衆議院

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第39号 平成27年9月11日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十七年九月十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 赤枝 恒雄君 理事 後藤 茂之君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 松野 博一君 理事 西村智奈美君

   理事 浦野 靖人君 理事 古屋 範子君

      大岡 敏孝君    大串 正樹君

      大西 宏幸君    木村 弥生君

      小松  裕君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    谷川 とむ君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      長尾  敬君    丹羽 雄哉君

      橋本  岳君    比嘉奈津美君

      古川  康君    堀内 詔子君

      牧原 秀樹君    松本  純君

      松本 文明君    三ッ林裕巳君

      村井 英樹君    阿部 知子君

      大西 健介君    岡本 充功君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      山井 和則君    足立 康史君

      井坂 信彦君    牧  義夫君

      伊佐 進一君    輿水 恵一君

      角田 秀穂君    赤嶺 政賢君

      高橋千鶴子君    堀内 照文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      山本 香苗君

   外務大臣政務官      薗浦健太郎君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐藤 達夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  三浦 公嗣君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           竹内 芳明君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月十一日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     大西 宏幸君

  堀内 照文君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     古川  康君

  赤嶺 政賢君     堀内 照文君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     加藤 鮎子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る九月七日、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案の起草及び硫黄島戦没者の慰霊のため、委員二十八名が参加し、硫黄島の視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、御報告申し上げます。

 硫黄島は、東京のはるか南方約一千二百五十キロメートルの洋上に位置する火山活動が続く絶海の孤島であります。東京都小笠原村に属するこの島では、さきの大戦において、約一カ月にわたる史上まれに見る熾烈な戦闘が繰り広げられました。

 日本軍将兵は、総力を挙げて全島の要塞化を図り、戦力を保持するため、全長約十八キロメートルに及ぶと言われる地下ごうを構築しました。しかし、本土からの補給は断たれ、噴出する硫気とむせ返る地熱のごうを拠点とした苦しい戦いを余儀なくされる中で、二万人を超える同胞のとうとい命が失われました。戦後七十年を経た今なお、かの地には一万柱を超える御遺骨が眠り、一刻も早い御帰還を待っておられます。

 本委員会としては、戦後七十年という大きな節目の年に、祖国の安寧を祈りながら無念の最期を遂げられた戦没者を慰霊するとともに、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案の起草に当たり、実際に遺骨収集が行われている現地の実情を把握することが極めて重要であると考え、視察を行ったものであります。

 それでは、視察の概要について申し上げます。

 まず、衆議院から航空自衛隊入間基地へ移動するバス車内において、厚生労働省から、硫黄島の概況、硫黄島における遺骨収集帰還の実施状況等について説明を聴取しました。

 入間基地到着後、航空自衛隊入間基地司令から挨拶があり、続いて、入間基地の概況、硫黄島における遺骨収集帰還に関する支援等について説明を聴取しました。

 その後、入間基地から自衛隊機により硫黄島に向かいました。

 硫黄島に到着後、直ちに、現在自衛隊が使用している滑走路の下を掘削しての遺骨探索の現場を視察しました。厚生労働省から、高性能地中探査レーダー等による探索の結果、滑走路下に百一カ所の反応箇所があり、今年度中にその掘削を完了させるべく取り組みを加速させている旨の説明を聴取しました。

 次に、厚生館において、海上自衛隊硫黄島航空基地隊司令及び航空自衛隊硫黄島基地隊副司令から挨拶があり、懇談を行いました。

 次に、平成二十五年度に遺骨収容作業が終了したごうを視察しました。高温多湿なごうから堆積した土砂を搬出しての遺骨探索がいかに困難をきわめるかを痛感いたしました。

 次に、硫黄島の戦いにおいて戦没された多くの方々を慰霊するため、天山慰霊碑を訪れました。戦没者の御冥福を祈りながら黙祷をささげ、献花、献水を行いました。

 最後に、医務科ごうを視察しました。厚生労働省から、このごうは病院として使用していたごうであり、ごう内からは五十四柱の御遺骨が収容され、そのうち三柱は遺留品から身元が判明したとの説明を聴取しました。

 以上が、視察の概要であります。

 戦後七十年が経過し、戦没者の御遺族の高齢化も進展しております。しかし、残念ながら、今回視察した硫黄島も含め、いまだ多くの戦没者の御遺骨の収集が行われていない状況であります。また、時間の経過とともに、御遺骨が眠っている場所の環境は大きく変わり、情報も少なくなり、遺骨の損傷と散逸が進むなど、遺骨収集は時間との闘いとなっています。

 今回の視察を通じて、早急に戦没者の遺骨収集の推進に関する施策を総合的かつ確実に講じていく必要があることを強く認識いたしました。

 また、戦火の傷跡が今なお残る硫黄島の地に立ち、再びこのような惨禍が繰り返されることがないようにとのかたい決意のもと、恒久平和に向けての努力を積み重ねていく思いを強くした次第であります。

 最後に、今回の視察に御協力をいただきました防衛省、厚生労働省を初めとする関係者の皆様に心から御礼を申し上げ、視察の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官佐藤達夫君、厚生労働省大臣官房審議官谷内繁君、職業安定局派遣・有期労働対策部長坂口卓君、社会・援護局長鈴木俊彦君、老健局長三浦公嗣君、経済産業省大臣官房審議官竹内芳明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田畑裕明君。

田畑委員 おはようございます。自民党の田畑裕明でございます。

 きょう、この厚生労働委員会の質問に立たせていただきまして、まことにありがとうございます。

 冒頭、特に台風十八号の関連によりまして、関東地方や北関東、東北も含めまして、流域の河川氾濫による大変大きな災害が発生をしているところでございます。

 被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げますとともに、政府を挙げてしっかり緊急の対策を行っていただき、今もなお避難をされている方、また、家屋に取り残された方の報道もあろうかと思っております。また、公衆衛生の関係での心配もされるわけでありますし、水道関係に関しましても、厚労省、しっかり連携をしていただき、基礎的自治体や関係者との協議をしっかりとり行っていただきたいことを強く要請申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思います。

 それでは、海外戦没者の遺骨帰還業務を中心に本日は質問をさせていただきたいと思います。

 私も、今ほど委員長の御報告がありましたとおり、九月七日に硫黄島の方に委員の皆様方と一緒に御同行させていただいた次第であります。

 そのことも踏まえましてお話をさせていただきたいと思いますが、特にきょうは、委員会予定では、後ほど、遺骨収集の推進に係る法律案、委員長提案のことも委員会議事には記されているわけでありまして、理事の先生の皆様方の御努力、御理解のたまものでこのような形になることの意味をかみしめて質問をさせていただきたいと思います。

 戦没者の御遺族の方々初め、さきの大戦を体験された国民の皆さん方の高齢化というのは著しく進展をしているわけであります。しかし、いまだなお多くの御遺骨の収集が行われていないことに鑑み、やはり一刻も早く収集作業の推進を、しっかり国を挙げて基本的施策を講じ確実に進めていかなければならないと考えるわけでございます。

 もちろん、一日も早く御遺族の皆様方に御遺骨をしっかりお引き渡しをする、このことが何よりも肝要でなかろうかと思うわけでございます。

 去る九月五日でありますが、私の地元の小学校区のところで戦没者の慰霊祭が行われたわけであります。私も毎年参加をさせていただいております。御遺族の中においても、私のその小学校区単位でありましたが、配偶者の方がいよいよお一人になられたということが、その慰霊祭の中でも話題といいますかお話に上っておりました。

 ただし、その配偶者の方、奥様でありますが、本年満百歳をお迎えになられたということでありまして、そうした長寿のことについて、その方は御自宅で元気に御生活をされているわけであります。ひとときのほほ笑ましい話題というか、そういう話にもなったわけでありますが、こうしてそう感じるに、やはりさきの大戦からの非常に長年の年月がたっているということもまざまざと私も感じ入ったところでございます。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 この遺骨の返還事業でありますが、昭和二十七年度から実施されているとお伺いをしているわけでありますが、まず、これまでの海外戦没者の主な地域別の遺骨収集の経緯、そして直近の過去五年間の遺骨収集の予算額の推移をお伺いさせていただきたいと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 海外戦没者の遺骨収集帰還事業につきましては、今議員御指摘のように、昭和二十七年度以降、厚生労働省におきまして、遺族や戦友の協力のもとに、一部の地域を除きまして旧戦域全般において実施しているところでございます。

 主な地域別の遺骨収集の経緯ということでございますけれども、例えば、太平洋の島々等の南方地域におきましては、昭和二十七年から三十二年の間、旧主要戦域となった各地を船舶で巡航して実施しております。また、昭和四十年代には、遺族や戦友の方々の遺骨情報、さらに外国からの遺骨情報を踏まえまして、かなり集中的に、計画的に遺骨収集を実施しております。また、昭和五十一年以降につきましても、得られた情報をもとに、さらに平成十八年以降につきましては、民間団体等の協力を得て、現地情報収集を開始して、遺骨収集を行っているところでございます。

 また一方、旧ソ連、モンゴル等の北方地域におきましては、平成三年度に旧ソビエトと協定を結びまして、旧ソ連抑留中死亡者の遺骨収集帰還事業を開始しまして、ロシア連邦政府等から提出された資料に基づきまして遺骨収集を行っているところでございます。

 現在までに、海外戦没者約二百四十万のうち、これまでに約百二十七万柱の御遺骨を収容しているところでございますけれども、収容が困難である御遺骨を除く収容可能な御遺骨は、最大でも約六十万柱と考えております。

 厚生労働省といたしましては、戦没者の御遺骨の収容は国の責務でございます、一柱でも多くの御遺骨を早期に可能な限り収容できるよう努めてまいりたいと考えております。

 あと、過去五年間の遺骨収集帰還事業に係る予算額でございますけれども、大体十三億円台から十六億円台で推移しているところでございます。

 以上でございます。

田畑委員 ありがとうございます。

 なお、今お話ありますように、収容すべき御遺骨はまだ六十万柱にも上るということであります。海外の国とのさまざまな経過もあろうかと思うわけでありますが、ロシアの、ソ連のお話もございました。中国の東北部ですとか北朝鮮というところにも多くの皆様方が眠っていらっしゃるということも推察されるわけでございます。

 これまで懸命に取り組んできたというお話もあるわけでありますが、実態としてはやはり遅滞していると言わざるを得ないと感じるわけであります。その原因について、いま一度お聞きをさせていただきたいと思います。

 近年は、平成十五年度からはDNA鑑定というものも導入をされまして、飛躍的にそうしたマッチングといいますか、遺骨を御遺族の方々にお返しできる、そうした土壌も整ってきているのではなかろうかと思いますが、こうしたDNA鑑定、非常に科学技術の進展に伴って、高度化であったりですとか精度の向上ということについてもしっかり御支援をしていくべきでなかろうかと思います。

 また、昨今は、このDNA情報のデータベース化といったようなことも御検討されているやにお伺いをするわけでありますが、そのあたりにつきまして、ちょっと御見解をお聞きしたいと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 議員が今おっしゃいました遺骨収集が遅延している原因ということでございますけれども、我々としましては、戦後七十年が経過して、御遺族や戦友が既に高齢化し、当時の状況を知る方々が少なくなって遺骨情報が減少しているということ、さらに、今までは比較的遺骨収集が容易な場所があったわけですけれども、そういった埋葬地が少なくなっていることなどの事情がありまして、なかなか遺骨収容がスピードアップできないというふうに考えているところでございます。

 また、DNA鑑定についてお尋ねがございました。

 遺骨のDNA鑑定につきましては、戦没者の御遺骨の身元特定に向けてさらなる取り組みを行っていく必要があると我々も考えているところでございます。

 このため、平成二十八年度の概算要求におきましては、DNAの抽出が困難でございます南方地域で収容されました御遺骨からの抽出方法の研究を行って、DNAの抽出、解析等の技術向上を目指すといったこと、さらには、鑑定機関の育成など鑑定体制拡充を進めるための経費を計上しているところでございます。

 また、さらに、戦没者遺骨のDNAのデータベース化でございますけれども、これにつきましては、個体性のある戦没者の御遺骨の検体からDNAのデータを抽出することが可能な場合には、遺骨収容後速やかにDNAデータの抽出を行い、全てデータベース化すること、さらに、現在は、南方の地域の御遺骨でございますと、遺留品がないとDNA鑑定を行っていないわけでございますけれども、そういった遺留品などがなくても、部隊記録等の資料によりましてある程度戦没者が特定できた場合には、関係すると思われる御遺族に対しましてDNA鑑定の呼びかけを行って、御遺骨の身元を特定すること、そういった方向で今現在検討を行っているところでございます。

田畑委員 ありがとうございます。

 特に、御検体からDNAが検出をされ、それをやはり御遺族の皆さん方とどうマッチングといいますか、しっかり発見につなげるかというのが非常に大事でなかろうかと思います。データベース化をしっかり行っていくこと、また、部隊の出身地ですとか、いろいろゆかりのことの資料検索はしっかりやっていただきたいと思うわけでありますが、一日も早く御遺族の皆様方のところに御返還ができますように懸命に取り組んでいただきたいなと思います。

 今お話ありましたが、埋葬地の情報収集、これも同時並行でこれまでも行ってきたともお聞きをしているわけであります。遺骨収集を行う国々とのいろいろ覚書であったりですとか外交的な文書のやりとり等も当然必要になってくるのではなかろうかなと思っておりますが、昨今の状況をお聞かせいただきたいと思います。

谷内政府参考人 遺骨収集帰還事業に関しまして、諸外国との連携でございますけれども、まず、やはり遺骨収集帰還のためにはさまざまな遺骨情報が大事でございますので、現在は、例えば、交戦国であった各国の国立公文書館などが保有しております文書の資料調査を行っているところでございます。

 具体的には、平成二十一年度から、アメリカ、さらにオーストラリア、ニュージーランド、イギリス、オランダ、今後、さらにフランスを加えて、二十七年度から二十九年度にかけまして、三年間で集中的な調査を実施していきたいというふうに考えております。

 また、議員が御指摘のように、遺骨収集帰還事業の円滑のためには関係国の理解及び協力が不可欠でございます。

 このため、外務省及び在外公館と連携いたしまして、関係国の協力が得られるよう働きかけ、必要な場合には関係当局間の覚書などを作成することとしております。

 現在は、ロシア連邦、パラオ共和国、インドネシア共和国との間で協定または覚書を締結しております。また、現在、フィリピン共和国との間で新たに覚書の締結に向けた調整を進めております。さらに、インドネシアにおきましては、遺骨収集帰還事業を実施できる地域の拡大に向けた覚書の締結に向けた調整を進めているところでございます。

田畑委員 ありがとうございます。

 御努力に敬意を表したいと思うわけでありますが、それでもなお空白というか、そこから漏れるような地域、南太平洋を含め、非常に多くのところでの戦地があるわけでありますので、しっかりそれぞれの国々との御理解を得て進めていただきたいと思います。

 それでは、硫黄島の事柄についてお話をさせていただきたい、質問をさせていただきたいと思います。

 先般、九月七日でございますが、委員の先生方とともに、慰霊の視察、そしてまた遺骨収集現場についてお伺いをさせていただきました。

 塩崎大臣におかれましても、三月二十一日の合同追悼式でも硫黄島の方に御参列されたともお聞きをしているわけでありまして、大臣も肌身で現況を感じられたのではなかろうかと思います。

 東京都小笠原ということになりますが、南海の孤島と申しますか、非常に厳しい条件の中での戦地であったというのは容易に想像されるわけでありまして、行かれた方々も感じられると思いますが、ほぼ七十年前のそのままの現状が自然地形も含めて残っていらっしゃるということであります。

 天山慰霊碑の方でこうべを垂れてまいったわけでありますが、目を閉じれば、なお多くの英霊の皆様方のある意味心の叫びであったり、また祖国を思う気持ちがまざまざと胸に去来をしたわけでありまして、私自身も、政治家として一つ心にとめながらこれからの活動をしていかなければいけないなということを改めて感じ入ったところでございます。

 政府のそうした追悼碑のほかにも、遺族会の方でしょうか、いろいろな碑が島のあちらこちらに立っているわけでありまして、本当に、島で眠る英霊の皆様方、これはもちろん日米が開戦をしたわけでありますので、米国の戦死者も多くの方々がいらっしゃるわけであります。今日、戦勝国、敗戦国というような区分がありますが、同じ戦地として戦った方々にも、同様の哀悼の誠もささげなければいけないのではないかということも感じた次第でございます。

 今、硫黄島の遺骨収集に関しては、しっかり基本計画が定められて行われているわけでありまして、特に現地では、自衛隊の皆様方の全面的なサポートも受けながら、厚生労働省を中心に、民間の遺骨収集の業務を担っていただく、そうした皆さんの御理解、御協力をいただいて実施されているということをしっかり視察させていただいた次第であります。

 今、この基本方針というのは平成二十五年度に定められたとお聞きをしているわけでありますが、特に滑走路地区というところ、いろいろ高精度のレーダー探索によって探索ポイントが定められ、それをしっかりまずは全力を挙げて取り組んでいるということもお聞きをしたわけであります。

 この実施方針と実施計画ですね、定められているわけでありますが、直近の二十六年度の成果、実績、並びに今年度、今実際行っていらっしゃるわけでありますが、進捗状況をまずお聞きをさせていただきたいと思います。

 さまざま厳しい条件での遺骨収集でありますから、課題等もあろうかと思います。実際、我々も医務科のごうにも入ったわけでありますが、大変な高熱であり、そうした中での遺骨収集業務も困難をきわめるということも容易に推察されるわけでございますが、しっかり解決に向けた方策についてどう考えているのか、お聞きをさせていただきたいと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の、硫黄島の特に滑走路地区でございますけれども、当然自衛隊が運営しておりまして、これまでは滑走路地区の本格的な遺骨収容はなされてこなかったところでございます。

 平成二十四年度から二十五年度にかけまして、防衛省が高性能地中探査レーダーによりまして滑走路地区の探査を行いました結果、三カ所にごうが、さらに、滑走路の真下には百一カ所でございますけれども、地区全体としては千七百九十八カ所に固形物の反応が、それぞれ確認されたところでございます。

 それに基づきまして、平成二十五年十二月十一日に、関係省庁会議におきまして、硫黄島の滑走路地区等の遺骨収集帰還に関する基本的方針が定められまして、平成二十六年度から、例えば滑走路地区、外周道路外側等に分けまして、四年から五年かけて遺骨収容を実施してきているところでございます。

 まず、二十六年度の実績でございますけれども、四十二柱の御遺骨を収容したところでございます。

 また、本年度、二十七年度でございますけれども、滑走路下のレーダー反応箇所百一カ所中、平成二十六年度に実施しておりません七十一カ所全ての掘削、遺骨収容をする予定でございます。

 また、外周道路外側の平成二十七年度分の面的調査によって確認されたごうなどの掘削、遺骨収容を行う予定としております。

 八月末現在で、平成二十七年度におきましては、七柱の御遺骨を収容しているところでございます。

 なお、滑走路地区からは、これまでのところ御遺骨は発見されておりませんけれども、レーダー反応箇所の反応物が御遺骨であるかどうかを確認するために、引き続き、全ての反応箇所を掘削し、調査を継続することといたしております。

 厚生労働省としましては、この方針に基づきまして、関係省庁と連携して、さまざまな困難はございますけれども、しっかりと遺骨収容に取り組んでいきたいと考えております。

田畑委員 ありがとうございます。

 最後、さまざまな困難ということでくくられたわけでありますが、その困難をつまびらかにしてもらいたいとも思うわけでありますが、話を進めたいと思いますけれども、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 特に滑走路ですね、自衛隊が部隊の使用に供しているということでありまして、基本的には土日のみの掘削作業ということが非常に時間を要する一つの要因であるということを感じるわけであります。一方、自衛隊のいろいろ使用に関する現状もあるわけでありますから、そこもこの後、立法によって総合的に、政府としてということになる流れの中で、新たな展開もしっかり御検討もいただきたいと思うわけであります。

 特に、硫黄島は日米合わせて約三万人近い方々が命を落とされたわけでありまして、本国においても二万一千九百名の方々がお亡くなりになり、御回収をさせていただいた遺骨というのは約一万三百六十柱、未収容が一万一千五百四十柱ということであります。

 私も、地元、富山でありますが、富山県の終戦処理史というのをひもときましたところ、富山県からも軍人の戦没者の方々、三百四十九名の方々が硫黄島で亡くなっていらっしゃるということ、ただし、御遺骨が収容されたか、されていないかということは不明だということもお聞きをさせていただいたわけであります。

 いずれにしても、ほぼ全国、各先生方の御地元と申しますか、全国各地から本当に厳しい激戦の地へ祖国を守るために赴かれた方々のお気持ち、これをしっかり酌み取って、一日でも早い返還に御努力をいただきたいと思うわけであります。

 そこで、政務官にお聞きをさせていただきたいと思いますが、今回、この遺骨収集の推進をしっかりなし遂げるための立法、我が党においては水落先生を中心にこれまで議論をさせていただき、条文として御提出をさせていただく運びになっているわけであります。

 これまでの遺骨収集事業というのは、閣議了解という名のもとに行われてきた歴史があるわけでありますが、今回、この立法によりまして、政府の責務として、しっかり閣議決定を行って推進するということが一つ明確にうたわれているわけでありますし、十年間の集中の収容期間を設けるということ、また、当然財政上の措置を行うということ、基本計画策定には防衛省や外務省としっかり連携をしながら協議の場を設けること、遺骨収集活動に資する指定法人を定めるといったようなことが大きく特徴としてうたわれているわけでございます。

 ぜひこの立法、成立の後、政府として推進体制をしっかり構築していただきたいと思うわけでありますが、政務の側から、遺骨収集を進めていく体制、立法措置につきましての御見解をお聞きをさせていただきたいと思います。

橋本大臣政務官 お答えをいたします。

 戦没者の御遺骨の収容は国の重要な責務であり、一柱でも多くの御遺骨を早期に可能な限り収容できるよう進めてまいりました。

 そして、戦後七十年を経過いたしまして、御遺族の方々も高齢化が進んでいるということで、我々に残された時間はもう本当に限られたものだというふうに思っているところであります。

 それを踏まえまして、法案の成立はこれからということになるわけですけれども、自民党内で御議論をいただいておりました、あるいは各党に御検討いただいているわけでございますけれども、それと並行する形で、本年四月に、遺骨収集帰還事業を所管していた外事室という室だったものを課に引き上げまして、海外遺骨情報等の情報収集の強化、関係国との調整の迅速化、遺骨収容の促進等の強化などに対応するための人員の強化を厚労省として図ったところでございました。

 先ほどお話のありました、自民党の特命委員会で議論され、各会派において御検討いただいている議員立法におきましては、国の責務の明記、集中取り組み期間の設定、戦没者の遺骨収集を行う指定法人制度の創設など、戦没者遺骨収集帰還事業促進のための取り組みが盛り込まれているものと承知をしております。

 法案におきましては、戦没者の遺骨収集に関する活動を行う法人を指定することができるとなっておりまして、成立をいただきましたならば、指定法人に遺骨収集のために必要な情報の収集や遺骨収集帰還事業を実施させる予定でございます。

 そうなりますと、仮に成立をしていただいたらということになりますが、指定法人には海外における遺骨情報の収集や実際の遺骨収容の業務を担っていただくという一方で、厚生労働省は、遺骨収集のために必要な情報の整理、分析、あるいは遺骨収集帰還に係る全体計画等の企画立案を担うということで、役割分担をしてやっていこう、こういう体制になろうということを想定しているわけでございまして、より効率的に遺骨収集帰還を推進していくことができるというふうに考えております。

 戦後七十年となる本年、戦没者及びその御遺族に思いをはせたとき、遺骨収集をさらに加速化させるため、議員立法について、今国会で与野党の皆様方に合意をいただければと考えているところでございます。

田畑委員 ありがとうございます。

 改めて大臣の方に、特に十年間の集中期間を定めるということがこの立法にも込められているわけでありますが、大臣のそうした形に対する決意をお聞かせいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 戦没者の御遺骨に一日も早く御帰還をいただく、この取り組みを推進していくのは国の重要な責務であるわけでございます。

 ちょうどことしは戦後七十年の節目の年、御遺族が高齢化をする中で、十年間の集中実施期間というものを置いて、一柱でも多くの御遺骨を一日も早く収容できるように、まずは、本年から三年間、海外の公文書館等における御遺骨に関する情報収集に集中的に取り組んで、それをもとに遺骨収集帰還事業をさらに推進してまいらなければならないというふうに思っているところでございます。

 また、先生方には、特にこれからの厚生労働省が担う責務の遂行に御支援をいただくようお願いを申し上げたいと思います。

田畑委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

渡辺委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 まず、質問に入る前に、このたびの大雨の被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 私は、昨日、五十年に一度と言われる大雨に見舞われた栃木、また茨城、現地へ駆けつけさせていただきました。本当に、栃木県庁では、福田知事を本部長として、消防庁、あるいは内閣府、国土交通省の皆さんもしっかり集まり、また自衛隊、警察の方も連携をとりながら、まず第一に県民の皆様の安全を確保していく、そういった取り組みとともに、被害の実態をいち早く正確に掌握していく、そんな行動が迅速になされておりました。

 土砂や激流により家屋が流された鹿沼市におきましては、警察や消防隊員とともに、地元の消防団の皆様が、会社を休んで、昨夜から不眠不休の、そういった作業をしておられました。

 栃木においても茨城においても、多くの家屋が浸水をしてしまいました。当面の人命救助、道路や橋の修復、土砂の除去などの取り組みとともに、今後は、家が浸水してしまった方々について、感染症の発生防止のために、住居の消毒などの衛生管理も必要かと思います。

 そこで、厚生労働省として、今回の大雨の被災地に対して、被災された皆様の健康を守るための取り組みなど、地元の自治体と連携をしながら具体的にどのような支援を考えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

塩崎国務大臣 このたび被災をされた栃木県、茨城県、そしてまた他の県にもまだまだ被害が広がるかもわからない、こういうことでございまして、被災をされた皆様方に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 厚生労働省としては、昨日、私を本部長といたします対策本部を設置いたしました。災害医療の提供、DMATとか、これを出しておりますし、保健衛生の維持等に全力で取り組むように指示をいたしたところでございます。

 本日朝から現地へ政府調査団が派遣をされたところでございますが、私ども厚生労働省からも永岡副大臣、御自身の選挙区がまさに今回の被災地のど真ん中でありますけれども、副大臣を派遣いたしまして、状況把握に努めておるところでございます。

 栃木県や茨城県等の避難所において保健師が二十四時間常駐するなど、避難者の健康状態の把握と健康上の必要な支援を行っているというふうに承知をしております。

 また、厚生労働省では、避難所における健康管理のガイドラインを被災県に対して改めて周知して、バックアップをしているところでございます。

 今後は、汚泥の除去に当たっての家屋等の消毒、あるいは発熱や下痢などの症状を呈する方が同時期に複数発生したような場合の迅速な対応などの感染症対策、これに万全を期していきたいというふうに思っておりまして、極めて重要な対策かと思います。

 厚生労働省としては、被災自治体と緊密に連携を図って、ニーズをしっかりと把握しながら、必要な支援を行ってまいる覚悟でございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 迅速かつ適切な対応をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

 それでは、皆様のお手元に配付されております戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案に関連する事項につきまして、質問をさせていただきたいと思います。

 この法律案は、先ほどもありましたとおり、今日まで、戦没者の遺骨収集、政令で定められた慰霊の事業として地道に進められてまいりましたが、戦後七十年がたち、御遺族の皆様の高齢化が進展している状況において、戦没者の遺骨収集に関し国の責務を明らかにし、向こう十年間を集中実施期間として、戦没者の遺骨収集の推進に関する施策を総合的かつ計画的に行おうとするものでございます。

 公明党は、昨年、戦没者遺骨収集帰還事業推進プロジェクトチームを立ち上げ、戦没者の遺骨収集について議論を進めてまいりました。今回、渡辺委員長のもと、このように法案としてまとめ上げられたことを大変うれしく思っております。

 まず初めに、戦没者の遺骨収集の経緯と今後について確認をさせていただきます。

 海外戦没者数は、おおむね二百四十万人と言われております。そして、今日までに復員や引き揚げ時に送還した遺骨を含めて日本に帰還した遺骨は、約百二十七万柱とのことでございます。このうち、遺骨収集帰還事業による収容遺骨数は約三十四万柱。

 昭和四十二年度から五十年度までの九年間で二十一万五千柱の収容で、この間の年間平均収容数は約二万四千柱であったのに対し、平成十八年度から平成二十六年度までの九年間では約二万八千柱の収容で、この間の平均収容数は三千柱と大幅に減少をしております。

 そこで、このように、近年、年間の遺骨収容数が当初に比べて大幅に減少している要因について、遺骨収集事業の経緯も含めてお聞かせ願えますでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省におきましては、昭和二十七年度以降、遺族や戦友の協力のもとで、戦没者の遺骨収集帰還事業を実施してきております。

 それで、厚生労働省は、昭和二十七年度から三十二年度をもって一旦政府事業として概了としておりましたけれども、その後、三十二年度から四十一年度までの十年間につきましても、遺族や戦友の方が独自の取り組みとして遺骨収集を行うなど、献身的な取り組みがなされたというふうに承知しております。

 その後、昭和四十年代になりまして、さらに遺族や戦友の方々から数多くの遺骨情報が寄せられました。また、相手国からもいろいろな開発に伴いまして遺骨情報が寄せられましたことを踏まえまして、四十年代におきましては、計画的に、また集中的に遺骨収集帰還を行ったところでございます。

 その後につきましても、遺骨情報に基づいて遺骨収集帰還事業を行っているところでございますけれども、先生御指摘のように、近年では、昭和四十年代に比べまして、年間平均の遺骨収容数が以前に比べて大幅に減少しておりますけれども、これにつきましては、独自の取り組みをされておりました遺族や戦友の方が既に高齢化し、当時の状況を知る方々が少なくなって、遺骨情報も減少していること、さらに、遺骨収集が比較的簡単なところの埋葬地が少なくなってきていること、そういったことが要因として挙げられると考えております。

輿水委員 ありがとうございます。

 やはり、情報と、埋葬されているというか、遺骨を収容する環境もどんどん変化するということで、一刻を争う、そういった内容であるように感じております。

 ここで、戦後七十年になり、まさに新たな情報も入手するのが非常に難しい。今を逃しては、当時のことを知る人もますます少なくなる。情報の収集がさらに難しくなる。

 そこで、限られた時間で効率的に情報を収集するためにどのような取り組みが考えられるのか、また、新たな情報収集の方法としてどのようなことを考えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 戦後七十年を迎えました今日、先ほど申し上げましたように、当時の状況を知る関係者の高齢化によりまして遺骨情報が減少していることから、議員御指摘のように、遺骨に関する情報収集を強化することが重要であると考えているところでございます。

 このため、平成十八年度からは、民間団体などの御協力を得ながら、例えば太平洋の島々、フィリピン、東部ニューギニア、ビスマーク・ソロモン諸島、インドネシアにおきまして、未収容遺骨の現地情報収集を行って遺骨収容につなげてきたところでございまして、来年度からはパラオやミャンマーもつけ加えていきたいと思っております。

 また、これに加えまして、交戦国でございました各国の公立公文書館等が保有する情報につきまして、資料調査を行っているところでございます。具体的には、平成二十一年度からアメリカの公立公文書館等における調査、また平成二十四年度からはオーストラリアの公立公文書館等における調査、また、さらに平成二十六年度からはニュージーランド、イギリス及びオランダの調査を行っているところでございます。

 本年度、平成二十七年度からは、それに加えまして、フランスを加えて六カ国につきまして、さらに三年間で集中的な調査を実施することとしていきたいと考えております。

輿水委員 ありがとうございます。

 まさに情報は一番命でございますので、適切な、また迅速な情報の収集をよろしくお願いいたしたいと思います。

 この法案では、戦没者の遺骨収集のために必要な情報の入手や遺骨の収容と帰還などを適正かつ確実に行うことができると認められる一般社団法人または一般財団法人を、全国で一個に限り指定することができるとしております。

 そこで、今日までの遺骨収集事業の経緯も考慮し、どのような法人を指定するのが望ましいと考えているのか、伺いたいと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 これまでの遺骨収集帰還事業につきましては、長年にわたりまして、遺族や戦友の方々から構成されます多くの関係団体に御協力いただきまして実施してきたところでございます。

 議員御指摘のように、今、議員立法で法律が成立されました暁には、一つの法人が遺骨収集のための法人として指定されることになるわけですけれども、厚生労働省といたしましては、遺骨収集に関します豊富な経験、知見を有するこれらの関係団体、今までの多くの関係団体と連携しながら、遺骨収集帰還事業をより効率的、効果的に実施していくためには、今まで協力いただいた関係団体によって構成される法人、いわゆるオール・ジャパンの法人を指定する、オール・ジャパンになっていただいて、そういった法人を指定することが望ましいと考えているところでございます。

輿水委員 ありがとうございます。

 まさにこの遺骨収容の事業というのは、収容も大事でありますけれども、慰霊という思いの中で、やはりそういった団体の皆様が一つになって、そして進められることが私も望ましいと思っております。よろしくお願いいたします。

 そこで、現在、未収容遺骨は約百十三万柱。この未収容遺骨のうち、海の中に没したと思われる約三十万と、相手国の事情により収容することが困難なものが二十三万柱と伺っております。したがって、当面の収容を目指す遺骨は残りの約六十万柱となります。

 日本において、集中期間にこれらの全ての遺骨の収容を目指すのは当然でございますが、なかなかできない、そういった場合もあるかもしれません。そういったことを考慮する中で、遺族の皆様がこの機会に慰霊の思いを形に残す、そういった事業も展開することも私は大事かなと思っております。

 日本において、亜熱帯のジャワから極寒のシベリアまでどんな気候でも育つ新種の桜、これは名づけて陽光桜と申しますが、これが生み出されました。この陽光桜というのは、大臣の地元でもございますが、愛媛県の青年農業学校の教員をしていた高岡正明氏が、各戦地の最前線で命を落とした教え子たちの慰霊のためにどんな気候の地域でも花を咲かせる新種の桜をつくると決めて、長い年月をかけて執念で生み出したものでございます。

 例えば、慰霊の意味も込めて、遺骨収容に携わった皆様の気持ちを形に残す意味から、日本の代表的な花木である桜を戦没者の遺骨があると思われる地域に植樹し、現地に桜の花を咲かせることは、収容事業にあわせて慰霊の事業として有意義なことであると思いますが、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 まず、厚生労働省におきます今までの取り組みを申し上げさせていただきますと、御遺族や戦友の方々の心情に鑑みまして、海外の主な戦域ごとに、その戦域で亡くなられた全ての方々を慰霊の対象とした戦没者慰霊碑を建立したり、また、海外での慰霊巡拝や遺児の方を対象といたしました慰霊友好親善事業を実施してきているところでございます。

 議員御指摘の点でございますけれども、御遺族や戦友の方々の思いを形に残すということは非常に大事なことであると考えております。御提案についても厚生労働省として検討していきたいと考えております。

輿水委員 ありがとうございます。

 私も、先ほどの委員と同じように、先日、厚生労働委員会の視察で硫黄島に行かせていただきました。慰霊碑に献花をさせていただきました。祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら戦陣に散った皆様のことを思うと、本当に胸が痛みました。改めて、戦後七十年を迎え、さきの大戦における全ての犠牲者の皆様に哀悼の祈りをささげるとともに、御遺族並びに今なお深い傷跡に苦しむ皆様に対し、心よりお見舞いを申し上げます。

 私も、先ほどの桜なんですけれども、できれば、慰霊の土地があったんですけれども結構殺風景な形だったんですけれども、そこに桜の花がぱっと咲いて、そして、現地の皆さんもそこの地域に眠っている方も桜がめでれるような、そんな取り組みができるといいなと思いをはせてまいりました。

 そんな中、今回、安倍総理は、戦後七十年の談話で、二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない、事変、侵略、戦争、いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と使用してはならないと宣言をされました。

 そこで、戦後七十年のこのとき、厚生労働省として、遺骨収集事業を集中的に進めるに当たり、戦没者とその家族の皆様への思いと世界の平和に向けての決意を改めてお聞かせ願えますでしょうか。

橋本大臣政務官 お答えいたします。

 さきの大戦におきましては、三百万余りの方々が、祖国を思い、愛する家族を案じつつ、苛烈な戦闘に倒れ、また、遠い異国の地でお亡くなりになられたわけでございまして、改めて哀悼の意を表したいと思います。

 また、最愛の肉親を戦争で失った悲しみに耐えながら、戦争の混乱と困窮の中を生き抜き、我が国の発展に貢献された御遺族の方々に対し、深く敬意をあらわさなければならないと思っております。

 終戦から七十年の歳月が過ぎ去りました。今日の平和と繁栄、まさに、私たちがこうして暮らしていくことができているということ、それは戦没者の方々のとうとい犠牲と御遺族の方々の並々ならぬ御労苦の上に築かれていることを片時たりとも私たちは忘れてはならないと考えているわけでございます。

 お触れをいただきましたように、安倍総理の七十周年の談話でも、二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない、このことをはっきりおっしゃっているわけですし、また、冒頭のセンテンスで、その歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ばなければならない、このようにお触れになっているわけであります。

 そうした意味でも、きょう御審議をいただいている御遺骨の収集のような事業、あるいは、例えば昭和館、しょうけい館のような、次世代に戦争の、あるいはその時代の記憶をつないでいくような事業に私たちは取り組んでいるところでございまして、そうした取り組みを通じまして、厚生労働省といたしましても、世界の恒久平和と繁栄にぜひ貢献をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

輿水委員 ありがとうございます。

 本当に戦争ほど悲惨なものはない、もう絶対繰り返してはならない、そんな思いで、恒久平和を目指して私もできること、またやるべきことに全力を尽くしていきたい、このように決意をさせていただいております。

 戦後七十年談話では、先ほども触れていただきましたように、歴史の教訓を深く胸に刻み、よりよい未来を切り開いていく、アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす大きな責任がありますとも宣言をされました。

 平和な世界を築く基盤は、各国との連携、信頼と友情であると思います。このためには、まさに七十年談話にあるとおり、アジア、そして世界の平和と繁栄に尽くすことも大事であると思います。

 そこで、厚生労働省として、新興国、途上国における医療保健分野の支援など、国際社会への貢献のためにどのような取り組みを進めようとしているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

塩崎国務大臣 厚生労働省としては、これまで感染症対策など個別の課題に対応した国際貢献を行ってまいりましたけれども、今後は、こうした取り組みとあわせて、途上国における基本的な保健システムの強化を支援することが極めて重要ではないかというふうに認識をしているところでございます。

 けさほど官邸で健康・医療戦略推進本部というのが開催をされまして、基本的な考え方が取りまとめられました。こういう中で、保健医療分野に対する二国間支援として、医療従事者の人材育成とか病院における医療の質の向上などの支援を行ってまいっていますけれども、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けて、WHO等関係機関と連携しつつ、保健システム構築について技術支援などを行ってきているわけであります。

 今申し上げたように、この推進本部で、けさほど官邸で総理も交えて議論の結果、基本方針が決まりましたけれども、厚生労働省としては、引き続き、今申し上げたような取り組みを着実に進め、保健医療分野における国際貢献に努めてまいりたいというふうに考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに保健医療分野、しっかりと進めていただきたい。

 また、日本は世界でも類を見ない高齢化が進んでいる、そういう中で、高齢社会に対してどのような対応の中でそれを大きく乗り越えていくのか。そんなこともしっかり進めながら、世界と情報やいろいろなやり方を共有して世界に貢献する、そんなあり方も一緒に考えていきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、本法案による遺骨の収集の事業が、多くの皆様の思いが凝縮され、すばらしい慰霊の事業として進められることを心より御祈念申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美です。

 大臣、冒頭、通告しておりませんけれども、ここ数日来の水害の対応について一言伺いたいと思っています。

 北関東でこれまでにない大量の雨が降ったことによって川が越水して、それから決壊をしたということで、常総市では市の三分の一くらいの面積が濁流にのまれたか水につかったかということで、本当に大変な状況だというふうに思います。

 先ほども御指摘がありましたけれども、公衆衛生、それから水道、こういったこともありましょうし、今後、恐らく水が引くまでにはかなりの時間がかかるのではないか、また、普通の生活に戻るまでにも時間がかかるのではないかというふうに思いますので、就業の継続、それからいろいろなメンタル的な問題、こういったことについても万全を期してもらいたい。

 私は、災害対策基本法も、昨今のこのようなゲリラ豪雨、ゲリラ豪雨と言ったらいいのか、停滞前線による豪雨が頻繁に日本国内で起きている状況では、そういう意味ではまさにこれこそ状況が、地球温暖化という状況の中で大きく災害の様子も変わってきていると思いますので、ここはやはり現存する法律を、今のままでいいのかということも、見直すことも含めて、厚生労働省としては今回の災害、水害について万全の対応をしていただきたいというふうに思いますけれども、この点についてまず伺います。

塩崎国務大臣 先生がおっしゃるように、昨年の広島での土砂災害も類を見ないような集中豪雨に基づいて起きてしまったということでございまして、今回も、これまでにない、何十年ぶりというような集中豪雨が起きたという中で、その原因はいろいろあろうかと思いますが、いずれにしても、そういうことが頻発をするようになっているということは先生御指摘のとおりだと思います。

 今、私どもは、先ほど申し上げたとおりの対応をして、昨日の未明から対応をしているわけでございますけれども、とりわけ今回のような前代未聞のような被害の状況でありますので、これに対する対策はまず万全を期す、つまり、被害状況をまず把握した上で、しかるべき、やるべきことを厚労省としては直ちに、迅速にやるということが大事だと思います。

 こういう異常気象が頻発することを受けてどうするのかという先生の今の問題意識は私どももひとしく持つところでありますが、法的に今の体制が可能かどうかということについても検討せいということでありますが、そのような考え方で私たちは絶えず見直しをしないといけないというふうに思いますし、昨今の状況を見れば、かなり私どもは備えを万全なものにさらにしていくために何ができるのかということを考えていかなきゃいけないと思いますので、そういう面で、今の先生の問題意識をしっかりと受けたいというふうに思います。

西村(智)委員 これはぜひ政府全体で対応していただきたいと思います。私は今、厚生労働省に関するところだけの問題提起をいたしましたけれども、ぜひ政府全体で再検討していただきたい。地球上の環境が変わってきているというまさに状況の変化がありますので、対応を迅速にとっていただけるように要望いたします。

 それで、きょうは、戦没者の遺骨収集を推進する法案を委員長が起草されることを想定しての質問ということですので、その質問に入っていきたいと思いますけれども、私、資料を何枚か用意いたしました。

 皆様のお手元にありますA3の大きい資料、これは、ことし戦後七十年の節目の年に、戦地と戦没者、それぞれどういった動きで日本軍が移動したのか、また、それによって日本軍においてどのような犠牲が生まれてきたのかというようなことを図示したものなんですけれども、大変広範にわたる地域で、悲惨な、もう本当に言葉に尽くせない犠牲がここに記されているわけなんです。

 これまで遺骨収容は、戦争が終わってからは、最初は仲間の方が、あるいは民間の方が御家族や友人の遺骨を持って帰られたりして、そういった形で始まったものだというふうに承知をしております。最初はそういう形で始まった遺骨の収容が、国として、政策として実行するようになったのは一九五二年からということなんですけれども、それ以降も、時々、少しその動きが中断したり、また民間の要望があって始めたりというような、こういうアップダウンと申しましょうか、波を少し繰り返して今に至っているのではないかというふうに思っています。

 ここは、やはり戦後七十年の節目の年でもあります。私は、遺骨の収集は国の責任としてやり切る、やるというその決意を改めて大臣には持っていただきたいと思いますし、この法案が起草されて、そして施行されたときにおいても、国の責務であるということは変わりがないか、むしろ国の責務であるということを強化する内容だということ、そういうふうに理解してよろしいか、大臣に伺います。

塩崎国務大臣 これまでこの遺骨収集の法的根拠は何かといいますと、これは、厚生労働省設置法の第四条の百五というところに「旧陸海軍の残務の整理に関すること。」というのがございました。それに基づくというか、それを敷衍してできた政令がございまして、ここに、事業課というところが「戦没者の遺骨の収集、墓参及びこれらに類する事業に関すること。」というのを所掌するということが政令で定められたわけでございます。

 今回は、委員長提案で今御審議をいただいておりますこの法律によって、これはまさに国の責務ということに法律で定められるということになっているわけでございます。

 さきの大戦による戦没者の遺骨収集帰還について、もちろんこれまでも、今申し上げたように国の責務として推進をしてまいったわけでありますけれども、それはあくまでも設置法、加えて政令という形でありましたが、今度は法律の中に国の責務だということを書き込むということで、むしろ、今先生御質問にもございましたけれども、国の責務としての位置づけは強化をされたというふうに理解をしております。

西村(智)委員 そこで、厚生労働省が責任を持ってといいましょうか、国が責任を持って遺骨の収集を進めるということになるわけですが、今回の法案では、指定法人というものを置きまして、厚生労働省がその指定法人を指定する。

 では、厚生労働省と指定法人の役割分担についてはどういうことになるのかというふうに考えましたら、整理したところ、大体こういうことかということが何となくわかってきたんです。

 厚労省が、まずは遺骨収集に関する全体計画を企画立案する、事業全体の統括もし、相手国との調整もし、情報収集もして、その分析もやる、それで、指定法人が遺骨を収容したり送還するのに同行したり、また戦没者遺骨のDNA鑑定や遺骨の遺族への引き渡し等を行う、こういうこと。つまり、指定法人を指定して、指定法人が収集した情報も厚労省に上げて、そこで分析をしつつ、そこから指定法人に対して指針を提示して、指定法人から事業計画を厚労省の方に上げて、そういった形で事業が行われる。こういう理解でよろしいのかということを伺いたいのが一点。

 それから、時間の都合でもう一点伺いたいんですけれども、この指定法人は、十年間の集中期間を置くという中で指定されることになっています。十年たったら、その活動状況をそのときになって検討して、そしてその後のあり方を改めてそのときに検討する、このような理解でよろしいか、伺います。

塩崎国務大臣 基本的には先生がおっしゃるとおりだと思いますが、厚生労働大臣は、戦没者の遺骨収集に関する活動を行う法人を指定することができるとこの法律ではされておりまして、法案成立後は、指定法人に遺骨収集のために必要な情報の収集や遺骨収集帰還事業を実施させる予定でございます。

 この場合、指定法人は海外における遺骨情報の収集や実際の遺骨収集を担う一方で、厚生労働省としては、遺骨収集のために必要な情報の整理、分析や遺骨収集帰還に係る全体計画等の企画立案を担うことを想定しておりまして、今先生御説明いただきましたとおり、国と民間団体との間で役割を分担するということによって、より効率的に遺骨収集帰還を推進していくことができると考えているわけでございます。

 それから、十年間の集中実施期間についてのお話がございましたが、法案が成立した場合には、十年間の集中実施期間において、効率的に遺骨収集帰還を実施するために、戦没者の遺骨収集に関する活動を行う法人を指定する、そして、遺骨収集のために必要な情報の収集や、遺骨収集帰還事業を実施させる予定でございます。

 集中実施期間終了後には、遺骨収集帰還事業の体制のあり方を見直すということになるわけでございまして、当然、この十年が終わったらどうなんだという話が出てくると思いますので、そうなると、そこで、十年たったところであり方を見直すということが考えられまして、その一環として、指定法人のあり方についても当然検討をするということになるのではないかというふうに考えるわけでありますが、いずれにしても、今先生からお話を頂戴した考え方が、そのとおりだということでございます。

西村(智)委員 この集中期間で、まだ世界じゅう、日本も含めてですが、残っておられる概数で百十二万七千柱の御遺骨を全て日本にお戻しできるように、ぜひ集中して取り組んでいただきたいと思います。

 それで、私も、先日の委員会の視察で、委員長を初め皆さんと一緒に硫黄島に参りました。現在の空港の滑走路を、今、土曜日、日曜日、飛行機の離発着をとめて探査したところで、三センチ以上の固形物があると思われるところは、飛行機をとめているその時間に掘り返して、探査をして、確認をして、もう一回埋めて平らにするという作業を今年度中には終えるという御報告だったんですけれども、もう少し早く硫黄島で遺骨収集が始められていたら、私は、もう少し作業がスムーズにいったんじゃないかというふうに現地に行って思いました。

 実は、民主党政権のときに、当時菅総理が、硫黄島からの遺骨収集を促進しようということで、特命チームを置いたんです。当初は硫黄島における遺骨収集のための特命チームということで、これは平成二十二年の八月十日ですから二〇一〇年になりましょうか、二〇一〇年の八月十日にこのチームを設置して、後にそのチームは、硫黄島からの遺骨帰還のための特命チームというふうに名前を変えて、そこで、硫黄島からの遺骨帰還プランというのを設けまして、それに基づいて、これまた集中実施期間の取り組み方針、それから当面その年度中にやる取り組み方針ということで、プランをつくって集中的にやるということになったわけなんです。

 配付しております資料の二枚目にその一枚目だけ掲載をしておりますけれども、ここで、このように書かれています。「はじめに」のところの丸の一番目ですが、「戦没者の遺骨帰還は「国の責務」であり、悲惨な歴史を繰り返さないためにも、全ての戦域で進めることが必要である。とりわけ、硫黄島は日本の領土であり、自衛隊が駐屯しているにもかかわらず、戦後六十六年」、当時六十六年、「経過した現在でも約六割の約一万二千柱の御遺骨が未帰還で、これは国内最多数である。」ということでした。

 私も、日本の領土である硫黄島でもう少し早く進めることができなかったものか、何でおくれてきたんだろうか、こういうふうに考えるわけなんです。

 実際、硫黄島での遺骨収集は、皆さんで一緒に拝見してきたように、今は着実に進んでいて、滑走路のところは今年度中に終わるということなんですけれども、日本領土ですらこういうことですから、まして他国の領土における遺骨収集は恐らく、先ほど審議官が、いや、いろいろな理由があってと自民党の田畑さんの質問にも答えておられましたけれども、やはりそれぞれ外交問題等々もいろいろあって難しいところはあるわけなんですけれども、なぜ国内領土で進められなかったかという、その反省というか教訓、これをまずしっかりと確認した上で他国の領土における遺骨の収集というものを加速化していくことができるのではないかというふうに思いますけれども、この点、大臣はどうお考えになりますか。

塩崎国務大臣 硫黄島で部隊が、ほぼ全員に近い方々が玉砕をされておるわけでございます。遺骨の埋葬地点等の情報が少ない中で、必ずしも積極的な情報収集を行わずに遺骨収集が進んでいなかったということがあったと思います。

 しかし、平成二十一年の、今先生お話ございましたけれども、米国の公文書館の調査によって、硫黄島の集団埋葬地の特定に至って、千四百十六柱の御遺骨の収容につながったわけでございます。

 こうしたことを踏まえて、他の地域についても、平成二十七年度から、本年度からですね、三年間を集中実施期間として設定して、諸外国の国立公文書館等が保有をいたします埋葬地等に関する資料を調査することによって、情報収集の強化を図ることとしておりまして、厚生労働省からも、こういった海外の国立公文書館で資料を今精査させていただいているところでございます。

 一方で、今、実施が困難な国についてのお話もございましたが、遺骨収集帰還や慰霊巡拝の実施がなかなかかなわないという国につきましては、外務省の協力を得て、相手国の事情に応じて、でき得る限りの遺骨収集等が実施できるように交渉を行ってまいりたいというふうに思っているところでございます。

西村(智)委員 やはり日本国内に戦没者あるいは戦域に関する情報がほとんど残っていないということが、今回の遺骨収集をより難しくしている理由だと私は思うんです。

 なぜ国内にそうした資料が残っていなかったのか。いろいろなことを言われています。廃棄されてしまった、なぜ廃棄されてしまったのか等々、理由は歴史的にいろいろな分析はなされていますけれども、とにかく国内に残っていないわけだから、これはやはりいろいろな海外の公文書館なり、またいろいろな経験者の方々の手記ですとかそういったものを聞き取りをしたり、そういった中から情報を得ていかなければいけないと思うんです。

 そこで、外務省の協力を得ながらということがありましたので、外務省、きょう政務官にお越しいただいています。ぜひここは協力をしていっていただきたい。そして、外務省の方では同行という形がメーンになろうかと思いますけれども、やはりいろいろな交渉になってくる場面はあると思いますので、情報収集、それから慰霊、こういったことについて、ぜひ、万全の体制で協力をすると明言をいただきたいんです。

薗浦大臣政務官 お答え申し上げます。

 これまでも、外国でそうしたものが必要になった場合には、関係当局間の覚書を作成してきております。これは、パラオ、インドネシアとは既にやっておりますし、今フィリピンと交渉中でございます。

 こうした外交的観点からの支援を厚生労働省と連携をしながらやってきたところでございまして、これからもそうした最大限の協力を行ってまいりたいというふうに考えております。

西村(智)委員 次の資料で、ミャンマーの少数民族が紛争している地域で遺骨調査が可能になったという記事、これは二〇一三年の一月一日の新聞記事なんですが、こういうものがありました。

 やはり、民間団体、それからいろいろなその地域の研究者、こういった方々もさまざまな情報を持っておられると思うんです。

 ここはもう時間がないので大臣に確認だけしたいと思いますけれども、やはり、指定法人に入るか入らないかに限らずに、広く、そのほかの民間団体や研究者、あるいは個人の方々のお知恵であったり協力といったものを私は仰いでいくべきではないかと思いますけれども、その点について簡単に答弁をお願いします。

塩崎国務大臣 指定法人については、遺骨収集に関する豊富な経験とか知見を有する関係団体と連携をして遺骨収集帰還事業をより効率的、効果的に実施するということを先ほど申し上げたわけでございます。

 法人を指定することの方が望ましいとは考えておりますけれども、一方で、仮に、今先生お話あったように、指定法人に参加をしない団体、あるいは研究者の個人の方、こういう方々にあっても、まず団体にあっては、指定法人が遺骨収集する場合の人的な協力も可能でありましょうし、それから研究者の皆様方には、海外の公文書館等にある資料を分析するとかさまざまな手だてをお持ちで、埋葬地情報の特定に貢献ができるのではないかというふうに考えるわけでございまして、遺骨収集帰還事業の促進につながる御協力をいただける場合も大いに想定されるというふうに考えます。

 厚生労働省としても、先生今御指摘のとおり、幅広くそういった方々とも協力をしてまいりたいというふうに考えております。

西村(智)委員 資料の最後のページは、慰霊碑の状況についてのものでございます。

 ちょっと国内のものは今回は質問せず、海外における民間建立の慰霊碑の状況、それから政府における海外の慰霊碑の状況等々だけを見ますと、民間建立の慰霊碑が総数で七百十二基あると確認をされています。

 私もいろいろなところで拝見をしてきまして、ミャンマーでは、民間団体の方が依頼をして、現地の人に管理をしていただいているという碑、そこは本当にきれいに管理をされていました。あと、ロシアの沿海地方のアルチョムというところ、これはシベリア抑留の方々でしたけれども、ここの地域には、政府がつくった慰霊碑もあるんですけれども、民間の方がつくった慰霊碑もあって、そこは、現地の市が管理をしていて、時々外務省が様子を見に行くというようなものだそうでございます。それから、ガダルカナルでは、これは政府建立の碑がないんです。民間の方がつくった碑があって、現地の日本の民間企業の方が管理をしておられるというものでして、率直に言ってなかなか大変な状況だというふうにお見受けをしました。

 管理状況はどうなっているのかということをぜひ厚生労働省には把握していただきたいと思っていますし、また、民間団体の方がつくられたものについては管理がやはりかなり厳しくなっているというところもある。これは実際、管理状況が不良なもの二百七十基、うち埋設六十八基というような状況ですから、今後、政府がどういうふうにそういったものを見ていくのか、対応方針を検討すべき時期に私は来ているんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点について大臣はどうお考えか伺って、終わります。

渡辺委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、大臣、答弁は簡潔にお願いをいたします。

塩崎国務大臣 特に民間の建立慰霊碑については、建立者あるいは管理者が維持管理を行うことが原則だということで、一方で、海外では、維持管理状況が不良な慰霊碑が放置をされているということがあるということが今先生お話のあったところで、そういうのはやはり国際的にも好ましくないわけでありますけれども、これまでやはり民間団体に委託をして移設等を実施してきているわけでございますので、これにつきましては、私どもも、民間団体と連携を深める中で、この管理がきちっとされるように、さらに目配りをしていかなければならないんじゃないかというふうに考えております。

西村(智)委員 終わります。

渡辺委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 きょうは、一般質疑の時間をいただきました。遺骨収集のお話も、もう既にたくさん出ております。

 私は、今国会、これが多分最後の質問になろうかと思いますので、ちょっとどうしても聞いておきたいことを聞かせていただきたいと思いますが、それに先立って、先ほど来お話が出ておりますが、ここ数日間における北関東、東北地方を襲った激甚災害と申しますか豪雨災害に遭われた皆様方に本当に心からのお見舞いを申し上げると同時に、また、災害救助、厚労省が所管をするわけでございますので、警察、消防、自衛隊等々としっかり連携をとって取り組んでいただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。

 私どもの維新の党においても、松野代表を筆頭に、早速、対策本部を設置いたしました。また、側面から御協力を惜しまずさせていただきたいということもあわせ申し上げておきたいと存じます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 きょうは、先日、本会議において趣旨説明がされました外国人技能実習制度、この適正化、実習生の保護を図るための法案審議、これは法務委員会で所管をされていると思いますけれども、この法改正にあわせて、技能実習の職種に新たに介護職もそのカテゴリーの中に入るということで、厚労省も非常に関係の深いところだと思いますので、この委員会においても確認すべきところを確認していきたいと思っております。

 言うまでもなく、介護の人材というのは非常にその需給関係が厳しい状況にあるということは認識を一にするものだと思います。三十万人足りない、あるいは四十万人足りないという声がありますけれども、まず、これについてのしっかりとした対応をお願いしたいと思うんですけれども、その実態についての認識からお聞かせいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 今御指摘ございました介護人材でございますけれども、まず、介護職員の確保の上で、やはり処遇というのが非常に課題になってございます。

 そういう意味で、介護職員の待遇につきまして、賃金水準ということを見てまいりますと、これは平成二十六年の賃金構造基本統計調査でございますけれども、常勤の介護職員の平均賃金は、ホームヘルパー、それから福祉施設介護員ともに月額が約二十二万円でございます。平均年齢とか勤続年数などで違いがありますので単純な比較はできませんけれども、例えば、全産業平均で三十三万円、医療、福祉の平均二十九万円と比較して、大変に低い傾向にあるというふうに承知をいたしております。

 一方で、先生今御指摘のありました人材の見通しでございますけれども、この六月に、二〇二五年に向けました需要、供給の両面からの推計を公表いたしました。それによりますと、全国ベースでございますけれども、二〇二五年時点で需要見込みが約二百五十三万人、供給見込みが二百十五万人でございますので、需給ギャップといたしまして三十七・七万人というふうに推計をされているところでございます。

 今後、必要になります介護人材を確保いたしますために、予算、法令、報酬、こういったあらゆる政策手段を通じまして、総合的、計画的に確保を進めてまいりたいというふうに考えております。

牧委員 総合的、計画的に進めていきたいということは言葉ではわかるんですが、それを具体的に進めていただかなければならないんですね。

 私が記憶するところによると、七、八年前だったと思うんですけれども、ある関西の、関西というか、あれは兵庫県に入るんですか、加西市というところの老人介護の施設をたまたま訪ねたことがありまして、そこで当時、同じ関西エリア、大阪府なんですけれども、堺に近々シャープが工場を出す、こういう工場ができるとそっちに介護職員が流れていってしまって大変だというお話を聞いて、ちょっと衝撃を受けました。介護の職につく人と液晶のテレビを組み立てる人がどうして同じ人なんだろうなとそのとき初めて思ったんですけれども、いや、これは時間給で一円でも高いところへそういう人は流れていくんですよというお話を聞きました。ああ、そういうものなんだなと認識を新たにしたんです。

 今おっしゃったように、全産業比でいくと平均月額、約十万円ぐらい処遇が悪いという中で、これから本当にそういう人材が育っていくのか、私は大変危惧をいたしております。また、数だけそろえても、最近、老人を虐待するとか、こういった痛ましい事件の報道もあります。そういう中でしっかりとこの辺に取り組んでいただかなければ、これは大変なことになるんじゃないかなと思っております。

 そういう中で、一つ、EPAの制度について、そして、最初に申し上げた技能実習制度についてちょっと触れさせていただきたいんです。

 EPAによって、インドネシアは平成二十年から、フィリピンが二十一年、ベトナムが二十六年から、これから受験して介護福祉士の資格を取ろうという介護福祉士の候補者の受け入れを始めているわけであります。

 その他にもいろいろ経済連携をしている国というのはインドですとかチリですとかメキシコですとかあるんですけれども、恐らく、同じアジアの、多少なりとも生活風習あるいは民族的にも近い人たちの方がよりなじむんじゃないかなということで、多分、この三カ国から取り急ぎこういった人材を入れているということだと私なりに勝手に理解をしているんです。

 この人たちを受け入れるのは、国際厚生事業団が調整機関となって、それぞれの介護事業者のところにこの人たちをあてがっているということなんでしょうけれども、この受け入れ施設というのは、日本人と同等以上の処遇による雇用契約だというふうに聞いております。

 同等以上の処遇をしなければいけないということになると、この受け入れの施設で働くインセンティブというのはどの辺にあるんでしょうか。どういう認識をされておりますか。

    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕

坂口政府参考人 お答えいたします。

 今、議員お尋ねのEPAの関係でございますけれども、先生の方から御指摘ございましたように、EPAによる介護福祉士候補者の受け入れということに当たりましては、一定の経済上の連携に関する協定というものに基づきましての受け入れの実施に関する指針、これはインドネシアそれからフィリピン、ベトナム、それぞれつくっておりまして、そちらに基づいて、労働契約において、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることを内容とするものでなければならない。」ことと定めているということでございます。

 この内容については、今御指摘のJICWELS、国際厚生事業団等においてその確認等を行っているということでございますけれども、この候補者の方についても、これは全体の大きな枠組みが、経済上の連携という大きな枠組みの中でこの制度は成り立っておるわけでございますけれども、そういった中で、やはり安心して日本の受け入れ施設の方に入っていただいて、それで資格取得を目指していただくような環境をしっかり整えるという趣旨であるということで理解をしております。

牧委員 このEPAに関しては、資格を取得していただいて、そのまま日本で就労していただきたいという意味合いが強いんだと思います。ただ、人材不足を解消する手だてとしては、なかなか、数字を見ても、これは焼け石に水なのかなという感も拭えないわけでございます。

 そもそも、この人材受け入れについての当初の目的というか、これは、日本における雇用機会を提供する、建前上そういうことだと思うんですけれども、介護職員不足の解消のためということもあるのかどうなのか、あるいは国際貢献の一環としての人材育成という観点なのか。その辺のそもそもの目的をちょっと確認しておきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 インドネシア、フィリピン及びベトナムとの経済連携協定に基づく看護師、介護福祉士候補者の受け入れは、原則として、外国人の就労が認められない分野において、経済活動の連携の強化の観点から、二国間の協定に基づき公的な枠組みで特例的に受け入れるものでございます。

牧委員 ちょっと、わかったようなわかんないような御説明ですけれども、私は、せっかくそういうことをするのであれば、改善はされていると思いますけれども、よりきちっと、そういう方たちが日本に残って、そして日本の介護事業所における就労ができるような、そういう環境をさらに推進していただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 先週始まった外国人技能実習制度の適正化あるいは実習生の保護を図るための法改正に移りますけれども、今回、その法案の目的は別として、この制度の対象職種に介護を加えるということで、実際、事業者の間で大変期待が高まっております。私どもの事務所にも、今度はベトナムから介護の職員を入れたいとかフィリピンから入れたいとか、実習生としてどうやったら人を寄せることができるんだろうかという相談が相次いでおります。

 かなり期待が高まっているというのは事実で、これは、実習制度の趣旨からすると、技能移転というか、これからその相手国のニーズに応じた技能を我が国から移転するための制度だと思うんですけれども、一方では、受け入れの当の事業者の人たちのお話を聞くと、とにかく人手不足を解消するための朗報だという声しか聞こえてきません。

 それはそれであるいはいいのかもしれないけれども、やはり、制度をつくる以上は、その制度の立法事実というか、こういうものをはっきりさせておかなければ、後々いろいろな支障が出てきても私はおかしくないんじゃないかなと思っております。

 そこで、先日、ちょうどたまたまフェイスブックだったか何か、私、SNSで拝見したんですけれども、厚生労働省の社会・援護局福祉人材確保対策室武内和久室長がある事業者団体で講演をされております。これから実習制度が始まるに当たって説明をされたんだと思うんですけれども、このとき、これからこういうふうになるんだよという説明をどこまで室長がされたのか、あるいは、私が指摘したところ以外にもあちこちの事業者団体を回ってそういう説明を既に始めているのか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 技能実習への介護職種の追加でございますけれども、これは、今先生がおっしゃいましたように、大変介護事業者の方々から高い関心、声が寄せられております。私どもだけではなくて、それぞれの事業者団体の方にも数多くのいろいろな御照会があるというふうに聞いております。もとより、私どもにもいろいろな照会が寄せられております。

 そこで、私どもといたしましては、介護職種の追加についてまだ検討中の段階でございますけれども、さまざまな機会を通じまして、そもそもの技能実習制度の趣旨でございますとか、介護職種の追加に関する現在の検討状況、こういったものにつきまして必要な情報提供を行わせていただいております。ただいま御指摘のありました講演もその一環ということでございます。

 その中で、特に介護職種の追加の検討につきましては、関係の方々、関係の業界の方々あるいは有識者の先生方にお集まりいただいて、外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会、これを設けて検討を進めております。その中では、仮に追加をするといたしました場合の制度設計の基本的な考え方、これを整理いたしておりまして、そういったことも含めて、御紹介、情報提供を行っております。

 具体的に申しますと、そもそもの技能実習制度の趣旨自体は、今御指摘ありましたように、日本から開発途上国等への技能移転でございますので、必ずしも介護人材の確保を目的としているものではないというその基本論。

 それから、介護職種を追加するということになりました場合に、やはり対人サービスでございますので質の担保、そういったような介護サービスの特性に基づく要請に対応できるような具体的制度設計を現在進めているところだという点。

 そして、具体的には、現在、技能実習制度の見直し法案が出されておりますので、その詳細が確定しました段階で、今申し上げました介護特有のいろいろな要請に対応できるということを確認した上で、この技能実習制度の見直しと同時に対象職種への追加を行う。

 こういった手順で今考えているところだというような情報提供を行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、御関心いただいている方々、事業者の方々に正確に御理解いただくことが必要だと思っておりますので、今後とも適切に情報提供に努めてまいりたいというふうに思っております。

牧委員 今後とも適切に情報提供に努めてまいりたいというお話ですけれども、今のお話は情報提供ではないんですよね。具体的にどうなるのか。

 例えば、日本語のコミュニケーション能力が当初はN4で入ってもらって、一年以内にN3だとか、具体的な話がもう既にいろいろと飛び交っているわけで、多分対策室長もそういった具体的な話をこの事業者の団体で講演されたんだと思います。そうじゃなかったら、今のようなお話だったら、何のために講演に来たんだと言われかねないと思うんですね。

 ですから、もうちょっと、やはり準備も必要でしょうから、もうわかっていることはより具体的にお知らせをいただきたいと私は思いますし、私を初めきょうここにおられる厚労委員会のメンバーの人たちは、恐らく、厚生労働委員会のメンバーだから、あんた、知っているでしょうと地元のそういう事業者からも多分聞かれていると思います。

 もう少し情報を出していただけないかという思いできょうは私、質問に立たせていただきましたので、もうちょっと具体的なところを聞いていきたいと思います。

 対象国というのは、対象と想定している相手国ですよね。これは多分、EPAと重なるようなインドネシアとかフィリピンとかベトナムだとか、そういう重なるところが多いんじゃないかと思いますけれども、この人たちに対して、さっきちょっと触れましたけれども、例えば日本語のコミュニケーション能力、こういうものも一定のものを求めていくということに多分なると思います。

 そうすると、当初の技能移転という趣旨からすると、わざわざ向こうで日本語を勉強させて、いずれはその技能を自国に持ち帰ってそこで生かしていただくという趣旨ですから、何も無理やり日本語を覚えさせる必要も何もなくて、その技能を持った人が現地へ行って指導すれば、そっちの方がよっぽど合理的だと思うんですけれども、わざわざこの職種を加えるその必然性についてちょっと認識をお伺いしたいと思います。

    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木政府参考人 介護の技能を移転いたします場合に、今先生おっしゃったように、先方に出かけていって指導者が技能移転を図るというのも一つの手法ではあろうと思います。

 ただ一方で、いろいろな、高齢化をこれから迎える諸外国、特にアジアを中心といたします国々で、やはり日本で確立いたしました日本型の介護というものに対する関心、あるいはそれを取り入れたいという声が非常に強いわけでございます。

 具体的に日本の介護の特色といいますのはいわゆるチームケアでございまして、さまざまな多職種、それから介護の中でも主導的な立場にいる人と非常にまだ初歩的な方々、そういったものがチームとして介護を提供することによって非常に質の高い効率的な介護が行われている。そこがある意味、諸外国が取り入れたい技能の中心点だということになってまいります。

 そういたしますと、やはり基本的にそういうシステムがきちんとでき上がっている日本に来ていただきまして、OJTを通じまして、日本の介護施設で日本のスタッフとともにチームとして介護を実践する、こういったことによって日本の介護が適切かつ効果的に習得できるということで、そういった道を今追加する検討をしているということでございます。

牧委員 鈴木さん、理屈と御飯粒はどこにでもくっつくといいますけれども、今のお話は無理やりくっつけた理屈にしか私には聞こえないわけで、現地、送り出し国のニーズに合致させることと日本におけるOJTというのは必ずしも一致しないんだと思うんですよね。

 それと、もう一つは、例えば、人口構成のピラミッドを見ると、これはポピュレーションピラミッド・ドット・ネットという、私もネットで見たんですけれども、例えばベトナムの人口構成というのは、ちょうど四十年前の日本と似たような形になっておりまして、特にハノイとかホーチミンの一人当たりのGDPというのは、一九七〇年の日本とほぼ同じだということであります。

 そうすると、ベトナムにおいて、現地のニーズというのが今の日本のような状況になり始めるのが四十年後だというふうに思うんです。

 そうすると、今現在、技能移転で日本の介護のチームワークを勉強した人たちが実際にベトナムでそれを役立てるというときになると、もう自分たちが今度は介護を受ける年齢になっているわけで、これは決して、現地のニーズに合わせた技能移転という言葉は、私は苦しい言葉じゃないかなというふうにしか聞こえません。

 もっとざっくばらんに、介護の人材が足りないんだ、足りないからこういう人材をもっと入れる仕組みをつくろうじゃないかというようなことに真剣に私は取り組むべきだと思うんです。

 こそくと言ったら失礼かもしれないけれども、こういうやり方で入れるよりは、もうちょっと介護の人材を受け入れる別の仕組み、もっと正々堂々と入れる仕組みを私はつくるべきだと思うし、そしてその前に、何よりも、日本の国内に眠っているいろいろな人材がまだまだいると思います。そういう人たちを発掘するためには、基本的に、冒頭触れた、介護に従事する人たちの処遇をもっともっと見直す仕組みを考えなきゃいけないと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 介護につきましては、今後さらに人材が必要になるということでございまして、あくまでも、私どもは、やはり国内の人材確保対策をどう充実強化していくかということが基本であって、あらゆる施策を総動員して、総合的な、そしてまた計画的な取り組みをしなければならないというふうに考えております。

 介護人材のこれからの将来推計を既に出させていただいておりますけれども、どういう資格を持っていらっしゃる方、あるいは資格を持っていらっしゃらない方などに加わってもらうかというのは、いろいろあろうかと思うんです。

 二十七年度の予算におきましては、地域医療介護総合確保基金が二十七年度から介護についても適用になるわけでありますけれども、介護人材の参入促進、そしてまた資質の向上、労働環境、処遇の改善のための取り組みを支援するとともに、二十七年度の介護報酬改定におきましては、介護職員の処遇改善加算を拡充いたしたわけでございます。

 一方で、介護分野における外国人の受け入れにつきましては、介護人材の確保を目的とするものではなくて、EPAは、さっき申し上げたとおり、経済活動の連携強化という目的で、その特例的な受け入れ、そして、技能実習は、開発途上国への技能移転という制度趣旨に沿って実施、検討をするものであるということを私どもとしてはやはり考え方として持っていきたいというふうに考えているところでございます。

牧委員 ありがとうございます。

 ちょっと、時間がないので、どうしても確認しておきたいことを最後に一点だけ確認したいと思うんですけれども、これはいろいろな事業者から聞かれるものですから、ここで確認したいんですけれども、実習生の受け入れ方法ですね。

 今までの技能実習、農業ですとか建築業だとかいろいろな職種があるんですけれども、それぞれ、企業単独型とそれから団体監理型というふうに二つのやり方があるんです。特にこの介護に関しては、海外で介護事業を展開している日本の事業者というのはないでしょうから、恐らく企業単独型というのはないと思うんですね。そうすると、団体監理型で人材を受け入れる形になると思うんですけれども、このときの監理団体というのはどういう団体になるんでしょうか。

 今までですと、協同組合だとかあるいは農協だとか、そういうところが受け入れ団体になっていましたけれども、介護については、そういった事業者の協同組合だとか、何かそういうものが受け入れの受け皿になるのかどうなのか、ちょっと具体的に教えてください。

鈴木政府参考人 監理団体につきましては、まさに現在検討中でございまして、制度上は、企業単独型、それから団体監理型、どちらでなければならないということではございませんので、想定上はどちらもとり得るような形で制度設計をしなければならないと思っております。

 ただ、先生がおっしゃるように、例えば事業組合とかそういったものについては基本的に十分候補にはなるだろうと思っておりますが、いずれにいたしましても、介護という対人サービスにつきまして初めての職種追加ということで検討いたしておりますので、そういった質の担保がきっちりできるような、そういった監理団体の要件というものを検討して、できるだけ早くまた情報提供もしてまいりたいと思っております。

牧委員 そこはきちっとやっていただきたいと思います。

 これまで、例えば溶接工ですとか左官工ですとかそういう人たちを受け入れていた協同組合で、まさか介護の実習生を入れるということはないというふうに今確認をさせていただきたいと思いますけれども、受け入れ団体についてはきちっと厚労省でグリップしていただきますようにお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 まず冒頭、この数日来、北関東そして東北地方を襲っております水害、大災害について、被災者の皆様にお見舞い申し上げるとともに、政府におかれてもその対応、対策をしっかりやっていただきたい。私たちも災害対策本部をきのうつくりまして、塩川鉄也国対副委員長を先頭に、今、現地調査にも入っているところであります。

 ちょっと久しぶりの厚労委員会での質問ということになりました。きょうはよろしくお願いいたします。

 戦没者の遺骨収集について、塩崎大臣に伺っていきます。

 ことしは戦後七十年です。私は、一九四七年、沖縄で生まれました。私が幼いころ、父親の畑仕事での役割は、戦没者の遺骨が畑に散らばっている、これを拾い集めて、そして畑の四隅に積み上げておく、これを毎日のようにやらされました。拾っても拾っても次々遺骨が出てくるという状況でありました。やはりちょうど私たちの世代は、みんな共通の体験としてそのことを語ります。

 厚労省の資料によりますと、海外で戦死した人は約二百四十万人、収容した遺骨は百二十七万人になっておりますが、十五年前の数字が出てきまして、十五年前が百二十三万人でしたから、十五年間で遺骨の収容というのはわずか四万人ということにしかなっていないわけです。

 遺骨収集というのは、戦没者の方々の遺骨を遺族に返すことが最終目的だと思います。遺族に返す努力を怠らず、遺骨を遺族にお返しするまでが国の責務としての遺骨収集である、こういうことでよろしいでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の遺骨収集帰還事業の目的でございますけれども、先生がおっしゃいますように、さきの大戦で戦没した方々の御遺骨の収集帰還事業は国の責務でございまして、一柱でも多くの御遺骨を早期に可能な限り収容して御遺族にお返しすることが目的だというふうに思っております。

赤嶺委員 念のための確認ですが、戦没者には、軍人軍属以外に住民、民間人も入っていると考えますが、それでよろしいでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、戦没者の中には、軍人軍属以外に、海外等で亡くなられた一般住民の方も含んでいるところでございます。

赤嶺委員 先ほど来の議論で、遺骨収集、遺族のもとに返還をするということと同時に、戦争を知らない世代に対する歴史の継承というのもありました。問題は、どんな歴史を継承するかだと思うんですよ。

 沖縄に、ガマフヤーというボランティア団体が活動をしております。遺骨収集をすると戦争の実相が見えてくる、こうおっしゃるんですね。遺骨収集の作業中に、手りゅう弾やあるいは小銃弾など、さまざまな戦争の遺物を発見している、それらを見ていくと、いかにあの戦争が無謀で、しかも人命も人権も無視した残忍なものであったか、戦争の実相がよくわかる、このようにおっしゃるんです。

 激戦地の那覇市の、今も中心地になっておりますが、真嘉比という場所で収集作業を行ったときに、米軍の小銃弾が五百十一発見つかったのに対して、日本軍のものはたったの五発だったそうです。沖縄戦の体験者は、よく、一発撃ったら百発返ってきた、こういう証言をやりますけれども、それが大げさじゃないということが裏づけされております。

 また、日本軍の戦い方ですが、タコつぼごうという一人用の小さなごうを掘って、そこに潜んで地上戦を戦ったりしています。このタコつぼごうというのは、一度入ってしまえば逃げ場がない、そういう戦法でありました。幾つかの遺骨がタコつぼごうからも発見をされています。

 たくさんの手りゅう弾も発見されておりますが、中には陶器製のものがあります。最後の方は日本軍に金属で手りゅう弾をつくるほどの物資がなく、とうとう陶器製にしてまで手りゅう弾をつくっていたことがわかります。

 人命軽視の戦法をあっちこっちでとっていた、こういう戦争の実相も継承していく大事な意味があると思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 遺骨収集帰還事業に学生や青年に参加していただくことなどによって、さきの大戦の記憶を次世代に継承していくということは大変重要な意義があると考えているところでございまして、今回の議員立法におきましても、これは国の責務ということでありますけれども、国民挙げてこの問題にしっかりと向き合うということも大事な点ではなかろうかというふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 戦争の実相を知れば知るほど、祖国や家族を思い、遠い異郷の地で亡くなっていったという、その言葉だけでは語り尽くせない、いわば遺骨収集の現場での問題があると私は思うんですね。やはり戦争ほど残忍で汚辱にまみれたものはない、そういうようなことが遺骨収集から見えてくるわけですから、そういう記録もしっかりとっていただきたい、このように思っております。

 七十年たって、いろいろな課題があります。政府として、今度、議員立法でもいろいろ言われておりますが、今後どういう課題に取り組んでいかれるのか、そしてあわせて、地上戦が繰り広げられた沖縄での遺骨収集の今後の課題について端的に説明していただけますか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 先生から遺骨収集帰還事業の課題ということでお尋ねいただきましたけれども、やはり戦後七十年が経過いたしまして、御遺族や戦友が既に高齢化して、当時の状況を知る方が少なくなっておりまして、遺骨情報が減少しております。また、先ほどから申し上げておりますように、比較的遺骨収集が容易な埋葬地も少なくなってきているということの事情から、先ほど先生がおっしゃいましたように、遺骨収集の数も減ってきております。困難な状況になってきているというふうに理解しております。

 したがいまして、厚生労働省におきましては、情報収集が今後大事だというふうに考えておりまして、諸外国の国立公文書館等が保有する資料の情報収集の強化を図りますとともに、そういった海外におきます遺骨収容が円滑に進むよう、外務省を通じまして相手国政府との交渉などを行いまして、事業実施の環境整備に努めていきたいというふうに考えております。

 あと、沖縄におきます遺骨収集帰還事業でございますけれども、現在は国と沖縄県が遺骨収容を行ってきておりますけれども、平成二十七年八月末現在で十八万七千二百五十柱の遺骨を収容しているところでございます。

 沖縄の遺骨収容につきましては、重機によります掘削等が必要な大規模なごうにおきましては国が、それ以外の地域につきましては県が遺骨収容を実施しております。また、平成二十三年度からは戦没者遺骨収集情報センターで遺骨収容に係る情報を一元的に収集する事業を沖縄県に委託しておりまして、国と県で今後とも連携を図りながら遺骨収容を進めていきたいというふうに考えております。

赤嶺委員 そこで、ちょっと沖縄での遺骨収集が抱えている課題についてもお聞きしていきます。

 沖縄では、米軍基地が返還をされて跡地利用の区画整理が始まるとか、あるいは自治体での区画整理事業が始まるとか、土地を掘り返したら必ずその公共事業の中で遺骨が発見されるケースが、数多くあります。激戦地だった場所は、県民の記憶にも大変生々しいあの地域が区画整理事業に入るのかというものを持ちます。

 沖縄で例えば公共事業を実施するに当たって、不発弾の探査は義務づけられているわけです。ところが、遺骨については特に義務づけはないわけですね。発見したら警察に知らせてとか、いろいろな手続を経るということになっていますが、遺骨についても、地面を掘り返す場合に十分に配慮すべきよう、やはり注意を喚起すべきルールを持つべきじゃないか。

 先ほど、硫黄島では、遺骨が地下に埋まっているかどうか、滑走路のもとでの探査というお話もありましたが、そういうものがルール化されないで、見つかったら知らせてくださいという受け身じゃなくて、ルール化すべきじゃないかと思いますが、この点はいかがですか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のように、沖縄では、例えば土地区画整理事業の対象地域で工事をした際に遺骨が出る場合が多くあるというふうに聞いているところでございます。事業者がそういった工事をしている際に御遺骨を発見した場合には、先ほど議員御指摘ありましたように、必ず警察には連絡して、警察から、もしくは直接に県にも連絡が行っているというふうに聞いているところでございます。

 また、その事業者が出てきた御遺骨を丁寧に扱っているというふうには思っておりますけれども、例えば、遺骨収集帰還事業に参加される方には作業等要領というのが幅広く流布されておりますので、必要に応じて、また事業者にそういった作業等要領についても配付することも考えていきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 作業等要領を徹底しているので、遺骨収集作業に当たる事業者も遺骨の尊厳を守りながら丁寧にやるだろうというお話でしたけれども、これを読んでいっても、やはり、土を掘り返して、ベルトコンベヤーに土を載せて、その中から出てくる遺骨を拾う、こういうことについての留意というのはこれには何も書いていないんですね。今までのそういうものでいいんだという話ではないと思うんですよ。

 遺骨がきれいな形で、完全な形で見つかるのは、教育委員会の公共事業地域における埋蔵文化財の調査、あれは丁寧にやりますからね。非常に丁寧にやっていく。そうしたら、やはり、例えばごうの中で避難していた方、ごうが落盤して亡くなった、いわば本当に遺骨がきれいな形で出てくるわけですね。私も現場で見たことがあります。

 ある戦没者の遺族が、戦争中にあなたのお姉さんはあのごうに隠れていたよということで、七十年そのごうのあたりに通い詰めて、だけれども、草木に覆われて場所がわからない。思い余った遺族は、この地域で区画整理事業が行われるということを聞いて、自治体にお願いしたんですね、区画整理事業をやるときには、この場所に自分の姉が眠っているかもしれないと。それで丁寧な発掘を求めたら、本当に出てきたわけです、五人。十代の女性ですが、軍属で、裁縫箱と下敷きと、名前も書かれてあった。

 しかし、DNA鑑定したら本人確認ができなかったといって、みすみす、七十年探し続けた遺骨が目の前にあるのに、遺骨として認められなかった、悔しい、DNA鑑定で本人として確認できなかったという紙切れ一枚で、本当に政府は責任を持っているのか、こういう怒りの声が出てくる。これは政治家に対しても起きるわけです。

 いろいろなケースがあります。しかし、教育委員会でさえ埋蔵文化財の調査はきちんとやる、その場合に遺骨が出てくるケースもある。私は、こんな作業等要領でやればできますじゃなくて、やはり一体一体、一柱一柱見つけることが困難であるからこそ、見つかったものは必ず遺族に返すという点では、まず公共事業の場合の遺骨の発見のルール化をもっと厳格にやるべきだと思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 遺骨収集の関係でNPO団体とか事業者にお願いをしている場合に、そういったところからの情報で、地下ごうとか埋葬地が存在するような可能性が高いという判断をされる場合には、土地区画整理事業の対象地域か否かにかかわらず、遺骨収集のための調査を行うということとしているわけでございまして、それはある意味、今の遺跡の調査にも相通ずるところがあろうかと思うわけでございます。

 いずれにしても、遺骨に関する情報がある場合には、速やかに収容できるよう、沖縄県と連携をして厚労省としても対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 収容された遺骨からDNA鑑定することも非常に困難でありますが、まず収集する場所で、激戦地であった場所で公共事業が今後行われる、そういうときの厳しいルール化、埋蔵文化財を調査するぐらいのルール化をしていく、こういうことを強く求めていきたいと思います。

 それで、きょう実は質問する予定にしていたら、きょうの朝日の朝刊に、DNA鑑定について、遺骨からだけでなく、遺族と見られる人にも呼びかけていくという記事が出ております。厚労省発の記事だと思いますが、太平洋戦争中の戦没者で身元不明の遺骨について、厚生労働省は部隊の記録などの資料から遺族と見られる人にDNA鑑定を促す方針を固めた、名簿が残っている沖縄を対象に今年度中に着手していくという。これも説明していただけますか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 戦没者遺骨のDNA鑑定でございますけれども、従来は、今から述べる三条件があるときに限ってやっておりました。その三条件と申しますのは、個体性のある遺骨から鑑定に有効なDNAが抽出できる場合で、しかも遺族から適切な検体が提供され、さらに三つ目としまして、記名等のある遺留品があってそれで関係遺族を推定できる場合にDNA鑑定をしていたところでございますけれども、戦後七十年を迎えまして、戦没者の御遺骨の身元特定に向けてさらなる取り組みを行っていく必要がありますことから、先ほどの三条件の三つ目でございます遺留品などがなくても、部隊記録等の資料によりまして地域を絞り込んである程度戦没者が特定できた場合には、関係すると思われる遺族に対しましてDNA鑑定の呼びかけを行って、御遺骨の身元を特定していきたいと思っておりまして、それを今検討中でございます。

 現在、厚生労働省が保有しております留守名簿とか戦史叢書、さらに沖縄県庁からもさまざまな資料を提供していただいております。

 したがいまして、まずは沖縄県で収容された戦没者の御遺骨について実施することを検討しておりますけれども、実施時期については今検討中でございまして、まだ未定でございます。

赤嶺委員 実施時期についても、これは官房長官も同趣旨の発言をしていますから、難しい仕事を言いつけられたと思わないで、積極的に取り組んでいただきたいと思うんです。

 遺骨は、沖縄においては、今新しい場所として次々発見されているのは終戦直後の収容所なんですね、米軍が管理しておりました。十六地区に約三十万人が収容所に収容されておりまして、劣悪な環境のもとで収容所で亡くなった方もたくさんおられます。

 この問題も課題がありますが、ちょっと絞って伺いますが、キャンプ・シュワブの基地が名護市にあります。そこには大浦崎収容所という収容所がありました。これは国会図書館にあった本ですが、名護市が編集した「語りつぐ戦争」という体験談が載っている本の中に、大浦崎の収容所ではマラリアで亡くなる人が毎日十何人もいた、遺体は一人一人埋葬しました、このように書かれているんです。

 先ほど、海外での文献の調査ということもありましたが、基地の中といえども、そこには収容所での遺骨が埋葬されているわけですから、これは戦没者遺骨と同じです。同様な取り扱いで、基地の中であっても遺骨収集の対象として政府はその資料を集め、そして、そういう根拠がはっきりしたら、基地の中であってもちゃんと調査をして遺骨を収容すべきだと思いますが、これはいかがですか。

塩崎国務大臣 今先生御指摘のキャンプ・シュワブ等米軍基地内の遺骨収集につきましては、まず関係者の証言などの遺骨情報の有無を沖縄県から伺うこととしたいと考えているところでございます。

 その上で、仮に情報がある場合には、外務省、防衛省などと連携をして、基地内の遺骨収集について米軍側に対して要望を行うことについて検討したいというふうに考えております。

赤嶺委員 つまり、政府として責任を持って収容すべき遺骨があれば、米軍基地の中であろうとこれはやらなきゃいけない、そういう認識だと思いますが、大臣、それでよろしいでしょうか。

塩崎国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

赤嶺委員 終わります。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 今次の大戦の終結から七十年が経過し、戦没者の御遺族を初めみずからも今次の大戦を体験した国民の高齢化が進展しております。戦没者の御遺骨については、昭和二十七年度以来、政府が収容を実施し、これまでに約百二十七万柱が収容されたものの、いまだ多くの御遺骨の収集が行われていない現状にあります。

 本案は、こうした状況に鑑み、戦没者の遺骨収集の推進に関し国の責務を明らかにするとともに、戦没者の遺骨収集の実施に関し基本となる事項等を定めることにより、戦没者の遺骨収集の推進に関する施策を総合的かつ確実に講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、「戦没者の遺骨収集」とは、今次の大戦により沖縄、東京都小笠原村硫黄島その他厚生労働省令で定める本邦の地域または本邦以外の地域において死亡した我が国の戦没者の遺骨であって、未収容または未送還のものを収容し、本邦に送還し、当該戦没者の遺族に引き渡すこと等をいうこと。なお、戦没者には、今次の大戦の結果、本邦以外の地域において強制抑留中に死亡した者を含むものとすること。

 第二に、国は、戦没者の遺骨収集の推進に関する施策を総合的に策定し、確実に実施する責務を有すること。また、国は、平成二十七年度以降十カ年間を、戦没者の遺骨収集の推進に関する施策の集中実施期間とし、戦没者の遺骨収集を計画的かつ効果的に推進するよう必要な措置を講ずるものとすること。

 第三に、政府は、戦没者の遺骨収集の推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置等を講じなければならないこと。

 第四に、政府は、集中実施期間における戦没者の遺骨収集の推進に関する施策を総合的かつ計画的に行うため、基本計画を策定しなければならないこととし、基本計画は、戦没者の遺骨収集の推進に関する施策についての基本的な方針等の事項について定めるものとすること。

 第五に、国は、戦没者の遺骨収集に必要な情報の収集等を推進するため、国内外の施設等において保管されている文献の調査その他の情報の収集に必要な体制の整備等の措置を講ずるものとすること。

 第六に、国は、本邦以外の地域における戦没者の遺骨収集に必要な情報の収集及び戦没者の遺骨収集の円滑な実施を図るため、関係国の政府等と協議等を行い、その理解と協力を得るよう努めなければならないこと。

 第七に、国は、戦没者の遺骨収集が行われるべき地域について、その地域の状況に応じ、戦没者の遺骨収集を計画的かつ効果的に実施するものとするとともに、収容された遺骨に係る戦没者の特定を進めるため、遺骨の鑑定及び遺留品の分析に関する体制の整備等の措置を講ずるものとすること。

 第八に、厚生労働大臣は、戦没者の遺骨収集に関する活動を行うことを目的とし、未収容または未送還の戦没者の遺骨の収容、送還等の業務を適正かつ確実に行うことができると認められる一般社団法人または一般財団法人を、その申請により、全国を通じて一個に限り、当該業務を行う者として指定することができること。

 なお、この法律は、平成二十七年十月一日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付しております草案を戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十八分散会


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