衆議院

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第24号 平成26年5月30日(金曜日)

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平成二十六年五月三十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    今枝宗一郎君

      小田原 潔君    大久保三代君

      大串 正樹君    勝沼 栄明君

      金子 恵美君    熊田 裕通君

      小林 茂樹君    小松  裕君

      古賀  篤君    今野 智博君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      高鳥 修一君    高橋ひなこ君

      武井 俊輔君    豊田真由子君

      永山 文雄君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    宮崎 謙介君

      村井 英樹君    八木 哲也君

      山下 貴司君    大西 健介君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      清水鴻一郎君    重徳 和彦君

      輿水 恵一君    桝屋 敬悟君

      中島 克仁君    井坂 信彦君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   文部科学副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      赤石 浩一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房少子化・青少年対策審議官)    岩渕  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            中野 雅之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       内田 俊彦君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     小田原 潔君

  今枝宗一郎君     穴見 陽一君

  大久保三代君     小林 茂樹君

  白須賀貴樹君     今野 智博君

  中川 俊直君     八木 哲也君

  堀内 詔子君     武井 俊輔君

  村井 英樹君     宮崎 謙介君

  山下 貴司君     秋本 真利君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     山下 貴司君

  穴見 陽一君     今枝宗一郎君

  小田原 潔君     赤枝 恒雄君

  小林 茂樹君     大久保三代君

  今野 智博君     白須賀貴樹君

  武井 俊輔君     堀内 詔子君

  宮崎 謙介君     村井 英樹君

  八木 哲也君     熊田 裕通君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     勝沼 栄明君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     中川 俊直君

    ―――――――――――――

五月三十日

 患者窓口負担の大幅軽減に関する請願(鈴木克昌君紹介)(第九九三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇八二号)

 障害者福祉についての新たな法制に関する請願(熊田裕通君紹介)(第九九四号)

 同(中野洋昌君紹介)(第九九八号)

 同(三ッ林裕巳君紹介)(第九九九号)

 同(門博文君紹介)(第一〇二四号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一〇二五号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第一〇四三号)

 同(阿部知子君紹介)(第一〇五三号)

 同(鈴木義弘君紹介)(第一〇七〇号)

 同(中川俊直君紹介)(第一〇七一号)

 同(今津寛君紹介)(第一一四五号)

 二・五%の年金削減をやめ、安心の年金制度を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一〇一一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇一二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇一三号)

 社会保障拡充に関する請願(笠井亮君紹介)(第一〇一四号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(山本公一君紹介)(第一〇一五号)

 同(大畠章宏君紹介)(第一〇三九号)

 同(阿部知子君紹介)(第一〇八三号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第一〇八四号)

 同(吉川元君紹介)(第一一四四号)

 特定行為を診療の補助に拡大する法改正反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇一六号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇一七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇一八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇一九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇二〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇二一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇二二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇二三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一〇四〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇四一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇四二号)

 同(阿部知子君紹介)(第一〇五一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇五二号)

 介護保険制度における利用料負担の廃止等に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇三六号)

 同(阿部知子君紹介)(第一〇五四号)

 脳卒中対策基本法の早期制定に関する請願(比嘉奈津美君紹介)(第一〇三七号)

 同(とかしきなおみ君紹介)(第一〇八五号)

 同(小松裕君紹介)(第一一三五号)

 同(武藤容治君紹介)(第一一三六号)

 要支援者サービス切り捨てと利用者負担引き上げ中止、安心できる介護を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇三八号)

 憲法を生かし、安心の医療・介護に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇四四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一〇七二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇七三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇七四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇七五号)

 医療・介護総合改悪法案の撤回に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇四八号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員に関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇四九号)

 障害者の生きる権利を保障するヘルパー派遣制度に関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇五〇号)

 介護労働者の処遇改善に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一〇六五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇六六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇六七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇六八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇六九号)

 過労死防止基本法の制定に関する請願(玉城デニー君紹介)(第一〇七八号)

 同(井坂信彦君紹介)(第一一三四号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第一一四六号)

 肝硬変・肝がん患者の療養支援の推進に関する請願(青柳陽一郎君紹介)(第一一〇七号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第一一〇八号)

 同(井坂信彦君紹介)(第一一〇九号)

 同(漆原良夫君紹介)(第一一一〇号)

 同(大久保三代君紹介)(第一一一一号)

 同(大塚高司君紹介)(第一一一二号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第一一一三号)

 同(熊田裕通君紹介)(第一一一四号)

 同(小林史明君紹介)(第一一一五号)

 同(後藤斎君紹介)(第一一一六号)

 同(河野太郎君紹介)(第一一一七号)

 同(佐々木紀君紹介)(第一一一八号)

 同(佐藤正夫君紹介)(第一一一九号)

 同(阪口直人君紹介)(第一一二〇号)

 同(重徳和彦君紹介)(第一一二一号)

 同(鈴木貴子君紹介)(第一一二二号)

 同(関芳弘君紹介)(第一一二三号)

 同(田野瀬太道君紹介)(第一一二四号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一一二五号)

 同(中根康浩君紹介)(第一一二六号)

 同(西田譲君紹介)(第一一二七号)

 同(ふくだ峰之君紹介)(第一一二八号)

 同(細野豪志君紹介)(第一一二九号)

 同(松浪健太君紹介)(第一一三〇号)

 同(山井和則君紹介)(第一一三一号)

 同(秋本真利君紹介)(第一一四七号)

 同(今津寛君紹介)(第一一四八号)

 同(浦野靖人君紹介)(第一一四九号)

 同(小此木八郎君紹介)(第一一五〇号)

 同(大西健介君紹介)(第一一五一号)

 同(勝沼栄明君紹介)(第一一五二号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一一五三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一五四号)

 同(坂元大輔君紹介)(第一一五五号)

 同(篠原孝君紹介)(第一一五六号)

 同(田畑毅君紹介)(第一一五七号)

 同(高木宏壽君紹介)(第一一五八号)

 同(高橋みほ君紹介)(第一一五九号)

 同(中川正春君紹介)(第一一六〇号)

 同(中野洋昌君紹介)(第一一六一号)

 同(中村裕之君紹介)(第一一六二号)

 同(中山展宏君紹介)(第一一六三号)

 同(馬場伸幸君紹介)(第一一六四号)

 同(船田元君紹介)(第一一六五号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第一一六六号)

 同(牧島かれん君紹介)(第一一六七号)

 同(丸山穂高君紹介)(第一一六八号)

 同(村上政俊君紹介)(第一一六九号)

 同(保岡興治君紹介)(第一一七〇号)

 同(吉川元君紹介)(第一一七一号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第一一七二号)

 自己免疫性肝疾患患者の療養支援の推進に関する請願(井坂信彦君紹介)(第一一三二号)

 同(山井和則君紹介)(第一一三三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案(内閣提出第四八号)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房日本経済再生総合事務局次長赤石浩一君、内閣府大臣官房少子化・青少年対策審議官岩渕豊君、厚生労働省労働基準局長中野雅之君、職業安定局雇用開発部長内田俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中島克仁君。

中島委員 おはようございます。みんなの党の中島克仁です。

 朝一番に質問、めったにないことなのでちょっと緊張しておりますが、よろしくお願いいたします。

 本日は、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案に対する審議でございまして、私からも何点か御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 有期労働契約については、平成二十四年の労働契約法改正によって、有期労働契約が五年を超えて反復更新された場合、労働者の申し込み等により無期労働契約に転換させる仕組み、いわゆる無期転換ルールが導入されております。

 昨年の十二月に成立した国家戦略特別区域法附則第二条において、産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点形成の推進を図る観点から、高収入かつ高度な専門的知識等を有する有期契約労働者などを対象に、無期転換申告権発生までの期間のあり方について検討を行うというこの宿題を受けて、本案にて、五年を超える一定期間内に完了することが予定されている高度専門労働者、定年後の高齢者については定年後引き続き雇用されている期間は、無期転換申告権が発生しないとする労働契約法の特例を認める、そのような趣旨というふうになっております。

 こうした特例措置を定めた理由、またその意義について、改めて大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。

中野政府参考人 御指摘がございましたように、昨年の臨時国会で成立いたしました国家戦略特別区域法附則第二条におきまして、五年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務につく高度な専門的知識を有する労働者につきまして、労働契約法十八条の通算契約期間のあり方、また、労働契約が適切に行われるために必要な措置等について、労働政策審議会において検討を行い、所要の法律案を平成二十六年の通常国会に提出することを目指す旨が規定されていたところでございます。

 これを受けまして、労働政策審議会において検討を行い、高度の専門的な知識を有する有期雇用労働者については、一定の期間内に完了するプロジェクトに従事することを繰り返しながらキャリアアップを図るケースもあると考えられ、みずから能力の維持向上を図ることを容易にするために必要な措置を行うこと等により、その能力を有効に発揮することができること、また、定年後の高齢者につきましては、定年後も雇いどめされることなく同一の事業主等に継続して雇用されることで、それまでに培ってきた知識、経験等を活用することができ、引き続き労働参加しながらその能力を有効に発揮することができることから、特例の対象とすることとしたところでございます。

 本法案の特例を通じまして、対象となる労働者の能力の維持向上や活用を図ることにより、労働参加の拡大を通じ、活力ある社会の実現につながるものと考えております。

中島委員 今国会、またしつこいようですが、前々回の法案、医療介護法案を含めて、うちの党も私も、国民医療や福祉、その向上に向けたサービス提供体制の改革、それを担う従事者の能力発揮という観点、それは非常に大事だというふうに思っており、その趣旨において質問をしてきたつもりでございます。前々回の政府提出の医療介護法案における質疑で、委員会提出の介護従事者、障害福祉従事者の処遇の改善、その内容については、まさにその典型ではなかったかなというふうにも思います。

 規制のあり方を時代に即したものに見直していく、そのことで潜在的なサービス供給量を引き出していくことは、財源や人材の量、数が限られている中にあって、大変重要な観点だというふうにも思います。

 労働政策においても、基本的にはこれと同じ視点に立って、人材の能力を高めつつ、その能力が最大限に発揮されるよう、規制改革を含めて環境整備を進めていくことが大変重要だというふうにも思います。有期雇用労働者に関する本法案について、人材の能力発揮、向上、そのことによる質の高い労働者の供給だというふうに私も理解をしておるところでございます。

 一昨日の産業競争力会議において示されました、残業代支払いなどの労働時間規制を適用除外する、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションに関して、成果で評価される自由な働き方にふさわしい新たな選択肢を示す必要があると、現行の労働時間制度の見直しを総理は指示された。

 対象職種、年収要件、賃金において、産業競争力会議の民間議員案と厚生労働省案では、随分隔たりがあるというふうにも思います。民間議員案に対して、労働界からは、残業代ゼロとか長時間労働を助長すると反発があるとも言われておりますし、逆に、厚生労働省案に対して、経済界から、限定し過ぎては全く意味がないのではないか、そのような反発の声が上がることも予想されております。

 今後、どのように取りまとめていくおつもりなのか、お尋ねをしたいと思います。

田村国務大臣 五月二十八日の産業競争力会議でございましたが、私の方から、成果というものを評価する、そういうような働き方、仕事、時間ではなくて成果を評価するような、そういう働き方に関して、時間という考え方ではなくて、一つ、適用除外というような形を含めて提案をさせていただきました。労働時間制度の構築という意味からしますと新たな考え方であるわけでありますが、これに対して、民間議員の方からは、我々の提案をしたものよりもさらに幅広なお話もございました。

 これから、さらにここを詰めていくわけでございますが、総理からは、その後、言うなれば、職務の範囲の明確化ということと高い職業能力を持っている、そういうような労働者に対象を絞り込むようにというような御指示をいただいたわけでございますので、そのような総理がおっしゃられた意味、ほかにも総理は、例えば、本人の意思というもの、本人が望めばという話、それからもう一つは、賃金が低下しないということもおっしゃられたわけでありますけれども、このような観点、御指示をいただいたわけでございまして、こういうところを中心に民間議員の方々と詰めをしてまいらなければならないというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、これはあくまでも産業競争力会議の中の話でございますので、その後、ある程度の案というものに対して労働政策審議会で御議論をいただいて、その上で最終的には制度化を図っていくわけでございますので、そのプロセスは今までと変わらないということであります。

中島委員 先ほど申し上げましたように、時代の変化に伴って、人材の能力を高め、その能力が最大限に発揮されるよう、規制改革を含め環境整備、大変重要な観点だというふうにも思います。

 今後、六月の成長戦略に盛り込まれ、早ければ来年の通常国会には労働基準法改正案として提出されることになるのかな、そんなようなことも思うわけですが、限定なのか拡大なのか、一方では、労働者不在で議論されているとも指摘をされておるというふうにも聞きます。基本的には、先ほど言った趣旨には私は賛同するわけでございますが、規制改革を含め、慎重な議論をぜひ進めていただきたいと思います。(田村国務大臣「ちょっと訂正、一点だけ。済みません、いいですか」と呼ぶ)はい。

田村国務大臣 民間議員と申し上げましたけれども、総理からは、大臣間、関係大臣間で詰めるようにということでございます。

中島委員 慎重に議論を進めていただきたいと思います。

 続いて、本則に戻りますが、本法律案の対象となる労働者、その要件についてお尋ねをしたいと思います。

 対象労働者となる要件として、プロジェクト型の業務につくこと、二つ目に専門的知識等を有すること、そして一定以上の年収を得る者の三点が大きくございます。

 専門性と年収という二つの切り口から対象労働者の範囲を定めていることは、妥当なことだと私も思います。どこまで高いレベルの専門性を求めるのか、どの程度の額を年収要件とするかによって、対象労働者の範囲は大きく異なると思います。

 本法案では、労働契約期間に関する現行の特例要件を参考に、有する能力の専門性として、高次の学位や資格の取得者、年収要件としては一千万円以上としていると理解をしておりますが、そのような対象労働者が何万人程度、そして労働人口の何%を占めると見込んでいるのか、お尋ねしたいと思います。

中野政府参考人 高度専門職の専門的知識や年収等の具体的な要件は、ただいま先生からも御指摘がありましたように、法案成立後、労働政策審議会の検討を経て省令等で定めることとしておりますので、現時点でその人数を見通すことは困難でございますが、統計データ、平成二十三年有期労働契約に関する実態調査によりますと、高度技能活用型、こういうくくりで見ましたところ、全体の三・六%。それからまた年収要件も、これはこれから議論して決めることでありますが、このデータでは年収一千万円以上というくくりがございまして、ここで見ますと全体の二・一%。

 そして、現在の有期契約労働者、平成二十五年で千四百四十二万人でございますので、これをもとに推計いたしますと、約一万一千人弱となります。このうち五年を超えるプロジェクトに従事する者が、今回の法案の特例の対象になり得ると考えているところでございます。

中島委員 全体数からいきますと、大変慎重なスタートだなと。スタートとしてはこれでいいのか悪いのかというところもあると思いますが、今後、施行状況をしっかりと評価していっていただきたい。

 専門性の基準や年収額について、今回、法律でなく省令等で定めることとしたことで、施行状況を踏まえた適時適切な見直しも道が開かれているということだとは思いますが、施行後は、しっかりとしたレビューに基づく見直し、検討を行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

中野政府参考人 この法律の施行に当たりましては、この特例が事業主に適切に利用されるよう、特例の趣旨や内容につきましてわかりやすく周知を行いますとともに、施行状況をしっかり把握してまいりたいと考えているところでございます。

中島委員 今回は、恐らく二〇二〇年のオリンピック対応、これが直接の契機であったんだと思います。そのために、今回の法案ではプロジェクト型の業務に対象が限定されている。

 しかしながら、本来は、無期転換権によって保護すべき労働者の範囲を真剣に考えて、その結果に基づき措置すれば足りると言える部分もあるのではないかというふうにも思います。プロジェクト型の業務であることは、無期転換権から除外するための十分条件ではあったとしても、必要条件ではないとも思われます。

 この辺について、どのように考えていますでしょうか。

中野政府参考人 昨年の臨時国会で成立いたしました国家戦略特別区域法附則二条におきましては、五年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務につく高度な専門的知識等を有する労働者について、検討を行うように規定されていたところでございます。

 この国家戦略法、ただいま申し上げた部分を踏まえて、それを含めて今回法案化しております。したがいまして、五年を超える一定の期間内にプロジェクトが完了することが予定されている業務につく高度な専門家を対象としているということでございます。

中島委員 今も言ったように、本来、無期転換権から除外するための大事な部分というのは、今回オリンピックが契機になっておるということで、そこが中心になっている。

 今法律案、おおむね、こんなことを最初から言っていいかわからないんですが、私は賛成の立場でございまして、そういったことからいって、若干かみ合わせが悪いようなところがあるのかなというふうにも感じるんですね。

 特例の二番目に定年退職後の高齢者が入っていることと、国家プロジェクトとして五年以上七年とか八年設定されたものに対するものと、本来、雇用状況、冒頭にも言ったように、時代のニーズに沿った、資するものになっているかというと、若干、ちょっとぎこちないなということは印象としてあります。今後の労働市場のグランドデザインを担う厚労省として、しっかりとその問題意識は共有していただきたいな、そのようにも思います。

 先ほどもございましたように、産業競争力の強化に関する実行計画において、本案を産業競争力強化法に定める重点施策と位置づけておるということですが、本案の特例を認めることが、具体的に競争力の強化や我が国の経済再興にどのような役割を果たすと考えているのか。例えば、GDP比でいけばどのくらいのものを見込んでおるのか、お尋ねしたいと思います。

中野政府参考人 本法案が対象とする高度の専門的な知識等を有する有期労働者及び定年後の高齢者につきまして、その特性に応じた雇用管理を図るとともに、無期転換申込権発生までの期間特例を設けることによりまして、雇用の安定を損なうことなくその能力を一層有効に発揮することができると考えております。

 この特例を通じまして、なかなか今、先生御指摘がありましたが、GDP比が幾ら向上するというような試算は難しいかとは考えてはおりますが、こういう労働者の能力の有効発揮や労働参加の拡大を通じまして、活力ある社会の実現につながることから、競争力の強化や経済成長にも資するものと考えているところでございます。

中島委員 先ほども申し上げましたが、今法律案では、労働人口がどのくらいかというのは正確にはわからないということでございましたが、大変慎重なスタートとなるということですけれども、これからの労働市場を考えたときに、人材の能力を高め、先ほど申したように最大限に発揮できるように、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 あと何点か通告していたんですが、ちょっとここだけ、本則とは違うんですが、大臣にお願いですが、子供貧困対策について。

 これも何度もほかの委員会でも御質問をさせていただいておって、本年の一月に子ども貧困対策法を施行されて、ちょっと時間がかかって、四月の四日に、総理出席の閣僚会議が開かれた。その後、三回の検討会、そして来週も第四回目の検討会が開かれるというふうに聞いております。

 二週間前ですか、子ども貧困ユースミーティング、私は残念ながらちょっと出席できなかったんですが、衆議院の厚生労働委員会の先生方もたくさん出席をしていて、そこに数多くの要望というものがございました。

 これも以前もお願いしたところなんですが、大綱の作成、それに向かって、今、検討会が開かれておると思いますが、八月の概算要求、そこには何としても具体的な内容を盛り込んでいただきたい。児童扶養手当、遺族年金のせめて二十までの拡充を含めて、要望事項をしっかりと来年の概算要求に盛り込んでいただきたいということを、所管の大臣でございます田村大臣に、御決意というか、そこに向かっての御発言をぜひお願いしたいと思います。

田村国務大臣 大綱の作成に向かって、今、鋭意作業を進めておるわけであります。

 今委員から個別の要望がありましたが、御承知のとおり、いろいろな要望をいただいております。そこはバランスを考えなきゃならぬところもございます。

 いずれにいたしましても、いただいた要望等々を含める中において、大綱というものをつくり、そして、その上で、概算要求に向かって我々も努力をするものはしっかりとやってまいりたいというふうに思います。

中島委員 四月から消費税も増税されております。子供たちの置かれた状況は、日々深刻さを増している可能性が否定できません。

 ぜひ田村大臣にはしっかりとやっていただきたい、そのようにお願いをいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 おはようございます。結いの党の井坂信彦です。

 本日は、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法の中身について、二十分間質疑をさせていただきます。

 まず、この法案は、先ほどもありましたけれども、国家戦略特区法の附則の二条を踏まえたもので、実際、この法案の目的にも、専門的知識を有する有期雇用労働者に能力を発揮してもらい、これが日本の経済発展になるんだ、こういうふうに書いてある法律であります。

 ここまではわかるんですが、この法律に突然、定年後の高齢者のルールも加わっているわけです。この高齢の有期雇用労働者を無期転換ルールの適用除外とすることは、本法律の目的及びその立法事実とも言える特区法附則二条とどのような関係があるのか、まず参考人にお伺いをいたします。

中野政府参考人 定年後の高齢者に関しましては、御指摘のとおり、国家戦略特別区域法に検討を行う旨が規定されているわけではございませんが、本件につきまして議論を行いました労働政策審議会において、使用者側から検討要請があったところでございまして、同審議会の検討課題となったところでございます。

 この高齢者につきましては、雇用管理措置をとることによってその能力を有効に発揮してもらう、その意味で、高度専門知識を有する労働者と同様な手法、それから、その能力の有効発揮、それがひいては活力ある経済社会につながる、こういう共通点がございますので、その意味で、審議会においても一緒に議論し、それから、その結論も考慮し、おおむね妥当ということでなったわけでございます。

 このような経緯を踏まえまして、定年後の高齢者につきましても、今般の法案による特例の対象者としているところでございます。

井坂委員 経緯の御説明はわかりましたが、やはりいま一つ釈然としないのは、この高齢者のルールというのは、本当に定年後に雇わなければいけない中で、実際、適用除外をしないと非常におかしなことになってしまうということで追加された今回の二番目のルールではないかなと思います。

 そこで、お伺いをいたしますが、前回の労働契約法改正の際に、こういったことは予見できなかったのか。あるいは、高齢の有期雇用労働者に対しても無期転換ルールを例外なく適用することに、前回の労働契約法改正の際にはしたわけですが、そのときは何か議論がなかったのか。何でこういうふうに前回はなってしまったのかということについて、大臣にお伺いをしたいと思います。

田村国務大臣 二十四年の労働契約法の改正において、今、高齢者の問題に関して、私自身、委員会で議論があったかどうか、ちょうど我々野党であったわけでありますが、それは定かな記憶がないんです。ただ、いろいろな議論の中で、交渉の中で、高齢者の方々が無期転換すること自体は、やはりちょっと理屈としておかしいのではないか、こういう議論もやっておりました。

 つまり、定年もそうなんですけれども、言うなれば、一回リタイアされて、その後、第二の職業人生を歩まれる方々に、無期転換というようなもの、一つ、六十五歳というものを考えるとすれば、七十以降、六十歳という方もおられるかもわかりませんが、今、継続雇用も含めて引き延ばしている最中でありますので、どうなんだろうという議論はしたんですが、やはりこの労働契約法というものは、年齢で差別することなく、全ての方々に対して適用するべきではないかというような御議論の中において、高齢者も含めて、このような形で、通算五年無期転換というようなルールにしたわけであります。

 今般は、適用除外ではないわけでありまして、あくまでも特例という形を組んでおります。それは、言うなれば、雇用管理の計画を認定された企業にのみこれが特例として適用されるわけであります。

 今までずっと企業で働いてこられて、いろいろなノウハウ、働き方もそうでありますし、知識も蓄積をされておられる、そういう高齢者の方々のお力をおかりしようという形の中において、もちろん、雇用管理というものには配慮をいただく。例えば職務でありますとか配置というものは、やはり加齢に伴うものもございますので、そういうところには配慮をしていただきながら、その能力を生かしていただくということを考えた場合に、これは適切ではないのかということでございまして、このような特例というものを設けさせていただいたということでございます。

井坂委員 適用除外というのは確かに言い過ぎで、こういう特例の道もつくるという本法律であります。

 私は、今回、平成二十四年に労働契約法を改正して、またすぐにこうして別ルートが必要となってくるというのは、やはり当時の議論がどうだったのかなというふうに多少疑問に思うところがあります。もし、当時議論がされていて、当時はこういうルールは必要ないということになって、また今すぐこういうことが必要になったのであれば、やはり当時の議論をもう少ししっかりするべきだったのではないかなと思いますし、当時野党だったとおっしゃいましたけれども、野党側からそういう意見が出ていたのは、やはりこれは政府側も一定耳をかす必要があったのではないか。

 逆に申し上げれば、この委員会質疑でも、我々野党側がいろいろと建設的なことや懸念も申し上げておりますので、それはそれで随時真摯に取り入れていただきたいなと改めて思う次第であります。

 さて、特例だということで、特例措置認定の取り消しのルールについて伺います。

 この雇用管理が計画どおり実施されていないと大臣が認めるときに、「認定を取り消すことができる。」というふうに、大変、持って回ったような曖昧な言い方になっております。私は、これは、取り消しの基準の明確化及び取り消しの義務化、こういったことが必要ではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 委員がおっしゃられたのは、第五条の二項の第一類の認定計画と、それから第七条の二項にあります第二類の認定計画のお話だというふうに思います。

 これは、要するに、適切な雇用管理をしていなければ「取り消すことができる。」というふうになっておるわけでありまして、今おっしゃられたのは、取り消さなければならないというか、取り消すというふうにもう断言した方がいいんじゃないか、「できる。」というのは幅があり過ぎるのじゃないか、多分そういうような趣旨でよろしいのでしょうか。(井坂委員「はい」と呼ぶ)

 これに関しては、仮にやられていない場合、助言指導をするわけでありまして、それで改善されるということがあるわけでありますから、改善されれば、それは取り消すということもしないわけであります。

 ただし、悪意を持ってやっている場合には、それはもういきなり取り消さざるを得ないということもあるわけでございまして、そこは、適切な雇用管理というものをどのような形で、やってこれなかったのかということも勘案しながら、助言や指導で改善されるのであるならば、取り消すところまでは至らなくてもいいであろうということも含めて、幅を持たせておるわけでございますので、御理解いただければありがたいというふうに思います。

井坂委員 最後の「できる。」ということは、確かに、必ず取り消さなければいけないというのは厳し過ぎだという答弁でありますが、その前に私が申し上げた、大臣が認めるときというふうに書いてあるのは、ここにもやや恣意性を感じるわけですけれども、これは特に問題ないでしょうか。

田村国務大臣 大体、この手の法律はそのような書きぶりになっておりまして、別に意図があるわけではございません。

井坂委員 取り消しのルールについて今伺っておりますが、雇用管理が計画どおり実施されていないということが、そもそもどうやって把握をされるのかということについても、法律ではよくわからない部分があります。

 雇用管理が計画どおり本当に実施されているのかどうか、この把握の手段についてはどのようなものがありますでしょうか、参考人に伺います。

中野政府参考人 事業主が作成いたします雇用管理に関する措置の計画につきましては、まず、厚生労働大臣は、計画の実施状況について事業主から報告を求めることが可能となるような仕組みになっております。

 さらに、法案成立後、労働基準法施行規則を改正いたしまして、労働契約の締結、更新に際しまして、本法案における特例の対象となる労働者につきまして、無期転換申込権発生までの期間等を書面で明示することを認定を受けた事業主に義務づける方針について、議論いたしました労働政策審議会において労使のコンセンサスを得ているところでございます。

 このため、計画と実態が合致していないケースについては、対象となる労働者等からの指摘を通じて把握することも可能な仕組みになっているというふうに考えておるところでございます。

井坂委員 報告を求めることができる、それからもう一つは、労働契約の際に、事業主は労働者にこういうルールでやりますよということで、労働者側がちゃんと書面でそれを確認できるように義務づけるので、労働者側が、あれ、書面と今自分がやられていることが違うなと気づけば、労働者が自発的にそれを労基署かそちらの方に通報するということで実態が把握できる、こういう御説明でありました。

 まず、一点目の報告に関してなんですけれども、事業主からの報告の徴収という規定はあるわけでありますが、しかし、その事業主が報告をしなかった場合の罰則規定や、あるいは、うその報告をした場合の対応措置などはないのかということについて、重ねて参考人に伺います。

中野政府参考人 確かに、御指摘のとおり、罰則等の仕組みは設けておりませんが、先ほど御答弁申し上げました仕組みによりまして、対象となる労働者等から計画と実態が合致していない、こういう指摘があれば、行政といたしまして、事業主から状況を確認いたしますので、その結果を踏まえて認定を取り消すことも可能でありますので、罰則という規定を設けなくても労働者保護を確保することは可能であるというふうに考えているところでございます。

井坂委員 先ほど、把握手段といって、真っ先に報告を求めることができるんだとおっしゃいましたが、しかし、その求めに事業主が応じなくても、あるいは、うその報告を出してきても、それに対しては、政府側としては何ら実効的な手段を持たないということでよろしいでしょうか。

中野政府参考人 虚偽の報告を出したりしてくるような事業主の場合、多くのケースが、労働者も何らかの契約と実態が合っていないということで行政に対して指摘してきて、もめるケースだと思います。

 そういう場合は、行政が事業主に事情聴取したりして実態把握に努めますので、そうすることによりまして計画の認定を取り消せば、今回の特例の法的効果は生じない、通常のルールに戻るということのサンクションが事業主に対して与えられるような、事実上のサンクションがそういう形で適用されることになりますので、このような仕組みによって、先生御懸念のような点は対処できるものと考えているところでございます。

井坂委員 実効性についてやや疑問を感じますが、労働者側がきちんと、書面と自分がされていることが違うからおかしいと気づいて、言ってきた場合は、そういうふうなことが適正に行われるということだと思います。

 もう一点伺いますが、今度、また別の話ですけれども、事業主は高度専門職に対する能力の向上機会を与える、それに対してさらに国が助成をする、こういう仕組みも本法律に含まれております。私は、これに関しては、本当にこういったことがそもそも必要なのかなというふうに疑問を持っております。

 と申しますのは、やはり本法律、高齢者の話は別にして、特に第一種と呼ばれている高度専門職というのは、まさにこういう労働法制のある種の規制緩和の対象とされている高度の専門職は、高い年収で、事業主といわば対等な立場で本当に労働契約が結べる強い労働者だという見込みのもとに、規制の緩和がされているというふうに考えるわけです。

 そういう、いわば強い労働者、高度の専門性を持っている労働者に、またわざわざ法律で、事業主が能力の向上機会を与えるとかトレーニングの機会を与える、さらにそれを政府が助成までしてバックアップする。ここまでする必要があるのかというふうに疑問に思うわけでありますが、その点、大臣、いかがでしょうか。

高鳥大臣政務官 井坂委員にお答えいたします。

 第一種計画の認定を受ける事業主は、特例の対象となる高度な専門的知識等を活用する有期契約労働者につきまして、その能力を維持向上させる機会の付与等の措置を講ずる必要がございます。

 こうした労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置が適切に行われるためには、国による助成等の援助が効果的であるということから、法案第九条では、国は援助等に努めることとしたものでございます。

 なお、助成等の支援策の具体的な内容につきましては、法案成立後、必要な措置を検討してまいりたいと考えております。

井坂委員 中身は今後考えるということでありますけれども、高度の専門職に維持向上ということが本法案に入っておりますけれども、私は、やはり先ほど申し上げたように、この件に関しては、本当にそんなことを、それはやる事業主があってもいいですけれども、別にそんなこと、法律に書き込むことなのかなというふうに感じるわけであります。

 むしろ、先ほど申し上げたような、きちんと雇用管理が計画どおり実施されているかどうかのチェックとか罰則とか、そちらの義務の方でしっかり縛って、やる。一方で、高度専門職は、事業主や国がどうこうする対象ではない強い労働者、だからこそ規制の緩和を一定許される、こういうたてつけがむしろ自然ではないのかなというふうに私は感じるわけでありますけれども、その辺の価値観は、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 今回の制度の一つの趣旨は、高度な知識を持っておられる方々、専門知識等々を生かして、なぜ五年たって無期転換しないかというのは、そのようなプロジェクトの期間がある中において、そこで働く方々が、さらに、働くことによってその専門的な知識や能力を高めていただき、さらに次の新しい仕事の方に移っていただく、そういうような趣旨が入っておるわけでありまして、やはり能力を高めていただかなきゃならぬわけであります。

 そこで、先ほど、私、第一類と言いましたが、第一種でありますけれども、一種の計画、これを受けた企業の中において、やはり、企業としては、持っている専門知識等々、これに対しての維持向上を図るような機会を付与する、要するに、そういうような措置を講じなければならないわけでありますから、それに対して国が一定の助成をするというものは、それが円滑に進むものであろうという考え方であるわけであります。

 ただ、新しい制度を用意するわけではなくて、キャリア形成助成金というのがございますので、今まである制度を、若干拡充はしますけれども、そういう中において対応していこうという考え方でございますので、今まである制度の中において後押しができるのであるならば、それはそれとして資するのではないかということでございます。

 やり過ぎではないかというお話がありますけれども、もともとは、やはり、能力を高めていただいて、さらに発揮していただこうということが趣旨の中にあるわけでございます、この制度は。その点を御理解いただければありがたいというふうに思います。

井坂委員 終わりますが、本当に高度、専門性で高収入の労働者まで、こういう厚生労働省のいわゆる職業訓練行政の対象であるのかなという疑問がありますので、また来週の水曜日もこの件を議論させていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

後藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時四十一分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時四十一分開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょう、厚労省の皆様に加えて、お忙しいところ、岡田副大臣、西川副大臣、小泉政務官、お越しいただいて本当にありがとうございます。

 私が三先生が好きなんだということをおっしゃる方もいらっしゃいますが、ということもありますが、先生方が省庁を超えた重要なお仕事に取り組まれておられて、かつ、私がその重要なテーマを取り扱った結果こうなっているわけでございますので、ぜひ御理解のほどお願いを申し上げます。

 早速ですが、通告順で、西川副大臣にはお手間をおかけします、お時間をとりますが、まず、きょうは法案の審議でございますが、次のバッターである重徳委員に、法案それ自体の議論は重徳委員中心に取り扱わせていただいて、私の方からは、その関連、周辺の、働き方を中心に討論をさせていただきたいと思います。

 まず、二十八日の産業競争力会議で、残業代ゼロ法案と余り正しくない表現で報道もされておりますが、いわゆる新しい労働時間制度ということで議論がなされています。総理からも、これは時代に即した働き方の選択肢をつくっていくんだ、こういう表明がなされておりますし、また長谷川主査の方からも、その規模について、労働者の一割もいかない程度だったか、何かそういう表現で、一定の規模感について御示唆をいただいています。

 簡潔で結構です。これは小泉政務官になられるのかな、産業競争力会議での二十八日の議論、特に規模感を含めて、様子をお教えいただければと思います。

小泉大臣政務官 足立委員が御指摘の二十八日の産業競争力会議、この場で労働市場改革、働き方について議論があったわけですが、この問題についてさまざま報道もありますが、一部の報道など、テレビまた新聞、そういったことを見ていても、これはかなり誤解も誇張も含めてあるので、正確にお話をしなければいけないと思います。

 これは、民間議員の方より、限定された労働者について、適正な処遇の確保、労働時間の量的制限の導入等の健康確保措置の実施を前提にして、時間ではなくて成果で評価される働き方を実現させるための新しい労働時間制度の創設について提言をされたものなんです。

 そして、民間議員の方からは、今、足立先生の御質問に答える部分においては、これは、イメージとしては全体の一割にも満たないぐらいではないか、そういったイメージを持っているという発言がありました。

足立委員 ありがとうございます。

 今、正確に、一割にも満たない程度ということで御紹介をいただきましたが、逆に言えば、まさか〇・何%とか〇・〇〇〇何%なんということはないようにしていただきたい。長谷川主査のイメージということでいえば、私は、一割に近い、そういう規模が期待をされているところであると思っています。

 これについて、厚労省、田村大臣の方から、ぜひ、厚労省がこれを受け取って実際に制度をつくっていかれるわけですので、田村大臣としての、この新しい労働時間制度の創設に向けた御決意を伺えればと思います。

田村国務大臣 どちらからも非難をいただきそうな、そんな雰囲気がありますけれども。

 五月二十八日の産業競争力会議におきまして、我々としては、成果による評価、これができる職種であるということでございまして、世界レベルの高度専門職、こういう方々に限って検討するということでございます。

 いろいろな議論がそのときにあったんですが、我々は、中核部門でありますとか研究部門、こういうところで働く方々は、成果といっても、なかなかそれをはかれない、いろいろなことをやられておられますから、成果自体をはかることがなかなか難しい、そういう方々に対して、裁量的に働かれるということでございますので、裁量労働制、この提案をさせていただいたわけであります。

足立委員 大臣、非常に苦しいお立場というか、いろいろな意見が恐らく政府の中あるいは党内にもあるかと思いますが、私はこのテーマをきょう取り扱わせていただくのは、これは、ひとり労働規制の、労働政策の問題だけではないと思っているからでありまして、これはまさに、いわゆるアベノミクス、日本の経済が成るか成らないかの、経済運営が成るか成らないかの大きなテーマである、こう思っております。

 今、大臣の方からは、裁量労働制の新たな枠組みも含めて御検討をされるということでありますが、私、この二つが何か代替関係にあるかのような議論がなされるのは若干不適切だ、また、誤解を助長する、こういうふうに思います。

 言うまでもなく、釈迦に説法でございますが、裁量労働制というのは、あくまでも労働時間規制の枠内で、いわゆるみなし残業時間、そして夜間等の時間外の割り増し、こういう枠組みでできている制度。これと、いわゆる成果、能力に応じた賃金、これはもう全く異質なものでありまして、もちろん、労働市場全体をどう評価するかという、労働市場の評価に関する認識の違いはあったとしても、制度として、新しい労働時間制度にかわって何か裁量労働制の新枠組みがそれを代替できるかのようなイメージを、もし厚生労働省が世間に、国民に与えるとすれば、それはまたミスリードではないかと思っています。

 大臣、今、裁量労働制に言及をいただきました。裁量労働制の新たな枠組み、資料を拝見しても、実は、それが何なのか、私にはよく見えてきません。この具体的な内容、あるいはそれを適用しようと思っておられる規模。もうこちらから申し上げますが、いわゆる専門的、企画的でしたか、いろいろな今認められている裁量労働制については、せいぜい一・数%とか〇・何%。

 私は、先ほどもあった一割、できれば二割、こういう規模でこういう時代に即した働き方を認めていくことが大事である、こう思っていますが、大臣、この裁量労働制の新たな枠組みを御紹介いただければと思います。

田村国務大臣 新たな枠組みと申しますか裁量労働制を、我々としては、中核部門で働く方々もしくは研究開発部門で働く方々も対象にしていこうという話でありまして、これは明確であります、違ったものでございますから。

 言うなれば、成果を評価する働き方というものは、時間ではかれない働き方であります。一方で、裁量労働制は、これは時間の中で労働をみなすわけでありますので、一定時間でこれぐらいの労働量だというのをみなす、つまり、時間ではかれるわけであります。時間ではかれるか、はかれないか、これは明確に違いますから、時間ではかれない成果というものを評価するのは、それは新たな制度というものの中に入るのでありましょう。

 一方で、我々が言っているのは、業務というものが成果という形ではなかなかわからない、それは、時間である程度はかった上で業務量というのを決める。それをみなした上で、その中において、より短時間でその業務ができる人たちはそれで帰ってもいいですし、場合によっては、生産性が上がることによって御本人の賃金も上がる、こういう考え方であるわけでございます。

 要は、時間ではかれるものなのか、はかれないものなのか、もしくは成果ではかれるものなのか、はかれないものなのか、こういうところがこの二つの違いである。

 我々は、成果ではかれない、時間ではかれるものに対して、裁量労働制というところで、生産性も上げていただきながらワーク・ライフ・バランスもしっかり保っていただく、こういう提案をさせていただいておるわけであります。

足立委員 ありがとうございます。

 まさに簡潔に、私も同意でありまして、時間ではかれる仕事と成果ではかれる仕事とあるわけですが、昔、工場のラインで仕事をしておったときには、時間が二倍になればアウトプットも二倍になる、そういう時代はまさに時間ではかるということが適切であったと思いますが、今や、いわゆるホワイトカラーと言われているような方々は、おおむね、時間ではかるよりも成果ではかることがより適切なんだと私は思っています。

 大臣、端的に、今御答弁いただいたので、もし御見解があられましたら御紹介いただきたいんですが、今のこの労働市場の中で、時間ではかれる、成果ではかれる、それぞれ、どれぐらいの規模感でマーケットが、労働市場がある、どうお考えになりますか。

田村国務大臣 我々はホワイトカラーエグゼンプションを提案しているわけではないので、我々は、高度な専門能力を持った方々でありますから、これはホワイトカラーとは言わないんだろうと思っております。民間議員の方々がどのような名前をおつけになられているか、ちょっとそれは私は存じない。ホワイトカラーエグゼンプションとは言われていないというふうに思いますけれども。

 その中で、これは実は、我々としては、言うなればホワイトカラーと言われるような方々、一般的な事務からいろいろな企画からやられておられる方々というのは、例えば企画業務をやられている方でも、企画業務だけやっているわけじゃないですね、いろいろな職務をやっておられます。という意味からすれば、それは成果というものはなかなかはかれないであろう。

 つまり、いろいろな業務をやっているというものは、やはり時間ではかった上ででないと量というものをはかれないわけでありますので、そういう意味では、我々としては、これは時間ではかるものであろうというふうに思っておりますから、かなりの部分、ウエートまではわかりませんが、やはり時間ではからざるを得ない。

 成果といっても、その成果を限定しちゃいますと、ほかの業務ができないわけでありますから、その成果のみの業務しかできなくなってしまう。それが成果というものを評価する働き方であろうと思っております。

 なお、我々は、成果を評価する働き方とはいえども、やはり一定の労働契約における交渉力がなければならないと思っています。

 ヨーロッパ等々では、これは、よく我々が申し上げておるのはジョブ型という働き方でありますが、どこに勤めても、その方の能力に応じて、その職務に応じて、言うなれば賃金はほぼ同じというような形でありますが、日本の場合はそうなっていないわけでございますので、なかなかヨーロッパのような交渉力というものはないわけでありますから、そういう意味では、やはり一定の年収要件等々がかかってくるであろう。どこがそれにかかるかというのはこれからの議論であろうというふうに思いますけれども、そういうような形で提案をさせていただいたということであります。

足立委員 今、大臣の方からジョブ型という話がありまして、欧米はそうだが日本は違うんだ、こういうお話がありました。これは重要な論点なので、改めてお伺いはいたしたいと思いますが。

 その前に、可能であれば、小泉政務官、今大臣は、ちょっとどういう言葉を使われたかあれですが、要すれば、おおむね、大きなウエートでそれはやはり時間なんだ、こういう御認識を披露されました。私は、少なく見積もっても一割、二割、こういうイメージでございますが、政務官、もしイメージをお持ちでありましたら御開陳をいただければと思います。

小泉大臣政務官 甘利大臣も申し上げていますが、今のところ、ちょっと、厚労省として挙げておられるイメージというのはかなり限定的過ぎるのではないか。私も、この時間と成果ということを考えたときに、やはり日本というのは変わらなきゃいけないところがあるだろうと。

 私、ずっと野球部出身でしたけれども、日本というのは特に、とにかく時間さえかけて、朝から晩までバットを振っていればうまくなるんだと、時間が精神論と結びついて、それが美徳とされるところが結構ありますが、今メジャーリーグを見ても、練習時間は短い、球数制限もある。

 そういった形の中で、これからどうやって生産性の向上をさせていくのかと考えたら、まさに岩盤と言われるのがこの分野ですから、岩盤を打ち破るためのドリルになると言ったのは総理ですから、そういった指示のもとに、結果を出せるように頑張って調整をしたいと思っています。

足立委員 ありがとうございます。まさに私がいただきたい御答弁をいただいたわけです。

 本当にこれは難しいお仕事だと思いますが、私、まじめに、これは与野党を超えて、日本経済は大変大切な時期に、ことし、来年とかかっていくわけであります。その際に、当然マクロ政策も大事でございますが、やはりこうしたミクロ政策がマクロを支えなければ、それがアベノミクスの本質である、こう私は理解をしております。

 政府内でもいろいろな御議論があるかと思いますが、田村大臣も、恐らく本音は小泉政務官と同じだと思います。お立場、たくさんの現場を抱えていらっしゃいますので御苦労は多いかと思いますが、ぜひこれは踏ん張っていただいて、一割、二割、こういう議論を進めていただきたい、こう思います。

 大臣の方から、欧米はジョブ型であるという話がございました。成果は計測できないといけない、こういうことですが、先ほど私が工場の例を申し上げたように、では時間で計測できるのか。こういう議論が別途、どっちから光を当てるかによって、成果で計測できるかと大臣はおっしゃるから、それはなかなか難しいような気がする方もいらっしゃるかもしれないけれども、一方で、今働いているホワイトカラーの方、またホワイトカラーと言うとよくないかもしれませんが、では、それは時間ではかれますかというと、それまた非常に難しいわけであります。

 そういう中で、多くの事業者、多くの企業が目標管理を導入されています。厚生労働省も入っていますね。私がおりました経済産業省も導入しています。目標を設定して、それを達成できるか。それは、働いた時間で管理していないと思います。目標管理なんです。成果管理を導入しているんです、もうみんな。そうであれば、先ほど小泉政務官がおっしゃったように、これからの時代のウエートは、時間よりは成果にウエートを置いていく、これが大事だと思っています。

 大臣、産業競争力会議の場でも大臣は成果の計測ということをおっしゃっていますが、目標管理をしていれば、それがまさに成果ではかれるある種の証拠になると私は思いますが、いかがでしょう。

田村国務大臣 具体的に目標にもよるわけでありまして、成果を目標に置いておられれば、それはそういうことになるのでありましょうけれども、例えば、その部門での目標みたいなものにどう貢献するかということであれば、これはやはり成果ではない。チームの成果というものは個人の成果としてはかれないわけであります。

 私が申し上げておるのは、時間でははかれるわけでありまして、ただし、人によって、時間によってやれる業務量は違います。よく言われるのが、だらだら残業をして残業手当をもらっている人たちがいる。これは厳格にやれば、その方々は本来、八時間なら八時間でみなす業務量というものが限られるわけでありまして、それに対する待遇は他の方より低くなるんですね、低くなる。つまり、同じ業務量をやろうと思えば、残業量まで入れたそういうものがみなしという形になって、同じ賃金になるという形になるわけであります。

 本来はそういうような管理を、なかなかこれはうまくやれない部分もありますが、やるのが本来であるわけでありまして、目標というものが成果ではかれるようなものであれば私はそれではかれると思いますけれども、目標というものをどうはかるかというのはなかなか難しいわけであります。

 でありますから、あくまでやはり成果というものがはかれるかどうか、定量的であるかどうかというのが我々の考え方。裁量労働制でも労働生産性は上がっていくわけでありますから、労働生産性を上げるという意味では裁量労働制ではだめだというふうな話にはならないのであろうというふうに思います。

 ちなみに、深夜が確かにかかりますけれども、やはりワーク・ライフ・バランスを今言っているときに、なるべく深夜というものは外すべきであろう、働かない方がいいであろうと。もちろん、成果を得るために深夜に働かなきゃいけないというような方々はおられます、特別な働き方。こういう方々は、そういう成果を評価する中において、そういうところも含めて、多分、成果給の中にちゃんと入っておるのであろうというふうに思いますから、決してその方々はかわいそうだというわけではないわけでありまして、そこがやはり、成果を見るのか、それとも時間ではかる仕事なのかというところの違いなのであろうなと。よほど労働生産性は上がろうというふうに考えております。

足立委員 大臣もよくわかっていらっしゃっての上だと思いますが、やはり裁量労働制は、大臣おっしゃったように、一定の意味があると思います。ただ、裁量労働制が合理的である働き方というのは、あくまでも働いている方の間で成果や能力に関する格差が小さいときは裁量労働制で一定の整理ができると思いますが、能力、成果に格差がある場合には、それはあると思います、いわゆるホワイトカラーと言われている人たちは能力、成果は格差がありますよね。その格差が小さい場合は、私は、裁量労働制というのは一定の意味がある。

 ただ、今大臣がおっしゃった例えば深夜割り増しなんかも、これは残業のインセンティブになっていませんか。これからワーク・ライフ・バランスというのであれば、むしろ、ヨーロッパのように労働時間の上限等を設ける等の規制で、本当にそれが労働者を守るために必要だということであれば規制すればいいんです。それを今は、いわゆる深夜に係る割り増し賃金をみなし残業時間に上乗せをして、それは経営者からすればディスインセンティブになりますが、働く側からすれば、これは残業するインセンティブそのものだと私は思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 インターバル規制のあるエグゼンプションというものがあるのかどうなのか、私はちょっとわかりませんが、インターバル規制は本来ないんでしょう、エグゼンプションには。

 だから、裁量労働制にインターバル規制を入れるかどうかというのは、これはある議論だというふうに思います。ただ、インターバル規制は、これはやはり事業者からはいろいろな御意見があるというのも事実でございまして、もう少ししっかりと議論をしていかないと、今度は事業主の方からいろいろな御意見が出てくるわけであります。

 深夜割り増しがあるから、それで深夜も働くんだ、ただ、裁量労働制で、深夜までの間は残業手当はつかないわけですよね。その残業手当がつかない間ずっと、本来五時、六時に終わって帰れるのに、十時まで手当がつかないのに待っていて、十時からつく深夜割り増しを期待して働くなんという方は、まず本来いないであろうと私は思いますね。でありますから、もしどうしてもそういうことになった場合には、それぐらいはつけてもらわなきゃ困るという話であります。

 本来は、能力に差がある場合は、その方にはそういう設定の裁量労働制をつくるべきであるわけでありまして、これは設定の仕方で、能力に差があっても裁量労働制というものは使えると思いますし、成果給も、エグゼンプションのような形も、人によってやれる成果は違うわけでありますから、それぞれ成果の報酬が違ってくる。つまり、成果が違うという形の中において報酬を設定するわけでありますから、やはり成果の設定という意味では同じような話。

 こちらの裁量労働制の、能力のある人とない人、それから成果も、やれる人とやれない人、それぞれ設定が違うわけでありますから、きめ細かい制度設計をすればやれるのではないか、このように考えております。

足立委員 ここからの議論は、恐らく、大企業、中堅企業、中小企業、零細企業、いろいろな企業あるいは業種によっても働き方が違います、それぞれの実態に即して裁量労働制を適用するのが、今大臣がおっしゃったように適当なのか。あるいは、それでは労務管理というかそういう観点から煩雑に過ぎるため、やはり新しい労働時間制度なるものを創設して、成果、能力に応じた賃金をしっかりと返していく。また、いわゆる管理という意味では、総労働時間をしっかり規制していく。私は、そういう働き方を少なくとも一割、二割の規模でつくっていかなければ、日本の経済に未来はないというぐらいの気持ちで今質問をさせていただいています。

 とにかく、某マスコミとか某党とか、何かありもしないレッテルを張って、この委員会でも多々なされていますが、このレッテルで厚労省が後退をする、労働基準局が後退をするということは、私は絶対にこれは国の損失だと思っています。

 大臣、きょう、合間で参議院で陳謝をされてこられたわけでありますが、私は正直、地域医療介護法案はこれで通ると思いますからいいんですが、派遣法も、私は党内でも、もう正誤表でいい、こういう主張をしてきました。大体、これは誰の得になるんだと。派遣法をこの国会から追い出して一体何が生まれるか、マイナスのことしか生まれないですよね。だから、私は、今国会で本当は派遣法も通すべきであったと思うし、この有期雇用の法律も当然すぐ通せばいいと思っています。

 しかし、繰り返しになりますが、田村大臣におかれては、内閣府、小泉政務官を初めとする、赤石次長、事務方を含めて、これは絶対にそういったマスコミや某党に押し込まれないようにぜひ闘っていただきたい、仕事を完遂していただきたい、そう思います。

 最後、この労働規制の点で気になるのが、二十八日にも御紹介をいただいた解雇紛争の金銭解決であります。これは長年の課題でありますが、紙を見ると、調査する、分析する、何かこれは後退していませんか。かつて厚労省は、しっかりと本格的な導入に向けた検討をしておったはずであります。これは、具体的な検討をちゃんと進めていただけますね。佐藤副大臣、お願いします。

佐藤副大臣 この件は、足立委員も、この委員会でも昨年来ずっと御主張を展開されていることも存じておりますし、また、政府の産業競争力会議でも、何回か私も出たところでもテーマになりました。

 その上で、ことしの一月二十日に、この解雇紛争も含め、個別労働関係紛争の解決システムについては、成長戦略進化のための今後の検討方針の中で、政府としてのその段階での方針が決まりまして、具体的には、予見可能性の高い紛争解決システムの構築に向け、労働審判事例等を分析、整理、公表するとともに、諸外国の労働紛争解決システムの制度や運用について研究を進めることとされているわけであります。それを受けまして、厚生労働省としては、この方針に基づいて既に分析や研究を進めているところであります。

 その上で、五月二十八日にもう大臣が状況を説明されているわけですが、我が国の実情に即して、その研究を踏まえて幅広く検討していく旨を大臣もその日に説明をされたところであります。

足立委員 今、佐藤副大臣の方から御紹介いただきました。私も、大学の後輩として、また大阪の国会議員として、佐藤副大臣にはしっかりついていきたいと思っていますので、これ以上追及はしないようにいたしますが、ぜひこれは、調査分析だけではなくて、今御答弁いただいたように、しっかり厚労省として検討のテーブルにのせていただきたい、こう思っております。

 では、あと十分強ですので、一旦この労働規制の話は閉じます。小泉政務官、赤石次長、ありがとうございました。

 それでは、もう一つ。今、大変、きょうもこういうことで質問をするということを言っておりましたら、地元あるいは地元を超えていろいろな方々、特に幼稚園関係者から、やはりしっかりこれは確認しておいてほしい、こういうお話がありまして、岡田副大臣、西川副大臣には、本当にお忙しいところありがとうございます。お待たせをいたしましたが、時間の関係もあるので簡潔に質問をさせていただきたいと思います。

 先般も、消費税一〇%の問題、これを取り上げさせていただきました。一方で、きょうは岡田副大臣がおいででございますが、いわゆる子ども・子育て支援新制度については、来年度の四月一日の施行が正式に発表されました。森大臣が、これは施行するんだ、こうおっしゃいました。

 これは、私がかつて申し上げたように、以前は皆様は、消費税が上がらなければ、一〇%にならなければ、まあ自動的かどうかはわかりませんが、施行も延びる、こういうイメージで少なくとも私は受け取っていました。

 一方で、来年四月一日の施行というこの発表は、それが何か変わったのか。先般の森大臣の会見の趣旨を、端的で結構です、御紹介いただければと思います。

岡田副大臣 お答えいたします。

 今回の新制度につきましては、社会保障と税の一体改革の成立に伴っての一つでありますので、方針は変わっておりません。

 子ども・子育てをめぐりましては、教育、保育の質の維持、深刻な待機児童問題を初め、さまざまな課題を抱えており、その解決が急務でありますことから、子ども・子育て支援新制度のできるだけ早い施行が望まれており、これまでも、政府としましては、この支援法の想定する最も早い施行日である平成二十七年四月の施行を想定して、地方自治体や事業者等の関係者とともに準備を進めてきたところであります。

 今般、公定価格の仮単価を提示いたしましたので、関係者に安心して施行準備を進めていただくため、この支援新制度を予定どおり来年四月に施行する方針のもと取り組むこととしたところであります。

 他方で、委員御指摘の消費税率一〇%への引き上げの取り扱いにつきましては、最終的には経済状況等を総合的に勘案して適切に判断することとしており、この方針には変わりはありません。

 以上です。

足立委員 今おっしゃったのは、要すれば、変わったのではないと。もともと、消費税一〇%がどうなろうと、来年四月の施行は堅持するというお考えだったから今も変わらないのか、そういう理解でよろしいでしょうか。

岡田副大臣 消費税一〇%に上がるという、財源のことから考えますとここは基本でありますけれども、消費税一〇%への引き上げの取り扱いにつきましては、先ほども答弁をしたように、最終的には経済状況等を総合的に勘案して適切に判断することとしており、この方針は変わりはないということであり、仮に、消費税税率一〇%への引き上げについて二十七年十月の実施と異なる判断をする場合には、新制度の施行のための財源確保が課題となるわけでありますので、その点も含めて総合的に判断し、平成二十七年度予算編成において適切に対応することと考えております。

足立委員 岡田副大臣、これではよくわからぬです。

 西川副大臣もお越しいただいていますので。西川副大臣は、文科省で幼稚園の方々と御意見交換をされていると思います。これは切実なテーマです。

 私はもう消費税の議論をここで議論するつもりはありませんが、しかし、総理は年末に判断すると言っているわけだから、両方あり得るわけです。でも、年末の総理の一〇%に係る判断がどうであれ、政府としては、来年四月一日の施行、これはやっていくんだと。西川副大臣、いかがでしょうか。

西川副大臣 今回、この新制度発足に当たっては、特に幼稚園関係者の方は随分悩まれたと思います。そういうことも含みまして、今回のこの消費税一〇%が、当然上がるという前提でもちろん制度設計をしているわけでございますけれども、仮にそういう事態があり得るということがあっても、やはり平成二十七年度の四月の施行を想定して準備を進めていきたいと思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 基本的に、これはある種の政治ですから、政治というか、政府・与党がやはりそこをしっかりやっていくんだと。先ほど岡田副大臣の方からも、その場合には財源が課題になると。しかし、課題は、それは政府・与党が解決をしていくんだ、少なくともそういう御決意がなければ、現場に、これで頑張っていきましょう、そういうお声がけをすることはできないわけであります。

 通告からちょっと離れますが、ごめんなさい、通告していませんが、もし可能であれば御答弁いただきたいんですが、今回、公定価格が出ました。民主党政権の時代には、イメージとしては、こども園に寄せていくイメージがもともとあった。(発言する者あり)山井さんは、ああ、そうだ、こうおっしゃっています。したがって、その場合には、公定価格も相応のインセンティブを期待していた方もおられるようです。

 ところが、今般の公定価格を拝見すると、極めて制度中立。すなわち、もう本当にこれは、幼稚園なのか保育園なのか、あるいは認定こども園なのか、新制度なのか、これについて金銭的な面ではもうおおむね中立だ、こういう制度になっていますが、これは、民主党政権の時代から自公政権になってそこの考え方が変わった、こういうことでよろしいですか。岡田副大臣、答えにくければ西川副大臣、どちらでも結構です。

岡田副大臣 お答えいたします。

 今委員から御指摘がありました、保育園、幼稚園、認定こども園についての、新制度への移行判断についての公定価格を発表させていただいたわけでありますけれども、これは、基本的には今までと方針としては変わっていないと私は考えております。

足立委員 同じ質問で、西川副大臣、お願いできますか。

西川副大臣 各省庁連携して、意思の統一を図りながらやっておりますので、変わりございません。

足立委員 私が申し上げているのは、省庁間で違うということではなくて、民主党政権から変わったのではないかということですが、厚労大臣、どうでしょうか。

田村国務大臣 これは、教育の標準的な基準みたいなものがありますよね、認定の。それはそれで、また、保育の部分は保育の部分。保育は、短時間の部分とそれからフルタイムがあるわけでありまして、それぞれのものに関して単価というものは合わせておるわけであります。

 でありますから、認定こども園に関しましてもそれぞれを適用するわけでありますが、ただ、例えば認定こども園の場合は、地域子育て支援拠点というのがマストであります。マストでありますから、そもそも初めからちゃんとその部分はついております。

 それから、保育園との違いから見れば、副園長さんというもの、これは幼稚園にはついておるわけでありますけれども、基本的には保育園にはありません。ですから、そういうマストの部分としてついてくる部分は保育園にはありませんけれども、副園長さんの部分の単価というものは幼保連携型認定こども園にはついてくるということでございますので、そういう意味では、インセンティブが全くないわけではありません。

 そもそも、幼稚園も保育園も、需給を満たしておれば認可できないんですけれども、認定こども園の場合は、需給を満たしていても、申請すれば認可をしなければならないというふうになっておりますので、そのような意味では、認定こども園の独自性というものは確保されているというふうに思います。

足立委員 ということは、例えば同じことをやるのであれば公定価格は同じだ、こういう理解で、したがって、経営者の方々は、自分は何をしたいんだ、自分たちの施設はどういうサービスを地域に提供していきたいんだ、純粋にこういうことを経営判断していけば、何かそれで金銭的にどうだというようなことは基本的には起こらないようになっている、こういうことでいいですね。

田村国務大臣 そもそも、そういう幼保連携型認定こども園のニーズというものがあれば、当然、それをつくっていけば、そこに人が集まってくるわけでありますから、そういう意味ではインセンティブはあるんだというふうには思います。

 ただ、言われたとおり、金銭的という意味からすれば、例えば保育園も地域子育て支援拠点をやれば、この事業をやれば、同じようにこれは加算としてついてくるということでございますので、それはマストかマストじゃないかという違いがあることはありますけれども、そういう意味で同じだということだと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 やればということですから、それは、やればですからね。事業内容によって、それは中立的な制度だ、私は、事務的にもそうかなということで確認をさせていただいているところであります。

 もう、絶対やめろと来ましたので終わりますが、「放課後対策の総合的な推進について」ということで、二十八日に御提示がありました。地元で子供対策に力を入れて取り組んでいただいている方々であればあるほど、実は、やはり家庭でもうちょっとやっていただきたいと。アベノミクス、アベノミクスと、女性が輝けということで、外で働いてください、こうなっていますが、やはり、子供たちのしつけというのかな、教育というのは、本当に家庭と施設が連携し合わないといけない。頑張っていらっしゃる方ほど、若干悲鳴が出ています。

 こういった問題も含めて、大きな枠組みでこの子供政策をどうしていくべきか、また討論をさせていただければと思います。

 時間を超過しました、済みません。ありがとうございました。

後藤委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。

 きょうは、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案につきまして議論をさせていただきたいと思います。二十分間いただきましたので、よろしくお願いいたします。

 この法案、昨年の臨時国会で成立しました国家戦略特区法の規定を踏まえてということで、アベノミクスで言うところの第三の矢、国家戦略特区の目玉となる一つの重要な法案だというふうに受けとめておりますが、その法案をよくよく見てみても、中身がさっぱりわからないんですね。これは何か、肝心なところは全部、厚生労働大臣が定める基準とか、基本方針だとか、厚生労働省令とかいうのがいっぱい出てきて、具体的な姿がなかなか見えてこないという状況です。

 それで、まず、その前提としまして、資料一で配付をしておりますが、五年間の有期雇用を超えたら、それは自動的に、無期の申請をすれば無期雇用に転換できるんだよ、こういうルールがもともとあるんだけれども、今回、そこの例外を設けるというわけですが、そのスキームが、まず事業主が計画をつくって、大臣に申請をして、大臣が認定をすると、そういった特例的な、五年を超える有期雇用契約ができますよ、こういうことで、これは非常に重要な労働法制に対する例外だと思うんです。

 ですが、ちょっと調べましたところ、この法案をつくるに至るまで、役所の中で労働政策審議会というのがありまして、そこの合同部会で検討が行われてきているんですね。事業主が計画をつくって、認定を受けて、契約を締結する、このスキームの前例として、例えば、ことし二月の合同部会で、中小企業労働力確保法とこれは同じスキームだよ、こういう前例もあるので同じような形でこういったルールを決めることができるんじゃないか、こういうような議論が行われているようなんです。

 ところが、この中小企業労働力確保法と言われる前例となるものは、確かに、事業主が計画をつくって、申請をして、認定を受ける、ここまでは同じなんですが、その法的効果というのは、単に、国から助成金を受けられます、こういうものなんですよね。

 だから、事業主が助成を受けるための仕組みとして計画の認定を受ける、これはあるでしょう。だけれども、それを前例として、計画を出して認定を受けたら、重要な労働契約、労働規制に対する例外を認めることができますよ、これは何か、手続と法的効果のバランスが、前例がありますというその仕組みとは、ちょっと余りにもバランスが悪いんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。

中野政府参考人 今回の法案の検討に当たり、労働政策審議会におきまして、厚生労働大臣が基本的な指針を策定した上で、これに沿った対応がとられると大臣が認定した事業主に雇用される労働者について、無期転換ルールの特例の対象とするという今回の法案の仕組みについて、具体的なイメージが湧くようにという指摘がございましたことから、同様の仕組みとなっている、ただいま先生御指摘になりました中小労確法の例を紹介したところでございます。

 ただ、中小労確法は、確かに、認定をした後いろいろな助成措置をするということではありますが、それに加えて、委託募集の特例という、いわば労働市場の中でのルールのようなものにつきまして、本来は許可が必要なものを届け出でいいとか、こういうようなルールを変更する部分もあるということで、その点も踏まえて紹介したところでございます。

 さらに、今回の特別措置法のように、労働契約法という民事ルールにつきまして行政機関による認定により特例が生じる例として、借地借家法の特例に当たるマンション建替え円滑化法や、民法の特例に当たる港湾法についてもあわせて紹介したところでございます。

 いずれにいたしましても、無期転換ルールの趣旨が損なわれることのないよう、公労使各側の議論を経て、議論を取りまとめたというものでございます。

重徳委員 一応、今の説明で大体理解できましたけれども、できるだけ今後も、中での検討につきましては、適切な前例を使って行っていっていただきたいということを指摘させていただきたいと思います。

 それで、法案の中身に入っていきます。

 まず、国家戦略特区の法律を受けて今回の法律ができているわけですが、資料の二でおつけしておりますが、国家戦略特区の附則第二条で、対象となる労働契約の収入、賃金の面に関して、「その年収が常時雇用される一般の労働者と比較して高い水準となることが見込まれる者に限る。」このように書いてあります。

 ですから、高所得の契約を結んでいる人が、五年を超えて七年とか十年とかいう場合が対象なんだろうなというふうに思って、今回の法案もあわせ読んだところ、今回の法案には、賃金が「厚生労働省令で定める額以上である者に限る。」としか書かれておりません。つまり、常時雇用される一般の労働者と比較して高い水準とか、そういうところまで法案には今回書き込まれていないんですね。だから、法律を見てもわからないんですよ。

 これは、なぜこのような法案の構成になっているんでしょうか、規定になっているんでしょうか。

中野政府参考人 今回の対象者の年収要件につきましては、具体的な額を定めるものでありますことから、今後の経済社会情勢の変化によって必要な場合には改定をしなければならないものであるため、厚生労働省令で定める額というふうにしているところでございます。

 年収要件を含めました高度の専門的知識、技術、経験の具体的な要件については、労働基準法十四条に基づく一回の労働契約期間の特例の対象となっております、一定の国家資格等を有する者、一定期間の実務経験を有する年収一千七十五万円以上の技術者、システムコンサルタント、デザイナー等を参考に、法案成立後、改めて労働政策審議会において検討するということが合意されておりまして、年収要件についてはこのような水準をベースに検討していく方針でございまして、これらのことについては、労働政策審議会で労使の共通理解に即したものでございます。

 いずれにいたしましても、直接的に、確かに先生御指摘のように、年収要件の前に規定は具体的には書いておりませんが、経緯からすれば、国家戦略特区法の附則に基づいた形で高い水準にあるということは、趣旨からして当然のことであるという前提で、明確には規定しない、こういうことでございます。

重徳委員 書かなくてもわかるだろうから書いていない、言ってみればこういう御答弁ですね。これはやはり、書けるものは書くべきだと思います。

 全部省令に委ねているわけですから、読んだだけでは、幾ら以上、どのぐらい以上の水準なのか全然わからないわけですから、そこは定性的であれ何であれ書かなければ、国家戦略特区法に基づいてつくられた法案だといっても、この法案は恒久的な特別措置法だと思いますので、やはり、これは十年後、二十年後に読んでもどういう趣旨の法律かわからなければ、すぐこの趣旨が損なわれるようなことだってあり得なくはない。つまり、役所の判断一つでこの条件が変わってきちゃうわけですから、ここは重要なところだと思いますので、ぜひ再考いただきたい、こう思います。

 それから次に、第一種計画というものが法律上あります。これは、専門的知識を有する有期雇用労働を事業者と労働者との間で契約を結ぶ際の前提となる計画、これを第一種計画というふうに法律上定義がされております。この計画に記載すべき事項として、この法案には三つ規定があります。

 一つは、「業務の内容並びに開始及び完了の日」とあります。その業務の内容が計画に書かれたら、これは、今度は、厚生労働大臣が定める基準に該当しなければならないというふうに書かれてもおります。では、その厚生労働大臣が定める基準とは何かというと、専門的な知識、技術または経験というところまでは法定されているんですが、そこから先は全部役所で定めるということになっているんですよね。

 だから、本当に、基準と書いてあるだけで、内容は基準に合わなきゃいけない。その基準というのは、専門的な知識、技術、経験というものにさえ合っていればいいかのような法律上の書きぶりなんですが、これは具体的にはどのような基準を定めるんでしょうか。

中野政府参考人 特例の対象となる労働者がその能力を有効に発揮するためには、事業主による適切な雇用管理の実施が求められるわけでございまして、本法案におきましては、厚生労働大臣が労働者の特性に応じた雇用管理に関する基本指針を策定することとした上で、事業主が作成する雇用管理措置に関する計画が基本指針に照らして適切なものであることが認定要件、こういう仕組みでございます。

 基本指針におきましては、有期雇用労働者の雇用動向に関する事項や、事業主が行う有期雇用労働者の雇用管理に関する措置の内容に関する事項について定めることとしておりまして、具体的には、今後、労使も参画した労政審において策定することとしております。

 その上で、第一種計画において記載する高度専門知識を有する有期契約労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置については、法文の条文上例示させていただいておりますのは、いわゆるセミナー等の「教育訓練を受けるための有給休暇の付与」でございますが、そのほか、そのための経費の援助や、始業、終業時刻の変更とか、あるいは残業の免除とか、勤務時間の短縮などが考えられるものと思っているところでございます。

 そのような形で、このような制度を今後具体化していって、適正な雇用管理措置等をとる計画を出してくる事業主については認定を行う、こういうことで対応したいと思っております。

重徳委員 今の御答弁を聞いても、わかる方はさっぱりいらっしゃらないと思うんですね。

 要は、今後、労政審で検討するということであって、法案上定められている例示というのが、三つと私が言いましたうちの二つ目のところに、「教育訓練を受けるための有給休暇の付与」、これが例示されているだけで、何だかわからないんですよ。

 さらに、今、第一種計画に盛り込むべき三つのうちの三つ目に関しては、「その他厚生労働省令で定める事項」ですから、本当に丸投げですよ。だから、こういう法案のつくり方というのは、私はいかがなものかと思います。法律を読んでも中身がさっぱりわからない。

 繰り返しになりますけれども、本当にまともな運用ができるかどうか、これも、これから労使間のいろいろな話し合いを経て検討する。それから、これまでの経緯も労政審でいろいろと議論されてきた、これを踏まえていますとか国家戦略特区法を踏まえていますとか、そういうことでは、この法案そのものに何も定めていないことを認めるようなものだと思うんですね。だから、この法案だけ読んでも、中身が全然わからないんです。

 ですから、これは労働者保護という観点もありますし、それからもう一つは、先ほど足立委員からいろいろと指摘をさせていただきましたように、これから労働力のあり方についても、さまざまな、多様な働き方についても議論をしていく必要があると思うんです。だけれども、その都度その都度、法案を見ても空っぽで、あとは全部、大臣が定める基準だの省令だの、そういうものに委ねます、あとは労政審でしっかり議論しますとか、そんなことでは民意を代表する国会での議論が成り立たないと思うんですね。そういう趣旨で私は本日指摘をさせていただいております。

 まして、今回の労働契約法十八条、要は承諾みなしの特例ですね、五年を超える者が無期転換に、申し出れば転換できる、このルールに対する重要な例外を設けるわけですから、こういう重要な特別措置法案の審議に当たって、何でも丸投げだ、聞いてみなきゃわからない、聞いてみてもわからない。

 こういう答弁でどんどんと法案審議が進んでいくということについて、大臣、どのように認識をされていますか。法案でもっともっと具体的に定めて、国会審議にきちんと付して、政治家同士の議論をするべきではなかろうかと思うんですが、大臣、いかがな認識をお持ちでしょうか。

田村国務大臣 対象でありますけれども、先ほど来出ております労働基準法の第十四条、要は、ここで言っております高度な知識だとか技術だとか経験とは一体何ぞやということに関しては、労働基準法第十四条に規定されております一回の労働契約期間の特例の対象となっております、一定の国家資格を有する者、また、一定の実務経験を有する者の中で年収が一千七十五万以上の、例えばでありますけれども、システムコンサルタントでありますとか技術者でありますとかデザイナー、こういうものを参考にさせていただくわけであります。

 これは労働政策審議会で検討いただくと言うと、委員が、それは余り、その中でどう変わるのかわからないじゃないか、一緒じゃないだろうとおっしゃられると思いますが、参考という意味では、そのような形で労働基準法の十四条等々の対象者を参考にさせていただくということであります。その上でお決めをいただく。

 あわせて、労働政策審議会においての建議、これは二月に発表されたわけでありますけれども、この建議の中において共通理解という形で即したものであるわけでありまして、そういう意味では、労使ともに、これはそのような形の中でこれから議論していこうということで合意を得ておるということであります。

 雇用管理等々の仕方、基準に関しましても、これは方針等々をこれから議論するわけでありますが、これも労働政策審議会の中で御議論をいただきたいというふうに思っておりますが、対象等々がはっきり言って大臣告示で決まること自体、国会でこんなものは決めるべきだというお話でありますが、先ほど申し上げました労働基準法第十四条に言う労働契約期間の特例の範囲というのも大臣告示で決めておるわけでございまして、決してこの法律が特異なわけではございません。

 そういう意味では、労働基準法に合わせてこのような形にさせていただいておるということで御理解をいただければありがたいと思います。

重徳委員 前例がありますからというぐらいの御答弁だと思うんですね。これは役所の言い分だと思うんですよ。労基法も同じような定め方ですよということなんですけれども、基本となる制度に対する例外を法律でつくるわけですから、やはりこれは特別措置法なわけですから、別に並びのようなことばかりじゃなくて、もっと特化した定め方だって、工夫は幾らでもできると思います。

 それから、労使の間で合意されて共通理解になっているといっても、国会の中での共通理解、合意にならなければ、それはやはり本来の法律をつくるプロセスとしての必要条件を満たしていないと私は思います。

 ですから、このような最近の法案審議、ずっと私は苦言を申し上げておりますけれども、前回の地域医療介護法案、抱き合わせ十九本の審議のあり方とかこの法案のつくり方とか、もう本当に国会をないがしろにするような法案の提出の仕方だと私は思います。このような、今本当に衆参両院とも与党が多数を占めているこういう状況であればあるほど、特に厚生労働省は最近緩んでいると言われているわけですから、もっと厳しい姿勢で臨んでいただきたいと思います。

 あとは、最後に、これから長時間働いても残業代ゼロじゃないか、こういうキャンペーンを張られがちなホワイトカラーエグゼンプションと言われるものの検討だとか、多様な働き方、こういったいろいろな労働法制についても議論をしていかなければならないと思います。

 やはり、企業に対する忠誠心を持って長時間残業をするスタイルが、私は日本においてずっと定着しているんだと思うんです。もっともっと専門職を、専門的な自分の仕事というものを追求するような働き方に転換をしていく必要があると思います。全部を全部ひっくり返すわけにはいかないかもしれませんが、それがひいては女性の働きやすい職場にも結びついていくと思います。

 いずれにしても、こういった労働法制の転換というのは非常に大きな批判にさらされがちな改革だと思います。そのときに、繰り返しになりますが、国会において、きちんと法律上、国会議員が議論できるような中身の法案を今後も作成して提出をしていただくことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、まず資料の一枚目に、大変笑顔の写真が気に入りましたので、毎日新聞の記事をつけました。

 過労死等防止対策推進法案が、二十三日の本委員会、また、二十七日、衆議院の本会議を通過して、あとは参議院での成立を待つばかりとなっております。

 全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表は、これからの日本社会を背負っていく若者が過酷な労働環境に追いやられ、優秀な人材を亡くすことは、日本の未来をなくすことと発言をされ、この日本に初めて過労死という文言の入った法律をつくり、国を挙げて過労死を防ぐ対策を進めてくださるよう、切にお願いしますと訴えました。

 働いて死ぬなんてあってはならないという共通のスローガンのもと全会派の一致を見たことは、貴重な成果であり、寺西さんが呼びかけたように、あすにも過労死で亡くなるかもしれない、そういう命を救うために、私たち政治の責任は大きいと感じております。

 大臣も家族の会の皆さんと面会されたと承知をしておりますが、本法案成立に当たっての大臣の感想と決意を伺いたいと思います。

田村国務大臣 働く方々が健康を損なって命を落とされるということは、あってはならないことであります。

 そのような意味で、今委員がおっしゃられました過労死等防止対策推進法案、これは五月二十七日、全会一致で衆議院で可決をされたわけでありまして、これから参議院で審議をいただくものだというふうに思います。これを我々も見守っていきたいというふうに思います。

 これは、施行される前でも、例えば協議会の設置、それから大綱、こういうものの準備はできていけるわけでございますので、こういうものは、施行等々をしっかりと見据えながら、我々としては準備をさせていただきたい、このように考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 私自身も議連の世話人の一人として議論を重ねてきたわけですけれども、自民党のPTにも本当に審議を重ねていただく中で、やはり、強化月間の、最初は週間という案だったのが月間になったりですとか、厚労白書に毎年位置づけて調査の実態を発表する、こうしたことによって、本当に国が責任を果たしていく。

 残念ながら、この過労死の範囲は非常に狭いものだったんですけれども、しかし、調査の対象としては大きく入るんだ、しかも公務員も入りますから、国家公務員も入るという形で盛り込んでくれたということは非常に大きな意義があったかと思っております。実効あるものにしていきたい、このことを重ねて確認をしたいと思います。

 ただ、残念ながら、政府が向かっているのが真逆ではないかということを本当に指摘したいと思うんですね。しかも、総理は、働き過ぎを防止するのだということをあえておっしゃっている、その名目で今議論されているのが、きょう朝から話題となっている労働時間規制緩和が産業競争力会議で議論されていることであります。非常に残念に思っているんです。

 資料の二枚目に、「緩和職種で対立」ということで、これは読売新聞の二十九日付の記事をつけておきました。

 これは、同会議の様子を報道して非常にわかりやすいなと思ったんですが、厚労大臣は、田村大臣は、為替ディーラーなどの世界で活躍する限定的な専門職に対応するのだとおっしゃっていて、それでは狭過ぎる、幹部候補まで入れるべきだという民間議員の声が上がっていることが紹介をされております。

 総理は、長時間労働が強いられると言われるのは誤解だと述べているわけですが、この真ん中の顔写真のところを見ていただければわかるように、甘利大臣は、残業代ゼロではなく、残業代込みだ、こういうふうに答えているわけで、何のこっちゃと思ったわけです。

 そこで、ここの構図だけを見ると、何か田村大臣が孤軍奮闘して守っているように見えるわけですけれども、実際はどうなのか。基本は、時間ではなく成果で評価できる仕事に関して残業代などとは違う制度をつくる、これは、枠がどうなのかというだけであって、基本の考え方は一緒でしょうということを確認したい。

田村国務大臣 各党の立ち位置をよく理解させていただきながら答弁をさせていただくわけであります。どちらからもお叱りをいただくということでございまして、つらい立場で答弁をさせていただくわけでありますけれども。

 これは、成果を評価するという形でございますので、基本的には、残業代込みというよりか残業というような概念がないわけでありまして、成果というものを評価する。ただし、そのときに、我々が申し上げているのは、やはり一定の労働契約の交渉力がなければ、そこはおっしゃるとおり、むちゃな成果という話になれば、本来できないような成果を強いられれば大変なことになるわけでありますから、そういうところを念頭に我々は提案をさせていただいたわけでございます。

 よくよく、全く世界にこういう働き方がないかといえば、ヨーロッパやアメリカにもあるわけで、ヨーロッパとアメリカは若干違いますけれども、あるわけでございまして、ヨーロッパ等々では、やはりジョブ型で、交渉力のある方々がこのような形の中で働いておられるということでございますから、それを念頭に置きながら、我々としては今般このような提案をさせていただいたわけでありまして、逆に言えば、それによってワーク・ライフ・バランスがしっかり保てるというような考え方もあるわけでございますので、御理解をいただければありがたいというふうに思います。

高橋(千)委員 率直に言って、ILOの労働時間条約さえ批准をしていないのに、こういうときだけヨーロッパのまねをするという議論はやはり違うんだ、土台ができていないじゃないかと言わせていただきます。

 大臣が言うように、成果で評価できる世界レベルの高度専門職、そういう方たちというのは、もともと残業代に縛られない、そういう世界で生きているのではないんでしょうか。そもそも、厚労省の調査では、変形労働制を採用している事業所というのはもう五割に達していますよね。みなし労働時間制は一〇・八%、年俸制でも一三・三%なんですね。ですから、そういう裁量労働制とか年俸制とか、もともとある制度の中で十分対応できることなのではないんですか。

中野政府参考人 年俸制は労働時間制度そのものではございませんけれども、裁量労働制のもとでは、みなし労働時間が一日八時間を超える場合、三六協定の監督署長への届け出が必要でありまして、みなし時間、今申し上げたように、八時間を超える場合は割り増し賃金の支払い義務がございます。また、深夜、休日の割り増し賃金支払い義務や、休日規制があることから、専ら成果で評価され、交渉力のある労働者であっても、裁量労働制のもとでは完全に労働時間規制から自由にはならない仕組みであります。

 五月二十八日の産業競争力会議で、時間ではなく成果で評価できる仕事に適する労働時間制度について大臣から御説明いたしたところでございますが、成果のみで評価できない労働者も幅広く労働時間規制の適用を除外され、労働者保護にもとることのないよう、新たな制度の対象は、成果で評価できる世界レベルの高度専門職に絞る必要があるというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 例えば、政府の企画業務型裁量労働制の適用労働者の満足度でいっても、やや満足、満足しているが合わせて七六・四%。また、事業場でいったって、今のままでよいと答えているのが六八・六%。そういう実態の中で、一体誰のニーズなのかということになるわけですよ。結局、限定だ限定だと言うのであれば、そこまで限定するなら、あえてこの制度を持ち出す意味がないということなんですね。

 つまり、二十八日の会議でも、出席した民間議員や閣僚からは、一握りでは意味がないと言われているわけですね。労働政策が変わるというメッセージを出すべきだと再考を迫ったと。甘利大臣の記者会見もそういう意味だと思うんですね。

 やはり、あえて法改正が必要だと言っているのは、今の裁量労働制の中であっても、あるいは管理職であっても対象となる深夜業、この割り増し残業代、こうしたものも取っ払いたい、切り込みたい、そういう狙いがあるからではないでしょうか。

 いわゆるサービス残業根絶のための通達が出されたのは、二〇〇一年、平成十三年四月でありました。この間、この一片の通達が出されたことによって、労働者と、あるいは監督官の仕事の中で、十一年間で二千三十七億円の不払い賃金が是正をされています。最新の報告を見ますと、是正企業が千二百七十七。前よりは減ってきておりますけれども、百四億五千六百九十三万円。十万人を超す労働者に不払い賃金が戻っているんですね。

 着目したいのは、一千万円以上の割り増し賃金を払った企業は、全体の一三・九%ですが、合計額は七割近いわけです。それで、二十四年度で、一社で支払った最高額は幾らかといいますと、卸売業で五億四百八万円。一社でそれだけの不払い賃金を払った。超有名なあそこかなと思ったわけですけれども。

 結局、この問題というのは、単に賃金を不払いだから払えというだけではなくて、それだけの長時間労働、サービス残業をしているんだということを明らかにすること、それも役割を果たしていると思うんですね。

 これが、まさか是正対象から払わなくてもよいものになっては大変なわけでありまして、結局、言いたいことは、働き過ぎ防止を建前はうたっているけれども、働き過ぎが見えなくなるのではないか。これは、残業ゼロだったら残業代ゼロですから、それならいいんですよ。そうじゃないんでしょう。働き過ぎていることが表に出てこなくなる。これでは、過労死防止とは絶対矛盾すると思います。大臣、どうですか。

田村国務大臣 前回の改正を提案した際において、自己管理型の労働制というような形でございましたが、これは、健康、福祉の確保策をしっかりとった上で、週休二日分の休みをとるというような、そういうものであったわけでありますが、今般のは違っておりまして、先ほど来言っておりますとおり、成果というものを評価する、こういうような提案であるわけであります。

 働き過ぎというのは、今委員がおっしゃられたのは、我々が言っているのとは多分違う話なんだというふうに思いますが、我々は、高度な専門職という意味で、そもそも時間でははかれないようなそういう働き方の方でありますから、その方々が、自由な働き方の中において、自分のワーク・ライフ・バランスをとっていただきながら仕事をしていただくという話であります。

 ホワイトカラーという意味からすれば、日本は労働生産性が余り高くないというふうに言われておりますので、そういう意味からすると、我々は、裁量労働制というものを提案する中において、裁量労働制であれば、早く仕事を済ませれば早く帰れる、もしくは残りの余った時間はさらに違う仕事をして給料が上がる、こういう話になって、生産性が上がるわけでありますから、そのような提案をするのがより合理的であろうということで提案をさせていただいたわけでありまして、残業をして、サービス残業をしてというのとは全く違う。時間に合わせて、ちゃんとみなしという形で仕事量をはかるということでございますので、その点は、賢明な高橋議員は御理解をいただいているというふうに思います。

高橋(千)委員 効率よく、かつ成果を出す人の話をしているんじゃないんですよ。時間でははかれないと言っているだけであって、それは、みんなが短時間で仕事を終わらせるという意味ではないわけでしょう。

 だから、資料の最後にあるように、改革の大前提は働き過ぎ防止、ブラック企業撲滅と書いているんじゃないですか。これをわざわざ書かなきゃいけないのは、そういう働き過ぎの人も含めて検討しているということを意味しているんですよ。

 これは最後のページですけれども、その間に、競争力会議で配られた資料をつけておきましたけれども、財界の皆さんがどんなことを言っているかということを集めた資料なんですね。

 これを見ますと、例えば、一月十五日の経団連は、「労働時間・深夜労働の規制の適用を除外する制度を創設すべき」とあります。私が今言った深夜労働の規制ですよ。これが真っ先に出てくるじゃないですか。

 つまり、幾ら裁量労働制であっても、包括で時間をもともと決めておって、その中に残業代も入っている、そういう働き方でも、深夜というのは特別なんだ、人間のライフサイクルにとって、やはりそれはきちんと規制をしなければ過労死につながることなんだということで、あえてこれはやってきたことじゃないですか。そういうことを取っ払えということを言っているわけですよ。

 その後の、下の人などのを見ていくと、結局、「高度な裁量を持って働く」と言いながら、「一部の事務職や営業職、研究職等を対象に、」ということで、イメージしているのは、大臣が言っているような限定的なものではなくて、もっと広い人たちをイメージしているということがわかるわけなんですね。

 改めて最後のページに戻りますけれども、御丁寧に、いやいや、働き過ぎをちゃんと規制するために労働基準監督官をふやすんだ、諸外国から比べても監督官の数は少ない、まあ一番少ないのはアメリカ、当たり前ですが、そういう表までつけてくださっているんですよ。

 共産党は、何度も何度もこの問題を取り上げてきたじゃないですか、監督官が少な過ぎると。これを倍にしたくらいでは焼け石に水というのが実態です。

 でも、何で民間議員がこういうことまで言ったのかということをたどっていきますと、四月二十二日に長谷川氏のペーパーが出ています。何と言っていますか。「ハローワーク機能の一部地方・民間開放等を大幅に進めている現在の政策の方向性を鑑み、労働行政全体の人員配置を見直すことで、諸外国に比べ大幅に不足している労働基準監督のための人員を強化すべき」。

 早い話が、ハローワークを派遣会社に任せて、余った職員を監督署に回せと言っているだけじゃないですか。非常に乱暴な議論です。こんな議論には乗らない、きっぱり拒否しますということは言っていただけますね。

田村国務大臣 今、産業競争力会議で、民間議員の方々がおっしゃられたような御意見は御意見として提案があったわけでありますが、我々の提案は、先ほど来申し上げておりますとおり、そもそも、夜働かなきゃいけない方々がおられますよね、専門職の中で。そういう方々は、深夜割り増しというよりかは、それはもともと入った中において、成果という形に評価する中で報酬が決まっておるわけでありまして、そういう方々は、やはりこのような形で対応するというのは我々としては適当であると考えるわけであります。

 そうでない人たちに関して、いろいろな御意見もあるわけでありますので、これはまた大臣としてのいろいろな協議をさせていただきたいと思います。

 労働基準監督官をふやしていただけることは大変うれしいわけでありますけれども、いろいろなことを勘案しながら、我々としては要望はしてまいりたいというふうに思います。

高橋(千)委員 済みません。今ちょっと重要なことをおっしゃったなと思うんですが、局長に確認をしますが、夜働く人は深夜割り増しを含んでいる、これでいいんですか。

中野政府参考人 これはよく高橋委員からもこれまで何回か御質問いただいたことですが、残業についても一定の定額を渡して、実際に残業時間がそれを超えたら、ちゃんとそれを支払う形は合法であるという形で我々は解釈を示しております。

 それと同じような意味で、深夜に対する割り増しも基本的に同じでありますので、考え方としては同じような趣旨でただいまの大臣は発言だったというふうに理解しております。

高橋(千)委員 そうなってくると、深夜でも昼でも総枠だから一緒なんだ、入っているんだ、そういう世界でやるんだという議論では全然話にならないんですよ。いやいや、大臣、そう言っていますけれども、きのうそういう説明を、私、厚労省から受けたんです。

 つまり、裁量労働制の世界であっても、あるいは管理職であっても、きちんと深夜業というのは手当てをしなきゃいけない。今がそう。だから、そこを取っ払えと経団連からも言われているんじゃないですか。そこを丸めてやっていくというのではだめなんだということを、最初の趣旨とは違うということを指摘しているわけです。

 大臣、まだ弁解されるんですか。

田村国務大臣 深夜というのは、適用除外になれば、それは適用除外になるわけであります。

 ただ、夜働かないとそもそも成果を出せない人というのは、もともと、そういうことが前提の中において成果に対して報酬をもらっているわけでありますから、昼間働いても成果が出ない人は夜しか、例えば為替ディーラーで、どうしても時間が逆転するところは、夜働かなきゃできませんよね。そういうところは、そもそもが深夜とかいうような概念ではなくて、その成果の中として入っておるんだということを申し上げたわけであります。

 言われるとおり、深夜割り増しが適用除外になれば、それは当然のごとく、そういう概念では入りませんけれども、私の言っている意味は先ほど申し上げたような意味で、入っているというか、概念としてあるということを申し上げたわけであります。

高橋(千)委員 残念ながら時間が来ましたので、続きはまた来週にしたいと思うんですが、入り口はレアケースであって、出口は全然違うんだというところ、やはりそういうところに立って議論をしていかなければ話にならない。最初に言った過労死を本当になくすんだという決意からいうと、本当にこれは重大な法案だ、法案になるのかどうかも含めてですけれども、重大な中身だと指摘をしなければならないと思います。

 有期については次にやりたいと思います。終わります。

後藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 水曜日に続いて質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私も、きょう午前中からずっとこの委員会でも議論になっている労働時間規制の緩和について、まずは法案の質問に入る前に伺っていきたいというふうに思います。

 先日の予算委員会の集団的自衛権の集中審議でも、公明党の質問者が質問に立つと、野党席から頑張れという声が飛んでおりました。私は、この労働時間規制の緩和についても、ぜひ公明党の皆さんに頑張っていただきたいなというふうに思っております。

 きょうは、資料として公明新聞を配らせていただいたんです。

 この公明新聞の記事ですけれども、四月の二十二日ですけれども、産業競争力会議で労働時間規制の緩和が提案された、このことを受けて、二十四日に、公明党石井政調会長を先頭に、官邸の菅官房長官に申し入れを行ったということであります。写真には本委員会の古屋委員や桝屋先生のお姿も写っております。

 この記事を読みますと、このように書いてあります。「新制度の検討に際しては、サービス残業の合法化や長時間労働の常態化につながることのないよう、労働者の健康などにも配慮して慎重に検討するよう求めた。」ということであります。全くそのとおりだなというふうに思うわけであります。

 少なくとも、その後の、先日、水曜日の二十八日の産業競争力会議で民間議員から示された案というのを見ますと、私は、公明党の皆さんが御懸念をされている長時間労働の常態化だとかあるいはサービス残業につながる懸念というのは、払拭できないんじゃないかというふうに思っております。

 同じ議員会館の九階フロアで、本当に尊敬する佐藤副大臣に、ぜひここのところを、公明党としても、今のような民間議員の案のままでは、これはとてもじゃないけれども了解できないというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。

佐藤副大臣 大西委員の御質問にお答えいたします。

 まず、事実関係でございますが、公明新聞を引かれましたけれども、確かに四月の二十四日に、公明党政務調査会長石井啓一衆議院議員、さらに雇用・労働問題対策本部長桝屋敬悟衆議院議員、連名で、「「全員参加型社会」に向けて確かな雇用・労働政策の推進を求める要望書」というものを提出していただいておりまして、その中の一番最初の項目の「多様な働き方について」の三番目で、「時間で測れない創造的な働き方の検討に当たっては、内容によってはサービス残業の合法化、長時間労働の常態化につながる懸念もあり、労働者の健康管理等に十分配慮の上、慎重な検討を進めること。」こういう項目を要望としていただいているわけでございます。

 これを踏まえまして、先日の二十八日の産業競争力会議の長谷川民間議員の御提案について考えましたときに、業務の裁量度は一定程度あっても、成果のみで評価できないのではないか、そう思われる労働者も含めて新たな労働時間制度の対象とするとも受け取れるような、そういう内容となっておりまして、そういった者が幅広く労働時間規制の適用を除外され、長時間労働につながる懸念が否定できないと私どもは考えております。

 ですから、新たな労働時間制度の対象については、長時間労働を強いられる、残業代がなくなって賃金が下がるといったことがないように、そのときの会議で最後に、新たな選択肢について、職務の範囲が明確で高い職業能力を持つ人材に対象を絞り込むという総理の指示もございましたので、そういうことを踏まえて、今後、関係省庁としっかりと議論をしてまいりたい、このように考えております。

大西(健)委員 さすがは佐藤副大臣、立派な御見識をいただいたと思います。あすの公明新聞をまた読まれた読者の方も安心するんじゃないかなというふうに思います。

 私は、公明党さんの本音はやはり慎重だと思うんですね。例えば、現在、安倍内閣の閣僚も務めておられる太田大臣は、第一次安倍内閣のときに本会議で、この労働時間規制の緩和、日本版ホワイトカラーエグゼンプションについて質問されています。

 きょうお手元に、一ページ目の裏ですけれども、そのときの会議録をつけさせていただきました。ここで太田大臣は何と言っておられるか。「焦点となっていた日本版ホワイトカラーエグゼンプションの導入については、私は、改めて、慎重の上にも慎重を期すべきだと強く申し上げたい。」

 私は、太田大臣のお考えが今も変わりなければ、これはよほど慎重に、御丁寧に与党内の調整というのをしていただかないと、閣内不一致にもなってしまうんじゃないか。まさに、公明党の御了解をいただくためには、まだまだ相当慎重な検討が必要ではないか。

 ところが、安倍政権は、六月にも決めると言われている成長戦略の中に、この労働時間規制の緩和を盛り込もうということで進めております。

 私は、今申し上げたように、少なくとも二十八日の議論を聞いている限り、これはもうあと少しでまとまるんだというような状態にもないし、まだまだ、産業競争力会議の場だけをとっても、まだ何回も開いて議論しないと、とてもこれは、公明党さんの御理解も得た上で成長戦略の中に盛り込むというのは、スケジュール的にもなかなか難しいんじゃないかなというふうに受けとめているんですけれども、大臣、このあたりはいかがでしょうか。

田村国務大臣 四月の二十四日でありましたけれども、菅官房長官に公明党から、「時間で測れない創造的な働き方の検討に当たっては、」「労働者の健康管理等に十分配慮の上、慎重な検討を進めること。」という申し入れがあったわけであります。

 今、太田大臣が、前回のホワイトカラーエグゼンプションと言われた制度に対しての御質問の議事録であったと思いますが、前回の制度は、自己管理型の労働制というものでありまして、今回のものとは違うわけであります。今回は、成果を評価する、そういう時間ではかれない働き方に対しての適用除外等々に対して議論をしておるわけでありまして、そういう意味からいたしますと、これは違うわけであります。

 その上ででありますが、総理から、今もお話がありましたけれども、職務の範囲が明確で、高い職業能力を持っている人材に対象を絞り込むということを申されておられるわけであります。あわせて、希望しない人には適用しない、さらには、この意向によって賃金が下がらない等々、こういうようなことも総理はおっしゃっておられるわけであります。

 いずれにいたしましても、健康管理、これは大事なことでございますので、そのような部分は我々しっかりと考えていかなきゃならぬと思っております。これは大前提であります。

 その上ででありますけれども、このような総理からいただいた指示をもとに、これから政策をしっかりとつくっていかなきゃならぬというわけでありますが、いずれにいたしましても、ここである程度どういう方向性かというものが出てきた後も、労働政策審議会でしっかり御議論をいただくということになろうと思います。

大西(健)委員 今大臣の答弁では、絞り込んでという話がありましたけれども、私はむしろ、今出ている民間議員の提案を見る限りは、前回の日本版ホワイトカラーエグゼンプションよりもさらに、言い方は悪いですけれども、ひどい内容になっているんじゃないか、幹部候補まで含むと。おまえは幹部候補だから残業代なしだと言われれば、そこまで広がってしまう。

 あるいは、年収要件さえないような提案が出ているということでいえば、前回でも、慎重の上に慎重を期さなければと太田大臣は言っておられるわけですから、私は、今の内容では、とてもではないけれども、成長戦略に盛り込むなんていうことは、まだまだそこまで全然いっていないのではないかというふうに思います。

 この太田大臣の御質問、その後のところがあります。そこには、「この制度を導入しないかわりに、時間外労働の割り増し賃金率の引き上げやパート労働者の処遇改善についても見送るべきとの動きがありますが、私どもは、ぜひとも実現すべきものと考えます。」ということがあるんですけれども、資料の次のページに新聞記事をつけておきました。これは五月十日の記事でありますけれども、この記事によりますと、政府は今、中小企業について、時間外割り増し率を引き上げるということが書かれております。

 この点においても、私は、まさに公明党さんと我々は考え方が同じだなと思うんですけれども、残業代ゼロ法案を出す前に、まずやるべきことがあるんじゃないか。

 二〇〇八年に労働基準法が改正をされたときに、月六十時間を超える残業には通常の五〇%割り増しの残業代を大企業には義務づけています。そのときに、中小企業は当面三年間猶予するということですけれども、猶予期間はとっくに過ぎていますけれども、いまだに五〇%になっていない。ちなみに、米国でさえというのは言い方は悪いですけれども、割り増し率五〇%ということであります。

 これは、賃上げを目指している安倍政権の方向性にも私は合致するものだというふうに思います。この記事によりますと、これを検討しているということですけれども、ぜひ早急にやるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 まず、新しい働き方に対応する労働時間制度でありますが、これに関しては、全ての方が対象だとは民間議員の方も言っていないわけでありまして、そこは、民間議員の方々も、一定程度やはり限定をしなければならないということはおっしゃっておられます。ですから、何かすごく広がってというようなイメージではないということではありますが、そこは、我々とは少しばかりまだ意見が一致しないところもあるわけでございまして、関係大臣同士で協議を進めてまいりたいというふうに思っております。

 今のお話でありますが、前回の労働基準法改正で、六十時間を超える時間外労働、これに関しましては割り増し率を五〇%、こういうことにしたわけでありますが、中小企業に対しては適用を猶予しておるわけであります。

 これは、見直し期間といいますか検討期間が来ておりますので、労働政策審議会で御議論をいただいております。

 中にある議論は、例えば運送業の手待ち時間でありますとか、それぞれ業種によってやはり対応等々を考えなければならないのではないかというような御意見でありますとか、そもそも中小零細企業においては、経営上五〇%を超えると非常に厳しいものがあるでありますとかという御意見がある一方、早く、ダブルスタンダード、これは中小企業、大企業で違うわけでありますから、それを解消すべきであるという御意見が、それぞれあるわけでございます。

 いずれにいたしましても、丁寧な議論を重ねながらこれは検討をさせていただきたい、このように考えております。

大西(健)委員 その中小企業特有の事情というのがあるからこそ、三年猶予されてきた。しかも、これをやるに当たっては、もちろんそういう事情がありますから、そこは別途の手当てというか支援というのは考えなければいけないと思いますけれども、ぜひ早急にやっていただきたいというふうに思います。

 雇用の話をしていて、私、常々感じるのは、言い方は悪いんですけれども、悪質なプロパガンダがあるんじゃないか。例えば、日本は労働関係の法制が、ルールがいろいろ厳しいんだということが言われていて、そして、雇用に関する規制は岩盤規制だというふうに言っているんですけれども、本当にそうなんだろうか。諸外国に比べて日本の規制は本当に厳しいんだろうか。

 その一つの典型が、次のページにつけておきましたけれども、例えば、解雇規制は日本は厳しいんだということを言うんですけれども、そんな事実はないんです。

 例えば、ここにあるグラフですけれども、これは、OECD各国の解雇の強弱を点数化して、そして順番に並べたグラフなんですけれども、日本はどちらかというと、真ん中よりも後ろの方、解雇しやすいカテゴリーに入っているんです。ですから、全く言われていることと違うんですけれども、そういうイメージが世間に植えつけられているということだと思います。

 そこで、改めて、例えば今私はこのグラフをお示ししましたけれども、厚労省として、日本の解雇規制が厳しい、そういう事実はないということを確認させていただきたいんですが、いかがでしょうか。

高鳥大臣政務官 大西委員にお答えをいたします。

 解雇に関する基本的ルールを見ますと、使用者の意思で自由に解雇できるという原則のもと、人種、性、年齢、障害等による差別的な解雇は不当とされるアメリカ等は別といたしまして、日本と欧州諸国の多くや韓国とは共通した傾向にございます。

 今委員が御指摘になられた点でございますが、OECDが公表しております各加盟国の雇用保護指標によりますと、我が国の正社員の雇用保護、すなわち解雇規制でございますが、加盟国三十四カ国中、これは二〇一三年の調査でございますが、緩い方から十番目となっております。

 なお、各国の雇用に関するルールは、それぞれの国の雇用システムの実態や歴史的経緯の積み重ねを踏まえたものでございまして、雇用システム全体としてどのようになっているのかを見ていくことも重要と考えております。

大西(健)委員 ただ、もちろん事情は違うんでしょうけれども、一つの点数化をして客観的に比べると、やはり日本は緩いんです。だけれども、誤ったイメージが私は流布されているのではないかというふうに思います。

 そういう点でいうと、例えば、この労働時間規制の問題についても、長谷川議員は、米国で当たり前にできていることが何で日本はできないんだみたいな言い方をしょっちゅうされるんです。

 ただ、この点についても、私はちょっと違うんじゃないかと。さっきもいろいろな話があったんですけれども、つまみ食い的で、何かいいところだけアメリカの例を出してくる。でも、実際には、アメリカでは反対の動きが起こっている。

 次の資料、資料の五と資料の六というのをつけておきました。

 資料五というのは英文の資料ですけれども、これは、三月十三日にオバマ大統領が労働長官に宛てた大統領覚書、メモランダムというものなんです。

 後でまたぜひ、英語の得意な方は今見ていただいても結構ですし、辞書を引きながらでも確認していただければいいんですけれども、真ん中ぐらいですけれども、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションは現在の経済に適合していない、時代おくれの法令によって何百万人もの米国民が残業や最低賃金の保障を欠いた状態にあるというようなことが書かれているんです。

 次の日本文の資料というか、雑誌の記事ですけれども、「「残業代ゼロ見直し」へ」、米国では日本の動きとは正反対という記事があります。

 この中に書いてある記事を読むと、例えば、ニクソン政権の一九七〇年に定められた基準を今の価値に引き直すと、大体年収五万五千ドル、年収五百六十万円相当だそうです。ところが、それが、そのままずっとインフレになっても据え置かれているので、今でいうと、年収二万三千六百六十ドル、約二百四十万円が基準になっている。こんなところで線を引いてしまったら、当然ですけれども、九割のホワイトカラーは残業代が払われないというのがアメリカの現実なんです。

 それが、大統領も認めておられるように、こんなことでは、アメリカの国民の多くが時間外労働や最低賃金の保障の枠外に置かれている、これはもう時代に合っていないんだということを認めて、反省をして、これを直そうというのが今アメリカの動きなんです。

 そういうアメリカの動きがあるにもかかわらず、今、日本では、このホワイトカラーエグゼンプションを入れようと。しかも、これは、初めはある年収で引かれるかもしれませんけれども、その後、年収の基準が下がっていくかもしれない、あるいは、ずっと据え置かれたら、インフレによって実質下がっていくかもしれない、そういうことになっていくと、アメリカと同じような方向を日本は目指すのかということだと思うんですが、このあたりはいかがでしょうか。

田村国務大臣 今言われたとおり、アメリカは、週給基準額をずっと変えてこなかったわけなので、当然それは、当時の賃金水準から比べれば、低いところからホワイトカラーエグゼンプションがかかってくるということでございますから、物価が上がる、賃金が上がる中において、それを是正しようという話でございまして、ホワイトカラーエグゼンプション自体を否定しているわけではない。当たり前のごとく、それを物価、賃金の上昇に合わせて引き上げるというだけのことであります。

 そもそも、アメリカのホワイトカラーエグゼンプションと日本の今言っているエグゼンプションは違うわけでして、日本の場合は、成果を評価するということでございますので、アメリカのように賃金というものを基準に置いているわけではない。

 もちろん、成果を評価する中においては、先ほど来申し上げておりますとおり、労働契約の交渉力は持っているという方々にやはり限定しなきゃならぬでありましょうから、そこには一定の賃金等の基準というのは入れますが、大前提は成果を評価できるということでございますので、そこは、アメリカのエグゼンプションと日本のエグゼンプションはそもそもが違うということで、御理解をいただければありがたいというふうに思います。

大西(健)委員 大臣は、成果が評価できるということをポイントにずっとしゃべっておられますけれども、必ずしも、産業競争力会議の議論を聞いていると、そうではないんじゃないか。幹部候補みたいな人まで対象にするみたいなことも言われているわけですから、私は、この議論を聞いていて、これはやはり、最初に私は集団的自衛権の話をしましたけれども、同じじゃないか。つまり、初めは限定的ですよというふうに入っていくんですけれども、だんだん対象がなし崩し的に拡大をされていくことが懸念されている。

 例えば同じ労働の分野でいえば、派遣法。最初は十三業種に限定して解禁をした。それがだんだん広がってきて、今度は、ポジティブリスト方式からネガティブリスト方式になって、原則自由化。これは、だんだんそうなんですよ。初め限定的にやっているけれども、どんどんどんどん広がっていくんです。ですから、そこが一番大きな問題じゃないか。

 あとの細かいところは山井先生がやられると思いますので、私はここから法案の方に移っていきたいと思うんですけれども、この法案も一緒なんです。

 法案も、ここで、有期雇用の無期転換ルールの特例が認められている高度専門職というのは、具体的な範囲については全部省令に委任されてしまっているんです。だけれども、本来、与えられるはずの民事上の権利を制約するわけですから、対象は限定すべきなんです。

 ところが、この限定についても、今想定されているという話で聞いている、例えば博士の学位を有する者といっても、今は高学歴ワーキングプアみたいな話があるわけですから、博士号を持っていたら誰でもいいのかみたいなことになったら、それでもちょっと緩いんじゃないかな。あるいは、年収要件も、現在は一千七十五万円以上の者というのが想定されているようですけれども、これも、さっき言ったように、将来的にまた下げられていく可能性があるんです。

 ですから、限定的に入れてという話なんですけれども、将来、この無期転換ルールの特例もどんどんなし崩し的に拡大していくんじゃないかという懸念があるんですけれども、この懸念に対して、大臣、どのようにお答えになりますでしょうか。

田村国務大臣 高度の専門知識、また技術、経験、こういうものの要件は何であるかということでありますが、これは、労働基準法第十四条の一回の労働契約期間、これの特例の対象であります、今言われた例えば一定の国家試験、こういうものを有する者、また、一定期間の実務経験を有し、年収一千七十五万円以上の、例えば、技術者でありますとかシステムコンサルタントでありますとかデザイナー、こういう方々を参考に、労働政策審議会の中で御議論をいただいていくということであります。

 今、一定の国家資格等々を持っていてもそれだけではという話がございましたが、この特区法の中においては年収要件をかけることになっておりますので、これは、先ほど申し上げました一千七十五万円をベースに検討をしていくということになろうというふうに思います。

 いずれにいたしましても、これは労政審の建議の中において、労使の共通理解ということで進めておるわけでございまして、そのようなもとにおいて御議論をいただくということでございます。

 一千七十五万がこれから下がっていくのではないかというようなお話もございましたが、基本的に、今、そのような形で法律を出させていただいておるわけではないということであります。

大西(健)委員 何でそういうことを心配するかというと、例えばこの有期雇用の特例も、昨年の秋の臨時国会で、議員立法ではありますけれども、研究競争力開発強化法ということで、もう、一回穴をあけちゃっているんです。今回、こうやってまた高度専門的知識を有する者と、それから、当初はその特区法には想定されていなかった、定年後に継続雇用される高齢者に対象を拡大する。やはりなし崩し的に、段階的に広がっていっているんです、穴が。ですから、そういうことが起きるんじゃないかということを心配しているんですね。

 その部分が集団的自衛権と似ているなと私は思うんですけれども、もう一つ集団的自衛権の議論と似ているなと思うのが、なぜ今やらなきゃいけないのか、その理由がよくわからない。

 まず、この法案について言うと、第一に、労働契約法の十八条の無期転換ルール、これは昨年四月にやっと施行になったばかりなんです。これからなんです。ですから、企業も今後対応を決めると言っているし、無期転換ルールの運用についてはこれから事例が蓄積されていく。そういう意味では、現時点では、法改正する立法事実というのが積み重なっていないんじゃないか。

 第二には、具体的なニーズ。この法律改正をしなければ行うことができないという不都合なケースというのが、いまいちイメージできない。

 例えば、特区法にもオリンピックのことが言われていますけれども、五年だと七年後のオリンピックに対応できないと言っているけれども、それは一年ごとの細切れの有期契約を五回更新しようという前提に立っているからであって、七年という期間の有期労働契約を一回締結するということだってできるわけです。そういう意味では、これをやらないとできないんだという具体的なケースというのがイメージできない。

 今これをやらなきゃいけない、その理由をわかりやすく説明していただきたいんです。

田村国務大臣 国家戦略特区法の附則第二条におきまして、五年を超える一定の期間内に完了することが予定される業務につく高度な専門知識等を有する労働者、これに関して、労働契約法第十八条の通算契約期間のあり方、さらには労働契約が適切に行われるために必要な措置、こういうものに対して労政審で検討を行い、所要の法律案を平成二十六年、通常国会に提出することを目指す旨が規定されているわけであります。

 でありますから、なぜ必要かといえば、そのような声が上がってきておるということでございまして、今般の法律改正に向かっての流れが出てきておるということであります。

 もう一方で、定年後、そのままその会社にお勤めになられる方々に関しては、やはり事業主側から、ちょうどこれから、要するに、六十一から六十五に継続雇用をされるわけであります。すると、六十五を超えた後にさらに継続をする場合に、この五年というものがかかってくるわけでございまして、それは雇いどめをせざるを得なくなってくる。一回定年はされたにしても、せっかく優秀な、能力のあられる方々をそこで雇いどめするというのは、なかなか忍びないところがあるということで、やはり必要性というものをお訴えになられてきておるわけであります。

 でありますから、オリンピックは余り関係ないといいますか、甘利大臣がおっしゃられましたが、一例であるわけでありまして、決してオリンピックがあるから今回提案をさせていただいたわけではありません。

 例えば、海外プラントなんかで働かれる専門知識をお持ちの方々、こういう方々なども対象になってくるんだろうと思います。一発の契約を延ばせばいいじゃないかというお話もございますけれども、それまでに早くプロジェクトが終わる場合もありますし、いろいろなことが起こるわけでございます。そういう意味からいたしますと、やはりそこはある程度自由に使える、フレキシビリティーがあった方がいいのではないかという形の中において、今回のような提案をさせていただいておるわけであります。

 いずれにいたしましても、これは労働政策審議会でおおむね妥当というようなことがされたというわけでありまして、我々としては今国会に提出をさせていただいたわけであります。

大西(健)委員 今の答弁を聞いていても、海外プラントという話は出てきましたけれども、最初に言われたのは、特区法にそう書いてあるから出ているんだと。何か具体的なニーズというのがやはりイメージできないんですよ。

 それと、労政審は認めている。それはそうですよ。労政審は何で認めているかというと、恐らく、余り実際のニーズはないから影響はないだろうと思っているんですよ。

 つまり、なぜかというと、これは臨時国会で成立した特区法の規定を受けているんですけれども、あのときに、特区の中と外で労働関係の法令の適用の違いが出るのはおかしいんじゃないか、だから、この部分については全国規模の規制改革事項にすると言ったんですね。だから、あそこで大々的に特区法をつくって、その内部に雇用の柱を立てて、その二つの柱のうちの一つとしてこれを立てた以上、やはりメンツとしては何か法律を出さなきゃいけないというから出したんですけれども、実際には、私は、限定すればするほど、一体、これがなければできないというニーズが本当にあるんだろうかということを思わざるを得ないというふうに思っています。

 最後に、本法律案では、無期転換ルールの特例を受けようとする事業主が、対象となる労働者に応じた適切な雇用管理に関する措置について計画を策定して、大臣に申請をするということになっているんですけれども、その申請に当たって、本来認められるべき労働者の権利を制約するものである以上は、あらかじめ労働者の意見を聞くべきじゃないか。

 例えば、事業主が計画の申請を行う際に、過半数労働組合等に対して意見聴取を行うことを義務づけてはというような御提案がありますが、これについてはどのようにお考えになりますでしょうか。

高鳥大臣政務官 お答えをいたします。

 事業主の計画申請に当たりまして、過半数労働組合等の意見を聞くことにつきましては、労政審におきまして、労働側は積極的に求める一方、使用者側からは法律上の義務を設けるということにつきましては反対があった事項でございまして、最終的には法律上の要件としては盛り込まれていないものでございます。

 過半数労働組合等の意見聴取につきましては法律上の要件にはなっておりませんが、認定に係る手続に際しましてどのような対応が望ましいかにつきましては、法案成立後、改めて労使双方の御意見をお聞きしつつ、引き続き検討することといたしておりまして、具体的には労政審で改めて御議論いただくべき内容と考えております。

大西(健)委員 今の御答弁では、法律上は書けなかったけれども、手続として何とかしたいというふうに受けとめましたけれども、ぜひ期待を申し上げたいと思います。

 この法律というのは労働契約法の特例を定めるものですけれども、なぜ労働契約法があるか。それは、普通の民法上の契約だと対等関係だけれども、労働契約というのは使用者側と労働者が非対称な関係にある、労働者の方が弱いからこういう労働契約法という特別な法律があるわけですね。

 私は、今の安倍政権の労働政策には、この基本的な政策が抜けてしまっているんじゃないか。つまり、やはり、事業主の都合を優先するんじゃなくて、労働者の声をとにかくよく聞いて、労働者側に立って考えていただくということを、労働時間規制のことについてもそうですし、ほかのことについてもぜひお願いをして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、山井和則君。

山井委員 それでは、三十分間質問をさせていただきます。

 まず冒頭に、私の配付資料十七ページに入れました、昨日、JEEDの三回目の入札があったということなんですが、今回も不調になったということで、これは、補正予算で景気対策といいながら、もう六月になろうとしているわけですよね。そういう中で、ああいう不正入札の問題もあり、大問題になって、私たちはかねてから、もう国庫に返納すべきだと。この短期集中特別訓練、総額二百七十八億円。

 今の厚生労働省のやり方を見ていると、とにかく補正予算に入れたんだから無理やり使い切る、そういう雰囲気ですね。しかし、消費税増税でこれだけ国民が今負担で苦しんでいるときでもあるわけですから、田村大臣、もういいかげんに、やれるところが、実施できる主体が見つからないわけですから。意地になって、不正も見つかった、やってくれるところはない、でも、とにかくもう二百七十八億円使い切るんだ、使い切るんだと。そうじゃないと思うんですよ。やはりこれはもう、今までから私たち野党も言っているように、国庫に返納すべきだと思いますが、田村大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 訓練関連業務、関東ブロック二機関、東海・北陸ブロック一機関、近畿ブロック二機関、九州・沖縄ブロック一機関、これだけの応札がありました。これからしっかりと参加資格等々を満たしているか審査を行って、六月上旬に企画選定委員会で委託候補者を選定してまいりたいと思っております。

 なお、応札のなかった部分に関しては、しっかりと、どのような形であるか、事業ができるような形で対応できるように努力をしてまいりたいと思います。

 いずれにいたしましても、必要な事業であることは間違いないわけでありまして、なるべく早くこれをスタートさせないと、お待ちをいただいている方々も多々おられると思います。一生懸命、それに関しましては努力をしてまいりたいというふうに思います。

山井委員 これは本来の求職者支援制度等々でも対応はできるわけでありますし、今回不正入札が明らかになったように、この問題、そもそも補正でやる事業ではなかったと思います。やはり、このことに関しては国庫に返納していただきたいということを強く申し上げたいと思います。

 それでは、雇用の質問に移ります。

 けさから、足立議員、そして今の大西議員の話にもありましたし、今回の有期雇用の特例の法案、非常に問題は多いと思っております。昨年四月に施行されて、まだまだ日も浅い。そういう中で、民主党政権が、有期雇用の方々を無期雇用になるように、とにかく非正規労働の方々が雇用が安定するように、本当にそういう魂を込めてつくった法律をすぐにこういうふうに変えて、無期雇用になりにくくするというのは問題があると思います。

 そのことの問題点はきょうも朝から議論をしておられましたので、私は、足立議員、大西議員も議論されたように、残業代ゼロ制度、ホワイトカラーエグゼンプションですね、これについても少し触れさせていただきたいと思います。

 きょうは、赤石事務局次長も内閣官房からお越しをいただいて、ありがとうございます。

 まず、今回、この労働時間法制の緩和が、アベノミクスの目玉、そして六月末にでも出ようとしている成長戦略の目玉になろうとしているわけですね。配付資料二ページを見てください。五月にイギリスのシティで、安倍総理がアベノミクスについての演説をされました。その中でこうおっしゃっているわけです。アベノミクスは前進中、労働の制度は新しい時代の新しい働き方に合わせ見直しを進めます、ドリルの刃は最大速度で回転をしていますと。つまり、残業代ゼロの制度を導入することが成長戦略の目玉で、ドリルの刃でそれを実現していきたい。

 もちろん、これは、けさからも議論がありましたから、賛否両論あるとは思いますが、私はやはり、長時間労働を是正する、それこそ過労死をなくしていく、そのことこそが今急務であるというふうに思っております。

 そこで、田村大臣と赤石次長にお伺いしたいと思います。

 一昨日の産業競争力会議で案が提示をされました。例えば、民間議員、長谷川議員の方からは、こういうグラフですね。配付資料の四ページにありますが、一言で言いますと、管理職候補、幹部候補生を残業代ゼロ、深夜手当、休日手当ゼロにしろと。

 それで、きょうも多くの皆さんが傍聴にも来られていますが、幹部候補生というと、三十代、四十代の方々で課長代理、課長補佐クラスというと、かなりの人が当たる可能性があると思うんですね。例えばこの部屋におられる委員部、調査室の方々も、人生の中でこれから幹部を目指していかれるんだろうと思いますから、そういう意味では……(発言する者あり)全員だという声もありましたが、多くの人がこれにかかってくる可能性もあるわけです。

 一方、田村大臣の方からは、五ページにありますように、成果で評価できる世界レベルの高度専門職、こういう案を出されたそうであります。

 それぞれの方にお伺いしたいんですが、まず赤石次長、この民間議員の提案は、労働者の大体何割ぐらいで、何万人ぐらいをイメージされているんでしょうか。

赤石政府参考人 お答えさせていただきます。

 産業競争力会議の民間議員から提案されている新しい労働時間制度の対象者につきましては、業務遂行、労働時間等を自己管理し成果を出せる能力のある労働者ということが大前提でございまして、限定された労働者への制度の導入が想定されてございます。

 御提案は、求められる制度のお考えを示していただいたものでありまして、対象となり得る労働者の規模を具体的に申し上げることは困難でありますが、一昨日の会合におきましては、民間議員からは、イメージ的には全体の一割にも満たないのではないかという御発言があったところでございます。

山井委員 一割という数字が出ました。

 今、全労働者は何万人ですか、赤石次長。

赤石政府参考人 ただいま手元に数字は持ってございませんが、数千万人程度いるというふうに私は理解しております。

山井委員 田村大臣、全労働者は今何人ですか。大体でいいですよ。

田村国務大臣 おおむね五千万人ぐらいだというふうに思っております。

山井委員 きょう雇用統計が発表されましたが、雇用者、サラリーマン、五千五百五十九万人、約五千万人ですね。

 ということは、一割にも満たないということは、要は五百万人とか、そういうレベル以下ということで、赤石次長、よろしいですか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 民間議員からは、全体の一割の母集団については具体的な言及がなかったところ、何の一割かについては、私の方から明確にお答えすることは困難でございます。

山井委員 これは、全体だから雇用者でしょう。実際、この会議の後の説明のときに田中参事官は、給与所得者の一割かなという発言を、それらしき発言をされておられますから、雇用労働者とすると五千五百五十九万人、その一割とすると五百万人ぐらいが一つのイメージかと思いますが、これはすごい数ですよ。

 さらに、田村大臣、今の話を聞いてもらったらわかると思いますが、課長補佐、課長代理、幹部候補生、五百万人以下。でも、これは輪切りにした話ですから、一人の人生で考えたら、課長以上に将来なる人はほぼ全員そこは通っちゃうんですよ。そうしたら、五百万人じゃないんですよ。全員じゃないですか、幹部候補といったら。

 それで、田村大臣、首をかしげておられますが、田村大臣はどう発言されているかというと、十九ページ、甘利大臣が記者会見でこうおっしゃっているんですね。田村大臣からは、課長代理のような人まで広げるのは難しいのではないか、これは、深夜は課長にもついている、課長にもついていて課長代理につかなくなってしまうのは、矛盾するのではないかという指摘があったと。

 ということは、田村大臣としては、今回の民間議員のこの案というのは、課長代理のような人にまで広がっているという認識でよろしいですか。

田村国務大臣 民間議員の方々がどういうような意見を言われているか、ちょっと私もうまく理解していないところもあるんですが、我々は、成果を評価できるということが前提。総理もおっしゃっておられますからね、成果を評価するんだというふうにおっしゃっておられます。でありますから、成果というものがはかれなければ、そもそも評価できないんじゃないですかというお話をさせていただいたわけであります。

 今言われた課長代理というような方々がもし対象であるとするならば、そういう方々は、深夜の割り増しも除外しちゃえば、課長代理のときには深夜割り増しがつかず、課長になると深夜割り増しがつくのは、これはやはりちょっとおかしいんじゃないですかというようなお話をさせていただきましたが、そもそも、私が言ったことが、まさに民間議員の方々が提案されている内容なのかどうなのかということは私は定かでない中において、一例として申し上げたということであります。

山井委員 その場で話を聞いておられたのは、この中では田村大臣しかおられないわけですから。民間議員の提案に対して、課長代理に深夜割り増しがつかないのはおかしいんじゃないかと田村大臣はおっしゃったわけですよね。だから、これは深刻な問題で、長谷川議員なり、赤石次長なり、午前中の小泉政務官は、一割に満たない、五百万人に満たないと言うけれども、これは一生を通じたら、課長以上になろうとしたらそこは通っちゃうわけですよ、幹部候補生を。

 ということは、今も傍聴に来てくださっていますが、三十代、四十代の人、これはほとんどの人、かなりの人がかかっちゃうんじゃないですか。限定的と言うけれども、これはかかってしまう危険性がないですか。

 赤石次長にお伺いします。

 幹部候補、課長代理ということは一割にも満たないと言うけれども、輪切りにしたら一割に満たないかもしれませんが、例えばAさんという人が会社に入りました、将来、課長以上を目指していますと。まあ当たり前ですよね、当たり前ということはないけれども、その人が目指したとしましょう。そうしたら、幹部候補生を通らないと幹部になれないわけだから、幹部になる人の多くがこの残業代ゼロ制度の対象になる可能性があるということですか、幹部候補生ということは。赤石次長、お願いします。赤石次長にまずお聞きします。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 長谷川主査のメモには、対象となる人につきましては、「業務遂行、労働時間等を自己管理し成果を出せる能力のある労働者に限定導入」と書いてございまして、さらに、今お示しいただきました資料の中でも、「各部門・業務においてイノベーティブな職務・職責を果たす中核・専門的人材」「将来の経営・上級管理職候補等の人材」と書いてございまして、イメージしている人材は極めて限られているものというのが主査の提案だと理解してございます。

山井委員 赤石さん、申しわけないけれども、一割に満たない、五百万人以下だけれども、私が聞いているのは、横切りでは五百万人以下かもしれないけれども、一人の人生で考えたら、幹部候補生になる人はもっと多くかかっちゃうんじゃないんですかということを言っているわけです。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 将来の経営・上級管理職候補は極めて限られているというふうに長谷川主査は理解していると思っております。

山井委員 一割に満たないということね。

 そこでお伺いしたいんですが、極めて限られているとおっしゃいますが、例えばこの図を見ても、民間議員が配付した図、これは確かに、私、はかっていませんけれども、一割前後かなと思うんですよ、この大きさが。だから、そのあたりを考えているのかなと思うわけですけれども。

 それで、ほかの、女性や若者も対象に入るかもしれないということなんです。八ページを見ていただけますか。

 八ページの中で、四月二十二日の長谷川議員のペーパーの中に、「基本的な考え方」、この残業代ゼロ制度でどう書いてあるか。「子育て・親介護世代(特に、その主な担い手となることの多い女性)や定年退職後の高齢者、若者等の活用も期待される。」幹部候補だけじゃないんですよ。女性、若者も期待する、退職後の高齢者も残業代ゼロと。これは限定ですか、かなり広いですよ。

 赤石次長に確認したいんですが、四月二十二日の長谷川議員のペーパーですが、若者も女性も残業代ゼロ制度の対象になり得るというこのペーパーは、今も生きているんですか。これはもう撤回されたのか、それとも、このペーパーは今でも生きているんですか。

赤石政府参考人 お答えさせていただきます。

 長谷川主査は、このペーパーの後にもう一枚新しい提案をされておりますが、基本的には、最初の紙は生きているというふうに理解しておりますが、しかしながら、この新しい紙におきましては、先ほど申し上げましたとおり、極めて限定的な対象者ということになってございまして、最初に出されたペーパーよりもさらに限定的なイメージを持っておられるというふうに理解してございます。

山井委員 赤石次長、そこははっきり答弁してください。生きているが、このペーパーは生きているけれども二回目は限定になりましたでも、生きていたら一緒じゃないですか、このペーパーが。

 では、このペーパーは撤回されて二回目に限定されたのか、この女性や高齢者も期待されるという話は、今も産業競争力会議の場で検討の途中なのか。どうなんですか。はっきり答弁してください。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 明確に撤回されたわけではございませんが、二度目の紙は、最初がこれぐらいの広さだとすれば、明らかに狭い、さらに狭いものをイメージとして明確に出しましたので、両方あわせ見れば、後者の紙がさらに狭いところを指し示しているもの、そのように理解しております。

山井委員 いや、撤回したなら撤回したと言ってくださいよ。撤回はしたんですか。イエスですか、ノーですか。そこを言ってください。

 私たちが知りたいのは、これはかなり大きな話ですよ、残業代ゼロ法案で、その議論の俎上に、若者や女性、要は幹部候補生じゃないという意味ですよ、幹部候補生じゃない若者や女性も上がっているのか、もう上がっていないのか、どっちですか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 上がっておりません。幹部候補生でないような方々は対象には上がっておりません。

山井委員 では、答弁を変えられるんですか。私は最初に、この四月二十二日のペーパーは生きているんですかと言ったら、生きているとおっしゃったから、私は、撤回されないんですねと聞いた。撤回するということは、では、このペーパーに書いてある内容は撤回。これは大きいですよ、この答弁は。撤回ということでいいんですか。これはすごく大きな答弁ですよ。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 撤回ではなく、再度整理をされたものと受けとめております。繰り返しますが、最初に提案された内容がこれぐらいの幅だとすれば、次回提案された内容が、今回提案された内容がそれよりも狭いものになっておりまして、したがって、この中で残った部分というか、入っていない部分は少なくとも対象には入っていないという意味でございます。

山井委員 繰り返しになります。では、四月二十二日、これは非常に重要なペーパーですからね、長谷川ペーパー、これは撤回されたということでよろしいですか。明快に。

赤石政府参考人 言葉の使いようはあると思うんですが、少なくとも新しい提案に入っていない部分につきましては、撤回という言葉が適切かどうかわかりませんが、入っていないという理解でよろしいと思います。

山井委員 ということは、これは大事なことです、女性、若者が入る可能性は成長戦略にないということでいいですか。

赤石政府参考人 お答えします。

 女性であれば上級管理職候補等の人材でない、そういう理解はしておりませんので、女性であれ若者であれ、将来の経営・上級管理職候補であって、イノベーティブな職務、職責を果たす中核・専門的人材であれば、対象になる可能性があるというふうに理解してございます。(山井委員「若者は」と呼ぶ)

 若者であっても、中核・専門的人材であって、将来の上級管理職候補であって、きちんと能力、経験、実績を積んでいる方であれば、一律に排除するものではないと理解してございます。

山井委員 若者も対象になると今明確に答弁されましたね、若者も。すごいことを答弁されましたね。女性であっても。わかりました。

 そうしたら、赤石次長、これは年収要件は入る可能性はあるんですか、ないんですか。これは一番わかりやすいのは、年収が幾ら以上とかだと、例えば七年前のホワイトカラーエグゼンプションは、九百万円以上とか、こんな議論があったわけです。そうしたらイメージが湧くじゃないですか、限定という意味ね。今回、年収が、成長戦略のときに残業代ゼロ制度で入る可能性はあるんですか、ないんですか。

赤石政府参考人 お答えします。

 長谷川主査の紙の最初の提案には、年収の要件みたいなものも入ってございました。それにつきまして、成長戦略にどのように書き込むか書き込まないかにつきましては、今後、政府部内で議論していくことになると思います。

山井委員 そうしたら、これは年収を書き込まない可能性もあるわけですね。

 そこで、田村大臣は、NHKのニュースでも流れておったんですが、先日、低所得者はこの制度には入れないという話をされておられます。これは、この配付資料の中で十一ページ。厚生労働大臣、低所得者残業代ゼロにしないと。これは本当ですか。

 というのは、年収条件が入らない可能性があるんですよ。年収条件が入らなかったら、低所得者は残業代ゼロにしないということですけれども、この制度に年収条件は入るんですか、田村大臣。

田村国務大臣 まず、一割という話で五百万人という話がありましたが、給与所得者が五千万人であって、ここには非正規雇用の方々もおられます、一千九百万人。さらにはブルーカラーの方々もおられます。ホワイトカラーの中でも、幹部候補生にならない方々もおられます。でありますから、五百万人という対象ではないんだろうなと。ここは明確に、それは後から出たペーパーですよ、ということで御理解をいただければ。私が擁護するのも変な話なんですけれども、という話なんだろうと思います。

 その上で、この低所得者は、残業代ゼロというのはそもそも私はデフォルメして言っておるわけでありまして、本来は、エグゼンプションは残業という概念がないので、そういうものではないんだろうと思いますが、それをわかりやすく表現したというふうに御理解ください。低所得者はこれは対象にしないというのは、甘利大臣とそこは意思を統一させていただいております。これから大臣間で協議をしていくわけでございますので、低所得者の方々がこのエグゼンプションの対象になるということはないというふうに御理解をいただければありがたいと思います。

山井委員 では、低所得者、田村大臣のおっしゃる定義は、大体年収何百万円以下ですか。

田村国務大臣 皆様方が低所得だなと思われる、同じような範囲だと思います。

山井委員 ちょっと、これは主観的な話じゃないですから、国民の皆さんが関心を持っておられることですから、田村大臣、厚生労働大臣はお幾らぐらいだと思っておられるんですか。

田村国務大臣 低所得者という定義、これからいろいろ検討しますけれども、山井委員がどれぐらいのイメージをお持ちなのかお聞かせをいただければ、それに沿ってお答えさせていただきます。

山井委員 では、年収三百万円以下の人がこの制度に入る可能性はあるんですか。

田村国務大臣 基本的に、三百万以下、二百万台ということでございますれば、多分、これから甘利大臣と詰めますけれども、対象にならないというふうに認識いたしております。

山井委員 五百万円はいかがですか。

田村国務大臣 五百万円は低所得者とは余り言わないとは思いますが、どこまでどうだというのは検討でございますので、まあ、五百万円は低所得者と普通は言わないと思いますので。

 ただ、かといって五百万円が入るというわけではありません。それはこれからの検討でありますけれども、そもそも我々はそういう提案はしておりません。我々が提案しておるのは、高度な世界レベルの専門職でございますから、我々の提案の中においてはそれは入っておりません。

山井委員 いや、今のは重大な答弁ですね。五百万円は残業代ゼロになる可能性を排除しませんでしたね。

 ということは、田村大臣、低所得者じゃなくて中所得者は、残業代ゼロになる可能性、今回の新しい労働時間法制になる可能性はあるということでよいですか。

田村国務大臣 厚生労働省の提案は、対象になりません。ただ、今これは、民間議員の方々の御意見、提案というものを受けて、我々と調整をしております。大臣間の調整になります。この中でどのような形になるかということが決まってくるわけでありますが、我々はそういう方々は対象にしないということで議論をさせていただくということでございまして、関係大臣で内容を詰めてまいりたいというふうに考えております。

山井委員 赤石次長、低所得者は、この今回の新しい残業ゼロ制度、ホワイトカラーエグゼンプションの対象にならないということでよろしいですか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 長谷川主査の頭の中には、低所得者の方は原則念頭に置かれていないというふうに私どもは理解しております。

山井委員 赤石次長、では、中所得者は、残業代ゼロ制度、ホワイトカラーエグゼンプションに入る可能性はあるんですか。

赤石政府参考人 主査の考えておられることを明確に言うことは難しいとは思うんですが、ただ、主査の紙には処遇についても触れられておりまして、「職務・成果に応じた適正な報酬確保、効率的に短時間で働いて報酬確保」ということが明確にうたわれておりまして、必ずしも年収の低い方は念頭にないものというふうに理解してございます。

山井委員 もうそろそろ質疑時間も終わってしまいますけれども、これは本当にさまざまな人に、限定的と言いながら、全く限定的でないわけです。

 最後にお聞きしますが、赤石次長、今回の民間議員のペーパーの中で、こちらにありますように、四ページ、ポイント3で、健康確保は、労働時間の上限、年休取得下限等の量的制限を導入するということが「長時間・過重労働の防止」で書かれているんですが、この残業代ゼロ法案をつくるときには、法律的に、労働時間の上限、年休取得下限の量的制限ということは法律で担保するということですか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 具体的な制度設計につきましては、成長戦略の改定、あるいは労働政策審議会における議論などを経て具体化されていくものというふうに認識してございます。

山井委員 こういうふうに、ポイント3として、量的制限を導入して長時間・過重労働は防止すると言いながらも、結局、今聞いたように、法律でそれを、防止を担保するのかといったら、全く法律で担保するかどうかもわからない。こういう長時間労働、過重労働の防止の歯どめなく残業代ゼロ制度を導入するのは大変問題だということを指摘して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次回は、来る六月四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二分散会


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