衆議院

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第23号 平成26年5月28日(水曜日)

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平成二十六年五月二十八日(水曜日)

    午後一時四十五分開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      大久保三代君    大串 正樹君

      金子 恵美君    小松  裕君

      古賀  篤君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高鳥 修一君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      中谷 真一君    永山 文雄君

      橋本 英教君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    宮崎 政久君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      大西 健介君    中根 康浩君

      柚木 道義君    足立 康史君

      浦野 靖人君    清水鴻一郎君

      輿水 恵一君    桝屋 敬悟君

      中島 克仁君    井坂 信彦君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (内閣府地域経済活性化支援機構担当室長)     小野  尚君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            今別府敏雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       半田 有通君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  宮川  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          杉浦 信平君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  香取 照幸君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 熊谷  毅君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 甲斐 正彰君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     中谷 真一君

  高橋ひなこ君     橋本 英教君

  豊田真由子君     宮崎 政久君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     田畑 裕明君

  橋本 英教君     高橋ひなこ君

  宮崎 政久君     豊田真由子君

    ―――――――――――――

五月二十八日

 専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案(内閣提出第四八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案(内閣提出第四八号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府地域経済活性化支援機構担当室長小野尚君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官樽見英樹君、医薬食品局長今別府敏雄君、労働基準局安全衛生部長半田有通君、職業安定局派遣・有期労働対策部長宮川晃君、職業能力開発局長杉浦信平君、雇用均等・児童家庭局長石井淳子君、保険局長木倉敬之君、年金局長香取照幸君、政策統括官熊谷毅君、国土交通省航空局次長甲斐正彰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 きょうは、今いらっしゃらないですけれども、この後、私の後に質問に立たれる柚木先輩の誕生日だそうですので、おめでとうございます。

 それはさておきまして、私、きょうは、せっかくの貴重な一般質疑の時間をいただきましたので、ふだんの法案審議ではなかなかできない質問を、たまっているものがありますので、順番に聞いていきたいんですけれども、その前に、大臣にまず確認をしたいことがあります。

 それは、今、歌手のASKA容疑者が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕されたということが、社会に衝撃を与えていますけれども、一緒に逮捕された栩内容疑者、大手人材派遣会社パソナの関連企業に勤めていて、そして、このASKA容疑者と、二人が知り合ったのも、港区の元麻布にあるパソナの接待施設、仁風林だというふうに言われております。

 この施設には、現職閣僚を含めて複数の政界関係者が出入りをしていた、そのことはいろいろなメディアで報じられております。お手元に一つだけ夕刊紙の記事をお配りしておりますけれども、その中で、その一人は田村大臣であるということが言われておるんですけれども、大臣は、大臣に就任して以降、この施設に行ったことがあるかどうか、この事実を確認させていただきたいと思います。

田村国務大臣 これはニンプウリンと読むんですか、僕はジンプウリンだと思ったんですけれども。

 正直申し上げまして、まあ、私はどっちかわからないですよ、こういう建物があること自体、認識がなかったわけでありますが、二月の二十八日、もう一年以上前になりますけれども、昨年でありますが、南部さん、パソナの社長さんであると思いますが、私、そんなに深いおつき合いはないんですが、顔なじみではあるわけでございまして、ゲストスピーカーで話してほしいというようなことでございまして、お伺いをさせていただきました。

 三十分ぐらいお話と質疑応答をさせていただいたわけでありまして、その後、相応な食事が出て、まあ、私はほとんど食べられませんでしたけれども、いろいろな方々といろいろお話をさせていただいて、その後、帰ったということであります。

 ちなみに、私は、パソナからは、政治献金及びパーティー券は一切買っていただいておりません。

 そのときの出席者は、大手マスメディアの方々も御出席されておられました。大使館の方々もおられました。それから、大学関係者もおられました。民主党の前議員の方もおられました。そういうようなオープンな会で講演をさせていただいたということであります。

大西(健)委員 今の御答弁で、二月の二十八日に行かれた、ゲストスピーカーとしてお話をされたということが確認されたわけです。

 報道等の中では、出席者にはお車代みたいなものが出ていたということなんですけれども、大臣、お車代というのは受けられましたでしょうか。

田村国務大臣 週刊誌の記事だと思いますが、そういうものが出ていたこともあったというような表現だったと思います。私がもらうのなら講演料なんだと思いますが、講演料もいただいておりませんし、お車代もいただいておりません。

大西(健)委員 私はなぜこのことをお聞きするかというと、いろいろな政治家も出られていたということでありますけれども、田村大臣が、大臣になって以降ここにいらっしゃったかどうかということは、私は大変重要なポイントだというふうに思っています。

 というのは、このパソナの事業に直結する労働基準法であったりとか、あるいは労働者派遣法もそうです、職業安定法等、この法律を所管している監督官庁の長である大臣が、その監督をする側の業者のところにスピーカーとして呼ばれて、その施設にいたかどうかということは、これは非常に大きな問題ではないか。

 しかも、きょう、夕方にも産業競争力会議が開かれて、その場で田村大臣は、残業代ゼロ法案とちまたで呼ばれているこの法案について、厚労省としても容認をするということを表明されるのではないかということが、けさの朝刊の一面にも載っております。

 私も、これまでも委員会質疑の場等でもお話をさせていただきましたけれども、これまで労働法制の緩和をずっと進めてこられたその産業競争力会議の議員の一人が、今パソナの会長を務めておられる竹中さんなんです。その接待施設にいて、大臣が接待も受けられていて、あるいは今、講演をされていたということは、きょうの夕方にも決められるというようなさまざまなワークルールの変更が、本当に公正な立場で行われているのかという国民の疑念を招くことではないかというふうに私は思います。

 あわせて申し上げると、厚労省というのは薬物乱用防止というのも所管されているんです。今、この問題の容疑者の二人が出会ったところも、ここなんじゃないかと言われている。そういうところで、まさに大臣が、ここに現職として行かれたことというのは、何度も言いますけれども、現職ですよ、現職の大臣として行かれたことというのは、軽率ではなかったかと思いませんでしょうか。いかがでしょうか。

田村国務大臣 正直言って、私、ジンプウリンと読むのかニンプウリンと読むのかも知らないぐらいでありまして、そこがパソナの接待施設ということも知りません。知らない中において、ゲストスピーカーで来てくれという話でございましたから、顔見知りではございましたので、お伺いをさせていただいたということであります。

 私が産業競争力会議等々でどのような立場で竹中さんと話し合っているかは、その姿勢は、議事録等々を見ていただければわかると思います。

 その上で、覚醒剤を使われた方の出会いの場で講演しちゃいけないということであれば、駅の街頭で覚醒剤を売り買いしている人がいれば、そこで街頭演説するのもだめだという話でございますか。何をおっしゃられているか、ちょっとよくわかりません。

大西(健)委員 それは、ちなみにということで申し上げただけであって、現職の監督官庁の長である大臣が、そういうところに行って、その企業からお願いされてスピーカーとして話すということを受けられたことというのは、私は軽率ではなかったのかということを申し上げているだけであって、いや、それは全然関係ない、いいんだとおっしゃるなら、それはそれで、そういう御答弁だというならば、それでも構いません。

 私は、そういうことでは、今まさに、きょうの夕方にも、厚労省は、今まで、労働者の権利を守る上では年収要件等は外せないと言ってきたのを、年収要件も外してでも、この労働時間規制の緩和を容認するという話をしているわけです。そういうこととこういうことを一緒に考えた場合に、本当に大丈夫なのかなというふうに思うのは、私は、国民の声だというふうに思います。

 この問題は、また今後、いろいろなことが出てきたら、ぜひお聞きをしていきたいと思いますけれども、例えば、次のことも、私、関係していると思うんです。次のことも同じようなことだと思うんですけれども、子宮頸がんのワクチンの話をちょっとお聞きしたいんです。

 私は、当初、このワクチンについては、これは積極的な接種を呼びかけないというような、そういう中途半端な状態じゃなくて、純粋に、客観的、科学的な判断に基づいて本当に危ないんだったら、それはやめるべきだし、そして、客観的、科学的な判断でそれは問題ないというならば、そういう宙ぶらりんじゃなくて、やはり接種を勧奨すべきだし、その結論は科学的に出すべきだと思っていました。

 ただ、一方で、接種後に、全身の痛みや強い倦怠感から、一年以上も学校に通うことさえできない生徒が実際にいらっしゃる。実は、私の地元にもそういう方がいらっしゃいます。それを、これはもう完全に心身の反応なんだ、心の問題なんだと一刀両断にして果たしていいものなのかなというふうに考えあぐねてきました。

 そういう中で、実は、ワクチンの副作用を検証した合同検討部会の委員の十五人のうち、何と十一人もの方が、ワクチンメーカーから講演料や寄附金などの名目で現金を受け取っていた事実が明らかになった。

 今、資料二というのをつけておきました。一ページ目の裏面ですけれども、十一人のうち、厚労省が参加規程というのを決めているんですけれども、その中で、議決に参加できない五十万円以上の金銭を受け取っている方が三名、それから、六名の方は当初必要な申告をしていなかった、後で修正しているんですね。

 これだけの方々がこういう状態だと、私は科学的な判断に基づいてやるべきだと思っていますけれども、この専門部会の安全性にお墨つきを与えたはずの見解というのを本当に純粋、客観的なものとして捉えていいのか、やはりそういう疑いが生じるんです。だから、さっきの話と一緒なんですよ。つながりがあったら、これは本当に大丈夫なのかな、客観的な判断ができているのかな、こういうふうに思わざるを得ないというふうに思うんです。

 大臣、十五人のうち十一名の方がワクチン業界からさまざまな形で金銭を受け取っておられる、あるいは、初め、そのことを申告していなかったりとか、五十万円以上受け取っておられる議決に参加できない人が三名もいらっしゃる、こういう状態というのをどのように受けとめられますでしょうか。

田村国務大臣 これは、参加規程に基づいて自己申告をしていただくということでございまして、寄附金やまた契約金等々をもらっておられれば、それを申告いただかなければならないとなっておりました。

 委員がおっしゃられますとおり、申告漏れがあったというよりかは、御本人たちの勘違いがあったようでありまして、もらわれた時期の勘違い、それから、あと、そもそもいろいろな講演をされて、収入が違ったところからいただかれているというような認識があられて、よく調べてみると製薬会社であったというようなことがあったわけでありまして、そのような中で後ほど申告をしていただきました。

 問題は、そのもらわれた金額、例えば、今委員がおっしゃられましたとおり、五十万円以下であれば、これは議決権も発生するわけであります。五十万超五百万以下は、これは議決権は生じません。その製薬メーカー等々の案件に関しては議決権はないんですけれども、物は申せる、また参加はできる、こういう基準。そして、五百万円を超えたら、そもそもその案件からは御退室をいただく。こういう基準でございまして、これはアメリカの基準と比べても、むしろ厳しい基準を置かせていただいております。

 今回、新たに申告いただいたその金額等々を踏まえて我々も再検討したんですけれども、今言ったような基準を超えるものではなかったものでありますから、それぞれの会議でのそれぞれの行動というものに対して、この参加規程の金額の部分に違反するものになっていないということでございますので、この会議は有効であるというふうな認識でありますが、こういうような案件がこれから出てくると、言われるとおり、信頼性にかかわってまいりますので、意識を徹底していただく、そういうような形で、我々も、細かく説明をさせていただいて、その上で、このようなことがないように努めてまいりたい、このように考えております。

大西(健)委員 一人や二人という話ではなくて、十五人のうち十一人ですよ。五十万円より下だということもありますけれども。いや、勘違いしていましたというのも、これも一人や二人じゃなくて、六人の人が申告していなかった。こういうことになると、さすがにこの結論がやはり疑われてしまうというのは、これはいたし方がないというふうに私は思うんですね。

 ですから、ここはもっと厳しくしていただかなければ、私は、先ほど申し上げましたように、科学的にやるべきだと思っていますけれども、その客観性というのに疑義が生じているわけですから、ここはしっかりやっていただきたいと思います。

 それから、もう一つひっかかっているのは、先ほど申し上げましたけれども、目の前に、ひどい重篤な副反応で、強い倦怠感や痛みで学校に行けないという子が実際にいる。では、その子を放置していていいのかということなんですけれども、この点については、先日、横浜市が、国が因果関係を認めていない段階でも医療費助成等を行うという独自の支援策を開始されたというふうに聞いています。私は、実際に苦しんでいる人にどうケアをするのか、この部分についても、ぜひ厚労省としてもしっかりやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 次に、健保についてお聞きをしたいというふうに思います。

 ことしの春闘で、大企業を中心に給料が上がった、賃金が上がった、確かにそうだというふうに思います。ただ、給与から天引きされる健康保険料、これもどんどん上がってきている、そして家計を圧迫しているという事実があります。

 資料の三という新聞記事をごらんいただきたいんですけれども、健保の方も七年連続で料率の引き上げが行われている。平均すると、今回も約五千円の負担増になる。二〇一四年度、健保連の赤字組合は全体の八割。全体の八割が健保の方も赤字なんです。そして、協会けんぽの平均料率を超えている組合というものが二百五十一組合もある。全体の二割でありますけれども、二百五十一組合。

 このままでは、健保組合をつくらなくて、もう解散して協会けんぽに移ってしまおうというところが、過去にも実際にありましたけれども、どんどん出てきてしまうのではないか、そういう状況であります。

 このような健保組合の財政悪化の主たる要因は、保険料収入のもう約半分近くになっていますけれども、それを高齢者医療制度への支援金として召し上げられてしまう、これが財政の悪化を招いている。

 資料の四、次の新聞記事、裏面ですけれども、ただでさえこの保険者間のツケ回しというのは私はもう限界が来ていると思うんですけれども、それに対する不満というのも充満している中で、火に油を注ぐようなことを今、政府は検討している。つまり、ここにありますけれども、総報酬割を拡大して、健保や共済の負担をふやして、協会けんぽの負担を減らす。そこで浮いた分の国庫補助分、これを国保の赤字の穴埋めに使おうとしているんですね。

 今までも、総報酬割の拡大という議論は確かにありました。ありましたけれども、これは健保連さんも徹頭徹尾反対とは言っておられないんです。仮に総報酬割を拡大しても、浮いた分の国費を例えば前期高齢者負担金の方に入れてほしい、そうすれば、現役世代のサラリーマンの皆さんの負担軽減にもつながる。私は、これはまさに、全世代型の社会保障に使うために消費税を上げるんだという消費税引き上げの議論にも合致するというふうに思います。

 一方で、サラリーマンからいただいた保険料を国保の赤字穴埋めに使うというのは、これは保険料を負担していただいている企業側にも、またサラリーマンの皆さんにも、私は説明がつかないのではないかというふうに思いますが、大臣、この点はいかがお考えでしょうか。

田村国務大臣 総報酬割でありますけれども、全面総報酬割という話は、民主党政権のときからそういうお話があったから、そこは御理解はいただいているんだというふうに思います。あわせて、介護保険に関しましても、総報酬割を入れようというのが、民主党時代からそういうお話もあられたというふうに思います。

 この総報酬割を入れた場合、財源的に余裕ができたものをどうするかというような今お話でございますが、これも含めて現在検討中であるわけでございます。国民健康保険の方にこれを入れるべきであるという御意見もありますし、前期高齢者を中心にお金を入れるべきだ、税金を入れるべきだというようなお話もあるわけでございまして、それは関係者としっかり議論をした上で、どのような形にしていくのかということは、最終的に結論を出してまいりたいというふうに考えております。

大西(健)委員 確かに、総報酬割の議論は民主党政権時代からありましたけれども、私は、この委員会でも一貫してそのことについては反対の意見を述べております。

 あわせて、今おっしゃったように、私も言いましたが、総報酬割の議論は今までもあったんです。でも、サラリーマンの保険料を国保の赤字穴埋めに使うというのは、これはさすがにサラリーマンの皆さんの御理解も得られないし、企業の御理解も得られないということは、これから関係者の皆さんとしっかり議論されるということでありますけれども、改めて私からもまた申し上げておきたいというふうに思っております。

 それともう一つは、これも、私、この委員会で取り上げさせていただいて、健保組合というのは、健診とかレセプトの情報を活用して、そして保健事業に取り組むことで医療費を下げるという努力をされている。そのことを大臣もお認めいただいて、今回、データヘルス事業というのも始めていただきました。

 だから、私は、まさにそれとこの話というのは逆行するんじゃないかと。まさに、被用者保険の保険者機能を生かそう、こういう取り組みをぜひもっと前へ進めていただきたい。健保組合というのは、一円も税金を使わずに、そういうことを独自にやられているわけです。そういうよさというのを改めて大切にしていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、今申し上げたように、私は保険者機能というのはとても大切だと思っているんですけれども、ただ、その保険者機能というのは、たまに行き過ぎることがあるなというふうにも思っています。

 資料五というのをごらんいただきたいんです。

 これは、ある大企業の健保組合さんが配ったお知らせなんですけれども、ここには、「整骨院・接骨院では「全額自己負担」が原則です 基本的に保険証は使えません。ご注意下さい。」と大きく目立つように書いてある。ただ、よく見ると小さい字で、条件を満たした一部のケースでは保険証が使えるというふうに書いてあるんです。

 ただ、極めて誤解を招くようなチラシではないかな。あたかも、柔整師はもう保険証は使えませんという誤解を招くようなところがある。これは、柔整師の皆さんは営業妨害だといって怒っておられます。

 また、最近では、国家資格をちゃんと持っている柔整師さんが診断をして、そして、その判断に基づいて施術をして、その治療実績に応じて療養費というのを請求しているにもかかわらず、何の権限もない、保険者が委託をした外部の業者、委託業者が患者への照会調査というのを行って、そして療養費の支払いが非常に遅延をする、なかなか療養費が入ってこない。

 これは施術所の経営にとっても非常に深刻でありますし、また、場合によっては、不支給決定をされたりとか、返戻措置といって書類を突っ返してくるということがかなり広がっている。こんなことが行われたら施術所はやっていけないという悲鳴が上がっているんですね。

 もちろん厚労省も、例えば、不正請求の温床になっているんじゃないかと言われる、多部位、長期または頻度が高い施術を受けた被保険者への調査というのは通達をしておられるということなんですけれども、その通達が現場で拡大解釈されて、こういう多部位、長期、高頻度というところ以外に、全ての施術についてこういう調査をするということが行われているという苦情を耳にいたします。

 不正請求をなくすこと、これはもう当たり前のことですけれども、必要です。ただ、最初から、このビラじゃありませんけれども、柔整師を盗人扱いして、おまえら絶対悪いことをしているだろうというのは、これはさすがにひどいんじゃないか。

 私は、柔整師という国家資格を認めていて、受領委任という制度がある以上、これはちょっとやり方がひどいんじゃないかと思うんですけれども、大臣、今のお話を聞いていただいて、どういうふうに思われますか。

田村国務大臣 柔整師の皆様方は、療養というような形で、いろいろと日本の国民の皆様方の健康をお守りいただいておるわけでありますが、外傷性の骨折や脱臼でありますとか打撲、捻挫、こういうものは保険の適用になってくるわけでありますが、今言われたとおり、ただの肩凝りのようなものに関しましては、これは療養費として保険請求できないわけであります。

 適正な、しっかりした対応というものは、これは我々もチェックをしていかなきゃならぬわけでありますが、一方で、今言われたように、保険者の方々が、いろいろとパンフレットやリーフレットに不適切な、そういう表現があるということ、それからまた、照会調査等々に関して対応をちゃんとやっていただくという意味からいたしまして、我々も昨年、そのようにしていただくように通知を発出させていただきました。

 今、委員の御懸念のところに関しまして、我々もそのような認識も持っておりますので、そのような形で通知をさせていただいて、そうならないように対応していただくように、しっかりとお願いをしておるところであります。

大西(健)委員 確かに、専門学校が乱立して、十分な施術の技能を持たない、あるいは保険の知識がないような方がどんどん開業してしまって、過当競争になって不正請求が相次いでいる、こういう事態が起こっていることも事実で、それを是正していかなきゃいけない。

 ただ、一方で、大臣の御答弁で言っていただきましたけれども、柔整師の職業に誇りを持って、真面目に頑張っている人たちもたくさんいらっしゃいます。そういう方々は、逆に、今のこの柔整師の社会的信用が失墜している現状に対しても、強い危機感というのを持っておられるんです。

 そんな中で、保険者の代表と柔整師の代表と学識経験者の三者構成による審査支払い機関みたいなものをつくればいいんじゃないかというような御提案を、柔整師側からされている皆さんもいらっしゃるんですけれども、こういう御提案を厚労省はどのように評価されますでしょうか。

赤石大臣政務官 大西委員にお答えいたします。

 診療報酬、医療の場合は、いわゆる支払い審査機関というのがあって、そこでチェックされていくわけですけれども、この柔道整復療養費につきましては、いわゆる受領委任払いが行われておりまして、その枠組みの中で、各都道府県の協会けんぽ支部や国保連合会に、保険者を代表する者、施術者を代表する者及び学識経験者で構成される柔整審査会が設置され、療養費の請求書の審査に当たっていただいておるところであります。

 しかしながら、柔整審査会では審査を行っているものの、最終的には保険者が支払いの可否を判断することから、保険者間で取り扱いにばらつきがあるとの指摘もあります。柔道整復師の関係団体からも、審査支払いのあり方を見直すべきとの声もあることも承知しております。

 このような中で、御指摘のように、柔道整復療養費の審査支払い機関を設けるという御提案も担当部局にいただいております。金融業者と柔道整復師向けの事務管理システム事業者が、株式会社を設立して、柔道整復療養費の審査支払いを行うという内容であり、保険者や医療関係者などの理解が得られるかどうかという課題があると考えております。

 いずれにしても、柔道整復療養費の今後のあり方については、関係者からさまざまな課題についての御指摘をいただいておりまして、関係者の御意見を丁寧に伺いながら、対応策を検討していきたいと考えております。そうした取り組みの中で、御指摘の点についても、関係者の御意見を踏まえ、研究、検討してまいりたい、このように思っております。

大西(健)委員 時間がなくなってきましたので、千葉県がんセンターの話なんですけれども、前にもこの委員会で取り上げましたけれども、その後、九例、死亡事例が実はあったということが明らかになっています。

 それから、同センターで麻酔医として勤務していた志村医師が、二〇一一年に、実は厚労省の公益通報窓口に実名で告発をしていた。ところが、その当時もう既にセンターを退職していたので、公益通報者保護法には該当しないということで書類は返されたということなんですけれども、その時点で厚労省が何らかの対応をしていれば、これだけ多くの人が亡くならずに済んだんじゃないかという考え方があります。

 これについて、私は以前、厚労省に質問をしました。資料の六という文書の回答が官房総務課の情報公開文書室から返ってきたんですけれども、ここでは、対応に問題がなかったの一点張りなんです。

 ただ、次の新聞記事、線を引いておきましたけれども、ここでは、医政局の総務課のコメントとして、もっと丁寧に対応ができたと考えている、公益通報のルールに縛られ過ぎずに、より柔軟に対応できるよう検討を始めているという反省の弁が述べられております。

 私は後者の方に共感をするんですけれども、一体どちらなのか。改めて、この点について大臣にお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 この案件でありますけれども、通報処理に関する省庁共通のガイドラインというのがありまして、その当時は、この方はもう病院をやめておられましたので、公益通報の対象にならないということがございました。あわせて、所管は都道府県、千葉県でございますので、厚労省のそもそも所管ではないということで、それでも、所管は千葉県ですよというふうに、一応丁寧にはお伝えをさせていただいたわけでありますが、それ以外に対応しなかったということであります。

 その後、そういう方々も対象にはなってきているんですが、ただ、一方で、所管が違うということでございますので、現状であってもこれはガイドラインの対象にならないわけでありますが、これに関しては、所管省庁は消費者庁でございますから、消費者庁の方に、今、どうあるべきかということも踏まえて、いろいろと相談をしているところであります。

 なお、起こったときは民主党政権下でございましたが、民主党政権だから、自民党だからという問題ではありませんので、これに関して話を聞きましたときに、しかし、死亡事件だとかそういうようなものがかかわる場合には、やはり何らかの対応をすべきではないのかというふうに私は事務方の方に申しまして、検討を始めさせていただいております。

 ただ、何もかもということになりますと、これは対応ができないので、やはり、かなり重大な問題があるようなときに関しては、何らかの対応ができないかということで検討させていただいております。

大西(健)委員 まさにここにあるように、公益通報者保護法に縛られ過ぎずに柔軟な対応をということをお願いしたいと思います。

 最後になりますけれども、今、大臣からもありましたが、これは消費者庁の問題なんですけれども、法律ができたときに、五年後の見直しという規定がついていて、二〇一一年にも、消費者委員会は、国に対して、法改正を必要とする課題の有無を把握すべきだと言っているんですけれども、いまだ法改正の話が進んでおりません。

 そこで、消費者庁にもきょう来ていただいておりますので、改めて、公益通報者保護制度をより使いやすいものにするために、法改正を急ぐ意思があるのか、それともないのか、ここを明確にお答えいただきたいと思います。

岡田副大臣 消費者庁では、これまでも公益通報に係る実態の把握に努めてきたところであります。

 消費者庁としましては、今年度に実施する公益通報者保護制度に関する意見聴取の場において、有識者や関係者の方々からも幅広く話を聞くなどして検証、分析等を行い、課題を詳細に把握した上で、適切な対応を検討してまいりたいと考えております。

 なお、公益通報者保護制度に関する意見聴取につきましては、先月十六日に消費者庁でプレスにも発表しておりますが、平成二十六年度中に五回程度の会合を実施して、公益通報に係る実情、実態のさらなる把握に努め、課題を詳細に把握した上で、課題解決の方策について検討を進めていくということで考えております。

 昨日、初回の会合を開催したところであります。

 以上です。

大西(健)委員 もう意見を聞く段階は過ぎていると思いますので、ぜひ法改正を急いでいただきたいと思います。

 本日、予算委員会で集団的自衛権の問題の集中審議をやっていましたけれども、これも限定的と言っても、その後、どんどん拡大していくかもしれない。まさに労働時間規制の問題も、限定的にということで認めて、その後、なし崩し的に拡大していくこともあるわけですから、大臣、これは、労働者の保護をする労働行政の長として、ぜひそのことを胸にしっかりと行動していただきたいということを御期待と要請をして、私の質問を終わりたいと思います。

後藤委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 私が知らないところで、何か誕生日だという御紹介を大西委員からいただいたということで、何人かの委員の方から激励をいただきまして、本当にありがとうございます。

 そういった日に質問をさせていただくということで本当に光栄ですが、早速、質問に入らせていただきたいと思います。

 先ほど理事会で、七十五歳に年金の受給開始年齢を引き上げた場合の、私の方も質問をさせていただきましたが、一定の前提のもとで、六十五歳からいただく場合と比べて、これは国民年金ベースでということで申し上げましたが、では一体何歳まで生きれば、これは平均寿命、平均余命ということがあったので、そろえていただいて結構ですのでということで申し上げましたらば、理事会の方で初めてそういった試算が出てきたということでございまして、先ほど私も年金局の方から説明を受けました。これを見て改めて思ったのと、ちょっと確認をさせていただかなきゃいけないなと思っていることがございます。

 これは委員の方はお手元にないのかもしれませんが、きょう理事会でいただいた資料、四枚あってその最後のページなんですけれども、七十五歳まで繰り下げた場合に六十五歳から受給した場合と等しくなる年齢は八十六・九歳、まあ八十七歳ということですね、そういうふうにあるわけでございます。これは、私がまさに前回指摘をしたある例、こういう指摘がありますよというのと全く同じ数字になっております。

 なおかつ、御丁寧に、平均余命の比較ということで、男女単純平均ということでお出しいただいていて、七十五歳のところを見ると、平均余命の場合は八十八・四歳と出ているんですが、男女の別々でちょっと教えてくれとさっきお願いをしましたら、男性が八十六・五七歳、女性が九十・二七歳ということで、もちろん個人差はあるわけですが、端的に言えば、男性は八十七歳までいっていないんですね、八十六・五七歳ということですから。この選択を選ぶと、なかなか、男性の場合は、六十五歳からもらうよりも得をするというところまで生きられない方の方が多い、そういうようなことにもなりかねない。

 もちろん、これはいろいろな前提の中での試算ですから、こういうようなことも含めて、いや、私は、皆さん、こういうことがいい悪いの前に、やはりちゃんとこういうベースがあって、大臣が、もちろん選択制で、きょうの資料にもおつけしておきましたけれども、一枚目、「年金財政の改善微妙」とあって、一番左下の最後に、これは大臣の本音が出ていると思うんですが、「まだ(受給開始年齢まで)十分に働けることが担保されていない。」と。逆に言うと、担保されるようになってきたら、この七十五歳引き上げだったり。

 もっと言うと、やはり私は、これは財政検証を出してもらわなきゃだめだなと改めて思いましたね。このオプション試算というものの中に、いろいろな議論がビルトインされているわけですよね。例えば、基礎年金納付期間を延長というような議論も多分出てくるんでしょうけれども、まさに、その納付期間を例えば四十年から四十五年へ延長みたいな議論がもし出てくるとしたら、やはりこれは年齢の引き上げとセットだと思うんですよ。そういうことも含めて、私はやはり財政検証をしっかり出してもらった上でこの議論を深めていかなきゃいけないと思うわけです。

 これは、田村大臣、今回のこの出していただいた資料を見ても、七十五歳引き上げ選択制といえども、今、四月から消費税も上がったばかりで、まさに年金はこれから減額へという流れがある。医療、介護は、まさにこの間、法案審議もやりました。残念ながら、負担増先行、充実先送りというようなことがだんだん明らかになってきている。もっと言うと、年金を既にもらっている人は、仮にアベノミクスで給料が上がったとしても、それは蚊帳の外なんですね。今度もらう人は影響を受けますが、もらっている人は関係ありませんから、そういう中でマクロスライドを発動していくと、本当に貧困高齢者、とりわけ女性の方がその大きな影響も受けていく。

 こういうような状況の中で七十五歳引き上げ選択制というのが出てきて、ちなみに、女性の方が七十五歳で受給したときにプラスになる、これは八十七歳以上。もちろん、見ると平均余命は九十・二七歳で、生きるんですけれども、この八十七歳まで、まあ、そもそも七十五歳までもらわずにいられる人というのは相当お金持ちというか余裕のある方だとも私は思いますし、やはりこういう議論がひとり歩きするということ自体がちょっと問題だと思うんですよ。

 田村大臣、七十五歳の引き上げ選択制というのは、私はやはり勇み足の御発言だったと思うんですが、一旦撤回されたらどうですか。いかがですか。

田村国務大臣 何か皆さんがひとり歩きさせているような、そんな気がするんですけれども。だから、これは、敬愛する民主党の皆さんだから出させていただきましたけれども、出したくなかったんですよ。何でかというと、この間の四百万件もそうですけれども、何か言うと、もうそれがひとり歩きさせられますのでね。

 これは全く意味のない試算ですから。そうやって書いてあったと思います。なぜならば、制度設計していませんから、もしかしたらもっと給付がふえるかもわかりませんし、給付が減るかもわからない。まだやっていないんですよ。

 そんなことも含めて検討しましょうという話で、検討してもし仮にやるときになったら、それは出しますよ、もちろん。選択していただこうと思えば、自分で判断していただく材料がなかったら選択できませんから出しますが、今、何の意味もない、つまり、七十歳までの選択制をそのまま延長したそれだけの数字を出して、またこうやっていろいろなことを言われると嫌だなと前回も私は申し上げたけれども、それでも皆さんが出せと言いますから、敬愛する民主党の皆さんですから出しましたけれども。

 いずれにいたしましても、全くこれから議論をしていく中で、制度設計も含めてこれからなんです。ですから、今、どれが得だ、どれが損だ、そういう話ではなくて、ただ、平均余命はどんどん延びていっておられて、お元気な高齢者の方々がふえてきておられます。その中で、これから労働者の方もどんどん生産労働人口が減ってきますから、普通でいけば労働力は減るんです。ですから、高齢者が元気で、仕事があれば、働かれる方々がどんどん出てこられる。

 今すぐじゃありませんよ。これから先に向かって、そのときに、選択制という形で七十というものをもうちょっと幅を上げた場合に、その方々にとっていろいろなメリットもあるのではないかということも含めて検討をしたらどうかなということで問題提起をさせていただいたわけでございまして、どうかその点は御理解いただきますようにお願いいたします。

柚木委員 やはり厚生労働大臣の御発言ですから、国民の皆さん、各雑誌等も含めて、もうこの問題に必ず今触れていますよ。なぜか。それはまさに、国民の皆さんにとっては死活問題だからですよ。

 だから、大臣、別にこれを数字がひとり歩きじゃなくて、それだけセンシティブで、国民の皆さんにとっては、本当に貧困高齢者の方、特にまさに寿命のことも含めて言うと、あるいは御主人が亡くなられて遺族基礎年金とかでやっていける、いけないとかのいろいろな議論もある中で、やはりこの七十五歳という数字というのは、年金暮らしの方、これから年金をもらおうかという方にとっては非常に大きな問題なので、私はもうちょっと慎重に御発言いただくべきだと思うんですよ。

 この問題だけをやっていると時間がなくなるので、これはちゃんとまた今後も詰めてやりたいんですが、きょうの各紙報道を見て、残業代ゼロ、それこそNHKの報道で、これまた大臣が御発言いただいているわけですね。残業代ゼロという導入方針が、きょう、朝日新聞の一面に出ていますし、東京新聞、「成果主義「死を招く」 残業代ゼロ制度なら」ということで、これは対象がひょっとしたら一般の社員まで広がるおそれがあって、サービス残業の合法化になりかねないという懸念も出てきているわけですよね。

 これは本当に私も、まさか、昨日、過労死防止法案が衆議院を通過した翌日ですよ、きょう。こういうものがこのタイミングで出てくるというのは、私は正直、きのうああいう法案を通しておきながら、申しわけないという思いに普通はなると思うんですよね。

 大臣、この年収要件、これまでにも一千万とかいろいろあるわけですが、この大臣の御発言を見ると、いや、それほど給料が高くない人に残業代を払わないような制度を政府が検討しているというのは誤解だということで言われているんですが、では、これは、これまで一千万という一つの議論がありましたが、それよりも下に広がる可能性はないんですか、それとも、あるんですか。いかがですか。

田村国務大臣 さまざまな議論はいただいておりますし、我々もいたしております。

 残業代ゼロというのをどういう意味合いでおっしゃっておられるか、ちょっとよくわからないんですけれども、多分、適用除外という部分からすれば、それは以前から総理も申し上げておりますが、成果を評価するという考え方であります。

 成果を評価するということは、成果が評価できなきゃいけないわけでありまして、成果というものをはかれない、そういう働き方というものはこの対象にならないのであろうということで我々は話をしておりまして、しかも、労働契約においてしっかりと交渉力のある、そういうような方々を対象にそういうものはお考えになるべきではないのですかということを申し上げております。

 年収に関しては今議論をしておる最中でございますから、ここで申し上げることはできませんが、ただ、私が言う限り、私は、だってここで、NHKの報道でも、まさにワーキングプアをつくるような、そういう法案じゃありませんよ、こう申し上げておるわけでありまして、そういう方々に残業代ゼロなどというものをやるなんということは、これは甘利大臣とともに認識を一致しておりますから、そのような年収の低い方々に対してこのようなものを導入することは考えておりません。

柚木委員 でも、今の御答弁だと、逆に言えば年収要件というものは定まっていないということでもあるわけですから、一千万円で線を引くのか五百万円なのか全くわからないわけですから、今後の議論によっては年収要件が外れるのかどうなのかも含めて全くわからない中でこの残業代ゼロの議論が進んでいるというのは、むしろ、厚生労働大臣として、それこそ産業競争力会議の中で、まさに過労死防止法案がようやく衆議院を通過しました、そんな中でやるべきじゃないというのが私は厚生労働大臣の立場だと思いますよ。そうじゃないんですか、大臣。

 こんなことをしていたら、せっかく皆さん賃上げしたって、残業代ゼロになったらよっぽどマイナスじゃないですか。十倍以上のマイナスという試算が出ていますよ、賃上げのベースで考えても。もちろん年収によりますけれども。

 もっと言うと、これは本当に過労死防止法案と逆行している中身で、私ちょっとびっくりしたのが、きょう、産業競争力会議の中で、ブラック企業対策をやるという、これはブラックジョークじゃないですか。ブラック企業対策をやるんだったら、残業代ゼロ導入をやめるべきじゃないですか。そういう話でしょう。

 田村大臣、何か本当に私、今政府がやろうとしている方向感、そして、厚生労働大臣としてしっかりと守らなきゃいけない部分、それぞれもちろん役割分担はあると思いますけれども、やはり厚生労働大臣として、少なくともこの残業代ゼロというのが働く人にとってどういうメリットがあるんですか、お答えください。

田村国務大臣 成果をはかれるそういう職種、そして一定以上の労働契約においての交渉力のある方、こういう方というのは、例えば為替ディーラーであるとかファンドマネジャーであるとか、そういう働き方の方々がおられますよ。海外でも、実際問題、除外されている方々がおられます。

 そういうものを一つ念頭に置きながら話しておりますが、ただ、ここで金額を言えと言われても、それは私もこれから議論をしなきゃいけない、私が全てそこで議論をせずに決める話ではありませんから……(発言する者あり)それは立場があって、山井さん、あなただって政務官のときには、あれ言ってくださいと言ったって、それは私の立場では言えないというのはあったじゃないですか。

 だから、私の思いというものは皆さんも御理解をいただく中において、私はいろいろな議論をこれからさせていただくということでございますから、その点は、与党をやられた皆様方として御理解いただければありがたいと思います。

柚木委員 私たちのときには残業代ゼロなんということは一切出していませんし、それこそ、どういう議論をやるかによって、それはいろいろな時の、それぞれの政府の判断があるかもしれませんけれども、我々言ってもいないことを、そもそも、私たちが言えないでしょうという話じゃないんですよ。

 私たちは、それこそ派遣法についてだって、むしろ働く方々にとってどういうメリットがあるかということでこれまで議論してきたのに、逆の方向で今議論が出てきているし、もっと言うと、今回、厚労案も産業競争力会議案も対象範囲が非常に定義が曖昧なわけですよね。こんな曖昧な定義だったら、なし崩し的にどんどん対象が拡大していく可能性があると思うんですけれども、これは、幹部の方だけじゃなくて幹部候補生にも広がる可能性があるんですか、対象は。

田村国務大臣 いろいろな御議論はいろいろな方からいただいております。幹部候補生をエグゼンプションするんですか。いろいろな御意見はあるようでございますが、我々厚生労働省は、働く方々の立場に立ちながら、そういういろいろな議論の中で我々の意見を申し上げていくということでございます。

柚木委員 それでは働く皆さんは全然安心できないわけですよね。一体、自分はその対象になるのかどうなのか。それこそ、かつて、名ばかり店長とか問題になったじゃないですか。どういう方がこの対象になるのかによって、これは本当に、言っちゃ悪いですけれども、過労死促進法案になりかねない。何のための過労死防止法案だったんだと。しかも、きのうですから、過労死防止法案が衆議院を通過したのは。立法府としてこんなことであっていいのかと、私は本当にじくじたる思いで今質問しているわけです。

 この問題について、私は、今後、こういう議論は絶対に許されないと思います。思いますが、さらに私ちょっと問題だと思うことがあるので、次の質問に行かせてもらいます。

 この間、GPIFの議論もさせていただいたわけです。これも、さっき、七十五歳に支給開始年齢引き上げの議論もありましたけれども、もらえる年齢はどんどん引き上がるかもしれない、そして、年金の積立金の運用、仮に失敗したらそのリスクは国民が負わざるを得ない。さらに、働いても働いても残業代すらもらえないかもしれない。本当に、働く方、あるいは年金をもらう方、これからもらわれる方、受難の時代に入ってきているんだと思いますよ。

 ちなみに、まさにプライス・キーピング・オペレーションということが問題になっているわけですけれども、国民の虎の子の年金が公的年金積立金の運用変更によって失われるということは絶対に避けなきゃならないわけです。

 ただ、今回のGPIFの運用変更で株式比率を高めると、必然的に、国債の保有率、約七十兆円と聞いておりますが、大変大きな規模なわけですが、これを比率を減らしていかざるを得ないわけですよ。そうすると、当然、国債の価格、金利、まさに前回の説明で政府が、景気回復と物価上昇で金利上昇すれば、国債価格の下落、つまり金利上昇で含み損を抱えるおそれがあるという説明があったんですが、むしろ、このGPIFの運用変更によってこそ国債の価格の下落、金利の高騰というのが起こり得るわけで、どっちにしたって非常にリスクがある話なんですね。

 大臣に一つ伺いたいのは、日本政府の閣僚として、七十兆円もの大量の国債を保有するGPIFが国債を放出していくという方向は望ましいとお考えになられますか。いかがですか。

田村国務大臣 要は、国債を仮に売るにしても買うにしても、それはやはりしっかりと市場の動向を見ながら考えていくわけでありまして、そういうような国債の暴落等々が起こらないような環境を見ながら適切に対応しなければ、そもそも自分のところの運用にも影響が出てくるわけですよね、これは。

 それは、専ら被保険者のために安全かつ効率的な長期的な運用をするわけでありますから、そこも含めて考えながら、どのような形で運用していくかということをやっていただくのがGPIFの役割だというふうに考えております。

柚木委員 これはもう必然的に国債の保有比率が下がっていくわけですよ。ですから、今後、日銀が追加金融緩和、これは永遠にやるわけにはいかないわけで、どこかで出口戦略も考えていかなきゃいけません。そういう中で、まさにそのどこかの境目で、むしろ、こういう運用の変更によって、国債の価格変動、金利変動のリスクの引き金を引くというか背中を押しかねないというのが専門家の心配でもあるわけですよね。そういうことを本当に今後やっていくことになるのが国民目線なのかどうなのか。

 これは実際に、この間、参考人で来られていたGPIFの三谷理事長がこういうことをおっしゃっていますよ。損失リスクを抑えながらリターンを大きくするのが年金資産を分散する基本で、その中でたまたま経済活性化に役立つという分野があったにこしたことはないけれども、そっちがメーンというのはこれはおかしくて、あくまでも年金資金は現在と将来の年金受給者のためという視点がベースであるべきだということもおっしゃっているんですよね。

 恐らく、厚生労働省、本音としてはそういうスタンスなんだと私は思うんですよ。ただ、景気の腰折れを防いで、消費税を例えば財務省も一〇%に上げる、そういうこともしなきゃいけない。そういう意味では、このGPIFの運用変更に、ある意味おつき合いせざるを得ないんじゃないのかなというふうにすら私は想像するところなんですよね。

 でも、結局、パーフェクトなものはないわけですから、どんなポートフォリオを組んでも。私も、きのうも二人ぐらい専門家の方と随分、それぞれ一時間ぐらい話をしましたよ。最先端の金融工学でいろいろな形でポートフォリオを組んでいっても、一たびリーマン・ショックのようないろいろな想定外の事態が起これば、それに対応できない。そういうようなことも含めてリスクが高まっていく中で、厚生労働省もある意味渋々官邸におつき合い、財務省も、消費税のこともあるし、渋々おつき合い。結果、運用の失敗のツケを負うのは国民の皆さん。そういうようなことであって本当にいいんですか。

 田村大臣、せめて厚生労働大臣として、このGPIFの運用変更のリスクの変更、これは、年金の基金が毀損されるおそれがない形でポートフォリオ変更についても最大限配慮するということを、厚生労働大臣の立場で明確に御答弁いただけませんか。

田村国務大臣 まさにそのとおりです。

柚木委員 そのとおりですとおっしゃられるのであれば、今後、例えばまさに日本年金機構のときに、不動産投資、いろいろな形で結局国民の年金が非常に資産が目減りするというような、かつてのことも含めて、同じ轍を踏まないように。今回、逆にもっと、合法的にマーケットの中で運用されて、結果的に損失が出てしまうというような形にもなりかねないわけですから。

 これは、金融機関は手数料が入っていいかもしれません、あるいは外資はいいかもしれませんよ。でも、結果的に国民の年金が毀損をして、そのツケを負うのはほかでもなく国民の皆さん御自身で、前回、最終責任者は厚生労働大臣とおっしゃいましたけれども、大臣、責任とれませんよね。安倍総理だって責任とれないですよ。国民の年金、肩がわりできませんから。

 そういうようなことで、本当に、そのとおりですという答弁は全然説得力がないし、むしろ無責任だと私は思いますよ。

 今後の運用変更、六月以降あるということですが、厚生労働大臣の立場として、私は、しっかりと年金受給者の視点に立った立場をとっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 あともう一問、本当は年金に関連してマクロ経済スライドの話をしたいんですが、一点、前々回ちょっと質問をさせていただいたバイオ医薬品のことについて、ぜひ確認をさせていただきたいことがあるものですから、これを一問質問した上で、時間があればマクロ経済スライドのことも御質問申し上げたいと思います。

 バイオ後続品の取り扱いについて、DPC、いわゆる包括払い対象病院、つまり、診療報酬の評価が出来高ではなくて、使用する薬剤も含めた包括扱いとなっている場合について今回は質問をさせていただきたいと思うわけです。

 DPCについては、もう大臣も釈迦に説法でよく御存じなので、これは二〇〇三年から導入、〇七年から本格導入ということで、どのような治療をしようとも支払い総額が決まっているということで、一般的にはコストを抑えるインセンティブが働くとされている制度です。

 ただ、もちろん現場の医師初め従事者の皆さんは、コストよりも、あくまで患者さんの状態、容体を優先するということでこの間運用されていると思いますが、例えば医薬品の選定については、なるべく安い医薬品を使おうという流れが今ある中で、後発医薬品、ジェネリックの使用が促されていると理解をしております。

 一般の合成化合物であります医薬品の後発医薬品の使用については、前回もやりとりしましたが、これは国が同等、同質だと保証していますし、賦形剤という成分、剤型とか、そういったものの違いがあっても基本的には同じ化合物ですから、これは使用を促進していただけるものと理解をするわけです。

 ただ、バイオ後続品については、日本では後発医薬品として一くくりにまとめているようですが、前回もやりとりをいたしましたように、先行品と全く同じものとは言えない。ですから、少なくとも既に先行品を使用しているような患者さんには、たとえバイオ後続品が販売されたとしても、慎重な変更プロセスをお願いしたいということを前回も申し上げました。

 特に、DPC適用となっている場合には、バイオ後続品への変更が、経済的な理由によって安易に決定される可能性がある。これは病院の収支等、もう大臣よく御存じだと思います、必死に今経費削減を行っております。私もいろいろお聞きすると、国立大学病院ですらそういう状況で、私も聞いてちょっと深刻だなというふうに認識を持ったのは、例えば日赤医療センターでさえ、DPCの導入後は、自社の、日赤の血液製剤を使わなくて安価な外国製品を使っているというふうに聞いております。

 この秋にもDPC適用疾患におけるバイオ後続品が上市される前に、ここは、バイオ医薬品の後続品変更の取り扱いについてきちんと省内での研究をお願いしたいということでございます。

 これは、新規に診断された患者さんにバイオ後続品を最初から使用するというのはやっていただきたいんですが、継続的に使用されてきた患者さんは別だという問題意識を私は前回も申し上げました。ぜひ、経済的な理由だけによって拙速なバイオ後続品への変更事例が生ずることがないように、何らかの措置を御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 その前に、先ほど、年金を土地に投資したというのは多分グリーンピアの話だと思うんですが、これは投資ではありませんので。

 昭和四十六年、四十七年に、国会、衆参で附帯決議をされておられます。全会一致であります。年金は、被保険者はずっと四十年間もらえませんので、そういう方々のために福祉的ないろいろな対応が必要であろうということで、福利厚生で始めたものであります。

 利用者は安い宿泊料金で利益を得られた。ただ、それが余りにも、いろいろなホテルができて、利用されないにもかかわらず維持し続けたというところに大きな問題がありましたので、売却等の対応をしてこれはやめていったということでございますから、その点は御理解いただきますようにお願いいたしたいと思います。

 今の部分でありますけれども、おっしゃられますとおり、バイオ後続品、先行バイオ医薬品といろいろと効能等々はどうなんだという御議論があります。ただ、これに関して健康被害があるとか、それから有効性に低下があるだとか、こういうこと自体は、先行品から後続品に変えたことによって起こるということ自体が完全に我々も証明されているわけではないわけでありまして、よって、添付文書におきましてもそのようなことは書いていない。添付文書にも書かれておりません。

 それも含めて、DPCの病院に関しましても、やはり医師が適切に判断をしていただいて、これをどうするかということを最終的にお決めいただくということになろうと思いますので、適切な対応を医師にお願いをいたしたいというふうに考えております。

柚木委員 ぜひ、医師にお願いをするという先の部分についてもしっかりフォローしていただいて、御対応をお願いしておきたいと思います。

 あと二問あるんですが、一問しかいけないと思いますが、先ほど申し上げました年金の問題、七十五歳選択制とか、あるいは、本当にこれからお聞きしたいマクロ経済スライド。

 つまり、世代間格差の是正はもちろん必要ですが、高齢者ほど健康格差、経済格差も大きい。とりわけ、平均寿命、余命で長生きをされる女性の方、逆に貧困高齢者は女性の方に多いわけですよ。そういうことも含めて、さらには消費税の引き上げや、それとは別の物価上昇、そして医療、介護の負担増などなどを考えたときに、ぜひ、マクロ経済スライドが早ければ来年の春以降初めて発動されるわけですが、このときに、入り口、出口、それぞれお考えいただいていいんですが、低所得者、低年金者への負担軽減。これまでにも臨時的ないろいろな対応、あるいは年金の金額の底上げはあるわけですが、それだけでは吸収し切れないような負担増になってきている、あるいは今後なり得ると思うんですね。

 ぜひお願いをしたいのは、今後、マクロ経済スライドが発動したときに、例えば基礎年金部分をスライド対象から外すとか、逆に、物価上昇分は基礎年金受給額の部分は補填することを考えるとか、もっと言うと、支出の方で、総合合算制度というのが今後マイナンバー制度の進捗の中で進んでいくと思いますが、一定金額以上の支出についてはこれは負担しなくていいという制度設計を、高額療養費制度の拡充などとも同様にもう少しきめ細やかにしていただくとか、何らかの対応をお考えいただかないと、本当に、若い人たちももちろん大変ですけれども、年金受給世代の中でも格差が大きいわけですから、こういったマクロ経済スライドの適用のあり方について、ぜひ大臣、きめ細やかな対応の御議論をいただきたいと思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 基礎年金は停止するだとかは、多分もう制度として成り立たなくなりますので、これは無理な話だと思います。民主党の年金案でも、やはり同じように、マクロ経済スライドとは呼ばれていませんでしたけれども、スライドがかかって減っていくということでありますから、これは年金を持続可能にするためには必要な取り組みであるということで御理解いただきたいと思います。

 ただ、一方で、低所得者の方々への対応ということで、国民健康保険それから後期高齢者医療保険制度の保険料に関して、低所得者の方々の保険料の減額に関して、たしか五百万人強、これを広げるという形だったというふうに思いますが、そういう制度をやっていくということでございますし、あわせて、介護保険料に関しましても、低所得者に対しては負担の軽減ということを今般盛り込ませていただくわけであります。

 そういう意味において、いろいろな形でそのような方々に対しての対応というものは考えていかなきゃいけないわけでありますし、いよいよ低年金者に対しての福祉的給付というものも始まってくるわけでございますので、そのようなものをいろいろと使いながら、国民の皆様方が消費税増税というものに対してしっかりと御対応いただけるように、我々としても広報、宣伝をしっかりやってまいりたい、このように考えております。

柚木委員 時間が来たので終わりますが、きょうの予算委員会の質疑も、あるいはこの厚生労働委員会の質疑も、それこそ安全保障も社会保障も、残念ながら現政権の中で国民の皆さんの意識と非常にかけ離れてきている、私はそのように思います。ぜひ国民の皆さんの目線で社会保障も安全保障もしっかりと議論をいただくことを強くお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、清水鴻一郎君。

清水(鴻)委員 日本維新の会の清水鴻一郎でございます。

 きょうは二十分間という大変短い時間ですので、時間を大事にしながらいきたいと思うんです。先ほど、あべ俊子委員からも、清水さん、時間を守ってよということを言われましたし。

 それから、先ほどから過労死の問題も出ていましたけれども、僕、今、もしかしたら大臣に同情する立場ではないのかもしれませんけれども、田村大臣が過労で倒れられないのかなと、午前中の予算委員会も見させていただいたり、本当に激務だなというふうに思います。だからといって、職務でございますので私も質問をさせていただきますけれども、本当にお体は大事にしていただいて、もしものことがあれば、私も脳神経科医でありますので、できる限りのことはしたいなというふうに本当に思う次第でございます。

 私自身、ちょっと資料を、これはさすがにタブロイド紙ではありません、夕刊紙ではございませんで、一流の新聞と二流というのがあるのかどうかわかりませんけれども、といっても、新聞のことが全て正しいというか、全てが報道されているわけではないということは十分承知の上で、一応、この間からずっと私も心配しておりましたいわゆるJEEDの問題が新聞にも総論的に書かれていたので、私と同じような認識のことがまとめて書いてあったので、ちょっとこれを参考に現状のことをお聞きして、この事業について今どんなふうになっているのかなということも踏まえて、冒頭お聞きしたいと思います。

 ここにも書いていますけれども、機構は、同省から約七十人が出向して、国から年間八百億円超の交付金や補助金を受けて、別の職業訓練事業などを受託している、いわば身内的なものだと。そして、前企画官らは、機構しかこの事業を行うことはできないだろうと考えていたということがここにも書いてあるんですね。

 それで、真ん中、中段からですけれども、厚労省は当初、協会が入札を行うと想定していたが、今回の事業の前身にもなる職業訓練事業で、不正受給が相次ぎ、協会は不正の確認が難しいと拒否。同省の入札引き受けが決まったのは二月の三日だった。年度内に業者を決定しなければならないのに、人手不足で準備が進まない。困窮した担当者は、機構を頼った。公示後も、入札をスムーズに成立させるために、前企画官らが審査事業に関する機構の内部資料をかわりに作成して、機構から仕様書案の修正要望を受け入れることもあったと。

 ちょっと飛びますけれども、同省公共調達中央監視委員会の委員を務める専修大学の高橋教授がおっしゃっていることですけれども、地域ごとに審査する方法もあったのに、機構しか応札できない調達仕様にしたことが問題の元凶だった、機構が応札しなければ入札不調になるという焦りから、不適切な情報提供や手続の軽視につながったと。つまり、起こるべくして起こったというふうにおっしゃっているんですね。

 その教授のコメントも、私が再三大臣に申し上げているように、責任者をあぶり出すだけでは同じ問題が起きる、事業の組み立て方や調達仕様、組織体制などを包括的に改善していくべきだ、こういうお話がございます。

 これはやはり真摯に、私も申し上げましたけれども、客観的にもこういう有識者のお話もありますので、大臣もその辺、大臣の立場もあるかと思いますけれども、受け入れていただいて。

 また、一方、この同じ、つけました新聞の資料でありますけれども、職業訓練不正で厚労省に改革班をつくられたと。体制見直しを検討ということで、いわゆる村木事務次官をトップとしてつくられたということです。

 これは、今のこの改革班も含めて、現状だけ、重複を避けて、以前にお聞かせいただいていることは結構ですので、短い時間しかありませんので、端的にちょっと教えていただければと。

田村国務大臣 二回目の企画競争入札も応札がなかったわけでございまして、今、三回目に向かって準備をいたしております。これに関して、ブロック別に分割するということもありますが、同時に、訓練関連業務とそれからキャリア形成相談関連業務、これを分けようということでございまして、これは利益相反という話もございましたので、分けて発注をしようということでございます。

 あわせて、今言われましたとおり、検討チームを立ち上げて、今委員がおっしゃられたようなことも念頭に、何が問題であったのか、どのようにしていけばいいのか、このような議論をしっかりやって、今まさに委員がおっしゃられたような課題、問題点に対して答えが出るような検討をしてまいりたい、このように考えております。

清水(鴻)委員 本当に、責任者だけあぶり出すというのは非常に実りのないことでありますから、ぜひとも、今大臣がおっしゃったことをしっかりやっていただきたいなと思います。

 それから、実は、ちょっと新聞報道等で、例のJ―ADNIの問題がありました。質問しようかなと思って資料も二ページほどつけさせていただいたんですけれども、きのうの質問取りの段階ではこれを質問する予定でしたけれども、その後、夕刊に、厚労省あるいは経産省の茂木大臣も、真相究明についてという、もう既にされましたので、これはまた真相がわかりましたら、ぜひ。

 これも、何だかんだといっても二十四億円税金が入っている話でありますから。製薬会社は九億円しか出していないと言うと変ですけれども、国が二十四億円出している事業。だけれども、いわば事務局長のやっていた、製薬会社の人に仕切られていて、結果的にデータの改ざん等があったんじゃないかと。

 データ保全も命令されたにもかかわらず、その後改ざんされたというのはかなり悪質でありますし、これはやはりオレンジプランの、認知症の薬のガイドラインにも影響してくることだと思いますので、ぜひともこれもしっかりと原因究明していただきますように要望しておきます。

 次に、医薬分業が進んできたわけでありますけれども、今現在、医薬分業、地域差もありますけれども、六五%ぐらいですかね、大体三分の二ぐらい医薬分業が進んできたと思います。それで、いわゆる調剤薬局というのも五万店舗を超えたというふうに認識しています。

 実際問題、今、医薬分業の中で、調剤薬局が扱う医療費はおおよそどれぐらいになっているんですか。ちょっと教えてください。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 医薬分業、この仕組み自体は戦後古くからあるわけですが、なかなか進んでおりません。(清水(鴻)委員「簡潔にお願いします。二十分しかないので」と呼ぶ)はい。

 今現在、直近でありますと、国民医療費の一七・二%の六兆六千億円が調剤医療費という額でございます。

清水(鴻)委員 ありがとうございます。そうすると、六兆六千億ですか、かなり大きな部分を占めてきた。

 これはもともと、医薬分業になった経緯はいろいろとあると思うんですけれども、医薬分業のメリット、デメリット、両方あると思います。しかし、一つは、いわば同じ医療機関の中で、薬の量を指示する医師がいるその中でまた薬を出す部門が一緒にあるのも極めて医療経済的にも不自然だし、それが薬の量を押し上げているんじゃないか、つまり、医療経済的にも節約になることも含めてということがあったと思うんです。もちろん、それだけの理由で医薬分業になったとは思いませんけれども。

 そういう中で、まず医療経済的に、少なくとも医療費を抑制しなければならないということもありますし、だけれども、質を落とさずにどうやって抑制するのかということが今大きな議題になっているわけです。

 そうすると、これは今、六兆六千億ですか。今、私は五万店舗強と言いましたけれども、大体その店舗数は合っていますか。

木倉政府参考人 調剤薬局でございますが、今、五万四千余りであります。

清水(鴻)委員 そこで働いている薬剤師の数は一体どれぐらいですか。

今別府政府参考人 約二十九万人でございます。

清水(鴻)委員 そうすると、あれですか、これは調剤薬局だけで働いている人ですか。薬剤師全員じゃないですね。僕のデータとは大分違いますけれども、正しいんですね。

今別府政府参考人 先ほど申しましたのは、薬剤師全員の数でございます。(清水(鴻)委員「僕の聞いたのは、調剤薬局の働いている人」と呼ぶ)今、把握をしておりません。今、手元にございません。

清水(鴻)委員 二十九万人のうち、およそ十五万人なんですよ。私の知っている範囲ではです。

 そうすると、今、六兆六千億で、十五万人が働いておられる。もちろん、薬剤師さんの給料がどれぐらいかというのは個々にあるわけでありますけれども、仮に一人五百万円とすると、十五万人で七千五百億。もちろん責任者もいるだろう。仮に、大幅に七百万円とかそういう想定をしても、大体一兆。

 さらに、六兆六千億円の約三〇%、いわゆる調剤基本料とか薬学管理料などの技術部分が大体三割を占めると思うんです。大体そういう認識でいいですか。仮に六兆だったら、一・八兆ぐらいがそういう調剤基本料や薬学管理料などの技術部分ということの認識でいいですか。

木倉政府参考人 調剤医療費、二五%程度が技術料で、その残りが薬剤費、薬そのものの値段でございます。

清水(鴻)委員 では、二五%ですから、私の三割というのはまだちょっと多目にカウントしているということで。そうすると、およそ十五万人の方が、仮に七千五百億、大きく見積もっても一兆円の給料で働いている。そして、六・六兆円の二五%ですから、約二兆円。その部分だけでいくと、二兆円と一兆円で三兆円ですよね。

 そうすると、かなり大きな利益といいますか、その差益が出ているというふうに思いますけれども、そういう理解でいいですか。もちろん、店舗料とかそういうものがあるわけですけれどもね。少なくともベースの中で、人件費等、そのベースになる調剤費とか管理費とかそういうものを、病院でいえば建物とかそういうものは抜きにすれば、約三兆円、半分だということの認識でいいですか。

木倉政府参考人 保険薬局の方の経営実態でございますけれども、これは診療報酬の改定のときに実態調査をしておりますけれども、今、損益の率でいいますと、二十五年の直近の調査、それからその二年前、その二年前と、約五%から六%ぐらいが薬局の利益率、損益の率でございます。

 損益の差額そのものとしては、八百万から九百万円ぐらいが一カ所当たりの差額、それが五%か六%程度の利益率ということでございまして、それ自体はそんなに大きいものではございません。

清水(鴻)委員 そうなんですよ。何でそれだけ差があるのに利益がそれだけになっているのか。

 きょう言いたいことは、その辺のところを、実態調査をもうちょっと正確にやっていただきたいなということなんですよ。どう考えても一般的に、半分の三兆円が、それは例えば借り賃とかなんとかにかかるということですけれども。

 それと、かなり効率的に、今もうチェーン店化されているところが何%ですか。全店舗五万店のうちの、いわゆる多店舗展開をしているところは大体何%ですか。

今別府政府参考人 恐縮でございますが、詳細は把握しておりません。

清水(鴻)委員 大体、二〇一一年のデータですけれども、八七・六%なんですよ。だから、恐らく九〇%近くぐらいになっているのかなと思います。そういうことで非常に効率化されていると思います。

 これは私自身がちゃんと厚生労働省の資料から引っ張って資料を出せるんですから、ぜひともその辺のところ、また後ほど、委員長、ちょっと詳細な資料をいただけますようにお願いしておきたいと思います。

 これは、そういうことなので、もう少しその辺のところに、貴重な医療費の一七%を占める、そして、今申し上げましたように、薬剤師さんのコストにかかっているのはどうもその六分の一程度である、そして、今申し上げました基本料等は二五%程度である、どう考えても数字的になかなか合わないものがあるんですね。

 だから、これからもうちょっと詳細に、医療費を大事に使うということも含めて、これは民間が運営している唯一の、つまり、医療機関が医療法人であるとか社会医療法人であるとか、あるいは、足立委員がいつも申していますけれども、もっと公的に、持ち分なしになれと言っていること等を含めて、非常に民間のところにそういう穴があいているということについてはぜひ認識をして、しっかりとその貴重な財源が使われていることを調査してもらうように、大臣、ちょっとお願いしたいんですけれども、いいですか。

田村国務大臣 検討できる部分は検討させていただきたいと思います。

清水(鴻)委員 あと本当は二問やりたかったんですけれども、一問だけ。

 この間ちょっと、資料が出ていないので、そんなことをしちゃだめだよと北村委員から怒られたので、今度は資料をちゃんとしっかり出して、きょう、一番最後に出しました。これは、今度の病床報告制度の中で、将来の病院像というような形で一般的にこの図が利用されています。

 いわゆるワイングラス形から、固有名詞の商品名を言っていいのかな、ヤクルト形というのかロケット形というのか、ちょっとわかりませんけれども、そういう形にしていこうと。つまり、急性期だけにあるけれどもその受け皿がないよねという形でありますけれども、よく見ますと、今現在は、これを全部足しますと八十六万六千十五床なんですよ。ざっと八十六万六千床。右の図を見ますと、十年後の姿ですね、つまり今回の改定で持っていこうとする姿が、これを全部足しますと百七万床なんですよね。

 そうすると、今は、病床規制とか、ベッドが日本は多いんじゃないかというようなことも踏まえて議論されているわけですけれども、厚労省としても、あと二十万床以上病床をふやしていこうということをイメージしてそうされているという理解でいいのかということ。

 それから、七対一の三十六万床を、今回は二十九万床ですか、にすると。その中で、高度急性期が十八万床、一般急性期が三十五万床、亜急性期が二十六万床、長期療養が二十八万床となっていますけれども、これは大体、高度急性期が七対一のイメージ、三十五万床が十対一のイメージ、それから、亜急性期の二十六万が十三対一のイメージで長期が十五対一のイメージ、そういうことの整理でよろしいでしょうか。

 もう時間がありませんので、端的に。大臣、よろしいでしょうか。

田村国務大臣 このワイングラス形というかシャンパングラス形というか、これは八十六万六千十五床しかないわけですね。一方で、このロケット形のが百七万床。これは合わないじゃないかと。もうおっしゃるとおりでございまして、これを作成した事務方に確認しましたら、左側のこのシャンパングラス形は、言うなれば、七対一というものが多いので、それをどう移管していくかということを示すための図であるということであります。

 あえて申し上げれば、右と左で何が入っていないかということでありますけれども、現在でも、このシャンパングラス形の中に、特定機能病院の病床数でありますとか救命救急の病床数でありますとか特定集中治療室、さらにはNICUも入っておりませんし、さらに言えば、回復期リハも入っていなければ、亜急性期も入っていないらしいんです。(清水(鴻)委員「左には」と呼ぶ)左側、このシャンパングラス。(清水(鴻)委員「現在の方」と呼ぶ)そうです。

 だから、現在、それを入れていない分だけがもともと病床数が抜けておるということで、では、何でこんなのをつくったんだといえば、あえて申し上げれば、七対一が多いので、そういうものを移管する必要性があるということを示すためにつくった図であるので、ちょっと誤解を招くところがあれば申しわけなかったというふうに思いますけれども、そのようにお考えをいただいてごらんをいただければありがたいというふうに思います。

清水(鴻)委員 まさに大臣がおっしゃったように、回復期とか入れれば、もうちょっと下が分厚いんですよね、こんなに極端じゃないんですよ。つまり、ある意味で非常に恣意的なグラフになっているんですよ。それで七対一がすごく多いぞと。もうちょっと、回復期リハなんて明らかに回復期ですよね。そうすれば、さすがにここまで変な形にならないんですよね。

 だから、これが右へ移すためのインセンティブになっているとしたら、これは非常に恣意的だし、済みませんけれども、ちゃんとそれも入れたきちっとした病床数をお願いできますか。

 委員長、ちょっとお願いしたいんですけれども。これは正確じゃないということを大臣自身も今おっしゃっているので、お願いをして、そして、もう時間が来ましたので、もう一問質問する予定でしたけれども、また今度の機会に質問させていただくことにします。

 何はともあれ、大臣には非常に前向きにいろいろ取り組んでいただいていることには感謝をしながらも、まだいろいろ問題があると思いますので、お体を大事にされて、過労にならないように頑張っていただきたいと思います。

 本当にありがとうございました。

後藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 私も二十分ということですが、きょうは、最終質問者の高橋千鶴子委員が、御自分の時間の最後に大臣に御質問したいということですので、ちょっと窮屈にならないように、早目に、私は二十分いただいていますが、十五分程度で終わりたいと思っていますので、御理解のほどをよろしくお願いします。

 厚生労働委員会とちょっと関係ありませんが、きのう、国会審議の充実に関する申し合わせということで、国対で、国会改革の議論が一定のまとまりを見たということでございます。

 その中で、自由討議というものをもっと活用していこう、こうなっていますので、次の国会からということでございますが、前も申し上げましたように、与野党での議論をこの場でもぜひまたやっていきたい、こう思っています。既にこの委員会では、今の清水鴻一郎先生のように、大臣と自由討議をもうされている委員の方もいらっしゃいますが、与野党交えて、ぜひやらせていただきたいと思っています。

 それから、きょうは、先週ちょっとやり切れなかったので年金の話を少し通告させていただいていますが、今、民主党さんの方から、労働時間規制のお話が出ました。高橋千鶴子先生ともども、金曜日にしっかりまたこの話は取り扱いたいと思っていますが、今、高橋先生とも意見が一致したんですけれども、やはりこの労働時間規制だけで……(発言する者あり)していないですか、済みません。

 もう労働時間規制だけで扱える仕事ばかりではないわけでありまして、やはり能力や成果に応じた枠組みが必要だというふうに、私はもともとそう思ってきたし、日本維新の会は、そういういわゆる労働法制、労働規制の改革については、むしろもっと早くやった方がいい、こう思っています。

 今ちょっと失念しましたが、どこかで拝見しましたが、反対される方が、いわゆる残業代ゼロ法案ということで批判をされていますが、ある方が、残業代前払い法案というようなことをおっしゃっている方もいらっしゃいます。時間規制から外すわけですから、その言い方も果たしていいかどうかわかりませんが、ただ、能力に応じた、あるいは成果を評価する、そういう働き方がやはり必要だということについては、恐らく大臣もそこは変わりないと思います。

 きょう、産業競争力会議で議論されるようでありますが、通告外ですが、この労働時間規制、ちょっと大臣の思いをお願いしたいと思います。

田村国務大臣 適用除外という話になれば、これは先ほど来言っておりますとおり、成果というものがはかれなきゃならないわけであります。成果をはかるのはかなり難しくて、企業がずっと成果給をやろうとして、できませんでした。成果というのははかれないんですよ、なかなか。

 だから、成果がはかれるような業種というのはあるはずであって、そういうものに関して成果で評価するというのは、これは総理もおっしゃっておられるので、それは我々としても進めていくことは検討に値すると思っております。

 一方で、残業代あり法案といいますか、これは裁量労働制……(足立委員「前払い」と呼ぶ)前払い法案、これは裁量労働制はそういうような働き方でありまして、そもそも、みなし労働時間というもの自体を十時間だとかに見ておれば、二時間分は残業代が前払いになっておるということであり、その範囲の中において、御自身が効率よく働ければ八時間で働ける、そして十時間分の給料がもらえる、こういうような基本的な考えなんであろうと思います。

 ですから、そこをうまく使いながら、働きやすい、働く側にしてみればワーク・ライフ・バランスというのをしっかりと確保できる働き方、企業は、それによって労働生産性が上がって利益が上がれば、それを労働者に還元する、そういうような形がうまく回っていけば、論理としては、いい労働環境というもの、企業にとっては生産性向上が図られるのではないか、このように思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 まさにそういうことだと思いますが、一つだけ。いわゆる成果を評価できるかという形で考えていくと、どうしても、議論のプロセスの中で、保守的なというか、若干そういう考え方になりがちですが、むしろ逆に、では、今、時間で評価できているのか。

 要すれば、ホワイトカラーの皆さんが仕事をしています。同僚が机を並べてやっています。そのときに、仕事ができる能力の高いホワイトカラーの方は、与えられた仕事を要領よく、効率よく、能力があるわけですから、それを仕上げて残業せずに帰るわけですね。ところが、能力が劣るという言葉はあれですけれども、異なる方は、また残業をして残業代をいただく、ある種こういう不公平感がホワイトカラーの世界に広がっているという事実もこれはあると思うんですね。

 そういう御認識、大臣、あられますよね。

田村国務大臣 適切な言い方かどうかはなかなか難しいんですが、例えば裁量労働制のときに、八時間分のこの人の仕事量というものはどうかと考えたときに、それは、言われれば、生産性が違う方々によっては、当然、量が違うかもわかりません。そのときには、当然のごとく、その人の基本給なるものが下がる、下がるというか上がらないと言っていいのか。要するに、生産性の高い方から比べれば低いというのが理論上の答えということになるわけであります。

 それをうまく各企業でやっていただけているかどうかというのは、実態とはまた別でありまして、そのような、今言われたような問題も一方であるということは我々も認識いたしております。

足立委員 ありがとうございます。

 釈迦に説法ですけれども、裁量労働制と今回の議論されているものとは本質的に違うわけで、ぜひ実態に即した、あるいは経済成長、あるいはビジネスの活性化、そういう観点から、金曜日もぜひ引き続き討論させていただきたいと思いますが、御検討をいただいていると承知をしている次第であります。

 それで、通告をさせていただいた年金でありますが、国会がいずれ閉じますので、ちょっと幾つか確認をしておかないと、なかなか、また野党の立場でフラストレーションが残るものですから。

 ちょっと幾つか割愛をしますが、通告の二つ目でありますが、今回の財政検証で八つ並んでいる、これは前回も議論しました。〇四年、〇九年の財政検証のときには基準ケースあるいは基本ケースというのがありましたが、今回はこれはないということでよろしいですね。確認です。

香取政府参考人 今回の財政検証につきましては、できるだけ幅の広い経済前提を設定して、それぞれの状況のもとでどういう年金財政の姿になるかということをお示ししておりますので、その意味では、幅を持たせて客観的なものを示したということですので、いわゆる中央といいますか、基準となるケースというものは想定していないということでございます。

足立委員 マスコミとのコミュニケーションが、前回も大変御苦労をされたわけですけれども、今回の枠組みですと、受け手たるマスコミあるいは国民の側の、あるいはそれを取り扱ういろいろな関係者の能力がますます問われるわけであります。

 その点、すなわち、そこの解釈については広く受け手に期待しているところをこれから最終的に発表される折にはぜひ強調していただいて、いわゆるケースEの中身を見たときに、ケースEがあたかも基準ケースであるかのように報道する場合も出てくるかもしれませんが、ぜひこの検証の意味を正確にお伝えいただくよう、私がお願いするまでもありませんが、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、前回、グラフをお示ししながらいろいろ議論しました。その後も論文のいろいろな整理をしていますが、やはり一番多い議論の一つが、いわゆる将来の利潤率あるいは実質長期金利の高さについての議論があって、例えば専門委員会においても、西沢委員などを初めとして、やはりこれは過大だという意見もあったと承知をしています。

 これは過大ではないかという、ある一部の専門家の指摘があった。この指摘に対して、その指摘をどう受けとめ、いや、それは間違っているんだ、あるいは、それはそうだと。それをどう認識し、どう対応したか、簡潔に御答弁をいただければと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 長期金利あるいは利潤率の問題は、この専門委員会は公開の場で議論いたしましたので、その場でも、西沢先生は委員でございましたので御発言されておられまして、この話があったということは皆さん御存じと思います。

 この問題は、まず一つは、成長率が高いケース、TFPが高いケースにおいてはそもそも成長率が高いということになりますので、そういう意味でいうと、付加価値が非常にたくさん生まれるということになりますので、同じような資本投下をして付加価値が高く出るわけですから、分子が大きくなりますので、その意味では利潤率が高く出る。利潤率と長期金利は当然相関関係がありますので、利潤率が高くなれば、高くなる。

 そういう意味では、今の足元のTFPは〇・五ぐらいしかありませんので、足下と比べれば高い利潤率になるというのは、ある意味では自然なことだということです。

 もう一つは、これは若干テクニカルなことになりますが、人口の高齢化に伴って貯蓄率が低下をしておりますので、そういう意味でいうと資本ストックの伸びが少し鈍化をする。そうすると、投入する資本ストックが少なくなるので、分母が小さく、相対的に低く移動するということになりまして、相対的に高目に出るという傾向がある。

 このことは、実際にモデルをつくって議論された委員の先生方も御認識をしておられて、そこはそういうこととして受けとめるということになっております。

 また、逆に言えば、低いケースの場合には、細かく御説明しませんが、別の形で推計をいたしておりますので、ある程度、そういう成長率の高さに見合った利潤率あるいは長期金利を設定するということで前提を置いているということでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 これはテクニカルでありますが、最終的にこれを国民あるいは関係者に示していくわけですから、やはりここは、我々も含めて、しっかりとコミュニケーション、努力をしていきたいと考えております。

 それから、通告の最後にちょっと飛びます。

 例の、国民年金の納付率のグラフが法案の審議の中で出てきました。あれを見ると、平成の何年だったか、急速に、八五%から六〇%にぐっと落ちていくんですね。

 私、このグラフは、幾つかの委員の方も御指摘をされましたが、分母、分子問題というのがあって、要は、職権適用とかいろいろすると、分母が広がるので率が下がる。でも、それは悪いことではない。政策として正しいことをやっているにもかかわらず、納付率が下がる。

 井坂委員もたしか、納付率自体を政策目標にすることはいかがなものかと指摘をされたやに覚えておりますが、私、大変大事な点だと思っているんですね。

 もうやめますが、事務的にも伺ったときには、職権適用の問題、あるいは市町村から国への移管、さらには免除、こういった問題全て、ゆえあって、制度としてはむしろ強靱な制度にしようという取り組みが、数字の上では納付率が下がる、いずれも下がる方に働いているわけですから、私は、その辺、もっともっと説明をされて、場合によってはあのグラフ、補正したグラフをなぜつくらないのかなと。

 要は、普通、何でもそうですね、例えば、季節変動があるときには季節調整というのをやって数字を示すのが当たり前の世界です。この納付率についても、そういう要因は、何か補正、修正というものをかけて、本当に下がっているのかどうなのかということをやった方がいいんじゃないかと私は思っています。

 もうこれは質問はしませんが、大臣、もしコメントがあれば。

 あと、もう一つ、最後に大臣にどうしても伺っておきたいのは、今のグラフの話は可能であればということで、最後に御答弁いただきたいのは、オプション試算ですね。オプション試算の中身は繰り返しませんが、これは当然、政府が将来とり得る政策のオプションとして念頭に置いていると考えていいですね。これが質問です。

 今、七十五歳選択制とかわあわあ言っていますけれども、むしろ、このオプションの中には、そもそも支給年齢の問題も含めて、多分、インプリケーションはあるんだと思うんですね。

 だから、私は、そこまでまだ出てきていませんからわかりませんが、そのオプションの中身まで含めて全部がどおんと出てきたときに、それは当然、国民的議論に付すということであり、政府としても検討対象になる、こういう理解でよろしいかどうか御答弁いただいて、私の質問は終わりにしたいと思います。

田村国務大臣 高橋委員のお時間もございますので、速目に答弁をさせていただきます。

 まず、補正というのは、補正するのはなかなか難しいので、実態問題、出せないと思います。

 一点、機関委任事務だった。つまり、保険料徴収を、当時は社会保険庁でありますけれども、機構がやるようになった。これが初めにかなり影響した部分であります。

 とはいえ、やはりこれは国の仕事、地方の仕事を分けざるを得ないので、以前のように、地域で納税組合みたいなのをつくっていただいて、それぞれ顔を見合わせながら国民保険料を集めていただいておったということから外れてしまったというところに、まずは、この徴収率の下がり方が始まり出したわけでありますので、どうやって徴収体制をしっかりしていくか、我々、また考えていかなきゃならぬと思います。

 それから、オプションの話でありますが、これは、国民会議でいろいろと御議論をいただいて、いろいろな意見が出ました。それにのっとってこのような形をさせていただいておるわけでありまして、必ずやるというものではありません。

 ただ、いろいろな御意見の中で出させていただいて、参考として、今回、意味のないものではありませんよ、もちろん、オプションでやったわけでありますから、それをこれから検討の一つの資料として使わせていただきたいという意味でございますので、そのように御理解いただければありがたいというふうに思います。

足立委員 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野です。よろしくお願いいたします。

 時間もないということですので、早速質問をしたいと思います。

 五月二十三日の新聞に子育て新制度の記事が載っておりました。その点について、これから質問させていただきたいと思います。

 まず、この報道内容がほぼ間違いがないのかということと、そうであるならば、新聞記事にも書いてありましたけれども、認定こども園への移行が進まなくなるのではないかという危惧をしていますけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 公定価格に関して、仮価格といいますか、これを公表させていただきました。

 この中身は、例えば、幼稚園の場合は、教育標準時間で認定する子供、これに対する、言うなれば価格といいますか単価といいますか、それから、保育の場合は保育の認定の単価、これはそれぞれそういうものに合わせてやっておるわけでありまして、当然、認定こども園という話になれば、それぞれ、その部分に応じた単価になってくるわけで、ここは非常に公平につくってあるわけであります。

 決して、幼保連携型の認定こども園だから、それに見合わせたものを特別につくっているわけではないわけでありまして、認定こども園は、教育と保育に分かれるわけでございますので、この部分を、同じように、幼稚園でありますとか保育園と同じような形で単価を設定させていただいておるということであります。

 違うのは、幼保連携型の認定こども園、認定こども園は地域子育て支援拠点でございますので、この地域子育て支援の機能というのを必ず持っています。それに関しての評価は、これは必ずやっています。

 もちろん、保育所等々も地域子育て支援拠点になれますので、地域子育て支援センターとしての保育所に関しては、それは加算でつくということでございまして、そういう意味からいたしますと、幼保連携型認定こども園への移行というものは、それぞれ、教育、保育、そういうような機能を持った、そういうような中において、移行していかれる方々がおられれば移行していっていただくという形になっておるわけであります。

 ただ、一方で、保育も教育も、需要がない場合には、これは、仮に申請されても、認可しなければならないとは書いていないわけでありまして、うちはもう定員いっぱいだから、申しわけないけれども保育所の認可はしませんよと言うことができるわけでありますが、幼保連携型認定こども園に関しては、仮に需給を満たしておったとしましても、申請を受ければ認可をしなければならないということになっておりますから、幼保連携型こども園になりたいというふうに手を挙げた方々に対して、それはもちろん要件はクリアしていただかなければなりませんけれども、要件をクリアしていれば認可をするという形になるわけでございます。

 幼保連携型の認定こども園に対して、そういう意味では、やはり国としては力を入れておるという部分は、そういう部分で御理解をいただければありがたいというふうに思います。

浦野委員 経営側にいる人間からすれば、この記事の内容が、これは子ども会議の詳細の議事録とかそういうのがまだ見られないので、想像でしか私たちも質問が今はできないので、ちょっと事実と異なるかもしれないんですけれども、ただ、本当にインセンティブが働かない。

 例えば、これは今まで、国も、公定価格の設定で、移った方が収益がよくなるんだというようなニュアンスで、だから移行を促進してくれみたいなことで自治体にも言ってきた事実があるわけですね。

 国会の決議でも、認定こども園にみんな移行しやすくできるように、特段の配慮をするという附帯決議を行っているわけですね。その部分は何かというと、やはり、収入の改善を見込める公定価格の設定という部分になっていたんだと思うんですね。

 ところが、確かに、幼稚園も保育園も認定こども園も全部収入をしっかりと確保していただく、これは非常にありがたいことなんですよ、非常にありがたいことなんですけれども、それをすることによって、そもそもの認定こども園への移行というのがこれから進まなくなるというか、では、もうやめておこうかというようなところも出てくるんじゃないかなというふうにちょっと心配をしています。

 附帯決議の部分とかを、政府として、この報道では、一つのある団体さんから、こんな不公平なことをされたら困るということでこういう形になったというふうに書かれていましたけれども、インセンティブを与える、特段の配慮をするという国会の決議よりもその団体さんの意見の方が強いのであれば国会の決議なんて要らなくなってしまうので、そこはしっかりと、国として、どういうインセンティブをつくっていくか、認定こども園をどうやってふやしていくか。

 当初、認定こども園の議論が始まったのは、幼保一元化という大きな一つの議論があって、さらに、そこに待機児童の解消という大きな政策が出てきたというのもあって議論が進んだわけですね。今、ふたをあけて、とどのつまり、全ての制度が残ってしまって、制度がたくさんになって、逆にややこしくなったというのが私たちの印象でありますから、ほんまに、これだったら最初からやらんかったらよかったんちゃうんというふうに思ったりもするわけですね。だから、そうならないように、新制度をきっちりと前に進められるように国としては考えていただきたいと思うんです。

 さらに、認定こども園への移行を前提に、幼稚園さんとかが子育て基金から補助金を出していただいて園舎を建てたりしています。その補助金を受けていただく前提として、新制度の認定こども園に移行してくださいね、五年以内に移行しないとこの補助金は返してくださいねというふうな縛りがあったと思うんですけれども、もしインセンティブが働かなくなって、やはり移行をやめますという現在の認定こども園が出てきたときに、この子育て基金というのは返すのか、返さないといけないのか、それをちょっとお聞かせいただけますか。

石井政府参考人 お答えいたします。

 幼児教育と保育を一体的に提供する認定こども園の設置につきましては、安心こども基金の認定こども園整備事業等によって、認定こども園の施設整備に要する費用を国庫補助いたしているところでございます。

 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、いわゆる補助金適化法でございますが、それによりますと、国庫補助金について、交付決定された内容に違反した場合は、補助金の交付決定の全部または一部を取り消すことができるという規定がございます。

 したがいまして、認定こども園に移行しなかった場合には、原則としては補助額の返還を命ずることとされているわけでございますが、認定こども園整備事業等の国庫補助を受けて設置した施設について、後発的な事情によって認可保育所や幼稚園に転用して使用継続する場合には、所管省庁に個別に御協議いただいた上で、補助事業の趣旨を損なうものではないと整理をして、国庫納付に関する条件を付さずに財産処分することも可能と考えております。

 すなわち、補助額の返還を求めないということはあり得るというふうに考えているところでございます。

浦野委員 この間の子育て会議の中で、全国認定こども園連絡協議会の方からも、そのような配慮をいただきたいという意見書が付されておりましたので、そこは柔軟に対応していただけたらと思います。

 次ですけれども、試算する表に加算率という言葉がたくさん出てまいります。この加算率というのが何なのかというのは非常に、明確なお答えを実はいただけていないという行政体の方々が、都道府県の方から回答が来まして、正確な試算ができないということで、多分これなんだろうというふうな形で、みんな一生懸命そろばんをはじいて、一生懸命自分たちで、手前みそで試算をしているわけですけれども、この加算率の中身というのは何なのかというのをちょっとお答えいただけますか。

石井政府参考人 新制度における公定価格の設定に当たりましては、保育士等の処遇改善を図るため、現行の保育所運営費における民間施設給与等改善費等の仕組みを参考に、処遇改善等加算を設けることとしております。議員御指摘になられました加算率、これは全て処遇改善に係るものにかかって規定をいたしております。

 この処遇改善等加算でございますが、これは、職員の平均勤続年数や経験年数などに応じて段階的に人件費の加算額がふえていく、そういう仕組みを想定いたしておりまして、御質問の加算率と申しますのは、この加算額がどの程度ふえるのかを示す人件費のかさ上げ率を示すものでございます。

 現行の民改費では、職員一人当たりの平均勤続年数、これが長ければ長いほど加算率が高い、そういう形でつくっておりまして、現在、具体的にどういう高さにするかとか、勤続年数も今十年で打ちどめでございますが、もっと上を設けるのかとか、まだ詳細を定めなきゃいけないところはございますけれども、いずれにしましても、考え方としましてはそういうものでございます。

浦野委員 加算率で給与を上げるのはぜひちょっと考えていただきたいと思います。というのは、やはり歴史の長い保育園なんかになると、どうしても人件費が高くなっていきます。やはり、そういう保育園というのは非常にふえています。古い保育園であればあるほど、そういった保育園がふえていますので、ぜひ、今おっしゃった十年と言わずに、もう少し柔軟に考えていただきたいなというふうには思います。

 もう一つ、この新制度が始まって、新聞報道によりますと、大体みんな一割ぐらい収入がふえるんじゃないかということで、さっきも言いましたけれども、これはこれで非常にありがたい話です。

 ただ、収入がふえることによって、各市町村、自治体が今単独で打っている補助事業、こういったものを、では、国からの措置費、収入等がふえたんだったら、この補助金切ろうかみたいな話になりかねないんですね。そうなった場合、ケースによっては、トータルで収入が下がってしまうという可能性もあるわけですね。

 そうならないために、やはり、これはぜひ、大体答弁は想像はできるんですけれども、国として打つ手、打てる手というのは何かないのかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 子ども・子育て支援制度の目的は、質の高い教育、保育を提供して、全ての子供たちに健全な育ち、これを保障するということであります。

 正直言って、地方のいろいろな単独での対応というものに対して国がああだこうだとなかなか縛りはかけられないわけですけれども、ただ、一方で、子ども・子育て会議の中でも、質の高い教育、保育、これをちゃんと整備しましょうねということで、国また地方ともこれは合意をいたしておるわけでございまして、地方でも、これから地方版の子ども・子育て会議をおつくりいただいて、いろいろ御議論をしていかれると思います。

 普通ならば、そこはそうはならないであろう。ちょっと変なトップの方がおられても、お金が来るのがふえたから、その分減らそうかというのはあったとしても、それ以上に減らそうかなんということはさすがに起こらないであろうと思いますし、そんな人は次の選挙でどうなるんだろうというような気もいたします。

 いずれにいたしましても、質の高い教育そして保育を御提供いただくための整備をいただくわけでありますので、そこはそれぞれの地域で常識的な御判断をしていただけるというふうに私は期待をさせていただいております。

浦野委員 ここで山井さんがおったら、多分、めちゃやじってはったと思うんですけれども、きょうも全員いてらっしゃらないので静かなものでしたけれども。

 本当に、恐らく、どの施設も人件費を改善するために増収分を充てていくことだと思います。その中で、国として地方自治体のそういったものに口を出せないという立場はもちろん理解をしながら、ただ、今大臣がおっしゃったみたいに、結果として収入が下がるようなことにならないようにやっていただけたらなというふうに私も思っています。

 時間が、きっちりやってくれということで、めちゃくちゃ急いで質問したので、質問は全部終わったんですけれども、まだ時間はあるんです。ちょっと二点だけ。

 与党の案、子育て会議に出す案を、自民党さん、与党には事前に説明をしているんですね。確かに、与党ですからそれはするのは当然だとは思うんですけれども、我々は、これは全体に、野党にもきちっとそういう説明をしていただけたらなと思うんですね。これは別に与党だけが一生懸命やっている政策ではなくて、子育て政策というのは全党で、特にこの法案は、そのときは維新の会はありませんので自公民さんが合意して前に進めてきた案ですし、我々にもやはり事前に説明をいただけたら助かるなと思うんですね。

 というのは、いまだに私たち、その会議に出た内容、私にもわからないんですね。議事録なんかももちろんまだまだ先でしょうし。さっき見たら動画はもうアップされていましたので、動画はきのうはアップされていなかったので、きょう多分、かなり頑張って早くアップされたんじゃないかなというふうに思うんです。そういった、議論をするための資料が、我々、全く実は手に入らないんですね。そこはやはりきっちりと我々にも説明もしていただけたらなと思いますので、よろしくお願いします。

 それと、もう一つ。厚生労働省のホームページから子育て会議のリンクがずっと切れたままなんですよ。厚労省のホームページを開いてもらって、子育て会議のところをクリックしていただいたら、つながっていませんので。きょうも、さっき確認したら、まだやはりつながっていない。多分、誰も気づいていないんだと思うんですけれども。何か、多分URLを、内閣府が違うURLに切りかえたという表示をしてありました。それを厚生労働省に言っていないんだと思うんですよ。内閣府と仲よく、いろいろとやってください。

 僕らは情報を探すときに、やはり、そういったところからいろいろ探すために、ホームページをのぞいたりとかするわけですね。そこはきちっとやっておいていただけたらなと思います。

 あと、もう一つ。最初、二十分じゃなかったので、時間があれば質問しようと思っていたんですが、忠魂碑、古い村には大体どこにでもあるんですよ。日露戦争とか太平洋戦争とかで亡くなった方の魂をお祭りしているところですね。

 この忠魂碑の建っている場所の扱いについて、どこが所管しているのかと聞くと、実は、想像していたとおり、たらい回しなんですね。遺族会とかがよく管理をされていることが多いので、一義的には僕は厚生労働省かなと思ったんですけれども、厚生労働省でもない。ではどこかというと、実は管理しているところがないんですね。

 これは何を言いたいかといいますと、忠魂碑というのは、今は村の有志のおっちゃんたちとか遺族会の方たちが存命の間は管理してくれているんですよ。ところが、だんだんやはり少なくなってきていて、これは将来的に誰が管理するんだろうという話になりかねないですね。その場合に、この所在、では、どこが監督をしてそういうことを決めていくのかということすらもわからない状態なので、ぜひ一回、ちょっとそういうところも検討していただけたらと思っています。

 以上で質問を終わります。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 きょうは一般質疑ということでございまして、さっき浦野委員も言っていましたが、ちょっと時間配分が急に短くなりまして、たくさん通告はしてあるんですけれども、順番が多少前後するかもしれませんが、御容赦いただきたいというふうに思います。

 あと、一点。参議院の方で例の問題がございまして、そのことをとやかく言うつもりはないんですが、きょうですか、年金の方が先に来ているということでございまして、やはり医療、介護の問題はもう少し審議できたのかなということを改めて感じておるということだけは、今の印象として申し上げたいというふうに思います。

 本日は、医療費の問題。これはもう言うまでもなく、高齢化がさらに進展していくということで、現在の時点で年間三十八兆円、社会保障費の全体の中でも三二%ぐらいということで、ふえ続ける医療費、その要因について、私なりの考えも含めて大臣に御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 少子高齢化の中で、今後さらに進んでいくことが予想されております。そして、現在の制度維持、これに少子化が加わりますので、少子化対策も含めて、税と社会保障の一体改革、その中でことしの四月から消費税が増税された、そういう経緯だというふうに思います。

 我々は、何度も何度も繰り返し言っているように、増税の前にやるべきことがあるじゃないですかということは、口を酸っぱくするほど言い続けてきたということでございます。

 前回の医療介護法案の中でも、介護保険、我々は反対をしたわけですが、介護市場というか、社会福祉法人も含めてやはりその構造そのもの、高齢化の問題というのはある意味国民の皆さんに責任があるというか、今までの人口構造の中である意味やむを得ない、ただ、制度の維持そのもの、それをどう変えていくかというのは、先日の質疑では、歳入庁のことで御質問して、大臣からはそれぞれの専門性や文化というところまでお話があった。

 ただ、国民の皆さんに、高齢化に伴う社会保障費の増大に対して、今回、増税で負担を求めた。そうであれば、文化というものもやはり気合いを入れてしっかり手直しをしていかなければ、このままどこまで高齢化、少子化の影響が国民の皆さんお一人お一人につながってしまうのかということを考えると、文化というのであれば、その文化を取っ払ってでも国民の皆さんの利便性というものを追求していかなければならないのではないかなというふうに思います。

 ふえ続ける医療費、もちろん高齢化は大きな要因であることは間違いないんですが、それ以外の要因としてどのように考えていらっしゃるのか、まず大臣にお考えをお聞かせいただきたいと思います。

田村国務大臣 おおむね、大体三%ぐらいずつ医療費が毎年伸びていっております。

 中身を見ますと、高齢化が要因のもの、つまり、高齢者がふえますから医療費の高い方々がふえるということでありまして、これが全体の一・五%ぐらい。昨今では人口が減っていますので、逆に医療費のマイナス要因、これが〇・二%ぐらい出てきております。診療報酬の改定がその時々においてありますので、これはそのときによって違ってくるわけでありますが。

 それ以外のところで、残りの部分、二%弱ぐらいですかね、あるわけでありまして、この二%ぐらいが、例えば医療の高度化である。つまり、新しい医療技術、また薬等々が出てきて、新しいものは高いものが多いですから医療費が伸びる。それからまた、制度の見直し、負担の見直しなんかがございまして、そういう部分で増減があるということでございまして、そういう意味では、医療の高度化というものも一つの大きな要因であることは間違いないわけでございます。

中島委員 これもよく言われることで、医療技術の進歩ということで、創薬の開発、高いコストがかかったお薬が出たことで、やはり、治療薬、新薬の影響、これは一般的によく言われます。

 制度の、負担との兼ね合わせということもあると思うんですが、実際に、そのためにジェネリック薬品の普及に励んだり、高齢化に伴う入院、その入院日数とか、前回の法案の中では、病床規制、機能の分担化ということを、これは急に始まったことではなくて随分前から取り組んでおる。ただ、実際には、正直、余り実効性がないというか、実績が伴わないんじゃないか。

 先ほど、特別養護老人ホームであったり、措置から契約に移った社会福祉法人のあり方そのものという介護市場の問題、その構造にやはり手をつけていく必要性があるんじゃないかということは御指摘をしたんですが、この医療費に関しても、ただただ高齢化はやむを得ないんだという観点より、やはり医療市場の問題。

 その医療市場の最大の問題というのは、やはり、実際に診療報酬にかかわる、現場で働いている、医療費に直接つながる部分ですね。

 現在、開業医の先生方というのは自由に開業できる。これは開業自由原則ということが言えると思うんです。この開業自由原則、医者が自由に開業できて、一方で、高い医療機器も自由に設定できる、買える。そこに患者さんのフリーアクセス。これは本会議でも少しお尋ねして、家庭医のところで大臣から御答弁いただいて、国民皆保険のもとでの患者さんのフリーアクセス、これは今の医療の大根源だということで、大変慎重な議論が必要だというふうに御答弁いただいたんです。

 この開業自由原則、今、日本全国に、本当に正確な実数はわかりませんが、九万六千ぐらいの開業医があると言われていて、その実態、今、リース制度等も含めてたくさんの医療機器が自由に売買されてしまう。

 資料にもあるように、日本の医療は、これは効率性をあらわす資料としてお出ししたんですが、年間の医師の訪問回数というのも韓国に次いで多い。そして、MRI、CTスキャンの設置率は、諸外国、先進国の中でも圧倒的に多い。一方で、家庭医の比率、後でまたお聞きいたしますが、そういったものは日本では示されていない。

 この開業自由原則が、医療費の高騰、現在の医療費の問題にかかわっていると私は思っておるわけですが、その考えに対して、大臣、どのようにお考えになっているか。

田村国務大臣 日本の医療自体が、ヨーロッパ、アメリカとは、それぞれ特色があるわけでありまして、日本の最大の特色と言っていいのかもわかりませんが、非常に病床数が多い。言うなれば、ここにも書いてありますけれども、千人当たり十三・四病床あるということであります。

 一方で、百床当たり十六・四人の医師しかいないということでありまして、海外で見ると、ヨーロッパあたりではこれが百病床当たり五十人だとか、アメリカ、イギリスあたりは八十人、九十人ぐらいおられるわけであります。

 そう考えると、医師不足、医師不足と言っている一つの理由は、ベッド数が多いということでございます。

 そういうことも含めて、今般、急性期の病床等々、七対一基準の病床を減らしていって、一方で、慢性期といいますか、回復期もそうでありますけれども、そういうところの受け皿もふやしながら在宅もふやしていこう、こういうことであるわけであります。

 今言われた家庭医の考え方からすれば、これは大変重要でございまして、まさに、総合診療専門医、こういうカテゴリーを専門医の中に置こうと。プロフェッショナルオートノミーでございますから、それぞれ自律性を持っていただいて養成をいただく。養成いただくというのは、数もそうでありますので、ぜひとも必要数を御養成いただきたいというふうに思うわけであります。

 そこで、一方で、主治医機能というものを評価する診療報酬改定をいたしますので、そういう意味では、今言われたような方向性とよく似た形にはなってくるわけでありますが、そこは、自由に開業ができるというところはどうなんだと。

 ただ、自由に開業できるから、そういう意味では、地域で手厚い医療というものもあるわけでありまして、ダブルチェックもできるわけでございます。ダブルチェックといいますか、要するに、何でしたか、ど忘れしちゃいました。

 まあ、また後で話しますが、要するに、そういうふうな形で、医師自体に、他の医師に対してもいろいろな意見が聞けるような形はあるわけでございまして、そういう意味では、言うなれば、日本の平均寿命の高さというものは、一つはそういうような医療にアクセスが非常に自由であるということがあるんだと思います。

 イギリスのGP制度を一つ念頭に置かれているんだと思いますが、窓口が一つであるがために見落とし等々が起こって、結果的には訴訟が起こっているというような例もあるわけでございますし、そこだけしか行けないということ自体がどうなんだろうという御意見もあるわけでございます。

 そこは、それぞれいいところと悪いところがあるわけでありますが、今まで日本の国はこれが比較的よかったわけでありますけれども、ただ、一方で、これからはやはり主治医機能というものをしっかり持つという意味からすれば、自発的に自分のかかりつけ医を持っていくということは進めていきたいというふうに思っております。

 なお、GDP比で見る日本の医療費というものは、決してそれほど高くないわけでございますから、ある意味、それでも効率的に回ってきておるということは事実であろうというふうに思います。

中島委員 GPの話が出たので、後でちょっとお聞きしようと思ったんですが、私の言う開業自由原則というのは、例えば地域偏在、医師の地域偏在も含めてですけれども、開業するに当たって、医者のある意味到達点、大学病院等で働いて、その後、例えば脳外科の先生であれば、手術をしていた、ある程度の年齢になった後、大学病院のために働くんだったら今度は自分の城を持って働きたい、これは普通の市場とすれば当たり前のことで、いいとは思うんです。

 ただ、その専門性を開業に生かすという話になると、例えば、大学病院にあるような高いMRI、それを一つの目玉にして開業していく、これも自由原則で、いいか悪いかという問題はあるんですが、やはり今、高齢化に伴う医療費、前回の法案でも、前々回の法案でも言われたように、効率化を図らなきゃいけない。

 今回でいえば、消費税増税をしてということになってくると、やはり、その部分はしっかりと。今まで、ある意味野放しだったわけですね。以前も言った、まあ、うちの党でも怒られはしなかったですが、規制改革、浅尾新代表のもとで新しいポスターにも「The改革。」と書いてあります、それはもう大前提なんですが、やはり医療や介護分野に限っては、何でも野放しにしろとは私は思っていないんです。ただ、今までの規制をしっかりと見直して、新たな規制をかける。

 私は、この医療市場の問題は、国民の皆さんにいろいろな負担を求めるのであれば、しっかりとその医療市場、やはり開業自由原則も含めて、そして、新しく開業するに当たっては、やはりそこの医療の現状を踏まえて、例えば小児科や産婦人科。内科が足りているんだったらここではもう開業できませんよとか、そして、開業するに当たっては、今、ISOとか、そういういろいろな基準を設けながら、コンセプトを決めて、MRIやCTを撮りに行くんだったらここの病院に行きましょうとか、ある一定のルールは設けるべきではないか。

 そうしていかないと、先ほどの家庭医、GPの話でいけば、私は、確かにいいところ、悪いところはあると思うんですが、やはり、今の日本の医療の現状を考えていくと、ある程度、医師会の方はかかりつけ医という言い方をするかもしれませんが、私がイメージしているのは、大臣がおっしゃるとおりGPです。そして、診療報酬ということの中で、病院に診療報酬が払われて病院経営ということになるんですが、ある意味、一つのインセンティブとして、家庭医のいいところは、家庭医そのものに診療報酬が払われるということになってくると私は思うんです。

 そうすると、病院の中でもさまざまな医師やそういったものがあると思いますけれども、本当に効率性を求めていって、病院と診療所の役割分担というところ、かかりつけ医と総合診療医と家庭医は何が違うんだと私もよく聞かれるんです。医師会の言うかかりつけ医というのは、今のままでいいじゃないか、そういうことだと思うんです、開業医は開業医。

 ただ、先ほど言ったように、開業医が一つの専門性を持った独自の体系である以上、地域包括ケアシステムの中でも、開業医に求められているのは、多職種連携であったりとか、その地域において地域包括ケアシステムの中でも先頭に立って医療を担ってほしい医者を本来求めているのが、そうではない先生方が地域でなってしまう。それはそれでいいんですけれども、一つ、そういう総合診療医を目指していく今の学生さんとか、本当にその地域に根差していく医者を育てていくためには、ある一定のルールづくりというものが必要なのではないかなというふうに私は思っております。

 この表にもあるように、日本で言う家庭医、私はそのGPを目指すべきだというふうに考えておるわけですが、先ほど大臣からは、いい面、悪い面たくさんあるということの中で、本当に効率性のいい医療体制を整えていくためには、やはり医療市場の問題は大変重要だと思いますので、ぜひ取り組んでいただきたい、前向きに検討していただきたいと思いますので、もし何か一言あれば言っていただきたい。

田村国務大臣 セカンドオピニオンでした。済みませんでした。

 要は、そこまでがちがちにするかですよね。管理をしっかりやっちゃって、このエリアには、医者は、GP、ゼネラルプラクティショナーはここだけ、あとはだめですよというのがいいのか、それとも、もうちょっと自由な裁量がある中でやるのがいいのか。

 ただ、一方で、医師がみんな開業医になられちゃったらこれは困るわけでありますから、そういう意味では、そこは、先ほど言いましたけれども、専門医という中において、それぞれがいろいろな役割を担う方々を輩出いただく。その中において、総合診療専門医というものも新たに加わった。総合診療専門医は、開業医とは限らないわけでありまして、中小病院で総合診療をやられる方もおられるわけでありますから、そういう役割も担っていただく。

 一方で、開業医として、かかりつけ医で主治医機能を発揮していただくような、そういう医療機関があっていただくというのも意味があるわけでありますので、方向性は同じ方向を向いているんですが、がちがちにやられるか、それとも、ある程度余裕を持ってやっていくかという違いなんだろう。

 ただ、言われるとおり、それによって他の医療分野に、診療科分野に人が足らなくなっちゃうと、これは意味がないわけでありまして、そこら辺のところがうまく回っていくように、我々もいろいろな努力はしていかなければならないというふうに思っております。

中島委員 我々の党が今やっていることは、やはり三十年後の日本、そのための、みんなの日本はどうあるべきかということを今それぞれの分野でやっています。

 前回の歳入庁の話もそうなんですが、やはりこれからの子供たちに私たちが何を残すんだという観点からいくと、従来のものが今あって、それぞれ、言い方は悪いですが小手先の改革をして、何とか、年金制度にしても医療保険にしてもですが、それぞれの分野でそうなんですが、やはり三十年後の日本を目指したときにどうあるべきかということは、今後、先日の歳入庁もぜひ前向きに検討していただきたいですし、この医療制度の問題、ある意味、規制のすげかえ、一定のルールづくりをもう一度一から見直してもいいんじゃないか、そのために前向きな検討をしていただきたいなというふうに思います。

 そして、前々回の法案でちょっと質問できなかったことで、地域医療構想のことなんですね。今の診療報酬とも少し兼ね合わせるんですが、都道府県が医療提供体制のあるべき姿まで議論していって、その権限、最終的に知事のとり得る措置というところはいいんですけれども、実は、地元山梨にも帰って、知事さんとも話をしました。その内容を見て、やはり山梨県知事も、そんなことを言われても、なかなかそんなことはできないよと。

 もちろん、基金九百億円をつくって、ただ、全体に振りまいていくと、恐らく山梨県規模の県ですと七、八億円ぐらいになるんじゃないか。それで、例えばあなたのところは急性期から慢性期へ行きなさいとか、いろいろな権限を、最後の伝家の宝刀として、知事の権限とうたっているわけです。

 何を求めているかというと、やはり医師のインセンティブ、その移行に関しては診療報酬が非常に重要だ。そして、今回、介護保険では、地域支援事業に移っていくとか、さまざま地域の取り組みを尊重するということであれば、今、年間三十八兆円近くある医療費のうち、一兆円近くを地域に振り分けて、独自の診療体制、加算制度みたいなものをつくらせたらどうか。そうしないと、最後に知事の権限だと言われても、知事はそんなことはできやしない。

 やはり、診療報酬上、地域の独自性を生かしていくのであれば、地域独自の加算制度みたいなものを、診療報酬でしっかりと誘導できるような方式を考えてほしい、そのようにもおっしゃっておりましたので、きょうは、そのこともお伝えして、それに対して御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

田村国務大臣 以前にもどっかで御答弁させていただいたんだと思いますけれども、例えば、地域で医療資源の少ないところに関しては、地域の入院料の算定要件でありますとか、チーム医療等々の評価に関して、これはある程度緩和をしながら、そういう部分について、さらに加算している部分もあるわけでありますけれども、そういう加算に対しての要件緩和もやってきております。

 それから、そもそも入院基本料に関して、地域においてちょっとつけておるわけでありますが、それはある意味逆の立場になってしまうわけでありまして、人事院の給与の高いところは高くなって、低いところは低くなっちゃうわけでありますから、山梨県は逆になるかもわかりません。

 なかなか診療報酬を、全国一元的にやっているものを分けるというのは、いろいろな御意見もあるんですけれども、難しいという話。場合によっては、人が他のところに行ってしまうというような、安いところに行ってしまうというようなことも起こるわけでありまして、なかなか難しいところは事実であります。

 基金というものは今回で終わるわけではございませんので、来年はこの九百四億円よりも多くの基金を我々としては要望していきたいというふうに思っておるわけでございます。これは消費税が財源の部分でございますから、基本的には毎年入ってくるということでございますので、こういうものをしっかりと御利用いただきながら、ぜひとも、地域医療構想にのっとって、地域医療計画等々をおつくりいただいて、事実、ちゃんとした、必要な方々が必要な医療を受けられる、そういうような体制を整えていただければありがたいというふうに思います。

中島委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 本日の一般質問では、就活サイトについて、それから年金の将来予測、それからあとは、時間の限り、医療の費用対効果分析について、大きく三点伺います。

 まず、就活サイト。ちょうど二月近く前になりますが、就活サイトの問題を取り上げさせていただきました。

 学生にとっては、複数の企業にいろいろと、手軽に、同時にたくさんエントリーができる、大変便利な仕組みという側面も、もちろんあります。しかし、それによって、学生は、就活が昔に比べてさらに忙しくなって、そして企業側も、昔に比べて物すごい数のエントリー、プレエントリーが来るわけで、それを一律にさばくために、いろいろな、足切りテスト、SPIのような、そういったものがあるわけです。

 結局、同じそういう人材会社が、学生には強力なエントリーの武器を、そして企業には、それをすぱっとさばく、また足切りテストのようないろいろなツールを売って、これは、両方に強い武器を売って、ドンパチ戦わせて、両方からもうける、いわば死の商人のようなやり方ではないか、こういう言い方をネット上でされている方もいるような状況であります。

 先日、この問題の発端となったドワンゴの会長さんからお話を伺う機会がありました。こういう思いで一石を投じたんだ、別に、もちろん受験料が欲しくてやっているわけではない、当然こういう話でありました。また来年も、こういった問題提起に一定の意欲を持っておられるように見受けられた次第です。

 そこで、まずお伺いをいたしますが、個別の企業の話は、まだ今、厚労省として検討中だというふうに伺っておりますので、一般論として伺います。

 企業の就活の受験料について、事前に事務方にルールを伺いますと、試験の手数料であれば構わないが、職業安定法の報酬受領に当たれば、これは指導しなければいけない、こういうふうに伺っております。手数料と報酬の線引きはどこにあるのか、大臣に伺います。

田村国務大臣 おっしゃられますとおり、職業安定法で、募集に関しては、いかなる名義であっても報酬は受け取ってはならないというふうになっておるわけであります、一般論でありますけれども。

 採用試験等々、採用も募集の一環でありますので、採用試験のときに手数料を取るということであれば、それはかかるものに関してであれば報酬ではないわけでありまして、あくまでも実費分ということでございますから、職業安定法違反というふうにはならないわけでございます。

 ただ、そうはいっても、多くの企業がこれをやられ出しますと、要するに、資力のある方は手数料を払って採用試験を受けられるけれども、資力のない方は幾つかに限られてしまうとなると、やはり就職の公平性というものに影響も出てくるので、厚生労働省としては、なるべく、そのような形で手数料等々をお取りいただかない方がありがたいというような認識は持っております。

井坂委員 ドワンゴさんから話を伺った際も、まさにそういったことはもちろん懸念をされた上で、地方の学生さんからはそもそもこの会社は受験料を受け取らない、あるいは、受け取った受験料も日本学生支援機構に寄附をするということで、いろいろと弁護士さんと相談されて、違法性やあるいは社会的な問題もないようにやったことなんだ、また来年も目指しているんだ、こういうことであります。

 重ねてお伺いいたしますが、一方の、私が随分問題提起をさせていただきました、実はこの就活サイトの運営をしておられた役員の方ともじっくりお話をする機会がありまして、就活サイト運営側の、どういう思いでやったのかということも、私も行って聞いてまいりました。

 それはそうなんですが、大臣にここでお伺いをしたいのは、就活サイト側に対しては、今後も何ら働きかけを行わないのかということであります。答弁をお願いいたします。

田村国務大臣 委員から、たしか厚生労働委員会、四月の二日と九日ですか、ここで御質問をいただきました。そのときの私の回答は、実態等々をしっかり把握した上で、調査をした上で、どのような対応があるのかというようなことを検討してまいりたいということであったというふうに思います。

 あれから大分たってきておるわけでありますが、四月は大体、内々定が出る結構忙しい時期でございまして、やはり就活をされている皆様方から聞き取り調査もやらなきゃいけないということもございまして、就職活動に影響がある時期はちょっとこちらとしても避けたいという思いがございます。どちらかというと、就職活動が一旦一段落がつく七月から八月ぐらいに、この実態調査をさせていただきたいというふうに思っております。

 その上で、いろいろな問題点を整理させていただいて、必要があれば、言われるとおり、就職情報サイトに対しても働きかけをしてまいりたい、このように考えております。

井坂委員 サイト運営会社には、その後まだヒアリングも行っていないというふうに伺っております。私は、やはりスピード感に随分差があるのではないかなというふうに思っております。

 ドワンゴ、受験料を取った側に対しては、適正な就活を阻害する可能性が将来に向かってある、こういう理由で、かなり曖昧かつ可能性レベルの問題ですごい迅速に助言に行って、一方で、私から見れば、就活サイトの運営も、まさに適正な就活を阻害する可能性が将来にわたってある。

 同様の問題意識を持っているんですが、こちらの方は、学生さんのヒアリングは忙しい時期は外すということで一定理解をいたしますが、やはりもう片っ方のサイト運営会社にも、これはすぐにヒアリング、そして問題があれば、指導まではいかなくても、ドワンゴに行ったような助言ぐらいは私はできるのではないかなと思いますから、迅速に動いていただけるように、よろしくお願いをいたします。

 次に、年金の将来予測ということで、幾つかお伺いをいたします。

 今、財政検証の最中ということで、また、今回の財政検証にぜひこういった観点も入れていただきたいということで、本日、お伺いをいたします。

 まず、過去二回の財政検証では、モデル世帯として、夫婦で、夫のみが四十年間就労をして厚生年金保険料を払い続ける、奥さんの方は専業主婦でずっといく。これが、年金のことをいろいろシミュレーションする際のモデル世帯ということで定義をされております。

 このモデル世帯、夫のみ就労世帯というのは、では、今、全世帯のおよそ何%に当たるのかということをまず参考人にお伺いいたします。

香取政府参考人 モデル世帯でございますけれども、今先生お話ありましたように、夫が四十年間にわたって、それぞれの時代の同じ現役被保険者の平均的な賃金で働き続ける、かつ、奥様の方はその全期間が三号である、かつ、夫婦が同じ年齢の方で、その方が六十五歳でもらう年金、こうなります。これは、法律上の規定で例の五〇%を見るときに、この水準で見ろとされているものでございますが、年金の給付水準を構造的、継続的に比較するためのいわば物差しということになります。

 実際にこういう世帯の方がどれくらいいらっしゃるかということになりますと、実は、ある意味、四十年間ずっと平均的な賃金を取り続ける、あるいは四十年間奥さんが全く働かない、まあ、パートがあるかもしれませんが、かつ、同年齢という方は、実はデータ的にもなかなか把握できないので数はわかっていないわけでございますけれども、一種、年金を見るときの物差し、そういう仮想上の方々ということになります。

 では、現実にどうかということで申し上げますと、今もらっている方について言いますと、受給者の実態調査をしますと、現役時代に夫が正社員中心でしたとお答えになった世帯で、奥様が三号期間中心でした、全加入期間の半分以上が三号でしたと答える方の割合が、大体五四%ぐらいということになります。

 あと、現役の方で調べますと、いわゆる二号、三号の組み合わせという方が大体三分の二ぐらいになりますので、その意味では、ぴったり当てはまる方は少ないわけですけれども、現在ですと、一般的な世帯の形を一応徴表していると言えるかなと考えております。

井坂委員 このモデル世帯というのは、確かに、御説明のとおり、本当にそのモデルぴったりの人生を送った方は世の中に一人もいないわけで、完全に架空の世帯のことであろうというふうに思います。まさにそういうお答えのとおりだというふうに思います。

 一方で、では、夫の方が四十年間厚生年金保険料を払い、奥さんの方が主に厚生年金保険料は払わずに第三号被保険者でい続けた方ということですと、私もいただいた資料をちょうど1でお配りしておりますけれども、夫が第二号被保険者で、一番下、妻が第三号被保険者という方が、第二号被保険者の中の六五%ということでありますから、共働きというと、今、世の中もっと多いわけですけれども、でも、奥さんも厚生年金保険料を払っているという人はそこまで多くない、三分の二ぐらいは、夫だけが厚生年金保険料を払っている世帯だということであります。

 では、次に、そこも踏まえてお伺いをするんですが、一枚めくっていただきまして、お配りしている資料の2をごらんください。

 平成二十一年の財政検証で実際に添付をされている資料でありますが、これは、どういう御家庭の年金、払った保険料と実際にもらえる年金の所得代替率、現役時代の所得のどれだけの割合の年金をもらえるのかということで、これがよく言われる五〇・一%、二〇五〇年には所得代替率が五〇・一%になりますよと言われているのは、このグラフの一番左側、「1夫のみ就労の場合」と書いてある一番左の筋の下に五〇・一%と書いてあるわけであります。

 だから、ボリュームではもちろん三分の二を占めるであろう家族構成なわけですけれども、一方で、私は、このグラフを見ると、ここを中心に議論するのはやや偏っているなというふうにも思うわけであります。一番左側の、要は、所得代替率が一番高くなる家族構成のケースについてシミュレーションを行っている。

 次によくあるパターンの、四十年間共働きで、夫も妻も厚生年金保険料を払っているパターンというのは、この図でいうと右から二番目の筋、「2四十年間共働きの場合」ということで、所得代替率は三九・九%になる。こういった方々のボリュームも、さっきの1の図を見ていただければ、第二号被保険者の残り三分の一はまさにこういったパターンに入るわけでありますから、当然、私は、こういった部分のシミュレーションも行うべきだというふうに思うわけであります。

 ちょっと一問、参考人の質問を飛ばしてしまいましたが、共働き世帯について、各種シミュレーションを行うべきだと考えます。できない理由など、大臣にお答えをいただきたいと思います。

田村国務大臣 財政検証で、単身世帯等々のシミュレーションをした方がいいという御意見ということでよろしいですか。(井坂委員「共働き世帯ですね」と呼ぶ)共働きもシミュレーションした方がいいと。

 どう申し上げていいのか、結局、今、世帯で見ているわけですよね。今、委員の資料も、この資料自体は二〇五〇年の所得で書いてありますけれども、これを今足元では、平成二十一年に直したもので見ますと、三十五万八千円の所得層ですよね、世帯の。そこの所得代替率が五〇・一%であります。

 これは、実は、夫が三十五万八千円であって奥さんがゼロ、もしくは夫が二十万円で奥さんが十五万八千円であっても、同じ保険料で、同じになっているわけでありますので、そういう意味では、共働きであろうと何であろうと世帯で見れば同じ結果になってくるという形でございますから、そのようにごらんをいただければありがたいと思います。

 なお、個人で見る場合は、それを二分二乗したものでありますから、三十五万八千円を二で割って、十七万九千円の方が、夫婦でお互いに暮らしている個人個人のバーチャルな所得代替率が五〇%という形になるわけでございまして、そのようにごらんをいただければありがたいというふうに思います。

井坂委員 この図は、私もよく理解しておりまして、大変シンプルな図だと思います。

 それはよくわかった上で、要は、この図の一番左側の所得代替率が一番高いケースが、もちろんボリュームは確かに多いですが、しかし、その一番所得代替率が高いケースがモデルケースとして、あらゆるシミュレーションがそのケースで行われているんですよ。

 ところが、もう一個、その次に多いケースの四十年間共働きの場合というのは、本当に、ごらんいただいたように、今度は右寄りのケース、非常に、所得代替率がもう既にこの時点で低くなっているケース、こういう、当てはまる方々も世の中の三分の一いらっしゃるので、また別ケースとして、せめてこの二番目に多い集団のモデル予測ぐらいは、今回行うべきではないですかということです。それをお伺いしております。

田村国務大臣 ちょっと質問の意味をよく理解しておりませんでして、申しわけありません。

 いろいろなパターンの世帯のモデルケースというものを示すべきだというお話であったのでありましょうか。(井坂委員「せめて二パターンぐらいは」と呼ぶ)なるほど。

 ちょっと今回はそれをやっていないとは思いますが、これからの参考にさせていただきたいというふうに思います。

井坂委員 もう一枚めくって、3を見ていただきたいんです。

 私どもがこの間気にしておりますのは、俗に言う、余り言い過ぎたらいけませんが、世代間格差あるいは若い世代は保険料の払い損になるケースがあるんじゃないか、こういう懸念を持って質疑をしているわけであります。

 こういった話のときに必ず出てくるのがこのモデルケースで、一番若い世代でも払った保険料の二・三倍は年金がもらえるんですよ、こういう話が出てくるわけであります。

 これは幾つかからくりがあって、一つは、厚生年金なので、御本人が払った保険料と会社ももちろん同額払っている、合わせた保険料と比べれば、払った保険料の二・三倍ではなくて一・一五倍だろう、こういう突っ込みが一つあるのと、もう一つは、やはりこれが、さっきの一番左側にある所得代替率が高い、夫だけが厚生年金保険料を払っているケースの予測だということなんですね。せめて、こういったものも共働き世帯でやはり出していくべきじゃないかということなんです。ぜひ、私は必要だというふうに思います。

 なぜかといったら、ボリュームは一番でも、さっきの二枚目のグラフで一番所得代替率が高い、ある意味、あのグラフで見れば、偏ったケースを代表として取り上げているように私には見えますので、もう一つの、二番目にボリュームの多い共働きケースも、きちんと今回の財政検証では各種将来予測のシミュレーションをすべきだと考えますので、その点、大臣、御理解いただいた上で、もう一度御答弁をいただきたいと思います。

田村国務大臣 今、財政検証を行っておる最中ですが、多分、私は詳細を存じ上げておりませんが、そのようなことをもう既に計算に入れてやってはいないんだというふうに思います。

 今回はもうかなり進んできておりますので、そういう意味では今回の中には入れられないかもわかりませんが、次回から参考にさせていただきたいというふうに思います。

井坂委員 あとちょっと、残り時間、一問だけお伺いしたいと思います。

 ICER、費用対効果評価ということについて伺います。

 先ほど、みんなの党の中島議員と大臣の質疑にもありましたけれども、いろいろな医療機器とか医療の進歩で医療費がかかり過ぎているんじゃないか、こういう議論がありました。

 医療の効果をあらわす世界的な指標にQALYというものがあります。一〇〇%健康な状態をクオリティー・オブ・ライフ一、死亡している状態はゼロ、人はみんなゼロから一の間のどこかにいるわけですけれども、そのクオリティー・オブ・ライフ一の状態を一年間続けることが、寿命を延ばすことができたら、これが、QALYが一ふえましたよ、こういう数えるやり方であります。

 そのQALYを一ふやすのに必要な費用を、ICER、増分費用効果比ということで、世界のいろいろな国で、医療技術とかあるいは医薬品を取り入れるか取り入れないかの指標、物差しに使っているわけでありますが、日本で、医療技術や医薬品の費用対効果を評価するためのICERについて、導入状況をお伺いいたします。

木倉政府参考人 お答えを申し上げます。

 日本の医療保険制度におきましても治療効果と費用をきちんと検証していかなきゃいけないということ、これは中医協の場でも合意をされまして、二十四年の診療報酬改定、一回前の診療報酬改定のときから、中医協の方の意見でいただきまして、その検討を始めております。本日も、中医協の方でこの議論をしてまいりました。

 それで、その費用対効果の専門部会も設置をして議論しておりますけれども、まず、ヨーロッパ各国が先行していますそれの指標のとり方等を検討してまいりまして、これを日本の医療の実態の中で取り込むときにきちっとあらわせる指標にしなきゃいけないということで、これからは、実際に日本で開発されてきております医薬品、医療機器、しかもまた外国で評価も受けたようなものにつきまして、幾つかの企業からそのデータ等もお示しいただけるものを出していただきまして、日本で検討する場合の当てはめの仕方、指標のとり方ということを皆さんで御議論いただき、できますれば、次の二十八年度の診療報酬改定での試行的な導入も視野に入れながら検討しようということは、中医協の場では合意をされて、今精力的に議論をいただいております。

 今までの議論の中では、ICER、増分費用効果比でございますけれども、そのときのとれる指標といたしまして、そのQALYだけでいいのか、その他も組み合わせる必要があるのではないかというようなことで、日本におけるその実態をより的確にあらわせるものの指標についてもしっかり議論をしようというようなことで、これは医薬品、医療機器の具体例の中で、実態を見ながら御議論をいただきたいというふうに考えているところでございます。

井坂委員 終わります。ありがとうございます。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、JALの整理解雇問題について質問いたします。

 日本航空は、一万六千人のリストラなどを条件として、二〇一〇年一月十九日、企業再生支援機構による支援と会社更生手続の開始が決定されました。

 この年の大みそかに、JALのパイロット八十一名、客室乗務員八十四名、計百六十五名が解雇されました。百四十六名が東京地裁に提訴。一審は敗訴しましたが、原告らは控訴。そして、六月三日に客室乗務員、五日にパイロットの高裁判決を迎えます。

 きょうは、内閣府の西村副大臣に最初、端的にお願いしたいと思うんですが、伺います。

 このときの企業再生支援委員会による支援決定の前提条件においては、安全性のさらなる向上、機材の小型化、効率性向上、三つ目に不採算路線の大胆撤退などが求められています。いわゆる人員削減は、あくまで供給量減少に応じた人員調整でしかないこと。資料の一にあるように、支援決定基準というのがございますけれども、その中で、最後に書いてあるように、労働組合等との話し合いを行うことと明記をされております。つまり、会社更生法による法的手続の中においても、解雇回避のための努力を行うことを求めていたと思いますけれども、確認をさせてください。

西村副大臣 お答えを申し上げます。

 御案内のとおり、日本航空は、平成二十二年当時、債務超過となりまして、経営破綻に陥りました。事業や雇用の継続は危機的な状況にあり、同社の再建のためには、安全な運航の確保を大前提としつつ、当時の判断として、人員削減を含む更生計画全体についての確実な実施が不可欠であったと考えております。

 このような日本航空の再建の過程で、日本航空が多くの方々に自主的な退職をお願いせざるを得ない中で、最終的に整理解雇という事態になったと承知をしておりますが、具体的な人員削減の進め方については、日本航空において当時の状況の中で判断をされたものと考えております。

 御指摘の支援決定基準においては、「申込事業者が、労働組合等と事業再生計画の内容等について話合いを行ったこと又は行う予定であること。」とされておりまして、日本航空においては、支援決定後、労働組合等との話し合いに努めてきたものと承知をいたしております。

 いずれにしましても、日本航空の整理解雇の問題につきましては、御指摘もありましたけれども、現在係争中でありますので、これ以上のコメントは差し控えたいと思います。

高橋(千)委員 基本的な当時のことを確認させていただきましたので、今、係争についてあれこれということを言っているのではありません。

 今、副大臣の答弁は、まさに再生支援を政府が決定するに当たって、今言った安全性の問題、不採算路線の大胆撤退、あくまでもリストラありきではなくて、きちんとした、そこが条件であって、かつ、あくまでも供給量が減ったからこそ減らすのであって、しかし、そのために、解雇ありきではなく、労働組合との話し合いを行うこと、また、解雇回避の努力を行うということが前提にあったということだと思うんですね。そこを確認したかっただけですので、まず一つ確認をさせていただきました。

 その上で、厚労大臣は当時、一月十九日、同じ日に、主務大臣の一人でありました。そこで、「事業再生計画の実施につき助言・指導するに当たっては、関係法令の遵守及び労働者との協議の状況への配慮をお願いする。」と意見を述べています。この意見は尊重されたと思いますか。また、その理由についても伺います。

田村国務大臣 当時は私は大臣じゃなかったんですけれども、当時の大臣の話でありますが、企業再生支援機構が日本航空に支援を決定する、これに際して、厚生労働省の方に意見の照会があったわけであります。今委員が言われたとおり、厚生労働大臣として、「事業再生計画の実施につき助言・指導するに当たっては、関係法令の遵守及び労働者との協議の状況への配慮をお願いする。」このような意見を述べたわけであります。

 機構は、この意見も踏まえた上で再生支援を行ったものである、このように考えております。

高橋(千)委員 私は大臣に対して聞いています。もちろん、そのころは民主党政権だったとおっしゃるかもしれませんが、行政の継続というものがあります。ここは、主務大臣として厚労大臣が意見を述べております。

 株式会社企業再生支援機構法の第四十五条に、「機構は、主務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。」となっておりまして、厚労大臣というのは、四十五条と四十六条、立ち入りとかの、そこの部分だけ主務大臣なんですよ。その中で、きちんとした監督など、「必要な命令をすることができる。」と明記をされています。その立場に立って厚労相がこの意見を述べたのに対して、その後どうなったかということを、評価していますかと聞いています。

田村国務大臣 意見照会をされて、厚生労働省、大臣としての立場、考えを述べさせていただきました。それにのっとって再生支援機構が再生支援を行ったわけでございますので、そのような意味で、私は、適切に行われたというふうに認識をいたしておるということであります。

高橋(千)委員 もう一回最後に大臣に聞きますからね。これは主語が違うんですよ。最初に副大臣に聞いたように、再生機構が、労働組合との話し合いをきちっと見てくれましたかということで確認をしました。しかし、今のは、主語は厚労大臣であります。その主語にのっとって必要なことをやりましたかということを聞いているわけでありますから、意見を言ったからいいんだということではないのだということを重ねて指摘したい。最後にもう一度聞きますので、話を、その後の展開を見ていただきたいと思います。

 それで、実際に、こうして支援が決まってから、その後の状況がどうなっているのか。

 成田空港が安全・衛生管理特別指導事業場として四度目の指定を受けたのはなぜでしょうか。労災の発生率が高いとして改善が求められているということは、経験者不足も指摘されていますけれども、認識を伺いたい。

半田政府参考人 大変申しわけございませんが、個別特定の事業場が安全・衛生管理特別指導事業場に指定されたかどうか、あるいは、指定されている場合でありましても、国がどのような指導内容を行っているのかといったことにつきましては、個別の事案に係るものでございますので、お答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

 なお、一般論として申し上げれば、安全・衛生管理特別指導というものは、事業場における安全衛生管理水準の向上を図るために、都道府県労働局長が管内の事業場を指定し、安全衛生改善計画を作成させ、継続的な安全衛生指導を行う、こういう仕組みでございます。

高橋(千)委員 一般論だと言われたので、資料の二枚目を見ていただきたいと思うんです。

 これはJALに限ったことではありません。航空業の死傷災害の件数ということで、全産業との比較があるんですけれども、百万人当たりの労働災害による死傷者数を度数率というんですけれども、二十三年と二十五年を比較していただければ、全産業は、一・六二から比率だけは一・五八に下がっているんですが、航空業は、一・四五から一・八一に上がっています。そして、実数でいいますと百十六人から百六十一人ということで、労災がふえているわけなんですね。そういう中で、お認めにはならなかったけれども、こうした四度目の指定ということがあったんだろう。

 どうしてこうなるんですかということを聞いたときに、一般論としてお答えになったのは、空の上ですから、乱気流になったときに立っていて、それで転んでいることもあるんです、だから空の上というのは事故が多いんですよなんという説明をしたんです。これはとんでもないと思うんですよね。だって、ふえているんですから、なぜですかということを言わなければならないし、それだけ余裕がないということでしょう。

 委員の皆さんもたくさんふだんも飛行機に乗られると思いますけれども、本来であれば、機長から、これから乱気流に入りますからということでアナウンスがあって、乗務員も席に着きます、サービスを停止しますと言うじゃないですか。そういう当たり前のことができていない、大変な混乱がある、あるいは新人さんに対しての教育も十分できていない中でこういうことが起こっているんだということを指摘しなければならないと思います。

 では、次に国交省に伺いますけれども、こっちはJALそのものについてのことを伺いたいと思いますが、航空法第百十一条の四に基づく安全上の支障を及ぼす事態は、一体どのくらい報告されていますか。

甲斐政府参考人 お答えいたします。

 日本航空による航空法第百十一条の四に基づきます安全上の支障を及ぼす事態の報告件数ということでございますけれども、二〇一〇年度、百九十四件、二〇一一年度、百五十七件、二〇一二年度、百三十七件、二〇一三年度、これは上期だけでございますが、五十件となっております。

 また、二〇一〇年度以降、日本航空に対して文書による厳重注意を行っておりますけれども、その内容は、一つは、整備委託先で適正に整備されておらず、適正に使用ができない脱出用のスライドを装着したまま運航していた事案、これは厳重注意の日付が二〇一一年一月三十一日でございます。もう一つが、運航乗務員が運航中に不適切な行為を行っていた事案、これは二〇一一年八月十七日付で文書注意しております。この二件でございます。

高橋(千)委員 今の航空法第百十一条の四に基づく報告件数、JALの分ですけれども、資料の三枚目につけておきました。

 決して軽視できない報告がたくさんあるということが今あったし、その中でも厳重注意があったということが報告されたと思うんですね。

 私は、安全と雇用の問題は非常に関係があるということを指摘したいなと思うんです。

 ILOの結社の自由委員会の第二千八百四十四号案件に関して、政府は重ねて勧告を受けているわけですけれども、厚労省はJALの意見書を二〇一一年十月十四日付で添付しています。その中でJALが何と言っているか。路便、路線の変更に伴い、原告らが乗務対象でなくなった後も、JALIにおいては支障なく運航を継続することができている。本当でしょうか、今の議論を聞いていて。整理解雇対象者数は業務上の必要数を上回っており、労働の対価たる賃金を支払う対象となるべき業務が存在していない、そこまで言ってのけているんですね。

 本当にそういうことが言えるのか。これは本当に、質の面でも量の面でも全く逆さまなことになっているじゃないかと指摘をしなければならないと思うんです。

 そこで、資料の四枚目につけておきましたが、厚労省は来春から、いわゆるブラック企業が社会問題化する中で、来春卒業予定の大学生や大学院生の求人をする企業に対して、過去三年間の採用者数と離職者数を求人票に明示するよう要請すると決めたといいます。これは離職率が高いことがやはり一つのキーワードになるでしょうし、これを発表しなければ発表しないだけ、何か問題があるのかなということを思わせる、そういう大きな効果があると思うんですね。

 では、日航のこの三年間の離職者数、離職率はどうなっていますか。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 若者の適切な職業選択に資するように、平成二十七年三月新規大学等卒業予定者用のハローワーク求人票に過去三年間の新規大卒者等の採用者数と離職者数の記入欄を設けまして、任意に記載できるようにしたところでございます。

 そのハローワークで受理して公開しております学卒等求人の中に日本航空の求人はございませんので、お尋ねの過去三年間の離職者数、離職率については承知していないところでございます。

高橋(千)委員 別に、今、これから起こる制度について、書いていないのは当たり前なんですよね。だけれども、離職者数を把握しているかということを聞いているわけですよ。だから、どういう実態になっているのかを厚労省がつかまなきゃだめでしょうということを言っています。

 さっき私が言ったように、JALの参考意見というのは、厚労省に対して返事が来ているんですよね。そうでしょう。ILOに対して出した文書でありますけれども、厚労省課長宛てに返事が来ているんですよ。それをILOに出しているんですから、本当にそうなんですかということを聞いているわけなんです。

 原告団の調査だけでも、二〇一二年三月の一審判決後、客室乗務員の採用は再開され、今年度までに千五百名の新人採用がありました。余っているわけがないわけです。足りないということをあらわしているじゃないですか。

 一方、解雇を強行した後も百二十名以上の運航乗務員が自主退社し、社外への流出がとまらないんです。これはそうですね、今パイロットが不足して大変なことになっていますからね。人員不足が顕在化して、年間乗務時間が制限ある九百時間に到達する者が出ている。深刻な過密労働になっているわけですね。そうした中で、さっき言った労災ですとか、安全に支障がある事態が起こっているのではないでしょうか。

 さっき言った意見書の中で、JALは、年齢の高い者ほど定年が近いんだ、だから、将来の貢献度を考慮に入れて、将来の再建に向けた原動力となる若年層を残す、ここまで言っているんですね。だけれども、もう一方では、高裁に対する準備書面の中では、客室乗務員のうち二十代、三十代の若年層は、四十代以上の層に比べて自己都合による退職率が高く、年齢制限を設けなければ将来的に若年層の十分な確保が危ぶまれる、ここまで書いているわけですね。

 一方では若年層の自主退社がふえている、一方では将来のために高齢者を切っていくんだ、こんな理屈が通りますか。これで本当に安全なことができるかと指摘をしなければならない。

 まず、大臣に行く前にもう一回国交省に聞きますけれども、二〇一二年八月に、「日本航空の企業再生への対応について」、再上場に向けてですね、航空局は、JALグループの中期経営計画、二〇一六年度までですが、その期間中に、状況を監視し、必要に応じ指導助言を行うとあります。その中で言っているのは、国民生活に不可欠な路線の維持として、地方路線の復活を求めています。これは、再生のために不採算路線を削減するよう指導してきたことと矛盾しないでしょうか。

 もう一つ。中期計画の中では、「事業規模の増加に対して、必要人員数は本計画期間を通じ、現行の三万二千人レベルを維持します。」とあります。つまり、増便もするし、事業規模が増加するのはわかっているのに、現行の人員レベル維持、これはどういうことですか。意味がわかりません。

坂井大臣政務官 日本航空の再生は、同社が我が国の発展基盤である航空ネットワークの重要な部分を担っているからこそ実施をされているものでございますが、日本航空の再生過程では、地方路線の大幅な削減が行われてきております。同時に、機材の小型化などのダウンサイジングも実施されてきておりまして、路線ごとの運航コストが低減を図られてきております。

 これにより、過去には不採算という形で撤退した路線であっても、採算確保が可能となった路線もあると見込まれるところから、日本航空の経営判断によっては運航を再開できる路線もあると認識をいたしております。

 また、後段の御質問でございますけれども、八・一〇ペーパー、先ほど御指摘がありましたペーパーにおきましては、企業再生が適切かつ確実に行われているか、また、公的支援によって航空会社間の競争環境が不適切にゆがめられていないかを確認するために、このペーパーはあります。

 一方で、日本航空の必要人員数につきましては、同社がその事業規模に応じて適正な人員規模を決めているものと承知しておりまして、実際、日本航空からは、人材育成や各部門における生産性向上等によりまして、事業規模の増加に対しましても必要人員数は維持できるということを聞いております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 結局、運航コストとおっしゃったけれども、それは、安全に対するコストを削るということじゃないですか。それで今までの問題が指摘されているのに、何も反省をしていない。最初に確認した、安全性を前提にということがないわけですよ。

 そこで、西村副大臣にもう一回戻りますけれども、原告の皆さんは、皆さんはというか、法廷の中でも稲盛和夫前会長も指摘をしているように、本当は整理解雇は必要なかった、人の上では足りていた、解雇しなくてもよかったということを言っているんですね。その議論をしているときに、結局、いやいや、計算が間違っているんだということを会社側は言うわけです、書類の中で。

 だったら、ちゃんとした数字を出してくれと。当時、何人いたのか、一体、一般退職は幾らだったのか、それを出してもらわなければ話にならない、土台にならないんですよ。そのことを政府として迫るべきだと思いますが、いかがですか。

西村副大臣 まさに、御質問の点は、今現在係争中の訴訟にかかわるものでありますので、具体的な言及は、これはもう本当に差し控えたいと思います。

 ちなみに、稲盛和夫会長が必要なかったという言い方、私もちょっと議事録も読みましたけれども、これは、数字の上からすれば整理解雇を避けることは不可能ではなかったということを説明したものですが、整理解雇実施そのものは、一時的に数字がよい状況になってもなお、この更生計画というものを実現するためにはやむを得ないものというふうに考えていたという趣旨の発言もされていますので、その点、私どもはそういうふうに理解をいたしております。

高橋(千)委員 時間になりました。

 そのための前提を出せということを重ねて指摘をして、大臣にもその要望をしておいて、終わりたいと思います。残念ながら時間が来ました。

     ――――◇―――――

後藤委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。田村厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田村国務大臣 ただいま議題となりました専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案について、その提案の理由及び内容の概要を説明いたします。

 有期労働契約については、その期間が同一の使用者のもとで反復更新されて通算五年を超えた場合に、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換するルールの導入等を内容とする労働契約法の改正が行われ、平成二十五年四月から全面施行されています。

 この無期労働契約に転換するルールについては、高収入かつ高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者等を対象に、申込権が発生するまでの期間のあり方等について検討を行い、平成二十六年の通常国会に所要の法案の提出を目指すことが国家戦略特別区域法で定められているほか、定年後の高齢者に対する適用のあり方についても検討が求められてきました。

 このような状況を踏まえ、専門的知識等を有する有期雇用労働者及び定年後引き続き雇用される有期雇用労働者がその能力を有効に発揮し、活力ある社会を実現できるよう、その特性に応じた雇用管理に関する特別の措置が行われる場合には、労働契約法の特例を認めることとし、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。

 第一に、厚生労働大臣は、専門的知識等を有する有期雇用労働者等の特性に応じた雇用管理に関する基本指針を定めることとしています。

 第二に、事業主は、その雇用管理に関する措置について、その計画を作成し、基本指針に照らして適切なるものであること等の要件に適合する場合には、厚生労働大臣の認定を受けることができることとしています。

 第三に、計画の認定を受けた事業主と専門的知識等を有する有期雇用労働者等との間の有期労働契約については、労働契約法に基づく無期労働契約への転換の申込権が発生するまでの期間に関する特例が適用されることとしております。

 最後に、この法律は、一部の規定を除き、平成二十七年四月一日から施行することとしています。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要です。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

後藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る三十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十二分散会


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