衆議院

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第9号 平成26年4月9日(水曜日)

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平成二十六年四月九日(水曜日)

    午前九時十八分開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 金子 恭之君 理事 北村 茂男君

   理事 とかしきなおみ君 理事 丹羽 雄哉君

   理事 松本  純君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    池田 道孝君

      今枝宗一郎君    岩田 和親君

      大串 正樹君    鬼木  誠君

      金子 恵美君    神山 佐市君

      小松  裕君    古賀  篤君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      助田 重義君    瀬戸 隆一君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      高鳥 修一君    高橋ひなこ君

      武井 俊輔君    津島  淳君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      永山 文雄君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    三ッ林裕巳君

      宮崎 政久君    村井 英樹君

      山下 貴司君    大西 健介君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      浦野 靖人君    清水鴻一郎君

      重徳 和彦君    輿水 恵一君

      桝屋 敬悟君    中島 克仁君

      井坂 信彦君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   総務副大臣        関口 昌一君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   文部科学大臣政務官    上野 通子君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   国土交通大臣政務官    中原 八一君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      赤石 浩一君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   石井 裕晶君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 杵渕 正巳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山脇 良雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           永山 賀久君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐藤 敏信君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            今別府敏雄君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          杉浦 信平君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           岡田 太造君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  香取 照幸君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     吉田 光市君

   参考人

   (年金積立金管理運用独立行政法人理事長)     三谷 隆博君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     池田 道孝君

  大久保三代君     武井 俊輔君

  村井 英樹君     岩田 和親君

  山下 貴司君     瀬戸 隆一君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     津島  淳君

  岩田 和親君     村井 英樹君

  瀬戸 隆一君     鬼木  誠君

  武井 俊輔君     宮崎 政久君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     山下 貴司君

  津島  淳君     助田 重義君

  宮崎 政久君     神山 佐市君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     大久保三代君

  助田 重義君     あべ 俊子君

    ―――――――――――――

四月八日

 難病の患者に対する医療等に関する法律案(内閣提出第二四号)

 児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

同月七日

 憲法二十五条に基づく権利としての福祉実現に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四八四号)

 同(笠井亮君紹介)(第四八五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四八六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四八七号)

 同(志位和夫君紹介)(第四八八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四八九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四九〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四九一号)

 憲法を生かし将来に希望の持てる年金を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四九二号)

 同(笠井亮君紹介)(第四九三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四九四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四九五号)

 同(志位和夫君紹介)(第四九六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四九七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四九八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四九九号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五〇〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第五〇一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五〇二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五〇三号)

 同(志位和夫君紹介)(第五〇四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五〇五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五〇六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五〇七号)

 同(小泉龍司君紹介)(第五四六号)

 同(吉川元君紹介)(第五七一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五九七号)

 同(小川淳也君紹介)(第六四〇号)

 同(近藤洋介君紹介)(第六四一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六四二号)

 介護保険制度の改悪中止に関する請願(穀田恵二君紹介)(第五〇八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六五三号)

 パート労働法の実効ある改正に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五〇九号)

 同(笠井亮君紹介)(第五一〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五一一号)

 同(近藤洋介君紹介)(第五一二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五一三号)

 同(志位和夫君紹介)(第五一四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五一五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五一六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五一七号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第五五六号)

 同(笠井亮君紹介)(第五八二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五八三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五八四号)

 アンジェルマン症候群などの遺伝子疾患に対する難病対策に関する請願(江田康幸君紹介)(第五一八号)

 憲法を生かし、安心の医療・介護を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五一九号)

 同(笠井亮君紹介)(第五二〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五二一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五二二号)

 同(志位和夫君紹介)(第五二三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五二四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五二五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五二六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六四三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六四四号)

 憲法を生かし安定した雇用を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五四一号)

 同(笠井亮君紹介)(第五四二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五四三号)

 社会保障の切り捨て中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五四四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五四五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六〇六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六五四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六五五号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(小沢鋭仁君紹介)(第五五一号)

 同(大岡敏孝君紹介)(第五五二号)

 同(小林史明君紹介)(第五五三号)

 同(西村明宏君紹介)(第五五四号)

 同(宮下一郎君紹介)(第五五五号)

 同(金子恭之君紹介)(第五七三号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第五七四号)

 同(岸本周平君紹介)(第五七五号)

 同(谷畑孝君紹介)(第五七六号)

 同(冨樫博之君紹介)(第五七七号)

 同(三日月大造君紹介)(第五七八号)

 同(宮腰光寛君紹介)(第五七九号)

 同(宮路和明君紹介)(第五八〇号)

 同(森山裕君紹介)(第五八一号)

 同(神田憲次君紹介)(第五九八号)

 同(河野太郎君紹介)(第五九九号)

 同(坂元大輔君紹介)(第六〇〇号)

 同(武井俊輔君紹介)(第六〇一号)

 同(細田博之君紹介)(第六〇二号)

 同(柚木道義君紹介)(第六〇三号)

 同(吉川赳君紹介)(第六〇四号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第六四五号)

 同(岩田和親君紹介)(第六四六号)

 同(江田康幸君紹介)(第六四七号)

 同(河井克行君紹介)(第六四八号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第六四九号)

 同(富田茂之君紹介)(第六五〇号)

 同(長島忠美君紹介)(第六五一号)

 介護保険制度の改善に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第五六四号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(吉川元君紹介)(第五六五号)

 七十〜七十四歳の患者窓口負担一割の継続に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第五六六号)

 同(吉川元君紹介)(第五六七号)

 医療・介護、年金、保育などの拡充を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第五六八号)

 患者窓口負担の大幅軽減に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第五六九号)

 同(吉川元君紹介)(第五七〇号)

 障害者の生きる権利を保障するヘルパー派遣制度に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五七二号)

 児童福祉としての保育制度の拡充に関する請願(野田毅君紹介)(第五九六号)

 パーキンソン病患者・家族の視点に立った療養生活と質的向上に関する請願(野田毅君紹介)(第六〇五号)

 同(井出庸生君紹介)(第六五二号)

 高度で危険性の高い医行為を看護師に実施させる制度の創設反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第六三四号)

 地域の景気回復に向け、中小事業所とそこで働く労働者の社会保険料負担を引き下げること等に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第六三五号)

 同(志位和夫君紹介)(第六三六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六三七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六三八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六三九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)

 難病の患者に対する医療等に関する法律案(内閣提出第二四号)

 児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、去る四日に終局いたしております。

 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

後藤委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として年金積立金管理運用独立行政法人理事長三谷隆博君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房日本経済再生総合事務局次長赤石浩一君、内閣府政策統括官石井裕晶君、法務省大臣官房審議官杵渕正巳君、文部科学省大臣官房審議官義本博司君、大臣官房審議官山脇良雄君、大臣官房審議官永山賀久君、厚生労働省医政局長原徳壽君、健康局長佐藤敏信君、医薬食品局長今別府敏雄君、職業能力開発局長杉浦信平君、雇用均等・児童家庭局長石井淳子君、社会・援護局長岡田太造君、老健局長原勝則君、保険局長木倉敬之君、年金局長香取照幸君、国土交通省大臣官房建設流通政策審議官吉田光市君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、各党理事、委員の皆さんに質問順序で御配慮いただきましたこと、お礼を申し上げます。

 早速ですけれども、資料の一枚目を見ていただきたいと思います。

 四月五日の毎日新聞であります。四月四日の経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議で、安倍総理が外国人労働者の受け入れ拡大を指示したとあります。建設産業の人手不足に対する対応と、また、見出しに大きくあるように、女性就労促進のための家事援助などが話題に上っております。

 この議論は、たどっていきますと、一月二十日の産業競争力会議の中で、成長戦略進化のための今後の検討方針において、「日本社会の内なるグローバル化」、こういう表現で、「外国人受入環境の整備・技能実習制度の見直し」が挙げられていると承知をしております。

 そこで、今配っている記事の中にアンダーラインを引いて、大臣の発言も一部載っておりますが、正確を期すためにも大臣自身から述べていただきたいと思いますけれども、こうした外国人労働者の受け入れについて、どのような立場でいらっしゃるのか、伺いたいと思います。

田村国務大臣 外国人の労働者を受け入れるというような議論の中で、幾つか注意しなければならない問題があるわけであります。

 一つは、今、アベノミクス等々、経済がある程度回復する中において、失業率が低下し、有効求人倍率が上がっております。それに合わせて、働く方々の賃金も上昇傾向であるわけでありますが、そういうような状況の中で、外国人材を入れることによって、日本人の賃金上昇、これがとまったり、下がったりというようなこと、こういうことは防がなきゃならぬということ。

 それから、日本人がその業種につかなくなってしまっては意味がないわけでありまして、そこはちゃんと配慮しながら検討しなきゃならぬということ。

 さらに申し上げれば、外国人の労働者の方々を安く使うというのは問題があるわけでありますから、日本人と同等、賃金、それから労働時間、労働条件などが同じであるというようなことを申し上げたわけであります。

 その上で、建設業の労働者不足というような問題がございますので、これに限っては、四月四日、建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置、これが取りまとめられたところでありまして、特定活動という形で、これを一定数受け入れようと。一応、これも、一定の制約の中で受け入れるという話であります。

 これに関して、もちろんこれは、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックまでの一応暫定措置ということでありますが、団体と連携しながら、人権の問題というのが日本は言われておりますので、技能実習制度等々を利用する場合に、やはり、外国人の方々の人権、賃金、こういうものにもちゃんと注意を払っていかなきゃならないねというようなお話でございました。

 家事援助の話でありますけれども、これに関しては、ちょっと私も、ニーズがどこにあるのかというのがよく理解できていないものでありますから、ニーズも含めて検討をしていく必要がある、このような発言をさせていただいた次第であります。

高橋(千)委員 アベノミクスの評価に関しては、そこは全然違うわけでありますけれども、基本的なところは、結局、安上がりの労働力となってはいけないのだ、賃金引き下げのばねになってはいけない、そういう認識であることは、まさに一致するのかなと思っているんです。

 まして、後で議論しますけれども、家事援助がここで出てくるというのも、やはり今、子育ての方たちが場所がないとか、あるいは介護で休職しなければならないというときに、その中でこういう議論が出てくるというのは、明らかに安上がりの労働力というふうな認識があるのかなということを指摘せざるを得ない。そこに大臣も一定の思いがあってお答えいただいたのではないかと思っております。

 そこで、この会議では、民間議員からは、これまで、高度人材は受け入れ、あるいは単純労働は受け入れないという二分法で議論してきたけれども、それでは必要な人材を確保できない、こういう意見が出たと言っております。ずっとそういう議論はされていたわけですけれども、そうすると、あくまでも技術移転という目的だった技能実習制度の建前が、明らかに、労働力不足を補う単純労働という、私たち、よく本音と建前という表現をしますけれども、本音そのものではないか、そういうふうに戻そうというのが議論の実態ではないのかなというふうに思っているわけです。

 そこで、資料の三枚目に、今大臣がおっしゃった緊急措置の中身について資料をつけておきました。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックまでの時限措置として取り組む緊急措置だと言っているわけです。

 左を見ますと、これまでの技能実習制度の最大三年という枠組みなんですけれども、それを、新たな人材活用としては、三年の後の二年の延長、つまり五年にするということ。あるいは、一旦帰国をして、さらに戻ってきて二年ないし三年の雇用契約を結ぶことを認めるということで、これは何かちょっとクーリング制度によく似ているなと思っているわけです。

 あるいは、これまでは、上にありますけれども、業種ごとの監理団体による監査などと、それから技能実習制度推進事業実施機関、いわゆるJITCO、一者応札で、これはJEED以上にいろいろ歴史があるわけです、問題があるわけですけれども、こういう単純な仕組みだったものに対して、国交省による元請企業による下請企業への指導の徹底など、監理が強まるということをこれは示していると思っております。

 そこで、まず法務省に聞きますけれども、技能実習制度は、〇九年の入管法改正によって、一年目から労働者という扱いで大きく変わったわけであります。ここでは特定活動ということで認めるということなんですけれども、そういう整理でよいんでしょうか。きちんと法改正をするなり、国会での審議を経てやるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

杵渕政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の緊急措置は、出入国管理難民認定法で定められました在留資格の一類型でございます特定活動という在留資格による対応を想定しているところでございまして、この点はただいま厚労大臣からも御説明があったところでございます。

 この特定活動の在留資格は、我が国の社会経済情勢の変化等により、あらかじめ定められた活動類型のいずれにも該当しない活動を行う外国人の上陸、在留を認める必要が生ずる場合に、臨機に応変できるようにするため設けられたものでございます。

 御指摘の措置は、建設産業における技能労働者の減少が続いており、復興事業のさらなる加速や、東京オリンピック・パラリンピック関連施設整備などによって人材がより枯渇するおそれがあるという現状に鑑み、時限的な緊急措置として行うものであり、受け入れ開始後の我が国の社会経済情勢の変化等にも臨機応変に対応する必要があると考えております。

 そのため、今般の建設分野における外国人材の活用については、先生が御指摘いただいた技能実習ということではなくて、特定活動の在留資格で対応するということが適当と考えているところでございます。

高橋(千)委員 特定活動を法務大臣が認めれば、臨機応変に延長することができるわけですよ。

 それで、今、技能実習制度ではなくてとあえて答弁をされましたけれども、しかし、活用するのはこの修了生を使うわけですから、それは違う話ですよということでは済まないと思うんですね。私はやはり、緊急措置だからといって、人手不足対策に技能実習制度の応用をするべきではない、このように思っております。

 資料の二枚目にもついておりますけれども、日経新聞の二月五日付の指摘の中で、国交省は四万人から五万人労働者は必要というコメントを紹介しています。一方で、建設関係の技能実習生の申請者数は、平成二十四年度で四千五百九十五人、大体毎年この程度の幅なんですね、建設業に入るという方は。最も多いのが中国で、三千二百五十三人ですね。

 これまでに修了した実習生という点でいうと、一万五千人程度かなと思うんです。そういう中で、一体どれだけの外国人の活用を期待されているのか、国交省に。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の建設分野におきます外国人材の活用に関する緊急措置は、復興事業のさらなる加速を図りつつ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて増大する建設需要に的確に対応するため、まずは国内人材の確保に最大限努めるということを基本とした上で、大会の成功に万全を期すということが重要との観点から、即戦力となる外国人材を時限で受け入れることが関係閣僚会議で取りまとめられたものでございます。

 また、治安への影響ですとか、人権問題などを懸念する声もございますことから、今回は特別の監理体制を新たに構築して、関係省庁との連携のもと、適切に対応していくこととしてございます。

 お尋ねの、どれだけの外国人の活用が期待されるかについてでございます。

 足元、技能労働者は、この数年、被災地の復興事業の本格化等により、一旦離職した人が再び建設現場に戻りつつございます。平成二十二年の三百三十一万人を底に、平成二十五年には三百三十八万人まで回復してございます。

 まずは、これら国内人材の確保に最大限努めることとしてございますけれども、あらかじめ受け入れの目標数を定めるものではございませんが、これまでの対象者である技能実習生の現在の在留数ですとか、過去の修了者の人数からいたしまして、六年間で延べ七万人程度を想定しているところでございます。

高橋(千)委員 もちろん国内人材の活用を最大限努力するとおっしゃったわけですが、その割には、六年間に延べ七万人という数字は、やはりどこのデータを見ても過大評価ではないかと思っております。しかも即戦力と、本当にそういうことが言えるのかと思うんですね。

 一応説明していることは、技能実習制度を修了した方、三年以上の制度を修了しているので一定の力があるんだ、即戦力なんだということをおっしゃっているんだと思うんです。それが本当にきちんと働いていれば、それはいいと思うんですよ。

 だったら、母国での技能を生かした就労状況、実際にどのくらいあるんでしょうか。また、母国で本当に活躍しているんだったら、その人をわざわざ、また日本に帰ってこいよ、オリンピックのために帰ってこいよということ自体が、制度の趣旨からいってもおかしいと思います。いかがですか。簡潔にお願いします。

吉田政府参考人 建設分野の技能実習を終えて帰国した修了者は、累計でこれまで約五万人程度というふうに考えてございます。このうち現在も建設関連の業務に従事していると考えられる方々は、公益財団法人国際研修協力機構や建設分野の実習生を受け入れております監理団体のデータを参考にいたしますと、そのうち四割程度が引き続いて建設関連の業務に従事されているというふうに考えます。そういたしますと、二万人程度が現在も母国の方で建設関係の業務についておられるのかなというふうに思っております。

 このうち、どの程度の方が今回の緊急措置によって再入国されるのかについて、現段階で見積もることは困難でございますけれども、帰国した技能実習修了者を受け入れたいといった専門工事業者の声なども現実にございます。賃金などの雇用条件によるところもあろうかと思われますけれども、一定程度の再入国を期待できるものというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 今、二〇一二年のJITCOの調査などを引いてお答えになったと思うんです。四割の方が、実際に母国に帰って就労している。

 だけれども、それは、アンケートに答えた方、実際にやっている人からのデータなんですよ。回収率は一七%ですから、これは、割り戻していくと、八%しか実態はないわけです。そういう数字をきちんと言わなければならないと思うし、その八%の限られて頑張っている人たちを、日本に帰ってこいということ自体がやはりおかしいだろうと重ねて指摘をしなければならないと思うんです。

 それで、十分な技能を身につけないままの労働やそれによる労災なども心配されますが、実態把握と対策はどうなっているか、厚労省に伺います。

杉浦政府参考人 技能実習の労働災害の発生状況でございますけれども、平成二十三年度に労働災害に遭われた技能実習生の方は九百九十三人でございまして、うち死亡者が五名でございます。

 厚生労働省としましては、技能実習生に対する事故・疾病防止対策事業というのをやっておりまして、平成二十六年度予算におきましては、安全衛生アドバイザーですとかメンタルヘルスアドバイザーといった専門家による巡回指導の相談件数を、前年度四百件から、約二・五倍の一千件に増加をさせますとともに、技能実習生へのメンタルヘルスに係る周知啓発のためのパンフレットを作成いたしまして、実習実施機関ですとか監理団体及び技能実習生に配付をするなどの対策をとっておるところでございます。

 こういった取り組みによりまして、労働災害の防止に努めてまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 労災の実態をよくつかんでいただきたいなと思うんです。

 労働局が送検した案件の中にも、漏電による感電死というふうな事故がございました。技能実習実施機関に対する監督指導、二千七百七十六事業場のうち、八割で何らかの労基法違反が見つかっているわけですけれども、その五割近くが労働安全衛生法に関する案件で、突出しているわけですね。このこと自体を非常に重く見なければならないかと思うんです。

 技能実習生問題に取り組んできた教授らのメンバーが指摘をしているのは、今度の建設分野で活用するという問題では、やはり実習生と対象業種のマッチングというのが本当に機能するかということを心配されているんです。

 例えば、地震が少ないとされるベトナムでは、鉄筋とか鉄骨を用いた建築物がもともと少ないんですね。比較的高層のビルでも、鉄骨すら用いず、中抜きれんがを積み上げるというふうなことが普通だと言っています。そういう現場と日本の現場、逆に耐震化が強められる現場なわけですから、やはり、十分な研修もないままの現場作業では、しかも言語の壁もあるということで、労災の頻度も高まる、こういう指摘もありますけれども、重ねて伺いたいと思います。

杉浦政府参考人 国際研修協力機構の方で、労働関係法令の遵守も含めた巡回指導を年間一万件ほどやっておりますが、そういった中で法の違反がありますれば、労働基準監督署へ通報するなど関係機関に連絡するなどして、その適正化の取り組みに努めておるところでございます。

 もちろん、そういった安全衛生上の違反が五割程度あるということも我々承知しておりますので、こういった取り組みも含めて、十分に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 やはり突き詰めれば単純労働なのかなということを、外国出稼ぎという表現をされている方もいらっしゃるし、そういうことを本当に言わざるを得ないと思うんです。

 この資料の最初の新聞の書き出しに、甘利大臣の記者会見で述べている言葉、アンダーラインを引いておきましたけれども、「人口減少の中、(人材が)足りないところについて、外国人も働いてもらうことは結構なことだと思う」、こういうふうに述べているということなんですね。なので、やはり、もともとの技能移転という外国人技能実習制度の根幹を変えるということをいずれ考えているというふうに思わざるを得ないと思うんですが、内閣府に伺います。

石井(裕)政府参考人 お答えいたします。

 技能実習制度は、議員御指摘のように、我が国で開発され、培われた技能などの開発途上国などへの移転を図りまして、それらの国々の経済発展を担う人づくりに寄与することを目的とする制度でございます。このような技能移転を目的とする外国人技能実習制度の根幹を変えるという考えはございません。

 なお、四月四日の経済財政諮問会議、産業競争力会議の合同会議の後の甘利大臣の記者会見における発言は、介護分野におきまして、EPAに基づく受け入れ、あるいは介護福祉士などの資格取得者に対する就労目的の在留許可に関する議論があるということに関連しました質問を受けてのものでございまして、技能移転を目的とする外国人技能実習制度の根幹を変えるという趣旨の発言ではないと認識してございます。

高橋(千)委員 根幹を変えるものではないという話でした。

 ただ、私自身は、そもそも実習制度を廃止すべきだという議論も日弁連などからは出ているわけですので、そもそもこの制度自体が問題なのに、この制度を拡大して単純労働にまで広げるということは、最低でもあってはならないという立場で議論をしています。

 それで、ちょっと時間の節約で一問飛ばして、大臣に伺いたいと思うんですけれども、つい三月十日にも、金沢地裁で、研修中に労働者として働かされて不当な理由で解雇させられたという二十五歳の中国人の実習生が、就労先の北日本電子を訴えた裁判がありまして、メーカーと監理団体に三百十万円の支払いを命じる判決が出ました。入国時よりパスポートを取り上げられ、通帳も渡されず、携帯電話やパソコンは使用禁止、元同僚と会ったことだけで、もう既に会社の外の人間だということで、規則違反ということで強制帰国をさせられる、そういう問題だったんですね。

 こういう事案というのはこの間も何度もあったわけなんですね。まさに人権を侵すような問題が絶えず起こっている。そういうこともあって、昨年四月、総務省の行政評価局からは、「従業員規模が小さく、外国人従業員に対する依存度が高い事業所においては、改善を要するような行為が多く、技能実習生が単純労働力として雇用されやすい環境にあることが危惧される。」という指摘を受けています。

 また、資料の四枚目につけているのは、厚労省の資料の中でそもそもちゃんと書いているわけですけれども、米国国務省の人身取引報告書、これは昨年ですけれども、その中でも、「日本政府は技能実習制度における強制労働の存在を正式に認知しておらず、本制度の悪用から技能実習生を保護するための効果的な管理・措置が不足している」、強制労働の存在、こういう大変厳しい指摘がされているんですね。

 本当に、こういうことをどう受けとめているのか。また、こうした中での技能実習制度の延長ですとか介護などの対象の拡大はするべきではないと思いますが、大臣に伺います。

田村国務大臣 技能実習生の皆さんも労働基準法は当然適用されるわけでありますから、そのような意味では、適切に我々としては実態というものを確認しながら、問題があれば対応していかなきゃならぬというふうに思っております。

 直近で、今ほど来お話がずっとございました国際研修協力機構、JITCOが実施した巡回指導、一万六百七十一件のうち、九千百八十七件で改善指導を実施しておるということ、これは平成二十四年度です。同じ平成二十四年、監督指導実施事業場数二千七百七十六件中、違反事業場数が二千百九十六件、さらに、平成二十四年に法務省が不正行為として通知した機関数が百九十七機関となっておりまして、そのような意味から、適正化が必要なところが多いというふうに我々も認識いたしております。

 JITCOが巡回指導をしていただいております。その中でいろいろな指導をいただいておるわけでありますが、悪質なものに関しましては行政当局にも御連絡をいただくわけでありまして、それに対して労働基準監督署は、もちろん都道府県労働局も含めて、監督指導しながら、悪質なものは是正指導をするわけでありますし、さらに、ひどいというものに関しましては送検までするわけであります。

 あわせて、母国語の電話相談、この窓口の設置等々をやる中において、それぞれ技能実習生の方々がいろいろな問題がある場合に対応ができるような形をとりながら、この部分は重要なところでございます。今、広げる、広げないという話もありましたけれども、実際問題、今も技能実習制度はあるわけでございますので、ここは強化をしていきながら、やはりしっかりと技能実習生の方々の人権も守っていかなければならない、そのようなことに関しまして、我々は労働行政という立場からしっかり対応してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 今の状況についてしっかりと指導していくことというのは、当然なんだと思うんですね。それぞれ、言葉の壁ですとか、私が以前質問したときは、訴えているのに、訴えた先の被告側の通訳が出てくるというふうな全く不正常な状態とか、さまざまな中で、やはり支援する団体や弁護士さんや教授や、いろいろな方たちの中でこうしたことが表面化をしていって、一定の指導強化というのがされてきたという歴史があったのではないか、このように思っております。

 それで、介護の問題について一言だけ質問したいんですけれども、産業競争力会議の中でも、主査である武田薬品の長谷川閑史氏などは、「実習生を受け入れて介護人材を育成することは、技能実習の趣旨にも合致していることから、前向きに検討すべきである。」というふうに述べているんですね。

 つまり、EPAとの関係でいいますと、当然、国家試験の合格率という目標が求められ、それが大変な難関であるということが言われているわけですよね。そうすると、技能実習だから実習そのものなので、国家資格そのものがゴールではないというか、そういう形で、使いやすいよというふうな議論、そこから出てきてしまうと、やはり違うのではないかというふうに思うんですが、大臣、一言。

田村国務大臣 介護に限らず、技能実習制度というのは、まず、単純労働作業ではないということが前提であるわけでありまして、その上で、その国でやはりなかなか習得困難、不可能、こういうようなものに関するものであり、一方で、日本の国内で学んだ技能というものを母国で生かしていただく、さらに申し上げれば、公的な評価システムがちゃんとできている、これが必要であろうというふうに思います。

 そういうふうなところを鑑みながら、それぞれのものに対して、それが技能実習制度にそぐうか、そぐわないか、このような判断から、制度の中に入れるか、入れないか、こういうことを検討してまいるということであります。

高橋(千)委員 時間の関係で、最後の質問をします。

 本当に、そうはいっても、資料につけたように、例えば法務省の出入国管理基本計画などでも、専門的、技術的分野に属しない外国人の受け入れ問題、こういうことを検討するというふうに書いているんですね。やはり単純労働への拡大ということが、今せっかく大臣もそうおっしゃったけれども、議論されているということは、非常に不安を持っています。

 特に、もう一つだけ懸念を言いますと、原発労働者に拡大をしないのかという指摘があります。アイム・ジャパン、中小企業国際人材育成事業団が、ベトナムで原発をつくるということに合わせて技術者の養成事業に乗り出す、これを技能実習制度を活用して六千人の受け入れを検討している、こういう議論も、既に二〇一一年の七月三日、報道されている。そういう議論もあるわけですね。

 これだと、今本当に原発の収束作業の現場で、深刻な事故、死亡事故も先日ありました。そういうことが議論されている中で、こうした安易な拡大というのはあってはならないと思いますが、一言伺いたいと思います。

田村国務大臣 今言われました二〇一一年七月三日、産経新聞の記事だというふうに思いますが、申しわけないんですが、法務省それからJITCOに確認したんですけれども、事実関係が我々もつかめていないような状況でございます。事実関係がつかめ次第、我々としては、どういうようなものなのか、それを判断しなければならぬというふうに思っておりますけれども、今のところ事実関係はつかめていないということでございます。

高橋(千)委員 意見も聞きたかったんですが、次の機会にしたいと思います。

 終わります。

後藤委員長 次に、今枝宗一郎君。

今枝委員 おはようございます。自由民主党の今枝宗一郎です。

 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。心から感謝するとともに、その分、一生懸命質問いたしますので、どうかよろしくお願いいたします。

 このたび、医療・介護サービス提供体制改革について、都道府県を主体にした新たな財政制度が創設されたことは、大変すばらしいと思います。

 私、おととし初当選をさせていただきまして、初めに取り組んだのが地域医療再生基金でございました。地域医療を再生させる、これは私が国会議員を目指した原点であり、そのための有効な政策手法である地域医療再生基金、これは大きく花開かせたい政策でありました。これまで補正予算で行われていたものが、こうして消費税財源によるきちんとした財政的な裏づけの中で進化をするということは、大変喜ばしいことだと感じております。いまだに医師不足また医療崩壊の危機に直面をしている全国の各地域にとっても、大きな朗報です。本当に感謝をしております。

 しかし、ここの問題には一つ大きな問題がありました。それは、地域医療というのは民間の医療機関に大きく依存しているにもかかわらず、この基金の交付対象が公的医療機関に集中をしているということです。

 この問題を改めるべく、前回、私が質問させていただいたときに、赤石政務官より、新たな財政制度では民間の医療機関に対する支援も公平に配分されるあり方を検討して、都道府県に周知していくというような御答弁をいただきました。

 これを受けまして、新たな財政制度では、都道府県が作成する計画に公と民の比率を明記するということでございますが、民間の比率が低い状況を放置されないようにどのような策を講じるのか、お考えをお聞かせください。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 新たな財政支援制度では、医療介護総合確保推進法案において、まず、国が総合確保方針を定める際に、公正性及び透明性の確保に関する基本的な事項を定めることとされております。

 また、都道府県が都道府県計画を作成するときは、あらかじめ、市町村長、医療または介護を受ける立場にある者、医療保険者、医療機関、診療または調剤に関する学識経験者の団体その他の関係団体等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるように努めることとなっております。

 さらに、交付要綱において、次のような条件を付していきたいと考えております。

 まず一つに、官民に公平に配分することとし、都道府県計画において、公的、民間の割合、額を明示し、当該割合についての経緯や理由、それに対する都道府県の見解を付すこととすること、また、官民を問わない幅広い地域の関係者から意見を聴取することなどを定めたいと考えております。

 これらの措置により、新たな基金の活用に当たっては、公正性、透明性が確保されるように努めてまいりたいと考えております。

今枝委員 ありがとうございます。民間もぜひ、計画の策定段階から意見を言いやすい環境づくりに御尽力いただきたいと思います。

 新たな財政支援制度について、もう一つお聞きをいたします。

 対象事業例が示されておりますけれども、医療団体、医療機関が示された事業以外を提案してきた場合、これは認められるのでしょうか。

 例えば、非常にやはりニーズが高い、重要性が高い救急医療、また歯科医療や看護師不足対策も幅広に行っていくことが必要だと思いますし、また、地域医療支援センターの運営が例示に挙がっておりますけれども、それだけではなく、やはり僻地、これは非常に大変な状況でございますので、僻地医療の支援に当制度が使えるようにする必要があると思いますが、いかがでしょうか。

赤石大臣政務官 おはようございます。

 今枝委員にお答えいたします。

 今委員指摘の新たな財政支援制度は、地域において効率的かつ質の高い医療提供体制を構築することを目的としております。

 一つは、病床の機能分化、連携のために必要な事業、もう一つは、歯科、薬局を含む在宅医療を推進する事業、もう一つは、医療従事者等の確保、養成のための事業を行うことを想定しておりまして、都道府県に対しては、地域包括ケアの推進等のために特に必要と考えられる事業について、事業例としてお示ししております。

 都道府県が計画を作成する際には、関係団体や医療機関等の意見を反映させるための必要な措置を講じることとしており、これらの事業例にかかわらず、基金の目的に沿った事業提案が可能となっております。

 なお、僻地医療に関しましては、へき地医療支援機構運営事業やへき地医療拠点病院運営事業等の国庫補助により支援を行っている事業については、基金の目的に沿うものであれば、都道府県計画に位置づけることが、新たな財政支援制度を活用することが可能であると考えております。

 以上です。

今枝委員 ありがとうございます。

 本当にすばらしい御答弁をいただいたと思っております。ぜひとも、今までの事業があったところは使えないというようなことではなくて、全体で幅広に見ていただくような御努力をいただければ、このように考えております。

 それでは、続きまして、控除対象外消費税問題についてお聞きをいたします。

 この問題は、このまま放置すれば、医療崩壊、地域医療の崩壊を加速するおそれがありまして、それは、とりもなおさず、地域住民の命を危険にさらすということにもなってまいるかと思います。

 前回も質問をさせていただきましたところ、消費税が一〇%になったときの対応として、田村大臣は、決して医療機関に迷惑のかからないような制度をつくらなくてはならないというような、非常にすばらしい御答弁をいただきました。大変ありがたく、強い思いを感じられたわけでございます。

 このような中で、四月一日に消費税が八%に上がり、年末には一〇%を安倍総理が判断をされれば、来年の秋には消費税は一〇%となってまいるわけでございます。あと一年半であります。時間がありません。時間切れになって十分な検討ができず、これまでどおりの対応ということであっては、大臣のおっしゃる医療機関に迷惑のかからない制度、こういうふうなことは言えなくなってしまうと思いますので、検討を急ぐ必要があると考えておりますが、厚労省としてどのようにお考えでしょうか。よろしくお願いします。

土屋副大臣 医療に係る消費税のあり方については、診療報酬等の医療保険制度における手当てのやり方、課税化、非課税還付制度の導入など、さまざまな御意見があるわけですけれども、いずれにしましても、税制抜本改革法において、医療に係る課税のあり方については引き続き検討することとされておりまして、引き続き、与党の議論の状況等を踏まえつつ検討していくことになると考えております。

 ただ、今枝委員が今おっしゃったように、昨年十月に田村大臣が、医療機関の御意見を聞きながら、一方で患者の御意見も聞きながら、決して医療機関に迷惑のかからないような制度をつくっていかなければならないと思っており、よりよい方向へ進めてまいりたい旨を答弁していますが、今後、こうした思いも持って、関係者の意見を聞きながら進めてまいりたいと考えております。

今枝委員 ありがとうございます。

 非常に思いが伝わってくる御答弁を本当にありがたいと思っております。ほかの関係者の皆様にも、急ぎ検討を進めながら、先ほどおっしゃっていただいたような思いを強くしていただいて、ぜひこの議論に進んでいただければ、このように思っております。

 それでは、続きまして、特定健診につきまして質問をさせていただきます。

 現在、医療費は毎年一兆円超のペースでふえ続けており、二〇二五年には、団塊の世代が七十五歳以上になっていくということでございまして、医療費、こういったものが一層ふえてまいります。

 一方で、平均寿命も延び、現在よりも四、五年は長生きされていくだろうというような予想も出ておりまして、やはり超超高齢社会に対応して、医療、社会保障をしっかりと守って、堅調に維持をしていくためには、健診を含む予防医学、予防医療の推進こそ、まさに最も力を入れなくてはならないと思っております。

 そういった中で、日本再興戦略の中で、こういったことにも触れられております。健康、福祉のみならず、医療費の適正化、健康な高齢者がもたらす経済効果など、こういった観点から適切な判断だと思っておりますけれども、そのような中で、早期発見、早期治療、そして生活習慣の改善を目指す観点から、特定健診は何としてでも一層推進をしていくべきだと考えております。さらに、この特定健診に、新たな知見が得られたものに関してはやはり検査項目としてふやしていく、拡大をしていく、こういう流れも必要かと思っております。

 例えば、その一つに歯科健診が挙げられます。

 デンソーの健康保険組合が七万人を十五年追跡するという非常に大規模な調査を行いましたけれども、歯科健診を行うと年間の医療費が減少するというデータが出ております。

 そのような中で、ことしに関しましては、歯科保健サービス効果検証事業、こういったものも始まっており、政府として、この歯科健診の有用性をしっかりと本格的に検証し始めるという流れもできているかと思います。自民党のJ―ファイルにも、特定健診に歯科健診を入れていくということが書いてありますので、やはり、特定健診の次期実施計画に向けて、ぜひ前向きに検討を進めながら考えていただきたい、こう思っておりますけれども、いかがでございましょうか。

 そして、もう一つ、眼底検査を挙げさせていただきたいと思います。

 糖尿病によりまして、糖尿病性の網膜症となり失明をする方は毎年約三千人とも言われております。そして、日本社会全体が視覚障害によって失っているコストというのは八兆八千億という莫大なものであるというデータもありまして、そして、これらは、やはり早期診断そして生活習慣の改善によって防げるものであります。

 しかし、この眼底検査というのは、現在、詳細項目ということになって、必須項目ではありません。糖尿病だけでなく、脂質異常とか高血圧とか、そういったものが全てそろっていないと検査対象とはならないということで、九五%が見逃されているというようなデータもあります。

 眼底検査は、私も実際、診療現場で行うことはありますけれども、非常に簡便な器具で行えます。現在、科研費で検査項目を見直す研究を行っているということでございますけれども、コストが余りかからない眼底検査は、やはり必須項目もぜひとも考えていくべきだと考えておりますけれども、いかがでございましょうか。あわせて御答弁をお願いします。

赤石大臣政務官 今の特定健診の問題に入る前に、先ほど、僻地医療に関して、ちょっと私、言い間違いをしましたので、訂正させていただきたいと思います。

 へき地医療支援機構運営事業やへき地医療拠点病院運営事業等の国庫補助により支援を行っている事業については、既存の補助事業を活用いただくということになっておりますので、それ以外に、基金の目的に沿うものであれば新たな財政支援を行うということで、訂正させていただきたいと思います。

 今議員から御指摘のありました、特定健診に新たな項目を追加することについては、生活習慣病との関連の中で、科学的な知見、データを集め、費用対効果なども含めて検討し、保険者の理解を得ることが必要であると考えております。

 現在、厚生労働省においては、厚生労働科学研究において、特定健診の項目の見直しに関する科学的な知見、データの検証を行っているところでありまして、眼底検査を含む新たな項目についても、その結果を踏まえて検討を進めていきたいと考えております。

 なお、現在、眼底検査、心電図検査は、特定健診の結果、血糖、脂質、血圧等について一定の基準に該当した場合は、医師の判断において、追加的な項目とできるようになっております。

 また、歯科健診については、まずは、紹介のあった健保組合など既に効果を上げている保険者の取り組みも参考にしながら、データヘルスとして、他の保険者にも保健事業の中で取り組みを進めていくことにしております。

 先生御指摘のデンソーのデータを私も見ましたけれども、非常にすばらしい結果が出ていると思いますので、それも参考にしながら、今後検討を進めていきたいと思っています。

 なお、歯科保健サービスを実施することにより、糖尿病の重症化予防等の効果を検証することで、疾病に応じた効果的なスクリーニングや歯科保健指導等のあり方を検討することとしております。

 いずれにしても、厚生労働省としては、こうした取り組みを通じて、知見や実績のさらなる収集を図ることで、特定健診の項目について必要な見直しの検討を進めていきたい、このように考えております。

今枝委員 ありがとうございます。

 ぜひ、エビデンスを新たにどんどんどんどんつくっていきながら、検査項目の充実というところに頑張っていただければというふうに思っております。

 そして、特定健診自体を考えたときに、保険者の負担が三分の二ありますので、保険者の合意形成というのはもちろん必要なわけでありますけれども、予防や健診の促進というのは、これはまさに国策でありまして、社会保障を守っていくための、非常に非常に重要な、最も重要と言っても過言ではないファクターであるというふうに思っております。

 このような観点から、やはり、保険者の財政収支にだけ注目するのではなくて、社会全体への影響を鑑みて、広がりを持って、国ももっともっと支援を拡充していきながら推進をしていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

赤石大臣政務官 今先生の御指摘の特定健診につきましては、国民の死因の約六割を占める生活習慣病を予防することを目的として実施しているものでありまして、実施率は、目標値と大きな開きが実はあります。平成二十年度で三八・九%、そして二十三年度でも四四・七%、まだ半分に満たっていません。この現状を何とか改善していく必要があるというふうに考えております。

 今後とも、実施率の向上を図ることが重要であり、生活習慣病の予防との関係で、科学的な知見、データに基づき健診項目の見直しを検討することにあわせ、さらに、労働安全衛生法に基づき事業者が行う事業者健診に関するデータを保険者に円滑に提供することを促すため、事業者との連携の推進や、実施率の低い被用者保険の被扶養者に対して、魅力ある健診項目の追加や健診受診に係る利便性の向上、さらには、健康増進法に基づき市町村が行うがん検診等との連携の推進なども取り組んでおります。

 これら特定健診の実施率向上に向けた取り組みや保健所の予防活動を通じて、国民の予防、健康づくりをさらに進めていきたい、このように考えております。

今枝委員 ありがとうございます。

 ぜひ御努力をいただきたい、このように思っております。

 では、続きまして、再生医療についてお聞きをいたします。

 再生医療は、これまで治療法がなかった患者さんにまさに希望を与える夢の治療法である、こういうふうに考えております。一方で、治療法の開発には莫大な時間とコストがかかることも事実であります。やはり、きちんと産業化をさせていかなくては製品等は実用化されませんし、それは、患者さんに再生医療を受けていただくことができないということであります。

 そこで、安倍政権は、再生医療の産業化を加速するために大胆な制度改革に着手しておりまして、昨年は関連する三法を成立させ、研究機関のみならず、産業界からも大きく評価をされているところだと思います。特に、厚労省、経産省、文科省、三つの省が共同し、制度改革を進めるという点は大変すばらしいと思っております。

 再生医療を一層加速するために、改正薬事法について関連した質問をしたいと思います。

 改正薬事法では、再生医療並びに遺伝子治療に関しては、条件、期限つきの承認の導入が予定をされております。安全性が確保され、有効性がある程度推定された治療法には承認を与えて、市販段階にしっかりと有効性にかかわるデータを数年蓄積し、その後、正式な承認が与えられるという大きな改革であります。非常に画期的であります。

 再生医療を迅速かつ安全に国民に届ける政策としてすばらしいものでありますが、この条件、期限つき承認中の治療法の保険収載の取り扱いはどのようになっておりますでしょうか。

 条件、期限つき承認中の治療法には、さまざまな水準のものが出てくると思います。その中には、安全性はもちろんでありますけれども、ほかのものと比べられないから、なかなかすぐには完全承認とならないかもしれませんけれども、有効性がかなり高いんじゃないか、こういうふうなものも出てくる可能性が幾らでもあるわけでございますので、どのようにお考えか、御答弁をお願いします。

木倉政府参考人 お答えを申し上げます。

 我が国の医療保険制度でございますけれども、今、国民皆保険のもとで、必要かつ適切な医療技術、これは基本的に保険診療の取り扱いとするということでございます。

 今、保険導入するに際しましては、その研究開発で進められた成果、技術が、有効性、安全性の観点からも、適切に国民に提供してあげることがもう確立されている、あるいは広く国民の皆様に提供できる、どこの医療施設でもということが確立されているというふうなことの確認を、中医協の場で、保険者の皆様、医療提供者の皆様、御審議をいただいて、保険収載を決定するという仕組みでございます。

 また、そういう段階までまだ至っていないけれども、一定の有効性、安全性が認められているものについては、安全な体制、あるいはきちっとした評価を進められるという医療機関のもとで、保険外併用ということでデータをとっていただいて、それを踏まえて、速やかな保険診療を検討する仕組みもとっておるところでございます。

 今御指摘の改正薬事法、この秋、施行が予定されているところでございますけれども、これまでの薬事承認の仕組み、これも、こういう条件つきでない仕組みももちろんあるわけでございまして、それとともに、再生医療製品で有効性がまだ推定にとどまるものについても早期に承認をする、こういう仕組みを両方取り入れたところでございます。

 この施行に向けましては、私ども、保険の方の立場からも、今回の改正の趣旨を踏まえまして、どういう形で保険への段階を進んでいただけるか、中医協においてしっかり議論をいただきたいというふうに思っておるところでございます。

今枝委員 ありがとうございます。

 やはり保険診療になって初めて再生医療製品が広く使われることになると思いますし、開発コストが莫大ですので、特にベンチャー育成といった意味でも、企業体力が余りないわけでありますので、資金の回収を早期にしないと製品開発できない、続けられないみたいなこともあります。再生医療は国策でありますから、ぜひとも前向きな御検討をお願いできれば、このようにお願いを申し上げます。

 そして、もう一つ再生医療について質問をします。

 医薬品、医療機器の承認では、PMDAが、薬事戦略相談制度やまた事前相談によって、早期の段階からこういった企業の開発支援をしていると思います。また、保険収載に関連したことについても事前に相談できる体制があるというふうに聞いております。

 再生医療等製品についても同様に、保険収載についても、価格帯のイメージなどを事前から相談できる体制を構築することが必要だと考えますけれども、いかがでしょうか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 医薬品、医療機器につきましては、企業からの申し入れに対して、それぞれ、薬価算定基準あるいは特定保険医療材料価格算定基準に基づいて保険収載手続が進むわけでございまして、それについての事前の相談も受けているところでございます。

 ただ、再生医療等製品につきましては、まだ製品がございませんし、保険上の、どういうような形での保険の取り扱いにするかということもまだ決まっておりませんので、再生医療等製品の算定基準などが、そういう取り扱いが決まってくれば、先ほどの医薬品、医療機器と同様に、それに基づいた事前の相談を受けていきたいと考えております。

今枝委員 ありがとうございます。

 私の地元にも、日本で唯一、再生医療製品を扱っているJ―TECというベンチャー企業がございます。開発過程において、もっと早く保険収載についても議論やお話ができれば、やはりもっともっと伸ばすことができただろうというようなお話もございまして、こういった分野に関しては、企業もやはり医療提供体制の一つであるという感覚で、できるだけの対応をしていただければ、そして、それが当然、日本の経済成長、富にもなっていくわけでございますし、雇用を拡大していくわけでございます。どうか前向きな御検討をお願いできればと思います。

 さて、続きまして、かつて重症心身障害児施設と言われましたが、医療型障害児入所施設について質問したいと思います。

 重度の障害をお持ちの方が入所をして、治療と日常生活の指導を目的とする子供のための施設でございますけれども、やはり実際には、線がぴしっと引けるわけではないということで、十八歳以上にも必要であるということで、障害者総合支援法で療養介護として入所できる施設となっております。

 しかし、問題は、この対象者が、障害区分六では人工呼吸器をつけている方のみ、障害区分五では筋ジス、そして重症心身障害のみとなっていることであります。これは医療的ケアが濃密に必要であるということでこうなっているそうでありますけれども、果たして本当にそうなのかというふうに疑問があります。

 私が今も在宅医療で診療している患者さんで、先天性表皮水疱症という難病の患者さんがお見えであります。この病気は、皮膚にほんの少し刺激が加わっただけで水膨れができてしまうという病気で、水膨れというと大したことがないように感じるかもしれませんが、服を着るとそれだけで全身水膨れになって、もうどうしようもなくなってしまうということでありますので、全身をガーゼ保護しております。毎日、何回もガーゼ交換が必要でありまして、やはり医療的ケアは非常に濃密です。

 この方は、障害区分五であっても、筋ジスでもないですし、知的障害もないので重症心身障害でもありませんでした。ゆえに、療養介護には当たらず、施設には入れないということになってしまいます。

 このような方だけでなく、障害は人それぞれであります。疾患のみで医療的ケアが濃密かどうかというのは、やはり推しはかるというのは非常に難しいのかなと。療養介護でも、医療型障害児施設に、例えば障害区分五以上の方はみんな入れる可能性がある、その中で医療的ケアが濃密かどうかを個人的に見ていく、そういうような対象の拡大が必要であると思います。

 難病対策で今国会の法改正を行いますけれども、対象疾患が五十六から三百に一気に広がる、大変すばらしいことでありますので、この療養介護にも特段の配慮をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐藤副大臣 今枝委員の御質問にお答えいたします。

 今御指摘の障害者総合支援法の療養介護でございますけれども、病院に長期入院する重度の障害者について、医療保険による医療の提供に上乗せして介護等を行うものでございまして、委員が今おっしゃいましたように、その対象者は今限られておりまして、三つのカテゴリーの方々でございます。

 一つは筋ジストロフィー患者、二つ目が重症心身障害者、三つ目が、ALS患者等の、気管切開を伴う人工呼吸器による呼吸管理を行っている者としておりまして、それぞれに応じて障害支援区分による条件を付しているところでございます。

 この具体的な対象者の範囲でございますけれども、実は、平成十八年十月に療養介護の創設をしたわけでございますが、その創設以前において、医療保険に上乗せして公費による支援を受けて国立病院等に入院、入所していた、そういう障害者の状況を踏まえたものでございまして、それによってこの対象者が大体決まっているという状況でございます。

 それに加えて、今委員御指摘のように、特別な配慮をしてほしいというお話でしたが、対象となる疾患の拡大等については、やはり今、医療保険制度等との役割分担も踏まえまして、慎重に検討していく必要があるだろう、そのように考えております。

 なお、今委員が御指摘された、在宅で診療されている表皮水疱症の方でございますけれども、この方は、平成二十五年四月から障害者総合支援法の障害者の範囲に難病患者も加えられたところでございまして、委員御指摘の表皮水疱症についても、障害者総合支援法におけるサービスを利用することができる百三十疾患の中に含まれていることから、在宅での生活も含めて、居宅介護等の障害福祉サービスを御活用いただくことができるもの、そのように考えております。

今枝委員 ありがとうございます。

 難病がこのような形で脚光を浴びて、今進もうとしております。この障害の部分にもやはり考えなくてはならないと思っておりますので、ぜひ、私も全力で応援いたしますので、お願いをしたいというふうに思っております。

 では、続きまして、子ども・子育て支援新制度についてお聞きをしたいと思います。

 人口減少、これは国の活力そのものを奪ってまいります。私も、将来への責任という意味でも、子育て世代としても、子育て政策には全力を傾注してまいりたい、こういう思いでありますけれども、その中で、現在、子ども・子育て支援新制度の詳細な検討が子ども・子育て会議で行われていると思います。

 国会の附帯決議でございましたけれども、やはり十分な対策を行うのに必要な財源というのは一・一兆円だということでありまして、しかし、その配分だけでなくて、消費税財源で確実に出てくる〇・七兆円というところの配分も先般示されたというふうに聞き及んでおります。

 しかし、やはり〇・七兆円では、新制度で計画されている子育ての量的拡大と質の改善、この二つ、双方をきちんと十分に進めていくことは不可能でありますので、あくまで一・一兆円の財源確保を目指していただきたいと考えておりますけれども、いかがでございましょうか。

 やはり質の改善、非常に重要でございます。大都市以外の地方部におきましては、待機児童はおらず、教育の質をいかに上げていくのかというのが重要であります。特に、幼稚園の先生や保育士は、全職種の平均よりも月十万円以上も給料が低くて、離職率も非常に高うございます。このような状況で、目の前の子供たちに全力を傾けることができるのか、教育、保育ができるのかというと、やはりかなり疑問でございますので、幼稚園の先生の処遇改善、保育士の処遇改善、非常に重要であります。

 このような問題に関して、あわせて御答弁いただければと思います。

土屋副大臣 今枝委員がおっしゃったように、参議院の附帯決議においても、一兆円程度の財源が必要であり、政府は財源の確保に最大限努力するという旨盛り込まれているわけでございまして、これを受けまして、昨年の六月に全閣僚で構成されております少子化社会対策会議において決定いたしました少子化危機突破のための緊急対策においても、二十九年度までには確保する予定の〇・七兆円程度を含めて、一兆円程度の確保に努めることということは言われているわけでございます。

 内閣府の子ども・子育て会議における議論においても、新制度の質の改善として、消費税増収分から充当される〇・七兆円の範囲では、保育士、幼稚園教諭について平均三%増の処遇改善、年間二日の代替保育士の配置による研修機会の確保等を盛り込んでいるわけですけれども、一兆円程度の財源を得た場合には、さらなる改善策として、平均五%増、年間五日の代替保育士の配置にまで拡充する方向で検討しているわけでございます。

 政府としても、〇・三兆円超の財源を確保して、何としても子ども・子育て支援の充実を図っていくことが必要であると認識しておりまして、今後、最大限、財源確保に努めてまいりたいと考えております。

今枝委員 ありがとうございました。

 最後に、医療崩壊という言葉が言われて久しゅうございますけれども、これを必ずもう絶対起こさせないという思いで、これから医療基本法という議論も進んでまいると思います。私も学生時代から進めておりまして、これを全力でやっていきたいと思いますので、また厚労省としてもぜひ御尽力、お助けいただければと思います。

 以上です。終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 私は、二〇〇三年初当選でございますが、その前に、神奈川で、アレルギーに関する十四万人余りに対する調査を行いました。その中で、このアレルギー疾患、三人に一人から二人に一人に近づきつつある、あるいは、三人に二人は治療をしてもよくならなかった経験があるとか、三人に一人はどの医者に受診していいかわからないというような調査結果を持って国会に参りました。

 きょうは、私自身の政策テーマでございますアレルギー疾患対策について質問してまいります。

 先日、文部科学省で、学校給食における食物アレルギー対応に関する調査協力者会議の最終報告を出されました。一昨年、平成二十四年の十二月でございますけれども、調布市で発生した、女子児童が、給食が原因とされる食物アレルギーの症状、アナフィラキシーショックで亡くなったという事件を受けまして、私たちも、これを一自治体、また学校へその責任を押しつけるのではなく、国として対策をとるべきであるということを申し上げまして、学校給食における食物アレルギー対応に関する調査協力者会議というものが設置をされました。その最終報告が、この三月、出てまいりました。

 この報告書の中で、最終的な実施者というのは学校であるものの、学校単独の取り組みに全てを任せることは適当ではない、文部科学省、都道府県、市区町村教育委員会等においても、それぞれの立場で取り組みを進めて、学校のアレルギー対応を支援する体制が必要不可欠だということが強調をされております。

 その中で、平成二十五年八月現在なんですが、食物アレルギーを持つお子さん、これが四・五%ということで、平成十六年調査から一・七倍になっております。また、アナフィラキシーショックを起こしたことがあるという方が〇・五%で、同じく平成十六年に比べて三・六倍ということになっておりまして、また、そのときに打つエピペンを持っている保持者が〇・三%ということで、非常に増加をしているという実態がございます。

 一方、学校へ申し出があった児童生徒のうちで、学校生活管理指導表を、医師の診断書を提出したという割合が、食物アレルギーでは二〇・四%、アナフィラキシーでは三六・四%、エピペン保持者三〇・三%、非常に低い割合でございました。

 いろいろな理由があると思います。診断書を書いてもらうには費用がかかるということで、これは公明党の相模原の市会議員が頑張りまして、相模原市では、市独自で学校生活管理指導表について、診断書の発行手数料の公費負担を開始してございます。この千五百円から五千円程度かかる診断書はなかなか提出できないなどなど、理由があるんでしょう。教師の方も、医師の診断書に基づかない、そういう保護者からの申し出に基づき給食の対応を迫られているという、非常に複雑な対応が必要ということで、教師の側も苦労しているという実態がございます。

 私たち公明党も強く主張いたしまして、学校でのガイドラインという非常によいものができました。専門員がつくった、学校生活に即した、朝から、給食があり、体育の時間があり、またプールがあり、夏には林間学校があり、そういう児童生徒の生活に即したガイドラインというものができましたけれども、なかなか十分に徹底をされていない。また、先ほど申しましたように、この管理指導表も医師の診断が伴っていないものが多いということでございます。

 また、調布市の事件のときも、エピペンという注射を、これはすぐに接種をしなければいけなかったんですけれども、教師の側もためらってしまった。差し迫ったときの緊急対応ということで、このエピペンの注射に関しましても、消防機関との連携、これは小学校では二六・二%、中学校で一九・九%ということで、消防との連携も不十分であるということで、ぜひとも、消防機関に対して、学校給食におけるアレルギー対応について、さらなる協力を求めるべきだと思います。

 また、調査結果によりますと、平成二十年から二十五年の期間において、学校におけるエピペンの使用、四百八件ありました。この緊急時のエピペンの活用、理解が進んでいるとは思いますけれども、緊急時の対応ということで教職員に単独で使用させるというのも酷ではないかとの声もまだまだございます。

 そこで、医師法の解釈に関する厚生労働省見解がございました。医師法違反にはならないという、これを周知徹底をさらに行っていただいて、現場で教師の誰もがエピペンを扱えるように、この演習も取り入れた実践的な研修の実施をすべきだというふうに思います。文科省のお考えをお伺いします。

永山政府参考人 御指摘ございましたとおり、文科省では、一昨年の事故を受けまして、昨年五月に有識者会議を立ち上げまして、再発防止のための検討を進めてまいりました。先日、その最終報告が出たというところでございます。

 この報告書におきましては、お話ありました学校生活管理指導表の使用を含めた、いわゆるガイドラインに基づく対応の徹底ですとか、教職員等の研修の充実、それから、児童生徒のアナフィラキシーショックのときの、緊急やむを得ない場合の厚労省見解ですね、居合わせた教職員が注射をしても医師法違反にならない、そういった見解を踏まえた適切な対応ですとか、あるいは、教育委員会と医療機関、消防、救急機関ですね、こういったところとの連携体制の構築、こういった提言がなされております。

 文科省としては、この報告を踏まえて、三月二十六日付で各都道府県の教育委員会等に通知を出したところでありますけれども、今後、各教育委員会ですとか各学校において、アレルギー疾患に対する対応の充実が図られるように、さらに各種会議とか研修等の機会を通じて、特にエピペンの使用については大変重大な話ですので、こういったところも強調しながら、その徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 まず、通知を出されたということであります。このガイドラインができてから一定期間がたっているわけですが、なかなか現場には徹底をされていないんですね。検証を行うにも、専門家が市町村にいるかといえば、なかなか難しいというふうに思います。そうした人材の確保、また、それを配置していくということもありますでしょう。しっかり研修を徹底していただいて、学校長、また現場の教諭、全ての教師たちがしっかりこれを理解し、実践ができるようにしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 引き続いて、栄養教諭について文科省にお伺いをいたします。

 調査結果によりますと、アレルギー対応食を提供している調理場の整備、人員の配置については、未整備のまま対応しているというケースがあるということが明らかになっております。安心、安全な食物アレルギー対応をするために、調理場の施設設備の整備、また調理員、栄養教諭、学校栄養職員などの配置が課題であろうと思います。

 特に、アレルギーへの対応はもちろん、食の安全を含めて、食育の重要性が今増しております。肥満など、将来、生活習慣病にならないようにするために、個別に対応するために、学校教諭では栄養教諭の配置が理想だと思います。

 文部科学省の参考資料によりますと、都道府県によって非常に格差があります。四十七都道府県で栄養教諭の配置率、平成二十五年四月一日現在ですけれども、最も高いのが鹿児島県でして、八六%配置をしております。最低が東京都で、約四%ということで、かなりの開きがございます。

 この栄養教諭の配置、また採用基準というのは各都道府県に任されているわけなんですが、文科省として、都道府県による非常に大きな格差の解消に向けて、各都道府県に栄養教諭の配置拡大を求めるべきではないかと思うんですが、いかがでしょう。

永山政府参考人 栄養教諭は平成十七年度に制度化されましたけれども、もう言うまでもありませんけれども、各学校の食育を推進する上での中核的な役割、それから、先ほどの食物アレルギー対応にも大変重要な役割を果たしております。その配置の拡大というのは、大変重要な課題でございます。

 一方で、配置の状況ですけれども、今年度におきましては、全都道府県で合わせて約五千名が見込まれております。全体としては着実にふえているんですけれども、一方で、各都道府県別に見ますと大変な格差があるというのは御指摘のとおりでございます。

 こういった状況を踏まえまして、文科省としては、栄養教諭の意義や役割について、教育委員会の担当者を集めた会議においての周知、これはもう従来から行っておりますが、さらに、配置が進んでいないところを個別に直接訪問をいたしましてお願いするといったこともやっておりまして、これも引き続きやっていきたいと思っております。

 それから、学校栄養職員が栄養教諭の免許状を取得するための講習会への支援ですとか、あるいは、今年度からスタートいたします、地域と連携して食育を重点的に推進するモデル校を指定するスーパー食育スクール事業というのをスタートするわけですが、こういった中でも、栄養教諭の配置の成果を検証して、その必要性を広く周知する、そういった取り組みを進めて、栄養教諭の配置をさらに進めていきたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 さまざま御努力をされているようでありますけれども、自治体においては財政上の問題も大きいのかと思います。引き続き、栄養教諭の配置、さらなるお取り組みをお願いしたいと思います。

 次に、厚生労働省にお伺いをいたします。

 学校におけるガイドラインができ上がりまして、私も、それを早く使用して、保育所でも同じものでしっかりやってほしいというふうに申し上げておりましたけれども、保育所は保育所で別につくるということで、でも、これも、保育所におけるアレルギー対応ガイドラインが完成をいたしました。しかし、やはりこれも同じように定着、徹底が必要かと思います。この定着に向けた取り組みについてお伺いをしたいと思います。

石井(淳)政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のように、厚生労働省におきましても平成二十三年三月に保育所におけるアレルギー対応ガイドラインを策定いたしまして、自治体や関係団体、例えば保育団体とか、あるいは嘱託医への周知のために日本医師会とか小児科医会等への協力要請をするなど、そういう形を通じて周知をしているところでございます。

 保育所の職員に対するアレルギー講習会、これを累次にわたって実施をしたり、あるいは、厚生労働省のホームページ上にこのアレルギー対応ガイドラインを掲載し、かつ、その中でもエピペンの取り扱いも含めた動画が閲覧できるように、こういう形で公表しております。

 さらに、保育現場でガイドラインがより使いやすいものとなるよう、先ほど御指摘ございましたエピペンについて、これは医師法上問題ないんだということも含めて、そのQアンドAを作成いたしまして周知をするといったようなことを行っております。

 こうした取り組みを通じまして、アレルギー症状発生時に保育所が適切に対応できるように取り組んでいるところでございます。今後とも、このガイドラインの普及、定着にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 文科省の方は立派な本になっているんですが、厚労省の方はそれは電子情報になっていて、それだけ費用がかけられないということなんだと思いますけれども、しっかり、さらなる普及徹底をお願いしたいというふうに思います。

 次に、花粉症の治療についてお伺いをしてまいります。

 だんだん花粉症患者というものが増加をしておりまして、杉アレルギーを持つ人が非常に多い、一千五百万人以上とも言われております。また、杉だけではなくてヒノキとかシラカバ、また、兵庫県の六甲山周辺ではヤシャブシという木による花粉のアレルギーが非常に大きな問題となっているというふうに伺っております。

 この中でも、杉花粉症についてお伺いをしてまいりますけれども、この季節になりますと、鼻水とか、かゆみとか、くしゃみとか、花粉症の方は非常に苦労をしていらっしゃいます。抗ヒスタミン薬などを用いた対症療法などが行われております。

 そこで、根本治療法として現在行われているものに減感作療法というものがあります。この減感作療法は、天然の杉花粉の抽出液を頻回に注射をして、体に花粉をならすという治療法だそうです。しかし、治療に痛みを伴うこと、また、二年以上という長期継続が必要であるということで、また、患者さんの体内の抗体が治療エキスに含まれている天然杉花粉成分に反応してしまう、ショック症状を誘発する、非常に難しい治療法だそうです。

 その杉花粉症の根治が期待できる新薬が、本年一月、厚生労働省に承認をされました。花粉の成分をもとにした薬で、口に含んで粘液から取り込んで体をならし、異常な免疫反応を引き起こしている体質を改善するというものであります。この花粉症の根本治療法で、なめる薬、これは国内初承認ということであります。注射に比べて患者の負担が少ない、普及への期待が高まっております。

 こうした中で、この承認された舌下免疫療法なんですけれども、アレルギーの原因物質を含むエキスを人の舌に投与して体内に吸収をさせていくことを継続的に行うことによって、花粉症の症状を軽減させるというものであります。これは自宅でできるということで、通院の手間が余りないということで非常に期待をされております。

 この治療薬の有効性、また安全性についてお伺いいたします。また、これを保険適用にできないかどうか、この点についてもお伺いをしたいと思います。

今別府政府参考人 私も六甲山周辺で育ちましたが、幸い杉だけの被害を今のところは受けております。

 杉花粉症につきましては、有効性、安全性の評価がどうなされたのかということでお答えをいたします。

 まず、有効性につきましては、日本人の杉花粉症患者二百四十一名に対して、本剤で症状が全くなくなったあるいは軽くなったという方が百七例、率にして四四・四%でございます。それから、有効成分を含まないプラセボで同じく二百四十一例やりまして、こちらは六十一例、二五・三%の人が同じように全くなくなったあるいは軽くなったということで、統計的に有意な差が認められるということで、今申しましたのは二シーズン続けて投与をした場合でございますが、有効性が認められております。

 それから、安全性に関しましては、同じく、二百六十六例に投与いたしまして二百十二例に有害事象が出ておりますが、プラセボ群でも二百六十五例で百八十九例ということで、そこは大差がない、また重篤な副作用は認められておらないということで、有効性、安全性ともに認められるという評価がされております。

 ただ、先ほども御紹介がありましたように、だんだんならしていくという減感作療法でございますので、アナフィラキシーなどのリスクが否定をできないということでございまして、これは、承認をする際に条件をつけております。

 具体的には、舌下投与による減感作療法に関する十分な知識、経験を持つ医師によってのみ処方、使用されるとともに、本剤のリスク等について十分に管理、説明できる医師、医療機関のもとでのみ用いられ、薬局においては調剤前に当該医師、医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売に当たって必要な措置を講じるということを条件に承認をしたものでございます。

原(徳)政府参考人 保険収載関係についてお答えを申し上げます。

 御質問の薬品につきましては、現在、保険収載に向けて事前の相談をしている段階でございまして、現段階では正式な申請がなされていないという状況でございます。

古屋(範)委員 安全性、有効性が認められるということでございます。さらに推進をしてほしいというふうに思っております。

 今のは舌下免疫療法の薬の件でございましたが、理化学研究所では、根本治療のための杉花粉症ワクチンを開発していると聞いております。アレルギー反応の原因となる杉花粉の主要な抗原たんぱく質二種類に、抗体反応を抑える化学物質を遺伝的、工学的手法で融合させたもので、マウスの実験では効果が確認をされているということで、非常に期待をされております。このワクチンの研究、進捗状況についてお伺いをしたいと思います。

山脇政府参考人 理化学研究所におきましては、花粉症の治療に向けて、現在、二種類のワクチン開発の研究に取り組んでいるところでございます。

 一つ目の研究は、強いアレルギー反応を引き起こさないよう処理した杉花粉ワクチンを投与することで、杉花粉症の治療を目指すものです。これは理化学研究所と鳥居薬品株式会社の共同研究によりまして、これまでに動物を用いた試験で薬効の確認に成功したと聞いております。また、同社において、工業化が可能か否かを判断するために、製造方法に関する技術開発が行われていると聞いております。

 二つ目の研究は、アレルギー反応を抑制する物質を含む超小型カプセルをワクチンとして投与するということで、花粉症だけでなくて、食物アレルギー、初期ぜんそくの治療も目指すものでございます。これは理化学研究所独自の取り組みとして開発をしておりまして、これまでに動物を用いた試験で薬効の確認に成功し、昨年、特許を申請した段階にあると聞いております。

古屋(範)委員 ぜひ、この二種類のワクチン、実用化に向けて促進をしていただきたいというふうに思います。

 次に、アレルギー専門医の育成等に関してお伺いをしてまいります。

 全国でアレルギー専門医は約三千人いると言われております。しかし、大都市部に集中をしている。アレルギー科という科を標榜していても、実際にガイドラインに沿った正しい治療をしているとは限らないというのが実情でございます。

 全国どこにいても同水準のアレルギー疾患に対する治療が受けられる、このために、全国の一般医に対してアレルギー疾患のガイドラインを普及徹底させるということが必要ではないかと思います。これに関して、厚労省の取り組みをお伺いします。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 今お話がありましたように、日本アレルギー学会のホームページなどを見てみますと、御指摘のように、アレルギー専門医と言われる人は三千名を少し超えたぐらいでございまして、しかも、その所在地を見ますと、首都圏とか近畿圏あるいは名古屋圏といったところに集中をしておりまして、必ずしもこれで十分と言える状態にはございません。

 アレルギーという形で標榜されている方、何らかの形で掲げていらっしゃる、診療するということで掲げていらっしゃる方が七千人弱ということのようですが、これもやはり同じように大都市部に集中をしているという状況にあります。

 そういうことから、私どもも、こうした専門医のみならず、技術を持ったかかりつけ医の育成が重要と考えておりまして、平成二十三年に取りまとめられました、厚生科学審議会の中のリウマチ・アレルギー対策委員会の報告書におきましても、今お話のありましたようなアレルギー疾患専門医の育成とか、かかりつけ医の育成、それに、診療ガイドラインの普及、改定ということも位置づけられておりまして、私どもも、こうした方向に沿いまして、関連する学会あるいは日本医師会等の関係団体と十分に連携をして、必要な対策を講じてまいりたいと考えます。

古屋(範)委員 最後の質問になります。

 公明党は、アレルギー疾患に関しまして一貫して取り組んでまいりました。二〇〇〇年には、千四百六十四万人という膨大な署名を提出いたしまして、国立病院機構相模原病院に臨床研究センターが開設をされました。また、二〇〇一年には、加工食品のアレルギー表示を義務化するということも実現をいたしました。

 また、二〇〇五年、エピペンの食物アレルギー、薬物アレルギーへの適用拡大をし、また、食物アレルギー患者の入院による食物負荷試験というものも保険適用になりました。今まではそれがなかなかできなかったんですが、今では普通に保険適用でできるようになりました。また、学校の取り組みガイドラインというものもつくり、また、エピペンが救急救命士が使用できるということも、かなり長くかかりましたけれども、できるようになりました。

 そして、二〇一〇年、アレルギー対策基本法を一度参議院に提出いたしました。以来四年がたっておりまして、議員立法が成立しないままに至っております。また、この法律は、昨年五月、自民、公明両党で少し修正をいたしまして、衆議院にアレルギー疾患対策基本法として提出をいたしました。

 地域における適切なアレルギー医療が受けられる体制整備がおくれている。情報が少ないために適切な医療機関を選択できず、間違った民間療法で悪化をする場合もある。また、国民の約二人に一人が何らかのアレルギー疾患で悩まされている。花粉症を含めアレルギー鼻炎は国民の四割以上、アトピー性皮膚炎が一割以上などと急増しているということで、全国のどこに住んでいても正しいアレルギーの治療が受けられるよう、また、学校などあらゆる場面で生活の質を高める支援が受けられる、こうした総合的なアレルギー疾患対策が求められております。

 この基本法の中では、対策の大きな前進が期待できるということで、国に基本指針の策定を義務づけております。また、学校給食についても、教職員の研修機会の確保、また、家族や患者の相談体制の整備、アレルギーに詳しい医師や看護師、薬剤師らの医療従事者だけでなくて、栄養士や調理師の育成も促す、予防体制をさらに整備強化する方針としておりまして、国の対策を総合的に進めていくとなっております。

 各党の御賛同を得て、ぜひともこのアレルギー疾患対策基本法案を成立させたいんですけれども、この法案に対して大臣の御所見がございましたらお伺いをして、質問を終わりたいと思います。

田村国務大臣 古屋委員おっしゃられますとおり、二人に一人が何らかのアレルギーを持っておるというようなことが言われておりますが、私も、診断を受けたことはないんですが、二十を過ぎたころから山芋がだめでございまして、食べると呼吸困難になって寝込むんですね。多分アナフィラキシーか何かが起こっているんじゃないのかなと思うんですが、それ以来、もう食べなくなりました。そういうことで、アレルギーは怖いなという自覚もあるわけであります。

 この議員立法に関して申し上げれば、ちょうど一番初め、あのとき私が野党部会長だったですかね、そのときに、公明党の方からいただきまして、党内調整をした記憶があります。当時は、アレルギーの定義はどういう定義なんだなんという議論から始めたところでございまして、そういうところも含めて、非常に煮詰まった中で国会にも提出いただいたということでございます。

 全体として、アレルギーということになれば、我々も厚生科学審議会の方で報告書をいただいておりまして、この報告書をもとに、もとにといいますか、内容としては、相談体制の確保でありますとか、それから、やはり研究ですね、こういうものに対してしっかり力を入れていくというような話であるわけでありまして、そういうものを我々も受けながら今までアレルギー疾患対策を進めてきたわけであります。

 この法案、成立をしていただければ、ぜひとも、我々といたしましても、関係省庁と協力をいたしましてしっかりとアレルギー対策を進めてまいりたい、このように考えております。

古屋(範)委員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻でございます。よろしくお願いをいたします。

 まずは、年金積立金の運用について、引き続き質問をさせていただきたいと思います。

 国民の皆さんの国民年金の保険料、厚生年金の保険料、合わせて百二十兆円余りの虎の子の積立金がございますが、配付資料十一ページをごらんいただきますと、これはNHKのニュースで今月の二日に流れたニュースでございますが、「ベンチャー育成へ 年金積立金を投資も」、こういうニュースでございます。

 それによりますと、「政府の産業競争力会議は、ことし六月をめどに新たな成長戦略を取りまとめることにしており、一日、」これは四月一日でありますが、「ベンチャー企業の育成策を検討している分科会を開きました。」というようなことで、るる報道があるわけでございますが、この報道のもとになったのは、配付資料十二ページを見ていただきますと、四月一日に開かれた、政府の産業競争力会議の中にあるベンチャー企業育成検討分科会というような、分科会での議論なんですね。

 そこでやられた議論で、こういう議論がございました。これは資料に基づいたものでありますが、十二ページですけれども、「社会を動かす大胆な制度改革の推進」ということで、「ベンチャーの飛躍的成長を実現するため、社会を動かす大胆な制度改革を推進し、新たな政策手段を大胆に集中投下する。 (1)年金基金によるベンチャー投資枠の創設 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用方針の改革など、年金基金の投資ポートフォリオ変更によるリスク資金の抜本的な供給強化を図る。」こういうことが書いてあるんです。

 私も、年金積立金の運用を、本当に被保険者の立場に立って多様化していくというのを一概に否定するものじゃありませんが、議論の順番として、産業競争力会議なんだ、ベンチャー育成なんだ、その議論から年金積立金を活用しましょうというのは、どう考えても議論の順番として私は違和感があるんですが、大臣とGPIFの理事長、それぞれ同じ質問ですけれども、大臣や理事長は違和感は感じませんでしょうか。

田村国務大臣 公的年金の積立金に関しましては、御承知のとおり、専ら被保険者の利益のために安全かつ効率的に運用しなければならないわけであります。

 御指摘のベンチャー投資に関して申し上げれば、これも含めて、要は、分散投資の中でリスクをいかに最小化するか、こういう話であります。目標の利回りを目指してリスクをどう最小化するか、これを含めて、GPIFで御判断を適切にいただくものだというふうに思います。

 今のお話は、それは産業競争力会議のお話であるわけでございまして、我々は、今私が申し上げたような観点から、しっかりと分散投資の中でリスクを最小化していくということでございます。

三谷参考人 お答えします。

 今大臣もお話がありましたように、私どもの年金積立金の運用は、厚生年金法等に基づき、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うこととされております。

 このため、私どもとしては、分散投資の考え方を踏まえ、年金財政との整合性等を勘案した上で、これまで、リスク水準を国内債券並みのものとしつつ、年金財政上求められる実質的な運用利回りが確保されるよう基本ポートフォリオを定め、これに従って運用してきているところであります。

 私どもとしては、今後とも、年金積立金の運用の目的に照らして、安全かつ効率的に運用してまいりたいと思っております。

 なお、産業競争力会議など政府における取り組みにつきましては、私どもとして所見を述べる立場にはないと考えておりますので、この点は御理解いただきたいと思います。

長妻委員 ちょっとがっかりいたしました。違和感があるのかどうかという質問に対して、長いものには巻かれろと言わんばかりの、流れがそうだから、きちっとやってほしいけれどもというような、我々だったらもうちょっと踏み込んだ答弁をしますよ、これは。

 やはり最後に誰が守ってくれるかというと、厚生労働大臣なんですよ、そしてGPIFの理事長なんですよ。独法の理事長は、総理とか官邸とか、わあっとなると、それはなかなか風圧があるんですが、やはり大臣は閣僚ですから、堂々と、国民の代表ですから、それを代弁していただきたい。

 違和感があるのかどうかということで、それにはお答えいただけないわけですけれども、私もベンチャー育成を否定するわけではもちろんありません。日本は欧米に比べて三分の一なんですね、ベンチャーを立ち上げる若者が。ですから、それはそうなんですが、別の金を使ってやってくれと思うわけでございまして、仮に、順番として、被保険者の利益を守るために分散投資でベンチャーファンドが本当に必要だ、そういう緻密な議論でそこに向かうというのなら、私、全面否定はしませんけれども、この議論のやり方はどう考えてもおかしいから、これは、大臣はちゃんと歯どめをかけるべきだと私は思っております。

 十六ページにもありますけれども、これは年金の専門委員会でありますが、国内債券並みのリスクの維持ということもありますし、十七ページには、法律に書いてあるんですね、厚生年金保険法、国民年金保険法に、「専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行う」。今もおっしゃいましたけれども、これは法律に明記されております。

 二十ページでは、資金運用担当の厚労省の方からもらった議事録でありますが、これは社会保障審議会の年金部会の発言抜粋で、宮本委員は、「国内債券並みのリスクというのは一つのベースとして堅持すべきであるということを御意見として申し上げたい」、正論をおっしゃっておられる。

 二十二ページを見ていただくと、山口先生というこの年金部会の先生も、新聞の投書の中で、「運用リスクは国内債券と同程度の水準に抑えて、全体の配分を決める方法であり、現行の資産配分もこの考え方に拠っている。」とおっしゃっておられる。

 二十一ページには、これは日経新聞に出た記事でございますけれども、四月七日でありますが、GPIF、年金を運用する独法が、「日銀の追加緩和に合わせて、運用改革を発表するという観測が出ている。市場では日銀が追加緩和を決めるのは、七〜九月との見方が多い。同じ時期にGPIFが国債比率を下げ、株式比率を上げる資産配分の見直しを発表すれば、緩和効果が高まるからだ。」もしこれが本当だとしたら、完全に政府に利用されていますよ、GPIFの虎の子の金が。

 下には、「株式比率を一%上げれば、市場には一兆円が流れ込む。」これはSMBC日興証券のアナリストのコメントですけれども、「年末にかけて株価上昇が期待できる」と。そして、もっとも政府が六月に発表する成長戦略にGPIFの資産配分見直しを盛り込む意見もあるということで、まさに、今申し上げた、競争力会議で六月をめどにまとめる、その前提となる分科会での議論の話が今出ているわけです。

 まさか、六月にそんなことがまとめられて、はい、そうですかと厚生労働大臣もGPIF理事長もおっしゃるわけはないと信じておりますので、風圧と闘っていただく必要があると思いますので、これは厳重に申し上げておきたいと思います。

 そして次に、配付資料の最後のページでありますが、ちょっとテーマは変わりますけれども、自賠責に対する不正請求であります。

 これは朝日新聞の三月二十二日の朝刊の記事であります。「自賠責 接骨院の請求急増」「審査ずさん 不正横行」というふうに記事があるのでございますけれども、ちょっとお伺いするんですが、自賠責に対する不正請求の件数というのは大体どのぐらいでございますか。

岡田副大臣 長妻委員の御質問にお答えをいたします。

 不正な保険金請求につきましては、被害者側が保険会社をだます意思を持っていることから、正確な件数の把握には難しい面があることについて御理解をいただきたいと思います。

 一方で、自賠責保険は、自動車の所有者から義務的に徴収した保険料を財源としていることを踏まえると、不正請求の防止等の徹底を図り、適切な支払いの確保を図っていくことは不可欠だと考えております。

 金融庁といたしましては、この不正請求防止の取り組みを進める中で、不正請求件数の把握についても引き続き検討するよう保険会社を指導してまいりたいと考えております。

 以上です。

長妻委員 これは驚く答弁だと思うんですね。政府として、自賠責保険、これは特別会計なんですが、所管するのは国交省でありまして、政府の事業でもあるわけで、そこに対する不正請求が何件あるか、あらあらの概数もわからないというような御答弁だと思うんです。

 これは、今の朝日新聞によると、「接骨院による自賠責への請求が増えた一因には交通事故患者を抱き込んでの不正・過剰請求がある。」という報道記事があって、その後に、生後六カ月の乳児が腰の痛みを訴えたとして、歩行困難になったと診断したと。でも、生後六カ月という方はもともと歩けるのかどうか。「川崎市の患者が四十キロ離れたさいたま市の接骨院に半年間、一日も欠かさず通院した――。そうした虚偽の疑いのある請求が増え、厳密な審査もないまま保険金が支払われている。」こう記事にはあります。

 これについて、今、岡田副大臣から話がありましたが、不正請求が年間何件あるのかさっぱりわからないということなのか、概数はわかるのかということをもう一回御答弁いただいて、もし全然わからないのであれば、やはり政府として把握する必要があると思うんですが、それは把握するように今後調査するというような御答弁をいただければと思うんですが。

岡田副大臣 再度のお尋ねでありますが、この不正請求につきましては、先ほど、正確な件数の把握には難しい面があるという答弁をさせていただきましたけれども、一方で、警察庁の統計による警察白書によりましては、保険金詐欺の摘発件数という数字は出ております。

 そういうことで、しかし、これは交通事故に絡む保険金詐欺の摘発総件数であり、接骨院に対する摘発件数というのは公表されておりませんので、御理解を賜りたいと思います。

長妻委員 自賠責に対する不正請求の件数が全然政府はわからない、調べるつもりもないと。

 これは三省にかかわると思うんですね。厚生労働省、金融庁、国交省ということですが、金融庁が今代表してお答えいただいているんですけれども、ぜひ調べてください。おかしいんじゃないですか、さっぱりわからなくて、今後も調べない、把握しないというのは。

岡田副大臣 不正請求の件数につきましては、先ほども答弁をさせていただきましたように、不正請求防止の取り組みを進める中で、不正請求件数の把握についても引き続き検討するよう保険会社を指導してまいりたいと答弁をさせていただきました。

 本年、金融庁としても、昨年の十一月に日本損害保険協会が立ち上げました保険金不正請求防止対策勉強会にオブザーバーとして参加をしているところであり、本事務年度の保険会社向け監督方針におきまして、不正請求等による保険金支払いを排除するため、保険会社に支払い管理態勢等の強化を求め、当該態勢等が機能しているか重点的に確認をすることとしております。

 今後とも、関係省庁、関係機関と連携して、適切な保険金の支払いの確保に取り組んでまいりたいと考えております。

長妻委員 これはぜひ調査をしていただきたい、件数を。

 厚労大臣にお伺いするんですが、さっき申し上げましたように、この問題というのは厚労省、金融庁、国交省、三省にまたがる問題だと思いますが、ぜひ、担当者でチームをつくって、これに対してどういうふうに対応するのか、こういう検討会を立ち上げていただきたいと思うんですが、厚労大臣、いかがでございますか。

田村国務大臣 この件、新聞等々でも報道されておるわけでありますが、柔整師施術所で交通事故専門だとかというような表記、広告をされること自体、これは実際問題、広告可能事項に該当していないわけでございますから、それはできないわけでございますので、全国都道府県の担当者を集めた会議で、しっかり指導するようにということをお願いいたしました。

 これからも周知徹底をしっかりやってまいりますが、数という意味からいたしますと、そのような形で、指導をした数に関しては、こちらの方で把握できるように努力してまいりたいというふうに思います。

 あわせて、関係省庁とどのような形で協力をするかということは検討いたしますけれども、まずは、各都道府県でしっかり指導していただいて、そういうこと自体だめだということを各施術所に御理解をいただくということが重要でございますので、そもそもそういう広告をしていなければ行かれないわけでございますから、そのようなことを含めて対応してまいりたいと思います。

長妻委員 これはぜひチームで対応していただきたいと思います。

 次に参りますけれども、これはこの後、山井委員からも詳しく質問があると思いますが、生活扶助基準に伴う低所得者に対する対策が縮小される、こういう問題であります。

 生活保護を受けていない低所得者の皆さんに対するいろいろな優遇策、対策というのを国もあるいは地方自治体も数々行っておりますけれども、では低所得者を決める定義はどうするんだというふうに考えるときに、やはりそれは生活扶助の基準を一つの目安にしましょうと。

 所得の基準を、同じ基準を使う考え方もあるし、生活扶助基準の一・二倍以下の所得の人をこの制度では低所得者と定義しましょうとか、いろいろな考え方はあるんですが、低所得者対策を打つときは、一つの基準としては、やはり生活扶助基準というのを使うという考え方が妥当であるということで、多くの制度が使っているわけです。

 そうすると、今回、生活扶助基準が下がったことによって、生活保護を受けていない、そういう低所得者対策の方の範囲もぐっと狭まるんじゃないのかというようなこと。これは政府もおっしゃっていましたけれども、本意じゃない、こういうふうにおっしゃったわけでありまして、ところが、本意じゃないことが現実に起こっている。就学援助では確認をされました、それが起こっているということで。

 では、同じような制度でそれが起こり得る、起こる可能性が今確認されているのは政府にお伺いすると就学援助だけなんですけれども、同じメカニズムでそれが起こり得るというのはどういう制度があるのかとお伺いをいたしますと、国の制度で十二あるということで、今、配付資料でお配りしました。この後、山井委員からは政府の正式な資料もお配りする予定だと聞いておりますけれども、政府に確認すると、この配付資料の右に三角がついているものでありまして、十二ある。

 保育所の保育料の減免に係る階層区分がある。そして、小児慢性特定疾患児日常生活用具給付事業がある。そして、養育医療給付事業がある。そして、結核児童療育給付事業がある。そして、病児・病後児保育の利用料の減免がある。児童入所施設措置の徴収金がある。障害児入所支援の措置がある。国民健康保険・後期高齢者医療制度における一部負担金の減免に対する財政支援がある。自立支援医療の負担上限月額等の段階区分がある。そして、就学援助制度における学用品費等の支給がある、これは、カットされた方がいるというのが確認されたものでありますけれども。それと、幼稚園就園奨励費補助がある。そして、私立高等学校等授業料等減免があるということでございます。

 そして、それ以外に、地方単独事業等というのが政府に確認すると四つあるということで、まず一つは、これは独法がやっているもので、八ページでありますが、災害共済給付の共済掛金の一部減免がある。もう一つは、これは地方ですね、高等学校等奨学金事業。そして、各大学、公立も含めて私立大学、大学ごとにやっている大学等授業料減免等がある。そして、地方単独でいうと、公営住宅の家賃減免がある。

 こういうようなことが政府から出てまいりました。

 それで、影響が確認されたのは就学援助だけなんですが、では、それぞれ、全体として、制度として何人抱えているのかということを聞きますと、人数が多いのをちょっと申し上げますと、政府に確認すると、例えば、保育所の保育料の減免に係る階層区分については、全体で二百二十一万人が対象になっている。かなり多いわけであります、全体で。

 そしてあと、多少多いのが二ページ目の養育医療給付事業で、これは二万五千七百七十九人が対象になっている。そして、三ページ目の病児、病後児の利用料の減免については、延べで五十二万人が対象になっている。その下の、児童入所施設措置の徴収金については四万六千人が対象になっている。そして、五ページの自立支援医療の負担上限月額等の階層区分は、全体でいうと百八十八万件が対象になっているということであります。

 今申し上げた中には文科省もありますけれども、まず、ちょっと文科省にお伺いいたします。上野政務官が来られておられますけれども、文科省、就学支援についてはどれだけが縮小されたのかというのは、今月末にまとめて、調査するというふうに聞いておりますけれども、文科省所管の今私が読み上げたほかの部類についても、今月末中に、何人が影響を受けるか調査いただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

上野大臣政務官 ただいまの質問に対してですが、先ほど厚労関係の人数は長妻委員からお話ありましたが、文科省として、全体の人数は今のところ把握しておりますが、何人が影響を受けるかはいまだ不明でありまして、例えば特別支援教育就学奨励金におきましては、全体で約二十一万人。幼稚園就園奨励費につきましては、全体で約九十五万六千人。私立学校等授業料減免におきましては、約二十七万人。

 災害共済給付につきましては、制度の対象となる人数については、各自治体により基準がさまざまでありますので、現在、把握できない状況でございます。高等学校等奨学金の事業については、約十六万一千人。大学等授業料減免におきましても、制度の対象となる人数については、各大学により基準がさまざまであるため、現在のところ、把握していないという状況にあります。

 現在のところ、これらの調査については、地方単独事業もありまして、それぞれ制度の趣旨や目的を踏まえて、まず、各地方自治体で判断していく必要があるものと考えております。このため、さまざまな機会を捉えて、政府の対応方針について丁寧な説明をした上で、適切に御判断、御対応いただくよう依頼しているところであり、現在のところ、調査しようという考えはないところでございます。

長妻委員 調査する考えはないということなんですが、就学援助は調査するんですか、何人がカットされたか。いつまでですか。

上野大臣政務官 就学援助については、文科省としては、平成二十六年度の準要保護の認定基準の状況について現時点では把握しておりませんが、各市町村の平成二十六年度の準要保護の認定基準の引き下げの有無を含め、基準がどのように運用されているのかの実態を早急に把握する予定でございます。

 具体的なスケジュールとしては、今週中にも都道府県経由で市町村に対して調査を実施し、四月中には回答を得ることとしており、結果を取りまとめ、五月中ごろをめどとして公表することでございます。

 また、この結果を踏まえつつ、引き続き、各市町村に対して、政府の対応方針に基づき適切に御判断いただくよう依頼してまいりたいと思っております。

長妻委員 そうであれば、文科省で、ここのリストにありますように、就学支援以外で、国の制度でいえばあと三つあるわけですね、地方単独じゃなくて。それはちゃんとやってください。同じスケジュールでやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。

上野大臣政務官 国の対応しているものに対して、特別支援、それから幼稚園、私立学校等に対しては、現在、きちんとした形で支援をしていると思われますので、報道を含めて、新たな問題の情報が得られた場合における調査を含む対応については、関係省庁と協議しながら適切に対応したいと考えているところでございます。

長妻委員 報道等、朝日新聞に出てばれちゃったから、就学援助は、まあ、やらなきゃいけないなと。ただ、ほかはまだそういうのがないので、そうならないように祈っていて、ならなければいいなと。

 これは本当に、それをカットされる立場になっていただきたいんですね。本当に大変な生活になる危険性があるわけで、先ほど三件と言いましたけれども、文科省で、国の制度で影響を受ける可能性があるのは、就学援助を除くと二件でありますけれども、幼稚園の補助では、おっしゃったように九十五万人ということですよね、全体でいえばですよ。あるいは、私立高等学校の授業料等の減免でいうと二十七万人、全体でいえば。

 上野政務官、別に原稿をもう読まないで、原稿を読んでいただくんだったら局長を呼ぶわけですから、我々も。やはり政治家として、これは調査して、変わらなかった、よかったということであればいいんですけれども、就学援助もずっと同じ答弁だったんですよ、去年も。いやいや、そんなもの調査しない、お願いしているから大体大丈夫だと。それで大丈夫じゃなかったわけで、ぜひこの二つについても調査を、今即断できなくても、調査を検討するとすることをぜひ答弁いただきたいんですが。

上野大臣政務官 御指摘はごもっともだと思います。文科省ばかりでなく、各関係省庁ときちんとした形の相談する場をつくりまして、検討してまいりたいと思っております。

長妻委員 ぜひ就学援助と同じスケジュールでお願いしたいと思います。

 そして、田村大臣の厚労省はもっと数が多いわけでございますので、田村大臣にも、厚労省として調査を、これは国の制度としてありますので、同じようなスケジュールで、五月中旬ぐらいに公表できるようなスケジュールで各自治体に調査するということをおっしゃっていただきたいと思うんですが。

田村国務大臣 就学援助は、ルーチンで調査をやられているんですね。その中で、今回は部分を取り出して、こういうこともあったので早目に出されるということなんだろうというふうに思います。

 私も、この間、新聞に載られたところ、ちょっと個人的にも関係あるところを確認しました。そうしたら、一応そういう基準だけれども、独自に、漏れる方々に関してはちゃんと今までどおり対応する、そういう措置も考えられておられるようですね。ですから、あの新聞に載っていることが全てではないということだと思います。

 それは、地方単独事業というものはそういうものでございまして、それぞれの自治体が自治体の判断でやる。つまり、子供に対するいろいろな支援は、別途、いろいろなことを新しく入れたりなんかしたりもするわけであります。そういうような中において、バランスも考えられながら、それは各自治体が御判断をされるわけでございます。

 ですから、以前から言っているとおり、それぞれの基準も、それぞれの自治体によって違うんです。その中において、この生活扶助を利用されているところもあるわけでありまして、そういうところは、基準がそれぞれ違う、一・二もあれば一・三もあるということでありますから、そこは総合的に各自治体が、各自治体もやはり子供たちに対する支援ということは考えられておられるはずでありますから、それは地方自治でございますので、その中でバランスを考えられて、どのような判断をされるかということだと思います。

 ただ、我々は、その点に関しましては、昨年から、この生活扶助に対しては配慮していただきたいというお願いをさせてきていただいたわけであります。

 あわせて、今言われたのは国の補助金が入っている部分だというふうに思いますが、これに対しても、今委員がおっしゃられた部分というのは、それぞれの自治体が、それぞれの裁量でいろいろなことをやられるわけであります。国から一応お金が入っている制度の中においても、やられるわけであります。

 そこに関して、その自由裁量に関しては、国もその点は認めますよという部分で御判断をされて、基準をつくられているわけでありまして、これに関しても、地単と同じような判断のもとで、各自治体が独自の判断でやられているわけでございますので、我々は、それに対しても、生活扶助に関して、これは基準が変わらないようにというお願いをさせてきていただいたわけであります。

 重ねて申し上げれば、一番多いのは、昨年おっしゃられたとおり、地方住民税の非課税限度額、この話であります。ここは変わらなかったわけでございますから、以前、長妻先生または山井先生等、民主党の先生方が言われた、すごい数、影響があるじゃないかという部分に関しましては、これは影響がなかったということであります。

長妻委員 苦しいというか、むなしいというか、まあ苦しいですね。

 去年は、いや、そういう影響が起こらないように万全を期すというようなことをおっしゃって、今度、影響が起こったら、いやいや、それは地方の裁量で、地方の事業ですから、国は補助金が出ているけれども、これからも頼むし、地方の住民税の基準は変わらなかったので数はそんなに多くないんだろうから、余り細かいことを言うなというような趣旨に聞こえるわけですが、では調べてくださいよ、少ないのであれば。これは多いのか少ないのかわからないわけですよね、大臣も。

 大臣としては、去年言っていたことは、これは意図はしない、政府が意図して生活保護は下げたけれども、連動して下げるというのは望んでいないんだ、そういう趣旨の答弁をされておられて、それで、調査するというのは責務だと思いますよ。

 心で望みを言っていて世の中がそういうふうに変われば、それはメルヘンの世界でいいんですけれども、実際そうなっているかなっていないか確認するというのはやはり政治の責任で、これはもう一つ、マクロ経済的にいっても、低所得者の方が貯蓄に回るお金は少ないんですよ。消費性向が高いということなんですね。一時的なお金であっても、限界消費性向が高いんですね。そういう意味では、その一番消費性向が高い方の支出を削っちゃって、それで消費を下支えできるのかどうか。

 消費、経済にとってもマイナスになる、逆行した政策ですし、しかも、消費税が上がると同時にダブル、トリプルパンチというのは、政府が出すメッセージとしても、低所得者の方に対して、ああ、国は冷たいんだ、こういう形になる懸念があるわけでありまして、これは、調査をどうしてもしないというふうに頑張っておられては困るので、ぜひ調査をしていただきたい、同じタイミングで。文科省の方からは就学支援以外も検討するということでありましたから、大臣もかたくなに頑張るところじゃないんですから、ぜひお願いします。

 そして、もう一つ大きい問題は、国の制度ではない、地方が単独でやっている事業にも、これは国は全然把握していないんですね、国が把握していない事業にも実は生活扶助基準に連動するものがある。

 例えば、ある市に聞いてみました。市に聞いたのは、地方の単独の事業で、かつ生活扶助水準に連動するものは例えば何がありますかということでお伺いしました。

 ある市ですけれども、三世代同居等支援事業があります、その市では。あと、子ども医療費助成制度があります、母子家庭等医療費助成があります、一時預かり事業、特定保育事業があります、地下水汚染に係る浄水器設置費補助金交付制度があります、市営住宅使用料の減免制度があります、民間賃貸住宅入居支援補助制度があります、指定自転車駐輪場の整理に要する費用の減免があります、公共下水道受益者負担金減免があります、水洗便所改造特別助成があります、育英資金があります、こういうふうにおっしゃられているわけですね。

 そうすると、厚労省が震源地となって、生活扶助水準だけを下げるというふうに意図をしたけれども、かなり大きい影響が全国に広がっているとすると、これは問題ですよ。意図と違うものが起こったら、やはり対策を講じるということは必要なわけであります。

 これは、抜けているのが、今申し上げた調査するしないの議論は国の制度でありますけれども、では、こういう、国が把握していない、地方が単独でやっているような事業についても調査していただきたいと思うんですが、恐らく担当は地方自治体ですから総務省だと思うんですが、総務省、調査いただけないですか。

関口副大臣 今、厚労大臣また上野政務官からもお話ございましたとおり、関係省庁の方から、できる限り影響がないように御判断をいただくように各自治体に依頼をしていただいているというのが現状でありまして、総務省としては、全国的に調査することは考えておりません。

長妻委員 冷たいですね、それは。

 国交省、国交省の範疇の、住宅関係の減免制度について調査していただけないですか、地方単独でやっているものについて。いかがですか。

中原大臣政務官 お答えいたします。

 地方公共団体は、所得が著しく低い場合など特別な事情がある場合には、家賃を減免することが可能でございますが、地方公共団体では、地域の実情を踏まえ、独自に家賃減免の基準を条例等で定めております。このような地方公共団体独自の基準につきましては、生活扶助基準の見直しに伴い、地方公共団体においても適切に御対応いただくよう、昨年五月に情報提供をいたしました。

 また、各地方公共団体がより一層適切に判断できるよう、各地方公共団体の現況の制度、取り組みがどのようになっているのか調査を行い、適切に情報提供をしてまいりたいと考えております。

長妻委員 これは、生活扶助基準に連動する考え方の自治体もあるんですよ、家賃の補助について。

 最後に、厚労大臣に、地方単独の事業で厚労省マターのものについてはぜひ調査していただきたいと思うんです。地方単独の、今、私が読み上げたような中で厚労省マターのものは。これはいかがですか。

田村国務大臣 今般は、ある意味、この生活扶助基準、物価との調整はありますけれども、変動幅が大きいということもあって、影響が大だということがあっていろいろとお願いをしてきたわけでありますが、今までも扶助基準が下がったことはあるんですよね。そのときには、こういうことをお願いしたことはありません。ですから、今回、我々は、そういう中において各自治体にお願いをさせていただいたわけであります。

 地方単独事業、先ほどの、国が入っている中において裁量性がある部分もそうなんですが、これは地方がそれぞれお考えになられるんです。地方は、これだけをもってして、言うなれば子供対策をやっているわけじゃありません。いろいろなことをやられています。そのバランスの中で、地方が独自に自主的な判断においてなされるわけでありまして、昨年の私の答弁も、その中においてはできる限りお願いしていく、ただし、それは地方自治ですからという発言はさせていただいておったはずであります。その中において、我々はこれからもお願いをさせていただくということであります。

長妻委員 時間が参りましたけれども、今御答弁いただきましたが、でも、現状を把握するというのは重要だと思いますよ。自治体は財政が厳しいから、今回のこういう水準に合わせて縮小するという選択肢もあるかもしれないけれども、では、消費税が上がるのに、どれだけの低所得者が、どれだけ、どういう状況になっているのか把握する義務は、どう考えてもあると思いますよ、政府に。

 これは、かなり、私はこの安倍内閣の姿勢というのが明確になるんじゃないかというテーマだと思いますので、格差を是正するということは、国の安定につながって、社会の安定につながって、多くの方の能力を発揮できる基盤をつくることにつながるという問題意識を持っていただいて、もっと真剣に取り組んでいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、山井和則君。

山井委員 三十五分間質問をさせていただきます。

 まず最初に、文科省からお越しをいただいているんですが、きょう、朝の理事会で配付資料がございました。その配付資料というのは、きょう二つ、私のもともとの配付資料と、朝の理事会で配付された文部省と厚生労働省からの連動の資料であります。この一番最後のページに、文科省初等中等教育局児童生徒課から、今回、影響の調査を行うというペーパーが出てまいりました。「四月中にも回答を得ることとしたい。」「五月中旬にもその結果を公表することとしたい。」

 一つ、義本審議官に確認をしたいんですが、今回の見直しによって、今まで就学援助を受けていたけれども、今後、今年度から受けられなくなる方が何人か。それとともに、今まで受けていた方はちょっとさすがに切るのはかわいそうですよね、ただ、新規の人は今回基準が変わるから当然だめになりますよというところと、二パターンあると思うんです。その両方がわかるように調査していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

義本政府参考人 今回お示ししました調査につきましては、通常、就学援助の実態調査については例年やっておりますけれども、それを影響の部分について切り出して、取り出して調査させていただくものでございます。

 文科省におきましては、特に国の国庫補助を出しています要保護の部分につきましては、二十五年度当初、要保護として就学支援を受けていた者については、引き続き要保護として国庫補助の対象とするということとしております。あわせまして、新たに対象になる者につきましても、平成二十五年度当初の基準に対象となる者として、国庫補助の対象にするということを考えているところでございます。

 文科省としては、このような制度の趣旨について改めて周知したいと思います。

 なお、調査につきましては、その様式については今検討しているところでございますけれども、その中におきまして、特に基準の引き下げの有無だけではなくて、生活保護以外に、例えば市町村民税の非課税世帯かどうかということについての基準を併用したところもございますので、その状況。それから、基準を下げた場合においても影響が出ないような認定を行っているというふうな自治体もございます、その辺のところ。あるいは、その影響をどれだけ自治体として認識しているかということでございます。継続部分も含めまして、あわせて検討させていただきたいと思います。

山井委員 このたび早急に文科省がこういう実態調査をしてくださることには非常に感謝をしております。

 これは、昨年、子ども貧困対策法が成立をしましたけれども、やはり就学援助は、学用品、給食費、林間学校、修学旅行、クラブ活動、こういう補助でありますから、今までもらっていた補助が急になくなったら、修学旅行は数万円補助が出ていたわけですから、これがなくなったら修学旅行に行けなくなってしまったとか、そんなことになったらもう大変なことになるわけで、切られた人からすると、切られるなんて聞いてないよ、どうしてなのということになってしまうわけです。

 ぜひとも文科省においては丁寧な調査をしていただいて、私の願いは、まさにこういうふうに早急に文科省が調査をしてくださること自体が一つの市町村に対するメッセージになって、確かにこれは外れちゃうんだけれども外さないように教育委員会で救おうとか、外そうかどうか検討していたけれどもやはりやめておこうかとか、そういういい効果が出てくると思います。

 何よりも、来年度も生活扶助基準の引き下げがありますから、これを放置していたら、ことし悩んでいたところも、例えば、横浜市も下げるんだったら、では私たちも下げようかみたいな、一歩間違えるとそういう議論にもなりかねませんから、これはやはりしっかりとここでブレーキをかけていかねばならないと思っております。

 それで、田村大臣、ちょっとお聞きしたいんですが、田村大臣との質疑の中で、きょうは議事録もお配りをさせてもらいましたが、例えば、私の分厚い資料の九ページ、私は田村大臣に四月十二日の予算委員会分科会で、一般の低所得者は削らないで、なぜ生活保護の人だけ削るんですかという質問をしたんですね。線を引いたところです。それに対して田村大臣は、「なぜデフレの部分を今回適正化したかというと、それは、ずっとデフレ部分に関して対応してこなかったからですよね、だから下げるという話になった。」これは生活扶助基準のこと。「しかし、一般の低所得者の方々は当然収入が減っているわけでありますから、デフレに伴って。」こうおっしゃっているんです。

 今の長妻議員の質問の続きですが、確認したいんですが、田村大臣が厚生労働大臣として生活扶助基準を引き下げた趣旨、意図は、生保の受給者だけの基準を下げる意図だったのか、それとも生保以外の低所得者の方々に影響が及ぶことも意図していたのか、そこはどっちですか。

田村国務大臣 趣旨がちょっとわからないんですが、生保の場合は、生活扶助というものに対して見直しをさせていただきました。その他の方々の収入は、これはそれぞれの仕事場での労使の関係によって決まってくるわけでありますので、そこまでは我々としては手の出しようがないというところであります。

山井委員 ということは、生活保護以外の低所得者に対する切り下げ等が起こるということは、田村大臣としては考えていなかったということですか。

田村国務大臣 生活保護制度は、生活保護に認定された方々に対して保護をする、生活扶助や医療扶助やいろいろなものを出すわけであります。でありますから、そこの見直し、生活扶助はさせていただきました。

 生活保護に認定されていない低所得者の方々は、もちろん、最低賃金の引き上げであるとか、そういう努力はしてまいりましたから、賃金が上がるような努力は我々はしてまいりましたが、その方々の収入に直接我々国が何らかの制度で補填をするだとか、また引き下げるだとか、そういうことはできないわけでございますので、そこは、社会全般景気をよくする中で収入がふえるような努力はしてまいりましたけれども、そのような形で収入がふえていただければというようなことであります。

山井委員 田村大臣の答弁はちょっととんちんかんなんですが、だから、一般の低所得者まで、田村大臣が想定していなかったところまではねているじゃないかという議論を私たちはしているわけです。

 例えば、私の配付資料一ページ目、佐賀新聞の調査。これは二十の市町を調査されたわけですね。それによると、ここに書いてありますように、九つの市町で生活扶助基準の引き下げに連動して下がってしまうんです。九つ、残念ながら。これは二十分の九です。

 それで、どういう取り組みを田村大臣や文科省がしてくださったか。それなりに取り組みはしていただいたんです。その取り組みの資料を配付してございます。

 順番に見ていきましょう。配付資料の十二ページに、まずは厚労省事務次官通知、去年の五月十六日。生活扶助基準の見直しにおいては、これに伴い、他制度に影響が生じる可能性が指摘されていることから、政府ではできる限り影響が及ばないようにするために、全閣僚で対応方針を確認しており、各自治体におかれましてもこの政府の対応方針の趣旨を御理解いただいた上で、適切に御判断、御対応いただきますように。もう一つは、九月三日にも、同趣旨のお願いが再度なされております。

 そして、十三ページに行きますと、次は文科省さんです。文科省も三回通知を出していただいております。同じ趣旨でございます。政府ではできる限り影響が及ばないようにするため云々かんぬん、準要保護者に対する就学援助については、各市町村に対し、こうした国の取り組みを説明するとともに、その取り組みの趣旨を理解した上で御判断をいただきたい。

 そして、十四ページ、こう書いてあるわけですね。厚生労働省から文部科学省に対して次官通知の趣旨を各地方自治体関係部局に周知するよう依頼がありました、次官通知を確認していただいた上で適切に御判断、御対応いただけるよう周知をお願いします。

 十五ページ。これは、二月二十六日、ことしですね。最後の、もう一回、再度のお願いということで、子ども貧困対策法ができました、子どもの貧困対策の推進に関する法律が施行されたことも踏まえ、就学援助の取り組みがより一層充実していくよう、各市町村教育委員会に対して、御指導願いますと。充実するようというお願いが行っているわけですね。

 ところが、今の佐賀のを見たように、充実するどころか、下げるというところが二十市町のうち九出ているわけです。

 ついでに申し上げますと、民主党でも今調査をしております。五ページ目を見てください。その資料によりますと、中野区では、既に就学援助制度の基準を変更済みということで、中学生七十人、小学生百三十人ほどに影響、そういう回答が民主党の調査では来ております。そして、府中市では、約一割弱の方が対象外にと来ております。

 それで、田村大臣にお伺いしたいんです。

 田村大臣なりに文科省と協力して頑張られたんでしょう。ただ、二十市町のうち、佐賀県だけの、佐賀新聞の調査しかありませんが、九市町は連動させてしまっているということなんですが、この数、割合、予想より多かったんですか、少なかったんですか、田村大臣の思いとしては。

田村国務大臣 もう一度申し上げますけれども、生活扶助額は今回で初めて下がったわけではありません。今までも下がっております。そのときは連動したんだというふうに思います。

 ただ、今般は、いろいろなことを鑑みて、影響をなるべく与えたくないということがありましたので、各自治体にお願いをさせていただきました。今も申し上げたとおり、今委員もおっしゃられました、何度も何度も丁寧にやったねと。そのとおりなんです。何度も何度もお願いをさせていただきました。

 先般新聞に載った一自治体、私も確認しましたら、一応基準では漏れるけれども、しかし、漏れた方々はちゃんと特別に救うように手だてをしています、こういう話でございました。ちゃんとやっているところは、やっておられるところもあるんです。

 これは地方自治でございますから、ここはもう十分に委員も、地域主権を言われてきた政党でございますから、御理解いただいておると思いますが、地域は地域でそれぞれいろいろな施策をやって、例えば子供対策をやられておられるわけであります。そこも鑑みて、我々のいろいろなお願い、これも含めた上で、それぞれの自治体で、他にもいろいろな施策を打っておられるでありましょう、そのバランスも含めて考えられて、今般そのような形で引き下げたというところもあるかもわかりません。しかし、ほかのところでは上がっている部分があるかもわかりませんから。それは、それぞれ地域には議会がありますし、住民の方々が選んでおられる議会であります。それぞれの施策というものを地域地域でお考えになられておられる。

 私は、地域分権という意味、これを否定するものではありませんから、それに対して無理やり国がどうせいという制度ではないんですよね、地域単独事業というのは。地方がみずから、だから、やめることもあるんですよ、生活扶助基準に関係なくやめることもあるんです。ことしやめたものがあるかもわからない。そういうものもあるんです。そこは、総合的にやはり自治体がそれぞれ考えておられる。

 ただ、我々はそこで、子供のことがありますからと、いろいろなことを含めてお願いしますということを丁寧にさせてきていただいたわけでございます。

 でありますから、それぞれの自治体でいろいろな判断をされて、最終的にいろいろな決定をなされておるんだと思いますが、重ねて、この部分は、やはり影響がなるべくないようにということで我々はお願いをさせていただきますし、昨年おっしゃられました、一番影響が大きいのは住民税の非課税限度額です。ここは何としてもということで、総務省ともいろいろと話し合いをさせていただいて、種々のいろいろな理由、いろいろなことを分析する中において、今般は変えなかった。

 でありますから、一番大きな基準であるものは変わらなかったというような努力もしながら、とにかく昨年申し上げたような趣旨のことを徹底すべく、各自治体も含めてお願いをさせていただいておるということであります。

山井委員 いや、田村大臣の言いわけは聞きたくないんですよ。政治は結果責任ですから、頑張った頑張ったじゃないんですよ。結局、これだけ連動してしまっているじゃないですか。

 だから、私はやはり非常にこれは問題だと思いますよ。まあ、今回、実態調査をされるんでしょうから。だから、私が言いたいのは、責任を持てないことはするなということなんですよ。結局、田村大臣が言いたいのは、グリップできないということでしょう。そのことは何度も指摘したじゃないですか。そのときに田村大臣は、できるだけ影響を受けないようにする、受けないようにすると言ったけれども、結局、できなかったじゃないですか。だから、そういう意味では、私はこれは非常に深刻な問題だと思っております。

 それと、田村大臣、これは五月中旬にも調査結果が出ると思いますが、これだけ連動のケースが出ていて、おっしゃったように、もしかしたら最後救済されるところもあるかもしれませんが、救済されないところも出てくる危険性はあります。

 例えば、機械的に計算すると、二十市町のうち九、四五%。それで、報道によれば、中野区は三千二百人中二百人外れるかもしれない。これを機械的に足し合わせると三%ぐらいで、百四十万人の三%というと、数万人の方々がもしかしたら外れる危険性があるかもしれないわけですね。

 こういうことが明らかになっているにもかかわらず、来年もまた生活保護を下げる。さらにこれはどんどんどんどん広がっていきますよ。先ほど、救済されるところもあるかもしれないとおっしゃったけれども、ことしだけは救済されるかもしれないけれども、二年、三年やったら、地方自治体も財政が厳しいから、なかなか救済できないです。

 田村大臣、こうなったら、来年の生活扶助の引き下げ、この方針、もう一回どれだけの影響が及ぶかということをしっかり実態調査して精査するまではその方針は凍結すべきだと思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 毎年、消費等々、物価も含めて勘案して、それと今般の見直しとの間でどういうような関係になるかということで見直しますが、今までも下げたことはあります。今委員のおっしゃる話からすれば、それならば、もう絶対に生活扶助は下げられないという話ですよ。そうでしょう。

 だって、基準が変われば必ず連動するものがあって、それを連動しないようにと我々はお願いをしてきたわけです。しかし、その中において、各自治体は、それぞれの自分の自治体の施策とのバランスを考えて、みずからの意思で、単独事業ですよ、これを基準を見直したりするわけですよね。それに連動するというのは、我々が連動してくださいとお願いしている数値ではないんです。それぞれの自治体がそれを基準に使っている。とすれば、これはもう生活扶助の基準は見直せない。それはちょっと本末転倒だと私は思いますよ。そういう議論じゃないと思いますよ。

 だから、そういうときに影響が出ることに対して、我々は影響が出ないようにお願いをなるべくさせていただくということで、昨年も私はそういう答弁をさせていただいたわけであります。

 でありますから、各自治体のいろいろな影響、それを調べろというお話でありますが、ほかにもいろいろな施策を、子供に対してもやっておられるわけでありますから、それとのバランスの中で各自治体は今回の決定をなされておられる。これはまさに地方自治でございますから、やはりそれぞれの地方自治の意思は尊重しながら、我々は影響が出ないようにさらなるお願いをさせていただきたいというふうに思います。

山井委員 一つのポイントは、お願いする、お願いするという答弁をされたけれども、お願いには十分な効力がないということが残念ながら明らかになったわけです。だから、そのお願いしますという答弁ではもう通用しないんですよ。

 それで、結局、私たちは、自民党は、生活保護の基準を引き下げるとこれだけいろいろなところにはねるということに気づかずに、安易に下げられたというふうに理解をしております。

 今までから、田村大臣、下げたことがあったとかおっしゃっていますが、三年間かけてこれだけ大幅に下げるのは史上初です、史上初。だから、私たちは、そんなことをやったら生活保護以外の人にもはねますよ、どれだけはねるかをチェックしてからでないと、こんなことをやったら大変なことになりますよと言ったのに、そのとおりになったわけです。

 例えば、この七ページの八尾市。これはもう昨年からの話でありますが、中学校では、就学援助、修学旅行費五万五千七百円、そして小学校、二万六百円。今まで実費だったのを切り下げていて、私はこれははっきり言って問題があるのではないかと思っておりますが、このように、かなりの額なんですよ。これが受けられなくなったら、本当に修学旅行や林間学校に行けなくなる子供が出るかもしれない。これは非常に深刻です。

 このようなことについて、申しわけないけれども、私ははっきり言って、この問題、地方自治体も文科省もどちらかといえば被害者だと思っていますよ。今まで物差しにしていた生活保護基準を結局厚生労働省がいじったから、それに連動することになってしまったわけですよ。そういう問題があるわけです。

 田村大臣、これに関連してお聞きしますが、先ほども長妻議員から質問がありましたA市のケース、これはもっと深刻で、地方単独事業でやっていて、先ほどの長妻議員の話にありましたように、このグラフを見ていただければわかりますけれども、これによると、子ども医療費助成制度、母子家庭等医療費助成、延長保育事業、特定保育事業、育英資金、こういうものも連動して切られる可能性がある。

 これは、私、話が違うと思いますよ。生活保護だけ切るんだ、ほかの低所得者に関しては影響が出ないようにすると言っていて、影響出まくりじゃないですか、一つ一つの事業。影響出まくりの上に、どれだけ影響が出るかは、先ほど長妻議員とのやりとりを聞いていたら、影響は調査しませんと。そんな無責任な話はないと思います。

 これを引き金を引いたのは、田村大臣、あなたなんですよ、残念ながら。田村大臣が下げたせいで、全国の自治体の低所得者対策、医療対策が引き下げられる危険性、千七百の自治体で多分かなりの数に及びますよ。これは何千人ですか、何万人ですか、もしかして影響が及ぶ低所得世帯は。

 やはりそのことを調査して、何千人に及んじゃった、あるいは何万人に及んじゃった、これだったら来年の引き下げはちょっと考えないとだめだよねと普通考えませんか。これは保育料の減免にもかかわるわけですよ。これについて、田村大臣、サンプル調査で結構ですよ、幾つかの自治体を調査すべきではないか。

 私、先ほどの答弁ですごい怖いなと思ったのは、いや、報道されたら調査しますとかね。国会が泣きますよ、そんなことを言っていたら。まず率先垂範して国会で審議して、実態を把握して、子供の貧困の問題など苦しむ家庭がないことを、未然に防ぐ、そのために私たちは国会を開いているんでしょう。

 ぜひ、サンプル調査でいいですから、幾つかの自治体を調査してもらえませんか。

田村国務大臣 議論を整理いたしたいと思うんですが、今回の生活扶助基準の見直しで、国が地方自治体にいろいろな助成等々で減らしたということはありません。ですから、地方に行っているお金は、生活扶助の基準を変えない基準で行っているわけなんですね。その中において各自治体がいろいろな判断をされるわけでありますから、我が方が財政的に厳しい状況をつくった、国がつくったという状況ではありません。

 その上で、この八尾市の場合は、よく読んでください、「今回就学援助制度につきましては、今後も継続可能な制度とするために大阪府各市町村の状況や本市の財政状況を踏まえ見直しました。」生活扶助基準じゃないんですよ。

 こういう話ですから、それぞれの自治体が、それぞれの財政状況でありますとか他の子供に対する施策でありますとか、いろいろなことを判断されて、バランスの上でいろいろな基準を変えられる。これは、生活扶助基準が変わらなくても基準を変えられることはあるわけでありますし、そもそも、地方単独事業自体をやめられることもあれば、新しくつくることもあるんです。我々は、その中において、影響をなるべく与えたくないということがございましたから、お願いをしてまいりました。

 重ねて申し上げますけれども、国から、この扶助基準が下がったからといって、いろいろな助成の金額が下がったということはないわけでありますから、その中において、各自治体がそれぞれの地域で子供たちのことを考えながら、いろいろな施策を打たれる中においてのバランスということもあるわけでございまして、そこまでは我々も物は申せませんが、ただ、我々の思いというものは各自治体にお願いをさせていただいておるということであります。

山井委員 田村大臣の理解は間違っているんですよ。この八尾市のケースも、おっしゃるように、私、さっきも去年の話ですと言いました、生活扶助基準が引き下げられなくても、財政が厳しいから引き下げている自治体が多いんですよ。いわんや生活扶助基準が引き下げられたら、もっと引き下げるところがふえるに決まっているじゃないですか。そのことを私は言っているわけです。

 田村大臣、きょう理事会で出てきた資料では、十二ぐらいの制度、もう一つの分厚い、理事会の配付資料ですね、ありました。それによると、就学援助のみならず保育料の免除に係る階層区分も、一部の自治体の裁量の余地があるというふうに黒丸がついております。つまり、国が財政的なものを変えなくても、今回の生活扶助基準を変えたことによって不利益をこうむる方が出る可能性がある制度が、この黒丸です。

 たくさんあります。保育料の免除、小児慢性特定疾患児日常生活用具給付事業、養育医療給付事業、結核児童療育給付事業、病児・病後児保育の利用料の免除。めちゃくちゃいろいろなところにはねる危険性があるんです。

 田村大臣に教えてほしいんですが、この保育料の免除については、ここに「生活保護受給世帯等」と入っております。これは、一部の自治体の裁量によってどうなる可能性があるんですか。

田村国務大臣 国が示しております基準は守られます。その上で、各自治体がそれぞれ、先ほど申し上げておりますような地方単独事業的に、この中においてさらに基準を決めて優遇をするというものでございますので、各地方自治体の判断は、どういう基準にするかは地方自治体がお決めになられる話だと思います。それを国が認めておるという話であります。

 先ほど来申し上げておりますけれども、委員の話を聞いていますと、どうも最後は中央集権で全部やれというふうにしか聞こえないんですね。生活扶助というものと地方の単独事業というものは本来違うんですよ。国の責任において、生活扶助というものは、基準は決めていくんです。地方単独事業は、地方がそれぞれの御判断でやるんです。これをたまたまこの基準を使われておるというだけの話であって、それを一律に全部いじるなという話になれば、全て中央集権で、何もかも国がやると。

 しかし、それは皆様方がおっしゃっておられたこととは違うんじゃないですか。地方は地方で信用できる、地方もそれぞれ首長さんを初めみんな選挙で選ばれてくるから、それは地方に任せようというのが皆さんのお考えであって、我々は、そのために、こういうことがあるから、こういうことで気をつけてください、お願いしますという御意見は申し上げておりますが、それをもとに地方がそれぞれ、いろいろな施策とあわせて、バランスも含めていろいろな判断をされるということまでは、我々は強制はできない。

 強制はできないけれども、お願いはさせていただいておるということでございますので、これからも丁寧にお願いをさせていただいてまいりたいと思います。

山井委員 貧しい自治体においても、やはり最低限のしっかりとした低所得者支援、子供の貧困対策を守っていくというのが、私は厚生労働大臣の仕事だと思います。今みたいな、地方自治体に任せていくというようなことだけでは、社会保障は守っていけません。

 それで、改めてお聞きしますが、ということは、田村大臣、保育料の免除が、今回の生活扶助基準の見直しによって、今まで免除を受けられていた方が、もしかしたら市町村の判断で受けられなくなる方が発生する可能性があるということですか。

田村国務大臣 これは生活扶助基準を変えるとか変えないとかではなくて、地方の判断でお決めになることでありますから、地方が判断されれば、生活扶助基準関係なしにそういうことは起こると思います。もっとふえる可能性もあると思います。ですから、それは地方の判断ですから、優遇する人たちをふやすかふやさないか、こういうことであります。

 ただ、我々は、今回の生活扶助基準を変えることによってこれが動くことがないようなお願いはさせていただいておるわけでありまして、それも含めて、各自治体の御判断、それによって、生活扶助があろうがなかろうが、基準が変わろうが変わるまいが、それぞれの御判断でそれはやられることであろうと思います。

山井委員 ここは重要なところです。

 その市町村が、生活扶助基準を参考として、その一・一倍とか、一・〇倍とか、一・五倍にしている場合もあるかもしれませんから、そういう意味では、今回の生活扶助基準の引き下げによって保育料の免除が受けられなくなる人が出てくる可能性はあるということですか。

田村国務大臣 正直申し上げまして、今申し上げたとおりでありまして、各自治体が、生活扶助基準が変わろうが変わるまいが、それぞれの判断で変えられますが、国としては財源はしっかり確保しておりますので、ちゃんと、変えなかった場合には変えなかっただけのお金は用意をさせていただいております。

山井委員 本当に私は無責任な答弁だと思います。今回の生活扶助基準の引き下げによって、保育料の免除から外れる子供が出る可能性があるわけですよ。何人いるのか、調査するのが当然だと私は思います。私は非常に冷たい答弁だと思います。

 もう時間がありませんので、最後に一問、似たような話を聞かせてもらいたいと思うんですが、今回、准保育士なるものを成長戦略として考えていると。とんでもないと私は思います。ただでさえ保育士は人手不足で、そして賃金引き上げが大事だと党派を超えて言っているときに、准保育士という新しい資格を設けるなんということは、逆に保育士という重要な仕事を軽視しているし、質の改善に逆行する。

 六月めどに成長戦略に盛り込む検討というのはされているんですか。ぜひこういう検討はやめていただきたいと思います。田村大臣、いかがですか。

田村国務大臣 これは、先般の四月四日の産業競争力会議、私も出席をさせていただきまして、御議論をさせていただきました。

 提案者の方と御議論させていただいたんですが、保育所の配置基準等々に入れるという話ではなくて、このような形で、例えば子育て経験をされた方が一定の研修を受けて、保育に対していろいろなお手伝いができる。だから、そういう意味では、ヘルパー的な役割で入るということはあるのではないかというような御意見でありまして、配置基準、これによって保育士のかわりに配置基準の中に入れる、そんな意図はないというような、そのような御発言でございました。

山井委員 でも、これは、同様に配置基準に入れる入れないというのが根本的な問題じゃなくて、子供のお世話をされる方はしっかりとした教育と訓練を受けた方がやるというのが、保育の質の担保に私は重要だと思っております。

 田村大臣、そうしたら、この准保育士の検討に私は大反対ですが、田村大臣は賛成なんですか、もしかして。

田村国務大臣 ちょっと何を意図しておっしゃられているのかよくわからないんですが、准保育士とかいう名前とか、それは名前はどうでもいいんです。資格をつくってどうのこうのとかいうのではなくて、要は、子育て経験のある方が研修を受けていただいて、いろいろなところで活躍をされるということはあってもいいのであろう。そこにちゃんとした資格を持った方がおられたりして、そのお手伝いでやる分にはいいと思いますし、手厚くいろいろな方がおられた方が、いろいろな意味ではいいのであります。

 ただ、保育所等々、いろいろな基準があります、人員配置の。これは国で最低基準を決めておりますから、そこには入れないわけでありますから、今よりも基準を守った上で一定研修をされた方々がお手伝いに入るというのは、それは別に問題はないのであろう。研修もやっていただくことが前提ではあろうと思いますけれども。

 それが国家資格だとかそういう話ではないので、名称がどうだとかという話じゃなくて、そういう子育て経験のある方々が研修を受けて社会に役立とうという気持ちは、それは非常に崇高なことだというふうに思います。

山井委員 いや、今、子ども・子育ての議論をしているのは、しっかりとこれから職員の人員配置基準を引き上げようという話をしているわけです。今回、財源がないからなかなか引き上げられないとかという議論をしながら、またこういう准保育士を出してくるということは、私は質の改善にとってはよくはないと思っております。しっかりと職員の人員配置を引き上げるというところが本丸じゃないですか。

 だから、私は、そういう質の改善のところをしっかりと守っていくのが田村大臣であって、安易なこういう規制緩和というものはとめていくのが田村大臣の役目だというふうに思います。しっかりと、職員の人員配置基準引き上げ、それをやっていくという決意を最後に述べてください。

田村国務大臣 大変重要なポイントだと思います。もちろん財源というものがありますけれども、できる限り、人員配置、これは質の向上という意味もございますから、我々としては対応してまいりたい、このように考えております。

山井委員 もう時間が来ましたので終わりますが、この准保育士の問題とか、介護に外国人を活用するとか、要支援の方をボランティアに任せるとか、本当になし崩し的に介護や保育の質を低下させる、こういう流れは、私たちは何としてもとめていかねばならないと思っております。

 以上、終わります。

後藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。重徳和彦君。

重徳委員 本日もありがとうございます。日本維新の会の重徳和彦です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、前回の質問の少し続編として、改めて、認知症や介護職員による胃瘻につきまして質疑を深めていきたいと思っております。

 まず、認知症の要介護度についてですけれども、前回の質疑では、認知症の要介護度が適切に判定されていないケース、つまり軽過ぎるんじゃないか、実際にはもっともっと手がかかる方に対しても軽過ぎる、一次判定、二次判定の仕方を改善すべきではないか、このような指摘をさせていただきました。大臣からも、認定調査員の研修を行って能力レベルを上げられるようにというような話もございました。また、原局長からは、一次判定の結果が二次判定において一三・五%変更されている、こういった数字もいただきました。

 ただ、二次判定というものも、別に現場での判断ではなくて、だから実態をどこまで反映しているかというと、やはり書類審査であることには違いないわけですから、実情と乖離するケースが出ているんだと思われます。

 前回、局長の御答弁では、各都道府県で具体的にどのような認定の状況にあるのかの情報収集をしながら、きちんとした認定調査ができるように努力してまいりたいと。

 具体的に、その後、役所の方に問い合わせをいたしましたところ、昨年も、八月からこの三月まで五十の自治体を訪問して、介護認定審査会において情報を得た上で、現場ニーズを踏まえて助言を行ってきたというような一応の簡単な資料をいただいたんですけれども、実際にこうした、昨年度あるいはその前でもいいんですけれども、情報収集の結果、認知症の介護認定について課題をどのように把握しておられますでしょうか。

原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。

 今お話ございました要介護認定審査の二次判定でございますけれども、介護認定審査会におきまして、認知症の方の状態なども勘案しながら、認定調査員や主治医が把握している申請者固有の介護の必要量を加味した上で、要介護度を判定する、今そういった仕組みになっております。

 私どもの方として、今お話にもありましたように、実際、自治体まで訪問をいたしまして、いろいろ聞き取った中から具体的に問題意識として持っておりますことを申し上げれば、例えば介護認定審査会からは、認定調査員が記載する特記事項の記載内容が不十分な事例がある、認知症の方などの介護の必要量の判定に困難な場合があるというようなこと、あるいは認定調査員からは、申請者の状況はさまざまであることから、基本調査の調査項目が七十四項目ございますが、その選択肢を選ぶ際に迷うことがある、こういったような意見が寄せられています。

 私どもとしては、このような現場の意見を踏まえながら、認定調査員に対する研修等を実施するとともに、先ほど言いました事例で申し上げれば、一つは、介護認定審査会において求められている特記事項に記載する場合の視点、こういうところを記載した方がいいんじゃないか、そういったことを助言したり、あるいは、基本調査項目の選択に迷った際には、その趣旨がわかるように特記事項に認定調査員の方に具体的に記載していただく、こういうことで、介護認定審査会において改めて判断ができるような状況をつくっていただくというようなことについて周知徹底をしております。

 いずれにしましても、現場のニーズを踏まえながら適切な判定が行われるように努力をしていきたいと考えます。

重徳委員 いろいろと御尽力はいただいていると思うんです。今おっしゃるのは、調査員側、つまり保険者側であり、市町村側から見た改善点ということになると思うんですが、やはりどこまでいっても、現場の介護の事業者、あるいは介護職員、そして御本人、御家族がどう感じておられるか、こういう直接的な声にも耳を傾けなければならないと思います。

 制度的には、区分変更の申請ということ、身体の状況が悪くなったりよくなったり、いろいろあるので、通常、当然行われる区分変更という部分もあるとは思いますが、私は、この点について、つまり被保険者側から市町村に対して、要介護状態の区分の変更の申請、これが、今ずっと申し上げているような、認知症、もっと本当は大変なんだという観点から、どのような形で保険者側に伝わっているか、行政側に伝わっているか、ここにもっともっと細心の注意を払っていかなければならないんじゃないかと思っております。

 あるいは不服申し立てという形式のときもあると思いますけれども、ここでお尋ねいたしますけれども、現場からの区分変更の申請、不服申し立て、これは、件数とか内容とか、それに対する行政側の対応というのは、どのような状況にありますでしょうか。特に、認知症の要介護度という観点から、いかがでしょうか。

原(勝)政府参考人 御指摘のとおり、認知症の方の場合には、認知症の、例えば行動・心理症状が出ているときと出ていないときと、いろいろございますので、調査時点でそういうものが十分に把握できるかというところについては、難しい面もあるわけでございます。

 お尋ねの不服申し立てでございますけれども、これについては、要介護認定等の保険者の行った行政処分に不服がある場合には、都道府県に設置されております介護保険審査会に審査請求ができる、こういうふうな仕組みになっております。

 その実績でございますが、平成二十四年度の都道府県からの報告によりますと、介護保険審査会のうち要介護認定関係では、年間で、審査請求件数が二百五十八件、取り下げ件数が七十五件、裁決件数は百八十一件でございます。

 残念ながら、認知症というふうに特定して調べておりませんので、この中で認知症関係はどのくらいかというのはわかりませんが、いずれにしても、全体としては、百八十一件の裁決が行われています。この内訳としては、その結果、却下が十件、認容、不服申し立てを認めるというものが七十件、そして棄却が百一件という状況でございます。

 また、要介護度認定の区分の変更申請でございますけれども、これは、そういう状態区分に該当しなくなったときには、市町村にその変更申請ができる、今、仕組みでございます。

 この実績でございますが、平成二十四年度の保険者から報告を受けている要介護認定データをもとに集計をいたしますと、要介護認定に関する申請件数全体は約五百五十万件であり、このうち区分変更申請の件数は約三十八万件でございます。この三十八万件の内訳については、具体的な数字を今把握しておりませんけれども、このうち多くの者が変更申請を認められているのではないかというふうに考えております。

重徳委員 件数は把握されているんですけれども、ただ、内訳として、今申し上げている認知症の方がそのうちどれほどかということは、全く把握されていないということでございます。

 この問題は、やはり、もっともっときちんと把握することに努めていかなければ、現場の声というのがつかみ切れないんだと思います。今度、新たな医療介護の法案を機に、特養に入れる基準も原則要介護度三以上ということになるわけですし、そういう状況の中で、要介護度が一や二というふうにいわば不当に判定されてしまった方にとっては、非常につらい状況になると思います。

 ですので、結局、特養なら割と安価ですけれども、グループホームなどはやはり費用としても余計にかかるということで、でも、費用のかかるところを選ばざるを得ないとか、いろいろなふぐあいが生じてくると思います。

 このような結果、実際に必要な介護を受けられない状態、あるいは要介護者が、一言で言えば行き場がなくなる、こういう状況になりかねないと思うんですが、この点、大臣はどのように御認識されていますでしょうか。

田村国務大臣 特別養護老人ホームでありますけれども、今般提出させていただいておる法律の中では、要介護度三以上というのが原則とさせていただきました。

 これは、委員も御承知のとおり、重度で認知が入っておられる方が多くて、待機者も多い。ですから、やはりそういう意味では、そういう重い方々に対する機能に特化をしていく、こういう必要があろう。もちろん、軽い方々もおられるわけであります、要介護度が一、二の方々も。しかし、要介護度が一、二以上に、三、四、五というような形の中で、認知症も入られて大変だという方々もたくさんおられるわけでありまして、まずそちらに優先をするべきであろう。

 もちろん、一、二であっても、必要な方、例えば、認知症が重くて見守りだとか介護が常時必要な方は、特例で入れるようになっておるわけでありますけれども、比較的軽い方々に関しては、例えば在宅で定期巡回・随時対応型訪問サービスでありますとか、それから、泊まりでありますとか、通いでありますとか、訪問、これを中心の小規模多機能居宅介護、こういうものを受けていただきながら、さらに申し上げれば、サ高住もありますし、そのような対応もあれば、軽費老人ホームや養護老人ホームという対応もあると思います。

 あわせて、今進めておりますのが、空き家を利用した、これは比較的低所得者の方々に対しまして、そのような住宅を、集めるといいますか、そういうものをひとつ提供する中において、訪問介護でいろいろな対応をしていく、こういうことも考えておるわけであります。

 特養をどんどんつくっていくというのも、確かに、ないとは言いませんけれども、しかし、それにはお金もかかるわけでございます。一定程度必要なものは整備してまいりますが、そこはいろいろとバランスを考えながら、今委員が御心配をいただいておる点、住まいの点に関しても、いろいろな対応を今進めておる、このような次第であります。

重徳委員 ここは大臣にちょっとお願いしておきたいんですけれども、今私が申し上げておりますのは、要介護度が本来は三以上なのに、うまくそれが判定されずに一、二以下になってしまっているという方を適正化、改善しなくちゃいけない、判定の中身を改善しなきゃいけない、この努力がまだまだ不足しているのではないかということであります。

 ですから、先ほど局長から、不服申し立てあるいは区分変更の申請の内訳がよくわからないとか、そういう状況があるのをやはりもっと改善して、内容もきちんと把握をして、だから、本当の意味で要介護度三以上なんだ、あるいは二以下なんだというそこのラインも、より適切な線引きをするための改善をしていただきたいということが一つ。

 もう一つは、今のところの厚労省の資料を拝見する限り、確かに、大臣が言われるように、認知症高齢者であって、常時の見守り、介護が必要な場合は、要介護一、二であっても入所を認める場合があると書いてありますが、その例として並んでいるのが、家族等による虐待が深刻でありとか、そういうケースに類するぐらい、かなり例外的なケースだというふうにも見られるわけなんです。

 ですから、今の二点目については、これからしっかりと検討していただければと思うんですが、一点目、先ほど局長から、内訳がよくわからないということについては、ぜひ、きちんと内訳についても把握をしていただきたいと思うんですけれども、大臣、お願いします。

田村国務大臣 認定審査の質を上げるということは当然でありまして、全国一律でしっかりした審査ができるような、そんな研修は以前からやっておるというお話はさせていただいたというふうに思います。

 あわせて、一、二、三、まあ、三以上は全員特養というわけじゃないんですよね。三以上であっても在宅で対応される方もおられるわけであります。その中において、仮に一、二であったとしても、先ほど言われたような虐待でだけではなくて、例えば見守りだとか、言うなれば介護を常時やらなきゃならない、どうしてもそういうような症状であるというような場合は、それは特例で特養等々に入れるわけでございますので、そこの基準もしっかりと我々お示しをさせていただかなきゃならぬというふうに思っております。

 重ねて、どうしてもばらつきがありますから、特に認知症の場合はそのときそのときで状態が違うものでありますから、要介護認定が低く出るというような、そういうお声は以前から聞いておるわけでございまして、そこも含めてしっかりと認定が、審査ができるように、さらに精度を高めるような努力はしてまいりたい、このように考えております。

重徳委員 区分変更申請の内訳についてもきちんと把握をしていくというふうに受けとめてよろしいですね、今おっしゃったのは。その内訳は厚労省として把握をしていない、区分変更の申請が三十八万件あるということなんですが、それがどういう内容か、認知症にかかわるものなのかどうかということまで把握されていないということだったんです、先ほど局長が言われたのは。

原(勝)政府参考人 今、要介護認定を受けている方の八割が、認知症でいえば自立度が一以上の方、二以上で六割ということで、大部分の方が実は認知症を持っておられるというようなことでございます。

 そういう中で、私ども、市町村の方から一定の仕組みの中でこういったデータをいただいていますので、どこまで認知症かどうかということでとれるのか、市町村の事務負担の問題もございますので、ちょっとそこは検討させていただいて、いずれにしましても、大事な御指摘だと思いますので、公正公平な認定制度になりますように努力をしていきたいと思います。

重徳委員 ぜひお願いをいたします。

 次に、特養入所は今五十二万人の方が待機状態だと言われているんですけれども、特養に入所する際の申し込みといいましょうか、それは役所が余りかかわっていないというのが現状でございます。

 つまり、全く、その特養ごとに要介護者あるいはその家族の方々とやりとりをして、入所させてほしいんだけれども、それはできるよ、できないよ、ちょっと待ってということを個別にやっておられるということですから、非常に、まあ負担が大きいと言うと簡単なんですが、本来急いで入所していただくべき方が、必ずしも適正に入所できていない状況がやはり多い。何年も待っている方もいらっしゃる。それが、待たされても優先順位が低い方ならばしようがないのかもしれませんが、優先順位が客観的に見て高いと思われる方までそういう状態になっている。それはなぜなら、御家族とか御本人がなかなか努力が足りないというのか、努力が伝わらないというんですか、そういうことに委ねられてしまっているような状況、どのぐらい、多いのか少ないのか定量的にはわかりませんが、そういう声もございます。

 行政として、この特養入所についてどうかかわるべきだとお考えでしょうか。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 特別養護老人ホームの入所に当たります選考基準というんでしょうか、これについては、私ども厚生労働省の省令で一定の考え方を示しておりまして、介護の必要の程度及び家族等の状況を勘案し、入所のサービスを受ける必要性が高いと認められる入所申込者を優先的に入所させるよう努めなければならない、これが基本的な考え方です。

 これを実行するために、行政側も一定のかかわりをしなければいけないというのはそのとおりでございまして、具体的には、一つは、入所判定委員会における入所基準をつくる際に、透明かつ公平な運用を図る観点から、関係自治体と関係団体が協議をして、具体的な指針を共同で作成しなさいというのが一点ございます。

 また、入所の判断主体である施設、これは御指摘のとおり施設が最終的には判断するわけでございますけれども、この入所指針に従いまして、要介護度や家族の状況などを勘案して入所を決定する際は、入所に関する検討のための委員会を設ける、入所判定委員会を設けるわけでございますけれども、入所の決定はその合議を経るということでございます。

 この入所判定委員会の委員には、当該施設の職員等に加えまして、施設職員以外の者が参加することが望ましいというふうに私どもは指導しておりまして、例えば、行政の担当者が委員として参加しているような例もございます。

 さらに、当該委員会の協議内容につきましては、施設は、記録した上で二年間保存をし、市町村または都道府県から必要に応じて求めがあった際には、提出をするというようなことにもしてございます。

重徳委員 わかりました。この点については、私も現場の実情をもうちょっといろいろと声を聞いた上で、改めて、必要に応じて質疑をさせていただきたいと思います。

 次に、これも前回議論させていただいたんですが、いわゆる老健ですね。老健が本来の復帰機能を果たしていないのではないか、この点につきましては大臣もお認めになられたと思います。

 ただ、前回ちょっと議論がまだ十分できなかったのは、その原因についてどのようにお考えかということなんです。

 つまり、実際、復帰機能というものが十分果たされていないので、介護報酬改定の中で少し評価を変えたら、在宅復帰率はちょっと上がった、在所日数はちょっと短くなった、こういう効果が少し出ている、それは改善だと思うんです。ただ、いきなり追い出すというわけにもなかなかいかないしという話があったり、あるいは、長期化したらみとりという場面も必要になるので、みとりについても認めていくというか、一定程度推進していくというような方向性があったりして、いずれにしても、前回は、審議会で今後あるべき役割を議論していきたいみたいな、そういう答弁で終わってしまったんです。

 実際、やはり、やるべきリハビリテーション、これは法律上義務づけられているわけですから、これがきちんと適正に行われているのかいないのか、そういうあたりも含めて、この実態をどのように認識して、復帰率が低い原因をどのように捉えておられるか、これについて御答弁をお願いいたします。

原(勝)政府参考人 介護老人保健施設でございますが、御案内のように、在宅復帰、在宅療養支援のための地域の拠点となる施設である、これが私どもの基本的な考え方でございます。そのとおりでございます。

 結果的に、なかなか退所ができないというような方もふえてきているのも、また一方で事実でございます。

 この理由でございますけれども、一つは、高齢者の状態というものが個々人によってやはりさまざまでございますので、当初はリハビリをして短期間で退所できると見込んでいたものが、場合によってはなかなか計画どおりいかないというケースもあろうかと思います。

 それから、やはり背景には、高齢化の進展と入所者の平均要介護度が実際非常に上昇しているというようなこともあるのではないかと思います。

 さらに言えば、私どもは、地域包括ケアシステムということを目指して、地域の中で、在宅サービスあるいは入所サービス、入所サービスも、老健施設あるいは特別養護老人ホーム、こういったようなものを計画的に整備していきたい、ニーズに応じて整備していきたいと考えておりますけれども、地域によっては、やはりなかなかそういうサービスが十分に整っていないところがあろうかと思います。

 例えば、ある地域では、老健施設はあるけれども在宅サービスが十分でなかったり、あるいは特養もない、そういう中で、どうしても在宅では介護ができないようなケースが出たときに、やむを得ず老健施設に入所させるというようなことも実際にはやはりあるんだろう。それがいいという意味ではなくて、やはりあるし、それはやむを得ないことではないか。そういう状況の結果として、議員の御指摘のような状態が現実にはあるということでございます。

 私どもとしては、老健施設の本来あるべき役割、こういうものを目指しながら、一方で、地域での要介護ニーズにどうきちんと応えていくか、そういうことも、やはり現実的な対応としてやむを得ないところがあるのかなと思っております。

重徳委員 現実を見るとやむを得ないということを言っていたら話が進みませんので、やはり、これは今度の法案の中身でもありますので、これについてはまたさらに深めていきたいと思います。

 とにかく原因をはっきり特定させていかなければ対策の打ちようもないし、あるいは法律上の位置づけを変えていくということをしていかなくちゃいけないかもしれないし、そういうことなしに、後追いで、現状追認みたいな形で、本当に現場も混乱している状況がありますので、この議論はさらにしていきたいと思っております。

 次に、前回、胃瘻、経管栄養につきまして、介護職員がもっとできるようにするべきではないかということを申し上げました。そして、平成二十三年の法改正で、一応、法律上は、形上は風穴があいているということではございますが、やはり、教育研修をしっかり受けなきゃいけないとか、医療関係者との連携体制をきちっととらなきゃいけない、それはそうなんですけれども、ちょっと程度物かなというふうに思うんですよね。

 この辺、ちょっと詳細を議論していきたいと思うんですが、まず、基本的なこととして、胃瘻を実施できる登録特定行為事業者というのがあるはずなんですが、その数は現時点で幾つあるんでしょうか。

岡田政府参考人 御指摘の制度は、平成二十四年の四月一日から施行されているものでございますが、直近の数字は、実は平成二十五年四月一日、施行から一年後でございますが、胃瘻または腸瘻による経管栄養の特定行為を実施できます登録特定行為事業者数は、全国で八千三百五十三事業所でございます。

重徳委員 事業所数だけを見ると、かなりあるように見えます。

 これは、いろいろと要件をクリアした事業所が八千以上あるということなんですが、法律あるいはそれに基づく厚生労働省令で、かなり細かい、さまざまな文書をつくらなきゃいけない。組織内部規程、組織図をつくったり、医療機関との連携を文書化しなきゃいけない、計画書をつくらなきゃいけない、報告書もつくらなきゃいけない、業務方法書もつくらなきゃいけない。

 ちょっと過度な、過度というか、ちょっと程度物だと私が申し上げたのはそういうことで、実際どのぐらいのものをつくらなきゃいけないのかにもよると思うんですけれども、この辺が現場に大きな負担になっているという感覚はおありではないですか。

岡田政府参考人 胃瘻などは医行為であるために、安全確保の観点から、適切な医療的コントロールのもとに行われることが重要だと考えております。安全性を確保するための教育であるとか研修を受けた介護職員などが、医師、看護師などの医療関係者との十分な連携を図るための措置を講じた上で行っていただくことが求められているというふうに考えております。

 このため、医療関係者との連携確保の視点から、各種の文書の作成を義務づけさせていただいています。これは、具体的には、事業所におきます、胃瘻などの業務に関する関係者の役割分担を明確化するとともに、具体的な業務内容を文書化して関係者が認識を共有することで、安全かつ適正な提供体制の確保を図るために必要だということでございます。

 さらに具体的に申しますと、例えば、日々の胃瘻による経管栄養そのものは介護職員が行うにしても、やはり定期的に医師または看護師さんによる診察みたいなものを行ってもらうことが必要だと思いますので、どういう方がどういう形でやるのかということを業務計画として立てていただく、それから、実施の状況を医師に御報告いただくとか、あとは、病態が急変したときにどういうような対応をするのかというようなことをやはり文書として関係者、事業所として共有するというような体制が必要だということでございますので、そういう観点から、必要な文書の作成を義務づけさせていただいているところでございます。

重徳委員 趣旨はもちろんわかるんですけれども、そこは現場でどの程度の負担感かという、ちょっと主観的、抽象的な質問だったので、何とも答えようがなかったのかもしれません。

 それ以上に、事業所というよりは、医行為と位置づけられている胃瘻を実施する介護の職員さんが、実際に、研修を何人受けて、その研修を受けた方が、胃瘻の流動食を注入するというんですか、そういうことを実施した事例というのはどのぐらいあるのか、この点、把握をされていますでしょうか。

岡田政府参考人 平成二十五年四月一日現在で、喀たん吸引と胃瘻などの研修を修了した認定特定行為業務従事者は、八千三百九十九人となっております。

 このうち、実際に胃瘻などの医行為を行っている者の数については、把握をしてございません。

重徳委員 実際に行われているかどうか把握されていないということですが、それをやっているという話を、私の地元だけかもしれませんが、余り聞かないんですけれども、これから広がっていくのかもしれません。

 この研修というのも、五十時間研修を受けなきゃいけないということで、ぱっと聞いただけでも、かなりなものだなと思います。もちろん、必要な知識だとか実習はやらなきゃいけない、これは当たり前のことだとは思いますけれども、ただ、今の仕組みだと、胃瘻と喀たん吸引、いわゆるたんの吸引、それを、受講する人はみんなセットで、両方とも研修を受けなきゃいけない、両方とも演習をやらなきゃいけない。そういうことで、セットでやらなきゃいけないものだから、こういう五十時間という時間になるんです。

 喀たん吸引だけを取り上げれば、そこが十九時間。それから経管栄養、いわゆる胃瘻の実施については十八時間。パーツ、パーツで見れば、そんな五十時間なんという膨大な時間をとらないのではないか。それから、演習の回数もかなりあります。そういったことも軽減できるのではないかと思われますし、さらに言いますと、胃瘻による経管栄養というのは、御家族であればできるというルールなんですね。

 事前にいただいた資料によりますと、家族が経管栄養を行うというのは、本来、形式的に当てはめると医師法十七条違反になるところを、違法性が阻却されますというわけですね。

 その理由は三つあって、家族である患者の治療を目的としたことであること。でも、これは介護職員だって、家族ではないけれども、患者の治療を目的としたものであるのは間違いないです。

 二つ目は、医師が家族に対して十分な教育を行っていること。これも程度物で、御家族が五十時間も研修を受けているとは思えませんので、そういうことではなかろうということだと思います。

 さらに三つ目は、家族が行うことによる危険の発生よりも、患者の負担軽減による利益が大きいこと。これも、リスクといえばリスクもあるのかもしれませんが、当然ながら必要な行為でありますので、どっちが優先されるかというと、これは言わずもがなであります。

 こういった要件を満たしているから、家族は胃瘻による経管栄養ができるんだということなんですが、どうも、業としてやるからという理由で、物すごくハードルが上がっているように見えるんですけれども、このあたりも含めまして、どうお考えですか。五十時間ばっちり受けるということは適切なんでしょうか。

岡田政府参考人 御指摘の研修の内容につきましては、医療・介護関係者から成ります検討会におきまして、どういう形の研修が適当なのかということのあり方について御議論をしていただいた後、試行的な事業を実施して定められたものでございます。

 研修の内容は、たんの吸引であるとか経管栄養の安全な実施の方法、それから、消化器系器官の解剖学的な理解、感染予防や救急蘇生などを含んでおりまして、医療の予備知識のない介護職員が、初歩的な医学知識なども含めて学習するためには必要な時間であるというふうに考えているところでございます。

重徳委員 御答弁はそうなるんだと思うんですが、大臣にちょっと伺いたいんですけれども、こういったことがなかなか進まない。どんどん進めているというふうには見えないからこういうことを言うわけなんですけれども、この胃瘻というものが一つのネックになって、なかなか、在宅で面倒を見ることができない御家庭においても、当然、介護施設に入所させたいと思っても、胃瘻ということで受け入れられないとか、そういう問題が実際にあって、ですから、結局、これまた行き場のない介護難民という形になってくることの要因の一つだと思うんです。

 こういった胃瘻の取り扱いについて、介護職員の胃瘻という医行為、これの取り扱いについても含めて、大臣の御見解をいただきたいと思います。

田村国務大臣 これは長い経緯がございまして、今言われたとおり、家族は違法性を阻却するということでやれていたわけであります。それに対して、なぜ介護職員ができないんだというような声がずっとありまして、ではというので、関係団体ともいろいろと調整をつけて、法律改正をさせていただいて、二十四年度からスタートをいたしておるわけであります。

 五十時間というのが長いんじゃないかという御意見もありますが、一方では、家族が生活の中で対応しておる部分と、やはり業としてやるとなれば、これはそれなりの安全性をしっかり確保しないことには、いろいろと問題が起こってくるわけでありまして、そこでやはり一定程度の研修は必要であろうということになるのであろうと思います。

 今、このような胃瘻や経管栄養、それから喀たん吸引等々の問題があって、施設が受け入れづらいというような声があるというのは、一定程度我々もそういう認識はあるわけであります。それはまさに、医療的ケアができる人がいないからでありますので、やはり研修等々、これは都道府県がやっておりますけれども、これに対して国からしっかり助成を出すでありますとか、それから、そもそも都道府県に、しっかりとこういうものを体制整備していただきたい、研修もやっていただきたい、こういうお願いもさせていただいております。

 まだ八千四百人程度、これは二十四年度でありますけれども、とはいいますけれども、これをどんどん広げていって、やはり、やれる方がおられないと、それはどうしたって、施設側だって何かあったときのことがございますので心配だということでございますから、機会をふやして、ぜひともそういうことができる介護福祉士の方々を養成していく、これは我々はしっかりと対応してまいりたい、このように考えております。

重徳委員 ありがとうございます。

 非常に前向きな御答弁をいただきました。どんどん広げていくという大臣の決意もいただきました。

 最後に、看護師に関連した質問をさせていただきたいんです。

 看護職員、これは今、看護職員ですから保健師、助産師、正看、准看、合わせて百五十万人、これを二百万人に、今から二〇二五年に向けて五十万人ふやすという目標が掲げられているはずです。

 ところが、現在、非常に看護師さんの数が不足しておりまして、政府も取り組んでいることは存じておりますが、やはり労働力の需要と供給の関係で、かなり高い給料を出さないと、特に民間病院は看護師さんが来てくれない、こういう厳しい現実に直面をしております。

 やはり看護師さんも、公立病院の方が何となく、ブランドでしょうか何でしょうか、いろいろ福利厚生も含めて手厚いところも多いので、公立病院志向が高かったりなんかして、そういう意味で、同じ病院でも官と民との間で、かなり人の集まりやすさ、集まりにくさというのが、格差が出てきているというふうに私は受けとめております。

 結局、それは看護師さんの配置基準、七対一とか十五対一とか、あれは、診療報酬をきちんともらうためには看護師の数をきちんと配置しなきゃいけない、ひとえにこれにかかっているわけなので、どれだけ給料が、相場が上がってきても、それを払わなきゃ病院自体が成り立たない、こういう非常に厳しい状況に今民間病院は置かれている、そういう病院が多いと私は受けとめております。

 このような民間の病院の経営あるいは経営環境につきまして、看護師の確保という観点からも、ここはぜひ大臣にも、民間病院の意義、地域における民間病院の存在意義と看護師の確保、そういった面からコメントをいただければと思います。

田村国務大臣 日本の場合、民間病院の方が数も病床数も圧倒的に多いので、民間病院がなければ日本の医療は成り立たぬわけであります。

 看護師不足に関しては、絶対的な数というのもあるんですが、それ自体は海外と比べて余り遜色ないわけでありまして、病床数の多さというのが一つだと思いますが、七対一看護を進めてまいりました。思った以上にふえまして、今、三十六万床、こういう状況でございます。

 やはりこれは、重症性でありますとか、あと、救急性というものが重い、こういうものに関して本来は対応するべきであったわけでありますが、我々が思った以上にふえてしまったということもございまして、ここの要件はしっかりと見直していかなきゃならぬということで、今般の診療報酬改定に入ったわけであります。

 あわせて、受け皿も必要でございますから、これは、地域包括ケア病棟という形の中において、十三対一という中においてこれに評価をしっかりやっていくという中で、誘導もしていこうというふうに考えております。

 あわせて、七十二時間の残業時間を超しますと、これは月の平均でありますけれども、減算になるんですが、なかなか今すぐにというわけにはいかないものでありますから、三カ月ぐらい猶予期間を見て対応しながら、誘導していこうということを考えております。

 看護師の問題に関しては、いろいろな問題があります。

 ただ、ここも、それこそ、医療の現場の勤務環境改善をこの法律の中に入れさせていただいておりますし、あと、ナースセンターで復職支援でありますとか、さらに届け出制度、これも法律の中に入れさせていただいております。

 こういうことをやりながら、しっかりと看護師の確保ができるように、また、復職もしていただけるような環境を整えていく、離職の防止も進めていく、こういうことを総合的にやりながら、五十万人という数字をしっかりと確保してまいりたい、このように考えております。

重徳委員 終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、皆様方の御期待にもかかわらず、小泉政務官はお呼びをしておりません。

 私も若干反省するところがありまして、とにかく、非営利ホールディングにこだわりにこだわりを見せまして、毎回このテーマを取り上げたものですから、結果的に小泉政務官に毎回おいでをいただいた。

 最近、廊下とかでもよく小泉政務官が駆け寄ってこられて、足立先生、文科省は頑張っているんですよとかですね、非営利ホールディングについて。いろいろお気遣いをいただいているものですから、大変申しわけないなと思いまして、きょうは、とにかく、同じように赤石次長にはお越しをいただいていますので、相も変わらずこのテーマを、できればもう一回、きょうでもう最後、諦めようかなと。最後のチャンスをいただきたいというふうに思って、赤石次長、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 午前中に、生活扶助の話、大臣もお疲れさまでございました。午前中のあの民主党との審議を見ていても、大臣も大変だなと思いまして、私のこの質疑はちょっと休憩をしていただいて結構ですので。原医政局長にじっくりお伺いをして、通告は局長にしか入れていませんので、小泉政務官とあわせて、大臣もちょっとゆっくりしていただければと思います。もし御意見があれば、いつでも挙手をいただきたいと思います。

 私も、自分がこの場で確認をさせていただいていることをもう一回、棚卸しというか整理をしているわけです。

 まず、冒頭申し上げておくと、徳洲会の話はまた別途やりますので、きょうはやりません。

 私がこの持ち分にこだわっているのは、やはり、医療法人の経営者の方々、お医者さんは、皆さん、持ち分をお持ちなんですね、多くの医療法人は。だから、厚生労働行政が今進んでいる方向、あるいは、今度、地域の立法で、持ち分なしへの移行を促進するような規定も入っているわけでありますから、要は財産権に係る大変大きな政策だと思っています。

 その政策は、もちろん今に始まったわけではなくて、平成十八年から、非営利性の徹底ということで明確化をされてきていることは承知をしているわけですが、一方で、いわゆる地域包括ケア。

 地域包括ケアに参加をする主体を見ると、当然いろいろな、介護関係あるいはその介護関係の会社、営利企業もたくさん入ってくるわけですね。だから、そういう、地域において、医療保険、介護保険を背景とするさまざまな営利を含む主体が、連携をしながらサービスを提供していくに当たって、今、介護の分野は社会福祉法人と営利企業等が一定の規律の中で仕事をされているわけですが、医療については、プレーヤーであるところの医療法人が、軒並み、それは持ち分なしにいくんだということですから、本当かと。本当にそれでいいのかという、どうしてもその違和感だけは拭えないところに、産業競争力会議が、いや、ホールディングだと言ってこられたわけです。

 私はそれを聞いて、非営利ホールディングとは何だということで、いろいろ拝見をしたわけです。

 前回の、四月二日でしたか、この場での質疑までは、私は、非営利ホールディングの中のホールディングに注目をして、私たちの常識でホールディングというと、基本的には所有をするという理解だったものですから、所有をするんだからホールディングでしょうと。それだったら、持ち分をなくす方向じゃなくて、むしろ、持ち分と議決権をリンクさせる方向に逆に行かないとおかしいじゃないかということをここで騒いでいたわけであります。

 しかし、それに対しては、厚生労働省もそうですが、小泉政務官あるいは赤石次長の方から、いやいや、所有しなくてもいいんです、議決権に割って入ればいいんですと。だから、議決権を相互に、入れ子のようになることによって、意思を伝え、また、ホールディングからも意思を伝えることができる、そういう説明なので、まあそうか、すると、そうだなということで、半分以上納得をしているわけであります。

 しかし、そもそも、では非営利とは何だということで、非営利ホールディング、産業競争力会議の提案の中で、非営利というふうに来たわけですね。

 それで、実は、また固有名詞を出すと怒られるかもしれませんが、赤石次長のところに鈴木補佐という方がいらっしゃいます。厚生労働省から出向されている方でありまして、ちょっと鈴木君と言って、私の部屋に来ていただいて、非営利ホールディングとは何ですかということを改めて聞いたわけです。

 まあ、納得をしたわけです、また。役人に弱いというか、補佐クラスに来ていただくと非常に会話が弾むんですね。ああ、そうかと。

 そこで納得した非営利ホールディングの本質は、要すれば、非営利というものをホールディングレベルで実現するから、その内部関係については、内部についてはちょっと規制緩和してよと。規制緩和という言葉がいいかどうかわかりませんが、内部の規律については、非営利ホールディングの目的に照らして必要なことであれば、多少そこは考えてもいいよ、こういう制度なんですよということで、ああ、そうかと。わかっているようで、今までわかっていなかったんだということで、初めてわかったわけであります。

 次長、大体そういうことでよろしいですね。一応、鈴木補佐から聞いていますが、それでいいということで、一言いただけますか。

赤石政府参考人 お答えさせていただきます。

 全く、うちの補佐の申し上げたとおりでございます。

足立委員 そうすると、結局、医療法人であれ非営利ホールディングであれ、目的に照らしていろいろ規制がなっていくわけですから、なるほどと。もうこれで話は終わっちゃうわけです。

 そもそも、では非営利とは何だというのを考えてみたわけですね。すると、厚生労働省も長い、十年ぐらいこの話をやっていますね。これもきのう、厚生労働省の事務方においでをいただいて、十年前からあるこの非営利の議論というのは、要は配当禁止の議論は、これはもう終わっている話なのか、十年前の話をやると恥ずかしいから、終わっているなら終わっていると教えてくれと。すると、黙っているわけです。だから、終わっていないのかなと思って、きょうはここに来てしまったんです。

 もし、医政局長の方からお話をいただいて、これは決着している話であれば、いただいている時間を使わずに終わるかもしれませんので、次の方はぜひ準備をしておいていただきたいと思うんです。

 これは、要すれば、医政局長、配当禁止ということで、いろいろなものをつくっています。一方で、十年前に、規制改革会議と当時の榮畑課長との間でやりとりが残っています。そのときには、規制改革会議側は、これは配当といっても資金調達コストなんだから、銀行から借り入れたときの利子を、金利を払うのと何が違うんだという議論をしています。そのときの榮畑課長の答えは議事録がありますが、今、厚生労働省あるいは医政局は、この問い、すなわち、いわゆる配当規制と、いわゆる配当規制をしている一方で医療法人が銀行からお金を借りて金利を払っている、これはどう区別がつくんだという質問をすると、どうお答えになりますか。

田村国務大臣 終わると申しわけないので、ちょっと先に訂正させてください。

 先ほど重徳議員に対して、私、残業と言いましたが、夜勤七十二時間でございましたので、訂正をさせていただきたい。看護のところです。済みません。

 その上で、今の話であるならば、借り入れはあくまでも元本も含めて返すわけでありまして、そのための利息という話ですよね。一方で、出資の場合は、要はそれは返すものではないわけで、利益を分配するわけでございますので、利益を分配するという意味からすれば、これはコストではございませんので、これはやはり非営利法人としてはそぐわないという話であります。

足立委員 ごめんなさい、ちょっとよくわからなかったんですが。医政局長、もう一度お願いします。

原(徳)政府参考人 お答えを申し上げます。

 医療法人は、それぞれ病院なり診療所なり経営されております。その中で、例えば医療を行う上で必要な物品、薬もそうですけれども、そういうものを購入するために必要な経費というのは当然生じるわけでありますし、あるいは、機械を購入するときに例えば借金をするということもあるでしょう。

 そういうような正常な、真っ当なといいますか、通常のそういう行為の中で、売り手側は商売で売るわけですから、利益がそこへ生じるのは当然でありますので、そういう意味において、通常の商行為の中で行われている分については構わない。例えば銀行からお金を借りて利息を払うというのは、これは当然であろうと思います。

 ただ、それが異常に、通常の金利よりも高く誰かから借りて、トイチじゃないですけれども、非常に高い利息をそこへ払っているというようなことがあれば、これは配当に該当するというふうに考えるのではないかと思います。

足立委員 大臣が、銀行への金利は利益の分配ではないんだ、こうおっしゃいましたが、そこをちょっと局長にも確認したかったんです。

 あくまでも、利益からその金利が支払われるという点においては私は変わらないと思う、利益の分配ということではそれは変わらないと思います。こっちから申し上げると、それは、利益にリンクをしている、利益が大きければその利益の分配も膨らむ、その利益連動しているのが問題だということなのか、何が問題なんですか。要は、銀行への金利だって剰余金の中から払っていますよね。同じですよね、それは。何が違うのか、局長の方がいいかなと思って局長に振ったんですが。ちょっと、先に局長、やりましょう。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 金利というのは、それぞれの状況によって定まってくるものだと思います。その中で、当然ながら、利息を払うためにはお金がないと払えないわけですから、先生のおっしゃるような、剰余金というのが何かわかりませんけれども、経費として払っていくということは可能だと思います。当然だろうと思います。

 その中で、金利について、当然ながら、先ほど言いましたように、状況によっては変わり得るものではありますけれども、それが通常の関係の中で、例えば著しく高率で利息を払っているとか、そういうことがあるならば、五十四条に基づく剰余金の配当に該当するのではないかというふうに判断するということだと思います。

田村国務大臣 病院は非課税ですからあれなんですけれども、まあ、非課税ではないですけれども、要するに企業ではありませんから当然会計は違うわけであります。しかし、借り入れは資金調達コストでありまして、これは返済するわけですよね。返済するための中での利息であるわけであって、利息は当然のごとく経費として払われるわけでありますから、そういう意味からすると、返すものに対する経費、つまり借り入れコストに対する経費というような話ですよね。

 一方で、出資、株式というのは、これは返さないことが前提ですよね、基本的には。出資ですから。それに対して利益が出たものを分配するという意味でありますから、それは利益の分配であるわけでありまして、あくまでも何かをするために借り入れたコストとしての払う利息とは、当然意味合いは違ってくるわけであります。

足立委員 大臣がおっしゃりたい気持ちはわかりますが、これは、いわゆる金融の基本的な、今や金融技術も発達していまして、昔みたいに、銀行借り入れと、資本、株式、いわゆるエクイティーファイナンスという二つがあるわけじゃなくて、非常に多様な金融手法が出てきている。だからこそ私は、医療法は何を規制しているのかということを聞いているわけです。

 当時の規制改革会議の話でも、榮畑課長が、いやいや、配当も利子もお金が医療の外に流出している点においては一緒だ、こう答えています。何が違うんだ、もう一度、局長、お願いします。

 その前に、私が申し上げているのは、先ほどから局長は、通常の相場というかから外れるとだめなんだという話をしていますが、それならそれで、それが基準なんだ、利益連動型が問題なんじゃないんだ、そっちが問題、どっちですか。

 要すれば、通常の医療法人がかかわらないような、マーケットで行われている何かの相場観から外れると、それは利益供与だというような立論をしていくのか、あるいは剰余金連動型の分配に問題があるのか、どっちですか。

原(徳)政府参考人 端的に言うと、やはり両方問題が生じるのではないかというふうに思います。

 先ほど、利子として当然お金は外へ出ていく、これは確かでありますけれども、それはコストとして必要なものというふうに考えるべきだろうと思います。それに対して、事業活動をした後で出てきた剰余金、これを分配するというのとは本質的には違うのではないかというふうに思いますけれども。

足立委員 これも本当に金融の基礎になるので申しわけないんですけれども、配当は、もうそれは資金調達コストです。配当も資金調達コストです。ただ、調達する資金の種類が違うわけです。

 間接金融、直接金融、エクイティーファイナンス、デットファイナンス、いろいろな金融手法があります。私は、医政局が、あるいは厚生労働省が、この非営利ということで一体何を、では、もうちょっと結論を先取りして言えば、私も諸外国の例をいろいろ調べてみたんです。諸外国で非営利ということについてどういう整理をしているのか、ざっと調べてみました。

 例えばイギリスなんかでよくあるのは、要すれば、配当制限しているんですね。例えばイギリスなんかでは、イングランド銀行の金利を基準として、利率の上限規制をすることによってお金の流出を防いでいるわけですね。すなわち、法人の種類によって参入規制をしているんじゃないんです。

 今も、特養をどうするということが新聞でもばっと出ています。いろいろな別の場所で議論しています。そのときも、なぜ特養は社会福祉法人しかできないのかと問われたときに、やはり厚生省は答えに窮しているわけです。

 そのときに、では、何かと言えば、それは、社会福祉法人は地域貢献をするんです、慈善事業をするんです、地域貢献をするから無税なんですと。結局、行為規制しているわけです。わかりますか。要すれば、株式会社か医療法人かという法人の種類別に参入規制をしているんじゃなくて、行為規制しているんですね。

 配当も行為です。要すれば、一定の利率以上の金利でお金を外に流出させると、それは過度の流出だというふうに認定をして、それは営利だろうということをやっている例が英米ではあるということを確認しまして、その方が私はしっくりくるんです。

 だから、医療だって株式会社、要すれば、もう医療法人なんてなくしても、行為規制の体系だけつくればそれでいいんじゃないか。なぜ、医療法人なる法人種別をつくって、やってもいいこと、悪いことをいろいろと書いていくんだ。それを書いていくと、マーケットで金融技術が発達すればするほど、また、これはいいか、これはあかんかという議論になるわけです。

 条文にあるのは、配当規制だけです。配当規制があって、そういう事実上の剰余金の分配に当たるものはだめということで、いろいろなものを例示として挙げていく、これが今の医政局の医療法人の行政なんです。

 それは、もうマーケットについていけないわけです。常に何か新しい課題が出てくるわけです。例えば、医療法人が、病院の経営が悪化をした、もう倒れそうだとなれば、銀行借り入れの金利は上がりますね。何%以上になったら、それは医政局の相場から外れるんですか、医政局長。

原(徳)政府参考人 期待されているお答えだと思いますけれども、個々の状況によって違うと思いますので、絶対値としては幾らというふうには申し上げられないと思います。

足立委員 では、局長、そういう個々の事案を日々監督されているわけです。従前から、例えばMS法人の話で私が申し上げたときに、それは、当該MS法人との取引についても、市場取引等から見て妥当な価格を超えた取引があれば、監督行政、厚生省の指導監督を通じて是正していくんだ、これが厚生省の今の立場です。

 すると、適用するのは個々の事例ですけれども、厚生省は物差しを持ってなあきませんね。医療法人が行うあらゆる取引について、このあたりであれば一般の市場取引等から見て妥当であるという判断をする、その物差しを厚生省は持っているんですか。

原(徳)政府参考人 例えば、何とかについての基準という形では持っておりませんけれども、やはりそれぞれの、例えば医薬品の購入なら購入ということについての相場観というものは当然あるということだと思います。

田村国務大臣 足立委員は、今、金利の話をされましたけれども、それは、病院運営が悪くなるから金利が上がるという話であって、経営がいいのに市中の金利よりも高い金利を払えば、それはやはりおかしいという話であるわけでありまして、逆に言えば、悪くなって金利を上げ過ぎると、今度は返済できませんから倒れる、そこはおのずと決まってくるわけであります。

 一方で、株式等々の利益の分配の場合は、利益を出せば出すほど分配できるわけですね。だから、そこは明確にやはり違うのであろうと思います。

足立委員 まさに、先ほど原局長にも伺ったのはその点で、では、利益連動型の分配に問題があるのか。今、大臣はそうおっしゃった。局長、そうですか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、運営に当たりまして、建物を借りる、そのリース料が収入に応じて幾ら幾らとなるような、連動するものはいけないというようなところは、私どもの指導の中でも言っているところでございます。

足立委員 大臣がおっしゃったように、今でも、例えば建物を流動化してリースバックするときに、いわゆる利益連動型の組成、ストラクチャーを組むわけですけれども、それは指導して排除している、こういうことですか。それは、あらゆる取引について、今大臣がおっしゃった利益連動はだめなんだということで、要すれば、配当規制というものは、利益連動はだめなんだということで排除している。それから、加えて、先ほど話があったように、世間の相場から離れているとだめ。

 この二つが基準だということでいいですか。二つですね。利益連動と世間の相場、この二つですか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、具体的に申し上げますと、先ほども言いましたが、土地や建物の借料について、借料が医療機関の収入の一定割合とするというようなことはだめだというふうに明確に言っている、これは、だから、連動型の場合であります。そのほかに、先ほど大臣からも申し上げましたけれども、絶対値としてやはりおかしいというものもあるわけでございますから、それは両方であろうかというふうに思います。

足立委員 ありがとうございます。

 明確になることに意義がありますので、これは二つだということをおっしゃっていただきました。

 赤石次長、申しわけないんですが、ぜひ、何か期待して聞いているわけじゃないので、虚心坦懐に御答弁いただけたらいいんですが、今ずっと非営利の議論をしていました。産業競争力会議で非営利ホールディングの議論をされているこの非営利も、ほぼ同じと考えていいでしょうか。

赤石政府参考人 お答えします。

 産業競争力会議において昨年十月に増田議員から提案があったときには、社員等の要件の中で、現在、医療法人の基準においては、医療法人の社員は自然人に限られて、法人は社員となれないこととされているけれども、非営利団体であれば社員となることを認めてはどうかという提案がなされております。

 この趣旨は、基本的には、医療につきましては非営利を大原則としているという大きな考え方に沿っているものと考えられることですから、その後、我々の中で議論した際にも、これについては異論が出ることなく、そのまま総理の検討方針に載っておるということでございまして、引き続きこういった考え方に基づいて議論をしていきたい、そのように思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 医療政策において非営利という整理がされているので、それを引き継いでいる、こういうことですね。

 私はあと十分もないので、今おっしゃっていただいたことはそれで結構かと思うんです。明確になったので、それで結構なんですが、すると、これから医療界もそれで仕切っていく、それから、非営利ホールディングも、検討途上だと思いますが、それを実現していくということなので、更問いで私がどうしてもやはり確認させていただきたいのは、まず、ホールディングの話はちょっとおいておいて、医療法人なんです。

 医療法人制度というのは、今大臣がおっしゃった、医政局長がおっしゃった二つの要件で非営利性が担保できれば、それは、要は行為規制としてその二つの基準をかぶせれば、それで、端的に言うと、株式会社的というか、要すれば、配当するなと言っているわけじゃないわけですよ。利益連動の配当はだめだ、それから、世間の相場から離れるとだめだ、こう言っているだけですから。株式会社であっても、その二つの基準を満たせば、医業を、すなわち病院経営等をすることは理屈上可能になる、そう思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 今も持ち分のある医療法人はあるわけでありますから、見た目は株式を持っているのと同じでありますけれども、要は、ですから、配当があってはだめだ、配当として出してはだめだということであろうと思います。

足立委員 いやいや、大臣、配当はだめだと法律に書いてあるんだけれども、よくわからないので、それは何なんだ、その配当はだめだということの意味は何なんだということをきょうここでやってきたわけです。

 それを分解すると、要すれば、利益連動型の分配はだめだし、世間の相場から大きく離れるとだめだというふうに分解したわけです。すると、その条件を満たせば病院経営に支障ないですね、こう言っているわけです。

田村国務大臣 出資に対する取り分としてお金をバックするということはだめだということであります。出資に対する取り分として、上がった収益に対してバックすることはだめだということであります。

原(徳)政府参考人 大臣のお答えの繰り返しになるわけですが、先ほどから言っておりますのは、事業活動をするための通常のコストとしての金銭のやりとりの中で、異常な、非常に高値で物品を購入するとか、あるいは利息を高くするとか、そういうことはいけないということを言っているのであって、全体的な、残った中の剰余金の配当という部分については、これは決して認められないということでございます。

足立委員 ぜひ、これは余りやってもあれですけれども、要すれば、銀行からお金を借りる、いわゆるデットファイナンスと言われますけれども、それから、株式で、いわゆるエクイティーファイナンス、これは両方とも資金調達コストに変わりはないんです。でも、ある種の報い方が違うわけですね。銀行は、要は、病院が倒れようと何しようと、とにかく担保をとって、利息をつけて返せ、こう言うわけです。ところが、エクイティーファイナンスで資金を提供した者は、仮にその事業がポシャれば、全部パアになるというリスクを背負って資金提供している。

 だから、平成十五年に規制改革会議と厚生労働省でずっとやっていた議論もその議論で、要すれば、いずれも資金調達コストに変わりはないだろうと。だから、それを分解して、きょうは利益連動という言い方をしているわけです。なぜならば、普通に考えれば、それは資金調達コストに変わりはないからなんです。大臣、どうぞ。

田村国務大臣 見方の問題だと思っていまして、お金を集めるという見方からすればそうなのかもわかりませんが、要するに、出資するというのは会社と一体であるわけでありまして、支配権も一定程度持つわけであります。そういうものが、要は、利益というもの、残ったものに対して分配してはいけないというものと、外からお金を貸す人がその対価として利息を得るというものは、これは別である。

 これは見方によって違うわけでありまして、非営利というのは、そういう考え方のもとに、お金を出した出資者に関してお金を分配するのはだめだということであろうと思います。

足立委員 私がこの議論にこだわっているのは、介護の世界で営利企業がどんどん参入している現実において、医療、介護、福祉という地域包括ケアというものをつくっていくときに、介護分野には明らかに営利の企業が入って活動している、ところが、医療の世界は全て、医業を担うのは医療法人等々ですから、あまねくそれは持ち分を返上してください、基本はそうですと。これがロジックとして本当に成立するのかという議論を、医療が医療だけで考えていた時代は、余りこういう議論をしても、議論が応酬して終わりで仕方ないんだけれども、これから地域包括ケアという議論をするに当たっては、この議論をちゃんと決着させておかないと、医療、介護の連携といったときに話が途中で頓挫するんじゃないかということを心配しているわけです。

 もう時間がないので、赤石次長、これは申しわけない、議論が必ずしもクリアじゃないかもしれませんが、非営利ホールディング、医療の非営利を多少引っ張ってきているということですが、冒頭の話に戻ります。

 全体でその非営利性を確保されていれば、私は、この非営利ホールディングの内部関係については相当自由度が高くていい、要は、外へのお金の流出を、今ずっと議論したような意味で、このホールディングカンパニーの外への流出をとめることができれば、内部関係については事実上規律づけをするまでもない、こう思っているんですが、出てくる資料、これは厚生省の紙かな、いわゆるイメージというのが出ていますね、こういう紙を見ると、極めて固定的な仕組みになっているんです。要は、この中に営利法人は入らない、営利法人に関与できるとすれば、それは出資をすることだけだという極めて固定的なイメージになっています。

 私は、もっと自由度の高い内部規律でいい、こう思っていますが、最後、その御意見を伺って、質問を終わりたいと思います。

赤石政府参考人 お答えさせていただきます。

 本件については、引き続き、中で議論しているところでございますが、御趣旨のとおり、全体としての非営利性がきっちりと守られているという限りにおいては、中での、グループでの剰余金の活用の仕方などは、ある程度融通性をきかせてもいいのではないかという議論が現在なされているところでございまして、そういった考え方に基づいて、引き続き検討していきたいと思っております。

足立委員 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 阿部知子です。

 本日は、この国会初めての質問になります。そして、きょうは、みんなの党の中島先生初め、委員の皆さんに御好意でお時間を頂戴いたしました。よろしくお願いいたします。

 せっかく与えていただきました時間ですので、今、喫緊というか、私にとって大変懸念している子供たちの健康にかかわる事案を二点、お尋ね申し上げたいと思います。

 一点は、いわゆる俗称子宮頸がんワクチンについてであります。

 私は、ことしで小児科医になってから四十年たちますけれども、この俗称子宮頸がんワクチンほどに予防接種行政を揺るがした事案はないように思います。今、厚生労働省の方でも審議会等を設けられて、六月からは積極的勧奨が中止になっているけれども、さてどうするかなどを検討しておられると思いますが、私が思うに、もうこのままでは恐らくお母さんもお子さん方も到底受け入れられないような迷路に入り込んでしまったのではないかなと思いますので、この迷路を打開していくべく、私は田村大臣のリーダーシップを求めて、きょう、一問目をお尋ねいたします。

 ワクチン行政で一番大事なものは、正しい情報の伝達と、そして、どんなワクチンも、実際にやってみないとと言うと失礼ですが、やってわかってくる副反応などもあり、それらに誠実に対処して不安を取り除いていく、こうしたフィードバック、相互関係が一番肝要であると思います。

 そこで、私がなぜいわゆる子宮頸がんワクチンと言うのかというと、名前がやはり適切ではないと思います。子宮頸がんワクチンと言われると、子宮頸がんを、なっちゃ困るな、予防できるんだなと思ってしまいます。

 せんだって、自民党の赤枝先生がすごく的確にいい質問をしてくださったんですけれども、田村大臣はあの佐藤さんとの応答の中におられましたでしょうか。もしおられなかったら私の方でちょっと繰り返させていただきますが、おられたかしら。覚えていておいでだとありがたいですが、赤枝先生は産婦人科のお医者さんです。

 ヒトパピローマウイルス感染症、性感染症を主にする感染症、このパピローマウイルスを予防する、ないしは軽症化するためのワクチンであるということは、医学界の中ではある程度共通認識になっているところですが、果たしてそれががんをどの程度予防するか、あるいは、がんにならないというふうに言われていいものであるのかどうかということであります。

 大臣は、私と御一緒のときにもB型肝炎の問題を熱心にやっていただきましたが、B型肝炎も、そのウイルスが遷延、長く肝臓の中にいることによって慢性炎症を起こし、約一、二%の人が肝がんになっていきます。肝細胞がんになっていきます。

 だけれども、私たちがお子さんたちに肝炎ウイルスワクチンを打つときには、決して肝がんワクチンとは言わない。肝炎ウイルスワクチン、B型肝炎ウイルスワクチンと言って、感染の防御やあるいは慢性の感染に至らせないためのものというふうに言って、しかし、これが肝がんになる率というと、大変高いものであります。

 おまけに、B型肝炎ウイルスというのは厄介で、一度消えたに見えても、その後また長い期間で免疫が落ちてくるとあらわれて、そこからがんになっていったりするという意味で、非常にがんと関係が深いウイルスなんですけれども、でも、肝がんワクチンとは言わないということで、それは正しく意味を伝えたいからであります。

 大臣には、ぜひ、今混乱が大きい中で、俗称の子宮頸がんワクチンではなくて、正しく、ヒトパピローマウイルスワクチンという名称が普及するように周知徹底をしていただきたいが、いかがでしょう。

田村国務大臣 子宮頸がんの全ての原因が、我が国においてHPVの16、18型ではないことは確かでありまして、統計的に見ると、五〇%から七〇%であるということであります。

 そして、子宮頸がんワクチンと言うと怒られるんでしょうけれども、このワクチンを接種しますと、HPV16、18型の感染を防ぐことができる、これはほぼ防ぐことができる。そしてあわせて、前がん病変に関しましては一〇〇%予防ができる。前がん病変からがんになるというのは、これはそういう傾向であろうということでありますから、そういう意味からいたしますと、かなりの部分の子宮頸がんを防ぐことが期待されることは間違いないわけであります。

 ただ、まだ、子宮頸がんワクチン自体の歴史がございますので、それをやる人の人生をずっと検証したわけではございませんから、なかなか、どうなるかというのはもちろん今の時点でわかりませんが、今の状況ではそれが十分に期待できるという中において、このような名称がわかりやすいという意味ではついたわけでありますが、言われるとおり、これによって全ての子宮頸がんが防げるということではないことは確かであろうと思います。

阿部(知)委員 わかりやすいことが、かえって誤った情報を与えているんだと思うんです。がんというのはイメージが強いですから。

 先ほど私がわざわざ肝炎ウイルスワクチンのことを出したのは、それも本当に慢性化しやすい、がんの誘因になるウイルスなんです。だけれども言わないんです、何を防いでいるかと。

 そして、今、大臣の答弁の中に、前がん状態からがんになる、ここはどうなるかわからないんです。前がん状態と呼ばれるものは、そのまま、どっちに行ってしまうかもわからないわけであります。

 そうなると、ここで明らかで、お互い理解、納得できるのは、ヒトパピローマウイルス感染症に対するワクチン。ワクチンというのは、よく聞いていただきたいですけれども、抗体価が上がったからといって、予防できるかどうかわからないのです。インフルエンザワクチンを何回打ってもインフルエンザは予防できない。これは、抗体価が上がることとそれを予防するということの間にまたギャップがあるんです。

 ただ、何らかの作用はしているということで、ワクチンの意味は、感染予防、感染軽症化くらいのところで抑え、さらに、大臣もおっしゃったように、これから先何年かフォローしなければ、果たして前がん状態ががんになるのか、わからないわけです。その時点でのお母さんたちのインフォメーション、情報だから、正しくあってほしいと思うわけです。

 ちなみに、大臣も御存じと思いますけれども、子宮頸がんワクチンという言い方をするのは、前回も申しましたけれども、日本だけなのです。日本だけ。どこの国でもヒトパピローマウイルスワクチンで、ガーダシルはサーバリックスに比べて対象は四型、一方は二型。あくまでも、ワクチンは、子宮頸がんワクチンではなくて、ヒトパピローマウイルス感染に対するワクチンである。どうでしょう。

 では、なぜ我が国だけ子宮頸がんワクチンと言われるのか、それについて大臣はどうお考えでしょうか。

田村国務大臣 委員も御承知のとおり、サーバリックスに関しては、二十から二十五歳の女性一千四十名を対象に国内で臨床試験した結果、ヒトパピローマウイルス16型と18型の六カ月の持続感染を一〇〇%予防することができる。これは、実際問題、臨床試験の中でこういうことが出てきておることは確かだというふうに思います。

 B型肝炎ウイルスの場合は、B型肝炎になるわけですね、肝硬変にもなるというので、わかりやすいわけでありますが、このHPVの場合は、尖圭コンジローマとかいろいろありますけれども、ほかにないとは言いませんけれども、どうしてもイメージとして子宮頸がんというものが一番に来るわけでありますので、どうしてもこういう名前が、たしか僕の記憶だと、これ自体を承認する前から、承認する前からというか、定期接種化する前からこういう呼び方をしておったのではないのかなというように記憶するわけであります。やはりそれだけ、当時から唯一防げるがんというような触れ込みがあったことは、いまだに、私が議員をやっておるときから、大臣をやっておるときからの記憶にあるわけでありますけれども、そういう期待の中でこういう名前になってきたのかなというふうには思います。

 あわせて、やはり我々は、これで一〇〇%防げるわけではないということはしっかりと伝えていくと同時に、前がん病変も、そこから進まない場合もありますが、進む場合もある。もちろん、前がん病変状態なしに、そのままがんになることも全くないわけではないのであろうということでございまして、これは、我々がずっとこれを定期接種化を目指していたときに、いろいろな研究者の方々と勉強をする中においてそういうことをしっかり学びながら、その学んだことも含めて、ちゃんと情報としては伝えていかなければならないのであろうなというふうに思います。

阿部(知)委員 私も、もちろん若い女性たちの子宮頸がんが起こらないことを願いますし、その思いは大臣と一緒ですけれども、それでもなお、やはり名は体をあらわすと申しまして、非常に、お母さんたちがどう受けとめるかというところで、ちょっと違ってきてしまっていると私は思います。その不安たるや物すごく大きい。

 そして、大臣もおっしゃいましたが、性感染だから今男の子たちにもこの俗称子宮頸がんワクチンを打とうという治験が始まっていますが、男の子は子宮頸がんにはなりませんし、性感染症ですし、やはり感染に対するワクチンだということを明確にして、それも主には性感染に対するワクチンだ、そういうことが伝わる方がもっと大事だと私は思います。

 いみじくも大臣がおっしゃったように、これは導入前から、なぜか俗称で子宮頸がんワクチンと騒がれておりました。先ほど申しました、肝がんワクチンとは騒がれず、しかし、実際に肝がんの大きな理由を占めながら、いまだに対応されていないというのが逆にB型肝炎ワクチンであります。それは、やはり物の実体を正しく伝えながら、そこからどうなるか、どうならないかをフォローしていくというのが私は正しい情報提供のあり方だと思います。

 そして、今大臣がおっしゃったように、導入時にも、ちょっと急がれたがゆえに問題があると私は思います。この俗称子宮頸がんワクチンの審査過程を私も今から振り返ってみると、こういう問題があったんじゃないかなと思うことが幾つもあるので、きょうは担当部署とやりとりをさせていただきたいと思います。

 実は、皆さんのお手元に出してある資料は、サーバリックス有害事象集計と申しまして、サーバリックスを打ったときに起きた有害事象、これは、医師なりお母さんなりが報告して有害事象として取り上げられたもの、それをさらに厚生労働省が集計して、有害事象として集めたものの集計であります。

 有害事象が即副作用ではなくて、副反応ではなくて、もちろん、その中にはワクチンと関連性が明らかでないものもあるわけですが、しかし、一般的に、ワクチンを接種したときの有害事象、何か違うことが起こってしまうことの多さや深刻さは、やはり、それを受ける方たちに対して不安やどうなんだろうという気持ちを抱かせるということで、出させていただきました。

 実に有害事象が多い。それも、厚生労働省が集めて区分されたものを、さらに、これは東海大学の公衆衛生をやっておられた堺春美先生がこうした分類をして、例えば、致命的ないし重篤な有害事象、慢性疾患の発症、自己免疫疾患の発症、臨床的に重要な症状、あるいは比較的軽症だけれども問題というように、全部抜き出して御自身で分類をしてくださいました。そうしたら、こんなにあるわと。よく言われる失神、意識消失は六百九十九。これは、この場合は六百九十九人でありますが、一人の方が幾つかの症状を持っている方がおられるので、千七百八人ではなくて、有害事象が千七百八を分類した。これまでの予防接種の中では届けられないような、見られなかったような数の多さであります。

 そこで佐藤さんにお伺いいたしますが、このサーバリックスの導入に対して、実は、メーカーは、国内治験、国内臨床実験を進めていたところ、厚生労働省の方から申請者に対して、本件の審査を迅速かつ適正に進めるために、国内で進めていた臨床試験をこれまでの海外での試験と合わせて、ブリッジして、その海外の治験を一部利用して国内治験を早くやりなさいということを厚労省が言われました。これは許可申請書に書いてあります。

 そして、メーカーとしては何をやったかというと、実は、もう承認されているんだからたくさんの事例を調べたんだろうと思いきや、アメリカでは、一万八千人余りを九千人、九千人と分けて、先ほど大臣のおっしゃった前がん状態がどうか、打った群と打たない群でどうかを調べました。日本は、それに対して、約千人調べた。正直言うと八百何人です。これを半々に分けて、そこに、サーバリックスを打った人にはウイルスがどのくらいいるかいないか、打たなかった人にはいるかいないかという例を、両方分けてやりました。治験数というか実験数としてはやはり少なくなります。

 欧米の実験を一部取り入れて、それとブリッジしてやる。そして、内容も違うわけです。内容の違うことをやったわけです。日本では、ウイルスがいるかいないか。アメリカの一万八千は、前がん状態があるかないか。本当はこれはマッチしてやられないと正しい治験にはならないのですけれども。

 その治験の中でお伺いをしたいと思いますが、せんだって、赤枝さんの御質問に対して佐藤さんは、筋注だから痛いんだとまた繰り返し言われました。覚えていらっしゃるかな。でも、お手元の二枚目の資料をあけていただきますと、実は、この二枚目には、この治験というか臨床試験自身は、両方とも筋注のものを比べて痛みを比較しているんですね。片っ方はA型肝炎ワクチン、これも筋注なんです。そしてサーバリックス、これも筋注なんです。そうすると、筋注だから痛いじゃないんですよね。この点、どうですか。なぜこのサーバリックスは痛みの事案が多いのか。

 例えば、特定局所症状、注射疼痛などを比較して、お手元のを見ていただくと、HAV群というのがA型肝炎ワクチンです。片っ方の本剤群というのがサーバリックスです。そうすると、局所の疼痛も二倍ぐらい違うんですね。局所は、サーバリックスでは九九・二とか八八とか、とにかく痛い。だけれども、A型肝炎の場合は四二から五六、大体半分なんです。

 このデータを見て、なぜこのサーバリックスが強い局所疼痛を持つか、どう考えられたんでしょう。

佐藤政府参考人 国内臨床試験のデータですので本当は私の所管ではないんですが、このデータを見て物を言え、こういうことでございましたので、お答えをしたいと思います。

 確かに、このHAVと本剤とは両方ともに筋注でございますので、HAVに比べても痛いじゃないかというお話だろうと思います。ただし、きょう、突然この資料が出てきましたので、では皮下注の場合の痛みの出現頻度はどうかというのをちょっとお示しできませんけれども、確かに、HAVと比べると本剤が高いのかもしれませんけれども、皮下注に比べると明らかに痛みの頻度が大きいというのは、副反応検討部会などでも指摘されているところでございます。

阿部(知)委員 そんなの答弁になっていないでしょう。皮下注よりは痛いと認めていますよ。なぜ同じ筋注同士で痛いんですか。倍ですよ。みんな痛がります。もし担当じゃないなら、明確に答えられる人、いると思いますよ。

 なぜこのワクチンは痛いのか。筋注だからというだけではないんですよ。その一つとっても、まだまだ説明責任が果たされていない。患者さんが痛いと思うから痛いとまで言っている中で、そうじゃなくて、皆さんがやった臨床試験の中でも、同じ筋注同士のものを並べて打っても明らかに痛いんですよ。

 どうですか。どなたか答えられる方で結構です。

今別府政府参考人 直接、先生の御質問にお答えすることにならないかもしれませんが、臨床試験についての御質問でございましたので、その部分についてお答えをいたします。

 先ほど、例数が少ないのではないかという御指摘もありましたが、一応八百例、日本ではやっておりまして、両方比較をいたしまして、確かに、重度の筋痛が対照群に比較して本群で多かったということはございます。

 ただ、審査報告書によりますと、それは、接種回数の増加に伴う発現率の上昇が特に見られなかったこと、それから、筋痛の平均持続期間が本剤で二・八日、対照群で二・三日であったということで、留意すべき点ではあるが、特段の問題とはならないと考えるということで、審査の結果、承認をされたということになってございます。

阿部(知)委員 こんな前に戻ることを今さら言いたくないですが、皆さんのお出しになった臨床試験の認可をされるときの文章には、「本剤は、新規アジュバント成分を含有すること、昆虫細胞をタンパク質発現細胞とする本邦初の遺伝子組換え製剤であることから、安全性に係る情報が製造販売後調査等の中でも引き続き収集され、適切に情報提供される必要がある」と。要するに、新しいアジュバントを使って、水酸化アルミニウムの懸濁液と、そしてもう一つ、ムコ多糖類を入れて、初めてなんですね。

 この液が他の液と違うアジュバントを使っていて痛いということだってあり得るし、消えたかどうかというのも二日とか三日しか見ていなくて、今大変に問題になっているのは、皆さんがフォローした七日とかじゃなくて、あるいは二十八日じゃなくて、後々に影響が及んでいるということもあるわけです。

 私は今、局所の痛みだけを問題にしましたが、こういう事象を見たら、なぜだろう、なぜかしらと思わないと安全性は担保されませんし、皆さん自身が、新しいものを使っているんだから、これから何が起こるか、どうなるかよく見なくちゃねと書いた上で承認をしているわけですよ。

 今言った、新しいアジュバント、それから観察期間が短い。そして、私は本当にびっくりしましたが、この認可に至るまで一体どれくらいの回数使われていたかというと、六百八十万回数なんですね。今既にもう日本では、接種してから九百万回数、三百万人。すなわち、認可する以前よりも以降の方が圧倒的に多い使用数になったんですよ。そうなると、認可までにわからなかったこと、あるいはどうしてだろうなと思っていたことを知る今は最もいいチャンス、副反応をつかまえてきちんと検証していくチャンスなんですね。果たしてそういう検証がなされたか。

 ここでちょっと二つくらい飛ばして大臣に伺いたいと思いますが、各自治体は、子宮頸がん問題で大変に親御さんの不安が強いということで、自治体のアンケートというのを、鎌倉市を初めとして、現在、恐らく、結果が出た市町村が六、また取り組み中のところを合わせると十くらいあると思うんです。接種された方にアンケートをして、どのような症状がありましたか、あるいは相談を受けて、大丈夫ですよとかいう作業を自治体がやっておられます。大臣のお手元には、市議会の議長会のお申し込みで、きちんと、接種をされた方の実態、全例の調査をしてほしいという要望書も上がっております。今は、間に立たされた自治体が本当に困って、調査をしています。

 大臣、私がもう全部はしょって言いましたが、この認可過程も含めて、まだ何が起こるか見ていきましょうという、簡単に言えばそういうワクチンであります。それはいたし方ないかもしれません。でも、私はもっと慎重がよかったと思いますが、始まってしまってもう既に三百万人。しかし、有害事象がたくさん報告される。そうであれば、虚心坦懐に、全体、もうやった方はわかっているんですから、三百万人、コホートといいますが、そういう集団を把握しているわけです、その調査を自治体に協力してやっていただくことと、プラス、自治体の相談窓口についてきちんと予算づけなりなんなりをしていただくこと、この二点、いかがでしょう。

田村国務大臣 昨年の五月に患者の方々の団体が幾つかの症例をお持ちいただいて、六月から厚生科学審議会で御議論をいただきました。そのときに、積極的な勧奨は一時中断をいたしております。

 その後、いろいろとこちらも症例を集めまして、二千三百二十、これは本当に幅広いです。軽い副反応、また副反応なのかどうなのか因果関係がわからないものも含めてお集めをさせていただいて、それを分析させていただきました。

 もちろん、治療されておられる先生もお越しをいただき、また一方で、治療をしているところにもお伺いをさせていただいて、いろいろな調査研究をさせていただきました。また、海外からも症例をいろいろと集めて、海外の文献等々も含めて調査をいたしました。御承知のとおり、海外では百カ国以上が使われている、そういうようなワクチンであります。

 我々としては、接種者全員の調査という話なんですが、まず、かなりの症例を集めていろいろと分析はしておるということ。それから、もう打ってから大分たっておりますので、そういう意味では、過去の記憶を確認する調査というものが、医学的に判断がどうなのかという問題。さらには、それだけのことをやろうと思いますと、これはかなりの物理的な調査の量になってくるわけであります。

 そういうことを考えますと、今まで集めたものを含めて、今現在、厚生科学審議会で御議論をいただいておりますので、ここではもう海外のいろいろなものを分析をいただいております。その上で、最終的な御判断、まだこれは今議論をしておる最中でありますし、もちろん、副反応だとおっしゃっておられる方々、こういう方々のいろいろな状況等々も拝見させていただいておる中において、これから最終的な御判断をされていかれるのであろうと。その御判断をいただいた上で、我々といたしましても、どうすべきかということを決定してまいりたい、こういうふうに考えております。

阿部(知)委員 私の指摘したいのは、その手法は限界があるということなんです。

 それで、大臣、日本は国民皆保険制度で、非常に医療の情報が、ある意味で集めやすいんです。打った方をつかまえやすい。自治体は全部リストを持っているんです。日本しかできないんです。氷山の一角のように上がってくるものをつまんでいって見るのは、本当の疫学とは言わないんです。全体に何が起こったか。そして、症状が消えていればそれはいいことなのですから、別に、そこの抜け落ちが起きても、そこは問題がないです。むしろ、長く続いて苦しむような事案がどうなのかということをきちんとフォローしてこそ、この予防接種の意義を説くことができると私は思います。

 予算づけも、今、各自治体、自分でやっているんですから、それを思えば、大臣の英断でできないことはないということを指摘して、終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 本日は、大きく四点お伺いをいたします。

 まず一点目は、前回に引き続きまして、就活サイトの行き過ぎの問題についてであります。

 前回の委員会で、インターネット上の就活サイトが、学生に、就職したいという申込書、このエントリーを大量に出すようにあおり過ぎているのではないかという問題を指摘いたしました。実際、就活サイトにログインしますと、あなたは百八十一件エントリーを出しましたが、あなたに似た同期はさらにたくさん出していますよと、こういう駆けっこのような図が出されて、あるいは、一度に百社同時にエントリー送信できるボタンが大きく配置されていたり、やり過ぎではないか、こういうことが散見されるわけであります。

 私は、地方議員時代から、かれこれ十年以上、学生さんをインターンとして受け入れてまいりました。相談事をいろいろ受けるんですが、悩み相談のツートップは、一つは恋愛、それから二つ目にやはり就活なんですね。この二つは、どっちも人生を変える出会いでもありますし、また、両者の相性、こういう問題で非常に似ている悩みでもあるんですが、この恋愛と就活、一つだけ決定的に違うところがあります。

 恋愛も、もちろん、片っ端から一人でも多くの気に入った異性に声をかけていけば、恋人ができる可能性は理論的には高まるわけでありますが、しかし、現実の世界でそんなことをすれば、あの人は節操のない人だということで悪い評判が立ってしまいますから、当然、そういうことは誰もしないわけであります。

 ところが、就活の場合には、そのような歯どめがなく、なおかつ、昔ははがきでやっていた物理的制約があったところが、今はパソコンやスマホのワンクリックで百社にエントリーが実際に出せてしまう。こういう技術の進歩も相まって、その結果、学生は同期に負けないように一社でも多くのエントリーを出さざるを得ない。そして、企業も、大量のエントリーが来るから、学生を短期間で審査、面接せざるを得ない。密度のいわば薄い、不毛な出会いがふえて、両者とも疲れてきているのが現状ではないかというふうに考えます。

 そこでお伺いをいたしますが、現代の就活の根本的な問題は、他人より多くエントリーを出した学生の方が内定を得られる可能性が高まり、あるいは、他社より多くエントリーを集めた企業の方がよい学生を採用できる可能性が高まる、こういうエントリーが多いほど得になるというインセンティブ構造に現代の就活の根本的な問題があるのではないかと考えるわけでありますが、この点について、大臣の見解を伺います。

田村国務大臣 難しい論点ですね。

 といいますのは、確かにいっぱい集まった方が有利だというように見えるのかもわかりませんが、多分、企業にしてみれば、多く集まってきたら、ちゃんとした審査ができないわけなので、本当に有為な人材が採れるのかどうか。ですから、例えば出身大学で、もうその時点で切っちゃうみたいな、そんなことがささやかれている現状もあるわけでありますよね。ですから、本当にそれが有利なのか。

 一方で、エントリーする側も、何ら目的意識を持たずに一斉にエントリーすることが本当に有利なのかというと、私は、有利じゃないのではないのか。やはり、ターゲットを絞った企業に対してどのようなアプローチをするかという方が有利に働くのではないか。また、自分自身、やりたい仕事という目標をしっかりとターゲットとして据えながら活動された方が有利ではないのかなと、古い人間だからそう思うのかもわかりませんが、どうも、そこが今、そういう風潮になっているというところに私は問題があるのではないのかなというふうに思います。

井坂委員 確かに、おっしゃるように、一義的には風潮ということなんでありますが、もう少し、私はこの問題を結構いろいろな方と議論、研究した結果、単なる風潮、世の中の雰囲気ではなく、やはりこういうインセンティブ構造、動機づけの構造があるのではないかなというふうに今考えが至っているわけです。

 確かに企業側は、たくさん来ることが必ずしもメリットではない、そういう企業も今ふえてきて、だからこそ、この間のドワンゴみたいに、もう二千五百二十五円取ってでもエントリーを減らして、本気のエントリーだけの密度を上げていこう、こういう企業が出てきているわけであります。

 一方の学生側は、もちろん絞った方がうまくいく、これは私も同じ考えなんですが、その絞ったということが結局相手の企業には現状なかなか就活サイト上では伝わらないですから、やはり絞ったふりをしつつ多く出さざるを得ないというのが多くの学生さんの現状ではないかなというふうに思っています。

 こういった、多く出した方がやはり内定をもらえる率が何だかんだいって統計上高まる、こういうインセンティブ構造を崩すために、例えばではありますが、こういう仕組みはどうか。

 この学生は現在何社にエントリーを出している、こういう情報をちゃんと就活サイトが企業側にあわせて送る。つまり、エントリーを出している分母の数もきちんと企業側に情報提供していく。この学生は、百社出したうちの一があなたの会社へのエントリーですよ、この学生は、三十社出した上の一があなたの会社へのエントリーですよと。

 こういった情報は、企業にとっても、まさに大臣がおっしゃったように、非常に有益な指標になるでしょうし、学生の側にとっても、エントリーを絞って、あなただけですよ、こういう明快なアピールにもなるかなというふうに思うわけでありますが、こうした、提出エントリーを絞った学生や絞った企業が得をするという要素をつくり出すために、厚生労働省としてどこまでできるか、助言あるいは指導、規制、こういったことを行えないかどうかということについて、重ねて大臣に伺います。

田村国務大臣 学生さんが幾つの企業にエントリーしているかという情報がエントリーするたびに流れるというのは、一番初めの企業にエントリーしたら一番初めの一人になるわけですよね、それは。一つの会社ですよね。(井坂委員「ただ、ずっと情報はアップデート、同期されていく」と呼ぶ)アップデートして、全ての、どういうシステムにするのかちょっと私はよくわからないんですが。

 順次エントリーはふえていくでありましょうから、一度アクセスしたものを、継続して情報を更新していくというシステムがどういうものかちょっと私は頭の中に浮かびませんが、ただ、それ以前に、御本人がそれでもいいと言うのならば成り立つのかもわかりませんが、個人情報の問題がありますので、なかなかちょっと難しいのではないのかなと。

 逆に、企業側が自主的に開示する、うちはどれぐらいエントリーが来ていますよというのは、それはいいのでありましょうけれども、エントリーした人が自分の意思に反して幾つエントリーしていますよということを開示できる仕組みというのは、個人情報の問題から、多分なかなか難しいんだろうと思います。

井坂委員 今大臣がおっしゃったできない理由は、当然、我々も事前に議論をしていて、その辺は、最終的には、学生さん自身がそういった表示を望むか望まないか、ワンチェック入れるか入れないかというようなやり方もあると思うんですね。

 そこは、そんなことをそもそも誰も望まないんだったら、この就活サイトの問題自体が実は世の中に存在しないということですから、私はもうそれで構わないですけれども、やはり、前回ごらんいただいたように、問題はあると思うんですよ。

 しかも、望んでいない形で拍車がかけられていると思いますから、そのインセンティブ構造に一つくさびを打つ仕組みを、できれば業界が自主的に取り入れてくれればいいと思いますけれども、ただ、そういったことを指導助言できるお立場にありますから、そういったことはどうかというふうにお尋ねをした次第です。

 もし、コメントがあれば。

田村国務大臣 この議論を、前回ときょう、二回やらせていただいているわけでありますが、委員が前回この問題意識を持っていただいたということは大変大きいことであって、結果、私も、就活生も含めていろいろと調査をさせていただいて、どういう意見があるか聞きたいというふうに申し上げました。その調査をさせていただきたいと思います。

 その結果、問題点、問題意識というものがしっかりと明確化してくれば、そのときには、強制は無理でありましょうから、どのような形で依頼等々を含めてやっていけるのかというのは、今の時点ではなかなか申し上げられないことでありますけれども、問題意識が整理された中において、それが本当に大きな問題であろうということであれば、それは対応をさせていただきたいというふうに思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、大きな二点目で、管理柔道整復師ということについてお伺いをいたします。

 地元で、私、地域回りとか国会の活動報告とかをして、幾つかいろいろ問題意識をいただいてきているわけでありますが、柔道整復では、施術管理者という、保険のレセプト請求ができる柔道整復師を一人置くことで、普通の保険診療とお金の流れを同じように、自己負担分だけをお客様にお支払いいただく受領委任というやり方があります。

 そこで、これは参考人にお伺いいたしますが、柔道整復師の施術に係る療養費について、受領委任の取扱規程という書類がありますけれども、この六番の中に、複数の施術所の施術管理者になる場合は、各施術所に勤務する曜日と時間を明確にすること、こういう規定があります。

 ところが、これは複数経営しておられる方の話であって、単一の診療所をやっておられる方についてはこれはもう全く当てはまらないんだという、事前に事務方からそういうお話はいただいているんですが、どうもこの規定をもって、単一の施術所の管理者まで勤務日時を記録、報告するように当局から求められる例が現場であるというふうに聞いております。

 実際、この六の規定をもって、そのような指導、運用があり得るのか、参考人にお伺いをいたします。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、医療保険におきます柔道整復師の支払い、療養費でございますけれども、これは、施術者の方と地方の厚生局長あるいは都道府県知事、この間で協定を結んでいただいておきまして、実際に医療費ですから本当は患者さんに支払うところなんですけれども、患者さんからの委任を受けて、施術された施術所の方が保険給付をかわって受け取る、受領委任ということでございます。ですから、患者さんは一部負担金だけで済むということでございます。

 この支払いの仕組みを適正にやっていただくという観点から、今先生に御指摘いただきました協定のルールを定めておりまして、それに基づいてきちんとやっていただく。その場合に、施術所の管理者を定めていただきまして、受領委任、この請求を出されるものについては責任を持っていただきたい、適正にやっていただきたいということでございます。

 ですので、原則は一カ所の施術所の管理をしてくださいということなんですが、やむを得ず複数やられるとき、これは本当に管理ができますかということで、日時とかを記載していただくということにしております。

 今先生御指摘のように、それを超えて、一つのところだけを管理しているのに細かく日時等を確認しながら指導するということ、これは、我々はそういうふうなことを、指導に当たる地方厚生局等には指導はしておりませんので、行き過ぎの点があれば、よく正していきたいというふうに思っております。

井坂委員 もう一点、重ねて伺います。

 ということであれば、開業中、もちろん管理者でありますから全くそこに来ないとかは大問題でありますけれども、基本的には毎日そこに来て、ちゃんと全体を管理している。ただ、日によっては、風邪でお休みするとか、あるいは早退するとか、おくれて現場に入るとか、こういうことは別に、ずっといる間しかいわゆる保険適用のようなことはできない、そんなことは一切ないという理解でよろしいでしょうか。

木倉政府参考人 お答えをいたします。

 この管理者の方、協定において受領委任、保険の請求の方について責任を負っていただきたい、管理をしていただきたいということをお願いするわけでございますので、やはり管理上支障がない形、できる限りその施術所で目が届く形で勤務をいただきたいというふうに思いますけれども、やむを得ず、それは当然にほかの都合でそこを外されることもあるわけですから、そのときの管理、請求書について確認ができる体制をとっておくとかいうふうなことをやっていただきたい。

 ずっと同じ時間帯に絶対に行ける、物理的にそこに顔が出せないということですとちょっと困るかと思いますけれども、やはりそれは実態に合わせて、全体の施術の状況の管理ができる体制を現実的にとっていただければいいというふうに指導してまいりたいと思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 もう一点、ちょっと地元の方からの問題意識で、キャリア形成促進助成金ということについてであります。これは、中小企業の事業主が社員さんに能力開発の研修プログラムを受けさせる際に、その研修経費またはその研修時間中の従業員の賃金の一部を助成する制度であります。

 参考人にお伺いいたしますが、この研修内容とそれから研修対象、いわば管理職向けの研修をちゃんと管理職の方々に提供する、こういうセットで講座をやっている場合に、キャリア形成促進助成金の対象となるのか否かの審査、これが都道府県ごとに労働局の判断が分かれる例がある、現場では分かれている例があると聞くわけでありますが、そんな可能性があるのか。同じ制度で、同じ講座で、同じ受講対象で申請を出しているのに、大阪ではこれが通ったけれども兵庫県では通らない、こういうことが実際あるようなんですが、そういうことがあり得るのかどうか、お伺いをいたします。

杉浦政府参考人 キャリア形成促進助成金の助成対象となる訓練につきましては、支給要領を定めておりまして、これに基づいて全国的に統一した運用を行っているところでございます。

 助成の対象としましては、労働者の職務に関連した知識を習得させるための訓練ということが大きな要件であるわけでございますけれども、例えば、労働者の属性、さっき委員のおっしゃいましたように、管理者向けの訓練であるのかどうか、あるいは職務と訓練の内容の関連のぐあい等につきまして、ケース・バイ・ケースで個々の事案についてそれぞれの労働局で判断が行われるわけでございまして、一見同様に見えるような事案についても、場合によっては、異なる労働局で、例えば対象となる労働者の範囲の認定について異なる判断が起こり得るということはあるわけでございます。

 ただ、いずれにしましても、そういったことが極力ないように、斉一的な運用に努めているところではございます。

井坂委員 場合によっては都道府県ごとに判断が分かれ得るという御答弁でありましたが、重ねてお伺いいたします。

 ある都道府県で助成対象となった研修プログラムが別の都道府県では助成対象とならなかった場合、こうした矛盾解消はどういう手続があるでしょうか。

杉浦政府参考人 もし仮にそういった事例が生じて、異なる労働局において判断が異なるといった事象が生じた場合、申請者等からの申請等で話が上がってきた場合、疑義が生じた場合ですけれども、関係する労働局の間でその取り扱いについて調整をするといったようなことをしておりますし、場合によっては、また全国にまたがるような事例であるならば、厚生労働省本省の方で、その事案を受けまして検討して、支給要領に基づく取り扱いを場合によっては改めて全国に示すといったような形で、統一的な運用を図っているところでございます。

 いずれにしましても、そういった訓練の審査内容を確認して、適正な運用に努めていきたいと思っています。

井坂委員 ありがとうございます。

 最後に、年金積立金の運用について伺います。

 来年十月に被用者年金の一元化が行われます。運用資産百二十八兆円の厚生年金、七・八兆円の国家公務員共済、十七・五兆円の地方公務員共済、それから三・六兆円の私立学校教職員の私学共済、この四つの年金が一つになり、合わせると運用資産は百六十兆円近くなる、巨額の運用資産。ところが、保険料の徴収や給付の事務は四つの団体を分けたまま行い、そして積立金の運用も四者それぞれ分けて行う、こういうことであります。

 公務員共済は国内債券がほとんどの大変手がたい運用で、私個人的には何かここだけ手がたくてずるいなと思っておったわけでありますが、ただ、分けて運用するとはいえ、今後は、積立金基本方針とモデルポートフォリオというものを四大臣そろって定めて、同じようなルールで四つを運用していくと。これでもし仮に公務員共済だけが積立金を上手にふやせた場合、どうなるのか。別にここだけが得をするということはもちろんなくて、その運用の損得は全部ならして、支払われる年金は四つの年金で全て平等にする、こういう話であります。

 ここまでお伺いすると、なおさら私わからないのは、だったらやはり運用は一つにまとめてやったらどうか、分ける理由が一体何があるのかというふうに思うわけでありますが、大臣の御見解を伺います。

田村国務大臣 今までは、この積立金もそれぞれ運用方針が違っていたわけでありますが、今言われたとおり、モデルポートフォリオという形で基本的には同じような形の中で運用していく、ポートフォリオでは同じような形で運用していく、こういう話であります。

 これはもともと、自公政権のときに被用者年金の一元化の準備に入りまして、その後政権交代があって、民主党政権のときに法律を成立させたという案件でありまして、長い経緯がございます。

 今も、私学共済、これは事業団でありますけれども、それから地共済、国共済のそれぞれの組合、こういうところは医療保険を持っておりまして、この保険料の徴収とそれから給付をやっているわけでございます。そういう意味では、事務局機能をしっかり持っておられるということもございます。

 これは我々が法律を通したわけではないので我々が調整したわけではないんですが、被用者年金の一元化をするときに、それぞれ年金の積立金、積立金は二階部分だけじゃなくて三階部分の積立金もあるんですね、これは形を変えて残りますので、それも含めて運用を残す、事務局機能は残っていますから、残すという話になったわけでありまして、その流れの中で現在に至っておるということであります。

井坂委員 分けるというルールは、残っている理由は、今、過去の経緯ということで御説明をいただきましたが、分けたままにしておくメリットがあるのかということについてお伺いをいたします。

田村国務大臣 これは、それぞれ分けてやっておりますから、そういう意味ではシステムも違いますしオペレーションも違うわけでありまして、そういうもののリスクに対して対応できるのと、それはどうなんだという御意見もあるかもわかりませんが、モデルポートフォリオは一緒であっても、運用する内容は当然銘柄を含めて変わるわけでありまして、そういう意味では、運用のリスク分散というのも、地共済、国共済、私学共済、それなりの規模を持っていますので、ある意味、リスク分散という意味では意味があるのであろうというふうに考えます。

井坂委員 過去の質疑でも、特にメリットの御説明となると、リスク分散論ぐらいしか出てこないわけですね。そこを私は大変怪しいと思っていて、リスク分散は関係ないと思います。

 だって、もし本当にそうだとしたら、GPIFは何で分けて運用しなかったんですかという話ですよね。あれだって、百二十八兆円あるんだったら、五つ六つに分けて運用するのが当然だ。でも、そんなことはもちろん誰もしないですし、分けるといったって、もともと、次にお伺いしますけれども、民間で七十五のファンドにGPIFだって分けて運用している、あるいは国内、国外で株式、債券と大きく四つに分けて、十分リスク分散を一主体がして、システムとか運用方法まで変えて分散するんだ、そんな理屈が成り立つんだったら、GPIFだって、まさにそういうシステムと運用メンバーを変えた、四つ五つのファンドに分けてやるべきだという話になりますし、なかなかそこは説明がつかない部分じゃないかなと思います。

田村国務大臣 今一つのものを四つに分けると、それはいろいろな事務的な経費もかかりますし、いろいろな問題もあるんだと思いますが、今まであるものを、他の事務等々をやっているその機関でそのまま行うということでありますから、そういう意味では、リスク分散という意味と、それにかかる費用対効果みたいな話をした場合には、それなりに意味があるのではないかということを申し上げたわけであります。

井坂委員 大臣が本当に心底そう思っておられるか私は大変疑問でありますが、ちょっと時間もあるので、次に参ります。

 今度、年金積立金を株式で運用する問題点について。

 午前中も、ややハイリスクというかミドルリスクというか、そういう投資先、どうなんだという議論がありましたけれども、厚生年金、株の自主運用はできずに、投資一任契約という形で民間に投げている。これが、委託先が今、三十社、七十五ファンドあるということであります。

 パッシブ運用というのは、銘柄は選べない、べたっと全部買うという買い方でありますけれども、アクティブ運用というのもやっておって、民間の委託先が個別銘柄を独自に選んで買う、ここに年金運用主体側は口出しはできないわけであります。これを買えとかこれを売れとかできないわけでありますが、しかし、民間が買ったものを、この銘柄は今どれだけ買ってあるんですねということを事後に知ることはもちろんできる仕組みになっております。

 そこでお伺いいたしますが、こういう株式のアクティブ運用を年金運用主体が行うと、例えば、端的な例で、製薬会社の株の割合がファンドの中で非常にふえた場合に、厚労省は監督官庁としての役割もあります。一方で、年金運用の責任、そして資産をふやさなければいけない、年金運用主体としての厚労省もあります。これは純粋に利益相反になっていないかなというふうに思うわけでありますが、監督官庁としての厚労省と、年金運用、ふやさなければいけない責任ある立場としての厚労省の、この利益相反の問題について大臣の見解を伺います。

田村国務大臣 利益相反の防止は当然重要であるわけでありますが、厚生年金保険法において、関係者のコンプライアンス、これに関して徹底する規定があるわけであります。これに尽きるわけでありますが、厚生労働省の運用担当職員に関しましては、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない義務でありますとか、当然のごとく秘密保持義務があるわけでありまして、こういうところでしっかり担保する、これに違反すれば当然罰則があるわけであります。

 それから、GPIFの職員に関しましては、やはり同様の義務が課されているほか、当然のごとく善管注意義務もあるわけでありますし、あわせて忠実義務が課せられているわけでありますから、このような形で利益相反が行われないような一応仕組みができておるので、こういうものをしっかり守りながらコンプライアンスというものを維持していきたいというふうに考えております。

井坂委員 この監督先の会社あるいは業界の株はもういっそのこと買わない、こういう規制は考えられませんか。

田村国務大臣 そのこと自体が株価に影響を与えるものにもなるかもわかりませんし、今申し上げたように、当然、そこで利益相反が起こってしまったら、これは大問題であるわけでございますので、そのようなことが起こらないように、もちろん、監督しておる者と運用しておる者が同じ役所ではありますが、しておる者が同じ人ではない、部署が同じではないわけでございまして、そこはしっかりとファイアウオールをつくって、問題が起こらないような形で我々は対応してまいりたいと考えております。

井坂委員 まさに今大臣が一言目におっしゃった、そんなことをしたらその業界の株価に影響があると。私が次にお伺いしようと思っているのは、この点なんですね。

 巨額の年金の積立金です。こういった総額百六十兆にもなろうかという年金の積立金、しかも、今後、国内債券の割合は減らして、そして株式の割合をふやしていく、こういう大きな方向づけもされている。一方で、この巨額の運用資金ですけれども、どういう運用方針をとるかということ、先ほど申し上げた基本方針とかポートフォリオ、要は、国民に情報公開をしながらやらなければいけない。これが年金運用の難しいところだと思います。

 巨額のお金を、しかも、一定どんな割合で買いますという情報公開をしながら株式市場で運用していくと、これは、まさに大臣がおっしゃったように、株式市場を方向づけてしまうおそれがないですか。そのことについて、最後にお伺いをいたします。

田村国務大臣 この保険料は強制的に国民の皆様方からいただいておるわけでありますので、その運用内容を一定程度国民の皆様方に開示するということは、これは必要なことだというふうに思います。その上で、やはり市場をゆがめるようなことはしてはならないわけでございますので、そこは我々も細心の注意をしていかなきゃならぬわけであります。

 いずれにいたしましても、GPIFの具体的な投資行動、これに関しましては個々には公表していないわけでございまして、あくまでも年一回、業務概況に関して報告をさせていただいておるということでございます。

 ちなみに、ポートフォリオ等々に関しましては、これはやはり海外の年金運用機関等々も運用方針として示しておるわけでございますので、そのような意味では、国際的に見ても、一定の制約の中で対応しておるということになろうというふうに思います。

井坂委員 情報公開するなという趣旨では全くなくて、すべきなんですよ。ただ、情報公開をしている、しかも、巨額の運用資金を持っているプレーヤーが、手先の細かいところは見えなくても、大体今後どっちの方向に向かっていくのか、こういうところまでは市場にオープンにされてしまう。今、実際、債券はこれからお金が抜かれていくんだな、株式に入っていくんだな、こういうことがもう既に市場には出ているわけですから、方向づけの問題というのも私は結構あるのではないかなと。

 この問題は、また年金に絡めて引き続き議論をしていきたいというふうに思います。

 以上です。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

後藤委員長 次に、内閣提出、難病の患者に対する医療等に関する法律案及び児童福祉法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。田村厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 難病の患者に対する医療等に関する法律案

 児童福祉法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田村国務大臣 ただいま議題となりました難病の患者に対する医療等に関する法律案及び児童福祉法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を説明いたします。

 まず、難病の患者に対する医療等に関する法律案について申し上げます。

 難病対策については、これまで約四十年にわたり予算事業として推進してきましたが、医療費助成の対象となる疾病が限られていることや、都道府県に超過負担が発生していることなど、さまざまな課題を抱えています。

 このため、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、基本方針の策定、公平かつ安定的な医療費助成の制度の確立、調査研究の推進等の措置を講ずることとし、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。

 第一に、難病の患者に対する医療等は、難病の克服を目指し、難病の患者の社会参加の機会が確保され、難病の患者が地域社会において尊厳を保持しつつ他の人々と共生することができるよう、総合的に行わなければならないことを基本理念としています。また、国は、難病対策の基本的な方向等について基本方針を定めることといたしております。

 第二に、難病のうち患者数が一定数に達しない疾病を指定難病に指定するとともに、都道府県は、指定難病の患者が、指定医療機関からその医療を受けた場合には、医療費を支給することといたしております。

 第三に、国は、難病の原因や治療方法等の調査研究を推進するとともに、その成果を積極的に研究者や医師等に提供することとしています。また、都道府県は、療養生活環境整備事業として、難病の患者の相談に応じる事業等を行うことができることといたしております。

 第四に、国は、医療費の支給に要する費用の二分の一を負担するとともに、療養生活環境整備事業に要する費用の二分の一以内を補助することができることといたしております。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、平成二十七年一月一日としています。

 次に、児童福祉法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 小児慢性特定疾病の児童等に関する施策については、医療費助成について、安定的な財源の仕組みとなっていないこと、小児慢性特定疾病の児童等の自立支援の充実等が求められていることなどの課題を抱えています。

 このため、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、公平かつ安定的な医療費助成の制度の確立等の措置を講ずることとし、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。

 第一に、都道府県は、小児慢性特定疾病の児童等が、都道府県知事が指定する医療機関からその医療を受けた場合には、医療費を支給することとしています。

 第二に、都道府県は、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業として、小児慢性特定疾病の児童等とその家族等に対し、相談支援事業を行うとともに、地域の関係機関や小児慢性特定疾病の児童等及びその家族等の意見を聞いて、小児慢性特定疾病の児童等の自立を支援するさまざまな事業を行うことができることとしています。

 第三に、国は、長期にわたり疾病の療養を必要とする児童等の健全な育成に資する調査研究を推進するとともに、その成果を研究者や医師等に提供することとします。また、厚生労働大臣は、長期にわたり疾病の療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本方針を定めることとしています。

 第四に、国は、医療費の支給及び小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の実施に要する費用の二分の一を負担することとしています。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、平成二十七年一月一日としています。

 以上が、二法案の提案理由及びその内容の概要であります。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願い申し上げます。

 以上でございます。

後藤委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、来る十五日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十四分散会


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