衆議院

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第13号 平成27年5月13日(水曜日)

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平成二十七年五月十三日(水曜日)

    午後一時六分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 赤枝 恒雄君 理事 後藤 茂之君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 松野 博一君 理事 西村智奈美君

   理事 浦野 靖人君 理事 古屋 範子君

      大岡 敏孝君    大串 正樹君

      加藤 鮎子君    木村 弥生君

      小松  裕君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    鈴木 憲和君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      谷川 とむ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    長尾  敬君

      丹羽 雄哉君    橋本  岳君

      比嘉奈津美君    古田 圭一君

      堀内 詔子君    牧原 秀樹君

      松本  純君    松本 文明君

      三ッ林裕巳君    宮路 拓馬君

      村井 英樹君    阿部 知子君

      大西 健介君    岡本 充功君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      山井 和則君    足立 康史君

      井坂 信彦君    重徳 和彦君

      牧  義夫君    伊佐 進一君

      輿水 恵一君    角田 秀穂君

      高橋千鶴子君    堀内 照文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      永岡 桂子君

   厚生労働副大臣      山本 香苗君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   厚生労働大臣政務官    高階恵美子君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  二川 一男君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  新村 和哉君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       三宅  智君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       安藤よし子君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     鈴木 憲和君

  谷川 とむ君     古田 圭一君

  牧  義夫君     重徳 和彦君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     宮路 拓馬君

  古田 圭一君     谷川 とむ君

  重徳 和彦君     牧  義夫君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     加藤 鮎子君

    ―――――――――――――

五月十二日

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

四月三十日

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(伊藤渉君紹介)(第八三六号)

 同(今井雅人君紹介)(第八三七号)

 同(鬼木誠君紹介)(第八三八号)

 同(後藤田正純君紹介)(第八三九号)

 同(細野豪志君紹介)(第八四〇号)

 同(牧原秀樹君紹介)(第八四一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八四二号)

 同(保岡興治君紹介)(第八四三号)

 同(後藤茂之君紹介)(第八四九号)

 同(渡海紀三朗君紹介)(第八五〇号)

 同(野間健君紹介)(第八五一号)

 同(堀井学君紹介)(第八六五号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第八六六号)

 同(吉田豊史君紹介)(第八六七号)

 同(石関貴史君紹介)(第八七〇号)

 同(石田真敏君紹介)(第八七一号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第八七二号)

 同(古賀篤君紹介)(第八七三号)

 同(富田茂之君紹介)(第九〇一号)

 同(根本匠君紹介)(第九〇二号)

 同(船田元君紹介)(第九〇三号)

 同(大平喜信君紹介)(第九一九号)

 同(篠原孝君紹介)(第九二〇号)

 同(中川俊直君紹介)(第九二一号)

 同(山口壯君紹介)(第九三一号)

 同(阿部知子君紹介)(第九三八号)

 同(大見正君紹介)(第九三九号)

 同(濱村進君紹介)(第九四〇号)

 同(田嶋要君紹介)(第九四三号)

 同(階猛君紹介)(第九四六号)

 同(吉川元君紹介)(第九四七号)

 同(吉良州司君紹介)(第九五二号)

 同(小此木八郎君紹介)(第九五六号)

 同(北村誠吾君紹介)(第九五七号)

 同(勝沼栄明君紹介)(第九七八号)

 同(小川淳也君紹介)(第九八五号)

 同(福島伸享君紹介)(第九八六号)

 同(古屋圭司君紹介)(第九八七号)

 身体障害者手帳等級の改善に関する請願(中川俊直君紹介)(第八四四号)

 同(中島克仁君紹介)(第八六八号)

 同(阿部知子君紹介)(第九一四号)

 同(岡本充功君紹介)(第九五三号)

 パーキンソン病患者・家族に対する治療・療養に関する対策の充実に関する請願(木原稔君紹介)(第八四五号)

 同(中川正春君紹介)(第八四六号)

 同(藤原崇君紹介)(第九二二号)

 同(枝野幸男君紹介)(第九五四号)

 同(小此木八郎君紹介)(第九五八号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第九五九号)

 同(津島淳君紹介)(第九六〇号)

 同(中島克仁君紹介)(第九六一号)

 同(金子恵美君紹介)(第九六四号)

 同(馬場伸幸君紹介)(第九六五号)

 同(田所嘉徳君紹介)(第九八八号)

 同(馬場伸幸君紹介)(第九八九号)

 国鉄年金の附帯決議の履行等に関する請願(大畠章宏君紹介)(第八五四号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第八五五号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第八五六号)

 同(小林史明君紹介)(第八五七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八五八号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第八五九号)

 同(階猛君紹介)(第八六〇号)

 同(鈴木貴子君紹介)(第八六一号)

 同(辻元清美君紹介)(第八六二号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第八六三号)

 同(宮崎岳志君紹介)(第八六四号)

 同(横路孝弘君紹介)(第九〇四号)

 同(阿部知子君紹介)(第九一五号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第九四一号)

 同(小川淳也君紹介)(第九四八号)

 同(吉川元君紹介)(第九四九号)

 同(清水忠史君紹介)(第九七九号)

 同(福島伸享君紹介)(第九九〇号)

 新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第八九八号)

 同(吉川元君紹介)(第八九九号)

 同(阿部知子君紹介)(第九〇九号)

 同(大平喜信君紹介)(第九一八号)

 同(本村伸子君紹介)(第九三〇号)

 同(岡本充功君紹介)(第九六二号)

 同(伴野豊君紹介)(第九六三号)

 同(清水忠史君紹介)(第九七三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九七四号)

 同(小川淳也君紹介)(第九八四号)

 憲法を生かして安全・安心の医療・介護の実現をすることに関する請願(梅村さえこ君紹介)(第九〇〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九七七号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員に関する請願(阿部知子君紹介)(第九一〇号)

 同(小川淳也君紹介)(第九一一号)

 同(篠原孝君紹介)(第九一二号)

 同(藤野保史君紹介)(第九一三号)

 同(清水忠史君紹介)(第九七五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九七六号)

 全てのウイルス性肝硬変・肝がん患者の療養支援とウイルス検診の推進に関する請願(中村裕之君紹介)(第九五一号)

 全国一律最賃・時給千円以上の実現に関する請願(穀田恵二君紹介)(第九七一号)

 同(真島省三君紹介)(第九七二号)

 同(池内さおり君紹介)(第九九一号)

 同(清水忠史君紹介)(第九九二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医政局長二川一男君、健康局長新村和哉君、医薬食品局食品安全部長三宅智君、雇用均等・児童家庭局長安藤よし子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。比嘉奈津美君。

比嘉委員 自由民主党の比嘉奈津美でございます。

 本日は、質問の時間をいただき、ありがとうございます。そして、私、厚労委員会で初めての質疑でございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 連休明けて初めての委員会でございますが、私、連休中、中国に訪問する機会がありまして、中国の要人の方々とお話をさせていただいてまいりました。

 やはり日中関係、国交問題であったり尖閣の問題、そしてまたいろいろな歴史問題ということで、非常に日中の中では厳しい関係のお話もありますが、実際にあちらの方々とお話をしておりましたら、彼らは、やはり環境問題であり、そして少子高齢化が、一人っ子政策のゆえの少子高齢化というものを非常に重要視している感じを受けてまいりました。そして、日本に対して、この少子高齢化をこれからどうしていくのかということを非常に関心を持って見ているというふうに感じたところでございます。日本が少子高齢化に向けて、そして介護の問題も非常に言っておりました。そういうことを中国は見ております。

 我々厚労委員会がこれからの日本の少子高齢化、介護の社会をどう築き上げていくかということが、日本と中国のリーダーシップをとれるまたいい仕事になっていくのかなと感じ、きょうは、ちょっと世界に目を転じて、感染症というところで質問をさせていただきたいと思います。

 まず、温暖化による感染症というのが、今回、昨年は日本もかなり拡大して、エボラの世界的な流行であったり、大都会の中心で突然降って湧いたようなデング熱の発生は、国民を非常に混乱させたことだと新しい記憶の中にあると思います。

 デング熱の国内感染、六十九年ぶりだそうであります。延べ百六十名の患者が発生して、今回のデング熱に対する対応は私は非常に適切だったと思っておりますが、何よりすばらしかったのが、この大都会でデング熱を診断された先生がすばらしいなと私は思っております。医療体制がしっかりあるということ、この日本のすばらしさをそこに見たような気がしたニュースでありました。大変失礼ですが、デング熱の話を聞いたときに、すぐ発表できたということはすばらしいことだと思いました。これが、もしあの時点でデング熱を診断できなければ、たくさんの患者さんがまたふえていって困ったことになるのだろうなと思われました。

 しかし、六十九年ぶりのこの出来事で、蚊が媒介する感染症そのものの発生をコントロールすることの重要性に対する認識が我が国では希薄になっていたのではないかなと、個人レベルでも行政レベルでも再認識させたのではないのだろうかと思っております。

 デング熱に関しては、現時点では、特効薬、治療法もなくて、WHOの推計では、年間の死亡者は二万四千人に達すると言われております。

 今回のデング熱の発生から得た感染症全般に対する教訓、対策、そして、ワクチン開発における我が国が果たす役割についてどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

新村政府参考人 お答えいたします。

 デング熱など蚊が媒介する感染症につきましては、御指摘のとおり、国民あるいは地方公共団体の間でも知識や危機感が希薄となりつつあると考えております。このため、蚊媒介感染症対策を強化していくことが必要と認識しております。

 このため、厚生労働省では、昨年のデング熱の国内発生を踏まえまして、本年四月二十八日に、デング熱等の発生予防、蔓延防止のため、関係者が連携して取り組むべき指針を策定いたしまして、また、あわせて、地方公共団体向けに対策の手引もお示ししたところでございます。

 また、研究開発面につきましては、昨年七月に決定されました健康・医療戦略におきまして、新たな迅速診断法等の開発、実用化を二〇二〇年までの達成目標として掲げてございます。現在、日本医療研究開発機構におきまして、デング熱に対するワクチン、診断法、治療法の研究開発を行っております。

 厚生労働省といたしましては、これらの取り組みを総合的に進めることで、関係者の意識も高めながら、感染症対策の底上げを図ってまいりたいと考えております。

比嘉委員 感染症に関しては、交通網が非常に世界じゅう緊密になっておりますので、ぜひ対策をとっていただきたいものだと思っております。

 さて、実は、沖縄の昔の感染症について少しお話しさせていただきたいと思います。

 沖縄は、七十年前の戦火でたくさんの方がお亡くなりになりました。その戦中戦後、実は、マラリア、フィラリアで命を落とした方もたくさんいらっしゃいます。そして、戦後、マイナスの医療からの始まりの中、米軍統治下で、しっかりとした蚊の駆除を行い、公衆衛生の管理を行って、沖縄は長寿の島を形成していきました。

 その中にまた、医療が足りないというところで、戦時中、医師の助手をした人、あるいは衛生を手伝った助手の皆さんを医介輔という位置づけで、医者としてのある程度の仕事を認めることをやってもらった歴史がございます。必ず自分の地域に戻って仕事をしていただく、そういう医介輔制度というものを沖縄は位置づけました。

 そしてまた、米軍式の医師のインターンシップによる医療の充実。これは一九五〇年代、沖縄の米軍の陸軍病院というのは、アジアで一番、東洋最大、東洋で一番水準の高い医療を提供していたそうでございます。そういうところと沖縄県の病院は提携を結んで、ハワイ大学とも連携して、進んだ医療を取り入れていったのが沖縄でございます。そういう病院に日本全国から新卒の先生方を研修に迎え入れて、その先生方は現在でも日本全土で仕事をしているという、この医療環境がございました。

 そしてもう一つ、スーパーナースと呼ばれる、公衆衛生看護婦の存在がありました。有人の島々、小さい島々に、公看さんといいますけれども、この公衆衛生看護婦さんを配置し、特に母子健康の教育に当たらせたのがあります。乳幼児の死亡率削減、あるいは妊婦の健康改善に取り組み、目をみはる成果を上げてきたということでございます。この取り組みがいかにすぐれたものであったかというのは、現在でも、東南アジアやアフリカの諸国から、看護婦さんがこのノウハウを習得するために沖縄に訪れております。

 申し上げましたように、沖縄は、戦後独自の医療環境、公衆衛生の管理があった歴史を持っております。

 沖縄は地政学的にも、アジアにおける感染症を研究、あるいは先進、途上国に対する医療を提供する土地として最適ではないかということで、二〇〇〇年の七月、九州・沖縄サミットで、我が国は沖縄感染症イニシアチブを発信して、地球規模での連携を呼びかけたこともございます。

 そしてまた、昨年、ことしと、国内外から産学官民の感染症対策のキーパーソンが集い、日経アジア感染症会議を沖縄で開催しております。私も出席させていただきましたが、エボラ出血熱の現場で医療に当たった方々のお話をいろいろ聞かせていただきました。アフリカの脆弱な社会基盤、貧困、知識不足、また、遺体を埋葬する前に必ず洗浄しておさめるという風習など、厳しい環境の報告がございました。

 我が国会からも武見敬三先生が参加され、私も分科会で発言させていただきましたが、この会議に厚労省からも出席の方がございました。今、その会議をどう評価されたか、ちょっとお尋ねしたいと思います。

新村政府参考人 御紹介のありました日経アジア感染症会議でございますが、これまで沖縄において二回開催されまして、アジア各国の政府関係者、あるいはWHO等の国際機関の関係者を初め、産官学の関係者が出席していると承知しております。

 この会議は、多くの関係者がアジア域内の感染症対策の重要性と連携の必要性を共有し、また、さまざまな感染症について、国内対策や国際協力のあり方など、多面的な議論を行っており、大変意義深い会議であると考えております。

 過去二回の会議には厚生労働省からも出席させていただいておりますが、出席者から聞いたところによりますと、会議では、感染症のリスクに国を越えてどのように対応していくべきかといった議題について大変活発な議論が行われ、盛況であったと聞いておりますので、今後とも機会を捉えて積極的に参加していきたいと考えております。

比嘉委員 このような会議をぜひ沖縄の地でまた進めていただきたいと思っております。

 今、エボラ出血熱のお話が出ましたが、実は、日本でも幾つかの疑いということがございましたが、一番最初にエボラの疑いがあったのは沖縄なんです。

 これが、十月二十一日以降は、リベリア共和国を含む流行国からの帰国者は、潜伏期間二十一日間、健康状態について毎日二回報告を求められる健康監視対象者に指定されましたが、それ以前の話で、非常に現場はパニックに陥ったということでございます。本人にも一応こういうふうなことを伝えてあったようですが、厳しい規制の中でなかったもので、かかりつけ医を普通に受診して抗菌剤をもらったのですが、全身状態が悪化して中核病院にこの患者さんは行きました。そこで初めてリベリアへの渡航があったということがわかり、大学病院に行ったということでございます。

 こういう状況では感染者を野放しにした状態にほかならず、日ごろから発熱患者に対するトリアージや感染症対策が重要であると痛感させられた一例でございます。

 十一月十一日以降は、健康監視中には直接医療機関を受診しないような指示を行う体制になりましたが、少なくとも海外からの帰国者が来院する可能性はどこにでもあるわけで、その水際対策といいますか、エボラとは限らずいろいろな感染症の水際対策として、厚生省はどのような体制をこれからまたとっていくのか。空港で入ってくるときに熱を、体温を調べるサーモメーターなどございますが、そういうものの活用というのはしっかり行き届いているのか。他国と比べてどうなのか。その辺をちょっと教えていただきたいと思います。

三宅政府参考人 空港等の検疫所におきましては、エボラ出血熱のほか、鳥インフルエンザ、中東呼吸器症候群、MERSなどの国内に常在しない感染症の侵入を防止するため、出入国者に対しまして、海外での感染症の流行状況や対応について注意喚起を実施するとともに、入国者に対しては、サーモグラフィーによる体温測定や検疫官による呼びかけを行い、必要に応じ、問診、検査等を実施するなど、必要な水際対策を行っているところでございます。

 特に、WHOが国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態と判断したエボラ出血熱に対しましては、これらの水際対策に加え、各航空会社に対して、流行国に二十一日以内に滞在した乗客は、空港到着後、検疫官に自己申告するようお願いする旨の機内アナウンスの協力を依頼するとともに、流行国への滞在歴について、入国管理局とも連携を強化し把握に努め、過去二十一日以内の滞在が確認された者に対しましては、一日二回健康状態を確認するなど、必要な検疫強化を図ったところでございます。

 今後とも、海外での感染症の発生状況を踏まえ、水際対策に万全を期してまいりたいと思います。

比嘉委員 まず、国内への侵入経路の遮断はもちろん、水際対策はもちろんのことですが、やはり感染症は、流行の猛威を振るっている現地での予防、治療、そして終息が最大重要課題だと思っております。

 我が国では、エボラの対策支援というのにどれだけの人材を派遣したのか。そして、余り実は人数が多くないというお話を伺っております。人材不足というお話を伺っておりますが、それに対する対処をどうしていくか。

 そして、WHOとしても今後どのような取り組みがあるかということを教えていただきたいと思います。

 また、我が国はどういう責任を果たしていくのか。まとめてよろしくお願いいたします。

新村政府参考人 人材派遣の件でございますが、これまで、WHOの枠組みを通じまして、合計十七人、延べ十九人の日本人の医師の方々がエボラ出血熱流行国へ派遣されておりますけれども、おっしゃいますように、米国等ほかの国と比べますと、派遣人数が少なかったと考えております。

 今般のエボラ出血熱での経験を踏まえまして、現在、関係省庁と協議をして、新たな派遣の枠組みについて検討をしているところでございます。特に、厚生労働省といたしましては、先月二十日から、感染症の危機管理に対応できる専門家を養成するプログラムを開始したところでございまして、今後このプログラムを通じて、多くの感染症の専門家を養成していきたいと考えております。

 また、WHOの動向ですけれども、重要な保健課題であります感染症について取り組みをさらに充実させる意向と聞いておりまして、本年一月に開催されたWHOの執行理事会では、将来の大規模な感染症の流行に備えた対処能力を強化することや、緊急事態対応のための基金の設置などが盛り込まれた決議を採択したと聞いております。

 今後とも、WHOとも協力しつつ、我が国としても、感染症の危機管理に関して国際協力を進めてまいりたいと考えております。

比嘉委員 昨年、我が国が経験した大きな感染症問題、この専門家養成プログラムなどでまた世界貢献に努めていただきたいものだと思います。

 もう一つ、身近な感染症であるインフルエンザについても触れてみたいと思います。

 実は、沖縄はインフルエンザが夏から流行する傾向にあります。沖縄は、安全保障だけではなくて、いろいろなウイルスの問題でも非常に重要地点であるということを御理解いただきたいと思います。

 普通は、温帯、寒帯ではインフルエンザは冬流行するものでありますが、豚や鳥、家畜や家禽が共生する東南アジアでは夏にインフルエンザの流行があり、沖縄はその影響を受けているものだと思われます。

 特異な発症形態の沖縄では、過去十年間にわたり蓄積されたインフルエンザウイルスのゲノム解析が進行しています。より詳細な流行防止策の解明が期待されるところでございまして、実は、沖縄県は、ゲノム解析機、次世代シークエンサーというのが日本でもトップクラスに数が多くそろっております。大学院大学という内閣府管轄の大きな大学がございまして、そこを中心として、ゲノム解析機には非常に進んだところが沖縄でございます。

 もし、この環境を利用して、沖縄県で夏に検出されたウイルスの全ゲノムのシークエンスを短期間で実施できるという体制が構築できれば、ことし本州で冬はやるであろう、このゲノムの解析によって、有効な薬剤というものを決定することができると専門家の皆さんはおっしゃっております。

 沖縄にぜひ、このようなアジアのフロントランナーになる感染症対策の拠点、国際感染症研究センターなどというものをつくっていただけないのかなと思っております。

 今、実はこの三月に、大きな軍用地が返還されました。そこに琉球大学医学部も移転する予定でございます。そういうのに絡めて、感染症の沖縄での対策というものにも、皆様、心をかしていただきたいと思います。

 二〇二〇年にはオリンピックが控えております。多くの方々が行き交う中での感染症対策というものは、日本だからすばらしいものがあったというような結果が出せるように、沖縄をぜひ活用していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今、比嘉先生から、沖縄は感染症研究のフロントランナーになるべし、こういうお話を頂戴いたしました。

 先ほど来、去年のデング熱の発症以来、インフルエンザなどの感染症に関する研究というのがいかに大事か、そしてまた、国内にとどまらず、海外における感染症の発生動向にも目を配りながら進めていくことが大事であって、厚生労働省としては、国立感染症研究所とか各自治体、あるいはWHOなどの関係機関とこれまで以上にしっかり連携をしていかなければならないなというふうに思っているわけであります。

 そんな中で、今御指摘いただいたように、沖縄というのは本州とは異なって夏にインフルエンザが流行するというようなお話も今頂戴をいたしました。そういうこととか、あるいは、先ほどの沖縄科学技術大学院大学、ここに最先端の研究施設があるというようなことはよく承知をしているところでございまして、このような地域性を生かしつつ、感染症対策に貢献をしていただきたいなというふうに沖縄には大いなる期待を持っているところでございますので、また地元でもしっかりそれを盛り上げていっていただきたいというふうに思います。

比嘉委員 ありがとうございます。

 沖縄に振興計画とか新規事業というと、どうしても基地とリンクしているということが言われますが、こういうものは、沖縄はそういう歴史があるということを事実として、感染症センターなどをつくっていただけるとすばらしいかなと思います。

 最後になりますが、このインフルエンザ、歯科医師として一言発言させていただきます。

 お口の中をきれいにすると、インフルエンザに感染しにくくなります。インフルエンザのウイルスは喉の中の粘膜にくっついて繁殖していきます。表に薄いたんぱく質の膜があるんですが、ある酵素がそのたんぱく質を剥がしてしまうとどんどん繁殖するという報告があります。この酵素というのが、口の中の歯垢であったり歯石であったり、そういうものからこの酵素が剥げ落ちて、インフルエンザが繁殖するということでございますので、しっかりお口の中をきれいにしていただくということも感染症予防の一つでございます。

 そしてまた、寝たきり老人の方であったり、もう本当に高齢者の方、歯がなくても、お口の中をきれいにすることによって、誤嚥性肺炎、肺に要らない細菌が入って肺炎になる、それも間違いなく防ぐことができます。何より、歯がいっぱいあると、相手にかみつけますし、物をそしゃくして、歯を食いしばれるというところがございますので、また、歯科の重要性についていかがお考えか、教えていただけますでしょうか。

橋本大臣政務官 お答えをいたします。

 かみつくことが健康とどう関係するかというのは難しい問題だと思いますが、冗談はおいておきまして。

 近年では、口腔ケアが誤嚥性肺炎の発症予防になることが知られるなど、また、先生御指摘のとおり、感染症の予防にもつながるということで、口腔と全身の健康の関係については広く指摘をされているところでございます。ですので、口腔の健康は、国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしております。

 また、こうした認識のもと、平成二十三年に歯科口腔保健の推進に関する法律を成立させていただいております。それに基づいて、口腔保健推進事業など総合的な歯科口腔保健施策を推進しているところでございます。

比嘉委員 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、女性医師の活躍支援と、それから介護休業制度の見直し、この二つのテーマでお伺いをしてまいりたいと思います。

 近年、女性医師の割合がふえてきております。厚生労働省の調査によりますと、平成四年以降、医療施設に従事する女性医師数の推移というものが、やはり毎年千五百人から二千人増加をしているということでございます。平成二十四年末時点でも五・七万人、平成四年当時二・五万人程度でしたので二倍以上となっているわけであります。女性医師の割合も、平成四年には一一・七%、二十四年には一九・六%と増加をしていることがわかります。

 女性医師の場合には、どうしても、妊娠、出産、育児ということを経なければいけないというようなことから、なかなか、特に病院医として就労していくというのが難しい面がございます。しかし、医師不足、医師の偏在化ということを考えますと、やはり女性医師がどう働き続けられるかが大変大きなテーマになってくるのだろうというふうに思います。

 私も、初当選直後から約十年間、この医師不足問題、また特に女性医師の問題については取り組んでまいりました。

 特に小児医療、産科医療の現状を見ますと、女性が小児科医あるいは産科医になるというケースが多いので、やはり、女性医師が働き続けられる、ここのところもいろいろな意味で改善してくるということが期待をされます。当委員会でも何度も取り上げてまいりまして、女性医師バンクへの支援の重要性でも指摘をしたところでございます。

 年齢階級別の女性医師の割合を見ますと、年齢が下がるにつれて女性医師の割合は高くなる。特に二十九歳以下が三五・四%となっておりまして、小児科、産科に限らず、他の診療科においても女性の割合がふえてくるということが予想されます。

 こうした意味で、女性医師の支援の重要性について、まず大臣の御所見を伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 今お話がございましたけれども、現在、医師の約五分の一、そしてまた医学生の約三分の一が女性ということになっておりますけれども、特に女性医師は、今先生から御指摘のように、妊娠、出産などがあってキャリアを中断せざるを得ない場合があるわけでございます。そして、こうした面にも配慮をしながら、女性医師がまた妊娠、出産からカムバックできるとか、そういうような働き続けやすい環境を整備するということが、御本人にとっても、そしてまた我が国全体にとっても、医師確保という面で大変重要な問題だということを厚労省としてもよく認識をしているわけでございます。

 厚労省としては、女性医師バンク、今お話がありましたこの事業や、それから、復職に関する相談窓口に対する財政支援を初め、さまざまな取り組みを進めております。

 さらに、去年の八月に、省内に事務次官をヘッドといたします女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会というのをつくりまして、ことしの一月に報告書をまとめていただきました。その中には、職場の理解とか、あるいは保育環境、復職支援、診療体制、勤務体制、いろいろな面での具体的な提言というものを入れていただいているわけであります。

 今後とも、より一層女性医師が働き続けやすい環境整備に努め、それによって、いろいろな面で女性があるべきシェアを、ちゃんと責任を担っていただくことで社会全体がうまく回っていくようにお願いできたらなというふうに思っております。

古屋(範)委員 今大臣の御認識を伺うことができました。やはり女性医師の活躍の重要性、これに関しては、さまざま取り組みをされているんだろうというふうに思います。

 今大臣が触れられましたけれども、女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会というものを設置されて、この一月に報告書が取りまとめられたところということでございます。私も、いろいろとこれは拝見をさせていただきました。

 この中でいろいろな調査もされているんですけれども、産婦人科医の場合に、やはり、特に二十九歳以下の六八・六%が女性であるというような調査結果も出ております。また、病院に勤務する医師において、短時間正規雇用及び非常勤の占める割合というのが女性の方が男性に比べて多いということも、やはり正規の採用として医師を続けていくことがなかなか女性の方が難しいというような結果も出ております。

 また、視点としても、若い世代の仕事や家庭に対する意識が変化をしている、同僚でもある男性医師も育児とさらにかかわる者がいる、男女とも自身の傷病のため通常の仕事を行うことが難しくなる医師もいる、今後、介護が必要な家族を抱える医師もふえることが見込まれており、女性医師が働き続けやすい環境の整備は、男女にかかわらず、全ての医師のこれらのニーズに応えていくことになるんだろう、そのような取りまとめがございます。

 大臣も女性医師の活躍が非常に重要であるということなんですが、これを具体化していくということが早急に求められていると思います。

 この報告書の中にも、医療機関等における環境整備の進め方として、職場の理解、窓口相談、勤務体制、診療体制、また保育環境、復職支援等について、それぞれの課題と取り組みの方向性が示されております。

 例えば、子育て中の医師が情報交換する場の設置や、院内保育所の柔軟な運営、勤務時間が短い医師の手当、やはりそれを公表する、いろいろな公平感のためとる工夫が紹介をされております。

 この女性医師の活躍について、今後、具体的にどのように進められていくおつもりなのか、それについてお伺いいたします。

二川政府参考人 女性医師の働きやすい環境整備についてでございますけれども、これまでも厚生労働省におきましては、女性医師の復職に関しての相談窓口を都道府県に設置するとか、あるいは院内保育所の整備、運営につきましての財政支援も行ってきてございます。それからまた、女性医師の就労あっせんといったことで、女性医師バンクの事業もやってきているところでございます。

 そしてまた、御指摘のとおり、この一月にまとめられました女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会、ここの提言をいただいているところでございます。また、ここにおきましては、現場の課題や取り組みを、好事例を集めるといったことをこの懇談会を通して行ったところでございまして、この好事例につきましては、現在、既に医療機関あるいは都道府県、いろいろな関係団体を通じまして広く周知をする、こういった事業を始めているところでございます。

 それから、平成二十七年度の新規事業といたしまして、この懇談会の提言も受けまして、復職支援から継続した勤務全体をパッケージとして行っていくということで、女性医師支援の先駆的な取り組みを行う医療機関をモデルとして選定して、そこでの取り組みをアピールするような形で進めていく、その機関自身もやっていただくんですけれども、それを厚生労働省としても支援しながらやっていく、それをまた広く、いろいろなところに広がっていくような取り組みとして進めていきたいというような事業をしているところでございます。

 こうした施策の実施に当たりまして、こういった懇談会報告書の内容を十分生かしながら、女性医師が働き続けやすい環境整備、具体的な策を努力してまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 局長は非常にたくさんしっかり取り組んでいるようにおっしゃっているんですけれども、十年前に比べますと、あのとき何もなかったことを考えると、確かに少しはやっていらっしゃるとは思うんですが、院内保育所の整備や女性医師バンク支援についても、本当にまだまだ完備しているとは言えない状況だというふうに思います。

 今答弁の中でもおっしゃられていた事業なんですが、報告書の内容を具体化したモデルとして、女性医師キャリア支援モデル普及事業を立ち上げられています。本年度予算で約二千万ですね。たったの二千万。モデル医療機関として二カ所、全国でたった二カ所をやっていくということで、やらないよりはいいかもしれないんですが、非常に、形だけといいますか中途半端なものではないかという気がしてなりません。

 せめて、北海道・東北、あるいは関東そしてまた東京、中部、近畿、四国、九州とか、六ブロックごとに一カ所ぐらいはこうした女性キャリア支援モデル医療機関をつくるべきではないかというふうに思います。

 近年、女性医師確保対策というのは、全体のシーリングがかかり、削減をされていく方向にあると思います。ですので、どこまで本当にこれが成功し効果を上げていくのか、ちょっと疑問を抱くところでございます。

 また、これも今答弁で触れられていたんですが、女性医師バンクでございます。

 私も議員になりまして、こういうものをつくるべきだと提案をいたしまして、平成十八年度から、女性医師の復職、転職支援、女性医師バンクを医師会に委託する形でスタートされています。私もスタート時点で参りました。その途中経過も見に参りました。

 最初は、小児科を開業している保坂シゲリ先生という方なんですが、診療を終えて、夜の時間に電話をしたりパソコンをしたり、ほとんどボランティアのような状態でマッチングをやっている。これは余りにひどいんじゃないかということで、これも当委員会で取り上げて、コーディネーターの拡充、また予算も少し拡充をされて、約十年間、ここに至っているわけであります。

 しかし、これが、ことしの一月、総務省からの行政評価というものが出されました。女性医師バンクの就業あっせんの状況が、平成十九年度の四百四十二件から平成二十四年度に百七十八件と減少しているということが指摘をされていまして、就業成立も五十三件から三十六件に減少しているということでありまして、女性医師バンクでは、求職者が希望する就業条件に合った医療機関の紹介が十分にできていなかったことがうかがわれると言われております。就業成立一件当たりの単価が大幅に上昇しているということで、この女性医師支援センター事業の見直しを含め、効果的な離職防止、復職支援方策を検討することということで指摘をされております。

 確かに、この数字は数字なんですけれども、医師の転職というのは、普通の、いわゆる一般的な職業に比べて非常に難しいということが言えるのではないかと思うんですね。

 それで、こちらは単なるマッチングだけを行っているわけではありません。登録された求職者一人一人に対して、現役の医師である担当のコーディネーターがついて、さまざまな、個人の状況に合わせたサポートも行っております。

 各地も、開設当初はこれはなかったんですが、地域からの声を聞く、情報伝達、交換の機会の場として、女性医師支援センター事業ブロック別会議というものを開催しておりまして、また、医学生、研修医等をサポートするための会、女性医師の勤務環境の整備に関する病院長、病院開設者・管理者等への講習会など、多角的な支援を行っております。私もこの情報交換会には出席をさせていただきました。各方面の中心的な大学病院などが核となって、今いろいろな試みをしている。当時から考えれば、非常に大きく進んでいるということが言えるんだろうというふうに思います。

 効果的な離職防止、復職支援、これを検討していくというのは非常に重要なんですが、さらにこの女性医師バンクを生かしていく方向で、ぜひ厚労省としても指導、アドバイスをしていただきたいというふうに思っております。

 この二つの事業について、方向性をお示しいただきたいと思います。

二川政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたとおり、女性医師バンク事業につきましては、従来から、厚生労働省の委託事業という形で、日本医師会において実施をしていただいております。

 女性医師支援センター事業全体として行っていただいておりますので、就労あっせんという事業に限らず、そういうブロック別の会議とか、個別の事情に応じたいろいろな研修その他、そういったような事業も含めてやっていただいているといったことで、この取り組みについては大変重要なものというふうに認識をしてございます。

 一方で、先生御指摘のとおり、総務省の行政評価におきましては、就労あっせんの件数が、まだ十分実績が上がっていないのではないか、こういったような御指摘があるのも事実でございまして、この点につきまして、女性医師の離職の実態、復職に関するニーズを十分把握していくように、こういった指摘も受けておるわけでございます。

 そういった点を受けまして、今年度、もう少しきめ細かく実態の方をよく調査した上で、この女性医師支援センター事業等に生かしていくといった方向で進めてまいりたいと考えてございます。

 また、一方で、先ほども御答弁申し上げましたところでございますけれども、この女性医師支援センター事業のこういった取り組みとあわせまして、新たなモデル事業、こちらにつきましても、ある意味先駆的な事業をしていただくというところを選んで進めていくということで、予算上は今年度は二カ所分ということでございますので、二カ所につきましてまず実施をしてまいりたいと思っております。

 こういった事業がうまく進んでいく場合には、さらに一層こういったようなものを拡充していくようなことにつきましても検討してまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 ぜひとも積極的なお取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 次に、仕事と介護の両立の支援についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 予算委員会で、認知症対策について質問をいたしましたが、何せ十分間でしたので、なかなか細かいところまで聞くことができませんでした。介護が必要な家族、あるいは認知症の高齢者を抱えた家族が、仕事とどうやって両立をしていったらよいのか、これは本当に大きな課題だと思っております。

 厚労省のデータによりますと、働く人のうち、介護をしている人の割合というのが全体で四・五%に上っている、少ない数字ではございません。特に、五十五歳から五十九歳の年齢層では一〇・一%、約一割に上っております。十人に一人が介護をしている。

 この年代層になりますと、会社の中でもある程度大きな職責を担っているということですので、もしここが離職しなきゃいけないとなった場合には、我が国経済にも大きな影響を及ぼしていくだろうというふうに思います。高齢化がさらに進展をし、団塊の世代が七十五歳にこれから突入をしていく、また、希望者全員、六十五歳まで雇用を企業に義務づける改正高齢者雇用安定法が二〇一三年四月に施行されたことなどからも、働く人が介護を担うということが増加をしていくことが予想をされます。

 これは厚労省の委託で行われた調査でございますけれども、介護開始時に仕事をしていた人のうち、介護終了時までに一八・四%の方がやめています。それから、介護開始当時の勤務先をやめた人について、やめた理由。介護とは関係のない理由が三一・八%と多いんですが、次いで、介護による心身の負担が大きく仕事を続けられなかった、二五・九%。労働時間が長く、介護の時間を割けなかった、一六・三%。上司や同僚に迷惑をかけると思った、一五・五%というような結果が出ております。

 現在、仕事と介護の両立支援ということで、介護休業、また介護休暇、介護のための短時間勤務制度などの取り組みが行われておりますけれども、制度の使い勝手が悪いということから、介護休業取得者は三・二%、介護休暇も二・三%。非常にとっている人が少ないのが現実であります。

 また、介護により離職をする、その後の生活の見通しが立たないというふうな非常に大きな問題をはらんでおります。

 こうした介護と仕事の両立につきまして、私も、平成二十五年十一月に本委員会でこの問題を取り上げました。そのときに副大臣から、仕事と介護の両立支援対応モデルを構築して、平成二十六年度予算にその実証実験予算を盛り込んで、両立支援事業の拡充を図るというような答弁をいただいております。本年度六千七百万円の予算がついております。この進捗状況について、まずお伺いします。

安藤政府参考人 御指摘の仕事と介護の両立支援事業でございますが、平成二十五年度に介護離職を予防するための両立支援対応モデルを作成いたしました。そして、平成二十六年度には、百社の企業を対象にこのモデルを導入するという実証実験を行いまして、その結果を踏まえて、企業における仕事と介護の両立支援実践マニュアルを作成したところでございます。

 実証実験に参加いたしました企業の従業員に対するアンケート結果では、現在介護をしている、または将来介護の可能性があるという従業員が、このモデルの一部でございます仕事と介護の両立のための社内研修を受講したその前後で、介護に直面しても仕事を継続できると思う、その割合が増加したというような成果が見られたところでございます。

 今後は、この実践マニュアル普及のために、人事労務担当者を対象にした研修の実施や、広く一般向けにシンポジウムを開催するなどして、これを広めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 ぜひ次の政策に生かしていただきたいというふうに思います。

 最後の質問になりますけれども、現行の介護休業制度でございます。

 介護の対象者ごとに通算九十三日まで認められておりますけれども、同じ病気で一回のまとめどりしかできない。先ほど申し上げたんですが、使い勝手が非常に悪いということで、なかなか利用する人が少ない状況でございます。

 さきの委託調査でも、介護のために連続して休んだ人の四割が、実は介護休暇ではなく年次有給休暇をとっているという結果が出ております。こうした年休、欠勤、遅刻、早退に依存させない、介護休業制度をより取得しやすくしていくということが何より重要であると考えます。

 介護経験者の多くが、介護休業制度による長期の休みを利用する選択をとらないものの、一日単位の年休などの、勤務先で付与された休暇を可能な限り使用することで何とか難局に立ち向かおうと頑張っているわけであります。こうした欠勤とか遅刻、早退は本来なら行うべきではありませんし、また、極めてこれは特殊な事態だというふうに思います。

 特に、介護が必要な中で、非正規雇用者という方が介護のためにやめざるを得ないというような結果も出ております。年休で介護に対応する者が多い正規雇用者に対して、年休を付与されていない非正規雇用者というのは、仕事を休む、欠勤のほかに選択肢がないということで、最終的には仕事をやめてしまうということにもなりかねないわけであります。

 具体的に、病気やけがに一回まとめどりしかできない現行の介護休業を複数回分割してとることができるようにする、あるいは、年五日までの介護休暇も細かく半日や時間単位で休める制度にする、このような改正が必要なのだというふうに思います。

 最後に、大臣の御所見を伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 育児休業・介護休業法で、平成二十一年の改正法の附則の中で、五年後の見直しということになっておりまして、昨年十一月から、今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会というのを開催しております。

 この研究会において、委員今御指摘いただきましたけれども、仕事と介護を両立できる環境整備に向けて、介護休業それから介護休暇、このあり方については、今お話がありましたように、分割取得とか時間単位での休暇の取得とか、柔軟な働き方の充実に資するような、そういう育児・介護休業法の見直しの検討を進めておるところでございまして、本年夏ごろまでに報告書を取りまとめるという予定になっております。

 こうした取り組みをしっかりやって、働く人たちが仕事と介護を両立しつつ、就業継続ができる環境整備を進めてまいりたいと思っているところでございまして、柔軟性が今まで少し足りなかったというのを私も何となくやはり見ていて、それはそうだろうなと、今の取得率を聞いてもそのとおりでありますので、しっかり検討してまいりたいと思います。

古屋(範)委員 地域包括ケアシステムを進めていく上でも、ぜひそれと並行して育児・介護休業法の改正をすべきであるということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 本日は質問の機会を得たわけでありますけれども、冒頭、本日の委員会立て、きのうの午後、夕刻ですか、委員長が職権で立てられたというふうにお伺いをしました。有意義な委員会運営を、そして公正公平に委員会を進めていただくという立場の委員長ですから、ぜひ、こういう形で職権で委員会を立てていくということではなくて、やはり各会派の合意のもと委員会を立てていただくということが充実した審議につながると思います。

 そういう意味で、こうした委員会立てについて、ぜひとも慎んでいただきたい。それは立てざるを得ないときはあるでしょうけれども、さりとて、こういう形で結果として審議が深まらないということになると、私は残念だと思っています。

 そういう意味で、委員長に一言いただければと思います。

渡辺委員長 公正公平に進めてまいります。

岡本(充)委員 公正公平にぜひお願いします。

 その上で、本日、委員会で皆さんにお配りをしようと思ったんですが、テープから起こした紙でありますので、これを大臣にちょっと見ていただきながら質疑を進めたいと思いますので、委員長の御許可がいただければ、これを大臣にお渡しをしたいと思います。

渡辺委員長 許可いたします。

岡本(充)委員 きのうも参議院の委員会でこれは質疑があったようですが、大臣、同じ話です。そんな大きな差はないはずですけれども、これはテープで起こしたものですので、差が、もしこれが違うということであれば、おっしゃっていただければと思います。

 私は何も言葉尻を捉えてどうこう言っているわけじゃないんですよ。大きな、根本的な考え方として、これは一体どういう趣旨で言われたのか。きのう参議院でも答弁されていますから、これは誤解だと。それからあと、きのうの本会議でも答弁されましたかね、我が党の大西議員の質問に対して答弁をされておりますが、理解していただければその内容は正しいんだ、こういう趣旨の答弁をされておられるようです。

 まず確認をしたいんですけれども、この発言の中で私がアンダーラインを引いているところ、いつの発言か議事録に残さなきゃいけないので、平成二十七年四月二十日の日本経済研究センター会員会社・社長朝食会にての御発言だと聞いております。聞くところによると、議事録のない、しかも、場合によっては、オフレコだったという話も聞かなくもないんですけれども、ただ、それが録音されていて、ユーチューブにもアップをされている、こういう状況でありますので、これはあえて聞かせていただくわけであります。

 この発言の中で、高度プロフェッショナル制度については、希望者だけとなればと御答弁されていますが、希望者だけということでよろしいんですか。

塩崎国務大臣 高度プロフェッショナル制度は、年収が平均給与額の三倍を相当程度上回る水準以上の人ということが法律に明記をされるわけでありますが、さらに、これは本人が希望する場合に限ってということで制度を仕組んでいるわけでございますので、そういう意味で、一千万円以上得ている人が全体の働いている人の中の四%ぐらいで、なおかつ、その中の一・五%は役員ですからこれは外れる、そうすると二・五%ぐらい残って、さらにその中で希望をする人でないといないということになれば、なおかつ、専門職であるというか、専門的な技術をお持ちの方になりますから、かなりこれは絞られますねということを申し上げているわけでございます。

岡本(充)委員 大臣の答弁として、希望者、その希望者というのは自発的希望者、そういう理解でよろしいですね。

塩崎国務大臣 法律に「同意を得た」と書いてありまして、同意は、やはり自分の意思で希望をするということでないとならないということだと思います。

岡本(充)委員 同意と希望は違うと思います。

 希望者というのは、基本的に、自発的に希望するんです。自発的に希望するということでよろしいですね。

塩崎国務大臣 いずれにしても、それは自分の意思を持っているということですから、同意をしているということは。

岡本(充)委員 同意は、相手から提示をされて同意をするんです。希望をするのは、自分から言うんです。自発的か、同意をするか、これは違うんです。

塩崎国務大臣 それは最終的に、同意をするというのは、お互いに話し合いをするわけで、御存じのように、これは労使委員会で話し合って決める、五分の四でいろいろな条件を決めていくわけでありますので、そういう意味で、これは、同意をするという意味で、本人もそれから会社もそういうふうに望んでいるという場合に成り立つということだと思っております。

岡本(充)委員 大臣、同意と希望は違うと今説明した、そこだけ答えてほしいんです。

 私は思うんですけれども、不正確なことを言ってみえるから、いや、これは不正確だったと撤回された方が本当にいいと思いますよ。不正確ですから、そういう意味で。

 もし撤回されないのなら、希望と同意は明らかに違う、それは、大臣、お認めいただいた方がいいですよ。自分から言ったって、それは確かに最後は同意ですよ。でも、希望というのは、相手から言われて希望することはないんです。

塩崎国務大臣 何度も申し上げますけれども、本人が希望しなければ同意はないと思うんですね。単に希望ということと同意とは違うじゃないかという意味ではそれは少し違うと思いますけれども、これは、御存じのように、職務記述書というのによって、合意に基づいて職務が明確に定められるわけでありますので、この合意は、本人がこれでいこうという希望するものを持っていない限りは、やはり合意はしないんだろうというふうに思います。

岡本(充)委員 大臣、同意をするのは、最終的に同意に至ることがあっても、最初が希望からスタートするのか相手から提示されるのかで話は違うんですよ。だから、希望者だけという話じゃないんです、これは。

 だから、やはり正確じゃないですよ。そこは認められた方がいい。正確じゃないと今言われた、だから、ここは撤回すると言われた方が潔いと思いますよ。その方が、私、老婆心ながら、後々の審議のためにもいいと思う。だから私はそのように提案をさせていただくんです。

 もう一度、どうしても強弁されるなら、希望と同意が明らかに違うということ、今指摘をしたことに対して、明確な御答弁を求めたいと思います。

渡辺委員長 塩崎厚生労働大臣。(発言する者あり)

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 いろいろなケースがあると思うんです。おっしゃるように、両方から話があって最終的には合意に至るわけであって、基本的には、総理も何度も言っていますけれども、本人が希望する場合ということを何度も言ってきました。我々としても、これは、合意に基づく職務記述書というのを書くわけでありますから、そこのところは、希望しなければ合意には至らないだろうということを言っているので、単純に、今お話をしているように、同意に至るというのと希望とは違うじゃないかという意味において、国語の意味においてはそうかもわかりませんが、最終的には、合意は合意だというふうに思います。

岡本(充)委員 正確じゃなかったんですから。国語の意味と言うけれども、これは法律なんですから。

 やはり、議事録がない話だから、正確性を欠いていたから撤回しますと言われたら、もうこんな話は終わるんですよ。

 大臣、そこまでこれはこだわらなきゃいけない話ですか。撤回されたらどうですか。

塩崎国務大臣 オフレコで言ったことを撤回するというのは余り聞いたことがないので。そもそも、こういうものがなぜ出てくるのか私には全く理解できないので。事務局は、記録も録音もありませんという話だったので、これが本物かどうかというのはわからぬわけですよ。

 したがって、正確性……(発言する者あり)静かにしていただけますかね。静かにしてください。

 オフレコですから、これは。オフレコ講演ですから。

 それで、正確性をもっと持つべきだったということにおいては、法律用語を使ってやるというのが多分一番正しいので、そういう面では岡本先生のおっしゃることはそのとおりだと私は思いますが、しかし、何度も申し上げているように、この働き方の多様化を導入しようというときに、本人が希望する場合ということは、何度も総理も言ってきたことでありますから、そういう意味で私は申し上げている。

 委員会質疑でこういうことであれば、希望じゃなくて、法律によると同意だということであれば、それはそのとおりだと思います。しかし、オフレコでやった講演で、紙も何もなしにしゃべっていることを、このような形で追及を受けるというのもいかがなものかな、それが決定的に何か、公序良俗に反するようなことを言っていれば別ですけれども。

 ですから、おっしゃるように、正確性をもっと期せということであれば、今後はそうしたいと思います。

岡本(充)委員 だから、今回のこの発言は……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛に。

岡本(充)委員 オフレコとはいえ、既に世の中に出回っちゃったんです。それは不幸な話だと思います、正直。大臣の立場に立てば、僕は民主党ですけれども、そんたくすると、いや、本当にどうしてこんなのが出ちゃったんだろうと思っていると思います。それは私も理解します。ただ、出てしまった以上は、この発言はやはりちょっと問題があったので、これについては撤回をしますと言われた方が後の話が随分楽なのに、何でここにこだわるのか、私、わからないんですよ。

 ですから、もうこの話は、正確性を欠いていたので撤回させていただきます、そう言っていただけませんか。

塩崎国務大臣 朝食会で講演をするときに、条文を持って、これをかざしながら講演をやっているわけでは全くないんですね。

 それで、総理はどう言っているかというと、そういう働き方を希望する働き手のニーズに応えるためということでこの制度を導入しているので、そういう意味で申し上げているので、わかりやすさを優先してこういうことを言っている。

 どのくらいの人数なのかというイメージを皆さんはわかっていないから、まるで、残業代ゼロ法案だと言って、みんなが残業代ゼロになっちゃうんじゃないかみたいなイメージにとられているから、実は、一千万円以上もらっている方々というのは四%ぐらいしかいなくて、その中の役員を除いたら一・五%なくなって二・五残って、その中で、正確に言えば同意をする人ですから、それは同意をしない人がいるだろうし、希望もしない人もいるだろうから、そんなにはたくさんいない話なんですよということをわかりやすく言ったつもりなんですね。

 ですから、それを撤回するとかなんとかいうような話では私はないと。ここで言ったことならば、もちろん、先生の言ったことを、どうするかというのは、それはちゃんと考えなきゃいけないと思いますけれども、過去の、オフレコでしゃべって、なおかつわかりやすく理解してもらおうと思ったことについて撤回をせいというのは、ちょっといかがなものかな。

 それは、では、総理がずっと今まで、本人が希望する場合というようなことを言ってきた、これも撤回しろということになってしまいますので、そこのところは少し幅を見て考えていただいたらと思います。

岡本(充)委員 その総理の発言は、いつの発言ですか。

塩崎国務大臣 これは、例えば閣議決定されている日本再興戦略の中でも、「時間ではなく成果で評価される働き方を希望する働き手のニーズに応えるため、」こうなっています。

岡本(充)委員 総理が発言されたのはいつですか。

塩崎国務大臣 いろいろなところでおっしゃっているので、いつというのは、今、手元にはございません。

岡本(充)委員 恐らく、それは閣議決定する前だと思いますよ、法案を。

 まあ、一度調べていただきたいと思います。それでまた御報告を求めます。結局通告できなかったので調べることができなかったんだろうと思いますので、それはぜひお調べをいただきたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、では、この発言、大臣、正確性を欠いていたから撤回するという言葉は、撤回できないと言われるのであれば、適切な表現を使っていない発言だった、そこは認められますね。

塩崎国務大臣 法律では同意と書いてありますが希望される方のことですというふうに言っておけばよかったかなというふうに思います。

岡本(充)委員 そこまでこだわられる理由がわかりませんが。

 もう一つ聞きたいんですけれども……(発言する者あり)いや、続きを聞いていかなきゃいけなくなるので。不適切だったという話になればこれで終わるんですよ、ほかの質問に移るんですけれども、これを聞いていかなきゃいけない。本当に残念な話です。貴重な委員会の時間で、この話だけじゃないんですけれども、しかし、どうしてもこの御発言にこだわられるというのであれば、聞いていかざるを得ない。

 そもそも、この文章、しゃべられているうちに、いろいろ言われていますけれども、主語は一体誰なんだろうと。話題となっている、我々としては小さく産んで大きく育てるという発想、この我々としてはの我々は、厚生労働省ですね。としては小さく産んで大きく育てるという発想を変えてと書いています。その発想をこれまで持っていたのは厚生労働省、こういうことでよろしいんですか。

塩崎国務大臣 全く違っていて、私は、きのうも何度も申し上げましたけれども、言った当人が中におられるかもわからない中で講演をしないといけなかったわけですから、少しえんきょくに、遠回しに、礼儀を余り失しないぐらいに、ちょっと言わなきゃいけないことは言わないといかぬなと思って、このことを私は申し上げました。

 ですから、石橋議員から最初に、講演をやった次の次の日に委員会で参議院で聞かれたときにも、小さく産んで大きく育てると言いましたかと言うから、一切そういうことは言っていませんと言いました。

 その趣旨は、今の御質問……(発言する者あり)静かにしていただけますか。

渡辺委員長 やじに答えないでください。

塩崎国務大臣 我々としてはと言っているのは、ですから、きのうも何度も申し上げて、議事録を読んでいただいてわかっていると思うけれども、その上で聞いているんだろうと思いますが、小さく産んで大きく育てるというのは経済界の人たちの一部が言っていたことなので、こういう考え方は変えてもらって、そして、いただいたものは必ずしも正確に起こしていないなと思いますけれども、一番最後のところに、とりあえず通すことだと言って、合意をしてくれるとありがたい、大変ありがたいと言っているけれども、これは、応援してもらえるとありがたいなんですね。

 実はこれは、だから、もう黙って、我々が審議をお願いしているものがベストだと思って出しているのですから、はっきり言えば、余計なことを言わないで、これで通してください、こういうことを申し上げたかったので、目の前にいる人たちには多少やわらかく表現をしたつもりで、このような表現になったということであります。

岡本(充)委員 それは大臣、二段落目なんですよ。最初の丸までのところは、文章の主語は、どう考えても、我々としては小さく産んで大きく育てるという発想を変えて、その次が、時間法制ではかからない、労働時間法制はかからないけど、健康時間ということで別の論理で健康はちゃんと守って、だけどむしろクリエーティビティーを重んじる働き方をやってもらうということで、まあ、とりあえず入っていくのでと。入っていくのは誰かといったら、厚生労働省ですよ、政府ですよ。そういう意味では、ここまでずっと主語は厚生労働省なんですよ、この話し方は。いや、そうですよ。大臣が言われたのは、この二パラ目ですから。

 だから、この話は、大臣はそう言われるけれども、小さく産んで大きく育てるという発想を変えてと言っている主語は、厚生労働省ですよ。だから、これはおかしいと言っている。

 さらにもう一つ、線を引いている、クリエーティビティーを重んじる働き方をやってもらうと書いているけれども、これは別にクリエーティビティーを重んじる働き方じゃないですよね。成果と時間が連動しない、成果の考え方はクオンティティーだと言った。それはもう確認したんですよ、ここで。それにもかかわらず、クオリティーだと言っている。だから、これはやはり発言がおかしいですね。

 いやいや、もう今、アンダーラインのところに移っているんです。

塩崎国務大臣 アンダーラインというのは、この黄色いマーカーのことですか。(岡本(充)委員「はい、そうです」と呼ぶ)

 クリエーティビティーを重んじる働き方というのは、これは、職務の範囲が明確で高度な職務能力を有する労働者を対象にするということは、何度も日本再興戦略の中を含めて言ってきていることであります。

 この高度な職務能力を有するということは、他の方々とは少しやはりレベルの違う能力をお持ちの方がそういうクリエーティブな仕事をされるから、他の方々と違って、それを成果として、時間じゃなくて成果で評価をしていただけるような新しい働き方をつくったらどうですかというのが再興戦略の提案だというふうに思いますし、今回御審議をいただくこの法律も、そういうことで組み立てられているというふうに思います。

岡本(充)委員 時間と成果が連動しないという整理だったですよね、高度プロフェッショナルの法律を出すときの話。大臣と成果の話を大分したと思います、覚えてみえると思いますけれども。そのときに、定量的かつ客観的にはかれるものだ、こう答弁されている。にもかかわらず、ここで話しているのは、またクリエーティビティーな働き方でこの高度プロフェッショナルが始まるという話になっています。そうじゃなくて、しっかり量と客観性がある仕事であるということでなければこの制度は適用されないとここで答弁されているじゃないですか。

 ということでいえば、この話も、先ほどの希望と同意の、言葉の違いだと言うかもしれませんけれども、正確性を欠いている、これはお認めいただけますよね。

塩崎国務大臣 朝食会では法案審議をやっているわけじゃないので、どういう働き方をイメージして今回の法律の御審議をお願いしているのかということを、わかりやすくお話をしたつもりでございます。

 したがって、成果で評価をする、時間を長くかければいいというわけではなくて、成果を出していただくということは、成果を出すということは、やはり、なかなか普通の働き方では出てこないような力を持った方が頑張っていただけるようなもの、もちろん、その成果というものをどう評価するかというのは、もう理事会にも紙を提出させていただきましたけれども、そういう定量的なものをこの職務記述書に合意を得て書き込むわけですね。

 そこで出てくる成果というのは、クリエーティブなものでなければそれは一般の働き方をする方と同じですから、それじゃ余り意味がないので、やはり他の方々と違うことをやれる人たちで、だからこそ高い報酬を得られる人たちですよね。

 ですから、こういう新しい働き方を初めてやってみようじゃないかということでスタートをしようということでございますので、我々としては、こういうものをやることが、これからの日本の新しい力になるような、そういうものを生み出していける人たちの働き方の一つになればありがたいなというふうに思っているところでございます。

岡本(充)委員 金融商品のディーリング業務、これがクリエーティブな仕事という話なのかどうか。私は定義が違うと思いますよ。それは、能力は高いという意味では認めますよ。そういう意味で、いわゆる価値、量ではかれない価値がやはりクリエーティブなものだという言葉の意味だと私は思います。

 いずれにしても、正確性を欠いているという意味においては、やはり、この発言も含めて、大臣、正確性を欠いていた、誤解を生む発言であったということだけは、最後、お認めになられませんか。

塩崎国務大臣 新しい働き方はどういうものなのかというイメージをつかんでいただくためにお話をしているので、正確性を欠いていたとは全く私は思いませんし……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛に。

塩崎国務大臣 再興戦略に書いてあることをそのまま、私はちょっと違う言葉で申し上げただけの話でありますので、撤回するとかなんとかいうことは全く考えておりません。

岡本(充)委員 最後に指摘だけしておきますけれども、この発言、かなり「まあ」という言葉を使っていて、全部で六回、この短い間にしゃべっている。まああれでとか、まあとりあえずとか、まあ、まあと言っているんですけれども、まあこれと言っているんですが、「まあ」という言葉がどういう意味なのか。自分がしゃべっていることに自信がなかったり、もしくは埋める言葉が見つからないときに出てくる言葉なんですけれどもね。

 そういう意味では、私は、こういう発言でも、やはり大臣ですから正確な発言をしてもらわないことには困るということ。やはり、聞いている側だって、大臣の発言だと思って聞いていますからね。結局、国会に行って、あれは正確性を欠いていた部分があったという話になったんじゃ、かわいそうだと思いますよ、早朝から来られている方。

 ということを最後に指摘して、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、山井和則君。

山井委員 二十五分間質問をさせていただきますが、こういう職権という形で委員会が立てられ、お経読みがされようとしていることに、まず抗議をさせていただきます。

 早速質問させていただきますが、きょうの配付資料にもありますが、五月四日、ドイツに塩崎大臣、行かれました。

 御記憶にあるかと思いますが、私も国会で質問しましたが、ドイツでは、二〇〇三年にハルツ改革というのをしまして、日本の今回の派遣法と同様に、派遣の上限期間を撤廃したわけですね。その結果、どういうことになったか。

 ここにグラフがございますように、二〇〇三年から二〇〇八年にかけて、三十三万人だった派遣労働者が七十九万人に、たった五年間に倍増したわけですね。派遣上限期間を撤廃すると派遣労働者は爆発的にふえる、こういうことをドイツは実証した。

 その結果、二〇一二年に、ドイツでは、これは大変なことになった、派遣労働者、貧困な若者がふえ過ぎた、ワーキングプアがふえ過ぎたということが問題になって、再び、一年六カ月の上限を入れようということを、方向性を提示したわけであります。このことを国会で私は昨年の秋に質問しました。

 それを受けて、今回、塩崎大臣はわざわざドイツまで行って当時のハルツ改革の担当大臣と会ってくださったわけですね。ここに写真が出ております。九ページ。

 それで、私も、ああ、よく行かれたなと思いまして、二時間、昼食をとって話をされたということですから、大臣が話をされたんですから、当然議事録があると思います。それで、議事録を出してくださいと言ったら、議事録がありませんと。

 ドイツのハルツ改革がどうだったかというのは、これはもう本当に今回の法案審議でも重要だし、日本の国民みんなが知りたがっているわけです。なぜ上限期間を撤廃したら二倍に派遣労働者がふえたのか。恐らくそういう議論をされたと思います、二時間の中で。それで議事録を出してくれと言ったら、議事録がありませんと。

 それで、出てきた議事録が、何と、十ページ目、「概要 連邦議会労働・社会委員会のバルトケ議員と会談し、日本とドイツの労働政策や社会保障政策について、幅広く意見交換を行いました。」

 いや、そうじゃないんですよ。中身の議論を教えてくださいと。公務で行かれているわけですからね。どんな議論をされたんですか。

塩崎国務大臣 今の山井議員のお話を聞いていると、御存じじゃない方は、私が山井議員に言われてドイツに行ったかのようになっていますが、全くそんなことはございません。

 今回のメーンの目的は、第四回日独高齢化シンポジウムに参加をするために、これは田村大臣のときにもう既に受けていたんですけれども、それで、私は、去年の十一月に東京でお会いをしたときに……(山井委員「端的に答えてください。そんなこと聞いていませんから」と呼ぶ)いや、全く不正確なことをおっしゃって、皆さんにそれが刷り込まれるとまずいものですから。

 そういうことで、そのシンポジウムに参加をするのが目的でありました。

 当然、実はバルトケ議員と昼飯を食いましたが、スタートは、今回はこの第四回日独高齢化シンポジウムで参りましたと。そこから高齢化の話をたくさんしました。御存じのように、ドイツは日本と同じように介護保険を持っています。この話がやはり一番多かったし、それから、私のホームページにも書いてあるように、年金の問題、つまり社会保障全般の問題ももちろんありましたし、そのときは、たまたまイギリスで王女が誕生したというようなことでそういう話もしましたし、もうあらゆる話をしたわけでございます。

 その中で、ちょっと訂正をしなきゃいけないのは、私のホームページに書いてあるのは、当時の労働・社会大臣であったバルトケ議員と書きましたが、これは完全に間違いでございまして、大変失礼しました。彼が連邦議員になったのは二〇一三年、おととしでございました。彼は州のレベルの職員をやっていて、その州政府の大臣室にいたというのがこのハルツ改革があった時期でありましたので、おわびをして訂正をしたいというふうに思います。

 それで、この方はもともと弁護士でありまして、いろいろなことがあって、なおかつ、この方は日独議員連盟の副会長であり……(山井委員「関係ないことはいいですよ」と呼ぶ)何の話をしたかと言うから答えているんですから、聞いてください、黙って。(山井委員「短くていいです。端的に」と呼ぶ)いや、いろいろたくさん話したものですから、いろいろたくさん話さないと、何を話したかわからないじゃないですか。

 だから、日独議員連盟の副会長もされている方で、日本については大変造詣の深い方でございました。ですから、城内代議士の話まで出てきて、よろしくなんということも言われたぐらいでありました。

 その中で、ハルツ改革についても、実は私はシュレーダーファンでありまして、ハルツ改革というのはすばらしいなというふうに思って、シュレーダーさんと私は、一昨年の十二月にシンポジウムにも一緒に出させてもらったことがあります。学ぶところがたくさんある改革だなというふうに思っておりました。

 私は、そのときに派遣の話が入っているということは知りませんでしたが、それは山井先生に教えていただいたメニューであって、むしろ我々は、失業給付の期間を短くする、額も減らす、そういうようなことをよくSPDのような、労働組合をバックにされる政権ができたな、やはりシュレーダーさんというのはすごい人だなというふうに私は思って、感銘を受けたのを覚えているわけであります。

 それで、たくさんのお話をした中で、ごく一部でありますが、ハルツ改革というのは、シュレーダーさんはすごい人ですね、私も尊敬する政治家の一人ですということでお話をしたわけでありまして、本当は今の労働・社会大臣にお会いをする予定だったんですが、残念ながら、キャンセルになってしまいまして、お会いできなかったので、大変残念だったわけであります。

 そういうことで、いろいろなお話をしました中で、ハルツ改革も、一部でありましたが、お話をしたところでございます。

山井委員 この議事録、あるはずです。大臣が公式に訪問して、議事録がないなんてことはあり得ませんから。これは理事会に提示してください。委員長に要求します。

渡辺委員長 理事会で協議いたします。

山井委員 それでは、もう一点に移ります。

 今回、一つ、私たちが審議に応じられないと言っている大きな理由は、厚生労働省の担当者が派遣法を早期に成立させないと大量の失業者が出るという虚偽のペーパーを国会議員にばらまいた、こういう大事件が起こっているわけです。その実物はここにあります。

 塩崎大臣、この虚偽のペーパー、「予想される問題」「一〇・一問題」「大量の派遣労働者が失業」、このペーパーは厚生労働省の公式なペーパーですか。

塩崎国務大臣 これは、何度ももう御説明申し上げておりますけれども、担当課が法案説明などで議員に呼ばれたときに、その際に、施行日のことについて聞かれる場合に適宜使っていた補足資料として作成されたものだということで、当時の厚生労働省の、これは去年の冬ぐらいだろうというふうに思いますが、厚労省の公式な見解ではなく、担当課が説明に回るときに、必要な場合に使っていたペーパーだというふうに理解をしておるところでございます。

山井委員 公式な見解じゃないペーパーをどうして配っているんですか。

 では、大量の派遣労働者が失業するというこれは、厚生労働省の見解じゃないんですか。

 厚生労働省の見解ではない、この法案が早期に成立しなかったら派遣労働者が大量に失業する、そういう厚生省の見解でもないペーパーを担当職員が国会議員に配って施行日の説明をして、許されるんですか。この大量の派遣労働者が失業するというのも厚生労働省の見解じゃないんですか。

塩崎国務大臣 山井先生も与党であったときがあったはずでありまして、役人の人たちがどういうふうな資料を準備して説明に回って、まあ、使う場合もあれば使わない場合もある、各種資料を複数枚持ちながら回るということがしばしばだと思います。

 その際に、さっき申し上げたように、施行期日の問題が出たときに説明として使っていたというのがこのペーパーのようでありまして、私が初めて知ったのは、二月の二十三日に足立議員が資料としてお出しになったんですね。そのときに私は初めて、ああ、こういうものがあったんだということを知って、それで、御指摘のように、内容が不正確だったり不適切だったりするものがあるので、私は、これはおかしいじゃないかということを指摘いたしました。それ以降は、ですから、配付をしていないというふうに私は理解をしております。

 担当にも聞いていますけれども、このときに初めて表に出てきたわけでありますので、我々としても、これは不適切だということで使用をしなくなったということでありますが、そこからまた二カ月近くたったときに、四月の十六日に民主党の部門会議において厳しい御指摘をいただいたというふうに聞いておりまして、その後、四月の二十三日、四月の二十八日、民主党の部門会議で大変厳しく糾弾をされたというふうに聞いておるところでございます。

 それで、四月の二十三日には、今度は参議院で共産党の小池先生がやはりこれをお使いになったということでありまして、その後に、四月の二十八日に、今度は民主党の部門会議で津田議員から、正式な厚労省の見解を紙にして出せというふうに御要求がありまして、そこで、今、この下半分に入れていただいていますペーパーをお出ししているということになっているわけです。

 私としては、これについて知らなかった局長、部長、それから本人の課長には厳重注意をして、今後こういうことが一切ないようにしてもらわないと困るということは厳しく指摘をしておったところでございます。

山井委員 ということは、部長と局長は知らなかったということは、派遣法の担当課長が独断でこのペーパー、つまり、大量の派遣労働者が失業するという虚偽のペーパーを課長が独断でつくって国会議員に配付したと。

 そんなことが許されていいんですか。うそのペーパーじゃないですか。

 これは、塩崎大臣、担当課長がいつつくって、どの議員に配付したのか、そして、今、これが間違いだ、不適切だったと認められましたが、ということであれば、まいた先の議員に、このペーパーはうそでしたということはちゃんと説明しているんですか。

塩崎国務大臣 先生、少し極端過ぎるので、これが全部うそだとか、そんなことを言っても余り意味がないと思うんです。私が申し上げているように……(山井委員「結論がうそじゃないか」と呼ぶ)御発言のときは手を挙げてお願いします。

 今申し上げているように、やはり不適切な表現があるということは私でも指摘をしているわけでありますから、そこが全部うそだとかなんとか言うんじゃなくて、だからこそ、この下になっているわけで、これを御比較いただければ、どこが不適切だったかは一目瞭然だと思います。

 したがって、繰り返し申し上げますけれども、不正確だったり不適切だったりするところがあるし、誤解を招くようなところもあるので、これを直せということを言ったわけでありますが、直す前に、もう使わなかったわけですけれども、どうしても出せということで民主党の部門会議で御指摘もあり、また共産党からも委員会で取り上げられたので、それでこういうような形でつくり直して、本来、施行期日について説明をするとするならば、やはりこういう形の、先生がお配りいただいている下のバージョンでお配りをして説明をすべきだったなというふうに反省をしているところでございます。それはもう率直に反省をしているところでございます。

 そういうことで、私が知らないぐらいでありますから、多分、先生方も、与党の先生方も見たこともないというペーパーだったので、適宜、使えるときに使った、使うべきときに使った、そういうことでありましたが、それについて、我々が見ていなかったということは問題だということで厳重注意をした、こういうことでございますので、御理解を賜れればありがたいというふうに思います。

山井委員 厚生労働省のペーパーというのはそんな軽いものじゃないですよ。このペーパーを見たら、大量の派遣労働者が失業するというペーパーを見たら、この法案を通さないとだめだと普通思うじゃないですか、そんなもの。これは大変な虚偽ペーパーですよ。そんなうそのペーパーを担当課長が配って国会議員にうその説明をすることが許されるんですか。私は、これは法案審議の前提が崩れたと思いますよ、施行日の説明のペーパーがうそだったわけですから。

 それに、違法派遣だったら十月からみなし雇用が発動するということですけれども、違法派遣だったら、みなし雇用を発動するのは当たり前じゃないですか、そういう法律になっているわけですから。違法派遣を取り締まるのが厚生労働省の仕事じゃないんですか。それを、このままいったら違法派遣になるから法改正させてください。ブラック企業を合法化させる、何で担当課長がブラック企業の言い分を代弁して回っているんですか。おかしいじゃないですか。

 塩崎大臣、この派遣法の改正法案、二回廃案になっていますが、九月一日に施行するという説明のためにうそのペーパーを担当課長が配った、このことは大問題ですよ。

 塩崎大臣、改めて言います。派遣の労働者が失業する、これが厚生労働省の公式見解なんですか、違うんですか。違うんだったら、うそのペーパーを配ったということですよ。

塩崎国務大臣 繰り返し申し上げますが、これは、担当課において、施行日の補足資料として作成されたものであり、厚生労働省の公式見解ではございません。

 ただ、不適切な表現が、先生今御指摘のようなことがあったので、これはおかしいじゃないかということを、私が知ったのは二月でありますが、足立先生の御質問のときに初めて知りましたので、そこからは使っていなかったんです。ですから、この与党の皆さんも見たこともないペーパーで、説明に必要ならば使ったことがあったというぐらいのことであります。

 ただ、先生に今御指摘をいただいたように、これは誤解を招いていますから、したがって、この下の、本来あるべき姿のものに直して、これは衆参の厚生労働委員会のメンバーには全員お配りをさせていただいております。

山井委員 これは、二枚の比較をしてもらったら、何が違うか。もともとの課長ペーパーでは、「訴訟が乱発するおそれ」となっているんです。こっちでは乱発というのがなくなっているんです、訴訟のおそれになっている。さらに、「派遣事業者に大打撃」とか、「派遣先は迅速に必要な人材を確保できず、経営上の支障が生じる」とか、二十六業務、全体の四二%、約五十万人の派遣の受け入れをやめる可能性がある、これもなくなっているわけですよ。ということは、このペーパーの結論はうそということじゃないですか。

 このペーパーを使って与党の法案審査をやっているわけですよ。塩崎大臣、このペーパーをどこに配って、いつ作成して、どういう理由で配ったか、その経緯を全部書面で理事会に提出してください。そうしないと、今も塩崎大臣が認めたように、不適切な、丁寧に言えば不適切、直接言えばうそのペーパーですよ。大量の失業者が生じるといううそのペーパーを配って法案審査をした、こんな法案、審議できるはずがないじゃないですか。しっかりと、そして責任の所在を明確にしてください。担当課長が、うそのペーパーを配って、大量の派遣労働者が失業するとうそのペーパーを配ることは、大臣、許されることなんですか、こんなことは。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、これは、うそではなくて、不適切な表現が幾つかあって、こういうことは、使ってもらっては困るということを私が指摘いたしました。

 したがって、誤解があってはいけないと思って、お配りの下半分のものをつくり直して、つまり、法案審議をお願いする厚生労働委員会の先生方にはまず全員にお配りをしましたが、もとの、課長が適宜つくって必要なときだけに配っていたものについては、大量に配ったわけでもなく、与党の先生方も見たことがある人はほとんどいないという程度のことでございますが、それがたまたま野党の足立先生が資料としてお使いになって、それは多分、説明を受けた際に使われたものとしてお使いになっているんだろうというふうに思うところでございます。

 したがって、何度も申し上げますけれども、この当初のペーパーについては、大変申しわけない限りであるからこそ、この下半分のようなものに、実は使ってはいなかったんですけれども、あえて、つくれ、つくり直せという御指導、御指摘がありましたので、四月につくり直した、こういうことでございますので、御理解を賜りたいというふうに思います。

山井委員 今、塩崎大臣は使っていなかったとおっしゃいますが、私はかなり多くの議員から、このペーパーで説明を受けたという話も聞きましたよ。だから、誰に説明に行ったのか、何枚使ったのか、いつつくったのか、しっかり説明してください。

 さらに、今回の改正案、九月一日施行ですよ。今五月ですよ。どう考えたって早過ぎるじゃないですか。その理由を、大量の派遣労働者が十月までに失業するからということで説得した。ところが、そのペーパーはうそだった、不適切だったということは、九月一日に施行する根拠のペーパーが不適切でうそだったということは、その根拠が崩れたじゃないですか。ということは、もう一回この法案審査は、し直さないとだめですよ。

 ですから、塩崎大臣、九月一日施行という根拠が崩れたわけですから、もう一回法案審査をゼロから、与党審査をやり直すべきだと思いませんか。塩崎大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 何度も申し上げたように、これは大量に配ったわけではないということで、ですから、与党の先生方も余り知らないということで、もし見たことがある人がいたら手を挙げていただきたいぐらいであります。

 そこで、もともと、いわゆる二十六業務に該当するか否かで派遣期間の取り扱いが大きく変わる期間制限の問題点については、民主党政権下の平成二十四年の改正法案の成立時に与野党で共有をされていて、わかりやすい制度とするように検討すべき旨の附帯決議があったわけであります。

 それに従って今回は法律を改正させていただいて、現行制度のもとでの労働契約申し込みみなし制度が施行された際に生じる派遣先のリスクとか、それに伴い派遣の受け入れをやめる可能性など、経済界の実際の声を聞いた上で、それを踏まえて、この改正案をなるべく早期に国会で御審議いただくことが必要であるということを説明するために補足的に作成し、また、一部使用をされていた。

 表現はともかく、何しろ不適切なものがあったことは、先ほど来、繰り返し認め、なおかつおわびを申し上げているわけでありまして、これについては、私どもとしては、反省を深くしているところでございます。

山井委員 だから、何枚、誰に配られて、どういう使い方をしたのかということを理事会に報告してください。それが審議の前提です。

 さらに、ここに「経済界等の懸念」と書いてあるんですよ。ところが、聞いてみると、配付資料の六ページにあるように、では、労働界はこの一〇・一問題についてどう思っているのかといったら、何と、厚労省は「労働界の認識については、承知していません。」と。実際、労働界に聞いてみたら、一〇・一問題は、違法派遣のところがみなし雇用を発動されるのは当たり前じゃないですかと労働界は言っているわけじゃないですか。

 労使の調整をやるべき担当課長がなぜ経済界の言い分のペーパーを、それも虚偽のペーパーを配って与党の法案審査をしているんですか。それによって与党の法案審査が終わった法案というのは欠陥があるわけじゃないですか。はっきり言って、この中でももらっている人を私は聞いていますよ、何人も。

渡辺委員長 山井君、申し合わせの時間が過ぎておりますので、質疑はやめてください。御協力をお願いいたします。

山井委員 はっきり言いますが、与党の皆さんもこれはばかにされているんですよ、間違ったペーパーを配られているんですから。大体、与党の皆さんも、大量の派遣労働者が失業というペーパーを見て、変なペーパーだと思わないとだめですよ、こんなものは。

 そういう意味では、私は、与野党を超えて、これは国会議員に対する大変な行為であると思います。私たちは厚生労働省を信頼しています。信用しています。だから真剣に向かい合っているんです。ところが、担当課長が不適切なペーパー、はっきり言ってうその内容のペーパーを配って法案の根回しをする、そんなことは、国会の歴史上、私は前代未聞だと思います。法案の審議が始まる前に、このことに関してはきっちりと決着をつけていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

渡辺委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 民主党の中島克仁です。

 本日の委員会立てにつきまして、先ほど我が党の議員からもございましたように、職権での委員会立て、大変問題があるなというふうに思いますし、まずもって抗議をさせていただきたいと思います。

 そして、先ほどから、昨日衆議院の本会議に上程をされた労働者派遣法、この件についても、一月の厚労省担当課長の物扱い発言から、さまざまな、昨年の条文ミス、そして残業代ゼロ法案に至っては、先ほども質問がございましたように、オフレコとはいえ、多くの方々の目に触れることに対して余りにも軽はずみな言動が続いておるなというふうに思いますし、やはり働く人の立場に立って厚労省、大臣もいてもらわなければいけない中で、私は、前回、前々回、引き続いて介護報酬の件をずっと質問させていただいてきたわけであります。

 介護報酬のマイナス改定で、地域に根差した介護事業所は本当になくなってしまうんじゃないか、そして一方では、処遇改善を大きな声でアピールいたしますが、一体どのくらいの介護従事者の方々が処遇改善されるのか全くわからない。

 そのようなことの中で、私がなぜそこにこだわるかということは、前回、最後の質疑のときにお話をさせていただきました。

 そう思う一つの理由が、平成二十四年の十一月に始まったキャリア段位制度、私、この経緯が大変問題があるというふうに思いますし、今後のあり方そのものに疑念を感じざるを得ないということを申し上げました。

 きょうは引き続いてその件について御質問させていただきたいわけですが、このキャリア段位制度は、平成二十二年に新成長戦略、実践キャリア・アップ制度の一つとして計画され、閣議決定されたキャリア段位制度です。平成二十四年の十一月から始まって、本年の四月から厚生労働省に移管をされたわけです。

 大臣に改めてお尋ねいたしますが、このキャリア段位制度の目的、そして今後何を目標にするのか、端的にお答えください。

塩崎国務大臣 もともとこれは内閣府でやっていたものでございまして、介護事業所とか施設に勤務をする介護職員の実践的な職業能力を評価、認定するという仕組みを構築することで、専門的な人材を育成そしてまた確保して介護人材に厚みを持たそう、こういうことで考えられたというふうに理解をしているところでございます。

中島委員 では、端的に。

 今回、処遇改善加算がされましたが、このキャリア段位制度を、キャリアアップ、技能の見える化をして、最終的に介護従事者の処遇改善、職員の確保につなげるということでよろしいでしょうか。

塩崎国務大臣 キャリア段位制度の導入について、これを研修に関する要件としているじゃないかという御質問かというふうに思いますが、これは取り組みの一例として例示をしているところでございまして、いわゆる職場環境等要件という中の「資質の向上」という項目の中で、「研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動」というのが例示として書いてございます。

 これを、キャリア段位への取り組みを行わなければ加算を算定できないものとかいうことでは全くございませんで、各介護事業所は、その実情に応じて要件を満たすための取り組みを実施していただければと思うわけでございまして、今申し上げたように、研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動ですから、研修を何らかの形でやっていただければ、それはそれで、リンクをしていれば、資質の向上という意味で、職場環境を改善しているなということになるというふうに理解をしております。

中島委員 だから、結果的に処遇改善、人材確保につながるものと。

 前回の質疑の中でも、大臣は答弁で、本制度については、キャリアアップの仕組みとして国家的にこれを運用し、そしてまた事業所における処遇改善にもつなげていくとはっきりおっしゃっているわけですよ。だとすれば、この二年半の間にこれがどう処遇改善、人材確保につながっているのか。

 改めてお尋ねしておきますが、今後進めていくに当たって、今後の目標はどう設定されるおつもりなのか。これは前回も質疑で申し上げましたが、資料の一枚目にも出ております、当初の目標は、二〇二〇年までに十三万人程度、創設後三年、ことしの三月までに二万人程度という目標を立てておられるわけですが、今後、この制度、厚生労働省に移管をされて継続されていくに当たって、どのような目標を立てられているのか、お尋ねします。

塩崎国務大臣 これは今まで、三月末までですかね、内閣府でやってきたわけで、今お話が出ました各年度二万人程度の認定者の育成を目指すというものが、内閣府において取り組んできた二十四年度から二十六年度まで、四、五、六と三年の累計でアセッサーを七千八百十七人養成ということで、大分目標とは違うということになっているわけであります。

 この年度から厚生労働省で引き受けることになったわけでありまして、これについては、目標についてもまだこれから検討するというところでございます。

中島委員 いや、目標がないというのはやはりおかしいと思うんですよ。

 だって、認定の前提となる、先ほどお答えになられましたが、評価者七千八百人になったとおっしゃいました。当初の目標は、認定者約二万人です。それが、三月現在のところで四百二十八人。制度創設以来、毎年一億五千万ぐらいの補助金が出されているわけです。この目標が全くクリアされていない。そして、今回、厚生労働省に移管をされた。

 多額の補助金が支払われて、さらには、これは平成二十四年の評価レビューにおいて一旦廃止という評価が出ていたにもかかわらず、それが復活された理由が、既存の資格制度との明確化、これは介護福祉士ということになると思いますが、もう一つが目標設定、二〇二〇年までに十三万人、そして初年度から三年度の間に二万人という目標を立てて復活したわけです。

 大臣にお尋ねをいたしますが、では、この目標設定ができなかった、この責任は、そもそもの目標が高過ぎたということなのか、それとも、この事業を委託されたシルバーサービス振興会、こちらに問題があったのか、どのような認識をされておられるんでしょうか。

塩崎国務大臣 内閣府がやってきた、他の役所がやってきたことでありますので、余り他の役所のやってきたことについて軽々な評価をしてはいけないというふうに思いますが、いささか目標が過大であったような感じは否めないというふうに思っております。

 それはやはり、政府主導でやってきたものでありますので、これを請け負っているのがシルバーサービス振興会ということでありますから、これは政府がしっかりしなければいけないということだというふうに思います。

 今、先生、補助金の話が出ておりましたけれども、内閣府時代、これは二十六年度、この三月末まででありますけれども、一億二千五百万円が補助金として渡っておりました。これを、厚労省としては受けるに当たって圧縮をいたしまして、今その約四分の一ぐらいになっておりまして、二千九百万円でやるということでございます。手数料があるわけでありますから、この運営の努力というものも大事なことでございますので、今後は、そういうことも含めて、どういう目標を立てるべきかということをつくり直しをしなければいけないということで、今鋭意検討をしているところでございます。

    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕

中島委員 先ほども申し上げたように、そもそも、一旦、評価プロセス、レビューの中で廃止と決まったものを、当初の三年間で二万人というものを一つの設定として、ゾンビのように復活したわけです。そして、実際に三年たってみたら、補助金は先ほど一億二千万と言いましたが、この三年間で四億を超える補助金が出されているわけですよ。

 その評価もせずに、この事業自体がそもそも今後継続するべきなのか、そして、多額な補助金が支払われているにもかかわらず、それが事業者の不実行のせいなのか、その責任の所在もはっきりしないというのは大変私は問題があるというふうに思うわけです。

 そして、この四月から厚生労働省に移管をされるに当たって、委託される事業者の選定が公募で行われたわけです。前回、私、四月二十四日の質疑の前日にこの公募状況を厚労省に尋ねたところ、現在選考中だということでお答えにならなかったんです。しかし、二十四日の質疑のときに、このキャリア段位制度の事業が引き続きシルバーサービス振興会に決まったということをこの委員会の中でお答えになられたんです。

 改めてお尋ねをいたしますが、今回の公募、何社が応募をされて、どういう基準でそのような選考がなされたのか、お答えいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 二十七年度における介護キャリア段位制度に関する事業を実施する事業者の選定のお話を今御指摘になられました。

 介護職員資質向上促進事業公募要領というのを策定いたしまして、本年三月二十三日から四月六日まで公募をいたしました。

 この要領で定めた応募要件については、例えば、補助事業を行うために必要な専門性を有していること、中立性、公平性を確実に有していることとしておりますけれども、株式会社、NPO、そういうものも含め、幅広い事業者が応募できるものとしておりました。

 結果は一者の応札ということでございまして、公募は厚生労働省のホームページにおいて全国に公開をしたほか、事業者選定のための評価委員会を設置いたしまして、外部有識者による評価も行った上で事業者を選定したことなどから、公平、中立に手続を進めてきた、また、踏むべき手続は踏んできたというふうに考えておるところでございます。

中島委員 シルバーサービス振興会一者しか応募をされていないんです。

 そして、今大臣お答えになりましたが、その選考の基準というのが、事業内容、事業の実施体制、事業経費の効率性、専門性などを採点方式ということであったというふうに聞いておりますが、この目標の設定をこれだけ下回っておいて、三年間で四億を超える補助金を使って、当初二万人の目標だったのが四百人。どこが効率性があって実施体制が整っているというふうに判断できるんでしょうか。しかし、応募は一者しかなかった。

 先日、前回のときもお話をいたしましたが、資料の三枚目、このシルバーサービス振興会の理事長は、厚生労働省の元事務次官、水田氏、そして常務理事は、これもやはり厚労省OBの中井氏。この水田氏が就任したのは平成二十四年の六月二十日です。まさにこの事業が、評価レビュープロセスによって廃止から、そして新たな設定を設けて復活した。そして、二十四年の十一月といえば、政権交代のあった衆議院選挙が行われた、その十一月にこの事業は始まっているわけです。

 私が先ほど言った今回の目標設定、これは当初、平成二十四年のときの公募は実は八者出ているんです。でも、先ほど、この設定に無理があったのか、それとも事業者の責任なのかと尋ねたんですが、そもそも最初から実行できないような設定をして、シルバーサービス振興会が、三年後には厚生労働省に移管されることを見越して選定をされたのではないか。(発言する者あり)

 今、声が上がりましたが、昨年、ちょうど一年前にJEEDの問題がございました。それと非常にオーバーラップする。うがった見方をしなくても、この構図、どう考えてもちょっといかがわしいんじゃないかと思わざるを得ないわけです。

 そして、今回、補助金は確かに厚生労働省に移管されて二千九百万に減りました。

 今まで認定料が七千百円、さらにはこの四月から、アセッサーと呼ばれる評価者、この講習にもお金を取る。さらには、大臣、前回の答弁で、国家的にこれを運用していくということであれば、認定料、前回のときも言ったんですが、本腰を入れて本当に二万人やったとしたら、それだけで一億四千万ですよ。さらには、キャリア段位制度、四段階あって、一段階上がるたびにその七千円が発生して、評価するアセッサーにもこれからお金を取っていく。

 この三年間は補助金が毎年一億五千万ぐらい出ているが、その後は本腰を入れてやればいいじゃないかと。

 最初からこれはできレースと言わざるを得ないんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 いろいろなストーリーは築くことができると思いますけれども、私どもとしては、これから地域包括ケアシステムを推進して、地域で暮らし続けることができる高齢社会というものをつくろうと。その中で大事なのはやはり介護の人材をしっかり確保することだということでありますので、そういうことで内閣府から今回これを受けたわけで、もともとこれは民主党政権が、廃止すべきというのが多かった仕分けの中で、抜本的に再検討を行うということで、結論として、介護分野と省エネ分野と食の分野、この三つに限定をしてパイロットプロジェクト的に被災地において重点的に実施をするというようなことを、当時の岡田副総理、中島先生の民主党の今の代表がおっしゃったわけです。

 では、これをどうやって本当に地域包括ケアシステムの中で生きる制度にできるかということをこれから考えなきゃいけないことでありまして、今お話がありましたような、シルバーサービス振興会が利益を上げようとかいうようなことではないと思っていますが、しかし、効率が極めて悪い、今先生から御指摘があったとおり、目標を達成できないということでは全く役に立たないわけでありますから、これをどうやって本当に役立つ制度にしていくかということを、これから我々としては、厚労省で請け負った以上、しっかりとやっていかなければいけないというふうに考えているところでございまして、それで今鋭意精査中でございます。

中島委員 いや、大臣そうおっしゃいますが、国家的にこれを進めていったら、必然的にシルバーサービス振興会の利益につながるわけですよ。

 そして、これは資料の五枚目ですが、平成二十七年三月三十一日付、要は、厚生労働省に移管をされて、一旦、公募の経過を経るといったときに、シルバーサービス振興会から各関係事業所に出された資料なんです。丁寧に言葉を選んで書かれておりますが、最後の段落、「なお、今後、当会としては、これまでの事業実績を踏まえて、厚生労働省による実施機関の公募に応募する予定でおります。」と書いてあるわけです。

 これは、先ほど申し上げたように、そもそもできもしない設定を立てて、ここにしか事業ができないような仕組みとして、そして今後、三年後を目指して、今回も応募は一者しかできない。このような、先ほども言ったできレース。

 さらには、大変問題意識として持つのは、ただ勝手にやっているだけならいいわけですが、先ほど大臣も少し触れられましたが、これは介護報酬とも多少なりともリンクしておるわけですよ。キャリアパス要件、処遇改善のその要件の一つにこのキャリア段位制度が含まれているわけですよ。

 今までは、これは私も調べましたが、各事業所、小規模も含めて、このキャリア段位制度をほとんど知らないです。だからこそ認定者が三年間で四百人しかいないわけですけれども、もし今後、先ほどの大臣の言葉どおり、国家的にこれを進めていくという話になって、厚生労働省が一旗上げて、各自治体に、これを取って、そうしないと処遇改善できませんよと言ったら、あっという間に取らざるを得ない状況をつくり出せるわけですよ。

 これは、できレースどころか、私がうがった見方をしているのではなくて、多くの皆さんも、私も十人に聞いたら十人、これはちょっとおかしいよと言うわけですよ。これがもし本当だったら、とんでもないことですよ。

 これはちゃんと、この経緯、そして今後のあり方、しっかりと調査をするべきだと私は思います。

 そして、これは一般社団法人なんです。ここから透けて見えるのは、この水田氏は、厚労省を退職された後、京都大学のiPS研究所に行った後、平成二十四年の六月にこのシルバーサービス振興会に就任をしているんです。さらには、会計検査院の監査も入っていないんです。

 そうじゃないと言い切れますか、大臣。

    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎国務大臣 先ほど来申し上げているように、利益を上げるようなことであれば当然これは料率を下げなきゃいけないわけであって、そういうことで私どもとしてはお願いをしているつもりでございますので、内閣府から受けたばかりで、まさにこれから、どういう目標にし、どういう仕組みで新たにやっていくのか。

 そして、先ほど来申し上げているように、介護保険との関係も全くないわけではありませんけれども、しかし、先ほどの、このキャリア段位制度をやらなければ加算がとれないとかそんなことは全くないわけであって、そういうことはないわけでありますので、私どもとしては、毎年きちっとしたチェックを入れて、これからの新しい制度設計をする中で、そのとおりにやってもらえるように私としては指導していかなきゃいけないというふうに思います。

中島委員 これは現段階でちゃんと調査してクリアにしなきゃいけない問題だと思いますよ。

 これは、私も調べようとしたんですが、独法ではないですから調べられないんですよ。

 ちょっと要請したいんですが、平成二十六年のシルバーサービス振興会のキャッシュフローの明細、損益収支書、さらには、税務申告の明細書、役員報酬の明細、この提示を求めたいと思いますが、委員長、お願いいたします。

渡辺委員長 理事会で協議いたします。

中島委員 大臣が本当に、これはあくまでもうがった見方で、そんなことはないと言うなら、やはりこの問題はしっかりと明白にしていただきたい。

 今回、介護報酬の最大幅のマイナスをして、そして処遇改善と大きな声で言っておきながら、一体どのぐらいの人が出るかわからない。

 一方で、そういった介護現場、その足元を見て、真面目に働く方々のその現場を食い物にして一部の人たちが利益を得るような構図が本当にないとはっきりと言えるのかどうか、まずは明確にしていただかないと、介護現場も派遣の方がたくさんおられるわけです。そういう状況の中で、冒頭にも言いました、労働者派遣法も残業代ゼロの件に関してもそうです、厚生労働省のその姿勢が余りにも軽々しく感じる今の現状の中で、その問題がクリアにならなければやはり労働問題について審議することはできないと私は思います。いかがでしょうか、大臣。

渡辺委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

塩崎国務大臣 我々としては、今年度から厚労省として受けるわけでありますから、今先生から御指摘のあった点を含めてしっかりと調べて、先ほど来申し上げているように、今まで十分な力を発揮できなかったこの制度でありますから、本来の期待されている力を出せるような制度にすべく、我々としても調べてまいりたいというふうに思いますし、計画も立てていきたいというふうに思っております。

中島委員 質問を終わります。

渡辺委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美です。

 まず、きょうの委員会が委員長の職権によって立てられたことに対して抗議をしたいと思います。

 公平公正な委員会運営でしっかりと審議時間をとり、多くの国民が注視する中でこの委員会が運営されていかれますように、冒頭、ぜひ要望をさせていただきたいと思います。

 先ほど来、我が党の議員からさまざまな質問がありましたけれども、例の一〇・一問題のペーパーについて、私からも一言申し上げたいと思います。

 この内容は、なぜこの法案を九月一日に施行しなければならないかという理由を説明する、私はやはりこの法案の肝となる極めて重要なペーパーだと思っています。

 それが、派遣労働者の約四二%が失業するかもしれないという記載があるものがその理由として示されていたわけですので、誤った情報によって、言ってみれば、この法案を九月に施行しなければいけないという理由が浸透させられてしまっているというところがやはり私は大きな問題だというふうに思います。

 その中身についてもいろいろあるんですけれども、まずは、このペーパーの作成そのものについて、実は今、阿部委員からもメモをいただきまして、私も、この作成の経過についてはやはりいま一度明らかにしていただきたいというふうに思っています。

 一つは、作成のための会議が、いつ、何回、出席者が誰で、ペーパーの原案を作成した担当者が誰で、何種類つくったのかということ。

 そして二つ目には、ペーパーとして成案を見た後の処理。決裁のプロセスや最終責任者は誰であったのかということ。

 そして三つ目は、実際の使用状況。どの議員に、いつ、誰が配付したのか、また、そのとき受けた質問や意見はどのようなものであったのか、それは伺いたい。

 そして四つ目、最後として、撤回までのプロセス。これは誰の判断で撤回をすることにしたのか、決裁者の責任や管理者の責任はどうであったのか。

 これは公文書のあり方として非常に重要なものだというふうに思いますので、ぜひこの点については理事会の方に提出をしていただきたいというふうに思います。

渡辺委員長 理事会で協議いたします。

西村(智)委員 それで、私はきょうは、政務三役の皆さんのこの連休中の海外出張についてお伺いをしたいと思っています。

 先ほど山井委員からの質問で、塩崎大臣、ドイツを訪問されたと。出張というのは、大体、予定したものが予定していたとおりにいくばかりではないから、会いたいと思っていた人に会えないということもありますし、また急な変更もあるかというふうには思いますけれども、やはり大臣が出張されるということであれば、事務方は相当力を入れて日程調整を事前にするものだというふうに思うんです。

 それで、会えなかった方がいらっしゃるというのはとても残念なんですけれども、少しお伺いをしたいのは、政務三役の出張について、やはり行ってこられた後ですから、どなたと会って、どういう話をしてきて、またどういう成果が得られたのかということについてはお伺いをしたいと思ってお伺いするんですが、塩崎大臣、ドイツ、スイスへ出張された五月の五日に、ILOの事務局長、そしてWHOの事務局長、また世界エイズ・結核・マラリア対策基金の方々との会談が予定されていたかというふうに思いますけれども、このお三方とは会えたでしょうか。

塩崎国務大臣 おかげさまで会えました。

西村(智)委員 それでは、ILOの事務局長はガイ・ライダーさん、私も、ITUCの書記長であったときに一度お目にかかったことがあります。非常に見識の高い立派な事務局長さんだというふうに思いますけれども、彼からは、日本の法律の成立過程について何か言及はありましたでしょうか。

 つまり、今回のこの通常国会に提出されている、一つには労働者派遣法、そしてもう一つは労働基準法、この成立過程と申しましょうか、法案作成過程でいいますと、私は、やはり労政審の議論というのはかなりないがしろにされてきているというふうに見ているんです。

 一つは派遣法ですね。労政審で建議が出てきたものをベースに法案はつくられているということなんですけれども、この通常国会で出てきた修正された法案は労政審は通っていません。

 もう一つ、労働基準法は、これはもう労働側からの反対意見が付されているということですから、やはりILO条約で言うところの政労使三者構成原則、これは今、日本の中ではかなり危うくなってきているのではないかというふうに懸念をしているんですけれども、その点、ILOで何かおっしゃられましたでしょうか。

塩崎国務大臣 労政審のロの字も出なかったです。

 むしろ、アベノミクスはすばらしいという話をガイ・ライダーさんがおっしゃって、世界経済のあり方について随分お話がありました。特に、アメリカ経済はまあまあ成長しているけれども、中国がスローダウンをしているとか、いろいろお話がございましたが、しかし、これは西村先生も政府におられたからわかると思いますけれども、外交というのはやはり言っていいことと言って悪いことがございますので、なかなかそういうことをたくさん言うわけには、私としても、先方の了解を得ないとお話ができないというふうに思います。

 何をお話ししたかぐらいは、テーマぐらいは、お話はもちろん私の一存でも大丈夫かと思うので申し上げれば、日本の経済、それからアメリカ、中国、ヨーロッパ、そして南米の経済、さすがに、我々はついつい南米とか中南米の話を忘れてしまいますけれども、世界の経済の動向というものに物すごく敏感で、よく考えていらっしゃるんだなと。中で、日本の経済の再生というものには大変な関心を持っておられて、アベノミクスがどこまでやれるのか、うまくやっていただけるのかということを期待を持ってお話をいただいたというふうに思いました。

西村(智)委員 大臣の出張ということですし、また、先ほどの山井委員の質問の中で、議員の方とお会いになったときにも秘書官はちゃんとついていっておられますよね。議事録といいましょうか、議事録的なメモぐらいは、私はそれは残っているんだというふうに思います。ILOの事務局長との会談でも、それは恐らく作成をされているというふうに思います。

 この二つについて、議事録、まあ議事録ということになりますとちょっと大部になるのかもしれませんけれども、そのあたりは、海外出張ということで秘書官が一緒についていっている会談ですので、メモぐらいは出てくるのではないか。それは要求をしたいと思いますけれども、いかがですか。

塩崎国務大臣 これは先生も御存じで言っているんだろうと思いますから、外交の常識として、そういうものを出すということはまずあり得ないというふうに思います。

西村(智)委員 いや、あり得なくないですよね。それはお互いに了解をすれば出せる話ですし、逆に、アベノミクスのことについていいと言っていられる会談であれば、それはむしろ出させてくださいというふうに頼むべきではないかと思うんですけれども、そこはぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 今回の連休中の大臣の出張の成果を検証するという意味でも、そこは非常に大事な部分だというふうに思いますので、いま一度検討してくださるようにお願いをいたします。

 続いてですが、橋本大臣政務官、連休中に日・ニュージーランド若手国会議員招聘プログラムというのに参加されていらっしゃいますね。これはどういうプログラムですか。

橋本大臣政務官 お答えをいたします。

 日・ニュージーランドのプログラムですけれども、これはニュージーランド政府が行っている事業でございまして、若手の国会議員として、今回、私がそのお招きをいただいたということでございます。

西村(智)委員 何人くらい参加されているんでしょうか。

橋本大臣政務官 私一人でございます。

西村(智)委員 どういう経過で橋本政務官のところに声がかかりましたか。

 これは海外出張というふうに出ておりますので、厚生労働省経由で声がかかるべき話ではないかと思います。また、そうでなければ、いわゆる一般的な政務ということであれば、声がかかっても、私の常識でいうと、そこはやはり辞退をするという流れになるのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。

橋本大臣政務官 今回については政務でございます。経緯は、ニュージーランド政府の方で御判断をいただいたということでございます。

西村(智)委員 政務官でいらっしゃる方が相手国からの政府の招聘で海外に行くということは、私は余り聞いたことがないんですね、実は。それはかからないことが多いと思いますし、仮に声がかかったとしても、政務ではないどなたかが行かれるという方が、そこはやはり適切だったんじゃないかというふうに思っております。

 これは、費用はどういう形で支出されたんでしょうか。

橋本大臣政務官 本来、政務でございますので、政務官としてお答えをするべきことかどうかとまず思います。

 と同時に、先ほどお話をいただきましたように、ニュージーランド政府のプログラムということは既に御承知のことと思います。費用はニュージーランド政府の方で支出をいただいているものと承知をしております。

西村(智)委員 このゴールデンウイークは、衆議院で国民健康保険法等が上がった直後でありました。たしか政務官はその担当でいらっしゃったというふうに思います。連休が明けて、いよいよ労働者派遣法の本格的な議論が始まるという中で、また、参議院でいろいろな法案があるという中で、厚生労働委員長も今回ゴールデンウイークは海外出張はされなかったそうでもありますし、そこはやはり少し自制をしていただくべきだったんじゃないかというふうに私自身は思っております。

 行ってこられたということですし、向こうの政府の招待ということですので、それは、ここから先、例えば議事録を出してくださいとか、誰に会ったというふうな話を聞けばよろしいんでしょうけれども、それをやっているとかなりまたこれだけで時間を食ってしまいますので、そこは省略いたしますけれども、ぜひ橋本大臣政務官には、政府としての自覚、今回、とにかくこの厚生労働委員会にはたくさんの法案が付託されているし、されようとしております、その自覚を持ってぜひ公務に当たっていただきたいというふうに思っております。これは私の要望でございます。

 もうお一方、永岡副大臣にお伺いしますけれども、永岡副大臣は、この連休中、どちらに行ってこられて、何をされてこられたのでしょうか。

永岡副大臣 お答えいたします。

 このゴールデンウイーク、厚生労働省の公務ではなくて、政務としてタイに行くことがございました。

 厚生労働副大臣として、この場でいろいろその内容についてお答えする立場ではないのかなというふうには思いますが。

西村(智)委員 いや、これは我が党の国会対策委員会で、永岡厚生労働副大臣の海外出張についてということで、政務扱いではありますけれども、出張目的は政治経済事情視察ということでいただいているペーパーをもとに私は質問いたしております。

 ですので、どこに行ってこられて、どういう視察をされてこられたのか、明確にお答えください。

永岡副大臣 政務として行きましたタイでございますが、五月の二日、土曜日でございます。それから、帰ってまいりましたのは五日になります、火曜日でございます。に行きまして、現地の、これは観光事業者ですね、タイの方もいらっしゃいましたし、あと、日本人の観光業者との意見交換をいたしました。また、現地の農業者との意見交換もさせていただきました。

 以上です。

西村(智)委員 それは一体どういう方々でしょうか。現地観光事業者との意見交換、現地農業事業者との意見交換などのためというふうに書かれておりますけれども、では、その意見交換にはどういう場面でどういう方々がいらして、どういう話をされたのか、お答えをください。

永岡副大臣 これこそ政務だと思っております。

 ですから、申しわけございませんが、この委員会で答える立場にはないのではないかと思います。

 以上です。

西村(智)委員 これは海外出張ということで与党が提出をしてきた資料ですので、私は、政務だから何も話さなくてもいいということではないというふうに思うんですね。

 実際、この連休中に意見交換をされてこられた。これは政務とはいえ、副大臣でいらっしゃいますから、それはやはり厚生労働行政にかかわる何がしかの見聞、こういったものを深めるために、そしてまた日本の内政事情の向上のために行ってこられたことだろうというふうに思いまして、それでお伺いをしているんですけれども。

永岡副大臣 今、委員の推測に基づいたお話を私は伺わせていただきましたけれども、非常に、私にとりまして有効な意見交換ができたかと思っております。

 しかしながら、別に厚生労働畑の話でもございませんし、お答えする必要はないのではないかというふうに考えております。

西村(智)委員 それでは、今回の海外出張は厚生労働行政とは全く関係のないものであったということでよろしいですか。

永岡副大臣 私の関心のある分野での話し合いでございました。

西村(智)委員 では厚生労働行政には関心がないというふうに、裏返すと聞こえてしまうんですけれども、厚生労働行政とは全く関係のない旅をこのゴールデンウイークにされるというほど、私は、今の厚生労働省のあり方、そんなに緩んでいるのかというふうに思うんです。

 副大臣がゴールデンウイークに政務と称して、だって、これは海外出張ということで、視察というふうに出て、あえてこれは出ているものですよね。それで、実際に行かれた副大臣は、いや、それは厚生労働行政とは関係ありません、自分の関心のあるところでということですと、この厚生労働省、本当にたくさんの重い案件がある中で、それほど余裕のあることなのかというふうに思うんです。

 それでは、永岡副大臣にお伺いをいたしますけれども、今回の海外出張で何か得られた成果、厚生労働行政と関係のないところというふうにお聞きしましたけれども、では、一体何か成果がおありでしたでしょうか。

永岡副大臣 余りにしつこくお聞きなさいますので、私が感じたことを一つ、厚生労働行政についてお話しさせていただきたいと思います。

 タイという国は、軍事政権になりまして、日本から見ますと、政治的なもので大分不安定なものであったというふうに私は認識しておりました。その中で、医療保険につきまして大変私も興味がございましたので、先生が、厚生労働行政に全く興味がないのかというお話もございますが、そんなこともなく、やはり伺ってまいりました。

 そうしますと、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、日本では国民皆保険が当たり前でして、所得の多い少ないにかかわらず、余り高くないお金を払って私たちは医療を受けられます。それはタイはどうなのかということをお聞きしますと、やはり、自費で多くのお金をかけて立派な医療を受けられる方もいらっしゃれば、そういう方ばかりではなくて、所得の低い方、そういう方たちは、保険があるけれどもなかなか充実した医療は受けられない、そういう実態を把握してまいった次第でございます。

西村(智)委員 副大臣は、どこに行って何をしてこられたのかという私の質問には実は正確にはお答えになっていなくて、タイに行かれたときにプーケットに行かれているんですね。バンコクに一泊もせずにプーケットに飛んで、プーケットで二泊されて、そのままバンコク経由で羽田に帰ってこられたということなんですね。非常にうらやましい話ではありますけれども。

 やはりそこは政務三役であるという自覚をしっかりと持っていただいて、私は、この現地観光事業者との意見交換あるいは現地農業事業者との意見交換などということが、厚生労働副大臣である永岡副大臣が行かれて、一体どの程度のものができたんだろうかというふうに思うんです。(発言する者あり)失礼ですか。

 いや、だって、農業の関係の方々と一体どのような形での意見交換をされたのかということについても今副大臣はお答えになっていないわけですから、私は、しつこいと言われようと、やはりそこは聞かなきゃいけないというふうに思うんです。

 このような姿勢で今厚生労働行政が行われているということは、ここはしっかりと反省をしていただきたいというふうに思います。また、今後、さまざまな法案が出てまいりますけれども、重々そこは自覚を強めていただいて審議に当たっていただけますようにお願いをいたします。

 そろそろ時間になりましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 維新の党の重徳和彦です。

 本日、お時間を頂戴しまして、ありがとうございます。

 私は、三十分の時間をいただきましたが、二点、二つのテーマについて質問させていただきます。

 まず一つ目は、子宮頸がんワクチンの副反応についてでございます。

 この委員会でも、四月十五日、阿部知子委員が質問をされておりましたけれども、私は、まず最初に、全国に七十あるという協力医療機関について質問させていただきます。

 もちろん、協力医療機関として指定を受けて、しっかりと対応されている病院も多いとは思いますが、しかしながら、患者の立場からすると、副反応被害への理解が十分でないような、そういう対応を受けているというような声も聞かれております。

 実際に私のもとに届いている声も少し紹介しますと、症状があらわれてから三年以上になりますが、いまだに厚労省の協力医療機関は副反応に無理解な対応で、被害者本人の生活が一変しているのに、何も補償されません。それから、国の言うことしか聞かない医療関係者じゃなく、もっと親身になって考えてくれる医師に治療をお願いしたい。どの病院を信用していいのか、どの医師を信用していいのか、どんな治療を受けていいのか、全てが不安だらけ、お試しのような治療は受けられません。こんな声が届いております。

 そこでまず、確認ですが、協力医療機関とはどういう機関を指定し、どんな役割を担わせているのか、御答弁願います。

新村政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の協力医療機関でございますが、これは、HPVワクチンの予防接種後にさまざまな症状を生じた患者さんに対しまして、より身近な地域において適切な診療を提供するため、都道府県単位で選定を行っているものでございます。現在、全ての都道府県で七十医療機関が確保されております。

 協力医療機関は、地域の医療機関あるいは厚生労働科学研究の研究班のメンバーが所属する医療機関などと連携し、地域における中核的な医療機関として診療を行う、そういった役割を担っております。

 具体的な要件ですが、まず一点目として、関係する全ての診療科の医師等が、当該医療機関の役割について理解していること。二点目として、医学的に必要な鑑別診断を実施していること。三点目として、整形外科、神経内科、小児科等の複数の診療科があり、協力を得られるなど、さまざまな領域の診療を提供するための体制が整っていること。こういった要件を満たすことが望ましいとしているところでございます。

重徳委員 非常に大ざっぱな話はわかりましたが、しかし、現在、実際に厚労省が、子宮頸がんワクチンの副反応被害、その詳細な実態も把握していない、因果関係も明らかにしていない、まして治療方法は全く不明というような中で、副反応被害者の子供たちあるいは家族の皆さんは、この協力医療機関に一体何を期待していいのかわからない。逆に言うと、もしかしたら、医療機関側も、自分たちに何を期待されても困ってしまう、こんな状況にあるのではないかと思うんです。

 厚生労働省として指定した以上は、少なくとも患者本位で、患者の立場に立って、原因もよくわからない、副反応の症状もいろいろだという状況をきちんと理解した上で、今要件の中には、その役割をちゃんと全ての診療科の医師等が理解していることというふうには一応おっしゃいましたし、そういう通知も出ているようでありますが、これを徹底させるための努力はちゃんとされているんでしょうか、どうなんでしょうか。まだまだやれることはあるんじゃないですか。現場はいろいろな声が届いております。

新村政府参考人 七十の医療機関、大学病院等、さまざまな診療科のそろった医療機関が選定されておりますけれども、現場にこういった選定の趣旨を今後もさらに徹底していくという努力は必要であると考えておりますし、また、新しい病態でもありますさまざまな副反応、その対応というのは困難な面もあるかと思いますけれども、研究班のメンバー、医師等からの研修事業なども少しずつ始めておるところでございますので、患者さんの受け入れにつきまして、なるべく丁寧に行うように今後ともお願いしてまいりたいと考えております。

重徳委員 今後も趣旨を徹底される、研究班の成果なりを研修を行って周知していくということですが、本当に、心身の苦痛はもちろんのこと、経済的な面からさまざまな負担が家族全員に重くかかっているような状況でありますので、今局長、なるべくというような言葉も入りましたが、なるべくじゃなくて、本当にこれは徹底してもらわなくちゃ困ります。ぜひ患者本位の、難しい状況であるからこそ徹底をしていただきたいと思います。強く要望をさせていただきます。

 そして、次に、子宮頸がんワクチンの副反応、医療費、交通費などの経済的負担もかかりますし、生活上のさまざまな困難も、まだ中学生、高校生ですから、学業への影響、家族の皆さんの御心痛、さらに今後の人生への不安といった、金額でははかり切れないような大変な負担が重くのしかかっているわけであります。

 もう少し被害者の皆さんの声を紹介させていただきますが、激しい頭痛と体調不良で高校はほとんど通学できず、留年を重ね、一学年も進級できないまま退学せざるを得ませんでした。それでも、仲のよい友人たちが夢に向かって頑張っている姿を応援して、大学合格を心から喜んでいる娘の姿に何度も涙しました。

 入院中に高校受験し無事合格しましたが、二カ月で体調不良のため登校できなくなりました。学校の配慮もあり何とか進級できましたが、まだあと二年あります。

 それから、高校に入って三カ月ぐらいで寝たきりになり、高校も退学し、その後、脳がどうなってしまったのか、認知の症状、声も、話し方まで今までと変わってしまい、家から一歩も出ないし、病院さえ行けないこともあります。このままだと働くこともできないし、親がいなくなったときどうやって生きていくのか、娘の将来がとても不安になります。

 それから、頑張っている子もいます。頑張って大学進学はできましたが、体調不良はまだまだ続き、不安と闘っています。

 大学進学なんて無理しなくていいよと娘に言ったら、自分で就職口を探さないと、いつまでも親に頼れないでしょう、こんなことを言われたという声も上がっています。

 何せ、治療方法を早急に確立して、副反応の症状を一日も早く和らげてあげたい、これはもう本当に本意でございます。医療の専門家の研究のスピードを上げていただきたいということがまず第一なんですが、せめてその前に早急に行っていただきたいのが、金銭的な補償、救済でございます。

 現行法制では、PMDA法、予防接種法に基づく救済制度というものがあるんですが、これは、これまでの委員会などでのやりとりを拝見しておりますと、制度上、因果関係がはっきり認定されないと支援できないということです。それはそうでしょう。

 だからこそ、今、厚労省では、副反応報告が行われた二千四百七十五件、この追跡調査を行っていて、副反応被害の全体像を明らかにした上で、個別のケースの因果関係の有無を判断して支援を行うという手順だと。

 手順はそのとおりだと思います。問題は、いつ救済が始まるのかということです。ずっとずっと皆さん待たされ続けているわけです。

 資料一をごらんください。毎日新聞四月三日の記事でありますが、「子宮頸がん ワクチン被害救済進まず 国、半年間処理なし」ということであります。

 処理なしというのはどういう意味かというと、健康被害に対する救済手続、これは、任意接種の場合はPMDA法に基づく救済、それから定期接種については予防接種法に基づく救済なんですが、現在、この記事によりますと、六十人以上の方が審査待ちで、昨年十月以降一件も処理されていないということです。

 この記事の中には、厚労省やPMDAの担当の方のコメントも出ておりますが、正直、一体何でストップしているのか、何に時間がかかっているのか、さっぱりわかりません。

 自治体が、しびれを切らして動き始めています。国の動きを待ったが、いつまでたっても動かないということで、独自の支援を、大きいところだと横浜市、東京都内でも杉並区、武蔵野市、私の地元愛知でも碧南市が自治体独自の救済制度を始めようという状況になっております。

 一体、これまで大臣もおっしゃっていました追跡調査というものは、何を調べているんですかね。二月末までに医療機関から生データが出てきた、これは聞いています。それからもう二カ月以上たちました。現在それを取りまとめているという話は聞いています。一体何を調査して、現在何を整理して、いつまでに取りまとめようとしているのか。取りまとめたら、それは即救済に入ることができる、こういうことでしょうか、大臣。いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今お話ございました追跡調査でございますけれども、これは、原則として全ての副反応報告、先ほど二千四百七十五とおっしゃったんですが、現在約二千六百になっておりまして、この二千六百を全て対象として、ワクチンの製造販売業者から情報の提出を求めているわけでございます。

 これは、当初は二十七年二月末までに情報の提出を求めておったわけでありますけれども、最終的に集まり切ったのが四月でございまして、現在、その調査結果の集計、分析を行っておって、結果がまとまり次第早急に、厚生科学審議会の副反応検討部会に報告をするとともに、公表を行いたいというふうに考えております。

 この追跡調査は、HPVワクチン接種後に生じる症状の内容、程度、治療などについて情報を充実させるためにこの調査をしているわけでございまして、さらに、この調査結果を踏まえて、その後の救済に係る審査を行う関係審議会で、HPVワクチンに関する個々の申請の審査を速やかに進めていきたいと思っております。

 御案内のように、定期接種前と後で扱いが異なるわけでございまして、平成二十五年四月の定期接種化前は、PMDAの医薬品副作用被害救済制度というのが適用となるわけでございまして、因果関係等の判定は薬事・食品衛生審議会副作用・感染等被害判定部会というところが行いますけれども、定期接種後は、つまり二十五年四月以降については、予防接種法の健康被害救済措置というのが適用になります。疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会というのがございまして、ここが所管をして審査を行うということになるわけでございます。

 四月、連休前にそろったところで、今、この二千六百件を鋭意集計して、それぞれの内容、程度、これまでやってきた治療などをきっちり分析した上で集計して、まとまり次第、できる限り早急に公表したいというふうに考えているところでございます。

重徳委員 被害者の方あるいは家族の方は、ワクチンがいい悪いとか、勧める勧めないとかいうことよりも、実際に目の前で今苦しんでいるこの子たちを救いたい。あるいは、実際に母子家庭の方だっているんです。もう限界だ、たび重なる入院、自宅にいても目が離せなかったら仕事にも行けない、こういう状況だから、とにかく一刻も早くまず救済を、最終的にはもちろん治療をするということですが、まず政府のできることを早急にやっていただきたいと思います。

 四月、ゴールデンウイーク前にデータが集まったということですが、いつを目標に取りまとめをされるんでしょうか。ぜひともリーダーシップを発揮していただきたいと思います、大臣。

塩崎国務大臣 重徳先生と思いは私も全く同じでございまして、何度となく私の大臣室でこの問題について議論をしてまいりました。

 今申し上げたように、正確を期すためにも、集まったものを今鋭意やっておりますので、できる限り本当に早く公表できるように、しかし正確なものでないといけませんので、正確性を期して、しかし迅速に公表できるように、督促してまいりたいというふうに思います。

重徳委員 政府は何をやっているかわからないという声も多いので、とにかくスピード感を持って情報提供していただきたいと思うんです、今どういう状況、どういう段階なのかと。四月、ゴールデンウイーク前にやっと集まったというのも今初めて聞きましたけれども、そういう状況も積極的にむしろ発信すべきではないかと思いますので、これも強く要望させていただきます。

 次に、二つ目のテーマですが、今度は児童虐待に関連しまして、特に性的虐待に関連しまして、欧米で既に導入されている司法面接、司法というのは司法、立法、行政の司法ですね、司法面接について御紹介をするとともに、私、いつもは法務委員会で今活動させていただいております、既に法務委員会で何度もやりとりをさせていただいておりますので、担当の方は厚労省の皆さんも十分御承知の司法面接について、進めていただきたいということを申し上げたいと思います。

 この司法面接、一体何かというと、性的虐待事件で加害者が立件、起訴される、こういういわゆる刑事事件に発展するケースでは、被害を受けた側の児童が、児童相談所でいろいろな話を、言いたくもない、思い出したくもないようなことを聞かれる、言われる。だけれども、児童相談所は心のケアという児童福祉の観点を持っているからまだいいんでしょう。でも、同じ内容のことを警察にも取り調べとして聞かれ、さらに検察からも起訴する、しないの判断のために同じようなことを聞かれる。こういうことで、もう本当にいたいけな子供が大人から厳しい質問を時にされ、過重な心理的負担を与えられて、その心の傷というものはいよいよ一生消えない傷になる、こういう問題であります。

 私は、超党派の自殺対策の議員連盟の若者自殺対策ワーキングチームの事務局長もさせていただいておりますが、特に若年女性の自殺の原因、大きな理由として、幼いころの性的虐待ということも、もちろん性犯罪もそうですが、そういったことが原因となっていることが多い、そういう指摘も出ております。本当に深刻な問題であります。

 そこで、司法面接というのは、今申し上げました、児相、警察、検察、これが省庁横断で多機関連携チームというものをつくりまして、代表して、あるいは専門家のどなたか一人の方が、一対一で被害を受けた児童と面接をして、一回限りで面接を終える。そこで得られた証言というものは、警察が立件する上での証拠にもなり、また、起訴された上での裁判上の証拠としても取り扱えるようになる。これが司法面接でございます。

 この司法面接、既に、児童相談所職員のバイブル的な「子ども虐待対応の手引き」の中でも、欧米での取り組みとして事例が紹介されているようなものであります。

 とにかく、現状は、縦割り行政を前提に、もう本当に、大人たちが、しかも公的な機関が、寄ってたかって子供の人生をぼろぼろにしていく、こういうことでございますので、この縦割り組織を超える連携チーム、ぜひとも仕組みをつくっていくべきではないかと思っています。

 そこでまず、現状を確認したいんですが、児童相談所は、被害児童との面談において、当然、児童福祉の観点から心のケアに十分配慮していると思います。その一方で、警察、検察というのは、その組織の目的、ミッションが違いますので、私の感覚からすれば当然、被害児童の心理的負担というものに児童相談所ほどは配慮が行き届いていないのではないかということが想定されるわけなんですが、この点、厚生労働省としてどのように認識されていますか。

安藤政府参考人 議員御指摘のとおり、児童相談所におきましては、児童虐待の被害児童に対する面談につきましては、被害児童のペースを尊重しながら丁寧に話を聞いて真剣に受けとめることですとか、話を聞くことが被害児童にとって二次的被害にならないようにというような配慮を細かくしているところでございます。

 警察や検察が実施する事情聴取におきましても、事情聴取が児童の負担となり得るものであることなどを考慮いたしまして、負担を軽減するため、可能な限りの配慮に努めておられるものと承知をしております。

重徳委員 警察、検察側をおもんぱかっての御答弁という印象ですが、そうはいっても、児童相談所ほどは配慮が行き届かないと思うんですが、どうですかね。もう率直におっしゃってください。別に、そんなにおかしなことじゃないと思います。

安藤政府参考人 確かに、組織目的が違うという御指摘もあろうかと思われますが、ただ、近年、児童相談所におきましても警察その他と日ごろから連携を図っておりまして、そうした中で価値観を共有することが進んできているように思っております。

重徳委員 それではちょっと切り口を変えますが、今申し上げましたような警察の取り調べ、検察の取り調べに、児童相談所の職員が立ち会うというようなケースというのは実際にあるのでしょうか。

安藤政府参考人 先ほどちょっと申し上げました警察との連携ということでございますけれども、厚生労働省では、被害児童の安全を確保するために、児童虐待の通告を受理した後で、被害児童及び保護者に関する情報を警察や検察に対して情報提供をすることでありますとか、逆に、警察や検察から児童相談所に情報提供を行うように児相の方から求めるというようなことなど、相互に必要な情報交換を行うように各都道府県に通知しているところでございます。また、児童虐待対応について、警察、検察との日ごろからの連携、それぞれのノウハウの共有なども含めまして推進をしているところでございます。

 このような連携のもとで、現場の児童相談所においては、検察や警察に対して児童相談所が被害児童を面談した際の様子をお伝えしたり、また、そうした情報提供をする中で、連携の一環といたしまして、事情聴取をなさるときに児童相談所の職員が立ち会うケースもあるというふうに聞いております。

重徳委員 そういう御努力はもちろん必要なことだと思いますし、現行制度を前提とすれば、もっともっとそういった努力という方向だと思うんですが、私が司法面接で問題にしているのは、そもそも、今、安藤局長が、情報を提供しているとか情報を交換しているというふうにおっしゃいましたが、児童相談所の持っている情報、被害児童に関する情報を警察に提供しても、それで警察はそれ以上被害児童から取り調べをその部分についてはしないということはしていないわけなんですね。わかったと、それをわかった上でもう一回聞くというのが今行われている運用なんです。これはもう法務委員会で確認済みなんですけれども。

 それはもうわかりました。現状はそういうことですね。

 それでは、資料三をごらんいただきたいんですが、実は、神奈川県の伊勢原市に、駅の近くに、日本初と言われます子どもの権利擁護センターというものが設立をされました。これは小児科医の山田不二子先生という方なんですが、その方がこの司法面接に従前から非常に熱意を持っておられまして、この権利擁護センターというのは何かというと、今申し上げました司法面接を行う場所を想定してつくった施設でございます。

 この写真だけごらんいただきたいんですが、真ん中の司法面接室という、非常に殺風景な部屋がありますが、殺風景なのは子供が気を散らさない、ほかのことを考えない、ほかのものに気が紛れないように、純粋な証言を引き出すためにこういう殺風景な面接室なんですが、ここで一対一で面接官がその児童と面接をします。ここにはビデオカメラが設置をされています。

 それで、この右側の写真が観察室といいますが、そこの奥の黒いのがモニターでありまして、そのビデオカメラで撮った映像、もちろん音声も、この観察室に映像が映し出されます。ここに児童相談所の職員、警察官、検察官が一堂に会して、情報をそこで一緒に共有するということですね。当然、警察からすると、足りない質問、これも聞いてくれというのがあれば、インターホンで司法面接室に連絡をして追加で聞いてもらう、これによって面接を一回で終わらせよう、こういう仕組みであります。これは欧米で既にやっている仕組みですから、決して不可能な仕組みではありません。必要に応じて、証拠として提出できる録画DVDもその場でできます。

 この施設、先般、私は維新の党の初鹿議員と一緒に視察に行ってまいりました。また、民主党の岡田代表や長妻議員、後藤祐一議員も視察をされてきたということなんですけれども、こういう施設を利用して、まず、現場でモデルケースをつくってはどうかと思うんです。この場に実際に児相、警察、検察が一堂に会して連携を進める、こういったことを現場レベルでまずやってみる、そこから、うまくいくこと、うまくいかないことを抽出して、制度も見直していく、こういうやり方も一つありなんじゃないかと思うんです。

 やろうと思えばすぐ、すぐというか、やれる環境にはなっていると思うんですね。もちろん、警察、検察側の問題はあります。しかし、厚生労働省として、あるいは児童相談所として、これを進めない理由はないと思うんです。

 大臣、これは現場の取り組みというものをぜひ後押ししていただきたいと思うんですが、もし詳細がわからなければ、もうちょっと深めていただく必要もあると思いますが、今の大臣の印象はいかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今先生が資料としてお配りをいただいたこの伊勢原のケースは、私は、これがオープンする前に話を直接聞いております。非常にいい取り組みではないかと私も思ったところでありまして、児童虐待の被害児童に対する面談で、心理的負担の軽減をどれだけするかということ、そして、話を聞いたり、話をしてもらうということによって、言ってみれば、被害児童の心理的な二次被害みたいなものが起きてしまうということにも十分配慮をしなければいけないというふうに思います。

 そういう意味で、子供の虐待に関する基本的な対応のあり方を示す「子ども虐待対応の手引き」というのがあって、面接時の被害児童の負担の軽減のために、必要な情報を一人の面接者が集中して話を聞くようにすることで、同じ内容の話を子供に繰り返し繰り返し言わせるということがないような工夫について示しはしているんですね。

 しているんですが、本年四月十五日の衆議院の法務委員会で、法務大臣から、司法面接の制度そのものを直ちに導入することについてはいささか慎重な検討を要する旨の答弁があったと承知をしているわけでありますが、厚生労働省は児童福祉法を所管しているんです。その中に児童相談所というのが書かれていて、各都道府県につくれ、こういうことになっているわけでありますから、言ってみれば、児童の福祉に関しては、元締めは厚生労働省ということだと思うんです。

 それもかつては、言ってみれば、戦争孤児、あるいは町にあふれ返っていた浮浪児のための法律だったものが、今やそうじゃなくて、児童虐待とかが中心となっている中にあって、私どもとしては、やはりこういう問題には正面から立ち向かわないといけないんじゃないかというふうに思います。

 被害児童の福祉の観点に我々は立って、そして、さらなる心理面の負担軽減に配慮をしながら、被害状況を確認する面接のあり方については、今のこの一回で済ますという、そしてまた一人の面接官が後ろに控えて見えないようになっている、言ってみれば圧力を加えないような形でやるということは、私は大変意味があると思います。

 我々はかつて、犯罪被害者等基本法というのをつくりました。これは実は、かつては、犯罪被害者というのは、その加害者の裁判がいつあるかということすらも全く知らされない、そういう扱いを受けていました。今や裁判所の中でも、バーの中で発言ができるというところまで、その基本法によってできました。そのときに中心的にやったのが、実は今の法務大臣の上川陽子さんで、私と一緒にこの基本法をつくったわけでありますので、必ずや上川大臣も理解を示してくれるんじゃないかと思うので、私は、児童福祉の観点から、この問題、今お話しのように前向きに考えていきたいというふうに思います。

重徳委員 大臣、大変前向きな御答弁をありがとうございます。上川大臣はやや慎重ですので、ぜひとも前を向かせていただきたいと思います。ぜひ、ともに前に進めていきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 今、重徳委員の大変和やかな雰囲気から、一転、どうなるかわかりませんが、大阪都構想について少し取り上げさせていただきます。(発言する者あり)

 皆さん、いろいろちょっと声が飛んでいますが、あれ、何でこんな雰囲気になるかな。

 大阪都構想というのは、ちょっといいですか、大臣、三十分私いただいていますが、通告は二つしかしていませんから、じっくり御説明をしたいと思います。これは一般質疑ですから、厚生労働行政にかかわることについて質問する権利が私にはあると思います。

 加えて、実は、今声を飛ばされたのは自民党の方々かもしれませんが、そもそも、大阪都構想については、今週末、日曜日に住民投票があります。これは大臣、ぜひ、多分余りお詳しくないかもしれないので、ちょっと聞いていただきたいんです。

 これは、大阪維新の会が地域政党とかいって活動をしていて、二年前の総選挙を経る前でありますから、維新の党はまだ国会に議席を持っていない時代に、大都市法、大都市地域特別区設置法という法律が成立したわけです。

 これは、東京都のような都制度、すなわち特別区を、昔は東京も東京市だったんですね。この東京市を特別区にしたわけです。それは七十二年前に東条英機内閣でやったわけです。それと同じようなことを大阪でしたいと思ったんだけれども、法整備がなくて、東京以外のところは東京のような都区制度をしくことができなかったんです。

 それを、それじゃいかぬよなということで、自民党さん、公明党さん、そして民主党さんも含めて、法案を提出してくださって、それで、当然、提出者ですから賛成をしてくださって、法案ができたわけであります。

 何か厚生労働行政と関係ないと思われるかもしれませんが、地域の行政組織ですから、当然、大阪を初めとする政令市がどうであり、それが今回住民投票で、これはもう住民投票で決まります。いわゆる世論調査型の住民投票ではありません。法律で、まさに自民党の皆さんがつくってくださった、公明党の皆さんが、民主党の皆さんがつくってくださった法律に基づく住民投票であって、今週十七日の住民投票で、大阪市民が決めた、賛否を決すれば、その内容でもうなるんです、そういうふうに。だから、憲法改正にも通ずる大変重要な住民投票がこの日曜日に行われようとしているわけです。

 これは粛々と、何か国会で議論するようなことじゃありません。本来、大阪市民の方がしっかりと説明を聞いて、御判断をくださって、大阪市のあり方を、大阪市域ですね、いわゆる大都市大阪の都心部のあり方を決めてくださればそれでいいので、取り上げる必要はないと思うんですが、民主党さんはきのう総務委員会で取り上げられたようですし、自民党の中でもいろいろ御議論がある、こういうふうに聞いています。

 加えて、なぜ私がきょう塩崎大臣にちょっとお時間を頂戴して、山本副大臣もいらっしゃって恐縮なんですが、塩崎大臣にお時間を頂戴してこの話をするのは、実は今、地元へ行かれた方があればわかるかもしれませんが、住民投票で、もうほとんど住民サービスの話なんです。要は、医療、介護、福祉、子育て、あともうちょっと言うと、この委員会とは関係ないかもしれません、一部関係ありますね、消防、もうほとんど関係ある厚生労働行政にまつわる住民サービスが、政令市をやめて特別区を設置すると低下するんだということを自民党大阪府連さんはおっしゃっているわけです。(発言する者あり)言っていない。言ってるよね。いいですか、発言していただいて。だめですよね。冗談です。

 私たち維新の党は、本当は、委員同士で議論できるような国会運営を実は国会改革として提案をしてきていますが、これは自民党さんが認めてくださっていないので、我々議員は政府に聞くしかできないので、これは申しわけありませんが、私は、この三十分をいただいているので、大臣といろいろ討論をさせていただきたいと思っているんです。大臣、ゆっくりやりましょう、これは。時間はありますので。

 それで、要すれば、簡単に言うとこういうことなんです。

 大臣、日本地図をばあっと広げて、都市圏というのを地図にプロットするんです。これは経産省がやっていますけれども。

 要は、都市とは何かというと、人の行き来があって、通勤したり通学したり、人が日常的に動いている、一体的に動いている圏域を都市というわけですね。

 それで、行政区域というのは市町村、都道府県とできているわけですけれども、それとある意味で関係なく都市圏というのはあって、それは役所によって違いますが、私が一番、非常にわかりやすいなと思っているのは、経産省が都市雇用圏というのをつくっております。その地図があります。きょう配付すればよかったんですけれども。

 都市雇用圏というのは、要すれば通勤の範囲です。関東はもうむちゃむちゃ広いです。東京都、千葉、埼玉、神奈川。その関東の都市圏の中には政令市がたくさんあります。横浜、千葉、川崎、相模原、それからさいたま市、多分、たくさんあります。でも、東京都が非常に大きいので、東京が事実上東京都市圏を引っ張って、いわゆる大都市行政を今やっているのが東京だ、私はこう思っています。

 ところが、日本地図を見ると、もう一つだけ、都道府県よりも都市圏が大きい地域があるんです。わかりますか。都市雇用圏というのは行政区域と関係ありません、人の動きですから。人がどう動いているかというのを地図にプロットして都市圏というのが見えるわけです。すると、日本じゅうで二つだけ、東京ともう一つだけ、都道府県よりも大きい都市圏があるんです。それが大阪なんですね。東京と大阪、この二つだけが、うなずいていただいている方、本当に心から感謝申し上げます。本当にそうなんです。

 これは、きょう、私はコラムを書いて、ブログを書いてアップしますから、きょうの審議じゃないですよ、今の地図をちゃんと皆さんに見ていただいていないと思うので、大阪市民の皆さんに向けてその地図をきょうアップしようと思っていますが、結論はそういうことなんです。

 日本じゅうの都市、例えば広島も都市です、札幌も都市です、福岡、北九州も都市です。みんな都市なんだけれども、都市圏域というものが、普通は都道府県の中にあるんです。例えば神戸市もそうです、広島市もそうです。広島県という広域行政体の中の一部が広島なんです。だから、政令市として頑張っているわけです。神戸市もそうです。

 ところが、一つの都市圏が広域行政体であるところの都道府県をのみ込んじゃっている地域は、日本じゅうで二つだけなんです。東京と大阪だけなんです。

 名古屋は違います。重徳さんのところは愛知県です。これはもう明らかに東西で違うんですね。名古屋市というのは西を仕切っていますけれども、愛知県というのは、東にある豊田市を初めとする、名古屋都市圏というのは愛知県を全然カバーしていないんです。名古屋都市圏というのは愛知県の西側半分しかカバーしていないんです。

 そういう実態にある中で、自民党さん、公明党さん、民主党さんは、やはり都区制度というのは、東京だけではなくてほかの地域でも、もし合致する、それが適当であるような地域があれば、できるようにせないかぬなということで法案を提出してくださったわけです。

 その法案に基づいて、この日曜日に住民投票があるんです。(発言する者あり)ちょっと、発言を認めていいですか。だめですね。

渡辺委員長 いや、やじに答えないでください。質問してください。

足立委員 協定書に……(発言する者あり)おもしろいのでじっくりやりますけれども、いや、大事な話なんです。今おっしゃられたように、自民党大阪府連の中の一部の方は、まあほとんどみんなかもしれませんが、よくこうおっしゃるんです。そんなことは協定書に書いていないと言っているんですよ。

 でも、大臣、ぜひ大臣には私は個人的にも理解しておいてほしいんです、この話を。

 政令市というのがあります。政令市の……(発言する者あり)ちょっと、聞こえない。

 委員長、何か問題ありますか。

渡辺委員長 質問してくださいと言っているんです。

足立委員 はい。

 では、大臣、ここまで御理解いただけましたでしょうか。

塩崎国務大臣 大都市地域特別区設置法というのは、私も賛成をしたんでしょう、成立をしたわけですから。

 ただ、余り詳しくないので、協定書と今言われても、協定書というのは何だろうかというので、私もよくわからなくて、余り詳しくはございません。

足立委員 今大臣に伺ったのは協定書じゃないんです。今申し上げた大都市という問題について、これは厚生労働行政にもかかわることですよ。厚生労働行政にもかかわるんです。あらゆる住民サービス、あらゆる政策が実は地域で行われているんです。だから、私、関係あると思いますよ。

 今申し上げたように、私は今、事実として、都市圏と自治体、都市圏と都道府県との関係について御紹介しました。東京と大阪がそういうふうに非常に大きな都市圏であり、都道府県と領域がかぶさっている、その事実はまた追って紙で御紹介しますが、仮に私が言っているのが事実だとすれば、大都市政策として、私が今御紹介したようなことを、質問しろと言うから、途中であるが質問申し上げると、今のようなことを踏まえて行政というものがつくられていく。

 要は、大都市法というのが今ある、自民党さんが提出をされてある、それについては大臣も承知を、どれぐらい詳しくかはともかくとして、一応その趣旨は御理解いただいていますね。

塩崎国務大臣 当然、採決に参加をして賛成をしているわけでありますから、そのときの党内での議論などは私ももちろん聞いてはおりますが、ただ、そんなに詳しい方ではないということを申し上げているだけで、先ほど先生がおっしゃった大都市圏二つという話は理解ができます。

足立委員 ありがとうございます。

 これは一応、大臣、一応通告申し上げているので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 本題に行きますと、今、住民投票に当たって、住民サービスが下がるか上がるかどうかということで議論になっています。

 これも協定書の御説明ですけれども、今、協定書に書いていないという話がありましたが、協定書にはこう書いてあるんです。

 政令市をなくします。すると、政令市が持っている税源とか事務がありますね。政令市ですから、税源とか事務は、基礎自治体、普通、市町村が持っている事務に加えて、都道府県が持っているような広域行政にまつわる事務も持っています。そうですね、政令市ですから。今回の都構想というのは、協定書に書いてあるのは、大阪市を一旦なくして、その基礎的な部分、市町村がやっているような仕事については特別区に移します。それは住民に身近なサービスを提供する仕事だから、五つの特別区をつくります。今まで大阪市がやっていた広域行政にまつわるものは税源も事務も大阪府に移しますと。

 こういう、もう当たり前のこと、もう極めてシンプルなことを言っているんですよ。今まで政令市は両方持っていました、だから、基礎自治体がやるような仕事は特別区に税源ごと移します、広域行政の部分は税源ごと府に移しますと。ところが、自民党大阪府連を初めとする方々は、何でか知らぬけれども、それをすると住民サービスが下がると言っているんです。

 私はこう思うんです。住民サービスは、急に上がったりすることもないけれども、下がったりすることもないと。なぜなら、事務と税源を一緒に移しているからなんです。それから、区役所なんかも、今でも大阪市役所の出先機関としてあるんです。これからは特別区から……(発言する者あり)ちょっと何か、聞こえないので、申しわけない。

 特別区の支所としてこれからも窓口は維持される。窓口は変わらない、税源も変わらない、そういう……(発言する者あり)だって、税源は変わらないですよ。税源は……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いします。静粛にお願いします。

足立委員 今まで市町村がやっていたような仕事に係る税源は特別区に、都道府県が普通やっているような税源は大阪府に、普通に割っているだけなんです。足し算と引き算ができない人が何か声を荒げていますが、足し算と引き算の問題なんです。

 それで、大臣、私は、はっきり言って、この住民投票がこんなことで、本来、きっちりと、協定書というのは総務大臣が意見なしで出していますが、当然、総務大臣は霞が関に照会をしています。だから、厚生労働省も、その協定書を厚生労働省という役所が見て、いわゆる厚生労働行政を遂行するに当たって今回の移行は何ら問題ないということで、だから意見なしということで、総務省がまとめて返事を下さいました。

 だから、私は、今声が飛んでいるようなことも含めて、全てデマである、こう言わざるを……(発言する者あり)デマ。住民サービスは変わらないんだけれども、冒頭あったように、むしろ……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いします。

足立委員 むしろ、さっき申し上げた都道府県域を超える大都市行政をしっかりとやって、東京と同じように、東京一極集中とよく言われていますが、東の東京、西の大阪がしっかりと経済成長することによって、大臣もこの場で何度も、社会保障を支えるために経済が大事であり、成長が大事だと、私らはずっと議論してきました。大阪がしっかり成長していくことが必ず社会保障にもかかわってくるんです。マイナスになる理由は一つもありません。

 これは極めてシンプルな問題であるにもかかわらず、大臣、市町村合併のときも一緒だったんです。市町村合併のときも、そのようなデマがたくさん流れた結果、十分に市町村合併が進まなかったんです。その結果、医療保険が都道府県に移管されることになったわけです。

 だから、やはり、法律を成立させたこの国会において、大都市法を成立させたこの国会において、大都市法に基づいて住民が都区制度を選択したからといって、住民サービスが上がることはあっても下がることはない。もし大阪の自民党が共産党さんと一緒になって住民サービスが下がると強弁をし続けるのであれば、それは、この日曜日の住民投票が極めて、何といいますか、余りデマに振り回されて終わってしまうと残念でありますので、本来、正しく情報を提供する、その責任を果たすと。

 これは、党の方にはそれは求めません。でも、政府は、政府入りをされている先生方におかれましては、客観的に言えることはしっかり言っていただくことが大阪の住民投票をより公正に実施していく上で大事であると思います。(発言する者あり)

 大臣、今いろいろ委員からも不規則発言がたくさん飛んでいますが、今回、大都市法に基づいて移行したからといって住民サービスが下がることはない、もし大阪府連がそう強弁しているのであればそれはデマだと、これは国民のためです、ぜひはっきりと、厚生労働行政にかかわる分野だけで結構です、お願いします。(発言する者あり)

渡辺委員長 静かにしてください。

足立委員 厚生労働行政にかかわる部分だけで結構です。住民サービス、厚生労働行政にかかわる部分について……(発言する者あり)

渡辺委員長 静かにしてください。

足立委員 厚生労働行政にかかわる部分について、協定書をチェックされた厚生労働行政のトップとして、これはそういうことではないんだということを明確に御答弁ください。お願いします。

塩崎国務大臣 いわゆる大阪都構想ということについては、先ほどお話が出た大都市地域特別区設置法というのに基づいて、四月の二十七日に住民投票が告示をされて、五月の十七日に投開票が行われるというふうに理解をしております。その成否については、地域の皆さん方の判断に委ねられているというふうに承知をしているわけであります。

 今先生、厚生労働行政にかかわる分野のサービスの話がございました。

 我々厚生労働省としては、やはり必要な厚生労働関係行政が住民サービスとしてきちっと行われるということが大事だというふうに思っているところでございます。

 一般論として申し上げれば、政令指定都市の場合と特別区の場合とで住民サービスがどのように変化するというのは、一概には言えないのではないかなというふうに思います。私も、東京に住んでいたこともございます。そして、今こうやって平日は東京にいて、最近、土日もちょっといることが多いですけれども。

 そうやって見てみると、やはりそれぞれ、今回地方選挙がありましたけれども、いろいろですよね。いろいろですから、それぞれ首長がどういうふうな考え方で、どうやって頑張るのかということにかかっているのかなということを、この間の二十三区の区長選挙とか、いろいろなものを見てみると、そういうような感じがいたします。

足立委員 まさに大臣がおっしゃるとおりだと思うんです。これはもうこの委員会で、厚生労働委員会でずっとみんなで議論してきたように、本当に政治が大事だし、それから、地域のそういうサービスにあっては、首長が一体どういう優先順位で政策を講じていくかということが本当に重要になると思います。

 加えて、先ほど私から申し上げた経済の問題、やはり経済活性化、経済成長なくして社会保障はないわけです。これは自民党政権の当然の考え方だと思います。

 要は、一体どういう方をリーダーに選ぶか、それから、経済がどういうふうに成長していけるか、この二つが、言ったらよくわからないところであって、それは国民の皆様が私たちと一緒にこれから頑張っていこうといって、今各所で、つかさつかさでみんな頑張って仕事をしてくださっているわけであります。

 でも、それは今でも、大阪市長に変なのを選べばおかしくなるわけで、政令市であっても、大臣が今おっしゃった区長さん、市長さん、そういうのにどういう方を選ぶかにかかわるわけで、それは国民主権でありますから当たり前ですね。なかなか共産党の首長さんは選ばれないと思いますが。

 それはともかくとして、それで大臣、今、一般論としてとおっしゃいました。ちなみに、大阪では共産党と自民党さんが一緒になって、住民サービスが低下する、こうおっしゃっていますが、何で一緒にやれるのかわかりませんが、それはおいておいて、大臣、先ほど大臣は御答弁で一般論としてとおっしゃいました。

 しかし、先ほど申し上げたように、大都市法というのは、経済実態、都市の実態に照らせば、大阪のためにできた法律なんです。そして、その大都市法に基づいて住民投票が日曜日に行われるんです。その協定書は、先ほどからあった……(発言する者あり)

 大臣が聞こえないとおっしゃっているので、委員長、ちょっと。いいですか。

渡辺委員長 どうぞ、発言を続けてください。

足立委員 大臣、厚生労働省は協定書は見られているんです。そうですね。見られているんです。つぶさに協定書をチェックされた厚生労働省として、今回、大阪市民の皆さんが都区制度への移行、すなわち特別区の設置、これに賛成をされたときに、その協定書が実行に移されます。協定書の中に、厚生労働行政にまつわる住民サービスが低下するようなおそれがその中で読み取れましたか。あれば指摘ください。もしなければ、自民党大阪府連が言っていることはデマだということになります。読み取れたかどうか、そこだけ確認ください。読み取れたのであれば意見を言うべきであり、でも、大臣は、あるいは総務大臣は意見なしと言っているんです。だから、私は、協定書の中にそういうおそれは書いていない、こう思っていますが、いかがですか。

塩崎国務大臣 残念ながら、私はその協定書というのを拝見していないものですから、ちょっと判断のしようがないというのが正直なところでございます。

足立委員 答えられる方はどなたでも結構ですよ、事務方でも。協定書を読んでいないというのもちょっと。

 大臣、協定書を読んでいないという答弁があっていいんですか。

塩崎国務大臣 先生はお役所出身ですから御存じだと思いますけれども、所管大臣は総務大臣で、私どもは、合い議を役所として受けているはずでありますから、役所としてその答えを出しているので、私には残念ながら上がってこなかったということが実態でございますので、御理解を賜れればと思います。

足立委員 通告をしているので、もし大臣がお答えできないというなら事務方でも結構です。よろしくお願いします。

 もし答弁できないんだったら、ちょっと時間をとめてください。

塩崎国務大臣 申し上げたように、政府として了承をしたことで、その担当大臣は総務大臣で、私どもは合い議を受けた。その合い議を受けた協定書そのものは私は見ていないということでございまして、御理解を賜りたいというふうに思います。

足立委員 塩崎大臣、政府というのは、それぞれのつかさつかさの大臣が責任を持っているんじゃないんですか。なぜ、総務大臣が合い議をしたものについて、俺は知らぬと大臣が言えるのか、全くわからないですね。これは大問題になりますね。事務方も答えられませんか。

 要は、省として協定書を見られましたね。それは大臣もおっしゃっている。そして、住民サービスが低下をすると今与党を構成しているはずの自民党大阪府連が言っているが、総務省から伝え聞いたのは、霞が関として、それは意見はない、そういうことで返ってきているわけです。東京都でも、実際に、しっかりと住民サービスは提供されていますよね。

 だから、大阪市民の方に今回の判断をいただく際に、医療や介護や福祉や子育ての住民サービスが低下すると自民党大阪府連が言っていることについては、おかしいでしょうと言っているんですよ。大臣は、それはおかしくないと言うんですか。

 これは自民党の一議員に聞いているんじゃないんです。日本国の厚生労働大臣に聞いているんです。(発言する者あり)

塩崎国務大臣 静かにしていただけたらと思いますが。

 政党が何を言っているかということは私がコメントする話ではないと思いますが、政府としては、先ほど申し上げたように、特段の意見はありませんという答えを政府として返しているということは、厚生労働省としても特段の意見はないということで返しているということと同義だというふうに思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 まさに、厚生労働省として特段意見はないと返されて、もし、大都市大阪の都心部にお住まいの大阪市民の皆さんが大都市法に基づいて都区制度を選択されたら、粛々と、安倍総理も、これをちゃんと法整備をしていく、関連の必要な法整備をしていくとおっしゃっているように、制度はちゃんとつくられていくことになると思います。

 このときに、改めて私の方から申し上げますが、先ほど申し上げたように、政令市というのは、基礎自治体と広域行政、両方の税源と事務を持っています。これを、一般の市町村に係るような、基礎自治体がやる税源と事務については特別区に移す。これはもう足し算、引き算の問題です。

 そして、広域行政の部分は、今まで、先ほど冒頭申し上げたように、大都市大阪というのは大阪府をのみ込んで、すなわち、大都市大阪の中には、大阪府知事と大阪市長あるいは堺市長という三人の知事見合いの、知事並みの権限を持った人が三人いるんです、一つの大都市の中に。東京だって七人、八人いるということですが、東京は、東京都が東京都政をしくことによって全体をまとめていっているんですね。東京都を外して東京のあり方を議論することはできません。

 それと同じように、大阪を中心とする、阪神域まで広がる、神戸や京都にも影響を与えるような大阪都市圏、大都市大阪については、それを既にのみ込んでしまっているところの大阪府が、しっかりと一元的に、二元や三元ではなくて、一元的に大都市政策を講じていくことによって、大阪が東京と同じように、都区制度で……

渡辺委員長 足立君に申し上げます。

 既に時間が経過しているので、質疑を終了してください。

足立委員 時間が来ていますね。

 終わりますが、そうした形で経済を引っ張り、そして、そこで出てきた財源をしっかりと医療、介護、福祉、子育てに向けていく、これが大阪都構想であり、ぜひ、政府におかれましては、引き続きサポートをいただきますよう改めて……(発言する者あり)

渡辺委員長 終わりにしてください。

足立委員 終わりますね。

 法律を、大都市法を成立させた自民党と公明党がつくっている政権である安倍政権におかれましては、引き続き、国の立場から御指導いただきますよう、よろしくお願いします。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、いわゆる子宮頸がんワクチン、HPVワクチン問題について質問させていただきます。

 予防接種法改正で定期接種が始まったのが二〇一三年の四月、わずか二カ月で厚労省は積極的に接種を勧めるのを一時中止すると発表、現在も再開はされておりません。

 昨年一月、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応部会は、接種後の局所の疼痛等が心身の反応を惹起したきっかけになったことは否定できない、一カ月以上経過してから慢性の症状が発症している例は、接種との因果関係を考える根拠に乏しい、こういうまとめをしたわけですね。ただ、その以降、報告書はいまだ出されておりません。

 このことの意味、つまり、厚労省はこれを受けてどこへ向かっているのかということと、取り組んでいる内容について、簡潔にお答えください。

新村政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省におきましては、HPVワクチンの接種後に多様な症状を呈する患者さんにつきまして、三つの対策を講じております。まず、各県に少なくとも一つの協力医療機関を選定すること、二つ目に、副反応報告が確実に行われるよう医療機関に要請すること、三つ目に、副反応が報告された患者の追跡調査の強化ということでございます。

 現在、追跡調査の結果を整理しているところでございまして、その調査結果も踏まえ、健康被害救済やワクチンの安全性についての検討を進めていきたいと考えているところでございます。

高橋(千)委員 今答弁いただいた三つの内容について、まず資料の一枚目につけました。身近な医療機関で適切な治療を受けられる、ここだけ聞くと大変いいことですよね。実際そうなっているかというのが問題なわけです。

 順々に聞いていきたいと思うんですけれども、まず、協力医療機関が全国に七十ということで、先ほども答弁があったように、全都道府県が一応一つは設置をされたということであり、さらにふやしていくのでしょうか。

 また、資料の二枚目に協力医療機関のリストをつけました。これは、見ていきますと、窓口診療科というものがありまして、どんな科が窓口になっているのかというのがわかるんですけれども、北海道大学病院はHPVワクチン副反応支援センターというセンターを設けておりますが、それ以外のところはさまざまであります。リハビリだったり神経内科だったり産婦人科だったり、あるいはペインクリニックだったり。

 そうすると、先ほど重徳委員の質問に対して、協力医療機関というのはどういう要件があるのかというので、三つお答えになりました。これは繰り返す必要はありません。私が聞きたいのは、担当医が一人いればいいというわけではないはずだ、そこを確認したい。一つの診療科でおさまる話ではないと思う。当然、総合的な検討を病院の中でもしていかなければならない。そういう点でどのように考えているのか、伺います。

新村政府参考人 協力医療機関の具体的な要件は繰り返しませんけれども、御質問の件に関しましては、さまざまな症状、病態を示す患者さんがおられますので、単一の診療科だけで対応できない場合もあり得ます。

 したがいまして、整形外科ですとか神経内科、小児科など複数の診療科があって、それぞれ協力をして対応するといったような、さまざまな領域の診療を提供するための体制が整っている、こういったことを要件の一つとして定めているところでございます。

高橋(千)委員 そうなんですよね。単一ではないということで、みんなで総合的に検討していく必要があるということなんだと思うんですけれども、実際にはやはりそういう対応ができていないじゃないかということなんです。

 先日、私も当事者の女性にお会いしてお話を聞く機会がありました。お友達が新たな進路に踏み出すときに、自分はどうすることもできない悔しさ、しかも記憶が薄れてきている。非常に残酷に思いました。

 お聞きしますと、やはりさまざまな症状が出ているんだけれども、疼痛や運動障害、よく言われます。接種の直後の方もあれば、一年以上たってから発症する方もいらっしゃる、もっとたっている方もいらっしゃる。だけれども、共通して訴えられるのは、一つは動機ですよね。今受けると無料だから、国が推奨しているからやはり今受けるべきなんだろうな、三回受けなきゃいけないから年齢的にも今なのかなというふうな動機があったと。

 それから、もしやということで受診をしても異常はない、検査をしても異常はない、精神的なものではないかと言われたり、それどころか、仮病しているんじゃないかというふうにも言われる。テレビでいろいろな報道があって、その人のまねをしているんじゃないかなどということを、医療機関でそういうことを言われるということ自体、本当に許せないなと思うんですけれども、結局、そうやって窓口で理解されずに転々としているのが共通している問題だと思うんですね。

 でも、これは、今最初に私はさらっと読みましたけれども、副反応部会で、副作用はワクチン成分は原因ではなく、接種時の痛みが心身の反応を引き起こした可能性が高いとされたこと、だからそういう対応になっているんじゃないですか。国の機関がそうやって言ったんだから、あなた、それは気の迷いでしょう、努力すれば治るんだ、そんなことを言っている人だっているんですよ。

 幾ら身近に通える医療機関がいっぱいできたとしても、入り口でそうやってはねつけられてしまったら、全然治療にも原因究明にも結びつかないと思います。大臣、どうされますか。

塩崎国務大臣 先ほど来、局長からも答弁申し上げているように、協力医療機関については、整形外科とか神経内科とか小児科等の複数の診療科があって協力を得られるなどの、さまざまな領域の診療を提供するための体制が整っていることを要件の一つとしているわけでありまして、窓口となる診療科にかかわらず、患者に対して、関係する診療科間で情報共有を十分し、適切な診療を実施することを求めているわけでございます。

 また、この協力医療機関において診療に従事をする医師らに対しても、厚生労働科学研究班が中心となって専門医師による研修等を実施しておりまして、今後とも、研修等を活用して、患者への適切な医療が提供されるように質の向上に努めてまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 大臣、研修もいいですし適切な医療もいいですけれども、私が言ったように、まず入り口で、心の問題でしょうとか、そういうことが絶対ないように徹底すると約束していただけますか。

塩崎国務大臣 それは、広く御意見や症状を聞いて、しっかりと対応していきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 確認いたしました。

 副反応報告、様式がさまざまあるわけですけれども、ヒトパピローマウイルス感染症については、発症までの時間が、アナフィラキシーは四時間、ギラン・バレー症候群は二十八日、期間が決められていた。その他、医師が予防接種との関連性が高いと認める症状であって、死亡または障害に至るおそれのあるもの、要するに、報告書を見ますと、重いというのと重くないというのをチェックするわけですよね。そうすると、ある意味、かなり医師の主観で決められるというおそれもある。

 ですから、症状がかなり限定されてきていることと、期間が決められてきて、一月じゃないと副反応の申請自体もできないような、そういう状況でした。

 これも改正したはずですが、お答えをください。

新村政府参考人 副反応報告におきましては、アナフィラキシーとかギラン・バレー症候群などに加えまして、その他というカテゴリーで、個々に医師が予防接種との関連性が高いと認める場合には、重篤なものを報告の対象としております。ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後の多様な症状も、これに該当する場合に報告をされておりました。

 副反応報告の対象となる症状のうち、アナフィラキシーやギラン・バレー症候群などにおきましては、接種から発症に至るまでの期間を定めておりまして、その期間内に症状が確認された場合に報告を行うこととされています。

 一方で、その他の症状につきましては、従来より、接種から発症に至るまでの期間を限定せずに、予防接種との関連性が高いと医師が認める期間内であれば報告の対象としてきたところでございます。

 さらに、ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後の多様な症状がきちんと報告されるようにするため、昨年九月に通知を改正しております。それによりまして、疼痛や運動障害などの多様な症状が、接種から発症までの期間にかかわらず報告対象であるということを明確にしているところでございます。

高橋(千)委員 多様な症状がきちんと報告されるようにするためと、今の答弁は非常に重要だと思うんですね。やはり最初に医師の主観ではじかれてしまうということがないように徹底をいただきたいと思います。

 それで、ワクチンを接種したのは何人ぐらいかというのが、延べでいうと八百九十万人くらいだろう、アンプルの数からいってそうなるんじゃないかということと、実数で、二回、三回と一人の人が受けなければならないので、三百四十万人というふうなことが大体言われているわけですね。

 それで、被害者連絡会の方たちは、接種者全員の追跡調査、非接種者と比較対照する疫学調査の実施を求めておりますが、やるべきではないでしょうか。大臣に。

塩崎国務大臣 今先生から御指摘、御提案のある接種者全員に対する調査、これにつきましては、厚労省としても専門家とよく相談をしてまいりましたけれども、まず、症状が多岐にわたって、かつ御本人の申告に基づくものであることから、医学的な評価が難しいデータも収集されてしまうという可能性があること、それから、接種は約二年以上前の出来事であるために、過去の症状について曖昧な記憶をたどるということもあり得るということがございます。さらに、対象者が、今お話がございましたように、三百四十万人という非常に多い人数であることなどの課題があると考えております。

 厚生労働省としては、副反応報告があった接種者に対する追跡調査の結果をもとに症例の把握に努めているところでございまして、改めて接種者全員の調査をすることは現時点で考えているわけではございません。しかし、得られたデータについて関係の審議会において引き続きしっかりと検討をしていきたいと考えておりまして、先ほど申し上げたように、この追跡調査のデータがそろったわけでありますので、これを分析をきっちりして、できるだけ早く公表できるようにしてまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 もちろん、いろいろな困難はあると思うんですよね。でも、二年、三年たってようやっと、もしや自分はワクチンと関係があったのではないかといろいろな報道を見て初めて気がついた方もいらっしゃるわけですし、また、症状があってもすぐに治った方たち、それはすぐに、どういう症状だったかというのは意外に答えられているわけですよね。そういう方たちも含めて追跡をしていくことが大きな意味があるんじゃないかということを指摘しておりますので、ぜひ検討をいただきたい。

 同時に、やはり全数調査に近づくための構えというんでしょうか、伺いたいと思うんですが、昨年の八月二十九日、ですから田村前大臣の記者会見のとき、つまり、この三つの対策を発表した記者会見のときにこういうことを言っているんですよね。

 過去の同様の症状により医療機関を受診した方についても、これは対象とする、よく全数の調査という話もありますけれども、そういう意味では、こういう症状がある方々はどこかの医療機関には受診されているわけでございますので、そういう受診をされている医療機関から、副反応の可能性のある、そういうような情報に関しましてはしっかりと御提供いただくということです。それから、そういうような事例のある方に関してはしっかりと情報をこちらとして把握していく、過去のものに関しても掘り起こして把握していく、このように答えているわけです。

 ですから、大臣がかわったからそれはしないよという話ではないと思うんですね。

 さっきも、重篤な症例が二千四百七十件から二千六百件にふえましたとおっしゃいましたよね。副反応報告を改善したんですから、ふえるのは当たり前ですよね。当たり前なはずなんですよ。それをきちんとやっていって、少しでも調査の数をふやしていく、全数調査に近づけていく、そういう姿勢を持っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 さっき申し上げたように、我々としてまずやるべきことは、二千六百余りの追跡調査の中身をきっちりと分析して、そして、症状の内容とか程度とか治療の中身とか、そういうものをしっかり踏まえた上で結論を出していくということが大事ではないかというふうに思っておりますので、我々としては、まずそれをやるべきだというふうに考えております。

高橋(千)委員 これは局長でもいいんですけれども、さっき私が言ったこと、間違っていませんよね。要するに、報告の仕方を改善しているわけですから、当然ふえますよね。今も数字はふえているわけですから。だから、二千六百件になったからそれでいいという話ではなくて、きちっと、広がっていっても、それをちゃんと調査していくということでよろしいですよね。

新村政府参考人 先ほどおっしゃいましたように、去年、前大臣のときに発表した後、通知も出しまして、既に副反応報告が出ている症例もございますけれども、過去の例も含めて十分な報告を求めているということでございますし、転院している例とか、本人が把握しにくい例などもございますけれども、医療機関、あるいは市町村も必要な場合には含めて、できるだけ把握をして漏れがないように努めているところでございますので、今後とも引き続き努力していきたいと考えております。

高橋(千)委員 次に、資料の三枚目は、先ほど重徳委員が使った資料とちょっとダブってしまいましたので、読んでいる時間ももったいないので、質問だけを伺いたいと思うんです。

 一つは、審査が非常におくれているという問題、これを早く改善してほしいということ。やはり私は、それも、さっきから言っているように、副反応部会が因果関係があると言えないとか心理的なものじゃないかと言ったことがブレーキになっているんだと思うんですね。

 だけれども、それではもう見ていられない、原因がわからないから何もできないというのでは困るというので、自治体が助成を始めた。だったら、そこに支援をするとか、何か知恵は使いようがあると思うんですよ。何らかのことを考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

新村政府参考人 ワクチンの健康被害救済の面でございますけれども、医学的な知見に基づいて専門家による議論が必要でございまして、新しいワクチンであるHPVワクチンにつきましては、現在、医学的な知見の収集を行っているところでございます。

 先ほどからお話ししておりますように、HPVワクチンの副反応につきまして、病態などを全体的に把握、解明すべく、昨年の秋から開始した追跡調査を集計、分析中でございます。その結果を踏まえて、その後、救済に係る審査を行う関係審議会がございますので、そこで、HPVワクチンに関する個々の方の申請につきまして、その審査を速やかに進めていきたい、かように考えてございます。

高橋(千)委員 これは重ねて指摘をしたい、要望したいと思います。

 それで、資料の四枚目を見ていただきたいと思います。ちょっとちっちゃくて申しわけないんですけれども、タイトル、「私達は、子宮頸癌ワクチンの正しい理解を求め、その接種を推奨します。」というアピール文があって、ちっちゃく書いているんですけれども、HPVJAPANという団体でございます、任意団体。「賛同する」というのがあって、インターネットでクリックをすると署名が集まる、そういう格好になっておりまして、三月三十一日に発表いたしまして、賛同者は四月三十日現在で三百三十三名に達している、お医者さんたちが賛同しているということなわけですが、私はこれは非常に問題があると思っているんです。

 例えば、前文の二行目から見ていただきたいと思うんですけれども、「国内では、噂、思い込み、紛れ込み、仮説などを大きく扇情的に取り上げる報道記事や番組によって、多くの国民が誤解をしています。」もう最初から、うわさ、思い込み、紛れ込みだ、こう決めつけている。諸外国では不適切な記事の取り下げが行われているのに、日本では反対運動のみが掲載される事態などと指摘をしている。

 私は、これは正確ではないと思います。厚労省が追跡調査する、あるいは厚生労働科学研究などで深掘りしていく、そういう中で慎重に検討しようとしていることにさえ批判をしていることになるんですよ。

 その内容について大臣は承知しているんでしょうか。また、このことについては、資料そのものを配りますからということできのう通告してありますので、もし感想をいただけたらお願いしたいと思います。

塩崎国務大臣 今御指摘をいただきました任意団体が出しております三月三十一日の声明、これについて、存在はもちろん承知をしているわけでありますが、これは任意団体の活動内容でございますので、私どもとしてお答えする立場にはないというふうに思っております。

高橋(千)委員 この声明文は、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会が厚労大臣宛てにHPVワクチン被害問題全面解決要求書を提出した日と偶然にも一緒でありました。合わせたのかもしれません。

 それで、例えば、何年も原因不明の症状に悩んでいた少女たちがこの報道を見て、要するに、テレビのそういうワクチンのせいかもしれないと訴えている方たちの報道を見て初めて、自分もそうかもと思っているわけなんですよね。だから、報道されなければ、一人一人が原因がわからないことのつらさのうちに将来の希望を奪われていた。それを、因果関係がわからないんだからワクチンのせいではないと言い切れるはずはないんです。だから調査をしているのではありませんか。

 そういう人たちのことを、最初の塊の段落の下から六行目ですが、「恐ろしいケースを何例も紹介し、」恐ろしいと。でも、それが実態なんですからね。「関連をほのめかすことで、ワクチンが引き起こしたという間違った印象を読者や視聴者に与えました。」

 しかも、左下の段落を見てください。これは、ワクチン接種後に交通事故で亡くなったケースや、ワクチン接種後に成績が向上して高校、大学に合格したことを、HPVワクチンのせいだ、いや、おかげだと呼ぶでしょうか、こう言っているんですね。

 つまり、接種後に起こったこと、交通事故に遭ったのを、それまで、接種後だからワクチンのせいだ、こんな極端なことを誰か言ったりしているんですか。事実、おかしくありませんか。局長でいいです、お答えください。

新村政府参考人 この団体、任意団体の活動でございますので、厚生労働省としてお答えする立場にはない、大臣も申し上げたとおりでございます。

 私どもとしては、HPVワクチンの副反応について、追跡調査もし、専門家の意見も聞いて、今、十分にこの調査分析をするべきということで進めているところでございます。

高橋(千)委員 答える立場にないと言っていますけれども、やはり、厚労省が追跡調査をしている、そのことに対して、簡単に言えば早く再開せよと言っているわけでしょう。関係ないと言っているんですよ。そういうことに対して、お答えする立場にないでいいんですか、こんな極端なことを誰か言ったんですかということを指摘しているわけなんです。

 時間の関係でちょっと次に進みますけれども、HPVワクチンが承認審査中の二〇〇八年の十一月に設立されて、子宮頸がん検診の向上とHPVワクチンの早期承認、公費負担の実現を掲げて広報啓蒙活動などに取り組んでいる、子宮頸がん征圧をめざす専門家会議という団体がございます、当然御存じだと思いますが。

 この会の議長が、ここに書いてあるように、呼びかけ人の野田起一郎氏であり、実行委員長が今野良氏であるわけであります。この方たちが呼びかけ人になっている。ですから、HPVJAPANと専門家会議、この両者の関係はどうなっているんでしょうか。御存じなら教えてください。

新村政府参考人 この両団体ともに任意団体ということでございますので、両団体の関係ということも承知してございませんけれども、見る限り、一部の参加者の氏名が両方の団体のホームページに掲載されている、重複しているということは確認しております。

高橋(千)委員 見る限り一部の方が重複と。ですから、言っているじゃないですか。議長と実行委員長が呼びかけ人なんですよ。

 これは実は三十一日に出されたんですけれども、そのときには連絡先電話番号が書いてあったんです。その電話番号が専門家会議の電話番号と一致しました。これをオンブズパーソンに指摘されて、翌日削除しているんですよ。もうこれは実態は一緒だ、一緒だというか、メンバー全部が一緒じゃないかもしれませんよ、だけれども、専門家会議でやりにくいことをこういう形でやっているとも言えなくもないわけです。

 なぜそういうことを私が今指摘するかといいますと、資料の五枚目に二月二十日付の毎日新聞をつけておきました。

 子宮頸がんワクチン普及団体、今私が言っている専門家会議ですけれども、産婦人科医らでつくる任意団体なわけですが、製薬会社の支援ということが未公表になっているという見出しになっています。

 これは、アンダーラインを私が引きましたけれども、製薬会社から二年間で七千万円以上の資金提供を受けていました。事務局の所在地は公表していない、専門家会議ですよ、収支も公開していない。だけれども、一方の製薬会社は資金提供にかかわる情報公開をしていますので、これを見ると、一二年度は子宮頸がんワクチンの国内製造販売会社であるグラクソ・スミスクラインとMSD、二社から計三千五百万円、一三年度は計三千八百五十万円、逆に言うと二社しかないんですね、合わせて七千万円ですよね。今ももらっているということがわかっております。

 また、二〇〇九年四月に退職したGSKの元マーケティング部長が、専門家会議と委託契約を結んでセミナーの講師、つまり普及啓発の先頭に立っていた。下手すれば労務提供になるのではないかと思うんですね。

 そうすると、これらはやはり実質、製薬会社によるワクチンの販売促進活動に当たるのではないか、製薬協のコード・オブ・プラクティス、プロモーションのコードに触れるのではないかという指摘がありますけれども、どうでしょうか。

二川政府参考人 日本製薬工業協会のコード・オブ・プラクティス、これは、製薬企業と研究者、それから医療関係者、患者団体等の交流を対象とした行動基準ということで、日本製薬工業協会が自主的に制定しているルールでございます。

 したがいまして、その遵守が求められますのはあくまで製薬企業でありまして、専門家会議はその対象とはなっていないわけでございますけれども、このコードにおきましては、製薬企業が直接作成する資料ではなくて第三者が作成する資料であっても、製薬企業が関与をしている場合には、その場合に企業名が明示されていない、そういった場合にはプロモーションコード違反に該当することがあり得るというふうに、私ども、製薬工業協会の方から聞いているところでございます。

 したがいまして、現在、この自主ルールを策定しております日本製薬工業協会が調査を行っているところというふうに承知をしておりまして、私ども厚生労働省といたしましても、できるだけ速やかにその調査結果につきまして報告をいただけるよう求めているところでございます。

高橋(千)委員 今、該当することがあり得るという答弁でありました。

 これは、国際製薬団体連合会のコード・オブ・プラクティスによりますと、やはりプロモーションは偽装されてはならない、後援されている場合は誰の後援なのかを明確に書かなきゃいけないと書いている。そして、日本製薬協は、それを遵守しつつさらに高いレベルのコードを持っているというふうに自分たちが言っているんですけれども、直接であれ間接であれ、影響を与えるおそれのある金銭などを提供してはならないとやっている。だから、今そういう答弁があったんですね。

 任意団体、任意団体と言っているんですけれども、逆に言うと、任意団体を隠れみのに、本来、製薬企業が規律違反を行っているとしたらこれは問題はないのか、きちんと調査するべきだと思いますが、大臣、一言お願いします。

塩崎国務大臣 今、任意団体の活動の話が大分出ましたが、これはあくまでも任意団体の活動でございますので、お答えする立場にはないと思います。

 御指摘のこの団体の声明においては、賛同は個人の見解によるものでございまして、所属する機関とか施設を代表するものではないことが明記されていると承知をしております。

 このため、所属する医師が賛同することによって、協力医療機関としての機能を果たす上で支障を来すということではないというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 一言だけ。指摘だけで終わります。

 今、大臣は、私が質問していないのに次の質問の答弁を言っているんですよ。

 私が指摘したのは、任意団体を隠れみのにしている、このことをちゃんと受けとめろということなんです。

 そして、大臣が答弁したのは何かというと、このメンバーが協力医療機関のメンバーにもなっていて、八十二名、数えました。窓口の、同じ人が。それを今そうやって、直接、機関の代表ではないからということで言っているんですよ。

 だけれども、そういう方たちが頭から、あなたは心理的なものでしょうということをやったら、本当に患者さんが二度、三度傷つくではありませんか。

 このことを本当に指摘して、残念ですが、時間が来たので終わります。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。塩崎厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

塩崎国務大臣 ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 労働者派遣制度は、我が国の労働市場の中で、労働力の迅速かつ的確な需給調整を行うという重要な役割を果たしています。

 一方で、業務単位で期間制限を設けている現在の制度はわかりにくいとの指摘もなされており、労使双方にとってわかりやすい制度とするとともに、派遣労働が雇用と使用の分離した形態であることに伴う弊害を防止する必要があります。

 このため、派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方のもとに新たな期間制限を設けることとするほか、労働者派遣事業の質の向上を図り、派遣労働者の正社員化を含むキャリア形成を支援する等の仕組みを設けることで、派遣労働者のより一層の雇用の安定、保護等を図ることとし、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の主な内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の区別を廃止し、労働者派遣事業を全て許可制とすることとしております。

 第二に、厚生労働大臣は、労働者派遣法の規定の運用に当たり、派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮しなければならないものとするとともに、業務単位の期間制限を廃止し、同一の派遣労働者に係る期間制限及び派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの期間制限の二つの期間制限を設けることとしております。また、派遣元事業主は、同一の派遣労働者に係る期間制限の上限に達する見込みがある派遣労働者に対して、派遣先への直接雇用の依頼等の雇用の安定を図るための措置を講じなければならないこととしております。

 第三に、派遣元事業主は派遣労働者に対し、計画的な教育訓練等の実施や均衡待遇を確保するために考慮した内容についての説明をしなければならないこととするとともに、派遣先は、賃金の情報提供、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用に関して配慮しなければならないこととしております。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、平成二十七年九月一日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

渡辺委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十五分散会


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