省、生活困窮者支援法の中で考えてくださっております。きょう配付している資料の中にございますが、例えば十一ページ、埼玉県のケースでは、生活保護世帯への無料学習支援をしたことによって、高校進学率が八六・九%から九七・五%に上がった。ここは、公明党の古屋先生とかも視察に行って、このことを強く推進しておられると思います。

 こういうことを生活困窮者支援法でもこれからふやしていかれると思うんですが、田村大臣、そこでお聞きしたいのが、こういうふうな無料学習支援とかを生活困窮者支援法で推進していくということは、子供の貧困率の改善、つまり数値引き下げにも役立っていくというふうに、田村大臣、思われますか。

田村国務大臣 直接は、これは現物のサービスになりますから、直接、リアルタイムで貧困率の改善にはつながらないと思います。

 ただ、貧困の連鎖ということを考えますと、その子供たちが、このような形で学習支援を受けて、そして、その後、就職につながって、自立をされていかれる。すると、そのお子さん方が巣立たれた後、またお子さんを持つわけですよね。しっかりとした収入をそこで糧として稼げれば、次の子供たちには貧困は移らないわけでございますから、貧困の連鎖を断ち切るという意味においては、中長期的には、貧困率というものに対しての影響というものはあるというふうに思います。

山井委員 私も全くおっしゃるとおりだと思います。

 確かに、一年、二年の話じゃないです。しかし、それによって、進学したい子供が進学することができる、それによって、より自分の希望に近い仕事につくことができ、より多くの給料を得ることによって、やはり中長期的に、これも、子供の貧困率の改善、削減に役立っていくと思うんですね。

 次のページ、今回、生活困窮者支援法の中で、いろいろ、就労支援、相談事業、今言った無料学習支援、例えば、こういう相談支援事業で、失業されていたお母さんが就職できる、あるいは、就労支援事業や職業訓練で、賃金の安い仕事からよりよい仕事に移っていける、こういうふうなことを生活困窮者支援法でこれから推進していかれるわけですけれども、こういうのは子供の貧困率の改善に役立ちますか。

田村国務大臣 まず、自立相談支援モデル事業、これはモデル事業でやるんですけれども、相談支援事業は、当然、貧困の原因がどういうところにあるか、それを解消するためにはどうしたらいいか、そういうところを相談していく窓口であるわけでありまして、それにのっとって、その後、それぞれの、ここに書いてある、就労支援でありますとか、訓練でありますとか、いろいろな事業に行くわけであります。

 もちろん、これも、短期で見ると、それはすぐに貧困率が下がるという話じゃないんだと思いますが、これがうまく回って、しっかり職業能力をおつけになられる、自立をされる、そのもとにおいて、企業にお勤めになられて、安定した収入というものを得るということになれば、中期的に、これは貧困を減らしていくということには資するというふうに思います。

山井委員 おっしゃるとおりで、確かに、残念ながら、子供の貧困、一人親世帯の貧困というのは根深い問題ですから、それは、一年でどうなる、二年でどうなるということでは、もしかしたら、ないかもしれません。

 しかし、私たちが今課題に直面しているのは、この子供の貧困率というのがどんどん上がっていっているわけですね。下がっていっているんじゃなくて、これは上がっていっているわけです。これをいかに下げていくのかということが、私は、国会議員、そして政府の課題になるというふうに思います。

 そこで、さらにお聞きします。

 今、文部科学省、あるいは政府、下村文科大臣のリーダーシップのもとに、給付型の高校生への奨学金、あるいは大学生への奨学金を検討されていると聞いております。もちろん、文科省ですから、厚生労働大臣の担当ではないといえばないんですが、でも、一般論として、こういう給付型の奨学金を創設するということ、これは子供の貧困率の改善につながりますか。

田村国務大臣 対象がどういう方なのか、ちょっと私もわかりません。貧困率といいますか、貧困な方々だけが対象なのか、そうじゃないのかもわかりませんから、どうなのかわかりませんが、これによって、貧困というか困窮家庭のお子さん方が大学に行く道が開けて、その結果、大学で学んだこと、高校で学んだこと、そういうものを生かして、その上で、会社に勤めて安定した収入を得られるようになれば、貧困の連鎖というものを断ち切るという意味からすれば、次の世代の子供たちに貧困が連鎖をしませんから、その意味では、貧困率というものに影響はあるというふうに思います。

山井委員 おっしゃったとおり、本当に貧困の連鎖を断ち切っていかないとだめなんです。私たち政治家の責任は、仕事は、やはりそれだと思うんです。子供の貧困は、子供には何ら責任はないわけですから。

 それで、私たち民主党の子どもの貧困対策法案には、幾つもの目的はありますが、その一つの指標として、子供の貧困率、一人親世帯の貧困率を削減する数値目標を、三年ごとに発表されますから、一〇%ずつ下げていくということを入れさせていただいております。

 資料の十ページにございますが、貧困率を下げるのはそんな簡単じゃない、お金をばらまかないとだめなんじゃないかという指摘もあるんですが、そうではなくて、今まさに田村大臣が答弁されたように、ここにも書いておりますけれども、無料学習支援でよりよい進学ができる、あるいはお母さんへの就労支援、職業訓練、あるいは生活困窮者支援法に入っている住宅手当、文科省が検討している給付型の奨学金、さらに、私も多くの母子家庭の方々と話し合いをしていますが、孤立しておられて、どんな制度があるのか全く知らないお母さんも多いんですね。そういう方々に対しては、今回の生活困窮者支援法の相談事業で、変な話、それほどお金をかけなくても、ああ、こういう制度があるんだというだけで自立が一歩進む方もおられると思うんです。

 そういう意味では、何が言いたいかといいますと、そういう相談事業や無料学習支援などの現物サービスも含めて、もちろん、一、二年できいてくるもの、五、六年かかるもの、七、八年かかるもの、タイムラグはあるけれども、子供の貧困率の削減には確実に寄与してくるというふうに私たちは考えているんですね。

 そこで、がん対策法を超党派で七年前につくりました。これは、山本孝史参議院議員、あしなが育英会の元職員をされていて、その山本孝史参議院議員を中心に、与野党を超えて成立させました。このがん対策法に数値目標が入っている、法案には入っていませんでした、しかし、がん対策基本計画の中で数値目標を入れて、これは、何%入れて、今、進捗状況はどうでしょうか。

田村国務大臣 平成十九年の六月に閣議決定をいたしましたがん対策推進基本計画でありますが、十年間の目標として、七十五歳未満の方々のがんによる死亡率二〇%減を掲げておるわけであります。

 そんな中で、がん医療の均てん化でありますとか、がんの早期発見、それからがん研究等々をしっかりと進める中において、この目標を実現してこようというふうにしておるわけでありますが、その後、平成二十三年の値でありますけれども、一〇%減ということでございまして、まだ計画的には年数が残っておりますけれども、二〇%目標のところを一〇%減のところまではやってきておるということでございます。

山井委員 今、田村大臣おっしゃったように、十年間でがんによる死亡者を二〇%減らすという数値目標で、このグラフを見てもらったらわかりますように、そのとおりに進んでいるんです。

 がん対策室の担当者にも聞いてみたら、十年で二〇%なくそう、これが合い言葉だ、やはりこれがあるから、自分たちも自分たちの施策がちゃんと順調に進んでいるかどうか検証することができるということを言っておられました。

 田村大臣、このような数値目標、がんによる死亡者を減らす上で、こういう数値目標というのはどのような効果があったとお考えになりますか。

田村国務大臣 がんは国民病になっておりまして、死亡者数の中で大きな割合を占めておるわけでありますね。

 そういうことから考えますと、がんというもので亡くなられる方、この数を減らすということは、これは間違いなく正しい方向でございます。その中において目標値を据えてきたわけでありまして、目標値があるとそれに向かって、もちろん、ほかにもいろいろな目標値を据えている事業はあるんです。その中には、残念ながら目標値に全然達していない、全くもって進んでいないようなものもございますが、それでも、目標値というものがあるということは、それに向かって頑張っていこうというような、モチベーションを維持するためには大きな意味合いがあろうと思いますので、がんで亡くなる方々、がん対策基本計画の数値目標というのは意味があるというふうに思っております。

山井委員 まさに、今おっしゃった、モチベーションを維持していく、しっかり継続的に取り組んでいく、そういう意味において、私たちも今回の子どもの貧困対策法においても、子供の貧困率削減の数値目標が、法案に入らなくてもいいですが、大綱や計画の中でぜひ定めるべきではないかというふうに考えております。

 さらにもう一点、山本先生を中心につくられたがん対策法のすばらしいところは、十五ページにありますが、今の数値目標、十年で二〇%削減を決めたがん対策推進基本計画を決めるときに、がん対策推進協議会というものを開いて議論をしたわけですね。かつ、そのがん対策推進協議会には、がん患者及びその家族または遺族を代表する者が入るということになっております。そして、十六ページにありますけれども、実際、この協議会のメンバーの中には、癌と共に生きる会の方とか、そういう当事者が入っておられるわけです。

 このような、がん対策法の計画策定会議のメンバーに当事者が入っているということについては、田村大臣、いかが思われますか。

田村国務大臣 がん対策の方は、当事者の方々に入っていただいて、いろいろなお声をお聞かせいただくという中において計画を進めていこうということでございますので、一定の成果はもちろんあるというふうに思っております。

山井委員 今回、子ども貧困対策法の自民党、公明党案では子ども貧困対策大綱をつくる、野党案では子ども貧困対策計画をつくるとなっています。やはりそこに、計画をつくるときに、がん対策計画と同様に、当事者の参画というのは非常に重要なことではないかと思っております。

 それで、田村大臣、政府の立場から答弁をお願いしたいんですが、今言った、無料学習支援とか、さらにお母さんへの就労支援とか生活困窮者への住宅手当とか、さまざまなメニューを生活困窮者支援法の中で持っておられますよね。こういうメニューを今後予算を獲得して推進していく、その上で、子ども貧困対策法がこの国会で成立するのとしないのと、どういう違いがありますか。

田村国務大臣 当然、子供の貧困をなくしていく。もちろん、今回の生活困窮者対象のこの法律が、子供のいる家庭だけを対象にしているわけではございませんから、子供さんがおられない家庭に対してもしっかりと支援をしていくというものではありますけれども、一方で、子供のおられる家庭も多いわけでございます。

 そう考えたときに、このような法律ができるということは、これはこちらの側面からもしっかりと支援をしていくということでございますし、そのような意味からいたしますと、我々といたしましても、生活困窮者の方々の自立に向かっていろいろな意味で相乗効果が生まれるのではないか、このように思っております。

山井委員 給付型の高校生への奨学金あるいは大学生への奨学金、これについても、今後、いつからスタートするのか、どれぐらいの予算規模で、どういう対象でやっていくのか、当然これから詰めていくことになるわけですよね。

 もちろん、これは文科省の話でありますから一般論で結構ですが、こういうものを推進していく上でも、子ども貧困対策法というものが超党派で成立した方が、いい影響はありますか。

田村国務大臣 直接的にどうかというか、子供の立場に立ってみれば、それは当然、そういうような形で、進学ができる可能性、選択がふえるわけでありますから、それは当然、いい意味合いであろうというふうに思います。

 一つ、子供の貧困率のことをずっと山井委員おっしゃられました。それはそれで私は一つの指標だとは思います。

 ただ、貧困率だけでは子供の貧困というのはわからない部分も多いわけでありまして、親の所得のフローではちゃんと貧困ラインを超えておったとしても、例えば親に問題があって、子供が大変な状況にあられるという家庭もあるわけでございます。また、一方で、フローの収入は少なくても、実はおじいちゃん、おばあちゃんから大変な援助をもらって、それで貧困ラインよりもいい生活をされておられる、そういうお子さんもおられるわけであります。

 そこはなかなか、貧困率だけで見ると、本来目の行き届かなければいけないところに行き届かなかったり、支援する必要のないところに支援をしてしまう、こういうおそれもあるわけでありまして、そこは本当に、かゆいところに手が届くという言い方がいいかどうかはわかりませんが、本当に必要なところに必要な手が届くような、そういう施策でなければならないと思います。

 あわせて、そういうものも含めて、総合的にこの法律等々によって子供たちが幸せになったということがわかるような目標というものを据えていただくということも、私は重要なのではないのかなというふうに思います。

山井委員 確かに、おっしゃるように、貧困というのはお金だけではかれるものではありません。しかし、進学ということを考えたら、お金が要るのも確かでありまして、総合的にやっていく。私たちも、子供の貧困率が唯一の指標だと思っているわけではありません。

 隣で桝屋副大臣もうなずいてくださっておりますが、子どもの貧困対策法は公明党さんも非常に力を入れていただいておりまして、子供の問題、貧困の問題、公明党さん非常に力を入れておられますが、この子どもの貧困対策法について、桝屋副大臣からも意気込みと意義というものをお聞きできればと思います。

桝屋副大臣 突然のお尋ねでありますが、今、立法府においてそうした議論が行われているということは、今回の今の法律、政府が出しております法律の議論の中で、こうした姿勢を立法府がお示しになっているということについては、私自身は、高く評価しながら、見守ってまいりたいというふうに思っております。

山井委員 この法律においては、やはり実効性というのが一番重要だと思うんです。

 今後目指さねばならないのは、先ほども言ったように、田村大臣、先ほど長妻さんの、貧困は誰の責任ですか、社会ですか、個人ですかというのに対して、両方あるんじゃないかとおっしゃっていたんですけれども、まあそうかもしれません、ただ、私が思いますのは、子供の貧困というのは、子供の責任はゼロだと思うんです。だから、これはやはり政治と社会の責任で何とかせねばならないし、子供の貧困率が上がっていっている、これは、党派を超えて、何としても子ども貧困対策法を成立させて、このカーブが下に行くように、これは何としても私はせねばならないというふうに思います。

 もちろん、これが唯一の指標だとは言いませんが、子ども貧困対策法は成立した、しかし、数年後検証してみたら子供の貧困率はどんどん悪化する一方だったということであれば、やはり失望してしまうというふうに思うんです。

 そこで、田村大臣に、私は正直言って、メニューがないんだったら貧困率を下げようということなんか言いません、無責任ですから。でも、さっき言ったように、生活困窮者支援法や給付型の奨学金とか、具体的にやろうとしているわけですから、それでこれだけ超党派の国会議員の機運も高まれば、そして何よりも、あしなが出身の下村先生が今文科大臣としておられるわけですから。

 そういう意味では、私は、子供の貧困がこれだけ国会で大きな議論になったのは歴史上初めてだというふうに思います、今こそ、子供の貧困率が悪化の一途をたどっている、これを下げていくということを政府と国会議員が全力を挙げてやる必要があると思っております。

 最後に、田村大臣の決意をお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、貧困率が全てだとは私は思っていません。ただし、一つの指標であるということは、それは私も、それは指標だというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、今法案を与野党で御議論をいただいておるわけでありまして、さまざまな、多分、その中において、何を目標にするか、どういうものではかっていくのかという御議論があられると思いますので、与野党のいろいろな御議論をお聞かせいただきながら、我々としては、子供の貧困というものをとにかく、率ではなくて貧困というものをなくしていく、格差というものをなくしていく、こういう努力をこれからも引き続きやってまいりたい、このように思っております。

山井委員 がん対策基本法ができて、超党派で成立して、確実に、着実に、がんによる死亡者は減ってきています。これも山本孝史先生が中心になられた法案ですが、自殺対策基本法ができて、着実に自殺者は減ってきて、昨年は十五年ぶりに三万人を切りました。

 その意味では、ぜひこの国会で、党派を超えて子ども貧困対策法を成立させて、子供の貧困率、一人親世帯の貧困率が、やはり法律が成立した結果下がったなと言える、そういうふうにしていきたいと思います。どうかよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今の山井委員に続いて、主に生活保護について質問をしてまいりたいと存じますが、最初に、今、山井委員からもございました大阪の守口のこの件、これは質問ではございませんが、これは、今、山井委員が確認をしていただいたとおりで、私も大阪出身で選挙区も大阪でございますので、大変心を痛めております。

 DVだという議論も、今、議論として御紹介がありましたが、転居を経たということで、やはり福祉の支援というか、福祉のそういうセーフティーネットから、転居を経て漏れてしまった、結果的にはそういうことになったわけであります。

 先ほども御答弁いただいたように、この問題については、一つの事案ということではなくて、本当にこういうことを二度と繰り返してはいけない、再発を防止しなくてはいけないという思いで、ぜひ厚生労働省として取り組んでいただきたいと思うし、また、私たちも、顕在化したのはこのことでございましたが、その一歩手前のような方々がたくさんいらっしゃるのは想像にかたくないわけでありまして、政治あるいは行政に携わる私たちは、こういう点について、これまで以上にやはり想像力を持って対処をしていかないといけないなということを、私自身、肝に銘じているところでございます。

 では、生活保護でございますが、きょうは、最後に子どもの貧困法の話もしますが、与野党お座りいただいているので、では、最初にやっちゃった方がいいですか。古屋先生と、それから山井先生にお座りをいただいていますので。

 きょうは、幾つか、生活保護が中心であります、それから困窮者の話も申し上げるし、それから、最後にと思っていましたが、これを先にやります。

 今も話がございましたが、与野党から提案のある子供の貧困対策については、我々日本維新の会としても、さまざまなお話をさせていただいていますが、今大臣からもあったように、ほとんど同じですね。最大の争点は、目標の設定に関する部分であると承知をします。

 それぞれ、与党、野党のお立場から、この点についての是非あるいは考え方、これを、簡潔で結構ですから、御紹介をください。お願いします。

古屋(範)議員 このたび、自民、公明の与党で、子どもの貧困対策の推進に関する法律案を提出いたしました。

 子供の貧困対策の目標を設定する件について、その是非についての御質問でございます。

 子供の相対的貧困率の削減目標値を定めることについては、貧困率は可処分所得のみで算出をされているために、学習支援や保育といった子供に対する現物サービスの充実等が貧困率の改善につながらず、現物サービス等の対策の推進力につながらないおそれがございます。また、資産の保有状態が全く反映をされていないため、貧困の状態をあらわすものとしては十分ではないと考えます。

 一方、子供の相対的貧困率等、貧困に関する指標を調査、把握することは必要と考えています。例えば、子供の相対的貧困率や生活保護世帯児の高校進学率など、さまざまな指標を把握して施策を講じていくことは大切だと考えております。

 いずれにいたしましても、子供の貧困を減らすために、子供の幸福のために、これからも全力を挙げていきたい、このように考えております。

山井議員 お答え申し上げます。

 古屋先生もおっしゃいましたように、数値目標というものをどう考えるかですが、一つは、無料学習支援や就労支援、相談事業等の現物サービスが子供の貧困率改善や削減というものに余りつながらないのではないか、そういう御指摘もあったのではないかと思います。

 確かに、一年、二年ではそうかもしれないですけれども、やはり、先ほど田村大臣からも御答弁いただきましたように、子供の貧困の連鎖を断ち切るという意味において、中長期的には子供の貧困率というものの改善に寄与するのではないかと私たちは思っております。

 先ほどもお見せしましたが、がん対策法は、十年間で二〇%死亡者を減らすという計画を立てたら、それに沿って進んでいっております。

 その意味では、この数値目標というのは実効性を担保する上で必要ではないかと思っておりますし、何よりも、議員立法というのは、法律ができたら、あとは対策を政府に委ねるわけです。そのときに、例えば、子供の貧困率を三年ごとに一%ぐらい下げる立法趣旨なのか、三年ごとに三%ぐらい下げる国会議員の立法趣旨なのかによって、政府の対応も正直言って変わってくるんですね。

 そういう意味では、せっかく国会議員全員の意思として議員立法で成立させる以上は、やはりこれぐらいのスピードで下げることを国会議員の立法者の意思としては考えていますということを入れておいた方が、政府も今後の検討をしやすいのではないかと思います。

 ともあれ、私は、今回、下村大臣や古屋先生を中心に、自民党、公明党も、与党という非常に責任の重いお立場でこういう議員立法を提出してくださったこと、我が党の法案、野党案とはそれほど違いませんし、すばらしい法案だと思っておりますので、こういうすばらしい法案を自民党、公明党さんが提出されたことに、心より敬意を表したいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 こうして、実は、前回の厚生労働委員会の審議においても、あのときは厚生年金基金の法律について、政府と、それから、それこそ野党案というか民主党案で山井委員にお座りいただいて、田村大臣と山井委員に若干の討論をしていただいたことがありましたが、こういう形で複数の案が並んで、この委員会でいろいろ議論をするということは、私は、こういう形でいいなと思ってやっているんです。これは質問じゃないんですけれども、こういうことはありますかね。非常に変わったことをやっているのかもしれませんが。

 きょうも大変多くの方が傍聴にいらっしゃっていますので、それぞれの案の趣旨と、それから、これは必ず一つにして成立をさせないといけないわけですから、調整をしていかないといけないということで、ぜひそれを、見えないところで調整するのではなくて、できるだけこういう形でわかるように議論をいただくのがいいかなと思って御質問を申し上げたわけでございますので、ぜひ御理解をいただいて。

 加えて、今それぞれおっしゃっていただきましたが、特に古屋委員におかれては、貧困率の、可処分所得という指標の、ある種の限界というか、そういう御指摘もいただいたし、あるいは山井委員の方からは、いや、これは政治の、あるいは立法府の立場として目標は決めていくんだ、中長期的なある種の実効性を確保するために必要なんだ、こういう御趣旨がありました。

 それぞれの一番大事な部分について、古屋先生におかれては山井さんのおっしゃったことについて、逆もしかり、ちょっとコメントをいただけますでしょうか。

古屋(範)議員 確かに、子供の貧困率を下げていくということは政策の一つだというふうに思います。

 しかし、それだけでは子供の貧困というのは決してなくなるものではない。私も、多くの、大変な立場にある方々とこれまでも寄り添って生きてまいりました。その中で、非常に問題は複雑であり、また、根が深く、多岐にわたっているということでありまして、私たちは、やはり子供に直接届く、特に教育の機会均等、教育の支援等々を初めといたしまして、そういう総合的な支援を行い、本当の意味で子供の幸福を願っていく、推進をしていくということが重要なのではないか、そのように考えております。

 以上です。

山井議員 御質問ありがとうございます。

 この法案は、趣旨は同じ方向でありますので、けんかする法案でもありませんし、必ず、与野党仲よく成立はさせていきたいというふうに思っております。

 ただ、私、一番の心配は、先ほども言いましたように、今、子供の貧困率が上がっていっているわけですね。法案が成立してから数年たったときに、ますます子供の貧困率が悪化していっていたという結果が出たときに、恐らく、一般の人からすると、あの法律は何だったんだということになりかねないと思うんですね。法案が成立して喜んだ方々が、数年たったら、全然何にも変わっていなかったねということになったら、やはりこれは、国会議員というのは何なんだということになりかねないと思います。

 そういう意味では、やはりこれは、貧困家庭のお子さんたちが切なる思いで、お母さん方、お父さん方も含めてですけれども、切なる思いでこの法案の成立を願っておられるわけですから、少なくともその方々を失望させることがあっては絶対にならないわけで、その意味では、少なくとも、今悪化していっている子供の貧困率を少しでも下げるんだ、何が何でも下げるんだという意思を国会議員全体と政府とで共有することが私は必要だというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 古屋先生はちょっと外されましたが、古屋委員それから山井委員の御指摘、私はよくわかります。

 それから、今、薗浦委員に来ていただきました。せっかく来ていただいたので、あと一つだけ、ちょっと往復させていただきたいと思うんです。

 私、要すれば、自公案と野党案ということでやっていますが、いずれにも一理あるし、やはり一定の目標を掲げてやることは大事なんだけれども、その目標が、ある種、硬直的では意味がないということですから、ぜひ、さっき山井委員もおっしゃったように、この法律をとにかく仕上げないといけない。

 仕上げるに当たっては、もちろん、我々日本維新の会も全面的に御協力を当然するし、一緒にそこは考えていきたいと思いますが、やはり目標は要るだろう。しかし、それを法律に書くと、硬直的な目標になって、かえってゆがめることがあるとすれば、例えば大綱に、より丁寧に、子供の貧困対策の国家目標、国としての目標をしっかりと書き込む。ただ、それは、大綱ですから、丁寧に書けるわけですから、今、自公からあったような点についても丁寧に書く、そのかわり、でも、しっかり書くぞと。国の目標として、曖昧にせず、明確な形で数値を書き込むということについて、今ここで決着するものでは当然ないけれども、私は、そういう落としどころ。

 要は、法律からは落とすけれども、具体的な数値目標を例えば大綱に書く、例えばこういう議論について、それぞれ、薗浦委員と山井委員、ちょっとどういうお考えか、お聞かせいただければと思います。

薗浦議員 御質問をいただきまして、ありがとうございます。

 御指摘いただきましたように、法律でいろいろなものを縛ってしまうと、全て、新しく何か問題が出てきたときに法改正をしなきゃならぬという意味で、なかなか法律には書きづらいということもあります。

 一方で、我々は、法律の中に、いわゆる子供の貧困の改善に資する、それから、いろいろなものについて調査をしなさい、研究をしなさいということを書き込んでいます。その調査研究の結果、当然、それが改善をしないということであれば、法律を見直さなければいけないという法律の見直し規定も入れています。当然、数値を悪くしようと思って法律をつくる人は誰もいないわけですから、それを担保するために、あえて、調査研究をやりなさい、見直し規定、これによって担保をさせていただいたという形をとっております。

 もちろん、その大綱の中に子供の貧困率を含めていろいろな数字を指標として入れて、それを全体的に改善するのだという考え方をとることは全くやぶさかではございません。

山井議員 御質問ありがとうございます。

 今、薗浦議員からも、子供の貧困率を含めた数値の改善を目指すというお話がありました。やはり、それについてどれぐらいの程度を目指すかということなんです。

 確かに、今まで、日本の法律で数値目標に関する法律は二つしかないんですね。がん対策基本法、これも薗浦議員おっしゃったように、法律には入っていないんです。でも、計画の中で数値目標が入っています。農業対策基本法、これも法律の中には数値目標は入っていません。実際の農業対策基本計画の中で、四一%の食料自給率を五〇%にするというふうに決めています。

 そういう意味では、足立委員も御指摘のように、今、野党案では法律そのものに三年間で一〇%と書いてあるのは、ちょっと書き過ぎと言われれば書き過ぎかもしれません。そういう意味では、私たちもこれから修正協議はしていきますが、法律から落として、そのかわり大綱や計画の中でそういう何らかの数値目標を入れていくという形でもよいかと思います。

 それと、もう一つ重要なのは、その実際の最終的な数値目標なり何らかの大綱や計画を決めるときに、先ほど私も質問させていただきましたが、がん対策基本法のように、決める際にはぜひ当事者の方々の声を反映させるということが必要だと思います。

足立委員 ありがとうございます。大変わかりやすい御答弁をいただいたかと思います。

 とにかく、私たちも、あるいは私も、この子供の貧困対策について実効を上げる、そのために数値目標が必要であれば、やはりそれはしっかりと書いていくべきだと思います。

 ただ、間違った書き方をすると、それはまた施策をゆがめることにもなりかねないわけで、やはり、今、山井委員もおっしゃったように、関係の方の意見をよく伺って、この子供の貧困対策をまさに、本当の意味で実効を上げるためのある種の国の目標、これはぜひ具体的な形で示していく必要があると私は思うし、そのために、私たちもその協議に協力を、一緒になってつくってまいりたいと思っております。

 では、これでこの話は一旦締めたいと思います。ありがとうございました。

 では、続きまして、冒頭申し上げた生活保護でございます。

 私は、この生活保護については、先週金曜日の厚生労働委員会でも取り上げさせていただきました。そのときは、主として年金の話を取り上げさせていただいて、生活保護と老齢基礎年金の整理がいかがなものかと。

 年金という保険制度から漏れる、低年金あるいは無年金になる、すると、その先には、いわゆる身ぐるみ剥がれるというか、資産についても非常に厳しいハードルがあるその生活保護というところに入らざるを得ない。

 高齢化に伴って、高齢者の生活保護が非常にふえている、これが今の現状だと思います。この点については御指摘を既にしたわけですが、またきょうも、先ほどみんなの党の柏倉委員の方からも同じような御指摘がありました。

 むしろ、現役について、生活保護と最低賃金、あるいは失業保険について、そういう現金給付について、日本にはさまざまな制度があるわけです。生活保護もあれば、働く人の賃金については最低賃金制度がある、そして、失業された方には失業給付が給付される。ところが、これが不整合じゃないのかという感覚が広がっているように私には感じられます。

 例えば、長年、真面目に年金の保険料を納めてきた、掛けてきた方々と、そういうことを一切、保険料を払わずに生活保護を受けられている方とが一カ月に使えるお金は同額なんですね、簡潔に言うと。これはやはり、近くにいても、そういうお二人の高齢者の方が、一生懸命掛けてきた方と掛けていない方が全く同じ生活をするということについて、ある種の不公平感があるように私には思われます。

 また、現役の方についても、額に汗して懸命に仕事をしている方と、いろいろな理由があるわけでございますが、そうではない方の一カ月の生活費、金額が同じ。あるいは、最低賃金、先ほど田村大臣からも御紹介があったように、最低賃金については、一部それが逆転をしているケースがある。額に汗して働いている方の方が貧しいということが、今の日本のこの制度の中ではあるわけですね。

 こういう、さまざまな制度の間の不整合はいわゆる不公平感をもたらすし、あるいは、保険料を払うということについては、モラルハザード、もう払わなくていい、自分は生活保護があるんだから、もう保険料は払わない、そういう方が生まれてもおかしくないと私は思いますが、この点、田村大臣の方から、基本的な御理解というか御認識を教えてください。

田村国務大臣 今、それぞれの制度間で不公平ではないかという部分もあるという御指摘でございました。

 生活保護と、それから最低賃金という意味からいたしますと、確かに、最低賃金が生活保護水準以下であるという県が幾つかあるわけでありまして、これは早急に解消しなきゃならぬということで取り組んできているところであります。

 もちろん、一方で、経済の実態がありますから、これはしっかりと審議会でお話しいただいて、そこでお決めをいただくことでございますので、そこは実態とうまくクロスさせながら御議論をいただいて、早急に引き上げをいただければありがたいというふうに思っております。

 その最低賃金にいたしましても、それから老齢基礎年金にいたしましても、基本的には、先ほど委員おっしゃったとおり、蓄えという選択があるわけでありますし、消費も自由なんですよね、あるものにおいて。

 しかし、生活保護家庭となると、例えば、必要不可欠でない場合は自動車が買えないだとか、いろいろな制約がかかってくるわけでありますし、貯金は当然持てないということであります。先ほど、大学を目指そうという場合には、それに対しての準備金というような形での預貯金、これは認めるような形に制度改正をいたそうと思っておりますが。

 でありますから、当然、一方で制約があるのとないのとという意味からしますと、それはやはり生活保護でお暮らしの方の方が窮屈な部分はあられるのだというふうに思います、制度的に。

 しかし、では、今の老齢基礎年金の水準がどうなんだということもございましたので、昨年、これまた委員から言わせると、ぬえのような制度だと言われますけれども、福祉的な給付という形で、低年金者、低所得者に対して上積みをさせていただいた。

 さらには、これからの国民年金の動向を見ていきますと、マクロ経済スライドがかなりの期間かかるという中において、実質目減りをする、こういう可能性がありますから、これに対して中長期的にどうするんだ、こういうような問題意識を我々も一応持っておるということでございます。

 なかなかすっぱりと委員が求めるようなお答えにはならぬわけでありますけれども、それぞれ制度が違うという中において、それによって受ける制約といいますか自由度も違うというのが、簡単に言いますと結論でございます。

足立委員 田村大臣、ありがとうございます。

 まさにこの点、何度も大臣とは討論をさせていただいてきているわけでございますが、制度が違うんだ、趣旨が違うんだ、こういう話がいつもございます。それは私ももちろん理解をしているわけですが、だからこのままでいいと思うか、制度は違うけれどもできるだけ整合させていった方がいいぞ、これが私が申し上げていることで、制度は違うんだけれども、不整合であることが原因になってそれぞれの制度の基盤がもし揺らいできているとすれば、それはやはり大変大きな問題であるし、不整合を解決するためにさまざまな知恵を我々も尽くしていかないといけないと思っております。

 それから、大臣が今御紹介をされた生活保護の方は、要は、わかりやすく言うと身ぐるみ剥がれるというか、そういう言葉はお使いになりませんが、そういう厳しいものを求められるわけです。ただ、それは、だから生活保護のお金はたくさんでいいじゃないかという理由にはならないと思うんです。

 その条件というのは、真に生活保護を受けるべき方はどういう方か、そういうスクリーニングをしているだけであって、だからその人はかわいそうじゃないか、だから給付額はたくさんでいいんだということではない、そういう趣旨ではないと思いますから、これはもうやりとりしませんが、ぜひこの不整合については、私は重大な不整合があると思っていますので。これは私の意見ですが。

 では、田村大臣、手を挙げていらっしゃるので、お願いします。

田村国務大臣 一番の違いは、生活保護という制度は、これは公費で全てやっているわけですね、税金、国の税金、地方の税金でやっています。もし横並びで、生活保護と同じだけの水準の基礎年金という話になると、これは全額税方式という話になります。つまり、御本人が保険料を払わずして全て税でやる。そういう国も若干なりともないとは言いませんが、そのときに、その財源をどうするんだと。

 今は、少なくとも自助努力の中で保険料を一定程度納めていただいて、そして、年金という制度の中で老後の生活の一定の所得を得られているわけでありますが、これを全部、生活保護と仮に同じ水準の税という話になりますと、今言われたとおり、本来必要な方に税としてお支払いしておるのが生活保護でございますから、そうじゃない、例えば蓄えのある方々にまで税でという話が出てくるわけでございます。

 理想はわかるんですけれども、そこら辺のところも、実はなかなか制度の難しいところであるということは御理解をいただければというふうに思います。

足立委員 ありがとうございます。

 本当にいつも、田村大臣には敬意を表したいと思います、というか感謝申し上げたいと思いますが、非常に率直にいつも御討論させていただけるので、私も非常に議論が前へ進むわけでございます。

 今おっしゃった点、私もよくわかるんですが、ただ、例えば、きょうも、みんなの党の柏倉さんとのやりとりの中で国民年金について若干議論がありました。

 国民年金について大臣がよくここで御紹介されるのは、国民年金というのはもともと自営業者の方のものだというふうにおっしゃる。確かに、自営業者の方であれば、六十歳を超えても、六十五歳を超えても、その自営業はすぐにやめないかもしれない。すると、だんだん収入は細るかもしれないけれども収入はある。それへの上乗せなんだからそれでいいんだ、ある程度その上乗せ年金、基礎年金が少なくてもいいんだという議論はあるかもしれない。

 ただ、まさに、私がここで繰り返すまでもなく、国民年金の加入者の方については構造が変わってきているわけですね。いわゆるそういう、ずっと収入がある自営業者の方ではなくなってきているという実態が別途あるわけです。そういう雇用情勢とか、経済情勢、社会の環境の変化に応じて、やはりこの制度は抜本的な整理がもう一度必要ではないかと私は思っています。

 その上で、ぜひ確認をしたいのは、今、田村大臣といろいろ意見交換をさせていただいたこの制度間の不整合、私は、これはあると。大臣も一応、制度が違うという理由でもあるということでございますが、これは最近のことなのか、昔からそうなのか。また、不整合の理由というか、ある種この実態を、例えば雇用環境が変わってきたからこういうことが起こっているのか、そもそも昔からこれはこういう関係ですよということなのか。

 副大臣、ぜひよろしくお願いします。

桝屋副大臣 委員の先ほどからのお話、制度間の不整合という表現をされましたけれども、どうしてこういう状況が起きているのか、いつから始まったのか、なぜこんな議論が起きているのか、こういうお尋ねでありますが、とりわけ昨今の国民生活を取り巻く厳しい経済状況などの中で、とりあえず生活保護制度の見直しということもありまして、制度間の水準についての大きな関心が集まっているというふうに思っております。

 各制度間の一定の前提のもとに、委員の御指摘でありますから整理いたしますと、まず最賃でありますけれども、最低賃金、これについては、もちろん働いて収入を得る、こういうことでありますが、生活保護との関係でいいますと、生活保護との逆転現象が生じている地域は、現在、六都道府県、逆転というふうにおっしゃいましたが、四十七のうち六都道府県だ、こういう状況でございます。

 それから、基礎年金、これも何度も議論されておりますが、満額で、フル年金で月額六万五千五百四十一円、一方、六十代の高齢者単身世帯の生活扶助の基準額は、都市部では月額八万八百二十円、郡部では六万二千六百四十円となっているわけであります。これだけの格差がある、こういうことでございます。

 それから、失業給付について申し上げますと、これはなかなか面倒でありますが、離職前賃金や年齢等により異なっておりますが、二十代の基本手当日額を三十日で月額換算いたしますと、下限額は五万五千六百八十円、上限額は十九万三千二百円となっている一方、二十代の若年の単身世帯の生活扶助の基準額は、都市部では月額八万四千九百九十円、郡部では六万五千八百七十円となっているわけであります。

 いつからこれがこういう状況かというと、大臣が何度も答弁していますように、それぞれの制度の変遷の中でこういう状況になっているわけでありまして、最近起きている状況ではないというふうに理解しております。

足立委員 桝屋副大臣、ありがとうございます。大体、実態はよくわかりました。

 その上で、生活保護受給者の実態を見ると、いわゆる高齢者の方もおられるし、あるいは障害で働けない方もいらっしゃる。いろいろな方がおられるわけですが、私は、やはり生活保護というのは、さっき大臣からも御指摘があったように、これはラストリゾートですね、本当の最後のセーフティーネットなんだと思います。よく、第一、第二、最後、第一が雇用保険ですか、端的に言うと、働いている方を雇用保険でお支えする、これが第一のセーフティーネット、そして、ラストリゾートたる最後のセーフティーネットが生活保護。

 そして、それは税金で賄われているということなのだから、私は、やはりこの生活保護制度というのは、ある程度、ラストリゾートであればラストリゾートとしてのある種の、あるべき姿というか仕切りというか、筋目を通しながら、この制度を持続可能な形で、特に、本当に生活保護、ラストリゾートでお支えをするべき方、さっき冒頭、大阪の守口の話に私は言及申し上げましたが、本当に支えてあげないといけない方に手が届かないような状況で幾ら生活保護がぐっと拡大をしていっても、それは本来の制度の趣旨とは違う、そういうふうに思っております。

 ところが、今の生活保護の実態を見ると、さっき申し上げたように、年金から漏れるとか、あるいは失業する、その結果、なかなか、第二のセーフティーネットが薄いものだから、すぐに生活保護に入って、膨らんでいるような印象を私は持っています。

 こういう、いわゆる生活保護になっている方の要因の多様化みたいなものについて、その実態と、それをどうしていくんだということをぜひ、副大臣、お願いします。

桝屋副大臣 お答えします。

 生活保護受給者が抱える多様な自立阻害要因、この状況についてというお尋ねでございました。

 委員が御指摘のように、生活保護受給世帯の増加とともに、高齢者世帯あるいは疾病・障害者世帯、その他の世帯数がそれぞれ増加しております。生活保護受給者の能力や取り巻く環境、目指すべき自立のあり方についても、委員がおっしゃるように多様になっているというふうに思っております。

 そのために、福祉事務所においては、これが委員おっしゃるようにラストの制度であるがゆえに、当然、さまざまな今のこの時代状況の中で、最後のセーフティーネットとして全ての方を支援、支えなきゃいかぬわけでありますが、そうした福祉事務所においては、その状況あるいは自立阻害要因を把握した上で、必要な支援を組織的に、効率的に行っていこう、こういうことで、自立支援プログラムを策定し、取り組みは行っているところでありますが、なかなか容易ではない、こういう状況でございます。

 就労支援については、個々人の能力や取り巻く環境等の状況を踏まえて、これは福祉事務所とハローワーク、委員もよく指摘されますが、チーム支援を行ったり、福祉事務所に就労支援員を配置するなどの取り組みによりまして、効果を上げている。

 それからまた、就労が容易でない高齢者等に対しましては、社会貢献活動あるいは職場体験の場を提供するなど、NPO等の民間団体と連携した支援も行っているところであります。

 このような、現在でも、ケースワーカーと関係機関が連携し、きめ細かな支援を行っているわけでありますが、なかなか大変な状況だ、こういうことでございます。

足立委員 副大臣、ありがとうございます。

 私、今御紹介あったような状況にある中で、特に二つの点で、この生活保護のあり方についてちょっと確認をしておきたいと思います。

 一つは、高齢者です。高齢者については、何度もあったように、これが老齢基礎年金の補完制度みたいになっていて、低年金の方の、低年金の低いところを生活保護が補完している、年金制度の補完制度になってしまっている部分がある、こういうふうに思います。

 ところが、高齢者も、生活保護ですからケースワーカーが張りつくわけですね。違ったらちょっと教えていただいたらいいと思いますが、要すれば、普通の年金受給者よりも、生活保護の高齢者の方は、全く状況は同じであるにもかかわらず、ケースワーカーがつくなどなど、より手厚い福祉の恩恵に浴しているわけですね。

 私は、高齢者の方については、ほかに特段の事由がなければ、生活保護、いわゆる年金の補完制度になっているようなケースについては、生活保護とは別の、何か、福祉制度というか、生活保護よりはより緩い確認事項で入ることができるような、それこそ第二生活保護のような制度をつくって、本来その方に望ましいレベルの福祉、あるいは望ましい内容の福祉を構想すべきだと私は思っているんですけれども、いかがでしょうか、副大臣。

    〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕

桝屋副大臣 これも極めて大事な御指摘だと思います。

 今委員がおっしゃった、生活保護が年金の補完制度になっているという御指摘については、いささか、いや、そうじゃないよと言いたくなるわけでありますが、一方で、今の経済的給付という観点だけから見れば、確かにそうした指摘も当たるのかもしれないなと思いながら聞いておりました。

 委員、やはり、生活保護制度において、例えばケースワークを考えますときに、経済的給付だけではありません。高齢者の方々にとっては、一人のケースワーカーが、委員、聞いておられますか。(足立委員「聞いています」と呼ぶ)

 一人のケースワーカーがつくのは何か無駄ではないかというようなお話もされましたけれども、なければないでいいじゃないかという御指摘でありますが、やはり、生活保護を受給されておられる高齢者世帯はさまざまな問題を同時に持っていることもありまして、本当に保護が必要な方には生活保護制度において適切に対応することも必要だろうというふうに思います。

 新たな制度をつくればいいではないか、こういうことでありますが、新たな制度を創設するよりも、まずは、我が国の年金制度において、大臣もおっしゃっていますけれども、新たな福祉的措置として年金の加算制度も始めたわけでありますし、あるいは、非正規労働者に対する厚生年金の適用拡大、これは非常に重要なことだと思っておりますが、保険料納付意欲に悪影響を与えない形での、さっき言った低所得者、低年金の方に対する福祉的な給付、こうした制度を拡充するということで対応することが必要ではないかと思っている次第でございます。

足立委員 桝屋副大臣、ありがとうございます。今、ちょっと書類を見ていまして、失礼しました。

 私が提案申し上げているのは、例えば、ケースワーカーの支援はない。高齢者の方であれば、ある状況になれば介護保険制度もあって、今は、そういう介護保険制度の中で高齢者の方をお支えする枠組みはあるわけでございますから、その上で、例えば、資産を十分に活用しているか、扶養義務者からの援助がちゃんと、そういうことを全部チェックした上で、一定の生活費を給付する。

 ただし、例えば、さまざまな医療等のサービスを受ける際には一定の自己負担を導入するとか、そういう、生活保護制度というのは、もうラストリゾートですから、だから医療扶助もある。その制度に全てを入れるのは、さっき税金という観点も大臣からあったように、やはり第二生活保護制度といったようなものを構想する時期にもう来ているのではないかと私は思っている次第でございます。

 ちょっと時間がなくなってきましたので、先を急ぎます。

 生活保護については、今申し上げたように、医療扶助の適正化というのが課題になって、今、この審議においても取り上げられているところでございます。

 指定医療機関については、指定医療機関ですから、またいろいろな適正化をしていかないといけないわけですから、医療全体の適正化の際に声高に言われているような例えば電子レセプトとか、医療政策全体で厚生労働省として取り組まれているようないろいろなアイテムについては、まさに、指定医療機関にはそれを義務づけるとか、この医療機関については当然その義務づけに服していただいても全然構わないと私は思うんですが、いかがですか。

村木政府参考人 指定医療機関でございますが、これはやはり不正があってはならないということで、厳正な対応をこれからしていきたいと思っているところでございます。

 電子レセプトを義務づけるかどうかですが、少し形どおりというか、理屈っぽく言えば、電子レセプトの導入そのものと、それから、医療扶助を適切に提供してくれるかどうかというところの医療のサービスの質の問題というのは、必ずしもイコールではないということでございますので、それをもって指定をしないというところまで言うのかどうかというのは、これはちょっと、そこまでは言い切れないかなというふうに思っております。

 ただ、原則はほとんどのところが電子レセプトの請求でやってくださっていますし、社会保険診療報酬支払基金の公表のデータですが、医療全体で九二%、特に医科のレセプトで九六%ということになっていますので、ほぼカバーをしているのかなというふうに思っています。

 例外的に、例えばお医者様が非常に高齢のところなんかは外れていますので、そういうところを指定医療機関から外すかとかいうことになりますので、そこまできちんと仕分けをするというのはなかなか難しいかと思っています。

 いずれにしましても、電子レセプトがあってもなくても、指定医療機関の適正化ということはしっかりやっていきたいということで、今度、制度改正にも盛り込んだところでございます。

足立委員 村木局長、ありがとうございます。

 もう一つ、ちょっと御意見を伺っておきたいんです。

 生活保護については、今、生活、住宅、医療と、さまざまな扶助別の支給になっています。これは、全体の入り、生活保護費を、何とかいろいろな支出をやりくりするというような、ある種、受給者の側での工夫みたいなものがなかなか働きにくいという指摘があります。私の周りにはあるんですが、生活保護について、例えば、扶助別ではなくて、一括支給というようなことが検討され得るものかどうか、ちょっと御意見を賜れればと思います。

丸川大臣政務官 今おっしゃった、住宅扶助であるとかあるいは教育扶助等について一括支給するかどうかということについてなんですが、生活保護受給者の方たちが、金銭面も含めて生活管理が十分でない方というのが現実にいる中で、一括してお渡ししていく中でのやりくりというのが、どこまで自己責任として求めることが適切かということがあるかと思います。

 ですので、今回の生活困窮者支援法の中でも、そういう家計のやりくりについて面倒を見ていく、アドバイスをするというような事業もメニューの中で入っているということでございますので、医療費扶助については別の形での適正化というのをしっかり進めていきたいと思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 丸川政務官おっしゃったように、確かに、私が指摘している面も、ある種一つの面で、今おっしゃった別の面もあるのはよくわかりますが、これはまたいろいろな機会によく討論させていただいて、深めさせていただきたいと思います。

 もう時間がなくなりますが、最後に、きょうは一貫して私は生活保護のテーマを扱いましたが、実は、生活保護ももちろん重要なんだけれども、もう一つの法案である生活困窮者自立支援法、この法律は大変重要だと思っています。もう時間がないのでここでやめますが、本当に福祉の体系を見たときに、そこだけ穴があいているんですね。

 第二のセーフティーネットという言葉は大変すばらしい。これは、第二のセーフティーネットというのはどなたが最初に言い出されたんですかね。私が初めて見たのは公明党さんの何かだったと。公明党さんですかね。田村大臣ですかね。ちょっとまた委員会質疑を通じて明らかにしていきたいと思いますが、第二のセーフティーネットというのは本当に重要だと思います。

 私、政治を志す前に、経産省におったときに、若者自立・挑戦支援ということをやりました。これは文科省も厚労省も経産省も入って、非常に大がかりに予算もつけてやった。非常に一時的な予算が相当動いたので、恒常的にどこまで若者、若年者支援というもの、そのときの取り組みが今にどう至っているか、私もちょっとフォローができておりませんが、ニートだとかフリーターという言葉を通して、若者支援のところについては、まだまだ課題はあるかもしれないけれども、相当な手が行き届くようにはなったように伺っています。

 一方で、今回取り上げる生活困窮者というところについては、まさにあいていたわけです。

 ただ、今申し上げた若者の自立支援は旧労働省、雇用政策でやってきたわけですね。今回の困窮者自立支援は、同じ自立支援なんだけれども、かつ、同じ現役支援なんだけれども、現役世代の自立を支援するという意味では同じなんだけれども、別の制度になっている。

 これは、デマケというか、あるいは連携というか、どうなっているか。ぜひ、簡潔で結構ですから御紹介いただいて、私は、できるだけ、一本化というか、同じ趣旨であれば、現役世代の自立支援ということで、やはり一つの制度として、政策体系としてしっかり整理できるのかなと思っていますが、いかがですか。

桝屋副大臣 ありがとうございます。

 とりわけ若者について、ハローワーク等の自立支援対策、それから、今回の生活困窮者の新しい制度、役割と連携はどうなっているというお尋ねかなと思っております。

 それで、委員、一般的には、やはりハローワークによる支援は、就職意欲あるいは能力を持った求職者の早期就労に利点があるんだろうというふうに思っております。

 福祉施策における支援は、求職活動を行うために必要な生活習慣あるいは社会参加能力の形成、あるいは就労意欲の醸成なども含めた個別の支援に利点があるのではないか、こう思っておりまして、生活困窮者にはさまざまな課題があることが多く、そのため、就労支援は一人一人の状況に照らして、福祉分野、雇用分野の双方がそれぞれの利点を生かして適切に対応していくことが重要だと考えております。

 新法では、直ちに一般就労につくことが困難な生活困窮者に対して、生活習慣あるいは社会能力を形成するための支援を行う就労準備支援事業、あるいは、軽易な就労の場を提供する就労訓練事業、中間的就労でありますが、これを創設して、一般就労につくための支援を推進する。

 一般就労が見込まれる方は、ハローワークと福祉事務所がしっかり連携をしてやっていきましょうということで、今までのハローワークでの作業等も、委員が取り組んでこられたような事業とうまくマッチングして進めていこうと考えているところでございます。

西川(京)委員長代理 足立康史君、質問時間が過ぎております。

足立委員 ありがとうございます。

 はい、もう終わります。

 第一、第二、そして最後のラストリゾート、この三つの層の中で、今のような話は、恐らく第一と第二の間にある話だと思います。

 雇用保険という第一のセーフティーネット、そして、この間で今まで忘れられていた、手が入っていなかったけれども、これからますます重要になる第二のセーフティーネットたる福祉、そして、ラストリゾートたる生活保護、この三つのレイヤーがそれぞれ補完し合いながら、真に限られた財源の中ですが、本当に支援の必要な方に手が届く、そういう福祉制度をこれからも整備していただけるようお願いを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

西川(京)委員長代理 次に、新原秀人君。

新原委員 ありがとうございます。日本維新の会の新原秀人でございます。

 本日は、生活保護法の一部を改正する法律案、生活困窮者自立支援法案、子どもの貧困対策法案について質問させていただきます。

 子どもの貧困対策法案については、後ほど、最後にさせていただきますので、それからでも結構ですので。

 まず、国家にとっての最大の役割、特に社会保障制度の最大の役割とは、人々を貧困や苦しみから救うということであると考えております。したがって、今回の一連の貧困対策法案については、大変重要なものであると私は認識しております。

 そういった中で、まず、貧困という言葉がありますけれども、この定義についてお伺いしたいと思うんです。

 皆様御存じのとおり、憲法第二十五条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定されております。ここで言う「最低限度の生活」というのは、時代や社会に応じて変化するものだと考えております。戦後の時代の水準と、例えばバブルのころの水準、また今の水準ということでは、異なって当然だと思っております。生活保護の金額の算定方法も時代によって変化しております。その基準が、いつまでも変わっていない。

 資料一を見ていただきますと、バブル崩壊以後、急激に生活保護を受ける世帯数は伸び続け、バブルのときには急激に減っているんですね。経済状態によって一気に減る。つまり、景気が上がったら、生活保護は当然減っていくということですね。ことし一月の段階では、もう二百万人を超えている状況です。

 これはもしかしたら、社会全体として、まあ、不正の問題にもかかわってくるんですけれども、真の弱者と呼べない方々も生活保護の対象者になっている。つまり、最低限度の生活というのは今は結構デフレで下がってきておりますので、そういった最低限度の生活というのが、基準を景気がいいときに比べて本当はもうちょっと下げないと、一般的に低所得で頑張っている人は、もっと苦しんで頑張っているんですけれども。

 そういった意味で、生活保護の基準というものが、今本当に、この状態、金額は今からちょっと下げてくるということで下がってきますけれども、大臣として、アベノミクスも含めて、ちょっと難しいと思うんですけれども、今の日本における最低限度の生活というものは、どんなようなお考えを持っていますか。

田村国務大臣 これは、本質的な問題なんだろうなと私は思っています。

 といいますのは、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がある、それは一体何ぞやと。それを具現化していると言っていいのかどうか、ちょっと私もわからないんですけれども、生活保護制度というものがあるわけですね。生活扶助等々、この基準に関しては、最高裁でも、例えば国民の所得、それから生活水準、さらには国民感情、さらに申し上げればそのときの予算の配分、こういうものを勘案して、厚生労働大臣がある程度裁量があるというふうになっているんですね。

 今の基準がどうかというと、高い、低いという話は別にいたしまして、昭和二十年代初頭に、一定の基準をそのときの基準として据えたわけでありますが、それ以来、委員が今言われたように、では、健康で文化的な最低限度の生活とは何なんだということを探求して、基準を見直したということがないんです。

 常に、その時々、指標は変わりますけれども、いろいろな指標に連動させてふやしてきたわけですね。最近は物価が下がっている、物価というよりかは民間最終消費支出ですか、この消費支出というものに着眼いたしまして、下がってきているときもあれば上がったときもあるというのがここ十数年。

 今回、数年間、実はそれで連動させていなかったということもございまして、物価分だけは何とかお願いできないでしょうかということで、四・七八%、物価分として、適正化という形で、これは今お願いをさせていただいたわけであります。

 それ自体が本当に今言われた健康で文化的な最低限度の生活を支えるものなのか、それが少ないのか、多いのか。それは、少なくはないということが一応我々の見解でありまして、少なかったら、そもそも憲法違反で、この生活保護制度自体が成り立たないわけでありますから、そういう意味からすると、それよりはクリアしていると我々は思っておるわけであります。

 しからば、それが多過ぎるのか、そうじゃないのかという部分は、これは今までの時代の変遷の中において、先ほども言いました、一定の指標を使って動かしてきておるわけでありまして、根本的にどの水準が憲法二十五条なのかということをやろうと思いますと、そもそも、これはもう厚生労働省だけでやっていい話なのか。もっと幅広く、国民的な御議論もいただきながら、国会でもいろいろな御議論をいただきながら、皆さんが納得いただくような形の水準をつくるようなものなのかもわからないわけでございまして、非常に奥の深い御質問を今いただいたというふうに思います。

 なかなか、そういう意味では適切なお答えができないわけでありますが、ただ、生活保護の基準というものは、確かにこの二十五条というものにのっとって制度上運営をされているというふうには御理解をいただいていいものだというふうに思います。

新原委員 大臣、雑駁で答えにくい質問に御丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございました。

 そういった中で、最低生活費といいますか、基準といいますか、算定する方式なんですけれども、時代とともにずっと変わってきているんですね、これは。標準生計費方式から始まって、マーケットバスケット方式、エンゲル方式、格差縮小方式、現在は水準均衡方式ということになっているんですね。

 その計算の仕方が、水準均衡方式に今なっていますけれども、やはりマーケットバスケット方式という面ももうちょっと入れていかないと、物価に連動してという話をさせてもらうときに、それは今物価上昇二%を目標にするといったときに、この水準均衡方式にこういった実際積み上げていくという方法も、それでないと、生活基準といいますか、生活様式も変わってくると思うんですよね。

 だから、そういった方法等については、どのように調整しておられますか。

    〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕

村木政府参考人 生活保護の基準については、一定の時期から、定めた水準が大体適正であるという前提のもとに、物価や消費の動きで年々調整をしてきたというのが基本でございます。最近は、五年ごとに少ししっかり分析をしようということで、そういったこともやっております。

 マーケットバスケット方式ということで、一つ一つの品目を、何をどのぐらい買うのが適切であるかというのを、今の時代の健康で文化的な生活というのはどうだというのを品目を全部並べてみて決めるというのは、これは相当な、大きな議論が要るでしょうし、それから、意見の幅も人によってかなり違うだろう、世帯とか地域によっても違うということで、なかなかここは難しいと思っております。

 ただ、私どもが水準を決めるときに、一般の世帯の中での所得の低いところ、第一・十分位を見ているわけですが、そういう方々が何をどのぐらい持っているのか、そういう水準とそんなに遜色がない生活をしていただけるものかどうか、そういうところは比較検証するようにしておりますので、ある程度そうやって実質のいろいろな商品の中身もできるだけ検証をしていこうということでやっております。

 さらによい方式ということがあるかもしれませんが、今はそういう形でやらせていただいております。

新原委員 ありがとうございます。

 そういった意味で、本当に算定方式というのはいろいろありますので、そういった時代時代に合わせて、もちろん最低限度は渡さないとだめですけれども、一生懸命頑張っているいわゆる低所得者の方々よりも何か得をするような制度ではだめなので、その点はちゃんと調整していかないとモラルハザードが起きてしまうので、その点はまた要望としておいておきたいと思います。

 その中で、我々維新としましては、真の弱者を徹底的に支援するという意味で、不正、不当受給ということ、こういったことを問題としているんです。

 まず、生活保護の不正受給件数は、資料二を見ていただきますと、急激にこのように二ではふえていまして、生活保護の数もふえていますので、その割合、分母に対してどれだけの不正受給があるというところで見ていないと、人数がふえたから不正受給もふえたという可能性もありますので、それを三で計算しましたら、やはり全体に対する不正受給の割合もふえてきているんですよね。だから、生活保護自体の人数がふえてきているので、不正受給の人数もふえて当然なんですけれども、割合もふえてきている。

 これは二つの理由が考えられると思うんですね。入り口が甘いのか、それとも、今までと違って、いわゆる不正や不当を見つける方法とかそういうことを厳しくするなり、そういった改善をしたのか、両方の面が考えられるんですけれども、その点はどのようにお考えですか。

村木政府参考人 おっしゃられるとおり、ほぼ全体がふえていることに加えて、率も上がっているということでございます。

 私どもとしては、入り口の基準というのを近年緩めたり、変えたりということはありませんので、そういったことが原因というふうには余り思っておりません。

 それよりも、むしろ、自治体においても大変御努力をいただいておりまして、課税調査等で稼働収入や年金収入の把握をしっかりするとか、それから費用徴収の徹底をするというようなことで、保護が必要な方にはきちんと保護を支給するけれども、不正対策もしっかりやっていこうというようなことで取り組んでいただいている成果が、一定程度出ているのではないかというふうに思っております。

 今後についても、不正に対してはきちんと対応をしていくということでやっていきたいと考えているところでございます。

新原委員 ありがとうございます。

 入り口に対して甘くなっていないというふうに御返答はいただいているんですけれども、この何年間か急激にふえていますよね。

 資料四を見ていただきますと、特に二十代というのがこの角度ががんと上がっている。

 僕は、七十歳以上が上がっているのは、七十歳以上の方々が人数がふえているからこういうふうに徐々に上がってきているので、余りこれはいわゆる入り口論じゃないとは思うんですよね。六十代もそうではないかなと思っているんです。

 だけれども、二十代が急激に上がっているということについては、非常に入り口論的な、ちょっと二十代の方々のそういった基準が甘くなっているんじゃないかなと危惧しているんですけれども、それはいかがですか。

村木政府参考人 大変多くの事案があるわけですから、いろいろなケースがあると思いますが、基本を申し上げますと、先生が御提示をくださった資料の一で、ここ数年非常にふえている、特にリーマン・ショック以降ふえておりますが、これは、実は分析をして、完全失業率と、それから新しく生活保護に入ってくる入り口のところですが、これを重ねてみますと、ほぼ同じ動きになっております。

 そういう意味では、構造的には、雇用情勢が悪化するために失業やそういったもので生活保護に来る方と、それから高齢化に伴ってベースとしてずっとふえ続けているもの、その二つの動きが重ね合わさってこういうものになっているということだと思います。

 リーマン・ショックのときは稼働層が随分入ってきましたが、半分ぐらいは五十歳以上で、その年齢になるとなかなか新しい働く場所が見つからないということだろうと思います。それから、確かに二十代も、数は少ないんですが、伸び率が大きいというところはあります。

 ここは、きょう午前中にも議論がありましたが、やはり若い方々の雇用の形が非常に不安定になっている部分がありますので、特に仕事と一緒に社宅を追い出されるというような、非常に生活保護に入ってきやすい状況の若い方がたくさんおられるということでございます。そういう意味では、甘くなっているとか不正ということよりも、そのあたりをどうやって、生活保護なのか、第二セーフティーで受けとめるのか、あるいは、生活保護に来たとしてもそこから脱出をどういうふうに図ってあげるのかというあたりが大事になると考えているところでございます。

新原委員 御丁寧にありがとうございました。

 私もそのように思っているんですけれども、その二十代の対策として、やはり働ける能力があるかないか、稼働能力というのを有しているかどうかということなんですけれども、これについて、例えばドイツの社会保障制度では、つまり、社会扶助と求職者基礎保障、まあ、言ってみたら、日本で言ういわゆる失業手当みたいな感じなんですけれども、それが生活保護のところまできれいに分かれているというふうになっているんですよね。

 だから、やはり、もちろん五十代後半から七十代は、新しい職場は普通の人でも見つけるのが大変なので、それは厳しいと思いますけれども、特に二十代がこれだけふえていますから、二十代、三十代の稼働能力のある方々については、もっと生活保護から出ていく、今回そのためにこの法案が出てきているんですけれども、そういったことを積極的にやるべきだと思うんですけれども、その辺はどうですか。

丸川大臣政務官 働ける世代の方といっても、比較的、御自身に就労意欲もあって、すぐに就労に移行していただける方もいらっしゃれば、一方では、心身の病であるとか、あるいは、それまでの過程の中で十分に学習の機会であるとか生活習慣を形成する機会に恵まれなかった方、複合的に課題を抱えておられる方もいらっしゃいます。そうした、むしろ後者のような方に対しての生活保護の中の支援というものは必要になることもあろうかと思いますので、保護が必要な人に保護をするということは、これは基本的な考えとしてやはり維持をしなければいけないということはあります。

 一方で、今おっしゃったように、就労の支援ということについて、求職者支援制度のように御自身で就労する意欲を持って使える制度がある一方で、そのもう一歩手前の段階というところを手当てしなければいけないということで、今回、生活困窮者支援制度というものの中でさまざまなメニューが設定されているわけでございます。

 実際には、ハローワークが福祉事務所に出張っていって連携を強めるということであったり、あるいは、必要な訓練を日常生活の自立、それから社会生活の自立の段階から有期で実施していく就労準備支援事業というもの、また、社会福祉法人、NPO、民間企業などに、就労の機会を提供するとともに、就労に必要な訓練を行うという事業、これは中間的就労と言われているものですけれども、これを創設していただいて、都道府県がその事業を認定するという仕組みにしておる、こういう措置を盛り込んでいるところでございます。

 こういう取り組みを通じて、より就労支援を強化していきたいというふうにも考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 そのように頑張ってやっていただきたいんですけれども、私は現場で、歯医者で、診療していますと、カルテに問診票を書きます。生活保護の人というのはカルテを見たらわかるんですよね。その中で、今、若い世代で一番多い原因は精神病ですよね。ほとんど精神病です、その病気が。

 つまり、そういった観点からの方策を練っていかなければ、多分、二十代、三十代というのはほとんどが精神疾患が原因だと思うんですけれども、その辺の今の状況と、そういった生活支援に対して、特に精神病についてやはり重点化した対策を打っていかなければ、私は現場で医療をしていましてそのように感じるんですけれども、その点はいかがですか。

村木政府参考人 先生御指摘のとおりで、疾病等がない方は、今回、いろいろなメニューもつくって就労支援をするわけですが、特に若い世代で生活保護に入っておられる方々は、精神疾患の方が大変多いということでございます。

 生活に困窮しておられるときに生活保護でしっかり支えるということはもちろんですが、根本的には、精神疾患について、できるだけ入院ではなくて、早く地域に出て暮らし、自立を図るということ。

 それから、これまで、やはり精神障害を持っていらっしゃる方は非常に就業が難しかったわけでございます。障害者雇用促進法でも、身体や知的は雇用義務の対象ですが、精神障害は雇用義務の対象でないというような状況でございました。

 まさにそのあたりの強化策が、法案提出をしておりまして、今ちょうど参議院の方から法案がこちらへ回ってくるというふうに聞いております。特に精神障害の関係の施策の強化も、あわせてしっかりやっていきたいと考えているところでございます。

新原委員 その点、精神疾患についての対策も頑張っていただきたいと思います。

 そういった中で、皆様方、今いろいろ質問者の方々もおっしゃっていますけれども、資料五に見られるように、先ほどから質問がありますように、いわゆる六の都道府県で、最低賃金額、年金支給額、生活保護の金額が逆転しているケースというのがあるんです。

 これは要望にとどめておきますけれども、これがあると本当にモラルハザードになって、年金を払わなかったり、すぐ生活保護に行ったり等するんですね。だから、それは今後何らかの形でやはり解決していかなければならないというのは、もういろいろな方が言われているので、これは質問しません。

 そういったときに、先ほどから言われている第二セーフティーネットの話ですけれども、例えば生活保護をもらわれている方は、国民年金、国民健康保険、この掛金は掛けなくていいんですよね、もちろん。ということは、これは、裏返せば第二の、裏手当というか、収入ですよね。本来掛けるべきものを、つまり掛けなくていい。それは、いわゆる市町等が裏づけで掛けているんですかね。だから、掛けなくていいというふうになっている。もちろん医療費の負担もゼロです。

 だけれども、生活保護をもらわない、例えば年収が百六十万、まあ、百万ぐらいにいたしましょう。生活保護をもらわずに百万の収入で頑張っている人は、年金については、百六十二万以下で、夫婦子供二人世帯では全額免除されているんです。だから、これは掛金はゼロなんです。この方が二百三十万人おられます。この方々は、言ってみたら、今度いわゆる生活保護に移行しかねない方ですよね、年収が少ないということで。この方々が生活保護にならないということ、ここを頑張っていただく。この方々が、保護といいますか、ある意味、何とか助けてあげなければならないという一番のゾーンなんですよね。

 といったときに、国民保険料については、九十八万円以下ならば七割軽減なんですよ。それが七百七十万人いる。僕は神戸市なので、神戸市に聞きますと、残りの三割は神戸市で補填しているのと言ったら、補填していませんということです。(田村国務大臣「していません」と呼ぶ)していません、神戸市では。

 つまり、九十八万以下ということは、生活保護をもらっている方々より年収が低いわけですよね。その方々から、つまり国民保険を三割取っているんですよね、掛金。そこはもっと見直して、やはり生活保護といわゆる生活困窮者のところに崖をつくったらだめだと思うんですよ。(発言する者あり)済みません、言葉が悪かったです。境界線といいますか、いわゆる段差をつくると帰ってこれない、言ってみたら、一度生活保護になってしまうと、今度また生活困窮者に帰ってこようとする、そういった法律を今一生懸命つくろうとしているのに。

 だから、少なくとも生活保護の方々の収入と同じだけで頑張っている方々については、そういった掛金等についても同じ条件にしていくべきじゃないですか。僕自身はそう思います。そうする方が、国民の方々といいますか、生活困窮者と生活保護者の間のこういった段差がなくなって、戻りやすい。また、国民健康保険の掛金とか年金を取る額は、上の方まで、金額を変えたらいいだけなんでね。

 だから、生活保護の方々の収入と同じ収入の方々の国民保険の掛金を全国的に、それは七割ではなくて十割払ってやったらどうですか。制度としてはそれの方が、生活困窮者の法律に対して、今こういうふうなことを、せっかく頑張ってもらえるように支える法律をつくるんだったら、もうそこまで踏み込むべきだと僕自身は思うんですけれども、これはどのようにお考えですか。

田村国務大臣 国民年金は免除制度、減免制度があるわけでありまして、国保に関してはないわけですね。

 そもそも、今、生活保護と同等程度の可処分所得の方に関しては階段をつくっちゃいけないというお話でございましたが、それでも生活保護に至っておられないという方はそれなりに理由があられるわけでありまして、資産があったりだとか、また扶養者がいたりだとか、いろいろな理由があるんだと思います。

 一回生活保護をいただいた方が、なかなか今度、生活困窮者に戻るというのもちょっと変な話なんですけれども、生活保護から脱出をされる場合に、この保険料が問題になるんじゃないかというお話であります。

 保険料を払うことを前提に生活保護基準を抜け出さなければ、生活保護のままでありますので、要は、自分で頑張っていただいて、かなりの収入を得ていただいて、保険料やもろもろの必要最低限、つまり、カウントされるものを払ってもまだ生活保護の水準にいる方は、これはやはり生活保護の中におられる。それを超えられた方に関しては、生活保護から脱出をされて自立の道を歩まれるということでございますので、そこは一応そのような形で、十分に、一月だけ見るのではなくて、ある程度の長期間を見る中において、常に生活保護基準から脱却されるなという方々に関して、保護からの一応手続といいますか、保護を解除するというような形になるわけであります。

    〔委員長退席、冨岡委員長代理着席〕

新原委員 ありがとうございます。

 一応そのとおりなんですけれども、やはり生活保護の方から生活困窮者の方にできるだけ戻りやすいようにすれば、そういったことも考えていくべきじゃないか、意見として。

 これについて逆のこともあって、医療扶助について、つまり、九十八万円以上の方々は、掛金も払って、しかも、言ってみれば、医療費の負担もしているわけですよね。生活保護になると、掛金もない、医療費負担もない。僕ら医療業界にいると、それだったら生活保護の方々にも、逆を言えば、医療費負担もしてもらってもいいんじゃないか。だから、僕は、ここのところをうまいこと連動させるべきだと思うんですよね。

 もちろん、僕自身は思うんですけれども、結構やはり、病気がちな人とかが、生活困窮者の人でも、どちらかというと、僕の経験からいって、体がどこか悪いとかという方の割合が、病気にかかる割合が多いと思うんですよね。そうしたら、もうええわ、もう頑張るのやめたといったら、生活保護に行ってしまうわけですよね。

 だから、その辺をもうちょっと、せっかくすばらしい生活困窮者支援制度というのをつくるんでしたら、そういったところも今後検討していただいて、できるだけ生活保護からもとに戻りやすい、できるだけこのハードルを低くする方法を、言ってみたら、掛金とかというのは裏の収入と一緒なんですよ、生活保護の方々の。生活保護の方々以外の方々に比べれば。だから、そういった見方もあるということも考えられて、今後、そういった方法も考えていただいて、できるだけ、生活保護の方々が生活困窮者に戻って、いわゆる元気になってもらうようなことも考えていただきたいと思います。これは要望でとどめておきます。

 そういった中で、日本維新の会としては、このことを、マイナンバー制度を使えば、これはちょっと不正受給の話、不当にはなるんですけれども、そういったことを活用することは今の法律ではちょっと難しいですけれども、システム的には活用しようと思えば活用できると思うんですよね、医療費全て。だから、そういったことも今後いろいろ検討していきながら、もちろん、個人情報やそういったことについては守っていかなければならないですけれども、やはり、調べる労力なり、システム的にそういう制度ができると、いろいろ受給状態やそういったことを調査するときに非常に有効に使えると思うんです。

 今後、そういったことに使っていくというお考えはないんですか。

田村国務大臣 マイナンバー制度、これがある程度、プライバシーをしっかりと保護できるもとに、医療の内容にまで踏み込んで情報活用できるようになってきますと、生活保護のみならず、一般の医療においても、無駄な医療というものをある程度削減できるだろうという期待は我々もいたしております。ただ、一方で、やはりプライバシーの問題がありますので、そこを一定程度の期間をかけてクリアしなきゃいけないという認識はあります。

 生活保護制度に関しましては、いずれにしましても、レセプトを抽出するようにいたしております。ですから、レセプト自体を抽出することによって、不正受給等々が疑われる事案というものは、これである程度確認ができるようになってこようと思いますので、そのような意味からいたしますと、心配いただいておるような不正事案というものはかなりわかってくるのではないのかなというふうに思います。また、指定医療機関等々の指定制度自体も見直しをかけて、今までみたいな状況ではなくて、明確に指定要件をすると同時に、六年間というような期間の中で更新制のようなものを導入していくということでもございます。

 さらには、不正なことをやらないように、監視ができるように、地方厚生局の方でも権限を持って調査ができるようになりますので、そのような意味からいたしますと、今までよりも、そのような不正に関してはかなりチェック機能が働くのではないのかなというふうに我々も思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 そうですね、マイナンバー制度をやはりもっと活用して、本当に調査するのにも非常に効率がよくなると思いますので、そういった制度も今後取り入れていただきたいと思います。

 そういった中で、質問、最後に子供の貧困対策の方に移らせていただきます。

 我々としては、子供の貧困対策について、もちろん理念的なものは賛同しているんですけれども、その貧困という定義が極めて相対的であって、子供の貧困率を下げる。私自身は、やはり何かの制度をつくるとき、何かを変えるときには、何かの指標をつくって、それに向かって目標を定めてやっていくということが、政治としては、施策としては非常に必要なことだと思っているんですよね。

 そういった中で、相対的貧困率というふうに、定義が資料七でされているんですけれども、可処分所得を低い順に並べて、ちょうど真ん中の中央値をとって、そのちょうど半分の所得以下のものが貧困と定義されます。

 別にこれを否定するんじゃなくて、この定義というのは、どのような状況で、どういうふうな意味合いを持って、例えばどこかの国がやっているとか、世界的にやっているとかということなんですけれども、その辺をちょっと、相対的貧困率についての説明をいただける方、どちらでも結構なんですけれども、これが実際に、その指標が本当にいいのか。

薗浦議員 今先生御指摘いただいたとおり、中央値をとって二分の一というのが相対的貧困率で、国際的に使われている数字でございますので、誰かが意図的につくり出したという数字ではなくて、これは、相対的貧困率というふうに国際的に認められている数字であります。

 先生がおっしゃりたいのは、多分、相対的という言葉にかなりひっかかっていらっしゃるというふうに思うんですが、確かにこれは絶対値じゃなくて相対値ですから、では、その人たちがどこまで貧困の状況にあってどうなのかということを、さまざまにやるという意味で、あえて広く、いろいろな施策をやっていかなきゃならないというふうに私どもは考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

山井議員 御質問ありがとうございます。

 相対的貧困率の説明は薗浦議員と同じでありますが、例えば、貧困ゆえに進学を諦めるとかクラブ活動を断念せねばならないとか、やはり、そういう機会を奪われる、そういうことも当然貧困の中には入ってくると思います。

 我が党案でこの相対的貧困率の削減の数値目標というものを入れておりますのは、先ほども申し上げましたように、無料学習支援によって進学率が向上するとか、就労支援によってお母さんたちの収入がふえるとか、やはりそのような現物サービスでの支援というものも、一年、二年ではなくても、五年、十年たてば、子供の貧困率というもの、一人親世帯の貧困率というものにやはりきいてくるということで、そういう意味を持って、単なるお金だけの問題ではないということで、国際的にもこれは認められている唯一と言っていいほどの指標でありますので、私たちの法案の中に入れさせていただきました。

 もちろん、この指標だけが絶対だとは言いませんが、やはり子供の貧困というものをはかる一つの重要な指標だと思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 僕が気になったのはその相対的ということであって、ほんまに貧困といえば、アフリカの中での相対的貧困率と日本での相対的貧困率はかなり違うような気がするんですよね。だから、ほんまに貧困という言葉がいいのかなというのは僕が気になっているだけであって、相対的な割合だということで、それはいいと思うんです。

 与党さんの案ではそういう目標なりいわゆる数値のあれが出ていないので、どちらかといえばそういった方向も考えて、僕はやっている方向は両方とも正しいと思うので、絶対、例えば、義務教育というのは日本の誇れる制度だと思いますね、これはまさに貧困対策の一つであります。

 ただ、また医療に戻るんですけれども、例えば、医療費の無料化なり医療費のいわゆる補助というのは都道府県で全然違うんですよね。都道府県どころか、市町村でも全然違う。つまり、これはやはりもっともっと平準化して、子供の貧困化という言葉に当てはめるならば、そういったことも国が主導してやっていかなければ僕はだめだと思うんですよね。

 だから、この中にはそういったことも、今後、これは理念法というか、こういうことをしてという検討は今からやっていくことなんですけれども、やはり、病気がちな子が、その家自身が非常に貧しくなって、子供にこの機会がなくなるようではかわいそうなので。だから、そういった医療費の面、補助なり無料化なりも、やはり全国的に統一的にしていかないと、僕は義務教育と同じ感覚だと思っていますので。

 だから、その辺については、この法律をせっかく出されるんだったら、そういったこともやはり検討材料にしていきたいと思うんですよね。まあ、今回は理念法といいますか、こういった方針でやりましょうという法律なので、具体的なことは政府なりそれぞれの都道府県がすると思うんですけれども。

 本当に、いろいろな意見で、無料にすると患者さんがふえたりとかいうふうな変な懸念もありますけれども、事実、岩手県の旧沢内村というところで、豪雪と貧困によって、いわゆる乳幼児の死亡率が高かったんです。それで、日本で初めて、一九六一年に、一歳未満の医療費は無料化になったんですね。

 つまり、状況に応じて、これは別に少子化対策にもかかわっていくことなので、そういったことも機会を与えてあげるような形と、やはり、これは維新の会では、我々も訴えているんですけれども、義務教育プラスある程度の塾代、習い事代というのは、大阪市では今度出すようになって、バウチャー制度といっているんですけれどもね。そういうふうな、いわゆる子供たちが習い事をして、別に、勉強だけじゃないんですよ、子供の特色というのは。水泳でもいいし、もちろん塾でもいいし。

 だから、義務教育も大切ですけれども、さらにいわゆる子供の貧困化なりを是正していくには、そういったことも今後やはり考えて、子供たちにチャンスを与えて、やはり我々日本維新の会は、次世代の子供たちができるだけ頑張って勉強して、しかも頑張っていただいて今後の日本を支えてくれるという認識のもとで政策をやっていますので、そういったことを含めて、今後、この法律をスタートとして頑張ってやっていただきたい。

 何か意見がありましたら。

    〔冨岡委員長代理退席、委員長着席〕

薗浦議員 御指摘をいただきまして、感謝を申し上げます。

 先生が先ほどおっしゃられた相対と絶対的貧困の話ですが、例えば、この子供は栄養が足りないから一日何キロカロリー以上の栄養をとれるようにしなきゃならないという絶対値があるものについては、確かに数値目標を立てやすい。相対的というのは、あくまで相対でございますので、これはなかなかそぐわないだろうと。

 ただ、これを改善しなきゃならない、重要な指標であるというのは、衆目の一致しているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。

 各種施策という二つ目の話がございましたけれども、これはやはり機会の均等、要は、先ほど委員がおっしゃった、この地域に生まれたから医療が受けられないとか、そういう話をなくしていったのと同様に、いわゆる貧困状態にある家庭に生まれたから大学に行きたいのに行けなかった、高校に行きたいのに行けなかった、塾で勉強する機会がなかったというのをなくすために、いろいろなことをこの中に盛り込んでいくというために、大綱というところに落とし込んでいるわけでございますので、先ほどお話を伺った無料塾の件も含めて、いろいろ検討してまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

山井議員 御指摘ありがとうございます。

 先生がおっしゃいますように、やはり医療、貧困であるがゆえに子供が医療を十分受けられないということがあっては絶対にならないと思っておりますし、また、教育も、貧困が理由で教育を十分に受けられないということがあってはならないと思っております。

 そういう意味では、今回の法案審議において一つの大前提は、子供には全く責任はないし、また、特に一人親世帯のお母さん方も子供を抱えて必死になって働いておられる、幾ら必死になって働いても貧困状態にならざるを得ないという重たい重たいこの日本の現状、これを何としても変えていかねばならない。そのために、今私たちは、この子ども貧困対策法が必要だと思っているわけであります。

 医療の充実、教育の確保、そういうことを通じても、五年、十年、時間がかかるかもしれませんが、一つの指標としては、やはりこれは子供の貧困率の改善というものにつながってくると思っております。

 そういう意味では、今の子供の貧困の深刻化というものにやはりここでストップをかけるという強い意思を示す意味でも、私は、数値目標というものが一つ重要だというふうに思っております。

 ありがとうございます。

新原委員 これは最後に要望なんですが、先日新聞で見かけたんですけれども、児童施設出身の方々の大学なり専門学校、看護学校とかの中退率が三割、普通の人は一割なんですよね。やはり高校を出てからも、いわゆる社会に出るまでは、そういったことを、チャンスなり、フォローするシステムも今後考えていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

松本委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会、伊東です。

 朝から七時間に議論が及んでいるんですけれども、私は、やはり生活保護の方の医療扶助に関する御質問を中心にさせていただきたいと思っておるのです。

 先ほどの我が党の新原議員の、政府・与党、野党から出ました子供の貧困に関する法案にも関係もしてきますし、先ほど、我が党の足立議員が指摘いたしました大阪の守口市の母子の餓死事件にも関係した事例ではないかと思いまして、今回、まずはちょっと資料をお配りしたんです。

 私、大阪から選出されましたけれども、大阪府においても、いわゆる出産前健診、つまり妊婦健診を行わず、飛び込みで出産をされるという患者さんが多いということです。この資料に指摘されていますように、未受診での出産と出産直後の乳幼児虐待症候群、DVとか、いわゆる虐待なんですけれども、その関連も指摘されているわけです。

 もちろん、妊娠がわかって、それで健診を受けないということは、さまざまな理由が考えられるわけですね。母親となる出産前のお母さん予備軍というか、その女性の方のキャラクターによるものもあるかもしれないですけれども、いわゆる生活、金銭的な理由もあると思うんですね。やはり、母子ともの安全を確保するためには、出産前の受診というのは医学的にも非常に大事なものだと考えるところです。

 社会保障制度の中の生活保護、生まれる前だから、いわゆる母子医療というのも適用にならないと思うんですけれども、金銭的なことが理由で、出産される。生活保護が受けられなかった守口の事例に関しては、転居したために地方自治体が後追いをできなかったというような例もあるんですけれども、この出産前診断未受診というのは非常なる問題だと思うんですね。

 この資料では、大阪府は、医師や看護師、助産婦への研修などを通じて、そういった未受診妊婦を支援する人材の育成に力を入れる方針ということです。

 大阪府の方針に関して異論を唱えるわけではないんですけれども、国としてもこういった問題をまず把握されているかどうか、このことに関する御意見、そして、こういったいわゆる貧困予備軍、もしくはもう既に貧困になっているかもしれないんですけれども、その対策というのを何か考えられておられるでしょうか。

田村国務大臣 やはり、出産前に妊婦健診をしっかり受けていただくということは大変重要でありまして、以前も、飛び込みで、救急で妊婦さんが担ぎ込まれてといいますか、結局たらい回しになって、大変な状況になって命を落とされたという話がございました。

 そもそも、妊婦健診をちゃんと受けて、ちゃんとふだんからお医者様とコンタクトをとっておれば、そういうふうにはならないでありましょうし、そうなったときも対応が可能であったのであろうというふうに思います。ですから、医療に全くアクセスせずに出産、これはよろしくないのは間違いないわけでございまして、どうやってまずアクセスをしていただくか。

 今、経済的なお話がございましたが、本来十四回、もっとと言われる方もおられますが、妊婦健診が出産までに十四回ほど必要ということであるならば、まず、五回に関しては平成二十年から地財措置で対応できるようにしたわけでありまして、残りの九回は、その後、補助金というような形で基金事業で対応して、合わせて十四回、財政措置をしてきたわけであります。

 ことし、ちょうど予算のときに、財務大臣と私と総務大臣と三人でいろいろな御議論をさせていただきまして、年少扶養控除の部分が、廃止分、地方税が浮いてきますので、この増収部分を、今まで国庫補助事業でやっておりました部分、補正予算でやっておったわけでありますけれども、この基金事業にかわって地財措置をするということにいたしておりますので、そういう意味では、地方の方には十四回分の財源は行っておるわけでございます。

 それぞれ地方で、地域地域で妊婦健診事業の方はお進めをいただいておるというふうに思うわけでありますけれども、とにかく、その情報をちゃんと伝え終わるようにしなければならないわけでございますから、医療機関に一度でも行っていただければ伝わる可能性はあるわけでありますけれども、それさえもされないというような若い妊婦さんに対して、やはりもう少しこの啓発活動等々をやっていかなければならないなというふうに、今お話をお聞きいたしておりまして感じたような次第であります。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 田村大臣、いい答弁がありまして、やはり情報だと。先ほど、我が党の足立議員が守口の事例のお話をさせていただいたときに、生活保護の方、もしくは生活保護の一歩手前の方、このあたりにいかにセーフティーネット、文字どおり網を張るかだと思うんですね。その上での情報ということですので、恐らく具体的なことはこれからの議論であると思いますけれども、こういった事例に対して、党を超えて協力しつつと思うわけなんです。

 ちょっと極端な意見を言います。

 これは、地方自治体からの指摘の中にもあるわけなんですけれども、つまりは、実際に、生活保護の費用としては、負担の割合が、国が大体四分の三、地方が四分の一。憲法二十五条の国民に対して保障されている健康で文化的な最低限度の生活水準ということで、ナショナルミニマムの考え方で生活保護を考えるに当たって、では、本来はやはり国の責任において実施されるものだ、つまり、国が費用を全額負担し、事務を直接行うというのはいかがなものかと。

 つまり、地方自治体が法定受託事務を行い、一定の費用を負担している以上、やはり地方自治体ごとに、都会と地方の方々、いろいろ事情も違うことですし、制度設計に地方自治体の意見が現在以上に反映されるべきだ。そうでなければ、やはり、最初の話に戻って、ナショナルミニマムとして国自体が費用を全額負担して事務を直接行うべきだという提言もあるんです。

 極端な意見かもしれないですけれども、こういった御指摘に関して御意見をお伺いしたいんです。

村木政府参考人 確かに、先生御指摘のように、地方自治体からは、これはナショナルミニマムで、国で一律で全部の費用を負担すべきではないかという御意見が自治体から出てくることがございます。私どももよくそのお話は聞くところでございます。

 確かに、ナショナルミニマムを担保するための施策ですから、国が大きな責任を負っているということはそのとおりでございますが、一方で、地方自治体においても、管内の自分の自治体の住民の保護ということですから、そこは当然自治体にも責任の一端があるのではないかということで、それぞれ、全部国に任せておけばいい、全部地方でいいということはないだろうということが我々の考え方でございます。

 ただ、そうしたときに、では今の四分の三が正しいのか。この前は、歴史的な経緯を申し上げれば、十分の七でございましたし、その前は十分の八でございましたし、さまざまな歴史的経緯があって、国、地方、関係者の中で議論を重ねながら今のところへ落ちついているということでございますので、これはなかなか、これが正解で、理屈で、必ずこの割合になりますというのを申し上げるのは難しいんですが、双方がしっかり責任を持って住民そして国民を支えるということで、双方が責任を負っていくということではなかろうかと思っております。

田村国務大臣 今局長が言ったとおりなんですけれども、やはり、生活保護制度というものが適切に実行されなければいけないわけでありまして、窓口で、必要な方が拒否されてももちろんいけないわけでありますし、一方で、申請して、本来その申請が通らない方が通ってしまって、適用されては困るわけでありますから、そういう意味からいたしますと、やはり一定程度地方にも責任を共有していただくという意味はあります。

 ですから、そこは、地方と今までいろいろな議論をする中において、地方も本音はいろいろあられるかもわかりませんけれども、その点は一定の御理解をいただきながら今の負担割合になってきておるわけでありますから、なぜ負担をいただいておるんだということからすれば、やはりこの制度という、本当に最後のセーフティーネットでありますから、これを適切に運営していくために一定の責任を共有させていただいておるということであろうというふうに思います。

伊東(信)委員 恐らく、議論を重ねたり質疑をかぶせていきますと、地方自治の話にもなりますので、それはまたの機会にお話しさせていただきたいわけなんです。

 今回の改正の法案に関しまして、おおむねは反対すべきことではないとは思うんですね。しかしながら、さんざん指摘されていましたように、不正受給や貧困ビジネスや医療扶助の不正請求など、長いこと問題が指摘されているのに、これまでクリアな対策がなかなかなされなかったということで今回の法案だと思うんです。

 医療機関指定に関する明確な基準をということなんですけれども、実際、生活保護費の約半分余りを医療扶助のところで占めるわけですし、その適正化に向けた取り組みというのは重要だと思うんですね。また地方というか大阪に戻るんですけれども、特定地域の指定医療機関に対する市独自の指定基準とかというのを検討したり実施したりしているわけなんです。

 この医療機関などの指定に対する明確化というところなんですけれども、法案をちょっと読ませていただいたんですけれども、どうも明確な感じにはうかがえないんです。この指定医療機関の定義について、御説明いただけますでしょうか。

村木政府参考人 生活保護法の指定医療機関でございますが、指定や取り消しの要件が非常に抽象的な条文しかなかったということで、これは、今回は健康保険の例を参考にしつつ、きちんと具体的な指定や取り消しの要件を定めるということ。それから、有期制ということで、指定の期限を設けて、六年ほどということを考えておりますが、六年ごとに見直しをするということで、指定医療機関へ目が届きやすい仕組みを法制上もきちんと組み入れるということを考えております。

 指定の要件でございますが、具体的には、健康保険法の保険医療機関等であること、指定の取り消しを受けてから五年を経過していること、申請者が禁錮以上の刑の執行中でないこと等々を要件とすることを考えているところでございます。

伊東(信)委員 そうですね。明確でないと私が感じたゆえんというのは、保険医指定機関であること、当たり前だと思うんですね。禁錮刑以上の刑の執行中でないこと、当たり前だと思うんですね。次なんですけれども、指定の取り消しを受けてから五年、これは逆にちょっと甘いのではないか。つまり、指定医の取り消しを受けるということは、何かしら不正があった。五年で時効になったのかということですね。

 もちろん、評価されるべきは、六年ごとの指定の更新制を導入するということなんですけれども、いわゆる不正をした場合、午前中、民主党の議員さんからも指摘がありましたけれども、保険医の資格に関しても影響が及ぶような、こういった議論も必要だと思うんですけれども、指定の取り消しを受けてから五年、これが甘いのではないか、もしくは、指定医療機関の指定についてもう少し厳格な基準を設けてもいいと思うんですけれども、そのあたりに関してはいかがお考えですか。

村木政府参考人 この点については、今までは要件が非常に抽象的だったということで、今回は明確な要件を定めるということでございます。

 参考にしたのは他の保険医療制度等でございますので、少し甘いのじゃないかという御意見もありましょうし、あるいは、ほかの制度とのバランスを考えたときに、これだけ特段に厳しくするとか、これだけ特段に甘くするということではなくて、水準をそろえるということもあろうかと思っております。

 もちろん、指定医療機関になっていただくためには、先生おっしゃられるように、これは当たり前のことで、当たり前でないところを排除するということがまず第一段階として非常に重要なことと思っております。

 その上で、実際に問題があるところというのを見つけるためには、今、電子レセプトで問題のある診療を行っているところを抽出するとか、そこに指導に入る。そのときは、自治体だけではなくてこれからは国も入れるというようなことで、指定制のみならず、さまざまな手段で指定医療機関の適正化をきちんと担保していきたいと考えているところでございます。

伊東(信)委員 今の答弁にもありましたように、では、指定医になれば、せめて電子レセプトは義務化するとか、そういった議論、もしくは、今回法案にはなってはいないんですよね。

丸川大臣政務官 電子レセプトの件につきましては、これはもう医療全体でレセプトの電子化が進められている中で、平成二十三年度には、厚生労働省の告示で、光ディスク等を用いた請求というのが認められたところでございまして、オンライン請求のほか、電子媒体による請求についても、医療事務の効率化、医療の質の向上等の政策目標の達成を図ることが可能であるという考え方に基づいております。

 そうなりますと、医療扶助のレセプトのみをオンライン化するということについては、なかなか医療の現場から理解を得られにくいというふうに考えております。

伊東(信)委員 医療の現場は、少なくとも私は理解しているんですけれども。

 実際、折衷案として、もしくは妥協案として、丸川政務官がおっしゃられたように、光ディスクというのが出てきたわけなんですね。

 ところが、電子レセプトに関しては、やはりオンラインありきだと私は思っています。実際、大きな病院、大きな病院の定義はともかくとして、九〇%以上のオンライン化は進んでおります、大学病院を中心として。開業医に至りますと、オンラインは五〇%を切ってしまいます。本来は、おっしゃるように、医療全体のオンライン化を進めたいわけです。

 なぜこんなことを申し上げるかといいますと、オンラインのメリット、CDでも、光ディスクでもチェックはできますけれども、やはりそこに月ごとに来る、まとまったチェックというのは、医療機関もレセプトの前、月々に、月末になるとそれをチェックします。それで提出して、また役所の方でチェックします。だけれども、オンラインだったらその都度のチェックができますし、不正を防ぐためには有効な手段と思います。

 すなわち、ベターであること、つまり、よりよいということで考えると、やはりオンラインを進めることを医療機関にぜひとも理解していただけるように進めていただきたいんですけれども、いかがなものでしょうか。

丸川大臣政務官 全体的に、レセプトの電子化というのは進めていこうとしていることでございまして、そうした中で、なかなか設備投資が難しい環境に置かれている診療機関もあることは事実でございますので、全体的な環境を見ながら、しかしながら、進めていくという方向で頑張ってまいりたいと思います。

伊東(信)委員 余り各医療機関を順番に攻撃するわけにはいかないんですけれども。

 その中で、生活保護の医療扶助の受給に関して目を移していきますと、あえて、わかっていながら聞きますが、受給者の、受診者の番号が月ごとに変わっているんですね、カルテ番号は一緒なんですけれども、いわゆる保険じゃないので番号が月ごとに変わっているんです。この状態はなぜでしょうか。

丸川大臣政務官 番号というふうにおっしゃっているのは、今、受給者番号という医療券に書かれているものだと思いますが、現在、医療扶助を受けるために発行される医療券については、生活保護を脱却した後にも使用していないかという確認ができるようにというような目的で、原則として毎月受給者番号を変えるということになっております。

 なお、福祉事務所が運用している生活保護の電子レセプトのシステムにおいては、毎月、受給者番号が変更されていても名寄せなどが行えるように対応しているところでありまして、そういう意味でいうと、番号が毎月変わってもきちんとチェックはできるような状況にはなっております。

伊東(信)委員 恐らく、勝手に答えますけれども、原則として現物支給ということだからですよね。ただ、チェックというのは非常に大事な概念だと思うんです。

 ごく特殊なケースだと思いますし、生活保護の方は、大半の方が真面目に、つつましく暮らしていると思うんですけれども、先ほどから大阪の事例を出していますけれども、私が開業する前に大阪の市立の大学で働いているときに、週に一回、そういった地区に診察に行きます。

 外来診察をして、私はもともとは外科ですので、糖尿病の患者さんとかの潰瘍とかの治療をするんですけれども、そこの地区はやはりホームレスの方が多いので、上履きで入っていくわけですね、それで診察が終わって靴箱を見ると、靴が片方ないんです。ドアをあけた目の前で、私の靴を片方千円で売っているんですね。その売っている方々が私の患者さんであったりもするわけなんです。結局のところ、この千円という値段が微妙でして、微妙という表現はおかしいですね、千円という値段が、やはり、ここで働いてもいるし、ややこしいから払ってしまうんですよ。

 こういった事例がうちの医局の中でもありまして、強調したいことは、ごく特殊な例だと思います、その方々がそのことを考えているとは思えないんですね。つまりは、医療扶助をめぐってのもう一つの問題となっている、向精神薬を多量に入手して転売させた事例があったんですけれども、まさしくそこの地域なわけです。ですので、問題は、それをやはり利用する人たちがいるということなんですね。

 つまりは、平成二十二年一月、精神科四万二千百九十七人のレセプトサンプルを調べたところ、処方された受給者二千五百人余りのうち、千七百九十人余りが不適切な向精神薬を受給していたわけです。

 先ほどの靴の例も、それぞれの方に入ってくるお金というのは大した金額じゃないですし、千円が大した金額でないというのは不適切かもしれないですけれども、それがたくさんできるわけじゃないですし、向精神薬の事例も、それぞれの方が手にするお金というのは一時期だけでしょう。だけれども、それをどこかで入れ知恵を、どこかで言う人がいるわけで、これをやはり防ぐために、オンラインで、もしくはマイナンバーを使用して、何とか防ぐことができればと。

 つまり、その方々が悪いわけではないんです、これを利用した、貧困ビジネスという定義はまた違う定義ですので当てはまらないかもしれないんですけれども、向精神薬を転売したこういった事例に対して、何か対策みたいなものは政府の中であるのでしょうか。

村木政府参考人 まず最初に、先生もおっしゃってくださいましたが、基本的に、私ども、生活保護を受けていらっしゃる方の医療について、診療を受ける回数ですとか、診療を受ける医療機関の数ですとか、そういったものを名寄せしてみますと、ほかの保険の診療とほとんど変わらないということで、多くの方は非常に真面目に医療を受けていらっしゃるということでございます。ただ、中には問題があるというのも事実でございます。

 一般的に申し上げれば、昨年から電子レセプトの抽出がいろいろできるようになりまして、例えば、これは向精神薬なんかが当たると思うんですが、同じ人が同じような薬を大変大量に投与を受けているという数字が出てくるとか、頻回受診を行っているとか、あるいは、病院側でいえば、特定の診療や検査が非常に多く行われているとか、レセプト一件当たりの単価が非常に高くなっているとか、そういったものを抽出できることになっておりますので、そういったものをきちんとピックアップして、問題があると思われる医療機関にしっかりと調査に入るということをやっていきたいというふうに思っております。

 また、先生から御紹介いただきましたが、平成二十二年に大阪で起きた、向精神薬を営利目的で大量に入手していた案件がございますので、その後、全自治体でサンプル調査も行ってもらって、適正化についてさまざまな取り組みをしているところでございます。こういったことは引き続きしっかりやっていきたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 実際、私が申し上げたいことは、我々は政治家ですから、法によって誰かを罰するとかいうのではなくて、法によって規制をかける、犯罪が起こらないようにするという目的です。犯罪に大小はないですけれども、それがたとえ小さな犯罪であっても、それを防げるような法律というのがやはり理想であるべきなんです。

 指定医療機関の取り消しに関して、指定医療機関に関してこだわったのは、やはり、一度でも不正を行った医療機関というのは、私自身、同じ医療従事者として恥ずかしいですし、信用ができません、正直言いまして。御批判は浴びるかもしれないですけれども。

 例えば、いわゆる向精神薬という中にも抗うつ剤とかいろいろあると思うんですけれども、整形外科学会、腰痛学会の中で腰痛ガイドラインというのができまして、その中で、腰の痛みの中に精神的なものもあるというような報告もされています。そのことに関して、私はレーザーを使った外科医だから異論はあるんですけれども、個人的な見解はともかくとして。

 では、抗うつ剤のサインバルタという薬があるんですけれども、この薬が、まず糖尿病の神経痛の薬として適応されています。次に、こういった腰痛の薬として適応されています。ですので、やはり、外からこういったことを考える人というのは、いろいろな手段で法の網をくぐっていくわけです。

 ですので、糖尿病であれば、この薬が出ていても、正直、チェックしづらいと思います。腰痛の場合でも、一つのガイドラインで三カ月経過観察することとなっていますので、三カ月間、向精神薬は出ます。問題は、腰痛ガイドラインに、画像で診断できないと書いているんですね。だったら、これで法の網は逃れることができるわけなんですね。

 この薬は、すごくいい薬なんですよ。いい薬なので、今までの痛みどめとかで効かなかった患者さんに有効なので、この薬に規制をかけるような話になっては、私としては不本意です。だけれども、こういった問題があるので、話が戻りますけれども、電子レセプトはぜひともオンライン化するべきじゃないか、随時のチェックが必要じゃないか。逆に、これに反対する医療機関の理由が私にはわかりません。

 このことに若干だけ関係しているんですけれども、とはいうものの、いわゆる社会保障、本当に手助けが必要な方には手厚く保護、この考え方は党を超えて共通していると思います。しかしながら、やはり、昨今、医療扶助に関して、医療費がかさばっているというのは事実です。その中で、今回の法案で非常に注目すべきは、後発医薬品の原則使用ということなんですね。

 原則使用ということで御説明をいただいたんですけれども、医療給付のうち、医療を担当する医師または歯科医師が医学的知見に基づき後発医薬品、すなわちジェネリックを使用できると認めたものについては、生活保護受給者に対し、「可能な限り」、可能な限り、可能な限り、三回言いましたけれども、「後発医薬品の使用を促すことによりその給付を行うよう努めるものとする。」ということなんです。

 原則に比べて、「可能な限り」というのは、かなり私には弱く感じるんですけれども、このあたりの文言はいかがなものなんでしょうか。

田村国務大臣 ジェネリックを使用していただくというのは、生活保護の方々だけでなくて、一般の国民の皆様方にもずっとお願いをしてきまして、今回、実際問題、目標値に若干届かないという数字でありましたから、次回のロードマップに向けてしっかりと、使用率というもの、これを目指して進めていくわけでありますが、全体で見ると、金額ベースでジェネリックをどれぐらい使っておるかというのが、生活保護家庭と一般家庭と比べると、一%ぐらい差が、やはり生活保護家庭は低いんですね。

 これをそのまま比べるのがいいかどうか、ちょっと私も自信があるわけではないんです。つまり、どういう症状で、後発薬があるかどうかというような問題もありますから、直には比べられないんですが、しかし、一つの指標として一%ほど低いという数字が出てきております。

 後発医薬品は、実際問題、その効能自体は変わらないはずでございます。時間とともに有効成分の血中濃度が同じものを一応認めておりますので、変わらないはずでありますから、使っていただく分には、同じ効果が出るという前提でございますので、原則としてはこれを使っていただくということでありますが、一つは、医師の処方権というものがございますから、そこがなかなか我々も、そこを脅かすというわけにはいかない。

 お医者様がジェネリックでいいですよと言った場合に、御本人が拒否をされる場合があります。拒否をされている、そのときにそのまま無理やりに渡すわけにいきませんから、拒否された場合には、それはジェネリックというわけにいきませんから、先発薬をそのまま持っていっていただく。

 ところが、そういうような状況であるとするならば、その後、健康指導というような形をとりまして、なぜジェネリックを使っていただけないのかということを十二分に、その効能も含めて御説明をさせていただいて、その上で御理解をいただいてお使いいただく。

 なぜ、では、強制的にといいますと、なかなかそこは難しいところでございまして、保険医療じゃないですから、ある意味、選択はないんだと言われる方もおられます。つまり、自己負担もないわけでありますから、保険医療ならば、保険診療ならば、これは自己負担がありますから、そこは高くたって俺は先発薬がいいんだと言われる権利はあられると思うんですが、生活保護の場合はそれはないだろうと言われる方もおられます。

 しかし、命にかかわる薬という部分でございますから、そこは実は微妙なところがございまして、絶対に嫌だと言うものをなかなか、これを持っていけというわけにいきませんから、その後、次回からはぜひともジェネリックをお使いいただきたいということで切々と御説明をさせていただいて、御理解をいただくようにしてまいりたいと思います。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 田村大臣の御答弁の中に、なるほどなるほどという部分もあれば、若干弱気な部分もうかがえたりもするんですけれども、この点に関して、午前中に自民党の新谷議員が、割と正確に御指摘していたようだと思うんです。

 やはり、指定医をつくって生活保護の方に使うと決めた以上、有効性が認められる部分には義務化をしていいと思うんです。なぜならば、ジェネリックの定義としまして、後発医薬品とは、先発医薬品の特許が終了しただけだ、先発医薬品の特許終了後に、先発医薬品と品質、有効性及び安全性が同等であると厚生労働大臣が製造販売の承認を行っているということですので、田村大臣には、これはぜひとも、ほぼ義務みたいなものであるということでお進めいただいたらいいと思います。

 このことに関しては、ジェネリックだから健康を害するということではないんです。その薬が適合か否かというだけの問題なんですね。ですので、午前中の自民党の新谷議員の御質問にもあったんですけれども、まず、治療法としてその薬を選択するか否かで、ジェネリックがない場合は仕方がない、だけれども、ジェネリックがあれば、これはかなり義務化に向かっていってもいいんですけれども、そのあたり、しつこいですけれども、もう一声お願いします。

田村国務大臣 原則ということでございますから、そこは御理解をいただいて、とにかくジェネリックを使っていただくということが方針でございますので、そういう方針のもと、使っていただけるような環境をしっかり整えてまいりたいというふうに思います。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 原則というお言葉をいただいたので、どうしても、文言の「可能な限り」というのが気になったもので。原則というのでは、少し進んだかなと。解釈の違いもあるかなと思いますけれども。

 化学物質には定比例の法則というのがありまして、産地とか製造法にかかわらず、その化学物質は同じだということなんですね。水はH2Oですけれども、昔のお座敷小唄じゃないですけれども、富士の高ねの雪も京都の雪も同じだ、解けたら全部H2Oなんだということなんです。これが定比例の法則なので、ジェネリックだろうが、もし成分が同じであれば同じなんですね、化学的には。あとは心情の問題だと思います。ここに医師の裁量が入るのか、処方箋の場合、薬局の裁量が入るのか、はたまたいろいろな都合が入るのかどうかですけれども、ぜひともこのあたりのところは今後とも御検討いただきたいと思います。

 とはいうものの、やはり、こういった方々の健康というのは守らなければいけないというのは共通のところなんですけれども、大阪市の病院で働いているとき、余りにも生活保護の方の糖尿病及び肝炎の罹患率が高かったんですね。ですので、このあたりを前もって予防することはできないか、もしくは、このあたりの統計把握に関して御意見をお伺いしたいんです。

村木政府参考人 先生御指摘のように、糖尿病とか比較的長期にわたる病気、生活保護を受けている方の中にはそういう方が多いというのは特徴の一つでございます。

 これは、自立に向けての一番大事な健康の部分でございます。今度、法改正で、健康管理をしっかりやるということに保護の受給者の方も努力をしていただくということを法律の中に盛り込んだところでございます。御本人が健康管理に努力をするということを、ケースワーカーもしっかりと、健康管理に関係をする情報をいただきながら、適切な指導ができるように、このあたりは充実をしていきたい。

 それから、特に医療の専門家が助言をするとやはり非常に効き目がある、効果があるということでございますので、今年度、医療スタッフを置くための経費も充実したところでございますので、そういったあたり、ぜひしっかりやっていきたいと思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 残すところあと一分なので、まとめに入ります。

 自立する個人、自立する地域、自立する国家というのが日本維新の会のスローガンなわけなんです。そのことによって本当に手助けの必要な方に手厚く恩恵をというのが、これは本当に、党派を超えて、共通のお考えだと思うんですけれども、しかしながら、そこに、手助けが必要な人を利用する者があってはいけないと思うんですね。利用するのではないけれども、一人の医療従事者として、若干でも医療従事者が自分の得の方を優先する、そのような悲しい事実はあってはならないと思います。そのために法というのが、立法機関というのが必要だと考えております。

 最後に、全体的な感想、最後の私の考えに関して田村大臣から御意見を伺えれば。それで締めたいと思います。

田村国務大臣 特に医療扶助のお話が多かったわけでありますけれども、やはり信頼が失われている部分がかなりあるんだなと、委員のお話をお聞かせいただいて、多分、国民の皆様方の目線でおっしゃったんだとは思うんですけれども、そんなことを感じました。

 ただ、一方で、先ほど来、村木局長から答弁がありましたが、ほとんどの保護世帯は一般の医療保険の方々と変わらないような受診傾向なんですね。

 ですから、大阪等々でも私もいろいろな話をお聞かせいただきますが、一部、非常に不真面目な、そういうような医療機関もあるやにもお聞きをいたしておるわけでありまして、そういう医療機関が保護者の方々をそれこそ食い物にするような話があったのでは、これはいけないわけでありますから、今回、指定医療機関の指定制度に関しまして、かなり厳しい改正をさせていただくわけであります。さらには、地方厚生局も、実質、みずからが権限を持って調査できるようにいたしますので、そのような意味で、そのような不正等々が起こらないような、そんな環境を整えて、御心配いただいている点が改善されるようにしっかりと頑張ってまいりたいというふうに思います。

伊東(信)委員 ありがとうございました。

 終わります。

松本委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨年の税と社会保障の一体改革議論において、最終盤に三党合意で一気に成立してしまいました社会保障制度改革推進法附則として、唯一名指しをされたのが、生活保護制度の見直しでありました。いわゆる社会保障とは、医療、介護、年金、子育てという四分野なのだという議論をずっとしてきたにもかかわらず、いきなりこの生活保護制度の見直しだけが名指しをされた。非常に不本意なやり方であったのではないか。

 ですから、これは現在の与党のみならず三党に責任があるということをまず言わなければならないわけですけれども、本法案は、一九五〇年以来の大幅改正とも言える内容であるにもかかわらず、本法案を議員立法とあわせて、四本もまとめて審議をし、今週中にも採決をと提案されていることは、非常に重大であります。十分な審議を行うことを強く求めたいと思います。

 まず、最初の問いは、大臣にお答えをお願いいたします。当たり前のことを聞きますので。

 生活保護法第一条、「この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」また、第三条には、「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。」と書かれております。

 この基本理念は、今回、何もさわっておりません。変わらないことを確認し、また、改めて、この意義について大臣に伺いたいと思います。

田村国務大臣 委員おっしゃられましたとおり、憲法で規定いたしております健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、これをしっかりと日本国民は持っておるわけでございまして、これが具現化できるセーフティーネットといたしまして、この生活保護制度があるわけでございます。

 そのような意味からいたしますと、今般、大幅改正ではありますけれども、まず総則、さらに保護の原則等々、これは一切手を入れているわけではございません。変えておりません。

 そのような意味からいたしますと、生活保護制度の根幹、基本をなしている部分は、これは変えていないわけでございますので、おっしゃられるとおり、中身、目指すべきものというものは全く変わっていないということでございます。

高橋(千)委員 基本となるところは一切変わっていないという答弁だったと思います。

 何か、解釈改憲ではないんだけれども、理念は変わっていないが、中身が、どうも解釈が変わってきているのではないか、非常にそぐわなくなってきている、今度の法案はそういう中身ではないかということをあえて指摘したいと思います。

 次の問いは、まさに生活保護の現場にいらっしゃった桝屋副大臣にお願いをしたいと思います。

 第二条の無差別平等の原則、「すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる。」並びに、第九条、「保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする。」必要即応の原則と呼ばれておりますけれども、私は、これもやはり非常に基本的な、重要な原則だと思っておりますし、ここも変わっていないはずですよね。

 やはり、真に保護の必要な方ということが繰り返し言われるんだけれども、その真に必要なという範囲が、何か国会の議論の中でやけにしぼめられてしまうのではないかということに大変危惧をしているわけです。

 ですから、大原則として、無差別平等、誰にでも権利はある。もちろん、要件はありますよ。だけれども、権利は誰にでもあるんだということを、そして、働ける年齢だから却下というような、個々の事情を顧みない機械的な対応をしてはならない、こういうことではないかと思いますが、改めてこの二つの原則の意義についてお聞かせください。

桝屋副大臣 今おっしゃった生活保護上の大原則は、何ら今回の見直しで変わることはない、無差別平等の原則、必要即応の原則、いずれも生活保護の根幹をなす大事な原理だ。

 同時に、保護の補足性、持てる能力は十分に使っていただく、そして、保護世帯みずからが受けられる支援はしっかり受けていただいて、なお必要足らざるところは生活保護を適用する、こういう原則も同時に変わっていないというふうに理解しております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 補足性のことを御説明されたと思うんですけれども、まず自分が権利があるということ、そして、そこに差別がないんだということを気づいていない方、気づいていなくて、保護を受けていること自体を何かとても恥ずかしいことだと思っているとか、そういう方が非常に多い、また、そういう社会になってはいけないという立場で、あえて質問させていただきました。やはりこれは、繰り返し確認をしていく必要があるのではないかなと思っています。

 今でさえ、二〇一一年の数字で、相談件数に対する申請件数の割合は、四九・七%。ですから、窓口に相談に行って申請にたどり着くまでに五割を切るという実態がございます。日弁連も、むしろ機械的な対応で水際作戦を合法化させるという強い指摘をしているということは重要かと思います。

 そこで、本法案で、第二十四条、「申請書を」「提出してしなければならない。」と書いてあります。申請書並びに内容を証明する書類の提出を義務づけたことになるんですね。

 そこで、まず伺うんですが、局長にお願いしますが、現行法の第二十四条は、これは改正案でも変わっていませんけれども、「保護の実施機関は、」「保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、申請者に対して書面をもつて、これを通知しなければならない。」とあります。つまり、保護の実施機関は書面を義務づけています、もともと。そうですね。だけれども、要保護申請については、あえて法律には盛り込まずに、これまでは厚生省令で定められていた。この違いはなぜでしょうか。

村木政府参考人 古い書物を読み解いて、このときにどうしてこういう形になったかというところまで理解しているわけではございませんが、この法律全体を見ますと、やはり非常に古い法律でございますので、措置という性格が非常に強いものだろうと思います。

 そういう意味で、申請のところの手続が法律にないまま、今度は決定のところがまずあり、そして後ろで、もう調査をして、立入調査とか、そういったかなり厳しい規定が後ろにあるということでございます。そういう意味では、最近福祉の分野で多い、利用契約を結んでやるとか、権利性があって申請をすればこういうものが受けられるとか、そういう、仕組みに対する感覚がこの当時は余りなかったのではないかと私は個人的には想像をしているところでございます。

 そういう意味で、今回、少し形式張っているので御不安を与えたというところは大変申しわけなく思っておりますが、申請のいろいろな手続を明確に定める、法令上見える形にしたということであるというふうに理解をしているところでございます。

高橋(千)委員 今局長が、古い書物を読み解いたわけではないがとおっしゃいましたが、何か古い書物が今ちまたでとてもはやっておりまして、一九五〇年初版、当時の保護課長だった小山進次郎氏による、改訂増補版「生活保護法の解釈と運用」、もう書店では求めることができなくて、国会図書館で改めて読ませていただきましたけれども、やはり、保護の実施機関の処理手続を法規として定めた理由について、本法の保護は個人の生活や生存に重大な関係を有するものであるからと。そして、要保護者に対して実際に行われる場合の個々の具体的手続までを詳細、明確に規定するのでなければ、本法上において認められたとする個人の権利や利益が十分に保障され、実現されることとはならないというふうに明記をされています。

 ですから、後でおっしゃったように、不服申し立ての権利などもあるわけですから、なぜ却下をされたのか、なぜ、どういうことに理由があるのかということをきちんと書面で出さないと個人の権利が行使できないということを主張しているんだと思うんですね。

 でも、逆の意味もありまして、では個人の側から見ると、なぜそれを書いていなかったかということに対しては、保護の決定及び不服の申し立ての処理などの重要な資料ではあるけれども、同時に、それを全部書かなきゃだめよというのは、酷に失する場合というふうな表現をされています。

 ですから、申請が保護開始に法定の要件を欠くとしてその受理を拒絶して却下すべきではなく、記載漏れがあったとしても、その場で補正をさせたり、あるいは事務所の職員が進んで調査して補完すべきである、こういうふうな解釈をきちっとされているので、やはり、保護を受ける側の人の権利と、それを行使する実施機関のあれを明確に分けているということがあったのではないかなと。

 やはり、さっきの議論、調査の権限が強化をされるからバランスをとったんだという、法制局のアドバイスがあったというお話がありましたけれども、私は違うと思う。わざわざそれが、分けていたものの意味をきちっと考えて、まして、これは、運用でやってきたとはいえ、義務化ですから、全く意味が違うことになるんだということを指摘したいと思います。

 そこで、二十四条、この省令で定める事項というのと定める書類というのはどのようなものが考えられるのかというのと、これらがそろわないと保護は受け付けないのか。お願いします。

村木政府参考人 今回の二十四条の改正は、入り口のところの手続を明確に定めたものでございますが、これは、法律的な位置づけを条文上明確にしたということであって、実際の運用を変えるということは一切ございません。

 したがいまして、必要な書類は、保護を決定するには出していただかないと、実際の額や扶助の種類等々が決められないということがあるので、書面を出していただくことにはなろうかと思いますが、いずれにしても、それがそろわないと保護を受け付けないとかいう問題ではなく、職員とのやりとりの中で一つずつ書類をそろえていく、それから、書類を書くことができないときは職員が書き取って、よく説明をして、御本人にサインをしていただく、そういった、きちんと今までどおりの運用をしたいというふうに考えているところでございます。

 ですから、必要な書類の数、提出時期等々に変更はございません。

高橋(千)委員 先ほど来、この答弁を聞いて、本当にわからない。

 なぜかというと、変わらないんだったら書かなきゃいいと思うわけですね。だけれども、明確に違うんですよ。だって、省令で運用していたものと、それは運用のやり方は同じだといっても、法律に書いたわけですから、義務になるわけでしょう。これが争われたとき、どうなるんですか。これを明確に答えていただきたい。

 おにぎり食べたいで象徴的な事件となった二〇〇七年の小倉北区の自殺事件、これは、二〇一一年三月二十九日、地裁で判決が出て、市が控訴を断念して確定をしています。水際作戦という言葉が随分言われたわけです。保護の開始率を過去三年間の平均以下に抑える努力目標を持っていた。これは、まさにその実態が、全国から弁護士さんなどが集まって検証を行って明らかになった。それを基本的に裁判は認めたことになると思うんですね。

 申請行為があったと言えないとしても、つまり、一応、形上は申請を自分で取り下げている、そういう形になっているんだけれども、説明が虚偽であった、二週間求職活動をしなければ保護の適用を受けられないかのような誤った助言をしたということでは、国賠法上違法である、このように明確に判決に書いてあります。ただ、自殺との因果関係は肯定はしないけれども、しかし、申請意思を正しく確認されなかったことにより受給権を侵害されたということを認めて、精神的損害に対して百五十万円を払えと。大した額ではないですけれども、そういう判決が出たというのは非常に大きいわけですね。

 これは、だから、口頭による申請を認めて、形上は申請はしていない、だけれども、意思があったことと違法なやりとりだということを認めた。こういう形で、判決が揺るがないということで、これからも影響がないというふうに断じていただけますか。

村木政府参考人 今回の法律の改正をもって、入り口のところで今まで以上の条件をつけたり、取り扱いが変更になるということはございません。

 それから、念のためでございますが、いわゆる水際作戦という言葉がきょう何度も出てきております。私どもも、そういったことがないように、必要な方が必ず保護を受けられるように、窓口での注意、そういったことを疑われるようなこともないようにということで、徹底を一生懸命図っているところでございます。

 申請に来て、必要な方が受けられないようなことが起こらないように、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 削除すべきだということは重ねて指摘をしたいと思うんですが、今までどおりといっても、はっきり言って、今までどおりでもだめなんですよ。そうですよね、だって、水際作戦、今でもやられているんですもの。その実態をやはりちゃんと見なければ、まして、それで法定をされたときにどんな影響があるかということなんですね。

 例えば、申請書を手にするところまで行くのが大変だというのが実態ですよね。例えば、青森県内の事例でいいますと、ある方は、障害年金だけで四年間暮らしてきて、もうとてもじゃないが保険料の支払いなどが大変になって、保護の相談に行ったんですけれども、収入があるのでそれでやりなさいということで、話も聞かないで帰そうとした。ですから、申請書を見ることができなかったわけであります。

 また、ある方は、まだ五十代ですけれども、ハローワークに通っても仕事がなく、何度も何度もそういうことを繰り返した上で、悩んだ末に市役所に行って保護を申請したわけです。しかし、年金記録を調べてから来いと言われて、まだ五十代だから年金をもらえるはずもないのに、申請用紙もくれなかったということです。

 また、都内でひとり暮らしの男性は、精神を病んで通院。二回役所に行ったけれども、電気、ガス、電話、預金通帳などの提出を求められ、三回目でようやく申請書を受け取った。

 ですから、申請書そのものを窓口にちゃんと置きなさいとずっとやってきたんだけれども、それを見ることさえ、一度も見てもいませんという方がいっぱいいるんですね。それが、実際にはそこにたどり着いていないですから、そもそも受け付けて拒否したわけではないという話に整理されちゃうわけですよ。これではだめでしょう。

 書類の提出を義務づければ、こうした事例は逆になくなるんでしょうか。書類を見ることもできなかった人が、やはり相談として、申請に扱ってもらえないとなれば、これではやはり水際作戦の合法化と言われてもやむを得ないわけですから。

 この点について、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 個別具体的な話なので、どこで、どういうような状況のもとでそのような話があったのか、私は認識しておりませんが、今お聞かせをいただいておる情報だけの客観的な判断といいますか、私の感想を述べさせていただければ、そんなことはあってはいけないことでございます。

 年金がもらえるもらえないと、言われるとおり、そんなものは六十過ぎてからじゃないともらえないわけでありますから、五十代でどうするのという話でございますし、収入でやりなさいといっても、その収入をちゃんと調査した上でじゃないと、そもそもその収入で生活できるかどうかというのはわからないわけでありますから、非常に、今の話だけを純粋にお聞かせをいただいて思うことは、それは不適当な対応であるというふうに認識いたします。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 さっき言ったように、入り口、申請書にたどり着くまでに五割を切るという実態からいっても、こうしたことが非常に多いのだということを改めて御認識していただいて、そこが現場で逆に強まるということがあってはならない、しっかりと対応していただきたいと思っております。

 そこで、第二十四条の八項の扶養義務者の問題ですね。

 「知れたる扶養義務者が民法の規定による扶養義務を履行していないと認められる場合において、保護の開始の決定をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該扶養義務者に対して書面をもつて厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。」

 法律用語だと思うんですが、この「知れたる」とは、どういう方をいうのか。また、どのようにして、扶養能力があるのにその義務を履行していないというのを判断するのか。お願いいたします。

村木政府参考人 大変古い言い回しになっておりますが、「知れたる」というのは、わかっているというようなことでございます。

 申請にいらっしゃった方々に、家族の状況とか扶養ができる方がいらっしゃらないかとかいうことを私どももお聞きをして調査をいたしますので、そういった御本人等々から得た情報の中で、扶養が可能ではないかと思われるような方々に御連絡をするというようなことでございます。

 今、扶養の照会はそういう形でやっておりますが、今回新しく規定をしたものについては、もう既に扶養照会はやっているわけでございますので、この通知については、例えば家庭裁判所を活用した費用徴収等々の対象になるような、特に限られた方に対して行うということを考えているところでございます。ですから、一般の扶養照会よりももっと限定をされたものというふうにお考えをいただければと思います。

高橋(千)委員 今のは、家裁で争っているとか、そういう意味でおっしゃったんですか。ちょっと今、もう少し。

村木政府参考人 失礼しました。

 保護の費用徴収の規定がこの法律の中にございます。それで、家事審判等を使って金額を決めて費用徴収をするというようなことが扶養義務者に対して行われることがございます、現在の法律でありますので、そういったようなことが将来起こり得るような、扶養が必ずできるはずで、また、そういう関係にあるというような方に限って通知をあらかじめ行おうということでございます。

高橋(千)委員 そういう意味の限定だということですね。そこが非常に曖昧だったわけです。

 扶養義務、明らかに能力があるでしょうといったときに、その方が、例えば息子さんがタレントでしょうとか、極めてレアケースなわけですよね。だけれども、それを一旦書いちゃうということは、何か物すごい調査をするんですかということになるわけです。

 だけれども、実際に今現場でやられていることも、かなりのことですよね。例えば、ことし二月十一日の朝日新聞に書いていますが、大阪市内の実家を離れて奈良県の大学に通う十九歳の学生に、姉の扶養の照会が来た、あなたの資力に応じてどの程度払えますかと。こういうことをやられちゃうと、本当に、指摘されているのは、家族のきずな、親族の関係もみんな壊れちゃうよねと。そして、勤務先まで問い合わせするんですかということも指摘をされています。

 第二十八条の二項には、「必要があると認めるときは、」「報告を求めることができる。」こういうことも書かれてありますので、もう少し具体的に伺います。

村木政府参考人 この報告を求める条文、二十八条も、今回新設をしたものでございます。

 扶養義務者について、実際に扶養の責任を一定程度明らかに果たせるということがわかっているような方については、やはりその責任を果たしていただくことが適当ではないかということで、審議会等でも御議論をいただきましたので、この報告を盛り込んだところでございます。

 ただ、これにつきましても、家族の問題に行政が踏み込んでいくことというのはやはり相当慎重にしなければならない、それから、家族の関係を壊すということは私どもの本意ではないわけでございますから、これも先ほど申し上げましたように、特に福祉事務所が後々家事審判手続を活用してまで費用徴収を行いたいと思うような、そういったことが想定されるようなことに限定をしたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、今回新しく扶養義務者の関係の規定が入りましたが、これについては、必要なことはしっかりやりたいと思いますが、先ほど申し上げたように、家族の問題に立ち入ること、それから、本来保護を受けられる人が受けにくくなるようなことにならないように、ケースをしっかり限定したいというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 同意についてはどうですか、調査の同意。

村木政府参考人 済みません、同意というのは……(高橋(千)委員「調査を受ける人の」と呼ぶ)その同意ということでございますか。

 扶養義務者につきましては、報告を求めることができるということと、それから、規定上は官公署から情報がとれるということになりますが、特に扶養義務者については保護の要件ではないわけでございますので、そこまで幅広に、御本人が同意がない中で官公署から自動的に回答義務をかけて情報をいただくということは、余り適切でないのではないかというふうに思っております。

 これは、後々、政省令等、細かい規則をつくっていく中で決めることでございますが、そこまでのことはやらない方がよいのではというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 改めて、保護の要件ではないのだという立場でお答えをいただいたことは、非常に大事だと思っております。

 ただ、大臣に改めて聞くんですけれども、この問題、やはりアナウンス効果が抜群なんですね。要するに、某議員が国会で取り上げたことで起こった波及がどれだけ大きかったかというのは、もう十分わかっていらっしゃると思うんですけれども、実際にはそこまでやらないよとおっしゃっています。だけれども、もうそのニュースが流れている、そのことだけでも相当な大きなアナウンス効果になっているのではないか。それ自体が狙いになっては困るわけですよね。

 例えば、札幌で、生活苦から心中を図って、同居の母親七十歳を殺害したとして承諾殺人罪に問われた四十二歳の方が、十六日に、懲役三年、保護観察つき執行猶予五年の判決を言い渡されました。

 この方は二〇〇六年から生活保護を受けていたんですけれども、ところが、二〇一一年四月に辞退をしたんですね。状況は何も変わっていないんですよ、だけれども、保護費をちょっとずつためて百万円ためて、それで一年間暮らして、もう無理だというので、母親からおしまいにしようと呼びかけられた、それで心中を決意したけれども、自分は死に切れなかったということでした。

 この人が言っているのは、お金だけもらうのが心苦しかったと言っている。だから、最初にお話ししたように、保護を受けていることが非常に負い目になっている、監視されているような気がしている、そういうことを裁判の中で指摘をしているわけなんですね。そして、裁判の中で言っているんですが、ニュースを見て、簡単にはもう受給できない、これからもしやはり保護に戻ろうとしても受給できない、門前払いになると言っていると思って悲観をしたということが指摘をされている。

 やはり、こういうことを思わせちゃっている、もう書いただけでそういう効果が出ちゃっているということを、どのように受けとめますか。

田村国務大臣 いろいろなことを今まで御質問された中身が含まれての今の御質問だというふうに思うんです。

 生活保護に至る方々は、いろいろな方々がおられると思います。その中には、まだ若くして自立ができる可能性のある方々もおられるわけでありまして、そういう方々にはしっかりと、自立に向かっての対応というものを今般の法改正の中にも入れさせていただいておるわけでありますから、もちろん、そのためにいろいろなお手伝いを我々していかなきゃいけないわけでありますけれども、自立に向かって頑張っていただかなきゃならないと思います。

 一方で、若くても自立できずに、いろいろな病を持って働けないという方々もおられます。一方で、御年配の方の中に、もう自立ができるようなお年じゃない方々もおられるわけでありまして、そのような方がそれぞれの事情がある中において、それぞれの方に適したような形でこの生活保護制度というものが、やはりその方々の生活を守らなきゃいけないわけでありますから、適用されていかなきゃならない。

 今般の法改正の中で、いろいろな意味で御心配をいただくような文面があったこと、それは本意ではございませんけれども、そのようなイメージであったという意味で誤解をされた皆様方がおられるということに関しましては、真摯に我々、そうではないということをさらにお伝えさせていただきながら、御心配いただいたことには申しわけないというふうに思っておるわけでありますけれども、決してそのような意味合いの法改正ではないわけでございます。

 もちろん、不正受給をしておられる方々に対しては、これは厳正なる対応をしていくわけでございますけれども、真面目に生活保護を受けられて、そして自立に向かって頑張る方々、そしてまた、自立ができずに、それは、いろいろな病や御年齢や、いろいろな問題があると思います、そういう中において、生活保護を使われて幸せな生活を送っていただくという方々がおられるわけであります。

 そのような意味からいたしますれば、生活保護制度の本来の趣旨にのっとって、我々は法改正があったといたしましてもしっかりと運用をしていくわけでございますので、御心配のないような形で、さらなる御心配がある点は各自治体に通知もさせていただきながら、御懸念のないような形で、法改正という中においての生活保護制度を進めてまいりたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

高橋(千)委員 資料の二枚目を見ていただきたいと思うんです。

 「国内における餓死者の推移」、これは厚生労働省の数字を拾って、図書館で作成をしていただいたものですけれども、二〇〇〇年が栄養失調と食料不足合わせて千三百十四人から、今、二〇一一年が千七百四十六人にも上っています。まさに、経済大国と言われる日本で餓死者がこれだけの人数がいるということは、非常に重大な重みがあるのではないかと思います。午前の部から議論されている大阪の三歳の子供の案件も、まさにそうした中の一つではなかったかと思っています。やはり、これが保護に結びついているかどうか、あるいは却下とかそういうことがあったのかどうか、そういうことも含めてもっと調査をして、こうしたことが本当に起こらないようにする。

 そして、既に、ライフラインが、例えば水道、ガスがとまっていたら通知をするなんということは、もう十年も前から通知はしているわけですよ。だけれども、なかなか、同じようなことが繰り返されるのは何なのかということは、やはりそれはさっき言ったアナウンス効果の問題もありますし、私は、保護のハードルをもっと下げて、下げた後で不正の問題とかいろいろあればそれは正していく、そういう、姿勢を転換するというのが一つ求められるんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。

桝屋副大臣 今のこのお配りいただいた資料については、いろいろな分析があるんだろうと思います。

 ただ、保護のハードルを低くするということだけではない、やはり地域のそういう方々を、要援護あるいは保護を必要とされる方々を見守るという体制、こうした地域福祉の体制をしっかり広げていくということが同時に大事なことではないかと思っております。

高橋(千)委員 私は別にばらまけと言っているわけではなくて、その後できちっとやればいいということなんですよ。いろいろなことよりも、命を救うことというのはやはり最優先じゃないですかと。本当にもう死にかけたところに行って初めて保護になるというのでは、立ち上がることも、脱却することもできないんですよ。そういうことも言わなければならない。

 ちょっと飛ばしますけれども、一枚目に、「不正受給の状況」というデータもあります。

 これも、やはり保護費に占める不正受給の割合というのは〇・五%にすぎません。そして、その内訳は、稼働収入の無申告が四五・一%とか、過少申告が九・六%とかが圧倒的に多いですよね。だから、どちらかというと、うっかりだとか、あるいはよく制度を知らなかったということが多いのではないかと思うんです。ですから、悪意のあるものがあるとすれば、「その他」の部分かなと思うんですが、そこら辺を一緒くたにしてはならないと思うんです。

 その分析と、まさかそこに対しても全部厳しく罰金ということはないと思いますが、確認をさせてください。

桝屋副大臣 きょう、ずっと不正受給の話もこの委員会で出ておりますけれども、今回の制度見直しにおいて、罰則の引き上げでありますとか、あるいは不正受給に係る返還金の加算とか、かなり厳しい内容もあるわけでありますが、今委員からお話がございましたように、不正受給の中には、単に申告を忘れた、失念をした、あるいはちょっとおくれたとか、必ずしも悪質とは言えないものもあることは承知をしてございます。そういうケースを未然に防ぐため、収入申告義務の周知の徹底などに取り組んでいかなきゃならぬというふうに思っております。

 今申し上げましたように、こうした全てのケースに今回の制度見直し、罰則強化を適用する、一律機械的な適用を行うということを考えているわけではありません。あくまでも不正受給事案の内容に応じて適用を、それぞれ福祉事務所長の判断で行ってまいりたいと思っているところでございます。

    〔上川委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 そこで、問いをもとに戻しますが、生活保護のことが繰り返しテレビで取り上げられるようになって、私が昨年、一体特の委員会で質問したときに紹介をしたんですが、買い物に行くにも、買い物かごの中を見られているような気がする、肩身が狭いという声がありました。

 今回、家計の支援ということが盛り込まれたわけですけれども、保護課が、見せなさい、それも家計の管理の一環ですよとなったら、いよいよもって、見られているじゃなくて見せなきゃいけないのかと。領収書をとっておきなさいということもありますので、どこまでやるということなのか、具体的にお願いします。

村木政府参考人 今回、健康管理、それから適切な支出等々の把握ということをぜひ御本人にやっていただこうというふうに思って、法律に書き込んだところでございます。そういう意味では、このことの目的は、最後は自分で家計管理ができるようになっていただく、それから、お金の使い方を、上手に使っていただけるようになるということが今回の改正の目的でございます。

 収入、支出その他の生計の状況をきちんと把握するために、では、レシートをとっておきましょう、領収書を保存しましょう、それで家計簿をつけてみましょうというようなことを助言することでよりよく家計運営ができる人、もともとそういうところに課題を抱えていて、そこを指導すれば御本人の自立につながると思う方に限ってやっていきたいというふうに思っております。

 そういう意味では、全ての人に全部家計の状況を見せなさいということでやるということは考えていないところでございます。

高橋(千)委員 基本的には保護費を何に使うかというのは自由だということでよろしいですよね。

 やはりそれは、アルコール依存症ですとか、買い物依存症ですとか、病的に何か支援をやらなければならないということに対して支援をするというのはいろいろな仕組みをつくる必要があると思うんですけれども、何かそれが、本当にわずかな保護費の中でのささやかな楽しみまで全部管理をされるのかということがあってはならないわけです。

 しかし、現実にそれが条例になったのが、兵庫県の小野市の条例でありますけれども、ここは私は三つ問題があると思っています。

 それは、生活保護費だけではなくて、児童扶養手当とかその他福祉制度についての金銭給付についても対象になっている。もう一つは、パチンコ、競輪、競馬その他ということで、何か、範囲がどこまで広がるんだろうということ。そして三つ目が、市民に通報の責務を与えている。

 こうなるとさすがに、ささやかな楽しみどころか、パチンコをやる人は皆通報しなさいではないですけれども、そういう極端なことになってはならない。

 しかし、これは、別に、小野市が条例をつくったのが最初ですけれども、ホットラインということで、寝屋川などでも市民に通報を呼びかけていますし、不正受給を、やりますよということが余り強くなりますと、結局、監視社会ということに、市民が市民を監視する、そういう肩身の狭い社会になっていくおそれもあるわけですね。

 やはりそこは違うんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣に一言見解を伺いたいと思います。

田村国務大臣 適切でない生活保護費の使い方ということで事例を挙げられて、一定の見守りというような形でお考えになられたということだと思います。

 地方自治の中でそのようなお考え方、趣旨等々は、市長さんに話をお聞きしますと、見守りであるというようなお話でございますので、注目をしながら拝見をさせていただいております。

高橋(千)委員 見守りが監視にならないように、本当に、みんなで足を引っ張り合ってしまうというつらい社会には絶対ならないように、重ねて指摘をして、終わりたいと思います。

松本委員長 次回は、来る三十一日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.