衆議院

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第3号 平成25年11月6日(水曜日)

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平成二十五年十一月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      岩田 和親君    大久保三代君

      大串 正樹君    金子 恵美君

      菅家 一郎君    小松  裕君

      古賀  篤君    今野 智博君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      高鳥 修一君    高橋ひなこ君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      中谷 真一君    永山 文雄君

      藤原  崇君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    牧島かれん君

      松本  純君    三ッ林裕巳君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      吉川  赳君    大西 健介君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      浦野 靖人君    重徳 和彦君

      新原 秀人君    輿水 恵一君

      桝屋 敬悟君    柏倉 祐司君

      中島 克仁君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    須江 雅彦君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 星野 次彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐藤 敏信君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  香取 照幸君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 唐澤  剛君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  大久保三代君     藤原  崇君

  豊田真由子君     吉川  赳君

  三ッ林裕巳君     菅家 一郎君

  山下 貴司君     岩田 和親君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     中谷 真一君

  菅家 一郎君     牧島かれん君

  藤原  崇君     大久保三代君

  吉川  赳君     豊田真由子君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     山下 貴司君

  牧島かれん君     今野 智博君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     三ッ林裕巳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省統計局長須江雅彦君、財務省大臣官房審議官星野次彦君、文部科学省大臣官房審議官義本博司君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官樽見英樹君、医政局長原徳壽君、健康局長佐藤敏信君、雇用均等・児童家庭局長石井淳子君、老健局長原勝則君、保険局長木倉敬之君、年金局長香取照幸君、政策統括官唐澤剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子恵美君。

金子(恵)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の金子恵美でございます。

 貴重なお時間をいただき、質問に立たせていただくことに感謝いたします。

 時間の制約もございますので、早速質問に入らせていただきます。

 持続可能な社会保障制度の確立を図る上では、受益と負担の今後のあり方をどう方向転換していくのか、修正していくのかということを議論していかなければならないわけでありますが、受益と負担といいましても、保険料とサービス、いわゆる保険制度と、税、公費負担とサービス、いわゆる一般会計の、両方の世界で考えていかなければなりません。

 そこで、私は、主として、保険サイドの受益と負担の議論を先行させるのが前提であろうというふうに考えております。

 申すまでもなく、我が国の年金、医療、介護、ともに、これら、制度的には保険の制度でございまして、すなわち、社会保険の仕組みによっているわけでございます。その意味においても、私は、制度改革にはまず保険制度の見直しが不可欠である、予算編成やあるいは歳出の見直し等の前に、先行するのはこちらであるというふうに考えている者の一人であります。

 そこで、一般会計におきます社会保障関係費をめぐる議論の大前提として、そこに先立って、保険制度そのものへの言及、あるいは評価、そして検証、改善が示されることが望ましいというふうに考えておりますが、本プログラム工程期間中におきましては、この点に関する基本姿勢について、どのような展望のもとにおられるのかをまず冒頭にお伺いをいたします。

田村国務大臣 やはり、受益と負担のバランスのとれた持続可能な社会保障制度というものをどう構築するかということは、大変重要な点であるというふうに思います。保険制度を中心にそこを御議論されている委員のお考え方というものは、我々も大変すばらしい視点であるなというふうに思うわけでありますが、年金と医療、介護は若干違っておりまして、財源構成を考えますと、医療、介護は、自己負担と保険料と税であります。

 年金に関して申し上げれば、自己負担というものは事実上ない、自己負担というか、保険料はありますけれども、自己負担はないわけでありまして、税と保険料、これで、あとは給付というものとのバランスで考えているわけでありまして、ここは、平成十六年改正において、一応、数理計算上、成り立つような制度が今でき上がっているわけでありますから、一八・三%という、これは厚生年金でありますけれども、保険料の上限を超えないという範囲の中において、一定の給付を、給付水準と言った方がいいですか、これを保障するというような制度に今なっています。

 基礎年金の国庫負担二分の一は、これは税で、国費で負担するということでありますから、そのために消費税を今回引き上げるということにもなっておるわけでございまして、この部分と、それから医療、介護の部分。

 医療、介護に関しましては、介護は、第六次の介護保険事業計画というもの、この中において、いろいろな議論をこれからする中において、保険料のバランスというもの、自己負担のバランスというもの、こういうものを議論していくわけでありまして、今回、その中において、自己負担に関しては、所得のある方に関して二割負担をお願いさせていただくような提案を今させていただいている。これから最終的な議論の中に入ってくるわけでありますけれども、そういう状況であります。

 医療に関しましては、保険者によって違うものでありますから、協会けんぽ、組合健保、国民健康保険。国民健康保険に関しましては、自治体等々でそれぞれ保険者という形に今なっておりますから、この保険者をどうするのかという議論が国民会議の中でいろいろとなされてきたわけであります。

 いずれにいたしましても、今申し上げました税と保険料と自己負担、このバランスをどのようにとっていくかということが大変重要でありまして、それぞれの負担に関して、この額ならば、この水準ならば持続可能だなというふうに国民の皆様方に御理解をいただく、そのような努力をこれから払っていかなければならない、このように思っております。

金子(恵)委員 今大臣がおっしゃられたように、社会保険型と申しましても、私自身も冒頭申し上げました、現実には、その一方において、医療、介護はもちろんでありますが、基礎年金においては、公費負担論にありますように、やはり、租税の機能、いわゆる税原理に対する過分の投入があるということ、この現実。また、年金に関しては特例公債、もう持ち出すまでもなく、そうした政策の現実があるわけです。

 そこでお聞きしたいんですけれども、今大臣からもお話がありましたように、いわば保険の原理と税の原理、換言すれば保険料拠出原理と税の再分配原理、これに基づく考え方について、このプログラム法案においては、これまでの認識と同じ立場に立つのか、いやいや、今のお話のように、それはこれから新しい方向にしていかなければならないというお考えが既にあるのか、あるいはまた、これからそれは議論していくのかということを私は答弁いただきたいと思っております。

 また、世界的に見て、あるいは国際的に見て、どういった方向性が今メーンのストリームとなっているのかも、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。といいますのは、各国、多種多様な、それぞれで、その主たる一定の方向性、流れというのは認識をしていないんだということであれば、またその点も御教示いただければと思います。

土屋副大臣 お答えいたします。

 我が国の医療、介護、年金については、先ほどからお話が出ているように、社会保険方式が基本でございまして、国民皆保険、皆年金を現在実現している状態だと思います。

 ただし、近年では、高齢化が進展する中にあって、制度の持続可能性を確保するとともに、低所得者のさらなる負担軽減等を図るため、公費投入割合が増加の傾向にございます。

 二〇〇〇年時点では、保険料と公費負担の比率は七対三でありましたが、現在では、社会保障給付費約百十兆円のうち、約六割を保険料で、約四割を税、公債発行などで賄っている状況でございます。

 一方、各国の社会保障制度はそれぞれ異なっております。

 イギリス、スウェーデンは、医療等についても公費が中心であるため、保険料と公費が一対一の割合になっております。フランス、ドイツは、例えば医療について、保険料を主な財源とし、公費の投入は少なくなっております。一方で、子育て等に対する公的給付が比較的高いこともありまして、全体として見ますと、保険料と公費が六対四の割合となっております。アメリカは、もともと社会保障給付の対GDP比は少ない方ですが、その中でも、高齢者や低所得者に対する公的扶助に公費が投入されておりまして、保険料と公費が四・五対五・五の割合となっております。

 なお、保険料及び公費負担から成る社会保障財源の対GDP比については、日本は各国に比べて比較的低い割合となっているのが現状でございます。

 社会保障に対する考え方等は異なっており、保険料と公費の役割分担は各国それぞれ異なっている状況でございますが、我が国といたしましては、リスクをともに支え合う社会保険方式を基本としつつ、低所得者対策等の観点から公費を投入しているところであります。これからも、この考え方で進めてまいります。

金子(恵)委員 米国型と北欧型、それぞれあって、また、日本はその中流で今いっていたわけですけれども、これからまた深く議論をしていただくためにも、今般設置されます推進会議での議論、私自身も注視し、また期待をしていきたいと思っております。

 私がこれまでしてまいりましたような基本的な、原則的な考え方、また理論的な思考、論拠に関して、お伺いしたいもう一点がございます。それは、時間軸との関係についてであります。

 制度設計の基本原理といえども、五年、十年後の目標と、二十年、三十年後とでは、時間的な、時間軸において、また政策も変わってくると思われますし、当然、福祉政策においては、いわゆる臨時的な、暫定的な措置と、そして短期的な施策、あるいは中長期的な備え、さらには近未来思考、さまざまに、政策期間によって変わってくるのは当然のものというふうに思います。

 そこで、私がお聞きしたいのは、今次プログラム法案において、この制度設計と時間軸との関係において、どういったことを想定されて策定をされたのかでございます。

 公費負担や、また税原理への転換、移行というものを強調して主張されている方にも、なかなか、このことをお話しされる方、述べられる方は少ない。さらには、私的保険や自己努力へウエートを転換していくことを指摘される論者の方々にあっても、この点、制度設計、時間軸の設定は定かではないということを考えますと、時間スパンとは無関係、これは全く考慮なく制度設計をしていく、論じられているという嫌いがあると思いますので、ぜひここで、本法案審議の機会に、政府としてのお考えをお聞かせいただきたいと質問させていただきます。

原(勝)政府参考人 介護保険制度の例で申し上げますと、政策の内容については、私ども、地域包括ケアシステムを二〇二五年ごろまでに実現をしたいというような長期的な視点の中で施策を考えているところでございます。

 一方、プログラム法案五条三項におきまして、介護保険制度の見直しに係るスケジュールにつきましては、必要な措置を基本的に平成二十七年度を目途に講ずるものとし、このために必要な法律案を平成二十六年の通常国会に提出することを目指すこととしております。

 この考え方でございますけれども、これは、介護保険制度が、三年を一期として保険者である市町村が策定する介護保険事業計画に基づいて運営されており、次期計画期間が平成二十七年度から開始されることから、これに合わせたものでございます。

 また、介護保険事業計画は、各地域における必要なサービス量や費用の見込みを定めるものであることから、市町村等の保険者や被保険者、あるいはサービス事業者において混乱が生じないようにするために、次期計画期間の開始前に制度改正の内容を明らかにしておく必要があるということでございます。

金子(恵)委員 ありがとうございました。

 さて、医療分野で、例えばがん対策におきましても、地域においての診療連携拠点病院制度、あるいは相談支援センターの整備など、地域的な均てん化を図ることが目指されておりますし、精神医療においても、入院医療中心からコミュニティーへのシフトという課題がありますが、まさに地域支援体制の整備が急務とされております。

 医療だけでなく、福祉の分野においても、同じように、地域包括ケアという基盤整備が不可欠とされてきておりますけれども、私は、このような国政各般におきます地域重視、地域主義的な動向というのは必然であると思いますし、また、私自身は大変望ましい形というふうに受けとめております。

 とりわけ、社会福祉政策、福祉政策においては、本来、多くは住民の身近なものという、いわゆる近接性の原理を持ち出すまでもなく、地域におけるその責務というもの、使命というものはますます大きくなってくるものというふうに思っております。

 したがいまして、住民との近接性の関係にある基礎自治体、あるいは平成の大合併によって広域の再編となった基礎自治体が果たす役割は大きくなってくるにもかかわらず、残念ながら、基礎自治体の市町村が、地域における総合主体そしてまた公的責任主体としての責務を十全に果たすには、まだまだ社会福祉政策、社会福祉行政においての能力を高めていかなければならないというふうに考えております。

 前置きが長くなりましたけれども、今次プログラム工程において、プログラム期間中にあって、市町村が実施主体となる介護あるいは子育て支援の分野で、市町村に対する例えば人材、そしてまた財源、情報、ノウハウなどの支援強化策というものを考えておられるのかどうか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

土屋副大臣 お答えします。

 委員が御心配しているように、これから地方が担っていく形の中で、いろいろな情報を流しておりますけれども、まず、事業計画を策定して給付、事業を実施する。国、都道府県は、これを重層的に支えることとしております。

 本年の八月に、計画の作成指針である基本指針の案の提示や、先進事例の情報提供等を行ってまいりました。このほか、自治体関係者と丁寧に意見交換を行うとともに、内閣府の方を中心にして、自治体向け説明会を定期的、二、三カ月に一回ずつ行っております。また、ネットでも非常にわかりやすいように配信をしております。

 幅広い支援策を実施することにより、市町村が取り組みやすい環境を整備することとしております。

 引き続き、市町村と綿密に提携しながら、情報交換をして、本当に国民の皆様がよりよい介護、子育て支援を受けられるように、これからも整備を進めていきたいと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。ぜひとも、市町村との連携、よろしくお願いいたします。

 最後に、私、一言申し上げたいと思います。

 私は、市議会、県議会を経験させていただいたこともありまして、とりわけ基礎自治体、市町村、府県の自治体職員の皆さんの縦割り排除、そして総合化、一体化を求める声を感じているのやもしれませんが、今後、狭い省庁の利害、縄張りを超越して、これからの日本社会を見据えた中で、福祉、社会保障政策の全体、福祉政策の調整をしていく機能の強化をぜひ強めていただきたいと思います。

 今後、実務的に、厚労省において、特に、政策総合調整及び政策評価、具体的に、社会保障担当の政策統括官とその周辺体制をぜひとも支援強化していただきますことを最後に要望を申し添えまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 本会議に引き続きまして、いわゆるプログラム法案の質疑に入ってまいります。

 安倍政権は、成長戦略の中核に女性の活躍ということを置いてくださっています。大変評価をいたしております。それに基づきまして、待機児童解消の加速化プランですとか、また、子育て後の再就職、起業支援などにも取り組んでくださっております。また、今般の税と社会保障一体改革におきましても、消費税を子育て支援にしっかりと充てていくということは非常に意義があるというふうに思っております。

 ということで、女性の活躍という視点から、少子化対策についてまずお伺いをしてまいりたいと思います。

 女性が働くためには、やはり保育の整備は欠かせません。社会的インフラである保育所の整備が最重要であり、また、緊急の課題であります。

 待機児童解消につきまして、本年四月、待機児童解消の加速化プランを策定されました。二十七年度の子ども・子育て新システムのスタートを待たずに、それを前倒しして待機児童を解消していこうという画期的なプランであるというふうに思います。

 横浜市でも、非常に待機児童が多かったんですが、三年間の集中的な取り組みで、女性の市長がここに非常に力を入れて取り組んで、待機児童を解消させた、このような自治体もございます。

 待機児童解消加速化プラン、この着実な推進が求められております。そのためには、何といっても財源の確保、ここが課題であると思います。

 特に、認可保育所や小規模保育等、この施設整備費の積み増しですね。それから、小規模保育事業など新制度の先取りをしている施設、特に首都圏などにございますが、認可保育所に移行する意欲のある認可外保育施設への支援。そして、保育資格取得支援など保育士の人材確保対策。このようなものに対する予算の確保、これが最重要と考えます。

 これについてのお考えを伺います。

土屋副大臣 お答えいたします。

 今、待機児童解消加速プランについて非常に評価をいただきましたけれども、平成二十五年、二十六年で二十万人分、それから、保育ニーズのピークを迎える平成二十九年度末までに合わせて四十万人という大目標でございます。

 このため、今年度については、保育所運営費を確保するとともに、平成二十四年度予備費及び補正予算により積み増しをしまして、安心こども基金を活用して速やかに支援を行っているところでございます。

 今後は、この加速プランの推進に当たっては、保育所の整備費等について必要な財源を確保するとともに、平成二十六年度には、消費税の財源、これを活用しまして、今先生がおっしゃった、認可保育所の定員増に対応した運営費の確保とか、小規模保育事業、それから幼稚園の長時間預かり保育、認可を目指す認可外保育施設に対する運営費支援、そして保育士の処遇改善などを実施し、意欲ある地方自治体を強力に支援していこうと考えております。

 今後とも、地域のニーズに沿った取り組みができるよう、国としても全力で取り組んでいきたいと思います。

古屋(範)委員 子育て支援、また待機児童解消につきましては、地方自治体によりいろいろな事情がございます。ですので、ぜひとも、ここは緊密に協議をしながら進めていただきたい、このように思いますので、よろしくお願いいたします。

 十一月は児童虐待防止月間、オレンジリボン月間でございます。政務三役の皆様もオレンジリボンをつけていらっしゃるんですが、私たち公明党の女性委員会も、街頭で児童虐待防止を推進するなど、今、大きな運動を全国的に展開しております。

 こうした児童虐待の防止なども考えますと、妊娠、出産、それから出産後、ここへの切れ目ない支援というものが必要だということを強く感じます。

 昔のように、なかなか、家におばあちゃんたちがいて、大家族で子育てを応援してくれるというわけにもまいりません。やはり、出産をして孤立をしてしまったり、また、産後うつになったり、いろいろな課題に直面をしているというふうに思います。

 私も、先日、公明党の次世代育成支援本部で、先進的な取り組みをしております世田谷の産後ケアセンター桜新町に行ってまいりました。

 ここでは、出産後、授乳の指導を初めといたしまして、専門的なカウンセリングも行ってくれますし、当然、似たような状況のお母さんたちが集まって、食事をすることもできる、悩みをお互いに話すこともできる。そこにいらっしゃる方も、本当にここがあってよかったとおっしゃっていました。

 世田谷は確かに財政が豊かであって、一割負担ですので六千円台で一泊することができます。区外の人はその十倍ということなので、かなり高額なんですが、区外あるいは県外からも非常に要望が多くて、今、満杯の状態だそうでございます。やはり、産後さまざまな面でサポートが必要だ、そういうことではないかなというふうに思っております。専門スタッフが二十四時間体制で支援をしてくれているセンターでございます。

 しかし、このようないわばぜいたくな施設というのは、宿泊型のケア事業を行っている市町村は全国でわずか二%ということで、自宅訪問をして手伝う産後ヘルパー事業というのも一三%にとどまっておりまして、なかなかこれを行うのは難しいというのが現実でございます。

 そこで、厚生労働省は、来年度予算の概算要求で、妊娠、出産支援を大幅に強化して、産後ケア事業を含むモデル事業の実施を盛り込んでおります。全国四十市町村での実施を目指しているということでございます。

 こうした産後ケアを担う事業、世田谷のようなわけにはまいりませんが、既存の施設をフル活用していくなど、いろいろなことを知恵を絞って地域社会全体で子育てを応援していく、こういうことが重要ではないかと思いますが、これに関してのお考えを伺います。

土屋副大臣 まさに古屋先生のおっしゃるとおり、切れ目のない、妊娠から出産、出産後、子育て期のサポートが重要だと考えております。

 特に、出産後は疲れが出て、そして初めての経験でということであれば、本当に誰かにすがりたいという状況だと思いますけれども、おっしゃるとおり、核家族の中で、なかなか近所に頼れる人がいない中では、母子の健康面のサポートを本当に公的機関がしっかりと担うべきだと思っています。

 平成二十六年度概算要求において、妊産婦等の支援ニーズに応じ、必要な支援につなぐ母子保健コーディネーターの配置というのを進めてまいります。それから、退院直後の母子の心身のケアを行う産後ケア事業、それから、妊産婦の孤立感の解消を図るために相談支援を行う産前・産後サポート事業といった、各地域の特性に応じた切れ目ない支援を行うためのモデル事業の実施を盛り込んでおります。

 御指摘の世田谷区を初めとした各自治体の創意工夫ある取り組みも参考にしながら、妊産婦やその家族のニーズに沿った支援のあり方を検討していきたいと思います。

古屋(範)委員 児童虐待が起きてしまう一つの原因は、望まぬ妊娠であるとも言われております。妊娠に関してもきめ細かな丁寧な相談ができるような、そうした相談体制の拡充にも努めていただきたいと思っております。

 また、子育てに関して、少子化対策で非常に重要なのが、仕事と子育ての両立、ワーク・ライフ・バランスの確立であります。

 田村大臣が、この七月、育児休業期間中、雇用保険から支払われる育児休業給付金を五割から増額するということを発表になりました。私も、テレビで見て、非常にこれを応援していこうというふうにそのとき思いました。

 平成十九年三月、本委員会におきましても、男性の育児休業取得率を上げるために手厚い給付が必要だということを私も申し上げました。原則、子供が一歳になるまでの間は、休む前の賃金の五〇%が雇用保険から支払われていまして、夫婦ともに育休をとる場合には一年二カ月までとれる、これも前回の改正で、パパ・ママ育休プラス、私も国会で幾度となく取り上げて改正をさせました。

 これは、確かに、男性もとってください、とればプラスしますよという制度ではあったんですが、これがなかなかアップにつながってこないというのが実情です。それが、今回、大臣の御発言によりまして引き上げの方向に大きく動き出した、これは大変重要だと思っております。

 先日、十月二十九日の労働政策審議会雇用保険部会で、育児休業について、育児休業取得から半年間は給付率を六七%に引き上げる案が示されました。これをぜひ実行していただきたいと思っているんですが、これに向けての大臣の御決意を伺いたいと思います。

田村国務大臣 古屋委員には、日ごろから、両立支援を初め、本当に、子育て、いろいろな事業に対して御理解をいただいておりますこと、御協力をいただいておりますことに心から厚く御礼を申し上げる次第であります。

 以前から、古屋先生といろいろな話をさせていただく中で、やはり、育児休業給付五〇%、それはわかるけれども、もうちょっと引き上げられないかなというようなお話をいただいておりまして、私も、ここは非常に大きな課題だというふうに思っておりまして、大臣就任直後から、これの検討をいろいろしておりました。七月に担当局長に、やはりこれはもう、今の時代ですから、我々としてひとつ大きく一歩を踏み出すべきではないかという話をさせていただきまして、今回、このような案を労働政策審議会に提案をさせていただいたわけであります。

 一つは、男性の育児休業が非常に取得率が低いということがございます。今一・八九%、その前の調査では二・六三%だったので、ちょっと下がっちゃって残念なんですが。ただ、トレンドとしては上がったり下がったりしながら上がってきていますといっても、一・八九、二・六三ですから大した数字じゃないので、女性と比べるとまだまだ育児休業の取得率が低いという問題、これを何としても解消するためには、やはり一つは、財政的な問題というものが大きな課題として上がっております。

 半年間六七%ということであれば、これは理想型ですけれども、半分お母さんが取得していただいて半分お父さんが取得していただきますと、一年間でうまく六七%を夫婦ともで取得できるではないかということで、こういうような制度設計をさせていただきました。

 六七%ということは、実はこれは非課税、育児休業給付は非課税でありますし、あわせて社会保険料も免除でございますので、大体、育児休業をとる前の所得の八〇%ぐらいをカバーできるということでございますから、そうなれば、かなり財政的にはカバーできるのではないのかなというような思いも込めて、今般、このような提案をさせていただいております。

 これから、労使、いろいろと御議論をいただくわけでございますけれども、どうか御理解をいただいて、この実現に向かって労使とも御協力をいただければありがたいというふうに思っておりますし、我々もそのようなお願いをこれからもしっかりとさせていただいてまいりたい、このように思っております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 六七%ですと休業取得以前の八割の給与が保障されるということでございますので、これによって男性も育休をとってくれるのではないかということを期待しますし、子供を持つか持たないか、その大きな要因の一つというのは、男性が育児、家事をしてくれるかどうかというのが非常に大きいわけでありますので、少子化対策にとっても非常に重要なことだと思います。私ども応援してまいりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、医療の問題に移ってまいります。

 健康の維持増進についてお伺いをしていきたいと思います。

 高齢化、医療技術の高度化で、医療費が増加をしてしまう。その中で、健康の維持、疾病の予防、早期発見、これが医療費抑制の一つの大きな手段だろうというふうに思います。

 この法案の中で、「政府は、個人の選択を尊重しつつ、個人の健康管理、疾病の予防等の自助努力が喚起される仕組みの検討等を行い、個人の主体的な健康の維持増進への取組を奨励する」という一文が盛り込まれております。こうした疾病予防に向けて、どう積極的な施策を打っていくかということだと思います。

 まず、がん検診についてお伺いしたいと思っております。

 日本のがん検診率、受診率は、非常に低いですね。二〇%から三〇%台ということで、私たちも、がん対策法が成立をし、そして、それに基づいてがん対策推進基本計画がつくられ、五〇%を目指すということをしておりました。しかし、なかなか上がらないということで、私たちも平成二十年に、乳がん、子宮頸がんに関しましては無料の検診クーポンの発行をということを提案し、実現をさせたわけでございます。

 いろいろ調べましたら、やはり、アメリカでは八〇%、ニュージーランドは八七%、またフランス、イタリアなどでも七〇%台、お隣の韓国でも六〇%、このような受診率なのに、なぜ先進国日本がこのように低いのか、これには原因があると思います。

 そこで、無料検診クーポンを発行させたわけなんですね。それで、平成十九年と平成二十二年を比較した場合に、このクーポンを発行して受診率が四%から六%アップをしたわけです。

 しかしながら、クーポンをお配りしても受診をしないという方々がいるわけで、その後、受診率が横ばいになってきたということで、来年度の概算要求でこの縮小を厚生労働省が決めてしまったというわけですね。

 先日、私たち公明党の女性委員会で、日本医科大学の腫瘍内科、勝俣範之教授をお呼びいたしまして、がん検診率についての講演を伺いました。何が必要かといいますと、やはり、コール・リコール、個別受診勧奨が必要だというお話でございました。

 イギリスでは、このコール・リコールを行って、個別受診勧奨を行って七〇%の受診率になっている、対象者全員にコール・リコールをしているそうです。オーストラリアでは、このコール・リコールに選挙人名簿を使うことを許可しているそうです。ですから、選挙人名簿で、がん検診に行ったかどうか、このところを、個別の受診勧奨、そこまでしているということでございます。

 この無料クーポンを行って、自治体では送付先の名簿ができた。送っても、上がったものの、なかなか上がらない。ここへの今度はコール・リコール、個別の受診勧奨が必要だ。

 これには、何といっても財源が要ります。自治体にやれといっても、そういう人員も財源もありません。ぜひ、このクーポンの拡充、そして、乳がん、子宮頸がん、特にここにおきましては受診率のアップに向けた対策をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

赤石大臣政務官 おはようございます。

 古屋委員御指摘のように、日本の検診の受診率は、特定健診でもまだやっと四〇%ぐらいでありまして、私も検診の現場で働いてきましたけれども、どうしてこんなに上がらないんだろうか。

 企業健診はそこそこ行っているんですけれども、国保の健診はなかなか進まないというのは、一つには、私が思うには、やはりアクセスが悪いんだろう。例えば、勤務時間外にちゃんと検診をしてくれる施設があるかどうか、あるいは、土日でもやってくれるところがあるかどうか。そういうミスマッチの問題もかなりあるだろう。

 特に、子宮頸がんについては、これは、ワクチンを打っても、DNAのレンジからいえば、六七・七%しか効かないんです。三十数%はワクチンを打っても効かないわけで、絶対にこの検診の受診率を上げなきゃならない、そういうがんでもあります。

 特に、若年層の人が受診率が低いというのは非常に問題だなというふうに思っていまして、そういう意味で、我々もいろいろと検討しまして、検討会に一応こういうお願いをしたところ、コール・リコールというのは非常に重要であるということが、先生の御指摘のように、ありました。

 ということで、このコール・リコールを初めとするがん検診の受診率向上を図るためにもう少し具体的に進めたいし、また予算も、先生がおっしゃるように、これから年度末にかけて予算要求も進めていきたい、このように思っております。

古屋(範)委員 政務官、力強い御答弁、ありがとうございました。私たちも、党を挙げましてこのがん対策に力を入れ、年末の予算編成、また、その次に、あるかどうか、補正に向けましても全力を挙げていく決意でございますので、よろしくお願いいたします。

 次に、予防といえば、やはりワクチンということだと思います。

 さきの通常国会で、衆参両院で予防接種法改正案の附帯決議をつけました。四ワクチン、水痘、おたふく、成人用肺炎球菌、そしてB型肝炎、「安定的なワクチン供給体制や継続的な接種に要する財源を確保した上で、平成二十五年度末までに定期接種化の結論を得るように努めること。」このような附帯決議をつけました。

 この検討をしております予防接種・ワクチン分科会等では、検討の結果、四ワクチン及びロタウイルスワクチンのうち、水痘と成人用肺炎球菌ワクチンについては、技術的な課題を解消できる見通しになっているということでございます。四ワクチン全部一遍にいけばいいんですが、この二ワクチンについては諸課題が解消できるということでございます。

 この現在の検討状況について、まず端的に御説明をいただきたいと思います。

 そして、できるものから順に、二十六年度から定期接種化を進めていくべきではないか。中でも、水痘、成人用の肺炎球菌ワクチン、一刻も早く定期接種化をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 今議員の御質問にございましたように、平成二十五年三月の予防接種法改正時の附帯決議でございますけれども、この中で、四ワクチンについて平成二十五年度末までに一定の結論を得る、こういうことになっております。

 四ワクチン、すなわち水痘、おたふく風邪、それから成人用肺炎球菌、そしてB型肝炎、この四つになるわけですけれども、これは議員の御質問の中にもございましたように、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会で既にもう二回、基本方針部会でも六回開催しまして、専門家に精力的に御議論いただいているところでございます。

 これまでのところ、接種対象者をどうするのか、それから、接種回数やスケジュールといった技術的な部分でどうなのかということについては、おおむね議論が進んでいるというふうに思います。

 しかし、なお、技術的事項、安定的で安全なワクチンが供給できるのか、財源の確保はどうなのか、こういったことも含めまして、御質問の中にもありましたように、四ワクチン、それにロタも含めて、どういうワクチンから可能かどうかも含めて、今後、引き続き議論を進めて、本年度末までには結論が得られるよう進めてまいりたいと考えております。よろしくお願いします。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、四ワクチン、中でも二ワクチンの定期接種化、これは進めていかなければいけないと考えております。また、子宮頸がんワクチンにつきましては、その副反応のその後の調査について、三十八例を中心に、今、実態調査をしているということでございます。これも、ぜひ、慎重かつ着実に行っていただき、評価を行って対応をしていただきたいと思います。私たちも、この結果については注視をしていきたいと思っております。

 次に、国民健康保険に対する財政支援拡充についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 今般の社会保障プログラム法は、低所得者対策、ここが重要なポイントであると思っております。

 まず、高額療養費制度につきましては、私も非常に重要な政策であると思っております。公明党も重点政策に掲げてまいりました。しかし、ここの一般所得のところが、二百万強から七百七十万で、非常に、五百万円も年収の開きがある、ここの低所得の部分を引き下げるべきだと申し上げまして、ここの一般所得の中の所得の低い層、特に年収約二百十万から三百七十万未満の方々に対しては上限額を引き下げる、このような案で今検討していると伺っております。ぜひとも、高額療養費制度の見直しを実現していただきたいと思っております。

 そこで、政府は、持続可能な医療制度を構築するために、国民健康保険、ここに対する財政支援の拡充を掲げていらっしゃいます。この具体的な内容について御説明をいただきたい。

 また、国民健康保険、後期高齢者医療制度の低所得者の保険料負担の軽減措置、これは早急に実施をすべきと思います。これについてもお考えをお伺いいたします。

土屋副大臣 少子高齢化が進展する中で、医療保険制度の持続可能性を高める観点から、財政基盤の安定化や保険料負担の公平の確保を図ることは重要な課題であるのは、お互いの認識であります。

 特に、国民健康保険は、国民皆保険の基礎として重要な役割を果たしておりますが、低所得者や高齢で医療の必要が高い人が多く加入する構造となっており、財政基盤の強化を図る必要があると考えております。

 プログラム法案の中では、国民健康保険への財政支援の拡充、それから、国保、後期高齢者医療制度の低所得者の保険料負担の軽減を講ずることとされております。

 このうち、特に、低所得者の保険料負担の軽減については、平成二十六年度からの実施を目指し、税制改正要望を行っているところであり、後期高齢者医療の保険料も含め、早期実施に向けて取り組んでまいりたいと思います。

古屋(範)委員 最後、時間がなくなりましたが、介護について一問お伺いをしたいと思います。

 介護離職の問題でございます。無職で今介護をしている人が二百六十六万人、また、働きながら介護している人が二百九十万人。

 せんだって、高齢社会をよくする女性の会、樋口恵子さんほか有識者が、政府に対しまして、介護離職ゼロを目指す政策推進を求める要望書を大臣に提出されたということでございます。

 要望書では、仕事と介護の両立は、男女を問わず多くの働き手が直面する問題となると指摘をしまして、四十歳前後の離職は、生活設計を危うくする、企業は人材を失う、国は税や社会保障の担い手をなくす。介護離職、この防止の取り組みを求めていらっしゃいます。

 実際、介護する働き盛りの四十代、五十代の人は百七十万人、約六割を占めまして、その四割は男性、管理職として働きながら介護をする社員に限ると八割が男性ということで、非常に深刻でございます。育児・介護休業法の拡充もしなければならないのではないか、このように思います。

 こうした介護離職を防ぐためにも、働きながら介護をする人たちの側面支援を念頭に置いて介護保険制度を設計してはどうかと思います。

 例えば、要介護者本人のニーズだけではなく、介護する側の家族のニーズや利便性を考えてケアプランを作成できないか。また、育児・介護休業法の見直し。これは、一回三カ月となっている休業を、必要に応じて分割にしてとれないか、使い勝手がいいようにとれないか。

 また、働きながら介護ができる環境づくり、職場の環境づくり、こういう点も進めていかなければならないと思うんですが、これに対するお考えを伺います。

土屋副大臣 先生のおっしゃるように、仕事と介護の両立、環境整備は非常に重要なことだと思います。

 ケアプランの設計については、介護支援専門員は、利用者の家族の希望等も勘案して介護サービス計画を作成するとともに、作成後も、ケアプランの実施状況の把握のため、利用者及び家族等との連絡を継続的に行い、必要に応じてケアプランの変更を行っているところでございます。

 仕事と介護の両立支援策といたしましては、介護休業、介護休暇や介護のための短時間勤務制度、企業向け好事例集等の周知、それから、今年度、企業向けの仕事と介護の両立支援対応モデルを構築した上で、来年度にはその実証実験等を概算要求に盛り込む等、両立支援事業の拡充を図ることとしております。こうした取り組みによって、家族介護等を行う労働者の離職を防止して、就業を継続するための取り組みを進めていきたいと思います。

 それから、先生がおっしゃった、分割取得を可能とする介護休業制度、これについては、前回の育児・介護休業法で新設された介護休暇制度、これは年五日間なんですけれども、これも含めて、現行の育児・介護休業法の施行状況を見ながら、今後検討してまいりたいと思います。

古屋(範)委員 ありがとうございました。質問を終わります。

後藤委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 質問に先立ちまして、冒頭、先週金曜日に、薬事法の改正案の質疑の際に私の方から提案をさせていただきました、医薬品以外の、部外品やあるいは化粧品等への副作用報告、これをぜひ関係機関に通知をお出しいただいてというようなお話をしましたらば、早速、昨日付で関係機関に発出をいただいておりまして、私の方にもこの資料を頂戴しております。

 この点につきましては、田村大臣そしてまた厚生労働省当局の皆さんに、連休を挟んでですから、昨日ということであれば最速の対応をいただいているということでございますから、そういった対応をいただいておりますことに謝意を表したいと思います。

 では、質問に入りたいと思います。

 通告の前に、その通告に関連して、実は、きのう、党内の社会保障総合調査会というのをやっているんですが、そこで当局からヒアリングをさせていただいたわけですが、ちょっと私からすると聞き捨てならないやりとりというものがございまして、きょうの質疑にも関連しますので、まず、その点からお伺いをさせていただきたいと思います。

 これは、実は、党側の方からこういう質問の仕方をしたんですね。消費税が、今八パーは決まりましたが、一〇%に仮に上がらなくとも、今回のプログラム法、いわゆる社会保障の適正化、いわゆる負担増、これを実施するんですか、一〇%に上がらなくても、この予定しているプログラム法を含む適正化は実施するんですかと。こういう質問をした場合に、厚労省の社会保障担当の方から、実施するという趣旨のお答えが実はあったんですね。

 大臣も、恐らくこういう感覚を共有いただいていると思うんですが、国民の皆さんは、消費増税は、社会保障を充実する、あるいは安定化させる、そしてもちろん財政再建、こういったことのためにはある程度やむを得ない、こういうお考えの方々が、それでも半数程度なわけですね。

 そして、社会保障の充実、これは今いろいろな数字が出ていますが、我々の認識は、充実が三・八兆で、適正化が一・二兆で、プラマイ約二・八兆、こういった議論を昨年の一体改革法案成立に向けてやってきたわけですね。これを実施するにも、やはり消費税が一〇%にならないとできないわけですね。

 それなのに、一〇%に引き上げされなくとも、負担増だけが先行するというのは、これではもはや、我々が昨年合意した社会保障と税の一体改革とは別物になってしまいます。負担増が先行、充実は後回し、下手をすれば、これは言葉は悪いですけれども、食い逃げ法案のようなことになりかねないわけですね。きょう議論をするプログラム法案だけを成立させるようなことがあっては、これは私は、国民の皆さんの理解はいただけないと思うんですね。

 田村大臣、大臣は、消費税が一〇%に引き上がらなくとも負担増は予定どおり実施する、そういうお考えでいらっしゃいますか。

田村国務大臣 まず、負担増とおっしゃられますが、負担減の部分もありますし、いろいろな意味で対象の拡大という部分もございます。高額療養費などは、今まで、一定の所得階層で非常に上限額の幅が広かった、八万百円プラス一%。そこも区分けをして、所得の低いところは上限額を下げるというような議論もいただいていますから、何か今のお話ですと、そういうことも含めてやめろとおっしゃっておられるのかどうかも私は疑問でありますが、それはそれでおいておいて。

 消費税を一〇%に上げないということはないんです。上げるんです。ただ、上げる時期をどうするかということを、まだこれから検討するという話でありますから、未来永劫一〇%に上げないなんて我々は言っていないですよ、そんなことは。

 総理も、消費税を上げても、税収が実際問題下がってしまえば意味がないでしょうと。だから、ちゃんと税収が我々の目算どおり上がるような形、つまり、消費税を上げても税収が確保できるというような状況をつくろうということで、今いろいろと知恵を絞っていただいておるといいますか、いろいろなことをお考えいただいて対策を組んでいただいておるわけでありますので、一〇%には上げないなんという、そういう前提には立っておりません。基本的には、一〇%に上げるということを前提でございます。

 ですから、粛々と適正化をやっていくわけでありますし、三・八兆、一・二兆というような、皆様方がお出しになられた、三・八兆は充実、一・二兆は適正化、こういうような部分に関しても、中身をどうするかということはいろいろと精査をしなきゃいけないと思いますが、同じように、充実する部分と適正化する部分、それぞれあるということでございまして、その点は御理解いただきたいというふうに思います。

柚木委員 今、重要な御答弁をされたわけですね。一〇%に上げないということはない、こう明確に御答弁をいただきました。

 安倍総理は、来年末までには判断をするということを国会で答弁されていると思うんですね。上げないということはない、これは厚生労働大臣がこの国会の場で明言をいただいているわけですから、ぜひ安倍総理にもしっかりそのことはお伝えをいただきたいと思うんですね。

 ちょっと関連して、一〇%に上がる、上がらないというのが、実は、この後通告しております総合合算制度の実施スケジュール、それから財源確保、さらには制度設計、こういった内容にかかわってまいります。

 皆さんのお手元にも資料をおつけしていますが、実は、民主党政権下では、低所得者対策のいわば目玉政策として、医療、介護、保育、障害などのトータルでの負担上限制度として、総合合算制度を創設し、これは四千億円ですよ、財源を計上してまいりました。

 ところが、安倍政権になって、今、資料一にもおつけしておりますが、この総合合算制度の制度設計が全く進んでおりません。

 資料一を見てください。

 二月になって省内関係部局の職員による会議、二カ月後にまた会議、五月に視察をしておりますが、その後開かれたのは、我々がまさに社会保障調査会でさんざん指摘をして、そして、そのことに対応するためのまさに省内会議が十月十八日に開かれていて、いわば、四月九日の会議以降、実質半年以上も放置したまま全く協議すらしていないんですね。

 これは確かに、二ページ目をごらんいただくと、マイナンバー制度の導入工程を考えれば、制度面、実務面の課題をきちんと検討していく必要はあります。ただ、五%、最終的に八、一〇と上げる際の、ざっと言って国、地方合わせて十二兆五千億の増税分のうち、さっき言ったように三・八引く一・二の二・八兆円の充実分を考えたら、これは予算額でいえば七分の一ですからね、四千億円。大変な予算額を占めるこの総合合算制度について、ここまで半年も協議をしてこなかったというのは、これは国民の皆さんに大変に不誠実だと言わざるを得ません。

 そうでなくても、今回の社会保障制度改革プログラム法案は、負担増セット、負担増メニュー先行法案であり、本来であれば、充実と適正化はセットでなくてはならないのに、いまだ充実メニューは五千億円しか決まっていない中で、しかも、この総合合算制度は全く議論が進んでいない、こういう状況なわけです。

 田村大臣、社会保障と税の一体改革、世代間格差というのが主眼なわけですが、その目玉政策である総合合算制度、これは一体いつ実施するのか。それから二つ目、財源の四千億円、これは本当に確保されているんですか。以上二点、お答えください。

赤石大臣政務官 まず、先に、総合合算制度につきまして私の方から説明をさせていただきます。

 この制度については、平成二十四年度の税制抜本改革法の規定に基づきまして、社会保障、税番号制度の本格的な稼働、定着を前提に、所得や資産の把握の問題、執行面での対応の可能性を含め、さまざまな角度から総合的に導入について検討を行うこととしております。

 必要な財源につきましては、税制抜本改革法に沿って消費税率が一〇%に引き上げられ、増収分が満年度化した場合に社会保障の充実に向けられる二・八兆円程度に含まれておりますが、具体的な所要額については、今後、制度設計の中で検討してまいりたいと考えております。

柚木委員 では、私が質問して、今度は大臣に更々問いで聞きますのでお答えください。

 今、増収分が満年度化した場合、二・八兆に含まれているという御答弁があったんですけれども、これは本当にそうなんですか。今回、プログラム法案のこの資料、資料がお手元にあると思うから、事務方、あったら、この十五ページ目、まさに今の二・八兆のことが書いてあるので、ちょっと大臣にもごらんいただきたいんです。

 この二・八兆の中、私もきのう質問レクでやりとりしましたよ。確かに、まさに今お答えをいただいた二・八兆の説明が書いてあるんですね。ところが、私が説明を受けたのは、この「医療・介護」のところの、いろいろ一から五まで書いてあるんですが、これはどこに文字が、総合合算制度、どこにもないじゃないですか、どこに書いているんですかと言ったら、「など」の中に含まれると言うんですよ。

 しかし、いいかげんなことを言わないでほしいんですね。この二・八兆の、あるいはこの医療の一・五兆円程度、これは、私も当時、与党の中で担当として一緒に作成していて、中身はよく承知していますよ。一・五兆の中に含まれておりませんよ、この総合合算制度の四千億は。

 そして、よくよく見ると、私、ちょっとこれは驚いたんですが、この説明の左下に米粒のような字で、虫眼鏡で見ないと読めないような字で、「二〇一七年度時点では、」充実分は「三・二兆円程度の見込み。」と書いてあるんですね。

 この三・二兆円はどういう意味なのかなと考えたときに、ああそうか、総合合算制度の四千億円はこれに含まれていないのと、今、適正化の議論の一つであります、七十から七十四の前期高齢者を二割の本則負担に戻した場合に、二千億円の経費が捻出される、これは捻出されなかった場合には六千億円、充実分が減るんですね、大きいものでいえば。そういうようなことまでひょっとしたら見越して、我々が三・八兆と言っていたのが、既に、二〇一七年ですから満年度ですよ、当然、一五年で一〇パーになりますから、今御答弁あったように。

 一〇パーになっていても三・二兆円程度の見込みということは、六千億、我々のときより減るわけですが、ということはどういうことか。財源が、四千億円が、この充実分の二・八兆の中には入っていないんですよ。入っていないんです。

 私は、これは全部、どこに総合合算制度というのが入っているのかなと聞いて、いや、ないから、「など」と言うから、「など」というのは、これは一・五兆円の医療、介護の充実ですが。

 一緒にやったんですよ、皆さんと。四千億円、この四千億円がいわば財源も確保されていないのに、スケジュールだけは出てきていて、まさに今御答弁いただいた実施時期、それから財源確保、これは非常に不透明なわけですよ。

 しかも、皆さん、この資料の二ページ目をごらんください。

 今後の予定で、二十九年七月なんです、実際に運用開始が。一〇パーになるのは二十七年十月ですよ。二年ものタイムラグがあるんですよ。つまり、その間、四千億円、満年度で計上する、掛ける二年、八千億円もの財源が社会保障の充実に使われずに、下手をすれば、年間十兆円もの国土強靱化予算に流用されてしまいかねないじゃないですか。

 しかも、今、財源確保の上こういうスケジュール感で実施をされる、そういう趣旨の御答弁なんでしょうけれども、財源はこのプログラム法案の資料のどこを見ても書いていない。私は、こういったことで、このプログラム法案をどんどん審議する、場合によってはこの国会で採決するというようなことで、本当に国民の皆さんが御理解いただけるのか、ますます不安、不信が募る、こういうようなことになりかねないと思っているんですね。

 田村大臣、財源はどこに確保されているんですか。

田村国務大臣 まず、冒頭の消費税の話は、私は、要するに時期の話をさせていただいたということは御理解をください。つまり、上げるのは上げるんですが、総理がどの時点で上げるかということを今考えておられるという話でございますので、未来永劫上げないなんということはあり得ないということでお話をさせていただいたということでございますから、その前提で社会保障制度改革をやっておるということは御理解いただきたいと思います。

 その上で、まず、本当にお疑い深いなというふうに思うんですけれども、税法の抜本改革法に入っておりますから、これはやるんですね。やらなきゃならない。

 いつからやるかという話ですが、そもそも、税と社会保障の番号制度が動き出すのが、あなた方の制度設計でいっても、これはやはり平成二十八年の一月ですよね、そういうことでしょう。しかも、その時点では、やはりシステムだとかいろいろなものを医療機関等々に設置しなきゃいけない話でありますから、そのときはすぐに間に合うわけはなかなかないわけであります。

 だから、その後に、あなた方のとおりにやったとしてもなるわけですよ。つまり、消費税が一〇%に上がった、今のルールどおり、法律どおり上がったとしても、あなた方であってもタイムラグは生じるんです。この点は、我々が恣意的にタイムラグを使って何かしようなんて考えるわけがないわけでありまして、そこは御理解をいただきたい。

 その上で、今、柚木委員、一・五兆に四千億が入っていないというような、私はそうお聞きをしたわけですが、すると、あなた方のときも入っていないということですね。

 つまり、七千億円は子育てに使う、その上で六千億円は年金の福祉的給付に使う、その間が充実分であったわけで、そこは何ら変わっていないので、ここに入っていないと言われるということは、あなた方のときも入っていなかったということでございますから、我々は入っているので、この「など」という言葉になっておりますけれども、ここにしっかりと入っております。

柚木委員 そもそも我々のときには、充実分は三・八兆ですから、当然その中に入っているわけですよ。適正化が一・二兆で、プラマイ二・八兆。皆さん方の場合は、気がつけば、その三・八という数字じゃなくて、二・八というのが充実分としては明記されていますが、三・八という数字は、この間何度も部会で議論しているんですが、消えているんですね。適正化はこのプログラム法案を含めて一・二兆、粛々と進めていくというのが現政権のスタンスで、そこにギャップがある。

 我々は、その中に当然、四千億円の総合合算制度を含めて、一・五兆とは別。これは私もつくりましたからよく覚えていますので、一・五兆には入っていないけれども、我々は三・八兆の中に入れていますから。それがまず一つです。

 それで、私、ちょっと心配になってきているのが、この厚生労働委員会だけではなくて本国会で、消費税は上げさせていただくということを前提にいろいろな議論が厚生労働委員会で進んでいます。

 しかし、考えてみれば、昨年末の総選挙のときに国民の皆さんにお約束をしたのは、身を削らずして増税なし、つまり議員定数の削減。これは今どうなっているんだ、全く見えてこないというような、本当に国民の皆さんの不信があり、さらには、昨日の報道もありましたが、公務員制度改革は天下り緩和、そして今回、消費増税とは別に、アベノミクスを進めれば、当然、よくも悪くも物価上昇します、年金はこれから減額、そしてこのプログラム法で医療、介護は負担増、その上、この社会保障充実分の肝である総合合算制度、財源も不透明、実施も二年も先になる、こんな状況で、大臣、本当にこのプログラム法案だけ先行して採決してもいいんですか。

田村国務大臣 総合合算制度は、あなた方のスケジュールでいっても同じようなスケジュールになりますから、その点は歪曲してお話しなされるのはやめた方がいいと思います。あなた方と同じようなスケジュール、なるべく早くはやりますけれども、それで進めてまいりたいと思います。

 その上で……(発言する者あり)山井さんには、またあなたの質問のときにお答えいたしますので。いいですよ、今ここでやれば、時間がどんどん過ぎまして柚木先生の時間がなくなっちゃうので、何ならやってもいいですけれども……(柚木委員「いやいや、答弁、答弁」と呼ぶ)では、ちょっと静かにさせてくださいよ、本当に。理事なんですからルールは守りましょうよ。

後藤委員長 答弁を続けてください。

田村国務大臣 そういうことで、実際問題、二・八兆円の充実とおっしゃられましたけれども、これは実は消費税の使い道の中で示させていただいているんですね。

 ということは、これはネットの話でございまして、先ほど来、充実部分とそれからいろいろな部分で、効率化部分とかあってという話をさせていただきました。ネットが二・八でございますから、あなた方がお示しなされているものと何ら変わらないわけでありますので、この中にちゃんと入っておる。

 もちろん、それ以上の充実部分があって、それに対して効率化部分があって、ネットが二・八兆円でございますから、当然入っているというような御理解をしていただければ結構かというふうに思います。

柚木委員 入っているという御答弁だったんですが、これはもうちょっと詰めて議論をさせてもらいますね。私は、ここに明記されていないという認識なんですね、含まれていないと。これは入っているという認識でも、それでも結構ですよ。私は違うと。

 ただ、どっちにしても四千億は執行されないわけですよ。そうしたときに、当然のことながら、仮に今後、予算編成でいろいろな議論が、この後質問するんですが、執行されずに四千億、これがこの間、改革案には計上されているわけで、これは当然、私は充実分に回さなきゃいけないと思いますよ。それが一つ。

 それから、これはぜひ前倒しでの施行を議論してください、二十九年七月。確かに制度面、実務面の課題はあると思います。私、本当は内容の話もかなりさせてもらいたいんですけれども、きょうは余り時間がないから、制度設計の話はひょっとしたら金曜に回させてもらいますが、これはぜひ、半年間協議していなかったんですから、前倒しでやるための努力をしてもらいたいということを申し上げておきたいと思うんですね。

 それで、私、いろいろ心配になってくるのが、例えば社会保障の予算確保の上で心配なのが、一日の経済財政諮問会議、二〇一四年度予算編成の考え方について、こういうふうに考え方が提示されているんですね。

 社会保障を初めとする義務的経費を含め、聖域なく予算を抜本的に見直しとか、自然増を含む医療費の合理化、適正化、介護保険制度の効率化に取り組むべきとか、来年度予算では、そういったことを含めて、概算要求要望額の総額を三兆円圧縮すべきと提示されているんですよ。

 これは、大臣も御承知のように、今回の社会保障と税の一体改革で、まさに今の充実分の話、自然増については、後の世代への、後代へのという表現ですね、負担のツケ回しの軽減に明確に含まれている。これは文字も入っていますよ。

 なのに、こういう経済財政諮問会議の中で、来年度予算の中で、自然増も合理化、適正化、つまり削減ということであったら、まさにこの一体改革の約束違反になるわけですが、まさかこの自然増を、以前、医療崩壊とか介護難民とかいういろいろな言葉が、本当に社会問題になりました。毎年二千二百億円カットして、まさに小泉総理の時代にそういうことが起こった。そんなような自然増を削減する考え、これは、厚生労働大臣、ないですよね。ちょっと確認したいので。

田村国務大臣 民主党政権のときにも、効率化をしろという御意見はいろいろなところにあったと思います。それは、財政審でもそういう議論もあったと思います。

 しかし、厚生労働省としては、必要なものをやはり要求していかないと、社会保障というものは持続できないわけでありますから、私は厚生労働大臣として、必要なものをしっかりと要求してまいるということでございます。(発言する者あり)弱いですか、山井先生。どこが弱いんですかね。

柚木委員 必要なものを要求していくということなんですが、では、さらに、本当はあさって通告をしていたんですが、ちょっと心配なので、前倒しで確認をしたいので、通告にないんですけれども、診療報酬のこともお聞きします。

 きょうの報道にこういうふうに出ているんですね。これは、ちょっと間に合わなかったんですが、朝日新聞。「診療報酬、「改定率」で火花」「政府見直し作業 本格化」、医療界は引き上げを、財務省は引き上げ不要、こういうふうな報道が出ています。

 他方で、日本医師会の横倉会長。抑制策は問題だ、医療の拡充が経済成長に寄与するんだ、次期診療報酬改定に向けて、医療費をいかに抑制するかという財務省中心の声を牽制した、こういう報道も出ておりました。

 大臣、診療報酬改定、我々の政権のときには、この間質問でもお示しをさせていただいたこともありましたが、二〇一〇年度改定は十年ぶりのプラス改定、続く一二年度も二回連続でプラス改定という形で、医療崩壊に一定の歯どめがかかったと、現場からも私も直接声をかけていただいております。

 しかし、これはまだまだ道半ばでございまして、今後、まさにこの一体改革で、医療・介護連携、地域包括ケアシステム構築、在宅の推進などを考えた場合に、私は、実は、二〇一〇年、一二年、一四年を、私が当時与党の座長としてこの報酬改定を担当させていただいたときには、治療でいえば、一〇年度改定が止血の段階で、一二年度改定はリハビリを一生懸命して、そして、ホップ、ステップ、ジャンプで、一四年度改定で、まさに地域包括ケア、在宅の受け皿をしっかりと構築していくためのプラス改定、こういったことを掲げてやってきたのですね。

 大臣は、一日の閣議後の会見で、アベノミクスの影響などで物価や賃金が上がってくると、人件費についても、ある程度医療・介護分野の所得を上げるよう、これは甘利一体改革担当大臣からも要請を受けていると発言されて、医療機能の充実を図るため診療報酬上の対応を考えたいと考えを示されているんですね。

 大臣、これは診療報酬のプラス改定に前向きなお考えと受けとめてよろしいんですか。

田村国務大臣 まず、財務省は、つかさつかさで財政をしっかりと安定化させるところが財務省のお仕事でございますから、いろいろな御主張はされると思います。

 厚生労働省は、その中において、社会保障が持続可能で安定的である、そのような観点からいろいろな主張をするわけでありまして、それが全く同じ方向だということは民主党政権でもなかったわけでありますから、そこは御理解をいただいているんだというふうに思います。

 その上で、先般の記者会見で申し上げたのは、やはり、物価が上がる基調になってきておる、そして、我々は、所得、雇用の拡大もしていかなきゃならない、それが経済の好循環につながるんだ、こういうような主張をしてきておるわけでございまして、もちろん社会保障分野に関しましても、そのような意味ではその一翼を担っていくのであろうというふうに思っております。

 その上で、医療経済実態調査が出てまいりました。これをしっかりと分析もしなければなりませんが、適正なもの、適正な分だけ、我々は診療報酬をやはり要求していかなきゃならぬわけでありまして、その中には、今委員がおっしゃられた医療提供体制の見直し、この中において、病院、病床の機能分化、連携、さらには地域医療の受け皿の強化、こういう部分をしっかりとこれから整備していかなければなりません。

 その部分も、国民会議等々で御報告をいただいておりますとおり、一つは、診療報酬等々でその機能をやはりしっかりと担保していかなきゃならぬというような話でございますから、それをあわせたような要求をしてまいります。

柚木委員 そういう御答弁だと、もう少し詰めて確認をさせていただきたいんです。

 今おっしゃったことをやられるということは、二つ聞きたいんですが、一つは、ネットプラス改定、これはこの間やりとりをさせていただいていますけれども、ネットプラス改定ということを目指すのか。もう一点は、これは当然だと思いますが、医科本体をプラスにしないと財源は出てこないわけですから、そこはプラスという方向感で考えているのか。以上二点、御答弁ください。

田村国務大臣 ネットという言葉を聞くと、敏感になってしまうんですけれども。

 消費税部分に関して、ここで適正に、消費税の部分は、当然これは、上がるわけでありますから、確保をしなきゃならぬと思っております。それ以外の部分も、必要なものはしっかり確保しなきゃいけないということでございますから、先ほど来言っておりますようないろいろな諸要件がございますので、その必要額をしっかりと確保してまいるということであります。

柚木委員 ちょっと今の答弁だと心配ですね。

 消費税の上がる部分については、これはまさに、消費税の中に今回もう入っているんですね、八%段階でも。ですから、当然そこはもう確保されるという前提で考えたときに、本当にネットプラスになるのかどうなのかというのは、今の答弁ではおぼつかない。しかも、医科本体、せめてここは明確に御答弁いただけると思いましたが。

 大臣、あるいは与党の皆さんも、私たちの時代は、私も与党の医療・介護のPT座長ということだったんですが、本当に、大げさな話じゃなくて、我々の政権、できたこと、できなかったこと、たくさんあったわけです、それぞれ。

 しかし、命を守りたいから始まった政権の中で、まさにそこの根幹である診療報酬、マイナス改定などであったら、私は、当時の党の実務責任者として、胸に離党届を秘めて政調会長とも議論して、その後、私、財務省の政務官になりましたが、財務とも、皆さんが今PTでやっているように、我々、百人以上国会議員が集まって、そして、マイナス改定などということがあったら予算案に反対するぞと、それぐらいやって〇・〇〇四だったんですよ。

 つまり、本当にそういう覚悟が今の大臣の御答弁からは感じられないし、与党の皆さん、本当にこれは大丈夫なんですか、大臣の今の答弁で。せめて医科本体はプラスを目指すんだと、大臣、明確に御答弁されたらどうですか。

田村国務大臣 必要なものをしっかり確保するということを申し上げているわけであります。(発言する者あり)山井さん、どこがだめなんですか。もうちょっと詳しく教えていただけるとありがたいんですけれども。ついつい反応しちゃうので、申しわけありません。

 必要な分をしっかり確保するということでございますので、先ほど来言っておりますことを確保するためには、今、言いたくとも言えないこともいっぱいあるということでございますから、その点は、与党を経験されて政府の中にも入られた柚木委員でございますので、御理解をいただけるのではないかというふうに思います。

柚木委員 大臣、せっかく、きょうはやらずに、あさってまたやりますけれども、予防に五兆円とかいろいろ出しているんですから、ここはばあんと言われるべき場面ですよ、今の場面は。金曜日にもう一遍、ちょっとさらに詰めてやりとりさせてください。

 これはぜひ、この診療報酬改定、与党の皆さんも含めて、ここは本当にやっていただかないと、医療現場、現場の出身の議員さんもおられるでしょう、この状況の中で本当にしっかり対応していただかないと、これはまた、本当に、医療崩壊とか、介護の問題もこの間委員会で議論ありますよ。介護難民、要支援切りとか特養に入れないとか、いろいろなことになりかねませんから、ぜひ、少なくとも診療報酬改定プラスに向けて、大臣は当然、与党の皆さんもしっかりお取り組みいただきたい。

 私も超党派議連の勉強会を時々させていただいて、ちょっと恐縮なんですが、民主党の議員さんも確かに数が減ったからあれなんですけれども、与党自民党の議員さんの方がたくさん来られるんですよ。それぐらい皆さん関心をお持ちなんですから、ぜひこれはプラス改定、実現をいただきたいし、我々もしっかりとここはチェック、場合によっては後押ししますから、しっかりやってください。そうじゃないと、消費増税、これは理解を得られませんので、ぜひ、そう思います。

 ちょっと時間がないので、先ほど古屋委員から介護離職などについての対応を質疑されて、重要なところだと思うんですね。

 私も通告しておりまして、皆さんに報道の資料もおつけしているんですが、ちょっと皆さん、繰ってみてください。六ページ、「働き盛り 介護で離職」、こういうふうにあるわけですね。

 休業制度の取得は、何と百人中一人もいない、〇・〇六%ということでもございます。年間十万人の方々が介護離職をされているんですね。これは本当に私も深刻だなと思うんですね。

 なぜならば、今後、先ほど申し上げました、場合によっては、要支援切りのようなことが起こらないとも限らない、特養に入れない人も出てくるかもしれない。こういうような中で、しかも、この新聞記事を見ていただいてわかるように、介護をしながら働く人、七十以上はちょっと違いますが、どの年代でもやはり女性の方が圧倒的に多いんですね。

 私も実際、その離職の割合、これもその次のページ、調べて掲示していまして、ちなみに、出産、育児のためには年間百二十五万。この間、二十四年調査、百二十五万と四十九万。そして、それを割合で見ると、介護、看護の方で見てもらうと、全体の二・二%が、いわゆる離職理由のうちの介護、看護離職。男性が一%、女性が三・三%。ということは三・三倍も女性の方が介護離職が多いわけですね。

 そうすると、私が心配なのは、今回の介護保険制度改定等も含めて、ひょっとしたら、さらにそういう離職者がふえてしまう、かつ、その影響をより受けるのは女性の方、こういうことになると、これは、アベノミクス、安倍政権が進めている女性支援とも逆行してしまうことになります。

 さらに言えば、介護離職、看護離職というと、育休とか出産の部分、育児離職とかとは違うような気もしないわけでもないんですが、しかし、よくよく見ていただくと、例えば五十代なんかは、六十六万二千人の方が介護しながら今働いているわけです。まさにお子さんが、高校、大学とか、一番お金がかかるような年代に入っていて、そして、御主人も働かれて共働きの方も多くて、そういうような方であっても、場合によっては介護離職せざるを得ないというようなことまで考えると、これはある意味では育児支援でもあるわけですね。

 ですから、今回、先ほど副大臣の答弁がありましたが、それはそれとして進めていただくとして、私からは、まず、この介護離職、あるいは出産や育児離職も含めてなんですが、この対策について、やはり目標設定をして、年間十万人が、今後ふえていくことも含めて、プラマイで、例えばいつまでには何万人ぐらいを目指すんだと。本当は減らすと言ってほしいんですね。まず、そういう目標設定をしてほしいというのが一点目。

 時間がないので、もう一つまとめて聞きますが、具体策について。

 これは「働き盛り 介護で離職」のところに書いているんですが、介護をしながら働いている人が抱く不安の具体的内容について一番多いのが、自分の仕事をかわってくれる人がいない、これが、三割以上、三人に一人なんですね。

 こういったことに対応しようと思ったら、これは、実は厚労省の施策の中で、育児の方には代替要員の確保の支援策というものが制度として既にあるんですね。しかし、なぜか、残念ながら介護の方は、今ある現行制度、代替要員確保支援策に含まれていないんですね。

 ですから、例えば、今、厚労省としての施策のメニューにある代替要員確保支援の中に、育休だけでなしに、介護休についても含むというようなことを検討いただきたい。

 それから、これは二つ目、介護休業など両立支援制度を利用すると収入が減る。これは育休も同じ問題で、時間があれば、きょうこの後、育休給付金の引き上げもやりたいんですが、やはり介護休業も同じ問題があるわけですね。

 そう考えると、介護休業給付金、これについても、やはり育休給付金、今回大臣が引き上げの方向性を示されて、我々も超党派イクメン議連で一緒にやってきて、まさに悲願であるわけですよ。そこは、財源問題はちょっと私は違う視点があるんですが、しかし、介護休業給付金の引き上げについても、これはぜひ、制度が利用できるような水準まで引き上げを考えていただきたいんですよ。

 そういう具体策を講じないと、さっきの目標設定も意味をなしませんし、実際にこの厚労省の委託調査で、仕事をかわってくれる人がいない、介護休をとると収入が減るから生活していけない、こういうことで心配している人がいるから、そしてまた、逆に、もう介護で離職をしないと実際にやっていけないような認識が、ひょっとしたら、その下にある、両立支援制度がないとか、あるいは利用方法がわからないとか、どう組み合わせたらいいのかとか、人事評価に悪影響が出るとか、いろいろなこともある中で離職をしていくということでありますから、具体策をぜひ検討いただきたいんですね。

 今、二点申し上げました。代替要員の確保支援策、せっかくあるんですから、これは育休は対象になっているんですよ、介護休について実は対象になっていないんですよ。これはぜひ御検討いただきたい。

 もう一点は、やはり育休給付金。せっかく、これは引き上げ。確かに、育児、次世代支援、わかりますよ、先行。一緒にやっていますから。しかし、さっきも言いましたように、介護も次世代支援のウエートもあるんですから。だから、さっき言ったように、子育て中の方が介護離職をしなきゃいけない。

 もっと言うと、私は、ある報道を聞いてショックでしたよ。これだけ就職氷河期で、就職の内定をいただいた、しかし、御家庭の事情があるんでしょう、御家族の看護だったか介護のために内定を辞退している、そんな報道があって、私は本当に心を痛めました。

 介護についての離職についても、育休同様に、今二つ申し上げました、具体策をぜひ検討いただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 介護離職の問題は、我々も深刻に受けとめなきゃならないというふうに思っております。

 アンケートをとりますと、なぜ介護離職されたのか、一つは、時間的な融通がきかない、それから、似通った話なんですけれども、長時間労働で、これでは介護ができないというような、そういう御意見が多いようであります。

 介護離職の中身を見ますと、もちろん、本来離職したくないのに、介護をするために離職せざるを得ないというような方が七割。残りの三割は、みずからやはり御身内の介護をしたいということで、やめられる方々もおられるようであります。

 いずれにいたしましても、この問題を何とかしなければならないというふうに我々も考えておりまして、一つは、両立支援の対応モデルというもの、これを実証実験というような形で検証していこうと思っております。

 それから、両立支援等々含めて、いろいろな、介護休業、今言われたとおり、これをしっかりとっていただけるように、これは周知徹底もやっていかなければならないであろうと思っておりますし、中小企業の場合は、好事例集等々も含めて、周知徹底をさせていただかなきゃならないな、こんなふうに思っております。

 そもそも、介護保険で、そのような離職をせずとも対応できるような福祉サービスを、ちゃんとメニューをそろえていくということが一番の重要なところでありまして、これも進めてまいりたいと思っておりますし、そのような思いの中で、今、介護行政を進めております。

 今言われた点でありますけれども、まず代替要員の話でありますが、九十三日というような期間でございますから、代替要員を探して、手当てして、その後、帰ってこられた後に、その方に要するにおやめをいただくみたいな話では、手間もかかる話なので、実際問題ニーズがあるかどうか、ちょっと調査をさせていただきたいと思います。

 それから、介護休業での給付、これに対しても、育児もまだ上がっていないわけでありまして、今、それに対して御議論を労働政策審議会でいただいておりますが、これに対して上げたらどうだというようなお話はございます。

 そもそも、本人が、とりたいということ、あること自体もまだわかっておられないという方々も、育児休業よりもやはり多いと思いますので、そこの周知徹底もしなきゃなりませんが、当然、財源のかかる話でございますけれども、委員からこういう御提案でございますから、研究はさせていただきたいというふうに思います。

柚木委員 それぞれ、半歩前進というか、前向きな御答弁をいただいていると思いますね。ぜひ、対応モデルの実証検証、このモデル事業をやっていただくという御答弁、それからさらに、ニーズ調査をやっていただくことは重要だと思いますね。

 実は、私も、中小企業子育て支援助成金の質疑を以前させていただいたときに、同じ企業でも同じ人が二人目を産むと対象にならないとか、やはり現場からそういう声があって、提案をさせていただいて、改善をいただいている経緯もあるんですね。

 ですから、ぜひ現場、事業者とか、あるいはもちろん働く方々、ニーズ調査ということをおっしゃっていただきましたので、その上で、調査をするということは、評価、検証して施策に進めるということだと思いますので、ぜひ介護休についても代替要員確保の対象に私は加えていただきたいと思います。介護休業給付金の引き上げについても、やはり、申し上げましたが、育休と同様に子育て支援の側面もありますから、今、そのニーズについても御検討いただくということで、その結果、ぜひ前向きに進めていただきたいと思います。

 ちょっと時間がないので、あと最後、育休給付金の引き上げについてお尋ねをします。

 これも本当に、大臣とも一緒に超党派イクメン議連で取り組ませていただいて、一丁目一番地、この委員のメンバーの方にも本当に一緒に、お世話になって進めてまいりまして、この給付率の引き上げについては、私は、そのこと自体は望ましいと思うんですよ。

 ただ、話を伺うと、その引き上げの財源として、雇用保険特会の積立金が、財政審の議論も見ましたよ。そういう中でいろいろ調整されて、今回打ち出してこられていますが、本来は、やはり失業給付の国庫負担、本則に戻す、戻さないという議論がありますし、給付率も、当然、お金だけ出すんじゃなくて、就職支援法事業の強化というものとセットであるべきですが、給付率自体の引き上げも、例えばスウェーデンなんかは八割、そして再就職も容易、いろいろなことがありますから、本体の給付率引き上げというものが、私はやはり重要なのかなという視点がまず一つ。

 それから、非正規雇用の方々、これが私もちょっと、そういうことだったのかというのを教えていただいたんですが、育介法と、その給付については雇用保険法に規定があります。期間雇用者、つまり有期雇用の方は条件があって、同一事業主に引き続き雇用された期間が一年以上であることということがついていることによって、例えば、十一カ月でやめて育休に入ったときには、そういう制度を持っている企業だと育休はとれるんだけれども、給付金は受け取れないとか、保険料は納めているんですよ、その間も、その前の会社も。なのに育休給付金が受け取れない、こういうようなことがある。

 ちなみに、実はきのう、政府で、政労使会議三回目会合で、多様な働き方を推進。これは甘利大臣が、非正規労働者の正規化を促すため、キャリア形成の取り組みを進めるとともに、職場のニーズに合った多様な正社員の形が積極的に生み出され、その道筋の拡大が図られることが必要、政府としても、非正規労働者の処遇改善に向けた環境整備に積極的に取り組んでいきたいというようなことも言われている。

 ぜひ、大臣、やり方はいろいろあると思いますが、この非正規労働者の方も、例えば雇用保険財源から、育休の給付金を対象にする場合は、育介法、雇用保険法のそれぞれの育児休業給付部分を改正する。例えば、二年間で十二カ月の保険料納付を満たせばということで、同一事業主の一年間という要件はとるとか。

 仮に、一般財源で今後対応するような方向感がある場合には、育休法を同様に改正すれば、非正規の方であっても正規の方であっても、事業主規模のいかんにかかわらず、ちゃんと育児休業や給付金の対象になり、世の中の働く方の三分の一が非正規雇用者である時代に、まさに、雇用形態、事業主形態によらず子育てがしやすい社会となっていくと私は考えます。

 大臣、もちろん正規社員がふえていくことが望ましいわけですが、現状の非正規労働者の方々へ対策を講じることの重要性、子育ての公平性などを鑑みて、ぜひ、田村大臣の非正規雇用の方々への温かい答弁をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。(発言する者あり)これが最後。

後藤委員長 では、短くお願いいたします。

田村国務大臣 育児休業給付の引き上げということでは一致しておったというふうに思っておったんですが、今の委員のお話を聞いて非常に寂しい思いをいたしました。

 何だかんだいって、やはりそこの一点をまず突破しないと、それはいろいろな主張がそれぞれの団体にあると思います。でも、それを乗り越えて、私はこれをやりたいという思いの中で、労政審でも御議論いただいて、御理解をいただきたいなというふうに思っておりますので。

 もちろん、言われたような、国庫負担部分の本則に戻すということも重要でございますから、これも財源を確保してやっていかなきゃならぬというふうに思っておりますけれども、やはりここは、育児休業給付というものの引き上げ、一緒に協力して行動できればなという思いでございますから、またいろいろとこれは委員とお話し合いをさせていただければありがたいなというふうに思います。

 それから、非正規の部分でありますけれども、これはやはり、要するに、育児休業を取得することと給付というもの、これは一体的に運営をされておる制度の中の話でございますので、制度上、育児休業を取得できないことには、やはり給付もついてくるということと分離しますと、逆に、休業自体が受けられない方々もおられるわけであります、法制度にのっとらずにやったとしても。

 だから、そういう意味では、不公平も生まれてまいりますので、そこはやはり法律にのっとって、育児休業を受けられる方が育児休業給付を受けられるという形にするべきであろう、そうであるべきであろうというふうに思います。

柚木委員 これはまたあさってやりますので終わりますが、ぜひ、このプログラム法案の議論が、私、本当に、国土強靱化と税の一体改革というようなことにならないように、委員の皆さんにもお願いを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻でございます。

 端的にお答えをいただきますよう、お願い申し上げます。

 まず、今審議しているプログラム法なんですが、ちょっと端的にお答えいただきたいんですが、この法案というのは、二〇一五年十月に消費税が一〇%に上がる、これを前提としている法案でありますか。

田村国務大臣 消費税を一〇%に上げるということを前提に、このプログラム法案を出させていただいておるということであります。

長妻委員 それは、二〇一五年十月の一〇%を前提にしているということですか。

田村国務大臣 現行出させていただいておるのは、二〇一五年に一〇%に上げるということを前提に、提出をさせていただいておるということであります。

長妻委員 ということは、二〇一五年の十月に消費税が一〇%に上がらなければ、この法案は効力を失うという形になるんですか。どんな位置づけになるんでしょうか。

田村国務大臣 基本的に、そのときに必要な財源をどう確保するんだということはあろうと思いますけれども、この法律自体が、それによって法律が無効になるというような、そんな条文はございませんので、今の法律の中で運用していくという話だと思います。

長妻委員 そうすると、消費税が一〇%にならない場合、この法律の位置づけというのはどういうふうになるんですか。

田村国務大臣 例えば、消費税が上がる、一〇%になる期間がすごく延びた場合、大変な歳入欠陥が出てくるわけですよね。それが手当てできないというような話になれば、そのときに必要な法改正をせざるを得ないということは起こるかもわかりませんが、財政的な手当てができれば、この法律がそのまま機能をしていくということになろうと思います。

長妻委員 これは非常に不可解なのが、このプログラム法案とセットでこういう工程表を政府が出しておられますよね。皆さんも持っておられるんだと思いますけれども、これでいうと、例えば介護保険制度でいうと、必要な法律案を来年の通常国会に提出を目指す、こういうふうに書いてあって、負担の部分もかなり入っているわけであります。

 そうすると、さっき柚木委員も質問しましたけれども、消費税一〇%というのがかなり先になった、二〇一五年の十月じゃなくて、経済的な事情で二年先、三年先に先送りをされた、その場合でも、負担のところはもうやるわけですか。我々の理解では、一体改革ですから、充実のとき、充実の財源が消費税一〇パーで確保されると同時に、削減を一体的にやる、こういう計画だったんですが、削減は先行するということなんですか。

田村国務大臣 一年、二年でどうかという問題は、一年、二年、短期間ならば、そのときにいろいろな財政的な措置の仕方はあると思いますが、仮に、五年、十年消費税が上げられないというような、そんなことは想定しておりませんけれども、そんなことが仮に起これば、そのとき、必要な法改正はやらなければならないという話だと思います。

長妻委員 本来は、来年に法律を通常国会へ出すというよりは、これは二〇一五年の十月に消費税一〇%を閣議決定したとき、そういう削減の議論をする必要があるんじゃないのか。そうすると、六カ月前でありますから、来年の通常国会というよりは、再来年の決定後の臨時国会以降、こういうことではないかというふうに理解するんですが、なぜ通常国会なんですか。

田村国務大臣 やはり制度改正をするには準備期間が要りますから、そのための期間を逆算しますと、通常国会に多くの法律を提出させていただく。

 もう少し御説明をすれば、これは我々が特別なことをやっているわけではございませんでして、一体改革法の中に、推進法の中に、そもそも景気条項があるわけでありまして、消費税を上げることをストップすることができると書かれておるわけでありますから、そういうことは全体の中に想定を、もともと三党合意の中でもされている話でございます。

 経済が大変なときに消費税を上げるのをとめるんだということを、今、特別に我々が言い出したわけではございませんでして、もともと法律の中にそのようなことが書かれておることを勘案して、どうするかということを考えていくということだというふうに思います。

長妻委員 そういう意味では、一〇パーというのは二〇一五年十月、もちろんこれは確定をしていないわけでありますから、来年の通常国会に出る削減を含む法案には、消費税が一〇%に二〇一五年の十月に上がらない場合は、その実施を先送りするというような条項も入れる必要があるんじゃないでしょうか。いかがですか。

田村国務大臣 現在の状況で消費税を上げないというふうなわけでもありませんので、もしそうなったときには、法律改正も含めていろいろな議論はしなきゃならぬというふうには思いますけれども、現状は、消費税、法律にのっとった上での、今、流れの中におるわけでございますから、そういう意味からいたしまして、そのような条項を入れる必要があるのかどうなのか、ちょっと私、今、疑問であります。

長妻委員 今、一定の答弁があったと思うんですが、つまり、一〇%に二〇一五年の十月に上がらない場合はいろいろ法律改正の必要もあるんじゃないのか、こういう大臣の答弁があったので、それを同時に本当にやっていただかないと、一体改革は看板倒れになりますので。

 あと、大臣は、柚木委員の質問に、いやいや、負担先行とか言うけれども充実だってあるんだよというふうにおっしゃっておられるので、例えば、来年の四月から、充実と負担、差し引くとどっちが多いんですか、幾らぐらい。

田村国務大臣 私も勘違いしておりましたけれども、いつもおっしゃられているとおり、五千億という数字がまさに充実分でございますから、五千億充実をするということであります。

長妻委員 負担は幾らですか。

田村国務大臣 消費税分は、いつも御議論をいただいておりますとおり、三%負担はふえますけれども、その三%負担がふえれば八兆円でありますが、しかし、消費税を上げたときと収入が入るタイムラグが初年度は生じますので、五・一兆円が消費税負担増という話であります。

長妻委員 いや、お伺いしているのはそういうことではなくて、社会保障について削減をする部分、例えば、今御議論されているのは、高齢者の二割負担とか窓口の一割負担とかありましょう。それ以外もいろいろあるでしょうけれども、例えば来年の四月に、社会保障に限定すると、充実分、純増分と、削減部分というのは、大体幾ら幾らなんでしょうか。

田村国務大臣 ですから、五千億円の中で、負担軽減部分と、それから、適正化で逆に所得があったりして負担がふえる部分と、委員はこれが幾ら幾らだということを示せというお話だと思いますが、今それを議論いただいているわけでありまして、決まっていないのにお出しはできないわけであります。

 これが、それぞれの制度が固まりましたらば、計算をすればそれは出てまいりますけれども、現状、この五千億円という中においての充実の中で、その部分をどうするんだ、あとは、例えば医療提供体制の見直しにどれぐらい必要だとか、いろいろなものはあると思いますけれども、そういうものの中の範囲において、充実の部分と適正化の部分の相対比というものが出てくるというふうに、今のところはお答えをいたしておきます。

長妻委員 そうしましたら、八%というよりは、一〇%に上げた後の完成型というか、そういうときの議論をしたいと思うんです。

 今、お配りの資料の一ページ目でありますけれども、これは今の政府がおつくりになった資料でありますが、そうすると、この二・八兆円を充実するというのは、これはいつから二・八兆円、充実に使うんですか。

田村国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、消費税が満年度上がった部分のタイムラグ等々を計算しますと、平成二十九年に二・八兆円ということになります。

長妻委員 そして、この資料にあります、左の下ですね、先ほど柚木議員も指摘しました、「二〇一七年度時点では、三・二兆円程度の見込み。」というのは、これは、消費が上がって、一%が三・二兆円になる、こういうことで書かれているわけでありますか。

田村国務大臣 今言われているのは、左下の米のところですよね。

 米部分は、一番上の括弧の中で、社会保障・税という表題があって、その下に二行ありますが、下の行の「割合の二分の一への」、これは上の基礎年金国庫負担でありますけれども、「恒久的引上げ等」というところの米印がこの米印でございますので、ここは、基礎年金の国庫負担割合二分の一引き上げ分が三・二兆円ということであります。

長妻委員 そうすると、消費というのはいろいろ拡大したり縮小したりするわけで、消費税の一%が二・八兆円とは限らないわけであります。

 そういう意味では、この二・八兆円、二〇一七年度でしょうけれども、これが例えば大きくなったり少なくなったりするわけですが、基本的には、消費税の一%収入部分、これを充実に充てる、こういうことでよろしいんですか、二〇一七年度から。

田村国務大臣 これは皆さんがおつくりになられた制度設計で、それを三党で合意したわけでございますから、そのとおり、一%分を充実に使うということであります。

長妻委員 そうすると、きのうも自然増の議論があったと思うんですけれども、この自然増を例えば削減するということになると、例えば自然増を三千億削減した場合は、この二・八兆というのは純増、その差額の充実分でありますから、これが三・一兆に上がる。つまり、自然増を削減した部分の金額というのは、これは削減をしていますから、プラマイの純増ですから、充実が三・一兆になる、こういうような考え方でよろしいんですか。(田村国務大臣「もう一回言ってください」と呼ぶ)

 だから、例えば、自然増がありますよね、自然増を例えば三千億削減をする。そうすると、純増分が二・八兆円ですよね、充実が。差し引きで、二・八兆円を充実するんだから、そういう意味では、三千億削減をしているわけですから、充実分は三・一兆円になる、こういう基本的な考え方なわけですか。

田村国務大臣 自然増を減らすというのはちょっとイメージがわからないんですが、重点化、効率化した部分は、これは社会保障に使うという話になると思います。

長妻委員 そうすると、田村大臣、これは重要なところなんですが、例えば、この二・八兆円というのがありますね、充実の。これは、例えば、自然増を含めて効率化をして、例えばですよ、一兆円削れた場合は、そこに削った一兆円が上乗せになって三・八兆円が充実になる、こういう考え方なんですか。

田村国務大臣 いや、ですから、二・八兆は、要するに消費税一%分は、消費税一%分を充実に充てるわけですよね。そういうことですよね。効率化した部分は、これは社会保障に充てます。そういうことです。

長妻委員 そうすると、ちょっと我々のときの考え方と、同じだとおっしゃったのが、違ってくるんですよね。

 例えば、二ページ目をごらんいただきますと、これが三党合意をした昨年の資料ですね。

 これはどういう意味かというと、先ほども話が出ましたけれども、一・二兆円を効率化する、それで充実は三・八兆円をする、差額が、このときは二・七兆、消費税一%分は充実に充てる。つまり、削減した部分と充実した部分の純増部分が消費税一%で充実部分なんですよ、こういうような考え方なんですね。

 でも、今の御答弁だと、例えば、自然増を削減した場合、その削減部分が充実部分に上乗せにならないような趣旨の御答弁をされているのではないかと思うんですが、では、自然増を削減した金額は、一体どういうふうに扱われるんですか。

田村国務大臣 私の理解では、皆様方がお出しになった計画は、三・八兆充実、それから、適正化、つまり効率化で一・二兆、差額の二・七兆が消費税一%分、たまたまなったのではないという認識でありまして、財源五%消費税の中の一%、二・七兆円。

 二・七兆円という所与の数字があった上で、充実分がありますよね、それから、削減分といいますか効率化分がある。それを、ちょうどその一%に合うような充実分と削減になるから、ちょうどこの数字が出てくるので、もしあなたたちの計画が、これでもっと削減がふえちゃったら、では一%以上という話になるのかというと、そんな話ではなかったと思うので、これはもともと、そういう制度設計で一%という話でありますから。

 我々もそこは同じでありまして、とにかく一%、これを充実に回すということで、それに合わせてどれだけ充実をするのか、どれだけ削減をするのかという話でありますから。二・八兆円がふえるということではなくて、全体のバランスの中で、もっと充実したかったらもっと削減をする、余り充実を望まなかったらその分だけ効率化が減るというだけの話でございますので、何ら皆様方の、民主党の考え方と我々は違っているとは思っておりません。

長妻委員 消費税一〇%に上げるというのは、これは言うまでもなく大変なことで、国民の皆さんに、五パーから倍ですから。祈るような気持ちで充実分を待っておられる方も全国にもたくさんいらっしゃるわけです。

 そうしたら、ちょっとわかりやすく聞きますと、一ページ目ですね、政府がつくった資料。

 例えば、この一ページ目のとき、二〇一七年度の満年度の姿だと思いますが、例えば、自然増を三千億円圧縮したとすると、充実は三・一兆円になる、こういうことでよろしいのでございますか。

田村国務大臣 自然増を圧縮したとか、ちょっとよく意味がわからない、どうやって圧縮をされるか、ちょっとよくわからないんですが。

長妻委員 ちょっと田村大臣、どういうことで今おっしゃったのかわかりませんが、例えば、自民党は、民主党が政権をとる前に、二千二百億円一律に自然増をカットしたということがありますよね。

 つまり、自然増というのは、文字どおり自然にふえる、つまり、サービスを変えずに、今とサービスを変えなくても高齢化の進展で自動的というか自然にふえるのが自然増なんですね。これは厚労大臣に言うまでの話ではないんですけれども。ですから、その自然増の伸び、自然の伸びから、例えば自民党が以前やったように、二千二百億円一律にカットするということも何年かやったわけですよ。

 例えば、では、二〇一七年度に自然増を三千億円カットするとすれば、そうすると充実は、それが上乗せになって三・一兆円になるんですね、こういう確認です。

田村国務大臣 総理は、キャップをはめてそういうやり方はしないというふうに、これは予算委員会なんかでも言明されておられますので、そこは委員も御理解をいただいているというふうに思いますけれども。

長妻委員 ちょっとこれはかなり重要なところなんですよね。百万円、二百万円の話じゃないんですよ、金が。これはすごい、一〇%のお金の使い方なので、ちょっと曖昧にはできないんです。

 つまり、一律にカットするとか言っていませんよ、それはまた別の論点で、乱暴にカットするとか一律にカットじゃなくて、基本的な考え方ですよ。例えば、二〇一七年に、自然増、自然体でふえる部分をふやさないで三千億カットするということがあるとすれば、その部分は、充実の二・八兆プラス三千だから、充実は三・一兆になるんですねと。

 これが、だから、二ページ目の我々の考え方ですよ。それはそれでいいんですねということを、ただ聞いているだけなんです。

田村国務大臣 ちょっと議論を整理しましょうよ。

 消費税一〇%の使い道の話をしているんですよね。つまり、今、消費税一〇%になったときにどう使うかというのは、一つは、今ここに出ている、充実に二・八兆円使うわけですよ。それから、基礎年金の国庫負担二分の一に三・二兆円使うわけですよ。消費税がふえれば、いろいろなものの、医療に対する経費もふえますからね、そのまま消費税分だけ。だから、これで〇・八兆使うわけですよ。そして、今までのツケ回しという言い方がいいのかどうかわかりませんが、社会保障の安定という意味で、そこに七・三兆円使うわけですよね。合わせて十四兆円。(長妻委員「それはわかっているんですよ」と呼ぶ)

 いや、あなたの言っている意味が僕はよくわからないのは、二・八兆円、一%を充実に使う、それ以上に出てきたときはということは、今言ったどこが減るんですか、三千億円。三・二兆円の基礎年金から減るのか。それとも、消費税が上がったことによる影響の〇・八兆円から減るのか。それとも、今までの借金でおいねてきた社会保障分の七・四兆円が減るのか。

 それはどこかが減らないと、全体の、五%という数字は固定しているんですからね、消費税の。意味がよくわからないから、私はお答えができないと言っているんですよ。

長妻委員 田村大臣、もうちょっとよくお考えいただきたいんですが、例えば、では、例を言うと、過去、自民党政権のとき、民主党政権の前、二千二百億円カットするときに、いろいろなメニューを入れましたよ。例えば、生活保護の母子加算をなくすというのをやりましたよね、自然増を抑えるということで。

 例えば母子加算、金額でいうと数百億円ぐらいだったと思いますが、そうすると、自然増を抑えるという意味で例えばそういうメニューをカットして、数百億円、生活保護の部分はカットしたけれども、別のところ、これは生活保護なので今回の消費税のとは違いますけれども、例えば医療でもいいですよ、二千二百億を抑えるときに、医療の一部をカットしたわけですね、二千二百億の自然増を抑えるために。そうすると、その部分はカットしたけれども、では、医療を同じ金額、別のところで充実するということになると、その充実と、マイナス、カットした部分を差し引くと、ゼロになっちゃうわけですね。

 だから、充実の定義を聞いているんですよ。つまり、削減を削減をして、では削減をして足元から充実するのか。それだったら、二・八兆円を削減すれば、充実が二・八兆ということで、一%も純増の充実にならないですよ。

田村国務大臣 どう説明したらわかっていただけるのかが難しいんですが。

 いいですか。どこかカットして、その分だけ医療の負担がふえる、つまり効率化する。その効率化の部分は、当然、医療の充実に行くんですよ。行って、二・八兆円になるんです。でないと、消費税が、一〇%が合わなくなってくるわけですよ。仮に三千億円さらにそこからふえちゃったら、消費税をもっともらわなきゃいけないという話になっちゃうので。

 今、消費税の枠の中の話をしているんでしょう、一〇%の。そのうちの五%ですよ、上げた。その中の枠の話をしているのに、何か話が全然違うところに行っちゃっているものですから、話が拡散しちゃうので。

 その話をすれば、そういうこともやって、二・八兆円、充実分に充てるという話であります。ですから、その分は充実分に充てて、差し引き二・八兆円、一%分になるという話です。

長妻委員 これはちょっと、大臣、今の答弁もちょっと不可解なんですが。

 そうすると、充実の意味というのはどういうことなんでしょうかね。一%を充実するわけですよね。一%の消費税の増収分を充実に回すわけですよね。充実の定義というのは、純増なわけでしょう、純増。だって、充実一%、では、一%例えば社会保障の無駄を削って、一%沈ませて一%充実だったら、四パーでいいじゃないですか、増税は。わかりますか。

 消費税を、一%部分を充実するわけでしょう。そうすると、その充実というのは、では、効率化とどういう関係があるんですか。

田村国務大臣 多分、二・八兆円の中で何かを負担増にすると、その分だけ財源が浮いてくるんですよね。つまり、二・八兆円にならないわけですよ。充実化が、二・八兆円が二・五兆になっちゃうんです。二・五兆になると、二・八兆にならないですから、ほかのメニューで充実分を入れて二・八兆になるんです。

 というだけの話であって、二・八兆の中の枠が減って、こちらがふえて、二・八兆が維持できるというだけの、差し引きの話でありますから、そう御理解いただけないと、これ以上説明しても、ちょっとどうしようもないですね。

長妻委員 これは大臣、そうしたら、頭の体操で、極端な例を言うと、例えば、問題があるところも含めて二・八兆円、一年間の社会保障を削る、二〇一七年度に二・八兆円を削る。しかし、ほかで、似たような分野で二・八兆円をふやす、ふやしたということにして、そうすると、二・八兆円削って二・八兆円ふやすということで、プラマイでいうと、差し引き、充実はゼロだけれども、純増というか、足元から見ると二・八兆充実しました、こういう説明ができるということなんですか。

田村国務大臣 そもそも、充実の財源は消費税の一%分と決まっているんです。この二・八兆円のメニューというのはいろいろなものがあると思います。例えば、例えがいいかどうかわかりませんけれども、もうちょっと保険料を下げてほしいという要望がありますよね、それに仮に三千億円かかる。

 そうすると、二・八兆の中で、今あるものからさらに三千億円とろうと思うと、どこかで三千億円負担がふえないと、こっちの充実はできないわけでしょう。だから、こちらの三千億円、例えばお金持ちから三千億円たくさんもらって、ここは負担がふえるわけですよね、そのお金を低所得者のところの負担軽減に回す、こういう話なんじゃないですか。じゃないと、これ以上やっちゃうと、消費税を上げないと財源がとれないですよね、ほかの四%はもう使い道が決まっているんですから。

 そういう簡単な、私は算数だと思うんですけれども。

長妻委員 この二・八兆円というのは、だって、純増で二・八兆円じゃないんですか、これは。今の話は、例えば三千億を軽減してお金持ちから三千億取るということは、プラマイ・ゼロですよね。確かに充実は三千億というふうに見えますが、削減も三千億しているので、純増でいうと、これはプラマイ・ゼロなわけですよ。

 だから、これは、考え方として、二枚目と一枚目を比べると、かなり変わってきているんじゃないのかと思いますよ。つまり、削減に削減を重ねていく、そしてそこの足元から充実を二・八兆円だとなると、純増の差し引き部分の社会保障の充実でいうと、これは一%じゃなくなる可能性もあるわけですよ。

 だから、これはちょっと大臣とやっても時間があれなので、次回またやりますけれども、ぜひ、ちょっと整理をしてきていただきたいというふうに思います。

 次に、介護離職の話をいたします。

 このプログラム法の中にも、介護の件で、要支援を地方に移管するとか、いろいろなメニューがあります。

 例えば、六ページでございますが、きょうはJILPTの池田研究員を呼ぼうとしたんですが、自民党の反対でここに来ることができなかったわけでございます。例えば、親が軽度、重度にかかわらず認知症の場合はやはり介護する社員の方に体調悪化がある割合が高くなるとか、あるいは、深夜の介護をされている会社員の方は体調悪化が非常に多いとか、そういうデータを説明いただこうと思ったのでございますけれども。

 そして、きょうは総務省も来ておられますので、八ページ目でありますけれども、これも私、改めてデータを見てびっくりしたんです。

 五十から五十九歳の働いている人の中で、介護をしている人が九・一%、大体十人に一人の人が介護をしながら働いているということで、非常に大きさにびっくりしたんですが、この一連のデータを、総務省、説明いただけますか。

須江政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、介護、看護のために前職を離職した者の現状でございますが、平成二十四年十月実施の就業構造基本調査の結果では、過去五年間に介護、看護のために前職を離職した者は四十九万人で、うち、男性は十万人、女性は三十九万人となっております。

 また、不詳を除く総数で前職の離職時期ごとに見ますと、平成十九年十月からの一年間では九万人、平成二十年十月からの一年間では八万人、平成二十一年十月からの一年間では十万人、二十二年十月からの一年間では八万人、二十三年十月からの一年間では十万人というふうになっております。

 また、就業構造基本調査の結果では、有業者に占める介護をしている者の割合は全体で四・五%となっておりまして、これを年齢階級別に見ますと、四十歳未満では一・三%、四十歳から四十九歳では三・六%、五十歳から五十九歳では九・一%、六十歳から六十九歳では八・二%、七十歳以上では四・八%となっております。

長妻委員 今、働いている方の五十から五十九歳の方のうち、九・一%が介護をしている。ほぼ十人に一人もの方が介護をされている。

 私は、二つの保障というのが国家の礎だと思っているんですが、安全保障と社会保障。安全保障の危機というのは、これも当然、想定される危機もありますけれども、なかなか想定しにくい危機もある。ただ、社会保障の危機は、かなり想定ができるにもかかわらず、手を打たないということが間々あるわけで、この介護離職もその大きな部分だと思っております。

 例えば、二〇二五年には、団塊の世代全員が七十五歳以上になる。団塊の世代のお子さん、団塊ジュニアと言われる方々は、今恐らく三十五歳ちょっと過ぎぐらいだと思うんですね、ここにも議員の方でいらっしゃるかもしれませんけれども。

 となると、二〇二五年にどっと団塊の世代全員が七十五歳になるときに、そのときに団塊ジュニアの方は四十五歳ちょっとなんですね。後期高齢者になりますから、介護を受ける方がぐっとふえていくわけでありまして、これから十年後ぐらいになると、四十五歳過ぎの、四十七、八歳の団塊ジュニアの方が、親の面倒、親の介護はしなきゃいけない、しかも、子供が恐らく高校生とか大学生だと。

 このダブルで来て、かなり家計が破綻をしていく御家庭が続発をする、そして介護離職が急増するということは、今、容易に想像ができるわけであります。

 しかし、我々も政権を担っていましたから、我々の責任もあるんですけれども、ここが対策が非常に甘いわけで、これは大変なことになるのではないのかという強い懸念を持っているところであります。

 評論家の樋口恵子さんが、ことし九月に、介護離職ゼロをめざすための要望書というのを出されておられます。等々で、くるみんなどの企業の認証制度を介護でも広げるとか、大臣もいろいろ前向きだと聞いておりますけれども、この危機に対してどんな対策をするのか。

 ぜひ、厚生労働省の中でも、今、残念ながら、縦割りの状況が、例えば、雇児局にある職業家庭両立課、それと老健局などと本当の連携ができていないんじゃないか、こういう懸念もありますので、ぜひ、プロジェクトチームをつくって、介護離職を防止するためにかなり大がかりにやっていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

田村国務大臣 基本的には、そのような家族介護をしなくてもいいような形をつくれるということを目指していかなきゃならぬなというふうには思っておりますが、実際問題、それぞれ地域によっても介護の提供体制が違うということもございますし、それぞれ家庭の事情というのもあろうと思います。なかなか、理想型を追っておっても、その理想型にうまく当てはまっていかない御家庭もあられるというふうに思います。

 そういうような意味からいたしまして、介護離職の問題、我々も、大変大きな問題であるというふうな認識もいたしております。プロジェクトチームというのがいいのかどうか、これは別といたしまして、介護離職というものを真剣に考えるという意味では、厚生労働省も、しっかりこれに対しては対応をしてまいりたいというふうに思っております。

長妻委員 団塊ジュニアの方というのは兄弟が少ないということもありますし、十九ページには、生涯未婚もふえている。今、男性で五人に一人が一生結婚しない。二十年後には、三人に一人が一生結婚しない。つまり、家庭で親を支えるというよりは、一人で親を支えるという御家庭がふえていく。兄弟も少ない。

 専業主婦世帯は、二十ページにありますけれども、一九九七年前後から少数派の世帯になって、御存じのように、共働きの世帯が多数派となってしまっております。

 その意味で、申し入れをした樋口恵子さんもおっしゃっておられるんですが、やはり、専業主婦、御家庭に職を持っていない方がいらっしゃるという前提で介護サービスが成り立っているのではないのか、こういう反省、私もそういう反省がありますが。

 そういう意味で、樋口さんもおっしゃっているのは、まず、お一人様仕様の介護サービス。つまり、息子さん、支える人が一人の場合、あるいは、ひとり暮らし、つまり、支える人が誰もいないおひとり暮らしのお年寄り、そういう仕様のサービス、これに注目して組み立てる必要があるんじゃないか。もう一つは、老老介護仕様ということで、支える方が、介護する側がお年を召した方の場合。あるいは三番目として、就労継続仕様ということで、会社で働いている方、共働きも含めて、介護する人が全員働いている人。こういうような形での仕様をパターン化して、やはりサービスをしなきゃいけない。

 ケアマネジャーがケアプランをつくるときは、どうしても、介護を受ける側の状況のみにとらわれて、介護を支える側、介護する側の御家庭の事情や介護離職を防止するという観点が、ケアプラン作成時に非常に欠けているんじゃないのかというふうに思っておりますので、これについて、今申し上げた三つの、これまで重点にしていなかった家庭の御家族の姿に対応する介護サービスの検討もぜひ始めていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

田村国務大臣 樋口先生から、この間もお話を承らせていただきまして、大変勉強をさせていただきました。

 今委員がおっしゃられた、介護する方が御家族一人というパターンでちゃんと介護を受けられるような、そういう介護サービスの体制をモデルとしてつくっていく必要があるんじゃないかというようなお話でありました。

 今現状、例えば、地域包括ケアシステム等々の中において、定期巡回型の随時対応サービス、これは訪問介護・看護、両方入っておりますけれども、二十四時間型対応、皆様方が政権与党のときにおつくりになられた、そういう意味では、皆様方にとっても非常に思い入れのあるサービスだというふうに思いますが、これは、そもそも、お一人でお住まいである場合も含めて対応できるということを前提に、今、制度設計をされておるというのは、つくられた皆様方でありますから、御理解をいただいておると思います。

 そのほかにも、集い、訪問、宿泊、さらには小規模多機能型の居宅介護サービス、こういうようないろいろなものがある中において、高齢者一人であったとしても一応対応できるような形を目指して、今、サービスを充実すべく、介護政策を進めてきておるということであります。

 まだ十分でないところは重々理解いたしておりますが、それが十分できるような対応の方法も考えて、進めていかなければならないというふうに思っております。

長妻委員 それと、要支援を地方移管するということで、プログラム法にも書いてありますけれども、私も企業の方とも話しました。

 丸紅の人事部長の方とか、花王の人事の方とか、いろいろな取り組みをしている企業の方と話しますと、やはり夜間の介護、夜。保育は夜間保育とかありますけれども、介護の場合、当然、二十四時間型の巡回サービスはありますが、まだまだ普及していない。夜、介護、預かっていただいたり、ホームヘルプサービスがかなり充実しているということが大変重要だとおっしゃっておられるんです。

 要支援が地方に移管されますと、夜の、夜間の介護というのは、ちゃんとやっていただけるような体制というのは確保できるんですか。

田村国務大臣 一部の宿泊等はあるのかもわかりませんが、要支援で夜間のサービスというのは余り普及していないと思います。

 そもそも、身体機能が低下されている方は要介護になられますので、どういう方を想定しておっしゃっておられるのか、ちょっと私は認識しておりませんが、そういうニーズがあるかどうか、ちょっと確認をしてみます。

長妻委員 私も、要支援二の方、何人かお会いをしましたけれども、そんな、軽い方というイメージを大臣は持っておられるのかどうかわかりませんが、本当に、夜間も含めて支援が必要な方も中にはいらっしゃるわけで、これは地方に移管をして、我々民主党も地方の支部を通じて自治体にアンケートをしました。そうしましたら、全然そんな体制ないよという自治体もいっぱいあるわけですね。

 突然言われても困る、体制を整備しろといっても、なかなかそういう人、物、金の資源はありませんよ、こういう自治体もあるわけで、見切り発車でまた地方にばあんと移管すると、かつて自民党が介護療養病床をばあんと乱暴に削ったような、それでまたもとに戻ったような、そういう、受け皿なくこれを切っていくと、非常に介護離職がふえるんじゃないか、こういう懸念を強く持っております。

 きょう、内閣府の西村副大臣にもお出ましいただいているんですが、これは逆に、安倍総理もおっしゃる成長戦略にも大きなマイナスになるんじゃないのか。介護離職のみならず、育児、出産で離職される方が大変多い。

 これは、例えば、こういう離職をする方々のGDPに対する損失額というか、そういう試算をしていただいて、あるいは、税収とか保険料も減るわけでありますので、そういう大きな試算をして、であれば、社会保障に、それを支えるためにこれだけのお金を使う必要がある、こういうような声も出てくるはずでありますので、ぜひ、このGDPに対する影響の試算というのをしていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

西村副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 確かに、お一人の個人が離職をして所得が減少した場合には、その方の消費は減るというのは事実でありますし、その人が離れた職がそのまま、仮にどこかの会社のポストか何かが空席のままであれば、労働力人口が一人減るということですから、それは全体にもマイナスなんですけれども、しかし、その人が離職した後に、今失業している人がかわりにその職につけば、全体としては差し引きゼロというか、能力とか別にすれば、なりますので、なかなか一概に申し上げることは難しいというのが現実であります。

長妻委員 非常に後ろ向きなんですが、介護離職でやめても、ほかの人が、失業者が入るからいいじゃないかみたいな今話なんですけれども、これはスキルが全然違うと思うんですよね。

 例えば、介護離職する方というのは新入社員じゃないんですよ。これは四十代、五十代で、会社でいえば、本当に中堅幹部というか、会社を引っ張るような人たちが、ずっと長年勤めている方がそこでぽこっと抜けるときの日本経済に対する影響度というのは、これは私は、かなりはかり知れないものが今後あるんじゃないか。

 さっきの話ですけれども、団塊ジュニアの方がそういう立場になったときに大量に離職されるときに、そのときの経済損失額をぜひ出していただきたい。内閣府、いろいろな指標はいっぱい出されるんですが、これは目に見えない指標でもあると思うんですね。スキルが、付加価値、GDPに占める、どのぐらいの影響度があるのかということもぜひ御検討をいただきたいと思います。

 そして、最後にもう一つ、介護のみならず、非正規雇用の皆さんの問題で、特に年金の問題ですが、会社で働いているのに厚生年金に入れない方々が数百万人以上いて、その実態がわからないという問題であります。

 二十二ページに、厚生年金に入っていない方々の、一、二、三、三つの類型と、入っている方々の四番目を資料として配付しました。

 これは、結局、今、厚生年金に事業所は適用されているけれども、事業所が金を滞納したり未払いをしているというものが、厚生年金、協会けんぽ合わせて、事業主負担、個人負担も合わせて、年間六千五百五十六億円、取りっぱぐれがある。

 そして、二番目ですけれども、厚生年金に加入する義務はあるんだけれども、未加入である、加入していない。これは法令に反しているわけでありますけれども、この推計値を初めて、田村大臣はさきの予算委員会で、これは日本国政府として初めてですけれども、三百五十万人ぐらいいるのではないのか、こういう人数を出されました。

 そこで、三百五十万人の方々のどれだけ取りっぱぐれているのかということを、平均の厚生年金の保険料と、協会けんぽの平均の保険料を掛け算してみますと、両方合わせて年間三・五九兆円、つまり三・五兆円ぐらいが取りっぱぐれているのではないのか。

 三は、今のルール上では加入対象になっていない、ルールでは厚生年金に入れないでいい被用者ということで、こういう方々が大体四百万人近くいらっしゃる。将来の低年金、無年金の方々。この方々の、これは政府が出している資料で試算をしますと、医療、年金合わせて、事業主負担、個人負担合わせて一・〇八兆円ということで、これはちょっとべらぼうな数字なんです。

 特に、三番目は現行ルールで入れないでいいわけでありますから、これは我々が制度を改革するなり努力をするということなんですが、一、二の部分は、これは払わなきゃいけないものを払っていないわけですね。それぞれ推計値でありますけれども、両方を足し算すると、大体四・二兆円が取りっぱぐれているんですよ、一年間に四・二兆円、この前提でいうと。事業主負担は半額ですから、割る二でいくと、二・一兆円部分の事業主負担が取りっぱぐれている。

 こういうゆゆしき事態でありまして、これに対して、歳入庁を導入せよというふうに我々も申し上げておりますけれども、これは何らかの劇的な手法を使ってやらないと、なかなか、日本の年金、脆弱になって、将来生活保護に流れる方がどっとふえてしまうということではないかと思いますので、ぜひ、あくまで推計値でありますけれども、事業主負担だけで年間二・一兆円の取りっぱぐれ、これをどうするのかというのを本当に真剣に考えて対策を講じていただきたいと思うんですが、いかがですか。

田村国務大臣 三百五十万人の件が根本にありますから申し上げますが、これはもう質問主意書でいただいて、ちゃんと答弁も長妻委員にお渡しさせていただいていると思います。これは、三百五十万人、そういうようなお使われ方をするから、我々は余り情報を出したくなくなるんです。

 あれは、あの予算委員会で私もみんなの党の委員の方に答弁いたしましたけれども、みんなの党の試算の仕方で十兆円、実は取りっぱぐれがあるというお話をいただきました。ですから、そのみんなの党の試算の、計算根拠になる数字、それを、今我々がわかっている数字を入れると、そんなにはおられませんよ、一千万人おられるという話だったんですけれども、三百五十万人であります。

 そのとき、私は、これはあくまでもみんなの党の皆さんの試算でやってみたらこんな数字で、これが正しいというわけではございません、こういうお答え方をしております。

 ですから、この三百五十万人を我々は正しい数字として出した覚えはありませんが、ただ、みんなの党さんと話をする中において、議論のすり合わせをするために、みんなの党さんは一千万人おられると言われますけれども、三百五十万人、皆さんの計算であっても三百五十万人しかおられませんよという資料をお示しするために申し上げた話でありますので、そういう使われ方をしますと、そうじゃないと主意書でもうお答えをさせていただいておるはずなので、そういう使われ方をしますと非常に我々としても困りますので、そういう使われ方はできればしていただきたくないということで申し上げておる次第であります。

 あれは決して、三百五十万人、我々は認めた数字ではありません。そういうことであります。

 その上で、そうはいっても、未適用事業者、また未納者、こういう問題は大きな問題でございますから、例えば、法人登記簿でありますとか、あと雇用保険データ、こういうものを使ってしっかりと未適用事業者に対しては適用していくわけでありますし、場合によっては職権、さらには、未納者に対してはこれは強制徴収のような形、場合によっては国税庁と協力して対応していくという話であります。

長妻委員 そんなことでは、もう本当に実態も全然把握していないし、サンプル調査を我々はしろというふうに要請していますが、全然応えていないし、さっきの三百五十万人の数字も、大臣の答弁は全然違いますよ。ちゃんと答弁しているんですよ、漏れている人数ではないかと。ここに議事録がありますけれども。それで、答弁が失敗したからといって、後で取り繕うような話はやめていただきたいと思うんです。直視をしていただきたい。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、山井和則君。

山井委員 四十五分間、質問をさせていただきます。

 きょうは、要支援切りのこと、介護保険改正のことを中心に質問させていただきますが、本日も、現場のケアマネの方やホームヘルパーの方、高齢者の方々にも傍聴にお越しをいただいております。

 今回の、要支援を、今、長妻議員がおっしゃったような、市町村に丸投げしていく、移管していく、これは本当に、介護離職促進法案とも私は言えると思います。

 私も、両親が七十九歳と八十四歳で体が弱ってきておりますけれども、まず本当に、そういう親が弱ってきたときに、最初、この要支援になるわけですよね、すぐに要介護になるというより。そのときに、ホームヘルパーさんが来てくださる。ボランティアさんでなくて、しっかりとした資格を持ったホームヘルパーさんが来て、安否確認をしてくださる、体調確認をしてくださる。

 また、長妻議員の要求に対して厚生労働省が出してきた資料によりますと、要支援の方百万人の中でも、約五十万人が軽い認知症を負っておられる。認知症は、言うまでもなく早期発見、早期対応が一番重要であります。そういう意味では、一番重要である要支援の部分を切るというのは、非常に問題だというふうに思います。

 先日の私の質問に対して田村大臣がお答えになりました、一ページ目の配付資料にありますが、十年後には千六百四十七億円を抑制する。この提案、先週水曜日、介護保険部会で厚生労働省はしました。

 素朴な疑問として、消費増税をするのに、なぜ削減をするのか。効率化、重点化は必要です。でも、先ほど長妻議員が質問されたように、効率化、重点化が一・二兆だったら、三・八兆円は充実させる、その差し引きが二・六兆円なり二・八兆円だという考え方でありまして、今回の法案を一言で言うならば、社会保障制度改革法案ではないんです。改革は入っていないんです。

 民主党政権で、法制上の措置を講じると社会保障制度改革推進法で書いたときは、高齢者医療制度、年金制度の改革案を出して、消費増税の前提には、制度改革をして安定化させようという話だったのに、びっくり仰天、出てきたのはプログラム法。そして、中身を見たら、まさに先ほどからの質問に出ているように、事実上の社会保障削減法案になっているわけです。充実はどうなるかわからない。先ほどの田村大臣の答弁でも、二〇一五年の十月に消費税一〇%に上げるかどうかもわからない。

 そういう意味では、今後十年間で千七百億円も要支援をカットしていく。財源を一〇〇%確保して市町村に移管するならば、まだわからない部分はありません。でも、財源を減らしながら市町村に任せる、これは、どうぞ、市町村に悪者になって切ってもらってくださいということではありませんか。

 さらに、七十歳以上の高齢者の二割負担も、早ければ来年の四月から導入をする。しかし、田村大臣、申し上げたいのは、来年の四月というのは消費税八%に上がるときですよ。

 年金は今下がっています。消費税は来年四月に上がります。アベノミクスで物価も上がります。これだけで三重苦。さらに、老人医療費は上がり、介護保険も一定所得以上の人は二割負担。四重苦、五重苦。余りにもこれはひど過ぎませんか。

 田村大臣、御答弁をお願いします。

田村国務大臣 充実化するところ、それから重点化、効率化するところ、それぞれある中において、一%分、これは全体としてネットで充実に使うという話であります。

 提案をさせていただいた上で、今御議論をいただいて、最終的に皆さんの御理解をいただくのはどこら辺なのかというような話になってくるんだと思いますから、これはまだ議論をしておる最中だというふうに御理解をいただいて結構だと思います。

 ただ、どこかではやはり重点化、効率化しなきゃいけないですね、これは。

 これは、皆さん方もやはり同じように、介護予防等々で一千八百億円マイナス、つまり削減するという計画をおつくりになっておられる。これは中身はよくわかりませんよ、こういう書き方ですから。ですから、どこかではやらなきゃいけないということがある。

 ですから、仮に、今回、一千六百億という話がありましたけれども、一千六百億なのかどうなのか、ちょっと私は計算をし直してみなきゃわかりませんが、もし、それができなければ、どこかで同じようなことをやらなきゃいけない。何といっても一・二兆円、皆様方の計算でも削減をしなきゃならぬわけでありますから。そこは同じなんですよ。

 だから、そういうことを念頭に置きながら、建設的な、もし、こういうのがあるよというのをおっしゃっていただいて、皆さんが本当にこれなら納得するというような御提案をいただければ、ありがたいというふうに思います。

山井委員 今問題になっているのは、重点化、効率化も必要だけれども、充実部分が見えないんですね。

 さらに、今も、民主党政権でもとおっしゃいましたが、私たち民主党政権であれば、今回のような要支援切りはいたしません。なぜならば、これは重点化、効率化にはならないんです。長妻議員が質問したように、介護離職が大幅にふえますよ。今、年間十万人なのが、介護離職がふえます。さらに、認知症の方も、早期の生活援助のホームヘルプやデイサービスがなくなったら、悪化します。要介護になる人がふえます。

 これは絵に描いた餅で、千七百億円の削減なんかできませんよ。逆に、施設に入る人はふえる、要介護度が悪化する人がふえる。だから、そういう意味では、これは非常に問題なんです。

 それで、配付資料の十七ページにありますように、来年四月から五兆円、消費税収がふえます、来年四月以降五兆円。ところが、たった五千億円しか充実に行かない。民主党政権で考えた消費税一〇%のときには、安定化四パー、充実一パー、四対一なんです。ところが、来年の四月、五兆円のうちたった五千億円、九対一、十分の一に減ってしまっているわけです。私たちとしては、当然、せめて一兆円は充実に使うべきだと思います。

 なぜならば、田村大臣、今ちまたで言われているのは、消費税増税はやむを得ない、社会保障の充実、維持のためにはやむを得ない、でも、老人医療費は二割負担、介護保険二割負担、要支援カット、難病、小児慢性疾患の自己負担も一部では値上げ、社会保障を充実しているどころか負担先行の法案じゃないか、そういうことが言われているんですよ。

 これは、五千億は少な過ぎます。一兆円以上にふやすべきじゃないですか。いかがですか。

田村国務大臣 国民健康保険の低所得者の方々の負担軽減の拡大というものがあります。後期高齢者医療保険制度の被保険者の方々の低所得者の軽減の枠の拡大というものもあります。

 それから、高額療養費に関しては、三人家族で二百十万から七百七十万の世帯、ここが今、上限額八万百円プラス一%、こういうような枠で、二百十万と七百七十万が一緒、おかしいじゃないかと公明党の皆様方からも大変な御意見をいただいて、ここを、少なくとも二百十万から一定程度の所得層に関しては上限額を大幅に下げよう、そして負担を減らそうということもあります。

 医療提供体制で、要するに、今病院等々が、高度急性期も含めて、本来そこに入らなければならない方々が、それ以外の方々が入っているがために、救急のときに入れないというような問題がある。これに対しての対応もしっかりとやっていかなきゃならない。

 さらに、地域医療に関しても在宅医療の充実をしなきゃいけない。それに対しても応えていかなきゃならない。介護の機能もそうです。あなた方が進めてきた地域包括ケア、これも充実していかなきゃいけないわけでしょう、システムを。こういうものにもお金がかかる。

 だから、そういう充実分はあるんですよ。

 あなた方は、その重点化、効率化のところばかりおっしゃられますけれども、あなた方だってやらなきゃいけないんですよ、一兆二千億円。そのメニューは何も出さずに、こういうようなことばかり攻撃される、ミスリードされるのは、我々はちょっとやはり問題があると思います。

 五千億円の話に戻しますけれども、これは五兆円のうち、何遍も言いますけれども、あなた方、基礎年金国庫負担二分の一分、これは二・九五兆円ですよ。これを使わなくていい、これは借金で、赤字国債でいいというのなら、ここから持ってきましょうよ。でも、そういうわけにはいかないんでしょう。

 消費税が上がったら、当然医療も、先ほど来言っておりますけれども、その分だけ上がります。これが〇・二兆円あります。これをとるわけにいかないですよね。あと残るところは何かというと、一・四五兆円の、これは安定化のため、つまり赤字国債で今まで社会保障をツケ回していた部分に関しては、これは入れるんです。

 この〇・五兆円、これはまさに一〇%になったときのでき上がりと同じ比率で、今案分しているんですよ、その基礎年金国庫負担分を抜いた上で。ですから、これをもし案分を変えれば、赤字国債でツケ回す分がふえるだけであって、それはまさに赤字国債で社会保障を今までやってきた構造と変わらないという話でありますから、そこはやはり問題があるのではないかと、合理的に私は御説明をさせていただいておりますけれども、何か御反論ありますでしょうか。

山井委員 田村大臣、限られた時間ですから、もう少し端的に答えてください。できないのであれば、できないと言ってくださったら結構ですから。

 それで、案分した配分は、一〇%のときは安定化四に対して充実一なんです。四対一なんです。ところが、来年四月は九対一。たった一〇%に半減してしまっているんです。

 それで、今、赤字国債の話がありましたが、この資料の二十一ページ。

 一方では社会保障に回すお金がないといいながら、私たち驚いたのは、増収が五兆円なのに、五兆円また景気対策を一緒にやってしまう。おまけに、この二十一ページの資料にもありますように、二兆円、公共投資。そして、十年間で約二百兆円、国土強靱化をやるということも聞いております。

 結局、これは社会保障と税の一体改革じゃなくなって、国土強靱化と税の一体改革に変質してしまっていると私たちは思うんです。社会保障と税の一体改革だったら、社会保障の充実が見えないとだめです。全く見えないんです。これは別に私が言っているわけではありません。多くの国民の人たちがそう思っているわけであります。

 それで、お聞きしたいと思います。(発言する者あり)今、自民党の方から、コンクリートも必要だという話がありましたが、消費税増税は少なくともコンクリートのためじゃないんですよ。そこははっきりさせないと、国民に対して約束違反になるんですよ。五千億しか充実がないのに、二兆円も公共事業に使う。お金に色はついていないから、これでは事実上、国土強靱化と税の一体改革じゃないですか。

 これは、今後、痛みを伴う改革、ある程度は社会保障に対して必要です。ところが、それは、公共事業も抑えます、みんな我慢しますからというときであって、一方では公共事業にたくさんお金を使って、社会保障の、難病や小児慢性疾患の方々の自己負担を上げますと言って、理解を得られるはずないじゃないですか。

 それでは、この要支援切りについてですが、私、今回驚いたことがあるんです。この一ページ目を見てください、先週の介護保険部会の資料。

 訪問介護、約六十万人の要支援の方々が今、生活援助、家事援助のホームヘルプを受けておられます。

 ところが、私、びっくりしたのは、この厚生労働省の配付資料によると、何と、今回、地域支援事業になったら、今までの訪問介護事業所は「身体介護等の訪問介護」で、生活援助を基本的にはやらない、そういう提案をしているんですね。これはびっくり仰天。

 田村大臣、先ほど、地域包括ケアシステムを充実させますとか言ったけれども、充実どころか、大改悪じゃないですか、こんなもの。

 今、全国で数万人あるいは十万人近い生活援助のホームヘルパーさんが、必死になって、献身的に六十万人の要支援の高齢者を支えているんですよ。それによって、要介護度がアップしないとか、認知症が進行しないとか、家族が離職せずに仕事をできるとか、献身的に、安い賃金で支えてくださっているんですよ。

 それに対して、そのことの重要性を全く検証することもなく、何ですか、この資料。生活援助は、NPO、民間事業者。何か聞くところによると、お掃除業者とかそういう専門業者にさせたらいい、あるいはボランティアにさせたらいいと。今、六十万人の方が、ほとんどが訪問介護事業所から生活援助を受けておられるんです。受けられなくなるんですか。

田村国務大臣 いろいろと申されましたので、一つずつ御答弁いたします。

 まず、二百兆円公共事業に使うということは、そんなことは一切我が内閣で申したことはございませんので、そういうことを書いているメディアもあるかもわかりませんけれども、その誤解は解いていただきたいというふうに思います。

 それから、消費税は、法律で社会保障に使うと書いてあるんです。使わなかったら、法律違反を安倍内閣が犯すことになりますので、そんなことをやるわけがないというふうに御理解をいただきたいと思います。

 それから、確かに、難病対策に関しましては、今、どのような形で、どのような所得階層に、どれぐらいの負担の程度をお願いするのか、また、低所得者の方々に対してどう配慮するのか、さらには、長期にわたって高額の医療を受けられる方々に対してどのような対応をするのかという観点から、いろいろな御議論をいただいております。

 一方で、医療助成の対象範囲も大幅に引き上げようということも考えておりますし、それにあわせて、総合支援法の枠、福祉サービスも使えるようにということで、これは分けている。(山井委員「質問に答えてください。時間稼ぎはやめてください」と呼ぶ)いや、これは山井さんがそうやっておっしゃったから、一つ一つ御答弁させていただいているので。あなたがおっしゃられないことに対しては私は答弁いたしませんから、そこは御理解ください。

 その上で、今のお話でありますが、この点に関しては、実は、生活支援サービス、援助、これは、この中の一番上の「既存の訪問介護事業所による身体介護等」に入っているんですが、確かにこれはわかりづらいので、これはおわび申し上げます。この中に入っているんです。私もこれを見て、入っていないじゃないかと確認したんですが、入っているんです。だから、できます。

 ただ、できるのに例示としてちゃんと書いていなかったというのは、これは私の方からも、こういうものに対しては、やれるものをもうちょっと細かく書きなさいというふうに指導しておきましたので、この点を書いていなかった点、「等」に入っている点に関してはおわびを申し上げます。

山井委員 私、本当にびっくり仰天。六十万人の要支援の方々を支えている生活援助サービスを「等」に入れる。とんでもない。それは失礼ですよ。どういう意味ですか、それは。今やっているメーンは生活援助なんですよ、六十万人も利用している。「等」で読めるはずないじゃないですか。「等」に入れるという神経が私はわかりません。失礼ですよ、それは。利用している方に対しても、ホームヘルパーさんに対しても。

 では、次の介護保険部会で、既存の訪問介護事業者による身体介護、生活援助の訪問介護と修正した資料を出すということでいいですね。

田村国務大臣 入っていなかったことを申しわけないとおわびを申し上げているので、その点に関して、明確にここで私は、ちゃんと入っていますよと申し上げているんですから、余り声を荒げないでください。私も気がちっちゃいので、そうやって言われると胸がばくばくしちゃいますから、よろしくお願いいたしたいと思います。

 その上で、本当に申しわけない話なので、次回の資料にはちゃんと明示をさせていただきますので、それで御理解をいただきますように、よろしくお願いいたします。

山井委員 資料を訂正するのは当たり前です。

 問題は、でも、こういう考えがあるからこういう資料になっているわけでしょう、はっきり言って。そういう、もう生活援助は既存の訪問介護事業所にさせなくて、メーンは身体介護にするという考えだから、こういう資料になったんじゃないんですか。

 では、田村大臣にお聞きしますが、今までどおり、生活援助を既存の介護事業者から、要支援の高齢者は、地域支援事業になってからも利用できるんですか。

田村国務大臣 それはもう委員も御承知のとおり、それぞれの要支援者の状態像、これに応じてケアマネジャーがしっかりケアマネジメントするわけでありまして、その中で必要であれば、当然受けられるという話であります。

山井委員 その必要であればが、くせ者なんです。

 例えば、前回も傍聴に来てくださっていましたけれども、三ページ、このKさんという方は、今、週に二回のホームヘルプを受けておられます、家事援助。要支援二。息子さんも要支援二で、脳卒中で倒れられて介護が必要。要支援二のこのKさんが、要支援二の息子さんを、ホームヘルプを利用することによって、サービスを利用されているわけです。

 必要に応じてなんですが、必要に応じてでサービスがカットされたら、これはたまらないわけです。今の制度であれば、普通に考えたら、要介護度、要支援二が変わらなかったら、同じサービスを利用できますよね。

 そうしたら、田村大臣、今の制度から地域支援事業に移っても、今の制度と同様にホームヘルプサービスは利用し続けられるということですね。その必要に応じての判断は、今の制度と地域支援事業で変わらないと理解していいですか。

田村国務大臣 ケアマネジャーがマネジメントをされますので、必要に応じというのはどういうことかというと、その方にとってそれが必要なサービスならば、それは受けられる。つまり、今も同じでありますから、今必要であるということで受けられておられるのであるならば、必要であるのですから、受けられるという話になろうと思います。

山井委員 そこは重要ですよ。

 制度が変わっても、受けられるサービスは変わらないということですね。そこは重要ですよ。大臣、答弁してください。

田村国務大臣 ですから、ケアマネジャーの方が御判断をされるわけですから、そこで、生活されるのに必要なサービスだというふうにケアマネジメントをされれば、それは今までどおり受けられるという話であります。

山井委員 以前の介護保険改正でも、その趣旨の答弁を厚生労働大臣からいただいて、二年後にはサービスは半分にカットされていました、残念ながら。ですから、必要に応じてといって、そのとき私が厚生労働省から言われてびっくりしたのは、いや、市町村の判断でそうされたようですと。それで終わりなんです。

 だから、田村大臣、これは前回から聞いていても、キーワードは、必要に応じて、必要に応じてということですが、では、この四ページ目、ここに何と書いてあるか。介護保険部会、先週の資料です。既にサービスを受けられている者については事業移行後も必要に応じ既存のサービス相当のサービスを利用可能とする。

 ところが、これは三十年のところで終わっているんですが、既にサービスを受けている者については、事業移行後も、生涯にわたってずっと既存のサービスを利用できるということでいいんですか。

田村国務大臣 要は、必要に応じてですから、状態は変わると思います。変わられない場合もありますけれども、変わられる場合もある。変わられれば、そのまま介護保険の方で、今度は要介護者としてサービスを受けられる場合もありますし、改善されれば、当然のごとく、サービスを受けられないということも起こり得ると思います。

 それはケアマネジメントをどうするかという話でありますから、ケアマネジャーの方々の御判断だというふうに思います。

山井委員 いろいろ答弁はされていますが、その担保がないんですね。担保がないんです。

 市町村に財源の格差もあるし、やる気の格差もあるし、そもそも介護保険が導入されたのは、市町村だけに任せておいたら格差が出るということで介護保険にした。それをもう一回丸投げするわけですね。

 それで、私、この資料を非常に奇妙に感じているんです。これは、「既にサービスを受けている者については」なんですね。そうしたら、地域支援事業になって新規に要支援一、二と認定された人のことは書かれていなくて、わざわざ明記されているということは、新規の人は必要に応じて既存サービス相当は受けることができないということですか。そういうことですか。

田村国務大臣 既存のサービスを否定するつもりは全くありません。既存のサービスも、すばらしいサービスもあります。

 ただ、地域に応じていろいろなニーズがあるのがこの要支援の部分でありまして、それはもう十分に委員も御理解いただいておると思いますが、我々は、全国一律の、画一した、そのような制度の中においてここの部分を対応するよりかは、いろいろなニーズ、地域地域のニーズに応じた対応を自治体の方々にしていただければ、それは、そちらの方がよりいいサービスが提供される可能性がある。

 ただし、それは地域差もございますから、移行期間を設けなきゃなりませんし、今までの既存事業者も運営をしていただいて結構である。そうじゃないと、サービスをつくれなかったところはサービスがなくなりますから、その点を否定いたしておりません。

 でありますから、新規の方々も、いろいろなサービスが出てまいります、その中で、御自身もしくはケアマネジメントをされる方が、このサービスが適切だというようなことを判定されて、その中において、どのサービスを受けるかということをお決めになられるわけであります。可能性としては、当然のごとく、既存のサービスも受けることは新規の方々もあります。(発言する者あり)

山井委員 では、今のままでいいじゃないですか、今も中島議員からお話がありましたが。

 そうしたら、必要に応じて新規の方も受けられるのであれば、次回の資料では、既にサービスを利用されている方も新規の方もとここに明記してください。そうでしょう。既存の方と新規の方と変わらないという答弁なんでしょう。

 変わるんですか、やはり。新規の方の扱いと今までサービスを利用している方は、既存のサービスをお二人とも利用したいと言ったときに、利用できる度合いが違うんですか、同じなんですか。

田村国務大臣 この資料は、既存の方がどうなるかというような趣旨の御質問に対して出した資料ですから、当然、既存の方がどうなるかをお示しさせていただいているわけでありまして、新しい方がどうなるかというような、そういう資料要求があれば、それはそういう形で出させていただいても結構でございます。

山井委員 わかりました。

 そうしたら、そこに、今言ったように、新規の方のことを考えていなかったから入れていないということだけれども、今、こういう疑問を思いますよ、これを見たら。

 そうしたら、既にサービスを受けている者についても新規の者についても、事業移行後も必要に応じて既存サービス相当のサービスを利用可能とする。この資料を次回の介護保険部会で配付してもらうということでよろしいですか。官僚の人に聞かなくて、大臣が答弁したらいいんだよ。

田村国務大臣 基本的には出させていただきます。

 官僚の方に聞かなくてといいながらでも、とりあえず次の会合に向かって資料をつくらせなきゃいけませんから。間に合うという話でございますから、表現方法も含めて、出させていただきたいと思います。

山井委員 これは重要な答弁です。既にサービスを利用している人も新規認定者も変わらない。

 ということは、既にサービスを受けている人に関しては、経過措置とか優遇措置は設けないということでいいですね。要は、既にサービスを受けている人も新規の人も同じだというふうに書類を変えるということですから、優遇、経過措置は設けないということでいいですね。もう官僚の方と相談しないで、大臣、答弁してください。

田村国務大臣 今受けている方は、言うなれば、今まで受けているサービスを受けられなくなること自体が、やはりいろいろな問題が起こるわけですよね。だから、そこは優遇をしなきゃならぬという話ですよね。

 新規の方々も受けられますけれども、それはやはり、優先順位とすれば、今まで受けておられる方々の方が優先されるという話だろうと思います。

山井委員 それはやはり変じゃないですか、今の答弁。そうしたら、差があるんじゃないんですか、やはり。今の答弁が怖いのは、では、地域支援事業になったら、やはりサービスを受けられなくなるかもしれないと大臣はぼろっとおっしゃったけれども、そんな改悪だめですよ、それは。

 新規の人も既にサービスを受けている人も、既存サービスの利用可能性は同じですか、違うんですか。そこを明確に。端的に。

田村国務大臣 新規の方も受けられます。しかし、既存で受けている方々がはじき飛ばされるというようなことが起こっては困るわけですから、そこは優先的に受けられるということで配慮をするという話でございまして、これがだめという話は、ちょっと私はよくわからないですね。

山井委員 とにかく、既にサービスを受けている人と今後新規の人も同等だということを書類に明記していただきたいのと、それと、なぜそういうことになるかというと、千七百億円カットして、そしてこういう訪問介護も絞っていくからなんですね。

 それで、大臣、大事なのは、今、六十万人の要支援のホームヘルパーさんが、なじみのホームヘルパーさんのサービスを受けておられるんですね。しかし、この資料によると、NPO、民間事業者、ボランティアなどを活用するということになっているんですが、今サービスを受けている人たちが、地域支援事業になって、望めば、基本的には同じホームヘルパーさんのサービスを受けてもらえるということでよいですか。

田村国務大臣 今ほど来も申し上げましたけれども、それぞれの状態像に応じてケアマネジャーからマネジメントされるわけであります。必要であればそのような話になりますし、今申し上げていますけれども、既存の方々に配慮しなきゃいけないと言っているから、今委員がおっしゃったような形なんでしょう。

 それと同じことを私は言っているんですけれども、どうもお気に入りになられないという話になると、何か違う制度をしろという話なのか、ちょっと私は理解できませんが。

山井委員 大臣、既存の人に配慮せざるを得ないということはどういう答弁の意味かというと、新たな人はそのサービスが保障されないということの裏返しなんですよ。そんな、新たな人にサービスが十分行き渡らないような改正はすべきじゃないんですよ。今、制度を変えなかったら、新規の人も同じサービスを利用できる権利があるじゃないですか。

 ですから、今回、私、もう一つびっくりしましたのは、先ほど、千七百億円削減するために効率的にこういう方法をとってくださいという資料を介護保険部会で厚生労働省は配っているんですね。私、これはびっくりしました。人員基準、単価を柔軟に設定できる。つまり、上限は決めるようですから、デイサービスなどの職員を減らしていい、かつ、デイサービスやホームヘルプの単価も下げていい、おまけに、多様なサービス内容に応じた利用者負担を設定し、つまり、今は一割負担だけれども、二割、三割に上げてもいい。

 大臣、市町村に投げて人員を減らしたり単価を下げたりしたら、ホームヘルパーやデイサービスセンター職員の賃金も減るし、利用者負担を上げたら利用しにくくなるじゃないですか。何でそういう悪い意味での緩和をするんですか。一割負担の方がそれはいいですよ。それに、人員配置基準、単価も下げない方がそれはいいですよ、サービスの質も介護職員さんの賃金も下がりますから。何でこういうサービスの質が下がるようなことをやるんですか。

田村国務大臣 まず、要支援制度にしたら、今と変えなかった方が、新しく入ってくる方が今と同じサービスが受けられるではないかというのは、それは、これからどんどん要支援者もふえてきます。団塊の世代の方々も、やがて後期高齢者に近づいていって、要支援の方がふえてきます。

 すると、要するにサービスを受ける方がふえてくるわけでありますから、サービスを提供する側がそれに対してふえていかない限りは、受けられないのは当たり前の話であって、それは制度が変わるからという話じゃないんだと思います。それは、ちゃんと提供される事業者は残るわけでありますから。

 その上で、今のお話でありますが、一応、そんな三割、四割などというのは、そんな法外なことは我々も考えておりませんでして、大体今の一割というものを一つの目安に、我々もガイドラインをお出しするつもりであります。

 そもそも、そんなことをすれば、もう地方自治体が、住民の方から怨嗟の嵐ですよね、それは。だから、そんなことは常識的に、地方自治体だって、そのそれぞれの自治体の首長さんらは選挙で選ばれている方でありますから、よくあなた方がおっしゃる、もうちょっと地方を信じる部分があってもいいのではないかと私は思います。

 その意味からいたしまして、単価がどうだというお話でありますが、これは多様なサービスでありますし、サービスを提供されるマンパワーも多様であります。今のように、それぞれ働き盛りの介護職員の方々だけではなくて、例えば、もう定年退職された、しかし元気な、そういう高齢者の方々がサービスの担い手になることも考えられます。そうなれば、当然のごとく、それぞれの単価というものは下がることも考えられるわけでありますから、そのようなことを総合的に判断して、いろいろな柔軟な対応ができるような制度設計になるわけであります。

 これは、柔軟な制度設計をしなかったら、介護保険のままで変わらないという話でありますから。それだと、地域のそれぞれのニーズにお応えできるようなサービス提供ができないのではないかということで、そこは自主性を持って、各地方自治体を我々は信じておりますから、それに対してはいろいろなフォローも、我々はお手伝いもしてまいります。

 そういう中において、やはり地域住民の方々に安心していただけるようなサービスを御提供いただきたいという意味で、今回の制度を導入しておるわけであります。

山井委員 サービスは足りなくないとかおっしゃるけれども、何でそうなるのかというと、千七百億カットするからじゃないですか。そもそも、それは、カットしたら財源が足りなくなりますよ。

 それに、今、そんな切り下げはしませんよと言っているけれども、大臣にそのことを言う資格はないんですよ、切り下げてもいいですよという提案をしているのは厚生労働省なんですから。そんなことが起こるとよくないんだったら、こんな、切り下げていいですよという提案はしなくていいじゃないですか。

 ですから、最初から言っているのは、消費税増税は何のためなんですかという話に戻ってくるんですよ。

 私たち民主党政権のときから、要支援を切ったらどうかという議論はありました。しかし、私たちは、要支援の方々の支援は大切だと。もちろん、一部、本当に軽い方が利用されているという問題点はなしとはしません。その部分に関しては、要介護認定の適正化、そういうことはもちろん必要です。しかし、今、要支援の方々のサービスを市町村に丸投げして、おまけに財源をカットする、そのことは決して軽くなることにはならないんです。

 では、田村大臣、地域支援事業になって、ボランティアにやってくださいとか、NPO、掃除業者にやってくださいとか、そういうふうに、本人は、嫌だ、今のホームヘルパーさんのお世話を、なじみのホームヘルパーさんですから当然ですよね、受け続けたいと言ったときに、いや、かえてくださいというふうに言われることはないということでよろしいですか。

田村国務大臣 サービスを受けるに関しては、先ほど来言っておりますとおり、それが必要かどうかという、一つ基準があります。必要であれば、それはケアマネジメントの中においてそういうサービスが提供されるでありましょうから、そのヘルパーさんかどうかというのは、そこの事業者にそのヘルパーさんがずっといるかどうかという問題もありますから、私はそこまで保証できませんけれども、必要なサービスは受けられるという話になると思います。

山井委員 だから、大臣が答弁されていることと正式に提案していることが全然違うんです。それだったら、望めば今のサービスを受け続けられます、新規の人も受けられます、同じヘルパーさんでも受け続けられますという提案をできるんですか。できるはずないでしょう、千七百億円もカットして。

 それで、お聞きしますが、「NPO、民間事業者等による掃除・洗濯等の生活支援サービス」、これは、ホームヘルパー二級とか、そういう資格はあるんですか、あることを想定しているんですか。

田村国務大臣 多様なサービスを想定いたしておりますので、そのような一定の制約をかけるというような形は考えておりません。

山井委員 これもショッキングな答弁ですね。一定の制約じゃないでしょう。介護、生活支援は重要だから、ホームヘルパー二級ぐらいの資格がある人がお宅に行きましょう、デイサービスの職員になりましょう、これが厚生労働省が今までからおっしゃってきたことじゃないですか。それを、では、無資格の人にやってもらう、今まで資格のある専門職員がデイサービスや生活援助をしていたのを、資格のない人にやってもらう。

 私、この六ページの資料も少し問題があるんじゃないかと思うんです。

 どんなことをホームヘルパーさんがやっているか。六四%が掃除、こう書いてありますけれども、こういう単純な話じゃないんです。体調管理、安否確認、認知症が進んでいないか、そういう、要支援のお年寄りの方々に寄り添って支えておられるんです。単に掃除、単に食事じゃないんですよ。そのお年寄りの人生を支えておられるんですよ。

 それを、資格のない方々にどんどんやってもらったらいい、なぜならば千七百億円削るから。消費税は増税するけれども、要支援の百万人の高齢者は市町村に丸投げしていく。これで理解されるはずないじゃないですか。

 この介護保険法改正というのは、来年四月に恐らく国会で審議するんだと思うんです。消費税が八%に上がるときですよ。

 国民が期待しているのは、消費税がアップするときにはどれだけ社会保障が充実するのかな、まあ充実はできないにしても安定化、維持してもらえるのかなと思っているときに、ホームヘルパーさんも、サービスが減るかもしれない、質が低下するかもしれない、自己負担がアップするかもしれない。予算もカットされて、今受けているホームヘルプサービスやデイサービスが受けられるかどうかもわからない。

 そんな、改悪、社会保障削減法案を出してきて、消費税増税とセットの時期で、国民に理解されると思いますか、田村大臣。

田村国務大臣 介護保険は、制度改正してから施行まで若干時間がかかると思いますけれども、介護の方も、保険料に関しては低所得者に配慮した、そういうようなことを考えて今議論をしております。

 だから、そういう意味からすると、先ほど来から申し上げておりますけれども、山井委員は、負担が上がるところばかりおっしゃられますけれども、そもそも充実の方にお金は多いわけですから。それは、充実する方にお金が回るのは、これはもう当たり前な話で、最低、一〇%のときには二・八兆円、お金が回るんですよ。その上で、どこを重点化、効率化するかという中の話でありまして、今、一千七百億という話もありますが、それも含めて御議論いただいております。

 それも含めて御議論いただいておりますが、その話とは別に、これはやらなきゃならないということで御提案をさせていただいておりますから、財源がどうのこうのというような話の中でこの議論が出てきた話ではないということは、委員も十分に御理解をいただいておると思います。そもそも、そういう話が民主党政権のときからも出ておったというふうに委員がおっしゃられましたので、御理解いただいておると思いますけれども。

 とにかく、地域それぞれがいろいろな意味で対応できるような形、そのような形を我々もいろいろとお手伝いはしてまいりますから、地域のニーズに合ったようなサービスを提供いただきたい。

 それから、専門職の話は、当然、ケアマネジメントして、専門職が必要という方々には、専門職がちゃんとサービスを提供するというような形になろうと思いますから、それは必要な方々に必要なサービスが行くということで、どうか御理解をいただきたいと思います。

山井委員 今、家事援助、生活援助のホームヘルプを受けられている方やデイサービスに行っている方の多くは、必要だからそのサービスを受けておられるんですよ。それに対する検証もなくして、とにかく財源を切らないとだめだから市町村に丸投げする。

 こんなことをしていったら、結局、今までは権利として要支援の方もサービスが受けられた。ところが、今言ったように、あなたはホームヘルパーさんはだめですよ、お掃除業者の人に受けてもらいます、あるいはボランティアさんに受けてもらいます、そういうことに、財源を切っていったらなるわけです。

 最初に言いましたように、景気対策には二兆円の公共事業をどんとやる。ところが、要支援の高齢者のサービスはカットしていく。こういう提案をしているだけで、全国の要支援の高齢者や、全国の要支援の高齢者を支えておられるホームヘルパーさんやデイサービスさんや事業所、本当にこれはもう不安で不安でたまらないということになっているわけですよ。

 消費税増税というのは、国民の不安を安心に変えるためじゃなかったんですか。何で、消費税を増税して、介護現場やお年寄りが不安に思わないとだめなんですか。このことは徹底的にこれからも議論していきたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。重徳和彦君。

重徳委員 どうもありがとうございます。日本維新の会の重徳和彦でございます。

 早速質問に入らせていただきますが、まず、今回の社会保障のプログラム法案の前提といたしまして、昨年成立いたしました、民自公で成立させました社会保障制度改革推進法との関係に基づいて質問をさせていただきたいと思います。

 というのは、今回のこのプログラム法案ですが、やはり、何度か読んでいるんですが、正直、何のための法案かわからない部分が非常にあります。正直、よくわからない。この部分を、きょうは特に年金につきまして、年金をテーマに、改めて確認をさせていただきながら、この法案の問題点につきまして提起をさせていただきたいと思います。

 まず、昨年成立した社会保障制度改革推進法第四条には「必要な法制上の措置については、この法律の施行後一年以内に、」「国民会議における審議の結果等を踏まえて講ずるものとする。」とありまして、今回のプログラム法案の中でも、第一条に、社会保障制度改革推進法第四条に基づく法制上の措置としてこの法案を策定したんだというような趣旨が書かれております。

 ですが、このプログラム法案、やはり論点の羅列にすぎないという部分が非常にありまして、本来期待された法制上の措置がなされていないんじゃないか。当時の法制上の措置、去年の法律ができたときの法制上の措置とは一体どういうことを想定されていたのか、教えていただきたいと思います。

田村国務大臣 委員、これは、要するに期限があったわけでありまして、一年間の中で法制上の措置をする、これは三党の中でそのような合意であったわけでありますね。

 常識で考えれば、年金も医療も介護も子育ても、もちろん、その中で、子育てとそれから年金に関しては、実は、もうそのとき法案が出ておりまして、一定の制度改正というのが決まっておったわけでありまして、主に言うと、医療と介護でありますけれども、種々にわたる非常に大きな改正でありますね、一体改革でありますから。それを一年以内で全てできるというわけはないわけでありまして、その道筋をある程度示すというのが、私は、民主党も含めて、普通に物理的に考えて、大体、合意のあるところの判断であったのではないか。

 だから、このような形でこういう改革をしますよというのをある程度期限を示しながら示していくといいますか、法律に書いていくというような形が法制上の措置という共通認識を持っていたのではないのかなというふうに思っております。

重徳委員 今大臣が言われた、その期限を示す、今回の法案を見ますと、何年の国会に法案の提出を目指すこととするという意味での期限は確かにありますけれども、ほかのいろいろな制度面での期限、スケジュール感、あるいは、先ほど、道筋を示すとおっしゃいましたけれども、お言葉ですが、この法案を見て、道筋がちゃんと示されているなというふうに、納得感がなかなかありません。

 去年の社会保障制度改革推進法の第五条におきましては、公的年金制度について、第一号「今後の公的年金制度については、財政の現況及び見通し等を踏まえ、」「国民会議において検討し、結論を得ること。」とあります。

 この年金制度につきまして、まず総論的にお聞きしますが、国民会議で何が検討されて、どんな結論を得て今回の法案に至ったのか、具体的に教えてください。

田村国務大臣 年金の中で、とにかく、現行の年金制度に対しての問題点等々も踏まえて、いろいろな御意見をいただきました。

 一つは、デフレ下のマクロ経済スライド、これが今の制度の中ではかかっておりません。すると、基本的には、マクロ経済スライドという制度があるから年金の持続性というものが担保されているわけでありますけれども、デフレ下であっても、本来はかけなければ、その制度設計上は、数理計算上は成り立たないというところがございますので、そこに関してどうするんだというような問題点、これを御指摘いただきました。

 それから、民主党の例の年金制度がありますよね、最低保障年金と所得比例年金部分の年金制度がありますけれども、この年金制度であったとしても、今の我々の年金制度であったとしても、少なくとも、非正規雇用の言うならば被用者の方々は、これは本来、厚生年金の方に、被用者年金の方にやはり吸収していく必要があるのではないか。でなければ、民主党の制度も成り立ちませんし、我々の制度も、どうしても漏れてくる方々がおられるわけでありますから、そこの適用拡大、厚生年金の適用拡大、この点も御指摘をいただいております。

 それから、高所得者に対しての例えば課税、これは年金高所得者であります、課税の強化。これは、クローバックというようなお考え方も一つあるのかもわかりませんけれども、年金でやるのではなくて、そもそも所得ですから、これは税として取るというやり方、こういうことも含めて、これは議論の必要があるよねということでありました。

 それから、もう一点は、支給開始年齢。これに対しても、平均寿命が延びる中において、支給開始年齢というものも議論をする必要があるのではないかというような御指摘をいただいております。

重徳委員 今おっしゃった点につきまして、後ほど詳細を議論させていただきたいと思いますが、その前に、これは国民的に頭に残る言葉として、二〇〇四年の百年安心の年金というのがたしかあったはずだなと。百年安心と言っているのに、まだ十年たっていないのに、何でまた改革が必要になっちゃっているんだろうというようなことを、多くの国民的な感覚としてやはりあると思うんです。

 今回のプログラム法案に並んでいる論点、あえて解決、道筋とは申し上げませんが、論点につきましては、二〇〇四年の時点で、百年安心と言っていた十年ほど前の段階で想定されていたことなのか、あるいは、想定外のことが発生して、今のような、さまざま大臣が今おっしゃった、ただいま四点についておっしゃいましたけれども、そういったことが新たに発生したのか、このあたり、教えてください。

田村国務大臣 百年安心、正確にそうやって言ったかどうかは記憶が定かではないんですが、そういうようなことが言われておったような記憶はあります。

 これは、百年安心というと、百年たったらもう終わっちゃうんじゃないか、つまり、百年後は年金制度が破綻するんじゃないかと逆に言われる方もおられまして、そこを詳しくお話ししますと、要は、五年ごとに百年先の数理計算での均衡をしていく制度でありますから、五年ごとに百年先の、要するに将来像に向かっての計算を均衡化させるということでありますから、これは延々と続いていくというのがこの制度であります。

 当時と比べて、想定していなかったことが起こったかどうかという話でありますが、一つは、やはり当時よりも非正規雇用の方々がふえておりますから、本来、国民年金というよりかは厚生年金の方が適しているのではないかという方々がふえてきておるということは一つであります。

 それから、当時もデフレはございましたけれども、こんなにデフレが続くということを前提にしていなかった。そういう意味からすれば、マクロ経済スライドの発令をもっと早くできたはずにもかかわらず、発動できていないということは想定外であったのかもわかりません。

 それから、高所得者の場合は、これは一つの考え方でありますから、これは想定外、想定内という問題ではないと思います。

 それから、支給開始年齢に関しましても、一定程度、今、平均寿命が延びてきております。ただ、当時の想定よりかは平均寿命の延び方が若干速いというところもありますので、ここは想定外とまでは言いませんけれども、当然のごとく、新たな局面の中で、みんなが働けるような環境がつくれるのならば、例えば六十七とか六十八だとか、そこまで行くのであるならば、それからでも年金の支給開始年齢を引き上げてもいいのではないかというような御議論もある、決まったわけではありません、そういう御議論もあるということは確かでありまして、その場合には、今六十五歳でもらえる年金水準、給付水準よりも、六十八歳の方が多くなるということを前提にそういう御議論をいただいておるということであります。

重徳委員 今、総論的な観点からお尋ねをいたしました。

 私は、まだ新人議員ですので、大臣や副大臣、政務官のような、ベテランの議員さんに及びもつきませんが、しかし、一つだけ、地べたをはって、地元を歩き回る、走り回るということだけは誰にも負けないぐらいやっているつもりなんですが、そういう中で、先日、地元で、ある女子高生が、あっ、珍しい、議員という職業の人間に会った、せっかくだからちょっと聞いてみたいことがある、私たちは、これから社会に出て保険料を払っていくことになるんでしょうけれども、でも、その結果として、私たちが年をとっても年金なんてもらえないんですよねということを言うわけですよ。

 これは、どなたに聞いたのかわかりません。学校の先生から聞いたのか、親に聞いたのかわかりませんけれども、本当に、これから社会に出る世代が全く希望を持てないというか、持っちゃいないんですね。

 その彼女は、後ほど議論しますが、積立方式、賦課方式みたいなことまで知っていましたよ。将来、自分たちが高齢者になったときに、自分たちを支えてくれる子供たちはもっと少ないんだ、だからもらえないんだよねということまで正しく理解しているわけですね。だから、こういうことにきちんと応えていくのが、今回の本来の社会保障プログラム法案であるべきだ。その場合は、プログラム法案ではなくて、具体的な法案だと思うんですけれども。

 その際に、きょう議論申し上げたいのは、世代間格差と言われる問題であります。これは極めて深刻な状況に今至っていると認識をしております。

 そういう目で今回の社会保障国民会議の報告書を読んでみたんです。資料はお配りしておりませんが、お持ちの方はごらんいただきたいんですが、例えば報告書の六ページから七ページには、世代間の損得論についてなんというふうに書いてありまして、若干省略しながら読みますが、年金制度は、子供が親を扶養するという私的扶養を社会化したものであることに十分留意が必要である、例えば、年金制度が十分に成熟する以前の世代は、親の扶養もしながらみずからの保険料を納めてきたのであり、公的年金の給付と負担だけを見て損得論をするのは不適切であるということを言っております。

 また、四十五ページには、「残念ながら、世間に広まっている情報だけではなく、公的に行われている年金制度の説明や年金教育の現場においてさえも、給付と負担の倍率のみに着目して、これが何倍だから払い損だとか、払った以上にもらえるとか、」そんなような「年金制度の本質を考慮しない情報引用が散見され、世代間の連帯の構築の妨げとなっている。」なんということを書かれているわけです。

 私は、これを読みまして、一種の例えばノスタルジーみたいな感じで、昔はよかった、みんな貧しかったけれども頑張っていたよねとか、あるいは、今と違って食べるものがなかったんだよとか、行きたくたって高校、大学なんて行かせてもらえなかったんだとか、その手の昔話として、昔の方の苦労だとか、これまで積み重ねてきた、積み上げてこられた社会への貢献というものに敬意を表するという意味では、それはもちろん全く否定されることではありません。しかし、今の女子高生の話じゃないですけれども、だから、あなたたちはいい時代なんだから、年金をもらえなくたってしようがないじゃないかとか、そんなことを言われても、ちょっとこれは納得感がないなというふうに思っております。そう思いながら読ませていただいております。

 まして、政府としての責任を考えれば、確かにいろいろな予見不能なこともあったかもしれませんけれども、それにしても、そういう事象によるいろいろな見直しというものがこれまで十分なされてこなかったことについて、個人個人の、昔は扶養をしてきたんだよとか、親に仕送りを送っていたんだよとか、そういうレベルの個人の話だとか社会のこととか、そういうところに責任を、これは国民会議の報告書ですから、どなたの御意見なのかよくわかりませんが、そういった説明の仕方なんというのは、これはなかなか政府としてはあってはならないことなんじゃないかな。

 やはり責任を持って、これからの世代にも安心な社会保障制度あるいは年金制度をつくっていただきたい、こういうふうに思うわけですが、今、るる申し上げました世代間の損得論、世代間格差につきまして、大臣の見解を御答弁願います。

田村国務大臣 今委員、例えば、年金がなければ、親の面倒を子供が見てきた時代がある、それは昔のノスタルジーだからという話もありましたが、一方で、誰かの負担を誰かが見なきゃいけないというのが世の中であって、それは、どこかにお金がかかれば、誰かがそれを負担しなきゃ世の中は回っていかない。これはもうごくごく当たり前な話であります。

 その中で、そうはいっても、確かにいろいろなお金がかかる世代、それは、日本の国をここまで豊かにしてくれた世代でありますから、感謝をする世代でもあります。その方々の数が多くなって、支える側が少なくなってくる。当然のごとく、一人当たりの負担はふえるわけでありますね。

 ただ、一方で、それが余りふえ過ぎると、これはもう負担に押し潰されてしまうからということで、では、先ほどおっしゃられた百年安心年金の話に戻りますが、これはちょうど私が厚生労働大臣政務官のころの話でございますので覚えておるわけでありますけれども、それまでは保険料が永遠に上がっていく制度だったんです。それを、このままでいったら次の世代の負担がふえていくから、一八・三%、これを、働く側とそれから経営者の方で半々、企業とで半々というところで抑えたんですね。そのかわりに、もらう方の給付を抑える。給付が下がっていくのがマクロ経済スライドでありますから、ここで調整する。

 実は、もういろいろなところでこういうような世代間のいろいろな不公平というものを是正しようという動きはやってきておりますが、もちろん、それでも今、御年配の方々の方がもらい得だというようなことを言われる、そういう方々がおられますけれども、そこはそこで、やはり数が多いわけでありますから、そこは一定程度、我々は覚悟しなければならないところだと思います。

 一方、受益が少なかったんですね、今まで若い世代が。そこで、それに対して、しっかりと子育て対策ということも含めて、少子化対策ということも含めて、今回、消費税を引き上げる中において七千億円、それから、三千億円はどこかで都合をつけて、我々努力して、総計一兆円を何とか子育ての方に使いたいということで、受益、受ける側も、若い世代でもしっかりと確保できるような形ということで、何とか御理解をいただくべく努力を今させていただいておる状況でございます。

重徳委員 研究者の中には、これは財政的幼児虐待だなんということをおっしゃる方もいるぐらいに、今の若い人たちは、もちろん、政治意識が低く投票率が低いとか、いろいろなそういうこともあるのかもしれませんけれども、やはり、発言力はなかなかないわ、財政的な負担とか、こういう格差にずっと悩まされて、しかも若いころから夢が持てない、こういう状況にあるわけですから、この世代間の問題というのは、厳しい現実は正面から受けとめなければならない、こういうことはもうみんなわかっています。

 だけれども、昔の人はもっとあんたたちよりも頑張っていたんだよとか余り言っても、これは詮なきことかなと思っておりますので、むしろ、この世代間の格差というものを、苦しいけれどもどうやって乗り越えていくかという、前に転じることを議論していかなければ、私たちは責任、役割を果たしたことにならないと思っております。

 その意味で、先ほど山井委員が、要支援切りというのかわかりませんが、そういう、要支援を市町村のサービスに移行させることについて御意見を述べられておりましたけれども、私、ちょっと違う切り口からも、市町村に移管するということにつきまして、どういう考えでこの移行を決断されようとしているのか、これについて問うてみたいと思うんです。

 いわば、昔は、今のお年寄りの人たちはみんな親を扶養していたんだよ、そういう部分もあわせ持って負担と見るとか、そういう考え方をとるのであれば、今度は、高齢者の方々の給付を仮に削減していくんだとすれば、その部分は若い世代が、ボランティアじゃないですね、この場合はもう強制的に義務づけをして、年配の方々のケアをする、介護をする。

 こういうことを、今までは、地域がみたいなことを言っていました、家族がと言っていました。だけれども、もう家族も地域も、そんなふうにうまく温かくいくような状況ではありません。

 ですので、そういった人的サービスについては、役所がやるばかりとかお金を出してばかりじゃなくて、そういった地域ぐるみの、義務づけをするぐらいの、若い世代が高齢世代に対して貢献をしていく、これをシステム化する、そのかわり、給付は減らしてもしようがないじゃないか、こういう形での世代間格差の狭め方もあるんじゃないか、財政的な格差の狭め方もあるのではないかということも思ったりしております。

 要は、国が今まで持っていた、抱えていた財源負担の必要なものを市町村に移管したら軽くなるんだよということなのでしょうか。軽くなるんだよということだとすれば、それは代替的に誰かがやらなきゃいけない。それが先ほどの山井委員のあの図にも指摘があったような、ボランティアとかNPOが恐らく安くやってくれる、そういうイメージだと思うんですが、これは両面あるんですね。それでもうなし崩し的に政府が手を引いちゃうという意味だとすれば、それは本当に困ったことになる。

 だけれども、財政的なものはもうしようがない、高齢者も我慢しなきゃいけない、だけれども、その分、若い人たちがちゃんとサポートするから、こういうことをシステム、制度の中に打ち込んでいくとか、何かそのあたりは、市町村に移行することによって、どのような考えをお持ちなのでしょうか。

原(勝)政府参考人 地域支援事業の移行の関係で御意見をいただきました。

 私どもは、ひとり暮らし高齢者等が急速に増加して、生活支援ニーズの高まりが見込まれる中で、配食や見守り等の多様な生活支援サービスが地域で提供される体制の構築が大変重要ではないかと考えております。

 そのためには、住民自身が運営する体操の集いの地域展開や、ボランティア、NPO等による高齢者の見守りや外出支援など、現役世代も地域の活動に積極的に参加をしつつ、市町村が中心となった住民主体の地域づくりの取り組みを通じて、介護予防や生活支援サービスの充実を図っていくことが必要ではないかと考えております。

 現役世代の地域への貢献でございますけれども、みずからの便益のためという形には必ずしもならないかもしれませんが、このような取り組みを通じて、現役世代と高齢者がともに地域に貢献し、支援が必要な者を地域で支え合う仕組みの構築につながることを実感できることは、意義深いものであると考えます。

 また、こうした地域における支え合い、すなわち自助や互助の取り組みが進めば、ひいては、介護保険の給付費の伸びが抑制され、そして、四十歳以上の二号被保険者の保険料も含めた介護保険料負担の軽減につながるものというふうに考えているところでございます。

 議員御指摘の、若い方にボランティアを義務づけるというようなシステムを考えたらどうだ、一つの御意見だと思いますけれども、実際、若い方に義務づけることに対する理解が得られるかとか、あるいは、障害を持った方なんかが、それは当然難しいということかもしれませんけれども、その辺とのバランスといいましょうか、給付との関係で、どこまでそういったことを義務づけられるかというような問題も、ちょっと幾つか慎重に考えなきゃいけない課題もあろうかと考えております。

重徳委員 今までのままの仕組みではもうだめだと思うんですね。自助、共助、それは期待したいですけれども、それで期待できる部分もあるかもしれない。だけれども、やはりきちんとした制度を持って、世代間の格差を何とか縮めていかなければならない。

 ですから、高齢者の受益は減る、だけれども、それによって若い方々にとってメリットがあるのであれば、肉体労働的な部分も義務づけというか、そういうのが義務なんだということを納得してもらうとか、何かちょっと発想を変えないと、本当にこれはえらいことになると思っています。

 世代間格差については、世代会計という概念というか試算がありまして、これはいろいろな方が試算されているので数字はさまざまなんですけれども、要は、生涯を通じた受益と負担、これをいろいろなものをミックスして計算して、プラスマイナスがどれだけか、こういうことなんですが、六十代以上の方は、ある試算によると、四千万円のプラスだ。五十代になると九百九十万円、一千万円ぐらいですね。将来世代はマイナスの八千三百万。

 つまり、将来世代と六十代以上が一億円以上、所得というのかわかりませんが、そういう財政的なものの格差がある、こういうことなわけでありまして、年間所得が、賃金が二億円もらっても、実際には一億円ももらったことにならない、こういう見方もできるわけで、この辺の格差は、数字上、外国と比べて図抜けて日本は大きなものがあります。

 これは、どうしても我々は、将来、数十年後のことまで、百年後安心なんといって五年ごとに実際には見直すのと同じように、見通せないわけですね。こういう事実は、やはりどんどん表に出していかなきゃいけないと思います。そうでなければ、もうびっくりするような、目玉が飛び出るような、そういう恐ろしい状況に今あるんだということは包み隠さず出していかなければ、若い者は投票率が低いから政治力もないし、だからお年寄り寄りの施策ばかりになっちゃうんだよねとか、そういう納得の仕方というのは、平時だったらいいですけれども、もういいかげんにしてもらいたい、こういう思いであります。

 少し個別の話をいたしますと、例えば、この問題も、どうしたらいいのかという私の結論めいたものがあるわけではないですが、共働きと専業主婦の世帯によって、いわゆる第三号被保険者の制度の問題というのがありますね。これは、当然、専業主婦の方が簡単に言えば優遇されているということなんですが、若い世代であるほど共働きは多いものですから、結果的に、共働きが冷遇されているということは、全般的には世代間格差を助長していることになるということだと思います。

 ちょっと調べてみますと、もともと、一九八五年の年金の今の改正以前には、数字にして七百五十万人ぐらいの専業主婦の方々が、これは全体の七割ぐらいの方だそうですが、国民年金に任意加入をしていた。主婦の方は収入がないですから、世帯主がいわば二人分払っていたということなんですね。だから、七割そういう主婦の方がいたので、残り三割の方にも加入してもらえば今のようなことにはならなかったのかなということなんですが、この一九八五年に専業主婦の保険料を全部免除するというふうな、言ってみれば大盤振る舞いですよね、こういうことに至った経緯、理由を教えてください。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 御案内のように、三号被保険者制度は一九八五年の年金改正で導入したものでございますが、それ以前の厚生年金制度というのは、基本的には世帯単位という考え方に立っておりまして、家計の主たる生計維持者の方にいわば夫婦二人分の年金をお支払いする、そういう制度設計にしておりましたので、いわば専業主婦の方は年金制度には加入しない、被保険者にもなりませんし、年金の受給権もないという構成になっておりました。

 この点に関しまして、当時の議論では、サラリーマン世帯の専業主婦の方は、そういう意味でいいますと年金の受給権がないので、例えば、離婚をした場合でありますとかあるいは障害になった場合に、年金保障がないという問題がございました。先生御指摘のように、国民年金にも任意加入というような制度がありまして、入っておられる方はいたわけでございますけれども、任意加入ということで、年金権のない方がいらっしゃった。

 当時の議論は、やはりこういった専業主婦の方にもきちんと年金の受給権、年金権を保障する制度にするというのが当時の大きな議論でございまして、その考え方に立って、きちんと被保険者として位置づけをする、そして年金権を確立させるということで、強制加入の手続をとった。その上で、基礎年金制度の導入に伴いまして、生活の基礎的な部分につきましては、基礎年金という形で年金を保障するという形になったところでございます。

 御案内のように、今お話のあった任意加入のことなんですが、任意加入をしますと、結局、厚生年金の方は、主たる生計維持者に二人分の年金が出ていることになります。もちろん、保険料を払って、それに対する給付ということになるわけですが、一種、非常に大きな給付が出るということになって、任意加入できる方というのは、それなりに所得の高い方だということになりますので、その意味での、いわば、過剰給付という言い方はちょっと語弊があるかもしれませんが、公平性を欠くということで、当時の厚生年金の定額部分といいますか、当時、二階建てであったのが定額部分があったんですが、その部分と奥様の加給年金を再構成して、いわば夫に対して出されていた二人分の年金を振り分けるという形で今の基礎年金に再編をして、それぞれにお認めをする、こういう制度設計に改めたということでございます。

重徳委員 過去の経緯のことですから、それを今もう一回戻すというわけには、なかなか簡単な話ではないと思いますが、それにしても、この第三号被保険者の制度というのは、いろいろと、これでいいのかということを常々言われている点だと思います。

 実際、サラリーマンから自営業に移ったときにその手続を怠ったものだから、専業主婦の方が年金をもらえなくなってしまう、割を食う形になってしまうなんという問題も実際に発生をいたしまして、これは数年前でしたか、そういうことがかなり話題になったときがありました。

 厚生労働省でこの制度の見直しに取り組んでいるとか取り組んだとかいうような話も聞いていますが、それはどうなったんでしょうか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 三号被保険者の問題は、今先生もお話がありましたように、実は、これはお立場お立場によってかなり考え方が違いますので、相当意見の隔たりがあるというのは事実でございまして、例えば、若い世代だけではなくて、我々の世代でも、私は共稼ぎですが、私の同僚で片働きの人もいますので、そうしますと、我々の中でも時々議論になることがございます。

 現行制度なんですが、例えば、片働きで御主人が六百万所得がある、奥さんが専業主婦という組み合わせと、共働きで三百万、三百万という組み合わせを考えますと、世帯全体でいうと、六百万の年収。この形の片働きの方と両働きの方を比べると、基本的には同一保険料同一給付ということになりますので、ある意味では、そういう目で見れば、バランスはとれているという見方もできます。

 実は、十六年改正のときには、むしろ、旦那さんというか、働いている方が払っている保険料は夫婦で共同で負担しているものだという考え方に立って、法律上も、保険料は夫婦で共同負担しているという規定を置きまして、そのかわり、離婚したときには、二階の報酬比例の年金も夫婦で分割をするという形で、一種、そういうような考え方に立った改正を実は一度しております。

 ただ、そもそも三号そのものをどうするかというのは大変議論になっておりまして、これは、民主党時代の一体改革の大綱の中でも検討課題だと規定されておりますし、今回の国民会議の報告の中でも、国民の間には多様な意見がある、その意見に耳を傾けて、方向性としては、短時間労働者の厚生年金の適用を拡大していくことなど、基本的には、制度の支え手をふやす方向での検討をしろという規定がございまして、そういった規定も踏まえまして、さまざまな御意見を伺いながら、制度改正について検討していくというのが現在の状況でございます。

重徳委員 難しい問題であるし、立場立場で全然意見が割れる問題なので、簡単ではないことは理解をいたしますけれども、また、非正規の方を対象とするに当たっても、結局、主婦の皆さんがパートに出ると、幾ら以上、何時間以上働いちゃうと損しちゃうから、本当は働けるのに働かないでおくとか、そういう判断をする方も非常に多いですので、これはもう女性の社会進出の妨げにもなるし、何か非常にもったいないことを世の中全体でやっていることにもなります。

 ですから、こういうことにも一つ一つめどをつけていかなきゃいけないことだと思います。

 それから、次に、保険制度と税の制度とがかなり交錯するような仕組みが今の年金の制度だと思うんです。

 まず、これはプログラム法案にも書かれておりますけれども、今回、一体改革の中で、一つの大きなことが、基礎年金の国庫負担の割合を二分の一に引き上げる、これは恒久的に引き上げるんだということなんですけれども、そもそも、どういう趣旨でこういうことになったのかということと、これからどんどん税金が投入されていくということになると、本当にこれは二分の一で完全にぴたっととまって、これ以上はあり得ないことなのか、まず二分の一という段階なのか、そのあたりを御答弁をお願いします。

田村国務大臣 この国庫負担という部分に関して申し上げれば、国民皆年金の中において、やはり低所得者、無職者、こういう人たちをこの制度の中でどう包含していくのかという中においてこの国庫負担という部分があるわけでありまして、これがなければ保険料が上昇してしまうわけであります。すると、保険料が上昇すると、やはり低所得者の方が、また無職者の方の方が、全体の収入に対して負担が当然大きくなるわけでありまして、だから、そういうものをカバーする意味で、国庫負担というものを入れてまいったわけであります。

 二分の一に引き上げたのは、これは十六年改正のときでありますけれども、やはり少子化が非常に進んでくる中において、持続可能な安定した年金制度ということを考えた場合に、先ほどのような観点から、三分の一から二分の一まで引き上げよう。

 これは、先ほど来申し上げておりますとおり、こういう制度設計の中で百年間で財政が均衡する、そういう年金制度を五年ごとに財政検証しておるわけでありますから、基本的には、これ以上上がるというようなことは前提には考えていない制度でございますので、二分の一の国庫負担という中においてこれからも運営していく。

 その財源をどうするかということでございまして、今般、消費税、若干のタイムラグがあって、本当は消費税でない部分に関して、年金国債みたいな形で対応してきたわけでありますけれども、その返済も含めて、今回、消費税、二分の一という形の中で、八%のときから財源としてしっかり確保していこう。つまり、二分の一の基礎年金の国庫負担部分に関しては、これで財源が確保されるというような話になってきておるわけであります。

重徳委員 今大臣の御答弁で、基本的にはこれ以上はないという、大分余地を残したような御答弁にも受けとめられたんですけれども。

 基本的に、保険で賄うのか、税で賄うのか、これは根本的な部分であるとともに、保険にすると、今大臣の御答弁がありましたように、所得がないとか低いとか、そういう人たちのことを考えると、年金財政全体をもたせるためにやはり税金で何とかしなくちゃいけない、こういうことにどうしてもなっていってしまうんですね。

 それから、今私が申し上げている世代間格差ということを考えてみても、今既に高齢者で年金を受給されている方にとっては、保険料を幾ら引き上げたって、受給者は払っていないわけですよね、保険料は。だから、要は、結局、若い人たちからたくさん取って、それが高齢者の方に行くという図式にしかならないわけで、結局、消費税とかあるいは年金課税あるいは相続税、相続税は誰が負担するのかという問題はありますが、基本的には高齢者の資産への課税という意味で、高齢者への課税、こういうことを考えていかない限り、今の世代間格差というのは縮まらないわけであります。

 そうやって考えると、保険方式というのはもう、そもそも、これ以上充実もできないし、もともと保険料だけで全然賄えていないわけですから、もともと違うのかもしれないし、さらに、これから世代間の格差を縮めていくためには、もっと税金を、あるいは消費税を投入していかなければこの差が埋まらないなんというようなことを想定しますと、結局、日本の年金制度というのは社会保険が基本じゃないんじゃないか。

 だけれども、法律には明記されているんですよね。まず、プログラム法案には、第一条に、社会保障制度改革推進法、つまり、去年の法律第二条の基本的な考え方にのっとってと書いてあるんですが、その社会保障制度改革推進法には、「年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし、」と書いてあるわけですね。だから、明らかに、今回のプログラム法案は社会保険制度を基本としているわけですよね。政府の立場もそうなんだと思います。

 だけれども、去年の法律、ここには、「社会保障給付に要する費用に係る国及び地方公共団体の負担の主要な財源には、消費税及び地方消費税の収入を充てるものとすること。」というふうに書かれておりまして、何か社会保障が基本といいながら、かなり例外的な、基本に対しては例外であるはずの消費税をどんどん入れていくんだというようなことができるような仕組みになっていて、一体どっちなんだ、社会保険が本当に基本なのか。ここも、社会保険の部分がある限り基本なんだとおっしゃるのかもしれませんが、相当そうじゃなくなってきているし、これから、むしろ世代間格差を縮めるには、税をもっと投入しろという話になってきませんか。

 いかがでしょうか。

田村国務大臣 年金に関して申し上げれば、先ほど来言っておりますとおり、厚生年金でありますけれども、今、被用者年金一元化でございますから、共済もそうでありますけれども、保険料は一八・三でとめるという、そういう法律にしました。

 つまり、それ以上は上がらない。上がるとやはり、今委員がおっしゃられたとおり、どんどんどんどん保険料、現役世代の負担がふえちゃいますから、これは困る。では、その分どうするかというと、もらっている、給付者の給付を引き下げるという形でございますから、これは委員がおっしゃられたその趣旨的に言えば、やはり世代間の格差というものがあるのであるならば、これ以上保険料を上げない中において、給付を逆に抑えちゃおうというような制度に変わったのが十六年改正であったというふうに御理解をいただければいいと思います。

 でありますから、二分の一という基礎年金の国庫負担、ここの部分で制度設計上とまるという話でございますので、そこは担保しておる制度であるというふうに御理解をいただいて結構であるというふうに思います。

重徳委員 次に、賦課方式と積立方式について、ちょっと議論をしてみたいと思っております。

 済みません、その前の、今の御答弁についても、保険料の方はとめるということはわかったわけなんですけれども、税の方は、やはりどこまででもふえる可能性がこれはまだ残されている。その意味で、消費税が結局何%まで上がっていくかということも、国民にも誰にもわからないという状態の中で、何か、とりあえず、八、一〇と上がっていく、また上がるんじゃないのと誰もが思っていると思うんですね。一〇%で終わらないような気がする、制度のことをよくわかっていなくてもそんな気がする、極めて正しい直観なんじゃないかと思います。

 ですから、保険料についてはわかりました。だけれども、むしろ、税のことについて、これをきちんと、この先の道筋というものを、大臣が最初におっしゃった道筋というものを示すのが本来の今回の法案であるべきじゃなかったのかな、こう思うわけであります。

 それから、賦課方式と積立方式なんですが、これは、今、専ら、年金制度というのは、先ほどの女子高生だって知っているように、賦課方式だというふうに言われておりますが、ちょっと聞き及んだところによりますと、我が国の年金制度、スタートした当初は賦課方式なんということは言われておらず、積立方式だというふうにスタートしたはずなんですが、まず、それが事実なのかどうかということと、では、いつの間に積立方式から賦課方式に変わっちゃったんだろう、このあたりの御説明をお願いいたします。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 我が国の年金制度は、被用者保険制度でございますが、昭和十七年に発足をいたしました。当時、労働者保険制度という名前で発足をいたしました。制度当初は、委員御案内のように、実は積立方式で始まったものでございます。

 この場合の積立方式といいますのは、いわゆる事前積み立てということで、その方が年金受給になるまでの間に、御本人の年金原資を全て事前に積み立てるという前提の制度ということでございまして、実は、この段階で、そのために必要な、我々は平準保険料と言っておりますが、その保険料水準で制度が始まりました。このときに、既に一一%という非常に高い保険料設定、つまり、積み立ての場合ですとそれくらいの保険料で始まるということになります。

 それで、十七年にできたんですが、戦後、非常に急激なインフレになりまして、その当時、既に何年間か分、積立金があったわけですけれども、積立金が大幅に目減りをいたしました。

 それから、当時の日本の経済状況の中で、これだけ高い保険料を賦課するということが事実上不可能だということで、基本的には、積立方式の仕組みは残しつつも、それを維持するだけの保険料を徴収することができない、経済状況の変化に対応できないということで、保険料を一旦引き下げまして、段階的に保険料を上げるという制度設計に切りかえまして、その形になりました。その意味でいいますと、その段階で、完全な事前積み立てというのは事実上維持できない形になりました。

 その後、基本的には、お掛けになった保険料に見合った給付を行うという意味で、積み立ての考え方は残っていたわけでございますが、皆保険の後、高度成長期、昭和三十年代、四十年代には、御案内のように、その時々の経済情勢に合わせて、年金の給付改善、いわば事後的に給付を上げるということをいたしました。そういった、給付の実質価値を維持するために、年金の物価スライドでありますとか、あるいは、再評価と言われている、その方の現役時代の所得水準を現在価格に置き直すという形で、非常に大きな給付改善をするということをいたしました。

 こういった中で、保険料は段階的に引き上げを行う、その場合でも五年ごとに千分の十五とか二十とか、高い保険料へ上げてきたわけでございますが、全体として、基本的には、完全に事前に積み立てを行うということではなくて、その時々の、いわば世代間の扶養の形で、いわゆる賦課方式の要素を入れ込むという形で、一定の積立金を持ちながら、後代負担を入れながら給付を確保する、段階的に保険料を上げていくという形に切りかわったわけでございます。

 さらに、先ほどからお話に出ております平成十六年の改正におきまして、大臣から答弁がありましたように、保険料を固定する、あるいは給付をマクロスライドを入れるという形で調整をしまして、積立金は、むしろ、今後の少子高齢化で現役と高齢者の負担のバランスがずれてくるのを積立金で調整するという形で積立金を使うという形に切りかえまして、積立金を段階的に取り崩しながら平準化を図るという形で、そういう意味では、現在の年金制度は、相当程度、賦課方式の要素が強くなっているということでございます。

 実は、諸外国の年金制度も、基本的には、制度発足当初は積み立てで始まったものが、戦後のそういった経済状況の中で、徐々に賦課方式に移行して現在に至っている。基本的には同様な経過をたどって、今のような年金制度ができているものと承知しております。

重徳委員 何というか、その場その場でどんどん変わっていった、一言で言うとそういう印象で、この年金の議論はまたさせていただきたいと思います。今、局長がおっしゃった積立金も、相当目減りしているわけですよね、ここ数年で。ちょっとそのあたりも、具体的なことをこれから議論させていただきたいと思います。

 最後に、最初に大臣がおっしゃった支給開始年齢について確認をしておきたいんですが、今回の国民会議の報告書では、四十二から四十三ページには、「現在二〇二五年までかけて厚生年金の支給開始年齢を引き上げている途上にあり、直ちに具体的な見直しを行う環境にはないことから、中長期的課題として考える必要がある。」というふうにあるわけなんですが、何というか、二〇二五年までの話はもう既に決まっているわけですから、言ってみれば、支給開始年齢のことを考えるとすれば、そこから先のことを考えるというのがテーマなんじゃないかと思うんです。

 これから先、さらに寿命はまだ延びるでしょう。それはもちろんあるにしても、やはりこの先の道筋ということを考えると、二〇二五年といったら十何年後ですからね、だから、今五十代半ばぐらいの方が意識されるぐらいのことで、まだ女子高生が考える必要はないかもしれませんが、三十代、四十代の方が、一体、自分たちは何歳になったら年金がもらえるんだろうかということが全然わからないわけですよ。こういうことをはっきりさせないままの報告書であり、かつ、今回のプログラム法案ではないか。

 プログラム法案も、支給開始年齢について書いてあるというもので、どこに書いてあるんですかと聞いたら、六条二項三号に、「一人一人の状況を踏まえた年金受給の在り方」と書いてあるだけで、全然、年金支給年齢の話とは普通読めないですよね。こういう書き方にとどまっていること自体、どうかと思います。

 このことについて、最後に大臣の御見解と、さらに、さっきから申し上げております世代間格差、これは、とにかく強烈にもっと言っていかないと、若い人たちも漠然と危険感を感じていますけれども、わかっておりません。まして、年配の方々は、もちろん自分たちの生活、大事です。でも、中には、心ある方々は、若い人たちにいい社会を残していかなきゃいけないとおっしゃっているわけですよね。なので、そういう方々にも、なるほど、こういうことかということをわかるようにアピールしていただきたいということについて、大臣の御見解をお願いします。

後藤委員長 では、田村厚生労働大臣、短くお願いします。

田村国務大臣 ちょっと短く答弁するのが非常に難しい、幅の広いお話でございますから、また次回、ゆっくり答弁させていただきたいと思います。

 支給開始年齢の引き上げに関しましては、これは、働ける環境というものとの相対であります。あわせて申し上げれば、生涯もらえる年金自体の面積が変わる話ではないので、支給開始年齢を引き上げれば、もらえる年金期間は短くなる分だけ山は高くなる、つまり支給金額は高くなるということになりますから、そこのところが誤解なきように我々はPRしていかなきゃいけないのであろうというふうに思います。

 それから、世代間格差の話を申し上げれば、ちょっと一億円というのは、余りにもこれは、全ての借金を、今ある借金を次の世代が受け持ったという話でございまして、借金を全部返すのかというような話でございますから、これは、経済成長との見合いの中で、GDP比でどうやってこの公債の割合というものを下げていくかというのが世界の趨勢でございますので、これもまた、今度ゆっくりと委員と議論をさせていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございます。

重徳委員 どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 それでは、よろしくお願いをいたします。

 今回のいわゆるプログラム法案のことですけれども、私自身は、国会議員になってまだ一年たっておりません。その前は、大阪府の府議会議員で、地方議員で十年ほどいましたけれども、本会議場で同僚の足立委員が代表で質問をさせていただいたときに、このプログラム法案が、こういった法案という形で出すこと自体、意味のあることなのかどうかとかという部分がありましたよね。

 私自身、率直にこの法案を見させていただいたときに、私は実は逆に感じたんですね。党内で意見が分かれるところもたくさんあるんですけれども、それはそれで議論として、していただけたらと思うんですけれども、私自身は、この法案をつくることによって、これから恐らく来年の通常国会に出てくるであろう本体の各法案、本体の法案が一番重要なわけですけれども、この法案の審議をしていく中で、それが遅滞なくきっちりと前に進んでいくという約束をされる法案というふうに私は感じ取ったんですね。

 ただ、我々維新の会の厚生労働の委員の五人中三人が、実はもともとそちらに座っていらした、省庁の出身の方々ですので、省庁出身の皆さん方からすると、この法案はこうやって出す必要のあるものかという疑問が率直にあったようです。私は、地方議会出身ですので、そこまでのことは、不勉強なのかどうか、それはわからないですけれども、わかりませんでした。

 その点については、大臣自身はどのようにお感じになりますか。

田村国務大臣 まず、必要性といいますか、形上の必要性は、先ほども申し上げたんですけれども、三党協議を行って合意をして、そしていよいよ推進法をつくってという中において、法制上の措置というものを一年以内にやる、八月二十一日までにやるということでございましたから、社会保障制度改革に関しての法律をつくらなければならないということでございました。

 一年で何もかもできるわけがないですよ、それは。本当に幅広い改革でありますから。でありますから、その中においては、まずはどのような形で、どのような日程で、これから社会保障制度、内容は、詳細は書けませんけれども、大体このようなことをというようなことを書く。

 それは、必要に迫られて、そういう法律を出すと同時に消費税を引き上げるというような、皆様方は反対をされるだろうと思いますけれども、しかし、そうであるからには、やはり、国民の皆様方に一定程度の方向性が法律という形で見せられれば、これは議論になりますから。国会で議論した方が、必ず、マスメディアを通じてこれが国民の皆様方に伝わっていく話でありますので。

 閣議決定でおさめておれば、そこまで大きく国民の皆様方に伝わらないということを考えれば、国民の皆様方に対してのメッセージという意味でも、これは伝わっていくのではないか、そして、その上で御理解をいただければありがたいという思いの中で、今回、法律を提出させていただいたということであります。

浦野委員 閣議決定よりも重いというのは、恐らくそうなんだろうと私も思います。

 この国会の審議を通じて国民の皆さんに、どういったことが議論をされているのかというのを知っていただく、これが本来の我々の仕事だというふうにも、それも確かに思います。

 ただ、先ほど答弁の中に、そんなに細かくは書けないけれどもということもおっしゃったんですけれども、法案として出すのであれば、もうちょっとしっかり、いろいろなことを書くべきじゃないか。法案として出すのであれば、逆に、法案をもっときちっと縛るべきなんじゃないか。

 これも、我々の仲間の官僚出身の先生方がおっしゃっていたことなんですけれども、私も、できれば、やはりそういった、法案を出すに当たって縛っていくという方が実効性があるんじゃないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

田村国務大臣 もちろん、いろいろなことが書ければ、それにこしたことはないんだと思います。

 ただ、一方で、先ほど来の議論の中でもありましたとおり、いろいろなことを勝手に我々がつくるわけにいきません。それぞれの審議会等々で熱心な御議論をいただいて、関係者の方々に周知徹底しながら、ある程度、それぞれいろいろな立場の方々がおられますから、みんなが、パーフェクトというものはないと思いますけれども、大体、相場観として、ここならばというところの意識を持っていただく中において、いろいろな制度を詰めていかなきゃならぬものでありますから。

 いきなり我々だけで決めろと言われれば、それは決められないわけではありませんが、それだと今度は国民の皆様方に御理解をいただけないということもございますので、一定程度の時間が必要だということでございまして、今般の法律には間に合わなかったということでございますので、その点は御理解をいただければありがたいというふうに思います。

浦野委員 とはいうものの、このプログラム法案が、なぜ今回、このタイミングで出されたか。それはやはり、国民の皆さんに対する政府のメッセージ、これから社会保障改革をやっていくというメッセージを発信するという意味も恐らく含まれていたと思うんですね。

 この法案の先にある、重要な、最も我々がこれから取り組んでいかないといけない、先ほど来ずっとお話があります世代間格差の是正ですね。

 実は、端々には、その文言の意味が含まれる言葉が確かに並んではいるんです、この法案自体には。ところが、はっきりと、明確に、世代間格差の是正を行うという言葉が、この法案のメーンのところには書かれていないんですね。私は、これは、国民に対するメッセージを発信する意味であるのであれば、そういったことをこの法案の中にきっちりと明文化して書き込むべきだと思うんです。

 過去にもこういった推進法案も出て、過去になかったわけではない、何個か出ております。理念法と言われるものもありますし、どっちに当たるのかと言われたら、これはもう、形上は推進法なんですけれども、中身は理念法みたいな法案じゃないかなと思っていますので、国民の皆さんに発するメッセージとして、この法案の中に、世代間格差の是正という一つのキーワードをどこかでつけ加えるということはお考えにならないでしょうか。

唐澤政府参考人 持続可能な社会保障制度を構築するに当たりまして、ただいま御指摘をいただきました世代間の格差、あるいは世代内の公平、それぞれの公平を図っていくということは大変重要なことでございます。

 この点については、社会保障制度改革国民会議の報告書におきましても、急速な少子高齢化の進行でありますとか、あるいは雇用慣行、パートの方の増大ですとか、あるいは家族形態の変容というような、こういういろいろな変化がございまして、そういうことを勘案すると、全ての世代を給付やサービスの対象にしていく、年齢ではなく負担能力に応じて負担をしていただく、そういう全世代型の社会保障を目指すべき旨が提言をされているところでございます。

 確かに、先生の御指摘のございましたように、この法律案は理念のような規定を設けておりませんけれども、法案の中では、第三条第二項におきまして、少子化対策の中でございますが、「全世代対応型の社会保障制度の構築を目指す中で、少子化対策を全ての世代に夢や希望を与える日本社会の未来への投資であると認識し、幅広い観点からこれを講ずるものとする。」というふうに規定をさせていただいているところでございます。

 若い世代の皆様を含めて、国民の皆様に実際に御納得いただけるような全世代型の社会保障の実現を進めることは大変重要なことでございますので、私どもといたしましても、この法案においても、一〇%の、充実二兆八千億円のうちの四分の一に当たる、少なくとも〇・七兆円程度の子ども・子育て支援を実施いたしましたり、あるいは、医療、介護の機能連携、地域包括ケアの推進といった社会保障制度改革の推進に努めてまいりたいと考えております。

浦野委員 恐らく、担当省庁の方はそういうふうな答弁なんだろうと。ヒアリングのときもこの話は私はしていましたので、同じようなことをおっしゃっていました。

 私は、それにプラス、政治家である田村厚生労働大臣が、よりはっきりとしたメッセージを込めるためにも、この言葉というのは法案に盛り込まれた方がいいんじゃないかなというふうには思うんですけれども、大臣はその点はいかがですか。

田村国務大臣 この法律は、言うなれば、社会保障制度改革国民会議の報告書を受けて、それをもとに閣議決定をしてこの法案化に入っているわけでありまして、報告書の中にも明確に、そこは、全世代型というような形での、一つ方向性が入っているわけであります。

 そもそも、やはり、家族形態が変わる、雇用慣行が変わる、そもそもの、少子高齢化で高齢化比率が変わるという中において、それまでの一九七〇年型から二〇二五年型のモデルをつくらなきゃならないという意味で、高齢者がふえる、そういう社会において、しかし一方で、若い世代が今まで受益が少なかったということがある中において、若い方々に対する社会保障の給付という意味で、例えば子育て関係のいろいろな財源も含めて、これは準備をされてきておるわけでありまして、そういう意味では、十分に、全世代型の中において若い方々に対しても十分目くばせをしていかなきゃならぬという理念は盛り込まれておるというふうに思います。

 委員が、この法案からそれが読み取れないとおっしゃっていただくのは、我々も残念なところがあるわけでありますけれども、思いは、まさにそこに我々もちゃんと着目をいたしておるわけでございまして、そのような意味で御理解をいただければありがたいというふうに思います。

浦野委員 読み取れないわけではないんですね、少子化対策の部分では、先ほどの答弁にもありましたように、書かれてありますし。ただ、やはり、国民の皆さんにもっと何のための法案なのかということを知らしめるためには、そういうふうなことを書いたらいいんじゃないかなというふうに思ったわけです。

 さらに、例えば、このプログラム法案が可決しましたと。した後に、来年の通常国会から各論のさまざまな法案が出てくる。まず最初に出てくるのは難病の法案になるんですかね、年度的にいいますと。順次出てくると思うんですね。

 例えば、この法案が可決、成立した後に、予定どおりにその法案が進まなかった場合、その場合は、この法案はどういうふうになるんでしょうか。

唐澤政府参考人 まず、プログラム法案でございますけれども、これは政府にどういう義務を課しているのかということがございます。

 それで、先生からただいま御指摘をいただきましたように、この法案は、消費税の引き上げ、それから社会保障の改革、こういうことに伴う全体的な姿を国民の皆さんに御理解いただく、そういう大変重要な使命がございます。

 そこで、具体的には、社会保障の充実、それから重点化、効率化、こういうものを含めまして、その着実な実行を図るということで、一つには、政府がどういう事柄を検討項目として検討しなければならないか、そして、それの検討の結果に応じて措置を講じなければならない、こういうようなことを義務づけております。

 それから、あわせて、これは検討の結果を踏まえてのことでございますけれども、改革の実施の時期、それから関連法案の国会への提出の時期の目途、いつごろをめどとするのか、目指すのかということをあわせて定めているところでございます。

 したがって、私どもとしては、まずは、この法律の定められた義務に従いましてきちんと検討項目の検討を行って、そして、その際には、さまざまな御意見がございますし、ステークホルダーの方々からもいろいろな御意見がございます、現場からも御意見があると思いますので、そうしたものを踏まえて成案を得て、そして、目途としております時期に法案が提出できるようにまず全力で頑張りたい、こんなふうに考えているところでございます。

浦野委員 要は、間に合わなかった場合、このプログラム法案どおりにいかなかった場合、別に特に何も科せられることはないということなんだと思うんですね。

 それは確かに、いついつまでにできなかったから罰金何百万とか、そういうわけにはもちろんいかないのは重々わかるんですけども。であるならば、この法案をつくる必要がないじゃないかというふうにもまた言われかねないということになるんですね。

 私、これはやはり、こうやって工程表、プログラム法案を出す以上、そこはきっちりと、何か縛るものがないと意味がなくなってしまうというふうに思うんですけれども、この点について、省庁の方のお話と、やはり政治家の皆さんのお話と、両方ちょっと聞きたいので、御答弁いただけたらと思います。

田村国務大臣 今も話がありましたとおり、検討の項目と改革の実施時期、さらには関連法案を国会に提出する時期、こういうものに関して検討を行わなきゃならないですね。

 これは、検討を行うのは、我々、義務であります。だから、検討は行います。

 では、そこに書かれている国会への提出時期といいますか、成立の担保という部分でありますが、これに関しましては、国会はやはりさまざまな状況があるわけでありまして、時には解散ということも起こるかもわかりません。いろいろな制約がありますから、そこはどうなるかわからないというのは事実であります。

 ただ、一方で、ある程度時期も含めて我々書くわけでありますから、そこはやはり、この理由ならばいたし方がないなとか、こういうことが起こったのならば、これはそもそも中身を見直さなきゃいけないから仕方がないなとか、そういう合理的な理由がなく、ただ単にサボって成立に向かって努力しなかった場合には、それはやはり、出した我々として道義的な責任はあるのであろうというふうに思いますので、出したからには、なるべくそれに沿ってこれが成立をしていくように努力はしてまいりたいというふうに思います。

浦野委員 大臣に、道義的な責任云々ということをちょっと聞きたかったので、先に答弁されたので、まさに大臣自身がそういうふうに考えていただいているということだけがこの法案の担保である、私はそういうふうにしか感じないんですね。

 だから、書くのであれば、やはりもうちょっときっちりと縛る法案の方がいいんじゃないかという部分と、縛らないのであれば、わざわざ出す必要もないんじゃないかという、非常に、人によっては中途半端な法案に映っているということは御理解をいただけたらなと思います。

 では、続いて、少しまた中身の話に移りたいと思うんです。

 一番大きな改革の一つであります子育て政策の部分で、公定価格のことをこの間、前回の委員会でも少し質問をさせていただきました。

 十月十八日に行われた子育て会議の基準準備会議ですかの方に、「公定価格について」という資料が初めて出ておりまして、この中で、いろいろ、公定価格を決めるのは非常に難しい部分だと思うんですね。これからの、この制度の根本の、例えば保育士の処遇改善につながるようにつくらないといけないし、これからの子供たちのためにどれだけお金を使っていくかということの大きな大きな計算の指数の一つになるわけですから、かなりさまざまな数値を出していただいております。きょうは皆さんにお配りしていませんけれども、かなり細かい数字も、統計上の数字も、たくさんここには載っています。

 その中で、一つ気になるのが、私立と公立の収支の状況とかをここに載せていただいているんですけれども、その中の公立の備考に、

 公立施設については、市区町村の会計において

  ・特別会計として区分経理されていない

  ・施設ごとに区分経理することとされていない

  ・会計上の科目が学校法人や社会福祉法人と異なる

 ことから、私立施設と異なり、必ずしも施設ごとの収入・支出を正確に反映したものとなっていない。

というふうに書かれているんですね。

 備考にこうやって正直に書かれていることはいいことだとは思うんですけれども、これは逆に、正確に数字を書いていただかないと、比較できないと思うんですね。これは、恐らく市区町村に依頼をすれば、非常に嫌がられるかもしれませんけれども、できないことはないはずなんです。行き先のわからない税金の使い道なんかしていないはずですから、調べれば、全て数字はきっちりと出てきます。

 私立の方も、これは会計の報告義務がありますから、必ず、都道府県、市区町村にはその数字が上がっております。だからこそ、正確な数字がこうやって私立の部分には入れられるわけですね。

 公立の方は、やろうと思えばできたのに、なぜやらなかったんでしょうか。

石井政府参考人 今議員が御指摘になられましたように、十月の十八日、子ども・子育て会議の基準検討部会におきまして、公定価格の関係の資料を提出させていただいたところでございます。

 この子ども・子育て新制度に係る公定価格の位置づけでございますが、議員いみじくもおっしゃられましたように、大変重要な位置づけがあると私ども認識いたしておりまして、ことしの二月に、幼稚園・保育所等の経営実態調査を行いまして、その結果をお示ししたということでございます。

 委員みずからも御紹介いただいたわけでございますけれども、その集計結果につきましては、収入面でいいますと、自治体の公立保育所の保育料が一括収納されているということ、あるいは、支出面でいいますと、人件費を複数の施設で一括計上したり、あるいは、本庁の職員と出先の保育所と人件費が一体的になっていたり、さまざまな事情、自治体、違いがあるわけでございまして、必ずしも、施設ごとの収入、支出を正確に反映することが難しかったということでございます。それで、その数字を見たところも、やはりちょっと、収入のところは非常に少ないとか、なかなか比較、通常で見てどうかなと思う数字の結果にもなっていたわけでございます。

 このため、公定価格の検討に当たりましては、このような市町村会計上の特性も踏まえまして、私立施設の収支状況を中心に、その骨格や基本的な考え方などを検討することとしたところでございます。

 委員が、これは調べ直せばできるではないかという御指摘もいただいたわけでございますけれども、やはり市町村会計上の特性がございまして、市町村に対してさらなる調査をお願いするときには多大な事務負担になる、これは避け得ないだろうと思います。また、この精査を行った場合におきましても、一定程度やはり案分をするなど、推計によらざるを得ない点も出てくる可能性がありまして、これが果たしてどの程度有効な結果が得られるものかというところについても疑問もございまして、そういう意味では、慎重な検討が必要かなと。

 そういう意味では、私立の方の数字をベースに検討していくのが適当ではないかと考えた次第でございます。

浦野委員 その私立の幼稚園、保育園の給与が低いから問題になっているわけであって、それを基準に公定価格を導き出すということになれば、さらにまた低い水準で公定価格が導かれるということになりかねないというふうに私は思います。

 公立の民営化をされている市町村、たくさんございます。その民営化をされていく中で、公私間格差がどれぐらいあるのかというのを、市町村によっては調べているはずです。ある程度の数字がすぐに出てくる市町村もあるはずです。その辺をもう一度ちょっと調べていただいて、確かに、事務負担がふえる、その負担をおかけするのは非常に心苦しいですけれども、正確な数字を使って公定価格を導き出さないと、新しい制度になりました、保育園の職員の給料は前より悪くなります、まあ、こんなことはないでしょうけれども、数字上、そうなりかねないんですね。

 我々私立、済みません、保育園を経営している一人間としてちょっと言いますけれども、公私間格差というのは非常に大きいんですね。

 例えば、皆さんが、前回の委員会でも質問させていただきました保育士の確保策、ハローワークに協力を要請しているだとか、そういう話もありました。

 我々も、ハローワークにもちろん求人票を出しています。例えば、今、保育園は十一時間開所が義務づけられていますから、正規の雇用だけではそれはもう回りません、必ずパートの方を雇わないと。労働基準法で、八時間以上働いたらいけないですから。まあ、三六協定というのもありますけれども。そういうのも兼ね合いがあって、必ず、保育士の資格を持ったパートの皆さんに来ていただかないといけません、今、保育園はどこでも。

 この場合、ハローワークに求人を出しました、同じ求人のところに公立の保育園の求人も並んでいます。時給千三百円とかで募集されているんですね。我々民間の保育園だと、大阪ですら、時給、今、大阪は最低賃金は八百十七円でしたかになっています。もちろん、それ以下にはなりませんけれども、千三百円なんという時給は私立の保育園では出せない金額なんですね。ところが、公立の保育園は、平気でその金額で募集を出しています。

 どういったパートさんかといったら、正規の保育士さんがお昼休みの休憩をとるためにパートが要りますということで募集したりするんですね。そんなことをされたら、私立の、民間の保育園なんか、たまったもんじゃないです。待遇はいいわ、時給はいいわで、我々民間の保育園の貴重な保育士の人材は、そうやって公立の保育園さんに奪い去られていくわけです。こういった公私間格差があるからこそ、さまざまな問題も起きたわけですね。

 ですから、この公定価格を考えるときに、正確な数字を皆さん使ってください。そうじゃないと、そんな、とてもじゃないですけれども、正しい公定価格なんか出ないと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員は十月十八日の資料をお持ちかと思いますけれども、実はこのときには、確かに総括書の中ではそのような注釈をつけましたが、パーツ、パーツで数字も出しておりまして、職員一人当たりの給与月額、これも、幼稚園も保育所も公立と私立別で出しておるところでございます。

 こういう数字も出しながら、特に保育士の処遇については、委員会の中でも非常に問題になっておりますので、御懸念のようなことの議論になるとは考えておりませんし、また、これは内閣府の方で設置する会議でございますけれども、私ども、その辺は目配りをしてまいりたいというふうに考えております。

浦野委員 ほかの数字も確かに出ておりますので、極端なことにはならない。確かに、ならないかもしれません。けれども、せっかくこうやって立派な資料をつけていただくのであれば、そういった部分もきっちりと調べようと思ったら調べられたというのだけは、皆さん、わかっておいていただけたらなと思います。

 この公定価格を出すに当たって、これは、例えばそうやって出した金額が割といい数字で、思ったより予算がかかるんじゃないかという話になった場合、それは、はなから何かキャップみたいなのをはめているんですか、その部分に。子育て関係の施設に対する人件費に充てる金額というのは、何かキャップというのはあるんですかね。それ以上になってしまったら、もうそれ以上出せないかもしれないわけですよね。その辺はどうですか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 子ども・子育ての新制度に係る公定価格は、この保育に係るもののみではありませんで、さまざまな子育て関係、事業も含めまして、それに消費税を充当してやっていこうというものでございます。

 したがいまして、全体の中での配分といいましょうか、どこに手厚く、どうしていくかということは、これから全体の基準なども設定していく中で、会議の中での議論を踏まえながら定めていくものでございますので、今この時点で何かキャップとか、そういう議論があるわけではございません。

浦野委員 子育て会議は、非常に中身の、内容のある議論を、本当に長時間にわたって、何回も繰り広げていただいております。この会議がもっと本来はクローズアップされないといけないんじゃないかと思うぐらいなんですけれども、これからもこの部分に関しては私もいろいろと見ていきたいと思います。

 その中の一つ、まだもう一つあるんですけれども、小規模保育事業というのを非常に今回力を入れてやっていこうと。

 この形態の保育所というのは、恐らく、都市部にほぼ集中するだろうというふうに思っているんですけれども、ゼロから三歳児未満の子供たちを受け入れる受け皿として、小規模保育所というのを考えられていると思うんですね。これは恐らく、ほとんど都市部の保育園ですから、十一時間開所せざるを得ない保育園が多くなると思います。

 そういう想定をしているんですけれども、この場合、かなり人のやりくりが、これは小規模である欠点なんですけれども、先生の数が絶対的に少ないですよね、配置基準もありますけれども。確かに会議の中でも、一人ふやしてもらうという形の議論はなされていますけれども、これはかなりやりくりが大変だと思うんですね。小規模になればなるほど大変ですので。

 この辺は、もし、一人見ていただくというのは非常にありがたいんですけれども、本来ならば、さらに柔軟に人をふやせるようなこともこれからちょっと考えて、さらにふやすことを考えていただけた方がいいんじゃないかなと。実際、いろいろな入所形態があるでしょうから、一概には言えないかもしれませんけれども、子供に対する保育サービスというのは人数でしかカバーできないんですね。

 ですから、人が、無尽蔵にふえるのは無理ですけれども、ふやせばふやすほど子供たちにとってはいい保育ができますので、そこのところをもう一歩踏み込んでいただけないかなと思っていますけれども、いかがでしょうか。

赤石大臣政務官 浦野委員にお答えしたいと思います。

 私も、たしか三週間ぐらい前だと思うんですけれども、日本保育協会という、六十周年記念だったですか、田村大臣にかわりまして表彰と挨拶に行ってまいりました。そこでもいろいろと、るる今のような話も出ていましたけれども、確かに、この小規模保育事業というのはかなり運営が厳しいし、難しいわけです。今委員がおっしゃったように、都会では割と、ある程度ローテーションでいけると思うんですけれども、これが地方に行ったらかなり難しいんだろうなという気はしております。

 そういうことで、待機児童解消加速化プランに位置づけまして、早ければ二十七年四月を予定している新制度の施行を待たずに御支援を開始していきたいと思っておりまして、早期の受け皿確保を進めていくことにしております。

 そのため、小規模保育事業の認可基準について、子ども・子育て会議において、先行して御議論をいただいて、八月二十九日に一定の取りまとめをされた。

 先ほど、失礼しました、五十周年だそうです。

 その中では、小規模保育事業が定員六人以上十九人以下の小規模な事業であることを踏まえ、保育従事者の配置について、認可保育所における保育士の配置基準を一人追加配置するということをしております。

 御指摘の開所時間の問題については、保育認定に関する今後の子ども・子育て会議での議論の中で、どの程度の時間を保育の利用可能な時間帯として保障していくか、現行制度を踏まえつつ整理していくことがまず必要であるかと考えております。

 その上で、保育の受け皿となる保育所や小規模保育事業などに係る公定価格について、利用可能な時間帯との関係で、必要な保育従事者を確保できるよう検討してまいりたいと思っています。

 現行の認可保育所について、開所時間を十一時間としておりまして、保育所運営費では、そのための費用として、保育士配置基準を超えて、保育士一名を加配しておるというふうな措置をとっております。

 以上です。

浦野委員 私も日本保育協会の大阪支部の人間ですので、ただ、維新の会ですので、この間は呼んでいただけなくて残念でした。

 それはさておきまして、もう一つ、今回の新制度に移行しない部分もあります。これは、きょう、せっかく文科省からおいでいただいているので、お答えいただこうと思っているんですけれども。

 新制度に移行せずに今のままで、今の幼稚園のまま、今の体系の幼稚園のままでいけるという選択肢も残っています。もちろん、保育園も今のままの保育園でいいという選択肢が残っているんですけれども、意味合いは全く私は違うと思うんですね。

 この幼保一元化のいろいろな議論の一番最初の出発点は、やはり、待機児童の解消だったはずなんです。その中で、現行制度で残る保育園には、もともと、子供を受け入れる応諾義務というものがありますね。ところが、現行制度の幼稚園にはそれがありません。

 我々は、幼保、みんなで力を合わせて待機児童の解消を頑張ろう、子供たちのためになることだったらみんなで努力しようということで始まった議論だったはずなんですね。ところが、応諾義務の課せられない幼稚園が残るという選択肢がいつの間にかできているわけです。私は、これはちょっとおかしいんじゃないかなと思っています。

 さらに、では、例えばこれがスタートして、新制度に移行しない、今までの形のままの、現行制度のままの幼稚園が一体どれぐらいあるか、文科省としてどれぐらいを想像しているのかというのをちょっとお聞きしたいんですけれども。

義本政府参考人 お答えいたします。

 確認を受けない幼稚園の取り扱いについて御質問いただきましたけれども、子ども・子育て支援新制度におきましては、私立幼稚園につきましても、市町村において特定教育・保育施設の確認を受けて施設型給付による財政措置を受けることが基本でございます。その上で、既存の幼稚園については、別段の申し出がない限り確認を受けたものとみなすというふうなことを基本にしているところでございます。

 一方、確認を受けて施設型給付を受ける場合については、委員御指摘のとおり、応諾義務、あるいは、保育料の設定も含めた公定価格に従うなどの新たな義務が生じるところでございます。

 従前どおり、私立学校としての独自性やあるいは建学の精神に基づいて特色ある教育活動を展開するためには、応諾義務やあるいは市町村による保育料の設定を受けることが困難な幼稚園も一定程度出てくるというふうなことが推定されるわけでございます。

 こうしたことも踏まえまして、国会の議論などを受けまして、確認を受けて施設型給付を受けることを基本としつつも、確認を受けないこと、すなわち施設型給付の対象にならないということでございますけれども、私立幼稚園の選択肢も認めるということにしたところでございます。

 このような制度の取り扱いについては、趣旨も含めまして、各種会議も含めて、さまざまな機会を通じまして、自治体あるいは関係者に丁寧な説明、周知を今後とも行ってまいりたいと思います。

 委員の方から、どれぐらいの幼稚園が見込まれているかということでございますけれども、現状においては、私立幼稚園、八千百九十七ございます。今、この制度の理解、あるいは公定価格の議論を受けまして、経営にどういうふうにかかわってくるかということも踏まえた上で、これは来年度以降になりますけれども、一定の考え方をお示しした上で、この制度に移行していくというふうな基本をたどるのか、あるいは園として残るのかというような御判断をいただくことになっておりまして、現時点において、幾ら移行するかということの想定はなかなか難しいところでございます。

浦野委員 今、御答弁の中に、私立幼稚園のいろいろな教育方針だとか理念だとか、そういうのが云々というのがありましたけれども、それは保育園でもあるんですよ。別に、幼稚園だからある、保育園はないというわけじゃないです。

 保育園も、競争していないというふうに言われますけれども、保育園は、自分たちの保育園が選ばれるために努力をしなければいけない時代に、もう既に十年以上前からなっております。ですから、理念を持ってやっている保育園がほとんどです。だから、今御答弁いただいた内容というのは非常に、私にとっては不愉快な答弁だなと思います。

 この点についてもまだまだこれから議論したいと思いますので、これからもよろしくお願いをいたしまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今、国民会議派という言葉、本会議でお時間を頂戴して、日本維新の会を代表して、社会保障プログラム法案については意見を申し述べ、また質問をさせていただきました。その際には、丁寧に、田村大臣におかれましては御答弁をいただいて、ありがとうございました。

 誤解があってはいけないので、この本会議についてちょっと一言だけ補足をしておきたいと思うんです。

 民主党の長妻元大臣の次に質問に立たせていただいて、比較的、このプログラム法案に対して反対基調の質問を申し上げたので、あたかも民主党と同じ意見かのように誤解があったかもしれませんが、少なくとも、まだ我々日本維新の会は賛否は決めていません。

 決めていませんし、それから、物事については、賛成、反対、特に与党の法案に対する野党の賛否について、与党の法案に対して野党が反対というときには二つあるんですね。今回の政府・与党の社会保障制度改革、これについて、民主党さんは、例えば先ほどの話であれば、要支援についてその見直しはいかぬということで、改革をやるなという立場の反対と、私は、むしろ、もっとやれ、改革が足りない、本当に今の財政状況とこの分野の大切さ、重要さを踏まえれば、もっとめり張りのある改革の姿というのがあるんじゃないのかなと。

 ところが、先般も小泉政務官がおっしゃったように、自由民主党は、公明党さんも含めてでございますが、大変懐の深い政党ですので、ついつい、足して二で割る的な落としどころを探られることが多うございます。もちろん、民主主義ですから仕方ないといえば仕方ありませんが、やはり政治はリーダーシップ、はっきりとこっちへ行くべきだということがあれば、多少反対があっても、政府・与党がリーダーシップを持って取り組んでいただける、こういうふうに期待をしております。

 そういった観点から、日本維新の会としては、また賛否を含めて議論していきたいと思いますが、きょうはプログラム法案ですから、我が党の重徳委員の方からは、世代間格差を初めとする大変大きな話を申し上げました。浦野委員からは、保育の話があったかと思います。私はちょっと原子力で離れていたので伺えていませんでしたが、保育の話は大変重要で、少子化の話は、引き継いで金曜日にまたお時間を頂戴して、改めて少子化対策の話はしっかりお時間をいただいてやらせていただきます。

 きょうは、いわゆる地域包括ケアシステム、これに集中して、非常にミクロな話でございますが、大変重要な話であると思いますので、財務省、それから国交省、総務省にも、大変お忙しい中でございますが、おいでをいただいています。

 他省庁についてはちょっと後段でお時間を頂戴すると思いますが、この地域包括ケアシステムというのは大変重要ですので、ぜひ、田村大臣初め厚生労働省の方々に私が申し上げること、質疑を聞いていただいて、その上で最後に、財務、国交、総務、それぞれのお立場に御質問を申し上げたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、田村大臣に御答弁いただきたいんです。

 もともと、介護保険の世界で、平成十八年の制度改正の中で出てきた発想だというふうに伺っておりますが、少なくとも、この地域包括ケアシステムについて、定義が法案にしっかりと書かれたのは今回が初めてということであります。

 もう法案を見ていただいたとおりでありますが、この法案の四条の四項に、五行にわたってこの地域包括ケアシステムについて定義が書いてございます。これはたまたま医療の項目に書いてありますが、経緯的には老健局が骨を折りながら組み立ててきた世界だと思います。

 ただ、やはりこの地域包括ケアシステムというのは、一体誰がこれをつくり、誰がこれをマネージしていくのか、この辺のイメージが私はまだまだちょっとよく理解できていません。

 簡潔で結構ですので、ぜひ、副大臣の方からでも結構ですので、システムづくりとマネジメント、一体誰が中心でやるのか、御教示をいただきたいと思います。

赤石大臣政務官 足立委員にお答えいたします。

 私も生まれが、青森県の片田舎の南部町というところが出身でありまして、実は今、この包括ケアシステムの構築をやっているところであります。来年の四月に医療センターとしてオープンすることになっているんですけれども、ただ、市町村によっては、まだまだそういう能力にたけているところが数少ないんだろうと思います。

 今、たまたまここの町ではいろいろな支援事業があって、こういう介護、医療、生活支援というものについて造詣が深い首長さんがいて、この首長さんが中心となって、たまたま町立病院を建てかえるというタイミングで、この医療センターをつくるのと同時に包括ケアシステムをやろうということで、英知を集めてやっているところであります。あくまでもこれをマネジメントしていくのは市町村でありまして、それに県と国が支援をする。

 確かに市町村では、能力の格差があって難しい面もありますけれども、国と県が支援しながら、首長さんがしっかりとした勉強をしていただいて、マネジメントをつくっていく。そうしないと、田舎の医療システムはなかなか構築できないということになっていきますので。

 たまたまそういう再生のタイミングが合ったところはいいんですけれども、今ある既存の医療機関を再編するとか診療所を再編するとかというのは、かなり難しい作業になってくると思いますので、政府としても、こういうプログラム、ガイドラインをきちっと用意して支援をしていきたい。実際のマネジメントとしては、各市町村がやるということでございます。

 以上です。

足立委員 ありがとうございます。

 後ほど、市町村のあり方については、総務省からもおいでいただいていますので、時間をとって、その点は改めて議論をしたいと思います。

 いわゆる包括支援センターが今ございますね。市町村が中核になってやる、その具体的に想定している地域は包括支援センターだ、こういうふうに事務的にも伺っているわけですけれども、私の地元なんかで具体的に、私の地元は三市二町あります。三市の中には三十万規模の市もあれば、二町の中には、もう本当に二、三万もないような町もあります。いずれも市町村ですね。そして、その市町村が、いろいろな形で社会福祉法人を初めとする主体に包括支援センターを委託している。

 ただ、本当に今現場は、今の現状で何とかやりくりしているのが、市町村であり包括支援センターだと思うんです。その彼らに、では、医療も、そして住まいもということで、マネジメントできますか。

赤石大臣政務官 今私が説明したように、非常に難しい課題であります。そのために包括支援センターがあるわけですけれども、なかなか、現場を理解してマネジメントまでいけるという、首長さんを含めて自治体があるかどうかという点では、かなり難しいだろうなというふうに私も思います。

 今、それを支援するために、これから政府として、いろいろな施策を考えて、予算もしっかりとつけて推し進めていきたい、このように考えております。

足立委員 これは、副大臣の経験に裏打ちされた御答弁だと思いますが、本当に、ここで目指している、このプログラム法案に「地域包括ケアシステム」と書いて定義をしたその目標というのは、大変奥の深い話でありまして、これを本当に五年、十年、十五年、二十年かけてやっていくという、これは私は大変重たい仕事だと思っています。

 ところが、法案には立派なことが書いてあるけれども、実態は、老健局が本当に苦労してつくってきた、これから地域で、医療も含めて本当に協力してやっていけるのか、若干私は心配に思っています。

 例えば、医療の制度というのは誰が今一番中心になってつくっているかというと、それは都道府県ですよね。特に、これから国保について、今回のプログラム法案でも明確になっているように、市町村国保を都道府県に移行させるということで、ますます、これまで以上に、医療に関する計画、あるいは医療の提供体制に関する、例えば病床規制を含めて、もともとこれは都道府県がやっている。国保まで都道府県でやるとなると、医療の世界は都道府県、介護の世界は市町村、ところが、包括ケアシステムは市町村、あるいは、実際のくくりは地域包括支援センターでやるんです。

 副大臣、もう一度、これは大丈夫ですか。都道府県と市町村との役割分担、あるいはその連携ができますか。政務官、ごめんなさい。

赤石大臣政務官 確かに、委員の心配していることも多少あるわけですけれども、国保の運営については、財政運営を初めとして都道府県が担うことを基本としつつ、保険料の賦課徴収、保健事業の実施等に関する市町村の役割が積極的に果たされるよう、これから都道府県と市町村との適切な役割分担について検討を行うということで、都道府県と市町村の役割分担の具体的なあり方については、今後、地方団体と十分協議し、意見を伺いながら対応していきたいと思っております。

 今委員がおっしゃるように、医療と介護、そして福祉、そういったものを連携させるというのは、確かに、保険上も、医療保険も縦割りになって、診療報酬と介護報酬と分かれていますので、こういうのをどうやってつなげていくかというのは、大変難しい作業があるんだろうというふうに私も思います。そこを何とか、国も支援しながら、市町村と協議をしながら、組み立てるように我々も必死になって頑張っていきたい、このように思っております。

足立委員 政務官、役職を間違えまして済みません。

 田村大臣、これは、今政務官にお答えをいただいたわけですが、私、本会議で、情報化と会計基準について取り上げました。

 これについてはもう御答弁をいただいていますが、もともとは平成十七年、二〇〇五年ですか、もう大分前ですね。二〇〇五年に、政府の医療制度改革大綱に、医療法人制度改革の一環として、「医療法人に必要な会計の在り方について検討する。」と書いてあった。ところが、医療界というのは、私も医療界を余り敵に回したくはないんですが、二〇〇五年に政府が「検討する。」と書いたものが、いまだにできていないんですよ。いまだにできていない。それが、やはり医療界のある種のいいところでもあり、悪いところでもあると思っています。

 今、きょう、この委員会で改めて会計基準について、あるいは情報化について取り扱うつもりはありません。むしろ、私は、地域包括ケアシステム、これが本当に大事だと思っているんです。

 だから、その包括ケアシステムがそれぞれの地域で、中学校区ぐらいだというふうに伺っていますけれども、本当に高齢者に対して、介護保険のみならず、医療、住まい、さまざまな施策が連携して地域で支えていかないと、もう支えられないんだから。これは、本格的にこのケアシステムのために大臣がリーダーシップをとってやっていただかないと、これは市町村だ、これは包括支援センターだ、そして医療は都道府県だでは立ち行かないので、やはり厚生労働省、厚生労働大臣がリーダーシップを持って、市町村と都道府県のそごというか、これはあるんです、実際にあるんです。

 医療の世界は一次医療、二次医療、三次医療という独自の世界がある中で、どうやって、一次医療というか、あるいは、かかりつけ医に代表されるようなシステムと、この包括ケアシステムが本当に連携をとってやっていけるのか。大臣のこの包括ケアシステムについての御決意というか、あるいは御認識を改めてお願いします。

田村国務大臣 この地域包括ケアシステム、今回の言うなれば肝になる部分だと思っています。それは、よく言われる、国民会議の報告書の中の病院完結型から地域完結型の医療、介護。そうなってくれば、当然、地域包括ケアシステムというものが、これは地域全体、中学校区で、いろいろなものが連携しながら、それこそ、今言われた住まい、予防、医療、介護、そういう部分を含めて対応していく。

 これをどうそれぞれに連携するかというのは大変難しい問題でありますが、地域医療計画と介護保険事業計画、これはそれぞれ違うものでありますけれども、これの連携をしっかりとしていく中において、この地域包括ケアシステムというものもしっかりこれが機能していく、そういう形にしていかなければならないわけであります。

 今まで、なかなか、わかりづらいと言ったらなにかもわかりませんけれども、地域包括ケアシステムといいますと、何となくふわっとしたイメージで、具体的に一体何がというイメージなのかもわかりません。

 それはなぜかというと、全てがあるわけでありますので、これがどうだというような一つのものではないわけであります。そのような意味で、わかりづらいというのがあるかもわかりませんが、高齢者の方々がその地域で、言うなれば安心して暮らせる、そのような全体の機能のことを言っているわけでございますので、そういうものがしっかりと機能できるような、そのような連携体制、これは先ほど言った計画も含めて組めるように、我々の方も各自治体、都道府県に対して助言をしてまいりたい、このように思っております。

足立委員 今、都道府県が医療計画をつくるということでありますが、例えば医療計画の中でも、在宅医療については介護保険事業計画としっかり連動させるとか、何か具体的に、医療計画の中でこの部分はシステムの中核になる問題だから、これは市町村がつくる介護の計画としっかり連絡をさせるとか、やはり厚生労働省の中でも、老健局だけではなくて、厚生労働省を挙げてのシステムの連携の仕組みづくりが私は必要だと思っています。

 大臣、私がこういうことを改めて言う理由は、やはり明らかに連携がとれていないなと思うことが多々あるんです。

 例えば、平成十二年に介護保険制度ができたとき、私はすばらしいなと思いました。例えば営利事業。営利事業体の活力も使わせていただくということで、営利事業も参入ができるようになりました。大変すばらしい。だから、私たち、当時横で見ていて、医療制度というのは歴史があるけれども、大変問題が積み重なってきているが、介護保険というのは新しくできたので、やはり非常によく考えられていてすばらしいなと思ったんです。

 ところが、一方で、医療法改正の流れを見ていると、医療法人の非営利性については、ますますその持ち分を、解散するときにも分配できないとか、非営利性が強まっているんですね。

 介護保険制度と医療保険制度、同じ保険制度であるにもかかわらず、介護の方は営利事業の活力を生かす。医療の方は営利性を弱める、非営利性を強める。これは逆行しているように見えるんですね。私は、そういう点を捉えて、医療保険の世界と介護保険の制度が全く別の方向を向いていっている中で、地域包括ケアシステムと言っても大丈夫ですか、こう聞いているんですね。

 今申し上げたこの営利、非営利の話は、保育の世界でも株式会社の参入ということでよく出てくる話です。この営利、非営利について、厚生労働省、大臣がどうお考えなのか、ぜひ、簡潔かつ明瞭にお願いします。

田村国務大臣 前段の部分は、先ほど言いましたとおり、地域医療計画と介護保険事業計画、これは五年と三年、それで平仄を合わせていく中において、二次医療圏というような医療の概念が一応ありますから、その中においてどのような形で調整するかということを今念頭に置きながら、ここはしっかりと連携がとれるようにしてまいりたいというふうに思っております。

 今の介護と医療のことに関してでありますけれども、介護は、前回も申し上げましたけれども、保険あってサービスなしという中において、特に在宅サービス、それまでちゃんとした制度が余りなかった中において、これはもう民間の力、株式会社の力をおかりしないとなかなかサービスができないという中で導入いたしました。いろいろな問題も出ました。そのたびにいろいろと制度もいじりながら、今何とか動いてきております。それ自体が全て悪いと言うつもりもありません。

 ただ、介護の場合は、御承知のとおり、この間も言いましたが、ケアプランというものがございます。つまり、そもそも要介護度によって受けられるサービスが決まりますから、上限が決まる。そして、ケアマネジメントをされて、プランがつくられて、それで動いていくわけでありますから、それ以上伸びるということはないわけであります。

 医療の場合は、基本はこれは出来高でありますし、一方で、株式会社のお医者様が悪いことをすると言うつもりはないんですけれども、お医者様の裁量権が非常に強い。ですから、そこにはチェックの目が入りませんから、別に、株式会社が全部悪いことをすると言うつもりもありませんし、もちろん、法違反をすると言うつもりもありません。

 ただ、やはり株式会社というのは、利益を出して、それを株主に還元するという大きな使命を経営者は持っております。ということは、それを稼いでいかなきゃならぬわけでありまして、合法的な中でいかに稼げるかということを考えますと、診療報酬をいかに合法的に取るかということになり得るわけであります、株式会社の使命を追求すれば。

 私は、日本の医療というものは、非営利という流れの中で今までやってきたからこそ、世界にこれだけのコストパフォーマンスというもの、何といってもGDP比でこれだけの質でこれだけの医療費でおさまっているというのは、私はやはりそこの非営利という部分がかなり影響があったのであろうなというふうに思っております。

 ですから、株式会社を早期に導入するなどというようなことは、なかなか今の制度の中では、今言ったようないろいろな心配点を解消できないものでありますから、念頭には今ないということであります。

足立委員 尊敬する田村大臣ですが、この点だけはなかなか得心がいかないんですね。非営利なら悪いことをしないかというと、最近の徳洲会の例を挙げるまでもなく、幾らでも悪いことはできるんですね。

 だから、私は、営利か非営利かで、その法人の、医療なら医療、介護なら介護のことを仕切るというよりは、必要な法人特性があればそれを別途縛ればいいので、私は、営利と非営利のそこの線引きについては、疑義が、議論があると思っています。これは、大臣、ちょっと時間がないので、また金曜日でも含めてゆっくりやらせていただきたいと思いますが、仮に非営利でも、私は制度整備はした方がいいと思うんです。

 今回の法案で、細かいことで恐縮ですけれども、おもしろいなと思ったのは、私は非営利法人のMアンドA制度が要るとずっと言っていたんです、ずっと思ってきたんです。やっと今回の法案で、医療法人間の合併や権利の移転に関する制度、これを見直していくということが書いてあります。

 これをちょっと配らせていただいていますが、まさに小泉改革のころに、これは経済産業省のクレジットですが、当時の医政局の指導課長にもオブザーバーで入っていただいて、経産省と厚生労働省が一緒になって勉強した一つの成果物の一ページでございます。

 これは「株式会社」と一個だけ挙げていますが、いわゆる会社法の世界はもっと広大な制度があります。株式会社、有限会社、いろいろな会社制度があります。それぞれの異なる会社間で、合併規定は当然あります。クロス合併ができます。さまざまな税制が用意されています。

 ところが、今、これはちょっと古いので、民法社団、財団とかはもう制度が整備されていると思いますが、要すれば、同種合併規定しかないんですね。同じものがざっと縦と横に並んでいますから、斜めに黄色い色がついているということは、同種合併しか認められていないんです。

 今回の医療法人間の合併規定については、それは何かと事務的に聞くと、社団医療法人と財団医療法人かな、その間のクロスだけできるようになるんです、こう言うわけです。しかし、今病院を持っている主体というのは、学校法人もあれば、NPO法人もあれば、社会福祉法人立の病院もあります。

 そういう中で、私は、もし合併規定、MアンドA規定を整備するのであれば、こういう医療や介護に係る多種多様な非営利法人制度について、クロス合併規定を置き、必要な税制を整備するべきであると思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 医療法人には医療法人の目的がありますし、学校法人には学校法人の目的がある、社会福祉法人には社会福祉法人の目的があるということで、それぞれの目的がある中において、合併したものは一体どういう目的のものになるのかという多分大きな問題点があるんだと思います。

 ほかにも幾つか、多分、法人の種類間を乗り越えての合併というものがなかなか想定できないという理由があると思いますので、これはちょっと精査して、また委員の方に御報告をさせていただきます。

足立委員 まことに僣越なんですけれども、やはり厚生労働省の方々は、非営利法人を見てこられたまさに当事者でありますので、それは医療法人であれ、社会福祉法人であれ。ところが、会社法の世界でいうと、とても理解しがたい制度に今なっているんですね。

 例えば、今大臣がおっしゃったように、学校法人が学校をやっていて、医療法人が病院をやっていて、社会福祉法人が老健をやっていれば、それはわかりやすいですよ。でも、先ほど申し上げたように、学校法人立の病院もあります、トヨタ記念病院のように株式会社が持っている病院もあります、いろいろなものがあります。それを、今合併の話だけしましたが、分割したりすることだって可能ですね、本来。

 例えば、学校法人なり株式会社立の病院を、病院を分割して医療法人が買うということだって、会社の世界なら当たり前になされていることでありますが、これが今、非営利法人では非常にやりにくくなっているということなんです。

 もう時間がないので、その関連で、例えば税制。今、社会福祉法人と学校法人は法人税が無税になっていると思います。しかし、今申し上げたように無税の法人立の病院というのがありますね、一方で、医療法人立の病院は法人税がかかっていますね。これは公平な税制になっているんでしょうか。厚生労働省あるいは財務省、お願いします。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 法人税法におきましては、原則として、所得が生ずれば課税をするということにしているわけでございますけれども、そうした中で、法人の組織形態や目的などを勘案いたしまして、公益性の高いものにつきましては、公益法人等として収益事業から生ずる所得のみに対し課税をするなど、税制上異なる取り扱いを定めているところでございます。

 先生が御指摘されました社会福祉法人といった法人につきましては、この公益法人等に位置づけられているところでございます。

 加えまして、社会福祉法人が営む医療につきましては、その適正な運営を確保する観点から、法律上、設立、管理、また監督に関しまして、厳格な内容の規定が設けられているといったこと、それから、生計困難者に対しまして、無料または低額な料金で診療を行うことが法制度上予定されている法人であることといったことを踏まえまして、当該法人が営む医療保健業を収益事業の範囲から除外し、非課税としているところでございます。

 他方、医療法人につきましては、こうした制度上の規制がないことから、営利法人と同様の取り扱いにしているところでございます。

 今申し上げましたとおり、法人税においては、原則として所得に課税するということとしつつ、法人の特性に応じて、税制上異なる取り扱いをしているということでございます。

足立委員 ちょっと確認ですが、社会福祉法人が行っている医業について、それが社会福祉事業に当てはまるためには要件があると思いますが、公益事業なりなんなり、いわゆる社会福祉事業ではない医業の場合であっても、社会福祉法人が行っている限り、何か医療法人とは別の要件があるということですか。もう一度確認です。申し上げていること、わかりますか。

 要すれば、社会福祉法人が医業をやっていますね。それは、ある要件を満たせば社会福祉事業として位置づけられる。でも、要件を満たさなければ公益事業という位置づけになります。それでも無税ですね。なぜその医業は無税で、医療法人が行う医業は法人税がかかるんですか。

田村国務大臣 まず、社会福祉法人がやる医療の場合、当然のごとく、社会福祉法人の事業、本来事業が主になります、ですから、医療行為は従であるということが前提であります。

 無料低額診療事業、これに関しては、当然、これは社会福祉事業の一環ですから、無税という形になります。一方で、先ほど言いました公益事業、こういう公益事業に関して言いますと、例えば特別養護老人ホームの中に併設している診療所でありますとか、それからリハビリ専門病院など、こういうものに関しては、例えば特別養護老人ホームに入っておられる方々の医療部分も受けますし、外から来られる方々の医療も無税になるということであります。

 基本的には、主たる事業が社会福祉法人で、ここは従たる事業であるというもとにおいて、これは公益事業ということで無税というふうに我々としては理解をいたしております。

足立委員 今の田村大臣の御答弁ですが、財務省も同じ考え方でしょうか。星野官房審議官、お願いします。

星野政府参考人 同じでございます。

足立委員 今のように、ある法人があったときに、それが附帯事業であればという整理は一つの整理だと思いますが、私は、これからまさに地域包括ケアということで、地域で介護事業と医療がまた連携しながら、地域のさまざまなニーズを満たしていくためには、一定のMアンドAが必要だと思うし、そのための制度整備が必要だと思っています。そういうMアンドA制度が整備された暁には、今のロジックは若干無理が出てくると私は思っていまして、これは、大臣、また改めて御討議をさせていただきたいと思います。

 今のように、MアンドAのいろいろな制度が、この一枚紙にあるように、同種合併以外の異種合併に関する規定が全くない、当然に、それに関する税制も整備をされていないという問題点を指摘させていただきたいと思います。

 それから、きょうは、坂井政務官にも国交省からおいでをいただいています。

 これは、まさに住まいについても、この包括ケアシステムについては関係があるということで、サービスつきの住宅等についての政策も、国交省と厚労省で連携して講じてこられていると思いますが、今回、プログラム法案で、改めてこの包括ケアシステムについて定義がなされ、いよいよ本格的にこのコンセプトで町づくりを進めていかなければいけない今のときにおいて、国交省としてどうお考えか、御見解をお願いします。

坂井大臣政務官 今委員が御指摘をされました地域包括ケアシステム、これから本格的にまた進んでいくという段階に参りまして、住まいの確保というものは大変大事だ、このように考えております。

 平成二十三年十月に、サービスつき高齢者向け住宅の登録制度を創設いたしまして、予算補助、税制措置などの支援措置により、今、供給を促進してきているところでございまして、登録住宅戸数も、平成二十五年十月末現在で約十三万戸と、多くなってきているというところでございます。

 このサービスつき高齢者向け住宅に併設の施設をつくる、こういったときにも、建設費の補助をあわせて今行っておりまして、診療所であったり、訪問介護ステーションであったり、ヘルパーステーション、デイサービスセンターなどなどというものがあって、それを、そこにお住まいの方々だけではなくて、地域の方々も今御利用いただいている、こういうことになっております。

 また、都市近郊でございますので、URの団地とか公営団地なんかの建てかえのときに、単なる建てかえではなくて、介護・医療サービスを提供する施設等の併設を促進する。こういうような地域における福祉医療拠点の整備を促進してきておりまして、今後とも、厚生労働省との連携をしっかりしてまいりたいと思っております。

足立委員 私、実は、もともと経産省におったんですけれども、経産省に入ったときに一番おもしろそうだなと思って当時眺めていた政策が、テクノポリス構想というのがあったんですね。大臣、御存じないかもしれませんが、同じ世代だと思うんですけれども、私らが高校、大学あたりで比較的あった政策でありまして、いわゆる通産省の技術政策と建設省の都市政策を融合させて、一緒に法律をつくって、テクノポリスというのを大々的にやったんです。

 その成果については賛否がありますが、私、これから、ぜひ、国土交通省と厚生労働省は、本格的に町づくりまで含めて、これは少子高齢化時代を支える町づくりについて、サービスつきの住宅だけじゃなくて、連携をしていっていただきたいという個人的希望ですが、坂井政務官、おいでいただいているので、希望を申し上げておきたいと思います。

 特に、今回、この地域包括ケアシステムについては、研究会がたくさん資料をホームページにも出されています。これは、座長を慶応大学の田中滋先生がやっておられます。実は、先ほどお配りしているこの一枚紙も、この田中先生が座長でやった研究会なんですね。だから、私は、この田中先生のある種のビジョンというか思いというのは、大変よくわかるつもりであります。

 田中先生がこの地域包括ケア研究会の論点整理をされた最後に寄稿文を寄せていらっしゃって、これからはいわゆるケアつき住宅からケアつきコミュニティーにしていきたい、いくべきだ、こういう御提言をされておられます。

 まさに今は、高齢者がふえていく中で、何とかその高齢者が住む場所を確保するということで、高齢者住宅の整備に政府を挙げていろいろ支援策も講じられておられるわけですけれども、本当に大事なことは、まさに地域マネジメントの、要は、マネジメントのあるケアつきコミュニティーが地域で仕上がっていくような世界が、本当に私は大切だと思っております。

 そういう観点から、冒頭の政務官の御答弁に戻るかもしれませんが、私は、実は、今の市町村はやはり頼りないと思っているんです。

 だから、きょう総務省からも伊藤政務官においでいただいていますが、総務省も市町村合併をずっと進めてこられて、今のあり方で満足をされているわけではないと思います。本当に、この社会保障制度プログラム法案に書いてあるような社会保障の姿を地域で実現していく、そのシステムづくりやそのマネジメントの主体となる市町村は、今の規模あるいは市町村の現状で大丈夫なのか。これはちょっと御見解をお聞きしたいと思います。

伊藤大臣政務官 お答えを申し上げたいと存じます。

 御議論をいただいてまいりましたように、この地域包括ケアシステムは、市町村が主体で行っていく仕組みでございます。将来にわたって市町村が、特に二〇二五年の、団塊の世代が七十五歳を迎える、老人がたくさんふえる、こういうときに、本当に財政的にも含めて耐えられるだろうかということは、多くの人たちが考えるところでございます。

 これに向けてというのは、やはり、ただ仕組みの問題だけではなくて、例えば、私たちは、二〇二五年の前の二〇年にオリンピックが参ります。そのオリンピックに向けて、全国民が健康で過ごしている、健康な人がどれだけいるのかというようなことだって、実はこうした仕組みを裏から支える重大なことだと私は認識をいたしておりますが、そもそもこの制度は、保険者たる市町村が中心となって整備をされております。都道府県と市町村がよく連携をして、長期にわたって耐えられる仕組みで主要な役割を果たしていくことを私は確信いたしております。

 しかし、現状としては、まだまだ、多職種、多機関の連携であるがゆえに、それぞれにかかわる制度や運営を初めシステムの構築の方法がわからないというような疑問を持った市町村も多いと伺っております。

 このために、例えば愛知県にあっては、あいちの地域包括ケアを考える懇談会というものを既に開催していただいて、医療と介護の連携を中心に関係者の役割等の提言を取りまとめるとともに、モデル事業を実施して市町村が実際に取り組んでいけるようにするということも、既に連携として始まっておるわけでございます。実際に行っております。

 総務省といたしましても、厚生労働省とともに、この制度が地域で十分機能を発揮していけるように努力をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

足立委員 ありがとうございます。

 本日は、こうして総務省にも、あるいは財務省、さらには国土交通省にもおいでをいただいて御答弁をいただきました。

 政策というのは大きくマクロとミクロがあります。それで、マクロ政策については、まさにアベノミクスを含めてもう大変な議論があって、これから政権としてこのマクロ経済をどう運営するのかということが大切で、これについては、恐らく、アベノミクスが成功するかどうかで、与野党大変な戦いが、まだ終わっていないと思います。

 これから、財政あるいは社会保障をめぐって与野党で大変な戦いがある。そのときに、日本維新の会として、民主党と連携するか、自民党と連携するか、オープンでしっかり検討していきたいと思います。

 ただ、私がきょう地域包括ケアシステムに焦点を当てさせていただいたのは、そうやって本会議でわあわあ言うのもいいが、やはり地元で、現場で仕事をされておられる方々にとっては、きょうがあり、あしたがあり、ことしがあり、来年がある。やはりこの三年間あるいは五年間の地域のケアのあり方についても本当に重要で、少なくとも、私たちは、その包括ケアというものをどうやってつくっていくかについて全面的に協力をしていきたいと思っていますので、そういう旨を申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁でございます。

 先週金曜日、十一月一日に、本会議でも、この社会保障改革プログラム法案、いわゆるですが、質疑をさせていただきました。きょうも朝から議論がされておりますが、長時間にわたりまして、大臣も、皆さん、お疲れだと思いますけれども、私にもお時間を頂戴させていただきたいと思います。

 いわゆる社会保障改革プログラム法案、昨年の三党合意から、税と社会保障の一体改革、消費税増税が中心となっておりますが、これから迎える少子高齢化、二〇二五年が一つの目安となっておりますが、さらに高齢化、二〇五〇年、二〇八〇年までも続く、そのような推計もされております。

 そういった中で、抜本的な改革が必要という認識は、我が党も、私は長年地域医療に従事してきた医者としましても、まさに今回のプログラム法案、案としても出ております、介護保険の創設とともに私は在宅医療でやってまいりましたので、その辺についても改革の必要があるという認識は持ってはおりますが、我が党は、消費税増税の前に、そして増税の税収を当て込んだ社会保障改革をする前にやるべきことがあるということは、終始一貫、訴えております。

 そういう中で、やるべきこと、まずは、徹底した無駄の削減。そして、不公平の是正ですね。その上で、岩盤規制とも呼ばれる既得権を持った構造自体、そこの構造改革。その上で、将来世代にしっかりとビジョンを描いて、その中で、一体幾ら足りないので幾ら補充しなきゃいけない、そのことを明確にするべきだ、そういう主張をしてまいりました。

 その主張はずっと終始一貫しておるわけですが、改めて、大臣に、その主張に対するお考え、それと、今現在、徹底した無駄の削減、不公平の是正がなされているのかどうか、その辺からまずお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 無駄の是正といいますか、徹底というのは、必要なことだと思います。

 私も、政権交代を二〇〇九年にする前だったと思いますけれども、党で無駄撲滅のプロジェクトの主査をやっておりまして、いろいろな無駄をなくそう、まあ、中には無駄じゃないものもあるんですけれども、そこは見きわめながらしっかりと、当時は、事業仕分けとは言っておりませんでして、棚卸しという言い方をしていましたけれども、事業の棚卸しをやっておりました。

 その後、自民党の中ではそういう機関において随時そういうこともやってきておりますし、政府は政府で、民主党政権のときにもいろいろとそういうことをやられておったわけでありますし、今も、予算編成過程も含めまして、いろいろな効率化を進めてきております。

 無駄がゼロになるというのは、これは、私は、無理というわけではないですけれども、次から次へと新しい事業が出てきますから、新しいものが出てくれば必ず無駄はどこかにあるので、その都度、無駄をたたいていかなきゃならないと思っておりますから、これでもう全部無駄がなくなったから大丈夫だなんということはないんだと思います。

 ですから、これは常に、委員が今言われたとおり、必要でないものはやはり切っていくという努力はしなきゃなりませんし、場合によっては対比をしながら、これぐらいお金をかけてこれぐらいの効果ならば、やめた方がいいんじゃないかというようなことも含めて、これは議論を決定していかなきゃいけないものだというふうに思っております。

 一方で、社会保障を見たときに、もう待てないところまで来ておることは事実でありまして、このまま公債の債務残高がどんどん膨らんでいくと、日本の財政が、まだ大丈夫ですよ、私はまだ大丈夫だと思っていますけれども、やがてという時代が、時期が必ずやってくるわけでありますから、それまでの間に方向性を示していかなければならない。

 それは、言うなれば、プライマリーバランスを均衡化するという話です。プライマリーバランスが均衡化すれば、あとは、ドーマー定理ではありませんけれども、名目利子率と名目成長率、名目成長率がそれを上回れば財政は発散をしないわけでございますから、そこまで何とかまず持っていかなきゃならぬということは、次代に向かっての責任として我々はやっていかなきゃならないということ。

 まだ無駄が確かにありますから、それも不断に我々は減らしていきますけれども、一方で、消費税が上げられる経済状況であるならば、消費税もお願いをさせていただかなければならない、そういうところまで社会保障の負担というものの増大は来ておるというわけでありますので、社会保障、もっと切ればいいじゃないかと言われる意見もありますけれども、それはそれで、社会保障も、必要なものは切っていきますけれども、何でも切っていいというわけではありませんから、そこのバランスの中において、今、いろいろな事業の充実と重点化、効率化というものを検討させていただいておるわけであります。

中島委員 無駄の削減には積極的に取り組む姿勢だということではございますが、我が党が訴えているのは、まだまだやれることがある、そういう訴えを終始言っております。

 その中で、例えば構造改革の部分でいっても、現制度、医療制度にしても年金制度にしても、長い期間の中で、その恩恵に賜っている、その部分、ある意味既得権、だからこそ岩盤規制というふうに言われておるわけですが、例えば医師会、医療法人、社会福祉法人、その制度改革も本来なされるべき。今のニーズに合った体制づくり、恐らく、これは医療や福祉の世界だけではなく、あらゆる業界の中でそのような現状があるんじゃないか。そういったことに切り込んでいく、そこが構造改革につながるというふうに考えております。

 きょうは、医療法人とか医師会改革、その辺については、まだ質問の機会もあると思いますので、またやらせていただきたいと思いますが、不公平の是正ということになりますと、先ほど民主党の議員の方からも少し話題になりました、資料の一枚目ですね。

 これは、十月二十三日の朝日新聞、我が党の浅尾慶一郎幹事長が、十月二十二日の予算委員会で田村厚生労働大臣に御質問した内容が記事となっております。見出しが、厚生年金加入漏れ三百五十万。これも以前から質問になっておりますが、先ほどの答弁でもございました。

 ただ、記事の前段からいきますと、「会社員向けの厚生年金に入る資格があるのに、雇い主が手続きを怠り、加入できずにいる人が三百五十万〜四百万人にのぼるとみられることが、政府の推計でわかった。」これは田村大臣がお話ししたということで記事になっております。

 それで、先ほども、我が党の推計と政府の推計がちょっと違う、そういう流れのことをおっしゃっておりましたが、それに対して、社会保険庁、国税、法人がちゃんと手続をとるということで、厚生年金、扱っているところが国税と日本年金機構の徴収部門、そして、要するに、登録された時点で法務局がデータを持っているわけですよね。その差が百万近くある。

 そういう中で、このデータ自体が信頼性がないということになる、見解が違うということになるということですが、この答弁の中で、その突合作業を十一月から始めるというふうにおっしゃられています、各省庁が持っているデータの突合。二十四年の十二月に旧社会保険庁に国税の方からデータが行った。そのデータの突合作業を、実際にわかったのは昨年の十二月ですが、先日の予算委員会での答弁では十一月から突合作業に入るということでした。

 実際に、先ほど言ったように、計算が違うということであれば、その突合したデータをしっかりと開示していただきたいんですね。いつごろまでにできるのか。恐らく、これはエクセルシートとかそれぞれの省庁で持っているはずで、そんなに突合作業に時間はかからないと思うんですね。いつごろまでにできるのか。

佐藤副大臣 中島委員の御質問にお答えいたします。

 法務省から提供を受けた法人登記簿情報と、日本年金機構において保有する厚生年金の適用事業所情報との突き合わせ、これは、事業所の名称及び所在地の情報を名寄せして行うこととしておりまして、実は、私も大学卒業後すぐにコンピュータ会社に就職しまして、私の経験からしても、システム上での単純な突き合わせというのは、機械的な突合でございますので、そんなに長い期間を要するものではない、そのように認識しております。

 しかしながら、同一名称の法人があるということや、あるいは、事業所の所在地が法人登記簿情報と必ずしも一致しない、そういう理由から、やはり事業所の名称と所在地による機械的な突き合わせのみでは正確に突き合わせすることができない面も出てくるわけです。

 そのため、職員等の目視による確認や、事業所に対する個別の調査などを行う必要がありますし、特に、法人登記簿情報には、厚生年金が適用とはならない休業中の法人であるとか、あるいはペーパーカンパニー、こういうものも含まれていくことになるので、やはり相当数不一致が発生すると我々は考えております。

 ですから、厚生年金の適用勧奨を行うべき事業所であるかどうかを全て把握するまでには相当の期間を要するものと考えておりまして、今の時点で、いつまでにできるということはなかなかお答えできない、そういう状況でございます。

中島委員 昨年の十二月にもう開始されているわけですよね、渡っているわけで、それからもう一年近くたっていて、今の現時点でもいつになるのかわからないということです。

 確かに、法人登録の中で、年金機構が把握しているのは事業所ですよね。申告している法人、法務局が担当すると思います、そこは法人で登録されている。その差なわけですよね。

 これは、こちらに開示されてから一年以上たっております。いつまでにできるかというよりは、やはり早く突合して、ここの記事でも書いてあります、中段の列ですが、「厚労省によると、義務違反の可能性がある事業所は今年三月末時点で約三十九万」。

 そうしたら、これはどこから出てきているんですか。

佐藤副大臣 今の三十九万、約三十八・八万事業所でございますが、これは、日本年金機構においては雇用保険適用事務所と厚生年金適用事務所とのデータの突き合わせ、さらには都道府県労働局、都道府県労働局というのは、派遣元事業主、あるいは求人申込事業主、こういうところを掌握しております。国土交通省地方運輸局、ここは、トラック事業であるとか、あるいはバス、タクシー事業、こういうところを掌握しております。

 こういうところが把握した社会保険未加入情報の提供を受けるなどによりまして、適用漏れのおそれのある事業所の情報の収集に努め、平成二十四年度末時点では、約三十八万八千事業所を確認しているということでございます。

中島委員 やはり、日本年金機構が把握している数と、国税庁が把握している、もろもろ、入り口が違うわけですよね。そういう中で、大きな違いが出てきたり、田村大臣はこの記事が正確ではないということになるのかもしれませんが、ただ、こういうはっきりしない部分が明らかにあるわけですよね。実際に内容を見てみますと、今のように不明瞭なところがたくさん出てくる。

 そういったことを考えますと、これは以前から言っているように、今回、税と社会保障の一体改革、その前にやるべきことは、徴収漏れということが前面に出る以前に、窓口を一本化して、歳入庁の創設、そのことを私どもも訴えているわけです。徴収漏れからいきますと、税や保険料、そういったものの徴収漏れ、しっかりとやっていけば、十兆円近く、増収というのか何かわかりませんが、そもそも増税の必要はないじゃないですかということにもつながると思います。

 改めて、日本年金機構の徴収部門と国税庁を統合した歳入庁の創設、それに対するお考えをお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 三百五十万人の数字、改めて経緯を申し上げますが、一千万人徴収漏れがおられて、十兆円徴収していない保険料があるというお話でございました。みんなの党さんの試算のやり方が、我々は絶対正しいとは思っていないんですけれども、あえてその試算のやり方で、我々がつかんでいるデータでそれを合わせてみると三百五十万人ですから、基本的には、一千万人もいませんよということをお示しするのにそういう数字を出したわけでありまして、その三百五十万人が正しいというわけではないと私も前置きしてお話ししたんですけれども、記事になって、先ほど長妻さんからあのような形で言われたという話であります。

 それで、これは十兆円もないんですが、徴収漏れの金額はそれでもありますよね。ただ、これはもう委員御承知のとおりだと思いますけれども、税収が助かる話ではなくて、例えば年金ならば、本来、厚生年金に入っていない方々が厚生年金に入れるという話であります。だから、その方々の老後の生活がその部分では助かるという話。

 それから、被用者保険の場合は、国保に行っている方々が被用者保険に入られますから、国保の方が助かるのか助からないのか、ちょっとそれは、その方の収入がどれぐらいでというような、均等割だとか、そういうのがどうだという話になりますから、ちょっと保険料との兼ね合いになるので何とも言えませんが、あくまでも、国保で入っている方が今度は協会けんぽに入れるという話でございますので、ちょっと、それで税金が浮くという話ではないということは御理解をいただいた上で、保険財政はそれで安定するようなことが若干はあるかもわかりませんので、そこは我々もいろいろ分析をしなきゃならぬと思いますから、その点は御理解いただきたいと思います。

 ただ、そうであったとしても、徴収をやはりちゃんとしなければいけないということは、これはおっしゃられるとおりでございまして、もう御承知のとおり、これは官房副長官のもとでいろいろと検討会を開いてやってきたわけでありますけれども、結果的には、歳入庁というような形で一元化することよりも、もう少しいろいろなことをやった方が本来徴収率は上がるのではないか。

 それはなぜかというと、やはり、同じ窓口になったところで、そもそも国税庁とそれから日本年金機構は、集めている金額も違います。税務署の方は結構多額のものを集められる、年金機構の方は本当に小口でございます。それをどうするか。そもそも、年金対象者の八分の一ぐらいしか国税の方は対象にしていないんですね、数が。だから、そういうことからすると、やはり、もともと違うもの同士というものを、本当に窓口だけ一緒にして効率が上がるのかということ。

 それから、専門性も違います。社会保険料を徴収するのと税の徴収の仕方、これも違います。

 あわせて、そんなものは何とかなるだろうと言われれば、それは気合いを入れれば何とかなるのかもわかりませんが、一旦、もう非公務員になっているんですね、年金機構の方々は。ところが、国税の方々は公務員でありますから、それをどうするんだ。国税を非公務員にするわけにいきませんから、すると、非公務員になられた日本年金機構の方々を今度は公務員に戻すのか、これは公務員制度改革に反するのではないかとか、いろいろな問題点があるわけでありまして、そこら辺のところも含めて、なかなか難しいというところがあるわけであります。

中島委員 大体、歳入庁の質問をしますと、同じような答えがいつも返ってきます。内閣官房副長官と関係省庁間による検討チームによって、論点整理、必ずしも納付率、徴収率の向上には、上がらないということの中で、歳入庁はそれ以外の問題の方が大きいという結果が返ってくるわけです。基本的な考え方を整理するという答弁があるんですが、今のようなお答えになるのかもしれません。

 ただ、徴収率を上げるだけではないですよね。歳入庁を設置するということは、行革にもつながります。行革にもつながりますよ。そして、例えば子供の貧困率ですね。我が国は、税と保険料の再分配後に貧困率は高くなってしまう。これは完全に政策ミスです。そういう現状の中、そしてマイナンバー制度も今後充実させていくということを考えれば、国民の利便性の向上、諸外国の例を見れば、諸外国、アメリカも初め、ほとんど、歳入庁、形態は若干違いますが、そのような体制をとっているわけです。

 先ほどの、この厚生年金漏れの問題、これも明確な答えはなかなか見出せませんよね。やはり時間がかかる。そして、六年前の消えた年金問題等を含めていけば、逆に言えば、今の制度、今の、窓口を分けさせていた方がいいメリット、逆に、私、本会議の質問でも、諸外国の例を挙げて、いい点、悪い点を明確に示してくださいというふうにお尋ねしました。その辺、明確に、論点整理、そして逆に今のままの方がいい理由を、はっきりと示していただきたいと思います。

小泉大臣政務官 中島委員にお答えをさせていただきますが、今御指摘をいただいた質問は、大臣の御答弁を聞いていると、ほぼ大臣にもうお答えをいただいたかなというのが正直なところなんですが、中島委員がおっしゃるように、国民の利便性の向上という点においては、私は、政府側も含めて、認識にそごはないと思います。

 その上で、この歳入庁については、今、中島委員が御指摘のとおり、ことしの八月八日に、官房副長官、そして担当省庁の政務官による検討チームで論点整理が行われて、その中の幾つかの論点の中に、先ほど大臣が御答弁をいただいたような、例えば、歳入庁のようなものができたとすると、今、年金機構の職員の方は非公務員なわけで、その方々が、歳入庁ができて、もう一度非公務員から公務員になることが、行革の観点でいえば逆によくないのではないかとか、そういった論点もあります。

 また、先ほどこれも大臣の方からの答弁がありましたが、保険料と税と、性格上違うものを、担当の徴収職員が、複雑な法令や、また通達などを理解しながらしっかりと管理ができるのかという、そういったさまざまな問題を論点の整理として挙げさせてもらいました。

 そして、その論点がまとまったことに沿って、今、厚労省の方で、専門委員会の方で、できることから始めようということで、国民の利便性の観点から、また徴収体制の強化のために、できるところから検討を進めていただいているというところです。

中島委員 私、質問したのは、現行の制度の方がいい理由ですね。

 だから、先ほど言った、公務員制度、非公務員化のものを公務員に、それはこちら側の理由であって、例えば、諸外国の例を挙げれば、歳入庁を設置した方が徴収率が上がって、そして国民の利便性が高まるということはわかっているわけですよ。こちら側の理由で、もともと社会保険庁だったもの、消えた年金問題ですね、そういった理由で今の体制になっていて、そういう理由から、それが歳入庁を設置しない大きな理由というのは、やはりちょっと納得できないなという気がいたします。

 先ほども言ったように、例えば所得の正確な把握ということになってくると、やはり、税と保険料、そして所得の再分配も含めて一括して管理しないと、例えば、今度、公立高校の無償化で、所得が九百十万とか、介護保険においても、高額高齢者、その所得をしっかりと把握するためにも歳入庁設置は大きなメリットがあると私は考えますが、いかがでしょうか。

樽見政府参考人 お話のありました年金保険料の徴収体制強化の検討チームの中の議論でも、例えば、税の徴収組織と同じ組織で年金保険料を徴収しているというところについては、例えば、米国、英国あるいはカナダといったような国はそういうふうになっているわけでございますが、一方で、ドイツ、フランス、イタリアといったような国は社会保険料と税については別の組織で徴収をしておるというようなことも議論をされておるというふうに聞いております。

 社会保険料、特に年金につきましては、集めた保険料の記録を持っておいて、それがまた給付に反映をするという大きな違いが、税と違いますので、そういったような点についても考える必要があるというふうに思っております。

中島委員 次の質問もあるので、この件は、今回、みんなの党はまた、歳入庁設置法案、今国会でも提出予定になっております。もう少し他党と議論を深めながら、とにかく、不公平の是正に必ずつながることだと思います、ぜひ、耳を傾けていただければなというふうに思います。

 時間があと半分しかないので、次の話題に入ります。

 今回の社会保障改革プログラム法案は、少子化、介護保険制度、医療制度、そして年金ということで、さまざま、その改革期間、その内容について今後議論をする日程を詰めるということになっておりますが、ここから先は、私も政治家ではありますが、一介の、先ほど冒頭にも言いました、介護保険導入時から私自身は在宅医療というものにかかわりまして、介護保険と密接につながりながら仕事をしてまいりました。

 その中で、やはり、今回のプログラム法案の中での介護保険改革案ですね、あくまでも案ということですが、非常に気になるところが、きょうの午前中から昼過ぎの議論の中にもございました。特に、民主党の議員の方からございました、要支援の部分の地域支援事業としての移管、このことについてちょっと御質問をさせていただきたいと思います。

 資料の五枚目、資料五です。これは九月二十一日の東京新聞ですが、「介護認定に地域差」という大きな見出しで出ております。

 先ほど言ったように、介護認定審査会というのが地域であるわけです。大体、一カ月か二カ月に一回ぐらいある。介護度を決める判定の審査ですね。私は、四年間、これにずっと座長として出ておりました。

 そういう中で、ここの見出しに大きく出ている介護認定の地域差、これを実感しておりまして、そういった中で、今回の要支援の地域支援事業への移行ということが取り沙汰されて、私としては、この地域間格差、まず、厚生労働省さんとして認識しておるのか、どのような認識を持っているのか、お尋ねしたいと思います。

田村国務大臣 地域間格差、これは要介護認定に関してという話でありますけれども、要介護認定となりますと、当然、高齢者の方々の状態像でありますとか、それから周りの環境、そういうもの、生活環境でありますとか、あと、サービスの実態等々を適切に踏まえた上で、制度として一つの基準というものをつくらなきゃいけない。もちろん、これは随時見直しをしてきておりますので、平成二十一年度に見直しを行って、自治体間の格差をなくそうということでやってきたわけであります。

 そういう意味からいたしますと、基本的には、いろいろな研修等々で、そういう格差が起こらないようにというような努力はしてきておりますが、委員がおっしゃられた山梨と長崎、軽度者で四分の一ですか、こういうような差が出ておる。

 これは、我々も分析をちゃんとやっておりませんので、どういうことからこういうようなことが起こってきているのかというのを一度よく見てみなきゃいけないとは思いますが、例えば、推測できるのは、比較的軽度な方々が多いという話であります。

 軽度はもともと、軽度であれば周りの生活環境によって、例えば一緒に住んでいる人がいるだとか、独居だとか、これによって、手を挙げないことには、言うなれば要介護認定されないわけでございますから、されずに生活ができるということであれば手を挙げないという、そのようなこともあるわけでありますし、一方で、地域の中での、家族ではなくても支え合いの、そういうようなコミュニティーがあって、環境があるということになれば、それも挙がってこないというふうに思います。

 あわせて、やはり高齢化率というもの、高齢化は高くてもどの世代が高齢者の中で多いか、こういうことも分析しなきゃなりませんし、当然のごとく、世帯数ということも先ほどの話の中で関係してくるわけでありまして、幾つかの要素があって、特に軽度者の場合は差が出る可能性がありますので、一度ちょっと、どういうことなのか、分析はしてみたいと思います。

中島委員 分析していないのに、要支援という区切りで地域支援事業に移すというのは、おかしくないですか。

 今回の案でいけば、予防給付ですよね、要支援の部分は地域支援事業に移す。ただ、介護認定のばらつき、不公平感は精査できていないというお答えでしたけれども、精査できていないのに、どうしてそこで線を区切れるのか。私はおかしいと思いますけれども。

田村国務大臣 ですから、今現状こういうばらつきがある中で、そういうものの、こういうような理由であろうというようなことを我々としては一応認識はしながら、それに対して、それが正しいかどうかは分析はいたしますけれども、少なくとも、その中において、それぞれ生活をされておられる中において、そのような形で日々送られているわけでありますから、それで例えば大変なふぐあいが起これば、当然のごとく、そういう声が上がってくるわけであります。

 四分の一という話でありますけれども、その中においてちゃんと日々生活を送られておるという話でございますので、そういう意味からいたしますと、問題があれば、それに対して対応はしっかりさせていただきたいというふうに思います。

中島委員 ばらつきがある、適正化されていないという認識でよろしいんですか、そうすると。

田村国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、比較的軽い人は、ある意味、周りに支えがあれば、要するに要介護認定をしない場合もあるわけですよね、生活ができるわけですから。例えば、家族でしっかり介護できる体制があるとか、近所のコミュニティーがしっかりしていて、しっかりとそこで協力し合えるということがあれば。

 ですから、比較的軽度のところでばらつきがあるということは、ある程度予測はできる話であります。

中島委員 私自身は、先ほども言いましたように、ばらつきがあると実感しております。

 なぜかといいますと、高齢化率が高い地域、ちなみに私の地元北杜市というところは、高齢化率が既に三一%あります。介護認定審査は、月に一回、もしくは二カ月に一回なんですが、一回一時間の審査で約六十人、多いときには七十人、八十人審査する。

 恐らく、厚労省さんが現状で努力なさっているのはよくわかっています。前置きとして言っておきますが、私は、現状の介護保険制度は大変いい制度だと思っています。そして、さまざまな課題があるのは制度ですからしようがないにしても、平成十二年にできて、さまざまな改正をされた。

 今、一律としている理由は、研修会、そしてテキスト、そして、そういった一次判定はコンピューターでするということからすれば、整合性とすれば全国一律のはずなわけですが、先ほど言ったように、高齢化率が高い地域は非常に煩雑になるわけですね。それで、介護認定審査で、審査会に出てくるときにはもう既にデータはそろっているわけです。ほとんどは流れ作業みたいになってしまう。これもある程度やむを得ないと思うんですが。

 一方では、全く知らない利用者さん、患者さんを知らない方が短時間で調査をして、そして、先ほど大臣もおっしゃいましたが、環境によって随分違うわけです。

 例えば、その認定審査をやりに行った場所が介護施設という場合もあるんですよ、まれに。そういった場合、あとは軽度な認知症の方の場合、実際行ったことがありますから私も経験があります、急に知らない人が来るとしっかりするわけです。やはり、日ごろの状況というのは、介護認定審査だけではなかなか把握できない。

 あとは、介護認定の中に、私、以前から気になっておったのは、年齢も考慮しない、そして家庭環境も考慮しないんです。要するに、ひとり暮らしだろうが老老家庭だろうが、そういったことは一切加味しないで判定を決めるんです。そうなっていきますと、仮に、要支援一の方と介護度二が出た方がいます。実際には家庭環境は、要支援一の方も、やはり介護度二ぐらいのサービスがないとやっていけないということも十分可能性があるわけです。

 本来の区切りは、やはり非該当と要支援の部分であって、先ほども申しました、私は在宅医療を十年前からやっておって、この介護保険が、恐らく厚労省さん、いろいろ工夫なさったと思います。そういう中で、二十三年にも改正をされて、これは現状として、脳溢血後の四肢麻痺の方、そして胃瘻をしている方が、状態像からすれば介護度五なんです。ただ、現状の介護認定は、食事にかかる時間とか介護にかかる時間で介護度を決めますから、正直言うと、胃瘻をしている方はそんなに時間がかからない、そういう現状の中で、介護度は四に下がるわけです。逆に、認知症のひどい方が上がる。

 そういうことも、実際には、もう十三年たって、実際に介護に携わっている人も、在宅医療をやっている人も、実際の利用者さん、患者さんも、この制度をしっかりと把握してきているんです。

 そういう現状の中で、先ほど言ったこのばらつき、もし認識していて、私はそれを責めているわけじゃないんです、これは制度の限界だと思います。要するに、これだけ高齢化が高くなって、一人一人をもっと精密に見ろというのはなかなか難しい。だからこそ、財源論と言うとまたそうじゃないと言われるかもしれませんが、確かに介護保険料は創設時からもう三倍近くなっています。ただ、現状では、要支援の方も含めた介護サービスを各地域は取り組み始めています。

 そんな中で、今回の議論の対象となっております、軽度な方は地域へということは、まずは、やはりそのばらつきに関してしっかりとした精査をしてから、そうしないと、地域によって、要支援の方は介護サービスを受けられる、そういう判定の地域ではそうなるし、逆に言えば、本来であれば介護保険を受けられるはずの方が地域によっては受けられない、そんな現状になってしまうと思います。

 だから、地域間のばらつき、それをしっかりとデータとして示していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 地域間のばらつきを示すというのはなかなか難しいんですけれども、なるべくばらつきをなくしていかなきゃいけない、これは全く全国じゅう一緒ということは難しいのかもわかりませんが、ばらつきをなくしていく努力はしなきゃならぬというふうに思っておりますから、これはこれからもやってまいります。

 その上で、今も、要介護度一と要支援一、二は違うわけですよね。ですから、受けられるサービスは違うわけであります。そういう意味からしますと、そこは今も同じですよね、違うんですから。

 その上で、要支援を地域支援の方に介護保険サービスから移していく、地域支援事業の方に移していくということに関しては、これは、要は、地域支援事業のサービスの質の担保をどうしていくかということが私は一番の問題なんだというふうに思うんです。

 そのときに、当然のごとく、強制的に全部新しい事業じゃなきゃだめだという話になれば、それは準備できないところもありますから、大変な混乱が生まれますから、もちろん移行期間も置きますし、今事業をやられている方々も継続して事業をやれるというようなモデルをして、一方で、前から言っておりますけれども、やはり画一的な介護保険、特に軽い方々は、画一的なサービスよりかは、それぞれの事情に応じたサービスを求めておられる方も多いわけでありまして、そういう意味からしますと、そういう方々に応えられるようなサービスを提供していただく。

 一方で、要支援の方々でも、画一的なサービスといいますか、それを受けなきゃいけないという方々は、そういうサービスを、ちゃんとケアマネジメントをやっていただいて受けていただければいい話だというふうに思いますので、そこは適切に対応をすればできていけるのではないかというふうに認識をいたしております。

中島委員 済みません、時間もあれなので、要するに、だったら、今のままでいいじゃないですか。

 例えば、先ほど言った、私の地域もそうです、多くの地域がいろいろ今の介護保険制度の中で工夫をし始めているんです。例えば、軽度、要支援の方に対してデイサービスを受けます。そして、その利用者さんのニーズに合わせて、俗に言う小規模多機能型を独自に始めるわけです。

 それの前提は、やはり介護保険なんです。日中は介護保険で報酬、そして、夜の部分は患者さんの御要望に応えて一泊格安で泊める。これは民間型の、本当に独自の小規模多機能体系だと思います。その前提は、やはり介護保険なんです。

 介護保険があって、その安定性の中からそういった工夫が今やられてきているということですので、ぜひ、財源論ということではなくて、その地域のニーズ。先ほども申しました、私は介護保険は大変いい制度だと思います。だから、過疎な地域にもそういう介護サービスの施設がたくさんふえてきているんです。これはやはり介護保険創設の理念にも一致すると思います、地域間の平等性を保つ、そのためにも介護保険は非常に重要だと。

 これは、特養入所の要介護三以上、それも今後議論していくということにもつながると思うんですが、これは最後の資料の方に出してございます。優先入所の対象というものがもともとあるわけです。

 先ほど言ったように、介護度のばらつきが地域間であるということがまだ精査できていないうちに、そういうところでのライン引きではなくて、現状ある、例えば介護認定審査のあり方をもう少し運用性を高めるとか、この優先入所の対象ですね。要するに、在宅にいられるか、施設に入らなきゃいけないかの理由は、介護度ではないんですよ。要は、介護者がいるか、いないか。決して要介護度だけで特養が優先的に必要かどうかということは決められないわけです。

 ですから、現状ではこの優先入所の対象ということがはっきりありますので、そういったことをしっかりと煮詰めていけば、何も今回改革案として出されることをする必要は全くないというふうに思っております。

 きょう、せっかく小泉政務官も来ておられますし、要するに、現状では、被災地、私も石巻に何度も行っています。被災後、毎月気仙沼にも行っておりました。石巻にはまだ、開成地区といって、二千戸ぐらい、仮設住宅に入っておられる方がいるわけです。その中で、今回の介護保険改革、あくまでも案ですが、今そのタイミングとはとても思えない、そのように私は思いますけれども、ちょっと時間になってしまいました。

 冒頭にも言いました、介護保険制度はいい制度です。こんなことを言うつもりはありませんでしたが、私の亡き父、自民党の元参議院議員中島真人、自民党の厚生労働部会長としまして、この介護保険制度の創設にもかかわりました。だからと言っているわけではございませんが、私は実際二十年間この介護保険制度とつき合ってきて、かなり運用性が高まっています。

 その創設時の理念をしっかりと、覆すことなく、理念、ここにもあって、読もうと思って、もう時間になっちゃったんですが、今回の案がそのままいってしまいますと、創設時の理念が覆されることになります。ですから、ぜひ、この介護保険制度の改革は、しっかりと今の現状、そして地域の声をしっかり聞いた上で取り組んで、審議をしていただきたいと思います。

 また独立行政法人の質問ができなくて終わってしまって、何度も済みませんでした。

 では、質問を終わります。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 税と社会保障の一体改革関連七法案が、本会議で質問、私が登壇をしたのは、昨年の五月八日でありました。採決のために討論で登壇をしたのは、昨年の六月二十六日。そのときは七から八になっておりまして、つまり、二つの法案が出て、一つ引っ込めたということになっておりますが、一月半の審議、百二十時間の審議ではありましたけれども、その中で社会保障制度改革推進法案が提出。審議をされたのはわずか十三時間でございました。議員立法であり、三党協議で法制化したということから、我々は、ほとんど中身を読み込む間もなく、採決を迫られました。

 一方、消費税法の修正では、附則十八条にいわゆる国土強靱化が入れ込まれるという、制度改革の目的を大きく変質させられました。

 推進法は、自民党案がベースであり、そもそも、消費税増税と引きかえに推進法を受け入れた、残念ながらちょっといませんが、当時の与党、民主党の責任も強く問われるものです。今さらプログラム法に反対だと言っていますけれども、それを言うなら、昨年の推進法にさかのぼって撤回してほしいと、あえて指摘をしておきたいと思います。

 プログラム法案は、社会保障制度改革推進法案の第四条にある法制上の措置の具体化と言えるものでありますけれども、その「一年以内に、」という期限は、八月二十一日でした。

 これは、結局、法制上の措置はとれずに、閣議決定を行って、今のプログラム法案になったわけでありますけれども、この閣議決定を行ったことをもって措置されたという理解をしているのでしょうか、伺います。

唐澤政府参考人 お答え申し上げます。

 社会保障制度改革推進法第四条でございますけれども、制度改革に必要な法制上の措置については、法施行後一年以内に、今御指摘のございましたように八月二十一日でございますけれども、社会保障制度改革国民会議における審議の結果を踏まえて講ずると規定されております。

 政府といたしましては、国民会議の報告書等を踏まえまして、社会保障制度改革の全体像や、その進め方を明らかにするための法律案を国会に提出することが、改革推進法に基づく法制上の措置に当たると理解をしているところでございます。

 ただ、国民会議の報告書が取りまとめられましたのは八月六日でございましたので、八月二十一日時点で法案としてまとめることはなかなか難しいという実情もございました。また、国会も開会されておりませんでしたので、そうした点も踏まえまして、政府としては、臨時国会の冒頭にプログラム法案を提出するということを行ったところでございます。

高橋(千)委員 まさにそうなんですよね。

 今の答弁の中でも、そもそも、推進法が、国民会議の解散と同時に法制上の措置をするというのは、それはあり得ないですよね。やはりその間に、国民会議をやって、あるいは社保審があったり。

 民主党さんは年金法や医療の法案が出るはずだったとおっしゃっていますが、なぜそれがリアルタイムでできるのだと思うわけですよ、はっきり言って。まして、閉会中じゃないかと。わかり切っていることを何で法律にしたのかなというのは率直に思うんです。

 だけれども、それを結局つながざるを得なかったのが、今度のプログラム法案なわけですよね。結局、具体的なものは出ていないわけです。

 私が登壇したと言いましたけれども、その同じ本会議で、自民党から賛成討論に立ったのは、金子一義議員でありました。そのときに、やはり、具体的な法案が全く見えていないじゃないかという、ひとしきり批判をした。その後でおっしゃったのは、その中で賛成する主な理由は、本法案により、年金、医療、介護、少子化対策全体の法体系が一年以内にできるようになることだとおっしゃった。社会保障の姿が法制上の整備を含めて見えるようになることだと言ったわけです。

 そうすると、賛成の主な理由だった法体系は何も示されていないけれども、どう説明をするのかですね。

 それから、結局、今回の中身は、いつまでに何を目指すというのが書かれているだけで、言ってみれば、宣言文みたいな、決意を語っているようなものなわけです。

 でも、それだけだったら、そもそも、基本的な考え方というのは既に推進法の中に書き込まれているわけですよね。それを念押しするような法案をなぜ出す必要があったんでしょうか。期限との関係だけだったら、結局間に合わなかったんだから、四条を一部改正する、つまり、延長するとか検討するとかという、それだけで済んだ話じゃないんですか。

 わざわざプログラム法を出す意味がどこにあったんでしょうかというのが聞きたいんですね、大臣。

田村国務大臣 なかなかこれは難しい御質問でございますが、昨年の時点で三党合意をいたしました。

 そして推進法を出す段に当たって、要は、そのころ、もともと何でこういうことをやったかというと、どこが、どちらが政権与党になっても、社会保障に関してはなるべくぶれないようにしようということであると同時に、やはり言ったことをちゃんとやってもらわなきゃ困るねということがあったわけで、一年後、法制上の措置というのが、法律は提出できませんでした。しかし、その時点でのできる限りのことをやるということで、骨子等々を閣議決定して、要するに、法制化に向かってのプロセスを踏み出したということであります。

 これがあることによって、なければ、いつまででもいいんだといって何も決まっていかない、そういう無責任なことをやる自民党、公明党ではございませんけれども、そういうようなことを担保する必要があったから、このような期限を切ったわけでありまして、その時点でのできる限りのことをやって、そして、それにのっとって今国会にプログラム法案を提出させていただいたわけであります。

 なお、中身が余りにも薄過ぎるとおっしゃられるのはよくわかる部分もあるんですが、そもそも、全体の改革の中身というものは、それこそ、改革の骨子なるものは社会保障制度改革国民会議の報告書の中に書かれているわけであります。

 ただ、あれは具体的な数字が入っていませんから、これを審議会やいろいろな御議論の中で具体的なものを詰めていって、法制化に向かっていくということでございますので、委員がそのように言われると私もつらいところはあるんですけれども、できる限りの努力をして、国民の皆様方に方向性をお示しさせていただこうということで、法案を出させていただいたということでございます。

高橋(千)委員 今、できる限りのとおっしゃって、要するに宣言文なんですよね。やはり、法案はできなかったものですから、こういうものをやりたいという、しかも、推進法だけでは、結局、その間がないというのはうまくないから宣言文なんだということなんだと思うんです。

 ただ、私の問題意識はそこから始まったんですよ、そもそもプログラム法というのは必要ないんじゃないのというところから始まった。

 だけれども、考えてみたら、どっちが与党になってもとおっしゃるけれども、どっちがなるかは、ほぼわかっていた時期でもあった、しかも、自民党案がベースであるということでは、これは、三党協議といいながら、やはり自民党さん、公明党さん主導で進んできた話ではなかったのか。つまり、政権をとった後の三党協議というのは、言ってみれば必要ないものになってきたということで、かなりこれは私は性格が変わったなというのが率直な思いなんですね。

 そこで、伺うんですけれども、プログラム法は、第一条の「目的」の中で、「社会保障制度改革推進法第四条の規定に基づく法制上の措置として、同法第二条の基本的な考え方にのっとり、」こう書いているわけで、かつ、「社会保障制度改革国民会議における審議の結果等を踏まえ、」とあるわけですね。

 だけれども、その「のっとり、」の、つまり、もととなっている推進法の基本的な考え方とは何かというと、「自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、」というふうにあるわけです。でも、プログラム法案のどこを見ても、共助も公助も出てこない。そして、「自助・自立のための環境整備等」とあるのみなんですね。

 これは、考え方が変わったんでしょうか。

唐澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生に御指摘いただきましたように、プログラム法案の中で、自助自立の環境整備を規定しております。これは、老いも若きも、健康で、希望する方には、働くことができ、持てる力を最大限発揮していただけるような環境こそが活力ある長寿社会につながるとの考え方に基づくものでございます。

 自助自立に共助と公助を組み合わせて、弱い立場の方にはしっかりと援助の手を差し伸べることを基本として、社会保障政策を推進していくこととしておりますので、自助、共助、公助の適切な組み合わせということの考え方は同様のものでございます。

 先生からも御指摘ございましたけれども、このプログラム法案におきましては、第一条におきまして、社会保障制度改革推進法、「同法第二条の基本的な考え方にのっとり、」というふうに規定をされているところでございます。

 この「基本的な考え方」の中に、具体的には、その第一号として、「自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、」ということが規定をされているところでございますので、これは推進法の考え方を引き続いているものでございます。

高橋(千)委員 「のっとり、」とは書いているけれども、具体的に講ずべき改革の措置の中には、自助自立のための環境整備しかない、これでどうやって読むんですかということ聞いているわけで、これはやはり答えにならないと思うんですよ。具体的なところには一言も出てこないじゃないですか。

唐澤政府参考人 自助自立の環境整備につきましては、これは、この法案のその後に続く各条で、少子化、医療、介護、年金とそれぞれ措置を講ずることを規定しているわけでございますけれども、それの手前に、今御指摘のございました自助自立の推進ということで、「自助・自立のための環境整備等」ということを規定させていただいているところでございます。

 もちろん、具体的にどういう政策をやっていくかということは、これからの問題でございますし、予防対策等の推進もこうした中に考えられると思いますけれども、これとあわせて、この法案の第二条二項にも、互助についてもあわせて規定をさせていただいているところでございます。

高橋(千)委員 大臣に聞きますが、国民会議の報告書では、自助の共同化という表現をしていますよね。「「自助の共同化」としての社会保険制度が基本であり、」「「公助」は自助・共助を補完するという位置づけ」。

 私は、自助の共同化というのは、自分で自分を助ける、それぞれが助けることの集合ですよねというだけであって、共助とは意味が違うと思うんです。これは、なぜこういう表現を使っているんでしょうね。大臣、どう思われますか。

田村国務大臣 自助、共助、公助というもの、しっかりとバランスをとってという意味では、ここで共助ということを使っておる、それが自助の共同化だと。これは、たまたま自助の共同化という意味合いで共助を示したというふうに認識いたしておりますが、その心は何なのかという話ですけれども、それで共助という意味が変質するものだとは思いません。

 ただ、そこに参加している参加意識でありますとか、権利意識とまで言っていいのかどうかちょっとわかりませんけれども、つまり、自分もそこに一緒に参加しているんだよ、要するに、みんなで助け合ってこれは成り立っている制度なんだよという意味での一つの表現の仕方として、自助の共同化というような意味合いのお言葉をお使いになられているんだろうというふうに思いますので、委員が思っておられる共助と同じ意味合いなのではないかなというふうに思います。

高橋(千)委員 私は、やはり自民党さん、憲法草案にも書いてありますけれども、やはり福祉も自己責任というのが基本なんだと思うんですよ。社会保障という、公助の、国が助ける部分は本当に死にそうなほど困っている人たちだけなんだ、そういう発想じゃないですか。そうじゃなかったら、なぜこういう表現になるのか。

 どこからも共助も公助も出てこないというのが、憲法二十五条は生きているわけですよね、自民党さんの案はちょっと微妙に変わっていますけれども、そこは基本変わっていないという点でよろしいですか。

田村国務大臣 今も申し上げましたとおり、自助、共助、公助、これがバランスよく適切に機能しなきゃならぬわけであります。

 ただ、以前から申し上げておりますとおり、まず自助自立、まず自分が頑張る。それは、頑張るというのは、それぞれの人によって頑張れる範囲は違うと思います。高齢者、若い方々、いろいろな方々、またそれぞれの状況、それぞれにおいて、もちろん、若い方々よりも高齢者の方が頑張れる人もいますから、それぞれの状況によって違うわけでありますけれども、それぞれの状況において頑張れる程度は違いますけれども、まず自分で頑張る、これが大前提であるわけであります。

 しかし一方で、みんなで助け合いましょう、でも、みんなで助け合っても、まだちゃんと日々安心した生活が営めないなというような状況がある場合に、やはり公助という部分もしっかりと入れていかなきゃならぬというわけでありまして、そういう意味からいたしますと、何ら我々の精神が変わったわけでもございませんし、三党で共通した認識を持った、その共通した認識は変わっていないというふうに思っております。

高橋(千)委員 昨年の議論も、基本は自己責任なんだ、そして、保険なんだから負担の見返りとしてサービスがあるんだということが盛んに議論されたんですよ。だから、こういう質問をしています。

 第四条、「原則として全ての国民が加入する仕組み」という条文がありますよね。これは推進法にも同様の記述があります。

 これをもって皆保険とは言えないと思います。全て「原則として」というのがついている。「加入する仕組み」、加入してもサービスが受けられるとは限らないわけですから、これは本当に皆保険と言えるんでしょうか。

赤石大臣政務官 高橋議員にお答えいたします。

 我が国の医療保険制度においては、国民健康保険が被用者保険の加入者以外をカバーすることで国民皆保険が成り立っております。生活保護受給者が例外として制度の対象から除外されているため、社会保障制度改革推進法第六条と同様、今般の持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案第四条にも、「原則として」と記載されております。

 法律の条文上は、「原則として」と記載されているが、国民皆保険の趣旨を書きおろしているものであり、国民皆保険を堅持し、必要かつ適切な医療を提供していくことには変わりございません。

 以上です。

高橋(千)委員 生活保護受給者はもともと対象ではないわけですから、それをあえて言う必要はないんですよ。今まで、それを含めて皆保険と言っていたわけじゃないですか。それを何で、原則としてとわざわざ言うのかというのと、私が聞いているのは、加入するというと、加入はみんなできますよ、権利はありますよ、だけれども、受けられるとは限りませんよとなると困りますよねということを言っているんです。

 厚生労働白書、平成二十四年版ですけれども、「日本では、国民全てが公的な医療保険に加入し、病気やけがをした場合に「誰でも」、「どこでも」、「いつでも」保険を使って医療を受けることができる。これを「国民皆保険」という。」と説明しています。これでよろしいですね。

唐澤政府参考人 先生の御指摘は、保険はファイナンスの財政的な仕組みでございますので、保険だけあってもサービスがなければ利用できないじゃないかという御指摘だと思います。

 これは、実は、介護保険導入のときにも同様の御指摘がございまして、財政的な保険制度だけではなくて、サービスの基盤を整備していくということが必要ではないかということを強く、第一番の論点として御指摘をいただきました。

 そういうことを考えますと、もちろん、保険制度は供給体制をそのまま整備することはできないわけでございますけれども、保険制度に合わせて医療提供体制の整備をしていく、そして、先ほど来御議論をいただいております地域包括ケアの仕組みというものをどうつくっていくかということをあわせて推進していかなければいけない、そういうふうに考えております。

高橋(千)委員 何で介護の話をするんですか。医療の話を聞いているでしょう。国民皆保険の話をしているんです。介護保険はもう、生まれたときから保険あってサービスなしなんですから。それと並べて議論していたら、全く別な議論になっちゃいますよ。そんな問題じゃないですよ。

 私がさっき、自助の共同化というのを大臣に聞きましたけれども、報告書には解説をちゃんと書いているんですよ。要するに、「自らをしてそれに必要な経費を醵出せしめるところの社会保険制度」、これが社会保障の中心だというのは、いわゆる、かの有名な一九五〇年の社会保障制度審議会の勧告に載っていると。

 だから、もともとそういう考え方なんだよということを国民会議は書いているんです。だから、それを問題にしているんですよ、私は。五〇年勧告を引き合いに出して、今さら自助なんだ、自助が基本なんだと言っていることが違うと言いたいのです。

 なぜかというと、この五〇年勧告にはきちっと、憲法二十五条を受けてこの勧告が出たんだということがあるんですね。

 「社会保障制度とは、疾病、負傷、分娩、廃疾、死亡、老齢、失業、多子その他困窮の原因に対し、保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ、生活困窮に陥った者に対しては、国家扶助によって最低限度の生活を保障するとともに、公衆衛生及び社会福祉の向上を図り、もってすべての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営むことができるようにすること」。このような社会保障の責任は国家にあると。

 まさに、今最初に読んだ方が二十五条の第一項ですよね。国家にあるというのが二項なわけですよ。それをきちんと勧告の中には書いているのです。

 それを無視して、その前段の中心は自助だというところだけ酌み取って国民会議が書くから、そういう立場なんですかと聞いているんです。違いますよね。

田村国務大臣 共助の話ですか。(高橋(千)委員「公助。憲法二十五条」と呼ぶ)

 公助というものをしっかりと守ってやってまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 済みませんね、ちょっと理念をしつこく言ったのは、やはり、それが結局この制度にあらわれてくるわけじゃないですか。だから、あえて指摘をさせていただきました。

 昨年の一体改革以降、消費税収は全て社会保障財源になると説明をされてきました。それ自体はそのとおりであります。来年度は、四月から三%増なんですけれども、これに伴う消費税収増加分は、大臣が何度も説明されているように五兆一千億円、タイムラグがあるので全部ではないということで五兆一千億円で、そのうち社会保障の充実に回るのは五千億円だということです。

 それを、会計課に頼んで数字をいただきまして、書いてみました。資料の一枚目なんですけれども、増収分をどういうふうに割り振っているのかということなんですね。

 二〇一四年度は、半分以上が年金の部分なんですけれども、充実が五千億円で、そのうち、大きいウエートを占めるのが待機児童対策ですよね。ただ、年金の次に大きいのはツケ回しの軽減という、いわゆる赤字対策ということですけれども、我々から言わせれば、もともとあった社会保障予算を消費税財源に切りかえたので、つけかえだという表現をしている、これであります。

 それが、二〇一五年度、八%になるところと、十月から一〇%になった場合に九兆円台の税収がある、そのうち、年金部分は三兆円に引き上がり、ツケ回し部分は四兆円で、社会保障の充実に回るのは一兆八千億円だという説明を受けています。

 二〇一七年の、これは満額、一%が二兆八千億円で計算した場合、十四兆円のときは半分の七兆三千億円がツケ回し分に回るということで、このデータでよろしいですよね。二〇一六年度はまだわからないということですが、大体この間に入るということでよろしいでしょうか。

唐澤政府参考人 御指摘のございました数値は、二〇一五年度はこの図のような数字でございます。

 それで、二〇一六年度でございますけれども、二〇一六年度は、私どもが承知しておりますのは、ほぼ満年度に近いのでございますけれども、ちょっと違いますのは、先生の御指摘のちょうど間ぐらいなんですが、三兆円の基礎年金の国庫負担が、二〇一五年度、一〇%になったときになっておりますが、それが三・一兆というようなベースでございます。それから、社会保障の充実のところは、二・八兆になっておりますところは、二・七兆でございます。それから、ツケ回しの負担の軽減については六兆円台の半ばぐらいではないか。四経費の負担増は、これは一〇%のときの一五年度のときは〇・四兆円になっておりますけれども、〇・六兆円程度というふうに見込んでいるところでございます。

高橋(千)委員 数字、きのうはいただけなかったので、二〇一六年の姿もわかりました。

 これを見ると、やはり消費税を、全部社会保障に使うのはそのとおりなんですけれども、実際は満額になった場合は半分が赤字対策ということでつけかえになっちゃって、充実というのは本当にささやかだなというのが改めて思い知らされ、しかも、最初からつけかえ分はしっかり確保している割には、充実分というのは本当にささやかだなということなんですね。

 三党合意をやったときには、八%にする時点で低所得者対策を行う、税率を変えるとか、そういうことを公明党さんなどもおっしゃっていました。あるいは、民主党さんは、年金補足六千円、七万円のあれをやるためにということを言っていましたが、それはだめで、五千円で決着したわけですが、だけれども、それは一〇%になったときに初めてスタートするわけですね。

 なので、充実部分が余り見えてこないし、負担軽減策もずっとおくれてやってくる、だけれども、負担増、いわゆる消費税を払うだけではなく、年金はもう下げられているし、生活保護も下げられているし、七十代前半の窓口負担が倍になるという話もあるし、こういうのはもうスタートするわけですね、はっきりくっきりとスタートしちゃう。この構図はいかがなものかというふうに、大臣に率直に伺いたいんですが。

田村国務大臣 まず、検討しているという意味では、簡素な給付措置というものが一つありますね、これは。それから、いろいろな負担がふえると言いましたけれども、来年の四月から負担が軽減されるというメニューも、先ほど来申し上げておりますけれども、国民健康保険、高齢者医療制度等々ありますよね。ですから、そういう部分ではいろいろなものがあるわけであります。

 委員が、これを見られると、何かツケ回しが非常に多いと言われますが、実はこれは、三兆円の、この二・九五兆円の、基礎年金の二分の一国庫負担分、これはある意味充実というか、安心、安定、我々が一番望んできた、多分委員も待ち望まれた年金の安定のための資金でありますから、これは充実分と言ってもいいのかもわかりません。

 これを除きますと、あとの案分は、でき上がりの大体十四兆円のところとほぼ同じような案分で、この一・四五と〇・五というような割合でございますので、そういう意味からいたしますと、決してツケ回しが多くて充実が少ないというわけではないということで御理解をいただければありがたいというふうに思います。

高橋(千)委員 そうくると思ったんですね。

 だって、年金こそがツケ回しじゃないですか。基礎年金の二分の一というのは、国会決議でもう十数年前に決めたことなんですよね。そのために財源にするということでサラリーマン増税をやり、公的年金等控除とか高齢者の増税をやったわけですよ。それで、財源確保したんだけれども流用しちゃったというのは、これは私、去年の一体改革のときに岡田副総理に質問して、使えなかったというのは認めたし、この委員会でも我が党の佐々木憲昭議員が何度も指摘をしてきたことなんです。つまり、年金の財源は一旦は増税で確保したのに、それを年金に使わなかった、それこそがツケ回しなんですよ。

 そういう意味でいうと、やはりツケ回し部分が一番大きい。大臣、首をかしげているけれども、だめなんです、これは何度もやっている議論なので。岡田副総理も去年の一体改革でお認めになりました。私が質問したときに、使えなかった、年金のために使おうと思ったお金をそれに使えなかったことは事実だとお認めになっているんです。

 そういう中で、二分の一はもう決まったことなのに、いつまでもそこだけ切り分けて、特別な財源が必要なんだと見せて、それに消費税分が一番多くかかるんだという、この描き方自体が間違っているんですよ。これを指摘しておきたいと思います。

 言っているうちに時間がなくなったので、問いを少し飛ばします。

 五月二十七日の財政審、財政制度等審議会の「財政健全化に向けた基本的考え方」では、資料三枚目、この効率化の部分について詳細に指摘をしています。

 例えば、これは午前中に長妻さんが大騒ぎしたものですけれども、二〇一五年度、二兆七千億円程度で、子育て支援は、これはそのまま充実ですよね、七千億円。医療・介護サービスは、六千億円なんだけれども、これはプラマイなんだ、充実は一兆四千億円で、重点化、効率化は〇・七兆円で、これは差し引きで〇・六兆円になるんだ、こういうふうなすっきりした表が出ている。これは経済財政諮問会議に厚生労働省が出した資料であります。

 ただし、財政審はこれを指摘して、プラスの方ははっきり計算しやすいんだけれども、マイナスの方、例えば、平均在院日数の減少は四千四百億円とか言っている、これは確実に在院日数が減るとは限らない、四千四百億円はとれるかどうかわからないということ。例えば、介護予防なんかで、さっきから議論されている、千八百億円減らす予定になっているんですね。でも、それはそのとおりになるかわからないんだからちゃんと検証せよ、あるいは、そのマイナスを見てから充実をすべきだ、充実が先だというのはおかしいよという、そこまで踏み込んだことを財政審は言っているんですね。

 これはどのように受けとめていらっしゃいますか。

唐澤政府参考人 先生の御指摘のとおり、一体改革、昨年のときの枠組みでは、三・八兆の充実と一兆二千億の重点化、効率化という枠組みで設定されていたわけでございますけれども、私どもの今回の一体改革の枠組みでも、いわゆる充実分とそれから重点化、効率化のメニューというものをあわせてお示しをしております。

 ただ、例えば、重点化、効率化の方を、どのくらいまでの効率化の金額になるのか、あるいは、ある意味では負担が少しふえてしまうようなところがどのぐらいになるのかということにつきましては、ただいま、これは関係審議会等でもかなり御議論いただいているところでございますので、そこを、現時点では数字をお示しすることはなかなか難しいのが実情でございます。

 ただ、ネットとしては、一%程度の二兆八千億程度を社会保障の充実に、一〇%が平年度化した場合には振り向けたいということをお示ししているところでございます。

高橋(千)委員 結局、長妻委員の議論の中で自然増削減云々という話をしたんですが、そういうことではなくて、つまり、ここに予定されている以外のメニューでもっと減らせよということを財政審などが言っているわけですよ。そうなったときに、そのお金はどこに行くんだという議論だと思うんです。

 つまり、その分は、結局つけかえ部分を膨らませてしまったら意味がないでしょうということをちゃんと言わなくちゃいけないと思うんですね。

 財政審は、もう御存じだと思いますが、ことし一月にも「予算編成に向けた考え方」の中で、「公費負担が、最終的には国民の負担になるにもかかわらず、恰も負担がなくとも受益が得られる「共有地」であるかのように受け止められ、安易な依存を招きがちであるという我が国財政のフリーライダー問題(「共有地の悲劇」)が顕著に表れている。」ここまで言っているんですよね。

 フリーライダー、誰もそんなことを考えていないと思うし、みんな負担しているわけですけれども、そこまで言って、要するに、消費税を増税するのに、それを社会保障の充実に回すのはおかしいという議論をしているんですよ。そうでしょう。おかしいという議論をしているんですよ。

 だって、まだまだ社会保障費との差額があるじゃないか、それをもっと縮めなきゃだめなんじゃないかといって、縮小しろ、抑制しろということを言っている。その根底には、このフリーライダーという発想があるわけですよね。

 それに対して、それは大臣、戦わなくてはいけないと思うんですが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 これは、一%分使うということを決めているわけですから、これをやらなかったら消費税を上げられないという話になると思いますので、それは、どういうふうな趣旨でおっしゃっておられるか、私はつぶさに知らないものでありますから、よくよくお話をお聞きしなきゃいけないと思いますけれども、少なくとも、充実分に消費税一%というものはしっかりと、我々は要求をするといいますか、当然、それを使わなければ、消費税を上げた意味がないという話でございますので、それは主張してまいりたいというふうに思います。

 ただ、充実分と、それから重点化、効率化の部分、この重点化、効率化の中身に関して、いろいろな議論はあるんだと思います。しかし一方で、本当にその分だけ効率化されるのならば、当然、その財源をどうするんだと。充実に回さなきゃ意味がないわけでありますから。そこは、しっかりと我々は確保をしてまいります。

高橋(千)委員 これは相当頑張っていただかないと、それはもちろん、根っこのところでは私たちはこれは絶対反対ですよ、だけれども、それ以上のことを今要求されているわけですよ、負担増や給付抑制を受け入れる覚悟を持てと。何でそこまで言うんですか、何でそこまで横やりを入れるんですかと言いたいわけですよね、私にしてみれば。

 しかし、よくよく見ますと、昨年の金子議員の討論の中で、社会保障の姿が見えると言った後に、「閣議決定した社会保障・税一体改革大綱などにかかわらず幅広い観点から制度改革を実現することという、自民、公明の主張した修正に現政権が」、つまり民主党ですね、「応じたことも、賛成する理由の一つ」と述べているわけです。

 つまり、一体改革の、いわゆる、さっきから言っている充実と効率化のプラスマイナスだけではない、幅広い観点ということをあえて修正の中に入れたんだなということを、改めて私は気がついたわけですね。

 私はあのとき、三党協議が全てに優先する、これは国会の自殺行為だという指摘をいたしました。しかし、その三党協議よりも上にというか脇にといいますか、今言った財政審やら経済財政諮問会議やら、あるいは産業競争力会議やら、横やりを入れるいろいろな人たちの意見が、みんな入れて議論が進んでいくとなると、これは、そもそも一体改革そのものも大きく変質する。それが、プログラム法が単なる宣言法案ではなかったという、中身が大分変わったということの結論なのかなというふうに私自身は思ったし、指摘をしたいなと思っております。

 大臣、首をかしげておりますが、そうじゃないとおっしゃいますか。もし答弁があるのであれば伺いたいと思いますが、ありますか。いいですね。

 これは、結局、そういうことなんですよ。かなりの形で当初の予定からも変質されてしまったということで、やはり振り出しに戻って、推進法から戻って議論をして、撤回をすべきではないかということを指摘して、きょうの部分は終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十二日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十四分散会


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