衆議院

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第6号 平成26年11月7日(金曜日)

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平成二十六年十一月七日(金曜日)

    午前九時三十三分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 赤枝 恒雄君 理事 高鳥 修一君

   理事 とかしきなおみ君 理事 松野 博一君

   理事 松本 文明君 理事 古屋 範子君

      秋葉 賢也君    安藤  裕君

      今枝宗一郎君    小倉 將信君

      大久保三代君    大串 正樹君

      金子 恵美君    小松  裕君

      古賀  篤君    今野 智博君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      中谷 真一君    永山 文雄君

      丹羽 雄哉君    橋本  岳君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      牧島かれん君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    宮崎 謙介君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      伊佐 進一君    輿水 恵一君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      山本 香苗君

   財務大臣政務官      大家 敏志君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   厚生労働大臣政務官    高階恵美子君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  坂口  卓君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     宮崎 謙介君

  豊田真由子君     安藤  裕君

  松本  純君     牧島かれん君

  村井 英樹君     今野 智博君

  山下 貴司君     中谷 真一君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     小倉 將信君

  今野 智博君     村井 英樹君

  中谷 真一君     山下 貴司君

  牧島かれん君     松本  純君

  宮崎 謙介君     大串 正樹君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     豊田真由子君

    ―――――――――――――

十一月七日

 社会保障拡充に関する請願(笠井亮君紹介)(第五号)

 同(笠井亮君紹介)(第八八号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(笠井亮君紹介)(第四〇号)

 肝硬変・肝がん患者の療養支援の推進に関する請願(新原秀人君紹介)(第四六号)

 同(上西小百合君紹介)(第八九号)

 一酸化炭素中毒患者に係る特別対策事業を委託する新病院に関する確認書早期履行を求めることに関する請願(辻元清美君紹介)(第六六号)

 同(藤丸敏君紹介)(第六七号)

 同(佐藤正夫君紹介)(第九〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第九一号)

 同(横路孝弘君紹介)(第一〇二号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一二一号)

 憲法を生かし将来に希望の持てる年金を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六八号)

 同(笠井亮君紹介)(第六九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第七一号)

 同(志位和夫君紹介)(第七二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第七五号)

 社会保障拡充を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第一〇一号)

 じん肺とアスベスト被害根絶を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一一〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一一四号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一二二号)

 新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求めることに関する請願(近藤昭一君紹介)(第一一七号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第一二三号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。塩崎厚生労働大臣。(発言する者あり)

 まず聞いてください。

塩崎国務大臣 十一月五日、大串議員及び高橋議員から、派遣可能期間の延長に係る意見聴取について御質問がございました。

 その際、意見聴取の際に過半数労働組合等が反対一色の場合の手続について、説明義務を果たさずにということを明確に言わないまま、全く無視して、きちっと説明をしないと、意見を聞かないような、全く意に介さないなど、いろいろな表現を用いました。わかりやすく説明するという意図での答弁でしたが、言葉足らずで誤解を招くおそれがあります。また、十分明確なお答えにならず、貴重な質疑時間をこのやりとりに費やすことになりました。

 おわび申し上げますとともに、改めてお答え申し上げます。

 過半数労働組合等の反対意見があった場合に対応方針を説明しなかったような場合には、労働者派遣法第四十八条の規定に基づき、適正な実施に関し労働局が指導助言を行ってまいります。

 以上です。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長坂口卓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中英之君。

田中(英)委員 おはようございます。自由民主党の田中英之でございます。

 本日は、労働者派遣法の改正案の質疑の二日目ということであります。そういった機会をお与えいただきまして、本当にありがとうございます。

 雇用、労働というのは、大きく分けると、正規、正社員の労働と非正規の労働、これは大きく二つに分かれるわけであります。労働者派遣法の話に入る前に、この労働者の派遣というのも非正規の中に入るわけでありますので、少しその点に触れてから質疑に入らせていただきたいというふうに思います。

 さて、非正規の部分でありますが、従来より、非正規の雇用がこの近年増加傾向にあるなということは指摘をされてきたところであります。そんな中で、非正規という働き方が、正規雇用に比べまして、雇用の安定性が乏しいということ、賃金の水準を初め処遇が少し低いということ、また能力開発機会といったものが乏しくてキャリアアップというものが難しい、こんな課題が指摘をされてきたところであります。

 しかしながら、非正規という働き方が全て問題があるというわけではないというふうに思っております。多様な就業ニーズを有する女性や高齢の方々、こういった人たちにとっては、働く時間、また場所が選べる、柔軟な働き方を選べるということは重要なところであろうかと思います。

 また、大学進学率がこのように向上してきている中、中には卒業後にすぐ正社員になることが困難な学生さん、卒業生もふえてきているということも事実であります。こういった若い人たちにとっては、キャリアアップを図るために非正規のところからスタートするなんということも、ある意味ではその方の選択としてはあり得るのではないかと思います。例えば、学校の先生、これは資格を持ってでありますけれども、免許の更新の際に、自分が適性があるかどうか、実はこんなことはもう既にやっている部分でありますので、一般の仕事に関してもこういったことがあってもいいのかなと私は思っています。

 重要なことは、正規雇用を希望する人たちには正規雇用に向けた支援を強力にどのように推し進めていくかということ、また、柔軟な働き方として非正規の雇用を希望される方たちも中にはおられるわけでありますので、そういった方々の処遇の改善をどのように後押ししていくか。それぞれの希望に応じた働き方で、安心して働き続けることができるようにすることが大切であろうかと思います。

 そこで、まず、最近の正規の雇用や非正規の雇用の動向、そして、そういった動向についての評価をどのように捉えておられるか、お伺いしたいと思います。

坂口政府参考人 お答えいたします。

 最近の正規、非正規の雇用の動向等についてのお尋ねでございます。

 まず、非正規から正規に移行された雇用者数の動向でございますが、前年比で見ますと、ここのところ五四半期連続で増加をしておりまして、これは最近の非常に重要な傾向であるということで認識しております。

 直近の本年四月―六月期を見ますと、正規への移行という方が九十九万人ということで、二〇〇九年の七―九月期以来の高い水準ということとなっております。

 また、非正規雇用者数につきましては、増加基調にあるということは事実でございますけれども、これは、五十五歳以上の高齢層の方の雇用延長の影響ということもございまして、非正規化する方々が増加しているということで考えてございます。

 また、働き盛りの五十四歳以下の方につきましては、二〇一三年以降、正規に移行された雇用者数が非正規への移行を上回っているというような動向かということで承知しております。

田中(英)委員 今御答弁いただきましたとおり、実は、非正規がふえているという指摘がある中で、直近のところになりますと正規の労働もふえてきているということでありますし、逆に非正規がふえている理由なんというのは、高齢の方々が退職をされた後に、新たな雇用という形の契約や、そういった形で使われているからふえている、そういった現状であるのかなというふうに思っています。

 そこで、ある意味では、景気の動向というものも、恐らく正規がふえてきているのは当然ながらあるというふうに思っております。政府・与党を挙げてアベノミクスの取り組みを進めている最中でございますし、景気は、緩やかにではありますけれども回復基調にあって、雇用の情勢もやはりいい影響を与えているものと思っております。

 雇用情勢が改善している今こそ、やはり正規の雇用、ここで働くことを希望する人たちの正規化、そして処遇の改善というものを、これは今絶好の機会なのではないかというふうに捉えております。働く人たちの雇用の安定、また収入の改善は消費需要の喚起にも通じますし、経済の好循環を生み出す基礎ともなるものであろうかと思います。そのことが企業の収益の改善にもつながっていくでしょうし、新たな求人需要というものもつくっていくことにつながっていくというふうに考えております。

 そういった意味では、これまで、間違いなくさまざまな非正規の雇用の方々の就職の支援というものも取り組んでこられたというふうに思っております。どのような取り組みをされてきて、そしてどういった成果が今日まで上がってきているか、御答弁願いたいと思います。

坂口政府参考人 お答えいたします。

 今、委員御指摘のように、非正規労働者の正規雇用化ということが非常に重要な課題ということで認識しておりまして、私ども政府といたしましても、これまで非正規雇用労働者の就職支援としまして、フリーターなどの方々に対しましては、わかものハローワークというところなどで、担当者制によるきめ細かな職業相談でありますとか職業紹介といったものを実施しております。

 また、常用雇用への移行目的で試行雇用されるというような事業主の方への助成、これはトライアル雇用奨励金と申しますけれども、そういった奨励金でありますとか、あるいは、有期契約あるいは短時間あるいは派遣労働者といった非正規労働者の方が正規雇用への転換をされるというようなことを事業主が取り組まれるという場合に、キャリアアップ助成金といった助成金を支給するというようなことによって、正規雇用化ということを支援しております。

 これらの取り組みによりまして、平成二十五年度におきましては、三十万人以上のフリーターなどの正規雇用化を実現するなど、一定の成果を上げられているのではないかということで考えております。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 さまざま、非正規から正規雇用に転換できるためのプログラムを組んでやっていっていただいている成果も出ているということであります。とりわけ若い方々、そのハローワークを使ったり、トライアル雇用、これは、いろいろと経験を積んでいただいて、企業にとってもそうでありますし、就業される方にとっても、これは自分にマッチしているんじゃないかということも確認しながらできる制度でもありますし、そういった意味では、さまざま制度を活用して正規化が進んでいるということは、これからも増して大きな期待があるところであろうかと思います。

 そこで、今回は労働者派遣法であります。

 派遣労働者も非正規の中に含まれてくるわけでありますけれども、この間、約三十年間、この派遣労働というものがある一定の就業スタイルになってきたというふうに私自身は思っております。

 一方で、やはり正規化に向けての取り組みというものは、極端に強力なものではないにしても、道をつくっていくということはしっかりと今日までやってきていただいたというふうに思っております。

 一方で、正規化については取り組んでいる。労働問題、雇用問題で一つの画用紙に捉えて、こちら側では正規のことをやりながら、今回は、三十年間である意味では労働スタイルとなってきたこの派遣というものに対してどのように捉えるかということであろうかというふうに思っております。

 派遣労働、中には、やはり正社員として働きたいんだと不本意な方もおられれば、自分の生活スタイルを重視するということを考えたときに派遣労働というものを選択する方、これはどちらもおられると思います。そういった意味では、正規化を図る、こういった動きと、また、今回の派遣労働法の中では、派遣で頑張ってやっていこうという人、この方々の処遇の安定であったり処遇の改善を図るための行動と、そして、その方の中にも正規になって頑張ってやっていきたいとおっしゃる方を支援する、実は、労働問題の一つのパッケージとしては、本当にいろいろな、多様な仕事のあり方に対して対処できる、そんなことが一定の枠組みとしてできているものと思っております。

 そこで、今、私申し上げましたが、この労働パッケージの中で、今回のこの労働者派遣法の位置づけなんですが、どのような位置づけで捉えておられるかをお伺いしたいと思います。

山本副大臣 御質問ありがとうございます。

 雇用政策全体の中で、この労働者派遣法というものがどういう位置づけになっているかということでございますけれども、労働者派遣制度というのは、御承知のとおり、自分が希望する日時に、また場所で、みずからの専門的知識等を生かして就業することを希望する、そういった労働者側のニーズと、また、企業内におけます専門的な知識、技術、経験を必要とする業務等に対応できる人材を迅速かつ的確に供給するといった企業側のニーズ、この労働力の需要及び供給の両面におけます労使双方のニーズといったものに対応して、労働力需給調整システムの一つとして今までも役割をしっかりと果たしてきたところでございます。

 そして、この労働力の迅速的確な需給調整という機能は、我が国の雇用政策を推進する上で引き続き重要な役割を果たすことが期待されておりますし、また、今現在、我々安倍内閣の目指す、柔軟で多様的な働き方を実現するものの一つとしても位置づけられているところでございます。

 今回の改正によりまして、派遣労働者のより一層の雇用の安定と保護を図りながら、しっかりとこの制度が適切に運用できるように図ってまいりたいと考えております。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただきますと、ある意味では、今の労働のパッケージの中なんかでいうと、この派遣労働というものは、恐らく、三十年たった今としては確実に欠かせないものになった。需要供給の部分がありますけれども、それを上手に活用していくことによって国の労働力をすっと底上げするような、そういったところの位置づけとして、これからもこの制度が、働く方に安定した雇用があるということは当然、それから、やはり処遇の改善というものを目指して、この派遣労働のありようをこれからもう一度検証しながら築いていくというのが今回の法改正であろうかというふうに私自身は認識をさせていただいておりますので、引き続き、この派遣労働のあり方なんというものは、今法案を審議させていただく過程も含めて見ていきたいなというふうに思っております。

 そこで、今回、この労働者派遣法でいろいろと議題に上がるテーマというのが数点あるわけであります。その一つは、正社員の方々と非正規の方や派遣労働者の方、こういった方の処遇はどのように同等レベルにしていこうかということであります。

 私自身は、日本の雇用文化といいますか、そういったことを考えたときに、まだ頭の中に終身雇用というのが残っている一人でもございます。ですから、終身雇用となってくると、会社や職場に勤めた際に、仕事の部分だけじゃなくて、例えば転勤があったり残業があったり、また役職なんかがついてくるとそれに伴っていろいろとその会社の中での役割、こんなことも含めたものが日本の雇用文化というものなのではないかというふうに思っております。

 そういった意味では、今回、均衡の処遇という形で、賃金でありましたり教育、福利厚生、こういったところも処遇の向上というものを図っていくことを義務づけられるということになっています。

 ただ、一方で議論であったのは、均等処遇というところであります。確かに、賃金なんかだけで見ますと、正社員の方と派遣労働の方、自分が一緒のレベルなんだと思うと仕事に張りが出たり、また前向きになっていくということがわかりやすい部分であろうかと思います。

 ですから、ヨーロッパのように、この職種にはこの賃金でやるという一つの数字、ルールというものが確立できているのであれば、そういった選択もできるのかなと思いますが、残念ながら、今の日本ではそういったものがない中でありますので、今回は、均衡という、バランスをとるという選択をされたわけであります。

 ただ、多くの方がこの均等というところに関して、なぜ均等じゃないんだという声があるというふうに思っております。派遣労働者の均等の待遇、こんな声があるんですけれども、選択肢とならなかったのは、実はどんな課題があると御認識をされているか。今私が一つは述べましたが、他にあれば御答弁願いたいと思います。

    〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕

坂口政府参考人 お答えさせていただきます。

 今の点でございますけれども、今委員御指摘のように、まずもって、我が国の賃金の制度というものが、ヨーロッパ諸国とは違いまして職務に対応した賃金体系ではないということで、まさに委員がおっしゃいましたように、能力でありますとか責任であるとか、あるいは配転、転勤といったようなものなど、もろもろの要素で賃金が決定されている職能給が一般的であるというようなことが、まず一つ難しい点だということで考えております。

 また、それに加えまして、特に派遣労働という分野におきますと、御承知のとおり、この派遣という制度は雇用者と使用者が異なるということでございますので、派遣労働者の賃金を決定するというのは派遣会社の方で行われるわけでございますけれども、派遣先との関係ということになると、雇用者と使用者が異なるという状況の中で、比較対象となる労働者の賃金情報の入手ということをしなければいけないわけでございますけれども、それがなかなか、非常に困難だということもございます。

 それから、まずもって、派遣先の比較対象となる労働者の方、では、どういった方と比較するのかという特定も難しいということもございます。

 また、派遣会社の中でも、派遣労働者間で、同じような仕事をしていても、派遣先が違えばいろいろ処遇の面も違ってくるというような状況もある中で、そういった派遣労働者間の待遇のバランスというようなものもどう考えるかということで、問題点と申しますか、いろいろな課題が多いのかなということで承知しております。

田中(英)委員 今、均等のハードルの高い部分ということも述べていただきましたけれども、間違いなく、そういったことを導入していこうと思えば、雇用に対する感覚というものが我々自身が少し変わらないことには、どうにもちょっと難しい部分があるというふうに私自身は思っております。

 それは、先ほど申し上げましたとおり、終身雇用というのがどうしても頭の中にあって、そこでその形で勤めるのであれば、そこにある意味では骨を埋めるという感覚になってきますし、その中で、与えられたさまざまな職責も全て担っていくということがついてくると思うんですね。

 そういったことを含めての今の日本の雇用文化であろうかと思いますので、その点の感覚をどのように変えていくことができるか、こういったところも、均衡から均等へ、仮にそういったことを考える際には我々自身が考えておかなければ、恐らくそちらの方向にはそう簡単に向いていけるということでもないのかなということが、私自身が実感しているところであります。

 次でありますけれども、今、均等、均衡も話題になったことであります。今度は、派遣労働で勤められる方々のキャリアアップの問題であります。

 いろいろと考えている中で素朴に実感したことは、今回は、派遣元と言われるところ、派遣事業者が派遣労働者の方々に教育訓練をすることによってキャリアアップを図っていくということが義務づけられたわけであります。

 実は、今日まで派遣元ではそういったことをやってきていない、やってきていないというよりもその義務がなかったということでありますので、やってきていないということを仮定したときに、新たな業務というのが派遣元には発生するわけであります。

 新たな業務が発生するということは、当然ながら手間もかかるということになりますので、手間がかかれば、これはそこに対する費用、予算というものが当然ながらかかってくると思うんです。このお金というのはどこから取るのかというところであります。

 例えば、派遣先の会社からそれも含めてもらうこともできるでしょうし、また、当然ながら派遣元が自分のところ独自でやることもできれば、もしくは、さまざまな制度を使うということによっても捻出ができるのかもわかりません。実は私自身が懸念しているのは、労働者の給料、賃金に影響した場合、それが処遇改善というところに、果たしてその労働者の方が思ってくれることができるのかというと、いささか疑問を感じるところであります。

 そこで、派遣労働者の方に、キャリアアップを図る際に派遣労働者の方の賃金が例えば著しく低下したり、そんなことがあるようなことがあっては、これはやはり処遇の改善の方向に相反することになろうかというふうに私自身は思っておりますので、この点についてどのようなお考えがあるのか、お伺いしたいと思います。

坂口政府参考人 お答えします。

 今委員お尋ねの点でございますけれども、まさに今回、新たにキャリアアップの促進ということで、派遣会社の方に計画的な教育訓練等のキャリアアップ措置というものを法的に義務づけるということにしたわけでございますけれども、やはりこれは派遣会社さんの方にしっかりその義務を果たしていただくという趣旨から申しましても、その費用につきましては、基本的に派遣会社の方で負担をいただくというものであると考えております。

 そういった点からいきますと、今まさに委員が御指摘されたような、こういったキャリアアップ措置を講ずることを理由にしまして派遣労働者の方の賃金を低下させるということになりますと、実質的にはそういった費用を派遣労働者の方に転嫁しているというような形になりますので、先ほど申し上げましたような、今回法律で義務づけをしたという改正案の趣旨からいくと、派遣労働者の処遇の改善にもつながっていかないということで、やはりそういった趣旨にも反するものではないかということで考えております。

 私どもとしましては、こういった事態というものが生じないように、しっかりこの制度の趣旨も含めまして周知を図ってまいりたいと思っております。

田中(英)委員 派遣元が責任を持って行っていく、法律の趣旨にのっとってということであります。

 法律の趣旨にのっとってということでありますので、ともすれば、やはり賃金というところに大きな影響が出てしまう可能性があるということも考えられますので、本来であれば、何かそういった制限ができればいいのになというふうには思っております。

 ただ、企業もそれなりの良識を持って、派遣労働というものを取り扱う際には、その点についてはこの法律にのっとってやっていただけるという大きな期待の部分を含めて、制限をかけるとかそういったことを含めない中で今回は見守っていくことが妥当なのかなというふうに思います。ただ、そういったことが起こった際には即座に何か制限をかけられるような、そんなことができればなというふうにも思うのも私自身の一つの思いでありますので、その点、申し添えさせていただきたいと思います。

 次になりますが、非正規の正規化の話も冒頭触れましたけれども、派遣労働者の正規化についてであります。

 派遣労働者を対象に希望する働き方を聞きますと、やはり派遣労働者として働きたいという方が大体約四割、それから派遣社員ではなくして正社員として働きたいなと思っておられる方、これも実は四〇%、ほぼ同等の数字が出ているということが厚生労働省の平成二十四年派遣労働者実態調査からうかがえるわけであります。

 働く人たちの意向も景気の動向等に左右されるとも考えられるんですけれども、いずれにいたしましても、少なからぬ人たちがやはり正社員になりたい、四〇%の方がなりたいと希望を持っておられるということは事実であります。こうした人たちの希望に応えていくことも必要であろうかと思います。

 正社員になるためには、みずからの能力をも高めるための本人の意欲や努力も重要な要素であります。

 特に、派遣労働という働き方にあっては、派遣先の企業にとって、一般に、みずからが雇用しているわけではない派遣労働者の育成に取り組む意欲というものが乏しいというふうに考えられております。また、派遣元にしても、複数の派遣会社に登録している方もおられるというふうに考えると、必ずしも、人材の育成に熱心なところがどれぐらいあるかというと、やはりそうでない場合もあるんじゃないかということが考えられるわけであります。

 派遣労働者を雇っておられる派遣会社が責任を持って派遣労働者の教育訓練に取り組まなければ、やはり正社員を希望する派遣労働者の能力は高まってこないというふうにも思いますし、今度はなかなか派遣労働から抜け出していくことができないという連鎖が起こるわけであります。

 そこで、今回の改正案、正社員を希望する派遣労働者のニーズにきちんと対応したものになっているのか。また、政府としても、正社員化に向けた取り組みをどのような形で後押しすることが考えられるのか。そのことについてお伺いしたいと思います。

坂口政府参考人 お答えいたします。

 今、委員御指摘の点につきましてでございますけれども、今ありましたように、やはり、派遣労働者の方について、その希望に応じて正社員化を含むキャリアアップをしっかり図っていくということが重要であると認識しております。

 そういった観点で、先ほども御質問の中でもございましたけれども、今回の法律案の中では、派遣会社の方に対して、キャリアアップ措置という形で、計画的な教育訓練でありますとかキャリアコンサルティングといったものを新たに法的に義務づけるということを行うこととしております。

 また、派遣期間制限が満了した場合にも、正社員になったり、別の会社での派遣ということも含めてでございますけれども、派遣会社の方に雇用安定化という形での措置を義務づけるということも盛り込んでおります。

 また、今お話にありましたような正社員化を希望する派遣労働者の方に対しましては、派遣先の方で正社員ポストへの応募機会というようなものも付与していただくというようなことも新たに法的に規定をするということにしておりまして、冒頭の中でも御答弁させていただきましたが、キャリアアップ助成金の活用というようなものも含めまして、正社員化ということをしっかりサポートしてまいりたいと思っております。

田中(英)委員 さまざまな制度を使っていく中で、キャリアアップを図っていただいて正社員化に進めていく。先ほどの非正規のところのパッケージもあれば、今回の労働者派遣法の改正には、派遣労働の方にとって、ある意味で特別に、例えば派遣先に対して、一年以上勤めたというような状況のときには、新たな採用があるときは情報提供をしてくださいねといったことであったり、また、今おっしゃっていただいたキャリアアップ、こういったものに取り組んでいくことがありますので、ある意味、今までよりも充実した正社員化に向けての取り組みが新たに組み込まれるというふうに思っております。

 確かに、これで十分かどうかということはいろいろと議論があるところであろうかと思いますけれども、先ほど申し上げました労働パッケージの中では、しっかりと、正社員化に向けた取り組みも必死になってこつこつやっていっていることによって、ここ最近は正社員化も伸びてきているということでありますので、派遣労働をされる方の中でやはり正社員になりたいなと思う人に安心してもらえるように、実は派遣労働というところはそんな道もつくってもらえるんだ、こういった思いに少しでもなっていただけるような形になっているのではないかというふうに思っております。

 そういった意味では、今回の法改正のこの部分については、私自身は一定の理解をさせていただいているところでもあります。

 そこで、今回、この委員会のみならずいろいろなところで、派遣労働がふえるのか減るのかという議論がよくありました。予算委員会なんかも私も見させていただいたら、そこに特化した話が多かったというふうに思っております。大臣も答弁の中で、ふえる、ふえないというのは経済社会情勢のこともあるという御答弁もありましたし、これは総理も同じようにおっしゃっていただいたと思います。

 私も、実はそのとおりであろうかというふうに思っております。

 先ほど申し上げましたとおり、三十年間、この派遣労働というものが一つの労働のスタイルになったという意味では、生活を優先するような方々からすると、自分にとってどの形で仕事をするのがいいのかということを選択するようになったというふうに思うんですね。

 そういう意味では、選択をされる方がふえていくというのは、ある意味、自分自身がそういったことを決定して、自分で選んでいく意思を持ってきた。私自身は、大学を卒業して終身雇用という中にあったので、大学を出たら必然的に働かなだめなんやなというような、そんな感覚でいたのだけではなくして、自分からこういう形で仕事をしたいということを考えるようになったという意味では、雇用に対しては、我々がいろいろと進歩した部分であるという捉え方もいたしております。

 そういったことから考えますと、ふえるのか減るのかというこの議論は、ある意味、極度にふえてしまうと確かに問題はあるのかもわかりません。でも、一つ例を挙げるなれば、若い人でなかなか就労の機会がない、実は表に出るのもなかなか出られない、だからサポートステーションなんかを活用しながら就職の機会をつくる前の段階。そういった行動をとっている方々もおられるわけで、そういった方々が、逆に、非正規の中の、社会に出るのにちょっとアルバイトしてみようかとか、また、もしかしたら、このステップアップの中で、派遣労働として自分は登録してみて働いてみようか、このようなことを思われた方が実際に派遣労働者として仕事をされて、その人数がふえるというのは、確かに絶対数の中では少ないかもわかりませんけれども、決して悪いことではないと思うんですね。逆に労働力というものがアップするということになりますから、そういう意味では、私自身は、決して悪いというふうにはその部分は思いません。

 ですから、そういった意味で、ライフスタイルに応じた働き方とか、自分の日常のあり方から抜け出して、仕事をしてみよう、そういったふうに思われた方が増加するということを、余りよくないというふうな評価は妥当じゃないと考えております。その辺の認識について御答弁願えればと思います。

山本副大臣 おっしゃるとおり、派遣労働という働き方というのは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、労働者自身が、ライフスタイルに応じて時間だとか場所だとかいったものを希望したところで、みずからの専門的知識を生かして就業しやすいということが挙げられているわけであります。

 先ほど例を挙げていただきましたように、毎日出てこられない、ただ、限られたところだけやりたいとか、あと、子育て中の方が、限られた時間の中で、自分のライフスタイルに合った形で短時間派遣労働で働くということも考えられると思います。

 そういったこともあるわけですが、他方で、雇用の不安定さだとか、またキャリア形成が図られにくいといったことも指摘されております。

 どちらにしても、一番重要なことは、多様な選択肢の中で、御自身が望むような働き方が実現できるということを図ることが一番大事でございまして、その点で、我々として、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 そうなんですよね。本当に望む仕事につけるということが、ある意味では、本当は一番幸せなのかもわからないですね。

 就職を自分がしようとしたときに、なかなか自分の望む仕事に実は最後は行けていないということを、私は実は大学の職員でありましたので学生からよく聞いたことがありますけれども、そういう選択ができるように我々がなってきたということも一理あるというふうに思っています。

 そういったためのこの制度、労働者派遣法というのも、ある意味、人間の成長と、この制度も成長してきているんだなということを実感させていただくことができておりますし、そして、ふえるのか減るのかであおっているようなところがありますけれども、やはり派遣労働をされる方々が我々の審議や報道によって不安に感じられるということがあってはならないことであろうと思いますので、決して、ふえるからどうだ、減るからどうだということだけでこの法律の議論をするべきじゃないということを、私自身は申し添えさせていただきたいというふうに思っております。

 それでは、次に移ります。

 また、この議論をする中でいろいろと話題になったのは、常用代替の問題、一時的なのか臨時的なのかということであろうかと思います。

 派遣労働という働き方が非正規雇用全体に占める割合は、必ずしも多いものではありません。しかし、三十年間近く経過して、先ほどから申し上げますとおり、私たちのこの国の雇用形態の一つとして、ある意味定着してきたというふうにも思っております。

 制度発足以来、派遣労働というこの働き方については、派遣先と派遣労働者の間に雇用の関係がなく、また、正社員から派遣労働者への置きかえを防ぐことが課題となることから、臨時的、一時的なものに限るという基本的な考え方が維持されてきたと理解をいたしております。

 今回の改正案では、派遣先の事業所全体で派遣労働者の受け入れは三年までという期間制限が設けられているんですけれども、過半数組合等からの意見の聴取の実施によって受け入れ期間を延長することも可能である、このように言われております。

 実はこの部分が、常用代替、どうなんだということであろうかというふうに思いますけれども、正社員ゼロ法案、こういった言われ方もしておりますが、派遣労働を臨時的、一時的なものに限るというこの原則は、今回の改正案でもやはり維持されているというふうに私は伺っておりますが、また、それが維持されているのであれば、どのような考え方で担保されているのか、お伺いしたいと思います。

坂口政府参考人 お答えいたします。

 今の委員の御指摘の点でございますけれども、今回の改正法案でございますが、派遣労働につきまして、働き方と利用という二つの面で、これは臨時的、一時的なものと位置づけるということで考え方を整理して設計をしております。

 そういった形で、派遣は臨時的、一時的という考え方につきましては、基本的に維持をされているということで考えております。

 この点につきましては、今まさに委員の御指摘にありましたように、今回はそういったものをしっかり担保するために、人に着目した形と、派遣先という事業所に着目した期間制限を二つの形で設けるということをしております。

 また、特に常用代替防止の観点では、三年の期間制限を超えて派遣労働者を受け入れようとする場合には、過半数労働組合からの意見聴取の義務づけでありましたり、その際の手続の適正さ、透明性の確保といったものをしっかり講じる中で、この考え方を担保しているというところでございます。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、労働組合等々に説明をするということ、ここは一定の歯どめであろうということを今おっしゃっていただきました。

 一つ、それにつながるものなのかわかりませんけれども、ちょっと例を挙げて質疑をさせていただきたいと思います。

 お手元に配付をさせていただいています資料でありますけれども、ちょっと見ていただきながらになります。

 現在の派遣制度では、これは業務の区分に基づいて期間の制限が設定されております。いわゆる二十六業務については期間制限の対象外となっておりまして、それ以外の業務については最長三年という期間の制限が設けられています。

 そこで、派遣労働者の現状を見ると、いわゆる二十六業務で働く派遣労働者の割合というのは、この表のとおり、約四二%であるという数値が出ております。四割を超える方が期間制限の対象外に今の時点でなっているということであります。

 他方、今回の改正案では、全ての業務を期間制限の対象とした上で、無期雇用の派遣労働者について、比較的雇用が安定しているということになりますので、期間制限の対象外にするということになっているわけであります。

 そこで、派遣労働者の労働契約の状況を見ますと、無期雇用で働く派遣労働者の割合は、この表を見ますと、約一七%ということになっておりますので、全体の約二割程度ということになるわけであります。

 現状では四割を超える派遣労働者が期間制限の対象外とされているところ、今回の改正案では、対象外になるのは二割程度に絞られて、八割を超える方が期間制限の対象になることになります。

 実態としてこれを考えたときに、規制を緩和という言葉が一昨日の質疑でもあったわけでありますけれども、この部分に対しては、ある意味では強化を図っているものではないかというふうに私自身は思いますけれども、いかがでしょうか。

    〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎国務大臣 田中委員にお答え申し上げたいと思います。

 今お配りをいただきましたこのグラフで拝見をいたしますと、頭の整理が大変よくできる資料をお配りいただいたわけでございます。

 まず、真ん中に全体百二十七万人と書いてあります。これが今派遣で働いていらっしゃる大体の人数ということで、雇用者全体で見ますと、この百二十七万人というのは約二%強ぐらいであります。いわゆる最近増加傾向にあると言われている非正規雇用、この中に派遣が占める割合というのは六%ちょっと、六・一%、統計のとり方にもよりますけれども。

 ですから、今我々が議論している全体の大きさというのはこういうものだということ、そしてまた、全雇用者の中でどのくらいの割合かというと二・二%、そして非正規と言われている中で派遣が占めるのは六・一%、こういうところの制度について我々は改善を図ろうということをやっているということだというふうにまず押さえなければいけないのかなと思います。

 現行制度では、いわゆる専門の二十六業務と呼ばれている業務について期間制限の対象外とされてきましたが、この業務に従事する派遣労働者は全体の四二%ということで、今御指摘のとおりであります。

 今回の改正案では、業務の区分による期間制限はわかりにくいという指摘がございましたので、これを廃止いたしまして、全ての業務を対象にする新たな期間制限を設けるということにしたわけでございます。

 この中で、期間の定めのない派遣労働者は比較的雇用が安定しているということなので、期間制限の対象外ということにいたしまして、これは現在、今お話あったように、派遣労働者全体の一七%、二割弱ということでございます。

 また、今回の改正案では、派遣先に対して、これらの方々も含めて、雇用安定措置あるいはキャリアアップ措置、先ほど来お話しいただいておりますが、これを義務づけるということにしているわけでございます。

 以上のように、今回の改正案は、期間制限の対象外となる派遣労働者を全体の四二%から約一七%に減少させて、さらに派遣元の義務も強化されることから、全体としては規制の強化が図られているというふうに考えられるのではないかと思います。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 全く同じ認識をさせていただけているというふうに思っておりますので、規制が緩んだということばかりじゃなくして、逆にこういったところではきっちりと一般の労働というものを守れるように強化をしているということでありますので、その点は強くメッセージとしてやはり出していただきたいなというふうに思っております。

 では、最後になります。

 これまで常用雇用のみで活動していた派遣会社、これは届け出でよかったわけであります。今回の改正案では、全てが許可が必要になってくるということになります。許可にすることによっていろいろと弊害というのも出てくるかに思います。

 今回、変更されるに当たって、どのような趣旨でこの規制の強化を行うのか。また、一律の許可制にする結果、今申し上げましたとおり、派遣労働者の雇用に余りよくない影響、そこがなくなってしまうとか潰れてしまう、こんなことが出ないようにするための配慮が必要と思いますけれども、その点についてお伺いして、質問を終わりたいと思います。

山本副大臣 御指摘のとおり、現行制度においては、特定労働者派遣事業者というのは許可制じゃなくて届け出制になっているわけですけれども、この特定労働者派遣事業者については、常時雇用する労働者のみを派遣する事業であるはずなんですが、実際は有期雇用の方が多く含まれている、また、一般労働者派遣事業と比較して処分件数が多い、また、許可要件を満たせないために特定の方に流れているというようなことがございまして、今回の改正案では、派遣事業の質の向上と健全な育成を図る観点から、一律の許可制とさせていただいております。

 しかし、おっしゃるとおり、一律の許可制とすることによって生じる激変を緩和して、派遣労働者の雇用の安定を図ることも重要です。そのために、小規模派遣元事業主に対する暫定的な配慮措置や、また許可制への移行に際しての経過措置といったことも今後設けることとさせていただいております。

田中(英)委員 今回の法整備によって、今最後に申し上げていただいたとおり、わかりやすくなるということと、やはり最終的には、派遣労働で仕事をされる方々が安定して仕事ができる、安心をするということ、そして何よりも処遇の改善ということが望まれておりますので、今後、法案を通じて、そういったことがしっかりとできるように取り組んでいただきたいと思いますし、我々も応援していきたいというふうに思っております。

 以上で終わります。ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、田畑裕明君。

田畑(裕)委員 自民党の田畑裕明でございます。

 質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 これまでも、自民党で私は四番目ということになりますし、与党の公明党さんを含めて、大臣、副大臣初め、大変丁寧な御答弁もいただいております。大変、この法案、いろいろ世論も、いろいろな御関心のあるお声も私ももちろん聞いているわけでありますので、これまでの答弁も含めて、確認も込めて質問をさせていただきたいと思います。

 今回、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案ということでありますが、特に平成二十四年改正において、この法案の名前の中にも「派遣労働者の保護等」ということが明確に明記をされた、記載をされたわけであります。

 労使、どうしてもやはり被用者であります労働者というのは弱い部分もあり、虐げられることもあるのではなかろうかと思います。一義的には、政府がいろいろ介入をするということよりも、労使の協議のもとで、それぞれまた業態、業種、時々の経済情勢、そんなことも加味をしながら、均衡的な体制をしっかりとっていくということ、これからもますます大事でなかろうかなと思っています。

 なおさら、特に安倍内閣は、経済の成長といいますか、日本全国をしっかり活力あるものにしていこうということであります。長引くデフレからしっかり脱却をして、経済を持続可能な成長軌道に乗せていくこと、これはもう何よりももちろん喫緊の課題であります。そのために、アベノミクス、三本の矢をしっかり打ち込んでいるということであります。

 雇用政策も、まさにその成長を支えるものということが求められるのではなかろうかと思います。これからの雇用政策、全員参加の社会の実現により、成長を支え、かつ人材力強化の観点から、いわゆる多様な働き方を具現化できる社会づくりということも大切な観点であろうかなと思っております。そうしたことを踏まえた今回の派遣法の改正であるというふうに認識をしているところでございます。

 これまでの御答弁でも、予算委員会、そしてまたこれまでの委員会、大臣や、もちろん安倍総理においても、この改正案というのは、派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップをしっかり支援するものだということをしっかり御答弁いただいておるわけでありまして、まさにそのとおりでありますし、正社員化をまず第一前提というか一義的に考えて、そのほかにも、それぞれの個人の選択の幅をしっかり広げていく、その中に、派遣労働者、派遣労働ということも位置づけていくということは当然だろうと思います。

 今ほどの田中委員の質問の中でも、派遣労働者は全雇用者の二・二%だという大臣の御答弁もあったわけでありますが、その二・二%を少ないと見るのか多いと見るのかはまた別の議論としても、そうした方々が存在をされ、その二・二%の方々の明るいライフサイクル、また人生設計にしっかり寄与できるための改正でもなければいけないのではなかろうかと思います。

 ちょっと話はかわりますが、今、この時期、来春の高卒ですとか大学、専門学校卒業者のいわゆる就職内定状況等も、いよいよこの秋口からいろいろ速報や数値も出てきているところであります。

 私は、地元は富山になりますが、富山の新規高校卒業予定者並びに大学卒業予定者の求職、求人情報のデータをちょっと見ていたわけであります。アベノミクスの評価、まだまだいろいろ評価が分かれ、なおかつ、今、消費税の引き上げをめぐる議論の中でも、経済情勢の見定めというのは非常に困難を生ずることでなかろうかなと思っていますが、就労、就職状況に関して足元の話を言いますと、求人数や就職の内定者数、求人倍率、内定率とも前年比を非常に上回っているわけであります。数字的には雇用情勢は一定の改善が見られつつあるというふうには言えるのではなかろうかと思います。これは高卒、大卒ともということでありまして、増加をしているわけであります。

 先ほど申しましたが、やはり特にこの派遣労働に関しては、若年者の方々のしっかりとした就労の支援のためにも、まずは正社員化を求めていき、そのほかにしっかりとした選択肢をという話をしていたわけでありますが、これまでも、そうした就労のいろいろな選択肢の中でこの派遣労働が誕生してきて、なおかつ幾度の法改正もなされてきたということであります。

 冒頭、いろいろお話ありましたが、昭和六十年に制定されたこのいわゆる派遣労働法ということになるわけでありますが、今いろいろ前置きをちょっとお話ししているわけでありますが、これまで日本経済を支えてきたとも言えるいろいろな就労形態の中での派遣労働という就労形態、この制度が果たしてきた役割を、まず、再確認も含めて御答弁をお願いさせていただきたいと思います。

山本副大臣 日本経済を支える労働形態の一つとして、この労働者派遣制度というのがどういうふうな形で役割を果たしてきたかという御質問でございます。

 労働者派遣制度というのは、先ほどもお話しさせていただいておりましたけれども、自分の希望する日時また場所で、みずからの専門的知識等を生かして就業することを希望する労働者側のニーズと、また、企業内におけます専門的な知識、技術、経験を必要とする業務等に対応できる人材を迅速に、かつ的確に確保したいという企業側のニーズといった、労働力の需要、供給の両面におけます労使双方のニーズに対応いたしまして、労働力需給調整システムの一つとしての役割を今までも果たしてきたところでございます。

 この労働力の迅速かつ的確な需給調整という機能というのはこれからも重要なことでございますし、また、おっしゃっていただきました安倍内閣の目指す柔軟かつ多様な働き方、これを実現するものの一つとしても位置づけているところでございます。

 いずれにしても、今回の改正によりまして、派遣労働者の方々のより一層の雇用の安定と保護を図りつつ、適切な労働者派遣制度の運用に努めてまいりたいと考えております。

田畑(裕)委員 御答弁ありがとうございます。

 今お話ありますように、やはり労使双方のニーズ、そのニーズに対応して、これまでも労働調整システムの一環として、拡充であったりですとか、むしろ労働者の保護のためにいろいろな改正がなされてきたのだということを御答弁いただいたわけであります。

 平成二十五年度で派遣元の事業者数というのは八万三千八百社を数えておりまして、直近の五年間は減少傾向ということでありますが、派遣労働者数は、二十五年六月一日現在で総数百二十七万人という方々がいらっしゃるわけであります。

 そのような中の働き方についてでありますが、雇用が安定をして相対的に高い賃金等の処遇が得られるということはいわゆる正社員ということになろうかと思いますし、一方、少しネガティブによく表現されるわけでありますが、職業能力開発の機会が少なく、相対的に賃金が低く、昇給の機会も少ないということが非正規雇用の労働者というふうに、二極化的な表現や議論もなされるわけであります。

 もちろん、アベノミクスによって賃金をしっかり上げること、そしてまた、むしろ、それは格差を広げるのではなくて、その格差をいかに縮めながら日本全体の経済をしっかり底上げしていくかということ、これは非常に大事なキーポイントであるわけでありますが、そのような中で、こうして労使双方のさまざまなニーズに対応する派遣労働という就労形態、先ほどから言いましたけれども、多様な働き方というような選択肢が準備されることが重要ということであります。

 ここでもう一回確認でありますが、政府において、多様な働き方についての必要性ですとか重要性について御答弁をいただきたいと思います。

山本副大臣 厚生労働省といたしましては、若者、また女性、高齢者等を含む全員参加社会の実現が重要と考えておりまして、一人一人の方々がそれぞれのライフスタイルやまた希望に応じて社会で活躍の場が見出せるように、柔軟で多様な働き方というものを実現することが極めて重要だと考えております。

 今回の改正案につきましては、派遣労働者のキャリアアップを支援するとともに、派遣期間の設定を、働く人に着目したわかりやすい制度に見直すといった観点からも行わせていただくものでございまして、多様な働き方の実現を通じまして、働く方々が生きがいを持って、また働きがいを持って頑張っていけるような環境づくりに努めてまいりたいと考えております。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 御答弁をいただいて、それはもちろんそうでありますが、私自身としては、先ほどから何度も言っていますが、そうした中で、まずやはりしっかり正社員化につなげていくということ、それのためが一つ大変大事だと思いますし、後ほど法案の中に触れていきますが、そのような中で、キャリア形成ですとかキャリアアップ、職業訓練等を通じて正社員化へとつなげていく、そのための、労働者にとっては規制の緩和であり、派遣元や派遣先にとっては規制をしっかり強化していくというような法改正なんだということは、これまでの御答弁でも確認をさせていただいている次第であります。

 ここで、連合のコメントについてちょっと御紹介したいと思います。

 先般、十月であったかと思いますが、連合の中央執行委員会、来春の春闘のベースアップ、ベアを二%以上要求するということが運動方針として掲げられ、決定されたという報道がなされたことを仄聞しているところであります。古賀会長のコメントでは、デフレに逆戻りするかの分水嶺であり、個人消費をどう喚起するかが求められるということで、ベア二%以上についての強い意欲を示したと報道がなされているわけであります。ベアの要求は二年連続、二%は二〇〇〇年代以降で最も高い水準の要求だということであろうかと思います。

 今春についても、一四年の春闘では、大手企業を中心に、いろいろ政府の働きかけもあり、賃上げがなされてきたという統計資料等を拝見しているわけであります。しかしながら、やはり地方における中堅以下ぐらいの企業の賃上げということにはまだまだ結びついていないわけでありますので、そこで、企業間ですとか、規模による、そこで働く方々の格差的なこともむしろ広がっている懸念もあるのではないかなと感じています。

 これは、労使双方でのいろいろな協議で、妥結や一定の決着ということにこの後つながっていくんだろうと思いますが、実体経済をしっかり見定めて、このような取り組みの中で、派遣労働についてもしっかり寄与できるようなあり方として取り組んでいかなければならないのではないかと感じるところであります。

 先ほど、多様な働き方についての御見解、御認識もいただいたわけでありますが、一方、厚労省内部では、今、多様な正社員ということの普及を目指す議論も行われているとも認識をしております。

 ここにおいても、特に若い方々やお子さんをお持ちの女性の方々の就労形態についても、地域限定でやったりですとか、そうした労働時間についても、正社員の中でもさらに細分化、そしてまた選択制みたいなことも議論されているともお聞きをしておりますので、これはこの法案とは基本的には直接関係ないわけでありますが、就労、働き方についての、さまざま社会ニーズに対応した対応ということがこれからもますます求められていくのではなかろうかと思います。

 その中で、派遣労働の実態というのは、先ほどから申しておるようにさまざまということでありますが、とかくやはり不安定だということが、本当にまことしやかに、いろいろな意味で捉えられ、広がっているという現状もあるのではなかろうかと思います。

 決してそうではないということの確認も含めてでありますが、派遣労働の実態というのはさまざまであります。必ずしも不安定な形態ばかりではないとも考えられるわけでありますが、実際、派遣労働の課題があるとしたならば、そういったことはどういうふうに御認識、考えていらっしゃるかについて御答弁をいただきたいと思います。

山本副大臣 派遣労働の課題ということでございますけれども、労働者派遣については、雇用とそして使用が分離していることで、特に有期雇用の派遣労働者につきましては、一般に、雇用が不安定だ、また、キャリア形成が図られにくい、こういったことが課題であると認識をしております。

 このために、今回の改正案につきましては、派遣会社に対して、派遣期間等を通じてキャリアコンサルティングや計画的な教育訓練を新たに義務づけます。そのほかにも、派遣期間が満了した場合には、直接雇用を依頼したり、別の会社等で派遣を続けることができるようにする雇用安定措置というものを義務づけます。こうしたことを通じまして、派遣就労への固定化を防ぐための措置を強化させていただくことになっております。

 今委員の方から御指摘ありましたとおり、必ずしも不安定な形態ばかりではないのではないかという話でございますが、今回、無期雇用の派遣労働者につきましては、有期雇用の方と比較して雇用が安定しておりますけれども、さらに、今回の改正案に係る労政審の建議において、派遣元事業主は、無期雇用の派遣労働者を派遣契約の終了をもってのみ解雇してはならないことを指針に規定する、また、派遣契約の終了のみをもって解雇しないようにすることを許可基準に記載する、こうしたこととされておりまして、これらの措置を通じて、無期雇用の派遣労働者の現行制度よりより一層の雇用の安定を図っていくこととさせていただいております。

 いずれにしても、先ほど来より何度も御主張していただいておりますように、多様な選択肢がある中で派遣労働者自身が望むような働き方が実現するということが一番重要なことでありまして、その実現にしっかり取り組んでまいります。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 いろいろな職業訓練も含めて、そうした機会をしっかりお与えして、決して不安定だというふうな、ややもすればイメージというのも非常にやはり定着をしているわけでありますから、そうではないということをいろいろな場面でもメッセージを発信していただいて、そこで働く方々のキャリア形成の視点をしっかり推し進めていただきたいと思います。

 今御答弁でもありましたが、改正により、雇用の安定性を高めていくこと、また、職業能力形成の機会をより広めていくこと、これが何よりも目指すことだということを再確認させていただいた次第であります。

 それでは、少し法案の中身に入っていきたいと思います。

 そもそも、今回の改正の目的は、派遣労働者の一層の雇用の安定、保護等を図るため、特定労働者派遣事業の廃止とともに、労働者派遣の役務の提供を受ける者の事業所その他派遣就業の場所ごとに派遣可能期間を設ける等の措置を講ずることが目的ということが掲げられているわけであります。

 その中で、大きく三本の柱とすれば、一つは特定労働者派遣事業のあり方、また、二つに労働者派遣の期間制限のあり方等について、三番は、派遣労働者の均衡待遇の確保、キャリアアップの推進のあり方ということで、これまでこの委員会の質疑を通じていろいろな論点もあぶり出され、野党の方は納得できない部分もあるということも、それもあぶり出されているのが現状かと思うわけであります。

 これまでも、派遣労働というのは臨時、一時的な就労という位置づけ、そしてまた代替雇用をしっかり守るというようなことの側面も含まれてきて進んできたわけでありますが、いわゆる臨時、一時的という原則は、自由化業務、二十六業務以外の業務についてだけであったわけでありますが、今回、全ての派遣労働に対する原則ということになったわけでありますけれども、その理由的なことを改めて確認も含めて御答弁をお願いしたいと思います。

坂口政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、現行制度では、今おっしゃいました、いわゆる専門的な二十六業務については期間制限がなくという制度設計になっておるわけでございますけれども、この二十六業務は、専門的ということではございますけれども、これは前回の平成二十四年の改正のときにも国会でも御議論になったわけでございますが、やはり専門性というのが時代とともにいろいろ変化していくということで、制度設計の中身で、二十六業務か否かというような形で制度を分けることについては、非常にわかりにくいのではないかというような御指摘が強く出ておったということがございます。

 それとまた、専門二十六業務に該当される派遣労働者の方であっても、いわゆる有期の派遣労働者の方が相当程度おられるということで、専門二十六業務の方であってもやはり雇用の安定ということが課題であることには変わりはないということもございまして、今般、委員御指摘のように、業務にかかわらないという形で、働く人に着目したわかりやすい期間制限を設けるという形にさせていただくということにしたところでございます。

田畑(裕)委員 御答弁ありがとうございます。

 一方、今回の改正案の中では、これまで届け出でよかったような派遣事業者を含めて、派遣事業について全て許可制に変更するということであります。事業者にとっては、ある意味、当然規制強化ということになろうかと思いますし、そこで、不届きな業者の市場からの撤退ということにもつながっていき、より健全な就労環境の、提供側のプラットホームができ上がるのではないかとも思うわけであります。

 改めて、一律の許可制としたことについて、その理由的なこと、そしてまた、そうすることによってどのような効果を目指すのか、どのような効果を想定しているのかについて御答弁をいただきたいと思います。

山本副大臣 御指摘のとおり、現行制度におきまして、派遣会社が雇用する派遣労働者が常時雇用される者のみである場合には、特定労働者派遣事業として、許可制ではなくて届け出制で今は済んでいるわけでございますけれども、今回それを一律に許可制とさせていただくわけであります。

 その背景には、常時雇用する労働者のみを派遣する事業であるにもかかわらず、実際はそれが有期の雇用の派遣労働者が多く含まれていたり、また、一般労働者派遣事業と比較して処分件数が多かったり、また、許可要件を満たせないために特定労働者派遣事業者を装っている場合があるといった、さまざまな課題が出てまいりました。

 今回は、この改正案では、これを一律許可制とすることによりまして、その効果といたしましては、やはり労働者派遣事業の質の向上と健全な育成が図られるということとともに、御指摘のように、悪質な業者の排除といったことにもつながるものと考えております。

田畑(裕)委員 御答弁ありがとうございます。

 そういった悪質な業者の排除、イコールそこで働く派遣労働者の保護の強化であったり、安心感を持って、派遣労働の方も、そうした派遣元からの派遣についての精神的な安定ということにもつながっていくのではなかろうかなと思います。

 これは、派遣先、派遣元についても、全国一律ではなかなか論じることができないのではないかとも思います。それぞれ地域によっては、サービス業が中心のところであったりですとか製造業が集積をしている地域があり、さまざまあろうかと思いますが、しっかり注視をしていただいて、原則、もちろん健全な事業者の育成、そしてまた、そこで働く方々のしっかりとした質の向上を目指すということでありますから、その辺もしっかり注視して取り組んでいただきたいなと思います。

 それでは、いわゆる期間制限のあり方のところについて、ちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 このことについては、これまでも、いろいろ御指摘であったりですとか、さまざまな政党の皆さん方の御意見があろうかということも認識をしているわけであります。我々は、与党として政府の案について一定の理解をしているところでありますが、なかなか世の中の皆さん方については、さらにわかりにくいといったようなお話もあろうかと思いますので、より簡潔、そしてまた明瞭な御答弁で、国民の皆さんの御理解が深まる、そういう御答弁を御期待申し上げてちょっと質問したいと思います。

 今回の改正では、派遣の受け入れの期間制限について、業務に着目した制度から人に着目した制度へと、大きく見直しをするということであります。全ての業務に共通する、派遣労働者個人単位の期間制限と事業者単位の期間制限を設けることとされているわけであります。

 派遣労働が臨時的とか一時的な就労形態というふうに位置づけされている中にあって、そう言いながら、こうしてずっと派遣が続いていくとか、三年が期間が来たとしても、違うところに配置転換をされて、結局派遣から脱皮をできないというような主張をされる方もあるわけであります。

 あくまでも臨時、一時的な、そういった就労である派遣であるにもかかわらず、こうした人に着目した制度へと見直すことによって、そしてまた期間制限もしっかり設ける部分は設けてある形になりますが、そうした場合の派遣労働者の雇用の安定、臨時、一時的なんだけれども、それはまた安定につながるんだという、そのロジックについて、もう一回、確認を含めて御答弁をいただきたいと思います。

山本副大臣 今回の法律案におきましては、派遣労働への固定化を防止するために、派遣労働を臨時的、一時的な働き方と位置づけることを原則とする、これは今までどおり、その原則の考え方のもとで、有期雇用の派遣労働者には、同じ職場への派遣は三年を上限とするという個人単位の期間制限を新たに設置することにさせていただいたわけであります。

 他方で、期間制限が派遣契約の終了につながって、それが有期雇用の派遣労働者の派遣元との雇用契約の終了にもつながりやすいという指摘もございますが、期間制限が雇用を不安定にする要因となり得る点について、現行の制度においてもほとんど対応策というものが講じられていないわけです。

 このため、雇用主である派遣元に対して、派遣期間終了後の雇用安定措置、今回、これを改正案の中で新たに法的に義務づけることとさせていただいておりまして、この措置を通じまして、派遣労働者の方の雇用の安定というものも図ってまいりたいと思っております。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 もちろん、実際の業務の中で、いろいろ御答弁もありましたし、就労されていて、しっかりとした仕事の成果を発揮される方であったとしたならば、やはり雇用主からすれば、派遣社員ではなくて自社の方に、正社員化というか、それこそ雇用形態を変えるといったようなことも、通常の感覚だったらそれに進んでいくのではなかろうかと思うわけであります。

 今ほどおっしゃられるように、現行法においても、その期間制限についての対応というのは、不備とは言いませんが少し足りない部分があるということであるとしたならば、それをしっかり補って、なおかつ、当然、上限に達した派遣労働者の雇用安定措置、これはもう何度も御答弁も聞いておりますけれども、四点、一番から段階段階ということで、幾つかのそうしたいわばセーフティーネットをしっかりつくっているということになろうかと思いますから、そのことはまず運用してからということにもなろうかと思いますが、しっかりとしたセーフティーネットや担保をつくっていただいて、進めていただきたいなと思う次第であります。

 ですから、それ自身は、ずっと派遣で働く、生涯派遣がふえるのではないかということとは明確に違うんだよということが先ほどの御答弁でも示されたんだというふうに理解をしたいと思う次第であります。

 あわせて、きょうの委員会の冒頭に大臣からもお話がありました過半数組合等からの意見聴取のところでありますが、反対意見があった場合等についても改めて適切な対応をしていくというふうに、これまでの答弁を補うというか、しっかりとした、こういうことなんだよということが先ほど大臣からも力強く発せられたところであります。

 事業所単位の期間制限については、今申したとおり、過半数組合等からの意見聴取を行った上で延長することも認められるということであろうかと思いますが、こうした手続が適切に機能するため、改めて、どのような措置を講じているのかについて、確認を含めてお聞かせいただきたいと思います。

坂口政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、今回、事業所単位の期間制限につきまして、過半数組合等からの意見聴取を行った上で延長するということが認められております。

 ただ、この手続を適正に行うということで、より労使で公正かつ公平な話し合いが行われることを担保するようにしようということで、今回、新たに、派遣先の事業者の方に、説明義務であったり意見聴取の内容の周知義務を法的に課すということといたしておるところでございます。

 具体的には、先ほども御指摘があったようなところでございますけれども、過半数組合の方から反対意見が出たというような形の中で受け入れようとする場合には、しっかり対応方針を説明する義務を課すということ、それから、意見聴取の内容につきましても、過半数組合に対して、社内掲示板とかあるいは社内でのイントラネットというようなものを通じて新たにしっかり周知する義務を課すということも加えて、しっかりそういった手続が適正に機能するように担保してまいりたいということでございます。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 これまではそういった部分については機能していなかったということなんですか。

坂口政府参考人 現在もこの期間制限がございまして、それで、原則一年を三年に延長するという際には過半数組合等からの意見聴取という手続があるのでございますけれども、先ほど申し上げましたような、反対意見にもかかわらず受け入れるような場合の対応方針の説明の義務でありましたり、あるいは、こういった社内での意見聴取の内容の周知義務を法的に課すというのは、今回新たに課すということでございます。

田畑(裕)委員 ここは特に、いろいろ御答弁の中でもちょっと水かけ論的なお話もあったりとかするわけでありますので、明確に、その辺はしっかり今の御答弁に沿って取り組みをお願いしたい次第であります。

 あわせて、期間制限の上限に達した派遣労働者について、先ほどから出ておりますが、雇用の安定措置であります。四点が定められているわけでありますが、改めて、この四点の取り組みについて、また、それがどう雇用に実効性や有効性を与えることになるのかについて、もう一度お聞かせをいただきたいと思います。

山本副大臣 先ほど来より何度も雇用安定措置のことについても言及させていただいておりますけれども、個人単位の期間制限の上限に達する見込みのある派遣労働者に対して、今回新たに、先ほどおっしゃっていただいた、派遣先への直接雇用の依頼、そして、新たな就業機会の提供、派遣元での無期雇用、その他安定した雇用の継続が確実に図られると認められる措置、これを派遣会社に義務づけることになっているわけであります。

 これらの措置は、例えば、派遣先への直接雇用を依頼した場合であって雇用に至らなかったときは、それ以外の措置を講じるなどして、派遣期間満了時に継続して就業が図られることを希望する方には新たな就業機会が提供されることとなりますので、雇用安定措置の実効性は伴うものだと考えております。

 なお、雇用安定措置を講じない派遣元の事業主に対しましては、都道府県労働局におきまして厳正な指導等を行うことによりまして、この履行の確保というものを担保してまいりたいと考えております。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 ここをもう一回、少し確認を込めてお話をしたいと思いますが、最初に、直接雇用の依頼を派遣先へ行うということですね。そこがうまくマッチングしなかったらというか、そうした場合に二番、三番に進んでいくということであろうかと思うわけでありますが、この一番については、義務ではなくて、あくまでも紹介というか、依頼という部分でとまるということなんですね。この後、そして雇用安定につながっていくんだと。

 なかなか書面だけを見たら、まあ、そうなのかと理解をしなければいけないのかもしれませんが、そこをもう少し具体的なイメージも含めてお話を聞かせていただければなと思うわけであります。

山本副大臣 直接雇用の紹介ではなくて依頼という形になります。今四つ挙げていただきました措置の中で、この中の、四つのうちの一つは必ず講じられなくちゃいけないということが義務づけられるということです。

田畑(裕)委員 そこに取り組むことは取り組む、取り組みなさいよということでありますよね。例えば二番の、あくまでも就業機会の提供ということでありますから、情報提供までだということですね。違いますか。もう一回どうぞ。

山本副大臣 言葉足らずで申しわけございません。

 就業機会の提供といった場合、情報提供で終わるわけじゃなくて、きちんと場を提供するということでございます。

田畑(裕)委員 それは、安定雇用につなげるために、情報提供だけではなくて、しっかりとした就労につなげるような提供という……(山本副大臣「就労の継続です」と呼ぶ)継続のということですね。

 では、ここでいうと四番についてもう少し、改めてもう一回確認します。

 なかなか文字だけでは、深読みをして、違った深読みをしてもちょっと困るなと感じるわけでありますけれども、継続が確実に図られると認められる措置とすれば、幾つか具体的にお聞かせをいただきたいと思います。

坂口政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほどの点も含めましてちょっと補足させていただきますと、まず、今御質問の四番の関係につきましては、具体的にはこれも省令等で定めるという形で、審議会にお諮りした上で定めてまいりたいと思っておりますが、全体として、今回の雇用安定措置というのは、派遣労働者の雇用がしっかり安定している状況ということで、失業というような、期間制限の三年ということをもってしてそういった雇用への悪影響が起きないようにという趣旨でございますので、今のこの1から3とは別に、先ほどありましたけれども、ほかの派遣先をしっかり紹介して、そちらに就業していただくというところまでに一定のタイムラグがあるような場合に、その間、派遣先が見つかるまでの間、例えば、雇用関係を維持しつつ有給で教育訓練を行うというような形で雇用関係を維持していただくというようなものを4では想定しておるということでございます。

 また、先ほど委員の御質問の中で、直接雇用の依頼という点もございましたけれども、やはり直接雇用の依頼につきましては、相手の派遣先がそれに応じられるかどうかということがございますので、まさしく派遣会社の方だけで雇用の安定が必ず図られるという形にはならないものですから、1をやった場合にそれが雇用に至らなかった場合には、やはり雇用の安定を図るためには他の措置を講じていただく必要があるという趣旨でございます。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 くどく質問しておりましたけれども、やはり何といっても、雇用の安定措置というのは今回新設で非常にみそでありますし、そこがしっかり機能することが、いわゆる三年なら三年を経過した中で次のステップアップ、キャリアアップにつながっていく非常に大事なアプローチのところでなかろうかなと思うわけでありますので、しっかり実効性があるようにこれからも取り組んでいただきたいと思いますし、もちろん、派遣先、派遣元企業に対しての周知徹底、その辺も抜かりなくお願いをしたい次第であります。

 それでは、次に行きたいと思いますが、常用代替防止ということの関係での考え方についてちょっとお聞きをしたいと思います。

 これまでも、派遣労働というのは常用代替防止というのが一つの大きな考えの柱であったわけでありますが、そうはいいながら、むしろ、それが雇用の二極化であったりですとか格差を広めているということもあるのではなかろうかと思います。

 派遣労働者と言われる、より弱い方々の実態にそぐわない派遣であったりですとか低処遇についても、やはりこれからはより改善をしていかなければいけない。むしろ、この法改正においても、そうした派遣労働者の権利の保護というか、そうした事柄について強く打ち出されてきているのが、これまでの流れではなかろうかなと思うわけであります。

 そうしたときに、今度は、派遣社員が派遣されている企業の正社員の方々の常用代替についての守りが後退するのではないかとか、またそういった御指摘もあるのではなかろうかなと思うわけでありますが、派遣先の正社員の保護だけではなくて、派遣労働者の保護にも同時に取り組んでいかなければいけないと思うわけであります。正社員化を含めた派遣労働者のキャリア形成をしっかり後押しする必要があると思いますが、その辺のバランスですね、この法改正によってどのようになされていこうと考えているのか、お考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

坂口政府参考人 お答えさせていただきます。

 今委員御指摘のように、今回、常用代替の防止という観点を維持しつつ、派遣労働者の方もいろいろな志向がございますので、派遣労働者としてのキャリアをアップさせていきたいという方もおられれば、正社員になりたいというようなこともありますので、やはり私どもとしましては、この派遣労働という形が、職業能力の形成という形での機会というのが、雇用と使用が分かれていることでそれが課題になっているということもございますので、正社員化を含むキャリアアップを図るという環境をしっかり図っていくということが重要であると考えております。

 その意味で、今回の法律案の中では、派遣会社さんの方にキャリアアップ措置をしっかり法的に義務づけるということでありますとか、あるいは、派遣先の方でも、正社員化を希望する派遣労働者の方に対して応募機会の付与というような形での情報提供をしっかりするということなどを盛り込んで、そういった形での派遣労働者のキャリア形成ということを、正社員化も含めて、しっかりサポート、後押しをしていきたいと思っております。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、働いた先で正社員の方も派遣労働者の方も協力をしてしっかり生産性を高めて、その企業の経営を安定させる、ひいて言えば、もちろん利益を出していくことを当然目指していくということになろうかと思います。お互い、その立場は別としても、気持ちよく働いて、そしてまたそれぞれの能力をしっかり発揮していただくこと、これがもちろん何よりも大事でなかろうかなと思います。

 派遣についても、三者の形態ということ、派遣先や派遣元、そしてまた勤務先ということになるわけでありますが、雇い主である派遣会社のみならず、やはり当然、派遣先の協力、そこには、経営者やそこで働いている正社員の皆さんの意識の協力ということも必要ではないかなと感じるわけでありますが、今回の法案において派遣先にはどのような対応を求めるのかといったようなことについて、もう一回、坂口さんにお聞きをしたいと思います。

坂口政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、派遣労働をされている方々の処遇の改善ということを行っていく中では、やはり派遣先の協力というのが非常に重要な課題かと思っております。

 先ほど申し上げましたように、この課題を克服するために、派遣先の情報ということも不可欠になってまいりますので、今回、この改正案の中では、そういった取り組みを強化していくということで、派遣先の方に対しましても、派遣元の方で均衡的な待遇の取り組みを進めていただけるように、派遣先の労働者の賃金水準に関する情報を派遣元に提供していただくということも、配慮義務を新たに格上げして課すというようなことでありますとか、あるいは福利厚生といった面につきましても、例えば給食施設でありますとか休憩施設というようなものの利用機会を、派遣先の労働者さんが利用されるような施設について派遣労働者に対しても提供していただくことをお願いするというようなことを行っていく中で、派遣先の協力をよりお願いしていくというようなことを法律の中に盛り込んでまいりたいと思っております。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がなくなってきましたので、もう一点、キャリアアップのことについても一問お聞きをしたいと思います。

 もちろん、いろいろ産業構造が変わってきたりですとか人口が減ってきた中で、それぞれお一人お一人の働き方の生産性もしっかり上げていかなければいけないわけでありますし、特に将来を支える若年者の皆さん方が、しっかり教育訓練であったりですとか、既にいろいろ企業の教育訓練実施率等も近年は低下をしているというような統計データも出ているようでありますが、そういった職業訓練であったりとか、ひいて言えば、職業能力を評価するといったような制度もより構築をしていかなければいけないのではないかと思います。

 全般的にそうした労働市場のインフラを戦略的に強化もしていかなければいけないのではないかと思うわけでありますが、今回、キャリアアップの推進ということで、いろいろいただいている資料の中でも、見直し後、何点もキャリアアップについての項目立てがなされているわけであります。

 一点一点細かくはちょっとお聞きをしないわけでありますが、これまでと、こういう課題があったのでこのように見直しを行ったという事柄についてのお考え方を、いま一度お聞かせいただきたいと思います。

山本副大臣 現行制度はどうで、今回どうなるかという話でございますけれども、現行制度においては、法律上に、派遣会社に対してキャリアアップ支援の義務というものはないわけでございます。ですから、派遣会社でやっているところもあればやっていないところもあるという状況であったわけですけれども、今回の改正案につきましては、派遣会社に対して、派遣期間等を通じたキャリアコンサルティングや計画的な教育訓練を義務づけるわけです。

 また、派遣期間が満了した場合には、派遣先に対して直接雇用を依頼したり、別の会社等で派遣を続けることができるようにする措置を義務づけることなど、派遣労働者に対するキャリアアップ措置を新たに規定させていただいているところでございます。

 これに加えまして、派遣先におきましても、派遣労働者への正社員募集に関する情報提供を義務づけ、正社員として雇用する場合にはキャリアアップ助成金の活用、これは予算措置でやらせていただいているわけでありますけれども、これを一生懸命進めることとさせていただいておりまして、派遣会社とまた派遣先双方における派遣労働者のキャリアアップというものを今回の法改正で強化していくこととなります。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 これまでちょっと、あっち行ったりこっち行ったりしながら質問させていただいたわけでありますが、少なくとも、多様な働き方、いろいろ労働者の選択肢をしっかりふやすためということであろうかと思います。

 ようやく、最後、大臣に御確認をさせていただきたいと思います。

 今回、今ちょっと野党の皆さん着席をされていないわけでありますが、生涯派遣であったりとか正社員ゼロといったようなことが、この法案に何か変なレッテルを張って議論を妨げているのではないかとも私は懸念をし、心配をしているわけでありますが、大臣のお口から改めて、これはネット中継もされているわけでありますので、多くの国民の皆さん方に、この法案の改正を通じてこのように労働者の方を守っていき、そしてまた、これが、ひいて言えば、しっかりとした経済成長につながる、日本の成長につながっていくんだということに対しての決意をお聞かせいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 多岐にわたって先生から今御質問をいただきまして、ありがとうございました。

 新しい時代に、やはり選択ができる多様な働き方、これをきちっと用意して、そしてなおかつ、キャリアアップをするというようなこと等々の新しい義務づけをする法的な措置もとりながら、働く人たちの権利をしっかりと守りながら、一方で、派遣先でもやはり正社員化を支援することもちゃんとやれるようにしていくというようなことで、まさに、今回は、むしろ規制を強化しながら働く人たちを守り、そして、キャリアアップをしながら正社員化したいとする人たちにはその道を開くということで、両面にわたって、派遣元、派遣先、新しい義務づけをたくさん導入しているわけでございます。

 そういう中で、一時的な、臨時的な働き方といえども、それぞれのライフステージで皆さんが選べるように、例えば子育て中の女性が働きやすくなるとかそういうことを含めて、選択できる多様な働き方の一つとして派遣をさらによくしようということで今回の改善提案をしているということでございますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。

田畑(裕)委員 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 労働者派遣法改正案について質問をしてまいります。

 まず最初に、マタニティーハラスメントについてお伺いをしていきたいと思います。

 妊娠を理由にした職場での降格は原則として違法であるという判断を、最高裁が十月の二十三日に初めて示しました。妊娠や出産による職場での嫌がらせ、いわゆるマタニティーハラスメントをめぐりまして雇用主側に意識改革を迫ったということで、私は非常に歓迎をしたいというふうに思っております。

 男女雇用機会均等法では、妊娠、出産を理由に会社をやめさせる、あるいは不利益な取り扱いというものは禁じられているにもかかわらず、職場によっては、妊娠がわかると急に風当たりが強くなる、嫌みを言われる、また、別の理由でとがめられてやめざるを得ない、こういった話をよく耳にいたします。特に、トップの理解がなくて、過去に産休、育休をとって復帰した女性社員がいない、あるいは極端にそういう人が少ないというので、そういう経験がないという場合に、育休中の体制がきちんとできていないような場合には、やはりマタニティーハラスメントが起きやすい傾向にあるというふうに思います。

 先日、我が党の厚生労働部会でも、このマタニティーハラスメント等につきまして厚生労働省からヒアリングをいたしました。都道府県の、それぞれの雇用均等室での調査の状況を伺いました。

 まず、労働者からの相談内容の内訳の推移なんですけれども、婚姻、妊娠、出産等を理由にする不利益取り扱い、ここがいわゆるマタニティーハラスメントに当たるのではないかと思うんですが、二十五年度、相談件数が二千九十件、全体の一八・九%に当たる。また、セクシュアルハラスメントも非常に多くて、ここが六千百八十三件、五五・九%ですので、これを足すとかなりの比率がマタハラ、セクハラであると見てとれます。

 また、労働局長による紛争解決の援助申し立て受理件数、これも、いわゆるマタニティーハラスメント関連が、平成二十五年度で二百十三件、四二・四%であります。また、セクハラの関係が二百四十八件で四九・四%。ここがほとんどなんですね。

 また、機会均等調停会議による調停申請受理件数、これも、二十五年度で、マタニティーハラスメント関連が十一件、二一・六%。また、セクハラ、三十七件で七二・五%。このような現状があります。

 女性が妊娠をし、出産をし、また出産後も仕事をしたい、これは当然の希望だと思います。また、少子化で労働人口が減る中で、女性の活躍ということが、我が国の経済にとっても、地方の創生にとっても非常に重要な鍵になっていると言われているにもかかわらず、働く女性が安心して出産をし、また育休もとれる、いまだにこの環境が整っていない、これが現状であります。

 政府が本当に、総理がおっしゃるように女性が輝く日本を目指すというのであれば、女性管理職、これもやはり三割までは持っていかなくちゃいけない。低い、これも当然のことでありますし、これをふやしていくということが全体に通じていくわけなのでありますけれども、こうした本当に現場で悩んでいる方々、困っている方々、ここの問題をまずは直視して、ここに手を入れていくということが大事なのではないかというふうに思います。

 政府は、マタハラ防止のため、妊娠、出産、育児などを理由にした不利益取り扱いを禁じた労働基準法、男女雇用機会均等法、また育児・介護休業法、まずはこの遵守を徹底していただきたいというふうに思っております。

 しかし、法令遵守と言うだけでは、なかなか、十年一日のごとく変わっていかないというふうに思います。もっとこの部分に光を当て、積極的な対策を講ずるべきであると考えます。

 また、今回審議にかかっております労働者派遣法でありますけれども、派遣労働者に対するマタニティーハラスメント、セクシュアルハラスメント、この実態把握も必要ではないかと感じております。

 働く人々は、それぞれにさまざまな事情を抱えております。これが全くないという人はいないと思います。ロボットでもなければ、それぞれ、家庭の事情、人生の事情、たくさんの課題を抱えながら仕事をしている。それがいわば象徴的な形で、女性にとっては避けられない、女性のみ、ある時期、一定の期間あらわれてくるというのが、この妊娠また出産ということであります。

 ここに対応していく、これに対応した環境を整えていくということは、結局、多くの働く人々が抱えている介護の問題であったり、さまざまな家庭の問題など、その方々にも通じていくのではないかというふうに思っております。

 この点に関しまして、妊娠、出産が退職や降格につながるような社会の意識をぜひとも転換していかなければいけないと思います。

 この点についてお考えをお伺いしたいと思います。副大臣にお伺いします。

山本副大臣 御指摘のとおり、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いについては、男女雇用機会均等法等に違反するものとして、決して許されるものではないと考えております。

 法律に違反する企業に対しては、迅速かつ厳正な是正指導というものを引き続きしっかりと行わせていただきたいと思います。

 せんだって、全国の都道府県の労働局長がお集まりになった会合でも、このことをしっかりと、今まで以上に厳正に対処してくださいということも指示させていただいたところでございまして、しっかりやらせていただきたいと思います。

 また、毎年六月に、男女雇用機会均等月間におけますポスター掲示等によります集中的な広報、そうしたことまで、さまざまな機会を捉まえて周知徹底というものを実施してまいりましたが、さらに、現在御審議いただいております女性の活躍推進法、この法案におきましては、各企業が行動計画策定に当たって踏まえることとなります行動計画策定指針というものを定めることとなっておりまして、この指針におきまして、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いの背景になりやすい職場風土の改革についても、今、盛り込む方向で検討させていただいております。

 こうした取り組みに加えまして、いかに妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いが起こることのない社会を実現するか、このことにつきましては引き続き真摯に検討させていただきまして、今御質問の中でおっしゃっていただきましたように、派遣労働に対するマタハラの実態調査、労働者全体に対するマタハラの実態というのは数字を挙げていただいたとおりでありますけれども、派遣労働に対するところの切り口が今調査の中に出ておりませんので、こうしたことも含めて、より詳細な実態調査を実施することなど、効果的な方法というものを模索してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 山本副大臣から大変積極的な答弁をいただきました。

 現在審議中の女性の活躍推進法案の中で、行動計画策定指針に盛り込んでくださる、これは画期的なことだというふうに思います。我が党においても、このことは主張してまいりました。ぜひこれを盛り込み、実効性あるものにしていっていただきたい。職場風土を変え、またトップの意識も変え、女性が働きやすい職場環境をつくっていただきたいと思っております。

 また、派遣社員におけるマタニティーハラスメントの実態調査も含めて、今後、このことについてもしっかりとお取り組みをいただくということでございます。ぜひ、この点についても、これまでもストーカーやDVについて、女性の人権に取り組んでこられた山本副大臣、頑張っていただきたいというふうに思います。

 今ちょうど御答弁にもあったんですが、マタニティーハラスメントは派遣労働者の方が受けやすいのではないかとも言われております。

 例えば、産休の場合には、正規また非正規関係なく法的にはとることができるはずであります。派遣元が、違法なことを承知の上で、派遣労働者に対して、派遣先に言わないよう、我慢を強いることも多々あるとも聞いております。派遣元事業者の増加とともに、いわゆる悪質な派遣会社が存在をしているという問題があるわけです。

 こうした悪質な派遣会社に対しまして、今回の法改正でどのように対処していこうというのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

塩崎国務大臣 これまで、届け出とそれから許可の二種類ございまして、特定労働者派遣事業、これは届け出でございまして、一般労働者派遣事業が許可制であったわけであります。

 常用型が多い特定労働者派遣事業でありましたけれども、資産要件を必要としないということもあって、健全な事業運営が担保されないということがあったほか、行政による事前チェックが入らないということで、悪質なケースが多く、また、一般労働者派遣事業と比較して処分件数も多かったということを、先ほど山本副大臣の方からも御答弁させていただいたところでございます。

 そこで、今回、改正法案におきましては、派遣事業を全て許可制とするということで、悪質な派遣会社を、出てくれば、これは許可を剥奪するということが可能になるわけでありますので、悪質な派遣会社を排除するとともに、派遣事業の質の向上と健全な育成を図っていくということで、むしろ、今回の規制強化の典型だというふうに思っております。

古屋(範)委員 今大臣から、今回の改正案のいわばポイントになる点をお答えいただきました。

 おっしゃるように、一般労働者派遣事業それから特定労働者派遣事業、この区別を廃止して全て許可制としていくということでございます。

 これまで、労働者側また使用者側両方から、特定労働者派遣事業は許可制にすべきだという意見が出ておりました。一般労働者派遣事業の資産要件、例えば基準資産額が二千万円とか、あるいは現預金額が一千五百万円、こうした要件を満たせない事業者が、この要件を回避しながら、実態として、短期の雇用契約を反復して、派遣先との派遣契約が終了すると雇用契約も終了してしまう、一般労働者派遣事業の許可が取得をできないからこちらに流れていく、いわば事業者の隠れみのになっているという指摘もあったところであります。

 平成二十一年、一般労働者派遣事業の許可基準が厳格化をされました。これ以降、やはり特定労働者派遣事業の方が増加をしております。全ての労働者派遣事業を許可制とする、これによりまして、悪質な派遣事業者が淘汰されていく、優良な派遣業者を育成していく、このことが期待をされるわけであります。非常に重要な点であると考えます。

 派遣労働者につきまして、能力開発機会が乏しい、このような問題があると私も承知をいたしております。なぜ、派遣元事業者が派遣労働者に対して能力開発に消極的になってしまうのか。

 その理由は、派遣元事業主、派遣先及び派遣労働者という三者間の労働関係において、派遣元事業主が自主的にOJTを行うことはできない。あるいは、短期的な就労形態では教育訓練投資に見合った回収が望めない可能性もあって、就業先での教育訓練が消極的となってしまう。あるいは、登録型派遣労働者は複数の派遣元事業者に登録をしていて、教育訓練を受けた派遣元事業者から派遣されるとは限らない。教育訓練投資が回収できない、このようなリスクがあるために、どうしても、積極的に教育訓練を行おう、こちらの方向に行かなかったというのが現行法だったと思います。

 また、労働者の中には、正社員を希望していたけれども正社員になることができない、非自発的に派遣労働者になっているという方もいますけれども、一方で、積極的に派遣労働者となっているという方もいるわけです。

 能力開発といっても、その段階はいろいろであり、非常に能力の高い方に初歩的なことを研修しても、これは本当に意味がないということになってしまいます。キャリアアップの事業といっても、非常に多様性、きめ細かな内容というものも求められるんだろうというふうに思います。

 今回の改正案で、全ての労働者派遣事業を許可制とするのであれば、この許可制にするという点を生かして、派遣労働者の能力開発を支援する取り組みがここでできるのではないかというふうに思いますが、この点に関してはいかがでございましょうか。

山本副大臣 御指摘のとおり、派遣労働者については、能力開発の機会が乏しいといったことが課題としてあると認識しておりまして、今回の改正案につきましては、派遣会社に新たにキャリアアップ措置というものを法的に義務づけることで、派遣労働者の能力開発を支援する取り組みを強化することとさせていただいております。

 そして、今お話がありましたけれども、労働者派遣事業の許可、更新要件に、キャリア形成支援制度を有することというものを追加するわけです。このようなキャリアアップ措置を行える体制がないところには許可、更新を認めないということになるわけでありまして、具体的な内容については、今後、労政審で議論を進めていくことにしておりますけれども、こうした許可制度というものをつくったことを背景といたしまして、派遣労働者の能力開発を支援していくという取り組みも進めさせていただきたいと考えております。

古屋(範)委員 許可制ということが一つのチェック機能となって、必ずきちんとした内容でキャリアアップ支援を行っていく、これを義務づけることにつながっていくんだろうというふうに思います。

 派遣労働者のキャリア支援制度を許可要件に追加をしていく、これによって、派遣労働者の待遇改善あるいは能力開発に資するとともに、支援制度を整備することができない派遣元事業主、これは必ず淘汰をされていく、ここでチェック機能が働くと思います。

 しかし、現行の許可要件と改正による許可要件に大きな違いがなければ、改正案が目指している派遣労働者の待遇改善や能力開発につながるか、ここは少し疑問が残ってしまいます。派遣労働者へのキャリア形成支援制度、この実効性を確保するために、許可申請時及び更新時の審査基準等の明確化、これが求められるというふうに思います。

 そこで、許可要件とするということに関しまして、具体的に、教育訓練計画を各労働局に提出させる、このことを想定しているのかどうか、ここをお聞きしたいと思います。

山本副大臣 御指摘のとおり、各都道府県労働局に、許可申請書とともに、教育訓練計画書も提出させることを予定させていただいております。

古屋(範)委員 教育訓練計画が提出されなければ、そうした事業者はもう認めないということになります。ここでまたチェック機能が働いていくというふうに考えます。

 この教育訓練計画というのは、野党からも質問がありますけれども、中身がよくわからないといった指摘があります。三百六十五日で一時間でよいのかというような質問もありました。これまでも、そもそも計画をつくること自体が派遣会社の責務になっていなかったということで、非常に私は、今回の改正は意義のあることと思っております。

 大臣、この計画を作成する意義についてどのようにお考えか、そこをお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 現在の仕組みのもとでは、派遣労働者について、正社員と比べてキャリアアップが十分に行われていないという課題があることは、もう繰り返し申し上げているところでございますけれども、今回の改正案では、派遣労働者のキャリアアップに向けた義務を創設するということで、これは非常に大きな意味があるわけでございます。

 これに伴って、派遣会社には教育訓練計画の作成を求めることとなるわけでありますけれども、これは派遣労働者のキャリアアップの促進のみならず、派遣会社自身、派遣元に対しても、キャリアアップ措置に対する取り組みの意識が向上するという効果が見込まれ、こうした点からも有益なものであるというふうに考えております。

 やはり、人材を派遣するに当たって、どういう人材を派遣するのかということは会社の評価にもかかわってくるわけでありますから、みずからがちゃんとしたキャリアアップの仕組み、教育訓練計画を持っているということは、いい人材派遣会社だということになるわけですから、みずからの評価が上がれば、当然そこで働いている人たちの評価も一緒に上がって、その処遇にもつながるというふうに考えるべきではないのかなというふうに思います。

古屋(範)委員 そのとおり、やはりキャリアアップをしっかり行っていく。そして、希望する人は次のステップへ、やはり正社員を目指したいという方はその先また正社員になる機会がふえる、このことにつながっていくというふうに思います。

 そこで、義務を満たせばそれで終わりというわけではないというふうに思います。派遣労働者のことをよく考える、キャリアアップについてもしっかりと行っていく、そういう派遣会社を育成する、そちら側にインセンティブをつけていく必要があると考えます。

 ですので、優良な派遣会社、キャリアアップにしてもさまざまなフォローにしても、この派遣会社に登録した方が働く側にとっては非常に有利であるということがはっきりとわかるようなもの、目印といいますか、優良な派遣会社を行政として支援する、こちらの方向に持っていくことが必要なのではないかと思うんですが、ここはいかがでしょうか。

山本副大臣 おっしゃるとおり、計画をつくってそれで終わりという話ではないと思っておりますし、派遣労働者のことをよく考えていただく優良な派遣会社を育成していくということは極めて重要な課題だと考えております。

 そこで、今、優良な派遣会社を認定する優良派遣事業者認定制度というものに取り組んでおります。本事業は、派遣労働者の適正就労や処遇の改善等に積極的に取り組むそうした事業者を認定するものでございまして、現在、年度内の実現に向けまして準備を着々と進めさせていただいております。

 派遣労働者のことをよく考えている派遣会社が、受け入れ企業やまた派遣労働者から評価、選択される環境、先ほど大臣から御答弁ございましたけれども、そういう環境を整備することによりまして、業界全体の質の向上に資するよう、ひいては派遣労働者のためになるように取り組んでまいります。

古屋(範)委員 認定制度を年度内に実現していくということでございます。

 派遣会社に登録しようとするときに、たくさんの派遣会社があります。あるいは、非常にテレビCMなどが多い会社があって、では果たしてどこがよいのかという選択をする場合に、こうした認定制度というものがあれば、まずはそこは安心なのだということが明確化すると思います。ぜひ早急に実現をしていただきたいというふうに思います。

 あと少し時間が残されておりますので、今回、キャリアアップの事業が改正案に盛り込まれたということで、若者のキャリアアップ、キャリア教育について少し意見を述べてみたいと思います。

 私も二〇〇三年に初当選をいたしまして、そのころからこの非正規の問題というのが大変クローズアップをされました。

 国においては、二〇〇三年に若者自立・挑戦プランというのを策定されました。また、さらに二〇〇四年には若者自立・挑戦のためのアクションプランを策定されました。また、二〇〇五年には官民の関係者でつくる若者の人間力を高めるための国民会議というものも立ち上げられまして、二〇〇四年には日本版のデュアルシステムというものもつくられました。トライアル雇用という制度も今ございます。

 私も、はっきり言って、議員になりまして、こんなところまで国がするのかなという気持ちも実際にありました。しかし、私たちが就職をしたころ、二十代と比べて時代は大きく変わっているというふうに思います。

 日本では、新卒、新規の学卒労働者市場というものがほかの国と比べて非常に特徴的でありまして、それが一般労働者市場と区別をされておりますけれども、ここが非常に大きく変化をしてきてしまったという現実があります。

 まず、若年人口が基本的には減少してきている。その上で進路が多様化をしてきた。ですから、この新規の労働市場というものが、一つの固まりが希薄化をしている。また、高卒者と大卒者の数が逆転をしたということもあります。また、長期の不況で先行きが見通せないということから、企業の側も、二十代で雇って、それから三十年、四十年雇い続けるという自信がなかなか持てない、これも現実なのかなというふうに思います。また、産業構造が変化をして、即戦力が求められる。求められる人材像というものが大きく変わってきた。

 このような根底的な変化があって、家庭も、また地域もありようが変わってきているというふうに思います。

 私も今二十八歳の息子がいるんですが、社会に出て四年目なんですけれども、就活のときに、東京以外の大学に行っておりましたので、理科系で、修論を抱えながら、一社を受けるのに、説明会から、面接から、試験から、何度も夜行バスを使って東京に出てきて、ですから、たくさんは受けられない。何倍ぐらいなのかと聞いてみましたら、五百倍だと。

 本当に、私たちのころと、確かにそれは、インターネットで登録をしていくわけですから実態はそうではないんだとは思いますけれども、非常に若者も苦労している。根性がないとか甘えているとか、それだけでやはり済まないのが現実なんだろうというふうに思います。

 また、各国のキャリア教育、就業支援、これは少し前の二〇〇六年のものですので今変わっているかもしれませんが、イギリスでは、コネクションズというものがあり、若者を十三歳から十九歳まで支援している。あるいはスウェーデンでは、青年保障といって、ユースギャランティー、二十歳まで全ての若者が後期中等教育を学ぶ権利を有するという制度があって、これが修了していなければ、地方自治体の成人教育のコースにも入れる。あるいはドイツでは、十歳前後から職業教育をしていく。アメリカでも、高校在学中に職業教育を徹底してしていく。イギリスでも、義務教育終了時点で職業教育に力を入れていく。

 日本においても諸外国においても、非常に丁寧に行っていて、本当にここまでやるのかなというくらい行っているわけなんですが、我が国において、さらにキャリア教育、就業支援に力を入れていかなければならないということは私も強く感じております。

 今回の法改正が、若者のキャリアアップ、そして就労支援につながることを期待して、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時三十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十九分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、維新の党、次世代の党、みんなの党及び日本共産党所属委員の御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 理事をして再度御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後一時三十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十二分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 理事をして再度御出席を要請させましたが、民主党・無所属クラブ、維新の党、次世代の党、みんなの党及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 これより民主党・無所属クラブの質疑時間に入ります。

 これにて民主党・無所属クラブの質疑時間は終了いたしました。

 これより維新の党の質疑時間に入ります。

 これにて維新の党の質疑時間は終了いたしました。

 これより次世代の党の質疑時間に入ります。

 これにて次世代の党の質疑時間は終了いたしました。

 これよりみんなの党の質疑時間に入ります。

 これにてみんなの党の質疑時間は終了いたしました。

 これより日本共産党の質疑時間に入ります。

 これにて日本共産党の質疑時間は終了いたしました。

 次に、高鳥修一君。

高鳥委員 自由民主党の高鳥修一でございます。

 あさってからAPEC首脳会談等に御出発前の大変お忙しい中お時間をいただいたことを、まずもって心から感謝を申し上げます。

 総理に質問させていただきますのは、総理が官房長官時代、皇室典範の改正について質問させていただいて以来、八年ぶりでございます。きょうはよろしくお願いをいたします。

 私は、ライフワークとして障害者や難病の方の支援に取り組んでまいりました。厚生労働政務官といたしましても障害者雇用促進法の改正等に取り組みましたが、就労支援というのは非常に大切でございます。これは、生活の糧を得るということと同時に、やりがいとか生きがいに通じます。私の友人の中にも、難病があっても、現在必死になって就労に向けて頑張っている、努力をしている人がいます。

 安倍総理は、障害者の働く場に何度も足を運んでくださり、御理解を示してくださった、実に優しい方だと私はよく存じ上げております。今国会には女性の活躍推進法案が提出されているように、安倍政権では女性や若者の支援にも取り組んでおりますが、こういった雇用の機会を得ることが難しい方々を引き続き支援していくということを安倍カラーとしてもっとアピールしていただきたいと思います。

 そこで、総理に伺います。

 障害者や難病の方も含め、女性も、若者も、高齢者も、あらゆる方が生きがいを感じ、活躍する社会をつくるためには、多様な働き方を実現していく必要があると考えますが、今回の改正法案は多様な働き方の実現に資するものなのでしょうか、御答弁をお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 今回の改正案は、みずからの働き方として派遣を積極的に選択している派遣労働者については、その待遇を改善するなどを図るとともに、正社員を希望する派遣労働者については、正社員への道が開かれるようにするものであります。

 安倍内閣としては、若者、女性、高齢者、難病や障害のある方を含め、働きたいと希望するあらゆる人が社会で活躍の場を見出せるよう、柔軟で多様な働き方が可能となることを目指しております。

 高鳥議員にも大臣政務官としてその方向でしっかりと結果を残していただいている、このように思うわけでございますが、今般の労働者派遣制度の見直しも、その実現に向けた重要な取り組みと考えております。

高鳥委員 時間の関係で、総理にもう一問お伺いをしたいと思います。

 今回の法案につきましては、生涯派遣法案や正社員ゼロ法案といったレッテルを張って批判をされる方がおられます。この点、総理は予算委員会等で、正社員になりたいという希望の方々に道が開けるように支援をしたいと答弁をされておられます。どのように取り組むのか、決意を込めてお聞かせ願いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 一般に、派遣労働者の方々、派遣労働という働き方には、雇用の安定やキャリア形成が図られにくいという面があるのも事実であります。働く人の希望に応じて、正社員化を含むキャリアアップを図ることが重要である、このように考えています。

 このため、今回の改正案では、派遣会社に対して、派遣期間等を通じたキャリアコンサルティングや計画的な教育訓練を新たに義務づけるほか、派遣期間が満了した場合には、正社員になったり、そしてまた別の会社等で働き続けることができるようにする措置を義務づけるわけであります。派遣就労への固定化を防ぐための措置を強化することとしているわけでありまして、また、派遣先に対し、派遣労働者への正社員募集に関する情報提供等を義務づけるとともに、正社員として雇用する場合には、キャリアアップ助成金等による支援に努めていくことにしています。

 このように、今回の改正案は、正社員を希望する派遣労働者については正社員への道が開かれるようにするものでありまして、生涯派遣法案とか正社員ゼロ法案、この指摘は全く当たらない、このように思いますし、こういうレッテル張りはまさに不毛な議論であって、それぞれが柔軟な働き方ができるようにすることによって自己の実現を図ることができる、そういう仕組みをつくっていくことこそ政治の責任であろう、このように考えているところでございます。

高鳥委員 ありがとうございます。ぜひ力強い御支援をお願いいたします。

 大臣に一問お伺いをいたします。

 期間制限についてお聞きをいたします。

 これは今回の改正で最も議論のあるところであると思いますが、平成二十四年の労働者派遣法の改正時に、いわゆる専門二十六業務に該当するかどうかによって派遣期間の取り扱いが大きく変わる現行制度につきまして、派遣労働者や派遣元、派遣先企業にわかりやすい制度となるよう、速やかに見直しの検討を開始することとの附帯決議を自公民の三党で提出し、決議した経緯がございます。ですから、今回の法案は、民主党も賛成した附帯決議を踏まえて提出されたものであります。

 今改正は実態として規制強化を図っているとも思うのでありますが、期間制限の対象がどのように変わるのか、御説明をお願いいたします。

塩崎国務大臣 今、期間制限のことにつきましてお尋ねがありましたが、今まで専門二十六業務と呼ばれていた業務については規制の対象外となっておりましたが、これが実は全体の四二%程度を占めていたわけであります。

 今回の改正案では、業務の区分による期間制限はわかりにくい、そういうことで廃止をいたしまして、全ての業務を対象とした上で、新たな期間制限を設けるということにいたしました。

 この中で、期間の定めのない派遣労働者は比較的雇用が安定しているということなので、期間制限の対象外とすることにしておりますけれども、これは現在、派遣労働者全体の一七%というふうになっております。

 今回の改正案は、期間制限の対象外となる派遣労働者を全体の約四二%から約一七%に減少させて、さらに派遣元の義務も強化をされるということで、全体として、派遣で働いている方への、言ってみれば守るという意味での規制は強化を図られているというふうに考えるべきかなというふうに思います。

高鳥委員 ありがとうございます。

 正社員になることを望む方、これまで同様派遣就業を希望される方、それぞれの希望がかなうような整備に努めてまいることが重要であると考えます。

 我が党といたしましても、全員参加の社会に向けて全力で取り組んでまいりますことを申し述べまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、労働者派遣法につきまして安倍総理に質問してまいりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 これまでも、派遣労働のあり方につきましては何度も見直されてまいりました。今回もまた変わることになるわけであります。派遣法は、とてもわかりにくい複雑な制度であると言われております。そのため、今回の見直しの目的の一つは、わかりやすい制度につくりかえる、こういうことであろうというふうに思います。

 まず、改正案のポイントの一つは、企業の受け入れ期間の制限を事実上なくすということが盛り込まれました。今回の見直しによりまして、派遣先の企業は、派遣労働者を継続して活用ができる。また、派遣労働者にとっては、三年ごとに新しい仕事で能力を磨き、キャリアアップの機会や正社員化への可能性が広がることが期待をされております。

 さらに、専門二十六業務が廃止をされることとなります。派遣会社と無期雇用契約を結んでいれば、どんな仕事でも制限なしで派遣として働くことができることになります。これまでの、業務によって派遣可能期間が異なる現行制度と比べて、これもわかりやすい制度になると言えると思います。

 そして、改正案に、派遣法として初めてキャリアアップ支援策が盛り込まれました。これは大きく評価をいたしております。

 また、派遣会社を全て許可制としております。その上で、新たな派遣先を見つけられない会社は許可を取り消す、適正な雇用管理のできない派遣元事業者は淘汰をされていく、派遣業界の健全化が図られることが期待をされております。

 また、派遣会社に対しまして、労働者派遣への計画的な教育訓練など、キャリアアップ支援が義務づけられました。人材派遣というシステムは、人材派遣会社がキャリア形成支援をしていくことによりまして、働く人々の能力を高め、企業の枠を超えて雇用やキャリアの継続も実現していく。そして、労働者のキャリア形成は、派遣というシステムの大切な社会的機能でなければならない。公的な就労支援だけではなくて、民間の活力も大いに生かしていく、こういうことが重要になってくると思います。

 今回の見直しは、派遣労働者の能力開発やキャリアアップの機会が確保された内容になっています。このキャリアアップ支援を実効性あるものとして、賃金の上昇あるいは正社員の道が確実に開かれることが期待をされております。この点について、総理にお伺いをいたします。

安倍内閣総理大臣 今委員が御指摘になったように、派遣で働く方々も、キャリアアップしたい、こういう希望を持っている方はたくさんいらっしゃると思います。しかし、現行の労働者派遣法では、これまで、派遣で働く方々のキャリアアップを進めるための具体的な措置が定められておりませんでした。

 そこで、今回の改正案では、処遇の改善や正社員化を進める観点から、派遣元、派遣先のそれぞれに積極的な取り組みを求めることとしています。

 具体的には、派遣会社に対して、派遣期間等を通じたキャリアコンサルティングや計画的な教育訓練を新たに義務づけるほか、派遣期間が満了した場合には、正社員になったり、別の会社等で働き続けることができるようにする措置を義務づけるなど、派遣就労への固定化を防ぐための措置を強化することとしています。

 また、派遣先に対して、派遣労働者への正社員募集に関する情報提供等を義務づけるとともに、正社員として雇用する場合にはキャリアアップ助成金等による支援に努めていくことにしています。

 安倍内閣としては、こうした措置を通じて、みずからの働き方として派遣を積極的に選択をしている派遣労働者については賃金等の待遇改善を図るとともに、正社員を希望する派遣労働者については正社員への道が開かれるようにするものであります。こうしたことによって、全ての人が生きがいを持って安心して働くことができる社会の構築を推進していきたい、このように考えております。

古屋(範)委員 現在、パート、アルバイト、派遣など、全体の中で四割を占める時代になってまいりました。この雇用形態別の時給を比較してみますと、やはり直接雇用の非正規社員、パート労働者の方が派遣よりも賃金が低くなっている。つまり、今必要なのは、派遣を含めた正規また非正規の格差をどう是正していくか、この点が非常に重要だと思っております。

 雇用形態がどうであれ、同じ仕事をしている以上、賃金も同じであるべきではないか。同一労働同一賃金が一つの理想であります。この理想に近づけるために、派遣労働者の待遇の均等、均衡を含めた派遣労働者の処遇改善のための調査研究、これも進めるべきではないか。理想形に少しでも近づける努力をすべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 同一労働をしていれば同一賃金が保障されるという仕組みをつくっていくことは、一つの重要な考え方だ、このように私も考えております。

 他方、職務に対応した賃金体系が普及していない、能力や責任の大きさなど、さまざまな要素を考慮して労働者の処遇が決定されることが一般的である我が国の労働市場においては、すぐさまこうした仕組みを導入していくためには、乗り越えていくべき課題があると思います。また、派遣労働者の場合、派遣先のどの労働者と比較するかという課題もあります。

 このため、まずは個々の事情に応じた均衡待遇を推進していくことが重要であると認識しております。今回の改正案において、賃金等の面で派遣先の責任を強化するなど、均衡待遇を一層推進することとしています。

 今回の改正法附則では、法の施行状況等を勘案して、検討の結果、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずることとしています。その中で、派遣労働者の処遇の実態を含め、施行状況を調査した上で必要な措置を講じていく考えであります。

古屋(範)委員 時間が短いものですから、最後の質問になります。

 長時間労働の解消についてお伺いをいたします。

 私もかかわってまいりました過労死防止対策推進法、これが十一月一日施行されました。

 日本の労働時間を見ますと、OECDの資料からも、週五十時間以上働く労働者の割合は、日本では三一・七%、非常に長くなっております。オランダの〇・七%の四倍を超えている現状でございます。ワーク・ライフ・バランス、健康を守るために、長時間労働は解消していかなければなりません。

 このために、いわゆるホワイトカラーエグゼンプション、こちらへの関心が高いわけなんですが、私は、今EUで取り入れられておりますインターバル制度、この検討をすべきではないかと思っております。インターバル制度とは、最終勤務時間から翌日の始業時間まで、一定の休息時間を確保しなければならないという制度であります。

 この働く時間、残業代という賃金システムで抑制するには限界がある。健康の観点を考えて、EUのインターバル制度も含めまして、労働時間の上限は残業を含め四十八時間、このようにEUでは定めておりますけれども、例外的に働く場合にも、二十四時間につき連続で十一時間休息時間を労働者に保障する、こういうことを義務づけております。健康の観点から、上限規制を設ける、あるいはインターバル規制の検討を含め、長時間労働の解消についてお伺いをいたします。

渡辺委員長 簡潔にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 先般の通常国会で過労死等防止対策推進法が成立をするなど、働く方々の長時間労働の是正はますます重要な課題になっています。

 このため、この十一月に過重労働解消キャンペーンを行いまして、重点的な監督指導を実施するなど、企業への対応の強化を図るとともに、法に違反する者には厳正に対処することとしています。

 また、働き過ぎの改善に向けて、長時間労働の抑制策や有給休暇の取得促進策について、関係審議会で検討されているところであります。こうした検討の中で、御指摘の労働時間の絶対上限規制やいわゆるインターバル規制について、EU諸国と同様に導入すべきという主張がありますが、一方、企業活動の柔軟性を保つため、導入すべきでないという主張もあります。労使の間で活発な議論がなされているというふうに承知をしております。

 いずれにせよ、我が国の雇用の実情に即した形で長時間労働を解消し、そして、働く方々の健康をしっかりと守っていかなければならないと考えております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

渡辺委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 質疑を続行いたします。

 これより民主党・無所属クラブの質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕

とかしき委員長代理 これにて民主党・無所属クラブの質疑時間は終了いたしました。

 これより維新の党の質疑時間に入ります。

    〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕

    〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕

    〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕

渡辺委員長 これにて維新の党の質疑時間は終了いたしました。

 これより次世代の党の質疑時間に入ります。

 これにて次世代の党の質疑時間は終了いたしました。

 これよりみんなの党の質疑時間に入ります。

 これにてみんなの党の質疑時間は終了いたしました。

 これより日本共産党の質疑時間に入ります。

 これにて日本共産党の質疑時間は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時一分散会


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