衆議院

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第11号 平成26年4月15日(火曜日)

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平成二十六年四月十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      今枝宗一郎君    大串 正樹君

      大見  正君    金子 恵美君

      木内  均君    小松  裕君

      古賀  篤君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高鳥 修一君

      高橋ひなこ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    永山 文雄君

      船橋 利実君    細田 健一君

      堀内 詔子君    松本  純君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      大西 健介君    中根 康浩君

      長妻  昭君    柚木 道義君

      足立 康史君    浦野 靖人君

      清水鴻一郎君    重徳 和彦君

      岡本 三成君    桝屋 敬悟君

      中島 克仁君    井坂 信彦君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   参考人

   (一般社団法人日本難病・疾病団体協議会代表理事) 伊藤 建雄君

   参考人

   (認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク会長)          小林 信秋君

   参考人

   (一般社団法人全国膠原病友の会代表理事)     森  幸子君

   参考人

   (独立行政法人国立成育医療研究センター理事長・総長)           五十嵐 隆君

   参考人

   (稀少がん患者全国連絡会会長)          松原 良昌君

   参考人

   (NPO法人線維筋痛症友の会理事長)       橋本 裕子君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  大久保三代君     木内  均君

  三ッ林裕巳君     青山 周平君

  山下 貴司君     細田 健一君

  輿水 恵一君     岡本 三成君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     三ッ林裕巳君

  木内  均君     大見  正君

  細田 健一君     山下 貴司君

  岡本 三成君     輿水 恵一君

同日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     大久保三代君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 難病の患者に対する医療等に関する法律案(内閣提出第二四号)

 児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、難病の患者に対する医療等に関する法律案及び児童福祉法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 本日は、両案審査のため、参考人として、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会代表理事伊藤建雄君、認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク会長小林信秋君、一般社団法人全国膠原病友の会代表理事森幸子君、独立行政法人国立成育医療研究センター理事長・総長五十嵐隆君、稀少がん患者全国連絡会会長松原良昌君、NPO法人線維筋痛症友の会理事長橋本裕子君、以上六名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず伊藤参考人にお願いいたします。

伊藤参考人 本日は、このような機会を与えていただきまして、委員長初め皆様に心から感謝申し上げます。

 昭和四十七年の難病対策要綱の制定来、数多くの実績を上げてきた難病対策が、総合的な難病対策として念願の法制化を迎えるに当たり、一九七二年当時の難病対策要綱をつくるに当たっての、国会での熱い思いのこもった真摯な論議や参考人の方々の御発言と患者、家族のこの対策に寄せた希望と大きな期待とを思い、感慨深いものがあります。先人諸氏、諸先生たちがこのたびの法制化をどのように評価されるのだろうかと思うときに、私としても内心恐懼たる思いもまた禁じ得ません。

 さらに、この後、四十年後とは言わないまでも二十年後に、どのような現実を迎え、この法律がどのような評価をいただくことになるのか、その評価を恐れつつ、私は今ここに立っております。

 このたびの難病の患者に対する医療等に関する法律が、四十年前の難病対策要綱の施行を基盤としていることは当然のことながら、この間の難病の治療研究の進歩発展と、新しい難病対策、総合的な難病対策を求める当事者としての患者、家族からの働きかけと、多くの医療関係者や行政の後押しの上に立っての公平と公正を求めるさまざまな論議の結果であるということだと思います。四十年前の、原因不明で治療法のない、いわば絶望の状況にあった患者と家族が、今は社会参加と就労さえもそのターゲットにできる時代を迎えているという中での難病対策の法制化であるということです。

 また、一方で、当時は予測できなかった数多くの難病がこの難病対策の範疇に入るということであり、欧米先進諸国と連携した研究も進められてきた結果でもあると思います。

 そういう意味では、難病対策の改革の議論の中心となった厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会が、患者・家族団体の代表も参加して、さまざまな角度からの論議と討議を経て、二〇一一年十二月の難病対策委員会において、「希少・難治性疾患は遺伝子レベルの変異が一因であるものが少なくなく、人類の多様性の中で、一定の割合発生することが必然。」であり、「「希少・難治性疾患の患者・家族を我が国の社会が包含し、支援していくことが、これからの成熟した我が国の社会にとってふさわしい」ことを基本的な認識とした。」という基本的認識によって改革の方向を一致させ、さらに、二〇一二年八月の難病対策委員会中間報告によって、「難病の治療研究を進め、疾患の克服を目指すとともに、難病患者の社会参加を支援し、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指すことを難病対策の基本理念とする。」という難病対策の基本理念を確立したことは、難病対策の方向を示した大きな成果であり、患者・家族団体も高く評価するものであり、また、我が国の医学、医療の世界にとっても高く評価されなければならないものであると思います。

 そして、これらの基本的認識や基本理念によって、難病対策の法制化実現への道が開かれたものと確信しております。

 これらの基本的認識と基本理念によって、難病対策の法制化に先立って、患者、家族の長年の念願であった障害者並みの福祉をという願いが、改正障害者基本法と障害者総合支援法の対象として、難病もその対策に取り入れることが実現し、さらに、就労支援や雇用支援への道も開かれることとなりました。

 総合的な難病対策への改革はまだ途上にありますが、その達成を目的として、難病対策が法律となって新たな船出をすることを、今まで難病対策には入れなかった多くの患者、家族も心待ちにしており、私ども患者・家族団体も一日も早く実現するよう心から願うとともに、政府・与党、国会関係者の皆様の御尽力に心から感謝を申し上げるものです。

 この難病法の成立の後の実施において、懸念や心配をしている点を幾つか挙げることができます。

 それは、実施に当たって、他の制度や行政機関の連携強化が果たしてどのように進められるのか、また、実施機関としての地方公共団体における格差のない取り組みはどうなるのか、今後の低所得患者への配慮の問題などです。

 難病患者とその家族は、多くの社会的ハンディとともに、療養に関するさまざまな経済的負担と肉体的、精神的負担の状況のもとに置かれており、特に低所得者の経済的負担は重く、このたびの難病法の成立後においても、なお重要な課題の一つかと思います。

 新しいこの法律の施行には、多くの難病患者、家族から大きな期待が寄せられております。日本の難病対策の根幹からの大改革として、また、多方面にわたる総合的な難病対策への道筋をつけたものとして、大きな評価を受けるものです。しかし、法制化の後、さらによりよい難病対策の実現に向けて、積み重ねていかなければならない課題もあるということも事実であり、今後、どのようにそれらの課題が取り上げられていくことができるのかという患者、家族の懸念に対して、しっかりとした方向を改めて確認いただけないかと思います。

 難病患者という階層も人種も存在するわけではありません。難病患者であっても、一人の人間として、日本で暮らす生活者であることも忘れてはならないことです。

 その難病患者が地域で尊厳を持って生きていくことのできる共生社会とは、どのような社会をいうのでしょうか。

 それは、医療だけではなく、療養生活を送る場所の確保であり、食であり、介護支援の充実であり、患者の社会参加や、教育や保育を受けることであり、およそ人として生きていくことが保障されるということだと思います。

 例えば、生活の質を向上させるに当たって、福祉制度を利用することは一人の日本に住む者としての権利なのですが、その前の関門として公的な認定を受けなければならず、さらに、どのような制度があって、それを利用することができるのかという知識が患者とその家族にもなければなりません。我が国の福祉制度に関する周知は、学校教育も含めて国の責務であるだけではなく、地域の安心と住民の生活を支える地方公共団体の役割でもあるのだと思います。

 さらには、どのような制度を利用することが自分の受け持ち患者の生活の質を向上させることができるのかという福祉制度に関する医学教育の課題でもあり、医師の知識とその利用に関する幅の広い観点が必要なのです。

 しかし、残念ながら、今の日本の医療や教育の世界には大きく欠けている分野でもあることも事実なのであり、今後の大きな課題としなければならないと思います。

 また、昨年四月より実施されている総合支援法によって、難病患者も他の障害と同じ福祉制度の利用ができるようになったと言われていますが、実態においては、障害分野間においても大きな格差があることも事実であり、その改善の道は、患者、家族が必死になって国に働きかけ、はかり知れない努力と時間を費やさなければならない状態であり、今後の課題であると思います。

 さらに、今後の重要課題として、あらかじめ問題を提起しておくとすれば、それは例えば医療費の負担であり、就労や雇用や病気による失業に関してであり、例えば障害年金についてであり、また教育や保育の場の問題でもあるのです。これらの格差と不都合は、急いで改善しなければならない大きな国の課題ではないでしょうか。公平公正な制度というのは、同じ制度の中だけのことではなく、他の制度との関係においても議論しなければならないことだと思います。小児慢性特定疾患のトランジションの問題も、その延長線にある問題ではないでしょうか。

 老齢年金についても、病気を持ちながらも定年まではと必死で頑張っても、年金の受給年齢にはまだ遠いという現実は、場合によっては患者の生きる希望をさえ打ち砕きかねないことなのです。

 これらの課題は、まず法制化を実現することを第一とした後の課題としなければならないと考えます。

 地方公共団体についても触れておかなければなりません。

 難病対策は国の政策ですが、その実施主体は都道府県とされています。間もなく政令都市、中核都市でも実施の役割を果たさなければならないのですが、果たしてどのように取り組もうとしているのでしょうか。

 全ての患者と家族は地方公共団体の住民であり、そこで生活を送っている紛れもない住民なのです。

 他の障害と同じように、国の制度に上乗せした施策や独自の支援制度があっても、全くおかしくはないのです。今までも取り組んできた自治体も少なくはありませんが、それらの点について国としてもどのように取り組むのかも、今後の重要な難病対策の一環であると考えます。

 難病患者が安心して地域で生活を送るためにはさらに多くの課題がありますが、難病対策が法制化されることでの期待できる側面として、私たちはこれらの課題にも大きな関心を寄せています。そこを改善しなければ新しい難病対策の本当の力は発揮できないのだと思います。

 新しい総合的な難病対策を求めて、そして難病法の成立に向けて、日本の患者・家族団体は、病気に立ち向かいながらもその力を発揮してきたと思います。国民全体への貢献として高額医療費の限度額の引き下げにも取り組んできました。これからも当事者として発言と行動を通じて社会に貢献していかなければならないと思います。地域社会においても、患者団体は地域社会を暮らしやすくするために貢献する活動を続けていくことと思います。

 EU諸国のように、我が国においても、国民を代表する当事者組織として、国や自治体の施策として患者団体を育成強化する政策もお願いいたします。

 この要望を終えるに当たり、一言つけ加えたいと思います。

 厚生労働大臣は法に基づき基本方針を定めることになっています。国会においても、ぜひ、この法律がよりよいものとなるよう、一層の充実を願い、多くの患者、家族を励ますものとなるよう、附帯決議をつけていただきたいという患者の声もあったことを御紹介するとともに、この難病法が速やかに成立いたしますよう、多くの難病患者、家族を代表してお願い申し上げます。

 総合的な難病対策の実現に向けて、新しい難病法の制定に御尽力くだされた厚生労働大臣及び政府・与党と、真摯に審議を重ね、また患者団体を御指導いただいた衆議院厚生労働委員会委員長並びに委員の皆様に深く感謝申し上げます。(拍手)

後藤委員長 ありがとうございました。

 次に、小林参考人にお願いいたします。

小林参考人 小林でございます。

 きょうは、このような機会をいただきまして、多くの先生方、皆様に心から御礼を申し上げたいと思います。

 私は、現在、認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワークで活動しておりますが、SSPE、亜急性硬化性全脳炎という治療法のない病気の父親でございます。二十六年間この活動を進めてまいりましたけれども、現在、いろいろな、治療法がなかったり、長く療養している子供を持っている親たちが構成している団体、五十八団体が集まって、一緒に勉強をしたり交流をしたりして活動してきております。

 小児慢性特定疾患治療研究事業については、以前から、さまざまな制度のありようをめぐってみんなで話し合いながら、研究を進めてきたわけでございますが、この制度は、病気のある子供たちが経済的な理由で医療が受けられないのでは、児童の健全育成にそぐわないというふうなことから、一九七四年に創設された制度でございます。十九歳までの子供十一万人が、対象として、現在、医療の給付を受けているところでございます。

 私もそうですし、ほかの多くの親たちもこの制度の中で随分助けられてきたわけですけれども、一九九七年に構造改革法という法律が国会で成立したわけです。このときに、小児慢性特定疾患治療研究事業もこの構造改革法の対象というふうになりました。いわゆる補助金という対象だったわけですけれども、これによって毎年一〇%ずつの予算削減というふうなことになったわけです。

 毎年一〇%の予算が削減となりますと、数年で事業の意味がなくなってしまうということで、私たちは、さんざん助けられたこの制度を維持するにはどうしたらいいだろうかということを話し合ってきたわけです。このときに出てきたのは、法制化することだ、児童福祉法の中に位置づけて法制化をして、制度を安定化してもらおうということで、先生方初め厚労省にもお願いをして、平成十七年に児童福祉法の中にこの小児慢性特定疾患治療研究事業を位置づけていただいた。

 この時点で、この制度は安定した制度として、安心してみんな給付を受けることができるんだねというふうに思っていたわけであります。

 しかし、二年ほど前になりまして、初めて、この法制化も奨励的予算というふうに話を聞いたわけです。このとき、予算が、奨励的予算というのと義務的予算というのがあるんだというふうなことを初めて伺いました。もうこの時点でも、やはり予算削減の対象になっている。

 勉強不足ということになればそのとおりですけれども、何しろみんなふだんは普通のサラリーマンをしたりしている一般の人間ですから、奨励的予算とかあるいは義務的予算というような、そうした国の構造そのものには、ほとんど勉強もされておらず、知らなかったわけですけれども、やはりまた同じようなことにぶつかって、みんなでまた議論を重ねてきたわけであります。

 ちょうど難病対策が法制化というふうなことがあって、それに引きずられる形で、引きずられるというよりかは、言い方は悪いんですけれども、便乗するような形で、小児慢性疾患もあわせて法制化していただくことで制度の安定性を願えるのではないかというふうなことから、みんなまた全体で一致をしてお願いをしてきたところでございます。

 子供の難病というと、なかなか、皆さん御存じのない方が多いわけですけれども、一つ一つの病気というのは、非常に患者数の少ない病気が多いわけです。先天異常、遺伝の病気だとか染色体の異常の病気というのは、日本じゅう探しても百人もいないような病気が数多くございます。したがって、同じ病気の患者に会うという機会もなく、地域で孤立していく家族も非常に多くあります。

 それから、何かを働きかけたいと思っても、同じ病気の人たちで会うことができませんので、そうした声もなかなか届くことができない。先ほど申し上げた私の子供の病気も、亜急性硬化性全脳炎という病気も日本で百人もいないような病気でございますので、やはりそうした声を届けていく仲間と一緒に集うというのは、非常にまれな形になるというふうなことが言えるかと思います。

 また、一方で、患者が少ないというのは、診断がおくれたり、あるいは治療法の周知が十分行き渡らないなどのさまざまな問題があります。

 また、子供が病気になるというふうなことは、一般の普通の大人が、私たちが病気になるのとは違っていまして、子供が病気になりますと、子供というのは必ず成長、発達します、どんな重い病気であっても必ず成長、発達しますので、新生児期、乳幼児期、就学期、思春期、それぞれに応じた教育とか保育とかさまざまな対策が必要なわけです。しかし、日本の現在の状況は、そうしたことは非常に不十分でございます。

 そうしたことを、学校の選択や、あるいは病院の選択など、年齢に応じたさまざまなことをやはり考えていかなければならないなというふうに思っているところです。

 それから、多くは兄弟がいるわけですね。大きい兄弟ならほうっておけばいいんですけれども、幼い兄弟はほうっておくわけにはいかないわけです。私の息子が入院していたときも、兄弟の娘たちは、妻が面会に行きますと、病院の廊下で、誰もいないところで、面会時間ずっと二人で遊んで時間を過ごすというようなことがずっと続けられておりましたし、また、親が当然若い、三十代の、私のときもそうでしたけれども若い親御さんたちですから、経済的に非常にやはり困難が伴うということが言えるかと思います。

 そして、子供の場合は先天的な病気が非常に多いんですね。染色体異常や遺伝の病気、こういうことによって、あらぬ誤解とかあるいは偏見、やはりこれだけ社会が進んだ時代でもいまだにそうしたことは珍しくなくて、つらい思いをする子供たちや家族が少なくない、そうした相談を私たちもよく受けているわけです。

 何より、子供たちあるいは家族を社会がやはり支えていく必要があるだろうなというふうなことを私たちは考えております。大事なことは、啓発とか啓蒙とか、そうしたことをもっともっとこれまで以上に進めていく必要があるだろうなというふうに考えております。

 こうした背景の中から、小児慢性特定疾患を法制化していただくことによって、医療費はもちろんですけれども、医療でも、あるいは社会の中でも、そうした啓蒙啓発を進めていくことが可能になってくるというふうに私たちは考えているところでございます。

 小児慢性特定疾患を、早期に法制化をぜひ進めていただいて、制度の安定化を図っていただき、そのことを通じて、広く社会の人たちに、小児慢性特定疾患の患者さんたちの置かれている状況なども知ってもらえることにつなげていけたらいいなというふうに思っているところでございます。

 もう一点は、今回の小児慢性特定疾患の新しい事業の中に、自立支援というプログラムが考えられています。地域の中でいかによりよく子供たちと家族が暮らしていけるか、病気がありながら、地域の中で地域の人たちと一緒に生きていくことがどうすればできるだろうか、きっと、教育とか就労とか、あるいは周辺の地域社会とのつながり、そうしたものをいかに持っていくかということだろうかと思いますけれども、この自立支援というプログラムが今回組み込まれることになっております。

 私たちもこのことについて、患者団体としても、その理解を進めるために啓発に取り組んでいきたいと考えておりますけれども、これまでどうしても、こうしたことを進めていこうとすると、地域格差が非常に多く、あるところではとても積極的に自治体が取り組んでいただいているけれども、あるところでは非常に消極的であるというふうな報告が必ず出てまいります。これをぜひ国からも働きかけていただいて、積極的にこうした問題に取り組んでいただけるようにお願いをしたいというふうに思っております。

 先ほど申し上げたように、私どもも、さまざまな方法を通じて、地方や、あるいは医療や教育に一緒にやっていきたいと思っておりますので、ぜひそこをお願いしたいと思います。

 それから、もう一点は、今回は取り組みとして実現が難しい状況になっておりますけれども、トランジションの問題であります。

 小児慢性疾患は、制度ができたときから制度の切れ目が出てまいります。よく言われますけれども、病気が治らない、治らないから小児慢性疾患になっているわけですけれども、治らないまま成人しても、就労や地域の暮らしの中でさまざまな問題が提起されているわけです。小児慢性疾患をぜひ切れ目のない制度として、二十歳以降もその恩恵が受けられるような形で、いろいろな形で御支援いただけるような、そうした制度の仕組みをぜひこの場でも、国や国会でも御議論いただいて、よりよい制度の実現に結びつけていただけたらなというふうに思っております。

 今回の難病対策と小児慢性疾患が、この国会でも、先生方の間でもさまざまな議論をこれまでしてきていただいておりますし、厚生労働省でもさまざまな議論を、これまで本当に積極的に取り組んでいただいております。私どももいろいろな機会で、意見を申し上げる機会を頂戴してきておるわけですけれども、ぜひともこの機会に、よりよい制度として先生方に取り組んでいただけますように切にお願いをいたしまして、私の意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。(拍手)

後藤委員長 ありがとうございました。

 次に、森参考人にお願いいたします。

森参考人 全国膠原病友の会代表理事の森幸子です。よろしくお願いいたします。

 本日は、このような発言の機会をいただき、まことにありがとうございます。

 私ども全国膠原病友の会は、昭和四十六年、難病対策が始まるちょうど一年前ですけれども、その年に全国組織の疾患の患者団体として発足いたしました。今とは全く生活も、また医療の体制も違うわけですけれども、私たちは、難病対策とともに歩んできた患者団体の一つだと言えると思います。

 皆様におかれましては、本当に長い期間、難病対策の改革について、四十年ぶりとなるこの法案などなど、いろいろな審議をいただきまして、深くお礼申し上げたいと思います。私たちも、さらにきちんと私たちの意見も取り入れていただきながら、よりよい法案として成立することを願っております。どうかよろしくお願いいたします。

 配付資料をお配りいただいております。

 そちらをごらんいただきますと、私ども膠原病という病気は、一つの病気ではなく、免疫の異常から全身に炎症の起こる疾患の総称として膠原病というふうに一般的に呼ばれている病気です。

 私たちの体には、正常な免疫というものがあります。自分自身の体を守るために、外敵が入ってきますとリンパ球などが攻撃をし、私たちの体を守ってくれる仕組みです。この免疫という仕組みが、私たちの体では、どういうわけか、異常な免疫として自分自身に向かって攻撃する自己抗体というものをつくってしまいます。

 この炎症の場所とされているのが、細胞と細胞をくっつけているような、結合組織と言われるようなところに炎症が多く起こっています。ですから、全身にわたってくまなく結合組織が存在し、そのところでいろいろな形になって炎症が起こります。例えば、皮膚で起これば皮膚に対して炎症がありますし、関節で起これば関節が壊れたり、炎症が起こったりしています。また、臓器もやられてきたりします。

 さまざまな症状が出ますけれども、私も、頭の先から足の先まで、こちらの図にありますようなさまざまな症状を抱えております。そのために、まだ膠原病に対する薬は開発されておりませんので、主にステロイド剤ですとか免疫抑制剤といったものを毎日毎日飲み続けながら、そしてまた副作用なども抱えて、闘いながら毎日を過ごしています。一日でもこの薬が飲めなかったり欠けてしまうと、私の場合は、たちまち動けなくなり、大体、朝飲むお薬が夕方に飲めなくなっている状態では、だるくて起きていられない状況になってしまいます。

 次のページをごらんいただきます。

 膠原病には、このような多くの疾患があります。全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、混合性結合組織病などなど、現在の制度で特定疾患治療研究事業に指定されている、対象となっている疾患群があります。そしてまた、右側に記載いたしておりますような、今はまだ特定疾患の対象となっていない疾患などもあります。これら一つの膠原病という仲間の病気でありながら、このように制度の違いという矛盾を抱えている、そんな状況であります。

 同じような原因で起こり、そして同じような治療を行っていて、同じように苦しんでいるにもかかわらず、同じように膠原病だというふうに言われているのに、たまたま名づけられた私の病気は全身性エリテマトーデスでした、ですから特定疾患という制度によって治療研究をされています。ところが、これが、もし私が違う病気であって、特定疾患に入っていなかったら、今どんなふうに生活しているだろうかというふうに考えてしまいます。それらの病気も、同じ仲間として私たちは一緒に活動いたしております。このような矛盾のないような制度をぜひつくっていただきたいと思っております。

 次に、下にグラフが描いてあります。

 こちらですが、膠原病といいますと今では一般的によく知られた病気の一つにもなっているかと思います。ところが、専門医はまだまだ非常に少なくて、地域格差が非常に大きいです。リウマチと言われる病気の整形外科の先生は割と都道府県にも数多くいらっしゃるのですが、免疫を診ていただく、内科系の膠原病を診る先生というのは非常に少ないです。このグラフは私どもが調査したものですけれども、この中には、隣の都道府県から大学病院の先生が週に一回だけ外来に来られているという、その先生の数も含んでこのような状態になっていますので、都道府県の中に常勤が一人もいらっしゃらないというところも含まれております。

 私たちは、専門の先生にきちんとした診断をしていただき、できるだけ早期に的確な治療に乗りたい、しっかりとした初期の治療を受ければ、大きな臓器の障害もなく、何とか日常生活を注意しながらやっていける、そんなふうに思います。多くの膠原病の患者さんはそんな状態に持っていけるのではないかというふうに思っております。ところが、早期に専門医の先生方に出会えないと非常に重篤な状態になり、診断もつかずに亡くなっておられる方がまだこの日本の中にもたくさんおられます。

 そのような状況ですので、私たちは、今回の法案の中にあります指定医によってしっかりとした診断がつくことは非常に賛成いたしておりますが、このグラフを見ていただくとおわかりのように、専門医に出会うということが非常に難しい。一つの都道府県で、専門医のところまで行くのが非常に困難である地域もございます。それらのアクセスの問題なども考えていただき、配慮いただきながら制度をつくっていただきたいというふうに思っております。

 また、医療費の助成制度ですが、重症度分類等の区分をされるというふうに聞いております。私たちは、今の状態から治療を受けなくなったら必ず重症化してしまうというふうに考えます。ですから、今受けているこの治療が、医師の指導によって、毎日、日常生活をきちんと注意して行えるように、そのような状態の治療が続けられることを願っております。

 特に、発病時ですとか、それから、また病気が再燃したとき、悪くなったときに、しっかりとした治療が必要です。そのときは、治療によりましては予後を左右することもあります。治療を続けることで病状が安定していて、治療をやめてしまえば重症化するというような、そんなことが今回の改正によって行われるようなことにならないよう、ぜひお願いいたします。

 そしてまた、今申しましたようなステロイド剤や免疫抑制剤が全く効かない膠原病の患者さんもいらっしゃいます。特異的な治療を受けたいけれどもそれが効果がないという方もいらっしゃって、痛みどめだけで何とか過ごしておられたり、また、臓器などの障害を一生懸命治療されている方もいらっしゃいますので、一般的な膠原病の治療というものは一つではないということも御配慮いただきたいと思います。

 次に、膠原病の治療と研究についてです。

 まだ、膠原病を治療するという薬は一つも開発されていません。全てが対症療法です。症状が非常に多彩で、薬の効果が非常に評価しにくいというところがあります。治験を行おうとしても、膠原病全体では患者数は多いですけれども、条件を絞っていって薬を開発している、その部分におきましては非常に患者数が少ないということがあります。これらの支援もぜひお願いしたいと思います。

 そして、海外で認められている薬が日本では使えないという面もあります。安全性はしっかりと確認していただきたいですが、できるだけ早く保険適用されて、安心して使える医療としていただきたいです。

 膠原病の療養生活についてです。

 私たちは、寛解と再燃を繰り返す、よくなったり悪くなったりということを繰り返しながら慢性的に日常生活を送っております。一日のうちで変動することもありますし、季節によって変わることもあります。どんなふうに体を使えばよくなるのか、悪くなるのか、なかなか難しくてわかりません。症状による変動があることで日々状態が違いますので、生活に支障が出ます。なかなか急な対応というものができません。

 見た目は元気そうに見えるので、逆に、私なども怠け病だと言われたこともあります。ステロイド剤で真ん丸に体の方が変わってしまい、そして、やはり疲れるので横になったりすると、病院の中でも、ごろごろしているからそんなふうになるんやでというふうに言われたこともあります。医療機関の中でさえなかなかわかっていただけない、非常に偏見や誤解が多いというのが私どもの病気です。ほかの疾患も、そのようなことはたくさんあるかと思います。

 今回の法律の改正によりまして、周知がしっかりと行われるように、正しく理解いただけるように、ぜひお願いしたいと思います。私たちは、副作用の強い薬を飲み続けて生活しております。非常に大きな不安を生活全体に抱えているということを御配慮ください。

 最後に、就労支援についてです。

 やはり、私たちも生活を営んでいかなければなりません。そのためには、経済的な問題は非常に大事です。経済的な安定がないと、精神的な安定も図れません。

 親や兄弟、そして配偶者などによって、自分自身の医療費を何とか賄ってもらうということをちょっと想像してみてください。やはり、どうしても肩身の狭い思いがしてしまいます。もしも、自分が就労して、自分の手で働き、その医療費が賄えるぐらいの収入を得られたのならば、どれだけ精神的な安定も図れるでしょうか。

 しっかりと自己管理をし、そして、適切な仕事と個々に合わせた職場での配慮があれば、私たちは病気を隠して無理して働かなくてもよいのではないかと思っています。そのことで、また病気の方が悪くなるというような悪循環が生まれているのが現状です。

 多くの難病患者さんの生活というものに、この就労の支援というものも非常に大きな影響をしているかと思いますので、ぜひ具体的な支援策を考えていただきたいと思います。

 私たち膠原病は、小児に発症したり、そして、非常に若い年代での発症が多いです。非常に長い期間、就学であったり就労であったり、結婚や子育て、そして親の介護であったりまた自分の高齢化、それらを病気とともに生きています。どうか総合的な難病対策が一日も早く、よい形で成立することを願っております。

 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

後藤委員長 ありがとうございました。

 次に、五十嵐参考人にお願いいたします。

五十嵐参考人 国立成育医療研究センターの理事長をしております五十嵐と申します。

 本日は、お話をする機会をいただきまして感謝申し上げます。

 私は小児科医であります。小児腎臓病、あるいは水・電解質代謝の臨床あるいは研究にこれまで従事してまいりました。在籍した大学病院の小児科では、慢性疾患や難病を持つ子供の医療にかかわってまいりました。

 私は、平成二十四年九月に設置された小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会の委員長として、昨年十二月の報告の取りまとめにかかわりました。また、平成二十四年十月から難病対策委員会の委員として参加をしております。

 本日は、現行の難病対策の課題とその改革に向けた取り組み、それから、小児の慢性疾患患者さんと御家族への支援のあり方に関して、両委員会で議論を行いまして、それを踏まえてお話をさせていただきます。

 まず、現行の難病対策とその課題についてであります。

 我が国の本格的な難病対策は、既にお話をいただいておりますけれども、昭和四十七年の難病対策要綱の策定から始まりました。対策の中心は、患者数の少ない難病に対し研究費から医療費助成を行い、患者さんのデータを集積することでした。

 これまで四十年間、多くの関係者、患者さんや支援する方々の御尽力により、難病の実態把握、診断・治療ガイドラインの作成、医療水準の向上、治療法の開発、あるいは患者さんの療養環境の改善に一定の成果を上げたと思います。実際、希少で治療困難な疾患の病態が解明され、進行をおくらせ、症状を改善させる治療法も、少しずつですが開発をされてきております。

 しかしながら、希少で治療困難な疾患の中には、研究事業や医療費助成の対象になっていないものがありまして、患者さんや医療関係者の中に不公平感があるのは事実であります。また、医療費助成だけでなく、長期間難病とともに生きる患者さんの療養生活や社会参加への支援が今後ますます必要になってくるものと思われます。

 こうしたさまざまな問題を解決するために、難病対策委員会において、金澤一郎委員長のもとで、二年三カ月をかけて精力的に検討が行われました。

 委員会では、まず、難病をどのように捉え、難病に対してどのような対応をとることができる社会を目指すのかということについて議論をいたしました。

 そして、希少で治療困難な疾患は、先ほどもありましたように、遺伝子レベルの変異が一因であるものが少なくありません。生命の生存と適応において遺伝的多様性は重要な役割を持ち、遺伝子レベルの変異は、頻度は少ないものの、全ての人に一定の割合で発生しています。すなわち、遺伝子レベルの変異は、国民の誰にでも発生し、その一部が病気として発症する可能性があることから、我が国の社会が、希少で治療困難な疾患を科学的に正しく理解し、患者さんと御家族を支援することが、これからの成熟した我が国の社会にとってふさわしいと考えますということを基本的認識と確認しました。これは、ゲノム医療の時代における人と社会とのあり方を示す普遍的な考えだと思います。

 さらに、委員全員が一致して、現行の制度の一部を修正しても問題を解決することは難しく、難病対策の抜本的な改革が必要であるというふうに考えました。それも、早急に改革することが必要であるという結論に至りました。

 新たな難病対策が目指す基本理念は、第一に、難病の治療研究を進め、それを治る病にすることであります。あるいは、進行をおくらせ、症状を軽くしたいと思います。

 第二に、難病患者の社会参加を支援し、地域で尊厳を持って生活できる社会を実現することであります。

 そのため、委員会は、新難病対策で取り組むべき四つの点を提言させていただきました。

 第一は、難病対策の基本理念に基づき、国が難病対策に係る基本方針を定め、総合的な難病対策を進めることであります。

 第二は、効果的な治療方法の開発と医療の質の向上であります。

 難病の中には、疾患概念が確立していないものがあります。診断基準がないものもあります。治療法がない、または不十分なものもあります。いろいろな疾患が含まれております。患者さんの第一の希望は、有効な治療法が開発され、病気が治ることです。したがいまして、難病研究の推進が最も重要と考えます。

 希少な疾患の研究を進めるためには、全国の患者さんのデータを集約し検討することで、疾患の実態を把握し、病態を解明し、診断方法を確立し、治療法の検討とその評価、あるいは、予後に与える要因の分析が可能になります。

 難病はまれな疾患のため、専門とする医師も限られています。難病医療の質を向上させ、都道府県の格差をなくすためには、新・難病医療拠点病院の整備、あるいは、学会等の協力による難病医療支援ネットワークの構築がこれから必要と考えております。

 第三は、公平、安定的な医療費助成の仕組みの構築であります。

 難病対策委員会では、これからの医療費助成は、治療方法の開発等に資するため、難病患者データの収集を効率的に行い、治療研究を推進するという目的のほかに、効果的な治療方法が確立されるまでの間、長期の療養による医療費の経済的な負担が大きい患者を支援するという福祉的な目的、この両方を持つものと考えております。したがって、当然、公平で持続可能な仕組みとすることが大事と考えます。

 また、医療費助成の対象となっている疾患は現在五十六疾患でございますけれども、これに限定することなく、患者数が人口の〇・一%程度以下であること、原因が不明である、効果的な治療方法が確立していない、生活面への長期にわたる支障がある、この四要素を満たし、かつ、客観的な指標に基づく一定の診断基準が確立している疾患とするというふうに考えております。ただし、疾患によりましては一定期間軽症の状態が続く場合もありますので、医療費助成の対象は、対象疾患に罹患している患者のうち、日常生活または社会生活に支障がある者とすることが適当と判断いたしました。

 一方、患者負担につきましては、自立支援医療における利用者負担を基本とし、長期間の治療が必要で、症状が変動し、入退院を繰り返すことも多いなどの難病の特性を踏まえまして、負担割合を現行の三割から二割に軽減し、入院と外来の区別なく、所得に応じた負担限度額を設定することとしました。さらに、高額な医療が長期的に必要な方、人工呼吸器等の生命維持装置を常時装着している方等の負担を軽減する、あるいは、現在、医療費助成の対象となっている方は負担増を緩和するなど、きめ細かく対応することといたしました。

 第四の柱は、国民の理解の促進と患者の社会参加のための施策の充実です。

 難病はまれな病気のため、周囲から理解されず、地域の中で孤立する方も少なくありません。同じ病気を持つ患者さんや御家族に会う機会も少なく、どのように病気とつき合うのがよいか、あるいは、将来自分はどうなるのかなどの不安を、多くの患者さんが持っております。

 患者さんが就学、就労できる、地域での生活をする上で必要な支援を受けられる、必要な情報を得てみずからの生活を設計できる、そして、地域の一員としてセルフエスティーム、自己尊厳感を持って参画できる社会をつくることが求められていると思います。

 そのためには、難病相談・支援センターの機能強化、福祉サービスの充実、就労支援の充実、ピアサポートの取り組みの推進、それから、地域協議会の設置などによる連携強化、難病に関する社会への啓発等も必要と考えております。

 次に、子供の慢性、難病対策について述べます。

 子供の難病あるいは重症の慢性疾患対策といたしまして、小児慢性特定疾患治療研究事業がございます。この事業は、昭和四十三年度に開始された先天性代謝異常症に対する医療費助成事業を出発点とし、昭和四十九年度に九疾患を対象として始まりました。

 その後、対象疾患、疾患群は徐々に拡大されまして、平成十七年度には児童福祉法に根拠を持つ事業として法制化されました。しかし、その位置づけは治療研究事業でありまして、児童の健全育成を目的として治療法の開発と普及を図り、あわせて患児家庭の医療費負担を軽減するものですが、福祉的観点が明確ではなく、財政的に不安定な制度になっていると思います。

 さらに、医療の進歩により、重い病気を持つ子供が以前よりも長く生きることができるようになりました。そういうことで、成人になりました患者さんを小児科医や小児の外科系疾患の専門医だけで診ているということについては、やはり医療上の限界もあると思います。しかしながら、慢性疾患を持つ小児から成人への医療環境の移行や協力関係というのは、現在は残念ながらうまくいっていないというのが現状であります。さらに、慢性疾患を持つ子供の成長を助け、自立を支援する取り組みを充実させる必要があると考えております。

 こうした問題を解決するために、専門委員会において、難病対策委員会とも連携しつつ、一年以上をかけまして検討いたしました。そして、慢性疾患を持つ子供と御家族への支援のあり方として、三つの基本的な方向性をまとめました。

 第一は、公平で安定的な医療費助成の仕組みの構築であります。

 小児慢性特定疾患の医療費助成の目的は児童の健全育成であり、医療費助成の制度を、従来の研究促進に加え、医療費負担が大きい慢性疾患を持つ子供と御家族を経済的に支えるという福祉的目的を反映した、安定的かつ公平な仕組みにする必要があると考えます。

 対象疾患は、慢性に経過する疾患であること、生命を長期にわたって脅かす疾患である、それから、症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾患である、そして、長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾患というふうに考え、従来どおり一定以上の症状の患児を対象にすべきと考えております。

 小児慢性特定疾患では、疾患群という概念を取り入れておりまして、現行でもかなり幅広い疾患を対象としております。現行では五百十六疾患が対象になっております。現在、対象疾患をふやし、医学の進歩を反映した公平な制度になるように、類縁疾患等の整理や治療方針、診断基準を明確化させるために、関連する学会が厚生労働科学研究の班会議に協力して取り組んでいるところでございます。

 一方、その給付水準は、現行制度との関係も踏まえつつ、さきに述べました難病医療費助成の二分の一にすることを提言させていただきました。

 第二は、研究の推進と医療の質の向上であります。

 慢性疾患を持つ子供と御家族は、何よりも治療法の開発を望んでいます。小児の慢性疾患の多くは患者数が少なく、研究を進めるためには、同様の病気を持つ全国の子供の登録データが必要です。さらに、慢性疾患とそれに対する長年の治療が子供の成長、発達に与える影響や、さまざまな合併症等に適切に対応するためには、登録データを経年的に蓄積し、成人になった後は、難病の登録データとも連結することが必要と考えています。

 小児の慢性疾患、難病の中には、専門家の数が極めて限られている疾患もございます。子供の成長、発達への病気の影響を最小限にするためには、早期に病気を診断し適切な治療を開始することが重要でありまして、施設や医療従事者の間での連携が必要です。

 小児期に重い病気になり継続的に治療が必要な子供の中には、成人になっても小児科に通い、小児病棟に入院する患者も少なくありません。成人の医療を専門とする医師は、小児期に発症する病気の診療経験が少なく、一方、小児科医や小児の外科系専門医は、成人期に発症する病気についての十分な対応ができません。

 患児の成人への移行につきましては医学界全体で取り組まなくてはならない課題で、幸いに、現在、循環器内科などの一部の診療科との協力体制がようやく構築され始めたところでございます。

 第三は、慢性疾患を持つ子供の特性を踏まえた、健全育成や社会参加の促進、地域関係者が一体となった自立支援の充実が大事だと考えております。

 慢性疾患を持つ子供には、子供や御家族の特性に応じて、保育・介護支援や精神的サポート、子供の成長や自立、社会参加への支援、学習支援など総合的な取り組みが必要で、それらが成人期に向けた切れ目のない支援としてつながることが重要と考えます。重い病気を持って生まれた子供が、日本に生まれてよかったと思えるような社会にすることを願っております。

 最後に、二点述べさせていただきます。

 第一は、今回の難病対策の改革及び小児慢性特定疾患の制度の見直しは、長年、患者さんと御家族が待ち望んできたものであります。全ての人が今回の改革で満足することは難しいかもしれませんけれども、これからの対策の基盤となるものであり、ぜひとも法案を成立させていただきたいと願っております。

 第二は、難病や小児慢性疾患の患者さんと御家族、そして医療にかかわる者が一番に思っていることは、治療法を開発して病気を治すことであります。そのために、患者データの登録、ゲノム解析、再生医療、創薬、あるいは医療機器の開発などの研究をさらに強化し、専門的な診断、治療を行う医療機関を充実させ、地域のかかりつけ医との連携を図る必要があります。

 小児の医学研究や臨床研究には、成人に比べると国からの支援が我が国ではこれまで少なかったと考えます。これからは、我が国の将来を担う子供のために、小児の医学研究や臨床研究にさらに力を入れるべき時期に来ていると考えます。

 私どもが所属しております国立成育医療研究センターは、全国の小児医療専門施設三十一施設とのネットワークを持っております。これを生かして、成育医療にかかわる医学研究や臨床研究にこれからも取り組んでまいる所存でございます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

後藤委員長 ありがとうございました。

 次に、松原参考人にお願いいたします。

松原参考人 稀少がん患者全国連絡会の松原良昌と申します。

 きょうは、このような機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。

 私、血液がんを七年前に患いまして、現在再発中でございます。さらに、サルコイドーシスという肉芽腫、膠原病の一種でございますが、これを併発してございます。そういうことで、がんと難病の二つにつきまして、共通する事項が非常に多うございますので、その辺のお話をきょうは申し上げさせていただきたいと思います。

 資料が十ページほどございますが、主に三点に絞って述べさせていただきたいと思います。

 一つ目は、今、各参考人の皆さんがお話をされたように、審議されています今の立法を進めていただいて、早く成立させていただくことをまず最初にお願いしたいと思います。

 これから私が述べる内容の一つ目は、希少がん疾患というような、少数の患者しかいない病気につきましての医療費助成の仕方を含めまして、その辺の話をさせていただきます。

 それから、二つ目は、がん患者、難病患者さんもそうなんですが、非常に強い薬を使います、やはり優しい医療を求めておりますので、この辺のお話も申し上げたいと思います。

 それから、三つ目に、特定疾患とかになりまして治療費がただとなった場合、無駄な医療を患者自身もしないように、また、国が今一千兆円もの借金があると思いますが、その中で、医療費が非常に大きなウエートを占めざるを得ません。患者自身も、自分である程度自立しながら、医療費につきましても考えなければならぬということで、日本人は生命保険が好きでございますので、生命保険を活用しまして、自分のよき治療のための、治療継続のための資金として生存給付金が使えたらなというようなことで、これにつきましては第三者委員会でも早期につくっていただければというふうにも考えてございます。

 では、私の方から一つずつお話をしてまいりたいと思います。

 まず、一点目でございますが、御存じのとおり、難病に、医療費助成があります特定疾患というのがございます。今、五十六ですか。ところが、がんにはないんです。治療費が無料、助成していただくところは、がん患者にはありません。がん対策基本法というすばらしい法律ができているんですが、これが漏れているんですね。がんは特定疾患じゃないんです。

 小児がんにつきましては難病だというのが昭和四十七年の難病大綱の中に盛り込まれてございますので、小児がんについては難病指定。これは当たり前でございます。国家の宝である子供をちゃんと治療していこう、これは大変なことでございますので、これは当たり前だと思います。

 そういうことでございまして、総医療費の枠内での配分の難しさから、可能なところから順次医療費助成をやっていくというようなことも大切かと思います。対象拡大の今回の改正法をぜひ早く通していただきたいと思います。これが通りましたら、次はぜひ、私の希少がん、この辺も認定していただければというふうに思ってございます。

 病気の重い軽いというのは患者ごとにございます。したがいまして、例えば、軽度のものから重度のものまであるんですが、予算の総枠を見た場合に、やはり重症疾患から認定していくということはしようがないなというふうにも考えております。患者が国にいろいろ無理を言うだけではなかなか解決しない問題でございますので、そういう順番を決めたりというようなことも必要ではないかなと思います。しかし、軽度の方は、助け合いをしながら少し我慢するということも必要じゃないかなというふうに思っております。

 と申しますのは、希少がんの場合は、確かな治療法も確かなお薬もないんです。二つともないんです。どうしたらいいかということになっちゃうんですが、大体、なかなか五年生存ができないということが多いんですね。そういうことで、特定疾患が難病にあるということは非常に心強い。しかし、なぜがんにはないのか、こういうことを、私が納得してもだめなんです、明確に国民に説明をしていただければ助かるなというふうに考えてございます。

 希少がんにつきましてはいろいろな問題を含んでおります。例えば私の話でございますが、私は七年前に抗がん剤を打って治療しております。もちろん、髪の毛もつるっぱげになるんですが、その後四年で再発してしまいました。現在も再発中です。途中でサルコイドーシスができまして、全身に出てございますが、がんと難病が別々になっているんですね。したがって、がんはがん、難病は難病という形で、これを統合して医療政策をお進めいただけたらいいんじゃないかなというふうにも思ってございます。

 では、具体的に一つずつお話をしていきたいと思います。資料の一からお話をさせていただきたいと思います。

 この中で、ちょっと飛びますが、資料一の後に資料二、今回私がいろいろお話をするのは、一年半前に正式に厚労省の矢島健康局長さんにお願いした請願書の写し。あれから一年半たっていますが、ほとんど進んでございません。これぐらいにいろいろ難しい中、国会議員さんを初め皆さんが一生懸命御審議いただいているということでございますが、同じことを一年半言い続けても進まないというのが実態でございます。残念なことですが、がん患者は、その間にたくさんの方が亡くなってしまいます。そういうことで、一年半前、二〇一二年の十一月二十六日に健康局長さんにお会いして、直接お願いしたときのものを参考資料としてつけてございます。

 その次に、資料三に「(稀少)がん患者救済のための提言」というのがございます。

 希少性ゆえに、先ほどからもよく話が出てきますが、専門の先生がいらっしゃらない。地方に行くに従って、専門の先生、病院をどこに行ったらいいかわからないという問題が、希少がんの場合は起こります。

 そこに、事例Aで五十九歳の女性の事例を書いてございますので、ちょっと読ませていただきますと、この女性、血液がんの一つの多発性骨髄腫というのにかかっているんですが、自己末梢血幹細胞移植、要は、血液型が変わるという治療法なんですね。もらった血液の、自分が今までAだったら、Oの人からもらえばOに血液型が変わってしまう、こういう非常に厳しい治療をされた方なんですが、一時は軽快、寛解の状態にいっていたんですが、新薬のベルケイド治療を開始したが、高額医療のために治療継続がこの方はできなくなっちゃったんですね。それで通院を中断されてしまった。

 血液を入れかえる、そんな厳しい治療をして、せっかく軽快までいっていたんですが、この方が多発性骨髄腫を悪化させまして、脊髄損傷を起こすんですね。脊髄損傷を起こしますと、両下肢が、足が麻痺してしまうんです。大変気の毒なことになるんです。治療を中断すると、こういう問題がたくさん起きてまいります。治療は、継続しなければいけないものが多いんですね。

 そういうことで、現在この方はもちろんまだ生存されていらっしゃいますが、近年、新薬が出るたびに、費用が高い、二十万から八十万というような。私も分子標的剤をするんですが、三割負担の場合は一回十万円、毎回持っていかないと注射していただけない。身長と体重を掛けたものですから、私の一回の分子標的剤の注射料が三十三万円ぐらいするんです。だから、三割負担の十万円を持っていかないといけない。

 そういうことで、日本は、皆様、国会議員さんのおかげで、中福祉までいっていまして、非常に恵まれてございます。しかし、患者は小負担で中福祉を求めるという矛盾がずっと続いております。しかし、お金がなくて、こういうふうに治療を中断しなきゃいけないというのも実態でございます。

 次のページに、またこれはたくさんございますのであれしますが、例えば国民年金でございましたら、六十五歳で、平均でいきますと六万五千五百四十一円、六万円ちょっとぐらいしかもらえないんですね。東京に住んで、アパートを借りて、食事をして、月々一万二千円ぐらいのお金が払えないから、中断してしまわなきゃならない。こういう実態があることも事実でございます。

 詳しくいきますとあれなので、この辺をずっと飛ばしますが、ぜひ一つの方法として、例えば、今、日本の抗がん剤とかは、海外製薬メーカーからの抗がん剤の輸入が多いんですが、日本の製薬メーカーに比べて、海外の法人税がちょっと少ないようです、したがいまして、製薬会社からの法人税の適正な納税分で抗がん剤治療時の医療補助に充てるとか、新しいことも御検討いただけないかなというふうに思っております。

 それから、がん難民の救済ということが載っていますが、大学病院で手術をしたりしますと、大体三週間ぐらいで、言葉は悪いですが、病院を退院しなきゃいかぬのですね。そうすると、受け皿がないんです。介護施設とかにがん患者が行くと、非常にややこしいことになるんです。

 私も、脊髄と骨盤にがんが浸潤してございます。骨が痛いんです、骨が痛い。だから、そうなりますと、介護センターなんかに行くと迷惑がかかるんです。ところが、大病院を出された後、行くところがありません。

 そういうことで、大阪で、そういう方を救済するために、そういう人を収容するサポート病院構想というのを成立させたい、大阪のお医者さんたちがそういうふうに一部動いてございまして、大阪をモデル地区としていきたいなというふうに思ってございますので、この辺の御支援もお願いしたいと思います。

 それから、二つ目でございますが、優しい治療ですね。

 日本だけでなく、世界の医療水準がそうなんですが、がんにかかってしまいますと、基本的に治りにくい。抗がん剤を注射したりするんですが、大体三割か四割しか効かない。逆に言うと、六割から五割、効かない抗がん剤を打っているんですよね。

 これは、先生方も一生懸命やっていただいているので、日本が悪いんじゃないんです。がんはそれだけややこしい病気なんですが、高齢になりまして、私は今七十一歳でございますが、無理な手術や無理な抗がん剤を打つということを避けて、私は七年前に抗がん剤を打ちまして、再発中でございますが、その後、一度も、いわゆるがん治療薬を打ったことがありません。

 五臓六腑を強くしまして、漢方薬を使いまして、そういう治療を続けておりまして、これは個人差がありますから、あいつが言うとったから治療せぬのだというようなことで、まねしていただくと困るんですが、自分でできるだけ頑張って、抗がん剤とかは体に毒でございますから、できるだけ使用しないという方法を私はとっております。それが漢方ということです。

 それからもう一つ、手術をした後に抗がん剤で地固め療法とかをやるんですが、抗がん剤が本当にその方に効くかどうかというのを試験することが今できるんですね。

 今、お医者さんたちがいろいろな角度で、これがいい、あれがいいというふうになるんですが、抗がん剤の試薬というのがございます。保険適用でたった二千五百円なんです。安過ぎてお医者さんが使ってくれないんですが、自分にどの抗がん剤が適して効くのかということを、効くということはわかりにくいんですが、効かないということは九五%わかる、今はそういう抗がん剤の試薬があるんです。

 こういうのをぜひ使っていただきまして、体に優しい、無駄な治療になりますと医療費もかかります、患者負担も肉体負担もふえます、だから、そういうことをやっていただけたらなというふうに思ってございます。

 漢方につきましては、がん研有明病院というのがそこにございますが、がん専門病院で初めてがんに漢方を取り入れる、そういう漢方外来をちゃんと設けてございます。優しい治療ということで、そういう病院をふやしていただけたらなというふうに思ってございます。

 それから、三つ目でございますが、がん診療、難病診療には、私、サルコイドーシスで、大学病院で三回生検を受けています、がんでも生検を受けていますが、この病理診断をする先生たちが非常に少ないんです。がん診療連携拠点病院の中でも、一五%近くが、そこに、がんを判断する組織病理医がいないんです。足らないんです、少ないんです。

 だから、遠隔操縦、ネットワークでそれを、今、東大病院の中に佐々木先生が持ってきてつくろうというようなことを進めてございますが、そういうふうな形も、皆さん自分でお金を出して、一番最後の資料にございますが、先生たちはお金を出して自分らで運営しているんですよ。本当に涙ぐましい。一番最後に、「稀少がんおよび診断が困難症例に対する日本病理学会コンサルテーションシステムへの国の支援のお願い」というのがありますが、まず病気診断を確定させないと治療ができない、その診断医が少ないんです、組織診断医がですね。これは、日本のコンサルテーションの課題の中で、バーチャルスライドスキャナーというような、そういう設備も少ないんです。

 そういうことでございますので、ぜひ生命保険の活用も含めて、患者が自立するということを、これから患者の方も考えますので、国の方もいろいろな形で御支援を賜りたいと思います。

 どうもありがとうございました。(拍手)

後藤委員長 ありがとうございました。

 次に、橋本参考人にお願いいたします。

橋本参考人 線維筋痛症友の会の橋本裕子です。

 こちらの資料をごらんください。

 先ほど、忌憚なく話してよいというふうに言われましたので、言ってもよいでしょうか。私だけですね、この法案に反対しようとしているのは。法案が送られてきて、一ページ目を開いて、もうショックで死にそうでした。なぜかというと、希少、〇・一%と書いてあるわけです。

 線維筋痛症というのは、非常に多い、二百万人患者がいるわけです。もちろん、軽い人もいますので、重症例だけ、ステージ4とか5だけを、寝たきりの人だけをカウントすれば、それは確かに十五、六万人になるかもしれません。だけれども、疾患としては一・七七%、つまり二%近くの発病率があるわけで、どちらかというと、皆さんみたいにお忙しくて一生懸命働いていらっしゃって寝る暇もないというような方は、とても発病の可能性が高い病気なんですね。

 ちょっと退屈されるかもしれませんので、変わった話をしますが、皆さん、骨折されたことはありますか。結構痛いですよね。リハビリのときも相当痛いです。骨折の痛みを測定する機械がありますけれども、大体六百と言われています。関節リウマチも非常に痛くて、朝晩、患者さんは泣きながら起きなきゃいけないというように言われますけれども、やはり六百から七百くらいと言われています。それから、石ができちゃった人はいませんか。痛いですよね、あれは痛いので有名です。あれが千くらいです。

 私は、最高のときが三千八百八十です。多分、今のこの体調ですと二千ぐらいです。失神していてもおかしくないレベルです。私はこれで日本新記録かななんて思っていたら、三千どころじゃないです、六千、七千という人が二人います。線維筋痛症というのは、平均でいっても千を超える人はざらにいるくらいで、大変痛い病気です。人数が多いということで、そもそもこの法案の医療費助成の対象からは外れるわけです。どう見ても外れます。

 私が言いたいのは、病名で区切らないでください。この病気だから難病指定にするとか、これはだめだとか、そういうことを言わないでほしいというのが切実な願いなんです。

 もちろん、希少難病、非常に少ない希少難病の患者さんを救わなければいけないことに私は反対していませんので、それはすぐやっていただきたいと思います。では、なぜ問題なのかというと、対象者を疾患名で指定していく方式そのものが、二年もかけて議論されましたけれども、この法案の一番最初に議論しておかなければいけなかったことなんじゃないかと思っています。

 それから、難病というのは、希少だけではないです。数が多くても難病は難病です。だから、そういうことも考えに入れておいてほしいと思うんです。

 どうしても、この希少難病を対策しなければいけなくて、限定したいのであれば、この法案の名前の難病というところを希少難病に変えてください。そうすれば、私もわかりやすいです。希少難病対策というのであれば、とてもよくわかります。

 ただ、そこでも問題が一つあります。

 希少の難病というのは五百あると、ずっと厚労省の方は言ってこられました。では、何で今回、三百なんですか。何で五百全部を対象にする、できるかどうかは別として、対象として検討するというところが五百になっていないんでしょうか。それはとても違和感を感じています。

 線維筋痛症はもうこの法案の中に入らないということで、とても失望しています。私たちは、病気になりたくてなるわけではないです。特に線維筋痛症は、遺伝でもなく、遺伝子の関係でもなく、単に、真面目に働き過ぎているから、環境がいろいろストレスがあってつらい思いをしてきたから、そういうことが重なって起こる可能性もある病気なので、現在のところは全くよくわかっていません。

 去年の年末まで、クリスマスのころまで、厚労省の方は、中間取りまとめをするときに、できるだけ幅広く対象を広げておくというふうに回答されていたんです。まさか、いや、何となく悪い予感はしましたよ。だけれども、〇・一%、希少性ということが一ページの一行目にうたわれてしまいましたので、とてもショックでした。

 この希少性が含まれてしまって難病指定されますと、支援されるだけでなくて、総合支援センターのあり方とか、それから相談センター、それから、あらゆることの対策の対象外になるということなんですね。全く何も手当てされないことになってしまうんです。

 線維筋痛症だけではありません。人数の多い疾患はほかにもたくさんあって、非常に悲惨な生活に追い込まれている状況はあるわけです。そういうところを、今回無理でも、それを見捨てていっていいのかということが、私は根本的に違和感を感じているところです。

 まず希少難病をやって、それからもっと広い、全ての困っている病気の人、障害の人を助けていくという方向であるというのであれば、私は少し待つつもりはありますけれども、現在のところ、そういう約束はされていませんので、非常に今は反対をしているわけです。

 それから、福祉と研究を同じ枠で考えるということは、到底予算が足りるわけないので、それは間違っていると思うんです。そのことも一番最初に議論されるべきでした。されたかもしれませんけれども、わかりません。医療費助成と研究は、本来別々であるべきだと思うんです。

 それから、線維筋痛症の患者の場合ですけれども、働けなくなりますから、統計では大体二万三千円程度の医療費なんですけれども、皆さん、これは大した額ではないと思われるかもしれませんけれども、収入が全くなくなる状態で二万三千円、大変なんです。

 線維筋痛症を初めとして、見えない病気、指標に出ない、マーカーがない、検査をしてもわからない、そういう病気はたくさんあります。今回の法案の中には、客観的指標による一定の基準という文言が入っていますね。これによって、私たちはもう一回門前払いにされるわけです。診断基準はありますけれども、目に見えるものを出せと言われたら、出せないんです。

 現在私は歩けるようにはなりましたけれども、十二年前は寝たきりでした。線維筋痛症は、非常に痛みが激しい。全ての感覚が鋭敏になってしまうということなので、音でも光でも、それから気圧でも、全部感じて痛みになります。それが骨折の何倍もの痛みとして全身に広がっているわけですね。

 こういうつらい状況の中で、本当は、もう生きていくのが精いっぱいです。できれば死にたいという相談は毎日あります。この痛み地獄から逃れるためにはもう死ぬしかない、そういう状況の患者さんに、輪をかけて、国でも認めてくれない、お医者さんも認めてくれない、何だそれ、わけのわからない病気だねとか、詐病だろうなとか、そういうことを言われる。家族や周りの人にも、単に怠けているだけだろう、そういうふうに言われます。そして、自殺に至る例がたくさんありました。本当に悲しいことです。治れば、何の後遺症も残すことなく、もとどおりになるはずの病気なんです。

 薬、これはかなり減ってこれだけと載せましたけれども、本当は、きのう確認したら、もっとありました。一日で十五種類、数にして四十二個、それから外用薬は五種類です。それだけ、毎日毎日、リスクを負いながら飲んでいます。

 線維筋痛症の患者にとって外に出るということは、さっきも言ったように、全ての刺激が痛みになるわけですから、とても危険がいっぱい。人混みとか、私、きょう来るとき、満員電車に押しつぶされながら乗りました。ぎゃあと言いました。本当だったら、そういう満員電車に乗ること自体、怖くてできないんです。

 症状が非常にたくさんあります。ここにいっぱい書きましたけれども、これでもまだまだ書き切れません。これ全部に対応していたら、薬はどういうことになりますか。医療費、どういうことになりますか。そして、副作用が物すごく問題なんです。

 こういうことで苦しんでいる患者を、詐病だとか気のせいだとかと言われるのでは、たまったものじゃありません。これは誰でもなる病気です。それはよく覚えていただきたいと思うんです。

 副作用は本当に難しくて、記憶が曖昧だったり、それから、車の運転ができません、重機を操作することもできませんので、仕事をすることはまず当面無理です。

 さまざまな症状がありますけれども、こういう疾患が存在しているんだという目で見なければ、到底理解できないものです。患者自身も混乱していて、何を言っていいか、わけがわからないことを言ってしまいますので、なかなか医療システムで受け入れられていないのが現状です。

 そうして、さっきも言いましたように、こういう働けない自分は生きていていいのか、家族から穀潰しと言われて、医療費ばかり食うじゃないかと言われて、生きていていいのか、家事もできない、子育てもできない、そういう寝たり起きたりでぶらぶらしているような自分が生きていていいのか、そういうことを思わせちゃっていいんでしょうか。

 こういう救われない多くの人たちを〇・一%の条件で門前払いして、痛みとか疲労とかふらつきとか、そういうものは目に見えないから、客観的指標というところで切り捨てていいのか、そういうことを私はきょう聞いてもらいたいと思って来ました。データはたくさんつけてありますので、後でゆっくりといつかごらんください。

 そして、女性にやはり多いですので、子育て、それから出産、結婚を諦めるというケースが非常に多く、国の損失としても二兆円損失になっていますので、このあたりも、早く病気が治ってみんな働けるようになれば、大きな問題は解決していくのだろうと思います。

 生活が苦しいので、家族に迷惑をかけてはいけない、だから病院にも行けない、経済的に苦しい、だから薬を半分にして、薬を割って半分ずつ飲んでいる、そういうかわいそうな事例がいっぱいあります。

 では、時間ですので、詳しいことはデータにしておきました。後で見てください。

 どうもありがとうございました。(拍手)

後藤委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子恵美君。

金子(恵)委員 自由民主党の金子恵美でございます。

 本日は、限られた時間ではございますが、参考人質疑の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 また、参考人の皆様におかれましては、これまで難病患者支援に長きにわたり御尽力をされてこられたことに、心から敬意を表するものであります。

 さて、御承知のとおり、今般の社会保障と税の一体改革におきましては、全世代型の社会保障制度を目指しまして、医療、介護、子ども・子育て、そして年金、この充実、安定化が図られるということになりました。そして、その医療の中で難病及び小児慢性特定疾病が位置づけられ、そして公平かつ安定的な制度とすることとされたわけでございます。

 私は、この点、この位置づけについて大変評価をしている者の一人であります。

 といいますのも、旧来の医療費助成のための予算措置、あるいはその根拠等を規定する法的措置に加えて、今般の位置づけによって、難病及び小児特定疾病問題が、国家政策における社会保障制度の重要分野として明確に認識をされたというふうに受けとめているからであります。

 また、このような政府の政策認識こそが、難病患者の皆様そして御家族はもとより、広く難病医療にかかわってこられた医療関係者の皆様の期待されてきたものであると、私なりに解釈をしているわけであります。

 さらには、これからさらに公平にして安定的な制度の確立に向けて、その方向性にかかわる視点を持っている、これが今回の新制度であると私は考えております。

 つきましては、ぜひ、この点、すなわち、このたびの政策の位置づけについて、改めて、感想なり御意見あるいは御指摘の点がございましたらお聞かせいただきたいというわけであります。患者の皆さん、そして御家族、さらには患者団体の皆様は、今回の改正に関してどのように受けとめていらっしゃるのか、難病及び疾病団体を代表されるお立場で、伊藤参考人にお聞かせをいただきたいと思います。

伊藤参考人 御質問ありがとうございました。

 どのように位置づけられるかということ、きょう、この場所に患者、家族の団体がたくさん参加させていただき、それぞれの意見を述べさせていただいているというこの現実が、一つは、この法案の特徴といいますか、評価なんだろうと思います。

 さまざまな問題があり、さまざまな難病があり、幾つもの課題はありますけれども、しかし、それを一つ法律という形にまとめ、そして、このように国会でも私どもも意見を述べさせていただきながら、多くの議員の皆様方に知っていただく機会を得た、それが、この難病法案の提出といいますか、そういうことの大きな位置づけなのではないかというふうに考えておりまして、私ども、法律ということだけでなくて、そういう場所を得たというものも大きな、目に見えない役割だったのではないかというふうに思っております。

金子(恵)委員 法定化に向けて、そして本日の意見陳述の機会を得たということに対して、大変前向きなお話をいただきまして、私自身も、この法律の早期の実現は、さらに皆さん、同じ気持ちを持って取り組んでいかなければならないと改めて感じたところであります。

 先ほども申し上げたように、特定疾病あるいは小児慢性疾病、これらが、これまではいわゆる治療研究事業として、また、主としては医療費の助成の観点から施策が講じられてきたところでありますけれども、このことに関しては、理論構築をされてきた皆様には改めて御努力に敬意を表するところでありますが、むしろ問題は、これからの施策、政策の方向性にあろうかと私は考えております。

 これからの難病対策といえども、先ほども参考人の皆様からありましたとおり、今後は、総合的かつ計画的な推進体制を確立していくことが大事であると私も考えております。

 その意味において、このたびの政府提案、新制度においては、対象疾患や受給対象者の拡大といういわゆる公費負担の問題に限定されることなく、難病指定医や拠点病院制など医療提供体制まで踏み込んだこと、また、研究面では治療情報登録の仕組みへも取り組まれ、さらには、対患者関係におきましても、相談・支援センターの質的向上、あるいは就労、さらには教育関係機関との協力強化にまで及んでいるということは、私は大いなる前進であろうと思います。目指すべきいわゆる総合的かつ計画的な体制整備のスタートを切れたものというふうに受けとめております。

 ただ、総合的施策でありますとか、あるいは計画的な整備と申しますと、とかく論者の立場や立ち位置によって、その重点事項あるいは優先度というのは異なってくるものと思います。これは、それはそれとして至極当然のことというふうに受けとめておりますが、再度、伊藤参考人にお尋ねをいたします。

 医療費公費負担制度のほか、今後一層推進されるべき事項、あるいは行政こそが取り組むべき施策がございましたら、ぜひとも参考にさせていただきたく、御所見をお伺いするところでございます。

伊藤参考人 これからどういう取り組みをしていくかということなんですが、今の難病法というのは、いわばこれから日本が取り組むべき、難病というものを土台にした、いろいろな国民の病気や、病気による生活の困難や、さまざまなものに対する取り組みの大きな土台になっているというように思うんです。ですから、さまざまな問題がこれからいろいろ取り上げられていくと思います。

 必ずしも全てが行政が取り組まなきゃならない問題でもないんでしょうけれども、私は、これからの大きな課題は、たくさんある、医療だけでなくて福祉やら教育やら、さまざまな課題とどう有機的に連携をとって有効に対策を進めていくかということであり、もう一つは、全てが国ということではなくて、地域の住民のために、患者も地域の住民なわけですから、そこに地方公共団体がどう国と密接に連携をとり合いながらこの対策を進めていくのかということが、これからまず大きな課題だろう。それができることによって、新たな制度というところまでいかなくても、もっと有効にさまざまな機能を果たすことができるのではないかと思っております。

 ただ、どうしても今後のことで大きな課題があるとすれば、それは、患者が生きていくということは何によって支えられるかという部分、例えば年金であり、住まいであり、地域社会の一員として生きていくための必要な施策が、この後、この上に構築されるということを強く望みたいと思います。

金子(恵)委員 今ほどもお話ございましたように、いわゆる難病、特定疾病への総合的な支援については、やはり各地方、地域における責任主体である都道府県を初め、地方自治体の基礎自治体である市町村、その役割、機能の分担が不可欠であるということは、私も言うまでもないことというふうに思っております。

 次に、小児特定疾病に関して質問させていただきたいと思いますが、小児特定疾病の児童等について、社会参加に関する支援など、その自立を促進することを特に重視した、先ほども小林参考人がおっしゃられたように、このたびは自立支援事業について法定化されます。

 そのことと、また、相談あるいは助言等は、これは実施をしてきた自治体もございますが、そうでない自治体もあったということで、今回、それを必須事業とすることは大変意義のあることというふうに思っております。既に自治体独自で取り組んでこられた好事例というのは他地域にも広げ、また、それを発信することによって、全体の底上げにもつながるものと期待をしております。

 今回、特に就労支援を初めといたしましたこの自立支援事業について、患者、家族として、最優先すべき具体的な事業をどう考えておられますでしょうか。将来も含めまして、小林参考人に伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

小林参考人 ありがとうございます。

 やはり、今おっしゃったように、社会参加、病気や障害があっても社会の一員として地域で暮らしていく、それを実現していくということが非常に重要なことだろうというふうに思っております。

 私の今知っている範囲でも、都道府県でもいろいろなことに取り組んでおられる地方もございますし、しかし、そういったことに非常に消極的なところも見受けられるような気がします。

 しかし、これからは、今先生がおっしゃいましたように、国として取り組んでいただくわけですから、ぜひ地方に積極的に声をかけていただきたいし、私たちもよくみんなで話し合うんですけれども、国や役所に、あれやれ、これやれ、それやれと言うばかりではなく、私たちも汗をかいていきたい。国がせっかく仏をつくってくれるわけだから、私たちが今度は魂をそこに入れようということで、本当に必要なことをみんなで、地域地域の人たちがみんなで力を合わせながら、地方自治体とも一緒にやっていきたい、協力してやっていきたいというふうに考えておりますので、ぜひそんなお声がけもしていただきたいなというふうに考えています。

金子(恵)委員 先ほど申し上げました就労支援につきましては、このたびの新制度創設に先立ちまして、昨年の五月から、就労支援サービス、就労支援事業について始まっております。

 この就労支援事業の現状をどのように今受けとめておられますか。その課題等ありましたら、ぜひお示しをいただきたいと思います。小林参考人にお願いします。

小林参考人 いろいろ私たちも勉強したり調べた範囲では、制度としては結構いろいろなものが整えられているような感じがしております。しかし、実際に慢性疾患や障害のある方がそこに行ってみると、そうしたつくった仕組みにうまく乗れない、外れてしまうという方が少なくないというふうな感じがしているわけなんです。

 やはり、一旦決めた枠はあるとは思いますけれども、ぜひそうしたことが一人一人の人に適用できるように柔軟に配慮していただくような、そうした取り組みを声がけしていただけるとありがたいなというふうに思っております。

金子(恵)委員 地域によってもばらつきが正直あるということもよくお聞きしておりますので、その地域のばらつきは、このたび地域の対策協議会も立ち上がるということになりますので、そこでしっかりと均てん化が図られるように取り組んでいかなければならないというふうに受けとめております。

 先ほども、介護とそして医療、いわゆる地域包括ケアというものは、高齢者介護においては達成目標とされておりますけれども、地域に存在する諸資源を有効に活用するという意味においては、この難病、特定疾病対策においても、私は同様の考え方に立つべきものというふうに考えております。

 その中で、本法律で協議会が位置づけられるわけでありますけれども、ただいま申し述べましたような地域の包括的なサポートという考え方において、非常にこの難病に関しては難しい部分もあると思います。現実的かつ最適な地域支援体制のあり方についてはどのように考えておられるでしょうか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。伊藤参考人、お願いいたします。

伊藤参考人 一言で簡単に地域でと言いますけれども、実際にはかなり難しいことがあります。それは、日本の今までの行政の中で、福祉施策を担当する部門と保健衛生を担当する部門との連携が余りうまくいっていないように我々からは見えるわけです。

 そこがどう連携がとれるかということと、それからもう一つ、やはり住民参加といいますか、住民の代表としてそこに参加する人たちが地域の協議会などは必要なわけですけれども、果たして市町村レベルまでに、難病に限定することは必ずしもないと思いますけれども、そういう保健、医療や福祉、総合的にそれを見て、一緒に参加できる、住民参加ができるような地域住民の人材の養成というのが実際進んでいるのかどうか、そういうレベルにあるのかどうかということは、まだよくわかりません。

 これから、そういうことも視野に入れながら、この対策というのがきめ細かに行われるためには、やはり利用者、利用する側の声が反映するような仕組みも整えていかなければならないのではないかというように考えております。

金子(恵)委員 本日は、それぞれのお立場で御意見、御見解を賜りまして、ありがとうございました。このたびの新制度導入によって、難病患者の皆様、そして御家族の皆様のQOLの向上につながることを切に願いまして、私からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 本日、六名の参考人の方々、それぞれ困難を抱える状況の中におきまして、国会まで足をお運びいただき、先ほどは貴重な御意見を承らせていただきましたことにお礼を申し上げたいと思います。

 私、橋本さんから言われまして手を挙げたんですが、尿路結石というものを何回かやりまして、あれは痛いですよ。やぐるいますね。間違いなく救急車で運ばれます。よくお気持ちはわかります。

 赤石政務官が、私の質問に対して、〇・一%に必ずしも拘束されるものではないと答弁をされておられますので、そのことに対してきちんと、まだ残る質疑の時間がありますので、しっかり確認をしていきたいと思っております。

 まず、私からは、小林参考人と森参考人に同じ質問をさせていただきたいと思います。

 難病対策というものは、先ほどお話もありましたように、重症な患者さんを救うのと同時に、患者さんが重症化しない対策でなければならないということでございます。

 今回の法案では、八六%の方の医療費の自己負担がふえるという厚労省の試算も明らかになっているわけであります。医療費負担が重くなるということで受診抑制が生じ、結果として重症化してしまうというおそれがある、そのことが現実のものとなるということを民主党としては心配しておりますけれども、この点について、小林参考人と森参考人の御意見を承りたいと思います。

小林参考人 できれば、医療費は少ないにこしたことはありません。私も同じように心配をしております。

 今回のいろいろなお話の中で医療費のことが出てまいりまして、私たちは最初びっくり仰天をしたわけですけれども、いろいろな話し合いの中から、制度を安定させ、医療費を少しでも少なくということで、最終的に現在の案に落ちついたんだというふうに理解をしております。

 何とか、今回はこういう形で進むかもしれませんけれども、将来的には、次のステップとしてまた自己負担も見直していただけるような、そういったことに進めるといいなというふうに思っております。

森参考人 御質問ありがとうございます。

 私どもも、同じ疾患の中で、今、特定疾患に入っている病気、入っていない病気があります。そのことを考えますと、やはり、難病の、私たち同じように苦しんでいる者が、医療の費用のことに対して心配をすることなく日常生活を送っていきたいということが第一です。

 どれだけ負担できるかということは、それぞれの家庭の事情とかもありますし、さまざまなことはあるかと思います。ただ、対症療法にしても、せっかく治療方法があるというところまで来たのに、その医療がお金の心配で受けられないというようなことがあってはならないと思っております。そのことは本当に切に願います。

 特に低所得者の方につきましては、やはり、生活費の中で占める医療費の割合というものが、多くの所得を得ておられる方よりもずっと負担が大きいと思います。その点は特に考慮していただきまして、そして、私たち、病気になっても、この病気を抱えながら、精いっぱいの治療というものをしっかりと的確に受けていきながら生活を送っていけるように、ぜひ御支援をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

中根(康)委員 ありがとうございます。

 法案の中にある、ALSの人工呼吸器をつけた患者さんに千円の負担を課すとか、低所得者、住民税非課税の方の無料措置をなくすとか、こういったことは、やはりまだ私ども納得できていません。引き続き議論を深めていきたいと思っております。

 小林参考人にお伺いをいたします。

 今回の法案の中で、もうかねてからずっと求められていたいわゆるトランジション問題、これが何ら前進していないようにも見受けられるわけなんですけれども、この点についてはどうお考えになっておられるでしょうか。

小林参考人 小児慢性疾患の制度ができたときから、この問題はずっとみんなの間で話し合われて、お願いをしてきたところでございます。

 今回、特定疾患が三百疾患になるということで、小児慢性疾患の一部がそちらの方にも指定されるというお話は聞いてはおりますけれども、具体的なところまでは進んでおりませんし、しかも一部の疾患についてはその検討の対象からも外れるというふうに聞いているわけです。

 そもそも、小児慢性疾患は全体で十一万人の受給者でございます。先ほどから、希少難病が〇・一%、十三万人ということですから、当然のことながら、どの小児慢性疾患も希少難病に値するわけでありますので、初めから外してしまうということではなく、ぜひ検討をしていただいて、テーブルの上へ上げていただいて、一つでも多くの小児慢性疾患が特定疾患に指定していただけるように切にお願いをしたいと考えています。

中根(康)委員 大変痛恨のきわみだと受けとめさせていただきたいと思いますが、これはなぜ今回入らなかったんでしょうか。

小林参考人 何でも、言ってしまえば、例えば小児がんの場合は、がん患者はとてつもなく多い数だというふうなこともちょっと遠くから聞こえてきたり、心臓病も大人の患者を含めるととてつもなく大変な数で、あるいはほかの病気も幾つかそうですけれども、とてつもない数になるというふうなことを聞くわけです。しかし、子供のところとかなると、やはり患者数とかそういったことは相当違った、病気自体も違った様相というふうに私たちは理解をしているわけなので、そうしたことを再検討していただけるとありがたいなというふうに思っています。

中根(康)委員 小林参考人は、先ほどもお話の中で、自立支援ということについても大変関心高く意見の陳述をされておられたわけなんですけれども、これは法定化されるということではありますが、現実には地域間格差が生じるおそれがある、まさに絵に描いた餅になってはいけないということでありますが、国からの支援が必要だ、国からの働きかけが必要だと先ほどの意見陳述の中でおっしゃられました。

 具体的には、どのような国からの働きかけ、支援ということがあれば、今回の法案の中身が実現していくことにつながるのか。どうお考えでしょうか。

小林参考人 ありがとうございます。

 私自身は、みんなとも話して、お役所にも申し上げてはおりますけれども、自立支援にかかわる、例えば協議会、あるいは個別支援員の配置、こうしたものを通じて、きめ細かく一人一人の子供さんへの支援、サービスというようなものが必要だろうと思っております。

 また、それをするだけではなくて、実際に始まった後は、例えば、そうした活動の情報交換とか、そうしたことも必要になるでしょうし、協議会のまた協議会、全国でいろいろな取り組みについてお互いに情報交換できる、研修をしたりするという場が必要だろうというふうに思っておりますし、できれば私たちもそういうことにお手伝いをさせていただきたいなというふうに思っております。

 国からは、ぜひ、そうした形で具体的に取り組みを促すような働きかけを地方にお願いをしたいなというふうに考えています。

中根(康)委員 今回の法案の中には、大都市特例とか、自治体の負担を伴うものも結構含まれております。そのことに対して自治体がどう積極的に取り組んでもらえるか、あるいはそのことに対しての国からの支援がどうあるべきかというようなことも、我々これから、このことについても議論を詰めていかなきゃいけないというふうに思っております。

 森参考人にお伺いをしたいと思います。

 膠原病というのは、一つの病気の名前ではなく、幾つかの疾病の総称であると。今回の医療費助成の対象疾患の基準のあり方については、その観点からどのようにお考えになっておられるか、あわせて、重症度分類について、どのように法案についてお考えになっておられるか、お伺いしたいと思います。

森参考人 まず、医療費助成の方の対象ですけれども、同じような状態の患者さんで、同じように治療を受けていて、しかも膠原病というふうなくくりの中で言われているものですので、やはり同じ制度の中で支援をしていただきたいというふうには考えております。

 そして、重症度の方につきましても、今受けている治療をやめるようなことがないように、そのように思います。それを制度の中で支えていただきたいというふうに思っております。やはり、今受けている治療というものが受けられなくなったりしますと、たちまちぐあいが悪くなって、さらにまた医療費がかかるというようなこともあります。

 そして、今、特定疾患ですけれども、受けられていない患者さんの中には、例えば、オリンピック選手で、報道されました竹内選手は、チャーグ・ストラウスという疾患だというふうに公表されました。あの疾患も、治療法が非常に難しい病気です。

 ただ一つ、最近になって、ある製薬会社から、少しその症状を改善できるというお薬ができました。免疫グロブリンという製剤です。ただ、このお薬は非常に高くて、普通の体型の方でも一回百万円程度医療費がかかる、体重が少し重い方は二百万円ぐらいかかるのではないかというふうに言われています。

 せっかく治療という、完治ではないんですけれども、よい状態に持っていける治療があるのに、それを医療費の面で心配をして諦めなくてはならない人がやはり出てきます。高額な所得を持っている人ならば治療は受けられるけれども、普通に生活をしている者、そしてまた低所得の者について、その治療を諦めないといけないという、お金のあるなしで変わってしまうということは非常に残念です。

 その点からいいましても、全ての患者に医療費助成というものを考えていただきまして、そして、安心して暮らせるようにしていただきたいと思います。

 もちろん、制度というものは、こういうものがこの制度ですという決まりがあったり、予算というものがあったりしますので、たった一つの制度で私たちの願い全てがかなうとは思ってはいません。いろいろな制度の組み合わせ、ないものはまた新設していただき、それらを連動させて、そして私たちが社会の一員として暮らしていけるように、どうか御支援をお願いしたいと思います。

中根(康)委員 医療費助成にしても障害福祉サービスにしても、病名で線引きをすると、どこかで新しい谷間ができてしまう。難病対策を消費税の対象にしたわけでありますので、財源はないわけではないと私たちは考えております。その観点から、よりよい難病対策を築き上げていきたいと思います。

 全ての参考人の方々から御意見をお伺いすることができなくて、申しわけありませんでした。きょうは、それぞれ貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。

 以上で終わらせていただきます。

後藤委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦でございます。

 本日は、参考人の皆様方、お忙しい中、時間をつくっていただきまして、本当にありがとうございます。

 私も、例えばアンジェルマン症候群の患者団体の方、一型糖尿病の患者団体の方、またチャーグ・ストラウス症候群の方など患者の皆様方、多くの方々から、難病の指定、特定疾患の指定というものを強く望んでおられる方が大勢お見えになるということを、直接間接にいろいろな形で伺ってまいりました。

 その中で、本日、参考人の皆さん方が述べられた御意見の中で、少し深めていきたいと思う点につきまして御質問をさせていただきます。

 まず、全国膠原病友の会の代表理事の森参考人に一つお聞きしたいのですが、この膠原病、実際にはさまざまな疾病があるというようなことでございますけれども、実際に、例えば同じような原因、症状、病態、あるいは治療法であるにもかかわらず病名だけ違うなというふうに感じられること、あるいは逆に、病名は同じなんだけれども、その病態とか治療法とか、やっていることは同じじゃないというふうに感じられること、このあたり、もし差し支えなければ、具体的にこんなことがあるよということを含めて御指摘いただければと思います。

森参考人 ありがとうございます。

 膠原病という疾患、先ほど表もお見せしましたそれらの疾患ですけれども、やはり共通する症状というものもあります。例えば発熱であったり関節痛であったり筋肉痛であったり、そして臓器病変もそうですけれども、肺が線維化していったり腎臓が悪くなったり、そのようなところというのは幾つかの病気によっても共通しております。

 そしてまた、違うという点におきましては、私は全身性エリテマトーデスなのですけれども、私と同じ病気の方でも、日光過敏というものが非常に強い方、弱い方があります。例えば私は日光過敏症がございますので、もう今の季節、紫外線などを避けなければいけない生活を送っております。ところが、全く大丈夫で、海外で海に泳ぎに行って非常にレジャーを楽しんできたという方もいらっしゃいますし、ちょっと洗濯物を外に干しに行くだけでも熱が出てしまって皮膚も発疹が起こってという、そのような方も中にはあります。

 症状については、レイノー症状というものも一つありまして、体の血流が非常に流れが悪くなって、例えば緊張したときとか、それから冬場、寒いときなんかに起こるんですけれども、手足に血液が流れなくなりますので、非常に強い痛みと、そしてしびれが起こって、ほとんど日常生活というものを一人で送ることができない、支援が必要になってくるというところがあります。これも私に非常に強く出ている症状ですけれども、通常は、混合性結合組織病ですとか強皮症ですとか、そのような病名の疾患に多く出る症状です。

 このように、同じ病名でありながらも違う症状をあわせ持っておりますし、また、病気が違うのに同じ症状があって、そして、その対症療法しか今はないので、症状に対する治療になっておりますので、病名が違っても治療法は同じという方もあれば、病名は同じなのに治療法が違うという方もあります。その点で膠原病というくくりで行われているんだと思いますけれども、それらの中で制度が違うというのは矛盾を感じているところです。

重徳委員 ありがとうございます。非常にわかりやすい御説明でした。

 次に、今度は、医療を提供されている側という観点から国立成育医療研究センター理事長の五十嵐参考人に質問させていただきたいのですが、今、森参考人から述べられたことに象徴されるように、やはり、きょう皆さんおっしゃるように、病名で線引きすることへの懸念というか矛盾というか、そういったことにいろいろな御意見が寄せられました。

 実際、もちろん、病名による区別も大事なときもあると思います。一方で、病態ベースでこの難病という問題を捉えること、もう少し今よりも病態ベースで、治療といいましょうか、ネットワークにしても情報収集にしても、いろいろな施策を実施するということができないものか。このあたり、先生のお立場からどのように感じられるか、御解説をお願いします。

五十嵐参考人 病気というのは、もちろん原因がわからない病気はたくさんあるわけですけれども、一つの実態として捉えるためには、やはりある程度診断基準を持って、そして、どんなドクターでも、資格のあるドクターならば、どこでも誰でも診断できるというものがないといけないと思います。つまり、ある程度の客観的な指標があって初めて病気を捉えることができると思うんです。

 今御指摘がありましたように、症状だけでいくという手ももちろんこれはあると思いますが、それが非常に客観性がない場合、なかなか、医療を提供する側としましては、どういう治療をしたらいいかとか、どういう対応をしたらいいかということがわからないわけですよね。ですから、通常は、難病であろうとも、できるだけ診断基準を、これは内外の、日本だけじゃなくて外国の知識も経験も全部総合的に判断しまして、やはり病名ベースでいくということが基本ではないかと思います。

 ただ、同じ病名であっても、先ほどから御指摘いただいているように、最近はいろいろな治療法が改善してきましたので、その治療をやっている限りにおいては症状は非常に軽く済んでいる、例えば全く治療しないで軽い方もいらっしゃるわけですけれども、ある一定の最近の治療をしていくと、リウマチなどは数年するとまた薬剤を取りかえなきゃいけないなんということがございますが、しかし、その治療をやっていると、あるいは治療が合っている場合には、その患者さんにとって日常生活のQOLが大変改善するということも事実でございますので、単に症状という言葉にとらわれないで、たとえ軽くとも、その軽い状態を維持する上である一定の治療が必要な場合には、やはりそれは支援していくということが必要ではないかというのが、今までの委員会での参加している先生方の御意見だったと思います。

 ですから、そういう対応をしたいというふうに今考えているところです。

重徳委員 ありがとうございます。

 今の点を少し、もう一つの観点から御質問したいんですが、私もアンジェルマン症候群の患者団体の方から伺ったときに、やはり、いわゆる希少性ゆえに、自分のところの子供がアンジェルマンなのではないかというふうに疑いが持たれた、あるいはそれのような症状じゃないかと言われたときに、一体、日本のどこに類似した同様の病名あるいは症状の方がいるのか、これがもう本当に途方もない困難であったと。たまたま御縁があって、同じような患者さんのグループを形成していくことができたということではあるんですけれども。

 これは逆に、医療機関側から、病名がはっきりしているとか、ぴたっと固まっているものであればわかりやすいと思うんですが、こんなような症状かなと、必ずしも専門のお医者さんばかりではありませんので。そういう意味でも、全国の非常に希少な病気に対応するためにも、そういう情報を収集するためにも、病名だけじゃなくて、こんな症状でというような収集の仕方ができないものなのかどうか。ちょっとこれは素人の浅はかな考えかもしれませんが、このあたり、いかがお考えでしょうか。

五十嵐参考人 大変貴重な御指摘だと思います。そういうことができると非常にいいと思うんですが。

 今、例えば指定疾患の方は研究班がございまして、それぞれホームページをつくり、そこにアクセスすると、病気の全貌がわかったり、治療法がわかったり、あるいは治療をどこでお受けになることができるかということまでわかっていると思います。

 それに対して、今御指摘の疾患につきましては、非常に頻度も少ないし、研究班はあったりなかったり、一時あってもなかったりとか、こういうのはいろいろな研究費が出るんですけれども三年たつと終わってしまうとか、そういうようなこともございまして、現実に、ホームページをつくって国民の皆さんに情報を伝えるような、そういうものが今までなかったと思います。

 それで現在、日本小児科学会は、小児慢性特定疾患の研究班の先生方と協力して、できるだけ診断基準をつくって、公表し、そしてできれば、これはお金のかかることですので簡単にはいかないかもしれませんけれども、将来は、難病の研究班のような、何か国民の皆様が比較的簡単にアクセスするようなメディアというかホームページ等をつくることも、今、計画はしているところでございます。しかしながら、残念ながら、まだ十分な状況にはないということは認めざるを得ないというふうにお答えしたいと思います。

重徳委員 ありがとうございます。御尽力に大変感謝と敬意を申し上げます。

 最後の質問になると思いますが、稀少がん患者全国連絡会の松原参考人に一点お伺いしたいと思うんです。

 がんに限らずですけれども、難病ですとか希少がんというのは、早期発見により、早期完治に向かう、早期回復に向かうということがもちろん理想ではあると思うんですけれども、必ずしも完治に至るものばかりではありません。

 ゆえに、治療法の研究とかそういうことも重要なんですが、クオリティー・オブ・ライフという意味で、早期に発見、あるいは病名が明らかになるということによって、生活のサポートを充実させることによってその患者さんの人生がより豊かになっていくとか、そういう観点から早期のさらなる対応が必要だというような、クオリティー・オブ・ライフの観点から、早期の発見、そして早期のある意味での解決ということが重要だというように私は感じておるんですが、この点について、何か関連するようなお話があれば開陳願いたいと思います。

松原参考人 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりでございまして、がんの場合は、早期発見、早期治療というのが原則ということになってございます。

 乳がん検診とか、いろいろな形で早期発見の施策を皆さん打っていただいているんですが、なかなか患者サイドが、外国に比べまして受診率が低うございます。例えば乳がん検診なんかは、こういうチケットを出しまして行きやすいようにしたりとか、工夫もいただいているんですが、それでもなかなか行かないということなので、啓蒙運動を患者と一緒になってもっとやる必要があるんじゃないかというのが一点でございます。

 それから、早期発見して早期に治療しますと、治る、もしくは寛解状態とかで、がんと共存できますので、生活の質、生きている質をよくしまして、やはり社会復帰をして働くということが非常に重要なことでございます。本人自体も、病院や家でじっとしておけば免疫力が下がりますので、できるだけ患者も含めて家族さんで一緒に出るとか、そういうことが非常に大切です。

 今、厚労省のがん対策推進協議会というのが、がん研有明の門田会長さんがやられているんですが、第一期の五年間で、第二期目、特にその辺を強調していこうじゃないかということで、社会復帰ですね、就労ということを患者もやはりやっていこうと。

 がんも、治りはしないですが、共存できます。共存して、クオリティー・オブ・ライフをよくしておれば働くこともできますので、そういうことを一緒に患者もやっていきたい。患者会で盛んに今そういうことを、全国的に、一緒に社会に復帰しようじゃないかということを考えてございます。

重徳委員 貴重な御意見、ありがとうございました。

 終わります。

後藤委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 本日は、参考人の皆様におかれましては、早朝から国会においでいただきまして、貴重な御意見を頂戴いたしました。心から感謝を申し上げます。

 まず初めに、伊藤参考人にお伺いをしてまいりたいと思います。

 長年難病対策に取り組んでこられ、そのお働きに私も心から敬意を表したいと思っております。

 伊藤参考人とは、二〇〇六年に、パーキンソンとそれから潰瘍性大腸炎、軽度のところの医療費助成を打ち切るということがあった際に、私もそれを食いとめるために奔走いたしました。そのときからの御縁がございます。

 これまで、難病予算は年々の予算措置でございました。不安定でありました。そんな中ですけれども、平成二十一年には私たちも一気に前年比四倍、百億という難病予算を確保するなど、徐々に難病対策に光が当たってきたことは確かでございます。

 このたび、四十一年ぶりの難病対策の抜本改革ということであります。これまでなかった難病対策の法的根拠ができる、難病対策のための法律が制定をされるということになります。我が党も、マニフェストに難病対策の法律の制定ということを掲げてまいりました。難病対策の定義を明らかにするとともに、難病対策の目的を明文化されております。

 持続可能また安定的な難病対策を実施するための本法律案、意見陳述の中でもお述べいただきましたけれども、本法律案制定に当たり、改めて伊藤参考人の御感想をお伺いしたいと思います。

伊藤参考人 古屋先生、いろいろとお世話になりまして、ありがとうございました。

 今お話にありましたように、二〇〇六年のときには、新たな難病を入れて改革していくためには、どこかをまた外さなきゃならないというような矛盾がありました。そのときに私も本当に考えました。この対策は今までの対策の延長ではやっていけないのではないか、そしてもっと新たなものが必要だと。それは、どういう形がいいのかはまだ見えてはいなかったのですけれども、多くの患者さんや御家族が集まって勉強会を重ねて、難病対策のこれからのあり方というのをいろいろ考えて、提言もさせていただきました。

 そこから今日になったわけですが、実は私も子供のころからの難病でありまして、一九七二年に全国の患者会に入って以来、患者会の活動をしてまいりました。ですから、難病対策の初めからをずっと見てきたわけです。その中で、難病対策というのは実は法律ではなかったということに途中から気がついたんです。

 これが法律になるということは、単に改革ということではなくて、本当に質の違うものになっていくんだろう。そのきっかけが今回の難病法案の議論であり、かつ、この法律ができるということはその基礎をつくるということになるので、子供のころからずっと病気とともに暮らしてきた身としては、何か大きな変革がこれから始まるのだな、その土台をつくったんだなということについては、先ほど意見の冒頭にも述べましたように、本当に感慨深いものがあるというように思います。

 何か個人的な感慨の話で申しわけありませんが、そういうことです。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 質の違うものになっていくのだ、また、その基礎をつくって、これからいよいよスタートということなんだろうというふうに思います。

 引き続き、もう一問、伊藤参考人にお伺いをいたします。

 このたびの制度をつくるに当たり、公明党としても、難病団体の方々に丁寧に何度もヒアリングの場をつくってまいりました。全体として、その御要望を最大限取り入れる形で我々も政府にも要望し、努力をしてきたつもりではございます。

 対象を五十六疾患から三百疾患に、また小児慢性特定疾患も五百十四疾患から六百疾患に、その対象者が全体で約八十九万人から約百六十五万人に拡大をしていく。そして、全体としては、自己負担額を引き下げをしていく方向ではございます。

 この制度設計に関しての御意見、御所見をお伺いしたいと思います。

伊藤参考人 難病対策がこういう形で法律化を迎えるとはいっても、それで一遍に全てのことが成り立つわけではありませんし、さまざまな角度からさまざまな検討をしなきゃならないと思います。

 しかし、私どもが難病対策を新しいものにしていただきたいというお願いをし、超党派の先生方にお集まりいただいて御支援をいただいたんですが、そこでも述べてきたことは、もっともっとたくさんの難病患者がいる、みんな困っている、その方々を一つでも多く同じ難病対策に入れるためには、幾らか自分たちの負担がふえたってやむを得ない、それよりももっと多くの難病を入れていただきたいという話をさせていただきました。

 そういうことがありますので、私どもは、自己負担のことだけが問題になるのではなくて、もっと、難病の抱えている、一つは病気、病理の問題もある、さまざまな問題があるんですが、もう一つはその生活ということを考えると、難病対策だけで全てできるわけではなくて、ほかにもさまざまな制度の利用をしていかなきゃならないのですが、しかし、難病対策で治療も研究も社会的な支援も経済的な支援もというのは、かなりすごい法律だなと思うんです。

 そういうのを背景にしながら、しかし、もっともっとここから、日本の患者さん、どんな病気であってもさまざまな社会的な支援が受けられる、そういうものを日本という国がつくっていく、その大きな礎をこの難病対策がつくったわけですから。若干まだ手が届かない、五十六疾患から百三十になり、三百を対象にし、さらに五百とはいっても、そこまでいっても多分全部ではないと思います。しかし、そういう高い目標を持って進めていくことができる、その基礎をつくっていただいたということは、私ども、大変よかったというように思っております。ありがとうございました。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 次に、五十嵐参考人にお伺いをしてまいります。

 この二月、特に小児がんの現状、課題をお伺いに成育医療センターにお邪魔をさせていただきました。そのときも話題になりました、こうした小児の難病あるいはがんに関するデータがやはり研究班の一部の学者の財産になっており、それが共有化されていないということが課題だというお話を伺いました。患者のデータ登録を活用する、その基盤が整備されていないということをお伺いいたしました。

 今回の法改正では、治療研究の推進ということが盛り込まれております。その集積した成果を、適切な方法によって、調査また研究を行う者、医師、それから疾病児童またその家族その他の関係者に積極的に提供するという条文が盛り込まれております。

 やはり、研究に必要な正確な難病データの蓄積また活用が期待されますが、この点について御意見があればお伺いをしたいと思います。

五十嵐参考人 御質問ありがとうございます。

 我が国では、小児の悪性腫瘍、これには血液の悪性腫瘍とそれから固形腫瘍がございますけれども、年間それぞれ、年によって多少違いますけれども、血液の悪性腫瘍が千百名、それから固形腫瘍が千名、新たに患者さんが出ております。

 これまで、造血器、血液の腫瘍に関しましては、日本小児血液学会等が中心になりましてオール・ジャパンの体制をつくり、そのデータ管理が一元化されております。

 しかしながら、固形腫瘍は、例えば脳腫瘍だとか、神経芽腫、これは子供の神経の細胞から発生する悪性腫瘍ですけれども、これが二番目に多くて、それからジャーミナル・セル・チューモア、胚細胞腫瘍といいますけれども、これが三つ目ぐらい。それから今度四つ目が、網膜芽腫といいまして、目の病気なんですね。ですから、固形腫瘍に関しましては、脳腫瘍は脳外科の先生がやりますし、神経芽腫は小児外科の先生が対応しますし、それから網膜芽腫に関しましては眼科の先生がそれぞれ対応するということで、それぞれの領域の専門の先生たちがそれぞれ独自のデータをつくっていた、集めていた、そういう状況にございました。

 これを、このたび、昨年、小児がん拠点病院というのが日本全国に十五カ所指定されまして、その一つに国立成育医療研究センターが選定されました。そして、さらに本年は、小児がんの中央機関として国立がんセンターと国立成育医療研究センターがあわせて指定を受けましたので、今年度からは、小児の固形腫瘍につきましても、国立成育医療研究センターに集めて、そしてこれをデータ管理していくということになりました。

 したがいまして、ようやく今年度から、我が国の小児の悪性腫瘍に関しましては、血液、固形、両方あわせて一元化してそれぞれ対応するということができるようになったということで、ようやく体制ができたということでございます。そして、これを有効に将来使うためには、やはり情報発信、あるいはさまざまな新しい治療法の紹介だとか、関係者の研修、それから国民への啓発というようなことも含めて、この小児がんの中央機関がやっていくということになると思っております。

 以上です。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 小林参考人にお伺いをしてまいります。

 私も地元の神奈川県立こども医療センターを訪問し、ここでは、病院内に横浜南学校がありまして、中で授業をしております。子供たちは、入院をして治療しながらも、非常に授業に熱心に取り組んでおります。やはり子供は、大人と違って、教育ですとか、そういうものが非常に重要になってくると思います。

 このたび、本法律の中では、小児慢性特定疾病児の自立支援事業というものが盛り込まれております。特に、教育ということは、子供の一生涯にとって非常に重要になってくると思います。教育を中心としたこの自立支援事業、これについてさらに御意見があれば承りたいと思います。

小林参考人 ありがとうございます。

 子供にとって、成長、発達に教育は欠かせないというふうに思っております。教育だけではなくて、保育も欠かせないというふうに思っています。特に入院中の子供たちは、治療という名目のところで、そうした成長、発達に必要な働きかけの機会が非常に少なくなるということがございます。

 今先生御指摘のように、横浜の病院には、病院の中に学校が、病弱を専門にする特別支援学校が設けられております。

 しかし、子供の数が昨今減っている傾向の中で、一般病院の中で小児科病棟が減っているんですね。このため、院内学級が以前より減る傾向にあるということを一つ心配に思っているところです。子供が入院する場合には、教育や保育は必ず必要ですので、ぜひそうしたことを積極的に、お金がかかるかもしれませんけれども、取り組んでいただきたいと思います。

 こうした場合に一番よく問題に出てくるのは、この病院には、入院している子供は他県から来る、他の自治体から来るから、特別支援学校というのは県立になってくるわけですけれども、自治体がかわるわけで、その予算について、どこからお金を出すんだというようなことがよく話題になるというふうに聞きます。

 しかし、子供のことですから、地域とかいうようなことに余りこだわらずに、ぜひ日本じゅうの子供をみんなの手で育てるようにしていっていただければありがたいなというふうに思います。

古屋(範)委員 大変貴重な御意見をありがとうございました。

 皆様の御意見を参考に、これからも難病対策に全力を挙げてまいります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日は、六人の参考人の方に、お忙しい中御出席していただきまして、それぞれの立場で貴重な御経験のお話、今まで御努力されたお話をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。

 私は、五十嵐参考人と同じように医師でございまして、もともと専門は消化器外科であって、大学病院時代は、潰瘍性大腸炎、クローン病等、消化器中心に難病の患者さんに携わってまいりました。

 その後は、私は、ふるさとは山梨県北杜市というところなんですが、在宅医療、訪問診療を今現在も続けておるわけです。在宅においては、ALSや重症筋無力症の方々、小児慢性疾患、小児の方も、実は専門ではないんですが、やはり資源が少ない場所で訪問診療を頼まれることもあり、戸惑いながらも、日ごろ、自分自身も勉強しながら取り組ませていただいておる。そして、外来においては、線維筋痛症の患者さんも何人か今定期的に診させていただいておる。

 そのような環境の中から、一人の医師としても、きょう、皆さんの御意見は大変参考になりました。

 私は、先ほど言ったように、在宅医療ということに携わっておりまして、そんな中で、今、地域包括ケアシステムということが目指されておる。そういう観点からいきますと、今回、難病、法制化という一定の評価はできるとは思うんですが、先ほどから問題になっております、病名で区切ること、診断基準の問題等々、在宅で、住みなれた地域で住んでいくために、それは病名の別であり、年齢であり、小児であり、やはり重度な方においては生活をまず維持しなければいけない、そういうことが大変重要だなというふうに私自身も思っておるわけです。

 そこで、まず小林参考人、お子さんをずっと介護というか、療養生活に一緒に携わってきた立場、そして橋本参考人、今はお元気そうに見えるけれども寝たきりの状態があったということで、お二人にちょっと同じ質問をさせていただきたいと思うんです。

 実際に御自宅で療養をなさっていた橋本さんや、お子さんを見ていた立場からして、実際に何が困ったのか、こういうサービスが受けられたらいいなということがあったら、まず教えていただきたいということと、例えば、先ほど言った地域包括ケアシステムの中で、現在、介護保険というものがあって、運用を高めた結果、どの地域にも介護サービス、訪問看護であり、訪問介護であり、訪問入浴であり、そのようなサービスが充実しておるわけですが、介護保険サービスとの連動性、その必要性についてどう思われるか、お二方にお尋ねしたいと思います。

小林参考人 ありがとうございます。

 私は、子供を、一年ちょっと入院をしまして、その後、在宅で育ててまいりました。八年間育てまして子供は亡くなったんですけれども、その間、今のように、まだ訪問看護とかいう制度はほとんど確立されていない時代でしたので、当時は、家内と私と娘たちが家族だけで介護していたというふうな状況でした。

 一番力になったのは当時の養護学校でございまして、養護学校の先生方にいろいろなことを教えていただいて、さまざまな助けをいただきました。

 最近は、訪問看護、そうしたことが発達して、地域の中でつくられておりますけれども、当然のことながら介護保険の対象ではありませんので、そうした対象ではありませんけれども、訪問看護ステーションから看護婦さんが来たりする話を聞いたりはしております。

 しかし、残念ながら、訪問看護ステーションのかなりの数が、小児の経験がないということで断られるという報告を随分多く耳にするわけです。経験がないかもしれませんけれども、介護自体はそんなに変わるわけではないと思うので、勉強するつもりも含めて、ぜひ子供の方にも手を広げていっていただけると大変ありがたいなというふうに思っております。

橋本参考人 私は、介護とそれから訪問看護と両方受けられていたのは本当にラッキーで、すごく長く入院していて、そのまま退院したので、そういうことが手厚く受けられたわけでして、本来であれば、線維筋痛症であるとそれは受けることはできません。ましてや、六十歳未満の介護保険の適用にならない場合は、どんなに寝たきりだろうと、どうすることもできません。それから訪問看護も、できるところが非常に少ないですから、あれは医師が指示書を書けば訪問することはできるんですけれども、現実に、そういうできるところが非常に少ないというふうに思います。

 私は本当にラッキーだったんですけれども、それでもやはり時間が非常に限られていて、朝と昼来てもらえるとか、夕方来てもらえるということは、これは余り言っていなかったんですけれども、おむつだったわけですよ。そうすると、非常に時間が長くて、来てくれるまではどうすることもできないので、お水を飲まないで我慢しているとか、相当いろいろな苦労はありました。それから薬も、定時に飲みたいんですけれども、なかなかそれも飲めない、自力でも飲めない。そういう生活で、こう言ってはなんですけれども、本当につらかったですね。

 私の場合は家族がいませんので、看護だけが頼りだったんですけれども、非常に大変な状態になっていました。

中島委員 ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたように、やはり介護が必要な方にとって、病名の種類とか年齢とか、先ほど橋本参考人からもございました、今、介護保険の適用疾患というのは限られております、四十歳以上になってしまう。ただ、希少がんも含めてですが、がんはいつやってくるかわからない。そして、小児難病の方々にとって、医療的ニーズが高い方はもちろんだと思うんです、やはり地域にある資源が連動性を持って必要な方にちゃんと提供できる体制というのは、今後大変重要なのではないかなというふうに私自身は思っております。

 引き続いて、五十嵐参考人、小林参考人にちょっとお尋ねしたいんですが、NICUの整備等で、従来であれば命を救えなかったお子さんたちが救えるようになった。これは大変いいことだとは思うんですが、一方で、そういう子供たちの行き場というところで、最近は若い親御さんも多く、あるいは、あるアンケート等を見ますと、やはり在宅で見ていきたいと言われる方、どちらかといえばというのを含めますと六割、七割ぐらいになる。

 そうして在宅療養を希望される方が多くなっておるわけですが、一方で、やはり先ほどの、在宅で見ていくためのサービス提供側の問題。あとは、よく言われます、レスパイト機能を果たす場所がなかなか確保できない。在宅は大変いいことなんですが、それをバックアップする体制の整備というのが非常に重要であるという中で、整備がなかなかなされていないということだと思うんです。

 今後、子供の在宅療養に関して、先ほどの問題にちょっと付随するかもしれませんが、提供側の五十嵐参考人、そして受け手の小林参考人に、レスパイト機能、そしてもう一点、お子さんであれば、移行期、当然、親御さんに対するサポート、これは経済的なことも含めてなんですが、親御さんに対する教育の意味も含めたサポート、そしてお子さんも、御自身が、恐らく思春期を越えますと、私は病気なんだということを気づかれる時期が来ると思います。その移行期に当たって、教育体制というか、注意しなければいけないこととして、公共のものとして整備していただきたいようなものがあれば、お尋ねしたいと思います。

五十嵐参考人 大変重要な御指摘、ありがとうございます。

 まず、レスパイトに関係することですけれども、御存じのように、我が国は今、生まれてくる子供は百四万人いらっしゃいますけれども、その一〇%程度がいわゆる低出生体重児。これは、栄養状況のいい先進諸国の中で、生まれてくる子供の平均体重が低下している国は我が国だけと言われています。それはいろいろな理由がございますので、ここでは申し上げませんけれども、非常に小さな体重のお子さんが生まれてくることは現実でございます。

 それに対して、議員が御指摘になりましたように、医療が進みまして、救命が可能になってまいりました。しかしながら、大変重症の方の場合には、人工呼吸器を装着したままで生活せざるを得ないという赤ちゃんも、それがだんだん大きくなってくるわけですけれども、少なくないわけです。そういう方たちが長く病院にいるということは、やはりどうしてもいろいろな意味で問題がございまして、できれば家族で、御自宅で、地域でお過ごしになるのが一番いいんじゃないかと思います。

 当センターでも、約二百名を超える人工呼吸器の患者さんたちの在宅管理をしておりますけれども、いざというときには入院してくるわけですが、ふだん大きな問題がないんだけれども、三時間ごとに例えば気管内吸引をお母様あるいは家族の方がせざるを得ないというような状況を、訪問看護等でカバーしようとしても、なかなか地域によってはそれができない、あるいは制度的になかなかできない。

 私が一番望むのは、昼間あるいは夜、お母さんのかわりにやってくれるような方が制度として認められれば非常にいいと思いますし、あるいは、地域にそのような、今議員が御指摘になりましたように、レスパイトケアをするような組織、しかも、その組織、機関が、今の状況だと赤字が必至ですので、なかなかそれに参入する施設ができないと思うんですけれども、そういうものをもう少し制度的にサポートするようなことも、これから大きな課題になるのではないかと思います。

 それから、トランジション問題につきましては、これは先ほど私申し上げましたように、医療界の中でもまだ、体制としてどういうふうにしたらいいかということを、結論が出ていないと思います。それは、一つは、疾病によって随分状況が変わります。

 先ほどちょっと申し上げましたけれども、先天性心疾患の子供たちが手術等によって大人になっていくわけですけれども、従来は、心臓のいわゆる異常というのは、例えば左心室が非常に低形成だったりとか、ファロー四徴症のような血管の走行異常があるとか、そういう方たちを手術して、昔は亡くなってしまう方が多かったわけですけれども、二十を超えて大人になっていく方が非常にふえていまして、そういう方たちを成人先天性心疾患と呼びます。

 今、子供のころに先天性心疾患だった方が大人になっている患者さんが四十五万人いらっしゃいまして、ちょうど心筋梗塞になる成人の方と同じぐらいいるということになっていまして、ようやく大人の循環器学会の中に、成人先天性心疾患外来というのをつくって、つまり、子供のときに先天性心疾患でいろいろな治療、手術を受けた方が大人になって、その後、内科の循環器の先生も一緒に診てくれるような、そういう体制がようやくできてきつつあります。

 しかし、疾患はいろいろなものがありまして、大人になっても、成人側の医療提供者の方がなかなか診られないというのが今の現状でございますので、これは何とか、小児系の学会と大人の学会とが連携して今後対応をとるような、いろいろなことをしなきゃいけないと思います。

 それから、できれば地方公共団体あるいは国は、そういうものに対して何か支援をしていただけるような施策を考えていただきますと、これがスムーズにいくのではないかと思います。これは、先進諸国ではどこでもこういう問題が大きな問題となって、非常に対応に苦労しているところではないかと思います。

 以上です。

小林参考人 御質問ありがとうございます。

 子供を在宅でということなんですけれども、これは、親は自分の子を自分の手で育てたい、ごく当たり前の思いから、そうしたことを皆さん要望されるというふうに私は思っております。

 NICUで多くの子供さんが命を救われて、そのまま長くNICUに入ってというような話も聞いておりますし、新生児の救命率が世界一番だという大変いい話がある一方で、しかし、医療的なケアを生活に絶えず必要としている子供さんたちが成長して社会に出ていくと、学校とかあるいは保育園とか、こうしたところでさまざまな問題にぶち当たって、途方に暮れているのも事実でございます。ぜひ、医療、福祉、教育で連携していただいて、そういう子供たちが社会生活が普通にできるように御支援をお願いしたいなというふうに思っているところです。

 レスパイト、ショートステイということですけれども、これも、そうした在宅をサポートするのに欠かせないことだと思います。民間の人たちがボランティアでこうしたことを行ったりしていることも各地で見られておりますし、先生は北杜市ということなんですけれども、私たちは今、北杜市でそうしたレスパイトができるキャンプ施設を建設中ですので、また改めて今度御挨拶したいと思っております。

 移行期の問題で、今、五十嵐先生からお話がございましたけれども、世界的に、やはり移行期問題は課題としてうまくいっていないというふうに聞いております。小児科学会で移行期のワーキンググループができまして、その委員を拝命して、そこでいろいろ調べていたわけですけれども、内科医の方たちは、小児科医は成人の病気は絶対診られないというふうにおっしゃるわけですけれども、一方で、小児科医の先生方は、小児科医だって勉強すれば成人の病気が診られるんだというふうに、はっきりおっしゃる方がいらっしゃいます。

 どっちが正しいのか、私には素人ですからわからないわけですけれども、いずれにしても、スムーズに移行できるような上手な仕組みが、専門家の皆さんで議論していただいてつくられるとありがたいなというふうに思っております。

中島委員 北杜市の白州町で、小児の子たちのレスパイト機能を果たせる整備を今しているところです。ぜひ利用していただければと思います。

 時間ですので終わりますが、全ての参考人の方に御質問できなかったことをおわび申し上げます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 本日、六名の参考人の方々にお一つずつ、できれば質問を差し上げたいと思っております。

 まず最初に、お二方にお伺いをいたしますが、伊藤建雄日本難病・疾病団体協議会代表理事にまずお伺いいたします。

 私は、前回の委員会では、この事業が研究の色合いが強いのか、福祉の色合いが強いのか、根本的にもう一度考え直すべきではないか、こういう議論をしてまいりました。研究という方では、伊藤代表理事からごらんになって、十分な成果が出ていると思われるか、また、改善点として端的にどのようなことをお考えか、お伺いをしたいと思います。

 あわせて、今度は、五十嵐国立成育医療研究センター理事長にお伺いをいたしますが、難病の四要件について、特に原因や発病の機構が明らかになったら、これは難病から外れてよいのかという根本的な問題意識を持っております。その点について専門家から一言いただければと思います。

 まず、お二方によろしくお願いいたします。

伊藤参考人 ただいまの御質問は、本当に難病対策の根幹にかかわる部分だと思います。

 研究と治療と、それから研究や治療に参加するためのインセンティブとしての謝金という制度から始まったことによるんだと思いますが、福祉も研究も治療もというのは、これは世界でこういう仕組みを持っているところはないわけで、それが、日本の難病対策が世界的にすぐれていると言われてきたことだと思います。そのことによってたくさんの患者が集まり、研究が進むことによってまた患者がふえていったり、あるいは亡くなる方が少なくなっていったり、治療法もさまざまに開発されてきたということで、私は、研究の成果は非常に大きいと思います。

 ただ、どちらが先かというのじゃなくて、そういうようなものが相まってなってきたのではないか。それが、今日、患者の数がふえてきたというのは、実は、患者がふえたのではなくて、亡くなる方が少なくなった、あるいは発見される度合いが大きくなった、地域でも医療を受けることができるようになったというような成果になっているんだと思います。

 しかし、こういう世界に特有の方法が、ずっとこのままでいいのかという疑問はやはりあるわけです。これは、幾つか議論にありますように、特定の疾患しか対象にできないとか、あるいは疾病名で指定していかなきゃならない。

 と同時に、治療や研究はそれでいいんですけれども、福祉はそれでいいのかという問題があるわけですから、そういう意味で、日本の社会保障、福祉の仕組み全体を考えることが必要なのではないか、そのために、この難病対策の中で行われてきたさまざまな経験というものが、今後大いに役に立てていただけるのではないかというように思います。そういうことです。

五十嵐参考人 御質問ありがとうございます。

 難病の原因や治療法が見つかった途端に、それはもう難病にしなくていいのではないかということでございますけれども、これは、基本的には、専門委員会で、難病かどうかということをこれから検討する予定でございますので、議員が御指摘になりましたように、原因がわかったからといって、すぐこれを外すというふうに決まっているわけではございません。

 御存じのように、これは、研究事業であると同時に福祉的な色合いも持っている事業でございますので、総合的に判断して、これから疾病が選定されていくんだと考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、小林信秋難病のこども支援全国ネットワーク会長にお伺いをいたします。

 トランジションの問題、小児慢性から大人になって難病になったときに、もうそのほとんどが対象から外れてしまう問題、私も認識をしておりますが、病名のリストを拝見しますと、では、すぐに、この小児慢性が丸ごと、大人になっても難病と同等の対応を受けるということは、一足飛びに行くのはなかなか難しいのではないかなというふうにも一方で思うわけであります。

 お聞きしづらい部分ですが、全てが無理だとした場合に、次善の策として、例えばどのような考え方あるいは線引きといったものがあり得るのか、アイデアをいただきたいというふうに思います。

 もう一方、今度、橋本NPO線維筋痛症友の会理事長にお伺いをいたします。

 線維筋痛症患者は二百万人で、重症の方だけでも十五万人というふうに伺いました。これも同じような質問になりますが、この二百万人全てを現在の難病のような対応が即座に難しいと仮にするならば、おっしゃったような、せめて重症者だけでもまずはといった、そういうお考え方があるのかどうか、お伺いをしたいというふうに思います。

 よろしくお願いいたします。

小林参考人 ありがとうございます。

 いいアイデアがあれば、私が伺いたいぐらいなんですけれども。

 先ほど申し上げたように、小児慢性疾患の一つ一つというのは、本当に、数からいうと少ない病気ばかりでございます。一番多いのが小児がんですけれども、これも一万ちょっとぐらい、一万数千人。次が心臓病、あとはもう物によっては何十人なんという疾患もあるぐらいです。

 そういうことから考えますと、全体の数、あるいは、やはりいろいろ聞いていくと、予算という、かかってくる医療費、その部分が特定疾患に関係する非常に大きな要素だという話も聞いておりますので、そういう点から考えると、どうも、小児慢性疾患に指定されている病気は、そんなに大きな負担ではないのではないのかなというふうな印象を持っているわけです。

 そんなことから、ぜひ、切ってしまわないで、特定疾患の方に、舞台に上げていただいて検討してほしいというのは、そういったところから来ていることです。

橋本参考人 確かに、線引きというものとか定義というものは、こういう法律であったり科学であったり医学であったり、そういうところではやむを得ないことだとは思います。ただ、私は、二百万人の患者の代表としまして、ここからこっちが重症でこっちが軽症だというようなことを私から提案することは、もう死んでもできません。

 それで、どうしてほしいかといえば、それは、必要としている人には必要なものを必要な期間だけ支給してほしいと思います。もちろん、要らなくなればすぐに返却します。それは、ホームヘルプサービスもそうですが、医療費の助成も、別に要らないという人はどんなに重症であっても要らないわけですから、必要である、自分は困っている、助けてほしいという人にしてほしい、私はそう思っています。

 それから、本当にいろいろすっきりしないことがありまして、重症度というのは誰が決められますか。お医者さんですよね。だけれども、それでいいのかなということもいろいろ悩んでいます。人の命を誰かがそういうふうにランクづけして、こっちはいい、こっちはだめと言う権利が本当にあるのかなというふうに根源的には考えていますが、法律としてはやむを得ない部分であろうとは思っています。

井坂委員 多くの方から御意見を伺いたいと思ったので、大変言葉足らずだったと思いますが、私も今、病名で決めていくことに、大変現実と照らし合わせて無理があるだろうとまず思って、前回の委員会では、実際の生活実態であるとか、あるいは、おっしゃったような本当に困っておられる度合いに応じて、やはり現実的に福祉としての対応が要るのではないか、こういう議論をした上で、そうはいっても、制度化するならば、やはり何らかのそういう外形的なものが必要なのかなという思いで、まさにちょっとお聞きしにくいことをお尋ねしてしまいました。

 あとお二方にお聞きをしたいと思いますが、松原良昌稀少がん患者全国連絡会の会長にお伺いをいたします。

 希少がんという話で、私もまだまだよく知っているわけではなく、きょう、いろいろ聞かせていただきましたが、これは、いわゆる難病としての要件、原因が不明だ、あるいは治療法がわからない、長期の療養が必要だ、さらには希少性、特に人口〇・一%程度というところに入っているのか、そして客観的な診断基準はあるのか、こういった難病の要件は、希少がんというのは満たしておられるのか。あるいは、満たしていないとすればどこなのかを教えていただきたいと思います。

 もう一方、森幸子膠原病友の会代表理事にお伺いをいたします。

 膠原病で難病指定される病名とされない病名があるということで、わかりやすい一覧表をいただきました。あれでもちろん全てではないわけでありますが、こういった現状からいわゆる不公平をなくすために、どのような制度、理想はもちろんもう全て、あらゆるということなんでしょうが、一方で、実際のお困りの度合いに応じてという別の考え方もあると思うんですね、病名が当てはまれば全てという考え方とは違う。

 そういった不公平をなくすために、どのような制度がよいと考えられるか、お伺いをしたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

松原参考人 ありがとうございます。

 希少がんにつきましては、まだ、残念ながら、いわゆる厚労省さん等の言葉の定義がございません。ことしの二月から始まりましたが、厚労省の委託事業で、希少がん対策推進事業、ワークショップというのができまして、暫定的に希少がんの定義を決めようじゃないかと、予算づけをするにも必要でございますので。そういうのがやっと始まりました。したがいまして、おっしゃるような基準、難病のような基準はまだございません。これからやっていく必要があると思います。

 希少がんにつきましては、やはり、そういうことも含めた討議がぜひ議員さんを含めて進められることが好ましいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

森参考人 ありがとうございます。

 先ほども申しましたように、当然、一つの制度で全てがきちんとできると非常にうれしいです。

 ただ、やはり制度というのは難しいものですので、もしも、違う制度でその支援を補わないといけないとするならば、例えば、今あるものでしたら、高額療養費制度などを使いまして、でも、これも今の基準では、例えば、毎月毎月それをまた使い続けるというのは非常に厳しいものがございますので、それを、難病の患者さんなど、ずっと長期に使わないといけない方についてはぐんと引き下げていただく、今の医療費助成の制度と同等ぐらいにまで引き下げていただけるのならば、非常にそれはうれしいと思います。

 また、障害者制度の方でも、自立支援医療などもありますし、そして、長期に使っている、非常に医療も必要な障害の方もありますので、それらの制度なども組み合わせて使っていけるといいかなというふうに思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 もう少し時間があるようですので、森代表理事にもう一点お伺いしたいんですが、就職の問題をおっしゃっておられました。

 私、前回、質問しようとして時間切れで委員会ではできなかったので、また次回しようと思うんですが、今回、難病患者の方が障害福祉サービスを受けられるようになった、でも、手帳をもらうわけではないので、企業のいわゆる法定雇用率の中には算入をされない、こういう問題があろうかと思います。この点について、やはり難病患者の方もこの法定雇用率の中にカウントできるようにすると非常によいのではないかと私は思っているわけですが、就職、雇用の面についてコメントをいただければと思います。

森参考人 ありがとうございます。

 私どもの調べでは、膠原病を発病してから職を失ったという方、五八・三%の方がいらっしゃいました。そして、働いてはいるけれども非常に働き続けることがつらいという方が一六・七%、合わせますと七五%ぐらいの方が非常に職を失う可能性もあるというような調べがあります。

 そして、現在、就職というものが可能となって就労している方の割合が、私どもの団体では三一%でした。そして、その収入というものが、五万円未満の方が二〇%、五万円から十万円の方が約二五%、それから、十万円から十五万円までの方が一七・二%という、そのような所得で生活を送っているということになります。

 そこで、就職についてですけれども、就労支援というのは、なかなか、私たち、難病というものをまず掲げて働こうと思いますと、どうしても、履歴書のところやそれから面接の段階で、やはり、元気で明るい方というのが条件になったりしていまして、落とされることが非常に多いです。本人の能力でしっかりと考えていただければ、難病の患者さんも非常にすばらしい能力をそれぞれにお持ちですので、企業にとっては大変生かせる部分が多いかと思いますけれども、それが今はまだ、なかなかかないません。

 そのような点では、やはり、障害者の法定雇用率の中に難病が入れるならば、それも方法としては、就労可能な枠ということで一つ支援となることだと思います。

 それと、もう一つですけれども、障害者の法定雇用率の枠、障害者としての働きの枠ではなくて、一方で、一般就労を望んでおられる方も中にはあると思います。

 その一般就労ですけれども、通常の就労では、先ほど申しましたように、非常に低い収入、というのはパートですとかアルバイトが多いからなんですけれども、そのような働き方しかできない。だけれども、それを企業側がしっかりと認めていただけるならば、しっかり働けるということがあります。

 今は合理的配慮というような言い方でされていますけれども、それらちょっとした配慮があれば就職も可能で、企業にとっても、やはりそういう病気を抱えた人間がともに働くということで、いろいろな思いやりというものが企業全体に広がっていけば、もっともっとよい社会になるのではないかと思っています。

 その合理的配慮というのも本当にちょっとしたことで、自分の周りを温かくするとか、私の場合は日光過敏をちょっと避けるとか、そして、フレックスタイムのように少し時間を避けて、ずらして勤務するとか、そのようなことでかなりな面が救われるかと思います。それらが、今回の難病対策のいろいろな基本理念ですとか、社会の中で尊厳を持って生きていく、そんな社会になっていく一つのモデルになるのではないかというふうにも考えます。

 よろしくお願いいたします。

井坂委員 時間を押して申しわけありませんでした。どうもありがとうございます。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、六人の参考人の皆さんの出席をいただき、また貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。

 全員に質問したいんですが、時間が限られておりますので、急いで始めたいと思います。残った場合は御了承をお願いしたいと思います。

 まず、伊藤参考人と五十嵐参考人に、難病対策委員会の議論に直接かかわってきたという立場で、同じ質問をさせていただきたいと思います。

 中間取りまとめや改革の方向、あるいは提言という、何度かまとめてくる過程で、きょうもお二人が発言の中で触れられました理念の問題、「生物としての多様性をもつ人類にとっての必然であり、科学・医療の進歩を希求する社会の在り方として、難病に罹患した患者・家族を包含し、」とあること、これは団体の皆さんも高く評価した理念であります。

 一言で言うと共生社会の実現という表現をされていると思うんですが、それが法案のどこで反映されたのかということを見たときに、若干、悪く言えば後退しているのではないか。例えば、第二条でいうと、ほかの人々と共生することを妨げられない、そういう表現になっていたり、他の施策との連携という表現になっておって、本当に理念が丸ごと入るのかなと私が質問したときに、書きますという大臣の答弁もあったんですね。そういう意味では若干引いているような気がして残念に思うんですが、率直な感想を伺いたいと思います。

伊藤参考人 先生も御存じのように、難病対策委員会は、患者の代表も、地域の行政の代表も、福祉やら医療やら、さまざまな人が集まって議論したところで、初めはどうなるのかなというような形、みんなやはりそれぞれ立場が違って、難病というものを見る角度もいろいろ違ったんですね。そういう中で、この基本理念というところで一致したという、これは、そこでみんなが一致したというか、そこで一致する場をつくったということが僕は非常に大きな成果だったと思うんです。特に遺伝子の話というのは、患者さんは余り表には出したくない、したくないというようなことなんかも吹っ切るような、いい理念だったと思います。

 これが今度の法案に反映しているかどうかというのは、僕たちは素人ですので、法律というものでどう書いているのがどういう意味かというのは、なかなかよくわからないことがあるんですね。でも、これはそういう意味だと言われれば、そうかなと思ったりはします。

 ただ、その中で、さらにこれは法案をつくるときにお願いしたんですが、そこをどこかで書いてほしいということをお願いしまして、一部、中に入っているところもありますが、一番最初に七項目ほど書いているところの中に一つ入っているんですが、もう一つは、厚生労働大臣が基本方針をつくると言われたことなんです。

 ほかの法律もそうなっているのかどうかわかりませんが、一つ一つの法律の中に理念的なものを書き込めないんだとすれば、基本方針というもので方向を示すのであれば、まだどういう方針かはよくわからないんですけれども、期待はしたいと思います。

 また、あるいはそれに対応して、これも一番最初の発言に述べましたように、国会としても、こういう難病対策、今はちょっとそうでないにしても、こういう対策であるべきだというようなものも一言どこかで入れば、それがまた理念の具現化につながっていくのではないかというように考えております。

五十嵐参考人 大変難しい御指摘で、私も答えにくいんですけれども、ただ、遺伝子の変異というのは、遺伝子変化の中立説という木村資生先生の、遺伝的多様性というのがあるがゆえに生命は三十億年長らえてきた、常に一定のものしかつくらない場合には環境やいろいろな変化に対応できなかったという生命の長い歴史の事実を科学的に表現した表現なんですけれども、これを病気の発症というところに、非常にニュートラルに科学的に表現するというところを土台にしたということは、極めて高い理念ではないかと私は考えています。

 ただ、それが世俗的な法律にどういうふうにいくのかということになりますと、ちょっと私はなかなか御返事はしかねるというのが、私の限界だと思います。申しわけございません。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 お二人がお話しされた、委員会の中でそういういろいろな違いを乗り越えて一致してきたその理念が、やはり私はストレートに盛り込まれるのが一番いいと思っているんですけれども、そこの気持ちが本当ににじむように、基本方針やその他のことでにじむように、さらに発言を続けていきたいな、このように思っております。ありがとうございます。

 次に、小林参考人に伺いたいと思うんですが、本当に希少な子供さんの難病、またそれを抱える孤独な家族のネットワークをつくりながら施策を積み上げてきた取り組みに、本当に敬意を表したいと思います。

 それで、家族を支援しなければならないというこの特殊性の意味を、やはりイメージを膨らませる必要があるのではないか、そのことについてお話をいただきたいのと、その上で、小慢は大人の二分の一とか、食費もなくていいよと、単純でいいんでしょうかということを、もしおっしゃることができたらお願いしたいと思います。

小林参考人 自己負担のお話が先ほども出たんですけれども、小慢は、難病の半分でございまして、食事もそうでありました。言いにくいところではあります。大変ありがたいなというふうに感謝しているところでございます。

 最初の御質問は、小慢の制度の、家族支援のことでよろしいですよね。

 子供と親というのは、私たちは一体だと思っております。子供が元気なら親も元気だし、親が元気なら子供も元気なんだ。ちょっと単純過ぎるかもしれませんけれども、やはり多くの家族でそうしたことが見られると思います。

 やはりみんなが、それぞれの困難を抱えた家族を互いに支え合って、それぞれが受け皿をしていくというようなことを念頭に置きながら、先ほども五十嵐先生のお話にありましたけれども、ピアサポートとか、親たちのネットワークづくりとか、そうしたものを通じて、みんなが病気があっても元気に地域で暮らしていけるような世の中を少しでも早く築き上げられたらいいなというふうに願っています。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 次に、橋本参考人に伺いたいと思うんですが、誰にでも発症する疾病であり、また、さまざまな症状があるということを訴えられました。副作用の恐怖におびえながら何十種類の薬を飲み続ける、こういうことを思えば、本当に一日も早く標準医療の水準に引き上げていくこと、そのことがひいてはコストの削減にもつながるんだという、むしろ建設的な提案であったのではないか、このように思っております。

 その上で、きょうの問いは、そういう中でも、研究班が積み上げてきた成果ですとか、痛みセンターを全国でつくって支援をしていくという形で、さまざま切り開いてきたものがあると思うんですね。ここへの期待、あるいは拡充に対する思いなどをお聞かせいただければと思います。

橋本参考人 線維筋痛症学会は、もう五回目になりますけれども、ここで行われている研究は非常に先進的で、核心に迫るものがあって、いろいろな、画像的な、あるいは血液の中での抗体を発見するというような、そういうところにまで今迫ってきていますので、恐らく線維筋痛症の本体は、一部ですけれどもわかっているんだろうなと思います。いろいろな症状がありますので、いろいろなタイプもあります。だから、全部だとは私も思っていません。でも、本当に迫りつつあるなというふうには思っています。

 それから、痛みセンターの方ですが、こちらの方はまだ設立されて三年目ということもありまして、予算もいただいているようですけれども、それほど潤沢ではないらしく、苦労していらっしゃるようです。だから、まだ今のところ大したことができているようには思えません。

 私も、協力はするということを申し出ていますが、今のところ、痛みセンターの動きというか、相談センターが愛知にありますけれども、そちらよりも何か私の方がはるかにたくさん電話を受けているなというふうに感じているので、何とか、私も本当にもう大変なので、痛みセンターが頑張って引き受けてくれるんだったら、私の方はちょっと減らしてほしいな、助けてほしいと思っています。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 指定難病になるかならないか、全部ゼロか一〇〇かではなくて、そういう途中のいろいろな研究の蓄積や相談の支援というところにもっと支援をしていくことが必要ではないかと思って聞かせていただきました。ありがとうございました。

 それで、森参考人にも伺いたいと思うんですが、膠原病というのは、本当にポピュラーな、誰もが知っている病名でありながら、実はよく知られていないということが非常によく伝わったのではないかと思っております。

 それで、重症度分類について非常に心配されているわけなんですが、まだ確立しているのは十二疾患しかない中で、あと一年であの三百疾患をもしやるとしたら、どうやって決めるのかという心配があるわけですよね。そのときにある程度丸めるんじゃないかとか、いろいろなことが言われている。その中で、例えば高額な治療が必要な人たちをどうするか。重症化を防ぐ人、そういう一定の、やはり決めていかなければならない、要するに、本当に必要な人がはじかれないようにするためにどういうふうに分類をつくるのかということで、御意見を伺いたいと思います。

森参考人 単なる医学的な部分だけで、例えば数値のようなものだけで重症度分類というのを決めるということではないと思いますし、日常生活でいかに非常に支障が起こっているか、困難性があるかというようなところも配慮していただきながらの取り決めだと思います。

 ただ、そのこともなかなか、専門家の視点でどれだけ患者の実態がわかるのかなというふうには思っています。

 例えば、外来通院いたしておりますと、先生の前に座ると、あちらこちら非常に痛くてつらかった思いが、やはりちょっと安心するのか、にこやかな顔になったりしまして、なかなか主治医にも伝わらない。その主治医の方も受けとめ方によって、非常にしっかりと受けとめていただく先生もあれば、軽く見られる先生なんかもありますので、そのあたりで、やはり専門家の視点だけで決められるというところは非常に不安があります。

 かといって、患者団体の代表等が一緒に入って振り分けをするなんということはなかなかできませんので、基準が一つ一つにできたのならば、患者の方の実態もしっかりと聞いていただき、そして丁寧につくり上げていただきたい。もちろん、日がもう迫っておりまして、ないわけですけれども、やはり駆使して、それらのことを非常に気をつけてやっていただきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 ここは、さらに現場の皆さんの声をうんと反映させていくということが必要ではないかなと思っております。

 松原参考人には時間の関係で伺えませんでした。がん議連もありますし、しっかりと受けとめて頑張っていきたいと思います。

 また、JPAの方で、伊藤参考人、その他の施策ということで、かなり総合的な福祉の分野の提案をされていらっしゃいますので、本当にそこがいろいろな形で確実に担保がとれていくように、さらに議論を進めていきたいと思います。

 きょうは本当にありがとうございました。

後藤委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。

 次回は、明十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十六分散会


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