衆議院

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第17号 平成26年5月9日(金曜日)

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平成二十六年五月九日(金曜日)

    午前九時七分開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      今枝宗一郎君    小田原 潔君

      大久保三代君    大串 正樹君

      大見  正君    勝沼 栄明君

      金子 恵美君    神田 憲次君

      小松  裕君    古賀  篤君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      末吉 光徳君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高鳥 修一君

      高橋ひなこ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    永山 文雄君

      根本 幸典君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      山下 貴司君    大西 健介君

      玉木雄一郎君    中根 康浩君

      長妻  昭君    柚木 道義君

      足立 康史君    今井 雅人君

      浦野 靖人君    清水鴻一郎君

      重徳 和彦君    輿水 恵一君

      桝屋 敬悟君    中島 克仁君

      井坂 信彦君    高橋千鶴子君

    …………………………………

   議員           中根 康浩君

   議員           大西 健介君

   議員           山井 和則君

   議員           中島 克仁君

   議員           井坂 信彦君

   議員           高橋千鶴子君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      赤石 浩一君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  辻  義之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          三輪 和夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 上冨 敏伸君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 星野 次彦君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           岡田 太造君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君

   参考人

   (独立行政法人国立長寿医療研究センター研究所長) 鈴木 隆雄君

   参考人

   (独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長)           小林 利治君

   参考人

   (中央職業能力開発協会理事長)          青木  豊君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月八日

 辞任         補欠選任

  松本  純君     宮川 典子君

同日

 辞任         補欠選任

  宮川 典子君     松本  純君

同月九日

 辞任         補欠選任

  金子 恵美君     勝沼 栄明君

  田畑 裕明君     小田原 潔君

  中川 俊直君     大見  正君

  山下 貴司君     神田 憲次君

  大西 健介君     玉木雄一郎君

  浦野 靖人君     今井 雅人君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     末吉 光徳君

  大見  正君     根本 幸典君

  勝沼 栄明君     金子 恵美君

  神田 憲次君     山下 貴司君

  玉木雄一郎君     大西 健介君

  今井 雅人君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  末吉 光徳君     田畑 裕明君

  根本 幸典君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     中川 俊直君

    ―――――――――――――

五月九日

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(第五七八号)は「三日月大造君紹介」を「後藤斎君紹介」に訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第二三号)

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(中根康浩君外七名提出、衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案及び中根康浩君外七名提出、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として独立行政法人国立長寿医療研究センター研究所長鈴木隆雄君、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長小林利治君、中央職業能力開発協会理事長青木豊君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房日本経済再生総合事務局次長赤石浩一君、警察庁生活安全局長辻義之君、総務省自治行政局公務員部長三輪和夫君、法務省大臣官房審議官上冨敏伸君、財務省大臣官房審議官星野次彦君、厚生労働省医政局長原徳壽君、社会・援護局長岡田太造君、老健局長原勝則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。民主党の柚木道義でございます。

 冒頭、報道を見て私も知りましたが、大臣就任五百日ということで、おめでとうございます。一人の大臣がしっかりと任期中頑張っていただくということも大事なことだと思っております。ちなみに、私もきょうで百十回目の質問という節目で、在職十周年ということでありまして、しっかりとした議論をさせていただきたいと思います。

 前半は医療、そして後半は介護ということでさせていただきたいと思います。

 まず、冒頭、資料一枚目、二枚目におつけをしておりますが、この間の委員会の議論の中でも私もこの議論はさせていただいてきたわけですが、いわゆる集合住宅、マンションであったりアパートであったり施設であったり、一つの建物に複数の方々がお住まいの、そういう意味では居宅、在宅ということにもなるわけですが、この四月からの診療報酬改定で思わぬ波紋、これは、「訪問診療 医師が消えた」「高齢者施設が悲鳴」と。

 私も、地元のこういった訪問診療を非常に熱心にされていて有名なところもあるんですが、そういったところでもお話も聞いてまいりましたし、先日、和光市の方に山井議員、中根議員、長妻議員ともども伺ってまいりまして、この訪問診療の部分の最大七五パー減算というのも、自治体によっては、そういう集合住宅が非常に多い、しかも熱心に適切にやっているところもあって、そういうところなんかは、今回こういう形で、緩和措置はあるんですが、しかし、一律網をかけられると非常な影響が出るというようなお話も伺ってまいりました。

 ちなみに、記事に線を引いておきましたが、訪問診療をやめる医療機関が一割、規模縮小が三から四割。五割は続けるとしていますが、様子見でいずれ撤退するという声も多いという特定協の調査も出ております。

 また、下の段にもありますが、在宅の推進という大きな二〇二五年に向けた絵姿にも逆行するのではないかと。まともな診療まで一律規制は暴挙という、この声は私も現場でもたくさんお聞きしております。

 ちなみに、一番下には、田村大臣が、場合によっては見直しを含めて検討させていただくと御答弁。私の質疑にもそういった趣旨の御答弁をいただいております。診療の撤退があれば医師会が医師を紹介する仕組みをつくるという御答弁もいただいているんですが、ここにも、実際に、なかなか、そういう部分に消極的な医師会も出てくるんじゃないのかというのもあります。

 私も、いろいろな医師会の方からお話を聞くと、消極的どころか、一律、経過措置もなくて、いきなり七五パー減算、緩和措置では十分な効果が生じ得ないような状況も四月以降起こっていて、これでは、それこそ医師会としても、紹介機能を担うどころか、そういったことも辞退をさせていただかなきゃならないんじゃないかという声すら実は出てきております。

 次のページにも、これは私の地元の山陽新聞という岡山県の新聞ですが、プライマリ・ケア連合学会の会長が、在宅ケアの担い手育成をということで熱心に進めていかれているさなかなんですが、ここに線を引いておきましたが、患者紹介ビジネスのために、一部の悪質な業者のことで施設を訪問する医師が減るおそれもあるというような記事も出ております。

 おそれじゃなくて、実際にもそういう状況になってきておりまして、私の地元でも、非常に有名なそういった訪問診療をやっている事業者さんが、施設はもう完全に今ストップしていると。なぜなんですかとお聞きをすると、それは、そういった今の状況の中でやっていても採算が合わない、あるいは、それを中途半端にやって無責任なことになってもいけない、そういったリスクをとることもできない、そういった状況で、まさに戸建ての居宅の方のみに今は特化してやっているというような状況も出てきているんですね。

 そこで、この異例とも言われる七五パー減算でございますが、ぜひ、例えば、それぞれの地区に応じて、集合住宅が多い地区もあれば、一戸建てが多い地区とか、いろいろな特性に合った形で制度を再検討いただくとか、あるいは、そもそも、今回、経過措置もなくていきなりこのような報酬改定が導入されているということであれば、通常の報酬改定も、当然、今月以降ぐらいから見直しのための準備を進めて、秋以降ぐらいでそういう調査を行って、次期改定に反映されていくというプロセスなわけです。

 この集合住宅減算については、本当に前倒しで影響調査をしていただいて、場合によっては期中改定ということも、過去には、例えばリハビリの九十日の制限の部分であったり、もっと前になりますか、後期高齢者医療のときの終末期の相談支援料とか、期中にも、やめたり改めたりというような経緯もある項目はありますから、ぜひ今回、この集合住宅減算についても、早急な実態調査、そしてその実態に基づいての対応をお考えいただきたいと思いますが、田村大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 同一建物に居住する方々に対する訪問診療に関しましては、例えて申し上げれば、サービスつき高齢者向け住宅でありますとか有料老人ホーム、グループホーム、こういうものが対象になってくるわけでありますが、そもそも、今回、減算をした理由というのはどこにあったかといいますと、昨年来、この訪問診療、集合住宅に対して、間に仲介ビジネスで紹介料を取ったりだとか、いろいろな問題があったわけでありまして、そういうものに対しての世論の批判というものがあったというのが背景にあるわけであります。

 これは居住する場所でございますので、特別養護老人ホームなんかは当たらないわけでありまして、当然、そのような居住する集合住宅の中においては、本来、ちゃんと外来で行ける方は外来で行っていただかなきゃいけないわけでありますから、訪問診療の対象にはならぬわけであります。

 しかし、どうもそうではない実態があるのではないか。つまり、本来、外来で行く方々まで、医療機関が訪問診療というような形でまとめて対応いただいて、そして、効率的でありますから、そこで一定の利益を得られるというようなものに対して、問題があるであろうと。中医協等々で御議論いただいて、今般の決定をいただいたわけであります。

 ただ、そうはいいましても、いろいろな場合があるということでありますので、例えば、末期がん等の方々で頻回の訪問診療が必要な方々に対しては配慮をする。それからまた、三名以内でありまして、同一の住まいであっても、それぞれ個別に対応していただくという形であるならば、三名対応までは、これは言うなれば、今までの高い診療報酬を得られるようにする。

 そもそも、訪問診療と往診は別でございまして、緊急時に往診という形で住まいに行かれるという場合は、これは当然対象ではないわけでありまして、今までどおり、これに関しましては加算というような形で収入をいただくということでございまして、こういうようなさまざまな状況はあるわけでございます。

 ただ、そうはいいながら、私もいろいろなお声もお聞きをいたしましたので、これに関しましては、アンテナを高くして、しっかりと調査をすべきであるということでございまして、地方厚生局等々に申し上げて、そういう情報があったらすぐに厚生労働省本省の方に連絡を入れるようにということでございまして、実のところは、調査、検証しようということで調べましたら、これまでのところ、四件、医療機関が廃院、撤退したというような報告をいただきました。

 ここに関しましては、別の医療機関等々、訪問診療の方を地区の医師会等々にお願いいたしまして、今現在、対応いただいておるということでございます。

 四件をちょっと調べますと、なかなか難しい案件、例えば、入居者五十人のうち四十人が訪問診療の対象であったというような状況もあります。場合によっては、十六キロ規制というのがあるんですが、それを超えて二十一キロの診療所がやっておった。三十八人中三十二人が訪問診療であったというようなところもございます。

 中身をよく精査しなきゃなりませんが、本来、訪問診療の対象じゃない方々まで訪問診療しておったというようなところもあるわけであります。でありますから、それぞれ細かい精査はしなきゃなりませんが、やはりこれは、医療機関もそうなんですが、何よりも患者の方々、入居者の方々が本来受けられる医療が受けられなくなった場合には、大変な問題であるわけでございます。

 そこも含めて、地区の医師会等々にも今回対応いただいておるわけでありますが、これからもアンテナを高くして、もし問題があれば、それに対してしっかり対応する、そして、制度としての問題としてこれが大きな問題になっていくのであるならば、そのときにはしかるべき対応も含めて検討をさせていただきたい、このように考えております。

柚木委員 問題があればしっかり対応する、制度としての問題であればさらにしっかり対応ということなんですが、これは本当に早急な対応を御検討いただきたいんです。

 今回の改定項目の全体的な調査の流れの中の一環としてやるのではなくて、やはりこれだけ、本当に大方針である在宅での診療に影響が、四件というのはちょっと少な過ぎると思いますが、これは本当にしっかり調査していただいて、影響がもう既に出ているわけですから、さまざまな緩和措置の御説明もあったわけですが、それでもこういう実情が既に起こっているわけですから、そこはやはり重く受けとめていただいて、問題があれば対応というよりも、既に問題は起こっているという前提で、本当に前倒しでの御対応をお願いしたいと思うんです。

 まさに一律で、一罰百戒で網をかぶせる、こういう手法よりも、例えば、本当に集合住宅サービスに対しての指導監査機能をしっかりと強化させる、そのためにいろいろな手だてを講ずるとか、そういうことも逆にお考えいただければ、ちゃんとやっているところはいつでも来てくれたらいいと言われていますから、むしろそういうことを私は強化すべきだと思います。

 今回の最大四分の三、七五パー減算の数字自体も、いろいろなバリエーションの中で決まった経緯も私聞いておりますから、これが本当に妥当な数字なのかどうなのかもありますし、下手をすれば、本当に、言われるように問題が起こるということは、つまりは都市部で孤独死、孤立死とか、そういうようなことも誘発しかねないわけでもありますので、これはぜひ早急な調査、対応をお願いしたいと思うんですね。

 もう一点、お聞きをしておきたいのは、外来に行ける人、行けない人、いわゆる集合住宅か戸建てか、いろいろな、それはもちろんありますが、訪問診療の、特に外来に行けなくて在宅で訪問診療を受ける方が、集合住宅であれ戸建てであれ、国民目線で考えたときには、その質の評価、アウトカムの評価、これをやはりしっかりやっていただくことが重要だと思うんですね。

 例えば、それこそ、その診療によって患者さんの症状が改善されるのか、ターミナルケアであれば症状が緩和されるのか、そういった部分をしっかりと、やはり医療の質、中身、アウトカムについての評価をしていただくというのは、今の七五パー減算についての見直しを前倒しで行う行わないとはまた別の問題で、私は行うべきだと思っているんですよ。それを行う際に、あわせて、このアウトカム評価というのをしっかりしていただくことが本当の意味での見直しにつながっていくと思うんですね。

 場合によっては、スキルが高いドクターであれば、まだそういう部分が、経験を積んでいない方に比べれば、ひょっとしたら半分ぐらいの時間で済むことだってあり得るんですよね。

 ですから、そういうことも含めて、ぜひ今回、私は見直すべきだと思いますが、いずれにしても、そのプロセスの中で、訪問診療の質、アウトカム評価を必ず行っていただきたいと思いますが、大臣、御所見を伺えますか。

田村国務大臣 まず、この訪問診療に関しましては、調査は継続してやっておるわけでありまして、本当に医療提供をやめられる、そういうことが起こったら、これは報告をいただいて、実態がどうなっておるのか。あわせて、そこに居住をされている方々が医療が受けられるような対応をこちらとしてもしっかりと、先ほど来申し上げておりますとおり、地区の医師会の皆様方にもお願いしながら対応してまいりたい、こう考えております。

 でありますから、もし本当に問題があれば、しっかりこれは我々としても検討しなきゃならぬというふうに思っております。

 その上で、アウトカムの話もございました。

 まずは、訪問診療の対象の方にちゃんと訪問診療をしていただくということが大事でございます。どうしても訪問診療は点数が高いわけでございますので、そうじゃない方々まで対応されると、これは大変困るわけでありますから、その点はしっかりチェックしながら、訪問診療というものが、アウトカムというのは、どういうふうにこれを評価するかというのは難しいんです。難しいんですけれども、訪問診療している方々の健康状況がどういう状況かということ、つまり、訪問診療というのは、定期的に診療を受けることによって、健康管理でありますとか、いろいろなことも含めて対応いただくわけでございまして、そういうものを評価するということもあります。

 一方で、人材の育成という意味でもしっかり力を入れていかなきゃならぬわけでありまして、これは関係者の方々と協力しながら、そういう部分に関しましてもしっかりとした対応をしてまいりたい、このように考えております。

柚木委員 よろしくお願いいたします。

 次に、主治医機能、これは総合診療専門医とかいろいろな議論も出ているわけですが、主治医機能の中で服薬管理の部分、いわゆるお薬手帳というのも私も持っておりますが、その服薬管理の重複加算という見方が場合によってはできると私は受けとめていまして、そのあたりについて少し整理をさせていただきたいと思います。

 今般の改定で導入された主治医機能というのは、私も評価をされるべきものであると思いますし、お医者さんが服薬管理に責任を持つ、これは医師会でもそういった形で明言されておられますように、医療機関が患者さんの服薬状況をしっかり把握するという形で、評価できるものだと思うんですね。

 ただ、この服薬管理を促す技術的評価として、薬局のお薬手帳というものが同時に存在するとなると、この主治医機能を選択した患者さんは、例えば、お薬手帳をいつも持っていく薬局とは別に、ほかの病院や診療所でお薬をもらっている場合には、薬局で服薬管理名目の技術料を算定され、また別に病院で服薬管理を想定した主治医機能を算定されるという事態も起こり得るんだと思うんですね。

 そこで伺いますけれども、服薬管理を主治医が担われるということであれば、お薬手帳のような服薬管理のツールは主治医がされるものであって、では、調剤薬局が服薬管理を想定した技術料のようなものを算定するという部分とどういうふうに整理をしたらいいのか、これを確認させていただきたい。

 あわせて、今回、主治医機能を担う医療機関におかれましては、服薬管理の実践的な場所として、病院内の薬局や薬剤部の規定を設けていないという部分について、これは実は質問主意書で聞かせていただいております。

 薬学部が六年制になって、臨床知識も豊富になった薬剤師さんをしっかり活用するということであれば、こういったチーム医療の現場で、主治医となるお医者さんを病院内でサポートできるような体制をとっていくことが、私はあるべき姿なのかなというふうに受けとめております。

 大臣、病院における薬剤部の活用という視点にもなるわけですが、主治医機能の算定に際しまして、今回、なぜ薬剤部の人員要件を設けなかったかという視点も含めて、ちょっと整理をさせていただきたいと思いますが、御見解を御答弁お願いいたします。これは土屋副大臣ですか、よろしくお願いします。

土屋副大臣 今回の診療報酬改定において、診療所や中小病院の医師が、複数の慢性疾患を有する患者に対して、継続的に、主治医機能の評価を行ったところでございます。

 主治医機能を持つ医療機関については、複数、例えば算定要件といたしまして、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症の四疾病のうちの二つ以上を有する患者に対して一元的に管理するということになっておりまして、療養上の指導、総合的な健康管理のほか、服薬管理等を行うことを要件として定めているということで、薬剤師また病院ということで、両方でチェックをしていくということでございます。

 薬局については、患者が複数の医療機関からもらった処方箋を持ち込んで調剤を受けることがあり得るわけでございまして、その場合に、薬剤師が医師と独立した立場から処方内容のチェックを行うことができる、それから、患者が複数の医療機関を受診した場合でも、重複投与の防止や薬剤の相互作用確認ができることなどの効果が期待されている。そして、薬剤師が何かの問題等に気づいたときは医師に報告をして、それを踏まえて、医師は必要があれば処方の変更等を行うことができるということであります。

 そして、服薬管理については、患者に対する治療効果を高め、安全を確保するために、主治医機能を持った医療機関の担当医と院内の薬剤師や患者の選択した院外薬局の薬剤師が十分な情報共有のもとに連携して行うことにより、患者に最適な医療が提供されることが重要であると考えております。

 平成二十六年度診療報酬改定について、外来診療における医療機関の機能分化のさらなる推進の観点から、中小病院及び診療所の医師が、複数の慢性疾患を有する患者に対し、医療の提供を含めた総合的な健康管理を継続的に行う場合に評価を行うものであり、薬剤師または薬剤部に関する要件を定めることを考えておりません。

柚木委員 ですからお聞きをしておるわけで、機能分化の部分とチーム医療の連携の部分というのをそれぞれきっちりと整理していただく中で、ぜひ、主治医機能の強化はしっかりと進めていただくと同時に、そういったチーム医療における薬剤師の活用という点についてしっかり進めていただく。

 これは両立していただきたい、そして整理をしながら進めていただきたいということなので、それはそういう方向でいいかどうかだけ一言ちょっと御答弁いただかないと質問した意味がないので、よろしくお願いします。

土屋副大臣 そういう方向で進めていきたいと考えております。

柚木委員 ありがとうございます。

 続きまして、医療従事者の労働環境改善について、資料の三枚目にも、今回のいわゆる基金の中での勤務環境改善マネジメントシステムなどの例もつけさせていただいておりますが、お伺いをさせていただきます。

 これは民主党政権のときにも、当時の小宮山大臣時代に、この経緯というのは私も説明を昨日も受けましたが、看護師さんたちのまさにそういう勤務環境の改善という流れの中で、やはりそれは当然、医療職全般という流れがある中での今回の対応ということでお聞きをするわけです。

 この間、実は、参考人質疑でそれぞれの現場の先生方からも、改めて医療従事者の皆様の過酷な現状。私も、これは本当に十年前から、いわゆる救急医療、特に小児、産科あたりの部分から、ずっと、いわゆるたらい回し問題とかその背景にある過重労働とか、やはり労基法を守っていたんじゃ医療現場は崩壊しちゃうとか、本当にそのさまざまな状況をちょっとずつでも改善をということで、救急から、診療報酬改定でもプラス改定という流れもつくってきたわけです。

 なかなか、現場の勤務環境の改善まで至っているかどうかというと、正直、先日伺った中でも、我が国というのは諸外国に比べて勤務時間も非常に長く、そういう意味では、偏在という言い方もありますが、人員がやはり少ないということなんだと思っております。

 そこで、ぜひこういう現状に対して、特に現場で、資料三にもおつけしておりますが、管理職の方々のしっかりとした御認識、対応というものがある中で、初めて現場の医療従事者の方々が、それこそ育休とか短時間勤務とか、いろいろな形での勤務環境が前に進んでいくということであろうかと思います。

 ぜひそういった視点を持って取り組んでいただくこと、つまりは、病院長であったり、看護部長さんとか薬剤部長さんとか診療部長さんとか、いわゆる管理職の方々にしっかりと、いわゆる医療現場におけるワーク・ライフ・バランスというか、そういった視点を持っていただく。そうでないと、まさにヒヤリ・ハット事例、事故みたいなものも本当にふえていくということでありますので、ぜひそういった点をしっかりと前に進めていただきたいと思うわけです。

 本当に、みずからの命を削って人命を守るような、そういう過酷な状況。ちなみに、ヒヤリ・ハット事例を経験したことがあるというのは七七%ぐらいにも上っておりますし、もっと言うと、この次には女医の部分についても伺いますが、子供のいない女医さんに、子供が生まれて将来常勤医で働き続けると思いますかという質問に対しては、六割以上の方が思わないと答えているわけですね。

 そういうことも含めまして、資料には、一例として医療機関の勤務環境の改善についてということでお聞きをしておりますので、政府がいかに施策を進めていかれるかというのをお聞きしたく、もう一つお聞きしたいんですけれども、時間がないのでまとめてお聞きをしますので、済みませんが、まとめて御答弁いただきたいんです。

 地域医療再生基金という仕組みを、これは私どもの政権のときからさせていただいて、現政権の中でも、当然、今回の新しい基金制度も含めて、いろいろな対応につながっていくんだと思うんです。つながっていく中で、まさに先ほど女医支援ということで申し上げたわけですが、私の地元は岡山県で、岡山大学というのがあるんですが、そこの大学病院の中で、実は、地域医療再生基金を使った形で地域医療人材育成講座という講座を設けて、女医さんの支援というものを一生懸命進めてきていただいている、そういう経緯もございます。

 これによって、実は、本当に多くの女医さんたちが、この間、五年間累計で、実際に岡山大学病院の女性医師が、八十一人であったのが百七十人まで、倍以上増加しているんですね。そういう取り組みにもつながっておりまして、しかも、この事業は、新しい今回の九百四億円の基金に対しても応募している段階だということです。

 ですから、やはり現場の勤務環境の改善、その中で非常に女医さんがふえていて、そういった女医さんに対しての人材育成やキャリア支援には継続性が重要だというふうにも思います。

 もっと言うと、さらに私が伺ってみたら、やはりその中で院内保育、あるいはそれだけではなくて病児保育、そういったもののさらなる普及が必要とか、子育て支援だけでなくて、介護しながら働くことを支援するような仕組みも必要だという、この後質問しますが、そういう部分についても現在の検証の中でいろいろな声が出てきているということでありますから、こういった女医支援の継続、地域医療再生基金を使った仕組みのさらなるリバイスをした形での継続も含めて、お取り組みをお願いしたいと思っておりまして、大臣、御答弁をお願いいたします。

田村国務大臣 医療従事者の方々のワーク・ライフ・バランスをどう維持するか、これは大変重要なことであります。

 やはり、定着をしていただいて、離職をどう防止していくか。そういう意味からいたしますと、医療勤務環境といいますか、これは非常に大変な状況であることは言われるとおりでありまして、そのような意味からいたしまして、国の指針に基づいて医療勤務環境の改善計画というものをおつくりいただいて、その上で、PDCAサイクルを回していただいて、しっかりと改善をいただくというようなことを考えておるわけであります。

 そういう意味からいたしますと、この法律の中にも、医療勤務環境改善支援センターというものをしっかりと位置づけていく。これは各都道府県に設置をいただくという中において、例えば、今言われた観点からすれば、やはり社会保険労務士のような方々が入っていただく、これは働く環境という意味から、労働者の環境改善という意味からお力を発揮していただきながら、一方で、病院運営をしていただくということでありますから、その中で、病院の運営のコンサルティングができるような方々も入っていただいて、どうすれば効率的に病院を回していけるか、こういうことをいろいろと議論をいただいて支援をしていただくということであります。

 言われたとおり、医療クラークでありますとか、さらには看護補助者の方々の活用ということもあるでありましょう。それから、短時間勤務の医師の方々、看護師の方々というものをうまく活用しながら、常勤の方々の勤務環境改善ということもあるでありましょう。そういうことも含めていろいろな御検討をいただいて支援をいただく、こういうことを念頭に置いておるわけでありまして、そのようないろいろなものに係るものに関しましては、言われましたとおり、今回の新たな財政支援措置、こういうものもしっかりと活用いただける、こういうことになっておるわけであります。

 それから、そういう意味では女性の活用というものは大変重要でありまして、医師のうち、今、医師国家試験、三分の一は女性の方々が受かってこられておる。しかし、結婚、出産等々で一度離職されますと、なかなか復帰をいただけないというような現状があるわけでございます。看護師もそういうところがあるわけでありますけれども、そういう意味では、女性医師、今いい事例のお話がございました。復職に対するいろいろな相談窓口の設置でありますとか、それから復職のためのいろいろな研修、こういうものに関して財政支援をしっかりやっていく。

 それから、今、女性医師バンクというものをそれぞれの医師会等々で対応いただいておるわけでございまして、こういうものに対しての支援。さらには、言われました院内保育、これも整備していかなきゃなりませんし、看護師の方々のことを踏まえれば、ナースセンター等々でいろいろなマッチング支援等々をやっていただくわけでございます。

 こういうものにはそれぞれ財政支援があるわけでありますが、もちろん、例えば地区の医師会等でやっていただいておりますような女性医師バンク等々でありますとか、あと中央ナースセンター、こういうようなものに関しまして今も補助制度はあるわけでありますけれども、それ以外のものに関しましては、新しい財政支援措置等々を含めていろいろな形で対応する中において、医療職の方々の人材の育成それから確保、これも一つの大きな眼目として上がっておりますので、そういうものを利用していただきながら、しっかりと対応いただければありがたいわけでございます。

 我々といたしましても、そのために、看護師の方々の登録制度、こういうことも踏まえておるわけでございまして、ぜひとも各地域で必要な医療人材を確保するために活用いただければありがたい、このように考えております。

柚木委員 女医のみならず、私も母親は看護師でございますが、看護師の部分も、私の地元岡山県でも、看護協会さん、地元の出身のあべ議員もおられますが、そういった形でのナースバンクの取り組みもありますので、あわせて、ぜひ、女性の多い医療従事者、もちろん薬剤師さんを初め、それぞれの医療職種、しっかりとお取り組みをお願いしておきたいと思います。

 次に、認知症対策についてもこの間お伺いをしてきたわけですが、二点、ちょっとまとめて伺います。

 資料にもおつけをしておりますが、資料の六ページ目、七ページ目でございます。

 警察庁の調査で約一万人の行方不明者という報道が非常に出て、NHKの報道もあったり、社会問題化してきてしまっているわけですが、実は、身元が判明しても、実際にその方がどなたであるかわからないということで仮の名前で二年ぐらい施設で過ごされていた方が、報道されたことで、本当に家族の方もずっと心配していたのが見つかって、涙の再会を果たされる、こういうようなことが起こっております。

 この点については、やはり、身元を検索するシステムといいますか、こういったものが脆弱であるというようなことが問題視されておりまして、これについては、当然、この間質疑の中で、警察庁も厚労省にデータ提供など協力をすると言っておりますし、田村大臣も、警察庁、自治体と連携協力して、必要な対応、法整備も行うと答弁いただいております。

 和光市に私この間伺ったときにも、地域包括支援センターで、検索の、個人情報ですが、ちょっと見せていただきましたら、個人情報保護法の壁を乗り越えて、非常にしっかりとしたデータベースができ上がっているんですね。昨年、行方不明の方が認知症でおられますかと言ったら、一件ということで、やはりすぐ顔がわかるそうですね。ですから、そういう形のシステムの充実、機能強化を図っていただきたいというのがまず一点。

 それからもう一点は、例の愛知県の裁判で、これは賠償ということで、一審での息子さんは外すけれども、奥様はという形で残っている状況の判決に、非常に各方面から驚きの声が上がっております。

 私は、この補償のあり方についても、例えば、民間保険のあり方とか海外での事例なども参考に、何らかの公的保険のスキームを検討していただきたいと思うんですね。

 いろいろな課題はあると思いますよ。でも、やはりこれから認知症の方、独居の方がふえていかれる中で、同様の不幸なことが起こりかねないわけですから、ぜひ地域ぐるみの取り組みもしっかり、私、きょう、オレンジリボン、オレンジのこれをつけてきました。認知症サポーター研修を長妻議員や大西議員と一緒に、一昨日、一時間半受けまして、千代田区の。ちゃんとそういうこともみずからもやりつつ、しかし、もしものときのそういった公的補償スキームについても、やはりこれはいろいろな研究事業とかも使っていただいて、海外の事例を参考にしつつ御検討いただきたいと思います。

 以上二点について、まとめて御答弁いただけますか。

田村国務大臣 きょう私はつけてこなかったんですが、私も去年、一時間半研修を受けて認知症サポーターの資格を得ました。同志がふえたことを大変うれしく思っております。

 今言われた部分からいたしますと、前回の御答弁で、警察でありますとか各自治体等々と協力しながら、いろいろな問題点があるから、その点に関しまして実態を把握していくというようなお話をさせていただきました。

 もちろん、警察だけではないわけでありまして、これはネットワークをしっかり組むことが大事であります。そういう意味からいたしますと、それぞれの自治体や、さらには地域包括支援センターでありますとかケアマネの方でありますとか、場合によってはタクシー会社、いろいろなところとネットワークを組んで、そのような認知症の方々でちょっと行動が不審であるという方がおられればすぐに連絡網が入る、こういうことも重要であります。

 やはり近隣の自治体とのネットワークもしっかりつくらないと、その自治体では把握しているけれども、隣の町へ行っちゃったらわからないということでは困るので、その連携というものも大切であろうというふうに思います。

 それから、やはり、行方不明になられた方々がどういうような介護のサービスを受けているのか、また家族の方々がどのような対応をされておられるのか、こういうことも情報としてしっかりと確認しておくということが大変重要でございまして、そういうことを総合的に判断しながら、どのような対応があるのかということを考えなきゃなりません。

 いずれにいたしましても、高齢者台帳のようなものをつくって、複数の方々に連絡がとれる、そういうようなものを持っておられる、もしくは、台帳の中において、今言われたように、どなたかがいなくなったときにすぐにわかる、こういうような仕組み、これは好事例として、こういうものもしっかり把握しながら情報発信をしていく、こういうことも大変重要であると思います。先進事例等々の紹介も含めて、今言われたようなところをしっかりと我々も各自治体等々に周知をしてまいりたいというふうに思います。

 あわせて、あのような事故が起こって、過失の問題等々で賠償責任というようなことが、高裁でも判決で出てきたわけであります。まだ、これは確定していないわけでございますから、これからどうなるか、我々も注視をさせていただくわけでありますが、これに対して何らかの保険的なものがないのかというようなお話であります。

 なかなか、これは民事のことでございまして、では、認知症の高齢者だけじゃなくて、ではお子さんだったらどうであるんだとか、いろいろな問題があるわけでございまして、今すぐ私も回答するのは難しいわけでありますが、いろいろな整理をさせていただきながら、どういう方法があるのか、これに関しては検討はさせていただきたい、このように考えております。

柚木委員 時間が参りましたので、あとの部分は後続の議員に譲りますが、要支援切りの話もあわせて、本当に深刻な問題で、先日もNHKのEテレでやっておりましたよね。これまで受けられていたサービスが受けられなくなる。武蔵野市では単価が、千二百円の時給が八百七十円に下がる。

 こうすれば、事業者も撤退して、そして雇用も維持されないわけで、まさにそれで家族の負担がふえ、もっと言うと、経済や財政にも悪影響を及ぼすということが明らかになってきておりますので、きょうはもう質問できませんが、私は、本当は生活援助のサービスの専門性についてもちゃんと評価いただきたいと思いますし、自治体のサービス単価が下がったときの事業撤退、サービスカットの責任、誰もとれないわけですから、そういったことをしっかりと、きょう、この後の後続議員も質問させていただきますので、認識を深めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。民主党の長妻昭でございます。

 本日は、傍聴席には、当事者の方あるいは関係者の方が固唾をのんでこの審議を見守っておられるし、日本全国の当事者、関係者の方も、非常に心配をして、注視をされておられるわけであります。

 私の問題意識といいますのは、今回、要支援、これは、介護予防給付と呼ばれるものが介護給付ではなくなる、そして地方の事業になる、いわゆる要支援切りと言われるようなことについて、私は認知症の観点からも非常に心配なのは、初期の認知症予防こそ日本喫緊の課題だ、これは政府もおっしゃっておられるわけで、そこが手薄になるのではないのか。

 要支援に対する認知症予防が非常に効果的なんですね。要支援の方は、まだ認知症になっておられない方もいらっしゃいますし、MCIと言われる、認知症とそうでない方の中間の位置づけ、予防が効果的な方々の集団であるという位置づけをすると、そこの最も重要なところが手薄になる、そういう懸念がある。

 そもそも、現在の予防給付、要支援の方に対する認知症予防も不十分でありますので、強化しこそすれ、薄くするなと。こういう対応をしていくと、家族の負担、財政の負担、社会の負担がかえってふえてしまうのではないのか、こういう強い懸念を持っておりまして、政府にぜひ考え直していただきたい。

 来年の四月以降、私は、かなり混乱が起きて、そして、やはりもとに戻そうという議論が政府内部に起きてくる可能性が非常に高いというふうに思っておりますので、ぜひ、大臣がリーダーシップを持って、引き返す御決断、判断もしていただきたいというふうに思っております。

 本日は、まず、警察を呼んでおりますので、昨年の、最新の認知症による行方不明者というのは出ましたか。

辻政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年中の行方不明者に係る統計につきましては、現在、集計中でございまして、まだ確定的なところまでは申し上げられませんけれども、あくまで暫定的なところでお答えをさせていただきますと、平成二十五年中に行方不明者届を受理したもののうち、主な原因、動機が認知症であるものは、暫定値でございますが、約一万三百人ということでございまして、前年、二十四年中が九千六百七人でございましたので、大まかの数字でございますけれども、大体七%ぐらいの増加というような形でまとまるのではないかというふうに見ております。

長妻委員 去年一年間で一万人を超える、非常にゆゆしき事態だと思っております。

 平成二十四年は、そのうち確認されただけでも三百五十九人の方が認知症で行方不明になって死亡されたということでございますが、であれば、昨年は、死亡は大体何人でございますか。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 二十五年中の数字につきましては、先ほどもお答えをさせていただきましたけれども、現在集計中でございまして、細部、詳細なところにつきましては、まだ確認できていないところでございます。

長妻委員 これは、警察の行方不明を捜す仕事としても、今後も非常に大きなウエートを占めてくると思っております。

 配付資料の二ページ目でございますけれども、最新の資料を厚労省に出していただきました。年齢階級別の認知症の方々の率ですね。

 そうすると、日本国民全体で、八十から八十四歳では、二一・八%、五人に一人が認知症、八十五から八十九歳でありますと、四一・四%、半分近くが認知症。こういう方々の人口の絶対数もふえてまいりますので、大変な社会問題になってくる。

 これは警察にお伺いしたいんですが、当然、警察だけで対応していくとパンクしてしまいますので、厚労省等に皆様の方から何か要望みたいなものはございますか。

辻政府参考人 お答えをいたします。

 認知症に係ります行方不明者の発見、保護活動におきましては、警察の取り組みのみならず、都道府県、市町村、関係機関など地域全体での取り組みが不可欠であるというふうに認識をいたしておるところでございます。

 現在、市町村、関係機関等との間で、徘回高齢者の発見、保護のためのネットワークが構築されているところでございますけれども、これらのさらなる拡充や、構築のない地域での新規構築が重要であると考えているところでございます。

 また、氏名等を申告できない方が、氏名、連絡先等を記載したものを身につけられる、下着に名前を入れられるとか、例えばそのようなことも発見、保護のためには大変重要なことでございますので、こういったことについての広報啓発ということも、早期の発見、保護に有効と考えているところでございます。

 こういった事柄につきまして、厚生労働省とも連携して取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

長妻委員 今、警察の方から、厚生労働省とも連携をして取り組んでいきたいというお話と、地域との連携、ネットワークということで、今おっしゃったのは、徘回をされる方々にどういうふうに対応するのかということでありましたが、そのもっと上流にある、そもそも認知症を予防していく、こういうことが、特に私は、この要支援のグループの方々に対する認知症予防というのが大変重要だ、今まで以上に重要になってくるというふうに考えております。

 本日は、厚労省所管の独立行政法人の国立長寿医療研究センターの鈴木所長に来ていただいておりまして、鈴木所長は、認知症予防についてエビデンス、根拠があるということで、研究も発表されておられて、そして命名をされたのがコグニサイズという、これは和製英語らしいんですが、エクササイズとコグニ、認知というのを組み合わせた、認知症予防の体操を開発されたということでございまして、大変興味深いことであります。

 まず、鈴木所長に、このコグニサイズというのはどういうようなものなのか、説明をいただければと思います。

鈴木参考人 お答え申し上げます。

 コグニサイズというのは、今まで、認知症予防には運動が非常によいという、特に有酸素運動が有効であるということは言われていたんですけれども、それにさらにコグニション、すなわち頭を使うといったようなことを加えた運動ということになります。

 いろいろなタイプの運動があるかと思いますけれども、例えば、足踏みをしていく中で三歩ごとに一拍、手を打つとか、運動プラス頭を使うといったようなことを含めた、そういった予防活動のための運動をコグニサイズというふうに名づけております。

長妻委員 配付資料でも、四ページに簡単なものを添付させていただきましたけれども、三の倍数で手を打つ、これがバリエーションで、四の倍数で手を打つ、あるいは五の倍数で手を打つというような足踏みのコグニサイズもある。

 マルチステップというのもあるということでございますが、これはどういうことでございますか。

鈴木参考人 お答えいたします。

 そこに書かれているように、非常にシンプルな左右の足踏みだけではなく、例えば、前に一歩出してもとに戻る、左の足を前に出して戻す、右の足を横に出して戻す、左の足を横に出して戻す、右の足を後ろに出して戻す、左の足を後ろに出して戻すといったような、そういった多方向に、やはり数を数えながら三の倍数で手を打つというようなことを、エクササイズとそれから脳の機能というものをかなり賦活化させるだろうというふうに思っております。

 以上でございます。

長妻委員 このコグニサイズというのは、今おっしゃった足踏みとマルチステップ以外のものというのもあるのでございますか。

鈴木参考人 私どもは例としてこういったものをお勧めしておりますけれども、一般の方々が、散歩がよいというふうによく言われております、散歩もエクササイズの一つでございますけれども、例えば、散歩の途中で道行く車の赤い車と黄色い車の台数の割合をすぐ計算してみるとか、あるいは、こういった施設内で行うのであれば、継ぎ足歩行といって、足を、一歩一歩かかとと爪先を相互につけて歩くような、そのときに、例えば、百から七を引く、次に九十三からまた七を引くといったような計算を入れることも、コグニサイズとしてよろしいかと思います。

 以上でございます。

長妻委員 それで、国内では初めてエビデンス、つまり認知症予防の根拠が確認できたということ、鈴木所長のところで、これはそういうことなんでございますか。

鈴木参考人 その効果が確認できたということでございますが、御質問の問いに対しては、はいということだと思います。

 ただ、効果とかエビデンスというのは、いろいろな科学的なレベルがございます。そういう中でやはり一番レベルが高いのは、国際誌と呼ばれるようなクオリティーの高い国際誌に投稿し、それが、世界の中でたくさんの優秀な論文を集めた上で、システマチックレビューと呼ばれるような、統計的にレビューされる場合がございますが、そのレビューにまで行くというのが一番レベルが高いということでございます。

 そういう意味では、私どものこのコグニサイズあるいは頭を使った運動というのが、認知機能を下げないということできちんとした根拠がなされているという意味では、国際的なレベルで認められたということでございます。

長妻委員 配付資料の三ページにいただいたものを添付させていただいておりますけれども、そうすると、このエビデンスについて、これは二〇一三年、最近でございますかね。これの発表の時期とこのグラフ、表の説明をいただければと思うんですが。

鈴木参考人 お答えいたします。

 三ページのグラフでございますけれども、これは、先ほど科学的な根拠が高いと申しましたが、研究手法としては、無作為割りつけ比較介入試験、一般にランダム化試験と呼ばれます。無作為に対象者を二つのグループに分けて、一つのグループにはそういったコグニサイズをしていただく、一つのグループには今までどおり過ごしていただく。

 最初のこの二つのグループには差がありませんけれども、そのときに例えば脳の写真を撮っておいて、どのぐらい脳が健康であるかという判断をまずしておきます。その後、半年、一年と、運動をする群にはコグニサイズをしていただくし、今までどおり過ごしていただく方はそのまま過ごしていただきますが、例えば、半年後、一年後に脳の萎縮がどのぐらい進んだかというのをあらわしたものがこの図でございます。

 四角いマークがついているのが運動群。丸いマークが今までどおり、中で、二カ月に一遍ほどは健康講座を開いておりますが、基本的にはそういうコグニサイズをしておりません。

 その二つのグループを調べましたところ、運動をしたグループでは脳の萎縮が予防されていましたけれども、やはり今までどおり過ごしていただいた方というのは少しずつ脳の萎縮が進んでいるということをあらわしたものでして、やはり、こういった頭を使う多重課題のコグニサイズというものは、どうも、認知機能もよくしますし、それから脳の萎縮も予防するのではないかということが、今回の研究で示唆されたということでございます。

長妻委員 今のお話は、認知症になっていない方が認知症にならないようにする予防。もう一つの予防というのは、私の理解では、一回認知症になった方がそれよりも悪化しない予防。ただ、今は認知症になった方が悪化しない予防の話ではなくて、認知症でない方、いわゆるMCIと言われる方が認知症にならない、そのための予防のエビデンスというふうに理解をいたしました。

 田村大臣、今、にわかには御判断できないかもしれませんけれども、いろいろ、介護部会とか、コグニサイズを日本全国に国として推奨して広めていくということになりますと、いろいろな手続が確かに必要だと思いますし、時間も多少かかる可能性もあると思いますが、前向きに、コグニサイズを全国に広めるということはどうお考えでございますか。

田村国務大臣 認知症自体はいまだ根治ができないわけでありまして、そういう意味からいたしますと、認知症をどう予防していくか、また重症化も含めてでありますけれども、これは大変重要な課題だというふうに思います。

 今言われたMCI、軽度の認知障害の方ですね、こういう方々を対象に、コグニサイズという、今おっしゃられた一つの予防策といいますか、これが有効であるというようなことがわかってきたわけでございます。ほかにもいろいろあるのかもわかりません。

 いずれにいたしましても、そのような認知症を予防できる、重症化も含めてでありますけれども、そのような取り組みというものは大変重要でございますので、各自治体の方に我々としても啓発をしてまいりたい、このように考えております。

長妻委員 啓発ということなんですが、ですから、ちょっと冒頭の私の問題意識に戻りますけれども、今回、予防給付、つまり要支援の方に対する介護給付をやめて、給付はなくして、そして事業に移行する、こういうことになるわけであります。

 やはり、給付という形でありますと、全国一律に、ある程度厚労省のグリップがきいて、そこで推奨するような介護予防が非常に一気に普及する、こういうメリットがある。そして、その上乗せとして、ボランティアの方などを活用して、地方自治体がさらに要支援の方に対するサポートをしていく、和光市もそういう位置づけなわけでありますけれども。

 ですから、ベースにはやはり介護給付というのがないと、要支援、予防給付がないと、それに上乗せのボランティアでというようなことにしないと、ますます予防が手薄になってしまうんじゃないかという問題意識を持っておりまして、これは、現実にそういう状況に私はなるというふうに強い懸念を持っているところであります。

 大臣にちょっとお伺いするのでございますが、そうすると、現在は、認知症予防、予防給付、要支援の方に対する対応というのもあると思うんですが、今現在は要支援の方に対する認知症予防についてはどんなようなことをやられておられるんですか。

田村国務大臣 認知症に関してのメニューというものが、要支援の事業、今の場合、介護保険の中でやっておりますけれども、それから、あと要介護者においてもあるというわけではないわけであります。

 ただ、一方で、例えば、デイサービス等々で読み書き計算等々いろいろなことをやっておられる。これは、一定の認知症に対しての予防効果というものはあるのかもわかりません。ただ、それはメニューとしてそれをやらなきゃいけないというようなことを決めておるわけではなくて、それぞれのサービス事業者の中においていろいろな工夫がなされてきておるわけであります。

 一方で、栄養という話が今もございました。栄養や運動でありますとか、例えば社会との交流みたいな形、それからさらには趣味、こういうものの実行といいますか、こういうものも一定の効果があるのであろうと思いますが、こういうものはこういうもので、またそれぞれの事業の中において行われておるわけでありまして、介護だけではなくて地域支援事業の中で行われておるわけでありまして、そういうものも一定の効果というものはあるのかもわかりません。

 いずれにいたしましても、認知症を改善するためのメニューをやらなきゃいけないというわけではありませんが、ただ、今言われたようなコグニサイズ、こういうものをそのようなそれぞれの事業所の中で対応していただけるように啓発をしていくことは重要でございますから、このようなことはしっかりとこれからも進めてまいりたい、このように考えております。

長妻委員 これは、私も厚生労働大臣をさせていただいたので反省しなきゃいけないと思うんですが、やはり改めて調べてみると、今おっしゃったように、やらなきゃいけないものではなくて、やってもいいし、やらなくてもいい。つまり、予防給付、要支援の方に対する対応の通所とか訪問について、配付資料の十三ページ、十四ページで、厚労省の正式文書として、要支援の方に対して、こういうことを通所ではやりなさい、訪問ではやりなさいという文書の中で、結局、認知症に関する規定がない、認知症予防しなさいという定めがないということであります。

 つまり、本来は、介護予防と言われていて、その中でも最も認知症予防というのが重要視されているにもかかわらず、予防給付の中できちっとしたそういう指示がないわけで、だから、私もこの前申し上げたように、折り紙をしているようなデイサービスがあったり、本当に真面目にやっているところがほとんどなんですけれども、そうでない、認知症予防、介護予防を精力的にやっておられないようなところもあるということではないか。

 つまり、認知症対策は国家プロジェクトだと言って、厚労省の中にも認知症対策室というのがありますけれども、そこは国庫負担、税金で補助を出して対応している部署。そこが縦割りで、介護保険給付のところまで、そこの対象者にまでなかなか手がついていない、そこでお見合いになって縦割りになっている、こういうことが今起こっているというふうに私は思っております。

 これは我々の反省でもありますから、別に大臣を追及しているわけではないので、介護給付における認知症予防というのをもっときちっと位置づけて、そして全国にやはり発信をしていかなければならないというふうに強く思っているところであります。

 では、例えば、予防給付における介護予防で効果が上がっている自治体というのはどういうところがあるか、御存じでございますか。

田村国務大臣 ちょっと申しわけありません、こちらの方が委員の通告をしっかりと把握していないわけでございまして、具体例を出すというのは調べておりませんが、それぞれの自治体で認知症のいろいろな対策はやっておられるわけであります。

 そういう意味からいたしますと、今般は、認知症対策ということで、御承知のとおり、初期集中支援チームというものをしっかりと地域支援事業の中に位置づけながら進めていこうという方向性でございますので、そのような形で、認知症の特に初期の方々に対して対応をしっかりやりながら、重度化をしない、今言われたような話でありまして、なるべく早いところから対応していく。これはもちろん治療にもつなげていくわけでありますし、介護等々どのような対応が必要であるか、こういうこともしっかりと検討する中において方向性を示していくということであります。

長妻委員 これは、役所の方とも意見交換しますと、ほとんど把握されていないんですね、予防給付における認知症予防というのは自治体でどういうことをやっているのか。つまり、もうお任せしっ放しで、この認知症予防という観点を、なかなかグリップをきかせてやっていただくような体制になっていない。

 これは大臣にぜひ決意をおっしゃっていただければと思うんですが、やはり、要支援、介護予防分野における認知症予防について、ぜひきちっと国が、具体的にそれに取り組んでほしいという指示を全国に出していく、こういうようなお考えはございませんか。

田村国務大臣 先ほど委員も申されましたけれども、介護保険という意味からすると、要介護の方々に対しては、認知症に対してしっかりと対応できるような体制をつくらなきゃならぬというふうになっておるわけでありまして、それぞれの事業所等々で認知症対応はやっていただいているんだと思いますが、それがこれだというふうに、これをやらなきゃいけないというふうな形にはなっていないわけであります。

 ただ、今委員がおっしゃられましたコグニサイズも含めまして、非常に有効なものがあるわけでございますので、そういうものに関しましては、一定の方向性を我々としても各自治体にお願いしていくということはできると思います。

 あわせて、要支援の方々に関しても、これから地域支援事業に移る部分も含めて、そのような取り組みを国の方から促していくということはできると思いますので、認知症というそのような側面からしっかりとこの予防というものを含めて対応できるような、我々もそういう動きはしてまいりたいというふうに考えております。

長妻委員 配付資料の一ページ目でございますけれども、これは厚生労働省につくっていただいたんですが、では、要支援の方というのが今何人いらっしゃるのか。百四十九万五千人いらっしゃる。これは認定されている方。しかし、要支援という認定を受けても、サービスはまだ受けないでいい、こういう方もいらっしゃるわけでありまして、あるいは入院されてサービスは受けないという方もいらっしゃるので、サービスを受けている方でいうと九十九万三千人いらっしゃるということです。

 その中で、認定された方のベースでいいますと、認知症の方が七十二万三千人いらっしゃる、要支援一、二を合わせて。認知症でない方、七十七万二千人いらっしゃる。

 私は、この七十七万二千人の中に、先ほど申し上げましたMCIの方々の中でも非常に予防を必要とされておられる方々、この集団こそ認知症予防を手厚くすることで、これから大変な時代がやってくる中の、ある意味では認知症予防の最終拠点としてこの要支援のグループを捉えていく、こういう国としての大きな視点が必要だと思っているところであります。

 介護給付から外してしまうと、事業になって、これは国のグリップがきかなくなって、そして認知症予防が手薄になるというふうに、私は本当に、大臣、首をかしげていていいのかなと思うんですよ。

 来年四月になって、そういう事態が起こって、やはり改善しましょう、改善しましょう、またパッチを当てるみたいに改善、改善というふうになるのが、私は強い懸念を持っているところでありまして、野党の質問にそんなことはないと首をかしげてずっといらっしゃるけれども、本当に少しは心配していただきたいんですね。本当に大丈夫なのか、大丈夫なのかと役所に確認して、現地を見ていただきたい、声を聞いていただきたいということを強く、非常に楽観的なのが私は気になるところであります。

 もう一つ、これは資料を配付させていただいているんですが、六ページでございます。

 大臣にあらかじめこれをお渡しして、御用意いただきたいというふうに申し上げたんですが、この六ページ目の真ん中、上の方にある手書きの文字、これは認知症の方が書いた文章ということでありますけれども、これをちょっと大臣、お読みいただければと思うんです。

田村国務大臣 まず、今言われたコグニサイズも含めて、認知症、MCIの方々の予防というものに関して、これはMCIだけじゃないのかもわかりません。日常生活自立度一の方、こういう方々もそうなのかもわかりませんが、そういう方々に対しての予防というもの、これは予防給付であろうが地域支援事業であろうが必要であるわけでありまして、今、予防給付でも十分にできていないという話でございますので、それは関係なく、必要なものはしっかりと取り組むように我々としては進めてまいらなきゃならぬというふうに思っています。

 今、読むのは上ですか下ですか。(長妻委員「上」と呼ぶ)上。九月十四日というものですか。

 九月十四日、失敗ばかりで姉に迷惑をかける毎日、情けなく自分が歯がゆい、自分のしていることがわからなくなる。ちょっとその後はよくわかりません。それから、毎日が朝からこんなこと、ハンカチ、ちり紙、財布、千五百十二円、長いつき合いです、アオゾラさんに行きます、アオゾラさんにリハビリ。ちょっとよくわからないですね、は何をして自分のしたことがわからない今このごろですということですかね。

長妻委員 御丁寧にありがとうございます。

 これを何でわざわざ読んでいただいたかというと、私もこれを初めて読んだときになかなか、一番下のところは、恐らく、「さいきは」というんじゃなくて、最近は何をしても自分のしたことがわからない今このごろだというふうに読めるのではないか。

 何でこれをお伺いしたかというと、今、政府の方で、介護士の方で、外国人の方を大幅に解禁されようとしている。今でも、これは御存じのように、ちゃんと日本国の試験を日本語で受けて、受かれば、別に外国人の方も介護職として働いていただいているわけですね、今も。

 だから、その日本語の試験なりを非常に緩めて、外国人の方をどっと日本に入れようと言わんばかりの議論があって、私は別に外国人を差別する気持ちはもちろん毛頭ございませんけれども、果たしてこういう認知症の方の、例えばこういう文書やこういう話し言葉が来たときに、日本語がわかる我々ですらなかなかコミュニケーションが、我々も一生懸命聞けば何となくコミュニケーションがとれるんですね、日本語が母国語の私とか田村大臣も。ですから、外国の方が本当にこういうこれから認知症がふえていく現場に入ってきて、コミュニケーションの問題。それ以外は、まあ、いろいろできる可能性はあると思うんですが。

 ですから、非常に慎重に議論して、何か競争力を強化するとかなんとかで、どっと、余り考えずにそういう方々に従事していただくというのはいかがなものかと思いますので、ちょっと大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

田村国務大臣 今、二国間のEPAで介護職の方々は入ってこられておられますが、これは介護福祉士の資格を取るまでの間、現場で活躍いただいている部分もあるわけでありまして、決して介護福祉士の資格を取っている人だけというわけではありません。ただし、一定期間に取れなければ、それはもう帰国という話になるわけであります。

 その場合にでも、今現状は、母国でまず十二カ月、日本語を学んできていただくという前提があるわけでございまして、そういう中において一定のコミュニケーションがとれるもとにおいて、資格を取るまでの間、現場で御活躍していただくことになっておるということであります。

 今言われた観点に関しましては、やはりサービスの質の問題が一つはあると思います。それから、言われたとおり、コミュニケーションの問題。コミュニケーションがとれなくて現場が混乱をしますと、これはいい介護ができないわけでございますので、そのような観点はしっかり我々もチェックしていかなきゃならぬというふうに思っております。

 いろいろな御議論がいろいろなところであることは我々も承知しておりますが、いずれにいたしましても、介護を受ける方々の立場というものを我々は考えなければならぬわけでありまして、今委員がおっしゃられたとおり、一定のコミュニケーションをとれる能力というものは必要であろうというふうに我々も考えておりますので、そのような視点から議論をこれから進めてまいりたい、このように考えております。

長妻委員 これで時間が参りましたので質問を終わりますけれども、今、要支援の方に対する予防給付の対応でも、五ページ目に、これも厚労省につくっていただいた資料ですが、明示的に、要支援の方の認知症に対するサービスというのは、上にあります認知症デイサービスと、下の認知症のグループホームというのがあるというふうに聞いております。

 上の方の認知症デイサービスは、年間に要支援の方が何人利用しているんですかと聞くと、九百人しか利用されていない、百万人以上の要支援の方の中で。しかも、予防給付の年間累積費用額に占める構成比がたった〇・一%。

 そして、グループホームについては、要支援の方で、こういうサービスがあるにもかかわらず、八百人しか利用されておられないし、給付費全体に占めるグループホームのお金の構成比が〇・五%ということで、ほとんど認知症というのは意識されないで、要支援の方々に対応がなされているのではないのかという問題意識を持っております。

 私も、柚木議員と同じように今右手にオレンジリングをしておりますが、おくればせながら認知症サポーターの講習を受けてサポーターになりましたけれども、そこでは、三つのない、認知症の人への対応の心得、1驚かせない、2急がせない、3自尊心を傷つけない、こういうようなことも言われておられる。

 そして、認知症サポーター以上に、専門のホームヘルパーさん、専門の介護福祉士の皆さんなどなど、やはり専門家が、認知症対応できる方々がいらっしゃるわけで、そういう方々が手薄になる今回の改革と称している法案だと私は思っておりますので、ぜひ、大臣、見直しを、検討を始めていただきたいということを強く申し上げまして、私の質問といたします。

 きょうはありがとうございました。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 きょうは、三十五分、大臣と議論をさせていただきたいと思います。

 なぜ、百五十万人の要支援者に対するホームヘルプとデイサービスだけを保険から切り離すのかという問題。訪問介護や福祉用具はそのまま給付として残す。これは、これまでの議論の中で思うのは、給付抑制のためだということを大臣が正面から御答弁いただけるのであれば、ある意味それは一つの理由になるわけでありますけれども、そういう御答弁ではないわけでありまして、自治体に任せた方がよりよくなる、ボランティアに任せた方がよりよくなるという御答弁をされるから、いつまでたっても議論がかみ合っていかないということになっておると考えております。

 配付資料の一の二というところなんですが、これは民主党の要求によって昨日の夕方六時ごろ出てきた資料でございます。

 総合事業を任意に実施している市町村のデータ、配付したのはそのごく一部ということになりますけれども、このごく一部の資料を見ただけでも、要支援の人は本当にごく一部なんですね。ごく一部の資料ということをごく一部と言うと混同してしまいそうですが、この任意の総合支援事業を行っておられる市町村における事業の対象者の方の中で、要支援の方というのはほんのごく一部なんです。多くの方は、非該当あるいは自立という状態像にある方々に対するサービスの展開だということでございます。

 これを見ても、上から五、六人を見てもわかるように、軽くなる人もいらっしゃる、変わらない人もおいでになる、あるいは逆に重くなる人もいらっしゃるということで、この効果というものはいろいろなわけであります。つまりは、この資料からは、ホームヘルプやデイサービスを自治体の事業にしたから明らかに効果的になった、効果が上がったとは言えないということが読み取れるわけであります。つまりは、今回の法改正の根拠に少なくともこの資料はなっていないということであります。

 そもそも、この資料が出されてきたのですら、つくられたのですら、法案が提出される材料とは当然なっていない。きのうの夕方出てきたわけでありますので、この根拠になっていない。そして、一の四、コストの検証もなされていないということでありますので、効果的にもなっていないし、効率的になっているということも証明されていないというわけであります。

 大臣、ホームヘルプとデイサービスを自治体事業にした方がよいという、あるいはボランティアの方がよりよいサービスが提供されるという根拠は本当にあるんでしょうか、ないんでしょうか。あるのなら、どこにあるのかお示しをいただきたいと思います。

田村国務大臣 まず、訪問看護などをなぜ外したか。これは自治体でいろいろなお話をお聞かせいただく中で我々も判断したわけでありますが、これは看護師の方がやられるわけでありまして、ある意味、工夫のしようがないわけであります。でありますから、そのような画一的なサービスにならざるを得ない、それが役割でありますので、これは地域での工夫というわけにはなかなかいかないであろうなということで、今般外させていただきました。

 通所、訪問に関しましては、これはいろいろな工夫があるであろうということで、今般、地域支援事業という形、自治体がいろいろな御工夫をしていただきたいということで、もちろん専門的なサービスをだめだと言っているわけではないので、そういうようなサービスも提供いただいてもいいし、それから、そういうものを求めない方々も事実おられます。そういう要支援者の方々にはそのような地域の工夫を入れていただく。その中には、体操教室で、先ほど言われたコグニサイズなどというすばらしいものも入れていただければいいわけでございます。そういう意味で、決して全てを否定しているわけではないわけであります。

 しからば、一体そこの根拠は何であるか。今まで、例えばモデル事業でありますとか、総合事業等々、これを挙げてきたわけでありますが、要支援者が少ないというお話がございました。例えば総合事業でいいますと、二次予防者とそれから要支援者、要支援者は二次予防者に対して少ないのは事実でありますが、二次予防者自体も、その状況、状態像を実際問題調べてみると、要支援者と同じ方々が約八割、そういう例がございます。要は、要支援者として申請をするかしないか。これは生駒市の調査でありますけれども。

 そういうものを見ると、やはり二次予防者の中においても、実態像は、申請すれば要支援者という状態像の方々もかなりおられるわけでありまして、それ全体を見た中で、悪化していない、改善しているというような結果も出てきておるわけでございますから、一定の効果があるというふうに我々としては認識をいたしたわけであります。

中根(康)委員 私がお尋ねしたのは、給付から市町村事業へ変える根拠がどこにあるのかということで、当然、ホームヘルプサービスにしてもデイサービスにしても、さまざまなサービスが多様に提供されるにこしたことはありませんが、なぜ、百五十万人の方が保険料を払って権利として使えるホームヘルプとデイサービスを、給付から市町村事業にした方が、より効率的で、より効果的になるかという、その根拠があってこの法案が提出をされたということだと思いますので、その根拠はどこにあるのかということをお尋ねしているんですが、大臣、改めていかがでしょうか。

田村国務大臣 予防給付は画一的なサービスですよね。そうですよね。それでは十分じゃない方々もおられるわけであります。事実、ほかのいろいろなサービスを受けたいという方もおられる。総合事業というのは一つの受け皿であって、それは今までもやってきたわけであります。その総合事業の中には、要支援者もおられれば、二次予防事業対象者の方々もおられます。言われるとおり、二次予防事業対象者の方々の方が多いわけであります。そこで一定の効果は、これは我々も数値等々から認めているわけであります。

 そして、その二次予防事業対象者の方々の中身を見てみると、八割弱ぐらいが実は要介護認定すれば要支援者であるというような、実態としてはそうだけれども要介護認定をしていないからというような事例も、これは生駒市の調査なんかであるわけでありまして、すると、この二次予防事業対象者は、かなりの部分、要支援者と実態としては変わらない方々がおられるのではないか、我々はそう認識いたしております。

 そういうことを考えると、そこで効果が出ておるわけでありますから、全体として、これは、それぞれの地域で御努力をいただく総合事業のような中身のものを整備していただくというのが、効果が出てくるのではないかと我々としては推測をしたわけであります。

 ただし、一方で、委員がおっしゃられるとおり、全員が全員そうであってはならぬわけでありまして、必要な方々には必要なサービスも必要なわけで、それは地域包括支援センターの中においてケアマネジメントをしっかりやっていただく。もちろん、要介護認定の申請は、これは我々、妨げるという話じゃないわけでありまして、受けたい方は要介護認定の申請を出していただければ、それは受け付けるわけでございますので、必要な方々はその中においてしっかりとしたサービスを受けていただければいいわけでございますので、我々としては今回のような政策を提案させていただいたわけであります。

中根(康)委員 ボランティアの方々にお任せをして、先ほど長妻議員から指摘のあったように、認知症予防が十分できないかもしれない、さらなる重度化のおそれがある、あるいは自治体間格差が甚だしいものになってしまうというおそれがある、そういうさまざまなおそれを乗り越えてまで、この給付を市町村事業に移すような、それほどの効果、根拠というものは、私は、これまで厚労省が示したさまざまな資料からはとても読み取れないというふうに思っております。

 それと、今大臣が御指摘をされた、要介護認定が必要であれば認定をされるということをおっしゃいましたけれども、資料の一の五というところをごらんいただくと、これも厚労省がおつくりをいただいたものでございますけれども、いわゆるチェックリストによる水際作戦の問題であります。要介護認定を受けさせずに、チェックリストだけで生活支援サービスに誘導するやり方、それによって形だけ、厚労省が目指している、認定に至らない高齢者をふやすということを自治体が行うという問題であります。

 ここに三つの自治体がお答えになったものがありますけれども、ここをお読みいただけるとわかりますが、「本人の状況を面接により把握した上で、介護申請と総合事業両方の説明を行い、可能な限り総合事業を勧めている。」という、まさに水際作戦として、チェックリストの方に誘導している実態がここにあらわれているのではないでしょうか。もう一つ、「受けたい理由を聞き、通所サービス希望の場合は総合事業を勧めている。」と、要介護認定ではなく総合事業を勧めているというふうに答えているわけであります。

 ここにはわずか三つの自治体ということになるかもしれませんけれども、これは正直に答えた自治体がこういうことであって、氷山の一角だということで受けとめるべきだと私は考えさせていただいております。

 このように、自治体ではこれからどんどん、厚労省の言う方針に従おうとすればするほど、忠実であろうとするほど、この水際作戦がさらに展開されていってしまうという心配は、大臣、ありませんか。

田村国務大臣 いずれにいたしましても、これは申請はできるわけでありますから、要介護認定をしたい方々は、申請していただければその手続に入るわけであります。

 これはケアマネジメントもしっかりやるわけでありますから、その中で必要な方は必要な方で必要なサービスを受けられるわけでありますし、ただ、チェックリストというものは簡易でありますから、ある意味、サービスをすぐに受けられます。要介護認定ということになると、一定期間、期間がかかりますので、すぐにはサービスを受けられません。そういうことも含めて十分に説明をいただいた上で、必要なサービスを受けていただくということでございます。

 決して要介護認定の申請を排除するものではございませんし、そこに関しましては我々も周知をしてまいります。

中根(康)委員 排除するものではないとは言っても、ここに、先ほど読み上げましたように、明らかに、可能な限り総合事業を勧めている自治体があるじゃないですか。これは可能な限り勧めちゃいけませんよね。

 本人の御意向に従って、要介護認定をしてもらいたいということであれば、そちらもありますよということで、そちらの方をむしろ可能な限り勧めて、保険料を払っているわけですからね、その権利としてサービスを利用できるわけですから。可能な限りそうでない方に誘導するというのは、まさに厚労省がそういう方針を示して、給付抑制をする、財政抑制をする、そこを目指しているから、自治体もそれに忠実になろうとしてこういう動きにつながっているのではないか。

 やはりここは、大臣、長妻さんもおっしゃっておられたんですが、余り楽観的に受けとめるべきではなくて、むしろ、そういう心配があるということで、厚労省としては、自治体に対して目を光らせると言ってはちょっと言い方は違うかもしれませんが、そういう考え方をとるべきだと私は思っております。

 二〇二五年に地域包括ケアを構築する、これが大きな目標だということだと思うんですけれども、その地域包括ケアの大黒柱は私は介護保険だと思います。介護保険が大黒柱となって、全国どこでも、最低限、一定の介護サービスを受けることができるように環境整備を整えていく、基盤整備を整えていくということが国の仕事であって、そして自治体は、それに加えて、自治体独自の上乗せサービスであったり横出しサービスというようなものを展開して、それぞれの自治体でさらに分厚い体制をつくっていくということが私は望ましいやり方だと思っております。

 にもかかわらず、その柱であるはずの介護保険をどんどん先細りをさせていってしまうような今回の法改正であります。今回はホームヘルプとデイサービスだけでありますけれども、そのうちまたほかのものも、効果的、効率的だということの根拠もなく、どんどん保険から外していってしまう、そのアリの一穴のようなものになってしまうのではないかと心配をさせていただいておりますが、こういうふうにどんどん保険から給付を外していって、本当に地域包括ケアというものは構築できるんでしょうか。大臣、いかがお考えでしょうか。

田村国務大臣 まず、今般のアンケートの集計結果ですが、これは今は総合事業しかないんですよね。つまり、予防給付以外のいろいろなメニューというのは総合事業しかないわけで、予防給付以外の総合事業のメニューに適している方々は、それは当然のごとく、でき得る限り総合事業、こちらの方がいいんじゃないですかというような提案をしていくのが私は普通だと思います。予防給付を受ける方々、それは当然、予防給付が必要な方々は予防給付を受けるわけであります。

 今、二つしかない中においての選択でありますから、多様なサービス等々を受けようと思えば総合事業の方を勧める以外はないわけなので、これが新しい制度になったときに何か変な方向に行くという話とは別の話であるということで、今の制度の中で総合事業をやっておられるところが、適したサービスということで勧めておられるという話でございますので、そこは御理解をいただきたいというふうに思います。

 それから、財源は介護保険からちゃんと出ます。財源構成も同じでありますし、あわせて、それぞれの被保険者の方々の所得等々に合わせての、言うなれば財政調整もやっていくわけでございますから、そういう意味では、財源的には一定のものを確保していくわけでありますので、そこは、委員が何か、介護保険から外したら保険給付がなくなって財政的に助かるというわけではないということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 その上で今般こういう提案をさせていただいたわけでありまして、何もかも全て介護保険から外すなんという話だったら介護保険は要らないわけでございますので、今回、要支援者の方々の中においていろいろなお声をお聞かせいただき、また、総合事業という形で今まで事業を展開する中で、その後のいろいろな、要介護度等々の動き等を見ながら、要支援、要介護の動きを見ながら、これは一定の効果があるというふうに我々は判断をいたしましたので、要支援者の方々に対する通所、訪問介護に関しましては、総合事業の今まで進めてまいった中身というものを勘案して、これが有効であろうということで今般の提案をさせていただいたということでございます。

中根(康)委員 何もかも外すわけではないということを大臣は御答弁されましたけれども、今回、要支援者向けのホームヘルプとデイサービスを外すということについても、冒頭から申し上げておりますように、私は、十分な根拠はない、データはないと。むしろ、この法案の審議が始まって、私どもが資料を請求し、出してくださいということをお願いしてから初めて、市町村に対して聞き取りをして、昨日の夕方、資料が一定のものが出されてきた、こういった経緯を見ても、事前に十分な根拠があって、それで法改正が今行われようとしているということではない。

 だから、最初に申し上げましたように、今回、給付は抑制するわけですよ、明らかに。単価も下がる。上限も下がるということになる。もちろん、財源構成は一緒であっても、将来的な給付、財政は抑制されていくということの中におけるこういった一連の法改正であるわけでありますので、これからどんどん、ホームヘルプとデイサービスのみならず、いずれ、いろいろなほかの給付も保険から外されていくという心配は、今の大臣の御答弁にもかかわらず、拭い去ることはできないと言わざるを得ません。

 それから、いわゆる水際作戦においても、自治体の窓口で、こっちの方がいいと、可能な限りチェックリストをやってもらうという姿勢がある限り、それは、水際作戦というものはやはり心配をしてかからなきゃいけないと私は思っておるところでございます。

 新聞記事をつけさせていただきました。資料二というところでございますが、虐待の記事でありますけれども、特養の待機者が五十二万人、しかも、この法案で要介護三以上に特養は利用制限される。さらに介護難民がふえる心配があるわけでありますが、当面、その受け皿の一つとなっているのが、人員基準や運営基準のない、いわゆるお泊まりデイというものであります。

 利用者の自費での宿泊、場合によっては、劣悪な設備、処遇が問題になっているところもあるわけであります。この記事によると、ここに三年も連続して泊まっている人もいらっしゃるということでございます。お泊まりだから、当然、問題は夜間の対応にあるわけで、二十四時間どう対応するかということにあるわけでありますが、この記事は、広島県の施設で起きた利用者に対する暴行事件の記事でございます。

 この記事の中においても、虐待の原因は、職員の経験不足、知識の欠如、ストレスというふうに指摘をされております。記事の中には、厚労省の調査で、二〇一二年度の施設虐待は百五十五件。発生要因は、知識や介護技術の不足、職員のストレスや感情コントロールの問題、倫理観や理念の欠如。厚労省自身がそういう調査結果を示しているわけであります。

 やはり、虐待の被害者は認知症の方が七四%、こういう分析を厚労省自身がしておきながら、認知症の方が半数含まれる要支援一、二の方に対するデイサービスやホームヘルプサービスをボランティアの方にお任せをする、丸投げをしてしまうというような今回の法改正は、厚労省自身が虐待というものを誘引することになってしまいかねないのではないでしょうか。

 大臣、このことについてはどうお考えでしょうか。

田村国務大臣 先ほどの話にちょっと戻りますけれども、今の制度は、予防給付と総合事業というのはもう歴然と違うわけでありまして、これは要するに、要支援者に介護認定されて、予防給付に行くか、その前で総合事業に行くかという話でありますが、今回は、仮に要支援の認定を受けても総合事業の内容を受けられるわけですよね。ですから、それは、チェックリストで受けようが、要介護認定を受けようが、同じサービスが受けられる、その部分に関しては。

 だから、そういう意味からすると、おっしゃられているのが何か今の話とちょっと話がごちゃごちゃになっておられますので、そうではないというふうに御理解いただきながら、新しい制度では、チェックリストの方々も、自分が要介護認定を受けたければ、それは申請を出していただければ結構であるということで御理解をいただきたいというふうに思います。

 その上で、今のお話でありますが、お泊まりデイの問題は、いろいろな問題点もあるのは我々も認識いたしておりますが、そもそも、お泊まりデイはデイサービスでございまして、まさにプロが提供されている、皆様方がおっしゃっておられるプロが提供されているサービスなんです。ですから、ボランティアではないわけでありまして、デイサービスという中において、今、ちゃんと制度にのっとって、介護保険の中にのっとってデイサービスはやっておられる。ですから、プロですね、皆様方が言われるプロなんです。ただ、制度の中で、それが制度外のことをやっているという問題の中でいろいろな問題が生じておるということでございます。

 今回の場合は、介護保険からは外しますけれども、要支援制度という制度内でのこれはサービス提供という形になりますので、比べる比較がちょっと違うのではないかなというふうに思います。

 でありますから、逆に言えば、ちゃんとした制度であれば、ちゃんとしたサービスを提供いただく。プロであっても、制度外であればいろいろな問題が生じてくるということでございまして、そこのところをしっかりと対応していくということ、これは我々としても重要であるというふうに考えておりますけれども、少なくとも、要支援という一つの制度の中においてサービスを提供いただくということでございますので、そこはちょっと問題点の論点が違うのではないか、このように考えます。

中根(康)委員 私が申し上げているのは、プロであったとしても、知識が不足している、技術が足りない、理念が欠如している方々は、こういう虐待を引き起こしてしまうということであります。にもかかわらず、さらにその技術や知識が不足をしている、あるいは専門性がプロの方よりも足りない、少ないという見方を当然できるボランティアの方々が介護に当たれば、それはおのずと虐待のようなことが知らず知らずのうちに起きてしまうのではないかということを申し上げているわけであります。

 これは、やはり虐待を防止するために、障害者の方でもそうなんですけれども、相手方に対する理解、あるいは、暴力あるいは身体拘束などを行わないでケアをすることのスキル、知識というものは、相当努力をし身につけなければ、十分できない。強度行動障害のような方々に対しては特にそうなんですけれども、それと同じように、介護の必要な高齢者の方々に対して必要なスキルというものはあるわけでありまして、それをボランティアの方が効果的なサービスが提供されるという今回の法律案は、やはり私はおかしいというふうに考えさせていただいているところでございます。

 きょうは、大臣、和光市の事例を挙げることが少ないんですけれども、というか、ないんですが、私も、同僚と五月の一日に和光市に行って、見聞をしてまいりました。そこでいただいた資料を、三から十六というところで添付させていただきました。

 これは一つ一つは御説明は申し上げませんけれども、この和光市の事例からわかるのは、とにかく地域ケア会議をしっかりと行っているということ、一人一人のニーズを徹底的に把握して、まさに専門職が専門的なサービスを提供しているということ、そして、和光市は、まさに介護保険の範囲の中での給付としてのホームヘルプサービスやデイサービスをまず基盤として提供して、それに上乗せをして、いわゆる多様なサービスとしての市独自の生活支援サービスを実施しているということを、私ども学んできたわけであります。

 地域ケア会議には、十四というところに添付をさせていただきましたけれども、理学療法士や管理栄養士や歯科衛生士や薬剤師、こういった専門家がレギュラーメンバーとして参加をしているわけであります。十六の資料にもあるように、当然、それはボランティアという方も入ってはおりますけれども、ボランティアは、専門職の方々が行う業務の、ある意味、周辺でのサポート役になっておられるわけであります。

 つまりは、やはり専門職の方々がまずしっかりとしたサービスを提供し、その専門職の方々の補助的な業務をボランティア、和光市はボランティアという言葉ですら余り使っておられなかったわけなんですけれども、やっておられるわけであります。そのことは、新聞記事等、十七から二十一、もう至るところに、専門職が和光市の介護基盤を支えておられるということが記事に掲載をされているわけであります。

 もう一度繰り返しになりますけれども、和光市というのは、大臣が、今回の法改正の一つのモデルとして再三にわたって御答弁の中で取り上げてこられたわけでありますけれども、徹底したケア会議で一人一人のニーズを把握する、介護給付としてのホームヘルプサービスやデイサービスと、そして市独自の事業、まさにそれが車の両輪としてうまく組み合わされてサービスが提供されて重度化を防いでいる、あるいは状態の改善に寄与している。専門職の方々の連携が要支援者に対して大きく貢献をしているということが、私ども、視察をさせていただいてよくわかったわけであります。

 和光市のモデルというのは、大臣、今回の法改正の根拠の一つとしてなっているんでしょうか、いないんでしょうか。

田村国務大臣 私も和光市にはお伺いをさせていただきました。

 もちろん、和光市も、我々、今回の改正の中の一つの事例として、好事例の中の一つとして認識いたしておりますが、当然、和光市だけではないわけでありまして、全国じゅう、いろいろな事業をやられておられるわけでありまして、それぞれ、いい事業は好事例として御紹介もいたしておりますし、それぞれのエッセンスというものをしっかり我々は取り込みながら、今回の御提案をさせていただいておるわけでございます。

 和光市と全く同じにしなきゃならぬという話ではないわけでございますので、それは、それぞれのいい部分というものを取り入れながら、それぞれの地域で工夫をしていただければありがたい、このように考えております。

中根(康)委員 私は、和光市の取り組みというのは、今回、厚労省が提出をしている法改正と全く真逆の取り組みをしておられると思います。和光市をモデルとして捉えるならば、今回のように、要支援者に対するホームヘルプサービスやデイサービスを給付の対象から外すという発想は私は出てこないというふうに思っております。

 事実、これは、配付資料の中には添付はいたしませんでしたけれども、和光市の保健福祉部長の方が、シルバー新報という新聞に対して、「個人的には、要支援者は介護保険給付に残した方がいいと考えている」と。自治体が介護予防の考え方を的確に踏まえずに、予防給付の本旨である生活機能向上視点より生活援助重視型でやってきてしまったという実態があるから、今の法改正につながってしまっているというようなコメントもされておられるわけでありまして、大臣が、最も先進的な取り組みをして、厚労省としてもお手本にしたいという位置づけにされている和光市の担当者ですら、要支援者は介護保険給付に残した方がいいということをおっしゃっておられるわけであります。

 まさにそのことが示すように、和光市の取り組みは、今回の法改正の参考資料にはなっていないということであります。和光市の取り組みと厚労省のやり方は、全く方向性が逆の方向を向いていると、私どもは視察をさせていただいた結果、実感をさせていただいたところでございます。

 大臣、もう一度、この和光市のやり方と厚労省の考え方は、同じ方向性を向いているんですか。私は真逆だと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 私、担当者の方のそのお話、読んでもおりませんし、私が行ったときにはそんな話はされておられませんでした。どういう脈絡でおっしゃっておられるのか、ちょっと理解できておりません。

 その上で、あなた方はそう思ったんでしょうけれども、私たちはそうは思っておりません。受け皿をしっかりつくる、受け皿をしっかりつくることによって、それは予防給付から地域支援事業というような形に移れるわけでありまして、受け皿をしっかりつくるという意味では、和光はしっかりとした受け皿をつくっておられるということでありますので、我々は、我々の考え方、和光の考え方、近いというふうに思っております。あなた方がどう思うかは、それはあなた方の御自由でございますので。

中根(康)委員 見解の相違ということでいえばそうなのかもしれませんけれども、お互いに、御自由です、御自由ですということを言っていては国会の審議にならないわけでありまして、私どものこういった懸念、心配、これは先ほど長妻議員が指摘をされた、認知症に対する厚労省の危機感が足りないのではないかということも含めて、一定程度、全部受けとめろとは言いません、それは受け付けない部分はあるんでしょうけれども、しかし、この国会審議でのやりとりというものは、そうかもしれないなというようなところで、少し懐疑的に物事を見ていただいて、今後の見直しの可能性を常に持っていなければ国会審議の意味がなくなってしまうということだろうと思います。

 そのほかに、きょう配付させていただいたものの中には、前回、大西議員も、同じように地元での事業所からの聞き取りをアンケート調査という形でされたわけでありますけれども、私も、地元でアンケート調査を事業所からいたしまして、今回の法改正に対するさまざまな御心配の声を承ったわけでございます。こういった事業所の声も、やはり厚労省として受けとめていただきたい。

 あるいは、今回、きょうは通告を申し上げておりましたけれども、自治体間格差に対する心配というもの、これも拭えないわけでありまして、そういったものに対する心配の声も、やはり厚労省として受けとめていただきたい。そのことを申し上げて、本日の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 きょうは、この間取り上げてきました短期集中特別訓練事業について質問いたします。

 昨日、待ちに待った検証結果が出ましたので、それを踏まえて質問をいたしたいと思います。

 もともとこの事件が発覚をしたのは三月六日でありました。そして、あれからもう二カ月ぐらいがたっております。この国会でも何度も取り上げましたけれども、途中から、弁護士を入れた第三者的な調査をやっているので、この国会の場では発言を差し控える、そういったこともこの間言われてまいりましたので、最終的な検証結果が出ましたので、それに基づいて質問をいたしたいと思います。

 まず、この間、いわゆるJEEDが一旦落札をし、それを契約を締結の前に取りやめ、再入札をするといったような一連の経緯がございました。今回の調査は、厚生労働省の中でも監察本部を設け、しっかりとした調査が行われたと思いますけれども、他方の当事者であるJEEDについて伺いたいと思うんです。

 JEEDの理事長たる小林理事長にまずお伺いしたいんですけれども、厚生労働省としては徹底調査をした、総理からも徹底調査をしろということで今回の調査だったと思うんですが、小林理事長自身は、この聴取、調査、厚生労働省が行ったと思いますけれども、計何回、何時間、その聴取を受けられましたか。お答えください。

小林参考人 私自身は事情聴取を受けておりません。

玉木委員 徹底調査ということで、報告書にもあるように、三月十五日から五月八日までの間、調査が行われたということなんですけれども、この国会でも私自身、理事長には質問させていただきましたけれども、問題となっている、JEEDが悪いと言っているのではありません、この案件に何度も登場した組織のトップである理事長に対して一度も一分も調査をしていないということは、本当にこれは徹底調査をしたということが言えるんでしょうか。

 もう一つ理事長にお伺いしたいと思いますが、この国会の中でも私は何度か取り上げました、十二月九日と二月十七日と二回、これはJEEDさんが作成された議事録がありました。この議事録に基づいてさまざまな質問もさせていただきましたし、その中にいわゆる疑惑と言われるようなやりとりがあったので、ここについてはやはりしっかりと、この調査の中でも、調査の対象として調べられるものだというふうに思っておりました。

 この二つの議事録の中に、JEED側からの出席者が冒頭に書かれております。私の計算でいきますと、どちらも八名ずつ出ておられます。一部、名前が黒い墨で消されておりますので、個人は特定できませんけれども、役職だけを見ると、八人、八人出ておりますが、最低二人はダブっておられます。ですから、人数でいうと、この二つの議事録に出てくるJEED側の職員の数は十四名、まあ十四名前後だと思います。

 この十四名のうち、調査の対象になっているのは何名でしょうか。もしわかればお答えください。

小林参考人 実際、何人の職員が事情聴取を受けたかということにつきましては、私は把握をしておりません。

玉木委員 いや、私は理事長を責める気はないんですけれども、この間これだけ問題になって、場合によっては刑事事件の可能性もあるということに対して、総理からも指示が出て徹底調査をしている、厚生労働省がもちろんJEEDについても一部聴取をしているということなんですけれども、その組織のトップたる理事長が、みずからの組織の職員が一体何名厚生労働省から聴取を受けたか把握していないというのは、私はちょっとこれは納得できないなと思いますし、そもそも、厚生労働省の調査が徹底調査なのかということにやはり疑義を持たざるを得ないと思うんです。

 この検証結果の冒頭に、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構役職員九名について聴取をしているというふうに書いております。私の計算が正しければ十四名ぐらいの方が、少なくとも先ほど申し上げた二つの議事録には登場するわけであります。そして、その議事録の真偽のほどが問題になり、その中身のいかんによっては、これが刑事事件に発展する可能性もあるということで、この間、調査が進んできたわけであります。

 大臣にお伺いしたいんですが、JEEDの役職員は九名ということです。ということは、この議事録に登場しているJEED側の全ての人に対しては必ずしも聴取を行っていないということでよろしいんでしょうか。

田村国務大臣 見ますと、九名ということでございます。

 これは、監察本部の外部委員の方々にお任せをしたわけであります。それはなぜかというと、やはり省内の者が入ればそこでまた恣意的な問題が起こるかもわからない、でありますから、外部委員。

 この監察本部は、委員御承知のとおり、民主党政権下、細川大臣のときにおつくりになられた監察本部であります。我々も大変ありがたいと思っております。メンバーは全員かえておりません。政権交代してかえたなんという話になれば、そこに恣意的な問題が入るといけませんので、同じ方々にやっていただいております。

 そのような第三者の立場から、どのような調査をしていただければ今回のことが解明をいただけるかということで、その方々において聴取をおやりいただいたわけでございまして、その結果が九名であったということであります。

玉木委員 なぜ全員の聴取をしていないのか、大臣、これは把握されていますか。

田村国務大臣 監察本部の外部委員の方々が、これは二名の方が聴取いただいたわけでありますが、御判断になられたんだというふうに認識いたしております。

玉木委員 では、大臣としては、全員の聴取をしなくても、この九名でも十分事実解明が行われたという認識でしょうか。

田村国務大臣 調査に関しましては、やはりこれは第三者性というものが重要であると我々認識いたしておりますので、外部委員の方々が、これが妥当であるという御判断のもとでこの調査をされたものだというふうに思っております。

玉木委員 監察本部の本部長は大臣です。

 九名ということで出ておりますけれども、明らかに全員ではありませんね。一定の判断で、全ての者について聴取をしないという判断は、その外部委員の方が判断したのは一つの判断でしょう。ただ、これだけ問題になったわけですから、やはり出てきた全ての人に話を聞くべきではないのかということを、ここは最後、監察本部長たる大臣が、最終的にきのう発表されたわけですけれども、これについては大臣としても、全員に聞かなくても十分なんだという、監察本部長たる大臣の最終的な判断があった上での今回の調査結果ということでよろしいですか。これは再度確認です。

田村国務大臣 今回の調査は、省内で起こったことであります、それに対する調査であります。そこは第三者性というものをやはり重視しなければならないと私は思っております。

 この監察本部は、省の中の組織ではないか、あなたが本部長ではないかとおっしゃられますが、以前、民主党政権下において不祥事が起こったときに、そのときに民主党の中において、第三者的な調査組織が要るということでおつくりになられた組織であります。私はそのこと自体は評価をさせていただいております。

 そして、その中において選ばれた方でありますから、御党も公平な方々を選ばれたんだというふうに思います。その方々にやはりお任せをする。大臣がそこに何らかの恣意的なことを介在するよりかは、公平な、公正な調査を、第三者的な立場で、目で見ていただきたいということをお願いいたしております。真相が究明できるよう御努力をいただきたいというお願いをさせていただいております。

 その中において出されてきた結論でございますから、我々としては、その結論をしっかりと受けとめさせていただくということであります。

玉木委員 私はやはり、大臣、これは不十分というか、せっかくこれだけ時間をかけてやられたのに、調査の対象から外れている人がいることによって、全体の調査の信頼性というのがどうしても、疑って見るわけじゃないですけれども、落ちざるを得ないと思うんですね。あと数名ちゃんと聞いておけば、この議事録に出てきた全ての人にきちんと調査をして、そしてまとめた結果がこうですと言えば、随分この調査の信頼性も高まったと思うんですよ。それをあえてしていない。

 なぜこういうことを申し上げるかというと、資料一にこの間の過程を書いていますけれども、下側に、これはこの国会でも取り上げましたけれども、十二月九日に安定局の職員がJEEDを訪問して、業務の一部を受託していただきたいというような話をしていて、それが今回の調査結果だと、受託をJEEDにしていただきたいと言ったのではなくて、入札があるので入札がある際には参加してほしいという趣旨の発言だった、聴取をした人全てがそういうふうに言っているのでそうだと、問題がないというふうな認定の一つの根拠になっているわけですね。

 ただ、先ほど申し上げたように、議事録に出てくる人に全て別に聞いているわけじゃないということで、勘ぐれば、都合のいい発言ができる人だけに話を聞いて、その結果をまとめた。「口裏合わせの疑い」というふうに、あえて「疑い」と書いていますけれども、そういった通報といいますか情報提供も実際私のところにあるわけでありまして、こういう疑惑を全てなくすためにも、やはり全ての者に、少なくともこの議事録に出てきた人に対しては、その場に居合わせたわけですから、これを聞かずに最終的な調査が済んだというのは、私は、やはり不十分だし、不十分な調査と言わざるを得ないと思っています。

 この調査については十分じゃないという認識のもとで、次の質問に移りたいと思います。

 今回、五名の方が処分を受けておられます。理由は、国家公務員法の守秘義務違反等々でございます。守秘義務違反というのは百条だったと思いますが、職務上知り得たものを漏らしてはいけないということに反して漏らしたということでありますから、何らかの職務上重要な情報を漏らしたという事実は認定されているわけですね。その漏らした事実が、今回は入札に関する情報ということだと思います。

 ということであれば、これも何度も出しましたけれども、資料の三にありますけれども、いわゆる官製談合防止法でありますが、八条、「事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示すること」、漏らしたら、五年以下の懲役、二百五十万円以下の罰金に処すというふうになっております。今回の処分の理由である国家公務員法上の守秘義務違反、つまり大切な情報を漏らしたということは、厚生労働省としても大臣としても認定されているわけでありますから、入札関連の情報が漏れたことは認めておられます。ということは、あわせて、入札に関する情報を漏らしたということを罰する官製談合防止法にも明らかに反している、構成要件に該当すると、やはりここは言わざるを得ないと思います。

 にもかかわらず、今回、刑事告発については見送るという判断をされておりますし、そのことが明確にこの検証結果の中にも書いてありますけれども、情報が漏れたこと、漏らしたことについては明らかであるにもかかわらず、なぜ、今回、官製談合防止法違反あるいはそれに付随する刑事告発ということを見送ったのか、その理由についてお答えください。

田村国務大臣 刑事告発となれば、かなりの悪質性というものが認められることになってこようと思います。

 監察本部の報告書で示されたことは、官製談合防止法第八条違反、これでありますが、ほとんどが一般競争入札における予定価格の漏えいまたは収賄等々の法違反を伴うものであります。この場合、企画競争入札でございますので、一般競争入札ではないわけでありまして、価格は決まっておりますから、価格自体を漏えいしても、それは何の意味もないわけであります。

 その上で、価格は同じ中において企画において競い合うという形であり、そういうものにおいて、官製談合防止法第八条の入札等の公正を害する行為かを判断することは非常に困難な面があるということ。唯一、官製談合防止法第八条違反が問われた件、これは防衛省の事案があったわけでありますけれども、これとは異なり、明らかに機構のみを有利として他の参入を妨げるような行為は確認できなかった、このようなことで、監察本部は報告書で述べられておるわけであります。

 あわせて申し上げれば、なかなか難しいのは、この前段に、本来、JAVADAが発注者でございますが、この場合には官製談合防止法には当たらないわけでありますが、ただ、ここに厚生労働省が関与しておるということでありますので、これが官製談合防止法の対象になるのかどうか。ここもなかなか判断がしづらいということでありまして、仮に対象であったとした場合という前提のもとで、今申し上げたような形の中において、これは防衛省の事案とは違うということで、官製談合防止法第八条違反には当たらないのではないかというような御報告をいただいたわけであります。

 いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましては、関係者とも十分に協議をしながら、どのような形にするか決定をしてまいりたい、このように考えております。

玉木委員 今の説明はよくわかりませんでした。

 法務省に伺いたいんですが、大臣が今幾つかおっしゃった、情報を漏らしたことはもう認めておられますね。ただ、今、防衛省の例を出されて、競合他社が必ずしも、今回の場合もJEEDだけですから、いなかったということ。例えば、名前は出しませんけれども、A社、B社とある中で、防衛の装備品でこっちのA社を、そうしたらB社が不利益をこうむる、ただ、この場合はJEEDだけですねと。競合他社がいないということとか、収賄という、金品の授受というか対価がそれに伴わないから当たらないんだということの説明がありまして、よってもって悪質性がないということなんです。あと、三つ目は、企画競争なので価格を必ずしも争うものではないということ、価格は既にわかっていますからと。

 大きく三つ、悪質性のない一つの説明として今大臣はおっしゃられたと思うんですが、官製談合防止法八条を見ますと、必ずしも価格のみを重要な情報と書いているわけではなくて、まさに「予定価格その他の入札等に関する秘密」ということで、価格以外のものももちろん対象になると思いますし、あと、競合他社がいるかいないかということも私は構成要件には関係ないと思いますし、対価を伴っているかどうかということについても、構成要件の該当性からすると関係ないと思うんです。

 その点、法務省、確認したいんですけれども、いかがでしょうか。

上冨政府参考人 いわゆる入札談合等関与行為防止法は、私ども法務省が所管する法令ではございませんので、お答えするのが適当かという問題がございますが、あえてお答え申し上げますと、同法八条に規定する「入札等に関する秘密」に該当するものとして、当局で把握している範囲では、裁判例の中には、例えば、施設修繕工事の入札に関する設計金額や見積もり参加者名、入札予定価格が推測できる予算関係資料、条件つき一般競争入札における最低制限価格の近似値などが、秘密に当たるものとされた例があるものと承知しております。

 また、具体的な事実が犯罪に該当するかどうかにつきましては、捜査機関において収集いたしました証拠に基づいて個別に判断されるべきことでございますので、その点についてのお答えは差し控えさせていただきます。

玉木委員 法務省はいつもこういうそっけない答えなんですけれども、奈良県十津川村の復旧工事に係る官製談合の問題があった際に、これは一者のみ入札に参加しているケースであります。このケースでも、実は官製談合防止法の成立はしております。保護法益は競争の公正性でありますから、他の具体的な競合他社の不利益が必ずしも明確に存在しなくても、これはきちんと法律違反は成立しますし、保護法益を考えると、今大臣がるるおっしゃったようなことは、必ずしも法律違反かどうかを判断する際には関係ないと思います。

 もちろん、内部の人事上の不利益を行う際の厚生労働省の判断としては、今おっしゃったようなことに基づいて悪質性を判断するというのは理解できます。ただ、刑事事件としての法の適用の有無に関しては、今回、厚生労働省が検証結果でいろいろなことを述べておられますけれども、このことは、基本的には刑事事件としてどうかということには影響を受けませんね。

 法務省、この点だけ、イエス、ノーでお願いします。

上冨政府参考人 犯罪の成否は、捜査機関において収集した証拠に基づいて、法律に基づきまして、法律の規定に反するかどうかという観点から個別に判断されるものと考えております。

玉木委員 そうなんです。官製談合防止法に違反するかどうかについては、これは捜査、調査機関が判断し、最終的には司法が判断する話であって、厚生労働省がいいだ悪いだを決めるものではないというふうに私は思います。

 ですから、依然として、冒頭申し上げたように、私は調査はまだまだ不十分だと思いますし、これが刑事事件に該当するかどうかについては、これも何度も申し上げていますが、やはりプロの捜査、調査機関に委ねないと、これは期待していましたけれども、行政だとこれが限界なのかな、内部調査の限界かなと思いますので、その点については、刑事告発、我々が検討するというよりも、厚生労働省としても、その必要性については引き続き検討していくべきものだというふうに指摘をしておきたいと思います。

 最後にお伺いしたいのは、きょうは青木理事長にもお越しをいただいております。今回、調査報告書を読んで、一つ新しいものがあったし、これはある種丁寧に書かれているなと思ったことが一点あります。

 これは、十二月九日に厚生労働省がJEEDさんに行って打ち合わせをしたということで、ここから始まったような話でありましたけれども、実は、この調査報告書を読みますと、十二月三日に厚生労働省から、資料の一に書きましたけれども、能開局長さんと安定局長さんが青木理事長さんのところを訪ねておられます。

 今回の補正の事業について説明をして、基金の積み増し等々について話をしているんですけれども、今回まさにこの入札案件で問題になっている訓練実施機関の認定業務、審査業務、これについてはそもそも委託できるというふうになっていて、かつ、この選定事業自身は、事業実施主体である協会ではなくて厚労省がやってくれぬかということをこの間ずっとやりとりをされています。

 実は、一月、二月の初めぐらいまでこういうやりとりをずっと続けているわけなんですけれども、まず青木理事長にお伺いしたいのは、前もちょっと取り上げましたけれども、あくまでこれは協会の事業ですね。にもかかわらず、事業実施主体が選定をみずから行わずに、これを厚労省にやってくれやってくれと累次にわたっておっしゃっておられるのはなぜなのか、この点をお答えください。

青木参考人 まず、お答えいたしますが、今お話しになった委託先の選定をやってくれという話については、お話に出た十二月三日時点ではやっておりません。このときは委託のことは全く頭にありませんので、十二月三日とは関係のない話であります。

 その後、一月にかけてやりとりがあったわけですが、これは、短期集中特別訓練事業、基金事業でやっているわけですけれども、全国組織を持たない協会が適正に事業を実施するということでありますので、きちんとできるという制度設計をしなくちゃいかぬということで、これは二十一年に基金事業が始まったときからの考えでありますけれども、できるだけいろいろな機関が協力をして、そして制度をつくって、リーマン・ショック以来の大変な雇用状況の中を切り抜けていく、こういう、みんなで力を合わせてやろうということだったと思っています。

 当協会としても、能力開発促進業務をやっているという公的団体ということもありまして、非常に実力は少ないですが、ほかのところではどうしてもできない、ほかのスキームではできないということでありましたので、何とか協力をしようと。しかし、できないことはできないわけですので、できる協力をしようということで、いろいろな面で、人材面だとかあるいは体制の強化の面でありますとか、そういうことも認めてもらう、こういう前提でやろうということであったわけであります。

 その過程では、もちろん私は、基金事業じゃなくて国の事業でやってもらったらどうかとか、あるいは、ほかの団体はいないのかとか、単年度事業じゃ無理なのかとか、いろいろ申し上げたんですが、非常な緊急事態を、緊急に対策を講ずるということからどれも難しいということで、今のようなスキームになっているわけです。

 そういう観点で始めまして、実はその二十一年のときには、ほとんど同じスキームなんですが、当協会が、同じような委託をするに当たって委託先の選定作業をやりました。やりましたけれども、どこも手を挙げなかったんですね。それで、厚労省が、もう緊急にやらなくちゃいけないので、雇用の回復用にやれという指示だかメールだかを出して、では何とかやっていくということになったわけであります。

 その後、委託先については、同じようなスキームについては、二十四年に別の事業が始まりました。それから、二十六年度には、この事業だけじゃなくてほかの事業も含めて同じようなことをやりましたけれども、委託先については、その選定は全て当協会ではなくて国がやるということになっております。

 一番最初のときに当協会がやってうまくいかなかったということもありますし、それから、私どもは、基金をいただいて、きちんと支給決定をして、間違いなく、迅速、確実にやるということにできるだけ徹していこうということでやっているということであります。

玉木委員 私、今回、この資料は非常によくできているなと思ったのは、この間のやりとりがすごく克明に文書で出されていまして、そういうふうにできるだけ選定は厚労省でやってくれということを言われたことに対して、厚労省側から、資料の二に書いていますけれども、こういうふうに言っていますね。協会は訓練実施機関に関する認定、支給決定をせずに、単に委託先に交付金を支弁するだけの立場であるとすれば、プロポーザル、入札とかそういったことを経ずになぜ協会に基金を積み増したのか、プロポーザルによって他の団体を選定すべきではないかという批判に耐えられないと、厚労省側から懸念が示されているんですね。でも、最後、押し切られて、厚労省はみずから選定作業にかかわっていくわけですけれども。

 大臣、これはやはり、今回ずっといろいろ全体像をあえて俯瞰して見ると、そもそも、今全国に余り組織もなくて、よく理事長が身の丈に応じた協力はしますということも何度も答弁をされましたけれども、失礼なんですけれども、協会自体、JAVADAさん自身が本件事業を実施する適正な能力を欠いているんじゃないですか。

 私は、求職者支援訓練はしっかりやったらいいと思うんです、法定に基づいて。前にも大臣に申し上げましたけれども、一、二カ月のがないんだったら、今三カ月以上やっているのをちょっと延ばして、一、二カ月を今の法定事業の中でやっていけば随分拾えると思うんです。ただ、それを補正だからといって無理無理、自分たちではちょっと不安かもしれないというようなことをおっしゃっている基金に無理やり積むことによって、今回非常に不幸な、結果として不正入札のような問題も生じることになっている。

 私は、最後、これは大臣に質問したいんですが、こういういろいろな疑義が生じたこと、そして、こういうやりとりからすると、やはり協会に基金を積んでやること自体の正当性も少しこれは問題がある。厚生労働省自身がその懸念を一旦示していたわけですから、どうですか、この事業は一旦やめて基金を国庫に返納すべきだと思います。消費税が上がる中で、厚生労働省はこれからより重要な役割を果たさなきゃいけません。あらゆる厚生労働省の予算に関する疑惑を払拭する意味でも、大臣、基金返納を決断すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 疑惑は疑惑で、今般このような調査結果をいただきまして、これにのっとって、それこそ玉木委員は本人たちには罪はないんだというふうにおっしゃっていただきましたが、その罪がないんだと委員が大変温かいお気持ちでおっしゃっていただいている職員に対して、形上はやはりこれは守秘義務違反でございますから、厳しい一カ月停職という処分を決定させていただきました。それはそれで、しっかりけじめをつけなきゃならぬというふうに思います。

 しかし一方で、この基金事業というのは、これはやらなくていい事業ならば別に今般補正予算で組むわけはないわけでありまして、やはり消費税等々が上がる中において、特に職業能力等々をまだまだこれから鍛えていかなきゃならない、そういう方々を中心にしっかりと早急に対応しようということで進めておる事業でございます。

 そのような意味では必要な事業でございますので、今般このような形で、再入札も応札者がおりませんでした。しかし、それならば要件を変えて、例えば分離発注等々も含めて、これを早急に実施できるように最大限の努力をする中において、本当に困っておられる方々にこの事業がしっかり行き渡るように努力をしてまいりたい、このように考えております。

玉木委員 無理な分割発注などはせず、これは国庫返納を決断していただきますことを強くお願い申し上げまして、質問を終わります。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日は、午後ちょっと質問がございまして、維新の会の委員の方に順番をかわっていただきました。無理を言って聞いていただきまして、ありがとうございます。

 今回の法律案、一昨日は参考人質疑がございまして、さまざまな立場から御意見を聴取させていただきました。改めて、医療経済の方、そして医師不足に関する方、そして要支援の方まで、さまざまな方が来られて、大変参考にはなったんですが、やはり論点がなかなか一点にならないなというところでして、今回の法律案の、もちろん医療・介護連携、それにかかわることだとはいいながら、やはり多種多様な、性質の異なるものまで入っていることを参考人質疑でも実感したところであります。

 私からは、前回、介護認定審査の地域間格差について御質問させていただいたわけですが、私、本質的には、例えば、きょうもまたちょっと介護保険のことからさせていただくんですが、今回、要支援の地域支援事業への移行、地域の独自性を発揮するためのものだということは十分理解できますし、将来ビジョンとして、地域包括ケアシステムを目指して、決して悪い方向性ではないなという認識は持っておるんです。

 ただ、それをやるのであれば、今回、要支援の部分も含めて、介護認定にあれだけ格差があるということは、長崎と山梨、これは認定率で四倍ですね。今回の区切りである要支援と要介護の、そこでも約二倍の格差がある。

 一方で、長崎と山梨を比べたときに、山梨が頑張っているとか長崎がだめだとかいう意味ではなくて、取り組みたくてもなかなか取り組めなくて、そして、地域支援事業が発達しているところであれば、先ほど中根委員の御質問にもございましたように、地域支援事業として様子を見ながら、最終的には要介護認定、そういう実情もあると思うんです。それがそのまま介護認定率の地域間格差にあらわれてしまっている。

 そういう中で、これだけまだ全国各地で格差がある中で、今回、先ほども言ったように、大臣は、これはそうではないんだ、要支援認定は誰でも受けられるし、どんなサービスでも自由に受けられるんだと。理屈上はもちろんそうだと思うんです。ただ、やはり国の発信力というか厚生労働省の言葉というか、原老健局長の話もしましたが、大変重いんですね。

 そういう意味で、私は、こういう改革、介護保険は運用から十四年、手をつけやすいと思うんです。でも、社会保障費全体ということであれば、本来は、複雑怪奇になってしまった医療制度とか、年金制度もそうですが、やはりそちらの方をしっかりと食い込んでいって、介護保険は、厚生労働省の皆さん、多くの方々の努力で、本当に全国各地、津々浦々まで事業所が出るくらいになった、本来の理念に基づいてここまで来た、そういう中で、今回は、私は、やはりちょっと拙速ではないかなと。

 以前から言っているように、やはり介護市場も医療市場もそうなんですが、こういう改革の前に、社会福祉法人のあるべき姿をもう一度見直したり、その中で提供事業者間の公平性をまず確保する、順番からすると、私は、そちらの方がまずやるべきことではないかなという認識でございます。

 要支援の地域支援事業への移行もそうなんですが、今回、特養入所要件を要介護三以上に重点化するということで、以前もちょっと御質問したんですが、きょうも確認の意味で改めて御質問させていただきます。

 私は、特養入所の優先度というのは介護度だけではやはり判断できない、ひとり暮らしの方とか経済的に苦しい方など、環境面で整備が難しい方が本来適用になるべきだというふうに思っておりますし、私も在宅医療をやっていてそのように感じています。

 今、地域で独自に優先入所の対象が決められている中で、現在でも特養の入所者の約八割から九割はもう既に要介護三以上になっている。独自の基準の中で要介護一、二の方がいる中で、どうしてここで慌ててそのような線引きを声高らかに言わなければいけないのか、改めてお尋ねしたいと思います。

土屋副大臣 委員もよく御存じだと思いますけれども、入所申込者数が約五十二・四万人、そのうち在宅で要介護四または五の方が八・七万人、これが大変深刻であるということ。

 そして、特養の入所は、今おっしゃったように、自治体が入所の指針に従って判断をしている。各施設や地域ごとの運用に差があって、重度の要介護者が依然として入所できない状況が深刻であることが見受けられるということであります。

 それで、この中で特別養護老人ホームについては、限られた資源でありますし、より入所の必要性の高い方から入所しやすくなるように、中重度の要介護高齢者を支える施設としての機能に重点化を図ったということ。

 そして、一、二の方であっても、やむを得ない事情により、特別養護老人ホーム以外での生活が著しく困難である場合、例えば、認知症高齢者であって、常時の適切な見守り、介護が必要である人、それから、家族等による虐待が深刻であり、安全が確保できない、知的、精神障害等も伴っている方、生活を地域で続けるのが困難という方に関しては、関係者に聞きながら、指針として取りまとめる予定になっております。

 厚生労働省といたしましても、この指針をきちっとつくっていく中で、地域の格差がなくなるように努力していきたいと考えております。

中島委員 先ほどの要支援の事業と同じように、言葉としてはそうなると思うんです。やはり、五十二万人の方が待機しているという現実は大変重いことだと思うんです。

 ただ、介護というのは、やはり先が見えない恐怖というか、私も実際、いつも行っていて、この先どうなるんだろうかと。お子さんで、子育てであれば、ある程度の一定の期間を経れば自立をしていく、先が見えるわけですが、介護の場合はどうしても先が見えない。

 例えば介護度四、五の方、胃瘻をしている方も含めて、在宅で立派にやっておられる方もいます。現状でも、介護サービスを使って、介護度には関係なく、訪問診療、訪問介護、訪問看護を使ってやっている方もおられます。現状は大丈夫なんです。ただ、この先あと何年この生活が続くんだろうという理由で、とりあえずという言い方は失礼かもしれませんが、特養に申し込まれる方は圧倒的に多いような気がします。

 そして、一方で、要介護一、二、もっと言ってしまえば要支援の方も、昨日も、八丈島で、お母さんの介護疲れのために放火、そういう事件があってしまった。私も実際、訪問診療をやっていて、これがまれなケースかというと、実は、その一歩手前のような感覚の方は非常に多いんですね。

 そういう現状の中で、確かに、五十二万人の方が今にでも入りたいんじゃないか、そういうイメージを持たれる方もおられるかもしれませんが、現実にその内容を見ていくと、現状では何とか今の介護保険サービスを使ってやっていける。ただ、例えば九十歳、九十五歳の御両親を見ている息子さん、娘さんという話になると、やはり七十代になってくる。自分のことも含めていくと、将来、五年後、六年後どうなっちゃうんだろう、そういうことから申し込まれる方がいるんですね。

 さっきも言った、私は、施設とかお泊まりデイサービスの虐待の問題もそうですが、御自宅にいる高齢者の方の虐待問題というのは、この十年間でも、感覚として、件数としてもふえていると思います。さっき言った八丈島の件もそうです。

 先ほど言ったように、優先入所の基準というのは、おっしゃるとおりで、独自の判断、例えば地域のケアマネさんとか地域包括支援センターの方が、ああ、この方は要介護度一、二だけれども、やはりこれは待機的にも特養に入れさせなければならない、それのための優先入所の基準だと思うんですね。

 そうおっしゃいますが、先ほど私、厚生労働省の言葉は大変重いと言ったのは、今回、このような法律案でこのように高らかになってしまうと、例えば事業所でいえば、私が嘱託をやっている特養は八百人待っています。そうなると、既に入所の段階で、あなたは要介護一、二だから受け付けができません、そのように判断してしまう事業所は今でも多いんです。さらにそれが進んでしまうと、行き場のない高齢者の方がふえてしまう可能性がある。

 そうであれば、今回、指標を法律で示すのであれば、要介護三以上以外の方でも、事情によってはしっかりと入所できるんだと。要するに、先ほど言った、地域独自の優先入所に査定もされない方々がさらにふえてしまう可能性があるわけでして、そういう意味でいけば、具体的な判断基準を法律の中でもしっかりと示していくべきだと私は思うんですが、御見解をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 非常に難しい問題だと思います。

 要介護度三以上というふうにしたのは、今もお話がありましたが、要介護度四、五で八万七千人おられる。まず何で見るかとすれば、それはやはり状態像を要介護度で見るというのが一番見やすい規定といいますか基準であるわけで、もちろん、一、二でも、この方は入った方がいいなという方々はおられると思いますが、より、四、五の方々は当然入らなきゃいけない話であって、そこは、優先的にどっちなんだというのは非常に難しいですよね。

 四、五で入らなくていい人を入れるというのは、これは問題があるのかもわかりませんが、基本的に、やはり四、五になってくるとかなり重くなってきて、それに認知症が入ってくるということになると、これはもうどうしても施設に入らざるを得ない。

 ですから、そこは、今十二分に特養の枠があってということであるならば、もっともっと弾力化ということができるのかもわかりませんが、重い方々でももう目いっぱい、入れないという状況の中で、では、どの方をということになったときに、やはり一つ、三という基準を今回つくらせていただいた。

 それは、今もそういう傾向が高いんですが、やはり自治体において、また施設において、ばらつきがあるというのはいろいろな事情があるんだと思います、ここでいろいろな事情を全て言うつもりはありませんが。それを考えたときに、やはり三という基準を一つ設けるということを我々は今回選ばなきゃならなかった。

 それに関しては、それより軽い方々も、全員入れるよというわけにはいきませんから、当然、必要な方々に関しては入っていただくことはできますよという規定を置かせていただいたということでございます。

 特養をずらっとつくればいいんですが、それは財源的にもいろいろな問題もあって、つくれないということもございます。その中において、なるべく在宅で御生活ができる方々は、我々、そのようないろいろな環境整備をこれからしていきますけれども、していく中において、いろいろな方々の御努力も含めて、何とか在宅で生活をしていただける、それは御本人の思いでもあるとすれば、ぜひとも実現をしていきたいというような形で今般の提案をさせていただいたわけであります。

中島委員 そうなってくると、今の各自治体の優先入所の基準で、肌ざわりといったら変ですが、例えば要支援の方であれば、民間のケアマネではないわけですね。地域包括ケアセンターの職員がケアマネ業務をやるわけです。そして、その肌ざわりというか、そういう中で、例えば地域支援事業であれば、これは実際、私も以前も言いましたが、北杜市で地域支援事業を一緒にやっていました。

 これは、ある意味、本当であれば要介護認定なのだけれども、この方にとっては例えば地域支援事業のサロンの方がいいだろう、それは独自の判断をするわけなんです。だからこそ、地域支援事業が発達した北杜市や和光市のような地域では要介護認定率が下がるんです。

 ですから、そうなってくると、今特養の入所要件ですけれども、これはあくまでも自治体の判断、そこを尊重するべきだと。そのようにおっしゃっているんだと思うんですが、今回、法律案の中でそれを高らかに言ってしまったことで、先ほど言ったように、今でも八割から九割の方がもう要介護三になっている。ほんの一割ぐらいしか要介護一、二の方はいないわけです。これは下手すると、事業所は、もう要介護一、二は受け付けませんということになってしまうということを危惧している。先ほど言ったように、そういう意味ではないということなんですが、結果的にそうなる可能性が危惧されて、私は心配しているということなんです。

 ですから、こういうことを改めてやる前に、先ほど言った私の経験でも、私が見ていた患者さん、息子さんがお母さんを見ていたわけですが、残念ながら、首を絞めて殺してしまったという事件がありました。その方は大変真面目な方なんですね。決してそのことを肯定しているわけではないんですが、やはり現状の、今の介護保険制度の中でも、なかなか日の当たりづらいところがあって、その方たちを救い切れなかった。

 そして今、御自宅での高齢者の虐待ですね。例えば、御自宅で胃瘻をやっている方もいます。お子さんであれば、お子さんの世話をしないのは虐待に入りますよね。お年寄りの場合であっても同様なことが言えるわけです。そのようなケースが年々年々ふえている。

 そのような方々をこれから対応していかなきゃいけない中で、それをもしかしたら助長させてしまうような可能性が否定できない私は今回の内容ではないかなというふうに思うわけです。

 今後、高らかに地域支援事業へ、そのモチベーションがある自治体はいいかもしれませんが、認定審査にこれだけ格差があるということは、もしかしたら受け手の方は、さあ困ったという状況の中で、結果的に、被害というか、あおりを受けてしまうのは利用者さんであり、患者さんである可能性があるわけです。

 今後、このような改正の後、後というか、なるに当たって、やはり高齢者の孤独死の問題とか虐待、そして先ほど言ったような介護疲れのために悲惨な事件が起きてしまう、そのようなことに対して、私は、先ほど、事業者間のイコールフッティングもまずやるべきことだと思いますが、このようなことを助長させないために、その徹底的な対策をまずやるべきではないかなというふうに思うわけですが、大臣の御所見をいただきたいと思います。

田村国務大臣 さまざまな状況のもとで、もちろん、特養に入る入らないだけではなくて、介護者の方々のいろいろな疲れというものはあるわけでありまして、レスパイトをどう進めていくか、ケアラーの支援というのも大変重要だというふうに思います。

 私も、ケアラーの会の方々からいろいろなお話をお聞きする中において、本当に大変な状況というのをお聞かせいただくわけであります。認知症に関しては、認知症カフェ等々を進める中において、同じような悩みを持たれておられる方々が思いを共有していただくということも必要であろうと思います。

 いずれにいたしましても、ケア疲れ、介護疲れという中において、悲惨な状況が起こるというのは本当に大変なことでありまして、ただ単に、その事件だけでは判断できない、その事象だけでは判断できない、いろいろな中においてそういうようなことが起こるわけでありますから、そういうものを緩和できるような、そのような支援というのもしっかりと検討してまいりたい、このように考えます。

中島委員 冒頭にも言いましたように、介護保険運用から十四年です。かなりの地域に根差してきていて、これから、二〇二五年、まだその先も続く高齢化社会の中で、介護保険は私は大変すばらしい制度だと思っています。財源論ではないとおっしゃるかもしれませんが、やはり、今回のような内容、私、将来ビジョンとしては悪くはないということなんですが、現時点で、まだその前にやらなきゃいけないことがあるのではないか。

 例えば、先ほどの社会福祉法人改革もそうなんですが、このタイミングでしっかりとやっておかないと、例えば社協さんの話も前回いたしましたが、今回、通所、デイサービスとか訪問ヘルパーさん、それはやはり、社会福祉法人も同じ事業をやっているケースが多いわけです。私の地元の北杜市は、本当に民間の小さい自宅を改修した五、六人のデイサービス、そういうのがたくさん出てきたんです。それはもう、まさに介護保険が根差した証拠だと思います。

 そこで、同じような事業提供をするのであれば、社会福祉法人のあり方、やはり公益性、不採算な事業にもどんどん手を出していく、そこでの評価基準、そして、同じ事業をやるのであれば、事業者間の公平性をしっかり保つところからまずやらないと、今回、拙速にこういうことになってしまうと、そこに手がつけられないまま、また五年後、十年後、そして二〇二五年を迎えてしまうということになってしまうのではないかなということを申し上げさせていただきたいと思います。

 特別養護老人ホームの件に関しまして言いますと、現在、四人部屋主体の多床室、そして、ユニットで構成されるユニット型施設の二つの形態があります。厚生労働省は、高齢者の尊厳の観点、施設での生活を居宅での生活に近いものとしていく必要があるという観点から、施設整備補助や介護報酬などによってユニット型施設の整備をまだ現在も推進している段階だと思います。

 しかし、ユニット型施設よりも従来型施設の方が費用が安く、低所得者の方々が入所しやすいとか、入所定員を多く確保でき、待機者解消に資する理由などから、従来型施設の整備も推進すべきという意見も少なくないと思います。この点について、厚生労働省の御見解をいただきたいと思います。

原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、これまで、要介護高齢者に対して、居宅に近い環境のもとで入所者一人一人を尊重したケアを行うために、特養の個室ユニット化を推進してきたところでございます。今後ますます多様化する高齢者のニーズに応えていく上でも、高齢者の居住環境を確保していくということが必要と考えております。

 一方、今、議員の方からもございましたように、むしろ多床室の方がいいんだというような御意見もございますし、あるいは、地域の特養の整備状況等を考えながら、やはり多床室を認めていかざるを得ない、こういったような声があるのも事実でございまして、一応、私どもとしては、この特養の居室の基準につきましては、参酌すべき基準ということで、最終的には都道府県が地域のいろいろな実情を踏まえて条例で判断をしていただく、今、こういうような仕組みになっているところでございます。

 その結果、一定数の自治体が、地域の実情に応じて条例で多床室を認めているわけでございまして、また、もともと古くからつくったものは多床室が多うございますので、現実問題として、多くの多床室が現在存在しております。

 そういう中で、高齢者の尊厳を保持するということは大変大事でございますので、多床室であったとしても、プライバシーの保護に配慮したものが整備されなきゃいけないし、また、されつつあるという実態でございます。

 いずれにしましても、特養における今後の居住環境のあり方につきまして、いろいろな御意見がございますので、現場の実態の把握や事例研究等も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

中島委員 恐らく、多床室が多いというのは、措置の時代からの施設は圧倒的に、もう当然だと思うんです。ただ、その措置の時代の施設がもう古くなってきて、今、建てかえの時期に来ているんですね。その建てかえに当たって、これも地域の取り組み方次第で、自治体によっては補助事業ですからユニットしか認めない、そういう自治体はまだまだたくさんあるんですよ。

 そういう中で、私は、先ほど厚生労働省の発言というのは非常に重いと言ったのは、やはり多床室も認めていくと。

 恐らく実際に行ったこともあると思いますが、ユニットケア、大変きれいです。きれいですが、デッドスペースが非常に多くて、そして、先ほど重点化の話をしましたが、本当にユニット型のいい部分というのは、実は、要介護で判断していいかどうかわかりませんが、一、二の方もしくは認知症の方が、みんなで出てきて食事をとったり、そういう意味で尊厳が維持できて、ユニット型のいいところが出るわけです。

 ただ、今回、先ほども言ったように、重点化によって、特別養護老人ホームが介護度でいけば四、五の方が圧倒的に多くなる場合、その方、例えばユニット、何平米ですか、十畳ぐらいの部屋に一人でぽつんといて胃瘻をつながれている姿、そうであれば、やはり、先ほど言った、地域によっては経済的に厳しい方たちがたくさんいる中で、これは、施設側でいえば施設のコストもかかる、そして、あと一方では介護従事者も、ユニット型ケアを見ていくのは大変労力がかかります。

 その一方通行ではないんですが、いろいろな面を考えると、ぜひ、厚生労働省として、各自治体に対して、多床室のいい面、悪い面、ユニットのいい面、これはどちらがいい悪いとは言わないんですが、一方通行にならないように、今後ぜひ指導というか取り組んでいただきたいと思いますが、一言いかがでしょうか。

原(勝)政府参考人 先ほども申し上げましたように、これについてはいろいろな御意見がございますので、これから都道府県あるいは施設関係者なんかの意見も聞きながら、やはり、大事なことは、多床室であったとしてもプライバシーの確保という良好な環境を確保するということが大事だと思いますので、そういう観点も含めまして検討してまいりたいと思います。

中島委員 先ほどの介護認定もそうなんですが、特養のあり方全て、やはり、自治体の取り組み、頑張っている自治体はあるわけです。その取り組みを尊重して、まさにボトムアップ、それを認めていただけるような柔軟性をぜひ持っていただきたいと思います。

 ちょっと時間もないんですが、せっかく先日、参考人質疑がございましたので、参考人質疑でのことをちょっと取り上げさせていただきたいと思います。

 地域医療支援センター、医師不足解消のために各自治体それぞれで、今回の法律案において法制化されるということで、板倉参考人、山梨県の地域医療支援センターの副センター長ということで、この資料にお示ししましたが、独自の山梨県総合診療専門医養成プログラムというものをつくっておられます。

 これは、恐らくそれぞれの地域医療支援センターで違うと思うんですが、要するに卒前教育ですね、医学部教育か、そして研修医制度、これは厚労省管轄になると思います。その後の生涯教育、これは日本医師会がやっておられるものですが、やはりこの連動性、シームレスになっていくことが大変重要だということをおっしゃっていました。

 そして、最終的に、若手の医師、山梨県の場合は地域枠の子たちが初めてことし卒業しました。その受け皿となる、そして地域に根差した医者をつくっていくその最終着地点、最終ではないかもしれませんが、一つのインセンティブとして総合診療専門医、これを掲げておるわけですね。

 二〇二〇年に新たな専門医制度の中で新設されるということになっておりますが、率直に、このプログラム、これは山梨県独自のものですが、これを見て、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 これは山梨県の地域医療支援センターの取り組みということで、総合診療部門ということで総合診療医を育成しようということであるわけでありまして、平成二十五年からスタート、三年間のプログラム。もちろん、小児科だとか、あと内科、産科、いろいろなものもある。しかも、診療科だけではなくて、中小病院から、場合によっては診療所、さらには医師が不足している地域まで回るということで、いろいろなことを学びながら医師としての総合的な力をつけていただくということでございます。

 そういう意味からすると、うまく医師不足の地域にも対応して回っていただけるということでありまして、非常にすぐれた取り組みであるかなというふうに私は思います。

 これから、平成二十九年度からでありますけれども、専門医制度が新しく始まっていくわけでありまして、そういう意味からすると、この取り組みは当然その中に入ってくるんだろうなというふうに私なんかも期待をするところでありますが、プロフェッショナルオートノミー、要するに専門家の自主的な、自律的な役割として専門医を育てていっていただくということでございますので、ぜひともこの山梨の取り組みというものをそれぞれまた参考にしていただきながら、それぞれの専門医の養成、こういうものに取り組んでいただければありがたいな、このように思っております。

中島委員 ありがとうございました。

 評価していただいて、きっと板倉参考人も喜ぶと思うんですが、同時にこのとき、この卒前教育、研修教育、生涯教育、これがシームレスにならなければ意味がないという中で、最後の着地点というかインセンティブとして総合診療専門医と。一方で、日本医師会の中川副会長は、この総合診療専門医に対して否定的なコメントがございました。

 もう時間になってしまったので、次の質問のときにこの件についてまた御質問させていただきたいと思うんですが、やはり一体となって地域の医師不足を解決しなければならない中で、医師会の見解が違う、こういった問題に対してしっかりと厚生労働省として指導していく、大臣からも、いいビジョンだ、いいプログラムだといただいた以上、やはり積極的に参画するように、しっかりと指導していかなければいけないのではないかなというふうに思います。

 次回の質問のときに、医療費の問題に関することなんですが、より、先ほど介護市場の改革が必要ではないか、同様に医療費の問題も、医療市場の問題、やはり私も、我が党は規制改革と言っておりますが、私は一人の医師として、やはり医療、介護というのは何でもオーケーというわけにいかないのはよくわかっています。わかっているんです。ただ、やはり昔と違った、今の時代に合った、一回、古い時代の規制は見直さなきゃいけないんです。そして、新しい枠組みをまたつくらなければいけない。

 そのためには、私は、俗に言う岩盤規制の代表格である日本医師会もしっかりと指導していかなければいけない、そのようなことを今回の改革案の前にやはり見直さなければいけない、そういう岩盤規制をしっかりと崩していく、その姿勢について、次回、大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十一分開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。清水鴻一郎君。

清水(鴻)委員 日本維新の会の清水鴻一郎です。

 では、質問をさせていただきたいと思います。本会議終了後で、皆様も息切れでありますけれども。

 まず、きのうの新聞、あるいはきょうの新聞にも出てきましたけれども、私がずっと質問をさせていただいておりますいわゆるJEED問題について、新聞報道等の見出しによれば、「不適切入札 二人停職 厚労省 「公務員の守秘義務違反」」ということで、きょう午前中にも玉木委員からありましたので、重複を避けて質問させていただきたいと思います。

 この事実関係について質問をしようと思っていたんですけれども、午前中にかなり質疑もされましたので、限られた時間でありますので、これについて、私は、この調査書、かなり分厚いものなのでなかなか一晩で全部というわけにいかなかったんですけれども、これを読ませていただく限り、ある意味では起こるべくして起こったのではないかというふうに考えます。

 つまり、調査結果のところでも、概要と検証というところにもありますけれども、能力開発課では、委託先の選定をいわゆる中央職業能力開発協会が行うものと認識していたがというような記載もありますし、あるいは、十二月ごろに能力開発課長が、短期間でも、要するに非常に業務が、仕事量が多いということで、増員できないのかということを総務課長にも相談していたが、結果として局内の応援体制も組まれなかった、非常に短期間の間に、公示までの極めて短い期間、十数日で仕様書の作成等大量の作業を行う状況となったことが、今回の事案の大きな要因と考えられるという分析もあります。

 これについて、私は、ある意味では起こるべくして起こった、こういうことが繰り返されればまた同じことが起こるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 いろいろな要素があるんだというふうに思いますが、今般の事案に関しては、その中において、時間と比較して非常に業務量があるという中で、本人らは一生懸命やったつもりだったんでしょうけれども、それが法律にのっとらずやったところがあったということでありまして、実際問題、担当者の方々には一カ月の停職というような処分を下したわけであります。

 そのような意味からいたしまして、この報告書を我々もよく分析させていただきながら、やはりこういうことが起こってはいけないことでありますので、どう、こういうことが起こらないように、これからいろいろな、今般の入札の制度も含めて、これを見直していくかということも進めなければならぬというふうに思います。

 いずれにいたしましても、今般の案件を見ておりますと、やる仕事というものをどちらがどう担当するんだというような話にも入ってきておるわけでありまして、このような補正予算等々、時間的に緊急を要するような事業に関しては、その事業が円滑に、しかも信頼を持っていただきながら実施できるような、そういう仕組みというものをこれからも検討させていただきたいというふうに思います。

清水(鴻)委員 大臣、一生懸命やったけれどもやり過ぎた、それは事実だと思いますけれども、しかしながら、報告書にもありますけれども、「厚生労働省は機構の理事長代理が入札参加を認めないことを恐れ、理事長代理に入札参加を納得させる必要があると考えて整理事項を作成したものであり、機構と厚生労働省が落札の意思を合致させたというものとは認めることができない。」ということ。

 つまり、普通のこういう新聞報道だけ見れば、いかにもそこに対して利益を供与して、いわば見返りを求めるみたいなふうに誤解されますけれども、これはむしろ、過去の例を見ても、五年前も不調に終わったという例がありましたよね。そういうものにも、過去にも学んで、結局なかなかこれを請け負ってもらうところがない、補正予算で組んで、もう早急にやらなければいけないという命も受けている、そういう中で、この人たちはやむを得ず、いわば必ず一者は、せめてJEEDだけでも応札してもらわないとこの仕事ができない、もちろんほかもあってもいいけれども、少なくとも一つは確保する必要があるという、ある意味では責任感といいますか、そういうものからなった要素が非常に強いなというふうに思います。

 そういう意味において、こういうことは、同じようなことが、つまりノウハウがそこしかないというふうに考えられるものについても、同じような短期間でのいわゆる企画競争入札みたいなものを行えば同じことが起こるんじゃないか、あるいは、同じように、もしやらなければ、つまり応札する人がいない、時間がかかるというふうに思います。

 この最後、結論というところにも書いてありますけれども、要するに、本事業は、求職者支援制度の見直しから構築された派生事業であって、訓練認定について実施者として法定されている機構にそのノウハウがあり、また実際の運用段階でも求職者支援制度と一体的に連携して実施しなければ求職者に混乱を与えかねないものであった。したがって、職業能力開発局がその制度の設計などについて機構とやりとりを行うこと自体は必要なものであったが、それが本事業の企画競争の手続に入る段階になっても続けられ、節度を欠くものとなっていったということが問題であったと。

 この事業の来歴や求職者支援制度に酷似している性格、そして補正予算として早期執行が求められている事情から、企画競争により委託先を選定するにもかかわらず、企画対応能力的に機構しか事業を行うことができないであろうという考え方から起こったというふうに断言しています。

 そして、執務体制の整備が行われない中で、入札事務を職業能力開発局で行うことが決定したのが二月上旬であり、三月中に事業をスタートしなければならないという時間的制約も加わって、入札事務処理に混乱を来し、心理的な焦りと日ごろからの機構との甘えの関係から不適切な行為が起こったというふうに断定しています。

 私もそのとおりだと思います。いかがですか。

田村国務大臣 ですから、先ほど、この入札のあり方も含めていろいろと検討しなきゃならぬというふうに申し上げたのはそのような意味も含めてでございまして、そもそも、随契で、これは特命で本来ならば契約をするというような案件であるのかもわかりません。

 ただ、一方で、そのような随契においても企画競争入札を必ず実施するというふうな方向性が民主党政権の中で行われてきたわけでありまして、私はそれ自体を否定するものではないわけであります。

 それはなぜかというと、随契であったとしても、やはり透明性というもの、一つのところに相対で仕事を出すということに対してのいろいろな批判というものも歴史経過の中であったのも事実でありまして、その流れの中において、随契に関しては企画競争入札というものを導入しようという流れで、民主党政権のときにこれは決断されたんだというふうに思うんですね。

 ですから、ただ、それがまた今回このような形で、それ自体がなかなか難しいのではないかというような案件が出てきておるわけでございまして、これを機に、しかし一方で、先ほども言いました、国民の皆様方には透明性というものをしっかりと担保しなきゃならない、どういうような方法があるのか、いろいろと検討させていただきたいということであります。

清水(鴻)委員 一方、報告書の中に、一月から二月にかけて能力開発課員による業界団体への訪問というところで、公益社団法人東京ビルメンテナンス協会等へ訪問している、これは短期間訓練の実施を打診したものでありと。こういうものがありますけれども、こういう事実があったんでしょうか。それは内容的にはどういうことだったんでしょうか。

田村国務大臣 済みません、きょうは担当者がいないものでありまして、私もにわかに、すぐにお答えできるような状況じゃないものでありますから、今ちょっと確認をしておったんですけれども、これは要するに、今般のJEEDというような規模じゃなくて、最後の実施をする委託先に関して、本来ならばJEEDからその先に委託されるわけでありますけれども、その先に対して、こういうような事業があるということで、一般的に、広報のような形でお伺いをしていったということであります。

清水(鴻)委員 本来なら、JEEDに行って、JEEDが、その下請じゃないですけれども具体的なことを、このビルメンテナンス協会というのがどういうことを請け負うのか、場所の確保とかそういう意味なのかもしれませんけれども、何かちょっとその辺のところがよくわからないんですよね。

 大臣もちょっとこれは、私、きょう、これは事務的に答えていただければ結構だというふうに言ったと思うんですけれども、来られていないようですので、もうあえて質問はしません。

 だけれども、この辺のところもやはり明確に、報告書に書いてある以上、これはどういう趣旨でどう会ったのかということがないと、また何か、僕は、単に、ほかにも請け負う可能性があるからそこに打診されたのかなというふうにも思ったんですけれども。

 このビルメンテナンス協会というのがどういう規模でどんなものか、ちょっと調べたんですけれどもよくわからない。社団法人で、ビルのメンテとかいろいろなものを、ただ、障害者支援事業とかは直接請け負われているんですよ。そういうものもあるので、直接それも請け負う可能性があるからなのだろうとちょっと推測したんですけれども、ちょっときょうはいらっしゃらないということで、大臣もそんなに詳しく知っておられないかもしれませんので、またこれは後日にさせていただきたいと思います。時間も制約されています。

 それと、あと、再入札に応募者がなかった。それで、今整理をして、現状は、先ほども玉木議員からもありましたけれども、本来早急にやらなければいけない事業がここまで来ている。大事なお金、百何億をつぎ込む仕事でありますから、実際、今からやって意味があるのかどうかも含めて、現状はどうなっているのか、どういうふうに認識されているのかだけ最後にお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 玉木委員にもお答えしたんですけれども、基本的に必要な事業であるということは、我々だけではなくて各般からそういう御認識をいただいておるわけでありまして、これは、やはり消費税を上げる、そういう状況の中において、特に短期で集中的に、比較的職業能力の薄い方々に関してこういう対応ができないであろうかということの事業でございますので、そういう方々に対して、やはりこの時期早急に対応する必要があるであろうということで、補正予算でこれをお願いしてきておるわけであります。

 そういう意味からいたしますと、これは再入札が応札がなかったわけでありますが、そうであるならば、さらに条件を変えて再々入札をかけさせていただきたい。例えば、この場合、一者、全国規模というような話になるとなかなか難しいというのであるならば、ブロック化して、分離で発注できるような、そういうことも考えていかなきゃならぬわけであります。

 ハードルが高いというならばハードルを下げてでも、ただし、質を落とすわけにはいかないものでありますから、その部分はしっかりと担保はしなければなりませんけれども、いろいろなところにお声がけをさせていただく中で、ぜひとも応札をいただきたいということで、再々入札、期待をさせていただいておるような次第であります。

清水(鴻)委員 大臣のお気持ちはすごくわかるんですけれども、補正予算で組んでいわばここまで来たものですから、必ずしも今やって、タイミング的に、消費税増税に対する施策ということもありますし、もう現実に上がったという中で、その貴重な財源をどういうふうに使うのかということについてはよく検討していただいて、本当に今からでもやった方がいいのか、それとも、一度ちゃんと仕切り直して、今の現状に合った形でやっていくのがいいのか、よく検討していただきたいということを申し上げて、これでいつも終わってしまうので、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 いつも医療の方からいくと介護の方までなかなかいかないので、きょうは、最初に介護、特に補足給付の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 今回、いわゆる特養等の施設入所等にかかる費用のうち、食費あるいは居住費は本人の自己負担が原則になっているけれども、住民税非課税世帯である入居者については、その申請に基づいて、補足給付を支給し負担を軽減している。福祉的な性格や経過的な性格を有する制度であり、預貯金や不動産を保有するにもかかわらず、保険料を財源とした給付が行われることは不公平があることから、資産を勘案する等の見直しを行うということであります。

 これ自体はやはり必要なものであると思いますし、公平性ということにおいては、預貯金はないし不動産もないけれども、今現在、辛うじて収入があるという人からは取る、そして、大きな不動産があったり、あるいは預貯金があるにもかかわらず補足給付されるということについては、不公平感があるのは事実だと思います。

 ただ、今回の法案では、預貯金だけをターゲットにする。つまり、一定額の預貯金、単身では一千万円超、夫婦世帯で二千万円超程度を想定しているということでありますけれども、そういうものについて、本人の申告で判定して、金融機関へ照会して、不正受給に対してはペナルティー、加算金を設ける等、そういうことであります。ただ、不動産等については行わないということであります。

 今、預貯金や不動産があるけれども現金収入がない人に対して、現金収入があるけれども逆に預貯金や不動産がない人との不公平があるということで是正しようということでありますけれども、では、今度は、預貯金はあるけれども、大きな不動産があって預貯金はないという人と、結局そこでまた不公平ができますよね。これでは根本的な解決には全くならないわけですよ。

 もし、このことを導入するならば、当然、不動産も導入しなければならない。ただ、不動産の場合、預貯金と違って、なかなか換金しにくいとか、いろいろあるのは事実です。

 だけれども、これはちょっと資料でもおつけしましたけれども、資料の二ですね。実際そういう例は諸外国でもないしということならば、ちょっと日本でスタートするのはなかなか難しいかなと思いますけれども、実際問題は、諸外国でも制度で、当然ながら、預貯金のほかに住宅宅地等の不動産も勘案することとしている例がたくさんあります。本人に加えて配偶者の資産も勘案している国が多い。

 不動産に係る配慮としては、住宅宅地といった不動産については、負担能力の勘案の対象とするものの、その処分を利用者の死後まで猶予する等の配慮をしている。つまり、リバースモーゲージです。また、配偶者や未成年の子供が居住している場合には、処分を猶予する等の配慮をしている。

 運用面では、資産の把握については、本人または代理人の申告を基本としている。債権を確実に回収するために、抵当権の設定等を行っている。こういう例があります。

 具体的に、三ページ目にもつけさせていただきましたけれども、これももう既に検討もされている事実だと思いますけれども、アメリカの制度、その次にはニュージーランドの制度、それからアイルランドの制度等、実際にやっている例もここにお示しをしました。

 こういうことからも、私は、今回、やるならやはりこれも一緒にやらなければ、ここで不公平を解消したらここで不公平が起こる、これではかえってモラルハザードが起こります。つまり、預貯金は、おろせば預貯金じゃなくなります。不動産にかえれば不動産になります。とすれば、では不動産にかえて持った方がいいと当然考えますよ。

 そういうことが起こらないように、やはり、これは変な悪徳な人がいたら、この際、預貯金だったら大損ですよと。私がもし何かそういうあれだったら、私はプライベートな銀行をやっているんです、私のところは表に出ませんからというような、いわばオレオレ詐欺じゃないですけれども、本当にそういうことも起こり得る。高齢者をターゲットにした施策でありますから。

 これについて、やるなら同時にやるべきだと思いますが、いかがですか。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 今回お願いをしています法案におきましては、今議員の方からございましたように、介護施設での食費や居住費を補助する補足給付につきまして、在宅で生活する方との公平性の確保などの観点から、資産を勘案するということで規定を設けておりまして、具体的な資産については厚生労働省令で定めるということになっております。

 私どもとしても、当初は、資産ということで、流動性のある預貯金に加えまして不動産、これも対象にできないかということで検討してまいりました。議員がきょうお示しになりました外国の制度も、私どもの方でシンクタンクにお願いをして調査をしてもらったというような経緯もございます。

 資産のうち不動産については、現に居住している場合があるなど、直ちに現金化して活用することが難しいということでございますので、具体的には、補足給付のかわりにこれを担保とした貸し付けを行う、そして、お亡くなりになったりした時点でその資産を処分して返済いただく、こういう方法について具体的に案を考え、昨年、社会保障審議会介護保険部会におきまして検討をいただいたところでございます。

 しかしながら、この仕組みを実現するには、一つやはり何といっても大きかったのは、市町村からは事務負担を軽くしてほしいというような要請がございまして、実際の業務を受託する、例えば不動産の管理とかですね、こういうものの機関、通常だと民間の信託銀行だとかそういうところになろうかと思いますけれども、そういうところといろいろお願いというか相談をいたしたんですけれども、現段階では、受託をするというようなめどがつかなかったというのが一つございます。

 あるいは、貸し付けの対象者や不動産の鑑定の評価方法、あるいは担保不動産の処分方法など、いろいろ実務面、体制面での課題があるということで、審議会でもそういうような指摘がございまして、まずは一定額を超える預貯金等を保有している方々を給付の対象外とするということで、今回、御提案をさせていただいております。

 したがいまして、今回、不動産の勘案については見送ったわけでありますけれども、私どもといたしましては、補足給付の支給に当たっては、不動産を勘案することも重要な検討課題であると考えております。不動産を担保とした貸付制度に関して、今回、審議会で指摘のあった課題も含めまして、引き続き具体化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

清水(鴻)委員 難しいからやらないというんじゃ、何もできませんよ。

 それと、例えば評価が難しいといったって、固定資産税、税金を取っているわけでしょう、固定資産に対して。評価はあるわけですよ。だから、それができなかったら日本の税制そのものが、固定資産を持っている人でも換金できないから、収入がなくても固定資産税はかかってきますよね。これができないはずがないわけですよ。固定資産の評価が難しいと。では、固定資産税を取っていること自体、あれは矛盾があるんですか。適正じゃないということになりますよ。日本の税制そのものを否定することになりますよ。難しいからやらない、おかしな話ですよ。

 資料の中の最後におつけしたと思いますけれども、やはり民間はちゃんとやるんですよ。六ページ目につけさせていただきましたけれども、リバースモーゲージ。もちろん、今住んでいる、今お金にすぐかえろと言っていないわけですよ。だからリバースモーゲージの制度を、諸外国もそうしているわけですから。前例は幾らでもあるわけですよ。

 これについて、既にみずほ銀行がやり出した。これは五兆円市場だと。これはもちろん、今回のような例だけではないですよ。だけれども、いわゆる高齢者の方が、今住んでいるからその家をすぐには売れない、だけれども、住み続けた結果、自分が死んだら処分してもらって、その貸し付けの返済に充ててくださいと。つまり、超高齢化社会を迎えれば、非常に論理的な方法だと思いますよ。

 これは、ある意味でそのニーズはすごく高いというふうに分析しているわけです。既にもうスタートしているんですよ。だから、引き受け手がないということはないと思いますよ。工夫と努力が足りないだけなんじゃないですか。どうですか。

田村国務大臣 民間でリバースモーゲージをやっておられるところはあります。ただ、介護保険の制度でいきますと、全国津々浦々、全てのところに制度がはまります。

 委員もよく御理解いただいていると思いますが、田舎では土地が売れないというところがいっぱいあります。実際問題、流動性がないので、これを引き受けて、仮にリバースモーゲージで自治体が関与してお金を貸し付けたとしても、今度、売買がないものでありますから、回収できないという問題が出てきます。

 今、固定資産税の問題は確かにあるんですが、よく我々もお叱りをいただくのは、田舎の昔の中心部、こういうところで固定資産税が高い。なぜかというと、売買需要がたまにある。しかし、それは本当に一部の売買需要で、そのときに高い金額で流通されると、その金額を設定されて固定資産税なんて設けられると、本来の価値、つまり、売ったときにはそんな金額はそもそも成立しない。

 そういうふうな問題があって、流動性があれば、それはいろいろな適正な価格というものがある程度相場がわかってくるのでありましょうけれども、日本の場合は、家も、なかなか中古住宅の市場というものが、今、一生懸命国土交通省さんが努力されておられますが、やはりアメリカ等々と比べても流動化できないというふうな問題があります。

 そういうふうな問題も勘案して、なかなか今回はこれをそのまま導入するのは難しい。ただ、諦めたわけではないので、もし、こうやって、みずほさんの話がありますけれども、みずほさんがやっていただくのならば、みずほさんをうまく活用させていただきながら、できるかもわかりません。ただ、一方で、全国津々浦々やりますから、流動性のあるところだけやるというわけにもなかなかいかぬわけでございまして、そういうところの部分を調整してできるようになれば、それは導入してまいりたいと思います。

 今回のこれは、介護保険の中でも福祉的な部分でありまして、居住費それから食費、これは本来払ってもらうという前提だったんですが、導入時に、やはり所得の低い方々にそれをするのは大変じゃないかということで、福祉的な対応として補足給付というものをスタートしました。

 ですから、本体というよりかは福祉的な部分でやっておる部分でございますので、それは、土地で持っている人とお金で持っている人がちょっと不公平という意見はありますが、でも、持っている人からはなるべくこういうものに関してはいただくべきではないかというような御意見でございまして、スタートできない土地等々不動産に関しましてはこれから検討しますが、まずは現金という形で、把握しやすいものに関しましてはスタートをさせていただきたいということでお願いをさせていただいたわけであります。

清水(鴻)委員 もちろんわかるんですよ。ただ、これは仮給付していけば、つまり、何かして損するというものではないんですよ。流動性、つまり、地方で換金できなかったらどうするんだ、それはもう仮給付のままで終わるかもしれません。あるいは、もちろん不動産ですから、例えば価値が一千万円あると思ったものが五百万に下がってしまうということはあると思います。仮にそれが五百万になり、あるいは百万かもしれませんけれども、それでも、仮給付のものは、百万は、ある人からは取れるということになるわけですよ。

 つまり、リバースモーゲージは、もちろん、例えば一千万円給付しました、一千万円必ずリバースモーゲージで取れるというものではありません、不動産ですから。だけれども、少なくとも、ある財産について、持っておられたものが、お亡くなりになったときにそこできちっと整理がされて、国に払うべきものは、一部であっても還元できる。何も全額取るというわけではありません。

 だから、リバースモーゲージの制度ですから、必ずしもそれが全て、仮給付したものが全て回収できるとは限りません。しかし、それでも、少しでも不公平性がないように。

 現金の人は、では、例えば一千万強になって、これはちょっと制度をどう仕組まれるかわかりませんけれども、一千五万円だったら、一千万円超が対象だから五万円だけ取って、今度はもう一千万円を切るところでストップするのか、あるいは持っている人は、一千万超ある人はゼロまでいくのかわかりませんけれども、でも、どう考えても、もしこうだったら、今の高齢者の方はこれは不動産に切りかえますよ。だって、もし僕のおばあちゃんが現金を持っていても、こんな不公平な制度が導入されるんだから不動産にかえようねと。そうしないと、どんどんどんどん現金が減っていく、収入はないのに。

 僕は、これはやむを得ないとは思いますけれども、実際に今現金収入がない人にとって、たとえ預貯金が一千万円あっても非常に不安定なものですよ、いつまで生きるかわからないわけですから、長寿社会の中で。だから、これを取る制度そのものが本当にいいのかどうか、私自身わかりません。だけれども、現金収入があるけれども預貯金も不動産もない人と比べて不公平だということがあれば、それはこういう制度もやむを得ないかと思いますけれども、やるなら不動産もやるべきだし、やらないなら、やはり今回はまだ時期尚早で、不動産をちゃんとできるような制度を、これはみずほもやり出しましたから、ちゃんと仕組んだ上で、同時にスタートすべきだと思います。大臣ですか。

田村国務大臣 ですから、難しいのは、流動性があれば安くでも売れるんですけれども、そもそも、御承知のとおり、地方ではもう売れない土地もいっぱいあるわけでありまして、そうしたら、例えば自治体がそれを管理しなきゃいけない。もしそこで何か事故が起こったときには自治体の責任になるわけでありまして、そういう管理責任も含めて、なかなか売れないような土地、これは一部だけがやれるというのはいいんですけれども、制度としてやろうと思うと、全国津々浦々、一体としてやらなきゃいけない。すると、売れない土地をいっぱい抱えている自治体はありますよ、それは。そこはなかなかやはりこれは厳しいというような御意見がある中で、今般は、土地に関してはなかなか難しい。

 そうすると、多分、委員は、それなら現金も後にすればいいじゃないかというお話であろうと思いますが、そこはやはり、現金という形でお持ちの方々、ましてや、土地は売らなければ物を買えませんけれども、現金はそのままいろいろな物が買えるわけでありまして、そういう意味では、まず、公平性というものを考える中において、持っている方には御負担をお願いしようと。

 もともと、その方は本来払わなきゃいけないというものを、福祉的にそれを補足給付という形で入れさせていただいておるものでありますから、まずはそこは御理解をいただきながらということで、今回お願いをさせていただいたということでございます。

 ただ、思いは委員と一緒でございますので、決して、土地は別だから、もう土地の方は取らないよというのじゃなくて、我々は、リバースモーゲージも含めて、土地の方をお持ちの方々からも将来的に何とか御負担をお願いする、このような形でお願いしていきたいというふうに思っております。

清水(鴻)委員 大臣がそうおっしゃるので、それはしようがないですけれども、でも、何も絶対に換金して取れなくても、取れるような仕組みへ、流動性のあるところもあるわけですから、預貯金がある人だけが不利益をこうむるというのは、これは極めて不公平だ。だから、少なくとも、仮給付して、結果的にそれが流動性がなくて取れなくても、それはそれでいいんですよ。外国だって、取れない場合はそれはやむを得ないわけですよ。だけれども、死後清算して、やはり流動性のある大きなお屋敷を持っている人もいっぱいいるわけですから。

 もちろん、人口から考えても、都会の方が人は多いわけですよ。それは、大臣がおっしゃるような地域もあると思いますよ。だけれども、それは、仮給付して、結果的にそれが流動性がなくて凍結されれば、それはそれで、別に入ってこなくてもそれを本給付に切りかえればいいわけですから、少なくとも国庫について、例えばこの介護保険財政については、公平性が少しでも進歩するということを申し上げて、次の質問に入らせていただきます。これはもうしようがないですからね。

 ただ、絶対にあれですよ、この制度をやられたら、私は自分の選挙区を含めて、京都の方には、今回は非常に不公平な制度が始まりますよ、預貯金を持っておられる方は、できるだけ預貯金は今のうちにおろして、たんす預金にした方がいいですよとか、そういうことになりますよ。それはそうでしょう。だって、預貯金は申告制度ですから。だから、申告は、銀行にすればわかりますけれども、たんすに入っていればわからないわけでしょう。そうですよ。たんすの中を調べに行くんですか、あり得ないですよ。まあ、いいです。

 そういうことですから、そういう不公平が起こらないように、公平な制度をやっていただきたいということを申し上げておきます。

 次に、これも先ほど午前中に、私も申し上げたいなと思うことを中島委員も申されました。特養の問題なんですけれども、今回、特養をいわゆる重点化するということで、介護度三以上にするということであります。

 現在、実際、要介護度一、二、これも特殊に、認知症があるけれどもひとり住まいで、非常に、近隣で火事を起こす可能性があるとか、いろいろな社会的な問題があって入っておられる方はいらっしゃいますけれども、今もう既に原則的には、市町村では、三以上の人を重点的に入れよう、あと、要介護度一、二の人を入れる場合は、そういう特殊な要件がある人を入れようということで、ほぼ整理されているんです。

 そういう現実で、では、今、介護度一、二という人で特養に入っている人はどれぐらいいらっしゃるんですか。

原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。

 特養への新規入所者ということで、平成二十三年度のデータでございますけれども、要介護一、二の方の割合が一一・七%ということで、これは余り傾向としては変わっておりません。累積としても大体そのくらいでございます。

 ただ、都道府県によってこの割合を見ていきますと、高いところはこれが二割を超えている、それから低いところは五%未満というようなことで、都道府県だけ見ても多少ばらつきがある。これをさらに市町村あるいは地域単位で見ていきますと、あるいは施設単位で見ていきますと、さらにばらつきがある。

 もちろん、施設においては、入所判定委員会を適正に運営して、本当に必要な方を入れておられるとは思いますけれども、一応、今回、特養というものについては、こういう在宅生活では困難な中重度の高齢者を支える施設という性格を明らかにして、やはり要介護四、五といった重い方が在宅で特養の入所を待っておられるということで、そういう方のための施設ということで、優先的に入ってもらえるように機能を明確にしたいということでございます。

清水(鴻)委員 そうなんですけれども、地方ではもう明確にほぼなっているんですよね、実際は。これを見てもそうですよね。もう一割、二割、これはやむを得ない環境にある人、おひとり住まいであるとか、要介護度は軽く出ているけれども認知症があって、やはり、おひとりでいると非常に御近所の方も心配だというような例があって、やっているということなんですよ。

 京都市なんかでも、私は京都市に住んでいるんですけれども、京都市と京都府に、そういう施設の運営に私も関与していますけれども、ケアマネジャーさんは原則的には三以上ということを認識しながら、でも、環境的に、その人の担当のケアマネジャーさんやその地域の民生委員の方々と相談しながらやっているんですよ。

 だから、これをやったから五十数万人の待機者の重症度がある人が解消されるなんというのは、全く幻想ですから。これはもうはっきり申し上げておきます。

 だから、その五十二万人の方が、全くの、いわゆるすぐに入らなければいけない人かどうかというのは、それは必ずしもそうではないことも私は認識しています。しかしながら、必ずこれをやったからどうだというよりは、むしろ、中島委員もありましたけれども、個室が必要かどうかも含めて、もう少し応用がきくような形でやらないと。

 残念ながら、私が今住んでいます京都市はまだ、いわゆるユニット、オール個室しか認めないんですよ。それはやはり、中島委員もおっしゃっていましたけれども、厚生労働省のお墨つきがちゃんと、それで、京都府は、知事さんが全国知事会の会長さんとかで、ある程度偉いので、もう自分で、いや、これは必要だからと言って、京都府下は四床オーケーなんですよ。でも、京都市内はだめだ。そういうそごも起こっているんですよ。でも、京都市長さんは、むしろ厚生労働省の指示に忠実に従っているんだという話なんですよ。

 厚生労働省というのは、地方に行けばめちゃくちゃ偉いんですよ。厚生労働省が言っているといったら、都道府県の人はもうそれに従うしかないと思っているんですよ。田村大臣なんか神様みたいなものですよ。だから、そこのところを、皆さんの力というのを認識した上で、地方で任せているからといったって、やはり原則はそうだという、その原則論というのは非常に重きをなしているということだけ申し上げます。

 もう時間がないので、次に行きます。

 あと、介護福祉士の資格の取得の問題もやりたかったんですけれども、これはちょっと後にして、医療事故に係る仕組みについて、勤務医の先生方の団体などからは、全国医師連盟の方々なんかからは御心配の声が上がっているんですよ。

 つまり、今回の場合、ちょっと欲張って、今回の医療事故調査機関の制度というのは、医療安全と再発防止という一つの柱と、もう一つは責任追及、両立し得ない二つの機能を持たせていることが、これを実効性のあるものにできないんじゃないか。

 そういうことで、関係当事者による供述の刑事手続への流用を禁止する規定を設けるとか、あるいは事故調査を実施する第三者機関に関して独立性を担保するとか、厚生労働省のもとに置くのではなくて、そういう監督官庁でなくて内閣府の外局に置くとか、そういう工夫が必要じゃないかとか、あるいは事故に利害関係を有する者は参加をさせない方がいいとか、あるいは関係する医療従事者からも、つまり、医療従事者で、横で見ていておかしいという場合、そういう人からの申し出も行うことができるようにするとか、そういうような御意見があるんですけれども、こういうことについてはいかがでしょうか。

原(徳)政府参考人 今回の医療事故調査制度につきましては、ひたすら再発防止を、医療安全のための再発防止を目的としているということをまず申し上げたいと思います。

 そのために、まずは医療事故が発生した医療機関においてみずから調査をしていただく、その上で、遺族または医療機関から依頼があった場合に医療事故調査・支援センターが次のステップとしての調査を行う、こういう仕組みをつくっているわけでございます。

 医療事故調査について、これはやはり原因を明らかにしないと再発防止にはつながりませんので、原因が何であったかという調査は当然ながらするわけですけれども、ただ、責任追及や紛争解決を今回目指しているわけではございませんので、例えば第三者機関が行います調査結果の報告書にしましても、医療従事者の個別の氏名、あるいは過失があったかなかったかなどについても調査結果報告書に記載するかどうか、これについては慎重にガイドラインの中で検討していきたいというふうに考えております。

清水(鴻)委員 ちょっと時間がないので、もうこれ以上言いませんけれども、これから検討するということが今回の法案は非常に多いんですよね。どれを聞いても、中身はこれからです、方向性だけですという話がすごく多くて、実際どうなるのかなと。

 医療事故の問題でも、今、原局長もおっしゃったように、これからガイドラインを決めるんだと。本当は、ガイドラインぐらいは決まっていて、こういうふうにするんですよというのなら、では、いいかとか、これはよくないとかわかるんですけれども、もう全部、再発防止があくまで念頭にある、一義だ、それだったら誰も反対する人はいないんですよ、再発したらいけないのは当たり前ですから。でも、人間がやる以上、そういうことが起こる。

 だから、どうしたら再発しないかということの工夫をするためにやるんだということですけれども、その中でどういう仕組みになって、だけれども、報告書が例えば不幸な結果になった方の御遺族に渡るとなれば、もらった人の感情は、やはりこういうことなのかということにもなるわけですから、これはやはり、はっきりしたガイドラインが示された上で、この法案がいいかどうかというのは本来聞いてもらうべきで、これからやるんだと。

 では、これは、我々が賛成したら、あとはもうお役所でやった結果を我々は何も関与できなくなるわけでしょう。ガイドラインに我々がまた何か関与、もう賛成したじゃないかという話ですよね。もうお任せしたじゃないかと。これはやはりなかなか我々にとっては心配な問題ですから、ぜひ、患者さんのためにも、また医療関係者のためにも、再発防止につながるようにやっていただきたいということを申し上げます。

 あと、もう時間も迫ってきましたので、ちょっと飛ばして、看護人材の確保という問題であります。

 今回、各都道府県のナースセンターにお任せしてやるということですけれども、実際問題、ナースセンターよりもハローワークの方が圧倒的に、ハローワークが大体全国で年間実績が五・一万人、それに対してナースセンターは一・二万人、五倍ぐらいの差があるんですよ。にもかかわらず、ナースセンターを中心にしなければいけないという何か理由があるんですか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 ハローワークそのものを否定するわけじゃございません。現在も、例えば看護協会などの協力を得ながら、ハローワークにおいて、看護の就業の紹介に当たっての相談に乗るとか、そういう事業をやっているところでございます。これは、看護人材の確保のために、ナースセンターでは当然ながら職業紹介するわけですけれども、それに当たって、公共職業安定所、ハローワークと緊密な連携をとるようにという規定が既にございます。

 今回は、これに加えまして、地方自治体、あるいは、先生先ほども御紹介ありましたけれども、地元の医療関係団体等とも密接な協力を持って、さらにその紹介の実効を上げていきたい、そういうふうに考えているところでございます。

清水(鴻)委員 それも、そう考えているという話で、まだ実際問題、医療関係団体がいろいろなことに関与できるかどうかというのも、これまたこれからという話なんですよね。

 だから、全てこれから、これからの話なので、本当に賛成していいのかどうか。方向性はいいなと思うんですけれども、具体的なことになると、何かちょっと心配な点がいっぱいあるなというふうに思います。

 これは、看護協会がつくられているナースセンターという、一つの職能団体ですよね。だから、それはやはり職能団体として機能されて、例えば、その団体の関連のところは政治的にも活動されるというわけですよね。ハローワークとはある意味では全く違う性格があるわけですよ。

 そういうことも含めて、やはり本来は行政が中心になってやっていただくということにしていかなければだめだと思います。だから、県なら県を中心にそういう仕組みをしっかりつくっていただく。もちろん、ナースセンターのノウハウは加味するんですけれども、その中立性を保つためには、県なら県を中心にしながら、医療関係者全部が協力できるような体制をしっかりとっていただきたいということを申し上げて、時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今、清水鴻一郎委員が、本当に賛成していいのか、もうよくわからない、こういう発言がありましたが、我々維新の会は、とにかく、この改革は大きな方向性としては必要だと思っていることは、何度もこの場でも申し上げています。ただ、改めるべきは改めていただいて、修正すべきは修正していただいて、しっかりとこれを実現していく、それは施行も含めて、先ほどもありましたけれども、地域においても、しっかり我々維新の会として、この改革を推進していきたいと思っております。

 こうして田村大臣にこの法案についてじっくり質問させていただけるのも、一説によると、あとわずかということでございますので、清水鴻一郎先生は、神様とおっしゃいましたので、神様に質問させていただきたいと思いますが、あわせて、小泉政務官、ありがとうございます。

 多くの方から、もう一回だけという御要望もありまして、私も、お忙しい中、政務官に申しわけないと思っていまして、赤石次長にいろいろ御足労いただいてやってきておるわけですが、この委員会もこの法案、佳境でありますので、この法案についてはこれを一つの区切りとしてお願いしたいと思います。

 それから、御質問申し上げる前に、一言、言いたいことを言っていいのかわかりませんが、私、きょうまた民主党のことを言って申しわけないですが、本当にいないんですよね。私が敬愛する大西先生は、いつも私の隣にお座りでいらっしゃいますから、いつもいらっしゃいますが、本当にいないです。

 ところが、民主党が一番言っているのが、審議時間が足りない。何でいないんだ、おかしいですよね。

 さらに言えば、きょう、何ですか、玉木委員。JEEDは大事ですよ。JEEDは大事だけれども、JEEDで省内の調査が、ヒアリング対象の人数があと二人足りない、そんなことの方がこの法案より大事かと。(発言する者あり)ですよね。

 高橋先生とは最近意見が合いまして、大西先生と足立と高橋先生は、今、三兄弟、いや、三姉妹。つぶやきが、ほぼ同じ意見をつぶやいていらっしゃいますので、民主党にはいずれ、余り言い過ぎるとあれですけれども、民主党よりは高橋先生の方がまともである、こう申し上げておきたいと思います。

 済みません、小泉政務官、これは冗談じゃなくて、この厚生労働委員会というのは本当にぎりぎりの闘いをしていまして、各党入り乱れてやっていますが、民主党の対応は非常に厳しいものがあると思います。

 特にこの法案は十九本束ねてという批判がありますが、なぜ厚生労働省がこうやって改革を急がねばならなくなったかというと、民主党が無駄な時間を使ったからですよね。だから、霞が関は満を持して、三年間できなかったことを、全部宿題をこの国会に持ってきて、さらに言えば、自民党もちょっと心もとない、委員の先生方はすばらしい方ばかりですけれども、自民党全体では心もとないところもあるので、政権が安定している間に、できればこの国会と次期通常国会で勝負をかけたいというのが、もう全省庁の思いなんですよ。

 だから、我々もそれをサポートするために、今、金子筆頭理事には汗をかいていただいていますので、何とぞ改めて、こういうところで言っちゃいけないですね、済みません、御尽力をいただきたいと思っております。

 もう質問を急ぎますが、小泉政務官はお忙しいと思いますので、冒頭に。

 非営利ホールディングについては、政務官からも教えていただいて、また赤石次長、部下の方々に教えていただいて、大分私も理解を深めました。

 ずっとここで小泉政務官に御見解を伺っていたのは、どちらかというと、産業競争力会議のお仕事について何か文句があるとか、そういうことでは全くなくて、むしろ、厚生労働省の言っていることと、産業競争力会議が提案していることのある種の平仄をやはりこの場で合わせていく作業をしておかないと、国会が閉じると我々は発言の機会を失いますので、しっかりと厚生労働省に申し上げるという意味で御協力をいただいてきたということです。

 そういう観点から、どうしてもあと一点確認をさせていただきたいのが、非営利ホールディングについて、非営利ホールディングという非営利のかさをかぶせることによって、内部関係についてはできるだけ規制を柔軟化していきたい、こういう御趣旨だと理解をしているわけです。

 実は、これを提案した方々、あるいはこの提案に期待をされている方々は、例えば資金が余っている法人と足りない法人があったときに、それを融通するとか、そんなことはもちろんあっていいと思うが、さらに言えば、非営利のかさがかぶさっているんだから、その内部においては、いわゆる資本取引ですね、単なる資金の融通ではなくて、例えば出資、リターン、配当あるいは還元、そういう取引もあってもいいんじゃないかという声が多いです。

 ぜひ政務官、産業競争力会議あるいは小泉政務官として、担当政務官とされて、そうだ、これはそういうところまで想定しているんだ、こういう御答弁はきっと、まあ、お立場がなければいいですけれども、おありですから、厚生省との関係もあるでしょうから難しいかもしれないが、そういうものを排除していないというところは、やはりここで明確に、産業競争力会議の議論はそういう資本取引を排除はしていないんだ、広くそういうものも含めて、非営利のかさをかぶせることによってその内部関係の合理的な取引を認めていくということを皆様方はおっしゃっているんだ、私はこう解釈をしていますが、それでよろしいかどうか、御答弁をいただければと思います。

小泉大臣政務官 私も、毎回、足立先生からさまざま勉強させていただいております。前回お呼びいただいたときに、足立先生と共産党の高橋先生は九九%考えが違うという発言がありましたが、先ほどの話からすると、九九%ではなくもう少し距離が縮まったんだな、そんなことも勉強させていただきました。毎回ありがとうございます。

 御指摘いただきました非営利ホールディングカンパニーの話ですけれども、質問に率直に、端的に答えれば、おっしゃるとおりです。排除しません。

 この非営利ホールディングという新しい制度の創設を、産業競争力会議としては検討方針の中に入れたわけです。これから、これは厚労省を含めて、足立先生がおっしゃった、グループの中でどういう円滑な、まあ資金調達とか、また金融資産、余った資産を活用するのか、これを検討いただきながら、なるべく現行規制の方を緩和するべく検討しているところでありますので、御理解をいただきたいと思います。

足立委員 本当にありがとうございます。

 小泉政務官にお越しをいただいて、私が点をつけるのもあれですが、本当に百点というか、金子理事がちょっと崩れていますけれども。

 本当に、私は、皆様が、あるいは産業競争力会議の皆様が取り組まれている作業というのはそういうことだろうなと思っていますので、恐らく夏、そして臨時国会か通常国会を含めてまた議論になっていくと思いますので、私も、野党の立場でございますが、思いを一つにしてぜひ応援をしていきたいと思っていますので、引き続きまた御指導をいただきたいと思います。

 忙しいと思いますので、ありがとうございました。

 ということで、神たる田村大臣にちょっとお願いで、今の話は、私も、田村大臣はこれもいろいろ難しいお立場であると思いますが、検討はまだ始まったばかりだと思いますので、この議論を受け取っている厚生省においても、今申し上げた、小泉政務官は排除はしていないと。ぜひ、厚生省も同じ思いで検討はするということで、御答弁いただければと思います。

田村国務大臣 非営利ホールディングカンパニーの件でありますけれども、二十六年末までに結論を出していただいて、法制上の措置を講じていくわけであります、それ以降でありますが。

 議論を今しておる最中でございますので、さまざまな方々からの議論をいただきながら検討してまいりたいというふうに思っております。

足立委員 排除はしていないと受け取りましたので、ありがとうございます。

 次に、今までの審議で、特に前回、私がここでこの問題を取り上げさせていただいたときに、四月の二十五日だったかな、MS、系列会社のことを大分取り上げました。いろいろ、なぜ医療グループの中に営利会社があるんだという話をしました。

 実は、この話と今の話は同じ系統の話なんですね。非営利ホールディングというのは、非営利でかぶせてあるんだから、要は外に流出しなければ、別に内部関係はある程度自由にしても、非営利ホールディングが束ねているグループ全体としては、利益の流出はないよなという発想に基づくものなんですね。

 私が現在の医療界が問題だとここで何度も申し上げているのは、幾ら真ん中にある医療法人が非営利だといっても、医療グループの中に会社があったら、そこから漏れているでしょうと。それは、非営利ホールディングの考え方を頭に入れれば当然に出てくることだと私は思うんですが、大臣、前回、一度ちょっと頭の整理をしてみると。その後、事務方からの報告はありませんので、申しわけない、お時間をとって恐縮ですが、この頭の整理、ちょっと御開陳をいただければと思います。

田村国務大臣 そこまでしっかりと整理し切れているのかどうかというのは、私自身も不安でありますが。

 前回も申し上げましたけれども、非営利の医療法人があります。問題は、この非営利の医療法人の中で生まれた利益が、そのまま株主配当として出ていく。ごめんなさい、非営利じゃなくて株式会社でやった場合であります。

 これは、そもそも、経営者に対して株主という一定程度の権限を持っている、言うなれば、株主のために一定程度の利益を出さなきゃいけない、こういう使命を持って病院を運営する、そういう方々が運営する場合に、全部じゃありませんよ、内在するものとしてですよ、何としても株主の意向を実現するためにより多く利益を出さなきゃならないということになれば、そこで、本来必要でない医療を提供して、出来高を中心に収入を得て、それを還元して株主を納得させようというような力が働かないとも限らない。つまり、働く力が内在しておる。必ずやるという話じゃありません。

 今委員がおっしゃられたこちらのMS法人の話は、この中ではないんですよね、中ではない。外にある企業です。外にある企業の経営者がたまたまこの病院の運営者と同一の人であった、こういうパターンですよね。

 この場合に、病院の一般的に買ういろいろなもの、物も建てるでありましょう、いろいろなものの商取引がある。これをやらないと病院が運営できないわけでありますから。その一般の商取引をこのMS法人と行う。ただし、そこに正当な金額であれば問題はなく、不当に金額を、例えば高い金額で出せば利益がそこに乗りますから、それはだめだという話になる。

 つまり、そこは、一般の病院と同じような金額でそういうふうに出るという話であります。それが利益の流出だというのが委員のお考えでありますが、それは正当な運営で、いいわけでありますから、出す金額は。不当にもうける必要はないわけであります。

 つまり、何を言いたいかというと、そのときに、株主の配当をたくさん出すために、無理して、いろいろな出来高を駆使して収入を稼ぐ必要はないわけであります。そうじゃなくても、正当な金額でやっておれば、商取引としてそういうふうに出る。だから、それは決して不当な利益の出し方ではないわけであります。

 つまり、病院を運営する中において、それは全部じゃないですよ、これは誤解を招くといけませんから。そういうふうな、株式会社として内在するものとして、基本的に、そういうことが起こり得る可能性がやはり非営利法人と比べて高いということでございますから、株式会社、つまり、株主に対しての配当という形で出すお金と、それから正当な商行為として外に出すお金と、それは出し方が違うわけでありますので、結果的には、やはり非営利であるべき方がより正しいのではないかというような頭の整理でございます。

足立委員 ありがとうございますと言いたいところですが、五十点ですね。神様に五十点というのも申しわけないんですが。

 大臣、五十点というのはいろいろ課題があります。それを全部指摘すると時間が足りませんから、百歩譲って、おおむね、基本的な大臣のおっしゃっていることを受け入れたとしても、では、僕はそう思いませんが、仮に大臣のおっしゃっているとおりだとすれば、私は、医療法人が営むことができる業は、極力、会社じゃなくて、MS法人じゃなくて、医療法人の中でやらなければならないという義務規定を置くべきだと思いますが、どうですか。

田村国務大臣 それは、医療行為だけじゃなくて、付随するものも医療法人の中で商行為を行い、商行為といいますか、外に出さずに中でやれという話ですね、多分。

 だから、例えば、病院に付随する駐車場経営、病院の中でいろいろ行う食堂経営、それから、ちょっとしたコンビニみたいな、そういうような経営、これも全部病院の中でやれば、利益が残るから病院で、これは今でもやれるわけでありますから、やっておる病院もあります。

 逆に、それをやることによって非効率的であって、つまり、コンビニなんかのように、売れるものならば売れるわけでありますけれども、自分のところで商品構成をやっていますと、売れないものもたくさん仕入れてしまったりなんかしまして無駄が出る等々がある。人件費もいろいろな問題もあるということで、あえて外に、例えば病院何とかソンだとかいう名前で運営されているコンビニ会社がありますけれども、そういうようなやり方を選ぶところもあるわけであります。

 それは病院が、どちらの方がより効率的であり、自分のところに利益が乗るというのならばやるでありましょうし、いや、外部に委託した方が得だと考えれば、病院の判断としてやられるわけであります。

 いずれにいたしましても、それはそれでわかるんですけれども、それで得た利益というのも、結局は、外に出せないわけでありますから、出せない限りは次の医療行為への投資になっていくわけであります。そういう意味では、私は、適正な形で、残った利益を次の病院運営のいろいろな投資の準備にしていただく、もしくは医療関係者の処遇の改善に使っていただく、これはいいんであろうと思うんです。

 ただ、株主として、外に出ていくというところに最大の問題があって、そのために不当にいろいろな行為が行われると問題が出てくるのではないかという議論を先ほどからさせていただいておるわけであります。

足立委員 残念ながら、点数が下がっていく一方でありますので、局長、私が申し上げていることはおわかりいただいていると思います。

 先ほど、病院が、医療機関が判断して、これはこっちの方が効率的だ、あるいはこっちの方が得だと思えばそっちを選ぶとまさに大臣がおっしゃった。今はそうなっているんですよ。私は、それが問題じゃないかと言っているんですよ。

 今は、理事長たる医師が、これは外に出した方が得だと思ったら外に出せるんですよ、医療行為以外は。規制がないんですよ。それは、医療法人の裁量として大き過ぎないか。局長、言っていることはわかりますよね。そこに規制がないまま、非営利だ、非営利の徹底だというのはフィクションではないですか。

 もし、大臣がきょう、頭の整理をしてきた、こういうことだとおっしゃったことが、そのとおりなのであれば、極力、医療法人でできる業務は医療法人の中でやれば、会社に業務を出したことによって当該会社が利益をポケットに入れる、ポケットって悪い意味じゃないですよ、正当な、資本主義の当たり前の行為としてそれをポケットに入れる。それは、外に流出しているじゃないですか。それを、医師たる理事長が得だと思ったらできるんですよ、今の制度は。

 局長、どうですか。短くでいいですよ。

原(徳)政府参考人 まず、医療に関係しないといいますか、例えば先ほどの話ですけれども、それは収益事業として行うことはできないという規定になっています。

 あとは、医療に関係する部分については、基本的には医療機関の中でやっていただくことになるわけですけれども、ただ、当然ながら、専門的なこととか、一定の基準の中で外へ出せるという、医療に直接関係する事業について委託で外へ出せるという事業も限定的にやっているというのが現状であります。

足立委員 よくわからないですね。

 この問題は、私はさまざまな方と議論してきました。さすがに、この場をおかりするわけですから、私も単なる自分の思いでやっているわけじゃありません。さまざまな専門家、さまざまな医療機関、さまざまな医師、先輩方にもいろいろ御意見を賜っている。この議論について、それは違うとおっしゃった方は一人もいないですよ。百人が百人、足立さんの言うとおりだと。

 これは、一定の規制の枠組みをやはり、別に、大臣、勘違いしていただきたくないのは、私は株式会社を参入させてくださいと言っているんじゃないんです。ロジカルな制度にしましょうよということを、どっちでもいい、どっちでもいいこともないけれども、仮に、立場が違えば、それは見解の違いで仕方ないですよ。でも、どっちに行くにせよ、それは政策体系として正しいものにしましょうね、こう申し上げているわけであります。

 次に行っていいでしょうか。大臣。

田村国務大臣 次の議論のためにちょっと頭の整理をさせていただければありがたいんですが。

 医療行為は医療行為として、これは医療機関以外はやれないわけでありまして、それに付随する業務に関して、外に出すべきではないというのが委員のお話であったんだろうというふうに思うんですが……(足立委員「いや、大臣の考え方にのっとればそうだということですね」と呼ぶ)

 ただ、それは、どこがやるかによってより効率的だということはあるわけで、赤字になってまで医療機関は付随業務をやる必要はないわけでありますし、もっと申し上げれば、では薬まで全部医療機関がつくるのか。これも医療機関からお金が流れる話でございますから、それは当然のごとく、そんなことをやれば医療機関はぶっ潰れるわけでございます。

 では、どこまでの範囲なんだということを考えたときに、それはやはり医療行為は外にさすがに出せませんが、他のものは本来付随業務でございますから、そういうものに対しては出せるのではないかというのが私の頭の中での整理であります。

足立委員 外に出したって非営利ならいいんですよ。

 きょう、冒頭に小泉政務官をお呼びして非営利ホールディングの話をしたのは、ある種の頭の準備体操、準備体操と言ったら小泉さんに怒られるけれども、同じ話をしているんです。

 だから、大臣がおっしゃったように、組織として分けた方が効率的だということはあるでしょう。だから、私は合併だけじゃなくて分割も要ると言っているわけですよ。今ないんですよ、閣法にはそれは入っていないわけです。おかしいでしょう。もっと裁量で、何が効率的かということを考えればいい。

 でも、組織を分けたときに、グループ内に営利企業が入っていれば、それが抜け道となって利益が外に流れ出す、それを厚生労働省の医政局がしっかりと管理監督できているようには見えませんね。それをちゃんとエンフォースメント、執行できるような形で、要は頑張っている方が損をしない、ある種の性悪な経営者に、コンサルタント、コンサルタントというのはいろいろな方がいるな、そういう人にだまされて、いいように利益を流し出させられて、それで困っている病院はいっぱいあるんですよ、大臣も御存じだと思いますが。

 なぜそんなことでだまされるか。それは、お金がないから、お金を借りるからですよ、その人から。病院を建てかえるお金がない。そのときに、金を貸してやると会社に言われたら、それは助けてくださいとなるわけですよ。あとは全部言うことを聞いて、この穴から利益を流出させろと言うと、流出させられるわけですよ。そういうずるずるの法体系でいいんですかということを、局長、わかりますよね、首をひねっていらっしゃいますが。

 私は、また別途の場で提案しますが、政府がやはり答えにくいことはいっぱいあります。だから、ぜひ、僣越ながら、先生方、与野党の討議というのをやはりこの場で僕はやりたいと思っていて、国会改革の一環としてそういう提案をしていきたいと思っています。

 つまらないですよね、与党の方。部会でいろいろ御議論されているから、十分もう満腹だという方も多いかもしれませんが、何だ、この民主党の質問はと、そういう方も多いわけですよ。

 だから、しっかりと与野党で議論する、こういう委員会の場で。ただ、一般質疑の場は、政府はちょっとオブザーバーになってもらって、与野党で議論を闘わせるような場がないと、こうやって局長が首をひねっているみたいなことが続く、こういうことでありまして、やはり政治主導というのであれば、見識ある先生方としっかり議論したい、私はこう思っております。

 一昨日の参考人質疑に、日医の中川副会長においでをいただきました。持ち分ありの医療法人について私が質問いたしましたら、当分の間の経過措置医療法人について、正確に言うと、当分の間というのは、これは期限がないわけであります、こうおっしゃっています。現場がこういう認識であれば、持ち分を放棄する契機は、もう事業承継以外には想定できないと思いますが、ほかにそういう契機がありますか。

原(徳)政府参考人 これは、四病協と言われる四病院団体協議会がアンケートをとられたことがございます。医療法人の現状と課題に関するアンケート調査報告書、この中で、持ち分のない社団に移行する意向がありと回答された法人に対して移行する理由を聞いたところ、複数回答ではありますけれども、まず一つ目が、出資持ち分の払い戻しに左右されない法人の安定経営のため、これはある意味では事業承継が一番大きいかもわかりません、これが約九割です。

 そのほか、半数、五一%ですが、法人の非営利性を徹底し地域社会の公器となるためというのが二番目。三番目に、これも五〇%近くですが、社会医療法人や特定医療法人に移行し税制優遇を受けるため等々、必ずしも事業承継だけに限ったものではないというふうに承知をしております。

足立委員 今局長が御紹介いただいたのは非常に興味深いデータなんですが、二と三は、要すれば、例えば社会医療法人になるとか、三はそうですね。それから、そもそも社会医療法人というのは公益を目指していらっしゃるわけでありますから、基本的には、会社とか、あるいはこの私が申し上げている持ち分ありの医療法人と並べる必要は全くないわけです。

 無税ですよね。無税の世界なので、もしイコールフッティングの議論をするんだったら、公立病院と社会医療法人病院とちゃんと平仄を合わせていく必要はあるし、今おっしゃった二番目の公器だというんだったら、それは公立病院に行ったらいいじゃないですか。あるいは公立病院になったらいい、あるいは社会医療法人になったらいいんですよ。持ち分を放棄するだけじゃなくて、一定の規制に服して、社会福祉法人や社会医療法人のように無税の世界に行ったらいいんですよ。そのかわり、公益のために働いてもらう、それだけの話でしょう。

 私が申し上げているのは、一方の民間の話なんですよ、公益の話じゃないんですよ。民間医療機関、医療機関の大宗を占める民間病院のことを言っているんです。すると、今おっしゃったように、払い戻し事業承継しか理由がないでしょう。

 いいんですか、これで。局長。

原(徳)政府参考人 今申し上げましたのは、民間の医療機関、医療法人ですね、それが持ち分なしに移行するための理由としてこういうことを挙げられておる。

 それは、民間であっても、やはり公の、地域社会への貢献というような視点とか、そういうものを挙げておられるわけであって、必ずしもそれが直ちに公立病院になるとか、そういう視点ではない。公的な、あるいは社会貢献をするための社会医療法人や特定医療法人になろうというのも、そういう視点だというふうに思います。

足立委員 そこまでおっしゃるのであれば、では、民間病院にとって、持ち分の払い戻しとおっしゃった、事業承継問題以外に持ち分を放棄するメリットは何ですか。具体的に、局長、あったらそれを言ってくださいよ。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 事業承継、いわゆる相続等ですね、そういうようなものが生じない間でも、持ち分ありの場合には、社員から、その持ち分に応じた払い戻し請求権が残っておりますので、その中で安定的な運営を図るためには持ち分なしに移行した方がメリットがあるという場合もあると思います。

足立委員 ということでしょう。それは、さっき申し上げたように、要は、事業を継続的に行い、また、相続や、あるいは持ち分を持っている人が離脱するときのリスクに備えるということでしょう。それを全部私は事業承継と言っているんですよ。

 そうですよね、局長も同じ思いですよね、言葉遣い。だから、そういう意味において、事業承継に尽きますよね。イエスと答えてください。

原(徳)政府参考人 先ほどもアンケートのところでお答えいたしましたけれども、確かに事業承継にかかわる部分というのは、九割程度その理由としてはある。

 ただ、それ以外にも、法人の社会的信用や職員の士気高揚、人材確保、そういうような、公としての立場というものを強調したいというところもあろうかと思います。この部分については、約四割のところでそういうような理由があるというふうに答えておられます。

足立委員 だから、それは、社会医療法人や特定医療法人ですか、今残っている、そういう公益性が高いと言われている、特に社会医療法人については、まだ二百数十しかないけれども、無税で、要は、地域の医療界の重鎮の方々は、先輩方は、皆さんもういろいろなものをお持ちでいらっしゃいますから、あとはある種の地域貢献という、それはそうですよ。僕らだってそうですよ。地域に、社会に、国に貢献したいと思ってやっているわけですよね。局長だってそうですよ。

 でも、そういう方々は社会医療法人に、そのために社会医療法人をつくったんじゃないんですか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 社会医療法人そのものについては、例えば救急でありますとか僻地の医療とか、そういうような具体的な要件を定めておりますので、それをやっていただくことが最低限必要だということで、直ちに社会貢献イコール社会医療法人というわけではないというふうに思います。

足立委員 では、広義の、さっき局長とお話をしたような事業承継問題以外で、いわゆる持ち分なしの医療法人に、持ち分を返上したケースは何件あるんですか。

原(徳)政府参考人 申しわけありません。具体的な数は承知しておりません。

足立委員 医政局長が知らないぐらいの数で、私は、ほとんどない、こう断言をしておきたいと思います。数をお持ちでないので、私が、地域で、現場でヒアリングをした、耳で、目で見た事実の方が多分重たいと思いますので、この場ではそう申し上げておく権利は私にはある、こう思います。

 それから、もう時間がないので御紹介だけしておきますが、中川副会長はもう一つおっしゃいました。持ち分ありの医療法人が地域医療の提供に対して問題があるかといえば、決してそんなことはない、明確にそういうふうにおっしゃっています。

 私は、平成十八年の持ち分なしを原則とする制度改正は、何か現場にニーズがあったからやったことではなくて、規制改革会議等が株式会社の参入ということを言ってくるものだから、遠くに逃げた方がいいということでやっただけなんですよ。そういうしようもないことを、しようもないと思いますよ、私は。もっと胸を張って、医療法人というのはこういうことをやってきたんだ、会社と違うんだとちゃんと言えばいいんですよ。もし、それが言えないんだったら、申しわけないけれども、参入規制はおかしい。もうそれしかない、ロジカルでしょう、それが。

 もう時間がないので、思いだけ申し述べて次へ行きます。

 きょうは、財務省にもお越しをいただいています。星野審議官、本当にお忙しいところ、ありがとうございます。

 私、この場で、事業承継に絡んで、事業承継税制、今ある現場の医療法人の大宗を占めている持ち分ありの医療法人について、事業承継税制を措置していないのは厚生労働省の不作為であり、本来講ずべき、要すれば、経過措置である持ち分ありから原則である持ち分なしに移行させるためのルートとして事業承継を使うのは、それは目的と手段がおかしい。

 もし、持ち分ありの経過措置医療法人を当分の間、当分の間というのは、局長、今、最大、当分の間で一番長いものを調べましたら、六十六年ですよ。日本国憲法が発布されてから、それと同時に当分の間と書いてある法律が、今でも当分の間なんですよ。医療界に聞いても、日医の副会長が持ち分ありには問題がないと言っているんですよ。何でそれを放棄する意味がありますか。

 私は、事業承継という契機を除いては、持ち分ありがこのまま存続すると思っています。だからこそ、持ち分ありの医療法人については、私、中川副会長に申し上げました、しっかりと厚生労働省に税制要望をさせるべきであると思います。

 星野審議官、これは、もっと緻密な議論を事務方とはさせていただいているんですが、要すれば、今措置がされていないのは、税務当局の税制上の判断なのか、医療政策上の判断なのか、少なくとも財務省としてはどうお考えか、お教えをいただければと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 事業承継税制についてのお尋ねでございました。

 御案内のとおり、医療法人の持ち分につきましては、この事業承継税制の対象とはされておりません。

 これは、一つには、事業承継税制は、保有株式に応じた議決権が与えられるという会社制度を前提として、議決権の集約を通じた安定的な経営の継続を税制上支援するという制度でございまして、医療法人におきましては議決権の集約にはつながらないということ、それから、持ち分なし医療法人への移行を促進するという平成十八年の医療法人制度改革の方向性と矛盾しない制度とする必要があることから、医療法人の持ち分は事業承継税制の対象とはされておりません。

 今回、医業の継続を確保する観点から、持ち分あり医療法人から持ち分なし医療法人への円滑な移行を促進するために、二十六年度税制改正におきまして、医業継続のための相続税等の納税猶予制度を創設したところでございます。

 その上で、仮に持ち分ありを前提とした医療法人に対する税制上の支援措置を検討するのであれば、まず、制度を所管する厚生労働省において、平成十八年の制度改革との整合性を含めて医療法人のあり方を検討する必要があるものと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 これは審議官にお聞きするのも、まあ、どっちに聞いてもいいんですが、今御説明いただきましたが、持ち分ありの医療法人について、いわゆる会社並みの事業承継税制、私は論理的にあり得ると個人的には思っていますが、会社の事業承継税制、これは、商工族でもあられる大臣もよく御存じでありますが、平成二十一年に創設をされ、拡充を繰り返してきているわけでございます。

 この平成二十一年以降、一回でも厚生労働省から、そこについての事業承継税制、会社並みの税制について要望があったことがあるかどうか。厚生省でもいいです。それから、財務省には、要望があったかどうか、もし要望があれば検討はする、こういうことでよろしいでしょうか。まず財務省。

星野政府参考人 要望はございません。事実としてございません。(足立委員「要望があれば検討はする」と呼ぶ)一応、税制の検討部局でございますので、要望があればそれは検討するということでございます。

田村国務大臣 要望しておりません。

 それは、先ほど来、持ち分なしの方に今移行しておるわけであります。それはなぜかというと、要は事業の継続性。株式会社の場合は市場でありますので、退出、参入の自由があるわけであります。しかし、医療機関の場合は、地域の医療ニーズというものに応えていかなきゃなりませんから、ニーズがある限り継続をしていかなきゃならぬ。

 そう考えたときに、持ち分がある場合は、当然、今言われた遺産相続のときに、もちろん遺産相続税制だけではなくて、持ち分に応じて、その持ち分を持っておる方々に返還請求されるわけであります。すると、その結果、事業が継続できないということが起こり得るかもわからない。

 これは特に遺産相続のときによく起こるわけでありますが、それ以外でも、持ち分が分かれておれば当然そのようなことが起こるわけでありまして、そこがやはり持ち分ありなしというところの問題であって、今は問題がなくても将来問題が起こり得る。つまり、事業を続けられるかどうかという問題は、やはり内在している問題だというふうに思います。

足立委員 大臣がおっしゃっていること、一理はわかります。

 しかし、大臣、何年この体制でやってきたか。何十年もこの体制で、持ち分ありでやってきて、かつ、これからも当分の間このままでいくんですよ。だから、私は、それはフィクションでしょう、株式会社参入論に対するバリアを張っただけでしょう、こう申し上げているわけですが、水かけ論になります。

 ただ、大臣がおっしゃっていることも私は一理あると思いますよ。あると思いますが、冷静に、民主党とは冷静な議論ができないと思いますが、維新の会とはできると思いますので、ぜひ、じっくりやりましょう。

 私は、きょうも聞いていて、もっと、高橋先生も、もうはっきり言っちゃえよ、本当のことを言っちゃえよとか言っているんですけれども、なぜ歯に衣がかかるかというと、それは民主党みたいなのがいるからですよ。本当のことを言うとその一部だけを取り上げて何かしようもないことを言ってくるから、そういう火の粉を振り払いたいから言質をとられないようにしゃべらざるを得ない、そういう国会になってしまっているのは、この誰もいない民主党のせいですよ。

 だから、私はとにかく民主党のこの人たちとはもう一緒にやらない、こう宣言をしておきたいと思います、こんなところで宣言しても仕方ありませんが。

 きょうは、あと一つ本当はやりたかった。もう終わります。委員長、終わります。

 去年の二月の二十日だったかな、民主党の、民主党ですばらしい先生はみんな落ちているんです。しようもない質問をする人たちだけが、ここで、いないんです、どこへ行って何をしているんだろう、時間がないんじゃないのかな。

 ちょっとやめないといけない。

 やりたかったことはリビングウイル、尊厳死、終末期医療です。絶対、これから一般質問も含めてやっていきたい。本当はこの法案の審議でやるべきテーマです。麻生財務大臣に対して梅村聡参議院議員が問題提起をした、参議院の予算委員会でこれを深めていかなければならないと言った、これをやれるのは与野党だけです。政府には無理です。

 ぜひ、この場をまたおかりして、与野党でこの尊厳死の問題、終末期医療の問題を深めてまいりたいとお訴えを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 激しい討論をされていましたけれども、少し冷静にやりたいと思います。

 私は、ふだん経済産業委員会の理事をやっていますので、こちらの方で質問するのは実は初めてなんですが、今回の地域の医療介護の確保に関する法案が出たときに、地元の事業者の皆さん、医療関係の皆さんの方から、ちょっとこの内容についていろいろ意見があるので聞いてほしい、それから、あと、現場での実情をぜひ国会の方で取り上げてほしいということで、何人かの方々からいろいろ御意見をいただきまして、我々は国民の代表でありますので、そういう事業者の皆さんの声を届けたいということでお願いをいたしまして、委員長そして理事の皆様に御配慮いただきまして、きょう質問の時間をいただきました。どうもありがとうございます。

 ということで、質疑のこれまでの経緯を全てチェックしているわけではありませんので質問がかぶることもあるかと思いますが、そこは御容赦いただきたいのと、少し細かい話が多いので、その点も御了解いただきたいというふうに思います。

 まず最初に、今回見直しがかかっている補足給付の件でありますが、これは、先ほどうちの清水委員も少しやったとおっしゃっていましたけれども、一番心配しておられるのは、正直者がばかを見ちゃいかぬ、本当にこんな自己申告で機能するんだろうかという心配をすごく皆さんされていて、やはり公平というのが一番大事ですから、そこがちゃんと担保できるのかという心配をされています。

 今回は、通帳の写しをしっかりまず出してくださいということもありますね。それから、金融機関の方に、調査をしますよということを事前に話をして、必要によってやるという話もあります。それから、ペナルティーもついています。とりあえずはそういう措置をしたということでいいと思うんですけれども、これが機能するかどうかというのはやってみないと正直わからない部分もあって、やはり、新しいことをやるときというのは、見直しを常にしていくということが大事だと思うんですね。

 ですから、一定期間を置いてこれを見直す必要があると思うんですけれども、そういったことをやられる予定があるか、そして、余り長く時間がかかってもいけませんから、どれぐらいの期間でこれがしっかりと機能しているかというのを確認されるおつもりか、まずそこをお伺いしたいと思います。

原(勝)政府参考人 この補足給付の見直しでございますけれども、議員の方から今お話がございましたように、私どもとしては、しっかりと、正直者がばかを見ないように、完全にそれを防ぐということは、確かにこれは自己申告制でございますので完全とは言えませんけれども、できるだけそういうことがないように、今議員も申されましたけれども、申請時に預貯金等の額を申告していただくとともに、通帳の写しを添付していただく。

 また、補足給付の申請書に、金融機関への調査を行うことがある旨を明記して、あらかじめ調査への同意を得ておく。これは、実際今でも、介護保険法の二百三条で金融機関等に対して照会ができるようになっておりますので、御本人の同意があればさらに確実に回答が得られる。

 さらに、同じく申請書に、不正受給があった場合には、受給額の返還とあわせて、今回の法案で新たに規定する二倍以下の加算金の規定があり、不正に申告したことが明らかとなった場合には加算金が課されることがある旨をあらかじめよく周知をさせておくといったようなことをやることによって、適正な申請を進めていきたいと考えております。

 こういった資産の預貯金等の申告については、今回、法律的には初めてやるんですけれども、介護保険の実務の世界では実はもう幾つか例がございまして、例えば、社会福祉法人等による生計困難者に対する利用者負担軽減事業というのがございます。これは通知でやっている事業でございまして、補足給付等をしてもなお非常に負担が厳しいような方に社会福祉法人が自己負担を減免してあげる、それに対して一定の支援をするというような仕組みもございまして、これはまさに資産を勘案させております。

 あるいは、現行の補足給付で、第三段階と第四段階で、補足給付が出る出ないという分かれ目がございますけれども、ここがやはり、一定所得で線を引いておりますのでどうしても逆転現象が起きるということで、そういうことの不公平を防ぐために、そういう場合にはさらに資産を申告していただいて、滑らかな、段階的な負担にしていきたいということで、そういう措置も実はございます。

 ということで、実は、今回初めてやるということじゃございません。ただ、確かに、件数的には大きな数になってまいりますので、しっかりとした取り組みをしていかなきゃいけないと思います。

 このやり方につきましては、厚生労働省令等で具体的には定めていくことになりますので、運用をしていく中で、私どもも、よく市町村の意見等も聞きながら、何か改善すべきことがあれば当然これは適宜見直しをしていくべきものであろうと考えております。

今井委員 見直しをしっかりお願いしたいと思います。

 それに関連して、もう一つなんですけれども、今回、世帯分離の問題で配偶者のところの対応をされています。これはこれでいいと思うんですが、実は、現場で今、例えば市役所に住民票の異動届というのを出して、そこの異動理由のところに世帯分離というのを丸してしまうと、意外とどこの自治体もするっと通っちゃう。そうすると、実態は同居している子供が世帯分離というのを悪用して給付を受けるということが、現場で見ると明らかに、かなり起きている。事業者の人たちがそうおっしゃっています。

 これは大変大きな問題でありまして、生活保護のところは専門の人がいて、ずっと二週間ぐらいかけて調べるわけですね。ところが、こちらの方は、そういう意味では申告ベースで、善意というか性善説で、そのまま信用してしまっているわけです。

 ここは、やはり実態もしっかり調査して、一つの方法は、市役所での異動届のところをもう少しちゃんとしっかり見てくれというのもあるかもしれませんし、あるいは戸籍謄本を出させてそこでちゃんと確認するとか、何らかの対応をしないと、こういう不公平が生じている、そして、その仕組みを悪用している人たちがいる、これをぜひ対応していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 現状は、今委員がおっしゃられましたとおり、世帯を分離する、つまり、他の住所の方に移られるということになった場合に、これは市町村の事務でありますけれども、住民票が変われば、特養に入る方が言うなれば非課税であれば、配偶者が課税状況であったとしても補足給付は受けられるわけであります。

 これに関して、やはり言われるとおり、我々もいろいろなお声をお聞きいたしておるわけでありまして、今般、夫婦に関しましては生活保持義務というものがあるわけでありますので、そのようなもの、ちゃんとした理由がないのに、ただ単に世帯だけ分離して、それで一方が非課税になるということで補足給付を受けられるというのはよろしくないということでございますので、分離したもう一方の方が課税であれば、補足給付は受けられないというような形に対応してまいりたいというふうに考えております。

 ただ、世帯分離自体を、生計が同一でありますとか、それから居住が一緒でありますとか、そういうことを本来ちゃんと見ていくのが望ましいわけでありますが、それは地方自治体の仕事でございますので、そこまで厚生労働省の方からいろいろと申し上げるわけにはいかないわけでありますが、そのような中におきまして、世帯分離しても、ちゃんと、補足給付というものが受けられないような形で対応できるように、今般の改正の中に盛り込ませていただきたい、このように考えております。

今井委員 今、二点お話ししましたけれども、いずれも、やはり正直者がばかを見ちゃいけない、公平であるということが大事ですので。

 今の市役所のところは確かに総務省の管轄かもしれませんが、それは同じ政府にいらっしゃるわけですから、総務省の方に、例えばそういうことをきっちりやってくれるように各自治体に指導してくれということを一言言っていただければ、少しは対応が改善するかもしれませんし、そういうことをぜひ今後も検討していただきたいということで、お願いしておきたいと思います。

 次に、訪問介護事業所とか通所介護事業所の問題なんですけれども、これは今、シフト制がしかれている理由だというふうに伺っていますが、土日祝日の利用料も平日と同じになっております。実際問題、事業所の人たちがどうしていらっしゃるかというと、やはり人が確保できないので、土日祝日、割り増しで手当を出しているんですね。

 御案内のとおり、今は有効求人倍率が一・一近くになって、しかも、この介護の部門になると、もう二倍近くになっているわけです。ですから、人を雇うのに本当に必死なんですね。しかも、土日休みたいというところで利用料を一緒にされていると、もう仕方なく、事業者がのんで割り増しを出すというようなことが起きているわけですね。

 だから、ここのところを、やはりほかの産業とのバランスを考えながら、人材が確保できるように少し検討していただけないかと思うんですが、いかがですか。

原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。

 訪問介護、通所介護は、要介護者に対して、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話を行うものであるということでございまして、そういう日常生活上の世話というサービスの性質上、土曜、日曜、祝日が一律に休業することとなる日ではないわけでございますので、やはりそういう方にとって祝日であってもそういうサービスは必要なわけでございますから、そういう性格を踏まえまして、平日と、土曜、日曜、祝日におけるサービス提供を区別して介護報酬上の評価を現在はしていないということでございますので、その点、御理解をいただければと思っております。

 人材確保につきましては、この委員会でずっと議論がございますように、非常に今、介護人材の確保ということで、いろいろ処遇の問題とかも含めて指摘がございますので、人材確保がしっかりとできるように、処遇改善も含めてしっかり対応してまいりたいと考えております。

今井委員 利用料という観点でいえばそういう考え方もあると思いますけれども、私が先ほど申し上げたのは、やはり人の確保という問題でありますので。結果的に現場はそういう対応をせざるを得ないんですよ。土日の分、割り増しを払うとか、そういうことをせざるを得ないというのが実態なので、そこのところをやはりよく理解しておいていただきたいということだと思います。

 ちょうど処遇の問題が出ましたので、私もこの問題、ちょっとお話を聞かせていただきたいと思っておりましたので、先にこれをやりたいと思います。

 先日、朝日新聞に全労連のアンケートが出ていました。全産業平均に比べて月額で九万円ぐらい低いという結果が出ておりまして、しかもサービス残業が非常に多い。

 実は、私の知り合いあるいは親戚もこういう事業をやっている人がいるんですけれども、親戚の子はやめまして、やはり結婚して子供を産むのが大変だと。この事業は好きだけれどももう続けられないと、やめている人もいます。

 ああいう人を見ると、本当に何とかならないのかなと。大体、この事業についている方たちは、本当に心の優しい真面目な方が多いので、やはりそういう方たちをしっかりと処遇してあげなきゃいけないなというふうに思っているんです。

 平成二十一年あるいは二十四年のところで、介護報酬の見直し等、あるいは加算の措置とか、いろいろやられたようでありますけれども、それをやってもまだ九万円違うということでありますから、やはりここのところはもう少し改善をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

田村国務大臣 まず、先ほどの通所それから訪問の介護事業所の話、土日等々は非常に人を集めづらいというお話がございました。

 もちろん、そういう実態があるということは我々は認識しながら介護報酬改定をしなきゃならぬのですが、ただ、介護報酬改定というのは、一定の期間、例えば一月なら一月を、実態を見て、その運営状況を見ながら、次の改定のときにどれぐらいアップが必要かというようなことを考えるものでありますから、そういうような判断をする中においては、その一定期間の中に土日も入っておるものでありますから、それで運営ができているね、できていないねということで、では、上げなきゃいけない、下げるというようなことをやっておるということを申し上げたかったということでございまして、その点は御理解をいただければありがたいというふうに思います。

 その上で、今の御質問でありますけれども、これは平成二十一年から月額三万円、これは平均でありますから、全員がそのような形になっているかどうかはわかりませんが、上げてくるような改定をしてきたわけでありますけれども、なかなかまだ追いつかない。

 これは、他の産業と比べて、一つは経験年数、勤続年数が違う、平均年齢も違うので、ですから、一概にこれを比べるのがどうなのかという問題はありますが、それでもやはり対比して低いということは間違いがないということでございまして、それも踏まえて、我が省の中にも検討会を始めながら、いろいろと議論を今始めておるということで、介護給付費分科会の中でも、そういうことを念頭に置きながら御議論をいただくということになろうと思います。

 これに関して申し上げれば、必要なものをしっかりと確保していくということを私らも念頭に置きながら次の改定に臨むわけでありますが、当然、物価も上がるわけでありますし、他の産業の賃金も上がるわけであります。ほかにも、介護事業、そもそものいろいろなものを勘案しながら次の報酬改定に臨むわけでございまして、介護人材が非常に厳しいということを念頭に置きながら、限られた財源ではございますけれども、しっかりと確保できるように努力をしてまいりたい、このように思っております。

今井委員 ぜひよろしくお願いします。

 それで、今、介護福祉士の資格の件で、また一年延長ということでありますけれども、いずれどこかで答えを出さなきゃいけないんでしょうけれども、質を確保するということでこの資格制度ができたということであるわけでありますが、質を確保するのであれば、それなりの報酬を払うということも大事なので、厳しくするということは、やはりそこにプレミアムがつかないといけないわけですから、そういう面においても、報酬を上げるということは質を上げると同時にやることが必要だというふうに私は思っておりますので、ぜひお願いしたいと思います。

 それと、ちょうど今物価の話が出ましたので、もう一点お話ししたいと思うんですが、今、アベノミクスでは、物価の上昇目標を名目で二%ふやすというふうに言っています。もしこれが本当に実現していくということであれば、三年間で六%以上、上がるわけですね。一年目二パー、二年目四パー、六パーと上がっていくわけです。ところが、報酬の改定は三年に一度なわけですね。途中の二パー、四パー上がった分というのが、この間は耐えなきゃいけないわけですね。

 これは、物価をこれだけ上げると言っているのであれば、特に民間の場合は自動的にこうやって毎年見直していきますから上がっていきますけれども、こういうある面で公定に近い報酬というのは、やはり物価に対しては本当に硬直的なんですよ。

 ですので、今、デフレを脱却するということをやろうとしているのであれば、例えば、介護報酬の見直しをもう少し短くするとか、あるいは、介護の報酬、給与については別途違う手当てをしていくとか、もう少し柔軟にやっていかないと期間のギャップが起きると思うんですが、これはいかがですか。

田村国務大臣 これは介護保険の特性でございまして、介護保険事業計画が三年という中でございまして、その中で、やはり三年間で報酬というものを変えていく。保険料ともリンクをいたしておりますので、当然のごとく、報酬を変えれば保険料の方も変わっていくわけでございます。

 そういうことを考えると、やはり三年ということを一つ目途に置きながら改定をしていかなきゃならぬわけでありますが、中身は、先ほど申し上げたように、物価でありますとか、賃金の上がりぐあいでありますとか、あとは介護のサービスのニーズ、需要、これの伸び方でありますとか、さらには、市町村の計画策定でありますとか事業者等のシステム改修、こういうようなものを含めて試算をしていくわけであります。

 先ほど言いました物価、それから賃金、こういうものも、三年に一回の改定でありますけれども、どのような動向で移っていくかということもある程度踏まえながら改定をしていくわけでございますので、そういう中でしっかりとした対応をしていくべき制度である、このように認識いたしております。

今井委員 同じ認識は持っていただいていると思うんですけれども、結局、給料は一緒でも、物価が上がれば実質賃金は下がるわけですね。ですから、三年間、実質賃金がずっと下がっちゃうわけです、インフレになれば。

 ただでさえ安いのに、その状態をずっと放置していいのかということは、これは本当に真剣に考えないと、ますますやる方がいらっしゃらなくなるということが起きると思いますので、ここについて、妙案はすぐにはないかもしれませんけれども、やはりそういうことが起きると、恐らく本当に人材不足がもっと加速しますから、そこのところはよく考えていただきたいというふうに思います。

 それから次に、訪問リハビリとか訪問看護のいわゆる医療系サービスについてなんですけれども、これは今介護保険の対象になっていますけれども、一般的にこれは点数が非常に高いわけでありまして、この医療系のサービスを受けますと、すぐ点が限度に来ちゃって、ほかの本当に本来受けたい介護のサービスが受けられないというような状況が現場ではいろいろ起きているようです。

 例えばということで、医療系サービスを居宅管理指導のような形で介護保険から外せないかというような意見もありましたけれども、それが可能かどうかは別にして、本来は医療系以外のところの普通の介護サービスというのをちゃんとしっかり受けさせないといけないんですけれども、実態は医療の方にどうしても点をとられちゃうという事態が起きているようですから、この点についてそういう御認識があるか、そして何か改善策を考えておられるか、見解をいただきたいと思います。

原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。

 体への侵襲等を伴う性質上、利用に一定の歯どめがかかりやすい医療サービスと異なりまして、介護サービスは、生活に密接に関連し、相対的に利用に歯どめがききにくい特性があるということで、利用者の状況に応じた適正なサービスを提供するため、必要なサービスの利用例を設定した上で、要介護度ごとに区分支給限度基準額というものを設定している、趣旨はそういうことでございます。

 したがいまして、ニーズがあるのに、区分支給限度基準額があるがためにサービスが利用できずに全額自己負担になるというのが、必要なものが提供できないということであってはいけないわけでございますので、適宜、この区分支給限度基準額については、見直しといいますか、その水準については検討するというのがあるべき姿だろう。

 実際、審議会におきましてもこの点については常に議論がされておりまして、直近ですと、平成二十五年の調査でございますけれども、この区分支給限度基準額を超える追加的なサービス利用は全額自己負担となるわけでございますが、利用者に占める超過者の割合を調査しておりまして、合計で二・二%の方が超過している。特に、要介護度五、重い方の方が超過しやすいわけでございますけれども、四・四%と一定程度いるのは事実でございまして、また、趨勢的にも近年増加傾向にあるということでございます。

 他方で、この区分支給限度基準額を超えている者等のサービスの利用実態というものを調査したところ、二種類以下のサービス利用が八割以上を占めており、利用しているサービス種別を見ると、訪問介護など見守りを必要とするサービスの利用が多く、訪問看護などの医療系サービスの利用が比較的少ないというふうなこと、あるいは、超過者の週間ケアプラン、一週間のケアプランの内容につきまして、市町村におけるケアプランの点検者により評価をしたところ、見直す余地があるというようなものが九割ぐらいあったということで、ケアマネジャーによるケアマネジメント、こういうものをやはりしっかりしていくということも必要かなと思っております。

 現在、訪問看護などの医療系サービスにつきましては、ターミナルケア加算、あるいは緊急時の訪問看護加算、あるいは特別地域加算など、一部の加算を区分支給限度基準額に含めないといった措置も講じております。また、急性増悪の場合には医療保険の活用も可能であるというような仕組みもございますので、そういった対応を今しているところでございます。

今井委員 ちょうど今、限度額を超えたという話が出ておりましたので、利用者の方が各要介護二、三、四でどういう実態かというのを、表をいただいたのでちょっと見ていたんです。

 確かに、限度額を超えて、要するにそれから全部自己負担になっている方というのが数%いらっしゃいますけれども、ずっとゾーンを見ていきますと、限度額ぎりぎりのところでぶわっと膨れているわけですよ。それで、超えたところからぱたっと小さくなっているわけです。どこの層もそうです。つまり、我慢しているんです。そこから使うと自己負担になっちゃうからといって使わないという人たちが多いということが、この分布を見るとはっきり出ております。

 それを使うことになれば、またそこの負担がふえるということ、そういう裏腹の問題はもちろんありますけれども、今、見直しを適宜行うとおっしゃっていましたので、先に答弁いただいたということだと思いますが。

 やはりここはぶわっと膨れている実態のところを、どういう現象が今起きているのか、実際に利用している皆さんにきっちりアンケートをとりながら、実は、負担になるし、こういうことを本当はやらなきゃいけないんだけれども我慢しているんだよというような実態が恐らくあると思いますけれども、そこをしっかり捉えていただいて、見直しをする際にはそれもしっかり考慮に入れてやっていただきたいということを御要望しておきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、ことしの四月から消費税が八%に上がりまして、予定では、来年十月にまたさらに一〇%にまで上がるということでありますけれども、これに対しての対応ということで、介護報酬に関しては約〇・六%ぐらい引き上げということ、そして利用限度額も引き上げをされました。これは一定の対応をしていただいたということだと思います。

 今回、ショートステイや介護三施設などの居住費、食費の基準費用は据え置かれたということで、消費税アップの対応がなされなかったということだと思いますけれども、実際問題は、当然、光熱費は上がっています。それから食材も上がっています。実際は円安になっているのでもっと上がっているんですが、それは消費税の影響ではありませんのでそこは外すとしても、消費税三%のアップによってやはり居住費あるいは食費というのは確実に上がっているわけですね。

 ですから、やはりここを外すというのはどうもちょっと私はしっくりこないんですけれども、ここはどうして外されたんでしょうか。

田村国務大臣 材料費、光熱費等の平均的な費用、この額でありますけれども、これを勘案して定めたものなんですね。これは二十六年の実態を見て、以前の数字と比べて、その上で消費税分を掛けて算出したら、まあ、ここ最近は、この一年は上がっていますよ、それ以前はデフレでございまして、実態問題下がっている部分もあるわけでございまして、そういうような実態と照らし合わせたときに、一応、百五分の百八というのを掛けておるわけでありますけれども、実態としては変わらないということでございましたので、結果的に、検討していただく中において変わらなかったというようなことでございます。

今井委員 一応調査をして勘案されたということでありますが、実際に事業をやっていらっしゃる人の実感でいうとかなりきついというお声でありましたので、今回のその調査は調査として、引き続き、やはりそういう調査をしていただいて、そういう負担がふえていないか。特に、来年の消費税の引き上げを控えているわけです。年内に決断されるということであろうかと思いますけれども、私は、個人的には、上げると言ったものを上げないなんという選択はあり得ないというふうに思っております。

 というのは、やはり基本的には、一〇%まで上げるという法律の中で停止条項がありますけれども、停止条項というのは本当に危機的な状況があったときに停止をするというもので、そういう性格のものであるべきであって、多少景気が予想よりもよくありませんでした、株価がちょっと伸びませんでした、そんな状況で、はい、ではやめますなんというのは世界の笑い物になるというふうに私は思っております。

 ここで議論する話じゃありませんけれども、そこはしっかりやっていただきたいと思いますが、一方で、やはり負の面も必ず出てくるわけでありますので、特に今のような部分について細かく調査をしていって、対応していただきたいというふうに思います。

 次に、医療保険を利用した場合と介護保険を利用した場合のアンバランスについてちょっとお話をしたいと思うんですが、訪問診療とか往診とか訪問看護、いわゆる医療保険を利用している場合というのは交通費は実費で請求できるという制度になっておりますけれども、実は介護保険を利用している訪問介護ですとかあるいは訪問看護、これは交通費は利用料の中に含まれていて実費が請求できないという仕組みになっています。

 実費を請求するということはさらに利用者の負担がかかるということでもありますので、どちらがいいというわけではないんですけれども、少なくとも医療系のサービスを受けているときと介護系のサービスを受けているときで違いがあるというのはやはり是正しなきゃいけない、どちらかに寄せなきゃいけないというふうに私は思うんですね。

 どちらに寄せるかというのは議論はいろいろあると思いますけれども、これがばらばらということは、今まさに医療と介護というのは一体でやりましょうと言っているわけですよね、それなのにそれぞれで違うというのはやはり盲点じゃないかなと私は思いますので、これをぜひ改善していただきたいんですが、いかがでしょう。

原(勝)政府参考人 医療保険の診療報酬は基本的には疾病や負傷の治療の対価である一方で、介護保険の訪問サービスでございますけれども、要介護者が日常生活を営むことができるように提供されるものであり、ある意味では、訪問してサービスを提供することが常態化しているというんでしょうか、そういうことから、基本的には、通常のサービスの提供に要する交通費も含めまして、介護報酬上評価をするということが適当ではないかと考えているところでございます。

 介護報酬全体については、先ほど来御議論になっていますが、こういった訪問サービスの交通費も含めた物価の動向あるいは賃金なども踏まえながら、三年に一度改定を行うこととしておりまして、今後、平成二十七年度の介護報酬改定に向けた社会保障審議会介護給付費分科会で御議論いただき、委員や関係者からの御意見も伺いながら、必要な検討をしてまいりたいと考えております。

今井委員 そういうお答えになっちゃうんでしょうけれども。

 では、ちょっと視点を変えて、今、介護報酬を見直すときに、交通費も加味してというのをおっしゃっていましたけれども、その部分はしっかり上乗せをして、実費がどれぐらいかかっているかというのをちゃんと調査して、その上でそこは勘案していただける、そういうことでよろしいですね。

原(勝)政府参考人 そういういわゆる交通費みたいなものも、趨勢を見ながら、全体として、コスト、そういうものをちゃんと見て判断をしたいと考えております。

今井委員 ちょっとよくわからなかったんですけれども、要は、それを入れるということでよろしいんですか。(原(勝)政府参考人「勘案する」と呼ぶ)わかりました。

 本来であれば、同じ仕組みにするのが僕は一番いいと思うんですけれども、いずれにしましても、医療制度というのはずっとできている中で、介護というのは新しい国の問題である、途中からできたものでありまして、そこが今別々に走っているという状態ですけれども、正直、皆さんもお感じになっていると思いますけれども、介護と医療の境目というのは非常にわかりにくい、同じような領域みたいなところというのはやはりあるんですよね。

 私のおじいさんもおばあちゃんもおやじも、家で最期までみとりました。ずっと在宅で介護し、みとりましたので、それをみとっていたのは私の母親なので、母親も畳で死にたいと言っていますから、どうしようかなと思って今すごく悩んで、どうしようというのは、どうやってその願いを達成してあげよう、そういうどうしようですよ。困ったじゃありません、方法をどうしたらいいのかということを今非常に考えているところであります。

 そういう意味では、医療と介護というのは非常に近いですから、別々に走っていたものをやはり少しずつ寄せていくということ、そこもぜひやっていただきたいというふうに思います。

 次に、今回、第一号の保険料、これを六段階から九段階というふうに広げるという措置がされています。

 実は、これは地元の方からずっと指摘されておりました。こんな表をつくって、真面目な方がいらっしゃいまして、各市町村でどういう段階をつくっているか。

 これは高山市の方なんですけれども、高山は十一段階までつくっているんですが、もともと八段階までしかありませんでしたけれども、この人を中心にわあわあ、こんな、上限のところが二百五十万でいいのかとかというのをわあっと言ってせっついたら、二十四年度から十一段階にふえたというので、ほかのところを、こんなふうだというのを全部見せていただいています。

 一番の問題意識は、六段階のところがこんなに緩やかで、六段階の上限のところの年収が非常に低いわけでありまして、やはりこれは、負担をできるということで考えると、そもそもの基準のところを、そこから先は自治体が自由に決めていいというルールになっているけれども、まずそもそもの基準はある程度、もうちょっと上げるべきじゃないかということをずっと御意見としていただいておったわけです。

 今回、九段階にしたということは、恐らくそういう声がほかにもあってこういう措置をしたということじゃないかなと思うんですけれども、その確認と、問題は、今回九段階にしましたけれども、この九段階の一番上を、年収を、所得金額を幾らぐらいにするかというところが非常に今度は難しい問題になってきますので、それの今検討状況をお教えいただきたいと思います。

原(勝)政府参考人 介護保険料の保険料設定につきましては、今議員の方からお話がございましたように、現在は標準六段階制でございます。ただ、六段階といっても、標準でございまして、上の方は、基本的には市町村の判断で多段階化できる。実際、最大で十八段階にしているような保険者も、数は少のうございます、二保険者ですか、あるような状況にございます。

 市町村等からの意見も踏まえまして、今回は標準を九段階にしたいということで、第六期の介護保険事業計画からそれを予定しております。

 具体的に、一番高いところ、九段階のところの所得を幾らにするかという御質問でございますけれども、毎回、標準の所得水準につきましては、介護保険の事業計画期ごとに、私ども、その前年に所得調査、毎年六月ぐらいに住民税の所得が確定いたしますので、そういう意味では、次期は第六期でございますが、第六期については、ことしの六月以降、住民税の所得確定後に所得調査をいたしまして、一番高い段階のところについての基準等について具体的に検討してまいりたいと考えております。

今井委員 六月以降ということで御回答いただきました。

 繰り返し申し上げますが、標準が六段階で、そこからは自由に設計できるということなんですけれども、一つは、やはり国が、ある程度負担できる人は負担をしてくださいという意思表示をするということは必要だと思うんですね。だから標準のところをもう少し上げた方がいいんじゃないか、そういう御指摘であって、私も、ある意味それはそういう部分もあるよなということで思いましたので、恐らく同じ問題意識を持っていただいているということでありますから、水準をどれぐらいにするかというところで、またいろいろ御質問していきたいというふうに思います。

 次に、訪問介護における通院介助と院内介助の扱いに関してなんですが、これは、ここで質問する内容かよくわからないんですけれども、実は、通院介助それから院内介助での介護保険算定の基準というのは、市町村によってそれぞれ決めているわけです、ばらばらなんですけれども。

 ある一つの事業者の方がおっしゃっていましたが、そこは実は五つの市町村をエリアとしてカバーしておりまして、その五つの市町村それぞれ基準が違うので非常にやりにくい、そういう実態があるというお話をお伺いしました。なるほどなと。

 それぞれ自治体の独自性というのはもちろん担保するということも大事なんですけれども、やはり事業者の人たちが、今、結構広域でやっていらっしゃる方が多いので、それがばらばらになるというのはある意味混乱材料にもなっているということだと思いますから、一定の基準とか方向性とか、そういうのを国の方で、厚労省の方で示すというようなことはできないんでしょうか。

原(勝)政府参考人 ちょっと御説明申し上げますと、訪問介護の区分につきましては、身体介護が中心である場合、生活援助が中心である場合、それから通院等のための乗車または降車の介助が中心となる場合、通院等乗降介助と呼んでおりますけれども、この三区分が訪問介護には形態としてございまして、今議員が御指摘になりましたのは、通院等のための乗車または降車の介助、通院等乗降介助については、これは実は院内介助、いわゆる乗降した後の病院の中での、院内での付き添いみたいなものについては、実は包括評価ということで、マルメで評価をされております。

 一方、身体介護が中心である場合、これは基本的には院内のサービスでございますから、院内に入ってからは基本的には病院が対応するという考え方でございますけれども、一部、例えば利用者が院内にいても介助を必要とする心身の状態であるような場合には、確かに請求ができるというような取り扱いになっております。ここのところの扱いが、市町村によって判断が分かれているというようなことでございます。

 これにつきましては、従来からそういう御指摘がございましたので、平成二十二年の四月に私どもの方から通知を出して、具体的に、例えば、院内の移動に介助が必要な場合とか、認知症その他のため見守りが必要な場合とか、排せつ介助を必要とするような場合とか、市町村で認めているような少し具体的な事例をお示しして周知をしているところでございますけれども、やはりなかなか、具体例を示しているだけなので、どうしても、ではこういう場合はどうなるのかと、市町村によってはそういうふうに、いろいろと事務をしていく上で少し違いが出てきているんだろうと思いますので、引き続き、しっかりと市町村の意見も聞きながら、適切な取り扱いになりますようにしっかり対応してまいりたいと思います。

今井委員 二十二年度にそういうのを出しているということでありますけれども、それにもまだ課題があるということをまずおっしゃいましたので、そこのところの改善というのをしていただいて、できるだけ事業者の人が混乱のないようにやっていただきたい。そういうことをやっていただけるという御答弁でしたので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 あと二分になってしまいましたので、最後に大臣、予算委員会のときにちょっとお話ししました公務員の医師のアルバイトの件です。

 あの後の分科会で新藤総務大臣とちょっとお話をして、総務省の方でも実態調査をしてくださいというお話をしましたら、とりあえずは、制度的には、各自治体あるいは地方の公営企業で、医師の派遣を、アルバイトしてもいいよという仕組みをつくれば、そこから行くことは可能なんだけれども、今そういうところがなかなか周知されていないので、まずそういう助言をやっていきます、助言をやった上で、問題があれば必要な措置をとっていくというふうに言われましたけれども、ちょっと総務省の方、きょういらっしゃっていますので、その後どうなっているかだけ教えてください。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公務員法上、職員は、任命権者の許可を受ければ、報酬を得て他の事業に従事することが可能である、このようにされております。自治体病院の医師が報酬を得て民間病院などで勤務する場合の許可につきましては、それぞれの地方公共団体の任命権者において適切に判断されているものと認識をいたしております。その上で、本年二月の委員の御指摘も踏まえまして、自治体病院の医師の兼業許可の状況につきまして、その実態の調査も行ったところでございます。

 地方公務員の兼業を含めた服務規律の確保につきましては、これまでも、いろいろな会議の場等々で、あるいはまた地方公共団体からの御相談に対しまして助言などを行ってきたところでございます。引き続き、制度の適切な運用がなされますように地方公共団体に対して必要な助言などを行ってまいりたい、このように考えております。

今井委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、大臣、ぜひ、これは縦割りではなくて、管轄は総務省ですけれども、やっている行為は医療行為ですので、厚生労働省も非常に重要な役割を果たしていますので、閣内一致で、政府の中でしっかり連携してやっていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 きょうはありがとうございました。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 本日も、前回に引き続きまして、医療事故調査制度について伺います。

 お配りしております資料、二枚あります一枚目、前回お配りしたものと全く同じものです。上下に分かれておりまして、上半分が、平成二十年に、政権交代前の自民党で実際に法案直前まで行っていた、いわゆる平成二十年大綱案、下半分が、今回の医療事故調査制度の仕組みを同じような図式にしたものであります。

 前回の議論で、平成二十年の大綱案は、調査報告書の後で、再発防止に活用はもちろんのこと、行政処分に行くこともあり、また、故意、重過失、悪質な場合は刑事手続に行くこともある、また、患者御遺族がそれを、和解、調停、示談だけでなく、場合によっては民事訴訟に使うこともある、こういう制度になっておりました。

 ところが、今回は、遺族発議もできなければ、また、報告書が行政処分や裁判手続、また紛争解決に使われるということも、全くそういう仕組みにはなっていない。なぜかといえば、今回は医師や病院の責任追及の仕組みではないんだということであります。医療界全体で再発防止をするための原因究明というのが本法案の理念であり、そういう意味では、平成二十年大綱から、さらに再発防止という意味合いが強まったものだというのが前回の質疑でありました。

 しかし、そうはいいながらも、この調査報告を受けた遺族が、今回の医療事故調査制度においても、その報告を受けて訴訟を起こす可能性というのは、全く変わらずに残っているわけであります。

 まず、大臣に、病院や第三者機関からの説明、報告を受けた遺族が、その内容をもって訴訟を起こす可能性についてどう考えておられるか、お伺いをいたします。

田村国務大臣 委員も今申されましたとおり、この制度は紛争の解決等々が目的ではないわけでありまして、あくまでも再発防止という意味から、調査や、さらには整理でありますとか分析を行う、そして再発防止に役立てていく、これが目的であります。

 医療事故調査・支援センターの方に病院の方から報告を行って、調査を行う、調査の結果を知らせるわけであります。この医療事故調査・支援センターが、その後、申し立てにおいて行う場合もあるわけでありますが、その報告を、例えば事故に遭った患者の家族の方々が受け取った。司法に訴えるというのは、これは訴訟は権利でございますから、当然のごとく、このスキームに乗らなくても訴訟を起こす権利はあるわけでございまして、訴訟は自由に起こせるわけでありますけれども、その中においてその報告書をどう扱うか。

 ただ、あくまでもその報告書自体は責任追及のためのものではないので、中身に関しては、例えば医師の氏名でありますとか過失でありますとか、そういうものは書かれてこないというような類いのものであります。

 そのような中立的な調査の結果というものを遺族の方々が裁判に使う、使わない、これも自由でありますし、当然のごとく、民事訴訟法第二百四十七条、自由心証主義、これがあるわけでございますので、その証拠自体を裁判の判決の中にどのように利用していくかということは、これは司法の判断であるということでございますので、そういう意味では、排除するわけではないということであります。

井坂委員 今の御答弁を受けてなんですが、報告書を遺族がどう使おうと、これは訴訟は権利である、さらに、その報告書をどう判断するかは、これは裁判所の判断であるということでありますので、ちょっと関連してお伺いをいたします。

 その報告書が仮に訴訟に使われた際に、医療機関が、報告書に再発防止策のようなものがもし書いてあると、これは訴訟上大変不利になるというふうに言われております。裁判所の見方では、報告書に再発防止策というものが書いてあれば、これはもう医療機関がみずからの行為に問題ありと認めたというふうに判断されかねないということであります。

 今、遺族とそして裁判所の判断だということでありますから、では、報告書に再発防止策は記載されるのかどうか、そういったことについてはどうでしょう。参考人の方でも大臣でも、どちらかお願いいたします。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまでこれは、医療事故の再発防止を図って医療の安全性の向上に資するというのが大きな目的でございますので、医療機関、あるいはその後にあるかもわからない医療事故調査・支援センターの調査報告書、これらについてどのような形で取りまとめていただくかについては、最終的には、法案成立後、ガイドラインをつくっていきたいと考えております。

 その中で、先ほど大臣からも答弁申し上げましたけれども、責任追及のための資料というわけではございませんので、ただ、再発防止をするためには、やはり原因はどうであったかという分析は必要になるだろう、そういうふうに考えております。

 さらに、個別の報告書以外に、医療事故調査・支援センターでは、いろいろな事故の結果を集めた形での再発防止策、こういうものを提言していこうというふうに考えているところでございます。

井坂委員 大体何でもガイドラインということになってしまうので、だからこそ、委員会で、政治家としての政治的な方向性をお伺いしているわけであります。

 二問目に行きますが、同様の質問です。

 この第三者機関の報告に、仮に行政処分の対象となるような病院の問題が記載をされていた場合、これはどのような行政処分を行うのか、どういうルートになるのか、お伺いをいたします。

原(徳)政府参考人 これは御案内のとおりだと思いますけれども、今回の、医療機関から医療事故調査・支援センターに報告が上がる、あるいはさらに医療事故調査・支援センターでの調査の結果が出る、これらにつきましては、当該医療機関や御遺族等には情報提供されるわけでありますけれども、個別事案に関する調査結果を司法当局や行政機関に報告することはないということでございますので、厚生労働省において把握するという予定はございません。したがって、今回の制度を契機に行政処分を行うということは想定していないところでございます。

 一方で、医療事故に関して業務上過失致死傷などで罰金以上の刑に処された場合につきましては、当然ながら、現在も法務省の方から情報をいただいておりまして、適切な行政処分を行っているところでございます。

井坂委員 訴訟に至るルートは残っているが、今回の制度では、報告書から直接行政処分に至るルートは想定をしていないということであります。

 再発防止のための調査と、それから責任追及あるいは遺族の納得のための調査、あるいは補償、こういったことは完全に分離するべきである、これが今、世界のスタンダードではないかなというふうに思っております。また、WHOからもそういう指針が出ているかというふうに思います。

 今回の制度を検討する事前の検討会でも、訴訟に使われるおそれがあるんだったら、逆に病院側には調査の拒否権ぐらい与えるべきだという意見が出ていたり、あるいは、訴訟に使われるならヒアリングで本当のことが言えない、こういった意見が本当に何度も何度も出されているわけであります。

 本法案の最大のポイントは、再発防止のための調査と、責任追及あるいは遺族の納得のための、あるいは処罰のための調査、こうしたものの切り分け、そして接続、こういったところが最大のポイントだと思っておりますので、この最大のポイントについてどうお考えか、大臣の見解を伺います。

田村国務大臣 おっしゃられますとおり、責任の追及でありますとか紛争の解決のためのものではないわけでありますから、だからこそ、この調査の結果に関して警察や行政には届けるものではないということでございます。

 そういう意味からいたしますと、再発防止という意味で、調査した結果を生かして、同じような事故が起こらないようにということでありますし、あわせてでありますけれども、そういうような目的ではありますけれども、丁寧に調査した結果、遺族の方々が納得されるということもあるわけであろうというふうに思います。

 ただ、一方で、先ほど来お話がございましたとおり、裁判等々に訴えることは排除はできないわけでございますので、そのときのいろいろな参考の資料等々に使うということも排除はできないわけであります。

 だからこそ、その報告書の内容というもの、調査の内容というものに関しましては、そこも配慮しながら内容をつくってまいるということでございまして、これまた、どういうものにするのかといえば、これから詳細はガイドラインでということでありますが、そのような趣旨のもとで、ガイドラインの中で決めてまいるという形になろうというふうに考えております。

井坂委員 両者を切り分けるといいながら、やはり御遺族には説明を、報告をということで、そこはつながってしまっている。しかも、そこをどうつなげるかについて、私は恐らく最大の肝だと思いますが、そこがガイドラインであって、詳細についてはこれからだ、こういう話であります。

 通告どおりいきますけれども、遺族側からすれば、今回、遺族の発議もない、それから責任追及もできない仕組みになっているわけであります。そうなると、現行どおり、遺族側は、そういうことをしようと思えば訴訟を起こすしかないわけであります。

 では、この訴訟が医療事故に関して本当にどういう有効性があるのかということで、ハーバード・メディカル・プラクティス・スタディーという一九九一年の研究、いろいろなところに載っておりますけれども、ランダムに選んだ三万人のカルテで、医療事故のありなし、それから、医療事故の中でも、実際専門家から見て医療ミスがあったのかなかったのかということ、さらには、それと訴訟との関係、こういったものを疫学的に調査した研究があります。

 それによりますと、三万のカルテのうち、二百八十に医療過誤、医療ミスがあった。この二百八十の医療ミスのうち、実際に、しかし、患者さんが損害賠償請求したのはたったの八例だけであった。一方で、専門家から見て医療ミスはないと判断をされたケースで、五十一もの訴訟が起こされている、こういう結果であるわけであります。

 これは単なる一つの疫学調査でありますが、参考人にお伺いいたしますのは、患者、遺族が訴訟を起こすか否かということと、専門家から見た医学的に見た医療ミスの有無ということ、この両者の相関関係についてどのように認識をしておられるか、お伺いをいたします。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカの事例で日本の判断をするのはなかなか困難だろう、訴訟事情等が違いますので。

 ただ、現在、御遺族等が医療過誤ではないかと考えた場合に、その原因を明らかにすることを目的として訴訟を起こす場合もあるということは想定されますけれども、それと医療過誤とは直接関係あるのかどうかということについては、我が国においてその詳細なデータは承知はしていないということでございます。

井坂委員 日本のデータがないので、アメリカのデータを引用したわけでありますけれども。

 アメリカと日本は違うとはいいながら、やはり三万件の疫学調査であります。訴訟の制度は違っても、ただ、実際のミスのあるなしと、御遺族が訴訟を起こすか起こさないかということには、それほど強い相関はないというのがこのデータの結果であります。ミスがないケースでも御遺族は訴訟を起こすし、逆に、ミスがあったケースでも訴訟を起こす御遺族は非常に少ない、こういうことであります。

 続けて、同様のことをお伺いいたしますが、このハーバード・メディカル・プラクティス・スタディーの結果では、医療ミスが専門家から見てなかったケースでも、訴訟を起こされてしまうと、半数は病院側に賠償金の支払いが命じられている。医療ミスが専門的に見ればなかったケースであっても、半分は賠償金の支払いが命じられている。一方で、医療ミスがあったケースでも、実はあったケースにもかかわらず、半分は、病院側が勝って、賠償金なし、おとがめなしということになっている、こういう結果もあるわけであります。

 医療ミスがあってもなくても、裁判が起こされれば勝敗は五分五分だったということかなというふうに思うわけでありますが、参考人にお伺いいたします。

 日本のデータはないのかもしれませんが、訴訟による賠償金の有無と、それから、実際に、本当に医療ミスがあったのかなかったのかということ、この両者の相関関係についてどのように認識をしておられますでしょうか。

原(徳)政府参考人 お答えいたします。

 日本のデータはないということなんですけれども、基本的に我が国において、賠償金を支払うべきである、そういう判断がされるということは、当然ながら、医療の過程において過失があったという判断を裁判所がされるということになろうかと思います。

 そういう意味では、裁判における医療上の過失というのと、一般的に言われる医療過誤というのがニアリーイコールなのかどうかという問題もありますけれども、御質問にあった、真のミスがあったかなかったかというのを誰が判断しているのかということと、裁判上で裁判官が最終的に判断するということのそごが、今のお話では関係がなかったということのようでございますけれども、我が国において真がどこにあるかというのは、なかなか、データとしてもない、最終的には、賠償をするかどうかの判断は、我が国においてはやはり裁判所によっているというのが現状であるというふうに認識しております。

井坂委員 医療ミスの有無にかかわらず、患者は訴訟を起こすときは起こす。しかも、裁判が起こってしまうと、その勝敗と医学的な医療ミスの有無というものには必ずしも相関関係がないのではないか。あるとおっしゃった、でも、その根拠はおっしゃらないわけですよね。私は、だから、そこはやはり冷静に判断すべきところだというふうに思っているんです。

 裁判で本当に医療ミスの有無が正確にわかるのであれば、まさにそれが真相究明の有効な手段だというふうに思うわけでありますが、どうもこの調査を素直に読めば、裁判で本当に医療ミスがあったのかなかったのか、いわゆる真相究明ということについては必ずしも役に立っていないのではないかというようなことなのであります。

 お気持ちはわかるんです。私もこのデータ、にわかに信じがたいですけれども、裁判で医療ミスの有無が訴訟の勝敗に直結してほしいと思いますけれども、どうもそうではないどころか、五分五分だということでありますから、では、これは日本でどうなのかということであります。

 そこまでお話をした上で、結局、今、日本では、遺族側が発議をして、真相の究明をしたい、あるいは補償を受けたい、こういったことをしようと思うと、訴訟というルートしか事実上ありません。ところが、訴訟というのは、患者は、医療ミスの有無を必ずしも訴訟で明らかにできるとは限らない。また、病院側は、悪くないのに訴えられる可能性がある、訴えられたらミスがないのに負ける可能性がある、こういったことにおびえ続けなければならない、こういう仕組みになっております。

 私は、この不毛なと言ってしまいますが、医療事故においては、ある種不毛な訴訟に至る前に、病院と患者の、遺族の対話を促進する専門家である医療メディエーターであるとか、あるいは今各地で実際に、うまくいっているところ、いっていないところ、ありますが、実績の出ている医療ADRを活用するなどして、調査を進める、そのときに、また、病院と遺族の紛争解決を対話型で行うべきではないかと思います。

 そういった仕組みを入れるべきだと考えておりますが、大臣、御所見はいかがでしょうか。

田村国務大臣 何度も申し上げて恐縮なんですけれども、あくまでも今般のこの制度は、再発防止ということを観点に調査をするということであります。

 でありますから、紛争の解決手段ではないわけでありまして、医療メディエーターでありますとか、あと医療のADR、裁判外紛争解決でありますが、これはやはり紛争解決でございますので、この仕組みの中にそれを入れるというわけにはいかないということで、想定をしていないわけであります。

 ただ、先ほど来申し上げておりますが、その調査の報告をする中において、副次的に、御遺族、御家族が納得されるということはあるというふうには存じます。

 今般の制度、前回も申し上げましたけれども、いろいろな議論をしてくる中で、実は自民党政権のときにいろいろな議論をやり、民主党政権になってもまたいろいろな議論をやり、そしてまた自民党・公明党政権に戻って、今般、このような形でございましたので、今委員がおっしゃられたようないろいろな問題点も議論する中で、何とか一定の合意のもと提出をさせていただいたということでございますので、今般の中には、そのような仕組みを盛り込ませていただくということにはならなかったということであります。

井坂委員 過去の議論の経緯も、検討会議事録も含めて、かなり長期にわたって詳細に読んでまいりました。

 いろいろ御苦労はされたんだと思いますし、その間、要所要所で出来事があって、キーとなる発言があって、二十年大綱から今の形に変わってきたという流れは理解をしているんですが、落ちつきどころが、結局、完全分離できていないというこの一点において、非常に中途半端なところに今落ちついているのではないかなという、その懸念を議論させていただいているところであります。

 要は、再発防止一本なんだったら、ここも完全に切断すべきだ。これは多分、検討会の中でもずっと出ている議論ではないかなというふうに思います。ところが、そこで本当に中途半端に、そうはいっても御遺族に説明、報告という、そうはいってもの部分が入っているからこそ、結局のところ、両者に問題が残っているのではないかな、こういう観点で議論をさせていただいているわけであります。

 本日、無過失補償制度ということで、二枚目の資料を持ってまいりました。「フランスの例」と書いてあるカラーの資料でございます。

 これは遺族が発議をできる仕組みです。遺族がこの地方医療事故損害調停委員会というところに申請をして、この委員会が病院側に書類提出を求めながら、どういったことがあったのかというのを鑑定していく。そして、過失があったのか、無過失だったのかということをこの委員会が見解を示す。もちろん、この裁定自体に強制力はないということでありますが、この第三者機関が過失の有無を判定する。

 ここから先が非常にユニークなんですが、過失があった場合は、当然、病院側が保険会社に頼んで、賠償金を御遺族に提示するわけであります。過失がなかった場合は、無過失の場合、無過失補償といって、過失はなかったので病院側が払う筋はないけれども、国営の公社が、賠償金ではなくて補償金をお支払いする。

 これは厚生労働省の資料でありますけれども、こうした、賠償か補償かは別にして、過失の有無にかかわらず、患者、御遺族に、大変でしたねということでお金が支払われる、提示をされる。御遺族がこのお金に納得がいかなければ、そこから拒否をして民事裁判という道も残るわけでありますが、実態は、大半の御遺族はこれを受け入れて、承諾、補償ないし賠償が実施をされて一件落着、こういう仕組みであります。

 私は、今回の法改正が、完全に病院側で閉じた再発防止のための調査、そのかわり全部正直に言いますよ、将来のために全部洗いざらい言いますよ、ただし、匿名で、非公開で、訴訟には使われない、これはもうWHOの指針そのものですから、そういうことであればとてもわかりやすい。

 ただ、どちらにしても、もう一方で必要なのは、こういう遺族発議で、責任追及や遺族の納得や補償やといったことがしっかり行われる制度が、もう一本絶対に必要だというふうに考えております。

 この点について、大臣の御所見を伺います。

田村国務大臣 無過失補償制度に関しましては、民主党政権時代、平成二十三年四月に、誰にでも起こり得る医療行為による有害事象に対する補償を医療の受益者である社会全体で薄く広く負担をするため、保険診療全般を対象とする無過失補償制度の課題等を整理し、検討を開始するということで閣議決定をされたわけであります。

 その後、二十三年の八月に検討会を立ち上げて、御議論をしてきていただいたわけでありますが、昨年の六月でありますけれども、この検討会で、やはり一つは、補償の範囲をどうするのか、それからその財源、なかなかこれは大きな問題でございまして、結論を得ることができなかったものでございます。

 結果的には、困難な状況であるということでございまして、当面は新たな医療事故調査制度の実施状況を十分に見きわめた上で、改めて検討するということになったわけでございます。

 今般、この法律をまず成立いただいて、それを見きわめながら、その後、しかるべきときが来れば検討をするということになっております。

井坂委員 今回、こちらの調査制度は先行させて、そこまでは百歩譲って理解しようかなと思ったんですが、その後、しかるべきときが来れば検討しないでもないみたいなこういう話ですと、私は、やはりこの両者、二つのルートが両方あって、初めて制度として成り立っているというふうに思うんですよ。調査制度だけあって、遺族発議の責任追及、遺族納得ルートがなければ、相変わらず訴訟が起こされるだけであります。

 アメリカと日本は違うとおっしゃいますが、訴訟には、さっき申し上げた、ある種の不毛性が医療事故についてはあるわけでありますから、遺族発議の責任追及、補償、納得ルートがあって当たり前だ、この二つは完全に裏表でセットだというふうに考えているわけであります。

 再発防止のための調査制度だけでなく、今回の法改正後速やかに、紛争解決もそうです、あるいはこの補償。それから、きょうはちょっと質問時間がないので飛ばしましたが、そうはいっても、故意、重過失、繰り返しあるいは隠蔽、こういったときには、また別ルートで、厳正な、強制的な処分のルートは私は必要だというふうに思っておりますから、こういったことも含めて、早急に、今回の法改正でいきなり無過失補償を入れろというのは無理ですから、この制度見直しが必要ではないかなと考えますが、しかるべきときが来れば様子を見ながら、そんなレベルでは絶対にいけないと思っております。

 大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 先ほど申し上げましたが、補償の範囲でありますとか財源、これは大きな課題でありますので、こういうものがなかなか解決できなかったというのが、この閣議決定した後検討した後での結論であったわけであります。

 両輪とおっしゃられたんですが、若干ちょっと違うのは、両輪でありますと、こちらの制度で過失があるかどうかを判定しなきゃいけなくなってくるわけであります。今度の制度は、過失のどうだとかということは一切この調査の中では調べないわけでありますので、そういう意味ではちょっと、制度としては両輪という形ではなくて、これを進めていく中において、その無過失の補償というものが必要であるかどうかを議論していくということが、しかるべきときにあるのであろう。

 ただ、本当に無過失の方々を全員救うのかどうか、その範囲はどうかということは、これはよくよく考えないと、何かあったときに、いたし方がないことでお亡くなりになられた、それも補償するということになると、今度は財政的に大変大きな負担になってくるということもございますので、そういうことも含めて、この制度がスタートした後に、しかるべきときと言うとお叱りをいただくのかもわかりませんが、検討する時期が来たら検討させていただきたい、こういうことでございます。

井坂委員 財源の話でいいますと、これは厚労省の資料ですけれども、人口六千万人のフランスで、この制度に年間九十四億円使っているということでありますから、範囲の絞り方、あるいは適用対象、条件づけ、これはいろいろ工夫のあるところだ。当然、国民的議論が要りますけれども、もちろん、おっしゃるように、どんな事故でも、どんな事象でも、こんな話ではないわけであります。

 それからもう一つ、伝わらなかったなと思うのは、両輪と言いましたけれども、別に、ファーストステージ、セカンドステージ、調査があってその後補償ということを私は申し上げているのではなくて、非公開の再発防止のための調査と、また別に、今回のフランスのように責任追及の調査は完全に別で設けて、こっちではちゃんと有無を判定して補償にまで持っていくというような、調査は二本必要だというふうに考えております。

 これは検討会でも、二種類の調査を分けるべきだというのは、再三、繰り返し言われていることではないかなというふうに思いますから、そこはちょっと誤解があったらいけないと思って、申し上げております。

 今回、平成二十年大綱から比べると、調査に寄ったわけでありますけれども、平成二十年大綱では、調査報告から問題の有無判定、また行政処分や刑事手続までつながり得る制度だった。医師法二十一条の改正もそのときは話が出ていましたから、そうすると、患者側から見れば、責任追及ルートがこれまでは訴訟しかなかったものが、こっちを責任追及ルートにしようということが起こり得た平成二十年の制度だったと思うんですね。訴訟よりはこっちで責任追及をしよう、あるいは遺族の納得を得ようという、不毛な訴訟が減る可能性がある制度設計だったと思います。

 もちろん、こっちの場合は、逆に調査の部分が弱いですから、別途非公開調査が必要だったというふうに思いますが、こっちは刑事訴訟、訴訟が減る可能性がある制度設計だった。

 一方で、今回の制度の方は、再発防止が主体といいながら、やはり訴訟につながるおそれが排除されていないということで、本当に十分な、忌憚のない、いや実はこれは失敗しましたとか、これはこうやるべきでしたというような、正直なヒアリングが本当にできるのかということを大変疑問に思っております。

 また、御遺族から見ても、責任追及ルートは今回一切整備をされていないわけでありますから、では、これまでどおり訴訟しかないということで、相変わらず訴訟ルートを選ばざるを得ないということで、医療機関側から見たら不安の残る制度、また、御遺族から見ても不満の残る制度に今なっているのではないかなというふうに思うわけであります。

 平成二十年大綱よりは責任追及の色が薄くなったから病院側も安心だというある種の安堵感が検討会を見ていると感じられるわけでありますが、私は、これはやはり病院側にも相変わらず不安が残る、二兎を追う者は一兎をも得ずというような制度設計になっている、大変問題が多い制度ではないかなというふうに思います。

 時間が参りましたので、これぐらいにいたしまして、また次回の委員会で議論させていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 冒頭、朝の理事会で、来週十四日の総理入りと採決の提起がされました。このことに強く抗議をしたいと思います。

 十九本の法案と言われているんですが、私はまだ二本の一部くらいしかやれていません。朝からの議論を聞いていても、続きを聞きたい、自分自身も質問したい、こういう思いばかりであります。とてもじゃないが、採決などという環境ではないということを強く抗議したいと思います。

 また、今の井坂委員の事故調についての質疑も非常に重要な提起でございまして、私、最初の質問のときに委員長に要望しましたけれども、まだ理事会で協議がされておりません。

 委員長に改めて伺いたいと思いますが、事故調の問題は、切り分けて集中的に審議をして、採決も分ける、こういうふうに努力をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

後藤委員長 理事会で検討いたします。

高橋(千)委員 重ねてお願いをしたいと思います。

 本当は、事故調だけじゃなく、保助看法とか、それぞれ私はやるべきだと思っています。でも、少なくともこの問題は、本当に議論する時間がない、ない中で決まっちゃったということはやはりやるべきではないと重ねて指摘をしたいと思います。

 きょうは、前回の、連休前なのでちょっと時間がありますけれども、続きをやりたいと思います。

 まず、資料の一番後ろのところに、現行の介護給付と介護予防給付、それから地域支援事業の中身、それから財源構成がどうなっているかということの図と、見直し後どうなるのかという図が描いてあります。財源構成がここに整理をされているので、この後も使えるかなと思っています。下の方のは、二号保険料が入っていないということが大きな違いなのかなと思うんですけれども、今までは二次予防、一次予防と呼ばれていたものが、新しい介護予防・日常生活支援総合事業にまとめられ、かつ、訪問介護と通所介護が保険給付から保険外の事業に移行されました。

 ここの部分のイメージ図が一枚目の資料であります。

 それで、ここには、要支援者と、要支援でもない介護予防・生活支援サービス事業対象者というものがあります。さらに、でもない一般高齢者という三つのカテゴリーがあるわけですけれども、どこにも介護認定というものが書いてありません。要支援者は介護認定を受けなくてもいいんでしょうか。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 資料が少し不十分で、ちょっと誤解を与えている点があれば大変申しわけないと思いますが、総合事業のうち、訪問型サービスや通所型サービスは、要支援者や、チェックリストにより必要性が認められる介護予防・生活支援サービス事業対象者が利用できるものであります。

 したがいまして、当然、要支援者は、要支援認定を受けて初めて要支援者となるわけでございますので、ちょっと図に書いていないことについてはおわびを申し上げたいと思います。

 また、チェックリストで日常生活サービス事業を受けている方でも、いつも申し上げておりますけれども、希望があれば要支援認定申請は可能であるということでございます。

高橋(千)委員 はっきりおっしゃっていただいたので、よかったと思います。

 前回、私はこういう質問をしたわけじゃないんですよね。大臣がいつも、専門的なサービスが必要な人は受けられると言うから、では、どういう人が受けられるんですか、どう分けるんですかと聞いたのに、いきなり、希望すれば認定が受けられるんですという、私、一言も聞いていないのにと思った。そこに非常にみそがあるのかなと思って、要するに、認定を受けなくてもいいようにする、あるいは受けない世界に誘導していくという心が隠されているのかなということをやはり言わなければならないわけですね。これは、続きを後でやりますけれども。

 そこで、次は、前回問題となった、専門的なサービスが必要な人は引き続き受けられるという問題について、その専門的なサービスとは何か、簡潔におっしゃってください。これまでの答弁を整理すると、既存の介護事業所、いわゆるプロが行うサービスのことをいうのか。一言で。

原(勝)政府参考人 私どもとしては、プロとかプロでないとかという言い方は使っておりませんけれども、私どもが考えます専門的なサービス、あるいは資料に書いてあります専門的なサービスという意味は、既存の指定介護事業所におきまして、運営基準に基づいて、国家資格である介護福祉士や初任者研修を受けた訪問介護員等が提供するサービスというふうに理解をしております。

高橋(千)委員 そうなんです。実は、この資料に専門的なサービスさえも書いていないということなんですよね。おっしゃったけれども、ここに書いていないんですよね。そういうこと自体が、書いていないことを何度も何度も答弁しているわけです。既存の事業所が提供するものである、ただし、プロとは言っていないということを確認いたしました。

 では、それを受けられるのは誰なのかということです。そこは大きく書いているんですね。市町村、地域包括支援センターがケアマネジメントをすると言っています。

 では、本人が、プロのヘルパーさんにお願いしたい、これまで受けていた事業所へお願いしたい、そう希望した場合、かなえられますか。

原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。

 事業移行後も、これまでと同様、地域包括支援センター等がケアマネジメントを実施する仕組みとしておりまして、利用者の意向や心身の状態像、置かれている環境等を踏まえまして、専門的なサービスを必要とする人には専門的なサービスの提供につなげていくということでございます。

 一方、今議論になっていますのは、要支援者あるいはそこに至らない二次予防者等々でございますけれども、これらの方々のほとんどは、排せつや食事摂取等の身の回りの動作、いわゆるADLは自立しているわけでございますけれども、買い物などの生活行為、IADLの一部を行いにくくなっている方々であり、身体介護というよりも、生活支援サービスや、あるいはサロン等の社会参加の場の提供等が求められているという方が多いのではないかと考えております。

 それで、市町村の地域包括センターのケアマネジメントを行う専門職、こういう方々が専門的視点からサービスの検討や利用者への説明を行い、その上で、利用者の同意を得た上でサービス利用につなげていくということでございますので、サービスの利用としてはそういうふうになろうかと考えております。

高橋(千)委員 いろいろおっしゃいましたけれども、結局、本人の意向がかなえられるという意味ではないのだ、希望する人が受けられるという意味とはイコールではないということですね。

原(勝)政府参考人 軽度者の方については、先ほど言いましたような要介護者とはちょっと状態が違っている、ADLは大丈夫だけれどもIADLが少し足りないとかいったような状況でございますので、市町村のケアマネジメント、専門職が専門的な視点からサービスの検討を行い、利用者へも十分説明をして、その上で、利用者の同意を得た上でその方にふさわしいサービス利用につなげていきたいということでございます。

高橋(千)委員 その方にふさわしいサービスを決めるのは本人ではないということだと思うんですね。本人が、本当に既存の事業所にお世話になって、それ自体が、皆さんはそういう身の回りの世話なら誰でもできるだろうと言っているかもしれないけれども、それが大事なことなんだと言っている、あるいはこれまでお世話をしてきた人が言っているということを、そうではないんだと言っている。そういう中身だと思うんですね。

 一つの答弁に対して三つも四つも反論したいものですから時間がだんだんなくなってくるわけですが、順々にいきますけれども、介護予防・生活支援サービス事業対象者について、チェックリストで判断するとこの表にもあるんですよね。それは何ですかと聞いたら、このまま使うかどうかは検討するということですけれども、資料の二枚目にあるチェックリスト、これは、現在、二次予防の対象者、要介護ではない第一号被保険者と非該当者を対象として自己申告でやっているものですよね。これからは、自分が書くんじゃなくて、市町村が対面でこのチェックリストをチェックして判断をすることになると聞いております。

 そこで、そのチェックリストをやる目的は、専門的なサービスが必要な人を見分けるためか、それとも必要じゃない人を除外するためか。どっちですか。

原(勝)政府参考人 今後は、要支援認定はやはりいろいろ時間がかかりますので、このチェックリストというものを活用しまして、その方の状態像というものをまず簡易に把握したいということでございます。

 ただ、議員もおっしゃいましたように、現在は、その方に郵送等をして御本人に書いてもらうというようなやり方でございますけれども、今後は、市町村や地域包括支援センターがチェックリストを対面で用いるという対面式、よく御本人のお話も聞きながら、その方の状態像を把握したいというふうに考えております。

 その上で、このチェックリストが、専門的なサービスが必要な人を見分けるためなのか、それとも必要でない人を除外するためかというような御趣旨だと思いますけれども、これはあくまでも、チェックリストは、要支援認定とともに、その方にふさわしいサービスを判断するために使うものであるというふうに考えております。

 したがいまして、チェックリストでやってみて、やはりこの方はかなり重いので要介護認定をした方がいいという場合には、当然、要介護認定申請の方に誘導していくという場合もあろうかと考えております。

高橋(千)委員 最初におっしゃいました、介護認定が時間がかかるので簡易にできる方法と。だから、最初からそこにしか結びつかない人がいるということをおっしゃっているんだと思うんですね。

 そうすると、もともと要支援の人と、新規にサービスを受けたい人の扱いが違うということですよね。どういうふうに違うのか。

原(勝)政府参考人 おっしゃっている意味がわかりませんが、もちろん、御本人が最初から要介護認定申請をぜひ受けたいと言って申し出られれば、それは当然、その方の御意向というのを尊重して申請をしていただく。

 ただ、今後、市町村の窓口で、御本人のいろいろな、申請のときにも御相談があるわけでございますから、その御相談を聞く中で、この方はむしろ生活支援サービスみたいなものをまず提供してやっていった方が迅速なサービス提供につながるんじゃないか、あるいは、状態像にも合っているんじゃないかというような判断を市町村の窓口が、担当者がすれば、そういうものもございますよということを御案内するということかと思います。

高橋(千)委員 質問の趣旨がわからないとおっしゃいましたけれども、わかってそういうふうに答弁しているんだと思うんです。何度でもやりとりしているでしょうが。いろいろな団体からも聞かれているでしょう。ヒアリングの中で皆さんが答えていることなんですよ。

 つまり、今まで要支援で認定を受けてサービスを受けている人は、大概同じサービスを受けたいと思いますよね。だから、とりあえずは経過的にやるけれども、新しい人は、それはわからないわけですよ。今のチェックリストを受けて認定を受けたと思っているかもしれないじゃないですか。そういうことを狙っているんだと。

 だから、最初の人にちゃんと、サービスというものは違うんだよ、認定というのがあるんだよ、そういうことまで言って、やらなきゃだめじゃないですか。あるいは、チェックリストをやるけれども、認定というものもちゃんとやるんですよ、そういうふうに言わなければだめなんですよ。

 そういうことも含めて、大臣に通告をしておりますけれども、要支援の中でも、通所とか訪問介護しか使わない人は認定でなくてもよい、そういうことさえも厚労省の官僚は言っているわけなんですよね。結局これは、いろいろ言っても、水際作戦になりませんかということです。大臣、お願いします。

赤石大臣政務官 高橋委員にお答えいたします。

 委員御指摘の、事業の見直しの後も予防給付に残される訪問看護等のサービスを受けないようなケースは、認定を受けない場合でも、基本的な、先ほど説明がありましたチェックリストを活用してサービスできるようにしていきたいと考えております。

 一方、現行制度と同様、高齢者が希望すれば認定を申請できる仕組みであり、また、事業により提供されるサービスを受け始めた後に改めて認定の申請をすることも可能であります。

 また、今回の見直しでは、要支援者など軽度の高齢者については、多様な生活上の困り事に関しては、自分の力を最大限生かしていただきながら支援を受けられるよう、先ほどのチェックリストを活用したサービス利用の流れもつくりつつ、支援につなげていきたいと考えております。

 あわせて、高齢者が主体的に参加する体操教室などの介護予防につながる取り組みの強化を通じて、健康を維持し続ける高齢者や、生活機能が改善して要支援から自立する高齢者をふやすなど、認定に至らない高齢者の増加を実現していきたい、このように考えております。

高橋(千)委員 受けない場合と政務官おっしゃいましたけれども、今行われているチェックリストのところでも説明しているんですね。つまり、認定を受けたけれども非該当だった人に、チェックリストによって一定のサービスが受けられるじゃないか、あるいは、何でもないけれども、チェックリストによってサービスが受けられる、二次予防が受けられる、そういう仕組みで要するに救っていくというんですか、漏れた人を救っていくというのならいいんだけれども、今やろうとしているのは逆なんですよね。

 行かないように先にやっちゃうということがあってはならないということを重ねて指摘し、多分、今質問すればそうではないと言うでしょうから、今私が何度も言っているのはそういう意味なんだということを確認したいと思うんです。

 それで、局長にもう一問聞きますけれども、これは違うとおっしゃってくださればいいんですよ。違うとおっしゃってくださればいいです。

 さっきの基本チェックリスト、二十五項目ありますけれども、二十一から二十五の五項目のうち、二十一番からという意味ですよ、つまり、毎日の生活に充実感がないとか、これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなったとか、みんなそう思うんですけれども、そういうことのうち二つ以上つけた人については、うつとか閉じこもりとか認知機能の低下に考慮するべきであるというふうにマニュアルには書いてあるわけですね。

 現行の二次予防において、これらの人は、訪問型介護予防事業として、保健師などが居宅を訪問し、必要な相談や指導を行うとされています。すごく大事なことなんですね。だけれども、まさか、専門的なサービスを受ける人をこういう人たちに限定するという意味ではないですよね。違うと言ってくださればよろしいです。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 今、議員が配付されていますのは、基本チェックリスト、現在の総合事業の二次予防対象者に対して使っている基本チェックリストでございます。

 現在の総合事業では、何というんでしょうか、介護給付の対象になっているような、要介護者の対象になっているような訪問介護だとか通所介護、こういったものよりもう少し簡易な通所型サービスあるいは訪問型サービスというものを総合事業で展開しておりますので、そのための選別の基準として使っているわけでございます。

 基本的には、そういう、今これを使っている対象者については、このチェックリストの基準というものが基本になってくるだろうと思いますけれども、さらに私どもとしては、そこにも至らないような、例えば住民主体の体操教室だとかサロンだとか、いろいろなことを考えておりますので、そういう人たちについては、では、どういうふうなところで対象にしていくのか、これから、基準といいますか、そういったものについては検討していきたいと考えております。

高橋(千)委員 何で聞いたことに答えないんですか。

 私、何でこれを質問したかというと、きのうやりとりしたときにそういう説明があったからなんですよ、認知症の対策とか。そういう人たちしか、今言ったような人たちしか専門的なサービスが受けられないという意味ですかと。違いますと言ってくださいと言っているんです。

原(勝)政府参考人 具体的なことはこれからよく検討しなきゃいけませんが、このチェックリストは、現在の介護予防・日常生活総合事業の二次予防対象者に対して提供している訪問型サービス並びに通所型サービス、こういったようなサービスに対する適否を判断するためのチェックリストでございますので、そこのところについては、基本的には同様の考え方を維持したいと思っております。

 ただ、これからサービスの基準も広がってまいりますので、その辺については、これからもう少し具体的な基準というものは考えていきたいと考えております。

高橋(千)委員 聞いていることと全然かみ合っていないんですね。

 専門的なサービスとは、既存の事業所がやるサービスだという答弁がありました。誰が受けられるのかというのは、ケアマネジメントでやると。その専門的なサービスの中身というのは何かというのを私は今聞いているんです。チェックリストで言われているような閉じこもりとかうつとか認知症に対する専門的な支援、それだけと言っているんじゃないですよねという単純な質問です。

原(勝)政府参考人 きのうどういう説明をしたのかあれでございますけれども、きのう担当者が説明を申し上げていましたのは、この基本チェックリストに基づきまして、市町村や地域包括支援センターにおきまして、ケアマネジメントをしっかり行った上で判断をするということを申し上げたということでございます。(高橋(千)委員「中身を聞いている。サービスの中身」と呼ぶ)

 ですから、ケアマネジメントの結果、議員がおっしゃっておられる専門的サービスですか、現在行われているような専門的サービスがふさわしい方には当然そのサービスになりますし、もう少し簡易なもののサービスがふさわしいということであればそちらにつながるということでございまして、あくまでも、地域包括支援センター等のケアマネジメントに基づいて、このチェックリストに基づいて判断をさせていただきたいということを申し上げているわけでございます。

高橋(千)委員 今のも全く答えになっていなくて、困っちゃうんですよね。中身を聞いているわけですが。

 それで、大臣に通告してあります生活援助について。

 これは、さっき私、中身、中身と言っているんですけれども、三枚目の資料には、例えば訪問介護でいうと、「既存の訪問介護事業所による身体介護・生活援助の訪問介護」は、横に行って、「専門的なサービスを必要とする人には専門的サービスの提供」と書いているわけですよね。だから、そうですと言ってくれればいいんですよ。

 そこで、生活援助は単なる家事代行ではないと私は思っています。その意義と、専門的なサービスであるということを確認させてください、大臣。

田村国務大臣 今委員がおっしゃられた現在の予防給付の訪問介護は、生活援助、身体介護、これについては介護福祉士等が、訪問介護員が行うということでございますから、言うなれば専門性のある方が行っておるということであります。

 今般の新しい地域支援事業の中においては、今ほど来話がございました、必要な方に関しては、当然のごとく専門性のある方がこの生活支援の中においても対応するわけでございますので、今委員がおっしゃられた生活援助に関しましても専門的なことはやられるということになると思います。ただし、その状態像を見て、そうではないという方に関しては、そうではない方々が対応することもあり得るということであります。

高橋(千)委員 そうではない方がということをおっしゃったと思います。

 改めて、私は本当に何回もこの問題は議論をしてきた、何年も前から議論してきたんですけれども、やはりヘルパーさんの役割とか生活援助の役割というのを、余りにも単なる家事代行だという扱いが大き過ぎる、そういう認識が多いんだと思うんですね。そういうことがこれまでも随分議論されてきたわけです。

 例えば、ヘルパーさんが異変に気がついて、必要な援助を加えることによって急激な悪化を食いとめた例というのは本当に少なくないわけですね。独居の人で認知症が出てきて、まともに食べていないよね、やせてきたよね、あるいは薬を飲んでいないよね、そういうのを見て、介護認定を改めて受けさせて区分変更させるとか、そういう重症化を防ぐ役割がございます。

 また、午前の部で長妻委員が、大臣も資格を取ったという認知症サポーターの教科書の紹介をしておりましたよね。あれは本当に大事なことだと思うんですね。

 つまり、認知症の方が、お姉さんに申しわけないとか、自分は何もできないことを本当に情けなく思うとおっしゃっている。ポイントは、それは外人は読めないでしょうという話じゃないんですよ。ポイントは、あそこに書いてありましたよね。認知症の人だって、自覚していないというのは誤りだと書いていたじゃないですか。認知症の人だってちゃんと自分を持っている、そこを学びなさいということを多分教科書で学んだと思うんですよ。そういうことをちゃんと見届ける、気づくということがヘルパーさんの役割なんだと。

 だから、ヘルパーさんにお世話になっている方の娘さんは、京都から二時間半かけて月三回通っているんだけれども、自分がもしずっといれば、台所に立たないでと言っちゃうとか、逆にずっといるといらいらしちゃう、だけれども、ヘルパーさんはちゃんと一緒に仕事をして、お母さんの自尊心、誇りを本当に尊重している、そこに驚いたということをおっしゃっている。その特別な役割をやはりちゃんと認めなければならないと思うんです。

 時間がないので、次に大臣に用意していた質問を先に言いますけれども、生活援助を、今後、もう介護の世界から、給付の世界から出してしまう、総合事業に入れてしまうなんということは考えていないですよね。

田村国務大臣 要介護の話でございますか。(高橋(千)委員「それも含め、生活援助を」と呼ぶ)

 要支援の中においては、財源構成は同じでございますけれども、今般、介護保険の給付からは外したということでございますが、介護保険の中においての要介護者に対する生活援助に関しては、これは介護給付から外すということを考えておるわけではないわけであります。

 今委員言われたけれども、必要な方にはしっかりと専門的な知識のある方が生活援助の中で対応を、ヘルパーさんとしての対応をいただくわけでありまして、これは、要支援者の方々は、先ほども申し上げましたけれども、二次予防事業対象者の方々と重なり合う方々もたくさんおられて、今も総合事業の中でそういう方々は生活支援を受けておるわけであります。それは、専門職じゃない方々にも受けておられるわけでありまして、要支援の中でも日常生活自立度が二の方というのは、そうはいないわけであります。パーセンテージを見られたことがあると思いますけれども、七、八%という状況でございます。

 ですからこそ、必要な方にはそのような専門職の方々が対応いただきますけれども、そうでない方々には、多様なサービスの中において、ヘルパーさんも、有償ボランティアも含めて、いろいろな対応があるということでございます。

高橋(千)委員 前の宮島老健局長があちこちで書いたりしゃべったりしているのを見ても、地域支援事業ではもう介護給付の生活援助を代替することができるとか、生活援助は定額化にするか地域支援事業に移せばいい、こういうことを言っているんですね。

 だから、私は、何回も言うように、その意味が全然違うでしょう、単なる家事代行ではないんだということをきちんと言わなければならないと思うんですね。

 それで、切り分けることもあるんだとおっしゃいました。二つまとめて局長に聞きますけれども、既存の介護事業所の中に、プロと無資格者とボランティアも登録して、一つの事業所がですよ、市町村から委託を受ける、こういうこともありなのか、また、そうなった場合に、プロの報酬が低きに引きずられることはないのか、プロと無資格者の対価について何らかの基準を示すつもりなのか、伺いたいと思います。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の見直しによりまして、事業所も多様なサービス展開が可能となると考えております。例えば、訪問型サービスの場合、既存の介護事業所におけるホームヘルパーによる訪問介護のほかに、総合事業のサービスメニューに資格を持たない方による支援を位置づけ、同じ事業所に委託等をするということも考えられると思います。

 それから、もう一点は報酬の問題でございますけれども、これについては、多様な高齢者のニーズに対応した多様なサービスが展開される中で、その内容等に応じた単価設定を市町村が行うこととなります。

 ケアマネジメントを通じて必要な専門的サービスを提供することとなりますが、その場合、専門的なサービスにふさわしい単価、すなわち、それは専門職が雇えるような単価という意味でございますけれども、そういう場合は、そういう単価を設定することが適当であると考えております。

 国といたしましては、ガイドラインを定めることを通じまして、サービス内容に応じた適切な単価を市町村が設定すること等を支援してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 今聞いていることは、同じ事業所がプロと無資格者とボランティアを抱えるわけですよ。ふさわしい単価とおっしゃいました。これは、ある程度目安を考えているんでしょう、一対三とか。そういうことでしょう。はっきり答えてください。

原(勝)政府参考人 多様な主体による多様なサービスでございますので、これは市町村によっていろいろなことが考えられると思います。

 ですから、具体的に人員配置基準を我々が何対何とかということではなくて、その事業所の中に専門職の方とそうでない方がいて、例えば、専門的なサービスと生活支援サービスのようなものを複数その事業者が提供することは可能であるとさっき申し上げましたけれども、そういうふうに混在する場合におきましては、支援を担う者等が受けている研修の程度や経験年数等に応じまして、また、雇用されている者か、あるいはボランティアを活用しているのかなどに応じまして、その担うサービスの内容も異なってくると考えられます。このような場合も、市町村がそのサービスの内容に応じて単価を適切に決めることを想定しているわけでございます。

高橋(千)委員 本当に非常に重大な中身だと思うんですね。既存の事業所が、資格者と無資格者とボランティアを抱えるんですよ。それで、資格者だけはふさわしい単価と言っているけれども、あとの人はどうするんですか。当然、そこは事業所でならすとかなんとかになるでしょうが。そうしたら、基準を示すんですよ。それで、何かあったら、自治体が決めることですからと、国は責任をとらない。余りにも責任がない話じゃないですか。

 本当に、このままでは既存の介護事業所が淘汰されていきますよ。支え手がなくなりますよ。とんでもない、こんな安い仕事はやっていられない。今だって慢性的な人手不足でしょう。下手をすれば、今の介護事業所がボランティアをやらなきゃいけなくなっちゃいますよ、五百円でももらえるならまだいいとか。そういう世界になってしまうんです。

 そもそも、今だって、やっていることはほとんどサービス残業だと指摘されていますよ。さっきの交通費の問題だってそうじゃないですか。ヘルパーさんが戻ってきて、帰ってきてからいろいろな書類を書いたりとか、あるいは人員配置をやったりとか、全部サービス残業だ、もともとボランティアをやっているのと同じなんだと言っています。

 大臣、本当にそういうことを踏まえていただいて、現場の苦労に甘えてはだめなんだということを指摘しなければならない。専門的なサービスが必要であればそれは介護保険の中でちゃんと見て、その上で地域の自主性に支援をしていく、上乗せしていく、その方向にするべきだということを指摘して、終わります。

後藤委員長 次回は、来る十三日火曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十二分散会


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