衆議院

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第12号 平成25年12月4日(水曜日)

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平成二十五年十二月四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    池田 道孝君

      今枝宗一郎君    大串 正樹君

      金子 恵美君    小松  裕君

      古賀  篤君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高木 宏壽君

      高鳥 修一君    高橋ひなこ君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      永山 文雄君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    牧島かれん君

      松本  純君    三ッ林裕巳君

      宮崎 政久君    村井 英樹君

      山下 貴司君    大西 健介君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      浦野 靖人君    重徳 和彦君

      新原 秀人君    輿水 恵一君

      桝屋 敬悟君    柏倉 祐司君

      中島 克仁君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   総務副大臣        関口 昌一君

   文部科学副大臣      櫻田 義孝君

   文部科学副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   政府参考人

   (内閣法制局第四部長)  北川 哲也君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            中野 雅之君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           岡田 太造君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月四日

 辞任         補欠選任

  大久保三代君     池田 道孝君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     宮崎 政久君

同日

 辞任         補欠選任

  宮崎 政久君     高木 宏壽君

同日

 辞任         補欠選任

  高木 宏壽君     牧島かれん君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     大久保三代君

    ―――――――――――――

十二月四日

 過労死等防止基本法案(泉健太君外十名提出、衆法第二八号)

同月二日

 患者・利用者負担を大幅に軽減し、いつでも安心して受けられる医療・介護の実現を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五〇四号)

 後期高齢者医療制度の廃止を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第五〇五号)

 社会保障の切り捨て中止に関する請願(志位和夫君紹介)(第五〇六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五〇七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第七〇〇号)

 人間らしく働けるルールと、生活できる保障を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第五〇八号)

 要支援者サービス切り捨てと利用者負担引き上げ中止、安心できる介護を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五〇九号)

 同(山井和則君紹介)(第七〇一号)

 脳脊髄液減少症の平成二十六年度保険適用に関する請願(上野ひろし君紹介)(第五一〇号)

 同(笠浩史君紹介)(第五一一号)

 同(阿部知子君紹介)(第五八四号)

 同(郡和子君紹介)(第六七七号)

 患者窓口負担の大幅軽減に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五一二号)

 同(小川淳也君紹介)(第六八一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六八二号)

 同(志位和夫君紹介)(第六八三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六八四号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第六八五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六八六号)

 七十〜七十四歳の患者窓口負担一割の継続に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五一三号)

 同(阿部知子君紹介)(第六九一号)

 同(亀井静香君紹介)(第六九二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六九三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六九四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六九五号)

 筋痛性脳脊髄炎患者の支援に関する請願(泉健太君紹介)(第五一四号)

 同(武藤容治君紹介)(第五一五号)

 同(阿部知子君紹介)(第五九〇号)

 同(柏倉祐司君紹介)(第五九一号)

 同(中根康浩君紹介)(第五九二号)

 同(橋本岳君紹介)(第五九三号)

 同(村井英樹君紹介)(第五九四号)

 同(渡辺喜美君紹介)(第五九五号)

 同(金子恵美君紹介)(第六九六号)

 安心して受けられる医療の実現を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五七三号)

 同(志位和夫君紹介)(第七〇二号)

 過労死防止基本法の制定に関する請願(漆原良夫君紹介)(第五七四号)

 同(河野正美君紹介)(第五七五号)

 同(岸本周平君紹介)(第五七六号)

 同(重徳和彦君紹介)(第五七七号)

 同(新谷正義君紹介)(第五七八号)

 同(杉本かずみ君紹介)(第五七九号)

 同(関芳弘君紹介)(第五八〇号)

 同(林宙紀君紹介)(第五八一号)

 同(横路孝弘君紹介)(第五八二号)

 同(阿部知子君紹介)(第七〇三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第七〇四号)

 同(浅尾慶一郎君紹介)(第七〇五号)

 同(井坂信彦君紹介)(第七〇六号)

 同(石崎徹君紹介)(第七〇七号)

 同(泉健太君紹介)(第七〇八号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第七〇九号)

 同(大串正樹君紹介)(第七一〇号)

 同(大西健介君紹介)(第七一一号)

 同(柿沢未途君紹介)(第七一二号)

 同(笠井亮君紹介)(第七一三号)

 同(金子恵美君紹介)(第七一四号)

 同(郡和子君紹介)(第七一五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七一六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第七一七号)

 同(志位和夫君紹介)(第七一八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七一九号)

 同(瀬戸隆一君紹介)(第七二〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七二一号)

 同(玉城デニー君紹介)(第七二二号)

 同(中川俊直君紹介)(第七二三号)

 同(中根康浩君紹介)(第七二四号)

 同(中野洋昌君紹介)(第七二五号)

 同(馳浩君紹介)(第七二六号)

 同(濱村進君紹介)(第七二七号)

 同(古屋範子君紹介)(第七二八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第七二九号)

 同(山井和則君紹介)(第七三〇号)

 同(吉川元君紹介)(第七三一号)

 生活保護基準引き下げ反対に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五八三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六五六号)

 膵臓機能欠損症(1型糖尿病)の子供の総合対策に関する請願(阿部知子君紹介)(第五八五号)

 同(古屋範子君紹介)(第五八六号)

 同(江田康幸君紹介)(第六七八号)

 同(大串博志君紹介)(第六七九号)

 同(中谷元君紹介)(第六八〇号)

 国民の申請権を侵害し、餓死や孤立死を生み出す生活保護法改正案の廃案を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五八七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六八七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六八八号)

 生活保護基準の引き下げを中止し、生活保護法の改悪をやめることに関する請願(笠井亮君紹介)(第五八八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五八九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六八九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六九〇号)

 障害者福祉についての新たな法制に関する請願(末吉光徳君紹介)(第五九六号)

 伊東重度障害者センターの存続発展に関する請願(阿部知子君紹介)(第六四九号)

 同(井林辰憲君紹介)(第六五〇号)

 同(勝俣孝明君紹介)(第六五一号)

 同(城内実君紹介)(第六五二号)

 同(塩谷立君紹介)(第六五三号)

 同(吉川赳君紹介)(第六五四号)

 接骨・整骨院の施術と受診照会回答書に関する請願(中山泰秀君紹介)(第六五五号)

 生活保護費、年金、最低賃金の引き上げに関する請願(穀田恵二君紹介)(第六五七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六五八号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第六五九号)

 同(青木愛君紹介)(第六六〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六六一号)

 同(小川淳也君紹介)(第六六二号)

 同(大西健介君紹介)(第六六三号)

 同(笠井亮君紹介)(第六六四号)

 同(郡和子君紹介)(第六六五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六六六号)

 同(近藤昭一君紹介)(第六六七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六六八号)

 同(志位和夫君紹介)(第六六九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六七〇号)

 同(篠原孝君紹介)(第六七一号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第六七二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六七三号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第六七四号)

 同(古川元久君紹介)(第六七五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六七六号)

 憲法を生かし、安心の医療・介護を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第六九七号)

 七十〜七十四歳の患者窓口負担一割の継続を求めることに関する請願(小宮山泰子君紹介)(第六九八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六九九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 生活保護法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)(参議院送付)

 生活困窮者自立支援法案(内閣提出第六号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、生活保護法の一部を改正する法律案及び生活困窮者自立支援法案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第四部長北川哲也君、厚生労働省労働基準局長中野雅之君、社会・援護局長岡田太造君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。民主党の長妻昭でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうが生活保護関連の法案の採決ということであります。そこで、申し上げたいことは、やはり貧困、格差対策というのは、これは施しということではなくて、社会全体にとってもそれが有益で、格差是正、貧困対策というのは社会の安定をもたらす、そういうものである、こういう認識を持っていただきたい。

 イギリスのリチャード・ウィルキンソンを初め、社会疫学ということが最近世界で盛んに研究をされて、格差が拡大すると、お金持ちも含めて精神疾患がふえていく、あるいは、格差が拡大する社会では、違法ドラッグもふえ、平均寿命も短くなり、子供の学力も低下をして、もちろん犯罪もふえていく。こういうデータというのは、ちゃんとした統計的に、研究としてさまざま出ているわけでありますので、今回の生活保護というのは、まさにその貧困、格差対策の究極のものであります。

 資料十にもつけておりますけれども、自殺率も、人口当たりでいうと、生活保護の方が、全国に比べると二倍も高い。生活保護の方は、精神的にもかなり追い詰められておられる方が多い。そして、生活保護を受けている母子家庭を調査いたしますと、DV、この被害の経験が七割もの方にある。

 あるいは、厚生労働省につくっていただいた十二ページの資料でございますけれども、公的扶助制度の比較ということで、生活保護という名前の制度がきちっと各国にあるわけじゃありませんけれども、それに準じた制度についての人口当たりの受給比率、それを厚労省に出していただきますと、日本が一・六%、イギリスが二・六%、フランスが二・四%、スウェーデンが四・一%、ドイツが〇・四%。

 いろいろな考え方がありますが、厚労省がかたく見積もったデータでも、日本の生活保護の人口当たりの受給は決して高いというわけではないということにも留意する必要がある。

 そこで、お願いをしたいのは、この法律が成立した後も、憲法二十五条に照らして、適切に受給認定をしていただきたいということを強くお願いいたします。受給が不当に絞られるということ、水際作戦というのが不当に行われるというのは、決してあってはならないと思っております。

 そして、翼の社会保障ということで、殻、シェルターで保護をする、それだけの社会保障、お金を差し上げるだけの社会保障じゃなくて、今回の生活保護でも、背中に翼をつけて、何とか就労できる方は就労していただくような就労支援、あるいはお子さんに対する学習支援、塾にも行けないお子さんに対して、やはり中学卒業とか高校中退でありますと、なかなか就職もままならないということがございますので、そういうことも本当に配慮をしてやっていただきたいということをまずもってお願い申し上げます。

 その上で、資料四、お配りを申し上げましたが、久々に生活保護基準部会が十月四日に開かれたわけです。

 その前は一月十八日に開かれて、そこで全く議論がなかった生活扶助CPI、そういう新しい指標をつくって、物価がこれだけ下がっているから生活保護の方々も下げるということで、生活扶助CPI、私も前々回も何度も質問しましたけれども、非常に統計的に間違った計算でなされたものを根拠に生活保護の議論がなされているということで、この岩田先生という委員の方も、まさにここに議事録がありますが、「私たち部会報告ではない部分で、しかもある一定のまとまった分を、今、生活保護を受けている人にツケを回した感じになっている」、こういうふうにおっしゃられているわけです。

 ぜひ田村大臣にお願いしたいのは、生活扶助CPIというのは、この基準部会で一度も正式に議題としてこれの是非の議論がないので、その是非の議論を生活基準部会でしていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

田村国務大臣 これは、我々が一定の仮定を置いて採用したものであります。実際問題、二十二年度だったと思いますけれども、その時点でのいろいろな生活扶助においての品目、こういうもののウエートで算出したものであるということは、委員もよく御承知のとおりであります。

 これに関しては、我々はこれが正しいという中において採用しておりますので、あえて議論をするというよりかは、私の裁量のもとでこれを採用させていただきたいというふうに思っております。

長妻委員 これは、生活保護基準部会という議論しなきゃいけないところに諮らずに、この生活扶助CPIというのができているので、これは議論もしないわけですか、この基準部会で。議論ぐらいしていいんじゃないですか。この生活扶助CPIはこういうものですと説明をして、皆さんの御意見をいただく、そのぐらいはいいんじゃないでしょうか、大臣。この説明をして、御意見をいただく。

田村国務大臣 これを採用して、結局、出しました生活扶助の物価調整部分、これを生活保護費全体の中で見ると、たしか二・三%分ぐらいの下落であったというふうに思います。これはまさに、二十一、二十二、二十三年、この三年間の一般の消費者物価とくしくも同じ数字になっておるということは、今般使わせていただいたこの我々のCPIというものは、比較的正確にあらわしている部分であるなというふうに認識いたしておりますので、あえてかける必要はないというふうに思っております。

長妻委員 これは私もいろいろな専門家の方と議論しましたけれども、多くの方が疑問を持っておられるわけでありまして、初めての計算方法。

 では、今後とも、生活扶助CPI、これを使っていくんですか、今後の生活保護基準については。

田村国務大臣 五年ごとに検証をしっかりやるわけでありまして、そこで、今回このような形でCPIを導入したことも含めて水準を検証すると思いますので、その時点で、また新たな、いろいろな検討を加えるものだというふうに認識いたしております。

長妻委員 委員の先生の議事録を見ても、非常に、報告がないところでツケを回した感じになっているんだ、こういうふうにおっしゃられているので、ぜひ再考していただきたい、ぜひ議論ぐらいはしていただきたいと強くお願いを申し上げます。

 そして、この資料八でありますけれども、これは、ある市に私がお伺いしたところ、生活扶助基準が今回下げられたことで、低所得者対策の対象者も絞られる可能性が出てきておりまして、それに連動する可能性があるもの、これは地方税の非課税水準も下がる可能性があるわけでありますから、とすると、幾つぐらい、地方単独の事業も含めてあるんですかと聞きますと、この一覧表にありますけれども、六十七も、この市では、可能性として、影響を受ける可能性があるのはありますということです。

 消費税も上がるのに、低所得者対策が非常に薄くなって格差が拡大するということは、政府もこれは意図はしていないと私は思っているのでございますけれども、これについて、例えば、大きいものとして就学援助という制度がございます。これも、生活保護基準の一・何倍とかいう形で収入認定をしているということでございます。

 これは、私も改めて資料を取り寄せて、なるほどというふうに思ったんですが、三ページ目でございます。

 では、この就学援助を受けておられる方、貧困家庭にあって、学用品等の補助を年間数万円受けている方々というのは、非常に数が少ないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではなくて、これは都道府県別に出ておりますけれども、公立の小中学校の総生徒に占める実際それを受けておられる方で、一番比率が高いのが、見てみますと山口県なんですね、二四・五七%。つまり、四人に一人の公立小中に通っておられる方が、これを受けていらっしゃるということです。

 大変地域間の格差も、見ていただくと非常に広がっている中で、これは生活保護基準と同じ基準で認定をしている、つまり、生活保護基準と同じ一・〇倍というような自治体というのは幾つありますか。

西川副大臣 おはようございます。

 今御指摘の数は、現在で九十九ございます。

長妻委員 これは資料をいただいたわけですけれども、一ページです。

 九十九の自治体は生活保護基準と全く同じなんですね。ですから、それが下がれば基本的には下がるわけで、そうすると、対象者が絞られて、少なくなってしまうということなんです。

 これは、田村大臣はそういう影響はさせないというふうにおっしゃいましたけれども、仮に、私が聞いているのは、確かに影響させないという姿勢の自治体もありますが、そうでなくて、いや、やはりこれは影響せざるを得ないと考えておられる自治体もあると聞いておりますけれども、下がった場合、どういう措置をとられるんですか、田村大臣。

田村国務大臣 国の趣旨等々御説明をさせていただく中で、各自治体、それぞれ単独のいろいろな事業をやられておられますから、御理解をいただいて、影響の出ないようにということでお願いをしていくということで、各省庁で申し合わせをいたしております。

長妻委員 ですから、それはそういうお願いで、通知もここにつけておりますけれども。ただ、六十七もある市もあるわけですね、その影響を受ける。今、一例でいうと就学援助。

 では、仮に、その影響が出た場合はどういう対応をされるのでございますか。

田村国務大臣 ですから、なるべく影響が出ないように、しっかりと各省庁間で申し合わせて、各自治体に趣旨等々を御説明させていただくわけであります。

長妻委員 私もいろいろ意見交換して、それは全国の自治体が、影響が出ないようにします、こういう感じになっているんだったら、こういう質問をしないんですが、そうでなくて、いやいや、やはり影響は出ざるを得ないというふうに考えておられる自治体もあるようなんですね。だから聞いているんですが。

 だから、仮にそういう影響が出た場合は、これは十分考えられますけれども、どういう対応をとられるんですか。

田村国務大臣 ですから、そういう影響が出ないように各省庁で申し合わせておりまして、各自治体に本来の趣旨等々をお伝えさせていただいて、各自治体がつくっておる基準でありますから、各自治体がそれを変えていただければいい、もしくは弾力的に運用していただければいいわけでございまして、そのようなことをお願いしてまいるということでございます。

長妻委員 いや、だから田村大臣、絶対に影響が出ないとはこれは断言できないわけですよ。断言できますかと質問しても、それは断言できないわけですからね、これは。

 ですから、影響が出た場合、これはきょう採決なわけですよね、影響が出た場合はどうされるんですか。

 では、どういうような方針で臨まれるのか、影響が出た場合は。その方針ぐらいはおっしゃって。

田村国務大臣 これはもう八月から、生活保護、扶助の適正化をやっておりまして、この法律案がきょう採決ということではないわけでございます。そこはもう委員も御理解をいただいているというふうに思います。

 その上で、それぞれ地方が単独でやられておられる事業でございますので、これは、基本的には地方の自主判断でやられるわけであります。でありますから、各地域地域にばらつきがあるとおっしゃられた委員の先ほどの意識、問題意識というのも、それは各地方によってばらつきがある制度でありますから、地方の意思によって行っておられる事業、国一律でやっているものではありません。そのような、地方がそれぞれ基準を持って、要するに、誰を対象にするかという基準も、これは本来地方がおつくりなわけであります。

 ただ、便宜的に生活保護、生活扶助基準というものをお使いになられているところが多いというわけでありますので、今般のこの制度の改正といいますか、この扶助の基準の見直しと、それぞれ各自治体がやっておられる単独の事業というものは、本来違うわけでございますから、そこに対しての基準に対して、今回のこのような生活扶助基準の影響を与えないようにということで、それぞれのお考えがあろうと思いますけれども、そこは御理解をいただくように御説明をさせていただき、そして、御理解をいただく中において、影響が出ないようにという形でお願いをさせていただいておる次第であります。

長妻委員 これは、私が何でこういう質問をするかというと、政府がみずから影響を出ないようにしてくださいとお願いをされているので、それはそういう意思を持っておられて、でも、そうでない場合は何らかの対応をされると思っているので聞いたわけですけれども。

 これは、委員長、やりとりを聞いておられて、なかなか政府として正面からおっしゃられないので、理事会で、政府の見解を提出していただくようにぜひ御議論をいただきたいと思います。

後藤委員長 委員からの要求については、理事会で協議いたします。協議いたしますが、それなりのやりとりであったとは思います。

長妻委員 それなりのやりとりではないんですね。ゼロ回答なんですよ。それに対してないので、ぜひお願いします。

後藤委員長 いずれにしても、引き取りましたので。

長妻委員 それで、二ページでございます。

 就学援助について、この表を見ていただきますと、一番上のグラフは全国の公立小中学校の生徒の実数でありますけれども、それはかなり下がっているわけであります。結局、就学援助を受ける方はウナギ登りに伸びているわけでありまして、子供の貧困、格差問題というのが、私は、限度に近づいているというか、限度をもう超えつつあるという強い危機感を持っておりますので、ここは万全を期していただきたいと思います。

 それともう一つ、住民税の非課税基準なんですけれども、これはもう来週決まるんですね、基準が来週に。

 総務省、やはり一番大きいファクターというのは、生活保護基準が住民税の非課税のラインを決めるためには一番大きい要素だということは、これも質疑の中で明らかになりました。これは来週中に決まりますけれども、やはり、生活保護が下がりましたから、非課税基準は下げる方向になるということでございますか。

関口副大臣 今、長妻委員から御質問ございましたことでございますが、今、自民党の税制調査会で議論をしております。今週、来週をめどにということでありますが、個人住民税の非課税限度額については、先ほどお話がございましたとおり、生活保護基準額の改定を踏まえ、翌年度の税制改正において所要の見直しを検討することにしております。(発言する者あり)いや、というところでございますが、これからが大事なので聞いていただければと思います。

 いろいろ今党内で議論をしておりまして、その議論をしっかりと受けとめて対応してまいりたいと思います。委員の御指摘も十分検討しながら、対応してまいりたいと思います。

長妻委員 今、党内で議論するとおっしゃられたわけですけれども、副大臣がそういう答弁というのは珍しいんですけれども。

 住民税については、非課税基準で、非課税の方を低所得者とみなして、各自治体がいろいろな単独の低所得者対策を打っているんですね、政府も打っていますけれども。

 ですから、このラインが変わると、多くの低所得者対策の対象だった方が外れて、あなたは低所得じゃありませんということで、急に、一気に負担がふえる、こういう状況で、いろいろな試算も今出ておりますので、ぜひこの点について、もう来週決定しますので、政府全体の影響を出さないという方針が本当かどうかというのが来週わかると思っておりますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 そして、田村大臣にちょっと、あるいは文科省か、どちらかお答えいただければ。さっき申し上げた二ページの、就学援助を受けておられる方が、少子化にもかかわらずこういうふうに急増しているという、この要因、背景というのはどういうものがあるか、どういう分析をされておられるでしょうか。

西川副大臣 確かに、生活保護の方は横ばいという中で、就学援助の対象児童がふえているということ、今回検討いたしました。

 平成十八年二月に実施した就学援助に関する調査結果、このときのアンケート調査の結果ですと、三つぐらい要因がありまして、企業の倒産やリストラなど経済状況の変化によるもの、あるいは、離婚等による母子家庭、父子家庭の増加、児童扶養手当受給者の増、それから、就学援助制度の周知ということも挙げられております。

 このアンケート結果に基づいて、もう一回、さらに今回、一部、全部ではありませんが、百七十三の自治体の調査を行いました。その結果としても、やはりこの三つの要因が一番大きなところでございまして、ある意味では、就学援助制度というのが、周知が広がってきたということもあるのかもしれないと思っております。

 以上です。

長妻委員 子供の貧困格差は、限界に近づき、限界を超えつつある、超えたと私は思っておりますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 そして、薬の問題でございますけれども、今ちょっとカラーのコピーをお配りいたしましたが、これは日経メディカルという雑誌に載った薬の広告なんですね。このブロプレス錠、ブロプレスという薬、これは、「糖尿病」と書いてありますけれども、糖尿病にも効くんですか。

田村国務大臣 疫学上、一部の臨床試験の中において、こういうようなものが出てきておるということはありますが、ただ、糖尿病の効能、効果は、薬自体は取得をいたしておりません。

長妻委員 この広告というのは、薬事法の広告の規定に照らして問題はないのでございますか。

田村国務大臣 効能、効果というふうにはうたっていないんですね。ですから、これは、これをもってして薬事法上違反だというふうに、すぐに言えるものではなかなかないのではないかというふうに思います。

長妻委員 先ほど、大臣から、糖尿病に効く可能性もあるような御答弁があったと思うんですが、その可能性みたいなのは、どういう根拠があるんですか。

田村国務大臣 先ほど、私、効能、効果は取得していないと申し上げたというふうに思います。

 ただ、申し上げたのは、一部の臨床研究等々、試験において、疫学上そのような数値が出ているというものはあるわけでありますけれども、それ自体、効能、効果として取得しているわけではございませんので、そのようなデータがあるというだけの話であります。

長妻委員 そうすると、そのデータがある臨床研究というのは、どこでやった研究でございますか。これは事前に通告していますので。

田村国務大臣 京都大学のEBMセンターであります。

長妻委員 その臨床研究には、武田薬品の社員、これは参加しておられましたか。

田村国務大臣 武田薬品工業の社員は、研究には参加はいたしておりません。

長妻委員 そうすると、何に参加をしているのでございますか。

田村国務大臣 平成十三年より市販後調査部の主席部員であったわけであります。研究には参加しておりませんが、京都大学EBM研究センターからの問い合わせの対応でありますとか、進捗情報の入手、さらには、この試験のために開発したウエブを利用した患者やデータの登録システムへのアドバイスを行っていたというふうに聞いております。

長妻委員 武田からこの研究には幾らぐらいお金が流れているのか、文科省にお尋ねします。

櫻田副大臣 京都大学に対して任意に確認したところ、二〇〇七年度、平成十九年度以降でございますが、現在把握している数値では、受託研究費、執筆・講演・監修料等、その他の費用、接遇費等はなしであるが、所属センターに対して、寄附金として合計六億円の提供を受けております。

長妻委員 これは恐らくこの臨床研究の後の、今、数字ではないかと思うので、この臨床研究で幾らの提供があったかというのは、これは幾らですか。公開されているんですか。(発言する者あり)では、ちょっと時計をとめて。

後藤委員長 時計をとめてください。

    〔速記中止〕

後藤委員長 時計を動かしてください。

 櫻田文部科学副大臣。

櫻田副大臣 論文の試験が行われた二〇〇一年から二〇〇五年以降の提供であって、論文には明記されておりません。よって、公表されておりません。

長妻委員 別に私は何か疑うということではなくて、これはアメリカでもサンシャイン条項というのが施行されて、研究費がどこから幾ら出ているというのは、今、日本では公になっていないわけですね。これは、別にやましくなければ、やはり大学側も公にした方が、むしろそういう疑念を招かないんじゃないか。

 田村大臣から、先ほど、武田薬品の社員はウエブのデータ登録に参加していたということで、それは研究に参加とは違うんですか。どんな仕事をされておられたんですか。

田村国務大臣 当時、ファクスなどを使って紙で臨床研究に必要な患者やデータの登録をすることが通常であったわけでありますけれども、インターネットが普及し始めた中で、ウエブを使ってそういうものを登録するシステム、こういうものができ上がってきたわけでありまして、そういう意味では、情報には関与していません。

 情報を伝達するような方法、そういうものが、新たにこういうようなウエブを使うものがありますよというようなことをある意味でアドバイスするという役割でございまして、データに介在ができるというような、データの改ざんに介在できると言った方がいいかもわかりませんが、そういうような位置づけのところにはいなかったということであります。

長妻委員 そうすると、この方々というかこの研究というのは、今、倫理規程がありますけれども、この倫理規程には抵触しない、こういうことでいいんですね。

田村国務大臣 倫理規程には抵触しないものというふうに考えております。

長妻委員 そうしましたら、薬事法上の広告について、先ほど、にわかにはちょっとお答えできないような趣旨の御答弁がありましたけれども、これが薬事法に照らして適切なのか適切でないのか、それは調査というのはしていただけるわけですか。

田村国務大臣 事実確認はさせていただきたいというふうに思います。

 効能、効果は、血圧、降圧剤でありますから、それに対してでありますけれども、今まで言いましたような臨床のデータがあります。そういうものは開示されているわけでありまして、そのようなものを見て、医師がどう判断するかというのは、それは医師のそれぞれの裁量の中にあるわけであります。

 でありますから、そのデータ自体がもし何かディオバンのような問題があるとするならば、それはまた問題が違うところにあるわけでありますけれども、今そのような状況ではないというふうに我々は認識いたしております。

 そのような中において、それぞれのデータに示されたものというものを医師もそれぞれ理解しているわけでございますので、そのような意味で、この資料というものが薬事法に違反するものではないと我々は今思っておりますが、しかし、委員もおっしゃるとおり、確認はしっかりさせていただきたいというふうに思います。

長妻委員 この武田の社員の方が臨床研究にかかわっていたわけですけれども、今はこの方は何をされておられるんですか。

田村国務大臣 武田に十三年より主席でおられたわけでありますが、ちょっと今資料がないんですが、たしか十九年だったと思うんですけれども、武田を離職されまして、その後、この京都大学のEBM研究センターに就職をされたということであります。

長妻委員 私も疑うわけではないんですけれども、医薬品業界全体で、医師や医療機関に年間四千七百億円流れている、これは、私もこの委員会で質問いたしました。じゃぶじゃぶ広告も出し、そして研究費も出し、しかもその研究費は、個別には大学側も公開をされていないという中で、非常に巨額のお金がぐるぐる回って、そして、どういうふうに研究に関与したのかというのもなかなか見えにくい、透明性の問題であります。

 サンシャイン条項というのが、アメリカ、オバマ・ケアの法案の中に入っていて、それが施行されましたので、日本も、先進国に比べると余りにちょっと見えにくい、透明性が低いと言わざるを得ませんので、そういうことについて、ぜひ、全般的にチェックをして、透明性を高めていく、こういう姿勢を表明していただきたいんですが、いかがですか。

田村国務大臣 これは、製薬メーカーの業界の方にも、いろいろなところに対しての寄附等々、研究機関に対してでありますけれども、自主的に開示をいただくようにということで、それが始まり出してきております。

 それから、臨床研究に関しましても、しっかり透明性を確保すること、それから被験者の安全性というものを担保すること等々、検討会でも御議論いただいておりますし、別途いろいろと、別のところでも議論をいただいておるわけでございます。

 言われるとおり、このような臨床研究自体が、透明性がなくて国民の皆様方が不信を抱くものであれば、これは大変な、信頼性に影響を及ぼす話になりますので、そのような透明性が担保できるように努力してまいりたいというふうに思います。

長妻委員 言うまでもなく、この薬も保険で賄われていて、これはヒット商品で、一年間一千億円も売り上げる薬でありますので、やはり国民の保険料を使っておりますから、私は、臨床研究はどんどんやっていただくというのは、これはもう大いに、日本のためにもいいことだと思います。ただ、透明性が非常に日本はないということで、やましいことがなければどんどん透明性を高めていくということが、私は非常に重要だと思っておりますので、ぜひこれもお忘れなくお取り組みをいただきたい。

 そして、生活保護については、冒頭申し上げたことをぜひ腹に落として、怠りなきよう。生活保護は、文字どおり最後のセーフティーネットですから、それにほころびがあると次はありませんから。次は死が待っているとなりかねないので、ぜひ十分注意をしながらお取り組みいただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、山井和則君。

山井委員 それでは、これから三十分間、質問をさせていただきます。

 理事会での合意の中で、きょうは、生保、生活困窮者の質問とともに一般質疑もやってよいということですので、両方させていただきたいと思います。

 まず、何よりも、先ほどの田村大臣の答弁を聞いておりましても、この生活保護基準を史上最大幅、非常に恣意的なCPIを使って無理やり下げたということは、私はあってはならないことだと思いますし、そのことが、下手をすれば十万人、五十万人、百万人ぐらいの介護保険料、あるいは保育料、障害者家庭や一人親世帯のいろいろな給付、就学援助、そして何よりも住民税非課税限度額の変更、そういうものにつながりかねない。

 ただ、田村大臣の答弁を聞いておりますと、結局、連動するところは、市町村の判断で恐らく出てくると思います。そういうことに関して、出ないように努力をすると。非常に無責任な気がしてなりません。

 それで、冒頭、少し徳洲会からの献金についてお聞きしたいんですが、私の配付資料の十五ページ、十六ページを見ていただければと思います。

 十一月十三日の我が党の大西健介議員の質問に対して、ここに線が引いてありますが、「あわせて申し上げれば、徳洲会の方々から、政治献金、パーティー券、買っていただいたという記録は、私は、」事務所で調べたところ、「全くないという報告を受けております。」

 ところが、次のページ、十六ページ、徳田毅議員から二万円支払われているということでありますが、田村大臣、徳田毅議員からお金をもらっているということは、これは徳洲会から献金を受けたということに、事実上、徳田議員のお金は徳洲会から来ているものがほとんどであると思いますが、そのことについて認識はいかがですか。

田村国務大臣 まだやりますか。

 徳洲会じゃないですよ。徳田さんの政治資金管理団体でありますし、仲間ですから、私も徳田さんのパーティーに行ったときには、同じように、パーティー券を買わせていただいています。それは、あなた方も民主党で同じようなことをやっているんじゃないんですか。そんなのは儀礼的な話じゃないですか。まだやりますか。

山井委員 私はこの十一月十三日の答弁のことを聞いているんですよ。

 それだったら、全くないという答弁をせずに、今の答弁を十一月十三日に、儀礼的なものはありますよとおっしゃったらよかったんじゃないですか。

田村国務大臣 政治家徳田毅さんです。いいですか。これは政治資金管理団体で政治活動をしている徳田毅さんです。徳洲会ではありません。それを、そのようなお話をされるということ自体、何か、疑惑を無理につくり出そうと。そこまでやりますかね。私は理解できません。

山井委員 私は、別に無理やり言っているんじゃないんですよ。徳田毅議員のお金は徳洲会から流れているというのは、誰もが感じているんじゃないですか。

 だから、私は、別に二万円の額が多い少ないと言っているわけじゃなくて、事実関係を言っているわけでありまして、そういう意味では、徳洲会からこの二万円が流れてきている可能性というのは、否定できないんじゃないですか。

田村国務大臣 それが道義的に何の問題があるのかもよくわかりませんし、問題意識がよくわかりませんが、私も、先ほど来言っておりますとおり、徳田毅代議士のパーティー等々に参加するときには、同じように、パーティー券という形で二万円をお支払いさせていただいておるわけであります。

 事実関係、あなた方が、徳田毅さん自体の政治資金管理団体を徳洲会と同一視したいというような思いは、何となく、何かのぬれぎぬをかぶせようとして言っておられるのかわかりませんが、それはそういうお考えがあるのかなと思いますけれども、まず、そこに何の問題意識があるのかが理解ができません。

山井委員 これはやはり、厚生労働委員会での答弁というのは重いんですよ。だから、私は事実関係を言っているだけであって、それなら、繰り返しになりますが、十一月十三日の段階で、徳田毅議員からはパーティー券を買ってもらっていますと言えばよかったわけであって、全くないとおっしゃったから、話が違うんじゃないかと思って質問しているわけであります。

 それでは、次の生活保護の問題に移らせていただきます。

 きょうの配付資料にも書いてありますけれども、今回、あたかも、家族が扶養義務を果たさないと申請者は保護を受けられないと誤解されるおそれのある通知をたくさん出したわけですね。その数が、今回、これを見ていただきますと、何と、約三分の一に当たる四百三十六もの福祉事務所がこれを使っていた。

 私は二つの意味でびっくりしております。

 一つは、これは長いところは、十年以上使っているところとかもあるんですよね。それまで厚生労働省がこういうことを放置して、そのことによって、本来だったら、困窮して生活保護を受けられているかもしれない方々が、水際作戦で排除されたおそれが大いにある。そういう、今まで放置していたということが本当に問題だと思います。

 それと、もう一点は、こういう水際作戦や、家族が扶養義務を果たさないと申請者は保護を受けられないというような誤解を招かないということを、何度も何度も通常国会のこの法案審議でやっていたにもかかわらず、こういうことが放置されていた。

 田村大臣、先ほど長妻さんからも話がありましたが、私は、事は非常に深刻だと思っていますのは、こういうことによって、本来受けるべき方が生活保護を受けられなかったら、それは餓死されたり、孤立死されたり、国民の命に直結するんです。だから、これはごめんなさいでは済まない話なんですね。

 田村大臣、今回も再発防止しないということなんですが、今回のこの生活保護法の改正によって、一部の福祉事務所が曲解して、誤解して、それでこういう扶養義務強化をして、受けるべき人が受けられなくて、残念ながら、それによって万一死に至るケースが出たときに、田村大臣はどういう責任をとられますか。

 といいますのは、実は、私が聞いた話でも既にあるんです。今回、生活保護法が強化されるから、もう生活保護はそう簡単に受けられませんと、実際、福祉事務所で言われているんです、残念ながら。

 厚生労働省は、さっきの田村大臣の答弁と全く一緒なんですよ。厚生労働省は、そうならないように願望している。でも、これは願望で済まないんです、人が死んでしまうわけですから。

 ですから、田村大臣、もし、今後、そういう死に至るようなケースが出て、それが、福祉事務所が今回の改正が理由で強化するということであったような場合、田村大臣はどのような責任をとられますか。

田村国務大臣 今回の長野の事例は大変遺憾な事例でありまして、本来、この扶養照会自体は、前提ではないわけであります、保護決定に関しての。そういうものが書類として配付されていたということ自体は、これは問題意識を我々は持っておりますので、すぐに十一月八日付で、全国の自治体に、扶養が前提というような文言、これを外してもらうということで、我々、改善を指示いたしました。

 現状、各自治体で対応いただいたというふうにお聞きをいたしております。

 今言われたのは、今回の制度改正がそれを助長するのではないかというような問題意識であったというふうに思います。

 今までも、委員がこのように前例を挙げられるとおり、いろいろな問題があったんです。今回、生活保護という保護法自体を本体から改正しようというのは、これはもう六十年ぶり。いろいろな法律改正で、はねて改正というのはありましたけれども、これ自体を改正しようというようなものは、これは六十年ぶりです。

 これはもう大改革であるわけでありまして、そういう意味からいたしますと、各福祉事務所も大注目をされておられるはずです。今までもいろいろなことを申し上げてまいりましたけれども、今回ほど全国の福祉事務所が注目していることはないと思います。

 でありますから、今般の法改正の趣旨、それから、今までいろいろな問題点もありました。そういうようなものに関しても、これも一つでありますけれども、しっかりと徹底をしていくいいチャンスだと我々は思っています。この注目をされているときだけに、誤った運用をされないように、改めて、しっかりと各自治体、福祉事務所に徹底をしていく。

 そういう意味では、福祉事務所の全国会議というものもやりながら、そこでも、今回の改正の意義というもの、そして、制度として、いろいろな部分で問題点、このような問題点、誤認がありますよということも含めて、しっかりと我々はお伝えをさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、責任とおっしゃられましたけれども、それは、我々は、徹底をしていく、それに努める責任があるわけでございます。

 起こったことに対して責任というのは、それはもちろん起こったものに対してはすぐ、もう二度と起こらないような対応をしていくという努力をする、それは我々の責任であろうというふうには思いますけれども、起こったことに対して責任はどうだと。ちょっと私は意味がよくわからないんですが、とにかくそういうものが起こらないように努力をしていくという責任が我々はございますから、徹底をしてまいりたいというふうに思っております。

山井委員 私が責任と言っているのは、本当にこれは人の死に直結する法案なんですね。ごめんなさいで済まないんですよ。

 先ほどの長妻さんの質問でもありましたように、これは生活保護の問題だけじゃなく、私の配付資料にもございますが、八ページ、住民税非課税限度額、先ほど、来週には決着するという話でしたが、「二十六年度以降の税制改正において対応。」さらに、ほかについても、「影響が及ばないよう対応」ということが書かれております。

 先ほどの田村大臣の答弁も聞きました。できる限りそうならないように努力する。

 ところが、それでは私は済まないと思います。努力する、努力するとおっしゃいますが、実際、消費税もアップするわけです。

 そんな中で、生活保護以外の生活困窮者の方々のこの自己負担、課税がされる、増税になる、介護保険料が上がる、保育料が上がる、さまざまな減免がなくなる。これは下手したら、何十万人、百万人ぐらいの方々にマイナスになる危険性がある。

 就学援助も、これは、子ども貧困対策法案も、下村大臣や御党の薗浦議員のお力もあって成立させてもらいましたけれども、就学援助が切られたら、子ども貧困対策法を成立させておいて就学援助をカットするというのは、これは一体どういうことだとなるわけです。

 そこで、長妻さんと重なる質問はしませんが、改めて、田村大臣、ここまで連動しないように努めるとおっしゃっているのであれば、もし連動した場合は、どういう責任を田村大臣はとられるんですか。

田村国務大臣 国の制度において、このような形で、生活扶助基準、こういうものが変更することによって影響を受けるものは、これは影響の出ないような対応をしていこうと。

 それから、住民税の非課税限度額、これに関しては、今ほど来も答弁が長妻委員からの質問に対してございましたけれども、総務省ともいろいろな話し合いをし、今、与党の税制調査会等々で、自公政権は、特に税のことに関しては与党の御意見が非常に大きい、そのような政権でございます。これはもう以前から御理解いただいておると思います。でありますから、そこにおいて、十分にこの点を御認識いただく中において、これからの税制改正大綱に向かってのいろいろな御議論をいただいておるということであります。

 今委員がおっしゃられたのは、地方、特に単独の事業、これに関してであろうと思います。

 これは、先ほど来言っておりますとおり、我々は、この生活保護、生活扶助基準の見直しというものに対しての、その趣旨というものを御説明させていただいて、そして、影響が出ないようにというようなお願いを各省庁連携してしておるわけであります。でありますから、なるべく影響が出ないような御努力をいただく。

 ただ、これは各自治体でありまして、各自治体はいろいろな基準がそれぞれ自分たちで変えられるわけであります。でありますから、今まである基準も変えられる。仮に生活扶助基準が変わらなくとも、変えるというようなことはできるわけであります。

 ましてや、先ほど長妻委員がおっしゃったとおり、それぞれ自治体でもばらつきがいろいろあるんです。やっているところ、やっていないところ、この事業はやっているけれども、あの事業はやっていない、多いところもあれば、少ないところもある。これは、それぞれの地域の裁量でございますから、それぞれの地域の裁量の中においてお決めになることであります。これは、我々は口出しできません。

 ただ、その趣旨を御理解いただければ、今の生活扶助基準の見直しによってそれぞれの地方の単独事業の基準は変えないというようなことは、御理解をいただけるのではないかというふうに思っておりまして、そのようなお願いをさせていただくということであります。

山井委員 来年四月からは消費税もアップするわけですから、それにダブルパンチということになれば、本当にこれは、一歩間違うと自殺者もふえかねないと思います。

 それで、ずっとこの間この質問をしてきて、私はやはり今の政府の姿勢に問題があると思うのは、要は、結論を言えば、国は最終的にはグリップできないんですよ、市町村の判断ですから。にもかかわらず、あたかも連動させないようなことを言っているけれども、これは実際連動していくわけですよ、市町村の判断で。私は、やはりこれは非常に問題があると言わざるを得ない。

 このことについては、本当にこれからも追及をさせていただきたいと思いますし、消費増税をして一番困っている生活保護の方々や、その周辺の低所得者の方々につらい思いをさせるというやり方は、私は間違っていると思います。

 それに連動して、中根議員も一連の質問をしておりました。次のページ、九ページの安倍総理の十月十五日の所信表明演説、「難病から回復して再び総理大臣となった私にとって、難病対策はライフワークとも呼ぶべき仕事です。」

 これを聞いて、全国の難病患者の方々は、充実させてくれるんだな、少なくとも負担増なんということはあり得るはずがないと希望を持ったわけです。これは総理大臣の所信表明ですから、この言葉は重い。

 御存じのように、難病の自己負担がアップしたら、それに連動して、小児がん、子供の心臓病、小児慢性疾患、最も苦労されている、最も政治が守らなければならない方々の自己負担がアップする。消費税を上げて、そして、総理大臣もこれだけの、ライフワークとまでおっしゃって、自己負担増はあり得ないと思います。

 これは、田村大臣のレベルではなくて、安倍総理がうその演説をしたことにもなりかねません。この所信表明演説で全国の難病患者の方々を喜ばせたということで、私もこの点では、難病を経験された安倍総理、今頑張ってほしいと思っています。

 そこで、田村大臣、ここまで総理がおっしゃった以上は、よもや、難病患者や小児がん、子供の心臓病、小児慢性疾患の方々に対して自己負担増を強いる改革案というのは、政府としては出されないですよね。そのことは確認したいと思います。

田村国務大臣 難病に関して、総理があのような形でおっしゃられました。これは大変重いものがあると我々も思っております。

 でありますから、医療費助成、今まで五十六疾患であったものを、おおむね三百の疾患の範囲までこれを広げようということで、今議論をしていただいております。

 あわせて、この後始まる議論の中において、今まで障害者総合支援法、福祉サービス、これが四月から受けられるようになった範囲が百三十疾患だったと思いますが、これに関しても、大きくさらに範囲を広げていく。そういう意味では、今まで対象じゃなかった難病患者の方々が、新たな制度改正の中において、医療費助成や福祉サービスが受けられるようになっていく、これは、私は、大変大きな難病対策の充実であるというふうに思っております。

 さらに申し上げれば、今まで三割自己負担であったものを二割自己負担にする、これも、そのような意味では、負担の軽減であるというふうに思います。

 さらに負担が軽減になるところもあるわけでありますけれども、しかし一方で、議論の中で、それぞれの所得階層においてどのような負担をお願いしていくかということも、一つの論点として挙げられております。

 さらには、重い方々、長期に高い医療費がかかる方々、こういう方々に対してどのような配慮をするか、そして、低所得者の方々に対してどういう対応をするか、こういうことも議論をなされております。

 あなた方がよくおっしゃられるALSの患者の皆様方が、自分らはどうする、決断をされて、人工呼吸器をつけられた。このままでは、そういう決断をしなければよかったと思われる方が出てくるよ、こういうようなお言葉もありました。事実、与党から、大変なお声を我々もいただいております。

 でありますから、少なくとも、そのような方々、重度の方々が、最重度の方々と言っていいのかもわかりません、そういう方々が、こういう選択をして、しなければよかったと思われるような、そのような自己負担にならないように、今いろいろな御議論をしていただくわけでございます。これから最終議論をしていただくわけでありますが、そこで、難病対策委員会で、適切な最終的な御判断をいただけるものだというふうに思っております。

山井委員 今の田村大臣の答弁も少しひっかかるんですが、ALSの方々がそういう判断をされないような自己負担と。結局、今の答弁を聞くと、自己負担がアップするということは前提なのではないかと思うんです。

 しかし、ここは、私、与党の先生方にも申し上げたいんですけれども、今まで、なぜ難病対策、社会保障が充実できないかということを、私たちも与党を経験しましたが、その中では、財源がないだろうということで悔し涙をのんできたことがあったんです。ところが、今回は五兆円ですよ、五兆円。五兆円財源が確保されるにもかかわらず、小児がんの方、心臓病の子供たち、難病の方々の自己負担をアップさせるという理屈は、どう考えても立たない。これは、民主党が怒るだけじゃなくて、国民の皆さんがそんな政治は許さないというふうに私は思います。

 そして、おまけに所信表明演説で安倍総理がライフワークとまで言った以上は、絶対に自己負担アップはやめていただきたい。額が妥当だとか、そういう話じゃないんです、これは。総理大臣の所信表明演説といったら重たいんです。片や安くなる人もいるんです、そんなことは通りません。

 安倍総理は、難病対策がライフワークというべき仕事です、そこまで言っているわけですから、ここは、事前に、難病対策委員会に案を出す前には、安倍総理に相談して、やはり、難病患者の方々が安倍総理の演説を聞いてすごく喜んでおられます、期待されています、だから自己負担アップはやめたいと思います、そういう話を安倍総理としていただきたい。田村大臣、いかがですか。

田村国務大臣 以前の民主党委員の御質問のときには、一定程度負担が上がることもいたし方がないというような御質問があったと思います。(発言する者あり)議事録を見ればわかる話ですから、もう一回確認してみたいと思いますけれども。

 やはり、そこは、常識の範囲というのはあると思います。そこは御理解をいただきたいなと思いますが、総理には、今どのような形で難病対策委員会の御議論が進んでいるかという報告は、これはしっかりと適宜させていただきますが、申しわけありませんが、最終的な判断は、これは厚生労働大臣の責任でありますから、私がしっかりとその責任を負って決定をさせていただきます。

山井委員 それは違います。所信表明演説でライフワークとまで言った以上は、これは厚労大臣の問題を超えております。これは総理大臣の約束です。

 さらに、今もまだ、財源どうするんだというやじが与党から出てきましたが、五兆円増税するんでしょう。こんな確かな財源がどこにあるんですか。まだ言いますか、財源がということを。一番困っている難病や小児がんや心臓病の子供たちにどう説明するんですか。

 本当にこれは価値観の違いだと私は思わざるを得ませんし、安倍総理には、自分の所信表明演説の内容に責任を持っていただきたい。もうこれ以上同じ質問はしませんけれども、そんなことをしたら、前途を悲観して、本当にこれは命を絶たれかねない話です。

 障害者自立支援法のときにも、その負担増を苦にして、お父さんと障害のある娘さんが車の中で親子心中をしたという心中事件も、残念ながら起こった。そういうこともあって、政府・与党は自己負担を軽減した。でも、その亡くなった人の命、あるいは、私が知っているだけでも、負担増を原因に、世帯分離、あるいは本当に夫婦が離婚されて家庭が崩壊したケース、たくさん知っていますよ、自立支援法で。一年後に負担を軽減した、やり過ぎたといって。

 でも、その崩壊した家庭、親子心中したお父さんと娘さん、どうするんですか、そういうことが起こったら。絶対起こらないと責任を持てるんですか。

 私は、そういう障害者自立支援法の悲劇をこの厚生労働委員会で痛感して、やはりとめられなかったから犠牲者が出てしまった、そういう本当につらいつらい思いをもとに、今回も同じ悲劇が起こりかねないと思えてなりません。

 それでは、診療報酬のことに移ります。

 私、新聞を見てびっくりしましたのが、この十二ページ、「診療報酬引き下げ」というふうな記事が出ております。

 これは、田村大臣と四月十九日に私は論戦しました。与党席からは、たくさんやじが飛んだのを覚えております。そのときに、田村大臣は答弁されているんですね。私が、消費税増税分を除いてネットプラスにすべきだと。民主党政権は二回、消費税を上げていないときでもネットプラスにしたんです。長妻大臣も総理官邸まで行って交渉されました。二回連続ネットプラスしました。

 今回は、社会保障の充実のために消費税を上げるとまで言っている。さらに、安倍総理は経団連に賃金を上げてくださいと言っている。賃金を上げてくださいと言いながら、医療関係者の賃金は、診療報酬などを通じて事実上政府が決められるんです。そこで、もしネットでマイナスにするなんということがあれば、経団連には賃上げを言っておいて、自分は医療関係者の賃金を下げる。こんな無責任な話はありません。

 田村大臣、だから私は言ったんですよ、この四月十九日のときに。厚生労働大臣がネットプラスを目指すということをしっかり先頭に立って戦っていかないと、結局は診療報酬引き下げに追い込まれてしまいますよ。

 田村大臣、診療報酬、消費税増税分は除いてネットでプラス、しっかりやっていく、その決意を聞かせてください。

田村国務大臣 必要なものをしっかりと確保していかなきゃならないというふうに思っております。

 今委員が言われたように、これから物価が上がる、そして賃金も上がっていく、そういうふうな政策を組んでいくというような要素があります。

 それから、そもそも国民会議の報告書からいただいたような政策を進めていく。例えば、急性期の病床から、その受け皿を整備していかなきゃいけない。さらには、在宅の強化をしていかなきゃいけない。このような在宅医療の整備も含めて、今、医療提供体制の見直しをしていく。これは二〇二五年型に向かって変えていくわけでありますから、そういうものに対しても、やはり誘導すべきものが必要であろうと思っております。

 さらには、今の救急、周産期、小児、このように今もまだ十分じゃないところに対しての充実、こういうものも必要であろうと思います。

 いずれにいたしましても、そのようなものが整備されるべく診療報酬を要望してまいりたい、このように思っております。

山井委員 一問だけ聞きますね。もう時間も来ておりますので、短くお答えください。

 消費増税をしながら社会保障をカットするというのは、私は国民の理解は得られないと思います。さらに、先ほど中根議員のことについて、難病等で一部自己負担、いいというような話もありましたが、私は民主党の厚生労働部門会議座長ですが、私たちは自己負担増に関しては反対です。そのことは正確に言っておきます。

 では、今の消費税アップで社会保障カットはおかしいということについて、田村大臣の答弁を一言いただいて、質問を終わりたいと思います。

田村国務大臣 二・八兆というもの、これは一%分、これは充実に充てるということであります。

 今般に関しては、その中において五千億という話でありますけれども、これは当然のごとく充実分。これは重点化、効率化した部分との差し引きでありますけれども、この部分をしっかり確保する、これは当然のことでございまして、このスキームに関しては何ら揺らいでいないということであります。

山井委員 以上、終わります。

後藤委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 無所属の阿部知子です。

 この国会、初めて質問をさせていただきますが、この間の、みんなの党さん初め野党の皆さんの格段の御配慮、そして与党の皆さんの御理解、この貴重なお時間を頂戴いたしましたこと、感謝申し上げます。

 では、早速ですが、本日の議題となっております生活保護に関連して、田村大臣にお伺いいたします。

 この間、生活保護受給をめぐっては、非常に、先ほど長野の扶養義務云々のお話もありましたが、受給者の皆さんにとってハードルが上がるのではないかと懸念をされておりますが、ことしに入って相次いで悲しむべき事案が報道をされております。

 一つは、二十八歳のお母さんが、三歳のお子さんを抱えて餓死をなさった。冷蔵庫にはマヨネーズの空しかないという状況で発見された。もう一つは、三十一歳の女性が、六十歳代のお母さんと、やはりこの三十一歳の女性の方は餓死。ともに大阪の事案でございますが、二十代後半から三十ちょっとといえば、女性としては一番充実した人生を歩める時期であろうかと思いますが、悲しい結末となっております。

 ここで、田村大臣にお願いがございます。こうした事案が起きる都度、新聞報道は取り上げますが、本当に何が問題で、本来もっと充実した人生を生きるべき女性たちが、死、それも餓死ですから極端なことだと思います、こういう事態に至るのか、厚生労働省としても積極的に、ケースと申しますか、こういう事案を調査し、問題の所在をつまびらかにする、このことをやっていただきたいが、いかがでしょう。

田村国務大臣 今委員がおっしゃられた二事例、二案件、この二つであります、本当に痛ましいことでございまして、本当に私も胸を痛めます。

 そういう意味で、こういう事案がなぜ起こったのか。いろいろと事情を各自治体に聞きますと、要援護者というふうに、そもそも、その認識というか、そこがまずちゃんと把握ができていないというところ。

 初めの方の話でいけば、他の自治体では一応相談に行ったわけであります。そのときには収入があった。ただ、将来収入がなくなるおそれがあるので、そのときにはどうしましょうというような、そんな相談であったということだったので、そのときまたお越しくださいというような話であったわけでありますが、その後、引っ越しされて、次の自治体には、それが、当然のごとく、継続されてつながっていなかったというようなこともあろうというふうに思うわけであります。

 やはり、要援護者自体を把握できていないところに問題があるわけでありまして、そのような意味からいたしますと、ライフライン、ガスや電気、こういうようなところと自治体が、福祉事務所が密接に連携をとるということも一つであろうと思いますし、生活困窮者自立支援法、これを今御議論いただいておるわけでありますが、ここで自立相談支援事業を行うわけであります。

 そのときに、ただ単に待っているだけではなくて、もちろん自治体もそうでありますけれども、自治会やNPOや、また民生委員、いろいろな方々と情報を共有し合いながら、何か困っておられる方がおられるのならばアウトリーチで相談に乗っていくというようなこともしなければならないねという御議論もいただいております。

 でありますから、今言われたような、なかなか要援護者として把握できていない方々にもなるべくアクセスして、こういう制度がありますよということをお伝えする。結果、生活保護の方にそこから入っていただけるということもあるわけでありますから、そのようなことを、今般の法改正、また新法の中において、きめ細かな対応ができるように、我々もしっかりと周知徹底といいますか啓発をしてまいりたい、このように思っております。

阿部(知)委員 ぜひ、そうお願いしたいですし、保護を受給しようかどうかということは、受給される方にもハードルが気持ちの上でも高いものであると受ける側が意識していないと、本当に、門前払いをしたり、あるいは、次にまた行こうかなという気分にさせませんから、よろしくお願いしたいと思います。

 引き続いて、私は、長年、医療機関に勤めておりましたので、この間の審議で最も皆さんが触れておられない点かなと思います点で、医療と生活保護、これも、生活保護費の三・七兆円のうち二兆円が医療扶助であるとか、そういうお話以上に、実は、医療の窓口から見た生活保護の問題ということで御質疑いたしたいと思います。

 お手元に、生活保護の受給開始理由が、グラフにしたものがございます。これを見ていただきますと、いまだに、実は、世帯主の傷病や、あるいは、急迫と申しますが、お金がなくて医療機関に駆け込んで医療を受けられるような、医療関連の事案が生活保護の受給の開始になっているというのがパーセンテージ的には一番多い。その他、失業、あるいは貯蓄の取り崩しなどが三大要因でありますが、医療という、御病気をされるということですね、ここから始まっていくということがいまだに多いと思います。

 そして、そうした分野では、特に医療業界では、メディカルソーシャルワーカーと申しまして、ソーシャルワーク、先ほど田村大臣の御答弁にもありましたが、これからは広くそうしたソーシャルワークをいろいろな方々に担っていただく中でも、わけても、命ぎりぎりのところでのソーシャルワークというのは、極めて重要な意味を持ってございます。そして、この八月から給付の削減が始まっておりますが、このことも含めて、メディカルソーシャルワークにかかわるほとんどの団体が、今回の改正には懸念を強く抱いております。

 そこで、この機会に、大臣にこれもお願いがございますが、メディカルソーシャルワークの団体、これは日本ではそのような団体となって六十年近い歴史があると思いますが、意見を交換していただいて、一体、病院という命のぎりぎりの窓口で、どんなソーシャルワークをやりながら、生活保護になるべく至らない、至った場合も再出発できる、あるいは本当にそこで命を支えることに全力を挙げておられるのか、ぜひ意見交換をしていただきたいが、いかがでしょう。

田村国務大臣 今回の法改正は、医療扶助の適正化ということも大きな一つの眼目になっておるわけであります。

 国民の皆様方の信頼というもの、これをしっかりと確保できないことには、当然、生活保護制度というものは円滑に動いていかないわけでございまして、そのような意味からいたしまして、指定医療機関等々の要件の明確化でありますとか更新制などというようなものを今回入れる、また地方厚生局が直接いろいろと調査に行けるというような、そのような権限も入れておるわけであります。

 今委員がおっしゃられたところによりますと、メディカルソーシャルワーカーの皆様方が大きな役割を担っておられる、これは我々も認識をいたしております。この議論の過程で、医療界の皆様方、それから、メディカルソーシャルワーカーの方々も間接的には関係されているのかもわかりません、社会福祉士会の皆様、代表の方もお話はお聞かせをいただいておりますので、一定程度、そのような観点からの御議論もいただいておるというふうに思います。

 ただ、施行に当たっては、メディカルソーシャルワーカーの協会の方々になりますでしょうか、いろいろな御意見をいただくのは我々にとっても参考にさせていただけるというふうに思いますので、そういう機会もつくってまいりたいというふうに思います。

阿部(知)委員 ぜひお願いしたいと思います。

 生活保護の方の御入院は、大体、年間五十三万人から五十六万人、入院をきっかけに保護を開始される方が二万人くらいでありますから、いずれにしろ、病院というところと生活保護というのは深くかかわっております。そこでのソーシャルワークをしている皆さんで、これを外来まで含めれば、恐らく延べ五百万人余りが医療にかかわっておられる分野であります。

 もし、こうした生活保護の改正、いろいろなことが、本当に個人を支えて、生きていく、社会復帰していく、あるいは尊厳を持って一つ一つをこなしていけるようにということであれば、それを支える人材を支える国の制度が必要であります。

 ちなみに、一言付言させていただければ、医療機関では、ほとんどこのメディカルソーシャルワーカーに対する加点はございません。ほとんど、ほんの少々ありますが。病院の転院や御高齢の患者さんの御相談や、あるいは、御家族がいないから、その場に一緒に座って、お医者さんのムンテラ、治療方針を一緒に聞いたりするのもメディカルソーシャルワーカーの仕事でございます。これからますます重要になってまいりますので、この機会に、田村大臣の御答弁のように、ぜひ意見聴取をお願いしたいと思います。

 さて、もう一つ懸念の事案ですが、今回、保険医療機関の指定と平仄を合わせて、生活保護の指定医療機関の六年ごとの見直しや立入調査をするということがございます。この前提に、例えば、医療機関が不要な投薬をしているとか安易に生活保護を利用しているかの印象を持たれて、医療機関にそうした対応で臨めば、これは実は大きな過ちになると思います。

 今、ほとんどの医療機関は保険医療機関も受けておりますから、全日本の医療機関の九割ほどが指定医療機関は受けてございますが、実は、生活保護の患者さんを受け入れるということは、病院にとっても、事務の方に始まって、あるいはもろもろの、ソーシャルワーカーも含めて、大変に労力の要ることでございます。しかし、そこに命の拠点が消えたら、どこにも行けない患者さんが出る。

 私が懸念してこうしたことを伺いますのは、まだ自民党が野党におられるころに、御党内での生活保護の要件の見直し、特に指定医療機関問題が起きたとき、政府がコントロールしやすいから公的病院にこれを限ってはどうかというような御意見もあったやに聞いています。

 でも、大臣も御承知のように、いわゆるDPC、診断に基づいての払いを取る、二〇〇三年からの仕組みが始まった中で、救急をどのくらい受け入れているかという病院を上から十個とりますと、六個は民間であります。すなわち、日本の医療は公と民と本当に支え合ってやってきた。特に、救急という問題では民間病院もしっかり頑張る。

 昔は、土日は公立は休みと決まったものでした。そこから、土日も受診できる、命がいつでも支えられる、みんなの努力で今日まで来ておりますので、ぜひ大臣に、こうした、現状で生活保護の指定機関となっていて、そして、その扱いの多い病院の皆さんにも、個別でも結構です、また、集まっていただいてでも結構です、よりよい運営のための意見聴取をお願いしたいですが、いかがでしょう。

田村国務大臣 日本の医療機関、病院等々は、公立が一四%でありますから、ほとんどといいますか、かなりの部分が民間が担っていただいております。地域医療を担っていただいておりますし、高度な医療も担っていただいておるわけでありまして、そういう意味では、民間の医療機関の役割というものは大変重たいというふうに認識をいたしております。

 その上で、今般、このような形で指定医療機関の制度改正をするわけでありますが、これは、決して特別厳しくするわけではなくて、そもそも、健康保険法で書かれているものと同等程度のことを今回はお願いをする話であります。逆に言えば、今までがちょっと特殊であったということでございまして、それが国民の皆様方にあらぬ疑念を招くのであるならば、ちゃんと他の健康保険法上の対応と同じような形にした方がいいのではないかということで、今般、改正をさせていただきたいということでございます。

 いずれにいたしましても、機会を見つけて、そのような方々と我が省との間で御意見を交換させていただくような機会を設けることも検討してまいりたいというふうに思います。

阿部(知)委員 今の大臣の御答弁で、厚生労働省側が本当にお願いをして支えていただくんだ、こういう姿勢があれば、やはり、現場で働く者も一生懸命そのためにも努力し、また報われると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、国保の問題。

 実は、皆様のお手元の二ページ目の資料をめくっていただきますと、生活保護に至る患者さんの持っていらっしゃる医療の保険は、国保が大半であります。国保から、保険料を払えなくて無保険になって、そして、御病気で生保にとなっていくわけです。

 ここにございます資料は、二段目の国保の減少というところを見ていただきますと、生保の開始という項目がございます。年間にして、平成十九年度から二十三年度まで、十六万から二十二万の方が、すなわち国保から生保にという経過をとってございます。逆に、なるべく国保にとどまっていただく、共助の仕組みにとどまっていただくことの大切さは、言うまでもございません。

 これも、病院の窓口で見ておりますと、国保で、では、どういうケースが生保に行かざるを得なくなってくるか。もちろん、ずっと滞納して、あるいはもともと国保に入っていなくてという方もおられますが、救急、あるいは本当にせっぱ詰まって来られて、たまたまその方は、資格証明書、保険料一年以上未納、あるいは短期保険証など、とにかく未納、滞納にかかわる問題で、でも、病気をして、そのときのお支払いができないということも、これも大きな原因になっております。

 例えば資格証明書の方は、それまでの滞納分の保険料を全部納めて、プラスそのときかかった医療費を十割納めて、後から七割還付。保険料も納め、十割納められるくらいだったら、何も、正直言って、ふだんから滞納にはならない、よっぽどの方以外はならない。

 短期保険証においても、実は、短期の場合は、滞納分をお払いになって三割負担で済むのですけれども、でも、高額療養費のいわゆる減免、天井、例えば四万円なり八万円なりがきかないわけです。私たちが医療現場にいると、本当にぎりぎり、これではもう生活保護しかないねというところでとにかく踏み切るということも多いわけですが、せめて高額療養費のこうした方々への適用、あるいは、資格証明書は、もともと、この間要求してまいりましたように、短期の保険証で十分であろう。だって、頻回に保険料の督促が行きますから。

 この二点について、大臣の御所見を伺いたい。

田村国務大臣 まず、ちょっと今、後ろの方で事務方と話していたんですが、短期保険証の場合は高額療養費を使えるというようなことのようでございますので、そのような運用になっておるようでございます。

 今おっしゃられました資格証明書の方でありますけれども、これは御承知のとおり、短期保険証で、言うなれば、いろいろと御説明をさせていただきながら、これも期間があるのは、その都度状況をお聞きして保険料を払っていただくような促す機会をつくるということで、期限を設けて短期にしておるわけであります。

 それを一年ぐらい続けてもお支払いいただけないというような方、もちろん、いろいろな事情がありますから、やむを得ない事情がある場合には、例えば、これは委員も御承知のとおり、急激な所得の減少、いろいろな災害等々を含めて、そういうことがあった場合には、それぞれの保険者のお考え方によってでありますけれども、免除ができるわけでありまして、そのような対応をとっていただけるのだと思います。

 しかし、そういうような特別な、いかんともしがたい事情がないにもかかわらず納められなかった方に関して、短期保険証と同じ扱いをずっと続けるということ自体は、保険という共助の分野の信頼性というもの、公平性というものにかかわる部分がございますので、なかなか短期保険証を出し続けられるというわけにはいかないわけであります。

 ただ、これもこの委員会で議員立法で御努力いただいたわけでありますが、子供にはその罪がないということで、子供には短期保険証というような形になったわけでありますし、それを、平成二十二年であったと思いますけれども、高校生まで対象に拡充したということでございまして、そのような対応というのはさせていただいておるわけでありますが、なかなか、やはりこの資格証明書というものは、ある程度御本人の支払い能力があられるのであるならば保険料をお払いいただきたいという中での運用でございまして、御理解をいただければありがたいというふうに思います。

阿部(知)委員 高額療養費が短期保険証にきくというのは、ある意味でそうなのですが、実は、入院時からはなかなかきかないという制約も、細かなことでございます、時間の関係で詳しく申し上げませんが、ぜひこれは現場とよく御意見を交換していただきたい。

 それから、今、田村大臣のお答えにありましたが、子供さんについてはそうであっても、資格証明であれ、御家族が短期であれ、とにかく医療アクセスができるようにしなきゃいけないということで、超党派でそうした立法もいたしました。

 しかし、大臣のお手元にございます資料の四番目を見ていただきますと、実は、平成二十二年、二十三年と、こうして短期、特に資格証明書の御家庭からそのお子さんだけ短期の保険証になる数がふえてございます。平成二十三年度、下の囲みにございますが、五万八千人余り。

 これは何を意味しているかというと、子供の貧困。先ほど長妻委員もお取り上げでありますが、家庭の中での、やはり子供さんを抱えての貧困問題というのが強いんだと思います。そして、なるべく、そうであれば、お子さんを抱えた御家庭がきちんと国保の中にとどまっていただけるためのもともと改正が必要だと思います。

 それが次の御質問ですが、最後のページ、資料をあけていただきますと、これは、普通、サラリーマンなど組合健保にお入りの方の御家庭では、子供さんが何人おられようと、そのお父さんないしお母さんがお払いになる保険料は一緒。でも、国保の御家庭では、子供さん、子だくさんになればなるほど、人頭税風に均等割が高くなってしまう。

 この問題は田村大臣もよく御存じで、私も繰り返し何度も何度も質問しています。子供が、なぜ健保の家庭と国保の家庭で応益の差があるのか。同じじゃないか。

 そういう仕組みそのものの中に、子供が本当に支えられるということを排除しているんじゃないかと私は思って、今回、税と社会保障の一体改革、私は賛同はいたしませんけれども、せめてここくらい、子供さんたちを多くお持ちの、すなわち、それゆえに保険料が上がってしまう御家庭について、子供は所得もないし、保険料の子供分を加算しない、実はこれで所要の経費は六百億だと、これは長妻さんが大臣のときに御答弁をいただいております。

 ぜひ、ここをもう一度押し返し、田村大臣の格段の御配慮でお願いしたいが、いかがでしょう。

田村国務大臣 委員がそこに問題意識を強くお持ちであるということは、以前から私も認識をさせていただいております。

 なかなか難しいのは、それぞれの保険者で保険料、保険税の設定の基準を持っておられるわけでありまして、国保の場合は、世帯割、人数割、所得割、資産割等々の中から、全てとっているところもあれば、三つというところもあるわけでありますけれども、基準をとりながら、保険税を取っておられるわけであります。

 確かに、子供の人数が多くなれば、それだけ保険料がふえるという話になるわけでありますが、一方で、所得に対していろいろと減免措置をとっておりまして、七割、五割、二割というような減免措置をとっておる中において、この人数割のところが入ってきておるわけでございます。

 そうはいっても、まだ十分でないというお話がございますので、今般の社会保障改革の中におきまして、この五割、二割のところに関しての対象者の拡充を考えておりまして、それが直接、子供だけではないわけでありますから、違うと言われればそうなのかもわかりませんが、しかし、そのような中においてそのような対象者の方々が拡大されるというような点があるということは、御理解をいただきたいと思います。

阿部(知)委員 理解はしておりますが、違うんですね。やはり子供ということを本当に、少子化ですから、しっかりと産める体制ということ、特に国保の場合ですね。

 例えば、三百万円の年収の御家庭でお子さんが二人、日本のモデルケースだと、保険料は、四十歳、介護保険がかからなければ二十七万から八万、かかかると三十二万。三百万円の収入で三十二万を保険料に払っていく家庭を、一〇%以上ですから、どう考えるかであります。よろしくお願いしたいと思います。

 最後に、被曝労働者の話をさせていただきます。

 この間、東京電力福島第一原発の問題では、例えば除染にもっと積極的に国が乗り出す、あるいは、事故の収拾にも国が責任を拡大するということが進んでおりますが、果たして被曝労働者の管理はどうであろうかということで、二点お願いを申し上げます。

 被曝労働者については、事故直後、三月十四日から野田さんが収束宣言をする十二月中旬までは、被曝線量の限度を二百五十ミリに上げて、これは従来の被曝管理の中ではないことなので、その方たちについては登録証を出して各線量を国が管理して、プラス、高い、五十ミリ以上浴びた方には目の検査、百ミリ以上はがんの検査などの手帳を交付しました。

 私は、これはあくまで国がお願いして収束のために働いていただく、それがなければ収束もいたしませんから、そういう事態に立ち至っているわけですから、まず一つは、この全員、一万九千人以上おられますが、この方たちは後々、健康不安にさらされることもおありでしょうから、健康手帳を全員にお出しいただきたい。

 今は登録証で、線量管理を国がいたします。でも、何度も申しますが、これは国がお願いして収束のためにやっていただいたということでありますから、ぜひ健康手帳を、先ほどの除染や事故収束と同じ意味で国が乗り出すということが一点。

 それから、今も、汚染水問題で気がつけば非常に高い線量、あるいは四号炉の燃料棒の取り出し、いつ何が起きてもおかしくない。現状、働いている方の放射線量の管理を、今は電力会社の皆さんの任意団体にお願いしていますが、これは国がデータベースをつくっていくという、二点をお聞きしたいが、いかがでしょう。

田村国務大臣 事故収束に向けてのロードマップのステップ2、この終了時において、ここまでの間、被曝限度を百ミリシーベルトから二百五十ミリシーベルトに引き上げた。この緊急作業に従事された方々に関しては、今委員がおっしゃられましたとおり、健康管理のための手帳を交付いたしておるわけでありまして、事業者に対して、がん検診等々も含めて一定の対応をとるようにと、離職後は国がそれを対応するということになっておるわけであります。

 今委員がおっしゃられたのは、多分、その中において、一応緊急作業には従事したんだけれども五十ミリシーベルト以下の方々に対しても同じような対応をしろ、五十ミリシーベルトを超える被曝線量の方々と同じように健康管理のための手帳等々を交付しろという話でございますけれども、これは、現行の法制度の中において、五十ミリシーベルトを超える方々に対しては一応対応させていただいておるわけでございまして、健康診断等々をやっていただく等、また被曝線量を管理していただく等の対応をしていただいておるわけでありますので、五十ミリシーベルトを超える方々と同じような対応をするというわけにはなかなかいかないということでございます。

 あわせて、緊急作業に従事していない方々に関しても、緊急作業に従事した方々と同じような対応をしろということでございますが、データベース等々もつくってということでありますが、こちらはこちらで現行の制度にのっとって対応させていただいておるわけでございますので。

 多分、同じ福島の原発で作業されておられるから同じでいいではないかというお話だというふうに思うんですが、緊急作業時の緊迫した中で精神的な重圧も受けながらやられておるのと、もちろん、今現状作業されておられる方々も大変ではございますけれども、そのときの特殊な状況の中での方々に対しての特別な健康管理というものと、なかなか一緒にできないという部分もあるわけでございまして、御理解していただくのは無理だというふうに思いますけれども、今、私からはそういったような見解でございます。

阿部(知)委員 大臣には、ぜひ一度現地へ行っていただきたいです。そして、これから先、そこで働いてくださる方を確保できなくなるかもしれないということも私たちはしっかり心にとめておかないと、でも、この作業をやらねば収束いたしません。国の姿勢が問われております。

 以上で終わらせていただきます。

後藤委員長 次に、新原秀人君。

新原委員 日本維新の会の新原でございます。

 本日、生活保護、それから生活困窮者の自立支援ということで質問させていただきます。

 まず、資料一を見ていただきましたら、これは何度も僕もずっと見ているんですけれども、平成七年当時まで減少傾向。いわゆるバブル、景気が上がったということもあるので、こういう形でずっと下がってきて、徐々に上がってきたところから、世界金融危機のころから角度が急激に上がってきているということですね。

 これは、社会状況もそうなんですけれども、何か考えられる理由とか、例えば生活保護の方の基準を見直したとか、そういったことの影響というんですか、どういった影響があると大臣は考えられていますか。

田村国務大臣 なかなか分析は難しいんですが、幾つかあると思います。

 一つは、やはりリーマン・ショック以降、非常に景気が悪くなって、なかなか働くところがない。当時、派遣切りでありますとか雇いどめなどというような言葉もあったわけでありまして、今まで働いておられた方々が失業されて、それが長期に及ぶ等々で、失業保険等々も切れられた。そういう意味で求職者支援制度等々もその後つくっていったわけでありますけれども、そのような経済的要因が一つ。

 それからもう一つは、これも分析していないからなかなか断言できないんですが、二〇〇七年に超高齢社会に入りました。つまり、高齢化比率が二一%。さらに、そこから今までの間、数年しかたっていないんですが、二五%。急激な高齢化が進んでおりますので、場合によってはそのような影響もあるのかもわかりません。

 いずれにしても、詳細な分析までは、私、今認識しておりませんので、また一度、そういうようなことをしっかりと調べてまいりたいというふうに思います。

新原委員 ありがとうございます。

 生活保護を受ける理由としては、失業、それから高齢、障害とかいう形で、その高齢者の方々、私の資料の四にもありますように、高齢者の受給者、保護の方というのは急激にやはりふえてきているんですね。

 だから、大臣のおっしゃったように、高齢者に対する、つまり、言ってみたら、高齢化ということが生活保護の理由、高齢ということでもらわれる方がおられますので、そういった意味で、生活保護の人数が伸びてきているというのは、このグラフからわかりますように、高齢化ということも非常に関係してきていると思うんです。

 となると、今後、ずっとこのまま高齢化がどんどん上がってきて、つまり高齢者の生活保護の方々の割合がどんどん伸びてくる可能性があって、例えば失業ならば、景気がよくなれば人数は減って割合も減ってくるということですけれども、高齢者の保護世帯という方々は、貯金を含めて蓄えが少なく年金が少ない人がどんどん生活保護になっていきますので、景気がよくなれば逆に高齢者の生活保護の割合がふえるというか、人数がふえてくるという懸念があるんですね。

 だから、景気が上がったらふえるよということは、高齢化率が上がっている今にとっては、そういったこともありますけれども、逆にその影響で高齢化という意味での生活保護の方々の人数、割合がどんどんふえていく可能性がありますので、そういった対策等なりをやはり今後考えていかなければならないと思うんです。

 そういった中で、一番僕自身が今思っている、この間からも質問でお伝えしていますように、六十五歳まで働けるという話ですけれども、やはり七十歳まで働けるような社会にしていくことによって、高齢化という形の中でどうしても平均寿命が上がってきていますので、働ける勤労世代をずっと上げていかなければならないと思っているんです。

 その中で、一番、僕自身はずっと訴えているんですけれども、今、六十五歳で雇用保険というのが終わっているんですね。なぜならば、年金をもらえるということもあるんですけれども。やはりそういった意味で、六十五まで働けるという定年があれば、また再雇用で七十まで働きたいという、今までは、六十で切って、六十五まで再雇用になってきていますけれども、六十五で定年になってくるとすると、今度、七十まで雇用保険を掛けていけるように政府はしていかないとだめだと思うんです。

 例えば、六十四歳でやめて、二十年間勤めていたとしたら、分割でもらって、大体百万円ぐらいの雇用保険がもらえるんです。それが、六十五になって、それから過ぎてもらうと、一カ月でも過ぎてやめると、一時金として三十万円しかもらえないんですよね。つまり、七十万円の差が出てくるから、みんな、六十五までに一遍やめようとするインセンティブというか、そういった影響が出てくるんですよ。

 だから、六十五歳まで定年で働こうとするということになれば、やはり今後、雇用保険というものを七十歳まで掛けられるような制度をしていかなければ、まず働ける、言ってみれば、年金受給年齢を上げていくならば、雇用保険を六十から七十に上げることの方を先に行わないと、年金受給年齢は徐々に上げていけないと思うんですね。

 だから、その点は厚労省の方としては、今後、この雇用保険の加入年齢を七十歳まで上げていく、そういったお考えはないんでしょうか。

田村国務大臣 ちょっと通告がなかったものでありますから、雇用保険の制度を詳細に、六十五の時点で、その後、一時金でどれぐらいもらえてというようなことまでは、ちょっと私、今、細かい、認識できていないわけでありますけれども。

 一般的に、高齢者の方々が働ける社会という意味では、あくまでも働く意欲のある方々が働ける社会ということになろうと思いますけれども、これは、我々も今、生涯現役社会というものを目指しているわけでありまして、そのような環境が整えられるように努力していかなければならないというふうに思っています。

 その中において、やはり一つは、とはいいながら、平均寿命と健康寿命の差が結構あるんですね。男性で九歳ぐらい、女性だと十三歳ぐらいあるのではないかというふうに思うんですけれども、そこは、ちゃんと健康づくりをする中で縮めて、元気で、それぞれ自分のいろいろな目標というものに向かって歩める高齢者の方々がふえるということをやっていかなきゃなりません。

 その中において、今委員がおっしゃられたのは、そのような環境整備をするうちの一つではないのかというようなお話であったというふうに思います。

 まだそこまでいっておりませんでして、やっと六十五歳までの方々が、働きたい方々が継続して働けるような社会の第一歩、これはまだ六十五歳までいっておりませんから、三年ずつ一歳ずつ上がっていくというような形になっておりますけれども、第一歩でございます。

 これから二〇二五年社会を目指すわけでありますので、委員がおっしゃられた観点も、一つ検討をする課題だというふうに認識をしてまいりたいというふうに思います。

新原委員 ありがとうございます。

 年金については七十歳まで掛けられる制度というのもできていますので、そういった意味で、七十歳まで働ける、働いても安心ができるような社会環境にはしていかなければならないと思いますので、ぜひとも前向きで検討していただきたい。

 やはり人というのは、働いて、働くことにより、社会に対して責任なり、自分の自信につながりますし、働くことによって健康が保てる、精神的にも肉体的にも健康が保てますので。医療費も、いわゆる労働者といいますか、働いている方の方が医療費も少ないというふうになっています。

 そういったことから、医療費抑制という意味でも、長い間、健康寿命で働ける、もちろん社会環境も必要ですけれども、そういった制度をぜひともつくっていただくことが、高齢者の生活保護の方を減らしていく一つの手法でもありますので、できる限り、やはり年金では少ないというふうな御意見がありますので。

 年金を財源もないのにふやせとは言えませんから、そういった意味では、年金プラス、少し、ちょっと働きながら何とか家計を回していくようなことを七十歳までしていただければ、生活困窮者から生活保護に移行する方々も減っていくのではないかと思っていますので、そういった高齢という意味での生活保護に移行する方々の対策を、労働とか雇用という意味も含めてお考えいただきたい。ちょうど厚生労働省なので、両方兼ねてできますので、それは連携してやっていただきたいと思います。

 それと、今度、高齢はどんどんふえていくので対策を練ってくださいということですけれども、若い方は失業という理由で生活保護になられる方が多いということです。

 となると、やはり、生活保護をやっている福祉の方と地域のハローワーク等と何か連携して、情報なりを共有して、せめてハローワークに行かないと、相談でもいいんですよね、仕事ができるまでの間ということで、そういったことを若い方々についてはもっと強く、義務的にする。

 ハローワークとの関係をもっと強めて、できるだけ、少しの金額でもいいですから働いていくということをもっと、強制はよくないので、そういったことで義務的にしていかなければ、できるだけ早く戻らなければ、長期に失業という理由で生活保護になった方々の復帰率が非常に低いんですね。だから、短期で戻らなければならないので、そういった職業安定所と福祉の関係の局とは、どういう連携なり、強化はしているんですか。

岡田政府参考人 生活保護を受けられている方の中で、就労可能な方に対する就労支援というのは非常に重要な課題だと思っておりまして、これにつきましては従来から取り組んでいるところでございます。

 福祉事務所に就労支援を専門的に扱えるような方をお雇いいただいて、そういう方が支援するということのほか、ハローワークと連携をいたしまして、ハローワークの担当者と福祉事務所のケースワーカーが二人でそろってその方の就労支援をするというような取り組みについても、もう十年近く取り組んできているところでございます。

 また、最近ですと、福祉事務所と、市役所とハローワークの間で協定みたいなものを結んでいただきまして、福祉事務所の中にハローワークの出先、それでハローワークのいろいろなデータが端末で見られるような取り組みも進めているところでございますので、福祉事務所とハローワークと十分な連携を図るように、今後とも努めてまいりたいと考えているところでございます。

新原委員 ぜひともそういったことを強化していただいて、できる限り早期で戻らないと、長期になるとどうしても復帰率が低くなりますので、できる限り早くもとに戻していただくというか、いわゆる生活保護から離脱していただくようにしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そういった中で、生活困窮者といいますか、先ほども阿部議員から御質問があったんですけれども、生活保護になるときにはいろいろの形でお金が、保護されますけれども、そういった中で、その掛金という意味で、先ほどの、国保の掛金もない、介護保険の掛金がない。つまり、言ってみたら、隠れた収入といいますか、払わなければならないのを払わなければ、それは収入と同じなので、つまり、生活保護になるちょっと手前の生活困窮者と生活保護の間には、非常に大きな崖があります。

 つまり、医療費、国保になると思うんですけれども、国保の掛金ということが非常にそういった意味で彼らに対して、どういうんですか、生活保護になろうか、つまり、一生懸命、生活保護にならないでということで頑張っている方々だと僕は思うんですけれども、そういう方々の障害になるといいますか、それが医療なり介護なりの掛金だと思うんです。

 だから、そこのところで、先ほど言われたように、七割、五割、二割と減免ですけれども、僕は、ケースワーカーなりの判断で、この人は頑張って一生懸命やっているという形ならば、十割。つまり、免除というのは特別なところしか余り認められていないんですよね、だから、十割というのも僕はありじゃないかと思うんですよ。そういう、努力をして、生活保護にならないで頑張っている、いわゆる生活困窮者の方々ですね。

 生活保護になってしまうと、どうしても生活保護からなかなか抜け出せないということになりますので、できる限り生活保護になる前にせきとめるといいますか、何とか守るという政策をもっともっと入れていくことによって、社会保障費は生活保護については上がっていかないという努力ももっとした方がいいのではないかと思うんですけれども、その点は。

田村国務大臣 例えば、二割減免、五割減免、これは低所得者の所得に応じてやるわけでありますが、七割減免を例えば十割にすれば何とか生活ができるよ、七割減免のままだったら払えないから生活保護になるよという方は、事実上、本来多分、生活保護を受けざるを得ない状況なんだと思います。それは、細かく中身を審査しなければなりませんから。

 だから、そこで、生活保護に行かないために、行かせないために保険料だけを減免するということ自体が本当にどうなのかという、そこは、一方で、保険というのは共助の世界なので、保険料を払ってというのが大原則であるわけでございますから、七割をゼロにするから生活保護に行かなくていいよという選択がどうなのかというのは、ちょっとよく分析しないと、今軽々に私がここで物を言う話にはいかないなと。それぞれの生活の実態というものをよく把握しなければならない話でございます。

 七割とゼロというのは三割しか変わらないわけであって、そこで生活保護にならなくて済むからゼロにしましょうというような判断というものが選択できるかというと、今はなかなか難しい判断であるのではないかなというふうに思いますけれども。

新原委員 ありがとうございます。

 例えば、世帯所得が八十万円で二人で生活していたとしても、五割減免しかならないですよね、国保は。つまり、二人で八十万で一生懸命生きている中で五割といって、その中の国保保険料となると、かなりの割合になってきますので、そういった意味でのこともやはり考慮して、いわゆる予防というふうな考え方もありますので、そういった手法も、今後、検討なりしていただきたいと思います。

 もちろん、共助ということなので、保険料は払うべきですけれども、今回の法律案でも、生活保護になられた方を何とか生活困窮者といいますか、戻すという案はいろいろあるんですけれども、どちらかというと、生活困窮者を何とか、言ってみたら生活保護にしないという意味での政策的には、もっといろいろ広範囲について、今回についてはいろいろやられていますけれども、そういった意味で、医療費といいますか保険料等も含めて今後検討されたらと思いますので、意見としておいておきます。

 その中で、先日、生活保護のレセプト管理システムの機能強化ということで、資料三に入れているんですけれども、これは既に二十四年度にできていまして、こういった意味で、レセプトについては管理できるようになって、今後これを活用していくということなんですね。

 だから、社会保険よりも以前に生活保護の方はちゃんとできて、もう準備ができているということなんですけれども、こういったことで、今、どのような成果が出てきているのか、今後どのようなことをしようとしているのか、その点をちょっとお聞きしたいんです。

岡田政府参考人 御指摘のとおり、医療扶助というのは生活保護費の約半分を占めておりますので、その適正化というのは非常に重要な課題だと思っていまして、その一つの手法といたしまして、平成二十三年度から、医療扶助のレセプトについて電子化を行いまして、福祉事務所が、受給者ごとの受診状況であるとか、医療機関ごとの診療内容を容易に把握できるような形にさせていただいたところでございます。

 さらには、平成二十四年十月及び本年三月に電子レセプトシステムの改修を行いまして、薬の過剰な多剤投与を受けている者や頻回に受診している方など不適切な受診が疑われる方、それから、特定の診療や検査を行っています医療機関など請求がほかに比べて特徴がある医療機関など、適正化の対象となり得るものを迅速に抽出できるような機能を強化するような改修を行ったところでございます。

 電子レセプトシステムは、こういった抽出を容易にできるというような形にしていますが、そのこと自体が直ちに不適正ということではございませんので、そういった事例をよく調査、指導していただきまして、そういった福祉事務所が行います調査、指導の効率性や効果的な実施をこういったシステムで支えていきたいというふうに思っているところでございます。

 このシステムはまだ始まったばかりでございまして、現在、その実績を十分に評価できるような状況ではございませんので、実績という形で御報告できるようなところは、現状ではないところでございます。

 いずれにしろ、こうした取り組みを通じまして、医療扶助の適正化を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。

新原委員 ありがとうございます。

 ぜひともこれを活用していただいて、これは、今後、健康保険組合もそういった形でやっていきますので。

 不正というのももちろんですけれども、どうした方が本当に医療費が削減できるか、つまり、効果という意味でも研究に使えますから、そういった意味でもお使いになって、どういった薬がどういった病気に効くとかということも、このレセプトデータがあれば非常に有効になってきますから、そういった意味での研究もしていただいて、できる限り医療費を適正化するということで頑張っていただきたいと思います。

 そういった中で、やはり一番問題といいますか、一番削減効果が如実に出るのがジェネリック薬品だと思います。

 そういった意味で、今回、いわゆるジェネリックの使用を勧めていくというふうに資料には書かれているんですけれども、それを今まで以上にふやしていくという、特にここはこういうふうにするんだとか、ここは義務化するんだとかというふうな意味での工夫というか、そういうことはされていくんですかね。

岡田政府参考人 生活保護を受給されている方の医療扶助におきまして、後発医薬品の占める割合が一般の社会保険に比べてちょっと低い状況がございますので、医療扶助の中で後発品を勧めていくということは、非常に、我々として取り組んでいるところでございます。

 具体的な取り組みといたしまして、医師が処方箋を交付した際に、後発品の使用を容認するような形のレセプトを出されることがございますので、そういう場合には、調剤薬局にお願いいたしまして、基本的にはそこで後発品を処方していただくという形にさせていただきたいと思っています。

 その旨、窓口に来られた被保護者、保護を受けられている方にそういったことをお願いして、後発品の処方をお願いするということでございますが、やはり、被保護者の方には、どうしても先発品でなければ困るというようなことを言われるケースもございます。

 そういうような場合には、一旦調剤薬局におきまして先発品の処方をしていただいた上で、後ほど福祉事務所のケースワーカーなり担当者がその被保護者の方と後発品の取り扱いについてよく御相談する、そういうような指導を行うというような仕組みを入れまして、そういうような取り組みを進めていきたいというふうに考えているところでございます。

新原委員 ありがとうございます。

 そういった部分をできるだけ強化していただきたいと思うんですけれども、やはり、後発医薬品を勧めていく上で、例えばフランス等では、十年ぐらいの間に五倍ぐらいにシェアが上がっているわけです。だから、各国のそういった手法なり、やはり後発医薬品をふやすためにはお医者さんがまず協力的でないと。

 処方はそういうふうに出すということが一点と、薬局の方ができるだけ後発医薬品を勧めます、どちらでもいい場合は、こちらの方がいいですよというふうに勧めるということと、やはり患者さんに後発医薬品を使うと安いんだということをもっと、実際に薬品代が安いわけですから、それのアピールは厚生労働省にはどんどんしていただきたい。

 それによって後発医薬品の利用がふえると、例えばドイツの方でも、最初は後発医薬品に対して余り医師の信頼がないというか、それは大丈夫なのかというふうな感覚でおられたんですけれども、それが、普及してくると、医師の方々も別にそんなに変わらぬじゃないかということがだんだんわかってくる。つまり、信頼関係も、ある程度まで来ると医師の方も後発医薬品でも大丈夫だという信頼が出てくるわけなので、どんどんそういった普及率が上がってくるということになりますので、これは生活保護の方々とは関係ないですけれども、そういったことはどんどん進めていただきたいということです。

 それから、生活保護の方々がそれ以外の患者さんに比べて後発医薬品の使用率が低いというのは、値段といいますか、勧められると、生活保護の方々は、つまりお金を払わないから、ジェネリックだったら安いとかという経済感覚がない、言い方は悪いですけれども。もらうときに、高いとか安いという、これも後発医薬品の使用率にインセンティブが働くことなんですけれども、それが働かないので、やはりある程度義務的なり、そういった形で、後発医薬品を使用する形で進めていただきたいと思いますので、それはぜひともお願いしたいと思います。

 それと、最後に、どうしても、最後の資料にもありますけれども、今、単身者の生活保護という方々がどんどん多くなってきています。

 つまり、住居扶助もどんどん、一人につき一つ。だから、お二人ならば住居扶助も一つで済むんですけれども、単身で住んでいるということは、全てが、例えばちょっと御病気になったり介護が必要になった場合も、もう全部をしていかなければならないというふうになります。

 そういった介護の利用者さんについては、グループホームを勧めるとか、いわゆる施設といいますか、入居条件もありますけれども、特にグループホーム等は、非常にそういった生活保護の扶助費に対する減免策になり得ると思うんです。

 介護保険を使われている利用者さんの生活保護の方々に対して何か、特に、単身者がふえてくるということは、非常に、医療費だけではなくて介護費用についても工夫をしていかなければならないと思うので、単身ではなくグループホーム等を利用するのを勧めるとか、そういった、何か、介護費用に対しての削減といいますか、生活保護に対しての施策についてはどう考えられているんですか。

田村国務大臣 独居で、生活保護の方々で、高齢者で、いよいよ介護が必要であるという場合、そしてまた、認知症の場合もあると思います。

 基本的には、これは介護保険でありますから、九割は保険から出て、一割に対しては、これは介護扶助というような形になります。保険料も、扶助の中に、要するに上乗せになって保険料を納めていただくという形になりますから、そのスキームでは、介護保険からほとんどが出るということであります。

 でありますから、それぞれの状態像に応じて、どのような形の介護を受けるか。場合によっては、認知症が入ってこられてグループホームという場合もありますし、御自宅で、在宅で介護を受けるということで生活ができるのであるならば在宅介護という形になると思います。

 いずれにいたしましても、それも含めて、地域包括ケアシステムの中のいろいろな今般の考え方の中で、そういう方々もしっかりと生活ができるような対応というものをつくっていかなきゃならぬわけでございまして、もう、今回は法律が違いますけれども、そういう意味でも、プログラム法案を通していただいて、これを進めていくということが大変重要であるというふうに考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 これで終わりますけれども、生活保護の方々は、好きで生活保護になっているわけじゃないと思うんですね。だけれども、やはり彼らにも、国の社会保障の費用の上がっているのを鑑み、協力はしてもらわないとだめだと思いますので、その点はやはり訴えていって、協力はしてくださいね、だからジェネリックは使ってくださいねという形は、僕は全然構わないと思うんですよ。

 だから、そういったことは協力をしてもらうような形でお願いしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、法案の採決に先立つ審議ということですが、通常国会で大分やっていますので、通常国会ではなかなかできなかったこと、あるいは、この臨時国会で改めて政府から出てきた法案の差異、差分、民主党の修正案が取り込まれている、この二つについて質問させていただきたいと思います。

 まず、民主党の修正案が、今国会に改めて出てきた政府案の中に溶け込んでいるわけですが、政府として、これを改めて取り入れた理由を教えてください。

田村国務大臣 多分、委員がおっしゃっておられるのは、二十四条の修正のところであろうと思いますけれども、添付書類の添付、それから書面での申請というものが、これは実際問題、法律に書いてあるわけでありまして、それ自体が、今までよりも、書面を提出しなければそもそも手続に入れないのではないかであるとか、審査してもらえないのではないかというような、そういう御意見がございました。

 これは、一方で、調査権限等々を法律にしっかり明記して、強化する部分は強化していくというものとのバランスというところから入れさせていただいたわけであります。実態の生活保護行政の運用は変わらないわけでございますので、そのような意味では、申請事項も申請様式も変わらないということで、そのような御心配はないということをやはりちゃんとわかるような形でということで、修正が前国会に出された。

 それに関しましては、我々もその点は重く受けとめさせていただいておるわけでございますので、廃案になったこの法律を再び提出させていただくときに、特に衆議院でございましたけれども、衆議院での修正の重さというものを認識する中において、提出時において、初めから盛り込ませていただいたということでございます。

足立委員 なるほど、よくわかりました。衆議院での修正を重く受けとめてというところが大事だと思います。

 私は実は違う立場で、通常国会でも申し上げましたが、通常国会の審議で明らかになったことは、政府案も、修正案も、改正前の生活保護法における運用も、この書類の取り扱いについて、窓口の、水際の取り扱いについては何も変わらないんだということが、恐らく、私の理解では、通常国会で改めて確認をさせていただいたと私は理解していますので、そういった意味では、この条文は、何かを変更するものではなくて、実際の今の取り扱いをどう表現するのが一番国民に対してわかりやすいかということ。

 私は、もともと政府は政府案が一番いいと思って出してこられたと思いますので、やはり民主党修正案の方がよかったなということなのかなと思ってお聞きをしたわけですが、そういう問いは、今の大臣の御答弁からすれば、つまらない問いだなと思いまして、むしろ、通常国会の衆議院における審議を尊重してということでしたので、なるほどというふうに思った次第でございます。

 もう一つ、この修正案が取り込まれていることについて確認しておきたいことは、五月の委員会審議で、民主党の提案者の方、きょうも、おられませんが、民主党の提案者の方がさまざまに答弁をされました。この答弁は、同じ条文なわけですから、政府が改めて当時の、五月の民主党の答弁を、吟味されたかどうかわかりませんが、これは全て政府の見解として踏襲されると理解したらいいんでしょうか。

 質問の意味はわかりますか。要すれば、問い四なんですけれども、当時、委員と民主党の提案者との間で質疑が行われた。これは、この委員会の場で行われたわけですから、大変重たいわけですが、ただ、あくまでもそれは提案者の提案意図が答弁されたわけですね。それは幾つか往復されました。それは引き続き、今国会でこれを採決するに当たっては、当時の民主党提案者の答弁は生きているということでいいでしょうか。

田村国務大臣 今、民主党提案者の答弁と言われましたが、自民党も提案をいただいておりますし、公明党も提案いただいたと思いますので、そこは、民主党の答弁者が言われた内容は、それぞれ提案各党がすり合わせをしていただいて答弁をされた内容だというふうに思います。

 内容的には、大まか、具体的に、今までと運用上変わらない、同じであるというような趣旨の答弁であったというふうに理解いたしておりますけれども、もちろんそれも含めて、今回非常に重い修正部分である、衆議院という、厚生労働委員会という中においていただいた修正案でございますので、その重きを真摯に受けとめて、今般法律を提出させていただくときに、その中身をそのまま書き込ませていただいたということでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 失礼しました、確かに自公も含めてですね。訂正をさせていただきます。

 では、その二十四条については、もうあっさりとこれで終わりますが、きょうはむしろ、私も法律屋ではないので大変僣越なことではあるんですが、特に生活保護法については憲法との関係が議論されることが多々ございます。

 今回の改正が、特に憲法、要は合憲か違憲かというような議論がなされるような類いのものでは私はないと思っていますので、今回の改正は余り憲法と関係ないと思うんですが、日本維新の会は共同代表の一人に弁護士がおられることもあって、この生活保護法については大阪市等でも大変議論がなされています。大阪市なんかは、この生活保護の運用については大変頭を悩まされている。これは御承知のとおりかと思いますが、そういう中で、大阪の方々は、大阪の方々はというか日本維新の会は、この生活保護制度については抜本的な改革も視野に入れた議論をしたい、こう思っているわけです。

 すると、どうしても、抜本改革となると、憲法、合憲、違憲という議論が出てきますので、きょうはそのあたりを若干御指導いただければと思って質問に立たせていただいております。

 まず、その前提として、これは高鳥政務官にお願いしたいんですが、二つ、できればまとめてお願いしたいんです。

 そもそも、憲法の二十五条、健康で文化的な云々、この憲法二十五条や、勤労の権利義務を定めた二十七条のような憲法の規定が、生活保護法においては一条から四条に非常にきれいな形で反映をしていると承知しています。特に二十五条は、もうそのままと言っていいぐらい入っているわけですが、例えば、勤労の義務との兼ね合いみたいなものは生活保護法の基本原理にどう反映をしているか、そのあたりを中心に、そういう意味では、通告申し上げた中では後者を中心に、御答弁いただければと思います。

高鳥大臣政務官 足立委員にお答えを申し上げます。

 生活保護法は、日本国憲法第二十五条に定める生存権保障の理念を具体化する趣旨で定められたものでございます。このため、委員御指摘のとおり、生活保護法第一条におきまして、憲法第二十五条の理念に基づき、国民に対し、最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とすると規定をされております。

 生活保護法におきましては、保護は、生活に困窮する方が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われるものとされており、その方が稼働能力を活用しているか否かが保護の要件となっております。

 したがいまして、生活保護法は、憲法第二十五条に規定する「健康で文化的な最低限度の生活」を具体化するものであるとともに、憲法第二十七条第一項において定められている国民の勤労義務の趣旨に沿ったものと考えております。

足立委員 簡潔かつ明瞭な御答弁、ありがとうございます。

 それで、きょうは、憲法論ということで、僣越でありますが、内閣法制局の北川四部長にもお越しをいただいています。

 今、高鳥政務官の方からも、生活保護法との関係は簡潔にいただいたわけでありますが、いわゆる憲法二十五条に規定する最低限度の生活とは何なんだということについては、いろいろ物の文書を調べるといろいろな説が出ていますが、内閣法制局として、この最低限度の生活というのは何なんだと端的に聞かれるとどういう答弁になるか、お手数ですが、よろしくお願いします。

北川政府参考人 お答えいたします。

 憲法第二十五条は、全ての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるように国政を運営すべきことを国の責務として宣明したものであるというふうに解されてございまして、その健康で文化的な最低限度の生活の内容でございますが、これは、生活保護法に基づく生活保護制度により具体的に定められるものであるというふうに考えてございます。

足立委員 四部長、ありがとうございます。非常に簡潔過ぎて、ちょっとわからなかったんですけれども。

 生活保護法に具体的に定められるということでありますが、生活保護法は、厚生労働大臣の仕事として、これを改めていくわけですね。

 その改正案が合憲か違憲かというような議論をするときに、憲法が言うところの最低限度の生活という、憲法は別にこれだけではありませんが、憲法の規定との関係で合憲、違憲が問われるわけですから、生活保護法に定められている内容以前に、そもそも、憲法はそれで何を求めているんだという議論というのは、素人なので申しわけないんですけれども、そういう問いを発してもいいかどうかも含めて、御指導いただけますか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 若干繰り返しになりますけれども、健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるように国政を運営すべきことを国の責務として宣明したものであるということでございますので、立法府におきまして生活保護法案を定められるに当たりまして、もろもろの委員おっしゃられましたような事情、いろいろあるということでございますが、そうしたものを御判断していただいて立法がなされていくべきであるということであろうかと存じます。

足立委員 では、ちょっと具体的に話を分けてみたいと思うんですが、具体的に話をおろしてみたいと思うんです。

 例えば、先ほども何人かの委員の方から、ジェネリックという話が出ました。生活保護を受けられている方には恐縮だけれども、ジェネリックを義務化したらどうかという議論が、議論としてあります。これは一義的には厚生労働省にお聞きした方がいいのかもしれませんが、これはいわゆる厚生労働大臣の裁量の範囲か、憲法、合憲、違憲という議論があり得るかどうか、援護局長にお願いします。

岡田政府参考人 まず、後発医薬品につきましては、先発医薬品と品質、有効性、安全性が同等であるものとして承認が行われているものでありますが、一般に、医薬品の処方に当たっては、患者の個々の状況に応じて処方を行うということが必要なのではないかというふうに、これは医師の方がそうされるんだと思います。

 今般の改正法案ではどういう扱いをしているのかというのをちょっと御説明させていただきたいと思うんですが、医師が専門的な判断により後発品の使用を認めている場合に限り服用することを求めているということにしておりまして、これは、後発医薬品の処方を行う医療機関におきまして、患者との信頼関係をもとに、個々の状況に応じて、専門的な知見に基づいた丁寧な説明を行い、理解を促していくことが、患者に服用を促すという意味で効果的であると考えたことによるものでございます。

 このように、受給者の個々の状況に応じて、医学的判断を尊重した上で、受給者の理解を得ながら無理なく後発品を促していきたいというのが今回の我々の立場でございます。

 御指摘のように、国民一般の方に後発医薬品の使用が義務化されていない中で、生活保護受給者だけに義務化を行うことについては、慎重な検討が必要だというふうに考えているところでございます。

足立委員 最後の点は、ある意味でわかりやすい御説明だと思います。

 もう一つ御答弁いただきたいのは、稼働可能という議論がありますね。

 稼働可能ということと失業しているかどうかというのは違いますので、要すれば、稼働可能だから仕事があるとは限らない。特に、最近は、稼働可能だけれども仕事がなかなかない人がふえています。

 こういう方は、稼働可能だから頑張れということで、生活保護の対象から稼働可能であるが仕事がない者を除外する政策をもしとったら、どうなりますか。仕事がないが稼働可能である者を除外する。

岡田政府参考人 今生活保護を受けている方についての就労指導の考え方をちょっと御説明させていただきたいと思うんですが、そもそも、生活保護を受給しているか否かにかかわらず、憲法上、国民には職業選択の自由があることを踏まえれば、就労支援を行うに当たっては、生活保護受給者みずからの希望を尊重した支援を行うということが重要だというふうに考えております。

 今年度から運用を見直しまして、働く能力のある方については、保護開始後原則六カ月以内の一定期間のうちに就労による保護脱却を目指して集中的な支援を行うこととしていますが、その際にも、本人の納得を得て、計画的な就労に向けた取り組みを実施しているところでございます。

 また、本人の希望を尊重した取り組みを行っても就労のめどが立たない場合には、生活のリズムの安定や就労実績を積み重ねることが、その後の就労につながりやすくなると考えられます。この観点から、職種、就労場所などを広げて、低額であっても一旦就労を促していくことを基本的な考え方として導入しているところでございますが、その際にも、本人の意向を確認した上で行うということになっているところでございます。

 また、保護を開始するに当たって、先ほど、稼働能力を活用しているか否かというのが一つの保護の要件になっているところでございますが、その活用しているか否かの判断につきましては、一つは、稼働能力を有するかどうか、それから二番目として、その稼働能力を活用する意思があるのかどうか、三番目として、実際に稼働能力を活用する就労の場を得ることができるかというような、三つの要素で現在判断をさせていただいているというようなことでございます。

足立委員 ちょっと時間の制約があるので、あと三つ、立て続けに行きます。今、ジェネリックの話をしましたね。稼働の話をしました。あと三つ、個別にやってもいいんだけれども、三つ言ってしまいます。

 三つ目は、いわゆる違法薬物によって稼働能力をなくした者を、仮に政策的に生活保護の外へ追いやった場合はどうか。それから四つ目が、医療等のサービスに係る自己負担を導入した場合。五つ目が、不正受給を繰り返し行った場合において、一定期間保護申請を却下するような政策をとった場合。いかがでしょうか。

岡田政府参考人 生活保護は、いろいろな、能力を活用していただくとか、そのほか、いろいろな社会保障制度を活用した上でも、なおかつ生活に困窮する方を救うという意味での最後のセーフティーネットでございまして、生活保護を受けられないということがどういう結果になるかということも考えて、それが最低生活の保障という意味で妥当なのかどうかというような観点が要るのかというふうに思っています。

 御指摘の、違法薬物によって稼働能力をなくした方の扱いでございますが、これは、生活保護法第二条は、「すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる。」という規定でございますが、貧困に至った理由を問わずに、要件を満たしている限り保護を受けられるということになっておりますので、それを対象にするのは非常に難しいのではないかなというふうに思っております。

 それから、医療扶助への一部負担の導入につきましては、これはさまざまな御議論がありますが、生活保護受給者につきましては、金銭的な理由により医療機関への受診が抑制される可能性は否定できず、場合によっては必要な受診までも抑制されてしまうおそれがあること、また、医療扶助は現物給付によって行われており、受給者に支払われる生活保護費には、医療機関で受診した際の医療費は含まれておらず、最低生活を保障するという生活保護制度の趣旨になじまないなどの理由から、慎重な検討が必要だというふうに考えているところでございます。

 最後の、不正受給を繰り返し行った方の扱いでございますが、これにつきましても、生活保護は、最後のセーフティーネットとして、支援が必要な人に確実に保護を実施することが基本的な役割でございます。先ほどありました、法二条の無差別平等の原則が定められておりますので、要件を満たしている限り、保護を必要とするに至った理由を問わず、保護は行われるものというような扱いだというふうに考えています。

足立委員 ありがとうございます。

 いろいろ、一つ一つ議論したいんですが、ちょっと一つだけ更問いをしたいんです。医療の自己負担。

 今幾つかおっしゃいましたが、仮に、生活保護費の、今は扶助別の支給になっているわけですが、これを一括して支給するような形になれば、大分そこの、今おっしゃったような理屈というのは乗り越えられるような気もしますが、どうでしょうか。

岡田政府参考人 医療扶助の一部負担につきましては、これはどういう制度にするかということによるかもしれませんが、保護を受けられている方が一旦窓口でその部分をお支払いいただくということになります。

 その部分を後から仮に福祉事務所から補填したとしても、その部分は一旦立てかえ払いをしていただくということでございますので、現在の生活扶助で定められています最低生活を保障しているというような観点から、そういったことを想定した形で基準なりを設定していませんので、そういうのが最低生活を保障するという趣旨から妥当なのかどうかというようなことがあるというようなことで申し上げた次第でございます。

足立委員 ありがとうございます。

 また、通常国会も含めて、深めていきたいテーマであります。

 私は別に、きょうも傍聴の方がいらっしゃいますが、我々は、生活保護の方を何かもっと苦労させたいとか、そういうことでは全くなくて、むしろ、先ほども局長の方から御答弁の一部にあったかと思いますが、生活保護制度というのは、憲法の枠組みからしても、自助努力を尽くした後に、まさに最終手段として用意されている、ラストリゾートとしての制度であります。

 ところが、私の地元の実態なんかを改めてここで取り上げることはいたしませんが、とても、一般の方から見ても、これがラストリゾートかと思われるような方も含まれてしまっている傾向が若干ある。それによって、本来、ラストリゾートとして、支援の、要は保護の手を差し伸べねばならない方々に手が回らないようなことがあっては絶対にならない。

 また、厚生労働行政においても、生活保護制度だけじゃないですね、まさに就労支援とか、いろいろな政策があります。だから、私が今取り上げた五つについても、別にこれだけで政策が講じられるわけではなくて、もし仮に、きょう私が取り上げた五つの問題をテーブルにのせる場合には、当然、それを補って余りある労働政策とかいろいろな福祉政策で、その方の生活というか、あるいは自立というものを御支援していく中での議論でありますので、委員の皆様も含めて、ぜひそこは誤解のないようにお願いをしたいと思います。

 もう時間がなくなりましたが、きょう申し上げた憲法の二十五条、生活保護法の基本原理でいうと一から四条の、このバランスなんですけれども、例えば、ちょっと手元にありませんが、四条の補足性原理のようなものも位置づけられて、今、生活保護法の基本原理一から四条があるわけですから、私は、今、この生活保護法の基本原理一から四条に基づけば、きょう五つ申し上げたようなことはテーブルにのせることは可能じゃないかな、そういうものをテーブルにのせる中で本当の生活保護制度のあり方というものを議論していきたい、こういうふうに思っています。

 きょうは四部長に来ていただいているので、最後にもう一声いただきたいんですけれども、厚生労働大臣の裁量というのが、きょうの四部長の御答弁ですと、何か、もうほとんど厚生労働大臣の裁量だみたいな雰囲気、ごめんなさい、素人で、そういうふうに聞こえるんですけれども、厚生労働大臣が政策を講じていくときに、やはり、それをやれば違憲訴訟に発展する可能性を常に考えながらやっているわけですね。

 ぜひ四部長のお立場から、内閣法制局のお立場から、厚生労働大臣に、基本こういうことだよなと。これは、もちろん、いつも一緒にやっていらっしゃるわけですけれども、ぜひ傍聴されている方、委員の方にもわかるようにというか、二十五条のみならず、憲法が厚生労働大臣に何を求めているのか、ちょっと御見識をお願いします。

北川政府参考人 お答えいたします。

 憲法と申しますのは、国の基本法でございますので、その中で国の向かうべき基本的な方向が示されているものであろうと思います。

 立法なされますのは立法府でございますが、内閣から法律案を提出することもございます。当局は内閣提出法律案を審査する職務を仰せつかっておりますので、厚生労働大臣から、あるいは、厚生労働省から具体的な改正案の御相談がございましたらば、憲法との関係、あるいは関係するもろもろの法制との関係、そういったものを踏まえまして適切に審査を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

足立委員 私の能力不足で深まり切っていませんが、この憲法の話、私、実は改めてちょっと勉強したんですね。非常に奥の深い話でありまして、判例も大変、最高裁を含めたさまざまな判例が積み重なっています。

 ただ、いろいろな学者の方も、なかなかここはわからないんだというふうに投げていらっしゃる部分も多うございます。ただ、この生活保護の重要性に鑑みて、ぜひこういう憲法論議についてもこの委員会で引き続きいたしていきたいと思いますので、四部長を含めてまた御協力のほど、よろしくお願いします。

 本日は、ありがとうございました。

後藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十五分開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今、特定秘密保護法案をめぐる参議院での強引な運営、あるいは参議院厚労委員会で職権による委員会立てなど、不正常、混乱が続いております。この短い臨時国会に重要法案を無理やり押し込み、数の力で通そうとする与党と、慎重審議を求める世論との矛盾が激化しているからであり、この生保二法案についても、このような中で、たった三時間の審議で採決など、やはり絶対にあってはなりません。午前の質疑でも、民主党議員さんがさまざま危惧を述べておりました。きっぱりと反対されたらいかがでしょうか。心から訴えたいと思います。

 さて、質問に入ります。

 本法案は、第一条、目的から保護の原則まで、一切変えておりません。焦点となっている第二十四条についても、現行の取り扱いと変わらないと繰り返し答弁をしています。なのに、大臣は六十年ぶりの大改正と答弁をしているのはなぜでしょうか。

田村国務大臣 生活保護法は、昭和二十一年にでき上がりまして、二十五年に改正をしたわけであります。それ以降、きょうも午前中申し上げたんですが、何かの法律改正ではねる部分に関して改正はしたことはございますけれども、目的を持ってこの生活保護法というものを改正したことはないわけでございまして、六十年ぶりという形でございます。

 今般の中において、就労等々を含め自立等々に向かった内容、さらには医療扶助の適正化等々、さらに不正受給対策ということで、そのような意味では、今委員がおっしゃったところは改正していないところもございますけれども、中身として、大きく、この生活保護法の内容自体、それを目的としてこれを改正しようとするわけでございまして、そのような意味からいたしますと、これは六十年ぶりの大改正であろうというふうに我々は認識をいたしております。

高橋(千)委員 実は、これは参議院で何度も大臣が答弁されているので、非常に不思議に思ったんですよね。

 つまり、私、前回の国会のときも何度も聞きました。それで、やはり基本は変わっていないんだ、先ほどの議論にもありましたが、憲法二十五条の理念に基づきということも全然変わっていないんだ、原則変わっていないんだ、運用も変わっていないんだというのに、大改正だとおっしゃるその心は、やはりこれは社会保障制度改革推進法によって社会保障の考え方が変わった、そして、予算においても、やはり適正化ということで絞っていくという枠の中で、この保護法の見直しがされている。

 そういう意味で、字面は変わっていないけれども、本当は大改正なんだということが本音として出てくるのかなというふうに思ったからであります。

 その中身について議論をしていきたいと思います。

 焦点となった第二十四条についてですが、前国会で、民主党を初め四党が提出した修正案、「特別の事情があるときは、この限りでない。」これを条文に組み込んだものになりました。政府原案でも現行と変わらないと説明をしていたのに、この「特別の事情」を組み込んでしまったということは、要するに、特別の事情じゃなければもう原則ですよということで、むしろ打ち消しになって、限定的になってしまわないかと思いますが、いかがでしょうか。

岡田政府参考人 今回の改正案におきまして、申請時に必要な書類を添付して書類を提出する規定を法律上設けることとさせていただいています。これは、法律に基づいて調査を実施するのであれば、申請事項についても法律に位置づける必要があるという法整備上の観点から規定したものでございます。

 現在でも、申請は書面を提出して行うことが基本とされており、申請事項や申請時の様式も含め、現行の運用の取り扱いを変えるものではございません。

 また、現在、事情がある方について認められている口頭申請につきましても、その運用を変えることはなく、申請方法がこれまでより厳格化されるということはないということでございます。

 なお、今般の法案は、さきの通常国会で、現行の運用の取り扱いを変えるものではない旨、条文上明確となるよう修正いただいたものを反映したものであり、御指摘は当たらないものと考えているところでございます。

高橋(千)委員 特別の事情と言ってしまえば、特別の事情とは何かとなります。それは当然、政省令でおろすわけですよね。そうすると、そうじゃない場合は特別じゃないということになっちゃうわけですよ。

 だから、今の前段の説明のように、今までと変わらないというのであれば、特別な云々と入れる必要がないんですよ。だって、だから、そういう原案を出していたわけでしょう。矛盾しませんか。

岡田政府参考人 これは、委員も御承知のとおり、さきの通常国会で、衆議院におきまして、現行の運用の取り扱いを変えるものではない旨、条文上明確化するということで修正が行われたものでございますので、今回の法案では、その趣旨を尊重して、そういうような取り扱いをさせていただいたところでございます。

高橋(千)委員 趣旨を尊重してとしか言えないんですよ。だから、条文上どうなのかということに対しては明確な答えがなかった、このように思います。

 それで、そもそも口頭云々という話は、第七条、申請保護の原則、ここで私は担保されていると思うんですね。「保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。」こういうふうに書かれているわけですよね。これは、本人が申請する権利を妨げないということが趣旨であって、当然、口頭も念頭に置いている、まずここを確認します。

岡田政府参考人 先ほども答弁いたしましたように、申請は現在でも書類を提出して行うことが基本でございますけれども、障害によって字を書けないというような方もいらっしゃるということから、口頭による申請方法についても認めているところでございますので、その運用を今後も現状どおりさせていただくということでございます。

高橋(千)委員 ちゃんと聞いたことに答えてください。

 先ほども同じじゃなくて、第七条のことを聞いています。

岡田政府参考人 第七条の規定に基づきましても、先ほども申しましたような特別の事情がある場合には口頭でも可能だということで現行でも取り扱っておりますし、それも変更するものではございません。

高橋(千)委員 そういうことなんですよ。第七条はさわっていないわけですね。

 だから、申請保護の原則、口頭でも当然認められるということはここで担保されているわけですよ。だから、二十四条と分けて考えるべきなんですね。二十四条は単に申請手続について書いているだけであって、書類はこれまでもやってきた、それを条文にしたということを言っているわけですよね。

 それで、口頭で申請したいと訴えたときに、そうはいっても、今、この申請のために必要な書類、条文にいろいろ書いてありますよね、それを、全部整うまでには一回では済まないわけです。その時間差があります。保護開始時期はどこで見ますか。

岡田政府参考人 たびたび答弁していますように、この申請に係る現行の運用を変更するものではございません。

 したがいまして、現行では、事情がある方には口頭での申請を認めることや、必要となる書類の提出については、迅速な保護決定のためにはできるだけ早い時期に提出していただきたいということでございますが、申請書提出から保護決定の間でよいというような扱いをしておりまして、これまでの取り扱いに変更はございません。

 そのため、必要となる書類の提出時期にかかわらず、保護の申請が明確に示された時点から保護が開始されるというような取り扱いでございます。それが現行でございますので、それを変更することではございません。

高橋(千)委員 書類が全部整っていなければならないということではないということですね。これを確認させていただきます。

 結局、北九州の餓死事件にしても、三郷、岸和田の判決にしても、申請書を手にできない、あるいは辞退をさせている。つまりは、結局、今何度も何度も答弁されている口頭による申請というのが認められているにもかかわらず、現場ではそうなっていないということがずっと問われて、闘われてきた、裁判によっても問われてきた、そういうことなんですね。だから、現状で変わっていないと言っても、現状がこうなんだということをちゃんと変えなければ意味がないということを重ねて指摘したいと思います。

 そこで、午前、山井委員が紹介をしていましたけれども、参議院で我が党の小池晃議員が取り上げた、長野市の、扶養義務について、扶養が要件とされる、そういう誤解される表現があったんだということが指摘をされました。これについては、厚労省が誤認であるということで調査をして、訂正を求めているわけですね。

 ただ、二〇〇〇年に厚労省がつくった案文であること、まず、そもそも、もとは厚労省であったということがあるのと、そして、それに従って案文を訂正したとしても、扶養義務者による扶養は生活保護に優先して行われるものとされておりますと。つまり、長野市で言っているところの、前提であるという言葉は取った、それはだめだと。だけれども、優先して行われるということは改めて書いているわけですよね。つまり、それは、扶養優先であることには違いはない。

 これはおさらいになりますが、去年も質問していますけれども、扶養優先と法律に書かれているんだけれども、それが要件でないというところの心は、扶養義務者が仮に断って、それで保護を認めないとした旧法は、それをやってしまうと本当に保護が必要な人が救われないからということだと思いますが、そこをまず確認します。

 その上で、申請書に親族の名前を、扶養ができる人は誰もいないということで、書かなくても受理されるか、確認します。

岡田政府参考人 お答えします。

 生活保護法の第四条二項では、民法に定める扶養義務者の扶養は、この法律による保護に優先するという形で書かれておりますので、厚生労働省でお示しした様式にはそういう趣旨のことを書かせていただきます。

 問題になりました長野県での取り扱いにつきましては、扶養が保護を受けるための要件である、保護開始に当たって、扶養を受けないと受けられないようなふうに誤解されるおそれがあるということで、その点については調査を行って、訂正をお願いしたというようなことでございます。

 先ほど、申請書に親族の名前を書く必要があるかどうかということでございますけれども、保護の申請がありましたときには、まず、扶養義務者がどういう方がいらっしゃるのかということを要保護者から御申告いただくとともに、さらに必要があるときは、戸籍謄本などで確認をさせていただいているところでございます。

 その後、把握した扶養義務者につきまして、その職業、収入や要保護者との交際状況などにつきまして、要保護者その他の関係者から聴取するなどの方法によって扶養の可否を確認するというような取り扱いをさせていただいております。

 生活保護を申請する場合の申請書の様式につきましては、各地方自治体に対しまして通知をしておりまして、援助をしてくれる者の状況を記載する欄を設けているところでございます。仮に、この欄に必要な事項が記載されていないとしても、申請の意思が確認されれば、申請があったものとして取り扱うということとさせていただいているところでございます。

高橋(千)委員 大変長い答弁でしたけれども、書かれていなくても受理するということがまず一つあったと思います。

 それで、聞かれたことに答えていないんですけれども、扶養が優先だけれども要件ではないことの意味というのは、さっき私が言った意味でよろしいですね。イエスかノーかで。

岡田政府参考人 先ほど法律の規定を申し上げましたけれども、親族による扶養は保護に優先するというのが法律上の規定でございます。そういう趣旨を、ここで、扶養が生活保護に優先するという趣旨で、標準様式でお示ししているところでございます。

 長野市で問題になりましたのは、扶養が保護を開始する要件だというようなことを誤解されるというようなことでありましたので、その訂正を求めたところでございます。

高橋(千)委員 ちょっと、何回も同じことを答えないでくださいよ。

 大臣、私の言っている意味、わかりますよね。今言ったように、法律第四条には「保護に優先」ということは書かれています。だけれども、長野市に誤認だというふうに言ったその心は、なぜ前提と書いてはいけないかというときに、前提となってしまうと旧法の世界になっちゃって、扶養をしてもしなくても、扶養義務者がいるじゃないかということで保護を断られた。そういうことではない、それだと、断られたときに本当に必要な人が受けられないじゃないか、それでは困るから、優先とは書いているけれども、要件ではないという意味だ。イエスかノーか。

田村国務大臣 優先の心は、要件ということでは当然ないわけで、仮に、そのような意味で、扶養義務を負う方々がおられて、その方々が扶養しなかったといたしましても、生活保護は、それは給付されるわけであります。

 その後で、本来扶養するに十分に足りるというふうな判断が下るような場合に関しましては、例えば家裁審判等々でそれに対して我々は請求をさせていただくということがある。そういう意味では、優先をするということでございます。

 委員がおっしゃられましたとおり、これは要件ではございませんから、そうであったとしても、生活保護決定というものには進むわけであります。

高橋(千)委員 おさらいにこんなに時間がかかるとは思わなかったんですよね。

 わざわざ長野市に誤認だと言っておきながら、なぜそれが要件ではないということがきちんと説明されていないかということが問題なわけですよ。

 それで、審査に当たっての扶養照会について、さっきの続きなんです。

 長野市に対して、前提というのは間違っているよと訂正をしたんだけれども、十二日の参議院厚生労働委員会で、我が党の辰已議員の質問に対して、二枚目に添付している書面、これは変える必要はないと答弁をしているわけです。書面は変える必要はないと。

 そうすると、この書面は、保護申請者の扶養義務者と見込んだ人の家族までも、家族ですよ、だから、義務者の子供さんとか兄弟とかもいるわけですよ、そういう人たちまで勤務先や月収を明らかにしたり、資産、負債の状況などを書かせる、こんなことも厚労省として指示しているんでしょうか。あるいは、書かないことは認められますか。

岡田政府参考人 生活保護を申請した方の扶養義務者に対しまして福祉事務所が行います扶養照会の様式については、地方自治体に対して通知をしており、扶養義務者の方の家族の氏名、勤務先、平均年収額などを記載する欄を設けているところでございます。

 これは、扶養義務者の方にどの程度の扶養の責任を果たしていただくかについて、受給者と扶養義務者との交際の状況、扶養義務者の収入や資産、生活状況といった諸事情に応じまして個別に判断する必要があることから記載を求めて、お願いしているものであり、可能な限り記載をしていただきたいと考えております。

 しかしながら、仮に記載されていない場合であっても、扶養は保護の要件ではございませんので、保護の要否の判断に影響を与えるものではないということでございます。

高橋(千)委員 影響を与えるものではない、最後のところは確認させていただきました。

 とはいえ、可能な限りということで調査を求める、ここが今大変な世界になっているわけなんですよ。

 先般も、大臣の代理として審議官に会っていただきまして、いろいろな実情を聞いていただきました。資料もお渡ししました。宮城県では、例えば、別れた夫の両親の収入まで出せと言われて、もうそれだけで諦めてしまった件がございます。

 あるいは福島で、身内で援助できる人は誰もいないと思って申請していなかったら、援助ではなくて、一番交流できる人は誰かと聞かれたので、姉ですと答えたら、その姉に電話が行って、万一死んだら骨を引き取ってもらえるのかという電話が行ったそうです。もうそれだけでつらい思いをしたわけですけれども、その後、姉に、給与明細書を強制ではないが送ってくれと言われて、渋々、一月分の給与明細書を送ったということが言われています。

 だから、現場では、このように、調査という名でありとあらゆることがやられているわけです。

 ですから、要件ではないと幾ら言ったとしても、優先調査をやるわけですよね。そして、このように、これに対して、さらに通知とか、報告とか、できない、なぜできませんかという報告をすることになるので、もうその過程で保護を断念することにつながりませんか。大臣に伺います。

田村国務大臣 生活保護制度というものは、今いろいろ、るる我々御説明させていただきましたとおり、保護よりも扶養が優先するのは間違いないわけでありまして、その扶養義務者を、誰であるかということの中において扶養照会を行うわけであります。親、兄弟等々が中心であります。

 ほぼそういうような間柄の方々でありますけれども、ただ、そのときに、やはり御本人と人間関係が壊れていて、実際問題、本人からお話をお聞かせいただいて、これは自立を阻害するなというような方の場合には、あえて扶養照会をかけないというふうなことであるわけでございまして、そこは御本人からいろいろな事情を聞きながら、対応をそれぞれの現場でしていただいているというふうに思います。

 もちろん、その中において、今委員が言われたようないろいろな事例があるのかもわかりません。それに関しては、そのようなことが起こらないように、我々としては、しっかりと周知をしていくということであろうと思います。

高橋(千)委員 残念ながらもう時間になってしまいまして、本当は、この後、稼働能力の話をしたかったんですけれども、ちょっと残念ながら時間になりました。

 この参議院の辰已議員の質問の中で、大阪の、求職活動を要件としている問題が指摘をされているわけですけれども、申請の段階で、やり過ぎではないかということだったんだけれども、結果としては、求職活動報告書というのを出すことはいいんだという答弁をしているわけですね。そうすると、申請した時点で、ハローワークに行ってきなさい、求職活動したことを証明しなさいということがやられている。今回、それが、求職活動報告というのが、二十四条の「書類」の中にも書かれているわけですね。

 だから、岸和田の事件もそうでしたけれども、仕事を切られて、食べるものも食べられないというぎりぎりのところで駆け込んでくる人たちにそれをやるのかということが本当に問われていると思うので、本当は質問したかったんですが、ここは本当に指摘をして、まだまだ審議をするべきだということで、終わりたいと思います。

後藤委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、生活保護法の一部を改正する法律案及び生活困窮者自立支援法案に反対の討論を行います。

 法の目的に憲法二十五条の理念を規定した生活保護法は、今、一九五〇年制定以来の大幅改正がされようとしています。既に、生活扶助基準は、最大一〇%の引き下げが始まっています。国は、憲法が保障する最低限度の生活の水準を下げたのであり、広範な国民にこの影響は及びます。水際作戦を合法化するという本法案と相まって、社会保障を個人と家族の責任だとする、社会保障の解体の象徴であり、断じて認められません。まして、わずか三時間の審議で採決するなど、到底許されません。

 両案は、前国会で廃案となった政府案に、本院において可決された、自民、公明、民主、みんなの党の四会派共同修正案を組み入れて提出し直したものであります。保護の申請を、申請書の提出を必要な行為と義務づけた規定は、さまざまな条件をつけて申請を受理しない、いわゆる水際作戦を合法化するものです。政府は、繰り返し、現行の運用と変わらないと答弁をしましたが、変わらないなら条文は削除をするべきです。

 次に、福祉事務所の扶養義務者に対する調査権限の付与、また、義務を果たしていないと判断した場合の扶養義務者に対する通知の義務づけは、保護開始の要件とされていない扶養義務の履行を事実上強いるものになります。

 参議院の審議で、親族の援助が保護受給の要件であるとした書類を送りつけて申請を締め出している実態が明らかになりました。厚労省のその後の調査で、同様の文言を使用していた福祉事務所は三割強に及ぶことが判明しています。扶養義務を要件とする申請拒否は全国で横行しており、この現状を改めることこそ急務であります。

 なお、不正受給を厳正に対処することは当然です。しかし、不正受給とされる事案のほとんどは、アルバイト代の申告漏れなど、ささいなミスによるものです。生活保護費との相殺や不正徴収金の懲罰的上乗せは行うべきではありません。

 生活困窮者自立支援法には、評価できる点もありますが、最低賃金を下回る中間的就労によって、生活保護からの追い出し、あるいは水際作戦のツールになるおそれがあり、反対であります。

 今、全国で、一万を超える生活扶助基準の引き下げに対する不服審査請求が起こっています。これ以上、生活を切り詰めることはできないという悲痛な叫びにほかなりません。政府はこうした叫びに耳を傾けるべきです。

 憲法二十五条の理念に基づくとされた生活保護法の原則を侵す本法案に断固反対することを表明し、討論を終わります。(拍手)

後藤委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、参議院送付、生活保護法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、参議院送付、生活困窮者自立支援法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 この際、ただいま議決いたしました内閣提出、参議院送付、生活困窮者自立支援法案に対し、とかしきなおみ君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩です。

 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    生活困窮者自立支援法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 自立相談支援事業の相談窓口においては、相談者の困窮の状況に応じて生活保護制度の下で生活再建を図ることも含め、最善の対応を行うよう指導を徹底すること。また、自立相談支援事業の相談員が策定する自立支援計画については、生活困窮者本人の意向を十分に考慮することとし、その実施、評価、改善・修正が適切に行われるようにするとともに、実施の途上で自立支援計画の実行が困難になった場合や、最低限度の生活が維持できないと判断された場合には、生活保護への移行を促すことも含めた適切な対応を講ずるよう指導すること。

 二 自立相談支援事業の相談員については、その責務の一環として訪問支援にも積極的に取り組むこととし、ケースワーカーや民生委員等、関係者間の連携と協力の下、生活困窮者に対し漏れのない支援を行うこと。また、そのために社会福祉士等の支援業務に精通する人員を十分に配置することを検討し、適切な措置を講ずること。

 三 生活困窮者は心身の不調、家族の問題等多様な問題を抱えている場合が多く、また、問題解決のためには時間を要することから、個々の生活困窮者の事情、状況等に合わせ、包括的・継続的に支えていく伴走型の個別的な支援のための体制を整備すること。

 四 就労準備支援事業の実施に当たっては、対象者が生活困窮者であることに鑑み、求職者支援制度を始めとする他の関連施策との整合性と連続性とを図る観点から、その生活の安定のための方策について更に検討を行うこと。

 五 いわゆる中間的就労である就労訓練事業の実施に当たっては、訓練を実施する事業者を適切に認定するとともに、当該事業者と自立支援計画の実施責任者とが密接な連携を図り、個々の生活困窮者の訓練実施、達成の状況などについての定期的な確認を行うよう適切な措置を講ずること。

 六 本法に規定された各種施策を実施する費用について、地方自治体の負担分を含め、財政上の措置を適切に講ずるよう努めること。また、地方自治体における取組を通じて得られた好事例を広く周知することにより、本法に規定された各種施策が着実かつ効果的に実施されるようにすること。

 七 生活困窮者の自立支援に当たっては、常に住民の立場に立って相談・支援を行ってきた民生委員・児童委員が最大限その役割を発揮できるように、必要な情報の提供や、研修の実施、関係機関との効率的な連携等、民生委員・児童委員が活動しやすい環境整備を更に進めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

後藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、田村厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。

    ―――――――――――――

後藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤委員長 次回は、来る六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十六分散会


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