衆議院

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第29号 平成26年6月18日(水曜日)

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平成二十六年六月十八日(水曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

   委員長 後藤 茂之君

   理事 あべ 俊子君 理事 金子 恭之君

   理事 北村 茂男君 理事 とかしきなおみ君

   理事 丹羽 雄哉君 理事 山井 和則君

   理事 上野ひろし君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      岩田 和親君    大久保三代君

      大串 正樹君    金子 恵美君

      菅野さちこ君    小松  裕君

      古賀  篤君    桜井  宏君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      高木 宏壽君    高鳥 修一君

      高橋ひなこ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    中村 裕之君

      永山 文雄君    福山  守君

      船橋 利実君    細田 健一君

      堀内 詔子君    前田 一男君

      牧島かれん君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      山下 貴司君    大西 健介君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      柚木 道義君    足立 康史君

      浦野 靖人君    清水鴻一郎君

      重徳 和彦君    輿水 恵一君

      桝屋 敬悟君    中島 克仁君

      井坂 信彦君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君

    …………………………………

   議員           薗浦健太郎君

   議員           森  英介君

   議員           上野ひろし君

   議員           中島 克仁君

   議員           井坂 信彦君

   議員           小宮山泰子君

   議員           金子 恭之君

   議員           盛山 正仁君

   議員           古賀  篤君

   議員           古屋 範子君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      赤石 浩一君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐藤 敏信君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            中野 雅之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       半田 有通君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十八日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     福山  守君

  金子 恵美君     細田 健一君

  堀内 詔子君     菅野さちこ君

  松本  純君     牧島かれん君

  三ッ林裕巳君     前田 一男君

  村井 英樹君     岩田 和親君

  山下 貴司君     中村 裕之君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     村井 英樹君

  菅野さちこ君     堀内 詔子君

  中村 裕之君     高木 宏壽君

  福山  守君     赤枝 恒雄君

  細田 健一君     金子 恵美君

  前田 一男君     三ッ林裕巳君

  牧島かれん君     松本  純君

同日

 辞任         補欠選任

  高木 宏壽君     桜井  宏君

同日

 辞任         補欠選任

  桜井  宏君     山下 貴司君

    ―――――――――――――

六月十八日

 社会保険労務士法の一部を改正する法律案(薗浦健太郎君外六名提出、衆法第四一号)

 財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律の一部を改正する法律案(金子恭之君外六名提出、衆法第四五号)

同月十六日

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員に関する請願(志位和夫君紹介)(第一八三二号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(園田博之君紹介)(第一八三三号)

 同(竹内譲君紹介)(第一八三四号)

 同(今村雅弘君紹介)(第一九三三号)

 同(山本有二君紹介)(第一九三四号)

 憲法二十五条に基づく権利としての福祉実現に関する請願(吉川元君紹介)(第一八三五号)

 社会保障の切り捨て中止に関する請願(志位和夫君紹介)(第一八三六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一九三五号)

 障害者福祉についての新たな法制に関する請願(上野ひろし君紹介)(第一八三七号)

 同(黄川田徹君紹介)(第一八三八号)

 同(田中和徳君紹介)(第一八三九号)

 同(武正公一君紹介)(第一八四〇号)

 同(谷川弥一君紹介)(第一八四一号)

 同(ふくだ峰之君紹介)(第一八四二号)

 同(宮崎政久君紹介)(第一八四三号)

 同(渡辺孝一君紹介)(第一八四四号)

 同(上田勇君紹介)(第一九三六号)

 同(大久保三代君紹介)(第一九三七号)

 同(齋藤健君紹介)(第一九三八号)

 同(新開裕司君紹介)(第一九三九号)

 同(高橋みほ君紹介)(第一九四〇号)

 同(中丸啓君紹介)(第一九四一号)

 同(畑浩治君紹介)(第一九四二号)

 脳卒中対策基本法の早期制定に関する請願(永岡桂子君紹介)(第一八四五号)

 肝硬変・肝がん患者の療養支援の推進に関する請願(白石徹君紹介)(第一八四六号)

 同(今村雅弘君紹介)(第一九四三号)

 同(上野ひろし君紹介)(第一九四四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九四五号)

 同(畑浩治君紹介)(第一九四六号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一九四七号)

 難病、長期慢性疾患、小児慢性疾患の総合対策を求めることに関する請願(鬼木誠君紹介)(第一八四七号)

 同(黄川田徹君紹介)(第一八四八号)

 同(白石徹君紹介)(第一八四九号)

 同(園田博之君紹介)(第一八五〇号)

 同(古屋範子君紹介)(第一八五一号)

 同(堀井学君紹介)(第一八五二号)

 同(泉健太君紹介)(第一九五〇号)

 同(大串正樹君紹介)(第一九五一号)

 同(高橋みほ君紹介)(第一九五二号)

 同(竹本直一君紹介)(第一九五三号)

 同(畑浩治君紹介)(第一九五四号)

 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願(上野ひろし君紹介)(第一八五三号)

 同(金子恵美君紹介)(第一八五四号)

 同(遠山清彦君紹介)(第一八五五号)

 同(古屋範子君紹介)(第一八五六号)

 同(輿水恵一君紹介)(第一九五五号)

 筋痛性脳脊髄炎患者の支援に関する請願(上野ひろし君紹介)(第一八五七号)

 同(柏倉祐司君紹介)(第一八五八号)

 同(永山文雄君紹介)(第一八五九号)

 同(今津寛君紹介)(第一九五六号)

 同(金子恵美君紹介)(第一九五七号)

 同(輿水恵一君紹介)(第一九五八号)

 同(高木宏壽君紹介)(第一九五九号)

 同(高橋みほ君紹介)(第一九六〇号)

 同(中谷真一君紹介)(第一九六一号)

 同(山井和則君紹介)(第一九六二号)

 B型・C型肝炎患者への肝炎対策に関する請願(青木愛君紹介)(第一九二一号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第一九二二号)

 同(小林史明君紹介)(第一九二三号)

 同(坂元大輔君紹介)(第一九二四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九二五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九二六号)

 同(鈴木貴子君紹介)(第一九二七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九二八号)

 同(高橋みほ君紹介)(第一九二九号)

 同(津島淳君紹介)(第一九三〇号)

 同(中丸啓君紹介)(第一九三一号)

 同(平沼赳夫君紹介)(第一九三二号)

 自己免疫性肝疾患患者の療養支援の推進に関する請願(上野ひろし君紹介)(第一九四八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九四九号)

同月十七日

 公正な賃金・労働条件に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇四四号)

 同(笠井亮君紹介)(第二〇四五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇四六号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第二〇四七号)

 同(田嶋要君紹介)(第二〇四八号)

 同(津村啓介君紹介)(第二〇四九号)

 同(野間健君紹介)(第二〇五〇号)

 同(福田昭夫君紹介)(第二〇五一号)

 同(吉川元君紹介)(第二〇五二号)

 同(阿部知子君紹介)(第二二七八号)

 同(北村誠吾君紹介)(第二二七九号)

 同(郡和子君紹介)(第二二八〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二二八一号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二八二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二八三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二八四号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二二八五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二八六号)

 同(小川淳也君紹介)(第二三九六号)

 同(神田憲次君紹介)(第二三九七号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第二三九八号)

 同(後藤斎君紹介)(第二三九九号)

 じん肺とアスベスト被害根絶を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇五三号)

 同(笠井亮君紹介)(第二〇五四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇五五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二〇五六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二〇五七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇五八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇五九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二〇六〇号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員に関する請願(笠井亮君紹介)(第二〇六一号)

 同(津村啓介君紹介)(第二〇六二号)

 同(亀井静香君紹介)(第二三六二号)

 障害者の生きる権利を保障するヘルパー派遣制度に関する請願(清水鴻一郎君紹介)(第二〇六三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇六四号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(金子一義君紹介)(第二〇六五号)

 同(平井たくや君紹介)(第二〇六六号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二〇六七号)

 同(郡和子君紹介)(第二二二二号)

 同(東郷哲也君紹介)(第二二二三号)

 同(原口一博君紹介)(第二二二四号)

 同(山本拓君紹介)(第二二二五号)

 同(秋元司君紹介)(第二三六三号)

 同(中谷元君紹介)(第二三六四号)

 全国一律最賃・時給千円以上の実現に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇六八号)

 障害者福祉についての新たな法制に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇六九号)

 同(井坂信彦君紹介)(第二〇七〇号)

 同(岩永裕貴君紹介)(第二〇七一号)

 同(笠井亮君紹介)(第二〇七二号)

 同(神山佐市君紹介)(第二〇七三号)

 同(河野正美君紹介)(第二〇七四号)

 同(菅野さちこ君紹介)(第二〇七五号)

 同(岸本周平君紹介)(第二〇七六号)

 同(北村誠吾君紹介)(第二〇七七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇七八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二〇七九号)

 同(坂本祐之輔君紹介)(第二〇八〇号)

 同(笹川博義君紹介)(第二〇八一号)

 同(志位和夫君紹介)(第二〇八二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇八三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇八四号)

 同(竹下亘君紹介)(第二〇八五号)

 同(津村啓介君紹介)(第二〇八六号)

 同(西野弘一君紹介)(第二〇八七号)

 同(野中厚君紹介)(第二〇八八号)

 同(松野頼久君紹介)(第二〇八九号)

 同(丸山穂高君紹介)(第二〇九〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二〇九一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二二三二号)

 同(江田康幸君紹介)(第二二三三号)

 同(笠井亮君紹介)(第二二三四号)

 同(金子万寿夫君紹介)(第二二三五号)

 同(清水誠一君紹介)(第二二三六号)

 同(鈴木淳司君紹介)(第二二三七号)

 同(武村展英君紹介)(第二二三八号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二二三九号)

 同(中島克仁君紹介)(第二二四〇号)

 同(原口一博君紹介)(第二二四一号)

 同(山本拓君紹介)(第二二四二号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第二二四三号)

 同(秋元司君紹介)(第二三六五号)

 同(穴見陽一君紹介)(第二三六六号)

 同(井出庸生君紹介)(第二三六七号)

 同(勝沼栄明君紹介)(第二三六八号)

 同(亀井静香君紹介)(第二三六九号)

 同(神田憲次君紹介)(第二三七〇号)

 同(坂本剛二君紹介)(第二三七一号)

 同(島田佳和君紹介)(第二三七二号)

 同(永岡桂子君紹介)(第二三七三号)

 同(長妻昭君紹介)(第二三七四号)

 同(濱村進君紹介)(第二三七五号)

 介護保険制度における利用料負担の廃止等に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二〇九二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三七六号)

 脳卒中対策基本法の早期制定に関する請願(桝屋敬悟君紹介)(第二〇九三号)

 肝硬変・肝がん患者の療養支援の推進に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇九四号)

 同(伊佐進一君紹介)(第二〇九五号)

 同(石関貴史君紹介)(第二〇九六号)

 同(笠井亮君紹介)(第二〇九七号)

 同(木下智彦君紹介)(第二〇九八号)

 同(北村誠吾君紹介)(第二〇九九号)

 同(坂本祐之輔君紹介)(第二一〇〇号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二一〇一号)

 同(阿部知子君紹介)(第二二四四号)

 同(郡和子君紹介)(第二二四五号)

 同(國場幸之助君紹介)(第二二四六号)

 同(東郷哲也君紹介)(第二二四七号)

 同(穴見陽一君紹介)(第二三七七号)

 同(越智隆雄君紹介)(第二三七八号)

 同(亀井静香君紹介)(第二三七九号)

 同(神田憲次君紹介)(第二三八〇号)

 自己免疫性肝疾患患者の療養支援の推進に関する請願(桝屋敬悟君紹介)(第二一〇二号)

 同(阿部知子君紹介)(第二二四八号)

 同(中島克仁君紹介)(第二二四九号)

 難病、長期慢性疾患、小児慢性疾患の総合対策を求めることに関する請願(伊佐進一君紹介)(第二一〇三号)

 同(北村誠吾君紹介)(第二一〇四号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二一〇五号)

 同(松野頼久君紹介)(第二一〇六号)

 同(三原朝彦君紹介)(第二一〇七号)

 同(郡和子君紹介)(第二二五〇号)

 同(東郷哲也君紹介)(第二二五一号)

 同(中谷元君紹介)(第二三八一号)

 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一〇八号)

 同(井坂信彦君紹介)(第二一〇九号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二一一〇号)

 同(郡和子君紹介)(第二二五二号)

 同(高橋みほ君紹介)(第二三八二号)

 筋痛性脳脊髄炎患者の支援に関する請願(金子一義君紹介)(第二一一一号)

 同(田嶋要君紹介)(第二一一二号)

 同(津村啓介君紹介)(第二一一三号)

 同(寺島義幸君紹介)(第二一一四号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二一一五号)

 同(松本純君紹介)(第二一一六号)

 同(村岡敏英君紹介)(第二一一七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二二五六号)

 同(桜井宏君紹介)(第二二五七号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二二五八号)

 同(中島克仁君紹介)(第二二五九号)

 同(御法川信英君紹介)(第二二六〇号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第二三八三号)

 同(江田康幸君紹介)(第二三八四号)

 同(金田勝年君紹介)(第二三八五号)

 同(永岡桂子君紹介)(第二三八六号)

 同(星野剛士君紹介)(第二三八七号)

 B型・C型肝炎患者への肝炎対策に関する請願(青柳陽一郎君紹介)(第二一一八号)

 同(笠井亮君紹介)(第二一一九号)

 同(河野正美君紹介)(第二一二〇号)

 同(菅野さちこ君紹介)(第二一二一号)

 同(黄川田徹君紹介)(第二一二二号)

 同(岸本周平君紹介)(第二一二三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一二四号)

 同(杉本かずみ君紹介)(第二一二五号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第二一二六号)

 同(高木美智代君紹介)(第二一二七号)

 同(武井俊輔君紹介)(第二一二八号)

 同(玉城デニー君紹介)(第二一二九号)

 同(遠山清彦君紹介)(第二一三〇号)

 同(野間健君紹介)(第二一三一号)

 同(福井照君紹介)(第二一三二号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二一三三号)

 同(松野頼久君紹介)(第二一三四号)

 同(宮路和明君紹介)(第二一三五号)

 同(保岡興治君紹介)(第二一三六号)

 同(吉川元君紹介)(第二一三七号)

 同(阿部知子君紹介)(第二二六一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二二六二号)

 同(上野ひろし君紹介)(第二二六三号)

 同(金子万寿夫君紹介)(第二二六四号)

 同(郡和子君紹介)(第二二六五号)

 同(近藤洋介君紹介)(第二二六六号)

 同(左藤章君紹介)(第二二六七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二二六八号)

 同(高木義明君紹介)(第二二六九号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二二七〇号)

 同(中島克仁君紹介)(第二二七一号)

 同(原口一博君紹介)(第二二七二号)

 同(藤丸敏君紹介)(第二二七三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二七四号)

 同(務台俊介君紹介)(第二二七五号)

 同(山井和則君紹介)(第二二七六号)

 同(山本拓君紹介)(第二二七七号)

 同(穴見陽一君紹介)(第二三八八号)

 同(井坂信彦君紹介)(第二三八九号)

 同(うえの賢一郎君紹介)(第二三九〇号)

 同(小川淳也君紹介)(第二三九一号)

 同(亀井静香君紹介)(第二三九二号)

 同(高村正彦君紹介)(第二三九三号)

 同(橋本岳君紹介)(第二三九四号)

 同(渡辺周君紹介)(第二三九五号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(郡和子君紹介)(第二二二〇号)

 患者窓口負担の大幅軽減に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二二二一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三六一号)

 憲法二十五条に基づく権利としての福祉実現に関する請願(阿部知子君紹介)(第二二二六号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二二二七号)

 憲法を生かし将来に希望の持てる年金を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二二八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二二九号)

 憲法を生かし安定した雇用を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第二二三〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二三一号)

 現下の厳しい雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の拡充・強化を目指すことに関する請願(鈴木貴子君紹介)(第二二五三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二五四号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二二五五号)

 医療崩壊を食いとめ、患者負担の軽減により安心して医療が受けられることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二三四一号)

 患者・利用者負担を大幅に軽減し、いつでも安心して受けられる医療・介護の実現を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二三四二号)

 患者負担大幅軽減、後期高齢者医療制度の廃止を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二三四三号)

 こどもの城、青山劇場、青山円形劇場の存続に関する請願(青山周平君紹介)(第二三四四号)

 同(赤枝恒雄君紹介)(第二三四五号)

 同(義家弘介君紹介)(第二三四六号)

 身体障害者手帳等級の改善に関する請願(阿部知子君紹介)(第二三四七号)

 同(大西健介君紹介)(第二三四八号)

 同(輿水恵一君紹介)(第二三四九号)

 同(清水鴻一郎君紹介)(第二三五〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三五一号)

 マッサージ診療報酬・個別機能訓練加算の適正な引き上げを求めることに関する請願(重徳和彦君紹介)(第二三五二号)

 労働法制の大改悪をやめ、安心して働き続けられる雇用を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三五三号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三五四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三五五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二三五六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三五七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三五八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三五九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三六〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 労働安全衛生法の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)(参議院送付)

 社会保険労務士法の一部を改正する法律案(薗浦健太郎君外六名提出、衆法第四一号)

 財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律の一部を改正する法律案(金子恭之君外六名提出、衆法第四五号)


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     ――――◇―――――

後藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、労働安全衛生法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房日本経済再生総合事務局次長赤石浩一君、厚生労働省健康局長佐藤敏信君、労働基準局長中野雅之君、労働基準局安全衛生部長半田有通君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

山井委員 たった二十分ですが、精いっぱい質問させていただきたいと思います。

 五年前私が厚生労働大臣政務官だった当時から検討を始めておりましたこの労働安全衛生法、いよいよ成立に近づいてきました。一歩前進、本当に着実に労働者の労働安全が守られることになるような、一助となる改正であると思っております。

 そんな中でありますけれども、この残業代ゼロ制度、成長戦略の目玉が今議論されております。ここにフリップもありますけれども、当たり前の話ですが、管理職の人は残業代はないわけですね、一般職員の方は残業代はある。それを、管理職でもないけれども残業代をゼロにするというのがこの考え方でありまして、これによって長時間労働あるいは賃金が下がるのではないかという非常に大きな不安が広がっております。

 これについて、成長戦略の骨子では、まあ、一千万円以上だったらいいんじゃないのという議論になりつつあるんですが、きょうの質疑でこだわりたいのは、この一千万円以上というのは法律にも明記されません、一つの目安にすぎないわけで、一旦一千万円で導入してから後、下げるのは、国会審議も必要でなく、簡単なんですね。ですから、私は、これをアリの一穴法案と呼んでいるわけです。

 一度、一般社員であるにもかかわらず残業代を払わなくてよいという残業代ゼロ制度を導入したら、あとは年収要件さえ下げれば、これはもう大変な、ブラック企業のみならず、ブラック国家に日本の国は一歩間違うとなってしまうと思います。

 それで、きょうの配付資料八ページ、今から七年前の一月十二日の新聞であります。七年前に安倍総理が一度ホワイトカラーエグゼンプションということで導入を試みられましたが、頓挫して、この後一月十六日に安倍総理は記者会見をして、国民の理解は得られないからということで断念をされました。それが、次の九ページの記事にあります、「残業代ゼロ 提出断念」。

 しかし、七年前は、年収九百万円以上、そして、赤線を書いておりますけれども、日本経団連が求める年収四百万円以上より対象を絞り込んだということが当時から言われております。つまり、経団連は当時から、一千万円じゃなくて、四百万円以上で残業代ゼロを実施してほしいということを言っていたわけであります。

 さらに、今回経団連の会長が発言をされておられます、少なくとも一〇%程度は導入されないと意味がないと。配付資料の五ページですね、「少なくとも全労働者の一〇%程度は適用を受けられるような制度にすべきだ」ということを発言されておられます。

 そこで、担当の内閣官房の赤石次長にお伺いしたいんですが、一千万円という数字が出ておりますが、経団連が要望をしていたような年収四百万円以上というふうに年収要件が下げられる可能性は将来的にはございますか。

赤石政府参考人 お答えします。

 今回素案に盛り込まれました「少なくとも年収一千万円以上」ということにつきましては、総理からの指示なども踏まえ、閣僚間できちんと御調整していただいた結果というふうに理解してございまして、先日素案を産業競争力会議でお示ししたときには、榊原経団連会長もいらっしゃいましたが、これにつきまして全く異論を唱えるものではございませんでした。

 したがいまして、産業競争力会議の民間議員の方々も含めまして、この一千万円という数字がどんどん下がっていって対象が拡大していくということが即座に起きるというようなことは全く想定していないものと理解しております。

山井委員 今、赤石次長、即座には起こらないとおっしゃいましたね。

 では、五年、十年後に下がることはないということですか、赤石次長。

赤石政府参考人 将来のことにつきまして私が今断言する立場にはございませんが、少なくとも現段階におきましては、どんどん拡大するという考え方を持っている者は産業競争力会議には一人もいないというふうに申し上げておきます。

山井委員 将来のことについては断言できませんということは、五年、十年後に年収四百万円になっている可能性は否定できないということでよろしいですか。

赤石政府参考人 繰り返して申し上げますが、将来のことにつきましては私が断言する立場にはございませんが、今の段階では、年収要件がどんどん下がるということは誰も想定していないというふうに理解しております。

山井委員 これは、一般社員の残業代をゼロにするというのは、長時間労働、過労死、賃下げにもつながるかもしれませんから、日本の労働者にとって死活問題なんです。今の段階ではじゃないんです。私たちは、法律をつくる以上は、五年、十年、二十年後、それが日本の労働者にとってどういう影響を及ぼしているのか、そのことをしっかり考えないと、先のことはわかりませんなんて、そんな無責任な話はないと思います。

 それでは、田村大臣、同じ質問をさせていただきます。

 経団連は四百万円以上ということをかつて要望されておられました。四百万円以上というように一千万円から将来的に年収要件が下がる可能性はありますか、ありませんか。

田村国務大臣 いろいろな御要望は、いろいろな方々がいろいろなところでされるんです。

 ただ、安倍内閣において、少なくとも一千万以上という、そういう基準のもとでこれから議論をしていくわけでありまして、これは、労働者の代表また事業者の代表、有識者の方々が入っていただくそういう場でも御議論をいただくということでございます。

 でありますから、四百万というのを今回我々は念頭に置いていないということであります。

山井委員 質問にお答えください。

 将来的に四百万円に下がる可能性はありますか、全くありませんか。

田村国務大臣 世の中がそのときどうなっているかわかりませんよね。そういう働き方がいいというような環境になっているかもわかりません。

 今、日本の国は、よく言われますが、職務型といいますかジョブ型ではありません、どちらかというとメンバーシップ型で、いろいろな働き方をしております。こういう働き方の中において、今般我々が提案しているのは、高い職業能力という、言うなれば専門性というものに着目したものにおいて今回の提案をさせていただいているわけでありまして、いろいろな働き方をしておられる、何もかもやっておられる方々を念頭に置いているわけではございません。

 そういうことを考えると、日本のこれからの働き方にもよりますし、国民的な合意というものもあると思います。もっと言うと、我々だって政権をずっと握っているかどうかわかりません。五年後、十年後、どうなっているかわからない。そういう中において言えることは、今、我々はそういうことは考えていないということであります。

山井委員 だから、私は、無責任だと言うんです。今考えていなくても、この制度をつくったことによって将来的にどういうことが起こるか、そのリスクを考えないとだめなわけです。

 今、田村大臣は重要なことをおっしゃいました。いろいろな世論やいろいろな状況が変わったりしたら、では、将来的に年収四百万円というものも対象になる可能性はゼロではないということですか。

田村国務大臣 仮に、労働者の方々からそういう働き方がいいというようなお声が多く出て、労働組合もそれでいいんじゃないかというような御意見も出て、みんながそれでいいという話になれば、そういうこともあり得るでありましょう。

山井委員 私は、そういう年収要件が下がっていくことに関しては非常に危惧を感じております。

 それでは、そういう方針であるならば、私は、余り、一千万円、一千万円ということを政府は言うべきではないと思いますよ。誤解を招きます。将来的には年収要件は下がるかもしれません、四百万円になるかもしれませんということを正直に言っておかないと、国民の理解は全然違いますよ。一千万円以上だけの話なのか、四百万円までいく可能性があるのかというのと全然違います。

 それで、おとつい、私、安倍総理と論戦させていただきました。私、おやっと思ったのは、安倍総理はこう答弁されているんですね。今は一千万円です、でも、将来的には三要件で判断しますと。

 この三要件、フリップを見てください。一番目、希望しない人には適用しない。三番目、働き方の選択によって賃金が減ることのないように適正な処遇を確保する。この二つは、ある意味で要件にならないんですね、事実上、こんなことは。ということは、残るは、具体的な要件というのは二番目です、職務の範囲が明確で高い職業能力を持つ人材。これだけの要件だと、いかようにも広がるんじゃないですか、こんな曖昧な定義では。

 赤石次長、職務の範囲が明確で高い職業能力を持つ人材、これは年収四百万円ぐらいでもおられるんじゃないですか、どう思われますか。

赤石政府参考人 最初に、若干誤解がございますようなので訂正しておきますと、総理が、希望しない人には適用しない、それから職務の範囲が明確で高い職業能力を持つ人材に絞り込む、それから適正な処遇を確保する、この三つが相まって年収要件に反映されるものでして、必ずしも、二つ目の、職務の範囲が明確で高い職業能力を持つ人材だけが要件であるというふうには考えてございません。

 その上で、二つ目の、職務の範囲が明確で高い職業能力を持つ人材ということに対象を絞り込むというときの一つのメルクマールとして、年収一千万程度という形のものが、大体、関係閣僚間で頭の中にあったもの、そういうふうに理解してございます。

山井委員 でも、その答弁は矛盾していますよ。その一千万も自動的に変わっていくわけですよね。

 それで、一つ事例をお話ししたいんですが、なぜこんなことを言うかというと、法律に額が明記されなかったら、簡単に額というのは下げられるんです。

 先月、この国会で労働契約法を議論したときに、有期雇用、一千万円以上の人は五年を十年に延ばしてもいい。あのときも一千万円という額は法律に入っていませんでしたよね、覚えておられますように。

 田村大臣、一千万円とおっしゃるんだったら、来年出てくる労働基準法改正、この残業代ゼロ法案に、一千万円なり具体的な額は入れるんですか。

田村国務大臣 それも含めてこれから検討をするということであります。

 先ほど、委員、高い職業能力を有する、そして職務の範囲が明確である、これだけしか生きていないじゃないかと言われましたが、その前の、本人がやはり納得しなきゃならぬわけでありまして、そのときの交渉力というものがあるそれだけの年収という意味で少なくとも一千万ということを挙げておるわけでありますから、本人が納得しないときには、これでは嫌ですよと言えるような、そんな高い能力を持って、またそれだけ稼げる方だということで、たしか総理もおっしゃっておられたというふうに思うんですが、そこだけ抜かれてお話しされるのはちょっとフェアじゃないというふうに思いますよ。

山井委員 田村大臣、これから検討するということですが、私は、田村大臣の意思を聞いているんです。

 こういう額、もし下げたくないと思ったら法律に入れておいた方が下げにくいです。でも、法律に入れなかったら、国会審議も経ずに、一年ぐらいで下げることができるわけです。

 田村大臣は、法律に額は明記すべきだと考えているんですか、どっちですか。

田村国務大臣 これから労働政策審議会でも御議論をいただく話でございます。予断を持って私が何かを申し上げるというよりかは、しっかりと労使入られたそのような場で御議論をいただいて一定の方向性を出していただくことが、私は本来あるべき姿だというふうに考えております。

山井委員 こういう年収要件を将来自動的に下げさせるかどうかというのはこの根幹なんですよ。そういうことは、私は、大臣が自分の考え方をしっかり持たれるべきだと思いますし、今の方針を聞いて、これはもう年収要件は入らないな、どんどん下がっていくんだなというふうに感じました。

 そこで、例えば、有料職業紹介の規制緩和、見てください。二〇〇二年には、年収千二百万円以上の経営管理者、科学技術者からの手数料徴収容認。規制緩和するけれども、年収千二百万円以上ですよ、ごく一部の限られた人だけですよといって導入したところが、何と、翌年の二〇〇三年には五百万円もこれは下げているわけですよ。法律に額が書いてないとこういうことになるんです。田村大臣、翌年に、施行は翌々年ですが、五百万円下げるというのはやはりおかしくないですか。

 今回も、来年労働基準法改正で、一年目は一千万円だった、でも、対象が少な過ぎる、いろいろなところから使い勝手が悪いと言われて、では翌年五百万に下げましょう、同じことが起こる可能性があるんですよね。

 このときの経緯と、今回の残業代ゼロ法案で、翌年に五百万円、一千万から五百万円に下がらないという確約をしてもらえますか。

田村国務大臣 この有料職業紹介業は、求職者から原則としてはお金を取ってはいけないわけでありますが、そこは、例えば経営管理者でありますとか、それから科学技術者でありますとか、さらには熟練技能者、こういう方々に関しては、一千二百万円というものを、平成十四年に設定する中において、そういう方々であるならば十分に交渉力があるであろうということで、求職者からもお金を取っていいというふうにしたわけであります。

 その後、二年後でありますが、言われるとおり、これが七百万まで下がった。一千二百万というのは当時の部長職の平均的な年収ということで設定されたようでありますが、その後、議論の中で、転職されて初めて部長になられた方々の平均的な年収は七百万であるということで、これを引き下げるということで、これは労働政策審議会で御議論をいただいて、建議の中においては、労働者側も反対をされずに御了承いただいたという形で建議をいただいたものでありますから、我々としてはそのような形にさせていただきました。

 いずれにいたしましても、やはりこういう重大な話は、労働政策審議会も含めて御議論をいただく話ということが多いと思います。

 ちなみに、今般の、少なくとも一千万以上というようなものが次の年に五百万円になることがあるかどうか。それは、私がいつまで大臣をやっているかわかりませんから、明確にないですとは言い切れないところもありますが、少なくとも私が大臣をやっておれば、次の年に五百万ということはさせないようにしてまいりたいと考えております。

山井委員 いや、この答弁はびっくりしました。

 ということは、田村大臣が大臣じゃなかったら、一千万で導入したのが翌年に五百万に下がることは否定されませんでしたね。いや、これはもう根本的な話じゃないですか。そんな無責任な考え方なんですか。いや、これは恐ろしいですね。

 ということは、これから……(発言する者あり)いやいや、もう私びっくりして言葉もありませんけれども、赤石次長、本当にこれは、もう質問時間がなくなりましたので結構ですけれども、大臣なりこの厚労委員会のメンバーの責任というのは何かというと、法律で一番怖いのは、そんなはずじゃなかったというのが一番怖いんです。私、十五年間この厚労委員会をやっていますけれども、一番ショックを受けたのは労働者派遣法。最初は、多様な働き方で、派遣がいいという人もいるから、その人だけが派遣になったらいいじゃないのといって始めたものが、どんどん規制緩和されて、今では四割の人が不本意派遣になっちゃっているんですね。

 きょうのこの話を聞いてびっくりしましたが、一千万円ということで導入しても、それは最初、導入のときが一千万円にすぎないのであって、あとは、翌年から、五百万円に下がるのか幾らに下がるのかわからない。そんな改正は絶対に成長戦略の目玉として認めることはいかないということを言って、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 今の山井議員の質疑を受けてまず申し上げれば、大臣がかわったら年収要件は変わるかもしれない、下がるかもしれない、それはわからないということであるならば、だからこそ法律に書き込まなければならないということだと思うんです。大臣、またこれは、赤石次長も残っていただきますので、後ほど議論をさせていただきます。

 まずは、法案に入る前に、この国会最後の質問の機会ですので、少し確認をさせていただきたいことがあります。

 二〇一三年の四月に、小六から高一の女子を対象に定期接種が始まった子宮頸がんワクチン、このことについてです。

 重篤な副反応が相次いだため、二〇一三年六月以降、厚労省は積極的な接種勧奨の一時差し控え措置をとっておられます。厚労省の審議会は、副反応を接種時の痛みや不安が引き起こす心身の反応としていて、勧奨再開へ向けた検討をしているとのことであります。しかし、全身の痛み、運動障害、高次脳機能障害などは、心身の反応ということでは到底説明がつかない実態となっているということであります。

 もともとこの子宮頸がんワクチンは、百種類以上あるヒトパピローマウイルスの16型と18型を予防できるのみであり、子宮頸がんの発症を完全に防げるわけではないワクチンであります。このワクチンは、新しい免疫増強剤が使われたりして、未知の副反応の可能性も十分あり得るわけであります。

 資料二、三と添付をさせていただきましたけれども、厚労省の研究班の代表である池田修一信州大学教授でさえ、副反応の原因をもっとじっくり研究すべきだというような趣旨の発言をしておられます。そのところだけ少し線を引いておきましたが、「単に「心理的要因や社会的要因」というだけでは説明がつかない。」、接種の呼びかけ再開については「今のままでは時期尚早だろう。」「この段階で再開を急ぐ必要はない。」と、厚労省の研究班の代表の先生ですらこのように言っておられるわけであります。

 再開には慎重であるべきだと考えますけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

田村国務大臣 もう答弁するのが恐ろしくてね。だって、そんなことはないと思いますが、少なくとも私が大臣をやっている間はそういうことはさせませんと言ったのが、じゃ、あなたがかわったらさせるんですかと何かむちゃくちゃな御意見が出るものですから、これは答弁をしてもどう曲げられるのかわからないので、ちょっと、本当に答弁するのが難しくて、何と言えばいいのかわからないんです。

 中根委員はそのようなことはおっしゃられないという前提で、私の方から答弁をさせていただきます。

 これに関しましては、世界じゅうで広く推奨されているワクチンであって、WHOも推奨されておられます。その中において、日本も導入いたしました。

 出てきたいろいろな症状というものは、世界的にもそれをもってして大きく政策を変えたということはないわけでありますが、ただ、我々がこれを積極勧奨し出して、いろいろな副反応、これは実際は、まだ副反応かどうか、完全に否定できない、もちろん副反応であると証明されているわけでもないわけでありますが、完全に否定できないものでありますから、積極勧奨というものは去年の六月に一旦停止いたしております。ただし、定期接種ではございますので、打ちたい方々は今も定期接種として打っていただけるという状況であります。

 その後、例えば、治療された方々の御意見を伺ったりだとか、実際に治療の場に立ち会っていただくだとか、いろいろな症例等々も参考に副反応検討部会の方で御議論をいただいてまいりました。一定の考え方の一致は今年初めに見たわけでありますが、さらにまだいろいろな御意見を伺わせていただいておるという状況でございます。

 いずれにいたしましても、検討部会の方の報告をいただいた上で、我々としては適切な判断をさせていただきたい。まだ、御報告はいただいておる状況ではございません。

中根(康)委員 積極接種勧奨は拙速に再開をしないという御答弁であったと受けとめてよろしいでしょうか。これはイエスかノーかで。

田村国務大臣 それも含めて、どうするのかというのは、報告書をいただいてから判断をさせていただきますので、まだ報告書をいただいている段ではございませんので、判断をするようなところにまだ来ていないということであります。

中根(康)委員 ぜひ、被害者といいますか患者の皆様方の声を真摯にお受けとめになって、慎重に検討していただきたい、これはお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、少子化対策のことでありますけれども、もう時間がなくなりますのではしょって質問いたしますけれども、先日、青少年特別委員会で少子化担当大臣の森大臣にお尋ねをいたしました。

 骨太の方針、成長戦略に入るのかどうかも定かでないんですが、五十年後に人口一億人を維持するということなんですが、これに対して森大臣は、五十年後に人口一億人を維持すること自体は政府の目標としたいという趣旨の御答弁をされました。これは議事録も添付をさせていただいております。

 それでは、それを実現するために、例えば五年ごととか、出生率の数字的な目標を立てるのかということをお尋ねしたところ、出生率の数字というのは目標とすべきではないというような御答弁をされたわけであります。

 出生率の数字的な目標がなくて五十年後に一億人の人口を実現する、最近、安倍内閣でよくある、ばんと打ち上げて人目を引いて、人気をとって、それで実際にはうやむやにしてしまう、実効性はないというような政策の一つになりかねないということでありますけれども、大臣、そもそも、五十年後に一億人、そしてそれを達成するための年次ごとの出生率の目標、こういったものは成長戦略に入るんでしょうか。改めて確認させていただきます。

田村国務大臣 済みませんが、これは内閣府の担当の話でございますので、私は、まだ閣議決定していないので、詳細どうなるのかということは存じ上げておりません。

中根(康)委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 引き続き、出生率ということにもかかわることなんですけれども、これまでの委員会でも再三にわたって指摘をしておりますように、子供をふやすためには、安定した雇用環境をつくらなきゃいけない。賃金の水準を見ても、正規雇用と非正規雇用では格段の格差がある。そして、結婚している人と、していない人ということで比べても、結婚していない理由の一つは経済的な状況である。やはり経済力が低いと、なかなか結婚したくてもできない。

 結婚できなければ我が国においては子供はふえていかないということになりますので、若者が結婚しやすい状況をつくるということが極めて重要だということにおいては、経済力を一定程度確保するためには正社員雇用をふやすということが大事なことであって、その意味では、今回、どうなるかまだわかりませんけれども、労働者派遣法の見直し、これによって非正規社員がふえていくということは、少子化対策にも、結婚対策にも、子供をふやすということにおいては逆行するということになりますので、これは見直さない方がいいということになります。

 それと、残業代ゼロ制度、これも、雇用の安定、安心感ということでいえば、安定的な生活が送れ、ワーク・ライフ・バランスがきちんと確保されて、家庭生活も安定的に営めるということでいえば、導入しない方がいいということになるわけであります。

 田村大臣、一つだけ、おさらいなんですけれども、以前にこの委員会で、中小企業の社会保険料負担に対する支援策をお願いさせていただいたわけであります。

 正社員をふやすべきだという観点からすると、法人税減税よりも、中小企業の社会保険料負担に対する支援を行った方が正社員雇用がふえて、結果的に子供がふえていくということにつながると私は考えておるわけでありますけれども、減税が今成長戦略の中に盛り込まれようとしているわけであります。この減税をすることによって、では従業員の方の賃上げにきちんとそれが回るかどうかということ、単に内部留保ということだけにとどまってしまいかねないというのがこの減税の一つの心配な点であるわけであります。

 五十年後に一億人という人口を維持するためということも含めて、減税というものが賃上げにつながるかどうか、労働者の豊かな生活に結びつくかどうかということについては、大臣、いかがお考えでしょうか。

田村国務大臣 ちょっと盛りだくさんで、どうお答えしていいのかわかりませんが、社会保険料に関しては、御党とも、非正規の方々に関しても社会保険の拡大を目指していくということでございますので、これは一致した考え方だと思います。どのような段取りでやっていくかというのは、これからの議論だというふうに思います。社会保険料云々というよりかは、非正規の方々も含めて社会保険の対象にしていった方がいいというような考え方は一致しているんだと思います。

 それから、法人税減税自体、先般も大分委員会でお叱りいただきましたが、民主党政権時代も、菅政権時代に、主要国並みに法人税を引き下げるということで、たしかまずは五%引き下げられたのは民主党政権だったと思います。鳩山政権のときの金融担当副大臣の方は、たしか三〇%を切る水準までというようなことをテレビでおっしゃられたというような報道も流れておったというふうに記憶いたしております。

 法人税減税の必要性というものは御党も御理解をいただいているものだというふうに私どもは考えておりまして、それによって経済が活性化する、もしくは、企業が今法人税の安いところに移っていくというようなことを防ぐという一つの政策の中において、経済の活性化の中で雇用が生まれる、そして賃金が上がっていくということは十分に想定できることであろうな、ここは共通の理解を持っていただいているものだというふうに認識いたしております。

中根(康)委員 ぜひ、社会保険料負担が中小企業の重荷になっているという現実がありますので、減税一辺倒ということではなく、特に大企業向けの政策ということではなくて、中小企業支援をしっかりと行って、社会保険料負担の軽減策というものも検討して、そのことをもって正社員をふやして、子供がふえる社会環境をつくっていく、こういったことも厚生労働省からも強く働きかけていただきたい、そういう思いできょうは御提案をさせていただいているということでございます。

 労安衛法に関することでいえば、労働時間規制。

 きょうの資料の最後に添付させていただきましたけれども、STAP細胞問題、成果主義の果てにこういうことが起こってしまったのではないか、こういう記事も出ているわけであります。この成果主義というものが働く人たちにとっては相当心身の負担になるということも十分念頭に置いて、この残業代ゼロ制度を導入するかどうかということを政府は真剣に考えていただかなくてはいけないということだと思います。

 労働時間規制が、突き崩さなければいけない、何が何でも壊さなきゃいけない岩盤規制なのかということでいえば、これは、健康や命を守るために、長年の公労使の議論の積み重ねによって、今の必要な規制として存在をするということであろうと思います。これをなくすということは、ある意味、企業側だけの論理が先行するということになって、やはり、残業代ゼロという制度を導入するということは、働く人たちに犠牲を強いて、企業のもうけのためにこういう制度を導入するんだ、働く人たちの健康や命は犠牲になっても構わないんだというふうに見られても仕方のないことだと思います。

 赤石次長、なぜこの労働時間規制というものが今あるのかというところについては、どのようにお考えでしょうか。

赤石政府参考人 お答えします。

 現行の労働時間規制の重要性につきましては、民間議員の方々も十分認識しているところでございまして、また、これを突き崩すというような議論は一切なかったものでございます。

 また、企業側からの論理だけという話がございましたが、希望しない人には適用しないという総理の御発言にもありますとおり、労働者側の立場にも立った制度をつくっていくべきだということになってございます。したがって、労働時間規制につきましては、その重要性を十分認識した上で、それをそのまま適用する場合に不都合が生ずるような場合には、希望しない人には適用しないという大原則のもと、新しい制度を入れていくということも一つの考え方としてあるのではないか、こういった考え方で提案がなされているものと理解しております。

中根(康)委員 先ほどから赤石次長は、希望しない人には適用しないということを強調されておられますが、これまでの議論の中で、希望しないということはあり得ないのではないかということを私どもは申し上げておりまして、希望しない人は、上司から見たら、あなたは自己管理できない人なんですか、あなたは出世意欲のない人なんですかというレッテル張りをされてしまいかねない、その危険性が極めて高いということを私たちは指摘させていただいているということを繰り返し申し上げたいと思います。

 今でもいわゆるサービス残業、賃金不払い残業というものがはびこっている中で、残業代ゼロ制度を導入するということは、サービス残業問題にふたをかぶせるということになりはしませんか、赤石次長。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 サービス残業問題というか長時間労働の問題につきましては、こういった新しい制度を導入する大前提としてまず最初に取り組むべきだということで、今回の産業競争力会議に提示されました素案でも、そこについてはしっかり取り組むということが書かれているわけでございます。その上で新しい制度を入れていこうということでございますので、ふたをするということではなくて、むしろしっかりと取り組んでいくということが明確になっていると理解してございます。

中根(康)委員 まさに政府の成果目標はそこにあるのであって、残業代不払い問題を解決するということが大前提にあるのならば、まずはそれを解決して、国民の皆様に納得していただける、解決したんだねということを御理解いただいたというところまでしっかりと証明してから、残業代ゼロ制度というものを議論したり導入したりということでなくてはなりません。

 大前提とおっしゃったわけですので、まずこれを先にやってください。そうでなければ、これを導入してはだめです。そのことは申し上げておきたいと思います。

 経済産業委員会で、茂木大臣の御答弁の中で、きょうも添付させていただきましたけれども、公務員の皆さんには適用するんですかというようにお尋ねをいたしましたら、公務員は人事院がその働き方を管理するから、それは一概には言えないというようなことを言った上で、その上で、場合によっては経済産業省だけ導入するというわけではなく、やる場合には全省庁やりますというようなことをおっしゃったわけなんです。

 これは、赤石次長、民間にお願いをするというか、民間に押しつけるということであるならば、まずは隗より始めよ、官庁からおやりになりますか、いかがですか。

赤石政府参考人 これまでの議論におきましては、あくまでも労働基準法が適用される労働者を想定した議論でございまして、同法の適用のない国家公務員については現時点で特定の方向性を持つものではございませんが、一般論として、いろいろな働き方を民間の方々でやっていただく中で、国家公務員の働き方についてもいろいろな形での議論がなされていく可能性があるというふうに理解しております。

中根(康)委員 それでは、労働基準法の改正案と同時に、公務員の方々に関係する法律案も一緒に提出をしていただくということでお約束をしていただいたということでよろしいですか。

赤石政府参考人 まことに恐縮でございますが、私は約束する立場にはございませんので、そういったことはできませんとお答えさせていただきます。

中根(康)委員 もう時間がありませんので、最後にさせていただきたいと思います。

 これはやはり、最後に申し上げますけれども、無限定に拡大していくのを防ぐ一つの歯どめが、きちんとした数字、年収要件ということだと思います。それが幾らが適切かということは労政審できちんと議論していただければいいと思いますが、議論していただいた上で、大臣がかわっても、その考え方といいますか立法趣旨というものは変わらない、制度導入の理念というものは変わらないということを継続していくためにも、法律に年収要件も明記をしていただくということが必要不可欠だというふうに思います。

 改めて、大臣、法律に明記していただくかどうか、このことだけをお答えいただけないでしょうか。

田村国務大臣 法律に書いたって、法律改正すれば変わっちゃうわけですよね、これは。

 ですから、我々はそんなことを言っているのではなくて、そもそもが、交渉力のあるそういう年収要件、少なくとも一千万円以上、本当は私はもうちょっとかなと思ったんですけれども、ここで民主党が一千万、一千万と言うものですから、何かそこになっちゃったような気もしているんですけれども、正直申し上げて、交渉力のあるというのが一番重要なんです。交渉力がなかったら、これは先ほど言われたとおり、希望せざるを得なくなっちゃうんです。

 そうならないような交渉力のあるそのような年収要件というのはどうなんだというものを、我々は、労政審を含めて御議論いただきたいというふうに思っております。

中根(康)委員 交渉力よりもやはり法律の方が強いはずなんですよ。やはり法律に明記すると。法律に書いたって、変えたら同じじゃないかというのはちょっと暴論だと思います。これを指摘させていただいて、きょうは終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 きょうは労安衛法の質疑の時間をいただいたのですが、まず冒頭、今週月曜日に決算行政委員会で同期の玉木議員が質問した件について、ちょっと続きをしたいというふうに思うんです。

 私も日曜日にこの新聞記事を見て、きょうの委員会で大臣にお聞きしようかなと思っていたら、先に玉木さんが取り上げてくれたんです。新聞の記事を資料としてお配りしていますけれども、高年齢者雇用安定助成金、昨年の実績が目標二千人に対してたったの一人だった、関連事業の予算も含めて九九%を余したと。そこまでは百歩譲っていいとして、にもかかわらず、今年度の予算については二割増しを計上したということであります。

 担当課は、この記事にもありますけれども、初年度でPR不足だったというようなことを言っていますけれども、たった一人ということを考えると、これは、PR不足とかそういうレベルの話ではないんじゃないかなというふうに私は思っています。その上、予算を減額するどころか、増額をしている。厚労省には、使われない予算を積み増す余裕なんてないんじゃないか、ほかにももっとやるべきこと、使うべきお金がたくさんあるんじゃないかというふうに私は思います。

 玉木委員の質問に対して、総理も、執行状況等を把握して、事業内容を必要であれば見直していくというような答弁をされていますけれども、田村大臣に改めてお聞きをしたいと思います。

 実績が一人なのになぜ予算を増額したのか、それから、今後具体的にどう見直しして、今年度は、この二割積み増した予算を含めて、ちゃんと目的に沿って使われるというふうに言い切れるのかという部分について、国民の皆さんが納得のいく説明をお願いしたいと思います。

田村国務大臣 この高年齢者雇用安定助成金でありますが、委員も十二分に御承知だと思います。民主党政権下で、六十歳から六十五歳、継続雇用もしくは定年延長、もしくは定年をなくすということで、企業に義務づけたわけであります。

 そうなれば、当然のごとく、企業にその体制を整備していただかなきゃならぬということで、継続雇用する場合の環境整備、もしくはそれから漏れて仮に他に転職された場合、こういうことを考えられて御党がこの政策自体は射込んでいただきました。そして我々が、政権交代後、射込んでいただいたこの助成金を、要するに予算編成いたしまして、そして予算化したわけであります。そういう意味では、この事業の必要性は御党も十二分に御理解をいただいておると思います。

 その上で、なぜ執行が少なかったか。言われておるのは多分、労働移動支援コースというものでございまして、これは、転職をされた場合、その転職先において高齢者の方々を新たに雇っていただいた、本当を言うとそのまま継続雇用していただくのが主であって、そういう方々が少ない方がいいわけでありますが、ただ、高齢者の雇用を考えた場合に、保険的な役割でこういうような労働移動支援コースというのをつくったわけです。これも多分、委員も十分に御承知だと思います、委員の政権のときにこういうものを射込んでいただきましたので。

 ただ、問題は、やはり不正があってはいけないので、半年継続雇用した後に初めて申請できるということになったものでありますから、四月からスタートしておりますから、実際問題、最短でも十月以降でないと申請件数が上がってこないということでございます。結果的に、一件というのは少な過ぎると。

 これは民間経由しか申請できなかったんですが、今般はハローワークも入れさせていただこうということで、これによってPRをしていこうというのと同時に、やはりこれは、そうはいっても、漏れた方々に対しての、要するにセーフティーネットの方のコースでございますので、ここは五億七千万円減額をいたしまして、言われるとおり、この余り使われなかった方は減らしました。

 もう一方の活用促進コース、これは継続雇用の方であります。こちらの方は、実は、契約をするための認定に三カ月かかるんですね。(大西(健)委員「答弁を簡潔にしてください」と呼ぶ)

 よく聞いてください、その理由を申し上げておりますから。

 三カ月かかるので、それ以降になります。結果的に、昨年度後半に四百件ぐらい応募が来られたわけでありますが、これは昨年の予算の執行に入っておりません。今年度分に回ってまいります。結果的に、今年度は昨年の予想よりもふえるであろうというふうに考えまして、こちらの方を増額させていただきました。

 あわせて、金額を引き上げさせていただくという形にさせていただいたわけでありますが、今、順調に四月も応募の方が来ております。こちらの方はかなりのペースでふえてまいるのであろうな、こういう予測をいたしております。

 いずれにいたしましても、御党のときに射込んでいただいたものでございますので、大切に、我々は、この制度をちゃんと御利用いただけるように、頑張ってPR等々をしてまいりたいと思っております。

大西(健)委員 先日のテレビ入りの質疑のときにも、財務大臣が民主党政権のときに、民主党政権のときにと言っていましたけれども、昨年度の予算で一件しかなかったわけですよ。ですから、そこはやはりもっと真摯に受けとめていただいて、今期は順調にということでありますけれども、やはりしっかり本来の目的に沿って使われるようにしていただきたいと思いますし、我々も、今大臣はそういう答弁でしたから、しっかりと結果については見させていただきたいというふうに思います。

 同じような行政監視の観点から、労安衛法にも関係するメンタルヘルス対策支援センター事業というものについてお聞きをしたいんです。

 これは、平成二十四年の行政事業レビューでも取り上げられております。論点説明シートというのをつけさせていただきました。そこには事業の概要も書いてありますけれども、論点の三番目というところをごらんいただきたいんです。「労働安全衛生法の改正によりストレスチェックや医師による面接指導が義務付けされることから、これらに関する取組みについては本事業から外すなど重点化・効率化を行うことが必要ではないか。」というふうにあります。

 それから、次の資料には、公開プロセスの外部有識者の方々の意見。二名の方は事業の廃止、そして四名の方が抜本的改善というふうに述べられております。

 今回、この労働安全衛生法が成立をした暁には、まさに行政事業レビューにあったように、この事業というのは抜本的な改善、見直しが必要ではないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 おっしゃられますとおり、これは二十四年度行政事業レビューでありますから、これまた民主党政権のときに、レビューの中において、二次予防が義務づけられれば、労働基準監督署の指導に任せればいいというような話であったわけであります。今般の法律案は、以前、民主党の中で安衛法を出されたときには二次予防、これを予防していくというような話であったわけでありますが、一次予防に主眼を置いておりますので、そういう意味では、若干ここは変わってきておると思います。

 一般競争入札で実施すべきということでございました。二十五年度は、一般競争入札で実施をさせていただきました。

 さらに、メンタルヘルス対策全体の見直しの中で考えるべきということでございました。御承知のとおり、メンタルヘルス対策支援事業、これ自体は、今般、産業保健総合支援センターの中においての事業として行っていくということでございましたので、今般の新しい法制度、法改正に沿って、全般として見直す中において位置づけさせていただきたい、このように考えております。

大西(健)委員 今、少し入札のお話が出ました。次のページにつけておきましたけれども、二十三年度の決算の数字がここに出ているわけです。独立行政法人労働者健康福祉機構と社団法人日本産業カウンセラー協会、この二つの法人で全額受託をしているということであります。落札率もそこに載せておきましたけれども、ほとんど九九・数%という驚異的な高い落札率になっているんです。特に、十二億三千四百万円の多くの額を受託しているのが労働者健康福祉機構、次のページにつけておきましたけれども、ここは、役員二名、職員五十六名が厚労省から現役出向している、さらにOBも十二名いらっしゃるということであります。

 行政事業レビューでもやはりこの委託契約については改善の余地があるんではないかという指摘がされておりますけれども、この部分については、大臣、どう受けとめておられるでしょうか。

田村国務大臣 これは民主党政権下のことでございますのでよく存じていただいていると思いますが、企画競争入札ですから金額が初めからわかっているので、入札というのは当然のごとく一〇〇%に近い入札金額になるということは仕方がないわけでございまして、この金額、落札率を見て、何かがあったというわけではないんだと思います。それはもともとわかっている金額の中においてやる話でございますから。

 ただ、企画競争入札ではいろいろと問題があるであろうということで、一般競争入札にしたのが二十五年度でございまして、下は八〇・八%からの落札率ということで、やはり差が出てきております。

 あわせて、そうはいいながら、ころころ担当するところが変わるというのは、事業所からすればなかなかお願いしづらいということがあるようでございまして、今般の新しい制度の中では、いろいろと御議論をいただく中において、これは補助事業としてやろうということでございますので、委託事業から補助事業へと変えさせていただきます。

大西(健)委員 ぜひ、こうした行政事業レビューとか、先ほどの一件しかなかったとかいうのもありますけれども、まさに結果をしっかりと次の予算編成等に生かしていただきたいというふうに思っております。

 それでは次に、受動喫煙対策なんです。

 受動喫煙対策の方は、労安衛法が今回出ていますけれども、健康増進法に沿って今までも着実に推進をされてきているということであります。

 口の悪い人の中には、受動喫煙対策、健康増進法でどんどん予算がふえてきたので、旧厚生系の部局が予算を伸ばしているのを見て、それならうちもということで、労働系の方も労安衛法でやろうということにしているんじゃないかというようなことを言う人もおります。

 それで、私は資料で「健康増進法と労働安全衛生法による受動喫煙防止対策の関係」という表をつけておきましたけれども、これを見ても、やはり対象は重なっているところがあるわけです。もちろん労安衛法は職場の受動喫煙ということで対象を絞り込んでいるとはいえ、重なっている部分がある。

 この二つの法律の施策がダブったり、そこに無駄が生じたりすることがないように縦割りを排していく必要があるというふうに思いますけれども、その部分をどういうふうにしていかれるのか、お聞きしたいと思います。

高鳥大臣政務官 大西委員御指摘のとおり、健康増進法におきましても受動喫煙を防止する努力義務を課しておりますが、健康増進法は、国民の健康増進の観点から、多数の者が利用する施設の管理者に対して取り組みを求めているものでありますのに対しまして、労働安全衛生法は、労働者の健康の保持増進の観点から、事業者に対して職場における取り組みを求めるものでございます。

 このため、健康増進法のもとでは、都道府県等が行う受動喫煙防止対策に関する講習会の実施や禁煙支援、受動喫煙防止のための普及啓発等に対しまして補助を行っているところでございます。

 一方、労働安全衛生法のもとでは、職場における受動喫煙防止対策として、中小企業に対する喫煙室設置に係る費用の助成等の支援を実施いたしております。

 委員の御指摘も踏まえまして、重複による無駄が生じることのないよう留意しつつ、受動喫煙防止に向けまして対策を推進してまいりたいと考えております。

大西(健)委員 この図を見ても、例えば重なっているところに飲食店とかそういうところが出てくるわけです。まさに先日来の審議の中でも、義務づけをしなかったことは公的な支援をしやすくするためというような話がありましたけれども、こういう飲食店なんというところはダブってくるところがあると私は思いますので、ぜひ、施策がダブって無駄が生じるみたいなことがないように、今御答弁いただきましたけれども、御留意をいただきたいというふうに思います。

 それでは、きょうも山井委員からは残業代ゼロ制度の質問が出ていたかというふうに思うんですけれども、次の新聞記事をごらんいただきたいんです。

 この記事で取り上げられているのは、大手の金融機関で働く三十代の男性、年収が一千万円弱、裁量労働制に切りかわったことで月の労働時間は七十時間ふえたけれども、手取りはほぼ横ばいということであります。

 裁量労働制というのが、今度入れようとしている制度に比較的近い働き方だというふうに思うんです。この裁量労働制を受け入れるに当たっては、ここにも書かれていますけれども、上司から同意書を手渡され、その場でサインを求められたが、断るなんて選択肢はなかったというふうになっています。

 また、けさ、私、たまたま電機産業の皆さんと意見交換をする機会があったんです。ちょっとお配りはできなかったんですけれども、電機産業は比較的この裁量労働制の導入が進んでいるんです。そこで示された数字でも、やはり常日勤の方と裁量労働の方を比べると、時間外労働時間が四十時間超えの方が、常日勤だったら二三%のところが、裁量労働は五〇・四%、倍なんですよ。時間外労働六十時間超えが、常日勤八・三%、裁量労働は二二・四%、やはり倍になっている。裁量労働の人たちの方が労働時間が長くなっている。

 あるいは、これもちょっとお配りできなかったんですけれども、六月十三日付の日経新聞の「経済教室」。早稲田大学と慶応大学の先生が書かれているんですけれども、「従業員のメンタルヘルス 企業業績に影響大」ということで、この内容も興味深いんですが、その中に書かれていること、こんなふうに書いてあります。

  なお、現在、自律的な労働時間制度の導入を巡って議論が活発化しているが、筆者らの研究に基づけば、日本において、現行の労働時間規制が適用除外されている労働者ほど労働時間が短くなっているという証左は見いだせない。逆に、不況期には残業代が支払われない適用除外者に業務が集中し、長時間労働が生じやすく、そうした傾向は交渉力の小さい労働者で顕著となる。このため、規制の適用除外の範囲を広げすぎると、かえって長時間労働を招き、メンタルヘルスを損なう労働者が増加するおそれもある。

日経新聞の記事にしては、しっかりしたことが書いてあるなというふうに思うんです。

 今申し上げたように、現行の裁量労働制でさえこれが現実なんです。安倍総理や田村大臣が、残業代ゼロ制度を導入しても長時間労働につながらないとか、本人の希望がある人だけに適用するからいいんだとおっしゃるけれども、今言ったように、本人はやはり断れないんです、裁量労働制の現状でも。また、裁量労働制でさえ長時間労働にやはりなっているんです。

 この現実を見たときに、裁量労働制でさえそれができていないのに、何で、長時間労働に結びつかないとか、本人の希望があるからいいんだなんということが言い切れるのかということについて、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

田村国務大臣 裁量労働制の適用労働者の方々にアンケートをとると、満足、やや満足を合わせて七六%という数字が出ておりますので、そういう意味では、かなり満足度はあるのであろうというふうに思いますが、裁量労働は裁量労働で問題があるのは確かで、例えばみなし労働時間に応じた業務量というものをしっかり設定していかなきゃいけないわけでありますし、それから健康保持のためのいろいろな措置はしていかなきゃならぬわけであります。裁量手当等々、こういうものは労使でしっかりと御議論いただいて設定をしていただく、これが重要であろうと思いますし、これからも、我々も助言していきたいというふうに思っております。

 そもそも、今回我々が提案しております新たな労働時間制度は、裁量労働制とは全然考え方が違って、基本的には時間ではかれないような成果を、定量的にはかれるものに関して導入しようということです。ですから、長く働けば結果が出るというような、そういうものにはならないと思います。要するに、長く働いたからといって成果が出ないような、つまり、発想力、構想力をもってして、ちょっと頭を休めていただいた方が逆に成果が出る、こういうような職種もあろうと思います。

 こういうものを対象にしておりますので、比べること自体が多分、委員と我々とちょっと対象がずれているんだろうなというふうに思いますので、委員が思っておられるような働き方は、今般の新たな労働時間制度、我々が考えておるものではないというふうに私どもは認識いたしております。

大西(健)委員 いや、私は比較しているんじゃなくて、裁量労働制でさえですから。だから、今、裁量労働制でさえ問題があるわけです。ですから、今大臣が健康面ということを言われましたけれども、それであるならば、まず前提として、労働時間の上限規制だとかインターバル規制みたいなものを入れた上でこういう議論をされるならば百歩譲ってまだわからぬでもないですけれども、そういうものがない中でこういう議論をするというのは、私は、やるべきことは残業代ゼロよりも過労死ゼロだということを再度申し上げておきたいと思います。

 時間が来ましたので、最後はできませんでしたけれども、最後のページに、すき家の話をつけておきました。人が集まらないために、一時、百二十三店舗が営業休止に追い込まれた、連結営業損益も八億七千万下振れになったということであります。

 何を言いたいかというと、これから労働人口がどんどん急激に減ってくる中で、まさに労働者を使い捨てにするような制度をやる企業には人が集まらないわけです。だから、これは労働者の保護の観点からももちろんですけれども、経営安定の観点、経営という観点からも、まさに成長戦略を言われるならば、私は、労働者を使い捨てにする制度ではなくて、労働者を大切にすることを成長戦略として打ち出すべきであるということを申し上げて、私の質問を終わります。

後藤委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。きょうもよろしくお願いいたします。

 労働安全衛生法の話に入る前に、去る六月十六日、おととい、月曜日の衆議院決算行政監視委員会におきまして、JEED、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構との間で不正入札問題が起こりました短期集中特別訓練事業について、田村大臣は、百四十九億円の予算のうち、事業の一部を断念して、七十億円を国庫に返納すると表明をされました。

 我が党の清水鴻一郎委員が、これまで、そもそもJEED一者しか応札できないような事業なのであれば、無理な入札でなく、透明性を高めた上で随契にした方が国民の納得性は高いのではないか、根本的に見直すべきではないか、あるいは、消費増税による景気腰折れ対策として昨年度末ぎりぎりに組んだような筋悪の補正予算だったんだから、手続に手間取りながら無理に執行するようなことなく、国庫に返納すべきではないか、こういったことを再三指摘したにもかかわらず、大臣は、何の見通しもなく、JEEDを受注業者から外した上で再入札を行ったが不調に終わり、あげくの果てに、全国を六ブロックに分けて入札にかけて、結局、そのうち二つのブロックでは落札の見込みが立たず、さんざん時間を浪費した上で、七十億円を国庫に返納されました。

 これは、もう既に厚労省の職員の不正などというレベルの問題を通り過ぎまして、ついた予算は意地でも使い切りたいという、本当に悪い、役人根性と言われたような根性が田村大臣に乗り移って、最高責任者である大臣の責任問題だと私は思います。余りに先を見通せていないのではないかと思います。

 今後は、四つの事業者が受注したわけですから、これらの事業者が適切な事業執行ができるのかどうか、こういったことも含めて、国民の立場から私どもは厳しくチェックしてまいりたいということを申し上げます。

 その上で、労働安全衛生法の改正案につきまして、質疑に入らせていただきます。

 今後、日本維新の会は結いの党と合流をする予定になっております。まだ合流をしておりませんが、結いの党の小池政就議員が、これまで質問主意書という形で、ストレスチェックという問題につきまして何度か政府答弁を求めてまいりましたので、これについて、結党、合流を前倒しする形で、同じ立場から質問させていただきたいと思います。

 まず一つ目に、ストレス検査の科学的根拠につきまして、小池議員の質問主意書は三月二十八日に答弁をいただいたものなんですが、ストレス検査により、労働者が高ストレス状態にあるか否かを客観的かつ正確に判定することはできるのか、判定することができることを示す科学的根拠があれば示していただきたい、こういう質問を出しましたところ、これに対して、科学的根拠を示すことは困難であるという答弁書が出されました。

 科学的根拠は、本当に何もないんですか、それとも、あるのに示さない、示せないということなんでしょうか。田村大臣からの御答弁をお願いします。

田村国務大臣 ストレスチェックの具体的内容は、これから検討させていただくことでございますので、そういう意味で、まだ精緻なものができ上がっていないので、そのような申し方をしたわけであります。

 ただ、それならば何もないのかといいますと、実際のところ、職業性ストレス簡易調査票というのがございます。これは、五十七項目で、一万二千人を対象に、平成十一年までの旧労働省の委託研究において実施したわけでありまして、この五十七項目において、統計学的に信頼性、妥当性というものは確認されております。

 でありますから、今申し上げました職業性ストレス簡易調査票の五十七項目の中から、関係者の方々、専門家の方々に入っていただいて、どのようなものになるかというのをつくっていくわけでございますので、全くないというわけではないんですが、まだ具体的にでき上がっていないものでありますから、そのような御返答をさせていただいたということで御理解いただければありがたいというふうに思います。

重徳委員 それにしても、これから全国の五十人以上の事業所全部に義務づけをするものでありますし、結局、大きな会社になればなるほど、ストレスチェックのための費用を負担するのは事業者なんですから、科学的根拠もろくに示せないようなものを義務づけるというのは余りに乱暴な議論で、今のような状況で、過去に、十年以上前にこういう統計的な妥当性みたいなものはあったんだということを言っても、実際、質問主意書なんかで出すと、いや、今の段階では何も示せませんということではなかなか、納得性が十分じゃないと思いますね。

 なので、こういったことは、国民というか事業者に対して費用の負担も持たせながら義務づけをするわけですから、これが非常に的確なストレスチェックになっていくんだということも含めて、きちんと説明した上でこれを実施しなければ、これは何なんだというような、ろくな説明もないということでは本当にたまったものじゃないと思いますので、やるならば、きちんとそういったこともしっかりと示した上で行っていただきたいと思います。

 次に、同じく小池議員の質問主意書で、ストレスチェックによりまして誤って高ストレス者と判定された場合、つまり、余り高いストレスじゃないにもかかわらず、高いストレスを抱えていると判定されてしまった場合に、労働者にどのような悪影響を及ぼすのかについて検証を行ったのかということにつきましても、これは行っていない、こういう答弁書が返ってまいりました。

 これは本当に書面で一往復だけのやりとりなので、非常にすれ違いも多いのではないかと思うんです。少し聞き方をやわらかく言えば、本来、高ストレスと判定されるべきでない方が高ストレスと判定されてしまったようなケースも過去の研究においてあったのではないかと思いますが、どうでしょうか。その際、労働者本人にとって、何かしらの精神的苦痛というか、何かしらの影響があったのではないかとも思われるんですが、過去、どんなケースがあったのでしょうか。あったとしたら、お答えください。

半田政府参考人 先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、ストレスチェックの具体的内容については、今後、先ほど来御説明ございました職業性ストレス簡易調査票を踏まえまして、精神保健、産業保健の専門家の御意見を伺いながら、信頼性、妥当性、効果の高いものとなるような検討を行った上で、標準的な内容をお示しすることを考えてございます。

 過去においてはそれなりの成果が出てございまして、何か不都合な判定があったという具体的なものは手元に持ち合わせてございませんが、基本的には、非常に信頼性の高い結果が得られているというふうに承知してございます。

 それで、誤判定の件でございますが、これは自記式の調査票でございます。自分で書いていただくような調査票を考えてございますので、御指摘のように、回答する労働者の方の意思や意図の影響を受けることはあり得ると思います。

 このため、新しい制度におきましては、ストレスチェックを、疾患スクリーニングではなくて、御本人に対してストレスへの気づきを促すものであること、そして労働者のセルフケアにつなげるものとして位置づけていること、それから労働者のストレスチェック受診義務を設けないこととしてございまして、こうした制度の趣旨を労働者の皆様にもしっかり周知して、御理解いただいた上で受けていただくようにするということで、御指摘のような問題が生じないように努めていきたいと考えてございます。

 また、ストレスチェックを実施した医師などから保健指導、面接指導の勧奨を行います。その実施につなげることで、医師が、労働者との面談の中でストレスの状況を詳細に把握する、意図的な回答をしているか否かについても検証することが可能であると考えてございます。

 私どもといたしましては、こういったことを考えながら、ストレスチェック制度の趣旨をしっかり周知させるように、必要な取り組みを行ってまいりたいと考えております。

重徳委員 余りストレートなお答えではないんですけれども、質問主意書には、一言「お尋ねの検証については、行っていない。」とだけ述べられているのに対しては、少し丁寧な答弁だったと思います。

 これから始まる制度について、多くの事業者や国民は、一体どういうことになるんだろうかということを不安に思っている方が大勢いらっしゃるわけですから、ぜひ、過去に行った研究成果なりそういうものが一定の信頼性があるのであれば、それなりのお答えを、質問主意書だろうと国会答弁だろうと、きちんとしていただく必要があると私は思います。

 次に、四番を三番にひっくり返しますけれども、佐藤副大臣にお答えいただきたいんです。

 精神科におけます薬剤投与の問題につきまして、これも小池議員が、ここにいらっしゃるわけではないので、余り小池議員、小池議員と言ってもしようがないのかもしれませんが、予算委員会の分科会でことしの初めに指摘をしましたところ、佐藤副大臣の次のような御答弁がありました。

 我が国の精神科医療では、諸外国に比べまして多種類の薬剤が大量に投与されているという実態がある、この指摘は、まさに本当に我々としても大変問題があるという問題意識を持っているわけでございます、厚労省としても、平成二十二年度に行われた向精神薬の処方実態によると、九割以上のケースで二種類以下の処方である一方、一部の患者でやはり多種類の薬剤が投与されているケースがあったと。そして、それへの対応として三つある、一つは、向精神薬処方実態に関する継続的な調査を行います、二つ目は、当時はまだ二十六年度の改定前の段階だったので、二十四年度の診療報酬改定で、睡眠薬または抗不安薬を三種類以上処方した場合の減算、二割減を行う、それから三つ目は、かかりつけ医等を対象とした抗うつ薬の使い方等の研修を行いますといったような御答弁がありました。二十六年度からもさらなる減算を行ってきているというところであります。

 ですから、厚労省として、多種類の薬剤が大量投与されていることについて問題意識を持っているということはわかりましたし、診療報酬上の減算とか研修を行うということもわかりましたが、逆に、こうした薬剤投与のやり方の結果、患者さん側の身にどういうことが起こっているのか、このあたりについてどういう御認識をお持ちでしょうか。薬がたくさん投与された結果、症状がなおさら重くなったとか、実はもともとそんなに大した疾患じゃなかったのに重度の精神疾患になってしまったとか、いろいろな声があるわけなんですが、厚労省としては、患者さんに立って、どのように認識をお持ちでしょうか。

佐藤副大臣 今、重徳委員、小池議員が予算委員会の分科会でされたときの私の答弁を引いてのお話でございました。

 その上で、多剤大量処方による患者への影響については、今まで厚労省の中医協なんかでも何回か議論されておりまして、一定量を超えた処方を行っても効果は乏しい一方で副作用、副作用というのは、具体的には手の震え、体の動きにくさ、眠気、だるさ等、こういう副作用のリスクはふえていく、そういう報告がある。患者への影響という点では、そういう点があるというように我々としては認識をしております。

重徳委員 そういった副作用が患者さん側にも出てき得るというような話でございます。

 小池議員の質問主意書の引用はこれで最後にしますが、政府として、精神科、心療内科、メンタルクリニックは、現状において、ストレス検査の結果が思わしくなかった者にとっての受け皿として十分信頼に足りる環境を整えているものと考えるか、つまり精神科医療というものがきちんと行われているか、受け皿としてちゃんとなっているのかという質問主意書に対しましては、ストレスチェックが「直ちに精神科等への受診につながるものではないと考えている。」とした上で、精神科医療の質向上のための「研修及び診療ガイドラインの作成等の取組を行っている」というような答弁書がございました。

 どの世界でもそうですけれども、精神科医の世界だって、一部に余り適切な治療をしていないお医者さんもお見えになるという指摘がなされておりますが、大抵の方はしっかりやられていると思うんですよ。だから、問題は、研修だとか診療ガイドラインの作成等の取り組みを行っているといっても、一部の不適切な診療をしているような医師に対してそれが行き届くのかというところが問題だと思うんですが、その点をどのように認識されていますか。

佐藤副大臣 一部の人まで行き届くのかということですが、我々厚生労働省としては、今取り上げていただいた質問主意書への答弁のとおり、平成二十年度より抗うつ薬の使い方等についての研修を開催しているわけでございます。平成二十年から、今数字が上がっているところで二十四年度までの受講者で、かかりつけ医等を中心に二万三千八百七十三人の方にこの研修を受講していただいております。

 さらに、医師向けの薬物治療ガイドラインとして、これは平成二十二年から二十四年度の厚生労働科学研究に基づきまして、抗精神病薬及び睡眠薬等のガイドラインを策定いたしまして、関係学会等を通じてその普及を図っているところであります。

 また、今年度から、そういうものに加えて、日本精神神経学会と連携しまして、向精神薬の薬物療法にかかわる研修制度を新たに設けることといたしました。

 このような取り組みもあって、具体的に今、直近の数字では、抗うつ薬、睡眠薬を処方された人のうち、三種類以上の処方である患者の割合は低下傾向にございます。

 具体的に言うと、睡眠薬の三剤以上の処方については、二〇一〇年で六・四%だったのが二〇一三年では五・九%と少し低下している。抗うつ薬も同様に、二〇一〇年で七・二%だったのが二〇一三年で六・二%。

 そういう低下傾向にありまして、今後も、やはりこういうガイドラインと研修を通じて、一部にそういう徹底できないようなことのないように、向精神薬の適切な処方を推進するための取り組みをしっかりと行ってまいりたいと考えております。

重徳委員 ぜひ、患者さんといいましょうか、ストレスチェックで受診を勧められるようなことがあった場合にも安心して受けられるような環境を、厚労省として責任を持って整えていただきたいと思います。

 それでは次に、先週の参考人質疑のときに私が参考人の方から一部いろいろな御意見をいただいたことに基づきまして、幾つか質問させていただきたいと思います。

 まず、ストレスチェックが、本来の使われ方とは異なる、使用者側の人事権の行使というか、おかしな形で使われるようなことがないようにするべきだということに対しまして、前回、半田部長も、労働者に受診義務は課していないんだとか、そういうことをもって不利益な取り扱いを法律上禁止しているというようなこともおっしゃいましたけれども、参考人では、近畿大学法学部の三柴教授にこのようなことをお尋ねしたところ、ストレスチェックというのは、使う人間次第という面がどうしてもあることは否めません、だから十分な啓発が必要だということをおっしゃいました。やはり必ず適切に用いられるとは、人間、限りませんというようなのが常識的な話だと思うんです。

 こういう悪意がある事業者というのは目に見えてはわからないんですが、どのようにしてストレスチェックというものの使用方法を徹底していくのかということについて、田村大臣から改めてお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 もう何度も申し上げておりますけれども、ストレスチェックというのは、ストレスというものへの気づきということでございまして、それによってメンタルヘルス不調の未然防止、こういうものに資していきたいということであります。

 あわせて、これは本人の合意がなければ事業主にも情報は個別には開示していかないわけであります。ただ、集団としてのいろいろな分析において職場環境等々の改善に資していくという部分はあるわけでありますが、ストレスチェック、面接指導、こういうものはしっかりと適切に使っていただくという理解をまず事業主にしていただかなきゃならぬわけでありまして、そういう正しい理解を我々は求めていくわけであります。ただ、どうしてもそういう理解をされない。

 情報自体を漏らすのは漏らした者の責任でありますが、それを使っていろいろな不利益な取り扱いをするというのはやはり企業側に責任があるわけでありますので、そのようなことがないように我々としてはしっかり指導してまいりたい。あわせて、このストレスチェックがどういうものであるかということは理解をいただくように周知啓発してまいりたい、このように考えております。

重徳委員 繰り返しになりますが、事業者が費用負担してストレスチェックをやらせるわけですから、本人の同意なしにその結果を知ることができないというのは、その部分だけ見れば少し理不尽な感じもしなくはないわけですよ。要は、お金を出してチェックをさせているのに、その結果は金を出している側に見せられない、法律の趣旨は、それはそれとしても、そう受けとめられることだってあり得ると思うんですね。ですから、よっぽどこれは徹底しないと、おかしな使い方が横行するようなことにだってなりかねないと思います。これはぜひしっかりと行っていただきたいと思います。

 それから、過労死の関係で、全国過労死を考える家族の会代表世話人の寺西笑子参考人が、次のような御意見を述べられておりました。

 労災認定というのはこれまで過労死に行われましたが、実際に認定されているのは過労死の氷山の一角であります、産業医等が第三者的にストレスチェックの結果を評価し、適切な対応を事業者にアドバイスできなければ、せっかくのストレスチェックも意味がありませんということをおっしゃいました。

 私としては、では、本当に悲しいことですが、過労死という事態が起こってしまった、振り返ってみれば、どのタイミングでどのようなアドバイスを事業者に対して産業医等が行うべきだったと考えますかということをお聞きしたところ、寺西参考人は、大企業であっても、メンタルで休職していても会社都合で引っ張り出されてしまう、それも、産業医さんがそれを判断するんじゃなくて、本人任せにその判断はなっている、だから、真面目な人に限って、会社が君が必要なんだと言ってきたら頑張りますと言って出ていってしまう、こうやって、優秀で真面目な勤勉な方に限って死に至らしめてしまう、このようなことに対して、国もきちんとした対応を方針として定めていただきますよう切にお願いしますというようなお言葉がありました。

 このような休職中の社員などを過労死から守るため、国として、寺西参考人が言われている国としての方針をどのように示していかれますでしょうか。

佐藤副大臣 今回の労働安全衛生法の改正案はメンタルヘルス不調の未然防止を主たる目的とするものであって、今御指摘いただいたのは、本当に、メンタルヘルスが不調になって仕事を休まれている、その方が復職するのにどうしていくのかという、そこの問題だと思うんです。

 極めて心身に不調を抱え、休職している労働者等が円滑に職場復帰しまして就業を継続できるように事業者が適切に支援していくことは、厚生労働省としても極めて重要だと考えております。

 そこで、メンタルヘルス不調により休業した労働者の円滑な職場復帰を支援するための事業者における体制整備等の取り組みが適切になされるように、局長通達で、職場復帰支援の取り組みを示す「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」、いわゆるガイドラインを平成十六年から事業者に対してきちっと策定して示しているところであります。

 これは、例えば病気休業中のケアであるとか、二段階目は主治医による職場復帰の可能の判断であるとか、あるいは事業者による職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成等、大体五段階に分けて、その段階ごとに事業者がどういうところにきちっと気をつけないといけないのかということをガイドラインで示しておるわけでございまして、こういう事業者による職場復帰のための支援が今後も適切に行われるように、各地の労働局あるいは監督署の方から、このガイドラインをしっかりと周知、指導してまいりたいと考えております。

重徳委員 確かに、段階として、ストレスチェック、今回は一次予防が中心だということですが、やはりあくまで主に一次予防なのであって、当然、その後の段階の方も全体として国がサポートしていかなければならないと思いますし、そのための過労死の防止の法案でありますので、ぜひともトータルでしっかりと進めていただきたいと思います。

 次に、前回、私、産業医の活用というのをもっとストレスチェック制度においてもきちんとすべきではないかということを申し上げまして、田村大臣は、指針の中で、産業医さんにやっていただくのが望ましいということも書いていきますということをおっしゃいました。ただ、産業医の方々も数が限られているわけでとか、しっかり手当てしていただける限りは産業医が望ましいと、歯切れは悪いが前向きといえば前向きというような御答弁だったという印象を受けております。

 その一方で、前回、参考人の日本産業衛生学会の圓藤理事長に同様の質問をさせていただいたところ、実際には日本医師会の認定産業医は九万人在籍している、まだまだ産業保健を提供する能力は備えているんだ、だから、地域ごとのチームをつくるとか、地域産業保健センターの仕組みを活用するなど行いながら、さらに、法律上は五十人以上の事業場というふうに限定していますが、確かに、毎月一回五十人未満の事業場まで行くのは大変かもしれないけれども、それに準ずる形で産業医が勤務することは十分可能であるということをおっしゃっていました。

 改めて、産業医をもっと活用できるのではないか、積極的に活躍していただくべきではないかという観点から田村大臣に御答弁いただきたいんです。そもそも、産業医の意義、能力をどのように評価されているのかなと思っています。大臣、前向きに評価されているんでしょうか。何となく切れが悪かったものですから、こういうような、九万人もいるんだからもっともっと使ってくれとおっしゃっている立場の方も踏まえて、改めて御答弁をお願いします。

田村国務大臣 産業医の方々は、我々は大変期待をいたしております。ただ、産業医の方々もいろいろとお忙しいという現状があることも事実であろうというふうに思います。

 五十人未満の小規模事業場に関しては義務づけていないわけでありますけれども、そういう意味で、今回もチェックリスト等々は義務づけなかったわけでありますが、ただ、一方で、やはりメンタルヘルス不調を未然に防いでいくということは重要であるわけであります。そういう意味からいたしますれば、ストレスチェックをしっかりやっていくということのみならず、例えば従業員の方々に対する研修でありますとか、また相談窓口の設置でありますとか職場復帰支援、こういうものもやっていただかなきゃならぬ。そういうようなメンタルヘルスの総合的な対策というものはやはり組んでいただかなきゃならぬ。

 そこで、いつもの話なんですけれども、こういうことをやっていくためには、例の産業保健総合支援センター、三つの機関を一つにいたしましたけれども、これが小規模事業場等々に対する地域窓口というものを設置する中において、今言われた産業医に関しても、産業医の有資格者に登録をしていただくということにしております。その中において、面接指導を実施していく体制の整備でありますとか、あと管理監督者の方々向けのメンタルヘルスの教育でありますとか、事業主やまた労働者の方々、こういう方々に対してのメンタルヘルス等々の相談の体制、こういうものもしっかり整備していくことが必要でありまして、私は、決して産業医の方々をないがしろにしておりません、御活躍いただけるような環境を整備していければ、このように考えております。

重徳委員 最後に、同じ日本産業衛生学会から、前回、参考人の意見陳述のときに資料として提言がなされました。ストレスチェックについて得た情報を、プライバシーに配慮しながら、産業医さん、産業保健専門職の方が適切に加工して事業者に伝えていく、そういう体制が必要だというような指摘があったわけなんですが、厚労省として、こういった提言に対しては、どのように捉えて対応していかれるのでしょうか。

半田政府参考人 委員御指摘のとおり、メンタルヘルスに関する情報というのは極めて機微の情報であると考えてございまして、慎重な取り扱いが必要だと考えてございます。

 前回も御説明申し上げましたとおり、ストレスチェック制度では、その結果は労働者に直接通知されて、労働者の同意なく事業者には提供されない仕組みとする。加えまして、これも前回御説明いたしましたが、実施の事務に従事した者に対してもきちっとした守秘義務を課しているところでございます。

 また、「雇用管理分野における個人情報保護に関するガイドライン」というものがございまして、これを踏まえて、私ども、「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」、ちょっと長いタイトルになってございますが、こういう通達を出してございます。この中で、診断名、検査値等のいわゆる生データは産業医などの産業保健従事者に取り扱わせることといたしまして、他の者に扱わせるときは適切に加工することが望ましいとしてございます。生データがそのまま事業者に提供されることのないように指導することとしてございます。

 こういった制度の導入に当たりましては、事業者や産業医、それから外部のメンタルヘルスサービス機関などのストレスチェックや面接指導の実施者に対しまして、ストレスチェックなどの実施方法に関する研修などをしっかりやっていきたいと思っています。こうした制度の趣旨、内容をしっかり周知するとともに、適切に実施されていない場合には、事業者やストレスチェックの実施者に対して、法令や留意事項に基づいて確実に実施するよう指導するように努めてまいります。

重徳委員 ストレスチェックについては、さまざまな義務づけの前に、不安の声だとか心配の声が寄せられておりますので、事業者への趣旨の徹底、産業医さんの活用を含めて、しっかりと国として責任を持って進めていただきたいと思います。

 以上で終わります。

後藤委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 よろしくお願いいたします。日本維新の会の浦野です。

 今ある日本維新の会としては、恐らくこの厚生労働委員会では私の質問が最後になると思いますので、よろしくお願いをいたします。

 一つ目の質問ですが、今回審議されている法案は、もともと、いろいろな議論の積み上げの中から出てきたものを、対策をとるべきものだということで法案化されているということですけれども、第十二次労働災害防止計画というのがあって、皆さん、十二次防というふうにおっしゃっておりましたけれども、この十二次防の中で、一つ、今回の法案の表面には出てきていないんですけれども、建設現場の死亡事故、受傷事故というのが非常に多いという指摘が上がっていました。

 それで、数的にも割と大きい人数、こんなにたくさん年間お亡くなりになっているんだなというのを私も初めて知ったわけですけれども、かなり大きな問題であるにもかかわらず、今回の法案にはこのことが入っていない。

 この件で、実際、報告書では二〇%減らしていくんだというふうに非常に大きな目標を掲げているんですけれども、法案には書かれていないんですけれども、何か具体策というのはあるんでしょうか。

高鳥大臣政務官 お答えをいたします。

 平成二十五年の労働災害による死亡者数は、全産業で千三十人でございまして、建設業では三百四十二人となっておりまして、建設業の占める割合が最も高く、全体の約三分の一を占めております。

 このような状況を踏まえまして、厚生労働省では、平成二十五年度から五年間を計画期間といたします、委員も今御指摘になられました第十二次労働災害防止計画におきまして、建設業の死亡災害を二〇%以上減少させる目標を立てております。特に、建設業の死亡災害の半数近くを占めておりますのが墜落あるいは転落災害でございまして、この防止対策に重点的に取り組むことといたしております。

 具体的には、労働基準監督署による指導監督を通じまして、適切な手すりの設置など法定事項の遵守徹底を図るとともに、手すり先行工法など、より安全な措置の普及を図ることといたしておりますほか、墜落時の身体への衝撃が少ないハーネス型安全帯の普及を図ることといたしております。

浦野委員 六月十七日の読売新聞、これは大阪の読売だったと思うんですけれども、「建設現場「命綱GO(いのちつなごう)」」という、今おっしゃったことを、大阪の労働局がそういった取り組みを建設現場でやってもらうようにいろいろ取り組みを始めたという記事が載っていました。

 こういうことをきちっとやっていくんだろうなというふうには思っているんですけれども、ただ、これは、この次の質問とかぶるわけですけれども、今、政府が外国人労働者をこれから積極的に受け入れていこうという方向で実際話が進んでおります。建設現場においても、そういった取り組みというのは恐らくこれからもさらに加速をしていく予定にされているんだろうなというふうに想像しているわけです。

 日本人の皆さん方は、こういう危険防止の取り組み、目に見える取り組み以外にもやはりふだんからいろいろな安全教育を受けて、それでその安全教育を受けた人たちが現場でそういった作業に従事するというのが当たり前だと思うんです。外国人の皆さんもそういう教育を受けてからその現場に行くことになると思うんですけれども、そういった場合に、私は、もちろんある程度の日本語の能力がある人たちが来るんだという前提のもとに話をされるんだろうとは思うんですけれども、果たして本当にちゃんと安全教育を徹底して、理解していただいて現場に出ていっていただけるのか、それが非常に心配なんですね。

 日本人ですら、こうやっていろいろな対策をとっても年間の死亡者数が非常に多い、事故につながるような危険な現場であります。こういったことは、何か対策というか、厚生労働省として考えていらっしゃいますか。

半田政府参考人 お答えします。

 労働者を雇用する事業者には、その労働者の国籍にかかわらず、安全衛生法に基づく労働災害防止のための措置が義務づけられてございます。

 委員の御指摘のような、新規雇い入れ時の教育ですとか、建設現場ですと入場時教育といったことも義務づけられているところでございます。

 特に、そういった中でも、外国人労働者に対しましては、委員御指摘のいろいろな文化の違い、言葉の違いということもございます。そういうことで、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」、ちょっと長いタイトルでございますが、こういうものが出てございます。

 こういったものを踏まえましてパンフレットなども私どもはつくってございまして、一つには、事業主は、外国人労働者を雇用する場合であっても労働関係法令を遵守する必要があるということ、それから二つ目に、特に外国人労働者の安全衛生を確保するために、安全衛生教育を実施するに当たっては、その内容を理解できる方法により行うこと、こういったことを定めてございまして、これを周知してきているところでございます。

 こうした取り組みを行うことによりまして、外国人労働者の労働災害の防止に万全を期してまいりたいと考えております。

浦野委員 現場、例えばとび職の人たちを雇っている会社の方なんかは、私の知り合いにいるんですけれども、やはり日本人の従業員のなり手がなくて非常に困っている、特に、今は幸い仕事はふえる傾向にあって、しかし人手不足でその仕事がとれないというのが非常につらいと。

 その中で、外国人を雇い入れられるようになる、そういうことで人材不足を解消していくということになれば、自分たちもこれは積極的にやっていかなあかんから、やはりいろいろと今から調べてちゃんとやらなあかんなというふうにおっしゃっていたので、そこら辺のところは、もちろん外国人の受け入れ、これは一つの社会問題になるかもしれないような非常に大きな話ですので、受け入れる、受け入れないという議論もありますけれども、受け入れた場合は、やはり、日本人だろうが外国人だろうが、安全性には第一に気をつけていただいて、そういった教育もちゃんとやって、そして現場に送っていくというふうなことを徹底してやっていただけるように国としてもしっかりと指導していただけたらと思います。よろしくお願いをいたします。

 次に、受動喫煙防止対策の推進についてですけれども、これはお話を聞きますと、自民党内でも、義務化した方がいいんじゃないかという議論がされたというふうにはお聞きをしているんですけれども、私も、これは努力義務とするよりは義務化した方がいいんじゃないかと。私は、もともとたばこを吸っていましたけれどもやめた口ですので、日本維新の会はたばこを吸う人が非常に多いので非常に肩身が狭いんですけれども。

 この絵の中で、「義務化した場合、国の支援策がなくなり、」というふうに書いているんですね。では、具体的に、国の政策がなくなるというのは、どういう政策を今打っていて、その政策はなぜできなくなるのかというのをちょっと説明いただけたらと思います。

中野政府参考人 まず、支援策でございますが、平成二十三年度から、中小企業に対する喫煙室設置に係る費用の助成、これは現在二分の一助成しておりますが、これを実施しております。それから、専門家による事業者からの受動喫煙防止対策に関する相談への対応や、たばこの煙の濃度等の測定機器の貸し出しを実施しております。

 今回の法案提出に当たりましては、労働政策審議会で改めて労使を交えて議論を行っていただいたわけでございますが、その中で、御指摘がありましたように義務化するよりも、努力義務とした上で助成金等による援助によりまして、対策がおくれている事業者等を支援していく方が適当という御意見があったわけでございます。

 厚生労働省といたしましても、労働安全衛生法上の義務は、事業活動を営む全ての事業者がみずからの責任と負担で履行していただくことを前提としているものでございますから、この受動喫煙防止対策を事業者の義務として定められた場合には、直接的な費用に対して助成することは不適当というふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、今回の法案、このように提出させていただいておりますが、このような規定がなされることを契機といたしまして、受動喫煙防止対策の必要性の周知をしっかり行うことによりまして、事業者の受動喫煙防止対策に向けての取り組みを促してまいりたいと考えております。

浦野委員 義務化をすると、事業者の方がきっちりやらなあかんようになるから、助成金が出せなくなるということだったと思うんです。

 この助成金、受動喫煙防止対策助成金というものですけれども、実はまだまだ消化をされていなくて、これから周知徹底して、もっと使ってもらえるようにしていくんだということもおっしゃっていますけれども、私は、これは、義務化した上でこの制度をそのまま続けたら、もう全員が使うと思うんですね、勝手に。自分たちがやらないといけなくなるわけですから。その方がこの防止対策の推進になると思うんですよ。

 だから、この法律があるから使いにくくなるんだというふうにおっしゃるけれども、私は、それは政府が政策的に、政治的に判断して決めればいいことだと思いますので、ぜひ、そこら辺は、努力義務と言わずに、義務化するということをきっちりと、今さらですけれども考えていただけたらと思います。

 この助成金、その方が絶対みんなに使ってもらえると思いますけれども、いかがですか。

中野政府参考人 先ほども申し上げましたように、労働安全衛生法上の義務や労働基準法上の義務は、事業者として遵守すべき最低限の義務、最低労働基準でございますので、事業活動を営む事業者がみずからの責任と負担で履行していただく、こういうことでございます。

 ただいま先生御指摘になりました、義務化した上で助成措置を講ずればいいということに対しましては、こういう最低基準の場合は、我々として、かつてそういう支援措置をとったことはございません。

 例えば、労働基準法の法定労働時間、四十八時間を段階的に四十時間に持っていった際も、中小企業においてなかなか大変だという議論がございました。その際には、中小企業の四十時間への適用を一定期間猶予いたしまして、その間に、生産性向上のための省力化投資等への支援措置を行ってきて、一定の時期を経た上で四十時間を義務化した、こういう経緯もございます。

 このような考え方でございますので、最低労働基準の関係では、義務化と助成措置はなじまないものと考えているところでございます。

浦野委員 それを突破するのが政治なんですけれども、そういう答弁であれば仕方がないかなとは思います。ただ、政治の力でそれは変えられるということだけは申し上げておきます。

 次に、この分厚い資料、これは衆議院の調査局がつくっていただいた資料なんですけれども、この百六十九ページに、過去の厚生労働省健康局長通知がありまして、平成二十二年二月二十五日〇二二五第二号というものなんですけれども、その中に、「4 受動喫煙防止措置の具体的方法」の「(2)全面禁煙が極めて困難である施設・区域における受動喫煙防止対策」というふうに載っているんですね。

 私は、この文章を読んで、果たして「全面禁煙が極めて困難である施設・区域」というのは一体どういうところのことを指しているのかというふうにちょっと疑問に思ったんですね。

 例えば海外なんかは、ほとんどの施設が、室内ではほぼ禁煙です。海外に行かれる機会もたくさんあると思うので御存じだとは思いますけれども、ほとんどの建物内は、ほぼたばこは吸えません。大体、みんな、外で吸っているか、たばこを吸えるコーナーがあって、そこでしかたばこが吸えないようになっていますね。

 一体この区域というのはどういうところを想定していたのかというのをちょっと私は疑問に思っています。きちっとお答えをいただけるなら、後学のために教えていただけたらなと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 平成二十二年の二月二十五日に、御質問の中にありました健康局長通知が出ておりまして、その中では、今これも御質問の中にありました「全面禁煙が極めて困難である施設・区域」というものを書いております。これは、具体的には、中小規模の事業者が多数を占めます飲食店や旅館等ということで考えます。

 では、当該通知を発出するに当たり、何を根拠にしたかということですが、有識者に御議論をいただいておりまして、飲食店や旅館等の特性を御検討いただきまして、その中では、「自発的な受動喫煙防止措置と営業を両立させることが困難な場合があることに加え、利用者に公共的な空間という意識が薄いため、受動喫煙防止対策の実効性が確保し難い状況にある。」ということを理由とされております。

 もちろん、この一方で、「このような状況にあっても、受動喫煙をできる限り避けたいという利用者が増えてきている」ということから、「意図せずしてたばこの煙に曝露されることから人々を保護する必要がある。」というふうに御検討をいただいております。

浦野委員 なぜ、分煙、受動喫煙をこうやってここまでうるさく言うかというと、日本独自でそういった取り組みはしていないかもしれないけれども、煙の中にさまざまな、ニコチンや一酸化炭素というものが含まれていて、例えば、乳幼児突然死症候群だとか子供の呼吸器感染症とか、あと妊産婦への影響というのも海外では指摘をされていますよね。そういったところから、こういう受動喫煙はやはりだめだということで、対策をとろうという話になったと思うんですね。

 であるならば、先ほどお答えいただいた例えば旅館なんかでも、旅館というのは、やはり子供も妊婦さんも、ありとあらゆる人が利用するわけですよね。そうしたら、何を優先すべきかといったら、やはり子供であり、妊婦さんであり、そういう被害に遭う方を最優先に考えてこういったことをしないといけないと思いますので、極めて困難である施設というのは基本的にはないと僕は思っているんですね。ぜひそこは、これからいろいろと施策をしていく中で、できる限りこういった防止策がとれるように、いろいろと対策をとっていただけたらと思います。

 来ていただいて議論していく中で、本当にどういったところがこういう場所に当たるのかという話で、私が一つだけここじゃないかなと思ったところがありまして、それは国会議事堂です。国会議事堂も、どうも全面禁煙とまではなっていないですよね。本来なら、率先してそういったことに取り組んでいかなければいけないはずなんですけれども、それもできていません。

 それはなぜかというと、恐らく、たばこを吸われるお偉い先生方がいらっしゃって、なかなか全面禁煙に賛成をしてもらえないというふうに仄聞というか、日本維新の会はそうなっておりますので、そういうふうになって、非常に、極めて困難な状況にあるんじゃないかなと。逆に喫煙ボックスが一つふえたぐらいですから、衆議院の本会議場の横に。

 そういう意味では、この受動喫煙防止法、これは本当に考えてもらわないと困るなと私は思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 何か、大臣、いいですか。

田村国務大臣 私の初当選当時、今からもう十八年ぐらい前ですけれども、そのころは、衆参とも予算委員会室で吸っていましたね。参議院だったと思います、記憶していますが、委員会でも、どの委員会かは覚えていませんが、私が政務官か何かで答弁に行ったときだと思うんですけれども、質問しながらたばこを吸っていたような、そんな記憶もあるわけで、本当に昔はすごかったです。

 今、喫煙ボックスがあると言われましたが、昔はそもそも、出たところには灰皿が置いてあって、ソファーに座りながらみんなたばこを吸っていたという現状でございました。

 それから比べるとかなり進んだなというふうに思いますが、それでもまだ他のところと比べるとまだまだというところはあるわけでありますが、これは会派間でお話をいただいてお決めをいただくことでございますので、我々政府、行政が口を出すというよりかは、それぞれ御議論をいただいて、適切な対応をしていただければというふうに思っております。

浦野委員 政党間というと、もくもく議連という超党派の議連が立ち上がっていまして、非常に強固な結束力を誇っておりまして、恐らく、私も帰ると、そういった人たちに、何の質問をしてんねんと言われるかもしれない立場です。

 でも、昔は、昔の写真とかを見ると、普通に委員会室とかそういうところで、たばこをみんな吸いながら委員会をやってはるという写真とかが今でも残っていますから、本当に、そういう意味では大分前進はしたんでしょうけれども、目指すは全面禁煙ということで、よろしくお願いをいたします。

 あと一つ、これは質問通告も何もしていなくて大変申しわけないんですけれども、実はきょうの午前中に私も初めて知ったことなんですけれども、渋谷駅で、駅の構内で児童虐待を行っている方がいらっしゃいまして、その児童虐待をしている動画を撮った人が、自分ではどうもできないから、それを撮ってフェイスブックに上げて、何とかできないだろうかという問いかけを、私は、これは善意でこの方はやられたと。

 もちろん、ソーシャルネットワークでこういったことを動画にして上げるということは、私も余り想像はしていなかったですけれども、考えれば、起き得る事態ですよね。

 その動画というのは今でも残っています。委員会でお許しとかがないとそういうのは多分見せたりとかすることはできないと思うので、それは後で皆さんで調べて見ていただいたらいいと思うんですけれども、普通に子供を蹴っています、構内で、公衆の面前で、罵倒しながら。こういうことをフェイスブック、ソーシャルネットワークに上げることについても賛否がもちろん出ています。僕は、こういうことはもちろんするべきだと思っています。

 私は、当選以来ずっと、一番最初の国会の質問においても、児童虐待のことを触れさせていただきました。そのときに私が一番お願いしたのは、児童虐待の防止のための三桁の通知の番号を導入してほしいということを言わせていただきました。その後も一度お願いをさせていただきました。

 これは、その番号をもし周りのみんなが知っていたら、三桁で覚えやすい数字で知っていたら、こういうことはすぐに警察にも通報が行くだろうし、児童相談所にも通報が行くだろうし、私は、ソーシャルネットワークでこういうことが上がってくるというのは最初の一歩であって、本来は、そういった通知番号をみんな知っていて、みんながみんなそれをちゃんと通知できる、報告できる、そういうシステムが本当に大事なんだというふうに今回改めて思ったんですね。

 といいますのも、これは、動画を撮っている方は、動画を撮っている場合じゃないやろ、何でその子供を助けへんのやという批判もされているわけですよね。でも、やはりなかなか、親子の間に他人が入っていくというのは本当に難しい判断なんですよ。私がそういう現場に遭遇したら、私はちゅうちょせず間に入ると思います。でも、そういった人間ばかりじゃないです。これは、すごい人通りのところでやっているんですね。誰一人、間に入っていないんですよ、この日本の中で。

 これが今のこの国の現状であるならば、私は、そういった人たちが唯一とれる手として、やはり虐待通知番号というのは必要だと思うんです。自分ではできない、自分ではその間に入る勇気がない。これは誰がどう見ても児童虐待なんですよ、だから、誰もがこの児童虐待をとめる義務を実は日本国民は法律上負っているわけですよね。だけれども、みんな入れないんですよ。

 その後に起こる何か。例えば、この方は、その後、一応警察にも届け出をされました。その警察の対応も正直残念な対応なんですけれども、それもフェイスブックに全部上がっています。ただ、警察の対応も残念なんですけれども、でも警察もそうせざるを得ないというのが今の現状だ、これは僕は事実だと思うんですね。そういったところも含めて、後でしっかりと確認をしていただけたらと思うんです。

 私は、そういう全て、もろもろのことも考えて、やはり虐待通知番号は必要だと思うんです。よく予算もかかるということなんですけれども、大西先生の質問でもありました、九九%残っている予算もあります、JEEDで使えなかったお金も予算が戻ってきました、お金は、使おうと思ったらあるんですよ。

 私は、やはり子供のためにそういうお金を使っていただけたらと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 費用の問題というのは、イニシャルコスト、継続費用を含めてどうだということも含めて、総理も、これは予算委員会でしたか、お答えしておると思いますけれども、三桁の番号、これは検討するということでございます。

 ただ、今のような案件が、果たして虐待の防止の番号があったからといって何か防げるか。緊急にというのはやはり本来警察なんでしょうが、警察にどういうお届け方をされたかわかりませんが、残念な対応だったというならば、そこに何の問題があるかということも整理しなきゃなりません。本当に急迫していて命にかかわるということならば、近くにいる方々がとめに入っていただくというのが一番だと思います。

 いずれにいたしましても、そういう問題があること自体は我々も認識しながら、どのような対応をしていくべきなのかということも含めて、検討が必要なことであろうというふうに考えております。

 ちなみに、先ほども申し上げましたけれども、この三桁の番号に関しましては、検討させていただいておるということであります。

浦野委員 ぜひ検討していただいて、総理自身がおっしゃっていただいていますし、臨時国会にはお答えが聞けるかな。そういうわけにはいかないですか。

 非常に残念な、今回、これはもう本当に氷山の一角で、公衆の面前でそういったことが行われていて、たまたま動画を撮っていらっしゃった。これは本当にごく一部の話であって、やはり警察にそのときに通報するというのも手だと僕は思うんです。僕も、質問のときに、虐待通知番号ができないんだったら、警察にそれ専用の、児童虐待に対応できるような部署もちゃんとつくって、そういった体制も整えてやってはどうですかということも言わせていただきました。

 一般の皆さんが、児童虐待となったときにすぐにぱっと通報ができる、これが本当に果たして警察なのかどうかというのは、それもみんなが悩むところなんですね。だから、そこを警察でいいじゃないかというのではなくて、やはり虐待は虐待通知番号に通知するんだということの方が一般の皆さんのハードルも低い、その方が子供の命を救いやすいというふうに私は思っていますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 以上で質問を終わります。

後藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 前回の質疑、参考人質疑に引き続いて本日も質問させていただくわけですけれども、前回は、メンタルヘルスケア対策強化のためのストレスチェックの実効性、中小企業におけるメンタルヘルスケアの重要性、また、公務員、教職員、医療職に対するメンタルヘルスケアの取り組みについて御質問させていただきました。

 一方で、その手本となるべく、この国会においても、例えばきょうの質問も、実は私、前回ああいう質問をしておきながら、きのう夕方遅くなってしまったんですが、それは、おととい視察があったり、きょうも二本質問があったりという、要するに国会日程ですね。もう少し予定感を持って、余裕を持ってやること。官僚の皆さんも質問通告に追われて、三週間前に、女性キャリア官僚の方々もこれでは子育てできませんと。

 子育て支援等々、この委員会で厚生行政として法律をつくっている以上、まずお手本として、率先して、お互いに過重にならないようにするべきではないか。そのことに対して、国会改革ということをぜひ厚生行政の観点から指導力を持ってやっていただきたい、そのようなことを私なりの考えも交えながら質問させていただいたわけです。

 今回、先ほど浦野委員もおっしゃっておりましたが、予告どおり、二点、産業医の役割と受動喫煙について御質問させていただきたいわけですが、その辺、国会改革、先ほどの国会内の喫煙状況というか、そういったこともやはり率先して国会が国民の皆さんに示すのであれば、これは会派云々ではなくて、しっかりお互いに取り組まなければいけないのかなと。これは後ほどまた御質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、産業医の役割について。

 きょうの質疑でもございましたが、ストレスチェック、面接指導については医師等が行うこととされておりますが、産業医の選任義務がある事業場においては、適切な措置につながるよう、労働者の業務内容や勤務状況を把握している産業医が関与することが望ましいというふうにされております。

 産業医の選任状況を見ますと、厚生労働省の平成二十二年労働安全衛生基本調査によれば、産業医の選任義務のある労働者数五十人以上の事業所での産業医の選任率は八七%、このうち五十から九十九人の事業所では八〇・九%と、平成十七年の調査よりは高くなっているようです。

 まず、厚生労働省として、産業医が選任されていない理由を分析して適切に今後指導すべきだとは思いますが、その件について御見解をいただきたいと思います。

半田政府参考人 先生御指摘のとおり、二十二年の労働安全衛生基本調査によると、五十人から九十九人規模の事業場での産業医の選任率は八〇・九%でございます。徐々に改善してはいるものの、まだ選任していない事業場があるというのは事実でございます。

 こういった五十人から九十九人規模の事業場で産業医を選任していない理由ということもお尋ねしてございます。一つには、「選任する義務があることを知らなかった」こういうのが二六・六%でございます。それから、「産業医の委託費用の負担の余裕がない」こういう理由を挙げておられる方が二五・四%、こういった状況でございます。

 このような状況を踏まえまして、私どもとしましては、産業医の選任が義務づけられているということにつきまして、引き続き、事業場にきちんと周知を図っていくとともに、選任していただくように指導を徹底してまいりたいと考えております。

中島委員 知らなかったとか、いろいろあると思います。先日の参考人質疑の中でも、やはり産業医の役割というのは大変大きい、そのことがやはり理解できていない部分もあるのではないかと。

 一方で、今回のストレスチェックについても、五十人未満の小規模の事業所には努力義務ということになっておって、実は、労働環境、労務環境というか、そういった面では、むしろ中小企業、小さい事業所の方が、代替要員の確保とか、過重につながりやすい。ここはしっかりと国が関与して、知らなかった、もしくは余裕がないという部分には、しっかりとやっていかなければいけないかなというふうにも思います。

 また一方で、嘱託産業医において、専門とする診療科が内科及び外科が大部分を占め、精神科は少数であって、必ずしも全ての産業医がメンタルヘルスに関する十分な知識、経験を有しているとは言えない、そんな状況とも言えますが、その辺についてもどのように考えているのか、お聞かせください。

中野政府参考人 ストレスチェックや面接指導は、労働者のストレスの状況を把握し、気づきを促したり、就業上の措置や職場環境の改善につなげるものでございまして、精神疾患についての診断や治療を行うものではありませんので、ストレスチェック等の実施者を精神科の分野を専門とする医師等に限定する必要はないものと考えておりますが、産業医を初めこの仕組みに携わる方の資質の向上は必要と考えております。

 このため、制度の施行に向けまして、厚生労働省では、ストレスチェックを実施する医師等に対して制度の適切な運用のための研修を実施することを予定しております。その研修におきましては、ストレスチェックの実施に必要な専門知識等の内容を盛り込むことを考えております。

 また、全国の産業保健総合支援センターにおいても、産業保健スタッフ等を対象としたメンタルヘルス対策全般に関する研修を実施し、これら専門職の資質向上を図っていくこととしているところでございます。

中島委員 おっしゃるとおりで、産業医の先生の役割は、精神面だけではなくて、健康面や、多岐にわたるわけですね。

 そういった中で、嘱託産業医ということになりますと、地域の先生方が嘱託で、私は実はやったことがないんですが、何度か言われたことがございます、ただ、そこはなかなか入っていきづらい部分もあります。

 そういったことを考えて、今、研修を実施して質、量ともにということになるとは思うんですが、実際に、嘱託産業医、内科や外科、専門がそれぞれ違う中でやっているこの現状、やはり産業医というのはそんなに簡単なものではない。

 患者さんを診断するのが本来外来をやっている一般の先生の役割であるのに対して、やはり産業医の先生の役割ということになると、法律上の問題とか、その会社の組織がどうなっているのか、社風がどうなのか、ここまで全て理解した上でないと、本当に労働安全衛生にかかわることはなかなか難しいんじゃないか。九州にある産業医大はその専門の大学ではありますが、そういった意味からも、産業保健に対する理解というものを、国民、社会全体、さらに最も重要なのは企業文化ですね、しっかりと浸透させることだというふうに思います。

 先日の参考人の質疑の中でも、この辺については大変、質、量といってもなかなか難しいという参考人の御意見もございましたので、なかなか難しいとは思いますが、その前に、先ほど言ったように、労使ともどもみんなでいい環境をつくろうということを徹底していく、その指導力を発揮していただきたいというふうに思います。

 産業医の役割に付随して、産業歯科医について御質問させていただきたいと思います。

 労安衛法の規則の第十四条の表題には、「産業医及び産業歯科医の職務等」として、実際に「産業歯科医」という言葉が出てきております。しかし、労働安全衛生法の中で、産業医という立場は明確に位置づけられておりますが、一方で産業歯科医は法的な定義が明らかでないため、一定の資格や身分があるものではなく、資格試験、免許試験、一定の講習を受講する義務などは設けられておりません。表題に「産業歯科医の職務」と明確に書かれているのに、その中にも産業歯科医の職務はうたわれておりません。

 産業歯科医の法的な位置づけを、職務等を含めてしっかりと示していくべきだと思うわけですが、御見解をいただきたいと思います。

中野政府参考人 産業保健分野における歯科医師の位置づけにつきましては、ただいま御指摘ございましたように、労働安全衛生規則におきまして、塩酸等の有害物を取り扱う業務に常時五十人以上の労働者を従事させる事業場につきましては、事業者は、歯科に関する健康管理に係る事項について、「適時、歯科医師の意見を聴くようにしなければならない。」こととされております。

 一方で、こうした有害業務以外につきましては、業務と歯科疾患の関連性が明らかとなっていないために、これら一部の業務を除きまして、歯科に関する健康管理を事業者には義務づけていないところでございます。

 厚生労働省といたしましては、歯科口腔保健は労働者の健康保持増進の観点から重要であると認識しておりまして、今後、業務と歯科疾患の関連についての知見の収集に努め、収集した知見をもとに、労使関係者の理解を得つつ、歯科健診のあり方や産業歯科医の位置づけ等の職域における歯科保健対策について検討を行ってまいりたいと考えております。

中島委員 確認のために御質問したわけですが、おっしゃるとおり、労安衛法では、有害業務にかかわるということで、わかりやすく言っちゃうと、虫歯等々は業務とは関係ないよということの中で、なかなか位置づけは難しいということなんですが、有害業務を行う労働者だけが労働と関連をしているとは私は思わないわけですね。

 最近、オフィス等でも言われておりますように、ストレスによって食いしばり、それによる顎関節症、そういったトラブルもふえている。クレンチング症候群というものでございますが、それからくる肩凝り、頭痛、それがずっとたび重なると、やはりストレス面に影響が出てくる。

 そして、もう一点では、ストレスマネジメントの観点からも、要するに、うつ、精神的ストレスが加わって、まず出やすい症状というのが、日常的なことがおっくうになってしまう。例えば口腔ケアの問題ですね。口腔内の荒れ方がまた一つのきっかけになる。

 今回、ストレスチェックということですが、そういった観点からも、もちろん、医師と歯科医師ということでオーバーラップするところはあると思うんですが、歯科医師法の第十七条では、やはり歯科の部分は、歯科医師でなければ歯科医業をやってはならないと明確にうたわれております。そういった意味から、私は、もちろん、業務上の問題、有害事例のみならずストレスマネジメントの観点からも、この産業歯科医、条文上にもそのように書いてあるわけですから、今後、生活習慣病の予防等々を含めても、産業歯科医の位置づけを明確にするべきだと思いますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。

田村国務大臣 今、中野局長からも話がありましたけれども、事業者は当然のごとく労働者の健康管理を行わなければいけないわけでありまして、健康診断等を含め、五十人以上の事業場であれば、先ほど来お話がありますとおり、産業医を選任した上で、健康管理業務全般を行わせなければならないわけですね。

 歯科疾患でありますが、今局長の言ったとおり、塩酸などの有害物を取り扱う業務に常時従事するそのような労働者に対しては、歯科健診等々を含めて歯科健康管理をしていかなければならぬわけでありますが、他のものは、今のお話のとおり、歯科疾患に影響しているかどうかというのは、直接的には証左がないといいますか、関連性が明らかではないわけでありまして、そういう意味では義務づけていない。

 ただ、一方で、我々も一般的に見て、やはり、歯科疾患といいますか歯科口腔保健と労働者の健康管理という意味からすれば、これは因果関係というものは一定程度あるのであろう、重要であろうというふうにも考えるわけであります。

 ただ、それをやはり労使とも御理解いただいていかなければならないわけでございます。労使ともに御理解をいただくためには、一定の知見を収集した上で、分析をして、関連性があるよということがある程度わからないと労使とも御理解をいただけないということがあるわけでございますので、そういう作業をさせていただく中において、この知見をもとに、どのような歯科健診のあり方があるのか、また、歯科産業医のやるべきものがどういうことなのかということも含めて、検討させていただきたいというふうに考えております。

中島委員 先ほど申し上げましたように、今後、エビデンスというか、積み重ねの中で必要性ということなんですが、これは私の認識ですが、私は、十分エビデンスは確立されていると。先ほど言ったように、口腔健康の保持が糖尿病等を初め生活習慣にも、一方で、ストレスマネジメントの観点からも十分必要性があるというふうに私は認識しておりますので、今後、歯科医師による保健指導を含めて検討していただいて、産業歯科医、産業医の位置づけとともに明確にしていく必要性はあるということを申し伝えさせていただきたいと思います。

 次に、受動喫煙の防止に対する件について御質問させていただきます。

 きょうも先ほど浦野委員も、前回のときにも御質問がさまざまございました。前回の法案では、全ての事業所に職場の全面禁煙または空間分煙を義務化するとされておりましたが、今回の改正案では、努力義務として、国が事業所の取り組みを援助するという後退した内容というふうに受けとめております。

 このようになった理由については先ほども御答弁をいただきまして、正直、聞いておると、へ理屈だな、本当にそのつもりがあるのかなというふうに思わざるを得ないわけですね。

 その話をする前に、まず、先ほども御答弁の中でありました職場の受動喫煙防止対策に関してとり行われている部分、中小企業事業主を対象とした喫煙室の設備費用の助成や、専門家による電話相談、説明会、空気環境把握のための測定機器の無料貸し出し実施等々の助成措置でございますが、従来の助成の支援策の効果、予算の執行率も含めてですが、どのぐらい効果があるのか、効果が出ているのか、お尋ねをしたいと思います。

半田政府参考人 お答え申し上げます。

 効果といいますか、実績について御説明をさせていただきたいと思います。

 御案内のとおり、財政的支援として、中小企業事業主に対する喫煙室の設置に係る費用などの助成を行ってございます。

 この助成金の平成二十五年度における交付件数は三百四十七件、交付額が約三億七千万円となってございます。予算執行率としては四九%でございます。主に製造業や宿泊業を中心に御活用いただいておるところでございます。

 それから、専門家による相談対応等につきましては、二十五年度実績では、電話相談が九百八十四件、実地指導が四十件、周知啓発のための説明会の開催実績が九十四件となってございます。

 また、たばこの煙の濃度等の測定機器の貸し出しの状況でございますが、同じく二十五年度で三百三十四件となってございます。

中島委員 予算の執行率に関して、おおよそですが、それぞれの助成措置に対して半分程度と見ておるわけです。予算の執行率が悪い原因について、簡単でいいです、一言でも構いませんので、お答えいただきたいと思います。

半田政府参考人 現在、労働基準監督署による周知啓発や事業者を対象とした説明会を行っているところでございますが、予算の執行率は着実に伸びてきてはおりますが、やはり、いまだ助成金制度の認知不足が根底にはあると考えてございます。しっかりと周知を図っていきたいと考えております。

中島委員 先ほどの浦野委員にもございました、周知不足ということであって、そのためにも、今回努力義務になった理由についてはもろもろお聞きしておるわけですが、私も先ほどの浦野委員と同意見でして、義務化して助成措置もすればいいと。これに対して、先ほど答弁も浦野委員のときにされておるわけですが、参議院の審議の中でも、前回のときにも、法制局の見解は、政策上の判断、そして、技術上許されないものではないと答えているわけですね。やはり、これは政策上の判断だということは明らかなわけでして、義務化しても助成措置はできるわけで、今後、そのような方向でしっかりと検討するべきだ。

 私は、やはり先ほどの浦野委員と同じように、先ほど言ったように、助成がしづらくなるとか、さまざまな意見があるとか、でも一方で、健康増進法もそうです、がん対策推進基本計画もそうです、さまざまな分野でこの受動喫煙の問題は取り上げられている。にもかかわらず、今回、何かもう言いわけがましいとしか言えない、本気でやる気があるのかどうかということが問われる中で、政府は、第十二次労働災害防止計画において、二十九年までに職場で受動喫煙を受けている労働者の割合を一五%以下との目標を掲げ、また、がん対策推進基本計画及び健康日本21においては、平成三十二年までに受動喫煙のない職場を実現すると高らかに目標を掲げておるわけです。

 受動喫煙防止を努力義務に今回とどめながら、こうした目標をどのように達成していくつもりなのか、努力義務は過渡的なものなのか、お尋ねをしたいと思います。

田村国務大臣 受動喫煙防止は大変重要なことであります。これは我々もそう認識しております。

 受動喫煙だけじゃなくて、大変重要な問題はいっぱいあるわけですね。受動喫煙だけフォーカスすれば、これだけやったらいいじゃないか、つまり、最低基準を義務化した上でそれに対して補助金をつければいいじゃないか、こういう議論は成り立つんだと思うんです。

 ただ、今も言いましたとおり、最低基準を決めながら、それをしっかりと守っていただこうと思って義務化した、現状、まだそれでも完全に、義務化でも守られていないという部分もあります。そういうもの全て、やはり、最低基準、労働基準法も含めて大変重要な内容なんですね。

 では、それも全て補助金をつけるかという話になってきます。そのときに、受動喫煙だけ、これは今受動喫煙の話をしていますからこれが重要だということは当然なんですが、でも、ほかの議論をするときはその議論が重要だという話になるわけですよね。それに全部助成金をつけると大変なことになってくるということは委員も御理解いただけるというふうに思います。

 だから、委員の言われている意味はよくわかるんです、すごくわかるんですが、この問題だけを議論していればそういうふうな気持ちになるんですけれども、そうじゃない中において、いろいろな最低基準を決めている労働基準法や労働安全衛生法というのがあって、それとのつり合いはどうなんだということ、バランスを考えると、なかなか難しいというのが実のところであります。

 この議論は、もともとをひもとけば、民主党政権時代に義務化というようなものが政府提案として提案されてきたものがあります。ただ、そのときも罰則はなかったんですね、義務化したけれども。つまり、罰則をするところまではさすがに国民的な理解はまだ得られていないということだったんだと私は思うんです。

 罰則がない中で義務化して実効性がどれぐらい上がってくるかということと、努力義務にして助成金をつけてどれだけ実効性が上がるんだということも、これは私はわかりません、労働政策審議会の発言をされた方のお気持ちはわかりませんが、私なりに推測すると、そんなこともある中においてこういうような御提案というものが出てきたのではないか。

 我々も、そういう意味からすれば、今般、努力義務という中においてならば助成制度がありますから、これを周知徹底して、さらにふえてくれば拡充をしていく中において、しっかりと受動喫煙対策というものをしてまいりたいというふうな思いの中で提案をさせていただいております。

中島委員 私もその話は、先ほどからも答弁を聞いていて、そちら側からの話としては理解はできます。

 ただ、先ほど言ったように、本気で受動喫煙をやるつもりがあるのかないのかという観点は、多岐にわたる分野の中で、例えば先ほど罰則があったらいいのか悪いのか、これは我が党の松沢成文議員からも参議院の方であったと思いますが、神奈川では、条例をつくってやった結果、効果が出た。やはりそこは、まず第一に法制化して、それに罰則をつけることで、先ほど浦野委員からもございました、助成金もせっかくあるものが使い切れない、そういったことにもつながると思うんです。

 ちなみに、私は喫煙者なんですね。私は、医者であって、こんな質問をしておきながら、ふだんはたばこを吸うんです。これは、むしろ、禁煙している側からすれば、それはもう邪魔っけだということなんですが、私は喫煙者として、要するに、何が言いたいかというと、説得力があるかどうかわかりませんが、日本人のみならず、やはり先ほど国会の話も出ましたが、そこに喫煙所があるから吸っちゃうんですよ。国会内は、喫煙所も多い、一般の公共機関に比べると非常に多いわけですね。

 そういう中で、昔は、タクシーもたばこを吸えたわけです、映画館でも吸えたりという状況だったんですが、今はもう絶対そんなことは概念からない。そういう中で、やはりしっかりと取り組んでいく必要があるという意味も含めて、余り説得力がないかもしれませんが、私は、吸う立場からしても、最低限の、例えば仕事をしている最中にはたばこを吸わないのが当たり前とか、そういうルールづくり、その上で、ちゃんとルールにのっとって、私もいずれ禁煙はちゃんとしようと思っておりますが、やるべきだと。

 そのために、世界全体でも年間六十万人が受動喫煙によって死亡していると推定されておりますし、我が国においても少なくとも六千八百人ぐらいの方が受動喫煙の影響で死亡されている。これは、要するに、趣味とかという域を超えていて、明らかにほかの方、受動喫煙者に対して影響がある。これはちゃんとわかっているわけですから、そのルールづくり。

 先ほども言ったように、まず通告の時間を守ろうとか日程をやろうとか、こういう健康増進法も含めて健康対策を率先してやっているこの厚生行政の中から、先ほど会派間の問題だと言いましたが、これは絶対先頭を切って指導力を発揮していただいて、まずこの国会から分煙対策、禁煙まではなかなか難しいかもしれませんが、受動喫煙対策、しっかりと指導力を持って、大臣が先頭に立って声高らかにやっていく必要があると私は思うわけですが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 国会というお話ですか、今。

 なかなかお答えしづらいわけでありますが、おたばこをお吸いになられるということでございますので、吸われるお立場から、受動喫煙をされる方をなくしていこう、自分自身は吸うのは仕方がないけれども、そういう言い方がいいのかどうかわかりませんが、周りの方に迷惑をかけるのはやめようという非常に強い信念、強い信念かどうかわかりませんが、お考えになられると。

 だから、委員のような方が国会の各会派、何かもくもく議連というのがあるのかどうか知りませんが、そんな中で物を言っていかれることは非常に説得力があるんであろうなというふうに思いますので、どうか頑張っていただきたいなというふうに思います。

中島委員 私がここで熱くなってもしようがないんですけれども、そういう立場からも、やはり受動喫煙対策というのは大変重要だということを説明させていただいたつもりです。

 一方で、これもそうなんですが、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向かって、受動喫煙対策は世界基準なわけですね、これは資料を見ていただければ、先進国のみならず、ここに書いてあるアジアの諸外国においても、法整備されていないのは我が国だけなんですね。書いてあるとおり、丸がついているのは飛行機ぐらいで、ほかはもう全然なっていない。法制上も、日本だけなんです。

 国際基準に沿ったものをしっかりと整備していかなければ、これは二〇一〇年にWHOとIOCが健康的なライフスタイルに関する合意を結んでおるわけです。その中で、たばこフリーオリンピックを目指そうということになっていて、ですから、ほとんどのオリンピックの開催都市、これから迎える開催都市も、東京以外は全て、受動喫煙防止法なり、たばこ規制法が整備されておるわけです。

 せめて、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、今回こういうことになっております、本法案も我々も賛成はいたしますが、しっかりと期間を決めて、二〇二〇年のオリンピックまでには法制上の整備をするということは大前提ではないかなと。

 これは記憶に新しいんですが、東京オリンピックの誘致のときの合い言葉のようなものが、おもてなしだったわけですよね。おもてなしをするに当たって、公共機関ではもうたばこを吸わないという方々が世界各国から集まるわけですから、ぜひ、これは期間を決めて、しっかりと義務化そして法制上の整備をしていく必要、オリンピックに向けて必要だと思うわけですが、大臣の御見解をいただきたいと思います。

田村国務大臣 受動喫煙防止ということであるならば、多分、それに向かっての制度整備というのが本来であるわけであろうと思います。これはあくまでも労働安全衛生でございますから、職場においての受動喫煙ということでございます。

 全く関連しないわけではないので、確かに、職場であっても一般の方々が出入りするというようなところで働いておられる方々がおられますから、それに資しないわけではないとは思いますが、本来からいえば、この労働安全衛生法は、受動喫煙防止義務化というような話ではないのであろうなと。

 ただ、この法律に関しては、五年を目途に、状況を判断しながらこれをどうするかということを検討するということでございますから、それを踏まえながら、検討規定がございますので、検討していきたいと思います。

 なお、オリンピックをやったところの受動喫煙の対策、どういうものがあるかというのは、今調査をやっておる最中でございますので、その調査の結果を踏まえ、どのようなことをやっていくのかということに関しては、これからいろいろと議論、検討させていただくことになってこようというふうに考えております。

中島委員 先ほども言ったように、やはりある意味、強制的にやることで、昔は当たり前のように吸えたところが今ではもう当然吸えないんだ、そういう認識にどんどん変わってくると思います。

 確かに労安衛法はオリンピックとはちょっと違うかもしれませんが、そういう意味でも、オリンピックは一つの目安になると思います。そこに向かって、何としても法制化、そうしないと、世界基準、幾ら先進技術といっても、そこが欠けていたら何にもならないということになりますので、今後、受動喫煙防止対策のあり方を、期間を決めて、ぜひ再検討をお願いしたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。

後藤委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 本日は、労働安全衛生法について、二日目の質疑をさせていただきます。

 参議院先議ということで、あらかじめ参議院の議事録全てに目を通しておりますので、その大臣初め参考人の答弁から、また追加で幾つかお伺いをしたいと思います。

 まず、参議院で大臣が、労働災害のふえた原因を質問された際に、非正規がふえる中で、労働安全衛生の教育をしっかり受けていない方々がふえてきたことも労働災害の増加に影響しているかもしれない、このような答弁をされています。

 大臣がそのような御認識であるのであれば、お伺いをいたしますが、非正規雇用の労働者に労働安全衛生の教育を受けていただく仕組みをどのようにつくるのか、まずこの点をお答えいただきたいと思います。

田村国務大臣 これは、要するに業務経験の少ない未熟練な労働者の方々に関しては、やはり危険でありますとか有害であるというような認識をしっかり持っていただかなければ労働災害につながっていくわけでございますので、そういう意味で、非正規の方々はそういう方々に該当する方が比較的多いのかもわからないということで、そうであるならば、労働災害がふえてきた中の一因であるかもわからないというような趣旨で答弁をさせていただいたものであります。

 当然のごとく、そういう方々に対して、やはりその作業における危険性でありますとか有害性というものを認識していただかなければならないわけでありまして、これに関しては、安全衛生管理マニュアルというものを作成いたしております。これは業種ごとにやっておるわけでありまして、安全マニュアルを公表いたしておりますので、これを利用しながら、しっかりと労働安全教育をやっていただくということで指導してまいってきておるわけでございます。

 いずれにいたしましても、そのような形で労働災害につながっていくということは大変不幸なことでございますので、そうならないようにこれからもしっかりと頑張ってまいりたい、このように考えております。

井坂委員 非正規の方がふえる中で、経験の浅い労働者の方が現場の危険をわからずに労働災害に遭う率が高まっているのではないか、この大臣の御認識は私もそのとおりだというふうに思います。

 本日、衆議院で重ねてお伺いいたしましたのは、ふえた原因を質問されて、わざわざ大臣がいわば特出しでこの理由を出してこられていますので、今、御答弁ですと、安全衛生管理マニュアルというのはこれまでやっている取り組みですから、何も変えなければ何も増加に歯どめがかからないというふうに思うわけであります。参議院でああいう答弁をされて、現状のやり方では増加をしてきているわけでありますから、何か追加で工夫が必要ではないかと思って再度お伺いをしているんですが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 非正規雇用で働く労働者の方々の安全衛生活動に関して、今、実態調査をさせていただいております。この実態調査に即して、どのような対応があるべきかということを検討してまいりたい、このように考えております。

井坂委員 あと二つ、参議院の議事録からお伺いをいたしますが、次は、中野参考人の答弁です。

 ストレスチェックを行うのは医師、保健師その他省令で定める職種と今回の法案に書いてありますが、参議院で中野参考人は、臨床心理士等は、法令に基づく資格でなく、必ずしも質が担保されていないため、現時点ではストレスチェックの実施者とすることは考えていない、こういう答弁をされています。

 法令に基づく資格という点で、私も、ちょうどこの厚生労働委員会が始まる直前の文部科学委員会の方で、公認心理師法案の趣旨説明に参加をしてきたわけでありますが、今回、議員立法で公認心理師という国家資格をつくろうとしているこのタイミングで、答弁で質の担保ということをおっしゃっておられます。

 この質の担保というのは具体的にどのようなことを想定しておっしゃっておられたのか、お伺いをいたします。

中野政府参考人 ストレスチェックの実施者としては、安衛法上一定の役割を既に果たしております医師、保健師のほか、一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士を想定しております。

 心理士等につきましては、先生の御指摘がありましたように、現時点では、法令に基づく資格ではなく必ずしも質が担保されていないから、実施者とすることは考えていないと参議院で御答弁申し上げました。

 御指摘のとおり、現在、法令に基づく資格とする動きがあるということは承知しておりまして、今後、法令に基づき受験資格や試験科目が定められ、精神保健に関する一定の知識を有する者であることが明らかとなれば、一定の研修を受けることにより、ストレスチェックの実施者の対象職種として適当か否かの検討が可能になると考えております。

 いずれにいたしましても、立法化の推移を見守りたいと考えております。

井坂委員 参考人の答弁では、国家資格であること、それと質が担保されていなければいけないということ、半分リンクするような形で答弁をされておられて、国家資格という点では今回こういう動きがあるわけでありますけれども、一方で、国家資格だから参考人が想定しておられる質の担保があるとは必ずしも自明のことではないからお伺いをしているわけでありますが、質の担保というのはどういうことを想定しておっしゃっているのでしょうか。

中野政府参考人 ただいまも申し上げましたように、国家資格となる際には、いろいろな受験資格や試験科目が定められることになろうかと思います。その内容を見きわめたいという趣旨で申し上げたということでございます。

井坂委員 参議院の議事録からもう一点、これは大臣の答弁でありますが、事業主のパワハラが原因で労働者がストレスチェックの後に医師の面接を受けた場合について、大臣は、パワハラの際に、事業主に対する医師の適切な情報提供と医師の守秘義務の関係は非常に難しい、こういう答弁をされています。

 医師が事業主に言っても守秘義務違反にならないという具体的な範囲を定める、もう一つは、医師から情報を受けた事業主が逆切れせずにちゃんと適切な対応をする、こういう適切な対応ということ、この二点は少なくとも明確に定めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 健康診断等々というような個人の情報にかかわるもの、こういうものに関してはその取り扱いに関してガイドラインをつくっておるわけでありまして、それにのっとって留意事項というものがあるわけであります。例えば、健康診断でありますれば、診断名でありますとか検査の数値等々、こういうものに関しては、生データというような形で事業主には伝えない。つまり、産業医でありますとかまた従事者、こういうような方々が守秘義務を持って扱っていただくということになります。

 そういう意味からいたしますと、今回のストレスチェックも同じような話でございまして、健診データと同じような扱いをしていただきたいということになっておるわけであります。

 ただ、労働者の健康を保持するために必要な情報というものは事業主に伝えても守秘義務違反にはならないわけでありまして、そこが難しいわけであります。具体的に一律に明確に示すということは難しいんですが、幾つもあると思いますが、例えばで言えば、強い感染力のある感染症にどうもかかっているおそれがあるという場合に、言わなければ他の労働者にうつってしまうわけなので、そういうことに関して事業主に伝えること自体は守秘義務違反にはならないというふうに思います。

 ただ、内容によっていかようにも扱われたら困るわけでございます。当然これはおかしいというものをそのような形で事業主が情報として得て、結果、不利益を生じるようなことをすれば、それは我々としては、指導対象でございますので、しっかりと指導はさせていただきたいというふうに思っておりますが、では、何が何がというのを全部列挙するのはなかなか難しいというのが本当のところでございまして、そこは常識の範囲の中でこの趣旨というものを理解いただきながら事業者の方々に運用していただきたいということで、しっかりと周知をしてまいりたいというふうに考えております。

井坂委員 大臣が今おっしゃった感染症のようなケースは当然医師は伝えなければいけないと思うんですが、まさに参議院で議論になった、ストレスの原因が事業主のパワハラであると医師が判断した場合に、当然、職場の労働環境改善のためには、パワハラが原因なんですよということを医師は伝えなければいけないのではないかと思うんですね。

 ところが、それを伝えると守秘義務違反になるおそれがあるのであれば医師はちゅうちょいたしますし、また、それを聞いた事業主が、適切に、ああ、俺のパワハラが原因か、だったら改めなければと変えてくれればいいんですけれども、逆切れする可能性もある、その二点で、非常にグレーゾーンといいますか、まさに難しい事例だと思うんです。

 難しいとおっしゃるのはよくわかるんですが、難しいと答弁されたきり、では放置なのかというふうに私は思いますので、パワハラがストレスの原因であれば、医師はそれを事業主に伝えても構わないということであったり、あるいは、そういったことを聞いた事業主はこういうことはしてはいけないとか、何かそういう線引きが特にそのグレーゾーンの件ではあるのかなと思うんですが、難しいでしょうか。

田村国務大臣 まず、パワハラであった場合、個人を特定せずに、職場環境を改善するという意味でそういうものをデータ的に出して、パワハラの多い職場であるならばそれを解消していくという方法はあると思います。それによって個人を特定させないという配慮。ただ、本当に個人一人だけであればわかってしまうわけなので、そこは産業医の方が、やはり伝えた方がいい悪いということを御判断される話だと思います。

 基本的に、どれが守秘義務違反になるかというものは、まさにこれは解消しなければならないというふうに産業医の方が判断をするかどうかということであろうと思いますから、それによってさらなるパワハラが、本来あってはいけないことなんですが、起こった場合は、例えば総合労働相談コーナー等々がございます、こういう労働局、監督署等々にあるコーナーにお訴えをいただければ、我々としては相談に乗らせていただきたいと思いますし、明らかな場合に関しては指導もしていきたいというふうに考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 次に、ストレスチェックについて、細かいことを幾つかお伺いしたいと思います。

 ストレスチェックの効果について、どのようなエビデンス、あるいはストレスチェックをやると労働災害の中の精神障害がどれだけ減る、こういう科学的根拠は特に明確には把握をされていないということで間違いないでしょうか、参考人にお伺いをいたします。

半田政府参考人 現在、ストレスを評価する調査票といたしましては職業性ストレス簡易調査票というのがございますが、これは、平成七年から十一年度までの旧労働省の委託研究により開発したものでございます。何度か御説明申し上げたかと思いますが、この調査票は、一万二千人を対象とした試験的調査によりまして、信頼性、妥当性が統計学的にも確認されているものでございます。

 また、この調査票によるストレスチェックの結果が実際に職場環境の改善に効果を上げているというような御報告もいただいてございます。

 こういったことから、今回、ストレスチェックを検討するに当たりましては、これをベースにいたしまして、専門家の皆様方にお集まりいただいて御検討いただくことになってございますので、それなりのものが期待できるものだと考えております。

井坂委員 ストレスチェックの調査票の精度については、一万二千件ですか、実際、数をこなして、ある程度統計的に精度が高いということだと思いますけれども、それによって、労働災害、職場の環境改善ということに関しては、ここは定量的な評価まではいっていなくて定性的な評価ということかというふうに思います。

 今回の法改正によって、全国の企業でストレスチェック、同種のものが大々的に行われることになるわけであります。これを機に、エビデンス、科学的根拠をしっかりデータ収集したり、あるいは場合によっては二種類のストレスチェックを例えば地域を分けて同時並行で走らせたり、いわゆるABテストというような言い方になるかと思いますが、より効果の高いストレスチェックあるいは制度を模索するなど、せっかく大々的にやるわけでありますから、データに基づいた政策変更あるいは予防政策という観点でこういった取り組みをすべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 これは、五年を目途に施行状況については検討を行って、必要があるときには措置を講ずるわけであります。

 今言われましたとおり、このストレスチェック制度でありますけれども、実施状況をしっかり把握した上で効果等々をしっかりと検証していかなきゃならぬわけでありまして、その中において、今おっしゃられました、データというものを収集して分析して次につなげていくことは必要なことでもあろうというふうに考えますので、検討してまいりたいと考えております。

井坂委員 余り実験の色合いが濃くなり過ぎると当然問題もあるわけですが、ぜひ、走らせる前にそういう将来の検証に向けた設計をしておくということがとても大事だと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、参考人質疑から幾つかお伺いをしたいと思います。

 先日の参考人質疑で、三柴近畿大学教授より御発言がありました。ストレスチェックを匿名の集団的データとして事業主にフィードバックすることで事業所の労働環境の改善に役立てることができる、こういう御発言が参考人からありました。

 事前にいただいていた政策の説明の資料、いわゆるポンチ絵では、労働者の同意を得てストレスチェックの結果を事業主に通知、こう明記してあるわけで、この辺が非常に曖昧だったわけでありますが、参考人の発言どおり、ストレスチェックを匿名の集団的データとすれば、労働者の同意が全くなくても事業主に情報を渡すことができる仕組みにもう既になっているのかどうか、参考人にお伺いをいたします。

中野政府参考人 ストレスチェックの結果につきましては、労働者の同意なく事業主に提供してはならないこととされておりますが、個々の労働者が特定されない形であれば、個別に同意をとることなく事業者に結果を提供することは可能でありまして、労働政策審議会の建議におきましても、事業者は、労働者個人が特定されない形で職場ごとに集団的に分析された評価結果を入手し、職場環境の改善に活用することについて提言がなされたところでございます。

 このため、厚生労働省といたしましても、事業者が、ストレスチェックの結果を個人が特定されない形で集団的に集計、分析したデータを活用して職場環境の改善につなげるような取り組みを促すため、指針等によりまして具体的方策を示してまいりたいと考えております。

井坂委員 今の御説明ではっきりおっしゃったので、ああ、そういう仕組みなのかというふうに理解をいたしましたが、法律ではどこの部分でそういうことがわかるのかということと、あと、事前のいわゆるポンチ絵では随分明快に同意がなければ情報は提供しないという書き方をしてあったんですが、それはそうではないということでいいんでしょうか。

中野政府参考人 法律に特段今の趣旨を明記しているわけではございませんが、先ほど申し上げましたような形で、個人が特定されない形であれば提供できるということでございます。

 また、ちょっと説明資料が先生に十分理解されないような形でありました点については、おわび申し上げ、もっとわかりやすい資料をつくるべきだったと思っております。

井坂委員 ガイドラインの内容について、少し重ねてお伺いをしたいんです。

 個人が特定されないいわゆる匿名処理、統計処理されたデータといえば、もちろんそれだったら渡しても大丈夫なのかなというふうに少しは思うわけでありますが、しかし、職場の規模であったり、例えば少人数の職場で、あなたの部署にはこういうことがありますよ、例えば五人の職場で二〇%の人はこういうことになっていますよといったら、五人の一人がそうなんだなとわかるわけですね。この人だなとわかってしまうわけで、そのあたりも、現場で適用していくと随分曖昧なことにならないかなと思うわけでありますが、匿名的なデータ、統計処理というあたりは、ガイドラインをもう少し詳しく、どういう歯どめになりますでしょうか。

中野政府参考人 御指摘のとおり、余りにも集団の規模が小さいところでありましたら御懸念のような問題が起こることも十分考えられますので、集団的データというからには、一定の規模がないとこのような匿名性は確保されないと思っております。

 具体的に、ではどのぐらいの規模なら大丈夫かというようなことにつきましては、今後、指針をつくる際に専門家にまず御議論いただき、また最終的には労使の関係者にも御意見をいただいた上で、具体的な運用に対して指針となるようなものを示していきたいと考えております。

井坂委員 労働者の同意なしでも、そういう集団的データを職場改善に生かせる仕組みだということであります。

 今回はストレスチェックということで、個々の労働者がストレスを受けているのかどうかということを調べる仕組みでありますが、私は、同時に大事なのは、職場そのものが労働者に多大なストレスを与える環境なのかどうなのか、職場環境そのもののストレスチェックというものも重要だというふうに考えています。

 圓藤参考人が理事長を務めておられる日本産業衛生学会でもそのような提言がなされておりまして、職場の心理社会的環境を事業所単位で評価して、その対策の立案、実施、改善を行うリスクアセスメント制度を導入すべき、こういう話が出ているわけでありますが、今回の労働者のストレスチェック、ただし、それが集団的、統計的に処理されて事業主に伝わるわけで、結局、労働者集団というのは、本当にきちんと科学的に処理をしていけば職場環境にニアリーイコール、非常に近くなってくる、そういう組み方も可能だというふうに思うわけであります。

 労働者個々のストレスチェックではなくて、ストレスを与えやすい職場なのか、与えにくい健全な職場なのか、職場環境のストレス度の測定チェック、リスクアセスメント制度の導入について、大臣の御見解を伺います。

田村国務大臣 今も話がありましたけれども、それぞれ個々の労働者の方々に対してストレスを気づいていただくということが主な今回の目的でありますが、集団的な分析の評価結果といいますか、そういうものを使いながら職場環境を改善していく。これは、もちろん個人が特定されない。ですから、一定以上じゃないと、今言われたみたいに少ない人数だと、何となく個人が特定されてしまっては問題があるわけでありますから、そういうことがないような形で職場環境を改善していくことが重要であろうと思います。

 今委員が言われたリスクアセスメントといいますか、言うなれば職業性のストレス状況の評価、こういうものをリスクアセスメントの中で評価していきながら、それを活用して職場等々のいろいろな対策を講じていくということを、実は今、厚生科学研究の中で研究しております。そういうものの進捗ぐあい等々を検討させていただきながら生かしてまいりたい、このように考えております。

井坂委員 そういう研究も同時並行で行いながらということであります。ぜひ、先ほどと同じ、繰り返しになりますが、将来的にはそういう制度につながるかもしれないという前提で、ストレスチェックの細かいところの設計を今からしておいていただけたらというふうに思うところです。

 次に、一般定期健康診断について、これは労働者に受診義務が課されております。

 平成二十三年、前回の法案では、労働者に対し、事業者が行う精神的健康の状況を把握するための検査、ストレスチェックを義務づけておりました。今回は、受診義務、事業主がストレスチェックを提供する義務は課しておりますけれども、一人一人の労働者がそれを必ず受けなければいけないという義務にはなっておりません。

 前回と今回で、なぜ今回は盛り込まれていないのかということについて、参考人にお伺いをいたします。

半田政府参考人 労働安全衛生法に基づき事業者に実施が義務づけられております健康診断制度でございますが、これは、事業者が、労働者の健康状態を把握して適切に健康管理を行っていくという責務を果たすことができるようにということで、労働者にも健康診断受診義務を課しているところでございます。

 一方、今回の新たに設けることとしておりますストレスチェック制度でございますが、事業者が労働者の健康管理を行うという点では健康診断と共通するところもございますけれども、ちょっと違うところがございます。

 一つには、労働者のメンタルヘルスに関する情報という極めて機微の情報を取り扱うということがございます。二つ目に、これも再々申し上げてございますが、ストレスチェックは労働者御自身の気づきを促すということが大きな目的になってございます。それから、三つ目の問題といたしまして、既にメンタルヘルス不調で治療を受けていらっしゃる方にとっては、ストレスチェックを受けなければならないというと、そのこと自体が大きな精神的負担を与えることになるのではないか、こういう御指摘もございました。こういった点が、いわゆる健康診断と違うところでございます。

 こういった観点から、ストレスチェック制度については、希望しない労働者にまでその実施を一律に義務づけるということは適当でないと考えて、受診義務の規定を設けないこととしたところでございます。

井坂委員 半分わかったような、半分わからないような話だなと思うわけでありますが、一般の健康診断のデータも、もちろん肉体的な健康情報もプライバシーにかかわる問題が随分含まれているんじゃないかなと思うわけであります。

 今回、ストレス、精神面のチェック、もちろんプライバシーはあるわけでありますけれども、一方で、事業主には個人が特定される形で伝わることはないというルールがきちんと設定をされていたりということでもありますから、前回受診が義務づけられていて、今回わざわざ外されたということで、ここが果たして本当にどうなのかということは、私は多少疑問に思うところがあります。

 最後に一点、これはもう議論が出ているかもしれませんが、面接指導。今回いろいろ行われることになるわけでありますが、産業医さんを活用しようにも、産業医さんは内科や外科の専門医が多いという実情があります。メンタルヘルスの専門家は非常に少ないわけでありますが、このあたりをどういうふうに解消していかれるか、参考人にお伺いいたします。

半田政府参考人 今回、面接指導、保健指導を行っていただく方々ですが、対象者の心身の状況を医学的知見に基づき評価するという専門性を有する医師に行っていただくこととしてございますが、いわゆるうつ病等の疾患の診断、治療を行うものではございません。そういう意味で、必ずしも精神科医が実施する必要はないと考えてございます。

 また、面接指導の実施後は、その結果を踏まえて事業者に対して就業上の措置などについて意見を述べる必要があります。そういった観点からは、むしろ職場の健康管理などに精通した産業医が実施することが望ましいと考えておるところでございます。

 また、メンタルヘルスや産業保健を専門としない医師であっても適切に面接指導が実施できるようにということで、私どもにおいて標準的な実施方法を示したマニュアルを作成することなどによりまして、面接指導を行う医師に対する研修を実施する、そういったことで必要な環境整備に努めていきたいと考えております。

井坂委員 もうそろそろ時間でありますけれども、今回のストレスチェック制度、実は非常に大がかりな制度になることと思います。

 大がかりな割には、まず、受けるかどうかが労働者の任意であるということ、また、診断ではなくて、あくまで労働者が自発的に気づくかどうか、そのきっかけを与えるにすぎないということ、気づいた労働者が、またそこから先も完全に自由でありまして、あくまで労働者が自発的に、医師の面接を受けるのか、あるいは医師の指導を受けるのか、あるいはストレスチェックのデータを事業主に渡してもいいよ、改善してもらってよというふうに言うのか、こういう二重三重もの労働者側の自発性が要求をされています。

 しかも、結果的に、医師から情報を得た事業主が必要に応じて職場環境を改善するということでありますから、大がかりな制度の割には、その効果の部分がやや弱いのかなというふうにも思っているところであります。

 本日、いろいろ議論させていただきましたが、ぜひ、科学的根拠を持って職場の労働環境そのものをダイレクトに変えていく、アセスメントによって変えていく、こういう制度をまた今後も徐々に目指していただきたいということを申し上げて、質疑を終わりにいたします。

 どうもありがとうございました。

後藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今回の労働安全衛生法改正のきっかけは、民主党、長妻大臣のときに、当時は年間三万人を超えていた自殺者対策の一環である、メンタル不調者のスクリーニングをするという表現で提唱したことがきっかけでありました。本法案における問題意識は同じなのか、大臣に伺いたいと思います。

 それで、労働者の義務化については強く反対があり、今回これを外したことはよかったと思っているんですけれども、逆に、事業場がその実態を知らないということでは職場環境の改善につながらない、これだけでは意味がないわけですので、どのようにストレスチェックを職場環境の改善につなげるのか。二つ、お願いいたします。

田村国務大臣 今もおっしゃられましたとおり、今般のストレスチェック制度は、御本人がまず自発的に受けていただく。もちろん、その機会は事業者が提供しなきゃなりません。ですから、機会はあるわけでありますが、それを受けるか受けないかは御本人の御判断ということであります。それにおいて、自分の言うなればどれくらいストレスがあるかということに気づいていただくことが重要であるわけでありますし、そのストレスチェックをした後に面接相談等々していくかに関しましても、御本人の判断になるわけであります。

 そういう意味では、よく言います一次予防というようなことが対象になってまいりますので、二次予防等々も結果的にはあろうと思いますが、主眼は一次予防に置いておるということでございます。

 しからば、それでは困るではないかという話でございますが、ストレスチェックをしてストレスを気づくことがいかに重要であるか、こういうことを労働者の方々に事業者としてしっかりと御説明していただくことは重要であろうというふうに考えておりますし、あわせて、ストレスチェックをやられた後に面接指導をやはりやっていただくということに関しては、積極的にやっていただいた方がいいですよというような勧奨といいますか、それはやっていく必要があろうというふうに思います。

 それぞれ面接指導等々行う中において、会社側として何を行うべきかということも必要に応じて対応いただくわけでありますし、先ほど来話が出ておりますけれども、本人が特定できないような集団的な分析、その評価結果等々を用いて職場環境の改善につなげていただければというふうに考えておるわけでございます。それぞれ御本人の御判断というところはありますが、そこは、効果等々を説明する中において積極的に受けていただければありがたい、このように考えておるわけであります。

高橋(千)委員 あえて私は、質問は二つと言いました。だから、最初の問いは、まず問題意識なんです。要するに、簡単に言えば、何のためにやるのかということなんですよ。つまり、スクリーニングをするという表現だけが歩き出しますと、やはりそれは単なるあぶり出しだ、メンタルな人をよけてしまえということになっては困るわけで、過労死やうつ病によって自殺するような方が減っていくために職場環境を変えていくんだ、そっちに軸足があるのかということを最初に聞きました。

田村国務大臣 ですから、一次予防が主眼でございますので、そういう意味では、ストレスを気づいていただくということ。今委員が言われました、うつ病を見つけたりだとかそういうことが主眼でスクリーニングをするのではなくて、あくまでもストレスに気づいていただく一次予防というのが主眼であるということであります。

高橋(千)委員 とても大事なことでありますので。

 そこで、第六十六条の健康診断。第一項に、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。」となっています。これが現行法です。

 当初の案では、ここのところに、健康診断、括弧でいわゆるストレスチェックを除くという形で、完全に健康診断とストレスチェックを別建てにされた、そういう案文になっておりました。

 これに対して、産業衛生学会などは、心と体の健康を分離して健康診断を行うということはやはり実行不可能だ、ここは除くというところを削除せよというふうに意見を述べていたと思いますが、これについてはどのように整理されたか、お答えください。

半田政府参考人 今回のストレスチェック制度は、ストレスの程度を評価するための検査でございます。健康診断と重複し得る概念であるために、事業者に対する義務づけが重複しないようにということで、法技術的な観点から、六十六条一項に規定する健康診断から、新たに創設するストレスチェックを除いているものでございます。この規定の趣旨は、二十三年に国会に提出した法案においても同じでございます。

 ただ、前回提出した法案におきましては、御指摘のとおり、健康診断から精神的健康の状況に係るものを除くという条文の規定としておりましたが、これは、委員の御指摘のとおり、心身の健康を分離しているものとの誤解を生ずる表現であったと考えます。今回の法案では、そういった点を踏まえまして、より趣旨を明確にするために、六十六条の十第一項に規定する検査を除くという規定に変更したものでございます。

高橋(千)委員 確認をさせていただきました。

 やはり心と体は一体だと。この間も参考人質疑の中で産業衛生学会の圓藤先生に伺ったわけですけれども、例えば顔色とか表情とか、声の力とか睡眠不足とか、そういういろいろなことを、問診の中で体の不調にも気づいていく、そういうことがやられていたことを完全に離すということになっては困るという趣旨だったと思っております。確認をさせていただきました。

 そこで、ストレスチェックの当初言われていた九項目、これは大変不評でありました。「ひどく疲れた」とか「へとへとだ」とか「だるい」とか、全部同じ意味じゃないかと私は思うんですが、「不安だ」とか「落ち着かない」とか、これはほとんど、下手すれば全部丸がついちゃうんじゃないか、誰もが丸がついちゃうんじゃないかと思うような中身であって、根拠も不明瞭であるとして、大変厳しい批判がされたと思います。この点についてどう考えるかということであります。

 同時に、この委員会の中でも、五十七項目というもともとの、既に実績もあるからこれを使うというか、それをもとにして検討していくというふうなことをおっしゃっていたと思うんです。

 だけれども、やはり簡易検査ですから、あくまでセルフチェックの糸口である。ですから、逆に言うと、現場では、メンタル不調を自覚した労働者が、万が一、その後の処遇、つまり、あなたは働けないよねというふうなことになっては困るので正しく申告しないとか、逆もありだと。そういうふうな形で、本当に適正なものになるのかということについては、非常に疑問符が出ているわけなんです。つまり、項目がどうなったとしてもです。

 そういう意味で、モデル事業ですとか、やはり一定の検証を重ねた上で実践に入っていく方が望ましいと思いますが、いかがでしょうか。

半田政府参考人 私どもとしましては、先ほど何度か御説明してございますが、先生も御指摘のございました五十七項目の職業性ストレス簡易調査票は、繰り返しになりますけれども、一万二千人を対象とした試験的調査により、信頼性、妥当性が統計学的に確認されていると考えてございます。これをそのままやるというわけではございませんが、こういったものもベースにしながら、今後、専門家の皆さんの御意見を伺いながら、慎重に定めてまいりたいと思っているわけでございます。

 それから、さらにそれに加えまして、これも先ほどの御答弁の中で申し上げたところでございますが、ストレスチェックの結果を踏まえまして基本的には面接指導をやっていただく、その中でよくお話をしていく中で的確に把握していくことができるようになると考えてございまして、そういった指針をきちんと定めていくというようなことで対応していきたいと考えておるところでございます。

高橋(千)委員 ちょっとここは残念なんですね。信頼性、妥当性と言い切っちゃっていいのだろうか。やはり現場からそういう声が出ているのに対して、決めてしまっていいのだろうか。

 逆に言うと、さっきの健康診断の考え方をやりとりしたことにも近いんですけれども、ストレスチェックをやったから、それでもう義務を果たしたんだということになっても困るわけですね。あるいは、そういう気づくチャンスがあったんだから、それで、後のことは労働者の自己責任よとなっても困るわけですね。やはりそういうことをきちんと確認していかなければならないなと思うんです。

 例えば、面接指導を希望したことによる不利益については禁止規定があります。でも、その逆はないんですね。会社は結果を知りたい、つまり本人が教えなければ会社には教えないことになっていますけれども、でも結果を知りたい、どうなったのと聞きたい、あるいは、不調のようだからあなたは受診しなさい、そういった場合、どうなるでしょうか。就業規則に受診命令や休職命令などの規定を設けておけば、労働者が会社の指示に従わなかったとして懲戒の理由にされることがあるでしょうか。

 これは資料の一につけておいたんですけれども、実は、このことを私は十六日の参考人質疑で三柴参考人に質問いたしました。

 三柴先生は、安全衛生分科会の公益代表委員であって、立法にかかわりましたと御自身がおっしゃっているわけであります。その御自身が書いた「知っておくべきメンタルヘルスの法律知識」ということで、「就業規則に根拠規定があれば会社が産業医面談や産業医への受診を強制できることもある」というふうに書いていて、例えば復職に関する受診命令のときにはこのような根拠規定があり得ますよということで、右側にも書いてある。こういうふうなことがあり得ますかということに、先生自身が書いていますから、そうしたら、就業規則が鍵になりますという言葉を述べたわけでありますね。どのように考えるでしょうか。

中野政府参考人 まず、ストレスチェック制度についてでございますが、この制度は、労働者の極めて機微性の高いものを取り扱うことになるために、希望しない労働者に受診を義務づけることは適当でないことから、受診義務の規定を設けないこととしております。

 こうした制度の趣旨に鑑みますと、御指摘のケース、ストレスチェック結果の事業者への提供に同意しなかったこととか、あるいはストレスチェックを受けなかったことを理由として不利益取り扱いを行うことは適当でないものと考えております。

 厚生労働省といたしましては、正当な理由なく労働者に不利益な取り扱いがなされることを防止するために、今後、関係者の意見を聞きつつ検討を行いまして、不適当と考えられる事例を指針等で示すとともに、そのような取り扱いがなされることがないよう、事業者に対して必要な指導を行ってまいりたいと考えております。

 また、御指摘にございました、資料でお配りになっております三柴先生が書かれた事例とストレスチェック制度は、必ずしもこういう場合を想定したものではないとは思いますが、こちらの方は、先生がこういうふうに書かれているということでございます。

 我々といたしましては、懲戒につきましては、労働契約法十五条におきまして、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、権利を濫用したものとして無効とするということになっておりまして、具体的には、個々の事案に応じて、最終的には司法判断されるものであると考えております。

高橋(千)委員 受診命令を就業規則に書くこと自体は、先生がおっしゃっているように、ありだということなんですか。

中野政府参考人 まず、ストレスチェックについては、受診義務を課しておりませんので、それを就業規則に書くというのは法令に反することになろうかと考えております。

 また、一般に、産業医の面接の御指摘かと思いますが、これにつきましては、ここの三柴先生のお答えでも、回答のところに、一般的には受診を強制することはできないとまず書かれております。これが原則であろうと思っております。その上で、いろいろと例外的なケースを恐らく書かれているのであろうと思います。

高橋(千)委員 もちろん、そうなんです。三柴先生がそれをできるできると書いているわけではない、原則はそうだというふうに書いているのを踏まえた上で質問しました。

 なぜかというと、東京経営者協会が、二〇一一年に「メンタルヘルス不全社員の退職・解雇について」、こういうQアンドAを出しているんですね。その中で、「就業規則に受診を命じる旨の規定があれば業務命令として医師の受診を命じることができる。」。だから、例えばストレスチェック、あなたはどうだった、不調であれば受診しなさいということは十分あり得るんですよ。

 その上で、ポツの二つ目に、「解雇するにあたっては、治療の機会を与えたのか否かがチェックされる。」。だから、争いになったとしても、あらかじめ受診命令を書いておいたら、そこは、会社としては義務を果たしたんだよということになって、争いがしやすいよねということをるる書いているわけなんですよ。

 そういうことではないんだということで、趣旨を徹底していただくということを確認させていただきました。ここはちょっと時間がないので、次の質問をしたいと思います。

 それで、もう一つの争いというのは、労災の場合ですね。労災の争いになったときに、さっき言っているように、労働者が知らせたくないということになったら、会社には知らされません。そうすると、安全配慮義務が問われないことになっては困るわけですね。その点についてはどうお考えですか。

田村国務大臣 先ほど来話がありますとおり、これは非常に機微性の高いといいますかセンシティブな情報でございますので、ストレスチェックした内容等々、情報が事業者に行く場合は、本人の同意を得なければならないわけであります。

 もちろん、面接指導も御本人の御判断ということになってくるわけでありますが、言うならば、ストレスチェックだけでメンタルヘルス対策が完結しているわけではなくて、やはり企業にしてみれば、ちゃんと管理者等々が、例えば相談対応するでありますとか、それから職場環境というものを把握した上で、改善が必要な場合は改善もしていかなきゃならないわけでございまして、そのようなちゃんとした対応というものはメンタルヘルス対策という形でやっていただきたいということであります。

 今、安全配慮義務の話がございました。

 安全配慮義務違反に関しましては、個々の事例によって違いますので、最終的には裁判所が判断をされることになってこようと思いますが、そもそもストレスチェック自体が今はまだ義務化もされていないわけでありまして、その場合でも安全配慮義務というものはちゃんとかかっているわけでありますので、今言いましたような、本人の同意で情報が行かない、もしくは面接を受けない、相談を受けないということで安全配慮義務を免れることにはならないわけでございますので、そこはそのように御理解をいただければありがたいというふうに思います。

高橋(千)委員 相談を受けないということで安全配慮義務が免れることにはならないと答弁をされたことは、とても大事なことではないかと思います。やはり裁判もいろいろありまして、労働時間の場合は、後から問題にしても、労働時間というきちっとした、残業を八十時間も百時間もやったじゃないかという証拠が残っているわけだけれども、メンタルというのは、当然、パワハラですとかさまざまあるわけですね。そのことが、機会があったのにできなかったじゃないかということで、結局、本人の責任だよねということになっては困るという意味で質問させていただきました。

 私は、セルフチェックという形で一次予防に結びついていくのはすごくいいことだと思っているんですけれども、ただ、それが結局、メンタルも自己責任よとなっては困るということで、重ねて指摘をさせていただきました。

 時間がもったいないので、次のテーマに行きたいと思います。

 日本再興戦略の改訂版素案が十六日に出されました。資料の最後にその抜粋を載せております。

 実は、再興戦略の中で、「働き方改革の実現」ということで、雇用に関する問題は非常に多いわけですね。残業代ゼロばかりではないんですね。隣の限定正社員なども随分議論してきたことで、一つ一つ聞きたいところでありますが、きょうは、やはり労働安全衛生法に極めて関係のある問題で、時間の改革について質問したい。

 これで見ていただくとわかるように、2のところ、「時間ではなく成果で評価される制度への改革」、これがいわゆる我々が言っている残業代ゼロ制度でございます。まだ呼び名が決まっておりませんので、このように、いわゆるということで呼ばせていただく。

 三つ目に、「裁量労働制の新たな枠組みの構築」。つまり、ゼロ制度になろうがなるまいが、裁量労働制の見直しというのは今準備をしているわけですね。その改正のポイントについて、簡潔にお願いします。

中野政府参考人 成長戦略改訂版素案におきまして、企業の中核部門、研究開発部門等で裁量的に働く労働者に対しまして、「生産性向上と仕事と生活の調和、健康確保の視点に立って、対象範囲や手続きを見直し、「裁量労働制の新たな枠組み」を構築する」旨が明記されているところでございます。

 この点につきまして、裁量労働制は、業務遂行のための標準的な労働時間を労使で設定することによりまして、生産性を上げ、結果としてワーク・ライフ・バランスにも資するような働き方を実現できる仕組みでございまして、対象労働者の満足度も高いものでございます。

 一方で、対象業務の範囲や手続について活用しにくいという指摘もございますことから、労使の意見も十分伺いながら、労働政策審議会で見直しに向けた議論を進めていきたい、こういう趣旨でございます。

高橋(千)委員 資料の二枚目に、「労働時間制度の概況」というのをつけておきました。

 これは、変形労働時間制とかフレックスタイム制とか、要するに弾力的な労働時間制度がさまざまあるわけですけれども、通常の労働時間と比べると、五割強の労働者が実際に労働時間が弾力的な制度をもう既に使っているということであります。

 それで、確認をいたしますが、今回見直しをするというのは、一番下の企画業務型裁量労働制、今、〇・三%の労働者だと言われておりますけれども、これを広げるつもりであるのかというのが一つ。

 それから、二つ目に、「企画業務型裁量労働制の趣旨」ということで資料の三につけております、ちっちゃい字なので読みませんけれども。

 今おっしゃったような、どういうものが企画業務型裁量労働制に当たるのかということで、これは流れがあるんですね。流れの中に、労使委員会を設置するというのがあります。これは専門業務型にはないわけですね。今の一覧表でいうと、専門業務型は単なる届け出であります、労使協定で定めた時間を労働したものとみなすとなっていますが、企画業務型の場合は、労使委員会で決議をしなければならないということで、手続が違います。ですから、手続を見直すというのは、これをとっちゃうという意味なんでしょうか。

中野政府参考人 まず一点目でございますが、今回、この素案で念頭に置いておりますのは、企画業務型裁量制についてでございます。

 それから、対象範囲や手続が検討の対象になると先ほど御答弁申し上げましたが、手続につきましては全般が議論の対象になると考えておりますが、具体的な中身については、今後、労使の入った審議会で御議論いただくこととなろうかと思います。

高橋(千)委員 これから決めるということですが、対象範囲と手続ということなので、当然、ここが面倒だなということで狙われているのではないかと指摘をしなくちゃいけないと思うんですね。

 その上で、これもみなし労働時間ということになっていて、大臣が最近言うようになったいわゆる残業代込みになっているわけですけれども、これだってやはり医師の面接指導のスキームというのはあるわけですね。そうすると、どのような形で労働時間を把握して健康確保義務を果たしているのでしょうか。

中野政府参考人 裁量労働制で働く方につきましても、御指摘の趣旨は、安全衛生法に規定されている、長時間にわたる時間外労働を行った場合の医師による面接指導の件だと思いますが、この点につきましては、裁量労働制の対象者そのものについて、労働時間の状況に応じた健康・福祉確保措置を労使で定めて実施することが労基法上求められております。

 具体的には、例えばタイムカードやICカード、パソコンのログイン、ログアウト時間によりまして在社時間を把握する等、事業場の実態に応じて適切な方法により裁量労働制適用労働者の勤務状況の把握を行うこととされておりまして、それに基づきまして、安全衛生法上の医師の面接指導の場合や、あるいは労基法で求めております健康・福祉確保措置を講ずることが必要となるものでございます。

高橋(千)委員 今お答えにもあったように、みなし労働時間を初めから決めていて残業代込みなんだけれども、しかし、労働時間の状況ということで届け出もしなくちゃいけませんし、長時間働いているのではないか、あるいは健康確保措置がとられているかどうかということでは、労使委員会で絶えず見ていくわけですよね。私は、そういう意味で、大事な意味があると思うんです。結局、それをどう把握するのかというと、タイムカードであったりPCのログインであったりして、健康確保措置といったときに、時間というのがやはり大きな鍵なんですね。だから、時間制というのはやはりこだわらなければならないということがあったんだと思っております。

 そこで、経団連の榊原会長は、今回のいわゆる残業代ゼロ制度に対して、少なくとも一千万円以上という限定について、余り限定せず、対象職種を広げる形で制度化を期待したいともう既におっしゃっています。やる前からおっしゃっております。

 そういう中で、いわゆる残業代ゼロ制度というのは、今るる議論してきた裁量労働制とも違うと言っているわけですね。そうすると、今言った最低限の縛りさえもやはりとってしまう、そういうことなんでしょうか。

中野政府参考人 裁量労働制は、あくまで、業務遂行のための標準的な労働時間を労使でみなして協定した上で行われるものでございまして、時間で評価する働き方を弾力化した制度でございます。

 この素案に書かれております新たな労働時間制度は、時間ではなく成果で評価される働き方へのニーズに対応して、労働時間の長さと賃金のリンクを切り離した制度でございます。

 こういう意味で、制度はそれぞれ基本的考え方が違いますので、新たな労働時間制度については、今後、審議会においてその制度設計について議論がなされていきますので、そういう意味では、またそこにおいては新たな枠組みがつくられようかと思いますが、新たな労働時間制度におきましても、健康確保とワーク・ライフ・バランスに配慮しつつ検討するという趣旨が素案にも書かれておりますので、そのような観点も含めて御議論がなされていくものと考えております。

高橋(千)委員 今、要するに、標準的なみなし労働時間をあらかじめ決めない、時間に縛られないんだし、時間で評価ができない人を対象にするんだからとこれまでも言ってきた、そういう意味で裁量労働制とは違いますよという説明だったと思うんですね。

 でも、これは突き詰めれば、今までどんな変形的な労働時間制であったとしても、やはり時間にこだわって健康確保義務というのをやってきたわけですよね。そこを今回は取っ払うということですから、要するに時間を残業代ゼロという形で取っ払うわけですから、突き詰めれば、一定の、一千万もお金をもらっている人であれば残業代は払わなくたっていいだろう、そういう考え方であって、ニーズでも何でもないわけですね。

 成果が時間では評価できないと大臣は言いますけれども、もしも、そういうのを望む、働きたいという人がいるのであれば、むしろ、時間に縛られなくても短時間でも成果が出せる人だと思うんです。でも、それは裁量労働制の中で十分やっていけるわけなんですよ。それをあえて裁量労働制ではなくやるんだということは、はみ出す人を念頭に置いている。

 労働の量や期限などは、やはり個人で決められない場合が圧倒的に多いです。成果を出すために長時間労働にならざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか。大臣に伺います。

田村国務大臣 少なくとも一千万というような言い方をいたしておりますが、少なくとも一千万以上の方々が全部なるわけではないわけであります。(発言する者あり)いや、違います。そういう話じゃありません。話の質が違います。

 どういうことかというと、職務の範囲が明確で、職業能力の高い、そういう能力を持っている労働者ということでありますが、つまり、そういうような職種といいますか、逆に言うと、時間ではかれない。みなし労働時間というものは、業務量があって、それを時間ではかるわけですね。そういうような働き方じゃない、場合によってといいますか、極端な話、自分の一番構想力、発想力が湧くときに働く、そういうことによって成果が出る。つまり、長く働けば成果が出るというような、そんなものではないと……(発言する者あり)ちょっと黙っていてください。そういうものではないということで申し上げておるわけでありまして、そもそも比べる対象が違うというふうに御理解をいただければありがたいというふうに思います。

高橋(千)委員 時間なので一言で終わりますけれども、実は、大臣がそうやって説明している働き方は、今回見直しをする企画ではない、専門業務型に非常に似ているんですよ。縛られない、上からも指導されない、そういう形で今裁量労働制をやっている人たちは、現実に成果を出すために過労しているし、過労死の遺族も、そういう方たちが圧倒的に多いんです。私が先日会った電機関係の裁量労働制をとっている方は、実は月七十時間働いている、だけれども二十時間しか評価をされていないんです、最初からみなしなので。

 そういうことが現実に起こっている中で、幾ら交渉力があるからとか、そういう議論ではないのだということを重ねて指摘して、終わりたいと思います。

後藤委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、労働安全衛生法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 この際、本案に対し、とかしきなおみ君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党、結いの党及び日本共産党の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大西健介君。

大西(健)委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党、結いの党及び日本共産党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    労働安全衛生法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 リスクアセスメントの義務化については、化学物質のリスクに対する事業者の認識を高めるよう制度の周知を図るとともに、事業者の取組状況を把握し、適宜、化学物質管理対策に活かすこと。

 二 ストレスチェック制度は、精神疾患の発見でなく、メンタルヘルス不調の未然防止を主たる目的とする位置付けであることを明確にし、事業者及び労働者に誤解を招くことのないようにするとともに、ストレスチェック制度の実施に当たっては、労働者の意向が十分に尊重されるよう、事業者が行う検査を受けないことを選んだ労働者が、それを理由に不利益な取扱いを受けることのないようにすること。また、検査項目については、その信頼性・妥当性を十分に検討し、検査の実施が職場の混乱や労働者の不利益を招くことがないようにすること。

 三 ストレスチェック制度については、労働者個人が特定されずに職場ごとのストレスの状況を事業者が把握し、職場環境の改善を図る仕組みを検討すること。また、小規模事業場のメンタルヘルス対策について、産業保健活動総合支援事業による体制整備など必要な支援を行うこと。

 四 受動喫煙が健康に悪影響を及ぼすことが「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」に明示されていること及び受動喫煙のない職場を実現するとの政府の目標に鑑み、受動喫煙の防止のための設備の設置を促進するための援助に必要な予算措置を講じ、中小企業に対する支援に努めること。また、本法律の施行状況を見つつ、受動喫煙防止対策の在り方について検討すること。

 五 重大な労働災害を繰り返す企業への対応については、今回の改善計画制度を着実に実施する一方、当該企業の個別事業場の法令違反に対しては、引き続き、厳格に対応すること。

 六 外国に立地する検査・検定機関の登録制度については、国内の検査・検定機関と同等の機能性・安全性を担保するよう、厳格に運用すること。

 七 一定の規模以上の工場の新設等に係る事前届出規制の廃止については、廃止による影響を把握し、労働者の安全衛生を担保できないと判断できる場合には、廃止の見直しを含め、適切に対応すること。

 八 全ての労働者の口腔の健康を保持することの重要性に鑑み、歯科口腔保健の推進に関する法律の趣旨も踏まえ、業務と歯科疾患の関連についての知見の収集に努め、収集した知見をもとに、労使関係者の理解を得つつ、職域における歯科保健対策(歯科検診のあり方、産業歯科医の位置づけ等)について具体的に検討を行うこと。

 九 じん肺法施行後五十年以上を経過した今なお、多くの粉じん職場でじん肺が発生し続けていることを踏まえ、事業者への対策及び作業員への安全教育の徹底を図ること。また、東日本大震災によるがれき処理や復興に向けた作業現場における粉じんやアスベスト被害防止のため、作業員への防じんマスクの着用や安全教育などの対策を十分に行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

後藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、田村厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 ただいま決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。

    ―――――――――――――

後藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

後藤委員長 次に、本日付託になりました薗浦健太郎君外六名提出、社会保険労務士法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。薗浦健太郎君。

    ―――――――――――――

 社会保険労務士法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

薗浦議員 ただいま議題となりました社会保険労務士法の一部を改正する法律案について、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 近年、企業組織の再編や人事労務管理の個別化等に伴い、個別労働関係紛争が増加しており、以前にも増して紛争の迅速かつ的確な解決が求められております。

 現在、社会保険労務士のうち、紛争解決手続代理業務試験に合格した特定社会保険労務士が、個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続の代理等の業務を行っております。

 社会保険労務士は、これまで裁判外紛争解決手続の利用の促進にも大いに寄与してきたところであります。このような代理業務の範囲拡大は国民の利便性を高めるものと言えます。

 最近、社会保険労務士制度を取り巻く状況は大きく変化しており、労務管理などに関する訴訟審理において社会保険労務士がその専門知識を生かして見解を陳述できるようにすること等が要請されています。このため、社会保険労務士の活用を促進する観点から所要の措置を講じることとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、厚生労働大臣が指定する団体が行う個別労働関係紛争に関する民間紛争解決手続において、特定社会保険労務士が単独で紛争の当事者を代理することができる紛争の目的の価額の上限を百二十万円に引き上げることとしております。

 第二に、社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができることとするとともに、社会保険労務士法人が、当該事務の委託を受けることができることとしております。

 第三に、社員が一人の社会保険労務士法人の設立を可能としております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

後藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 薗浦健太郎君外六名提出、社会保険労務士法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

後藤委員長 次に、本日付託になりました金子恭之君外六名提出、財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。盛山正仁君。

    ―――――――――――――

 財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

盛山議員 ただいま議題となりました財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 九段会館及びその敷地は、遺族の福祉を目的とする事業に用いるため、一般財団法人日本遺族会に無償で貸し付けられています。しかしながら、建物の老朽化及び東日本大震災の影響により、会館事業は廃止され、現状では効率的な利用が困難となっております。

 本案は、このような現状に鑑み、政府が、民間事業者に対し当該土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とに資する建物の所有を目的として当該土地を貸し付けることができることとするとともに、その建物の一部を取得し、一般財団法人日本遺族会に無償で貸し付けることができることとする等の措置を講ずるものであります。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

後藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより質疑に入るのでありますが、本案につきましては、その申し出がありません。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律の一部を改正する法律案に対し、一言意見を申し述べます。

 戦争遺族の援護を行う遺族会の事務所を国の責任で存続させることは理解できるものです。

 しかし、遺族会事務所の存続のために国有財産である九段会館の土地を民間事業者に貸し付けることについてはさまざまな問題があります。

 法案は、貸し付けを受けた民間事業者が高層建物を建てることを前提にしていますが、高層建物の建設においては、日照被害、風害、景観への影響等が懸念され、住民合意のない高層化は問題があります。

 また、九段会館は千代田区景観まちづくり条例に基づく景観まちづくり重要物件の第一号指定物件であり、保存を求める意見もあります。九段会館の保存の余地についても慎重な検討が必要です。

 これは、国民の財産である国有地利用の問題であり、千代田区や地元住民も加え、徹底した情報公開のもと、住民合意で今後の九段会館のあり方を検討することが必要だと考えます。

 法案は会期末に提出され、拙速な採決に至ったことは極めて遺憾であり、賛成できません。十分な審議を行うべきであると意見を申し述べ、意見表明といたします。

後藤委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

後藤委員長 これより採決に入ります。

 金子恭之君外六名提出、財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

後藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤委員長 次回は、来る二十日金曜日午前九時理事会、午前九時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十七分散会


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