衆議院

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第18号 平成26年5月13日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十六年五月十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      岩田 和親君    大久保三代君

      大串 正樹君    金子 恵美君

      小松  裕君    古賀  篤君

      今野 智博君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高鳥 修一君

      高橋ひなこ君    辻  清人君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      永山 文雄君    福山  守君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      松本  純君    三ッ林裕巳君

      宮崎 政久君    村井 英樹君

      山下 貴司君    大西 健介君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      清水鴻一郎君    輿水 恵一君

      桝屋 敬悟君    中島 克仁君

      井坂 信彦君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君

    …………………………………

   議員           中根 康浩君

   議員           大西 健介君

   議員           山井 和則君

   議員           中島 克仁君

   議員           井坂 信彦君

   議員           高橋千鶴子君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   参考人

   (神奈川県立保健福祉大学名誉教授)        山崎 泰彦君

   参考人

   (立教大学コミュニティ福祉学部講師)

   (NPO法人渋谷介護サポートセンター事務局長)

   (公益社団法人長寿社会文化協会理事長)      服部万里子君

   参考人

   (国際医療福祉大学大学院教授)          武藤 正樹君

   参考人

   (医療法人社団つくし会理事長)

   (全国在宅療養支援診療所連絡会会長)       新田 國夫君

   参考人

   (公益社団法人認知症の人と家族の会理事)

   (介護保険社会保障専門委員会委員長)

   (医療法人同人会デイみさと管理者)        田部井康夫君

   参考人

   (京都ヘルパー連絡会代表世話人)         浦野喜代美君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十二日

 辞任         補欠選任

  松本  純君     宮川 典子君

  輿水 恵一君     樋口 尚也君

同日

 辞任         補欠選任

  宮川 典子君     松本  純君

  樋口 尚也君     輿水 恵一君

同月十三日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     福山  守君

  金子 恵美君     宮崎 政久君

  白須賀貴樹君     今野 智博君

  船橋 利実君     辻  清人君

  堀内 詔子君     岩田 和親君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     堀内 詔子君

  今野 智博君     白須賀貴樹君

  辻  清人君     船橋 利実君

  福山  守君     赤枝 恒雄君

  宮崎 政久君     金子 恵美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第二三号)

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(中根康浩君外七名提出、衆法第一〇号)

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案及び中根康浩君外七名提出、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案の両案を議題といたします。

 本日は、両案審査のため、参考人として、神奈川県立保健福祉大学名誉教授山崎泰彦君、立教大学コミュニティ福祉学部講師・NPO法人渋谷介護サポートセンター事務局長・公益社団法人長寿社会文化協会理事長服部万里子君、国際医療福祉大学大学院教授武藤正樹君、医療法人社団つくし会理事長・全国在宅療養支援診療所連絡会会長新田國夫君、公益社団法人認知症の人と家族の会理事・介護保険社会保障専門委員会委員長・医療法人同人会デイみさと管理者田部井康夫君、京都ヘルパー連絡会代表世話人浦野喜代美君、以上六名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず山崎参考人にお願いいたします。

山崎参考人 山崎でございます。

 今回、お招きいただきましてありがとうございます。大変光栄に存じます。

 どこでも、いつでも、的確で質のよい二十四時間安心できるサービスを、気軽に受けることのできる体制を目指すべき、今日でいうと地域包括ケアシステムの構築ということかと思うんですが、実は、これは平成元年の、厚生事務次官のもとに置かれた介護対策検討会でうたっているものでございます。当時、私、この検討会に入っておりましたが、夢のような話でございます。介護保険が具体的な公式の検討の場に入るのは平成五、六年ころだと思いますが、それよりはるかに前からでございます。

 この検討会で、私を含む何人かの委員が、中長期的な検討課題として、社会保険という仕組みを導入してはどうかという提案をいたしました。それが今現実のものになり、普及し、定着し、将来に向けて地域包括ケアシステムを構築しつつ、持続可能性を同時に追求する、そういう時代になったというふうに思っております。介護の社会化という高い理念のもとに、多くの国民がこれに賛同し、与野党の垣根を越えて介護保険を推進していただいたわけでございます。

 と同時に、私は、この介護保険は、二十一世紀の地方の時代における地方分権の推進の起爆剤であるというふうにもうたわれました、こういう原点についても、今もう一度立ち戻って考えてみる必要があるというふうに思います。

 創設過程ではいろいろ議論がありました。家族介護に対しては現金給付を導入してはどうかだとか、あるいは税方式はどうだとかという議論がありましたが、すっかり鎮静化し、今の体制が基本的に受け入れられているというふうに思っております。

 さて、私がこの介護保険の検討の場に公式に加わるようになったのは、民主党政権下の平成二十二年からでございます。社会保障審議会の介護保険部会の審議、運営にかかわりました。そして、今回の見直しを大きくサポートしてくれたのが社会保障制度改革国民会議でございまして、この国民会議でも介護保険の改革をうたっているわけでございます。

 平成十七年改正以来の大きな基調といいますと、今言いました地域包括ケアシステムの構築ということと、持続可能性の確保ということでございます。持続可能性の確保に向けて、給付と負担を見直す、費用負担の公平化を図るという路線で来たわけでございまして、大きくその路線に向けてかじを切ったのが、平成十七年改正だったと思います。サービス、それから費用負担、両面にわたって大きな改正をしました。

 平成二十二年の十一月に介護保険部会の意見を取りまとめをしましたが、サービスの充実、つまり、翌年の改正で盛り込まれます二十四時間対応型のサービスだとか複合型サービス、あるいは住まいの整備といったようなことは大きく前進しましたが、給付と負担の見直しについては意見が分かれました。さまざまな意見がありまして、結局、両論併記になりました。

 また、当時の政権与党の民主党におかれましても、給付と負担という厳しい、難しい選択はこの際先送りして、社会保障と税の一体改革の中で検討すべきというふうな位置づけでございました。

 そして、平成二十三年の改正法が成立したのが六月でございますが、その六月末に社会保障と税の一体改革の成案が取りまとめられたわけでございます。その成案では、民主党が先送りした、しばらく検討という課題にしていた給付と負担の見直しを含む社会保障の重点化、効率化に向けて、改革を進めるべきだという趣旨の成案を取りまとめているわけでございます。

 この成案を介護保険部会としてどう受けとめるかという議論をいたしました。一年前には、給付と負担の見直しについてはことごとく両論併記であったわけですが、一定の方向に収れんいたしました。

 資料でいいますと六ページでございますが、要支援者に対する給付は、二割負担を入れてはどうかという議論がありました。事務局も一旦は提案いたしましたが、これは非常に難しい、しかしながら、給付の内容や方法を見直すべきとの意見が多数でございました。今回の予防給付の見直しは、この路線だというふうに思っております。

 それから、ケアマネジメントについて、一割の定率負担を入れてはどうかという提案につきましては、賛否が分かれましたが、しかし、今のままでいいとは誰も言わなかったわけでございます。資格のあり方や質の向上を図る必要があるということで、大方の意見が一致したわけでございます。

 それから、補足給付における資産等の勘案でございますが、資産等を勘案した給付の見直しについては、若い人よりも高齢者の方が資産保有が多いこと、生産年齢人口が減少していく中で資産に着目した負担を重視していく必要があることなどから、肯定的な意見が多数でございました。しかし、実務的にはかなり難しいなという、検討課題として残したわけでございます。

 それから、一定以上所得のある者についての利用者負担の引き上げでございますが、一部にサービスの利用が長期にわたることなどから慎重な意見もありましたが、全体としては、若年者に負担を求める以上、高齢者も応分の負担をすることはやむを得ないのではないかという意見が多数でございました。

 そして、介護施設の重点化、これはまさに問題提起はありましたが、意見の集約を得られないまま今回に至りました。これは、事務局の提案として中重度に重点化したいということで、今回は合意を得たわけです。

 最後に、費用負担の見直しでございますが、一号被保険者の保険料負担の軽減、低所得者についての軽減は合意を得ましたが、総報酬割の導入については、大方の委員はこれに賛同しましたが、しかし、強い反対意見もあったということで、実質両論併記になっておりました。

 さて、そういう過程を経て、平成二十四年八月に三党合意で社会保障制度改革推進法が制定されました。

 この中で、介護サービスの範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を図るとともに、低所得者を初めとする国民の保険料に係る負担の増大を抑制しつつ必要な介護サービスを確保する、こういうことをうたいます。

 国民会議は、この基本方針を受けて議論したわけでございます。そして、その結果、ほぼそのままプログラム法に規定されまして、同時に、介護保険部会の意見もおおむねまとまりました。そして、今回の改正法案に至ったわけでございます。

 さて、この間いろいろ議論がありました。しかし、一つは、重点化、効率化という大きな方針のもとでの検討が進んだわけでございますが、この重点化、効率化という路線は、民主党政権下で検討が進められ、最終的には三党合意で成立した社会保障・税一体改革の路線に基づくものでございます。

 一体改革で、社会保障の充実は三・八兆円程度とされていますが、これは一・二兆円程度の重点化、効率化による財政効果を前提にしたものであって、それなしには予定されている充実は図れないということになっております。

 特にこの重点化、効率化が求められるのは、医療、介護の分野であります。医療では、在院日数の短縮、外来受診の適正化、介護では、介護予防、重度化予防、介護施設の重点化、軽度者に対する機能訓練等重度化予防に効果のある給付への重点化を当初から予定していたわけでございます。

 そして、三党合意に基づく改革推進法の基本方針でもそのようにうたわれ、国民会議は、今申し上げましたように、その路線のもとで審議したわけでございます。

 なお、あえて申し上げますと、実は、介護保険部会では、特に経済界や第二号被保険者を代表する立場の委員からは、もっともっと思い切った重点化、効率化を求める意見があったということを申し伝えます。

 将来に向けては、実は、そういいながらも、介護に最大の資源配分を行う予定になっています。

 これは、伸び率で見てということでございます。二〇二五年に向けて、二〇一二年を基準に、全体としては一・三六倍の給付増でありますが、介護は二・三六倍、医療は一・五四倍でございます。

 そういう中での重点化、効率化ということでございまして、これは負担者とのバランスを考えると避けられない方向だと思います。

 それから、実は、今回の改正は、地方分権の試金石として推進された介護保険の原点に立ち返って考えるべき改正だというふうにも思います。

 介護保険が市町村を保険者とした最大の理由は、サービスの利用と提供が地域で完結し地域特性がある介護分野こそ、給付と負担の関係を地域レベルで考えることができ、二十一世紀は地方の時代と言われる中で、住民自治を通して地方分権を進める突破口になり得るものと考えられたからであります。

 制度設計の面では、市町村間の被保険者の所得水準や高齢化率の違いは、調整交付金や現役世代からの支援金によって完全に調整されております。

 そういう全国民レベルの連帯による財政の支えのもとで、住民がみずからの意思でローカルオプティマムを目指すことが可能になり、さらには、当該市町村の第一号被保険者の保険料を財源として、独自の上乗せ、横出しサービスや保健福祉事業の展開も可能な仕組みとなりました。しかし、現状は、極めて中央集権的、国依存的で、国の指示待ちの自治体が少なくないわけであります。

 そういう現状からすると、国基準の画一的な給付という制約を受けることなく、地域特性に応じた市町村独自の事業展開が可能になる地域支援事業の枠組みを活用した予防給付の見直しは、介護保険が本来目指していた方向性に合致するものと思っております。

 もう一つは、予防給付の見直しでございますが、ひとり暮らしの高齢者や認知症高齢者が急増する中で、地域包括ケアを推進するには、生活支援サービスの充実が必要でございます。もう一つは、医療からの積極的な支えでございます。

 今回の改正により、多様な主体による多様な生活支援サービスの充実を図り、それを軽度者向けの新しい総合事業として介護予防、生活支援サービスに取り込むものとしたわけでございますが、これは、生活支援の担い手としての高齢者の社会参加を通した介護予防や、ボランティア、NPO、協同組合等の活動の活性化にもつながり、二十一世紀のコミュニティーづくりにも資するものであります。

 この取り組みは、市町村が中心となって、地域のさまざまな資源を活用して行うことが極めて重要でありまして、市町村の積極的な取り組みと創意工夫を大いに期待したいものでございます。

 以上をもちまして、私の意見陳述といたします。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

後藤委員長 ありがとうございました。

 次に、服部参考人にお願いいたします。

服部参考人 御紹介いただきました服部でございます。

 最初に、きょうの資料の確認をしたいんですけれども、私は、「介護保険改定のあるべき方向性 介護現場の実態に踏まえて」というパワーポイントと、参考資料として、東京都の各保険者の平成二十七年度介護保険制度改正に関する調査報告という二つの資料を提出しておりますので、その二つを見ていただきたいと思います。

 私は、大学ではケアマネジメントを十二年ほど教えてまいりましたけれども、介護保険が始まったときに、東京の渋谷区で第一号のNPO法人を設立いたしまして、介護保険のケアマネジメントだけを、サービスを持たずにやってまいりました。十四年間、私もケアマネジャーとしてやってきた者の一人でございます。

 今回の介護保険の改正の中で、現場の声を中心にしてお話をさせていただきます。

 まず、お手元のパワーポイントを見ていただきたいんですが、現在、介護保険の利用者の七二%は居宅におります。約四百七十五万人の利用者さんの中で、施設に入っておられる方が二〇%、認知症のグループホームと特定施設に八%、残りの七二%は全て居宅でサービスを利用されている方でございます。

 次のページを見ていただきまして、次は、介護給付。

 今のお話でも、介護給付が上がっている、それをどうするかということのお話がございましたけれども、介護給付は、二〇%の施設サービスに三八%、八%の居住系サービスに一一%の給付を使っております。居住系施設は二十四時間ケアですので、その分、費用がかかるのは当然でございます。ただ、七二%の居宅の方が使っている介護給付は、全介護給付の四六%であります。

 したがって、より長く在宅で暮らすことができれば、介護給付総額は大幅に削減できるということを申し上げたいと思います。

 そして、下のグラフは、居宅でサービスを利用されている方だけを取り出した要介護度でございます。

 要支援一、二で約三割、介護度一と二で四三%。今、国が重度中心型と言う場合に、要支援一、要支援二、要介護度一、要介護度二までを軽度者と規定しております。そうしますと、居宅、在宅でサービスを利用されている方の七二%は軽度者であります。この方たちに、重度中心型ということで、介護報酬、並びに今回のように要支援の中の八五%の方が利用されているサービスを介護の一割負担から外すとなりますと、居宅に大きな影響があるということをお話しさせていただきます。

 それでは、具体的に、次のページで、介護予防・日常生活支援総合事業に要支援の方の予防訪問介護と予防通所介護を変えていくということについて、お話を申し上げます。

 現在、要介護認定五百九十五万人の中で、要支援の方が百六十三万人、約二八%おられます。

 次のページを見ていただきますと、要支援の方、ことしの一月審査分で、どのようなサービスを利用されているのかのグラフでございます。要支援の、認定されてサービスを使っておられる方の、下から、四二・三%がデイサービス、予防通所介護を利用しております。四一・二%の方が予防訪問介護、ホームヘルプサービスを利用されておられます。この方々は介護保険の要支援でサービスを利用されている方の八五%であります。これらの方が、今回の、介護保険の介護給付から外れて地域の事業に変わるということであります。

 これに関して、私は十四年間、渋谷でケアマネジャーをやっておりますが、利用者さんの代表の方、要支援の方を中心として署名が行われました。

 内容としては、保険給付を維持してほしい、一割負担を維持してほしい、限度額を維持してほしいという内容ですけれども、その趣旨は、要支援者は、介護サービスと自助努力と地域の協力を得て在宅生活の継続をしている、そのどれを外しても悪化の危険があるということで、利用者さんが署名をとりまして、四月の十五日に国会に提出をし、厚生労働省にも、そのコピー、一千三十七名分を提出したところでございます。

 特に、今回、要支援の方を介護保険の全国一律の一割負担から外して、各市町村の事業に移行するということに関して、次のページを見ていただきますと、多様なサービスの担い手がやると多様なサービスができるということが今その理由に挙げられておりますが、ヘルパーさんは、訪問したときに、必ず、その方の血圧とか体調とか顔色とか熱とか、または、歩行の状態とか、きのう眠れているかどうかとか、さまざまなバイタルサインの確認をします。そして、自宅内の様子を見て、利用者さんの動作の変化や、または、その方の生活上の変化を捉えております。単なる掃除、洗濯、買い物、調理をしているだけではございません。

 ただ、家族がいれば、今、掃除、洗濯、買い物、調理は介護保険では認められておりません。

 要支援の方は、独居が多いです。逆に言えば、軽度者は、独居をすることができる、ひとり暮らしができる状態でございます。その方々が、ほこりまみれのところで生活をしたり、または、買ってくるものだけで食べていたりということで体調を崩していく。

 それに対して、専門職が入ることによって、その方の食事の内容が偏っていないか、お薬がきちんと飲めているか、昨今のように朝昼の温度差が十度以上ある中で、風邪を引かないように、脱水をしないようにということで、その方の状態に合わせて適宜必要な支援を行い、また、状態の悪化が予測される場合には、それをケアマネジャーにつなげて、その予防のために専門的な配慮をつなげているというのが実態でございます。

 これを、買い物が届けばいい、お掃除ができればいいということに変えてしまうことに対しては、非常に危惧を持つものであります。

 一つの事例を申し上げます。

 この方は、七十歳で、おひとり暮らしで、会社の仕事をずっとされてきた方ですけれども、ある日、脳梗塞で救急車で運ばれて、リハビリ病院に転院をし、退院をされました。右の上下肢麻痺。室内は、短下肢装具とつえで、または手すりで歩行ができますが、屋外は一人では外出できない方です。

 おひとり暮らしですので、起き上がりに関しては、ベッド柵につかまって起き上がれる。床からの、お布団からの立ち上がりはできない状態です。

 排せつに関しては、トイレに手すりをつけて、または自動のトイレの洗浄を導入することによって、御自身でトイレに行って排せつをし、後始末をすることができます。お食事も、左手で自助具を使いながら、ある程度の大きさのものであれば食べることができます。

 掃除に関しては、座った状態でテーブルを拭いたり、または座った状態で片手で掃除機を使うことはできますけれども、お風呂場のすのこを上げたり、狭いトイレをかがんで掃除したり、掃除機を使うと、片手ができないということで、できない状況でございます。

 また、外出、通院等は一人でできない。調理の下ごしらえ、例えばカボチャを切ったりタマネギをむいたり、こういうことができないという状態の方でございます。

 この方は、要介護度二で退院をされました。

 その次のページに、その方のケアプランの中身でございます。

 目標は、リハビリで回復を目指して、生活のできる範囲を広げるということで、病院に通院をしてリハビリを受け、訪問看護の在宅のリハビリで、装具をつけて屋外に歩行する訓練をしております。

 送迎は、通院乗降介助という介護タクシー、介護保険を使っております。

 転倒を予防して、できる家事をふやそうということで、屋外は一人では歩行できませんので、買い物は、ヘルパーさんについていただいてしております。生協等の個配を利用して、下ごしらえに関してはヘルパーさん、お昼は配食サービスを利用して、掃除は、できるところはするけれども、できないところはヘルパーさんに援助を受ける。洗濯も、洗濯機でできるんですけれども、大きいものを干すときだけは協力を得るということをしております。

 入浴に関しては、一人ですることができませんので、理学療法士さんの指導を受けながらヘルパーさんが一部介助をする、または、住宅改修で、すのこやシャワー椅子を導入する。

 体調の管理に関しては一人でできる。緊急通報は市町村から導入をする。

 おひとり暮らしで、両親は亡くなっておられますけれども、遠方の御家族が年に二回来ることによって、夏物と冬物との入れかえ等のケアをしております。御近所の方が緊急対応をしております。

 この方が二カ月で要支援に変わりました。これは、介護保険の改定が、要介護一が要支援二に移行するということの制度をしたことの結果でございます。区分変更で却下、東京都に不服申請で却下ということでございました。

 次のページを見ていただきますと、この方の要支援のプランでございます。

 この方は、通院は、通常のタクシーをマンションの友達にとめてもらって、病院にはコーラス仲間の友達に順番で迎えに来てもらって、そして一緒に低床バスで帰る。

 買い物に関しては、ヘルパーさんと一緒に行くと時間がかかるので、ヘルパーさんに依頼をせざるを得ない。そして、調理の下ごしらえを行っていただく。

 自宅では、予防訪問リハビリに入っていただいて、御自身でできる家事の努力をし、または、リハビリ病院で個人のトレーニングプログラムをつくっていただいて、それを活用して自分でリハビリをする。

 掃除に関しては、介護保険のサービスが足りないので、社会福祉協議会の有償ボランティアさんに依頼をする。そして、遠方の家族が年に二回ぐらい来る。

 こういう要支援のプランでサービスを使っております。

 これを見てもわかるように、ここで、グリーンは介護保険のサービスです。茶色はお友達とか自主トレーニングとか有償ボランティアとか遠方の家族のサービスであります。そのほか、赤が介護保険の医療的サービスであります。

 お掃除のボランティアさんに関しては、その方がやめた後、四カ月間交代の方がいない、そういう実態もございました。

 その下で見ていただくように、一人でお風呂に入るための訓練をするために、トレーニングの訪問リハの方に入っていただきながら、ヘルパーさんが見守りながらお風呂に入る訓練を六カ月間続けて、一人でできるようになるまでをやってきたというのが実態でございます。

 そしてまた、その方が今後の要支援の地域支援事業に変わったときにどうなるかということで、もう一つの、東京都の保険者に対する、ケアマネジャー、東京都の介護支援専門員の資料を見ていただきたいと思います。東京都の全市町村に対して、予防給付の地域支援事業への移行についてどうなのかということで質問をしております。

 四ページを見ていただきたいと思います。

 四ページの上は、地域支援事業への検討をしている市町村は一〇%、一割でございます。検討していないのが東京都の市町村の九〇%。

 そして、現在、要支援者のケアマネジメントに関しては予防給付を提供している、九二・五%というのが実態であります。一市町村のみが介護予防・日常生活支援をやっているということでございます。

 次のページで、新しい地域支援事業へ移行された場合どうなのかということで、市町村の五七・五%が影響がある、影響がないと答えている市町村はゼロであります。

 その次に、予想される影響とは何かという五ページの真ん中のグラフを見ていただきますと、苦情対応の責任主体が曖昧となる、四二・五%、健康状態の悪化を招く、三二・五%、不満や苦情の対応に追われる、二五%、これが市町村の回答でございます。

 次のページを見ていただきます。

 予防通所介護の代替案があるかということに対して、東京都の市町村の八二・五%が未定であるというふうに答えております。

 そして、次のページを見ていただきますと、訪問型サービスの代替案に関しても、八〇%が未定という結果が出ております。

 移行後に不足のサービスも、予防訪問介護なり通所介護が不足するという回答でございます。

 この実態を見ても、地域支援事業に移行するという体制がない中で、または、移行したとしても専門職のサービスが入っていない中で、この方たちの悪化、苦情、不満、または不足サービスへの対応に追われるというのが実態でございます。

 そのことを現場の実態として申し上げまして、ぜひ皆さんに現場の実情を聞いていただきたいということで、発言にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

後藤委員長 ありがとうございました。

 次に、武藤参考人にお願いいたします。

武藤参考人 国際医療福祉大学大学院の武藤と申します。

 きょうは、厚労委員会にお招きいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、限られた時間ではありますけれども、「地域包括ケアシステムにおける看護師、薬剤師の役割と課題」ということで資料を用意しましたので、ごらんください。

 簡単に自己紹介しますと、私はもともと外科の医者なんですけれども、今、大学院では、医療提供体制とか診療報酬に関する研究を行っております。同時に、私は、臨床医としても、今、栃木にあります私どもの国際医療福祉大学の中にありますクリニックで診療を行っておりまして、地域の皆様方を診させていただける、そういう現場の立場からもきょうは発言させていただきたいと思います。

 まず、資料を見ていただきたいと思います。

 この資料の一ページ目ですが、地域包括ケアシステムの構築が本法案の中心課題、これは間違いないところでございます。地域包括ケアシステムの課題、キーワードには幾つかありますけれども、一つは医療と介護の連携、それから多職種の協働によるチーム医療、これが大きな課題となっております。

 次のページをめくってください。きょうは、この中でも、看護師とそれから薬剤師の多職種協働の中における役割についてお話ししていきたいと思います。

 まず、看護師であります。

 今回、地域包括ケアシステムの中には二つの新規サービスが導入されました。一つは二十四時間対応サービス、もう一つは複合型サービスであります。これは鳴り物入りで入ったんですけれども、現在、後でも述べますけれども、看護師、特に訪問看護ステーションの不足等によるサービスの伸び悩み、ちょっと黄色信号が点滅している、そういう状態であります。

 まず最初のサービス、二十四時間対応定期巡回・随時対応サービスですね。これは、御承知のように、真夜中の二時でも三時でも、在宅の患者さんが夜間の体調急変とか転倒によって負傷した場合、訪問看護師さんたちがまず駆けつける、こういうサービスですね。

 これも、現在、二〇一四年現在ですけれども、一日当たり一・七万人のサービス供給を行っていますけれども、これが、私も団塊の世代ですけれども、団塊の世代が後期高齢者になる二〇二五年、何と十五万人、一日当たりですと十五万人のサービスが必要だということが言われております。このネックになっているのが、看護職員の確保とか訪問看護事業所との連携ということが言われております。

 では、次のページをお願いします。

 二番目のサービス、これは複合型サービスですね。これは、認知症のケアに非常に優しいというサービスですけれども、いわゆる小規模多機能に訪問看護を組み合わせた、こうしたサービスであります。これも、現状、二〇一三年に、この利用者数が何と千四百人ですよ。今現在、認知症八百万人と言われている時代に、まだまだ、今後こういうサービスの拡充が望まれるところであります。この複合サービスの問題に関しても、やはり看護師の確保と訪問看護との連携の確保が課題になっているということであります。

 それでは、訪問看護事業所の現状と課題について見ていきたいと思います。ページをおめくりください。

 まず、訪問看護事業所数の推移ですけれども、現在、平成二十五年度ベースでもって、全国六千五百十九カ所ございます。今、少しずつ訪問看護ステーションは伸びているんですけれども、一方、医療機関に併設されている訪問看護サービスが減少傾向にある、そういうことであります。

 この下のスライド番号の八番を見てみますと、課題は、この訪問看護ステーションは小規模なところが多いんですね。大体五人以下のところが半数以上を占めておりまして、こうした小規模なところはなかなか二十四時間対応サービスができない、こうした問題がございます。

 次のページをめくっていただきますと、訪問看護ステーションの現状のまとめですけれども、訪問看護を必要とする者は増加しております。しかし、小規模な事業所が多いこと、またその非効率性、それからスタッフの負担等が課題になっております。

 次のスライド番号十番ですけれども、また、処遇の問題がやはり大きいですね、訪問看護職員の給与の問題。病院の職員、病院の看護師さんから比べて、月額二万円から二・五万円ぐらいの給与ダウンが起こる、こうした問題も指摘されております。

 次のページです。

 今回、平成二十六年度診療報酬改定で機能強化型の訪問看護事業所が導入されました。これは、訪問看護事業所に五名あるいは七名以上、そして二十四時間対応なところに関して手厚い診療報酬でもって評価をしていく、こうした試みであります。これの伸びが期待されるところであります。

 次に、ちょっと海外の事例を御紹介しますと、私は米国ニューヨーク市に臨床留学いたしまして、そのときに経験したことでもありますけれども、ニューヨークでは非常に大規模な訪問看護ステーションがございます。ビジティング・ナース・サービス・オブ・ニューヨークということであります。

 次のページを見てください。

 このニューヨーク訪問看護サービスは、スタッフ数が何と一万九千人という巨大訪問看護ステーションです。その中には、正看護師さん、リハビリセラピスト、ソーシャルワーカー、ヘルパー等、多職種でもって訪問を行う、これが非常に重要であるわけであります。そして、この一万九千人のスタッフが平均一日三万五千人の在宅を見ている、そうしたことですね。

 その下の都道府県別の高齢者人口の増加数を見てください。

 もう御承知のように、これから起こる団塊の世代の高齢化は首都圏及び大都市圏で起こる、これはもう間違いないことですね。

 次のページをめくってください。

 人口十万人当たりの都道府県別訪問看護事業所数ですけれども、何と、最も必要とされる首都圏において大きなくぼみがあるわけですね。つまり、大体、医療提供体制というのは西高東低ですけれども、訪問看護ステーションに関しても極めてその傾向が強くて、特に高齢化が問われる首都圏において訪問看護ステーションの数が少ないということであります。ニューヨークの巨大訪問看護ステーションとは言いませんけれども、大規模な訪問看護ステーションの増加が期待されるところであります。

 次に、看護師数の就業場所別を見てみますと、現在、訪問看護事業所には三万人の訪問看護師さんが働いております。これは、全体の看護師の百四十九万人のうちのたったの二%にすぎません。こうした状況を改善していくことが喫緊の課題というふうに思っております。

 次のページであります。

 今回、この法案でも特定行為が議論されておりました。この特定行為の四十一項目の中の詳細を見てみますと、在宅に関連した項目が極めて多いですね。ですから、今後、在宅の訪問看護師さんにはこの特定行為の研修を受けていただいて、その機能をフルに発揮していただくということが肝要だと思います。

 では、次に、薬剤師さんの役割について述べていきたいと思います。次のページをおめくりください。

 現在、薬局及び薬剤師を取り巻く環境の変化は極めて著しいということがございます。今日、医薬分業が六六%を超えて、量的にはかなり拡大してまいりました。そして、保険薬局数も五万六千件となりました。そして、保険薬局に働く薬剤師も十四万人近くという巨大なマンパワーになっております。そして、薬学教育が六年制となり、薬剤師の臨床薬剤師としての能力も高まっております。

 次、スライド番号二十番ですけれども、現在、ただ、この薬局薬剤師の一人当たりの処方箋枚数が実は減っているんですね。つまり、薬局のこうした業務が、ある意味飽和状態にあるということであります。

 では、こうした薬局薬剤師の次なる新たな役割は何かと申しますと、次のページを見てください。

 次世代の薬局薬剤師のモデルは、東京都薬の会長の山本信夫さんが言っているように、在宅にほかなりません。私も時々、在宅を同行でもって診させていただいておりますけれども、おうちに行きますと、お薬、ここの「残薬の確認と整理の実例」にありますように、とにかく残薬が多いですね。何と、残薬の薬剤料は推計四百億円というふうに言われていますけれども、訪問時に驚くほどの飲み残しがあります。こうしたこと等を最初に整理するのが薬剤師さんの仕事というふうに考えております。

 次のページをおめくりください。

 在宅での薬剤師業務、これはさまざまな業務がありますね。私も多職種でもって世田谷のある在宅診療所と一緒に回りましたけれども、薬剤師さんが同行していただくと大変助かります。かなりの部分が、薬に関することが多いものですから、薬剤師さんの力の発揮どころと思います。

 そして、次の特養での多職種連携。これも、今、年々特養の重度化が起こっております。この中でもって、医薬品の管理、これに関する薬剤師さんの働きが非常に重要であります。

 次のページであります。

 高齢者向けの住宅、施設の入所者における薬剤関連の問題です。

 先ほどの特養の問題もそうですけれども、およそ施設側から見て、薬学上の問題があるとされた入所者の割合は二割に達しております。具体的に申しますと、さまざまな医療機関から処方がされていますから、重複投与の問題、それから薬同士の相互作用の問題、こうしたことに関しては、薬剤師さんの介入がぜひとも必要というわけであります。

 ただ、残念ながら、在宅患者訪問薬剤管理指導、つまり、在宅訪問してくれる薬局が非常に少ない、まだまだ少ないということです。このアンケートによりますと、一六%ぐらいしかなかったということであります。

 次のページであります。

 薬局が在宅医療・介護にかかわる上での課題は、まず、小規模な薬局が多いものですから、薬剤師さんの数が少ない。ですから、なかなか、一人で店番をしていますと、そこから在宅に出ることはできません、そうした問題。それから、休日、夜間の対応がなかなかできない、そうした問題がございます。

 次のスライドは、薬物療養提供体制強化事業。これは去年度から始まりましたけれども、現在九カ所でもって行っております。

 これは何をやっているかといいますと、特に関心を持っているのは、最近、抗がん剤の治療を在宅で行う、非常に高度な薬物治療を在宅で行うことがふえてまいりました。

 次のページであります。

 在宅で抗がん剤治療、例えば大腸がんのフォルフォックス療法なんかを、何と、これだけの種類のたくさんの医薬品を使って、在宅で行う。こうしたことには、まさしく薬剤師さんの介入が必須であるわけですね。

 確かに、平均在院日数がどんどん短くなっていますから、従来でしたら病棟で行われるような治療が在宅でも行われる。こうしたときには、地域の薬剤師さんの活躍が非常に必要だということです。

 これからの地域包括ケアにおける課題は、医師と薬剤師の共同薬物治療管理、これが重要だと思っております。

 簡単に言いますと、CDTM、コラボレーティブ・ドラッグ・セラピー・マネジメントなんですけれども、これはもう欧米では法制化されておりまして、医師と薬剤師が共同実務契約を結びまして、共通のプロトコルをもとにして、薬剤師さんがある程度の自由裁量でもってさまざまな薬物治療に関与できる、こうしたことが今後とも検討の必要があると考えております。

 最後のページをめくってください。

 これは、人口当たりの就業薬剤師数の国際比較を見てみました。現在、日本は人口千人当たり薬剤師数、一・三六人、何とOECD統計の中でトップを占めているんですね。医師は、OECD統計の中でも、大体二十三位とか二十四位とか、非常に下の方なんですけれども、薬剤師さんに関しては、今や、日本はえらい薬剤師大国になってしまっております。

 ぜひとも、薬剤師のマンパワーを在宅医療にシフトさせることが、地域包括ケアを成果あるものにするのに非常に重要だと思います。つまり、医師、薬剤師、看護師の多職種協働で、この地域包括ケアの花を開かせたいと思っております。

 以上であります。(拍手)

後藤委員長 ありがとうございました。

 次に、新田参考人にお願いいたします。

新田参考人 新田でございます。

 本日は、こうした席に呼ばれまして、ありがとうございます。感謝しております。

 本日の私の要点は、まず第一に、要支援、要介護に対する認知症の取り組み、そして、国立市における介護保険事業計画、そして三に、医療と介護の連携、四番目には、在宅医療における私自身の取り組みということで、私自身、国立において二十四年間在宅医療をやってきて、国立の介護保険事業計画、介護保険が始まる以前からそこにかかわらせていただいた、そういった状況から、本日の話にしたいと思います。

 まず、国立というのは、皆さん御存じないかもわかりませんので簡単に説明しますと、これから東京郊外型で一番重要な場所、いわゆる二五年から四〇年に向けて一番重要な場所になるだろう、二十三区プラス、そのように感じております。

 国立市は、現在、人口七万四千、高齢化率は二一・一五という平均的な町でございます。三枚目でございますが、その中に占める高齢者全体の割合としては、七十五歳以上の方が七千七百三名、一〇・三%でございます。そして、その概要でございますが、認定者全体はその中で二千九百六十三名。要支援一、二が、それの中で、この図で見られますように、半数以上を占めております。

 国立市における介護保険の、最初、十年前ですか、介護保険が始まったときの要支援一、二、要介護一の平均年齢は七十八、九歳でございました。現在、要支援一、二の平均年齢は八十一歳と高齢化をしております。その意味で、要支援一、二、要介護一に対するサービスの適用というのは、介護保険のみではなくて、全ての面から見たサービスのあり方、そして地域の問題というのは重要なことだというふうに認識しております。

 次に行きます。

 七十五歳以上の要介護認定状況マップがこのようにできております。

 七十五歳以上の在宅の方は七千二百八十二名、認定者以外が五千百四十名。ということは、介護予防を含めて、この人たちも含めて我々の国立にとって重要な人で、今後の総合支援事業ですか、それにかかわる対象者でございます。

 そして、認定者が二千百四十二人でございますが、認知症以外の人は千八十七名。その中で、認知症独居の方が二百八十八名、これは戸籍上等々の独居で、実質調べまして、五十六名。今、五十六名の人が、国立の七万四千の町で純粋な独居の方がいます。

 現在、五十六名の方を徹底して検証して、そして今モニタリングをして、認知症における在宅の限界も含めて、どのような人がもう無理だと施設に入所するのか、あるいは何が原因なのかということを調べている途中でございます。

 次ですが、現状から二〇二五年に向けて、我々としては、対応の一として、認知症高齢者への対応、認知症ケアモデルをやはり我々の市の中で徹底してつくる必要があるだろうと。その中に、認知症予防の問題も入っております。

 では、認知症予防というのは何なのかといいますと、認知症予防が果たして明確かどうか、エビデンスがあるかどうかというのは非常に難しい問題ではありますが、これはやはり参加型の日常生活が必要であろうということで、後に示します、国立にさまざまな場所がありますので、そこへできるだけ参加をし、まあ参加をするということの動きですね、食と運動等、そういった参加モデルをつくり上げていく。その中で、あっ、あの人おかしいなと、認知症になってきたら、そこに地域が付き添うという形のモデルが必要だろうと思っております。その意味で、認知症高齢者の地域生活を支えるケア体制が重要だと思っています。

 さらに、認知症高齢者を徹底して検証していく。先ほど言いましたように、この人たちが今、単独あるいは老老の人たちがふえておりますので、独居生活が三〇%、そして老老が六〇%いますので、そういった人たちを徹底して検証していく必要があるだろうと。そして、その方たちが重度化した場合、そのときの心身状態に応じた地域ケアの構築を進めていく体制を今考えております。

 そのために、サービス基盤というのは、単にいわゆる事業者サービスではなくて、地域におけるインフォーマルも含めたサービス、住民を含めて、その人たちをどう巻き込んでいくかということが重要であろうというふうに思っています。

 そして、医療サイドからの取り組みとしては、昨年やりました認知症支援診療所型、いわゆる診療所型モデル。認知症には、中核病院構想がありますが、二次医療圏だと非常に広いものがあります。そうすると、極めて小回りのきく診療所型モデルが重要だと私は考えています。そこで、早期診断そして初期、認知症の方が何か問題があった場合に早期に認知症チームが動くという体制が必要であろうと思っております。

 その次のページでございますが、現在、認知症関連施策として、以下のこのような状況が市にあります。これは、私たち国立だけではないと思います。各市でこういった事業をいろいろ頑張っていると思います。

 ただ、私たちのところでは、例えば国立市認知症の日というのをつくりました。昨年二回目で、ことし三回目。これは市民向けで、認知症理解が不十分、認知症になると地域に住めないという方が住民に多いので、そういった人たちに対して認知症の周知をする、理解をしていただくということで、毎年行うことにしております。

 そのことを行ったのは、例えば、多職種連携、わが町認知症アクションミーティングを開きまして、市民も含めて、我々の町における認知症の課題は何かというふうなことで行った結果、そのような認知症の日もつくりましょうということでございます。

 さらに、ここでいうと認知症カフェ。さらに、認知症対応チームというのを昨年四月につくったわけでございますが、後で述べます、国立は地域包括支援センターが一カ所でございます。そこに我々の医療と結びついた認知症チームがありまして、そこに情報が入れば即そこのチームが動く、そして早期に対応する。それは、認知症の本人対応だけではなくて、家族も含めた対応というふうに考えております。

 それで、先ほど言いました認知症支援診療所モデル。そして市民勉強会でございますが、後でこれも図で説明しますが、本当に理解していただくには市民との対話が重要だろうということで、市民勉強会も行ってきました。サポーター養成講座は、どこでもある体制でございます。

 その次でございますが、先ほど述べました認知症支援チームとモデル事業のイメージでございます。まずこういった相談が来て、それで対応、地域包括支援センター、在宅医療相談窓口を含めて対応するということのイメージ図でございます。

 その次でございます。認知症アクションミーティングの活動の例でございますが、単にデイサービスではなくて、この方たち、家族も含めて、いつでも集まれる場所、認知症カフェも含めてそうでございますが、こういった場所を明確にして、さらにふやしていこうというふうに思っています。

 次でございます。認知症市民勉強会、昨年一年間で十一回やりました。

 小さな町でございますが、一カ所一カ所が違った住民の顔が見えました。そこに参加するお母様、お父様方の、非常にそこで頑張る人たち、この人たちをそこでどうピックアップするか、それでどう市民に参加していただくか、これも重要な話だろうと。そして、この中で、認知症の話、かかりつけ医の話、そして死に方の問題、どうやって皆さん亡くなるんだろう、最期の問題、終末期の問題。こういったことを対話形式で十一回やって、さらにことしも、今度はほかの専門職、訪問看護師とか介護士とか等々を含めて一緒に回って、またこのように二周目を回って、市民と一緒に考えていく計画をしております。

 次のは、国立市認知症の日でございます。

 結局、認知症を問題にしたのは、これからの問題は認知症がやはり一番重要な問題と同時に、町づくりの基本だろうなということだと思っておりますから、町づくりの基本に認知症というのを置いたということでございます。

 さて、その次の話でございますが、介護保険という問題があります。

 介護保険という問題に対して、対応の二として、要医療、重介護の高齢者や認知症の高齢者を地域で支えていくためには、従来の在宅サービス、ケアマネジメントのままでは対応ができないということで、重度化対応、中重度者の在宅支援をしようと。

 例えば施設においては、もう既に二十年前に、ある意味では、施設ケアがいい悪いではなくて、でき上がっています。その意味で、在宅ではなかなか困難である、さらに、独居生活とか老老において基本的なところができていないところもあります。こういったことをどうしようかということでございます。

 その意味では、医療と看護、介護との統合だろうなというふうに思っています。統合というのは、同じベクトル、方向性を持つという意味において価値観を共有化して、この人たちがどうやって生活していただくか、生活を支えるのかという概念が必要であろうというふうに思います。さらには、在宅という自分の家だけではなくて、グループホーム、小規模多機能等の問題も必要であろうというふうに思います。そのために、質、量ともにサービスをつくらなければいけない。

 さらに、ホームヘルプ機能の分化でございますが、例えばオランダにおいて、一から五段階あって、一の方は生活支援、例えば掃除と洗濯だけをする、二の方はさらに身体介護をする、三の方は、日本の看護にちょっと当たる人で、少し医療、そして四、五となっております。こういったものを、単に分化だけの世界では、今の日本の現状ではとてもやっていけない。そういう意味で、明確に分化すると同時に、キャリアアップしてこれも統合する。例えば二の人と三の人が一もやることも必要なんだろうなというふうに思っています。それぞればらばらなサービスが入ってもどうしようもないなというふうに思っております。

 次の話でございますが、地域包括システム構築に向けた支援のあり方で、平成十二年から十七年、介護保険がずっとつくられましたが、この間、いろいろな問題がありました。

 例えば、一期の問題は、委託型の在宅介護支援センター、これではやはり対応能力に限界がありました。それで基幹型をつくりました。しかしながら、基幹型も総合調整能力に不足がありました。それで、三、四期の介護保険事業計画で、ここは予防重視型になりました。ただ、予防重視型になって、二〇〇六年改革は、私はある意味でうまくいかなかったと。

 それはなぜかというと、介護保険枠内のサービスしかなかった。例えば、週一回サービスをして筋トレをする。いわゆる介護予防というのは毎日型の参加ですよね、これによって成り立つものだ。週一回筋トレをしても、よくなるわけがありません。こういったような基本的な問題がここにも隠されている。

 そういう意味で、委託型では無理だということで、五期において、地域包括体制のために直営基幹型をつくられました。そこで全てのことをやっていくということになっております。

 このように、地域包括ケアというのは、各市に入ってみればさまざまな問題があります。形だけをつくられて、はい、それでいいのかというと、やはりそれはハードだけがあって中身が機能しない。こうしたものを幾らつくっても、日本は無駄な財源論というふうに思っております。

 その意味で、次ですが、国立市第五期事業計画の中で、こういった前回の事業計画の中にすべてを入れさせていただいた話でございます。ここにあるのは、医療、介護の連携、そして家族介護の現状と問題点ということで、在宅療養においてこれを図るためにどうするのかということを述べております。

 二枚目で、二枚目も課題ですが、在宅療養のための連携システムの構築、多疾患に対応した連携システム、研修を通じての良質な関係づくり等々を含めて書いております。

 それで、次ですが、真ん中の十二行目でございますが、このような在宅療養推進のための提案を介護保険事業計画の中で出させていただきました。主体的な取り組みの一環として、上乗せサービスを行ったわけですね。一〇%上乗せサービスを行ったんですが、実は、これは、それを利用した人たちをさらに検証しました。現在はもうやっておりません。検証した結果、さらにつなげようと。在宅で、今の介護保険がうまく機能するかどうかということでございます。最終的に、二十四時間安心して在宅療養を行うことが可能な体制の構築に向けてということを考えます。

 最後の方でございますが、状態像によって、要支援から要介護二までの方と要介護三から五までの方にやはり分けるということも重要かなと、統一化するのではなくて。要支援から要介護二までの対象者は、現在の身体能力を維持して、自立した生活の継続を目指した介護保険法の、プラス以外ですね、それ内外の支援や社会活動参加の機会が必要であって、こういったことをまた考えていくということが重要だろう。要介護三以上の方にとっては、本人の介護サービスの満足度とか、家族の介護負担の軽減をする、こういうようなことでございます。分けてやろうと。

 最後のページでございますが、認知症の話に移っております。参考としていただければと思います。

 在宅療養の支援体制づくりはこのように行ってきております。平成二十年からでございまして、これは、さまざまな都の援助、国の援助を含めて、現在、市と一緒になり事務局をつくり、体制をつくり上げております。

 医療と介護の連携でございますが、地域ケア会議等々言われていますが、これは形骸化しちゃいけないという話でございます。国が出したものに対して、地域でそれをうまく利用する、再構築していく。私たちはその中で、老人会、市民も含めて参加して、そして多職種全部含めて、その中で目的を達するということになっております。

 最後でございます。

 在宅療養というのは重要なことでございまして、一枚ページがありますが、在宅療養の診療報酬は、一九九二年に寝たきり老人総合診療料ということになっております。そして、私自身二十五年間やってきましたが、最初、在宅医療というのは社会的入院の是正から始まりました。しかしながら、今は、新しい第三の医療として恐らく成立することだと。一枚のぺらぺらの用紙でございますが。それで、その中でやはり、医療だけではなくて介護保険を含めたケア、共有するということが重要だろうというふうに思っています。

 その意味で、一番大切なことは、医療は、いわゆるだめになった機能よりも残存能力、この人にとって残された能力、例えば認知症の方で残された能力は何か、片麻痺で残された能力は何か、そのことを明確に生活支援につなげる医療ということが重要だというふうに思っております。

 どうもありがとうございました。(拍手)

後藤委員長 ありがとうございました。

 次に、田部井参考人にお願いいたします。

田部井参考人 認知症の人と家族の会の田部井と申します。このような場を与えていただきまして、感謝したいと思います。

 私は、認知症の介護家族の立場から、今回の法案に盛られております、要支援の人を介護保険の予防給付、通所介護と訪問介護ですけれども、その対象ではなく市区町村の支援事業の対象とするという案を撤回してほしいということを、認知症施策と関連させて述べさせていただきたいというふうに思います。

 私どもの認知症の人と家族の会は、まだ認知症施策がほとんどなかった三十四年前、一九八〇年に、せめて同じ介護者同士、励まし合い助け合おうというふうな呼びかけに応じた介護者が京都に集まって、発足をいたしました。当事者同士で励まし合ったり助け合ったりすることを大きな力としながら、社会的な支援制度ができることをずっと願ってきました。

 二〇〇〇年になりまして、ようやく介護保険制度が誕生するということになりました。多くの人がこの制度を望んだわけですけれども、介護者としても、たとえ負担がふえてでもいいからよい制度をつくりたいというふうに率直に思ったものであります。生きているうちにこれほどの大きな改革にめぐり会うことができたということに、私は感動すら覚えたのを記憶しております。実際に制度が動き出しまして、この制度ができてよかったというふうに、多くの介護者がその恩恵にあずかれることを喜んだというふうに思います。

 この制度を充実させていくことができたらば、本当に介護の社会化ということも実現できるのではないかというふうな期待を抱きました。その思いというのは、十四年たちました今でも変わることはないと思います。私たちは、介護保険制度を誰よりも大切に思っているというふうに思います。

 ですけれども、今、介護保険制度が介護の社会化に向けて確かな歩みを続けているというふうに実感できている介護者がどれだけいるでしょうか。制度があってよかったという声は次第に小さくなってしまって、最近では、むしろ不安とか使いにくさというのを訴える声が多くなったというふうに思います。

 制度が定着をしまして利用者がふえたことを理由に、財源不足が叫ばれるようになりまして、社会保障を維持するためにはどうしても必要だということで、この四月から消費税が八%に引き上げられました。私たちも、財政が厳しいということはよく知っておりますので、消費税による財源が生まれたからといって、これで制度が充実するというのは率直に言って無理だろう、いたし方ないというふうに思っておりました。ですけれども、せめて介護保険制度の負担と給付の現状は維持されるのではないかというふうに期待していました。

 ですけれども、その思いも、今、裏切られようとしているというふうに思います。消費税という新たな負担がふえた上に、さらに制度利用上の負担がふえたり給付が削減されるということは、私は道理に合わないと思います。現在審議中の法案に盛り込まれた、要支援の人を市区町村の支援事業に委ねるとの施策というのは、その最たるものではないかというふうに考えております。

 まず第一に、この制度が導入されるとすると、制度利用の入り口というのが狭められるということが大きく危惧されます。

 もともと、現在の認定制度においても、認知症は適切に評価されず、要介護ではなく要支援と認定されることが少なくありません。要支援では、質、量ともに必要十分なサービスを受けることができません。家族の会は、サービス利用の必要度を決定するために新たな方式も提案しておりますけれども、当面の策として、認知症の自立度が2a以上と判定された場合には、自動的に認定が要介護一以上になるようなシステムに変更するよう改善を求めておりますけれども、残念ながら、それもいまだ実現されていません。

 そういうことによって、今、要介護一の利用者は、認定の更新のたびに、要支援になるのか要介護一になるのか一喜一憂しなければならず、また、要支援と要介護を行ったり来たりすることで、その手続の煩雑さに悩まされているのが実情です。

 現状でもこのように制約を受けている上に、新たな制度が導入された場合には、制度利用の入り口で、基本チェックリストというものによる選別が導入されようとしています。現在の認定システムよりもさらに簡便な基本チェックリストが導入されることによって、要介護認定にすらたどり着けなくて、認知症の人はますます適切なサービスを受けられなくなることが懸念されます。

 厚生労働省の資料によりますと、要支援認定を受けなくとも地域で暮らせるというふうな文言が認められますけれども、私どもとしますと、要介護と認定されてフルにサービスを利用しても在宅での生活は難しい、厳しいという現実の中で、このような文言というのは非現実的と言わざるを得ないというふうに思います。

 制度利用の入り口を狭めることは、制度の重大な後退と言わなければいけないというふうに思います。

 それから次に、認知症の初期の支援の重要性ということについて申し述べたいと思います。

 認知症の場合、とりわけ初期の支援が大切なことは皆さんも御存じのとおりというふうに思います。初期に適切な支援があってこそ、認知症の心理的な症状や行動的な症状が出ることを少なくすることができ、重度化を予防することができます。

 心理的な症状や行動的な症状が続き、またたび重なることによって、認知症の人本人あるいは家族は疲弊してしまいます。家族の会の調査によりますと、八割の介護者の人が、認知症の人に優しくできない自分に嫌悪を感じることがあるというふうに回答しています。私どもの会は、どちらかといえば比較的介護に熱意のある介護者の集まりだというふうに自負しておりますけれども、その私どもの会の介護者であっても、そのような厳しい現実に直面しているというふうに言えると思います。

 疲弊してしまって精神科に頼らざるを得なくなってからたとえ症状が改善しても、もう一度あの大変な思いをするのかというふうに考えると、退院の勧めにもちゅうちょしてしまうということにもなりかねない現実があります。重度化してから幾ら手厚い支援を受けても、もとの生活に戻すのは難しいというのが現状です。本人や家族を不安に陥れ混乱させる心理的な症状や行動的な症状ができるだけ出ないようにする、出ても早期に解消する、あるいは軽いレベルにとどめるための初期の手厚い支援が不可欠だというふうに思います。

 そのための具体的な施策としまして、オレンジプランの中に掲げられています認知症地域支援推進員の配置や認知症初期集中支援チームの役割は、極めて大きいというふうに期待しています。ケアマネジャーだけではカバーできない初期の支援にこうした施策が全ての市区町村で実施されたら、どれほど心強いことかというふうに思います。私は、認知症初期集中支援チームのモデル事業を実施しているある自治体の検討委員に加えていただきまして、チームの活動ぶりの報告を聞いて、一層その感を強くしています。

 しかし、残念ですけれども、これらの取り組みも、これまで以上に数多くの、私なんかでも理解しがたいほど複雑に入り組んだ市区町村事業の中の一つに組み入れられようとしています。どうしてこんなにも制度を複雑にしなければいけないのかなと率直に思います。

 厚生労働省は、初期集中支援チームや認知症地域支援推進員の配置は、市区町村の必須事業として予算も確保するというふうに言いますけれども、こんなにも複雑な新しい事業に取り組まなければいけない市区町村にしてみたらば、その制度に取り組むだけでも手いっぱいになることは目に見えているというふうに思います。

 そんな中で、まだ生まれて間もなく、その有効性について介護家族が期待するほどには共通認識となっていない新しい初期集中支援チームや認知症地域支援推進員の配置を、どれだけ優先順位を高くつけて実施していただけるか。そのことについて、大きな懸念を持たざるを得ません。

 せっかく緒についた初期の支援の施策というのが、この新しい制度との混乱の中で停滞してしまう、あるいは後退してしまうということを、私どもとしては非常に危惧しています。

 それから、従来、今の状況ですと、要支援と要介護を行ったり来たりしても、同じ事業所で同じ通所介護を受けることができますけれども、これが新しい制度になったときに、果たして、市町村事業と介護事業との一体性とか、そういう継続性というのがどれだけ保たれるのかということについても、大きな危惧を感じざるを得ません。

 これまで以上に充実させるのでなく、停滞をさせてしまったり、あるいは後退する危険も非常に大きい市区町村事業への移行というのは、ぜひやめてほしいというふうに私どもとしては考えています。

 そういう認知症介護が置かれた状況を示す裁判について、ちょっと触れさせていただきたいというふうに思います。

 去る四月の二十四日に、私たち介護家族に冷水を浴びせるような裁判の判決がございました。名古屋高等裁判所が、JR東海の事故で死亡した認知症の人の遺族に再び損害賠償を命ずる控訴審判決を下しました。主たる介護者であって、高齢であり、その人自身も要介護一の奥さんが、数分まどろんだすきに認知症の夫を外に出してしまった、その介護に落ち度があるという一審の判決を追認したものであります。

 私たちは、この判決を聞いて、深く落胆するとともに、強い怒りを覚えています。この判決を知ったある介護家族は、私なら到底生きていられない、裁判所や社会に恨みの言葉を残して死ぬしかないというふうに訴えています。

 その上、JRは上告をいたしましたけれども、私は、このJRの姿勢というのは、社会的な責任の放棄に等しいと言わざるを得ないというふうに考えております。

 こうした環境の中で多くの家族は介護を担っています。認知症の人本人や介護家族をこれ以上不安に陥れないでください。介護保険を痩せ細らせるのではなく、大きな幹としてしっかり確立してほしいというふうに思います。かなめの制度をどんどん細くしていって、どのような言葉を弄しても、私どもに安心を保障することはできないというふうに思います。

 私どもは、この意見に同調していただくために、市町村にも働きかけをいたしまして、きょうの資料の中にも、座間市の意見書というのを資料としてつけていますので、ぜひ後でごらんいただきたいというふうに思います。

 さらに、家族の会としては、この項目とほかの四項目を掲げまして、初めて独自の署名活動というものに踏み切りました。事実上三月から開始した署名活動は急速に広まりまして、目標とした五万筆をはるかに上回りまして、六万四千三百四十四筆の署名を、既に四月二十二日に田村厚生労働大臣宛てに提出させていただきました。

 この事実は、私たちの願いが、決して少数の者のひとりよがりの意見ではないということを物語っていると思います。ぜひ、もう決まったことだということではなくて、こういう声に真剣に耳を傾けていただきたいというふうに心から思います。

 委員の皆さんの良識ある賢明な御判断をぜひよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。(拍手)

後藤委員長 ありがとうございました。

 次に、浦野参考人にお願いいたします。

浦野参考人 こんにちは。私は、京都ヘルパー連絡会代表世話人をしております浦野喜代美と申します。非常勤のホームヘルパーです。

 きょうは、ホームヘルパーにこのような機会を与えてくださいまして、本当にうれしゅうございます。ありがとうございます。

 私は、国立の医療機関の第一線でずっと働いておりました。けれども、本当の人の幸せや健康は生活の場にあると、大学や大学院でも勉強し、障害者のヘルパーもし、訪問看護もし、現在、介護保険制度の中の、企業のホームヘルパーをしております。

 私どもの連絡会は、事業所や職種の枠を超えて、ひとりぼっちのヘルパーをなくそうと、ホームヘルパーが中心になり、交流や研修、研究などを進めております。ですから、私たちのもとには、多くのヘルパーの苦しみや声が寄せられております。それは利用者さんの代弁でもあります。

 きょうは、医療介護に関する法案につきまして、ホームヘルパーの現場から意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず初めに、今ほども参考人の方から言われましたが、要支援者の予防給付を地域総合事業に移すことについて、問題があり過ぎます。そのことを表明したいと思います。

 取りやめていただきたい、少なくとも、現場の声を聞いて、これから議論をしっかりしていただきたいと思います。そのことが、超高齢社会を迎える私たちの、そして、すぐれた先生方の役割であると私は思って、心からまずお願いしたいと思います。

 まず一点。軽度者、軽度者と言われますが、要支援者と言われる人々こそ、要介護状態が社会的に潜在しており、専門家の丁寧なケアが必要であることを強調したいと思います。

 私たちは、要支援者の事例調査を四月末から始めました。事業者にも協力をお願いし、ヘルパー対象です。その調査内容は、実はまだ途中ですので五十名ほどしかありませんが、本当の短期間に次々と来ているわけでございます。それは、ヘルパー自身が、ふだんそんな調査などしたことのない人たちが、一つ一つ、ペンを握り、記入されたものです。

 要支援の調査の中からは、要支援の方の生活状況、身体の状態、近所との交流、援助開始に至った理由、ヘルパーの援助の思い、介護保険サービスが外された場合予測されることは何かということが、実にびっしりと記入されておりました。

 まず、利用者の状況ですが、実にいろいろな疾患が重なっている。私は医療のことに詳しいですから、とてもよくわかります。びっくりいたしました。

 骨関節疾患がやはり一番多いです。次は、胸部疾患、血圧、循環器疾患ですね。それから、驚いたのは、うつ、閉じこもりが多いということです。細かくは、気管支ぜんそくや肺気腫や糖尿病や、難聴、全然聞こえない、視力障害ではほとんど見えないというのもありました。肺機能に病気が多かったです。それから、がんもありました。てんかんもありました。

 その次に、家族や社会的背景です。

 それには、独居が確かに多いんですけれども、高齢者夫婦、二十数%ありましたが、同居者の中に、知的障害のある、障害のある子供との同居、高齢の連れ合いの世話をしているというふうな状況があったわけです。ですから、そこら辺では、非常に社会的な背景があるというふうに思ったわけです。それから援助開始に至っているわけです。もうへとへとで、とことんぎりぎりの状態になってしている、介護負担でもうどうしようもなくなっているというふうな状況であります。独居で、生活、家事ができなくなってきたというのはもちろんです。

 それから、ほかのサービスはそんなに多くなかったですね。実は、これは経済的な問題があるだろうというふうに私は推測したわけですが、やはり、最小限のヘルプの家事援助などのサービスを使いながら必死で生活をしている利用者さんの状態があるわけです。

 次に、援助内容ですが、入浴介助や移動介助もあるわけです。要支援ですから、普通は、要介護三とかになりますと身体介護の割合が多くなってくるわけですが、自立への見守り、見守りという形の入浴介助、移動もありました。独歩、つえ、車椅子もあったですね。車椅子なのに要支援かなと非常に疑問を持ったわけです。

 掃除、買い物、調理というふうなものが多かったわけです。掃除が一番多い。それは、骨関節疾患であると、中腰になったら悪化するわけです。悪化したら痛みが強くなる。

 そのときにどういう心理状態に陥るかといいますと、もう人の世話にならないでおこうと思ったのに情けない、今まできちっと掃除していたのに、ほこりまみれになって、見えるんだけれども痛くて掃除できない。そういうときに起きてくるのが、自己の否定感です。七十年、八十年来たときに、自己の否定感。自己の存在感が認められなくなってくる。そうなると何もできない。それは、自分の体を守るために、ぐっと閉じこもりに入るわけですから、当然の結果だろうと思います。

 そういうときにヘルパーが入る。それはただの家事代行ではありません。今ほど服部先生もおっしゃいましたが、単なる家事代行ではありません。そういう利用者さんの思いを聞きながら、身体状況に目を配らせながら、掃除の介助、買い物をするわけです。

 もちろん、関係ができていませんから、言いません。そういうときは、ただ黙々とやるわけです。でも、様子を見ながらです。あるヘルパーが言っていました。私たちには頭の後ろにも目があるんだと。それは、後ろに利用者さんがいるのを感じながら、体全てでその思いを受け取って家事援助をするわけです。

 そういう中で、徐々に、数カ月かかって思いを出していかれます。その中で生活問題が明らかになり、サービス提供責任者、ケアマネ等に連絡調整しながらやっていく。生活問題の課題を一つずつ解決していく中で、利用者さんは実に安心するんですね。痛いけれども、年いってきたし仕方がないということで、できることを自分でやろうとなさるわけです。

 自立といいますのは、自分でやりなさい、やりなさいと言ってできるものではありません。そこに何かあったときに誰かが支えてくれるという安心感があれば、頑張ろうと言って頑張れるのであります。頑張って動くことが自立ではありません。自分で考えて、ヘルパーが来るまでに一生懸命考えてメモをする、これが自立であります。そういうことをされるようになっていくわけです。

 そういう利用者さんの状況の中で、ヘルパーは、頭の後ろの目を開きながら、耳を開きながら、そうやって利用者さんに寄り添っていきます。

 そのヘルパーに聞きました。ヘルパーのサービスが外された場合、どうなりますかと聞きました。幾つかの項目、居住環境、食生活、身体状況、精神状況、そのほかと書きました。

 居住環境の悪化とはっきり書いたヘルパーたちが八四%、食生活悪化が五二%。それは、買い物同行をしている中で、一生懸命努力されようとするかもしれない、わからない、変わらないというのも多かったわけです。それは、工夫されようとする内容がわからなかったからです。

 身体状況悪化が六四%、精神状況の悪化が七二%。精神状況の悪化ということは、単なる精神状況の悪化ではありません。厚労省の調査では、うつが非常にふえるということ、総合的な、非常に機能悪化を進めるものになるということが書かれておりましたが、そこから身体的な機能悪化につながるという状況であります。

 状況は変わらないとするが六から八%。わからないが多いが、少なくとも居住環境が悪化し、精神状況が悪化することを、何よりその利用者さんのそばで援助しているヘルパーが心配しているわけです。

 現行のサービスは続けるというふうに言われるのならば、変更する必要がありません。新規の支援者から開始と言われるが、現状を考えれば、サービス内容を制約すること、ヘルパーや利用者に混乱をもたらしたことの害がどれほど大きいかわかりません。私たちはこの問題を聞いたときに、ヘルパーたちはとてもショックを受けました。

 条文に書いてあった、ボランティアの役割の中に、生活支援という役割にプラスして、介護予防、介護状態の改善、そのことを事業として担うということを書かれていました。私たちが今までしていたことです。私たちが今まで必死になってやっていたことが、ボランティア。どんなに、必死になって頑張っているヘルパーの仕事の誇りを傷つけ、泣かせたか、私は、この場で、ヘルパーの声を代弁して言いたいと思います。

 二年前に、時間短縮の問題が出たときもそうでした。一時間でも大変な状況の中で、四十五分が基準の話が出たとき、どうだったのか。九十分のコインランドリーの洗濯ができなくて、四十五分間の午前中のサービスのときに、脱水してぬれたままの洗濯物をポリ袋に入れ、持ち帰り、午後からの四十五分のときにそれを脱水するということが生まれました。四十五分だから利用者さんが洗濯機をちょんと押しておけばいいじゃないかと言われたときに、ある利用者さんは、それを準備しようとして転倒されました。

 そのとき言われたのは効率でした。ヘルパーが少ないから、高齢者が多くなっているから、効率よく動かさなければならない。その効率がもたらしたことは何だったのでしょうか。私たちの調査からも言える、利用者の状態は、軽度者でなく、介護が必要な方たちであるということです。

 私たちは、何も、専門性を振りかざして、胸を張っていこうと思っているわけではありません。家事をしながら、利用者さんに気をつけ、生活を支えているわけです。元気な方へ家事代行しているのではありません。

 ここで地域の役割が述べられていましたが、地域の見守りがあるのは、どれほどありがたいことかわかりません。認知症の方に入ったときに、ヘルパーがいるときに地域の方が回覧板を持ってこられます。帰るときに、地域の方が御苦労さんと声をかけてくださいます。そのことで非常に私たちも温かい思いをし、その中で利用者さんが安心して暮らしていけるのです。

 しかし、それぞれの果たす役割は違います。地域の方、ボランティアの方、NPOの方、ボランティアは自分のやりたいことをやるのがボランティアです。役割が違うということをわかって、地域の方には役割を果たしていただきたいと思います。

 ヘルパーは、時間短縮の困難の中で必死で働いています。私たちが事業所訪問の中で、ある事業所の管理者は言いました。ヘルパーを三十人抱えている管理者でした。私たちの事業所は潰れてもいいということですねと。総合事業を委託しても、お金が少なくなるわけですから。ただでさえ低いヘルパーさんの給料を下げることはできないわけです。ヘルパーさんがやめていっていると言っていました。もうヘルパー事業所をやめようかと思っていますが、ヘルパーさんがいるからと、実に私に三十分、仕事の時間を割いて延々と話をされました。研修をしたくても、その間、ヘルパーのかわりをしなければならない。悩みです。

 壁に書かれていたのは、利用者さん中心の非常に温かい理念でした。このような事業所を潰すということが、今考えられている総合事業の内容でもあるというふうに思います。

 この法案は、地域における医療介護の総合的な法案、まことに多くの内容が盛り込まれていました。はっきり言って、私は、読みこなせぬどころか、もう見られなかったんです。この法案を通してしまうおつもりなのでしょうか。

 地域包括ケアシステムにしても、実現するには多くの人材が必要です。しかし、ヘルパーでいえば、離職が相次いでいます。現在働いているヘルパーも高齢化しております。大学の学生も減っております。就労支援でヘルパー初任者研修を行っても就労しません。このままでは絵に描いた餅になるというのが現場からの警告です。

 どうか皆さん、現場の声を聞いてください。もう一度議論し直してください。超高齢社会なんて怖くありません。現場の私たちの経験があります。どうかよろしくお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。(拍手)

後藤委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中英之君。

田中(英)委員 おはようございます。自由民主党の田中英之でございます。

 本日は、参考人の皆様方に質問させていただく機会をお与えいただきまして、本当にありがとうございます。

 時間が限られておりますので、全ての参考人の皆さんにお伺いすることはできないことをお許しいただきながら、質疑をさせていただきたいと思います。

 今回の医療介護総合確保推進法でありますけれども、介護保険制度は、ある意味では転換の時期を迎える、そういうところなのかなというふうに私自身は実感をいたしております。

 二十三年度改正等々、またそれ以前から、給付と負担をどのように見直していくかや、先ほど来お話をいただきました地域包括ケアシステム、これを導入することによって、さまざまなアンケートでも、また、介護保険導入当時、在宅でという言葉がよく聞かれたわけでありますが、そういったことを進めていくには不可欠なものであるということから今回の改正案の中では組まれてきている、このように私自身は認識をいたしております。

 そんな中、制度がさまざま改正される際には、当然ながら、自治体、また介護に関係する事業者の方々、その都度いろいろと、どのように変わっていくんだろうな、これはどうなるんだろうな、こんな思いで地域におられるというのが実情であります。

 実は、この自治体の声や介護現場の声というものを、我々は地元に帰りますとさまざまな角度から聞かせていただける、そういったことがございますので、きょうは、そういった声を聞かせていただいたものを改めてお伺いできればというふうに思っております。

 社会保障審議会介護保険部会で見直しに取り組んでいただきました山崎参考人に、まずはお伺いしていきたいと思います。

 今回、保険料のことについてでありますけれども、これは自治体がいろいろと思っていることでありますが、給付の見直し、また、低所得の方の保険料の削減ということが示されております。やはり制度を持続可能な形にしていくという意味では、一号被保険者の方が、将来の見込みというのは八千円というような数字が推計として出ているのも理解しているわけでありますけれども、この上昇をいかに抑えていくかということを実は自治体としては考えているところであります。その点がどのようなことかということ。

 また、当然ながら、給付費というもの、これは二〇二五年に向かっては増加をしていく、こういったことが見込まれているわけであります。ここは、山崎参考人さんがおっしゃいます地方分権という絡みからでありますけれども、どうしても地方は、国と地方の負担の割合については敏感なんであります。

 この二点について、まずお伺いできますか。

山崎参考人 負担の伸び、保険料の伸びをどう抑えていくかということでございますが、今の推計では、二〇二五年に八千二百円になるだろう、次の事業計画で間違いなく五千円を大きく超えるだろうと言われているわけですが、その八千二百円という保険料水準を見ながら、今からどう地域地域で取り組んでいくかというのが次の事業計画の課題になると思います。

 きのう、NHKの「クローズアップ現代」でも和光市の例が取り上げられておりましたが、やはり介護予防に力を入れるというのが本来の対応だろうというふうに思いますが、しかし、それにしても、全体として医療、介護を一体的に見直すというときには、急性期の医療をより高度なものに純化しつつ、回復期、療養期、そして在宅医療、介護に向けての大きな裾野を広げるという中では、介護保険の負担増というのはやはり避けられないというふうに思います。

 全体として医療、介護の効率化を図りつつも、介護保険の負担増は避けられないというふうに思っておりますが、あえてそれにチャレンジするとすれば、やはり本格的な介護予防に取り組むということだろうと思いますし、そして、それについては、地域地域の工夫、知恵を出すという時期に差しかかっているのかなというふうに思います。その一つが、新田参考人もおっしゃいましたが、さまざまな通いの場を用意するというのが一つのヒントかな、それがまさに多様な取り組みとして地域で考えられることだろうというふうに思っております。

 それから、国と地方との関係でございますが、介護保険は、枠組みとしては地方の工夫が相当できる枠組みになっているわけでございますが、今回の予防給付の見直しというのは、財源としては従来のものを用意しながら、地域の裁量を相当生かせる。ですから、従来型のサービスを利用しつつも、新しい、従来は財政的な支援も及ばなかったさまざまな取り組みに対しても一定の評価を与え、資金的にも助成が行くという仕組みになるのであって、かなり画期的なものだというふうに思っております。

 以上です。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 まずは地域の介護予防力をつけるということ、また地域の工夫を凝らしていくということで、できる限り抑制していけるんじゃないか、これは恐らく国も地方もあわせて同じ方向に向いていかなければできないことであろうかと思いますけれども、そういった取り組みを一緒にやっていくということ。

 また、国と地方の負担については、従来のものはしっかりと今までどおり使わせていただくことができるけれども、他の部分についてもさまざまな取り組みを、ある意味では充実したものにしていくという形で進めていくということでありますので、そういった意味では、地方自治体や事業者の皆さんが心配されているようなことは少し解消できる部分なのかなというふうに思っています。

 次でございますけれども、やはり介護報酬の問題というのも、実は、これは自治体もですし、もう事業者の方は率直であります。来年四月の報酬改定のときにぜひとも単価を上げてほしいなんという声をストレートにおっしゃいます。自治体の方は、どのように人材確保をしていったらいいかということを考えたときに、やはりこの報酬の部分をおっしゃいます。

 こういった報酬改定についても、いろいろと部会の方でも議論があったと思いますけれども、そのことについてのお話。

 そして、地域包括支援センター、これは地域の中で結構、初めは、どういったところなんだろうというところから始まりました。しかしながら、今は地域の福祉の拠点になってきていただいているなというふうに思います。

 ただ、今まででも包括支援センターの役割はたくさんあります。恐らく、今回の法改正によりまして、さらに忙しくなる、仕事がふえる、これは想定できるわけでありますけれども、そこに対する例えば財政的な支援であったり、また組織の強化であったりというもの、この点についてどんな議論がなされたか、教えていただけますか。

山崎参考人 地域包括支援センターというのを非常に今回重視しております。人もふやすし予算も相当重点的に配分するということになっておりますから、大いに期待したいというふうに思っております。

 それから、介護報酬の関係でございますが、これは今既に審議が始まっているかと思うんですが、私がかかわったのは介護保険部会で、介護報酬につきましては来年予定されておりますが、給付費分科会で検討することとされております。

 その中で、やはり大きな課題は処遇改善をどうしていくかということでございまして、本委員会でも与野党を超えて積極的な取り組みをしたいという合意があるようでございますが、ぜひお願いしたいということでございます。

 ただ、賃金を上げるということだけにとどまらず、もう少しキャリアパスを確立し、生涯の仕事として託せるような、キャリアアップの道筋を描けるような職場になってほしいというふうに思っております。そのためには、一定程度の事業者の規模拡大だとか、あるいは事業者間の連携ということが不可欠ではないかなというふうに思っております。

 以上でございます。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 包括支援センターは、実は私の家の近所にございますので、ちょくちょく寄せていただきますと、本当に、地域の社会福祉協議会の方々も来られますし、いろいろな相談を受けて、結構な時間を費やしながら丁寧にその相談にも受け答えをするという形で、なかなか一日でいろいろなことが解決できないような状況にあられるというのはもう事実でございますので、財政的には措置がある中で大いに期待しているところであるということでありますけれども、大変、業務が恐らくふえるであろうなということで、ちょっとそのような心配をされているというのが今の現状であります。

 そして、この報酬についてでありますけれども、これは本当に与野党を超えていろいろと議論をこれからしていくわけでありますけれども、やはり、介護をする方をしっかりと確保するという意味では、先般やりました保育士の処遇改善等々も、福祉職という意味では、なかなか本当にしんどい状況でやってきているのが事実でございますので、我々も、皆さんの御意見を聞かせていただく中で前向きに捉えていき、そして介護職の方が本当に仕事をしやすい、仕事をしていこうという意欲が持てる、そんな環境を整えていければなというふうに思っております。

 三つ目になりますが、今回、介護予防、訪問介護や通所介護、これが見直しということになっております。これは、自治体なんかは有資格者の方からボランティアにかわっていくということで、実は自治体独自でやっていくということになりますので、例えば、隣の自治体との比較の中で格差があったりすることによって、これは地方分権で考えますと、それぞれの自治体が自分たちの自信を持ったことをやればそんなことを心配する必要はないんですが、やはり、隣と比較されることによって批判をされる、そんなことに対して実は少し恐怖感を持っているような感じでございました。

 当然ながら地方がやっていくということでありますが、やはり国も、実際にそれを実施されていく、サービスを提供されていく中で、地方は当然ながらサービスをしながら実施をしていくと思います、国もその動向というものをしっかりと見据えた中で、同じ歩調で、やはりしっかりと、こういうサービスをやっているんだということを認識いただきたいというふうに思っているということをお伺いしました。

 実は、介護の現場はこのことについて何を思っているかというと、事業所を運営していく、経営していくのにひょっとしたら影響が出てしまうんじゃないかな、こんな不安を抱いているということもお伺いしております。この後者の部分、介護の現場の部分のことについての御答弁を願いたいと思います。

山崎参考人 何といいましょうか、いきなりプロの専門職のサービスかボランティアかという議論がされるのでございますが、別にボランティアでなくても、NPO法人であったり民間企業であったり、いろいろなかかわりがあるんだろうと思います。うまく組み合わせて、まさにケアマネジメントの問題だろうと思いますから、この方には従来型の専門職のサービスが必要であれば、きちっと配置するということになると思うんです。

 ただ、今後、二〇二五年に向けて介護職員を百万人増員しなければならないという非常に厳しい状況が見える中で、専門職の方にはできるだけ困難な事例、あるいは介護度でいえば重度の方に資源を配分して、ほかの無資格の方でもかわれる部分があればかわっていくというふうな工夫を凝らさないと、とてもじゃないけれどももたないというふうに思います。

 ただ、無資格であっても、それがサービスの質として悪いかどうかというのは別でございまして、まさに、形式的なデイサービスに通うよりは、御近所の親しい人と一緒に公民館のようなところで、法定の要件は満たしていないけれども、仲間内でサロンのような形で顔を合わせてということの方が、むしろその人の生きがいを高めるということもあるようでございますから、その辺はまさにケアマネジメントの問題じゃないかなというふうに思っております。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 実は、私自身も、母なんかもいろいろな地域の活動をする中で、ひとり暮らしの高齢者の方のところを回ったりする中で、コミュニケーションがしっかりとれてきているんですよね。そういう意味では、信用、安心をちょっとずつしていただくというものを徐々に徐々に築いてきたので、ボランティアの方が決してだめだというふうには思っておりません。

 包括支援センターの方にもお話しすると、不安な点も実はあるんですけれども、自分たちの業務もヘルパーさんの業務も本当にいっぱいいっぱいの中、例えば大掃除のとき、それとか見守りであったり、こんなときに、どれだけヘルパーさんとボランティアの方が共存しながらこの役割をすみ分けできるかということに関しては、大きな期待を持っているという声も聞いております。

 そういった意味では、いろいろと制度が変わっていく中では混乱することがあるのかもわかりませんけれども、しかしながら、今日までさまざま地域の中で積み上げてきた、そういった素材をこれからの介護の中では生かしていくべきであると私自身は思っております。

 きょうは、参考人の皆さん、本当はお一人お一人にお伺いするところでありますけれども、時間の都合上、山崎参考人さんしかお伺いできませんでしたけれども、しっかりと議論をさせていただいて、皆さんの御意見も、この政策、制度に反映させていただきますことをお約束させていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 本日は、ありがとうございました。

後藤委員長 次に、山井和則君。

山井委員 本日は、参考人の皆さん、まことにありがとうございました。

 一つは、田部井理事から話がありましたJR東海の訴訟の件、これは、私は本当にとんでもない話だというふうに思っております。こんなことでは、全国で御苦労されている認知症の高齢者を介護している家族の方は、本当にやっていけない、そういう思いだと思っております。もちろん、三権分立というものはあるわけですけれども、やはり社会全体で、今こそ、認知症の高齢者の方本人とともに御家族の方を支えていかねばならないというふうに思っております。

 それで、私も、今からもう二十数年前から、京都ですので、当時の呆け老人をかかえる家族の会とかかわりを持たせていただきまして、活動も少しはお手伝いをさせていただいていたわけなんですけれども、今回の改正で一番直撃を受けるのが認知症の高齢者御本人とその家族だと思うんですね。

 要支援の高齢者のうち、約半数が軽い認知症ということがわかっております。先ほど田部井さんもおっしゃいましたように、ただでさえ認定が軽く出るにもかかわらず、今回は恐らくさらに、要介護認定を受けたいと言うと、まずは地域支援事業を受けてください、まずはチェックリストで対応してください、プロのサービスはちょっと待ってくださいという水際作戦、引き延ばしに遭うことになると思います。

 その結果、何が起こるかというと、認知症の高齢者本人はそんなサービスを使いたいなんて言えるはずもありませんから、御家族の方がもう疲労こんぱいして、やっと要介護認定のお願いに行ったら、まあ、まずはボランティアを使ってください、まずは無資格者のサービスを受けてくださいということになってしまうと、田部井理事がおっしゃったように、早期対応、初期対応を充実という厚労省の方針と真逆の改革になってしまうのではないかと思います。

 改めてになりますが、そのあたりの、今回の改革、要支援外しを撤回してほしいとおっしゃいましたけれども、認知症の方々やその御家族についてこの要支援外しがどういう悪影響をもたらすのか、お話しいただければと思います。

田部井参考人 重ねてになりますけれども、今、私も介護認定審査会の委員をしたりしておりまして、実際、前回、認知症があるということで要介護一という認定が出ていたのに、次の更新のときには要支援二ということで出るというふうなことがあったりします。

 これはよくあることでありまして、そこに認知症について理解がある人がいれば、それはおかしいから、ある根拠をもって修正するということもできるんですけれども、それがないと、そのままなるべく一次判定どおりにというふうに考えてしまいますと、その入り口でなかなかサービスにたどり着けないということになります。

 そのことが大きなあれになるというふうに思いますし、今は、先ほども申し上げましたけれども、要支援二の認定を受けても要介護一の認定を受けても、同じ事業所の中で要支援の人と要介護の人が過ごしているんです。つまり、要支援の認定の手続の複雑さはありますけれども、ケアとしては、一体的に継続をして、なじみの関係の中で受けるということができるわけですね。

 ですけれども、今度新しい支援事業になった場合に、まず介護保険事業があって、市町村事業があって、恐らく最初に市町村事業の利用というふうなことに、先ほど山井先生もおっしゃられたように、誘導されるのではないかという懸念もありますし、実際、要介護認定までたどり着いたとしても、今度は要支援というふうに認定されれば、従来の事業所のケアをそのまま受けることができなくて、市町村の事業に振られるということになってしまいます。

 そうすると、先生もおっしゃったように、初期の支援、それからなじみの関係、一体的ケアということが重要だというふうに言われているにもかかわらず、そこが分断されてしまうということがあるのではないかということを大きく懸念せざるを得ないと思います。やはり、現場であれしている家族、あるいは働いている人からしますと、この辺が最大の懸念ではないかなというふうに考えております。

 そういう意味で、私は、こういうふうに、わざわざ通所介護と訪問介護を分離して別の事業に持っていくことにどういうメリットがあるのかということが、どのように考えても理解できないですね。やはり、一体的に、なじみの関係の中で継続できるようなケアというのを確立する方向にぜひ持っていってほしいなというふうに切に思います。

山井委員 今、田部井理事もおっしゃいましたけれども、認知症の高齢者の方々にとっては、この要支援切りというのは百害あって一利なし。そして、一度、要介護認定を受けずに地域支援事業とはねられてしまったら、一カ月先、二カ月先にプロのサービスが受けられるという話じゃないんですよね。これは下手したら、半年、一年、対応がおくれてしまう。

 先ほど浦野さんもおっしゃっておられたように、資格を持っておられるデイサービスの職員さん、ホームヘルパーさんはやはりすばらしいんですよ。認知症のこともわかっている。

 私も今まで、認知症のグループホームの本を三冊書いたことがあります。認知症の研究を私もスウェーデンに二年間留学してやっておりましたからわかりますが、どこまでがぼけていて、どこまでがぼけていないのか、本当にわからないんですよ。わからない、これは。それぐらい大変なことであって、だからこそ、ホームヘルパーさんやデイサービスの職員さんに資格を取ってもらって専門性を高めようということを厚生労働省が今まで言ってきたはずなのに、真逆で、いや、ボランティアでできるんですと。今まで言ってきたことと全く違うというふうに言わざるを得ません。

 先ほど、服部万里子先生が出された資料でも、健康状態の悪化を招く、三二%、苦情対応の責任主体が曖昧となる、四二%、市町村からの不安の声が出ておりました。

 服部先生にお伺いしたいんですが、ひとり暮らしの高齢者はひとり暮らしができなくなるんじゃないか、あるいは認知症の高齢者は悪化するんじゃないか。改めまして、この要支援切りによってどういう問題が、もう一年ないですね、来年四月から起こり得るか、来年四月になるとどういう問題点や混乱が起こり得るか、少しお述べいただきたいと思います。

服部参考人 御質問ありがとうございます。

 今、田部井さんもおっしゃいましたけれども、認知症の方の場合には、歩けるし、食べられるし、または自分で服も着られるということがあります。だけれども、どこに行ってしまうかわからないとか、何を食べてしまうかわからないということもございます。そういう中で、常時の見守り等が必要、しかも、それは、その方がいつどういうことが起こるかわからないということも含めながら、やっていかなければいけないと思っています。

 今回、要支援の方に関しては、今、介護給付の五%しか要支援の方は使っていないです。でも、利用者さんは、在宅の利用者の三割が要支援の方なんですね。その五%を惜しむために、今回、地域支援事業へということを言われておりますけれども、それは、市町村が、先ほどのアンケートに出たように、どれだけのサービスを用意できるか。

 また、たとえ一般の企業の方とかNPOにそれを委託したとしても、委託料は当然下げるわけですね。介護保険と同じだったらば、委託事業に変える必要はないわけですから。下げられれば、今でも訪問介護事業は経営的に人手がない、給料が十分払えない、こういう状況の中である実態から考えると、当然、無資格の方にやっていただいて、今、ヘルパーの仕事につけないけれども意欲がある方というふうになると思うんですね。

 そうした場合に、やはり専門の教育を受けて、常に教育を受けてやってきた人との差が出てくるだろう。そこは、転倒のこととか、または誤嚥のこととか、そういう責任が曖昧になってしまうのではないか。そういう意味で、私は非常に不安だと思います。

 それから、あわせて、今回は、介護給付が上がっていって、このまま保険料がアップしてしまう、だから介護給付を軽度の方を下げるんだということを言われておりますけれども、そもそも、介護保険の財源を、まず要支援の方を別にしまして、地域支援事業というところに平成十八年からお金を使っています。それは一千億以上、一千六百億円のお金を使っています。

 それは、従来でしたら老人福祉法に基づいて別の財源から来たものに関して、例えば在宅介護支援センター八千カ所に対して地域包括支援センターに変えるとか、または、虐待なりさまざまな相談ということを二十四時間対応していた在宅介護支援センターを地域包括支援センターに変えて、新たに介護が必要になる前の人にまで介護保険の財源を使うという、本当にこれが妥当であったか。

 もう一つ言わせていただきますと、介護保険が始まって一年後の介護保険の給付を見ますと、その四三%は今までは医療保険であった。例えば、老人保健施設とか、療養型医療施設とか、居宅療養管理とか、訪問看護とか、訪問リハビリとか、通所リハビリとか、これは従来は医療保険のサービスで行われていたものです。これが介護保険の財源に変わっております。それが四三%を占めております。

 決して、介護のサービスが充実したから、だから介護給付がふえているわけではありません。この実態を見ながら、これだけ介護の、受ける人がふえたのは、一人一人の利用者の金額がふえていることは全くありません。一人一人は変わらないけれども、人数がふえているだけであります。

 この実態を見て、それを、介護を受ける方の責任になるような形でサービスを削減するということがもたらすものは、財源の数字しか見ていませんけれども、現場から見てみますと、その方たちが、在宅が継続できなくなる、または施設にももちろん入れなくなる、そういう状況の中で、介護のサービスから外れて悪化をするなり、または路頭に迷うなり、こういうことが出てくることは火を見るよりも明らかでございます。

 そういう点も含めまして、今回、要支援の方だけではなくて、軽度者という形で一くくりにしてサービスを介護給付から外していくということに関しては、大きな問題があるということをつけ加えさせていただきます。

山井委員 服部先生に改めてお伺いしたいんですが、今回、サービスカットじゃないんだ、多様なサービスなんだ、高齢者にとってもいいんだというような趣旨の答弁を田村大臣もされているわけですけれども、今回の要支援カットによって、高齢者にとってよりよいサービスが利用されるということはあると思われますか。

 もっと言えば、プロの資格のあるデイサービスの職員やホームヘルパーさんよりも、無資格で賃金の安い、あるいは無償のボランティアさんの方が、いい専門的なケアができるというようなことはあり得るんでしょうか。いかがでしょうか、服部先生。

服部参考人 二つ問題があると思うんです。

 田村厚生労働大臣の前回の四月二十三日の発言を私も聞いておりましたけれども、要支援の方はADLは自立しているけれどもIADLの問題であるという、この認識がまず違うと思います。その方に必要なのは、掃除とか洗濯だけではなくて、入浴に入れない人も、外出ができない人も、屋外に行くときには車椅子が必要な人も多くいるということがまず実態であります。

 それと、そもそも、先ほど私の事例の中でお話をしたように、要支援の方は、お隣近所さんや民生委員さんや、地域の見守りや商店街の方からのサービスや市町村の独自サービスや、そういうものも使って、介護保険でできるだけ御自身も負担を少なくして、要支援の方は、平均をいたしますと限度額の半分も使っておりません。そういう状況の中で、既にそういうサービスを使った上で要支援の今の生活があるというのが現状でございます。今、改めてそういうものを使わなければいけない状況ではないということが一つ。

 それから、地域でNPO、私もNPOをもうずっとやっておりますけれども、市町村の下請ではありません。やはり、NPOは一つの理念に基づいて地域の中での活動をしております。それは今までもやってきておりましたし、改めて今度できるというものではないと思います。

 もちろん、団塊の世代がリタイアをしてまいりますので、その方たちが地域の見守りや移動や、そういうものに参加をすることは、私は大変賛成でありますし、必要だと思います。ただ、そのことが、御自宅の中に行ってその方と向き合う個別のケアにかわれるということは、そこは大きな飛躍があるというふうに考えております。

山井委員 残念ながら、もう時間が参ってしまいました。全員の参考人の方々それぞれに大変貴重なお話をいただきましたのに、お一人お一人に質問ができなくて申しわけございません。

 最後の浦野参考人も、ホームヘルパーさんがボランティアでできると言わんばかりの今回の改正は本当にとんでもないということをおっしゃっていまして、私は、その怒りは全く同感であります。

 全国百万人以上の要支援の高齢者に対して、デイサービスの職員さん、ホームヘルパーの職員さん、安い給料ながらも、本当に献身的にすばらしい介護をしてくださっているんです。そのおかげで悪化しづらくなっていて、すばらしい介護予防の活動をされている方々に対して、ありがとうございますと本当に最敬礼して感謝するべきところを、あなたたちじゃなくても無資格のボランティアでも同じことを、いや、もっといいサービスができるんですよと、そんな失礼なことを言っては絶対ならないと思っております。

 これからも、プロのホームヘルパーさん、デイサービスの職員さんに本当にすばらしい活動をしてもらうために、ぜひとも応援をさせていただきたいと思います。

 本日は、まことにありがとうございました。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史と申します。

 限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきますが、先生方、本当にお忙しい中お越しをいただいて、ありがとうございます。

 本日、私は、武藤先生を中心に質問をさせていただきたいと存じますが、その前に、ちょっと総論について山崎参考人に御意見を伺いたいと思います。賜った御意見の中でも、冒頭、負担と給付ということをおっしゃり、また、分権ということもおっしゃっています。

 私は、きょうお越しの、今もお話をいただいた服部参考人、田部井参考人、浦野参考人初め皆様の、いろいろサービスの位置づけが変わることについての御意見、これは決してわからないわけではない、むしろ、おっしゃっていること、その事実自体は、こうやって話を聞かせていただいて、学ぶところが大変大きくあるわけでございます。

 一方で、山崎参考人がおっしゃった、そもそも、この改革の大きな枠組みとして、負担と給付の問題、そして分権というのがある。私は、この大きな枠組みについてそもそも大賛成なんですね。

 ただ、一点、野党ですので、問題があるかなというところは、その枠組みについて問題があるといえば、一つ挙げるとすれば、やはりそれは、負担と給付ですから、この医療保険、介護保険の財政面での現状、課題、これに若干背中を押されている部分があって、本来、改革というのは、先を見据えて先取りをする、先送りをするのではなくて、むしろ、次世代のため、将来のため、未来のために先取りをしてやっていかないかぬ、こう私は思っているわけです。改めるに遅過ぎることはありませんから。

 私は、今回の改革、根本的にはこれは進めるべきだ、こう思っていますが、ぜひその点、もうお話はいただいていますが、改めて、負担と給付、分権、この点について簡潔に御意見を賜れればと思います。

山崎参考人 将来に向けては、私、大きな宿題になっているものが一つありまして、それは、国民全体で支え合うということを介護保険法の冒頭にうたいながら、実は四十歳以上の支え合いになっているということでございます。これはやはり、とりあえず合意の得やすい四十歳以上ということでスタートしたというふうに聞いておりますから、将来に向けては、働く世代、現役世代が皆で支えるという方向にそろそろ検討していかないと、財政の制約から自由になれないんじゃないかなという気がいたしております。

 それから、もう一つは、市町村に相当な負担をお仕事の面でもお願いすることになるんですが、やはり市町村長さんに、この地域をどうしていくか、国の指示待ちではなくてそういうことを考えていただきたいし、それから、専門職を育ててほしいというふうに思います。そして、国はもちろんでございますが、都道府県には全面的な支援をお願いしたいというふうに思っております。

 今、市町村も、特に町村部に行きますと、相当、人減らしもありまして、力量を落としておるんですが、やはり福祉の専門職を育てていきたい。それには、都道府県も支援していただきたい、国も全面的なバックアップをお願いしたいというふうに思っております。

 以上です。

足立委員 ありがとうございます。御指摘ごもっともで、よく理解できるところであります。

 その上で、武藤先生に御意見を賜りたいと思います。

 御紹介いただいた看護師、薬剤師に関するお考え、私も基本的に賛成であります。一方で、資料で御指摘もいただいたように、現実は、本来あるべき看護師の方々あるいは薬剤師の方々の活躍の場というか、それに実態がなかなか追いついていない。

 例えばニューヨークの例なんかも紹介をいただきましたが、アメリカの例をよく言われますが、根本的に保険制度の枠組み、ケアの枠組みが異なりますので、そういうアメリカの例が日本に参考になるのか。なるとすれば、私は根本的に違うのでなかなか難しいかなと思っているんですが、どういうところを参考にすればいいかなという点が一点。

 もう一つは、おっしゃられたことを実現していく上においては、医師会等の御理解も要ると思うんですが、その辺もやはり一つの課題かなと。これはなかなか平場で議論がされにくいテーマなのかもしれませんが、もし御意見がありましたらお伺いできればと思います。

武藤参考人 どうも御質問ありがとうございます。

 まず、アメリカの例が日本に本当に適用できるのかという議論は確かにございますけれども、アメリカというのは一種実験的な国家でして、さまざまな理念に基づいてさまざまなことを行うということが、それが我々に参考になるんですけれども。

 一つは、ニューヨークの場合、大規模化、これは実は非営利の団体がやっているんですね。そうしたことがまず参考になります。

 それから、あともう一つ、先ほど御紹介したように、多職種で訪問をしている、これもやはり大事なことですね。今、日本の訪問看護事業所さん、どうしても単独で回られるんですけれども、実は、もっと多職種でもって回ることによって非常に質が上がるということですね。

 それから、僕がニューヨークで最大の勉強になったのは、質の評価なんですね。ニューヨークの訪問看護事業所は、今や、まさに、タブレット端末を持って、さまざまな質評価指標をそこに入力して、そしてそれを集計して質を高めておくというんですけれども、実はこれが、米国の場合、在宅訪問看護の点数の、診療報酬の評価にもつながっております。いわゆるペイ・フォー・パフォーマンスといいまして、診療の、あるいは訪問看護の質に応じた支払い方式、それを実現しているわけですね。

 幾つかの指標を設けまして、例えば、わかりやすいところでいうと、在宅でもって安定した管理をしていれば入院とかあるいはERへの受診率を減らせるとか、さらに、在宅における日常生活動作を改善した場合には診療報酬上ボーナスを与える、そうした報酬政策、これは大変参考になりました。

 今回、ちょっと話はかわりますけれども、例の同一建物減算が始まりましたけれども、これに関しても、やはり同じ建物の中で一律減算するというそうしたことではなくて、その患者さんの重症度、あるいはそれを努力でもって改善した在宅事業者さんに報酬を与えるとか、そうしたような質評価がこれからぜひとも必要だと思います。そうした参考になりました。

 以上です。

足立委員 ありがとうございます。

 先ほど医師会のことも伺ったんですが、ちょっとそれはもう一回後で伺います。

 その前に、看護師と並んでやはり重要なのが、御指摘いただいたとおり、薬剤師だと思います。

 これは、きのうも大阪で地方公聴会がございまして、とかしき先生がお呼びになられたと思いますが、大阪府の薬剤師会の藤垣会長がお越しくださって、同じような問題意識を御提示してくださいました。

 一方で、今回の法案、薬剤師について特段の規定はないわけです。例えば、特養の医師の配置規制なんかはあるわけですが、薬剤師の配置については特段の言及もない。あるいは、CDTMという御紹介をいただきました。

 こういう法制化をされて、これはアメリカですかね、日本でもそういうことがあるのかもしれません。薬剤師の方々の活躍の枠組みというのも、次世代モデルをつくっていくんだ、こうおっしゃっていただきました。

 やはり法的な面でもまだまだ足りていないのかな、こう思っておりますが、そういう法制的な措置も必要である、こういう御認識でよろしいでしょうか。コメントをちょっといただければ。

武藤参考人 まさにおっしゃるとおりでありまして、この前の大阪における公聴会、私も内容を拝見させていただきました。

 まず、やはり特養が非常に重度の患者さんが多くなって、そして、そこにおける薬物管理が非常に重要なんですね。それに関しては、特養に関して全く薬剤師さんの配置に関する規定がない、これはやはり問題だと思います。これをぜひとも改善していただきたいと思います。

 それからあと、CDTM、薬物療法に関して、医師と薬剤師が共同して管理に当たる。実は、医政局通知では、病院薬剤師の業務範囲の拡大ということに関しては通知で出ているんですけれども、これから起こるのは、病院の薬剤師さんではなくて、地域全体の薬剤師、それから医師会を含めた医師との契約に基づく共通の薬物治療管理という、これはまさに一片の通知ではちょっと済まないような問題でありまして、今後議論を重ねて、やはり諸外国で行っているような法制化へ向けて、ぜひとも準備を進めていくべきと考えております。

足立委員 冒頭、山崎参考人にも伺ったわけですが、私は、今回のこの法案は本当に重要だと思っています。二〇二五年に向けた改革のラストチャンスだ、こう政府も位置づけています、言葉は違うかもしれませんが。

 私は、この委員会で何度も、これはラストチャンスだから、満を持して政府も出してきたんだから、やるべきことは全部入れてくれと。だから、今御指摘いただいたような点も本来しっかりと入れてあるべきであるし、私は、組織法制について、医療法人とか、もうちょっといろいろ修正すべきだという提案をしているわけですが、結論は、政府・与党、なかなか難しいと。

 その背景には、既存の医療界、既存の福祉の世界、もちろん体を張って皆さん頑張ってくださっているわけですが、やはり秩序というのがあるわけで、これを在宅シフトさせていくに当たって、本来講ずべき手がなかなか打ち切れていないというふうに私は思っております。

 ぜひ、山崎参考人とそれから武藤参考人、お二人に、もう時間があと残り一、二分ですが、一言ずつ、二点についてコメントをいただきたいんです。

 今申し上げたように、そういう医療界とか福祉の世界、これにもしそういうある種の既存の秩序がまだやはりあって、それは改革をもっともっと力強く進めていく必要があるということか、いや、十分だ、これでよく頑張っているということか、これが一点。

 もう一点は、尊厳死。私は、救急のあり方等を考えて、やはり尊厳死の問題をもう一回ちゃんと議論したい、こう思っています。本来、この地域医療介護の法案を審議するに当たっては、こういう問題も本当はやるべきだ、ただ、政府は難しいと言うので、国会でちゃんとやるべきだと思っています。

 こういう既存の秩序の問題、それから尊厳死、リビングウイルの問題、終末期の問題、この二点、一言ずついただければと思います。

山崎参考人 既存の秩序ということでございますが、私がかかわった中では、国民会議で社会福祉法人の見直しということを提案し、今本格的な検討が進んでいるようでございますから、期待しております。

 あとは、医療法人については私の専門分野ではございませんが、医療・介護法人それぞれ含めて、持ち分のない部分については、何か一つの法人カンパニーのようなものができるのかなというふうな感じがしております。その辺が突破口かなという気がいたしております。

 以上です。

武藤参考人 まさに、既存の秩序、一番大きな問題は、やはり、医療と介護の間にある、かなり隔てのある壁といいますか溝といいますか、どうしても、お互い教育バックグラウンドも違いますし、一種、文化も違いますので、それらを融合していくのはなかなか大変なことなんですけれども、一つの手段は、やはり相互の交流だと思います。

 先ほどの看護師さんの問題でいいますと、病院勤務の看護師さんをぜひとも在宅へ出向というふうな形でもって出していただいて、そしてお互いの交流を図る、これによって随分大きく相互の理解が得られるんじゃないかと思います。そして、具体的な手だてから進めていったらどうかと思います。

 終末期、これは、前回も後期高齢者のときに診療報酬上導入しようとしていた事前同意書、やはりこれをもう一度議論していただくということが大事だと思っております。

 以上です。

足立委員 時間が参りましたので。

 参考になりました。いただいた御意見を参考にして、しっかりまた審議をしてまいりたいと思います。大変にありがとうございました。

後藤委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、本当に貴重な御意見をいただきまして、また、現場でお一人お一人のために、さまざまな視点から全力を尽くしていただいている、本当に貴重なお話をいただきまして、ありがとうございます。

 私たち公明党は、今日まで五十年間、福祉の党、そういった旗を掲げて走り抜いてまいりました。そんな中で、今の予防給付、地域支援事業、皆様がいろいろな形で御懸念されている点、私たち、三千名の地方議員さんと一体となって、そこをどう、そういったものがなく、一人一人が本当に安心して、またさらにその効果が出るような事業になるのか、していくのか、今必死に取り組んでいるところでございます。

 公明党の地域包括ケア推進本部を立ち上げさせていただき、もう十一回の会合と、各地方でのそういった移動推進本部なども進めさせていただきながら、また先生方のきょうの御指導をいただきながらしっかりと取り組んでいきたい、まずこの決意をさせていただきたいと思います。

 その上で、山崎参考人さんにまずお伺いをしたいんです。

 まさに、急激に医療と介護の需要がふえてくる、それをどうやって受けていくのか、これは本当に今やっておかなければ将来大変なことになる、そんな思いの中で、地域包括ケアの構築と、またその制度の持続可能性をしっかり担保していく、こういった問題が大事であります。その上で、きょう私は、そういった受け皿も大事ですけれども、先ほどの、いかに元気な、またできるだけ重症化しないような取り組みを現場でどこまでできるのか、そういったところも勝負なのかな、その点につきまして伺いたいと思います。

 先ほど、本当に貴重な、ローカルオプティマムというか、地域でということがいよいよ地方分権の試金石である、そういうお話をいただきました。

 まさにその地域、私も、全国、都市部も回らせていただければ、岩手だとか石川県だとか、そういった地域の山間部も回らせていただき、本当に人材がいない、あるいは状況が全く違う。そういった中で、地域のできる限りのことをどう進めていくかという問題になってくるんですけれども、そこでやはりうまくいっているところは、リーダーというかコーディネートする人材、あるいは、そこに来て、これは大変だと思ったお医者さんが立ち上がった、地域の方が立ち上がった、そういった人材がいらっしゃるところはある程度進んでいる。しかし、そういった方がいらっしゃらないところはなかなか進まない。

 そのリーダーというかコーディネーター、そういった方をどうこれから育成するのかが大きな問題だと思うんですけれども、その点につきましての御見解というか、また、どういうふうな形でそこを育てていけばいいのか、御所見がございましたら、まずお聞かせ願えますでしょうか。

山崎参考人 国の方でも全国の進んだ先進事例をどんどん収集していただいて、それを受けて地方で工夫をするという進め方になるのではないかというふうに思います。

 今お話にありましたように、どう人を育てていくかということが非常に大事でありまして、市町村役場の中にも専門職を育てる。それから、地域でも恐らく、普通に考えれば、もっともっと社協に、社会福祉協議会に頑張っていただきたいなというふうな感じがしておりますが、しかし、それを超えて、それぞれ地域地域に、ああ、この人なら、あるいはこの人がという人がいるわけでございまして、その人がお医者さんであったり、あるいは全くの、何というんですか、退職後の、現役時代の経験知識を生かした自発的な取り組みをされる方であったり、さまざまな方がいるんじゃないかなというふうに思います。

 今回の法案では、そういう生活支援のサービスの担い手に対しても、きちっと規定をし、そして財政支援を行うことになっておりますから、移行期をしばらく置いておりますので、地方でそれぞれ前向きに取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 一番大事なのは、市町村長さんの姿勢かなというふうな気がしております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに市町村長さん、トップが、本当に真剣に、いかに地域の高齢者の皆様にできる限りのそういったサービスを提供していくのか。そういった意味で、先ほど浦野参考人さんあるいは田部井参考人さんの方からもありました現場の思いとか意見、そういったものも共有をしていく、そこで、その中で何をしていくのか、そういった取り組みを進めていくことが必要かなと。

 そういった意味では、ケア会議というものを形骸化させないで、しっかり一人一人に寄り添って、皆で考えていくところにまたそういった問題の共有化ができて、やるべきことが見えてくるのかなという部分では、しっかりと進めていきたい、このように思っているところでございます。

 その上で、新田先生に伺いたいんです。

 先ほど来、認知症は、重度化してしまうと、精神的また行動的なそういったものが周りに非常にいろいろな形で負担というか大変な状況になってくる、そこをどう早期に対応していくのかということが大事になってくると。

 今回の法案でも、認知症の初期の支援チームというか、そういった形とか、あとは支援員という位置づけもあるんですけれども、その上で、やはり先ほど伺いました認知症市民勉強会、まず多くの皆さんがしっかりと理解をして、そして、そういったところに適切につなげていくという取り組みも必要なのかなということを感じたんです。

 改めて、この認知症市民勉強会、一人でも多くの人がこういう意識をまず持っていくというところが大きな力になる、そのように思うんです。その辺の見解と今後の取り組みの方向について教えていただけますでしょうか。

新田参考人 質問ありがとうございます。

 これだけマスコミで認知症について言われている中でも、まだまだ市民の認知症の理解は、実際に自分の目の前、自分の身内に起こってみると、それが認知症によるものなのかどうかわからない。結果として、それがもう少し悪化してから地域包括なり我々の地域の医療機関にかかる、現実に起こっております。その意味で、私たちは、まず市民。

 先ほどから要支援外しとか云々ありますが、私は、今現在、認知症四百七十万、MCIを入れると八百万時代に、従来の介護保険では対応がもう無理だというふうに実は思っていて、それを超えるものが何かという意味で、今質問がありました、それは認知症対策である、それが地域包括を含めて市民を巻き込んだ体制づくりをしない限り、介護保険はもともと機能しないんだろうというふうに思っています。

 その意味で、やはり市民に理解していただいて、単に例えばヘルパーさんが週に一回行くのではなくて、みんなで見守っていく体制。それは、早期に発見を私たちがして、それを発見して発見しっ放しではどうしようもありません。ただ、その人はまだ仕事をしているかもわからない、でも、仕事を援助しながら、さらに私たちがその進行に従ってそばにつくという、その地域の体制こそがこれからの社会に対応できるのかなというふうに思っています。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに、共助と公助に加えて、やはり自助と互助、総力戦でこの高齢化社会をどう受けとめて、そして皆が安心して地域で暮らせる社会を築いていくか、そういった思いを私も共有させていただきたいと思います。

 その中で、やはり認知症と一言で言っても、その重症度というか、いろいろ千差万別でございます。それぞれの高齢者の心身の状態に応じた適切な対応というのが非常に大事になるかなと。

 そういった中で、国のやるべき大枠の進めるべきことと市町村がしっかり担うべきこと、その辺のあり方について御意見をいただけますでしょうか。

新田参考人 国がやる大きな対策としては、オレンジプランがありました。そして、昨年度来、精神病院における入院の検討会等々が挙がっております。

 私は、認知症でアルツハイマーの方は、かなり重度まで自宅で生活することが可能だと思っております。その意味では、私たちはその次に、国のオレンジプランに応じて、最後までできる限り在宅というのはやはり市町村の役割だろうというふうに思います。

 その市町村の役割をどこが果たすかというと、先ほどから言われています地域包括ケアセンターだろうなというふうに思います。ただ、全国広くございますので、そこが非常に形骸化したところもあれば、ハードはできているけれども中身がないところとか、さまざまあります。そこのところはやはり市町村が責任を持って、私は、地域の人たちと、医師も含めた多職種とつくり上げる努力は必ず必要だというふうに思います。

 そして、認知症に関しては、軽度から重度までのステージアプローチが必要だろうなと思う。非常にMCIの人にはどのような対応をするのか、そして初期、中度、先ほど話がありました終末期、終末期にはどのような対応をするのか、最終的には誤嚥性肺炎に対してどう我々が対応するのかという、段階を持ってきちっとやっていく、それを、私たち医療者だけではなくて、市民、家族、そしてヘルパーさん、訪問看護、全ての人が共有することだろうなというふうに思います。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに、認知症の方は常にヘルパーさんが一緒にいるわけではなくて、家族の方、また友人の方、市民の方、同じ意識に立って、適切に対応していく、そのことが一人一人の安定につながってきたり、また、生活環境の向上にもつながってくる、そういうふうに私も思います。ありがとうございます。

 その上で、さらに認知症、デイサービス等もいろいろされているんですけれども、先生も認知症を特に大切に、また、そこを先進的に取り組んでいらっしゃっているというふうに伺っておりますが、重度者、認知症高齢者を支えるデイサービスのあり方、そういったもので何か、御経験の中で、こういったことが必要なのではないかということを教えていただけますでしょうか。

新田参考人 現在のデイサービスは、やはり主に軽度から中等度の認知症の方というふうに思っております。その意味で、地域において、いわゆる行動・心理症状、BPSDと俗に言われる、こういうことが起こった場合にどうするのかということでございます。

 家族は、放置すれば二週間で疲労します。二週間以内できちっとその対応をする。その起こる原因を見るには、単に介護者、例えば訪問看護も含めてそうですが、やはり医療の目をきちんと入れて、何が原因か。もちろん環境要因があることもあります。そういったことを含めて対応して、家族支援のためには、重度に対しても対応できるようなデイを利用する。施設、精神病院への入院をできるだけ少なくするということで、私は、日本独特のデイをうまく重度化に対応したものに変えていく必要があるなというふうに思います。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 ぜひ、そういった先生の研究の成果も、全国の議員と共有をしながら、生かしていけるように取り組んでまいりたいと思います。

 最後の質問になるかと思うんですけれども、武藤参考人にお伺いしたいと思います。

 先ほどの薬剤師さん、地域に一番身近にいらっしゃって、人数も多い状況の中で、当然、予防において、薬剤の管理と同時に、そのときに食だとか運動だとか睡眠だとか、医療、また、その方の健康状態をどう保っていくか、そういったアドバイス、そういった取り組みもこれから一つ大きな役割になってくるのかなというふうに感じるんですけれども、その辺の見解についてお聞かせ願えますでしょうか。

武藤参考人 まさしく御指摘のとおりであります。

 今、薬局において、自己採血による検査もこれから可能になりますし、それから、場合によっては、栄養士さんを薬局に配置しているところもあります。そうしますと、薬局に来る、そこでさまざまな健康相談それから栄養相談等も受けられるということで、町の中の健康ステーションというような形でもって今後の薬局が展開していくのではないか、そういうふうに期待しております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 二〇二五年へ向けて総力戦で、しっかりと地域の中で安心して暮らしていける、そんな社会の構築を目指して、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 きょうは本当にありがとうございました。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日は、お忙しいところ、六人の参考人の方々には厚生労働委員会に御参加いただきまして、本当にありがとうございます。それぞれのお立場から貴重な御意見をいただきまして、本当に参考になったと同時に、田部井参考人、浦野参考人、現場の、まさに最前線の声というのが改めて胸に響く、そんな印象を持っております。

 私も、地元、山梨県北杜市というところで、かなり過疎な地域なんですが、一人の在宅医として、訪問診療を約十年続けてきました。今現在も続けておるわけですが、先ほどの新田参考人の年間のみとりの数とか取り組み方、私と非常によく似ておりまして、本当にふだんの御苦労が大変わかる、私としても理解できるなというふうに思っております。

 時間も限られております。皆さんに全て質問ということはできないかもしれませんが、御了解をいただきたいと思います。

 多くの皆さんからお話をいただきました。私からは、まず、服部参考人にちょっとお尋ねをしたいんです。

 高齢化の進展、それを危惧され、予想された中で、言うまでもないんですが、平成十二年に介護保険が導入をされました。先ほど、田部井参考人からは、生きている間にこのような制度ができたことをその当時大変うれしく思った、だが、その後、先細りをしたり、今後、使い勝手が悪い、やはりそのような印象があると。一方、新田参考人からは、在宅医療の質が上がったと。そのような評価がある一方で、今回、課題ということで、介護保険の改正ということになるわけです。

 服部参考人には、介護保険が導入され、特別養護老人ホーム、その取り組み方ですね。従来の措置から、個人との契約に移行をした。特別養護老人ホームの取り組み方にどのような変化があったとお考えになるのか、まずお尋ねをしたいと思います。

服部参考人 ありがとうございます。

 特別養護老人ホームは、数もふえて、特に大きな変化は、入所されている方の介護度が大きく、重度、大体今平均四・二から四・五ぐらいということで変わってきて、しかも、医療ニーズの高い方が来られている。

 だけれども、三対一という介護の割合は変わっていないということで、介護現場の人にとっては、今まで以上に、求められるケアの質、特に、医療行為とか観察とか多職種連携というのが求められているけれども、人数がふえていないということで、非常に現場としては苦労をしている。特養がふえたとしても、人が確保できなくてオープンできないとか、そういう実態もあるというのが現状だと思います。

 特に、今回、私の資料のパワーポイントの下から四枚目にも入れたんですけれども、介護保険の対象を特養の場合に要介護度三以上に限定するというのが、今回の介護保険法の改定の中身になっております。

 現在、約五十年かけて、五十一万人ぐらいの全国の特養の入所者の数になっておりますけれども、一二%の方が要介護一と二であります。また、今、特養の人数以上に、待機者が五十二万人、これは、ことしの三月、厚生労働省の発表なんですけれども、その中でも、要介護一と二で待機している方が三四%おります。その方たちが今回の改定でどうなるのか。

 現場の方も、重度の方がふえて、それに対して人数的に対応することの苦労があります。そしてまた、さらにこれから重度の方に限定をしていくといった場合に、今度、地域の方で特養を待って待って、待てなくて、辞退理由が死亡という方もふえている、こういう実態の中で、では、どこに行くのか。

 もともとお金があれば有料老人ホームに入れる方だと思うんですけれども、その方が、では、家族の介護でできるかといったときに、特養の中の問題と待っている人の両方の問題が、今回の介護保険の改定の中では出てくるのではないか、このように考えております。

中島委員 ありがとうございます。

 平成十二年の改正から、従来は措置であった、それが個人との契約になったこと、もちろん、その後、高齢化も進み、今もおっしゃった数の方々が特別養護老人ホームに申し込み、待機高齢者という状況で待たれている。

 そういう中で、措置時代に創設された特別養護老人ホームと、介護保険が導入された後の特別養護老人ホーム、みとりの取り組みについて随分差があるという指摘もあると思います。

 現在、国は、地域密着型サービスとして、代表的なのは小規模多機能の特養ということになると思うんですが、三十人未満。そうなってきますと、人員体制も看護体制も整いづらい。一方で、大規模であれば、看護体制、例えば重度の方がいた場合には交代で体制を整えやすい、そういった意味もある。そういう理由で、地域においてその地域密着型サービス、なかなか、過疎な地域に行けば行くほど参入が少ない。この見直しも今後必要なのではないかなというふうに私は考えるんですが、それについて御意見はございませんでしょうか。

服部参考人 小規模の、二十九人以下ということで地域密着型の特養、国が十八年以降始めておりますけれども、まず、経営的には現実的に物すごく厳しいと思います。その人数で重度者の方を見るということに対して、今までの人員配置や報酬を変えていかなければ、実質、数がふえないことの理由は、経営的に難しいというものがあると思います。

 地域の中で対応できるものの数がふえること自身は私は必要だと思うんですけれども、ただ、今の人員配置と介護報酬、この見直しをあわせて行わなければ、結局、現場に負担だけが行くということになりかねないのではないか、このことに対しては懸念を感じております。

中島委員 ありがとうございます。

 御存じのとおり、特別養護老人ホーム、設置は社会福祉法人と自治体に限られております。

 そこで、山崎参考人にちょっとお尋ねをしたいんですが、山崎参考人は、社会保障審議会介護保険部会、さまざまな議論をされてこられたと先ほどからお話も聞きました。

 給付と負担の見直し、費用負担の公平化、さまざまな議論がされたということで先ほどもお話しいただいたんですが、例えば特別養護老人ホームをやりながら、今、大きな施設では、同時にデイサービスをやったりショートステイをやったり、例えば、社会福祉法人以外の一般の民間の企業も同じようなサービスを提供している。そうなってくると、経営主体間の不公平さが生じる。負担と給付の見直しということであれば、やはり介護市場全体の取り組みというのは大前提ではないかなというふうに思います。

 今後、介護市場の改革というか、経営主体間の公平性を保つ、イコールフッティングということになると思うんですが、それに対してどのような議論がなされたのか、お尋ねをしたいと思います。

山崎参考人 国民会議ではその議論はしましたが、介護保険部会では直接議論はしておりません。どちらかというと、給付費分科会にかかわることかなと思います。

 ただ、社会福祉法人につきましては、一方で処遇改善が求められながら、一方で、何か世間的に見ると、相当内部留保があるらしいと。そして、社会福祉法人は、本来、地域に還元しなければならないのにもかかわらず、そういう内部留保があるということでございますから、この際、適正な内部留保というのは当然あるんでしょうが、まず処遇改善をする、それから、必ず一定の地域貢献を義務づけるというふうな形で、実質的なイコールフッティングの道を探るというのが現実的ではないかなというふうに思っております。

中島委員 介護保険部会では議論はされておらなかったということです。

 私は、それぞれの持ち場があって議論する場があると思うんですが、今後の介護保険を、そのサービス提供はどうあるべきかとやっていくときに、やはり介護市場全体、それをどう再構築していくか、大変重要な問題だと思っておりまして、先ほど田部井参考人、浦野参考人からございました、現場の状況と給付と負担の見直しというところの中で、社会福祉法人、措置から契約に移った後、その存在意義ですね、やはり見直しが必要なのかなと。

 そういう中で、今回の法律案ではそういったことには全く触れられていないということで、そういうしわ寄せがいつも来るのは、実際の利用者さんであり患者さんなのかなという印象も少し持っております。

 そこで、介護保険の改正、質問が重複するかもしれませんが、田部井参考人にちょっとお尋ねをしたいんです。

 今回の要支援の地域支援事業への移行に関して、どのような影響があるかは、先ほどから何点かお聞きをしておるんですが、今、認知症高齢者の行方不明の問題であったり、在宅における虐待の問題、そして孤独死の問題、今後このような改革がなされた後、具体的にどのようなことが危惧されるのか、重複するかもしれませんが、改めてお尋ねをしたいと思います。

田部井参考人 先ほどもお話をしたかと思うんですけれども、まず入り口のところで、果たしてどういうサービスが自分に利用者の立場で提供していただけるのかということは、恐らく、新しい制度ですと、もうほとんど理解できないというふうに思うんですね。

 当然、保険料は負担をしているわけですけれども、その負担に見合って、自分が望んだときにどういうサービスを誰が責任を持って提供してくれるのかという手続自体が非常に煩雑で、今まででも予防給付と介護給付と分かれていて、そうするとケアマネジャーさんもかわってということになったりするのが、今度また支援事業ということで新しいハードルが一つ加わるということで、ますます、自分が必要としているサービスと提供されるサービスというのが不一致があっても、とても一人一人の利用者の人では把握するのは難しいような、結局、専門家なり市町村の窓口での対応に、はいと言って応じるしかないような状況になるのではないか。

 それから、先ほどもお話ししましたけれども、軽度の場合と、それから、だんだん進行を当然していくわけですけれども、そのときに、どのように一体的な継続した介護が保障していただけるのかということが起こってくるというふうに思うんですね。

 それから、先ほどお話をしましたJR東海の事故もそうですけれども、あの方も、ほとんど時間を置かないほど、二十四時間に近いケアをされていたということであるんですけれども、それでも事故は起こってしまう。

 よく考えてみますと、今の介護保険というのは、私は、要介護五であっても、恐らくデイサービスを三百六十五日使えば、週七日使えばもう限度額をオーバーしてしまうんですね。そういうことで、ある意味、昼間をカバーする制度でしかないというふうに思うんですね。

 本当に在宅で重度でも見ていくということであれば、限度額の問題であるとか限度額に見合った負担の問題であるとか、その辺もきちんと見直していただかないと、在宅でのあれというのは本当に絵に描いた餅になってしまうのではないかというふうな危惧を持っています。

中島委員 ありがとうございます。

 時間も過ぎたので、最後に新田参考人にちょっとお尋ねしたいんです。

 在宅医療を円滑に進めていくために、もちろん大変重要なのは、レスパイト機能を果たす施設の充実ということになると思います。

 資料の中で、医療型ショート、重介護対応型ショート、その必要性ということが言われておりました。おっしゃるとおりでして、やはりそのレスパイト機能を果たすためには、現状では介護保険のショートステイということになるんですが、認知症がひどい方であったり、医療的ニーズが高い方、もしくは胃瘻をしている重度の方々、その方々がなかなか利用できないこの現状の中で、医療型ショートや重介護対応型ショート、この必要性について、済みません、お時間もございませんので、端的にお答えいただければと思います。

新田参考人 今委員の言われるとおりでございまして、在宅を最後まで進めるためには、エージング・イン・プレースというのは、できるだけ在宅にいてほしいということが基本でございまして、そのためにはやはりレスパイトがかなり重要でございます。

 それは恐らく、その地域の医療圏、病院も小規模病院も含めて、施設を含めて一体としてという意味で、そこでも重度に対していつでも対応してほしい、そして、いつでも在宅に帰る、そのシステムをつくり上げない限り、我々は在宅をやっていっても大変でございます。在宅医療をやるかかりつけ医と同時に、そちらもちゃんと進めていただきたいなと思います。

 もう一つだけよろしいでしょうか。

 巡回型と言われております。巡回型は、ヘルパーさん二十人でございます。二十人で、先ほど小規模特養の問題がありましたが、巡回型も、重度ばかりするとマイナスになります。だから、その辺で、やはり重度に対する巡回型もちゃんとペイできるような、そういったシステムも重要だと思います。

 ありがとうございます。

中島委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、きょうは、まだまだたくさん質問したいことはあったんですが、これで終わりにさせていただきます。

 きょうは、お忙しい中、御参加いただきまして、本当にありがとうございました。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 本日、ちょっと皆様には御質問できないんですけれども、時間の限り、お伺いをしたいと思います。

 まず、山崎参考人にお伺いをしたいと思いますが、いただいた資料の九ページ目に、地方分権とローカルオプティマム、地域の最適化ということを御説明いただきました。

 国基準の画一的な給付ではなく、市町村の独自の事業展開ができる地域支援事業に移行することは、介護保険が本来目指していた地方分権の方向性に合致するという御見解でありますが、お伺いをしたいのは、将来的には、今回の介護予防だけでなく、大半の介護保険サービスが地域支援事業、あるいはローカルオプティマムと言えるような状況に移行すべきだとお考えなのかどうか、お伺いをいたします。

山崎参考人 実は、介護保険本体、今回の見直しの部分ではなくて本体の部分でも、地方の独自性を生かせる仕組みになっているはずでございます。

 市町村保険者でございますから、第一号被保険者の保険料を使って上乗せをしてもいいし、横出しをしてもいいし、あるいは保健福祉事業をやってもいいし、あるいは、介護保険を中核にしながら、一般会計でもってかなりの自治体が独自の取り組みを行っておりますから、介護保険の枠組みの中でもそういうかなり市町村独自の取り組みができるはずなんですが、なかなかそれをしようとしない、その仕組みを利用していただけないというのが非常に残念で、横並びあるいは国基準で機械的に対応する、そういう現状が相当あるというのが非常に残念でございます。

 ですから、別に、要支援に対する予防給付の見直しを、地域支援事業に移行するということでなくても、本体そのもの、給付の部分でも相当独自の取り組みができる仕組みになっているはずだというふうに私は思っております。

井坂委員 介護保険自体が、地方分権がきちんと地域で最適化できる仕組みであるにもかかわらず、そうなっていないということで、今回、手始めにということなのか、介護予防の事業を地域支援に移すことに賛成をしておられるということなんですけれども、これはやはり国でしっかりと、画一的と言うと悪い言葉ですけれども、統一的なサービスを提供する部分と、市町村独自で、いわゆる昔からある上乗せ、横出しで自由にやっていい部分の切り分けということに尽きると思うんです。

 この要支援、介護予防の分野については、上乗せ、横出しではだめで、やはり地域支援に移してもっともっと自由にやる必要がある、また、やっても大丈夫だという、そこの考えの違いについてどうお考えでしょうか。

山崎参考人 実は、亡くなられた池田省三さんがおっしゃっておられましたが、日本の介護保険は、世界で最もぜいたくな保険制度だと。ドイツ、韓国、いずれも中重度に限定しております。そういう中で、比較的軽度、さらに介護予防、要支援の部分まで組み込んだわけでございます。

 もともと、現在でもそういう議論がありますが、この要支援の方については、むしろ行政による福祉サービスに移行してはどうかという議論もあるぐらいでございます。

 それも一つの選択かなと思うんですが、いきなり行政のサービスに移行しますと、恐らく、今の市町村の取り組み状況からいいますと、全く手を引く市町村が出てくる可能性がございまして、ですから、介護保険の枠組みを使ったということは、財政的には全国均一に支援をしながら、その財布の中で自由な取り組みをしていただきたいということで、妥協的なやり方かなと。

 ですから、本来のやり方からすれば、税財源による行政サービスに移行してもいい分野かなというふうに思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、浦野参考人にお伺いをしたいんですけれども、やはり、介護のプロが生活支援をすることの価値を、どう目に見える形で結果として出していくかということが大事だというふうに思っております。

 私どもも、今回、介護人材の賃上げの法案を出させていただきました。人が集まらないその最大の理由が、仕事が大変な割に賃金が安いということで結果が出ておりますので、第一の打ち手としてそのような法案を出させていただいたわけでありますが、もちろんこれだけではだめで、やはり、長く勤めれば介護の技術が上がっていき、それによって現場で提供できるサービスの質が上がり、ひいてはそれが結果として出て、それがちゃんと介護報酬という形で評価をされて職員さんの賃金に分配をされていく、これが目指すべき姿だろうというふうに私自身は思っております。

 特に介護予防においては、よい結果とは何かといえば、これはやはり要介護から要支援になりましたよとか、あるいは要支援から何もない状態にまで戻りましたよということがあれば一番いいと思いますし、そこまでいかなくても、状況が、介護度が悪化せずに同じ状況を長く維持した、こういうところも評価すべきだということで、昨日の地方公聴会の参考人の方に御意見をいただいたところであります。

 参考人にお伺いしたいのは、プロの仕事としての生活支援の効果をどのように測定すべきかということについて、お考えがあればお伺いをしたいと思います。

浦野参考人 ありがとうございます。

 生活支援の評価というのは、とても難しいわけです。なぜかといいますのは、初めて支援を受けるというのは、単に身体的に家事ができなくなったとかいう問題に終わらないわけです。一つは、老化していくわけです。機能低下していくわけです。

 高齢期介護、看護のポイントの中には、徐々に機能低下していくのは自然の法則なんだけれども、それを受け入れられない、喪失の看護というふうに私ども言っているんですが、それを受け入れて、どうやってその機能低下と折り合っていくかということが重要なわけですね。ところが、それがとても時間がかかるわけです。

 どうしてかといいますのは、その背景に、元気な高齢者でないといけないというような、健康産業が非常に普及している、そういう社会的な背景がありまして、追い打ちをかけるわけですね。元気でないといけない、強迫観念のようになる、私はだめだというふうな状況になっていくわけですから、健康への不安というのが再生産されていくわけですね。そのことが利用者を追い込んでいく。

 それは、利用者だけでなくて、認知症になったらどうしようという家族の追い込みです。毎日のように電話して、元気かということで、かけるわけですから。

 そういう状況の中で高齢者が生きている。高齢者の姿だけを見ているわけにはいかないわけで、健康産業も含めて社会的な背景ですね、そういう目が必要なわけです。

 けれども、支援していきますと、結構保っていくんです。要支援が続くんです。だから、結果だけ見て、よくなるということは評価できない。

 ですから、大切なのは、その人が自分で考えて折り合いをつけながら生きていけていっている、笑顔ができている、自分で工夫してできているというふうなことを評価するわけですが、その評価のツールもありませんし、人々はツールで評価しようとするんですが、そこはとても難しいですから、データ化はなかなかしません。

 そこら辺、介護といいますのはまだ専門性も確立されておりませんから、やはり、そういうことが研究されるシステム、そういう人材を育てるということも一つは大切でして、基礎教育がきちっとできる、そして、現場に入っても個別性のケアをチームで支えていく体制をつくっていく中で、その事例研究なり、それを国で保障していく、そのことでいろいろな評価のツールも恐らくできてくるだろうというふうに思います。

 ですから、評価する時点で大事なのは、利用者の笑顔がふえていくとか、やはり機能低下だけで見ない、表面だけで判断しない、数だけでは出ないということを配慮しないといけないと思いますし、それをするためには同じ介護者がずっと働き続けるということですし、そのためには、やはり働き続けられる労働条件と賃金を保障しないと研究はできません。

 そういう点を考慮して、私もまだまだ勉強のさなかでございますので、何かありましたらお教えいただきたいと思います。

 以上でよろしゅうございましょうか。

井坂委員 はい。ありがとうございます。

 卵か鶏かの話で、もちろん、こういったことは評価が難しいというのはよくよく理解をしております。しておりますが、一方で、そういう物差しがない中で、だったらボランティアにやってもらったらいいじゃないか、こういう乱暴とも言える意見が出ているわけでありますから、やはりプロの仕事は違うんだと。笑顔という物差し、それもいいと思いますし、機能低下の物差し、いろいろな、現場の方も納得できる物差しで、やはりプロの仕事には値打ちがあるということを制度としても示していく必要があろうと思ってお尋ねをいたしました。

 あと、もう一問お伺いをしたいと思います。服部参考人にお伺いをいたします。

 いただいた資料で、後の方ですけれども、ケアマネと介護職の連携で入院リスクを減らしていこう、医療入院の予防をしていこうという御意見をいただきました。

 介護予防だけでなく医療予防に近いことまでヘルパーさんとケアマネさんが行うためには、今後どのような法改正あるいは介護報酬の改定といったことが必要とお考えか、お伺いをいたします。

服部参考人 ありがとうございます。

 きょうは余りお話しできなかったんですけれども、より長く在宅を続けられる、そうすれば介護給付は下げられるということと、介護度が悪化する大きな原因が、入院がきっかけになっています。

 入院の中でも、例えばがんとか、どうしようもできないものもあるんですけれども、例えば、昨年は七万五千人が脱水、熱中症で入院をしております。そうすると、それで状態が非常に悪化をします。でも、それは、ほぼ一〇〇%、ケアの中で予防することができるのではないか。それから転倒リスク、誤嚥のリスク、または低栄養を続けていくなり、気持ちがうつ的になって食欲が出なくなると、やはり体力的に歩行機能に影響が出てまいります。

 そういうことを、日常的なケア、たとえ週に二回でも三回でも会っていく中で、今までとどこが違うか、最近こういう傾向があるということをそこでつかんで、それをケアマネジャーに連絡して、ケアマネジャーが医師や看護師と連携をして、それに対してアセスメント、判断をした上で、次のステップ、デイケアに結びつけるとか、または訪問のリハビリに結びつけるとか、福祉用具の導入に結びつけるとか、そういうような形でよりきめ細かくやることによって、できるだけ今の体力と、入院リスクを減らすことができるのではないか。これは幾つかの事例の中から。

 それから、たとえ入院したとしても、今回、診療報酬でも、機能訓練というか、この加算がつきましたけれども、肺炎なりの治療だけではなくて、廃用症候群の予防というのも入院の中でやっていただく。そのことによって、肺炎は治ったけれども歩けなくなったとか誤嚥が出てきたとか、全体の廃用症候群が進むということではなくて、やはり急性期のリハビリというのは廃用症候群の予防だと思いますので、入院である程度専門的な目と力がある中で、その方の廃用症候群の予防というのも入院の中でしっかり位置づけていただく。

 今回、診療報酬でそれが一部入りましたけれども、そのような形で専門職が総合的にかかわって、入院もさせない、だけれども、もし入院したら早く帰す、そういうことの連携。それで、もし戻ったときには、今度は集中的なサービスを導入して対応していく。こういう一連の流れが必要だろう、また、それに伴う報酬が必要だろうというふうに考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 医療や介護の連携は本当に大事だというふうに思います。今回、法案を随分無理やりまとめられてしまったなというふうに思っておるわけですけれども、やはり大事なのは、実際の仕組みをそうやってつなげていくことだということで改めて学ばせていただきました。

 本日はどうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、六人の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。貴重な御意見を生かしていきたいと思います。

 特に、田部井参考人の御意見については全くそのとおりで、認知症の問題がこれほど社会でも話題になり、委員会でも随分議論をされてきました。なのに粛々と法案が通るというか、直しもしないというのはやはり絶対おかしいと思っておりますので、頑張りたいと思っております。ありがとうございました。

 まず最初に、浦野参考人に伺いたいと思うんですけれども、利用者さんの思いと、また、頭の後ろに目をつけて奮闘しているヘルパーさんの頑張りが伝わってきたと思います。

 さっきの井坂さんの質問は大変難しい質問だったと思うんですが、直球で素直に聞きたいと思うんですけれども、ヘルパーさんの専門性について、ヘルパーさんが関与することによって利用者さんが変化をする、こういう実例、具体的な役割について簡潔にお願いしたいと思います。

浦野参考人 難しい質問でございます。

 ヘルパーの専門性といいますのは、まず第一に、生活の場に介入したときに、その人の状況をある程度見ることができるということです。ただし、利用者の状況によっては、思いは言いません。ですから、一つには観察の仕方ですね。

 それは、ただじいっと見るのではなくて、看護師の場合はじっと見るなんです、しっかり見るなんです。けれども、ヘルパーの場合は、じっとじゃないんです。それとなく見るという観察の仕方が、やはり医療の専門職とはちょっと違います。じっと見ると認知症の方はそれだけで萎縮してしまいますから、そういうとこら辺で、観察の仕方。

 どうしてそういう観察をするかという点では、やはり利用者の状況がどのようなものか理解する。それは人間性とか尊厳とかいうことを基本的に理解しているということだと思いますし、まず、観察をどういうふうにするかというところに一つは専門性があります。

 それと、次に、その人がする行動について、それがどのような意味を持っているかということを見た上で判断できるということです。それは、非常に専門分化されているような医療の場では難しいんです。非常に総合的に判断できるということです。そこに一つは専門性があります。

 ですから、その人自身がやはり文化的な生活をしているというのが影響してきます。ですから、その人自身がやはりより人間らしい人であるということが問われるわけですから、判断するときの、人を人として見る、そこにやはり大切なポイントがあって、そこに専門性があります。

 ただし、専門性を育てる場合には、続けないと専門性は育ちません。どうやって見るかには個別性がありますから、働き続ける、そしてチームで共有するということなしには専門性が続かないわけです。

 私が経験したのは、認知症の初期の方です。非常に不安定でした。汗をびっしょりかいているんです。不安定ですけれども、よく考えたら、汗をびっしょりかいているけれども、どうしたらいいかわからない。

 そのようなときにどのように判断するかというふうな点ですね。暑いんだけれども、どう判断したらいいかわからないときに、どのような声をかけるか。着がえましょうだけでは、その方はできません。私も暑くてねというふうな感じで、まずその思いを共有するところから始まるわけですが、なかなか、現場では直球でいかないわけです。

 ですから、観察の仕方と判断、それをするその人の人間性というところに育つ専門性があるというふうに私は思っています。

高橋(千)委員 貴重な御意見、ありがとうございました。後でもう一度伺いたいと思いますので、お願いします。

 先に山崎参考人に伺いたいと思うんですが、きょうの陳述では、介護保険成立の経過も含めてお話をいただきました。あえて介護が保険でスタートした、これはやはり持続性ということに注目したということだと思うんです。

 ただ、今回は、そもそも保険料は収入に応じた形になっているんですけれども、しかし、保険の事故に当たる給付、利用料について、今回、収入で差をつける、このことが保険の原理に反するのではないか。また、現役並み所得が三百八十五万などに対して、今回は二百八十万円が一定の収入ということでラインになっている。これは非常に低過ぎるのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

山崎参考人 研究者の世界でもいろいろ議論があるところでございまして、保険原理からすると、応能負担でサービスは同じように利用できるというのが保険の本来のあり方だというわけでございます。

 ただ、そうはいいましても、民間保険と違って介護保険は、あるいは医療保険もそうでございますが、相当税財源が入っていて、介護保険の場合は二分の一入っているわけでございますから、純粋な意味の個々人の給付と負担の均衡ということもまた貫けない財政の仕組みになっているということで、一割を二割という程度のことは、公費が相当入っていることを考えると許容される範囲かなというふうに部会でも認識したんだろうというふうに思います。

 それから、上位所得者として二〇%、年金収入でいうと二百八十万円ということが政府の提案ですが、介護保険部会では、この点は意見が全く分かれまして、ですから、両論ではなくて各論併記になっております。

 ただ、二百八十万円というのは、現役とのバランスという御指摘ですが、もう一つ大事なのは、高齢者の中で公的年金収入が二百八十万円という方は、かつては公務員の世界にはおりましたが、最近の退職者では公務員OBでもそうはいない。ですから、同じ世代で、特に後期高齢者になりまして、ほとんどみんな年金のみというような生活になりますと、かなり高い、相対的に高い水準。

 ですから、めり張りをつけるといったときに、低所得者には思い切って軽減をする、しかし、ある程度負担できる方には負担をお願いするという中での、これは国民会議でも、年齢別から負担能力別へという大きな提案をしたわけでございますが、そういう考え方のもとでの提案でございます。

高橋(千)委員 高齢者の中では相対的に高いとおっしゃいましたけれども、ちょっとそれはとても受け入れがたい議論であるかなと思っております。ずっとこれから介護のお世話になる人に対して、それはどうなのかということと、これが一里塚でまた広がるのではないかという危惧を持っているということを指摘しておきたいなと思っております。

 それから、武藤参考人に伺いたいと思うんです。

 地域包括ケアシステムがまさに本法案の中心課題だということで、多職種協働の議論をされました。ただ、川上はどうかということで、先生は中医協の診療報酬調査専門組織・入院医療等の調査・評価分科会の会長をされておるわけですけれども、その中で、例えば七対一基本料の見直しで、在院日数の短縮ですとか、特定除外制度を見直して長期の入院の方はカウントするということになると、かなり厳しくなってくるわけですよね。

 そういう中で、今考えているのは、例えば、病床を削減するから、そこで看護師さんが地域包括ケアの支え手になるからいいのだというふうに計算をされているのか、また、実は七対一であっても十分ではない、もっと手厚い看護が必要なんだという議論も当然あるし、私たちはそう思っていますけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。

武藤参考人 御質問ありがとうございます。

 中医協の入院医療分科会の中では、今おっしゃったような議論はされておりません。

 というのは、あくまでも、今回の診療報酬改定の確かに一丁目一番地、七対一の削減及びその受け皿としての地域包括ケア病棟の創設、これが非常に大きな課題でした。ですから、今までのやはり七対一、厳密に評価をさせていただくと、必ずしも七対一にふさわしい患者さんがいたとは思えない部分はありました。そうしたことを踏まえて、要するに、急性期からいわゆる亜急性期への移行を進めたところです。

 それと、今回の在宅に関しては、必ずしも、七対一によって、余剰になった看護師さんをそのままそっくり在宅へというような、そうした乱暴な議論は、実際、議論したことはありませんでした。

 先ほど言いましたように、看護師さんに関しては、例えば出向制度というような形で、急性期の看護師さんに地域で不足している在宅へ出向していただく、その中で経験を積んでいただく、そしてまた病院の方へ戻っていただく。それによって、相互の理解、特に、急性期の看護師さんはなかなか在宅のことを知らないこともありますものですから、そうした看護師さんがふえていけば、今後の退院支援にも役に立つんじゃないか、そうしたことは考えられると思います。

 以上ですが、よろしいでしょうか。

高橋(千)委員 はい。ぜひ、先生がおっしゃったように、乱暴な議論ではないということで、施設の中、病院の中でもやはり手厚い看護が必要なんだということを改めて申し上げていきたいなと思っております。

 なぜ私がこういう質問をしたかというと、そういうことを言ったのは前の老健局長でございますので、要するに、ベッドが減るから看護師さんはそっちに行けるよというふうなことを言っていたから、そうじゃないということをあえて言いたい、むしろ、もっと手厚くしてほしいということを言いたいと思いました。

 改めて浦野参考人に伺いたいと思うんですが、医療の現場でも勤めていた経験がございますので、例えば、さっきの武藤参考人の資料の中にもあったように、特定行為を在宅でやるというふうな議論がございました。そういうことで、医行為が看護に、そうすると、その先の看護の医行為が介護にというふうな形で、当然、この包括ケアを進めていく中でそういう移動というのが起こるのではないかということに対して、やはり介護が医行為を担わなければならない現状、あるいはそういうふうになっていくことに対して、どのようにお考えか、伺いたいと思います。

浦野参考人 医療と介護の連携という問題だろうというふうに思います。

 私は、かつては看護のプロでありました。今、介護の現場ではどういうことが起こっていますかと。

 私は、身体介護はやめて、できるだけ生活援助をということでやっているわけですが、実は、三十分の身体ケアの中に、何カ所かの褥瘡です、一、二、足と腰の褥瘡。体位変換して、衣服交換ですね。褥瘡ケアは決められたパッドを当てるわけです。それから、ありますのは、酸素をしている人の携帯用酸素の交換です。

 それから、確認という名前の服薬介助です。これは日常茶飯事です。あるところからは、利用者さんの血圧が高いし、薬をちゃんと飲ませているのかと。週一回訪問に行っているだけであります。血圧のお薬。家族が置いているけれども、認知症の人が飲んでいるかどうかわからない。

 そういう状況の中で、川上から川下ということで、私どもは川下です。あふれてあふれて、洪水を起こして、もう死者が出そうです。

 そういう状況の中で、褥瘡ケア一つとっても、栄養状態、亜鉛とか食事状態をきちっとしたら改善していった例があります。認知症の方の酸素療法をしているわけですが、酸素業者がきちっと入ってやっていけば、もっと看護師さんが入っていけばきちっとできるわけですが、医療が入ることが、上限にかかわって、上限を超過するからできなくなっているわけです。

 ですから、私たちがせざるを得ないというふうなとこら辺に問題があるわけですから、訪問看護の分については介護の中に入れないでほしい。医療です。医療は医療としてやってほしい。

 けれども、当面、現実的にはやらざるを得ない人がいます。そういう方にはきちっと研修をして、事業所の責任においてきちっと行うということをしてほしいわけです。けれども、登録型のヘルパーはなかなかできないわけですから、常勤者がやる。常勤者は大変です。当面の問題については、きちっと研修をする。

 ただし、大事なのは、医療行為は医療です。医療と介護の連携をとる場合に私が強調したいのは、それぞれの役割、専門性を理解することの前提抜きに、医療と介護の連携を叫ばないでほしい。肩がわりだけをさせている、私たちに。そうすることによって、看護師さんたちもやりがいを持ちます。

 看護師はいません。一人の職場の中で判断するのはとても難しいんです。ですから、幾ら病院からかわって行っても、人材はなかなか、訪問看護のところには行く自信がないというふうに言っておりました。

 人材の問題をあわせて言わせていただきます。

 ヘルパーが百万人必要と言われていますが、訪問介護員の養成研修二級修了者の実態で、これは厚生労働省の委託を受けた日本総研の調査です。実に二百二十八万人の潜在ヘルパーがいます。現役ヘルパーは、その当時ですけれども、四十万人弱。その中で、就業意向が強い人は百万人近くいます。

 そのことを抜きにして、人がいないからどうのこうの言わないでいただきたい。本当は働きたいが働けない、その内容を調査してから言っていただきたいと思います。人はいるんです。隠れているだけ、出られないだけです。そのことをお願いして、最後に返答とさせていただきます。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 もっともっとこういう機会が必要だということを改めて訴えて、終わりたいと思います。

 本当に、きょうは皆さん、ありがとうございました。

後藤委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。

 参考人の方々は御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

後藤委員長 この際、両案審査のため、昨十二日、山梨県及び大阪府に委員を派遣いたしましたので、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたします。

 まず、山梨県に派遣された第一班の派遣委員を代表いたしまして、便宜私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、団長として私、後藤茂之と、理事山井和則君、古屋範子君、委員堀内詔子君、宮川典子君、長妻昭君、重徳和彦君、中島克仁君の八名であります。

 なお、現地において、中谷真一議員が参加されました。

 会議は、昨十二日、甲府市内の甲府富士屋ホテルにおいて開催し、まず、私から派遣委員及び意見陳述者の紹介等を行った後、一般社団法人山梨県医師会会長今井立史君、公立大学法人山梨県立大学看護学部老年看護学教授流石ゆり子君、山梨県老人福祉施設協議会会長・社会福祉法人緑樹会副理事長石井貴志君、一般社団法人日本介護支援専門員協会常任理事、元北杜市介護支援課長・地域包括支援センター長唐木美代子君の四名の方から意見を聴取いたしました。

 その意見内容につきまして、簡単に申し上げます。

 今井君からは、限られた地域の医療資源を効率的に活用し、高齢化社会に対応していくためには、病床機能の分化、連携を進めていくことが重要である旨の意見が述べられました。

 流石君からは、今回の医療、介護の改革は、今後の高齢者の生活に与える影響が大きいことから、サービス利用者や地域包括支援センターなど現場の意見を踏まえて審議することが必要である旨の意見が述べられました。

 石井君からは、地域包括ケアシステムの推進に当たっては、地域の実情に応じて、高齢者入所施設にさまざまな福祉・医療サービス機能を併設するなど、福祉、医療の拠点となる施設を整備することも必要である旨の意見が述べられました。

 唐木君からは、介護予防・日常生活支援総合事業の実施に当たっては、地域の状況を把握するとともに、事業の目的、目標、方針を地域の関係者が共有して地域づくりの視点から取り組むことが重要である旨の意見が述べられました。

 意見の陳述が行われた後、各委員から、地域医療構想の実現に向けて都道府県が果たす役割、要支援者向けサービスを地域支援事業へ移行することによる予防効果と費用への影響、看護師が行うこととなる特定行為において懸念されるリスク、女性医師の勤務環境等を改善するための方策、介護認定審査に地域間格差が生じている要因等について質疑が行われました。

 なお、会議の内容の詳細は、速記により記録した会議録によって御承知願いたいと存じます。

 以上をもって第一班の報告を終わりますが、今回の会議の開催につきましては、多数の関係者の御協力により極めて円滑に行うことができ、深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

 次に、第二班の報告を金子恭之君にお願いいたします。

金子(恭)委員 大阪府に派遣された第二班の派遣委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、団長として私、金子恭之と、理事とかしきなおみ君、委員田中英之君、大西健介君、柚木道義君、足立康史君、浦野靖人君、樋口尚也君、井坂信彦君、高橋千鶴子君の十名であります。

 会議は、昨十二日、大阪市内の新大阪ワシントンホテルプラザにおいて開催し、まず、私から派遣委員及び意見陳述者の紹介等を行った後、一般社団法人大阪府薬剤師会会長藤垣哲彦君、「高齢社会をよくする女性の会・大阪」介護問題研究会座長吉年千寿子君、大阪発達総合療育センター副センター長・南大阪小児リハビリテーション病院院長船戸正久君、社会福祉法人こばと会事務局長正森克也君の四名の方から意見を聴取いたしました。

 その意見内容につきまして、簡単に申し上げます。

 藤垣君からは、在宅医療の現場において薬剤師等のかかわりは不可欠であり、在宅医療・介護サービスの充実のために、基金を活用して、その支援を行うべきである旨の意見が述べられました。

 吉年君からは、生活援助サービスを市町村に委ねることは、サービスの質の低下や供給不足などで格差が生まれるので、従来どおり、介護保険制度で責任を持つべきである旨の意見が述べられました。

 船戸君からは、児童福祉法や障害者総合支援法の対象となる障害児者等に対しても、療育という視点を含んだ細やかな医療・福祉・介護サービスの施策ができる法改正を将来行うべきである旨の意見が述べられました。

 正森君からは、生活援助サービス等の地域支援事業への移行に際しては、拙速に移行するのではなく、現場の専門家が納得できる予防効果の検証が最低限必要である旨の意見が述べられました。

 意見の陳述が行われました後、各委員から、地域包括ケアシステムや医療と介護の連携において薬剤師が果たすべき役割、内閣提出法律案に盛り込むべきと考える小児医療等に関する事項、チーム医療の推進の必要性、介護従事者がキャリアアップできるようにする具体的方策、生活援助サービスの意義及びヘルパーの役割、生活援助サービスが市町村に移行されることによる影響等について質疑が行われました。

 なお、会議の内容の詳細は、速記により記録した会議録によって御承知願いたいと存じますので、本委員会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。

 以上をもって第二班の報告を終わりますが、今回の会議の開催につきましては、多数の関係者の御協力により極めて円滑に行うことができ、深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

後藤委員長 以上で派遣委員からの報告聴取は終わりました。

 お諮りいたします。

 ただいま報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤委員長 次回は、明十四日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十一分散会

     ――――◇―――――

  〔本号(その一)参照〕

    ―――――――――――――

   派遣委員の山梨県における意見聴取に関する記録

一、期日

   平成二十六年五月十二日(月)

二、場所

   甲府富士屋ホテル

三、意見を聴取した問題

   地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)及び介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(中根康浩君外七名提出)について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 後藤 茂之君

       堀内 詔子君   宮川 典子君

       長妻  昭君   山井 和則君

       重徳 和彦君   古屋 範子君

       中島 克仁君

 (2) 現地参加議員

       中谷 真一君

 (3) 意見陳述者

    一般社団法人山梨県医師会会長         今井 立史君

    公立大学法人山梨県立大学看護学部老年看護学教授           流石ゆり子君

    山梨県老人福祉施設協議会会長

    社会福祉法人緑樹会副理事長          石井 貴志君

    一般社団法人日本介護支援専門員協会常任理事

    元北杜市介護支援課長・地域包括支援センター長 唐木美代子君

 (4) その他の出席者

    厚生労働委員会専門員  中尾 淳子君

    厚生労働省大臣官房総務課長          坂口  卓君

    厚生労働省医政局総務課長           土生 栄二君

    厚生労働省医政局医事課長           北澤  潤君

    厚生労働省老健局長   原  勝則君

    厚生労働省老健局老人保健課長         迫井 正深君

     ――――◇―――――

    午前十時二分開議

後藤座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院厚生労働委員長を務めております後藤茂之でございます。

 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 皆様方御承知のとおり、当委員会では、内閣提出の地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案及び中根康浩君外七名提出の介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案の両案の審査を進めているところでございます。

 本日は、国民各層の皆様方から幅広い御意見を承るため、当甲府市におきましてこのような会議を催しているところでございます。

 御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席いただきまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願い申し上げます。

 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。

 なお、御意見をお述べいただく皆様方は、委員に対しての質疑ができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様方から御意見をそれぞれ十五分程度でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 次に、派遣委員を御紹介申し上げます。

 自由民主党の堀内詔子君、宮川典子君、民主党・無所属クラブの山井和則君、長妻昭君、日本維新の会の重徳和彦君、公明党の古屋範子君、みんなの党の中島克仁君、以上でございます。

 なお、現地参加議員として、自由民主党の中谷真一君が出席されております。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 一般社団法人山梨県医師会会長今井立史君、公立大学法人山梨県立大学看護学部老年看護学教授流石ゆり子君、山梨県老人福祉施設協議会会長・社会福祉法人緑樹会副理事長石井貴志君、一般社団法人日本介護支援専門員協会常任理事、元北杜市介護支援課長・地域包括支援センター長唐木美代子君、以上四名の方々でございます。

 それでは、まず今井立史君に御意見をお述べいただきたいと存じます。

今井立史君 山梨県医師会長をしております今井立史と申します。専門は整形外科でございます。有床診療所と介護施設を経営しております。

 本日は、医療介護総合確保法案の国会における審議の中で、地方の医療現場の実情について意見を述べさせていただく機会を得まして、感謝申し上げます。

 急速に進む超高齢社会の中で、社会保障費に占める医療、介護に要する費用は増加の一途にあります。医師会としまして、国民皆保険を維持し、必要な医療・介護ニーズに応え、安心、安全な社会保障制度を守る必要性は十分に理解をしているところであります。

 今回の医療・介護サービスの提供体制改革のための財政支援制度を初めとします各施策を包括した本法案には大いに関心を持ち、また積極的に取り組みたいと考えております。

 以下、山梨県の医療の実情、課題を踏まえて、今回の法案について意見を述べさせていただきます。

 山梨県の人口は約八十四万人、そのうち六十五歳以上の割合は二四・七%と、急速に高齢化が進んでおります。今後、さらにこの傾向は進展し、高齢者への医療・介護サービスの需要はますます増大すると予測され、その対応は急務と考えられます。

 次に、山梨県の医療提供体制の現状と機能分化についてお話をさせていただきます。

 山梨県の医療の状況でありますが、現在、六十の病院と六百七十九の診療所、うち有床診療所が四十六でありますが、以上の施設で地域医療が支えられております。二次医療圏は四つに区分されておりまして、大病院の多くは甲府市周辺に集中しております。

 今回の法律改正の柱であります病床の機能分化、連携は、限られた医療資源を効率的に活用し、高齢化社会に対応していくために重要な課題だと考えております。

 特に、県内におきましては、高度急性期機能を担っております施設として、山梨大学医学部附属病院と山梨県立中央病院が挙げられますが、この両病院以外の病院におきましても、地理的な状況等を踏まえ、高度機能病院として地域医療を支えている現状があります。こうした中核病院におきましては、さまざまな要因により、十分な機能分化、役割分担が進んでいるとは言えない状況であります。

 本法案では、都道府県ごとに、将来的にどのような医療機能を持つ病床がどれくらい必要なのか、協議の場を設け、そこで定められた地域医療ビジョンを実現するためにさまざまな施策を講じることとなっております。地域医療ビジョン策定の際には、地域の特性に即した、きめ細かい分析、検証が極めて重要であります。

 そこで、国から出される地域医療ビジョン策定のためのガイドラインには、こうした地域の実情を十分反映された内容を含むべきだと考えております。

 本法案では、在宅医療の推進が大きな目標に掲げられておりますが、その推進の成否は、在宅医療に参加する医師数にかかっていると思います。在宅医療をちゅうちょしている医師の多くが、在宅での患者急変時の受け皿を心配している調査結果があります。病院機能区分に当たっては、こうした背景も十分に考慮する必要があると思います。そうした点も踏まえ、医師会といたしましても、その実現のために最大限取り組む覚悟でおります。

 次に、医療従事者確保の問題ですけれども、山梨県の医師数は、人口十万人当たり二百十一・八人と、全国平均の二百二十四・五人と比べますと、なお低い水準にあります。加えて、地域偏在が著しいことは述べたとおりであります。例えば峡南医療圏では、人口六万人に対し研修医も含めてわずか六十五人しか医者がおらず、極めて深刻な医師不足に陥っています。

 そのため、山梨県でも、医師が地域医療機関と中核病院をローテーション勤務する臨床研修プログラムのもと、医療過疎地の医療機関で働く医師のキャリア形成を支援する山梨県地域医療支援センター運営事業が開始されております。こうした取り組みが本法案において医療法に位置づけられ、恒常的な都道府県の取り組みとなることは、地域の医療提供体制を確保する上で極めて重要だと思います。

 このような取り組みを後押しするために、現在検討中の新たな専門医制度において、専門医の取得、更新の際には、地域医療支援センターでの研修プログラムに基づく臨床研修が評価されるシステムが必要ではないかというふうにも思います。

 次に、在宅医療についてですが、ますます進む高齢社会の中で、病院の機能区分と役割を明確化し、効率的な運用と病院医療から住みなれた地域医療への方向転換を図る施策は、拙速に進めれば、病院を出された高齢者の受け皿不足から、多くのいわゆる介護難民をつくり出す可能性を秘めております。

 したがいまして、在宅医療提供体制の整備は喫緊の課題ではありますが、既に県内では一部医師により在宅医療が熱心に行われておりますが、しかし、まだまだ不十分であります。

 県医師会としましても、医療・介護関係者や関係団体と密に連携をとり、在宅医療の提供体制の確保、充実に努めていくつもりであります。本法案に設けられました特別支援基金を用いた取り組みの選択、決定に際しましては、医師会等の意見が十分反映され、官民格差のないよう強く要望したいと思います。

 私は先月、医師会長になったばかりでありますが、従来から懸案の老朽化した医師会館の改築を考える中で、財政支援制度を活用した在宅医療の支援、必要な人材の養成、在宅医療・認知症等の相談窓口、市民や多職種間の交流の場を設けた医療、介護の拠点整備を進めたいと考えております。

 具体的な取り組みといたしまして、一つ、在宅医療に興味ある医師が、訪問看護ステーションの看護師や地域包括支援センターあるいは居宅支援事業所の介護支援専門員等との連携のコアとなる在宅支援部会を地区医師会内に設置することの推進と、これらの活動を総括、支援する窓口の設置であります。

 また、今まで在宅医療を行っていない医師や看護師、PT、介護福祉士、歯科衛生士などさまざまな職種の人材を対象に、在宅医療に関する知識や技能を取得するための研修会や研究会、さらに実技指導等の人材養成の目的に取り組みます。

 今回の法案で市町村事業に移行する介護保険の予防給付事業ですが、地区医師会単位でこれを充実したものにする支援と研修センターの設置といった事案を考えております。

 医療機関が在宅医療に継続的に取り組んでいくためには、診療報酬での評価が欠かせません。平成二十六年の診療報酬改定におきまして、地域包括ケア診療料が新設され、全体としては診療報酬上の在宅支援が打ち出されたことを評価しておりますが、今後も、医療法に基づく施策と診療報酬改定が連動し、継続的かつ長期的な施策が望まれます。

 在宅医療を推進する上では、看護師の参加、活動が不可欠であります。同時に、看護師の技能向上も欠かせません。今回創設されました特定行為に対する研修制度につきましては、選択項目によっては医療事故につながる施術も含まれております。

 特に、気管挿管チューブの交換や人工呼吸器の設定の変更など、命と直接関係するような行為も含まれております。そのような行為を、包括的指示書のもととはいえ、看護師が直接行うべき医療行為と言えるかどうか、疑問にも思います。

 いずれ具体的な内容は今後の審議に委ねると聞いておりますが、安全という観点から、医師や患者の意見も十分に聞き、慎重な判断を求めたいと思います。

 また、看護師不足の中で、多くの高齢者介護施設では准看護師が大きな役割を果たしている現実があります。本法案の特定行為研修とは別に、国は、現実に高齢者介護施設等でみとりや日々の健康管理にかかわる准看護師のスキルアップにも力を入れてほしいと考えております。

 有床診療所についてです。

 私ごとですが、有床診療所を開設して三十四年になります。日々、二百名を超える外来患者の治療のほかに、有床診療所として、大腿骨頸部骨折や変形性膝関節症などの高齢者特有の疾患の手術や、運動器リハビリテーションにかかわってきています。

 減少の一途の有床診療所ですが、山梨県のように医療資源の乏しい地域では、地域の医療提供体制にとって、依然として必要な存在と認識しています。現実には、身近で開業する整形外科医の仲間から急患受け入れ先として重宝され、なかなか閉鎖できない状況にあります。こうした、小回りがきき、一定の手術治療も可能な施設は、在宅医療の受け皿になる可能性もあります。

 今回の医療法改正によって、有床診療所の役割が明記されまして、わずかながら診療報酬上も一定の評価を受けたことは、意味がある改定だったのかなというふうに思います。

 次に、介護保険法について最後に触れさせていただきます。

 私自身は医者であり、介護分野は余り詳しいわけではありませんけれども、整形外科医と運動器のリハビリテーションというのは切っても切れない関係にあります。

 特に高齢者は、仮に局所を約一カ月間固定した場合には、その回復には少なくとも動かさなかった期間の三倍、すなわち、回復には三カ月を要します。運動器には常に一定の負荷をかけておくことが非常に重要な介護予防につながります。

 今回の法案では、介護予防給付が市町村事業となることにより、地域の実情に応じた独自の取り組みが求められますが、こうした取り組みに積極的に取り組む市町村とそうでない市町村では、その後の要介護への移行頻度に大きな差が出ることは間違いないと思います。ぴんぴんころりを目指すなら、目先の財政負担のみを考えて事業をやめようというようなことがないように、国からも相応の支援と配慮を望むものであります。

 以上、今回の法案の中で、幾つかの問題点について陳述させていただきました。

 日本医師会は、二〇二五年に向けての社会保障制度と国民皆保険を堅持し、国民の幸せにつながる包括ケアシステムの構築を提唱しております。本法案がその趣旨に沿ってきちっと、山梨流に言えばこぴっと運用されることを願って、私の意見陳述とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

後藤座長 ありがとうございました。

 次に、流石ゆり子君にお願いいたします。

流石ゆり子君 ただいま紹介をいただきました流石と申します。

 私は、簡単なレジュメをお配りしてありますけれども、きょう意見を述べさせていただきます立場を簡単にまず御説明いたします。

 私は、現在、老年看護学の領域で教育とか研究を専門に行っております。ちょうど二十年目を迎えております。それまで、行政保健師の中の、県とか市町村の保健師の経験もしております。その後、保健師教育に十年ほど従事をして、現在の立場におります。研究テーマとしましては、今話題になっております認知症高齢者のケアに関する研究、高齢者の終末期に関する研究、それから独居とか夫婦世帯の高齢者に関する研究等を心がけております。

 日々の業務の中で毎日思っておりますことは、高齢者の中でも、要介護の状態であったり認知症を合併しているような方は、御自分の意思を十分人に伝えることができません。そういうふうな立場から、高齢者あるいは当事者の立場、それから今回のこの法案では大半の業務の受け皿となっております地域包括支援センター、そんな立場の方を考えながら発言をさせていただきたいと思っております。

 続きまして、レジュメの片括弧二にありますけれども、超高齢社会の課題の整理ということで、簡単にお示ししました。

 まず、本県の高齢化率につきましては、御存じかと思いますが、二十五年の四月現在で、山梨県が二五・七%、それから国が二四・七%。これは、県内でも非常に地域格差が高くなっております。東京都に近い、多摩地区に近いような村とか、先ほど医師会長のお話にもありましたけれども、峡南地域に非常に高齢化が偏在をしております。一番高い町村では、四九・八%を占めておるような状況です。

 それから、独居世帯とか高齢者夫婦世帯、これは年々増加をしておりますけれども、国と同様の傾向にあります。一方、独居とか高齢者夫婦世帯につきましては過疎の山間地域に偏在をしておりますけれども、本県におきましても、過日の山日新聞にも掲載されましたように、古くつくられた団地等で非常に高齢化が進み、そして、そこでの孤立化等が進んでいるような状況です。

 認知症の高齢者につきましては、これは昨年の六月一日付の朝日新聞にも記事が掲載されておりますけれども、認知症高齢者数は四百六十二万人に平成二十四年現在でなっております。軽度の認知症を含めますと四百万人が予備軍ということで、これはどこでも最優先課題として取り組んでおりますけれども、認知症対策は我が国の喫緊の課題でもあると言えます。

 そのような高齢化の状況を踏まえまして、私どもは、死ぬまで本当に自立をしたい、ぴんぴんころりで逝きたい、そんなふうな願いを持っておりますけれども、ただ、誰しもが、要介護の期間、これは長い短いはありますけれども、最後は誰かの世話になって最期を迎える、そんなふうな状況があります。

 現在、後期高齢者の急増に伴って、これは資料でもお示ししましたけれども、高齢者の有訴者率は非常に高くなっております。日常生活上の不安あるいは障害を持ちながら、高齢者の方は生活をしております。そして、治療と同時にケアとか介護が必要になる、いわゆる老年症候群と言われるような症候で、特に後期高齢者につきましては、不自由をしながら日々の生活をしている実態にあります。

 このような時代にあっては、例えば医師とか看護師だけがケアをすればいいというのではなくて、多職種が本当に連携をして、いわゆる高齢者の方の生活を守るという視点で対策を講じていく必要が改めて浮き彫りになっております。

 それからもう一点は、多死社会の到来ということで、これは、二〇一二年、国の死亡が百二十五万六千二百五十四人、このうち六十五歳以上が百八万七千九百五十人で、八六・六%を占めております。

 そうしますと、亡くなる人は大半が高齢者というふうなことになりますと、高齢者の死ということは、普通の他のステージの死亡に比べまして、人生の最期を閉じていく、そんなふうな意味がありますので、私どもは、今私がお話ししましたようなことを踏まえますと、生活の質とともに死に行く過程、どのような亡くなり方をするのかということを頭に入れながら、さまざまな支援を行っていく必要があるかと思います。

 私は、今お話をしました高齢者のQOL、これはQODということも含めますけれども、これらを向上するために、今回の医療と介護の総合法案、これに向けての課題が幾つかあると思いますが、主に私が専門とするところから意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず一点は、サービス利用者である高齢者や地域住民の声を十分聞く必要があるというふうなことです。高齢者や、先ほど申し上げました要介護であったり認知症であったり、自分の意思が十分表明できない人たちにとっては、誰かがそれを代弁しなければ、それらの人たちのニーズは反映されません。したがって、私は、ここで幾つか、高齢者の方からの声を研究結果をもとに皆さんにはお示しをしております。

 細かいデータはまたごらんいただければというふうに思いますけれども、まず一点目は、資料の左側に家の図がありますけれども、これは過疎の山村地域の独居高齢者の声をまとめたものです。

 ここにありますように、独居高齢者何人かから御意見を伺いまして、それを全部逐語録に起こしまして、そして抽象化して、このような形にまとめておりますけれども、特に山間地域の高齢者は、自分が今いるところに住み続けたい、今のまま気成りに生活したいというふうな思いを大変強く持っております。

 しかし、日々迫ってくる加齢の変化、そしてそれに伴って起こる不自由さを経験しながら、自分なりに自分の使える支援を最大限使いながら生活をしているというふうな実態が浮かび上がっております。

 時間が余りありませんので、細かいところはまたごらんいただければというふうに思います。

 それから、都市部でも、先ほど申し上げましたように、団地等の孤立化が進んでおります。これは、先ほど申し上げました山日の掲載記事等からも裏づけができると思います。

 それからもう一点は、いわゆる終末期にある高齢者がその人らしい最期を迎えるためにどんなふうなケアが必要かというデータを、今お配りしておりますA3の資料の裏の方に載せてあります。これは、介護老人福祉施設で最期を迎えようとしている高齢者の声を聞きたいところだったんですが、御本人たちから十分な声を伺うことができませんので、そこのケアに従事している熟練の看護職、介護職を通して、その人らしい最期を迎えるためにどんなケアが必要かというふうなことを伺ったデータです。

 これもまたごらんいただければと思いますが、本当に、みとりというのは最期の時期ではありますけれども、施設に入所したその時点から、計画を立てる段階から、御本人が亡くなった最期までを一貫したケアとしてつないでいく、しかも、それを全てのスタッフが見守り、支援をしていくことの重要性が示唆されております。

 それでは、次の話題に入りたいと思います。

 地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化等の関連ですが、ここでは、まず一点は、認知症の施策に焦点を当ててお話をさせていただきます。

 認知症のオレンジプランでも、今申し上げました施策、非常にいろいろなものを盛り込んでおりますけれども、認知症の初期集中支援チームもこの中に項目として挙がっておりますけれども、この項目は、私は考え方としては非常に大事だと思っておりますが、これらをきちんとしたプロセスを追って推進していくためには膨大なマンパワーが必要です。そして、今の認知症初期集中支援チームの事業をやるだけでも、それこそ膨大なお金とマンパワーがかかります。

 ですので、また後でも申し上げますが、地域包括支援センターに全てを投げるのではなくて、地域包括支援センターの業務改善等も含めた体制整備をする中で進めていかなければ、本当に絵に描いた餅になってしまう可能性があります。

 ただし、介護保険計画、ほかのいろいろな計画とあわせながらこの施策を推進していくことは非常に重要だと思っておりますので、また、方法等を十分吟味していく必要があるかと思います。

 それから、地域包括支援センターには社会福祉士や保健師や看護師等がおりますけれども、現在、いろいろなところで研修体制があります。そして、看護会では、認知症の認定看護師や緩和ケアの認定看護師、あるいは大学院教育でCNS課程での資格取得等もありますけれども、地域包括支援センターの方からは、ほとんど人材を送ってこられていません。本人たちの意思はあるにもかかわらず、これができない、非常に厳しい状況下での業務を行っているということがわかります。

 それからもう一点は、地域での生活を支える医療サービスの構築というふうな視点から、私は老年看護学を専門としておりますので、現在、高齢者が八十になっても九十になっても手術をして、また、それを治して、在宅に戻ったり、施設に戻ります。そういうふうなところで、特に大病院の一般病棟で勤務する看護師あるいはドクターも含めてですけれども、大病院のスタッフが認知症に対する知識をまだ十分持ち得ていない。

 これは、その特性から当然のことなんですが、私どもが調査をした結果、データでも示しておりますが、五百床以上の大病院の一般病棟で働く看護師を対象に調査を行いましたけれども、看護師が大変なジレンマを感じながら業務を行っている実態が浮かび上がってまいりました。

 この対策につきましては、オレンジプランの中でも掲げられておりますので、また、その具体化あるいはその施行に向けて十分な準備をしながら、私どもができるところは進めていかなければいけないかなというふうに思っております。

 それでは、次に、地域支援事業の充実強化ということで、先ほど来お話が出ておりますが、予防給付の見直しと生活支援サービスの充実、新しい介護予防・日常生活支援総合事業の関連です。

 要支援の一、二を対象とした訪問介護と通所介護を介護保険給付の対象から外して地域支援事業に移すということに関しましては、市町村がこれまで行っていた事業、特に地域包括支援センターの業務がさらに増大をするというふうなこと、それから、市町村によって非常に大きな格差があるかなというふうに思います。私も地域包括支援センター運営協議会の委員の立場で何カ所かお世話になっておりますけれども、市町村によって随分大きな差があるなというふうに思いますので、これらを市町村に丸投げしますと、非常にサービスの差が生まれてしまうのではないかということが考えられます。

 それから、要支援一、二といいましても、介護者は、老老介護とか認認介護の非常に厳しい状況で介護を行っておりますので、共倒れになってしまったり、あるいは、先ほど申し上げましたように、サービスの幅が非常に広くなる一方、質が低下したりというふうな心配もあります。

 次が、特別養護老人ホームの関係です。

 これは、待機者が非常に多いというふうな現状を踏まえまして、待機者を減らす。私は、ユニットケア、ユニット式の方が伸び悩んでいるというふうな実態があるというお話も伺っておりますけれども、団塊の世代の方々は、小さいころ、子供部屋を持って、私の居場所、私の生活ということを非常に大事にされてきた方々が高齢期を迎えていますので、もっと高齢者の立場から自分の住まいをきちんと検討し、そして選択できるようなシステムにしていく必要があるかなというふうに思います。高齢者にとっては、単なる住みかではなくて、これは自分のアイデンティティーをかけた、イコール自分自身でもある、そんなふうなことをもっともっと重視していかなければいけないかと思います。

 それから、特別養護老人ホームへの新規入所者、これを三以上にするということに関しましてもいろいろ課題はあります。

 要介護一、二の人たちは、ほとんどが認知症を合併しております。そして、考え方を変えれば、要介護四とか五の、いわゆるかなり寝たきりに近い状態になった方々に比べて、認知症のBPSDが合併したりというふうなことで大変な課題を抱えておりますので、家族の介護負担は非常に大きい状況になります。したがって、これらのことが実現されますと、特養の待機をしている人たちの大変な生活上の問題を引き起こすというふうなことが考えられます。

 いろいろ申し上げたいことはありますが、時間の関係で、最後に今お話ししました事柄を少しまとめますと、今回のこの法案は、医療法とか介護保険法など、今後の超高齢社会における人々の生活のありよう、生活の質に影響を及ぼす非常に大事な項目を一括して審議するというものです。したがいまして、短期間での一括審議ではなくて、これから可能な範囲で十分時間をかけて、現場の当事者とか高齢者の声、あるいは、先ほどの地域包括支援センター等の、本当に受け皿の人たちの意見をもっともっと吸い上げて十分審議する必要があるのではないかと思います。

 それから、先ほども申し上げましたが、医療とか介護従事者等の専門性を重視しまして、その確保と処遇の改善等にはさらなる努力をしていかなければいけないというふうに思っております。

 以上です。(拍手)

後藤座長 ありがとうございました。

 次に、石井貴志君にお願いいたします。

石井貴志君 ただいま紹介されました石井と申します。

 私は、山梨県老人福祉施設協議会の会長をさせていただいております。通常は、医療施設、介護施設、障害者施設、企業内託児所を運営する社会福祉法人緑樹会に勤務をしております。

 今回の地域包括ケア推進に関する法案、福祉職員の待遇改善に関する法案について、医療、介護の連携強化や地域への医療提供体制の取り組み、また、その他の効率化への取り組みには期待することが大きいです。しかし、不安な部分もありますので、お話をさせていただきたいと思います。

 まず、一つ目ですが、地域密着型サービスについてです。

 地域密着型サービスの特徴は、住みなれた自宅の周りに小規模で多機能なサービスを整備していくことが特徴だと思います。これを全く否定するわけではありませんが、選択肢をさらに地域に合わせたものにすることが必要だと思っております。

 その中の一つに、介護老人福祉施設、いわゆる特別養護老人ホームがあります。先ほど流石さんの方からも、待機者が多いということで、山梨県でも注目をされております。

 ここは、定員三十人未満という小規模、個室ユニット化となっております。しかし、この小規模化、個室ユニット化に疑問を感じております。小規模化、個室ユニット化は、人員配置の面から見ると非効率ではないかと思っております。

 例えば、先ほど流石先生のお話でもありましたように、最期まで施設でみとるという介護に取り組むといたします。これは、今度の法案でも、特養の入所基準の重度化ということで、特養の大事な役割の一つであると思います。

 大規模施設では、入所者が急変したとき、交代で看護職員が二十四時間出勤できる体制がつくれますが、看護職員の配置が少ない小規模施設では、職員に過度の負担となってしまいます。山梨でも、これだけ看護職員の確保が厳しい現状にもかかわらず、必然的に増員が必要になるのではないでしょうか。

 また、同じ人数を介護するのに、小規模施設で分散させて人員が余計にかかり、効率的配置にならないということは、職員の待遇改善の壁にもなるのではないでしょうか。

 さらに、小規模の施設で、理学療法士等や管理栄養士など、専門職員が雇用できないのではないでしょうか。専門職が近くにいることで、介護職員のレベルは格段に違ってきます。大規模施設のケアはよくないというふうに言われることも多いのですが、いいところもたくさんあると思います。増大し続ける社会保障財源を考えると、効率化についてさらに御検討いただきたいというふうに思っております。

 さらに、二十四年度から始まった訪問系のサービスであります定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスも、都市部などではいいかもしれませんが、地方では移動距離が三十分程度の中で需要と供給が合うのか、また、山梨という地域では合っていないから、そのサービスへの参入が進まないのではないかと思っております。山梨でも、それを運営しているところは、ほとんどないのではないでしょうか。

 小規模多機能型サービスも看板の事業でありますが、通所や宿泊の基準が厳し過ぎ、使いづらいという声が多いです。この見直しの方をお願いしたいと思っております。

 また、養護老人ホームや軽費老人ホーム、ケアハウスなどの高齢者施設の地域包括ケアでの位置づけはどうなっているでしょうか。この三施設は、同じ高齢者施設でありながら、消費増税への対応も行われていません。さらに、今回の地域支援事業と同様に、市町村の予算と権限で行うこととなっています。財源が市町村であることから、この施設への入所も市町村は積極的ではなく、待機者が大勢いる高齢者施設の中で空き部屋があるというところも少なくないと思います。このようなことから、地域密着型サービスの内容をさらに見直す必要があると思います。

 二番目といたしまして、先ほどから出ております地域支援事業についてです。

 地域包括ケアの不安な部分としてありますが、要支援者へのサービスの一部を地域支援事業に移行して、市町村の裁量で行うということです。国の方針では、市町村が主導し、NPOや住民ボランティアの活用と書かれておりますが、市町村も、地域密着型サービスの指定や監査など、権限の移譲が進んでおります。財政も厳しい中、地域支援事業の推進に人員が割けるのか、とても不安です。

 また、地域住民も少子高齢化が進み、私どもの事業所があります北杜市ではもう三〇%を超えております。また、市内で遊休地もふえております。NPOやボランティアが地域支援事業を支えられるのかは疑問です。

 市町村の裁量で行えば、財政の苦しいところは、前項でも話したように、養護老人ホームさん等のように必然的にサービス抑制に走るのではないでしょうか。一番困るのは、必要とする介護サービスを受けられない利用者の方だと思います。ぜひ、そのようなことがないよう、サービスが受けられるよう考えていただきたいと思います。

 三番目といたしまして、認知症の対策についてです。

 法案を見ると、在宅での認知症対策はとても期待できるものだと思っております。しかし、特養など、施設の認知症ケアに対する評価が進んでいないと思っております。

 現在、特養などに入所される方のほとんどは、何らかの認知症状を持っております。来年から入所基準が介護度三以上となり、さらに重度認知症の方が入所されると思います。認知症の介護は、身体的な負担に加えまして、精神的な負担もプラスをされます。そんな中、現在の認知症専門ケア加算の人員基準は厳しく、報酬単価が低過ぎると感じております。ぜひ再検討をお願いしたいと思います。

 四番目といたしまして、特養入所の基準についてです。

 法案では、特養の入所者を、在宅で生活が困難な中重度の要介護者を支える施設とされました。また、軽度の要介護者の入所については特例が設けられております。その特例ですけれども、認知症の高齢者であり常時の見守りが必要な方、地域での生活が困難な知的障害者、精神障害者等となっております。

 認知症の判定では、本人、家族の状況を見て、市町村への指導等慎重に行っていただきたいと思っております。知的障害者等の判定では、現在、入所施設では、高齢化、重度化の問題があります。知的障害者は、一般の方よりも十歳は早く老化現象が出てくると言われております。そういう意味で、障害者の利用も考慮した特定疾患の見直しも必要ではないかと考えております。

 五番目といたしまして、一部ユニット型特別養護老人ホーム等の基準解釈についてです。

 これは、平成二十二年三月二十四日付の通知により、平成十五年四月以降に新設される施設については、一部ユニット型施設とはならず、別の施設とされております。

 私どもの会員施設でも個室化の推進の改築を行ってきた結果、四床の多床室が残ってしまいました。市の条例でも地域密着型の特養とはされず、宙ぶらりの状態となっています。このままだと更新がされず、待機者は依然増加しているのにもかかわらずベッド数を減らすというような異常事態になる施設も出ております。

 私どもの施設でも、百三床の施設を改築により、四十四床の個室ユニット型と、すぐ隣にあります五十九床の従来型多床室の二つの施設となりました。この四月から別の施設というふうに指定をされ、人員配置が厳しくなっております。今までと同じ職員数なのに、自立支援に最も必要とされる機能訓練サービスがユニット型施設では提供できなくなっております。職員数は変わらないのに、サービス低下を起こしています。かといって、ユニット型の施設にさらに理学療法士等を増員することは、財政上とてもできません。

 厚労省のお考えは、この二つの施設は提供するケアの性質が異なるということですが、同じ特養でありながら、個室と多床室でケアの性質が大きく異なることがあるでしょうか。

 私どもの施設では、多床室においても十人から十二名程度のユニットに分けて職員を固定し、ケアの提供を行っております。また、入所される方の要望では、私どもの地域では、依然、多床室への希望が圧倒的です。それが地域の要望だとすれば、多床室は外してはいけない選択肢だと思っております。

 ぜひこのような現状を御理解いただき、地域包括ケアの柔軟な対応をお願いしたいと思っております。

 六番目といたしまして、人材の確保についてです。

 人材の確保については、全国的にも深刻な問題になっていると思います。国の試算では、二〇二五年までに百万人の介護従業者が必要となっております。

 少子化で若い人が介護の世界に入ってこない。本人が目指しても、親御さんから、仕事の割に給与が少ないからやめなさいと言われたとか、福祉コースのある高校の知り合いの先生からは、せっかく福祉コースに入ってもらったのに、半分の生徒は別の分野に進みましたという声を聞いております。これでは、現在のサービスを維持していくのも、また新規に事業を始めることも厳しいのではないでしょうか。

 政府の成長戦略の一つである介護サービスの推進には、介護職員の待遇改善は欠かせないものだと思います。

 私どもの協議会でも委員をさせていただいております、山梨県福祉人材センターの資料でも、平成二十年には一・五六倍だった有効求人倍率は、昨年度、二十五年には五・八四倍となっております。介護従業者の悩みのアンケートでも、仕事の内容の割に賃金が低いということが最も多く、四四・二%となっていて、急速に人材確保は困難になってきています。

 地域包括ケアの法案でも介護従業者の確保対策が挙げられていますが、現在出されています介護従業者の人材確保に関する特別措置法案もあわせて、早急に処遇改善をしなければならないというふうに考えております。

 また、この問題は、障害者施設や保育施設でも同様です。障害者施設では、障害者の地域移行や就労支援を進める一方で、高齢化や重度化により介護を必要とする方もふえています。職員には、これまで以上の負担がかかっています。保育施設では、幼児期への多様な対応が職員に求められております。福祉人材の確保という意味でも、障害者施設や保育施設における職員の待遇改善もあわせて検討をお願いしたいと思います。

 さらに、子育て支援の視点からは、法案では、医療機関の勤務環境改善で院内保育所などの整備が挙がっております。介護施設も、ある程度の規模があれば、事業所内保育は必要です。また、これから必ず、やはり必要ではないかと思っております。

 当法人の事業所内保育所も四年半となります。年々利用者もふえて、増加傾向です。これは、少子化の歯どめという意味でも、大変効果があるものだと思っております。ぜひ、介護施設の勤務環境改善もあわせて御検討いただければと思っております。

 まとめといたしまして、地域包括ケアは、地方ではさらに柔軟性を持った政策が必要だと思っております。また、選択肢として、ユニット型と従来型多床室の混在したある程度の規模の入所施設にいろいろな福祉医療サービスを併設し、多機能なサービスを提供していく。そうした地域に合う規模の多機能拠点をつくることで、経営基盤を安定させ、現在、地方では難しいとされている訪問系のサービスや障害者への相談サービス、配食サービスなど、不採算事業でも提供できるものがふえてくるのではないでしょうか。

 また、それ以外にも、小規模では外部研修に出るのがとても大変だという声が聞かれております。ある程度の規模になれば、効率的配置により可能になってくると思います。

 また、先ほども申しましたが、職員がある程度の規模になると、福利厚生としての託児所などの子育て支援事業も取り組みやすくなると思います。小規模ではなく、土地活用がしやすい地方だからできる大規模な医療福祉の拠点整備もありではないでしょうか。そこでいろいろなサービスが始まれば暮らしやすくなる、暮らしやすくなれば人は集まる、集まればまた新しいサービスが始まる、好循環が生まれると思っております。

 二〇二五年問題が言われますが、先日の新聞でも、県内の二〇四〇年の推定人口が発表されております。山梨県全体の平均で二六%減です。特に、二十代から三十代までの女性は五〇%減と深刻な数字が出ております。

 地域包括ケアということなので、高齢者福祉だけにとらわれず、少子化対策、障害者対策も含めて、地域が活性化するような取り組みを省庁の枠を超えて再検討いただければありがたいと思っております。

 以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)

後藤座長 ありがとうございました。

 次に、唐木美代子君にお願いいたします。

唐木美代子君 では、私の方からは、今まで出てきました、地域包括ケアシステムの関連の中の地域支援事業について主に説明させていただきたいと思います。お手元の資料、「山梨県北杜市の取組」というものに簡単にまとめてありますので、これをもとに説明させていただきます。

 まず、北杜市の状況はここに書いてあるとおりですので、先ほどから出ていますけれども、高齢化率というところは二〇%どころかもう三二%を超えておりますので、超高齢化ではなくて超高齢地域というふうに私たちは思っています。

 その下に、年度別の被保険者数及び受給者数が書いてあります。北杜市は平成十六年に合併しておりますので、十六年以前のものは修正をかけて北杜市バージョンとして改めたものなんですが、ここで見ていただきたいのは、基本的に、平成十八年に地域包括支援センターは仕事を開始しています。その時点から、受給者というか介護認定率の方は、高齢化の方はどんどん進んでいるんですけれども、認定率は何とか抑えている状況になっています。

 こういった状況の中で、具体的な北杜市の取り組みについて説明させていただきます。

 まず、平成十八年の制度改正がありましたときに、包括支援センターというのを新しく立ち上げると決めたときに、北杜市としてはどういうふうにしようかというのをみんなと検討していきました。

 包括支援センターの役割というところで、実は、国の説明会であるとか研修会とかいっぱいあったんですけれども、どうしてもいまだに腑に落ちないのが、あのとき、たしか規模の説明があったときに、社会福祉士さんと保健師さんと介護支援専門員、三人で何千人ぐらいを見なさいよというのがあったときに、北杜市で計算しましたらば、うちは三人でよかったんです。そのときに、たしか私は手を挙げて何度も何度も説明をお願いしたんですけれども、包括支援センターにこれだけのことをやっていこうと決めるときに、本当に三人でできるとお思いですかというのは何度も何度もしつこく言った記憶があります。

 言っていても、基本的には北杜市でどうするかということですので、まず北杜市の方に戻りまして、自分たちが包括支援センターをどういうふうにつくり上げていくかという話をしたときに、まず、うちは十二人体制にしていただきました。十二人体制にするときに当然一番ネックになったのが、おい、唐木、包括支援センターは三人でいいんじゃないのか、北杜市は何で十二人必要なんだという話が何度も何度も私の方に来たんですけれども。

 私、もともと、介護保険制度というのは、本当に、地域、自分たちの市町村が自分たちで考えて、自分たちでどうしていくかということをしっかりとビジョンを持って取り組まないといけないものだというふうに自分の中ではずっと思ってきたので、北杜市としてはというところを出したいということで、一応、体制整備を図る上で予防を重視したい、これが十八年の時点です。

 それから、介護予防の事業というのは、たしかあの当時ですと、健康増進の方へ予防事業が行って、包括支援センターは総合相談を受けてみたいな役割分担があったんですけれども、一体的にしたいということで、介護予防の事業についても、企画から立案、それから実施をすべて包括が行いたい、一体的にしたいということを訴えまして、中心に取り組みますよということで十二人体制を確立していただいたという経過があります。

 この中で一番大事だったのが、まず高齢者を状態像で分けましょうということで、ますます健康になっていただく方、もうちょっと予防を頑張っていただく方、それから、これは水際とよく言うんですけれども、今の状態を何とか維持していただく方、それともう一つは、確かに介護の状態になってしまった、だけれども、この介護の状態を何とか維持する、要するに、介護度二だった人が三にならないためにどういうサービスを提供しなきゃいけないかというところを考えようということで、それぞれの事業を企画しております。

 事業につきましては、関係者との連携を強化したりとか、事業目的とか効果等について情報共有する、ここが一番大事であったかなというふうに思う反面、本当に大変なところでした。健康増進課であるとか、社協さんであるとか、それから介護保険事業所、一番大変だったのはもしかしたら庁舎内の調整だったかもしれません。

 行政というのは縦割りですので、部も違えば課長も違うという中で、やはり庁舎の中で、介護予防というのを一体的にやっていくんだ、だから、これをしないと北杜市はもしかしたらとんでもない状況になるかもしれないというのを訴えていくというのを、各部署を超えて共通認識を持っていただくのは、それは、済みませんけれども、最後に私がやめるときまで確実にはできていなかったかもしれないんですけれども、目標としてはそこを持っています。

 地域支援事業につきましては、まず、この時点では余り出てきていなかったんですけれども、地域支援事業そのものを地域づくりというものに視点を合わせましょうということで、全ての事業が地域づくりに向くような目的で企画をしております。

 ここに書いてありますように、住みなれた地域で安心して過ごすために、医療とか介護とか、それから介護保険外サービスというのを高齢者の日常の生活の場に用意するきっかけとして、日常生活支援総合事業というのを北杜市としては二十四年四月から開始したところです。

 総合事業をしたからといってできるものではないというのはもう当然承知の中だったんですけれども、まず、介護保険サービスを含めたこういうサービスを包括的、継続的に提供するために、地域の人たちと一緒に考えていかなきゃならない、他職種との連携をとらなきゃいけないというところで、私の頭の中では地域ケア会議を活用するというのが出てきています。ですから、地域ケア会議は早期のうちから開催する。

 最初、手探りでしたので、なかなか医療からの参加がないとか、今言う地域ケア会議とちょっとイメージが違うんですけれども、地域で起きた困り事であるとか、それから介護支援専門員さんからの相談であるとか、困難事例であるとかというのを取り上げながら、地域の中で開催をしていきました。

 それから、一つ大事なことなんですけれども、介護保険は、もともと私の感覚では、措置という福祉の制度の中から幾つか引っ張ってきているものがあるので、措置であった福祉のときには、やってもらう、それから行政が来て何かをしてもらうというのが比較的後期高齢者の中には根づいていました。

 そうすると何が起きるかというと、例えば私たちが訪問すると、きょうは何をしに来てくれたのというのが先に出るという考え方を、やはり私たちを含めて少しずつ変えていかなきゃならないということで、いろいろな会議であるとか、研修会であるとか、地区の説明会のときには、自助、互助、共助、公助とあってねというのを、これを出すと何だか高齢者に冷たいようなんですけれども、私たちと一緒にこれを考えていきましょうねという視点で、機会ごとに説明をしてきました。

 おかげさまで、私が思うのには、もしかしたら北杜市の高齢者は我慢強いというところもあるのかもしれないんですけれども、八十五になっても九十になっても、自分の田畑をしっかり管理していかなきゃならないという意識が強いので、意外と自立という意識は強いかなというふうに思っていますし、自分で自分のことを何とかしたいという思いも強いというのは確かですので、機会ごとに説明しながら、だけれども、年をとるとこうなるよ、だから予防もしていこうねという話をしてきた経過があります。

 同時に、地域づくりを目指して、できるだけ地区組織、要するに、北杜市が合併したときに、八つが合併しているんですけれども、合併したところに必ずあることなんですけれども、本当に八つが八つ違うんですね。住んでいる方も当然違うんですけれども、意識もそれぞれ違う。これを北杜市一つとしてやっていくというのは結構難しいことで、でも、その八つがある特徴を生かしながら地域づくりをしていきましょうねというのが包括支援センターの目標だったかと思います。

 次に、北杜市の日常生活総合事業の内容は、ここに書いてあるとおりなんですけれども、事業形態としては、NPOとか社協さんであるとか、地区組織、JAさん、介護保険事業所も当然入っています。ここで、通所型のふれあい処北杜というのを立ち上げています。マネジメントの方は、北杜市地域包括支援センターです。

 ここで一つ、北杜市の地域包括支援センターの十八年、十九年がどうだったかというと、十八年の制度改正があったときに、要支援一、二が誕生しました。それまで要支援の方というのは、ヘルパーさんが毎日来たりとか、デイサービスに週三回行ったりというのがずっとあったサービスだったんですけれども、要支援一、二になったところで、サービスとしては、例えば要支援一の方だと、ヘルパーさんが週一回来るかな、デイサービスに週一回行けるかな、そういうレベルに来たときに、うちは包括が直営で一カ所だったんですけれども、そこをしっかり説明して高齢者と一緒に考えていかなければ、基本的に、制度が変わるときにいろいろな話が出るんですけれども、やはりそこにいる高齢者なんですよね、一番大変な思いをするのは。

 言ってはいけないんですけれども、二番目に大変な思いをするのは、その制度がたくさん与えられるように変わる制度だと構わないんですけれども、見た目、サービスを何となく減らすようなものを説明するときには、そこに行って説明する人間というのは物すごいプレッシャーとエネルギーを必要とします。

 ここで包括のみんなと、十八年の当初は、私はセンター長としていたんですけれども、地区に出て説明してくる包括支援センターの職員のメンバーの顔を凝視できないぐらい、みんな疲れ切っていました。

 というのは、何を言われたかというと、現場の話ですから、私はきっと現場の話が主になると思うので言わせていただくんですけれども、今度からね、ヘルパーさん週一回で、デイサービスも週一回なんだけれどもという話をした途端に、こんな年寄りをいじめてから始まって、あんたたちは鬼だと。包括支援センターは直営ですから、市の職員という立場も背負って行きますので、北杜市は何てひどいところだと。それを全部受けとめながらも、何とか制度の改正を説明してきた経過があります。

 日常生活総合事業の内容について少し触れていたんですけれども、話がそれてしまいました。

 サービス内容については、交流とか会話とか趣味とか、事業所の特性を生かした活動をしてくださいということで、私がここで国にお願いしたのは、今まで国の方から、事業がありますと、全て細かな、マニュアルじゃないんですけれども、こうしなければ、ああしなければというのがいっぱい書かれてくるんですけれども、私自身としては、余りそれをされてしまうと、北杜市としてはこういうところに委託をしたいんだと思っても、委託の基準がクリアできないというふうなところがあったので、委託とか事業をお願いする場所については自治体の方に任せてほしいというのを逆に私は言ったような気がします。

 これが後の話にもつながるんですけれども、今のところはその説明をさせていただいて、ここの通所型のふれあい処北杜というのは、地域の人が誰でも気軽に立ち寄れる場所、居場所づくりという形で立ち上げた経過があります。

 当然、ここは、NPOとか社協とかは地区組織の方ですので、ちょっと元気な高齢者が来ると、一緒にお茶を入れてもらったりというのが当たり前なんですね。これが実は、きょうは施設というか事業所の方もいらっしゃるんですけれども、デイサービスセンターの方に委託しますと何が起きるかというと、まず、行ってお茶を入れてくださるんですね。サービスの提供という部分になってしまうんですけれども、ここは大きな違いだったかなと。

 だから、いろいろなところが入ってきたことによって、実は、ここの場所では、お茶はみんなで入れてもらっているんですよ、御飯はよそれる人がよそっているんですよ、みんなでほうとうもつくっていますよみたいな、話題提供ができたというのは、事業所さんにとっても、とてもいい内容だったのではないかなというふうに思っています。

 もう一つが生活支援サービスで、配食と安否確認を組み合わせまして、よくある配食ではなくて、配食業者がお弁当を配りながら、必ず手渡ししてくださいね、手渡しするだけでなくて、そこで見守りをしてください、何か起きたときには必ず包括の方へ連絡を下さいということで、生活支援サービスをやっています。

 そう言いながらも、実は、北杜市を見ていただくとわかるように、人口密度が非常に、本当に、隣のうちに行くのに十分かかるみたいなところなので、配食をする業者さんというのは一定地区以外は絶対行かないんです。四百円のお弁当、五百円のお弁当を持っていくのに、三十分かかって二軒に届けてくる、これは事業所としては絶対あり得ないですね。事業としてもなし得ないだろうし、ましてや、民間でやるお弁当屋さんが行くはずがない。

 では、どうするか。安否確認のところにお金をつけさせていただきました。それをすることによって、できるだけ配食を、本当に山奥にまで行っていただく方法をとりたいというふうに私は思ったんです。

 何が起きるかというと、うちの事業で一カ所配食が決まりますと、その周りに高齢者がいて配食サービスが必要だと思う方に対しては、この事業を使わなくても、お弁当屋さんは、御自分のところのお店としてやっていらっしゃるので、二軒目、三軒目がすぐ隣にできれば配ってくれるんですね。要するに、配食をしてくれる。

 だから、配食というのを本当に北杜市全体に広げたいという思いもあったんですけれども、これは地域の特性で、町場だったらば、例えば五分の間に二十食配れるかもしれないんですけれども、北杜市の場合には三十分かけて一食。ここに配食というのは業者としてはなかなか入らないということがあったので、それも狙いとして入れておきました。

 こうした事業をしまして、裏の方に結果と課題が簡単に書いてあります。

 本当に私たちは勉強になりました。地区組織とかボランティアとかNPOの方は、本当に御自分の地域に必要なサービスを御存じでした。逆に、私たちが教えてもらいました。提供方法というのが、さっき言った、基準をうんと厳しくするとその提供方法はなかなかとれないんですけれども、そこに市町村みずからの基準であったらば提供できるとしたら、本当に提供方法は地域の実情に適していました。

 これは、地区組織なんかは特にそうなんですけれども、私たちの住んでいる地域のためにという強い思いで事業というか活動をしていますので、基本的にその思いがあるというのは、事業としては非常に強いものがあったと思っています。

 それから、事業自体がそうなんですけれども、そこのNPOとか地区組織に集まってきて事業をやってくださっている方々が、仲間意識が非常に強くて、自分たちも楽しんで参加されている。だから、この中には、当然、当たり前に六十五、七十という人も、北杜市の場合、七十歳は高齢者と言わないんですね、おわけえしと言うんです、地区によっては。本当に、高齢者というのは、八十五から九十、九十以上の方を高齢者というふうに呼ぶんですけれども、お年寄りのためにといって、七十歳、七十五歳の方が一緒にこの事業に参加していただいているという実績もあったかと思います。

 ただ、こういったNPO、地区組織が一つの事業としてやるときには、決まり事程度で活動していますので、本当に、逆の意味では怖いところもあります。ただ、決まり事程度でやっていますので、利用者さんの状況とか、本当に柔軟な対応というのは可能ですので、介護保険の中でいろいろな規則にがんじがらめになったものではなく、本当に柔軟な対応をしてくださっているというふうに評価をしています。

 ただ、これもやはりマイナス面なんですけれども、意外と、地区組織の方とか仲間でやっている方というのは、そこにいるリーダーシップをとる中心人物の方が元気で活動してくださっているうちは、強いつながりでいい活動をしていただくんですけれども、事業所と違うところは、この方が抜けたときには活動体制とか継続性が非常に不安定になります。

 私たちが絶対現場でやってはいけないこと、高齢者に説明して、では、この事業に行きましょうねと言ったときに、こちらの都合で、ここの事業所、ここの寄り合いどころはなくなりましたということをやってはいけないんですね。せっかく高齢者、皆さん、まだお若い方が多いからなんですけれども、高齢者は本当に、一回使い出すと、その使い出したものになれるまでも時間がかかるんですけれども、なれたときに、また次の展開をするときに物すごく大変だということをわかっていてほしいと思います。

 ですから、自治体がこういう事業をするときは、必ず継続性、それから活動体制というもののバックアップが必要かなというふうに思いますし、ここでは専門性というところに関しては非常に低い、プラスでもありマイナスでもある面かなというふうに思っています。

 幾つか課題も見えています。

 これは包括支援センター側の課題になるかと思うんですけれども、まず包括支援センターとして、自分たちが地域の状況を把握されているかということですね。地域の状況がわからなければ、事業の立ち上げはできないかと思います。

 地域にある組織等の資源の把握、NPOがどこにあって、地区組織がどんな活動をしてというのは、包括支援センターの日々の活動の中から把握できるものがたくさんあるんですけれども、十二人体制でしていても、本当に一部しか把握していなかった。ニーズ調査というのが出てきたんですけれども、ニーズ調査だけではなくて、やはり包括支援センターの日々の活動があっての把握かなというふうに思っています。

 あと、地区組織等を含めた介護保険事業所の連絡会は幾つもあるんですけれども、こういった地区組織を含めた関係者との関係づくりがどのくらいできるか。それから、関係づくりができたところも含めてなんですけれども、地域の課題とか状況を共有する場というのがなければ、地区組織も、NPOさんも、社協さんも含めてなんですけれども、一緒に活動していくというのは不可能かなというふうに思います。

 一番大事なところです。

 事業の目的、目標、それから方針、これは自治体にも言えることなんですけれども、自分たちの方針とかビジョンがしっかりあって、それが皆さんで共有できるようなレベルのものかどうかというのはしっかりと押さえていないと、協働なんというのは、ここでしっかり明確化していなければ協働は図れないかと思っています。

 あとは、さっき言いました、活動体制の継続性というものの確保は課題です。

 それから、地域支援事業というのは給付抑制のための手段ではありません。あくまでも事業を通じて地域づくりをしていくものであるというふうに私は捉えていますので、中長期的なきちんとした目標があって、それに向かってやっていかなければ、地域づくりが一年や二年でできるものではないというふうに思っています。

 今回の予防給付の方の移行に関しましても、これは私個人の意見なんですけれども、要支援一の方に関しては、比較的こういった事業への参加というのは促しやすいんですけれども、要支援二の方の状態像というのは、要介護一の方とほぼ同じだけの介護時間を要しています。

 でも、確かに、二の方の中でも地域支援事業の方がいいという方もいるんですね。だけれども、一般的な話をさせていただくと、要支援二の方が地域支援事業の方へという振り込みというのは、実は今、北杜市でも非常に苦しくなっています。

 要支援一と二、要介護の認定に関しましては、認定の仕方の問題もあるかと思いますし、それから、うちは認定率が低いんですけれども、何で低いかというと、やはり訪問調査であるとか、周りの状況であるとかということのきちんとした認定ができなければいけないということ、それから、認定審査会における制度の問題があるかなというふうに思いますけれども、そこを一律にするというのは非常に難しい、困難な話かなというふうに思っています。

 もう時間が来ましたので、あとのものについては、また御質問がありましたらばお答えしたいと思います。ありがとうございました。

 以上です。(拍手)

後藤座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

後藤座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀内詔子君。

堀内委員 自由民主党の堀内詔子でございます。

 本日は、この新緑が輝く山梨県に、後藤委員長様を初め、厚生労働委員の先生方におかれましては、地方公聴会を開催していただきますことに心から感謝申し上げます。

 ことしは気象観測始まって以来の大豪雪に見舞われた山梨県ではございますが、大きな被害の悲嘆の中から、営農家の皆様も確実に復興へお気持ちを向けてくださっております。災害復興につきまして数多くの支援をいただいた議員各位の皆様に、いろいろ御指導いただきましたことを重ねて御礼申し上げます。

 また、本日は、意見陳述の先生方におかれましては、お忙しい御日程を割き、御多忙の中お越しいただきましたことを心より御礼申し上げます。

 そしてまた、関係各位の皆様、傍聴人の皆様におかれましても、週の初め、月曜日という日にこのようにお集まりいただきまして、厚生労働委員会地方公聴会にお越しいただきましたことを御礼申し上げます。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 医師会会長今井立史先生は、長い間地域医療に献身的にお取り組みくださり、救急医療功労者として昨年は大臣表彰をされておられます。また、スポーツドクターのパイオニアとして、ヴァンフォーレ甲府を初め、山梨県のスポーツ選手を支えてくださっておりまして、今でも現役の登山家でもいらっしゃいます。私は、心より尊敬申し上げております。本日も、患者さんの手術の御予定でしたところを、御無理を押してのお越し、重ねて感謝申し上げます。

 患者さんは、御病気の際、入院してお医者さんに手術や治療をしていただきます。そして、退院し、在宅での治療、通院を通じて、病を乗り越えていきます。その際、患者さんの病状によって、どの病院に入院されるのかが決まってまいります。

 このたびの法律では、各医療機関が、高度急性、そして急性、慢性、そしてリハビリと、その病気を探り、さらに、受け入れる病院の病床を機能的に把握し、そしてそれを県に報告していただき、高齢化到来時の将来を見定めて、県とともに地域医療ビジョンの策定を進めようとするものです。

 もちろん、患者さんと、そして病を最もよく御存じのお医者様、そして医療機関の皆様、看護師さん、皆様がその中心的役割を担われますが、一方で、県が一定の役割を果たし、要請や命令を行うこととされております。

 こうした仕組みについて、今井先生はどのような御見解をお持ちでいらっしゃいますでしょうか。

今井立史君 御質問いただきまして、ありがとうございます。そしてまた、最初のところは過分なお褒めの言葉をいただきまして、恐縮しております。ありがとうございます。

 先生のおっしゃられた、要するに病床の機能区分というふうな問題、それから連携というふうなことになると思うんですけれども、現状、非常に今病院が混乱していて、そして一般救急そのほかのものについての扱いが非常にうまくいっていないというふうなことで、この趣旨にもなっているんですけれども、ここで、一般的には、とりあえず病院の機能を区分することについては、地域の事情をよく分析、考慮して、そういうことを背景にして、まず地域ビジョンをつくりなさいよ、そしてそれに従って現場の関係者を含めて協議して、そしてこういうふうにしていこう、そういうシステムになっておりまして、そのことについては、非常に民主的というか、上から押さえつけるんじゃなくて、おのおの方、地域で特色を持ったものを考えながらやりなさいというふうなことで、非常にいいんじゃないかなと思うんですね。

 そんなことで、私どもも、医師会としましては、そういうところに鋭意協力させていただいて、いろいろな関係の皆さん方とも相談しながら、話し合った上でこの地域ビジョンを決めて機能区分に進んでいく、そういうふうなことにしていきたいというふうに考えております。

 ありがとうございました。

堀内委員 貴重な御指摘、御意見、ありがとうございました。

 病床機能の区分けと地域医療ビジョンの策定は、この法律のかなめでございます。十分な機能分化、そして連携が大切と改めて認識いたしました。

 さて、次の質問に移らせていただきます。

 消費税が八%となりました。消費税を医療と介護、社会保障にしっかりと充当することになっております。

 この法律で、消費税から五百四十四億円、一般財源から三百六十億円、合計九百四億円で基金が創設されます。そして、その基金は、病床の機能分化、連携のために必要な事業、在宅医療・介護サービスの充実のために必要な事業、そしてまた医療従事者などの確保、養成のための事業などに充てられます。

 その基金が有効に活用されるために都道府県が作成する都道府県計画に、医療関係者として今井先生はどのようにかかわっていこうとお考えになっていらっしゃいますか。御意見をお聞かせ願いたいと思います。

今井立史君 ありがとうございます。

 この特別支援基金をどういうふうに使うかというふうな問題ですけれども、まず、こうした資金を用意していただいたというふうなことで、私どももしっかりこのお金の意味を考えて、この法案の趣旨に沿う内容を実現していきたいというふうに考えております。

 まず、ハード面に関してでありますけれども、こういうふうに機能区分をするというふうなことになりますと、高度機能の部分が、区分を変えているということになると、さまざまな費用がかかる問題が発生しますね。例えば、改修、改築をしなきゃいかぬというふうな問題もありますし、また人員の配置の問題もあるし、多分、これを、ビジョンをつくっていこうというふうなことになって、実行の場所になると、かなり混乱をするのではないかというふうに思います。

 そういう意味でも、できるだけこういう資金が、特に民間に十分使われて、そういうインセンティブにつながっていけば、まあまあやりやすいかなというふうに考えております。

 また、これから、在宅医療を推進していくというふうなことに関しましても、さまざまな受け皿づくりというふうなことで、一つは、いろいろなところに受け皿として、私どもの医師会、各地区医師会にそういう受け皿づくりのようなシステムをつくろうというふうなことになりますと、これもまた費用もかかるというふうなこともあります。そして、それを中心に、総括するような、先ほど私もお話ししましたけれども、医療、介護の拠点をつくりたい、そういうふうなことで、これも相当な費用がかかるんじゃないかというふうに思うんです。

 こういうものを市民、県民の皆様に対して十分恩恵が行くような、そういうふうなところに、これをしっかり検証しながら使わせていただきたいな、そういうふうに考えております。

堀内委員 ありがとうございました。

 厳しい財源の中で、地域の事情に即して医療提供体制の整備に充てる。例えば、この山梨県でいえば、救急医療の充実、または産婦人科の創設などにも細やかな手当てが実現されるよう、国政の場から改めて努めてまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。

 残り時間、あと五分となりました。あと一問、質問させていただきたいと存じます。

 患者さんは、退院しても、通院と、まだまだ医療の助けが必要です。どうしても在宅での医療体制の充実の必要が出てまいります。

 患者さんはもとより、御高齢者の方々は、でき得る限り住みなれた思い出深い地域で、自宅で安心した医療と介護を受けていきたいと思っていらっしゃると存じます。在宅医療・介護連携の制度改正を盛り込んだこのたびの法律案について、流石教授に質問させていただきたいと存じます。

 流石先生は、山梨県立大学看護学部部長、日本の看護学また認知症の介護の御研究で日本の第一人者でいらっしゃいます。先生の御所見と御評価をお伺いしたいと思います。

 少しポイントを絞らせていただきますと、例えば、在宅医療を支える看護師様の現場では、まだまだ訪問看護ステーションが足りていないという現状があります。看護師さんの数が足りない、質も確保できていない、全体的な人手が足りないという状況が続いています。

 訪問看護では豊富な臨床経験が必要となります。多くの新人の方が在宅医療を責任を持って担う人材となれるよう、新卒訪問看護師養成の支援も大切なことだと思っております。現場の看護師の方々は、二十四時間、在宅の方のニーズに応えるため、いわゆる拘束日となれば、家にいても対応しなければならないので、お風呂の中でも携帯を手放すことができないというお話も伺います。

 このような現状のもと、流石先生は、この医療・介護連携の新しい法律改正について、どのような御所見をお持ちでいらっしゃいますでしょうか。

流石ゆり子君 御質問ありがとうございます。

 今の御質問にもありましたけれども、本当にこれからの高齢社会、いろいろな職種が連携をしながら切れ目なく生活を支えるということが大事かと思っております。

 訪問看護ステーションにつきましては、そこで、一人で全ての訪問場面のところのプロセスを、アセスメントからケアの実施まで、そしてまた、終わった後は、戻ってから、いろいろな調整をしながら次の活動につなげていくということで、非常に多くの役割を担っております。

 これからも大変期待をされているところですけれども、今回、山梨県でも、新卒の訪問看護師の採用を看護協会の方で行ってくださいました。うちの大学から二名の卒業生がそこに就職をさせていただいております。現在、まだ事業が始まったばかりですけれども、一つ一つ事業を評価しながら、また教育の場にも還元をしてもらったり、そのプロセスを評価して今後につなげていきたいというふうに、協会の方でももちろんですけれども、私どもの方でも考えております。

 そんなことで、これからいろいろな方面にまだ発展をしていくんだろうなというふうに思っておりますけれども、その一方、非常にたくさんの責任を問われる部分でもあります。看護師としてのキャリア形成、それから、この法案でも入っておりますけれども、看護師の特定行為等に関する研修等も含まれておりますが、本当に今後の課題であるかなというふうに思います。

 看護師の特定行為に関する研修につきましては、ちょっと話がそれますが、当初は病院の中でというふうなことで、資格認定の話から始まっておりますけれども、ここ三、四年くらいの間に、研修の形で、現在のあり方に落ちついております。本当に、施行になるまでにたくさんの情報を集めながら、評価をして、慎重に進めるべきではないかなというふうに私個人としては考えております。

 済みません、的確な回答になっておりませんが、以上です。

堀内委員 ありがとうございました。

 患者さんや御高齢者の方々を取り巻く医師の方々、歯科医師様また薬剤師の先生、看護師さん、介護支援の専門の方々、多くの方々が協力し合って、よりいい地域の包括的ケアが構築されますことを望みまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤座長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は、今井先生、流石先生、石井先生、唐木先生、本当にお忙しいところお出ましをいただいて、ありがとうございます。

 あと、この公聴会の設営に御協力いただいた皆様にも、心より感謝を申し上げます。

 一枚、私の方から資料を配付させていただいたのですが、「社会保障の総負担の考え方」というものでありますけれども、この右と左、右は保険料、税の負担、左は自己負担、家族の負担、あるいは社会の負担ということも入れてもいいと思いますけれども、中にあんこが入っているとすると、保険料の負担と税の負担を無理に抑えていくと、右だけを見ると、それはそれで、財政にはプラスで好ましいのかもしれませんが、このあんこが左に移動していって、結局は自己負担、家族の負担、社会の負担がふえて、その限界以上にふえたときに社会に混乱が起きる。つまり、適切な適正化をしなければ、賢い効率化をしなければ、介護離職、親の介護で離職される方がふえるなどなど、結局高くついてしまう。

 これは我々は非常に注意をしてやらなければいけない。この全体のあんこを、量を縮小していくというのは、まさに予防、つまり、介護を受ける前に、介護を受けなくて健康寿命を延ばしていく、あるいは介護になった方も悪化しないようにする、あるいは自立をする、この予防を徹底的にしなきゃいけないということが、これからの時代、さらに重要になってくると思っております。

 その意味で、今回の法案で一つポイントになりますのは、介護予防という概念がある、要支援の方々に対する介護給付について、これを給付から外して、介護給付から外して地方の事業にする。つまり、介護予防の中でも、要支援の方のサービスのことでありますが、訪問と通所について給付から外して地方の事業にする、こういうことが法案の中に入っているわけでございます。

 皆様の意見を満遍なくお伺いしたいので、私の持ち時間も十五分でございます、幾つか質問をさせていただきたいと思いますので、大変恐縮なんですが、お一人一分程度で簡潔にお答えをいただければと思うのでございます。

 質問は、介護予防、つまり要支援の方に対する介護給付のサービス、これが給付ではなくて事業になるということについて、これは予防がより強化される方向になるのか、あるいは予防が薄くなるおそれがある、そういう方向になるのか。

 これは自治体ごとに違うかもしれませんけれども、日本全体で要支援の方が今百五十万人おられますから、全体としてどちらの方向により進んでいく可能性があるのかということについて御所見をお伺いできればと思います。今井先生からお願いできればと思います。

今井立史君 御質問ありがとうございます。

 これが地方、各市町村に移行するというふうなことで、先生がおっしゃったように、地方によって、あるいは都市によってかなり格差が出てくるんじゃないかなというふうなことで、それで先ほど私もお話しさせていただいたのですけれども、医師会としても十分、それが充実、内容がアップするようなことも、かかわっていきたいというふうに考えております。多分、放っておけば悪くなってくるんじゃないかというふうなことで、むしろ要介護者がふえてくる可能性もありますよと。

 ですから、そういう意味では、市町村もしっかり認識してこれにしっかり取り組まないと、マイナスの方へ行くんじゃないかな、そういうふうに考えております。

流石ゆり子君 ありがとうございます。

 先ほどもちょっと申し上げたんですが、要支援一、二の人たちの中には、認知症を患っている方も結構いらっしゃいます。したがいまして、事業になった場合、これは市町村の裁量に任されますので、介護給付から事業ということですので、市町村の財源をもくろみながら恐らく事業を計画すると思いますので、サービスとしては私は下がっていくのではないかというふうに思います。

 そして、要支援一、二の方の中では、現在では、通所と訪問介護の中で、入浴サービス等を非常に重視して、生活を支えるという意味で、老老介護や認認介護の人たちが家では入浴できないということで、それをかなり楽しみにしている方もいらっしゃいますので、そのようなサービスが保障できるかという面では、市町村格差がありますので、大変難しい部分かなというふうに思います。

 以上です。

石井貴志君 質問ありがとうございます。

 私も、全体的にはサービスは低下すると思います。市町村でやはり差が出てくるというふうに思っております。

 先ほど、人口の減少という部分でちょっとお話をさせていただきましたけれども、私どもの事業をしている北杜市ですけれども、二〇一〇年の総人口は四万六千九百六十八人、二〇四〇年の総人口は三万二千七百六人ということで、三〇%減ということ。これで、第一号被保険者というのも、パーセンテージも上がっていきますし、この中で今以上サービスが向上するということはちょっと考えづらいと思っています。

 以上です。

唐木美代子君 まず、予防給付サービスが、今まで本当にきちんと自立支援に行っていたかという検証が必要かと思います。多分、これは結果が出ているかなというふうには思っています。

 もう一点は、それが地域支援事業に行った場合ということなんですけれども、私は基本的には地域支援事業を悪いと言っているわけではないんですけれども、先ほどからずっと出ている、本当に地域の格差のところで、事業をどう組み立てられるかというところが大きなポイントになってきているんですね。これを二十九年までに各市町村が全部そろえられるかどうかというところが非常に疑問になっています。

 というのは、北杜市の例で言わせていただくと、申しわけないんですけれども、一分以内なんですけれども、立ち上げました、頑張ってやりました、ではこれが継続していますかと言われると、本年度のところを私はちょっと結果を見せていただいたんですけれども、来年に向けて本当はもっともっといろいろなことが行われていなきゃいけないものが、やはり停滞してくるんですね。

 ここは現場の話が出てくると思っていますので、今の御質問の、どっちへ行きますかと言われたときに、私は、つくり上げられる地域支援事業がどういうものになっていって、予防給付のところが、本当に自立に、きちんとした予防に向けた給付のサービスが行われていたかどうかというところの力関係によって変わってくるので、どっちへ行きますかと言われたときに、はい、必ずこっちへ行きますというふうにはお答えできません。

 以上です。

長妻委員 ありがとうございます。

 なかなか、予防がより強化される、よりよくなるというふうなお答えはなかったやに私は今理解いたしました。

 やはり、予防給付、要支援ができた理由というのは、一つは要支援のところで、要介護になる前に、そこでとどまっていただく、あるいは自立していただく、一つの、予防を集中的にやりましょうという趣旨でそのカテゴリーができたというふうに思っておりまして、特に認知症予防については、先ほどもお話ありましたけれども、初期の段階の予防が非常に必要である。今は、MCIと言われる認知症予備軍の方が認知症に移行しないような、コグニサイズなどなどの体操も開発をされているというふうに聞いておりますので、むしろ、予防のところは強化しこそすれ薄くしてはならないというふうに考えております。

 そういう意味では、今、給付はまだまだ、おっしゃるように不十分の、予防に特化していない給付もあるかもしれませんから、むしろそれを予防に、きちっと強化をして、そして給付の上に、上乗せの地域の事業、ボランティアの方、NPOの方を活用したものを、上乗せで独自のサービスを提供していくということがやはりこれから望ましい姿ではないかというふうにも思っております。

 認知症の行方不明者も昨年一万人を超えたわけであります。一昨年の死亡者は、認知症で行方不明になって亡くなった方が三百五十九人おられるということでありますので、そこを我々はポイントとして考えていきたいと思います。

 今の国会の状況の中で、この法案が賛成多数で通過をする可能性が出てきているんですけれども、やはり与党の皆さんに申し上げたいのは、全国のこういう声をちゃんと聞けば、むしろ、目先の財政は助かるかもしれないけれども、結局は高くつく、成長の基盤である労働の安定、つまり介護のために職をやめざるを得ない方がふえていったり、認知症で病院の看護師さんの大変な御苦労もお伺いしましたけれども、結局はコストが高くついて、御本人の満足度も下がる、こういうことを与党の皆さんにも強く考えていただきたいというふうに思うわけです。

 最後に、恐縮なんですけれども、皆様にまた一分程度でお伺いしたいのは、その一方で、では、要支援、介護予防に対する介護の経費は、今回の給付から地方事業に移管することで、全体の経費は減る方向になるのか、ふえる方向になるのか、どういうふうに考えておられるのか。経費の面での要支援、つまり介護予防のところの、どちらに振れるのかというお考えを聞かせていただければと思います。

今井立史君 十分検証したことがないのでよくわからないんですけれども、やはりそれはかなり内容によりけりというふうなことにはなると思うんですけれども、やはり給付の方がお金がかかるんじゃないかなというふうに考えます。

流石ゆり子君 ありがとうございます。

 私も、何とも言えないところもあるんですけれども、ちょっと具体的な展開が見えないところもあるものですから、済みません、的確なお答えができませんが。

石井貴志君 介護予防給付というか、介護全体ということでしょうか。(長妻委員「要支援の方に対する」と呼ぶ)要支援。

 この法案どおりにいけば、もちろんふえてくるのはしようがないと思いますが、確かに、今のサービスを続けていった場合、減ってくるかもしれないというふうに感じています。

唐木美代子君 事業になった方が、全体のお金では減ります。給付の方が当然、今後ものしてきますので、お金的には、給付の方でいった方がお金はたくさんかかるかなというふうに思います。

長妻委員 私も、給付から事業にすると、目先の経費は減るというふうに思いますが、やはりこれも、多分全国の方もそういうふうに感じておられるのではないかと思いますけれども、本当に地域の創意工夫で介護の方を予防していくのであれば、やはりベーシックの、ナショナルミニマムのサービスは基本的に給付でまずは押さえていく。これは、自治体によって財源あるいは過疎の度合いなどまちまちでありますので、ベーシックなものは残した上で、その上の、上乗せのサービスを、これはなるべくコストがかからないような、ボランティア、NPOの方々にお願いをして、そしてそのベーシックのサービスの検証もかなり強くしていくということが本当に重要だと思っておりまして、目先の費用を削除して、結局高くつくということがあってはならないと思います。

 最後に、流石さんに一問だけお伺いいたしますけれども、認知症の予防、初期の段階の予防ということで、一番重要なことを簡潔に教えていただければと思います。

流石ゆり子君 御質問ありがとうございます。

 認知症の予防につきましては、今いろいろなところで取り組みをしておりますが、私は、生活の場に近い、本当に地域住民が一緒に暮らす、隣近所の中での認知症の早期発見ということが一番大事かと思います。

 ただ、早期発見ができるためには、地域住民の認知症に対する基本的な知識がなければ、これはもしかしたら認知症かもしれないというふうなことがわかりませんので、今、国の方で進めております認知症サポーター養成講座、ああいうふうなものを、あらゆる組織、底辺の底上げをしながら、本当に地域住民全てに、小学校も中学校も高校も大学も、あるいは企業もというふうなところで底上げをしていくということがまずは大事かと思います。

 そして、病気である認知症と加齢に伴った物忘れというのは基本的には違いますので、今のような基本的な知識があれば、おやっというふうに気づく、そういうふうな機会が非常に広がりますので、教育、啓蒙啓発活動にまずは尽きるかと思います。

 その段階を踏まえた後、今度は、もし、おやっ、おかしいなと思ったときに、どういうふうなところを訪れれば認知症という診断がつくのかというふうなところで、今、国でいろいろなことをやっておりますが、認知症の専門医ですとか、あるいは先ほど来出ております初期集中支援チームですとか、いろいろな施策を総合的につなげながらやっていくことが大事かなというふうに思います。

 そういう意味では、啓発活動がまずは大事、それから、その啓発活動の中でも、単なる知識だけでなくて触れ合う体験とか、例えば施設に子供がボランティアで行くとか、あるいは地域住民が施設に行って認知症の方とかかわるとか、そういうふうな内容を研修の中に組み入れていくというふうなことが非常に大事かなというふうに思っております。

長妻委員 大変ありがとうございました。

 流石先生初め、四人の先生の今のお話を政治の中で現実にしていく努力を我々はしていきたいと思います。どうもありがとうございました。

後藤座長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の衆議院議員重徳和彦です。

 きょうは、意見陳述人の皆様方、まことにありがとうございました。お忙しい中で貴重な御意見を賜りました。

 そこで、限られた時間でございます。私からは、医師会の今井会長さんと、それから山梨県老人福祉施設協議会の石井貴志会長さんに質問させていただきたいと思います。

 まず、今井会長さんが看護師の特定行為のお話をされました。医師の包括指示書のもととはいえ、疑問なしとしないというようなお話がございました。

 私も、これまでの委員会審議の中で、今想定されているのが、事前にいただいている参考資料によりますと、四十項目ぐらいの特定行為がこれから研修の対象となるというようなことで説明があったものですから、例えば、今、会長さんからは人工呼吸器の調整など御指摘があったと思うんですが、私も、医療関係者の方から、病態に応じたインスリン投与量の調整とか、脱水の程度の判断と輸液による補正といったあたりについて、かなりリスクのある行為であるので、これは慎重にしっかりと議論をしていかなければならないのではないかというような質問も、これまでの委員会の中でさせていただいたところなんです。

 今井会長さんからごらんになって、先ほど一つ二つ例を挙げられたと思うんですが、少し具体的に、どのような懸念があるとごらんになっているのか、解説をいただければと思います。

今井立史君 御質問ありがとうございます。

 詳しい内容等はいずれ示されるというふうなことなんですけれども、書面でちょっと見たという程度で申しわけないんですけれども、やはり、この中では、私どもはちょっと心配だなというふうな内容もあるんですね。

 今言った、例えば、人工呼吸器の酸素の調整とか、抜管、気管カニューレを抜くなんということを代表で出したんですけれども、これなんかは、若い医者でもよほどしっかりしなきゃだめだぞというようなことで、事故が起こる可能性があるところなんですね。

 ですから、私は、これは、ターミナルケアとかそういう段階でやるのかなとちょっと思いまして、在宅で、ターミナルだからしようがないからというふうなレベルだとちょっと問題だなと。そういう意識ではないとは思いますけれども、病院なんかでは、このとおりやっておけなんてわけにとてもいかないものですから、非常に危惧をしております。

 ですから、この辺は先ほど私もお話の中で触れさせていただいたんですけれども、きちんと検証して、専門家の意見を十分検討しながら、慎重に。幾つかの部分について、確かに、全部やってもらえれば、在宅の、関係する医師は楽にはなるんですけれども、かなり心配というか、そういうのもあるんじゃないかなというふうなことで、ちょっとお話しさせてもらいました。

 ありがとうございました。

重徳委員 ありがとうございます。

 非常に専門性が高いということと、お医者さんがやっても、かなり慎重にやられているということ、それから、実際には、何かあったときの法的な責任ということも、在宅医療なんかの中で、これから下手すると多発してきてしまう可能性もあると思いまして、この点は非常に、国会でも慎重に審議をしていく必要があるというふうに私は認識をしております。

 次に、石井会長に質問させていただきたいんです。

 大規模施設でいろいろと、職員体制とか二十四時間のケア、まして、みとり介護という体制をとっていくためには、それから専門性の確保、さまざまな観点から、大規模な施設のメリットもあるだろうという御指摘だったと思います。一方で、小規模多機能をこれまで国としても一定程度推進してきたはずなんですけれども、今いただいたお話の中では、通所とか宿泊の基準が厳し過ぎるという御指摘がありました。

 少し具体的に、その問題点とか、こう改善すべきではないかという御指摘がありましたら、よろしくお願いいたします。

石井貴志君 御質問ありがとうございます。

 小規模の基準については、今、二十五名の登録定員に対しまして、十五名の通所で、宿泊が九名という形で基準が設定されております。私の市の方でも、その二十五名の契約定員に達していなくて、なかなか経営が苦しいというところしか聞いておりません。

 私どもも、今年度から実は取り組みを始めるところなんですけれども、やはり、二十五名の登録定員で十五名の通所ですから、本来であれば、重度化ということが予想されれば、もう少し柔軟な定員数があってもいい。また、宿泊についても、例えば、週二回通所に通って、お泊まりデイというのに泊まる方が安いという選択肢があるので、小規模を敬遠するという事態もあります。そんなことなので、やはり、基準をもうちょっと使いやすいような形にしないと、特に地方では広まっていかないのではないかな。都市部ではサービスが選択できるので。

 それで、済みません、この質問ではなくて、先ほどの特定行為のことを、今ちょっと言わせていただきたいと思うんですが、介護施設でも、特定行為のことは、二十二年度、二十三年度で特養に一部認められ、十四時間研修というものが行われております。そこで、大半の、特養の重度化に合わせて特定行為の研修を行って、ちょっと範囲は狭いんですが、たん吸引等をできるようになっております。

 しかし、二十四年度から、これが五十時間の研修に変わっております。五十時間で、しかも、対象施設が特養だけではなく、その他、訪問の事業所ですとか保育の事業所、障害の事業所、全てを県でやる。今、現状で、たしか最新の情報ですと、県内で五十名程度の人しか受けられないことになっているんですね。そうすると、やはり、特養の重度化に合わせて、これからたん吸引が必要になってくるのに受けられない方もたくさんあって、ここを、例えば介護福祉士の資格があれば時間がもう少し短縮できるですとか、そういうような資格要件を設けて、もう少し短時間で取れるようにしないと、五十時間の時間を施設からまた出す、これは施設もとても負担だと思っています。

重徳委員 ありがとうございます。

 今のたんの吸引につきましても、私も、委員会でも今おっしゃったような問題意識から質問をさせていただきまして、大臣からも、もっと広めていきたいというような答弁もいただいておりますので、具体的にこれから厚労省との間でも考えていきたいというふうに思っております。

 次に、石井会長に質問なんですが、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、ケアハウスといったことについて、市町村の措置が、措置控えという言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、そういった問題も含めての御指摘だったと思います。

 これから、地域支援事業とは直接関係ない分野では、分野というか内容かもしれませんけれども、市町村の判断に委ねた結果、市町村間の対応の差が出てくるという意味では、少し共通した懸念もあるかなという感覚がするんです。唐木さんのようなパワフルな方が市役所を牽引していっていただけるといいとは思うんですが、やはり市町村によっては、いろいろな団体があると思います。

 今の養護老人ホーム、軽費老人ホーム、ケアハウスについては、そうはいっても三位一体改革の段階から市町村の判断ということになってまいりまして、ただ、厚労省としては全国会議でどんどん指導をしっかりとやっていくということは言っておられるわけなんですけれども、これについてももう少し具体的に、高齢者の住まいとしては非常に重要なところだと思いますので、解説をいただければと思います。

石井貴志君 御質問ありがとうございます。

 私も、このことにつきましては、養護老人ホーム、軽費老人ホーム等がどこに位置づけされているのかなというのが深く読み込めていませんで、ちょっと申しわけないんですが、実際、やはり、財源上の問題を言いますと、措置で入所させていくよりも、介護保険、例えば生活保護ですとかそういうものを使って入所させた方が市町村はやはり安いという選択で、そういう、財源ということからすると、そちらの方へ流れていくということになるのではないかと思っております。

重徳委員 ありがとうございます。

 それでは、最後になるかもしれませんが、認知症への対応ということで、よく言われるのが、石井会長さんの指摘によりますと、肉体的負担だけではなく精神的な負担、さまざまな負担感の多い、要は、ケアする側からすれば大変なことであるにもかかわらず、要介護度が低く判断されがちであると。つまり、本当に寝たきりの方は要介護度が四、五に判断されるんですけれども、要介護度が低いというふうに判定される割に、やはり相当、寝たきりの方よりもかえってケアにかかる労力は多いというような指摘がされております。

 私も、委員会の中で、例えば、判定をもっと的確に行うために区分変更申請をきっちりと行えるようにするべきだとか、あるいは、認定調査員のセカンドオピニオンを聞くような機会をもっと制度化してはどうかとか、いろいろ提案をさせていただいておるんです。認知症専門ケア加算ももっと充実させるべきだというのが石井会長さんの御意見だと思いますが、今、私が申し上げましたような問題意識に関連して、何か御意見があればお願いいたします。

石井貴志君 御質問ありがとうございます。

 まず、認知症の入所基準のところは少し言わせていただきましたが、認知症を持ちながら要介護一、二と判断された方については、御本人の状態とか、やはり、認知症の方でも本人と話をすると全く問題ないというふうに感じるときもあるんですね。ただ、それが、本当は家族はとても大変だというところ、このあたりの判定を慎重にしていただいて、入所基準等の市町村の判断の、指導の一つにしていただきたいというのが、まず入所基準のところの希望です。

 あと、施設での認知症の評価というところなんですけれども、在宅の方であると、認知症の通所ですとかそういう形、先ほどのサポーター制度ですとか、そのような形で進んできていると思うんですが、今、例えば施設の認知症専門ケア加算というのは三単位、四単位というところなんですね。それに、例えば、介護実践者研修をまず受けて、一年たってから実践リーダー研修を受けて、またさらにその指導者が、たしか二十人に一人だと思ったんですが、二十人の利用者さんに一人の人に対して加算ができるというような、とてもハードルが高いものになっているんですね。

 施設の職員もやはり認知症の研修をたくさん受けております。否定してはいけない、全部受け入れるという形で、何度でも訴えに応じるという教育を受けていますので、そういう面でいくと、専門性の対応をしている割にはハードルが高過ぎるんじゃないかというふうに感じています。

重徳委員 ありがとうございました。終わります。

後藤座長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆様、厚生労働委員会の地方公聴会においでいただき、そして貴重な御意見をお述べいただきました。心から感謝を申し上げます。

 私たち公明党は、現在、全国約三千名の議員がおります。この医療、介護の改正に合わせまして、全国の議員でそれぞれの地域に即した地域包括ケアシステムを構築しようということで、全国から意見を寄せていただき、また、移動本部も実施をして、それぞれの地域の現場の方々、関係者からの御意見を今聴取している最中でございます。

 まず、今井参考人にお伺いしてまいります。

 今回の法改正で、病床の機能分化、これは大きな柱でございます。その中で、地域の医療ビジョンをどう構築していくか、これが最大の課題であろうかと思います。

 きょうも、地元の県会、また市会、傍聴に公明党から来ておりますけれども、調査をして、そしてその調査の結果を分析していく、それに基づいて病床の推計をし、それに基づいてそれぞれの医療機関に機能の変更を求めていくということになるわけなんですが、紙の上ではそういう計算ができたとしても、現実にそうした病床の機能転換を行っていくというのは非常に難しいことかと思います。

 ここは、やはり、都道府県と医療関係者の非常に丁寧な議論が求められていくというふうに思います。そこには、当然、都道府県の側もしっかりとそこに体制をつくっていただかなければいけないんですが、そのほかにも、議会でありますとか、そのほか幅広く関係者の意見も聞きながら、ここは十分な、慎重な議論が必要かと思いますけれども、この点に関してお考えをお伺いいたします。

今井立史君 御質問ありがとうございます。

 確かに、これから地域医療ビジョンというものをつくるというふうなことについては、実際にまだ始まっているわけじゃないんですけれども、大変なことになるのではないかなと。これはもちろん、地域格差というのがあって一つのマニュアルにはまらないこともありますし、いろいろなところでいろいろな意見が出てくるんじゃないかなと思うんですね。

 それと、今まで高度機能病院としてやっていた、そういうものがまた別なところに行くというようなことに関して、どういうことになるのかなと。そんな簡単に、わかりました、ではこういうふうにしますなんてわけにいかないなというふうなことで、実際にどういう形になるかはまだ具体的にわからないんですけれども、きめ細かく、本当にそこの状況を把握しながらやらなきゃいかぬ、先生おっしゃったとおりだと思うんですね。

 それで、何らかの、今の特別支援基金の問題を、インセンティブなんかの形でうまく使いながらというふうなことも当然考えないかぬと思うんですけれども、その辺を含めて、医師会としましても、当事者の意見を聞きながら、また行政とも話し合いながら、あるいは一般の市民の方とも、その説明をしながら鋭意検討していきたいというふうなことで、何かちょっと漠然としちゃっているんですけれども、済みません。

古屋(範)委員 ありがとうございます。

 きめ細かな議論の場が必要だということだと思います。私たちもネットワーク政党ですので、そうした協議の場が持てるような環境づくりに、これは県会議員や私たちもしっかりとバックアップをしてまいりたいと思います。

 続けて、今井参考人にお伺いいたします。

 医療従事者の偏在、不足について先ほど御意見がございました。山梨県においては、既に地域医療支援センターを全国に先駆けて立ち上げられて、ここの活動を開始されているということも伺っております。こうした地域医療センターが法律に位置づけられてまいりますけれども、この機能に期待すること。

 そしてもう一つ、医師不足に関しまして、やはり、女性医師が出産とか育児を越えて働き続けられるということも一つ大事な観点ではないかと考えております。私もこれまで、女性医師バンクを医師会に委託をして設立し、女性医師が何とか働き続けられるように、その能力も非常にもったいないですので、そのようなことにずっと努めてまいりましたけれども、女性医師の活躍について、医師不足の観点から御意見をいただければと思います。

今井立史君 御質問ありがとうございます。

 医療センターの問題ですけれども、これがきちんと位置づけられたというふうなことで、しっかりした根拠ができたんじゃないかと思うんですね。

 山梨の場合も、既に奨学金の生徒さんも約二百名を超えまして、ことしも二十名ぐらいの人が卒業するというふうなことです。この新規卒業した若い医者に、どういうふうに県内にとどまってもらってスキルアップを図るかというふうなことでこれが本格的に始まるのではないかというふうなことで、在宅の問題を含めて、かかりつけ医、総合医というふうな視野の中で、医師会がどの程度、どの部分に協力していけるのかなというふうなことを、これからしっかり医師会内でも検討していくというふうに考えております。

 それと、女性医師の問題。先生御指摘のとおり、日本医師会でも、これから女性の理事を登用しようというふうなことで、開業医の方と勤務医と二名出すというふうなことになりまして、国の方でもかなり進められているんだというふうなことです。山梨の場合は、やはり女性理事さんの枠がなくて、それで、何とか年度内に女性の理事さんを一人ふやしまして、女性の立場を専門に主張していただくというふうなことで、実現しようと思って予定をしております。

 やはり、直接的に、出産もいろいろ経験している、実際に勤務して苦労したというふうな話を私たちが聞いて、そしてそこの場に出していかないといけないと思いまして、そういう取り組みを進めていきたいというふうに考えております。

 ありがとうございました。

古屋(範)委員 ありがとうございます。

 地域医療支援センターを中心に、そこから地域枠で輩出をされてきた方々が総合医としてあるいはかかりつけ医として実際に地域を担っていただく、ここまでの育成をまた医師会の先生方にも担っていただきたいと思いますし、私自身も、国として全面的にバックアップをしていきたい。

 また、女性理事を医師会の中につくっていただくということで、これも非常にすばらしいというふうに思います。やはり、女性の事情、立場をわかった方々がそうしたトップについていくということがまずは重要なことだと思いますので、これは大変にありがたく拝聴いたしました。

 それでは、流石参考人にお伺いをしてまいります。

 私も、在宅医療の現場、医師ではございませんが、患者や家族の方々に了解を得て、在宅医療の医師とともに、現場をずっと往診について回るというようなこともさせていただいたことがございます。やはり、在宅医療の現場の主役というのは看護師だというふうに思います。しかし、なかなかこの在宅医療、やはり病院の方に流れてしまうということがあるのではないかと思います。

 在宅医療に、能力のある看護師さんについていただく、このために国としてどのような施策が必要でしょうか、お願いいたします。

流石ゆり子君 御質問ありがとうございます。

 現在、在宅医療を担っているのは、看護職の中では、訪問看護ステーションの訪問看護師ですね、看護師が中心となっております。古くからは保健師が地域を単位として受け持って、そしてその住民の健康管理をしておりましたが、現在では訪問看護師が中心となっております。

 そして、私の大学でも、卒業生の傾向を見ますと在宅への志向が非常に高くて、先ほども申し上げましたように、二人が新卒で訪問看護ステーションに就職をいたしました。

 そういうふうな動きもありますし、また、臨床経験を積んだ後、在宅での訪問看護師としてやってみたいというふうな希望も非常に多くありまして、これは教育機関に限らず、看護協会等、あと、もちろん医師会ですとかいろいろな関係職種とも、今、一緒になって仕事をしております。連携教育が今非常に主流を占めておりますので、そういう中でも地域でやってみたいという気持ちは非常に高まっているかと思います。

 以上です。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 みとりに関しても非常に重要な取り組みをされているということでございますので、在宅医療の中で、このこともあわせて、ぜひ、大学でのこうした在宅看護への流れといいますか、そちらの方向への、教育者としてのお立場からの推進もお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、石井参考人にお伺いいたします。

 今後の高齢社会を担っていく上で、介護従事者の確保が喫緊の課題であるという御意見でございました。確かに処遇改善はしなければいけない。私たちは、与党としても、これは何としても進めていきたいと決意をいたしております。

 そうした賃金のアップということに加えまして、処遇改善でそのほかにも重要なことがあろうかと思います。処遇改善の、その他の重要な観点について御意見をいただきたいと思います。

石井貴志君 御質問ありがとうございます。

 まず、処遇改善については、やっていただけるということは、本当に介護従事者にとってはありがたいことだと思っております。

 ただし、その金額というのに皆さん注目している。また、世間といいますか、先ほど親御さんの話もしたんですが、そこにインパクトのある改善ということが求められるんじゃないかと思っております。

 もう一つは、その他の勤務環境ということですが、先ほど病院さんの方には保育環境等整備ということ、私どもの介護職場についても、女性の職員が多いですから、当たり前にそういう子育てがしやすい環境の整備がやはり必要だと思っています。成長戦略の中にも入っていますし、やはり、そこの部分も含めて御検討いただきたいというふうに思っております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 インパクトのある処遇改善ということでございますので、年末に向けて私たちも最大限の努力をし、また勤務環境の改善も、女性が多い職場だと思いますので、女性が働きやすい、そうした介護の環境の場の改善にこれからも努めてまいりたいと思います。

 それから、唐木参考人にお伺いをしてまいります。

 自助、互助、共助、こうしたことを御本人にしっかりと説明をして予防意識を高めていただく、すごいことだというふうに思います。特に、この地域では、田畑があるので、高齢になっても多分そこで農作業などをして働いていらっしゃるんだというふうに思います。それが介護予防につながっていくということもあろうかと思います。平均余命と健康寿命の関係性、そして、今、労働寿命という概念は確立はされていないんですが、やはり働いていく、あるいはやりがいのあることが身近にある、こういうことが介護予防につながっていくのではないかと思うんですが、この点について御意見があれば伺いたいと思います。

唐木美代子君 どんなに年をとっても自分がやるべきことがあるとか役割があるというのは、介護予防の中では当然大事な視点だと思います。ただ、環境の問題も大きいかと思いますので、北杜市のように、田畑があって、自分たちがやらなきゃならないことがあるというところは、予防に対しても非常にプラスかなというふうに思っています。

 ただ、本当に八十五、九十、九十五になったときにどのくらい労働ができるかというのはまた別の問題ですので、それはそれで、人口構成的には北杜市はまた違った問題点もあるのかなというふうには思います。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 皆様の御意見を参考に、しっかりとこれからも医療、介護の改革を進めてまいります。ありがとうございました。

後藤座長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日は、意見陳述人の皆さんには、お忙しい中御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。また、長時間にわたりましておつき合いをいただいておることを大変感謝しております。

 今回の地域医療介護総合確保推進法、きょう皆さんから意見陳述を聞きまして、まさに生活に密着したこの法案、きょうはマスコミ、報道関係者の方も来ておられますが、余り一般の方に知られていない。そのことの中で、私も山梨県が地元で、きょうこの場でこの法案に関して地方公聴会が開かれたこと、御尽力いただきました厚生労働委員の皆さんにも大変感謝をしておるところでございます。

 早速質問に入りたいと思うわけですが、私からは、まず唐木陳述人にお尋ねをしたいと思います。

 唐木陳述人は、北杜市において、地域包括支援センター、そして介護支援課長として、地域支援事業として介護保険外サービスを創設して、介護予防・日常生活支援総合事業を展開してこられた。その取り組みによって、高齢化率が高い山梨県の中でも、北杜市は高齢化率が高いというお話が先ほどございました、しかしこの事業を始めてから介護認定率というのはどんどんどんどん下がって、直近では一一・七%。それは大変評価できる部分ではないか。

 それを厚生労働省の方でも、ある意味モデルとしてやっておるわけですが、しっかりと成果を出すためには、地域ケア会議などで関係者との合意形成、そして地区組織、NPO、介護サービス事業者を含めた民間事業者との連携、協働と先ほどもお話の中で出てきましたが、これは口で言うのは大変簡単だと思いますが、実際にはなかなか難しい。大変御苦労なさったのではないかなと思います。

 その合意形成、多職種の連携も含めて、どのようなことで一番御苦労したか、そしてまたどのような解決方法があったのか、お尋ねしたいと思います。

唐木美代子君 御質問ありがとうございます。

 認定率が下がっていく経過の中には、六十五歳以上の人口がどんどんふえているところですので、これも絶対見間違えてはいけないんですけれども、六十五歳以上の人口がふえていくので、母数がふえますので、認定率がぐんと上がるという形ではないという、今、北杜市にはその現状があるんだよということは、当然北杜の方では承知しているところです。

 連携とよく言葉で出されるんですけれども、本当に連携ほど難しいことはなくて、例えば医療で継続看護という言葉が使われて本当に長いんですけれども、なかなかそこも、現場サイドではこれで大丈夫だというところまでいっていない。ましてや介護という比較的新しい分野にとって、連携をしていくということは非常に難しいところでした。

 それぞれの職場が違っていたりとか、価値観が違っていたりとか、教育課程が違っていたりというところで連携していくわけですから、一番連携しやすいことというのは、ドクターも看護師さんも介護の職員も、どこを目指すかというと、患者さんであり介護の支援者でありという人たちに、よくなっていただこうというところは共通の目標なんですね。共通の目標がここだよということをきちんとみんなに共有してもらえるかどうかというのは、連携の一番の基礎だと私は思っています。

 患者さんとか利用者さんの皆さんにというところだけではなくて、行政の中の連携、それから他機関との連携も同じなんですね。どこを目指すかということがきちんと押さえられるかどうかによって、連携は促進もするし衰退もするというふうに思っていますので、そこをきちんと見定めていける、それにはやはり自治体には力がなければいけないかなというふうに思っています。

 介護保険もそうですし、医療の方もそうなんです、全てがそうなんですけれども、ここの地域をどういうふうにしていきたいのか、どういう地域にしていきたいのかというビジョンがないところには連携もあり得ないというふうに私は思っていますので、今後、本当に国の方にはお願いしたいんですけれども、どうすれば各地域がビジョンが持てて、そのビジョンに向かってみんなが連携していけるかというところをきっちり、できましたら示していただければ、非常に市町村としてはやりやすいんじゃないかな。各市町村のビジョンは出せないかもしれないんですけれども、そういうことが大事だよということをもう一度徹底するということは、基本に戻って必要かなというふうに思っていますし、私にとってもそこが一番苦労したところだと思っています。

 以上です。

中島委員 ありがとうございます。

 先ほども言ったように、口で言うのは簡単なんですが、地域包括ケアシステムの構築のために、医師や看護師、そして介護保険でいえば各事業所、これは経営主体も違うわけです、社会福祉法人もあれば民間の企業もある、そういったものに共通のインセンティブ、目標を持たせるというのが大変重要ではあるということは、恐らく厚生労働省の方々もみんなわかっていると思うんですが、それができない。

 その中で、今回の地域支援事業がしっかりと結果を出すためには、やはり一歩踏み出して、唐木さんのような指導力のある方がいるかいないか、それだけに委ねられないように、しっかりと、ひな形というか、あるべき姿というものをちゃんと地方の方々に示さないといけないのではないかなというふうに、今もお話を聞いていて思いました。

 唐木陳述人は、介護支援課長もやっていたということで、介護認定審査にもかかわっていたと思います。実は、今のお話と少し付随するところがあるかもしれませんが、この介護認定審査の地域間格差、山梨県と長崎県、介護認定率でいえば約四倍の差があると言われています。今回、要支援と要介護の差、そこでの差も約二倍ある。この介護認定審査の地域間格差は何が原因だというふうにお考えになりますか。

唐木美代子君 そこに持ってくる資料のつくり方というのが当然あるかと思います。例えば、訪問調査員一人にしましても、何時間かの研修を受けて訪問調査をするわけですけれども、認知症の話が出ていましたけれども、実は、認知症の方というのは、一回、訪問調査を一時間してわかるというものではない、ましてや、要支援になるのか要介護になるのかという、本当にボーダーライン上の方というのはなかなか難しいんですね。

 そこで、申しわけないんですが、包括支援センターの名前を挙げさせていただくんですけれども、非常に相談がきちんと入っていれば、実は、そのレベルの方というのは包括に情報が入っていてもおかしくないんですね。だから、やはり包括支援センターがどう動いていたかというのはうんと大事なことかなというふうに思います。

 済みません、今の質問の答えになっていないんですけれども、当然、調査員の研修のあり方もそうですし、それから、認定調査に対応する職員、実は、あそこできちんとチェックができているかというのもうんと大事なことです。だから、全てなんですけれども。

 あと、審査会においてなんですけれども、審査会が何を目指しているかによって、私は認定が変わってくると思います。これはちょっとあれなんですけれども、今までこういうサービスを使っていたので、ここで介護度が二が一になったら困るよねという審査会は、とても私は困りました。せっかくサービス提供側も、それから本人も努力をしたにもかかわらず、二が一になっちゃ困るから、では、今までどおり二でという審査はないかなというふうに思っています。

 地域間格差というのは、ここだけですというんじゃなくて、幾つかの要素が重なってできているとは思うんですけれども、これも、申しわけないんですけれども、自治体がどっちの方向へ介護保険を向けようとしているかによっても多少変わってくるかなというふうに私は思います。

 以上です。

中島委員 ありがとうございます。

 介護認定審査というのは、全国共通のソフトによって一次判定が出されて、全国共通のマニュアルのもとで出る。本来であれば全国一律になっていかなければいけないところですが、今の陳述人のお話の中でも、その自治体が目指すべきものは何かということに随分委ねられる。

 そうなってきますと、これもちょっと短く答えていただきたいんですが、例えば山梨県、そして北杜市も山梨県の中でも高齢化率が高い地域、今までにも介護保険の制度は、たびたび制度変更、方針の変更もございました。そんな中で、やはり、厚生労働省からの圧力、例えば、高齢化率が高い地域において、成果を出さなきゃいけないんだ、そのようなプレッシャー、そのようなことが介護認定審査に影響を及ぼす可能性があるかどうか、一言でお答え願えれば。

唐木美代子君 認定審査会については、そのプレッシャーというのはないですね。逆に、事業に対してのプレッシャーはあるかもしれませんけれども。認定審査会は、あくまでも公正中立に、正しくです。法律を守りながら、きちんとした認定審査の結果を出すということを心がけるべきだと思っています。

 以上です。

中島委員 先ほども言ったように、本来であれば、今回、要支援の地域支援事業への移行、それに当たっては、ある地域では介護認定を受けられてこういうサービスが受けられる、ある地域においては受けられない、このような差が要支援と要介護のところだけでも約二倍近くあるということの中で、やはり私は、その認定審査自体、先ほどから唐木陳述人からございますように、課題はたくさんあると思っております。その方がまずやるべきことかな、まず先に認定をしっかりと精査するべきかなというふうには考えております。

 時間もございませんので、たくさん質問したいことはあるわけですが、きょう、ほかの委員の方からも御質問があって、私も大変参考になっております。

 最後に、皆さんお一人お一人から、本当に少しずつで構いません。

 先ほども今井会長や流石先生からもございました看護師研修制度も、実は今回の法案の中に、今井先生にもお聞きしたかったんですが、医療事故調、医療事故調査の問題も含まれております。細かく言うと、十九本という法案が一つに審議をされる。恐らく多くの皆さんも、資料が送られてきて、いや、これは大変だというふうに正直思ったのではないかと思います。

 そんな中で、きょう、介護保険の現場の話もたくさん出ましたが、それぞれのお立場で、今後の少子高齢化、財源の問題も含めて、大変今後を左右、医療や介護の問題、冒頭にも言ったように、国民の皆さんにとっては最も生活に密着した大変重要な案件ばかりだと思います。それがこのように一括して審議されることに対して、お一人お一人に御意見を賜れればと思います。今井会長からよろしくお願いいたします。

今井立史君 先生言われるように、確かにいろいろなものが含まれているなと。先生からこんなに厚いのをいただきまして、びっくりしたんですけれども。

 やはり重要なのは、病院から家へ、あるいは病院から地域へとか、そういうことの連携というものは、かなり主体であるなというふうなことで、医療と介護の連携というふうなことが非常に叫ばれていますけれども、今どなたかおっしゃいましたけれども、これは、口先で言うのは簡単ですが、実際に連携するのは難しいな、どうしたら連携ができるんだろうというふうなことで、私も考えました。

 これはやはり、医師会が、そういう一つのコアになるようなものをつくって、一緒にやりましょうよというふうな形で語りかけていかなければ、いつ連携すると、来るのを待っているというふうなことじゃ、これはうまくできないんじゃないかなというふうなことで、そのことを一番、今度の中心に考えているんですけれども、その辺の連携の仕方、これを医師会が何とか全県に広めていけるように、県の方から推進していきたいというような、こんな印象を法案に持ちました。

 ありがとうございました。

流石ゆり子君 ありがとうございました。

 私は、きょう冒頭でも申し上げましたけれども、本当に目指すのは、一人一人の生活の質、そして、今の時代は、死に行くプロセスも含めた生活の質を目指した活動が求められているというふうに思います。

 そういう意味では、いろいろ、法案がたくさん入っておりますので、まだ問題と思われる部分もありますので、十分な審議をして、施行まで準備を進めていっていただければいいかなというふうに思います。

 以上です。

石井貴志君 私は、まず、地域包括ケア、これにもう少し、どちらかというと、都市部のサービスというか、そこを主眼につくられているような気がしますので、地方の意見、もう少し柔軟性を持ったものが必要だと感じておりますので、そこの部分をお願いしたい。

 もう一つは、十年後、二〇二五年というのが一つの目標かとは思いますが、やはり、二十年後、三十年後、長妻議員さんが言われたような、長期ビジョンに沿った計画にしていただきたいなというふうに思っております。

唐木美代子君 地域包括ケアシステムは、確かに、本当に構築していかなければならない大切なものだというふうに思っています。

 ただ、これは本当に、つくりながら、活動しながらでしか、なかなか形になっていかないということも事実ですので、形をつくったからこれでできるよというものではない。そこには利用者さんや患者さんや高齢者がいらっしゃるというところが大事なことですので、十分その辺をきちんと見据えて、今後も御審議の方をよろしくお願いしたいと思っています。

 以上です。ありがとうございました。

中島委員 時間ですので、これで終わります。

 本日は、長時間にわたりましておつき合いいただきまして、本当にありがとうございました。

後藤座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 まず、意見陳述者の皆様方には、大変お忙しい中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 また、この会議開催に当たりまして格段の御協力をいただきました関係各位に対しましては、深く御礼を申し上げたいと存じます。まことにありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会

    ―――――――――――――

   派遣委員の大阪府における意見聴取に関する記録

一、期日

   平成二十六年五月十二日(月)

二、場所

   新大阪ワシントンホテルプラザ

三、意見を聴取した問題

   地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)及び介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(中根康浩君外七名提出)について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 金子 恭之君

       田中 英之君 とかしきなおみ君

       大西 健介君   柚木 道義君

       足立 康史君   浦野 靖人君

       樋口 尚也君   井坂 信彦君

       高橋千鶴子君

 (2) 意見陳述者

    一般社団法人大阪府薬剤師会会長        藤垣 哲彦君

    「高齢社会をよくする女性の会・大阪」介護問題研究会座長       吉年千寿子君

    大阪発達総合療育センター副センター長

    南大阪小児リハビリテーション病院院長     船戸 正久君

    社会福祉法人こばと会事務局長         正森 克也君

 (3) その他の出席者

    厚生労働省医政局長   原  徳壽君

    厚生労働省医政局指導課長           梶尾 雅宏君

    厚生労働省老健局総務課長           高橋 俊之君

    厚生労働省老健局高齢者支援課長        高橋 謙司君

     ――――◇―――――

    午前十時開議

金子座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院厚生労働委員会派遣委員団団長の金子恭之でございます。

 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 皆様方御承知のとおり、当委員会では、内閣提出の地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案及び中根康浩君外七名提出の介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案の両案の審査を進めているところでございます。

 本日は、国民各界各層の皆様方から幅広い御意見を賜るため、当大阪市におきましてこのような会議を催しているところでございます。

 御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわりませず御出席いただきまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願い申し上げます。

 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。

 なお、御意見をお述べいただく皆様方は、委員に対しての質疑ができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様方から御意見をそれぞれ十五分程度でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 次に、派遣委員を御紹介申し上げます。

 自由民主党のとかしきなおみ君、田中英之君、民主党・無所属クラブの大西健介君、日本維新の会の足立康史君、浦野靖人君、公明党の樋口尚也君、結いの党の井坂信彦君、日本共産党の高橋千鶴子君、以上でございます。

 なお、民主党・無所属クラブの柚木道義君は、乗車している新幹線の遅延のため到着がおくれておりますので、どうぞ御理解、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 一般社団法人大阪府薬剤師会会長藤垣哲彦君、「高齢社会をよくする女性の会・大阪」介護問題研究会座長吉年千寿子君、大阪発達総合療育センター副センター長・南大阪小児リハビリテーション病院院長船戸正久君、社会福祉法人こばと会事務局長正森克也君、以上四名の方々でございます。

 それでは、まず藤垣哲彦君に御意見をお述べいただきたいと存じます。

藤垣哲彦君 大阪府薬剤師会の藤垣と申します。

 大変貴重なお時間をいただきまして、意見を述べさせていただきます。

 それでは、一枚目がカラー刷りになっている分が我々の資料でございますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案についてということで、タイトルをつけさせていただいております。

 まず、二ページ目でございますが、現在、薬局、薬剤師を取り巻く環境ということで、一枚出させていただいております。

 一番上が処方箋の応需枚数ということで、右側に全国、真ん中に大阪ということでございます。今、全国で七億五千八百八十八万枚、大阪で四千六百二万枚ということであります。

 医療費につきましては、六兆三千億、大阪では三千九百四十八億という状況であります。

 処方箋受取率につきましては、今、全国平均が六六%を超えたところでございますが、大阪が五三・三%というところであります。

 保険薬局数につきましても、全国で五万四千九百五十七施設ございます。大阪で三千七百七十五というところであります。その中で、在宅患者の訪問薬剤管理指導に係る届け出をしている薬局が、全国で四万二千七百四十五施設、大阪で三千二百三十八、この三千七百七十五から見ますと約八六%ぐらいになろうかと思います。

 薬剤師につきましては、今、全国で二十八万人、大阪で二万四千人、そういう状況でございます。

 次のページがきょうお話しする内容で、まず一番目に、新たな基金の創設と医療、介護の連携強化ということでございまして、四ページ目に、新たな財政支援制度、基金について少し書かせていただいております。

 この中の意見としましては、我々としましてはより一層地域医療に貢献をしていきたいというところがございますし、全国一律である診療報酬とは別に、地域の事情を踏まえたメニューの提供が可能になるというふうにも言えるのではないかと思います。そのためにも、三師会を中心としまして関係団体と協議をして、各地域の事情を踏まえて今議論をしているところでございます。特に大阪は、毎月一回、三師会長会を開催するような全国で見ても特殊な地域ということで、我々にとっては大変いいことだと思って進めております。

 それから、五ページ目でございますが、新たな財政支援制度、基金の使途についてということでございますが、これは、在宅医療の推進という方針のもとに、保険薬局の取り組みというのは着実に増加をしておりまして、特に最近では、在宅での残薬の改善に貢献をしているということが報道もされております。それから、在宅医療の現場においてより質の高い薬物治療を提供していくために、薬局、薬剤師のかかわりは不可欠だということを申し上げたいというふうに思っております。

 その後ろ、六ページ、七ページ、八ページには、在宅における医薬品管理の実例ということでございます。六ページにつきましては、自己管理でこのような状況でありました。それから、七ページにつきましてこのような状況が、八ページのように、例えば一包化であったり、処方医と相談をしながらこのような状況に至っております。

 特に現在、私どもが感じますのは、在宅では複数科受診が大変多くて、要するにお薬が重複しているということが大変多うございます。そのためにも、医師に疑義照会を重ねながら、例えば、服薬しやすいような状況をつくっていくということも行いますし、特に、我々が薬剤を管理する上では、薬剤によってADLに影響を与えていないか、そういう見方もいたします。食事はできているのか、睡眠はちゃんととれているのか、排せつはちゃんとあるのか、そういうふうなことで今現在進めているところを御紹介させていただきました。

 九ページにつきましては、医療、介護別の在宅患者訪問薬剤管理指導の実施状況ということでございます。

 下の青い部分が医療、上の部分が要するに介護というふうに御理解をしていただければと思っております。こういう在宅での訪問薬剤管理指導が必要な方はやはり高齢化しておりますので、当然、介護保険の対象者になってしまいますので、このようなグラフになるということでございます。

 それから、十ページ目でございますが、新たな財政支援制度の使い方についての二つ目ということで、我々としましては、女性薬剤師の復職の支援であったり、地域包括ケアの拠点となる病院、薬局における薬剤師の確保の支援ということでございます。

 我々薬剤師は約六割が女性ということも環境的にございますので、そういう女性薬剤師の復職支援等々をここで考えていただきたいということで、今お願いをしているところでございます。

 それから、十一ページでございますが、医療と介護の連携強化ということであります。

 これにつきましては、国の方針、それから都道府県、市町村等々でこの計画を作成してまいるわけでございますが、意見としましては、三番目のところでございますが、下の二行目、下線を引いた部分で申し上げますと、各地域における薬剤師会を含む関係団体の意見が、確実かつ適切に反映される仕組みとなるようにお願いをしたいというふうに思っております。

 十二ページ、十三ページをごらんいただきたいと思います。医療と介護の連携のための医療計画の見直しということでございます。

 この中の意見といたしましては、効率的、効果的な医療提供体制を確保する上で、医療と介護の連携は重要であるものの、各制度の計画頻度が異なるために、互いの方針を的確に反映することが非常に困難という問題も発生をしております。

 次には、医療と介護の連携強化のために、医療計画の変更頻度を五年から六年に見直すことによりまして、相互の方針を反映することが可能もしくは容易となるために、医療、介護の双方を必要とする患者さんと密接にかかわる薬局、薬剤師としても、ぜひ実現していただきたい。

 また、各制度の改正のタイミングというところで、診療報酬は二年、介護報酬は三年ということでございます。この制度設立の当初から、医療と介護の整合性ということはずっと言われております。今回の改定におきましても、医療の改定でありますので、それが介護には反映しない。そういう大変理解しにくいようなことも発生していることがございます。そういう意味では、そのタイミングを同じにすれば、そういう混乱もなくなるのではないかというふうに思っております。

 次に、十五ページでございますが、地域支援事業の追加ということでございます。

 一番下のところの意見でございますが、在宅医療・介護の連携の推進に当たっては、医師、薬剤師、看護師といった関係職種の協力が欠かせないために、包括的な記載にとどまらず、できるだけ関係職種を明示的に記述されるようにお願いしたいということでございます。

 その下の十六ページ、地域包括ケアシステムのポンチ絵でございます。これは中医協に出された資料でございまして、どう見ても中に薬局がございません。こういう議論をされるときには、このポンチ絵の中にもぜひ薬局を入れていただいて、その議論の中に入れていただきたい。ずっと以前からこういうことは申し上げているんですが、等の中に含まれてしまいまして、なかなか薬局が入りません。大変残念でございます。そこは、ぜひよろしくお願いをしたいというように思います。

 それから、十七ページでございますが、介護保険制度の中で、特別養護老人ホームの重点化というところがございます。

 例えば、特別養護老人ホームの新規の入所者につきましては要介護三というのに限定をするというようなこと、それから、既に入所されている方は、要介護一、二であっても引き続き対象とするというようなことがございます。

 その中で、まず一番目に、特別養護老人ホームの入所者である患者に対しては、処方箋交付が可能であるものの、末期の悪性腫瘍の患者さんである場合を除き、保険薬剤師による在宅薬剤管理指導というものが認められておりません。ぜひこの部分については認めていただいて、施設に入っている方々の薬剤管理を薬剤師に任せていただきたいというところでございます。

 それからもう一つ、特別養護老人ホームの人員基準で、医師は、入所者に対して健康管理及び療養上の指導を行うために必要な数というのがあるわけですが、薬剤師に関する規定は存在しておりません。しかし、過去の在宅介護者に関する各種調査によりますと、利用者の服薬管理に関する悩みが常に上位を占めております。

 それから、特別養護老人ホームの入所者についても、医療安全確保の観点から、薬剤師による在宅薬剤管理指導、服薬支援の実施を可能にすべきではないかというふうに考えておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 それから、一番最後の部分になりますが、これは、国の財政基金をいただきまして、大阪e―お薬手帳ということで、お薬手帳の電子版をつくりまして、これを今、全国に広めようとしているところであります。

 三・一一のときにも、阪神・淡路のときにも、お薬手帳というものがその都度見直されてきました。今回は、このお薬手帳というものを皆さんお持ちでなかったのでかなり苦労されたということで、もし緊急のときに持って出るものは何だろうということで、携帯と財布ぐらいかな、そういうイメージから、こういう電子版のお薬手帳というものを今広げようとしております。

 全国でいろいろな形でお薬手帳というのはあるわけですが、特に我々のような公的なところがこれをやることによって、言葉は悪いんですが、患者さんの囲い込みとかいうのではなくて、同じシステムで全国民が使えるようなことになれば大変いいと思って、今努力しているところでございます。

 現在、十九県がこれを採用して、患者さんが利用するというところでありますが、四十七都道府県全てがこれに乗っていただいて、それから改良を加えて、今いろいろなシステムがございますので、使いやすい方向でいきたいというふうに考えて、現在、大阪発でこの電子版お薬手帳を発しているというところでございます。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

金子座長 ありがとうございました。

 次に、吉年千寿子さんにお願いいたします。

吉年千寿子君 「高齢社会をよくする女性の会・大阪」の介護問題研究会座長をしております吉年千寿子と申します。

 お手元に、一番最新の会報と介護保険・生活援助に関するアンケート調査、本当のはこういう大きなものがございますが、それの概要版をお配りしております。これを参考にしまして、途中で見ていただければありがたく思います。

 私たちの会、「高齢社会をよくする女性の会・大阪」は、一九九三年五月に発足し、昨年、二十周年を迎えました。

 発足当時、介護問題は既に大きな社会問題となっていました。従来、嫁、娘、妻といった女性が担うものとされてきた家族での介護が立ち行かなくなってきており、介護現場への社会的支援を求めて、全国的な姉妹組織である高齢社会をよくする女性の会と連携をとりながら、私たちは介護保険制度の導入に対して積極的な働きかけをしてきました。

 二〇〇〇年の介護保険制度の導入で、担い手としての介護労働者が定着し、介護の社会化が一定程度実現しましたが、それから十三年たった現在、二〇〇六年の改正で盛り込まれた人間として尊厳ある介護が、介護をされる者と介護する者との現場で保障されているだろうかという疑問を感じています。

 人間としての尊厳ある介護には、在宅介護生活を支える生活援助サービスの拡充が必要不可欠であると考えますが、介護報酬改定のたびにサービス時間は削られ、二〇一二年の第四回改定では四十五分へと削減され、その影響が出始めています。

 二〇一五年の介護保険法改正に向けた社会保障審議会介護保険部会で二〇一三年一月から具体的な検討が始まったことに、私たちは強い危機感を持ちました。要支援、要介護一、二の方が利用の中心である生活援助削減や見直しは、軽度者へのサービス提供を削減する方向で、介護保険法が成立したときの理念から大きくかけ離れていると思われたからです。

 この生活援助軽視の考え方が、ホームヘルパーなどの介護労働従事者の価値を正当に評価していないことにつながっているのではないか、介護現場の当事者である介護保険の利用者と従事者それぞれの立場から実態と問題点を浮き彫りにしたいと考え、昨年度、当会二十周年記念事業として、介護保険・生活援助に関するアンケート調査に取り組みました。このたびの資料として、その報告書の概要版を当会の会報とともに提出させていただいております。

 この調査は、当事者の声をよりきめ細かく集約できるよう、調査対象を四つのグループに区分しています。お手元の資料を参考にしていただけたらありがたいのですが、まず要介護認定者。これは、介護保険の要支援や要介護の認定を受けている人です。それから介護経験者。介護を経験している人またはしたことのある人で、介護保険制度導入以前を含みます。それから介護被保険者。これは、四十歳以上の介護保険被保険者で、介護をしたりされたりした経験のない人。それから介護従事者。介護保険制度のもとで働いている介護サービス従事者です。

 配付枚数四千五十一、回収枚数二千二百三十二、回収率五五・一%であり、回収した調査票は、全て会員自身が入力し、集計、分析作業を行い、二〇一四年三月末に報告書としてまとめました。

 全調査対象者の特徴としては、介護従事者以外の利用者について九十歳以上の選択肢を設けたことにより、九十歳以上の方が全対象者の三%を占め、八十歳代の方を合わせると一四・八%、七十五歳以上の後期高齢者で分けると二三・〇%となり、まさに高齢社会の当事者を映し出す回答数となりました。

 特に、要介護認定者の回答者三百四十七人については、六二%が八十歳以上で、そのうち、一六%が九十歳以上、六七%が女性、ひとり暮らしが四七・六%、介護認定度合いは軽度者が多く、八九%が介護保険サービスを利用しており、訪問介護、通所介護、福祉用具を利用しているところから、他のアンケートにはない貴重なデータとなっています。このアンケート調査結果の一端を御紹介し、当事者としての意見を述べさせていただきます。

 資料概要版の七ページにありますように、真ん中あたりですが、要介護認定者が利用している生活援助サービスは、掃除が圧倒的に多く、次いで買い物の依頼、ごみ出し、調理の依頼、ベッドメーク、洗濯・乾燥と続きます。

 二〇一二年四月以降の生活援助サービス時間短縮による影響では、その下にありますが、掃除、洗濯が行き届かなくなった、ヘルパーさんが忙しそうで会話が減った、サービスの時間が減り、家族の負担がふえるようになった、料理のメニューが減ったという順に影響を訴えています。要介護認定者が受けている生活援助サービスの掃除や調理は、ヘルパーさんとの会話と並行して行われることが多く、こうした実務が減ることの影響は、同時に会話の不足にもつながります。

 引き続きまして、その次の八ページですが、一方、介護従事者への設問で、二〇一二年四月以降短縮された生活援助サービスで特に大きかったものは、コミュニケーション・会話、掃除、調理、買い物の順になっています。影響が最も大きいコミュニケーション・会話については、利用者と向き合う時間が少なくなった、利用者さんの体調を聞くだけの会話となった、利用者さんが気を使われて話を控えてくださいますなどの訴えが百三十八件もあります。

 生活援助サービスが短縮されたことによる利用者、主に要介護認定者への影響として、従事者は不安感の増大を百九十三件と圧倒的に多く実感しています。つまり、従事者は、サービス時間が短縮したことによりコミュニケーションが低下し、その結果、利用者の不安が増大していると考えているのです。いみじくも、さきに述べた要介護認定者の実感と対応しています。

 すなわち、本来の自立支援として、潜在能力を生かしながらできることを存続させる、例えば料理なら、力を入れて切ることはできなくとも、煮物をかきまぜたり、火の番をしたりはできるので、ヘルパーさんと一緒に調理して仕上げていく。このことによって人間としての暮らし、尊厳を保つことができる生活援助が、時間がないので全て自分でやってしまうなどというヘルパーさんの嘆きにあらわれています。

 サービスの受け手、担い手の双方にとって、生活援助サービスをしながらのコミュニケーションや会話は、人と人の関係で成り立つ介護の仕事の専門性を示すもので、無視できない生活援助の要素であると考えられます。利用者にとってヘルパーさんとの会話は、自立した日常生活のめり張りの基礎であり、会話なくして介護は成り立たないことでもあります。

 引き続きまして、資料概要版の四ページから六ページの方に、二〇一五年からの生活援助サービスの見直しが検討されていることについての設問がございます。

 まず、介護保険料を支払っているので、介護度の重い軽いを問わず必要なサービスは提供されるのがよいに対して、賛成する意見は七割に近く、反対するのは一割でした。

 生活援助は要介護状態の重度化を防ぎ、日常生活の継続が可能になっている人が多いから介護保険で供給するのがよいについては、賛成意見が六割、反対意見が一割です。

 訪問介護のサービスは、身体介護と生活援助を一体として考える方がよいは、賛成が五割、反対が二割、どちらとも言えないが二割です。特に、経験者に賛成の意見が六割強と最も多くなっています。

 今回の法改正に関して、軽度者への生活援助は介護保険ではなく、市町村独自のサービスを利用するのがよいは、どちらとも言えないが約四割、反対が三割強でした。これは、要介護認定者や経験者により多く見られる意見でした。

 民間サービスや地域の助け合いシステムを利用するのがよいに対しては、反対がほぼ四割、どちらとも言えないが四割近くあり、両者は拮抗しています。要介護認定者、介護経験者に反対意見が多く見られます。

 介護保険の中での生活援助の部分を友人、知人、近隣、ボランティアなどの善意に頼ることについては、反対意見は四割、どちらとも言えないは三割弱となっています。

 アンケートでは、二千二百三十二人の回答者の二二%の四百九十四人が、自由記述欄に連綿と思いをつづってくださいました。生活援助に関するものの一例を紹介します。

 今のサービスでひとり暮らしを何とか安心して過ごさせてもらっていますので、生活援助サービスの制度が改善されるように切望します。認定者、八十代女性。

 在宅で誰もが最期まで生活したいと思っていますので、その意味で、生活援助を介護保険から外すのには反対です。経験者、六十五から六十九歳女性。

 要支援を自治体に任せるのは、住んでいる地域によりばらつきが起こり、結果的に介護度が上がると思います。要支援状態を軽視されると、寝かせっきりの方が増加するのではと心配しています。介護保険スタート時の理念はどこに行ってしまったのかと思ってしまいます。行政、地域ぐるみでの高齢者を支えるシステムをつくらなければと感じています。従事者、六十歳から六十四歳女性。

 介護従事者は、介護の受け手の約八割の人から相談相手としても頼られています。介護従事者の訪問介護における資格の必要性については、利用者の認識は共通して高い一方で、従事者自身には意見の分立が見られ、介護現場での従事者の苦悩が読み取れます。

 資料の九ページにありますように、重要な担い手である介護従事者の人材不足の原因についての質問では、全回答者の七四%の人が賃金が低いと答えており、次いで、労働条件がよくない、重労働である、専門職としての社会的評価が低いが四割を超えています。介護保険制度の安定化には、介護従事者の人材確保が不可欠であり、賃金、労働条件、労働環境の向上が求められることは明らかです。

 今回の調査によって、介護保険サービス導入からの生活援助は、高齢者が人間としての尊厳を保たれるために不可欠なものであることが明らかになっています。また同時に、それを支える介護従事者の実態は、労働条件の劣悪さや社会的評価の低さにより、離職者が多く、介護の担い手である人材が不足しているとアンケートの回答者も見ていることが明らかになりました。すなわち、生活援助サービスが専門性の薄いものとして評価されてきたことに対し、高齢者の尊厳を担う介護労働の専門性が重要であることが浮き彫りになっています。

 軽度者への給付制限が利用者の意見の尊重という介護保険制度の理念を変質させ、訪問介護と通所介護だけを市町村に移行させる位置づけ変更は、公平性のない改革となるのではないでしょうか。生活援助サービスを市町村に委ねることは、サービスの質や供給の面で格差を生じさせることになります。生活援助サービスは、自立支援として重要なサービスであり、従来どおり介護保険制度で責任を持つべきであると考えます。

 軽度者へのしっかりとした支援こそ、重度化を防ぎ、介護に対する財政への負担を増大させないことになることを確信するものです。(拍手)

金子座長 ありがとうございました。

 次に、船戸正久君にお願いいたします。

船戸正久君 よろしくお願いします。

 レジュメに沿ってお話しさせていただきます。

 まず、私の背景ですけれども、一九七四年に大学を卒業して、淀川キリスト教病院で三十六年間医療に携わってきました。専門は、新生児学、発達神経学、後半は、小児在宅医療学、臨床倫理学を主に研究してまいりました。そして、今もそれが続いております。

 退職後一年間だけ老健施設で働き、そして介護の世界を見せていただきました。現在は、大阪発達総合療育センターで、療育施設ですけれども、そこで働き始めて四年目に入ります。

 そういう視点から現法案を見せていただきますと、当然小児も含まれている前提と考えますけれども、余りにも医療、余りにも介護、余りにも高齢者という印象をまず受けました。療育の視点が欠如している、消費税はどこへ行くのか、また小児が切り捨てられるのかというような印象をまず受けました。

 例えば重症心身障害児者の場合は、十八歳未満の障害児は児童福祉法の対象となり、発達支援という大切なキーワードのもとに、児童発達支援サービス、遊び、保育の提供、教育の機会、これはインクルージョンを含みます、などが必要となります。

 それから、十八歳以上の障害者の場合は総合支援法の対象となり、自立支援というキーワードのもとで、障害福祉サービス、社会生活支援や就労の機会などが必要となっております。

 それで、現在私が取り組んでいますNICU、新生児集中治療室等の長期入院児の問題ですけれども、医療の高度化、重症化の中で、周産期医療母子センターや小児病棟で、超重症児など長期入院児が全国で問題化しております。次のページにその記事があります。「「NICU」という家から帰れない子供たち」。

 それで、一方、大阪での動向ですけれども、NICU等長期入院児の推移、これは、大阪府医師会を中心として、病院、療育施設、看護協会それから小児科医会、行政などが協議会をつくりまして、いろいろ検討した結果、このように徐々に減少しております。これは、二〇一三年度の大阪府の資料から提出させていただきました。

 ところが一方、図三にあります大阪府圏域ごとの重症心身障害児者数ですけれども、青は在宅、赤は医療型障害児入所施設、これは十八歳未満の方々が対象です。そして、黄色は療養介護、これは十八歳以上の入所されている方々です。

 そして、大阪には約八千人の重症心身障害児者がいるんですけれども、八%しかこういう重症心身障害児施設には入れていません。あとの九二%は全部在宅です。特に、小児、十八歳未満に関しては、その半数は医療的ケアが必要な子供さんです。ここを支えるシステムが何もないというのが、今大きな状況になっています。これは、私も委員としてかかわりました、大阪府重症心身障がい児者地域ケアシステム検討部会の報告書からのデータです。

 参考までに、大阪府下、大阪市内では六つの医療型障害児入所施設がありますけれども、その全体のベッド数は七百六十五床、市内は百十床、府下は六百五十五床です。うち、ショートステイが七十七床しかありません。

 そして、在宅を支える家族のニーズなんですけれども、一番多いのが短期入所事業ですね。これは、福祉施設それから医療機関における短期入所が一番多いというのが現実です。それ以外に、医療的ケアに対応できる事業所の充実、ホームヘルプ事業それから生活介護事業、ケアホーム、夜間、休日のヘルパー利用、入院中も利用できるヘルパー制度の創設、このニードが非常に高い。

 それから、訪問看護も、高齢者だけでなくて小児にもっと使える訪問看護を充実させてほしいというのが多いです。利用料の問題とか事業所の増加ということがあります。訪問看護師さんはほとんど高齢者に向いていまして、小児をやる訪問看護師さんが非常に少ないというのが現状です。

 それから、相談支援体制の充実。これは、介護保険のケアマネに当たる方なんですけれども、これがまだまだ十分じゃないというのが現状です。

 それから、重症心身障害児者を診察してくれる専門医の増を希望しています。

 それから、医療型障害児入所施設がまだ足らないというのがその中にあります。

 それから五番目ですけれども、当センターでの取り組み。

 これは実は、平成二十五年度、昨年度、厚生労働省重症心身障害児者の地域生活モデル事業の報告書の中に入れさせていただいたものですけれども、当センターは、医療型障害児入所施設、主に肢体不自由児棟が四十床、それから医療型障害児入所施設、主として重症心身障害児者棟が八十床で、うちショートステイを十七床、これは、普通は五%のところを、理事長の英断で、ショートステイが重要であるということで十七床とらせていただきました。

 そして、この報告書の中で、NICUの後方支援を行っております。これは、厚生省から出した中には埼玉県の済生会川口総合病院のデータがありますけれども、私たちもこの一環でやらせていただいて、NICUで長期になっている方々を二、三カ月当センターへ転院して療育、在宅支援、そして再びまた帰っていただくという形で、ここに、多職種協働でやっている支援内容が表二に書いてあります。

 そして、表三には、その後方支援の実際ですけれども、次のページを見ていただければ、今までの申し込み、問い合わせが三十四件で、実際の利用者が十八名、そして、在宅移行できたのがこの三年間で十二名おります。そして、待機も三名ほどいまして、大阪全体の病院からの紹介、問い合わせ、下記にあるような大学病院も含んだ病院からの紹介もあります。

 そして、病院と比較して、当センター、療育施設での在宅支援プログラムを受けてよかった点、これがずっとアンケートの中にあるんですけれども、実は、余りにも医療じゃなくて、療育施設の場合には生活ということをイメージできるということ、それから、病院の場合は、余りにも医療ということで、生活がイメージできないということが大きな特徴としてあります。これは、また後で読んでいただきたいと思います。

 それから、もう一つこの事業の中でやらせていただいたのは、ショートステイの積極的受け入れということで、当センターは十七床をとりまして、西日本で一番多いショートステイを登録しております。そして、利用数も一番多くて、四年前からは、人工呼吸器とか在宅腹膜透析なんかの登録もやって受け入れております。

 そして、そのときに気づいたんですけれども、ショートステイの充実の意義なんですけれども、実は、図五は当センターのショートステイを利用して次子出産をした数、何と四十七名の方が出産されているんですね。そして、このことから、ショートステイの充実というのは、次の世代に、出産につながる大切な行政施策ではないか。現実に、私たちで三年間在宅支援した、人工呼吸器を含めて在宅に移行した方の十二名のうち四名が出産、妊娠を今しています。ぜひこれは、大切な施策として考えていただきたいというのが私の願いです。

 それから六番目、こういう経験から、小児在宅移行、維持支援のための大切な三本柱を挙げさせていただいています。

 まず医療は、訪問看護それから訪問リハスタッフの確保、二番目は、訪問診療、往診を含む地域かかりつけ医の確保、これも確保するのが非常に難しいというのが現状にあります。それから、緊急時の受け入れ体制の確立も非常に大切な施策だと思います。

 それから福祉では、先ほど言いました、レスパイトを含めたショートステイ、デイケア事業の拡大、充実をお願いしたい。それから二番目は、医療的ケアに対応可能な居宅介護事業、訪問介護を拡大していただきたい。それから、相談支援事業、相談支援員の養成を急いでいただきたいというのが願いです。

 そして、今回実は、もし高齢者中心での法制化の場合に困ること、また小児は置いてきぼりか、それから小児にしわ寄せが来るのではないか。例を二つ挙げていますけれども、今回、平成二十六年度保険改正がされました。そして、機能強化型在支診、在支病の施設基準の評価が変わりました。

 今まではみんなで協力して一緒に診て、常勤が三名以上、それから緊急往診実績が五名以上、在宅みとり実績が二件以上という形になったんですけれども、特に問題になるのは、各施設ごとに小児の場合はみとりの実績が二件以上ないとだめだ。小児の場合は、在宅でみとりをするということは非常に難しい。これを大人のようにぱっと条件に入れられてしまうと、今まで、実は若い小児科医が開業して、これから小児在宅をやろうかといったときに、その気持ちをくじいてしまうような状況が起こっている。これはぜひお願いしたいと思います。

 それから二番目は、就学前の訪問介護利用の制限ということなんですけれども、自治体によっては、親が子供の面倒を見るのが当たり前というような考え方のために、医療的なケアが必要な重症児であっても、福祉サービスとして訪問介護を派遣してもらえないというような状況が地方で起こっています。そのため、親、特に母親が家から離れられない、働くこともできない状態が放置されております。このことも知っておいていただきたいと思います。いかに子供がしわ寄せを受けているか、そして、そのために家庭がいかに犠牲になっているかということをぜひ知っておいていただきたいと思います。

 それから八番目、地域ケアシステムのイメージですけれども、高齢者とはまた違って、十八歳未満の場合は発達支援というキーワードで、こういうイメージが大切だ、それから、十八歳以上の場合は、自立支援というキーワードのもとにまた新たな体制が必要である。

 そして今、トランジションといって、十八歳を超えた人たちの問題が非常に大きいんですね。それを超えちゃうと小児病棟に入院できない。そうしたら、どこもとってくれない。それから、小児科はするけれども、それの受け皿がない。その受け皿をやはり専門的に研究したり、それを支えるような支援システムが必要だし、それから、ついの住みかをどうするかということ、これは高齢者も同じですけれども、重症児者においても同じだと思います。

 結論ですけれども、児童福祉法や障害者総合支援法の対象となる障害児者、その他の方々に対しても、療育という視点を含んだ細やかな医療、福祉、介護サービスの施策ができる法案改正を行うべきと考えます。

 以上です。(拍手)

金子座長 ありがとうございました。

 次に、正森克也君にお願いいたします。

正森克也君 よろしくお願いします。

 私は、大阪府の吹田市にあります社会福祉法人こばと会で法人の事務局長をしております正森克也と申します。

 こばと会は、法人設立四十五年を迎えて、吹田市で保育園を三園、特別養護老人ホーム一園、高齢者グループホーム一園、それからサービスつき高齢者住宅など、主に児童と高齢者福祉を行っている法人です。

 本日は、大変貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、要支援一、二の方の予防給付、とりわけ生活援助を中心とする介護予防訪問介護と介護予防通所サービス、デイサービスのことですが、市町村が取り組む地域支援事業に移行するという件について意見を申し上げます。

 予防給付は要介護になることを予防していくために必要な給付として創設されたものですが、私は、新制度に移行することで、この予防の効果がどうなるのかということについて大変強い懸念を持っております。

 私たちが行っています、ホームヘルプ、生活援助の対象者は、独居の方も大変多くて、注意深い観察を要する方々が多くおられます。例えば、独居の方で、食事がまともにとれず少し痩せてきているんじゃないかとか、着がえや入浴ができていないということへの気づき、先ほど藤垣先生もおっしゃいましたが、正確に薬が飲めているのか、同じものをたくさん買い込んではいないかなど、軽度な物忘れがあっても日常生活においておおむね支障のない状態から、適切に支援を行わなければ生活に支障を伴うおそれのある状態、この状態の変化の見きわめというのは、生活状態を注意深く観察する目と見きわめる力が必要になってきます。

 これらにいち早く気づくこと、そして、気づいたら必要な専門機関はどこかということをチョイスしてつなぐこと、さらに、そこの場で整理された情報を提供することの中で、その方の急激な身体上、精神上の悪化を予防してきた事例というのがたくさんあるということなんです。

 今回の法案についての厚労省の説明資料では、必要な方にはこれまでどおり専門家によるサービスが受けられるというような内容がありますが、大切なのは、そのサービスが必要な方であるかどうかの初動の見きわめがあってサービスが受けられるということになるわけですから、その初動の見きわめができない環境をつくって必要な方にそのサービスが受けられるというのは、矛盾があるのではないかというふうに考えています。

 在宅の高齢者は認知症や病気を抱えていて、毎日のように、誰かに何らかの異変や問題が発生しています。私どものホームヘルプの利用をされているたくさんの方がおいでですけれども、その中に必ず、何日かに一件ぐらい、どなたかが何かしらの異変を起こして、サービス提供責任者が飛び出していくというようなことが起こっています。

 こうした方々は、本当にぎりぎりの不安定な状態で在宅生活を何とか維持されている方々です。もし、こうした変化に気づけない、あるいは初動がおくれれば、その方々の多くは重症化し、たちまち要介護状態になってしまうのではないかということを心配しております。今、認知症予防は早期の発見がポイントだということがずっと言われておりますが、ますますその発見がおくれてしまうことになるのではないでしょうか。

 今回の事業移行の提案については、拙速に移行してしまうのではなくて、今までの予防効果と今提案される予防効果、どっちの方がどのように予防効果があるのかという検証をして、私たち現場の専門家も納得できる内容で移行していくというのが、最低限、必要不可欠ではないでしょうか。

 次に、特別養護老人ホームの入居要件を原則要介護三以上に引き上げる件について、意見を申し上げます。

 特別養護老人ホームの入居者をより重度の方に特化する、それが狙いだというふうに思いますが、今でもその狙いは十分に達成できているのではないかというのが私の意見です。

 一つには、特別養護老人ホームの入所判定審査の指針というものがございまして、重度の方が優先的に選ばれる仕組みが今つくられているということ。もう一つは、介護報酬に格差がつけられておりますので、施設としても要介護度の高い方に入所していただかないと経営が成り立ちにくい、そういう報酬設定になっていること。私どもの運営する施設でも、平均要介護度は今、四・一というふうになっておりますので、あえて要介護三以下の人は申し込めないというようなルールにしてしまう必要はないのではないでしょうかというのが私の意見です。

 特別養護老人ホームは、現在でこそ介護保険制度で運用されていますが、一方で、老人福祉法に基づく生活施設としての役割が現段階としてあるのも事実です。

 特別養護老人ホームの機能は、介護、重介護の方に対応するというだけではなくて、見守りや相談、助言、バランスのよい食事提供や住まいを提供することも含む総合的な生活を支える機能、これが特別養護老人ホーム、老人福祉法上の役割だというふうに考えています。介護保険制度のもとで運用される中で、こうした老人福祉法上の役割が機能していないのではないかという問題意識を私は持っています。

 虐待や認知症など必要と認められるケースについては、要介護一、二でも入居ができるという説明もあります。しかし、これも、先ほどと同じように、まず申し込みがあって、特別養護老人ホームの相談員が面接を行ったり、事情をお聞きする中で、そうしたケースは特別養護老人ホームの対象者として認知されて、そして判定委員会にかけられます。ですから、この申し込みそのものができなくなれば、その発見すら困難になる、できなくなるということになるわけです。

 申し込むことそのもので介護保険費用が発生するわけではありませんので、持続可能な介護保険制度のためと言いながらも、申し込みそのものは、要介護一からの申し込みで十分ではないかというのが私の意見です。

 続けまして、一定所得のある方について二割負担にするという件について意見を申し上げます。

 今回の二割負担の対象者は、年収が二百八十万円と聞いています。一定所得のある方のレベルが余りにも低いというのが、私の印象です。

 私どもの参加しております二十一世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会、略称二十一・老福連というのが、昨年の秋に、この黄色の冊子なんですが、全国の施設長さんに対してアンケートを行いました。七千七百七十五施設にお送りをさせていただいて、千八百三十一施設から回答が来ておりますので、大変高い回答率だというふうに考えております。

 この八ページの中に、負担によってサービス利用を制限されている方がおいでですかという質問に対して、たくさんいると答えたのは一二%、少ないがいると答えたのが五一%、合わせて六〇%を超える施設から、現状の負担でさえサービスの利用控えが起こっているという報告がございます。

 介護保険制度は、介護の社会化を目指してつくられた制度で、保険料を支払うことで、介護が必要になったときにわずかな負担で必要なサービスが受けられる、これが理念だったと思います。負担能力の見きわめについては、この二百八十万円というのは、現場感覚、お年寄りの生活実態から相当かけ離れているのではないかというのが私の意見です。

 次に、補足給付について意見を申し上げます。

 特別養護老人ホームの利用料の体系は、食費、居住費と介護にかかる費用、この三つに区分されています。そのうち、食費と居住費については、所得に応じた軽減制度、補足給付があります。単身で一千万円以上、夫婦なら二千万円以上の預貯金があれば、この補足給付を受けられなくするというのが今回の法案です。

 そもそも特別養護老人ホームは、先ほども申し上げましたとおり、見守りや相談、助言、バランスのよい食事や住まいを提供すること、こういうことも含む総合的な生活を支える生活施設だというふうに認識しております。食事や居住費を別に徴収するというのは、私自身はふさわしくないとは思っておりますが、しかし、この理由づけとしましては、在宅で生活をする方との不公平を正すという理由で、食費、居住費を一定負担いただくということになったという記憶です。

 現在、食費は一日千三百八十円、居住費は月に大体六万円ということになっておりますが、在宅の高齢者でこれだけの食費と居住費をかけている方は、私はそういないのではないかというふうに思います。そういう意味で、これ以上の負担は、在宅との不公平を正すという理念からは相当逸脱してくるのではないかというふうな考え方を持っております。

 最後に、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案について意見を申し上げます。

 私どもの施設でも、人材確保は大変困難をきわめています。介護保険制度は、職員の賃金を上げるために介護報酬を上げていくと、それが保険料にはね返ってしまうという仕組みです。今回のように、介護保険財源とは別に職員の処遇改善のために予算を充てるということについては、利用者への負担なき処遇改善が実現できることもあり、大変評価できるというふうに私は考えています。

 一方で、福祉で働く職員は、他産業と比べても平均月収が十万円も低いということが言われている中で、今回の改善額は一万円ということですが、これに関しては、まず職員処遇の改善を法律として第一歩を実現させていただいた上で、さらに充実発展させていただきたいということを本当に願っております。

 簡単でございますけれども、私の最初の意見とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

金子座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

金子座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。とかしきなおみ君。

とかしき委員 きょうは、厚生労働委員会の地方公聴会ということで、意見陳述を賜りまして、本当にありがとうございました。

 それでは、私の方から幾つか質問させていただきたいので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、藤垣会長にお伺いしたいんですけれども、高齢社会が日本は今加速しておりますけれども、医療の中心がまさにこれから高齢者へと、さらに社会サービスは介護へと、こういうふうにだんだんシフトしていっている、このように思います。我が国が薬剤師に期待することというのは三つあるのではないかなと。まずはチーム医療、そして在宅医療、セルフメディケーション、この三つを薬剤師に担ってほしいな、こういうふうに国は考えております。

 薬剤師は、御存じだと思いますけれども、介護保険法の八条の六項において、在宅医療の管理指導を行う、薬剤師にしてほしい、こういうふうに規定をされていまして、きょう、資料でも御説明いただきましたけれども、薬剤師が残薬の改善を行ったりとか、複数科の受診の場合、薬が重複していないかとか、そういったことを現場でも行っていると教えていただきました。

 現場ではそういうこともどんどん進んでおりますけれども、薬学的管理という指導が、どんどん高齢社会に向かってその必要性が高められてきているのではないかな、このように思います。そして、薬剤師は介護にもっともっと深くかかわっていく、こういうことが求められてきているのではないかなというふうに思います。

 ということで、今回の検討させていただいております法律案では、病院から施設へと、在宅の流れを明確に出していこうということでありますけれども、効率的な、質の高い医療提供体制の構築と地域包括ケアシステムの構築の一連のサービスの提供、この二つの中で、薬剤師が実際に担っていこうという、今回の法案が仮に可決されたとした場合、薬剤師がもっとこんな職能を発揮できるんだよ、こういう挑戦をしてみたいなとか、そういったことが具体的にありましたら、お教えいただけますでしょうか。

藤垣哲彦君 御質問ありがとうございます。

 今先生が御指摘されました三つのこと、そのとおりだと思います。チーム医療、在宅医療、それからセルフメディケーション、おっしゃるとおりであります。我々、地域の中で、医師を中心として、関係職種が連携をとりながら患者さんにサービスを行う、これが基本とはなると思います。

 今薬剤師がかかわろうとしている内容というのは、もちろん患者さんがお薬をちゃんと飲めるようにというのが基本ではありますが、もっと大きな点で述べますと、例えば在宅での無菌処理のできる注射剤の供給であったり、そういうものが今求められてきておりまして、大阪でもそういう業務がだんだんふえてきております。

 病院にアンケートをとりますと、そういう施設があると患者さんを在宅に帰すことができるんだということで、今までは全くそうではなかったものが、薬局でそういう業務ができることによって、その部分が、患者さんを帰して養生していただくということができる、そういう今までになかったところがあろうかと思います。

 それと、我々のやっていることというのは、服薬支援というよりも薬剤管理ということで、先ほども申しましたけれども、この薬剤が今のADLに与えている影響があるのではないかという、服用してから後のことを管理するというのが我々の役目だというふうに思っております。

 細かいことを言えばたくさんあるんですが、そういうことを、医師を中心として、関係職種と連携をとりながら進めていくということで今計画をいたしておりますし、進んでおります。

とかしき委員 ありがとうございました。

 私もちょっと、落選中、薬局の方で勤務させていただいたときに、ちょうどその薬局も、無菌の注射の薬を調剤できるようにということで、そういう設備を持っていたんですけれども、なかなか活用がそれほど積極的に進んでいなくて、非常に残念だなと。投資した割にはなかなか利用いただけないということで、まだまだ薬剤師が地域の中に、そういう活動をしているというのが浸透していないのと、ニーズと思いがまだマッチしていないというのが現実にあるなというふうに思いました。

 実際に、薬の利用が一体現場でどうなっているのかというのを見ますと、例えば、調剤種類の数というのを調べてみましたら、若いときは、十五歳から三十九歳ですと、大体一回の処方箋で三・三四種類の薬が調剤されておりますが、これが、だんだん年齢が上がっていきますと、例えば、六十五歳から七十四歳になりますと、三・八一種類の薬が調剤されている。七十五歳以上になりますと、四・七八種類の薬が調剤されている。

 ですから、高齢者になればなるほど薬の量は当然ふえていて、にもかかわらず、高齢者の方は薬の管理がだんだん難しくなってくる、こういうジレンマを抱えているわけでありますから、当然、そこにはきちっとしたサポート体制を整えておかなくてはいけないですし、薬の飲み方を間違えてしまえば、それは薬にもなりますけれども毒にもなってしまうわけでありますから、その辺を気をつけていかなくてはいけない。まさにこういうときこそ薬剤師の力が必要なのではないかな、こういうふうに私は思います。

 また、きょう藤垣会長の方から御提言がありましたけれども、資料の十七では、施設の中の特別養護老人ホームの中で、残念ながら、薬の管理指導とか服薬支援が実際まだまだできにくい状況であると。現場ではそういうなかなか厳しい状況になっているというお話もありました。

 見ていますと、やはり、介護と医療の連携が結構ここから重要になってくるのではないかなと。医師は介護のことはなかなかよくわからない、医療体制にいる人たちは介護の状態がよくわからない、そして、介護にかかわっている人たちは医療に対しては口が挟みにくい、そういう環境が今現実として起こっているのではないかな、このように思っております。

 ということで、先ほどお話ししていますように、医療と介護の連携というのが今後すごく重要になってくるかと思うんですけれども、薬剤師として、六年制にもなったわけですけれども、橋渡し的な役割を担っていくことができるのではないかな、こういうふうに私は思ったわけなのであります。実際に、その点について会長としてどういうふうにお考えになっているのか、ちょっと意見を伺わせていただければと思います。

藤垣哲彦君 ありがとうございます。

 六年制が、今出て三年目ですか、実際に大学での教育というものが大切ということで、今までのカリキュラムを改訂いたしまして、来年からまた新しいカリキュラムで薬学部の方がいくということであります。

 その中には、先ほど申し上げましたような無菌製剤の調剤であったり、そういうものを全て大学の中で教育する。今までの四年制教育では全くなかったことが、もう既にそういうものも含まれて出てくるということ。そして、五年次の外での実務実習において、それをもう一度再確認する。

 そういうことでいきますと、例えば今までできなかったことも当然できるようになるというふうに考えますし、先ほどの無菌のことにつきましても、今まで我々が要するに先駆けてやったわけで、現在は国の方でちゃんと報酬的にも認められたようなところがありますので、まだまだというところでありますけれども、今後もそういう方向に進んでいくというふうに思っておりますので、大変その部分では進んでいくのではないかというふうに思っております。

とかしき委員 ありがとうございます。

 私も、実は政務官の時代に一度、在宅医療でお医者さんにずっとくっついて、実際にどういう医療が行われているかというような現場を見てまいりました。そのときに見ていて思ったのが、ほとんどが薬の指導だったんですね。実際、薬を飲んでいらっしゃいますか、管理はどうなっていますか、そういった会話がほとんどで、まさに在宅医療は薬のコントロールが実は主役だというのが、現場を見て本当によくわかりました。

 となると、医師がこれだけ不足して地域で足りなくなっているこの現状の中において、薬剤師がもっと在宅の中に入っていくというのは、かなり職能が発揮できるのではないかなと。そして、六年制になった意味も、この間まで四年制で薬学の勉強をして免許を得ていたわけでありますから、四年間が薬学の勉強、むしろ、プラス二年になったのは介護の勉強、こういうふうに定義づけをして変えていけば、もっと介護と医療の橋渡し役的な仕事が薬剤師自身、できてくるのではないかな、こういうふうに思います。

 さらに、薬剤師も、この間もインターネットの薬の販売でいろいろありましたけれども、やはり顔が見える、患者さんに直接ありがとうと言ってもらえるような、そういう職種にもっとなっていって、患者さんに寄り添って、本当に薬が現場で適用をきちっとされているのかどうか、生活実態の中からそれを見ていくことが重要なのではないかな、こういうふうに思います。カウンター越しに患者さんと接しているだけではなかなか難しいのではないかな、このように思いますし、薬剤師は、そういう意味では、待ちの体制から攻めの薬剤師へ、今変革が求められているときではないかな。ぜひ、そういう意味において、これからも積極的に医療と介護の橋渡し役になっていただけたら、このように思います。

 では、最後に、吉年座長にちょっとお伺いしたいんですけれども、いろいろ、介護保険制度についての問題点とか、現場の声を随分聞かせていただきまして、ありがとうございました。

 ちょっとお伺いしたいのは、大阪は、御存じのように、医療で国家戦略特区を実は申請、許可されまして、多分、大阪が、医療と介護のある意味モデル地域に日本の中でなっていくのではないかな、こういうふうに思うんです。となると、世界の人たちが日本の介護保険制度とか医療はどうなっているんだろうと見に来たときに、我が国の自慢できる点、ここがすごいぞとか、そういった点を教えていただけたらありがたいかな、こういうふうに思います。

吉年千寿子君 介護保険制度というのは本当に、これができたというのは、まず世界に誇れることだと思うんですね。

 それまでは、本当に家族の中に介護というものが閉じ込められていた。特に、介護は女性がするものというふうに、嫁であり、娘であり、妻でありということが当たり前のことで、そして、無料の、アンペイドワークでなされていた。そういうところが、介護保険ができたことにより、介護従事者ができ、そして介護従事者という仕事として介護が成り立っていった。まさに社会化が進んだわけですね。介護保険制度ができたときは、そういう本当に大きな夢があったわけです。

 それが、改定するたびに、制度そのものが複雑になり、実際に使う方は使い勝手が悪く、まさに社会現象そのものも、家族には頼れない、家族自体がもう崩壊しかけている、そういう現状になっていまして、そこで一体どうしていくのかというのがこれから大きな課題だと思うんですけれども、本当に医療との連携は非常に大事なことであるというのは、介護の方からもいろいろ聞いております。

 どういうお答えをすればいいのか、その辺のところが、私の立場からは医療のことにはちょっと踏み込めませんので、よろしいでしょうか。

とかしき委員 ありがとうございました。

 私は、日本の介護保険制度の強みというのは、地域とのかかわり合いをすごく重視していて、人間関係を、家族だけではなくて周りの人たちでしっかり支えていこうという仕組みをきちっと制度化したところが日本の介護保険制度のいいところではないかなと思いますし、これは、介護を受けられる方だけのプラスではなくて、むしろ介護をしている家族の人たちをどうやって支えていこうか、こういう仕組みでつくられた制度ではないかなというふうに思います。

 確かに、おっしゃるように、制度が複雑になって使い勝手が悪い点もありますけれども、やはりそれをきちっと時代に合わせて考えていくことが大切だなと思います。

 特に、これから、独身で高齢化していく人たちが、家族を持たない人たちがどんどんふえていきますので、その人たちをどうやって支えていくかということは、まさに地域の力が試されているのではないかな。私は、大阪はすごくそういう意味では地域の力が強いところで、お互いに支え合う、そういう温かさみたいなものがこの地域にはまだ残っているので、ある意味モデル地域には十分なり得るのではないかな、こういうふうに思っております。

 また、チーム医療においても、お互いが支え合っていくという体制がしっかりとできる、こういうふうに思っておりますので、日本のこういった制度、医療と介護の連携、ここをしっかり世界に訴えていくことがこれから重要ではないかな、こういうふうに思っております。

 アベノミクスで、実は、海外で日本の医療とか介護の制度はすごく今注目されておりまして、カンボジアやミャンマー、トルコ、ベトナムとか、ラオスやバーレーン、トルクメニスタンとか、いろいろなところと提携がどんどん進んでおりまして、日本で進んでいる高齢社会を参考にして我が国も、こういう動きが出てきております。

 ということで、せっかく法制度を今後考えていくわけでありますから、いい制度になるように、これからも忌憚のない御意見をまた賜りますようお願い申し上げて、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

金子座長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 本日は、お忙しい中お越しいただきまして、どうもありがとうございます。

 我々、野党の立場から、この法案についていろいろと議論をさせていただいている中で、まだまだ、今までの委員会の中で指摘されてきたこと以外、例えば、藤垣さんのお話であるとか、船戸さんのお話であるとか、今までの委員会でも全く指摘をされてこなかった部分というのが非常にたくさんありまして、我々は、この法案についてまだまだ議論をしていかないと、非常に大きな、本当に、普通であれば一つ一つ議論をしていかなければいけないようなものがたくさん入っている、一括された法案でして、この法案についていろいろと時間をかけて議論をしないといけないなと思っているわけです。

 その中で、まず最初に、船戸さんがおっしゃっていたように、小児のことについて、あえてこの議論の対象から外したんじゃないかというふうに思われるぐらい、今回、この法案には何も書かれていないんですけれども、船戸さんは、政府のいろいろな政策の会議等のメンバーにも名前を連ねられているというわけではない……(船戸正久君「ありません」と呼ぶ)

 専門家として、今回この法案が厚生労働省で議論された中で、一体どういう理由で小児の部分がこうやって抜け落ちていったのかというのを、何か業界の中で議論がなされたということはありますか。

船戸正久君 中央のことは余りわからないんですけれども、重心関係とか小児関係ではいろいろな議論はされていますけれども、ほとんどこういうところには上がってこなかった、そして、全く無視されているという印象は受けました。そして、今回読ませていただいて、本当に何もないなというのが、すごくショックを受けたということは事実です。

浦野委員 我々も、正直、この法案について、多岐にわたり過ぎて目が行き届いていないのが現状です。

 船戸さんが御指摘いただいた今回の部分に関しても、これまで全く議論はされていません。ただ、この法案が通ることによって、非常に大きな禍根を残すであろうというふうに私も考えているんですけれども、例えば、今、時間のない中で、こういった部分だけは盛り込んでほしいというようなものがもしあれば、たくさんあるとは思うんですけれども、最低これだけはやってほしいというようなことがあれば、御意見をお聞かせ願えたらと思います。

船戸正久君 ありがとうございます。

 私自身は、今やっている部分からいったら、ショートステイのニードが非常に高いということですね。それが一点と、それから、十八歳を超えた重症心身障害者の方々の医療機関の受け入れというのが今非常に大きな問題になっています。最低限、そういうところをちょっと議論していただきたいなと思います。

浦野委員 ありがとうございます。

 この法案の前に、難病に関連する法案を実はやりました。そのときも、やはり小児から成人に移行するところ、こういった問題というのは実はどの部分でも出てくる問題で、ここら辺のところをもうちょっとしっかりと議論をしたいなというふうに思いますが、またいろいろと御意見をこれからもいただけたらと思います。

 続きまして、吉年さんと正森さんにお伺いしたいんですけれども、これは今、要支援の主体が市町村、あとボランティア、NPO等にしていってもらおうというふうにこの法案はなっていますよね。その中で、正直、介護にかかわっている現場の皆さんとして、本当にそれが可能かどうか。恐らく皆さんのお答えは僕も想像しているとおりだとは思うんですけれども、いま一度、現場に深くかかわっている皆さん方から、どういうふうに思われているか、御意見をいただけたらと思います。

吉年千寿子君 先ほども、とかしきさんから御質問いただきましたけれども、地域での介護力の問題、これは、あるように見えて、ないものだと思わないと無理だと思うんですね。

 まず、ボランティアと、ヘルパーさんとかケアマネさんとかという従事者との違いですが、専門性そのもの、結局、見守りができるか、そして、医療とか、先ほどおっしゃっていた連携、次のところにつないでいけるか、そういうところがボランティアに一体できるかどうかという問題だと思うんですね。今のような形でのこれまでのボランティアでしたら、一応専門職があるから、ただ傾聴ボランティアだとか、そういうお話し相手だとかという形で入るボランティアは可能でした。

 いろいろなボランティア組織、大阪にもいろいろできておりますけれども、そのボランティア組織そのものがかなり高齢化しております。ですから、自分たちももう当事者になりかけているので、これからよその、ほかの人の面倒を見られるかといったら、とてもじゃないけれども見られないというのが本当に現状です。そして、若い人は若い人でお仕事を持っていらっしゃいますし、到底無理である。もう実感としてそれは感じます。

正森克也君 ボランティアさんがヘルパーさんのかわりになれるかということについては、部分的には可能なこともあるかもしれませんが、極めて難しいというふうに思っております。

 例えば、集団的なかかわりでいいますと、プロの方と一緒になってボランティアさんがお世話するというのはいいと思うんですが、例えばホームヘルパーのように、単身でかかわりを持って、そしてやりとりしながら支援を行うというのはかなり難しいと思います。

 とりわけ、私たちが行っていますホームヘルプの中でも、そのかかわりが非常に難しいといいますか、配慮を要するお年寄りが本当に多くおいでになります。例えば引きこもっておられる方で社交的でない方、あるいは頑固な方、それからこだわりを非常に持っておられる方、あるいはヘルパーを召使と勘違いしたような横柄な態度をとられるような方、あるいは物がなくなったというふうにすぐちょっと勘違いされる方とか、支援の方法とか言葉遣いがちょっと変わると、本当にあらぬ誤解を招いてトラブルになってしまうような方。

 私たちプロの者でも、非常にこういった方には神経を使いながらかかわりを持っていくわけですから、NPOさんだとかボランティアさんがそのかわりになるか、そして、なったとしても、何度もそういうトラブルに見舞われながら、あしたも行こう、次も行こうというふうにボランティアさんの方が積極的にかかわれるかというと、極めて困難ではないかなというのが私の印象です。

浦野委員 当委員会の議論の中でも、大臣は、介護保険の予算を下げるためにこれをやるんだというふうには答えていないんですね。充実する、逆に充実するんだというふうに答弁を繰り返しているわけですけれども、我々は果たしてそうかなというふうには思っているわけですけれども、皆さんの御意見をお伺いすると、もう聞けば聞くほど、そうは思えないという部分しか出てこないわけなんですね。

 藤垣さんにも一つ質問させていただきたいんですけれども、先ほど、とかしき委員の方からいろいろお伺いをされていた中で、であるならば、この法案にその部分のものがなぜ抜け落ちているのかというのはどう思われますか、率直に。今いろいろお答えいただいた中で、いろいろな御意見を伺った中で、であるならば、この法案にそれをなぜ盛り込んでいないんだろうと。与党の方の質問でしたので、その与党の出している法案ですので、その中になぜそれが含まれていなかったのかというのは、どう思われますか。

藤垣哲彦君 今回の全ての法案を、中身についても、私、理解しているわけではありませんので、ですから、ちょっとここでは答えにくいと思いますが。部分的には理解しているつもりですが、細かいところまでの把握というのがなかなかできておりませんので。

浦野委員 全体の法案の御意見というわけではなくて、もちろん皆さん方はその道の専門家、プロで、今回、その部分の意見をお伺いさせていただくために来ていただいていますので。私は、正直、先ほどの議論を聞きながら、まだまだ、この法案にはいろいろと考えなければいけないものがたくさん含まれているんだなというふうに改めて思ったわけです。

 最後に、皆さん方一人一人からお伺いしたいんですけれども、この法案が通ることによって、医療、介護は、この国にとって、日本国民にとって誇れるものになるかどうか。皆さんに、一人ずつ御意見を最後に聞かせていただけたらと思います。

藤垣哲彦君 大変難しい質問だと思います。

 いろいろ考えるところはあるわけですが、ここで私が答えてしまってはいけないような気がいたしますので、持ち帰りたいと思います。

吉年千寿子君 これも本当に難しい問題ですが、介護保険が始まったとき、私たちは本当に夢を描いたわけですね。それがだんだんと先細りになってきて、私たちが介護を受けるときに本当に受けられるのだろうかという不安は、みんなが共通して持ってきていることだと思います。

 一方、医療にしても、医療費はどんどん上がっていく。まず保険料、市町村の介護保険だけじゃなくて健康保険料も上がっていますし、その中で、本当に医療保険すら払えない人がふえている。そして医療費はどんどん上がっていく中で、何とか道を探りたいとは思いつつ、そういう状態で、何とかバラ色の夢を持ちたいとは思っていますが、難しいところです。

船戸正久君 私も非常に難しい質問で答えにくいんですけれども、少なくとも小児の立場からいったらこれは困ります、はっきり言うと。消費税を全部そっちに使って、やらなきゃならないことができなくなってしまう。

 それと、二〇一二年ですか、厚生労働省が小児在宅元年という形で力を入れ始めたところで、当然消費税も、小児にもついてくるのかなと思ったところが、今回の法案で高齢者だけという形になると、もう本当に困るなという印象を受けました。

正森克也君 大変難しい質問だと思うんですけれども、例えば、今回の法案にありますように、お医者さんが、ドクターがされる仕事を、一定、看護師さんができるというようなことがありました。前回の改定のときには、介護職が一定の訓練を経て、看護師さんが行うようなことをできるというような法改定もありました。

 医療と介護が連携をしていくということは非常に大切なことだというふうに思うんですが、どうも、連携という言葉を使いながら、何か一緒くたに、安上がりにしていくというような、そんな雰囲気がして、私はそういう印象をどうも持ってしまいます。やはり、連携ということと同時に、それぞれの持つ専門性というものをしっかり議論して、それぞれが本当の意味での対等な形でお年寄りを挟んで連携がし合えるような仕組み、こういったことをつくっていくことが大切ではないかなというふうに思っております。

 以上です。

浦野委員 本日は、貴重な御意見、どうもありがとうございました。終わります。

金子座長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 公明党の樋口尚也でございます。

 きょうは、貴重な御意見を本当にいただいております。現場のお声というのがいかに大事かということを、きょうも実感をさせていただいているところであります。

 今、浦野先生の最後の質問にも、皆様、大変厳しい問題、難しい問題だという御認識をおっしゃっていただきましたが、まさに私たちも、今、この医療の問題、そして介護の問題、まさに医療保険や介護保険は日本が世界に誇るものだということで、皆様にお話をしているところでございます。アメリカも医療保険が導入できずに困っていますし、中国もそうであります。日本は先輩方がつくってくださったこの国民皆医療保険があることがどれだけすばらしいことかと、私たちは、若い世代の皆様に、何としてもこれを守り続けていかなければいけないということを強く訴えているところでございます。

 きょうは皆様の御意見に対して質問をさせていただきたいと思いますけれども、私たち公明党も、本法案は、超高齢化社会を迎え、高まる医療と介護の需要に対応するために、施設完結型から地域完結型の医療と介護を進めるために取り組んでいかなければならないということだと強く自覚をして取り組んでいるところであります。

 医療機関で治療を受けた高齢の患者さんは、その状態に応じて、慢性期医療機関での継続的な治療を続けられる方や、老健等の施設で身体機能の改善を目指す方々や、特養や有料老人ホーム、グループホーム等の施設に入居される方々、そして自宅に戻られる方々というふうになると思いますが、ここで、今後急激な増加が予想される、自宅に戻られる皆様が、自分の居場所を確保して、安心して医療と介護やさまざまな生活支援が受けられる地域の構築に向けて、地域包括ケアシステムが必要となってくるわけであります。

 私たちも、一人でも多くの方が、地域で支えられる側から支える側で活躍できるような社会を築いていかないと、もたないなという認識をしております。公明党も、全国三千人の地方議員の皆様と一緒に、どういう地域包括ケアシステムが一番いいのかということで日々議論を重ねているところでございます。

 まず、藤垣会長に御質問をさせていただきたいと思いますけれども、在宅医療の充実、そして医療と介護の連携について質問をしたいと思います。

 先ほどのペーパーの中にもございましたけれども、今回の肝といいますか、在宅医療の充実と、医療と介護の連携強化ということが大変重要だというふうに私も考えているところであります。

 今回の法案で、さまざまな、例えば、在宅医療の確保の目標を医療計画に定めるとか、医療計画の計画年限を六年にして、中間年の三年ごとに在宅医療部分については見直すとか、在宅医療・介護の連携推進を介護保険法の地域支援事業に位置づけるという改正が行われるということになっておりますけれども、まず、こうした在宅医療の充実、そして医療と介護の連携強化という方向性について、会長の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

藤垣哲彦君 この連携につきましては、やはりそれぞれの専門性を発揮して患者さんにサービス、医療を提供するということでいいますと、もうそのとおり、その方向性は全く間違っていないというふうに考えております。

樋口委員 ありがとうございます。

 先ほど、とかしき先生からも、医療と介護の橋渡し役が薬剤師さんだという、非常に勉強になりました。そういう感覚が大事だなということを思ったわけでございますが、このチーム医療、多職種チームとなりますけれども、チーム医療の推進について、次にお伺いをしたいと思います。

 在宅医療、在宅介護を推進していく上で、医療、介護そして福祉の多職種による連携が重要だということは論をまちませんけれども、この在宅医療、在宅介護のみならず、高齢化の進展に伴いまして入院患者がますますふえる中、入院医療においてもチーム医療を推進していかなければなりません。各医療職種がそれぞれの専門性をより発揮して、お互いに連携して、質の高い医療を効率的に提供できるようにする必要があるというふうに考えます。

 今回の法案にも、例えば、看護師の特定行為に係る研修制度の創設、次に、診療放射線技師や臨床検査技師、歯科衛生士の業務範囲または業務実施体制の見直しといった改革も含まれているわけであります。これらの改正は当然必要だというふうに私は考えておりますけれども、これから、これにとどまることなく、今後もさらにチーム医療を推進していくべきだというふうに思います。

 チーム医療の推進の必要性について、会長の御意見をいただきたいと思います。

藤垣哲彦君 まず、チーム医療の議論は、要するに、病院内から発したということもございまして、例えば我々の、薬剤師の世界でいいますと、病院の中での病棟業務が義務化されて、そこで、病棟に常駐をして、患者さんにお薬の相談等々も含めて接するということが始まっております。ですから、その病棟業務は在宅に必ずつながることだと私は思っております。

 したがいまして、今の御質問からいいますと、チーム医療そのものというのは、要するに、それぞれ個別法がありますので、そこのところを明確にしていただいて、安心して仕事ができるような体制というのが要るのかなというように思います。それぞれ、もちろん医師法があり、薬剤師法があり、いろいろな法律があるわけですから、その法律の中で動いていますので、ただ、在宅になりますと、どうしても病院のような手厚いことはできないわけですから、そこでいろいろな職種の方々が参加をするわけですから、そこで、これは本当にしていいんだろうかとか、そういうことにならないように、安心してできるような体制というのが必要ではないかなというふうに思っております。

樋口委員 貴重な御提言、ありがとうございます。それぞれの法そのものもしっかり整合性をとっていかないといけないという御指摘だと思います。ありがとうございます。

 次に、地域ケア会議における薬剤師の役割について御質問いたします。

 今回の法改正で、市町村が、ケアマネジメントのさらなる充実を図るために、ケアマネジャー、保健医療及び福祉の専門職、民生委員等の地域の関係者、その他の関係者、団体から構成される地域ケア会議の設置をするように規定をされているところです。

 地域ケア会議を実施している自治体や地域包括支援センターの現場では、地域ケア会議におけるアドバイザーとしての薬剤師の役割が重要というふうな声を伺っているところでございますが、いかがでしょうか。

藤垣哲彦君 ありがとうございます。

 この間、一年ぐらい、大変大きく変わってきました。地域包括支援センターを中心にケア会議というのが開かれる。今までには余りなかったことでありますが、本当に現実にそれが行われておりますし、そこにも薬剤師が参加をさせていただいていますので、間違いなくいい方向でいくんだろうと考えております。

樋口委員 次に、服薬管理について教えていただきたいと思います。

 ちょっと不勉強で恐縮ですけれども、例えば、ある自治体では、薬剤師の方が行政の中に入り、生活保護のチームに入って、お薬の重複について調べたら、非常に予算が削減できた、重複が多かったという実態を調べたというような話も聞いているんですね。非常にお薬代が減って、自治体が、よかったという報告も聞いたことがあります。

 複数の病気を抱えて複数の病院に行っている高齢者に対して、無駄なお薬の整理、先ほども図でも示していただきましたけれども、これを推進する、また、個々の適切な服薬管理のための取り組みが非常に重要だと思いますけれども、そういったいい事例、薬剤師さんが行政にアドバイスしたり、入って、予算が削減できたとか、薬の重複がなくなったとか、事例を御存じであればぜひ教えていただきたいということと、この服薬管理について会長の御所見をいただきたいと思います。

藤垣哲彦君 今先生の御質問の数字としては、在宅でのお薬の残薬の調査がございました。少し前の調査なんですが、五百億の残薬があって、それを管理することによって四百億の削減ができた、そういう数字があります。

 今先生が指摘されたとおり、在宅には、本当に、複数科に受診をされて、特に大阪では、最初のパワーポイントでお見せしましたように、まだ分業率が半分ぐらいですので、院外と院内が実は入りまじっておりまして、一人の在宅の患者さんにおきましては院外処方もあるし院内もある、そういう状況ですので、どこでどういうふうにチェックをするのか。

 ましてや、今、ブランド品だけではなくてジェネリック品の使用促進に国を挙げて、我々も取り組んでおります。そうなりますと、本当に形の違う同じ薬がいっぱい出されているケースもあるわけですので、こういう管理というのは、なかなかほかの職種の方々には、実際に支援をされている家族の方とかいろいろいらっしゃるわけですが、なかなか難しい話なので、ここはどうしてもやはり薬剤師が出ていかなければなかなか難しいんだろう。

 そして、先ほどパワーポイントの中にあった写真の部分というのが、そういうことを、医師と相談しながら一包化をして重複の服用がないようにしたという例をお示ししたわけです。そういう意味では、きっと、在宅に行って、処方が無駄だということではございませんので、他科受診をしているからわからない、それぞれわからない。それを今、お薬手帳を全員持ちましょうということで、そこで管理をする。診療所に行かれても、そのお薬手帳を見て、今こういうお薬が出ているので、では、これはやめておこうか、そういうことになってくれれば、間違いなくそういう重複というのはなくなるのではないかということで、その辺で活躍をしたいと思っております。

樋口委員 ありがとうございます。貴重なさまざまな御意見、大変勉強になりました。

 ほかの先生方にもいろいろ教えていただきましたが、吉年座長におかれましては、生活援助サービスを介護保険から切り離さないでほしいとか、市町村に任せることがどうなのかといった、また貴重な御意見だと思っておりますので、しっかり今後、現場の声に耳を丁寧に傾けていきたいと思っております。

 船戸先生におかれましては、本当に全く知らなかった小児医療やNICUの実情について教えていただきましたけれども、一点だけ。

 すばらしい御提案をいただいているというふうに思います。資料をいただきました。地域包括ケアシステムのイメージの中にそれを落とし込んでいくとか、その後には、結論として、今後の法改正に踏み込んでほしいとか書いてございます。

 その前の七のところで、高齢者中心で小児は置いてきぼりになるという中に、二つの御提案をいただいています。具体的な、非常にわかりやすい御提案でございますが、これに加えて何かおっしゃりたいことがありましたら、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

船戸正久君 とりあえず、具体的なことは、現場でヒアリングをして聞いたあれです。

 それ以外は、基本的にはまだ、小児の、特に医療的ケアの人たちの受け入れというのは非常に悪いんですね。福祉施設でもなかなか受け入れていただけないということで。特に、小児のショートを受け入れることによって、うちで四十七人の方が次子の出産をしているということから、全国でいったらすごい数になると思いますので、これは次世代のためにもぜひ真剣に考えていただきたい、そして、在宅をもっと維持できるような体制をつくっていただきたいというのが私の一番のお願いです。

樋口委員 ありがとうございます。

 正森さんにつきましても、全般的な法改正についての貴重な御意見をいただいたと思っております。

 皆様に心から感謝をして、今後の議論の糧にしてまいりたいと思います。ありがとうございました。

金子座長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 今回の法改正、改正の法案とあわせて、私どもの方からもう一本、介護それから障害者福祉人材の確保法案というものを並行で出させていただいております。

 この問題は、やはり今お話にもあったとおり、人手が本当に集まりにくくなっている。求人倍率が二倍違う。お給料も本当に、数え方によりますけれども、三万から五万、場合によっては十万違う。こういう話もある中で、せっかく介護の職場に入っていただいても、離職が非常に多い。離職の理由は、仕事の大変さに比べて待遇、お給料が余りにも低過ぎるというのが第一位になっているということで、構造は明確な問題だというふうに思って、ほっておくとなかなか上がらない、介護それから障害者福祉人材の、端的に申し上げれば賃上げの法案を出させていただいたところであります。

 関連して正森参考人にお伺いをしたいのが、お給料の問題に加えて、やはりキャリアアップの受け皿をどうやってつくっていくのかという問題をお伺いしたいというふうに思います。

 一家のあるじ、これは男性でも女性でも構いませんが、一家のあるじが、子供をつくって高校や大学まできちんと入れていく、それに足る給料を得ながら、責任の重い、より重くなっていく仕事を続けていくためには、これはやはり、施設長であったりとか上級管理職、地域の管理職、こういったポストが一定以上必要になるかと思います。

 これは、全国規模の大きな法人であれば、こういったポストをきちんと設けていくことは可能だと思いますが、小さな法人さんが多い中でこれを実現していくためには、どのような法律やあるいは制度の改正が必要と考えるか、キャリアアップのためのポストをどうやってつくっていくかということについて、正森参考人のアイデアをいただきたいと思います。

正森克也君 特別養護老人ホームとか福祉の仕事というのは、非常に専門性のある仕事だというふうに考えております。私どもも、キャリアアップシステムといいますか、そういったものを独自で施設の中で準備をしております。

 やはり、一年目の職員から三年目の職員になるまではどのくらいの力をつける必要があるのか、そして、三年目から五年目にはどういった役割を持つ必要があるのか、そういった形で、だんだんといわゆる専門職としてのスキルが上がっていくということが大事かと思います。その後に、例えば主任であるとかリーダーであるとか、それから相談員や副施設長というような役割を持つ人もいるだろうというふうに思います。

 しかし、介護福祉士なりそういった専門職として、いわゆる定年まで生涯介護福祉士だというような、専門性を発揮して、管理職というような施設長にならなくても、その専門職を貫けば、しっかりとリーダーシップを持ってまともなお給料がもらえるということが私は大事なのではないかなというふうに思っています。

 ただ、三年目よりは五年目、五年目よりは十年目の方が具体的にどんな力があるんだというふうに見える化をしていくということは、研修システムとして大事だなというふうには思っております。

 以上です。

井坂委員 今参考人のおっしゃるとおりだとは思うんです。何も管理職とか施設長にならなくたって、まさに専門家としての現場での専門性が高まって、それに応じてきちんと報酬が上がっていく、そういうシステムが可能であれば、本当におっしゃるとおりだと思うんです。

 一方で、介護報酬制度あるいは日本の介護保険制度を見ると、現場の専門家が幾らスキルアップをしたところで、そのスキルアップによって、例えば提供できるサービスが変わって、それによって得られる介護報酬が格段に上がっていく、こういうことがあれば、参考人のおっしゃったとおりの仕組みになると思うんですが、そこが現状なかなか難しいのではないかなというふうに考えております。

 その点で、ちょっと再質問で申しわけないんですが、だから制度の変更あるいは報酬制度の変更が必要ではないかなと思うんですが、これは言うはやすし行うはなかなかということで、専門性の高さが本当にもらえる介護報酬の多い少ないにどうやってリンクをしていくのかということについて、お考えをいただきたいと思います。

正森克也君 その専門性の評価の仕方については、極めて、いろいろな議論が、見方が必要かというふうに思います。

 といいますのも、例えば私どもの福祉現場では、早出や遅出や夜勤やいろいろな、同じケアプランに基づいてチームで労働して、そして、この方のおむつが外せたであるとか、自立に近づけたというようなことを一つ一つ実現していくわけです。これはAさんが頑張ったからおむつが外れたのかということではなくて、チームで取り組んだ成果として上がっているわけで、それが誰の専門のスキルアップなのかということをジャッジしていく作業、これは極めて難しい作業だというふうに思っております。

 そうではなくて、やはりチームとしてそれぞれやっていくリーダーシップを発揮したのかどうなのかというようなことなどを評価していくことはいいと思うんですが、ただ、この評価の中に、みんなで頑張ったことなんだけれども、同じ介護職といえども、一つ一つの資格制度というかキャリア段位のようなものがあって、自分が給料が上がらないのはキャリアが低いからなんだという正当化になってしまって、その人のせいになってしまうんですね。

 例えば、お医者さんとかが段位があって、Aというお医者さんはこのぐらいの給料で、Bというお医者さんはこのぐらいの給料でというふうに、お医者さんはお医者さんなのにそれぞれを段位で個別に区別するのかというと、そうではない。弁護士さんだってそうです。

 介護職だけなぜ段位をつけて、低くて仕方がない人と高くて当然の人というような段位をつけていくのかという戦略的意図というのは、私は非常に注意をしていかないといけない問題ではないのかなというふうには考えております。

井坂委員 関連してもう一問だけ後で正森参考人にお伺いしたいと思いますが、その前に吉年参考人にお伺いをしたいと思います。

 アンケートの中で、身体介護と生活援助を一体に考えるか考えないかということで、サービスを受ける側は一体に考えてほしいという意見が多いわけでありますけれども、一方で、現場で働いておられる従事者の方は、必ずしも一体に考えなくてよいという御意見がほかのアンケートに比べて突出して多いというふうに見せていただきました。

 この問題の背景には、生活援助というのは身体介護に比べて介護報酬が現状非常に安くなってしまっているために、何かここが一体化すると全体が下がってしまうのではないかという懸念があってのこういうアンケート結果ではないかなと考えるわけでありますけれども、そういった懸念があっても、この点について、やはり身体介護と生活援助は一体化すべきであるというふうにお考えなのかどうか、参考人のお考えをお伺いしたいと思います。

吉年千寿子君 私たちの会としましては、介護保険制度ができたとき以来、そのころは家事援助と言っておりましたが、家事援助と身体介護を別にして、そしてその報酬に差をつけるというのはおかしいということをずっと主張してまいりました。

 実際に、ヘルパーさんたちの御意見、それからいろいろな方の御意見を聞いていく中で、今現在、十四年目になりまして、介護従事者の方の御意見も両極端に変わってきているというのが実感なんです。

 昔は、そういうことで一体にする。実際、サービスに入りますと、どこまでが生活援助でどこからが身体なのかということは、到底区別できるものではない。でも、生活援助で入れば報酬が低いというふうな問題もありますし、その辺のところで、従事者の方の意見というのは、今、非常に立場立場によって複雑になっているというのが現状かと思うんですね。

 それから、男性の介護従事者が以前と比べて随分とふえております。今回のアンケート調査の中でも、七十人、一〇・八%の介護従事者の男性の方から御意見をいただきました。

 そうしたら、やはり従事している仕事は、どちらかといえばヘルパーさんよりも介護職員の方が多い。そして、これが、男女差がすごく出てきたわけですね。いわば施設系に勤めている方と訪問介護をやっている方の意見の差というのもかなり出てきておりますし、このアンケートの中にも、そういう、現場であるがゆえのいろいろな悩みだとか立場の違いによる御意見の違いというのがあるなというのは本当に実感として感じました。

井坂委員 ありがとうございます。

 やはり現場でも、一体化すべきだ、原則論はそうだということでありますけれども、一方で報酬の問題で大変揺れているという現状だというふうに思います。

 再度、正森参考人にお伺いをしたいわけでありますけれども、私はやはり、この介護の問題に限らず、医療もそうなんですが、予防が大事、もっともっと予防に予算と人員を正規のルールで割くべきだという基本的な考えを持っております。

 本日、各参考人からお伺いする中で、やはり生活援助であっても、プロが小さな変化にしっかり気づいて、初動対応をしっかりやる、あるいは必要なつなぎをしっかり行うことで、要介護度を重症化、悪化させない、こういう生活援助を本気でやるべきだと私は思うんです。ただ、こういう生活援助を本気でやった介護事業所が、端的に言うと、きちんと介護報酬をもらえる、もうかる仕組みにしない限り、なかなかこれは、善意、よき心だけでそういうふうにはならないのかなというふうにも一方で思うわけであります。

 こういった、現状、やはり要介護度が重ければ重いほど介護報酬が事業所に入るという仕組み、一方で、生活援助に関しては、幾ら専門性の高いプロが、それこそ、さっき参考人がおっしゃった、より経験を積んだ、本来高い報酬を得てしかるべき、専門性の高い、深いプロが生活援助をやっても、それが介護報酬に直結しない。あるいは、チームで、介護事業所全体で要介護度を下げた、あるいは、要支援のところから、さらに自立度、クオリティー・オブ・ライフを高めた、こういうことがなかなか報酬面で評価されない現状があると思うんですけれども、この報酬制度について、特に、予防、あるいは要介護度、要支援度を下げた方がインセンティブがあるというような仕組みについて参考人はどうお考えか、お伺いをしたいと思います。

正森克也君 予防効果がというか、要介護の人が要支援に、元気になられるといいますか、そういう変化もあろうかと思いますし、それから、悪くならないで長く頑張って生活をできたということも一つの評価に値するのではないかなというふうに思っておりまして、そういった意味では、よくなったときだけの評価ではなくて、どのくらいの期間維持をさせてきたのかということに対する一定の評価をいただくというのは大切ではないかなというふうに思っています。

 それで、やはりベテランさんがかかわるケースというのは難しいケースが非常に多くございます。やはり、一つのサービスに対して幾らという、今の介護保険制度は仕方がないのかもしれませんが、そこで働いている勤続年数だとか、先ほどおっしゃったような段位制度がもしあるとするならば、そのぐらいの人たちがどのくらいの程度おられるのかということで、例えば報酬に反映させるという手もあっていいのかなというふうには私は思います。さまざまな評価の仕組みというのは検討に値するのではないかなと思っております。

井坂委員 ちょっとまだ一分ぐらい時間があるので、藤垣参考人に端的に一点だけお伺いします。

 本法案は特定行為に係る看護師の制度が実は入っているんですけれども、私の考えは、ナースプラクティショナーみたいに、より医師不足の一端を看護師の専門性でカバーする仕組みになればと思っていたのが、私から見ればやや骨抜きに終わってしまっている。同様に、地域医療にかけて、薬剤師さんの側から、例えば継続的な処方であったりそういったことは任せてほしいというような動き、医師会との関係で難しいでしょうが、そういった考え方は今後も一切あり得ないのか検討に値するのか、一言だけお伺いしたいと思います。

藤垣哲彦君 難しい質問ですが、検討には値すると思います。

金子座長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、四人の参考人の皆さんの出席をいただいて、大変貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。

 早速質問していきたいと思うんですが、最初に藤垣参考人にお伺いいたします。

 最初に、地域包括ケアシステムに薬局がないという御指摘だったんですが、厚労省をかばうわけではなくて、「医療・介護サービスの提供体制改革後の姿」という新しい資料の中に薬局がしっかり入っていまして、外来医療、在宅医療、歯科医療、薬局という形で位置づけられているんだなと思って、さっき一生懸命捜していました。

 でも、それは、医療と薬局、薬剤は一緒だという単純な考えではやはりいけないと思うんですよね。つまり、今まで院外処方をかなり進めてきたという経過がありますし、そういう中で、では本当に二十四時間の医療につき合っていけるのかという問題と、医療と介護と連携しなくちゃいけないのに、医療の分野に薬局があるというだけでは済まない。

 そこで、大阪の取り組みを紹介されて、基金を紹介されたと思うんですけれども、やはりよほど意識的に位置づけて、そして基金にちゃんとそういう予算をとるんだというふうにしていかないと厳しいのかなと思うんですが、少しその趣旨について伺えればと思います。

藤垣哲彦君 先ほどパワーポイントでもお見せいたしましたように、基金につきましては、これは三師会それから関係団体と現在議論をしているところでございますので、ここでうちがどうだと言うのは控えた方がいいのかなと思っております。

 少しだけ、例えば女性の復職支援等々につきましては、パワーポイントにも書かせていただきましたけれども、それは今ちょうど議論の最中でございます。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 やはり具体的な提案をして位置づけていかないと、基金はいろいろ使えますよといっても実際には非常に枠が狭いという中で充実させていくことが必要かなということで考えさせていただきました。ありがとうございました。

 次に、船戸参考人に伺いたいと思うんですけれども、小児がないという指摘をいただきました。

 きょうトランジションという言葉が出たんですが、実は、難病法案のときも、小児慢性疾患はトランジションが積み残しになりました。また指摘をされたということであります。また、NICU自体が全国で不足していますよね。そういう中で、さらにその後方支援もちゃんと位置づけていかなきゃいけない。その上で、今、在院日数の短縮問題、実は、重度心身のところが今度はカウントされてしまうということで、非常にこれは厳しいことになるのではないかと思っております。

 なので、課題が非常に多いですので、まずやるべきは、国のこれから出していく指針の中にちゃんと小児の分野が入っていくこと、そして地域の協議の場にちゃんと入っていくことをまず提案したいなと思うんですが、いかがでしょうか。

船戸正久君 ありがとうございます。

 まさにそのとおりだと思います。小児が置き去りにされないように、ぜひお願いしたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 次に、正森参考人に伺いたいと思います。

 現場の取り組みを紹介しながら、初動の見きわめが大事なんだとおっしゃってくださったこと、非常に大事なことではないかなと思います。私も、委員会の質疑の中でさまざま指摘をしてきたことなんですが、生活援助に対して、やはり単なる家事代行だというふうな言い方をする方や、あるいは、家事代行だからボランティアでもいい、そういうふうな形で何か生活援助が介護から出されちゃうのかなと非常に危機感を持っております。

 そこで、改めて、具体例なども紹介していただいて、生活援助の意義や支えるヘルパーの役割について御紹介いただければと思います。

正森克也君 議員がおっしゃいましたように、単なる家事代行という位置づけではなくて、例えば、お掃除や食事のかかわりを通じてその方の御家庭に入りながら、実際やっていることは、その仕事をやりつつも、その方の生活状態の見きわめとか観察というのが、やはり私たち、ヘルパーさんの最も気を使う部分だろうというふうに思っています。

 特に、例えば、ケアマネジャーさんがこのプランでというふうにおっしゃったことでも、実際に生活の中に入ってヘルパーさんがかかわれば、あれ、こんなこともできていないのかとか、こういう生活リスクがあるんだなということが次々と発見されるというようなケースというのは幾つも出てくるわけですね。

 しかも、そのことを確かめていく作業というのが、先ほども言いましたように、非常にかかわりに配慮を要するお年寄りに対してその確かめをやっていく作業というのは、単純に質問したりとか詰問したりとかそういうようなかかわりではなくて、何げなく、さりげなくかかわって、観察をしながらそれを発見して、チームに伝えていく、必要機関に伝えていくというようなかかわりが必要になってきます。

 こういったことが、例えば単にお弁当を配る方だとかボランティアさんの方で専門的な勉強をなさっていない方で気づけるのかというと、非常に困難だろうというふうに思うことから、私は、個別のかかわりは違う、集団的な支援と個別の御家庭に入るホームヘルパーさんの専門性は全く別だというふうに言ったところです。

 特別養護老人ホームの中でもボランティアさんやアルバイトさんというのは本当によくおいでになりまして、私の働いております、いのこの里という老人ホームでも、年間延べ三千人ぐらいのボランティアさんがお越しになるわけです。ですから、私どもが別にボランティアさんを軽視しているとか専門性を否定するというようなわけではなくて、彼らの本当に目指すところは、お年寄りとのかかわりの中でみずからの生きがいだとか役割とか自己実現を目指しておられるという方ですので、その貴重な気持ちを責任のある仕事で、何かあったら責任が問われるような形で使っていくというのは、本来筋が合わないのではないかなという思いもございます。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 実際にボランティアさんと一緒に活躍していただいている中で、やはり専門的な役割はなぜ必要なのかということを具体的に指摘していただいたと思います。ありがとうございました。

 その上で、専門的な支援が必要な人はちゃんとやるんだということが何度も何度も答弁をされているわけなんですが、その鍵を握っているのが地域包括支援センターでのケアマネジメントということになって、適切なというふうなことを言われるんです。しかし、これは本当に難しいのではないかなと思っておりますが、ケアマネジメントについて、ケアマネさんがかかわる意義、課題について伺いたいと思います。

正森克也君 ケアマネジャーさんは、要介護の方と要支援の方のケアマネジャーさんなんですけれども、要支援の方のケアマネジャーさんは地域包括支援センターで請け負うことが多くあります。その地域包括支援センターのケアマネジャーさんではもう手がいっぱいになるので、私どものような民間のケアマネジャーの方に依頼をされるということでお受けするケースもたくさんございます。

 ケアマネジャーさんは、やはり三十件ちょいぐらいのケースをお持ちになって、大体月に一回ぐらいの訪問が義務づけられておりまして、限界かなというふうに思っております。

 そのときにケアマネジャーさんが御本人さんと出会って収集した情報は必ずしも間違いではございませんが、その中で、ヘルパーさんを送り込んでいって日常的にお世話をする中で発見される、ケアマネジャーさんが気づかない情報というのはやはり多いというのも事実です。それを全部ケアマネが責任をしょい込むというのは、ちょっとそれは問題が違って、ケアマネジャーさんはそういった方たちとの協力、共同、連携をとりながら専門性を発揮していくわけですから、チーム労働の一員という位置づけになっているわけですね。その大切なチームのヘルパーさんが取り外されてしまって、全部ケアマネの責任だよというようなことにしてしまうというのは、ちょっとケアマネさんとしてはというか、問題の考え方が違うのではないかなというのが私の意見です。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 正森参考人にもう一点伺いたいと思うんですけれども、補足給付について、今回、預金で見るということが提起をされているわけなんですけれども、資産要件、不動産なんかを対象にしないのはおかしいんじゃないかとか、正直者がばかを見るという指摘までもあるわけですけれども、私はそもそも、ほかの制度に波及するのではないかというおそれも考えていて、この仕組みそのものを入れるべきではないと思っておりますけれども、どのようにお考えか、伺いたいと思います。

正森克也君 補足給付のことなんですが、例えば、先ほども私、最初の発言で述べましたが、食費、居住費、それから介護にかかわる費用という三つの分類に分かれて、食費と居住費が介護にかかわるものでないから自分で払いましょうということになっておるならば、これは、補足給付というのは完全に、介護給付という形じゃなくて、いわゆる福祉的費用になるわけですね、いわゆる貧困に関する生活支援になるわけです。

 それは、例えば介護保険という一つのお財布の中からなぜ払うのかということになるわけですから、そういった意味では、もう補足給付そのものを介護保険財源から外してしまって、国でちゃんと生活保護行政としてそれ用の予算を別途とるということでしたら、補足給付をこれぐらいという形で、基本全額で、できない人の補助は国がやるという考え方でいいのかと思うんですけれども、ただ、今の補足給付の位置づけは、生活も食事も全部一体的に提供するのが老人ホームの仕事なんだけれども、でも、在宅の高齢者と不公平が生じるので、一定、公平にするためにお金を本人から負担してもらいましょうということになれば、それは介護と一体のものだから介護保険の財布の中から補足給付をやるのが妥当だという議論になろうかというふうに思います。

 そういった意味で、補足給付というのは、基本、在宅の方の生活実態と合わせていくということが議論の前提にあるべきであって、かかる費用を基本全額やって、それは財産にまで波及してということになってくれば、それはもう生活保護行政といいますか、完全に切り離してしまうという考え方ですから、もしそれを言うのであれば、介護保険財源からとるということもやめた方がいいんじゃないかなと、論拠が立たないというのが私の意見です。

 それから、生活実態からいいますと、例えば、おじいさんが老人ホームに入られるんですけれども、奥さんは持ち家で住んでおられるというようなケースがあるんですね。おじいさんは、例えば十二、三万円の年金をお持ちで、三段階というようなことになっているんですが、奥さんが住んでいるおうちが、例えばマンションを自分で持っていたというようなことになりますと、この方はたちまち、六万円、七万円ぐらいの生活費を今までは老人ホーム、いのこの里に納めておったんですが、多分十一万とか十二万円ぐらいになってくるかと思います。そうすると、年金の余りが一万円か二万円ぐらいにしかならなくて、このおじいさんの年金を当てにしていた奥さんの生活そのものがもう途端にままならなくなるだろうと思います。

 そういうことになると、この制度が実現した瞬間に、そういった御家庭のおばあさんたちはみんな自分の持ち家を売るというようなことになりますし、そして賃貸住宅に移って、一定の、二千万を切った段階でまた生活が安定していくというようなことになります。

 Iさんというんですが、八十を超えたおばあさんにそのことをどう御説明して、本人にどないして自分の家を売却させ、そして新しいところに住まわせてと、こういうような労力も含めまして、一体誰がどのようにチェックしてやっていくのかということを考えると、極めて現実的ではないのではないかなというのが私の考えです。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、一言。吉年さんには、アンケートを紹介いただいて、この会報の中に書いているんですけれども、私も思ったんですが、どちらとも言えないという回答が実はすごく多いですよね。それが、実は、マンパワーが不足していたり、やはり公的介護の不足している実態を反映しているんじゃないか、深い回答だったねというふうに言っているのが、私、すごく大事なことかなと思って、四年前、大阪で介護保険のシンポジウムでお世話になったんですけれども、改めて、皆さんが呼びかけている公的介護拡充ということで頑張っていきたいなと思っております。

 きょうは本当にありがとうございました。

金子座長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 冒頭、新幹線が架線事故で一時間ほどおくれてしまいまして、出席がおくれまして申しわけございませんでした。

 参考人の皆さん、本当にありがとうございます。前半は吉年参考人に、そして残り後半の時間でそのほかの参考人の皆様に御質問させていただければと思っております。よろしくお願いします。

 まず、吉年参考人、ちょっと二つ、関連するのでまとめて伺いたいと思うんですね。

 一つは、先ほど高橋委員から正森参考人に質問があったんですが、同じような形をちょっと違う視点も含めてお答えいただきたいんです。

 その一つは、生活援助サービスの意味合いというか専門性の評価についてお話がありましたので、それについて。それからもう一つは、関連するんですが、プロの介護士さん、ヘルパーさんとボランティアさんとの違い、この二点について伺いたいと思います。

 私も先ほどのお話を伺っておりまして、いわゆる生活援助、掃除とか料理とかいろいろな作業ですが、その作業に加えたその間のコミュニケーション、そういったものを通じて、場合によっては、相談相手として八割の方が頼られているという意味では悩み相談といいますか、そういったことも同時にされて、場合によっては利用者の健康状態、場合によっては家族関係とかですね。さらに、私もヒアリングさせていただいた際にも、例えば、本当に、子供さんがいない認知症の方に振り込め詐欺のようなことが起こったりすることも、何かヘルパーさんが介在されることで未然に防ぐような場面もあったやのお話も聞きました。そういった役割を考えると、これは身体介護に劣らぬ専門性を求められてくるのではないのかなというのが私の見方なんですが、そのあたりについて、改めて所見をいただければと。

 もう一つ、プロとボランティアとの違いについてなんですが、先ほど来のやりとりにありますように、やはりボランティアさんが簡単に、いや、ボランティアさんは重要なんですけれども、しかし簡単に担えるようなことでもないのかなと改めて思うんですね。例えば転倒リスクとか、不意のニーズに本当にボランティアさんたちで対応していただけるのか。まさに、だからこそ有償ボランティア的なことまで議論になるわけですね。しかし、それでも本当に十分に対応していただけるのかという懸念がますます強くなっておりまして、ボランティアさんを活用していくことの重要性、理想はわかりますが、その理想だけで例えば現実の要支援サービスの削減、これが強行されたりすると、私自身は、要支援難民というようなことが起こってしまうのではないのかなという懸念をしておりまして、そのあたりについて、吉年参考人から御所見をお述べいただければと思います。

吉年千寿子君 ヘルパーさんがしてくれている生活援助サービスというものは、掃除や調理といった家事を中心とした作業ですけれども、それはマニュアルどおりにやればいいというものではなく、利用者さんのお宅に入って、利用者さんのやり方でこれまでのその方の生活を支える、そういうスタンスで生活を支援するものだと思います。

 それにはまず、日常会話に始まるコミュニケーションから始まるのであって、きょうはどうということで声かけをし、その中からその人の体調だとか悩みなどを把握する、そして作業しながらの会話の中から特に必要なサービスにつないでいくというような、そういう専門家の目があってこそ生活支援が成り立つというものだと思います。

 これは当初から言われたことですけれども、ヘルパーさん自身からの声も聞いていますが、ある意味では、身体介護に入るよりも生活援助に入る方が難しい、これは家事援助のときからおっしゃっていました。自分のやり方でやるんじゃなくてその方に沿ったやり方をしないといけないということは、これは非常にしんどいことなんですね。女性ならば誰でも家事はできるだろうというような簡単なものではなく、ボランティアだったらそういうやり方で、もしかしたらやってしまうかもしれない、でも、プロの、専門家であるヘルパーさんというのは、そういう自分の技術は持ちながら、それを表に出すんじゃなくて、どこまでその方の生活に寄り添うか、自立支援に寄り添うかというところで、プロとしての専門性が出てくるかと思うんですね。

 そのプロとボランティアの違いについてですけれども、今までも言いましたように、掃除や洗濯をしながら利用者さんとコミュニケーションを図って、プロとしての見守りをしている。例えばトイレがいつもより汚れていたり、それから洗濯物が多かったりするだけで、ああ、この人は体調不良になっているなとか、病気になるんじゃないか、そういう進行が見つかるような場合もありますし、例えば掃除をしていて見なれない契約書やパンフレットが散らかっているというような場面に遭遇すれば、ああ、これは詐欺などの消費者トラブルに巻き込まれているのではないかと。そういうようなプロとしての観察する力、それが専門家にはあると思うんです。

 例えば、よく一般的には、掃除をしないでも人間はほこりで死なないなんて言われますけれども、これは元気な者が掃除をサボる言いわけに使っているようなところがありまして、実際に、高齢者は、体が不自由になったり認知症の傾向が出てきたりしますと、まず調理や買い物ができなくなります。そして、ごみを分別したり捨てたりできなくなります。そこにヘルパーさんが週に何回でも入ってくれているだけで、その人の自立した生活が保持でき、家がごみ屋敷にならずに済む。いわば人間としての尊厳が守られることにつながるわけです。

 ヘルパーさんがしている掃除というのは、単にほこりを取るというようなものではなくて、ボランティアでできること、それから掃除の専門家である業者ができるようなことではないと思います。

柚木委員 ありがとうございます。

 本当に私もますます今の法案の流れが懸念をされるところでありますが、ちょっとまた限られた時間で、また二つ、これも関連して、まとめて吉年参考人に伺いたいんですが、今のような御答弁も含めて、生活援助サービス、いわゆる要支援サービスが地方移管されて、そしてそのときにサービス削減された場合の影響がどういうところに出てくるのか。

 お話の中にもあったと思うんですが、私自身は、この間、現場や利用者さんとのやりとりの中で、利用者さんの健康悪化につながったり、あるいは家族関係、これは本当に、私も聞くと、もう家族よりもヘルパーさんに相談しているんですね。相談できないわけですよ、要は、仲がよくなかったり、あるいは遠慮したりして。そうすると、ヘルパーさんが間に介在しているところができなくなったりすると、家族関係の悪化とか、これは下手をすると虐待とか。

 もっと言うと、この間、NHKでもテレビでやっていましたけれども、介護現場でもサービス単価が下がったり、武蔵野市の事例をやっていましたけれども、千二百円が八百七十円でしたか、そういうことで、もうサービスを提供できなくなるような影響も懸念されると。そうすると、現場の職員の処遇悪化、離職、事務所の経営困難につながりかねないなという面を私自身は懸念するんですが、これだけのアンケートをされて、どういう影響が出てくるのかという点について一点。

 それから、もう一つ関連して、政府は、こういうことで財政の効率化、適正化につながるというふうに考えておられるようなんですけれども、私は、本当にそうかなと思うんですね。

 入り口で本当に要介護、病気に至るのを防ぐ、要支援の段階で何とかそこをストップするのが重要にもかかわらず、そこが歯どめにならなければ、むしろ利用者さんの健康が悪化して介護給付費も増大していって、場合によっては家族介護している方々が仕事をやめざるを得ない。年間十万人おられるわけで、これは経済や財政にもマイナスではないのかなということを懸念するわけです。

 本当にこの要支援サービス自治体移管で財政の効率化につながるのかなという気もしまして、そのあたりについても可能な範囲で御所見をまとめてお願いできればと思います。

吉年千寿子君 先ほども申しましたように、生活援助サービスを受けている利用者さん、中でもひとり暮らしの方ですね、そのことによって最低限の健康的な生活を維持できているということだと思うんです。

 この要支援サービスが自治体に移管されることによってサービスが削減されれば、健康保持がまずできなくなる、そして、在宅生活が脅かされて介護状態が重度化するということが考えられると思うんです。

 また、家族介護者がいる場合であっても、昼間、ヘルパーさんが入ってくれることでその方の経済生活が成り立っているということが多いと思いますし、サービスが削減されることによってそこの微妙なバランスが崩れて仕事をやめざるを得ないとか、まさに介護離職につながるというふうに思います。

 また、自治体のサービスに移管される場合は、これは自治体の格差というのが非常に大きくなるもので、財政力のない自治体にとってはそれぞれのサービス単価を下げるということにつながりますし、それが回り回って、現場の介護職員の方の処遇の悪化だとか事業所の経営困難、事業所が潰れるとか、まさに介護職員の方も一方では介護をしていらっしゃるという場合もあるわけですし、介護離職そのものというのは、従事者の立場からもそうですし、一般的な市民の方からも、非常に影響は大きいと思います。

 そして、要支援者が在宅生活が維持できなくなって、先ほどおっしゃったように、健康は悪化し介護状態は重くなって、結果として介護給付費は増大する。そして、確かに現在も介護離職が大きな社会問題になっておりますけれども、これがますます深刻なものになって、経済全体にも大きなマイナスになるのではないかと考えます。

柚木委員 ありがとうございます。

 特に、独居のお話、認知症の行方不明者一万人問題、それこそ先日もNHKでもやっていましたが、そういうことも含めて、今非常に心配な流れだなというのは改めて思いました。

 ちょっと、残りの時間、船戸参考人、正森参考人、さらに時間があれば藤垣参考人にも伺いたいんですが、まず船戸参考人に。

 これは十年前、私がまだ新人議員のころに、まさに小児医療、産科も含めて医療崩壊で社会問題になっていて、議員立法を党でつくったときの事務局長をさせていただいたんですが、状況がなかなか変わっていないなと、正直、本当に申しわけなく思うんですね。

 伺いたいのが、きょう伺ったNICUの後方支援、在宅支援プログラムとかショートステイの積極的受け入れ、高齢者中心の法案では困るなというお話もあって、これは非常に重要な視点なんですが、この今の法案、十九法案がセットになっているんですね。議論したいんですけれども、本当に限界があるんです。

 私、仄聞すると、この法案、きょう地方公聴会で、あしたまた中央でやって、十四日にも採決とかいうふうな話もちょっと聞こえてくるんですけれども、今までの審議、国会の状況もごらんになっていて、本当に例えば小児の問題一つとっても、十分にこの法案審議の中で、今のような部分を私たちはしっかり議論して反映させていきたいんですよ、これが本当に議論されているか、そういう御認識をお持ちか。

 さらに言うと、診療報酬も今回消費税を入れるとマイナス改定で、小児救急の分野なんかも含めてもっともっと本当にやらなきゃいけないんですが、そのあたりも含めて、今どういう御認識でこの法案審議をごらんになっているか、ちょっとお答えを端的にいただければと思うんですが。

船戸正久君 ありがとうございます。

 基本的には、高齢者に対する費用がすごく大きいということで、それが主体になっていると思うんですけれども、ぜひ知っておいていただきたいのは、そのためにしわ寄せがやはり小児に来ている。それで、小児の医療費とかそういうものは、そんなに大したことないんですね、高齢者に比べると。

 やはりもう少し皆さんの中にそういうものを入れておいていただきたいということと、それから先ほどの、医療と介護の二つのキーワードがありますけれども、ぜひこれからの審議の中に療育というキーワードを入れていただいて、全体の包括ケアというのを考えていただきたい。今回は間に合わないと思いますけれども、もうこれで終わったというとちょっと小児は困りますので、ぜひ考えていただきたいということです。

柚木委員 ありがとうございます。

 正森参考人に伺いたいのが、利用者負担一割、二割の話で六三パー利用抑制という話もあったんですが、これは、介護従事者さんたちの処遇改善の視点もあわせて、きょうお話しいただいた部分は非常に重要だと思うんですね。

 本当に、寿退社というのは介護の世界では男性の話で、私も先日、知り合いの介護士さんが子供さんが生まれてやめたんですね、養っていけないと。仕事にやりがいを非常に感じている、でももうやめざるを得ない、こういう状況を考えると、利用者負担の面もあれば、さらに、やはり現場の従事者さんが、このままいくともう続けられない。そうすると、まさに先ほどのやりとりがありましたが、我々は処遇改善法案というのを出しているんですね。来年の介護報酬を待っていられない。

 待っていられないことも含めて、この処遇改善一点に絞って、現場の今の状況、消費税が上がったのに給料が上がらないのはおかしいじゃないかと私も言われるんですが、その点、ちょっとお答えいただけますか。

正森克也君 議員がおっしゃいましたように、本当に、私、喫緊の、緊急かつ死活的な課題だというふうに思っています。

 この間、もう本当に、求人票というか新聞の折り込み等を見ても、介護職員の求人ばかりが目立つのではないでしょうか。その求人に出す費用も、本当に年間ばかにならないぐらいの金額を使って求人をかけても来ないというのが現状です。私どもも、結婚したからこの仕事をやめて別の仕事につきますという男性の職員を今年度送り出してしまったという事実も本当にございます。

 やはり、景気が上がったり下がったりして、景気が下がってくると何となく介護職のところに人が集まって、景気がよくなるとどんどん消えていく、こんな専門職の業界というのは本当にあっていいのかなというふうに思います。

 特に、私たち介護職員の処遇改善というのは、介護報酬という本当に公定価格によって決定していきますので、そういった意味では、国としてその辺をコントロールするような法律をやはりしっかり整備していただくということについては、ぜひお願いしたいと思っております。

 よろしくお願いします。

柚木委員 以上で終わります。ありがとうございました。

金子座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 まず、意見陳述者の皆さん方におかれましては、大変お忙しい中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきました。心より感謝を申し上げ、御礼を申し上げます。

 また、この会議開催に当たりまして格段の御協力をいただきました関係各位に対しましては、深く御礼を申し上げたいと思います。まことにありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会


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