衆議院

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第2号 平成26年2月21日(金曜日)

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平成二十六年二月二十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      大久保三代君    大串 正樹君

      金子 恵美君    小松  裕君

      古賀  篤君    今野 智博君

      佐々木 紀君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    末吉 光徳君

      瀬戸 隆一君    田中 英之君

      高鳥 修一君    津島  淳君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      永山 文雄君    橋本 英教君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      松本  純君    三ッ林裕巳君

      宮崎 謙介君    村井 英樹君

      簗  和生君    山下 貴司君

      大西 健介君    中根 康浩君

      柚木 道義君    足立 康史君

      浦野 靖人君    清水鴻一郎君

      重徳 和彦君    宮沢 隆仁君

      輿水 恵一君    桝屋 敬悟君

      三谷 英弘君    井坂 信彦君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   文部科学副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中村 昭裕君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐藤 敏信君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            今別府敏雄君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  宮川  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    蒲原 基道君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  香取 照幸君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     簗  和生君

  高橋ひなこ君     津島  淳君

  浦野 靖人君     宮沢 隆仁君

  中島 克仁君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     橋本 英教君

  簗  和生君     宮崎 謙介君

  宮沢 隆仁君     浦野 靖人君

  三谷 英弘君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 英教君     高橋ひなこ君

  宮崎 謙介君     末吉 光徳君

同日

 辞任         補欠選任

  末吉 光徳君     今野 智博君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     佐々木 紀君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     瀬戸 隆一君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     田畑 裕明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官中村昭裕君、厚生労働省医政局長原徳壽君、健康局長佐藤敏信君、医薬食品局長今別府敏雄君、職業安定局派遣・有期労働対策部長宮川晃君、社会・援護局障害保健福祉部長蒲原基道君、老健局長原勝則君、保険局長木倉敬之君、年金局長香取照幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。白須賀貴樹君。

白須賀委員 自民党の白須賀貴樹でございます。

 まず初めに、このような質問の機会を頂戴いたしまして、皆様方に心から感謝を申し上げます。

 私の好きな言葉に、袖触れ合うも多生の縁という言葉がございます。多生のタショウを誤解されている方がたくさんいらっしゃいます。多い少ないの多少ではございません。多く生きると書いての多生でございます。

 この言葉の意味は、袖触れ合う、本当に通りすがりの方でも、ぶつかった方でも、多生、つまり、未来そして過去をさかのぼれば、子孫でもそして先祖でも、さまざまな方が何かしらの関係がある、御縁がある、だから、思いやりやいたわりや、お互いさまを持ちましょうという仏教のとうとい言葉でございます。それを誤解されている方がたくさんいらっしゃる。私が好きな言葉なので、まず説明をさせていただきました。

 そして、私は、二十のときに父親が亡くなりまして、その後、二十四歳で学校法人の理事長、そして、もともと歯医者だったので、二十八歳で歯科医院の開業をいたしまして、二十九歳で社会福祉法人、そして保育園を設立させていただきました。

 私のつくった保育園は、朝の七時から夜の十時までやっております。そして、休みは十二月二十三日と一月一日の二日間だけ。三百六十三日活動しております。祝日も祭日も休日も、もちろん稼働しております。そして、一時預かりも、子育て支援も、そして病後児保育もやっております。恐らく、厚労省の方から言わせれば、今の政策においては百点満点の保育園をつくった自負があります。

 その上で、保育の政策について私は質問していきたいと思っております。

 土屋品子副大臣にお尋ねいたします。

 今後の保育の需要の見込み、そしてこれからの保育の政策について教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

土屋副大臣 専門家の先生にお答えするということで緊張しておりますが、国としての施策を説明させていただきます。

 国としては、保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識のもとに、質の高い幼児期の学校教育、保育、地域の子ども・子育て支援を総合的に推進していくことが必要であると考えております。

 その中で、保育所については、待機児童数は三年連続で減少しているものの、依然として二万人を超えており、待機児童の解消は喫緊の課題であると認識しております。

 このため、昨年四月に策定した待機児童解消加速化プランに基づき、平成二十五年、二十六年度の二年間で約二十万人分、平成二十九年度末までに、潜在的なニーズを含め、合わせて約四十万人分の保育の受け皿を確保するため、総合的な支援パッケージにより自治体の取り組みを支援しているところでございます。

 今後とも、地域のニーズに合わせて保育所等を整備していくことが必要であろうと考えております。

白須賀委員 副大臣、ありがとうございました。

 まず最初に断っておきます。私は自民党が大好きです。六年半前の参議院選挙も、消えた年金の大逆風の中で、安倍先生が最初の総理のときに、自民党の思いや政策を訴えて一生懸命頑張りました。その後、衆議院選挙でも同じように自民党の政策を訴えてまいりました。ですから、私は自民党が大好きです。でも、あえて言わせていただきます。

 今、自民党が出している政策、そして部会等で話されている政策、その中に、自民党の思いや信念や、そういったものが本当に入っていますか。

 私は、今、いろいろなところで保育のお話を先生方が話されたり、部会でも、出ていても、お話がたくさんありますが、いかに働いているお父さん、お母さんのために保育園をつくって、そして、長時間お預かりしますよ、これだけ預かりますよという政策ばかりに腐心している。

 目の前の問題ばかり、そのことだけを解決するために私たちはその政策をつくっていて、本来私たちが議論するべきであるゴール、どういう日本人に、どういう日本の家庭を私たちはつくっていきたいんだ、どういうゴールを、今の子供たちが、二十年後、三十年後、結婚されて、家族をつくられて、家庭を持たれたときに、どういう家庭を持っていただきたいんだ、そういう思いが本当に反映されていますか。

 私たち自民党には、思いが凝縮されている綱領や新綱領があります。その新綱領の高い志の日本人をという項目の中にこう書いてあるんです。私たちは、国民の一人一人が、人間としての普遍的規範を身につけ、社会の基本となる家族のきずなを大切にし、国を愛し地域を愛し、ともに支え合う、そういう社会をつくろうじゃないかという思いが、私たちの新綱領に高らかにうたわれております。

 私たちが、将来、私の子供も含めて、どんな家庭をつくってもらいたいんですか。私だったら、夜、お父さん、お母さんとお子さんがみんなで夕飯を囲んで、一家団らんをして、子供が小学校であった楽しかったこと、おもしろかったこと、苦しかったこと、つらかったことを、お父さん、お母さんに夕飯どきに、一家団らんのときにお話をして、みんなで囲んで楽しく夕飯ができる、そういうふうな家庭をつくっていきたい、将来、子供たちに残したい、そのように考えております。

 今、日本じゅうで、社会で子供を育てるという考え方がありますが、私は、日本のその考え方といわゆる北欧の考え方と、言葉が一緒でも全く違うと思います。日本の社会で子供を育てるという考え方は、どちらかというと、働いているお父さんとお母さんのために子供たちを預かりますよ、子育ては私たちが頑張りますから、お父さん、お母さん方は頑張って働いてくださいね、そのようにとられます。

 でも、北欧の方々の考え方は全く違います。どういう考え方か。それは、いかに早く子供を親元に帰すか、親がいかに早く子供のもとに帰れるか、子供と親が一緒にいられる時間をいかにつくってあげられるか、そのために、親が帰る環境をつくるために、会社や地域や社会が協力をしてバックアップをしてあげること、それが社会全体で子供を育てるという考え方だと思います。

 そして、今、先進国の多くでは、子供と親が一緒にいられる時間を保障していく、そういう考え方に変わってきております。なぜならば、子供と親が長時間一緒にいることは、そのことによって、子供の成長、発育が変わります。特に、精神面、情緒の面が全然違います。

 そしてまた、子供の問題だけではないんです。親もまだ子供なんです。親も成長過程の段階なんです。子供を育児することによって、親も一緒に大人になっていくんです。そのことは、結果的に、親が成熟してもらって大人になれば、社会の安定につながるし、将来的な見通しになる、そういう考え方で、社会で子供を育てるという考え方で、親と子供の時間をふやしてあげようじゃないか、保障しようじゃないかという考え方なんです。日本の考え方と私は全く違うと思っております。

 今、ちょっと先進国の例とかほかの国の例を出しました。私はそういうのは大嫌いなんです。ただ、考え方や理論やそういう思い、そういったものはお手本にするべきだと思います。

 でも、最近、マスコミも含めて政治家の方々、どこどこの国は無料でこれを提供しているだとか、ここは全部無償で何々をやっている、日本はどうなんだと。そんな議論は全くもって不毛ですよ。なぜならば、フィンランドという国、たまに例が出ますけれども、あの国はロシアとサウジアラビアに次ぐ第三の原油の輸出国ですよ。この国と日本を比べてもしようがない。人口規模も違う。経済規模も違う。産業構造も違う。何もかも、伝統も文化も違う中で、まねしろといっても、これは全くもってナンセンスな話です。

 私たちが本来この委員会で議論することは、この日本の伝統や文化、そして日本にはどういうものが合うんだろうと自分の頭で考えて政策を出して、そしてそれを議論して、みんなで話し合う。その政策を出すときには、やはり私たちは、高い理想のもとでゴールをしっかりとつくり、そのゴールに向けていかなきゃいけない。でも、現実がある。その現実の中で何が実行できるのか、それを話し合うのがこの委員会の場だと思います。

 他党のことで大変申しわけないですけれども、私、徳田先生が大好きですからはっきり言いますが、徳田先生が一枚大臣のパー券を買ったやら何やらで、二十分も三十分も、一時間も二時間もこの場で話すようなことじゃない。そんなことを話すことじゃなく、天下国家のことを話していただきたい、そのように切に思います。

 そこで、私は自分の政策について話させていただきます。

 育児休業、今いろいろとありますが、本当に男性の方が育児休業をそんなにとれますか。大きな企業とか、そういったところではそういうことはとれます。でも、日本の企業は九九%が中小零細企業です。

 私がやっていた歯科医院、そこのスタッフ、私も入れて五人しかいませんでした。そのうちの一人が産休とかをとられたら、マンパワーが全く足りません。一人入れるしかありません。一人入れました。でも、一年後に帰ってきます。そうすると、今度は人員過剰になってしまいます。

 ですから、中小企業の方々が、今女性の例を出してしまいましたが、特に男性の方が、今やっているプロジェクトとかそういったものを中断してまで、育児休暇を本当にとれるんですか。

 私は、先ほどから言っているように、子供たちとの時間をつくりたい。ですから、育児休暇をふやしていきたいんですが、それがなかなか難しいこの日本の風土があるならば、育児早退、今、育児短時間勤務という制度がありますけれども、この制度は非常に複雑ですし、そして、余り使い勝手がよくないというか、そんなに私はいいと思っておりません。でも、これをもっともっと拡大解釈したり拡充したりシンプルにして、使いやすいようなもの、それが私は育児早退のような考え方じゃないのかなと。

 今働かれている方、お父さん、お母さん方を、例えば八時間勤務されている方を、一時間でも二時間でも、少しでも早く子供のもとに帰してあげたい。そのために企業も協力してもらう。そして、例えば、今まで六時まで働いていた方が四時とかに帰られる。子供を迎えに行くのは五時ぐらいになる。そうすると六時ぐらいから夕飯を囲むことができる。お父さんも帰ってきている。そしてみんなで食卓を囲むことができる。

 実は、インターネット上の調査で、マイボイスコムというもの、そういうところの調査の二〇〇九年のデータがあります。これはちゃんとしたデータとは言いがたいので、この場で話すにはふさわしいかどうかわかりませんが、二〇〇九年のデータで、対象の数が多かったのでちょっと使わせていただきます。

 一万四千百九十三人の方がこのアンケートに答えておりますが、あなたは夕飯を何時ごろに食べられますか。そのデータにおいては、一番多かったのが十九時台でございました。しかし一方で、一割を超える方が二十一時以降という答えもありました。そして、そのマイボイスコムの最後の締めくくりでは、夕飯がだんだん遅くなる、晩食化の傾向が見られると書いてありました。

 皆様方がお子様のときには、何時ぐらいにお夕飯を食べられましたか。私は、自分のことで申しわけないんですが、父が歯科医師だったので、六時には家に帰ってきて、六時半にはお夕飯を食べて、九時半ぐらいには寝ていました。十時過ぎまで起きていたら、ちょっと夜更かししているなと思ってどきどきした記憶があります。

 私は、先ほど言ったように、お夕飯というのはすごく大切だと思います。一家団らんをしてもらって、そして、例えば、本当に早い時間にお父さん、お母さんが帰ってきて、一家の食事が時間が早くなりました。そして、お夕飯で、お風呂に入れて、子供さんが九時過ぎとかそこら辺に寝ました。そうなったら、その後は夫婦お二人の時間ができるわけですよ。そうすると、ひょっとしたら少子化対策になるんじゃないかな、そのようにも感じております。

 そしてまた、今子育て真っ最中のお母様方、今すごい寒いですよね。この寒い中、お風呂に子供と入っているとき、お父さんが帰ってくるのが遅い家庭、そういう家庭は、多分お母さん方は、一緒に子供とお風呂に入って、そして自分と子供がお風呂を出たときに、子供に絶対風邪を引かせないように、先に体を拭いて、頭も乾かしてあげて、下着を着させて、そして寝巻きを着させて、暖かい格好をしたときには、自分がもう完全に冷え切っているんですよ。そういうお母さんはたくさんいらっしゃると思います。

 でも、二時間早くお父さんが帰ってきてくれれば、ひょっとしたら、お父さんと子供がお風呂に入っている間にお母さんは食器の片づけをして、子供が出たらお母さんが体を拭いて暖かくしてあげて、そして、自分が御褒美としてお風呂にゆっくりつかって、二十分間ぐらい入ってもらう。これだけでも、育児ノイローゼとか、仕事の疲れとか、家事の疲れはとれるんですよ。

 ですから、私は何を言いたいか。日本人のライフ・ワーク・バランスをしっかりと改善しないと、少子化というもの、そして子供たちの幸せ、そういったものは解決しないんじゃないか。長々と駄弁を申しましたが、長時間預かっている保育園をやっている私が言っているんです。親元で子供を育てるのが子供にとって一番幸せですし、私はそうあっていただきたい。

 そして、大変生意気でございますが、先ほど言ったように、政治家たるものは、私の荒唐無稽のような話かもしれませんが、何かそういった政策を私みたいな者が出しました、でも間違っているところはたくさんあります、そういったところを、官僚の方々に軌道修正してもらったり、直していったり、自分の思いを政策にしていくことが政治家の使命だと思っております。

 そして、先ほど言っていた育児早退の中で言い忘れちゃったんですけれども、私は、経営者の方々、私も経営者ですけれども、経営者の方が、これ使いたいな、これいいよねと思うような制度じゃないと普及しないと思います。雇用主の方が、これ使ってもいいよね、この政策だったらいいよね、そう思わないと普及しないんじゃないかな。

 例えば、本当にこれは例え話で申しわけないんです。今回の育児早退で帰られる方のお給料は、満額会社からは出してもらいたいんです。そのかわり、八時間働いているうちの六時間で、二時間早退した分の、例えば、一時間千二百円掛ける二時間掛ける二十日間とかのお金、これを企業に直接振り込んでもらいたいんですね。

 私が経営者だったらどう思うか。私だったら、八時間の仕事を六時間にしました、でも、内容を何とか、コストを下げるという言い方は変ですけれども、時間のコストを下げて、もっと密にして、六時間の労働の中で八時間分の仕事、一〇〇%に近い仕事をしてもらいたいと思って、いかに、効率化をすることに腐心します、二時間減った分は国から支給されるわけですから。そして、どうしても人が足りなかったら、パートさんを入れればいいわけですから。

 そのかわり、企業には、早く帰らせて、言い方は悪いですけれども、早く帰った御両親がパチンコとかに行かれては困りますから、保育園とかと密に連絡をとって、何時にお子さんを迎えに来たか、そういったものを確実に把握させる。

 無理やりでもいいですから、国の制度として、子供と親のいる時間を一生懸命つくってあげるという私たちの思いが、子供たちと親が一緒にいてもらいたい、だからこういう制度をするんだ、そういうふうな政策を私はつくっていきたいと思っておりますので、大変生意気ですけれども、このような政策を話させていただきました。

 次の質問に移ります。

 医療費の推移についてでございますが、これからの医療費の推移について、二〇二五年までと、そしてまた、その後の医療費の推測について御質問させていただきます。誰でも結構なので、よろしくお願いいたします。

木倉政府参考人 お答えを申し上げます。

 国民医療費の推移でございますが、現状では、二〇一二年、平成二十四年度の実績見込みとして、三十九・二兆円というところに達しております。将来につきましては、社会保障・税一体改革の中の推計では、二〇二五年、団塊の世代の方々が七十五歳を超えられる、そういうときを目指しての医療提供体制等の改革を行うということで、それを目標としての推計をしておりますが、最近の医療費の伸び等を踏まえますと、二〇二五年、平成三十七年度では、六十一・八兆円という規模が見込まれているところでございます。

 それ以降の長期的な見通しにつきましては、医療や介護サービスとの連携の仕方、あるいはその提供体制をどう見直していくかというふうなこと、医療技術がどういうふうに伸びていくか、いろいろな要素が絡んできますので、なかなか今の伸びをそのまま使うということはできませんので、それ以降の伸びについてはなかなか困難があるというふうに思っております。

 ただ、先生御指摘のように、これから高齢化が確実に進展をしていくということ、医療の高度化も進んでいくということでございますので、持続可能な皆保険制度、これを守っていくためには、その保険給付の対象となる療養の範囲の適正化であるとか、あるいは提供体制をもっと効率的にしていくこと、それから、やはり予防とか健康管理ということでしっかりと健康をつくっていただいて、医療の必要がないような状況をつくっていくこと、こういうことをあわせて進めていく必要があると思って取り組んでおります。

 特に、医療提供体制につきましては、団塊の世代が後期高齢者を迎える二〇二五年を目指しまして、病床の機能分化、連携、それから、在宅医療をしっかり支えていくというふうなこと、地域包括ケアシステムの構築ということをやっておりますが、しっかりと地域全体を支えていく仕組みをつくっていきたいというふうに考えておるところでございます。

白須賀委員 ありがとうございました。

 結果的に、今のお話で、これから医療費はますますかかるというお話でございます。

 先ほどの徳田先生の件はちょっと悪意を持ってわざと言わせてもらいましたが、今度は全く悪意はありませんので、お許しください。

 平成二十三年の民主党政権のときの予算案のことをちょっと思い出してもらいたいんですけれども、予算の歳出総額が九十二兆四千百十六億円でございました。所得税とか消費税とかさまざまな税金、租税も含めて全部集めたもの、酒税、たばこ税も全部集めたものの総額が四十兆九千二百七十億円でございました。そのうち、社会保障に使ったお金が二十八兆七千七十九億円でございました。

 簡単な数字にかえますが、約四十一兆円の収入があったうちの二十九兆円が社会保障に使われておりました。でも、我が国は、社会保障だけで成り立っているわけではなくて、公務員の方々のお給料や自衛隊の装備とかダムや道路、さまざまなものをつくったり使うために九十二兆の予算を組んでおります。

 この場にいる先生方に、皆さんに尋ねたいんですけれども、この先、二〇二五年、団塊の世代の方々が皆さん七十五歳以上になって、このままの制度で本当に財源がもつんですか。この国が社会保障をこのまま続けて、本当にこれが実現可能なんですか。

 私は大変生意気です。本当に生意気なことを言います。自分自身も歯医者でございますから医療人の一人でございますけれども、もうそろそろ社会保障に関して、きれいごとではなくて本音の議論をするべきだと思っております。

 私は、このままでいくと、社会保障でこの国は沈没してしまうと思っておりますし、そして、本当に、これはお医者さんの裁量権に踏み込むかもしれませんが、我が国日本が責任を負うべき治療の範囲とそうでない範囲、しっかりともう区別する時代が来たんじゃないでしょうか。それを、さまざまなきれいごととか、選挙とかそういったことを含めて、余り支給の話ばかりするのは私はよくないと思います。

 そして、先ほどはちょっと悪意を持って言ってしまいましたが、この社会保障の議論ができるパートナーは、私は民主党さんだと思っております。それは、なぜならば、一度政権を担って、予算をつくられて、この国のことがわかっている一番の野党じゃないですか。その方々と建設的な意見をしっかりとしていくことが、本当にこの国の社会保障を考えることじゃないんですか。(発言する者あり)ありがとうございます。

 ですから、私は、本当に生意気なことばかり言って申しわけないんですけれども、この国の社会保障を考える上で、もうじき本音の議論をするべきだと思います。余り、先ほど言ったように、市民目線とかそういったきれいごとばかりの話をしたら、本当にこの国が社会保障で沈没してしまうと私は一番危惧しておりますので、どうか、与野党を超えて、一緒になって、社会保障について建設的な御意見、御議論を心からお願い申し上げます。

 時間前でございますが、言いたいことは全部言ったので、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、このような質問の機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。

 また、先日の大雪、まだまだ被害、被災者の皆様も非常に苦しんでいる状況でございます。私も現地を見せていただきまして、せっかく軌道に乗ってきた、それが突然の雪で、何でこんなになってしまったんだ、現場の皆様の思いを一緒に感じながら、何とかこういったものを未然に防げれば、そんな思いに駆られているところでございます。

 まずはとにかく、亡くなられた方にお悔やみを申し上げるとともに、被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 そして、この被災の状況を見たときに、今も話がありましたが、社会保障、これも本当にしっかり手を打っておかないと、二〇二五年、団塊の世代の方が七十五歳以上の高齢者になられたときのその医療と介護の需要、また、それをどうやってしっかりと支えていくのか。そのときになって、どうしようもない、そのようなことになってしまってはいけない、そのような思いに私も駆られているところでございます。

 当初、一九八〇年、昔は社会保障の給付総額二十五兆円、そんなレベルだったんですけれども、二〇一〇年には百兆円を超え、二〇二五年は何と百五十兆円、そういった推計がなされていると聞いているところでございます。

 そのような中、この日本の社会を見てみますと、少子化、これも今なかなか食いとめることができない。そして雇用環境と経済の成長、かつては九%台の成長だった、今は一%を切るような状況の中で、なかなか成長が、新しい産業、新しいものをいかに生み出すか、大変苦しんでいる状況。そして雇用の状況も、非正規の社員が非常にふえている、そのような中にあります。

 また、家族のあり方も、昔は親子が一緒に住んでいた、今は核家族化で、高齢者単独またはのみ世帯、そういった方がふえている中で、いかにこの社会保障をもう一回根底から考え方を変えてしっかり立て直すのか、非常に大事なところに来ていると私は感じております。

 田村大臣も、医療、介護については、今後、できる限り住みなれた地域で継続的に生活ができるよう、効率的で質の高い医療の提供、そして地域包括ケアシステム、そういったものを先日所信で表明されました。

 まさにこのことを具体的に進めていく、特に地域包括ケアシステム、言葉はあるんですけれども、実際、地域で、本当にどうやって住みなれた地域で医療、介護、そして生活支援が整うのか。

 今は、どちらかというと施設に偏っている。そのような現状の中で、やはり地域の皆様と支え合うと同時に、自分自身がいかに意識をしながら、自分も地域の担い手、支え手となっていくか。そして、地域でどうやって協力をしながら、みんなで、この地域で、住みなれたところで医療と介護が受けられる環境をつくっていくのか、そういった意識を持って取り組むことが非常に重要であると私も感じているところでございます。

 そのような中、本当に先ほど、抜本的な医療の改革、また、いろいろな形での新しい仕組みをつくらなければいけないというお話がありましたけれども、まさに私もそのとおりだと思います。

 そして、そのために必要なことは、やはり、この国会の場で私たちが議論するだけではなく、住民、国民の皆さんがその危機意識を共有していく、そして、自分たちの将来のために、今みんなで何を考えて、どういったことが必要なのかを一緒になって考えながら、このことが政争の具になるようなことがないように、みんなでこの大切さをわかっていく、そういった意識の醸成が必要だと思います。

 まず、この点について、大臣の考えをお聞かせ願えますでしょうか。

田村国務大臣 委員おっしゃられた後段の部分は、政権交代が行われても社会保障は政争の具になってはならないと。これはもちろん、我々も自公政権のときに申し上げてきたわけでありますけれども、その後、政権交代して民主党政権になったときも、民主党も同じような思いの中で、とにかく、社会保障というものを、これは共通の財源であります消費税ともあわせてでありましたけれども、三党で議論をし、一定の合意点を見つけて、法律をつくっていったわけでございます。私は大きな一歩であったと思いますし、その後の社会保障制度国民会議、これの議論において報告書が出て、その後、プログラム法、そして、それぞれの個別法を今国会に出させていただくわけであります。

 そういう点からいたしますと、もともと、社会保障制度改革国民会議のメンバーは民主党政権の中においてお決めになられた、そういう委員の先生方のメンバーでありますから、やはり今もなお一定の共通点、意識を民主党も公明党も自民党も持っているというふうに私は思っておりますので、この国会の議論の中において、いろいろな問題点はあるかもわかりませんが、そこは乗り越えて、一定の成果というものが出せればいいのではないかと思います。

 あわせて、地域住民、皆さん、六割以上の方々が、やはり住みなれたところで一生を全うされたい、こういう思いが強いわけであります。そこには、もちろん自助というものも大事であります。健康づくり推進本部というものを厚生労働省につくって、今、二〇二五年のお話が出ました、医療、介護の給付費、このうちの五兆円ぐらい、予防だ、健康管理だというところで何とかできないかというような計画を我々も今つくっております。

 まず、そういう意味では、みずからが健康管理、予防していただく、重症化を防いでいただく、こういうことも大事であります。そのためには、事業主も保険者も、それから地方自治体も、いろいろな知恵を出していかなきゃなりません。

 あわせて、地域住民も、自助、共助、公助だけじゃなくて、互助という考え方のもとで、ボランティアや地域住民の方々が協力して、いろいろな健康づくり、またコミュニティーの形成、こういうものをしていく必要があるのではないかというふうに考えておりまして、そのような精神のもとで、これから地域づくり、そして社会保障の持続可能性、こういうものをしっかりと進めてまいる必要があろう、このように考えております。

輿水委員 ありがとうございます。そして、私、地域住民、そのことが本当に大事だと思います。

 その上で、一つ提案というか、これはまさに国民全員が意識をして、これから自分たちの問題として取り組まなければいけないということであるならば、しっかりとした教育という形で、この一つ一つの、医療費の問題、健康づくりの問題、また年金、介護、そして子育て、こういったものがどういうふうに国民生活に影響を与えて、私たちがどんなところで役割を果たしていかなければいけないのかを全員に教育していく、そして、その意識レベルを高めていくような取り組みもしっかりと進めていくことがそのことにつながるのかなと思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

田村国務大臣 およそ日本国民の方であられれば、また日本に住んでおられる方であられれば、いろいろな形で社会保障の恩恵はお受けをいただいているんだというふうに思います。それは、みんなで支え合っておる社会保障でありますから、逆に言えば、それを受ける権利もあるわけであります。

 そのような意味からいたしますと、それぞれ自分が受けているサービス自体、それはある程度わかっていただいておるんでしょうけれども、全体像はなかなかわからない。しかも、それにかかっている費用というものがどれぐらいかかっているのか、コスト面がなかなか御理解いただけないという部分もあろうと思います。

 どのような形でそういうものを広報していくか、これはなかなか難しいわけでありますが、いろいろな知恵を絞りながら、社会保障の全体像、それは受益と負担に関しましてもわかりやすい、そのような広報の仕方をこれからも我々考えてまいりたいと思います。

 教育という意味からいたしますと、学校教育にこういうものがどのような形で反映できるか、これは文科省の所管でございますから、なかなか所管外の我々厚生労働省が物を言いづらい部分もありますけれども、文科省ともそういう部分も協力できていければというふうにも思っております。

輿水委員 ありがとうございます。

 本当に国民全体でこのことを考えながら、二〇二五年以降をしっかりと乗り越えられるようなそういった社会保障制度改革、ともどもに私も全力を尽くしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そのような中で、二〇二五年を目指して、制度改革とかそういったものは紙に書くことはある程度できるかもしれませんけれども、やはり人材というのはそう簡単にできるものではないというふうに思うわけでございます。

 そこで、二〇二五年、やはり医療と介護、また地域の人材、そういった需要に対して、どのような形でその人材の確保を進めていこうとしているのか、現在の考えについてお聞かせ願えますでしょうか。

赤石大臣政務官 厚生労働大臣政務官の赤石でございます。初めまして。

 私も、埼玉県の川越に住んでおりまして、このたびの雪害は大変大きな被害でありまして、特に、農家の被害といいますか、ビニールハウスですね、非常に大きな被害だったなと改めてお見舞い申し上げたいと思っております。

 その上で、今、地域包括ケアシステムも含めて、これからの医療の人材をどのように確保していくかという御質問だったと思います。

 まず、この地域包括ケアシステムの構築に当たりましては、医療と介護の人材確保は重要な課題であるというふうに我々も認識しております。

 まず、医師の確保の対策としましては、平成二十年度から、文部科学省と連携して、医学部入学定員の増員をしているところであります。地域枠の医学生に対する修学資金の貸与、並びに、地域の医師不足病院の医師確保の支援を行う地域医療支援センターの設置などの対策を推進しておりますが、いまだそれは地域に届いていない。まだ、この人たちが卒業して現場にかかるまでは、あと三年から四年かかるだろうと思います。その間、どのような対策をするかということも大事だと思っておりまして、何とかその偏在対策についてはもう少し前向きに検討していきたいというふうに思っております。

 それに加えまして、二十六年度の診療報酬改定におきまして、予防や健康管理等も行う主治医機能を新たに評価するほか、医療界を中心として、高齢化社会に対応した、総合的な診療能力を有する総合診療専門医を含む専門医の認定の仕組みの構築が進められております。

 また、看護職員の確保については、病院内保育所への支援や勤務環境改善などの定着促進、都道府県のナースセンターによる再就業支援、看護師等養成所の運営費補助などの養成促進などの対策を推進しているところでございます。

 さらに、介護人材の確保については、福祉人材センターやハローワークによるきめ細かいマッチングの強化、そして介護のイメージアップ等による参入促進、並びに、キャリアパスの確立や事業主のキャリアアップ支援による資質の向上、介護職員の処遇改善や労働条件などの環境改善等を一体的に行っていくことが重要と考えております。

 また、地域包括ケアにおいては、地域での支え合いも大きな役割を持つと思っております。

 具体的には、ひとり暮らし高齢者等が増加する中、地域での日常生活を継続するため、高齢者の多様なニーズに対応した、住民互助の取り組み等による見守りや買い物等の生活支援を充実させていく必要があると考えております。

 このため、市町村が中心となって、担い手となるボランティアの養成等を行っていくことが求められております。このため、コーディネーターの配置等を推進し、市町村の取り組みを支援していきたいというふうに思っております。

 また、医療、介護を取り巻くニーズの変化も踏まえつつ、事業主や自治体と十分連携しながら、あらゆる政策を総動員して、人材の確保、地域の支え合いの充実を進めていきたい、このように思っております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに地域包括ケアの一つの目標として、医療と介護をしっかりとつなげていく。そんな中で、今、総合診療専門医、そういった育成というか、そういったものも挙げていただきました。

 私も地域の医療で頑張っている先生に先日お会いしたときに、自分も医者だったけれども、患者、病気を治す、目の前の人を患者として見ていた、ところが、病気が治って地元に帰った後、またぶり返してくるとか重くなっていったとか、そういった現象を見たときに、自分自身が、患者として見るんじゃなくて生活者として、帰った後までどうしていけばいいのかを見てあげることが本当に患者さんのためになるそういった医療ではないのか、そんな視点の中で、地域でそういった取り組みをされたお医者さんに先日お話を聞いたんです。

 まさに総合診療専門医、病気だけを治すのではなくて、その後、地域での生活、また病気を再発しないようにするための取り組み、そういったものをどう介護や看護と、また地域の支援と連携をとりながら進めるか、そういった人材の育成というのはまさに大事だと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、別な地域では、本当に感動しました。地域の互助の取り組みで、地域の住民同士でタウンページをつくっていました。どこどこの誰々さんは電球の取りかえができる、どこの誰々さんはごみ捨てができる、どこどこの誰々さんは送り迎えができますよと地域の住民同士のタウンページがありまして、中には囲碁の相手ができますとか、そうやってタウンページで呼べば地域の人が飛んできて、そこでお互いに電球を交換していただいたり、囲碁の相手をしていただいたり、そうやって地域がまとまっておりました。

 しかし、ここで大事なことは、コーディネーターの方がいたんです。その方の周りの人に聞いたら、私も誰々さんがいなかったら、自分もこんなことができたんだけれどもなかなか、この人がいたからこうやってまとまってできるようになったんだ、自分も退職して何をしたらいいかわからなかったんだけれどもと。そんな方が、このコーディネーターがいるだけで、こんな地域のタウンページができてしまう。こういった中で、このコーディネーターの育成も大変に重要だなと思いますので、積極的に進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、認知症の予防対策の推進について伺いたいと思います。

 認知症の方も急激にふえておりまして、二〇一〇年二百八十万人、そして二〇一五年三百四十五万人、二〇二五年は何と四百七十万人、そういった推計が出ております。認知症、その方だけではなく、家族の方もまたさまざまな支援が本当に大事になってくる。この推計をもとにその体制を整えるというよりも、認知症の方をどれだけふやさないでいくのか、こういった取り組みがやはり社会保障にとって大事な取り組みだと思っております。

 そういった意味で、認知症、このように推計は出ているものの、やはり何としてもこれを抑えていく、この取り組みについて、現在の状況と考え方についてお聞かせ願えますでしょうか。

原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。

 議員御指摘のとおり、高齢化の進展に伴いまして、今後、認知症の高齢者がどんどんとふえてまいります。

 こういう中で、私どもとしては、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住みなれた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会にしていくことが大変重要であると考えておりまして、一昨年の九月に認知症施策推進五カ年計画を策定いたしまして、今年度よりその着実な実施に努めているところでございます。

 このうち、認知症の予防施策といたしましては、適切な運動や栄養、社会交流や趣味活動などの日常生活での取り組みにより認知機能低下の予防につながる可能性が高いことから、その内容を盛り込んだ介護予防マニュアルというものを作成いたしまして、全市町村にお配りをしております。

 実際、全国の地方自治体におきましては、住民主体の運営によるサロンや体操教室といったような開催に積極的に取り組んでいるところが数多くございます。

 例えば北関東で例を申し上げますと、茨城県が、六十歳以上の住民ボランティアであるシルバーリハビリ体操指導士というものを養成いたしまして、この方たちが地域の公民館等で高齢者を対象とした体操教室を県内各地で立ち上げ、成果を上げているといったような事例もございます。

 また、発症予防というよりも、これは重度化予防という観点でございますけれども、認知症行動、心理症状の悪化を防ぐために、認知症の人や家族に早期にかかわり、アセスメントなどの初期の支援を包括的、集中的に行い、医療・介護サービスにつなげる認知症初期集中支援チームの設置といったようなことも今進めているところでございます。

輿水委員 ありがとうございます。

 私も茨城のシルバーリハビリ体操を見せていただきまして、あれがすばらしいのは、体操を教わった方が、あなたも人に教える、教えることによって自分がさらに元気になっていくという、運動論としてそういった対策を、ただやっただけでなくて、その人がさらに周りに伝えていくということで非常に大きな効果が出ているな、こんな取り組みをまさに進めていただければというふうに考えているところでございます。

 そういった意味で、地域の現場のお話で、地域でも何とか認知症予防のために、地域に住んでいる高齢者の方をサロンに連れてきたり、いろいろな地域の行事、また民生委員さんが回りながら声かけをしていこう、そんな取り組みも一生懸命やっているんですけれども、やはり、どうしてもそういった取り組みに出てこられない方、あるいはそこに接してこない方がいらっしゃいます。

 そういう方が、特に認知症、あるとき突然行ったら、何かそういった非常に重い状態になっていたというケースを、よく地元の介護の方からお話を伺うんですけれども、そういったときに、本当にその方は悲しくなると。自分たちが手が出せない、でも重くなったときにこうなってしまった、それで何ができるのかというときに、やはり家族、家族の方が電話をしたり、家族の方が接触してもらうことによってその予防はもっと進むのではないか、そんな御意見をいただきました。

 ということは、私たち、認知症、地域だけではなくて、家族の皆さんも、自分にとっても、自分の親が急に重い状態になってしまったときにはショックを受けると思います。また、何か変な状況が出たときに、それを冷静に受けとめて丁寧に対応することによって、認知症の進行も防ぐことができる。

 そういった意味では、認知症に対して、やはり先ほど言ったように、日本国民全体がそのことを意識しながら、こういう行動が出たら、ああいうところが出たら丁寧に対応しましょう、あるいは、ひとり暮らしのお父さんお母さんには定期的に連絡をとりながらみんなで守り合っていこうじゃないか、先ほどのシルバーリハビリではないですけれども、そんな運動論として展開することが効果が出るのかなと思うんですけれども、その辺についての見解をお聞かせ願えますでしょうか。

原(勝)政府参考人 御指摘のとおり、国民お一人お一人が認知症に関する正しい知識と理解を持ち、個々人が求められる行動、役割を認識することが大変重要だと考えております。

 このため、認知症の方やその家族が地域の人や専門家と相互に情報を共有する、認知症カフェと呼んでいますけれども、こういったものを地域の中でふやしていく、あるいは、認知症に関する正しい知識と理解を持ち、地域や職域、企業で認知症の方やその家族に対してできる範囲で手助けをする認知症サポーター養成といったものにこれまで取り組んできております。

 こうしたことの取り組みによりまして、日常生活における認知症の方の自立、家族の対応力の向上や、地域、職域での互助の活動を促していきたいと考えているところでございます。

 また、社会全体で認知症の方を支える取り組みを展開するという観点から、これは教育を所管しておられる文部科学省を含めまして、十一府省庁から成る関係省庁の連絡会議を今設置しているところでございまして、今後とも、関係省庁と十分連携を図りながら、認知症施策の総合的な推進に努力をしていきたいと考えております。

輿水委員 ありがとうございます。

 ぜひ、そういった総合的な会議の中で、認知症、また、うつ病もそういった部分では認知的な行動療法等が非常に大事になってくるということで、総合的にこういった問題についてみんなが知識を持って丁寧に対応できる、そんな社会を築いていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、最近、急にふえているのが糖尿病でございます。

 私たちも、メタボ健診を受けて、数値が上がって、何かしなきゃいけないと思いつつまた一年がたって、また同じ結果が出てくるというような状況の中で、やはり何か、この社会の生活している中でそれを防げるような環境づくりというものもしっかりしていかなければいけないのかなというふうに感じています。

 そういった意味で、例えば外食産業あるいはお弁当、そういったものが、メタボを改善する、非常に健康にいい、良質なものを何か提供していく、また、良質なものをしっかり表示しながら、そういったものを選択できる、そういった社会を開きながら、いろいろな病気、現象に対して、現場、生活の中でしっかりアクセスできるような、改善に向けての取り組みができるような環境づくりもまさに必要かと思うんですけれども、その辺の取り組みについての見解をお聞かせ願えますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま御質問にございましたように、例えば糖尿病一つとりましても、現在、約九百五十万人ぐらいいらっしゃって、これが十年後ぐらいには千四百十万人ぐらいまで増加するだろう、こう想像されておりまして、こういった方については、有病者数についても一千万人ぐらいに抑制するよう努力をしているところでございます。

 具体的には、今御質問の中にありましたような、メタボリックシンドロームに着目をしました特定健診、さらに、その結果に基づきます保健指導などを実施しているところでございます。

 また、これも御質問の中にございましたけれども、単純に、こういう健診とかその後の保健指導だけではなくて、日本人の長寿を支える健康な食事のあり方というのも重要だということを考えておりまして、現在、検討会を設置して、健康な食事の基準の策定に向けて検討を進めているところでございます。

 こうして策定しました基準を満たす商品への認証制度などを導入したりしまして、コンビニとかあるいは宅配業者などとも連携をした普及の促進を図ることとしております。

 いずれにしましても、国民の健康の増進のため、糖尿病に代表されるような、メタボリックシンドロームあるいは生活習慣病と呼ばれるものの対策について、環境の整備とともども努力してまいりたいと考えております。

輿水委員 ありがとうございます。

 まさに、食というのは人を良くするということで、その食を、本当に体にいい、健康にいいものが日常生活の中で取り入れられるような環境づくり、また、そのための基準を明確にしていただく取り組みを進められているということで、これを早急に社会の中で実現していただければと思います。よろしくお願いいたします。

 ちょっと時間もあれなので、最後の質問にさせていただきたいと思います。

 発達障害児の皆さんへの一貫した支援体制の整備、仕事と治療や介護の両立の支援については、またの機会で質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 最後に、難病の患者さんの問題について質問させていただきます。

 今回、今国会で難病に対しての大きな前進があります。私たち公明党も、患者団体の皆様からさまざま御意見をいただき、まさにこの法案の成立をしっかりやってほしい、そんな要望をいただきながら、今、全力を尽くしているところでございます。

 そのような中で、一点、気になることがありますので、確認をさせていただきます。

 難病の方というのは、目に来たり内臓に来たり、または皮膚とか、いろいろな症状が出てきます。そうすることによって、地域に住んでいる方は、いろいろな診療機関にかかりながらその症状を抑えることも必要なのかなという状況の中で、ある都道府県なんかは、その地域の細かい病院に行くんじゃなくて、総合病院に行ってまとめてやってくださいみたいな、そういった限定をしているような動きもあるというふうに聞いているんです。

 まさに、難病の方は、その状況に合った形でのそういった診療も受けられることが必要なのかなと考えていますが、今までそれはどのような状況になっているのか、また、今後、法案が変わった中で、そういった複数の医療機関の診療についてどのような対応がなされるのかについてお聞かせ願えますでしょうか。

田村国務大臣 今委員おっしゃられた特定疾患治療研究事業、いわゆる難病の皆様方の医療費助成の事業でありますが、基本的には、そのような事業をやっていただける医療機関、これは適切に都道府県が決めていっているわけであります。

 でありますから、本来は適切であるはずでありますが、一方で、今言われたみたいに、患者の方々が、どうも対象医療機関が限られている、つまり使いづらいというような、そういう御意見があることも承知をいたしております。そういう声に対しては、しっかりと都道府県に我々としても助言をしてまいりたい、このように思っております。

 今般の新しい制度では、そういうような御意見も踏まえて、そのようなことが起こらないように、しっかりと仕組みの方も検討をさせていただきたいというふうに考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 難病の方、本当に、毎日の生活のことでございますので、そういった皆さんが安心してかかれる環境づくりをぜひよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わらせていただきます。大変にありがとうございました。

後藤委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。おはようございます。

 田村大臣、二月はインフルエンザにかかられて大変だったということですけれども、今国会も重要法案がメジロ押しですので、くれぐれも体調管理にお気をつけになって、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 また、質問に入る前に、あの記録的な豪雪から一週間がたちました。交通網の麻痺等で、例えば、病院なんかも休診をせざるを得ないところが出ている、あるいは透析患者をヘリで搬送するというような事例も出ているというふうに聞いております。赤石政務官からも先ほど言及がありましたけれども、厚生労働省におかれても、この豪雪被害について、しっかりと情報を把握して、適切な対応をお願いしておきたいというふうに思います。

 それでは、質問に入ってまいりたいと思います。

 まず、予算委員会でも取り上げられました、佐村河内氏の聴覚障害、これがおかしいのではないかという問題について御質問をさせていただきたいと思います。

 田村大臣は、この問題に関しまして、身体障害者手帳や障害年金の返納、それから聴覚障害の認定制度のあり方の見直しということについて、もう既に記者会見の場であったりとか国会答弁の場で触れられております。

 身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づいて交付されます。申請者は市町村の窓口に医師の診断書などを提出して、都道府県や政令市や中核市が書類審査をした上で等級を決める。聴力の診断については、各自治体の指定医が行って診断書を書くことになっていますけれども、一般的には、防音室でヘッドホンをつけて七種類の高さの音を聞いてもらって聴力レベルを調べるという、標準純音聴力検査という方式が用いられることが多いようであります。

 書類審査の結果、例えば佐村河内氏のように聴覚障害二級というふうに認定をされますと、手帳が交付されて、住民税や所得税の控除、あるいは医療費の助成、交通機関の割引、NHK受信料の減免などを受けることができるということであります。なお、一旦手帳を取得すると、更新等の手続というのはないというふうに聞いております。

 一方で、手帳を不正取得すると、これは当然のことながら、六カ月以下の懲役、二十万円以下の罰金を科せられることになっていますけれども、過去には、北海道で八百人を超える不正取得という事件がありました。

 そこで、私も、この問題について、厚生労働省に、それでは過去五年間にこの障害者手帳が返納された、それは不正取得による場合もあるでしょうし、あるいは治療などによって症状が回復した、そういう理由も含めて、あるいは、その端緒になったのが自己申告によるものなのか第三者の告発によるものなのか、そういった過去の事例というのがどうなっているのか教えてくださいということでお願いをしました。

 そうしますと、厚労省から返ってきた答えは、手帳の交付というのは自治事務なので、この返納がどれぐらいあったかとか再認定の状況とか、そういうのは厚労省としては把握していないというお答えだったんですね。

 ただ、私は、それはちょっと問題じゃないかと。つまり、それは何でかというと、今回の佐村河内氏の事件というのが、これは特殊な事案なのかどうなのか、それとも、今の制度に立ってやっていった場合には、性善説に立った現行制度の場合には、仕方がないけれども、どうしてもそういう不正取得が起きてしまうのかどうなのかというのは、やはり、過去どうなっているのかというのがわからないと判断しようがないと思うんですね。

 というのは、例えば、先ほど申し上げたように、過去八百名を超える不正取得があった、では、そのときになぜ認定制度を見直ししなかったのか。これは多分、推測ですけれども、特定の医師が不正を働いた、そういう特殊な事案だからそのときは見送ったんだというふうに思いますけれども、そうなのかどうなのかということを判断するためにも、大臣は予算委員会において、聴覚障害認定のあり方を見直すと既に答弁をされているわけですけれども、その前に、まず、都道府県や政令市、中核市に、この身体障害者手帳交付制度の運用状況についてよくお聞き取りをされることがいいのではないかというふうに思いますが、この点いかがでしょうか。

田村国務大臣 まず、今般の豪雪被害に関しましては、本当に心からお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた皆様方には御冥福をお祈り申し上げる次第であります。

 引き続き、まだこれから、なければいいわけでありますけれども、暖かくなってくれば雪崩というおそれもありますし、まだまだ雪が降る可能性もございます。その折には適切に厚生労働省として対応してまいりたい、このように考えております。

 今の聴覚障害のお話でございますが、予算委員会でも私、お話をさせていただきました。今般あるこの問題に関して、事実関係がわかることが前提でありますけれども、どのような対応をするか、しっかりと検討をしていきたいというふうに思っております。

 今の現状の方法と、それからもう少し詳しい方法、聴性脳幹反応検査という方法でありますが、ABRと言われておりますけれども、これと、実は、より詳しい検査をするそういう機械を置いているところは限られておるわけでありまして、あわせて、これを使う費用というものも結構、平均すると一万円弱ぐらい費用がかかる。これは御本人の負担になりますから。そういう問題もあるわけでありますけれども、しかし、そこも含めて検討をしていただければありがたいなというふうに思っております。

 あわせて、実態把握をしなきゃならぬじゃないかというような委員からのお話がございました。

 確かに、これは自治事務でございますので、今までは、交付数はこちらの方も把握しておるんですが、返納された場合、その理由等々に関して我々は把握していなかったわけでありまして、今般このような事案が起こったものでありますから、各自治体に調査をしてくださいということでお願いをさせていただきました。この返答が返ってくれば、このデータをしっかりと把握いたしまして、どのような状況なのかということを我々としてもしっかり認識してまいりたい、このように考えております。

大西(健)委員 ぜひ実態把握をしていただいて、適切な対応をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 私、昨年の三月十五日、本委員会での同じく所信に対する質疑の場で、厚生労働省が関係する団体から田村大臣が受けられている政治献金の問題について取り上げさせていただきました。

 きょうは皆さんのお手元にそのときの会議録をお配りさせていただいているんですけれども、私が、医療関係の団体からだけで三年間で約一千二百万円の政治献金を受けられていることを指摘させていただいたときに、大臣はこのように答弁をしていただいています。線を引いておきましたけれども、「大臣のときは、さすがにそうはいっても、これをいただくということは私も適当ではないなと思っておりますので、大臣のときには、いただくつもりはございません。」というふうにお答えになっています。

 私は、本当にこれは立派な答弁だなということで感心をしましたし、ぜひそういう方向でやっていただければなというふうに思っておりました。

 ところが、公開された、大臣の関係の平成二十四年分の収支報告書というのを見せていただきました。お手元に、資金管理団体憲政会、政治団体田村憲久君を応援する会、自由民主党三重県第四選挙区支部の収支報告書から、厚生労働行政に関係すると思われる団体、これ以外の団体からも当然いろいろな献金とかを受けられているわけですけれども、それだけを抜き書きして、私の方で整理をしてみました。

 憲政会には、医師連盟等から合計五百八十万円、田村憲久君を応援する会には、同じく医師連盟等が合計百万円、そして自由民主党三重県第四選挙区支部には、日本薬剤師連盟、日本精神科病院政治連盟、整形外科医政協議会等から合計一千五百十五万円の献金を受けています。全て合わせると一年間で二千万円を超えているということであります。

 これを見ると、一年前に私も見せていただきましたけれども、そのときと比べて、関係団体からの献金というのはむしろ大幅にふえている。もちろん、平成二十五年分というのはまだ、ことしの秋にならなければ公開されませんので、その中身はわかりませんけれども、私は、大臣が一年前私に答弁をしていただいたこのお約束を守っていただいているものと信じておりますけれども、この点はいかがなんでしょうか。

田村国務大臣 この資料は大臣になる前の話でございますので、二十四年分の報告が去年の秋に出たということでございます。政治資金規正法にのっとって適切に対応しております。

 大臣になってからはどうだという話でありますが、かかわっているというと、実は、厚生労働行政というのは全ての企業にかかわっておりまして、社会保険料は国民の皆さん全員払っておりますから。そういう意味では、いわゆる業界という言い方をさせていただきます、関連している団体。ここに書かれておりますような医療関係団体でありますとか、また労働関係団体、こういうところからは一切もらっていないという報告を事務所の方からいただいております。

大西(健)委員 私は、こう答弁していただいて、本当に立派な答弁だと思いますので、それをぜひ守っていただきたいと思っているんです。

 なぜこんなことを言うかというと、これがどうでもいい問題かどうかは、私は国民の皆さんに判断してもらえばいいというふうに思っています。また、私は、今おっしゃったように、団体から適法に献金を受けること自体、それは悪いことではありませんし、私を含めて、ここにいる委員の皆さんもいろいろな関係の団体とのおつき合いがあるというふうに思います。

 ただ、先ほども言いましたように、厚生労働行政の責任者である大臣、権限もあるわけです。そういう方が、もしこういう多くの関係団体から献金を受けているということになれば、これは、いろいろな意味で公正な行政が行えるのかという疑惑をやはり招きかねないというふうに心配をしているから申し上げているわけです。

 この点、特に今国会では、これは大臣になる前ということではありますけれども、労働者派遣法の改正案の審議が予定されている中で、田村大臣は派遣業界から政治献金を受けられています。

 この一覧の中でゴシックにしてありますけれども、政治連盟新労働研究会というところからは、ここの平成二十四年分の収支報告書を見ますと、自由民主党三重県第四選挙区支部に五十万円の寄附と、パーティー会費として計十四万円、これが支出をされています。

 そして、配付資料をごらんいただきたいんですけれども、二枚めくっていただきますと、これは一般社団法人日本人材派遣協会のホームページに載っている記事をコピーさせていただいたんですけれども、昨年の七月二十六日、日本生産技能労務協会の清水会長と日本人材派遣協会の家中会長がそろって田村大臣に、労働者派遣制度の在り方についての要望書をお渡しになっているときの写真であります。

 今回、この報告書の作成に当たって、部会の議論に、この要望書を出している二つの団体からオブザーバーという方々が加わっているんです。ところが、この点について、部会の報告書の末尾の部分に、労働者側からの意見というのが付せられているんですね。これは極めて私は異例なものだというふうに思いますけれども、どういうことが書いてあるかというと、「当部会の運営について、直接の利害関係を有する派遣元事業主が非常に多くの発言を行う等、委員以外の構成員と委員の発言機会のバランスに懸念があった」、こういうふうに書いてあるんです。

 お手元に、では実際のところどうなのかということで、資料として、部会で、委員、オブザーバーがそれぞれどれだけ発言をしたのかというのをカウントした、そういう表をお配りさせていただきました。ちょっと前後するんですけれども、この部会の議論の整理の後のところに表をつけておきました。

 これを見ていただくと、後半の方は、やはりオブザーバーの発言が多過ぎるというので注意もあったというふうに聞いていますので、後半はオブザーバーの発言は減っています。それから、後半はもう取りまとめ段階ですから発言の総数自体が減っているわけですけれども、でも、例えば百九十四回から百九十七回あたりのところを見てもらいますと、使用者側の発言の大半、これはオブザーバーの発言になっているんです。

 全体で見れば、確かに、極端にそこまで言うほどじゃないじゃないかと言うかもしれませんけれども、これは発言の回数ですから、例えば、委員の中で異議なしとかと言っているのももしかしたらカウントされているんじゃないか。それから、発言の長さとか内容というのは回数だけじゃわかりませんので、ですから、私も、ちょっとこれは別の観点からも、このオブザーバーの発言というのをチェックしてみました。

 それは、一つ戻っていただいて、この横表というのをつけておきましたけれども、これは、労働力需給制度部会におけるこれまでの議論の整理というものでありますけれども、この資料を厚労省にチェックしてもらって、この中で使用者代表の意見とオブザーバーの意見というのをチェックしてもらいました。

 そうしますと、これは、ざっと使用者側の意見ということで、右側の欄ですけれども、ポツ、ポツと箇条書きされていますけれども、全部で九十五項目あります、数えると。そのうち、バツ印をつけてあるのが使用者代表委員の意見、これが四十五あります。丸印がオブザーバーの意見、これが四十六。それから三角が両者からあった意見ということでありますけれども、結局、整理すると、やはり半分以上がオブザーバーの意見なんです。これはもはやオブザーバーという立場を超えているんじゃないか、部会の議論を実質的にリードしているという部分があるんじゃないかというふうに思います。

 オブザーバーという言葉自体は、国語辞典とかで引くと、発言権はあるけれども議決権がない、そういう出席者という意味もありますけれども、傍聴者という意味もあるんですね。ですから、本来は、オブザーバーが議論をリードしている、本来の委員でもないオブザーバーが議論しているというのは、これはやはり異常な部会運営だというふうに私は思います。

 派遣業界の方々から意見を聞くということは私も否定しません、それは実際にやっておられる方ですから。でも、それはヒアリングすればいいんです。オブザーバーとして入れるというのは、やはり私はおかしいんじゃないか。直接の利害を有する者、平たく言えば派遣業を飯の種にしている人たちが入っているわけです。そういう人たちが部会の議論をリードして、それをベースに報告書ができて、そしてそれが今回の法改正になってくるわけです。

 直接の利害関係者である派遣業界が政治献金をして、それで部会に代表としてオブザーバーを送り込んで政策決定に影響を与えているとしたら、これは私はやはりおかしいんじゃないかと思いますけれども、大臣、この点いかがでしょうか。

田村国務大臣 まず、写真が写っていました。大臣室に来られたときの写真だと思いますが、連合の方々もしょっちゅう来られますので、決して私は派遣業界の方だけに御要望いただいているわけじゃないということをはっきり申し上げておきたいというふうに思います。

 その上で、これは私が勝手に何かやっている話じゃないですね。これは労政審の中の部会なんです。言うなれば、労使が合意のもとでオブザーバーを決められているんですよ。ですから、オブザーバーは、事業主側だけじゃなくて、労働側もちゃんと同数入っているんですね。しかも、それを決めるのは、それは中でお決めになられる話であって、私がメンバーを決める話ではございません。

 そして、その中での発言は、これはその中の部会長さんが一応仕切られておられますが、中でちゃんと労使で話をしていただいてその議事進行は決まっているわけで、ですから、中で労働側から、ちょっと意見が多いんじゃないですかという御指摘があった後は減っているわけでしょう。でありますから、そこはちゃんと公正に中でやられているんじゃないですか。

 あわせて申し上げれば、オブザーバーはあくまでも意見を述べるだけで、議決権はありませんから、そこにおいて、その御意見をお聞きになられて、労働者側と使用者側が聞いて、そして最終的にそれをどのような形で御判断されるかということでございますから、そこに私が介在するようなことはないわけであります。

大西(健)委員 これは、オブザーバーが入るのは普通のことなんですか。さっき言ったように、では何でヒアリングじゃだめなんでしょうか。業界の意見を聞くというのは別にヒアリングでもできるわけですし、こうやってずっと全ての回に入れる必要はないんじゃないでしょうか。

 過去に同じような話でオブザーバーを入れたことはあるようですけれども、では、この労政審のいろいろな、もうたくさんの部会がやっていると思いますけれども、こういう形でオブザーバーを入れるというのは普通のことなんでしょうか。

田村国務大臣 過去にもありますし、それは部会の中の運営の中で決められたことであります。(発言する者あり)連合からも要望はいろいろな形で受けております。

大西(健)委員 先ほどの発言のカウントの表を見ていただいても、確かに労働者側にもオブザーバーA、Bと入っているんですけれども、見てください、発言していないですよ、そんなに。このオブザーバーC、Dの発言というのは異常に多いんですよ。

 しかも、回数だけじゃなくて、さっき言ったように、論点を整理したペーパーの半分以上がオブザーバーの人の意見として、この厚労省が整理したペーパーに拾われているわけですよ。それがベースになって最終の報告書の取りまとめに行くわけでしょう。だから、論点をいろいろな人が意見を言って出し合っているわけですけれども、その半分以上が、本委員じゃなくてオブザーバーの人が言った意見が実際の議論をリードしているというのが、私がさっき示したもので、これは明らかじゃないかというふうに私は思います。

 そして、先ほども、労働側も納得しているでしょうと言うけれども、納得していないんですよ。していないから、労働側が、今回の議事運営は異常だったということを報告書の末尾にわざわざ書いているんですよ。こんなことは多分私は異例なことではないかというふうに思います。

 そういう意味では、今回のこの報告書の取りまとめというのは、私は、いろいろな意味でゆがんでいるんじゃないかというふうに思います。そのことをまず申し上げておきたいと思います。

 そして、先日の大臣所信で、田村大臣はこのように述べられました。派遣労働者の雇用の安定、処遇の改善を図るため、労働者派遣法の改正案を国会に提出しますと。では、この報告書に沿って法改正が行われた場合に、本当に派遣労働者の雇用の安定が図られるのか、そのことについてお聞きをしていきたいというふうに思います。

 先日、予算委員会で、山井委員が、では、この法改正というのは派遣労働者をふやすものなのかどうなのかということをお聞きしたときに、安倍総理は、派遣労働者をふやすべきだとは考えていないとはっきりと答弁をされました。

 しかし、山井委員もその後重ねて指摘をされていたように、この改正というのは、三年ごとに人をかえればずっと派遣で仕事をやらせることができるとか、やはり派遣労働がふえる可能性がある内容に私はなっていると思うんです。この点について、まず、私は、過去の教訓、過去どうだったかということについてしっかり学ばなきゃいけないと思っているんです。

 そもそも、私たちの政権のときに、あの年越し派遣村があって、法改正をして、その法改正によってどうなったかという事実がまだ十分に積み上がっていない。にもかかわらず、何でこんな時期にもう変えちゃおうとするのかということがまず納得できないわけですけれども、労働者派遣法、過去に二回大きな規制緩和をしています。法改正をして規制緩和をしています。では、そのときどうだったのか。

 お手元に資料として一つグラフを配らせていただいていますけれども、これはちょっと二〇〇六年までしかありません。この先、リーマン・ショックがあってがたっと落ちますけれども、これは、当然のことながら、経済情勢によって派遣労働の数というのは大きな影響を受けるのは当たり前なんです。

 過去二度の規制緩和。一度目は、平成十一年に、対象業務がポジティブリスト方式からネガティブリスト方式に変更されて、対象業務が大幅に拡大をされた。これが一度目の法改正のときですね。それから、二回目は平成十五年の法改正。これは、製造業派遣が解禁になって、専門二十六業務については受け入れ期間の制限が撤廃をされて、それ以外の業務についても、最大三年までということで延長がされた。

 これを見ると、リーマン・ショック以降は確かにがくっと減っていますけれども、それまでは派遣労働者というのは年々ふえていて、特にこのグラフのちょうど法改正と書いてあるところから、折れ線グラフが上がるんですよ。ですから、やはり私は、この過去二度の法改正というのは間違いなく派遣労働者をふやしたというふうに思っているんですけれども、この認識、これは大臣は共有されますか、どうですか。

田村国務大臣 二度の改正は、十一年は、ネガティブリスト方式を導入した改正であります。十五年は、製造業派遣等々を解禁した、そういうような改正を行ったわけであります。それから、二十六業務以外の業務については、派遣受け入れ期間を一年から最大三年まで。そういう意味では、派遣という働き方、これはちょうど景気が悪くなって失業率が上がってきたときでありますから、失業率をある程度緩和するというような、そういう狙いもあったのでありましょう。

 私は、委員のお話を聞いていると、何か派遣だけが悪いみたいな話に聞こえるんですよね。ところが、派遣を幾ら規制しても、非正規がふえているんですよ。つまり、非正規という働き方をどうやって正規にしていくか、不本意ながら派遣や非正規で働く方々をどうやって正規に持っていくか。こういうようなことが重要であって、今般の派遣法の改正の中では、例えば直接雇用をお願いする、こういうようなこともある。ただ、直接雇用がいいというわけでもないんですよ。直接雇用で有期ならば、派遣の方が相対的といいますか一般的には実は賃金がいいという話になっているんですね。

 そう考えると、どちらがいいのか。そして、どちらかを規制した、その結果、正規がふえればいいですけれども、非正規がずっとふえてきている。こういうちゃんとした議論をした上で、非正規の方々で正規になりたい方々をどのようなプロセスで正規の方に持っていくか、キャリアアップしていくか。

 これが大事であって、今般の制度改正の中にはそういう部分も盛り込んでおりますし、派遣の問題で申し上げれば、派遣事業者からすれば逆に大きなマイナスだったというふうに認識できるのは、特定派遣という制度。これは、今まで届け出だけで派遣業ができたんですよ。それをだめにしたんですよ、今回。つまり、許可制じゃなければもう派遣業はできなくなるんですよ。それはなぜかというと、派遣業者の質をしっかりと上げていく。

 こういう部分にも力を入れているわけでありまして、私は、今般の制度改正というものは、やはり、派遣労働者の方々の雇用の安定や、またその処遇の改善、こういうところに大きく力を入れている、そういう改正だというふうに思っております。

大西(健)委員 私も、全てを許可制にするところ、これは今回の法改正の非常にいいところだというふうに思います。

 ただ、では今のお話で本当に正社員がふえるのでしょうか。私は、逆に、派遣が使いやすくなったら、今派遣が使えないから有期雇用でやっている、あるいはその有期雇用のところから、また派遣の方にどどっと流れ込んでくるだけなんじゃないか。あるいは、二十六業務のところも結局移ってくるだけですし。ですから、そういう意味では、やはり結局は非正規の中だけのやりくりになるだけで、では正規社員が本当にふえるのか。

 ふえるという保証はありますか。絶対ふえるということで約束していただけますか。

田村国務大臣 直接雇用の有期、これもいろいろな有期があるでしょうし、企業によって違います。しかし、なかなかそこでいろいろなキャリアアップの機会がない、研修の機会がない、こういうこともあります。

 今回の派遣法は、派遣元に対してもいろいろな義務を課しました。そして、派遣先に対しても、配慮義務ではありますけれども、例えば、福利厚生を派遣先社員と同じような形にしていただきたい、また、職業訓練に関しても同じような訓練のチャンスを与えていただきたい、こういうことをちゃんと入れているんですね。派遣元、派遣先に対しても、派遣労働者の教育訓練や職業能力のアップ、こういうことも入れておるわけであります。

 でありますから、非正規、例えば直接雇用で有期で働いている方々が派遣に仮に来られたとしても、そこからさらにキャリアアップをしていただけるような、そういうような仕組みも入れておるわけでありますから、私は、直接の有期であろうが派遣であろうが、要は、その後そういう人たちが望むのであるならばしっかりと正規を目指せる、そういうルートがあることが必要だというふうに思っておりまして、今回のこの派遣法の中にはそういう部分を多く盛り込ませていただいております。

 ふえるかふえないか、どうだと言われると、それはなかなか、経済状況によって変わりますから、はっきりとは言えませんが、そういう方向の中で今回の制度改正をさせていただいておるということは間違いないというふうに申し上げたいと思います。

大西(健)委員 派遣元にもちゃんと義務を課している、派遣先にも不十分だけれども課しているということですけれども、この間、うちの党で、実際に派遣とか偽装請負をつないで二十四年間ずっと働いて、その末に派遣切りに遭ったという人、雇いどめに遭ったという方からお話を聞きましたけれども、そのときにも言われていたのが、派遣先で大体問題が起こるんだ、だけれども派遣元は、顧客、クライアントである派遣先に何も言えないんだと。ですから、派遣先との例えば団交義務とか、そういうものを課していかないと難しいんじゃないか、そういう議論もありましたが、こういう中身の議論はまた法案が出てからしっかりやりたいというふうに思います。

 先ほどもお話があったように、派遣労働者の数は確かに経済情勢によって大幅に増減します。それは当たり前のことですけれども、ただ、私は、制度の変更、法が改正されれば、当たり前ですけれども、それはやはり影響がないと言えないというふうに思うんですね。

 では、過去の労働者派遣法の改正をどう評価されているのか、これを私は聞きたいんです。それを忘れてまた規制緩和にかじを切るというのは、私は、やはりそれはおかしいんじゃないか。特に自民党の議員さんたちも、過去の法改正というのはやはり反省すべきだったとおっしゃっているんですよ。

 この間、都知事選挙で、元総理は原発ゼロを訴えて、過ちて改むるにはばかることなかれと言われていましたけれども、私も、過ちがあったなら反省して方向転換するということだというふうに思うんですよ。

 お手元に資料をお配りしているんですけれども、これは、まず加藤紘一元官房長官、「強いリベラル」という著書の中で、次のように述べられています。「労働の格差がなぜ生じたかと言えば、これははっきりしています。九〇年代半ばから労働者派遣法を規制緩和して、どんな職業でも派遣労働を認めるようにしたためです。」「要するに企業が派遣労働者をこれまで以上に幅広く、しかも長期にわたって使えるようにし、これまでの働き手の主体であった正社員を減らし、派遣労働の割合を増やして、実質的な労働賃金の引き下げをはかれるようにしたわけです。 そのことの社会に及ぼす影響がこれほどまでに破壊的なものであるということに私は無自覚でした。 当時の自民党の議員もそうだと思います。」

 私は、この加藤元官房長官の言っておられることは正論だと思います。

 また、元厚生労働大臣の尾辻参議院議員は、平成二十一年一月の参議院本会議での代表質問で、規制改革会議の廃止を求めて次のように言われています。これも資料をつけてあります。

 数度にわたって、派遣対象業務の自由化など、段階的に労働者派遣法を変えてきました。私は、この間の会議のあり方に強い疑念を持っております。発足当初から委員として会議に参画し、数度の取りまとめに当たったのは、企業の一経営者であります。経営者の視点で規制改革が進められ、その結果、派遣の大量切りとなり、多くの人を失業に追い込んだのであります。これほどの厳しい事態を招いたことに、規制改革会議は少なくとも結果の責任をとらなければなりません。

 安倍総理は、派遣労働者をふやすべきではないと言っていますけれども、もしふえたら、ではその結果に責任がとれるのか。

 田村大臣は、この厚生労働大臣経験者を初めとした偉大な先輩方が反省の弁を述べられているわけです、これを真摯に受けとめて、そしてここで踏みとどまらなければ、今のこの一時的、臨時的であったはずの派遣労働の業務がどんどん拡大して、十年先には正社員になることが今よりずっと難しい、そういう社会になってしまったときに、そのときに悔やんでも、もう手おくれなんです。

 そういう意味では、ぜひ大臣、この諸先輩の教訓に学ぶおつもりはありませんでしょうか。

田村国務大臣 何度も申し上げているんですが、過ちはやはり改めなきゃなりませんよ。ですから、特定派遣という制度は、やはりちょっと行き過ぎていたであろうということで、これはやめる。許可制にするんですね。つまり、優良な派遣業者をこれから育成していかなきゃならない。もちろん、いいところもありますよ、今でも。こういうようなところをふやしていかなきゃならない。こういうことなんですね。しかも、今般も、いろいろな中身、規制強化の部分もいっぱい入っていますよ。

 申し上げれば、何かあなた方の話を聞いていると、派遣だけがだめみたいな言い方をするんですね。ですから、非正規全体の話であって、派遣をあなた方が規制強化した後も非正規はふえているんですよ。何ら減っていませんよ。結局は派遣が直接雇用の有期に置きかわっているだけじゃないですか。そして、その方々は、一般的にではありますが、派遣よりも賃金は低いですよ。そういうことを考え……(発言する者あり)いや、雇用は安定しているんでしょうか。

 それは、いろいろな場面がありますよ。例えば、派遣ならば、仮に契約を切られても派遣労働者は次に向かって、自分のところも商売ですから仕事を探すんですよ、その人のために。じゃないと、派遣業者だって仕事になりませんよ。しかし、直接雇用ならば、要らないと言われれば次から労働者は路頭に迷うんですよ。

 実は、それはそれぞれの見方によっていろいろな見方があるんです。しかし、不本意で非正規で働いておられる方々は、これはやはり我々は何とかして改善していかなければならない。そこは思いが一緒でありますから、派遣だけだめだとか、そういう議論はやめましょうよ。こういう非正規の働き方をされている方々が、働きたいならばいかに正規になっていくか、こういう建設的な議論を私はやりたいと思いますね。

大西(健)委員 我々も別に派遣だけがだめだと言うつもりはありませんし、それならば、ぜひまた法案審議のときにそこは深めた議論をしたいと思いますけれども、まさに均等待遇ということをしっかりと保障していきましょうよ。

 現実問題として、そういう非正規がふえていくということは、これはなかなか現実ですから、それはだめだだめだと言っても現実がそう進んでいく。そのときに、非正規であろうが正規であろうが、均等待遇がしっかり保障されている。あるいは、もしもの失業をしたときに、そのときのセーフティーネットがちゃんと張られている、あるいは、それに対して再教育、そういったキャリアアップのシステムがある。そういったことが全てトータルで保障された上での雇用の流動化ならいいですけれども、そういうセーフティーネットも全然しっかりしていない。あるいは、今少しずつそういう研修だとかキャリアアップの仕組みというものをつくろうとしていますけれども、正社員への道も十分に保障されていない、流動化だけどんどんどんどん進んでいく。これではやはりだめだというふうに思うんですね。

 だから、均等待遇ということをぜひ、これは法案審議のときに深めさせていただきたいというふうに思っています。

 まだ国会に法案は提出されていませんので、きょうは入り口の議論だけでしたけれども、法案審議の際には、命、雇用、暮らしを守るという立場から、我々は、先ほどの、大臣の所信の中にあったように、真に派遣労働者の雇用の安定、処遇の改善を図るためにはこの法案でいいのかどうなのかということをしっかり議論させていただきたいと思います。

 きょうはこれで終わります。

後藤委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 きょう、こうして質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 大臣、十九日の日にも予算委員会で質疑をさせていただきまして、あのときは多少中身の議論もしたかったんですが、ちょっとできなかったことも含めてきょうはお願いしたいと思っています。

 冒頭、けさの各紙報道等に出ておって、資料を追加で一枚添付させていただいておりますが、昨日、厚生労働省の方で、毎年六月時点の賃金を調べる賃金構造基本統計調査の二〇一三年分の結果が公表されております。記事には、これは毎日、読売のけさの朝刊をおつけしておりますが、結論を言えば、男女ともに前年を下回ったのは数字が比較できる一九七六年以来初めて、アベノミクスの効果が賃金に及んでいない状況が明らかにと。もちろん、物価は他方で上がっているわけですね。月給四年ぶり減少、昨年のフルタイム勤務者ということで、これは男女別でもそれぞれ、比較可能な記録が残る七六年以降で初めてであるということなんですね。

 ちなみに、私がもともと用意している資料の一枚目、これは二〇一三年の残業代、ボーナスなども含む名目、実質の、全ての労働者、二枚目以降、きょう議論もさせていただきたいんですが、一般労働者、パートタイム労働者、それを含む全ての労働者、それぞれの名目、実質の賃金。さらには、大臣がおっしゃっていた、時給換算では上がっているじゃないかというパートタイム労働者についても、上がっているんだけれども実質の伸び率が減少してきているということも含めて、こういう状況が明らかになってきているわけでございます。

 大臣、これは、十七日の予算委員会で安倍総理と山井委員とのやりとりの中でも、賃金は上がっているんだというような御答弁を当時速報値に基づいて総理がなされていたことと、結果としては違ってしまっているわけでもございます。そして、そのことをやはり謙虚に受けとめていただいた上で、では、どうすれば本当に名目、実質賃金が、そしてまた、先ほどの議論もあります非正規雇用者全体の底上げも含めて、上がっていくのかという議論をしなければならないわけでありまして、まずこの認識をやはり共有していただくところから私は議論が始まっていくと思うんですね。

 大臣、私、十九日の予算委員会のやりとりの中で、さまざまなやりとりがありました。そして、けさの報道で、これは六月時点のものではありますが、非常に、各産業別あるいは男女別、年齢別で細かく出てきているこの数値においても、やはりマイナスという状況がここで明らかになったわけでありまして、まずはこういった状況をお認めいただいた上で生産的な議論もしていきたいと思いますが、この報道についてどのように受けとめられていますか。

田村国務大臣 六月ですと、まだ物価が上がっていなかったころ、上がり出したころですね。指標によってはまだマイナスのものがあった、そういう状況ですから。コアコアはまだマイナスだったかな。ちょっと今記憶がありませんけれども、今のような状況ではない。

 今の状況は、総合消費者物価指数一・六プラス、コアが一・三、コアコアが〇・七プラス。こういう状況になったのは、大体十月、十一月ぐらいからこういう数字になりつつあるということでありますので、まだ物価が上がっていない状況の中において、デフレ下、賃金が下がるという、それまでのやはり一連の流れの結果というものが六月には出てきておったのであろうなと思います。

 あわせて、十二月の話はいろいろと、うそをついた、うそをついたというお話を皆さんされるんですが、あのときお聞きになられておられたのは山井先生でしたか。山井先生は、年の後半という話を言われました、二十五年の後半。後半は上がっています。これはプラスになっております、確定値も。でありますから、何ら総理はうそをついているわけではありませんでして、名目の中においては、やはり賃金は上がってきておるということが事実であります。

 あとのことに関しましては、この後、また御質問があられるというふうに思いますので答えますが、いずれにいたしましても、やはり物価が先に上がって、その後賃金が上がってくる、大体、賃金の上がり方としてはどうしても物価の後になってくる、そういう傾向があるのは確かでございますので、上がり出した物価にしっかりと賃金が追いついていくように我々としては頑張ってまいりたいと思います。

 どうやら、いろいろとこの春闘を聞いておりますと、ベアも、いろいろな企業がベアをやろうというようなことをおっしゃり出してきておるようでございますので、そういうことも含めて期待しながら、我々はしっかり賃金が上がる政策を組んでまいりたい、このように思っております。

柚木委員 大臣がそういう希望的な観測をおっしゃられるというのは、それは一つの見方かも、考え方かもしれませんが、現実はそのように推移していないわけであります。

 なおかつ、一枚目の資料におつけしておるのは、まさにアベノミクスがスタートして一年たった二〇一三年通年ベースで、実際には三年連続賃金ダウン、こういった状況にあるわけですね。しかも、私が伺った「二十六年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」という閣議決定されているものの資料の中で見ても、来年度も、雇用者報酬は名目で二・〇の上昇を見込んでいる一方で、消費者物価指数については三・二%の上昇ということで、一・五倍ぐらい物価の方が上がっていくという、来年度においてもそういう見通しをしているわけですね。

 四月以降、我々も三党合意で、とにかく借金も減らし、社会保障の持続可能性を担保するということで、消費税が上がるわけですよ。上がる上に、物価もさらに、これはアベノミクスで賃金が上がっていくという前提ですが、追いついていない状況の中で物価は確実に既に上がっているわけですよ。こういう見通しの中で、本当にこれは大丈夫なのか。

 そして、私は、昨年、それこそ一年ぐらい前に、年金の議論もさせていただいたんですよ。既裁定者、既にもらわれている方々は、賃金をいただいていないわけですから、そして、賃スラ、物スラ、低い方に合わせるわけですから、何ら、アベノミクスの恩恵を受けるどころか、物価が上がった分はマイナス、かつ、マクロスライドが来年以降発動している可能性もあるわけですよ。

 そういう中でのこの推移なわけですから、勤労者の皆さんはもとより、まさに大臣がおっしゃった非正規雇用者に加えて、年金受給者も含めて、全体の中で今のアベノミクスの推移を見ていかないと、私は、本当に貧困社会が加速していくようなことになってしまっては元も子もありませんから、そこはよくよく注視しながらこの議論をしていく必要があると思うんですね。

 それで、私、十九日の予算委員会の日にもやりとりをさせていただきました。パートの賃金の推移、大臣がパートの時給は上がっているんだということでおっしゃるので、二枚目、三枚目、これは資料もおつけしております。

 ごらんをいただければおわかりいただけますけれども、三つ目ですね、パート労働者についての名目、実質。二十五年平均は、ごらんをいただければおわかりになるように、名目、対前年比〇・六マイナス、そして実質もマイナス一・一ということでありまして、過去三年の民主党政権のときと比べていただいても下がっているわけですね、名目、実質。

 そして、さらに三枚目をごらんいただくと、一番右側の実質前年比で、田村大臣が二十五年平均〇・二プラスとおっしゃいますけれども、その前の二十二、二十三、二十四について、民主党政権下においての実質の上がり幅〇・六、〇・七、〇・五に比べて、まさに安倍総理が言われるように、〇・七から〇・五に賃金の実質の減少が減ってきているじゃないかというあのロジックを使えば、民主党政権のときよりも上がり幅が減っているじゃないですか。

 こういう状況の中で、〇・二時給がプラスだからパートについてもよくなってきているんだという、この見方は間違っているんじゃないですか、大臣。

田村国務大臣 まず、賃金構造基本統計、先ほども話がありましたが、これも前年を下回っているという話がありましたけれども、分析しますと、中小企業がふえているんですね。中小企業は大企業と比べてやはり賃金が低いという部分がございますから、全体として一人当たりが下がっているというような傾向がある。これは中を詳しく分析してみなければなかなか正確なことは言えませんが、そういうような傾向が推測されるということは申し上げておきたいと思います。

 あわせて、今言われた現金給与総額の話でありますが、二十五年だけ見ますと、これは通年で、一般、一般というのは実は非正規も入っています。この統計は、パート、短時間労働とそれから長時間労働とに分けている統計なんですね。ですから、パートの中にも正規が入っています。パートで正規の方々はおられますから。ですから、正規、非正規で分けていません。

 その上で、一般、長時間労働の方々は、名目〇・七%プラスです。物価上昇率〇・五、実質〇・二%プラスになっております。そして、あわせて、パート労働、これは私は時間給で申し上げました。なぜかといいますと、やはりパートというのは基本的に時間給で見るのが基本でございますから。大体、パート労働者の中でもらっている給料は、時間給でもらっている方々が多いので。これを比較しますと、やはり〇・七プラスであります。物価上昇率が〇・五でありますから、実質上〇・二プラスになっておるということでございます。名目は、もちろん民主党政権時よりも時給は上がっております。

 こういうことを見てまいりますと、やはり給料は上がりぎみであるのであろうというふうに思います。

 あわせて、物価が上がるじゃないかと言われるんですけれども、皆さんの消費税を上げるときも、あのとき内容はどうだったかと思い出してくださいよ。

 消費税を上げる条件、十年間で物価上昇率二%、そして実質成長率一%、合わせて名目で三%成長。あなた方も、二%は物価が上がるということを前提に組んでいるんです。あれは消費税を抜いてだと思いますよ。消費税を抜いてそういうようなことを組んで、それで、十年間平均ではありますけれども、それが大体実現できるという目安で消費税を上げるかどうか判断しようと。

 あなた方がまさに組んだことを我々が今やっているんですよ。あなた方のときはできなかったんです。物価を上げられなかったでしょう、はっきり言って。名目の賃金を上げられなかったでしょう。

 だから、そう思うと、それよりは我々は上げているわけでありまして、自分らができなかったことを政権がかわってやり出して、その副作用はそれはあるでしょう、いろいろなことが急に変わるんですから。それにいろいろと文句を言われるわけでありますけれども、皆様方がやれなかったことを一々そうやって揚げ足をとるよりかは、もうちょっと前向きな議論をさせていただいた方がいいんじゃないのかな、私はそう思いますね。

柚木委員 田村大臣、ちゃんとお聞きをしたことにお答えいただきたいんですね。

 パートの時間給が実質〇・二プラスだということを重ねて答弁されました。しかし、過去三年の民主党政権のときの上げ幅よりもこれは下がっているわけですよ。〇・六、〇・七、〇・五プラス。過去三年と比較したときに、〇・二ポイントですから、前年よりも〇・三ポイント下がっているわけですよ。

 伸びた伸びたとおっしゃいますが、伸び幅が下がっているということについては、これはお認めいただけますね。

田村国務大臣 名目では、やはり二十五年の方が上がっているんです。

 なぜ実質で前年度よりも低いかというと、プラスなんですよ、プラスですけれども低いかというと、それはデフレだったからですよ、あなた方のときは。デフレだったら、それはそうですよね。デフレだったらマイナスなんですから、その分プラスになっちゃうんですから。

 だから、そういう話でございますので、今デフレを解消しないといけないということで、これは共通認識ですよね、民主党も。そうやって政権与党のときにおっしゃられておられたわけでありますから。それをやっているわけでありますから。

 それは、物価が上がり出したときはいろいろな副作用も出ます。しかし、これはよくなっていくための一つの変化でありますから、これを、実質賃金が上昇するためにさらに名目の賃金を上げていくということを我々はやっていかなければならぬわけでありまして、そこは御理解をいただきながら、またいろいろと政策運営に関しまして御協力をいただければありがたいと思います。

柚木委員 結果として下がっているということですね、その伸び幅が。

 デフレだということをおっしゃいますけれども、パート労働の方々、もちろん、非正規全体を含めて、時給の高い方、低い方、いろいろな働き方、それはおられますよ。しかし、大事なことは、やはり実質的な賃金。つまり、生活をしていく上で、給料の上がり幅と物価の上がり幅で物価の方が上がっていれば、そしてまた、時間給が上がっていても、労働時間が減っていて、手取りが、可処分所得が減れば生活は苦しくなるわけですよ。

 田村大臣、私も学生時代、家に余裕がなくて、学費と生活費を、本当にアルバイトあるいは派遣、ダブルジョブ、トリプルジョブ、一日やりながら、やってきていたんですよ。そういう中で、時間給が上がっても、むしろ働く時間をちょっと絞ってくれと言われると、お願いだからもう少しシフトに入れてくれと、そうやってやりながら働いてきていたんですよ。そういう人は世の中にいっぱいいますよ。

 時間給は上がった上がったというけれども、しかも上げ幅は下がってきているわけですが、実際の実質賃金が下がってきている。こういう状況を考えたときに、時間給が上がっているんだからそれでいいんだというような、まず、そういう御理解も私はどうかと思いますし、そしてまた、先ほど来これは明らかになったように、実質前年比、デフレとかおっしゃいますが、伸び幅も下がってきていて、なおかつ、可処分所得が重要なわけですから、それが下がっているということに対してどういう認識を持っていただくのか。

 時給が上がっても可処分所得は下がっているわけですから、可処分所得が下がっているということについては、どういう分析をしても下がっているわけですから、まずそのことをお認めいただけますか。

田村国務大臣 そういうことをおっしゃられているからだめだったんだと思いますよ。

 物価が下がるときに、当然、物価が下がったら、後から後追いで賃金は下がりますよ。

 私は、よくフライパンガエルとゆでガエルの話をするんです。デフレというのは、ゆでガエルなんですよ。物価がまず下がって、賃金が下がるんです。だから、余り生活感としては、まあ物も下がったんだからという感覚になる。だから、デフレというものから逃れられない。

 しかし、国力としては、名目が下がっていくということは何もかも下がる。社会保障なんというのはそれでも高齢化で伸びていきますから、社会保障を支えられない。標準報酬月額が伸びない、結果的には保険料が上がらない、そういう問題になってくるわけでしょう。税収だって上がらないわけですよ。

 ではなくて、やはり物価がちゃんと上がる。それは物価が上がったときには困りますよ、フライパンガエルですから。しかし、賃金も上がっていくんです。今、その転換点でありますから、実質的な賃金が下がっているような形になります。

 デフレのときには、今ちょっと数年見ましたけれども、実質賃金が上がっているときもありますよ。だけれども、今これを、デフレから、物価が普通に上がって賃金も上がってくるところに入れかえなきゃいけないというのが、これがまさにデフレ脱却なんですよ。

 そして今、その一番苦しいところを何とか乗り切って、賃金がちゃんと物価以上に上がっていくという正常な経済へ戻さなきゃいけない局面であって、柚木さんのおっしゃられていることをそのまま真にとると、そのままずっとデフレが続いて、日本の国はどんどん国力を失っていく、社会保障はもたないということを続けるということをおっしゃっておられるわけでありまして、だからこそ、我々は、今、物価が上がった以上に名目賃金が上がるように努力をするためのいろいろな政策を総動員させていただいておるわけであります。

柚木委員 結果として、まずファクトについては、それはお認めいただきたいんです。読み取り方は、この後も議論したいので、いろいろあるんですよ。その上で、今後の対策をどう講じていくのかということが重要なわけですね。

 ちなみに、異次元緩和ということで、政権交代後スタートしたわけですよ、自民党政権に戻ってから。しかし、前原経済財政担当大臣の時代に、まさに一%のインフレターゲットを日銀とアコードを結ぶ中で、脱デフレに向けた取り組みをそれはしてきていたんですよ。異次元か、ある程度の一定のコントロールの中でやるかという部分の、そこの本当にデリケートな部分が国民生活をまさにこういう状況で今直撃しているわけで、なおかつ、二十六年度に、先ほど申し上げましたように、雇用者報酬の上昇が二・〇に対して、消費者物価指数は三・二ですよ。来年度もそうなんですよ。

 上がるんだ上がるんだということをおっしゃられるのは御自由ですが、実際に来年度も見通しとしてはまだ上がらない。では、いつまで国民の皆さんは我慢すればいいんですか。いつ上がるんですか。

田村国務大臣 消費者物価が三・二、大変な勢いで上がるのは、主な要因は、確かに今デフレから脱却という部分もありますが、消費税を増税する部分が主な要因であります。

 そして、それは我々もその法律に賛成しましたが、あなた方も、いや、もっと言うと、あなた方が提出されたんです。そこは忘れないでください。それをもってして物価が上がる、物価が上がると。では、あなた方が政権をとっていれば、もっと賃金を上げられたんですかという話ですよ。私は、少なくとも国民の皆さんはそうは思わなかったから政権交代が起こったんだと思います。

 その上で、我々は、ちゃんと賃金が物価上昇率よりも上がっていくように、これからも不断の政策を投入してこれを実現してまいりたい、このように思っております。

柚木委員 まさに総理も、御自分の政権だけの成果のように、例えば有効求人倍率が一・〇を上回ったとか、そういうこともおっしゃっていますが、まさに我々政権下のときに、戦略的に社会保障を充実させることで、例えば百万人、医療・介護関係者の雇用もふえました。そして、有効求人倍率だって〇・四から〇・八まで倍増していたんですよ。我々のときに何もやらなかったわけじゃありません。

 そして、我々は、そういった共生社会型の成長モデルで、何でもかんでもばらまくんじゃないですよ、若者の雇用・就労支援、今まさに議論もしていますよね。あるいは教育、子育て支援、そういったところで生活や将来の不安を減らしていくことが、消費を喚起して経済財政の好循環を促す。こういう中で、各指標において、出生率も三年連続ふえ、自殺者は三年連続減り、高校中退者は半減しているんですよ。そういうそれぞれのアプローチで経済財政をよくしていく。

 それは、アプローチは違ってもいいかもしれません。しかし、我々のときには我々のアプローチで取り組んできたわけですから、何も、私がずっとデフレが続いていいとか、民主党政権がそうであるということは全くありません。

 しかし、今現実としてここにある数字は、実際に名目も実質も賃金が下がって、なおかつ、先ほどいみじくも大臣が答弁でお認めになられましたが、現状としてのアベノミクスの今の状況を見れば、賃金は減少、そして低賃金労働者がふえている、こういうことなわけでありますから、これから先どうするんだということは言われるのは自由ですけれども、この現実をまずはやはり、民主党政権のときにも、三年三カ月で、もちろん厳しく成果を問われました。そして今、安倍政権になってもう一年以上たつわけですから、来年の見通しもこういう厳しい状況も出てきている中で、今の状況を謙虚に受けとめた上で前に議論を進めていくことが必要だと思いますよ。

 私は、派遣労働だけじゃなくて、非正規雇用全般のこともきょうは議論をしたいんです。

 その前提として、私、大臣にこの間お尋ねして、時間がなかったので、きょう改めて答弁をお願いしたいんですが、派遣労働法改正のときにちゃんと議論しますけれども、雇用安定措置を講じているからこれは安心してくださいという御趣旨の御答弁が、十七日の予算委員会で山井委員とのやりとりでありました。しかし、私は、この安定措置四項目、非常に実効性が不十分だと思っているんですね。

 資料にもおつけをしております四項目、ごらんください。六ページ目でございますが、左下のボックスに書いております。

 派遣先への直接雇用の依頼、新たな就業機会の提供、派遣元事業主においての無期雇用など、派遣元に対しての四項目の義務が書かれていますが、例えば、派遣先に直接雇用をお願いしますと、お願いして断られてもやったことになるわけですね。あるいは新たな就業機会を提供しても、本当にスキルアップ、就業訓練とかいろいろ受けた人が、その専門的ないろいろなノウハウを持っていても、全然違う仕事の機会を提供されたとしても提供されたことになりますし、こんなもの、派遣元事業主において無期雇用を依頼するというのも別に全然普通のことですから、こういうことをお願いしただけでやったことになるとか、こういうようなことでは全く実効性が担保されないと私は思うんですね。

 例えば、せめて結果が出るまでこの四項目について全ての措置を講ずることを法律に明記するとか、何らかの形でまず実効性が担保されるような形をお考えいただきたいと思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 一点、現金給与総額のパート労働者、これは名目でも下がっているという話でありますが、時給では上がっていますけれどもね、これは短時間のパート労働者がふえました。これは景気回復局面にはよくある話で、まず短時間からふえていく。つまり、あれは時間で出していないものでありますから、短時間、働く時間が短い人が入ってくると、当然その人の収入は減りますからね、月額で。だから下がっているということが推測をされるわけでございまして、我々、よく分析したいと思いますけれども、そのようなことであります。

 今まで仕事についていなかった方々が新たに短時間でも仕事につくんですから、全体の雇用者報酬から見ればそれはふえるという話でありまして、国全体から見れば購買力はふえるのであろうと。そこは、私の考え方は御指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、今のお話でありますが、これは、登録制をやめて許可制にするというのが大きなところでございまして、このような点、指導します。

 例えば、直接雇用を派遣先の方にお願いする。これも、本当に有期で直接雇用で働くのがいいのか、派遣で働いている方がいいのか、これは労働者の方々がそれぞれ御選択をしていただく話になると思いますが、そういうようなことをお願いする。まあ、正規ならいいですけれどもね。その上で、それがだめであれば、例えば他の派遣。これも、いろいろな研修をして、違うところを紹介したらいいじゃないかと。やはりそれは、ちゃんとスキルアップ、キャリアアップしたら、能力がつけば、そういう高いところにちゃんと派遣した方が企業だって利益が出るんですよ。

 いいですか。企業は派遣労働者をいじめるのが仕事じゃなくて、彼らに能力を持ってもらって、より高いところと契約を結んでもらった方が派遣事業者だって得するわけですから、だから、そこはそういうところを探すでありましょうし、それもなければ、無期転換ということも含めて、これはいろいろな選択をしていただく。それは指導してまいります。

 そして、悪質に、余りにも指導を聞かないという話になれば、そのときには許可という制度はいかに強いかということは、それは委員も御承知であろうと思いますので、そのようなところで担保をしてまいるということでございます。

柚木委員 まさに許可取り消しというぐらいの強いそういった法定力を持たせないと、なかなか絵に描いた餅になると思うんですね。これはまた細かい議論はさせてもらいます。

 まさに大西議員も言われましたが、こういった安定化措置なども進めつつ、これは均等待遇、まあ均衡待遇か均等待遇か、均等・均衡待遇なのか、いろいろな読み方は議論できるわけですが。

 これは資料にもおつけしておりますが、七ページ目は、正社員と、派遣労働者、短時間労働者はキャリアアップしないからずっと賃金が横ばい。

 そして、派遣労働者の時給がどんどん減ってきている。

 そしてその次は、マージン率が一定ですので、例えば正規雇用の方が賃上げされたとしても、派遣労働者の方はある意味蚊帳の外。これは産経新聞にも書いていました。

 そして次、正社員に六割がなりたい。

 さらに次、大臣、一旦景気が悪化すると、無期雇用であっても九割、九四%の方がリーマンのときには首を切られているわけですね。こういう方がどんどんふえていくことは、やはりこれは本当に懸念が強い。

 そして最後、主要国の派遣制度は、一時的雇用で均等待遇が主流。これは、お隣韓国でも、年功制の中でも均等待遇。これはもう本当に、非正規が五割とふえ過ぎて社会問題化して、その大半が派遣労働者ということで、均等待遇が法定化されてという流れになっていて、ある意味その後追いをするような議論を、今、日本でしているわけです。

 これは本当に日本でも、確かに均衡か均等か、経営とそして雇用の両立、議論はありますよ。しかし、長い目で見たときには、まさに均等待遇に近い、限りなく近い均衡待遇であればまだいいんですが、やはりこういった均等待遇をセットでやっていかないと、低賃金労働者を拡大再生産させることで、御結婚もできない、子育てもできない、そしてまたワーキングプア層が拡大していくような負の連鎖が続いていけば、それこそまさに経済財政に悪影響を与えるわけですから、私はぜひこの均等待遇の実効性についても、ちょっとこれはまた法律改正のときに議論をさせていただきたいと思いますが、いわゆるあめとむちですね。

 例えば、まさに助成金の拡充とかを考えられていますが、そういったところの拡充を、効果を見ながらさらに継続していただく。あるいは、むちの部分、先ほど許可制の部分もありました。そういったところを、マージン比率も含めて一定のレンジの中で、余りにも悪質なものは指導、勧告、場合によっては許可を取り消す。

 こういうあめとむちの組み合わせで、単なる均衡待遇ではなくて、まさに均等・均衡待遇、できる限り均等に近づける、こういう仕組みをぜひこれから法案審議のプロセスに向けてお考えいただきたいと思いますが、ちょっと次の質問をしたいので、端的にお答えください。

田村国務大臣 まず、派遣切りばかりクローズアップされますけれども、直接の有期の方々も雇いどめがすごく出たということでありまして、派遣だけではなくて、非正規の働き方が、あのリーマンのときに一遍に仕事がなくなりましたからね、あのときは。ですから、そういう中においてそういうことが起こった、それが起こらないような形で我々はやっていかなきゃいけないと思っております。

 その上で、均衡、均等、これは確かに、おっしゃられるとおり、大変重要なところだと我々も思っております。同じような職務であるならば、しっかりと同じような賃金、または同じような待遇、こういうことは我々も目指していきたいと思います。

 ただ、一つ、委員もよく御承知だと思いますが、ヨーロッパは職務給であります。職務に着目しています。日本は職能給でございました。労働組合のあり方も、ヨーロッパは産業別が非常に強うございます。日本は事業別ということもあります。そういう形態も違っておりますから、そういう歴史的なものがあります。

 でありますから、ヨーロッパのようにすぐにはなかなか変わっていけないわけでありますけれども、今般、多様な働き方ということを我々打ち出しております。あれはまさに、ある意味、職務に非常に着目した働き方。こういうものが広がってくれば、今委員がおっしゃられたような考え方というものが、働き方というものがだんだん広がっていくのではないかということで、我々もそこに着目をしながらこういう施策を広げてまいりたい、このように考えております。

柚木委員 この議論については、年功制に基づいた韓国の今の状況が均等待遇化ということになっていますから、またちょっと議論を深めさせてください。

 あと、この間、診療報酬の未妥結減算についてのやりとりをさせていただいたんですが、診療報酬、事実上マイナス一・二六ということで、消費税の部分を入れれば、非常に厳しい状況がいよいよ現場の医療機関等を直撃していく。

 きょうは未妥結減算しかやりませんが、在宅医療の部分の、同一建物七五%を減算されるようなことも今仕組みとして検討されていたりして、先ほど輿水議員も地域で必要な医療がちゃんと受けられる仕組みをとおっしゃっていましたが、場合によっては在宅で必要な医療が受けられないような方が集合住宅等の中で出てくるかもしれないとか、いろいろな項目が今まさに表にどんどん出てきているんですね。これはしっかり今後議論をさせていただきたいと思います。

 きょうは未妥結減算について改めてちょっと伺うんですが、その妥当性について改めて大臣に端的にお伺いしたいんです。

 確かに、私もこの議論の必要性は認識しています。ただ、今回の減算ルールは、卸売業と販売セクターの民民による商取引について、場合によっては国家が介入するという査定尺度を導入することになり得るわけですね。

 大上段なことを申し上げるわけではありませんが、我が国は、憲法二十二条一項の職業選択の自由から派生する経済的な自由権が認められており、国家が結果的にこれを侵すということになることは自制されているものと理解するわけですが、今回の未妥結減算ルールは、民民交渉という経済自由権の根幹をなす交渉過程に国がこういう形で関与する仕組みをつくるということにならないかと私は思うわけです。大臣、まずここを端的にお答えいただけますか、なるのかならないのか。

田村国務大臣 これは、診療報酬という国が決めたルール、これは中医協でお互いに話し合っていただいて関係者がお決めいただいたものを、後ほど国の方で決定するようなルールでありますけれども、そういうルールであります。でありますから、当事者の関係の方々が意見を言われる中で、お互いに話し合って今般このような形になるわけであります。

 もう一点申し上げれば、国の制度として薬価改定というものをやらなきゃなりません。そのためには、大体、時価がどれぐらい、どういうような実勢価格かということを知らなきゃいけない。そのときに、大きく未妥結で実勢価格がわからないとなりますと国の政策にも大変影響が出てくるわけでございまして、そういうところも勘案していただきながら、中医協の中でお決めになられた結果だというふうに認識いたしております。

柚木委員 これは、もちろん、診療報酬という仕組み上のという今御答弁ありましたが、診療報酬の制度の使い方がちょっとこれまでにないような部分が、次回また議論するんですが、幾つか出てきているような気がするんですね。

 ですから、そこについては、今後、この問題、非常に大きな問題になってきているということで、言われるように、薬価データがきっちりと上がってきた上で次期改定に生かされるべきだという問題認識は私も共有しておりますが、そうは言っても、もう少し知恵を絞っていただけないものかなというふうに思うわけです。薬価差益でもうけるのではなくて、それを是正するという大義名分が今回のこの議論の発端だと私は思っていますが、薬価基準そのものが薬価差益に基づいているというこのスキームをどう考えるかということも含めた議論をしていくことが私は必要だと思います。

 次に伺いたいのは、五〇%という妥結率をクリアしない場合にはいろいろな減算がされるということでありますが、これで本当に実効性があるのかどうなのか。逆に、残りの五〇%でよりシビアな交渉がなされて、バイイングパワーのある大病院や大手調剤チェーン、そういった力の方がむしろより強くなるような形で実際影響が出ないかとか、本当に真面目な医療機関、小さな病院などなどが逆に損をして、経営規模が大きいところばかりが得をするような構造にもしこの五〇%ルールが運用されれば、これは元も子もありません。

 ですから、この未妥結減算ルールの実効性を高めるためにどのような措置をお考えなのか、大臣、腹案があればお示しいただければと思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 これは、関係者がお話しになられてこういう方向性を出されたわけでありますから、こういう方向性というものが、一つ、薬価改定していく中において有効性があるというふうに御判断をされてきたんだというふうに思います。

 バーゲニングパワーがより増すかどうかというのはあれでございますけれども、主に、これに関しては、今でも、常識的なところでやっておられるのは大体五十幾つぐらいの数字が出ております。しかし、昨今、未妥結率がさらに上がってきておるものでありますから、やはりこれ以上上がっていく傾向というのはよろしくないという中において、大体これぐらいならば両者ともに関係者が納得いただけるのではないかという中において、それぞれ中医協で話し合っていただいて、このような結論を出していただいたものと認識をいたしております。

柚木委員 これは結果的に、大手調剤チェーンの、ある意味、利益の出過ぎじゃないかとか薬価差益の是正が必要だという中で、五〇%でやってみて、仮に余り思ったような効果が上がらないとか違うような結果が出てきたりした場合には、当然、診療報酬、二年後の改定に向けた検証が行われるわけですから、例えば五〇%の割合も検討するとかいうことも含めての対応を考えられるということは、そういう理解でよろしいですか。

田村国務大臣 検証はしますが、いずれにしても、未妥結率が上がってきているんですね、ずっと傾向として。これを決めていただければ、少なくとも上がるということはないわけでありまして、必ずや今まで以上に妥結率が上がって、未妥結率が下がるということになってこようと思いますから、そうすると実勢価格を把握しやすくなりますので、より精度の高い薬価改定ができるというふうに認識をいたしております。

柚木委員 その方向性を確認していただくと同時に、やはり、実際のそれぞれの医療機関等の経営状況にどういう影響を与えるのかということも含めて御検証いただいた上で、五〇%というパーセンテージについてもしっかり検証いただきたいと思うんですね。

 もう終わります。最後に、私、きょう本当にぜひ聞きたかったことがあるんです。

 最初にきょうつけた資料に、月給四年ぶり減少、フルタイム勤務者とあるんですが、この中身が私は気になっています。景気回復への期待から仕事はふえたが、介護業界や非正規など、相対的に賃金が低い雇用が伸びたことが原因と、わざわざ介護業界と例示してあるわけですね。

 これは、この間も私、この委員会で再三議論させていただきましたが、来年の介護報酬までまだ一年以上あるわけですね。保育士さんの処遇改善、これも必要で、これは補正でやった。私、この議論をやらせていただいたときに、赤石政務官が答弁の中で、次期介護報酬改定の中でと。我々、四万アップということをずっと、前の野党時代からも取り組んできて、残り一万まで来ている。

 こういう中で、きょうは田村大臣にぜひお願いをしますが、今のこの月給減少の中に、わざわざ景気が、仮に短時間の労働者であってもふえてきているのに、しかし、介護の現場には人が集まらない。学校の充足率も半分を切る。そして、絶対そういうところには就職するなと高校の進路指導の先生が指導する。こういう状況でどうやって安心な社会をつくれるんですか、大臣。

 介護の処遇改善についても、絶対にこれは来年の介護報酬では残りの一万円頑張るということを、ここでぜひ決意を御表明いただけませんか。最後、お願いします。

田村国務大臣 介護報酬改定は、民主党政権でも上がりましたが、その前の自公政権のときにかなり上げたという結果でございます。そういう意味で、三万円、月平均で上がってきておるということでございます。

 四万円を目指すかどうかというのは、民主党にはいろいろな考え方があると思いますが、我々も、介護従事者の方々の賃金、処遇が改善しなければ、なかなか人が来てもらえないというふうに思っております。そのためにも、やはり景気回復もしていかなければならないわけでございます。

 それも含めて、しっかりとした対応を我々も目指していきたいと思いますが、財源とのいろいろと見合いがあるわけでございまして……(発言する者あり)入っていますけれども、消費税も上げるということもやらなきゃいけないわけでありますしね。そういうことも含めて、まずは三%、残り二%上げるというところも残っておるわけでございますから、しっかりと、上げられるような経済環境、これをつくってまいりたいというふうに考えております。

柚木委員 終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 派遣法のことについて、最初にちょっと触れたいと思うんです。

 今の資料にもありましたが、派遣で働いている方が、六〇%以上が正社員として働きたい、こういう御希望を持っておられるわけであります。

 我々は、例えばこの今三十分の質問、場合によっては二十分とか十五分の質問、こういった質問をするに当たって、ほかの会派の先生方もみんなそうだと思うんですけれども、現場の声をさまざま聞いて、あるいは調べて、それを質問として反映し、ぜひ大臣にお受けとめをいただいて、政策、制度に反映をしてもらいたいという思いで、この数十分の質問の中に凝縮をしてお願いをさせていただいておるわけでありますので、ぜひ受けとめていただきたい、御理解をいただきたいというわけであります。

 決して自分の好みや趣味でこの時間を使わせていただいているわけじゃありませんので、現場の声だということで、それが正しいか正しくないかという議論をすればいろいろあると思いますけれども、現実にそういう声があるということをお届けさせていただいているということをまず御理解いただきたいと思います。

 そういった観点で、きょうは、介護保険と、それから難病対策について質問をしてまいりたいと思います。

 いわゆる要支援切りの問題から入りますけれども、要支援一という方は、一部介助が必要な方、要支援二という方は、歩行や排せつ、入浴などで一部介助が必要な方。こういった者をどこが担う、誰が担うのが適切であるかということを厚労省も今一生懸命研究しているということであろうと思います。

 その一環として、資料一にお示しをいたしました予防モデル事業というものをおやりになっているわけなんですが、この予防モデル事業における利用者の変化で、ここに書いてあることは、家事や散歩、地域の集いなどに参加をする人がふえたということであります。

 しかし、このことをもって、二十九年度までに訪問介護や通所介護、ホームヘルプサービスやデイサービスを介護保険から外して、自治体事業にしたりボランティアに任せるということとする根拠というものが、私は見えてこないと思っております。ましてや、要支援者の方々の半数は認知症を持っておられる、専門的なケアが必要とされている。専門職の支援から遠ざけるという理由が、まだまだよくわからないということでございます。

 市町村の方が、あるいはボランティアの方が、無資格の方の方が要支援のデイサービスやホームヘルプサービスにはふさわしいんだと厚労省が判断をした理由を明確にお示しいただきたいと思います。

田村国務大臣 まず、いろいろな数字、統計がありまして、派遣よりも正規を望みたい、六十何%というようなことをおっしゃられましたが、これは平成二十四年度派遣労働者実態調査でありますけれども、これを見ると、希望する働き方、派遣労働者として働きたい、四三・一%、派遣労働者ではなく正社員として働きたい、四三・二%、ほぼ拮抗をしておりますので、そういう意味では、いろいろな声があるのであろう。

 もちろん、今おっしゃられたような声も統計としてはあるのであろうということでございますので、総合的に分析をしながら施策は進めてまいりたいと思います。(発言する者あり)山井さん、また質問のときにゆっくりとお聞かせをいただきたいと思います。

 その上で、モデル事業を幾つかやっているというのは、もう委員も御承知のとおりでありまして、十三市町村でやっております。

 その中で幾つか事例を挙げますと、これは長崎県の佐々町でありますが、ボランティアの方々に、生活支援でありますとか、また通所の場、こういうものをいろいろと担い手として運営していただく、この中において要介護認定率が下がっているという実績があります。

 また、茨城県利根町、ここにおいては、公民館などで、住民の方々でありますとか元気な高齢者の方々が体操教室等々を立ち上げて、いろいろな事業をやっていただいて、やはりここでも要介護認定率が下がってきている、こういう事例があります。

 この間私が行きました和光市でも、やはり同じようにいろいろな取り組みをされておられまして、要支援者もまた自立をされるというような事例も出てきておるということでございます。

 こういう好事例集がたまってきておりますので、こういうものをしっかりと各自治体の方にお示しする中において、また一方で、地域支援事業コーディネーター、サービスのコーディネーター、こういう制度を導入する中において、このような好事例集、サービス等々を各地域でいろいろと開発していただく、こういうこともやっていく必要があると思います。

 今、認知症のお話が出ました。

 認知症、確かに、見てみますと、要支援者の中で日常生活自立度一、こういう方々がかなりおられるわけであります。しかし、こういう方々は、日常生活または家庭内及び社会的にほぼ自立をされておられる方でございまして、そういう意味では、何らかの認知症は有されますけれども、基本的には自立をされておられる方。日常生活自立度二という方々に関しますれば、これは何らかの、近隣者の方々が手助けをしていかなきゃならないという形でございますが、これだけを見ますと、要支援一では八・〇%、要支援二では七・七%となってきております。

 ですから、そういう方々を含めて、やはり地域包括支援センターの方でケアマネジメントをやっていただいて、必要な方々は今言われた専門職のサービスが受けられるというふうになっておりますので、そのような形で対応してまいろうというふうに考えております。

中根(康)委員 資料二の上の四角の中にも書いてあるんですけれども、二十四年度で二十七保険者、二十五年度で四十四保険者しかまだモデル事業は実施していないんですね。大臣も再三にわたって、好事例が徐々に積み重なっているということではありますが、好事例であるがゆえに、そう簡単にはできないんですね。

 これはもう、さまざまな蓄積があって、長年の積み重ねがあって、好事例に今たどり着いているわけであって、どこの自治体でもすぐに好事例がまねできるというわけではない。それぞれで、マンパワーであるとか、あるいはさまざまな基盤整備をした上で、好事例に行き着くということでありますので、自治体からは、現に、財政的あるいは人材的に、簡単に今までのデイサービスやホームヘルプサービスをまねだけされても、それを受けとめ切れないという声が上がっているわけであります。

 私は、自治体に任せるのがだめだということではなくて、まず、二〇二五年という地域包括ケアの完成という大きな目標があるわけでありますので、この地域包括ケアの完成に向けて、徐々に、NPOとかあるいは民間事業者とかボランティアとか、そういうものの基盤整備を進めていく中において、地域の介護力が十分整備されたということにおいて自治体などにお任せをするということは、これはあってもいいんだろうと思っておりますが、今この時点で、まだまだ全国的には介護力に格差がある中で自治体にお任せをするということが、これが要支援切りというような言葉になってしまうんだろうというふうに思っておるところでございます。

 二〇二五年の地域包括ケアの完成のプロセスに合わせるという形での改革を進めていっていただく、そうでなくては、将来高齢者がふえるから、だから今のうちに財政抑制しておこう、安上がりの介護保険に変えておこうという思惑が今のところ透けて見えてしまうわけでありますので、そういう拙速なやり方ではいけないということを申し上げているということは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

 資料二のように、新しい自治体事業には、これは認定が不要だということになっております。

 現行の認定制度においても、要介護度を正確に判定するのは難しいこと。つまりは、要介護者、要支援者に適切なサービスを結びつけるのは、これはなかなか大変なことである。

 それなのに、ここに書いてあるチェックリスト、かなり簡易なものだと聞いておりますけれども、チェックリストで、特に初期の対応が大切だと言われている認知症に対する適切な認定ができるとは思えないわけであります。せめて現行のように、特記事項とか主治医の意見書とか、そういうものがあれば判断の材料になるかもしれませんが、それもあるとも聞いておりません。

 要介護認定を省くことで、認知症やその他の持病とか精神状態とか、さまざまな繊細なことが見落とされてしまうという心配はありませんか。

田村国務大臣 まず、好事例集というのは、確かに、そこのノウハウ、大変な御苦労をされて成功された事業だと思いますが、それだけに、いろいろな苦労というものもわかった上で、その好事例集を見て、いろいろなアドバイスをもらって、新しい事業を始めるところはその分だけ時間の節約ができるわけでありますから、それは大変意味のあることだと思います。

 平成二十九年までこれは移行期間がございますから、どうしてもできないところは、三年の間にいろいろな準備をしていただく。私は、地方はそれなりにしっかりと力をお持ちだというふうに思いますし、地方の力というものも信じてまいりたいというふうに思っております。

 財源に関しましては介護保険から出るということでございますから、その点は御心配いただかなくても結構であろうというふうに思います。

 その上で、今のお話でございますが、チェックリスト、確かに、今も総合事業の中でやっているチェックリストと同じようなものをこれは導入するわけであります。

 ただ、要介護認定、これを受けたい方々は受けていただけますので、御本人が、もしかしたら、それは要介護になるかもわかりませんからね、要支援じゃなくて。ですから、そういう方はちゃんと認定を受けていただいて、その上で判定をされて、そして、そのもとで、要支援であるならば、地域包括支援センターの中においてケアマネジメントをしていただいて、サービスにつなげていただく、こういう手順になるわけであります。

 一方で、要介護認定しますと、やはり時間がかかるんですね。自分自身である程度わかっていて、この総合事業をやりたい、自分自身も体操の集いだとか通いの場に行きたい、こういうような方は、チェックリストならばその場でわかるわけでありまして、早くからサービスを受けられるので、これは選択の幅が広がったという意味では、かえって、我々としてはニーズにお応えできるのではないかという部分もあるわけであります。

中根(康)委員 大臣のおっしゃるとおり、選択の幅が広がったということにとどまるならば、それは問題が少ないのかもしれませんけれども、資料三の右の端の下の方に、「認定に至らない高齢者の増加」という表記があるんです。

 政府が認定に至らない高齢者の増加を目指しているということが真実であるならば、申請の窓口である自治体や地域包括支援センターで、なるべく要介護認定せずに、認定なしの自治体事業に誘導するという、生活保護でも行われているような水際作戦ということを、今、山井委員が表現されておりますけれども、私も同じような表現を使わせていただきます。

 こういった水際作戦というようなものが絶対に起こらない、もし万一、報道等であっても水際作戦が発生したというようなことがあったら、もしそのとき大臣が御在職中であったとするならば、大臣をやめるぐらいの覚悟を持って、この水際作戦は絶対に起こらないという意味での事業だ、安上がりの介護保険に誘導するための認定なしだということにならないという約束をここでしていただけますか。議事録に残していただけますか。

田村国務大臣 そこまで私が大臣をやれるかどうかという問題もありますけれども。

 ここに書かれているのは、我々、要支援者だけじゃなくて、多様な担い手という中に、元気な高齢者の方々は担い手としても頑張っていただきたい。そして、好事例集の中に、そういう方々が、やはりしっかり健康管理ができて、要支援や要介護にならない、そういうような結果も出てきておるわけであります。

 つまり、要支援にならないというのは、一つには、まだ要支援になる以前の方々が、こういう多様なサービスの担い手の一翼を担っていただく中において、社会に参加していただき、生きがいを持っていただき、生活をされる中においてそれぞれの健康管理をしていただく、そういう意味。

 それから、もう一つは、要支援になられた後も、私も幾つか見ましたけれども、やはりちゃんとしたメニューの中でいろいろな活動をされておられれば、そこから改善されて要支援から外れるという方々もおられるわけでありまして、そういうような好事例を一つ念頭に置きながら、このような書きぶりになっておるわけであります。

 ちなみに、田村はそうは言っても、自治体が何かするんじゃないかと。我々は、地方分権の中において常に議論があるんですが、皆様方も地域主権と言われて、あるときには、自民党は地方をそんなに信じないのかなんて我々も言われたことがありますけれども、そこは、それぞれの自治体、住民の方々が選んだ首長さんにおいて、それぞれ運営されていくわけであります。

 今、介護の問題は各自治体においては大変大きな課題になっておるわけでありまして、住民の方々が生き生きと生活されることというのは、やはり、それぞれの自治体にとっては、これは願いでもあるわけでございますから、そのような形で、今回の内容が曲解されないように我々は十分な説明をさせていただきたい、このように思っております。

中根(康)委員 国が法律をつくって、制度をつくって、自治体の皆さんにお願いするわけでありますので、自治体のことはやってみなきゃわからない的な御答弁では、これは無責任になってしまう。

 財源も、消費税を充てるから大丈夫だということでありますが、自然増よりも、これは資料にもたしかつけてあったと思いますけれども、予防給付の自然増予測五、六%ではなく、この下の点線のラインの方に、後期高齢者の伸び三、四%程度に財源をカットするということの中においてこの法改正が行われるわけでありますので、自治体も財源のことを心配しておられる。

 果たして今までどおりのことが、介護保険制度の中で行われていたことと同じことをうちの市、町でできるのかどうか、財源が減ってしまうということの中でできるのかということは、これは全ての自治体が心配しているとは限りませんけれども、心配しておられる自治体がやはりあるということだけは厚労省だって把握をしておられると思いますので、大丈夫だということではなくて、そういう声を受けとめて、きちんと制度設計をしていく。

 本当に自治体の皆さんが担い得るのかということを、十分、いろいろなことを心配を、それこそ気にかけながら法律というものはつくられ、制度というものはつくられなきゃならない。大丈夫だ大丈夫だと、地方分権だからそこから先は知らないよということではないということは申し上げておきたいと思います。

 資料三には、今も大臣もおっしゃられた、多様な担い手による多様なサービス、多様な単価、低廉な単価ということも記されておりますけれども、この認定なしの市町村事業で、報酬単価、自己負担割合、利用限度額、自己負担の限度額、あるいは高額医療・介護合算制度の対象になるかどうか、こういったものがどうなるか、お答えをいただきたいと思います。

田村国務大臣 まず、この示された委員提出の六ページ目の資料ですけれども、上に書いてある線から下の線の方に移っていますが、基本的に、これはキャップをかけているわけじゃありませんでして、目標値であります。

 これは確かに、おっしゃられますとおり、いろいろな多様なサービスの中では、効率的に、安くなるサービス、今の一律的な介護保険上のサービスというのは、一律的なサービスですから、そういう意味からすると、本来こんなサービスは受けたくない、しかし、それしかないから受けているという方も、事実、新聞報道なんかを見ますと載っていますよね。多分、委員もそういう新聞を見られたと思います。

 それよりかは、もっと本人が好んでおられ、さらに、それほどお金のかからないようなサービスを導入していただいて、抑えられるということもあろうと思いますが……(発言する者あり)ないことはないですよ、山井さん。よく勉強してください。

 それで、それよりも、やはり、今この地域包括ケアシステムというのは、もちろん介護、医療、住まいだとか生活支援もありますが、予防というものもあるわけでありまして、予防でありますとか健康管理、これをしていただければ、全体として、先ほど言ったように、要支援者、要介護者が減っていくわけでありますから、そういう意味では、要支援者が減っていけば、当然、全体としては伸びがおさまってくる。

 これも目標を達成するための大きな柱でございますから、そういうことも含めて、しっかりと我々は各自治体……(発言する者あり)投げっ放しじゃありません。我々はしっかりと、いろいろな各地域のノウハウ等々もお知らせをさせていただき、いろいろな助言もさせていただき、ともに考えながら、地域でいい制度をおつくりいただきたいと思っております。

 そしてまた、後半部分のお話でございますが、今までそれぞれ受けておられたサービスを継続される、こういう場合に関しては、やはり今までの介護給付での予防給付におけるその基準、負担というもの、これをしっかりと参考にしていただきながら、ガイドラインでそのような方向を各自治体にお願いしていくということになろうと思います。

 他のものに関しては、やはり、そのサービスに応じた利用料、そして自己負担。自己負担に関しても、各自治体も、高く設定したら、これは受けてもらえませんから。そんなことをすれば、それこそ要支援、要介護度が上がって、後で財政が逼迫するのは、これは、各自治体がそのままかぶるわけですから、各自治体の負担部分もあるわけですから。そこはやはり、各自治体でちゃんとお考えをいただいて、重度化しないような、ちゃんと受けていただけるような、そんな自己負担というものをお考えいただけると思います。一定のガイドラインは示していきたいとは思っておりますけれども。

 その上で、他の合算等々はどうなんだ、それから上限はどうなんだというお話でございますが、これはまだ、これから法律を御議論いただいて、その後、これが成立すれば、施行までの時間があるわけでございますから、その間に、これは今の制度の中で上限制度でありますとか合算制度がありますので、要支援が今回、地域支援事業に変わったとしても、やはり、一定程度、そういうものというものは認識を我々も頭に置いておりますので、どのような形で制度設計ができるかも含めて検討をさせていただきたいと思っております。

中根(康)委員 別に悪意で受けとめるわけではありませんけれども、今の大臣の御答弁だと、要するに、具体的な利用限度額とか自己負担限度額とか報酬単価、自己負担割合、こういったものは法律が成立してから国民にお示しをするということですか。それでは我々は審議できないということになってしまいますが、これは審議の経過においてお示しをいただくということは約束できますか。

田村国務大臣 先ほども言いました利用料でありますとか自己負担というものは、適切にそのサービスに応じた利用料金というものといいますか、金額というものを設定されると思いますし、利用者の自己負担というものに関しましても、それもやはり、各自治体が適切に判断された金額を設定いただくというふうに思います。これは自治体がお決めになる話だと思います。

 それから、上限だとか合算制度に関しましては、これはやはり、全国共通というものがあろうと思いますので、そこに関しましてはこれから厚生労働省で検討をさせていただきたい、このように思っております。

中根(康)委員 これは、法案審議の前に、今大臣がおっしゃられたこと、私が質問項目として挙げさせていただいたことは、一定の目安を、あるいは、きちんとした結論というか数字をお示しいただくということは、約束をしていただけるということで受けとめさせていただきます。

 それで、余り利用料が、自己負担割合が高いと、サービスの受け手がなくなってしまうということもありますが、ただ、うちはもう介護保険をなるべく使わせないんだというような極端な考えを持った首長さんがいらっしゃったとしたら、この自己負担割合を、今の一割ではない、二割、三割、あるいは半分とか、そういう可能性も、想定というか可能性としてはあるということを大臣は言っておられるということですか。

田村国務大臣 そんなことを言ったら、地域主権なんてあり得ない話なんだろうなと。何だって、いろいろな首長さんがいますから、その首長さんがいたら大変だといって、もう地方には権限を渡さない、お金を渡さないということをおっしゃっておられるのかななんて今思いながら、しかし、それはやはり、適切に負担できる、いや、地域によっては、我々はもっと払いたいというところがあるかもわかりません。住民がどうお考えになられるかというのは、それは我々はわかりません。

 しかし、住民のニーズを酌んで地方の行政が対応を適切にしていただけるのではないか。でなければ地方行政というのは成り立たないわけでありますから、そこは一定程度、我々も地方がやられることは信じていかなければならないと思います。

 その上で、一定の、我々もガイドライン等々で示すものは示させていただきたいということを申し上げておるわけでありまして、何もかも国ががんじがらめがいいのかというと、日ごろそれはだめだとおっしゃっておられる民主党の皆さんのお考え方とはちょっと違うのかななんということを感想として述べさせていただきます。

中根(康)委員 自治体あるいは地方分権云々の前に、これは、予算を削減して、財源をカットして、なるべく安上がりの介護保険に変えていきたいという思惑の中で、無理やり自治体に押しつけるというのが実態であるわけでありますので、そこは、そこから先は自治体任せだということではなくて、今までと同じような、必要なサービスが要支援者、要介護者の皆様方に結びつけられるような制度設計を、これは国が責任を持ってつくり上げてお示しをしていくべきだと私は考えさせていただいております。

 報酬単価が低くなってしまう。もし報酬単価が低くなってしまえば、ホームヘルパーの事業者あるいはデイサービスの事業所の収益が悪化をし、職員の処遇低下につながり、先ほどからお話ししている賃金の低下につながったり、あるいは、本来、これから介護労働者を百万人単位でふやしていかなくてはならない、まさにこの分野は女性が活躍できる分野でもあるということでいえば、今、安倍総理が目指している女性活用であるとか、介護の分野を雇用増大の分野あるいは成長力がある分野として位置づけていくということと反対の方向に行ってしまう、矛盾することになってしまうということは、これは御指摘を申し上げておきたいと思います。

 資料四、五にありますように、政府は認知症対策も重視しているということでありますが、認知症の方が多い要支援者、これは先ほどから申し上げておりますが、こういう軽度の要支援者であって初期の認知症の方ほど、実は専門性が高いケアが必要だ。だから、つまりは、専門性の低い無資格のボランティアの方々などに担わせるのは、これは荷が重いのではないかと申し上げておかなければなりません。

 資料四には、初期の支援チームには複数の専門職が支援をすると書いてあります。繰り返しになりますが、軽度、初期の認知症の方の方がかえって専門的なケアが必要だということは、介護の現場の方々からも私ども承っております。介護労働者を大幅にふやさなければならないのに、プロの介護労働を認めないということは、若者の参入意欲を損なうということにもなるわけであります。

 あるいは、例えば、本人の尊厳を保つ、あるいは虐待を防止するスキルや意識、さらには、介護現場で事故が起きたときの責任の所在、介護労働者の持病とも言える、職業病とも言える腰痛などに対して、どうサポートしていくかというようなことへの対応などが、ボランティア、無資格の方が行った場合に、きちんと対応できるのか、大丈夫なのかというようなお声もあるわけでありますが、こういったことについて大臣はどのようにお答えになられますか。

田村国務大臣 まず、介護従事者の方々が単価が安いと処遇が悪くなるというお話がございました。

 これは適切な単価を各自治体でお決めいただくと思いますし、もしそうでなければ、これから、今も言われたとおり、介護の担い手が足らないんです。ですから、そういうような事業者は、多分、もう要支援、これじゃ見られないからといって、要介護の方にどんどん行かれると思います。まだまだ足らないわけでありますからね、マンパワーが。

 でありますから、そうはならないような単価を設定しませんと、各自治体はそのようなサービスを要支援では提供できないということでございますから、これは、そう考えていただければ、適切な単価を提供いただけるというふうに思います。

 介護事業者で働く方々の処遇が、それによって落ちることはないであろうというふうに考えます。

 それから、認知症の問題が出ました。

 先ほども言いました。認知症、これも、日常生活自立度、この一、二で見ると、やはり二の方々、比較的認知症が、進んでおるとは言いませんけれども、どなたか近くにお支えをいただく方々がいないと自立できないという方々の比率は、要支援全体の中で、要支援一が八%、要支援二が七・七%でありますから、一定程度おられるのは確かでございます。

 そういう方々に関しては、やはり専門的な必要なサービスというものを受けるために、しっかりとしたケアマネジメントをしていただけるものだというふうに思いますし、あわせて、要支援に関しましても、今この五カ年計画も含めて、初期集中支援チームというものを組んで、そこでアセスをしながら、しっかりと初期のうちから対応していこうと。

 場合によっては、認知症疾患医療センター等々で、まず認知症の度合い等々を調べていただきながら、初期のうちから治療もしていただこう、リハビリもしていただこう、こういうことになろうというふうに思いますし、あわせて、認知症地域支援推進員、こういう方々も地域支援事業の中に入れ込んでおるわけでありまして、今般の地域支援事業の中には、認知症対策もしっかりと盛り込ませていただこうというふうに思っております。

 そして、そのようないろいろな多様なサービス、生活支援サービスも含めて、こういうのがしっかりできるように、ちゃんとマネジメントができるような方々、コーディネーターをしっかりとこの中で配置していく、こういうことも大事であろうと思います。

 それぞれ、専門職ではないですけれども、いろいろなサービスの担い手になっていただく方々には、今も自治体で研修をやられておられるところがございます。認知症に対する対応の仕方でありますとか、高齢者に対する対応の仕方でありますとか、いろいろなことをこの中で学んでいただけるような、そういうメニューを組んでおられるようでございます。

 そういう好事例も各自治体にお示しをさせていただきながら、専門職ではない担い手の方々に対しても、一定のサービスを提供される担い手としての質の担保がとれるような、そういう施策も組んでいく必要があろうというふうに考えております。

中根(康)委員 時間が残り少なくなってきましたので、難病対策の方に議論を移させていただきたいと思います。

 二月の十八日に、団体の方々の院内集会が行われました。そこで出てきた声、まだまだ、今回の難病新法において、低所得者に対する配慮が不十分ではないか。これは、院内集会の後、大臣にも面会をするとおっしゃっておられましたので、恐らく同じ話を大臣もお聞きになったことと思います。

 A3の大きな資料をきょうは配付させていただきました。

 これは、厚労省の資料を見て、私の事務所でつくらせてもらったものなので、手書きのものになっておりまして、読みにくいかもしれませんけれども、実は、今の制度から、経過措置の三年間を経て、四年目以降、どのように自己負担限度額が推移をしていくかということがよくわかるというはずでありますが、よくわかる資料としてつくらせていただいたものでございます。

 例えば、低所得一の方で、一般の方でいえば、今自己負担はゼロであるものが、経過措置の三年間では二千五百円になる、そして四年目以降は、またこれは二千五百円であるということ。そして、平均が、経過措置の間は千五百円で、四年目以降は千六百円になっていくということ。そして、低所得二の方で、経過措置の間は、今の自己負担ゼロから五千円になる、そして四年目以降は五千円であるということであります。こういう見方なんです。

 もちろん、難病対策は自己負担限度額だけの問題ではないということはよく承知をしておりますけれども、しかし、お金の問題というのは、やはり患者さんにとってはかなり重要な問題であるということも間違いありません。

 そうしてみると、一枠一枠、一つずつ見てみると、相当な階層の方が、自己負担はやはり上がる方が多いということがよくわかるわけでありまして、しかも、低所得者の方々にもっと配慮が欲しいという団体の方々の御意見もよくわかるような負担の上がり方ということになっております。

 資料十一、厚労省につくってもらいました。

 これは、新制度において、平成二十七年度において、既認定者の方に対しての自己負担の引き上げ額は百九十二億円ということになっております。自己負担限度額については、増加する方が八十六万人で五七%、減少するのが三六%の五十五万人、変わらないのは六%の九万人、こういうことになっているのが現実であります。

 きょうはもう時間がないので多くは申し上げませんけれども、つまりは、消費税を上げて、税収が上がる、それは社会保障に使う、社会的に弱い立場に置かれた方々の暮らしの支援に使うということの中において、例えば五兆円税収が上がるとしたら、そのうちの百九十二億円ぐらいはこの難病対策にさらに追加的に支出をしても、これは罰が当たらない、そういうものではないかと、私は、民主党は考えさせていただいているわけであります。

 だから、当事者の方々が、さらに低所得者に対する配慮をしてほしいと、大臣にも面会をしてお願いをしたはずであります。

 このことについては、引き続き、また次回以降議論をさせていただきますけれども、そういうことを、国民の声を、現場の声を十分反映した制度設計にしていただきたいと改めてお願いをし、きょうは質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 午後零時四十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時四十五分開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 ことしはちょっと控え目にいきますので、またよろしくお願い申し上げます。

 一般質疑ということですので、今国会に提出をされている、あるいはされる法案についてさまざまに議論があると思いますが、きょうはできるだけ法案とかぶらないようにというか、法案の審議ではなかなかやりにくいテーマをやっておこうかなというふうに思っています。

 一つは、アベノミクスの中での賃金の問題ですね。これは、先般の十七日、予算委員会でも山井委員が御提起をされ、総理から種々御答弁がありました。また、きょうも柚木委員からありました。

 大分民主党の方々がやられたので、もういいかなというところもあるんですが、ただ、二点申し上げておきたいことは、やはり、民主党の先生方の議論の前半ですね、数字を取り上げていろいろおっしゃられた。予算委員会でもおっしゃられた。

 でも、大臣そして安倍総理がおっしゃったように、言えば言うほどデフレからの脱却が進んでいることを示しているということになるので、その前半の部分は余り、田村大臣、安倍総理がおっしゃるとおりだし、きょう、特に、田村大臣から御答弁いただいた内容については、非常に明快でよくわかりました。もともと私は、遅行性というか、わかっているつもりですので、デフレから脱却するということが一時的にそういう効果をもたらすということについては理解をしているつもりですが、改めて、大臣のお言葉で理解を深めさせていただいたところであります。

 ただ、民主党の先生方がおっしゃっている議論の後半ですね、要すれば、いつなんだと。要は、遅行性があるというのはわかった、総理も、物価先行で賃金が追いつくんだ、できるだけ早くということをおっしゃっています。これはやはり、みんなが不安に思っている。

 特に、最近、マクロ指標が期待を下回るというような議論も出ていますし、るるこの委員会あるいは予算委員会で取り上げられている毎勤のデータも、要すれば、速報と確報でプラスマイナスがひっくり返るぐらいのすれすれのところを、何とかそこに数字が動いているわけです。それを、これからだと思うのか、まだ見えないのかなというふうに思うか、そこが委員の方々の御関心でもある。

 ただ、それを厚生労働大臣だけに伺っていても申しわけないので、きょうは、また内閣府からおいでをいただいていますので、小泉政務官に、ちょっと政府としての、特に賃金ですね、この賃金が遅行性があるということはみんなわかっているが、見通し、何かこれが近々、まあ近々か何かわからないけれども、いずれこれが追いついてくる何かその兆しみたいなものはないのかな。ぜひ、小泉政務官、お願いします。

小泉大臣政務官 足立先生におかれましては、ほぼ毎回御指摘、御指名いただきましてありがとうございます。本日も、質問に対してできる限りわかりやすくお答えさせていただきたいと思います。

 賃金に関しての遅行性、また、いつ出るのか、そして、具体的な動きはあるのかということですが、例えば、今もう既に賃金を上げたという企業も出てくるようになりました。具体的に名前をあえて挙げれば、よくテレビでも見るジャパネットなんかは、もう既に一月から、全社員を対象にして三%の賃上げを開始しました。そして、金融関係でいえば、大和証券グループは、この四月から、二十代そして三十代の若手の社員を中心にして給与水準を平均三%以上引き上げる、こういったことも正式に検討に入りました。

 こういったさまざまな具体的な動きが既に出ているところがある一方で、御指摘のとおり、まだまだ、賃金を上げるというところの具体的な動きが、全国の津々浦々まで、また中小企業、零細企業まで広がっているかといいますと、それがまさにこれから実現をしなければいけない一番大事なところだと思いますので、政労使で共通認識を持ちましたこともありますから、これからも、デフレ脱却に向けて、賃金上昇は鍵である、そういった認識のもと推進をしていきたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。大変力強い御答弁をいただいたと思います。

 これはもうこれ以上繰り返しませんが、ぜひ、もうしばらく、通告外で一つお願い事がありますので、十五分ほどのうちに何とかたどり着きたいと思っております。

 今のアベノミクスの話ですが、私、大臣のお話を伺って、先ほど非常にそうだなと思ったのは、一つは、これは当たり前ですけれども、景気回復の中で短時間のパートがふえる。これは、数字的には、ある種の統計では下がるという、悪化しているかのように見えるが、雇用がないよりはある方がいいわけで、経済あるいは仕事、生活にとってプラスだというお話は当然のことであるし、それは、我々経済を扱っている、政治行政に携わっている者は、当然、当たり前のように認識をしておかないといけないことだと思います。

 もう一つは、デフレの局面とインフレの局面の、ある種の心証ですね。これについて先ほど御説明をいただいて、デフレのときはじわじわとわかりにくいんだけれども、逆にインフレのときは、若干痛みは伴うけれども、それはデフレから脱却するための、まさに景気と賃金の遅行性の反映であるということを、わかりやすく先ほど御説明いただいたと思います。

 もう一つ、このアベノミクスについて、実は、山井委員が予算委員会に出られたときに、総理が、できるだけ早くとおっしゃられたときに、二本目の矢をとおっしゃったんですね。できるだけ早く追いつかないといけない、だから二本目の矢が大事なんだ、こうおっしゃっている。三本目の矢とおっしゃられなかったように私はちょっと記憶しています。

 労働政策という意味では、賃金の問題も大事ですが、やはり規制改革の本命も労働分野にあるわけでありまして、私は、特区も含めて、特区はまた役所が違いますが、規制改革で、ちょっと時間がないので、こっちからもうちょっと言うと、私は不思議だなと思っているのは、マスコミが比較的第三の矢に厳しいですが、例えばこの国会に上がってくる派遣法、私は、立派な制度改革、規制改革だと思うんですね。もうここで賛成だと言ってしまうとまた問題が起こりますが、大変いい修正内容になっている。少なくとも民主党の時代の派遣法の議論よりは大きくそれを改善しているわけですが、ただ、ちょっと足りないなと思うのは、労働時間規制の見直しがもう少しできないのかな、こう思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 安倍総理が第二の矢と言われたかどうかは私は記憶していないんですが、もしそう言われたとすれば、私が推測するところでは、まずすぐに需要をつくるという意味では第二の矢でありますから、その遅行性という意味の、間を埋めるという意味でおっしゃられたのかもわかりません。しかし、第三の矢、これはもう一番重要なところでございますので、これは我々、それこそ不断の取り組みをしていかなきゃならぬというふうに思っておるわけであります。

 労働時間の問題が出ました。もう委員も御承知だと思いますけれども、労働政策審議会の中で、企画業務型裁量労働制、この議論をしていただいております。

 これは、使い方では、多分、今官邸のいろいろな会議でいろいろとおっしゃっておられるようなこと、労働者の健康だとかある意味環境というものを担保しながらそういうものが使えるというふうな制度になり得る可能性もあるわけでございまして、ここはしっかりと労使の中において御議論をいただいて、日本の経済の成長に資し、そして労働者の保護に資する、そのような制度になればいいのではないのかな、このように思っております。

足立委員 労働時間規制については、私の地元大阪でも、特区に絡んでいろいろ御提案をしてきているところであります。本当にマーケットが期待をしている規制改革の本命は、労働時間規制であり、また解雇に関連する規制であるということは、我々の主張として改めて申し上げておきたいと思います。

 あと、きょうは、子ども・子育て支援新制度について御討議をいただきたいと思いますが、小泉政務官がもう多分お時間がないと思いますので、一言、きょうの私の質疑に絡んで、ちょっと順番が入れかわりますが、実は、子供政策とは別に、医療政策について、後で時間があれば議論するんですが、小泉政務官、私、この委員会で田村大臣にストーカーのように追及、お願いを続けていることがあります。これが、医療法人の会計基準なんです。

 今、地域にいろいろな病院があります。巨大グループもあります。某選挙違反でいろいろ捜査の対象になっている医療グループもあります。ところが、彼らが、では会計基準がない中でどうしているかということを専門家の人に聞くと、最低限の税務会計はやっていますと。要は、我々の政治家の事務所がやっているぐらいのことしかやっていないわけです、端的に言えば。

 これだけの、何十兆というお金が流れ込んでいる世界の出口の提供体制のところがそんなことでいいのかということを私はずっと申し上げてきているわけで、後でちょっとそれは質疑をやらせていただきます。

 実は、お父様の、小泉総理の時代に、平成十七年に医療制度改革大綱というのをまとめていただいて、私は、まだ役所に、経済産業省にいたんですけれども、そのときに、やはりこの会計基準がないのはおかしいということで、その大綱の中に、医療法人会計基準についてしっかり検討するということが明記をされたんです。平成十七年です。それが、まだできていない。

 ぜひ、今度お夕食か何かのときに、要は、会計基準というのは、あらゆる法人についてあります。それは、いろいろな団体が整備をしているんです。株式会社、有限会社、社会福祉法人、学校法人、NPO法人、あまたある法人には、必ず、出来はともかく、何らかの会計基準が整備をされ、公表され、何らかの活用がされているわけです。

 ところが、医療法人だけは、その会計基準を、平成十七年に検討すると閣議決定をしているにもかかわらず、まだできていない。きのうも、四病協で検討しているということなので、そろそろまとまるのであれば下さいということで厚労省には申し上げていますが、とにかく見せられないということで、素案の段階まで来ているようですが、まだ見せていただけない状況にあります。

 ここで小泉政務官に陳情しても仕方がないんですが、お父様の時代の仕事の現状が今そうなっているということだけお伝えをして、特段、もしコメントがあればあれですけれども、いいですね。聞いていただけただけで私は本望でございますので、ありがとうございます。

 それでは、政務官、ありがとうございました。

 実は、今申し上げた医療法人の話を産業競争力会議でも議論されていますので、これをやりますが、その話は、テーマ的には、仮に時間がなくなれば、法案の段階で、地域医療・介護確保法案のまさにテーマそのものでありますので、場合によってはそちらでやらせていただくということで、きょうおいでいただいている方は申しわけありませんが、きょう、ぜひやりたいのは、子ども・子育て支援新制度であります。

 私、地元を回っていますと、大変御心配の声が届きます。要すれば、来年の春に施行すると言っているけれども、それに必要な一兆一千億の財源のうち、少なくとも確保の見通しがついているのは、消費税の増税からくるところの七千億円だけ。それはまだいいとして、その七千億円でさえ、総理が年末に消費税一〇%への増税の決断をされない限り、七千億がどうなるかわからない。すなわち、来年の春の施行がしっかりとその春に施行できるかどうかは、年末までわからないんです、遅ければ。

 ところが、現場は、来年の春から新しい制度で認定の園をもし導入するとすれば、その募集をかけて、入るお子さんを決めていかないといけないわけです。普通に地元に聞くと、夏、遅くても秋には募集をせないかぬ。

 これは、そごはしていませんか。きょうは三省おいでいただいていますが、内閣府、お願いします。

岡田副大臣 子ども・子育て新支援制度につきましては、内閣府を中心に、文部科学省、厚生労働省が連携して、今、施行準備を進めているところであります。

 子ども・子育て支援会議の中でも、私も何回か出ておりますが、さまざまな議論があります。二十八年四月、一年おくらせるべきではないかという御質問もありましたけれども、今、消費税率の一〇%に引き上げについては、税制抜本改革法におきまして平成二十七年十月実施と規定されておりますが、最終的には経済状況等を総合的に勘案して適切に判断することとされております。新制度につきましては、子ども・子育て支援法の附則において、消費税を一〇%に引き上げる日の属する年の翌年の四月一日までの間において政令で定める日から施行するとされています。

 一方で、今いろいろ御指摘ありましたけれども、子ども・子育てをめぐりましては、教育、保育の質の向上や深刻な待機児童問題を初め、さまざまな課題を抱えており、その解決が急務であることから、新制度のできるだけ早い施行が望まれているところでもあります。

 このため、想定される最も早い施行日である平成二十七年四月の施行に間に合うように、引き続き地方自治体や事業者等の関係者と丁寧に意見交換を行い、適切に準備を進めてまいりたいと考えております。

足立委員 地元で一番困っているのは、実は幼稚園なんですね。多分、詳細、制度の中身を見ていただくと、なぜか御理解いただけると思います。

 そういう意味で、文科省にもおいでいただいています。西川副大臣に同じ質問なんですけれども、今内閣府からあったような御答弁はよくわかっています、現状の理解はわかっています。ただ、その理解では現場は困るんじゃないか。幼稚園の方々は、ちょっとどうかと。それも、予算が通ればいいという問題じゃないんです。消費税というのは、経済動向次第ですよね。要は、政府や行政の意思だけではいかんともしがたい、経済動向に左右される、それは年末しかわからないんです。幼稚園の方にこれを説明できますか。

西川副大臣 足立先生の御指摘は、私自身もお地元からいろいろ、幼稚園関係者からもいろいろな御質問をいただいております。

 今回のこの制度、当然、確かに景気判断を見て、年末に総理が判断して、それからという中で、しかし、やはり現場サイドとしては、今の現実の、今、岡田副大臣からもおっしゃったように、そういう問題に対応するために、やはり行政側としては対処しておかなければいけない、そういう問題があると思います。

 その中で、公定価格をきちんとある程度決めるということは、遅くともことしの四月、六月あたりまでにはしっかりと情報を幼稚園側の皆さんに御提供して、本当に現場の方々と意見調整をしながら、その辺の不安解消にしっかりと努めてまいりたいと思っております。結局、秋までに皆さんは園児を募集するわけですので、そういう見通しを立ててさしあげないと、やはり判断もできないと思いますので。

 そして、結局、二十七年度にこの制度に変わるのか、あるいは二十八年度に、それは園側の御判断に任せておりますので、それはやはり園の方で、急いでやった方がいいかどうか、そちらの御判断にお任せするということも柔軟に対応していきたいと思っておりますので、先生の御指摘の御不安にはできるだけ対応するように、きめ細かにやってまいりたいと思っております。

足立委員 西川副大臣も岡田副大臣もおっしゃることはよくわかるんですが、しかしそれだと、現場は究極的には経済動向を判断するということになりますよ。もうちょっと言えば、秋あるいは夏か秋の段階で新しい園に移行すると決めて募集した、年末に総理がやはり上げないと言った、これはどうなりますか、大臣。

田村国務大臣 これは、新法で、附則で消費税を上げる年の翌年の四月までの間に施行するとなっておるわけでありますので、消費税が上がらなければ自動的に新制度には移行ができない、そういうふうになっております。

 したがって、今予定しているところで進めていこうとすれば、何としても消費税を上げられる経済環境に我々は持っていかなきゃならぬということでございまして、今、それに向かって全力を尽くしておるところであります。

足立委員 経済全体の動向を、一応、一義的には内閣府ということになると思うので、それを厚生労働大臣にお願いするのは申しわけないわけですが、ちょっときついですよね、現状、この仕組みが。

 これは何とかならないですかね。どうしたらいいですかね。どうしたらいいですかねというのは、これは多分、委員の方も、浦野先生もようわかっておられる。これは問題ないですかね。ここで聞いたらいけませんね。

 私が現場と議論している限りは、もうつき合っていられないと。だから、経営が別に問題ないところは、要は、別に現状で問題ないところは、わからないのならもういいよ、こうなって、あきれられて終わりです。しかし、新しい園に期待をしているところは、当然、制度が整備をされた、法律が整備された、施行される、準備をする、園児の募集をする。

 だから、同じことを何回も聞きますよ。園児の募集をして決まった後、消費税が上がらないとなったら、どういうオプションがあるんですか。これは、三省、どなたでもいいんですけれども。園児を募集した後、それでもやはり消費税が一〇%に上がらない、七千億も措置できない。その園に対して、私たちは、行政は、あるいは政治は、どういうふうにお話をしたらいいと思いますか。

田村国務大臣 新制度に移れないわけですよね、要は、消費税を予定どおりに上げなければ。平成二十七年四月、新制度に移行できないということになれば、これは大変大きな問題でありますが。

 保育の立場からいきますと、今現状でも加速化プランをかけて、それに向かって予算を二十五年、二十六年度は用意してきているわけであります。保育の枠の中で新しい枠、これは我々は平成二十九年度までに四十万人分と言っておりますので、それに向かって、新制度ではないですけれども、対応していく。

 幼稚園の方は文科副大臣の方からお聞きになられる話になるんだと思うんですが、少なくとも新制度ではありませんから、新しい給付制度には入らない中においてどう対応されるかということは、文科副大臣にお聞きをいただきたいと思います。

足立委員 まさに大臣がおっしゃったように、保育は恐らくそんなに、少なくとも、不確実性はあるが、それをわかっておけばいい話のような気もします、ぎりぎりね。

 ところが、幼稚園は、大きな新しい船に乗るのか、今の船をおりるのか、今の船に乗り続けるのかということを、所管だって違うわけですから、大きな大きな経営判断を幼稚園の方々には今求めているわけです。そのために、今副大臣がおっしゃったように、西川さんがおっしゃったように、春には公定価格を提示する、三月、四月かな。

 だから、行政の側の都合は私もよくわかります。行政の皆様が今それをどういうふうにマネージしようとしているかは、ちゃんと教えていただいてわかっています。問題は、今申し上げたようなことが起こり得ますよね。仮に起こったときに、文科省は、幼稚園の方々が園に移行すると決められたけれども、まだ幼稚園ですから、文部科学省の管轄にある、所掌しているところの幼稚園の方にはどう説明されますか。

西川副大臣 本当に制度を予定どおりにぜひ実施したいという思いはいっぱいありますが、確かに御指摘の事態は起こり得ると思います。そういう中で、やはり現実には私学助成金と就園奨励費、これをさらに充実することで対応するしかないと思います。

 ただ、この制度がしっかり前向きに行くように頑張りたいともちろん思いますが、もしそういう不測の事態のときには、それで、拡充で対応するということだと思います。

足立委員 今、西川副大臣がおっしゃったのは、園に移行するとなった場合に想定されるある種の施設費ですか、その助成のボリューム、これは文科省の幼稚園向けの助成の枠内でしっかりと確保すると。それは、二十七年度予算要求に、そういう考え方、これは概算要求の段階で踏まえられるということでいいですね。

西川副大臣 文科省として、政府としてそういう想定はしておりません。

足立委員 ここで決めてくださいというのも酷かもしれませんが、これはしっかり準備をしておいていただかないといけないと思うんですね。ぜひ、西川副大臣、戻られましたら、文科大臣とよくそこの概算要求の考え方、概算要求にその旨がちゃんとはまっていないと……。大臣、おかしかったら、ぜひ。では、同じ質問を厚労大臣にも。

田村国務大臣 当然、概算要求という話になりますと前の年になるわけでありまして、そのときはまだ決定されていないわけですよね、消費税を引き上げるかどうかの最終決定が。でありますから、その時点で何らかのものを用意するというわけにはなかなかいかないのであろう。

 ただ、いずれにいたしましても、こういう事態が起こらないように我々は最大限努力するわけであります。仮に、万が一起こった場合には、当然、税収がない中でどのような形で対応を、財源を生み出すかということも恐らく考えなければいけないわけでありまして、そのような形になり得るというおそれがある場合も含めて、あらゆる想定というものはさせていただかなければならないのかもわかりません。

足立委員 大臣、ありがとうございます。

 まさに私がきょうこのテーマを取り上げさせていただいたのは、理屈上あり得る話で、かつ、八%に上げるときも、政府は、あるいは安倍総理は大変熟慮されたわけでありまして、したがって、一〇%にあっては、この四月の八%への消費税上げの影響も見ながら、大変厳しい判断を年末に求められると思います。

 したがって、この制度が、もちろん、行政的には今の法律の枠組みで処理しているんだといえば、行政間の理屈は一応整理できているのはわかっています。ただ、現場は、そんなことは知りません。財源が、七千億が消費増税であり、一〇%の増税がなければ財源がないことを現場は知っています。

 すると、先ほど、副大臣、大臣、皆様方がおっしゃられたことでいえば、幼稚園の経営者は、経済動向に気を使いながら、果たして安倍総理は消費税一〇%の決断を予定どおりしてくれるのかということを心配しながら経営判断をするということになっていますね、今。なるんです、それは。将来なるんじゃないですよ、今、公定価格が出てくるのを待っている幼稚園の経営者は、今それを気にしているんです。

 だから、ぜひ大臣もう一度、そこについては、少なくとも、公定価格の数字を見て判断した経営者の方にあっては、仮に法律が施行されなくても何もそこに経営上の支障が生じないように、三省が連携して措置をするということでいいですね。

田村国務大臣 まずは、そうならないようにしっかりと経済状況を我々としては整えていくということが大前提でありますが、まさかの不測の事態が起こったときのことも想定に入れながら三省で検討をするような、そのような準備はいたしたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 私がこうやって申し上げているのを御理解いただけていると思うんですが、当然、法律であったり予算であったりというのは成立しないと動かないわけですから、関係者は予算の成立を待っているわけです。だからこそ、今、与党は、二月二十八日の衆議院通過という若干異例の段取りも視野に入れて議論をされているわけで、私は反対でありますが。私は、十四日間の予算の審議というのは余りに短いので、当然、三月の第一週に、三月の五日でもいいじゃないか、個人的にはそう思っています。

 でも、なぜ政権が、予算は仮に参議院が混乱しても自然成立するというメッセージをマーケットに送りたいと思うかというと、関係者がそれを気にしているからですね、私は気にしていないと思いますけれども。ねじれがないんですから、予算が成立しないということを心配している人はいないと思いますが、それでも政府・与党は、そういう段取り、すなわち予算が自然成立するということを、年度内成立ということをマーケットにメッセージを送るために、懸命に今やられている。

 その御努力に比べて、幼稚園関係者を初めとするこの子ども・子育て分野の経営者の方々に対するメッセージは何と弱いのか。特に、政府・与党が予算案を通せば、法律を通せばいいということであれば、それは政府を信用してもらえればいいんです。しかし、この消費税の問題は経済動向ですよね。生き物である経済動向によって、これは変わるわけです。それを経営者に心配させるということは、私は、三省としてそれはあってはならない、こういうふうに申し上げておきたいと思います。

 では、改めてそれだけお願い申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、清水鴻一郎君。

清水(鴻)委員 日本維新の会の清水鴻一郎でございます。

 数カ月前までは、この場で田村大臣に質問することができるなんというのは全く考えられないことで、まさに青天のへきれきでございます。四年半ほど質問をしていませんので、若干ふなれな点があるかもしれませんけれども、お許しを願いたいなと思います。

 しかし、逆に、四年半ほど全く国会の場を離れて、まさに医療現場や介護の現場で働いて、国を見る、社会を見る、国会を見る、そういう目を、また、そういうチャンスがありました。そのことをまた私の糧にしながら、質問させていただきたいと思います。

 田村大臣は厚生労働行政に造詣が深くて識見が高いということで、大変尊敬を申し上げていますので、大臣になられたときは、間違いないな、これで日本の社会保障は間違いないなというふうに思ったわけであります。また、土屋副大臣や高鳥先生も、昔、同僚でお世話になったということも含めて、温かい社会保障を実現していただけるんだろうというふうに期待をしているところでございます。

 まず、きょうは、細かいいろいろなことはあるんですけれども、大きな意味で、今の医療提供体制というものについて、今まで厚労省がやってきたこと、もちろん故意に間違ったというわけではないわけでありますけれども、その時々にはそれは正しいというふうに思ってなされてきたことでありますけれども、今現在に至っては、若干やはり反省しなければいけない点が多々あるのではないのかなというふうに思うわけであります。

 今回、医療提供体制の中で、特に病床の機能分化という問題が出てきています。今回は、自己申告で、自分の病院がどういうものを担うか、得意分野はどこか、急性期を担うのか、回復期を担うのか、あるいは慢性期を担うのか。一種の自己申告をして、そして、それを市町村あるいは都道府県単位で計画をしっかり練って整えていくということであります。

 厚労省の方にお伺いしても、いやいや、何を何万床にしようということではなくて、これからの自己申告で、そしてまた、地域に合った、都道府県単位で医療計画を二次医療圏ごとに出していくんだということであります。

 しかし、考えてみますと、十八年ですか、急性期が足りないなということで、七対一にすれば、いわば医療費もつけて、ちゃんとそれに沿ったことをやるよということで、当時、急性期を扱う病院、七対一看護をしていた病院は約四万床だったわけですね。だけれども、病気というのは本当は急性期だろう、急性期をちゃんと担える、たらい回しにならないようにするためにそこは手厚くやるよということで、手を挙げてください、そこにはちゃんとお金もつけますよということをやったわけです。すると、今、幾らですか、三十六万床でございますよね。それは、もちろん病院も、しっかりと急性期を担えるように設備も整えよう、人も集めようと、しっかりやった。そうしたら、今度は多過ぎるねと。

 厚労省の方にお伺いすると、いやいや、何万床減らすなんてことは一言も言っていませんよということなんでありますけれども、地方から積み上げてきて、それが結果としてどうなるかはこれからですという話ですよ。

 しかし、実際には、ちょっと資料を一枚、これは新聞ですから、新聞が何も正しいというわけではありませんけれども、少なくとも各紙、資料一につけたのはたまたま朝日新聞でありますけれども、ほかにも、読売新聞にも、いろいろな新聞に出ていますよ。朝日は「重症向け病床、四分の一削減 医療費膨らみ方針転換」、読売の方は「急性期病床九万床削減 早期退院に診療報酬加算」、そんな感じです。

 僕は、今回の病床区分の手挙げ方式、何か一見よさそうなんですよ、自分で選んでくださいと。何か、デジャビュですか、昔こんなことがあったな、それで、みんな頑張ってそうしたけれども、はしごを外されたなと。

 今、急性期の方々、二年間で約九万床、どうしたらいいのと。看護師さんも雇っているし、病棟も建てかえた、急性期の機械もいっぱい買い入れた。だけれども、今度は非常に厳しくするから、君のところははみ出るんだよという話です。

 こういうことに対して、大臣、率直に、これはちょっと前のときも含めて、今回も手挙げで、着地点をしっかりと、まあ、わからないですよ、本当は着地点を想定しているのかもしれませんけれども、ちゃんとしたシミュレーションがあって今回の病床区分をやらないと、また手挙げ方式で、手を挙げたからそうなった、だけれども、結果は思ったよりここへ行き過ぎたねというようなことにならないんですかね。大臣、今までの結果を踏まえて考えてみて。

 もう一回ちょっと振り返ったら、平成十二年、二〇〇〇年、介護保険ができた。介護と医療とのはざまはないな、そのことを担うために療養病床も必要だなということがありました。

 主に医療中心だけれども介護もやろう、医療療養病床、これは健康保険、医療保険料で見ようと。だけれども、介護に陥るぐらいだから当然持病がある、あるいは原疾患、もとの疾患がある、だから、介護が中心だけれども医療も外せないねと。そういう中で、介護療養病床。いわゆる介護保険三施設ですよ。介護療養病床、老人保健施設、特別養護老人ホーム、そういう三つの施設をちゃんと踏まえて介護をしっかりやろうと。介護保険という新しい保険をつくって、国民の皆さんからも公的保険を集めるわけですから。そういうものをつくった。

 そして、医療機関も悩んだわけですよ。介護療養病床を介護保険で見る、そちらに行くというのもどうなのかなと。しかし、これからの高齢化社会、介護療養病床も大事だな、ここを担う、そのことをやろうということでやりました。

 そうしたら、どうですか。六年ほどたったら、もう六、七年でこれはいずれやめましょうと。平成十二年にできて、二十三年末には廃止しましょうと。十一年間ですよ。みんな、新しい病院をその施設基準で建てたんですよ、あるいは改装したんですよ。それに一々細かい面積基準なんかがあるんですよ。

 大臣もよく御存じだと思いますけれども、例えば介護療養病床、一人当たり六・四平米ですか。老人保健施設、一人頭八平米、四人部屋だったら三十二平米要るわけですよね。でも、医療療養病床だと二十六平米ぐらい。そして、特養だと一人十平米だよと。四人部屋だと四十平米ですよ。みんな違うんですよ。

 そして、二十三年度末に老健になったらいいじゃないですかと言ったわけですよ。では、面積はどうするのと。いやいや、四人部屋を三人で入れば、面積は何とか八平米を満たすじゃないですかと。とんでもない話ですよ。四人部屋は四人がうまく入れるようにちゃんとしつらえているんですよ。一つベッドをとったって、ここはデッドスペースですよ。アメニティーも何にも上がらない。

 そしてまた、そこは百床で運営しようと思っていたのが、四人部屋から一人とれば、二五%、つまり百人の収容のところは七十五人になるわけですね。そういうことも踏まえて、経営的にも成り立たない。

 だけれども、平気でそういうことをやったわけですよ。これはやはり間違いだったということをしっかり認めてもらわないと、次へ進めないと思うんですよ。

 大臣はそういう経過を、恐らく御一緒に療養型病床を考える会なんかに入っていただいていたと思うんですよ。そういうことも踏まえて、このことに対して、細かいことはいいです、その方向性について、大臣としてこれから病床区分にどう取り組みたいと思っておられるか、しっかり御答弁いただけたらありがたいと思います。よろしくお願いします。

田村国務大臣 清水先生、本当にお帰りなさいませ。ともに自民党時代に切磋琢磨をさせていただきました。特に、先生は専門家でございますから、私なんて素人でございますので、医療に関して大変造詣の深い先生からいろいろなことを学ばせていただいた、勉強させていただきました。心から感謝を申し上げます。またこれからいろいろな議論ができればうれしいな、そんな思いできょうはここに立たせていただいたわけであります。

 今、るる、この十数年来の厚生労働行政、お話をいただきました。介護保険がスタートして、介護型の療養病床、もともと医療と介護というものの中でどのような役割をしていくかという中において、そのようなカテゴリーをつくった。ところが、それは問題があれば見直すというのは一つ必要なことでありますけれども、そういうことが多過ぎるんじゃないか。もともと介護の、特養のユニットケアも、これも全ての方々が対象じゃないというような話の中でスタートして、今や全ての方々を対象にやってきておるわけであります。

 そういういろいろな制度変更もあるわけでありますが、この介護型の療養病床に関しては、その後、機能強化型の老健と言っておりますが、なかなかこちらに移っていただけないということで、いまだに残っておるわけでございまして、大きな課題として残っております。

 七対一に関しては、当然、急性期の病床をふやすこと自体は必要であったわけでありますけれども、途中しっかりとそこを見ていかなかったがために、確かにふえ過ぎた状況の中において今般の見直しをさせていただこうという話にもなってきております。

 そこはそこで、やはり反省すべきは反省をする。厚生労働行政を預かる責任者として、そこは真摯に受けとめていかなきゃいけない、事実を受けとめなきゃならない、このように思っております。

 その上で、今回は、確かに自主的ではあるんですけれども、例えば、何万床とは言いませんけれども、七対一から移っていただく、地域包括ケア病棟というような言い方もしておりますけれども、こういうものに移っていただくにおきましては、確かに人の問題もあります。いろいろな問題がありますから、今般の診療報酬改定の中においても、一年間、そういうものに移すためのいろいろな点数を見たわけでありまして、いきなり急に一年でかわってくれとは言えないだろうから、そのような形で時間をかけて、看護師の方々がおられるならば、他にもいろいろと必要なそういうような医療サービスがありますから、そちらの方に移っていただくように、一定の期間は経過措置という形で入れさせていただいておるわけであります。

 あわせて、自主的だとは言いつつも、まず病床機能の報告、これを義務づけさせていただきました。これをいただいた上で、地域医療構想、ビジョンとも言っておりますけれども、これをつくっていただき、そして医療計画へと反映をさせていただく。これは、それぞれの地域で、都道府県それからそれぞれの医療機関等々、本当に真摯に話し合っていただいて、どこにどれだけの病床が必要なのか、その中において自分たちは何を担っていくのか、そういう議論をしていただきたいと思います。

 そして、やはり介護とは切っても切れないわけでありまして、そこがなかなか計画がうまく一致していなかったものでありますから、その結果、先ほどの療養病床がどうなんだみたいな話にもなったわけでございますので、介護保険事業計画とそれから地域医療計画とを年数的に合わせるようにしようということで、地域医療計画を、これは六年というような期間の中で、前期三年、後期三年ならば、ちょうど介護保険事業計画と、中間、そして最終で、いろいろとそこのところは見比べられるといいますか合わせられるじゃないかということで、そのようなことも仕組みの中に入れさせていただこうと。

 こういう中において、今般の病床機能の分化、連携、さらには地域包括ケアまで含めた地域医療の問題、こういうものに対してしっかりと計画が立てられるようにということを、反省を踏まえて盛り込ませていただいておるわけでございまして、その中において、こういう案があるよというような建設的な御意見があればまた賜れればありがたいなというふうに思います。

 ありがとうございます。

清水(鴻)委員 大臣、ありがとうございます。大臣に温かい言葉をかけていただいたら、もう余りきついことも言えないなと思うんですけれども。

 ただ、今回は本当に待ったなしだと思うんですよね。今、いわゆる後期高齢者が、一三年のデータでありますけれども、一千五百六十万人。それが、いわゆる二〇二五年問題、僕なんかそのトップランナーですから、ここでちゃんとやってもらわないと僕の老後がないわけでありますから。二〇二五年にはまさに二千百七十九万人。一・四倍から五倍、急激な高齢化。

 だからこそ、ここでしっかりした医療、介護の受け皿を、もう最後のチャンスなんじゃないかな、今度これを見直すときにはもう遅いと思うので、しっかりやっていただきたいなという思いと、やはり、自主申告で、そして、地域地域は確かに過疎のところもあるし大変な都会もあるし、それぞれの事情があって病床区分もニーズが違うだろうと思いますけれども、今までちょっと何か、ある意味で、七対一もそうだけれども、政策的に誘導して、結果としてのシミュレーションをしっかり立てて、もしも多くなりそうだったら、やはり早い段階でレギュレーションをかけるような政策をしていかないと。

 例えば、今だったら九万床というと、三分の一とかそういうところまで減らすとなると、これは物すごい影響、激変ですよね。これは患者さんにとっても、今入っている病院がまた転換するんだよねと。患者さんも医療現場も混乱する。だから、もう少し早い対応をしていかないとだめだと思います。

 今度も、やはりある程度目標値みたいなものは、あくまで自主的だ、地方の自主性に任すんだということは、それはそれでいいんですけれども、大きな意味で、国として、どういう枠組みが大体受け皿としてはいいんだろう、そういうものはやはり持っておいてもらわないと、何か行き当たりばったりで結果的に多過ぎたとか、それはこれから修正がきかないと思うんですよね。

 それから、今、介護療養病床のことがありましたけれども、結局、二十三年末ではだめだと。六年間、だから二十九年度末まで。

 今現在何床あるということは、大臣はもちろん御存じだと思うので申し上げませんけれども、約七万床まだ残っていますよね。これを二十九年。でも今、私も月々あるいは年度ごとの減少率を見ていますけれども、余り減っていないんですよ。ということは、やはりそれだけのニーズがそれぞれに介護療養病床にはあるんだと。転換老健に行ったところとか、いろいろあるんだとは思いますけれどもね。

 今後の見通しとして、本当に二十九年で終止符を打てるという見込みは、大臣でなくても担当者でも結構ですけれども、今現在そういう流れの中で、介護療養病床について見通しはどうですか。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 今、議員もおっしゃられましたように、介護療養病床は、十八年四月時点で約十二万一千床ございましたのが、直近二十四年十月時点では七万四千床ということでございます。

 これについては、二十三年の介護保険法改正の際に、御指摘のように、六年間、廃止の期限を延長いたしました。その際の国会の附帯決議がございまして、私どもとしては、その附帯決議に基づきまして、実態調査、介護療養病床にどういった方が今入っておられるのか、ニーズはどうなのか、そういったようなことについて調査をした上で、その結果に基づいて必要な見直しを検討してまいりたいと考えております。

清水(鴻)委員 結局、だから、まだ着地点は決めていない、そういうことでいいんですね。二十九年、一応延長は六年だけれども、実態調査をしながら、場合によってはまた再延長とか、あるいは、一回決めたことを廃止するというのはなかなか難しいですけれども。

 実質的に、今の介護療養病床を必要とする患者さんあるいは要介護者がいるんですよ。だから、例えば名前は、法律で決めたんだから、介護療養病床という名前で残すわけにはいかないということはあるかもしれませんよ。でも、そういう人たちがしっかりと安心して、やはり一応二十四時間お医者さんがいる看視のもとでおられるような、介護療養病床と言うかどうかわかりませんけれども、そういうものはしっかり残してもらいたいし、その必要性は絶対あると思っている。

 そのことについてもう一回、決意といいますか、担当者はそういうふうに言っていますけれども、大臣は、残すかどうかわからない、これは実態を調べてということで、それでいいんですか。大臣もそういう認識で、今法律はそうだけれども、実態を調べれば残すということもあり得るよというふうに、大臣の方からも、持っておられるということでいいですか。

田村国務大臣 実態を調査した中で、介護療養病床という名前かどうか、それと今のままなのかどうかは別でありますが、どういうようなものが必要であるのかということをしっかりと我々も認識した上で、必要なものに関しては何らかの制度の中で残していく、もしくはその機能をですよ。そういう意味では、そういう必要性があるのであろうと思いますから、まずは実態調査をさせていただく中において、どのような判断をしていくかということになろうというふうに思います。

清水(鴻)委員 ありがとうございます。

 そして、これは医療もそうなんですけれども、若干介護にもかかわってしまうんですけれども、今の流れは、医療も介護も、どちらかというと、医療でいえば病院から在宅へ、そして介護の方は施設から在宅へという流れをつくる、それが患者さんにとっても幸せだし、あるいは、医療経済あるいは介護経済といいますか、社会保障の増大を防ぐためにはその方がいいんだと思っておられるというふうに、今の政策の流れはそうですけれども、私は、間違いと言い切るとちょっと語弊はありますけれども、それは大きな誤解があると思います。

 実際に、医療の現場、介護の現場で、在宅というのがいかに大変か。実際に、訪問診療、訪問看護、訪問介護と、どんなに頻回に行っても、一日二十回行っても、その残りの時間は家族がケアするわけですよ。

 そして、経済的にいっても能率性でいっても、例えば入院患者さんだったら、五十人を医者が回診することは、二時間とかそういう単位でずっと患者さんを診て回れますよ。だけれども、往診、私の父は往診をやっていましたよ。車に乗ったり、あるいはスクーターに乗ったりして行っていました。でも、何軒回れるか。行って、そこで手洗いを一応つくって、消毒液をつくって手を洗って、診察して、点滴した場合はそれをまた抜きに行く。そういうものをして次のところへ行く。それは、一つのマンションの人が全部患者さんだといったら、これはもう入院と同じような感じですから、それはいいんですけれども、そんなことはあり得ませんから。ということは、往診、訪問診療というのは時間と労力がかかる、つまりお金もかかる。

 また、介護も同じですよ。在宅でされる場合、いかに家族の労力で。最初は、自分の親だ、あるいは自分の夫の親だ、おじいちゃん、おばあちゃんだといって頑張るんですよ。でも、二十四時間、旅行も行けない、買い物もなかなか行けない。そういう状況の中で、もう随分前ですけれども、僕が京都府会議員をしていたときですけれども、アンケート調査をしたら、つい、本当は大事な親なんだけれども、ふと早く亡くなってほしいなと思ったことがあるというような人が過半数だったんです。物すごい悲しい話ですよ。だけれども、現実はやはりそうなんですよね。

 そういうことを踏まえて、今大きな流れの中で、在宅神話、僕はあえてそう言っているんですけれども、在宅が要介護者の人にとっても患者さんにとっても幸せで、病院や施設は不幸せかというと、僕はそんなことはないと思います。

 特に施設なんかは、最初一週間ぐらいは、高齢者の方も、家に帰りたいなとおっしゃる方もいらっしゃいます。だけれども、同じ年代の、同じ話し相手がいて、お世話をするプロとして楽しいメニューをつくり、いろいろな工夫をして、その人の身体に合わせて、買い物ツアーをするために外に行ったり、スーパーマーケットに買い物に御一緒に行く、どうしても喫茶店も行きたいねとコーヒーツアーをする、喫茶店ツアーをする。そういう工夫を介護の世界もしながらやっているんですよ。

 だから、私は、何か在宅が安くて、それが幸せだというそのことは、もちろん在宅で、大家族で、おじいちゃん、おばあちゃん、子供が住んでいる家もあるでしょう。それをやりたい、やろうという人に対して応援するのは、それはいいですよ。だけれども、今は施設に預けると、いやあ、本当は家で見なきゃいけないんだけれども、国もそう言っているんだけれども、先生、済みませんねと、何か申しわけありませんみたいな、そんなことじゃないと思うんですよ。

 それは、施設に入っても、一週間に一回面談に来たり、汚れ物はとりに来て家で洗濯して持ってきたり、お正月やお盆はおうちに帰って家族で過ごす。いろいろな利用の仕方がある。

 だから、僕は、何か在宅が良で、いわば介護施設や病院は、悪とは言わないけれども、それはなるべくやめた方がいい、そういうふうな刷り込みというのは大きな間違いだと思うし、それをうまく活用する、そのことの中で、どちらかというと、お金をどんどんどんどん在宅の方に向けていますけれども、在宅、在宅と言って何十年もたつけれども、進んでいますか。大臣、進んでいるという認識はありますか。

田村国務大臣 在宅という方向を確かに我々は進めておるわけでありますが、それは一つは、御本人、アンケートをとりますと、六割以上の方々が自宅でやはり人生を過ごしたい、こういうお声が多いこと。それをかなえられるような政策ができればという部分と、もう一つは、施設整備もやめているわけではございませんでして、先生もよく御承知のとおり、つくってはきておるわけであります。

 あわせて、最近は、特定施設、特定施設じゃないサ高住なんかもありますけれども、サ高住というような形で住まいをつくってきておるわけでありまして、そういう意味では、決して施設系は全くやっていないというわけではありません。

 ただ、一方で、これから高齢者が大変な勢いでふえていく、特に後期高齢者がふえていくというような流れの中において、全て施設でというのはなかなか難しいわけでありますし、つくり過ぎますと、その後、今度はしぼむときに運営ができなくなってしまうという心配もあるわけでありますから、そこはよく見ながら、どこまで施設をつくっていくのかということも考えていかなきゃならない。

 そうすると、どうしてもやはり在宅というところに進めなきゃいけない部分もあるわけでありまして、考え方といたしましては、二十四時間対応できるような、先生も御承知のとおり、定期巡回・随時対応型の訪問介護のサービス等々を、今まだそれほど広がっておりませんけれども、何とか全国展開を進めていきたいという思いであります。

 それから、在支診、在支病、こういうところの評価、後方支援病院の評価というものも必要でありましょうし、機能の高い訪問看護ステーションというものも評価をしていく。こういうことをしっかりやりながら、ただ、言われるとおり、在宅で医療するのはなかなか大変だと思います。

 訪問診療ならば、ある程度、それこそ日程を立てて行けるわけでありますが、例えば主治医機能を今強化するとなりますと、往診、何かあったときに急に呼び出されれば、主治医であれば行かざるを得ないわけですね。そうすると、往診というものに対応しようと思うと、なかなか一開業医だけでは対応できないという問題もありますから、そこはチームを組んでいただきながら、そういうものに対応していただくというような。

 それと、どれぐらい主治医を持って、どれぐらいの訪問診療をやって、どれぐらい往診があってというものをある程度モデル化しながら、ちゃんとそれが運営できるような、どういうチームなら運営できるかというような、これは地域によっても違うと思います。後方支援の病院がしっかりと確保できているところならば、何かあったらすぐに病院の方にも行けるでありましょうし、そういうものがないところでありますと、やはり往診というような形で対応しなきゃいけないということもあろうと思います。

 そういうものもしっかりと計画をつくりながら、我々、対応できるような体制を各地域地域でつくっていただくということが大変重要であろうというふうに思っておりまして、そういう細かいところも含めて、しっかり支援ができるような対応をしてまいりたいというふうに思います。

清水(鴻)委員 ありがとうございます。

 大臣、確かに、訪問診療とかは最初頑張るんですよ、若い人も手を挙げて。続かないんですよ。開業して借金もある、体も若い、十年ぐらい頑張るんですよ。もうへとへとですよ。もうやめた、やめたというか、もう無理だと。家族ももう無理だと、二十四時間。

 チームというのは、連携というのは、いいようなんですけれども難しいんですよ。じゃ、元旦だけは勘弁してくれよと。だから、なかなかそれはやはり、チーム医療とかなんとか言いますけれども、病院なら、これは一つのあれだから、正月、元旦の当直もみんなで回し持ってやるんですけれども。

 だから、やはり現実をしっかり見て、本当に、在宅の流れというのは、いいようだけれども現実性があるのかどうか、持続性があるのかどうか。それで、それを本当に持続しようと思ったら、人、物、金がめちゃくちゃ要る。それこそ、逆に社会保障はもたないんじゃないか。だから、施設や病院というのをうまく活用してやっていくことが、僕は、これからの超高齢社会で能率的。

 それと、アンケートも元気なときにとっちゃだめですよ。僕だって、今だったら家で死にたいと言いますよ。だけれども、僕が病気して寝込んで本当に嫁さんに世話になったら、とても嫁に申しわけないな、もう施設に入れてほしい、その方が気が楽だと。

 それは元気なときは、先生と僕が旅行しても、お互いに個室のビジネスホテルでいいよ、別々にしようね、温泉旅館が幾ら上等でも、先生と僕と二人で寝るのは気詰まりだなということはあると思いますよ。だけれども、もうお互い動けないんですよ、動けない。介護度三、四、五ですよ。そんなときに、かちっとした個室にいる必要があるのかどうか。

 だから、特養も、オール個室とかそういう考え方はちょっと省いてください。四人部屋でも十分、一人十平米ですよ。そういう、ちゃんと個室化しているし。そういうことを含めて、しっかり現実を検討していただきたい。

 ちょっと時間がないので、また今度機会がありましたら、もう少し論議を深めて、これからの在宅医療あるいは介護のあり方についてもお話をさせていただきたいと思います。新聞にある、時々入院ほぼ在宅とかいうのが本当に幸せかどうかということも含めて論議させていただきたいと思います。

 今のは資料二にも、実際、「高齢者虐待二年連続増」と。つまり、在宅でいると本当に、自分の身内だけれども、つい虐待というか切れてしまうという現実、京都でこれを調査したので、見ておいてください。

 それで、三番目の資料三でありますけれども、これはやはり、今現実に建設費というか建築費が高騰しているんですよ。

 そのために、特養とかそういうものはあらかじめ、認可事業ですので、数年前から認可をとるためにやって、土地なら土地を手当てして、それから初めて申請をして許可をとる、そういうことになるわけですよね。だから、実際に建てていいよと言われて建てようと思ったら、えらいもう三割上がっている。とても三割というのは吸収できないんですよね。例えば、民間の、何か価値を上乗せできる、まあホテルならホテルで、一万円の部屋代にしようと思ったけれども、建築費が上がったから部屋代を一万二千円にしようとか三千円にしよう、そういうわけにはいかないわけですね。とすると、実際にはデッドロックになるわけですよ。

 だけれども、逆に言えば土地は手当てしていないと申請できないので、土地は手当てしている。二十六年度事業でやってくださいと認可を受けている。二十六年度なら二十七年の三月までにやらないと、これまた取り消しになっちゃう。

 そういうことで、今、たまたまこの新聞は「関東の入札不調」と書いていますけれども、また関西でも、同じようなことが関西の新聞にも載っていましたし、事実、この関東の入札不調急増で、特に公共、いわゆる特養とか保育所とか、そういうものが非常に上がっているというのもあります。私、建設費も大変上がっているという日経新聞のコピーも持ってきて、また大臣に後でお届けしたいと思いますけれども、個々のものが上がっているんですよ。だから、非常に困っている。

 このことに対して、厚労省としての認識はどうですか。

原(勝)政府参考人 議員御指摘の、職人不足などの影響で、建設工事の労務費や資材費が全国的に上昇傾向にある。特養の工事でいいますと、これも同様な状況であるということは、自治体や事業者の方からそういった声を聞いているところでございます。

 今後、これらの状況が特養の整備に与える影響について注視をしていきたいと思いますし、特養を初めとする介護基盤の整備の状況について適切に把握をしていきたいと考えております。

 厚労省は、税源移譲で、大規模の特養については地方にもう委ねておりますので、直接的にとやかくということではございませんが、二十九床以下の小規模の特養については整備費を出しておりまして、これは基金を都道府県につくっておりまして、この基金は繰り越しなんかが割と柔軟にできるという特色がありますので、この基金をさらに一年延長し、また、基金が不足する都道府県の整備分については、先般成立しました平成二十五年度の補正予算、ここで二百六億円の交付金を計上しているというところでございます。

清水(鴻)委員 ありがとうございます。

 しっかり現状を把握していただいて、大きいのはもう関係ないしとか言わずに、やはり大きい施設も、地方ですけれども、地方からまた、その悩みの窓口にも厚労省になっていただきたいので、ぜひ現状をしっかりと把握していただいて、そしてその対処、やはりこれはちゃんと進むべきものが進まないと今度は待機者がふえるわけですから、その辺のところも十分対応していただきたいなと。

 また、もし現状の資料とかがありましたら。役所も、きのう国交省に言ったら、最後の最後、きのう出しますと言ったら、夜の九時ぐらいになって、よく考えたら、建設費だったらあれだけれども、建築費の方は経産省なんですと言うんですよね。だから、何か縦割り行政の典型だなと思って、非常に腹立たしい思いをしているので、その辺、省庁にまたがるかもしれませんけれども、省庁連携して、その実情をもしわかったらお知らせください。

 ちょっと超過したかもしれませんけれども、尊敬する後藤委員長のもとで質問できたことも感謝申し上げます。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、宮沢隆仁君。

宮沢(隆)委員 昨年の通常国会でこちらの委員会で鍛えていただきまして、その後、ちょっと衛生医療、自衛隊医療をやりたいなと思って、今、安全保障委員をやっております。しかし、この委員会、こうやって来ると非常に懐かしく思います。

 きょうは、テーマを三つ設定しまして、ディオバン事件のその後と、また新たな、タシグナ事件かどうかわからないんですけれども、その件、それから労働安全衛生法改正案における受動喫煙の扱い、三つ目が医学部新設問題ですね。三つ全部、完全にできるかどうかわからないんですけれども、バランスよくやりたいと思います。

 まず、ディオバン事件。

 私、この委員会でもう二回ほど既に扱って、大方答弁はいただいているんですが、その後、ことしの一月、また新たにスクープされまして、ノバルティスファーマ、ノバ社で略させていただきます、ノバ社が、白血病治療薬タシグナの副作用情報の、医師の間でやりとりをするものをノバの社員がやっていたと。それは、一月中旬には相当記事がいっぱい出たんですが、資料二の下の左の方に書いてあります。

 結局、これは恐らく、いわゆるMRと称する方々が、いつもやっているようにということで、医者から医者へいろいろなものをメッセンジャーとして運んでいたんだろうと思うんですが、やはりそういう危機的認識が足りなかったということだろうと思います。

 それで、ここでちょっとMRのお話をしますと、昔の、ごめんなさい、ど忘れしちゃいました。このMRという仕事、ディオバン事件の件もあるんですけれども、ちょっと、仕事のあり方とか、MRというのは本当に何をやる仕事なんだろうとか、必要なんだろうかとか、そういうことをそろそろ考えてもいい時期じゃないかなと。ど忘れしたのを思い出しました。プロパーですね。我々が若いころはプロパーと称していましたね。ここに製薬業界、薬学部出身の方もいらっしゃると思うんですけれども、そろそろ厚生労働省でもそういうMRという仕事について考察をしてもいい時期じゃないかなと思います。

 タシグナの件は今調査中のようですので、特にきょうは深く触れません。

 ここで、まずは厚生労働省と田村大臣にお礼を申し上げるのと同時に、たまには少し褒めたいなと思っているんです。昨年、私がこのディオバン事件、刑事事件に持っていくべきじゃないかというようなことを言ったんですけれども、そのとおり刑事告発していただいて、厚生労働省もやるなというふうに私は感じました。

 それで、資料二の左側の記事、上から三段目ぐらいのところに線を引いてありますけれども、「バルサルタンは二〇〇〇年の発売以来、累計一兆二千億円を売り上げる」と書いてあります。一年で約一千億円以上売り上げていたようなんです。

 もう一つは、資料一、ごらんください。これはまさに昨日の毎日新聞です。ここに絵が描いてありますけれども、ノバルティスファーマ社という会社から、上から順番に、京都府立医大、慈恵会医科大学、滋賀医大、千葉大、名古屋大、物すごい額のお金が流れている。非常によくまとまった表だと思うんですけれども、上から、三億八千、一億八千、六千五百五十、二億四千六百、二億五千二百。僕はこういうお金には縁がなかったもので、本当にすごいなと思うんです。

 結局、今の二つの記事を重ね合わせると、虚偽の論文で派手に宣伝をやって、それでもうけたお金を使って、この教授たちにお金が流れたという見方もできるわけですね。お金には色がありませんけれども、それだけもうけることができるんだから、これだけのお金を教授たちに流しても割に合う仕事だ、もうかる仕事だということだと思うんですね。

 それで、たしか前回も言ったかもしれないんですけれども、これだけのお金がノバルティスファーマに流れているわけですが、先ほどの二番目の資料の左側の記事、上から四段目に「保険財政に与えた影響も検討すべきだ」と書いてありますね。結局、これは、税金がノバ社に回って、それがそのまま医学部教授たちに回ったという見方をすると、もしそうであれば、回収することも、あるいは民事訴訟も考えてもいいんじゃないかと思うんですが、その辺の見解をちょっと田村大臣にお願いしたいと思います。よろしいですか。

田村国務大臣 これは、降圧剤ディオバンを使わずとも他のものは使っていた可能性はありますが、ディオバン自体の薬価等々と比べてどうなんだということも含めて、今、中医協の方でいろいろと検討をいただいております。その御報告も含めて、いただいた後に、我々としても、どういう対応ができるのか、判断してまいりたいというふうに思います。

宮沢(隆)委員 調査中ということでよろしいですか。どうもありがとうございます。ぜひ、前回の刑事告発と同様、厳しく対応していただきたいと思います。

 それは誰に厳しくかといいますと、もちろんノバ社に対して厳しくは当たり前なんですけれども、私は、ここに出てきた各大学の教授の先生方にも厳しくしていただきたいと思っております。

 資料二の左側の記事の最上段、一番最初のところに線を引いてありますが、「製薬企業と医学界のもたれあいの構造」という表現をしておりますが、簡単に言ったら、医療界と製薬業界の癒着ですね。

 これは、ドクターであれば大体若いころ経験していると思うんですけれども、これも前回言ったと思いますが、接待攻勢みたいなものがすごい時期がありましたね。ある一時期からは、いろいろ問題が起こった後、大分減っていますけれども、でも別な形でこういう癒着がもう起こっている。もちろん、この件にかかわった教授を処分するべきだとは思うんですが、ただ、今のままにしておいたら、また同じことが起こるに違いないと私は思います。

 ここで、文部科学省にお願いしたいんですが、これも再三伺っているんですが、臨床研究のときのガバナンスのあり方、あるいは倫理の持ち方、倫理観、それから透明性の確保、お金の流れですね、そういうことについて、前回答弁いただいた以上に何か進展があるかどうか、ちょっと御答弁いただきたいと思います。

冨岡大臣政務官 宮沢委員の質問にお答えいたします。

 大学のガバナンスが機能していないんじゃないか、そういう御趣旨の質問であると思いますけれども、私たちは、大学のガバナンスを今全般にわたって高めようとしておりまして、この研究不正の問題についても、同じ流れで対処したいと考えております。すなわち、学長に権限を持たせ、また、こういった研究不正に対しては組織で責任をとらせるような仕組みを考えております。

 また、処分についても、今般は刑事告訴という厚生労働省の出方に私たちも全面的に協力をしております。したがいまして、先般の十一月の委員会での答弁でもお答えしましたように、厚生労働省と一緒になって今やっている。そして、文科省としては、ガバナンスという観点からしましては、例えば人事権を行使して、京都府立医科大学において、不正に携わった元教授の退職手当の返還を求めたり、あるいは滋賀医科大学においては、研究責任者が辞任、そして学長が給与の返還を表明して、こういった問題に取り組んでいるところでございます。

宮沢(隆)委員 処分の方はどんどん厳しくやっていただきたいと思います。

 それから、もう一つ文部科学省の方にお尋ねしたいんですが、これはこのディオバン事件に限ったことではないんですが、昨今、医学部関係だけじゃないとは思うんですけれども、捏造論文が名立たる国際誌に載ってしまうという事件がどんどんふえております。これも、やはり大学そのものの倫理観がどんどん落ちているんじゃないかという気がするんです。

 あともう一つは、大学の評価に当たって、研究至上主義になり過ぎているんじゃないかという気がするんですね。アメリカなんかは、学生からの評価でもって教授の評価を決めるというようなところもあるみたいですので、もうちょっとその研究の方を何とか正当に評価するシステムをつくって、最終的に優秀な教授が残るようにしていくという、そんなようなシステムはできないものかどうか、あるいは何か検討されていることがあるのかどうか、ちょっとお答えいただければと思います。

西川副大臣 先生のおっしゃるとおり、本当にそういう不正な論文捏造の話をちらちら耳にすることは事実でございまして、今、文科省では、各チームをつくって、大学のガバナンス改革ということをかなり大きな議論をしている最中でございまして、学長の権限強化とか、あるいはそういう中での研究費の透明性の検証制度とか、大学のガバナンス改革をしている最中でございますので、これから先生のそういう御指摘にも応え得る方向性をしっかりと打ち出していきたいと思っております。

宮沢(隆)委員 よろしくお願いします。

 実は、けさ八時からだったんですが、うちの党でちょっとレクチャーがあったんですね。そのときに、多分御存じだろうと思うんですが、国際基督教大学理事長の北城恪太郎先生がレクチャーしてくださったんですが、まさに学長の権限をぜひ強くしてほしいとか、教授会の権限が強過ぎてガバナンスがきかないとか、非常にいいことをおっしゃっていらしたんですね。

 その中で、では北城先生が一番やってほしいことは何かといいますと、学校教育法第九十三条第一項に、ちょっと今から言いますね、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」という文章があるらしいんです。この審議というのは、いわゆる採決とか教授会に決めてほしいというようなことを言っているわけじゃないらしいんですけれども、今、歴史的に教授会そのものが何でも決めちゃうみたいなムードになっちゃっているのが、結局、日本の大学が伸びない理由じゃないかということですね。

 それで、北城先生は、教授会の権限を縮小して、学校長、学長の権限を強化するためには、この文言を、教授会は学長の諮問機関とする、このワンセンテンスで日本の大学のレベルはぐっと上がるとおっしゃっている。非常にすぐれた学長を選別すれば、それでどんどん自動的に全てがうまくいくということだったんですね。

 これは質問通告していませんので特にお伺いはしませんけれども、私は、これはぜひ政府の方でどんどん法案の変更をやっていただけると。お答えいただけますか。では、お願いします。

西川副大臣 北城先生のお話、まさに意識は共有しております。今の大学の改革、制度の中で、今の法案のところの条文を改正の方向に向けて法制局と詰めている最中でございますので、いい方向に向かうと思います。今回の法案提出に向けて、今、法制整備をしているところでございます。

宮沢(隆)委員 それは私、知りませんでした。どんどん進めてください。よろしくお願いします。

 ディオバンの件はここで終わるんですが、刑事告訴を決断してくださったのはまさに田村大臣だろうと思いますので、ぜひ今後、このディオバン事件は余りいい事件ではないんですけれども、将来の医療行政に生かして、臨床研究を高いレベルに持っていくためにどのような決意をお持ちか、ちょっと一言いただければと思います。

田村国務大臣 一連のディオバンに関して検討会をつくって、それはディオバンに対する、ディオバンというかノバルティスに対する今般のいろいろな対応に関する部分もあったわけでありますけれども、それ以外にも、日本の臨床研究に対してやはり信頼性が失われたわけでありまして、それに対して、どのようにそれを取り戻すか。

 例えば、研究機関とそれから製薬会社、こういうところの相反関係があります。これに対する管理体制をどうするかでありますとか、それから製薬会社のガバナンスをどうするんだ、こういう問題もあります。さらには、臨床研究の質の確保とあわせて被験者の保護、これも大事でありますし、今委員が先ほど来言われておられます、今回に関しては薬事法等々での告発という対応をさせていただきましたけれども、それ以外にも、医療財政にどのような影響が起こったのか、こういうようなことに関してもいろいろと御提言をいただいています。

 その中において、やはり臨床研究に対する信頼確保をするための法整備、これをするべきではないか、いや、するとまた臨床研究が難しくなる、いろいろな意見がこの中で交わされましたが、検討会を今すぐにでも立ち上げていって、ことしの秋ごろまでに、法整備をするのかしないのか、するのならばどのような方向性なのかというようなことを結論を出してまいりたいというふうに考えております。

宮沢(隆)委員 ぜひよろしくお願いします。

 前回も申し上げましたが、私は、学術界、医療界ですか、憲法での学問の自由があるから何をやってもいいんだというのは、もう通用しないと思うんですね。いわゆる大学の自治とか、自浄作用に期待するとか、自律性を尊重するとかというのは、ちょっと今の事態を見ると放置はできないかなという気がしていますので、その辺の憲法との整合性も恐らく検討されるんでしょうから、よろしくお願いします。

 次は、先週の金曜日、予算委員会で提言させていただきました受動喫煙の問題です。

 同じプレゼンをしてもしようがないので、ちょっとモディファイしましたけれども、あのときの田村大臣のお返事の中に、労働安全衛生法改正案を今検討中ということをおっしゃっていたと思うんですけれども、主にそこにフォーカスを当てて質問させていただきます。

 このたばこというのは非常に微妙で、この中にも恐らく吸う方と吸わない方が真っ二つに分かれると思うんですね。これは与党も野党も関係ないですからね。意外と微妙な問題ですよね。下手すると重苦しい雰囲気になるかもしれない。

 実は、何で私がこんなことを急に言い出したかというと、つい数カ月前に産業医講習の更新に当たってのレクチャーを受けたんですね。そのときに、日本のいわゆる受動喫煙の環境というのは世界で最悪だという、禁煙を進めているドクターからお話がありまして、いわゆるモラルという意味ではかなり低いところにあるようなんですね。

 もう一つは、東京オリンピックが決まりましたね、二〇二〇年。それに当たって、この間も文科大臣にお聞きしましたけれども、外国人がいっぱい来る。そのときに、日本のいわゆる町中でどこで吸ってよくて吸っちゃいけないのかというようなことは、外国人には言えないらしいんですね。吸わないのが当たり前という環境。もうヨーロッパ、アメリカはそういう社会風土になっているらしいです。これは、参議院議員の松沢先生なんか口を酸っぱくして言っておられるんですが。

 だから、そういういわゆるたばこ文化のグローバリゼーションということを考えても、ここで本格的に禁煙あるいは受動喫煙のことを考えなきゃいけないということで、これをテーマとして出させていただきました。

 ついでに、私のたばこ歴をちょっと言いますと、私、二十ぐらいから十二、三年吸っていて、子供が生まれたら女房に猛反対されまして、最初はトイレで一人で吸っていたんですけれども、それもばかばかしくなって、結局やめたという経緯であります。今でも隣でたばこを吸っていても別に気になりませんし、ああ、ただでたばこを吸えるなぐらいにしか感じていないんですが、ただ、ここからちょっと医学的な話に入るんですが、やはり受動喫煙というのはかなり怖いみたいですね。

 私も勉強して改めて認識したんですが、肺がんはもちろんですが、女性が受動喫煙にさらされると、特に妊娠中とかこれから妊娠する可能性がある方というのは、まず低出生体重児とかが生まれる可能性がある、それから流産、早産の確率も高くなる。それと、もし家庭で子供がいたりすると物すごい数の病気の原因になるらしいんですね。

 そのリストは予算委員会のときに出したので、きょうは用意していないんですが、別な資料として、ちょっと医学部の講義みたいになっちゃうんですけれども、資料三です。

 吸っている人が吸う煙は主流煙というらしいんですけれども、受動喫煙の原因になるのは副流煙と呼出煙。この真ん中に書いてありますね、受動喫煙イコール副流煙プラス呼出煙。

 副流煙は、まさにたばこから直接出ている煙ですけれども、これは黒い四角で囲ったところを見ていただけるとわかるんですが、主流煙と比べて有害物質が何倍にもなる。ニコチン二・八倍、タール三・四倍、一酸化炭素が四・七倍、アンモニア四十六・三倍とか書いてありますね。だから、より危険であるということ。それから、呼出煙というのは、喫煙者が吸い込んで吐き出した後の煙ですね。結局、受動喫煙の被害というのはこの二つで起こる。ここに書いてありますけれども、環境たばこ煙、ETSというらしいんですが、エンバイロンメンタル・タバコ・スモーク、これが諸悪の根源であるという医学的事実をちょっと確認させていただきました。

 それで、今度は、資料の四。いよいよ法律の話に入ってくるんですが、労働衛生法の受動喫煙に関する規定の改正、これは僕は非常に結構なことだと思うんですけれども、これはちょっと厚労省に対するクレームになっちゃうんですけれども、昨年廃案になっちゃった条文では、一番上の四角で囲ったところに書いてあるんですが、前回の法案の内容ですね、「全ての事業者に職場の全面禁煙又は空間分煙を義務化。」と書いてありますね。この義務化というのは非常に重要なんですが、その下に矢印があって、義務化した場合、国の支援策がなくなり、取り組みが進まなくなるおそれがある、それから、建議後に受動喫煙対策に取り組んでいる事業者が増加している云々。だから、結局どうなったかといいますと、真ん中の黒で囲まれたところ、文章の最後の方なんですが、「事業者の努力義務とする。」と、トーンダウンしちゃったんですよね。

 私がきょう一番言いたいのはここなんです。ここについては、すかさず毎日新聞が、スクープと言っていいかどうかわからないですけれども、資料五、毎日新聞のネット版なんですけれども、その事実をここに記事として書いてあります。そして、ナンバーツーのところ、下線部、「事業主や、葉タバコ農家を有力支持団体に持つ自民党の反発は強く、審議入りできないまま一二年の衆院解散に伴って廃案となっていた。」という記載があるんです。

 これはまあ毎日新聞がそう思ったから書いたんだろうと思うんですが、これで田村大臣初め自民党の先生方にお聞きしたいのは、こういう事実というのは本当にあるんでしょうかということですね。要するに、事業主や葉たばこ農家を支持団体に持つ自民党は遠慮してトーンダウンしてしまったと。お願いします。

田村国務大臣 いろいろな御議論はあるんだと思いますけれども、党の中でお話しいただいている話でございますので、今、また法律を提出すべく、与党の中でいろいろ御議論をいただいている最中であります。それに関しては、私は、ちょっとこの立場から党の御議論に対してここで申し上げるということは差し控えさせていただきます。

 ただ、一方で、今委員おっしゃられましたとおり、労働政策審議会の中で、要は、義務化をしても罰則がないんですね、もともとの案も。義務化をしても罰則がなければ、それはもう何もやらなければ、結果的には、義務だというだけの話で進んでいかない可能性があるだろう。それよりかは、努力義務であればそれに対する助成金がつきますから、義務化すれば助成金はつきませんので、それは当たり前の話で、それが当たり前になっちゃうわけでありますから、だからそちらの方が進むのではないかというような御議論がある中において、このような形でおまとめをいただいた。

 それを受けて、法律提出に向けて今与党の方で御審議をいただいておるという状況でございます。

宮沢(隆)委員 補助金が絡んでいるという理解ですね。

 それでは、罰則化というのは今後も検討されていると考えてよろしいでしょうか。

田村国務大臣 まずは、今般出させていただくのは、努力義務というような形で今与党で御審議をいただいております。それによって、助成制度等々を含めてこれから進んでまいります。

 その状況を見ながら、どうしていくかということは今後御議論をいただくことになろうというふうに思います。

宮沢(隆)委員 では、罰則化を強く念頭に置いて議論を進めていただきたいと思います。

 実は、閑話休題で、ちょっと話がそれますけれども、私、ここの国会に来て一年ちょっとたつんですけれども、産業医でもありますので、それとなく各職場を観察はしているんですが、受動喫煙という面からいくと、議員会館が一番ひどいかなと。吸っている先生のお部屋は煙がもくもくですよね。僕は、やはり秘書がかわいそうだなといつも思っています。秘書が文句を言えるはずがありませんからね。ですので、その辺は議員の先生の自覚で何とかやっていただくしかないんですが。

 この国会の職員とか秘書、国家公務員なんですけれども、どういう規則で産業医が関与するのかなというのを、きのう、物すごく興味が湧きまして、ちょっと調べてみたんですね。そうしたら、そういう職種の方々はいわゆる普通の労働安全衛生法がそのまま適用はされないということが、一つ私はわかりました。

 では、どういう法律かというと、人事院の規則ですね。それで、昭和四十八年三月一日付で、健康管理医というのを置かなくちゃいけないということで、ああ、確かに国会の中にお医者さんがいるなというのがわかったんです。議員会館にもいますよね。ただ、四十八年の話ですので、この当時、多分、産業医という概念はなかったんじゃないかと思うんです。

 では、産業医という概念はいつから認識するようになったのかなと思って調べたら、平成二十一年二月二十七日付で、人事院事務総局職員福祉局長発文書で初めて産業医が登場するんですね。ただ、これも義務化じゃなくて、産業医の要件を持った医師が望ましいと。

 今診療所にいる先生方は、多分、産業医を持っていたり持っていなかったりだろうと思うんですけれども、ただ、産業医が本当の企業に入ってやるときというのは厳しいんですよね。一カ月に一回は必ず見回りますし、メンタルにおかしくなった方はどんどん診療所に来させて面接したりとかそういうのをやっているもので、果たしてここにいる職員の皆さんはやられているのかなと、これは医者として皆さんを心配して述べているんです。

 厚労省がやはりこの辺はある程度管轄することになるかなと思うんですけれども、これは別に質問じゃないですから、ぜひ改めてちょっと考えてみていただきたいなと思います。特に今、メンタルストレスでやられる人がふえていますので。

 時間がもうないので、医学部新設問題に行きます。

 これについては厚労省は直接関係ないとは思うんですが、ただ、医者を扱うという意味では物すごく重要だと思います。

 従来からよく言われているんですが、二〇〇七年から全国で医学部定員が千四百人ふえた。これは十四校医学部をつくったのと同じだ。岩手、宮城、福島の三県だけで二百六十人から四百人にふえている。これについては、日本医師会、それから病院長医学部長会議等々、多くの医療系団体が猛反対しております。それでも安倍総理は、やろうということで進めておられるようなんですが。

 ここで一番の大きな指摘は、数云々じゃなくて、これは医者が都市部に全部流れちゃって東北地方に行かないこと自体に問題があるんだという指摘は、僕はもっともだと思うんですね。

 それで、医学部新設を進めておられる文部科学省にお聞きしたいんですけれども、震災復興、医師不足解消、経済活性化に結びつくと文書等には書いてあるんですが、そのロジックが僕にはわからないんですよね。医学部新設がそのまま今言った三つにどこでどう結びつくのか、その辺をちょっと説明していただけるとありがたいです。

西川副大臣 今の先生の御指摘は、ある程度当たっていることだろうと思います。

 この医師の不足という問題は、確かに、新しい研修制度を入れてからのいろいろな、本人の割合自由で選べる、大学の医学部の力の低下、その他いろいろな問題があった中で、都市部に集中する、大病院に集中するということが大きな原因であることは確かです。

 そういう状況の中で、地域の医師不足を解消するという一つの理由は、これは、西日本に比べると、やはり相対的に東北の方はまだまだお医者様が少ないという現実はあると思いますね。それプラス、何といっても今回の震災における東北地方の人たちの一つの思いといいますか、そういう人たちの陳情があったことは事実ですので、そういう思いに応える一つの象徴的なものとして、新しい医学部新設という話はできてきていると思います。

 ただ、御懸念のように、このことが経済活性化に結びつくかどうかは、私もちょっとそこはまだ未定で、将来のことだと思いますけれども、そういう中でいろいろな御懸念をいただいていることは事実ですので、特に、新設の中で地域のお医者様を引き抜くというようなことはまずしないようにと。その一つには、都市部の方でやはり公募をかけたりして、偏在解消の一つにはなるのではないかな、そんなことも思いながら、非常に御懸念のことに関しては、新設構想ということで、設置を出す前に十分に審査をする中で、地域医療への影響について十分配慮していくということをしっかりと入れておりまして、御懸念の解消に向けてしっかりと対応していきたいと思います。

宮沢(隆)委員 最終的には、与党と政府側で進められたら我々はちょっと抵抗しようがないんですけれども、百歩譲って一校できるとした場合に、東北福祉大学、東北薬科大学、東北学院大学が今申請をしているらしいんですが、この三つの中から一つという話になると、また仙台に医学部ができるという話になると思うんです。もう仙台は東北大学がありますからね。

 それだったら、どうせつくるのであれば、今医学部がない地域とか、地政学的に有効な場所とか、つくったらその地域が活性化される場所とか、そういう発想が自然だと思うんですが、最後にこの点だけ、仮定の話になっちゃうんですけれども、仙台だけに集まるような状況になったときにどう考えられるのか、ちょっと教えてください。

西川副大臣 御承知のように、医学部を新設しますと、当然その附属の病院もつくらなければいけませんし、そういう意味で、かなりの面積の土地が必要であるということも出てまいります。

 今回、まだ、どこにという場所はもちろん決定しておりませんし、これからの話でございますので、確かに御指摘の面もあると思います。そういう先生の御指摘なども踏まえながら、まさにこれからまだ検討していくことでございますので、しっかり対応してまいります。

宮沢(隆)委員 では、よろしくお願いします。

 終わります。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 こんにちは。結いの党の井坂信彦です。

 月曜日の予算委員会では、NHK、テレビ入りの日、年金問題一本で大臣にもいろいろと答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 私は、医療、介護、年金などが将来まで破綻をしないように、社会保障の制度改革が必要だという立場であります。

 このうち、しかし、年金だけは、いろいろな議論を見ておりますと、マクロ経済スライド導入で、一部問題は残っているものの、おおむね、いわゆる百年安心、超長期にわたって安心だ、もう改革は済んだというような扱いになってしまっているようにも見受けるわけであります。

 本当かなということで、月曜日の予算委員会に向けて、マクロ経済スライドのことをいろいろ細かく勉強してまいりますと、これは、私から見れば、やはり怪しげな仕組みだなというのが率直な感想でありました。

 例えば、自民党政権時代の二〇〇四年に、既にこれはもう導入が決定をされている仕組みでありますが、このマクロ経済スライドというのは、やはり、一言で言えば、毎年大体一から二%ずつぐらい、年金が、実質的な価値が切り下げられていく仕組みであります。しかし、実際には、これは多くの年に実行されない、まあ、絵に描いた餅のような改革案ではないかというふうにも思うところです。

 このカラーの配付資料ですけれども、予算委員会のときにパネルにしたものを再度持ってまいりました。

 実は、このマクロ経済スライド、年金が毎年減る仕組みには二つの例外があるというお話をさせていただきました。左側の図で、上は、賃金や物価が低成長のとき、この緑色の矢印で、世の中は成長したとしても、低成長だと、スライド調整、この赤い下向きの矢印ほどには切り下げができないということ。また、左下の図は、賃金や物価がマイナス成長のとき、緑色の矢印が下向きのときには、そこからさらに赤い下向きの矢印、いわゆる年金の切り下げは行われない、こういう仕組みになっております。

 そうした結果、どうなるかといいますと、この右側の青いグラフなんですが、本来の予定では、この青い点線グラフのように、まず、ずっとスライド調整ということで切り下げがされていく、スライド調整期間が終わって、積立金の取り崩しも含めた年金の収支均衡がなされるという時期になると、今度は、残り大体七十年ぐらいが今は想定されておりますけれども、ずっと落ちついた年金額で百年目まで推移する、百年目になったときには、残りの積立金は、一年分の支出額だけを残すように、そこを目指して取り崩していく、こういう仕組みなわけです。

 マクロ経済スライドの発動おくれが、この間、残された改革の一つとして議論をされてまいりました。おくれると、おくれた分だけこの下り坂の部分が上振れをして、上振れをした分、最終的に落ちつく平たんな部分の金額が下がってしまうという議論。実はこれは、発動が始まったって、デフレの年あるいは低成長の年があるたびにいわゆるこういう上振れが起こって、最終的な年金額の切り下げが避けられない、こういう議論を月曜日の予算委員会ではさせていただきました。

 これに関しては、予算委員会で大臣にも答弁で明確にお認めをいただいた、この制度の事実であるというふうに思います。

 かといって、では、低成長でもデフレでもマクロ経済スライドをやるんだということになってしまうと、もうそれは、単なる、毎年機械的に有無を言わさず年金を一、二%切り下げていきますよという大変単純な仕組みになってしまう。

 だったら、そこまでやるんだったら、より本質的な解決策を模索しましょうということで、積立型年金という、積立方式というものを月曜日の最後の方で提案させていただいたところ、大臣は、いろいろ理由はおっしゃって、今のやり方の方がすぐれているというような答弁でありました。

 きょう、前半はその続きをさせていただきたいと思うわけであります。

 まず、積立方式じゃだめなんだとおっしゃったその真っ先の理由として、積立方式なら多分確定拠出だろう、こういうふうに大臣がおっしゃったわけであります。私は、これは、その瞬間疑問に思いまして、というのは、積立方式か賦課方式かという話と、確定拠出か確定給付かという話は、これは実は全く関係のない話だというふうに理解をしております。

 保険料が先に固定をされていて、その結果、運用のうまい下手で最終的にもらえる年金が多少ふえたり減ったりするのが、出すお金が確定している確定拠出、その分給付は変動する。一方で、給付額をあらかじめ約束して、それにたどり着くように、保険料の方を多少上下させながらそこに向かっていくのが確定給付だと思います。

 これは、賦課方式か積立方式かということとは余り関係ない独立の問題なのではないかというのが私の認識なんですが、大臣が、積み立てなら多分確定拠出だろう、だからだめなんだとおっしゃったその根拠ないし真意をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 まず、現行の年金制度百年の話をしていただきましたが、前回も申し上げましたけれども、五年ごとに財政検証をしますので、百年で終わるというわけではなくて、それが五年ごとずっと、百年先を見据えて続いていく制度だということを、一応私の方から御説明させていただきます。

 その上で、何で確定拠出であろうと申し上げたかといいますと、委員が、負担というもの、後世の負担、これを明確化する必要があるということをその前におっしゃっておられたわけでありまして、その点に着目をいたしました。

 なぜかといいますと、確定拠出ならば後世の方々が負担をしなくていいわけです。つまり、どれだけ運用利回りが失敗してなくなっても、掛けた人で終わりですから、次の世代は負担しなくていいわけであります。確定給付でありますと、これは後世の方々が負担しなきゃいけない、そういうことが起こってくるものでありますから、委員が初めにおっしゃっておられた趣旨からいけば、積立方式といっても、多分、確定拠出的な、そういう積立方式なんだろうなということで、私はそういうようなお話をさせていただいたということであります。

井坂委員 大臣がそうおっしゃったその真意の部分は今御説明をいただきましたが、実は私、こうした年金数理の専門家にも、その月曜の後、確認をしましたところ、これは積立方式であっても確定給付のような制度設計は別に難しいことではないという答えも、一方で専門家からいただいているわけであります。そこはちょっとまた、深入りする話になるので、私も、この一年間、毎日毎日ここで質問いたしますので、日を改めて議論させていただきたいと思います。

 今、答弁をお伺いして、やや私もわからなくなってお伺いをしたいのですが、そうしますと、今の日本の年金制度というものは、大臣からごらんになると、確定拠出なんでしょうか、確定給付なんでしょうか。

田村国務大臣 今の年金制度は確定拠出の側面が強いです。それはなぜかというと、厚生年金の場合でありますけれども、一八・三%、ここで保険料をとめるというルールに一応なっています。つまり、この時点でこれ以上上がらないという制度設計です。

 一方で、確定給付的要素も実は持っています。それは何かといいますと、所得代替率五〇%、これは前も言いましたけれども、今ですと三十五万八千円の所得層の家庭、ここで一応お約束をしておるということでございまして、そういう意味では、両方のいいとこ取りをしておるような、そういう制度であると言えるかもわかりません。

 ただ、これも五年ごとの再計算ですから、もし途中で、少子化が急激に進んだりでありますとか、手痛いほどの運用失敗が起こったりですとか、いろいろなことが起こった場合には、五〇%を維持できないとなったときに、制度をどうするかということをそのときに考えなきゃいけない、つまり法律改正が必要になってくるという制度であります。

井坂委員 厚生労働省の資料によれば、今の日本の年金制度というのは、保険料水準を固定して収入の範囲内で給付水準を自動調整するという意味では、保険料水準固定方式と名づけられております。

 実態は、今大臣がおっしゃったように、確定拠出の色合いが強くて、ただし、にもかかわらず、所得代替率五〇%という、いわば確定給付、最低限のラインを約束してしまっている。よく言えばいいとこ取り、しかし、年金数理の世界で言えばあり得ない制度になっているのではないかなというふうに思うわけです。

 なぜ、確定拠出兼確定給付みたいな、こういうことが見た目上成り立っているのかといえば、これは、鍵になっているのは運用利率の設定だろうというふうに考えております。つまり、その間の運用の利率の数字によって、極端な話ですよ、別に今政府がそうしていると決めつけるわけではありませんが、運用利率を高目に設定すれば、結局、積立金が予想では多く上がって、きちんと給付額も確保できる、こういう見通しが立ってくるという仕組みではないかなと思うわけですね。

 ただ、実際、その先、運用していくわけでありますから、仮に運用利率の設定、予測が高過ぎた場合は、実態がそこに追いつかなくなってくる問題も出てくるだろうというふうに思うわけであります。

 これは数字の確認でありますけれども、次にお伺いいたしますのが、現在の年金の積立金の残高、これが、二〇〇四年再計算のときの予定、あるいは二〇〇九年再計算のときの予定と比べてどうかということについて、これは専門的な話ですので、お伺いいたします。

田村国務大臣 前段のところだけ、もう一度説明させてください。

 先ほど運用利回りの話がありました。

 年金制度というのは賃金上昇率というのに非常に重きを置くものでありまして、賃金がふえますと将来払う年金の支給額がふえます。ですから、名目賃金と運用利回りのスプレッド、ここが実は肝要なところでございまして、四・一%の運用利回りを見ておりますが、名目賃金上昇率二・五%を見ていますから、スプレッドは一・六でございますので、一・六が高いか低いかという多分議論になってこようかと思います。

 運用利回りだけ上げておいて、名目賃金はこんなに下げているなんというようなことが起これば、そういうようなことは言われるかもわかりませんが、余りそんなことをやると、恣意的になると……(井坂委員「そこはきょうは議論はしていないです」と呼ぶ)いや、あえて、運用利回りで調整できると言われましたので、そんな恣意的なことをやれば、それは誰が見てもわかるという話という中において申し上げたということであります。

 今、積立金の話が出ました。

 積立金が、平成二十一年財政検証のときに、これは二十四年度末でありますけれども、百五十一・三兆円が一応予定でございました。実績は百五十四・五兆円であります。ですから、二十四年度末時点で約三兆円強、積立金に関しましては多いという状況であります。

 ちなみに、平成十六年財政再計算のときは、これは再計算しているんですが、その後、二十一年で財政検証していますから、もうこの十六年の数字というのは意味がなくなっておりますので、あえてこれとは比較はいたしておりません。

井坂委員 一つは運用の利回りの問題。これはもちろん不確定要素で、この十年間の独法の運用の実績なんかも見せていただきましたけれども、実態は、多分、去年一年間が非常によかったということが、一つ今の結果に寄与しているのかなというふうにも、そうでもないんですか。

 この積立金の問題は、私、またもう少し日を改めて深めたいというふうに思っております。

 一つは、積立金の問題があるということと、あともう一つ、仮に運用損が出ない場合でも、年金額は予定より下がる可能性がもちろんある。前段にお話をしたマクロ経済スライドのおくれの話であります。この図で先ほど説明を差し上げたとおりなんですけれども、実際の数字のぐあいというか見通しをお伺いしたいと思います。

 仮に、スライド調整率、切り下げ率、これが一%の年だと今仮定をしたときに、マクロ経済スライドの発動が一年おくれることによって、最終的な年金の所得代替率、いわゆる最後の平たんになって落ちつくところの金額というものは、何%ぐらい下がるというふうに、今計算あるいは予想されておりますでしょうか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 お尋ねのように、マクロスライドの発動がおくれますと、その分だけ年金の給付額が高どまるということになりますので、仮に一%スライド調整が実施されませんと、約一%、給付費において大体五千億内外の給付も大きくなりますし、その分ずっと調整期間中はそれが累積していくことになりますので、それはどこかで調整をし直すということになります。

 御案内の、先生今お配りになった資料にありますように、その部分はスライド調整期間で調整することなりますので、将来的にはその部分をどこかで取り戻すということになるわけです。

 スライド調整期間、基本的には長くなるわけなんですが、その都度その都度のスライド調整率がどうなるかというのは、その時点その時点の被保険者の数あるいは経済の状況によって数字が変わってきますので、機械的に一%になった場合に最終的にどういう影響が出るかというのは、その間の経済状況がどうなるかとか、あるいはどの時点でマクロスライドがとまるかということによって影響が出てきますので、一概に代替率に何ぼ影響するかというのは、数字ではお示しすることがちょっとできません。

 定性的におっしゃるようなことが起こるというのはそのとおりでございますが、数字でお示しするというのはちょっと難しいということでございます。

井坂委員 今、お答えの中で、スライド調整率、これは、私の理解では、もう今後、おおむね先の先まで決まっているものだというふうに理解をしていたわけでありますが、経済状況にも何か影響を受ける数字でしたでしょうか。

香取政府参考人 失礼しました。

 正確に言いますと、その年々の被保険者の数の変動によって調整をしますので、例えば、今経済と申し上げたのは、成長する場合には被保険者数が大きくなるとか、あるいは人口の変動によって被保険者数が変わるということになりますので、今、二十一年の財政検証で一応設定したスライド調整率は、実際には、毎年毎年で、発動されるときにはその都度その都度実績値で計算をしますので、その数字はその都度動くというものだというふうにお考えいただきたいと思います。

井坂委員 五年ごとに再計算をするから、そこから先のことはわからないんだと言われれば、これはなかなか議論のしようがないわけでありますが、そちら側が図でよく配っておられるように、要は、上振れした部分の面積と、さらに切り下がる部分の面積がイコールになるというような、こういう理屈だろうというふうに思っております。

 きょう、さらに加えて議論をしたいのは、これが、今までは予想がずれた場合のリスクについてなんですけれども、実は、本当に、二〇〇九年財政検証、あるいは今度の二〇一四年にやる検証が予想どおり全ていったとしても、なおその先には所得代替率五〇%割れの可能性があるのではないかというふうに私は思っておりますので、その件についてお伺いをしたいと思います。

 どういうことかといいますと、これも大臣が先ほど御答弁されたとおりなんですが、別に百年安心といったからといって、百年後にもう積立金をほぼ使い果たして、あとは知りませんよという仕組みではないわけで、五年ごとに、その五年後の百年、つまり百五年後までのをやる。こうやって、ずっとその都度その都度百年間見ていくという話でありました。

 そこで、私が疑問に思いますのは、では、例えば今であれば二〇三八年に、下り坂、スライド調整が終わって平たんに移るわけですよね。二〇三九年がまた財政検証の年になろうかと思いますが、この平たんになった年に財政検証をやったときに、もうそこから先は本来平たんなはずなんですが、そうすると、もともとの予定では、そこから先、七十年分は積立金の取り崩しを想定していると思うんですよね。

 要は、最初三十年、その先七十年、合わせて百年分、下げて、平らで、この平らな時期は取り崩ししながら真っ平らのまま続けていく、これがマクロ経済スライドの仕組みでありますが、ここの二〇三八年から、まあ、三九年か、七十年分は取り崩しをしながらいく予定ができているわけでありますが、そこから先がどうなるのかということなんであります。

 つまり、もうそこから先は取り崩しをする積立金が、予定では残り一年分で、なくなっているはずなんですよ。そうすると、この所得代替率五〇%水準は、私は守れないのではないかなというふうに思うわけであります。

 今はすごい観念的なことをお尋ねしましたが、ちょっと数字を仮置きして御質問いたしますと、二〇〇九年再計算どおり世の中が推移し、その後の再計算でも見通しに大幅変更がなかった場合、二〇三八年にスライド調整期間が終了した後、二〇三九年の再計算を考えます。今申し上げたとおりの前提です。

 この場合、二〇三九年から二一〇九年、つまり、二〇〇九年時点の百年後までは所得代替率五〇・一%のまま、積立金を取り崩しながら真っ平らで推移するわけでありますが、二一〇九年から二一三九年までの残り三十年間は、積立金の取り崩しもできないので、所得代替率はさらに下がらざるを得ないのではないかということ、事前の通告の文言どおりお尋ねをいたします。

田村国務大臣 そのスキームで二〇三九年は来ないんです。

 つまり、五年ごとに、一年積み立てが残るのは先にどんどん行きますから、それは、今、財政検証をことしやった状況ではそういうことを予想しますが、五年後にはまた先に行っているわけであります。積立金の枯渇というような状況ではなくて、それはどんどん後ろに行く中において給付と負担のバランスを均衡化させていくということでございますので、多分、今思われたような、頭に置かれたような状況は、実はバーチャルな世界であって、実際は、その後五年ごと、またさらに財政検証を進めていくということになろうと思います。

井坂委員 大臣のおっしゃるとおりで、つまり、五年ごとに実際検証していくと、要は五年ごとにルールを変えなければそうなるという、まさにバーチャルな話をしたわけであります。

 つまりは、最終的な均衡点というのは、やはり、五〇・一、所得代替率より相当下にあるはずなので、そうすると、それを見越して、積立金が枯渇しないように、積立金の取り崩し期間も五年ごとに先へ先へ延ばしていくということは、つまり、もうちょっと早い段階でこの最後の平たんなラインの切り下げが、私は数学上あるだろうというふうに思うわけであります。

 その点についてお願いします。

香取政府参考人 基本的には今大臣が御答弁申し上げたとおりなんですが、百年というのは、今世の中で最も長期の推計を行っているのは実は人口推計でして、人口推計も、基本は五十年間の推計を行い、さらに五十年は参考推計ということで出しているんですが、一応百年間の人口のデータがある。

 年金の場合には、基本的にはベースは人口の変動によっているので、百年間はベースになる人口の数字が、まあ、人口推計というのは、いろいろなものの中では最もプロジェクションとしては確率の高いものなので、それをベースに推計をすることになります。

 そうしますと、例えば、前回再計算、今回は二十四年に、そこから百年後の人口推計が出ていますから、それをベースに、それこそ、そこから百年後に一年分残すという前提で、人口の変動と経済変動で全体の財政検証を行うということになります。その前提で、例えばスライド調整期間がどれくらいになるか、各期間のスライドというのはどれくらいになるかというのを計算しながら、そうやって置きかえていくということになります。

 手前でそのスライド調整を行うというのは、定常的に人口が減っていく場合というのは、基本的には、常に年金給付上のいわば収支としてのバランスがとれながら縮小均衡していくことになるわけですが、今の状況は人口のこぶがありますので、この人たちが現役で働いているうちは年金財政的にはプラスになるわけですが、この方たちが受給に回ったときには今度は負担が大きくなる。

 そこで、おっしゃるような世代間の不均衡が出るので、それを積立金で調整するという形で調整をしていますので、基本的には、調整期間というのは、そういう人口のこぶを抜けるところの調整をどのように行うかということになります。

 例えば、経済前提が比較的高いという状況であれば、足元給付も大きくなりますが、将来給付も大きくなる。低ければ低いなりに調整をしますし、経済状況とは基本的には成長率と運用利回りは連動しますので、経済においての動きが出る。その前提で、五年ごとに、百年後を見通しながら、収支均衡する形でスライド調整率を考えていくという形になります。

 常に百年先のゴールの形を決めながら五年ごとに計算をしていくという形になりますので、言ってみれば、今から百年先というのは人口推計そのものもないので、そういう意味でいうと、推計のしようもないということもありますし、そこはまさにその年々の百年後ということで、百年後を見ながら足元の財政検証を行って、必要な制度的な手当てを行っていく、こういうことになろうかと思います。

井坂委員 人口推計のない百年以上先の話を心配しているわけではなくて、この仕組みでいくと、スライド調整期間後の落ちつく年金額というのは、数字の計算上、要は見直しのたびにこれはもう切り下げざるを得ないんじゃないですか、理屈で言えばということをお尋ねしているわけであります。

香取政府参考人 五〇%というのは、五〇%以上下げるようなスライドはかけない、給付の調整は行わないということですが、例えば、一定の経済成長と一定の例えば人口の増で、増ということはないですが、ある程度人口減少が緩和されるという事態になれば、例えば五〇・一%までいかなくても、今、足元六十数%の代替率ですが、状況によっては例えば五五%ぐらいのところで、もうこれ以上スライドはかけなくてもいいということでとまるということもあり得ます。

 常に五〇%まで、最後まで切り下げて、そこでフラットになるということではなくて、それはまさに、時々の財政検証の中で、与えられた状況の中で、プロジェクションの中で調整期間は決まるということになりますので、必ず五〇まで下げ切って、再計算というか、収支を見るということではございません。

井坂委員 ちょっときょうは時間もあって水かけ論になりますので、これぐらいにします。

 でも、今おっしゃったように、やはり出生率の予測、今はまさに上振れした場合のことをおっしゃったわけですね。あるいは経済前提も、上振れした場合にはそこまで下がらない。下振れももちろんあるので、上振れ下振れの議論をし出したら、こんな将来予測なんかはもう議論にならないですから、まさに予測どおりいった場合に、どんどん切り下がるのではないですかということを質問させていただきましたので、これはまた日を改めてさせていただきたいというふうに思います。

 ちょっと残りの時間が短くなってしまいましたが、きょう、もう一つ、実は失業なき労働移動ということについてお伺いをしようと思っておりました。

 一点だけお伺いをいたしますが、予算書を見ますと、失業なき労働移動ということで、二千四百億円の事業がごそっと束でいろいろ書かれております。ただ、これは、中身をよくよく見ていきますと、失業なき労働移動に直接貢献するだろうなと思われるのは、労働移動支援助成金の拡充など、三百三億円ぐらいではないかというふうにも見えるわけであります。

 一方で、ここに出ている事業を一個一個足していっても、金額は二千四百億円いかないわけであります。その足らずの部分は何に使われているのかなということで見てみますと、失業なき労働移動の実現に含まれるその他の事業ということで八百十二億円が書かれていて、その内訳、大部分が独立行政法人の運営交付金、高齢・障害・求職者雇用支援機構の交付金ということで五百億円、そこにつぎ込まれている。さらには、その五百億円も、独法の財務諸表を見ますと、そのうち人件費が二百三十三億円で、さらに、利益剰余金として七十三億円が使い切れずに余らせてある。

 こういう状況で、こういったことも含めて、本当にこれは、失業なき労働移動の実現という予算に入れて、何かすごいこの分野頑張っていますというふうに見えておりますけれども、こういった、見た目は豪華ですけれども、実態に乏しい、やや上げ底弁当的な政策ではないのかなというふうに思うわけでありますが、この失業なき労働移動の政策の予算の配分の実態について、最後に一点だけお伺いをしたいと思います。

田村国務大臣 委員おっしゃられますとおり、失業なき労働移動の実現ということで二千四百十三億円上げておりますが、この中で、労働移動支援助成金は三百三億円でありまして、残り、例えば、大きいのは、成長分野などで求められる人材育成の推進、こういうところで、民間教育訓練機関等を活用した、それぞれの情報通信や伸び行く産業等々への移動に向かっての職業訓練でありますとか、また求職者支援制度、こういうものの運営、さらには、建設が今非常に、震災の対応、それから東京オリンピックもありますし、また防災という意味もございます。

 いっとき、公共事業関係はかなり、公的資本形成のみならず、民間も含めてパイが縮まったものでありますから、労働者が急激に減っておるという現状もございます。このようなものを実現していくためには、そういうところにもやはり人がしっかりと移っていかなければならぬということもございますので、成長産業と言うかどうかは別にいたしまして、そういう部分に関しましても予算を配備させていただいておるということであります。

井坂委員 成熟産業と成長産業の定義とか、おっしゃった建設業が本当にこういう政策に入れるべきものなのかなど、ちょっといろいろ議論したいと思いますので、また、法案審議とも絡めて雇用、労働の分野はさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、十四日の予算委員会に続いて、派遣法改正について、少し積み残しがありましたので、質問させていただきたいと思います。きょう、三十分でも足りないんですけれども、お願いをしたいと思います。

 まず、前回はちょっと期間制限に絞って質問いたしましたので、専門二十六業務についてから始めたいと思います。

 専門二十六業務については、私自身も何度か具体的な事例なども、この間、委員会でも取り上げまして、コピーだとかお茶出しだとか、普通の一般事務をしているだけで、二十六業務だと届け出て期間制限を免れている名ばかり専門業務のような、そういう実態を質問してきました。

 専門業務についての見直しは必須だと考えていたわけですけれども、今回の提案は見直しではなく廃止であります。これはなぜでしょうか。

田村国務大臣 二十六業務というところに着目して、期間制限がないというようなことをやってきたわけでありますが、そもそも、今までの期間制限が非常にわかりづらかったということもございまして、そこは、今般は、働く方、派遣労働者、そして派遣先というところに注目して期間制限という形にさせていただいて、二十六業務を廃止させていただく、そういう法案であります。

 それはなぜかというと、やはりその二十六業務という業務に制約がありますから、そういう意味では、派遣労働者の方々がキャリアアップする中において非常に窮屈だということもあるものでありますから、そういうことを踏まえながら、二十六業務を今般廃止させていただくという法案を出させていただいたわけであります。

高橋(千)委員 今の大臣の答弁、ちょっと驚いたんですが。というのは、オブザーバー参加をした派遣業界の皆さんがそういう趣旨のことをおっしゃっているんですよね。

 これは、例えば昨年十月十日の労働力需給制度部会なんかでは、業界のオブザーバーが、二十六業務は極めて厳格で、割合も規制されている、この割合というのは、要するに専門業務と付随業務との割合がこうでなければならない、こういうのがあるので、フレキシブルに対応するのが難しくて、職場に合わない、あるいは、専門業務以外の知見、経験を広げることができず、キャリア形成を妨げている、あるいは、派遣の仕事を職場の業務に合わせることが現実的ではないかということまでおっしゃって、期間制限の廃止とセットでやるべきだと。

 私、言いたい放題だなと思うんですが、特に、その後、専門二十六業務は高度に専門性があるというわけではないはずだ、単純業務も含まれている、ここまで言っている。

 そうすると、語るに落ちるというんですか、専門業務ということをあえて区別してきたのに、それをごっちゃにしてきたのは自分たちなわけでしょう。単純業務をやらせるために名ばかりだった。偽っておきながら、今度はこれをなくす。つまりは、自分たちに都合がいいように違法を合法化することになる、こういう改正であってはならないと思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 二十六業務を残した方がいいというような御意見のもとでおっしゃっておられるのか、ちょっと私はよくわからない中で御質問を今受けているわけでありますけれども。

 決して、二十六業務自体を取っ払うということ自体、今まで二十六業務という範囲が、ここしかだめですよというものをなくすこと自体を合法化するものではありませんでして、ちゃんと期間制限がある中におきまして、その期間制限の一つの基準というものがわかりやすいので、そこを変えたということでございます。そういう意味では、決して合法化とかそういうような問題で今般のことをやっているわけではございません。

高橋(千)委員 二十六業務、そのまま残せなどということは言っていなくて、もっと厳密に、限定的に絞るべきだという趣旨でお話をしていました。

 これは当然時代によって変わってきたということは、議論をされていたわけですよね。ファイリングだとか、かつてはタイプライターが貴重な時代だったかもしれないけれども、今では誰でもパソコンを打つ。そういうことで、見直しが求められてきたのは当然なわけですよね。

 だけれども、それを、だから廃止だというと、結局、この間も指摘をしましたが、限定的であることとか一時的であるとかということがもう全部なくなっちゃって、もうどこでも派遣が可能だよということになるから問題だと言っているんです。

 ちょっと具体的な話をしますけれども、当時、この問題が非常に議論されたときに、野党だった自民党さんは強く批判をしました。なぜかというと、規制を強化すれば労働者が逆に派遣切りに遭う、要するに、適正化プランをやりますよね、そうすると、二十六業務に合わないということで逆に派遣切りされるということを随分指摘されました。野党時代の自民党さんが、大臣も含めてですね。

 そうすると、私は、これをやっちゃうと、厳しくすれば労働者が切られるじゃないか、だったら、では、むしろ実態に合わせようという議論になって、どこまでも実態に合わせようといって、どんどん緩くなっちゃう。そうすると、やはりいつまでたっても派遣のまま、問題があっても泣き寝入りのままではいけないということを考えなくちゃいけないんですね。

 それで、適正化プランを二〇一〇年の三月から四月の二カ月間、取り組みましたね。どのような成果があったでしょうか。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 専門二十六業務適正化プランでございますけれども、派遣可能期間の制限を免れることを目的として、契約上はいわゆる二十六業務と称しつつ、実態的には二十六業務の解釈を歪曲したり拡大させたりしていて、二十六業務以外の業務を行っているという事実が当時散見されていたところ、平成二十二年の二月に、二十六業務の適正な運用について関係団体に要請するとともに、都道府県労働局におきまして、二十六業務の派遣適正化のための指導監督を平成二十二年の三月及び四月に集中的に行うことを内容といたしました専門二十六業務派遣適正化プランを実施したところでございます。

 その結果、この集中的な指導監督期間でございます三月、四月における指導監督の実績といたしましては、指導監督件数が八百九十一件、そのうち文書指導を行ったのが二百二十七件であり、行政処分を行った件数が四事業主ということでございます。

高橋(千)委員 それで、もともと専門二十六業務というのは、期間制限はないかわりに、三年を超えて新たに労働者を雇い入れる場合は、優先雇用申し込み義務がありました。これを二〇一二年改正で削除してしまったわけですね。もともとこれは、専門業務というのは雇用が安定しているからだという理由で削除してしまった。つまり、ずっと期間がなくなったわけですよ。

 今回は、大臣がさっきおっしゃったように、もう期間でそろえるんだ、逆に、長く働かせるという意味ではないんだということでおっしゃったわけですよね。

 でも、だったら、これまで、この人たちは安定しているんだといってずっと働かせてきた人たちを、ちゃんと、その実績を見て、一旦削除した優先雇用、あるいは、もう実態からいうとみなしですよ、やられるべきじゃないでしょうか。どう思いますか。

田村国務大臣 今、直接雇用を優先的にという話がありましたが、基本的に今回も、これは雇用安定化策で、要は措置で、直接雇用を依頼するというような文言は派遣元に義務づけたわけであります、幾つかありますけれども。

 ですから、そういうことはやれるんだろうというふうに思います。本当に働ける、自分のところで欲しいという話になれば、直接雇用ということもあるかもわかりませんが、私はいつも思うんです。直接雇用でも、正規ならば、それはそれで大変意味のあることだと思いますけれども、直接雇用であってもそのまま有期であったとすれば、また雇いどめをされれば、そのときには雇用は非常に不安定になるわけですね。ですから、派遣はだめだ、直接雇用の非正規はいいというような議論は余りしたくない。

 ですから、ある意味からいたしますと、より安定したという意味で、直接雇用ということになればそれはいいと思いますし、その直接雇用の、言うなれば義務化といいますか、依頼の義務化も、やはり御本人がそこは納得しなければ、当然、そのまま派遣を選ばれるわけでもありますし、そこはやはり本人の意向というものはかなり重きがあるのであろうと思います。

 いずれにいたしましても、そういうことも含めて、今回はキャリアアップでありますとか、いろいろな政策を入れているわけであります。派遣元にしてみれば、かなりこれは大胆な改革であろうというふうに我々は思います。

 ですから、そういう中において、より安定した処遇の改善ができる派遣労働、もしくは、それからさらに一歩進んだ正規雇用へと進んでいくような施策に、我々としては温めてまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 話をごっちゃにしちゃだめなんです。

 有期なら不安定とおっしゃいましたけれども、優先雇用申し込み義務というのは、同じ職場で同じ仕事をしていて、正社員を雇うんだったらこの人が先でしょうという意味ですよ。でも、その人が、私、嫌よと言ったら、それを無理やりやれという話じゃないですよ、優先雇用申し込みなんですから。それさえもやらないということが問題じゃないかということを指摘しているんです。意味わかりますか、いいですよね。

 次、言いますけれども、国が是正指導したら、解雇をされて、闘っている女性がおります。

 この方は、派遣会社スタッフサービスから日赤の献血センターに、専門業務五号、OA機器操作として派遣されていた廣瀬明美さんという方です。その後、是正指導がスタッフサービスに対して何度もやられて、それで、十六号、受付に変更したりしているんです。でも、実態は受付でもないしOAでもなくて、さまざまな分担をしていた一般業務だったということなんですね。三カ月契約を三年三カ月の間更新して更新して、廣瀬さんは、〇九年の十月二十日に、神奈川労働局に職場復帰と違法派遣の是正勧告を申告いたしました。

 実はこの廣瀬さんの申告に対する対応が、先ほど私が質問した、二〇一〇年三月の専門二十六業務派遣適正化プランの最初の事案だったんです。これは、厚労省と東京労働局が業務改善命令をやりました。残念ながら彼女は切られたんですが、以後の派遣労働者は、違法派遣であるということで、直接雇用しなさい、そういう指導になったはずです。局長、御存じでしょうか。

宮川政府参考人 個別の案件については直接お答えすることは避けたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、現行法において違法な派遣に対しては厳正に対処するという立場で、現在、業務を運営しております。

高橋(千)委員 そういうのはわかっていて聞いているんですよ。自覚していただきたかったから。

 廣瀬さんの申告によって、違法派遣、一定は是正されたわけです。だけれども、彼女自身は職場に戻ることができずに、以来、丸四年間闘っています。その間、なかなかその相手との関係は不調なんですけれども、裁判所は実は和解をあっせんしているんですね。それは、詳細な内容は和解ですので明らかにできませんけれども、やはり職場に戻る方向であっせんをしているということなんです。

 廣瀬さん自身は、事前面接もありました。特定行為ですよ。いずれは直接雇用というような話もありました。新規展開への配属を采配したりとか、受付、接遇、広報など、まさに献血センターの看板的な役割ですね、そういう役割を果たしてきたんです。

 これは、言ってみれば、みなし制度ができていれば救われていたはずですよね。だって、是正勧告の後の人は救われているわけですから。彼女は一日も早く職場へ戻りたいと言っているだけなんです。献血は国民一体の愛の助け合い運動なわけですよね。その名のとおり、血の通った仕事がしたい、こう述べているだけなんです。

 だから、大臣にもう一回聞きますけれども、一般論でいいですからね。違法派遣としてもう何度も指導を受けている、こういう違法派遣は実態を見て直接雇用にやっていく、これがみなし雇用制度ですよね。これは前向きにやっていくんだということであるべきなんだということで、いかがですか。

田村国務大臣 今般、そのような違法派遣が減るようにということで、許可制というものを盛り込ませていただいて、今までの特定派遣、登録のみで業ができる、こういうものに関してはやめようという方針であります。

 いずれにいたしましても、みなし制度自体は、違反があればそのような形になっていくわけでございますし、今般は、みなし制度に関しましては見直しはされなかったわけであります。もちろん、期間制限のところは若干変わっておりますけれども。そのような中において運用されていくということになろうと思います。

高橋(千)委員 間違いなくこれは違法派遣の実態でありますから、裁判所自体が認めているし、労働局が指導しているわけですから。そこに労働局が、いや、だけれども、だめよという話ではないと思うので、やはり、これは前向きに議論をしていただきたいなと思うんですね。

 このみなしの問題は、派遣先との関係を明確にしたという点で非常に重要なものなんですね。派遣元というのは、やはり派遣先との関係が弱いですから、いろいろ言っても、お客様の都合です、こんなことを言われたりとか、お願いベースでしかないわけですよね。そこを打ち破ることができなければだめなんだということが、やはり問われるのではないかなと思っています。

 そこで、次の話題に移りますけれども、派遣元に無期雇用される派遣労働者に対して、期間制限をなくすとしています。まず、この無期雇用というのは、いわゆる民主党時代は常用雇用という表現を使っていまして、私の質問に対して長妻元大臣が、一年以上継続していれば常用雇用と呼んでいた。これと無期雇用は違うんだということで、明確に違いを御説明ください。

宮川政府参考人 現行の労働者派遣法におきます常時雇用される労働者とは、一つはまず、いわゆる期間の定めなく雇用されている労働者でございますが、もう一つの類型としましては、雇用期間が反復継続されて、一年を超える期間引き続き雇用されている方または一年を超えて引き続き雇用されると見込まれる方、この二つのものを指すものと解釈しております。

 一方、今回の無期雇用される派遣労働者とは、字義のとおり、期間を定めないで雇用される派遣労働者のみを意味しているものでございます。

高橋(千)委員 明確に違うということをまず御説明いただいたと思います。

 派遣労働者の六四%が常用雇用なわけですけれども、そのうち正社員というのは一五・二%で、それでも無期雇用というのは六・四%にすぎない、こういう実態なわけですね。だから、反復しているのを見て、常用雇用だから安定だ、そういう議論はもうないということをまず確認していただきたいと思います。

 その上で、リーマン・ショックの時代も、当時は常用雇用と言っていた人たちが、七七・一%が離職し、九四・三%が解雇されたわけですよね。そういう意味では、本当に安定していなかったということは、実例としてわかっているんですね。

 今回は、それが無期雇用だからといって、本当に安定できるだろうか。これはちょっと予算委員会のときも私も言いましたけれども、つまり、派遣の契約がなくてもずっと雇用を維持していて、派遣会社が教育訓練などをやってくれる、そういうことを言っているんだと思うんですけれども、それは担保できているんでしょうか。

宮川政府参考人 今回の建議におきましては、先ほど先生からお話ありましたように、常時雇用する労働者という考え方、これは使われる場面が二つございまして、そのうちの一つは、特定か一般か、許可か届け出かという関係での問題。それから、今回のような問題のときに、いわゆる無期雇用、安定しているかどうかという議論の際の一つのカテゴリーとしての考え方でございます。

 今回の建議の中におきましては、特定派遣につきましては、先ほど大臣の方から御報告させていただきましたように、いわゆる許可制に全て統一する。一方で、いわゆる派遣労働者の中で、無期雇用の働き方という形の中で、いわゆる派遣契約の終了を理由として解雇するというようなケースがあるのではないかという議論もあり、今回の建議の中では、「派遣元事業主は、無期雇用の派遣労働者を派遣契約の終了のみをもって解雇してはならないことを指針に規定すること、また、派遣契約の終了のみをもって解雇しないようにすることを許可基準に記載することが適当である。」旨、記載されているところでございます。

高橋(千)委員 当面は終了のみをもって解雇はしないと。だから、かなりハードルが高いぞということが、我々にしてみればかなり全面解禁のような法案だなと思っているんだけれども、派遣会社の方はむしろそれがまだきつい、厳しいという意見が出ているという中でのことなのかなと思っています。

 それで、昨年の十月の規制改革会議のワーキンググループの報告書では、派遣制度に関して、依然として、正社員の仕事を奪うべきではないとする常用代替防止が規制の根拠として維持されている、非正規労働者が全体の四割近くなった現在、派遣法だけが常用代替防止を通じて従来の日本的な雇用慣行の維持を法の基本原則とすることに固執するのは妥当ではないとして、常用雇用の代替防止という考え方そのものを見直せと迫っているわけですよね。大臣は同じなんですか、考え方。

田村国務大臣 前回、予算委員会でも申し上げましたけれども、十一年改正のときにネガティブリストを導入した、このときに、臨時的、一時的なそういう働き方であるということであって、労働需給の調整、そういうような役割であるということであり、常用雇用代替ではないですよというような話になったわけであります。

 そういう意味からいたしますと、今般の改正、提出をさせていただく法案に関しましても、これは常用雇用の代替ではないという、そこは我々は認識のもとで法案を提出させていただくわけであります。

高橋(千)委員 大臣の気持ちを聞いたんですけれども、ないとおっしゃる。はい、どうぞ。

田村国務大臣 期間制限も入れておりますし、それは常用雇用の代替ではないという中において今般の法律を提出させていただいたということであります。

高橋(千)委員 規制改革会議の議論というのは、何で常用代替防止という概念をやめろと言っているかというと、これはカテゴリーが違うんだという話をして、正社員の保護と期間の問題は違うんだという話を一つしているのと、諸外国ではそういう考え方というのがもうないじゃないか、EUなんかでは、濫用防止という表現はしているけれども、常用代替の防止ということを言っていない、このように指摘をしているわけなんですね。

 やはりここに大事なことが隠されていて、つまり、EUではもともと均等待遇という原則がありますよね。ですから、常用代替するメリットがないわけです。それを議論する必要がないわけですよね。

 二〇〇八年の十一月十九日に採択されたEU派遣労働指令では、第五条第一項、均等待遇原則、派遣労働者の労働雇用条件は、その利用者企業での派遣期間中、同一職務に直接採用されている者に適用されたものを下回らないものとする、こういうふうに書いている。

 そうすると、派遣先の正社員と派遣労働者が均等待遇できていれば、一時的な使い方が必要なんだということ以外に、わざわざ派遣を雇用する必要がないわけですよ。つまり、同じ人を雇っている方が企業にとってはプラスになるわけですからね、技術がスキルアップしていく。

 そこを踏み込んでいないわけでよ、今回は。均衡処遇で少し踏み込んだ、通勤手当くらいのお話ですよ。それで、日本だけが世界とは違うと。前提が違うんだから、それはおかしくないでしょうか。

田村国務大臣 委員おっしゃられたとおり、ヨーロッパと日本は形態が違うわけで、職務給であるヨーロッパは、派遣先というか、そことの給料の待遇も同じでありますが、他の企業でも、同じような職務であれば、ほぼ同じような賃金体系になっているわけですよね。

 日本は、今般の場合、我々も、均衡待遇という意味からいたしまして、派遣先の従業員の方々と同じような働き方ならば、なるべく同じような賃金に合わせていただければありがたいなというような方向ではありますが、それでも、ほかの企業の同じ職務とは違うわけであります。

 そういう意味からいたしますと、同じ派遣会社で同じ職務であっても違うということが起こるわけでございまして、そこは日本がやはりヨーロッパと体系が違うところであるわけであります。そのような意味からすれば、我々といたしましても、常用代替の防止というような意味で、今般の改正が常用代替を促すものではないというような中において提出をさせていただいておるということであります。

高橋(千)委員 均等待遇に踏み込みたいということは確認をしてよろしいんでしょうか。

田村国務大臣 今も申し上げましたとおり、制度が違いますから、ヨーロッパで言っておるような均等待遇まではなかなかすぐには難しいわけであります。

 しかし、非正規で働く方々、そして正規で働く方々、それぞれがその仕事の内容に応じてなるべく近づけていく、こういう努力は我々はしなきゃいけないと思っておりますし、多様な正社員というものを、職務という形でその側面から捉えていけば、そのような形に近づいていく一つの道のりであるのではないのかな、私はそのようにも思っておる。これはちょっと御賛成はされないのかもわかりませんが、そういう認識を持っております。

高橋(千)委員 この均等待遇というのは、確かに技術的な難しさということを多分おっしゃっているんだと思うんですね。

 パートタイムの問題でもずっと議論してきたじゃないですか。さっきから大臣は、派遣の話をすると、いやいや、派遣だけじゃない、期間社員だっているんだという話をしますよね。だけれども、これも、EUはもっと早く、九七年にパートタイム労働指令を出しております。ここには、もう均等待遇どころか、差別の廃止ということで書いているわけです。

 要するに、パートタイムというのは、働く時間が正社員より短いだけだ、その時間だけを切り分ければ待遇は同じなんだ、そういう考え方がもうずっとあって、日本だって、少しでもそれに近づけようと研究してきたわけですよ。全く白地ではないわけです。そういう立場に立って、いかに近づけるのかということがなければならない。いや、ちょっと待ってください。

 そういうことでいうと、例えば、派遣先の労働組合にただ意見を聞くというだけじゃなくて、これも積み残しになった、民主党が政権を交代する前に案として挙げていた派遣先への交渉権ですとか、やはりこういうものを対等に持っているということで初めて、常用代替の防止ではないんだよ、こういう議論ができるんですよ。そういう土台がないのに、そこだけ比べて、もう世界には日本だけだ、厳し過ぎるとかという議論をしているから、指摘をさせていただいたわけであります。

 もう一つだけ質問したいので、それで後で答えていただきたいと思うんですが、実は、昨年八月二十日に出された今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書、これは、本来であれば今回の労政審の建議の土台となっているものですけれども、ただ、研究会の報告書自体もいろいろ問題がありますが、報告書と建議の間にいろいろ意見を言った人がいるわけですよね。その中で大分変わってしまった。私は、大事なことを指摘していると思います。

 つまり、「労働者派遣は、派遣元事業主が雇用した労働者を派遣し、派遣先が」「指揮命令を行う間接雇用の仕組みである。」「派遣先は派遣労働者を、必要なときに、雇用主としての責任を負わずに容易に入手できる労働力として見る傾向が生じ得る。」「このような性質のため、他の非正規雇用より利用が拡大しやすい」、こう指摘をしているんです。

 政府の研究会の報告書ですよ。つまり、よく、派遣だけじゃないとか、なぜ派遣だけを言うんだということをおっしゃいますけれども、間接雇用なのは派遣だけなんですよ。そのことに着目して、研究会は、安易に使われることがある、あるいは、ほかの非正規雇用より利用が拡大しやすい、そういう指摘をしている。

 まずそこから出発をすれば、こんな建議は出てこなかったなと思うんですけれども、やはり間接雇用という弊害を、労働者を強制労働させたりピンはねさせたり、その原点に立ち返って、本来、やるのであれば抜本改正をするべきだというふうに思っておりますが、さっき、大臣、手を挙げたので、あともう一回、時間ですので。

田村国務大臣 済みません、まず、一点訂正いたしますが、まだ提出しておりませんので、今、建議をいただいた中において議論をさせていただいておるということであります。

 その上で、今の御意見も含めて、派遣先の配慮義務も今回は入れさせていただいたわけであります。でありますから、派遣先に関しましても、やはり一歩も二歩も前進をいただくという話になります。

 もちろん、間接という形は確かでございますから、その点の雇用の安定性という部分は、確かに直接の方が安定性はあるのかもわかりませんが、一方で、一般的な賃金を見ますと、派遣の方が契約社員等々よりも高く出ておる等々という数字もございます。

 でありますから、それも含めて、今般、派遣元もかなりこれは規制を強化した部分があって、しっかりと派遣先の方にいろいろなことを言っていくということにもなっておるわけでございますので、その部分を含めて、今般の建議のもとでこの後提出をさせていただく予定の法案でございますが、じっくり御議論をいただければありがたいというふうに思います。

高橋(千)委員 終わりますが、一言だけ言わせてください、ちょっと大臣の答弁で。

 今大臣、また賃金の話をした。予算委員会のときに、派遣の方が契約よりも賃金が高いという話をしたでしょう。でも、午前中に自分でそれを否定したじゃないですか。期間社員は、要するに、短時間労働者もいっぱいいるから、それとならせば派遣の方が高くなるのは当たり前だと自分自身が指摘をしておきながら、それをまた私に対しては、派遣の方が賃金が高いからなどというふうに言うのはだめなんです。

 そういう比較ではなくて……(田村国務大臣「時給換算」と呼ぶ)もういいですから。時給換算。これは十二で割るから、こうなるんですよ。なので、間接雇用は安定性に欠けるということはお認めになりましたので、この続きをまたやりたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十六分散会


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