衆議院

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第8号 平成25年11月20日(水曜日)

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平成二十五年十一月二十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    安藤  裕君

      石川 昭政君    石崎  徹君

      今枝宗一郎君    岩田 和親君

      小田原 潔君    大串 正樹君

      金子 恵美君    小松  裕君

      古賀  篤君    今野 智博君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田野瀬太道君

      田畑 裕明君    高鳥 修一君

      高橋ひなこ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    永山 文雄君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      牧島かれん君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      山下 貴司君    大西 健介君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      新原 秀人君    宮沢 隆仁君

      輿水 恵一君    桝屋 敬悟君

      柏倉 祐司君    中島 克仁君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   財務副大臣        愛知 治郎君

   文部科学副大臣      櫻田 義孝君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   総務大臣政務官      藤川 政人君

   法務大臣政務官      平口  洋君

   文部科学大臣政務官    上野 通子君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局長代理)      富屋誠一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 柳  秀直君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山脇 良雄君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐藤 敏信君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            今別府敏雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            中野 雅之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 内田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          杉浦 信平君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    蒲原 基道君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 鈴木 康裕君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  大久保三代君     岩田 和親君

  金子 恵美君     石崎  徹君

  白須賀貴樹君     田野瀬太道君

  新谷 正義君     石川 昭政君

  中川 俊直君     安藤  裕君

  堀内 詔子君     小田原 潔君

  重徳 和彦君     宮沢 隆仁君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     中川 俊直君

  石川 昭政君     新谷 正義君

  石崎  徹君     金子 恵美君

  岩田 和親君     大久保三代君

  小田原 潔君     堀内 詔子君

  田野瀬太道君     今野 智博君

  宮沢 隆仁君     重徳 和彦君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     牧島かれん君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     白須賀貴樹君

    ―――――――――――――

十一月二十日

 薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域活性化統合事務局長代理富屋誠一郎君、外務省大臣官房審議官柳秀直君、文部科学省大臣官房審議官山脇良雄君、厚生労働省医政局長原徳壽君、健康局長佐藤敏信君、医薬食品局長今別府敏雄君、労働基準局長中野雅之君、職業安定局高齢・障害者雇用対策部長内田俊彦君、職業能力開発局長杉浦信平君、社会・援護局障害保健福祉部長蒲原基道君、老健局長原勝則君、保険局長木倉敬之君、防衛省大臣官房衛生監鈴木康裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。

 田村大臣初め、お疲れのところ、よろしくお願いをいたします。

 まず、製薬業界からお医者さんや医療機関に巨額の資金が提供されているという問題でございますが、配付資料の九ページをごらんいただきますと、これは読売新聞に先日出た記事でございますけれども、「製薬業界、国上回る支援」、年間四千七百億円提供されているというようなものでございます。

 これは御存じのとおり、日本製薬工業協会というところ、大体、製薬企業七十社ぐらいが加盟されているんですが、ここが自主的に、二〇一二年度の分から、医師や医療機関に提供された資金の総額を公表しようというようなことで取りまとめたものでございまして、例えば十一ページ、これは週刊ダイヤモンドが集計をそれぞれ会社ごとにしておりますけれども、一位が武田薬品工業で、年間四百億円も提供していると。

 私の方でも計算をしてみました。一ページでございますけれども、この製薬協の加盟のところ、ホームページ等に公表が出ておりますので、それぞれ足し算をいたしますと、これは、十一月、今月の十八日現在まで、できる限り調べたものでございますけれども、例えば研究費開発費等というものが二千四百億円提供されている。そして、学術研究助成費が五百三十億円提供されている。そして、原稿執筆料等というのが年間二百六十億円。そして、その他の費用、これは接遇費、接待費等なんですけれども、これが年間百十億円もある。非常に気前のいいというか景気のいいものでございますけれども、まず、これについて、二ページ目に、それぞれA、B、C、D、Eと、製薬協が公表の費目を分けたガイドラインをつくっております。

 田村大臣にちょっと、初めにまず二点お伺いしたいんですが、この四千七百億円という数字についての感想と、あと、この二ページ目の分類について、もし大臣の説明をいただければありがたいんですが。

田村国務大臣 四千七百億円ですか、それをどう評価するかでありますけれども、必要であるものならば、それはそれで、研究開発等々、新薬に向かって意味のある、それからどれだけの富を生んでいくかという話でありますから、必要であるならば、それはそれで、その金額というのは一定の評価をする金額なんだと思いますが、具体的にその中身をどうだという話は、私もちょっと理解いたしておりませんので。

 内訳と言いましたか、通告いただきましたか。(長妻委員「二ページ」と呼ぶ)これは、いついただきましたか。(長妻委員「控室に通告しました」と呼ぶ)いつ。(長妻委員「きのう」と呼ぶ)きのう通告いただきましたか。

 けさいただいたということなので、私が確認していませんでした。済みません。これの内訳ですね。

 まず、研究開発費とは、これはAのところですね、医療機関等に対して新薬の開発にかかわる臨床試験や製造販売後調査等を委託する際に発生する経費や、大学等アカデミアとの共同研究にかかわる経費等のことである。

 B、学術研究助成費とは、奨学寄附金、一般寄附金、学会寄附金、学会共催費がある。奨学寄附金に関しましては、学術研究の振興及び研究助成を目的として行われる寄附金のうち、大学を初めとする研究機関に対する教育、研究等の奨学を目的とした寄附金。一般寄附金。大学等の周年事業への寄附金、医療機関等の災害への寄附金、医療用医薬品や原末の無償提供を含む物品寄附など、奨学寄附金、学会寄附金に該当しない寄附金。次に、学会寄附金。医学、薬学の学術研究の振興を目的に、学会等の会合開催を初めとする活動費用の支援を目的とした寄附金。次に、学会共催費。医学、薬学の学術研究の振興を目的に、医学会等の会合を学会と共催する際の費用。

 次に、C、原稿執筆料等とは、医学、薬学に関する情報等を提供するための講演や原稿執筆、コンサルティング業務の依頼に対する費用等のことである。

 次に、D、情報提供関連費とは、医療関係者に対する医学、薬学に関する情報等を提供するための講演会、説明会等の費用である。

 E、その他費用には、社会的儀礼行為としての接遇等の費用として、食事、ギフト、ギフトとは中元、歳暮等ですね、葬儀における香典や供花等が含まれる。これらの活動は、医薬品の取引に不当な影響を与えることがないよう、医療用医薬品製造販売業公正競争規約にのっとって適正な範囲内で実施されているということであります。

長妻委員 これは初めてこういうものが出たということなんですけれども、いろいろ問題があると思いますが、まず一つは、やはり準公務員も含めた公的な病院等に対する資金提供のルールというのが非常に曖昧なんじゃないかという問題意識を持っておりまして、きょうは総務省と文科省も来ていただいていますので、例えば総務省について、今、田村大臣からおっしゃっていただいたそれぞれの費用について、量的制限というのは設けられているのか、そして報告義務というのはあるかどうか、総務省ですから自治体の病院等だと思いますけれども、お答えをいただければと思います。

藤川大臣政務官 それでは、お答えいたします。

 製薬業界及び関連企業からの資金提供の規制については、自治体病院全体の全般の状況は総務省として把握しておりません。

 しかし、日本でも、自治体病院、特に県立病院を多く有する岩手県、これは二十の病院を有しておりますが、岩手県医療局に問い合わせをしたところ、例えば、治験等の受託に関して要領を設け、経費の基準や医療局長への協議等について定めており、適正な取り扱いに努めていると聞いているところでございます。

 以上です。

長妻委員 そうしたら、文科省もお越しいただいていますので、国立大学病院についてはいかがでありますか。

櫻田副大臣 一般に、病院を設置する大学がみずからの社会的信頼を保持していくに当たりましては、企業等からの資金提供の状況において透明性を高めるということについて、大学における利益相反マネジメントとして極めて重要であるという認識をしているところであります。

 企業等からの資金については、量的制限や報告義務に関して国が一律に規制をするのではなくて、各大学においてそれぞれの実態を踏まえて、利益相反ポリシーや倫理規則を定める等により、適切にマネジメントを行うこととしております。

 これまで、文部科学省としては、平成十四年、科学技術・学術審議会で取りまとめられました利益相反に関する報告書を踏まえまして、モデル事業等により、各大学における利益相反マネジメントシステムの整備を促してきたところでございます。引き続き、各大学においては適切な利益相反マネジメントが行われるよう、大学関係者が集まる会議を通じて指導してまいりたいと思っているところでございます。

 病院を設置する国立大学については、利益相反に関するポリシーというものが整備されており、そのポリシーに従って、各大学でマネジメントが行われていると認識しているところでございます。また、引き続き、大学において適切な利益相反マネジメントが行われるよう、大学関係者が集まる会議等を通じて指導してまいりたいと考えているところでございます。

長妻委員 これは余り把握されていないというような、ちょっとよくわからない答弁だったんですが。これは事前通告していますので。

 例えば東京大学の病院については、この接待費等、その他費用の接遇費等については、量的制限とかは今どうなっておりますか。

櫻田副大臣 東京大学の例でございますけれども、原稿執筆料とかというものは制限はありませんし、倫理規程において贈与等の報告を行うことが義務づけられているところでございます。

 また、情報提供関連費ということで、倫理規程において利害関係者からの役務の提供は禁止されているところであり、倫理規程において贈与等の報告を行うことは義務づけております。

 その他費用、接待費等におきましては、倫理規程において利害関係者からの金品、物品の提供を禁止しているところであり、倫理規程において、これも贈与等の報告を行うことを義務づけしているところでございます。

長妻委員 そうすると、例えば東大病院であれば、接待について、利害関係者からは禁止だということでありますから、製薬メーカーの接待は一円も受けちゃいかぬ、こういうことになっているわけですね。

櫻田副大臣 それぞれの業界で定められておりますので、そのとおりやっていると思います。

長妻委員 そうすると、東京大学病院、東大のお医者さんは、製薬メーカーからのその他費用、接遇費等は一円も受けてはならない、こういうことで厳守されているということでよろしいんですね。

櫻田副大臣 接待等におきましては、倫理規程において利害関係者からの金品と物品の提供を禁止されております。(長妻委員「製薬メーカーは」と呼ぶ)

 製薬メーカーについても同様でございます。

長妻委員 そうすると、ちょっとしつこいようで恐縮なんですけれども、製薬メーカーからは、その他費用、接遇費等は、東大の先生方は一切受けていない、受けてはならない、こういうことで確認します。よろしいんですね。

櫻田副大臣 先ほども申したとおり、あくまでも利害関係者からの金品と物品等の提供は禁止されているということでございます。それは遵守されていると信じております。

長妻委員 そうすると、例えば、少なくとも製薬協に加盟している製薬会社は利害関係者、こういうふうに考えてよろしいんですね。

櫻田副大臣 そうだと思います。

長妻委員 ちょっと私が役所から聞いている話と若干違うんですけれども、本当にそれは間違いないという答弁ですよ、これは国会ですから。訂正はありませんね。今、確認いたしました。

 そして、厚労省については、五ページ目でありますけれども、五、六、七、八と、研究機関、あるいは六ページ目が国立病院、そして七ページ目が社会保険病院、八ページ目が労災病院ということで、あらかじめ資料をいただいておりますけれども、AとB、研究費開発費等、学術研究助成費については、これは、いただいています三ページ目の岩手県立病院、県の病院については量的制限はあるけれども、国立大学も含めて、ほかはない。そしてC、原稿執筆料については、社会保険病院は上限制限がない、労災病院はない、ほかは曖昧である。Eについては、接遇費等については、社会保険病院はない、ほかはあるかあるいは曖昧だ。こういうようなことになっているんです。

 これは、田村大臣、例えば具体的例でいいますと、社会保険病院については、接待は上限の制限がない、報告義務もない。これについては問題意識というのはありますか。

田村国務大臣 社会保険病院でありますけれども、独立行政法人が所有しておるわけでありますけれども、ただ、運営は別法人に委託しているわけですね。そういう意味からいたしますと、現在、量的制限や報告義務は存在しませんが、一方で、これは制度が変わるわけなので、来年の四月からは新しい独法の中で運営されていくということになります。そうなりますと、国家公務員の倫理規程も参考にしながら、倫理規程を定める予定であります。

長妻委員 ディオバンの例の不正論文問題は、これは奨学寄附金が一つ関係性があるんではないのかということも言われておりますし、あるいは、資料の十ページにあります、これは週刊ダイヤモンドの記事ですけれども、かつては、この奨学寄附金というのは医学部教授選の資金、裏金として活用された、そういうようなことをおっしゃっておられる記事もございますし、製薬会社が講座や研究者を指定して資金提供できるので医師に見返りが期待できるということも言われております。

 この接遇費や原稿執筆料等について、やはり、公務員、あるいは独法、あるいは国立大学等について、非常にばらばらというか、中央省庁も把握をしていないというような実態が今あると思っているんですけれども、これは櫻田副大臣にお伺いしますが、国立大学について、もうちょっと、ガイドラインをきちっとつくるとか、あるいは把握をするとか、何らかの改善をする必要はないんでございましょうか。

櫻田副大臣 当方としては、利益相反マネジメントシステムのあり方は、各大学の教育研究の取り組み、規模、地域性によって異なるものでありますので、各大学において適切に判断すべき事項であると心得ております。

長妻委員 これは、ディオバンについても、今いろいろ大学病院の調査をして、まだ出てきていない大学もあるわけでありまして、非常に大学任せのような発想でありますけれども、では、例えば、全国の国立大学の病院等で、接遇費が、東大は製薬メーカーからは一切禁止されている、こういうふうにおっしゃいましたけれども、ほかの大学はどんな状況なんですか。

櫻田副大臣 他の大学におきましては、接遇費が、量的制限等を含めまして、ある場合もあります。

長妻委員 ですから、それは把握されていないわけですよね、文科省として。

 ですから、こういうものについてちょっと網羅的にやらないと、今回の臨床研究の問題も、それの部分についても非常に不透明だということも言われておりますので、これはぜひ、田村大臣のリーダーシップで、大学病院とか、ほかの、総務省所管で病院もありますけれども、医療という面ではこれは厚生労働省でしょうから、それぞれの省庁を集めて何らかのガイドラインなり考え方なりを整理する、こういうようなお考えはないですか。ぜひお願いしたいんですが。

田村国務大臣 それぞれの監督省庁で、常識にのっとっていろいろと対応されておられることだというふうに思います。

 厚生労働省は、公務員型、非公務員型によってそれは違うわけでありまして、公務員型は、基本的に公務員に合わせたような対応に、特に原稿料でありますとか講演料はなっておるわけであります。もちろん、若干、時間、字数の単価は違います。それは、より専門性のある職種とそうじゃない職種でありますから。

 でありますから、そういうことを我々は、一応、一定の基準を持っておりますけれども、それぞれの省庁でしっかりとした対応をしていただけるものだというふうに思っております。

長妻委員 随分及び腰ではないかと思います。

 これは、櫻田副大臣にもう一回聞きますけれども、そうすると、国立大学病院で、お医者さんが製薬メーカーから、さっき上限のないところもあるとおっしゃったと思いますけれども、上限がないというのは、櫻田副大臣個人としては、それでいいと思われていますか。お役所じゃなくて。

櫻田副大臣 それぞれの立場で適切に対応させていただくということであって、一律に規制すべきものかどうかは、そこまでは問うべきではないというふうに私自身は個人的に思っております。

長妻委員 この問題については、また今後とも質問をさせていただきたいと思うんですけれども、接待について全く上限がないというような大学があるということでありますと、今回、ディオバンは舞台が大学ですからね、これは本当にいいのかどうか、こう思うわけでございまして、ぜひ、これらについても御検討をいただきたいと思うんですが、いかがですか。

櫻田副大臣 今後の課題として検討させていただきます。

長妻委員 そして、次に、年金の積立金の運用についてちょっとお尋ねをしたいんです。

 資料の十五ページでございますが、この十五ページについて、特に下のところ、ベンチャーキャピタル投資等について、この資料をちょっと説明いただきたいと思うんですが。

西村副大臣 十五ページの資料は、ちょっとどこの資料かはわからないんですが、御案内のとおり、GPIFを含む公的、準公的資金の運用のあり方については、現在、有識者会議を開いて検討をしておりまして、それで、この十五ページの「ポートフォリオ」と書いてある真ん中の四角のところは、これは、有識者会議が検討いただいている中で、ことしの九月に中間論点整理として公表させていただいた。そこに書いてあるとおり、「運用対象の多様化」ということで論点整理をしたものでありますけれども、下の資料は、どういう形で、どういうものなのか、お答えは控えさせていただきたいというふうに思います。

長妻委員 ちょっと不思議な答弁なんですが、これは私が役所からいただいた資料でありまして、十一月中に結論が出るというふうに聞いております。これは、年金の積立金の運用をどうするか、公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議というのがあって、そこで議論されているもので、ここに、十一月にまとまる最終報告についての、ある意味ではあらあらの目安が書いてあると思っております。

 両論併記じゃなくて、提言の形としてなったと。ベンチャーキャピタル投資も追加され、プライベートエクイティー投資、未公開株でしょう、コモディティー投資、商品先物でしょう、REIT、不動産投資、こういうものもやる、やるべきだ、こんなような記述なんですが、私は、コモディティーとかベンチャーキャピタルというのは、こんなのをやって大丈夫なのかと思うんですけれども、これはどういうことなんでしょうか、さっき、資料がわからないというのは。

西村副大臣 まず、簡単に経緯を申し上げますと、六月の十四日に日本再興戦略と言われる成長戦略を決定いたしまして、その中で、このように閣議決定をいたしております。公的、準公的資金について、それぞれの資金の規模とか性格を踏まえて、運用、つまり分散投資の促進とか、それからリスク管理体制等のガバナンス、それからリターン向上のための方策、こうした横断的な課題について、有識者会議で検討を進めて提言を得るということに六月時点で決定をいたしました。

 十月一日に、今度は再生本部で決定をした中身が、まさに今委員御指摘のあった、こうした資金の規模や性格を踏まえつつ、デフレからの脱却を見据えて、運用対象の多様化を含め分散投資の促進とか、ガバナンスの強化について検討を行い、本年十一月までに取りまとめを行うということでありますので、今その取りまとめの最終局面であることは事実でありますけれども、九月段階でこのような形で論点が整理されまして、これについて御議論をいただいているというところでございます。

 本日もその会議が開かれますけれども、まだ、最終的にどういう形になるか、議論をして、その結果どういうふうになるかということでありますので、今の段階ではお答えを差し控えたいと思います。

長妻委員 一応こういう目安はあるけれどもまだ確定していない、こんなような答弁だと思います。

 ちょっときょう、財務省にもお出ましいただいているので、国家公務員共済の積立金というのが七兆円、八兆円近くあると思うんですが、これは財務省も対象になっているんですよね。国家公務員の積立金を、コモディティー、商品先物とか、あるいはベンチャーキャピタルに投資をして運用しようと。これは私はかなりやり過ぎじゃないかと思うんですが、どうですか、財務省。

愛知副大臣 共済年金についてお尋ねがございました。

 御指摘のとおり、先ほど西村副大臣からも答弁があったんですけれども、平成二十五年九月二十六日に、公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議の中間論点整理が公表されまして、御指摘のとおり、運用対象の多様化として、新たな運用対象、REIT、不動産投資、インフラ投資、プライベートエクイティー投資、コモディティー投資などを追加することにより、運用対象の多様化を図り……(長妻委員「それはわかる、さっき聞きましたから」と呼ぶ)はい。

 この分散投資を進めるということは、運用の多様化を図り、一つはリスクを分散させること、また、より効率的な運用などを図る観点から議論をされていると承知しております。

 いずれにいたしましても、国家公務員共済については、法律上、余裕金の運用は安全かつ効率的にしなければならないとされていることを踏まえつつ、有識者会議の議論の推移を見守ってまいりたいと考えております。この有識者会議の提言がまとめられた際には、その提言を国家公務員共済に適用するに当たり、資金の規模、性格を踏まえた検討を行うことと考えております。

長妻委員 今のを簡単に言うと、コモディティーとか、今挙がったものは全てがちょっとまずいと私は思いますけれども、特にまずいベンチャーキャピタル、コモディティーについては後ろ向きということでよろしいんですね。

愛知副大臣 先ほどお答えしたとおりなんですけれども、法律上、余裕金の運用は安全かつ効率的にしなければならないとされておりますので、その点を踏まえて、しっかりと検討していくということでございます。

長妻委員 では、同じ質問を、地方公務員の共済を抱える総務省、どうぞ。

藤川大臣政務官 地方公務員共済年金についてお尋ねをいただきました。

 日本再興戦略では、公的、準公的資金の運用等のあり方について、有識者会議で検討し、委員おっしゃるとおり、秋まで、十一月末までにその提言を得ることとしております。

 有識者会議では、現在、各資金の規模や性格を踏まえ、提言に取りまとめると、議論が行われていると承知をしております。

 地方公務員共済組合においては、提言が取りまとめられた際には、資金の規模、性格を踏まえた検討を行うこととなると考えております。

 十七兆を超える資金を持っておりますので、しっかりとした運用に努めてまいりたいと思います。

長妻委員 では、それを一部でも認める可能性もあるということでよろしいんですね。

藤川大臣政務官 提言が取りまとめられた場合、国民の疑念を招くことなく、しっかり運用ができるように努めていくということでございます。

長妻委員 これは、藤川政務官自身のお考えというのはないんですか。

藤川大臣政務官 何度も申しますが、有識者会議での結論を待って、しっかりとした結論を出したいと思っております。

長妻委員 これは幾ら何でも、コモディティー投資とかベンチャーキャピタル投資というのは、私は、ベンチャーを否定していないですよ、ベンチャー振興はどんどんやれ、そういう持論ですけれども、何で人の年金で。投資のためにファンドでお金を、利殖しようというので預けているファンドであればいいんですよ、どんどんやっても。でも、保険料で払っているので、それで穴が出たらどうなるのか。結局、保険料とかいろいろなところで穴埋めになるわけですよね。

 実は、十六ページに、GPIFの理事長、きょうお呼びを要請したら、与党がだめだとなぜか反対をされたんですけれども、この三谷理事長も、こういうふうにおっしゃっているんですね。報道ですけれども、インタビューで、コモディティー(商品先物)への投資はリスクが物すごく高いとして慎重な姿勢を示した、こういうふうにおっしゃられております。

 既に、十一月末、今月末で、この十五ページにあるようなこういう報告書が取りまとめられる寸前の状況に今なっているところで、田村大臣として、これは百二十兆円ですからね、GPIFの年金積立金。国民年金、厚生年金の積立金ですから、これはちょっとだめよということをここで言っておかないと、決まっちゃいますよ。

田村国務大臣 GPIFにおいて、被保険者の方々の利益のために、安全かつ効率的に運用していただいておるわけであります。

 今ほど来お話がありました有識者会議で、いろいろな議論、これは、公的、準公的資金に関してどのように、これは運用面の視点からでありますから、分散投資というのはリスクをとるという意味でも意味があるわけでありまして、そういう意味で、しっかりとリスクを分散するという意味で、いろいろな御議論をいただいておるんだと思います。

 今までは、年金的に申し上げれば、非常に経済が低迷して、ある意味、名目賃金がマイナスというときもございました、物価もマイナス。そういうときであれば、低利であっても安定的な債券等々で運用していても、要は、四・一という年金の運用利回りの話がありましたが、しかし、名目賃金上昇率は二・五ですから、実質一・六。つまり、一・六ということを考えれば、名目賃金が仮にマイナスであれば、運用利回りが低くても、この一・六は稼げた。

 しかし、景気がよくなってくれば、低利の債券等々で運用するだけでは必要な運用利回りをなかなか稼げないわけでありますので、その意味からいたしますと、そこをどう考えるかというのは、GPIFの専門家の方々の御意見だということになろうと思います。

 いずれにいたしましても、今、有識者会議の中においていろいろな御議論をいただいております。ただし、これは、規模や性格というもの、これも念頭に置いていただきながら、いろいろな御議論をいただいておる。

 ただ、一方で、株式、債券以外のものに対しても運用の対象ということも御検討いただいておるわけでありまして、中間取りまとめでそういう話でございましたから、最終報告書をいただいた上で、我が方といたしましては、年金の運用の目的にかなった検討をさせていただきたいと思っております。

長妻委員 今の発言は、いろいろ注目されている発言ですよ、見ているいろいろな役所の方とか。これは大臣、もうオーケーみたいなメッセージになって、今月末にこういう提言書が出るのを促進しかねないと思います、今の答弁は。

 我々のときも、狙われるんですね、言葉はちょっと悪いですけれども。百二十兆円あるから、これは国家ファンドとしてどんどん新興国とかいろいろなところにインフラ投資をしていこう、日の丸ファンドだみたいな話をされる方もいらっしゃるわけでありまして、ちゃんとやはり誰かがきちっと、守る人がいないと、野方図になっちゃうんじゃないかと思うんです。

 十三ページを見ていただきますと、その以前としてよく言われていたのは、GPIFのこの百二十兆円の株の投資比率をもっと上げろ、こういうことも言われていまして、それは株がいいときはいいんですけれども、これは百年やるわけですから、ずっといいときも悪いときもあるわけで、リーマン・ショックで日本のGPIFの傷が浅かったのは株の比率が低かったという面もあるわけで、アメリカの年金ファンドなんて全部国債ですよ、株なんてやっていませんから。

 そういうことで、これを見てみますと、国家公務員は国内株式は六・八五%、しかしGPIFは一四%。リスクが高いのが倍ぐらいになっている、比率でいうと。外国株式もGPIFは一二・三五%、国家公務員の積立金は五・三四%。

 これは財務省に聞きたいんですが、何でリスクがある株の比率はこんなに低いんですか。

愛知副大臣 お答えを申し上げます。

 国家公務員共済では、現役世代に対する受給者の割合が比較的高く推移してきたこともありまして、基本ポートフォリオの策定に当たっては、積立金の取り崩し需要にも円滑に対応できるように、将来にわたって確実な元利払いの見込まれる長期の国内債券への投資をより重視してきたところであります。

 一方で、国内債券については、GPIFに比べ長い年限のものに移行させつつあるなど、よりリスクをとりつつある状況にありまして、株式などの運用割合が低いことだけをもって、リスクをとっていないとは言えないと考えております。

長妻委員 現役に対する受給者の割合が高いということは、高齢化しているのが一般よりも、GPIFより進んでいると。でも、国民の皆さんだって、全体だって、高齢化がこれからどんどん進む傾向にある中で、そうしたら逆行しているんじゃないでしょうか。

 国家公務員共済は安全第一だとおっしゃられておりますけれども、やはり、その観点で見ると、同じようにGPIFの国民の年金もやっていただきたい。

 私は本当に申し上げたいのは、仮に、ベンチャーキャピタル投資とかコモディティー投資とかREIT、不動産とか、あるいは発展途上国のインフラ投資とかそういうものをやるというのが決定するとすれば、ちょっとGPIFは、初めにやらないでいただきたいんですよね。

 もしやるのであれば、変な話ですけれども、これは国家公務員の皆さんも含めた意思決定でしょうから、まず国家公務員共済の方から初めにやってもらって、そこでどういう結果が出るかを見て、そして国民の皆さんにどうするかを考える。こういう慎重なことをやっていただきたいと思うんですけれども、財務省、いかがでございますか。

愛知副大臣 お答えを申し上げます。

 先ほど御答弁させていただいたことの繰り返しになるかと存じますが、やはり、これらの議論を踏まえた上で、法律上、余裕金の運用は安全かつ効率的にしなければいけない、その法律上の規定の上で検討をしてまいりたいと考えております。

長妻委員 最悪の事態としては、こういうリスクが非常に高い、通常では考えられないような投資を、国民の皆さんが払った年金保険料の積立金、厚生年金、国民年金の積立金が百二十兆で大きいから、そこを先行してやって、国家公務員とか地方公務員の共済は、これは頑張って、これは自分たちの金ですから、そこは後からやりましょうということで、国民の金だけ初めにリスクにさらされる。

 年金記録問題だって、国民の厚生年金、国民年金がどんどん消えていたわけで、あるいはグリーンピアだって、これは国民の厚生年金と国民年金の金ですから、共済の金じゃないですから、そういう懸念が強くありますので、やるとすれば国家公務員からやってください。

田村国務大臣 国家公務員のことに関しては担当省でお考えになられればいいんですが、要は、リスクを分散させるという考え方は、リスクが上がるという話ではないわけでありまして、どうやってリスクを分散させて下げるかという話であります。

 経済の状況において、リスクのあり方というものは変わってまいります。一般論でありますよ、一般論ですけれども、経済の状況でリスクというのは変わるんですね。全部国債で運用していれば安心かということを考えれば、例えば、満期まで持っていれば一定の国債の運用利回りを確保できますが、キャッシュアウトのときには、当然、含み損が出るわけであります。

 そういうことをいろいろ考えた中で、リスクをいかに下げる、一定の低いリスクにおいて必要なリターンを求めるかという考え方の中において、リスクを分散するという意味で、分散投資という考え方があるのであると我々は考えております。

長妻委員 こういう答弁だと、どんどんやられちゃうんじゃないかというふうに思います。

 この百二十兆円というのは、言葉は悪いですけれども、狙われているというふうにさっき申し上げましたが、本当にそうなんですよ、百二十兆。いろいろな人たちが、やはり、そこのお金を引き出したいという思いも持っておられる方がいらっしゃるので、本当になけなしの金を、別に、何かベンチャーキャピタルとかプライベートエクイティーとかコモディティー、商品先物とか、そんなリスクマネーで運用してふやしてほしい、そういうふうに皆さんは思っていないと思います。

 次に、これはぜひまた引き続きやりますから、きょうも会議をやられているそうなので、これは注目して、ぜひチェックしていただきたいと思うんです。

 障害年金に対してでございますけれども、これも我々が政権をいただいているときに調査を始めまして、やっとこの結果が出たわけであります。十八、十九ページにその結果が出まして、二十ページには東京新聞が、記事になっているところであります。「障害年金制度の周知不足 請求漏れ二万人か」というようなことなのでございます。

 これについて、私も前から問題意識を持っていましたのは、私も相談をいろいろ受けて痛感しますのは、障害者の方々で、受給できるのに、それを申請していなくて受給できない、こういう方が非常に多くいらっしゃる。こういう意識を持って、それで調査をいたしたところ、こういうような結果が出てきたということでございます。

 実は、この調査は身体障害者だけなんですね。本来は、精神障害者、知的障害者も調査をしていただきたいということだったんですが、これはまだしていないので、身体障害者以上に、精神障害者、特に知的障害者の方が、やはり、申請を忘れるというか申請をしていなくて、本来もらえるのにもらっていない、そして生活保護に陥っている方とか、非常に苦しい生活をされておられる方等々いらっしゃると思いますので、精神障害者と知的障害者もサンプル調査をして、どのくらい漏れているのか、この精神障害者、知的障害者の調査、これはぜひお願いしたいんですが、いつごろまでにできるのかも含めてお願いします。

田村国務大臣 これも委員も御承知のとおり、精神障害者の皆様方それから知的障害者の皆様方は、なかなか診断なしに評価がしづらいところがあるわけですね。ですから、なかなかわかりづらいということでございまして、そのような観点から考えますと、サンプル抽出にもやはり工夫がかなり必要なんだと思います。

 そこで、関係団体でありますとか、また障害者団体の方々と、よくよくここは、しっかりと、打ち合わせといいますか意見のすり合わせをしないと、サンプル調査自体がちゃんとした意味のあるものになるかどうかわからないということでございますので、まずはその調整をさせていただきたい、このように思っております。

 あわせて、障害者手帳交付のときにパンフレット等々を一緒にお渡しするでありますとか、ホームページ等々で周知をするだとか、やはり、今御認識のない方々にもしっかりと周知徹底を図っていくということは、違った意味から、しっかり我々はやっていかなきゃならぬというふうに思っております。

長妻委員 これはかなり後ろ向きですね。

 今回の調査も、三百三十五人にアンケート調査を行って、その結果、実はもらえるのにもらえていない人が二十七人判明して、その二十七人がもらえるということに、その後、請求手続を済ませて年金の受給を始めているということなわけですよ。

 こういうことがあるので、これはやらないとだめですよ、精神障害者の方と知的障害者の方。ぜひ、調査を検討するというような前向きな答弁をいただきたいんです。

田村国務大臣 そもそも障害者手帳も交付されていない方々もおられるわけであります。そういう意味では、非常に難しい部分ではありますけれども、先ほども言いましたとおり、やはり、関係団体でありますとか障害者団体と、ここは、意見のすり合わせ、調整をうまくしっかりやって、サンプル調査が実のあるものにならなければいけないわけでございます。

 そのようなことをしっかりとさせていただいた上で、検討をさせていただきたいというふうに思います。

長妻委員 これはぜひ必ずやっていただきたいと思います。

 もう一つ、ずっと懸案で、財務省とも厚労省とも議論していた、消費税が一〇%に引き上がったときに二・八兆円を充実分に使う、充実の定義というのはネットで二・八兆円だ、つまり、削減と充実を差し引きして純増が二・八兆円なんだ、こういうことで、そして、福田次長から先日答弁があって、二十一ページ、これは理事会で検討を申し上げましたところ、早速こういう資料が理事会に出てきたわけでありますね、二十一ページの資料が。これは、厚生労働省の社会保障担当参事官室がつくった資料でございます。

 ということは、結局、我々が昨年、消費税の一%の使い道を三党で合意したもの、そのときに想定していたものと、かなり範囲が狭くなっているのではないのか。

 つまり、ここに上がってきたのは、例えば、「所得水準の高い国保組合に対する国庫補助の見直し」。ここで削減すると、その分は、ペイ・アズ・ユー・ゴーで、充実になりますよと。あるいは、「介護保険のいわゆる補足給付の支給要件に資産を勘案する等の見直し」。ここを削減すると、ペイ・アズ・ユー・ゴーで、充実に回りますよと。そして、この定義は「など」の定義で、「など」は二つですということで出てきたわけであります。

 そして、政府がよく示しているこの表でありますけれども、そこには、先日も財務省の福田次長がおっしゃったような、「後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入」、「医療提供施設相互間の機能の分担」、そして、「一定以上の所得を有する者の利用者負担の見直し」、この五項目だけについては、削減をすれば、ペイ・アズ・ユー・ゴーでふえるというような、グロスがふえるという考え方が五点ということだけで示されたわけであります。

 それで、不可解なのが、十一月十五日に出た、先ほどの二十一ページの資料の下の方に、これはおかしな話で、厚生労働省が、理事会に出た公的な文書ですよ、「財政当局に対して主張していきたいと考えている。」と。

 だから、ここで書いてある意味は、五項目だと財務省に言われたので、五項目以外は減らしてもその分はふやさないよと言われたので、いやいや、そうじゃないから、一体改革の枠組みの中にあるかどうかが一義的に明らかでない事項については、できる限り一体改革の取り組みの中になるように、財政当局に対して主張していきたいと考えていると。何か、結局は、まだ決まっていないんですね、一%の使い道が。これは強行採決されましたけれども、結局、よく国民の皆さんも知っていただきたいんですけれども、まだ決まっていないんですよ。交渉で、ここで頑張って綱引きしていると。

 四経費で、やはり、その中で削ればそれはペイ・アズ・ユー・ゴーだ、ネットで一%だというような発想からかなり後退しているんではないかと思うんですけれども、これから主張していきたい、まだ使い道が決まっていない、お互い綱引きして調整がついていない、これについて、田村大臣、どういうふうにお考えですか。

田村国務大臣 二・八兆円分、しっかりとこれは確保しているわけでございます。その中において、種々の重点化、効率化というのは、要はそのメニューに書かれていないようなものに関してどうするかという話でありまして、まさにここは、ここに書いている趣旨を我々としてはしっかり認識を持って折衝してまいるということであります。

長妻委員 随分弱いですね。最後、交渉になったら、厚生労働省は大体押し切られちゃうんですよ。ですから、今、消費税を上げる、これは社会保障のために上げるということで、社会保障が一つの言いわけにならないようにやっていただかないと、もっと強くやはりあらかじめ確定させておかないと、五項目だけだというような話になると非常におかしな状況になってくるんじゃないかということで、これもまだまだ懸案であります。

 そして、ディオバンについてのノバルティスファーマでございますけれども、さっきの医薬品メーカーからの提供でありますが、調べていただきますと、例えば国立病院に勤務しているお医者さんのAさんという方は、平成二十年度から平成二十五年度まで贈与等報告書に記載されている金額でいうと、ノバルティスファーマ一社から二百五十六万円もらっているということもございました。さっきの、ぜひガイドラインをつくっていただきたいということでもあるんですけれども。

 そして、ディオバンの件で、ノバルティスに厚労省のOBの方がいらっしゃって、その接触の調査というのも理事会に紙が出てきたんですが、私が申し上げた趣旨とちょっと違うのは、私が申し上げたのは、ノバルティスにいらっしゃる厚生労働省のOBの方が、研究開発振興課課長、この課はこの不正問題の、不適切問題の検討会議の事務局でありますずばりの課長、それと河野治験推進室長、このお二人の方、七月に就任したので、ちょうど事件後ですけれども、その二人の人たちの自席に来て、挨拶をして、名刺交換をして、いろいろ雑談をしていった、こういう話を私はお伺いしたから、どうなのかということで聞いたわけでありますが、この調査報告書にはその挨拶に来たという話が全然書いていないんですけれども、挨拶に来たということはなかったわけですか。

田村国務大臣 今事務方から確認しましたが、記録にないもの、記憶にないものというのはやはり出せないわけでありまして、今あるものは全て出したということのようであります。

長妻委員 そうすると、この検討会議の事務局、研究開発振興課課長の席に、課長就任おめでとうございますというようなことで挨拶に来て雑談をしたという事実は、これはないということでよろしいんですね。

田村国務大臣 資料を出させていただいたという内容、それが今のところわかっている事実であるということであります。

長妻委員 では、その挨拶に来たというのは、なかったということなわけですね。

田村国務大臣 現在確認ができていることは、資料を出させていただいたということだということであります。

長妻委員 そうしましたら、これはぜひ、一瀬研究開発振興課課長と河野治験推進室長が就任後に、向こうから、ノバルティスの厚労省のOBから挨拶に来たということについて、その点だけでいいですから、これはぜひ調査していただきたい。ぜひ理事会で御検討いただきたいと思います。

後藤委員長 委員会からの要求、委員からの要求については、理事会で協議いたします。

長妻委員 この報告書を見ても、例えば資料の体裁に関する質疑等を行ったとか、つまり、今後いろいろ資料を出すときにどういう資料をつくればいいのか、こういう相談をしたり、八月一日ですね、あるいは、ノバルティスが説明する資料についての体裁や必要事項の不足等について確認を求める、こういう相談をしたり、これはOBも八月二十六日に同席されておられる。

 こういうことはやはりOBがいるから、こういう非常に、何かすり合わせというか、そういうことをやっているというふうに疑われても仕方がないので、こういうすり合わせを非常に頻繁にやられておられるので、これについて非常に疑義がありますし、どういう内容が話し合われたのかというのはぜひチェックをいただいて、そもそも、私が大臣のときも、製薬メーカーに天下りというのは自粛してくださいという通知を私は出させていただいたんですね。こういうやはりけじめを、製薬メーカーと、さっきの国立病院や国立大学を含めて、つけていかないと、巨大な資金を持っているところでございますので、ぜひ取り組みを進めていただきたい。

 そして、このノバルティスの真相解明や、あるいはノバルティス以外の二〇〇〇年前後以降の調査についても、これは検討するとおっしゃられているので、それもぜひ進めていただきたいと思います。

 最後に、内閣府の副大臣、お出ましいただいているので、この前から申し上げている、介護離職が急増をするという強い懸念を持っておりまして、それについてのGDPがどれだけ損なわれるのか。これは既に、内閣府は、女性について、女性の力、M字カーブが解消されたときにはGDPは約一・五%新たにふえますよ、こういうふうに言っているんですね、七兆円程度と。こういう試算も出されているので、介護離職によるGDPのマイナスについて、ぜひ出すように御指示をいただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

西村副大臣 御指摘の、現在就業していないけれども、かつ求職活動はしていないけれども就業を希望している女性が、二十四年一月の段階で試算を出したその最終報告では、三百四十二万人という方がおられて、その人が、プラスアルファに、単純に全員が職につけた場合の計算を、単純な計算、需給バランスとか賃金が上がったりとか、そういうことを全く無視した計算をしておりまして、それはございます。

 一方で、介護離職について、先般もお答え申し上げましたけれども、現在、完全雇用の状況でもありませんので、離職した場合に、職を探している方がその離職したポストについたりすることがありますので、その分が全体にどういう影響を与えるかというのはなかなか試算はしにくいんですけれども、御要望でありますのであえて単純に試算をいたしますと、今、労働力人口が六千五百五十五万人、これは二〇一二年の数字ですけれども、労働人口がありますので、仮に、このうちの一万人の人が非労働力化した、その後に一万人の方が職につくかどうか、それは全く無視して、一万人の方が単純に離れたという場合に、六千五百五十五万人分の一万人分のマイナスの効果があるわけですので、それを、GDPに対する影響ということで、これも本当にざっくり、労働分配率からいって三分の二ぐらいの影響があるということで、本当に単純に仮定をして計算しますと、これは三分の二を掛けて、〇・〇一%ということになります。

 したがって、仮に十万人の方が一年間で離職をされて、別の方が就業したりということがなくて、その分だけのマイナスを考えると、〇・〇一掛ける十ということで、〇・一%分のマイナスの潜在的に押し下げる効果がある、効果というかマイナスの影響があるということであります。

 これはもう本当に単純に計算したものでありますので、余り数字がひとり歩きすることは望ましくないと思いますけれども、あえての御要望でありますので、そのような試算をしたことを申し上げたいと思います。

長妻委員 ぜひ、この介護についても、成長戦略を損なわないための、むしろ成長戦略の基盤、成長の基盤をつくるのが介護予防だということも、GDPを減らさないためにも重要だということでありますので、引き続き、いろいろな課題にこれからも取り組んでまいりますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

後藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 本日も徳洲会問題について引き続きお聞きをしていきたいというふうに思っておるんですけれども、この問題、大臣の御答弁を聞けば聞くほど、疑問が解けるのではなくて、新たな疑問が私は湧いてくるんですね。また、マスコミ等も追跡取材等をされて、毎日のように新聞報道が出てきます。それから、きのうは参議院の厚生労働委員会でも、この問題は同僚の小西委員が質問されました。

 そこで、きょうも引き続き、残る疑問点についてお聞きをしていきたいんですが、その前に冒頭申し上げておきたいのは、私もこの徳洲会問題というのは、先日維新の会の足立委員からもお話がありましたけれども、医療法人のガバナンスにかかわる問題であるというふうに思っています。だから、これはしっかりやっていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っているんです。

 私も、この間の足立委員の質疑を聞いていて驚いたのは、医療法人においては関連企業の定義さえないということがこの委員会でも明らかになりました。徳洲会グループでも、親族がMS法人、いわゆるメディカルサービス法人とか関連企業の代表を務めていて、多額の報酬を受けているというような事実が指摘をされていたり、あるいは、現在捜査中の公職選挙法違反の事件についても、グループ企業が裏金づくりに利用されていたんじゃないかというような指摘や報道というのもあります。

 私は、今回の事件を機に、診療報酬という公的な資金が医療法人には入っています、そういう医療法人の会計の一部を不正に利用できるような仕組みがもしあるならば、それはしっかりメスを入れていかなければならないのではないかと思っています。

 また、これは長妻委員の質問の中で御指摘もありましたけれども、厚労省が徳洲会グループの系列病院に対して医療提供体制に不備がないか調査を行おうとされたということでありますけれども、私はこれも当然だと思いますし、また、ぜひやっていただきたいと思っています。

 というのは、今回、公職選挙法違反事件を通して明らかになったことの一つというのは、カリスマ的な指導者のもとに、そのファミリーの皆さんによるワンマン体制によって医療法人のガバナンスが損なわれていたんじゃないかということが問題になっている。そういうガバナンスが今欠如した状態にあるわけですから、この機会に、例えば徳洲会グループの病院について、グループのネットワークを駆使して、例えば医師や看護師の配置基準、これはちゃんとなっているのかとか、あるいは診療報酬の不正請求とか、そういうこともないのかということについても、ガバナンスが問題になっているわけですから、ここもしっかり厚労省にはお調べいただきたいというふうに私は思っています。

 ただ、徳洲会には、徳田虎雄氏の、命だけは平等だという、その理念に共鳴をして、僻地医療や離島医療に今も情熱を燃やしておられる医師や看護師の皆さんもたくさんおられると私も思っています。私は、逆にそういう皆さんのためにも、今回しっかりうみを出し切って、あえて申し上げれば、徳洲会が急成長していく過程においては、地元医師会とかの反発を受けながら、本当に短期間に今のこれだけの全国ネットワーク、病院をつくり上げてきたわけですから、言い方が適切かどうかわかりませんけれども、ある種の政治力というのが必要だったのかもしれません。でも、今、徳洲会グループで働いておられる医師や看護師の皆さんの中には、こういう病院挙げての選挙運動というのは本当に必要なんだろうかという疑問を持っておられる方もたくさんいると私は思います。ですから、これをしっかりこの機会にただしていかなきゃいけないというふうに思っています。

 そういう意味で、徳洲会と政治のかかわりという面において、大臣との話も疑問が残っている部分についてはしっかりとお聞きをしていきたいというふうに思っていますので、きょうもよろしくお願いいたします。

 それでは質問に入っていきたいと思うんですが、お手元に産経新聞の記事を配付させていただいています。これは、今までの国会での審議を通して浮かび上がってきたいろいろな論点というのをある意味でうまく整理されている記事だというふうに思うんです。

 まず最初の論点を申し上げたいと思うんですけれども、それは大臣規範の話です。

 大臣規範、きょう、ちょっとお配りはしなかったんですけれども、改めて皆さんと確認をしておきたいと思うんですが、ここに今私持ってきましたけれども、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範、この中に、1の(6)というところに、「関係業者との接触等」ということで、「倫理の保持に万全を期するため、」「関係業者との接触に当たっては、供応接待を受けること、職務に関連して贈物や便宜供与を受けること等であって国民の疑惑を招くような行為をしてはならない。」と書いてあります。

 きのうの参議院の厚生労働委員会でもこの点について質疑が行われて、私も以前内閣官房の方にここでもその趣旨というのを答えていただきましたけれども、改めて内閣官房より答弁があったのが、供応接待を受けるということは、あくまでも国民の疑惑を招くような行為につながりかねない例示の一つとして規定をされているもの、例示なんだ、そしてまた、必ずしもこの例示にとらわれることなく、関係業者との接触に当たっては国民の疑惑を招くような行為をしてはならないという趣旨を踏まえて、各大臣等において適切に判断をすべきと答弁しているんです。つまり、供応接待というのはあくまで例示で、とにかく関係業者との接触において国民の疑惑を招くようなことはやめてくださいねというのがこの大臣規範が定めているところなんですね。

 そこで、ぜひ確認をしておきたいのは、大臣、これまでの御答弁の中で繰り返して言われているのは、今回の五月十七日、赤坂の料亭で会食をしたのは、これは職務に関するものではなくてプライベートな飲み会だから問題ないんだというような、そういう趣旨の御答弁をされているんです。それは、私は大間違いだと思います。

 これはきのうの小西委員も御指摘をされていますけれども、今申し上げたようにきのうの参議院の委員会でもこの点が問題になっていたんですけれども、職務上とかプライベートとか、これは関係ないんです。さっきから言っているように、国民の疑惑を招くような関係業者との接触なんですね。そこをまずぜひ御理解いただきたいと思います。

 それから、例示ですけれども、供応接待の部分ですけれども、赤坂の料亭の代金を誰が払ったのか、このことについても、私以外の委員から質問を受けても、大臣の御答弁というのは、徳洲会の方々にお金を払ってもらった認識はないと。認識はないということしか言われていないんですね。ある意味あやふやな答弁なんです。けれども、これは裏返して言うと、自分が払ったという確証もないんです。自分が払ったという確証もないんですね。

 また、大臣自身がこれまでの答弁の中で、この赤坂の料亭というのは、その場で、レジでお会計をするようなお店じゃなくて、後日請求書が送られてくるようなお店なんだ、それからこの席は同僚議員に呼ばれて行ったんだと。だから、自分がセットした場所でもないし、ですから予約も多分セットした人が入れられたんでしょうね。普通はそこに多分請求書が送りつけられるというんですけれども、そういうことを考えると、後でその中から割り勘とかという、払ったというのはわかりませんけれども、大臣が少なくともその場では払っていないと考えるのが自然だというふうに思います。

 そこで、再度、今のことを整理して申し上げますと、プライベートかどうかというのは関係ないんです。もう一つは、二月の予算委員会で私が質問して、大臣自身が、処分の対象になる可能性があるかもしれない、一般論でありますけれども、そういうお答えをした、その病院の関係者と赤坂の料亭で会食をしているというのは、これは、先ほど来言っているように、大臣規範が示している、国民が疑惑を招くような関係業者との接触に当たるというふうに私は思います。それから、代金についても、自分で払ったという確証がない以上は、これはやはり大臣規範に抵触するんじゃないかと思うんです。

 大臣、この点、改めて、今までの答弁ではなくて、私が今言ったことをしっかり踏まえていただいて御答弁いただきたいと思います。

田村国務大臣 冒頭、供応接待がないとお認めをいただいたということで、感謝申し上げます。そういうことだと思います。供応接待を受けただけじゃなくて、いろいろな疑惑を招くようなことがあってはいけないということが大臣規範なんだろうというふうに思いますね。

 なぜ大臣規範に違反しないかということは、まず、供応接待を受けたというものじゃないということ。それから、疑惑を招くものは全くない。

 今、大西委員がおっしゃられましたけれども、二月の話は、私は徳洲会のことは申し上げておりません。一般論です。その上で、大西委員が、そういうような記事があるから調べたらどうだという話でございましたので、では、徳洲会の方にお聞きをしましょうということでお聞きをしたら、そんなことはございませんよという御返事を責任のある方からいただいたということでございますから、別に、決して、そのときに徳洲会がそのようなことをやっておったというような認識は、厚生労働省は持っておりません。

 ということで、今度は、徳洲会が今、組織的な選挙運動をやって、それに買収が絡んだという公職選挙法の問題が後から出たから、これは不適当な医療法人だという話になっていますけれども、私が友人のプライベートな会に出席をしたとき、そこに徳洲会の方々が同席されておられたということでありますが、そういうときに何らそのような問題はなかったわけであります。判明していない。つまり、そこに疑惑が生じるわけがない。しかも、私は何度も言っておりますが、徳洲会が今般東京地検特捜部に捜査を受けているような、そのような選挙違反、買収問題、そんなものに私はかかわっておりません。こんなことはもう明白な話であります。

 でありますから、何で私がそこで国民から疑惑を受けるのかがよくわからない。食事をしているところにたまたま同席をされておられた。それでなぜ私が疑惑を受けるのかわからない。つまり、供応接待は受けていない、及び疑惑は受けていない、疑惑は持たれない。ダブルで大臣規範には違反しないということであります。

大西(健)委員 まず、私は、供応接待を受けていないなんてことは言っていなくて、まさに、どっちがお金を払ったのか、これはわからないわけですよ。大臣も確証がないわけでしょう、自分が払ったかどうかということは。だから、では、供応接待を受けていないとおっしゃるならば、払っていないということを証明していただかないと、これはどっちが払ったんですか。

 普通に、自然に考えると、大臣は呼ばれて行ったわけですから、普通は払わないんです、その場では。そして、その場で払うようなお店じゃないんです。だから、そうじゃなくて、後で、よくわかりませんけれども、主催した人から、この間の分のもので、割り勘で幾ら分ですから、払ってくださいと言ってきて、事務所が払ったんだったら、それは事務所に聞けばわかるはずですよ。わかるはずです。それが証明されないんだったらば、それは、供応接待を受けていないということをなぜ断言できるのかというのが、まず私には理解ができません。

 それからもう一つ、五月十七日については、私も、選挙の話というよりかは、やはり関係者と会っている。極端に言うと、では、大臣が、地元とかも含めて、一切病院の先生とかと飯をプライベートでも食うなというのはなかなか難しいかもしれませんが、しかし、やはり、病院を所管している大臣が病院の関係者と一緒に赤坂の料亭で食事するというのは、何があるのだろうということを普通は思うわけです。

 そして、何度も言っているように、二月に私は徳洲会の問題を予算委員会で取り上げて、冒頭に申し上げたように、私はなぜその問題を取り上げたか。国対から、例えば徳田毅さんの女性問題をやってくださいと言われたけれども、私は、女性問題なんかやっても意味がないし、そんなことをやるつもりはありませんと。

 ただ、言ったように、医療法人のガバナンスが問題になっていて、公的資金である診療報酬が入っている病院の会計から女性問題の和解金が出ているんじゃないかみたいな話があって、それが事実だったらそれは問題ですよねと。しかも、税制優遇措置を受けているような社会医療法人もあるんですからということをお聞きしたら、大臣も、それがもし事実だったら取り消しに値するような話だということを言っているわけです。そういうようなことがある。

 そして、公職選挙法違反の捜査は始まっていないけれども、徳洲会には問題があるということはもうその二月時点からわかっているときに赤坂の料亭で会うというのは、これはやはり、普通の国民が見たら、何があったんだろうと思うんじゃないですか。

 だから、私は、やはりそこは、大臣の今の御説明を聞いても、私はそういうつもりはありません、私はそういうつもりはありませんという説明なんです。そうじゃなくて、ぜひきょうお願いしたいのは、一体この大臣規範にセーフなのかアウトなのか、これは政府見解を出していただきたいんですよ。政府見解をぜひ出していただくようにお願いをしたいと思います。そして、それをこの委員会に御報告いただきたいと思いますけれども、委員長、よろしくお取り計らいいただきたいんですが。

後藤委員長 委員からの要求については、理事会で検討いたします。

大西(健)委員 次の論点に移りたいと思います。

 五月十七日は、確かにまだ公職選挙法云々という話が大きな問題になっているときではなかったというふうに思いますけれども、でも、この衆議院選挙で公職選挙法違反に今問われている病院組織ぐるみの選挙ということについて、私は、これまで私の質問に対する答弁で大臣は、赤坂の料亭での席上、参議院の選挙の話が出たのかどうなのかということを、これもお尋ねをしました。これは私だけじゃなくて、ほかの委員もお尋ねしていると思いますけれども、一般的な話の中では出たかもわかりません、また、園田氏が徳洲会の支援を受けているということに関しては、それは私も認識がございますなどという答弁をされています。これは会議録でぜひ御確認いただければと思うんです。

 ただ、きょうお配りをしている産経の記事の中には、見出しにも書いてありますけれども、「厚労相からも頼まれた」「会食後、グループ幹部伝達」と書いてありますけれども、報道ではありますけれども、これは、その会食の席上、田村大臣から園田修光氏をよろしくと頼まれた、その会食の後に、傘下の病院の幹部に、そういう、大臣からも園田さんを頼むよというのがあったというのが伝達をされたという証言がこの記事に載っているんです。

 それから、もう一枚めくっていただいて、次の新聞記事ですけれども、この記事によれば、会食の翌日の十八日の午後に、そのときの会食の出席者の一人が、湘南鎌倉病院の徳田虎雄氏のもとに出向いて、きのう大臣と食事をしました、そのとき園田さんをよろしくと言われましたということを報告した、そして、その報告を聞いて、その直後に徳田虎雄氏が、園田氏を病院を挙げて積極的にがんがんやれという指示を出したという報道があるんです。

 この報道が、報道ですけれども、事実だとしたら、大臣が徳洲会に園田氏の支援をお願いして、それを受けて徳洲会が、今、衆議院選挙で問題になっているような、捜査を受けているような、同じような病院組織を挙げた支援活動を、大臣のお願いを聞いて、よし、わかったといって支援活動を展開したことになるんです。

 病院を所管する厚生労働省のトップである大臣が、園田氏が徳洲会グループの病院組織を挙げた支援を受けていることを知っていて支援をお願いするというのは、これは私はやはり大臣としての資質が問われる問題だというふうに思うんですけれども、この二つ目の論点についても、ぜひもう一度説明をお願いしたいと思います。

田村国務大臣 まず、一問目の質問で、済みません、供応接待を受けていないと認めていただいているのかと思ったものですからそういうような発言をしたわけでありますが、少なくとも、私は認識していませんからね。だから、供応接待にはならないと思いますけれども、何があったとしても。

 今の話なんですが、まず冒頭、もう一回、私、申し上げておきます。徳洲会から、私は、また関係する方々から、政治献金並びにパーティー券を購入していただいたことはありません。選挙の応援も一切もらったことはありません。これだけははっきり申し上げておきます。

 その上で、このときに徳洲会はもう園田さんの応援をしているんですね。そんなところに行って、私が何でわざわざ頼まなきゃいけないのか。それは、私、詳しくそのときのことを認識していませんよ、覚えていませんよ。だけれども、当然、徳洲会が園田さんのことを応援していることは私はわかっているわけですから、そのときにいろいろな話があれば、ああ、そうですか、それはありがとうございますみたいな話があったかどうかわかりませんが、便宜上といいますか、儀礼上の話はしますよ。だって、自民党の候補者でしょう。それは、そこで応援している人がいれば、それは儀礼上の話ぐらいはあるんじゃないんですか。それは社会通念上ですよ。

 だけれども、私が応援して、徳洲会が園田さんを応援しているのを、私がやってくれと言って、よし、大臣から応援をもらったからもっとやろうかというのは、それは筋がおかしくありませんか。全く理解できないですね。

 だから、この報道がどうなのか、私は知りません。報道も確かには書いてありませんからね。あくまでも、これは書き方自体は「みられる。」としか書いてありませんから、報道がどうなのかわかりませんが、話を聞いていて、私が徳洲会にやってくれなんて、これはもとからやっているんですよね。だから、どうも私は理解ができないんです。理解不能なんですよ。

大西(健)委員 いや、さっきの、報道ですよ。でも、二枚目の記事は、翌日の十八日に、そこにいた人が虎雄さんのところに行って、大臣からもよろしく頼むと言われたからと聞いて、徳田虎雄氏ががんがんやれと言ったわけですよ。だから、それまでも支援しているんでしょうけれども、大臣から頼まれたから、がんがんやれということになっているわけですから。ですから、今の話と違うんじゃないかなと。

 記事の言い分と大臣の言い分はもちろん違っていますけれども、ですから、ここが違っているということを今この委員会で申し上げているわけです。

 それでは、三点目の論点というか、疑問点なんですが、この委員会の質疑を通して新たに明らかになったこと、それは、田村大臣が、当時参議院の候補者だった園田氏と、今回、公職選挙法違反容疑で逮捕された徳田毅氏の姉、スターン美千代容疑者と一緒に大臣室を訪れたということがこの委員会での質疑を通して新たに明らかになりました。

 ただ、ここで私ちょっとよくわからない部分があるんですよね。

 田村大臣は、同期の園田氏から大臣室を見せてくれよと言われたからお会いしたんだと。たわいもない話をして帰ったんだという御説明をされています。ですけれども、前回の最後に申し上げましたけれども、六月二十日ですからね、参議院の候補者が、六月二十日、選挙直前に、そんなたわいもない話をしに、大臣室を見せてくれと言って、わざわざ来るわけはないんですよ。ですから、やはり何らかの目的があってそこに来られたんじゃないかと考えるのが私は自然だと思います。

 そして、きょう、実は、その六月二十日の大臣室の様子を園田氏がネット上にアップをした写真を皆さんにもお配りして、ぜひ見ていただこうと思ったんですけれども、これについては、理事会で協議をいただいて、与党の御了承が得られなかったということですけれども、ただ、これはネット上で公開していて、誰でも見られる情報なんです。ですから、私は、これが認められないというのは納得がいかないんですけれども、ただ、逆に言うと、何で配れないか、反対に、何か後ろめたいことがあるのかなというふうにも思ってしまうんですね。

 ここにその写真がありますけれども、真ん中に田村大臣が座っておられて……(発言する者あり)これまで参議院の委員会でも同じことを聞かれていますから、向かって左手に、大臣寄りに座っているのが園田氏、これは写真から見ても明らかだというふうに思います。その隣にスターン美千代容疑者と思われる女性が座っています。これは複数の、別のスターン美千代容疑者の写真を私も見ましたし、知っている人にも確認してもらいましたけれども、これはスターン美千代さんだということなんですね。大臣の左側に二人が座っておられる。

 右側に、手ぶりをして、大臣に向かって、何か一生懸命、真剣な目で説明をされている男性が写っているんです。それから、さらにその右にも、これはちょっとしか写っていませんけれども、男性が写っているんです。この二人というのは一体誰なのか。これについて、大臣から、そのことを、参議院の委員会でも答弁されていると思いますけれども、御確認をさせていただきたいんですけれども。

田村国務大臣 私もちょっと顔がわからない人がいるんで、全員が全員わかりませんが、手を挙げている人は徳洲会とは全く関係のない方であります。個人のことでございますので、プライベートなことなので、どなたかということは申し上げられませんが、全く関係のない方で、介護か何かのことをお話しに来られたんだというふうに思います。

 私がなぜ、先ほど来、大臣室を見せてもらいに来て、たわいのない話をしたと言ったかといいますと、まず、陳情を受けるのは議員会館でもできるわけでありますけれども、大臣室も見たいという話もありましたし、時間もなかったものでありますから、それで大臣室でお受けをさせていただきました。ちなみに、政務でありますので、役所の人間は中には入っておりません。同席はさせておりません。

 それで、そこにおられるお姉さん、徳田代議士のお姉さんとは、全く介護の話は関係ない話でございますので、たわいもない話だ。全く別なんですね、来られた理由が。そもそもお姉さんは、前も申し上げましたけれども、議員宿舎の近くの眼科医をやられておられます。私は、知らずに、そこでコンタクトをずっと買っておりました。そこのビデオが、ロビーにビデオが流れているんですが、ずっと徳洲会のビデオを流しているんですよ。それで、私、不思議なものでありましたから、徳田代議士にそのお話をさせていただいて、うちのお姉さんだということなので、では、一度大臣室に挨拶に行かせるよという話であったので、そのとき一緒についてこられた。

 ちなみに、そこで会ったときに初めて、この人がお姉さんであったという認識をしました。多分、病院では、眼科医では何度かお会いをしていると思うんですが、お医者様も毎回かわられるので、私、明確にお姉様という認識をそれまで持っていなかったので、そこで初めてお姉様と認識しました。それ以来は会っておりません。

大西(健)委員 今のような御説明をこれまでもしてこられたわけですけれども、今確認させていただいたのは、この男性というのは徳洲会の人ではない、それから民間人だという御説明だったというふうに思います。

 ただ、今の御答弁の中でも、陳情を受けるに当たって時間がなかったから云々という話がありましたけれども、写真を見ると、大臣の前のテーブルの上に何か封筒か書類のようなものが写っているんですよね。それから、説明をされている人のサイドテーブルの上にも書類のようなものが写っている。

 これを見ると、まさに今大臣もちょっと答弁の中で陳情云々という話をしましたけれども、大臣室を見せてくれという、たわいのない話をして帰ったという説明はやはり腑に落ちないんです。ここで何か要望なり陳情なりがあったんじゃないかというふうに私は思うんですね。

 ですから、この面談室で何が話し合われたのか、そして、今、徳洲会の人でもない、それから役所の人間でもないというお話だったと思いますけれども、では、一体この人は誰なんだ。

 まさに、五月十七日の赤坂の料亭の会合は、大臣は、仲間内のプライベートな飲み会だったから、そこにいた出席者というのは言う必要がないんだとこれまでここでも答弁されてきましたけれども、大臣室でお会いになっているんですよね。大臣室で会うということは、挨拶での訪問も含めて、そこに来た面談者とか訪問者の記録というのは残っているんだというふうに思います。

 ですから、厚労省にぜひ、この六月二十日に来られた面談者の記録を確認していただいて、この委員会に、理事会にで結構ですから、これは誰だったのかということを、名前が言えないんだったらしようがないけれども、今ちょっと一部、何か介護の関係の人とかというお話がありましたけれども、これは確認していただいて。それからさらに、右にももう一人、大臣はわからないとおっしゃっていますけれども、人が写っているわけです。大臣室でお会いになったということは、面談記録、誰が来たのかということが残っているはずですから、誰かわからない人間を大臣室に入れるわけが、危なっかしくて入れるわけないんです。ですから、それはちゃんと記録が残っているわけですから、確認をいただいて、この委員会に御報告をお願いしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 これが何の疑惑があるのかまずよくわからない。大臣の部屋に来た人全部、個人のプライバシーを覆して、全部名前は言えないですよ、それは。当たり前の話でしょう。

 ここで問題なのは、あえて言うと、この徳田さんのお姉さんは今逮捕されておられるということでございますから、私は名前を明かしました。だけれども、全く関係のない中において御要望に来られた方であります。その方の、いや、何かこれで疑惑があるのなら別ですよ。なぜそれを申し上げなきゃいけないのか。

 ただ、一つだけ申し上げておきたいことは、ここにある、これは書類なのかどうかわかりませんが、これは役所の方には一切手渡されていないようであります。これは、そもそも書類をいただいたのかどうなのかも、私も記憶はありません。といいますのは、その後、私が、この案件をもとに役所に何らかの、要望を聞いて、指示したことがないんです。確認しました。ですから、私はここで政務として聞きおいただけのようであります。でありますから、書類の方も渡されていませんので、これは本当に書類なのかどうなのかもちょっと私、認識できませんけれども、いずれにいたしましても、そもそもそうであったとしても、何の疑惑なのかがよくわからないんですよ。

 そもそも、ここは当然、供応接待は何もないわけですよね。しかも、先ほど来言っておりますとおり、徳洲会の一連の選挙違反事案と何ら関係のないことですよね。これが、なぜ開示をしなきゃいけないのか。そんなことを言い出したら、私がお会いした全てのお客さん、そういう方々を開示しろという話になりますから、それはやはりプライバシーの問題で、させていただくわけにはいかないと思います。

大西(健)委員 いや、大臣の今の御答弁の中にもあったように、この中にいる人は、今回の公職選挙法違反で逮捕されている人ですよ。徳洲会選挙を仕切っていた人です。そして、その横にいるのは、自民党の候補者として徳洲会の支援を受けていた園田候補なんですから。ですから、やはりそこで何を話されたかというのは確認をさせていただく必要が私はあるというふうに思っております。

 それから、今の御答弁も、微妙に変わってきているんですよね。初めは、大臣室を見せてくれと言って来て、たわいのない話をして帰ったと言っているけれども、省内に指示はしていないけれども、陳情か何か受けたかもしれない、封筒を受け取ったみたいなことは、今までの話と違うじゃないですか。一番最初は、ふらっと来て、上京した機会に大臣室を見せてくれ、たわいのない話をして帰ったと言っていたけれども、封筒を、それを役所側には渡していないけれども、受け取ったかもしれないとかというのは、ちょっと答弁が変わってきているんじゃないかというふうに思います。

 役所の人かどうかというのも、やはりこれは重要なことだと思いますよ。そうじゃないと、では、そこで役所に、今、指示していないということですけれども、もしここに、写っていないところも含めてですよ、役所の人が同席していたら、これは大変なことですよね。

 ですから、それはだから、記録が残っているんだったら、ぜひそこは報告を委員会にしていただきたいというふうにあわせてお願いして、私の……

田村国務大臣 事実を確認します。

 たわいのない話をしたのはお姉さんですからね、私は。だって、お姉さんは見に来たわけですから、たわいのない話をしたのはお姉さんです。御確認ください。

 以上。

大西(健)委員 時間ですから終わりますけれども、今までの大臣の答弁は、大臣室を見せてくれと言ったのは園田さん、同期が大臣室を見せてくれと言って、上京してきたら会いますよということを言っているので。それで、お姉さんの方は、眼科医で、初めは徳田さんのお姉さんだって知らなかったけれども、徳田さんから、実はうちの姉ですと聞いて、一遍挨拶に行かせますよみたいな話があったから一緒に来られたという説明ですから。今の答弁というのは少しずつ変わってきているということを私は御指摘して、時間になりましたので、終わります。

後藤委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 今回、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 実は、午前中、厚生労働委員会でちょうど長妻委員が質疑をされている時間帯に、お隣の決算行政監視委員会の方で、診療報酬の改定や自然増部分の扱いも含めて、麻生財務大臣そして一体改革担当の甘利大臣ともやりとりをさせていただいておりました。そのときのやりとりも踏まえながらお尋ねをさせていただきたいと思っております。

 まず、診療報酬あるいは自然増の扱いについての質問をさせていただきたいと思います。

 診療報酬の改定財源として、今回、衆議院の採決をされたプログラム法の中の充実分あるいは安定化分の中に、診療報酬の改定財源としては、増税分の手当てについて二千億が計上され、そしてまた、充実分、これは全体の五千億の中の一千億が医療の充実分、こういうことに、五千億の中の一千億円が医療の充実分と、これは数字も入っています。

 そういう区別がされているわけでして、私も、麻生財務大臣に、診療報酬改定を、これから年末に向けての議論が詰まっていく中で、まずは、この前提として、消費税が上がる分についての増分は、それは当然もう既に明記されていますから、そのことと、それから、通常の診療報酬改定にどういう財源を充てるのか、例えばこの一千億のうちどういう形になるのかも含めて、これは当然違う、そういう扱いについて確認をさせていただきました。

 厚生労働省としても、年末の改定率の決定に向けて、この消費増税分による診療報酬のアップの部分と、そして、通常の報酬改定の中で充実分に回す分、これは当然区別をして財務折衝に当たっていただくという認識でよろしいですね。

 八パー、一〇パーと、それで上がりますね、消費税が。その分、病院の仕入れとか、いろいろ上がりますよね。そういった部分の、診療報酬で手当てする部分は、これは充実の中ではなくて、安定化分の中で、一兆四千五百億の中に、自然増分を含むというふうに書かれているんですね。物価が上がる分の消費税で。答弁をお願いします。

田村国務大臣 消費税でふえる部分ですよね。これは、一・四五兆円ではなくて、消費税分いろいろなものが上がりますから、それに手当てする〇・二兆円の部分がありまして、この〇・二兆円の部分から消費税が上がった部分を充てるということになります。

柚木委員 失礼しました。自然増の部分と、ちょっと混乱して言ってしまいました。

 その二千億の部分は、消費税が上がる部分による対応として診療報酬に手当てする部分と、それ以外に、まさに、この後議論もさせていただきたいんですが、大臣が、きのうも閣議後の会見で、例えば救急について、これはちょっと、薬価財源をどうするかというのはこの後議論させてもらいますが、いずれにしても、しっかりと診療報酬上の対応をしていくと。それは、今御答弁された二千億円とは別という理解でよろしいですね。

田村国務大臣 おっしゃられるとおりでございまして、要するに、しっかり充実しなきゃいけない、充実というのは、今般の消費税の充実という意味だけではなくて、救急でありますとか、小児でありますとか、産科でありますとか、まだまだ大変なところがあるわけでございまして、ここの充実をしっかり果たしていかなきゃならぬわけであります。

 この別途の充実の部分に関しましては、違った財源、今言われた消費税の〇・二兆円、二千億円は、これは全体でかさ上げして上がる部分ですから、それ以外のところでこの充実部分を見ていかなければならないというふうに認識しております。

柚木委員 そこを明確に区別していただくということが、まず一つ私は重要なことだと思うんですね。与党の皆さんも、いろいろな取り組みをなされている中で、そういったことをぜひしっかりと明確にしてという御議論をされているはずなので、これは一つ重要な答弁をいただきありがとうございます。

 それで、今まさに御答弁をいただきました、私も先ほどの決算行政の方で、例えばどういうところを充実する必要があるのかというところについて、まさに、救急、産科、これは私も、特に産科の部分については、二〇〇六年に奈良県で、妊婦の方が、十九の病院、これが受け入れができないままお亡くなりになってしまいまして、私、あのとき奈良県まで伺いまして、御遺族の方のお話を伺ったり、あるいは、その当時の最初の手術を受けられた医療機関を含め、奈良県庁、あるいは産科の学会の会長さんを含めて、いろいろお話も伺った。

 そしてあのときに、総合周産期母子医療センターを全国都道府県に設置するというのがおくれていて、それで奈良県がまさにおくれていたわけですね。そういった部分について、前倒しの整備をしていただくということを、当時の柳沢厚生労働大臣に御答弁をいただいて、そのときの国会答弁は、実は全国紙の一面に載りました。

 そういうことがあって、消防庁が調査を平成十九年から、今の産科救急、それから小児、それから重篤な方の搬送と、一般の救急と、この四カテゴリーの中で、四回以上、言い方は悪いですけれども、たらい回しという件数について調査しているんですね。

 産科の方は、実は、平成十九年から二十三年度までの調査の中で、一千件を超えていたのが五百件、つまり半減してきているんですね。そこは一定の成果が上がっていると。しかし、その他、小児、あるいは重篤な患者さん、もっと言うと、一般の救急の方で、中程度以下、軽症な方も含めて、そういった方が非常にふえていることで、実は件数自体が上がっちゃっているんですね。

 ですから、何を申し上げたいかというと、結局、そういう中軽症の方がふえると、本当の重症患者さんが受けられない可能性もあって、そういったところの機能分化をどう図っていくか。つまりは後方機能ですね、大病院の後方機能、二次救急や初期救急、そういったところの受け皿整備や、あるいは、まさにしっかりと、小児も含めた救急の体制の充実。

 そして、そのためには、まさに不足診療科、小児、産科、あるいは手術に不可欠の麻酔科、あるいは外科、こういったところの人材が不足をしている部分、そういったところについては、実は麻生大臣とのやりとりの中でも、偏在の解消ということは重要だ、そういう認識をこのやりとりの中で御表明いただいていまして、そういったところを重視するということはやりとりをさせていただきました。

 そうすると、昨日まさに大臣も、産科、救急の充実ということの必要性をコメントされていますが、その充実をするときに、では、消費税の中の充実分の五千億分の一千億の中の充当、これは一つ考えられるのは今御答弁いただきましたが、それ以外には、薬価を引き下げるのがいいのか悪いのかという議論はありますが、この薬価の引き下げ分が医科本体の充実分に回ってきているというこれまでの経緯はあります。その薬価の引き下げ分について、例えば、今申し上げているような救急とか偏在解消とか、そういったところの充実に使われる、そういう部分についての認識はいかがですか。

田村国務大臣 今般の消費税増税部分は、いろいろと書いてあるメニューの中で、充実という中で二・八兆円というものをやっていかなきゃならぬわけであります。一方で、今言われたような部分というのは、まさに民主党政権下でも、この薬価の中において捻出をして充実をしてきたわけでありますので、基本的に我々も、この薬価の引き下げ分を一つ財源としながら、そのような部分の充実を図ってまいりたい、このように考えております。

柚木委員 そうすると、今回、年末に向けての、診療報酬改定に向けての財源といたしましては、まず消費税が上がる部分についての二千億という御答弁がありました。そして、充実分についての五千億のうちの一千億円が医療の充実ですから、その中というのが考えられる。そしてもう一つは、薬価の引き下げということが行われた場合には、それが充当される。こういうことが考えられるということで、それはよろしいですか、確認で。

田村国務大臣 財政的に非常に厳しいですね、日本は。ですから、ほかから財源が出てくれば、それを充当すればいいわけでありますけれども、そういうものもないわけであります。

 そういう中で、今言われたように、薬価というものを調整しながら、そこから出てきた財源というものを何とか充てていかないと、今委員がおっしゃられたようなところの、非常にまだまだ不安定な日本の医療の部分を安定、充実化していくということに関しては、やはり方法がないわけでありまして、今委員が言われたとおり、そのような形で我々としてもしっかり日本の医療を安定化させていきたいというふうに思っております。

柚木委員 ぜひ、私は、先ほどの決算の方でも、財務大臣あるいは甘利一体改革担当大臣も、診療報酬改定についてはなかなか厳しい認識を示されました。しかし、この後自然増の議論もさせていただきますが、この消費税を引き上げさせていただいて、そして、特に医療、介護、命や健康にかかわる部分は、こういったところをよくしていくということを前提にお願いもした。

 そして、適正化についても、これは一兆二千億ということで既に掲げられていて、プログラム法が可決をされてということを考えると、まさに診療報酬の充実、そして救急、不足診療科を含めたしっかりとした対応がなされるということが大前提でありまして、その際に、やはり全体としてのネットプラス、それから、少なくとも医科本体部分についてプラスにならないようだと、今言っていただいているようなことももう実現できないわけですね。

 だから、私は、ネットプラスということも当然、先ほどの委員会でも主張しましたし、少なくとも医科本体の部分については、今三つの財源、大臣、お話ありましたから、ここは頑張るぞと、そこはぜひ御所見を述べていただけませんか。

田村国務大臣 いつも申し上げておりますけれども、医療経済実態調査というものを分析しております。これは一つ、やはり要素であります。

 その上で、今言ったような救急、これは小児も産科も入っております。全体的に、非常に今、まだまだ日本で充実していかなきゃいけない部分、こういうものに対する充実、これをやること。さらには、医療提供体制の見直しを含め、地域医療の充実、こういうものをしっかりやらなきゃならない、整備しなきゃいけない。

 さらに申し上げれば、日本の経済全体が、やはりこれから物価が上がってくる、賃金を上げていかなきゃならない。医療職は、お医者様の話ばかり出ているんですが、全体で三十万人弱ぐらいですかね。ですから、ほかの関連医療職の方々が圧倒的に多いわけでありまして、そこの方々は、実は賃金は福祉職と一般の間ぐらいであります。決して高くない。これから人材がまだまだ必要だという部分であります。そういうことも考えていかなきゃなりません。

 そういうことを総合的に考えた上で、適切な診療報酬改定を目指していくということであります。

柚木委員 ぜひ、もう少し強い思いを、今後の、特にこれは与党の皆さんもぜひ、この後に自然増の話をしていく中で、ちょっと私も心配をしておりまして、多くの議員の皆さんがそういった、今議連でも取り組みをされているようですので、ぜひ大臣の後押しも含めてしっかりいただきたいし、大臣、ぜひもっと強い思いをいろいろなところでお示しいただかなければ、ちょっとこの後に自然増の話に行きますが、大変に危惧をされるところです。

 私があちらで質疑している間の長妻委員とのやりとりの中で、この自然増の扱いについて五項目が例示をされて、それ以外の自然増が、適正化、つまり削減された部分について社会保障財源に充当されるかどうかが、これは何か曖昧な、頑張るみたいな、そういうようなやりとりがあったというふうに聞いています。

 まさに一兆四千五百億、私さっきちょっと間違っちゃったんですが、この一兆四千五百億の後代への負担のツケ回しの軽減の中にこれは含まれているわけでして、そもそも、含まれている部分が削減をされる、削減をされたら、当然、社会保障の充実化、安定化に、ほかのところに回ると誰もが普通は思うんですが、それがちょっとよくわからないということであっては、ひょっとして、その削減分というのは社会保障以外の分野に回ることはあり得るんですか、大臣。

田村国務大臣 具体的にどういうものが想定されるのかがなかなか、我々よくわかりませんでして、具体的にどういうものが想定されるのかおっしゃっていただければ、それに対して我々としてもまたお答えができるんだというふうに思うんですけれども、なかなか、我々も頭を絞ってみるんですが、そこに入ってくるものというものが理解できないというのが今、現状であります。

柚木委員 まさにこの五項目と私も先ほど確認させていただきましたが、この五項目以外にも適正化項目は一兆二千億ありますから、この五項目以外について、社会保障に回ることはあり得るんですか。(田村国務大臣「どの五項目」と呼ぶ)ちょっととめてくれませんか。

後藤委員長 では、時計をとめてください。

    〔速記中止〕

後藤委員長 時計を動かしてください。

田村国務大臣 今、五項目、何をもって五項目とおっしゃられているのかよくわからないんですが、病床機能の分化、連携、在宅医療の推進、これも当然のごとく、効率化されれば、それは充実化の方に回ってくるわけでありますし、地域包括ケアシステムもそれに入ってくると思います。難病、小慢もそうでありますので、何をもっておっしゃっておられるのか、ちょっと理解できないんですが。

柚木委員 大臣、充実分ではなくて、適正化の方の五項目を、先ほど、後期高齢者支援金の全面総報酬割を導入すれば、当然これは浮きますよね。それから、まさに、三番ですね。三番のポツ二で、医療提供施設相互間の機能の分担、在宅療養との公平の観点から外来、入院に関する給付の見直し、こういうことをして適正化される財源。それから四番ですね、介護給付の重点化、効率化。一定以上の所得を有する者の負担の見直しなど。

 「など」の二項目についても、私もお聞きしたらば示されておりまして、これは、所得水準の高い国保組合に対する国庫補助の見直し、それから介護保険のいわゆる補足給付の支給要件に資産を勘案する等の見直し。この五項目を例示されております。

 それ以外にも、医療保険制度の財政基盤の安定化のために、一番の項目ですね、二つポツがあります。こういった点とか、二番の、ポツの一の方ですね。

 こういったことなどで、これは全体として、項目を今挙げた以外のところについての適正化の財源については、社会保障以外に回らないということでよろしいですか。

田村国務大臣 この一覧表がありますよね。一覧表で、充実が青で、緑が重点化、効率化、それから、紫が双方が含まれるものというふうに、充実と重点化、効率化と書いてある。この重点化、効率化が書いてあります緑と紫は、全て対象になるという話であります。

柚木委員 済みません、ちょっと予防接種の方も聞きたいので、これは整理しておいてください。私も、もう一遍整理をしてまた伺いますので。

 とにかく、私が申し上げたいのは、今回効率化される財源、これはもとより、自然増に切り込むというようなことであれば、もともと自然増についても消費税の中に含まれているわけですから、その部分が社会保障以外に使われるというようなことがあってはならない。それは、そうじゃないと、国民の皆さんが、それこそ、その削減された分が公共事業の方に回るとかいうようなことになれば、何のための消費増税かという話になりますから、そこを私は確認させていただきたいということだったんです。

 それで、実は、さっきの委員会で予防接種についてもやりとりをさせていただきました。

 予防接種法の附帯決議に、今回定期接種化されました子宮頸がん、小児Hib、肺炎球菌以外の水痘、おたふく、成人用肺炎球菌、そしてB型肝炎、さらには、ロタウイルスについても参院附帯決議の中には示されております。そういった今後のワクチンの定期接種化に向けて、二十五年度中に結論を得る、そして、そのための必要な財政上の措置も講ずる、そういうことに努める、そういったようなことが書かれております。

 そして、先ほど、総務は副大臣、そして厚労は健康局長に御答弁いただいて、そして最後は財務大臣にも御答弁いただいて、我々政権のときには、関係四大臣の会合の中でそれを調整して、定期接種化を前に進めたということでございまして、事務レベルでのやりとりしかまだできていないというような御答弁がありました。総務副大臣からはしっかりと、そして財務大臣とは、それぞれ関係大臣と調整をして前に進めていきたいという御答弁をいただいております。

 ぜひ、厚生労働大臣としても、ちゃんと大臣間のやりとりも含めて、この附帯決議について、しっかりと財源の手当て、そしてまた必要な措置を講じていただくというような形で御認識をいただければと思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 四ワクチンについて、現在、厚生科学審議会の中で御議論をいただいているということであります。

 その検討の結果を受けて、関係大臣としっかりと議論をして進めてまいりたい。財源のある話でありますから、当然、その中において財源の議論は出ると思いますけれども、進められるものは進めてまいりたい、このように思っております。

柚木委員 附帯決議には二十五年度中というふうに書かれておりますので、ぜひ、二十五年度中にしっかりとそれぞれ結論を出していただいて、今御答弁をいただいた、ちゃんとそれぞれの関係大臣との間で調整をいただきたいと思います。

 ワクチンの話は、この間もこの委員会、それぞれ質疑もあって、私も、特に子宮頸がんの今の副反応の国民の皆様の御認識の中で、定期接種化したのに接種勧奨しないという何か状況があって、そして接種率自体も非常に下がっている。私の地元でも十分の一ぐらいになっちゃっているというような話も聞きました。

 これが他のワクチン接種に影響を与えることも危惧されますし、やはり重要なのは、私も何度か御指摘しましたが、そういう副反応等が起こったときのことも想定をして、例えばPMDAの中の審査部門の充実というのは当然ですが、安全管理部門、ここの人員の確保、育成、そして、そのためには当然予算的な対応も必要なわけで、その予算要求についても、これは省内でいろいろな形の何か議論があるようにも聞いていますが、私は先ほども委員会で質問をしまして、財務省の主計局次長から答弁もいただきました。厚生労働省からのそういった要求を受けて、しっかりとその対応の必要性については認識をされておられました。

 ぜひ、これは省内でもしっかりと、この人員確保、特にPMDAの安全部門の体制については、赤石政務官からも以前御答弁をいただきましたが、これは大臣、しっかりと予算を要求して、そして必要な体制を確保していく、そういうことをぜひ大臣、しっかりと御答弁いただけませんか。

田村国務大臣 おっしゃられるところも重要でございます。PMDAも、安全対策部門、これも含めてしっかりと充実を図れるように努力してまいります。

柚木委員 ありがとうございます。

 まさに私も、薬事法改正のときにも、それこそ医薬品以外の、化粧品とか、あるいは石けんの問題とか、幾つか申し上げました。そういったことも含めてしっかりと対応がなされることが、やはり国民の皆さんの健康と命にかかわる部分ですから、今の御答弁は一つ重要な答弁だと思いますから、しっかりと私もその後を注視させていただきたいと思います。

 あと、この間なかなか質疑ができていなかった部分で、私は非常に、今後の日本の社会保障の絵姿のみならず、全体の経済、財政、そしてまた社会保障をしっかりと前に進めていく中で重要だと思っている視点がございます。その点について、残りの時間で質疑をさせていただきたいと思います。

 我が国は、特に、今回の一体改革も、全世代型、つまり次世代に対する支援をより充実させていくことが必要である、世代間格差の是正ということも言われておりますし、世代内格差の是正ということも言われています。

 そういった中で、では実際的にそれを進めていく中でどういった視点が重要なのか。私は、幾つかの視点があると思っていまして、その中で、例えば、次世代支援でいえば、家族関係支出。これはまさに、今回、一体改革の中でも、八%時、三千億、満年度、七千から一兆円、こういった財源がこの間議論もされてきました。

 ただ、そういったことをやっても、実はこの家族関係支出というのは、現状で、日本の対GDP比でいえば、OECD平均の半分以下、スウェーデンなどに比べると四分の一、こういった状況でもあります。

 そして、さらに言えば、若い人たちの就職支援、失業給付よりも就労支援でしっかりと自立をしていただくというような取り組み。これもいろいろな予算的な対応がなされていますが、これもOECD平均からすれば半分以下で、なおかつ、スウェーデンなどと比べると三分の一程度ということであります。そして、まさに、安定した職につけないから結婚が困難であったり、出産、育児も、なかなかそういったことにならなかったり、そういったような背景もございます。

 そういったことを考えると、私は、例えば家族関係支出にしても、あるいは就労支援予算にしても、まさに社会保障関係費を対GDP比で日本がその平均的なところを目指そうというような形でこの間取り組んできて、我々政権下では、この間そこの部分を重点的に手当てして、何とか平均ぐらいの水準まで上がってきているという状況があります。

 ぜひ、次世代支援に当たります家族関係支出、あるいは就労支援予算、こういったものをせめて先進国平均を目指して、その額あるいは比率を高めていく、そのことがまさに一体改革、二五年に向けた絵姿の中で重要な方向感だと私は思っておりまして、大臣、この点について、二十五年白書についても若者への支援ということが書かれています。このそれぞれの、家族関係予算そして若者を含む就労支援予算、ぜひ今よりも額もウエートも引き上げていく、こういう方向感について御所見をお述べいただけませんか。

田村国務大臣 消費税の利用は四経費に限定されておりますので、なかなかほかのものには使えない、ここはもう御理解をいただいているところだと思います。

 そういう意味では、消費税の中でいえば、子ども・子育て、少子化対策、これに御承知のとおり七千億円。それのみならず、残りの三千億円で合わせて一兆円を何とか確保したいという思いでございますので、そのような形でしっかりと財源を確保していきたいと思っております。

 それから、貧困対策に関しましては、子どもの貧困対策ということで法律をおつくりいただいたわけでありまして、学習支援でありますとか養育相談でありますとかいろいろなこと、こういうところにも力を入れていかなきゃならないと思います。子供の居場所づくりというものも必要であろうと思います。

 それから、就労支援という意味からいたしますと、今、現行でも、新卒応援ハローワークでありますとか、わかものハローワーク、これは窓口をふやしてきておりますし、地域若者サポートステーション、こういうところも、きめ細かいサービスに対応できるようにということで力を入れてきております。そしてまた、就労。非正規の方々を正規へというところでは、キャリアアップ助成でありますとか、それからトライアル雇用、さらには若者チャレンジ奨励制度、いろいろなものを今メニューに入れておるわけであります。

 いずれにいたしましても、委員がおっしゃった部分は大変重要なところでございます。しっかりと我々としても力を入れてまいりたい、このように思っております。

柚木委員 方向感については一致をしていると思いますが、今後の消費税財源だけではなくて、やはり既存の社会保障予算、そして全体の予算をいかにしっかりと効率的に、家族関係支出なりあるいは若者の就労支援なりに配分、額も含めてふやしていくか。こういうことをやらないと、それこそ、幾ら消費税を上げても、特に、次世代の支え手が三人から一人が、一人が一人になっていくと支え切れないわけですから。

 そこについては、ぜひ具体的な、今後、私も提案、この間もイクメン支援も含めていろいろさせていただいていますが、そういったことをやっていくことが、私は、今、アベノミクスで経済をよくして、そしてそのことで社会保障もよくしていく、そういう手法もわかるんですが、しかし、同時に、この間、長妻委員なんかも、北欧のことも言われています、ヨーロッパ型の。いわば社会保障をしっかりと充実させることで、私たち、共生社会ということを理念として綱領に決めたんですが、支え合い機能、家族関係支出とか若者の就労支援とか、そういったところをより重視することが、ひいては、自助の、自立機能の後押しにつながる。

 世界全体の流れも、今、インクルーシブグロース、包摂的成長、なるべく格差なき成長で全体を底上げしていく。これがまさにトレンドでもありまして、日本ははっきり言ってそのトレンドから、乗りおくれているわけであります。

 ぜひ、今回の一体改革を前に進めていく中で、具体的にそういった予算のウエートを高める。そして、額についても充実をしていく。これについては、今後、消費税の予算にかかわらず、しっかりと私たちも提言をさせていただきたいと思いますので、そのことを提案させていただきまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、新原秀人君。

新原委員 日本維新の会の新原秀人でございます。

 昨日、プログラム法案が可決されました。維新といたしましては、反対意見もあったし賛成意見もあったということで、二つに分かれたんですけれども、それはあくまでも、我々は、今回のプログラム法案では足らないんではないかと。もっと速く進めなければならないスピード的なことと、適正化といいますか、そういった意味でも、もっともっと加えていくべきじゃないかという意味での賛成アンド反対でございました。

 だから、昨日可決されましたので、前向きに、もっとスピードを上げて改革を進めていく、そして、こういったこともできるのではないかということを我々は提言していって、少しでも政府の一助になればなと思っておりますので、そういった意味での提案をさせていただきたいと思います。

 先日、参考人でも来ていただきました遠藤久夫先生、国民会議の会長代理であって、社会保障審議会医療保険部会の部会長である方なんですけれども、この方の発表をお聞きして、そこからちょっと資料をいただいてきたんです。

 資料一に、わかりますように、社会保障費は、福祉、医療、年金、ずっと伸びてきていまして、年間三兆円ペースで伸びている。そういった意味で、国民の多くといいますか、特に年金については、このままでは破綻するのではないかという不安を覚えているという話なんですよね。

 そう考えていくと、こういうふうに年々伸びてきている社会保障費、先日も同じ質問をさせてもらいましたけれども、本当に、消費税を一〇%に上げただけで何とかこれをしのぎ切れるのかという心配があるんです。消費税を上げるのは反対とか言っているんじゃないんですよ。国民的には、ある程度そういった道筋を長期的に示していかないとだめだと思うんです。

 昨日の毎日新聞に、自民党税制調査会の野田会長が、消費税一〇%超、つまり、一〇%を超えていくのは必要だ、仕方がないだろうというふうなコメントを載せられているんですよね。実際に、今のままでは、つまり、充実化ももちろん必要ですけれども、適正化なり重点化、効率化をしていかなければ、いわゆる自然増の受け皿がないわけですよね。だから、もっともっとスピードを上げて、いろいろな項目で重点化、効率化、そして適正化を行っていかなければならないと思うんですけれども、その点の御覚悟なり、大臣はどのようにお考えですか。

田村国務大臣 今委員がおっしゃられた中で、年金が非常に厳しいというお話をされました。

 我々は若干ちょっと認識が違っておりまして、年金は、今の足元、給付費ベースで、GDP比でどれぐらいかといいますと、大体今一一・二%ぐらいなんです。これが二〇二五年に九・九%まで下がります。ですから、年金というのは、ある程度、数理計算で財政を調整していますので、給付と負担といいますか、そのバランスをとっている、計算の中でバランスがとれるような仕組みをつくってありますので、逆に、GDP比当たりでは下がっていくんですね。ところが、医療は、今足元七・三%が八・八まで伸びる。介護は、一・八%が三・二%ぐらいまで伸びる。これは国民会議の報告書の中にも書かれていますけれども、介護の伸び方が一番激しいと言ってもいいのかもわかりません。

 でありますから、我々はここをどうするかという大きな課題を持っておるわけでありまして、そこは、効率化できる部分は効率化していかなければならないと思っておりますし、一方で、消費税というものに今回頼らざるを得ないということで、今回の消費税八%、一〇%というようなお願いもさせていただいておるわけであります。

 しからば、その先はどうかというのは、これは野田税調会長のお考えでございますから、私はコメントをするわけにはいきませんけれども、国民負担率、つまり国民所得に対する税と社会保険料の負担率でありますけれども、日本はヨーロッパ諸国に比べればまだ低い状況です。そういう中において、保険料もこれから上がっていきます。場合によっては、国民負担率がある程度上がっていく中において、これが消費税というようなこともあるんであろうということを野田税調会長は多分おっしゃられておられるというふうに思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、これから中期の財政フレームといいますか、これをつくっていくわけでありまして、税収の伸びをどう見ていくか、それに対して社会保障の給付がどうふえていくか、こういうことを、幾つかの要素を踏まえた上で、どうしていくかということを考えていかなきゃならない。もちろん、適正化するところはしっかり適正化していかなきゃなりませんから、その不断の努力というものはやってまいりたいというふうに思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 そういった覚悟でやっていただきたいということなんです。我々の生きている世代が楽をしたり、つまり、我々が本当に負担を少なくすることによって、結局払わなければならないのは将来の子供たちなんで、やはり維新としては、将来に対してツケを残すのはやめていきたいということが我々の政党の発足のいわゆる根本でありますので、そういったことは今後言っていきたいと思います。

 そういった中で、今後の医療費、もちろん適正化なりは行っていきますけれども、税にはいろいろありますけれども、消費税等でお願いするのか、患者さんなり国民の皆様方の負担でお願いする。つまり、足らずはどのような補填の仕方もできるわけですけれども、国民の調査によると、アンケート調査では、税による解決を望む、つまり、税金を上げてもいいから負担は減らしてくれよというアンケートの方が意外と多いんですね。

 海外では、消費税とか、税金を上げると言ったら、上げてくれ、上げてくれというのが、意外と野党がほとんどなんですよね。海外では、野党が、上げてこういうことをせいと。新しいことをするためには税金がまず必要だ、つまり財源が必要だということなんですよ。だから、日本だけが与党が上げて野党が反対してというのが、意外とこれは事実なんです。

 海外では、そういった、税金を上げろと言うのは、野党が言っていくんです。それで、新しいこういうことをしてくれと。つまり、財源をついてそういったことを訴えて出る。その辺がちょっと、日本の政治というのは、財源もないのにこれをやれと言うのはおかしいわけであって、やはり財源とともにそういったことを言っていかなければならないと思います。

 だから、そういった意味で、財源ということで、先ほども大臣からありましたように、意外と、国民の負担率といいますか、医療サービスについての負担率が日本はかなり低いんですね。つまり、言ってみたら、まだまだと言ったら言い方が悪いんですけれども、まだ負担を国民のサービスを受ける方々にお願いすることも可能なんです。そういった意味での、いわゆる適正化という意味、まあ、これは重点化、効率化という意味も、もちろん、低所得者にはそういったセーフティーネットは必要ですけれども、やはり、財源という意味で、国民負担率、医療に対する負担率はもう少し上げることはできると思うんですけれども、その点については、政府としてはどのような。

 もちろん、これは、今回消費税を上げて、足らなかった、将来的な方向性の問題であって、やはり税金だけでは無理だというふうに思うんですよね。もちろん、税金を上げていかないけないかもしれない。だけれども、税金だけでずっと上げていこうと思えば、本当に二十何%、三十何%になってくると思うんですよね。そうじゃなくて、それだったら、やはり国民の皆様方に負担をちょっとしてもらうことによって、税金も上げなくていいよという、税金の上げぐあいも少なくなると思うんですけれども、その点は、政府としては、どのようにお考えなんですか。

田村国務大臣 御承知のとおり、日本の医療、介護も含めて、社会保険方式というものを導入いたしております。

 これは、よく共助と言われる部分でありますが、自助の共同化と言うと高橋委員に怒られちゃうんですけれども、私は、自助の共同化を国全体で支えているという言い方をする。それはなぜかというと、税金が入っているからでありまして、それはなぜかというと、やはり所得の低い方々等々を支えるためには、その中に税金を入れなきゃならないということで、今の日本の社会保険方式というのがあるわけであります。

 バランスだと思うんですよね。全部これから税金を上げずに保険料だけでやっちゃうという話になると、これは大変な保険料上昇の中で、耐えられなくなってしまうんだと思います、一部の方々が。それと、一方で、自己負担をもっとふやせと。今、三割自己負担ですよね、医療の場合。介護は一割。今、それを一部の方々は二割というようなお話も出てきておりますけれども、では、それももっと上げて、五割という話になると、もうそもそも保険と呼べるのかという話になってくるわけでありまして。そこはバランスというふうに我々は考えておりまして、税の部分で御負担をいただく部分、それから保険料の部分で御負担をいただく部分、それぞれバランスを考えながらこの社会保険方式のいろいろな公的保険が持続可能で維持できればということ、そして国民の皆様方に御理解をいただければというふうに考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 そうですね、やはりそういったバランス感覚でやっていかなければならないんですけれども、そういった可能性が、将来に向けて、五年後、十年後にもう差し迫っているということをやはりもっともっと国民の方々には知らせて理解してもらわないと、今のサービスを受けようと思えば、何らかの努力なり、それからいわゆる負担なり、税金であろうがそれとも負担金だろうが、負担なりが絶対ふえてくるんだということをやはりもっともっと知らせていくべきだと思います。今の国民皆保険というものは守っていくべきであるし、すばらしい制度だと思っていますので、いわゆる持続性を保つためにはそういったことが今後必要になってくるということをやはりもっともっと国民の方々にお知らせして、どうするのかということももっともっと考えていただきたいと思うんですよね。

 そういった中で、適正化とか、いわゆる重点化、効率化といろいろ言われていますけれども、その中で、一つの提案として、我々の会派の足立議員も言われていましたけれども、いわゆるデータですよね、データヘルス計画というのがあるわけです。つまり、レセプトに対するデータを、二十四年度補正予算で八十億円で、健保組合の機能強化に向けたITネットワーク基盤整備システム開発事業ということで、今年度までに一応それのいわゆるインフラ整備はするというふうになっておりますけれども、その辺の状況はどうなっているんですか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、レセプトデータ、あるいは健診、保健指導等のデータを使って、保険者の皆さんが加入者の皆さんの健康をより高めていく、あるいはその重症化を予防していく、さらには、重複受診、頻回受診も避けられる、後発医薬品の利用状況を見て促進も図れると、多々、医療費のより効率的なあり方を追求できるという、大変効果的な事業が展開できるんです。これをデータヘルス計画と呼んでおりまして、これを我々も、保健事業に取り組む保険者の皆さんに対する指針というものも今年度改正をして、取り組みを進めていただこうと思っています。

 その前提として、今御指摘いただきましたような、健保組合、あるいは協会けんぽ、国保等の各加入者の皆さんのデータを分析して、まだこの辺が弱いということを指摘できるようなシステム改修というものを補正予算等で進めてまいっておる、それで、来年度からそれを実際に使って事業を展開していきたい、そういうふうに思っている次第でございます。

新原委員 ありがとうございます。

 やはり、この日本といいますか、もっともっと頭を使って医療費を抑制する、いわゆる学術的といいますか理論的に、やはりエビデンスをもって医療費を下げていくということも非常に必要なので、こういったことは非常に今後も頑張っていただきたい。

 何でもそうですけれども、やはりインセンティブがなければ人間というのは、いわゆる保険者にしても患者さんにしても、動かないと思うんですね。患者さんに対するインセンティブは、病気が重くならなければ、つまり自己負担金が軽減できるという、言ってみたら、病院にかからなかった、つまり自己負担が高くならないですよというインセンティブがあるんですよね。

 だから、そういった意味で、自己負担ということについては、生活保護の方では今のところないんですけれども、やはりそういったことも含めて、別に抑制という意味じゃなくて、つまり、体を健康に保てばそれだけ自分の医療費も少なくなるのでというインセンティブ的な意味での負担金ということの考え方も必要なので、そういったことも考えていっていただきたい。

 だから、こういったことによって、このデータヘルス、つまり、データによって、こういう薬なりこういう治療をすれば安くなりますよという、これはもちろん保険者に対してもなので、それは、そういうふうな結果が出てくれば、絶対に皆さん一生懸命やろうといたしますので。そういった意味で、ぜひともこれは力を入れて、本当に重点化、充実化に資するエビデンスになることなので、頑張ってやっていただきたい。

 そういった意味で、特にやはり高齢者の疾病の重篤化というのが一番お金がかかってくることですので、そういったことについては、若年層からのいわゆる予防といいますか、ある程度軽いうちからできるだけ重篤にさせないというふうにはしていかなければならないんですけれども、ただ、これは保険者が違うんですよね。高齢者については高齢者医療制度があります。若年層についてはほかの保険、いわゆる国保なり、つまり、違うんですよね。

 つまり、一生懸命予防してやっていかなければ高齢者の医療費が上がっていくよという、保険の中で見ていれば、それを一生懸命、予防しよう、しようとするんだと思うんですけれども、保険者が違うのでそういうインセンティブが働きにくいんですよね。つまり、高齢者医療制度は高齢者医療制度に任せておいたらええと、何か他人事のようになっているんです。だから、将来的には、そういったことも含めて、やはり維新の訴えています保険者の一元化は、何年かかろうがやっていくべきだと思っております。

 そういった中で、糖尿病の合併症とか心筋梗塞を発症するとか、リスクというのは、海外ではデモンストレーションプロジェクトといいまして、言ってみれば、こういった治療をしたりこういった薬にするとリスクが減るということを実際の患者さんで計算して、実際にやっているんですよね。だから、そういったこともこのデータヘルス計画によって可能になってきますから、そういったことをやはり、例えば、糖尿病性の腎疾患患者が人工透析に行かなければ、結局それだけで年間何百万というお金が削減できますから。

 そういったことも含めて、もっともっと、データなり、科学的に削減するということをやっていただいて、そういった部分については、財務省に言って、もちろん、ほかの厚労省で使えるような形でやはり予算をもらっていただきたいと思います。それは一応、要望という形でおいておきます。

 もう一点、医療費削減という意味で、何度か僕もお話ししていますけれども、終末期医療ですよね。つまり、リビングウイルといいまして、この間から言っていますけれども、私がもしも病気になっても人工呼吸器はつけないでくださいとか、そういった覚書みたいなものを書いておくということなんです。

 厚生労働省によって、人生の最終段階における医療に関する意識調査ということが行われているんですよね。リビングウイル、つまり、延命治療をしないということに賛成な人が、ずっと、調査ごとに、四八、五九、六二、現在では七〇%が賛成ということになっている。実際にこれは調査でわかっているんですよね。つまり、そこまでして長生きしたくない、延命治療をしたくないという人が七〇%に上ってきているわけなんですよね。その中で、特に、人工呼吸器の装着を望まないという方は六七%です。

 だから、そういったことをやはり法制化していかなければ、それを医療側が勝手に判断してそういった医療を行うと、昔の脳死における臓器移植と一緒で、結局、医療側が罪に問われるんですよね、何か文書に残しておくとか何かがなければ。だから、どうしても医療側の方は、医師側は、そういったことに対してすごく慎重にもなるし、家族と話し合いをしてもなかなか決断ができないというのはそこだと思うんですよね。

 だから、一応、尊厳死法案というのが出されようとして、まだ出されていませんけれども、そういったリビングウイルについての法制化をすることによって、今、一番医療費がかかっている、しかも、これから、いわゆる団塊の世代に高齢者がふえてきて亡くなる方もふえてくるということは、ここは爆発的にばっと伸びていく可能性が非常に大きいので、そういったリビングウイルの法制化、これは、きのうの読売新聞にも書いていました。

 この前の御答弁では、いやいや、生きている間からそんなことを患者さんには言えない。それはそうなので、法制化して、やはり、そういったことを文書化していく。いわゆる脳死における臓器移植法と一緒で、そういったことを残すような、いわゆる国民的な運動にしていくということ。国民運動にすればいいんですよ。言ってみれば、そういうことによって、国民の方々の医療費は安くなるし、税金、負担金も安くなる可能性があるのなら、それに皆さん、協力してくれるはずですよ。

 だから、そういったことについて、これは厚労省というよりは議員立法になるかもしれませんけれども、そういったことについての前向きな考えといいますか、どのように考えられていますか。

原(徳)政府参考人 お答えいたします。

 先日もお答えをしたところでございますけれども、確かに、リビングウイルについて、そういう文書を残しておくとか、あるいは、延命治療について否定的な、必ずしも望ましくないという御回答がふえてきているのは事実であります。

 ただ、実際にその場面になったときにどう考えられるか、どのような行動をされるかというところについては、それぞれの方々の人生観でありますとか死生観もありますので、なかなか一律に決めることは難しいのではないかというふうに考えております。

 議員の方々の集まりでいろいろと議論していただいておりまして、その中で、延命治療の不開始であるとか、あるいは、例えば人工呼吸器をとめる、ストップをかけるとか、その二案を今、成案といいますか、まとめていただいているようでございますけれども、大きな問題点としては、それをどのようにして患者といいますか、国民の方にお願いをしていくかというところは大きな課題というふうに感じております。

 私どもとしましては、このような終末期医療をどうしていくか、これについて、やはり、病院の中で十分に患者さんあるいは御家族の方々と話し合っていきながら決めていただく、そういうような形のものを進めていきたいと考えておりまして、そのためのガイドラインもつくっておりますが、それの周知とか、あるいは、モデル的な形でのどういうようなスタッフでやるのがいいかとか、そういう事業について、来年度、また予算要求をさせていただいているところでございます。

新原委員 ありがとうございます。

 やはり、そういったことは議員が先頭に立ってやっていかなければならない。政府としてはそういうふうにはなかなか言えないところもありますので、これは、我が党としても、そういったことを話し合っておりますので、そういったことを前向きに考えていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 今回のプログラム法案にも載っていたんですけれども、ちょっとここは通告はしていなかったんですけれども、消費税を上げるときに、結局、税に対して、いわゆる損税というのが発生いたしますし、それに対して予算取りも実際されていて、それは理解できるんですね。

 そうしたときに、方向としては二つ方法があるんですね。仕入れ等についてゼロ税率にするのか、それとも診療報酬を上げていく。つまり、ゼロ税率にするならば、そのお金は財務省にお返ししないとだめですし、逆に、診療報酬でかさ上げするならば、その分については厚労省でとらなければならない。その点の、いわゆる方向性としては、今決まっているんですか。

田村国務大臣 昨年八月成立いたしました税制抜本改革法におきまして、消費税については適切な手当てをするという方針が示されているところでありますが、八%のときに関しましては、今委員がおっしゃったとおり、基本的にこれはもう診療報酬で対応をするということで、中医協で御議論をいただいております。初診、再診、入院基本料というような、基本的な診療報酬を中心にこれをやるというような方向でございます。

 しかし一方で、これが一〇%となりますと、やはり関係者の方々からいろいろな御意見もございます。一方で、実際問題、国民の側からしてみれば、負担がかかるのか、かからないのかという問題もあります。いろいろな考え方がございますから、これは、それぞれ、もう少し意見の調整をしていかなければならない。今言われたようなゼロ税率というような考え方もあるでありましょうし、いろいろな考え方があるわけでありますが、皆さんの意見が全て一致しているわけでもございませんので、いろいろな御議論をさせていただきながら、一〇%に引き上げるときの対応ということで御理解をいただいて決定をしてまいりたい、このように思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 ということは、今回の四月の部分については診療報酬で対応するということですね。わかりました。

 実際、ゼロ税率になると、逆に言ったら、診療報酬も下げないとだめという理論的な話が逆に出てくるので、その辺も非常に難しい話になるので、その点はいろいろな関係団体と話し合っていただいてしなければ、難しい論点があると思いますので、その点はまた、いろいろな方々にお聞きして、一〇%のときにはお願いしたいと思います。

 それと、これは質問の中に入っているんですけれども、後期高齢者に対する医療費に対しての総報酬割ということはもう書かれている、つまり、説明に書かれているということは、もうこれは何年後か以内にはやられるということなんですか。

木倉政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回のプログラム法案におきましても、後期高齢者の医療費に対します被用者保険等々からの支援金、このあり方について、特に被用者保険の中では、今は加入者割、それを特例的に三分の一だけ賃金に応じた総報酬割で負担をお願いしていますけれども、これを全面的に総報酬割とする方がより公平な負担になるという御指摘をいただいておりまして、それを検討し、必要な措置を図る、これが二十七年度に向けての法律改正ということで、議論を進めていきたいというふうに思っておるところでございます。

新原委員 ありがとうございます。

 健保組合の方からかなりの抵抗があると思いますけれども、頑張ってここは押し通していただきたい、維新としては応援していきたいと思います。

 そういった中で、総報酬割にすることによって、公費の支出が削減、大体二千二百億円程度と言われていますけれども、ここも、逆に言ったら、余った分はどうすんねんという形で、とり合いになっていますよね。国保には入れてほしいという話も、健保組合の補助率も二〇%に引き上げてほしいとか、その辺も含めて、例えば前期高齢者医療に充てるという、いろいろな意見が出てきておりますけれども、この二千二百億円は財務省にとられることはないんですか。

田村国務大臣 何をもってして財務省にとられるのかという定義がよくわかりませんので、お答えしづらいんですけれども。

 いずれにいたしましても、医療の安定のために使うことは間違いないわけでありまして、これから関係者といろいろと御議論をさせていただきながら、どのような形にしていくかということを決めてまいりたいというふうに思います。

新原委員 ありがとうございます。

 最後にもう一つ、重点化といいますか効率化の中で、在宅医療、つまり家で亡くなる方の、ちょっと飛んで飛んでまた戻るんですけれども、終末期の医療についての医療費が非常に重要だということで、できるだけ御自宅で亡くなってもらうようにしなければならないということで、二十四年度の診療報酬改定で機能強化型在宅支援診療所、病院というのがつくられたわけですよね。この状況調査を見ておりますと、実際に医療費も下がってきているし、御自宅で亡くなられる方もふえてきているんですよね。

 これには、診療報酬の加算という、つまりインセンティブをつくったことによってこういったことがいわゆる機能的に膨らんできている。つまり、地域包括支援センターについても、こことは介護保険との絡みもありますのであれですけれども、こういった訪問看護でありますとか、だから、そういった病院以外のところの、在宅診療ということについてのインセンティブというふうな診療報酬についての加点なり、事新しくとか強化するとかいう形で考えられているんですか。ここは非常に結果が出てきているので、もっともっと力を入れていくところかなと私自身は思っているんですけれども、いかがですか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきましたように、診療報酬におきましても在宅医療をしっかりと支えるための体制を強化していきたいということで、その一つのものとして在宅支援診療所あるいは在宅支援病院というものにしっかり二十四時間対応を図っていただこう、あるいはみとりまでしっかりと在宅を支えていただこうということで進めてまいりました。

 前回の改定におきましても、この診療所、病院群につきまして、さらに実績としてみとりをしっかりやっていらっしゃいますかというようなことを、単にやってくださいという体制をとるんじゃなくて、実績をしっかり持たれたところにつきましてはさらに加算という形でインセンティブを与えるということで取り組みを促してきておるところでございます。

 前回の改定からそんなに日がたっておりませんので、今、中医協の中で議論しておりますが、率直に言いますと、実績としてのみとりの回数等々はまだそう多くなってはきておらない、しかし、そういう、ふえてきている傾向はある。一方で、在宅支援診療所の届けを出していらっしゃらない一般の診療所におきましても、在宅ネットワークの中で介護の方々と連携をしてしっかり支えていらっしゃって、みとりもやっていらっしゃる実績のものもある。

 こういう両方を見ていただきながら、これからトータルに在宅支援のチームをどう組み上げていくかという中で、従来の在宅支援診療所もより重点的に評価をする必要があるのはどこか、それから、それ以外のところについても、より役割を果たしてもらうために強化すべきところはどこかというようなことで、次回の改定に向けての議論を今進めておるところでございます。

新原委員 ありがとうございます。

 ぜひともそういったことで、やはり皆さんが、これをやったら患者さんのためにもなり、経営にもよくなるという気持ちになればどんどんどんどん自発的にふえていきますので、そういった努力をしていただきたい。

 病院側については、慢性なり亜急性になればできるだけ退院していただきたいという方が、やはり医療費は適正化できますので、そういった意味での退院調整加算とか退院時共同指導料というのがありますけれども、そういったことについても、何か病院に長いこと置いておかぬでも、言ってみたら、退院した後にこういったところで介護を受けなさいとかいうことをする。つまり、地域包括支援センターとの連携になってくると思うんですけれども、こういったことも今回の診療報酬の中で、別に加点しろ、上げろと言っているんじゃなくて、そういったことをすることをやはり義務的というか、つまり要件をある程度、一つでも二つでもふやして、実際そういったことをできるように、それがうまいこと順繰りに回っていくようにやっていただきたいというふうに、これは要望で、病院側についても、できるだけ早くといいますか、退院できる方は退院していただくというふうなシステムをつくっていただきたいと思います。

 それと、最後に、介護保険。要支援の方々についての質問になるのか要望になるのかわかりませんけれども。

 要支援の間に、医療、つまり健診を受ける、特定健診じゃないですけれども、健診を受ける努力義務みたいな形で、要支援の中には項目にそういった健診というか検査ですよね。だから、動ける間に、つまり、要支援の間は、病気にしても結構軽いですし、そういった意味で、動くことも割とすんなり動ける、つまり寝たきりになっていないわけなので、その間に、もっと予防的に、悪いところを病院で診てもらって、レントゲンを撮ってもらったり、そういうふうな形にして、ある程度精査してもらうことをやはりもっと義務化していく。

 つまり、重篤化させない。重篤化というか、要支援、要介護にしていかないというためには、やはりその歩ける間、動ける間に、もっと医療的なフォローといいますか、医療的な網にかけて、悪いところがないのかということをもっとやっていくべきだと思うんですよね。要支援の間は、皆さん、患者さんといいますか、利用者さんは動けますから。

 だから、そういったことを、医療と介護という形でもっと連携して、要支援の間に、例えば歯科だったら、歯医者さんだったら、歯をきれいに治してもらったら重篤化しないとか、糖尿病でしたら、そういったことに対して、ちゃんとお医者さん、かかりつけ医の管理下に置く。やはりそういった意味での医療費適正化という、介護費でもありますよね、医療、介護の適正化をしてもらいたいので、それについて、医療、介護の連携という意味で、何かありましたら。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の点、一つには、後期高齢者になる前から、七十五歳までそれぞれの保険制度に入っていますが、市町村国保、多くの方は退職されると市町村国保にいらっしゃるかと思いますけれども、この中でも、健診事業、まだまだ十分とは言えませんけれども、介護状態になる前、要支援になる前に、もっと自分の健康を高めましょう、糖尿病の受診を中断していませんか、重症化予防のためにはそれをしっかり図りましょうという取り組みを市町村国保も始めておりますので、先ほど申し上げましたデータヘルス計画で、その一番いいノウハウを全保険者に広げていくような努力を我々もしていきたいというふうにも思っております。

 それから、介護の方での取り組み、高齢者の活動の場を多くすることによって、より元気な、要介護の認定者が減っていくという実績もありますので、これを介護、医療一体としての予防、健康増進の取り組みとして、大臣を本部長のもとに、省全体が一体として進めるような努力もいたしてまいりたいというふうに思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 日本の健康寿命を延ばしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、宮沢隆仁君。

宮沢(隆)委員 日本維新の会、宮沢隆仁であります。

 お久しぶりですというのも変なんですが、このたび厚労委員を外れまして、久しぶりに戻ってまいりました。古巣に戻ってきたような心地よさを覚えております。

 本日は、四十分という時間をいただきましたので、じっくりと、三つか四つの点について議論をしていきたいと思います。

 まずは、六月に私がここで質問をさせていただいた案件なんですが、いわゆるバルサルタン事件、あるいは商品名でディオバン事件というものであります。

 ちょっとリマインドしていただくために簡単にお話しいたしますと、ディオバンという商品名の薬は、有名な降圧剤の一種でありまして、確かに降圧剤としてはよく効くんですね。六月にも申し上げましたが、私自身も高血圧で、自分で飲んでいました。それで、なぜそれを飲んでいたかといいますと、脳卒中を四割ぐらい、その起こる確率を減らすということを、私もいわゆる製薬会社のMRと称する人たちに刷り込まれまして、これはすごい薬だねと言って喜んで、自分にも使っていましたし、患者さんにもたくさん出しました。

 その後、突然、データが、ある意味本当ではない、うそであるということが発覚しまして、今大騒ぎになっているわけですが、これは、私、自分が患者として飲んでいましたし、医者としてもほかの患者さんに処方していましたので、もう本当に頭にきたんですね。非常な憤りを感じております。だから、この問題は、私はこれからも引き続き追及していくつもりで、今回は二回目の質問ということで出てまいりました。

 この事件についてはさまざまな問題点があぶり出されてきまして、私は医者になって三十年ちょっとなんですけれども、私が研修医の時代から疑問に感じていたことがまさに表に出てきたということですね。

 例えば、製薬会社には必ずMRという、昔はプロパーと言っていたんですが、職種がいて、私が研修医として初めて医療現場に出たときに、もうはなから、プロパーと称する人たちがぶわっと群がってきまして、接待されたこともあるような気がします。何なんだろうこの世界はと思ったのが私の第一印象でしたね。

 やはり、そういう接待とかなんとかというのも、大分反省の時期があって、随分減ってきたと聞いております。ところが、薬をめぐる医療界と製薬会社の関係というのは、結局変わらずにそのまま来ているように思います。

 そういう意味で、これはある意味厚生労働省の自浄作用というんですか、力量が問われている案件だと思いますので、相当気合いを入れて取り組んでいただきたいと思っております。

 まずは、ここ二カ月ぐらいの間の、バルサルタン事件と言いますけれども、これの進捗状況、新しい情報等がありましたら、まず教えていただきたいと思います。お願いします。

原(徳)政府参考人 お答えいたします。

 この前、六月に御質問をいただきましたけれども、その後、本年七月に、京都府立医科大学及び東京慈恵会医科大学より、それぞれの大学が中心となって実施されました臨床研究において、データの操作が認められたとする内部調査の結果が公表されました。

 これを受けまして、データの操作が指摘された研究に基づく論文につきましては、著名な国際的医学雑誌に掲載されておりまして、社会問題化されたわけでございます。これを踏まえまして、翌月八月より大臣直轄の検討委員会を設置しまして、この事案の状況把握及び必要な対応等の検討を行っているところでございます。

 この検討会では、八月九日に第一回、二回目を九月二日、三回目に九月三十日、その間に関係者のヒアリング等を行ったところでございます。

 三回目の九月三十日に開催しました検討会で、一応中間取りまとめ案をつくろうということで、議論の上、それまでに得られた情報などに基づきまして、当面必要な対応と再発防止に向けての対策についての整理をいただきまして、中間取りまとめをしていただきました。

 また、その後、十月三十一日に、滋賀医科大学の方からも調査結果が公表されまして、残り、千葉大学と名古屋大学においても、近々、また学内調査の結果が発表されると聞いておりまして、それらを加えた形で、改めて検討委員会を再開して、さらなる検討を行いたいと考えております。

宮沢(隆)委員 今のは概説ということで、よくわかりました。

 それで、ちょっとその中身について質問を少しずつさせていただきたいのですが、まずは、薬に関する情報を、虚偽の情報に基づいて、この製薬会社は、ある意味、商売をしていたわけですね。そうなると、いわゆる薬事法違反とか、そういう法的、民事、刑事にかかわる問題が出てきていて、たしかどこかのオンブズマンがノバルティス社を訴えたとちょっと聞いたことがあるんですけれども、その辺に関する厚労省としての検討内容を教えてください。

今別府政府参考人 お答え申し上げます。

 薬事法に広告制限の規定がございます。場合によってはこの規定に違反するのではないかということで、今、関係者から事情を聞いたりということで調査を進めております。

宮沢(隆)委員 そうしますと、調査を進めて、黒であるという認識をした場合は、例えば厚労省自体が訴えるということもあり得るんでしょうか。

今別府政府参考人 薬事法の規定に違反をするということであれば、必要な法的な措置を講ずる、これは、罰金なりという刑罰も含みます。

宮沢(隆)委員 わかりました。製薬会社に関してはそういうことですね。

 では、今、京都府立医科大学と慈恵会医科大学で虚偽のデータを出したということまで、あと滋賀医科大学ですか、そこまではわかったということですね。

 そうすると、そちらの、いわゆる大学の医学部、あるいは教授、あるいは本当に不正にかかわった現場の医師なり職員なりに対する法的処分も今後あり得るということでよろしいでしょうか。お願いします。

原(徳)政府参考人 お答えいたします。

 研究にかかわる不正につきまして、直接的に罰する規定を持っている法体系はございません。

 ただ、今回の検討会の中でも、やはり臨床研究において、そのデータをしっかりと保存して、後から検証できるようにするべきだとか、さまざまな御意見がございまして、それらを、現在は臨床研究の倫理指針というガイドラインの形で守っていただいております。

 これについて、それをもう少し制度としてしっかりとしたものにする、例えば法律をつくってやってはどうかという御意見もございますので、これにつきまして、来年の秋までをめどにして検討を進めたいと考えております。

宮沢(隆)委員 私は、ぜひ、法律をつくってでも抑止力にすべきであろうと思っております。

 それで、今、大学、あるいは医学部、あるいは教授の話が出ましたが、文科省としてはどのようなスタンスで今後臨むおつもりでしょうか。たしか、参考人に来ていただいていると思うんですが。お願いします。

山脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事案に関しましては、文部科学省としても、我が国の臨床研究に対する信頼を損なうものであり、再発防止に向けて適切な対応が必要なことであるというふうに考えております。

 このため、当省といたしましても、先ほどの厚生労働省による検討委員会に参画をして、大学等からしっかりとヒアリングを実施するとともに、臨床研究の適切な実施に関する自主点検を大学等に対して両省共同で求めまして、実施を求めてきたというところでございます。

 引き続き、厚生労働省と連携をしながら、検討委員会の議論でありますとか、関係大学の調査結果も踏まえながら、我が国の臨床研究の信頼回復に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

宮沢(隆)委員 先ほど読んだ朝日新聞だったと思うんですが、いわゆる製薬会社への寄附金なり研究費として総額三千億円ほど流れている。そして、国から、公的組織から研究費として医療機関に流れているのは三千四百億円ぐらいだということで、ほぼ匹敵するぐらいの額ですね。

 例えば三千億の金が流れているとしたら、これはもう本当に緻密にコントロールしないと、やはり僕は、医療界、学術界の自浄作用だけではコントロールできないと思うんですね。そういう意味で、やはり厚労省の役割は大きいかなと思います。

 ただし、アメリカのニューヨークにNIHという有名な研究機関があります。日本もNIHもどきのような組織をつくりたいと安倍首相はおっしゃっておりますが、ここは研究費が三兆円あるんだそうです。そうなりますと、私も別に日本の医学部教授の研究の幅を狭めようとか締めつけようとかということばかり考えているわけじゃなくて、やはり一つの産業として発展させていかなくちゃいけないと思うんですね。そうなると、もし製薬業界からのお金の流れが不透明過ぎて、もう危なくてしようがないということであれば、逆に国の方から研究費をもっと補助してあげないといけないというお話になるんじゃないかと思います。

 この辺は予算にかかわってくることですので、あらかじめ通告はしていないんですが、もし田村大臣からコメントいただければと思うんですけれども。

田村国務大臣 日本版のNIHも、そのような意味からしますと、基礎研究、応用研究、それから、あとそれを商品化するまでの間の一連のつながりをある程度形にしていこうということで、予算を、それぞれ厚労省、文科省、経産省、今まであった研究予算を一元化して、今千四百億円弱ぐらいだと思いますけれども、集めているわけであります。

 さらにという話でありますが、それは、なかなか財政的ないろいろな制約がある中で、アメリカのNIH、本場NIH、三兆円もいろいろなお金の入り方をしているようでありますし、かなりの部分が人件費だというふうに聞いておりますから、どこまで研究費として、日本と対比してどれぐらいの規模なのかというのは、よく精査してみないとわからないわけであります。ただ、民間の研究費も、決して全てが全て悪いわけじゃなくて、透明性の問題だと思うんです。奨学寄附金というのが非常にわかりにくいお金の出方、使い方でございまして、そこでどうも、今回もそうだったんですけれども、変な使い方をされている可能性がある。

 ですから、透明性で、ちゃんと出ているお金というものがこの研究にどれぐらい入っているよということがわかれば、当然、それを踏まえた上でその成果を判断するわけでございますので、そのような透明性をこれから担保していく。しっかりとした委託みたいな、委託といいますか、委託研究費ですよね、そういうような形にするであるとか、公募で今いろいろと始まってきております。公募で研究費を出すでありますとか、いろいろな方法がありますから、厚生労働省といたしましても、お金の出方等々を含めて、しっかりと透明性のある形に指導をしてまいりたい、このように考えております。

宮沢(隆)委員 問題の所在はよく認識されていただいているようなので、ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、引き続きこの問題なんですが、ノバルティスファーマ社は、このディオバンという薬で、私の記憶では年間一千億円以上もうけているということなんですが、もうけているということは、要するにこれは保険料収入、健康保険組合等からお金が流れているということですよね。そうなると、虚偽の記載で広告を出してもうけたのであれば、それは返してくださいよというのが普通の流れだと思うんですが、それを糾弾するような動きというのは今あるんでしょうか。

原(徳)政府参考人 お答えいたします。

 薬でございますので、もともと使われる方は患者さん、高血圧の患者さんでございます。したがいまして、この薬を使わなかった場合には、ほかの薬を恐らく使っておられるだろう。そういうことからいいますと、この薬が、例えば、売り上げが年間一千億円近く今現在ございますけれども、これについて、それが全部いけなかったのか、あるいは、かわりのお薬を使えば当然それにも費用はかかるわけですので、それを今回の事案に絡めて、どれぐらいの被害といいますか、があったのか、それを見きわめるというのはなかなか難しい問題ではあります。そういう側面がございます。

 ただ、それらも含めまして、今現在、中医協の方で、現状も含めながら、どういうふうに考えるかということを検討していただいているところでございます。

宮沢(隆)委員 これは別に裁判にしなくても、自主返還を求めてもいいだろうと思うんですね。これはモラルの問題ですので、それはノバルティスファーマ社がどう出るかということにかかわってくるんでしょうけれども、それは国民は見ていますので、ぜひ厚労省の方で頑張っていただきたいと思います。

 実は、たった今思い出したんですけれども、これは全然、本質とはちょっと離れるんですが、似たようなことは、随分前、私が医者になって十年目ぐらいにあったんですね。

 ちょっと商品名を出すのは控えますが、認知症に効く薬だよといって数種類の薬がばあっと各社から出た時期があったんです。それで、やはり当時もお医者さんたちはそれを信じて処方していた時期があったんですが、何か、ある時期から急に、その薬の効果はないみたいなことになりまして、それで、急に消えちゃったんですね、薬が。当時、やはりそれを処方していたお医者さんたちは非常に怒ってはいたんですが、結局、それの責任追及もされないまま、うやむやになって今に至っている。

 だから、僕は今回は初めてじゃないと思うんですよね。ですので、今回の事件をこのままうやむやにするようだと、本当に厚労省のありようが問われると思いますので、ぜひ力を入れて検証していただきたいと思います。

 まだ続きます。

 六月の時点でも、臨床研究のあり方についても僕はお話しいたしましたが、要するに、日本の臨床研究というのは昔から問題になっていまして、なぜかといいますと、日本でなかなか臨床研究ができない。普通、外国で、ヨーロッパとかアメリカでは、何万人という人に投与して、そのデータを集計して、統計解析して、効果がある、ないという件を、データを著名な医学雑誌に載せて、それがアクセプトされれば、がんがん宣伝して、それで薬を販売する、そういうルートを普通とるわけですね。ところが、日本では臨床研究というものがまともにできなかったので、ある意味悲願だったんですよね、臨床研究データを出すという。

 このディオバンという薬の件も、ランセットという世界的に有名な、五本の指に入るというぐらい有名な国際雑誌に掲載されまして、それで、そのときを契機に、一気に宣伝して販売攻勢に流れたという経緯があります。

 まず、ここで問題になるのは、日本の臨床研究の信頼性がこれで一気に奈落の底に落ちてしまったということがまず問題なんですね。

 六月の時点でもお聞きしましたけれども、さっきの医学部教授云々の問題とは別に、臨床研究のあり方をどういう方向に持っていかれようとしているのか。これは厚労省と文科省両方にかかわってくると思いますので、参考人にお聞きしたいと思います。お願いします。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 前回もお答えをたしかしたと思いますけれども、臨床研究につきましては、今回の事案を見ますと、例えば、データをしっかりと扱える部署が当該研究機関、大学になかったということ、これが大きな問題ではないかということが指摘されております。そういう意味では、そういうデータを扱う、あるいは統計解析をする、そういうような部門が必ずしも研究機関にないということから、そういう部分をしっかりとサポートする体制も必要だろう。

 そういう意味で、今現在、臨床研究中核病院という形で、全国で十五カ所選定をいたしまして、そういう人材の養成でありますとか、あるいはそういうデータセンターが他の大学の研究をサポートするとか、そういうような形で進めていこうとしております。そういう意味におきましては、臨床研究中核病院等で日本全体の研究のサポートをするかなめになっていただこうと思っております。

 また、文科省でやっておられますトランスレーショナルリサーチ、そことも連携をとりながら、同様に研究体制の基盤をしっかりと行政としてはつくっていきたいというふうに考えております。

山脇政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省におきましても、大学における医療研究などのシーズを、しっかりと臨床研究を経て医療現場に適用できるように持っていくということは非常に大事だというふうに考えております。したがって、臨床研究の重要性は今後とも増していくものというふうに認識しております。

 先ほど厚生労働省の方から御説明ありましたように、文部科学省におきましても、大学等におけるシーズを医療現場に応用するための橋渡しの研究拠点を育成する事業などを進めてきております。そのためにも、臨床研究に対する信頼性、質を今後とも確保しながら、研究体制の強化に努めてまいりたいと考えております。

宮沢(隆)委員 今回ばかりはという言い方も変なんですけれども、相当気合いを入れてやっていただいているというのは私にも伝わってきます。ぜひ、日本の臨床研究のレベルを、少なくとも世界と同一レベルぐらいにまずは持っていっていただきたいと思います。でないと、アベノミクスで医療を産業にしようということが、はなからつまずいてしまうことになりますので、これは本当に極めて重要なことだと思います。

 それから、これは質問として出していなかったかもしれないんですが、つい昨日の夜読んだ新聞記事で、先ほどランセットという雑誌のことをお話ししましたが、我々は、医者というのは、そのランセットに論文が載っただけでもう死んでもいいと思うぐらい、すごい雑誌と思っていたんです。

 ところが、今回の件で、ランセットは、まず、例えばこのディオバンの件について論文を載せる、あるいは載せてあげるという言い方は変かもしれないですけれども、ノバルティスファーマ社は物すごく喜ぶわけですね、それで権威がとれますから。その後で、そのランセットという雑誌側が何を喜ぶかというと、いわゆる論文の別刷りというのが、一枚何百円ぐらいだろうと思うんですけれども、それを、ノバルティス社が論文を世界じゅうの医者にばらまきたいから、膨大な数を注文するわけです。そうすると、それがある意味、ランセット社の収入になっているらしいんですね。

 もう一つは、雑誌そのものにノバルティスファーマ社がつくった薬の宣伝を載せる。それでもまた収入が入るという意味で、これは別に厚労省は関係ないんですけれども、こんなところでも癒着が起こっているのかというのを知りまして、愕然としたんですね。だから、本当に、ほかにも世界的な医学雑誌というのはあるんですけれども、これはちょっとうがった見方をしながら見ていかないといけないな、そんなふうに感じた次第です。ちょっと半分愚痴っぽくなっちゃいましたけれども。

 これだけで、もう随分時間がたっちゃいましたので、では、このバルサルタン事件の件はこれで終わります。かなり精力的にやっていただいているようなので、物すごく期待しておりますので、よろしくお願いします。

 それから、これは実は、私のもと古巣の病院の話なんですが、防衛医科大学校病院というのがありまして、二〇〇九年まで十六年間、私自身が脳外科医として勤務していたんですね。やはり、防衛医官を育てるという意味で極めて特殊な病院で、私自身、なれるまで数年かかったぐらいの組織です。退官して、こういう議員という立場になりましたら、そこの病院の職員やら医者からいろいろな陳情が来るようになったんですね。別に、私は長野一区選出ですので、防衛医大病院は所沢ですので選挙区でも何でもないんですけれども、何とか改善してくれということで、先ほど決算行政監視委員会で、防衛医大病院についてだけで二十五分間お話をしたところなんですね。

 なぜこの問題をここで持ち出すかといいますと、厚生労働省の方々にも防衛医大病院の特殊性というのをちょっと認識していただきたいということで、ここに防衛省の方も来ていただいています。

 まずは、防衛省の方が認識する防衛医科大学校病院の問題点というのをサマライズしてちょっと述べていただければと思います。よろしくお願いします。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛医科大学校病院、これは御指摘もありましたように、自衛隊の医官を養成するということと、その後の臨床研究等をやっておるわけですが、先ほども決算行政監視委員会で御指摘をいただきましたけれども、一つは、国の機関であるということでありますので、病院で上がる診療報酬が全て国庫に納入されるということが一つでございます。それからもう一つは、予算、人員等々、全て国の定員なり国の予算として決まっておりますので、そこでも一定の枠があるということでございますので、そうしたことが、先ほども御指摘をいただきましたけれども、臨床の現場との間で支障が生じないよう、我々としても努めておるところでございます。

宮沢(隆)委員 防衛省的にはそういうことだと思うんですが、内部で働いているお医者さんとか看護婦さん、そのほかの職種の方に言わせると、普通の病院で働いているという感覚もあるんですよね。実際、扱っている患者さんは、ほかの国立大学病院と変わっていませんので。

 そうなると、先ほど、病院の収益は国庫に返納されると言われましたが、あれは、まずは、従業員が一生懸命稼いだお金が還元されないということでもあるのと同時に、国からもらったお金が足りなくなっちゃうことがあるんですよね。十二月ぐらいから足りなくなっちゃう。そうすると、これ以上手術をされると赤字になるから、そういう意味でいいのか、とにかく手術しないでくれというお達しが来るんですよね。それは外科医にとっては本当に屈辱みたいなもので、仕事をするなというのは何事だということになる。

 結局、病院としての立場と防衛医科大学校という組織としての立場の乖離がそこにあるのかもしれないんですが、結果として何が起こるかというと、手術件数が減りますね。患者さんも、大体そういうのを察知するとほかの病院へ去っていきます。そうすると、入院患者も減る。収益も減る。患者が減るから、そこでトレーニングしている医者たちも物足りなくなるんですよね。そうすると、自衛隊医官が去っていく、看護師も去っていくということで、今、先ほども言いましたけれども、看護師とか事務職員とか、そういうパラメディカルスタッフの数は、全国の国公立大学病院の中で最下位なんですよね。当然、収益もそんなに上がっていない。多分、私立にぽんとしたら、当然赤字の病院です。

 ですので、これはすぐには改善できないと思いますが、先ほど防衛省に強く要求いたしましたので、小野寺大臣にも聞いていただいたので、これから大綱をつくって、恐らく改善していくだろうと期待しております。そこを、厚生労働省の皆様には、ぜひ見守りながらサポートをしていただきたいと思って、無理やりここに防衛省の方を連れてきました。

 では、この件はこれで終わります。

 それから、全く違う案件に移ります。医学部新設問題です。

 三・一一の後に、東北地方の医者が実質的に足りなくなったということで、最近、東北地方に医学部を一つつくりましょうというお話が出てきております。ただ、そこは、賛否両論物すごくありまして、例えば、医師会は反対です。それから、全国医学部長会という医科大学校でつくっている団体も反対です。それから、東北大学とか岩手医科大学とかの学長等も反対しております。でも、賛成しているのは、自治体の県知事とか地元の方々ですよね。私も、個人的には反対です。

 なぜかといいますと、平成二十年から、各医科大学、医学部で定員をふやしてきているんですね。この平成二十年からの間だけで合計千四百人定員がふえたそうです。そうすると、一医学部で定員百人とすると、十四校の医学部を新設したと同じような状況になっているわけですね。しかも、ここで、例えば来年あたり、医学部をぽんと東北地方のどこかにつくったとしても、本当の一人前のお医者さんになるには十年、二十年かかりますね。だから、そういう意味でも、余り意味がないだろう。

 もう一つは、ただお医者さんの数をふやすということよりも、もっと重要なのは、お医者さんの再配置ですよね。それはもう、ここでも何回も議論されたと思うんですが、むしろ、そっちの方をどんどん法制化するなりして促進していった方が、よほど効果があると思っております。

 この医学部新設問題について、厚生労働省と文部科学省はどのようなスタンスで今後臨まれるおつもりなのかというのをお聞きしたいと思います。

上野大臣政務官 文科省としてのお答えをいたします。

 全国での一般的な医学部新設については、将来において、全国的な医師の需給率または地域医療への影響等、社会保障全体のあり方を検討することを踏まえることがまず必要だと思っております。

 なお、先ほど委員の方から御指摘がありました東北地方における医学部新設についてですが、このことは、震災からの復興、今後の超高齢化と東北地方における医師不足といった要請を踏まえまして、総理から検討の指示が出されているところでございます。

 文科省といたしましても、東北地方で一カ所に限定した医学部新設について検討中であり、まず、御指摘のように、医学部または附属病院における医師や看護師、その他の医療関連の職種の確保、引き抜き等が生じないようにするために、また地域医療への影響などを第一に考えます。さらにはもう一点、大学を卒業して、東北地方に残って、地域医療にきちんと定着するという考えを持つようにするために、医師不足解消に寄与する方策、例えば、先生御存じだと思いますが、自治医大のような方法をとるとか、または完全に地元に定着する数を決めるとかして配慮をするということを考えつつ、関係自治体等の御意見も聞きながら、現在、検討を行っているところでございます。

赤石大臣政務官 宮沢委員にお答えいたします。

 私も生まれが青森県の八戸というところでありまして、実際に、本当に東北地方は医師が足らないというのは私も実感をしておりまして、各首長さんから、きのうも町村会の首長さんたちが来て、本当に困っているんだという話を聞いております。ただ、その問題と、大学をつくる問題とはまた別な次元だろうなと。同じように、私も、東北の大学の先生方あるいは医師会の先生方からも反対の意見を聞いておりまして、非常に悩ましい問題でもあるなと同時に思っています。

 ただ、一応、文部科学省で検討するということでありますので、文部科学省でそういう結論になれば、厚生労働省としても必死に支えていきたい、このように思っております。

宮沢(隆)委員 どうもありがとうございました。

 これは、確かに議論百出の大問題になるだろうと思っていますので、ぜひ検討をよろしくお願いします。

 もう時間が迫ってまいりましたので、最後の質問で、これは田村大臣にということになるんですが、通告は行っていると思うんですけれども、徳洲会の件なんですけれども、先ほども何か、そこに資料がありまして、どこで食事した云々というようなことが書いてありましたけれども、僕はそのことは聞くつもりはありません。

 ただ、今回の一連の徳洲会の事件を、議員としてというよりも、去年まで普通の国民で医者をやっていた人間としてずっと見ていて、怒りというよりもちょっと悲しいんですよね。要するに、全国に相当数の医療施設を持って、すごくすばらしい理念で始めた徳田理事長が、結果として、その病院から吸い上げたお金を自分の息子の選挙に物すごい額投入したというこの図式は、医者としても本当にがっくりきますし、別に徳洲会で働いたことはないですけれども、普通の国民だって、みんな、何だこれはと思っていると思うんですね。

 自民党をもう離党されているようなんですが、ただ、やはり自民党はそういう議員を一定期間抱えておられたわけですよね。やはりそこは、一つの政党として、そういう人を抱えてしまったことに対する反省とともに、今後は一種の自浄作用が働いてしかるべきじゃないのかなと僕は思うんですね。

 だから、本当に、国民としての質問であるんですが、ちょっと私も心苦しいんですけれども、田村大臣からコメントをいただければと思います。

田村国務大臣 医療法人が、これは一般的に、その業務の中において余剰金、これが発生した場合は、当然のごとく、医療機器の整備でありますとか、医療人材等々の処遇改善でありますとか、医療の分野へ再投資するわけでありまして、それ以外のものに使っちゃいけないわけでありますよね。

 今回の徳洲会の件でありますが、まだ我々、何も調査できていません。それは、東京地検特捜部が今捜査に入られて、資料を多分全部お持ちになられておられると思います。この一連の捜査が終わった後、いろいろな報道も流れておりますから、厚生労働省といたしましても、その報道等の内容も踏まえて、これは調査をしなければならないというふうに思っております。

 結果として、自民党におられた、息子さんがおられた、おられなかった、関係なしに、やはり他の案件と遜色のないように、不適切な部分があれば、これはちゃんと厳しく対応していかなければならぬ、このように思っておりますので、とりあえず、今のところ、捜査が一段落つくまでは我々としては手が出せないわけでありますけれども、その後、しっかりとした対応をさせていただきたい、このように思っております。

宮沢(隆)委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 ようやくというか、法案が終わって、きょうは一般質疑ということで、一般質疑は、ふだんなかなか、法案も大事でございますが、法案以外にも伺いたいことがございまして、きょうはお時間を頂戴して、特に雇用制度について質問をさせていただきたいと思います。

 実は、十五日にも内閣委員会でお時間を頂戴して、国家戦略特区の関係で、新藤大臣に、雇用制度、いろいろ言われているけれどもどうかということを議論させていただきました。

 私が新藤大臣に申し上げたのは、そもそも、国家戦略特区における雇用分野というのは、大変いろいろな意味で、国民も、いろいろな関係者が注目をしていた。ところが、一つの報道のされ方としては、ちょっと後退をしてしまったなという報道が一部にあります。それは確かに、例えば、いわゆる解雇制度に係る特区とかあるいは労働時間規制に係る特区とかが八田委員長のもとでは俎上にたしかのっていたと思うんですが、最終的にはそれは落ちているということ。

 大臣のいろいろな御発言も報道でも出ていますが、私は、厚生労働省としての田村大臣のお考えもぜひきょう改めてお伺いしたいと思いますが、やはり特区については新藤大臣が特区制度の担当閣僚でいらっしゃいますから、新藤大臣にそのお考えを伺ったわけです。ただ、非常に、田村大臣に敬意を表してか、大変中途半端なというか、ここでは余り中途半端と言ってもいけませんが、明快なお答えは新藤大臣からはいただけませんでした。

 結局、雇用制度というのはなかなか特区になじまないんだという趣旨とか、私がそこで抵抗をするわけですね、いや、なじまないことはないだろうと。すると、いやいや、雇用だけの特区というのはないんだ、何かをするための雇用制度なんだと。だから、何か特区としてこういうことをやりたい、そのために雇用制度が何か問題があれば、それはどうのこうの、云々ということをおっしゃるので、では、合わせわざであればいいのか、何かの特区の目的と雇用制度の見直しが合わせわざであればいいのかといろいろ伺うと、ちょっともう覚えていないぐらいよくわからない御答弁だったわけであります。私の記憶力が悪いだけかもしれませんが。

 それを改めてきょう田村大臣の御前で繰り返したいと思って、内閣官房の富屋さんにお越しをいただいていますが、同じお答えだとすれば仕方がないのでやめますが、何か追加でありますか。

富屋政府参考人 内閣官房よりお答えを申し上げます。

 国家戦略特区法案の雇用分野に対してのいろいろお尋ねでございます。

 本法案には、雇用ルールがわかりにくいことがグローバル企業や新規企業の投資阻害要因にならないようにということで、特区内では雇用ルールを明確化するための体制を構築することを盛り込んだところでございます。

 この雇用分野につきましては、私ども、大切だと考えておりますことは、雇用条件を明確化することによりまして雇用の拡大を図っていくということでございまして、そういう点で、当初案から後退したというようなことは考えておりません。

 具体的な内容といたしましては、裁判例の分析、類型化による雇用ガイドラインを活用いたしまして、企業に対して、地域特性に応じたきめ細かな相談ですとか助言サービスを事前段階から実施することによりまして、特区内での雇用の拡大を図ってまいりたいというふうに考えております。

足立委員 確かに、新藤大臣とのやりとりの場では、今ほど、これほど後退したとは考えていないと明確にはおっしゃられなかったので、追加の御答弁だったとは思いますが。

 これは、国民的には、あるいは私的には大変違和感が大ありで、やはり、厚生労働省は、きょう佐藤副大臣もおいででございますし、佐藤副大臣には内閣委員会にもお越しをいただいた。これは、特区にかかわらず、通常国会でいわゆる解雇の金銭解決の議論をしました。ところが、結局それは実現していないわけですね。田村大臣、今実現していない。せっかく通常国会で解雇の金銭解決の議論をしたのに、結局、マスコミとか民主党がわあわあ言うものだから。では、事実上、もし違ったらまた後でゆっくりやりましょう。ただ、いずれにせよ、今実現していないわけです。それは、事前型、事後型の事後型についても実現していないわけです。

 さらに、今回、国家戦略特区ということで、アベノミクスの三本の柱の三本目の柱の最大の施策として動いている中でも、結局、八田委員長が取り上げた労働時間規制であれ解雇制度であれ、それは基本的には特区にはなじまないか何かわかりませんが、法案の俎上にはのっていないということで、新藤大臣であれば何かもう少し違う角度から御答弁がいただけるかなと思って御討議をさせていただいたわけですが、非常にのれんに腕押し状態だったということで、きょうは小泉政務官に改めておいでをいただいた。

 というのは、もちろん御担当が違います、特区は特区の御担当があります。ただ、なぜ私が、あるいは私たちが雇用制度を大事、大事というかというと、あ、共産党さんのおっしゃる意味とは全く別の意味でですね。共産党さんは、これは解雇特区だからやめろということなわけですけれども、私たちは、いや、これはアベノミクスに必要だからやってくれと、全く逆の立場からこの雇用制度の話をしているわけです。(田村国務大臣「一緒、一緒」と呼ぶ)一緒ですね、そうです。

 きょうは時間を四十分いただいているのでじっくりやらせていただきますが、ぜひ、もちろん田村大臣も大変マクロ経済にも御造詣が深くていらっしゃいますので、マクロ経済との関係についても田村大臣からいつもいただいていますが、アベノミクスを何としても成功させるためには雇用の改革が大変重要であるということをやはり改めて確認させていただきたいと思い、それで通告を出したら、ありがたいことに小泉政務官がおいでをいただいたということです。佐藤副大臣も私の大学の大先輩でいらっしゃいますが、小泉政務官も、留学先が一緒ですねという話を先ほどしていまして、そういうよしみもありまして、きょうは本当にありがとうございます。

 改めて、アベノミクスのいわゆるマクロ政策、第一の矢、第二の矢、そういうマクロ政策と、それから、これからそれをミクロと循環させなければ絶対これは難しい。アベノミクスの成否というのは、ここでいろいろ議論していることを超えて、あるいはそれらを全部包含する形で、国の命運というか、経済、国民の生活を、仕事を守るために、本当に重要なテーマだと思いますので、ぜひ、小泉政務官、田村大臣に、もっと頑張ってくれと、こうよろしくお願い申し上げます。

小泉大臣政務官 御質問をきょうはいただきましたけれども、足立委員がおっしゃるとおり、私はこの法案の担当ではないんですが、御指名ということでお邪魔をさせていただきました。

 ちなみに、本法案の担当ではありませんが、産業競争力会議の雇用・人材分科会においては私が担当しておりますので、そういった観点からもお答えをさせていただきます。

 おっしゃるとおり、アベノミクスの成否というのは、誰もがわかっているとおり、第三本の矢が実りあるものになるか、そういった観点からの、雇用制度改革についても同じような論点で委員もお話をしていると思いますが、三本の矢が三本しかないのかと言われれば、私は、これは百の矢でも千の矢でも万の矢でも、矢は通用しなければ何本でも打つんだ、そして、刀折れ矢尽きという言葉もありますが、矢が尽きれば刀もあるし、刀が折れれば体はあるし、次々にできることはやっていく。

 そういった中で、今回の雇用制度改革の議論で、先ほど足立委員がおっしゃったとおり、一方では解雇特区だと批判をされ、一方では不十分だと言われ、どっちをやっても批判はあるんですね。そういった中で、今回、国家戦略特区法案の中で、雇用のあり方の明確化をしようと。

 その明確化をする中での具体策においては、この法案の中でガイドラインをつくったり、また、雇用労働相談センターとかをこれから設置したりして、具体的に動き出していくと思いますので、足立委員の中で百という描いていた雇用制度改革があるとしたら、そこまでいっていないのかもしれませんが、着実に前に進めていこう、そういった思いでこの法案を出させていただいておりました。

 ありがとうございました。

足立委員 まさに、きょう、入り口で特区法案の話を申し上げましたが、特区法案こそ、一つの矢でしかないといえばでしかない。だから私は、おっしゃるように、特区法案の中でそれをやることを必ずしも求めているわけではない。

 実際、さまざまな報道を拝見すると、総理御自身が、いやいや、まだこれは議論は続いているんだとおっしゃっているし、また、いろいろな関係団体、例えば経団連とかも、これは特区がだめでも一般でやればいいんだ、こういう御発言をされておられます。

 雇用制度の見直し、雇用制度の改革に対する期待というのは、経済界、特にマクロ経済の循環を重視する立場からはやはり期待があるということで、きょう、内閣府、小泉政務官においでいただいたのは、特区法案というよりは、そもそも、経済を回すマクロ経済の、御担当ではないのかな、も含めてお越しをいただいたわけであります。

 今おっしゃった第三の矢、第四の矢、ずっと矢がある中に、やはり雇用。雇用も、もちろん、賃上げだ何だ、そういうものもありますが、実際に労働移動を、できるだけコストをかけずに、失業なき労働移動を含めて、人材を、要は、経済成長というのは、実際に資源が動いて初めて成長するわけですから。私たちは、この後、田村大臣あるいは佐藤副大臣、皆様と、雇用制度にどういう課題があるかというのを個別にやるわけですけれども、仮に雇用制度に課題があるとすれば、それはやはりアベノミクスのために解決が私は絶対に必要だと思いますが、その点はいかがですか。もう一言。

小泉大臣政務官 先ほどから委員のお話の中では、田村大臣の背中を押してくれ、こうおっしゃっていますけれども、安倍総理大臣もおっしゃるとおり、安倍内閣の中に抵抗大臣はいないと思いますので、みんな一丸となって、前に進めるために頑張ろうと思っていると思います。

 そういった中で、雇用の政策というのは、おっしゃるとおり、アベノミクスの三本目の矢の中の大きな一つの柱であって、この雇用の中には、女性の活躍の推進も入って、高齢者の活躍の推進も、そしてまた若者の活躍推進も入っておりますので、さまざまな、それを矢といえば、その三本目の矢が、束ねた矢となって、その一つ一つの束ねられている矢は小さいものもあるかもしれませんが、一つの大きなものにして前に進めていかなければいけない。

 そういった中で、一部の、解雇特区じゃないのかとか、そういった批判もある一方で、不十分だという逆方向からの批判もある中で、それでも前に進めなければいけない。少しでも、労働側、そしてまた使用者側を含め、国民の皆さんの幅広い理解を得る中で前に進めていくという強い決意で、今、安倍政権は、雇用政策のみならず、大きな経済成長のパッケージを進めていると考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 私も役所にいましたのでわかりますけれども、労働省だ、経済産業省だ、あるいは内閣府だというのがございますが、やはり、経済ですから、雇用も産業に資するように、また、産業も雇用に資するようにということで、全体を回していくことが本当に大事だと私は思っているし、繰り返し申し上げますけれども、アベノミクスについては、本当に、皆さん、政府がどうお考えかわかりませんけれども、心配もしています。大丈夫かなと。それは、何としても、とにかく、このアベノミクスを成功させないといけないという思いですから、ぜひまた、引き続き、きょうもまたお忙しければ、きょうは大丈夫ですか。(小泉大臣政務官「あと一問ぐらい聞いてから帰りたいと思います」と呼ぶ)そうですか。ぜひ。ありがとうございます。

 実は、私は、通常国会で解雇の金銭解決の話をしました。これは、佐藤副大臣よく御承知のとおりですが、当時、テレビ入りの予算委員会で、えらい議論が共産党さんを含めてありました。事前型だ、事後型だという議論がありましたが、当たり前のことで、金銭解決というのは事後型のことなんですよね。当たり前ですね、言うまでもなく。

 要は、解雇紛争があって、労働者が、それはやはり不当解雇だよね、あるいは、和解をしてもう一回職場に戻ってもいいよとなったときに、いやいや、争ってまでしてなかなか戻りにくいよなと。だから、労働者側の選択肢をふやす。使用者側に力を与えるんじゃないんです。

 労働者側の選択肢をふやすという観点で労働省は問題提起をされたし、恐らく、普通にヒアリングをすれば、労働側と使用者側とどちらが解雇の金銭解決を望んでいたかというと、微妙だと思うんですよ。必ずしも使用者側がそれを望んでいたわけではないと私は聞いています。なのに、なぜ、マスコミや……(発言する者あり)使用者側ですか。前副大臣がおっしゃるんですからそうかもしれませんが、私のネットワークが偏っているかもしれませんが、私が聞いているのは、必ずしもそんなにはっきりしていないよと。

 いずれにせよ、労働省は、田村大臣は、それはやはりやったらいいと思っていたはずなんですよ。田村大臣はやったらいいと思っていたはずだけれども、結局、予算委員会でつるし上げに遭ってしまって、今実現していないのは、これはなぜですか。

田村国務大臣 まず、前半の国家戦略特区の話でいきますと、やはり、特区の中でやらずに全国的にやれれば、そっちの方がいいというのは間違いないわけであります。五年間有期を繰り返した、いよいよ五年を超える契約以降、無期を主張すれば無期契約に変わる無期転換、この問題は、全国展開をする中において、一定の条件のもとで、そういうものを一定期間、五年以降も有期で繰り返すということができるようなことを、いよいよ議論を始めていただくということでありますから、これは特区じゃなくてもいいんだろうというふうに思います。

 それから、労働時間法制、制度に関しましても、今、労働政策審議会の中でやっていただいているんですね。議論を始めていただいておりますから、これも、全国展開の中でどのような形にするかということでありますから、特区でわざわざやる必要はないであろうということであります。

 最後に言われた、これは、解雇特区という言い方がちょっと余りにもひど過ぎたんですが、要は、ちゃんとガイドラインをつくることによって何がいいか、また、相談、指導をするセンターがあることで何がいいかといいますと、海外から来た企業というのは、日本の労働法制はよくわかりません。国によっても違うと思います。自国でばんばん切れるような会社が来たら、実はばんばん切っちゃうかもわからないですね、首を。それで泣き寝入りする方々はそれで終わりかもわかりませんが、逆に訴えられたら今度は裁判になっちゃうということで、非常に不安定。

 そこで、日本の場合は今までの判例等々で分類化していくとこういう形になりますよねということをちゃんと助言することによって、企業も安心して人を雇える、労働者の方も安心して働けるということで、これが一番、世界で最も企業が事業をしやすい、そういうような特区を目指しているわけでありますから、事業をしやすいんじゃないか。ということは、逆に言うと労働者も安心して働けるわけでありますから、非常に理にかなった今般の制度になるというふうに私は思っておるわけであります。

 それで、後段に入ります。

 事後金銭解決、これは今までも実は議論をしたことはあります。問題は、労使で話がつきません。それは労働者からしてみれば、金銭解決はお金は多い方がいいわけですよ。今、リストラ等々で、それぞれ自主退職する場合、かなりの金額を退職金に上乗せでもらっているわけですよね。当然、労働者側は、それぐらいもらえるんでしょうね、だって、今そうだもんという話になる。それは企業側はそれだったら意味がないですから、そこでいろいろな議論になるということで、なかなかここは折り合いがつかない。

 もちろん、どちらから言い出すかといえば、言い出すのは労働者側からという話になると思います。それは、労働者が残りたいと言っているものを、いや、金を払うからもうやめていってくれというわけにはいかないんだろうと思いますけれども。そこのところの議論もあるんだと思います。

 それからもう一点は、中小零細はまた別です、考え方が。仮に、企業側、大企業側にとってみればこれでいいかなという一つの水準をつくったとしても、中小零細は解雇というところは結構シビアでありまして、こういう中小零細の立場もまたあるんですね。そこで働く方々の立場もある。だから、今委員が言われた、実はこれは企業の要望じゃないんだよねというのは、もしかしたら中小零細で働く方々の要望なのかもわかりません。

 それぞれ、いろいろなところでいろいろな議論がありますので、利害を合わせていくのが本当に難しいということがあるということは御理解をいただければありがたいというふうに思います。

足立委員 田村大臣、しかし、その難しい利害調整をするのがお仕事ですから。私は、この金銭解決はぜひやっていただきたいと思っているんです。ある意味では当たり前のことで、要は紛争時の選択肢をふやすというのは私は極めて合理性の高い話だと思っています。これは尽きませんので、あれですが。

 もう一つ、解雇については、金銭解決以外に、そもそもの解雇法理、これをちょっと議論したいんです。

 ちょっと今、小泉政務官、先ほど御指名ということがありましたが、別に個人的に指名しているわけではなくて、マクロ経済と雇用ということになると甘利大臣のところになるのでおいでいただいたということですので、くれぐれも、個人的にやっているわけではありませんので、御理解をよろしくお願いします。

 それで、解雇法理は大議論があると思っています。もちろん、解雇法理についても、判例法理についても、いろいろシフトしてきているという説もあるし、東京と大阪で判例の傾向にまだちょっと違いがあるというふうに指摘をされる方もいらっしゃいます。だから、私なんぞが言及をするような世界ではないかもしれません。

 ただ、普通に素人なりに見渡してみても、日本の解雇の四要件、例えば典型的には経営の悪化要件というのが入っているわけです。ところが、グローバルに解雇の制度というものを見ると、必ずしも日本のような枠組みが一般的ではない。むしろ、英米独仏などの先進国を見ると、例えば解雇者の選定における先任者保護の概念が、コンセプトが英米独仏などには入っているし、勤続年数を枠組みの中に入れているわけです。基本的には、日本は、あればあれですけれども、私はないと思っているんです。

 諸外国、グローバルスタンダードという言い方がいいかわかりませんが、なぜ欧米先進国でそういう概念が入っているかというと、極めて合理性があるわけですね。長く働くと、やはり移動しにくくなるわけです。まだ短いうちは、ほかでまたトライすることもできる。いろいろなものを学んでいく能力もある。ところが、三十年、四十年、五十年とあるところで働けば、それは転職のアビリティーというか、そういうものはやはり下がっていく。だから、私は大変合理性のある議論だと思っていまして。

 そういう一定の、欧米先進国で一般的になっているようなことを含めて議論すれば、例えば、ドイツのように、ドイツには経営悪化要件はないんです。ドイツの解雇法理、解雇法制の中には経営悪化要件はないんです。この経営悪化要件を柱の一つとする日本の法理というものは、やはり解雇制度、法制的な措置として乗り越えていくべき課題なのではないかと私は思っておりますが、いかがでしょうか。

佐藤副大臣 足立委員、先週、別の委員会でこの議論もさせていただいて、時間切れで、きょう、この厚生労働委員会でもされているんだと思うんです。

 委員の御主張も踏まえた上で、私どもといたしましては、解雇に関する基本ルール、何をグローバルスタンダードと見るかというところなんですけれども、使用者の意思で自由に解雇できるという原則のもとに、人種、性、年齢、障害等による差別的な解雇を不当とされる、そういうアメリカという国は別として、欧州諸国の多くであるとかあるいは韓国というのは、日本と解雇に関する基本的ルールは共通した傾向にあると私どもは考えております。

 具体的には、日本や韓国、また多くの欧州諸国では、使用者が解雇を行うに当たり、正当ないし合理的な理由が必要とされ、その旨が法律に明記されていることと、もう一つは、法律に明記されているか否かは別として、経済的理由に基づく整理解雇の司法判断に際しては、解雇の回避努力が求められること、人選の妥当性が求められること、労使協議や労働者への説明等の手続が求められることなどの共通点が見られるところでございます。

 その上で、我が国においては、欧米諸国と比べて、いわゆる正社員について、職務、勤務地の限定が弱く、残業命令や職種転換、配転、出向等が前提となる実態が広く見られております。こうした人事労務管理の実態に照らして、解雇回避努力の履行が幅広く求められるんですが、これは法律等に定めるルールの問題ではなくて、実態としての雇用システムの問題であると考えております。

 このため、我が国の雇用システムの実態を変化させることなしに、現在のルールにかえて、金銭解決や先ほど言われておりました先任権保護を導入しても、労使の間に根づかせることは難しいと考えております。

 また、委員御指摘の人員削減の必要性については、我が国の裁判例というのは総じて経営判断を尊重する傾向にあることにも留意すべきと考えております。

 これは、ドイツも同じような例があるんですね。ドイツの解雇制限法においても、当該事業所における労働者の継続就労を妨げる緊急の経営上の必要性に基づかない解雇は社会的に不当であるとされておりまして、人員削減の必要性が要件に含まれているということになっております。

 ただ、一方、裁判においては、企業家の決定は、その客観的正当性またはその合目的性について審査することはできず、その決定に明らかに理由がなく、不合理または恣意的かどうかだけが司法審査されると聞いておりまして、ドイツに人員削減の必要性は要件に含まれているんだけれども、実質的には日本と同様に緩やかになっている、そういうものと承知しておりまして、この点、我が国の整理解雇要件における人員削減の必要性について見ても、我が国の裁判例も総じて経営判断を尊重する傾向にあるものと承知しておりますので、同様の基準ではないか、そのように考えております。

 いずれにしても、各国の雇用の実態にはそれぞれの歴史的経緯を踏まえた特徴がありまして、我が国の雇用のルールについては、その雇用システムの実態を踏まえ、当事者である我が国の労使間で十分に議論を尽くされるべき問題である、そのように認識しております。

足立委員 ありがとうございます。

 本当に、私、きょう、今副大臣の御答弁を伺っていて、これはもうちょっと、私の方も含めて、時間をかけてやらないといけないなという、やはり奥深い世界ですので、ぜひ今度は一時間ぐらいいただいてこればかりやりたいと思うんですが、きょうはもう、よく考えたらあと十分しかないので、外国人の話を、ちょっと関係の方もおいでいただいているので、やりたいと思います。

 雇用制度については、解雇の制度とそれからやはり労働時間規制、佐藤副大臣とはまた別の機会にぜひ御意見交換させていただきたいと思いますけれども、大阪が何とか再生したいといって特区に手を挙げているわけです。そのときに、プロフェッショナル型の職務の人たちにやはり労働時間規制、ホワイトカラーエグゼンプション、これをやりたいと言っておるんです。これは私は理があると思っているので応援しているんですけれども、なかなか労働省の壁は厚くてできていませんが、頑張りますので、またおつき合いをお願いします。

 今申し上げた外国人なんですけれども、きょうは外務省の柳審議官にもおいでをいただいています。ありがとうございます。

 EPAを通じて看護師とか介護士を受け入れてきています。一時、相当、報道でもこうなりました。問いをちょっと飛ばしていますけれども、そもそもこれは何のためにやっているんでしたかというのを、審議官、お願いできますか。

柳政府参考人 お答え申し上げます。

 フィリピン、インドネシア及びベトナムとの経済連携協定に基づきまして、看護師及び介護福祉士の候補者の受け入れというものは、原則として外国人の就労が認められない分野におきまして、経済連携の強化という観点から、公的な枠組みで特例的に受け入れているものでございます。

足立委員 今おっしゃったように、外務省的に言うと連携強化ということなんですけれども、これは労働省的に言うとどうなりますか。

高鳥大臣政務官 足立委員にお答え申し上げます。

 今ほど外務省の方からも答弁がございましたが、この目的につきましては、看護、介護分野のいわゆる労働力不足への対応として行っているものではなくて、経済活動の連携強化の観点から、二国間協定に基づき、公的な枠組みで特例的に行っているものでございます。

足立委員 なるほど労働省としてもそれは同じで、これはEPAだからEPAだ、連携強化だ、こういうことなわけです。

 今例に挙げたのは看護師や介護士なわけですけれども、まさにEPAで来られたアジアの方々が実際におられる場は多分社会保障の現場だと思うんですね、医療であったり介護であるわけですから。この社会保障の現場で特例的に受け入れていらっしゃるわけです。

 すると、一般論で、日本の社会保障を考えるときには外国人というのはどういう位置づけ、今の話だと連携のためですから、社会保障制度をどう維持運営していくかという観点からいくと、特に外国人労働者の位置づけはないと理解していいですか。

田村国務大臣 今、際立って外国人労働者の位置づけというものはありませんが、看護師の場合は、実は就労目的で在留が認められる者の中に入っておりまして、これは専門的、技術的分野ということで、日本で看護師試験を受かられれば、今のEPA、FTAの枠とは別に、そもそもが日本で看護師として仕事ができるわけであります。

 ただ、問題は、やはり、今回のEPA、FTAでもそうなんですけれども、日本語能力、語学能力。特に、看護の場合は、命に直結する部分が非常に多いわけでありまして、意思の疎通、コミュニケーション等々がとれないといろいろな問題が生じますので、やはりここは、かなり専門的な日本語が必要になってくるということでございまして、なかなか受かる率が少ないという現状があるのは事実であります。

足立委員 今おっしゃったように、EPAの外でも、看護の場合はやっているということですね。だから、看護の場合は専門的、技術的という枠組みで在留資格が与えられる。そうすると、反対に言うと、介護士はないということで、それは、やはり看護というのは専門的、技術的で、介護というのは専門的、技術的ではないということですね。一応、改めて。

田村国務大臣 一般的にそうというわけではないんですが、今回、就労目的で在留が認められる者という中においての専門的、技術的分野というものには該当をしていないということであります。

足立委員 きょう、こういうテーマを取り上げさせていただいたのは、そもそも議論の余地がないのかもしれませんが、私は、介護等の現場をいろいろ地元でも拝見をしていると、本当に皆さん、大変厳しい。いわゆる給与のレベルとかも、いろいろ議論になっていますよね。

 だから、ある意味で、限られた財源の中で良質のサービスを提供していくというときに、労働市場は一つだから確かに日本人なのかもしれませんし、そこはやはり、もし、アジアの供給の理由と、それから受け入れるニーズが合致をし、かつそれが社会保障政策の中でうまく位置づけることができるのであれば、私は、むしろ、EPAで連携のためにという別の目的で動いてきたわけですけれども、それを拡大することによって、社会保障の枠組みをつくっていく、あるいはそれを維持していくときの一つの選択肢になり得るのではないかという思いで、きょうはちょっと取り上げさせていただいているわけです。

 田村大臣の御見識というか御見解の中で、あるいは政府としては、そこは今のところ、社会保障の中で、社会保障の維持、社会保障制度、社会保障政策を推進していくに当たっては、視野にちょっと入ってこないということですか。

田村国務大臣 いろいろな御意見があられることは我々も認識いたしております。介護職員がかなりこれから不足が見込まれるという問題もあります。しかし一方で、社会的コストという問題もあるわけでありまして、そこのところをどう考えるかというのは、かなり国民の皆様方の広範な議論をいただかないと、ここは難しい。

 つまり、将来的に大変な社会的コストが生じることだってあるわけでありまして、そういうものも踏まえて、国民広範の御議論が必要な部分であろうというふうに思います。

足立委員 実は、きょう、この厚生労働委員会の枠組みになかなかおさまらないところもあるんですが、個人的あるいはまた党の中でも議論していきたいと思っているのが、やはりこの外国人の問題なんです。

 それは、外国人と一言に言いましても、おっしゃったように、社会的コスト、例えば、家族を連れてきちゃったらどうなるんだとか、移民の話も含めて、外国人労働者の問題というのはいろいろあります。それから、さらに言うと、もうそういう議論は、今、日本にはないかもしれませんが、そもそもの人口減の中で移民の議論もあったこともあるし、それから、労働者の面で、例えば研修制度と入管の制度との接続の問題とか、いろいろ議論があると思います。時々盛り上がるんですけれども、最近、若干低調かなと思うんです。

 私は、やはり、そもそも、日本の人口、少子高齢化の問題、それから社会保障の限られた財源の中での質の高いサービス、こういうことを考えると、移民政策はどうあるべしやという話と、それからいわゆる担い手はどうあるべきかという両面でこの話は重要だと思うし、きょう後ろにおいでのEPAの関係では大変な労力をかけてその連携に尽くされてきておられると思いますので、私としては、ぜひこの分野が、連携という目的であれ、社会保障の問題であれ、二国間あるいは多国間を通じた専門的、技術的人材の交流が拡大することを希望申し上げて、もう時間が来ましたので、質問を終わります。

 大変にありがとうございました。

後藤委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いします。

 皆さん、お疲れだと思います。疲れてまいりますと風邪にかかりやすくなりますので、ぜひ御注意ください。

 そういうことで、まず、風邪関連ということで、インフルエンザの話題を最初にやらせていただきたいと思います。新型インフルエンザ対策、行政備蓄に関してですね。

 平成二十一年から、抗インフルエンザ薬を都道府県と国が備蓄しております。しかし、いろいろ、これにはやはり無駄が多い、そういったことが常に問題になっています。使用期限の問題で、使用期限が来たらこれは破棄しなきゃいけない、こういう問題があって、国でもそうなんですが、都道府県、特にこれから十二月、地方議会が始まります。やはりこの問題をぜひ取り上げたいということで、かなり地方からも声が上がっております。何点か不明瞭な部分を、やはり国がしっかりアナウンスしていただきたいという部分がございます。

 私の地元の栃木県の、我が党の佐原吉大県議が知事に、今回私が質問したようなことをしました。やはり答えは、最終的には国の政府行動計画に従うしかありませんということでございました。

 これは常々我が党で話し合っていた問題でございますので、六月に質問主意書でお尋ねをさせていただいております。内容的にはかなり一致をしますが、もう一度委員会で議論を深めたいということで、きょうはおつき合いいただきたいと思います。

 まず、行政備蓄用のタミフルの使用期限が七年から十年になったということを伺っております。そのおかげで、ことしの九月に使用期限になる七年物は廃棄しなくていい、国の備蓄はそれでオーケーということになったんですね。

 まず伺いますが、それでは、一般市場流通のタミフルの使用期限は、今何年なんでしょうか。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 備蓄用のタミフルのカプセル剤につきましては、六月に、製造販売業者より、平成十四年五月以降の製品について安定性の試験をしたところ、製造から十年間は大丈夫である、これは室温で適切に保管をした場合という条件がもちろんついておりますけれども、そういうことでございます。正確な表現を申しますと、承認規格を逸脱していないということでございます。これに基づきまして、翌七月に、国の方から都道府県に対しまして、この旨を通知いたしております。

 民間で備蓄をしておりますタミフルのカプセル剤におきましても、今言いましたように、平成十四年五月以降の製造の製品であって、室温等適切な保管をしていれば、品質は製造後十年間同じように保証ができるというふうに考えております。

柏倉委員 では、確認ですが、行政備蓄のものも十年間、そして、一般の今市場流通しているものも十年間使っていいということでよろしいんですね。

今別府政府参考人 御指摘のとおりでございます。

柏倉委員 その内容を各都道府県そして医療機関に通達はしているんでしょうか。

今別府政府参考人 先ほど御説明しましたように、都道府県に対しては、製造販売業者から、こういう条件であれば十年間安定であるという報告が来たのを受けて、七月に通達をしております。

柏倉委員 ということは、各医療機関に関しては都道府県からしっかり通達をしろという旨も通達をしているわけですね。

今別府政府参考人 この通達は、国なりあるいは都道府県で備蓄をしているという前提の議論でございますので、各医療機関に周知をするようにということまでは言っておりません。

柏倉委員 各医療機関は、実は、わかっているところもあれば、わかっていないところもあります。今、この何年間、タミフルは、何年物、使えるんだというところ、情報が医療機関の中で非常に錯綜しております。

 例えば、私の知人が地元で病院を経営しております。その人が、法人契約をしている会社に、会社用にストックをしておいてくれ、そう言われています。その中で、これは何年使える、何年まで使えるのか、こういった情報が全く出てこないから、正直言って迷っているという声が非常に多いんですね。

 これは、備蓄用のものは十年、そして市場流通も十年と今お認めになったわけですから、医療機関にも十年使っていいんだよという情報をしっかり流していただけませんか。

今別府政府参考人 関係者とも調整をする必要があると思いますから、検討いたします。

柏倉委員 今、前向きなお返事をいただいたというふうに確信をしております。

 冒頭にも申し上げましたが、これから風邪もはやります。やはり、子供もかなりこれに罹患しますので、命を守るという意味でも、これは薬品、薬剤ですから、そういった政府情報をしっかりと現場にも周知徹底していただく努力を怠らないようにしていただきたいと思います。

 次は、今の備蓄のスキーム、これも質問主意書で尋ねたものと全く同じ内容なんですが、今、備蓄をする、そして今度十年になりました、十年になったら廃棄する、そういうスキームだと思うんですが、それですと、やはり、十年後廃棄する、これは非常にもったいないなという気がするんですね。

 とすれば、五千万人分のタミフルを備蓄するということであれば、毎年一千ずつ積んでいって、五年で五千になるわけです。そうしましたら、六年目、千出てきますよね、そしてだんだん積み上がってくる。そして、五年目のものを、例えば卸さんに返品して、その五年目のものを市場流通で使ってもらう、こういう考え方はできないでしょうか。そうすれば、当然、お金は無駄にならないわけですよ。

 返品のお金というのは大体九掛けぐらいと聞いています。それぐらいのお金は戻ってきますし、なおかつ、薬自体が無駄にならないわけですよね。卸さんが再度製薬会社から購入する必要はない。そもそも五年後のものですから、有効期限が五年残っているものですから。

 そういう無駄にならない、薬もそう、そしてお金も無駄にならないようなこの備蓄のスキーム、これをぜひ国として考えていただけないでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま議員の御質問の中にもありましたように、行政備蓄用の抗インフルエンザウイルス薬につきましては、有効期限切れが発生した場合には、備蓄目標の維持のために必要な量の買いかえを行うということで対応しております。

 議員から、予算の有効な活用といいますか、予算を有効に使うという視点から、備蓄スキームをもう少し考えてはどうかということでございます。

 私どもも、こういったことを考えるときには必ず予算を、できるだけ少ないコストで有効な対策がとれるようにと考えはするわけですけれども、例えば今の御提案の場合でいいますと、現在の備蓄量が、今、議員の御指摘の中にもありましたように、五千万人分を超える量がございまして、一方で、市場で、通常の医療機関で使われる量というのはまた桁が一つ違うぐらいの量でございますので、備蓄量が余りにも大量過ぎまして大幅に上回っているため、市場に流通されるとしましても、これが供給過剰となりまして、流通体制に与える影響も大きいのかなということがあります。

 それから、現時点で、例えば、恐らく議員の御指摘は、今後もし買う場合に新たな契約条件みたいなものを結んでということもあろうかと思いますけれども、現在、先ほどから何度か質疑のやりとりがございましたけれども、タミフルの有効期限がちょうど三年延長されたばかりでございまして、当分の間は国や都道府県において直ちに購入をしないということでございますので、引き続き、そういう方向については、少し時間をいただいて検討をしていきたいと考えております。

柏倉委員 今、当分の間は、もう積み上がったものがあるから、余りこのスキームにとらわれずに通常営業していればいいというお話でしたが、ただ、これはもうインフルエンザが撲滅されるまで永久に繰り返されるスキームなわけですから、一年でも早く、やはり物もお金も無駄にならないスキームをぜひつくっていただきたいと思います。

 あと、市場流通するものと備蓄のものは桁が違うとおっしゃいましたけれども、年間大体四百万人分ぐらいですよね、インフルエンザにかかって薬が必要になる人が。さっき言った私のスキームでいえば一千万ですから、確かに倍ぐらいになりますが、逆に考えれば、少ないよりは、生命の安全ということを確保する意味では必要なコストなのかなというふうにも思います。

 いろいろ、我々も、これは栃木県の党支部で練りに練った案でございます。もちろん、これが絶対だというわけではなくて、国もこうやって前向きにぜひ考えてもらって、絶対に無駄にしないんだというところ、あと、またさらに大事なことは、昨今、製薬会社と国、製薬会社と独立行政法人、国立大学、こういったもののかかわり方も非常に敏感になってきております。このお金を無駄にしないということと、やはり、あるべき姿、国と企業のあるべき姿というのもしっかり突き詰めていく部分でも、この問題はぜひ前向きに考えていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次は、小児の在宅医療に関してです。特に、ことしからプログラムがスタートいたしました小児等在宅医療連携拠点事業を中心に、ちょっとお伺いさせていただきたいと思うんです。

 今、小児の重症患者さんたちがNICUでいっぱいたまってしまって出ていく先がない、だから、しっかりと在宅で診られるような基盤をつくるんだということでプロジェクトがスタートしているというふうに認識しております。そもそも、今回の小児等在宅医療連携拠点事業の前に、もう数年前から在宅医療連携拠点事業で小児の方も重点的にやっているということで、ある程度問題も明確化されて、やはり問題意識というのは共有されつつあると思うんです。

 そこで、一点ちょっとお伺いしますが、やはり、どの医療のプロジェクトでも共通するのは、医者がいないということなんですよ。特に地方はいない。それをどう克服するのか。これは普遍的な問題なんです。

 数年前からやっているこの在宅医療連携拠点事業で、私は報告書を読ませていただきました。そうしましたら、やはり医師不足そのものが大きな問題だと。訪問看護ステーションの増加に比べ、在宅医療医、特に重症小児患者さんを訪問診療できる医師がまだまだ少ない。しかし、小児科医をふやして根づかせるよりも、一般の在宅医に重症小児患者さんの医療研修を受けてもらって、このネットワークに入ってもらう方が合理的だと思うという旨の報告が散見されました。私は、これはすごくいい意見だなと思うんですね。

 在宅医さん、我が党の中島先生も在宅医ですが、どうしても、子供の診療となると、これはやはり、スペシャリティーが違うということ以上に、命は同じなんですが、子供さんの命、我々も敏感になってしまうんですね。これは、医療過誤があってはいけない、安受け合いしてはいけない、こういったところがあります。しかし、研修を一回すると、すっと子供さんの医療もできるようになると言っている在宅医も結構多いというふうに聞きます。

 この辺の、今ある在宅医さんに小児、重症児を見てもらうために、どういう政策を国は考えているのか、教えてください。

原(徳)政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、小児等在宅医療連携拠点事業、今年度から装いを新たにといいますか、全国八カ所でやっております。これは、従来、在宅医療連携拠点という形で成人も含めてやっていた事業の中で、小児に特化した形でこの事業を始めさせていただきました。

 その中で、例えば、御指摘のように、今、小児の在宅医療を進めるために、小児科医だけでは必ずしも足りないということで、いわゆる成人を対象にしておられる在宅療養支援診療所の医師等に対して、子供の医療といいますか、小児の在宅医療に必要な知識等について、あるいは制度について研修をしていただく。そういうことによって、その結果、研修を受けた医師からも、何とか対応ができるようになるのではないかというような期待も寄せられているところでございます。

 そういう意味におきまして、この連携拠点事業の中で、成人を対象にしておられる、在宅医療をやっておられる先生方にも小児の在宅医療についての知識を研修していただくということについてもお願いをすることとしています。

 この成果の結果をもう少し普遍的にどうしていくか、周知をしていくということで、今後、小児在宅医療がより一層進むように取り組んでいきたいと考えております。

柏倉委員 在宅医としても、やはり何らかのインセンティブをしっかりつけてもらえば、一歩足を前に出せると思うんですよ。その辺の、診療報酬等のさじかげんもぜひやっていただきたいと思います。

 先ほど、今、八カ所で小児等在宅医療拠点事業をされているということでしたね。そのうちの一カ所にちょっと私知り合いがいたものですから、話をしました。そうしたら、今週の金曜日にヒアリングがまたあるというふうに伺っています。七月からスタートして、実質八月から手をつけて、ヒアリングがあって、来年の三月に成果報告書を出せというふうに言われていて、非常に難渋をしているとのことでございました。

 私も、いろいろな拠点事業とか、こういう、国からお金をいただいてやる事業は何個か絡んできましたが、その辺のタイムスケジュールに関して、もう少し大目に見てやっていただきたい。これはあくまでもリクエストでございます。まず一言、添えさせていただきたいと思います。

 次は、レスパイト施設の充実ということに関してちょっと伺いたいんですが、この小児等在宅医療拠点事業で今スタートしているのは、実質年間一千二百万、一千五百万ぐらいの規模で単年ということで、レスパイト機能をつくるというよりは、レスパイト機能があり、そして小児の普通の一般病院があり、そしてNICUがあるという、ほぼ、社会的資源としてはある程度恵まれたところのネットワークづくりというふうに聞きました。

 問題は、そういったところが全くない、この事業に参加したくてもできないような地域もやはりあるわけなんですね。そういったところにどうやって集中的に今後こういうレスパイト施設なんかをつくっていくのか。これを、政府の考えがあったらぜひ聞かせていただきたいと思います。

原(徳)政府参考人 御指摘のように、NICUなどで満床になってきている、この方々も在宅へ移行していく。そのためには、在宅で重症のお子さんたちを診られるような環境が非常に重要だと考えております。

 その一環として、いわゆるレスパイト機能というのも重要なものと考えておりまして、例えば、在宅に移行した子供さんたちを保護者の要請に応じて一時的に受け入れる病院の確保、いわゆる日中一時支援事業などを行っているところでございます。

 また、在宅への移行に際しては、やはり、いきなり在宅にというわけにはいきませんので、地域療育支援施設という形で、長期入院しておられた重症児が在宅に移行するためのトレーニングを行う施設をつくっている。そういうふうな形で進めているところでございます。

 厚生労働省としては、これらの施策を通じて、NICU等に入院している重症児の在宅移行に向けた取り組みを支援していきたいと考えております。

柏倉委員 進めていただけるということだと思うんですが、厚労省さんに伺いますと、このネットワーク事業は医政局の仕事で、レスパイトは社会・援護局なので、医政局の私に聞かれてもちょっとわかりませんというような返事をもらったこともありました。ぜひ、やはりセットでこれは進めていただきたいと思います。特に、全くないところからいっせいのせで立ち上げるものに関しては、これはまさしく官民一体。まず官から一体になっていただいて、部局縦割りをぜひしっかりクリアしていただいて、このレスパイト事業を進めていただきたいと思います。

 それで、これからつくるレスパイトのお話をさせていただきましたが、もう既にある、これは、いろいろな補助がないときから自生的につくっていらっしゃるレスパイトの施設もございます。

 私、栃木県で、選挙区ではないんですが、宇都宮で、やはり独自に、重症児を診るということでレスパイト施設をおつくりになったお医者さんがいらっしゃるんですね。ただ、そのお医者さんがおっしゃるには、なかなか利用実績が安定せず、経営が大変だということなんですね。

 重症児というのはかなり数が少ない、しかも、人口密度がある程度高い都市圏でやるのとは違って、やはり、地方でやると必ず、志高くても、こういった財政的な面で、一生懸命頑張っても挫折する可能性がある状況に追い込まれているわけですね。こういった自然発生的な、自生的なレスパイト施設に対して、ぜひ国は支援をしてやっていただきたいんですが、答弁をお願いします。

原(徳)政府参考人 宇都宮の施設につきましては、私の大学の後輩が一生懸命頑張っていてくれるというふうに思っております。

 制度的には、先ほども御指摘がございましたけれども、医療的に必要な部分については医政局でやっておりまして、あと、いわゆる福祉的な側面からの部分につきましては障害福祉部の方でやっております。

 ただ、実際問題として、施設としては、その方々の状況に応じて、例えば診療報酬で支払われる部分でありますとか、あるいは補助の部分で支払われる部分がございますので、それらの組み合わせの中で何とかお願いをしたいというふうに思っております。

蒲原政府参考人 続けてお答え申し上げます。

 先ほど連携の話が出ましたけれども、社会・援護局の者でございます。

 レスパイトの関係ですけれども、医療の話はありますけれども、一方で、やはり障害者の福祉の世界でやれることもあると思います。

 先ほどの事例はちょっと個別の事例でわかりませんけれども、一つは、市町村が独自でやっている包括的補助金の中での対応というのがあろうかというふうに思います。あわせまして、これは総合支援法の中で、一時的に施設や病院で短期入所いただきまして一定のお世話をするという、まさに短期入所の事業があるわけでございますけれども、これについては法定の事業として、一定の障害の報酬できちっと対応しているということでございます。

 この報酬の中では、二十四年度の報酬改定において、例えば医療ニーズが高い、今お話が出ました重症児の方々に対して計画的な医療的管理等を行う場合の加算を設けるとか、そういう対応をいたしておるところでございます。

 こうした法律上のサービスに対する報酬を充実すること等を通じて、先生おっしゃったようなところに対する支援というのも丁寧にやっていきたいというふうに考えております。

柏倉委員 ぜひ前向きにプッシュアップしていただきたいと思います。以前の委員会でも申し上げましたけれども、在宅、在宅というかけ声ですね、かけ声倒れに終わらないために、しっかりとした戦略を持ってやっていただきたい。そして、やはり子供のことは最初にやっていただきたい。これは、チルドレンファーストとこの間申し上げたとおりでございます。ぜひ、個別の案件にもしっかり目を行き届かせていただいて、底上げを図っていただきたいと思います。

 最後ですけれども、次は、知的障害者施設の高齢化の問題です。

 もう時間がございませんので、簡単に質問させていただきますけれども、今、昔、子供のころに知的障害者さんが入られた施設、そこに入ってもう三十年、四十年という方も結構いらっしゃる。もう四十年たちますと、五十歳、六十歳ということになるんですね。

 きょうは資料ではつけておりませんが、去年の朝日新聞の記事を読ませていただきますと、愛知県の障害者施設は、四十五人が入所して平均年齢は六十三歳、おむつをしている人は二十人に上り、大半の人が車椅子を利用している、施設内はまるで特養ホームのようだと。施設長の方は、実態は介護施設、特養は入所待ちが多く、こうした棟が必要だったというふうに書いております。当然、若い方もいらっしゃる。しかし、お年寄りもどんどんどんどんふえているというのが現状の施設の実態だと思います。

 そういった中で、これはどうやって、この障害者施設の中で介護を手厚くやるかという問題をぜひ考えていただきたいと思うんです。

 障害者施設ですから、ほとんど看護師さん、ヘルパーさん。介護に特化した方というのは少ないわけですね。では、実際どうやっているかというと、常勤のナースが一生懸命やっている。あとは、その職員さんがなれない仕事をやっているというような状況。これはもうてんてこ舞いなんですね。でき得ることなら、やはりこれは制度的に介護施設というのを、障害者施設にすっと入っていけるような努力をしていただきたいんですよね。

 特養に移る方はいらっしゃいます、当然。それは施設の判断で移っていただく。ところが、これは、私は帰りたい、やはり住みなれたところに帰りたいんだ、前の障害者さんの施設に帰りたい、こういって夜な夜な泣いて、帰ってきてもらったという施設も多くあります。私の知っている施設では、五人に一人はそういった方がいらっしゃった。

 これはサンプルですから、正確に調査していただかないとわからないんですが、やはり、在宅、在宅ということをいった場合に、知的障害者さん、特に高齢知的障害者さんにとっての在宅というのはどこなのかということをよく考えていただきたいんです。

 やはり、長く住みなれた、見知った顔がいて、いつもやっている、これは基本的には就労トレーニング、いろいろなトレーニングかもしれません、しかし、そういうサービスになれた人。そして、高齢になると、身寄りもなかなかいなくなってきて、自分しかいない。つまり、こういう高齢知的障害者さんにとっての在宅というのは、やはり知的障害者さんの施設なんだということを私は言いたいんですよ。

 とすれば、そこにどうやって介護サービスを充実させていくのか、これを考えていくのは、やはり私は国の責務だと思います。その辺の今後の政策を、現状を含めてお答えいただければと思います。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話が出ました知的障害者を中心とする障害者の高齢化の問題、これはいろいろなところで指摘をされるものでございまして、そうしたことでどう対応するかというのは非常に大事な課題だというふうに認識をいたしております。

 幾つかのパターンがあろうかと思います。先生おっしゃったように、施設にずっとおられる方もおられれば在宅で生活された方々もおられるので、全体的に含めまして、施設あるいは在宅を通じて、高齢化への対応ということが大事だというふうに考えてございます。

 この点については、二十四年度に調査研究を実施したほか、実は、二十四年度から二十六年度までの三年間にわたりまして、一つは、地域、施設両方を通じて、そこで生活する高齢の知的障害の方、これは発達障害の人も入っていますけれども、こういう方々のいわば実態の把握、あるいは、その方々に対してどういうサービスが適切であるかどうか。最終的には、そういう方々に対するサービスのマニュアルといったものをつくるべく、今、調査研究事業を実施しているところでございます。

 この高齢障害者の問題につきましては、実は、障害者の総合支援法成立の際の附帯決議の中でも、非常に、高齢障害者に対する支援のあり方について、きちっと検討すべきだということを指摘されているところでございまして、今進めております調査研究等をよく踏まえて、あるいは関係者の意見をよく聞きながら、対応を検討していきたいというふうに考えております。

柏倉委員 いろいろ、保険制度に関しては難しいところもあるかと思います。介護保険優先の法則等々ございます。ただ、そういったところ、何回も申し上げますが、やはり、高齢知的障害者さんの在宅というのはどこなのか、そういう問題をいま一度国としてしっかり考えていただきたいということを最後に訴えて、これで終わりにしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 十二日の参考人質疑で、山梨から宮城県気仙沼市立本吉病院非常勤医師として通ってくださっている古屋聡先生が、ことしの三月で宮城県の被災者に対する医療費の免除が終了し、深刻な受診抑制が進んでいると指摘をされました。医療機関を受診するために、もともと不便な地域ですので、タクシーなどを利用しなきゃいけない、そこだけでも負担がかかるわけですね。それにさらに医療費がかかるということを指摘されました。

 また、そうした中で、脳外科のデータでいくと、二〇一三年七月から九月の脳出血の手術例は九例になり、前年が三例、その前の年が四例と比べても非常に伸びが大きいということ、そして、大震災被災者の医療費助成は国に全面的に取り組んでいただきたい、このように発言をされました。地域のコミュニティーの維持、再生などが問われる課題で、被災地はその先端を走ってしまっている、この指摘は大変胸に迫るものがありました。

 宮城県では、七月八日に、県議会が一致して医療費窓口一部負担の免除を復活するよう請願を採択しています。八十八人の仮設住宅の自治会長の連名の要望でありました。そして、今は、この自治会長が、四百六仮設住宅があるんですけれども、百八十九名が署名をして、強く復活を求めています。

 また、岩手県ではどうか。来年一月以降も、減免の八割は国が出す分ですから、残りの二割を県と市町村で折半する制度、これを継続することを決めました。しかし、市町村にとっては、その一割負担の部分、財政が厳しいから、だからといって簡単に免除をやめるわけにいかないんだと頭を抱えているのが現状であって、国に制度の復活を求める声は、岩手でも同じだと思っています。

 そこで、大臣は、こうした被災県の免除復活を求める声を承知していますか。どのように認識していらっしゃるでしょうか。大臣に聞いています。

後藤委員長 では、先にいいですか。(高橋(千)委員「聞くことはありません。大臣に聞いています。何で。認識でしょう」と呼ぶ)

 田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 済みません、ちょっとこちらが通告ミスで、私じゃなかったものでありますから、今、局長が手を挙げさせていただきましたけれども。

 そのようなお話があることは受けとめております。

高橋(千)委員 受けとめておりますの一言でございました。

 改めて復活を求めて質問したいと思うんです。

 十月二十四日の参議院の予算委員会で、我が党の小池晃議員の、国の補助を全面復活するためにはどのくらい必要かという質問がありました。それに対して、資料の一枚目、配っております。二〇一一年度の予算を参考にするしかないわけですよね。それでいきますと、国保、介護、被用者保険、後期高齢者、四つの分野を合わせると約一千八億円という回答をしています。

 もちろん、それと同じくなるとは限らないわけです。しかし、これを、私はきょう国保に限って伺いますが、国保に限って見ると、どのくらい必要でしょうか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十三年度、この年は岩手、宮城、福島以外も含めましての財政支援、全額をしておったわけですが、今挙げていただきました一千八億に対応した内数として、市町村国保だけで見ますと、約五百三億円の負担であったというところでございます。

高橋(千)委員 そこで、二枚目をちょっと見ていただきたいんですけれども、今、五百三億円とおっしゃいましたよね。そのうちの被災三県の分をどれだけ国がお金を出しているかというのを出してもらいました。平成二十三年度は十割なわけですよね。二十四年度は、十月から八割になっております。ですから、下の方が低いわけです。こうして見ると、やはり宮城県が、被災の程度が非常に大きいというか範囲が広いものですから、免除額が大きいなということが読み取れるのかなと思っているわけです。

 ただ、結局、さっき紹介した自治会長さんたちの要望というのは、窓口負担の部分だけなんですね。もちろん、保険料減免も、両方やってほしいですよ。だけれども、最低でも窓口負担をやってほしい。そう言うと、もっと額は少なくなっていく。これを足し算しただけでも二百三十億、上の方を足し算していくとそのくらいなわけですよね。そうすると、三県だけではないということを考えても、そんな大きな額ではないわけです。これを改めて全額国庫負担に戻すべきではないでしょうか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの方にも、宮城県等からのお話も伺っております。その中でも御説明申し上げておるのでございますけれども、この全額の補助、これは前年度の所得の状況を把握していただいて、それに応じた減免をしていただく、そういうことがわかるまでの間ということで特別の措置を続けてきたということでございまして、昨年の九月までということで、その措置を終えて、所得に応じたものでやっていただきたい、それで、減免をなさった場合に、減免額の十分の八を補助しておるということであったわけでございます。

 それ以外にも、東日本の特別対策としては、全体で医療費がふえたときには、三%以上ふえたような保険者に対しては八割も補助をするとか、所得が実際に下がっている地域がありますので、そういうところには、所得が下がったものについて調整交付金をより増額を図るとかいう措置も組み合わせて丁寧に応援をしていきたいということでございまして、その減免については、市町村の判断で行われているものに対して、このような措置を丁寧に組み合わせることで対応してまいりたいというふうに思っておるところでございます。

高橋(千)委員 今、前段でお話しされたことなんですけれども、保険料についてはもう何回も議論したことですよね。結局、当然、所得に応じて保険料が決まっていくからとおっしゃって、それは事実なんですね。それでも高いというのが私たちの言い分ですけれども、だから、それを踏まえて、せめて窓口負担はということを地元は言っているんだ、やはりそこを踏まえていただきたいわけなんですね。

 例えば、最初に気仙沼のことを紹介したので、気仙沼の方のお話をしたいと思うんですけれども、気仙沼に住所を残したまま一関市で暮らす七十一歳の男性は、震災後、心不全になり、週一回の通院をされております。それで、四月から月二万五千円の医療費を年金十三万円からというのは非常に大きいわけですね。これは毎日新聞が十月四日付で報道しているんですけれども、実は、同じような境遇の方が三百十人もいらっしゃるんです。つまり、いずれは帰りたい、だけれども、岩手県民になると当面無料なわけですよね。岩手に住んでいる。だけれども、いずれは帰りたいと思っているから気仙沼に残している。そのことによってこんなつらい思いをしている、だったら岩手の人は頑張って無料を継続してくれとおっしゃっているそうです。

 だけれども、やはり本当に地続きなんですよね。ここで差をつけるということではなくて、今、必要なこの瞬間、延長していくあるいは復活していくということがあってもいいんじゃないでしょうか。もう一回。

木倉政府参考人 岩手県との県境の気仙沼の話は私どもも伺っております。岩手県の方も、財政がぎりぎりの中で、県と市町村が応援をして、私どもからの八割の援助にプラス地元の方の負担で何とか工夫をされているというふうに伺っております。

 宮城県の方は、先生御指摘のように、範囲が広かった、被災者も多いということで御苦労があるんだと思いますけれども、市町村国保の運営が成り立つような仕組みとしては、私どもも、所得が下がったあるいは医療費がふえたという部分に対します特別調整交付金、調整交付金というものの組み合わせの中で応援もしてまいりたい。

 それから、本当に実際に低所得で減免しなきゃいけない、七割、五割、二割という減免措置も組み合わせて、しっかり応援は続けてまいりたいというふうに思っているところでございます。

高橋(千)委員 これは引き続き求めていきたいし、後でもう一回お話をしたいと思うんですけれども、ちょっと続けます。

 大臣に伺いたいと思うんですが、先日、福島県浪江町の津島区の行政区長さんたちがそろって私の部屋に来てくださいました。津島区というのは、きっと皆さんも記憶があると思うんですけれども、例のSPEEDIの情報が出てこなかったがために、大勢の方が避難して、実際はその避難をした津島区の方がもといた場所よりも放射線量が高かったということがわかった地域であります。非常に悔しい思いをされています。

 区長さんたちは、福島市やいわき、二本松など、さまざま、ばらばらに避難生活を送っていらっしゃるんですけれども、月一回くらいは集まって、情報交換ですとか要望活動もしていらっしゃるわけです。

 そこで、浪江町全体でいうと、津波など震災で亡くなった方が百八十二人いらっしゃいます。だけれども、その後の震災関連死は何と三百四人もいらっしゃる。介護の要支援が二百人だったものが、震災後は四百人と倍加をしています。これを医療費で比較しますと、一・四倍くらいに、医療、薬剤、訪問看護の分野ではね上がっている明確なデータが出ているんですね。ふえているのは、高齢者、そして妊婦さんです。周産期に発生した病態が増加した。これは津島診療所のデータなんですが、そういう明確なデータがございます。

 ですから、無料化すると安易な受診がふえるとかということもよく言われますけれども、逆で、本当に命をつなぐ制度になっているわけですね。それでも関連死がふえているわけですけれども。

 そういうことを踏まえてどうなのかということと、今、福島の警戒区域等の免除措置については、概算要求でも前年度と同額をされているはずです。だけれども、予算編成過程、十二月に見直すということが、一文添えられているんですね。避難区域が今いろいろ再編されています。だけれども、今こういう状況で見直す、要するに、現実には帰れないという状態がある中で見直すべきではないと思いますが、お願いいたします。

田村国務大臣 東京電力福島第一原子力発電所、この事故に伴う避難指示を受けた地域に関しては、今も委員おっしゃったとおり、二十五年度、介護、医療の窓口負担、これは国が負担をしておるということであります。

 二十六年度はどうするんだというお話でございましたが、なかなか十分な、期待するお答えにならないのかもわかりませんけれども、予算編成過程で被災地の状況も踏まえながら検討してまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 そういう返事が来るとは思ったんですが。ただ、昨年度も、概算要求のときには同じ文章が添えられていました。でも、それを乗り越えて同額の予算がついたわけですので、ここは本当に頑張っていただきたいと思うんです。

 浪江の区長さんも、富岡の区長さんも、あるいは双葉町から避難されている方も、本当に同じことをおっしゃるんです。月一回だけ帰ることが許されていて、もう帰るたびに家が荒れているわけです。当たり前ですよね、人が手をかけられないですから。私も富岡に入ったことがあるんですけれども、野生動物に荒らされて、たどり着くまでの道のりが雑草だらけ。だから、帰るたびに、ああ、もう帰れないという思いを重ねるわけです。

 仮に線量が、今問題になっているけれども、二十ミリシーベルトだというので解除になったとしても、インフラ、全然進んでいない、除染も進んでいない、あるいは、介護の施設とかそういう体制もできていない。だって帰れるわけないだろうということをみんなおっしゃっているわけです。だから、機械的に、解除したからもう対象にならないんですよということは、絶対あってはならないと思うんです。

 ここは、同じ答弁しか返ってこないと思いますので、強く要望をしておきたいと思います。

 そこで、高過ぎる国保と深刻な実態というのは、全国で進んでおります。本来、国保の減免制度がしっかりと作用していれば、まだ救われるのではないか、こう思っているんです。

 国保法四十四条、これは、国保における一部負担金減免についての規定がございます。条例、規定がある自治体数、実績をまず伺います。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 国保につきましてですが、国保法の中で、災害や失業による収入の減少などの特別の理由がある被災者で、一部負担金を支払うことが困難であると認められる者に対して、一部負担金の減免を行うことができるとされておりまして、これに基づきまして、今御指摘の、基準、条例であるとか規則等を定めまして実施をしております市町村数というのは、二十四年四月一日現在でございますが、全体、市町村国保千七百十七保険者があります中の千二百七十二保険者というようなことであります。

 免除の実績は、二十三年度で見ますと、六十三万二千件、減免総額が二百六十九億円となっているような状況でございます。

高橋(千)委員 それについて、今、資料の三枚目に実はついてございます。ありがとうございます。

 私は、これにずっとこだわっていて、四十四条を本当に活用せよということ言ってきました。二〇一〇年四月七日にこのことを質問しているわけですが、そのときの数字では、三年前の数字しかなかったんですが、十億円の実績だったんですね。そういう点では、二百六十九億円ということで、減免実績が少し上がったという点では、ちょっとよかったかなと思っているわけです。

 私は、これは、保険者は、特別の理由がある被保険者で、保険医療機関等に一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、一部負担金の減免または徴収猶予の措置をとることができる、こういうふうに条文では書いている、だから、本当にそのままで解釈していただいて、保険者が特別な理由がある人に対して減免してくれればいいなと思うんです。だけれども、ここに書いているように、減免に要する費用は保険者負担なわけですよね。だから、困っているだろうということで減免してあげようというと、それがみんな保険者負担にはね返ってくるということで、それは容易にはできないということであります。

 そこで、このときの議論によって二番目の財政支援というのが初めてできたわけなんですけれども、二〇一〇年の九月十三日の国保課長通知によって、財政支援、これは国が示す基準、後で言いますけれども、三つの基準があって、全て該当する場合は国の特別調整交付金で二分の一を交付することとなりました。

 まず、これは、この基準を満たしていれば、条例を自治体が持っていなくても、財政支援は受けられることになりますね。一言で。

木倉政府参考人 今御指摘ありましたもの、一部負担金減免は国保法に基づいて実施できるわけですから、必ずしも条例、規則等の定めがなくてもできるわけでございます。そのときに、国の財政支援の対象といいますのは、国が支援をする基準を定めて、これに該当すれば、その基準等がなくても、国の方からの財政支援の対象としておるところでございます。

高橋(千)委員 基準がなくてもいいわけなんですね。条例を市町村がわざわざつくらなくてもいいということでありました。

 そこで、この三基準を満たして助成措置を受けた件数、額は幾らでしょうか。

木倉政府参考人 この一部負担金の減免の実績でございますけれども、二十四年度の数字でお答え申し上げますと、減免の実績は五百一件、約九千七百万円でございます。これに対します約二分の一の補助ということなので、国の補助は四千八百万円というような状況でございます。

高橋(千)委員 きのういただいた数字よりちょっとふえているのは、新しい数字を探してくださったんだと思います。きのうは三千七百万円ということをおっしゃっていましたけれども、きょうは新しい数字で、四千八百万円。

 ただ、それにしたって大した額じゃないんですよね。結局、この制度を、財政支援をやろうということになった背景には、我々も何度も言ってきたことはありますけれども、病院の未収金が余りにも多過ぎると病院協なども調査をして訴えをする中で、検討会などもあって、本来ある減免制度を使おうじゃないかということで基準をやったんですけれども、しかし、余りにも少ないと思いませんか、大臣。

 これは、基準が厳し過ぎるんですよ。この丸の三つ全て満たすものでしょう。一つ目は、世帯全部の収入の合計が生活扶助基準以下でなければならない。預貯金が三カ月分、これも生活保護基準と同じなわけですね。三つ目は、通院はだめ、入院じゃなきゃだめ。三つを満たしていなければならない。でも、逆に言うと、三つを満たしているというのは生保以下なんだから、生活保護を受ければいいわけですよね。そういうことでしょう。生活保護以下の人を減免で救うんじゃなくて、そういう人はもう生活保護を受けられるんですよ。余りにも厳し過ぎると思いませんか。

田村国務大臣 生保の場合は資産等々も入ってくるわけでございますから、ここに書かれているような預貯金の合計だけではないんだというふうに思いますけれども、今ある制度がまず十分に周知できていないというところもあるんだと思います。でありますから、まずは現行のこの規定というもの、これにのっとって、国の基準というものにのっとってまずは周知徹底をしていって、今徐々にふえてきておりますから、これを広げていくということがまず第一であるというふうに考えております。

高橋(千)委員 生保基準以下だけれども、これを広げるほどの厳しさではないとおっしゃっているんですね。とりあえず一歩かなということなんだと思うんですけれども、確かに生保を受けるときの調査に比べたら緩いとおっしゃるのかもしれませんけれども、基準は同じなわけですよね。所得が生活保護基準以下でしょう。でも、実際には、保護の方は医療費がかからないわけですから、同じ所得だとしてもそれプラス医療費を払わなきゃいけないとか、そういうことを考えたら、当然広げなくちゃいけないわけですよ。だから、自治体は、保護基準の一・三倍とか、そういう基準を設けているんじゃないですか。

 このときの、九月の通知のときにQアンドAを出しています。一部負担金の減免基準は、以前より、独自の基準を設けているけれども、今回の通知で示された基準に合わせなければならないのかという自治体からの問いに対して、どう答えるかということで、今言ったように、一・三倍とか、独自の基準を設けている、そういうときに、あくまで技術的助言である、したがって、今回示した基準より狭い場合は、今回示した基準まで対象を拡大していただきたいと考えている、逆に今回示した基準による範囲よりも広い場合は、狭める必要はない、どうぞ自治体で独自の減免制度をやってください、こう言っているわけです。

 ただし、減免額の二分の一を特別調整交付金で補填することとしているが、この補填の対象となるのは、今回示した基準に該当するものに限られる。つまり、基準どおりじゃなければ金は出さない。たとえ広げた基準を設けていたとしても、基準どおりのところにしか金は出さないということを厳しく言っているんですよ。

 いろいろなことで地方の裁量とか、大臣もよくおっしゃいますけれども、こういうところで国はちゃんとたがをはめているというのが実態なんです。だから、やはりこれは、交付金を支援する範囲をもうちょっと広げるか、あるいは基準を少し緩和するかしなければ大変じゃないですか。どうですか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 この減免に対する国の支援措置の経緯、先生から御紹介をいただきましたけれども、やはり、自治体はもともとこの国保法で減免はできる、それに対する支援は国としてはしていなかったんですが、未収金問題、本当に医療機関の方で大変な負担になっておるという中で、何か知恵を出さなきゃいけないということで、検討の場を設けまして、自治体の御意見も聞かせてもらいながら、それから実態も調べさせてもらいながらという中で、当時のものとして、未収金になる原因として、入院が大多数を占めておったというような実態がございましたので、生活保護程度になりながらも、さらに入院になりながらも頑張っていらっしゃるところに対しての何らかの国の支援をということで、ともに考え出していこうということで、まずは、このような対象の方に対して全国の支援制度を始めようということで始めて、二十二年度からスタートを切っておるところでございます。

 先生御指摘のような使いやすさについての声も、さらに自治体から聞こえてくるところもありますので、ここら辺は課題としてさらに検討を続けさせていただきたいというふうに思っておるところでございます。

高橋(千)委員 今の答弁、入院が大多数だからといって、入院だけに限るというのは、意味が違うじゃないですか。少なくとも、入院の方が救われるというのは大事ですよ。だけれども、通院でも同じくらいかかっている。毎週毎週かかっている。それでも同じくらいかかっているんだったら、それも見てあげればいいじゃないですか。何で、これ、全部満たすというふうな基準なんですか。そういうことを見直してほしいということを言っているんです。

 これ、宮城県は、余り御披露するのも恥ずかしい話ですけれども、二〇一一年までは、四十四条の減免というのは何と二件しか実績がありませんでした。ところが、国が八割負担で、二割は自治体でやるならやりなさいというふうなことになった昨年、当然この制度を使わざるを得なかったわけです、そうしたら、何と二十九万九千九百五十八件の実績がありました。これのときは二割を県が持ちましたので、やはりどれだけこの意味が大きいかな。しかし、これがもとに戻っちゃうと、この二十九万、三十万人近い方たちが病院になかなか行かなくなっていくとなると大変だよなということを、やはり本当にイメージしていただきたいなと思っています。

 一方、国保の滞納者はふえて、差し押さえもふえています。これは全国的な例です。震災にかかわらず、東北の各市で差し押さえがふえています。聞き取りをいたしました。

 青森市、これも私の地元で恥ずかしいですが、全市町村が差し押さえをしている中、断トツの多さで、八百八十四件なんですね。学資保険なども差し押さえをしている。盛岡市は、昨年三百三十件でしたけれども、その前が九十八件だったので、三倍強なんです。仙台市も、百七から二百八十件と倍以上になった。福島市は、六百五十七件から一千七百五件、大変なふえ方なんですね。一関市では、岩手県内で差し押さえ金額トップなんです。その中で、ことし四月には、自宅と店舗が差し押さえられた六十代前半の自営業者が入院中の奥さんを残して自殺に追い込まれる、こういう事件も起こっています。

 だから、やはり払いたいとみんな思っているんですよ。少しでも減免制度を生かすことで払えるのに、余りにも高いから払えないでいるうちに、あるいは少しずつ払いたいと言っているうちに、こういう事態が起こっているということなんです。

 五月一日の国保新聞によると、差し押さえ額は、全国で千四百八十保険者、七百九十九億円だと。これは、さっき言った一部負担金の免除の実績よりも三倍も多いわけですね。かつ、滞納整理機構を今使っていますから、徴収率は五五・四%。年金の納付率に追いつくくらいの大変な実績です。保険者の収納対策の成果とうたっていますけれども、この成果の陰に広がる深刻な実態をやはりちゃんと見て、払える人は払える、そのために必要な救済制度はちゃんと生かしていく、そういう立場に立つべきだと思いますが、大臣の認識を伺います。

田村国務大臣 一部負担金の減免制度、これは国の方の基準を緩めよという話でございまして、入院で大体八割未収であるということから、何とかということで、これは基準に入れているわけでありますが、委員からは、そんな入院だけではなくて、通院も入れろというようなお話もあったわけであります。

 いずれにいたしましても、この制度がスタートしてまだそんなにたっていないわけでありますので、この一部負担金の減免制度の実施状況というものをしっかりと我々は見ながら、やはり保険者の皆様方の御意見もお聞かせいただかなきゃなりませんので、お聞かせをいただいた上で、検討させていただきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 一言、要望して終わります。

 私、毎回言っているんですけれども、この減免制度というのは、例えば失業とか、所得の急激な減少に対しての制度でございます。だけれども、一旦失業して、減少して、ずっとそれが同じ状態だと対象にはならないんですよね、急激な減少じゃないので。なので、今、それこそ震災で職を失った方たちなどが、もう来年三年目を迎える。これはずっと低所得ということになって、何の対象にもならないということが起こり得るかな、そういうときでもあるんです。

 実は、この質問をしたとき、まだ民主党政権でしたけれども、足立政務官が、ぜひそのことは受けとめたいという答弁をしていただいて、本当に検討してほしいということを強く訴えてきたんですけれども、改めて、減免制度がどうしたらうまく働くのかということを検討していただきたい。

 そのことを訴えて、終わります。

     ――――◇―――――

後藤委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。田村厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田村国務大臣 ただいま議題となりました薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を説明いたします。

 健康長寿社会の実現を目指すためには、医薬品の販売制度について、国民の利便性に配慮しつつ、安全性を十分に確保する必要があります。

 また、いわゆる脱法ドラッグについては、指定薬物の製造、販売等が禁止されて以降も、その使用に伴う幻覚等の発症や他者への危害行為等の事例が後を絶たず、さらなる対策を講じる必要があります。

 今回の改正は、こうした観点から、本年一月の一般用医薬品のインターネット販売に関する最高裁判決、本年六月に閣議決定された日本再興戦略等を踏まえ、医薬品の販売方法に関する新たなルールの整備等を行うほか、指定薬物に関する規制を強化するなど、所要の措置を講ずるものであります。

 以下、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。

 第一に、一般用医薬品のインターネット販売を認めることとし、その販売方法に関する遵守事項を定めるとともに、第一類医薬品については、その販売に際し、使用者の年齢、他の医薬品の使用状況等を確認することとするなど、一般用医薬品の販売に際してのルールの整備を行います。

 第二に、医療用医薬品から転用して一定の期間を経過していない医薬品や劇薬等については、他の一般用医薬品とは性質が異なるため、新たに要指導医薬品として区分し、その販売に際して薬剤師の対面による情報提供と指導を義務づけるなど、医療用医薬品に準じた形での慎重な販売や使用を促すための仕組みを設けます。

 第三に、指定薬物について、原則として所持、使用等を禁止し、違反した場合に罰則を科すこととしております。

 最後に、この法律案の施行期日は、公布の日から六月を超えない範囲内で政令で定める日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

 以上でございます。

後藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十一分散会


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