衆議院

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第4号 平成25年11月8日(金曜日)

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平成二十五年十一月八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    石崎  徹君

      今枝宗一郎君    大久保三代君

      大串 正樹君    金子 恵美君

      菅野さちこ君    小松  裕君

      古賀  篤君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑  毅君    田畑 裕明君

      高鳥 修一君    高橋ひなこ君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      永山 文雄君    藤原  崇君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      松本  純君    三ッ林裕巳君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      大西 健介君    中根 康浩君

      長妻  昭君    柚木 道義君

      足立 康史君    浦野 靖人君

      重徳 和彦君    新原 秀人君

      輿水 恵一君    桝屋 敬悟君

      柏倉 祐司君    中島 克仁君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房少子化・青少年対策審議官)    岩渕  豊君

   政府参考人

   (消防庁次長)      市橋 保彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 萩本  修君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 上羅  豪君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐藤 敏信君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 内田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    蒲原 基道君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  香取 照幸君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 唐澤  剛君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     藤原  崇君

  古賀  篤君     田畑  毅君

  田畑 裕明君     菅野さちこ君

  高鳥 修一君     石崎  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     高鳥 修一君

  菅野さちこ君     田畑 裕明君

  田畑  毅君     古賀  篤君

  藤原  崇君     今枝宗一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房少子化・青少年対策審議官岩渕豊君、消防庁次長市橋保彦君、法務省大臣官房審議官萩本修君、国税庁長官官房審議官上羅豪君、文部科学省大臣官房審議官義本博司君、厚生労働省医政局長原徳壽君、健康局長佐藤敏信君、職業安定局高齢・障害者雇用対策部長内田俊彦君、雇用均等・児童家庭局長石井淳子君、社会・援護局障害保健福祉部長蒲原基道君、老健局長原勝則君、保険局長木倉敬之君、年金局長香取照幸君、政策統括官唐澤剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀篤君。

古賀委員 皆様、おはようございます。自由民主党の古賀篤でございます。

 本日は、当委員会で初めての質問の機会をいただきました。田村大臣初め厚生労働省の皆様、また、きょうは消防庁の方にもお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速、時間もありませんので、質問に入らせていただきます。

 今回のこの法案でありますが、社会保障の改革ということで、広範にわたっての内容ということになっております。時間に限りがありますので、本日、私からは、大きく二点に関して御質問させていただきたいと思います。

 まず第一点目でありますが、医療制度についてであります。

 第四条に、医療制度ということで規定が置かれております。

 私の地元は福岡でありますが、先月、十月に有床診療所で火災が発生し、十人の方が亡くなられるという大変痛ましい事件がありました。こういった事故を二度と起こさないために、しっかりと取り組んでいく必要があるというふうに考えております。

 その前提として、まずは、有床診療所の位置づけについてお聞きしたいと思います。

 この法案にも地域包括ケアシステムですとか地域医療ということの規定が置かれておりますが、地域医療における有床診療所の位置づけ、また、それに対する厚生労働省の取り組みについてお聞かせください。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 有床診療所につきましては、急性期の病院などから退院してこられた方の受け皿としての役割、在宅療養中の方が急変した場合の受け皿としての役割、在宅医療の拠点としての役割、また、産科や眼科など、専門医療の担い手としての役割、これらを担うなど、地域住民の多様な医療ニーズに対応して地域医療を支え、地域で重要な役割を担っていると認識しております。

 このため、厚生労働省としましては、例えば僻地にあります診療所などへの運営経費、あるいは診療所への医療機器の購入費、施設整備等に対する財政支援を行っております。また、地域医療再生基金などを通じて、有床診療所の情報のネットワーク構築や急性期等の後方支援体制の強化のための施設整備などの財政支援も行ってきているところでございます。

 今後とも、有床診療所が地域医療の中で担っている重要な役割を踏まえて、各般の支援に努めていきたいと考えております。

古賀委員 ありがとうございました。

 今の御答弁にありましたように、非常に有床診療所が地域の中で大切な位置づけにあり、それに対して、厚生労働省の方がいろいろな取り組みをされているということは理解しました。

 今回のこの火災の事故でありますけれども、この火災対応として、今回、消防庁、また厚生労働省としても、きっちり対応していただく必要があると思っております。まさに昨日、消防庁が主催で、その対応としての検討会の一回目を開かれたというふうに聞いております。

 これからの、消防庁、また厚生労働省として、この火災対応についてどのように取り組んでいくかをお聞かせください。

市橋政府参考人 福岡市の有床診療所の火災を受けまして、消防庁では、厚生労働省及び国土交通省の参加もいただき、有床診療所火災対策検討部会を設置したところでございます。

 この検討部会では、有床診療所の実態も踏まえつつ、消防、建築、医療を含む幅広い観点から、本件火災における被害拡大の状況を踏まえた現行規制の総合的な点検、有床診療所におけるソフト、ハード両面での防火対策のあり方について検討することといたしております。

 昨日、十一月七日に開催いたしました第一回目の検討部会では、有床診療所の実態につきまして、地域医療を支える役割を担っているが、全国で約三分の一の施設は赤字であるなど、財政的に厳しい状況にあるとの意見がございました。

 また、防火上の観点からは、スプリンクラー設備等の消防用設備の設置の重要性は理解するが、財政的な支援が必要である、防火戸の維持保全のあり方や、訓練の実施などのソフト対策の検討が必要であるなどの意見もございました。

 現在、消防庁では、厚生労働省と連携して、病院、診療所等の消防用設備の設置状況、訓練の実施状況などにつきまして実態調査を実施しておりまして、十二月中に取りまとめる予定でおります。

 消防庁といたしましては、この実態調査の結果をもとに検討部会で議論を行い、厚生労働省等、関係省庁と十分な協議をしながら、必要な防火対策を検討してまいりたいというふうに考えております。

原(徳)政府参考人 厚生労働省といたしましても、今ほどの、消防庁の設置されました有床診療所火災対策検討部会に職員を委員として参画させております。

 また、調査につきましても、消防庁で行われています調査に加えまして、厚生労働省としても、防火戸あるいは火災報知設備の設置状況、あるいは夜間の人員体制など、追加的な項目について実態調査をするべく、十一月一日付で都道府県にお願いをしたところでございます。

 これらの実態調査の結果を踏まえて、この検討部会でいろいろと検討していただきまして、対策の検討を踏まえた上で、必要な対応を図っていきたいと考えております。

古賀委員 ありがとうございました。

 きのうの検討会議での内容も披露いただきました。ぜひとも、迅速に対応について御検討いただき、そして対応を講じていただくということが大切だと思います。

 今週五日でありますが、全国有床診療所連絡協議会という会が防火安全体制に関する緊急アンケートを実施しまして、その中間報告というのを公表しております。

 この内容を見ますと、調査の事項の一つとして、スプリンクラーの設置の有無という項目がありました。この結果をここでちょっと触れますと、スプリンクラーの設置状況は、診療所で設置しているところはわずか六%ということで、残りの九四%はスプリンクラーを設置していないという実態が明らかになっております。

 また、その設置していない施設に対して、今後、スプリンクラーが義務化された場合にどういうふうに対応するのかという質問をされております。その回答でありますが、設置すると答えた施設は一三%、残りはどういう対応かということを申し上げますと、補助金等、支援があれば設置すると答えたのが五七%、これは半分以上に及んでおります。また、病床の廃止を検討すると回答した施設も二五%にも及んでいる、そういった実態にあるわけであります。

 先ほどの、きのうあった検討会の議論でも出たということで、三分の一が赤字の経営にあるという有床診療所。検討会の結果、スプリンクラーの設置を義務づける、また、検査の頻度を高くするということが考えられますけれども、それだけでは今回の火災対応として十分ではないというふうに考えます。

 最初に御回答、御答弁いただきましたように、この有床診療所がこれから地域で大変重要な役割を担うという中で、この火災対応によって、有床をやめる、もしくは廃院を行うというようなことがあっては、地域医療が崩壊するのではないかというふうに危惧するところであります。

 今、有床診療所は九千三百二十施設あると聞いております。これは、平成二年に比べると六割も減っているという現状にあります。今回の火災対応、しっかりと対応を講じていただかなければ、有床診療所がさらに減っていく事態になると思います。

 そこで、先ほどの検討の会合でも、財政支援というようなお話も出たというふうにお聞きしておりますが、この法案においても、これから医療制度にいろいろ取り組んでいく中で、新たな財政支援というような項目もあります。この法案との関係は別にしましても、今回の有床診療所の対応として、例えばスプリンクラーを設置する、もしくは防火体制をとる中にあって、国として何らかの財政的な支援というのをお考えになれるのかどうかということについて、田村大臣にお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 委員のおっしゃられますとおり、有床診は地域医療の中において大きな役割を果たしておるというふうに我々も認識いたしております。病院から退院した後の患者のある意味受け皿にもなっているわけでありますし、在宅医療で急変した場合の受け皿でもあります。

 そもそも、在宅医療の拠点的な役割も果たすわけでありまして、そういうような意味からいたしますと、有床診が、二万数千件あったところから、今委員がおっしゃられたとおり、今、九千三百件ぐらいですかね、そこまで減ってきておるというのは、大変厳しい状況の中で、おやめになってきているところがふえてきておるというような認識を持っておりますが、そんな中においての今回の火災であったわけであります。

 先ほど来お話がありました検討会の中でも、スプリンクラーの設置、これはハード面のお話もございましたけれども、一方で、避難をどうするか、また、通報をどうするか、こういうような、それぞれの準備、訓練というものも含めて、しっかりやっていかなきゃならぬというソフト面のお話もあったわけでございます。

 やはり火災があっては、比較的、やはり最近、高齢者の方々が有床診におられるということが多いものでありますから、なかなか対応しづらいということもございますので、そのような防火という意味からいたしまして、我々も実効性のあるような、そんな対応をしていかなければならないというふうに認識いたしております。

古賀委員 大臣、ありがとうございました。ぜひ早急な取り組みをお願いしたいと思います。

 もう一点でありますが、この法案の第三条にあります少子化対策であります。

 今回のこの法案では、「子ども・子育て支援の量的拡充及び質の向上を図る」というようなくだりも入っているところでありまして、今、政府は待機児童解消ということで、早急に、時限を切って取り組まれるということでありますが、待機児童解消だけを急ぐ余りに、質が下がるというようなことは決してあってはならないというふうに感じているところであります。

 そういう中で、今回、この法案には直接記述はありませんが、我が党の公約として、幼児教育の無償化という公約がございます。

 この点につきましては、ことしの六月に関係閣僚・与党実務者連絡会議というのが開かれまして、来年度以降の取り組みについて決められたということになっております。この内容、また、これからどのように取り組んでいくのか、田村大臣の御見解、それから決意をお聞かせいただきたいと思います。

田村国務大臣 幼児教育の無償化は我が党の公約にも入っているわけでありまして、今、関係閣僚と与党の実務者の方々との連絡会、これをやってまいりまして、一定の方向性を出してきております。

 まずは、五歳児から段階的にこれを進めていきたいという思いの中におきまして、二十六年度からでありますけれども、五歳児中心に、一つは、低所得世帯、それから多子世帯というようなところに着目をいたしまして対応していきたいというふうに思っておりますが、少なくとも、かなりこれは財源の要るお話でありますし、環境整備もしていかなければならぬ、こういう問題でもございます。幼稚園と、それから保育所、やはりこことの制度の違いというものにも着目しながら対応していかなきゃいけない問題でもあります。当然、幼児教育の無償化、幼稚園だけではなくて保育所の方々にも関係してくる話であります。

 一方で、今、待機児童の解消を進めておるわけでありますけれども、保育所に入らなければ、そもそもこの問題の解消にもなってこないという部分もありますから、そのようなことも含めて、しっかりと対応をしていくための準備をさせていただいておるところであります。

古賀委員 大臣、ありがとうございました。

 ぜひとも、しっかりと幼児教育無償化を実現するために、一歩ずつ前に進めていただきたいと思います。

 今回のこの法案でありますが、非常にいろいろな物事が入っております。私は今、二点、お金のかかる話を申し上げました。

 この社会保障の改革、消費増税がある中でいろいろな拡充を図るということも大事でありますが、一方で、やはり制度を見直して、そういう中で新たに負担をお願いする方、もしくはサービスを見直すということも大事になってくると思います。

 私も、地元で、高齢者の方を初め、いろいろな関係者の方に厳しい御意見を頂戴します。しかしながら、この改革を進めなければ、やはり社会保障は持続できないと思っております。ぜひとも、田村大臣初め厚生労働省の皆様方、しっかりと日本の将来のために、勇気を持って、覚悟を決めて取り組んでいただき、責任を果たしていただきたいと思います。

 そういった中で、この法案は第一歩となる法案であります。早期の成立を期しまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 おはようございます。

 公明党の桝屋敬悟でございます。

 いよいよ、今週からプログラム法案の議論が始まったわけであります。税・社会保障一体改革として、私、ちょうど浪人中でありましたけれども、自民党さんと民主党さんと公明党で大きな流れを決めていただいて、国民に消費税増税ということをお願いする、本当に困難な選択であったと思いますが、今日まで流れてきて、やっとプログラム法案、こういうことになったわけであります。

 せんだっての本会議で、この作業を進めてきた私どもに対して国民会議派という名誉な名前までつけていただいて、そうであるとするならば、国民会議派で、一生懸命、民主党の皆さんともさらに議論を進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 それで、先日の議論で論点は随分出てきたように思っておりますが、いかんせん、プログラム法ですから、流れを決めるということでありますから、詳細な議論はなかなかできないわけでありますが、大きい論点として、大臣に私は伺いたいと思うんです。

 先日から非常に具体的な話もいっぱい出ておりますが、今回の持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案、これが一連の、先ほど申し上げた消費税をお願いしようということを決めて今日まで作業してきたわけであります、ずっとこの社会保障改革は行われてきたわけでありますが、今回のプログラム法案、この意義は一体どういうところにあるのか。

 私は、しっかり国民の皆さんにここは理解していただく必要があるだろうと思っておりまして、ぜひ、国民に向けて大臣からアピールをしていただきたいと思う次第でございます。よろしくお願いします。

田村国務大臣 ありがとうございます。

 日本の社会保障制度というものは、医療保険をとっても、介護保険をとっても、世界に誇れる部分があると思います。

 年金制度も、いろいろなことを言われる方はおられますけれども、持続可能性ということをしっかり担保しながら制度を構築しておるわけでありますし、五年に一回必ず財政検証をする中において、それをさらに確実なものにしていくという意味からすれば、本当に、いろいろな苦労を先人の方々にしていただきながら、今のこのすばらしい社会保障制度があるんだと思います。

 一方で、問題は、日本の財政が非常に厳しい中において、やはりこの社会保障を支える財源というものをかなり借金で賄ってきたという、ここ数年といいますか十数年、そういう状況があるわけでありまして、そこをある程度解消していかなければ、せっかくいい制度ですけれども、持続可能性という意味で、やはり国民の皆様方に不安があるわけであります。

 そこで、消費税という非常に国民の皆様方にお願いしづらい、そういうようなことを提案させていただきながら、一方で、社会保障というものの持続可能性と、さらに、高齢化社会がさらに、もう超高齢社会ですね、超高齢社会がさらに進んでまいりますから、それに対しての備えの充実分というものもしっかりとやらなければなりませんし、その裏返しでありますけれども、少子化対策ということも含めて、これは対応しなきゃならない。

 そういう意味では、そこは充実の部分だというふうに思います。そういう部分にも、消費税、国民の皆様方に新たに負担をお願いさせていただく部分に関して、その財源をもとにしっかりと対応していかなきゃならぬという部分があるわけであります。

 あわせて、充実だけではなくて、重点化、効率化という意味からすれば、当然、日本の社会保障制度はすばらしい制度ではありますけれども、やはり制度というものは続けてくるといろいろな無駄な部分も出てくるわけでありまして、そういうものに対しては不断の取り組みもやっていかなければなりませんし、場合によっては、負担能力のある方々には負担ということもお願いをし、一方で、負担能力のない方々に対しては、厳しい今の状況の中においてのさらなる負担軽減策ということも取り入れていかなきゃならない。

 そういう種々のいろいろな問題、課題というものを今般の社会保障と税の一体改革という中において我々は議論をしてきたわけでございまして、その方向性、特に社会保障制度改革の方向性というものと一定の時期、こういうものも含めて今回のプログラム法案の中で盛り込ませていただいて、国民の皆様方に、国会のこの議論を通して、一定程度の御理解をいただきたいという思いの中で提出をさせていただいたわけであります。

桝屋委員 ありがとうございます。

 私は、このプログラム法案は、法制上の措置として出てきているものではありますけれども、今大臣がおっしゃったように、持続可能性ということを考えて、給付の重点化、効率化ということも含めて、今後のスケジュールが明確に決まったということは本当に大きいと思っておりますし、私は、何度も言いますが、浪人中でありましたが、当時の野田総理の御決断にも実は敬意を表したいと思っているわけであります。

 そういう意味では、当時の三党で改革推進法をつくったという、一つは、改革に向けて法律があるということが一点、それから二点目は、二・八兆という数字あるいは〇・五兆という数字が、多い、少ないという議論はありますけれども、確かな財源が確保されて初めて議論ができる、そういう環境に私はなったのではないか。今までずっと、十年以上改革議論を続けてまいりましたが、得がたい時を迎えている、このときにやらなきゃいかぬことはあるだろう、このように思っておりまして、しっかり議論を続けてまいりたい。もう一回言いますが、国民会議派として、民主党の皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、そこで、これからの改革の一つに、先ほど同僚の古賀委員が議論されました、私もその問題なんですが、診療報酬改定、当面、二十六年度の診療報酬改定が迫っておりますが、これは、本年九月六日に、次期診療報酬改定における社会保障・税一体改革関連の基本的な考え方が既に示されておりますから、大体大筋は見えているわけでありますが、具体的な話として、先ほどの有床診療所であります。

 予算委員会でもやらせていただきましたけれども、私も、十月十一日の火災の後、十四日の日に現地に参りまして、つぶさに現場を見てまいりました。

 一言で言いますと、本当に地域の中で頑張っていただいた診療所だ。報道されておりますが、三階部分には元の院長御夫妻が住んでおられて、そこで暮らしておられる。もう一人、子供さんのドクターがいらっしゃるわけでありますが、やはり診療所の先生がその建物で暮らしておられるという、それは利用者にとってどれほどの安心を与えているか。今回、残念ながらお亡くなりになったわけでありますが、何度も言いますが、当日入院されている十三人のうち、五人がけがをされ八人が亡くなったということは、本当に痛ましい事件だ、二度とこういうことを繰り返してはならぬ、こう思うわけであります。

 もう時間もありませんから率直に大臣に伺いたいと思うんですが、先日、予算委員会でお尋ねしたときに、総理が発言をしていただいた。これは、私、大変大きいと思っておりまして、確認しますと、総理は、「有床診療所は、地域に密着をして、そしてかつ、比較的低コストで良質な医療を提供する重要な施設である」というふうに考えている、このように総理は評価をしていただきました。今でも、厚労省の中でも、有床診療所はなくなってもいいんじゃないかという声すらあったわけでありますから、この総理の発言、私は重たいと思っております。

 そうしますと、時間もありません、この二十六年度診療報酬改定では、先ほど基本的な考え方が示されていると言いましたけれども、有床診療所に対してはどういう基本方針で臨まれるのか。一言、大臣に伺いましょう。

田村国務大臣 先ほど来も御質問ございましたけれども、有床診療所は、地域によってちょっと偏在はあるんですけれども、西の方がたしか多かったというふうに思いますが、本当に地域医療に組み込まれて、特に、これから在宅での医療といいますか地域包括ケアシステムというものが機能をしてまいる中においては私は大きな役割を担っていただける、このように期待をいたしております。

 先ほど、基本的な考え方というお話がございました。一つは、退院患者の受け皿として、また一方で、在宅の方々の急変時の受け皿として、もちろん、在宅医療の拠点にもなるわけでありますし、また、専門性という意味では、その担い手でもあるわけであります。そういう観点から、今般の診療報酬改定に向かって臨んでいきたいというふうに思っております。

 ただ、一方で、今までの基本的な考え方は、確かに入院機能はあるんですけれども、その配置の問題等々を考えると、やはり病院と比べるとそこは若干違うものでありますから、入院基本料というものが抑えられてきたという事実もございます。一方で、ターミナルケア加算でありますとかそういう加算で対応してきた、こういう部分があります。

 そういうことも総合的に含めて、今般の診療報酬改定で、先ほど言った基本的な考え方、これをもとに、どのような形で対応していくかということを現在検討させていただいておるということでございます。

桝屋委員 私も、そばで大臣の答弁をいつも聞いておりまして、後から振り返ると、何をおっしゃったのかわからなくなるときがあるわけでありますが、今大臣は、やはり有床診療所の入院基本料、ここが低く抑えられてきた、ここを検討する、このように多分おっしゃったんだろう、そうでなくてはならぬと。

 機能に応じてという評価は、とてもとても、加算がなかなか難しい、特に入院基本料三あたりは加算がとれないというケースもあるわけでありまして、防火設備等の問題より以前に、基本的な問題として、ぜひとも、二十六年度の診療報酬改定では、入院基本料、この本体に私どもも手をつけなきゃならぬ、こう思っているんですが、大臣、再度確認の答弁をいただいて、終わりたいと思います。

田村国務大臣 入院基本料も含めて、その中身はしっかりと精査しなきゃいけませんけれども、とにかく、有床診がしっかりと地域医療のかなめになっていただけるような運営ができるような診療報酬改定をやっていかなきゃならないというふうに思っておりますので、しっかり検討をさせていただきたいというふうに思います。

桝屋委員 もう終わりますが、局長、ついでに、マルメで、包括制で有床診療所は非常にお困りになっている、管理栄養士あたりをつけなきゃならぬ、こういう非現実的な話もありますから、ぜひその辺も同時に見直していただきますようにお願いをして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 おはようございます。民主党の大西健介でございます。

 法案の質問に入る前に、前回、私の質問の最後に徳洲会の問題を取り上げましたけれども、きょう、最初にそのことについてお聞きをしたいというふうに思います。

 前回の質問のときに、大臣は、捜査中なので、事実が明らかになった時点で適切に対応したいというふうに答弁をしていただきました。私も、ぜひ適切に対応していただきたいと申し上げましたけれども、本当に適切に対応できるのだろうか、そう思うような記事がけさの新聞に載りました。

 皆さんのお手元に記事を配付しております。

 五月に大臣が、赤坂の料亭で、徳洲会の鈴木隆夫副理事長、この方は、その後、徳田虎雄理事長が、今、東京地検特捜部が捜査に入っている問題の責任をとって辞任をされた後に、理事長になっておられます。この方を初めとする徳洲会幹部の方と大臣がお会いになったということが、きょうの新聞で報道されておりますけれども、このことは事実でしょうか。会ったか会っていないかを端的にお答えください。

田村国務大臣 私も国会議員でございますので、いろいろな会合、夜はお会いをさせていただいております。その中において、大臣規範にのっとって適切に対応しておるつもりでございます。

大西(健)委員 会ったんですか、会っていないんですか。

田村国務大臣 この中身を私も今拝見させていただいておるんですけれども、幹部というのは誰を指すのかというのは、徳洲会の組織はよくわからないんですが、基本的に、私、徳洲会の幹部の方々と深いおつき合いがあったわけではないわけでありまして、どなたかと会合する中において、その中でそういう方々とお会いをしたことはあるかもわかりませんが、この方々と私だけで会合をするなどというようなことはないというふうに思います。

大西(健)委員 この記事が間違っているということですか。ここに名前が書いてありますよ、しっかりと。五月十七日、赤坂の料亭で、徳洲会側からは、鈴木副理事長、副理事長ですよね、今は理事長の方ですが、これは間違いなく幹部ですよ、普通に言えば。それ以外にも、ここに書いてある、特定医療法人の沖縄徳洲会の安富副理事長、医療法人徳洲会の佐藤専務理事ら四人が出席した。

 全部じゃなくてもいいですけれども、徳洲会、鈴木隆夫副理事長を初めとする幹部の方とお会いになっているんじゃないですか。何でそんな、会ったか会っていないかを聞いているんです。はっきりとお答えください。

田村国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、そんなに深いおつき合いを徳洲会とさせていただいておるわけではございませんので、会ったか会っていないか、記憶は定かではございませんけれども、いろいろな会合の場面で、他の方々とお会いしている中に同席をさせていただいておるという可能性はないとは言えないと思いますけれども。

大西(健)委員 私は、記憶が確かじゃないというのもおかしなことだと思いますけれども。

 それならば、ぜひ委員長、事務所で確認をしていただいて、これはスケジュールに入っているはずですから、確認すればわかるはずですから、後ほど理事会に、会ったか会っていないかを報告していただきたいというふうに思います。委員長、お願いします。

後藤委員長 理事会で検討いたします。

大西(健)委員 私がなぜこのことを問題にしているかといえば、先日も言いましたけれども、二月に私が予算委員会で徳洲会の問題を取り上げたときに、大臣から、一般論ではあるけれども、そういう公益性の高い社会医療法人等が不正な経理等を行っていた場合には、取り消し等の対象にもなり得る、こうはっきり答えていたんです。私は、この答弁を非常にいい答弁だと思いましたけれども、それは二月ですよ。

 ですから、五月、そういう問題が予算委員会でも野党の議員から質問されて、認識していて、その徳洲会の幹部の方とお会いになったことを覚えていないなんということは、私はないと思いますし、今申し上げたように、その後、前回の質問でも、今は東京地検特捜部の捜査が入っている、その事実が明らかになったところで処分したいと。これから処分するかもしれない、その監督側の厚労省のトップの方が徳洲会の幹部の方と会っていたということになれば、これは私は大きな問題だと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 ここに書いてあるのは五月ですか。五月はまだ捜査中じゃなかったというふうに認識いたしておりますけれども……(大西(健)委員「二月に予算委員会で質問したじゃないですか」と呼ぶ)一般論ではお答えさせていただきましたという話だと思います。

大西(健)委員 会ったか会っていないかも覚えていないというような答弁をされているからあれですけれども、そこで何が話されたのか。

 今申し上げたような、公益性の高い病院として、今、税制の優遇措置とかを受けているんです。それが予算委員会でも問題になっているんです。そういうことがその場で話されたのかどうなのか。

 あるいは、もう一つ、五月ですけれども、参議院選挙の直前ですよね。参議院選挙の話というのがその場で出たのかどうなのか。これをぜひお聞きしたいと思いますけれども、ぜひ、大臣、お答えいただけますでしょうか。参議院選挙の話、それから、社会医療法人の取り消し等の話というのがその場で出たかどうか。

田村国務大臣 参議院選挙の話が出たかどうかということですか。それと、あと何ですか。(大西(健)委員「社会医療法人等の取り消し云々」と呼ぶ)社会医療法人の話。

 ちょっと私も、書いてあるのは、これは宴席かな、何かよくわかりませんけれども、ちょっと記憶にないですね、そういうことに関しては。

大西(健)委員 いや、記憶にないなんてことは私はないと思いますけれども。

 なぜ私がこの参議院選挙の話をするか。それは、今、衆議院選挙の公職選挙法違反でこの徳洲会グループは捜査の対象になっているんです。それで、この参議院選挙のときに、徳洲会グループは、園田修光元衆議院議員の支援を病院組織フル回転でやられていたということがわかっています。

 つまり、この時点で、もしこの場で参議院の選挙の話があって、例えば、大臣から、園田修光さんをよろしくお願いしますねみたいな話があったら、これは、徳洲会グループとして組織的なグループぐるみの選挙をやっていることを、その時点で大臣がわかっていたんじゃないかということにもつながっていく話だから、私は確認させていただいているんです。

 きょう、ここに、私、手元に、園田修光さん、自由民主党鹿児島県参議院比例区三十一支部の支部長の方の広報物、ビラを持ってきました。このビラには、ここ、田村大臣と握手をしている写真が載っていて、そこには、「同期の田村憲久厚生労働大臣とがっちり握手」と書いてあります。

 このビラ自体は、中を読んでいただくと、徳洲会という文字が何回も出てくるんです。鹿児島の比例区の支部長ですから、徳洲会を思いっ切り持ち上げていまして、なおかつ、こんなふうに書いています。「徳洲会は腎臓移植を待っている膨大な数の患者さんのために、「修復腎移植」の臨床研究を推進しています。私は修復腎移植が早期に保険適用となるように、国会の同期である田村憲久厚生労働大臣に働きかけていきます。」と書いてあるんです。

 ですから、これはもう田村大臣との関係や徳洲会との関係を前面に出して選挙をやられたわけです。ですから、私は、その場で、田村大臣と徳洲会の間でこの参議院選挙の話も出たんじゃないかと思うんですけれども、もう一度、記憶にないか、御確認いたします。

田村国務大臣 園田当時候補とは国会同期でございますから、当然おつき合いもありますし、参議院選挙に向かっての決起大会か何かのときに参加させていただいた、そういう記憶はあります。

 まず、そのビラ、申しわけありません、ビラの内容、私、ビラ自体を確認したことがないものですから申しわけないんですけれども、そこには働きかけていきますと書いてあるんですか。(大西(健)委員「はい」と呼ぶ)働きかけましたとは書いていないですよね。

 ですから、何らそういう話は、私は園田さんからいただいているわけではございません。

大西(健)委員 今の、私は、この修復腎移植の話もそうですし、それから、私は二月に予算委員会で質問をして、その後、五月に、監督する側の厚労省のトップが徳洲会の幹部の皆さんとお会いになっていたということが事実であれば、これは大変大きな問題だというふうに思いますので、繰り返しますけれども、ぜひ理事会に、お会いになった事実があるのかどうなのか、その場でどんな話が行われたかということを御報告いただきたいと思います。

 あわせて、もう一つ、では、このときの食事代は向こう側が持ったんですか、大臣が持ったんですか。これも記憶にないとおっしゃるのかもしれません。あわせてこのことも、もし記憶にあるならばお答えいただきたいと思いますし、ないならば、ぜひこれも理事会にしっかりと報告をしていただきたいと思います。委員長、お願いいたします。

後藤委員長 委員からの要求については、理事会で協議をいたします。(大西(健)委員「食事代、どっちが払ったか」と呼ぶ)

田村国務大臣 徳洲会さんに呼ばれて会合したという認識は私はございませんから、ですから、そもそも幹部と言われる方々、こういう方々自体、私は面識が余りないわけでありまして、ですから、そのような、呼ばれたという認識は、私はないんですけれども。

大西(健)委員 本当に、ずっときょうの答弁を聞いていると、完全にしらを切っているという感じなんですけれども。

 最後に、御確認をしておきたいんですけれども、田村大臣、そういう関係がないということをおっしゃっていますので、まさかないと思いますけれども、念のために、ぜひ過去にさかのぼって、徳洲会グループの病院だとかあるいは関係する企業から、献金やあるいはパーティー券を購入してもらったことがあるかどうか。

 これも、今すぐわからなければ、ぜひ確認をして、過去三年間分の収支報告書は公開されていますけれども、例えば五月にだったら、これはわからないわけですので、ぜひ事務所で御確認いただいて、これも御報告をいただけませんでしょうか、理事会に。

 今のパーティー券の購入とか、寄附があったかどうかについても、これは理事会に御報告をお願いしたいと思いますが、委員長、お取り計らいをよろしくお願いします。

後藤委員長 委員からの要求については、理事会で協議いたします。

大西(健)委員 私は、繰り返して申し上げますけれども、この問題というのは非常に大きな問題だと思います。今後の報道あるいはその内容次第では、プログラム法案の審議をしなきゃいけないんですけれども、その大前提としての大臣の資格とか資質にかかわる問題だというふうに思いますので、そのことは申し上げておきたいというふうに思います。

 ただ、せっかく、きょう法案の質疑の時間をいただきましたので、この問題はきょうはこのぐらいにとどめて、法案について質問していこうと思います。

 ただ、正直言って、この法案、中身は余りないんですね。そもそも、私は、法案として出す必要があるのかということについても疑問を持っております。

 社会保障制度改革推進法の中には「法制上の措置」というのが書いてありますけれども、この法制上の措置というのが想定をしていたのは、年金の改革であったりとか高齢者医療制度の改革なんです。

 それが、与党は、年金、医療というのは現行制度のままで大丈夫なんだというふうな方針をとっておられるために、でも、法制上の措置と書いた以上、何か出さなきゃいけない。だから、そのアリバイとして出てきたのが、私はこの法案じゃないかなというふうに理解をしております。

 今回、個別の法律案の提出時期をわざわざ法律にして出すということの意味というのは、私は余りないと思います。仮にあったとしても、それは閣議決定等でやればいい話であって、法律で出すようなものじゃないんですね。

 もう一つ言えば、肝心の個別法の中身というのは、これは何にもわからないんです、現時点では。だから、そうすると、議論のしようがない。議論のしようがないというのが我々の立場なんですけれども、しかし、そうはいっていても始まらないので、まずは、そもそも論のことからお聞きをしていきたいと思うんです。

 先ほども何か社会保障国民会議派という言葉が出ましたけれども、その国民会議というのは、これは、社会保障のための増税は先に決めておいて、社会保障の中身については、公正中立な専門家の場である社会保障国民会議で議論をしていきましょう、そういう仕組みだったんですね。

 ところが、その国民会議の議論が本当に意味ある議論になったのかどうなのか、このことについて私は少し疑問を持っています。

 きょうは、皆さんのお手元に記事を配らせていただきましたけれども、ここに、社会保障国民会議の委員として参加をしていた日本総合研究所の西沢和彦上席主任研究員の発言が載っています。

 線を引いた部分を読ませていただきますけれども、「委員として参加してみて、議論の中身の九五%は官僚がコントロールしており、有識者は事務局が用意した原案に修正を申し入れる程度。変えられるのは全体の五%程度にすぎない。参加者にも利害関係を背負った覆面レスラーのような人が多い。役所が書いたと思われる「ご発言いただきたい事項」というメモを見て発言している人までいた。」さらに続けて、「安倍首相も社会保障に関心なかった。国民会議では、政権交代後の初回冒頭の十分だけ出て、以来姿を見せなかった。」

 そうやって出てきた社会保障国民会議の報告書、そしてそれに沿って、今回、改革の全体像とスケジュールを示したのが本法案ということですから、私はこれを読むと、果たして、国民会議、あるいはそれに沿って出してきた今回の法案というのが正統性があるのかと思ってしまうんですけれども、これは私が言っているんじゃなくて、実際に委員だった西沢さんが言っているんです。

 これは、大臣、どう思われますか。

田村国務大臣 委員にはいろいろなお考えがあると思いますから、それを一つ一つ私がコメントする立場ではございませんので、それはそれとして、そういう御意見もあったなというふうに認識はさせていただきますけれども、そもそも、委員のメンバーも、最終的にお決めになられたのは民主党でございます。もちろん、三党で話はしていましたけれども、最終的にお決めになられたのは民主党政権の中の話でありますから、これ自体、御否定をされるというのはいかがなものかというふうに思います。

 それから、もう一つ申し上げれば、法案を出す必要がないという話でありますけれども、これもまた、三党で決めた中において推進法を出して、その中に書かれている内容でございますから、それは法律を出さざるを得ない。

 民主党がそのまま政権をお持ちであられたら、どこまで精緻な内容をお出しになられたかどうかわかりませんが、事実上、この一年間で全てのものが全部、社会保障制度改革を事細かくやるなどという話になれば、審議会にもかけなきゃいけないだとか、物理的に考えていただければわかる話で、それは、国民会議で物が決まって、何も会議にかけずに、はい、そうですというわけにはいかないのは、皆様方も御承知の中であの法律をおつくりになられたわけでありますから、どう考えても、どのようなものができてくるかということは、おわかりだったというふうに思います。

 さらに申し上げれば、これは三党で、二十回にわたり御議論をいただいてきたわけですよね。その中において、いろいろなものを、その中でも、一致したもの、一致しないものがあったんだというふうに思いますけれども、最終的に、この報告書にのっとって我々はこれを出させていただいた。

 年金に関しましては、意見が合わないところは確かにあります。ただ、この報告書にも書いてありますけれども、民主党の考えておられる年金の一元化にしても、我々の考えております制度にしても、やはり、非正規の方々を正規と同じように被用者年金に入れていかなきゃいけないというところでは、そこに努力していこうということは書かれているわけであります。

 後期高齢者にしましては、前回の参議院の本会議において、これは藤田議員でありますけれども、「つまり、診療報酬改定によって年齢差別を前提とした後期高齢者医療制度は実質的に廃止された」と思われますが、「総理の見解を伺います。」と、民主党の方が代表質問で、後期高齢者医療制度は実質的に廃止されたというふうに評価をされておられるわけでありますから、多分、民主党も同じような思いの中で、後期高齢者医療制度に関しては御意識があられるのではないのかなと、私は答弁席におりまして認識をさせていただきました。

大西(健)委員 今の答弁も、本当に全然納得ができない。法制上の措置として我々が想定していたのは、こういうものじゃないんですよ。

 それから、私たちは別に西沢さんを否定しているわけじゃないんです。西沢さんがこう言っているんですよと。我々が選んだ委員や、そこで想定された議論とは全く違うものに変質してしまったんじゃないですかということを申し上げているわけですから、そのことはぜひ御理解いただきたいと思います。

 いずれにしても、今のような、こういう西沢さんのような話があると、国民の多くは、増税だけが先に決まって、社会保障の改革の具体的な中身は国民会議でやりますよと言っていたけれども、結局、国民会議でも議論は深まらなかった、つまり、肝心な議論は行われずに、増税だけ食い逃げされたんじゃないのか、そういう不信感が私は募っているんだというふうに思います。

 それから、もう一つ、では引き続いて、これも国民の皆さんが一番疑問に思っておられること、それは、消費税を上げた分がちゃんと社会保障に使われるのか。これは、前回の委員会でも御答弁ありましたけれども、再度、簡潔に御答弁をお願いします。

赤石大臣政務官 大西委員にお答えいたします。

 消費税率引き上げによる増収分については、基本的には全額を社会保障財源化することとされております。このほかの財源に充てることはありません。このことは改正消費税法においても明記されております。

 持続可能な社会保障制度の確立を図るため、消費税率の引き上げにより安定財源を確保しつつ、プログラム法を踏まえ、着実に改革を実施したい、このように思っております。

大西(健)委員 何度もそう答弁をされるわけですけれども、幾らそういうふうに強弁されても、私は、国民の皆さんは信用していないんじゃないか。

 今、皆さんのお手元に世論調査の結果、これは、総理が来年四月からの八%、引き上げを決めた直後の十月初頭の世論調査の結果ですけれども、毎日新聞では、政府は消費税増税分を社会保障のために使うと説明しています、あなたは増税が社会保障の安定に役立つと思いますか、思いませんかという問いに対して、思う、三八%、思わない、五四%。同じく、朝日新聞では、社会保障の安定に役立つ、三九%、そうは思わない、四七%。いずれも、半分強の人、半分以上の人が、消費税増税分は社会保障以外に使われてしまうんじゃないかと疑っているんです。

 幾ら強弁しても、これは、国民の皆さんは信用していないんですよ。何で信用されていないんだと思いますか。

赤石大臣政務官 大西委員にお答えします。

 今、確かに、国民の目から見れば批判の声があるというふうに言われておりますけれども、我々としても、消費税の増税だけではなく、新たに経済対策の財源を考えておりまして、経済成長による税収の自然増や二十四年度決算の剰余金、そして二十五年度予算の不用など、最大限活用していくことで他の財源も確保して、いろいろな施策を打っていきたいと考えております。

 また、国、地方の基礎的財政収支については、社会保障・税一体改革に加え、経済対策パッケージよる経済成長の好循環の推進によって、中期財政計画にのっとって改善を目指していく、このように考えております。

 以上です。

大西(健)委員 本当に、答弁を長くして、質問時間を浪費するのはやめていただきたいんですけれども。

 私は、国民の皆さんは鋭いと思うんですよ。要は、社会保障に充てる、これ自体はうそじゃないんだと思うんです。

 皆さんのお手元に、これは私の方でちょっとつくってみたんですが、余りうまくつくれている自信はないんですけれども、消費税は全額社会保障に使われるのかという資料をお配りいたしました。

 消費税は社会保障に充てる、これはうそじゃないかもしれませんけれども、ただ、お金に色がついていないんです。だから、つまり、消費税収を社会保障に充てれば、今まで社会保障に充てていた分の経費が浮くわけですよね。それを別の用途に流用しなければ、単純に言えば、財政赤字が縮小しなきゃいけない。

 ところが、来年度の概算要求というのは過去最大の九十九・二兆円になっている、国債も最大の百七十兆円後半になる見込みだ。しかも、この概算要求時点では、八%、増税分というのは考慮されていませんから。されていなくて過去最大なんです。その中身を見ると、公共事業が一七%ふえているんです。それから、先ほどお話もありましたけれども、増収は来年度で五・一兆円なのに、五兆円景気対策をやると言っているんです。

 それを見ていくと、社会保障に充てていた分で浮いた分はどこに行っちゃったんだろうと思うのが、これが普通じゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 これを拝見しますと、「国債費」「百七十兆円後半」と書いてありますけれども、これは国債の元利払いという話ですか。元利払いが百七十兆円ではないと思いますけれども。これは発行額ということですか。(大西(健)委員「直接私の今の質問に答えていただければいいんですけれども」と呼ぶ)いや、ちょっと拝見をさせていただいていて、発行額ということで理解していいのか、よくわかりませんが。

 一方で、我々も、あなた方がつくったスキーム、今努力しているわけですよね、二〇一五年度に向かってのプライマリーバランス半減化。さらに、その先に向かっての……(発言する者あり)いや、そういうスキームを、要は、我々もそれに向かっているわけであります。

 もし皆さんの言われるとおりであるならば、財政再建はできないという話になるわけでありますから、基本的に我々も財政再建に向かっては努力をいたしておりますから、今般の話に関しては、景気対策という意味で、補正等々で対応していくということはあるかもわかりません。しかし、全体の当初予算のスキームの中では、やはり財政再建に向かっての一つの方向性ということも、我々も目指しているわけでございますから、その範疇の中においてどのような財政のやりくりをやっていくかという話になろうというふうに思います。

大西(健)委員 そういうことを聞いているわけじゃなくて、社会保障に充てる、これはうそじゃないと思うんです。でも、充てた分、その部分の経費が浮けば、それがほかに使われなければ、例えば債務は圧縮されるんじゃないですか、そういう単純なことを聞いているわけです。

 ですから、要は、社会保障に充てるんだ、これはうそじゃないと思うんです。でも、充てたら、本当はその部分、債務を圧縮したり、それがどこに行ったんだということを聞いているんです。公共事業がふえたりとか、どんどんほかの経費が膨らんでいるのを見たら、これは社会保障に回っていないんじゃないかと考えるのが普通じゃないかということを申し上げているんです。

 もう一つ、では、この委員会でもこれは繰り返し言われています。来年度五・一兆円になったときに、充実に充てられるのは五千億円だと。ただ、多くの国民がこの増税に渋々納得していただいたのは、増税分は今言ったように全額社会保障に充てられるんだ、その結果、社会保障がよくなるんだったら、これはしようがないねという話なんです。

 ところが、全額社会保障に充てられるどころか、どこかに流用されているんじゃないか、公共事業に回っているんじゃないか。あるいは、充実に使われるのがほんの一部、たった五千億円、それは約束が違うんじゃないのと思うのが私は普通だというふうに思うんですね。

 皆さんのお手元に、これも資料としてお配りしましたけれども、厚労省の考え方と我々民主党の考え方を整理して書かせていただきました。

 厚労省の説明は、増収分が五・一兆円だ、そこからまず基礎年金国庫負担二分の一引き上げに必要な二・九五兆円を引いて、残った額を、消費税が満年度になるときの社会保障の充実とそれから社会保障四経費の増を足したものと、後代への負担ツケ回しの軽減の比率、一対二で案分したら、〇・五兆円になる、こういう説明なんですね。

 それに対して、民主党の方はもっとシンプルなんです。我々が決めたのは、消費税が最終的に一〇%になる、その五%を、一%は充実、四%は安定化に使う、これを決めたんです。ですから、今回五・一兆円増収するなら、一対四、この比率で分ければ、少なくとも一兆円以上充てられるんじゃないですかというのが我々の考え方なんですけれども、これは何か問題があるんですか。

田村国務大臣 ちょっと無責任な話だと思いますね。基礎年金の要するに国庫負担二分の一、これに関して、あなた方も年金国債を発行して、借金してやっているわけですよ。それも返さなきゃいけない。それで、先食いしちゃったんですよね。その先食いした部分は返さなきゃいけないですよね。それも含めてこういうやり方をやっているので、あなた方みずから、やったことを否定する話になると思いますよ、これは。

 あわせて申し上げれば、公共事業の話は、これは、公共事業も必要な部分はやりますが、あわせて、プライマリーバランスの均衡ということを我々は目指しているんです。あなた方の言っていることを聞いていると、我々はもうプライマリーバランス均衡を諦めたみたいに言っていますけれども、だって、お金をそこに使っちゃったら、要するに財政再建に使えないというわけですからね。

 だから、よくわからない論法で中傷していただくのはやめていただきたいわけでありまして、そこのことも踏まえながら、財務省という役所があるわけでありますから、財務大臣のもとで、私は適切に財政再建に向かっても御検討いただいているのであろうというふうに思います。

大西(健)委員 これは、別に我々がいちゃもんをつけるために言っているわけじゃないんです。それから、四%を安定化に使うわけですから、そこからまた基礎年金のも出せればいいんじゃないかと思います。

 私たちと同じことを言っている人たちが、ほかにもちゃんと有識者の中にもいるんです。きょう、皆さんのお手元に「エコノミスト」の記事をお配りしましたけれども、ニッセイ基礎研究所主任研究員の阿部崇さんの記事です。

 線を引いておきましたけれども、まず、「税と社会保障の一体改革の議論の時点では、この比率は安定化と充実が四対一の配分だったが、政府が先ごろ公表した一四年度の内訳では、九対一になり、「充実」の比率がかなり圧縮されている。」これは、全く私たちが言っていることと一緒じゃないですか。みんなそう思っているんですよ、おかしいと。

 さらに、最後の部分、これも印をつけておきましたけれども、「消費増税という安定財源とそれを社会保障財源に充当すべきという空気感を得た今こそ、」例えば、「世代間格差、特に保険料負担が増す現役世代」の負担を軽減するために、「消費税一%分を後期高齢者医療と介護保険の国庫負担分へ直接投入することを真剣に検討すべきである。」という具体的な提案もされているんです。これは、この方の提案ですけれども。

 ただ、きょうにもまた実務者協議が始まって、我々は、五千億じゃなくて、少なくとも一兆円だ、しかも、その積み増し五千億についても、こういうことに使えばいいんじゃないかということの具体的な提案もさせていただこうと思っています。

 これは民主党が言っているだけじゃなくて、一般の有識者の人だって、五千億、少な過ぎる、九対一に圧縮されているじゃないかと。そして、例えばこういうことに使えば現役世代の負担を軽減できるじゃないかとおっしゃっているんですけれども、これを読まれて、大臣に御感想をいただきたいと思います。

田村国務大臣 財政も再建していく、つまり、それは社会保障の持続可能性という意味ですね。今まで赤字国債で回していた社会保障というものを安定化させるという意味では、そこは御理解いただいているというふうに思います。

 その上で、私は今ごろこうやっておっしゃられるのは無責任だなというふうに思うのは、あなた方が政権を握っているときには、この経過期間をどうやって回すなんて話は一切されていないんですよ。今こうなった時点でこういうことをおっしゃられるのならば、あらかじめそういうことも含めて御議論をしっかりと詰めておくべきだったんじゃないですか。

 今ごろになってそういうことをおっしゃられますが、財政を再建するために、社会保障を安定化するために、もっと言えば、基礎年金の国庫負担二分の一というものは、これは我々も申しわけなかった、我々もその財源を見出そうと思って見出せてこなかったわけでありますけれども、民主党政権でも、ここは何としても確保しなければならないということで、私は消費税増税ということに民主党は一歩踏み込んだんだというふうに思います。

 それが、またこの時点になってこのようなことをおっしゃられるというのは、果たしていかがなものかというふうに思いますが。

大西(健)委員 我々のことを無責任とおっしゃるんですけれども、では、私も今の与党は無責任だということを一つ申し上げたいのは、この今の五千億円とか一兆円とかいう話は、全て消費税が一〇%になった満年時を一つの前提にして話しているんですよね。ところが、先日の委員会で長妻委員の質問に対して、では、二〇一五年の十月には一〇%になるんですかどうですかと言ったらば、大臣は、それは総理が決めることだからわかりませんというお話なんですね。

 きょうお聞きしたいのは、軽減税率の導入を連立与党の公明党さんが年内に決めてくれと強く要請をされている。軽減税率というのが導入されれば税収は減るんです、間違いなく、どんな制度設計になったって。一〇%時に入ってくるお金が減るんです。

 そうなると、では、満年時のときにも充実に充てられる額は幾らなのか。二・八兆円なのかどうなのか、これも変わってくるわけですよ、前提が変わってくるんです。だから、その前提を決めてくれないと、こんな議論できないじゃないですか。

 だから、早く、軽減税率を導入するんだったら、一体、一〇%満年時には幾ら入ってくるんだ、そのうち幾ら充実に回せるのか。それも決まらないのに、議論してくれと。そして、それはわかりませんけれども、負担増や給付カットの話はこのプログラム法案に組み込まれて、先に決めてくれという話は、これは納得できないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 確かに、軽減税率をやれば税収が減ります。それも含めて、今、どうすべきかということを与党の中で議論いたしております。それは事実でありますから、財源のことも含めていろいろな議論はしなきゃいけません。だけれども、申しわけありませんが、あなた方だって、給付つき税額控除と言われたわけでしょう。それは、この十兆円の中に入っていないですよ。だから、同じなんですよ、これは。

 では、あなた方は、この一年たって、仮にあなた方が政権を握っていて、何もやらないんですか、そうしたら。(発言する者あり)だって、言いわけじゃないでしょう。それは同じ議論の中でやっていて、そこは共有していたわけじゃないですか。それを今になっていきなり、同じ現象が生じるにもかかわらず、一方は、財源がなくなるから社会保障ができないじゃないか、そういう議論になりますと、本当に議論ができなくなってしまうので、もう少し前向きな議論をお願いいたしたいというふうに思います。

大西(健)委員 きょうは時間がもう参りましたので、ただ、今の議論の中でも、これは全然まだ議論の入り口の部分ですよ。私は各論の話もしようかなと思っていましたけれども、総論の、その入り口のそもそも論のところで大きな食い違いがあって、全然議論が深いところに入っていっていないと私は思いますので、このプログラム法案、まだまだ審議時間が必要ですし、まさか、すぐに採決しようなんて、そんなことはないというふうに思いますので、ぜひこれからもしっかり議論させていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 きょうは、前回に引き続いて、難病のことについて議論したいと思います。

 傍聴席にも、ALSの患者を初めとする、この難病問題に、自己負担が引き上がってしまうのではないか、命がつなげられないのではないか、そんな思いで、大変不安な思いで、心配な思いで傍聴に来ておられる方がいらっしゃるということを、まず大臣にお伝えを申し上げたいと思います。

 そして、私は大臣と、ずっと障害者福祉について一緒に取り組んでまいりました。その大臣が、僕は先ほど大西さんが指摘をされるまでこのことは知りませんでした、徳洲会の方が、自分の都合のいいことをしてもらうために、赤坂の料亭で大臣と会食をしていた。

 では、難病の方々も、自己負担を引き上げられないようにするために、難病対策を充実してもらうために、大臣と赤坂で会食しないと自分たちの要求が取り上げてもらえないということになってしまうんじゃないかと思って、感じておられるとしても、これはおかしくないことになってしまいますよ。

 政治は赤坂で飲み食いしないと前に進まないんじゃないか、私たちの要求は通らないんじゃないか、そんなふうに思われてしまうようなこの報道です。

 理事会で正しいことが報告をされると先ほど委員長もお取り計らいをいただきましたので、理事会で大臣の潔白が証明されるということを私は信じていたいと思っています。

 傍聴に来られるということも改めて申し上げたいと思いますけれども、この資料の一、資料と言っては失礼なんですけれども、筋痛性脳脊髄炎の会の理事長の篠原さん、例えば、この時間に傍聴に来ようと思ったら、まだ朝のラッシュの時間帯の電車に乗らなければならない。写真で御紹介させていただいたとおりのこの状態で、電車には乗れません。だから、国会の議論を聞きたいと思っていても、この時間に来るわけにはいかないわけなんです。

 きょうお越しになっておられる方々は、相当な努力をしてこの国会までたどり着いて、国会の議論をぜひ生で見聞きしたいという思いでお越しになっておられるわけで、まさに自助努力をされておられるわけなんです。

 この人たちに、さらに自助をせよ、さらに努力をせよということを強いる内容が含まれているのが、今回のプログラム法案なんです。

 もっと頑張れ、もっと頑張れと、果たして大臣、ALSの患者の方々を目の前にして、さらなる自助努力をお願いすることが本当にできるんでしょうか。国に助けてほしいと言うことは、彼ら、彼女らにとって、大臣から見たら、わがままだというふうに映ってしまうんでしょうか。助けてくださいと言うことはおかしな話だということにはならない、私はそう思っています。

 だから、そのためにこそ消費税を引き上げて、国民みんなで本当に困っている人たちを救いたい、そういう思いで、三党で、断腸の思いで消費税の引き上げを決めたということではないでしょうか。

 大臣は、あるいは自民党の先生方も、民主党は、難病の医療費助成の枠を五十六から三百に広げるから、それは充実ではないか、だからこの法案は速やかに成立させなきゃいけないんじゃないかということをおっしゃいますけれども、それはそのとおりなんです。当たり前の話です、消費税を引き上げるんですから。

 充実をするのは当たり前で、それとセットで、なぜ自己負担の引き上げが提案をされなければならないのか、なぜ押しつけられなければならないのか。義務化したり法制化して、財源を義務的経費化したり枠を広げたりというのは、これは当たり前にやるべきことで、自己負担の引き上げをセットでお願いするということは、これは大臣、当たり前にやることではない、やってはいけないこと。

 だから、消費税を引き上げるということがある限り、大臣、この自己負担の引き上げという内容は私は撤回をしてもらわなくてはならないと思っています。

 今も大西さんが指摘をされたように、消費税と、復興増税の一年前倒しの撤廃で、大企業中心の五兆円の景気対策をやるわけですよ。そのお金があるのならば、難病対策、前回の議論でも、いろいろ前提はあって、仮定をした上での数字になりますけれども、最大四百億円あれば今の制度を守れるということもあるわけなんです。五兆円のうちの四百億円なんです。消費税を引き上げる中で、捻出できない額ではありません。

 ぜひ、もう一度考え直していただいて、消費税引き上げの意味合いを、このプログラム法案の中でといいますか、政府の政策の中で生かしていただきたい、そんな思いであるということをまずお伝え申し上げたいと思います。

 民主党は、昨日、難病の当事者の方々あるいは団体の方々にお越しをいただいて、今回の自己負担増についての御意見を承りました。

 繰り返しになりますけれども、昨日は雨が降っていました。私たちは、まことに申しわけないことに、八時半からの厚生労働部門会議にお越しをいただきたいとお願いをいたしました。先ほど申し上げましたように、八時半に国会まで来るのは、難病の方々にとっては本当に大変なことなんです。それでも、多くの当事者の方々がお越しをいただきました。

 いろいろ御意見を承ることができました。それだけ、今回の法案の中身に対して、不安の思いや、命を削られてしまうのではないかという心配をしておられるということを、私は実感として感じ取ることができました。

 きょうも来ておられるALSの方は、小学生の子供さんが二人おられる。この方は、人工呼吸器をつけたことを後悔しておられました。なぜか。こんなに負担が重くなってしまっては、家族に迷惑がかかる、家族の生活が圧迫をされてしまう、だったら、人工呼吸器などつけないで死んでしまった方がよかったんじゃないか、そういう悲痛な思いを述べておられました。

 小児がんの関係者の方もお越しをいただきました。これは、資料として配付をさせていただきましたので、ごらんをいただきたいと思いますけれども、資料の二です。

 これをごらんいただくとわかるように、この表にある発病前の家計と発病後の家計を比べていただければわかりますが、発病前は十三万八千円ゆとりがあった。貯金に回すか、何か将来のために蓄えておくことができるという家計状態であった。それが、発病後はマイナスの十三万一千五百円ということになってしまっているわけでございます。

 これは、多くは、発病後の一番下の方にある、母の離職のためマイナス二十万円、これが大きいんですが、御家族に小児がんが発生してしまったら、誰かが介護につかなければならない。やむを得ずお母さんが仕事をやめて、その家族のために時間を割かなくてはいけないということの中で、マイナス二十万円。これは、プラスマイナスすれば、二十六万九千五百円という数字になってまいります。これだけの負担が小児がん患者の方々にはのしかかってくるわけであります。

 その上、消費税が引き上げられれば、当然、難病の方にも、小児がん患者の家族の方にも、日常生活の消費税負担がかかってきます。その上、今回の法改正で自己負担が大幅に引き上げられてしまうということになれば、これは、何のために消費税を上げるかわからない、何のための法改正かわからない、幾ら充実分があるといっても、それを大幅に上回る負担増が押しつけられてしまうということになってしまうわけなんです。

 本当は大臣にここで御意見を承りたいところなんですけれども、時間がありませんので、この思い、この現状だけをぜひ御理解いただきたいと思いますが……(発言する者あり)やはり、ここで、大臣にこの深刻な状況を承らなきゃいけないので、大臣、一言お願いします。

田村国務大臣 今委員がお話しになられた全体を総括して、それも含めて、今、御議論をいただいているところであります。多くの方々、関係者の方々と今までもお話をお聞かせいただき、また、全国におられる難病のそれぞれの団体の方々ともいろいろな御議論をさせていただき、その上で、現在、対策委員会の中で、その報告も含めて御議論をいただいております。

 いずれにいたしましても、それぞれの皆様方がある程度御納得のいただく中において、最終的には方向性を示していかなきゃならない。しかし一方で、財源という制約もある中での話でございますから、対象人数をふやすということ、それとの間でどのような形をしていくのか、しっかりと難病対策委員会で御議論をいただきたいというふうに思います。

 ちなみに、一番初めにありました筋痛性脳脊髄炎の方々、私もお会いをさせていただきました。この方々は、実は医療費助成の対象でもございません。また、総合支援法の対象の方でもないんですね。そもそも、まず、今、百三十と言われている、その福祉サービスさえ受けられない。

 それはなぜかといいますと、客観的な診断基準というのがまだできていないんです。これを、今、厚生科学研究でやっていただいておりますが、ずっと時間がかかり過ぎているので、これに関しては、早く客観的診断基準をつくるようにと私の方も指示を出させていただきました。

 とにかく、難病の方々、本当に範囲が広くて、いろいろあるサービス、また、いろいろある制度にさえまだ入っておられない方々がおられるわけで、そこも含めて、今回、対象をどうしていくんだという大きな議論もさせていただいております。

 委員のおっしゃられたこともしっかりと参考にさせていただきながら、検討委員会の方で御議論をいただきたいというふうに思います。

中根(康)委員 今大臣がおっしゃったように、例えば筋痛性脳脊髄炎の方、約三十万人ぐらい患者さんがおられる。そうすると、今回、法案の中に入ってくる、〇・一%以上患者さんがいると、助成対象から外れるということになる。おっしゃったように、医療費の助成からも外れる、そしてまた、総合支援法の福祉サービスも受けられない。

 まさに、大臣がおっしゃったような、そういう穴を埋めていくというところから本来始めるべきで、その穴を埋めることをせずに、財政抑制、利用抑制とも言えるような今回の自己負担引き上げというものだけが先に提示をされるということがおかしいということを申し上げておるわけであります。

 今、議論をしている、当事者の方々の御意見もしっかり承りながらやっているということであるならば、それなら、十一月の二十日に難病対策委員会が次回あると聞いておりますけれども、ここまでに細部まで決めた制度設計が当事者の方々にしっかりと示されるということでよろしいですか。

田村国務大臣 先ほど来申し上げておりますけれども、全てが全て要望どおりになるかといいますと、それはやはり財源の制約もございますから、そこはなかなか難しいところもありますけれども、とにかく議論を尽くしていただいて、ある程度それぞれに御納得感があるところ、全てが納得とはいかないでしょうけれども、ある程度我慢するところは我慢しながら、お互いに譲り合うところは譲り合いながら、御議論をしっかりと最終的にまとめていただきたいというふうに思っております。

 十一月を目途ぐらいに今考えております。これは、最終的には、予算編成過程で最終的な判断を我々はしていかなきゃならないと思っておりますから、その日程から逆算して、十一月中にはひとつ方向性を示していきたいというふうに考えております。(発言する者あり)

中根(康)委員 今、山井理事からもお話があるように、先ほど大西委員からの指摘もあったように、細部が決まっていない、中身が決まっていない段階でこの法案の賛否を決めることもできないし、当然、賛成することなどできませんし、採決がこの委員会で行われることなどあり得ないと思っています。

 十一月の中下旬ということであるならば、そんなに先の話ではありません。まだ国会の会期も十二月六日まであるわけでありますので、そこまで私たちは待たなければならないと思います。十分な議論をした上でなければ決められない。(発言する者あり)

 今、自民党の理事の方から、参議院の審議があるから早くやれよ、とんでもない話じゃないですか。国会日程ありきで、難病の方々の、小児がんの方々の、命を削るような法案を、拙速に決めていいはずがないじゃないですか。

 これが、難病対策が、しっかりと当事者の方々の御意見を聞いて、財政制約のある中で最大限どこまでできるかということを大臣がきちんとお示しをした上で私たちは議論をし、そして、この委員会での態度を決めなければならない。いかがですか。

田村国務大臣 このプログラム法は、難病だけのことが入っている法律じゃないですよ。それをおっしゃられたら、介護も含めて、全部の法律が内容が固まるまでやれないという話になりますよね。では、あなた方はもとから、多分、我々はあなた方にも賛成いただきたいという気持ちでありますけれども、反対ありきでそういうような論法をおっしゃっているんだと思います。

 そもそも、あなた方がそのまま政権与党であったとしても、これは、では法的措置、できなかったですね。間に合わなかったという話なんで、ちょっと無責任な話だと思います。

 難病に関しては、難病新法を提出させていただきますから、そこで御議論をいただくというのが私は本筋であって、なぜプログラム法をそのことでとめるという話になられるのかがあくまでわからない。プログラム法は、難病……(発言する者あり)いや、そんなことを言ったら、全部削除ですか。介護も医療ももう何もかも削除、では法律にならないですよね。

 そういうような、三党で去年御議論をいただいて、そして法的措置を講ずるということを、八月二十一日までですよ、決めたわけですよ。その間に、国民会議もやらなきゃいけない。そのために、三党で国民会議のメンバーを選んで、最終的には、民主党が与党でしたから、政権で責任を持ってその方々に委嘱したわけですよね。

 だから、それをしておいて、ではどうすればいいのか。我々は何を今やればいいのか。何もやらずに、結局は法律違反というような形になればよかったのか。もうちょっと前向きに、常識的な御議論をさせていただければありがたいと思います。

 難病のことは難病新法で、またしっかりと御議論をいただきたいというふうに思います。

中根(康)委員 難病のことだけ言っているわけじゃないです。難病も確かにプログラム法案の中に入っているから、難病のことだって詰めなきゃいけない。難病のことだけあなたは言っているから、その議論には応じられないというような大臣の発言は、これは筋違いだと思います。

 難病だけじゃありません。介護法案だって中身が詰まっていないじゃないですか。年金や医療だって入っていないじゃないですか。

 先ほど大西委員が指摘をしたように、もともと想定されていた法制上の措置がこのプログラム法案と言われている内容のものであったとは私たちは思っておりません。先ほど言われたように、この法律は、別になくてもいい、審議しなくてもいい法案なんです。閣議決定でスケジュールだけ決めて、その都度、難病の法案あるいは介護保険の法案、そういったものが出てきたときに、私たちは一つ一つ丁寧に議論して決めていけばいいと思っています。

 私たちは、だから、反対ありきで、反対のための反対を議論しているわけではありません。消費税を引き上げるわけだから、その分、充実をしましょう、五千億円ではなく、一%分、一兆円使えばそれができるんじゃないですか、難病だったら、四百億円ぐらい用意すれば、当事者の方々の御期待に応えられるようなものに近づけるのではないですかということを言っているわけで、私たちは、難病のことだけ、財政のことを考えずに無責任に物を言っているわけじゃないんです。

 大臣、消費税増収分から難病や小児がんの医療費助成に充てるべき、これはもう先ほどから申し上げている。消費税を上げるのは、難病を含めた社会保障を充実するためだからです。自己負担の引き上げは認められない。消費税を上げるんですから。

 義務的経費化をする、対象拡大するというのは、私たちは、それはすばらしいことだ、やるべきことだと言っています。なぜそこに、消費税を引き上げるにもかかわらず、自己負担の引き上げで、ほかの制度との均衡とか公平とかというものが持ち込まれてくるかというのがわからないということを言っているわけなんです。

 まず、資料の三、これをごらんください。これは、難病委員会で示された資料ということで、厚生労働省から御提出をいただいたものなんです。

 前回の質疑で、難病自己負担の新制度は高齢者の高額療養費を参考にしているのはおかしいと私は指摘をさせていただきました。

 これに対して土屋副大臣が御答弁をいただき、「難病患者についても医療需要が非常に高いということで、これを踏まえて、医療保険における高齢者の患者負担を参考にしたものであります。」ということを御答弁されておられます。

 これに対して、大臣は、「全く同じ制度になるわけがないわけでありまして、そこは難病の方々の特性に応じたものにこれから議論の中で変わっていくわけでございます」という御答弁もいただいているわけでございます。

 難病対策委員会でも、高齢者、自立支援医療の資料が、今御紹介しましたように、配付されて比較検討されたと聞いております。結果として高齢者医療制度が参考にされたということなんですけれども、私は、これを改めて一つ一つ見たときに、難病の方々の特性が高齢者医療の方々の特性と共通するところは少ない、参考にすべきではないと思います。私は、改めて、実は、この資料をじっくり見る前は、自立支援医療をむしろ参考にすべきだと思っておりましたけれども、自立支援医療ともやはり違うわけなんです。

 難病の方々には、難病の方々の特性を踏まえた、難病の方々用の制度設計があってしかるべきだ、私は、改めてこの資料を見て考えさせていただきましたけれども、大臣、難病の方々の特性を踏まえた、高齢者医療制度を単に焼き直しをするだけではない新たな制度設計を、改めてきょうから考え直していただくわけにはいかないでしょうか。

田村国務大臣 まず初めに、今の委員の論法でいくと、皆さんはどういうものを、この国会に法案を出されるおつもりだったのかというのに疑問を感じます。年金だけでは社会保障制度改革ではありません。あの推進法を見る限り、あの中に書いてあることを具現化するための方向性がなければ法的措置にならないわけでありまして、どういうものをお出しになられるおつもりだったのか。もし与党であった可能性もあるわけでありますから、そういうことも含めて、御議論の中で深めていければありがたいなという感想を持ちました。(発言する者あり)

 それから、確かに、五兆円あるじゃないか、そういう山井議員のいつものようなやじが聞こえてまいりましたけれども、難病対策は大切です。しかし、民主党時につくられたこの充実化とそれから重点化の表を見て、難病のお金は入っていないんですよね、民主党政権のときも。入っていないんです。もちろん、大綱には定性的には入っています。でも、定量的に入っていないんです。

 我々が本当に皆さんとお話ししたいのは、共有して、三・八兆円、まあそれは、三・八兆円を充実するとかもっとふやして、適正化をもっとふやすのか、つまり、そこはどうするかというのはありますけれども、差し引き二・七、八兆円、充実に回すという話をしてきたわけですね。ここは多分共通だったと思います。その中身を議論するのには、やはり充実する分野とそれから効率化する分野と、これをお互い出し合わなきゃいけないんですが、そこが全然、私どもはあなた方から全然提案いただいていないんで、全く議論も何もできないわけでありますよね。

 そう考えますと、全体の話、どうも、五兆円ある、五兆円あると。五兆円はほかにも使うわけでありますから、そういう中において、本当に我々も、難病、特定疾患の方々に対して、何とか対応していきたいという思いがあるのは御理解をいただきたいと思うんです。

 その中で、高齢者の表を使ったという話がございましたけれども、それは使いましたけれども、そこは、先ほど来言っておりますとおり、柔軟に対応していくということでございますから、これは、これから御議論の中で柔軟な対応も含めて、どのような形になるのかということをしっかりと議論をいただくということであります。

中根(康)委員 今の大臣の答弁だと、難病の方々の特性を踏まえた、新たな制度設計を考え直していただけるということですよね。それで、もう一度検討し直したものを、私どもに、国会にお示しをいただく、当事者の方々にもお示しをしていただいた上で、改めてここで議論をさせていただくということで、それが行われるということであれば、やはりそれを待ってこのプログラム法案の採決が行われるべきだと思っております。

 それで、私たち民主党は難病のことについては触れていなかったということは全く間違いで、私たちだって、ずっと難病対策については議論をしてまいりました。

 しかも、きょうは、社会保障の充実と安定化の所要額の比率を一対四と想定していたところ、五千億円では一対九にしかならない、だから、本来の比率に乗じた予算配分に基づき、少なくとも一兆円程度を社会保障の充実に充てるべきであるという考え方で、そのプラス五千億円分として、難病も、小児慢性病、難病対策、自己負担のアップの中止ということで四百億円の削減ということで、新たな上乗せの五千億円の中に盛り込むということを三党協議の中で御提示をさせていただくということになっております。

 それで、資料四、厚労省にこれもつくってもらったものでございますが、五もそうなんですけれども、難病の所得区分別患者数が記されております。所得階層別に何人、何人ということになっておりますが、ここまでわかっているわけなんです。

 この人数をもとに計算をしたときに、今回、厚労省が提案をしている、例えば、今まで重症患者が無料、自己負担がなかったものが最大四万四千四百円の負担増になるということを初めとして、さまざまな仮定を置かなければなりませんけれども、負担増の総額がおおむねどれぐらいのものになるかということを、数字をお示しいただきたいと思います。

田村国務大臣 重ねて申し上げますけれども、プログラム法は、どのような段取りで社会保障制度改革を進めていくかというような、日程も含めて、その項目を書かせていただいた法律であります。

 難病に関しては、難病の新法をしっかりやりますので、そこで御議論をいただければいい話で、何にも決まっていないからプログラムも決められないというのでは結局は何も進まないという話でございますので、そこは御協力をいただければありがたいというふうに思います。

 それから、きょう御提案という話がありました。

 一つ申し上げれば、五千億を一兆円という話ではないんです。二・八兆円、でき上がりのときに難病の予算がどこにどのように入ってくるかという御議論をいただかないとこれは議論にならないわけでありまして、御提案をされるのならば、そういう御提案をされた方がいいかというふうにアドバイスをさせていただきたいというふうに思います。

 その上で今のお話でございますけれども、ちょっと足元のところはなかなか試算ができない。それはなぜかというと、まだ決まっておりません。範囲も決まっておりませんし、まだ何も決まっていないので、試算のしようがございません。ただ、決まった上で、どのような形になるのかというのは、経過期間を終えた後の姿というものは時期が来ればお示しすることは可能かというふうに思いますので、それは努力をさせていただきたいと思います。

中根(康)委員 小学校の学芸会だって、プログラムを決めるときには、大体、一年生の劇が十分だとか二年生の劇が十五分だとか、そういう中身が決まって、それでプログラムが決まるわけなんですよ。だから、プログラムだから中身を決めなくてもいいということではありません。

 少なくとも、厚労省からさまざまな資料がどんどんどんどん出ているじゃないですか。それをもとに、対象人数は何人だ、そして、提案されている、例えば四万四千四百円の負担増だったら、その対象に当たる方が何人いてという仮定を幾つか置けば、金額だって出てくるじゃないですか。

 それは、そういったものが、ある程度のものが示されないと、幾らプログラム法だからといって、中身を全く示さずに議論をしろ、そして採決をしろ、成立をさせてほしい、全く、それこそ無責任ということにはなりませんか。

 これは引き続き、そういった数字が出てきて、判断の材料が示されるまで当然採決はできないわけでありますので、きょう金曜日、来週だってこの議論が続いていくわけでありますので、もう一度お願いをしておきます。

 いろいろな仮定はつけられても当然結構でございます。難病対策の、厚労省が示している自己負担増が総額幾らになるか、対象人数が何人になるか、これが示されなければ、ここから先の議論はできない。大臣は、それは議論しなくたっていいよということになるかもしれませんけれども、当事者の方々にとっては、一体、将来の暮らしがどうなるのか、人工呼吸器をつけるのかどうかという判断の材料になるわけなんですよ。そこを示していただかなくては、ここから先の議論が深められない。全く無責任な厚労省、政府の姿勢ということになってしまいます。

 次回の委員会までにこの数字を示していただくことをぜひお約束いただきたいと思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 何度も申し上げますけれども、今、対象者をどこまでにするのかということを議論しているんでしょう。(発言する者あり)対象者ですよ、提案していないですよ、そんなの。

 どこまで対応になるかどうかも含めて、今議論しているんでしょう。議論しているときに、どうやってその数字を、対象者を決めるんですか。決めて出したら、入っていない方々は、我々は抜けちゃったのかという話になりますよね。それは逆に不安になりますよ。そんな無責任なものを出せないじゃないですか。真剣に考えましょうよ。そういうやり方じゃないと私は思いますよ。

 それを出すことによって、あなた方、また、これだけしかないだとか言われるわけでしょう。それで、抜けている方々に対して、あなた方は入っていないですよなんて言われるわけでしょう。今、それを決めている最中なので、仮定の数字なんて出せないですよ。それがまたひとり歩きしたときに、大変な混乱が起こりますよ。

 プログラム法は、そういうことを決める話ではございません。プログラム法は、その日程がどういうような形で進んでいくかということを示す話でありまして、中身を事細かく出すものじゃありません。もう少し前向きに議論をさせていただければありがたいというふうに思います。

中根(康)委員 中身がわからない、詳細がわからないものに対しての議論をするわけにはいきません。

 いろいろな仮定を置いてもいい、仮定を置かざるを得ないということは申し上げているんです。だから、ある程度、こういう仮定だったらこういう数字になるということだけは、出せないわけはないと思うんです。大臣、これは事務方とよく相談してみてください。必ず何らかの数字は出てきて、それが出ないと、やはり議論の、判断の材料になりません。

 ぜひここはお願いを申し上げ、きょうはもう時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 引き続き、プログラム法について審議をさせていただきたいと思います。

 今、中根委員の方から難病対策についてのやりとりがございまして、私も今の質疑をお聞きしておりましても、非常に、きょう傍聴に来ておられる方々、そして、その向こう側には、本当に、全国の難病患者さんたちがこの議論を固唾をのんで見守っておられるわけです。国会のスケジュール感というのはもちろんあるでしょう。しかし、我々がこの法案をどういう扱いをするかによって、まさに、人工呼吸器をつけるか外すか、命にかかわる、そういったことになるというその重みを、我々はより重く共有すべきであると思います。

 私は、きょうの議論を聞いていて、ちょうど私が初当選だった二〇〇五年以降の、二〇〇六年に、障害者自立支援法の議論をして、そしてあの採決の日に、国会の周辺を障害をお持ちの方々が取り囲んで、傍聴席に入り切れないような満席の中で強行採決が行われ、あのときの光景を思い出さずにはおられません。

 あのとき、この議場におられた議員の方は覚えておられるかもしれませんが、私は、生涯忘れ得ぬ言葉が、そのとき、やじと、そして、そのやじを言い返すやじ、こういうやりとりがあったんですね。こんな、障害者自立支援じゃなくて自殺支援法じゃないか、我々を殺すのか、そういう悲痛な叫びが、本来ならば傍聴席からそういったことはルール上はないはずの中で、悲痛な叫び声が発せられました。

 そのときに、私は本当にがっかりしました。これはもう引退された議員さんですけれども、自民党さんの議員の中に、我々を殺すのかというやじに対して、まだ殺していない、そう言い返した議員さんが、しかも、その方は厚労政務経験者の方です。私は本当に恥ずかしかった、そして悲しかった。

 そういうやりとりがあって、そして、あの自立支援法についても、応能負担の中身のあり方について、総合支援法に移っていくプロセスの中で、大変なまた議論があったわけですよ。

 今回の難病対策についても、確かに、新たに認定を広げていく、難病の疾病の数を新たに広げていく、これは本当に重要なことですよ。しかし、それを実現するために、なぜ、今、難病の対象の患者さんたちがいきなり二割負担になったり、四倍の負担増になったり、そして人工呼吸器を外すかどうか迷わなければならない、そういう判断を強いることにならなきゃいけないんですか。

 実は、我々の政権の中でも、この難病の議論に加えて、医療費の負担のあり方についてはさまざまな議論があって、難病の患者さんが難病の新たな患者さんを支える、こういう今のような議論ではなくて、受診時定額負担というあの議論のときにも、まさに、病人で窓口に来た方が負担を新たにすることで、高額療養費、さらに重病な方の負担を支えるという、その考え方は間違っているんじゃないかと。だから我々は、もっと健康な健常者の方々の保険を基金として、そして高額療養費制度の拡充を検討していきましょう、そういう議論を、党内でも大変な議論もして、そして今回、まさに一体改革の案の中に、この受診時定額負担については予算化もされていないはずなんですね。そういう、どなたがどなたを支えるのかという議論を、本当にもっと我々は真摯にやらなければならないと思うんです。

 それで、具体的なやりとりをやるべきだということを大臣はおっしゃいましたから、私、ちょっと幾つか提案をしたいと思うんです。

 今回、私、水曜日に質疑の中で、医療、介護、そして保育、障害などの負担上限制度である総合合算制度、これの議論が半年も放置されていて進んでいない、これは四千億円も予算計上している、この状況が大変無責任であるということを申し上げたわけですね。

 今回、まさに障害なども含めた負担上限制度ですから、例えば、この総合合算制度の中で、難病の皆さんの場合によっては新たに生ずるかもしれない負担についても、上限制度などを設けることで、仮にもともとの難病患者さんたちが新たな負担をするということになったとしても、そこに新たなセーフティーネットがあることで、負担上限制度の対象になることで、まさに、新たに難病の対象になる方ともともとの難病の対象の方とが分断されるような、そういう仕組みじゃなくて、本当に新たなセーフティーネット、消費税を上げるわけですから、そして総合合算制度というところは財源をつけるわけですから、そういうことをぜひ検討いただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 冒頭、委員がおっしゃられました障害者自立支援法、この成立時の、可決時の大変な混乱、私も覚えております。

 新しい制度をつくる、それによって助かる方々もおられますけれども、一方で負担のふえる方々もおられる。そういう中において、我々の説明が十分でなかったんだという部分もあったと思います。もう少し、配慮が足らなかったところもあると思います。そういう中で、大変なお叱りをいただいて、しかしながら、財政的には義務的経費として安定化して進んだ自立支援法。

 我々は野党になりました。あなた方は与党になられました。その中において、お互いに協力してよりよいものにしよう、心配あるところを直させていただいた。非常に、与野党ではありましたけれども、その後のいい改正ができたと思います。

 しかし、障害者総合支援法成立時には、今度はあなた方が、障害者団体の方々からの怒号の中で、それに耐えながら賛成された。私は、あの姿を見て、与党というのは本当に責任が重いんだな、つらいんだな、そのように感じました。与党というのは、常にお叱りも覚悟させていただきながら、いろいろなことを進めていかなきゃならない。

 今回の難病の話に関しましても、人工呼吸器を外さなきゃならないというお話がございましたが、そういうことのないように、最終的なこれからの詰めを我々していかなきゃならないというふうに思います。

 あわせて、合算制度に関しましては、今、それぞれの難病の方々が医療機関にかかられると、合算はできません。そこに関しては、今回の改正の中において、いろいろな病院でかかったものを合算できる。これは取り入れてまいりたいと、今検討をいただいております。今委員がおっしゃられたのは、さらなる、全ての、どこまで範囲を入れるかというのはまだ決まっていないものでありますから、そこも含めて議論をいただかなきゃなりませんが、かなりの社会保障にかかわる部分に対しての総合合算制度、これを導入する。

 半年議論をしていないと言われますけれども、確かにワーキングチームは動いていませんが、実際問題、担当者は動いておりまして、実際問題の業務をどうしていくか、いろいろなことをやっております。

 いずれにいたしましても、これは、税と社会保障、このマイナンバーというものがしっかりと確立をしていかないことには動けない、そういうような制度でありますから、それが動き出した後、個人情報というものをしっかり保護できる、こういうような措置を組んだ上で、いろいろな問題、課題を解決して早期に対応ができるように、これからも努力をしてまいりたいというふうに思います。

柚木委員 この難病の新法も含めて、スケジュール感をお聞きすると、来年の通常国会になるんでしょうか、そういった法案も出てくる。そしてまた、三年間の経過措置ですか、そういった中で、まさに、今の、既に対象である難病患者さんたちの負担のあり方についても、そこで詳細が詰められていくのであろうというふうに認識をしておりますが、今、総合合算制度についても御答弁がありました。

 この合算制度のメンバーの中には、前回も資料におつけしましたように、今回のこの難病でいえば、健康局、雇児局、それぞれ担当の総務課長補佐ですか、メンバーにも入っておられますが、ぜひこのスケジュール感について、大臣、直接しっかりと御指示いただいて、仮に法律が、議論をして、成立をして、施行される、その施行されるまでに、三年間の間にどうこうするという状態じゃなくて、まさに負担上限にどういう形で、既存の制度と新たな制度をちゃんと整理して、そして、既存の難病患者さんたちが本当に不安な思いで施行を迎えることが起こらないように。

 さっき大臣が言われましたが、与党、野党、それぞれの立場が入れかわって、苦しいこともあれば乗り越えなければいけないということもおっしゃったわけですが、まさに現政権与党の、これは野党も本来そうですが、その責任として、これはよかった、あるいは、これはちょっと失敗したかもしれないということがあるとすれば、その失敗の方が起こらないようにすることが、まさに政治の責務なわけであります。

 そういった不安な状況、そしてその先に、この法律が始まったからみずから命を絶つような方が起こってはならないわけですから、施行の前にこの合算制度の中での位置づけを明確にしていただく、そういう御答弁をいただけませんか。

田村国務大臣 委員も御承知のとおり、難病だけという話じゃないですね、総合合算制度というのは。入れる対象をどうするかということを決めなきゃなりません。もちろん、負担の上限額をどうするんだということも考えなきゃなりません。さらには、給付の方法、対象期間、いろいろと詰めなきゃいけない制度上の問題、それからシステム上の問題、こういうものに関しては、随時、我々議論をしてまいりたいというふうに思います。

 二十九年の七月に、今の日程上、情報連携が開始をするわけでございます。今、医療情報等々どうするんだという議論もしております。さらに一歩進んで、センシティブな情報はどう扱うんだ、こういう議論まで今し出しておるところでございまして、そのような意味、いろいろな問題点はありますけれども、この二十九年七月というのを一つ見越しながら、なるべく早く、どのような形でこれ以降導入ができるのかということで、我々も検討してまいりたいというふうに思います。

柚木委員 大臣、なるべく早くということでは、ちょっと答弁としては、責任ある答弁とは言えないと思うんですよ。当事者の方々は、まさに命がかかっているんですね、この国会の議論に。

 それが、なるべく早くというだけの見通しの中でこのプログラム法が決まって、プログラム法が決まったら個別法の議論に当然入っていくというような流れではなくて、やはりそこは、このプログラム法の議論をしながらでも、ちゃんと見通しを、スケジュール感も示していく中でないと。

 今回のこのプログラム法案、確かに、新規対象になられる方にとっては、場合によっては命の救済法案にもなり得る、しかし、ひょっとしたら、既存の対象の方々にとっては、これは本当に命の切り捨て法案にもなりかねない。こういう思いできょうも傍聴に来られているわけですから、そのスケジュール感を本当にしっかりと明示していただくことなくしてこの法案が採決をされるということには、私は、国民の皆さん、あるいは難病の皆さん、納得をいただけない。

 なぜならば、今回のこの法案、この間も議論が行われてきています。社会保障制度改革プログラム法といったら、何か、いいことがどんどんプログラミングされて進んでいくんだろうと、普通、国民の皆さんは思うわけですよ。ところが、中身は社会保障削減法案で、充実は後からやりますよ、だから先に負担増のところはプログラムさせていただきますよ、こういうようなことを国民の皆さんが本当におわかりかというと、私が地元で聞く限りでは、何か、負担増だけ決まる法案なのと、全然そういうことを皆さん御認識されていないわけです。

 そして、もちろん充実分もあるわけですが、我々の政権のときに想定をしていた部分よりも、先ほどの議論のとおり、随分充実分が削減をされそうだ、あるいは、負担増については前倒し、かつ、しかも、我々政権の中では、まさにこの難病の話もそうですが、それぞれこんな話を具体化していなかったところまでどんどん出てきている。まさに負担増先行法案。

 こういう今の状況で、そしてまた、その他の、身を切らずして増税なしとかいう議員定数の話や、あるいは天下りの問題とか、もっと言えば、物価も上がる、その上、医療、介護の自己負担、難病の負担も上がるかもしれない。そんな中で、このプログラム法、充実は先送りですよ、そして、その道筋についても、スケジュールについても、十分にこの場でお示しをすることができない。

 こんな中で採決をするようなことは、まさかあってはならないと思うんですが、大臣、まさか、この法案、来週もう強行採決してしまう、そんなお考えはお持ちじゃありませんよね。

田村国務大臣 充実分を削減するとおっしゃられたのは、撤回ください。意味がちょっとよくわかりません。二・八兆円はしっかり確保しております。

 我々は二・八兆円満額の中で制度をつくっているのであって、それまでの過程の中で制度をつくっておるのではありませんから。我々が今回プログラム法で示しているのは、あくまでも満額二・八兆円になった場合にどのようなでき上がりがあるかという議論の中でのプログラムであるわけであります。これはまさにあなた方が二・七兆円と言っておったものと同じでありますから、充実に使うお金は同じであるという御理解をいただければありがたいというふうに思います。

 その上で、採決をするつもりじゃないかと。私にはそんな権限がございませんので、御回答を差し控えさせていただきます。

柚木委員 都合がいいときには官邸主導、政府主導で、そうでない議論はこちらにお任せをするというような、そういう切り分け方で御答弁をなされるのは、これは私はどうかと思うんですよ。

 確かに、この委員会の中で、理事会の中でいろいろなことが議論されますよ。でも、それを、実施主体として施行される政府の立場で、この生煮えのままでこのプログラム法が実際に走り出すというようなことは、私はやはり無責任だと言わざるを得ないと思っております。

 ですから、先ほどのスケジューリングについてでも、十一月中にはというような、まず方向性を示したいということがありました。

 そして、総合合算制度、これだって、充実分をさっき減らしていないと大臣は言われますが、この四千億円の財源について詰めたやりとりをすると、制度設計によって、全然この充実に充てる財源が変わってくるんです。

 実際、事務方とやりとりしているんですよ。市町村の税の免除対象の方、では上限一割、あるいは三百万以下の方、では上限二割。

 さらには、私が本来もっと具体的なやりとりをさせていただきたかったのは、それこそ、高額療養費制度の拡充のあの議論の中で、年収二百から八百万の間が同じカテゴリーじゃなくて、もっと細分化して、例えば二百から三百万の間の方々の負担上限を下げようじゃないかとか、そういうような本当に具体的な制度設計をこの総合合算制度の中でやっていく。その制度設計のあり方によって、全然充実分の財源が変わってくるわけですから、それが固まっていないということは、四千億円全部使うかどうかわからないということなんですよ、大臣。

 ですから、充実分はちゃんと確保すると言われますが、先ほどのこの大西委員の、私はこれはわかりやすかったと思いますよ。

 確かに、社会保障に全部使うと、でも、消費増税分と、その他の税収の分、入ってしまったら同じ財布なわけですから。そして、その同じ財布の中から、まさに公共事業、国土強靱化の方にどんどん出ていくお金が大きくなれば、これは本当に、今回の消費増税分については全部社会保障に使われても、これまで社会保障財源として確保されていた部分が、まさに経済財政諮問会議、財政審の中などでも議論されているじゃないですか、自然増を削るとかいろいろな議論が出てきていますよ、影響を受けるんじゃないかということを心配しているんですよ。

 ぜひ、今回、このプログラム法、特にこの難病の問題、既存の難病の指定を受けられている方が新たな自己負担、本当に私はこれは切実だと思いますよ。年収が四百万円前後ぐらいの方が、現行の月一万一千五百円から月四万四千円へほぼ四倍増、年間では五十三万円の負担となる。これは、難病の方はずっとそういった治療を続けられながら暮らしていかれるわけですから、例えば、三十年という報道がありますけれども、三十年もしその後続くとしたら、千五百万円超の負担が生ずる。

 ですから、先ほど、高齢者の医療を参考にという話もありましたが、やはり、一口に病気、病と言っても、それぞれの状況にきめ細やかな対策、対応を打つ、そういうようなことでなければ、私は、とてもじゃないけれども温かい政治とは言えない。

 そういう中で、せめて大臣、この難病の新しい制度がスタートする、少なくとも、法律が決まって施行されるという流れになるのであれば、その施行の前にちゃんと、こういう負担上限制度も含めた全体の絵姿をパッケージで出していただくということでなければ、なるべく早くでは、私は納得できません。ちゃんとスケジューリングをもう少し明確にしてください。

田村国務大臣 訂正だけさせていただきます。

 十月二十九日に出させていただいた資料ですけれども、難病対策委員会に対してでありますが、今、柚木議員がおっしゃられた三百七十万から五百七十万は二万四千六百円でございまして、四万四千四百円というのは五百七十万円以上の方々でございますので、その点は訂正をさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、出せとおっしゃられますけれども、それはなるべく我々も出せるものなら出したいですが、今現状でいろいろな絞り込みをやって検討を始めているところでございますから。

 今出したって、無責任なものを出せば、それまでにおさまればいいですけれども、おさまらないということもあるでしょうし、逆に、出したものからもっと早くなっちゃった場合には、それはまたそれでいろいろな問題を生ずることもございますから、ある程度、それは我々としても、これぐらいにはできるなという目安がないことには、いいかげんなものを今出したら、それはそれでまた皆さん、そのとおりいかなかったら怒られるわけでしょう。

 ですから、そこは常識的な話の中で御理解をいただきたいというふうに思います。

 それから、四千億は、これは皆様方が試算をされた数字でございます。この四千億をもし安くできるのならば、その分だけ社会保障にお金が回せるわけですよ、これは充実分に。

 だから、それは我々もありがたい話でございますから、四千億からさらにこの部分が安く上がるのならそれにこしたことはないわけでございまして、そういう努力はしていかなきゃならぬと思います。その分を充実の方に回していけるということでありますから。

 しかし、今それも試算をして、あなた方の試算がそのまま正しければ使えますけれども、どういう試算をされたか、我々はそのとき与党ではございませんでしたからわかりませんが、それがまだちゃんとしっかりしたものじゃないから、我々が今試算をしているわけでありまして、その点も御理解をいただければありがたいというふうに、私、決して不誠実なことを言っている、そういうつもりはございませんので、その点、前向きに議論させていただきたいと思います。

柚木委員 これは、大臣、そういう答弁をなさるのなら、私も先ほど、あえて受診時定額負担の例をお示ししたわけですが、今回、難病患者さんが新たな難病患者さんを支えるというような、そういう今のやり方ではなくて、そもそも、私もあえて聞きませんでしたけれども、今回、この充実分の中には、難病患者さんへの対象拡大、三百億、含まれていますよ。でも、新たな負担が生じる方々、さっきの例も含めて、そうすれば、本来、公費、これは国と地方の負担分、浮くわけですよ。何で効率化の方に書いていないんですか。何でそういうことを隠すんですか。まさにそれは、難病患者さんが難病患者さんを支えるということが明確になるじゃないですか。

 だったら、まさに、そういう既存の難病患者さんが新たに対象疾患になる難病患者さんを支えるという仕組みをやめて、そして、先ほど、高額療養費制度の拡充のための議論、我々は、健康な方が病気にかからない、もちろん自助努力もします、しかし、健康でいられることはありがたい、だから、その保険料の中から基金をつくって高療制度の財源にしよう、病人が病人を支える、そういう本当に分断するようなことはやめようという流れにしたんですよ。

 ぜひ、大臣、ではせめて、我々の政権のときに、それこそ、こういう命を守る予算を充実させる、あるいは子供たち、子育てや教育を充実させる、戦後初めて、国土強靱化、国土交通省の予算を文科省の予算が上回ったんですよ。そして、診療報酬を初め、プラス改定を十年ぶりにやって、そういう、本当にそれこそまさに政治主導でお金の割り振りをしたんですよ。

 難病患者さんが難病患者さんを支えるということではなくて、政府全体の予算の中でそういった財源のやりくりもする、そういう答弁を、大臣、いただけないんですか。

田村国務大臣 三百億というお話がございましたけれども、これは二カ月分でございますので、満年度ベースではこれよりもかなりかかるということは御理解をいただく中において、ですから、それも含めて、これは全部二・八兆円の枠組みの中でやるわけであります。

 私は別に民主党を非難しているつもりじゃないんです。ただ、民主党の資料の中にも、中身として、では二・七兆円の中に難病に幾ら使うんだというのは示されていないんです。ですから、それも含めて本来はちゃんとした議論をさせていただければいいんですけれども、なかなかそういう議論ができてこなかったというところに、やはり我々も反省はあると思いますよ。

 しかし、今、そんな中において、我々は、何とかこの難病も対象を広げてほしい、そういう切なる思いも受けて、それも含めて今回の消費税導入のときにそれを実現していこうということで努力をしておるわけでございますし、いろいろと言われた、それは、本当に人工呼吸器を外さなきゃいけないというような状況はつくってはいけないと我々も思っています。

 ですから、そういうことも含めて最終的な御議論を今いただいているわけでございますので、我々といたしましては、その議論をしっかりと見守らせていただきたいというふうに思います。

柚木委員 ちょっとこれについては、まだ、このプログラム法案の質疑の中でもっと詰めた議論をさせていただかなければ、とてもじゃないですけれども採決ということにならないと思います。

 ちょっと時間がありませんので、前回伺いました診療報酬について少し伺いたいと思います。

 前回、大臣は、必要額をしっかりと確保していく、そういう御答弁をいただいたわけです。

 直近で示されました医療経済実態調査、ある程度は事務方ももう御報告なされていると思いますが、これは医療機関の経営状況や医療職員の給与動向についての結果が出てきております。

 大臣に伺いたいのは、二点あるんですね。

 まず、医療機関の経営状況。全体としては、急性期大病院は改善傾向にある一方で、中小病院は厳しい。また、診療所では有床診などがやや悪化している、こういった傾向が示されております。

 そこで、まず一点目は、来年の診療報酬改定で、まさにこの後方機能をしっかりと担う中小病院、あるいは有床診を含む診療所の経営状況が改善されるような改定をお願いしたいというのが、一点目。

 時間がありませんから、もう一点、まとめて伺いますが、医療職の給与。これも、薬剤師さんや医療技術員、こういった方々はマイナス、看護師さんも、わずかに上がっていますが、〇・一ポイントと伸び率は一番低いんですね。今後の消費増税を含めて物価上昇を考えた場合に、水曜日にも質問いたしましたけれども、ぜひ、医療職の給与アップ、これも進めなければならないと思うんですね。その中で、産科、小児科とか、救急とか、麻酔科とか、いろいろ不足診療科があります。そういった分野の医療職を中心に、コメディカルも含めて全体の医療職の給与アップを進めるべきだと思います。

 大臣、それぞれ、経営の方、中小病院、診療所の経営状況の改善されるようなプラス改定、そして医療職の給与アップされるようなプラス改定、ぜひ御答弁をお願いします。

赤石大臣政務官 大臣の前に、少し具体的な話をしたいと思います。

 十一月六日に、経済実態調査の結果を公表しました。私も、きのう見ました。実際に、中小病院の経営が芳しくないということは、私も見ました。何とか改善していきたいと思っておりまして、特に、急性期病床の機能の明確化とあわせて、中小病院など急性期後の受け皿となるような病床の整備、そして在宅医療の充実、それから診療所、中小病院のかかりつけ医の機能を、今後さらに中医協等において検討していきたいと思っております。

 もう一点、医療職の人材確保に向けた実効的な取り組みの指摘の件でありますけれども、医療人材の確保は非常に重要な課題でありまして、医療従事者の離職防止、定着促進に向けた勤務環境の改善や、人材不足の診療科によっては適切な財政支援など、総合的にさまざまな施策を組み合わせて取り組む必要があると考えております。

 以上です。

柚木委員 余りそういう、もう少し、大臣、しっかりと御意思をお示しいただきたいので。

 これは、あえて医療職ということを今申し上げているんですが、介護職員も同様ですね。これは本当に、この間の質疑もありましたが、介護離職、それは受け皿が足りない、そういうことも含めてですから、介護士さんたちの処遇改善も含めて、それは改定は再来年になるわけですが、この医療職の処遇改善、そして、後方機能を担う中小あるいは診療所、有床診を含めて、そういった後方機能の経営状況改善に向けて、大臣、ちょっと決意を、ぜひ御答弁いただけませんか。

田村国務大臣 医療の方は、医療経済実態調査が出てまいりました。

 詳細な分析はまだできておりませんので、これは進めていかなければならないと思いますが、全体を見ますと、それほど大きな変化はなかったのかなというような、そんな感想は持っております。いいところも、若干上がったところもあれば、若干下がったところもあるというような状況であります。

 一方で、やはり消費税が上がるということ、これはしっかり我々も着目して対応しなきゃならないと思います。

 それから、今、人件費の話も出ました。人件費も含めて所得の上がる政策というものを、我々、自公政権で進めておりますから、そういう意味からいたしますと、そのようなことも勘案しなきゃいけないであろうと思います。

 それから、今ほど来、赤石政務官からも話がありましたけれども、これから医療提供体制の見直しを図る中において、地域医療というものを、受け皿をしっかりつくっていかなきゃならない。これは医療も介護もかかわってくるわけでありますけれども、要すれば、地域包括ケアシステムという中において、医療、介護の整備も進めていかなきゃなりません。

 もろもろ、国民会議でいただいた報告書の中身というものを具現化していくという意味も含めて、しっかりと適切な対応をさせていただきたいと思いますし、介護の方も、報酬改定はまだ先でございますけれども、今言われたようなことも念頭に置きながら、次の報酬改定に向かって対応をさせていただきたい。ただ、消費税の部分に関しては、今回、介護の方もいろいろと議論はしなきゃいけないと思っております。

柚木委員 時間がありませんので、ぜひ、しっかりとそれを年末に向かって形にしていただきたいと思います。

 調剤関係でまとめてお聞きしますので、大臣、ぜひメモをとっていただきたいと思います。

 まず、このところ、薬剤師さん、薬局に対して、これはネット販売のことはきょうは言いませんが、いろいろな議論があります。場合によっては、調剤報酬の技術料部分への切り込みを促す声というのは私のところにも入ってきているんですね。まさにプラス改定の部分とも関連する話です。

 そして、これは資料の四ページ目にもつけていますけれども、専門紙の記事ですけれども、調剤薬局さんが長者番付に出てくるような、非常に利益を得られているというようなことで、調剤報酬への切り込み、「最後は政治家頼みの空中戦へ」などと書かれているんです。

 これは、調剤に係る医療費総額を考えますと、国民の皆さんに負担を強いるだけではなくて、やはり社会保障費の適正化という観点で、医療給付全体を見直すことも、これは必要だと思うんですね。ただ、私は、ずっと一貫して申し上げていますように、医科本体部分、国民の命に直結する診療報酬、これはネットプラスという主張は変わらないわけです。

 こういう記事の中に、チェーン店だけを対象にした基本料減算というような考え方もあるようなことも書いてあるんですね。

 これは、チェーンの定義というのも何なのかというのもありますし、チェーン店が悪くて、では個別のところはいいのかとか、そういうような話ではなくて、しっかりとやっているところはやっているし、そうでないところも正直あるのかもしれません。例えば、設備投資や薬剤師さんの質の向上などに利益をきちんと還元して、そして、国民の皆さんがその恩恵にあずかる、こういったしっかりとした取り組みをされているようなところもあるんだと思いますから、ぜひ、その定義についてもお知恵をしっかりと絞っていただきたいと思います。

 こういう今の調剤報酬批判に対して、ぜひ、調剤報酬全体の抜本的な見直しと薬局制度の見直し、この点について、ひとつぜひ御見解を述べていただきたい。

 それから次に、調剤報酬。

 次の資料五ページ目に書いているわけですが、あるいは六ページにも資料をつけていますが、現在、八億枚近い処方箋が発行されていて、これは、我々の政権時代に、ちょうど私も財務政務官をさせていただいておりましたが、調剤基本料の一律引き下げ、こんな話、六ページ目の、四十点を二十四点に引き下げるというような、いろいろな話が出てきておりました。記憶をしております。

 しかし、よくこれはテレビなんかでもやっていますけれども、お薬の説明書は要りませんというような話になると、薬剤服用歴管理指導料で四十一点が加算されるわけですが、こういったような、例えば国民の皆さんに十分に納得されていないというか周知されていないような加算を半減して、そして基本料については同様に半分まで下げたとすると、処方箋一枚当たり四百円で計算すると、八億枚ですから、三千億円以上のコスト削減になるんですね。

 こういうような考え方が出てくること自体は、総額削減という中でそれはいろいろあるのかもしれませんが、そういうことをやると、真面目に地方で、まさに地域医療、在宅、そういったことをやっている薬局さんが生き残っていくことも難しくなってくるわけでございます。

 ですから、私提案したいのは、例えば、処方箋四十枚につき一名の薬剤師を配置させるというような配置基準の見直しとか、あるいは、大胆なスイッチ化による経営構造の刷新による調剤報酬に依存した経営体質からの脱却とか、あるいは、先般提案しました、化粧品、医薬部外品の副作用収集窓口として薬局機能を利活用するとか、そういうような位置づけをしっかりとすることで、ぜひ、新たな、薬局や薬剤師さんをどう専門職として利活用されるのかという、そのプランを大臣にお示しいただきたいと思います。

 質疑時間が来ましたから、最後に一点だけ。済みません、まとめて御答弁ください。長期処方の問題です。

 これは、医療課長がこの問題について言及をされておられますね。医師の裁量権の問題、これを中医協で議論するということを今後慣例としていくのかどうなのか。これは、本当に、今後、政府としてそういう意思をお持ちなのか。

 以上、ちょっとまとめてで恐縮ですが、御答弁をお願いします。

田村国務大臣 多分、漏れると思いますので、また次回御質問いただければありがたいと思いますが、チェーン薬局の規模というものは、決して、規模というものを明確に我々で、何がチェーン薬局だということを決めたわけではございません。

 ただ、見ておりますと、規模別をそれでも出しているんですけれども、やはり大きい規模のところは利益率がいいということ、店舗数が多いところは利益率がいいという結果が出ておりますので、これに対して何らかの対応という話であるんだろうというふうに思います、してきたんだという話だと思います、先ほど言われた話は。

 それから、薬局機能でありますけれども、セルフメディケーションも大事であります。在宅医療ということになれば、その中核機関となる薬局の役割ということもあると思います。これからは、そちらの方でも薬局に対しては期待をさせていただいておるわけでございまして、これから、国民の健康を守るために、さらなる御活躍をお願いいたしたいというふうに思っております。

 なお、薬局、薬剤師を活用した健康情報の拠点の推進や在宅医療に関するモデル事業というものを、二十六年度予算で二・九億円を盛り込んでおります。

 それから、長期処方の問題ですね。

 長期処方の問題に関しましては、確かに、中医協の中におきまして、診療所に比べ大病院の方が長期処方の割合が高く、外来の機能分化の推進のために大病院の長期処方の制限が必要だというような発言もあるというふうにお聞きをいたしておりますが、いずれにいたしましても、多剤投与の問題等も含めまして、これからまた御議論をいただきたいというふうに思っております。

 漏れた点は、また今度、次回、御答弁させていただきます。

柚木委員 ぜひ、難病の話、きょう来られた方々が、人工呼吸器をつけたのが間違いだった、そんなことにならないような議論をしっかりと今後させていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 一昨日に続いて質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうも国民会議派の中で相当もめているようでありますが、私、本会議で田村大臣に種々質問させていただいて、御答弁をいただきましたが、実は、また民主党、いらっしゃいますけれども、用意していた私の質問の中で、議場で消えたワンパラグラフがありました。党内でちゃんと手続を踏んでいるんですけれども。我が党は三日前に大体出すんです、これでしゃべるからねということで。議場で国対から、ちょっとこれはやめてくれと。

 本会議ではやめてくれと言われたので、委員会ならいいんだなということで、ちょっとここで読みます。長いんですけれども、一行目だけ。要すれば、今の民主党に野党を代表する資格なし、拍手はいいんですけれども、こう入っていたんです。

 議席の数とかいろいろな議論があって、我が党は、厚生労働分野だけじゃなくてあらゆる分野で、いわゆる筆頭間協議のようなものは建前としては認めないという立場をとっていて、理事間協議でやってくれ、こう僣越なことを申し上げているのは、やはり、維新の会は、昨年の総選挙でしかるべき票をいただいて、議席もいただいていますので、それにふさわしい仕事をしっかりと、その負託に応えていきたいということであります。

 一方で、きょうの質疑を見ていただいても、民主党の質疑、私は全部あかんと言っているわけじゃないんです、特に、ミクロの、現場を踏まえたさまざまな御提言、これについては傾聴に値するものもあると思いますが、やはりマクロ経済等に関する御認識が非常に弱いと思うんですね。

 きょうも、田村大臣がもっと前向きにやりましょうよ、こうおっしゃっている。この後ろ向き前向き、後ろ向きというのは、要すれば、そういうマクロの議論をちょっと忘れてというか、それを無視していろいろ議論を吹っかけるというのは、私は非常に、国会議員としていかがなものかな、こう思います。

 特に、この厚生労働委員会では、我々は一体何と戦っているかというと、また演説会で申しわけないんですけれども、質問しますけれども、我々が一体何と戦っているかというと、少子高齢化と戦っているわけですね。

 少子高齢化と戦う上で、戦うというか、それにどう対応していくかということの上で、我々新しい政党は、やはり、かつての政治体制やかつての行政の体制では、なかなか新しい経済、社会の局面に対応し切れていないのではないかということで、新しい政治グループをつくって、今、主張を展開しているわけです。

 大事なことは、その少子高齢化に対応していくという意味では、まず、やはり生産性を上げていかないといけない。それから、利子率も、これは高いとまずいですから、利子率を下げていく。また、出生率を上げていく。この三つをしっかりやっていけば、少子高齢化のインパクトというものをある程度吸収していくことができるということで、今、十数年続いたデフレからの脱却を目指して、また財政再建を目指して、自公政権がアベノミクスを推進されておられる。

 これはもう、一〇〇%というか、一〇〇%じゃまずいかもしれません、九九%、本当にこれは、アベノミクスで取り組まれていることは、日本維新の会は賛成をしているわけであります。したがって、国民会議派と申し上げましたが、近い将来、新国民会議派として、自民党、公明党さんに維新も加えていただいて、ぜひ有意義な議論を。ただ、自民党さんも、私は課題があると。ここで政党の議論をしちゃいけませんけれども。

 特に、社会保障の議論で、私は、この社会保障制度プログラム法案について、ここで議論すべきことは、大きく言うと、一番議論せないかぬことはスピード感だと思うんですね。

 みんな、改革はせなあかん、少子高齢化に対応せなあかんと思っている。でも、自民党さんの中にも、公明党さんの中にも、我が党の中にも、みんなの党さんの中にも、これはちょっと早過ぎるぞという、特に自民党さんの中には、これはちょっと待て、もうちょっとゆっくりやってくれという方もいらっしゃると思います。一方で、維新を初め、もう少し急いだ方がいい、改革を急いだ方がいいと。ごめんなさい、勝手な論評ですから、無視していただいても結構ですけれども。

 私は、このスピード感について、やはり意見は割れるだろうなと。だから、これから、与党の中でも、また野党の中でも、また与党、野党を超えて、このスピード感についてぜひ有意義な議論をさせていただきたいと思っています。

 そういう観点から、先日はミクロの地域のことをやりましたけれども、きょうは年金ですね。

 今回のプログラム法案、最も中身がないのは年金であります。ただ、年金はもう大分やってきたわけですね。だから、与党のお考えとしては、年金はそこそこ何とかやってきたなというお気持ちはわかるし、私も、それは高くというか、僣越ながら、すばらしいなと思っているわけです。

 ただ、今の自公の社会保障制度改革で、やはり一番気になるのは財政主導なんですね。社会保障のあり方がどうあるべきかという議論が、若干、社会保障財政の議論に引っ張られている。だからこそ、年金についても、よく、何年安心とかいろいろな議論がある。今の年金制度もそうです。

 今の年金制度は、私は、年金財政の観点から見れば、持続可能性が大分担保されてきた、こう評価をしているわけですけれども、逆に、民主党さんが時々ここで数字を挙げてわあっとやられるのもそうなんですけれども、老後のセーフティーネットとしての年金制度としての、そのセーフティーネットとしての役割は、当然、年金財政が持続可能であるということは、セーフティーネットとしての機能は、スライドによって低下をしていくことは私は不可避だと考えていますが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 今の委員の御質問は、要は、この制度で年金としての財政の持続可能性というものは担保されているけれども、受ける年金の金額という意味でいいですか。

 それは、今、世界じゅう、各国での課題でありまして、確かに、高齢化社会に入りました。これは、先般委員からいただいた御質問の、世代間の不公平の裏返しであります。保険料を払う方々の負担を一定程度にとめるということは、一方で、もらう金額が一定程度まで、現状よりは、水準としてですよ、金額というよりか水準として下がるということは制度設計の中で入っておるわけでありまして、それも含めてお約束をさせていただいておる。

 これは、委員のおっしゃるとおり、そういう側面がある中において、年金が持続可能性があるということであります。

足立委員 まさに、大臣おっしゃったように、世界の先進国が共通に悩んでいる問題だと思います。

 とりわけ、私たちが直面しているこの今の社会保障制度を見ると、マクロ経済スライドは適用をされていく。名目はともかくとして、実質的には目減りをしていく面がある。

 それから一方で、よくここでも議論されている、国民年金の実態を見ると、制度が比較的安定化というか、制度をまとめていったときにはあった、いわゆる自営業の方々のための年金という趣旨が、そうではない方もふえてきて、典型的な自営業者の減少みたいなことも、実際、この基礎年金、国民年金の部分で起こっていますねと。

 一方で、先般の、今国会でもあれしますけれども、生活保護のレベルは、恐らく、これは年金制度、保険制度じゃありませんから、その時々の経済の実態を踏まえたレベルが維持されるとすれば、普通に考えれば、ただでさえ、生活保護と老齢基礎年金の高低というかバランスがどうかという議論がある中で、時がたてばたつほど、年金保険料を払うインセンティブが減っていってしまう。

 こういう、制度としては、先ほど何度も申し上げたように、年金財政としては持続可能性が担保されたかもしれぬけれども、いわゆる年金保険料を徴収していかないかぬとか、いろいろなこと、あるいは生活保護とのバランスとかいうことを考えると、決して、これは当面おいておいていいというほど簡単な問題ではなくて、年金についてもしっかりとした制度改革の議論を、速やかに、しかるべくやっていかないかぬと私は思っていますが、いかがですか。

田村国務大臣 幾つかの論点から申し上げなきゃならないと思いますが、そういう議論もございまして、まずは、先般の年金法改正、これは三党でやったとき、それこそ国民会議派でございますけれども、この中で、年金受給者、低年金者ですね、しかも低所得者、こういう方々に対して福祉的給付というものを取り入れたわけでありまして、これで、年金受給者の低所得者の底上げをしようということをしたわけであります。これは消費税が一〇%になったときに発動されるわけでありますけれども。

 あわせて、今言われた側面からいいますと、やはり自営業者はそれなりに、六十五歳を過ぎても、商売の収入、それは稼働時間が減りますから収入は減ったとしても、そちらがありますから、基礎年金と稼働収入との間で生活される。

 ところが、今委員が言われたのは、そうじゃない人たちがふえてきた。つまり、非正規等々で厚生年金に入れなかった方々が、そのまま国民年金でおられるのではないかと。

 そういう方々に対しては、実はこの国民会議の報告書の中でも書かれているわけでありますけれども、民主党のように年金の一元化をしようが、自民党、公明党の年金の制度であろうが、そういう方々を、被用者年金、つまり厚生年金に吸収していく必要はあるよねということでありますから、まずは、昨年、ちっちゃなスタートでございましたけれども、これをさらに進めていって、やはり、働いておられる方々は、かなりの部分、厚生年金の方に移していかなきゃならないね、こういう論点を我々は抱えているわけであります。

 あわせて申し上げれば、生活保護と基礎年金との違いはもうよくおわかりでありましょうから、細かい制度のことまで言いませんが、生活保護の上がり方というのは、要は、民間最終消費支出を見習って上げています。これを参考にしながら、いろいろな指標を勘案して上げています。ですから、何かに連動しているというわけではありません。

 一方で、年金は物価に対して連動します。しかし、マクロ経済スライドで実質は目減りします。そういうような丈比べがどういう状況かというのは、これは一概には物が言えないものでありますから、委員がおっしゃった考え方の趣旨は私もわかるわけでありますけれども、実態がどうなるかというのは、そのときそのときの状況によって変わってくるのかな、このように思っております。

足立委員 私も、一方で、今大臣がおっしゃったプランというか、これは理解をいたしますが、なかなか容易ではない作業が続くわけでありまして、それがどこまで実現するか。実際に、セーフティーネットとしての年金の持続可能性を本当にどうやって維持できるか。この点については、いろいろなテーマが動きますから厚労省も忙しいと思うんですけれども、年金改革は、特に我々政治にとってやはり大変大きなテーマになります。

 例えば、ほとんどいませんが民主党さんの一部や、みんなの党さんの一部、あるいは維新の一部で、今、DRYクラブというのがありまして、新世研という社会保障の研究会をやっています。その中で、要は、彼らというか私ら、私も一応メンバーなんですけれども、やはり、その場で最大の議論になるのが年金なんですね。私は医療の方が難しいぞと思っているんですが、確かに、政治のいわゆる対立軸として、年金についての考え方が上がることがどうも多いということであります。

 そういう観点で、ぜひ力を入れていただきたいと思っているわけですが、大きな議論として、世代間格差の問題に行く前に、諸外国、先ほど大臣からも、この傾向は世界の先進国共通のテーマだということですが、では、世界に目をやると、結構、公的年金の役割というのは、日本は大変大きいですけれども、細っていって、その細っていった後を私的年金が埋めているという大きな傾向があります。

 この点について、事実をどう御認識されているかということと、そういう流れというものは日本においてはどうあるべきなのか。大臣、お考えがあれば。

高鳥大臣政務官 足立委員にお答えを申し上げます。

 高齢化が急速に進行する中で、公的年金と私的年金を組み合わせて老後の所得を確保していくということは、先進国に共通をする方向性でございます。

 我が国の代表的な企業年金でございます確定給付企業年金と確定拠出年金は、制度創設から約十年を経て着実に定着をしており、さらなる制度拡充を図ってまいりたいと考えております。

 先月末に新たに設置をいたしました、これは上乗せの仕組みを議論するものでございますが、社会保障審議会企業年金部会においても、企業年金制度の一層の拡充に向けた議論を予定いたしております。

足立委員 本当に、このテーマは、確定給付企業年金あるいは確定拠出年金、いずれについても、私も、経産省におったときに、四〇一kを議論したときに当該担当部署におりまして、その経緯はよく承知をしているところでありますが、ぜひ、企業年金の充実ということがやはりあわせて大事になってくると思いますので、力をこれも入れていただきたいと存じます。

 それから、今ずっと年金の総論をやっているわけですけれども、総論の最後に、財政検証の話があります。これも、さっきの野党連携の場なんかでよく出る話として、大体そもそも前提が間違っているなんという議論が出ます。

 財政検証のいわゆる経済前提については、私もばあっと拝見すると、国民会議の場でも一部の委員の方から、モラルの観点、モラルというのはすなわち、見通しを間違うと、見通しが甘過ぎるとその影響は将来世代がこうむるわけだから、見通しを誤るということは大変罪なことであるということだと思いますが、モラルの観点から、政府見通しとは一線を画して、社会保障の財政検証の経済前提についてはより保守的に置くべきだという意見が国民会議でもありました。

 政府はどうお考えですか。

高鳥大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、国民会議でもそのような議論がなされているということを承知いたしております。

 これは一般論でございますけれども、財政検証に用いる経済前提につきましては、経済、金融の専門家の議論を踏まえ、長期的な観点から設定をされるべきものであると考えております。また、透明性を確保する観点から、公開の審議会などで十分に御議論いただく必要があると考えております。

 現在、社会保障審議会年金部会のもとに、経済、金融の専門家から成る専門委員会を設置いたしまして、次の財政検証に向けた経済前提のあり方について、さまざまな角度から御議論をいただいております。

 経済前提につきましては、従来からも、さまざまなケースを想定いたしまして、一定の幅を持って設定いたしてまいりましたが、今回も、公開の場における専門家の十分な議論を踏まえて、一定の幅を持って設定することになるものと考えております。

足立委員 高鳥政務官、御答弁はありがたいんですが、私が申し上げているのは、これまでに比べてより保守的に置かれるべきという意見があるがどうですかということでいうと、それは意見なしということですか。

田村国務大臣 前提をどう置くかというので、まず、我々が失敗してきたのは、デフレです。これは前提に置いていません。

 というのは、今の年金制度は、デフレになることを基本的に前提に置いていないんですね。だから、デフレ下でマクロ経済スライドが発動しないということになるわけでありまして、それは国民会議でもそういう御指摘がありました。

 しかし、今、安倍内閣において、そもそももうデフレでは日本の経済は成り立たない、社会保障は成り立たない、だからまずそれを解消するんだということでございますから、多分、次の見通しもデフレは前提に置かないであろうなと。これは私の個人的な感想でありますけれども。

 その上で、幾つかの数字を見ておりますと、多分一番よく言われるのが、積立金の運用利回り四・一%、これは高過ぎるじゃないかと。もっとも、昨年度は一〇%ぐらい上がりましたから、こういうこともたまにはあるんですけれども。

 ただ、この四・一%というものが余りにも高過ぎるという見方は、あくまでもこれは長期間の金利がどれぐらいかということを見ているのと、それから、厚生年金というのは、所得が減れば、賃金が減れば、当然将来の給付は減りますよね。これをどう考えるかというと、四・一%のこの利回りから名目賃金上昇率を引いたもの、これは二・五%見ているんですよ。つまり、その差額の一・六%が本来必要な運用利回りなんですね。

 そう考えると、アベノミクスの前の状況でも大体一・六%は確保しておりますので、大体いいところをここは見てきたのかなと思います。

 一方で、合計特殊出生率は、前回見ておる数字よりもかなりよくなっております。ただ、一方で、平均寿命が思ったより延びておりますので、そういうところを見てまいりますと、まあ比較的順当なところなのかなと。

 ほかにもいろいろな数値がありますから、乖離もありますけれども、主なところを見ると、デフレであったというところでいろいろな支障は確かに来しています、マクロ経済スライドがかかっていませんから。そこには大きな問題はあるんですけれども、ほかのところは、許容されているとまで言っていいかどうかわかりませんけれども、まあまあの数字なのかなというふうな認識はあります。

足立委員 ありがとうございます。

 大臣がおっしゃった、デフレが問題だというのはまさに同感でありまして、全ての問題を引き起こしているのはデフレであります。

 私は、一般論として、より保守的であるべきという、まさにモラルの観点からいえば、これは特に今の日本の財政、世代間格差、いろいろなものを考えると、専門家の中立的な判断に加えて、やはり厚生労働省が、社会保障制度のベースになる財政検証のあり方として、より保守的な判断をされるということは、私も、自分が当事者ならできるかわかりませんが、大変難しい判断だと思いますが、しかるべきというか、御配慮をお願いしたいと思います。

 大体申し上げたことが年金制度の総論みたいな話ですが、次に、世代間格差、まさに本会議でも申し上げた、これが、やはりもっともっとここはやってほしいというところの最たるものの一つであります。

 例えば、私、スローガン倒れとか、言葉遣いは悪いですが、申し上げたのは、全世代型とか年齢から能力へという割に、でも余り変わっていないし、このプログラム法案を実現したとしても、世代間格差の問題についてはやはり十分に対応し切れていないんじゃないかなという、これからまた御検討されるということでしょうけれども、問題があると思います。

 まず現状認識なんですけれども、これはいろいろなところが出していますが、内閣府の経済社会総合研究所を初めとするさまざまな研究所の関係の方々が、この世代会計についていろいろ論文を書かれる中で、生涯純負担率の差が、今のゼロ歳の人、今の高齢の方、将来生まれてくる方々とかいうのを比べると、大変な、巨額に上る。それをざっくりと申し上げると、税も含めて、一世帯当たり一億円だというような試算もあるわけであります。

 これは事務的に話すと、いや、これはこの学者が試算したものでありましてということでしかないんですが、政府として、しっかりと、この世代間の格差、抽象的にはそういうものがあるわけですから、その世代間の格差というものをちゃんと計測し、もちろん前提がいっぱいつくと思いますが、それを継続的に、それは拡大しているのか、少しは改善したのか、その辺を見ていく必要があると考えますが、いかがですか。

田村国務大臣 この世代間の格差も、いろいろな方がいろいろなことをおっしゃっておられます。

 極端な方は、日本は国債をほとんど、九十数%国内で消化しているので、これは次の世代に相続税とそれから残った相続で移るから、要は、世代間格差ではなくて、世代内の、次の世代の持つ者と持たない者の格差になるんじゃないか、こんなこともおっしゃる方までおられまして、なかなか分析が難しいわけでありますが、これは縮まったように見せるような前提で置けば、多分、縮まったようにこれから見せられるような数字が出てくる可能性があります。なかなか公平性が難しいと思います。

 ただ、一つ言えるのは、今委員が言われた一億円というような話は、多分、全ての今の国債を次の世代が背負っていくという話なんだと思いますが、今、世界じゅうで、今ある長期債務を全部返すということを前提に置いている国というのは余りないというふうに思いまして、いかに財政が発散しないか。

 それはどういうことかというと、まさに、プライマリーバランスを均衡化をまずさせるということ。そうなれば、ドーマー定理、委員もよく御存じだと思いますけれども、言うなれば、名目の利子率と名目の経済成長率、名目の経済成長率の方が高ければ財政は基本的には発散しないということでございますから、まず、そこまで早く持ってくるということ。その中で、さらに、債務を少しずつでも減らしていくということが必要なのではないのかなと思います。

 それ自体をすることによって、今言われたような世代間格差、債務を含めた世代間格差というものを縮めていけるというふうに思いますから、いろいろな指標でいろいろなことをやると思いますけれども、まずは財政再建に向かって、しっかりと我々歩み出すことが重要であろうというふうに思います。

足立委員 私も、今大臣おっしゃられた、いわゆる財政が発散するかどうかということこそ国家財政のテーマだと思っていますので、よくある家計との単純な比較、アナロジーとか、そういうのでミスリードする必要はない、こうは思っておりますが、世代間格差というものが対処すべき課題であることは事実なので、これは何らかの継続的な計測をお願いはしておきます。

 それから、先ほどの新世研なんかでも、我が党の桜内議員なんかを筆頭に、積立方式ということが取り上げられます。事実上、新世研の最大の目玉商品が、民主党政権のときにもあったはずの積立方式みたいになる傾向があるわけでありますが、これは、本会議で大臣から、積立方式への移行の問題については、積立方式への移行それ自体で世代間格差などの人口構造の変化による問題を自動的に解決するわけではないことは国際的な年金議論における共通認識だ、こういう御答弁をいただきました。

 私も、それはそうだというふうに理解をしていますが、ところが、桜内議員のように、同僚ですけれども、いや、やはりそれが大事なんだ、こういう議論が出ます。これは何でだと思いますか。

田村国務大臣 積立方式の方がわかりやすいですよね。自分が積み立てたものを運用して、将来もらえますから、ある程度見えるといいますか、そういう部分があるんだと思います。

 ただ、私、以前も申し上げたんですが、積立方式、いいところ、悪いところ、あると思うんです。移行時の問題がまずありますよね、二重払い。約五百五十兆円と今大体のところ試算されていますけれども、この問題をどう解決するんだというのは非常に大きな課題だと思います。

 それから、積立方式のいい点は、少子化に強いところですよね。今から年金制度が始まれば、積立方式でやれば、もらう人がいなければですよ、そうなれば、これは少子化には関係ない。人口が減ったときには、自分たちが減ったなりに自分の年金を積み立てて、もらうわけですから。

 ところが、一方で、積立方式の怖いところは、厚生年金基金、あれは積立方式で、破産がたくさん出ました。失敗するともらえなくなっちゃうという、この危険。それから、急激な物価上昇、これに果たして対応できるかという問題。こういう問題があります。事実、我が国は、積立方式でスタートしましたが、経済成長に耐えられなくて、途中から賦課方式に移行したわけです。世界じゅう、アメリカもそうですけれども、大体そういうところが多いです。

 一方で、賦課方式、これの悪いところはどういうところかというと、少子化になかなか耐えられないところですよね。完全賦課方式ならば、多分、今の日本なら年金は破綻をすると思います。いいところは、運用の失敗はないところですね、運用しないんですから。

 それで、今の日本の制度は何かというと、実は、中間の制度なんです、いいとこ取りしているんです。百数十兆の積立金を持っていますから、だから少子化にも耐えられる。この運用利回りと一定の取り崩しで、何とか一番の山を乗り越えられる、こういう制度。そして、もう一方で、ちょっとぐらいの失敗ならば何とか耐えられる。それは、賦課があれば、入ってきますから。

 だから、安定性という意味では、我々としては、これは本当にいい制度だと思っております。両方とも、いい部分を持っておる制度でございますから、この制度をぜひともさらにブラッシュアップしていきたい、このように思っております。

足立委員 大臣が今おっしゃったのは、ハイブリッドだ、こういうことなわけですが、私、それは同感です、ハイブリッドですよねと。

 しかし、今、もちろんスライドを入れて大分ましになったとはいえ、大変年金財政が苦しく、冒頭にあったように、必ずしも基礎年金のセーフティーネットが、果たしてこのままでいくのか、徴収の問題も含めて、さまざまな課題に直面している。

 こうなったのは、さっきのハイブリッドというのは、そのハイブリッド公的年金制度をマネージするマネジャーがしっかりしていれば、このハイブリッド制度というのは、その両方のいいところを顕在化することができるわけですが、マネジャーがあほだと、両方の悪いところが出てくるわけですね。

 制度の悪いところというのは、要すれば、甘える、制度に甘えて、例えば、本来保険料率を上げないといけないところで、上げなくても済むわけですよ。そういうことをその時代、時代の局面の中で、私は、その時々の政権が制度に甘えてきた結果が今の年金の結果だ、だからこそ、マクロスライドを含めて、さまざまな、大分大きな改革をしなくてはいけないことになっちゃった、こう思っています。

 したがって、年金については、やはり、これまで日本の政権を担ってこられた一番の中心であった自民党に私は一定の責任がある、マネジャーとしての責任がある、こう思っていますが、大臣、どうですか。

田村国務大臣 あの十六年改正のときに、最大の我々の失敗というか、我々の予想ミス、いや、もっと言うと、そうしちゃったわけですから、我々、政策的に問題があって政権交代したとも思っていますが、それは、先ほど申し上げましたとおり、デフレです。これが年金財政にも影響したことは確かであります。

 だからこそ、デフレで物価が下がったときに、我々は、それ以前もあったんですけれども、年金を下げない、そういうことをやってしまったのが、特例水準という形で今も残って、これを今解消するのに、やっと十月から始まりましたけれども、躍起になっておるというようなところでございます。

 やはり、何においても、予想どおりに進めようと思うと、経済を成長させなきゃならない。そして、それは年金だけじゃありません。日本の国のありとあらゆる政策を進めるためにも、これはもう経済を成長させなきゃならない、それがまさに今、安倍内閣の一番の使命というのはそこなんです。

 だから、それのために我々は、今回、怒られながらも、景気対策も消費税を上げるのならやらなきゃならぬ、いろいろな苦しい選択を迫られながら、とにかく経済をよくする、この点に全力を注ぎながら、一方で、社会保障の持続可能性、これもやっていこうということを考えておるわけであります。

足立委員 今おっしゃったところは、同感であります。

 一方で、まさにその成長、しかし、まさに経済は生き物で、これはわからぬわけですね。もちろん、厳密に言うと十七年ですか、十五年とか十七年とか二十年とか言う人がいるんだけれども、十七年に及ぶデフレが続いた、これ自体の責任もあるし、ただ、それは大変難しいことだったわけで、これは、世界が場合によっては同じことになりかねないようなこともあるわけで。

 私は、だからこそ、おっしゃるように、成長こそ全ての力の源泉である、国民の幸福の源泉である、こういうことを成長ファーストということでやっておられる今の自公政権のポジションについては、全面賛成です。

 ただ、繰り返しになりますが、このアベノミクス、どうなるかわかりません。いや、これは本当に難しい。大臣も御認識いただいていると思いますけれども、アベノミクスの作業というのは大変難しいことであって、マクロ経済運営は、うまくいけば、いってもらわないといけないわけですけれども、もしこれがうまくいかなければ、国民は塗炭の苦しみにまたあえぐわけでありまして、絶対に成功させないといけないけれども、そういうさまざまな、マクロ経済あるいは景気の変動の中に社会保障制度というのはあるわけですから、そういう景気の変動の中で社会保障制度のマネジャーはマネージせないかぬわけです。

 だから、成長に全てを期されるのもわかりますが、その中で社会保障制度をマネージするのが厚生労働大臣の仕事ですから、私は、年金であれ医療であれ、今、少子高齢化の中で大変厳しい状況になっていることについて、別に責任責任と言うつもりはありませんが、やはり自民党政権のマネジメントに一定の課題があった、こう思っているんですけれども、ちょっと一言。

田村国務大臣 社会保障のマネジメントといいますか、先ほどの繰り返しになりますが、まず、経済政策のマネジメントという部分では問題があったというふうに思います。

 それから、社会保障でいいますと、少子高齢化にしっかり対応できてこなかった、ここはやはり我々も大きな責任があるというふうに思います。

 それから、年金の記録問題というような手続上のいろいろな問題があったということ、これは、国民の皆様方の年金に対する不信感を助長したという意味では責任があると思っております。

 ついては、これからの問題を考えますと、公的年金、確かに、今、委員のお話ですと、制度は維持できるけれどもほかにも問題あるねというのはありました。これはいろいろと見解の分かれるところでもあるんですが。

 公的年金は、現状と比べると、今大体GDPの一一・二、三%だと思いますが、これが九・九ぐらいまで下がります。ところが、医療それから介護、これはGDP比で伸びていくんですね。特に介護は伸び方が急激です。

 ですから、介護というもの、これは新しい制度で、まだ、できたのが二〇〇〇年ですから、変な話、伸び盛りといいますか、そういう制度であります。これを財政的に持続可能性をコントロールする。しかも、一方で、いつもの山井委員の話じゃないですけれども、切っちゃうとさらに要介護度がふえて余計にお金がかかるぞというような御意見もありますから、そこも踏まえながらどうコントロールするのかというのが大変でございまして、今までの反省を踏まえながら、そのような種々の課題というものに難しいですけれども取り組んでいかなきゃならない、そのような決意を持っております。

足立委員 それで、話を世代間格差にちょっと戻したいんです。

 入り口で、そもそも格差の是正が必要かどうかという御議論がもしかしたらあるのかもしれませんが、私は、年金に関する世代間格差はやはり是正せないかぬと思っています。

 そのためには、要は給付と負担ですから、例えば、高所得の高齢者と約束をしてきた給付を削減していく等の作業によって、いわゆる年金債務の削減をしていくということが私は必要だと思っていますが、ちょうど先ほども出た厚生年金基金に関する審議のときに、財産権の話を相当やりました。

 ちょっと同じことになってしまうかもしれませんが、私は、公約した、高齢者の方と約束している年金給付については一定の削減が必要だと思っていますので、それについては、いや、財産権の問題があるからそれは自公政権として考えていないんだということか、あるいは、そんなことはない、可能性はあるということか、特に財産権の観点から御答弁をいただきたいと思います。

高鳥大臣政務官 お答えをいたします。

 御指摘のとおり、既に受給している年金の水準を削減することは、財産権との関係が問題になり得るわけでありますが、法律で一旦定めた財産権の内容であっても、公共の福祉に適合するものである限り、法律で事後的に変更することも許容されると解されております。

 ただし、年金が、稼働能力、機会が限定されている高齢期における主な収入源となっていることに鑑みれば、年金の給付水準は、急激に調整するのではなく、国民生活に急激な影響を及ぼさないよう、時間をかけて緩やかに調整していくことが適切であると考えております。

 こうした観点から、二〇〇四年改革におきまして、現役人口の減少や平均余命の延びに応じて、長い期間にわたって賃金や物価による年金額の伸びを自動的に調整するマクロ経済スライドの仕組みを導入したところでございます。

 委員も御指摘になっておられますが、公的年金の給付水準の調整を補う私的年金の対応への支援も含め、検討をあわせて行うべきという国民会議の議論を踏まえて、さらに検討してまいりたいと考えております。

足立委員 今のスライド自体の話はよくわかりますが、本会議でもクローバックの話をいたしました。これについても大臣の方からも御答弁をいただいていて、いろいろ税制も含めて総合的にそこは考えていくぞということでありましたので、このクローバックの話はきょうはこれ以上はいたしません。

 あと十分程度ですが、きょうは子育ての関係で来ていただいている方もいらっしゃるんですが、ちょっとできない可能性が高まってきましたが、場合によっては、済みません。

 もう一つ、年金についてちょっとやり切っておきたいことがありまして、本会議で申し上げた無年金、低年金問題なんですね。

 私は、民主党政権がここに光を当てられたことは大変よかった、こう思っているわけでありますが、これまでも委員会質疑を通して、大臣からも、この問題についてはもう何度もやりとりをさせていただいてきているわけですけれども、結局、今の制度は、若干、私から言うとよくわからない。

 何がわからないかというと、この低年金、無年金問題に対処していく、すなわち、端的に言うと国庫を入れていかなあかんわけですが、国庫を年金制度に入れていく形でそういう方々が救われている世界がこれから望ましいのか、あるいは、生活保護等の社会扶助を拡大することによって、そういう方にセーフティーネットを張られていくのがいいのか、抽象的に言うと二つあると思うんですね。

 ところが、今の制度を見ると、ちょっと忘れましたが、福祉的給付とかいろいろありますが、これは年金なのか何なのか、その解説を今改めてしていただく必要はないですけれども、私は、そういう今申し上げた大きな二つの方向からいくと、またハイブリッドなんですね。これはどうしていくんですかというところをちょっと。

田村国務大臣 福祉的給付という考え方は、まさにハイブリッドと言っていいのかどうか、当時、三党協議の中で、我々自民党は余り賛成じゃなかったです、これはおかしいと。年金なのかどうかよくわからないという今の委員のお話でございました。一方で、民主党は、もうちょっと金額も含めてふやすべきだという議論の中で、やはりそこは三党の中で、しかし、一定程度低年金者は何とかしなきゃいけないねということでお互い妥協し合った。そこに公明党さんも、そこら辺でいいんじゃないかというような話で御理解をいただいた、そういう制度であったわけであります。

 今のお話でいきますと、私も、防貧と救貧という言葉を聞きまして、余り使わないなと。そもそも何だ、防貧はといったら、貧を防ぐと書いて防貧らしいんですけれども、言うなれば、救貧が公的扶助、生活保護であろうとすれば、防貧は年金制度であろうと思います。

 年金の中でも低年金者がおられる。その低年金者を全くの制度の中で対応すると、さらにそれはひどい状況になりますから、そこに一定程度公費を入れる、それによってまず防貧のところでもある程度国が出張っていく、救貧まではいかないけれどもというような、そういう制度であろう。

 それで、共助ですよね、この年金制度も。私、この間、自助の共同化というので高橋委員に怒られましたが、あえて言いますと、自助の共同化、これを国で支えているというのが共助であるというふうに私自身は認識をいたしておりまして、まさにそのような立場から今の年金制度があるというふうに御理解をいただければありがたいのかなというふうに思います。

足立委員 おっしゃっていることはわかるんですが、お聞きしたいことは、まさに防貧と救貧とおっしゃった、ところが、今の公的年金は一階と二階があって、一階の部分は防貧というよりは救貧的性格が強まっていないですか。後ろで首を振っておられるので事務的には違うんだと思いますが、税が、どんどん国庫をふやしている中で、私は、その一階というのはいわゆる救貧的性格、二階は防貧的性格が強いと思っている。これは違いますか。違ったら簡単に違うでいいですよ。

田村国務大臣 いや、それはちょっと我々は違う立場でございます。

足立委員 今、質問で申し上げた、社会扶助に国庫を入れていく形で助けていくのか、年金保険制度の中に国庫を入れていく形でやっていくのかと申し上げたのは、今、低年金、無年金を私は課題にしているわけですが、低年金、無年金の方を年金制度を充実させていくことで救っていくのであれば、その部分はやはり救貧的性格があるわけです、私に言わせれば。

 いずれにせよ、国庫で低年金、無年金の方々を、生活していっていただく、これは憲法上の権利ですから。だから、そのときに、年金制度でやるんですか、社会扶助制度でやるんですか。

 これは、きょうもずっとあったように、年金制度は、さまざまな、マクロスライドがかかったり、マクロ経済の影響を受けるわけです。社会扶助は受けないわけです。社会保険と社会扶助は制度の構成が全く違う、哲学が違う。この低年金、無年金の方々をどっちで救っていくかということは、政策哲学として私は重要な分かれ道だと思うんですが、どうですか。

田村国務大臣 一点は、年金というものは自分もある程度努力して保険料を払わなきゃなりませんから、だから、保険料を払わない方は年金はもらえない。もっと言うと、低年金の方であって、年金をもらいながら生活保護を受けられる、つまり、基準額に達していなければ、そこで公的扶助を受けられるという部分があります。

 さらに申し上げれば、年金はマクロの影響を受けるといいますが、当然生活保護も、これは絶対基準が決まっているわけじゃありませんでして、国の財政に影響を受けます。払えなかったら、それは払えないわけですから、水準を下げざるを得ないということも起こるかもわからない。それは、だって国民の生活の水準も下がるんですから。だから、そういう意味からすると、どっちでもやはりマクロの影響というものは受けると思います。

足立委員 まさにどっちとも受けるんですが、とにかく社会扶助でやっていくとすればやはり、ごめんなさい、今、一つ考えたことがありますが、ちょっと失念しましたので。

 もう時間があと三分しかないので、あと一つ。きょう、国税庁からおいでをいただいているので、先ほども出ました給付つき税額控除の話だけ、どうしてもちょっとやっておきたいんですね、あと二、三分。

 先ほどもありましたけれども、私、給付つき税額控除というのはやった方がいい、こう思っています。ただ、基本的にはマイナンバー制度が前提になりますね。

 それで、マイナンバー制度をつくられたのは民主党政権のとき、一応そうですか。これは国税庁の方がいいのかどうかわかりませんが、この給付つき税額控除を導入するためには所得や資産の正確な把握が不可欠ですが、これは見通しはありますか。いつごろできますか。

上羅政府参考人 お答え申し上げます。

 国税当局といたしましては、提出された申告書等を分析するとともに、法定調書のほか、税務職員が独自に課税上有効な資料情報の収集を行い、必要性の高いものにつきまして税務調査を実施し、課税の実現、充実に努めているところでございます。

 今、番号制度の導入のお尋ねがございましたけれども、これに関しましては、事業所得や保有資産などの把握には限界があるものの、申告書、法定調書等の税務関係書類に番号が記載されることから、法定調書の名寄せや申告書等との突合がより効率的に行えるようになりまして、所得把握の正確性が向上し、適正、公平な課税に資するものと考えております。現在、そのための準備を進めております。

 いずれにしましても、国税当局としましては、引き続き、限られた人員のもとで、税務調査を的確に行うことなどを通じまして、適正、公平な課税の実現に向け、所得や資産の把握に努めてまいりたいと考えております。

足立委員 結論から言うと、多分、これは当分できないですよね、大臣。できないと思います。

 だから、私は、民主党政権のある種の責任感というのを、大臣もきょう多少問題にされておられましたが、まさに、給付つき税額控除を提案しておきながら、資産の捕捉については将来課題みたいな法案を通して、そして、消費税についても、どうなんだと。どうなんだというのは、すなわち、軽減税率か給付つき税額控除かみたいな議論をいまだにやるというのは、私はまさに無責任で、実際に給付つき税額控除制度を入れてきめ細かな措置を講じるのであれば、やはりマイナンバーをしっかりと、資産まで入れて、速やかにやっていかないと、これは何も始まらないわけで、私は、それはむしろやるべきだという立場できょうは言及しておきます。

 それから、最後、先ほどちょっと忘れたと言いましたけれども、私、先ほどの大臣の答弁に違和感をちょっと持っているのは、例の、十年払ったら、要は保険料の納付の何か十年とかいうものがありますよね、あれは、大臣がおっしゃった観点からいっても、私は問題があると思っているんです。

 要は、十年払ったらまあいいよねみたいなことになりかねない制度だと思っていて、大臣がおっしゃったように、年金は年金保険料を払った人がもらえる制度であって、それと社会扶助とは別だぞともしおっしゃるのであれば、やはり年金保険制度は年金保険制度らしく、制度をしっかりと維持していっていただく必要がある、こう思っています。

 一応、もう時間が来ていますが、何かあれば。いいですね。

 終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時四十五分開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。新原秀人君。

新原委員 本会議に続き、皆さんお疲れさまです。よろしくお願いいたしたいと思います。

 今回の法案ということで、社会保障関係の予算というのはまさに膨れ上がっていくということで、今、日本が直面している問題の中で最も深刻だと考えられ、こういうふうに三党合意が行われ、こういった過程で進んでいる法案だと思っているんですね。

 そういった中で、何でも先送りなり借金をしながら予算を立てていくということ自体は、日本維新の会では、今を生きる我々が楽をしたり得をしたりして、後の世代の方々にそれを全部押しつけていくということはやめていこうという考え方が、我々の維新の根底に流れております。

 今回のことは、そういったことをやめていこうということで考えられているということなんですけれども、この法案については、こういった方向でいこうという意思とプロセス、工程を示した法案だと考えているんです。

 せっかく出す法案なので、去年の三党合意に基づいて与党さんはつくられようとされていますけれども、僕らは割と、その三党合意の中に入っていなかったものですから、客観的に結構見られるわけですよね。だから、与党側も歩み寄ることも必要ですけれども、やはり合意した民主党さんも歩み寄ることがあって、できるだけたくさんの政党で合意してこの法案を通すことが非常に重要であって、いわゆる与党だけで通してしまうということになれば、我々の足立議員も本会議でおっしゃいましたように、いわゆる閣議決定と変わらないという形になりますので。

 やはり、できるだけ合意を形成していくというお互いの姿勢というものが、非常に我々政党としては必要だと思っていますので、頭から反対、頭から賛成という形は、今のところ、我々の日本維新の会では考えておりません。

 そういった中で、本日の朝の勉強会でも、反対、賛成が半々になっているという状況なので、言っていることは同じなんですけれども、反対として表明するのか、賛成として表明するのか、附帯決議はつけながら賛成なのかというふうな一応流れになっている。だから、そういった意味で、政府といいますか与党側の方も、できるだけ合意を形成できるような形でお耳を傾けていただきたいかなと思います。

 結局、社会保障制度改革推進法において、自助だけではなく共助、公助が最も適切に組み合わされた形の改革というふうになっているわけですね。つまり、それぞれの政党によって、やはり、考え方なり、自助と共助、公助の割合が異なるというのは、それは当然でありまして、それぞれ違うのはわかります。

 そういった中で、日本維新の会は、できるだけ今まで以上に自助自立ということを我々は言っておりますので、今のこの法案について、やろうとしていることについて、内容について反対ということはないです、足らないんじゃないかという意見はたくさんあるんですけれども。

 それプラス、やはり、いや、一年、二年待って、今後、二年後でいいのかという意見がありまして、だから、そういう意味での法案、やっていくべきことはもっと早くしないとだめじゃないか。消費税を来年の四月に上げますので、そういった意味で、国民の方々に先延ばしととられないような形ではこの法案も示していただきたいと思います。

 そういった意見が維新の会では多いので、その点はちょっと、民主党さんを否定するわけじゃない、これは自助、共助の考え方、割合の違いなので、否定することはないですけれども、そういった意味では、もっともっとしっかり、やはり現役世代なり今生きている我々が、もっと負担をすべきことは自立してしていかなければ、将来の世代にツケを残していくのはもうやめようというふうに思っております。

 そういった中で、質問をさせていただきたいんですけれども、まず、五・一兆円ということで、消費税増税額が試算されております。

 資料一をごらんいただきましたら、「消費税率引上げによる増収分は、全て社会保障の充実・安定化に向ける。」ともちろん書かれています。それで、「平成二十六年度の増収額五・一兆円程度」と書かれておりますけれども、これはどういうふうに試算されたかなということで、「内閣府試算に基づく一%当たりの消費税収を乗じれば、」と書かれております。つまり、消費税一%当たり約二・七兆円が仮定されているということがわかるんですね。

 だから、そういった試算を我々でも行うと、資料二をごらんくださいましたら、試算の前提として、消費税率五%のうち、四%が国税、一%が地方税となっています。これは現行の税制度の確認で、この数字を前提として、資料三をごらんいただきましたら、平成二十五年度予算において、消費税による歳入は十兆六千四百九十億円となっております。この数字を先ほどの四%で割ると、ぴったり二・七兆円という数字が出てくるんですね。

 つまり、まず、プログラム法案で、財源があるという主張をされておる五・一兆円というのは、一応見込みなんですけれども、消費増税による景気減退や駆け込み需要の、需要はあるんですけれども、反動といった影響を一切今のところ考えられていない数字と見られるんですけれども、これが五・一兆円よりも多くなった場合とか、それから少なくなった場合についてのいわゆる方向性のお考え方とかはあるんですか。

唐澤政府参考人 まず、税収の見込みでございますが、これは先生の御指摘のとおりでございます。

 消費税につきましては、もともと、国の会計年度と、それから納税をしていただく事業者の方の事業年度が、法人だったり個人だったりいたしまして、事業年度が違っておりますので、そういうことで、段階的に徐々にふえていくというような形になります。

 それで、五%から八%の引き上げのときの増収額でございますが、これはただいま御指摘をいただきましたように、財務省、総務省が、一定の仮定のもとで、いわば機械的な試算ということで、一%当たりを二十五年度の予算ベースの、今御指摘のございました二・七兆円、こういう仮定をいたしまして、それを掛け算して計算いたしますと五兆円程度になる、そういうふうに現段階では見積もっているものでございます。

 そういう意味では、本当に機械的な試算でございますけれども、具体的な税収の見込みにつきましては、二十六年度予算のときに、財政当局におきまして詳しい見積もりがされるというふうに考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 ということは、今のところ、予想の五・一兆円というのを基準に考えられていることであって、もしふえた場合とか減った場合のことについての対応は、まだ考えられていないということになるんですか。

唐澤政府参考人 税収の見積もりでございますので、私どもは、財政当局の方で、今、機械的な試算として示していただいておりますこの数字をベースにして、考えているということでございます。

新原委員 ありがとうございます。

 資料一に戻ってもらいまして、もちろん、これは減ったりふえたりすると思うんですよ。ただ、政府の考え方というものを私はお聞きしたいのであって、どういうことかといいますと、例えば税収が減ったら、何か優先順位があって、どこから減らしていくのか、それとも、このいわゆる計画どおりにそのまますんなり割合で減らしていくのか、それによって議論されることが違うわけですよね。

 つまり、例えばこの安定化については、まず二分の一に二・九五兆円を向けと書いていますね。これは、もし減ったら、二分の一が優先なのか、二・九五兆円が優先なのかという、いわゆる財政の指標の立て方の考え方が変われば、全部変わってくるんですよ。

 だから、これが、割合を重視していくのか、それとも、ここのところは、まず一番最初にお金を落としていかなければならないと考えていくのか、その辺のことがわからなければ、言ってみたら、消費税増収分の分け方というのはあくまでもここで話し合えなくなるので、そういう方向性は、大臣とかは、どこが一番重要で、それとも、この割合で全部分けてしまうのか、その辺はどのようにお考えですか。

田村国務大臣 厳密に言えば、消費が大きく落ち込むようなことがあれば消費税収は減りますし、大きく膨らむことがあれば消費税収はふえるわけでありまして、委員は、消費税を上げれば景気が悪くなる可能性があるから、その分、消費が減って消費税ががくんと落ちる可能性があるんじゃないかというようなことをおっしゃっておられるんだと思います。

 どういうことが起こるかわかりませんが、これから年末に向かって財務省が見積もるわけでありますけれども、一般的に、消費税というのは、比較的景気の変動に安定的な税収であるということでございますから、社会保障というようなこれから増大していくものを、消費税という形で対応する方がいいであろうということでございますから、今、そんな急激に何割も消費税が減ってしまうだとか、そういうことは前提に置いていないわけであります。

 ただ、考え方ということからしますと、この形でいきますと、基礎年金国庫負担二分の一分は、実は今般の八・数兆円、つまり八%に上がったときの本来税収がふえる分だけないにしても、これは満額とっておりますので、そういう意味からいたしますと、この基礎年金国庫負担二分の一分というものは、これはやはり満額ここで確保しないと、将来に向かっての赤字国債のツケ回しということになりますから、対応するのであろう。

 それから、残りの部分は、まだ決まっておりませんが、やはり案分みたいな話になる可能性があるのかな。今の理屈というのは、その残りの部分を案分いたしておるわけでございますので、基本的にはそのような考え方になるのかなと思いますが、それほど大きな変化があるかどうか。

 いずれにいたしましても、年末の予算編成下で、財務省がどのような税収見込みを出してくるかということでございますので、それから、どのような形にするかということは基本的に考えてまいることになろうと思います。

新原委員 ありがとうございます。

 今の考え方で結構だと思うんですけれども、国民の方々の理解を得るために、この充実とか、いわゆる消費税引き上げに伴う社会保障四経費の増ということについても、なかなかこれは減らすわけにはいかないような分野でございますので、できる限り、ふえても減っても、一・四五兆円程度減るとは思わないんですけれども、やはりこのツケ回しの軽減というところにしわ寄せが行ってしまうのかなと私なりにも考えているんです。ということは、やはりこの充実と、いわゆる物価上昇に伴う四経費の増、ここのところは守っていっていただきたいというのが僕の気持ちなんですよね。

 ただ、ふえた場合は、ほかのところの、もちろん社会保障で全部使うということになっていますので、そういった場合にはここの軽減というのもふやしていただいて、だから、そういった意味での考え方をやはり持っていただきたいかなというのが、私といいますか、維新的な考え方なので、その辺もよろしくお願いしたいと思います。

 そういった中で、医療費の適正化ということで、社会保障の中で最も割合が多いんですけれども、平成二十五年度予算で十・六兆円ということで、これを適正化していくということも必要です。

 その中で、社会保障の充実ということも打ち出している。資料四を見ていただきましたら、真ん中に、いわゆる社会保障の充実ということで書いておりますけれども、やはりそういった適正化ということも並行して考えていかなければならないと思いますので、ここには余り書かれていませんけれども、その点は並行してやっていかれるのか、その辺をお聞きしたいと思います。

唐澤政府参考人 先生御指摘のございましたように、一体改革のフレームそのものが、充実と重点化、効率化を並行して進めていく、実施をしていくという考え方でございます。

 その具体的な内容については、現在、いろいろな関係の審議会でございますとか、あるいはいろいろな御意見をお伺いして検討をいただいているところでございますけれども、考え方は、並行して実施をしていく、そういうことでございます。

新原委員 そういった中で、今のままでは、適正化によって減るかもしれないんですけれども、自然増が毎年あるということで、そのことについては、この自然増がずっとこのまま、消費税を上げた分からどんどん吸収されていけば、それこそ五・一兆円なんというのは、その増収分についてはすぐなくなるんですけれども、そのいわゆる自然増についてはどのように対応されていくおつもりなのか、お考えをよろしく。

唐澤政府参考人 私どもは、社会保障財源の確保という点につきましては、基本的には、自然増というものは、それをきちんと見ていくという考え方でございます。

 ただ、同時に、現在の趨勢のままで、そのまま推移をしていくということを考えているわけではございませんで、やはり、本格的な予防対策というような、そういう対策のようなものも導入をしてまいりまして、一年、二年ではすぐに効果は出ないかもしれませんけれども、五年、十年先に効果の出るような対策、こういうものを一緒に実施していって、そして、この増加というものを合理的なものにしていくということをあわせて実施していくことが必要だと考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 ということは、この消費増税分からは自然増は払っていかないという基本的な考え方なんですか。その辺はどのように考えているんですか。

田村国務大臣 全体一〇%になったときに、今までの赤字国債で賄っていた社会保障の分が七・三兆円でしたか、これをそれで充てるということで、これはこれでなくなるわけですよね。

 ただ、一方で、現在、社会保障でかかっている費用というもの自体、まだそれでも足らないわけでありますし、プラス毎年一兆円ずつ自然増があるという問題があります。

 その自然増というものをどう抑えていくか。これは、今統括官からお話がありましたが、要は、一つは予防という形で、健康づくりを中心に、伸びをなるべく抑えていくということがあると思います。それからもう一つは、やはり経済成長。

 ただし、経済成長も、まだそれでも足らない部分がありますからね。その部分も見ていかなきゃなりませんから、一兆円ずつをずっと見ていけるかというと、かなりの税収の伸びということを確保していかなきゃなりません。これは、名目経済成長というものと税収の弾性値、これをどう見るかということにかかってくるわけでありまして、ここら辺のところは、我々がやるよりかは、内閣府の方で御試算をされる話であろうと思います。

 そういうところを全体的に見ながら、一方で、プライマリーバランス均衡化という大きな目標もございますので、そこで整合性を合わすべく、社会保障は我々だけではなくて内閣一丸となって対応してくる、こういうことになろうと思います。

新原委員 ありがとうございます。

 本当にそういった考えを持っていかないと、その自然増を消費税で賄っていくという考え方でずっとやっていくと、これはまた一〇%で足らなくなって、また上げないととなってくるような方向にどんどんなっていきますので、やはり上げる前から、自然増については、何とか努力によって今までの予算の中から出していくような、そういうふうにフォローしていくような考え方で頑張っていただきたいと思いますので、その点については応援してまいりますし、頑張っていただきたいと思います。

 そういった中で、医療法の一部を改正する法律案等がここに書いてあるんですけれども、前回もこの委員会でもお話ししましたけれども、例えば糖尿病の重篤化、それから認知症の重篤化ということについては、歯科というものが非常に役立っている、つまり予防に役立つというふうに、いわゆるエビデンスもできていますし、いろいろな県で、八十歳で二十本ある方々の診療費は二割安いというエビデンスも出ていますので、そういった意味でも、歯科における予防についても頑張っていただきたいんです。

 そのことについて余り触れられていないので、今後、そういったことを行っていく場合、そういったこともちょっと気をつけていただきたい、入れていただきたいと思うんですけれども、その点はどうですか。

原(徳)政府参考人 この法案の中においても医療という言葉はございますけれども、歯科口腔ケアについて、さまざまな予防効果も期待できるということから、非常に重要な役割を果たしていると思っていまして、その医療という言葉の中に、当然、歯科医療も含まれているというふうに認識しております。

 また、先生御承知のように、歯科口腔保健の推進に関する法律もつくっていただきましたので、今後とも、国民の健康で質の高い生活を確保するための歯科口腔保健に関する施策も、あわせて総合的に推進していきたいと考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 歯科の方の、例えば在宅医療にしても、いわゆる施設で介護を受けられている方も、口腔内の衛生状態をよくすると、介護認定が上がりにくいといいますか、進んでいかないということも言われておりますので、だから、そういった意味でも、医療だけではなく、介護の分野にも役立ちます。

 先日から、厚生労働省が、在宅屋といいますか、紹介してお金をもらうという、ああいった悪徳、悪徳じゃないんですけれども、つまり、診療報酬の中からくすねるみたいな形になっていますので、そういったことについてはガイドラインをつくっていただけるということで。

 やはり、医療費適正化において一番大事なことは、できる限り在宅、いわゆる在宅医療を受けて、おうちで家族に見守られながら亡くなっていくということが、精神的にもいいですし、その人の人生にとっても私はいいと思うし、それプラス医療費の適正化にもつながりますので、そういったことをやはりもっともっと考えていただきたい。

 その中で、いろいろ資料を見ていますと、入院の食事費等は、在宅医療で、家で寝ている場合は食事費は保険ではききませんけれども、入院していると、つまり言ってみたら、食事についても保険がきくという、これは入院している方が得ですよね、いわゆる食事分。得といいますか、そこのところを保険で見ているわけなので。やはり在宅では、それを介護か誰か家族の方がつくって、自分のところで全部つくるわけですよね。

 入院していると食事費の何ぼかは保険でおりるということになると、普通の観点からいうと、食事費の面については在宅医療の方が、言ってみたら、保険を受けられないという部分では、やはりそういうマイナス面もあります。そういったことも改革の中に書いてありましたので、ぜひとも、やはりできるだけ御自宅で、在宅で亡くなっていく、在宅ということに重きを置いてほしいと思いますので、適正化については非常に重要なことだと思います。

 その中で、ちょっと一つだけ気になったんですけれども、ごめんなさい、歯科についてはこれで終わります。

 資料五をごらんになって、7の3のところに、「歯科衛生士の業務実施態勢を見直し」というふうに書いてあるんですけれども、これはどういったことをお考えになっているんですか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 チーム医療を進めていくという観点の中で、この歯科衛生士についても業務の範囲を広げようと考えております。

 具体的には、歯科衛生士が、今現在は歯科医師の直接の指導のもとに実施しておられます弗化物の塗布あるいは歯石除去などのいわゆる予防処置について、これを歯科医師の指導のもとで緊密な連携を図った上で、歯科衛生士がみずから実施することができるような方向で、今検討を進めているところでございます。

 審議会での議論も踏まえて、最終的には、医療法等の改正法案の中で歯科衛生士法の改正も盛り込んでいきたいと考えております。

新原委員 ちょっと歯科衛生士でずっと気になっていたことが一つありますので、ここは通告していませんけれども、歯科衛生士法で、歯科衛生士というのは、法律の中で女性でないとだめと書いてあるんですよね。これは、看護師法も結局変わりましたよね。歯科衛生士だけは女性でないとだめという、この辺の整合性はどうなっているんですか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 本則の中では、何々を「業とする女子をいう。」というふうになっておりますが、附則の中で、この条項に「規定する業務を行う男子については、この法律の規定を準用する。」というふうになっております。

 したがって、男子の方もおられるわけですけれども、今回の改正の中で、この点についても改めていきたいと考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 やはり、いわゆる男女平等でございますので、その辺もチャンスを広げていただきたいと思います。僕は、女の方の衛生士にスケーリング、歯石は取ってもらいたいですけれどもね。

 次に、もう歯科のことは外れますけれども、診療報酬について質問させてもらいます。

 資料六をごらんいただきましたら、四月一日に予算委員会で、田村大臣に質疑をさせていただいたところで、アベノミクスの三本の矢について、インフレが起きたときにちゃんと皆さんのお給料が上がるようにしなければならないという質問の中、企業なりには給料を上げてもらうように一生懸命働きかけているということで、実際に上がっている企業が幾らか出てきた。

 そういう中で、今度は資料七を見ていただきましたら、製造業、卸業、いろいろ書いてありますけれども、この中で唯一、医療・福祉分野だけが産業別雇用者数が非常に大きく伸びている。つまり、これはもちろん、社会保障費がどんどん上がってきている、医療費も介護費も上がってきているということは、それに付随してやはりそういう労働人口も上がってきているということですよね。

 つまり、日本の経済というか、消費を支えている中で、医療、そして介護、福祉、いろいろありますけれども、そういった医療、福祉関係の方々の割合がふえてきているということは、その方々の給料も上げていかなければ、景気の下支えにならないという質問を僕はさせてもらったと思うんですよ。

 だから、そういった中で、診療報酬、介護報酬というところで、言ってみれば、働いて何ぼ、この補助をして何ぼというところが、医院なりそれから会社に入ってくるわけですよね。そこから給料を看護婦さんに払ったり介護士さんに払ったりしているわけなので、それを下げるとなかなか給料を上げることはできないですよね。

 これは、消費税増税分は別途試算されていますけれども、消費税増税において経費が上がるからということで、これは上がったうちになりませんから。

 だから、その辺を、やはり厚生労働省としても、田村大臣としても、物価が上がっているということの経済指標を見ていただいて、せめて、二%を目標というならば、毎年上げていくことの目標があるならば、その目標なりに上げていってもらうことが、診療報酬なり介護報酬というのは、まさに政府が決める値段といいますか、社会主義経済的なところがあります。その点のところはやはり、財務省とのもちろんバトルはあると思うんですけれども、頑張っていただきたいというふうな、それは全ての医療界それから福祉界、そういった方々のためにもなると思いますので、柚木先生も言われていましたけれども、その点についての意気込みなり考え方をよろしくお願いいたします。

田村国務大臣 診療報酬は、今言われた人件費それから物件費、賃金と物価と言いかえた方がいいのかもわかりませんけれども、そういうものの動向を見ながら、また医療機関の経営状況、これも勘案しなきゃなりません。

 医療経済実態調査というものが出てまいって、今分析をやっておる最中であります。まだ詳細なところまではできておりませんが、見ておりますと、上がったところもあれば下がったところもありますけれども、そんなに大きく変化があったというわけではないというふうに思います。

 その中で、今言ったような物価、人件費、賃金、さらには、もう一つ大きな今回の要素といたしましては、国民会議の報告書の中で、やはり、医療供給体制を変えるべきである、病院完結型から地域完結型への医療、介護に移すべきであるということでありまして、病床の機能をいろいろ変えるというようなこともしていかなければならぬわけであります。それに付随して、今度は地域の受け皿、つまり、地域の中小病院というのもあるでありましょうけれども、在宅医療、在宅介護という意味からいたしますれば、そういうものに対しての手当てもしなければならないという部分もあると思います。

 いろいろな意味で、全体の配置を変えていかなければいけないという話でございますから、それぞれ医療機関も、いろいろな意味で不安を抱えながら、これからそれに調整をしていっていただかなきゃならない。それがうまく配分できるような、そんな要素もこの中に勘案をしていかなければならないというわけでございまして、全体を見ながら、適正な診療報酬を我々としては要求してまいりたいというふうに思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 特に介護の分野においては、非常に低い給料で働いている方が多いので、そういった意味でも、やはりちょっとでも上がれるような、そのかわり、上げるときには、僕は附帯決議とは言いませんけれども、従業員の給料も、そういった部分では上げていただきたいというような要望は、もちろん出していいと思いますし、そのための介護報酬アップでいいと思いますので。

 そういった意味での御検討なり、財務省との間で頑張っていただきたいと思いますので、その辺はお願いいたします。

 そういった中で、前回の厚生労働委員会で、日本維新の会から僕が質問させてもらって、うちの維新の会からもたくさん説明させてもらったんですけれども、この後期高齢者支援金の全面総報酬割。これは、維新は、全面的にやろうじゃないかと。

 つまり、言ってみたら、同じ保険というサービスを受けるのに、それぞれの負担金が高かったり低かったりするのはおかしいじゃないか、プラス、逆に、収入のいい方の方が保険金の掛金が少なくて、しかも、つまり協会けんぽのように、どちらかというと平均収入が少ないところの方が掛金が高くなっているということは、これはおかしいから、全て総報酬割にすべきだというふうに訴えました。

 それで、それを資料八にも書いてあるんです。

 つまり、全面総報酬割に変えることで、協会けんぽの財政負担が約二千億円軽減されるということでと提案していたんですけれども、なかなか、政府の方としては、いやいやという形で御答弁があったんです。国民会議の意見を得て、そういった方向でということが今回書かれておりますので、非常に前向きというか、一歩進んだなと私は考えているんです。

 そういったことのときに反発は絶対出てくると思うんですけれども、そういったことでやり切る覚悟はあるんですか。

 一応、どういったプロセスでやり、それは、健康保険組合の方はかなり、共済組合にしろ、反発はあると思うんですけれども、その点も含めて、どういったお覚悟でやっていくのか。この前は、それは無理だというような答弁でございましたので、その点のお考えなり、あるようでしたら。

土屋副大臣 プログラム法案では、医療保険制度に関し、支援金の全面総報酬割を含むさまざまな課題を検討した上、平成二十七年の法案提出を目指すこととされておりまして、これに沿って、関係者の意見を聞きながら検討を進めてまいりたいと思います。

新原委員 ありがとうございます。

 ぜひとも前向きに進めていただいて、まず、この支援金の分担が総報酬割にならない限り、今度、言ってみたら、健康保険組合の、将来的には合併していったらいいと思うんですけれども、いわゆる被用者保険の一元化を最後は目指していくべきだとは僕は思っているんですよね。

 そのためには、まず、この総報酬割にして、ただ、これは問題があるのは、今まで持っている資産を、それぞれの保険組合によって資産がありますからね。だから、その辺は、彼らが一生懸命ためたことといいますか、彼らはそういう努力をしてためてきたことなので、その点の扱いについては、ちゃんと健康組合ごとに納得いけるような形に仕上げないと、それを全部取り上げて総報酬割とかいう話になっていくと、またあれなので。

 その辺の、お互い折衝ですから、将来的には総報酬割にするという形でいいと思いますけれども、彼らなりに頑張ってきたこと、つまり、医療費削減についても、組合ごとに頑張っているところは非常にありますから、そういったことについてもやはり配慮いただいて、総報酬割というものをぜひとも早く進めていきたいと思いますので、この点については、維新の会としても全面的に応援しております。

 今さっき、ちょっと言及しましたけれども、その次に見えてくるのが被用者保険の一元化ということで、まず、共済組合、健康保険組合、協会けんぽ、ここを総報酬割にしてということになりましたら、国民健康保険はまた別になってくると思うんですけれども、やはりここをまず一元化していくことが非常にわかりやすい制度かなと僕自身は思っているんです。

 やはり保険というのは、同じ掛金ならば同じサービスを受ける権利があるというのが保険だと思っているんですね。受けるサービスは全国皆保険なので一緒なんです。しかし、入っている保険の組合なり種類なりによって掛金が変わるということは、サービスが一緒なのに掛金が変わるということ自体に不公平が生じております。

 そういったことも将来的に、総報酬割に今度するので、ある程度還元できてくると思いますので、そういったところで前向きに、つまり、被用者保険の一元化ということも考えていただきたいと思うんですけれども、その点についてはいかがですか。

土屋副大臣 この件については、健保組合にとってみれば、現行の高齢者医療に対する拠出金に加え、協会けんぽに対する財政支援を求められることをどのように考えていくかということだと思います。

 健保組合はこれまで、先ほどもお話があったように、労使との協調の枠組みの中で、自立自主の運営を行ってきているので、この一元化をするということになりますと、健保組合としての存在意義が低下し、保険料率をみずから設定することや、保険料徴収、それから保健事業の効率的な実施、医療費の適正化などの機能が弱まるのではないかという課題を抱えていると思います。

 被保険者や事業主など関係者の意見を聞きながら、ここは慎重な検討が必要と考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 その点は前向きに考えていただきたいということと、国保については、国と地方の役割分担ということで、地方に移管していくということなんですけれども、これは僕は非常にいいことかなとは思っています。

 なぜなら、例えば、都会で受ける医療サービス、歩いていったらどこでも、お医者さん、内科も眼科もあるというところと、いわゆる地方に行って、車で十分も二十分も走らないと病院なり診療所がないというところで、まず、そこのところでサービスを受ける体制に差がありますから。

 だから、そういった意味で、そういった地方については、逆に、いわゆる掛金等は僕は安くてもいいのかなと思っているぐらいなので。やはり無医村などということになれば、非常にサービスを受けにくいですよね。だけれども、国保の掛金は全国一律ということ自体が、つまり、同じ掛金だけれども、今度はサービスに差ができているということになりますので。

 やはり、御高齢の方々が家にひとり住まいで、車もなければ、なかなか医療サービスを受けに行こうということはできませんので、そういった意味でも、在宅医療ということも一生懸命力を入れていただいて、でき得る限り、同じ掛金を払っている方々には、サービスを受けようと思ったら、介護サービスも医療サービスも受けられるということで、言ってみたら、都道府県、地域ごとに独立してやってもらうということは、非常に僕はいいことだと思っているんですね。

 ただ、そういったときに、どうしても、税収とか、人数の関係なり、医療施設の関係なりからいうと、やはり都市部の部分が医療サービスを受けやすくて、そして、いわゆる地方の方が受けにくい、プラス、いわゆる掛金も集めにくいということになりますので、都道府県に任せた場合の再分配といいますか、できるだけ地方の方に厚く、言ってみれば、再分配していかないとだめだと思うんですけれども、その点はどのようにお考えなんですか。

木倉政府参考人 先生御指摘のように、今の国保は、市町村ごとに国保の保険者となっていただいておるということでございます。医療提供体制の違い等で医療費に差が出る、あるいは、保険料を負担していただく住民の方々の所得というふうなことで差が出るという実態がございます。

 国保は、被用者保険に入れない方々の、国民皆保険の最後のとりでということでありまして、大変重要な役割を果たしておると思います。今でも、無職の方がふえてきておる、あるいは、非正規で被用者保険に入れない方がふえてきておるということで、御指摘のように、市町村の間でも所得水準に格差が出ますので、どうしても保険料の格差が出てしまうということでございます。

 今の再分配ということですと、国は、全体の市町村国保ごとの医療費に対しまして、国庫補助、三二%という定率のものを行うとともに、さらに、市町村ごとの所得水準の差ということに着目しまして、七%分はその差に着目した不均衡の是正、再調整ということを今も行っております。

 これからのプログラム法で書き込んでおります国保の運営について、都道府県に財政運営を初めとする役割を担っていただこうと。しかし、その一方で、このプログラム法の中では、住民の顔が見える関係である市町村には役割を分担してもらって、保険料をきちんと賦課し、徴収してもらう、あるいは、予防とか健康づくりにしっかり取り組んでいただくということは、やはり市町村の役割が必要なんだろうというふうに思っております。そういう検討を進めていくということも書いております。

 こういう国保の県と市町村の役割の分担のあり方、あるいは、そのときの財政再調整の仕組みのあり方ということにつきましては、これから各地方団体と十分に協議をいたしまして、仕組みをつくり上げていきたい、そのように考えているところでございます。

新原委員 ありがとうございます。そのように頑張っていただきたいと思います。

 最後にですけれども、このプログラム法案等で社会保障を守っていこうという、特に医療分野については、日本の誇れる皆保険制度ということが、これはすばらしい制度だと思っておるんですよね。だから、それを守っていくために、いかに、どのようにして、自助、それから共助、公助ということでやっていくかという考え方だと思うんですけれども、やはりちょっと医療業界からも懸念の声があるんです、TPPとの関係ですね。

 だから、その中でもやはり守っていくというお覚悟を持って、この制度自体を、日本の誇れる制度だと思っておりますので、その点のお覚悟といいますか、TPPとの関係も含めて、どのようなお考えを持っているのか、最後に御質問します。

田村国務大臣 TPPの交渉の具体的な内容は、委員も十分に御承知のとおり、これは明らかにできないというルールでございますので、その内容は申し上げるわけにはいきませんが、昨年三月ですけれども、アメリカの通商代表部、USTRのカトラーという代表補が日本に来られたときに、こうやって言っておられます。

 TPPは、日本や他の国の医療保険制度を民営化することを強いるものではないということ、それから、もう一点は、私は余り使いたくない言葉なんですけれども、混合診療、いわゆる混合診療を含め、民間の医療サービス提供者を認めることを要求するものではない、こういうことを説明されておられるわけでございます。

 そのような意味では、よく医療関係者の方々は、アメリカが交渉の中でそういうことを要求してくるのではないかというような御心配をされておられますが、カトラーさんの発言を見ますと、そういうことは言わないということをこのときにはおっしゃっておられるという事実があるということは、御理解をいただきたいと思います。

 具体的な交渉の内容は申し上げられません。

 いずれにいたしましても、日本の冠たる社会保障、医療というもの、保険制度というものを守っていくということは、我々にとっては大変重要なことだというふうに思っておりますので、しっかりと、そのような気持ちの中で、これからも行政を進めてまいりたいと思います。

新原委員 ありがとうございます。

 最後に、まだ日本維新の会は、賛成も反対も決まっておりません。今、一生懸命、けんけんがくがくやっている。

 やはり、できる限りたくさんの政党といいますかの賛成における委員会運営なりプログラム法案にしていただいて、耳を傾けていただいて、それがやはり将来のためになると思いますので、我々も協力できることはしてまいりますので、皆様方、そういった意味ではよろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いいたします。

 このプログラム法なんですけれども、いろいろな、保険制度、介護、医療制度、含まれております。その中で一番最初に来ているのが少子化対策ということでございまして、至極ごもっともだというふうに思います。

 まず最初に、少子化対策で、ここには含まれていないようなんですが、生殖医療について質問させていただきます。

 昨今、女性の社会進出に伴って晩婚化が進んでおります。第一子出産が平均三十歳を超えているというような状況で、三十五歳以上の出産がまたどんどん増加してきている。こういった中で、平成二十二年は、約二万九千人の子供さんがこの生殖補助医療で生まれた子供さんになっているということでございます。今後ますます、この生殖医療の領域は、少子化対策でもコアになってくる分野だというふうに確信をしております。

 そこで、政府も、平成十六年から、特定不妊医療助成ということで補助をしております。ただ、ことしから、凍結胚移植と、よい状態の胚が得られない等により中止したものの一回の助成額が、十五万円から七万五千円に減っているということでございます。

 この案件に関しまして、実は、昨年、公明党の古屋先生が同じように質問をされているんですが、当時の西村副大臣は、ほかの医療と比べて費用がかかっていないので助成単価の適正化を図ったというふうにおっしゃっています。適正化ということの意味ですね。時間がなくて、具体的にどうして七万五千円に下げることが適正なのかという説明がされておりませんでした。

 この凍結胚移植で生まれる子供さんたちは、何と一万九千人です。先ほど申し上げた、二万九千人が生殖補助医療でお生まれになる。その中の一万九千人が、この胚凍結でお生まれになっている。三分の二、六六%ですね。そういった非常に大切な、コアな技術であるにもかかわらず、なぜ七万五千円に下がったのか、改めてわかりやすく説明をしていただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、不妊に悩む方にとりまして、この特定治療支援事業、大変重要な事業というふうに私ども考えているところでございます。そのため、平成十六年度から、高額な体外受精等の費用の一部を助成する、そうした制度を始めているわけでございます。

 不妊治療においては、治療内容によって実際にかかる費用がかなり異なっております。以前に凍結した胚を利用して、採卵を伴わない凍結胚移植などについては、採卵から胚移植まで一気通貫で行う治療などと比べて安価となっているところでございます。

 そのため、平成二十五年度予算においては、実質的な助成の公平化を図る観点から、採卵を伴わない凍結胚移植などについて助成単価の見直しをしたわけでございますが、具体的に助成単価をどのように見直したかということでございますけれども、不妊治療に係る平均的な費用のおおむね半額程度を見ているという実態がございます。

 そういうことを勘案いたしまして、費用が安価な、採卵を伴わない凍結胚移植などについては、実際にかかる費用の平均のおおむね半額程度に見直したということでございます。

柏倉委員 この凍結胚移植ですけれども、基本的には、凍結された胚を融解する、そして移植をするということの技術、二つ大きな技術がございます。

 確かに、胚移植というのは、調べますと、大体五万円ぐらいが多いですね。ただ、胚融解に関しては、かなりばらつきがある。しかも、この技術を応用しようとすれば、当然、下準備といいますか、ホルモンを飲んで、子宮内膜をそれなりに育てていくというような準備もあります。それを確認する上での超音波の診断、もろもろ含めますと、やはり私は、七万五千円というのはちょっと安いのかなと。そのお金がですね。

 やはり、この技術で、この補助医療で生まれる三分の二の方が生まれているわけですよ。とすれば、本当にコアな技術になっている、生殖医療の最もコアな技術になっている部分に関して、引き下げるというようなことはぜひしていただきたくないと思います。もう少し上乗せをする方向でぜひ考えていただきたいと思います。

 次なんですが、一枚目の資料にも示させていただきました。今度は代理出産の問題を議論させていただきたいと思います。

 いろいろ経緯があって、あるタレントさんのアメリカでの代理出産、その出生届の受理の問題で最高裁まで争われた。結果的には不受理ということになってしまったというものがございます。それで、そのときに最高裁は、代理出産、その出生届受理に関して、国の速やかな法整備を促すという旨のコメントを出している。それが六年前ですね。しかし、代理出産に係る法整備は、残念ながら、全く進んでいない。

 一方で、代理出産がなされている海外、アメリカ、今はもうインド、タイでビジネス化している状況になっている。日本人の夫婦も年々増加している、こういう状況になっています。資料の真ん中にラインが引いてありますけれども、これは信頼に足るレポートだと思います。内閣府の研究開発支援プログラムに指定されている研究、十月の末にレポートされたものですけれども。

 要は、今、現状起こっていることは、海外で代理出産で生まれる。それで、その子が、そのままですと実子として育てられませんから、親が一旦日本に帰ってきて、戸籍登録をする。そして、その謄本を持って、大使館、領事官でパスポートを発行してもらう。そして子供さんを連れ帰る。こういう今流れになっている。

 これは、厳密に言えば、本当は、違法とまではいかないですけれども、やはり脱法だと思います。なぜなら、日本の国は、分娩者が母親であるという判例をもとにして、不文律、取り決めがございます。それが、他の国から日本に帰りますと、この脱法行為によって実子となるわけです。今、こういう現状になっている。

 やはり、ここのところの法整備をきっちりしていかないと、これから代理出産を考えていこうという夫婦たちが迷うと思うんですね。海外では既に、四枚目の資料になって申しわけないんですが、代理出産に係る法整備が進んでおります。欧米では、認める、認めないはともかく、法整備が進んでいる。日本の場合は全く進んでいない状況でございます。非常にデリケートな問題でありますけれども、やはり早期の法整備が私は必要だと思っています。

 自民党さんは、三枚目の資料にありますけれども、いろいろ、この代理出産ないし第三者が関与する出産、これの法律を検討するプロジェクトチームを設置されたということでございます。ただ、これを読みますと、海外での代理出産に関する法的な措置を検討するということは書いてないんですね。

 やはり、分娩者が母親であるという原則を今日本が保持している、にもかかわらず、先ほど申し上げたような脱法行為が繰り返されている、そしてそれが常態化している、数がふえている、そういう現状の中で、この取り決め、海外での代理出産をどう扱っていくのかという取り決めは、国が早急に取り組むべきだと思います。

 そこで、まずお伺いしますけれども、分娩者が母親という原則、この国の原則、判例、これをやはり国はしっかりと保持していくんでしょうか。それとも、今後見直す可能性もあるんでしょうか。

萩本政府参考人 民法には、法律上の母子関係、母と子の関係について直接明記した規定はありませんが、委員御指摘のとおり、懐胎、出産した女性が出生した子の母であり、母子関係は懐胎、出産という客観的な事実により当然成立すると解されております。

 いわゆる代理出産によって子が生まれた場合の法律上の母子関係につきましても、最高裁判所は、委員御指摘のとおり、六年前、平成十九年に、現行民法の解釈としては、出生した子を懐胎し出産した女性をその子の母と解さざるを得ないと判断しているところでございます。

 生殖補助医療によって生まれた子の法律上の親子関係の問題は、その前提となります生殖補助医療そのものに関する法的規制と切り離して検討することは困難ですので、その具体的な内容を踏まえて検討する必要があると考えております。

 現在は、代理出産を認めるか否かを含め、生殖補助医療そのものに関する法的規制が整備されていない状況にありますけれども、この検討が進む場合には、それと並行して検討していくことになろうかと思いますが、現在の状況のもとでは、出産した女性を子の母とする考え方を見直すことは考えておりません。

柏倉委員 やはり、代理出産子、代理出産された子供の福祉ということを考えても、一刻も早く、政府は、海外での代理出産、代理出産子をどのように扱っていくのかということは、これはできればタイムリミットを決めて、しっかりと議論して答えを出していただきたいと思います。

 これに関して、ちょっと通告にはなかったんですけれども、実は代理出産は、あっせん業者がかなり暗躍をしているという状況でございます。中には、このレポートの中にも書いてございます、二枚目の真ん中ぐらいに、線は引いていないんですが、みずからの商業利益に反する行為をとる日本人依頼者に対しては、両親と代理出産子の円滑な日本への帰国を妨害するケースがあると。非常に、合法化されたものでないところでマージンを取ってもうけている。やはり、商業主義はここにもはびこっているわけですね。

 これを徹底的に、まずは調査する、そういったことは考えていただけませんか。

石井政府参考人 なかなか難しい問題かと思っておりますけれども、別の、養子あっせんのところでも、今、海外との関係で問題は指摘をされているところでございますので、どのような対応が可能か、少し考える時間を頂戴できればと思います。

柏倉委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次は、小児のがん対策並びに小児の慢性疾患に関してです。

 所得制限を設けて上限を決めていくということに関しては、やはり、お金を持っていらっしゃる方はある程度、最低限の拠出をしていただくというのは、どの分野においてもいたし方ないという私も考えでございます。

 今回議論させていただきますのは、小児がん並びに小児の慢性疾患に係る長期フォローアップ、あとはホスピスケア、緩和医療の問題を議論させていただきたいと思います。

 質問に先立ちまして、がん登録制度に係る推進をしていくということで、その法律が来年の通常国会に提出されるということを聞いております。これは、私も医者として非常にありがたいというふうに思います。特に、小児がんというのは症例数が少ないものですから、一例一例、これは大切にフォローアップをするという意味でも、統計的に医学的なエビデンスを蓄積するという意味でも、ぜひぜひやっていただきたいと思います。

 さて、小児がんなんですけれども、年間発症は二千から二千五百人ということでございます。医学の進歩に伴って、七、八割の子供さんは助かるようになってきている。非常に喜ばしいこととはいえ、やはりいろいろな問題がございます。

 例えば、小児がん経験者というのは、完全寛解というのは難しい。疾病自体は完全寛解することはあっても、その治療過程でいろいろな合併症、後遺症というものをどうしても引きずってしまうことが多いんですね。

 特に、晩期合併症というのは聞いたことがあると思います。五枚目の資料、「小児がん経験者の後遺症深刻」というところでございますね。

 治療をしてしまう、せざるを得ないんですけれども、当然、肉体的に普通の、標準的な発育というものができなくなってくる。低身長ですとか、高次脳機能障害、不妊等々のいろいろな病気がやはり終生ついて回る。こういう、何といいますか、かわいそうな、子供から大人になる経過をたどっている人たちがいっぱいいるわけです。

 それを、厚生労働省が昨年七から八月に調査をされたということで、そのデータが、二百三十九人を対象にして、百十人の晩期合併症があったということですね。そのうちの六三%が、就労支援が必要な人たちだったということでございます。

 今は全国で十万人と推定されている小児がん経験者、計算しますと、三万人近くが、やはりこういった仕事、就労にまつわる悩みを抱えているということなんですね。就職しても、合併症のためになかなか就労が続かない。身長が小さいからやめてくれと言われた。あとは、あなたはちょっと体が小さいから給料は七割だよと。最初からこういう差別をされているという旨の発言もあったようでございます。

 そういったことで、これを受けて、個別のヒアリングを厚生労働省さんは六月からされているということでございますけれども、既に民間ではいろいろな支援の輪が広がっているというふうに聞いております。いろいろな、地区地区で、オープンカフェを開いて小児がん晩期合併症のある人たちを店員として雇ったり、あとは、就労あっせんをする、そういったNPOも出てきている。

 すばらしい取り組みなんですけれども、国は、やはりこういうことがあるのはもう既にわかっているわけですから、インタビューをするのもいいんですけれども、具体的にどういう就労支援をこれからがんの晩期合併症の方に行っていくのか、聞かせてください。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 今、議員の御質問、御指摘の中にもありましたように、小児がんの患者さんというのは、成人のがん患者さんと異なりまして、成長してからもさまざまな特有の問題があると伺っております。具体的に、低身長だとかホルモン分泌障害だとか、この提出いただきました資料の中にもそういうものがあります。

 そうしたことから、ニーズの把握に努めて、小児がん経験者の就労を支援していくということで、国としても取り組み始めております。

 具体的には、がん対策推進基本計画を踏まえまして、平成二十五年度から、国の指定するがん診療連携拠点病院に社会保険労務士を配置して相談支援を行う、がん患者の就労に関する総合支援事業というのを行っておりますし、労働分野におきましては、ハローワークにおきまして、長期療養をしながら就業を希望する求職者に対する就職支援を実施しております。がん患者等に対する就職支援モデル事業と呼んでおります。

 こうした取り組みを進めておりまして、小児がん経験者の方々にも引き続き活用していただきたいと考えているところでございます。

柏倉委員 がん登録制が軌道に乗れば、こういった子供たちは、全国どこへ行ってもタイトなケアができて、就労支援も漏れなくできるということになることを期待しております。

 この就労支援に関してなんですけれども、今、障害者さんの企業の法定雇用というのがありますね。二%ございます。これで雇用される方はいいんですが、そうじゃない方もいっぱいいらっしゃる。実際、障害者手帳を持っているのは二五、六%の方なんですね。四分の三の方は持っていらっしゃらない。しかし、やはり何らかの体調不良を抱えていらっしゃる。

 この法定雇用に小児がん合併症の人たちも組み入れるということは考えられませんか。

内田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の障害者に対する法定雇用率制度でございますけれども、この制度は、雇用の場を確保することが極めて困難な者に対して、社会連帯の理念のもとで、全ての企業に雇用義務を課すものでございます。したがって、企業が社会的な責任を果たすための前提としては、企業がその対象者を雇用できる一定の環境が整っていること、また、対象範囲が明確であり、公正、一律性が担保されることが必要であると考えてございます。

 小児がんの後遺症で苦しんでおられる方でございましても、先生御指摘のとおり、例えば身体障害者手帳をお持ちの方は既にこの雇用義務の対象となっているわけでございますが、障害者手帳を所持しない方を雇用義務の対象とするかについては、今申し上げました雇用義務制度の趣旨、目的を踏まえると、現時点ではなかなか難しいのではないかと考えてございます。

 ただ、ハローワーク等では、手帳を持っていらっしゃらない障害者の方に対しても、それぞれの方の事情に応じた就労支援等を行っているところでございまして、例えば、ハローワークと福祉、教育、医療等の関係機関との連携をいたしますチーム支援等も実施しているところでございます。

 引き続き、こういった取り組みを進めてまいりたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。

柏倉委員 こういった、がんの晩期合併症だけじゃありません、いろいろな小児の慢性疾患をお持ちの方は、発育不全をお持ちです。そういった方々、どうしても就労機会もない、就労しても続かないというのがやはり実情なんですよね。そういった方々をぜひ救っていただきたい。やはりこれは、法定雇用に組み入れる、組み入れないの議論じゃなくて、もっと広げて、別途雇用助成を出していくとか、そういった前向きな検討をぜひ加えていただきたいと思います。

 次の話をさせていただきたいと思います。

 次は、小児の緩和医療の問題ですね。この一枚目につけている、「広がる子どもホスピス」というものと、「ささやかな願いさえも…」という資料がそれでございます。

 最近の小児がん及び他の慢性疾患の治療現場におきましては、家族が休める空間をどんどんつくっていこうというような動きが出ております。もう公明党さんなんかはしっかり視察もされておられるようですけれども、そういった動きは非常にすばらしいなと思うんです。やはり子供の治療というのは親子で受けるものですから、親子が空間を同じくするということが一番大切なことですので、そういったものに関しては、ぜひどんどん進めていっていただきたいと思います。

 そこで、議論させていただきたいのは、緩和医療。残念ながら子供さんも、がんになった、それ以外でも慢性疾患でお亡くなりになってしまうという方がいらっしゃいます。そういった方に、いかに御家族も含めて納得のいくおみとりをするか。これは、私は、これを考えるのは国の責務だと思います。

 現在、そこのところに絞った議論というのは、ほとんど国でもなされていないというふうに認識しています。在宅医療にする、緩和ケア病棟を設ける、こういった議論は、当然、されています。しかし、本当にどっちがいいのか、どういう方向性に小児緩和ケアを持っていくのか、この議論が私はまだまだ少ないと思います。

 ここの二枚の資料は、この一枚目の「広がる子どもホスピス」というのは、緩和ケア病棟でお亡くなりになった方。そして、ホスピス、いわゆる今はレスパイトケアというものですね、親子が一緒になって休息をとれるホスピス、休息の場という意味でレスパイトというもの、在宅医療。この二つの形がメーンだと思うんですが、イギリスでは、ほとんどがこのレスパイト、在宅医療。子供さんが亡くなられる方の七割から八割は、このレスパイトケアでお亡くなりになっている。

 このレスパイトケアを確立するためには、物すごくお金がかかります。実際、イギリスはどれぐらいお金を使っているかというと、二〇〇七年、障害児のレスパイトに対して八百億円、子供のホスピスへは百億円、お金を使っています。なぜなら、彼らの哲学として、チルドレンファーストという哲学があるわけですね。何でも、いいものはまず子供からだということなんです。

 私は、もっともだなと思います。日本も、在宅医療を進める、緩和医療を充実させる、そういう方針があるのであれば、このチルドレンファースト、これをぜひ、この小児の在宅医療、緩和医療にも全面的に押し出してほしいんです。

 実際に、いろいろな問題はあります。まだまだ日本は、一般の医療、介護でさえ在宅医療ではなかなか回っていかない。私もそうですが、ここにいる我が党の中島先生もずっと在宅医療をされておりますが、何といったって人が足らないんです。スタッフが足らないんです。

 医者が足らないだけじゃなくて、看護師さんが足らない。これがやはり大きいんですよ、在宅医療をする場合は。特に、熟練した、ナースプラクティショナーですね。現場は実際、熟練したナースが回すことが多いんです。こういった人も足らないような状況、そして、お金も物すごくかかる、これが今の在宅医療なんです。

 政府は、一・七億円、子供の在宅医療を支援するということで予算を組んだようですけれども、実際に一・七億円で何ができるのかなというふうに思います。そして、何よりも、これは責任を持って国が、この領域、小児の在宅医療、小児の緩和医療、これはどの医療にも優先して取り組むんだ、チルドレンファースト、この哲学をぜひ日本も取り入れてほしいんです。

 どのようにこの小児在宅医療、そして緩和医療を取り組んでいくのか、見解をお願いします。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 緩和ケアについての御質問でございましたが、議員の御指摘の中にもありましたように、これまでは、緩和ケアといいましても、がん患者一般についてということで、小児がんの方に特化したという対策がなかなか十分ではなかったというのは事実かと思います。

 こうした中で、平成二十四年度に、全国に十五の小児がん拠点病院を中心といたしまして、適切な治療が受けられるよう、この小児がん拠点病院とともに、地域の医療機関等との役割分担と連携を進めているところでございます。

 また、がん一般の緩和ケアもそうですけれども、小児のがん診療にかかわる医師に特化しまして、緩和ケアについての基本的な知識を習得していただくということで、平成二十四年度から、小児がん診療にかかわる医師に対する緩和ケア研修事業というのを開催いたしまして、東京のみならず大阪、福岡などでも開催しまして、既に百名を超える方に受講していただいております。

 また、こうした拠点病院やあるいは研修事業のみならず、これを支えるような診療報酬上の対応もなされておりまして、がんの緩和ケア管理料等に伴います小児加算の新設を初めとしました小児加算の充実というようなことで、一体となって進めております。

 いずれにしましても、こういった取り組みの中で、小児がんの患者さんとその家族の御希望に沿うような形で緩和ケアを一層充実するよう、取り組んでまいりたいと考えております。

柏倉委員 小児がんだけじゃなくて、実際は、お亡くなりになる方の比率としては、中枢神経系の慢性疾患でお亡くなりになる方の方が多いわけなんです。

 ただ、親よりも先に死んでいく子供、こういう逆縁という特殊な状況下にある家庭を、最後まで濃密な家族関係を保てる、こういった環境を提供するのは、やはり国の私は責務だと思います。ぜひ、チルドレンファースト、これを国是として、医療に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、介護保険について質問させていただきます。

 介護保険が二〇〇〇年に創立されて以来、現在、第一号被保険者数は二千九百八十六万人、要介護、要支援認定者数五百三十三万人、十三年間で二・四倍に伸びました。サービス利用者は四百十四万人、特に在宅サービスの利用者は、九十七万人から現在三百二十八万人、三・三八倍にもなっております。

 介護が今後の社会保障制度改革の鍵になることは明らかであります。しかし、介護の社会化を叫び、大変な苦労や努力で、関係者たちの力でここまでつくってきた制度を、単なる財政的な視点から伸びを抑制せよと攻撃するのは、余りにも安易であります。老老介護や介護離職、あるいは、新入職者と同じくらい離職者が出ると言われる労働条件など、直面する課題と向き合い、充実、安心の介護へと向かうべきだと思っております。

 そこで、まず大臣に伺いますが、プログラム法案第五条に、「個人の主体的な介護予防等への取組を奨励する」とありますけれども、この「主体的な介護予防等への取組」、この意味はどういうことでしょうか。

田村国務大臣 介護予防という意味では、高齢者の方々が積極的に社会に参加をいただくということ自体が、介護を予防していくという意味合いがあるというふうな意味を持っておるわけであります。

 市が中心になって、例えば、高齢者の方々を対象に、介護サポーターの養成でありますとか活動拠点の整備、こういうことをやっていく中において、介護予防教室でありますとか、また集いの場、こういうものをつくり出している地域もあるわけでありまして、そういうような形で、高齢者の方々が主体的に参加されていく。

 また、一方で、元気な高齢者が、支えを求められているそういう高齢者をしっかりとお手伝いしていく、そういう中において、今度は、そういう方々を支えている高齢者の方々が、実は介護予防にもなるという意味合いもあるわけであります。

 地域によっては、そのような活動の中で、ポイント等をつけまして介護保険の中で運用されているところもありますし、また、地域通貨などを利用して、そういうようなものに対しての一定の評価等々をやっているところもあります。

 やはり、家にふさぎ込まないといいますか、そうではなくて、社会の中で役割を担っていただきながら参加をいただく、そういうことも、積極的に高齢者の方々が介護予防をやっていただく、主体的な介護予防という意味合いとして、このようなものを念頭に置いております。

高橋(千)委員 今大臣がおっしゃったように、主体的に個人が社会参加にかかわっていく、あるいは、それを通してみずからが介護を支える側になる、悪いことじゃないと思います。そういう社会は結構だと思います。

 ただ、今問題になっているのは、主体的ではなくて、介護が必要だとして介護の世界で給付を受けていた方たちが外に出されるという問題なわけですから、その主体的という言葉で済ませられる問題じゃないだろうということで、どういうお考えかなというのを聞かせていただきました。

 要するに、別な世界ですよね。主体的な世界と、サービスで、介護の世界で担保されているものが、主体的でしょうという話に移されていくというのが今問題になっているわけですから。具体の話に入りましょう。

 大臣も、介護保険が誕生する前、平成九年四月二日、厚生委員会で小泉厚労大臣に対して質問をしていらっしゃいますよね。保険料を払うと、当然、給付に対する期待は深まるけれども、サービス自体が充実されていないと制度自体が成り立たなくなるということを大臣自身が指摘されていらっしゃる。まさに、私たちがよく、保険あって介護なしと言っていることを懸念されていたのではないか。そういう事態が起こるのではないかということで、質問させていただきます。

 そこで、今回、二〇一五年から三年間で、要支援一、二の被保険者が新総合事業、地域支援事業に移されることになるわけです。

 そこで、現在、介護予防給付を受けている被保険者は何人で、介護予防・日常生活支援総合事業、つまり、今やっている事業を実施している自治体数、そして、それを受けている要支援認定者は幾らでしょうか。

原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十四年介護給付費実態調査によりますと、平成二十四年四月から平成二十五年三月までの一年間に、介護予防サービスの給付を受けた要支援一、二の被保険者は約百三十四万二千人でございます。

 また、平成二十四年度から導入いたしました介護予防・日常生活支援総合事業は、市町村の選択により実施可能としておりますけれども、実施保険者数は、平成二十四年度二十七保険者、平成二十五年度四十四保険者、これは実施予定も含んでおりますけれども、四十四保険者となっております。

 また、介護予防・日常生活支援総合事業の対象となった要支援認定者の数でございますが、平成二十四年十一月末時点の状況を保険者から報告されたものによれば、六百七十七人でございます。

高橋(千)委員 まさに、自治体が、保険者がこれは選択できる、今説明されたとおりであります。なので、実施しているところは、まだ二十七保険者であったと。今後、四十四とおっしゃったと思うんですけれども、利用されている方は六百七十七人しかいない。

 ですから、これから、介護保険の中の予防給付から外に出る予定の百三十四万二千人の方がいらっしゃるのに対して、受け皿はまだそういう状態だということをまず一つ大きな認識をしなければならないかと思うんですね。

 それで、資料の一枚目に、財政の図を描いておきました。現行が、「介護給付(要介護者)」「予防給付(要支援者)」、そして「地域支援事業」、それぞれの予算と、見直し後はこうなっていくということで、スキームとしては、介護保険から出ていたお金が新しい地域支援事業の中にそのまま移るわけだから、同じだということを言っていたわけですよね。

 でも、この点については、もうこの間の委員会でも議論をされているように、伸び率管理、いわゆる給付費の伸びは五・五から六%程度なのに対して、後期高齢者の伸び、三から四%程度に合わせるんだということで、上限をかけるということが三十日の社保審の介護保険部会に出されて、これは、これまで言ってきたことと全然違うじゃないかという指摘がされております。

 それと、二枚目を見ますと、現行のサービスと見直し後のサービスという比較があるわけですよね。

 現行のサービス、訪問介護、通所介護、訪問看護、訪問リハ、通所リハ云々というのが右に移っていく。ただし、右の方は、多様な担い手による生活支援などもあるということなんですけれども、こう見ると、今もメニューは基本的に同じで、それに多様な人が入るだけなんだというふうに見えるんです。

 ここの、点線から下の、訪問看護、訪問リハ、通所リハ云々、このサービスを今移したとして、現行で既にやっているところはありますか。

原(勝)政府参考人 御質問でございますけれども、現在の介護予防・日常生活支援総合事業では、市町村の選択によりまして、介護予防給付と同じ種類のサービスを事業で行うことができる、すなわち、議員御指摘の二枚目の資料の下の方の部分も選択可能ということでございます。

 平成二十四年度事業実績報告によれば、一部の保険者は、上の方の訪問介護と通所介護のほかに、要支援者に対して介護予防給付と同様のサービスの一部を事業の中で実施していることが報告されております。

高橋(千)委員 答え方というのは本当に工夫するものだなと思ったんですけれども、一部の保険者は上の方はやっていますと言ったので、下の方はやっていないという意味なんですね。

 つまり、予防給付の中でやられている大きなメーンのメニューが、現実にやっているところが今ないということなんですよね。そして、そもそも、総合事業をやっている事業者が本当に少ない。保険者がまだ二十七だというお話がありました。そういうところから今出発するんです。

 そういう中で、大臣がこれまで何度も答えている、必要に応じてサービスが受けられるという答弁はどう担保されるのでしょうか、大臣。

田村国務大臣 今委員がおっしゃられました介護予防・日常生活支援総合事業でありますけれども、平成二十四年度からスタートして、その中で、通所介護でありますとか訪問介護等々を中心にサービスを提供いただく、これは保険者が選択をする仕組みになっているわけですね。

 今般、予防給付から介護予防・日常生活支援総合事業の方に各保険者全て移っていただくということになるわけでありますね、予防給付の部分に関しては。

 そのときに、今ある予防給付のメニュー、これはもうそのまま全て移していただくということでございますから、今あるものは新しい総合事業の方に移るわけでございますので、今サービスを受けている方々はサービスを担保できるわけでありますから、そのような意味では、ちゃんとマネジメント、これはケアマネジメントをやらなきゃいけませんけれども、適切なケアマネジメントにおいてメニューを受けていただくということになろうというふうに考えております。

高橋(千)委員 そうすると、これはすごい矛盾するんですよ。同じことをやってくれと、それを義務づけるわけでしょう。だけれども、利用料とかは自治体で決めてもいい、しかもキャップはかかるから予算は減っていく。

 そういう中で、やはりそれは自治体だって困るのは当たり前じゃないですか。伸び率は抑えてくれ、しかし同じものをやってくれ、だったら今までの世界でやればよかった、それだけなんですよ。

 三枚目を見ていただきたいと思うんですけれども、移行のイメージというのがあって、これを見ると、サービス量はすごいふえるというイメージになるわけですよね。それで、「段階的な移行」があって、「新しい総合事業」に移ると、サービス量がうんと飛躍的にふえる。

 それで、どういうことがあるかといいますと、利用者が多様なサービスを利便性に合った形で選べる。食器洗い、洗濯物取り入れ、ごみ出しなど、単独では組みづらかったものも利用可能ですよと。あるいは、上の方は、外出支援、寝具類の洗濯乾燥とか、これはわざわざ書いていますが、過去一般財源化された事業も受けられますよなどということを書いている。見守りとか書いているんです。

 これは、いろいろなメニューがあります、確かに選べるのかもしれません。そうすると、これは、一人の利用者に対して、いろいろな事業者が、入れかわり立ちかわり、それぞれの担当です、事業者だったり、ボランティアだったり、そういう形に細切れでサービスがやられるということになるのでしょうか。そして、細切れでいろいろな人が来るということを足し上げていくと、当然、負担がふえることになると思いますけれども、その利用料の考え方はどのようになるんでしょうか。

原(勝)政府参考人 予防給付の見直しに当たりましては、高齢者の多様なニーズに応えるために、市町村が中心となって、住民自身が運営する体操の集いの地域展開など、地域で多様なサービスが提供されるような地域づくりを推進していきたいと考えております。

 この取り組みにより、利用者が選択できるサービスが多様化するとともに、それらの多様な主体によるサービスの中から、市町村の地域包括支援センターによるケアマネジメントに基づきまして、それぞれの高齢者にふさわしいサービスがきめ細かく提供されることになると考えております。

 また、負担の問題でございますけれども、地域で提供される多様なサービスの内容に応じてサービス単価を設定することが重要であると考えております。例えば、専門職が必要なサービスを行う場合には、専門職の人員配置を前提とした適切な単価を設定することが適当でありますし、国としてもガイドラインの策定などを通じて支援することを検討しております。

 また、生活支援のニーズへの対応においては、元気な高齢者が支援を必要とする高齢者を支える地域づくりが重要と考えておりまして、専門職によるサービスとともに、住民主体のサービスをふやしていくことで、重層的な生活支援サービスの提供体制を実現できると考えております。

 議員お尋ねの利用者負担の問題でございますけれども、地域で多様なサービスが提供されるため、そのサービスの内容に応じた市町村による利用料の設定を可能とする方向で検討していきたいと考えております。

 あわせまして、予防給付の事業者が地域支援事業に移行した場合のサービスの利用料につきましては、介護給付の利用者負担割合、現在一割負担ということでございますけれども、そういったことも勘案しながら、市町村が設定する仕組みを検討していきたいと考えております。

高橋(千)委員 ちゃんと言ってください。今、一割負担を勘案しながらと言いましたけれども、一割負担より安ければだめなんでしょう。

原(勝)政府参考人 私どもとしては、要介護度が重い、重度な要介護一から五の方が一割負担ということでございますので、そのバランスを考えますと、やはり、軽度な方については、そうした介護給付における利用者負担割合を下回らないようにすることが必要ではないかと考えております。

高橋(千)委員 そういうことなんですよ。そこだけ平仄を合わせるということで、一割負担よりも下がってはならない。ただし、上限は、ここでの利用料についての上限はないわけですよ、保険じゃないわけですから。

 だから、多様なサービスを受けられますよ、選べますよ、メニューはいっぱいあるけれども、定率じゃありませんので、これはどれだけになるかわからないということになる、そういうことではないでしょうか。そこは明確にお答えにならなかったけれども、そういう意味だと思います。

 そこで、小さい自治体などでは、やはり新しい地域支援事業の担い手となるNPO、多様な担い手といったって、実際にはなかったりするわけですよね。そうなると、介護保険を今やっている事業者が、同じ人がやることになることもあるわけですよね。

 そうしたら、同じ事業者が担い手なのに、結局、こっちの世界に来ると、利用料を下げてくれ、負担を下げてくれ、要するに人件費を下げてくれ、そういうことになっては大変なことだと思いますが、いかがですか。

原(勝)政府参考人 予防給付の見直しに当たりましては、繰り返しでございますが、高齢者の多様なニーズに応えるために、市町村が中心となって、地域で多様なサービスが提供されるように取り組みを推進することが大変重要ではないかと考えております。

 したがいまして、今御指摘のように、地域にNPOなどの活動がなくて、既存の介護事業者しかいないような、例えば小規模な市町村、そういう場合には、市町村は既存の介護事業者にお願いをするということにそれはなるのではないかと思いますが、既存の介護事業者であっても、市町村のケアマネジメントに基づき、要支援者の状態像に合った多様なサービスの提供にぜひ努めていただきたい。

 もちろん、中には、そういう専門職がきちんと介入したようなサービスというものを当然提供しなきゃいけないという判断があれば、従来に相当するようなものが提供されても、それはあってもいいと思いますけれども、それはあくまでもそのケアマネジメントに基づいて、状態像に応じたサービスの提供ということが大事じゃないかと考えている次第でございます。

 なお、規模の小さい自治体ではそういった互助の取り組みがないんじゃないかというようなことかもしれませんが、例えば、鹿児島県の人口約一千六百人の離島の村においては、行政と連携をとりながら、住民が主体となった活動による介護予防と生活支援の取り組みを推進しているような事例もございますので、そういった取り組みに対して、私どもとしてもしっかりと支援をしていきたいと考えております。

高橋(千)委員 それは逆に言うと、無理やりそうやって互助会みたいなものをつくるなんて話になっちゃって、せっかく今まで苦労して支えてきた事業所が潰れかかっているんですよ、そのことによって。こんなおかしな話はないじゃないですか。

 あるヘルパーの方がこう言っています。低賃金の上、交通費は支給されず、トイレは公衆トイレを使い、食事も公園や車の中です、それでも歯を食いしばってやっていたのに、制度改正で、サービスの利用時間が六十分から四十五分へ短縮され、収入も仕事も減り、半分近くがやめてしまった。これが実態ですよ。ヘルパーさん、みんなそういう思いをしているじゃないですか。制度のおかげで、どんどん切り詰められて、細切れにされて、頑張って支えてきた人たちが失われているんですよ。

 今度の要支援外しは、まさに、サービスを必要としている人たちを追い詰めるだけではなくて、支え手まで奪う悪循環になってしまうではありませんか。大臣、いかがですか。

田村国務大臣 これは、まず、今、要支援者の方々は介護保険の中での事業を受けていただいておられて、それは事業所の方々がやっておられる。そこは全国一定の、画一的なサービスが多いわけですね。そういうものを受け、ほかにもっと求めている方々もおられるわけですね。それは地域性もあるでしょうし、いろいろな状態の方もおられる。そういうものをひとつ提供していくということがあります。

 そうすれば、今の事業者の方々がはじき出されるじゃないかというような今御意見だったというふうに思いますが、このままでいったら、介護保険本体の方でも介護職員が足らなくなってくるんですよ。それはもう御承知のとおりだと思います。全然足らないですよ。

 しかも、要支援のところも、今から団塊の世代が要支援に押し寄せてくるんですよ。これは今の事業者だけじゃ対応できませんよ。ですから、やはり多様なサービス主体というものをつくっていかなきゃならない。介護、パンクしますから。

 そういうこともあって、今回、もちろん、それで質が落ちたりなんかしちゃいけませんから、十分に配慮しなきゃいけませんけれども、こういう提案をさせていただいているんです。

 むしろ、そういう方々、専門職の方々は、いろいろなニーズというのがこれからありますから、そちらの方で、より重い方々のサービス提供をしていただいた方が私はいいのではないかというふうに思います。

高橋(千)委員 ですから、最初に言ったように、高齢者の社会参加を目指すために、いろいろな取り組み、多様な担い手、それは否定はしません。でも、それで置きかえてはならないんです。

 さっき、ちょっと、介護がこれからどんどんふえるから大変だとお話しされました。それは十分わかっていますよ。だけれども、頑張って支え手になってきた人たちがどんどんやめていく中で、それは支えられないじゃないですか、これからふえていく介護だって。だからこそ、今、頑張っている人たちの正当な報酬というんですか待遇改善ということもセットでやっていかなければ、安上がりの労働力でいいんだという思想ではだめなんだということを言っているわけです。

 それで、ここはちょっと言い切りにしますけれども、北海道の民医連の調査の中で、要支援の方二百六十九人に調査をして、ひとり暮らしが百六十六人とか、老老介護が五十人、そして九九%、ほとんどの方が何らかの疾病を持っていて、療養支援が必要だというんですね。がん末期が八人、認知症が七割です。

 つまり、要支援という言葉は、軽度者、軽い人ではないんです。介護が必要ない人とイメージを植えつけてはならないんですね。特に、知的、精神、内部疾患、そういうものを抱えている高齢の障害者の皆さんが、なかなか、認定では軽く出ちゃう、そういう問題があるわけですよね。

 だから、本当であれば、要支援でないとちゃんとしなければならない、そこも解決しなければならないし、ひとり暮らしの老人や老老介護とか、そういういわゆる社会的弱者、そういう中での要支援という問題が今起きてきているんだということを提起されていらっしゃるんですね。私、ここは本当に受けとめていただきたい。ここは、きょうは問題提起にします、次の質問がどうしてもしたいわけですので、指摘をしたいと思います。

 そこで、障害のある高齢者について、介護保険の優先原則、これが大きな壁になっております。

 総合支援法第七条の優先原則は廃止すべきだと思います。これは、障がい者制度改革推進会議の総合福祉部会でも意見が出されて、骨格提言にも反映されています。また、本当であれば、障害者総合支援法の法案審査の段階でも意見があった、民主党さんに質問したいくらいですけれども、あったわけです。

 そこで、改めて聞きます。

 なぜ六十五歳になったら同じサービスが受けられなくなるのか、なぜ介護の世界になって負担もふえるのか、おかしくないでしょうか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者総合支援法と介護保険法の適用関係についてでございますけれども、障害者につきましては、他の障害者でない方と同様に、四十歳以上になりますれば介護保険料を支払っていただくということになっております。

 一方で、サービスの利用に当たりましては、現在の社会保障制度の原則であります保険優先原則という考え方のもとで、介護保険のサービスによりまして障害者サービスと同等のサービスを受けられるような場合については、まずは介護保険制度に基づくサービスを利用していただくということになっているわけでございます。

 ただし、介護保険サービスに相当するものがないような、障害福祉サービス固有のサービスと認められるもの、こうしたものにつきましては障害者総合支援法に基づくサービスを受けることができますし、また、市町村が適当と認める支給量が介護保険サービスのみによっては確保をすることができない場合、こうした場合についても障害者総合支援法に基づくサービスを受けることができる、こういうことになっているわけでございます。

 こうしたことから、六十五歳になるまでに受けていたサービスが受けられなくなるということはなく、市町村において個々の障害者の状況に応じた必要なサービスが提供されるものというふうに考えております。

 また、介護保険法に基づきますサービスに係る利用者負担につきましては、高額介護サービス費や特定入所者介護サービス費等によりまして所得に応じた負担限度額を設けるなど、低所得者への配慮を行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、介護保険優先原則につきましては、障害者とそれ以外の方々との公平性、あるいは給付に係ります財源のあり方等を含めまして、総合的かつ慎重な議論が必要であるというふうに認識をいたしております。

高橋(千)委員 今いろいろ説明をいただいて、通知を何回か出していて、それで優先原則は変わらないんです。これは変わらない。だけれども、介護にはないサービスなどであれば、それは障害の世界で受けられるよということを言ってきた。だけれども、現実にはいろいろな問題が起こっているわけですね。

 岡山市の肢体障害者である浅田達雄さん、九月十九日に提訴に踏み切ったわけですが、ひとり暮らしで一日八時間の重度訪問介護を受けておりました。これは、身体、家事、見守りなどのセットでいろいろなサービスを受けていて、住民税は非課税なので利用料は無料だったんですね。

 ところが、六十五歳になるに当たって、介護が必要なんだよと言われて、しかし、一割負担だと今受けているサービスをもし受けるとしたら自己負担は十万くらいかかるよと言われて、実際そうなんじゃないですよ、大臣、言われて大変不安になって、とてもこれ以上は負担はできないということで、介護認定を受けなかったんですね。そうしたら、認定を受けないから優先原則を破ったということで、福祉サービスを打ち切られました。

 まず、これが間違いですよね。そもそも、説明をしないでいきなり打ち切られた。そもそも、介護の世界ではないサービスをたくさん受けていたにもかかわらず、とにかく、認定を受けなかったから優先原則を果たせないということで打ち切られたわけであります。今、やむなく介護認定を受けて、月一万五千円の自己負担になっております。

 ただ、この間、この浅田さんが、サービスを数カ月受けられなかったわけなんです。それで、行政に不服審査をしているわけなんですが、その間に、支援の方たちが数十万円カンパを集めたりして、支えてくれたんですね。だって、そうしなかったら生きていけないわけですもの、重度肢体不自由者だったわけですから。

 それをもってですよ、それをもって、これはぜひ聞いていただきたいんです、大臣。岡山市が弁明書を、こんなことを書いています。本件決定は、憲法二十五条に違反しない。審査請求人は、現在、支援者からの援助のほか、献身的なボランティアによって当面の自立生活を送ることはできているところなので、本市は、本件決定時において、支援者から援助がやられているので、生存権を侵害しておらず、憲法二十五条に違反しない、こう言ったんですよ。

 市は何もしていないんですよ。やむにやまれず助けている人たちを見て、いや、別に生存権は侵害していないでしょうと。こういうことはあってはいけませんよね。ボランティアで支えているからと、まるで先取りみたいなことを言っているわけですけれども、それでは違うと思うんです。

 これは個別案件だから答えられませんと言うと思うんですね。だから、私は、岡山市についてどうこう言えとは言っていません。こういう機械的な対応が絶対あってはならないし、まして、ボランティアだからいいんだなんということがあってはならないので、間違いのない対応を絶対していただきたいと思うんですが、大臣に一言お願いします。

田村国務大臣 今の事例は、私、ちょっとわからないんですけれども、重度で身体障害で、普通でいくと介護で代替できるようなサービスなのかどうなのかというのは、ちょっと私は疑問な点が多いので、またそういうようなことがないように、我々としてはしっかりと周知徹底していかなきゃならぬと思います。

 また、具体的な内容がわかれば、教えていただければ、こちらの方でまた判断させていただきたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。ぜひお願いします。

 終わります。

後藤委員長 次回は、来る十二日火曜日午前八時四十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十八分散会


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