衆議院

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第19号 平成26年5月14日(水曜日)

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平成二十六年五月十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      大岡 敏孝君    大久保三代君

      大串 正樹君    勝沼 栄明君

      金子 恵美君    小松  裕君

      古賀  篤君    國場幸之助君

      今野 智博君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高鳥 修一君

      高橋ひなこ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    中谷 真一君

      永山 文雄君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      山下 貴司君    大西 健介君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      浦野 靖人君    清水鴻一郎君

      重徳 和彦君    輿水 恵一君

      桝屋 敬悟君    中島 克仁君

      井坂 信彦君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君

    …………………………………

   議員           中根 康浩君

   議員           大西 健介君

   議員           山井 和則君

   議員           中島 克仁君

   議員           井坂 信彦君

   議員           高橋千鶴子君

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  辻  義之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 萩本  修君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 星野 次彦君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           岡田 太造君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    蒲原 基道君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     中谷 真一君

  金子 恵美君     大岡 敏孝君

  豊田真由子君     勝沼 栄明君

  三ッ林裕巳君     今野 智博君

  山下 貴司君     國場幸之助君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     金子 恵美君

  勝沼 栄明君     豊田真由子君

  國場幸之助君     山下 貴司君

  今野 智博君     三ッ林裕巳君

  中谷 真一君     今枝宗一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第二三号)

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(中根康浩君外七名提出、衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案及び中根康浩君外七名提出、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長辻義之君、法務省大臣官房審議官萩本修君、財務省大臣官房審議官星野次彦君、厚生労働省医政局長原徳壽君、社会・援護局長岡田太造君、社会・援護局障害保健福祉部長蒲原基道君、老健局長原勝則君、保険局長木倉敬之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。民主党の柚木道義でございます。

 トップバッターできょうも質問をさせていただきます。

 先ほどの理事会の協議の状況を伺いますと、本当に議論をすればするほど問題点がどんどん出てきているような状況の中で、昨日の参考人の皆様からも本当にさまざまな問題提起がなされました。さらには、その前日、私も大阪の地方公聴会で、我々は、介護の分野は特に問題があるという認識を持っているんですが、医療の分野もさまざまな問題、例えば小児救急の問題をお聞きしましたが、そういったことも含めて置き去りにされている、まだまだ議論が尽くされていない、しっかりと法案審議を通じて必要な修正等を行ってほしいと。

 そういう状況であるにもかかわらず、きょうの理事会で本日の採決が提案されたということをお聞きしておりまして、全野党がとんでもないということで本当に抗議の声を上げている中でこの質疑が行われるということで、私も、まず冒頭、そんなことがあってはならないということを強く抗議させていただきたいと思います。

 限られた時間ですから早速質問に入りますが、きょう、私は、前半、この時間では医療の問題、ダブルヘッダーで、後半、午後も質問させていただきますが、それでも本当に言い尽くせないという思いで質問をさせていただくということでございます。

 まず、資料一ページ目におつけしておりますのは、紹介状を持たずに大病院を受診した場合に初診料を全額自己負担にということであるわけですが、私は、このこと自体は少し時間があればこの後議論をさせていただきたいんですが、この記事の最後のワンパラグラフを見ていただきますと、「大病院を直接受診しにくくなると、必要に応じて大病院を紹介できる診療所や中小病院の役割が大切になる。」というふうにあるわけですね。

 私自身も、与党時代もずっと医療、介護の問題に座長としてかかわらせていただいて、非常にまだ積み残し感があるんです。その積み残し感というのが、実は中小病院支援なんですね。

 私たちの政権時代にも、二度の診療報酬改定の中で、まさに大病院の救急医療崩壊にまず歯どめをかける、そして、その後、何とか、二〇二五年に向けて、その後方機能を担う中小病院あるいは診療所、そして地域包括ケアの構築、こういう流れをつくっていきたかったんです。残念ながら、今般の報酬改定が消費税を入れると実質マイナス一・二六%改定ということで、私が現場でさまざまな医療機関、特に中小病院の経営者の方にお話を伺う中で、二百床未満が四分の三以上だということだと思いますが、本当に中小病院になればなるほど、大病院は確かにマンパワー確保や資材の共同調達などなどいろいろな意味でスケールメリットが発揮できるのに対しまして、中小病院の場合にはそうはいかない。利幅も少ないし、ましてや今回の実質マイナス改定で損益分岐点ぎりぎりで、本当に後方機能、急性期から退院してきた人を受ける、あるいは在宅の急患さんを受ける、この役割が危機に瀕しているということでございます。

 今般、例えば診療報酬もそうですが、新たな基金事業なども含めて、中小病院支援の強化をぜひ進めていただきたいと思うわけでございます。まさにマンパワー確保の支援であったり、あるいは急性期機能を担ってきた一般病床が今般地域包括ケア病棟などに移行していく、こういう流れも出てきているわけですが、では、そういったときに、それこそ在宅から急変した方を依然として救急でも受けられる、そういう受け皿としての評価なども含めて、どういった形でこの中小病院支援を進めていただけるのか、大臣、御答弁をお願いいたします。

田村国務大臣 中小病院は、多様な機能を担っていただいておる、大変重要な役割を担っていただいているというふうに思っております。もちろん急性期もありますけれども、リハビリテーションでありますとか在宅医療の後方支援等々もやっていただいておるわけであります。

 そういう意味でこれをどう評価していくのか。大変重要なところでありますけれども、委員おっしゃられました、診療報酬だけではなくて、新たな財政支援措置においてもこれは対応いただくわけであります。今言いましたような、例えば回復期へのいろいろな対応ということで、これの病床の整備も必要であるわけであります。あわせて、言うなれば多職種の連携という意味では、それの研修等々に対しても、それは地域への、在宅復帰への支援という形で、こういうものも新たな財政支援措置の中において対応していくということになってこようと思います。あわせて、勤務環境改善という意味でも対応していただくということであります。

 一方で、診療報酬の中においては、今委員からお話がございましたけれども、地域包括ケア入院料というものを新設したわけでありまして、このような中においてしっかりと多様な役割というものに対しての評価というものを位置づけた。あわせて、主治医の評価というものも今般入れさせていただいておるわけでありまして、そのような形でも評価をしていくということでございます。

 いずれにいたしましても、診療報酬とそれからこの基金が車の両輪となって、中小病院が地域の中においてしっかりと機能を発揮していただける、そのような支援をしてまいりたい、このように考えております。

柚木委員 まさに今、基金や報酬改定で地域包括ケア病棟への加算新設等のお話があったわけですが、やはり、実際に加算がちゃんと算定をされているのかどうなのか。それから、経営実態調査で、中小病院は、まさに損益分岐点等もぎりぎりでやっているところが多いわけですね。

 今般の実質マイナス一・二六と言われる部分でどういう状況が出てくるのかということについて、これは本当によくよく注視いただきまして、そうでないと、今回の法案が仮に成立をして、医療分野の機能分化、連携、あるいは、本当に地域包括ケアの取り組みをやろうと思っても、その後方機能を担う中小病院が瓦解するようなことがあっては絵に描いた餅になってしまうわけです。これは本当に、私は、日本の大部分を担っておられる、そして急性期の重要な後方機能を担っておられる中小病院のこの状況についてはよくよく目配りをいただきたいということをお願い申し上げた上で、関連して次の質問に入りたいと思います。

 資料二、三、四が関連でございますが、これは看護師紹介ビジネス。看護師だけではなくて、医師とか、今の医療現場で偏在も含めて不足をしていると言われる人材確保に向けて、ここの記事には、「看護師紹介 二百五十億円市場 競争過熱 転職迫り稼ぐ例も」ということでありまして、実際に看護師さんの四人に一人が就職、転職で利用している、全国の病院が紹介業者に払っている手数料が年間約二百五十億円になる、金券で勧誘とか、転職をしつこく促して、次から次にやめさせて、また再就職させて、手数料をそのときにまた受け取る、こういう業者もあらわれ、競争が過熱と。

 これは言うまでもなく、診療報酬は税金、保険料、患者の窓口負担で賄われていて、そこが原資になって、まさに医療とは直接関係のない業界に流れておりまして、一般の、いわゆる民民の人材派遣会社とは全く異質のことだという認識が必要だと思います。中小病院ほど、二割、三割と言われる手数料が大きな影響を経営にも及ぼしている、こういう状況でもございます。

 これは、まさに四月から消費税が上がりまして、保険料、窓口負担なども上がっていくという中で、国民負担によって成り立つ診療報酬から出る財源が結果的に看護師紹介ビジネスに流れていくというような状況は、私もずっとこの間質問してきた、例えば集合住宅、マンションとか施設とか、そういうところにおける不適切事例ということで最大七五%減算ということをやったわけですが、まさに今回のような看護師紹介ビジネスのような部分についても、これが一律禁止云々ということになると、逆に看護師さんを初め人材不足に拍車がかかってはいけないわけですが、しかし、そうはいっても、不適切と判断をされれば、一定の対応についても今後考えていく必要があると思うんですね。例えば、まさに派遣法が今後議論されるときの一つのポイントは、悪質な業者に対して、そういう部分についての歯どめになるという意味で、例えばマージン公表制度のようなものもあるわけでございます。

 田村大臣、この看護師紹介ビジネス、看護師のみならずこういった紹介ビジネスが、本当に法外な手数料を取ったり、あるいは本当に次から次へと、無理やり、何か気に入らないことがあったらすぐやめろ、そしてまたすぐ紹介して、またそこで再就職すれば手数料が入る、次のページにも書いていますが、就職して、もういいと言っているのに毎日のようにメールが来て、「連日求人メール/現場にしわ寄せも」というようなことも出ておりまして、この状況についてぜひ何らかの対応を早急に講じていただきたい。

 そのための調査が今行われているというのが四ページ目でございまして、職業紹介事業に関する実態調査の概要ということで、六月中には集計結果が出るということでもございますから、しっかりとこの結果にも基づいてしかるべき対応を御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

赤石大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘の認識は私も十分感じているところでございまして、今、民間の職業紹介事業に関する調査におきまして、医師、看護師の紹介の状況についても調査項目を設ける等により、実態の把握に努めております。まずは、こうした調査によりまして医療従事者に係る職業紹介事業の実態を把握した上で、どのような取り組みが可能か、検討してまいりたいと思っております。

 一方、社会保険料等を財源に運営されている医療機関において、適切に看護職員の確保を図るためには、看護師等に関する公的な無料紹介の拠点であるナースセンターの機能強化も不可欠と考えておりまして、ここの強化も図っていきたいと思っております。

 このため、今回の法案においては、離職者等についてナースセンターへの届け出制度の創設、それからナースセンターとハローワークの連携強化、そして地域の実情に応じたナースセンターの機能強化も対象とする新たな財政支援制度、いわゆる基金の創設などの施策を盛り込んで、これからもしっかりと取り組んでまいりたい、このように思っております。

柚木委員 政務官にお答えをいただいた、まさに各都道府県単位で看護協会さんが主体となって行われているナースセンター機能の強化というのも当然重要ですし、基金事業においてもそういった点はしっかりお取り組みいただきたいわけですが、しかし、そういうことだけで本当に大丈夫なのかというわけですね。やはり、この調査結果に基づいて、本当に悪質と思われる部分については何らかのルールを設けていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。六月の調査の結果を私も注視しております。

 続きまして、私がこの間何度か質問させていただきました、先ほどもちょっと例に出しましたが、集合住宅の最大七五パー減算の話です。前回の答弁で、そういった報告が四件上がっているということでございまして、その調査票のフォーマットを五ページ目、六ページ目におつけしているわけでございます。

 私も、実際にどういう地域でどういった状況でこの報告が上がっているのかということでお願いをいたしまして、個人情報的な部分も多少あって資料としてはおつけできていないわけですが、四件の事例をいただきました。

 これを見てみると、例えば兵庫県の事例なんかは、訪問診療を撤退する医療機関に関する事項では、実際にどういう方かというと、寝たきりで意思疎通が困難、一日数回胃瘻対応の方とか、悪性脳腫瘍の影響により排せつ困難、歩行困難、そして認知低下があり、今後、能力の低下が予測される、リウマチによる痛みの積極的なコントロールが必要な方、認知力が高度に障害され周辺障害が多く見られる方、継続的に褥瘡の処置が必要な方とかなっていて、何でやめたんですかという理由は、診療報酬が引き下がり経営継続ができないと。今後、別の医療機関確保の見込みと。まあ、この四例は一応、見込みありになっているんですが、よくよく見ると、今後は医療必要度が高い方の受け入れが難しく、現病によって状態悪化が予測される方に対しても、受け入れる際にどういう対応になるか懸念がありますとか。

 あるいは、もう一件の兵庫の事例も、同じく、診療報酬改定によりグループの事業縮小を決断、その一つとして閉院となった。現状は辛うじて引き継ぐことができた状態であるが、今後継続できるかは確証が持てない状況、緊急措置的な対応が否めないと。

 東京の事例も、これは撤退して影響を受けている方は要介護三以上の重度の方。やめた理由は、診療報酬改定に伴い経営悪化が進み、赤字となるため。こういう状況です。

 もう一件、これは奈良の事例ですが、既に三月三十一日をもって撤退。診療報酬の大幅な減額。こういうような状況なわけですね。

 大臣、これは本当に、ある意味では氷山の一角だと言わざるを得ないと思います。

 そこで、私は、今後のことも含めて具体的に二点ほど提案をさせていただきたいと思います。

 それは、今年度の診療報酬改定、経過措置なしでいきなりこれは七五パー減算というのが導入されたわけですが、今回の診療報酬改定の中で経過措置をつけたものが四十六項目もある、そういうことであります。

 この最大四分の三減算、何でもともとそんな点数をつけたんだということにもなりかねませんし、ドクターフィーをどう考えるのかということにもなりますし、実際、経過措置なしでいきなりこういうような、本当にこれは今後この分野に参入していいのかどうなのか、そういうふうに事業者さんが思ってしまうような状況にならないように、経過措置を設ける設けないについては、私は、ぜひ一定のルール化というか要件のようなものを検討いただけないかなと思うわけでございます。

 もう一点は、これは最大七五パー減算ですから、この間も事例を出しましたけれども、私の地元でも、訪問診療に本当に熱心で、何回も地元で報道されるような訪問診療の事業所が、施設における診療も全部ストップしているんですね。責任が持てない、リスクもとれない、そういうことです。

 ですから、これは、いきなり七五パー減算とかいうのはちょっと行き過ぎではないかとも思うわけで、下げ幅についての一定のルール化というようなものもぜひ御検討いただけないかと思うんです。そうじゃないと参入できないですから、こんなことをやっていたら。

 この二点についてぜひ御検討いただけないかと思うんですが、大臣、御答弁をお願いいたします。

田村国務大臣 まず、要件の見直し等々をやった場合には、今言われたような経過措置を置いているものがあります。

 今般も、例えば、抗不安薬や睡眠薬、抗うつ薬、さらには抗精神病薬の多剤処方、こういうものに関しましては、まさに要件を見直すということでございますから、経過措置を置いております。

 ただ、この案件に関しては、これは要件を見直すわけではないわけであります。もともと医療保険という、先ほど委員がおっしゃられたとおり、これが人材ビジネスの方に流れているのはどうだというお話もございましたが、保険というものの財源が、施設等々への訪問診療というような形の中において、間に紹介ビジネスみたいなものが入って、医療機関に、こういうような施設があるから、たくさん患者さんがいるので、ここに訪問診療すればこれぐらいもうかるから、キックバックしてくれというような話があって、こういうものに対して国会でも議論がございました、やはり何らかの厳しい対応をすべきであると。

 先ほどのお話にも戻るんですが、間に入っている人たちは違法なことをやっているわけではないんですね。これを取り締まることは法律的にはできない。かといって、診療報酬をこの人たちに渡しているわけではないということでございますから、結局は、診療報酬を渡している、言うなれば医療機関に対しての対応になるわけであります。だから、そこが非常に難しいわけでありまして、先ほど言われたところに対してもどう対応していくか、これは難しい部分があると思います。

 先ほど言われたマージン率というものの話もありますが、あれは派遣でありますから、マージン率を示さないと労働者に直接影響が出る。要するに労働者の賃金を搾取しているんじゃないか、そういうような御指摘もいろいろあったものでありますから、マージン率を開示することによって、不当にマージンを稼ぐことはだめですよというような、そういう形の中で開示という形にしたわけでありますが、多分、人材紹介と医療機関という間においては、なかなかそう簡単な話ではないのであろうなと。

 だから、そこも含めて、先ほどの話に関しましては、今ある調査というものをしっかりと分析した上で、どうあるべきかということは検討してまいりたいというふうに思いますが、こちらの件に関しましては、今申し上げたとおり、このような観点からの見直しであります。

 あわせて、実は訪問診療に関しましては、もう既に前回の改正、民主党の改定のときに、同じような案件を四分の一にしているんですね。この同じような案件を四分の一にしているんですが、医学総合管理料に関しましても同じような扱いにしますということをもうその十月の時点から中医協の中で議論を始めておるということがございまして、いろいろな御議論の中で今回の決定になったということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 ただ、一方で、いろいろなお声もございます。医療が提供できなくなって困るのは患者さんでございますので、そういうことも含めて、今、地方厚生局等々で情報を集めて、それを我々のところに上げていただくという中において、もし支障を大きく来すようなことがあれば、そのときにはしっかりとした対応はさせていただきたい、このように考えております。

柚木委員 ちょっと議論を深めたいところではありますが、支障が大きくなったときにはしっかり対応ということはお願いしたいと思います。

 四分の一の数字についてもいろいろ議論もありますし、施設から在宅へという大きな方向感の中でのこの四分の三のマイナスですから、ちょっと私は比較するのもどうかと思いますし、マージン比率の話も、つまりは、その医療機関が倒れれば患者さんに影響が出るわけですから、いろいろな観点から、そこは、私は一つの事例として言ったわけでありまして、工夫をいただきたいということです。

 次に、ちょっと一つ飛ばしまして、バイオ後続品について質問をさせていただきたいと思います。

 ちょっと耳なれない言葉という方もおられるかもしれませんが、私もちょっといろいろ調べてみますと、このバイオ後続品というのは、バイオ医薬品の特許切れに伴って上市される、先行バイオ医薬品と同等、同質の品質、有効性及び安全性を有するもの、いわゆるジェネリック医薬品と同じようなものなんですが、私もいろいろレポートを読むと、実際にはなかなか似て非なるものでもあるようではございます。

 これは、いわゆる化学合成で製造される医薬品とは異なって、バイオ医薬品の場合は複雑な製造過程を経てつくられる上に、非常に複雑な、私もいろいろ分子の式とか見ましたけれども、これはジェネリック医薬品とは異なって、あえて品質や安全性、有効性の同等性を担保する臨床試験を課しているということでございます。

 ですから、実は化学合成で製造される医薬品の後発品であるジェネリック医薬品よりも審査条件は厳しくなっておりまして、先行バイオ医薬品と全く同一でないバイオ後続品ではございますが、有効性と安全性という観点から見れば、実は一般のジェネリック医薬品というカテゴリーのものよりもシビアに有効性が担保されているということでございます。

 ただ、今説明させていただきましたように、バイオ後続品というのが先発バイオ製品と完全に同じものではないということからすれば、いわゆるジェネリックと同じくくりで扱うのがどうなのかというあたりについて整理もさせていただいた上で、さらにちょっとお尋ねしたいんです。

 これは、少なくともバイオ医薬品というものを既に処方されている国民の皆さんには、継続して同じものが使用できるようにすべきだと思うんですね。例えば、小児慢性特定疾患で成長ホルモン治療を受ける、そういう基準等があるわけですが、そういった部分も含めて、やはりしっかりと継続して使っていただけることがなければ、何か途中でそれが中断されてしまうようなことになっては、これは高額であることも含めて、いろいろな状況、本当に国際的に見ても問題のある状況も生じ得るということだとお聞きをしております。ぜひ、仮にバイオ後続品が今後進んでいく場合においても、安易にバイオ後続品に変更させるようなことがないようにする配慮も必要。

 これは、アメリカなどでは、互換性ありというカテゴリーをつくって、途中で代替可能なバイオ後続品を指定できるようなシステムにしているそうですが、現状ではこの互換性ありという条件で承認されているものがないとお聞きをしております。そういう意味では、このバイオ医薬品においての互換性の確保はもちろんのこと、それを担保できる条件というものの策定も非常に難しい部分があるということでありまして、このあたりのルールについては、後発品使用促進ロードマップなどでも、これはしっかりと変更に係る判断基準を設けていただきたいと思うところでございます。

 他方で、新規に処方する場合、これはやはり話が別という部分がございます。新たにバイオ医薬品の使用を開始する場合には、有効性と安全性という観点から見れば非常に高い承認条件が設けられているわけでございますが、これはできるだけ使用されるように促進するべきではないかというふうに考えます。バイオ医薬品市場において、このバイオ後続品の使用促進というのは進んでいないというのが実情であるわけであります。大臣、このバイオ医薬品は高額でございまして、そのことを考えれば、ぜひ、新規に処方される方にはバイオ後続品を使用されるように促す努力をしていただきたい。

 先ほど小児慢性特定疾患の例も出しました。二〇一二年のバイオ後続品の使用割合はわずか〇・八%ということですから、互換性の問題はさきに指摘したとおりでありまして、既に処方されている方の変更というのは検討が必要ですが、新規に処方される場合にはバイオ後続品にしてもらうように促すことでこの数字はもっと改善されるのではないかと考えます。

 御質問でございますが、バイオ後続品の取り扱いのルールと、例えば、事例も出しました、ヒト成長ホルモン剤におけるバイオ後続品の使用促進についての大臣の御見解をお示しいただければと思います。

田村国務大臣 私も、専門家じゃないので、よくわからないところはあるんですが、バイオ医薬品というものは分子構造が巨大で複雑であるということでございまして、先発のバイオ医薬品と今言われたバイオ後続品ですか、これが同じ立体構造をなかなか持てない、違っているというわけでありますので、そういう意味では、臨床試験を改めてやりながら使っていかなきゃならぬというような、そういう複雑なものであるというふうに認識いたしております。

 その上で、とはいえ、やはりバイオ後続品は要は値段的には安い。そういう意味からいたしますと、ジェネリックのようにこれを推奨していくということは重要であろうというふうに思いますが、一方で、今のような話がございますので、ここは臨床上の必要性というものをしっかりと医師の方が御判断いただきながら、この利用というものを促進していく必要があるのではないか、このように考えております。

柚木委員 時間が来たので終わりますが、また午後も質問させていただきますが、本当にまだまだ質問したいことがたくさんある状況でございます。しっかりと審議を進めていただくことをお願い申し上げ、ゆめゆめ採決ということにならないように強く要望申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 委員会開会に先立つ理事会で、まだ審議時間が二十八時間にしか至らない、十九本の法案が束ねられておるわけでありますので、これは一本当たり一・五時間にもならない極めて短い審議時間で、きょう、与党から採決が提案をされたと聞きました。とんでもない不見識であると思います。

 引き続き議論を深めていく、議論を尽くしていく必要があると思っておりますので、きょうの採決、全政党が合意をしない場合の採決ということになれば、これは強行採決という形になりかねないわけでありますので、そういった無理な、強引な国会運営、委員会運営は決してとっていただきたくない、まず、このことを強く与党の皆様方にお願い申し上げておきたいと思います。

 社会保障の充実のために消費税が上げられました。そして、その消費税を有効に使って、今回提出をされているような介護やあるいは医療の充実が国民の皆様から期待をされているわけであります。しかしながら、充実どころか、給付が抑制をされ、サービスが制限をされ、自己負担がふえていくという、国民にとっては大変厳しい内容の法律案であるわけであります。したがって、国民の声を十分受けとめながら審議をし、結論を導いていかなければなりません。

 問題は介護だけでもまだまだ、もう何回も何回もここで繰り返し質疑をしておりますが、まだ国民の皆様が納得できているわけではありません。

 例えば、後ほど質問をいたしますけれども、多様な担い手、多様なサービスということを言いながら、実は、その本質にあるのは、予算、財政、支給の削減ということであります。自然増五%から六%というところを三%から四%に削減する。したがって、要支援切りと我々が申し上げておりますような、介護給付から要支援者のホームヘルプサービスやデイサービスを切り離す、保険の対象外にするという考え方がそこから出されてきているわけであります。

 しかも、資料三の四角の下の方にありますけれども、「短期的には、生活支援・介護予防の基盤整備の支援充実にあわせ、より大きな費用の効率化」ということが示されているわけであります。したがって、短期的にはさらに一層厳しい給付抑制が行われる、単価の切り下げが行われるということが見込まれる法案の内容であるわけであります。

 そのことが結果的に千七百億円以上、しかも短期的にはもっと極めて急激な給付の削減が行われるということについてはまだまだ議論を尽くさなければなりませんし、国民の御理解をいただくまでこの審議は続けていかなくてはならないということであろうと思います。

 したがって、きょう、まだ二十八時間にしか至らない段階での採決ということは決してあり得ないということを改めて申し上げておきたいと思います。

 その上で質問に入らせていただきますけれども、例えば、厚労省あるいは大臣もよくこの委員会でも例示をされた和光市のことを改めて振り返ってみますと、和光市の例というのは、一つは、専門性あるメンバーによる徹底した地域ケア会議による支援内容の吟味ということであります。そして、介護保険を地域包括ケアの大黒柱として位置づけているということでございます。その上で、和光市独自の上乗せサービス、横出しサービスを展開し、健康づくりやあるいは介護予防、重度化の予防につなげているということであって、ボランティアの方々はその専門職の周りで健康づくりなどを中心にいい役割を果たしていただき、御貢献をいただいているということであります。

 まさにこういった体制づくり、和光市のような好事例をつくるために消費税は使われなければならないということを私どもは視察などを含めて学ばせていただいたわけでありまして、そのことをもって給付の削減につなげるような、和光市の取り組みを読み取るようなやり方は間違っていると私は申し上げておかなければならないと思います。

 資料三から五に添付をさせていただきましたように、これは繰り返しになりますけれども、要支援サービスの予算の伸びを今までの五%から六%を三%から四%に抑制する、そしてそれを市町村に義務づける、これが今回の見直しの最大の狙いであるということがこれまでの議論の中でも明らかになりつつあるのだと考えさせていただいております。その結果として、千七百億円の給付抑制が行われる。

 資料六に添付をさせていただきましたけれども、事業費の単価は市町村が決めるということで、訪問型、通所型のサービスは、現在の訪問介護、通所介護の報酬以下の単価を市町村が設定することになっているわけであります。

 どんな分野のビジネスであっても、利益が減れば新規参入者は当然あらわれないわけでありますけれども、この介護の分野において、単価を安くして多様な担い手が参入すると大臣がなぜ考えるのか、私は根拠がわかりません。多様な担い手とは、利用者が自費で利用する民間事業のことで、お金持ちしか利用できなくなってしまうようなサービス展開ということを厚労省や大臣は意味しているのでしょうか。

 介護保険のいわゆるナショナルミニマムというものを崩してまで、今回、多様なサービスという言い方をして単価を下げてしまうということがどうして多様な担い手の参入ということにつながるのか、全く理解できないところでありますが、単価を下げて多様な担い手があらわれると大臣が考える根拠を改めてお示しいただきたいと思います。

田村国務大臣 今回の新しい総合事業ですが、総合事業は今もやっているんですね、そういういろいろな事例というものを見ながら、今般、この新しい制度というものを我々は提案しております。

 和光市の事例をおっしゃられました。我々は和光市だけを言っているわけではないんですが、和光市も好事例であると思います。和光市みたいなことをやっていただけばいいわけでありまして、専門職の方を中心にボランティアが手助けしていただく、そういうサービスを提供いただくのも一つだと思います。

 それも総合事業のうちの一つだと思いますから、そういうものも提供していただけばいいわけでありまして、それで改善しておる和光市を、自分のところ、それぞれの自治体でその事例を見習いながら、やろうと思えばやっていただければいいので、決して我々は和光市のことを否定しているわけではなくて、逆に我々はいい事例としてお示しをさせていただいております。

 それから、費用の伸びを抑制と言われますが、発想が全然違っていまして、あなた方は伸びを抑えるために何か今ある単価を引き下げるというようなおっしゃり方をされますが、全然違っていて、自立をされる、それから介護の予防になっていく、そういうことになれば、当然、要支援のサービス、いや、もっと言うと要介護、こういうものも抑えられるわけでありますし、重い要支援のサービスも抑えられていくわけであります。自立していけば、場合によっては総合事業を受けないという方も出てくるかもわからない。

 そういうことを考えれば、悪くならないようにする、今を維持する、自立をしていただいて、よりよくしていただく、こういうことになれば、当然、そこの部分は、もちろん人数はふえていきますよ、人数はふえていきますからその伸びはありますけれども、それ以外の伸びというところはある程度抑えられていくのではないかということでございます。我々は、悪くしない、なるべく悪くしない、もしくは改善する、そういう中において要は伸びが抑えられていくということを申し上げている。これはもう初めから一貫してそうやって申し上げておるんですが、皆様がそうじゃないようにおっしゃられるので、そこはかみ合わないところなんだろうというふうに思います。

 つまり、これは、我々が医療の方でも申し上げております、健康管理していただく、そして予防に力を入れていただく、こういうことによって医療費の伸びを抑えていこうというのと同じような考え方のもとでここの伸びを抑えていこうということを以前から申し上げております。

 それから、多様なサービスで値段が下がる、コストが下がる。これは多様なサービスですから……(中根(康)委員「単価。単価が下がってなぜ多様なサービスができるのか」と呼ぶ)単価が下がる。多様なサービスですから、要は、今までのように、皆さんが言われているプロという方々、何をもってプロと言うのかというのは難しいんですけれども、皆様が言われているプロと言われる方々以外の多様な担い手の方々でやっていただきますから、その中には、有償ボランティアの方々もおられます、それから、ボランティアじゃないにしても、以前から申し上げておりますとおり、元気な高齢者の方々が要支援の方々に対して対応していただくということになれば、これは当然、その方々の賃金というものは一定程度、あなた方がプロと言われている方々よりかは安くなるでありましょうから、その部分というものに関しては単価が抑えられるということはあるのでありましょう。そのようないろいろなものを利用しますから、そういう単価の安いサービスというものが出てくる。

 一方で、言われている、利用される方々が金持ちしか利用できないというのはちょっと私は何をおっしゃっておられるのかよくわかりませんので、単価が下がれば逆に安くなるのではないのかなというふうに思いますから、ちょっと何をおっしゃっておられるのかよくわからないので、また重ねて御質問いただければありがたいというふうに思います。

中根(康)委員 和光市の取り組みというのは、厚生労働省が考えているものと方向性は真逆だと我々は捉えさせていただいております。まさに、プロ、専門職が、十分研修を積み重ねた方々が十分な知識と経験を生かして必要なサービスを丁寧に提供されておられるということを我々は感じさせていただいております。

 そして、これまでの参考人質疑とか地方公聴会で出された御意見においても、今の法案ではかえって重度化をするのではないか、自治体間格差も生じるのではないかという強い懸念が示されておるわけであります。むしろ、今の大臣の御答弁は、そういった参考人とかあるいは地方公聴会で出された御意見を何ら反映していない、審議が始まったときと全く同じ、一貫しているといえば一貫しているということなんですが、一貫して国民の声を反映していない答弁ということになってしまっているのではないかと心配をさせていただいております。

 例えば、資料二に添付をさせていただきました、これはごらんになった方もあるかもしれませんが、NHKの「ハートネットTV」という番組で放送された内容を私の事務所で簡単に取りまとめさせていただいたものでございますけれども、これは、武蔵野市がこういう検討をされたという放送内容でございました。

 ホームヘルプの委託料を、一時間二千五百四十円から二千二百円に引き下げを提案。これで何が起きたか。事業所では、ホームヘルパーの時給を、千二百円から、東京都の最低賃金の八百七十円に引き下げざるを得ない、こういうことを検討した。最低賃金以下に下げることはできないわけでありますので、それでも、八百七十円でも採算はとれないという結論に事業所の中では至ったということで、要支援サービスから撤退を検討せざるを得ないということになるわけであります。

 こういった単価の切り下げで事業所が撤退をする、専門職が撤退をする、そして、ボランティアがやるしかないという状況に厚労省のこの法案は追い込んでいるのではないかと考えさせていただいております。

 今回の改正は、多様な担い手と称されるボランティアがやるしかない状況に自治体を追い込むということではないでしょうか、大臣。単価の切り下げということはこういうことにつながるという事実をしっかりと認識すべきではないでしょうか。いかがですか。

田村国務大臣 だから、専門職の方々がやっちゃいけないと我々は一言も言っていないですよ、総合事業を。専門職の方々が入っていただいていいんですよ。つまり、和光市のやっておられるような事例、専門職の方々が入っていただいて、ボランティアがそこに協力いただいて事業展開していくのをやっていただいていいんです。我々は、プロがやっちゃいけないなんて一言も言っていないですよ。だから、それでいいじゃないですかという話をしているんです。

 その上で、あなた方はちょっと正確な……(発言する者あり)話を聞いてください、これは今でも自治体、武蔵野市が単独でやっている事業ですよね、介護保険じゃないですよね。単独でやられている事業なんですよ。単独でやられている事業を、値段を下げると提案したらしいです、武蔵野市が。ところが、この事業者はこれじゃやれないと言って断った。当たり前ですよ、今、人が足らないんですよ、足らないときにそんな事業をやろうと思ったら、事業なんかできるわけないじゃないですか。これは結局受けなかったんです。(発言する者あり)いや、これは、武蔵野市が提案したのをこの事業者は受けなかったんです、これは無理ですと。

 だから、当たり前の話で、今そんな提案をしたら、事業ができないですから。当然のごとく、そんなものはやれるわけがないんですよ。我々は、やろうと言っていませんよ、そんなことを。

 だから、そういう意味からいたしまして、我々は、決してそういうサービスをやっちゃいけないと言っているわけじゃない。多様なサービスがあるから、家事支援も、今行っているようなホームヘルパーさんじゃなくて、例えば、ケアマネジメントをする中において状態像を見て、この方ならば、言うなれば多様な担い手の方が家事支援をやってもいい場合は、私は先ほども言いましたでしょう、例えば高齢者でも元気な高齢者、そういう方々が、一定程度の研修をしていただきながら、そういうところで家事支援をやっていただくということはあるわけであります。そういうサービスの方はそういうサービスでいいし、しかし一方で、例えば退院してすぐなんという方々は、やはりある程度専門職の方々、ホームヘルパーの方々にいろいろなケアをしてもらわなきゃいけないということになれば、それはちゃんとした給料を払っていただく、そういうサービスを提供いただければいいので、我々は、決して安くしてくださいなんて言っているわけじゃないですよ。

 それは、それぞれのニーズに応じたサービスを提供してくださいと申し上げておりますので、全くもって、あなた方が言っていること自体が、私が申し上げていることとは一致していないということでございますから、そこは御理解ください。

中根(康)委員 単価の切り下げを要請しているというか義務づけているのは、厚労省のこの法案なんですよ。大臣自身が御提案をされておられるわけなんです。

 我々は、プロであったり専門職の方とボランティアの方が有機的に連携して地域包括ケアを構築していただくということは大切だと思っています。それは大臣と同じ認識だと思いますけれども、今回の単価の切り下げでやむを得ず事業から撤退せざるを得ないということ、繰り返しになりますけれども、その単価の切り下げを義務づけている法律を今提案しているのは大臣なんですよ。

 大臣がそういう法案を提案しているから、武蔵野市が試みに検討してみたら、千二百円を八百七十円にした、東京都の最賃、しかし、それでも採算がとれないということになって、要支援サービスから事業を撤退せざるを得ないということを検討しているわけであります。

 そのことによって、それこそ最賃以下の賃金が定着してしまう、今極めて問題になっている介護・福祉分野の処遇の改善が全く実現されない、反対の方向に行ってしまう、低賃金が定着をしてしまうということになるわけであります。

 そして、地域での支援もなくなる、地域包括ケアもできなくなる、定期巡回・随時対応もできなくなる、特に夜間の対応、二十四時間サービスはできなくなる。しかも、今、老老介護、認認介護、老障介護、あるいは独居という極めて厳しい高齢社会の中の状況があるわけでありますし、家族の方も、家族の介護によって離職せざるを得ないという現実もあるわけであります。

 こういった負の連鎖を引き起こしかねないというのが今回の法案の中身。そして、その最大の問題が、この単価の切り下げ、多様なサービス、多様な担い手というきれいな言葉に包み隠された給付の抑制、消費税を上げるにもかかわらず単価を切り下げるというところにあるということ。

 大臣、もし反論があるなら、もう一度言ってください。

田村国務大臣 誰も単価を切り下げてくださいと頼んでいません。(発言する者あり)

 いいですか。先ほど来言っているとおり、多様な担い手がいろいろな担い手になってサービスを提供するわけですよ。当然、その中には、有償ボランティアでありますとか、いろいろな方々が入ります。その方々は、当然のごとく、ヘルパーさんとは違う方でありますから、今よりも単価は下がることはあるでしょう。しかし、今ヘルパーさんらがやっているサービスに関して、単価を下げてくれとは我々は言っていない。逆に、我々は、そこはガイドラインとして基準を示していこうということであります。

 その上で、まず、財源構成は介護保険と一緒ですよ。しかも、今までと同じように、ちゃんと一号被保険者の方々の所得の格差に合わせて財政調整もしますよ。ですから、財源は同じです。

 ある程度抑えていくというのは、これは先ほど来言っておりますとおり、悪くしない、改善する中において全体の給付を抑えていくということはあるでありましょうけれども、そういうことを目指して全体の給付を伸びないようにしていこう、これは健全なことだと私は思いますよ。

 だから、それがそんなに何が悪いのかよくわかりませんし、一律のサービスだけではそれはだめだ、いろいろなサービスが欲しいというニーズもあるわけでありますから、そういうものの提供もしていく。それでいて、そのような専門家のサービスが必要な方々には、それはケアマネジメントをしてそれをちゃんと提供するようにしていくわけでありますから、先ほど来、どうも議論がかみ合っていないわけであります。

 さらに申し上げれば、なぜ二十四時間型の定期巡回・随時対応型サービスが下がるんですか。これは要介護の方で、要支援の方々は受けられませんよ。だから、そういう意味で、要介護の方々の待遇と何でこの要支援が一緒になるのかよくわかりません。

 そもそも、先ほど言っておりますとおり、賃金を下げたら、当然、今、介護従事者の方々も含めて非常に雇用はタイトになっていますから、それは来手がなくなります。そういう方々は、今、有効求人倍率はあるんですから、ほかのところに働きに行きますから、高いところに行きますので、そもそもそんなことが起こり得ない。逆にサービスが提供できないですから、そのような単価では、要するに、そのような賃金ではそれはできない。もちろん、サービスの中において効率をよくして単価を下げるという企業努力はあるかもわかりませんが、そもそも、労働者の方々、働く方々にそのような賃金を提示すれば、それはほかのところに行っちゃいますよ。

 そういうことを前提で申し上げていますから、それはその単価でやっていただいていい、ガイドラインにそう書いてある。

 だから、多様な担い手の中で、下がるサービスはあると思いますよ。ただ、それはケアマネジメントで、言うなれば必要な方々にはそのようなサービスが行くわけでありまして、それは、今言われておられるような、あなた方がプロと称されておられる方々のサービスはそれではないということであります。

中根(康)委員 一般企業でも、利益が減れば、給料が下げられる可能性が大きいわけであります。それに該当するのが、介護の分野でいえば報酬単価というものであるわけであります。これが下がれば、給料は下がるに決まっているじゃないですか。今大臣は、給料が下がっても、今有効求人倍率が高いから人は集まると。これは残念ながら大変問題の多い御答弁だったと思いますよ。給料が下がっても、あなたたち、そこで働かざるを得ないじゃないかというような御答弁であったと思います。(田村国務大臣「違うよ。うそついちゃだめだよ。そんなこと言っていないよ」と呼ぶ)そんなことは言っていないとおっしゃいますけれども、事実、書いてあるじゃないですか、資料に。では、これはどうやって読み取るんですか。

 今までの法案の中身でも、あるいは全国の担当者会議においても、単価の切り下げ、今の報酬以下にするということを明言しているじゃないですか。五―六%から三―四%に引き下げる、しかも短期的にはもっと大幅に引き下げるということを厚労省の資料に書いているじゃないですか。これはどういうふうに説明を、もしそうじゃないとするならば、これは改めて厚労省から御説明をし直していただいて、審議を一番最初からやり直さなきゃいけなくなりますよ、大臣。

田村国務大臣 まず、よく話を聞いてください。有効求人倍率が高いということは、人が来ないんです。つまり、低い条件を示したら人が来ないんです。だから、低い賃金を示したら人が来ないですから、事業が成り立たないんです。ですから、その単価では事業者は受けないんです。だから、そのような単価は示せないんです。いいですか。(中根(康)委員「示さざるを得ないんです」と呼ぶ)違います。

 ここに書いてあるのは、現行の単価以下。これは何を言っているかというと、今の介護保険の単価以上を設定されたらこれは逆に困るでしょう、介護保険で示している単価、ここは何とか維持してくださいと。つまり、これより高いのはだめですよというのを言っているわけであって、だって、これ以上高くなっちゃったらどうするんですか。介護保険の単価より高い単価で総合事業をやるんですか。(中根(康)委員「あり得るんじゃないですか、それは」と呼ぶ)あり得ないでしょう、そんなのは。

 要介護者の方よりも要支援者の方が高い単価でサービスを提供する、それはちょっと私は理解ができません。やはり今の単価は維持してください、それより安くなるのは、企業努力がありますでしょうから、それは企業努力してうちは安くできますよというならやっていただけばいい。

 ただ、今も言っていますとおり、今有効求人倍率が高いですから、失業率が低いですから、そんな安い賃金で募集しても来ません。だから、企業努力以上に安くして安く使おうなんということはできないわけであります。これはもう普通に考えればおわかりになられるんじゃないですか。

中根(康)委員 改めて最後に、時間が来ましたので整理いたしますと、単価を切り下げてお給料が低くなれば人は集まらない、集まらないと事業は展開できない、事業が展開できないとサービスが行き渡らない、そうすると今の要支援者の状態がより重度化しかねない、あるいは介護離職とかそういうさまざまな問題を引き起こしかねない。必ずそうなるとは限りませんよ、限りませんけれども、そういう可能性やおそれがかなり高いということを、これまでの参考人質疑とか地方公聴会でも、有識者の方、現場の方からお示しいただいているわけでありますので、そのことに誠意を持って厚労省は応えなければならないのではないかということを申し上げているわけであります。

 もうこの後の質問者に譲りたいと思いますが、まだまだやはり議論は尽くされない、すれ違いといえばすれ違いなんですけれども、このすれ違いを何とか埋めていくためにはもう少し時間が必要だということを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 今のやりとりを聞いておりまして、大臣に申し上げたいのは、野党の懸念を全否定して、それはないということでなくて、少しはそういうこともある可能性があるのではないかということも受けとめて、いろいろ御検討をいただきたい。就学援助のときも、生活保護の水準が下がって、そういうことはないようにするんだ、大丈夫だと言って、結局大丈夫でなかったわけでありますから、万全の、この国会で出た野党の懸念についても役所の中でもう一回受けとめて、果たしてどういうそうならないための策があるのかというのも真摯に御検討いただきたいと思います。

 まずは、今回は法案が、閣法と議員立法が出ておりまして、その議員立法については、介護職員と障害福祉職員の人材確保特別措置法案というものも出ております。この議員立法について、処遇改善の法案でありますけれども、法案提出者に、その中身と、なぜ賃金の上昇というのが必要なのか、これについて説明をいただければと思います。

山井議員 長妻委員にお答えをさせていただきます。

 今の田村大臣と中根委員の質疑を聞いておりましても、やはり介護、障害者福祉を支える基本はまさに働く職員の方々でありますから、ただでさえ低い職員の方々の給料がこれ以上低くなってしまうと人が集まらなくなってしまいます。そういうことがあってはならないというのは、与野党を超えた、この厚生労働の委員のみんなの共通認識であると思っております。

 さらに、高齢者に対する介護、そして障害者の方々に対する福祉の仕事というのは、世の中にある仕事の中でも最もとうとい、かつ大変な仕事だと私は思っております。その意味では、ぜひとも、今この場において、私たちの総意で、介護職員、障害者福祉職員の賃金を上げていく、そういうことを与野党を超えて取り組んでいくことが必要だというふうに思っております。

 さらにつけ加えますと、安倍総理も賃金引き上げということを強く経済界にも要請されておりますが、恐らく全国の障害者や介護現場の方々からすると、ニュースを見るたびに、何か世の中はベースアップ、賃上げ賃上げと言っているけれども、自分たちだけは取り残されている、ただでさえ賃金が低いのに自分たちは取り残されている、そういうつらさ、寂しさを感じているのではないでしょうか。

 今こそ、消費税もアップされたわけですから、介護、障害者福祉の職員の方々の賃金を、しっかりと私たち国会の力で引き上げていく必要があると考えております。

長妻委員 ありがとうございます。

 そして、今回、閣法は、医療介護総合確保法案ということで、二十本近くの法案が束ねられているわけです。議員立法の山井提出者にこの閣法についても意見をお伺いしたいんですけれども、今回の閣法についてどういうふうにお考えになっておられますか。

山井議員 長妻委員にお答えをいたします。

 昨日の参考人質疑でも京都ヘルパー連絡会の浦野さんがおっしゃっておられましたように、今回の政府案の一つの問題点は、あたかも、今、デイサービスやホームヘルプでプロの職員がされている仕事を、ボランティアの方々でも同じような介護をできると言わんばかりの内容になっている、やはりそれは問題だと私は思っております。

 今、全国百六十万人の要支援の高齢者を支えておられるデイサービスやホームヘルプのプロの職員の方々は、ただでさえ安い給料で精いっぱい献身的に愛を持って働いておられるわけでありまして、その方々の待遇を確保していく。そのためには、田村大臣も答弁されておられますように、もちろんプラスアルファとしてはボランティアというのは当然あっていいと思いますが、和光市の例が示しておられますように、やはり中核は今までどおりしっかりと専門職でなければならないと思っております。

 きょう配付されております中根委員の資料の中にしっかりと、一月二十一日の全国厚生労働関係部局長会議では、五―六%の伸びを三―四%に抑制するという資料が既に配付をされております。そして、「短期的には、生活支援・介護予防の基盤整備の支援充実にあわせ、より大きな費用の効率化」ということが書かれております。

 それに続きまして、五枚目では、「国として法に基づくガイドラインの中で、すべての市町村が要支援者のサービス提供を効率的に行い、総費用額の伸びを低減させることを目標として努力することを記載。」と、一月二十一日の部局長会議の資料で書かれております。

 それに基づきまして、二月二十五日の全国介護保険課長会議におきましては、「サービス内容に応じた市町村による単価設定を可能とする。国が定める単価(現行の予防給付の訪問介護、通所介護の報酬相当)以下の単価を市町村が設定する仕組みを検討。」というふうに、そういう意味では、来年四月以降は単価を上げることは許されない、下げる意味で自由にということでありますから、やはり単価を下げる上に伸びを抑制するということは、介護職員、障害者福祉職員の賃金が下がるのではないかと不安が高まるのは当然であります。

 しかし、ここにおられる委員の先生方は、皆さん、給与を下げるなんてことは恐らく考えておられないと思います。

 そういう意味では、この政府案、閣法とは別途、私たちの思いとして、介護や障害者福祉の現場で働く方々の賃金は引き上げるという法律をしっかりと成立させる必要があると考えております。

 以上です。

長妻委員 どうもありがとうございます。

 本日は警察の方にも来ていただいているんですが、辻生活安全局長にお伺いいたしますけれども、昨年の一年間で、認知症で行方不明になった方でお亡くなりになった方というのは、数字は出ましたか。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年中の数字につきましては現在集計中でございますけれども、あくまで暫定的なところでお答えさせていただきますと、平成二十五年中にその所在が確認されました認知症に係る行方不明者のうち死亡が確認された者の数は、約三百九十人ぐらいになる見込みというふうに見ているところでございます。

長妻委員 これは初めて出た数字だと思いますが、一昨年は三百五十九人が、認知症で行方不明の届け出が警察に出て、亡くなったことが確認された、それよりもふえて、昨年は三百九十人ということであります。

 この三百九十人の内訳を、厚労省と情報交換をして、要支援の方が何人いるのか、あるいは御自宅なのか施設なのか、どこから行方不明になられたのか等々、これは何とか防ぐことができなかったのか、この研究を、田村大臣にも要請しておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 やはり今回の法案で不安なのは、要支援、介護予防と言われる部分を事業にすることで初期の認知症予防が手薄になるのではないのか、これは本末転倒である、こういう強い問題意識を私自身は持っております。

 先日も、地方公聴会で私は山梨に行ってまいりましたけれども、公述人の四人、与党推薦の方も含めて、今回、予防給付が事業になることでさらに予防が強化されるというふうにおっしゃった方はどなたもおりません。地方にばらつきがある、あるいは全体として低下するというふうに口々におっしゃっていただいたわけでありまして、そういう意味でも、きょう採決ということは、まだまだ論点がありますので、ぜひそれは避けていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 そして、もう一つ、まだ議論し尽くされていない具体的な論点を挙げますと、配付資料一ページ目でございますけれども、これは中島委員もこの委員会で指摘をされたと思いますが、例えば要支援一の認定が、六十五歳以上、人口当たり、非常にばらつきがある、都道府県によっては三倍、四倍の違いがある、こういうようなことがこの表から読み取れるわけでございます。

 そこで、田村大臣に、なぜこんなにばらつきがあるのか、これは分析結果が出たと聞いておりますので、それをお答えいただければと思います。

 警察の方は、これで結構でございます。ありがとうございました。

 田村大臣、お願いします。

田村国務大臣 総合事業に関してはいろいろなお声はありますけれども、総合事業自体はやはり成果が出ている地域があって、そういう好事例をどうやって横展開していくかということであります。財源は先ほど言ったとおりしっかりと確保する中において、好事例も含めて、そういう御心配等々、これはコーディネーター等々の支援もありますから、初め、全否定とおっしゃられましたけれども、そうじゃないんです、全否定ではないんです、そういうようなばらつきが出る可能性があるというのは我々も受けとめておりますので、そうならないようにしっかりと対応させていただきたいというふうに思っています。

 今、要支援のばらつきがあるというお話がございました。これはやはりそれぞれの地域において違うわけでありまして、高齢者の方々が社会に参加する機会の多いところ、こういうところは比較的要支援というものは少ないという部分があります。

 それからあと、家族の形態、世帯がどういうふうな状況であるか。家族の方々がしっかりと高齢者の方々に対して対応できればあえて要支援のサービスを受けなくてもいいということがあるわけでありまして、そういうような影響もあります。

 あわせて、介護予防の取り組み状況、こういうものもそれぞれの地域によってばらつきがあるわけでございまして、そのような観点から、要支援というものに関してはばらつきが出てきておるという部分もあろうと思います。もちろん、高齢化率等々もあろうと思います。

長妻委員 非常に精緻な分析というよりは、何となくそうじゃないかというようなお話なんですね、いまだに。これだけ差があることについて、私は、今回の給付から事業になってどういう影響が出てくるのかということを懸念するわけです。

 そこで、四ページ目の資料を厚労省につくっていただきまして、こういう資料は余り結果としてはないのではないかと思いますけれども、つまり、ホームヘルパーさんがどこの県が薄くてどこの県が厚いのか、こういう表をつくっていただいたんですね。六十五歳以上の高齢者千人当たりのホームヘルパーさんの数ということでございます。

 これを見ていただきますと、四国は全部十人以上で、非常に厚くなっている。大阪が一番厚い二十六・八人。東北の方に行くと薄くなっておりまして、最小が茨城県の六・七人。これは四倍ぐらいの差があって、このホームヘルパーさんの地方の偏在というのも大きな問題になっていることも、今回、よくよく考えて政策を進めないといけないと思います。

 そこで、例えば最大が大阪、一応ホームヘルパーさんが最も多い、一番少ないのは茨城県、これを一ページ目の表とちょっと照合してみますと、茨城と大阪というのが横にちょうど並んでいるんですね、一ページ目の右の方に。茨城が要支援一の六十五歳以上の人口当たりの認定率が一・〇%ちょっと、大阪が三・五%前後ということで、三倍ぐらい差がある。大阪が最大級で茨城県が最小級というようなことで、これはまだまだ精緻な分析が必要だと思いますけれども。

 つまり、要支援の認定率の差というのは、おっしゃったようなこともあるかもしれませんけれども、もっと分析しなきゃいけないのは、ホームヘルパーさんが多いと、予防給付がきちっとできる体制があるから要支援を認定される申請者が多くなってきて、そして認定率が高い。そして、ホームヘルパーさんが少ない、つまりサービスが薄いところは、申請しても、認定されてもサービスは余り受けられないから、認定率が結果として低くなる。

 こういう推論も成り立つのではないのかというふうに思っておりますので、この四ページ目の表と一ページ目の表を比べて、こういう分析もぜひしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでございますか。

田村国務大臣 ホームヘルパーさんが多い少ないというのはいろいろな理由があると思いますが、一つは、都市部を抱えるところはやはりホームヘルパーさんは多いと思います。それはやはり回りやすいという部分がございますから、提供事業者の方も比較的提供しやすい。それからあとは、高齢者向けの住まい、それから施設サービス、こういうところが充実しているところは逆にホームヘルパーさんが少ないということもあるのでありましょう。

 ただ、今委員が、ホームヘルパーの方々が多いところは要支援の認定率が高いというようなことをおっしゃられましたが、主力はやはり要介護者へのサービスでございますので、要支援者に直接影響がどこまで出るかということはなかなか言えないのではないのかなというふうに思います。

長妻委員 これはちょっと調査ぐらいは、相関関係の分析をぜひ本当はしていただきたいと思うんですよ、ざっと見るとある程度相関関係があるように見えるので。ただ、精緻に、本当に相関関係があるのかどうか、そういう観点からも見ていただきたい。

 というのは、今回、予防給付が通所と訪問については事業になるということで、ということは、要支援の認定率がどう変わるか。私は、要支援の認定率はかなり下がってくると思います。なぜかというと、要支援の方で、通所と訪問のみであれば、認定を受けなくても事業でサービスを受けられるわけですよ。そういうことになる。つまり、多くの方が要支援の認定を受ける必要がなくなる。

 要支援の認定率はかなり下がる、こういう認識は大臣もありますか。

田村国務大臣 これは一概には言えないと思いますけれども、今言われた訪問介護それから通所介護等々、こういうものは、チェックリストでやったらこちらの方が早くサービスを受けられますので、そういう意味では、こちらの方が便利だということになって、そういうサービスを受けられると思います。(長妻委員「サービスの質が違う」と呼ぶ)

 サービスの質が違うというお話がございましたが、もっといいサービスを受けたいと思われれば、要介護認定は避けてはおりませんので、要介護認定申請を出していただいて、要支援なのか、そのときには要介護一かもわかりません、そういう認定を受けていただいた上で適切なサービスを受けていただければいいと思います。

 いずれにいたしましても、御本人は要介護認定審査を受ける言うなれば申請をすることはできるわけでございますので、申請を出していただければ、そのときには要支援という形になると思いますけれども、それ以前のサービス、これで十分だという形であれば、それは、言われるとおり要支援というふうな形にはならないという方々もおられると思います。

 ただ、どういうような行動が出てくるかというのは我々はまだ把握できておりませんので一概には言えませんが、委員がおっしゃった意味は、そういう意味でおっしゃったのであろうというふうに理解をさせていただきます。

長妻委員 そうであると、懸念されるのが、要支援ということを受けなくてもサービスが受けられるということで、実は、リハビリとか認知症デイとか、要支援でも給付のまま残るサービスもあるわけで、そこが受けにくくなる可能性があるんじゃないのか。そういうことや、あと、先ほどのホームヘルパーさんの数、つまり介護の供給量に応じてこれまで要支援の認定、つまり申請者の率が変わってくるということがあるとすれば、今度は、きちっとした、要支援の認定という目に見える形でサービスが提供されるというふうにはならずに、これは事業ですから、要支援の認定がなくても通所と訪問は受けられるということになるので、供給量が少ない自治体でかなりその部分が絞られるのではないのか、こういう強い懸念もあるわけでありますので、これは十分注意をしていただきたいと思います。

 今回、もう一つ、資料としては五ページ目でありますけれども、これを私も拝見して驚くんですけれども、一次判定と二次判定でどれだけ差があるか。

 一次判定というのは、コンピューターというか、プログラム上で機械的に判定をして、二次判定は審査員の目が入って判定をするということですが、二〇一二年度、重度に変更した、第一次判定から第二次判定で介護度が重くなった割合は、最大が京都府の一八・一%、最小が山梨県の四・八%、四倍も違いがある。軽くなった方が、最大で宮崎県が八・〇%、長野県が〇・五%で、十六倍も違いがある。こんなに違いがあるというのはどうしてなのか、分析はされておられますか。

田村国務大臣 若干先ほどの要支援のお話に戻らせていただきますけれども、先ほど申し上げたのは、仮に要介護認定をしなくても十分に適したサービスを受けられればそれでいいわけでありまして、それで要支援の方々が減るということは何ら問題がないんだろうと思います。

 ただ、必要にもかかわらず、委員がおっしゃられる意味は、それで悪化するではないかということが起これば、要支援者が減ったのは一時期の問題であって、要介護者がふえてきますから、そういうものを我々は目指しているわけではなくて、我々が先ほど言った、要支援者がそれによって見た目減るということが、その後、要介護認定で悪化はしないというようなことが前提でなければならないということは、重ねて申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 今、二次判定のお話が出ました。特記事項や主治医の方々の意見書に基づいて二次判定をするわけでございますけれども、なかなかこれは、それぞれの年齢構成や世帯構成、社会的状況等々、それぞれ、判定される方々、受ける方々の状況も違うわけでありますが、あわせて、判定される方々の委員の専門性でありますとか経験年数、こういうものも違うわけでありまして、そういう意味では、ばらつきがどうしても出てきておるという部分は否めないわけであります。

 しかしながら、そういうばらつきをいかに減らしていくか、こういうことを我々は努力していかなければならないというふうに思っておりますし、これは、判定をされる方々のそれぞれの状況、それから受ける方々のそれぞれの状況、それぞれにおいて各地域によって違いがあるんであろう、このように認識いたしております。

長妻委員 一次と二次のばらつきというのもあると私は思いますが、ただ、限度というのがあると思うんですね。十六倍とか四倍とか、これをちゃんと分析しないまま給付から事業にぱあっと投げてしまうと、いろいろな問題が起こるんじゃないのか。

 先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、私も現場に幾つか聞いてみると、今回、給付から事業になったときに、要支援認定というのはお金がかかるわけですよ。認定するというのは、お医者さんが立ち会ったり、結構費用がかかるので、訪問と通所だけを望む要支援の方は、それは地域包括支援センターは、いや、認定は受けないでも受けられるんですよ、こういう話になるわけで、御本人が認定してほしいと言っても、なかなかそういう方向にはならないようになるだろうと現場では非常に懸念をされておられる。しかも、認定も受けられずに、サービスも薄くて、実はサービスがありませんから、健康な人と一緒に何か運動を、一緒に趣味の会とかそういうところに入ってください、こういうようなことが起こりかねないというふうにおっしゃっておられる現場の方もいるので私はこれを申し上げているんですけれども、ぜひそうならないようにしていただきたい。

 もう一つは、来年の四月から給付が事業になるわけですね。そのときに、一応三年の猶予期間があるわけでありますが、実際に猶予をするときには、来年の四月から事業でスタートする場合はそのままスタートすればいいんですが、猶予する場合は、自治体、議会で条例をつくらなきゃいけない。

 それで、今どういうことが起こっているかといいますと、厚労省の意識は、三年の猶予があるから、それはちゃんと整備して移行してもらえばいいという意識なんですよ、担当者の方と話すと。ところが、地元とか各自治体の担当者に幾つかお伺いすると、日本の自治体の方はもちろん真面目ですから、来年の四月にほかの自治体がスタートしたときにうちがスタートできなければ、仕事が遅いと思われ、人事評価にも響くということで、しかも、猶予期間、来年四月にもスタートしなければ条例をつくらなきゃいけないということで、無理に来年の四月にもスタートしなきゃいかぬということで、今急ピッチでやられている自治体もあるわけですね。

 体制がきちっと整ってないのに、来年の四月にほかの自治体がスタートしているのにうちだけ猶予だと怒られちゃう、条例も通さなきゃいけない、議員からも責められるということで、非常にそういうまずい状況が今起こっているんじゃないかと私は思いますので、大臣の方からも、この三年というのは別に、本当の猶予期間で、来年の四月に絶対にスタートするということではないんだ、こういうメッセージを明確に発していただかないと非常に大きな混乱が起こると思いますので、お願いいたします。

田村国務大臣 まず、要介護認定のお話でございますが、これに関しては、例えばケアマネジメントは専門職の方々が地域包括支援センターでやります。ですから、チェックリストを受けた後もケアマネジメントをやりますが、そのときに、この方は要介護一かもわからないという場合には、やはりそれは認定を受けた方がいいですよという話は出てくると思います。

 あわせて、そのときに、例えば先ほど認知症のお話もございました。この方は認知症初期集中支援チーム等々の支援を受けた方がいいなでありますとか、認知症疾患医療センター等々に行って認知症の診断をした方がいいなというふうな場合には、もちろんそれはいろいろと御本人との相談になると思いますけれども、そのような認知症に向かっての予防また対策、こういうことのアドバイスもあろうと思いますので、そういう意味で、専門職の方々が介在するところに非常に大きな役割があるというふうに御理解いただければありがたいと思います。

 その上で、今の話でございますけれども、これに関して申し上げれば、それは早い方がいいのは当たり前でございまして、早くから総合事業に取り組んでいただきたいと思います。

 ただ、できないのに、早くから、猶予期間を使わずにという話になると何が起こるかというと、今の予防給付を提供いただいている事業者は、新しい総合事業の事業者にこのまま自動的になられるわけであります。でありますから、今のサービスだけになってしまう。

 我々が望んでおるのは、今のサービスプラスアルファ多様なサービスをおつくりいただいて、いろいろなニーズにお応えいただきたいということでございますから、今と同じサービスがそのまま提供されるということは我々の望んでおる方向ではございませんので、それならば、やはり猶予をとっていただいて、条例等々でしっかりと多様なサービスというものを準備いただいて、それからスタートしていただく。

 もしくは、併用しながらスタートしていただくという方法もあると思います。一定程度は今の事業をやりながら、新しいサービスをつくって、それをだんだんふやしていく。これから新しい総合事業に入ってこられる方々がどんどんふえてまいりますから、そのようなニーズにもお応えをいただくというような方向もあろうと思います。

 いずれにいたしましても、これからどのような方向で移行していただくか、我々もきめ細かくいろいろな御相談には乗らせていただきたい、このように考えております。

長妻委員 今おっしゃったのも、それは今と同じサービス、来年の四月以降も一定の期間ということなので、その一定の期間というのはまだ曖昧なんですね。いつ、一定の期間はどうやって決まるのか、それはどのくらいの長さなのか。まだまだ詰めなきゃいけないことがたくさんあるわけであります。

 いずれにしても、端的に今回の予防給付の事業への切り離しを言うと、私が会った現場の人あるいは専門家の方で、今回、給付から事業になることで、要支援の方に対する予防が強化されるとおっしゃった方は一人もいないわけですよ。

 そういう、本当によくなるんだ、強化されるんだと言う方がほとんどいない中でこれを強行されるというのは、私は、ベーシック、ナショナルミニマムの部分は残して、そして上乗せのサービスをしていく、それをさらに強化していくというのが本来あるべき姿だと思いますので、これだけ専門家、現場が懸念を持っているものを強行するというのは将来に禍根を残すと思いますので、大臣、ぜひ考え直していただきたいと思います。よろしくお願いします。

後藤委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。

 私も、地域医療介護法案につきましては、まだまだ審議が不十分である、全くもって不十分であると考えております。

 きょうは、看護師さんの特定行為、それから診療放射線技師の業務の範囲の拡大、そして医療による死亡事故が起こったときの第三者機関にターゲティングして議論を深めてまいりたいと思います。

 まず初めに、看護師の特定行為についてなんですが、お手元に資料を配付いたしました。

 これは役所の方からいただいている資料なんですが、特定行為に含まれる行為のイメージということで、ずらずらっと四十項目ほど並んでいるわけでありまして、ゴールデンウイーク前にも、私は、この中で、病態に応じたインスリン投与量の調整ですとか脱水の程度の判断と輸液による補正、このあたりについて指摘をさせていただきました。

 また、先般、山梨県におきまして、山梨県の医師会の会長さんは、人工呼吸器の調整につきまして懸念のコメントを述べておられました。

 先般の原医政局長の御答弁によりますと、例えば脱水の程度の判断に関しては、腎臓の悪い方の場合は、過度な水分の投与をしてしまうと水があふれるような状態になると。水があふれる、これは本当に健康状態あるいは生命にも非常に危険な状態を及ぼすということだと思います。そういった非常にリスクのあることだと思うんですね。

 もちろん、それをうまくコントロールするように研修を受けられるということであると思うんですが、一体どういうところにリスクがあってということが私ども国会議員に、それは医療の専門家としての国会議員の人もいますけれども、患者としての立場を代弁する国会議員もいるわけですから、そういう意味で、そのあたりのリスクについてのきちんとした説明も必要だと私は考えます。

 そこで、また山梨県の医師会長が言われていた人工呼吸器について、「人工呼吸器モードの設定条件の変更」というのがこの資料の中にあるんですが、これにつきまして、どのような行為であって、どのようなリスクがあるのかということについて御説明いただきたいと思います。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の資料でいきますと、左側の上から四番目のところにモードの条件の変更というのがございます。

 この人工呼吸器のモードの変更というのはどういうことを考えているかといいますと、人工呼吸器ですので、一分間に何回人工呼吸をするかという呼吸の回数でありますとか、それから同時に流す酸素の濃度をどれぐらいにするかとか、あるいは一回の呼吸の換気量、一回にどれだけ入れるかという量の問題とか、そういうような形のものの変更を考えているということでございます。

 これらの設定を変更することによって、突き詰めればいろいろなリスクはあるわけです。

 例えば、人工呼吸器というのは、ある意味、外から強制的に空気を入れ込んで吸い出す、こういうような操作になるわけですけれども、自発呼吸が出てきた方にとってみれば、ある意味では邪魔になるわけです。自分が吸いたいと思っているときに中を引っ張られたのでは、正しい呼吸にならない。そういうような呼吸がうまく合わないような場合には、十分な酸素と二酸化炭素のガス交換ができなくて低酸素血症になったりする、そういうことも考えられるわけであります。

 したがいまして、その設定条件を変えるのは、どういう場合に変えるのか。それは、例えばモニターが必ずついていますので、呼吸モニターの状態を見ながらとか、あるいは血液の酸素飽和度をはかるパルスオキシメーターというのを普通は指につけますけれども、そういうものの数値を見ながら呼吸状態を判断して、手順書にのっとった形で変更していただく、こういうことになろうかと思います。

 ただ、先ほどの腎疾患の方に対する輸液でもそうなんですけれども、どういう患者さんにこの手順書どおりやっていただくかというのは、やはり医師がそこはしっかりと判断をしていただいて、例えば先ほどの腎疾患がある方については、溢水状態、要するに脱水じゃなくて、余分な水分が入らないような状態を観察できるのか、あるいは、もしそれを看護師が十分わからないんだったら医師がやりますよとか、そういう判断をそれぞれ個々にはしていただく必要がある。

 人工呼吸器についても、おおむね、例えば術後の回復期というのは普通の経過をたどりますので、そういう状態ならこれでいいけれども、そうでない場合にはやはりみずからやるとか、そういう判断を医師にしていただく、それによってリスクというのを回避できるのではないかというふうに考えております。

重徳委員 今、人工呼吸器について御説明をいただいたわけなんですけれども、こういった特定行為といって、例示として四十挙がっている。それがそれぞれ、どういうことであって、どういうリスクがあって、そしてどういう手順書をもって医師と看護師の裁量、別の言い方をすると、裏を返せば責任を持ってやっていくのか、ここがはっきりとしないと、前回、局長の、今想定されているこの四十程度というのは今までの数年にわたる議論の中で絞り込んできたという御答弁がありましたが、でも、実はそうなんだということを言われても、やはりこの国会の場において、それぞれどういうものであって、どういう指示をするから、だからリスクは、そういう意味では、あるいは責任関係というものがおかしくならないようになっていくんだという本当に丁寧な説明が必要なんだと思うんです。だから、そういうことが説明されないままに、役所で議論してきたんだからあとは任せてくれというようなことでは、これは本当に患者さんの命、健康にかかわる話ですから、本当に丁寧にやっていただかないと困ると思うんですね。

 実際、手順書に、簡単に言えば、看護師さんの裁量が大きければ大きいほど看護師さんにより責任が負わされることになるだろう、逆に細かく医師が指示を書き込んでおけば、看護師さんの責任はより小さくなって、医師の責任がより大きくなるわけなんですけれども、今言われた人工呼吸器モードの設定条件の変更に関して言うと、どのぐらいまで細かい指示を出せるものなんでしょうか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 その手順書に書くべき事項というのは省令で定めることにしておりますけれども、具体的な個々の医療機関でどのような形で書かれるかというのは、ちょっとそこまでは想定しておりません。

 例えば、今言いましたように、酸素飽和度が十分に上がってきた場合に、では酸素の流量、酸素濃度を少しこういう段階に下げるとか、そういうようなことを手順書に書いていくのだろうというふうには考えております。

重徳委員 こういうのも、具体的な例えば資料をもって御説明いただくとか、何かそういうのがないと、患者さん側に立ってみれば、誰の責任で治療を受けているのかわからない。医師の指示を受けている、その中で看護師さんにどこまでの裁量があるのかもわからない。それは一人一人の国民に委ねるということまでできるはずのないことなわけでありまして、だからこそこの国会においてもっともっと詰めた議論をしていかなきゃいけないと思うわけですが、時間がないわけなんですよ。どうも、きょうにも強行的に採決をするという段取りまで今調整に入っているような話も聞いておりますが、これはやはりおかしなことではないかなと私は思っております。

 次に、診療放射線技師の造影剤血管内投与について、これは資料としては二枚目につけておりますけれども、これも政府の資料にございます。

 この中に、診療放射線技師の業務範囲として、「検査に伴い必要となる造影剤の血管内投与等の行為について、診療の補助として医師の指示を受けて行うものとして、業務範囲に追加する。」ということになっております。ですが、この造影剤の血管内投与はどういうものかということも、必ずしも素人の方はぴんとこないわけなんですね。

 それで、その次のページの資料に、これは診療放射線技師が行ったものではないわけなんですけれども、医師が行った造影剤の注入によりまして入院中の女性が死亡したという医療事故がつい最近、先月起こったというものがあります。これは、診療放射線技師にはまだそういう役割は認められていないわけですから、研修中の五年目の医師だった、医師がやったことが誤っていたということなんです。

 これは、場面は多少違うかもしれませんが、要は、造影剤の血管内投与のリスクというのは、アナフィラキシーを引き起こして死亡に至ることもある、そういうものであるということを国会議員全員がちゃんと理解して、だけれども、そういうものをこのような手順できちんとやるから、だから安心してその業務の範囲を広げていいんだということまで得心がいくような議論が私は必要だと思うわけなんです。

 先回の局長の答弁では、医師が、どういう造影剤をどれぐらいの量、どのくらいの速さでやりなさいと全部指示するというふうにおっしゃっていました。この点、全部指示するということは間違いないかということと、あとは、仮にアナフィラキシーショックなどが起きた緊急状態において、この間は、院内での連絡ができる体制をどう組むか医療機関に周知したいということをおっしゃいました。

 お医者さんがすぐそばにいないわけですから、いるんだったら別に任せたことにもなりませんので、お医者さんがいないということを前提に、結局、放射線技師さん自身が、さまざまな対応ができるように臨機応変にやらなきゃいけない。これはつまり、そのときの対応、責任が全部放射線技師に結局は緊急時にかかってくるんじゃないかというふうに思われるわけなんですが、いかがでしょうか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 アナフィラキシーショックの場合は緊急に必要な薬剤も投与していただかなくちゃいけない、そういう形になるわけです。

 具体的にどういうことをやるかといいますと、前回も少し触れましたけれども、造影剤を血管内に入れてCTの検査とかをしていくわけですけれども、その際には、まずは普通の点滴をしてあるわけですね。点滴をする経路が固まる。そこに造影剤を入れる自動注入器というものをつないでいく。そうすると、スイッチを押すと一定の速度でその造影剤が血管内に流れていく。そこの最後の、自動注入器と点滴の回路をつなぐとかボタンを押すとか、そういうところを今回は診療放射線技師にもお願いしようと。従来は、診療の補助ということで、医師みずからやるか、あるいは放射線科におられる看護師さんにお願いしているか、そういう形だったろうと思います。

 もし万一のことが起こったらどうかということでありますけれども、その場合には、当然ながら医師をまず直ちに駆けつけさせるような体制をとることも重要ですし、その間、放射線技師さんが、もし造影剤が入っているなら造影剤をとめるとか、あるいは、点滴を抜いてしまうと今度は救命のときに大変ですのでそこは抜かないとか、そういうことも含めて、どういう対応をしてもらうのがいいかということについては、今回、研修も考えておりますので、その中でしっかりと教えていただけるように、内容についても専門家と相談をしていくという形で今進めております。

重徳委員 具体的な対応は、もちろん研修で放射線技師さんに正しい処置の方法についてしっかりと教育訓練をしていくということだと思うんですが、要は、それだけの責任を放射線技師の方が負うことになるということをやはりこの場でもっと明確に説明していただくようなことも、きょう、今ようやくここで議論させていただいているわけなんですけれども、余りに今回の法案はいろいろてんこ盛りで、こういう一つ一つについてなかなか議論の手が回らないというんですか、そういう状況にありますので、この審議のあり方、法案のつくり自体に非常に問題があると思っております。

 次に、これまた前回も一旦議論はいたしましたが、医療事故調査に係る第三者機関についてであります。

 これについては、前回、医療事故が発生した場合、民間の第三者機関を一体どういうところに、どういう機関を想定しているのかという質問をさせていただきましたところ、これも局長から、中立性、専門性の観点から、その業務を適切に行うことができる社団または財団を指定するというふうに規定しているということをおっしゃった上で、具体例として、診療行為に関連して死亡した方の調査分析モデル事業をやっている法人、こんなものもその中に含まれるんじゃないかというような御答弁がありました。

 それはどういう団体なのかなということで、事前に資料をいただいたのがお手元の資料の四番なんですけれども、団体名は、一般社団法人日本医療安全調査機構というところでございます。

 まず、この一般社団法人日本医療安全調査機構というのはどんな業務を行っているのかということについて、お答えいただきたいと思います。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 日本医療安全調査機構につきましては、この資料にもございますように、平成十七年から、診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業を、まずは日本内科学会にお願いして始めたところであります。その後、こういうモデル事業をしっかりとやっていくために、関係の学会もたくさんございますので、いろいろな関係の団体から、資料の下の方にもございます支援団体に御協力を求める中で進めていくということで、独立した日本医療安全調査機構という法人をつくっていただいたところでございます。

 この法人の主たる業務は、まさしく診療行為に関連した死亡について調査分析をするということがまず大きな仕事でございます。

 具体的には、まず、この調査対象になりますのは、医療事故で亡くなられた方においても、特に病理解剖をしなければなかなか死因がわからないとか、そういうような場合が想定されておりまして、病理解剖をするというところ、それに基づいて死因をしっかりと究明する。それから、それぞれの事例、亡くなられる前の状況等も含めて調べた上で、医学的な妥当性があったかどうかの評価をする、それから再発防止策について検討する。それから、結果について医療機関あるいは御遺族にも説明をする。こういうような形の仕事をしておりまして、全般として、さらには、全ての医療機関にかかわるような再発防止策についての普及啓発などもお願いをしているところでございます。

重徳委員 今お聞きする限り、あるいはこの資料を見る限り、今回の第三者機関にかなり近い役割を持っているのではないかというふうに思います。死亡事故について、その原因究明をして、評価結果というものを患者遺族、医療機関に提供するというようなことであります。

 今の機構にしても、あるいは今回の法律にあります第三者機関にいたしましても、その目的は決して、過失を認定するとか、あるいは誰の責任だということを明確化するとか、そういうことではないということは一緒だと思うんですね。

 ですけれども、前回私が質問しましたのは、第三者機関というのは、過失を認定することが目的ではないけれども、実際に死亡事故が起こってしまった、それに当たっては、ほかにどういう医療機関側の判断があり得たんだとか、対処の選択肢や可能性があったんだ、あるいは病院の体制とかやり方はほかにもあったはずじゃないか、こういったことに言及しない限り、再発防止の普及啓発も何もできないんじゃないかということを申し上げました。

 すなわち、報告書とかいっても、どういう報告書なのか全然イメージが湧かないわけですね、医療現場の方々からすれば。だから、物すごく現場もぴりぴりするようなことになるのかどうかもよくわからないということだと思うんです。

 前回、大臣も、事実がどうであるかということを報告書に書くということであって、過失がどうのこうの、誰が悪いだとかは書かれないということをおっしゃいましたが、この資料を一枚おめくりいただき、最後のページを見ていただきますと、今既にやっているモデル事業、日本医療安全調査機構がやっている業務の中の「具体事例」というのが囲みの中でありますけれども、具体的に、四十代女性が、子宮摘出手術後五日目、排便後に持続性の嘔気、吐き気があって、翌朝回診した医師により死亡が確認されたと。こういう事例について調査をするわけですね。その事例の評価として、「事例の医学的評価」というところを見ますと、手術中、術後の経過は五日目まで順調であり、適切な治療行為が行われたこと、まれな疾患であったとの医学的評価がなされたと。やはり適切だったかどうかということについても言及しているというふうに見られるわけです。

 だから、ここで適切だったと言われれば、適切だ。だけれども、適切じゃないという評価もされ得ることだと思うんですね。何かしらのほかにやり方があったとか、このときにやった手順は間違っていたとか、そういうような検証抜きにこういう報告書というのはつくり得ないと思うんですよ、別にいい悪いじゃなくて。

 そういう意味で、当然、その後、裁判になることもあり得る。そういう中で、この第三者機関というのは、今までやっていたモデル事業一つを見ても、整理、分析をするんだ、調査をするんだ、過失認定するんじゃないんだというふうに言っても、何かやはりそういうエビデンスなりなんなりが指摘されることになり得るんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 今お示しいただいたものは、あくまでも今現在やっております死亡の調査分析モデル事業の報告書ということで、この場合は、先ほども申し上げましたが、前例はその前の病理解剖を行った上で死因を特定していこう、そういうようなことでやっておりますので、かなり細かいところまで調査報告には書いていただいている。そういう意味では、先ほどの評価というところも入っている部分がございます。さらに、個々の例についての再発防止策、考え得ることについても書いていっていただいている。

 今回の制度の中、法の中でやっていただきたいことは、やはり医療事故の再発防止を的確に進めるということでございます。そのためには、それぞれの医療機関での院内調査をしっかりやっていただくことが大前提だと私どもは考えておりますので、その際に、どのような形で報告をつくるか。医療機関の報告書、それからもし第三者機関の方に行った場合のそこでの報告書の内容、これらについてどのような事項を書くのかということについては、今後、ガイドラインを策定する中で、関係者の御意見も踏まえながら、責任追及あるいは紛争解決を目的としないということを踏まえて検討していきたいと考えております。

重徳委員 ガイドラインということで、全てこの審議は台なしになるんですよ。全部これからの話ですということで、今やっているモデル事業はモデル事業、病理解剖をやった上で、だから細かい話が出てくるのであって、では、これからはどの程度細かい話が出てくるのかということは、いや、ガイドラインだから全然わかりませんと。こういうことでは審議にならないと思うんですね。

 ガイドラインの中身まで踏み込まなければ審議にならないんだったら、確定するのは法案成立後になるでしょうけれども、やはり案ぐらいつくって、ガイドラインではこういうことを用意していますというような内容の御答弁がなければ、どんな報告書をつくろうとしているのか全然わからない、そういう状況ではこれ以上深まらないと思うんです。

 それで、前回、福島県立大野病院におきまして産科医が逮捕されることに至りました、平成十六年の妊産婦の死亡事故について触れさせていただきました。このことについて大臣も、この事故に当てはめたら今回の第三者機関はどのような運びになるのかということについては、ガイドラインで示してまいりたいということをおっしゃいました。ケーススタディーとしては、軽々に申し上げることはできないということもおっしゃいました。

 だけれども、この事故は、少なくとも多くの方々が一致するところでは、いろいろな指摘があったと思いますが、大きく二点。子宮を摘出するべきだったところを、胎盤剥離という手術を継続してしまったということが一点。それから、この胎盤剥離を行うに当たっても、輸血用の血液を待って行うべきだったところを、血液が届く前に執刀してしまった。こういうような二点が、やはり重大なポイントだったというふうに指摘されるんです。

 第三者機関においても、院内調査かもしれません、あるいは第三者機関における調査かもしれません、当然こういったことが報告書において指摘されると思うんです。そうすると、それは過失の認定自体を指摘するわけじゃないけれども、その後、裁判になれば裁判、いろいろな形でそこが用いられる、公表はしませんけれども遺族に示されるわけですから、それはやはり使われることになるんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。具体的な当てはめのことです。

田村国務大臣 ガイドラインまで示してというお話でありますが、委員も旧官僚であられましたから御理解いただけると思いますが、ガイドラインまで全て示して法案審議しているという例は余りないわけであります。

 ただ、方向性として、要は、こういうガイドラインに内容としてどういうことを書き込んでいくか、そのときにどういうことを注意するかという部分では、今言われたような部分に関して、つまり真相究明だとか責任追及というようなことがかかわらないような、そんな書きっぷりの方向性というものはガイドラインの中で示していきたいということは確かであります。

 そこは、今言われたような部分に関しましても、やはり責任追及が明確になるような書き方であっては困るわけでありますから、そのような観点のもとでガイドラインを示してまいりたいということで御理解をいただければありがたいというふうに思います。

重徳委員 本当に全然深まらない議論ですよね。今、具体的な事例についてどうかと私も申し上げたにもかかわらず、ガイドラインだガイドラインだと。

 私だって、ガイドラインそのものが完成されているということは想定していません。だけれども、せめて、質問して具体的に言っていることについてはどう当てはまるかという、そのぐらいの誠意ある御答弁をいただかないと、どういう中身なのか、これは全然現場の人も何もわかりません。

 したがって、このような法案の審議のあり方について抗議を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 けさの理事会で採決の御提案があったということで、引き続き、野党は反対ということでございます。私は、野党でありますし、また日本維新の会として修正協議もさせていただいていますので、この修正協議についてはまだ本当は時間をかけていたしたい、こういう思いはあります。

 一方で、また同じことで恐縮ですが、民主党の質疑を聞いていると、打ち切る気持ちもわかるかなと。ちょっと言い過ぎですね。

 大臣は、かみ合っていないと何度かおっしゃった。私も伺っていて、かみ合っていません。だから、ぜひしっかりかみ合う審議をしていただきたいと思うし、特に、私が何度も、前回も言いました。一般質疑ならともかく、法案審議でJEEDの問題を再三取り上げた、質問者までかえてJEEDの問題を取り上げた。それはもう審議は十分だという示唆を政府・与党が持っても仕方がないと私は思うし、また、きょう、私はちょっとやじりまして大変下品で恐縮ですが、もし、野党が法案を同時に提出して、答弁席に自分の党の人間を座らせる、そして閣法について、その座っている人間に、A党がA党に質問する、それを質問席だけじゃなくて答弁席で自党の意見をとうとうと述べるということが許されるのであれば、何でもできますね。私は、やはりそういうこの委員会の進め方について異論があるということを委員長に申し上げておきたいと思います。おかしいですか。

 さて、私は、きょう、日本維新の会の修正協議の内容についてぜひ質問をしたいと思います。

 この法案、医療の提供体制、介護の提供体制、サービスの提供体制の、政府・与党は満を持して出してきたはずだということを私は何度も申し上げていますが、お城でいえば石垣ががたがただ、こう申し上げているわけであります。

 合併と分割規定、私たち、今、日本の経済、社会のありようを国民を代表して議論している立場として、この合併と分割のあり方について基本的な知識は当然お持ちであると思いますが、大事なことですので、きょう、法務省、萩本審議官においでいただいていますので、若干、経緯と現状を御紹介いただければと思います。

萩本政府参考人 お尋ねのありました合併と分割のうち、まず会社分割ですが、会社分割とは、ある会社がその事業に関して有する権利義務の全部または一部を他の会社に承継させることをいいます。

 この会社分割制度は、平成十二年の商法改正によって新たに設けられたものでして、企業間の競争が激化した現代の社会経済情勢のもとで、企業が、経営の効率性を高め、その競争力を強化するため、その組織の再編を行うことを容易にするために創設されたものでございます。

 これに対し、合併は、古く明治四十四年の商法改正で規定が設けられたものでして、二以上の会社が合体して一つの会社になることをいいます。

 合併と会社分割とでは、いずれも会社の権利義務が包括的に承継されるという点で共通するわけですが、会社分割では、承継される権利義務を会社の選択に委ねているという制度であるのに対して、合併は、消滅会社の権利義務の全部が承継され、会社に選択の余地がないという点で異なるものでございます。

 このように、合併は古くからあるものであるのに対し、会社分割は比較的新しいものですが、いずれも、現行の会社法上は重要な組織再編の手段として広く用いられているものと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 今お聞きいただいたとおりで、極めてシンプルなものなんですね。

 合併はもう明治からある制度でありまして、医療法は、明治並みの規定しかないんです。明治並みの規定、それさえなかったんです。それさえなかったから、今回の閣法は、異種合併。同種合併のみならず、異種合併を認める、これはもう当たり前のことでしょう。当たり前のことをやる。

 しかし、もう一つ当たり前のことがあるでしょう。医療法人が複数の病院を持っているときに、なぜそれを全て丸ごと判断なしに、その医療法人が例えばA、B、Cという三つの病院を持っていた、それについて、判断もなく全てを包括承継する手段しか与えられていない。

 これから病院再編をするときに、今既に再編は起こっています、事業譲渡という形でその一部の病院を譲渡するということは実際に行われています。たくさん行われています。ただ、手続上、問題が多いんです。法令の不備によって現場は大変な不必要な、会社であれば常識として認められている手段を使えないために、三カ月、四カ月にわたって綱渡りの手続をする。一回病院もなくして、新しく病院をつくるときと同じ手続を改めてやっているのが現状なんですよ。

 ちゃんと平成の医療法にする、そういう観点から、私は合併規定を追加することは当たり前のことだと思いますが、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 そういうことで、今回そのような規定を入れておるわけでありまして、まさに、吸収合併、新設合併、それぞれありますけれども、これは会社法で言うところの合併というもの、これ自体が医療の世界の中ではなかなか認識がなかったという中において、今般、このような形を規定させていただいているところであります。

 いずれにいたしましても、医療法人の事業展開等に関する検討会の方で、この後のことも含めて、さらなるいろいろな御議論をいただきたいというふうに思っております。

足立委員 ごめんなさい。私がちょっと言い間違えたかもしれません。分割ね。言い間違えていましたか。(発言する者あり)合併と言っていましたか。

 今申し上げたのは、合併は明治の規定です。それを、当たり前の、異種合併を入れる覚悟は理解をしています。

 ただ、我々が提案しているのは分割規定ですね。分割規定については、これも、病院の再生等の実務あるいはそのニーズを考えれば、平成の医療法としては当たり前のことで、ないというのはあり得ない。よほど何か政策論で、それはいかぬということでしょうか、大臣。

田村国務大臣 失礼いたしました。

 分割も同じように、新設で新しく分割する方法、新しい法人をつくる方法、それから、どこかが引き受けるという形で吸収されて分割される方法があるわけでありますが、医療法人においては、今、医療法上認められていないわけでありますけれども、医療法人だけでなくて、一般社団法人等々、他の法人でもこれは認められていないという流れがあります。

 どういうような利点があるか。例えば、他県にまたがる病院を持っておるような医療法人が一つの県にその医療資源を集中したいと思ったときに、これを分割して、その地域で新設するのか、どこかの医療法人にそれを引き受けてもらうのか、吸収されるのか、こういうような使い方があるのであろうなというふうに私自身は臆測するわけでありますが、これ自体を我々全く否定しているわけではありません。

 ただ、一方で、いろいろと議論をしなきゃいけない。それは、例えば特定医療法人、社会医療法人等々法人税の優遇を受けている医療法人もあれば、普通の医療法人のようなところもあるわけでありまして、税制上どのような手当てをしなきゃならないのか、こういう問題もありましょうし、また、そういう分割が起こることによって、逆に地域医療自体に対して不安が与えられるというようなことも懸念される声もあるかもわかりません。ニーズがどれぐらいあるかということも調べなきゃいけないというふうには思います。

 必要性が全くないと我々は思っているわけではないんですけれども、今般提案をしていただいた。これは与党との間で御議論いただいたと思いますが、我々といたしましては、やはり先ほど言いました検討会でこれからいろいろな議論をします。それぞれ関係者の御理解も得ていただきたい。いきなりぱっと出でぱっとこれに入ってくるということになると、なかなか行政として、それを法律として運用していく側からしてみればつらいところがあるのは事実でございまして、今委員が言われた分割という御提案も含めて、検討会の中でいろいろな御議論をいただければありがたいというふうに思っております。

足立委員 全くわからないですね。日本維新の会の国会における議論、日本維新の会と与党との国会における議論よりも検討会が大事だということですか。

 我々は、この委員会でしっかりとこの組織論について議論をしてきた。法務省も申しわけなかったですね。今も法務省にこういう基礎的なことのレクチャーに来ていただいて申しわけないと思いますが、これは当たり前ですよ。寝ていても書ける条文ですよ。

 それから、今でも事業譲渡はたくさん行われているんですよ。分割する場合にも、当然、行政庁がちゃんと監督しながらやるんですよ。事業譲渡という前近代的なことしかできないような、前近代的な医療法ではいかぬでしょう、それで、満を持してこの法案を通すんですかと言っているんですよ、大臣。

 それから、今大臣は社会医療法人とか特定医療法人とおっしゃったけれども、それは、厚生省が医療政策の観点からいろいろと公共的な医療法人について種類を整理してこられているのは承知をしています。私が一番フォーカスを当てて、かつ、今一番ニーズがあるのは、持ち分ありの社団医療法人なんです。四万以上ある今の医療マーケットで、今の医療界で大宗を占めている持ち分ありの医療法人について、なぜ会社であれば当たり前の分割規定が入れられないのかと聞いているんです。

田村国務大臣 この合併の話も、関係者からもいろいろな御議論をいただく中において進めてきたわけであります。もちろんこれは国会同士でやられる話でありますから、行政が口を出すわけではないんですけれども、ただ、我々としていろいろなものを進めるときに、やはりその後運用しなきゃなりませんから、当事者にいろいろと御議論をいただきたいというところもあるわけであります。

 そういう意味の中で私は申し上げたわけでありまして、国会の中で御議論をいただくわけでありますから、国会の中でお決めになられれば我々は従うわけでありますけれども、ただ、運用する者としては、やはりいろいろと関係者の方々の御意見もお伺いをしたいという部分もあるという部分。

 それから、私自身、大臣としてどういう認識だというお話でありますが、私は、先ほども言いましたとおり、いろいろと、分割というものも、再編する中において一つの手法であろうと思います。そういうものの必要性ということも含めて、我々としてもこの議論というものを深めてまいりたいというふうに考えております。

足立委員 時間がもう余りないんですが、最大の関係者ですよ、我々が。我々は国民の代表なんですよ。我々がこうだと言ったら、我々は権限もあるけれども責任もある、だからここでやっているんでしょうが。与党と野党で議論して、これが正しいとなれば、自信を持って関係者に、これでいきますからお願いしますと言う。そのために大臣はここに座っているんでしょうが。ちゃんとやってください。

田村国務大臣 ですから、立法でお決めになられれば我々は従わせていただきますので、そのような意味からすれば、与党と野党の間でお話し合いをいただき、決まれば我々としてはお決めをさせていただきたいと思いますが、我々は法律を提出させていただいております。みずからがその中において、例えば我々が政府としてもう一遍出し直しをしてその部分を入れるという話になると、政府としては、今、もちろん国民の皆さんが一番の関係者だと言われます、それはそのとおりでありますけれども、あわせて、実際問題、法人を運営されておられる方々の御意見等々もお伺いをさせていただきたいというのが行政の立場としての考えであるということを申し上げたわけであります。

足立委員 大臣、何度も申し上げているけれども、私は大臣と九九・九%意見は一緒ですが、日本は議院内閣制ですよ。何でこの部屋で決められないんですか。議院内閣制でしょう。与党を仕切っているのは総理なんですよ。与党が総理をつくり、総理が大臣を任命しているんでしょうが。なぜ、この分野において責任を負っている大臣と与野党で決められないんですか。この部屋で決められないんだったら、何のためにこの審議をやっているんですか。この審議で議論したことをもう一回役所の中に持ち帰って関係団体に諮らないと決められないんだったら、何のためにこの会をやっているんですか。おかしいでしょう。

 繰り返しになります。持ち分ありの医療法人について、当たり前の平成の規定を入れてください。明治の合併だけですかと言っているんですよ。平成の分割を入れないと、現場は大変なんですよ。つまらないコストをかけるのはやめましょうと言っているんですよ。今でも事業譲渡をやっています。持ち分ありの医療法人だけでいいですよ、持ち分ありの医療法人について。

 それから、役所は、税調と調整をする必要があるとかしようもないことを言っているようですが、本当に役人というのは、賢い人もいますけれども、あほなやつもいましてね。これは、わかっているでしょうが。ごめんなさい、言葉遣いを直します。医療法人というのは普通法人で、合併についても税制要求しましたか。していないでしょう。医療法に書けば、ことしの十月から分割規定についても、合併規定と同様に分割規定も施行できます。やってください。

田村国務大臣 足立委員、厚生労働省が出した法律が全て与党の審査で通るというわけでもないわけでありまして、もちろん私は自民党の議員でありますけれども、党の政調の責任者ではないわけであります。

 でありますから、与党と野党、つまり維新の党と自民党、公明党の間で御議論をいただいて決定されたことには我々は従わなきゃなりませんし、私の方から与党の方にこうしろだとかああしろだとかいうことは言えないわけでございまして、私は、党の部会長、政調会長の先生方にはいつも法案等々のお願いをさせていただいておるという立場でございますので、そこは御理解をいただきますようにお願いいたします。

足立委員 大臣、それはある種の建前で、今の自民党の、厚生労働省とここにお集まりの先生方、そして部会、その中で、大臣がこれをやらせてくれと……(発言する者あり)違うよ。だから、与野党で、与野党というのは自公と維新でこういう協議をしている。大臣がこれはいいんじゃないかと言えば、できるんですよ。(田村国務大臣「できない、無理です」と呼ぶ)いやいや、そういうことをおっしゃるんだったら、もう話にならないですよ。

 皆さんがどういうコミュニケーションをしているか、わかっていますよ。だから、もうあと二分しかないが、持ち分ありの医療法人について、分割規定を入れない理由はないです。もしそれを入れないのであれば、この場で議論をしていることは全く意味がない。どういう質問をして、どういう答弁をいただいても何にもならないですよ、きょう午後、総理にも同じことを言いますけれども。おかしいですよ。

 それから、もう一つ。

 維新の会が、もう一つ、どうしてもこれだけは本文修正だと言っているテーマが、医療法人の財務諸表の公表です。私たち維新の会が政府・与党に提案している条文は、医療法人のうち厚生労働省令で定めるものが対象です。厚生労働省令で定める方法によって公告してください、全て厚生労働省で決めていいから医療法人の財務諸表を電子公告したらどうですか、こう言っているんですよ。なぜできないんですか。

田村国務大臣 これは都道府県に提出をいただいておるわけでありまして、一般の方も閲覧ができるようになっておりますが、インターネットで言うなれば閲覧ができるようにするというような御提案であろうと思います。

 関係者の間ではいろいろな御議論もあります。検討会の方で御議論をいただきたいというふうに思っております。

足立委員 もう時間が来ましたので終わりますが、あとは総理とやります。もう大臣では話にならないということがわかりましたので、総理とやります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時二十九分開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。浦野靖人君。

浦野委員 午前中の怒れる足立康史の後に質問するのは非常にやりにくいんですけれども、午前中の議論、そして、きのうの参考人質疑、地方公聴会とあったわけですけれども、その中で参考人の皆さん方が口をそろえて言われることというのは一つありまして、午前中も皆さんが指摘されていましたけれども、やはりまだまだこの法案の中身についてもうちょっと丁寧に議論してほしいと。私は、これでいいんじゃないですかと言った参考人には一人もお会いできていませんので、その点はやはりもうちょっと真剣に受けとめていただけたらなというふうには思います。

 その中でも、私が大阪の地方公聴会のときにお話を聞かせていただきました参考人の船戸さんのお話で、今回のこの法案に表面上は全く出てこないんですけれども、小児の皆さん、小児医療が必要な方々、もちろん重症心身の小児の皆さんとかは介護が絡んできますよね、あと、この法案には直接絡んではきていないですけれども、児童福祉法もそういった方々は対象になりますよね。

 医療、介護、児童福祉法、ありとあらゆる法律に絡んで総合的な対策をとっていかないといけない。そのために、こうやって一括法案というのはある部分は正しい姿だとは思うんですけれども、参考人の船戸先生もおっしゃっていましたが、今回、この法案によって小児の皆さん方がこれから受けていける制度というものはどういうふうに変わっていくのかというのが、この法案を我々が見た中では全く読み取れない部分がありますので、ぜひちょっと御説明をいただけたらと思います。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、病床機能の分化、連携を促進して、その受け皿となる在宅医療や在宅介護を充実させて、そのために必要な医療従事者の確保、あるいは消費税増収分を活用した医療、介護の基金の創設などを盛り込んでいるところでございます。この中で、医療などの提供については、小児も含めまして全ての年齢を対象と考えているところでございます。

 具体的には、新たな財政支援制度の中でどのような事業が対象になり得るか、一つの例として、都道府県に、例えば小児専門医のための研修でありますとか、小児等在宅医療のための研修、また小児在宅医療に係る連携体制の運営支援など、こういうふうな事業例も示しているところでございまして、小児に関する事業も対象に含めているところでございます。

 都道府県におかれましては、地域の医療関係者と十分に協議を行った上で、この新たな財政支援制度を活用して、小児を対象とした事業も含めて医療・介護サービスの提供体制改革に取り組んでいただきたいと考えております。

浦野委員 都道府県の方には説明をさせていただいているということで、私もきのう、資料を何点か、こういう説明をしていますとか、こういう取り組みをしますというのを見せていただきました。

 これは、従来から取り組んでいらっしゃる事業もありますし、当然、今必要とされている方々が実際にいて、そういった取り組みをしていっている中で、この法案が出てくることによって、さらに、皆さん方、対象になっているお子さんたち、親御さんたちが、ああ、よかったと思えるようなものかどうかというのは、正直、僕らも実際にわからないんですね。では、この法案は子供たちにとって一体どういう意味合いがあるのかというのが全く見えてこない法案なんですね。ただ、これはもちろん対象にはなっているわけですよね。全く関係ありませんというわけではない法案であります。

 午前中からの議論でもありますように、本当にたくさん影響が、悪い影響なのか、よい影響なのか、それは議論がいろいろありますけれども、そういった影響が起こり得る範囲というのは非常に大きくて、二十八時間審議をしている中でも、今回、小児のこういったことに関して質問するのは初めてですよね。今までの審議でも全くされてこなかった。私たちも、確かに、余りにも範囲が広くて、勉強不足やと言われればそれまでですけれども、参考人の方に指摘をしていただいて初めてわかってくる問題というのはたくさん出てくるわけですね。

 原局長も、当日、大阪の参考人質疑を後ろでずっと聞かれていらっしゃいましたけれども、船戸参考人のおっしゃっていたことについて、資料は皆さんお手持ちであるとは思われるんですけれども、率直に、局長、本当に大丈夫だと思いますか。ずっと議論を聞かれていたから答えられると思うんですけれども。

原(徳)政府参考人 月曜日、聞かせていただきました。数々の課題を御指摘されたというふうに思っております。

 その中でも、例えば、先ほど申し上げましたように、小児の在宅医療、実はこのモデル事業には船戸先生にも御協力いただいておりまして、そういう中で、重症の小児の方の在宅医療をどう進めるかの問題点も洗い出していただいていると思います。今年度につきましてもモデル事業として進めさせていただいて、その課題を解決した後、来年度以降は新たな基金などで安定的に事業ができるような形でまとめていきたいというふうに考えております。

 そのほか、いわゆる障害児対策としての制度等々についての御指摘もございましたけれども、この部分につきましては、また障害児対策の中で課題を解決していっていただけたらというふうに感じておりました。

浦野委員 特に小児の重症心身障害の皆さんだとかは、この部分は障害福祉でしょう、ここは医療でしょう、ここは介護でしょうというふうに非常に多岐にわたるわけですね。その中で、制度が変わっていくことによって、取り残されたりとか、それは対象が広がったりするところもあるんでしょうけれども、非常に困っていらっしゃる。

 船戸参考人がおっしゃった中に、これは難病の法案のときも指摘をされながら積み残されているトランジションがありますよね。この法案の中でもこれは実はあるわけですよね。指摘をされておりましたけれども、十八歳未満と十八歳以上の障害者の方では法律の対象が違うわけです。こういうところも非常に積み残しが多い。

 そういう細かいところを挙げていけば、もう聞けば聞くほど、この法案は、午前中もそういう細かいところはガイドラインでというふうな話もありましたけれども、正直、ガイドラインにどういうふうに書かれるかというのは本当に心配なんですね。

 それであるならば、ガイドラインはガイドラインで、ある程度国会で審議されないと、国民のかわりにそういった議論をさせていただいている我々のあずかり知らぬところで、特に福祉は、介護もそうですけれども、生活に密着することなんですね、だから、我々の目の届かないところで勝手に決められてしまっても、住民に直接影響が出てしまうんですね。その後、何をやっていたんやと言われるのは国会であって、やはり国会はきっちりとそういうところも議論をしないとだめだと思うんですね。

 それは、全ての細かいことに関して我々がするというのは、正直言って無理です。省庁の皆さん方は専門的にその分野だけを一生懸命取り組んでいらっしゃる専門家、プロの皆さんですから、そういった人たちの知恵も大事です。でも、その知恵以上に大事なのは、今現在、本当にこの法律にのっとってさまざまな医療サービス、介護サービスを受けられている、社会福祉のそういった実践、働かれている現場の皆さん方の意見の方が大事なんですよ。

 だから、そういった声を皆さんもお聞きにはなっていただいているんでしょうけれども、そういったことに耳を傾けて、それをお伝えするのが我々の仕事ですので、そういったことをお伝えしているのに全くその議論の過程が法案に反映されないというのは、私は国民にとっても非常に不幸せだなと思いますので、そこはどうか考え直していただけたらなと思います。

 きょうの朝、政府が人口一億人を維持するという数値目標を初めて出したというのが新聞に載っていました。要するに、少子化対策をして子供をふやすしか、多分、手はないとは思うんです。

 船戸先生のいろいろやられている病院も、本当にNICUでしか生命が維持できないような子供たちも受け入れて、安定したら親御さんのところに戻して、そういうさまざまなサービスを使って子供の命を守っているわけですね。そういったいわゆる療育の分野で非常にいろいろな取り組みをされているわけです。

 ここで一つ問題になるのが、一歳児未満の子供たちの障害者手帳の判断というのが市町村によって非常にばらつきがあって、困っているんですね。障害者手帳をもらえないと、障害者の級の認定をしていただかないと受けられないこととかもたくさんあります。受けられると受けられないとでは使える政策が変わってきますので、それも非常に困られています。このことについてはどういうふうに承知をしておりますか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 乳幼児の方々に対する障害認定についてでございますけれども、一般的に障害程度の判定が可能になる年齢ということを踏まえまして、おおむね三歳以降ということにしておりますけれども、実は、障害の程度や永続性が明確であったり、あるいは医学的、客観的なデータから明らかな場合につきましては、先生お話があった年齢層の方も含め、満三歳未満でも認定することが可能というふうになってございます。したがって、こうした条件に該当する例えば重症心身障害児の方々についても、手帳を取得することは可能だということでございます。

 こうした趣旨につきましては、既に通知で示しているところでございますけれども、御指摘のこともございます、今後ともそうしたことをきちっと周知していきたいというふうに考えております。

浦野委員 船戸参考人の病院では、かなり先進的な取り組みだということで厚生労働省の方もおっしゃっていただいていますし、頑張っておられる方だということなんですけれども、そこでやはり一番言いたいことというのは、次子を、上の子供がそういうふうな障害を持って生まれてきたけれども、そうやって手厚く、家族も安心してその子供たちを育てられる環境をつくってもらったおかげで、次の子供も産むというふうに前向きに考えていただいた親御さんたちがいて、もう既に四十人以上、次子を産まれているという方々がいるんですね。

 私は、これは非常に大事なことだと思うんですね。少子化が叫ばれている中で、産みたいけれどもいろいろな事情があって産めない人というのはたくさんいらっしゃいます。こういった取り組みで次の子供を産んでいただいているというのは、僕は非常に特筆すべきことだと思います。

 いろいろな子育て政策の取り組みをやっていますよね。平成二十七年からもいろいろとまたやるわけですけれども、保育園の待機児童は、ある程度解消するというのは僕は間違いではないとは思っています。ただ、正直、そればかりが目について、実は、子供の数をふやしていくに当たって根本的な問題というのはそこにないというふうに私は思っています。このことは違う機会でまたいろいろやりたいので、今回はやりませんけれども。

 大臣、今回の地方公聴会で、今私が取り上げている、全部に目を通されるのはちょっと大変だとは思うんですけれども、船戸参考人のおっしゃっていた部分に関して、大臣自身はどう思われますか。

田村国務大臣 今委員の方から、重症心身障害児の皆さんのお話が出ました。十八歳までは児童福祉法、それ以降は障害者総合支援法という形に変わるということで、トランジションの問題があるではないかということでございます。

 ここは、障害施策、障害児施策、やはりそういう意識も我々もあるわけでありまして、施設の基準等々を見直す中において、それこそ、医療型の障害児入所施設と療養介護事業所というもの、こういうものを同じような施設として、これを基準として認めるということで、一貫してそのまま、十八歳を超えても同じところにいられるというようなことも、規制緩和といいますか、対応はしてきておるという事実があることは御理解いただきたいというふうに思います。

 今般の法律は、大変申しわけないんですけれども、障害者総合支援法は入っていないわけでありますので、医療という部分ではかかわるわけでありますけれども、全てを盛り込む法案にはなっていない。ここは、十九本を、さらに二十本、二十一本というわけにもいかなかったということでございまして、その点は御理解いただきたいわけであります。

 ただ、今も原局長の方からございましたけれども、障害児の在宅医療連携拠点事業ということでモデル事業をやってきております。こういうモデル事業の、例えば医療と福祉の連携でありますとか、在宅医療を障害児がやられておられる中での受け皿としての医療機関の拡充、こういうことはこれからも、この中にあります財政支援制度を使って整備できるような形で、何らかの対応ができていけるのではないかというふうにも考えております。

 何よりも、今般の法律は、要するに、高齢者だけではなくて全ての世代に対応できるというのが一つの考え方のもとにあるわけでございますので、委員がおっしゃられた趣旨というものも踏まえながら、ぜひとも対応をしてまいりたい、このように考えております。

浦野委員 ぜひ、今大臣がおっしゃったみたいに、小児の部分にもしっかりと目を向けていただけたらと思います。

 小児科学会さんとかが、療育基本法でしたか対策法でしたか、そういうのを実現したいということで運動されてきました。私は、これはこれできっちりとそういう議論もしていただいて、ぜひそれを前に進めていただきたいと思うんですね。これは厚生労働省に言うことではなくて、与党の皆さんに言わないといけないことなんですけれども、そういう子供の部分の政策をもっと真剣にこれからも考えていただけたらなと思っています。

 もう一つ、参考人の方でお二方、実際に今介護現場でいろいろな声を拾っていただいている経営者の皆さん方にお伺いしたことがありまして、本当に、今言っているような、要支援の方々が地域に、市町村に移って、ボランティアでやってくださいとなったときに、皆さん方はできると思いますかと、率直に意見を言っていただいたら、絶対に無理ですとしか答えてこないんですね、現場の人たちは。

 僕も正直、自分の住んでいる地域のことを考えると、例えばごみ出しなんか、これは、必ずごみというのは出るもので、生活支援の中でごみ出しをお願いしている人たちもたくさんいらっしゃいます。

 でも、ごみというのは、毎日捨てられへんのですよ。自分の家なんかは、月曜日と木曜日しか回収に来ないです。これは多分どこの市町村でもそうです、回収する日にちは決まっています。生ごみは毎週何曜日というふうに決まっているはずです。また、プラスチックとか、缶、瓶、ペットボトルとか、分別しているところは、毎日違うごみしか回収しないですから。

 そういった月曜日と木曜日しか回収しないごみを、しかも朝早く出さないと持っていってくれないですよね。それもやられている方はわかると思うんですけれども、朝早く出して早く回収しないと、野良猫にやられたりカラスにやられたりするので、すぐ回収に来るわけですよ。だから、その限られた時間にごみ出しをしないといけない。

 ボランティアの人たちも、同じ地域に住んでいるわけですね、同じ日にごみ出しするんですね。だから、自分のところの家のごみ出しをして、ボランティアの人たちがそういった人たちのところのごみ出しを毎週毎週手伝ってくれるかなと思ったら、正直、ぞっとします。本当にボランティアの人たちがそういうことを、それは最初はやってくれると思いますよ、それがずっと続いたら、どうでしょうね。そういった細かい話ですよ。細かい話ですけれども、生活に密着してそういうことを支援するというのは、そういうことなんですよね。

 だから、私は、ボランティアの方々の力というのは、頼る、頼りたいですけれども、ボランティアである以上、今介護のサービスのお世話になっている人たちも自分たちでおっしゃっていますけれども、そういうボランティアの方々には頼みにくいことというのも出てくるわけですよね。だから、僕は、そういう部分でも、現実的にはちょっと厳しいんじゃないかなと。

 私も議員になる前に、特養の方にボランティアで定期的に行っていたことがあります。そのときも、なかなかボランティアの人が見つからなくて、一回、二回行くと、どうしても、来てくれる人がいないから、また来てください、また来てくださいとなって、どんどん集中するんですね、ボランティアが。途中で、やはりだんだんしんどくなっていくんですよ。

 ボランティアは、最初は、意識も高くて、一生懸命やる人もたくさんいてくれはりますけれども、でも、何年も続ける、それはなかなか大変ですので、僕はちょっと、この部分に関しては正直しんどいかなというふうには思っています。それは市町村もまた工夫をするとは思うんですけれども。

 最後に、これは新聞報道で出ました、医療費の不適切請求放置。

 この件で、新聞に出てきたものは、仕方がないので、それはもう事実としてあるんでしょう。要は、では残りの積み残している部分をどうしていくかということを考えていただけたらと思うんですけれども、いかがでしょうか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 新聞報道で、毎年、個別指導の目標で八千件を全国で選定しながらも、その半数程度しか実際の指導がなされていないという御指摘をいただいております。

 これは必ずしも不適切なものだけを指導するということではありませんが、今病院、診療所合わせて約二十万の保険医療機関があるわけですけれども、保険ルールをきちっと守っていただくためにということで目標を定めて取り組んでおりまして、八千件、四%程度を各県が取り組んでいこうということでやっております。

 この対象としては、やはり何か不適切な、ルールを守っていないことがあったという情報の提供をいろいろな面からいただいたものは、きちんと指導を受けていただきます。それから、頑張っておられるところは点数が高くなりますので、点数が高いところについて、やはり過剰な面もあるんじゃないかということで、そこは指導を受けていただき、ルールもしっかり周知をしていただくということもあります。それから、一回指導を受けて、きちんと改善されたかどうかを確認いたしまして、その上で、さらに守られていないところを指導する再指導というものもあります。

 このようなもので、やはりこれは、毎年半数程度実施しているのが、今の現状を見ますと、少しずつふえて、半数を少し超えるところまで来ておるんですけれども、今おっしゃいますように、地域のばらつきが見られます。本当に、選定したところを全部できているところもあれば、できていないところもあります。

 実際、我々は、専門的な知識を持つ者が必要ということで、指導医療官、医療職それから歯科医師の方等を確保して、定員の増も必死に頑張りながらやっておりますが、一つには、定員が十分確保されない中で、指導医療官一人一人に対する負荷も大きくなっておりますので、それをふやす知恵も出しながら、今は、これをふやすため、定員そのものも厳しい中でも、ふやす努力をいたしております。

 さらに、ことしからの取り組みとしては、大学病院などで教育研修に当たっていただくような指導的な立場にあられる方に短期の期間つきでこちらに来ていただいて公務員として指導に当たっていただきたいということで、その方々は戻られてもまたルールを徹底していただくことができるということで、そういう方にも来ていただきたいと思っております。看護の料金等の問題が難しくなってきておりますので、看護職の方も常勤職で確保をするということもことしから始められそうでございますので、そういうことを確保する。

 とにかく、目標に向けて、ルールを徹底して、医療費をきちっと使っていただくということを徹底してまいりたいというふうに思っております。

浦野委員 予算が百六十八億ということでやっていただいていて、返還金額が、足すと百三十億ぐらいなんですね。だから、実はかけているお金の方が大きくて、不正で返還してもらっている金額の方が少ない。

 これは、こういうことをやっているから未然に事件が防がれて、数字に出てこない効果というのは非常にたくさんあるというのはわかりますけれども、やはり、人手が足りなくて手が回らないというのはここに限ったことではなくて、いろいろ出てくると思うんですね。

 私は、これは新聞報道の指摘にもありましたけれども、結局、請求の仕方が複雑過ぎて見破りにくいということだと思うんですね。だから、正直、ここは本当にわかりやすくする手だてを講ずる、さらに、そういうことがわかりやすくなるようにデジタルデータできっちりとこれからやっていけるようにして、そのデジタルデータの中でここがおかしいなというのが自動的にチェックできるような仕組みを、これは大変だとは思うんですけれども、我々は、医療費はこれからどんどん上がっていくんだ、介護保険も料金がどんどん上がっていくんだ、それを何とか抑えよう抑えようとみんな努力している中で、こういったことがきっちりできていないと、やはりそれは納得できないです。

 だから、こういうこともきっちりやってもらって、こういうシステムを、悪いことをしたらすぐにばれるんやというのをちゃんとやってもらって初めていろいろなところにメスを入れていける。

 では、今回出てきている部分に関してはいつまでにちゃんと調べますというふうに言ってくれたらありがたいんですけれども、それはやはりなかなか難しいですか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 これは本当に、今でも目途として八千件を選んで取り組んでいるものですから、すぐにでもこれを達成する努力をしなきゃいけませんが、現実には、いつまでに本当に指導を徹底できるか、難しいのが現実でございます。

 ただ、先生御指摘のような、まずは保険のルールをわかりやすくして、それからICT活用とかで、今はコンピューターの時代ですから、形式チェックはきちんとやるということ。これは、取り組んできておりまして、支払基金、国保連ともにコンピューターを導入。それから、医療機関の方も、医科の方ですと九割以上のレセプトが電子請求になっておりまして、診療報酬の点数表も全部電子化されております、それを示しておりますので、それを当てはめて、当てはめ間違いとか一定の傾向というものははじけるようなことになっております。

 その上で、専門的な方に審査をお願いしている。それで重点的な審査もやる。それから、その方の毎月のレセをさかのぼったような縦覧点検もするということに重点を移しつつあります。

 これは、目標を持って、電子化と個別の重点化というものをあわせて取り組んでいく。そういうロードマップを書いて、審査支払い機関にもう取り組んでいただいております。それをしっかりやっていきたいというふうに思っております。

浦野委員 時間が参りました。

 最後の部分は、これは医療の部分だけですよね。私は、近所に、歩いて数分のところに整骨院が何軒もあるというのはおかしいと思っていますので、柔道整復師の方もきっちりと調べてもらいたいと思っています。

 もう時間がないので、これまでにしておきます。以上です。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日も、午前中から質疑が繰り返されておりまして、何度も他の委員からも御指摘があったと思います。けさの理事会でも本日の採決が御提案をされ、先ほどの昼の理事会でもまた同様でございました。

 本法案は、四月一日の本会議の質疑から始まって、そのときにも各党からも多くの御指摘があったように、十九本という多くの法案を一つに束ねる。理事会の提案の中にも、今までも、例えば前回の難病、小児慢性疾患、別々に採決もあり得るんじゃないか、そんなような御提案もあった中で、そういうことも審議されないということです。

 まず冒頭は、やはり、四月一日から消費税が増税をされ、我々は、増税の前にやるべきことがあるだろう、そういう終始一貫した訴えをしていく中で増税がなされ、社会保障にかかわる今回の法律案、昨年の臨時国会での社会保障制度改革プログラム法案、一つ一つについては丁寧に審議をするということで、強行採決になった経緯もございます。

 やはり、生活に密着した医療や介護の問題で多くの法案を一つにして、さらに医療事故調の問題、性質の異なる分野のものまで盛り込んだこの法案を一括して審議することに大変違和感を感じるとともに、そして、本日、審議が尽くされていない中で採決することには改めて反対の意を表明したいと思います。

 我々も、やみくもに時間を延ばしてするというつもりは全くないんです。この法律案ができて、我々の部会でも二月の終わりから議論を始めたんです。そして、さまざまな議論がある中で、修正案も今練っているところなんです。いろいろなパターンでやっていったら、百ページにもなるような修正案になってしまうんです。それはそうなんです。今回の法律案は、医療法や介護保険法、さまざまな法律案が入り組んでいるんですね。

 そういう中で、きのうも参考人質疑で、一昨日は地方公聴会、山梨県での地方公聴会で与党の方が呼ばれた参考人も、やはり今回の法律案は慎重に議論を進めていただきたいと。特に介護保険の分野に関しては、きょうの民主党の委員との質疑の中でも、やはり食い違うところがある。そうなってきますと、今後、分離をしてでもしっかりと審議していく必要があるのではないかなというふうに思います。

 質問の時間も限られておるので、質問には入らせていただきたいと思います。

 先日の質疑の中で私は特別養護老人ホームの体制整備について質問させていただいて、老健局長さんの方から御答弁をいただきました。今の特養は、多床室の従来型とユニット型ということで、ただ、施設の生活を居宅での生活に近いものとしていく必要がある観点からユニット型整備というふうな今の方針になっておりますが、先日の山梨での地方公聴会でも、参考人のお一人が、特別養護老人ホームは、やはりユニット型よりも従来型施設の方が、費用が安くて、低所得者の方々が入所しやすいと。

 そのような御意見の中で、もう一度ちょっと確認したいんですが、前回は老健局長から御答弁いただきました、大臣、今後、地域の実情に沿って多床室も積極的に進めていくという御見解でよろしいのかどうか、御答弁いただきたいと思います。

田村国務大臣 特別養護老人ホームでありますけれども、ずっと多床室でスタートしてきたものでありましたが、ユニット型、ユニットケアというものは、やはり入所された方々のプライバシーもそうでありますけれども、家族的な雰囲気の中で過ごしていただくというような形の中で、それの整備を進めてきたところであります。

 多床室が圧倒的に多い中でユニット型を進めてきたわけでありますが、一方で、各都道府県のいろいろな方々のお話をお聞きしますと、やはり多床室も最近はプライバシーに配慮した多床室というものがある、そういうものを進めていきたいというお声もあって、それぞれ条例でいろいろな対応をしていただいておりますが、委員が先日おっしゃられたとおり、しかし、国としてはどうなんだ、そういうものをやはり各地方も気にしているところもあるのではないか、こういうお声でございました。

 これは、介護報酬改定に向かっていろいろな検討を始めるわけでありますけれども、低所得者の方にとってみれば、多床室の方が入りやすいということもございます。プライバシーはしっかりと確保していかなきゃなりませんが、そんな中での多床室というもの、これに関して前向きに検討させていただきたいというふうに考えております。

中島委員 先日も言ったんですが、低所得者のみならず、やはり今回、要介護三以上への特養の重点化というところ、そして、本当にユニットのいいところというのは、認知症対応であったり、介護度で示すとすれば要介護一とか二とか、そういう方たちにとっては大変いい部分もあるかもしれませんが、要介護四、五、胃瘻をしている人もおります、その方たちがぽつんと部屋に取り残される、そういう姿、また、施設整備も、ワンユニットの中に二つか三つだったか忘れちゃいましたがトイレが必要とか、正直、無駄な基準がたくさんあると私は思います。

 そういう中で、恐らく多床室は、従来型ですから、措置の時代からの施設が圧倒的に多いと思います。その措置時代からの施設が今ちょうど建てかえの時期に来ているんですね。もうそういう時期になりますので、ぜひ、その方針を厚生労働省としてしっかりと示していただきたい。そうしないと、後でやはりこっちの方がよかったということになりかねない問題だと思いますので、ぜひ、積極的な指導を、そして方針を明確にしていただきたいということはお願いをしたいと思います。大臣から積極的な御答弁をいただきましたので、ぜひそのようにしていただきたいと思います。

 同時に、参考人からは、地域密着型サービスについての御意見もありました。

 今国が進めています地域密着型サービス、小規模で多機能なサービスを整備していくというのが特徴だと思います。その一つに特養があって、定員が二十九人以下、個室ユニット化となっております。

 参考人から、この小規模、個室ユニット化は、人員の面から見ると大変効率性が悪い、採算性も悪い、地域の実情になかなか沿っていないからやはり参入者も少ないという意見もありました。

 例えば、特養、生活支援の場ではありますが、一方では終わりの住みかとしての機能もこれから発揮をしていかなければならない。みとり介護の必要性というのも大変重要になっておるわけです。

 やはり、小規模になりますと、看護師さん、そして介護スタッフも限られてきて、重度な方、まさにみとりの時期に入った方々を、大規模施設であれば、何人か看護師さんもスタッフもいますので、その体制も整えやすい、地域によってはそういう実情もあるわけです。

 参考人から、そういった意味で、地域密着型サービスの内容、その特養の部分だけでもせめてやはり見直す必要があるのではないか、そういった御意見もございました。この意見に対する御見解をお願いいたします。

田村国務大臣 地域密着型の中において、小規模特別養護老人ホームというような形で二十九人以下、これは委員が言われるとおり、やはり人数が少ないと効率が悪いといいますか、それだけ手間がかかっていくわけでありまして、運営するのに大変苦労があるというお話もお聞きをいたします。

 一方で、地域密着型のいいところというのは、やはり地域に、そのコミュニティーの中に存在するということであります。これはこれで、やはり特養に入所される方々が地域の中で生活できるという意味では大きな意味があり、ニーズもあることも確かであります。

 今、サテライト型、つまり、大きなところがあって、そこの管理のもとで地域密着型小規模特養というような形で運営される場合には、人員の配置でありますとか施設の基準の緩和をいたしておりまして、先ほど言われた看護師に関しても非常勤でもいいでありますとか、いろいろなものをさせていただいて、そういう中において、サテライトですからもとがありますから、そこから定期的に対応していただければいいのではないか、そういう努力はしてきておるわけでございます。

 施設整備に関しましては、もちろん一般財源化をほとんどはされておるんですけれども、この小規模の特養に関しましては、これは介護基盤臨時特例基金で対応しておるわけでございます。そういう意味では、財源という意味からいたしましても、一定程度このような形で支援をさせていただく中において対応いただいておるということでございます。

 いろいろな問題点は我々も認識はいたしておりますが、その一方で、地域の中に特養があるということのメリットというものもあるわけでございまして、その点を勘案しながら、これからも問題点があればそこは改良してまいりたい、このように考えております。

中島委員 これも地域性があると思うんです。先ほどサテライトというお話がございましたが、やはり都会と地方を比べて、どちらが一概にいいとは言えないんですが、やはり過疎の地域、サテライトといってもかなり距離があったり、そこが連携していく、口で言うのは簡単なんですが、なかなか難しい面があるんです。

 そういった中で、地域密着、その名のとおりでして、地域に密着して、まさにその地域の方々が利用しやすいような、そして、多機能を有すれば、デイサービスでありショートステイ、地域密着型の特養でもやはりショートステイというのもございます。先日も私はしたんですが、在宅医療のバックアップという意味も含めながら、レスパイトできるような施設として、きょうはちょっと通告はしていないんですが、一方で小規模なデイサービス、私の地元にも、五人から十人程度のデイサービス、自宅を改修して、そういう中で、ふだん見ている利用者さん、御家族が急に用ができてしまった、遠くのショートステイに行くよりも、では泊めてあげよう、そういうところから発展をして、今、俗にお泊まりデイサービスというふうな言われ方をしてしまっていますが、私は実際に見ていて、それが本来あるべき姿だろうなと。

 そういった中で、地域に密着した介護支援事業所、これは何度も言いますが、介護保険というベースがあるからそういうことができるわけですが、そういうお泊まりデイサービスも、見方によれば、小規模多機能、そういうものが発展した形が本当に地域に密着していくんだと思うんです。今、国が政策として進めている地域密着型の特養というのは形がありきで、なかなか本当に地域に根差せない。それは、地域の実情に沿っていない部分、要するに、そういう不効率な部分でなかなか地域の事業所が参入してこないという現実が私の地元ではあります。

 ですから、そういった意味で、理想論と現実論というところで、今後、やはり見直し、もっと言ってしまえば、後の方でちょっとお話ししたいと思ったんですが、やはり地域によっては、介護報酬、インセンティブを与えるような、そういったことも必要なのではないかなというふうに思います。

 一方で、これも参考人、地方公聴会ですから陳述人ですか、御指摘があったんですが、養護老人ホーム、そして軽費老人ホーム、ケアハウスなどの高齢者施設の活用がおろそかになっているのではないかとの御指摘がありました。この三つの施設は、消費税増税への対応も行われていませんし、一般財源の中で市町村の権限で行う措置入所も積極的ではない、老人ホームでありながら空き部屋もあると。

 このような施設に対する御指摘に対して、今現在、厚生労働省としてどのようにお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。

原(勝)政府参考人 議員の方からお話がございました養護老人ホーム、軽費老人ホーム、これらは、低所得の高齢者の方々にとって、住まいの確保という意味で大変大きな役割を果たしているというふうに私ども考えております。

 したがいまして、これをぜひ活用してもらわなきゃいけないわけでございますけれども、三位一体改革で、これらの施設整備費あるいは運営費につきまして地方の方に税源移譲されたということもございまして、自治体の中には少し積極的に活用していないようなところも見受けられるのは事実でございます。

 したがいまして、私どもとしては、各自治体において適切にこれを活用していただくように、実はことしの二月の全国の課長会議におきましても、養護老人ホーム等の活用について都道府県を通じて働きかけをしているところでございます。

 また、これらのうち、大規模なものは税源移譲で、私どもとしては交付税措置でしか対応できないわけでございますけれども、小規模な養護老人ホーム等につきましては、今、施設整備につきまして基金やハード交付金という形で財政支援をしておりますけれども、これについては引き続き継続をする方向で取り組んでいきたいと考えております。

 いずれにしましても、養護老人ホーム等の活用につきまして、今後とも、都道府県に対して、あるいは市町村に対して積極的に取り組みを促すように働きかけをしていきたいと考えております。

中島委員 以前から権限も移譲されておって、取り組まれていない市町村がある、認識しているというふうに私は受けとめているんですが。

 要するに、今回、待機高齢者が何十万人と言われている中で、要介護三以上への重点化ということが言われておるわけですが、一方で、今のように、まだまだ取り組むべき内容があるんですよ。そういったことをしっかりとまずやるべきだ。

 そういう中で、低所得者の方や精神障害者や知的障害者の方、措置の流れですね、措置的入所、そういう方たちが今の介護保険の中に混同してしまっていて、一方では、さっきも言ったように、これは報道でもされております、空き部屋もある、なかなか回転もない。

 私も、実は近くに養護老人ホームがあって、たまに行くんです、嘱託医の一人となっておりますから。そうしますと、介護保険の特養と随分差があるな、そのことは非常に感じるんですね。ですから、今回、介護保険の改正、特に重点化ということであれば、まだまだやらなきゃいけないことが、まだ先にやることがあるのではないかということは御指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 今回の介護保険法改正、居宅支援事業所指定権限の市町村への移譲や、要支援に対する予防給付の地域支援事業への移行など、市町村の事務負担の増加が見込まれる事項が数多く含まれております。厚生労働省は市町村の事務負担の軽減を図るために措置を検討しているというふうにされておりますが、これもやはり地方公聴会で、介護支援課長ですか、現職ではありませんが、やはり人員体制には大変不安があるというふうなことをおっしゃっておりました。

 市町村が円滑に事務を遂行できるようにさまざまな負担軽減策や支援策が必要だと思いますが、具体的な支援策をお教え願いたいと思います。

原(勝)政府参考人 今般の改正で、市町村は地域包括ケアシステム構築をしていく上で中心となる自治体でございますので、地域支援事業への移行でありますとか、小規模居宅介護サービス事業所の移管でございますとか、いろいろとお願いをしているわけでございますが、もちろん、それぞれについて私どももできる限りの支援をしていきたいと思っています。

 その中で、特に地域支援事業への移行、これについて地方公聴会でも市町村の事務負担の問題が出ておりましたので、これを例に少し具体的な取り組み、私どもとしての支援策を申し上げますと、一つは、何といっても、円滑に進めていくためのガイドラインを丁寧に市町村の意見を聞きながらつくってお示しをするということがございます。

 それから、あわせまして、受け皿確保にはやはり一定の時間がかかりますので、事業実施までの経過措置を設ける、これもいろいろと今まで答弁に出てきております話でございます。

 それから、事業の委託事務負担、これは、事業になりますと、市町村と個々の事業所が毎年度委託契約を結んで行うというのが基本でございます。これをやっていますとなかなか大変でございますので、指定事業者制という形をとって、市町村が一旦指定をすれば、基本的にはそれが継続できるような仕組みを今回設けております。

 また、特に当初、移行のときが、やはり指定事業者制といっても一々また指定しているのも大変でございますので、法律の附則におきまして、既存の予防給付の指定事業者をいわゆる地域支援事業の事業者としてみなす、そういうみなし措置、こういったことも法案に盛り込んでいるところでございます。

 また、介護予防の好事例の提供でございますとか、あるいは地域支援事業費の審査、支払いを国保連にお願いして市町村の負担を軽くするとか、いろいろできる限りのことを私どもはやっていきたいと思っております。何とぞ御理解をお願いしたいと思います。

中島委員 やはり、さまざまな取り組み、具体的なことをしっかりと示していかないと、これは、私の地元の北杜市、山梨県もさまざまな自治体があって、どうしたらいいんだというような不安に駆られている方はたくさんいると思うんです。ただ、やれと言われればやるしかない、そういう内容になっておりますので。

 この地域包括支援センターもそうだと思うんです。まさに、今回の在宅医療・介護の連携強化、認知症施策の推進、地域ケア会議の開催等を担っていくのは地域包括支援センターだと思います。その役割を十分に発揮するには、やはり人員の補充というか、そして、人員が誰でもいいわけではないんですね。

 これもやはり、実際に私もかかわっておりましたし、内容を聞いていけば、長くその地域に住んで、よく言う肌ざわりではないですが、そういった中で、現状の地域支援事業も、この方にとっては、もしかしたら要支援に当たるかもしれないけれども、地域のサロンとかそちらの方が合うんじゃないか。これは、きょう午前中にも介護認定審査の地域間格差というのがまた言われておりました。

 私もその問題意識を持っているのは、実は、その肌ざわりというのが非常に大事で、その結果、地域支援事業が発展している地域においては、その肌ざわりで、本当は要支援認定になるかもしれないけれども、この方にとっては地域支援事業の方がいい部分がある。そういった中で、恐らくそんなことは言わないと思います、大前提が全国一律のもとで要介護認定ということなんですが、恐らく聞いてもそのような答えは現場の方からは返ってこないと思います、ただ、やはりその肌ざわりの中で独自の判断をしていく、その結果が要介護認定率の差にあらわれていると私は思っているんです。

 ですから、要介護認定率が高い地域というのは、取り組もうと思ってもなかなか進めない、そういう地域。山梨県と長崎は最大で四倍の差がある。そういった地域で今回要支援の部分を地域支援事業というのは、やはり、少々荒っぽいのではないかなと。

 そんな中で、現行の介護保険制度、何度も言うようですが、平成十二年にできて、これだけ運用が高まって、そこをもとに地域が独自の取り組みをやってここまで来て、成果を上げている地域もある。そういう地域までひっくり返す。まあ、ひっくり返すとまでは言わないかもしれませんが、そういう独自の取り組みをやっている地域は今のままでもいいじゃないですか。

 私は、そういう要素は必要なんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 これは、新しい総合事業に移っていただく、つまり、予防給付から要支援者の方々が地域支援事業に移っていただく。今までも総合事業をいろいろやっているところはあるわけでありまして、それをそのまま生かしていただければありがたいわけであります。

 そういうものはないところ、つまり、今まで総合事業が余り活発でなくて、要支援者の方々の受け皿になり得ないようなところに関してどうかというと、正直申し上げて、移行期間はありますが、移行期間の間は、要するに、何もやらなくていいというわけではなくて、準備をしていただくんです。そのまま移行していただきながら、今までの要支援の事業がありますよね、それはそのまま使っていただけるわけですよね、そのまま自動的に登録されるわけです。だから、利用としてはあるわけであります。

 ただ、これから高齢化が進む中において、地域によっては要支援者がふえてくる可能性もあります。そういうところを見て、例えば一つの市の中で一斉に全てが同じ事業をやらなきゃいけないわけでもないわけです。地域によって、地域力のあるところは、そこの自治体が非常に力があるとかで、そういうふうな新しい取り組みを今までもやっていたかもわからない、そういうものをやっていっていただく。

 そうすると、一つの市の中で、ここはすぐれた取り組みをやっている、あそこもすぐれた取り組みをやっている、ここは余りすぐれていないとなれば、余りすぐれていないところはそういうところを見に行っていただいて、感化いただいて、影響を受けていただいて、またやっていこうというような意欲も出てくる。

 ですから、一斉に何もかも無理してやってくださいという話ではなくて、取り組めるところから順次やっていただいて、しかも、今までのサービスは使っていただいていいわけでありますから、サービスがなくなるわけではないので、その移行というのが早いところと、ゆっくりと移行してくるところがあるんだろうと思います。

 それも含めて、いろいろな好事例も含め、厚生労働省として助言ができるところはしっかりやってまいりたい、このように考えております。

中島委員 これは、午前中からの質疑の中でも同じような答弁をいただいておるわけですが、そうは言っても、やはり、厚生労働省や国の方針というのは大変重いわけです。先ほど言ったそれを担う地域の支援事業所も、給付切り捨てに対してちょっと意見が食い違うというか折り合わない。ただ、地域の受けとめ方はそのようになってしまうことが危惧されるということなんです。

 ですから、先ほど言ったように、ある意味、地域によってはお尻を持ち上げるという意味も含まれているという趣旨はわかりますが、だからといって、今取り組みが進んでいない地域が何もしていないわけではない。それは、取り組めない理由があるわけです。

 ですから、そういう中で、どっちが先かという問題はございますが、例えば特養の重点化にしても、事業所、特養は、どういう受けとめ方をするかというと、これも何度も言っておりますが、要介護三以上でなきゃ入れないんだぐらいの極端な受けとめ方をする可能性があるんです。

 そうなってくると、今の答弁を聞いていても、だったら、やはり今のままでいいじゃないかと。今のままで、いいモデルの地域をまねしてもらって、ある程度のラインまで行ったらそこから移行するとか、やはりそういう柔軟性。三年間の猶予というのはありますけれども、ただ、一方で、それは各自治体の尻を持ち上げるという意味もありますが、そこで余波を受けてしまうのは利用者さんであり、そういう方たちになってしまう可能性があるわけです。行き場のない方々がふえてしまったり、そして、特養も、申し込みをしているけれども、要介護一、二の方も必要な方は入れる、それを明確に基準としてやはり盛り込むべきではないかなというふうに、以前も申し上げておりますが、改めて御指摘をさせていただきます。

 介護保険のこと、実はまだまだたくさんあるんですね、お聞きして確認したいことが。ただ、一方で、もう時間もあれですので、この後、地域医療構想についても確認したいところがあったんですが、どうしても医療事故調の件に関しては少し触れさせていただきたいなというふうに思います。

 医療事故調に関しては、他の委員もたびたび質問して、結局は、今後、ガイドラインで示していくと。ただ、根底の部分はしっかりと示しておかないと、今回、医師法の二十一条には触れないということですが、やはり福島の大野事件の問題を、今回触れないということであれば、何のための医療事故調なのかということにもなってしまいますし、今後、本質的な部分をしっかりと時間をとって議論しなければならないことだと思います。

 現在、医療事故に係る機能としては、ヒヤリ・ハット事故に係る日本医療機能評価機構と、厚労省の補助事業として日本医療安全調査機構が行う診療行為に関連した死亡の調査分析モデル、また病院が独自に行う院内調査があります。

 先日公表された日本医療機能評価機構の統計によると、八年間で約二・四倍にふえているということですが、まず入り口の部分で、この数字、医療事故がふえている原因、統計ですけれども、どのように分析しているのか、お尋ねしたいと思います。

原(徳)政府参考人 日本医療機能評価機構で収集、分析しておりますのは、特定機能病院や国立病院機構の開設する病院等を対象にしたもの、あるいは任意の登録をしていただいているところからのデータでございます。

 この中で、年を追って確かに全体の件数は伸びてきておりますが、これについては、医療事故を報告すること自体が定着しているというふうに機構の方では分析をされている、医療事故そのものが直接ふえているという認識ではないというふうに伺っております。

中島委員 任意で参加している民間の病院等はふえていないということで、要するに、そういう意識が高まった結果ではないかなというふうに思っている。

 この後、幾つか質問を用意してあるんです。要するに、本当に入り口のところ。ただ、この入り口のところが非常に大事で、これは後で議論すると言われても、医療現場は常に、私もそうでしたが、背中合わせの中でやっていて、例えば予期せぬ死亡の定義、これについても、じゃ、死亡を想定したというと言い方は悪いですが、緩和ケア病棟とか、例えば私が専門にしている在宅医療の場での医療事故をどのように定義していくつもりなのかぐらいは、やはり、今回、医療事故調というものを打つ以上、最低限議論していく中で今回の法律はやらなければいけない。

 冒頭にも言いましたように、私は、決して延ばすという意味ではないんです。私たちも真摯に、真面目に議論しようとしている中で、本日採決というのには改めて反対の意思を表明して、質問を終わりたいと思います。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 時間も限られておりますので、早速質疑をいたします。

 まず、地域医療ビジョンについて伺います。

 需要予測は都道府県単位で行い、そして供給体制の目標は二次医療圏単位で立てるというふうに伺っておりますが、医療資源の需給ギャップというのは、実は、同じ都道府県内あるいは二次医療圏内であっても市町村ごとに大きく異なるわけであります。

 こういった中で、都道府県単位あるいは二次医療圏単位、こういう広い単位での需給予測で、意味のある対策、また都道府県内の病院の偏在をなくすような、そういった対策が立てられるのかどうか、まずお伺いをいたします。

田村国務大臣 地域医療構想の中で、二次医療圏ごとにということであります。

 地域医療計画も二次医療圏というような概念のもとで計画を立てていっておるわけでありますけれども、そこでの需給というのは、言うなれば二次医療圏で必要な医療というものの需要と供給をはかる必要があるわけでありまして、それはそれで必要であろうと思います。

 一方で、例えば在宅医療でありますとか、そのような関係からいけば、例えば自治体内の医療というものに対しての需給がどうであるか。これも、地域医療構想をつくる中において一定程度勘案しながら、そこは、先生が今おっしゃられた、地域でのそれぞれ在宅も含めての医療の資源というものとニーズというものを合わせる、こういうことも重要でございますので、そこは調整をかけながら地域医療構想というものをつくってまいりたい、このように考えております。

井坂委員 ちょっと一つ飛ばしますけれども、今回、病床機能報告制度ということが入っておりますが、私は、病床、ベッド数だけの数合わせを二次医療圏単位あるいは都道府県単位で行っても、肝心のお医者さんの数が足りなければ、やはり医療が提供されないわけであります。さらに、例えば精神科のお医者さんが幾らふえても当然内科や外科の医療は提供されないわけで、そういった意味では、診療科別の医師の需給ギャップについても同様の将来予測そして目標設定が必要ではないかと考えますが、大臣の御見解を伺います。

田村国務大臣 地域医療構想は、先ほど言いましたとおり、二次医療圏というのが一つ考え方のもとにある中において、そこで病床数をどうしていくかということでありますから、それぞれの機能を担う病床、病棟、こういうものを整備していく。ただ、必要数、需要をある程度はかりながらやってまいります。必要なものはどれぐらいかということであります。

 一方で、医療機能報告を出してきていただきますので、そこで調整をしていって、それぞれ、協議の場に入っていただきながら決めていくわけであります。その過程で必要な医師数というのは当然わかってくるわけでありまして、今般の財政支援制度の中においては、医療人材、介護人材の育成といいますか、こういうものにも使えるということになっておりますので、そういうものを使いながら、また地域医療支援センター、こういうものを活用しながら、医師等々を適切に配置していく。

 ただ、診療科というのが、そこまで具体的にといいますと、なかなか難しいところもございますが、具体的にそういうものを書き込むかどうかは別にいたしまして、そのような視点も大変重要な視点だということを認識しながら地域医療構想というものはつくっていかなきゃならぬというふうに考えております。

井坂委員 大臣が最後におっしゃったように、そうはいっても、診療科が違えば必要な医療は提供されない、やはりこれは厳然たる事実でありますから、しかも、実際、そこの診療科別のお医者さんのふえ方に今大きな開きが出てきているという現実もありますので、そこもきちんと、診療科別の必要な医師数というものまで目標を立てた上で需給ギャップを埋めていかなければ、単なるお医者さんの頭数だけそろえばいいということでは全くないということを重ねて申し上げたいというふうに思います。

 次に、昨日の参考人質疑で、地域包括ケアシステムに看護師や薬剤師をもっと活用せよという参考人の方から、都道府県別の訪問看護事業所数にも大きなギャップがある、こういう資料が示されました。それによりますと、少ないのは首都圏と静岡、富山、沖縄であり、多いのは和歌山、島根、徳島、鹿児島、こういう資料が示されたわけであります。

 参考人にお伺いをいたしますが、訪問看護の需給ギャップについても同様の将来予測と目標設定が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案では、新たに、医療計画において、訪問看護を含む在宅医療の提供体制の確保に係る目標値を定めることを義務づけております。

 地域医療構想におきましても、在宅医療を含みます医療需要の将来推計を算出して、将来必要となる例えば訪問看護の提供量を算出することとしておりまして、これを受けて、平成三十年度からの医療計画において、この訪問看護を含む在宅医療の提供体制の確保に係る目標値も定めるということを予定しているところでございます。

井坂委員 次に、先ほどお医者さんの数、医師数の話を申し上げましたけれども、これもまた参考人からいろいろと、かなり強い発言があった部分であります。

 日本の人口当たりの医師数が、OECD平均を大きく下回っている。さらに、その年齢構成を見ても、日本の場合は特に、高齢のお医者さんまでしっかり医師数という中に含めていて、その高齢のお医者さんの割合が、今、六十前後のお医者さんが非常に多いわけですから、今後、それが完全に高齢医師というジャンルに入ってくるに当たって、そういった高齢のお医者さんは当然、やはりお年ですから、実際の稼働できる時間とか、きちんと治療、相対することができる患者さんの数が恐らく若いお医者さんの大体半分ぐらい、こういうことであります。

 日本の場合、今後、医師が高齢化する、高齢のお医者さんの割合がふえてくる中で、医師数だけでなく、医師の年代別の勤務時間とかあるいは繁忙度、忙しさの度合い、こういったものも含めた需給調査が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

原(徳)政府参考人 御指摘の医師の年齢構成につきましては、医師の場合は、いわゆる新設医大が昭和五十年代、四十年代後半からできております。この中で、医学部の入学定員がそれまでの約倍近くになっておりますので、そこで、その年代がちょうど今六十歳ぐらいになってきておられます。

 ですから、六十歳以下の年代はその新しくふえた入学定員の中で育ってこられた方々、六十歳より高齢の方はそれまでのもう少し少ない入学定員の時代ですので、これからしばらくの間は、若手はもっとふえていますので、若手の方からふえていくという形で推移していくとは考えております。

 ただ、御指摘のように、やはり若いほど長時間勤務、実際に働いていっていただいているという状況もありますので、そのあたりの状況とか、また、大きく変わってきますのは、やはり女性医師がふえているという中で、その働き方、それから勤務医の負担の問題もありますので、これらのさまざまな要素を踏まえながら、医師需給の見通しについて検討していきたいと考えております。

井坂委員 今の参考人の方に重ねてお伺いをしたいわけですけれども、今回、医師確保という文脈の中で、お医者さんの働き方についても、しっかりと専門家を入れて無理な働き方がないようにチェックしていこう、こういうことが制度の片隅に入っているわけであります。

 しかし、これは参考人の意見を聞いていて強く思ったことでありますが、そもそも、日本の場合は平均の勤務時間が非常に長い。しかも、年代別に見れば、年配のお医者さんは実はそんなに長いこと勤務していなくて、その分若いお医者さんはほかの国の倍ぐらい働いていて、そこをならして、日本の勤務時間というのはそれでも他国より長い、こういうことですから、これは働き方のマネジメントの問題ではなくて、若いお医者さんの数が何だかんだ言っていまだに圧倒的に不足しているというふうに思うんですね。

 だから、これを年配のお医者さんも含めて総数で議論して、OECD平均にいついつまでに追いつきそうだとか何だとか議論しておられますが、実態を見たら全くそういうことになっていないというふうに私は認識を新たにしたわけであります。

 医師の年代別の働き方が倍ほど違う、実際、若いお医者さんというのはほかの国のお医者さんに比べて大体一・五倍ぐらい働いておられる、こういった実態について、どのようにマネジメントの見直しということで改善ができるのか、お伺いをしたいと思います。

原(徳)政府参考人 医師を初めとして医療機関の働き方というのはさまざまでありますが、一番大きな要因としては、例えば日本は、やはり一人の患者さんに対して一人の医師が主治医としてまず深くかかわるといいますか、ずっとかかわっていくという形をやっております。それを、例えば看護は即応体制で見ていくわけですけれども、そのような形で、医師の側もそういう交代制勤務を入れてはどうか、例えば主治医と副主治医をつくってやってはどうかとか、さまざまな働き方のアイデアも出ておりますので、それらを含めながら、勤務環境の改善の中で支援できるところといいますか、相談なり情報提供できるところは改善をしていきたいというふうに考えております。

井坂委員 私の考えは、この点に関しては、医師の総数、若いお医者さんをふやすことはもちろん、さらに診療科の偏りをなくすことももちろんですが、それでも追いつかないので、やはり諸外国でやっているようなナースプラクティショナーであるとか、あるいは薬剤師さんがもっともっと独自で判断そして処方ができるようにしていくとか、こういった、必ずしもお医者さんがいなくてもできるほかの専門家の仕事という割合をふやしていくことが大事だと思っておりますが、これは後ほど総理との質疑の中でさせていただきたいというふうに思っております。

 医療の問題で、最後になりますが、いろいろな需給ギャップについてお伺いをしてまいりました。今回の法改正で私がやはり一番問題だと思うのは、需給の予測をする、これはいいことだというふうに思います。ただ、その需給ギャップを埋める手だてが大変心もとない。民間の病院がやることですから、しかも、地域の都道府県や医師会が間に入って、まず話し合いで、何とかなりませんか、どうせつくるならこっちの方で、こういうことで、緩やかなお願いベースの誘導をしていく、こういう制度かというふうに思っております。私は、ここが大変心もとないと思っております。

 一方で、民間同士が意思決定することであるならば、やはりインセンティブ設計が重要であろうという立場であります。診療報酬改定をある種のインセンティブ制度と見たときに、都道府県によってインセンティブを働かせるべき方向が大きく違うことが予想されます。例えば、急性期病床をそれほど減らさなくてもいい、こういう県もあり得るというふうに思いますし、あるいは、先ほどの訪問看護を大幅にふやさなければいけない、こういった県も出てくるというふうに思います。あるいは、特定の診療科のお医者さんが極めて少ないから一生懸命集めてこなければいけない、こういう二次医療圏や市町村が出てくるというふうに思うわけです。

 診療報酬制度が地域医療ビジョンの需給ギャップにかかわらず全国一律のままでよいのかどうか、インセンティブ設計の地域差ということについてお伺いをしたいと思います。

田村国務大臣 病床機能の分化、連携というものを含めて、診療報酬の中でそういうインセンティブをつくっていくというのは一つの考え方であると思いますし、今回、地域包括ケア病棟入院料というものをつくったというのは、そういう考え方のもとであります。

 一方で、今言われているのは地域によっての加算というようなお話でございましたが、日本の公的皆保険制度は、要は、誰でも、いつでも、いつでもというのは限界がありますけれども、どこでも医療が受けられるという中において日本人の健康を守ってきていただいたわけでありますけれども、やはり全国一律、格が一緒というところに根拠を置いているところもあるわけでありまして、これは昨年五月の医療保険部会においても、地域によって診療報酬が違うということに関しては国民的な理解が得られないのではないかというような御意見が出たりでありますとか、それから、もし変えた場合には患者の方々が安いところに誘導されていかれるのではないか、こういう心配の声もございました。

 ただ、そうはいっても、やはり地域によって事情は違いますので、今も、地域の例えば入院基本料の中において人員の配置等々の算定要件を緩和したりでありますとか、それからチーム医療の評価、こういうものに関しても要件等々の緩和をしておるわけであります。

 あわせて、都市部において、今、地域と都市という話がありましたけれども、人事院規則においてそれぞれの地域によって区割りがされておりますので、そういうものに対しての加算というものは今も取り入れているわけでございまして、言われるような中において一定のことはやっておるということであります。

 ですから、お医者さんがいない、医療人材がいないとなれば一定の入院基本料なんかに関しての要件緩和等々とかいうことをやっておる中において、何とかお医者さんがいるところ、いないところ、都会、地方においてそれぞれ対応してきておるということでございます。

 今言ったのは、実は、都市部での加算と、さっき言った地域加算、お医者さんのいないところの加算というのは何か相反するような加算の形になっちゃって、都会の方がこっちは加算がついて、逆に地方でお医者さんのいないところは入院基本料の中で加算がつくというのはちょっと相反するところはあるんですけれども、それぞれの必要性に応じて加算はつけておるというような状況であります。

井坂委員 事前に事務方に伺ったときはやはり一物一価の原則だということでおっしゃっておりましたが、でも、調べれば、本当に、おっしゃるように、地域加算であったりとか、いろいろな要件緩和であったりとか、いろいろ工夫はされているわけであります。

 私が申し上げたいのは、せっかく需給ギャップを測定するわけですから、需給ギャップを縮める動きを加算する、こういうシンプルな制度設計が要るだろうという趣旨で申し上げましたので、本来、また次回も議論をしたいテーマであります。

 続きまして、介護の方に移りたいと思います。

 介護予防の件でありますが、介護給付の伸びを抑えなければいけない、これは、日本の財政の面から考えて、わからない話ではありません。

 ただ、一方で、よくよく考えるとおかしいなと思って聞いておりますのが、予防給付の伸びを抑える、これは果たして本当に政策目標として正しいのかどうかと疑問に思っております。

 例えば、予防給付を一人にやればその分将来の介護給付が一人分減るんだ、こういう明確なエビデンス、数値的な証拠を備えて、こういう仕組みをつくった上で、むしろ予防給付はふやしていくぐらいが本来の政策の目的なのではないかなというふうに思っているんです。予防給付の伸びを抑えるのが当たり前のよいことのようにポンチ絵に描いてありますが、そもそも論が間違っているのではないかなというふうに思うわけであります。

 当然、こういった議論をする大前提としては、これまで行ってきた予防給付による訪問介護と通所介護の予防効果としてエビデンスがあるということが重要でありますが、どのようなエビデンスを把握しておられるか、参考人に伺います。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢者の方々というのは、加齢によりまして身体的あるいは認知能力が低下をしていく、こういうものが本来でございます。そういう中で、予防給付による訪問介護や通所介護の予防効果というものを定量的に出すというのは、実はなかなか難しいことでございます。

 一方で、今、予防給付を使われている要支援の方々の状態像を一応調査研究しておりまして、これを分析したところでは、ADL、すなわち排せつや食事摂取等の身の回りの動作は自立しているけれども、IADL、すなわち買い物などの生活行為の一部を行いにくくなっているという方がほとんどであるということが判明しております。

 したがいまして、このような方々の状態を踏まえれば、少なくとも、エビデンスということではございませんけれども、予防給付としての訪問介護は日常生活を支援する家事援助を提供し、また予防給付としての通所介護は活動の場を提供するなどといった役割を一定程度果たしているということで、評価をしておるところでございます。

井坂委員 私は、この手の政策変更を行うときは、やはり現状を、こういう政策を行うことによってこういう効果が出ています、それをこう変えることによってこれだけ効果が上がることが予測できます、最低限こういう議論がなければ、私自身も、参考人の話を聞いていて、感覚論ではわかるんですよ、これはちょっと将来禍根を残しそうだなというふうに思っておりますが、ただ、本当のところは、私は、この問題に対しては実はわからない、ニュートラルな立場であります。大臣のおっしゃるように、変えた方がもしかしたら、私はそうかなと思いますけれども、よくなるかもしれない。ただ、どうも、参考人のお話を伺う限り、これによって予防効果が高まるというような話は出てこないわけであります。

 エビデンスを測定しないということで、事前にいただいた資料はどれも、予防給付による通所や訪問介護の話ではなくて、これまでもともと地域でやっていた地域支援事業、総合事業のエビデンスが幾つか、小さな自治体を示されたわけでありますが、こんなものは、既存の制度を維持したまま、こっちをさらに頑張っていただけばよりよい制度だというふうに私は思うだけであります。

 重ねて、複数の参考人からこういった強い訴えがありました。生活支援サービスはプロが行うべきである、これは本当に強く言われてまいりました。

 大臣にお伺いいたしますが、生活支援サービスをいわゆる介護のプロが行う場合と、大臣がおっしゃるように、場合によってはボランティアでもいいということで、ボランティアが行う場合で、介護予防効果にどのような差が生じると認識をしておられるか、お伺いをいたします。

田村国務大臣 その前に、先ほど、それぞれの地域の医療の中でどのような医療ビジョンの目標に向かってそれを達成していくかという話でありましたけれども、そういうものも含めて新たな財政制度、こういうものも使っていけるということでございますので、そういう使い方があるということはまた御理解ください。

 今のお話でございますが、プロと言うのがいいのかどうか。民主党の皆さんがプロ、プロと言われるので私はプロという使い方をしているんですけれども、要は、ヘルパーさんを中心に、今事業所で働いておられる方々の力、例えばヘルパーとして働かれる場合、そういう方々は、一つの目標を持っていただいて、本人のみずからの意欲だとかやる気、こういうものを使って、その目標を達成するためにお手伝いして、結果的にそれによって例えば自立すればいいわけでありますし、症状が改善すればいいわけであります。そういうようなことをやられるのであろうというふうに思います。

 アマといいますかボランティア、ボランティアという言い方もいいのかどうなのか。つまり、ヘルパーとしての資格、初任者研修等々を受けておられないような方々によるサービス、よく似たようなサービスということを例にとりますと、そういう方々のサービスは、要は、そういうことをそこまで必要とされていない方々に対してはそういうサービスを提供する、こういうことであります。

 それも含めて、どういう方がこちらの初任者研修等々を受けられた方々のサービスを受けるべきか、それともこちらの方々のサービスを受けるべきか、もちろん一定程度の研修は受けていただくということになろうと思いますけれども、それぞれケアマネジメントする中においてお決めをいただくことになってこようというふうに考えております。

井坂委員 大臣が今おっしゃった御説明ですと、やはり既存の制度のまま既に効果の出ている地域の先進事例を取り入れて、総合事業、地域支援事業を拡充していくというのが正解ではないかなというふうに思うわけであります。わざわざ介護給付の中にある通所介護予防それから訪問介護予防を地域支援事業の方に移すことの意義が、私は全くわからないですね。

 時間があるので、一つ飛ばします。

 介護の話を伺いました。地域医療ビジョンではなく、私は、地域医療介護ビジョンということで、医療だけでなく介護にも地域ごとに需給ギャップがあるわけです、こういった需給ギャップ解消を一体的に行うべきではないかと。今回、医療計画を六年に延ばして介護の六年に合わせたり、いろいろ合わせようと努力しておられるのはわかりますが、需給の予測、そしてその目標達成も一体で行うべきではないか。お伺いをいたします。

田村国務大臣 地域医療構想に関しましては、二〇二五年度時点での入院、外来でありますとか疾患別の患者の方々の医療の需要を予測するわけでありまして、推計した上で、どのような形で必要なそれぞれの提供体制を組んでいくか、こういうことになってくるわけであります。

 一方、介護の場合は、やはり地域においてどれだけ介護のサービスが必要か、また、これまた怒られるかもわかりませんが、地域支援事業の無料化が必要か、こういうことを介護保険事業計画の中につくっていっていただくということでございます。

 そういう意味では、やはりそれぞれ、介護の分野、医療の分野、どれぐらいのものが必要かということを含めて計画を立てていただくわけでありますので、これを一緒にするというのはなかなか難しいところもあります。

 ただ、一方で、これは平仄も合わせなきゃいけないのは事実でございます。そこで、今回、地域医療計画を、五年というのを六年という形にして介護事業計画の三年というものとリンクさせていく中で、三年ごと、中間で場合によっては見直し等々も含めてやれるような形ということで、平仄を合わせていこうということでございまして、全くは一緒になっておりませんけれども、まさに委員のおっしゃられた問題意識を持つ中において、今般の改正を提案させていただいたわけであります。

井坂委員 私から見れば、今回、医療と介護の法律を無理やりくっつけて一括審議、一括採決という乱暴なやり方であります。

 一方で、私は、やはり将来ビジョンぐらいは、需給ギャップの解消のマネジメントぐらいは一括にやれるんじゃないかなと。むしろおっしゃるように平仄が合わないと、医療の方が供給体制が整ったって、その後の地域の介護の方が全く足りないとか、そこがちぐはぐであれば意味がないわけでありますから、この辺が一体化できないというのは納得できない話であります。

 最後の質問ですが、今回、介護人材の賃上げの法案を出させていただいております。介護現場の人手不足を解消する方法として、やはり実態を見、あるいは離職者のアンケートを見るにつけ、最も有効なのは賃上げだというふうに考え、提出をしているわけでありますが、大臣に、今、日本の場合、介護人材の人手不足解消の最有力の方法はやはり賃上げだと考えておられるのか、それともより有効な手段を具体的に持っておられるのか、最後にお伺いをしたいと思います。

田村国務大臣 ちなみに、医療介護総合確保方針というものはしっかり立てますので、全く別ではないわけでありまして、そこは御理解ください。

 その上で、今のお話でありますが、幾つか理由があると思います。一つは、やはりイメージの問題。これは以前も質問の中でございました。介護に行くのならばほかのところに行った方がいいよなんて先生がおっしゃっていたというような、そういう御質問もあったわけでありますけれども、そうではない、非常に崇高な仕事だというような形の中においてイメージアップを図っていくということ。それから、やはり勤務環境。待遇だけではなくて、環境もあると思います。そういう勤務環境の改善をしていくことも必要であると思います。そして、言われた待遇改善。

 ただ、待遇改善というのはやらなきゃなりませんが、皆様方も、一万円だというような目標を持って、いろいろな御提案をいただいております。しかし、仮に一万円上げても二万円上げても、それでもまだ待遇としては、高い待遇のところがあるわけでありまして、それは介護に従事する方々が一番高いところまでいけばどんどん集まってくるんだろうと思いますけれども、なかなか現実的にそこまではやれないという現状もあります。

 ですから、待遇も改善しながら、一方で勤務環境も改善しながら、さらにはイメージアップを図っていく、総合的に対応していくことが必要であろう、このように考えております。

井坂委員 賃上げの有効性をそもそもお認めなのかどうかよくわからない答弁でありましたけれども、お認めであるということであれば、私は、本法案で実際に起こるのはやはり賃下げだというふうに思っています。少なくとも賃上げは起こらない法改正だというふうに思っています。

 大臣が午前中の答弁で、民間の事業者が賃下げを行ったら必要な人が集まらないから、実際は介護事業者が賃下げするはずはないとおっしゃるわけですが、そのまさにあり得ないことを今この法改正で大臣はやろうとしておられるのではないかというふうに思うわけです。

 本法案、出し方もむちゃくちゃで、切り上げ方も私はむちゃくちゃだというふうに思っています。中身も問題が山積みの本法案を本日採決しようという提案が理事会で出されていることに対して、強く抗議をいたします。

 時間が参りましたので、以上です。ありがとうございました。

後藤委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。あべ俊子君。

あべ委員 自由民主党、あべ俊子でございます。

 地域医療介護推進法案は重要法案ということで、きょうは、内閣総理大臣、その質疑をさせていただくこと、大変ありがとうございます。

 特に、私は、この法案に関しては、次世代にツケを送り継がない、持続可能な社会保障制度の確立、これが重要なんだと思っております。

 今まで委員会をやった中で、さまざまな不安の声が上がっております。特に、予防給付の見直しであります。

 これまで、訪問介護さらには通所介護は全国一律でありました。それを、やはり市町村が主体となって、さらには地域の実情に応じて柔軟かつ効率的に実施をしていく、これが今回の法案の中身だと思っておりますが、特に、七十五歳の高齢者は今からふえてまいります。ひとり暮らしもふえてまいります。そうした中、生活支援の強化が必要なのではないか、そういう心配の中、地域が一丸となって高齢者を、高齢者も応援できる方はしていく、今回、これが重要なんだと私は思っております。

 今回の予防給付の見直し、このような要支援者のニーズに応えるために、内閣として、政府として、総理のお考えをお聞かせください。

安倍内閣総理大臣 今回の改正では、要支援者の家事援助、地域社会への参加など多様なニーズに応えるため、訪問介護と通所介護について、全国一律の基準に基づくサービスから、地域の実情に応じて市町村が効果的かつ効率的に実施する地域支援事業へと見直しをすることとしております。

 この事業では、従来と同様に、介護保険財源を用いて、既存の介護サービス事業者による専門的サービスに加えまして、元気な高齢者を初め住民が担い手として積極的に参加する支援など多様なサービスを提供して、地域の支え合いの仕組みづくりを強化していく考えであります。いわば、地域がしっかりとそのコミュニティーを生かして支援していく体制をより強化していきたい、こう考えているわけであります。

 また、従来と同様、専門職であるケアマネジャーが要支援の方々の心身の状態に応じて適切なサービスにつなげていく仕組みでもあり、多様なニーズを持つ要支援の方々に対して、よりふさわしいサービスを提供していくことができるものと考えています。

 実施に当たっては、こうした改正の意義や効果を国民の皆様にしっかりと丁寧に説明しながら不安を払拭していきたい、このように考えております。

あべ委員 ありがとうございます。

 新しいことを始めていくとき、いつでも不安はつきものでございますが、今の制度のままでは、次世代に対してしっかりと責任のある社会保障制度は困難であると私は思っております。そのお覚悟を持って、また政府の体制も、しっかりと市町村を支えていくということで、ぜひともお願いしたいというふうに思っております。

 二点目でございますが、医療事故でございます。

 この問題は本当に、原因究明と再発防止、この二つの目的を実現する、その仕組みは困難が伴ってまいります。医療者の方からの非常な不安も出ております。医療関係者誰もが、医療事故を起こそうとは思っていません。医療事故の発生を望んでもいません。しかしながら、医療事故は起こってしまうわけであります。

 そうした中、今回、調査結果報告書が一体どういう使われ方をするのかというのが医療者の懸念であります。特に、予期せぬ死亡また死産、それはどういう場合なのか、さまざまな不安を医療者は抱えているわけであります。

 私は、何といっても、同じ過ちを繰り返さない、再発防止である、ここが重要なんだと思っておりまして、医療事故で御家族を亡くされた方々が、何とかこの再発防止の仕組みを入れてほしい、自分の家族が亡くなったことを無駄にしてほしくはない、医療者を責めるのではない、もうこのようなことは決してないようにしてほしいというのが、医療事故の原因究明と再発防止では一番大切な部分だと思っております。

 この調査制度は医療事故の再発防止に重点を置いた仕組みであるということを、改めて総理の御所見をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 今委員がおっしゃったように、再発を防止する、同じ原因で人の命が失われることはあってはならないわけでありまして、医療事故の再発防止のためには、医療機関が問題意識を持ってしっかりと対応していくことが重要であると考えております。

 こうした観点から、今回創設する調査制度は、医療機関が医療事故として報告した事例を第三者機関において分析するとともに、医療機関や遺族等への情報提供を通じて医療事故の再発防止につなげていくことを目的としています。

 この制度を実効あるものとするためには、医療機関から届け出る医療事故の定義、範囲を明確にし、各医療機関に周知していく必要があります。このため、今後、厚生労働省を中心に、ガイドラインの作成や研修の実施など、しっかりと対応させたいと考えています。

あべ委員 ありがとうございます。

 今回の重要法案は、何といっても国民の安全と安心、さらには持続可能な社会保障制度の確立ということでありますので、私ども、しっかり総理を支えてまいりますので、これからもぜひともよろしくお願いします。

 時間になりました。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本会議に引き続きまして、安倍総理に質問をしてまいります。

 まず初めに、我が国の認知症対策についてお伺いをしてまいります。

 認知症高齢者は、予備軍も含めまして八百万を超える時代となってまいりました。行方不明あるいは鉄道事故等、その深刻さは日に日に増していると言わざるを得ません。

 その中で、一昨年、厚生労働省が、認知症施策推進五か年計画を発表されました。その中では、認知症ケアパスの作成ですとか初期集中支援チームの創設、早期発見、早期診断、早期対応等々、さまざまな認知症施策が総合的に盛り込まれてきております。

 しかし、平成二十六年度予算の中では、認知症対策の予算、認知症施策推進のための経費として三十二億円計上されているにすぎません。また、認知症の初期集中支援チーム、これはモデル事業として百カ所ということでございます。まだまだではないかというのが実感でございます。

 オーストラリアまたイギリスなどでは、認知症対策を国家戦略に位置づけております。我が国も、ぜひとも、世界の中で高齢社会の最先端を走る国として、認知症対策を国家戦略として位置づける、そのための認知症国家戦略というものをつくって進めるべきではないか、このように考えております。総理の御所見をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 高齢化の進展に応じまして認知症高齢者の方々がふえていくことが見込まれるわけでありまして、社会全体で認知症の方を支えるための仕組みをつくることが重要であります。

 このため、政府としては、平成二十五年度からの五カ年計画といたしまして、早期対応を行うためのかかりつけ医の研修等の実施、初期の段階から医療と介護の専門職がチームとなって認知症の方々への支援を行う事業の推進、そしてグループホームなど認知症の方々が必要とする介護サービス等の整備、さらには一定の研修を受けた認知症サポーターによる地域での見守りの推進等について数値目標を掲げまして、施策を推進しているところであります。

 今後とも、こうした取り組みを進めていきまして、認知症の方々が地域で安心して生活できるような環境づくりに国を挙げて取り組んでいく考えであります。

古屋(範)委員 国を挙げて、世界のモデルとなりますような認知症対策をぜひとも構築していただきたい。そのための法律案であると思いますし、そのために地域包括ケアシステムをぜひとも構築してまいりたいと考えております。

 続きまして、時間の関係で、総理に質問をしてまいります。外国人材の活用についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 現在、政府におきましては、産業競争力会議等で、世界でトップレベルの雇用環境、働き方の実現を目指してさまざまな議論が進められております。内なるグローバル化として、外国人活用、多様な正社員、紛争解決システム、労働時間制度などが大きなテーマとなっております。これらの議論は、やはり避けては通れないものと考えます。

 しかし、報道によりますと、十二日の国家戦略特区会議で民間議員が、外国人起業家などの受け入れに向けた在留資格の見直し、また女性の活躍を推進するための家事分野への外国人労働者の受け入れ、労働基準監督署による指導を徹底した上での新たな労働時間制度の適用、農地転用の柔軟化などが提案をされております。

 介護分野また家事支援の分野は、女性が非常に多く働いております。さまざまな影響があることも勘案しなければなりません。日本人で、こうした介護あるいは家事支援の分野で既に働いている女性が多いわけでございます。ここの労働条件の低下、処遇の低下というものにつながりかねないとの懸念もございます。この点に関して、総理の御所見をお伺いしたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 外国人材の活用につきましては、女性の活躍を支援していく、女性の活躍推進という観点、そして中長期的な経済成長の観点から、経済財政諮問会議と産業競争力会議において議論をいただいております。その中で、国家戦略特区の活用も含めて検討するように指示をしたところでございます。

 また、介護分野における外国人労働者の受け入れについては、これまでも、EPAの枠組みの中で、一定の質を確保しつつ受け入れを行ってきているのは御承知のとおりでございますが、今後の外国人材受け入れに当たっては、御懸念のようなことが起きないように、介護サービスの質や国内労働市場への影響などにも十分留意をしながら検討していく考えであります。

古屋(範)委員 女性の活躍を掲げていただいていることを、大変ありがたく思います。しかし、こうした、実際に日本人で、また女性たちが介護分野等で働いている、その方々の処遇を下げてまで、その上で女性が活躍していくというのは本意ではございませんので、ぜひとも、この点に関しましては、慎重、丁寧な御議論をお願いしたいと思います。

 介護人材を確保するために、介護人材の処遇は下げてはならないし、これは処遇改善をしていかなければなりません。野党は既にその法案を提出いたしておりますが、このたび、与党といたしましても、介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律案を、昨日、与党の政策責任者会議で決定させていただきました。ぜひとも、この法律案を野党にも御理解いただき、早期に成立をさせ、介護従事者の処遇改善のために全力を尽くしていただきたいと思います。

 一言御決意を伺い、質問を終わりたいと思います。

安倍内閣総理大臣 介護従事者について、まさに介護従事者の皆様がその職に誇りと生きがいを持って仕事をしていただくことによって、年をとっても安心した介護環境が維持できるわけでございます。

 その意味におきまして、人手不足状況となっている、あるいは、介護の分野に職を持ったとしても、将来、なかなか安定した職として考えられないという悩みを多くの方々が持っておられるわけでございまして、そうした観点から、我々もしっかりと検討していかなければならない、このように考えております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

後藤委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 安倍総理に直接の質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。

 わずか十五分、大変貴重な時間でありますので、私も細かいこととか専門的なことは聞くつもりはありませんので、ぜひ総理自身のお言葉でお答えをいただきたいというふうに思います。

 昨日の参考人質疑で、認知症の人と家族の会の田部井参考人が次のように言われておりました。

 それは、私たちも財政状況が厳しいことは十分にわかっている、ですから、正直言って充実というのは難しいのかもしれないなというふうに思っていたけれども、しかし、消費税が上がったのに、介護の給付が抑制をされたり、あるいは負担がふえるというのは道理に合わないんじゃないかというふうに言われていました。

 私は、全くそのとおりだというふうに思いますし、これが多くの国民の声ではないかというふうに思います。

 そこで、まず、改めて安倍総理に、消費税が上がって介護が充実するならわかります、しかし、消費税は社会保障に充てられるはずなのに、何で消費税が上がって介護保険が後退するのか、この理由をぜひ国民の皆さんにわかるように御説明いただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 消費税の引き上げにつきましては、急速な少子高齢化が進んでいく中、世界に冠たる日本の社会保障制度、この仕組みを次の世代に引き渡していかなければいけませんし、私たちにはその大きな責任があります。同時に、子ども・子育て支援を充実させていく、このために行うものであります。

 すなわち、消費税率の引き上げによる増収分は全額社会保障財源化していくことになります。基礎年金の国庫負担の割合の二分の一の恒久化などにより社会保障の安定化を図るとともに、待機児童の解消に向けた保育の受け皿拡大や、難病対策の強化といった社会保障の充実を図ることとしています。

 介護保険制度についても、負担増ばかりが強調されていますが、所得の高い方々に負担を求める一方で、消費税財源を充当して、所得の低い方々には保険料の一層の軽減を行うとともに、在宅介護サービスの充実や認知症対策の推進などを行っていくこととしています。こうしたこともしっかりと私たちは説明をしていきたいと思います。

 こうした制度の充実と重点化、効率化を同時に進めていくことにより、必要な人にはしっかりと適切な給付やサービス提供を行いながら、受益と負担の均衡がとれた持続可能な介護保険制度としていく考えであります。

大西(健)委員 総理の御答弁のとおり、我々も、社会保障に充てるために消費税を上げたんですよ。

 全部が負担ばかりだとはもちろん言いませんけれども、しかし、この間、参考人の方、公述人の方はみんな、やはりこの法改正というのは介護保険の後退だと言っておられるんですよ。やはり今の総理の説明でも、私は、国民の皆さんは全く納得していないのではないかというふうに思います。

 要支援切りの話もそうです。それから、恐らく、一定の資産のある方には負担を引き上げるということですけれども、そのことによってやはり利用控えというのが起こるんじゃないかということが言われているわけです。

 あるいは、午前中の質疑でも、総費用が抑制されて単価が引き下げられれば、事業所の中には事業から撤退するところが出てくるんじゃないか、こういう話もありました。

 ですから、やはりこれは介護保険の後退だというふうに思います。実際、総理が幾ら強弁しても、国民の皆さんというのはそう思っておられないんじゃないか。

 例えば、朝日新聞社が三月に行った世論調査、安倍首相の社会保障についての仕事ぶりを評価しますかという問いに対して、評価するは三〇%、評価しないが四六%になっています。さらに、今回の消費税引き上げが社会保障の安定に役立つと思うか、そういう問いに対して、そうは思わないが五一%、役立つの三六%を大きく上回っているんです。国民の皆さんはやはり信用していないんですよ。

 この法案が今の状態でこのまま通ってしまえば、恐らく、ますます国民の皆さんは、上がった分の消費税は社会保障にちゃんと回っていないんじゃないかという不信感が高まるのではないかというふうに私は思っております。

 安倍政権が実際に言っていることとやっていることの矛盾というのは、私はほかにもあるというふうに思っています。

 今、古屋委員からもお話がありましたけれども、総理は施政方針演説の中で、「女性が輝く日本」、「全ての女性が活躍できる社会をつくる。」というふうに言われているんですけれども、しかし、介護保険が始まったときには、当時は、介護は娘や嫁がやるものだ、女性がやるものだ、こういう風潮があったんです。それを、介護保険を導入して介護の社会化を図っていく、これが介護保険の精神なんです。今回の法改正というのは、まさにその精神に逆行するんじゃないか。女性が働きやすい社会をつくると総理は言っておられるけれども、逆のことをやられているんじゃないんでしょうか。いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 逆のことでは全くないわけでありまして、今そのことについて御説明させていただきたいと思います。

 今回の改正は、要支援者に対するサービスのうち、訪問介護と通所介護について、全国一律の基準に基づくサービスから、地域の実情に応じて市町村が効果的かつ効率的に実施する事業へと見直すものであります。いわば金太郎あめみたいに全国一律にやっていたサービスを、地域それぞれ実情が違いますから、それに合わせて見直しをするものであります。介護保険が後退するものでは全くありません。

 この新しい事業は、従来と同様、介護保険の財源を用いるものであります。ケアマネジャーなどの専門職が、要支援の方々の心身の状態に応じて適切なサービスにつなげていきます。

 したがって、家族介護の負担増大や女性の活躍の後退につながるとの見通しはもちろん持っていません。

 今般の改革では、消費税の増収分を活用して、高齢者が住みなれた地域で暮らしを継続できる体制を整備していくこととしておりまして、国民の皆様には、こうした点についても丁寧に説明をしていく考えであります。

大西(健)委員 総理、今答弁の中で、地域の実情に応じたと言われました。しかし、この法案を実行すれば、地域間によってまさにばらつきが生じるんじゃないかということを皆さんは心配されているわけです。

 あるいは、NPOやボランティアといっても、そういう多様な担い手が本当にあるところもあるでしょう。あるところもあるでしょうけれども、ないところもあるというふうに思います。あるいは、その根拠として大臣が繰り返し言われていた和光市は、きょうの午前中の質疑でもありましたけれども、専門職があって、それをボランティアやNPOの人たちが支えているんです。

 ですから、専門職が今やっていることを全てボランティアやNPO、地域の実情に応じてといっても、その地域にそういう担い手がいないところがある、あるいはばらつきが出てくるということになれば、やはりこれまで受けていた必要なサービスをこれまでどおりに受けられない人が必ず出てくるのではないかというふうに私は思っております。

 そこで、このことを聞いてみたいんですけれども、総理、今回の法案で、生活支援を介護保険から総合事業に移行させていく、特に生活支援の中でも家事支援、お料理だとかお掃除をNPOやボランティアという多様な担い手にお願いしていくということになっていますけれども、従来から、こういうお掃除とかお料理というのは無駄じゃないか、そういう意見がありますけれども、総理はどう思われますか。

安倍内閣総理大臣 ちょうどこの介護保険制度を実施したとき、私は自由民主党の、当時は社会部会長と言われていたんですが、その職にありました。

 その際にも、自民党におきまして、いわば家事支援について介護保険の対象にすることは、家事支援を使っている人たちとそうでない人たちに不公平感が出るのではないかという議論もありました。しかし、この家事支援というのは、いわば介護において重要な部分を占めていくだろうという方向で自民党は最終的に一致をしたわけでありまして、だからこそ家事支援を基本的に介護保険の対象にした、こういうことでございます。

 そして、全てをボランティアでも担えるようにできるというふうに我々が考えているかのごとく今説明をされましたが、そんなことはないわけでございまして、要支援の方々の状態や生活環境はさまざまではありますが、専門的なケアが必要な方々については、ケアマネジメントを通じて、今後とも、御指摘の家事支援も含めて、ホームヘルパーなど専門職の方々によるサービスにつなげてまいります。その際は、要支援の方御本人の意欲を引き出し、自立の支援につながるようにしていくことが重要であると考えます。

 ボランティアの方々などが提供するサービスとしては、例えばひとり暮らしの高齢者の日常生活上の支援、ごみを出したり、買い物をしたり、電球を交換したりとか、こんなことなどが考えられますが、こうしたサービスを提供していくため、地域の基盤づくりも進めていきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、ケアマネジャーなどの専門職が要支援者の心身の状況に応じて適切なサービスにつなげていくという基本的な仕組みは同じであり、必要なサービスが提供されていくようにしたいと考えております。

大西(健)委員 総理も言われたように、家事支援は実は重要なんですよ。今回、参考人だとか陳述人の方も言われていましたけれども、掃除や料理をしながら利用者とコミュニケーションをとって、そして注意深い観察を行っていく中で状態の変化を見きわめて必要なサービスにつないでいくこと、この初動こそがその後の重症化を防いでいくんだと。それは簡単じゃないんです。経験やあるいは専門知識のあるヘルパーでさえ、実は身体介護よりもこの生活支援の方が難しいという御意見があったんです。

 ですから、総理も認めておられるように、家事支援というのは決して、ただ弁当を持っていくだけとかごみを出すだけとか、そういう無駄な話じゃなくて、そこで観察していくことは本当に、ボランティアやNPOの方々では残念ながらなかなかできないんです。

 ですから、今までもそういうヘルパーさんというプロの方がいて、その補助としてボランティアやNPOがやるというなら全然我々も理解します。でも、それを置きかえていくのはできないということを多くの参考人や陳述人の方が言われていることをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 そして、最後にもう一つお聞きをしたいのは、先ほども、外国人の介護分野への受け入れの話がありました。それを進めていっても処遇悪化につながらないようにしていくとは言っていましたけれども、安易にこれをやっていけば、介護というのは外国人がやるものだ、日本人がやる仕事じゃないんだと、ますます処遇が悪化して、日本人で介護の職につく人がいなくなってくる、人手不足にまた拍車がかかるということはあると私は思います。

 それから、もう一つは処遇改善の点ですけれども、総理は、先月の二十六日、代々木公園で開かれた中央メーデーに参加をされて、そしてことしの春闘での賃上げの成果をPRされたということでありますけれども、私たちは、大企業に法人税減税までして、そして本来労使の交渉で決まる賃金のことについて、賃上げしてくれ賃上げしてくれと頼むんだったら、その前に、政府自身がやろうと思ってやればできるはずの介護職員の処遇改善というのをなぜやらないのか。ぜひやっていただきたい。

 今、与党から、今回また法案をという話がありましたけれども、一年待てないんです。四月一日から消費税は上がっているんです。しかし、介護の職員の皆さんの給料は上がっていません。そういう中で、物価は上がっています、消費税は上がっています。実際には、賃金は実質下がっているんです。ですから、一年待てない、次の介護報酬引き上げまでは待てないんです。ぜひ、総理が決断すればできる介護職員の処遇改善、まずこれをやるべきじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 人材確保と処遇改善は極めて重要であると我々も考えています。

 介護人材の処遇改善については、これまでも、自公政権において、平成二十一年度介護報酬改定や補正予算の中で財政措置を講じるなど、問題意識を持ってしっかりと取り組んできています。

 今後は、平成二十七年度の介護報酬改定に向けて、社会保障・税一体改革の中で必要な財源を確保してさらなる処遇改善を進めるとともに、介護人材の確保方策全般について、厚生労働省に検討の場を設けまして議論を進めて、早急に一定の方向性を示していく考えであります。今後、精力的に検討を進めていく考えであります。

大西(健)委員 あしたにも安保法制懇の報告書が出るというふうに聞いておりますけれども、安倍総理は安全保障には大変前のめりになりますけれども、社会保障にもぜひ熱心に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 きょうも繰り返し言われているように、私は、まだまだ審議時間が足りていないというふうに思います。そして、参考人質疑でも地方公聴会でも、多くの懸念の声が表明されております。私は、総理にも、御自身の選挙区で介護を受けられている方、あるいは介護事業所の皆さんにぜひ意見を聞いていただきたいというふうに思います。私は、その意見を聞いてからでも採決は遅くないのではないかなというふうに思っております。

 そうした多くの国民の不安の声を無視して結論を急ぐことには絶対反対であることを申し上げて、私の質問を終わります。

後藤委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 四月一日には、この法案の代表質問を総理にさせていただきました。機会をいただきまして、ありがとうございました。

 その後、この国会の中で審議を深めれば深めるほど、きょうもそうですけれども、それこそ、介護サービスにおけるさまざまな削減、それに伴う家族介護の負担増大、あるいは、そういった中で、認知症の方も初期対応が重要なのに、まさに要支援がカットされればそういった方も悪化してしまう。行方不明者問題もある。

 さまざまな中で、あらゆる観点から問題が提起されているにもかかわらず、そしてそれに対して十全な対応が御答弁もいただけない中で、きょうまさに総理が一度お越しいただいただけで採決というのは本当に、全国の例えば要支援の皆さんも百六十万人おられるわけです。先ほど大西委員からありました介護の現場の皆さんの声を総理御自身がお聞きになられて、利用者の方、現場で働いている方、そういった上でこの場があるのであればまだしも、そういう状況にないわけですから、私は、本当にそういう中で採決をされてしまうということであれば、大きな禍根を残すと思うんですね。

 それで、先ほどの大西委員に続いて、私は更問いという形で入りたいと思うんですが、この要支援におけるサービス、プロのヘルパーさん、介護士さんたちが行うものと、そして、もちろんボランティアは大事です、しかし、そのボランティアさんたちが行うものとでは、やはりなかなか質的な違いがある。

 生活援助は重要だということを御答弁いただきました。しかし、その生活援助の中で、掃除や洗濯や料理という作業だけではなくて、コミュニケーションの中でその方の健康状態、あるいは御家族といろいろなトラブルも抱えていらっしゃるんです、総理。八割の方がヘルパーさんに相談しているんですよ。家族の方には申しわけないから相談できないとか、場合によっては余り関係がよくないとか、いろいろな事情があります。

 そういう中で、そのコミュニケーションを通じて、家族関係が崩壊するのを未然に防いだり、もっと言えば、例えば認知症の方で、息子さんはいないのに振り込め詐欺にひっかかりそうな方がいて、そういう問題もヘルパーさんが未然に防いだり、いろいろな専門的な事例があるんですよ。総理、笑っていらっしゃいますけれども、本当にあるんですよ。私もそういう話を聞いてきました。ですから、そういうことも含めて本当に専門性のあるサービスだと。

 総理、ボランティアの方と、本当にプロのヘルパーさんがやる要支援サービスは、同じですか、違うと考えられますか。

安倍内閣総理大臣 我々がボランティアの皆さんを活用しようと考えているのは要支援の方々であって、いわば要介護の方々ではないわけであります。

 ですから、今、認知症の例を出されましたが、認知症である程度重度の方は、当然これは要介護で、要支援ではないということはまず申し上げておきたい、このように考えるわけであります。

 この介護保険制度をしっかりと次世代にも引き継いでいく上においては、給付と負担のバランスでこれは成り立っているわけでありますから、この保険料と給付とのバランスが、全体において、国民全体で納得できるバランスであって初めてこれは持続可能になっていくわけであります。

 そこで、これから急速にふえていく、団塊の世代もいよいよ要介護対象者になっていくわけでありまして、そういう要介護対象者がふえていく中において、介護保険制度という仕組みにおいてしっかりと支援をし続けていく上においては、やはりさまざまな改革を行っていく必要があるのは当然のことなんだろう、こう思うわけであります。

 そこで、家事支援の中において、先ほど申し上げましたような、ごみを出したり、買い物に行ったり、電球を交換してもらえたり、そういうこと等についてボランティアの方がやっていただくということは当然いいのではないか、私はこんなように思うわけでございます。

柚木委員 そういう御答弁ですと、例えば、本当に特養にも三以上じゃないと入れなくなる、二以下でも認知症の方もたくさんおられますし、それはこぼれる方が必ず出てくるんです。受けられる方はいいですよ。こぼれる方に対してどう手当てをするのか、そこにどう光を当てるのかというのが私は政治の役割であると思います。

 総理、私は、きょうここにお越しいただけるということで、この「美しい国へ」という本を、本当は買っているんですよ、これは国会図書館のものですけれども。本当は買って読みました。改めて読みました。

 総理が尊敬をされるイギリスのチャーチル首相も、安全保障と同時に社会保障の充実が大事だとしっかりと書かれていますよ。そして、総理御自身の言葉でこうも書かれているんです。セーフティーネット、「この仕組みは、国家の責任においてつくらなければならない。」と。

 まさに先ほどの話で、自治体間格差が出てくるかもしれない、それを多様性という言葉に、多様なニーズに対応と置きかえておられますが、そこでこぼれ落ちてくる自治体、そしてそこでサービスを受ける利用者、あるいはそれによってサービス単価が減れば閉鎖をしなければいけない事業所、それによってやめる介護職員、多くの方は女性です。そして、家族が自分で介護を見なければならないとなれば、離職をするのも多くの方が女性です。

 そういうことも含めて、本当に今、安倍総理が進めていこうとされているいろいろな女性支援も含めて、逆行するおそれがある。しかも、自治体格差が出てくるおそれがある。そのおそれを、私は、多様なサービスで対応という言葉で置きかえるということは余りにも無責任だと思うんです。

 総理、ナショナルミニマムという考え、どうお考えですか。

安倍内閣総理大臣 つまり、国民が憲法で保障されている文化的な生活を送る上において、最低限の水準を確保できるというその水準について、国や地方自治体、地域でしっかりとそれは保障していくということではないかと思います。

柚木委員 まさに今御答弁をいただいたことが不可能になるところが出てくるかもしれないおそれがあるからこそ、我々は心配してこの議論をしているんです。

 ちなみに、ある医療団体からは、今回のいわゆる要支援サービス削減はまさに憲法違反、生存権の保障を本当に損なうものである、こういう決議文まで出されているんですよ、総理。そういうことが起こり得るからこそ、我々は心配をしております。

 ボランティアでやれるところはもちろんいいんです。そういう先進的な自治体はいいんですよ。でも、そうじゃない自治体が出てきたときに、そうじゃない御家族や利用者が出てきたときにどう考えるんだということをしっかりと担保しなければ、多様なニーズに対応するということで見切り発車をするということであっては、私は、責任のある議論とは言えない、そのように思うんです。

 そして、総理、先ほど来より議論があります、外国人の方を活用される。確かに、物づくりの分野で、私の地元もコンビナート関係でたくさん働かれている方がいますよ。しかし、今回、対人サービスに対して初めてこういった形で外国の方が入ってこられるという議論をされているということであります。

 例えば、先ほど来の議論はありますけれども、認知症の方で、この間、私もここにオレンジの、サポーターの講座を受けて勉強したんです。本当に、なかなか大変なことだなと思いました。認知症の方が書かれた文章、この間読んでいただきましたね、田村大臣。読めませんでした。海外の方が来られて、なかなか言葉が不自由で、場合によっては文章も含めてやりとりするような機会があって、本当にそういう微妙なニュアンスを感じ取って必要なサービスを提供していただけるのか。

 安倍総理、外国の方が、この介護、あるいは認知症も含めた介護に本当に携わっていただけるのか、日本人の方と同じように。どう考えられますか。

安倍内閣総理大臣 これは、外国人材を介護で活用する、これからいきなりやるということではありません。もう既に、外国人労働者の受け入れについては、介護分野においても、EPAの枠組みの中で、一定の質を確保しつつ受け入れを行ってきているわけであります。

 外国人材のさらなる活用については、現在、産業競争力会議での提言等を受けて政府全体で検討を進めているところでありまして、最初から、外国人だからだめだという見方をするべきではないんだろう、このように私は思うわけであります。

 この検討に当たっては、御懸念のようなことが起きないように、介護サービスの質や国内労働市場への影響などにも十分に留意していきたいと思うわけであります。

柚木委員 私は、ちょっとそれは認識がいささか甘いのではないかと言わざるを得ません。

 先ほど総理の御答弁の中で、今御答弁いただいた中身でもあるんですが、外国の方が入ってこられて、そして国内で既に頑張っている方々の処遇が他産業より最大十万円低いという中で、上げていこうという議論を今している中で、間違ってもそれが下がるということにはならないですよねというやりとりがあったわけです。

 だとするならば、まず、下がらないというような、そういうことが起こらないようにしたいという答弁があったんですが、それと同時に、今この瞬間、上げていくということを同時にやっていただかないと、片や、外国の方は入れますよ、下がらないように努力はしますよ、他方で、上げる方はちょっと財源を確保してから考えますよと。

 しかも、その財源の部分については、きょうの資料に改めておつけしました二ページ目、この間の本会議で総理がおっしゃったとおり、民主党政権と自民党政権になってからの違い、二十三年度補正を何で入れないんだということがありましたから、入れた形で計算をしても、公共事業予算は自民党政権に戻って三兆円以上ふえているんです。

 消費税五兆円のうちの充実分の五千億円の六倍以上のお金が公共事業に事実上流用されていると国民から見られても仕方のないような現実がある中で、予算はあるじゃないですか、公共事業に使うお金はあっても、社会保障の充実に使うお金はないとおっしゃるんですか。

 もしあると言われるのであれば、先ほどの介護職員の処遇改善、仮にこの国会で与野党が合意をしてちゃんとその法案が通ったとするならば、来年の四月ということではなくて、それよりも前倒しで施行できるというようなことで今議論がされていると聞いております。四月まで待たずして、総理、前倒しで国内の介護職員の方々の処遇改善にお取り組みいただけませんか。

安倍内閣総理大臣 処遇改善につきましては、先ほど申し上げましたように、しっかりと検討を進めていきたい、このように考えているわけでありまして、その際に、先ほど申し上げましたように、人材の確保、そしてまた介護職の方々にとってしっかりと誇りを持ってその職を務めていく、そういうことを我々も考えなければならない、このように考えております。

柚木委員 ほかの産業の方にはあれだけ、経団連にあれだけの賃上げ要請もされて、片や、医療、介護の分野の方々、ましてや介護の方々というのはほかの産業よりも非常に賃金も処遇も厳しいというのがわかっておられて、そして安倍総理御自身が、誰かに要請するんじゃなくて、御自身で介護報酬を上げると決断すれば給料を上げられるのに、何でそれをこの四月にやらずに、しかも、今回、この国会で処遇改善法が成立しても、そういう本当に現場で頑張っている方からすれば、本当にやりきれない思いをされて今この質疑を聞いていると思いますよ。

 安倍総理、この介護の処遇改善、今の要支援切りの問題はおいておいても、今まさに総理が景気をよくしていこうとされている中で、きょうの新聞広告をごらんになりましたか。もう全面広告で、いろいろな会社の広告が入っていましたよ。

 ある会社、ベストライフという会社、私、久しぶりに名前を聞いたなと。きょう入っていましたよ、全面広告。その会社はかつて、介護の未来に希望が持てませんというCMをしたんですよ。どういう意味か。介護の現場で頑張る人が未来の希望が持てないから安心してサービスを提供できない、そういうCMで、本当に社会的な波紋を呼んだんですよ。あれからもう大分たちますけれども、依然としてこういう状況があるんですよ。

 現場で頑張っている職員の皆さんのために、一日でも早く処遇改善をやると。公共事業を三兆以上ふやしているんだから、この処遇改善はその何十分の一の予算でできるんですよ、総理。少しでも前向きな御答弁をいただけませんか、現場の介護士の皆さんのために。

 総理ですよ、総理。きょうは総理のみとお願いしていますから。総理ですよ。

後藤委員長 田村厚生労働大臣。(柚木委員「田村大臣、決められないじゃないですか。介護報酬を上げられるんですか、田村大臣が」と呼ぶ)

田村国務大臣 来年度、介護報酬改定がございます。それに向かって、我々は最大限努力してまいります。

 介護職の方々は給料を上げないなんて総理は言っていないですよ。(柚木委員「総理に聞いているんですよ、本会議でやりとりしたことに対して聞いているんですよ」と呼ぶ)総理は、介護職も含めて、事業主の方に所得が上がるようにお願いしてきたわけでありまして、介護職もやはり傾向としては上がってきているわけでございます、昨年と比べて。

 そういう意味では、やはり各企業、内部留保等々がある中において、上げていただくように努力をお願いしてきているわけであります。事実、上がってきておるという現実もあるわけであります。

柚木委員 安倍総理、一日も早く、引き上げ、お取り組みいただけますか。

安倍内閣総理大臣 今大臣が答弁したとおりでありまして、大臣が答弁しているときにずっとしゃべっているからよく聞こえなかったんだろうと思いますが、介護職の皆さんに対しても、もちろん、我々も介護職に対する給与が上がるように当然望んでいるわけでありますし、今大臣が答弁しているように、上がってきているのも事実であります。そして、さらにしっかりと処遇を改善していくように我々は検討していきたい、このように考えているところでございます。

柚木委員 総理、この法案の審議の間、これは重要広範で、この委員会に総理がお越しいただける、恐らく、この次の労働関係の法案がなければ、これが最後の機会かもしれません。その間に、介護現場の方々に、総理、お話を聞く機会はありましたか。ヘルパーさんとか今回の要支援の関係で、ありましたか。

安倍内閣総理大臣 この法案の審議の間に私はそういう機会はありませんが、しかし、担当の大臣がここにいるわけですから。それぞれ、たくさん法律を抱えていますよ。当然、そのための担当の大臣がいるんですから。当たり前じゃありませんか。(発言する者あり)

後藤委員長 御静粛に願います。

柚木委員 総理がこの本の中で、本当に、最後の後書きに書いてあるんですよ。全ての方々が本当に健康で元気に暮らしていける、そういう社会をつくりたい、そしてそれは不可能ではないと書いてあるんですよ。

 この現実を見ていただいたときに、そうでないことが起こり得るという状況にある中で、総理、まさに冒頭申し上げました、尊敬するチャーチル首相も、安全保障と社会保障、両方、充実が大事なんだとおっしゃっている。それなのに、いや、それは担当の大臣がいるんだから、自分は別に行っていない、何が悪いんだと言われるような御答弁をされることが、本当に今、現場で、自分がこれから必要なサービスが受けられなくなるかもしれない、家族の方も仕事を続けられなくなるかもしれない、現場で思いを持って働いている方が働けなくなるかもしれない、そういう中で固唾をのんで見守っている中で、いや、別に現場は見ていない、担当大臣がいるからと。

 重要広範ですよ、総理。わざわざお越しいただいているんですよ。いろいろなところへ行かれていますよ、総理。別に、行っていただけることだってあったんじゃないんですか。

 しかも、そういうことがないままに、いや、多様なサービスで対応するんだと幾ら総理がおっしゃっても、きょうの資料、私、九ページ目、十ページ目をおつけしておりますよ。

 実際に、要支援サービスの話は、それぞれの自治体で九割がまだ検討すらしていない。

 そして、次のページを見てください。実際にこれが行われれば、六割近くの方が影響があると答えて、しかも、どういう影響があるか。健康状態の悪化を招く、あるいは苦情対応の責任主体が曖昧となる、苦情の対応に追われる。これはまさに、国が自治体に任せるということによって、現場でその苦情の対応にも追われるということを意味しているんですよ。

 そういうことが起こるということがまさに今目の前にある中で、いや、それは地域で多様なサービスで対応してもらうんだ、担当大臣がいるからそれでやるんだ、そういうような御答弁で、消費税を上げているんですよ。よくなると思っていたら、むしろ悪くなる。負担増は先行する、充実は先送り。そして、おまけに公共事業を上げている。もっと言うと、我々国会議員も身を切っていないじゃないですか。

 そういうことも含めて、国民の皆さんは本当に消費税を一〇%に上げるなんてとんでもないという思いを、経済の動向ではなくて政治のこういう姿を見て思っておられると、安倍総理、思われませんか。

安倍内閣総理大臣 今、質問か御自身の意見か、よくわからなかったんですが、こういうことが起こるかもしれないということを柚木さんの見解で言っているわけでありまして、しかし、それは我々と見解が違うわけであります。

 介護保険制度、こうした社会保障制度を、財源と給付ということを考えながら次の世代にしっかりと引き渡していくためにも、改革は常に行っていかなければならないわけでありまして、給付については、確かに多ければ多いほどいいんですよ。多々ますます弁ずです。あなたの言うとおりですが、しかし、そのためには財源を確保しなければならない。

 しかし一方、高齢化が進んでいく中において伸びていく社会保障費に対応するために、そしてまた子育て支援に対応するために、今回、消費税を引き上げさせていただきました。その中には、多くの部分は、年金の三分の一から二分の一に引き上げる、しっかりとそれに充当していくものに充てていくわけでございますが、そうしたものを含めて、間違いなく全て社会保障財源としていくわけであります。

 その中で、工夫をしながら、地域の実情に合った、多様性を持った、そういうしなやかな制度に変えていくというものでありまして、それによって地域によって対応できなくなって大変なことになっていくというのは、それは委員のお考えであって、我々はそのようには考えていないし、そのようにしていかないということについてしっかりと対応していきたい、こう考えているところでございます。

柚木委員 終わりますが、きょう、三、四、五、六ページと、無駄遣いについてもたくさん資料をつけています。国民の皆さんがどう見ているか、それが全てです。公共事業はやればいいです。しかし、消費税を流用してやるんじゃなくて、ほかの予算を削減するなりしてやればいいんです。

 ぜひ、公共事業に使うお金はあっても社会保障の充実に使うお金はないというような見られ方だけは絶対やめていただきたい。そのことを強く主張して、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 総理、きょうは、鮮やかなネクタイをお召しでいらっしゃいます。私は、ちょっとクールビズで大臣に合わせていまして、ネクタイを締めておりません。何とぞ御容赦をいただきたいと存じます。

 まず冒頭、我々日本維新の会は、この審議冒頭から私は申し上げてまいりましたが、この法案、大きな方向性は大賛成であります。今、この日本の経済、社会の中で、これから日本の人口構造の中で社会保障が大きく変わっていく中において、いわゆるお金の問題ではなくてサービスの、年金はお金の問題ですが、医療と介護は人の手を介したサービス給付であります、このサービス給付の世界をしっかりと、効率的で、かつ質の高いサービスにしていく大改革をしなくてはいけない、これはもう当然のことであります。ところが、民主党が三年間無駄に過ごしたために、宿題がたまりにたまって、法案がこういう形で急がなければならないことについては一定の理解をしてきたところでございます。

 しかし、ここだけは足りない、ここだけは直してほしいということがあるんですね。

 私たち日本維新の会は、三月には、具体的な修正案を要綱の形で与党、特に自民党にお示しをしてまいりました。それに対して、自民党、与党筆頭から回答が参りましたのが一カ月後。私は、ゴールデンウイークを挟んで二週間後に、すなわち一週間後に、再度の最終案、もうこれで決めてくれ、これ以上下はない、これ以上低いボールは投げられないという地面すれすれのボールを投げ返しました。与党は、週末二日を挟んで三日、すなわち一日を挟んで、ゼロ回答で返してまいりました。

 午前中、田村大臣とはもう十分にこの法案を審議してまいりましたが、大臣は、私の意見については一定の御理解をいただいていると思います、ただ、関係者の意見を聞かなければ決められないんだの一点張りでございますし、あげくの果ては、与党とやってくれと。

 この国会において、この場において、我々は与党とできますか。金子筆頭にここで質問できますか。私たちはしっかりと与野党協議をして、最後は大臣。しかし、大臣は総理に指名をされているんです。

 総理・総裁として、維新の会の地面すれすれのボール、これを受けとめていただけないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 御党から提出をされた修正案については、国会において御議論をいただくものと承知をしております。

 御指摘の医療法人についての分割規定の創設や計算書類の公表の義務づけには、さまざまな課題もあろうと思います。税制の取り扱いや医療現場の意見集約など、検討に一定の時間を要すると考えますが、今後の検討課題ではある、このように考えております。

足立委員 今、総理から、税制等も含めて検討課題がある、こういう御指摘がありました。

 大臣、検討課題はありますか。御紹介ください。

田村国務大臣 委員は、それは税制は関係ないと言われる話かもわかりませんが、しかし、事実、今優遇を受けている、そういうような法人があるわけでありまして、分割をした場合に、どことどうくっつく場合、どのような形で、その優遇措置を受けるのか受けないのか、そういうことはあるんだと思います。

 それもそうでありますが、何よりも、これはもう何度も言って申しわけないんですけれども、行政としては、やはり医療関係者等々を含めて一定の御意見は伺わないと、行政の方から修正案というものは、我々が出しておる提出法案でございますから、自分で出した提出法案を修正するということは、これはよほどのことがないとなかなかできないということは御理解をいただきたいというふうに思います。

足立委員 総理、細かいことでございますので、具体的な法案の中身について総理に問うことはいたしません。

 ただ、今大臣から御答弁がありましたが、医療法人というのは会社とほとんど一緒なんです。配当をしないだけです。税法上も普通法人として扱われています。医療法人について合併規定を設けたときも、会社に適用されている条文がそのまま適用されているだけなんです。

 我々維新の会が、これは最低の、地面すれすれのボールだと言うボールには、二つのアイテムが乗っています。一つは、病院再生のための、組織再編のための最低限の規定が一つ。もう一つは、財務諸表の公表です。

 徳洲会の例を挙げるまでもなく、医療グループの実態は全く表になっておりません。会計基準でさえなかった。小泉政権のときに検討はすると言ったその検討が、十年近くたってやっとできた。私が、私たち日本維新の会が国会にやってきて、何度も何度もこの場で、五回、十回と突き上げた結果、やっとこの二月に、病院団体が会計基準ですといって出してきた。日本にある法人制度の中で会計基準がないのは、医療法人だけなんですよ。やっとこの二月にそれができたんだから、この法案にその開示の規定を設けるのは当たり前。

 ただ、私も、いろいろ関係団体に御了承を得るのは大変だろうと思いますので、私たち維新の会の提案した修正案は、医療法人のうち厚生労働省令で定めるものについて、省令で定めるところにより、電子公告その他の省令で定める方法でやってくださいと。範囲も方法も何でもいいんですよ。

 医療法人について、医療グループについて、情報開示を全くしないんですよ。あえて言えば、医療グループとは何だといっても、それは難しいでしょう。

 徳洲会について私がここで厚生労働省に、徳洲会グループには幾つ会社があるんですか、営利法人がグループの中に幾つあるんですかと。局長は、十だとおっしゃった。なぜですか、基準はあるんですかと言ったら、局長は、基準はありませんと。では、なぜ徳洲会グループに営利法人が十個あることがわかるんですか、徳洲会グループがそう言っていますと。これが、今の医療界の実態なんです。

 だから、これから地域で、病院完結型ではなく地域完結型で、さまざまな機関が連携をしていこうというこの大法案、安倍政権として重要広範扱いの、満を持してのこの法案において、その目の玉がなくていいんですか、立派なお城があるけれども石垣が崩れていていいんですか。最低限の再編規定と、最低限の最低限の情報公開の規定だけを入れていただく。前者の再編規定についても、さまざまな法人があると大臣はおっしゃった。持ち分ありの社団医療法人だけで結構です。

 総理、これを決断できるのは大臣じゃないんですよ。もう大臣はお手上げだと。総理・総裁たる……(発言する者あり)いや、大臣は総理に指名されているから。一番、ここにいらっしゃる自民党の皆さん、公明党の皆さんに支えられているのは総理ですよ。

 総理、総裁としてでも結構です、ちょっと裏に行って十分で調整できます、準備は完全に整っていますので、この二点の本文修正、総理の御決断でお願いします。

安倍内閣総理大臣 御党の出されている修正案については、これはまさに今委員が御指摘になったように、私は両党に支えられているわけでありまして、私が支えているということではなくて私が支えられているわけでありますから、まさに現場において、理事間において議論をしていただければ、このように思うところでございます。

足立委員 委員の方々とは相当思いを共有しているはずでありますが、引き続きまた。

 私は、自公の皆様は本当によく部会でも練って練ってお出しになってきていると思います。特に公明党の皆さんは、現場も御存じであります。民主党がなぜこういうふうにばたばたおっしゃっているか。やはり地方議員がちょっと減っているんですね。だから、これから私たちは、国政のみならず、府政、県議会、府議会、あるいは首長、市町村としっかりその政治家たちとも連携をして、この法案をしっかりと、と私が言ってはいけませんね、修正ができていませんので反対ですが、もし与党によってこの法案が成立をしてしまうのであれば、この施行に当たっては、全力でこの根本的な石垣の欠陥を補填しながら施行についても力を尽くしていく、この点は、私自身、個人はしてまいりたいと思うんです。

 最後、四、五分でございますが、私は、この法案の最も欠けている議論の一つが尊厳死の問題であると思っています。

 私が地元でこの議論をすると、もちろん野党の皆様が指摘をされている問題もございますが、救急医療の現場あるいは病院の現場、それは医師だけではありません、利用者の方についても、やはり尊厳死のテーマをしっかり議論するべきだという方は多いです。

 昨年の二月二十日、参議院の予算委員会で、これは安倍総理も田村大臣もいらっしゃったかと存じますが、麻生大臣が、いいかげん死にたいと思っても生きられますからなんて生かされたんじゃかなわない云々ということでマスコミからバッシングを受けた際に、今は落選中でございますが、残念ながら人材を大阪は失っているわけでございますが、梅村聡参議院議員がこの問題を取り上げて、しっかり国会で議論していくべきだ、こうおっしゃった。

 それに対して田村大臣は、法整備についてはまだ検討していない、こういう御答弁で終わりましたが、総理の方から、議論自体が非常に慎重になりがちではあるが、いわば人間が本来持っている、最期は尊厳を持って人生を終わりたいと、これが実現するように、そしてお医者様の側も安心してそう対応できるようなそういう仕組みは考えていきたいと思います、こう御答弁をされています。

 私は、もちろん国会においても議論してまいりますが、政府においてもぜひ何らかの検討を、これまでも何かあるのかもしれませんが、この終末期医療の問題、尊厳を持って最期を迎えたいという国民の思いにぜひ総理のリーダーシップでお応えをいただきたい。いかがでございましょうか。

安倍内閣総理大臣 人生の最終段階における医療のあり方については、これは一人一人の生命観や倫理観に関連する大きな問題でありまして、幅広く国民の間で議論をしていく必要があるだろう、このように思っております。

 その観点から、現在、自民党において、尊厳死に関する検討プロジェクトチームが設けられて、議論がなされております。また、超党派におきまして、国会議員が集まって、関係法案の提出を含め、活発な議論を進めていただいていると承知をしているところでございます。

 政府としては、こうした議論を踏まえながら、人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境の整備に努めてまいりたい、こう思うところでございます。いずれにいたしましても、現在、党において、あるいは超党派の中におきまして、議員の中において議論が進んでいる、このように了解をしておりますので、まずはそれをしっかりと見守っていきたい、このように思っております。

足立委員 もう少し踏み込んだ御答弁を期待はしておりましたが、時間も参りましたので終わります。

 ただ、最後に、我々は大阪から発祥した政党でございます。この尊厳死のテーマを取り上げるときに、梅村参議院議員が麻生さんをちょっと弁護したんですね。麻生大臣は、言葉遣いはちょっと乱暴なところはあるかと思いますが、発言した場所も不適切だったかもしれませんが、いい問題提起だ、こういう話があった。大阪の政治家も若干言葉遣いに問題がある共同代表もおりますが、しっかりと、大阪の再生とともに、関西そして日本の発展のために力を尽くしてまいることを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、清水鴻一郎君。

清水(鴻)委員 日本維新の会の清水鴻一郎でございます。

 本会議でも総理にこの法案に関して質問する機会がございました。そのときも御答弁いただいているわけでありますけれども、きょうは、改めて委員会で、たった十分という限られた時間でありますけれども、質問させていただきたいと思います。

 きょうは、クールビズということでさっきまでネクタイをしていなかったんですけれども、総理がネクタイをされているので、これでは失礼かなと思って、部屋からネクタイをとってきて、今しました。これで、気を引き締めて、首も引き締めて、質問をさせていただきたいと思います。

 介護の問題がいろいろ今出ています。介護は非常に大事な問題であります。

 この前の日曜日は母の日ということで、この前も本会議で申し上げましたけれども、私の母は、九十二歳でございます、老人保健施設に現在介護度四ということで入所をしております。我々も家庭介護を一生懸命やりましたけれども、やはり家では、転んだら、誰も見ていなければ、ずっと立ち上がれない状況にいる、そういうことも踏まえて、残念ながら難しいなと。そして、母もいつも、私の家内あるいは私の娘にも、いつも済まないね、済まないね、早くおばあちゃん死んだらいいのにねというふうに言っていました。

 しかし、今、老人保健施設で、先日の母の日も、たまたまその地域のお祭りということもありまして、老人保健施設の駐車場におみこしが来てくれるんですね。それに、ずっとテントを周りに張りまして、利用者の皆さんがテントの中で待機をして、そして御家族の方も来ていただく。

 私も参りましたし、私のめい、弟の娘でありますけれども、それもまた子供を連れて、つまり、私の母からいいますとひ孫を連れて、一緒にお祭りを、その施設のイベントを見に来る。若い皆さんがワッショイ、ワッショイとおみこしをやっていただく。そういうものを見ながら、高齢者の方々同士が、ああ、若い者はええな、昔は私のお父さんもおみこしを担いでいたんやというようなことも含めて、そういう談話がありました。

 今、五十数万床の特別養護老人ホームの入所待ちがあるということであります。もちろん、これが純粋の数であるかどうか、併願しておられる方もいらっしゃいますし、現在ほかの施設に入りながらまた特養を目指しておられる方もいらっしゃるのでありますけれども、しかしながら、これから整備される特養の数を考えれば、在宅というのは非常に響きもあるし、美しいし、できれば住みなれた家でということも理想ではあると思います。しかし、やはりなかなか難しい点も多い中で、余り在宅神話、在宅がすごくすばらしいもので、施設に預ける息子は、清水鴻一郎はよくない、親不孝な息子だということではなくて、ちゃんと、実際に介護される人の幸せといいますか、そういうものも踏まえた上で、ぜひとも施設介護もベストコンビネーションをしてやっていただきたいなと。

 短い時間で、なかなか総理に答弁をいただいている時間もないかもしれませんけれども、そういうことを介護のことでは申し上げておきたいと思います。

 そして、まず一番最初に、私は先日も申し上げましたけれども、ちょうど第一次安倍内閣の始まる直前に、進行性の直腸がんを患いました。急性期の病院がたくさんあったおかげもあって、見つかって一カ月で大手術をしました。もうおなかをばっさりです。へその上から下までずっとばっさり切りまして、リンパも三十二個取ったということであります。

 私も初めて死というものを意識しました。やはり死というものを見詰める中で、医者であって、脳外科ですから、人の頭を開頭して手術を何回もさせていただきました、しかし、自分が手術を受けるという身になって初めて、患者さんの気持ち、やはり死というものを意識しながら医療を受ける、医療の大切さというものを改めて患者の立場からも見たわけであります。

 ただ、今度のいわゆる医療の報告制度、病床機能を報告して、そして地域ビジョン、地域医療構想をつくって、いい形の、今、急性期に若干偏りがある、もう少し支える側も含めて病床をつくっていこう、これは非常に大事な、二〇二五年に向けてこれが最後のいわば病床を整えるチャンスではないのかなと。

 それで、私も、さすがにこのワイン形、大臣や皆さんもよく御存じのこのワイン形、急性期がやたら多いな、下がえらい細っておるな、つまり、その受け皿がない、急性期が終わったら次に行くところがないよね、このあれでありますけれども、実はこれも若干トリックがありまして、よく見ますと、現在の姿というものを足してみると実に八十六万床しかないんですね。今後の姿というのは百七万床あるんですよ。差が二十万床あるんですね。別に増床するわけじゃないというんですよ。

 これはどういう仕掛けになっているか、総理はもう御存じですよね。どういう仕掛けでこんな二十万床もずれがあるんだということは当然御存じだと思います。だけれども、細かいことなので、総理は余りこういうことはあれかもしれませんので、あえてお聞きしません。

 だから、こういう図だけを信じて、何か余りにも違うということではないんだということであります。これは、実は、回復期リハの六万床とかは入っていないんですよ。だから、こんなにワイングラスになっているわけじゃないんですよ。

 ぜひ、そういうことも踏まえながら、本当にベストな病床の報告制度、これはやはり国がしっかりとビジョンをつくっていただかないと、地域に任せて、手挙げ方式というのはすごく、一応いいんですよ、病院が自分のやりたいことをやってくださいと。これが、二〇〇〇年に介護療養病床、手挙げ方式ができた。五年後には、やはり多過ぎて、介護療養病床やめましょうと。廊下も広くしたし部屋も広くした、やっと用意ができたのに、五年後にはもうなし。こんなことでは医療関係者はやっていられません。

 十八年改正でもそうです、七対一。つまり、七対一で看護師さんをそろえて、やっと急性期の病院としてやっていこうとしたら、今度はこれが多過ぎるということになりました。

 こういうことがないように、ぜひ、総理、今回のこの病床は二〇二五年まではもう変えることがない、きちっと国の指導もやるということをどうぞ明言していただきたいと思います。もう、やるということだけでいいですよ。

安倍内閣総理大臣 今委員がおっしゃったのは急性期と療養型とのバランスということなんだろう、このように思いますが、その意味においては、偏りがないように、適切な対応がそれぞれできるように、医療提供体制が適切な形となるように、しっかりと我々も対応していきたい、このように思っております。

清水(鴻)委員 療養型だけじゃない、間に回復期とか回復期リハビリテーションとかいろいろありますので、総理もぜひそこのところをちょっと注目していただいて、総理が病気になられることはないかもしれませんけれども、仮になったときにもずっとスムーズにいけるような、そういう仕組みをぜひやる、二〇二五年まではもう変えないというベストなものをつくっていただきたいと思います。

 それから次に、もう一個だけ心配なのは、特定行為に係る看護師さんの研修制度。

 これは、いわゆる気管内挿管、総理は御存じかどうかわかりませんけれども、手術するときなんかに管を喉まで入れて呼吸管理をします、つまり、自分で呼吸しなくても呼吸をちゃんと管理できる、つまり、喉に管が入ります、そういうものまで今回は特定行為としてやっていいと。もちろん医師の一種のマニュアルはあるんですけれども、少なくとも医師がいないところでやっていいということになっています。

 これは、実は医師でも気管内挿管ができる人というのはそうたくさんはいません。すなわち、麻酔科とかで、私も京大の麻酔科で麻酔医として半年間研修をした、そこで初めて挿管がようやくできるか、そういう状況です。まして、それは、筋弛緩剤を入れて、いわば手術場の中であらゆる安全性が担保された中でようやくできる行為です。

 にもかかわらず、アウエイク、すなわち、いわば救急のようなところで、お医者さんがいない、そこで看護師さんがそれをやるということは極めて危険だし、普通にやれば食道に入ります。普通は入っていきます。だから、それを気管に入れる技術というのは極めて難しい。

 それに類していろいろあるんですけれども、もう時間が十分ってほんまかいな、こんなに短いですかね。これはちょっと何かうそと違いますか。こんなことはないと思いますけれども。

後藤委員長 先生、おまとめいただくように。

清水(鴻)委員 もう十分ですか、本当に。そうですか。わかりました。

 そういう難しい行為も入っている。これに対してよほどの研修やそういうものをしっかりやって、これは命にかかわることです。これは午前中のこともあったので重ねて言いませんけれども、ぜひその点だけは、もうほかの質問はいいですけれども、ほかのものは時間がないのでやめますけれども、そこだけはきちっとやるということだけ、総理、お願いします。

安倍内閣総理大臣 医療の高度化に伴いまして、質の高い医療を効率的に提供していくためには、多種多様な医療に関係する専門職が、それぞれの専門性を生かして、互いに連携、補完し合うチーム医療を推進していくことが重要であると考えております。

 このため、今回の法案におきましては、医師や歯科医師の指示を前提といたしまして、医療の安全性を確保しつつ、看護師など医療に関係する専門職が行う業務の範囲を広げることとしております。

 その際、こうした業務を行う看護師を養成するため、御指摘の看護師の研修、しっかりとそうした技術を身につけるための研修制度を創設することとしております。

 制度の具体的内容については、専門家による議論を経た上で厚生労働省において決定することとしておりまして、医療の安全性の確保にはしっかりと対応していきたいと考えております。

清水(鴻)委員 ありがとうございます。

 ただ、中身が本当にこれから、これからなんですよ。まだこれからの内容に賛成か反対かと言われても、なかなか賛否ができないというのが実情であります。どうかもっとしっかりした審議をやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。

 十分間ですが、三点、安倍総理に申し上げたいことがございますので、よろしくお願いいたします。

 まず、資料をお手元にお配りしておりますが、一ページ目、認知症についてでございます。

 認知症の方がJR東海にひかれて死亡した、そういう事故が七年前、愛知県内で起こりました、当時九十一歳の男性でしたが。これに関する高裁判決が先般出まして、この奥さん、当時八十五歳ですから、もう今は九十代に入っているということだと思いますが、その御年になられまして、責任があったということで、額は半分になりましたが、それでも三百六十万円の賠償を命じられたということであります。

 お配りしているこれはJR側が上告したというニュースでありますが、実は遺族側も上告をいたしました。遺族側のコメントは、これも報道情報ですけれども、十分な介護をしてきた中で、義務を尽くしていないという指摘は承服できないと。当然、御家族の苦労の中でのことでしょうから、そう言いたくなる、そういう思いは理解できるところでございます。いずれにしろ、最高裁でこれから判決が出るまで、しばらくこういう争いが続くという状況でございます。

 これを見て、認知症の方について、ここまで、法的責任に至らないまでも、一体誰が認知症の方の生活を支えていく責任を持っているんだろうか、全て家族なのか、いろいろなことを考えてみました。

 実際、認知症は、これからその数もふえると言われる中で、認知症専門のグループホームだとか、あるいはデイサービスとか、そういうサービスもこれから拡充させていかなければなりません。軽度のうちに対応すると、もう一回自宅に戻れるぐらいに回復する方もあるんですね。それから、もちろん、重度の方、家族が面倒を見られないという場合は、特養などの介護施設に入る必要もあります。

 さらには、今回の委員会でもさんざん議論をさせていただいたんですが、今回、これから特養に入るのは、要介護度三以上が原則になりました。認知症の方は、ともすると要介護度が低く判定されがちであるということで、これから自治体において適切な要介護度の判定をしていく必要がある。さらに言うと、国においても、その状況を把握して的確な指導をしていく必要があるということで、いろいろなところにプレーヤーはいるんだと思うんですね、サポートするべき方々というのは。

 ということで、総理に、まず今回の鉄道事故判決について、まだ高裁段階ですが、どのように評価されているか、そして、今の認知症の方の暮らしをどういうふうな責任分担、役割分担で支えていく必要があるか、御所感をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 この判決自体については、まさに係争中の事案でございますので、政府としてはコメントは差し控えるべきだろう、このように思います。

 高齢化の進展において認知症高齢者の方々がふえていくことが見込まれる中、社会全体で認知症の方を支える仕組みをつくることが重要と考えています。

 このため、政府としては、平成二十五年度からの五カ年計画として、早期対応を行うためのかかりつけ医の研修等の実施、そして、今委員がおっしゃったように初期の段階から対応していくことが大切でありますから、初期の段階から、医療と介護の専門職がチームとなって認知症の方々への支援を行う事業の推進、そして、今例として委員が挙げられましたグループホームなど、認知症の方々が必要とする介護サービス等の整備、そして一定の研修を受けた認知症サポーターによる地域での見守りの推進等について、数値目標も掲げまして、施策を推進しています。

 今後とも、こうした取り組みを進め、認知症の方々が、これは認知症の方の御家族も含めて、地域で安心して生活できるような環境づくりに努めてまいりたいと思います。

重徳委員 本当に、社会がここのところ崩壊しているような地域もある中で、しっかりとした社会づくりが必要なんだと思っております。

 そういう中で、ちょうど昨日、「選択する未来」委員会という経済財政諮問会議のもとに設けられた有識者会議の中で、五十年後、二〇六〇年代に人口一億人程度を維持する、そういう中間報告がまとめられました。これは資料の二枚目におつけしております。

 報告書も私はざっと拝見させていただきましたが、合計特殊出生率二・〇七を目指そう、数値目標を提示するのは初めてのことだということでありまして、私もこの方向性には賛成でありますけれども、さらに、高齢者に手厚い社会保障の予算を見直して財源を捻出し、子育て世代に重点配分するということも言われております。

 私は、少子化対策という言葉から脱却して、増子化、子供をふやすという政府の意思を明確にする言葉を使うべきじゃないかというふうに前から提唱しておりますが、少子化から増子化に転じるということが本当に重要なことだと思います。

 ただ、気になるのが、この中間報告を含め、あるいは報道の姿勢もそうなんですが、常に経済面、財政面からの指摘が多いんですね。国際的地位が下がる、国民生活の水準が下がる、社会保障給付がふえちゃう、それから財政破綻を招く、こういう金目の話ばかりなんですよ。だけれども、私は、それだったら外国人の移民を受け入れるということも十分なオプションになるし、日本人の子供をふやすという理由としては、やはり地域の文化というもの、あるいは伝統というもの、これを守っていくのは日本人をふやすしかない、こういう理由で増子化が必ず必要だというふうに思っております。

 そんな難しい高尚なことを言っているわけじゃなくて、子供の数が減れば子供会も廃れて、ラジオ体操も夏休みに行われないし、お祭りもなかなかできないとか、学校も廃校になるし、そういうことも含めて全部文化だと思うんですが、こういった文化が滅びたら国家も滅びる。こういう観点からも、もっとこういう視点を強調した上で少子化改め増子化を進めるべきではないか。こういう視点について、安倍総理の御見解をお願いします。

安倍内閣総理大臣 今、重徳委員が指摘をされたように、我々が祖先から受け継いできた日本の伝統や文化を次の世代に引き継いでいきたい、こう考えているわけでありますし、引き継いでいくためにも、人口がどんどん先細っていく、あるいは地域が消滅していくようでは、地域の文化を次の世代に引き渡していくことはできないと考えます。

 そういう意味において、今委員が御指摘になった視点からも、地域の人口も維持をしていくという観点からも、日本全体の人口を何とか維持していくべく努力をしていきたい。しかし、現在の段階では、しばらく人口の減少状況が続いていくわけでございます。

 その中におきまして、子ども・子育て支援の充実や少子化対策をしっかりと進めていきます。本年四月からの消費税率の引き上げによる増収分についても、待機児童の解消に向けた保育の受け皿拡大などに充てることとしておりますし、今後とも、少子化に対応して、まあ、少子化という言葉ではなくて増子化という言葉を使えということでございますが、すぐには、いきなりふえていくということは難しいわけでありますが、だんだんふえていく傾向にしていきたいと思います。結婚や妊娠、出産、育児の切れ目のない支援を推進するなど、総合的な政策の充実強化に取り組んでいきたい、このように思います。

重徳委員 最後に、私、苦言を申し上げておきたいと思います。

 今までの議論は今までの議論として御答弁をありがたく承りましたけれども、今回の地域医療介護の法案は何せ十九本もの法律を一本の法案にまとめて、必ずしも密接不可分じゃないですよ、はっきり言って。看護師や技師が特定行為、医療行為をできるようになるとか、それから医療事故に伴う調査機関を設置するとか、別に一緒に審議する必要は必ずしもないですよ。むしろ、一緒に審議することによって物すごく薄まるんですよね。焦点をぼやかそう、こういうような法案をそもそも提出することが問題だと思っております。

 ですから、きょうの段階で万が一にも審議を打ち切ろうとするような与党の姿勢に対しては断固抗議をいたしますし、それ以前に、はっきり言って、役所からすれば余裕ですよ、これはもうどんな法案でも一緒に出して、そうしたら、衆参両方、巨大与党が全部通してしまうから、はい、ありがとうということで、完全な官僚主導の日本に逆戻りです。

 こういうことはやめていただきたいと最後に強く申し上げて、質問を終わらせていただきます。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日は、厚生労働委員会で総理に直接質問をさせていただく機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 委員から、さまざまな質問もあったと思います。私からは、細かい質問ではなく、大枠の話をちょっとさせていただきたいと思うんです。

 先ほど総理の答弁の中で、平成十一年から十二年の間、安倍総理は、自民党の厚生労働部会長、当時はまだ厚生省と労働省が分かれておりましたから社会部会長ということでありました。その二年後に、私の亡き父、中島真人が、平成十四年、自民党の厚生労働部会長をさせていただきました。

 平成十二年と申しますと、まさに今回も審議され、さまざまな問題が議論されております介護保険の創設の年であります。当然のことながら、安倍総理も介護保険創設時にかかわったことと思います。

 私の亡き父は、その後、軌道に乗せるための運用にかかわった立場だったと思います。私の父は六年前にがんで他界をいたしましたが、長い療養生活の中で、最期、私に残した言葉が、このままでは日本の医療や介護は崩壊すると私に言い残して、天国に召された。

 私は一介の地域医療の医者でございまして、父のその言葉をずっとかみしめながら医療に携わっておりました。父のその言葉どおり、地域医療の現状、老老介護、ひとり暮らしのお年寄りの孤独死、多くの問題が年々悪化していくさま、その中で、その父の言葉が、私が一介の医師からこの政治の道へ進んだ基本となっております。

 そのような背景の中で、今回の法案は、本会議の質疑でも御質問をさせていただきました、今、前の委員からも御質問がございました、医療や介護、そして医療事故調、特定行為に係る看護師制度、性質の異なる十九本の法律案を一括して審議する。答弁の中では、在宅医療・介護まで一連のサービスを総合的に基盤整備する、その趣旨に沿っておるということでございますが、先ほど申し上げた介護保険創設時にかかわった安倍総理、大変思い入れがあるのではないかと私は想像するわけですが、改めて、今回の法律案はその趣旨に本当に沿うものなのかどうか、お尋ねしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 部会長当時にもお父様にもいろいろと御指導をいただきましたが、ちょうど私が部会長のときに、この社会保障制度がいよいよスタートしたところでございまして、厚生大臣が丹羽雄哉理事であったわけでございますが、当時、ドイツが導入しただけでありまして、世界で日本が二番目だったわけでございます。

 介護保険料を取るということが果たして通用するかどうかということが大変な議論になっていたわけでございまして、そういう中で、半年間、実は徴収を延期しようということを当時の亀井静香政調会長が決断をされまして、さまざまな議論、多少の混乱もあったんですが、最終的にその方向をとったことによって、かえって、これはやはり保険料というのはちゃんと徴収すべきだという議論が逆に盛り上がった結果、徴収等についてはスムーズに進んでいったのではないかと、今から考えると思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、いわば家庭の中で介護をお願いするというのは、事実上、むしろ、家庭のきずなすら難しくなるという状況に逆になっていくという中においては、社会もしっかりと支えていく、国や地域や社会が支えていくということでこの制度ができ上がったわけでございますが、今回の法案においては、しっかりとこの制度を次の世代にも引き渡していく上においても改革は進めていかなければいけない、その中において、地域の特性を生かしながらサービスを提供していくという方向で改革がなされている、このように認識をしております。

中島委員 今回の国会審議、法律案がこのような十九本束ねた格好、そして厚生労働委員会での運営、この一週間の間に、参考人質疑が二回、地方公聴会一回、昨日、一昨日と参考人にお話をした後、そして、きょう採決という提案がある。私は、残念ながら、安倍総理、政府が、国民生活に密着した今回のまさに盛りだくさんの法案でこのような乱暴な法案審議、とても、国民生活に密着した医療、介護の問題に真剣に取り組んでおるとは思えません。

 総理としては、あらゆる問題、課題に対して取り組まなければならない、大変御苦労も多いことと思います。そして、御多忙だとは思います。

 あした、十五日、安保法制懇の報告書が提出される。これは通告していないんですが、御認識でいいです。国民の皆さんの関心は、もちろん集団的自衛権の問題も重要だと思います。しかし、先ほども言ったように、これからの地域包括ケアシステムを含めて、実際に地域で暮らしている方々、現在、介護、療養なさっている方々、今回の医療や介護の問題、集団的自衛権の問題、国民の皆さんはどちらの方が関心が高いんだろう。総理の御認識でよろしいです、どのようにお考えになりますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これはどちらが関心が高いかということで判断すべきではない、私はこのように思っておりまして、安全保障というのは、国の存立が根っこから奪われるかもしれないという状況を想定しなければならないわけでありますから、そうなれば、私たちが享受をしているこの自由や民主主義や基本的な人権というものも奪われるかもしれないという状況でありますから、それをどちらが大切かということで選択をするということではないんだろう、このように思うわけであります。

 いずれにいたしましても、この法案につきましても、この委員会で議論がなされている、その中においていつ終局を迎えるかということについては、まさにこの委員会において御判断されることだ、このように思います。

中島委員 おっしゃるとおり、観点の違う問題ですから、どちらが重要ということではないんですが、直近の五月十二日、NHKの、これは別に今回だけではなくて、やはり国民の皆さんが最も関心がある、政治に取り組んでいただきたいのは、今回も社会保障制度の見直し、あり方、充実、これが一番高いわけです。

 先ほど申し上げましたように、今回の法律案の中身がそのような国民の皆さんの期待に応える内容にはなっていない、そのように私は思いますし、地方公聴会、そして参考人、私の地元山梨県でやった地方公聴会、全ての参考人、与党の方がお呼びになった参考人も含めて、今回の法律案の内容、進め方に対して、否定的もしくは慎重審議をしてほしいと切なる言葉を言っておられました。

 時間もございませんので、もう一問だけさせていただきます。

 私たちも、これから、もう既にですが、少子高齢化社会の中で、持続可能な社会保障制度の確立、この重要性は十分認識をしております。ただ、今回もそうです、四月から消費税増税をされ、私たちは、患者さんや利用者さんに負担を求めるその前に、社会保障の問題解決のために、これも本会議でも言ったんですが、医療市場、介護市場の改革がまず先だというふうに思っております。

 改めて、医療市場の改革のための構造的問題、私はそう思っておりますが、日本医師会、医療法人、そして介護市場であれば社会福祉法人改革に取り組むおつもりがあるのかどうかお尋ねをして、御質問を終わります。

安倍内閣総理大臣 高齢化の進展に伴いまして医療や介護サービスは需要の増大が見込まれますが、質の高いサービスを持続可能な形で提供できるよう、不断の改革を進めていくことが重要であると考えています。

 例えば、医師の自由開業制度は、医療に関して我が国が守ってきたフリーアクセスを確保する上で重要なものと考えております。一方で、効率的な医療提供の観点も重要でありまして、今回の法案においても、病床の機能分化、連携を推進すると同時に、かかりつけ医の普及や外来医療の機能分化に向けた取り組みを進めることとしています。

 また、日本医師会との関係、あるいはその関係で改革ができるかどうかという御質問だと思いますが、日本医師会は、地域医療を現場で支える団体としての立場から、規制改革についてもさまざまな意見があるというふうに認識をしておりますが、お互いに、国民にとってよりよい医療・介護制度をつくり上げていきたいという思いでは同じだろうと思います。しっかりと議論しながら、進めていくべき改革は決意を持って進めていきたい、このように考えております。

 また、法人制度改革についてでございますが、医療・介護サービスを担う医療法人、社会福祉法人については、今回の法案で、医療法人について社団と財団の合併を認めるとともに、複数の医療法人や社会福祉法人等を統括し、一体的な経営を可能とする非営利ホールディングカンパニー型法人制度を創設すべく検討を進めており、また、社会福祉法人についても、今後、ガバナンスを強化するとともに、非営利法人として税制優遇等を受けていることを踏まえて、低所得者や重度介護者への重点的な対応を強化するなど、必要な改革を進めています。

 今後も、さまざまな関係者と議論を深めながら、実効性のある改革を進めていきたいと考えております。

中島委員 時間ですので終わりますが、医療分野、これは規制緩和だけではなくて、実は規制から規制への取りかえという業務がある、だからこそ岩盤はよりかたくなるんです。ぜひ、総理の意思でその岩盤をしっかりと取り崩す、その姿勢を見せていただきたい。

 残念ながら、本法案にはその姿勢が見えないということで、そして、今国会の国会審議のあり方にも大変疑問を持ちます。そういう意味で、本法案に、きょうの採決も含めて反対する意思を表明いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 本法案に不足している四つの制度設計、枠組み、大枠について、総理にお伺いをいたします。

 まず、介護人材の確保。

 今回、野党側でも法案を出させていただきましたが、これは緊急避難的な単純賃上げの内容であります。一方、長期的に考えれば、やはり介護の職員さんが長く勤め、その結果、技術が上がってよりよい成果が出せて、そして、それがきちんと評価されて、多くの介護報酬がもらえて、賃金に反映をされる、こういう仕組みに変えていく必要があると考えております。

 今回議論になっております介護予防において、よい結果とは、要介護から要支援になった、あるいは要支援から何もなしになった、あるいは、そこまで改善しなくても、同じ状態できちんと長期間維持ができた、こういうことであろうというふうに思います。

 お伺いをいたしますが、介護予防の事業効果をきちんと測定する、そして、その結果を介護報酬に反映させて、介護人材のキャリアアップに見合った賃金に結びつけるのが介護人材確保の王道だと考えますが、この事業の効果測定、そして介護報酬への反映について、総理の見解を伺います。

安倍内閣総理大臣 高齢化の進展に伴う介護のニーズに対応していく上で、人材確保と処遇改善は重要な課題と考えています。

 介護人材の処遇改善については、これまでも自公政権下において、平成二十一年度介護報酬改定や補正予算の中で財政措置を講ずるなど、問題意識を持って取り組んできたところでございます。

 今後は、平成二十七年度の介護報酬改定に向けて、社会保障・税一体改革の中で必要な財源を確保し、さらなる処遇改善を進めるとともに、介護人材の確保方策全般について、厚生労働省に検討の場を設けて議論を進め、早急に一定の方向性を示すなど、精力的に検討を進めていきたいと思っています。

 また、要介護度を改善させた事業所に対する介護報酬上のインセンティブについては、現在、一部のサービスには導入されておりますが、報酬額によっては利用者の選別が生じるおそれがあるなどの課題もあり、今後の検討課題と考えているところでございます。

井坂委員 初日の本会議と同じ御答弁なわけでありますが、今回議論をしていて、単純賃上げじゃなくて、キャリアアップ、誇りを持って働ける職場、こういう御答弁が大臣からもあったわけです。そこをきちんと、やはり、まずそもそも効果測定されていないことが多過ぎる、この間の質疑で、委員会でも随分出てまいりましたし、効果測定、そしてそれの報酬への反映、こういったことが肝だと思っておりますから、ぜひ制度をつくっていくべきだということを申し上げたいと思います。

 二点目に、特定行為に係る看護師の研修制度。

 これは、医師不足をカバーするために、本来は大幅な看護師の権限拡大を目指していたはずでありますが、私から見て、大変矮小化された制度に落ちついてしまっております。参考人からもさまざま指摘がありましたが、看護師のさらなる権限拡大、また、本法案に入っておりませんが、薬剤師のさらなる権限拡大が必要ではないか、通告どおり、総理に伺います。

安倍内閣総理大臣 医療の高度化等に伴いまして、質の高い医療を効率的に提供していくためには、多種多様な医療に関係する専門職がそれぞれの専門性を生かして、互いに連携、補完し合うチーム医療を推進していくことが重要と考えています。

 このため、今回の法案においては、医師や歯科医師の指示を前提として、医療の安全性を確保しつつ、看護師など医療に関係する専門職が行う業務の範囲を広げることとしております。

 今回の法案で創設する研修制度は、看護師が、医師の判断を待たずに、手順書により一定の診療の補助を行うことを可能にするものでありまして、これを普及することによって、在宅医療等において看護師がより活躍することが可能になると考えております。

 また、薬剤師についても、高齢化や医療の高度化を踏まえて、在宅医療での薬剤師の役割の範囲を拡大したところでございまして、これはいわば、家で介護等を受けている、あるいはまた療養している方が、薬剤師の方に来ていただいて対応してもらうということも可能になってくるわけでありまして、医療提供体制を支えていくため、今後もチーム医療を推進していきたい、このように考えております。

井坂委員 次に、医療事故調査制度について、本法案は、調査と再発防止のためと言いながら、結局、報告書が遺族の手に渡ることによって訴訟に使われる可能性が残っている、その結果、医療関係者が一〇〇%正直に調査に応じられない懸念があります。一方で、遺族側は発議ができない、真相究明をしようと思えば、結局、訴訟の手段しか残されていない、こういう仕組みになっております。

 医療事故調査報告書は遺族に非公開とするなど、純粋に再発防止のために使い、一方で、無過失補償制度など遺族発議の責任追及制度を設けることで不毛な訴訟も減らしていく、この二本立ての制度が二本同時並行で必要だ、このグランドデザインについて総理の御見解を伺います。

安倍内閣総理大臣 医療事故の再発防止のためには、医療機関が問題意識を持ってしっかりと対応していくことが重要と考えます。

 こうした観点から、今回、創設する調査制度は、医療機関が医療事故として報告した事例を第三者機関において分析するとともに、医療機関や遺族等への情報提供を通じて、医療事故の相互理解や再発防止につなげていくことを目的としています。

 この制度では御遺族に医療事故調査結果の報告書を説明することとしていますが、本制度は責任追及や紛争解決を目的とした制度ではないため、今後、ガイドラインの策定等を通じて、医療事故の再発防止という本制度の趣旨がしっかりと伝わるようにしていきたいと考えています。

 委員は責任追及の仕組みがなければ中途半端なものとなるとの御意見だというふうに承知をしておりますが、現在の案については、関係者により長きにわたる議論を重ねてようやくこのような形となったものでありまして、医療事故調査の取り組みを前進させ医療安全、信頼できる医療を推進していく観点から御理解をいただきたい、このように思います。

井坂委員 全くもって不完全な制度だと思います。

 最後に、医療や介護の今回のような制度変更の際に、現行制度の効果測定を義務づけたり、あるいは、参考人からありました、個人情報保護の規制緩和などで医療や介護のデータを研究者に安価に公開して多角的なデータ分析を進めるなど、データに基づいた政策変更を行うインフラを整えるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 確かに、委員が御指摘になったように、新たな政策を打ち出す際、政策変更の際には、データによって現状把握、分析をしつつ、将来を見据えることが重要であるというふうに認識をしております。

 今回の制度改正についても、立案に当たっては、患者調査など医療や介護の現場の実態に関するデータ、診療報酬や介護報酬に関するデータ、そして地方自治体等で行われているさまざまな事業の例など、さまざまなデータを用いて現状と課題の分析を行っています。

 今後とも、個人情報の保護や安全性に配慮をしつつ、医療や介護に関するデータの利活用を促進し、政策立案に生かしていきたいと思います。

井坂委員 本法案、十九本まとめた出し方、私は大反対であります。また、この審議期間の異常な短さも大反対であります。また、内容についても、大変問題が多く残っている内容だというふうに議論を通して認識をしております。全てにおいて反対である、まして、本日採決あろうものなら断固反対だということを申し上げて、終わりにいたします。

 ありがとうございます。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 十分ですので、最初に一問だけ大臣に伺いますが、簡潔にお願いをいたします。

 医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムが、本法案の中心点であります。中学校区単位、おおむね歩いて三十分以内に必要なサービス、非常にいい絵が何度も描かれているわけですね。介護が必要となれば、あるいは病気になれば、そういう絵が描かれてはいるわけですけれども、現実はどうかということであります。

 資料の一枚目を見ていただきたいんですけれども、介護サービス量と給付費の将来見通し。これは、現状投影シナリオでいいますと、二〇二五年度には利用者数は六百六十三万人になる、一・五倍だ、しかし、改革シナリオでは六百五十七万人になるというわけですね。その内訳の中に、入院の減少、介護への移行というものがあります。これで十四万人。下の方を見るとどこがふえているかが明らかであって、要するに、病院から在宅に重度の方も含めて行くということを意味しているんだと思いますが、その受け皿をどう考えていらっしゃるんですか。

田村国務大臣 これは病床機能の分化、連携ということでありまして、当然、急性期から、ポストアキュートもあるでありましょうし、回復期もあると思います。さらには慢性期もあると思います。そういうものを、やはり整備をしっかりやっていくということが大前提でありまして、急性期以降、ちゃんと受け皿をつくる。

 ただ、一方で、在宅というものもこれからは力を入れていくわけでございまして、在宅で対応ができない方々が在宅に行ったのでは大変でございますから。それも含めて、しっかりとした受け皿としての環境整備というものを進めていくということでございますから、委員がおっしゃったように、行くところがなくて在宅だというわけではないわけでありまして、しっかりと対応ができるような環境整備をすることを含めて、その急性期から一連の流れの中の対応というものも、しっかりと病床機能の連携、分化というものも進めてまいるということであります。

高橋(千)委員 行くところがなくて在宅ではなくて、在宅に行けと言っているのがこの法案だとまず言わなければならないと思うんですね。

 きょうは、総理にぜひ聞いていただきたいし、伺いたいと思うんですけれども、四月一日の本会議で、私は、やはり行き場のないお年寄りがふえるんじゃないかと指摘をいたしました。総理も大臣も、適切にというふうに答弁をするわけですね。私は、適切という言葉というのは何と都合のいい、具体的な中身は全然見えないわけですよね。それでも、何でもかんでも適切にと言っちゃう。

 私は思うんですけれども、この間の議論で、起こり得るとか、おそれがあるとか言われましたけれども、現実に起こっているんです。現実に起こっていることがもっと大変になるのを見もしないでやろうとしている、そこを見なければならない。

 今でも、急性期の病院でも、病棟でも、入院した途端に、次の病院はどこにしますかと言われる。大変な負担が押しつけられている。この現実をやはり見る必要があると思うんですね。

 私は、地域包括ケアといったときに、一番距離感があって大変だろうなと思った北海道に春に行ってきたんですけれども、日高地方の浦河という町、人口が一万四千人いる。そこで、指摘をしたように、やはり退院を迫られる、要するに早く病院を出るという人たちがとてもふえている。なので、訪問看護の現場が大変負担がふえているし、専門的な知識が求められている、そういう訴えがありました。リハビリもなしで出されるわけですね。

 ある高齢者は、人工肛門をつけて、抗がん剤投与でたった二泊入院しただけで、流しのはねる水が凍るような、そういう自宅に帰されました。本当に、ちっちゃい電気ストーブの前の座布団一つだけしか暖かくないんです。背中に回ると冷え切っている、それだけのスペースしか暖かくされない。まあ経済的な理由もあるんですよ。そういう事態に追い込まれているわけです。

 だから、在宅に行っても、病室と同じような立派なベッドがあって、装備があって、そういう状況じゃないことが圧倒的に多いんだという現実もあるわけです。

 北海道のように地理的、気候的な困難もある地方で、歩いて三十分圏内の地域包括ケアは成り立ちません。まして、医師、看護師不足が進み、医療そのものが崩壊している。総理は、こういう現状をどう認識されていますか。

安倍内閣総理大臣 今回の法案は、地域によってまさに医療や介護についてはさまざまな課題があるわけでありまして、そうしたニーズに対応して、地域で医療や介護を安心して受けられるようにするために、救急医療などの急性期の医療から、リハビリといった回復期の医療を経て、退院後の生活を支える在宅医療・介護まで、一連のサービスを総合的に整備していく、医師、介護従事者等の確保、養成を図ることとしているわけであります。

 また、今回の法案では、国の策定する基本的な方針のもと、都道府県ごとに医療、介護に関する計画を定めるとともに、新たな財政支援制度を創設するわけであります。これらによって、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年を見据えて、地域の実情に応じた医療、介護の基盤整備を進めることができるものと考えております。

高橋(千)委員 先ほどから、地域の独自性ですとかニーズとおっしゃいます。今もそうお答えになりました。もし本当に地域のニーズというのであれば、まず根幹の公的介護の部分を維持してほしい、それが地域の一番のニーズなんですよ。

 その上で、独自のことをみんなやっていますよ。今の浦河だって、介護予防をやっています。レスパイトのような一時的な入居だってやっています。だから、重度化にならなくてむしろ喜ばれているんですよ。そこにはちゃんと支援をしてくれと言っている。だけれども、総合事業になったらとても支え手がいない、それが本当の現場のニーズなわけです。

 介護保険は、介護の社会化を叫んでスタートしたはずです。でも、今は、介護離職十万人、認知症で行方不明者一万人など、むしろ事態は深刻化しているのではないでしょうか。

 介護で全て見るのは不可能だという議論があります。そのとおりだと思います。医療と介護の連携、そのとおりだと思います。しかし、今やろうとしているのは、せっかく医療や介護に結びついた人たちを切り離す仕組みなんです。それでは違うということです。

 要支援外しをやめて、むしろ介護でしっかりと見る、そして地域で、本当に独自の取り組みにはちゃんと別に支援をしていく、その方が一番コスト的にもよいことではないでしょうか。もう一度総理に伺います。

安倍内閣総理大臣 今回の改正は、サービスを抑制しようというものではありません。要支援の方々に対するサービスのうち、訪問介護と通所介護について、全国一律の基準に基づくサービスから、地域の実情に応じて市町村が効果的かつ効率的に実施する事業へと見直すものであります。この中で、介護予防についても地域のさまざまな取り組みが行われるものと考えています。

 この新しい事業は、従来と同様、介護保険の財源を用いるものでありますから、いわば介護保険そのものから出していくというものではありません。ケアマネジャーなどの専門職が、介護サービス事業者のサービスから元気な高齢者など地域のボランティアが担い手となるサービスまで、多様なものの中から、要支援の方々の心身の状態に応じて適切なサービスにつないでいく考えでありまして、したがって、重度化やコストの増大につながるとの見通しは持っていません。

 今般の改革では、消費税の増収分を活用して、認知症施策の推進など高齢者が住みなれた地域で暮らしを継続できる体制を整備していくこととしておりまして、我々も、誤解を解いていく努力もしていきたいと思いますし、しっかりと丁寧に説明をしていきたい、このように考えております。

高橋(千)委員 そもそも、伸び率に比べて、これを抑制するという全体の枠があるわけです。そんな中でやっているんだから、抑制ではないとか誤解ではないかというのは全くのでたらめであります。

 社会保障国民会議の報告書の中に、個人の全ての要求に応えることは不可能であることを前提に制度を再編すべきと書いてあります。これがこの制度の思想なんですね。だから、憲法二十五条の破壊だと言われるのは当然のことだ、このことを指摘して、総理に対する質問は終わりたいと思います。

後藤委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 質疑を続行いたします。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 それでは、続きをやらせていただきたいと思います。

 改めて、昼の理事会で本日の採決が提案をされ、野党全員が反対をいたしました。十九本の法案に、参考人を除くと三十時間も満たないわけなんです。そんな審議で通過など、到底認められません。参考人からどんなにいい話を聞いても、どんなに切実な訴えを聞いても、もう決まったこととして一顧だにされないなら、国会の存在が問われると言われなければなりません。

 このことを強く抗議をし、こうした立場から、私は、きょうは、これまで議論できなかったテーマも含めて質問していきたい。ですから、まだまだ質疑が必要だという立場で質問したいと思います。

 まず、先ほどの質問の中で、改革モデルでは、病院から介護へ、十四万人と推定しているということを指摘いたしました。急性期病床を削減し、地域包括ケア病棟入院料などを引き上げるとしても、なお病院から地域へという流れが全体としてはあるわけですよね、在宅へと。

 そこで、在院日数短縮がもたらすものは何か。つまり、先ほど来言っている追い出しの話ですけれども、例えば十八日が基本であります、七対一の場合は。DPC対象病院の治療データで見ると、二〇〇四年から二〇一二年の比較で、十五・〇一日から十三・四三日と在院日数を短縮しています。そうすると、治癒率は八・七二%から四・三%へと半減しているわけですね。

 つまり、今で言う退院というのは、治ったからめでたく退院ではなくて、治らなくても出す、そういうことですよね。

木倉政府参考人 今先生から、DPC病院のデータの御指摘がございました。

 私が引用しているものとちょっと違っておるかもしれませんが、今、DPC病院全体での治癒・軽快率についての公表がされております。

 確かに在院日数そのものは、DPC病院全体で、平成二十一年度は十四・七〇日が、二十四年度で見ますと十三・九八日で、次第に短くなる傾向にございます。

 他方で、治癒・軽快率の方は、DPC病院全体で、同じ二十一年度は八〇・四%が治癒、軽快で退院されるということに対して、二十四年度は八〇・八%でございますから、ほぼ横ばい。明らかに悪くなっているとも言えませんが、ほぼ横ばいであるというような状況であると認識しております。

高橋(千)委員 明らかに悪くなっていないけれども、ほぼ横ばいと。これはデータのとり方が若干ずれるので数字が合っていないという指摘だったと思うんですけれども、これ以上短縮しなくたっていいじゃないですか。

 聞いたことには実は答えていないんですね、治らなくても出すなどということは多分おっしゃりにくいということなんだと思うんですけれども。

 大臣、簡単な質問をします。患者の回転率が高まると、つまり入ってはすぐ退院するということは、看護職員の忙しさが増す、これは一致しますよね。

田村国務大臣 入院期間というのは、日本は非常に長いということが言われておるわけであります。それは統計のとり方もいろいろあるんですけれども、その中において、世界標準に向かって、質は落とさずにということは努力をしていかなきゃならぬというふうに思います。

 今のお話でいきますと、一般論としては、確かに、回転が速くなれば、その分看護師の方々の業務量というものは忙しくなる、それは言えるわけであります。ただ、一方で、地域でありますとか、医療機関のサービスの内容でありますとか、医療勤務の環境でありますとか、いろいろなものが勘案されるわけでありますので、一概には言えないわけでありますが、一般論としてはそのようなことが言えないことはないのであろうというふうに思います。

高橋(千)委員 このくらいのことは、そうあれこれ言わないで、そうだねとおっしゃればいいと思うんですよ。

 だって、そうじゃないですか。受け入れと退院の支援ということだけでも大変な手間がかかるわけでしょう。まずそこの現状認識から始まってどうするかという議論をしていこうと思っているのに、何かその先のことを見越しておっしゃっているんだろうけれども、いろいろやるから大丈夫だということを言いたいんだろうけれども、まずその認識が一致できないというところに問題があるわけなんですね。(田村国務大臣「一致しています」と呼ぶ)一致していると今おっしゃっているので、次のところでまた踏まえていただきたいんですけれども。

 それで、新たな看護職員の確保に向けた総合的な対策と言っています。資料の二枚目をやっていますけれども、二〇二五年度までに五十万人看護職員をふやすと言っているわけですよね。

 ことしから需給見通しということでやるわけです。どのくらいの需給が必要かということをこれから国が見るわけですけれども、そのときに、ここに書いているように、「夜勤・交代制勤務など厳しい勤務環境とワークライフバランス確保の必要性」云々とあるわけですね。そのために、現状の働き方を改善した上で必要な人を確保していくと。つまり、今でも働き過ぎだけれども、その枠でふやすのではなくて、改善した上でちゃんとふやしていく、そういう立場に立っていますか。

田村国務大臣 一般論ではそうだと申し上げたので、決して委員の御意見にけちをつけたわけではございませんので、御理解いただきたいと思います。

 第七次の看護職員需給調査ということにおいて五十万人ということであったわけでありますが、これは、そのとき、それぞれ勤務環境の改善、看護の質の向上、こういうことを見越して五十万人必要であるということを言ってきておるわけであります。

 ちょうど第八次の調査が今年度から始まるわけでございますので、さらに今法律の中にあります医療勤務環境改善支援の施策をしっかりと盛り込んだ中において、どのような形で看護師が必要であるかというようなことを出してきていただくわけでございますので、しっかりとこの中で検討いただきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 あえてこの続きの資料をきょうは配っていないんですけれども、勤務環境改善のために社労士さんなどが相談に乗って、勤務環境が大変だね、離職率が高いね、相談に乗りますよ、そういうことをやると言っているんです。それ自体は何も悪いことだと思いませんよ。だけれども、もともとの配置そのものを診療報酬の中できちっと改善していけば当然環境は変わるわけですよ。それをやらないで、幾ら電話相談をしたってだめじゃないですかということが言いたいわけです。

 資料の四枚目につけておきましたけれども、日本医労連の看護職員の労働実態調査、仕事の達成感。十分な看護ができていないと感じている方、できている人はわずか一一・六%で、できていないと答えている方が六割近いわけですね。下の欄を見ていただければわかるように、長時間労働、時間外労働がふえればふえるほどそういう気持ちになっているわけです。七十時間以上の方が、七五%、十分な看護ができていないと思うと。これは容易に想像できる話ですよね。

 その続きを見ていただければわかると思うんですが、「あなたの勤務する病棟の夜勤体制」で一番多いのが、三交代でいうと月八日です。だけれども、十三日以上という方が一%もいるんですね。また、二交代勤務の中で、四回という方が一番多いわけですけれども、これも九回という人が四・四%もいる。

 こういう現状があって、ただ相談を受けるだけじゃだめですよね。きちっとここを改善していかなければ、国の責任で。どうですか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 多様な働き方というのが当然入ってくるわけでありまして、交代制勤務におきましても、それぞれ、例えば夜勤を中心にやる方を雇うとか、そういうような形で、働き方というのはさまざまな工夫があろうかと思います。

 そういう意味では、どういうような形がその職場にふさわしいか、そういうようなものも勤務環境改善の支援の中でアドバイスなどができるならば、そういう形で医療機関と相談しながら進めていっていただきたいと考えております。

高橋(千)委員 結局、答えは多様なところだけですか。本体をどうするという話が全然ないじゃないですか。考えていないということなのか。

 本当はいっぱいデータがある中でこれだけのことを言っているのに対して、多様な働き方に対して応えていくと。こういう認識では、五十万人ふやすなんて絶対無理ですよ。本当に、介護の話じゃないけれども、ボランティアがちょこちょこといる、そういう話、世界と大して変わらないということを言わなければならないと思うんですね。

 それで、さらにそれを悪化させることになりかねないなと思うのは、資料の三枚目に戻っていただきたいんですが、先ほど来ほかの委員からも議論が出ている、特定行為に係る看護師の研修制度について。これは、いっぱいしゃべりたいことはあるんだけれども、簡潔に答えていただきたいんです。

 研修を努力義務として、補助行為として医師の手順書をもとに医行為を看護師ができることになるわけですよね。二〇一三年三月の報告書では、その行為の中身は二十九項目とされていました。それが、七月には四十一項目に拡大しているんですね。これは、今後もさらに拡大、しかも省令で、そういうことですか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 これはいきなりふえたということではなくして、検討会の中で報告書をまとめていただいた段階で、特定行為として挙げるのがいいだろうというのが二十九行為ございました、その当時。そのほかに、検討を進めていくべきだというのが二十七行為あったわけであります。この二十七行為の中から十四がその後特定行為として選ばれ、また初めの二十九の中から二つ除かれて、最終的に四十一という数字になった。すなわちこれは、検討がある程度進んだ段階での中間段階で二十九であったということであります。

 また、特定行為そのものをどうしていくかにつきましては、法案成立後に設置される審議会で審議をしていただいた上で、厚生労働省令で定めていくということにしております。

高橋(千)委員 だから、聞いたことに答えていないんですよ。今、四十一が省令でさらにふえることもあるのかと聞いているんです。一言でいい。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げましたように、成立後に設置される審議会で審議をしていただいて決まっていくということでございます。

高橋(千)委員 そういうことなんですよ。だから、ガイドラインもこれからだし、法律が成立してから範囲がもっとふえるかもしれない、そういうことを私たちは白紙委任するわけにいかないですよ。

 私は専門家じゃないから難しい専門用語の中身には入りませんけれども、今検討されている医行為の中には、看護業務実態調査で見ると、〇・四%とか一・七%しか実績がない、やったことがない、そういうものが含まれていて、非常に心配されています。あるいは、看護技術学会とか日本がん看護学会とか日本麻酔科学会とか、関係学会も具体的に危険性を指摘して削除を求めている、そういうのもあるわけですね。そういうのを全く無視した議論をするというのは、本当に許しがたいのではないかと思っております。

 そこで、質問したいのは、チーム医療推進会議で議論してきたわけですよね。だけれども、今後、在宅を進めるために、この特定行為は訪問看護の切り札と考えているんでしょうか。

原(徳)政府参考人 今回考えております特定行為の中には、病院の中で高度な医療をする上での行為というような部分もございますし、それから、在宅医療を進める上での訪問看護師さんにやっていただくような部分のところもございます。

 その上で、在宅医療を進める上で一定程度の看護師さんの活躍というものを期待しているところではありますけれども、そういう意味では、一つの切り札にはなるのではないかというふうに考えております。

高橋(千)委員 そういうことなんですよ。きのうの武藤参考人が、在宅看護の中でこの特定行為が大きな中心になるということをおっしゃっておりました。

 これでは、さっき私が言ったように、短くて退院してくる方が本当にふえるわけですよね。重度の方、医療行為が必要な方は、今でさえも専門的なケアが求められていて、大変緊張するわけです。タイトルはチーム医療だけれども、訪問看護の現場はチーム医療じゃないわけですよ。それをぐっと広げるということはとても承服できないし、一任するわけにはとてもいかない、これを指摘したいと思います。

 それで、この次、看護に医行為を拡大することで、今度は介護の現場に看護の仕事が拡大されると考えているんでしょうか。

 全労連の介護・ヘルパーネットの介護労働者のアンケートでも、医療行為を介護の職員が、医療の資格は持っていない職員がいつもやっているというのが大体三人に二人くらいの実態なわけですね。もちろん難しさは違いますよ。今拡大しようとしているものとは違うけれども、現実に絶えずそういう緊張感の中に置かれているわけですよ。それがもっとぐっと広がっていくということをちゃんと考えなければならないと指摘をしたいと思うんです。

 それで、それを少しイメージできるように、今回、たん吸引を研修によって介護職員に認めることにしましたけれども、実績はどうなっているでしょうか。

赤石大臣政務官 高橋委員にお答えいたします。

 看護師の特定行為に係る研修制度を修了した看護師には、在宅医療や介護の現場においても活躍をしていただきたいというふうに考えております。

 本制度の普及推進を図るためには、研修機関の確保及び特定行為に係る看護師の研修制度についての国民や医療関係者の理解促進等が必要であることから、医療団体等を通じて、関係者の当該研修制度への理解促進を図るとともに、本制度の活用が浸透するような支援策等を検討してまいりたいと思っております。

 平成二十四年度の介護職員等による喀たん吸引等の実施のための制度導入後、喀たん吸引等研修を修了した介護職員等は、平成二十五年四月一日時点で八千三百九十九名となっております。

 また、平成二十四年度前に喀たん吸引等を適切に実施するために必要な知識や技術を習得し、制度導入後引き続き実施できることとされた者は、平成二十五年四月一日現在、二十万二千三百四十二名であります。

 厚生労働省としましては、各都道府県の実施する研修に係る費用を補助することなどにより、今後とも、たんの吸引等を必要とする方が安心、安全に医療的ケアを受けることができるよう、必要な人材の養成に努めてまいりたい、このように思っております。

高橋(千)委員 今、研修を受けた数が八千三百九十九とお答えがありました。これは、第一号、第二号、第三号と研修の種類があって、特定の相手に対する行為がそのほとんどであります、六千八百十五。実際に、特定ではない、しかもたん吸引だけではなく全体がやれる人、第一号研修を終えた方は三百四十二人にすぎないという実態があるということを、あえておっしゃらなかったので、指摘させていただきたいと思います。

 ですから、これまで、例えばALSの患者さん、あるいは施設にもともと入っている方たちとやってきた方たちが経過措置として認められたというのが中心なんですね。

 実際に研修となると、介護の現場で研修に一人出すのはとても大変なわけです、今そもそも人手不足なんですから。ただし、やれるということを決めてしまった以上は、研修を終えていなければたん吸引ができないわけですから、その番割りが大変なわけですよ。そういう現場の実態がある。

 そういう実態をちゃんと見ないで、さらにこれをふやすということを考えていますか。イエスかノーかで答えてください。

原(徳)政府参考人 今回のたんの吸引のことについては、さまざまな機会をふやしていきたいというふうに考えておりますが、業務の範囲といいますか、行為の種類をどんどんふやすということを現在考えているわけではないということであります。

高橋(千)委員 それはそうですよね。どんどんふやすということは考えていない、それはそうだと思いますよ。

 ただ、この間、前の老健局長ですとかあるいは介護保険部会のメンバーの皆さんですとか、そういうことを何度もおっしゃっているじゃないですか。全体がふえない中で、とにかく、医師がふえないのをかわりに看護師さんにやってもらおう、看護師さんがふえないのをかわりに介護にやってもらおうと。そういう流れをつくっているというのではだめなんだ。

 主として、さっきから言っているように、緊張する、一人で、チーム医療ではない、そういう現場に置かれている中で、介護の職員を二〇二五年度までに百万人ふやすと言っているわけですけれども、本当にそんなことができるのかということですね。介護保険部会長の山崎さんはきのう参考人でいらっしゃったけれども、山崎さん自身だって、本当にできますかと言っていましたよね。

 介護の現場のアンケートを見ますと、今の仕事はやりがいのある仕事と思うと答えている方は六七・八%いらっしゃいます。大事なことですね。だけれども、こんな仕事、もうやめたいに対して、時々思う四八・六%、いつも思う八・七%、合わせると五七・三%。せっかくやりがいを持っているのにやめたいと思っている、こんな残念な話はないじゃないですか。

 やめたいと思っている人がやめちゃって、結局、今、潜在ヘルパーさん、こういう問題があるわけでしょう。それだったら、その背景に低賃金、長時間労働、健康の不安を訴えられているわけです、処遇改善はもう待ったなしだと思いますが、大臣に伺います。

田村国務大臣 ですから、キャリアパス等々をしっかり確立していかなきゃなりませんし、処遇の改善、勤務環境の改善もやっていかなきゃならぬわけであります。

 今、省内にこれの協議の場をつくりまして、これからどうするかということで議論させていただきたいというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、介護報酬改定が来年にはあるわけでございますので、これに向かって準備をさせていただきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 何度も言いますが、現場が本当に必死で頑張っている、この大変な条件の中でも、それでも尊厳ある介護を支えてくれているんです。でも、やはりいつまでもそれに甘えていちゃいけないということは、本当に何度も言わなければならないと思います。

 きのう、京都ヘルパー連絡会の浦野喜代美さんに参考人でおいでいただいたんですけれども、私がきょうずっと話をしてきている、いわゆる川上から川下へという議論なんですね。結局我々は川下なんだ、だけれども、川下はもう洪水になっちゃって溺れ死んじゃうよ、そういう指摘をされました。これは本当に受けとめるべきではないかと思います。

 この法案で誰が喜ぶのかな。支える側も利用する側も、喜ぶ人がいないんじゃないか、本当にそれをつくづく指摘したいと思っているんです。

 それで、もう二つ聞きたいことがあるのです。

 退院後の受け皿が不足しているというのも現実であります。

 秋田市のショートステイの数が、秋田県と秋田市が実は全国一だということなんですね、私もこの間まで知らなかったんですが、利用者数が大変ふえまして、長期利用が問題となっているということで、昨年十月三十一日付で、秋田市の福祉保健部の介護保険課長名で、居宅介護支援事業所並びに介護予防支援事業所に短期入所サービス長期利用者のケアプランの見直しを通知して、その結果を求めているということがございました。

 こういう、ショートステイなんだけれども実際はロングショートになっているという実態はほかにもあるのか、またそれはどういう要因だと受けとめているのか、伺います。

原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。

 ショートステイサービスは、高齢者の方が在宅で生活を維持していく、あるいは介護者の方々のレスパイトという意味で大変大きな役割を果たしておりまして、順調にといいますか、一定の傾向でずっと伸びております。

 このショートステイの利用につきましては、連続して三十日を超えて報酬を算定することはできない、またケアプランに位置づける場合は、利用者の居宅における自立した日常生活の維持に十分に留意し、利用日数が要介護認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにしなければならない、こういったことが運営基準で定まっておりまして、本来、長期間利用することを目的としたサービスではございません。

 実態でございますけれども、二十三年度に私どもの研究事業で調査した結果によりますと、一カ月のうち連続して十五日を超える利用も、全体の調査対象の利用者の中の一四・九%あるというような結果がございます。その理由といたしましては、家族や介護者の身体的、精神的な負担の軽減という理由のほかに、施設入所待ちや介護者、家族の急病等が多く挙げられているところでございます。

 したがいまして、自立支援とかレスパイトというものに余りつながらない不適切な利用というのは、秋田市に個別に私どもは事情を聞いたわけじゃございませんけれども、やはり適正なケアプランというものをチェックしていただくことが大事でございます。

 あわせまして、そういう入所待ちといったような状況もございますので、地域のニーズに応じまして、高齢者向け住宅や特別養護老人ホームの整備を進めるとともに、長期間泊まらなくて済むような訪問系サービスや小規模多機能型居宅介護等の充実も図ってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 実態がかなりあるということだったと思います。

 当然、短期入所の本来の中身ではだめなんだということがわかっているんですね。わかっているんだけれども、医師会の方たちもおっしゃっています。本当に、行き場がなくなる利用者が出てこないか、寝たきりで経管栄養を行っているような重症の入所者はどうするのか、長期の入院ができず特養や老健の待機者がいまだ多い中、制度運用の激変による利用者への影響を危惧しています、こうおっしゃっている。

 実際に、何度も言うように、受け皿がないという実態の中でロングショートになっていたり、お泊まりデイなどがあるということをちゃんと見ないと、そこを見ないで、実態に目をつぶって地域で支えるんだというきれいな話をしている場合じゃないんだということを指摘したいと思います。

 最後の一問です。

 きのうの参考人でも、要支援外しについて強い懸念が出されました。介護から外れた場合の重症化などもやはり心配をされているわけです。

 私、何度もこの問題を質問して申しわけないんですが、要するに専門的なサービスの中身は何か、限定されるのかということを聞いたわけですね。チェックリストの中の下の二十一番から二十五番までのところ、うつとか閉じこもりとか認知症とか、そこは専門的なサービスが必要ですよと言っているけれども、もしやそれだけですかと聞いたときに、大臣がおっしゃったのは、二次予防事業対象者の方々と重なる人も要支援の中にはたくさんいる、日常生活自立度二の方はそうはいない、七から八%程度だとおっしゃった。

 これはもしかして、専門的なサービスを受けられる人というのはその程度だという意味ですか。

田村国務大臣 専門的なサービスを受ける人はどういう方か。

 一つは、日常生活において、言うなれば認知症において、症状等々、行動等々、支障を生ずるというような方々であります。それから、あとは、自分の生活管理ができない方、社会とのコミュニケーション等々、社会性が構築できない方々、さらには退院直後で集中して自立に向かって支援が必要な方、こういう方も要支援の中において言うなれば専門的なサービスを受けられる方であろうというふうに思います。

 日常生活自立度二の方は、要は日常生活の中において支障を来すような行動、症状というものが、必ず見られるというよりかは、多少見られて、手助けがあれば生活ができるという方でありますから、言われた七、八%の中にも専門的なサービスを受けない方もおられるかもわかりません。今申し上げたような基準でありますから、七、八%に当たる人たちで受ける方々もおられますし、それ以外の方々の中で受ける方々もおられるということでございますから、必ずしも、先ほど言われました日常生活自立度二の方が受ける方だというわけではないということであります。

高橋(千)委員 この問題は、何回聞いてもさっぱりしないんですよ。

 大臣は、必要な人にはサービスが受けられるとか、希望する人には専門的なサービスが受けられると言ってきて、印象としては、要支援の人が、では、これまで受けていたんだから受けられるのかな、大体受けられるのかなというふうに言っているんですよ。印象を与えている。

 だけれども、七、八%という数字が初めてこの間出てきた。それだけですか、大分イメージが違いますよね、一〇%にもいかないんですかと言ったら、必ずしもそうではないと。必ずしもそうではないというのは、せいぜいそれに少しふえただけであって、大多数の方は除かれる、そういう意味じゃないですか。

田村国務大臣 まず、以前から申し上げておりますとおり、今まで受けられている方は継続して受けられるというように、もちろん症状が改善して受ける必要がなくなった方は別でありますけれども、受けられるように配慮をするということにしておりますので、それはまたガイドライン等々で申し上げていきたいというふうに思っております。

 今申し上げたのは、要は、ケアマネジメントは専門職の方がやりますから、その方が必要かどうかということを判断されるわけであります。その判断する基準が何かということで今申し上げたわけでございますので、そのような中で適切に対応していただけるというふうに考えております。

高橋(千)委員 今までの人は受けられるというのは、それは単なる経過措置でしょう。そんな問題じゃないでしょうが。

 私、何回も何回も、どういう人が受けられますか、あるいはどういう人を分けますかと。専門的なサービスを受けられる受けられると大臣が言うから、どういう人がと言ったときに、今このタイミングで初めて言ったわけですよ。これから議論しなきゃいけないじゃないですか。みんなの不安に大丈夫だ大丈夫だと言ってきて、今初めて、こういう場合、こういう場合、こういう場合と言ったんですよ。今まで一度も答えていないじゃないですか。

 とてもじゃないが、これで議論を打ち切りなんてできません。再度議論し直すべきだ、そのことをかなり強く指摘をして、終わりたいと思います。

後藤委員長 あべ俊子君。

あべ委員 動議を提出いたします。(発言する者、離席する者あり)

 内閣提出法案に対する質疑を終局されることを望みます。

後藤委員長 あべ俊子君の内閣提出法律案質疑終局動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立多数。よって、内閣提出法律案の質疑は終局いたしました。(発言する者あり)

    ―――――――――――――

後藤委員長 この際、本案に対し、足立康史君外一名から、日本維新の会提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。足立康史君。(発言する者あり)やってください。足立康史君。

    ―――――――――――――

 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

足立委員 日本維新の会は、与党の賛否にかかわらず、我々日本維新の会の修正案を提出し、与党の行動を、与野党の行動を形に残しておきたい、こう思っています。こういう観点から、趣旨説明を申し上げます。

 ただいま議題となりました地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案に対する修正案につきまして、日本維新の会を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 いわゆる団塊の世代が全て七十五歳以上の高齢者となる二〇二五年まで、残すところ約十年と迫っています。医療と介護の提供体制の改革は喫緊の課題であり、今回が最後のチャンスではないかと考えています。それゆえ、効率的かつ質の高い医療提供体制や、地域包括ケアシステムの構築を通じ、地域における医療、介護の総合的な確保を推進することを目的とする本法律案の方向性については、我が党としても賛同するものであります。

 しかし、真に医療・介護サービスの提供体制の改革を進めるには、医療や介護サービスの提供主体である医療法人や社会福祉法人が、民間営利法人並みに、効率的で質の高いサービスを提供できる体制を整備することが必要不可欠であると考えております。

 医療法人については、平成十八年の制度改正で、非営利性を徹底する方向性が示されました。しかし、持ち分なし医療法人への移行がほとんど進んでいない現状を鑑みれば、持ち分なし医療法人の原則は全くもってフィクションと言わざるを得ません。株式会社の参入を認めている介護保険のあり方も参考にすべきであります。

 また、産業競争力会議や厚生労働省で検討している非営利ホールディングカンパニー型法人の議論においても、医療法人の持ち分のあり方は重要な論点になるものと考えており、日本維新の会としては、持ち分なしを原則とする医療法人制度の見直しを求めるものであります。

 また、本法律案では、介護保険について、いわゆる補足給付の支給要件として預貯金を勘案することとしています。

 政府は、預貯金や不動産があるけれども現金収入がない人と、現金収入があるけれども預貯金や不動産がない人との不公平を是正すると説明しています。しかし、預貯金はあるけれども不動産はないという人と、不動産があっても預貯金はないという人との不公平は一体どうなるのか。不動産も補足給付の支給要件として勘案できるようになってから実施するのが本筋であり、このような不公平は早期に解消すべきであります。

 このような認識のもと、日本維新の会は、今回の医療・介護サービスの提供体制の改革をよりよいものとするため、本修正案を提出いたしました。

 以下、修正の要旨を申し上げます。

 第一に、医療法人の吸収分割及び新設分割に係る規定を追加すること。

 第二に、医療法人及び社会福祉法人の計算書類の公告を義務化すること。

 第三に、医療法人、社会福祉法人等の法人間の合併、分割、事業譲渡等の組織再編のあり方並びに一定の医療法人及び社会福祉法人の連結計算書類の作成そして公表の義務化についての検討規定、いわゆる補足給付の支給に関し、しんしゃくする事情としての資産の状況の把握方法及び要介護被保険者等の所有する固定資産を担保とした貸付制度の導入についての検討規定、持ち分あり医療法人のあり方についての検討規定をそれぞれ設けること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 以上です。

後藤委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。(発言する者あり)

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより……(発言する者あり)いいですか。これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。重徳和彦君。

重徳委員 私は、日本維新の会を代表いたしまして、ただいま議題となりました政府提案、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案について、反対の立場から討論を行います。

 本法律案は、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを目的として、医療、介護の連携の強化、病床機能の分化を含む地域医療ビジョンの策定、実施、在宅医療・介護等の推進、介護費用負担の公平化などを具体化するものであり、団塊の世代が七十五歳を迎える二〇二五年を控え、今後、全国的にさらに進行する超高齢社会への対応が盛り込まれていることについては、評価に値するものだと考えます。

 しかしながら、以下の点について、本法案には重大な問題があると考えます。

 一点目は、医療や介護を提供する主体となる、肝心の法人に関する制度の見直しが不十分であることです。

 本法案においては、医療法人たる社団と財団の合併を可能とする規定が盛り込まれているものの、医療法人の分割に関する規定が未整備であります。

 また、医療法人の非営利性と持ち分なし医療法人への移行が全く徹底されていない現状において、株式会社の参入も認めている介護分野との比較においても、持ち分なし法人を引き続き原則とすることへの疑問が拭えません。

 さらに、医療法人は、他の法人制度では当然の義務とされている貸借対照表や収支計算書等の計算書類の公告が義務づけられていないことに対する問題意識も希薄と言わざるを得ません。

 二点目は、本法案では、介護保険において、施設入所等に係る食費及び居住費に対する、いわゆる補足給付の支給要件として資産を勘案することとされていますが、資産として勘案されるのは預貯金のみであって、不動産が対象外とされていることです。

 この仕組みでは、預貯金を多く保有するけれども不動産は余り保有していないという者にとって不公平です。支給要件として資産を勘案するのであれば、不動産も対象とすべきであり、この不公平を早期に解消すべきです。

 以上の二点については、日本維新の会として、修正案を提出したところでありまして、与野党各党の賛成を求めます。

 三点目は、本法案は、十九本もの法律を一度に改正しようとするものですが、内容的に地域の医療、介護の提供体制と一体で審議する必要のない、かつ、医療従事者や患者、家族など医療現場の当事者に重大な影響のある、医療事故に関する調査の仕組みや看護師の特定行為などの制度改正を盛り込んだ内容となっているにもかかわらず、審議がいまだ十分に行われていないことです。

 医療事故に関する調査報告に関する制度は、医療現場に与える影響に鑑み、過去の裁判例等に照らし、その運用のあり方について十分な審議が必要です。

 しかし、田村大臣にお尋ねしても、法律成立後にガイドラインを作成するとの答弁に終始し、委員会審議において全く内容が明らかになっておりません。

 また、看護師が行う特定行為は、患者の生命、健康にかかわる重大な制度であるため、想定される個別の特定行為ごとに、どの程度のリスクのある行為なのか、そのリスクに対して医師の指示が具体的にどのようになされるのか、万が一の際の対処方法や医師と看護師との責任関係のあり方など、詰めなければならない事項が山ほどあり、政府の丁寧な説明が不可欠です。

 このように医療現場に与える影響が大きい事項が随所に盛り込まれているにもかかわらず、法案の内容が余りに多岐にわたることから、いまだ十分に議論のないままに、与党は一方的に審議を打ち切りました。

 四点目は、こうした一度に審議する必要のない内容の多数の法案を一つの法案に束ねて提出する政府のやり方自体、国民の立場から個々の法律のチェックをする国会の役割を軽視するものであって前代未聞であり、こうした形の法案を提出した政府の責任は極めて重いということです。

 こんなやり方がまかり通るのなら、これからも、少しでも関連する法案をこじつけ、あらゆる法案を全て一本化して提出し、国会の会期に合わせて強行採決すれば通るのであり、政府に対する国会のチェック機能は全く体をなさなくなります。

 政府からすれば、何を出しても通る。与党はただの追認機関。衆参で過半数を大幅に超える議席を占める巨大与党の深刻な弊害であり、将来にわたって重大な禍根を残します。

 政府は、国会審議の焦点を集中させることを妨げ、限られた審議時間で法案を成立させようという意図が見え隠れする、このような法案提出のやり方を二度と断じて行うことのないよう、強く申し上げます。

 また、野党が一致して拙速な採決に反対しているにもかかわらず、こうした政府の姿勢と結託するかのように、国民を代表する国会議員による審議の打ち切りを強行する委員長並びに与党理事の委員会運営の仕方についても、断固抗議をいたします。

 以上で私の反対討論を終わります。(拍手、発言する者あり)

後藤委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより採決に入ります。(発言する者あり)

 内閣提出、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、足立康史君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(発言する者あり)

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成は、委員長に御一任いただくことに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十八分散会


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