衆議院

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第26号 平成27年6月19日(金曜日)

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平成二十七年六月十九日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 赤枝 恒雄君 理事 後藤 茂之君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 松野 博一君 理事 西村智奈美君

   理事 浦野 靖人君 理事 古屋 範子君

      大岡 敏孝君    大串 正樹君

      加藤 鮎子君    木村 弥生君

      小松  裕君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    谷川 とむ君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      長尾  敬君    丹羽 雄哉君

      橋本  岳君    比嘉奈津美君

      堀内 詔子君    牧原 秀樹君

      松本 文明君    三ッ林裕巳君

      務台 俊介君    村井 英樹君

      阿部 知子君    小川 淳也君

      大西 健介君    岡本 充功君

      中島 克仁君    山井 和則君

      足立 康史君    井坂 信彦君

      牧  義夫君    輿水 恵一君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    堀内 照文君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      山本 香苗君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   厚生労働大臣政務官    高階恵美子君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  坂口  卓君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十九日

 辞任         補欠選任

  松本  純君     務台 俊介君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     松本  純君

    ―――――――――――――

六月十八日

 地域の景気回復に向け、中小事業所とそこで働く労働者の社会保険料負担を引き下げること等に関する請願(志位和夫君紹介)(第二九四九号)

 患者窓口負担の大幅軽減に関する請願(島津幸広君紹介)(第二九五〇号)

 国民年金第一号被保険者の出産育児期間中の保険料免除に関する請願(梅村さえこ君紹介)(第二九五一号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員に関する請願(近藤洋介君紹介)(第二九五二号)

 同(田嶋要君紹介)(第二九五三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二九五四号)

 同(中川正春君紹介)(第二九五五号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二九五六号)

 同(岸本周平君紹介)(第三一〇一号)

 同(亀井静香君紹介)(第三一四七号)

 同(黄川田徹君紹介)(第三一四八号)

 同(郡和子君紹介)(第三一四九号)

 同(斎藤洋明君紹介)(第三一五〇号)

 介護従事者の処遇改善に関する請願(畑野君枝君紹介)(第二九五七号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(笠井亮君紹介)(第二九五八号)

 同(武村展英君紹介)(第二九五九号)

 同(小熊慎司君紹介)(第三一〇二号)

 同(亀井静香君紹介)(第三一五一号)

 同(井出庸生君紹介)(第三二六五号)

 同(大串博志君紹介)(第三二六六号)

 同(金田勝年君紹介)(第三二六七号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第三二六八号)

 同(中島克仁君紹介)(第三二六九号)

 同(原口一博君紹介)(第三二七〇号)

 同(山下貴司君紹介)(第三二七一号)

 パーキンソン病患者・家族に対する治療・療養に関する対策の充実に関する請願(武村展英君紹介)(第二九六〇号)

 全てのウイルス性肝硬変・肝がん患者の療養支援とウイルス検診の推進に関する請願(阿部知子君紹介)(第二九六一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二九六二号)

 同(武村展英君紹介)(第二九六三号)

 同(平野博文君紹介)(第二九六四号)

 同(山本拓君紹介)(第二九六五号)

 同(黄川田徹君紹介)(第三一五二号)

 同(佐藤茂樹君紹介)(第三二七三号)

 同(中島克仁君紹介)(第三二七四号)

 同(濱村進君紹介)(第三二七五号)

 同(古屋範子君紹介)(第三二七六号)

 同(松本純君紹介)(第三二七七号)

 全国一律最賃・時給千円以上の実現に関する請願(笠井亮君紹介)(第二九六六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二九六七号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二九六八号)

 同(藤野保史君紹介)(第二九六九号)

 難病と長期慢性疾病、小児慢性特定疾病の総合的な対策の充実に関する請願(阿部知子君紹介)(第二九七〇号)

 同(根本匠君紹介)(第二九七一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二九七二号)

 同(小熊慎司君紹介)(第三一〇三号)

 同(石田祝稔君紹介)(第三一五三号)

 同(黄川田徹君紹介)(第三一五四号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第三一五五号)

 同(野田聖子君紹介)(第三一五六号)

 同(吉川元君紹介)(第三一五七号)

 同(川崎二郎君紹介)(第三二七八号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第三二七九号)

 同(古屋範子君紹介)(第三二八〇号)

 障害児・者の介護・福祉・医療制度の抜本改正に関する請願(阿部知子君紹介)(第二九七三号)

 障害者福祉についての法制度の拡充に関する請願(阿部知子君紹介)(第二九七四号)

 同(井上英孝君紹介)(第二九七五号)

 同(笠井亮君紹介)(第二九七六号)

 同(菅家一郎君紹介)(第二九七七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二九七八号)

 同(武村展英君紹介)(第二九七九号)

 同(辻元清美君紹介)(第二九八〇号)

 同(根本匠君紹介)(第二九八一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二九八二号)

 同(山本拓君紹介)(第二九八三号)

 同(小熊慎司君紹介)(第三一〇四号)

 同(勝沼栄明君紹介)(第三一〇五号)

 同(松野頼久君紹介)(第三一〇六号)

 同(赤羽一嘉君紹介)(第三一五八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三一五九号)

 同(伊佐進一君紹介)(第三一六〇号)

 同(池内さおり君紹介)(第三一六一号)

 同(石田祝稔君紹介)(第三一六二号)

 同(今井雅人君紹介)(第三一六三号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第三一六四号)

 同(大平喜信君紹介)(第三一六五号)

 同(笠井亮君紹介)(第三一六六号)

 同(亀井静香君紹介)(第三一六七号)

 同(黄川田徹君紹介)(第三一六八号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第三一六九号)

 同(國場幸之助君紹介)(第三一七〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三一七一号)

 同(斉藤和子君紹介)(第三一七二号)

 同(志位和夫君紹介)(第三一七三号)

 同(清水忠史君紹介)(第三一七四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三一七五号)

 同(島津幸広君紹介)(第三一七六号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第三一七七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三一七八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三一七九号)

 同(谷川弥一君紹介)(第三一八〇号)

 同(馳浩君紹介)(第三一八一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三一八二号)

 同(畠山和也君紹介)(第三一八三号)

 同(藤野保史君紹介)(第三一八四号)

 同(堀内照文君紹介)(第三一八五号)

 同(真島省三君紹介)(第三一八六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三一八七号)

 同(宮本徹君紹介)(第三一八八号)

 同(本村伸子君紹介)(第三一八九号)

 同(山本公一君紹介)(第三一九〇号)

 同(吉川元君紹介)(第三一九一号)

 同(大串博志君紹介)(第三二八一号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第三二八二号)

 同(武正公一君紹介)(第三二八三号)

 同(寺田稔君紹介)(第三二八四号)

 同(冨岡勉君紹介)(第三二八五号)

 同(中島克仁君紹介)(第三二八六号)

 同(原口一博君紹介)(第三二八七号)

 同(平井たくや君紹介)(第三二八八号)

 同(古川元久君紹介)(第三二八九号)

 同(水戸将史君紹介)(第三二九〇号)

 同(武藤貴也君紹介)(第三二九一号)

 憲法を生かし安定した雇用を求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第二九八四号)

 憲法を生かし将来に希望の持てる年金を求めることに関する請願(藤野保史君紹介)(第二九八五号)

 同(真島省三君紹介)(第二九八六号)

 筋痛性脳脊髄炎患者の支援に関する請願(阿部知子君紹介)(第二九八七号)

 同(三ッ林裕巳君紹介)(第三一〇九号)

 同(木原誠二君紹介)(第三一九六号)

 同(中川俊直君紹介)(第三一九七号)

 同(長妻昭君紹介)(第三一九八号)

 同(井坂信彦君紹介)(第三二九八号)

 同(井出庸生君紹介)(第三二九九号)

 同(金田勝年君紹介)(第三三〇〇号)

 同(川崎二郎君紹介)(第三三〇一号)

 同(佐藤茂樹君紹介)(第三三〇二号)

 同(津村啓介君紹介)(第三三〇三号)

 同(中島克仁君紹介)(第三三〇四号)

 同(西村智奈美君紹介)(第三三〇五号)

 同(古屋範子君紹介)(第三三〇六号)

 同(松本純君紹介)(第三三〇七号)

 同(宮崎政久君紹介)(第三三〇八号)

 無年金障害者を含む全ての障害者の生活の公的扶助制度の創設に関する請願(田村貴昭君紹介)(第二九八八号)

 公正な賃金・労働条件に関する請願(阿部知子君紹介)(第二九八九号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二九九〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第二九九一号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二九九二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二九九三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二九九四号)

 同(藤野保史君紹介)(第二九九五号)

 同(宮本徹君紹介)(第二九九六号)

 同(小川淳也君紹介)(第三一一〇号)

 同(池内さおり君紹介)(第三一九九号)

 同(黄川田徹君紹介)(第三二〇〇号)

 同(吉川元君紹介)(第三二〇一号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第三三〇九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三三一〇号)

 労働時間法制の規制強化と安定雇用の確立に関する請願(阿部知子君紹介)(第二九九七号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二九九八号)

 憲法二十五条に基づく権利としての福祉実現に関する請願(清水忠史君紹介)(第三〇六八号)

 じん肺とアスベスト被害根絶を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三〇六九号)

 同(池内さおり君紹介)(第三〇七〇号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第三〇七一号)

 同(大平喜信君紹介)(第三〇七二号)

 同(笠井亮君紹介)(第三〇七三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三〇七四号)

 同(斉藤和子君紹介)(第三〇七五号)

 同(志位和夫君紹介)(第三〇七六号)

 同(清水忠史君紹介)(第三〇七七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三〇七八号)

 同(島津幸広君紹介)(第三〇七九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三〇八〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三〇八一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三〇八二号)

 同(畠山和也君紹介)(第三〇八三号)

 同(藤野保史君紹介)(第三〇八四号)

 同(堀内照文君紹介)(第三〇八五号)

 同(真島省三君紹介)(第三〇八六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三〇八七号)

 同(宮本徹君紹介)(第三〇八八号)

 同(本村伸子君紹介)(第三〇八九号)

 生活保護基準の引き下げ中止に関する請願(畠山和也君紹介)(第三〇九〇号)

 生活保護基準の引き下げを中止し、生活保護法の改悪をやめることに関する請願(畠山和也君紹介)(第三〇九一号)

 同(宮本徹君紹介)(第三〇九二号)

 生活保護基準引き下げ反対に関する請願(畠山和也君紹介)(第三〇九三号)

 全国一律最低賃金制度の確立と時間額千円以上の最低賃金実現に関する請願(池内さおり君紹介)(第三〇九四号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第三〇九五号)

 全国一律最低賃金制の実現に関する請願(本村伸子君紹介)(第三〇九六号)

 若い人も高齢者も安心できる年金を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三〇九七号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三〇九八号)

 同(堀内照文君紹介)(第三〇九九号)

 同(本村伸子君紹介)(第三一〇〇号)

 社会保障の連続削減を中止し、充実を求めることに関する請願(畠山和也君紹介)(第三一〇七号)

 同(池内さおり君紹介)(第三二九二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三二九三号)

 同(宮本徹君紹介)(第三二九四号)

 同(本村伸子君紹介)(第三二九五号)

 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願(三ッ林裕巳君紹介)(第三一〇八号)

 同(池内さおり君紹介)(第三一九二号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第三一九三号)

 同(野田聖子君紹介)(第三一九四号)

 同(馳浩君紹介)(第三一九五号)

 同(國重徹君紹介)(第三二九六号)

 同(松本純君紹介)(第三二九七号)

 新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求めることに関する請願(亀井静香君紹介)(第三一四六号)

 同(大串博志君紹介)(第三二六〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三二六一号)

 同(山尾志桜里君紹介)(第三二六二号)

 マッサージ診療報酬・個別機能訓練加算の適正な引き上げを求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三二〇二号)

 介護保険制度の改善、介護従事者の処遇改善に関する請願(本村伸子君紹介)(第三二六三号)

 社会保障の切り捨て中止に関する請願(畑野君枝君紹介)(第三二六四号)

 国鉄年金の附帯決議の履行等に関する請願(津村啓介君紹介)(第三二七二号)

 労働法制の大改悪をやめ、安心して働き続けられる雇用を求めることに関する請願(畑野君枝君紹介)(第三三一一号)

 現下の雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の拡充・強化を目指すことに関する請願(鈴木貴子君紹介)(第三三一二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三三一三号)

 同(玉城デニー君紹介)(第三三一四号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第三三一五号)

 同(堀内照文君紹介)(第三三一六号)

 同(柚木道義君紹介)(第三三一七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

 労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案(井坂信彦君外五名提出、衆法第二二号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長坂口卓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中島克仁君。

中島委員 民主党の中島克仁です。

 本日は、労働者派遣法改正案、補充の質疑ということで、総理出席のもとでの質疑、私からも質問をさせていただきたいと思います。

 今回の労働者派遣法改正案、昨年、通常国会での条文ミス、そして臨時国会での大臣の間違い答弁、さらに与党公明党からの審議前の修正案提議と、普通では考えられないようなことがたび重なり、ことし一月には厚労省担当課長の物扱い発言、そして、きわめつけは一〇・一ペーパー問題でありました。

 今回の法案が通らなければ大量の派遣労働者が失業するといううそのペーパーを厚労省みずからがつくって国会議員に配り、予算委員会で安倍総理御自身もそのペーパーを見て答弁をされていたわけです。その後、修正、リバイスされたペーパーが何回もつくり直されましたが、一旦配られた、説明を受けた議員が、ちゃんと訂正の説明をされ理解され直したのかどうかも定かではない。今回の改正案の審議の前提が崩れた状態で、強引に審議入りしたわけであります。

 我々は、もう一度整理し直して、共通の理解、前提のもとに、法案を再提出して審議し直すべきだと、極めて真っ当な主張を終始してきたわけです。

 ペーパーの文言に対しては、塩崎大臣から正式に派遣労働者の方々への謝罪などもあったわけでありますが、委員長職権連発で委員会が立てられ、そして、本日もまた、本会議への緊急上程が職権で決められたこと、不正常な審議が強引に進められていることは極めて遺憾であります。

 法案の中身は、内容はもちろんでありますが、このような姿勢が、派遣で働く方々の現状、低賃金や不安定な雇用、セクハラ、パワハラなどに苦しむ派遣労働者の身になって、その切実な声に耳を傾けているとは到底思えません。私は、審議の前提をもう一度整理して、すなわち法案を廃案として、改めて審議を一からやるべきだということを強くまず冒頭に主張させていただきます。

 その上で、安倍総理にお尋ねをいたしますが、派遣で働く方々の一生を左右する大変重要な今回の改正案、その質疑がこのような強引な進め方で審議されたこと、また、本日も職権で緊急上程される、このような経緯についての安倍総理の御見解と、さらに、今回の改正案が、不条理な働き方を強いられ苦しんでおられる派遣労働者の方々の切実な声に応える内容となっていると本当に思っていらっしゃるのかどうか、御見解をお尋ねいたします。

安倍内閣総理大臣 ただいま中島委員から御指摘がございました。現状で派遣の方々がさまざまな困難を抱えている、そういう現状があるではないか、そういう御指摘がありました。そういう現状があるからこそ、私たちは派遣法を改正する必要がある、こう考えているわけであります。

 いわば、派遣で働いている方々の約半分は派遣という働き方を選んでいる、そしてあと半分の方々は正社員の道を進みたい、そう考えているわけであります。派遣の道を選んでいる方々については待遇を改善していく、そして正社員の道を希望している方々についてはその道を開いていく、そのための法案であるということは強調しておきたい、このように思います。

 そうした議論を深めていくためにも、委員会の場でしっかりと審議をする必要があります。反対の意見があるんだったら、この委員会の場で、今委員が述べておられるようなこういう自説を述べられるべきなんだろう、こう思うわけであります。それに対して、政府側としては、政府の考え方を述べるわけでございます。そこで初めて議論が生じ、そして議論は深まっていくのではないか、こう思うわけでございます。

 今回の改正案は、この厚生労働委員会において、各党間の協議を経ながら三十時間を超える審議が行われてきたものと承知をしているわけでございます。過去の派遣法を見てみますと、昭和六十年の改正につきましては十九時間五十八分、百三十六回について、平成八年は六時間十九分、平成十一年は十七時間、平成十五年の改正は十八時間ということでございまして、今回の議論は三十時間を超えているということであります。

 政府としては、国会の場で十分な御議論をいただき、できる限り早期に成立をしたいわけでございます。最大限の努力をしてきたところでございまして、今回の法案はまさに、先ほど申し上げましたように、現状の派遣労働者の方々、さまざまな課題がある、この課題に向けて改正をするためのものでございます。

中島委員 きょうも、派遣で働く、苦しんでいらっしゃる方々がたくさん来られています。この強引な進め方、一〇・一ペーパーの内容、ここで今さらまた再度繰り返すことはしませんが、そのような前提で、審議の前提が崩れた状態で、我々は、まさにこの審議を丁寧かつ慎重に進めたいからこそ、そのような意見を言っていたわけです。

 そういった声に耳をかさない、職権で五回立てて、全く不正常な状態でこの審議が進められ、三十時間といっても不正常な状況で、このような状況が、本当に、切実に派遣労働の現場で苦しんでいる方たちの声に耳を傾けているとは到底思えません。

 望んで派遣という働き方を選択している方、また一方で、望まずして派遣という仕事についている方、それぞれだと。私が聞いたのは、派遣という働き方で望まずして働いている、そして、昨日夜も、六人の派遣労働者の方からも話を聞きました。職場で派遣さんと呼ばれ、疎外感の中で、いつ派遣を打ち切られるかわからない、本当に不条理な働き方を強いられている方々の声に、その声に応えているかといえば、私は、今回の改正案がそのような方々の期待に応える内容になっているとは到底思えません。むしろ逆に、さらに状況を悪化させてしまう可能性があります。

 そんな不備だらけの改正案ではないかと思いますし、これまでの質疑、まだまだ足りませんが、この質疑の中からさまざまな指摘がなされてまいりました。

 不安定な雇用状況に対応するためと規定をされました雇用安定措置ですが、政府はしきりにこのことを強調して、対応しているということを強調いたします。しかし、これまでの質疑で、実効性がないことはほぼ確実です。

 派遣先への直接雇用の依頼については、依頼すればいい、依頼して断られたらそれ以上の義務はもう何も課されていない。業務単位の期間制限から、今回、事業所単位の期間制限と個人単位の期間制限を入れたことによって、正規雇用への道がさらに険しくなり、派遣先からすれば、人をかえれば繰り返しそのポジションに派遣を可能とされる。だから、一生派遣とか生涯派遣と言われているわけです。総理が本当にこのことを理解しているのか、大変疑問です。

 新たな派遣先の提供も、この実効性は経済状況次第など、政府が強調する雇用安定措置にほとんど実効性がないばかりか、期間制限の見直しによって、正社員への道が逆にさらに狭まってしまうわけです。

 全てを許可制にすることで派遣元に派遣労働者のキャリアアップ支援、教育訓練などの義務を課すとしておりますが、派遣元に有益性、インセンティブが働かない仕組みとなっているために、その実効性が乏しいと言わざるを得ません。

 さらに、一方で、有期の専門二十六業務でその専門性を生かして働いていた方々は、今回の期間制限によって、今まで派遣でありながらも更新を繰り返しながら比較的安定していたにもかかわらず、三年後には雇いどめを通告される、実際にもうそのようなことが現実に起きているわけです。これに該当する方は四十万人とも言われております。今回の改正で四十万人の方が雇いどめとなる可能性があり、職場を移っても給料はほぼ間違いなく下がってしまいます。キャリアアップをまたゼロからリスタートしなければいけないんです。

 本改正によって派遣からさらに抜け出しづらくなり、さらには今まで比較的安定していた専門二十六業務の方々は雇いどめされたり、雇用は確実に不安定になります。そんな不備、欠陥法案を総理は本当に通していいと考えていらっしゃるんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今、中島委員はこの法案に対する懸念を表明されたわけでございますが、繰り返しになりますが、やはり委員会で議論を重ねなければ、まさに政府側も説明をしていく、そして議論をかみ合わせていくという機会を失うわけでありますから、ぜひ委員会には御出席をいただきたい、こう思うところでございます。

 一般に、派遣という働き方は雇用の安定やキャリア形成が図られにくい面があります。また、賃金水準が正社員に比べ低い傾向にあることから、これらの課題に対処していくことが重要であると認識をしています。

 このため、今回の改正案では、正社員を希望する方にその道が開けるようにするため、派遣元の責任を強化し、派遣期間が満了した場合、正社員になったり別の会社等で働き続けることができるようにする措置や、派遣期間を通じた計画的な教育訓練を新たに義務づけるなど、派遣就労への固定化を防ぐ措置を強化することとしています。

 この義務化には効力がないとおっしゃったんですが、現在はこうした義務が課されていないわけでありますから、新たな義務を今度は付するわけであります。これがだめだということは、現状をまさに肯定していることと変わらないのではないか、私はこう思うわけであります。

 また、派遣で働く方のうち、正社員を希望する方と派遣を希望する方は、先ほど申し上げましたようにほぼ同じ割合でありまして、みずからの働き方として派遣を積極的に選択している方については、賃金等の面で派遣先の責任を強化するなど、待遇の改善を図ることにしています。

 そして、現行制度のままでは制限なくいつまでも派遣を認められる方が四割いるわけでありまして、この四割いる方々について、いつまでも派遣ではないかというのが皆様の主張であります。我々はそれを二割に少なくしていくわけであります。

 また、教育訓練を受ける機会もないわけでありまして、正社員への移行を一歩でも前進させるため、これまでなかった仕組みを設け、働く方それぞれの選択がしっかり実現できるような環境を整備していく必要があるわけであります。

 そして、専門二十六業務については、これまで期間制限の対象外でありましたが、その多くは有期の雇用契約であり、雇用契約が終われば雇いどめの可能性がある上、キャリア形成の機会も乏しいわけであります。

 このため、今回の改正案では、キャリアを見直す機会となるよう、派遣労働者ごとの個人単位で、同じ職場への派遣は三年までとする期間制限の対象とし、期間制限の対象をこれはふやすわけでありますから、これがなぜ、皆さんの主張はそうじゃないですか、この期間制限の対象について、これをしっかりとしていかなければいけない、こういう御主張であるわけであります。雇用が途切れないよう、派遣元に対し、派遣期間が満了した場合、正社員になったり別の会社等で働き続けることができるようにする雇用安定措置を新たに義務づけることとしているわけであります。

 これによって、不安定な派遣就労に固定化するのではなくて、雇用を維持しつつキャリア形成を図ることとしており、必ず雇いどめが生じるという今の御主張は全く当たらないということは申し上げておきたいと思います。

 なお、改正法案の施行に合わせ、全国の労働局に専用の相談窓口を設置することとしておりまして、雇いどめの不安を感じている方についてもしっかりと対応してまいりたい、このように思います。

中島委員 今の答弁、私は、その前の段階で、この雇用安定措置が全く効果がないことを、我々は丁寧に慎重に進めた結果、その可能性が高いと。そして、二十六業務の方に至っては、既にもう雇いどめの通告がされているわけですよ。そういう現状の中で、今の御答弁は余りにも不誠実だし、無責任だと言わざるを得ません。

 今回成立したら、成立したらですよ、大量な失業を来す改正案など、今までかつて聞いたことがないんです。そして、きょうも来ていらっしゃる派遣労働者、不条理な仕事、そんな中で苦しんでいる方の声に応えている答弁とは到底思えません。非常に認識が甘い、机上の空論と言わざるを得ません。

 時間がわずかになっておりまして、通告、まだまだたくさんしてあるんです。

 最後の、どうしても総理には御理解いただきたいところ。私は医師でございます。医師として、産業医の立場として、派遣労働者の皆さんが、今改正案のもっと前の段階でも、労働者の最低限の権利として健康の管理と安全面、その確保さえもできていない、私も現場に行きました、そういう現状を理解していただかなければ、さらに、先ほども言ったように、今回の改正案で、派遣労働者の皆さんが、ドイツの例も挙げれば、ふえる可能性があるわけです。

 健康や安全面、最低限の権利さえも確保されていない。法的な整備も確立されていない。労働災害死傷者の数も派遣労働者においてはふえているわけです。両者にかかっている安衛法や産業医の責務も、どちらに責任の分担があるのか、全く押しつけ合いの中で、そんな中で、きのうも派遣労働者の方も言っておられました。職場で体調が悪くなる、メンタル面で弊害を受ける、そのことを産業医に相談すらできないんですよ。相談したら、派遣先に伝わったら、雇いどめになってしまう。そういう現状を、まずは今回の改正案それ以前の問題だと私は思います。

 そのような派遣労働者の健康や安全面、その確保が今現在できていると認識されているのか、お答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいまの御質問は、今現在のままでいいのかという御質問でございましたから、私たちはそう考えていないわけであります。だからこそ、今回、この改正案を提出しているわけであります。

 正規になりたいという方々のまさに希望に応えるために、計画的な教育訓練をしっかりと行い、キャリアアップの支援をしていくわけでございます。そうしたものもしっかりとこの法案の中に入っているわけでありますから、どうか御理解をいただきたい、このように思うわけでございます。

 そして、まさに我々の経済政策で、有効求人倍率は二十三年ぶりに高い水準になっている。こういうときを捉えて、こうした改正を進めていくチャンスを我々は決して逃してはならない、このように思う次第でございます。

中島委員 きょう、通告した質問の半分も質問できませんでした。働く人の最低限とも言える健康面、安全面、その確保も今回の改正案で、先ほども言ったように、とても実効性があるとは思えないということを指摘しているわけです。

 総理には……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いいたします。

中島委員 安保法制のことも大事かもしれませんが、もっと身近にある、この日本社会の中で身近にある危機にもっとしっかりと向き合っていただきたい。

 不正常ながら審議された質疑の中でもさまざまな不備が明らかになっている中で、派遣という立場で苦しんでいる方々の声に応える、もっともっと丁寧かつ慎重な審議がまだまだ必要でありますし、審議の前提が非常に曖昧である以上、本改正案は廃案とし、しっかりと論点整理をして、再度審議し直すべきだということを強く主張を申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 民主党の阿部知子です。

 先ほどの中島委員の質疑に引き続いて、総理にお尋ねいたします。

 総理は、先ほど中島委員とのやりとりの中で、今回の法改正、約三十時間に審議時間が及んでいると。総理がここにお越しいただくのも二度目であります。

 でも、なぜ、三十時間も審議をし、まだまだ足りない事態が発生しているのか。その大きな理由の一つは、一〇・一ペーパーであります。

 一〇・一ペーパーの記載は、派遣労働者が、特に二十六業務にかかわる派遣労働者が、故意にそれ以外の仕事をすることで、雇用みなし制度の適用になりたいがために故意に他の業務をやるというような記載があり、これは派遣労働者の人格に対しての、極めて失礼で、なおかつ、おとしめる表現であり、こういう表現をする厚生労働省の考え方では、とても派遣法の改正は審議の俎上にも上らないということを、私ども民主党から、冒頭、問題にいたしました。

 このことに対して、塩崎厚生労働大臣は、派遣労働者に対するおわびも含めて、記者会見をなさいました。

 総理大臣は、内閣全体を統括し、責任を負う方であります。厚生労働省内で派遣労働者の人格をおとしめるようなペーパーが出回ったことは、単に塩崎大臣の責任だけではありません。実は、このペーパーは安倍総理も予算委員会でごらんになっているはずであります。

 これをごらんになった塩崎大臣は、早速、省庁の側に問題を指摘されたと聞きます。

 安倍総理は、一〇・一の質問のときにこのペーパーをごらんになって、問題点をお感じにならなかったのかどうか、冒頭、伺います。

塩崎国務大臣 今総理のお手元にその資料があるわけではございませんので。

 私がどういう考えかということは、もう既に申し上げたとおりでありまして、不適切な表現が多々あって、それについてはもう既におわびを申し上げたところでございますので、このことについて、総理は、確かに足立先生の予算委員会での質疑では拝見をしましたが、明示的に覚えているわけではないということなので、御容赦をいただければというふうに思います。

阿部委員 塩崎さんが安倍総理を思う、かばう気持ちはわかりますが、これは労働者の側からとって看過できないんです。派遣労働者の人格をおとしめるような表現が使われていること、このことは、内閣の姿勢なんです。幾ら安倍総理が先ほどるるおっしゃったような美辞麗句を話されても、一体この政府は派遣労働者をどう見ているんだろう。その方たちが故意に違う業務をして、直接雇用になりたいためにやった、そのような表現がとられています。二十六業種以外の業務をやったと。その表現がいかに問題があるかで、この委員会は長時間にわたりその問題を取り上げてきました。

 年金問題でもそうですが、事は単に厚生労働省の管理だけにとどまらず、内閣としての責任がおありであり、安倍総理はその筆頭におられます。今私が御指摘した一〇・一ペーパーを思い出しもしない、記憶にない。それではもともとこの派遣労働者の問題、先ほど申し上げました、塩崎さんは記者会見で謝罪をなさいました。私は本当にそれは的確であったと思います。

 安倍総理、いかがですか。塩崎さんがかばうんじゃなくて、総理の大事な基本的な姿勢です。お願いします。

安倍内閣総理大臣 私はそのペーパーをもとに答弁したことはございません。これははっきりと申し上げておきたいと思うわけでありまして、塩崎大臣は、大臣としての、厚生労働省の責任者としての所感を先ほど述べられたわけでございまして、重ねて申し上げますと、私がそのペーパーをもとに答弁をしたことはないということは重ねて申し上げておきたいと思います。

阿部委員 その程度のことで済むなら、総理大臣の全般的な国政、特に労働者への責任は果たされないと私は思います。

 この労働者派遣法の改正は大変重要な改正であり、総理はそのことはよく御存じと思います。そうであれば、派遣労働者をどう考えていたか、そこが一番大事になってまいります。

 加えて、ここの委員会がかくも長きにわたる審議を、長きにわたるとは決して言えない内容で三十時間を繰り返してきた理由は、繰り返す答弁の誤り、訂正、誤認などがあったからです。本会議質問、井坂さんの質問への誤認、そして二十六業種をめぐる答弁の混乱、さらに派遣の賃金と派遣料金を取り違えた担当官僚の答弁、これだけそろえば、一体この委員会は、あるいは厚生労働省がこの問題をどこまできちんと把握しているか、大変みんなが懸念に思った点であります。

 先ほど安倍総理は、一九九九年の改正が十九時間の審議であった、それより長いとおっしゃいましたが、私は、この厚生労働委員会が、こんなにたくさんの過ち答弁をすることを経験したことがありません。余りに急ぎ、ずさんな審議が行われているということだと思います。

 その上で、安倍総理に伺います。

 これも先ほどの中島委員との質疑のやりとりの中で、明確に御答弁いただきたいですが、今回の派遣法の改正は、一九八五年に主には十三業務で始まり、業種をもって、特別な技能、そしてそのことがかえがたいという人材を得たい、それもいろいろな流動性を持ってということで始まった派遣法の改正、数回にわたり続き、一九九九年に自由化業務が加わり、これも大きな改正でした。そして、それに次ぐ大きな改正が今回であります。二十六業種を、区分を外すということであります。

 そこで、外されたことによって、これまで期間の制限を受けなかった二十六業種の方々が期間制限の壁にぶつかる、初めての事態が生じる、そのことによって仕事が失われる方が生まれる、この事実について、この一点、安倍総理は、法改正が行われることで、業務単位の区分がなくなることで、期間制限がそこで生まれてくる、その結果、職を失う労働者がいるということに認識がありや否や、イエス・オア・ノーでお答えください。

安倍内閣総理大臣 事実の認識についての御質問でございますから、事実についてお答えをしたいと思います。

 いわゆる専門二十六業務については、これまで期間制限の対象外でありましたが、その多くは、先ほど答弁いたしましたように、有期の雇用契約であります。雇用契約が終われば、雇いどめの可能性がある上、今のままではキャリア形成の可能性も低いわけであります。そして、事実としては、二十六業務の派遣労働者のうち有期雇用契約は八六・七%です。うち六カ月以内の契約は五四・七%なんです。これも事実であります。

 だからこそ、今回の改正案では、キャリアを見直す機会となるように、派遣労働者ごとの個人単位で、同じ職場への派遣は三年までとする期間制限の対象として、雇用が途切れないように、派遣元に対し、派遣期間が満了した場合、正社員になったり別の会社等で働き続けることができるようにする雇用安定措置を新たに義務づけることにしているわけであります。

阿部委員 委員長にはぜひ仕切っていただきたいんですけれども、今、安倍総理が述べられたような答弁は、実は私の質問を回避していると思います。八十数%が有期の雇用を繰り返している、だから、当然、期間制限の壁が生まれて、そこで失業する人がありますねと私が聞いたんです。

 あるならある、いかがですか。あるかないか聞いたんです。明確にお答えくださいよ。この問題だけで終わりたくないですから。ある、ない。期間制限が設けられる、そして派遣期間は有期であるとなれば、そこでその壁にぶつかる人はありますよね。いかがですか。

 塩崎さん、済みません、総理入りでやっています。

渡辺委員長 塩崎厚生労働大臣から始めます。

塩崎国務大臣 指名をいただきました。

阿部委員 大臣、済みません、これは塩崎さんには何度も聞きました。申しわけないが、安倍総理に答えてもらってください。同じ質問を塩崎さんには何度もしました。

 総理に重ねて伺います。ありやなしやであります。答えは明確にお願いします。

渡辺委員長 座ってください。(発言する者あり)

 私が仕切っています。

 阿部さん、座ってください。

 どうぞ。

塩崎国務大臣 先ほど総理から雇用安定措置の話をいたしましたが、これは、明らかに期間制限の対象になるからこそ雇用安定措置について御説明を申し上げたわけでありまして、ですから、今……(阿部委員「申しわけありませんが、質問と違います。時間をとらないでください」と呼ぶ)いや、今おっしゃっているのは、ありやなしや、イエスかノーかで答えろということでありますけれども、先ほど総理は、期間制限の対象になるからこそ雇用安定措置を説明したのでありますから、そのことは明快に申し上げたということで、その上で、二十六業務の方々についてもいろいろな手だてを打っているということがあるわけでございます。

阿部委員 総理はありと認識されたと、今、塩崎さんが答弁をされました。ありと認識されて手を打っているということでありました。

 では、この期間制限の壁にぶつかる二十六業種の人にどんな手を具体的に打ったのですか。これは、この法案に賛成であれ反対であれ起きる事態ですから、法改正によって起きる事態ですから、ここにいる全てに責任があります。

 総理、お願いします。

安倍内閣総理大臣 阿部委員、今でもそれは、期間が来ればそういう可能性があるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、有期の雇用契約なんですよ。(発言する者あり)これは話をずらしているんじゃないです。

渡辺委員長 静粛に。

安倍内閣総理大臣 ファクトとして申し上げているのであって、八六%は有期雇用契約なんですよ。ですから、今でもそれはあるんですよ。ですから、今度は、改正するに当たって、まさに私たちは雇用安定措置をしている。

 それで、今、雇用安定措置を説明しろという御質問ですか。(阿部委員「いいえ、結構です。わかりました」と呼ぶ)よろしいですか。

阿部委員 今の、雇用安定措置の実効性についても、この委員会では十分審議がされ、ほとんど実効性がないという論議が行われましたので、あえてそれを安倍総理に繰り返していただく必要はないです。

 いかに今、二十六業種の方々で不安が増大しているか、このことを改めて総理には認識していただきたいし、一〇・一ペーパーも改めて読んでいただきたい。やはり、派遣労働者の立場、そこを本当に共感できるようにしながら、働く者の立場をしっかりと守っていくという国の政治でなくてはならないと思います。

 その上で、次の質問に参ります。

 さきの総理入りの質疑の中で、赤枝委員からお尋ねのありました、今回の法改正がフリーターの就業に関してどのような効果が期待されますかというお尋ねに対しまして、総理は、フリーターの皆さんについても、派遣労働については、働きたい仕事を見つけやすい、そしてまた、あるいは、希望する勤務地、勤務時間の条件を満たす職につきやすいという特徴があるのが事実で、それゆえに、フリーターの方が入職しやすい、ニートの方々にとって入職しやすいという側面もあるというふうにお答えになりました。

 坂口さんに伺います。果たして、労政審においてフリーターやニートの就労形態の一つに派遣労働の活用がテーマに上ったことがありや否や、これもイエス・オア・ノーでお答えください。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のニート、フリーターのステップアップという観点でございますけれども、議題として今回の改正法案に係る労働政策審議会の議論の中で設定されたことはございませんが、議論の中では、派遣労働が、就業経験の少ない若年者向けには、紹介予定派遣などを活用した安定雇用への橋渡しでありますとか、さまざまな職探しという代行機能を有しているというような御発言があったということはございます。

阿部委員 労政審のあり方は、きちんと建議を立てて、それにのっとって法改正が行われていきます。この安倍総理の御答弁は、今、坂口さんが言ったように、話題に出たことはあるのかもしれません。でも、きちんと法にのっとって考えられるべき対象にはなっていないテーマであります。

 私は、安倍総理が若者雇用に熱心であるということは大変評価いたします。ただしかし、ニート、フリーターの雇用チャンスの拡大に派遣労働をと言われても、それに伴う実効性もなく、単に総理が言われたのであれば、それは余りにも論評に過ぎると思います。

 今まで、若者雇用については、例えばトライアル雇用というのもありましたが、それは、若者を雇い入れた、ニート、フリーターなどを雇い入れた企業先に補助金を出すなどのインセンティブを導入しながら若者の雇用を広げていったものであります。

 安倍総理、少なくとも二点、こういう労働法制の審議にあって、労政審の役割、位置の重要性、そしてもう一つ、これは本来はもうちょっときちんとした論議のもとにおっしゃるべきではなかったか。どうでしょう。

安倍内閣総理大臣 ただいま阿部委員が例として挙げられたように、トライアル雇用の場合は補助金を出していくわけでありますが、いわばトライアル雇用も、これは補助金というものは別途ありますが、まさにそういう形でニートやフリーターの方々が働き始める、自信をつけながら正社員への道を探っていくということであります。

 この派遣という働き方も、これは先般答弁したときも申し上げましたように、働きたい仕事を見つけやすい、あるいは、希望する勤務地や勤務時間等の条件を満たす職につきやすいという性質があるわけでありまして、事実、派遣から、派遣先がその実績を認めながら、一緒に仕事をしている人たちにも認められながら、正社員への道に進んでいった方々もおられるわけでございます。

 そういう中において、今、坂口氏から答弁がございましたように、労政審においてもそういう議論もあったわけでございまして、そういう特徴から、いわゆるフリーターやニートの方にとって入職しやすい側面があるという趣旨を答弁させていただいたところであります。

 これまでも、例えば紹介予定派遣など、派遣という働き方がステップアップの足がかりとなってきた側面もあると認識をしているわけでございますし、今回の改正案では、派遣で働く方のキャリアアップ支援を初めて設けることにしておりまして、また、キャリアアップ助成金を活用した派遣先の直接雇用へのインセンティブの付与などとあわせて、スキルアップを図り、希望する方の正社員化につなげていきたい、こう思っているところでございます。

阿部委員 私は、今の安倍総理の答弁も、先ほどの坂口さんの答弁も、極めて乱暴だと思います。なぜならば、本当にこの派遣労働というものを若者、ニート、フリーターの一つのジョブチャンスにして、そこでしっかり彼らを教育していくには、きちんとした、どんな体制があればいいかということが全く論議されていないまま、思いつき的に、言ったこともある程度のことでおっしゃったら、これは本来の派遣労働の意義をゆがめてきます。

 派遣労働は、もともとスタートは、特別なスキルを持った方たちを、よりそのスキルに着目して、優遇した待遇をどう獲得するかというものでありました。しかし、この間、なし崩し的に、では、そこでキャリアアップをすれば何とかなるという人たちに全部広げていこうみたいな考え方をすることによって、逆に、未熟で、熟練していない労働と、一方で熟練した労働との間が、賃金が平準化されてくる下方圧力が働きます。

 私は、この委員会でほとんど賃金のことが話されていないということが大変不満であります。坂口さんは、派遣労働の派遣料金と賃金を取り違えて答弁する。

 賃金はどんなふうに推移したのか。安倍総理のもとに三枚の賃金のペーパーがありますが、少なくとも、これは時給ベースで見たものですが、二十六業種と一般業種を比べて、右に区分してありますが、平均をして全体像を見ると、派遣の平均賃金は下がってきています。二枚目は収入です。年収は三百万円以下が七割近く、現在の収入で生活できるかという人は、七割が苦しいと訴えている。この現状がさらに悪化するようなことをすべきではありません。それも、安易な思いつきですべきではありません。

 今ここでなさねばならないのは、派遣労働が本当に適正に運営管理され、その意義がどこにあるのかということを、もう一度、三十年たって位置づけ直すことであります。

 私は、今回の改正は、安倍総理のニート、フリーターはどうだろうかという発言が象徴的に示すように、派遣労働の方向性を誤らせるものだと思います。派遣労働の皆さんの二十六業種は外して平準化してしまって、一方で、ニート、フリーターの訓練だということにチャンスがある。ゼロじゃないでしょう。でも、何のために私たちがこの改正をするのか。

 安倍総理、この方向性は誤っている。業務というものに着目して行われてきた派遣、それは、どんどん拡大したからグレーゾーンも出てきたのも事実です。しかし、その貴重なスキルをどうやって活用していくかということに第一の重きを置いて、そして、その労働条件をよくしていくことに全力を注ぐべきだと思いますが、いかがでしょう。安倍総理に伺います。

安倍内閣総理大臣 いわば、まさに時代は多様な働き方を求めているわけであります。この多様な働き方の中の一つに派遣という形がある。しかし、その派遣という働き方の中において、非正規社員としての派遣という、不本意な思いの中で働いている方々もおられるわけでありますから、そういう方々に対しましては、まさに正社員の道が開かれるようにキャリアアップの支援を行っていくわけであります。

 一方、派遣という働き方、今阿部委員がおっしゃったように、専門性があって、自分は派遣という働き方を選んでいるという方々もおられるのは事実であります。そういう方々に対しましては、より一層待遇の改善を図っていくということではないかと思います。

 できる限り多くの方々が仕事を持ち、自分たちの生計を支えていくことができる、そういう世の中にしなければならないわけでありまして、繰り返しになりますが、今、雇用条件がやっとよくなってきました。そして、賃金が上昇していく、こういうときを捉えて、この派遣法を行い、我々が義務化したものをしっかりと実行していただくことによって、派遣の中で働く人々の待遇の改善、そして、新たな道を求めたい人たちにとっては新たな道が開かれる、そのための技能研修、キャリアアップ支援をしっかりと行っていきたいと考えております。

阿部委員 今回の改正は、今の安倍総理のおっしゃったことと真っ逆さに向かっていくと思います。

 三枚目の賃金の年収の表を見ていただければわかるように、特に派遣の女性の現行の賃金というのは、所定内賃金も年間賃金も極めて低いものです。暮らせない、まして、お子さんでもいればもっと暮らせない。幾ら安倍総理が女性の活躍云々を言われても、実際にこれだけの女性が働いても働いても暮らせないという声を上げている実態に耳を傾けなければ、いい政治にはならないんです。

 あわせて、私は、今回の改正が、先ほど申し上げました二十六業種でスキルを磨いてきた方たちにとっても、そのことが正当に評価されない、本来その方たちが働きたい働き方で働けなくなる、期間制限がないから、せいぜいが派遣元で無期雇用派遣になりなさいということであれば、しかし、この無期雇用派遣の実態も全く調査されていません。

 最後に、厚生労働大臣の塩崎さんに伺います。無期雇用派遣の実態、今までどの程度把握されているか、そして、今後どうなさるのか、御答弁ください。

渡辺委員長 既に持ち時間が経過しております。質疑は終局し、答弁は簡潔にお願いいたします。

塩崎国務大臣 はい。

 今、無期雇用で派遣で働いていらっしゃる方々の処遇の問題についての調査いかんということでございますけれども、賃金、待遇の詳細については、確かに調査を計画的にやったものがございませんので、議員の御指摘も踏まえて、今後しっかりと調査をしてまいりたいというふうに思います。

阿部委員 まだまだ論点は尽きないと思います。

 私の時間ですので、終わらせていただきます。

渡辺委員長 次に、堀内照文君。

堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。

 私は、五月十二日の本会議で、この派遣法の問題について総理に質問をいたしました。そのときの総理の答弁と、本委員会での審議の中で明らかになったことを踏まえて、総理に質問したいと思います。

 本会議で、私は総理に、労働法制をなぜ岩盤規制と呼び、規制緩和の対象とするのか、労働法制とは、本来、人間らしく働ける環境をつくるためにあるのであって、拡充こそすれ、規制打破の対象とはなり得ないではないかと質問をしました。

 総理からは、経済産業構造の変化に応じ、雇用の安定化を図りつつ、働く方々のニーズに対応した働き方を実現する観点から改革の必要があるからだと答弁がありました。本法案についても、その観点から、正社員化の道を開くための派遣法の改正だと説明をされました。

 しかし、本委員会での審議の中で、事業所単位、個人単位での新たな期間制限も、例えば事業所単位では、過半数労働組合等から意見を聴取し、反対があっても、説明さえすれば、期間制限を超えて延長可能です。個人単位も、部署さえかえれば、引き続き派遣労働者としての使用は可能であります。何らこの制限は歯どめがないということが明らかにされてまいりました。

 総理は、それでもなお、本法案が正社員の道を開くためのものだという御認識なんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これはまさに、現状と、この法案によって何が改正されるかをぜひ比べていただきたい、このように思います。

 先ほども答弁させていただきましたように、派遣という働き方については、賃金水準が正社員に比べて低い傾向にあり、雇用の安定やキャリア形成が図られにくい面があります。

 このため、今回の改正案では、正社員を希望する方にはその道が開かれるようにするため、派遣元の責任を強化し、派遣期間が満了した場合、正社員になったり別の会社等で働き続けられるようにする措置や、計画的な教育訓練を新たに義務づけるなど、派遣就労への固定化を防ぐ措置を強化することにしています。

 また、派遣先についても、直接雇用の依頼があった派遣労働者に対し労働者の募集に関する情報を提供するなど、新たな義務を課すとともに、キャリアアップ助成金によって正社員化への支援を行うことにしています。

 さらに、一部届け出制となっている労働者派遣事業を全て許可制とし、雇用安定措置を講じない派遣元に対しては厳正な指導等を行い、義務の履行をしっかりと確保していくこととしています。

 派遣期間制限の対象となる労働者を六割から八割に拡大をするわけでありまして、現行制度のままでは、制限なくいつまでも派遣の認められる方が四割いるわけであります。教育訓練を受ける機会もありません。

 正社員への移行を一歩でも前進させるため、これまでなかった仕組みを設け、希望する方の正社員化へ向け、着実に取り組んでいく考えでありまして、そのための法改正であります。

堀内(照)委員 現状と比べてほしいということでありました。

 では、現行法でどうなっているのかということであります。塩崎大臣にこれはお尋ねしたいと思います。

 現行では、いわゆる一般業務については、業務単位で期間制限がかかっております。一年もしくは最高三年たてば、当該部署では派遣労働者は使えなくなります。そこで働いていた労働者はどうなるかは別にして、その部署で引き続き雇用される労働者は必ず直接雇用でなければならない、これは間違いありませんね。

塩崎国務大臣 現行法についてのお尋ねでございまして、期間制限の上限に達する派遣で働く方に対して、必ず派遣先が直接雇用を申し込む義務があるわけではないわけで、例えば、派遣で働く方が派遣先での直接雇用を希望しない場合や、派遣の受け入れを停止し、かわりに自社の直接雇用の労働者を配置する場合などがございます。

堀内(照)委員 ですから、その職場での派遣はだめだということでしょう。直接雇用に必ずなる。その人はどういう身分であれ、直接雇用であるということは間違いないということだと思います。

 現行法では、このように、派遣はあくまで臨時的、一時的雇用に限るということを担保するために、派遣をこれ以上続けてはならないという歯どめがあったわけです。ところが、この業務単位の期間制限をなくし、新たに事業所単位、個人単位に期間制限をかけるというのが本法案ですが、これも先ほど申し上げたとおり、歯どめがなくなります。そうすれば、期間制限が過ぎれば必ず直接雇用されなければならなかった仕組みがなくなります。

 総理、これも法文上、事実の問題としては間違いないと思うんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほど大臣の方からも答弁をしておりますが、今回の改正案においては、派遣期間が満了した場合、派遣元に対し、正社員になったり別の会社等で働き続けられるようにする雇用安定措置を新たに義務づけることとしております。こうした措置によって、派遣で働く方の雇用の安定は現行より確実に強化されると考えております。

 また、今回の改正案においては、派遣元に対し、計画的な教育訓練等を義務づけることとしておりまして、こうした取り組みによって、働く方の希望に応じた働き方が実現できる環境を整備してまいりたいと思います。

 現行法についての、直接雇用されるという現行法の仕組みがなくなるということの御指摘かもしれませんが、現行法においては、派遣期間満了時において派遣先に雇用が義務づけられているわけではなくて、必ず直接雇用されるという仕組みではないわけであります。

 今回の改正案において、期間制限の見直しに伴い、現行の期間制限を前提とした直接雇用申し込み義務規定を削除することとしておりますが、仮にこの点を指摘しておられるのであれば、これは期間制限違反を防止する観点から設けられている仕組みでありまして、派遣先が期間制限を超えて派遣を受け入れようとするときに、その労働者に直接雇用を申し込む義務を課しているものであります。

堀内(照)委員 ですから、期間制限を超えればそこでは派遣が使えなくなる、それが直接雇用の契機になっているというのは間違いないわけであります。今いろいろおっしゃいましたけれども、それはあくまで正社員の道につながる可能性があるということであって、必ず直接雇用になる、そういう仕組みということでは示せないわけであります。

 私は、本会議で総理に、今度の法案は文字どおり生涯派遣への道となってしまうじゃないか、そうでないというならその根拠を示していただきたいというふうにお聞きしたんですが、総理からは、法案の中身を繰り返して、「生涯派遣や、正社員から派遣への置きかえを進めるものではありません。」という答弁だけでありまして、根拠は示されなかったと思います。

 改めてお聞きしたいんです。

 本法案は、正社員化どころか生涯派遣に道を開くものにほかならない、そうでないというなら、その根拠を今度こそ明確に示していただきたいと思うんです。

安倍内閣総理大臣 具体的には、派遣元に対して、派遣期間の満了時に、正社員になったり別の会社等で働き続けられるようにする措置や、計画的な教育訓練等を初めて義務づけるわけであります。また、派遣先においても、派遣で働く方への正社員募集に関する情報提供を新たに義務づけるとともに、正社員として雇用する場合のキャリアアップ助成金の活用等を進めることとしているわけであります。

 さらに、労働者派遣事業について、現在の一部届け出制を全て許可制にする。許可制にする意味については、先ほど答弁の中でお答えをさせていただいたとおりでございまして、また、派遣期間制限の対象となる労働者を六割から八割に拡大するわけでありまして、そうした必要な規制の強化を図ることとしています。

 これらの措置によって、働く方それぞれの選択がしっかりと実現できるような環境を整備していく考えでありまして、正社員から派遣への置きかえや生涯派遣といった指摘は当たらないと考えております。

堀内(照)委員 義務を課したと言うんですが、その義務さえ果たせば派遣労働をずっと使えるということになるわけですね。ただ、現行法では、先ほど言いましたように、期間制限が来たら派遣労働を使えなくなるんですよね。そこは決定的な違いじゃないですか。

 キャリアアップとか雇用安定措置というのも、今までもいろいろ議論がありました。それを通じて三年ごとにキャリアを見直すんだということも、この委員会でも議論がありました。

 では、三年たったときに必ず直接雇用に結びつくというふうに言い切れるんでしょうか。

塩崎国務大臣 これは先ほど総理の方からも答弁申し上げましたけれども、今回、雇用安定措置を、いろいろ御批判をいただいていますけれども、これまで、雇用が安定するように措置をするという義務がそもそもなかった、努力義務にしかすぎなかったということで、これを創設すること自体にまず意義を認めなければならないというふうに私たちは思っておって、その上で、四つの措置を義務化するということでやっているわけでございます。

 何度も申し上げますけれども、これは最終的には、我々、まず第一に、派遣労働というのは臨時的、一時的なものであると。だからこそ、できる限り直接雇用になるべきだ、そのお考えはそのとおりだと思います。ただし、それは、御自身があえて選択をして派遣でいかれたいという方は、それは別だ。それが半々におられる。

 もう一つは、やはり最終的には、雇用をするしないの最終判断は雇用主の方がするわけでありまして、我々としては、今回派遣元に雇用安定措置を義務づけるということによって、より派遣の方が、直接雇用を含めて、言ってみれば雇用の質が上がっていくようにするために、さまざまなことをやろう。それを、今までのようにばらばらしないで、全てを許可制のもとで、しっかりと行政の監督のグリップをきかせながら、そういう中で義務を果たしていただこう、こういうことで今回のさまざまな改正提案をさせていただいているということでございます。

堀内(照)委員 結局、やはり一〇〇%直接雇用に結びつくということは言い切れないんだと思うんです。

 既に製造現場では、本法案の先取りのような、正社員が派遣に置きかわる事態が進んでおります。

 半導体大手ルネサスエレクトロニクス、昨年九月三十日付で三千人余り、ことし一月三十一日付で千八百人、そういう人数を目標に早期退職に追い込んできました。この早期退職者は、再就職を人材派遣会社に頼らざるを得ません。そういう人たちが、これら派遣会社を通じ、再びルネサスで働いている。主任に降格するぞと無理やり早期退職に応募させられた課長級の社員も、派遣社員として戻ってきている。セミナーなんかもやっているんですが、そのセミナーの実態は人材派遣会社の宣伝だった。退職を迫る面談で、こういう会社があるからぜひ来てくれと言われて紹介された会社が実は派遣会社だった、こういうケースもあります。

 結局、この法案で期間制限といっても、現行法のような、派遣が一旦ゼロになる、直接雇用に結びつく、義務づけるような、そういう縛りがない法案が成立すれば、より派遣は使い勝手がいいということになり、正社員から派遣に置きかわる、こういうケースが相次ぐんじゃありませんか。そうならないと言い切れるんでしょうか。

塩崎国務大臣 いわゆる常用代替ということかというふうに思います。今そういうはしりが既に出ているじゃないかということでございますけれども、私たちは、この法案が御審議をいただいた上で成立をした際には、先ほど申し上げたように、さまざまな義務を派遣元にも課し、派遣先にも課すということで、先ほど雇用安定措置のお話を申し上げました。

 こういうことも今までは、何をやったかということについてはこの間調査をいたしましたけれども、ただ、それは急遽な調査でございましたが、今後は、事業報告の中で、どういう雇用安定措置をとってきたのかということをきちっとインターネット等によって情報提供するように指針の中で明示をするという中で、派遣先についても、今、常用代替が行われるという御懸念をお示しになられましたけれども、そうならないように私たちもやっていきたいというふうに考えておるところでございます。

堀内(照)委員 結局、一〇〇%直接雇用に結びつくということは全く示されないわけですし、現場では既に正社員から派遣への置きかえが進んでおります。

 本法案が、正社員化への道をつくるどころか、派遣労働者がふえるということになることはもう明らかであります。だからこそ、日本の雇用慣行が損なわれるおそれがある場合、速やかに検討する、こんな規定まで盛り込んだ。

 総理は、私の本会議質問に答えて、この雇用慣行が損なわれるおそれというのは何か、正社員が派遣労働者に置きかわる常用代替が常態化することだと答弁されました。まさに、派遣労働者がふえるということを政府自身が懸念していることの証左じゃありませんか。

 労働者保護とはかけ離れた本法案は廃案しかない。ましてや、職権に次ぐ職権という不正常な委員会運営が続く中での採決を強行するなどというのはもってのほかだと厳しく糾弾をして、質問を終わります。

渡辺委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案及びこれに対する足立康史君外一名提出の修正案を一括して議題といたします。

 本案及び修正案に対する質疑は、去る十二日に終局いたしております。

 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。

 本法案は、均等待遇の確保がないまま派遣社員の受け入れ期間の制限を事実上撤廃するという、臨時的、一時的という原則に反するものです。

 キャリアアップ措置は全く実効性がありません。新たな雇用が決まる前に派遣は終了する、これで雇用安定措置と言うことは到底できません。

 期間制限を事実上撤廃して、正社員を減らし、派遣社員をふやす本法案は、若者の未来を狂わせます。正社員の求人が減り、正社員になることを希望しても、一生派遣で働かざるを得ない若者をふやすことになります。子や孫の世代に禍根を残します。

 本法案は、女性いじめの法案でもあります。派遣で働く女性は、セクハラの対象になりやすく、産休や育休をとることも極めて困難です。これでどうやって女性の活躍促進と言えるんでしょうか。言っていることとやっていることが、あべこべ内閣ではありませんか。

 そして、本法案により、専門二十六業務で働く派遣社員のうち有期雇用の方々、約四十万人、その八割は女性です。この方々に新たに三年の期間制限がかかることになります。安定した雇用を求めて、せめて期間制限がない専門二十六業務への派遣へと努力を重ねてなったにもかかわらず、三年後に多くの派遣社員の方々が雇いどめに遭うことが懸念されています。

 既に、法律が変わるから三年後は雇いどめになると言われたという派遣社員の方のお話を伺っています。必死で頑張って今の仕事を得て続けてきた、その仕事を奪わないでください、生活、命を奪わないでくださいという悲壮な叫びです。

 たとえ、三年後に運よくほかの派遣先を紹介されたとしても、特に四十代、五十代の方、賃金が上がっていくことはとても期待できません。

 本法案は、専門二十六業務で働くことで生計を立てていた方々、三年たったら直接雇用にしてもらえるかもしれないという希望をつないでいた方々を無情にも突き放すものです。こうした方々に対する救済措置を講ずることなく幕引きを図ることは、絶対に認められません。派遣労働者を雇いどめにする法改正など、前代未聞です。

 そして、与党は、きょうの本会議に本法案を緊急上程し、採決しようとしています。本法案の審議が始まってから、実に六回目となる委員長職権です。このような身勝手な、そして横暴な国会運営に、私は強く抗議をいたします。

 最後に、民主党は、若者や女性を苦しめ、多くの派遣社員を雇いどめにして生活を困窮させる言語道断の本法案に断固反対であることを申し上げ、私の反対討論といたします。(拍手)

渡辺委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました労働者派遣法改正案について、断固反対の立場から討論を行います。

 もともと本法案は、昨年二度も廃案になったものであり、本来提出すべきではありませんでした。委員会審議では、冒頭から政府答弁の混乱や訂正が相次ぎ、審議が尽くされたとは到底言えません。

 審議入りを前に、いわゆる一〇・一問題が表面化しました。十月一日施行の労働契約みなし制度について、大量の派遣労働者が失業、訴訟が乱発するおそれなど、何が何でも本法案を九月一日施行で成立させ、みなし効果をなきものにしたいという、経済界の思惑をあからさまに正当化した資料であります。それも相手によって説明を使い分けるという悪質さで、国会審議を形骸化しました。このことだけを見ても、本法案は廃案にするべきです。

 さらに、本法案によってみなし制度は効果が極めて限定的になるのにもかかわらず、期間制限に抵触する場合における派遣先の直接雇用申し込み義務というわずかにあった規定さえも、みなし制度の施行を理由に削除したことは重大であります。

 そもそも職業安定法四十四条は労働者供給事業を禁止しており、政府自身も、労働者派遣は臨時的、一時的業務に限る、常用雇用の代替であってはならないと説明してきました。本法案は、この大原則を根底から覆すものであり、到底容認できません。

 今回の改定では、事業所の派遣受け入れ期間は三年としますが、過半数労働組合等から意見を聞きさえすれば、際限なく延長できます。個人単位の期間制限も、三年を上限とするものの、課をかえればずっと使い続けられます。さらに、派遣元で無期雇用であれば、期間制限は一切適用されません。これでは、正社員から派遣労働への置きかえが大規模に進むことは明らかです。

 重大なのは、個人単位の期間制限は、派遣法が禁止する特定目的行為につながるおそれがあることです。政府は、三年ごとに課をかえることでキャリアを見詰め直すと説明してきましたが、そのためには派遣先がどの派遣社員か指定せざるを得ないのは自明なのに、派遣元が決めると答弁を繰り返しました。まさに改正案の欠陥であり、断じて認められません。

 また、派遣労働者のキャリアアップ措置と雇用安定措置は、いずれも実効性がなく、正社員になれる保証はありません。多くの派遣労働者がキャリアを持ちながら雇用の調整弁として首を切られていることは、質疑でも、参考人質疑でも告発されてきました。それどころか、専門二十六業務を廃止することで三年後の雇いどめが表面化したのに対して、政府が全く無策であることは厳しく指摘したいと思います。

 本法案は、昨年廃案になった政府案に与党修正を盛り込んで再提出されました。しかし、参考人からも指摘されたように、臨時的、一時的原則を法定する一方で、事実上期間制限がなくなる、派遣労働者がふえれば速やかに見直しを行うなど、相反した内容で、極めて矛盾した法案になっています。

 以上、このような矛盾、欠陥だらけの本法案は廃案にするほかないことを強く申し述べて、反対討論といたします。(拍手)

渡辺委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、足立康史君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、井坂信彦君外五名提出、労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案を議題といたします。

 ほかに質疑の申し出がありませんので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、本案に対し、松野博一君外四名から、自由民主党、維新の党及び公明党の三派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。高鳥修一君。

    ―――――――――――――

 労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高鳥委員 ただいま議題となりました労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、維新の党及び公明党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、第一に、「正規労働者」を「通常の労働者」とすること。

 第二に、調査研究の対象として、雇用形態による教育訓練の相違の実態が含まれることを明記すること。

 第三に、派遣労働者について、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇についての規制等の措置を講ずることにより、派遣先に雇用される労働者との間においてその業務の内容及び責任の程度その他の事情に応じた均等な待遇及び均衡のとれた待遇の実現を図るものとし、三年以内に法制上の措置を含む必要な措置等を講ずるものとすること。

 第四に、雇用環境の整備のための必要な施策として、労働者の就業形態の設定の多様化を規定すること。

 第五に、雇用環境の整備のための施策を講ずるに当たっての配慮事項として、通常の労働者以外の労働者の雇用管理の改善促進を規定すること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 ただいま民主党・無所属クラブ所属委員が退席をされました。

 理事をして御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 理事をして御出席を要請させましたが、民主党・無所属クラブ所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 井坂信彦君外五名提出、労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、松野博一君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時四十八分散会


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