衆議院

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第17号 平成27年5月28日(木曜日)

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平成二十七年五月二十八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 赤枝 恒雄君 理事 後藤 茂之君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 松野 博一君 理事 西村智奈美君

   理事 浦野 靖人君 理事 古屋 範子君

      大岡 敏孝君    大串 正樹君

      加藤 鮎子君    木村 弥生君

      黄川田仁志君    小松  裕君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      谷川 とむ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    長尾  敬君

      長坂 康正君    丹羽 雄哉君

      橋本  岳君    比嘉奈津美君

      堀内 詔子君    前川  恵君

      牧原 秀樹君    松本 文明君

      三ッ林裕巳君    若狭  勝君

      阿部 知子君    小川 淳也君

      大西 健介君    岡本 充功君

      中島 克仁君    山井 和則君

      足立 康史君    井坂 信彦君

      牧  義夫君    輿水 恵一君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    堀内 照文君

    …………………………………

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   参考人

   (中央大学経済学部教授) 阿部 正浩君

   参考人

   (一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部長) 高橋 弘行君

   参考人

   (派遣ユニオン書記長)

   (NPO法人・派遣労働ネットワーク事務局次長)  関根秀一郎君

   参考人

   (株式会社リクルートホールディングス専門役員リクルートワークス研究所所長)            大久保幸夫君

   参考人

   (自由法曹団常任幹事)

   (弁護士)        鷲見賢一郎君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     前川  恵君

  堀内 詔子君     若狭  勝君

  松本  純君     長坂 康正君

  村井 英樹君     黄川田仁志君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     村井 英樹君

  長坂 康正君     松本  純君

  前川  恵君     加藤 鮎子君

  若狭  勝君     堀内 詔子君

    ―――――――――――――

五月二十八日

 全てのウイルス性肝硬変・肝がん患者の療養支援とウイルス検診の推進に関する請願(武部新君紹介)(第一一九八号)

 同(横路孝弘君紹介)(第一二五一号)

 全国一律最賃・時給千円以上の実現に関する請願(堀内照文君紹介)(第一一九九号)

 障害者福祉についての法制度の拡充に関する請願(鈴木義弘君紹介)(第一二〇〇号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第一二五二号)

 同(金子恵美君紹介)(第一二六五号)

 同(藤丸敏君紹介)(第一二七六号)

 新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求めることに関する請願(逢坂誠二君紹介)(第一二三五号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一二三六号)

 同(清水忠史君紹介)(第一二六四号)

 パーキンソン病患者・家族に対する治療・療養に関する対策の充実に関する請願(橘慶一郎君紹介)(第一二五〇号)

 社会福祉法等の改正に関する請願(辻元清美君紹介)(第一二六三号)

 身体障害者手帳等級の改善に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一二七五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、中央大学経済学部教授阿部正浩君、一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部長高橋弘行君、派遣ユニオン書記長、NPO法人・派遣労働ネットワーク事務局次長関根秀一郎君、株式会社リクルートホールディングス専門役員リクルートワークス研究所所長大久保幸夫君、自由法曹団常任幹事・弁護士鷲見賢一郎君、以上五名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず阿部参考人にお願いいたします。

阿部参考人 おはようございます。中央大学の阿部と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、このような場で意見を開陳する機会をいただきまして、大変光栄に存じております。

 私は、経済学部で労働経済学を研究しておりますので、研究者としての立場から、今回の派遣法改正、あるいは今後の派遣制度について考えを述べさせていただきたいと思っております。

 まず、皆様のお手元に資料をお配りいたしておりますが、一枚目、「雇用形態別、雇用者数の推移」ということで、これは、総務省統計局が調査しております、一九八四年から二〇〇一年までは労働力調査特別調査、それから二〇〇二年以降は労働力調査の詳細集計といったところで雇用形態別の雇用者数を把握しておりまして、それをグラフにしたものでございます。

 これを見ますと、労働者派遣事業所の派遣社員というのは、派遣社員の推移でございますが、一九九九年の二十八万人から、ピーク時が二〇〇八年末の百四十八万人へ、派遣労働者数は傾向的に増加してまいりました。ただ、その後減少しまして、二〇一五年一―三月期は百二十万人へと推移しております。この二〇一五年の百二十万人という数字は、非正規労働者全体の約六%、雇用者全体の約二%に当たるということになっております。

 派遣労働者が九九年の二十八万人から現在の百二十万人へと増加してきた背景としましては、幾つかあると思いますが、大きく二つの要因があるのではないかと思っております。この要因は、非正規雇用者増加の背景とも同様と思っております。

 その一つには、お手元の資料の二枚目にございますが、そこに、技術代替的労働需要、ちょうど真ん中のあたりに書いてありますが、この技術代替的労働需要と申しますのは、技術革新によって比較的未熟練労働者でも遂行可能な仕事が今現在ふえておりまして、そうした需要が技術革新によって生み出されたものであるということでございます。

 ただ、技術革新は、一方で技術補完的労働需要というのもつくってまいりましたが、技術代替的労働需要が比較的未熟練でも遂行可能ですので、企業が労働者を長期雇用する必要性が弱まったということで、以前に比べて、長期雇用ではない非正規雇用者、そして派遣労働者がふえてきたのではないかと考えております。

 もう一つの大きな理由が、企業が、グローバル化などで、国際競争上、激しい競争をしております。企業は労務コストの抑制というのをせざるを得なかった側面もあり、そしてまた、労働市場が国際化していって賃金がやや上がりづらかった、賃金の上方硬直性というふうに書いてありますが、上がりづらかったといった点もあろうかと思います。

 そういう背景もあって、特に九〇年代前半のバブル崩壊以降、日本の企業は雇用に関して選択と集中ということをやってきて、企業特殊的で熟練を要する仕事には正社員を雇用し、単純で簡単な仕事や高度で専門性の高い仕事は外部労働人材に頼るということで非正規雇用者がふえてきたというふうに考えております。

 なお、派遣労働者が非正規の中で需要があるもう一つの理由としては、派遣労働者のマッチング機能が比較的高いという側面があろうかと思います。

 企業が労働者を直接雇用しようとして採用活動を行う場合には、広告やあるいは職業紹介、あっせん機関等を利用して求人募集するわけでございますが、労働者と企業の間では情報の非対称性というものが非常に大きく、採用にはとても時間と費用がかかるということです。

 一方、これに対して、派遣の場合は、派遣社員の能力を派遣会社が事前に把握して、比較的短時間でマッチングすることができており、採用に要する費用も企業にとって決して安くないので、派遣を通じた労働需要というものは、企業にとっても、そして働く側の労働者にとっても、すぐに仕事を探せるし、仕事を見つけることができるということで、相対的に効率のよいものになっているだろうということであります。

 このように、企業が派遣労働者の需要をふやした背景としては、熟練を要さない仕事がふえて外部労働力の活用をふやしてきたことと、外部労働力のマッチングにおいては派遣の効率性が比較的高いということが考えられます。

 なお、派遣労働者の比率が非正規雇用者の六%、雇用者全体の二%と高くないのは、パート労働者等に比べて派遣労働者の時給は手取りベースでもやや高いということがあって、労務コストの上では派遣労働者の方が比較的、企業は活用したいんだけれども、高いので、やはりなかなか活用できないという側面もあるのではないかと考えております。

 一方、労働供給側の派遣社員に目を転じますと、平成二十四年派遣労働者実態調査によると、派遣労働者の今後の働き方に対する希望は、お手元の資料で最後のページ、三枚目になりますが、派遣労働者として働きたいと答えた方が四三・一%、派遣社員ではなく正社員として働きたいと答えた人が四三・二%と、ちょうど五人に二人ずつ、正社員になりたいという希望を持つ方と派遣社員のままで働きたいという方がいらっしゃるということでございます。

 最近行われた日本人材派遣協会の調査では、約七割は当面派遣社員として働きたい、ただ、将来的には正社員が四割強ということになってございます。

 そういう意味で、労働者の希望というのは、正社員にもなりたいという派遣労働者がいる一方で、派遣社員としてキャリアを形成していきたいという労働者がいるのも事実でございます。

 労働者の希望をできるだけ実現することは、政策的に大変大事なことでございます。正社員になりたい人が正社員へのキャリアアップができるよう、そして同時に、派遣社員のままがよいという人には派遣社員でのキャリアアップを図ることができるよう、労働市場の環境を整備していくこと、これが非常に大切なことだと思います。

 今回の派遣法、今提出されている案では、派遣会社に派遣社員の計画的な教育訓練と希望者に対するキャリアコンサルティングの実施を義務づけておりますが、これは非常に大切なポイントだろうと思います。ただ、このキャリア形成の問題は非正規雇用者全体にも当てはまっており、その意味では、派遣法だけで解決できる問題ではなく、ほかの政策も考えていくべきだろうと思います。

 最後に、超高齢社会を迎えている我が国の社会経済の持続可能性を考えると、人々の多様な働き方を認めるとともに、労働者一人一人の生産性を高めていく必要があると思います。そのために、法制度は、労働者の希望する職業選択がかなうようなマッチングシステムの高度化、能力開発の整備を明確に織り込むべきだと思いますし、その一方で、企業の雇用ポートフォリオと労働需要をゆがめるような法制度は問題であろうというふうに思っております。

 以上、今後の議論に参考になれば幸いと存じます。どうもありがとうございました。(拍手)

渡辺委員長 ありがとうございました。

 次に、高橋参考人にお願いいたします。

高橋参考人 おはようございます。経団連労働政策本部長の高橋でございます。

 本日は、労働者派遣法改正法案に対する考え方を述べさせていただく機会を頂戴し、まことにありがとうございます。

 限られておりますけれども、改正法案について申し上げる前に、労働者派遣制度に関する基本的な考え方を述べたいと存じます。

 労働者派遣制度は、労働市場における重要な需給調整機能を担っており、多様な働き方のニーズと人材活用に応える選択肢を提供するものであると考えております。

 派遣労働者にとりましては、希望する勤務地や勤務時間、仕事内容を迅速に選ぶことができるという柔軟性がございますし、企業側にとりましては、必要なスキルや知識を持った人材を早期に確保できるという利点がございます。労使双方にとりまして重要なマッチング機能の役割を果たしております労働者派遣制度を、今後ともよりよいものに見直していくことが肝要であります。

 派遣という働き方に関しましては、雇用が不安定であるとか処遇改善やキャリアアップの機会に乏しいといった指摘がございますけれども、他方で、二〇一四年の労働力調査によりますと、派遣労働者の六割はみずから派遣労働を選択して就労しているということが確認できるわけでございます。

 派遣という働き方を否定し、規制強化によって制限していくことは、制度の持つすぐれたマッチング機能を損なうことになります。重要なことは、不本意ながら派遣として長く働いている方々に向けた適切な支援と多くの就業機会をつくり出していくことであると考えております。

 それでは、改正法について申し上げたいと存じます。

 私といたしましては、改正法案は大きく四つの点ですぐれていると評価しております。

 第一は、特定労働者派遣事業の廃止であります。

 私は、労働政策審議会労働力需給制度部会の委員を拝命しておりますけれども、毎月の会合のたびに、悪質な法令違反の報告を多く受けております。それらの事案を見ますと、行政への届け出だけで事業を営むことができる特定労働者派遣事業に特に悪質な違反が目立っておりまして、私は、そのことに常々大きな問題意識を持っております。また、派遣事業者の八割近くが届け出だけで事業運営を行っている実態にも疑問を感じております。

 そこで、小規模な派遣事業者には大変な規制強化となりますけれども、法改正について議論をしておりました二〇一三年の労働政策審議会の場で、私から、特定労働者派遣事業を廃止し、全て資産要件などを要する許可制とすべきことを主張いたしました。この点は労使で考え方は完全に一致しておりまして、改正法案へと結実いたしました。全て許可制へと移行することで、健全な派遣事業者が事業を営む基盤となり、それがひいては派遣労働者の保護につながると期待しております。

 第二は、期間制限のあり方を抜本的に見直して、わかりやすい制度に変更することであります。

 現行制度では、派遣労働者が行う業務に着目し、政令で定めますいわゆる二十六業務につきましては、派遣可能期間に制限を設けていない一方で、その他の自由化業務については、原則一年、最長三年までとしております。しかしながら、二十六業務に該当するかどうかの判断をめぐりまして、労働局、派遣先、派遣元、派遣労働者の間で認識にそごが生じがちでございます。

 とりわけ、二〇一〇年に厚生労働省が行いました専門二十六業務派遣適正化プランをめぐりまして、大変な混乱が見られたのは記憶に新しいところであります。適正化プランのもとで、二十六業務に関する行政解釈が突然変更されました。例えば、派遣労働者の方が一緒に働いております派遣先の従業員の電話をとっただけで、専門業務とは認められないといった極端な行政指導がなされたことは、制度を不安定化させただけではなく、行政に対する不信を生じさせたと考えております。

 こうした経緯から申し上げられますことは、業務の専門性に着目して期間制限の有無を判断することには無理があるということであります。

 改正法案では、二十六業務を廃止し、派遣元における雇用形態の違いによりまして期間制限の有無が異なる仕組みに見直します。派遣労働者を受け入れる場合、派遣元で有期雇用なのか無期雇用なのかは、派遣契約を締結する際に書類上で確認することができますので、非常にわかりやすい形となります。

 雇用が安定している無期雇用の派遣労働者について、期間制限なしとすることで、派遣という働き方をみずから選択する労働者にとりましては、同一の派遣先で長期にわたってスキルや経験を磨くことにつながることが期待されます。

 一方、有期雇用派遣労働者の場合には、個人単位と派遣先単位の二つの点から三年という期間制限がかかってまいります。この点に関しまして、三年ごとに人をかえれば派遣を使い続けられるといった批判がありますが、事業所単位で見まして、派遣労働者の受け入れから三年が経過する前に過半数組合等からの意見聴取を義務づけている点は、すぐれた制度であると思っております。

 職場のあり方は、何より、労使が意見交換を行いながら自社に最も適した形としていくことが基本となります。改正法案が労使の話し合いに重点を置き、労使自治を尊重しているということは、高く評価できると思います。

 第三は、派遣労働者の雇用安定が現行制度より図られやすくなる点です。

 派遣労働者につきましては、使用者責任が曖昧になりやすいといった点や、派遣契約の終了と同時に雇用が不安定になるといった指摘が多くございます。確かに、リーマン・ショックの際には、未曽有の危機であったために、派遣契約の終了が相次ぎ、派遣元において雇いどめや解雇も多く行われました。

 ただし、こうした状況を踏まえまして、平成二十四年改正におきまして、派遣先の都合により派遣契約を中途解除した場合には、派遣先が当該派遣労働者に対しまして新たな就業機会を確保することや、休業手当の支払いに要する費用等を派遣先が負担することが法定化されたわけでございます。

 今回の改正法案では、派遣元に雇用安定措置を義務づけております。このことは、派遣元の雇用主責任を一層明確化するものであります。また、有期派遣労働者の雇用安定に必要な措置であると思っております。派遣先が新たに正社員などを事業所に雇い入れる際に、その募集情報を派遣労働者にも周知するといった措置を図ることとしておりますので、派遣労働者の保護に関する取り組みは一層整備されてまいります。

 改正法案が成立しても派遣先での直接雇用がふえることは期待できないという御意見もお聞きします。そもそも、雇用は経済情勢などによって大きく変動するものでありますけれども、二〇一三年十月十日の労働政策審議会に提出されました厚生労働省の資料によりますと、現行制度におきましても、派遣期間制限の抵触日が到来した対応といたしまして、五割以上の派遣先が直接雇用をしているという実態がございます。

 派遣労働者と雇用契約が成立するかどうかは、派遣先と派遣労働者の双方のニーズが合致するかどうかで決まってまいります。派遣労働者の方が必ずしも現在の派遣先で就業したいと希望されているわけではなく、中小企業などの場合でございますと、ぜひうちで働いてほしいと申し入れても、派遣労働者の方から遠慮したいと断られるケースも多いと聞いております。

 重要なことは、就業継続を希望している方への支援であり、今回の雇用安定措置は現行制度にはないものでありまして、その効果を期待しております。

 最後に、第四といたしましては、派遣労働者の処遇改善とキャリアアップ支援が強化されるということであります。

 派遣労働者は、長く働いても処遇改善につながりにくいとか、キャリアアップの機会に乏しいという指摘がございます。

 既に大手の派遣業者などでは、専門の学校施設を設けるなど、派遣労働者の教育訓練やキャリア形成の支援について積極的な取り組みが行われていますが、全ての派遣元事業主が取り組むといった状況には至っておりません。

 派遣労働者のキャリアアップにつきましては、第一義的に、雇用主である派遣元がその責任を負うものと考えておりますけれども、業務に関するスキルや能力、経験は仕事を通じて身につけることが多いため、派遣先でのOJTも大変重要となってまいります。

 そのため、改正法案では、派遣元に計画的な教育訓練やキャリアコンサルティングの実施を義務づけており、許可要件にも、キャリア形成支援制度を有することを追加するとしています。その上で、派遣先に対しましても、業務遂行に密接に関連した教育訓練の実施や、職務遂行能力などに関する情報を派遣元の求めに応じて提供することとされています。

 また、業務単位の期間制限が撤廃されることについても、派遣労働者の仕事の幅が広がり、派遣先としてもOJTが行いやすくなるということが期待されます。

 これらは、キャリアアップやステップアップを考えている派遣労働者にとりまして非常にプラスになる仕組みであると考えております。さらに、みずから望んで派遣就業している労働者にとりましても有益でありますので、派遣法改正法案の早期成立が求められると考えてございます。

 簡単ではございますが、今回の改正法案に関する考え方につきまして、評価されるべき四点を中心に申し上げました。

 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

渡辺委員長 ありがとうございました。

 次に、関根参考人にお願いいたします。

関根参考人 派遣ユニオンの関根と申します。

 余り滑らかにお話しするのは得意ではないので、御容赦ください。

 私は、派遣ユニオンの書記長として、派遣労働者からの相談を日ごろ受けております。また同時に、私自身も、あちらこちらの派遣会社に登録して働いてみた、就労をしてきたというような経験もございますので、そうした、相談を受けたり実際に働いた経験の中から、派遣の実態、そして今回の労働者派遣法の改正案についてどのように見ているかということについてお話しさせていただきたいというふうに思います。

 まず第一に、今回の労働者派遣法改正案の最大の問題点についてなんですが、派遣労働者を正社員化する法案であるというのは全く真実ではなく、むしろ不安定な派遣労働者を大幅に拡大してしまうという法案であること、つまり、特に若者、これから就職しようという人たちが正社員として就職する機会を完全に奪ってしまう法案であるということ、これこそが最大の問題だろうというふうに考えております。

 派遣の実態といたしましては、まず、最大の問題は派遣切りであります。

 リーマン・ショックのときにも、東日本大震災のときにも、一番真っ先に切り捨てられたのは派遣労働者です。最も切りやすい労働力として派遣労働者が位置づけられているがために、数十万人の派遣労働者が切り捨てられ、路上に放り出される。年越し派遣村にあらわれたたくさんの人たちは、命の危機にさらされるというような事態があったわけです。

 残念ながら、この派遣労働者の不安定性というのは全く変わることなく、現状においても不安定なまま、二カ月から三カ月程度の雇用契約を何回も更新しながら働くというような働き方で、なおかつ、派遣先企業、働かせている企業の側は、雇用上の責任を全く負わないということから、ごくごく簡単に切り捨ててしまうというような実態にございます。

 一ページめくっていただきますと、派遣スタッフアンケートがございます。私どもが二年から三年に一回のペースで行ってきた派遣労働者に対する実態調査なんですけれども、一ページ目のこの表は、派遣労働者の平均時給をあらわしています。一九九四年の段階では千七百円台だった平均の時給が、二〇一三年の段階では千百円台にまで落ちてしまっています。これは、もうずっと派遣労働者の時給が落ち続けているということを示していますし、大幅なダウンです。

 それから、二ページには、年収の水準、百万円から二百万円程度の派遣労働者が多数いるということや、現在の収入では大変苦しい、生活が少し苦しいということで、苦しいと言っていらっしゃる方がたくさんいるというような実態がございます。

 それから、四ページをごらんいただきたいんですけれども、現在の労働契約期間というのは、二カ月から三カ月程度の人が大変多く、通算就労期間というのも、一年未満であるとか、二年未満、三年未満というような形で切られている人たちがたくさんいらっしゃいます。

 そして、五ページにございますけれども、これからの自分の将来の働き方について聞いているわけなんですが、まず、自分の将来には不安を感じているという人たちが約六割いらっしゃる。さらに、今後の働き方の希望については、正社員として働きたいという方が六三%で、派遣スタッフを続けたいという方が二一%でした。

 その下に、今後どのような働き方を希望するかというアンケートに関する経年の変化が出ておりますけれども、九四年に調査した段階では、派遣スタッフを続けたいという方の方が多かったわけなんですが、これがどんどんどんどん減って、派遣スタッフを続けたいという方が減っていって、正社員として働くことを希望するという人がふえていくというような推移が、この表にも見てとれるかと思います。

 つまり、どんどんどんどん労働者派遣法が規制緩和されていくに従って、派遣がどんどん拡大されていく。結果として、働く人たちは、正社員として働きたい、あるいは安定した雇用で働きたいけれども、安定した雇用がないから、派遣という働き方を余儀なく選択しているという人たちがふえているということになっているわけです。

 今回の労働者派遣法に関しては、正社員化する法案というふうに言われておりますけれども、実際にはその雇用安定化措置というのは、あくまでも、派遣会社が三年たった時点で派遣先に、雇ってくださいね、派遣先で直接雇用してくださいという要請をするだけであって、これを派遣先が、嫌ですよ、うちは雇いませんよというふうに言ってしまえば、全く効力がない。また、派遣会社がかわりの仕事を紹介するという場合についても、通勤時間が著しく長い仕事を紹介される可能性や、あるいは時給がダウンしてしまう仕事、あるいは全くできない業務内容の仕事を紹介されてしまう危険性もありまして、そこのルール化がまだ全くなされていない中で、雇用安定化措置とはとても言えず、実効性のないものであるというふうに考えられます。

 今回の改正案が施行された場合にどんなことが起こっていくのか、その問題点についてお話しさせていただきたいと思います。

 まず第一に、三年ごとに派遣労働者を別の派遣労働者に差しかえさえすれば永続的に派遣が活用できる、今までの期間制限というのが事実上なくなってしまう法案ですので、企業の側は派遣が使い勝手のいいものだということになりますので、これから不安定な派遣労働者が大幅に拡大していくことは間違いありません。企業の側は、労働力としては派遣ばかり活用するようになって、正社員の募集というのは著しく減少していくということになるかと思います。正社員ゼロ法案であるというふうに言われているのも、そうしたことから言われているわけです。

 また、今回、期間の定めのないいわゆる無期雇用の派遣というものについては、正社員として募集するということも許されるというようなお話も聞こえてきておりますけれども、名ばかり正社員というふうに言わざるを得ないだろうと思っております。事実上、派遣というのは間接雇用ですから、まさに正社員ではないことの要件の一番大きなところなんですね。ところが、これを正社員として募集する、結果として、派遣労働者が正社員という名前だけで募集されている。

 きのうも私、ある派遣労働者の相談を受けていたわけなんですけれども、その派遣労働者は、正社員ということで募集されて派遣で働いていたけれども、賃金は月収で十三万から十四万ぐらいだということで、派遣がいかに労働条件が悪いかということをお話しされていました。

 それから、今回の労働者派遣法の改正案の中で非常に大きな問題点、三年後には専門二十六業務の派遣労働者が一斉に切り捨てられることになってしまうということなんです。

 九ページをごらんいただきたいんですけれども、これは、専門二十六業務、研究開発職で働いていらっしゃる派遣労働者、五十代の男性の実態なんです。

 彼は、十七年間にわたって派遣で働いているわけなんですけれども、研究開発職という極めて専門性の高いお仕事をしていらっしゃいます。彼は、三年後に備えて派遣先、派遣元と話をしているんですが、まず、派遣先に正規雇用してもらうという点については、派遣先からは、もうあなたの年齢と学歴では無理ですよというふうに言われてしまっている。また、派遣元からは、あなたの年齢では期間の定めのない雇用契約に切りかえるのは無理ですよというふうに言われてしまっているということなんです。

 専門性が高い仕事であればあるほど、三年後に切られて、新たな仕事を紹介することは非常に難しいということなんです。

 十ページの中段あたりから書いてありますが、この方は、どう転んでも、この法案によって失業するというふうに認識している。そして、その後は生活保護になるか、生活苦から老いた母とともに無理心中することも考えてしまうというふうに話していらっしゃいます。

 本人は、現実的には、現在の派遣制度による生涯派遣でも構わないと思っているとのことです。ただし、その条件としては、同一労働同一賃金とまでは言わないけれども、正社員の七、八割ぐらいの賃金はもらえるようにしてもらいたい、つまり均等待遇を定めてほしいということ、とにもかくにも安定雇用を保障してほしいんだということを話していらっしゃいます。

 本人は、安心した暮らしと仕事があれば再婚もできる、この方はバツ一だということなんですが、再婚もできるかもしれないし、そうすれば、いずれやってくる親の介護も何とかなるかもしれない、しかし、今度の改悪案は、そういった希望を全て奪い去り、それどころか命の危機にさらされるようになってしまうということを危惧していらっしゃいます。

 それから十一ページには、同じく五十代の女性の方、この方も、事務用機器操作で十五年働いていらっしゃる方なんです。

 この方も、正社員にはあるが派遣にはないものとして、交通費、賞与、退職金、慶弔休暇等々がありまして、非常に大きな格差、給与でいうと半分程度の給与しかもらっていないということ。派遣法改悪がもし施行されたら、三年で自分も雇いどめになってしまう、今だっていつ切られるかわからないけれども、少なくともこの法案によって三年で確実に切られるということに定められるのは御免だということを話していらっしゃいます。

 再び経済的な変動や大規模災害が発生したときには、この法案で派遣をふやしておいたら、また大規模な派遣切りが発生してしまうことは間違いありません。

 本来望まれる派遣法改正の方向性としては、まず何といいましても、派遣労働者の雇用の安定を図っていただきたいというふうに思っております。今回の改正案では、残念ながら、無期雇用に移行するということはございません。期間の定めのない雇用契約を前提とする派遣に切りかえていっていただきたいというふうに考えています。

 それから、派遣労働者と同一の業務を行う派遣先の労働者との均等待遇、同一労働同一賃金をきちんと定めていただきたい。

 そしてもう一つは、派遣先の責任の強化です。やはり派遣先というのは、実際に派遣労働者を使いながら、そして大きな権限を握りながら、責任を負わずともさまざまなことができるというふうになってしまっていることから、派遣労働者が派遣切りされて派遣先に申し入れても、うちは雇用関係がないから関係ありませんよというふうに逃げられてしまう。あるいは、さまざまなセクシュアルハラスメント等の被害に遭っている方もたくさんいらっしゃいます。

 そうした問題を解決するためにも、本当に実効性のある労働者派遣法の改正を行っていただきたいというふうに考えております。

 以上です。(拍手)

渡辺委員長 ありがとうございました。

 次に、大久保参考人にお願いいたします。

大久保参考人 おはようございます。リクルートワークス研究所の大久保と申します。このような機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、企業の人事管理、それから個人のキャリア形成、あとは労働政策ということについて、長年研究をしております。

 この派遣という制度についてもかなり長く見詰めてまいりましたし、その間、派遣労働者向けの調査を行ったりとか、ヒアリングを行ったりということも長年やってまいりました。その中で、この派遣制度というものに対して私がずっと思い続けていることが一つございます。

 それは何かというと、派遣というのは何なのか、派遣という制度というのはどういうふうにあるべきなのか、どちらに向かっていったらいいのかということがはっきりしない。そこが非常に不明瞭な、ある種、相反するものがこの制度の中に組み込まれているということをずっと思い続けてきております。

 それは、もともとできた派遣法というものが、改正に改正を重ねて、家を増改築を繰り返していくようなもので、だんだん複雑になっていって、かなりわかりにくい制度になっている。しかも、そのときの議論がそれぞれ反映されて、ちょっと俯瞰的に見ると、これは両立しないんじゃないかと思うことが含まれているときがあるんですね。

 例えば、今回、派遣については臨時的、一時的なものにするという方向性が打ち出されておりますけれども、もともと日本の派遣制度というのは、ほかの国の派遣制度と比べた場合に、一つの職場で働き続ける期間が長いという大きな特徴がございます。国際的に見ると、派遣制度はかなり短いものです。日本は長かった。どちらかというと安定性を目指して、日雇い派遣については禁止をした。日雇い派遣を禁止したことと、一時的、臨時的なものだということについては、どういうふうに組み合わせて理解をしたらいいのか、このあたりは若干悩ましいところが残っております。

 あるいは、もともと正社員とか常用雇用の代替になるようなものは派遣にしないんだ、これは日本独特な考え方で、そういう考え方をしてきましたけれども、ということは、正社員と違う仕事をするということなんですね。その人を円滑に正社員化するということはどういうことなのか。このあたりもなかなか難しい、相反するところを含んでいて、例えば雇用の安定、派遣労働者の安定、派遣切りはいけないということでより安定性を目指すと、今度は派遣というものが生涯派遣だという批判が出てくる。一体このどちらを目指して派遣という制度をつくっていくのかという議論をしっかり収束させることが、派遣制度をいい制度にしていくことなのかなというのをまず大前提としては私はずっと思い続けております。

 ただ、これは相当な、丁寧な時間をかけた議論がまた継続的に必要なんだろうと思っていまして、今回提案されている法改正について言えば、それでも私は幾つかの点で大きな改善があるというふうに考えております。

 特に、私がそのポイントとして大きいと思っているところをお話をしたいと思うんですが、これは、現場の実際の派遣労働者を使っている企業の方々、働いている派遣労働者の方々、派遣事業者の立場、それぞれからさまざまな話を聞いているわけでありますけれども、改善のポイントとして一番大きいと思っているのは、いわゆる専門二十六業務という枠組みをやめることです。これは非常に大きいです。

 御承知のとおり、もともと派遣制度ができたときには十六業務からスタートしているわけですが、この十六をどうやって選んだのかというと、いわゆる今働いている正社員、常用雇用で働いている方々の代替にならないものを選んだ。かつ、それ以前には事務業務請負というサービスがございまして、これは外資系企業のテレックスの対応をしたりするような仕事ですね、そういう方をこの新しい派遣制度で吸収する。もう一つ、女性の雇用機会をつくろうじゃないかと。これが議論されて、当初十六業務というのが決められました。最後の方の理由があるから、事務機器操作とかファイリングというものも入ってきたわけですね。

 つまり、これで設定されているものというのは、必ずしも専門職ではないんです。事務機器操作とかファイリングという専門職というのは、実際にはないんです。ただ、専門二十六業務と便宜的に呼んでおりました。

 それが後に、ネガティブリスト化することによって、二十六業務については期限を決めなくていい、それ以外は三年だ、こういうふうに決めたことによって、この線引きを明確にすることを求められたわけです。

 いわゆる適正化プランというものが展開されたんですが、これが実は大混乱でございまして、もともとファイリングというのは何だというと、非常に曖昧なものであって、今、全ての事務職は大体パソコンを使ってやっていますので、そういう中で、ファイリングかファイリングじゃないのか、事務機器操作であるのかそうじゃないのか、そこについての見解が労働局でも分かれたりして、どんどん動きが手足が縛られてわかりにくくなっていく、そういうプロセスをたどってまいりました。

 先ほど高橋参考人からもお話がありましたけれども、実際には、その業務に専念をしなければいけない、何割以上はそれじゃなきゃいけないとかということになってくると、本当に電話をとることすら制約されたりとか、職場に置いていくと、だんだん距離を置かれていくんですよね。だんだんその職場の人間ともなじみにくくなっていくというようなことがあって、非常に働きづらいということで、何を守ったらこの法律を守っていることになるか非常にわかりにくいということもあって、現場は大変混乱をいたしました。その関係で、事務機器操作で働いている人の数というのはかなり減るんです。

 そういうような混乱状態から今回の法改正によって抜け出せるということは、現場で派遣に直接携わっている人は大変それを評価している、喜んでいるんじゃないかというふうに思います。それが、改善と申し上げたことの一つであります。

 二つ目は、派遣事業者の許可要件を厳しくしたこと、これは私は大変いいことだというふうに思っています。

 特定労働者派遣、届け出制だったものについて全部許可制にするということは大変結構なことですし、それから、教育訓練とかキャリアコンサルティングを義務づけて、キャリア支援制度を有する会社でなければ派遣事業は営めないというふうにしたことも大変いいと思います。

 人材サービスの中でも、派遣事業というのは直接雇用をする事業なので非常に責任が大きいんですね。その労働者を、間接雇用ですけれども守らなければいけないという大きな責任がありますし、その労働者のキャリアについての責任も負うわけですから、それだけのある種能力が必要である、体制が必要であるということだと思っておりますので、それを求めることは極めて自然なことだというふうに思います。

 実際にこのようなルール改定が提示されて、確かに、中小の派遣事業者の中にはあっぷあっぷしているところも結構あります。ただ、これは筋としては極めて通っていることだと思いますので、意欲のある業者は一生懸命この法改正についていこうというふうに思っておりますし、それが派遣制度全体の健全化につながるのではないかということで、このポイントについては評価をしております。

 あともう一つ、これは一〇〇%賛成というふうには言い切れなくて、両面性が若干あるんですけれども、全て三年を上限にして、派遣先の、継続したいと思ってもそこで終わってしまうという問題に関しては、実際にこの法改正について反対している派遣労働者の中の一番大きな声は、やはり自分自身が三年を超えて今の職場にいて、そこについての期限を定められてしまうということについての懸念であります。

 ただ、これについてはかなりポジティブな側面もございます。

 つまり、一つは、三年間その職場で働き続けてきて、ということは、一定程度その職場で評価をされてきてそこまで継続してきた人なので、派遣事業者から見ると、そういう方であれば、次の派遣先を紹介することについては非常に可能性が高いということが一つは想定される。

 三年ということで最初から決まっているので、働いている人は三年というのを一つのキャリアのスパンとして考えるんですね、この三年の次はどうしようかと。それは、正社員へのトライアルをしようか、それとも派遣としての働き方を継続して、むしろそこにおけるスキルアップを図っていこうか、一つ、キャリアを考える上での節目になるということなんでしょう。つまり、御本人の希望どおりに働くことがもちろん最善なんですけれども、一つのきっかけになるという意味においては、キャリア形成上のプラスの部分もあるのではないか。

 この両面があると思いますので、私はこの法改正については理解できるというふうに考えております。

 改めて、派遣制度、派遣労働者のことを考えたときに、ぜひ議論の中で考えていただきたいこと、留意していただきたいと思っていることを最後に申し上げたいと思います。

 一つは、派遣労働者の中には、非常に多様な志向を持った人、多様な背景、環境を持った人たちがいます。そのことにぜひ配慮をしていただきたいというふうに思っております。

 代表的なものは、派遣で働き続けたいと思う人と、この仕事を通じて次は正社員になりたいと思っている人が両方いるということで、両方の志向がかなえられるということを大事にしていただきたいというふうに思うんですね。一方的に、皆さん正社員になった方がいいんだというのは、ちょっとそれは押しつけになってしまうので。そうじゃない人たちもたくさんいる。

 特に派遣の方で多いのは、今まで正社員として働いていて、かなり残業もしていました、そういう人が、例えば結婚したのを機会にもうちょっとワークライフの見直しをしたいと。できればフルタイムか、もしくは若干短時間労働で働きたいんだけれども、なかなか正社員だとそういう場がない、今までやってきた経験は生かしたいといったときに、やはり一番最初に候補になるのは派遣なんですね。ですから、そういう形で派遣労働に入られた方というのは、概して満足度も高いということでございます。

 あるいは、例えば旦那さんが転勤をした、その転勤についていって自分も引っ越しをするというときに、とりあえず派遣で働きながら次どうするかを考えよう、そういう一時的な働き場としても派遣の満足度は非常に高いということがございます。

 そういういろいろなケースがございますので、そういう人たちにもしっかり使っていただけるし、かといって正社員になりたいという人を閉じ込めるのではなくて、その人にはしっかりとまた支援ができるという、この両方を含んだものであるかどうかということについては、こだわっていただきたいというふうに私は思い続けております。

 正社員にどのぐらい派遣の人たちが変われるのかということについては、それは若干限界があるんだろうというふうに思います。

 というのは、派遣労働というのは、この仕事を担当するといういわゆるジョブ型なんですね、基本的には。御承知のように、日本の正社員というのはメンバーシップ型なので、何でもやるという方ですから、むしろこれからは、直接雇用の中にもジョブ型が広がっていったときに初めて正社員から直雇としてのキャリア形成が促進されていくんだろうと思いますけれども、今はまだやはり正社員イコールメンバーシップ型ですので、仮に、すぐれた派遣労働者の方がいて、この人の戦力を失いたくないと思っても、それだけで簡単に正社員にできるかというと、なかなか企業の人事管理を考えるとできないところもあります。若干時間がかかるだろうというふうには思います。

 ただ、紹介予定派遣のような方法を使って、本当に正社員になりたいという志向のある方には、担当業務プラスアルファのことをその期間中に経験していただいて、じっくりと評価をしていただいて、正社員の道をつくっていくということは可能でありますし、そのようなことを、スキルアップ支援等キャリアコンサルティングを含めながらやっていくということは可能だと思いますので、今は、そういう道筋をとりながら、少しでも正社員化を希望する人の希望にも応えられるようにという第一歩をとっていくということなのかなというふうに思っております。

 ぜひとも、派遣労働者はいわゆる非正規社員の一つでありますが、正規がよくて非正規が悪い、そういう二元論での議論というのは私はもう終わりにすべきなんじゃないかなというふうに思っております。

 例えば、非正規は本当にいろいろな働き方がありまして、これまでの労働政策の議論の中で、やはり雇用保険に入れるという状態を重視しようということで雇用保険の対象拡大をやってきましたから、そうじゃない状態は不安定な状態、よりそのセーフティーネットが機能している状態に持っていこうという、この間に大きな違いがあるわけですよね。

 あとは、みずから望んでその仕事をやっている働き方を選んだという人と、そうでない、不本意でそれを選んでいる人の間にも違いがあるわけで、むしろそこの境目というのを重視するべきであって、単純に無期か有期かということだけでは、よしあしを議論すべきではないんじゃないかなというふうに思っております。

 そして、もう一つだけ申し上げたいと思いますが、派遣で働くということについては、ほかの雇用形態では用意できていない働き方を派遣は提供している部分がございます。労働市場全体からすると、多様な働き方を選択できる、用意できるようにしておくということがとても重要だと思います。これは、さまざまな環境、状況にある人たちの就業率を上げるということにつながりますので、今後、人口減少が続いていく日本においては、多様な働き方を用意することというのは、これは間違いなく私は方向性として確保しなければいけない道だと。

 そうすると、では派遣の問題をどうするのかということになると、派遣そのものについては多様な働き方の一つとして認めつつ、そのかわり、処遇条件については、待遇条件についてはやはり改善していく必要がある。いわゆる均等処遇ということでありますけれども、これは賃金だけじゃありません。福利厚生も含めて直雇の正社員と変わらないようにしていくこととか、あるいは賃金そのものも、これはジョブ型なので何と比較するかは難しいんですけれども、なかなか比較対象がないこともあるんですが、それを適正な相場にしていくということの均等待遇については、これはEUも苦戦しておりますが、一歩一歩でも前に進めていくことが大事だというふうに思っております。

 そういうところを御配慮いただきながら、派遣制度の改善を進めていただきたいというふうに思っております。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

渡辺委員長 ありがとうございました。

 次に、鷲見参考人にお願いいたします。

鷲見参考人 鷲見です。

 お手元に、「「生涯派遣・正社員ゼロ」法案の仕組み 何故、私たちは労働者派遣法「改正」案を「生涯派遣・正社員ゼロ」法案と呼ぶのか?」という冊子を配らせていただきました。あるいは、違う、そうじゃないというぐあいなお考えの方もおられるかと思いますが、私はそう思っております。

 自由法曹団常任幹事、弁護士、鷲見賢一郎ということで出させていただきましたけれども、自由法曹団といいますのは弁護士の団体でして、全国で二千名ほどの弁護士でつくっている団体でありますが、今回の労働者派遣法改正案については廃案をお願いしたい、要求したいという決議も何度か上げておりまして、私もそういう考えではあります。

 そういう考えではありますが、私はこれから、改正案の条文に即して、この条文がどういう意味を持っているのかということを中心に発言させていただきたいと思いますので、私が廃案をという考えを持っている人間だから、おまえの言うことは違うというだけではなくて、条文が何を意味しているかということで、ぜひ私の話を聞いていただけたらと思います。

 皆さん、今回の派遣法改正案では、期間制限がどうなのかということが問題になっておりますよね。

 従来は、専門業務については期間制限なし、自由化業務、一般業務については一年から三年の期間制限があるということでございます。それで、今までは業務単位の期間制限なんですね、業務単位の期間制限。

 今回の改正案は、事業所単位で三年ごとの、まあ、聞くだけじゃないかという話もありますけれども、三年ごとの期間制限。あともう一つは、それとは別個に個人単位、組織単位、職場ですよね、職場単位で上限三年という、二つの期間制限を改正案は設けているわけです。

 私は、その期間制限を、今までと対象が違うじゃないかとか手続が違うじゃないかということではなくて、もちろんそれは違うんですよ、違うんだけれども、一番大事な問題は、機能が違うんです。期間制限の果たす役割が違うんです。

 今までは業務ごとの期間制限でしょう。業務ごとの期間制限といいますのは、例えば私が経験した例でいいますと、工場のライン労働者でいえば、その二十名なら二十名のライン労働者の中には、派遣社員が、まだ来たばかりで一カ月の人もいるんですよ、だけれども、三年の人も出てくるわけです。ですから、そこでは業務単位の期間制限ですから、三年になれば全員がもうその職場では派遣はだめだよということ。その職場では、一カ月の人も三年の人も、とにかく業務単位の期間制限三年に来たら、もう派遣労働者を使っちゃだめだよということになるんです。

 皆さん、派遣労働者を使っちゃだめだよということになると派遣労働者は困るじゃないか、だから期間制限はよくないねと言う人がいるんですよ。私は、そこは違うと言うんです。期間制限が来たら直接雇用しなさいという仕組みに、今の法律は一応なっているんです。

 機能としまして、例えば百名の製造ラインで三割、三十人の派遣労働者を使っていたら、期間制限が来たからといって三十人の派遣労働者がいなくなったら製造ラインは回らなくなりますから、事業を続けたいと考える限りは、期間制限が来たら派遣労働者を直接雇用せざるを得ないという、私は、業務単位の期間制限というのはそういう機能を果たしていると思うんです。

 これは実は、この問題になったときに、継続かどうかということで、皆さん、クーリングオフというのを御存じでしょう。要は、私は短いと思うんですけれども、三カ月間のクーリングオフを置けば、三カ月間の冷却期間を置けば、再度雇っていい、再度派遣労働者を使っていいとか、脱法になったらだめなんですけれどもね、いろいろあるんです。一応そういう指針があることはあるんですよ、派遣先指針が。

 このときに、労働省の方がどういうぐあいに答弁しているかというと、クーリングオフが一カ月では余りにも短い、それだと企業が何とかやりくりしちゃう、だけれども、三カ月ぐらいをあければ企業が何とかしのぐというには限界があって、やはり労働者が必要だということであれば常用労働者をそこに配置するんじゃないかということで、私は三カ月も短いと思うんだけれども、一カ月じゃだめだと。

 三カ月のクーリングオフにしたというのは、とにかくそれ以上はそこではゼロにしないとだめなんだから、派遣労働者を。ということは、自動的に、あるいはほぼ直接雇用するんじゃないか。だから、業務単位の期間制限というのは私は直接雇用につながっていると思うんですよ。

 事実、私が体験した例でも、ある製造メーカーなんですけれども、二つの工場で千五百名の派遣労働者を使っているんです。だけれども、期間一年だと。一年が来たんですよ。その中には一カ月、二カ月の労働者もいますよ。ですけれども、その千五百名の労働者全員に対して直接雇用の申し入れをしたんです。

 それで、その派遣先が何と言っていたかというと、とにかく派遣労働者をゼロにしないとだめなんだ、派遣法の業務単位の期間制限からいったら派遣労働者をゼロにしないとだめなんだ、だから、皆さん、派遣先と労働契約を締結して直接雇用になるか、それとも、それが嫌だったらやめるか、どっちかを選択してくださいと。全員にですよ。その後、ほぼ全員が直接雇用になりました。

 もちろん、その後、クーリングオフとかいろいろな問題はあるんですけれども、私は、今の業務単位の期間制限というのは、そういう直接雇用を促進する機能を持っている、そもそもそういうものとして定められたというのは、労働省の当時の答弁からも明確だと思うんです。

 今度の期間制限というのは事業所単位でしょう。大きい事業所単位で、そこにいっぱい労働者がいる。それは三年に一回だけれども、過半数労働組合の意見を聞きさえすれば延長できるということになっているから、そこからどう見たって、私は意見聴取だけというのは非常に問題があると思っているんですけれども、いずれにしろ、そういう制度があるからといって、派遣先が直接雇用にしないとだめだなんという機能は私は全くないと思います。

 それから、個人単位の上限三年ですよね。職場で個人単位の上限三年。だけれども、今度の派遣期間制限というのは、職場には、三年になった人は上限だからだめだけれども、二カ月、三カ月、六カ月の人は幾らいたっていいんですよ。あるいは、三年になった人も、別の労働者に取りかえれば。だから、その職場としては派遣労働者をゼロにする必要は全然ないんですよ。ずっと派遣労働者を使い続けることができるという制度なんです。

 そういう意味で、今度も期間制限があるといえば私はあると思いますよ。あると思うけれども、事業所単位の期間制限は機能しない、個人単位の期間制限は個人の労働者が取りかえられるだけということで、直接雇用につながるような役割は全然ないんじゃないかなと思います。その辺はぜひ皆さんに御理解いただけたらと思います。

 ちなみに、個人単位の上限三年というのは、派遣先が、あなたを配置転換してほかのところで使うか、それともあなたにやめてもらうかという、派遣先が非常に権限が強くなりますから、非常に派遣労働者の従属化を進めるような役割を果たすんじゃないかなと思っております。

 そのほか、この私の論文というのか文章というのかに書いておきましたけれども、今の条文にある四十条の四とかあるいは四十九条の二の関係とか、直接雇用を促進するような条文は、改正案では全てなくなっています。そういう機能の点だけではなくて条文の点でも、直接雇用に向けての条文は改正案ではなくなっているということが言えるんじゃないかと思います。

 それから、あと一点だけこの関係で申し上げたいのは、四十条の六で、違法派遣の場合の労働契約申し込み制度、派遣先が労働契約を申し込む、直接雇用に自動的にするという条文があるわけですけれども、それが十月一日から施行ということになっています。九月一日でこの改正案は施行するということですから、現行法のみなし規定が全然施行されないうちになくなっちゃう。

 目玉は、業務単位の期間制限の場合の直接雇用みなし、自動的にみなしになるという部分がなくなっちゃうということです。

 これは、例えば、専門二十六業務で、偽装だったとか、一割を超えて一般業務をやっているときは、専門二十六業務じゃなくて期間制限が出てきますから、そういう方は、十月一日になれば自動的な直接雇用が請求できるようになる方が多数おられると思います。

 そういうふうな制度を、三年間待たせた上で、二年十一カ月をもってあなたには一切適用しないよという形でしてしまうような改正案というのは、私は、派遣労働者に対する裏切り行為、背信行為ではないかなと思っております。この点については、三年間待たせて、直前のあと一カ月になって、いや、あなた、いろいろ期待していたかもしれないけれども、法律を変えるから、あなたの自動的に直接雇用される権利はなくなるよというのは、立法政策としても全く間違っているのではないかなと思います。

 あと、簡単にします。

 読んでいただきたいんですけれども、九ページから、改正案の均衡待遇の推進やキャリアアップ措置は直接雇用や正社員化につながるかということなんですけれども、二点だけ言います。

 やはり、均等待遇になっていないというのは、私は日本の派遣法の最大の問題だと思いますよ。

 私が知っている派遣労働者は製造関係が多いんですけれども、大体、正社員と同じ製造ラインですよ、同じ仕事をしているんですよ。だけれども、賃金は、私が知っているあれだと、製造ラインで同じ仕事をしていて、夜勤、残業を目いっぱいやって、派遣労働者は年収三百万、有期の労働者は年収四百万。有期の方がいいんですよ、直接雇用だから。正社員になると、年齢によって違いますけれども、平均五百五十万とか六百万なわけで、派遣労働者の低賃金というか、人の嫌がる夜勤、残業、人の嫌がる仕事をやって年収三百万ですからね。それで田舎に仕送りしているんですから。それが均衡待遇の名のもとで許されているんですよ。

 ですから、私は、日本の派遣法の悪いところはいっぱいあると思うんですけれども、一番悪いところは均等待遇がないからなんです。均等待遇があれば、まだしも、やはり安上がりの労働者を使うという話じゃないからということで違った展開になると思うんですけれども、それが一つ言いたい。

 それから、キャリアアップ措置とか正社員化ということを言っているでしょう。条文上はそういう法律になっていないということは今言ったんですけれども、皆さん、正社員化を嫌がるのは誰だと思いますか。派遣労働者の直接雇用、正社員化を嫌がるのは誰だと思いますか。

 私が知っている限りでは、派遣先は嫌がりますよ。それは、自分のところの労働者にしたくないから嫌がるんです。だけれども、それだけじゃないんですよ。派遣元も嫌がるんです。それはそうですよ。自分が全国から集めてきた派遣労働者で、自分の事業のもとになる、自分が苦労して集めてきた派遣労働者を何で自分の手から離して派遣先のもとにやらないとだめなんだ、そんなことをしたら自分の派遣会社が成り立っていかなくなるんじゃないかと。私が経験した範囲では、派遣会社も、派遣労働者が直接雇用、自分の手を離れることを嫌がるんです。

 ですから、キャリアアップ措置とか教育訓練ということで、自動的に正社員化につながるなどということは私は全くないと思っています。

 それから、実効性のない雇用安定措置ということでいろいろ書いておいたんですけれども、一つは、確かに、現行法よりは改正案の方が表現は厳しくはなっているんですよ。それは認めます。だけれども、やはり法的な強制力とか、こうなった場合は法的にこうだということは一つもないんです。それはないんです。

 ですから、結局、さっきの話、派遣先に直接雇用を頼んだって断られたらそれまでだ、自分のところで新しい派遣先を探すといったって派遣先がなければそれまでだというふうな形で、私は実効性がないということなんじゃないかなと思います。

 最後に、十二ページに書いておいたんですけれども、派遣労働者激増の可能性ということで、実は皆さん、派遣労働者の方のカウントの仕方には、一つは総務省と厚労省で違うみたいですし、厚労省の中でもカウントの仕方が二種類ぐらいあるんです、いわゆる常用換算とかいいまして。ここに書いているのは、これも厚労省が発表している数字なんですけれども、いわゆる自由化、一九九九年に自由化される前の一九九八年には約九十万人だった。それが、二〇〇八年には、それの四・四三倍の三百九十九万人、四百万人。その後、リーマン・ショックがあったり、世論の批判が強くて、確かに今、派遣労働者は減っています、そのころよりは。

 ですけれども、一旦は三百九十九万人まで行ったわけですので、この改正案が通れば派遣は激増して、むしろこの改正案というのは、リーマン・ショック時の労働者派遣法より悪くなる改正案だと私は思っています。ですから、ますます激増して、残念ながら、正社員ゼロ法案という名にふさわしい事態ができるのではないかなと思っております。

 最後に、私、ある方にこういう話をしたんです。賛成の方でしたよ。今度の改正案というのは、あなたの立場に立ってあえて言えば、派遣労働者のままで派遣労働者を大事にするという法律なんでしょうと。その方は、我が意を得たりという形で、そうだとおっしゃっておられました。

 派遣労働者を大事にするという面が、私、全くないとは言いません、この法律に。しかし、それはあくまでも派遣労働者のままで大事にするということであって、しかし、皆さん、派遣労働者が、派遣先から雇用されているわけでもなく、一番低賃金で、いざというときには真っ先に首を切られる存在だというのは、残念ながら、動かしがたい事実だと思います。

 そういう意味では、派遣労働というのは、低賃金、不安定雇用の宿命を持った法律だと思います。それを派遣労働者のままで大事にするなどといって、正社員化とか直接雇用の道を全く塞ぐということでは、日本の雇用は本当にひどくなるのではないのかなと思っております。

 私たちは廃案ということで希望しておりますけれども、私が言ったことは自分では客観性のあることだと思っておりますので、ぜひよろしくお願いします。(拍手)

渡辺委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷川とむ君。

谷川(と)委員 おはようございます。自由民主党の谷川とむでございます。

 参考人の皆さん、本日は、本当にお忙しい中をお越しいただき、また貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。

 二十分という限られた時間でございますので、全ての皆さんに質問できないかもしれませんけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、今回の法改正におきまして、人材ビジネスの歴史を見てみました。そうすると、意外に古く、江戸時代から、必要に応じて労働力を提供するという中間業者が存在していました。しかしながら、中間業者による賃金の搾取や劣悪な労働条件で働かせるなどさまざまな問題があり、近年、労働者保護の観点から、労働者供給事業は職業安定法によって厳しく規制されるようになりました。

 人材派遣はというと、アメリカで生まれたと言われていますが、日本にも古くから、特に製造分野において構内請負という事業があり、日本における人材派遣の原型であるという考え方もあります。

 労働者派遣業は労働者供給事業に当たり、禁止されていましたが、一九六六年にアメリカの人材派遣会社の子会社が日本に設立され、外部の事務処理業の利用が日本でも広まってきたことから、その是非を問わなければならず、労働者派遣法を制定し、同時に職業安定法を改正することで、労働者派遣業を合法化することとなったという経緯があります。

 その時代時代によって改正を積み重ね、そして今日、経済、産業構造、また雇用形態が非常に変化し、仕事とプライベートの両立がしやすい、働く期間や時間を自分で決められるなど、派遣という働き方をみずから望む労働者が増加したことや、必要な労働力をスピーディーに確保できるという、企業側、労働者側双方に強いニーズがあることを踏まえ、それらに対応できる法改正を行うために議論を重ねているところでもあります。

 そこで、ただいま歴史的経緯でも触れましたが、派遣労働者の権利を守り、きちんとした経営をしていない悪質な事業者を排除して、健全な事業者が引き続き事業を継続していける仕組みが必要であると考えております。

 今回の改正案では、特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区分を廃止して、全ての労働者派遣事業を許可制とすることとしています。私は、非常に評価できるのではないかと考えていますけれども、もう一度、阿部参考人、そして高橋参考人の御見解をお聞かせいただければ幸いでございます。

阿部参考人 ありがとうございます。

 ただいま御指摘のとおり、今回の派遣法では、届け出制から許可制へ、全ての派遣事業者は必要になってまいります。その許可要件も厳しいところがあるかと思っておりますので、現行の派遣法よりも、派遣事業者の規制という点ではより強くなったものと承知しております。

高橋参考人 御質問ありがとうございます。

 実は、一般労働者派遣事業の許可につきましては、二〇〇九年に上限を引き上げました。その後に起こったことは何かといいますと、一般労働者派遣事業の許可が大幅に減少いたしまして、特定労働者派遣事業の届け出がふえまして、現在は、全事業者のうち八割が、届け出だけで行う特定労働者派遣事業になってございます。許可を免れる目的かどうかはわかりませんけれども、圧倒的に届け出だけで行う事業所が多いというのが実態でございます。

 しかも、そうした特定の事業所の中に、二重派遣といったような極めて悪質な違反を行う事業所も多く見られるところでございまして、その意味におきまして、今回の改正法案で全ての事業所を許可を要するとする改正は、まことに時宜を得た、正しい方向性であると考えております。

 以上でございます。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 この点については、本当に非常に評価が高いということを確認できたことを本当にありがたく思っております。

 次に、今回の改正案では、これまで期間制限のなかった専門業務、いわゆる二十六業務に三年を上限とする期間制限を設けることから、三年首切り法や、生涯派遣になるだの、批判の声も聞こえていますが、私はそうは思っておりません。

 これまで、派遣は臨時的、一時的な労働力の需給調整に関する対策とされており、常用代替の防止、つまり正社員の置きかえにならないということが強調される制度設計になっていたのではないかと思っております。これは正社員を保護するということであり、言いかえれば、派遣で働く派遣労働者が正社員になれないという意味を踏まえていると思います。

 それらを踏まえて、今回の改正案では、正社員になりたいと思っている、不本意な派遣就労から脱出したいという派遣労働者の選択肢を広げることとなると考えております。

 派遣元に対して、派遣期間が一定期間に達する有期雇用派遣労働者について、派遣先への直接雇用の依頼、または新たな派遣先の提供、派遣元での無期雇用、その他安定した雇用の継続を図るための必要な措置を講ずることを義務づけるとされております。有期雇用派遣労働者にとっても、正社員への道が開かれることとなると考えております。

 また、引き続き派遣で働きたいと思う派遣労働者も新たに働ける場を提供されるなど、人それぞれ、ニーズに合った、対応した雇用の安定化につながるものと考えておりますけれども、阿部参考人、高橋参考人、大久保参考人の御見解をお聞かせください。

阿部参考人 私、最初の意見陳述でも申しましたとおり、派遣労働者の中には、正社員を希望する労働者、そして派遣労働者を希望する労働者、それぞれいらっしゃるわけで、その人たちのキャリア形成を考える上では、非常に、今御指摘のとおり、今回の派遣法ではそういった点が目配りされていると考えております。

高橋参考人 今回の改正法案では、雇用安定化措置だけではなくて、キャリアアップにつきましても派遣元に義務づけを行っているところでございます。そうしたキャリアアップ措置とあわせまして雇用安定化措置が講じられているという意味で、派遣労働者の方につきましては、キャリアアップを望む方については大変好ましい内容の法案になっているというふうに考えております。

大久保参考人 派遣で働いていた方が正社員になるためには、やはり幾つかの準備が必要だと思っています。つまり、その本人が正社員を希望するのであれば、できれば紹介予定派遣のような形の中で派遣を行い、本人にもキャリアカウンセリングを提供し、そして、正社員になるために足りないところがあれば、そのスキルを高めるための教育機会を提供しということをやっていかないと、なかなかなれないんだと思うんですね。

 そのための必要な要素は今回の法改正の中には幾つか盛り込まれているんだろうというふうに理解をしておりますので、紹介予定派遣の枠組みを広げながら今回の法改正の内容を生かしていけば、正社員化につながる部分が出てくるのではないかというふうに理解をしております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 キャリアアップのお話も少し出てきましたけれども、その点についてもう少し詳しくお話をさせていただきたいというか、聞きたいなというふうに思います。

 次に、平成二十四年派遣労働者実態調査によりますと、派遣労働者として働きたいと思う派遣労働者は四三・一%、正社員として働きたいと思う派遣労働者は四三・二%という結果となっております。これは、先ほど阿部参考人の初めの意見にも出てきましたとおりでございます。

 正社員として働きたいと思っているにもかかわらず、その意思に反して派遣労働者となっている者については、やはり正社員への道をつくっていくことが大変重要になっていると思っております。そのためには、派遣労働者本人と雇い主である派遣元、双方に努力だったりとかいろいろな義務を講じることが必要であると考えております。

 派遣労働者においては、みずからのスキルや能力を磨いて、正社員として雇用されるような努力をしていくことも必要であると私は考えております。そして、派遣元については、教育訓練や派遣労働者にとって必要な経験を積めるように仕事をコーディネートしていくことも必要。つまり、キャリアアップをどんどんどんどん進めていくことが本当に必要ではないかなというふうに思っています。

 今回の改正法案では、派遣労働者に対する教育訓練や希望者へのキャリアコンサルティングを派遣元に義務化されるという点で、非常に評価ができるのではないかなというふうに思っていますし、これはどんどんどんどん推し進めていくべきだと思っておりますけれども、この点についてもちょっと詳しく、阿部参考人と高橋参考人と大久保参考人に御意見をいただきたいと思います。

阿部参考人 ただいま御指摘の点でございますが、これまでの研究では、派遣労働者、あるいは非正規雇用者全般そうなんですが、長い間同じ会社でキャリアを形成していくことによって正社員化が図られているという研究成果が出ております。

 ですので、派遣労働者が派遣先で一生懸命努力してスキルを磨いていくことによって正社員化するという確率が高まるということもありますので、今回の派遣法でさらに、派遣元、派遣先が派遣労働者のキャリア形成についてしっかりやっていくということが書かれておりますので、正社員化あるいは直接雇用の道というのは、もしかしたら拡大するのではないかというふうに考えております。

高橋参考人 先ほども申し上げましたが、派遣労働者の方は、今現在派遣されている会社に、必ずそこで直接雇用されたいという方ばかりではございません。やはり、現在の派遣先での経験、スキルを磨きながら、また別の道を模索される方々もいらっしゃると思います。

 そうした方々も含めて、派遣元でしっかりと教育訓練やキャリアコンサルティング等を実施していただくということによって、派遣労働者の方の選択肢が大きく広がっていくというふうに考えてございます。そうした結果がまた、その経験を通じまして正社員化にもつながっていくのではないかと期待しております。

 以上でございます。

大久保参考人 派遣労働者に対して人材派遣協会が調査などをやっておりますけれども、そうすると、もともと正社員の経験を持っている派遣労働者というのがかなりの比率に上るんですね。八割ぐらいの人は過去に正社員として勤務した経験があるということですから、もともと非常に能力が高くて、本人が希望すれば正社員になれるだけのもともとの能力は持っていらっしゃる方が多い。

 ただ、今すぐに正社員になりたいかというと、この調査は四割、四割というふうになっていますけれども、今すぐになりたいという人は大体二割ぐらいで、何年か先になりたいという人が四割という、そんなような感じになっています。ですから、即座になりたいというわけではない人もいる。

 それから、今お話がありましたけれども、現在派遣されているところから直接雇用の正社員にならないかというふうに言われたら、それを受けますというふうに回答している人は四割なんですね。どうかな、若干悩むな、ちゃんと考えたいという人が四割ぐらいで、即座に断る、拒否するという人も二割ぐらいいるんですよ。

 そういう意味では、御本人が正社員志向があっても、そのタイミングとか先については実は多様な志向がありますので、そういうものに配慮してキャリアアップをしていかなきゃいけないということも考えております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 本当に人それぞれ、多様な働き方で、どのように働きたい、正社員になりたいと思う人もおれば、そのまま派遣で働きたいという方もおられますし、これも、派遣労働者の立場に立つ目線と、派遣元の目線に立つ、派遣先の目線に立つということで、いろいろ変わってくると思います。

 先ほど鷲見参考人もおっしゃっていましたけれども、働きたいと思っても、どこまでその人のことを考えられるかということもそうですし、しっかりとした制度をつくったとしても、どのような方向に向かっていくかは、人それぞれ生き方も違いますし働き方も違うというふうに思っていますので、大変難しいことではあると思っていますけれども、今回の法改正案で一番のポイントを挙げるとすれば皆さんどういうふうにお考えであるのか、皆さんにちょっとお伺いしたいなというふうに思います。

阿部参考人 先ほども申しましたとおり、労働者の希望をかなえるということが一番大事なことだろうと思っておりますので、正社員になりたい方には正社員のキャリアアップを、派遣社員あるいは非正規のまま働きたいという方もいらっしゃいますので、その方たちのキャリアアップを目指していくということが大事だと思っておりまして、今回の派遣法ではそういった点に目配りされているということで、評価しております。

高橋参考人 何よりも派遣業界は人材を扱う業界でございますので、大切なことは、業界のより一層の健全化でございます。その意味におきまして、特定労働者派遣事業の廃止、これは非常に大切なことであると考えております。

 以上でございます。

関根参考人 今回の労働者派遣法の改正案のポイントということなんですけれども、私どもが考えるには、やはり今回は改正ではなく改悪である。正社員をほとんどなくしてしまって、非正規の派遣を、不安定な派遣をふやしていくという法案になっている。三年ごとに派遣労働者を別の人に差しかえさえすれば永続的に派遣を活用できるということから、明らかに派遣をふやしていってしまう法案であるというふうに思っています。残念ながら、正社員になっていくというような点は実効性が全くないというふうに考えております。

大久保参考人 私が思う一番大事なポイントは、わかりやすくすることだというふうに思っていまして、派遣労働者の多くの人たちが派遣法の中身をよく理解していないんです。また、人事が派遣労働者の採用をしているわけではなく、事業所単位になっているところもありますので、そういう方々に全ての細かい法律、ルールを理解しろというのはなかなか無理なので、できる限り派遣法に関してはわかりやすくしていただきたい。それが派遣制度をよくするポイントだと私は思っております。

鷲見参考人 まず、労働者派遣制度のもとで派遣労働者がどういう働かせられ方をしているのか。私が知っている範囲では、少なくとも九九年以降の自由化業務、一般業務の派遣労働者に関して言うと、非常に悲惨な働かせられ方をしているんじゃないかなと思っているんです。賃金も、ほぼ同じ仕事をしている正社員と言われる労働者の半分程度とか、それから、人の一番嫌がる仕事をさせられるとか、労働災害の発生率が一番高いとか。専門業務の場合は多少違った状況があるかもしれませんけれども、少なくとも一般業務に関して言うと、それは割かしはっきりしているんじゃないかなと思うんです。

 それから、もう一つ言いたいのは、これはマスコミ報道で、マスコミ報道が常に正しいとは言えないかもしれませんけれども、マスコミ報道でこの間この改正案に関して言っているのは、派遣先企業にとって使いやすい制度になるので派遣労働者はふえるんじゃないかというのはほぼ共通して言っているわけでして、私はやはりそれはそうだろうなと思っているんです。

 それで、例えば、これは申し上げていいかどうか、この間、厚生労働省が一〇・一問題ということでおつくりになられた文書でも、経済界等の懸念という基準で発言なされているんですよね。私はやはり、今回、労働者派遣法は、前回の改正で保護法という位置づけも入っていますので、派遣労働者の働き方がどうなのかということを大事にすることを出発点に考えるべきなのに、派遣先にとって使い勝手がいい法律とか、経済界の懸念を出発点にして考えるなどということでやられている面があるわけでして、そういう点では、私の言いたいのは先ほど言ったところがメーンなわけなんですけれども、これは圧倒的に派遣労働者がふえるんじゃないかなと。

 しかも、条文上は、派遣労働者のままで今までよりは大事にするような条文はありますけれども、果たしてそれがどこまで機能するのか。自由化業務、製造派遣を解禁したときに、こんなひどい実態になるということは余り多くの人は想像していなかったと思うんですけれども、実際は、リーマンで首切られたら、貯金もない状態の労働者という状態だったわけですから。

 私は、今回の改正案というのはリーマンの前の派遣法よりもっと悪くなると思っていますので、やはりそういう非常に悲惨な事態が生じかねない法律だなと思っていますので、ぜひそういう目でも皆さん見ていただけたらと思っています。

 以上です。

谷川(と)委員 ありがとうございます。さまざまな立場からいろいろな御意見を賜りまして、ありがとうございます。

 我々は、阿部参考人がおっしゃったとおり、労働者の希望をかなえるような労働政策また法改正を行っていきたいなというふうに思いますし、これからもどんどんそういうふうに政策を実現していくために頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

渡辺委員長 次に、山井和則君。

山井委員 民主党の山井和則でございます。

 五人の方々には、本当に重要な御指導をいただきまして、まことにありがとうございました。それぞれの御主張に本当に学ぶべき点が多々ありました。

 私は、さまざまな立場の違いはあれ、一つ五人の先生方で共通しておられるのは、正規であれ非正規であれ、多様な働き方であれ、やはり均等待遇、同一労働同一賃金というものがこれからの時代は必要ではないか、このことに関しては全ての先生がおっしゃっておられたのではないかと思っております。

 そういう意味では、維新の党が中心になってつくられました同一労働同一賃金法、均等待遇の法案、足立先生によりますと井坂法案と呼ばれておりますが、こういうものの成立を本当に急がねばならないと思っております。

 それで、私は、五人の先生方のお話を聞いて非常に頭が整理されましたのは、やはり最大の論点は二つだなというふうに感じさせていただきました。

 一つは、今回の法改正で正社員がふえるのか減るのか、派遣労働者がふえる改正なのか減る改正なのか、これは賛成派と反対派で真っ向から、真逆の話になっているんですね。これははっきり言って、九月以降、答えは出ます。答えは必ず出ます、どっちの改正だったのか。それに向かって、どうなのか、正社員がふえる改革なのか減る改革なのかというのが一つ。

 もう一つは、専門二十六業務の派遣、約四十万人、有期の方がおられます。この方々が、三年後に上限が来て解雇される可能性が高いというか、上限は三年ですから、基本的には解雇されることになります。このことへの評価をどう考えるのか。

 この二点が私は大きなポイントだと思っております。

 そこで、ちょっと厳しい質問かもしれませんが、まず高橋参考人にお伺いしたいんです。

 この法改正に今までからかかわってこられたと思うんですが、もちろん、この法改正、さまざまないい面、悪い面がまざっていると思うんですが、私は、やはり一つ大きな欠陥というのは、専門業務を廃止するということも、私は反対ですけれども、一理は、理屈としてはあるかと思うんですが、その結果、今、期間の制限のない四十万人の専門業務の派遣労働者の方々に上限三年がかかってしまうんです。この方々の人生をどうしようというふうに考えた上でこの法改正に、まあ審議会等で至って、至られたのかということなんですね。

 もうちょっとあえて詰めて言いますと、先ほど関根参考人の話にもありましたように、特に四十代、五十代で、今までパソコンや専門業務で五年、十年働いてこられた方々、その方々が今回、三年後に切られることになりますよね、上限がかかりますから。特に四十代、五十代の方が正社員で雇ってもらえる可能性、派遣会社に無期雇用してもらえる可能性は、はっきり言って極めて低いんじゃないかと私は思います。

 さらに、新しい派遣先を紹介してもらったとしても、私はきのうもおとついも専門業務の派遣の方々と話をしていましたけれども、やはり四十を超えると、基本的に新しい派遣先は賃金が下がると。そうなったときに、もちろん今回の改正でよくなる人も中にはおられるとは思いますよ、でも、この専門業務四十万人の中の特に四十代、五十代で、正社員や派遣会社の無期雇用になるのは極めて困難な方々にとっては、一歩間違うと、私はこれは人生設計がもう立たなくなるんじゃないかと思うんです。三年後にまた次の派遣先。きのうお目にかかった方も、もう四十代を過ぎたら、かわるたびに基本的に給料は下がっていきますということをおっしゃっていました。

 そこで、高橋参考人、こういう四十代、五十代の専門業務で働いておられる方々、上限三年が入りますが、この方々にとって、あえて言います、過半数の方々にとって、より雇用安定化になりますか。いかがでしょうか。

高橋参考人 質問ありがとうございます。

 大変難しい御質問でございますので、明快なお答えはなかなか難しいと思いますけれども。

 今回の、業務に着目をした期間制限を廃止する、かわりに人単位というところの背景といたしまして、私がいつも大変強調しておりますのは、先ほど冒頭にも申し上げましたけれども、二〇一〇年に厚生労働省が行いました専門二十六業務適正化プランという名のもとに、一方的な行政解釈の変更によって、専門二十六業務に従事する人たちが、雇用が相当数減少したという事実がございます。

 専門二十六業務適正化プランまでは、二十六業務に従事される方は百万人程度いらっしゃいましたけれども、現在は五十万人程度に減少しております。二十六業務適正化プランという行政解釈変更に伴う大きな変化が雇用にもあらわれているということについて、まず御理解をいただきたい。現行制度におきましても、制度の見直しをすることによって大幅に雇用に影響し得るのであるということが、まず申し上げたい一点目でございます。

 その上で、雇用量というものは、その時々の景気変動でございますとか企業の収益の動向等によって大変異なるところでございます。現在、日本経済も徐々に回復基調にございまして、新卒採用などは人のとり合いといったような状況が生まれていることは、先生も御承知のとおりだと思います。そこで、恐らく先生の御質問の中心が、四十代、五十代といった方々への御質問なのではないかというふうに受けとめさせていただきました。

 確かに、先生の御心配、御指摘のところは当たっている部分も多いと思いますけれども、その意味におきましても、今回の改正法案では、派遣元にしっかりとしたキャリアプランを作成していただいて、キャリアコンサルティング等を実施していただくということによりまして、そうした方々、四十代、五十代の方々につきましても、みずからの能力を磨いていただくとともに、もう少しいろいろな業界、企業等に目を広げていただいて、新たな道の模索も含めて御検討いただくいいきっかけになるような改正法案の中身となっているのではないかというふうに考えております。

 結果としてどうなるかということにつきましては、さまざまな経済事情等がございますので、明快なお答えはできかねると考えてございます。

 以上でございます。

山井委員 それぞれの見解があるかとは思いますが、私は、いいきっかけという言葉はやはりちょっと重た過ぎるなという気がするんですね。三年後の上限で、いいきっかけになる人もいるかもしれませんが、それで今まで五年、十年働いていた同じ職場を追われて、それによって人生設計が立たなくなる方も相当数出てこられる危険性があるのではないかと私は思っております。

 まことに失礼ながら、同じ御質問を大久保参考人にさせていただきたいと思います。

 先ほど、今回の専門業務の廃止は非常に改善だとおっしゃって、改善の部分もあるかとは思いますが、問題は、四十代、五十代の専門業務の方々、五年、十年働いておられた方々とかは、改善になりますか。

大久保参考人 先ほどの意見陳述のときにも、二十六業務のことについてはいろいろとお話をさせていただきました。

 ずっと長らくこの二十六業務の問題については私も議論を続けてきておりまして、二十六業務というくくりが存在して、それとそれ以外の業務の間のルールの違いが存在し続けるということについては、やはり弊害が大きいというのは、これはもう本当にそうだと私は確信を持っております。本当に、この問題から影響を受ける人がすごく多いんですよね。それはやはり何とか改善しなければいけないということは、私はそれを信念として思っております。

 一方で、御指摘の部分なんですけれども、まず、この業務についていて三年を超えている人たち、大変その職場にもなじんでいて、多分この職場でさらに続けて働きたいと思っている方々が多いんだろうというふうに思います。そういう方々にとっては、今回の法改正はマイナスになる。つまり、実質的に、今回、先ほど申し上げましたけれども、この法改正に反対している派遣労働者の中の一番マジョリティーはこの該当者の方々であるということだろうというふうに思います。

 直雇というのは、ケースとしてはあり得るとは思いますけれども、それほどたくさんあるというふうにも思いません。また、無期雇用で派遣会社に直接雇われるという枠も、多分そんなに多くないだろうと思います。派遣会社が無期雇用するというのは、よほど、エンジニアとか一部の業種を除けば、派遣していない間も給料を払い続けるということでいえば、やはり特定の職務に制限されるからであります。

 そうすると、新しい派遣先を探す、こういうことになるわけでありまして、ただ、難しさはもちろんあります。あって、実際に新しい派遣先を紹介できない方も出てくる可能性は十分にあると思います。

 ただ、派遣事業者の中でも、この上限三年ルールというのは、かなり古くから、法改正の議論以前から業界内ではこういう案もずっと議論されていて、直接の、当面の事業からすれば、派遣労働者を派遣し続ける方が目の前の収益にはつながるわけでありますけれども、ただ、仕組みとしては、この三年という一つの区切りを入れることによって、より制度全体はよくなるのではないかという議論をし続けてきました。

 その段階で、三年を超えて働き続けている方については精いっぱいのキャリア支援をするとともに、その会社の中で評価され続けてきて働いてきた方々ですから、その方々については新しい派遣先を紹介しなければいけないし、ある程度はできるんだというふうな確信を持って、この三年上限というのを出しているんだというふうに私は思います。

 議員が御指摘のとおり、その中で特に年齢の高い方は御指摘のとおりで、四十代、五十代になった場合に、これは正社員で離職した方も、この年齢になると転職するのは本当に大変になるんですね。これは別に雇用形態の問題ではございませんので、ミドル、シニアの方々についてはちょっと別途考えなければいけないリスクが存在しているんだというふうにも理解しております。

山井委員 私は非常に重要な御指摘をいただいたと思ったんですね。やはり四十代、五十代の専門業務の方々に関しては、正社員にも直接雇用の無期派遣にもなりにくいから、別途対策を考えねばならない。本当にこれは与野党を超えて考えないと大変なことに、法改正が人を失業させて生活を壊すなんということが絶対あってはならないと思います。

 お二人のお話を聞いて、関根参考人、いかがでしょうか。

関根参考人 専門二十六業務で働くという方が四十万人とも五十万人とも言われておりますけれども、この方々は、今まで期間制限はなく、極めて長く働く方もいらっしゃいました。私が今まで相談を受けてきた中では、貿易事務で二十八年間同じ派遣先に派遣されていた、あるいは受付業務で二十年間同じ派遣先に派遣されていたという方もいらっしゃいました。

 こういった方は当然、十年、二十年と働くうちに、皆さん、年齢的にも高くなってきていらっしゃいます。こうした方が、今度の法改正によって三年で切られてしまう。今までの法律であれば、期間制限なく十年でも二十年でも働けたかもしれない人たちが、今度の法改正によって三年で確実に切られてしまうというような事態になるということは、これは極めて深刻であろうというふうに考えています。

 今御指摘があったとおり、四十代、五十代の方は、一つには、派遣先に雇ってください、直接雇用してくださいと依頼をしたとしても、直接雇用される可能性は極めて低いですし、派遣元が常用雇用、期間の定めのない雇用に切りかえるということもほとんどあり得ない。そして、その一方では、専門業務においてかわりのお仕事を紹介するというのも、年齢が高くなればなるほど難しくなってくる。そういった意味では、本当に、年齢的にも高いこの二十六業務、専門業務で働く人たちが、一斉に失業するというような事態が生まれるんだろうというふうに考えています。

 こうした、本当にこの法改正によって新たに大量の派遣労働者が失業してしまう、こういった事態は何としてでも避けなければならないだろうというふうに考えております。

山井委員 先ほど大久保参考人から、やはりリスクはあると。やはりこの法案を通すわけにはいかず、とにかくそのリスクを除去せねばならないと思っております。

 それでは、高橋参考人と大久保参考人、そして最後に関根参考人に同じ質問をしたいと思うんですが、今回の法改正によって、正社員の求人そして派遣労働者の求人は、景気の変動とかそういうのはおいておいて、それは関係なく、法改正の純粋な影響によって、もし成立したらですけれども、九月一日以降ふえると思われますか、減ると思われますか。高橋参考人、大久保参考人、そして関根参考人にお伺いしたいと思います。

高橋参考人 正社員の求人につきましては、まさにこれは景気変動、企業収益の動向、将来的な見通しに基づいて行われるものでございますので、私の個人的な見解でございますけれども、派遣法案の改正云々で正社員の求人が変わるということは、余地は非常に少ないのではないかというふうに考えております。

 また、派遣労働者の求人につきましても、これは、派遣先が派遣元に派遣契約の申し込みの件数がふえるという意味でしょうか。それとも、派遣……(山井委員「基本的にハローワークでということです」と呼ぶ)派遣会社の求人ということですか。

 派遣会社の求人につきましては、私、知見はございませんので、ちょっとお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

大久保参考人 まず、正社員の求人に関してはほとんど影響ないと思います。私は、派遣と正社員の求人の、要するに強く結びつける要素というのは余りない。しかも、派遣労働者は雇用者全体の二%であります。これは、今、日本企業のほとんどの会社が深刻な求人難に向かっていることもあります。人口減少に向かっていることもあります。長期的に私は求人意欲は高いところにあると思っていまして、派遣制度云々によって正社員の求人が減るということはないというふうに私は見ております。

 それから、派遣の求人ですが、派遣の求人ということは、要するに、これは派遣を活用しようとする派遣先の需要がふえるかどうかということだというふうに理解をいたしますけれども、私は、派遣という、派遣法のこの制度がわかりやすくシンプルになって安定したものになれば、派遣需要はある程度ふえるだろうというふうに思います。

 ただ、派遣で新たに就業する人がふえることと、派遣という三年間を経て、また一時的、臨時的なものから次のステップに行く人という、派遣労働者のほかに変わる人たちもいますので、派遣労働者の総数ということに関して、大きくふえるということはそれほど私は可能性は高くないのではないかというふうに見ております。

関根参考人 今までの労働者派遣法におきましては、自由化業務については期間制限が原則一年、最長で三年というふうに定められていました。この期間制限を超えて雇った場合には、派遣労働者を活用した場合には、直接雇用をしなければならないというような流れになっていく。また、たとえ派遣労働者を別の人に差しかえたとしても、同一業務で派遣を活用し始めてから期間制限に達してしまったら、それ以降は派遣を活用することができないというような制度になっておりました。

 したがって、企業としては長期間にわたって派遣を使うことができないということが、なかなか派遣が広がらなかった一つの要因である、常用代替を防止するということになっていたかと思います。

 しかし、今回の法改正の内容では、派遣労働者を別の人に差しかえさえすれば永続的に派遣を活用できるということになることから、長期的な派遣の活用ができるということになる。したがって、私は、各企業においては、正社員にやらせていた業務をどんどん派遣にやらせるようになるというような実態が広がるだろうというふうに考えています。特に製造業においても、そのような実態が広がるだろうというふうに考えています。

 したがって、この法改正が行われた場合には、派遣の求人が急速に拡大していくこと、一方で、正社員の求人は大幅に減っていくということになるのは間違いがないというふうに考えております。

山井委員 ドイツでは二〇〇三年にハルツ改革、派遣法の改正をして、今回と同じように、期間上限を撤廃したら、四年間で派遣労働者の数は倍増したということがありますので、私は日本でもそうなるのではないかと思っております。

 大久保参考人がおっしゃったように、やはり派遣労働者の需要はふえるだろう。私は、当然、この法律の方向性はそうだと思うんですね。だから、派遣労働者の需要がふえるということは、今まで正社員を求人していたのが派遣労働者に置きかわるということも、全てとは言いませんが、あるのじゃないかというふうに私は理解をしております。

 本当は阿部参考人、鷲見参考人にもじっくりお話をお聞きしたかったんですけれども、時間が来てしまいました。

 ちょっと答えづらい失礼な質問もあったかと思いますが、大変重要な勉強をさせていただきました。まことにありがとうございました。

渡辺委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 本日は、参考人の先生方、本当に貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。

 きょう先生方の御意見を伺って、改めて、本当に国会議員になってよかったな、国権の最高機関で、労働市場の未来を決める大変重要な法案について最高の有識者の先生方から御意見を賜れて、本当にありがたいことであると思っております。

 今、山井委員の方から、正社員と派遣労働者、まさに大久保参考人の言葉を使えば、二元論に基づく質問がありました。大久保参考人が、まさに派遣法というのは相反するアイテムが混在をしているということで、臨時的、一時的を強調しながらも日雇いを禁止する、常用代替をしないしないと言いながら正社員とのブリッジを試みる、あるいは派遣切りを非難するのか生涯派遣を非難するのかよくわからないと。私、全く同感であります。

 そういう観点から、ちょっと一つ、高橋参考人にお伺いをしたいのは、今、山井委員が懸念をされたのは、個人単位の期間制限が機能するとそういうことがあるんじゃないかということであります。

 高橋参考人のお立場からいうと、個人単位の期間制限はなくてもいいんじゃないかと。私は、個人単位の期間制限というのはこの法案から削除してもいいと思っているんですが、高橋参考人のお立場からどうお考えか伺えますか。

高橋参考人 まず、期間制限につきましては、もともと派遣法は常用代替防止ということが基本的な理念にございますので、いわゆる日本型の雇用慣行を阻害しないというような形で派遣労働が法制化されたということがございますので、個人単位の期間制限も撤廃してしまうということになりますと、そうした法の理念と合致することがなかなか難しいのではないかというふうに考える次第でございます。

足立委員 ありがとうございます。

 今おっしゃったように、まさに現在の雇用慣行みたいなものを尊重する。ところが、今おっしゃったように、先ほど私が大久保参考人の言葉を引いて申し上げたように、法の理念が揺らいでいるわけでありまして、新しい法の理念というものをやはり中期的には打ち立てていかねばならない、私はこう思っているわけであります。

 この関連でもう一つだけ申し上げておくと、先ほど適正化プランのお話が何度か出ました。結局、今回の法改正に導いた最大のトリガーはまさに長妻・山井プランでありまして、私は委員会質疑で長妻プランとよく言うんですが、山井委員によると、これは自分も深くかかわっていたということですので、これからは、長妻・山井プラン、こう申し上げたいと思いますが、これが派遣市場にもたらした大変な混乱を何とか収束させるための法改正である面も多々あるわけでありまして、私は、長い目で見れば、個人単位の期間制限も外して、よりイデオロギーに、レッテル張り等に左右されない体系が必要だと思っています。

 これは阿部参考人、高橋参考人、それから大久保参考人に伺いたいんですが、私は、そもそも今回の派遣法を含めた労働法制全体が、長らく左右のイデオロギー対立の中で、特に自公政権と民主党政権の入れかわりの中で翻弄されてきた面があって、今回の改正法にもその残滓というか跡形が色濃く残ってしまっている、特に今回の個人単位の期間制限についてはいずれ払拭をしていくべきものである、こう思っています。

 現在の法案を超えてちょっと申しわけないですが、これは国会の責任だと思います。国会がもう少し地に足のついた議論をしていかなければ、結局、大久保参考人が指摘されたような議論に翻弄される、こういう印象を持っていますが、そういう私の印象に共感いただけるかどうか、三人の参考人の先生方、一言いただければと思います。

阿部参考人 大変難しい御質問でございますけれども、法をおつくりになるのは国会でございますので、その責任は多分にあるだろうというふうに私も思います。

 先ほどの個人単位の上限三年の話ですが、私は、むしろ三年あった方がいいんじゃないかというふうに考えております。

 というのは、それを外すと、それこそ一生涯派遣ということが待ち構えているのではないかと思っておりまして、三年に期限を限定することによって、先ほど考えるきっかけをつくるとどなたかおっしゃっていたと思うんですが、それを機にキャリアをどういうふうに積んでいくかを個人個人がよく考えてキャリア形成に臨むということが大事だろう、それこそがまさに、生涯派遣でいくのか、そうじゃないのかのきっかけづくりになるのではないかと思っております。

高橋参考人 政治的なことに関しましては全く素人でございまして、ちょっとお答えは差し控えたいと思いますけれども、先生の問題意識であるところの個人単位の問題に関しましてお話をしたいと思います。

 私自身も、常用代替防止という制度創設以来の基本理念、これが、労働をめぐるいろいろな経済環境の変化、グローバル化の急速な進展の中で、果たして本当にこのまま維持し得るものなのかどうかにつきましては、大変な問題意識を持っておりますので、ぜひ中長期的な観点から、労働者派遣法の基本的なあり方についての検討は引き続き行っていただくことが適当かと考えております。

 以上でございます。

大久保参考人 今回の法案を超えてという御質問でございましたので申し上げたいんですが、派遣の議論をするときに、私は、派遣だけのことを見ていると、やはりいい結論が導き出せないんじゃないかというふうに思っているんですね。つまり、正社員という大きな存在があるわけで、要するに、全体設計をどうするんだということがまず先にありたいわけです。

 多くの人たちに就業の機会を提供する、女性にも高齢者にも、なるべく就業率を高めていくためには、全体設計をどうしたらいいんだ。恐らく、その中に、現在の社員が抱えているような、いわゆる長期継続的にその会社のメンバーとしてというメンバーシップ型の就労の機会も必要だし、やはりジョブ型、今はジョブ型正社員という議論もありますけれども、そういう形でやっていく人たちも必要だろう。

 どういう形にそれをミックスしたら就業率が上がるんだろうか、そのための基本的な骨格としてどういうものを機能させていったらいいのか。雇用形態のバラエティーですよね。その中で、では、派遣はどうするかという議論をすることが大事なんだというふうに思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 今三人の参考人の先生方からいただいたコメント、よくわかります。

 一つだけ、ちょっと阿部先生に更問いなんですが、阿部先生は、三年あった方がいい、逆に、なければこれは本当に生涯派遣になるということでありますが、一方で、阿部参考人は、陳述いただいた中で、紙にはございませんが、マッチング機能に言及いただいて、ややコストが高い面もあって爆発的には広がっていないと。

 これは、私、まさに御指摘のとおりだと思っていて、本来、派遣というのは、大久保参考人がるるきょう御紹介くださったようなさまざまな機能、サービスが付加されているサービスでありますから、例えば採用コストとかそういうこともあるし、教育訓練コストもあります。

 そういった意味では、ここで別に規制で三年と区切らなくても、先ほど大久保参考人がおっしゃった正社員のところも含めた労働市場の本来のあり方に近づいていけば、いわゆる阿部参考人が今おっしゃったようなことにはならなくて、むしろ適切なバランス、ベストミックスが実現できる、こう思っていますが、いかがでしょうか。

阿部参考人 一番の問題は、個人がそれぞれキャリアをどう考えるかといったところに尽きるかなと思うんですね。

 労働市場がうまくいく側面としては、規制を取っ払うということは確かに大事だと思うのですが、ただ、問題は、今、正社員のキャリア形成というのは、どちらかというと会社が主体となってキャリア形成している。個人は、ある意味、企業に従っていけば、それなりにキャリアアップしていく。ところが、非正規一般は自分でキャリア開発をしていかなければいけないという状態になっているという点で、やはりきっかけづくりをつくっていくということは大事かなと思います。

 もし労働市場に個人のキャリア形成がうまくできるような仕組みが入ってくれば、もしかしたら規制はなくてもよいかもしれません。

 以上でございます。

足立委員 ありがとうございます。

 今の点、申しわけありませんが、大久保参考人、私は、私の個人的意見としては、今まさに阿部先生がおっしゃったことについて言えば、いわゆる人材サービス、直接雇用している雇用元、雇用会社、雇用している事業会社が今おっしゃったキャリア形成を支援しているということでありますが、いわゆる派遣で、非正規にもいろいろありますが、特に派遣については派遣元の派遣会社がそれをやっていると私は思っていますが、そういう理解でよろしいですね。

大久保参考人 これまでということで言えば、派遣会社が自社の派遣労働者のキャリア支援をやっているところもあるし、小さい規模のところではそれはできていないところもあった、それを今回変えるということだというふうに思っています。

足立委員 ありがとうございます。

 この点はこれぐらいにしますが、次に、実は今のお話の中で、正社員のお話も若干出ました。私も法令をいろいろちょっと勉強しましたが、現在の雇用慣行を維持すべきだというようなことが法文に書いてあるのは、実は派遣法だけなんですね。だから、私は、実は派遣法のあり方というのは正社員のあり方と非常に関係がある、こう思っているわけであります。

 高橋参考人に伺いたいのは、派遣という働き方をしっかりと私が言うところの中長期的に真っ当な労働市場に位置づけていくためには、ジョブ型あるいはメンバーシップ型等の議論もありますが、正社員の働き方、これも変わっていく必要があるし、その際には、例えば解雇に係るさまざまな制度も変わっていく必要がある、こう思っています。

 ちょっと法案の参考人質疑から離れてまた怒られるかもしれませんが、経団連は、解雇紛争の金銭解決についても御提言されていると思います。

 私は、正社員のあり方と派遣のあり方を横に並べて考えると、派遣労働の適正なあり方を実現していくためには、正社員のあり方も変わっていく必要がある、そのときには、大久保参考人がおっしゃったジョブ型というような議論もあれば、私は、解雇ルールもやはりもう少し時代とともに変わっていくべきだと思っていますが、どうお考えですか。

高橋参考人 大変難しい御質問をいただきました。

 まず、働き方に関しましては、御承知のとおり、我が国は人口減少社会に入ってございますので、多様な方々に労働市場に参画いただいて、企業等で実力を発揮していただいて、経済成長に貢献していただくことが基本となります。

 したがいまして、多様な方が会社で働けば働くほど働き方は一様ではなくなりますので、今や企業は働き方の大改革に直面しております。そうした中において、派遣労働との関係等をどう考えていくのかというような、総合的な検討が求められると考えてございます。

 先生御質問の解雇ルール等につきましては、そうした全体的なグランドデザインの中で議論していくことが適当と考えてございまして、個別個別に議論していくような部分最適型の検討というものは時には必要かもしれませんけれども、大きな改革をするときは、全体的な改革を目指して検討していくことが必要ではないかと考えてございます。

足立委員 まさに、今、高橋参考人がおっしゃったようなことだと私も思っています。

 ところが、今回の派遣法は、大変大きな改革であるにもかかわらず、派遣の世界だけで議論しているものですから、先ほど、山井委員にこだわって恐縮ですが、山井委員がおっしゃったように、一体、この派遣の方々を派遣に固定化したいのか、そこから出ていただきたいのかさえ、実は国会でも議論が錯綜するということが今起こっていると私は認識をしています。

 最後に、阿部参考人、きょう、データもちょっとお示しをいただきました。

 阿部参考人の資料の一枚目に、形態別の雇用者数の推移ということでいただいています。ちょっと前提となる議論に戻るようで恐縮ですが、二〇〇八年の百四十八万人から二〇一五年の百二十万人、こういう御紹介をいただいて、私もちゃんとそれを整理していなかったので、ああそうだったかなということでありますが、まず一点は、百四十八から百二十への変化の要因はどのように分析をされておられますか。

阿部参考人 リーマン・ショックでやはり経済が不景気に入ったために、いわゆる派遣切りといった問題も出てまいりましたので、そういったことで二十八万人程度減少しているのかというふうに思っております。

足立委員 あわせて、高橋参考人、先ほどお話の中で、こだわりますが、長妻・山井プランの結果、百万人から五十万人と、これはそういう数字がきれいに出ているわけですね。もう一度そこだけ御紹介ください。

 それと、今あった百四十八から百二十という全体のこの数字と、先ほどの百から五十という数字がどう解釈できるか、もしよろしければ、阿部参考人と高橋参考人にお願いいたします。

阿部参考人 派遣労働者の数の把握というのは非常に難しくて、私が利用しているのは労働力調査というもので、この労働力調査というのは、家計に調査票を送って、個人がどう働いているかと。派遣のもう一個のはかり方は、登録した数。派遣社員の方が幾つもの会社に登録したりしますので、そうすると、企業に、派遣会社に何人派遣社員がいますかと聞くと、家計に調査するよりは多くなるということになります。

高橋参考人 私の用いております数字は、厚生労働省が実施しております毎年六月一日現在の事業所の統計に基づくものでございます。

 適正化プラン前の二〇〇九年におきましては、二十六業務に従事する方々は九十万人でございましたけれども、これが二〇一四年は五十万人というふうに、大幅に減少してございます。

足立委員 ありがとうございます。

 あと一分ですので、最後に一つだけ。

 大久保参考人が均衡・均等待遇の話、これはまた別の機会にゆっくり御議論をさせていただきたいと思いますが、そのときに社会保険の話に言及いただいて、社会保険はどなただったかな。

 社会保険の話が出ました。EUも苦戦しているという話の中で、非正規、正規、二元論からちょっと脱してという話があったと思いますが、私も社会保険は大事だと思いますが、高橋参考人、もう時間がないので一言だけ。

 要すれば、この労働市場のあり方、派遣のあり方、パート、非正規、正規を考えるときに、社会保険の適用の問題は大変重要だと思いますが、一言いただいて終わりたいと思います。

 これは、高橋参考人と大久保参考人にお願いします。

渡辺委員長 それでは、時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。

高橋参考人 大変重要だと考えてございます。

大久保参考人 重要なテーマでありまして、派遣労働者に関しては、日本では社会保険加入はかなり進んでおります。

足立委員 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 参考人の先生方におかれましては、本日はお忙しい中、貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございます。

 私も質問させていただきますけれども、時間の関係で参考人の皆様全てに質問できないかもしれません。あらかじめ、その点、おわびを申し上げたいと思います。

 私の方から、まず初めに、派遣の話に入る前に、話の前提を少し整理する意味で、ここ最近の雇用形態というものを、その変化というものをどのようにごらんになっているのか、このことについて、参考人の皆様の見立てといいますか、伺いたいと思っております。

 先ほど意見陳述の際に、阿部先生の方から、雇用者数の推移のグラフをお示しいただきました。時系列で並べてみますと、一番下の正規職員、波はありますけれども、徐々に減ってきている。また、上のパート、アルバイト、契約社員、さらに派遣労働者も含めて非正規ということになると思うんですけれども、これが、波はあるものの、だんだん口が広がってきている。

 こうした雇用形態の変化についてということで、これは最近私自身もちょっと混乱しているんですけれども、非正規雇用と派遣労働というものが何か一緒くたに論じられている嫌いがあって、それが話を理解しづらくしているところがあると感じております。

 端的に言いまして、非正規雇用がふえるということは好ましいことなのか、それとも好ましくないことなのか、否定的な評価しかできないのかということについて、これはせっかくの機会ですので、阿部参考人、高橋参考人、大久保参考人のお考えを伺いたいと思っているんです。

 今の雇用をめぐる状況を眺めた際に、有効求人倍率を見ましても、リーマン・ショック前の二〇〇七年半ばの一・〇七というのがピークであったんですけれども、これが、リーマン・ショック後、二〇〇九年八月には〇・四二まで落ち込んでおりましたけれども、これがだんだん回復をしてきて、ことし三月には一・一五にまで改善をされております。地方別で見ますと、東海地方で一・三八であるとか、北陸一・三六など、人不足というような状況すら現状では生じております。

 これは、失業率を見ましても、完全失業率は、リーマン・ショック前の二〇〇七年七月には三・六%だったものが、二〇〇九年七月、五・五%まで悪化をいたしました。これも、ことし三月を見ますと、三・四%と、有効求人倍率、完全失業率ともリーマン・ショック前よりも改善をされているというのが現在の状況であるというふうに思います。

 総務省の労働力調査をリーマン・ショック前から眺めると、全体の雇用者数が、季節によっては若干の波はありますが、全体としては増加基調である中で、正規の雇用者数についてはほぼ横ばいといったような状況。これに対して、非正規の雇用者数はふえている。非正規の中身を見ますと、男性と女性とでも大きく異なっておりますが、男性では、非正規の増加に寄与しているのは契約社員、嘱託、それとアルバイト、女性の方になりますと、特にパートが増加をしているというような特徴があります。

 このように、景気が上向いていて雇用も改善をしているけれども、逆に非正規はふえているではないかということとして、雇用は改善をしていないのだとする批判もありますが、果たして、非正規雇用がふえること、数の上でも割合の上でも非正規がふえることは好ましくないことなのか、景気がよくなっても非正規雇用がふえるということは好ましくないので是正されなければいけないのかどうか。

 私自身よくわからないのであちこちでお聞きしているんですが、せっかくの機会ですので、非正規雇用がふえる要因についてどのようにごらんになっているのか、それぞれ参考人の御見解をお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。

阿部参考人 ありがとうございます。

 非正規がふえている理由としては、多々あるとは思うんですが、私が一番大事だろうと思っていることは、やはり仕事の内容がこの間ずっと変わってきているということであります。

 私の経験を申し上げますと、私、アルバイトを学生時代にしたとき、ファミリーレストランでウエーターをやりました。そのとき、ファミリーレストランのメニューを全て覚えないとウエーターの仕事はできませんでした。メニューを全部覚えるためには、私は記憶力が悪かったものですから、数カ月かかりました。

 ただ、今ですと、皆さん御存じのように、端末機をたたけばすぐできるということで、比較的短い訓練でできるようになっていまして、長く雇って経験を積ませて熟練を積ませる仕事が徐々に減ってきた、その結果、非正規雇用がふえているんじゃないかというふうに考えております。

 ただ、これは、一方で、女性や高齢者といった人たちには、むしろ働きやすいことになっているんじゃないか。例えば、一度結婚や出産で正社員をおやめになって、数年たって労働市場に入ってくるときには、スキルの劣化が非常に大きい、能力が減っていますから。その人たちが新しく仕事につくためには、こういった仕事をまず経験し、その上で正社員にステップアップしていくという道を残しておくということは大事だろうと思いますし、高齢者の方も、技術革新をもとに働く場がつくられれば、働きやすいのではないかというふうに思っております。

 それから、非正規は正社員と違う働き方ということで、労働時間が違うですとか、そういった面もあります。そうしますと、例えば、数日働ければいいんだという方もいらっしゃいますので、そういった人たちの雇用をふやす可能性はあるだろうと思っております。

高橋参考人 非正規労働者、確かに数はふえてございます、比率はふえてございますけれども、その要因には理由がございます。

 例えば、リーマン・ショック前の二〇〇八年と二〇一四年の比較、五年前と比較いたしますと、非正規労働者は全部で二百五万人ほどふえておりますけれども、そのうち六十歳以上の方が百四十三万人ということで、相当程度が六十歳以上の雇用者の方が非正規雇用労働者の増加要因であることが判明いたします。

 と申しますのは、今、団塊世代の方々は六十五歳を超えていきましたけれども、今、企業では、高齢法の改正等によりまして、六十歳以上も継続雇用という制度のもとで嘱託社員等で働かれる方が多くなってきているということが非正規労働者の数を大きく押し上げている要因であるということが言えます。

 非正規労働者対策でございますけれども、数年前から、総務省の労働力調査で、本意か不本意かということが統計上判明することができるようになりました。実際、その統計を見てみますと、非正規労働者のうちの不本意非正規と言われる方は、全体の二割の方々でございます。三百三十万人程度の皆様。ですから、一千九百万人の人々全てが問題とするのではなく、そうしたターゲットであるところの不本意な非正規の方々に支援のターゲットを定めて、適切な支援を講じていくという考え方が大変重要ではないかと考えてございます。

大久保参考人 長期的に非正規がふえている理由は二つあると思っていまして、一つは、経済そのものがサービス業化、サービス経済化しているということ、もう一つの理由は、正社員の保護が、この数十年の間にだんだん処遇の問題も保護の問題も全体的に上がってまいりまして、そういう中で景気の伸び悩む低迷期を迎えましたので、より調整しやすくて、よりコストの安い労働力を求めたこと、この二つだと思っています。

 プラスマイナスについては、雇用創出というか雇用機会の創出という観点においてはプラスだと思いますが、現状のままだと、要するに、低賃金で働かなきゃいけない労働者がふえる、格差が広がるという意味においてはマイナスの側面もあるというふうに思います。

角田委員 ありがとうございました。

 これから派遣法の方に入っていきたいと思いますけれども、ただいま、非正規がふえている要因ということについて説明をいただきました。

 この中で、先ほどの意見陳述の中でも、阿部先生も、これから労働者の希望をかなえることが一番大事な政策だというような御指摘もありましたし、今、高橋参考人からも、不本意な就労形態を改めていくことが重要だというような御指摘もございました。

 私も全く同感でございまして、雇用情勢が改善しているこのときに、不本意に今の雇用形態についている方が自分の望む雇用形態に移行できるようにすること、不本意な雇用形態の解消を進めることが最も重要なことだろうというふうに考えております。

 総務省の労働力調査の中で、先ほども御紹介ございましたけれども、二〇一三年から新たに項目が追加をされました不本意非正規雇用者についての調査を見てみますと、非正規の雇用形態についた理由のうち、正規の職員、従業員の仕事がなかったから、正規の仕事がなかったからとする回答が、先ほどお話ありましたけれども、二年前で約二〇%。これが、現状、最近の調査では一七%台ということで、少し減ってはきています。

 少し詳しく中身を見てみますと、年齢別に見てみますと、二〇一三年と二〇一四年の比較ですけれども、男性では、十五歳から四十四歳までの年代層でいずれも不本意は減少してきている。六十五歳以上では、逆に、不本意という方がふえているというような結果になっております。一方、女性は、十五歳から二十四歳で減少している一方で、四十五歳から六十四歳の年代では増加ということで、男女で見てみても違いがありますが、全体としては不本意非正規は少し減少してきているんだろうと思っています。

 最近の企業の動向も、非正規の正規雇用化という動きが目立つようになってきております。特にサービス業では、契約社員等の正社員化など、人材を確保するための動きが顕著になってきております。

 では、このうち派遣の中での不本意はどうなのかということについては、私自身もよくわかっておりませんが、いずれにしても、今回の派遣法の改正は、労働者が望むような働き方、不本意派遣の解消の方向に推し進めるものでなければならないというふうに考えております。

 この観点から、今回の改正はどのような効果が期待をできるのか、また、実際の運用に当たってどのようなところに留意すべきなのかという点について、これは、阿部参考人、高橋参考人のお二人にお伺いをしたいと思います。

 この点については、特に、今回の改正では、派遣元に対して、派遣期間が一定期間に達する有期雇用労働者について、派遣先への直接雇用の依頼とか、新たな就業機会の提供、派遣元での無期雇用などを実施する義務、期間によっては努力義務を課して、初めて派遣労働者の雇用継続を図る派遣元の責務を創設いたしました。

 そして、派遣労働者のキャリアアップのために派遣元にもさまざまなキャリアアップのための義務を課す一方、派遣労働者の職務遂行状況や遂行能力の向上度合いなど、派遣元によるキャリアアップ支援に必要な情報を派遣元に提供する努力義務なども課しているわけですが、このことについてどのように、先ほどの観点から見て効果が期待できるのか、評価をされているのか、また運用面での留意すべき点などについて、お考えがあればお伺いをさせていただければと思います。

阿部参考人 派遣法の中でキャリア形成の支援について派遣会社に求めているという点は、今議員おっしゃったとおりであります。

 私、運用の面で一言つけ加えさせていただきますと、昨年度から優良派遣事業者認定制度というのを、厚生労働省が委託事業ということで、派遣協会ですとか、あるいはそういった業界のところでやっております。これは、キャリア形成ももちろんですけれども、労働法の遵守ですとかさまざまな認定要件がありまして、認定をする制度であります。

 これは今後も続けていくと思っておりまして、そうしますと、認定マークがあればしっかりそういったキャリアアップを図るような取り組みを派遣会社がしているということがわかると思います。しかも、認定条件がクリアできなければ認定マークは取り消すということまでやろうとしております。

 派遣法だけではなくて、そういった取り組みも含めて、派遣会社が、多分これからはキャリアアップをしっかりやっていくんだろうというふうに私は思っております。

 以上です。

高橋参考人 先ほどの本意、不本意別に見た、派遣労働者だけで見た割合を見ますと、先生御指摘のとおり、非正規全体で二割ぐらいが不本意非正規となりますけれども、派遣労働者だけで見ますと四割というふうに、その比率がジャンプアップするわけでございます。したがいまして、そうした不本意の派遣労働者に対する対策は待ったなしの状況であるというふうに考えてございます。

 そうした中で、今回の改正法案は、実は派遣業者にとっては大変な規制強化となってございまして、先生御指摘の諸施策が実施されることは、中小の派遣事業者にとっては大変厳しいと言わざるを得ません。しかしながら、あえてそうしたこともしていただくことによって業界の一層の健全化が進むことが、派遣労働者の保護につながり、さらなるステップアップにもつながっていくのではないかと考えてございます。

角田委員 ありがとうございました。

 次に、多様な働き方の中の選択として派遣労働を選んでいる方々の保護ということに関してお伺いをしたいと思います。

 派遣労働者と派遣先の労働者との均衡待遇について、今回の改正においては、派遣元に、均衡を考慮した待遇の確保のために配慮した内容を本人の求めに応じて説明することを義務づけております。派遣先に対しては、派遣先労働者に関する賃金等の情報提供の配慮義務、派遣先の業務に密接に関連した教育訓練を実施する場合は派遣労働者にも実施する配慮義務、派遣労働者に対し派遣先の労働者が利用する福利厚生施設の利用機会、これについても配慮義務などの規定が加えられました。

 こういった点についてどのように評価をされているのかということと、また、多様な働き方の中における待遇の均衡、均等が図られるように、さらに取り組みが求められると思いますが、この点について、今後まずこうしたことからやっていかなければいけないというようなお考えがあれば、お伺いをさせていただきたいと思います。

 これも、阿部参考人、高橋参考人、お二人にお伺いしたいと思います。

阿部参考人 均衡の件でございますが、派遣労働者の不満の中でやはり高いのは、正社員との均衡といった面で、処遇が均衡していないですとか労働環境が均衡していないといった不満が高うございます。

 これに対して、今回の派遣法では、そうした情報提供によって果たしてどの程度均衡しているのかということが明確になるように配慮をするようにということになっておりますので、一つ進んだかなと思っております。

 ただ、均等・均衡原則というのは、我が国の賃金制度ではまだまだ難しいところがあるかなと思っているところがありまして、というのは、先生方御存じのとおり、我が国では、正社員は職務給が一般的で、単に仕事だけで賃金が決まっているわけではないということでございます。そういったところを今後どうしていくかというのは、長い時間をかけて研究していかないと、なかなか均等・均衡待遇というのが実現するようには、私個人としては考えてはおりません。

 以上です。

高橋参考人 処遇の基本的な考え方といたしまして、まず何よりも、意欲と能力の高い方々に、それにふさわしい処遇としていくということが大前提になると思っております。したがいまして、派遣労働者だからといって高くするということではなくて、意欲と能力のある派遣労働者の方々の処遇を高めていく、これは大変重要なことではないかというふうに考えてございます。

 ただ、一方で、今回先生御指摘の賃金情報の提供等に関しましては、派遣先といたしましては、果たして、同種の働き方をしている人というのがいない場合もありますので、大変難しい面もございます。しかしながら、派遣元の求めに応じまして、できる限りの努力をしてまいりたいと考えております。

 また、処遇以外にも、教育訓練や福利厚生施設の利用につきまして、今回、配慮義務が講じられておることは、まことに適当であると考えてございます。

 以上です。

角田委員 ありがとうございました。

 今後を考える上でも、大変重要な御意見を賜りましたことを本当に感謝申し上げます。

 時間が来てしまいましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、堀内照文君。

堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。

 参考人の皆様には、本当にきょうはありがとうございました。私からも幾つか質問させていただきたいと思います。

 初めに、関根参考人と鷲見参考人、お二人にお伺いしたいんです。

 政府は、派遣労働の必要性について、多様な働き方と、労働者側にもニーズがあるというふうに言うわけですが、実際に多くの派遣労働者と接してこられた経験から、こうした考えをどう捉えるのかということであります。

 特に、関根参考人の最初の意見陳述の中で、用意いただいた資料の五ページの「今後どのような働き方を希望するか」という経年での表がありますけれども、これを見て本当になるほどと私は思ったわけです。

 つまり、正社員として今後働きたいという人、または派遣を続けたいという人の割合が、二〇〇一年と二〇〇四年の調査を境にして逆転をしているわけですね。それまでは、正社員として働くことを希望していた方が三割台、派遣を続けたいという人が五割から六割だったのが、二〇〇四年以降は、正社員を希望する人が六割、七割、それから、派遣でいいんだという人は二割台に、逆転している。

 これは、つまり、製造業解禁ということを境に様相ががらっと変わっているということなんだというふうに受けとめたわけですが、これは派遣労働者がニーズがあって選んでいるというよりは、むしろ制度がつくり出したものじゃないかと私は思ったわけです。

 こういったニーズ論についてどう捉えるのかということを、関根参考人、鷲見参考人、お二方にお聞きしたいと思います。

関根参考人 まず一つ言えることは、不安定な雇用であるとか低賃金、これを望む労働者はいません。したがって、今、非正規雇用の最大の問題点というのはこの二つ、低賃金であり、格差がある、そして非常に不安定な雇用であるということ。そういった意味では、非正規雇用、派遣労働をみずから望むという人が多いということはあり得ないだろうというふうに考えております。

 ここの経年変化でも出ているとおり、どんどん規制緩和される中で派遣労働が拡大して、働く人たちが安定した雇用につきたいけれどもつけないという事態になってきた。そういった意味では、働き方の多様化が広がったというよりは、実際に規制緩和することによって低賃金あるいは不安定雇用で働かせるという働き方が広がって、働く側の選択肢というのは狭められているというような実態にあるというふうに考えております。

鷲見参考人 多様な働き方とよく言われるんですけれども、多様な働き方を保障するというか大事にすることについて、そう異論はないだろうと思うんです。

 ただ、多様な働き方という理由というか、場合によっては口実のもとに、労働者に対する保護をなくしていく、緩和していくということだと、私はいかがなものかと思うわけであります。

 労働者派遣につきましては、もともとが雇用主と実際に使用する人が違うわけですから、労働災害の問題とか、あるいは職場において正社員と差別されるとか、そういう点での手当てが全然ないんじゃないかということがあったかと思うんですが、やはり、九九年の自由化以来、それが非常に極端な形であらわれているんじゃないか。そこに対する保護が全然なされないまま、多様な働き方ということで来ているんじゃないか。

 あるいは、きょうのテーマではありませんけれども、有期社員についても、この間、労働基準法の改正で、有期社員がふえることにつながるような改正があったと思っていますけれども、ふえるのはいいんですけれども、有期社員に対する保護が全然なされていないんじゃないか。

 もうちょっと言いますと、どこで保護がなされていないかということなんですけれども、低賃金ということもあるわけですけれども、やはりEU諸国なんかは有期とか派遣とか非正規労働者の数が非常に少なくて、ある意味では、言葉面どおり臨時的、一時的業務に従事するんだと。したがって、そういう労働者が少なくていいわけですから、少なくて、しかも均等待遇が図られているということですから、そう矛盾とか弊害があらわれないという形で来ていると思うんですね。

 ところが、日本の場合は、臨時的、一時的業務に派遣なんかも限定すると一応言っていますけれども、有期も同じだと思うんですけれども、私の見るところ、実際は恒常的業務に従事させていますよね。確かに、業務が従来よりは単純化したという面もあるかもしれませんけれども、実際は、派遣社員なり有期社員のほとんどが正社員と同じか、もしくはほぼ同じ恒常的業務に従事しているのが私は実態だと思いますよ。ですから、いざというときにどういうことになるかというと、景気が悪くなると、雇用の調整弁ということでイの一番に切られる。そこの点が全然野放しになっているというふうな実態があると思うんですね。

 この点は、私の経験で申し上げますと、厚生労働省は、そこらあたり、このままじゃまずいんじゃないかということで白書なんかでも随分言っておられますよ。なんですけれども、実際の法規制はないわけですから。雇用の調整弁扱いをしてはだめだという法規制は残念ながらないんですよ。ないわけですから、実際は、私の見るところ、不景気になったときの職場の現実とか、あるいは、私が余り言うのもどうかなと思うんですけれども、労働裁判においても、経営側が、こういう雇用の調整弁、そういうことがわかった上で雇って、そういうことで働いておられるんでしょう、景気が悪くなったんだからどうしようもないでしょうと言われると、残念ながら、裁判所もそれを認めざるを得ないような実態がある。

 ですから、多様な働き方とおっしゃるんだけれども、実際は、保護がないまま、非常に低賃金、不安定な形での働き方が進行している。それで雇用の調整弁という形で進行している。それを均衡待遇とか規制するような方策が全然ないままで来ていて、今回の改正案もそういう流れをさらに加速するのではないかなと思っています。

堀内(照)委員 ありがとうございます。

 続いて鷲見参考人に聞きたいんですが、先生の陳述の中で、今回の法の施行日が現行法での労働契約申し込みみなし規定の施行一カ月前なんだ、事実上このみなし規定の適用を排除するものだという御批判があったと思うんですが、いわば、みずから決めた法律の施行日を前にしてその効力をなくすというようなことがまかり通るということ、こういう事態を法律家としてどうごらんになっているのかということをお聞きしたいと思います。

鷲見参考人 労働政策として、立法政策としていかがなものかなと。

 先ほども申し上げたんですけれども、とりわけ専門二十六業務で実際は一般業務を一割を超えてやっているとか、業務偽装の方で、そういう方は、ある意味でいえば、十月一日が来たら、御本人が要求さえすれば自動的に直接雇用、正社員になれるわけなんですよね。そういう方が実数としてどれぐらいおられるかわかりませんけれども、私はある程度おられるんじゃないかなと思っています。

 もうちょっと言いますと、私が知っている範囲で言うと、派遣労働者の方は職場では非常に弱い立場ですよ。何か権利主張をしたりすれば、まだ有期だったら自分の使用者に解雇されるとか雇いどめとかいう問題になりますけれども、派遣労働者の場合は声を上げたら自分が全然知らないところで自分の立場がなくなっちゃうわけですから、私の見るところ、派遣労働者の方は多少のことがあっても職場で声を上げられないと思いますよ。権利主張もできないと思いますよ。

 ですから、そういう中で三年間待たせて、一カ月前になって、あなたが主張する権利は、もう一カ月前だけれども、なくすよなんというのは、私は、期待していた労働者の立場からしたら、本当に背信的な立法政策じゃないかなと思います。

 私自身は今回の改正案自体には到底賛成できないという立場でありますけれども、仮に今回の改正案を前提としても、例えば、一年間は直接雇用みなし制度の権利を存続させるとか、経過措置をとるとか、それぐらいのことがない限りは背信行為も甚だしい立法政策だと思っております。

堀内(照)委員 ありがとうございます。

 続けて鷲見参考人にお伺いしたいと思います。

 法案では、業務の区別をなくす一方で、事業所単位、個人単位での期間制限をかけたというふうに政府は説明しておられます。しかし、きょう、先生の陳述で、それらは機能を発揮しないんだという御説明でありました。先ほどの足立さんの質問の中でも、個人制限を外したらいいんじゃないかということで、阿部先生の方からはそうなったら生涯派遣になるじゃないかということがありましたけれども、これはつまり、裏を返せば事業所単位の期間制限というのはやはり意味がないということなのかなというふうに聞きながら思ったわけです。

 一方で、無期雇用の派遣労働者は期間制限すら対象にならないわけでありまして、有期に比べて雇用が安定しているというのが政府の説明なんですが、果たしてそうなのかと。実例も多く見られてきた目で、その点、いかがかということをお聞きしたいと思います。

鷲見参考人 そこだけの実態で申し上げますと、何度も言っていますけれども、派遣労働者は自分の知らないところで、つまり、とりわけ景気が悪くなると派遣先会社は派遣会社に対して労働者派遣契約の中途解約だって、平気でという言葉が適切かどうか別にして、私はやっていると思います。

 そうしますと、派遣会社の方は、派遣先に対して立場が弱いですから、将来のまた契約を考えても立場が弱いですから、ほぼ唯々諾々と中途解約ものんでいる実態があるんじゃないかと私は思います。

 そうしますと、中途解約された場合のしわ寄せというのは結局は派遣労働者に行くわけでして、リーマン・ショックのときも、これは厚生労働省が発表している資料で、厚生労働省の方はよく御存じだと思いますけれども、リーマン・ショック時の無期雇用派遣労働者の解雇率は七二・六%です。登録型派遣労働者の解雇率が七五・八%で、ほとんど変わらないということで、このとき、無期雇用派遣労働者も登録型派遣労働者も含めて全て七割を超えているということでしたので、無期雇用派遣労働者だからといって、派遣制度のもとでは、いわば、いざとなったときに首を切られる、職を失うという率は全く同じかと思います。

堀内(照)委員 ありがとうございます。

 次に、関根参考人に伺いたいと思うんです。

 専門二十六業務の方々の雇用の安定をどう図るのか。既に議論もありましたけれども、最初の陳述で、安定雇用と均等待遇と派遣先企業の責任ということを言われたと思うんです。かつて優先雇用という仕組みもあったと思うんですが、とりわけ派遣先企業の責任という点でもう少し何かございましたら、お聞きしたいと思っております。

関根参考人 決して、二十六業務の人たちも、派遣で働き続けることを本当に望んでいるわけではないんですね。ただ、少なくとも失業するよりはましだということで、今回、この三年で切られるという措置は本当に困るというふうに言っているわけです。やはり雇用の安定というのは極めて重要だというふうに思っております。

 それから、派遣先の責任ということについては、さまざまな側面があるんですけれども、例えば、育児休業等を取得するという場合についても、派遣元が認めても派遣先は認めない。結果として、派遣労働者が育児休業をほとんどとれないで、みんな解雇になっているわけなんですけれども、育児休業を仮にとれた派遣労働者も、同じ派遣先に戻れない。そういった意味では、派遣先にもきちんと定めていく必要があるだろうというふうに考えております。

 派遣切り等の問題があったときに、全く交渉の責任もない、団体交渉の応諾義務もない。それから、派遣元が倒産した場合の賃金支払いについても責任を負わなくていい。そういった部分について、派遣先の責任をさまざまなところで定めていくべきだというふうに考えております。

堀内(照)委員 ありがとうございます。

 もう一度、鷲見参考人に伺いたいと思います。

 均衡・均等待遇の問題なんですが、派遣労働者の処遇について、差別的待遇のいろいろな実態があると思うんですが、そういう実態と解決のための方策ということで伺いたいと思います。

 政府は、日本では均等待遇はなかなか難しいんだという話をすぐするわけですが、果たして本当にそうなのかということで見解をお聞かせいただければと思っております。

鷲見参考人 日本には企業横断的な賃金体系は確立していないんじゃないかとか、均等といっても、どの労働者とどの労働者を比べて賃金を比較するんだとかいう議論があることは私も知っていますし、そういう点での難しさが全くないと言うつもりはありません。ですから、職種ごとに見るとか、労働者の働いている実態を見ながらということは、それは当然必要なわけです。

 ただ、皆さん、どういうぐあいにお考えなんでしょうか。日本の派遣法は、自由化業務に関して言えば、一年、最長三年の期間制限ですよね。それで、他の参考人も、かなり業務が単純化している面もあるんじゃないかとおっしゃられましたけれども、例えば一般業務なんかでは三年も働けば、いや、私は一年、二年でもと思っていますけれども、正社員とほぼ同様の働き方を、一年、一年でなくて数カ月でしている人もいると思いますけれども、しているという実態があるのではないでしょうか。

 ですから、現在の派遣法は一般業務から正社員への移行の道筋をつくっているわけですから、今の一年、三年の期間制限を前提とする自由化業務でいえば、私は、均等待遇を実現しようと思ったら、やっている仕事とか、その対象となる均等の賃金を見つけることがそう難しいとは思えません。

 そういう意味では、EU諸国とか中国、韓国などでも均等待遇、ほぼ日本ぐらいではないでしょうか、均等待遇を確立していないのは。均等待遇を早急に確立することが重要だと思っています。

 政府の方も、教育訓練とかキャリアアップを図ることだけを言わないで、教育訓練やキャリアアップを図るんだったら、それを右から左に、均等待遇を実現する中で、あるいは実現しつつということは十分できるのではないかと思っております。

堀内(照)委員 ありがとうございます。

 最後に、鷲見参考人に伺いたいと思います。

 今度の法案は、派遣が臨時的、一時的だという原則を盛り込みながら、実際にはその担保となる期間制限をなくし、派遣をふやす方向を盛り込みながら、正社員化なんだとあくまで強弁をする。

 しかし、一方で、附則では、雇用慣行が損なわれるおそれがある場合は速やかに検討すると。これはどういう場合かということで、私は本会議で総理にお尋ねしましたら、正社員が派遣労働者に置きかわる常用代替が常態化する状況が考えられると。やはりふえるということを想定されておられるような答弁でした。

 こういう法案のありようというのは、これもぜひ、法律の専門家としてどう評価するのかということを最後にお聞かせいただきたいと思います。

鷲見参考人 常用代替防止原則を尊重する、これは建議でも言っていますし、政府の方も言っていると思います。

 それから、今度、派遣法の二十何条だったかと思うんですけれども、厚生労働大臣が臨時的、一時的が原則であることを運用上配慮するというような条文が入ったかと思いますが、私は、この条文は非常に曖昧な条文で、いかがなものかと思っておりますけれども、ともかく、臨時的、一時的だという言葉自体が入ったことが悪いと言うつもりはありません。

 あるいは、附則で、雇用慣行が損なわれるおそれがある場合と書いておるわけでして、やはりこの辺は、今回の改正案に対して懸念をあらわす声が多数あるわけですから、このままだと一生派遣労働者のままで、あるいは、正社員がどしどしリストラ解雇されてかわりに派遣労働者ということになるのではないかと懸念する多数の声があるわけですから、その辺を反映した条項なり附則なのかなと思っております。

 しかし、臨時的、一時的だとか、あるいは建議で常用代替防止を尊重すると言っておりますけれども、法律としましては、先ほど私が言いましたように、派遣労働者がふえて、正社員が派遣労働者に切りかえられる、あるいは派遣労働者を使う派遣先にとっては非常に使い勝手のいい法律になるということです。

 本来、やはり間接雇用というのはいろいろな弊害があるんです。時間がないので言い切れませんけれども、であるからこそ、戦前の例なり、間接雇用の弊害、人貸し業はだめだということで禁止されてきたのを、極めて限定的な形で、専門業務ということで解禁したのが、私はそれもいかがだったかなと思っていますけれども、そんなわけなんです。

 それを、この間、緩和に次ぐ緩和、拡大に次ぐ拡大という形でやってきているのは、やはり弊害を非常に極端な形で、リーマン・ショックのときにはああいう形であらわしたわけですし、さらにそれを倍加するような法案ではないかと思って、非常に懸念しております。

 以上です。

堀内(照)委員 ありがとうございました。

 時間の都合で皆様に質問できなかったことをお許しください。

 終わります。

渡辺委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。

 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十四分散会


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