衆議院

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第4号 平成28年3月11日(金曜日)

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平成二十八年三月十一日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 秋葉 賢也君 理事 江渡 聡徳君

   理事 小松  裕君 理事 後藤 茂之君

   理事 白須賀貴樹君 理事 初鹿 明博君

   理事 山尾志桜里君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    大串 正樹君

      大野敬太郎君    木村 弥生君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      高橋ひなこ君    谷川 とむ君

      中川 俊直君    永岡 桂子君

      長尾  敬君    丹羽 秀樹君

      丹羽 雄哉君    比嘉奈津美君

      福山  守君    堀内 詔子君

      牧原 秀樹君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      山下 貴司君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    大西 健介君

      岡本 充功君    中島 克仁君

      山井 和則君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    角田 秀穂君

      中野 洋昌君    高橋千鶴子君

      堀内 照文君    浦野 靖人君

      重徳 和彦君

    …………………………………

   議員           中島 克仁君

   議員           泉  健太君

   議員           山井 和則君

   議員           山尾志桜里君

   議員           初鹿 明博君

   議員           井坂 信彦君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   内閣府副大臣       高鳥 修一君

   厚生労働副大臣    とかしきなおみ君

   厚生労働大臣政務官    三ッ林裕巳君

   環境大臣政務官      白石  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            生田 正之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       広畑 義久君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       香取 照幸君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十一日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     大野敬太郎君

  郡  和子君     阿部 知子君

  西村智奈美君     山井 和則君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     木村 弥生君

  阿部 知子君     郡  和子君

  山井 和則君     西村智奈美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(中島克仁君外八名提出、衆法第一二号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 本日で東日本大震災から五年を迎えます。

 改めてお亡くなりになられた方々を悼み、深く哀悼の意を表しますとともに、被災地の一日も早い復旧復興を祈念いたします。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員の御起立をお願いします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

渡辺委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案及び中島克仁君外八名提出、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省職業安定局長生田正之君、職業安定局雇用開発部長広畑義久君、雇用均等・児童家庭局長香取照幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀内照文君。

堀内(照)委員 おはようございます。日本共産党の堀内照文です。

 きょう三月十一日、東日本大震災から五年ということであります。私も、二十一年前の阪神・淡路大震災の被災者であります。改めて、犠牲になられた方への哀悼の意を表するとともに、御遺族や被災者の皆様に心からのお見舞いを申し上げたいと思います。

 早速、質問に入らせていただきます。

 本会議の質問に続きまして、まずは雇用保険法等改正案についてお伺いしたいと思います。

 本会議で私は、給付水準の引き下げや受給資格要件の制限などによって、完全失業者が二百万人を超えているにもかかわらず、基本手当の受給者が四十一万人、二割しかカバーできていないと指摘をしたところ、大臣からは、完全失業者の中には雇用保険の対象とならない方もいるなど、単純な比較は困難だという御答弁でありました。

 それでは、お伺いするんですが、雇用保険の失業給付について、基本手当を受給中に再就職ができた人というのは全体の何%なんでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 雇用保険の基本手当の受給手続を平成二十四年度中に行った方のうち、基本手当受給中に再就職した方の割合は、平成二十七年五月末現在で二二・八%でございます。なお、この二二・八%のほか、待期期間中に、あるいは給付制限期間中に再就職した方が一三・三%いらっしゃいます。

堀内(照)委員 やはり、失業給付を受けながら就職活動ができた人というのは二割程度なんです。つまり、あとの人は、就職が決まったのが給付制限中か給付期間が切れてからでありますから、もしくは、いまだ就職が決まらない、切れてもなお決まらないという人もいらっしゃる。ですから、収入面で本当に不安を抱えながらの求職活動を余儀なくされているということなんだと思うんです。だからこそ、私は、給付水準をもっと引き上げることが必要だと指摘をしたわけであります。

 本会議でも指摘をしましたけれども、前回改正時に、生活安定機能を充実させるための基本手当の改善についての検討をと、衆参両院で附帯決議が上がっております。大臣、この決議をどう受けとめておられるでしょうか。

塩崎国務大臣 平成二十六年の附帯決議も踏まえて、今回、基本手当のあり方については、昨年の夏以降、労働政策審議会雇用保険部会において精力的に検討をいただいてまいりました。

 具体的には、この附帯決議などを踏まえて、基本手当受給者の再就職状況を、今御質問もございましたけれども、基本手当支給額と再就職時の賃金の状況などのデータに基づいて検討を行っていただきまして、その中で、労使双方からさまざま意見が出されました。

 労働者代表委員からは、現在の雇用保険の財政事情や最低保障の考え方などから給付水準の引き上げや給付制限期間の短縮を行うべきではないかという御意見が出された一方で、使用者代表委員からは、基本手当受給者の再就職状況の指標について、前回改正のとき、つまり二十六年の改正のときと変化が見られないことや、モラルハザードの観点などから見直しの必要性が乏しいのではないかという御意見が出されて、引き続き検討ということになりました。

 今回の法案は、附帯決議の趣旨を踏まえて、労働政策審議会において真摯に検討された結果に基づいて立案したものでございます。

堀内(照)委員 今、大臣は労政審等の経過を説明されたんですが、私が聞いたのは、基本手当の改善の検討ということが具体的に明記された附帯決議が上げられているわけであります。その受けとめということでお聞きしたんですが、再度、いかがですか。

塩崎国務大臣 今申し上げた経緯の中にさまざまな御意見がありましたが、私どもとしては、この附帯決議で、基本手当の改善及び雇用保険料率の引き下げについて検討を行うということでございました。

 そういうことで、生活安定機能を充実させるための基本手当の改善という観点はしっかりと踏まえた上で議論をしてまいったわけでありますので、それはやはり、今申し上げたように、さまざまな御意見があるということを踏まえた上で、この附帯決議の定めにのっとって議論をさせていただいたということでございます。

堀内(照)委員 さまざまな意見があるということで、労政審の報告では、今大臣が言われたように、労働者側、使用者側双方の意見が両論併記という形で、引き続き検討ということなんだと思うんですが、私、この使用者側のモラルハザードという言い分、これは本当に許しておいていいのかと思うんです。

 この間、雇用の規制緩和を求め、不安定雇用をつくり出したのは一体誰なのか。内部留保を三百兆円もため込みながら、それに見合って労働者の賃金や雇用というのがよくなっていない。ふえているのは非正規雇用が多いわけでありますから、雇用のモラルハザードというんだったら、では誰がつくり出したんだと私は本当に問いたいと思うんですね。

 正社員の有効求人倍率は〇・八、本当に就職活動というのはなお厳しいものがあるわけであります。だからこそ、この生活安定機能を充実させるための基本手当の改善、これが本当に求められていると思うんです。

 雇用保険法は、給付を行うことで、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進することを目的としている。ですから、受給期間制限の廃止や給付水準をしっかり引き上げていく、日数の拡大ですとか、そういった法の目的にもある生活と雇用の安定、求職活動を容易にする、そういう水準に引き上げるべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 今、基本手当を充実すべき、こういうお話がございました。

 先ほどのモラルハザードの問題などについて、今先生から問題点の指摘もございましたが、やはり、失業の長期化、それから、それに伴う労働者の言ってみれば職業能力の低下を防止するためにも、できる限り早期に再就職ができるということが大事であって、それを支援するという観点も、生活保障とともにこの雇用保険にはあるのではないかというふうに考えておりまして、今般の法律案において、再就職手当の給付率を引き上げることとしているわけであります。

 私どもとしては、やはり、あわせて、ハローワークにおいて、雇用保険を受給されている方々が希望する職種にできる限りつけるように、引き続いて、個々の求職者の状況とか、あるいは特技というか能力などに応じたきめ細かな就職支援を行って、できる限り失業の期間が長くならないように、御本人にもそれぞれ御努力をいただきながら、しっかりとこの制度でもってお支えをし、また支援をするということをやることを本旨としていくべきだというふうに考えているところでございます。

堀内(照)委員 できるだけ早期にということだったら、給付制限の期間があるということ自体、やはりなくすべきだと思うんですよ。

 若い世代は、そもそも低賃金で、数百万円の奨学金の返済を抱える、貯蓄などもない中、離職してしまうとたちまち収入が途絶えるわけです。そこで、次の職を探す間の給付がなければ、まずは食いつなぐというために、ブラックバイトなどでもとにかく働かざるを得ないということに追い込まれるわけです。安定した雇用に結びつく道が遠のくばかりだ。

 ですから、私、法の目的こそ実現されるためにも、給付水準の引き上げ、これはぜひこの立場に立つべきだ、こう思うんですが、大臣に再度お願いしたいんです。

塩崎国務大臣 この制度自体が、これまでいろいろやってきて、改革をしてきておりますけれども、そういう中で、先ほど申し上げたとおり、失業の状態の長期化というのはやはり避けるということで、できる限りの早期の再就職を支援しないといけない、それも計画的な就職支援というものが行われなければいけないんだろうというふうに思っています。

 そういう意味で、基本手当の支給とハローワークにおける再就職支援というのをうまく組み合わせた上で、雇用保険受給者の再就職を支援するということになるべきだというふうに思っておりまして、先ほど申し上げたように、今般のこの法律案では、再就職手当の給付率を引き上げるなどとしているわけでございます。

 繰り返しになりますけれども、やはり、それぞれ個々の求職者の職業能力も低下をしないようにするためにも、できる限り早く再就職ができるようにしていくことが重要でありますので、さまざま考慮をする中で、基本手当については、今回、特に引き上げるということはしていないということでございます。

堀内(照)委員 基本手当と就職支援、これは両方大事だということは答弁であったと思うんです。

 だからこそ、私は、基本手当の方はやはりまだ今は実態に見合っていない、水準の引き上げが必要だということを重ねて申し上げたいと思うんです。

 国庫負担について伺います。

 これも何度も国会の附帯決議で本則に戻せと指摘され続けてきました。労政審の報告でも、「法附則第十五条の「できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとする」との規定に基づく措置を講ずるべきである。」と指摘されています。

 ところが、大臣の本会議の答弁では、経済財政諮問会議で取りまとめられた方向で検討するというものでありました。

 財政審の建議では、さらに踏み込んで、一定規模で国庫負担を停止する方向で速やかに検討を開始する、こう書かれているんですね。

 大臣、これは一体どういう方向で検討されるんでしょうか。こんな、国庫負担停止なんということを検討されるんでしょうか。

生田政府参考人 まず、財政審の建議の位置づけについて御説明をしたいと思います。

 財政制度審議会につきましては、財務大臣の諮問機関でございまして、一方、雇用保険の国庫負担のあり方につきましては、雇用保険法の第六十六条あるいは附則の十三条、十五条に規定されてございまして、あくまで労働政策審議会で諮問いただくような事項でございます。諮問して、答申をいただく事項でございまして、公労使で御議論いただくものというふうに承知しております。財政審の建議によりまして、国庫負担の本則復帰も含めまして雇用保険行政のあり方が決定されるわけではないというふうに考えてございます。

 国庫負担の当面のあり方につきましては、私どもとして、労働政策審議会の雇用保険部会の考え方はもちろん踏まえるわけですけれども、昨年末の経済財政諮問会議の考え方でも、さまざまな要素を考えながら検討していくというふうにされてございます。

 昨年の経済・財政再生計画の改革工程表の表現をそのまま使いますと、積立金や雇用保険料の水準、経済雇用情勢の動向、ここからが重要なんですけれども、雇用保険法附則第十五条の規定、国庫が果たすべき役割等を勘案して、二〇一八年度末までに関係審議会等において検討し、結論を得て、検討の結果に基づいて必要な措置を講ずるとされてございまして、この関係審議会等と申しますのは労働政策審議会のことでございますので、その場で公労使できちんと議論していきたいというふうに考えてございます。

堀内(照)委員 どういう方向を向いているのかということを、大臣、ぜひ最後、この問題での答弁、国庫負担をどうするのか。

塩崎国務大臣 経緯と今のスタンスについては、今局長から御答弁申し上げましたけれども、基本的に法律で、雇用保険法の附則の第十五条で、「安定した財源を確保した上で附則第十三条に規定する国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとする。」というふうに定められているわけで、四分の一に戻せ、法律では附則でこういう御指示をいただいているわけであります。

 ですから、それが基本でありますけれども、積立金とか先ほど申し上げた雇用保険料の水準等々を総合勘案して、二〇一八年度末までに関係審議会等において検討し結論を得る、検討結果に基づいて必要な措置を講ずる、こういうふうになっておりますので、基本は、今申し上げたように、私ども、法律に従って行政を執行するのが政府でございますのでそういうことでありますけれども、次の措置に向けては、今申し上げたような改革工程表で定められたことを勘案しながらこの方針にのっとって検討していこう、こういうふうに考えているところでございます。

堀内(照)委員 国庫負担が本当に守られるのか、本当に私は不安、危惧を覚えるわけです。これはしっかりやはりやるべきだとここは申し上げておきたいと思います。

 シルバー人材センターの要件緩和について伺います。

 収益を目的としないシルバー人材センターが一般就労と同様の労働者派遣を進めると、安価で条件の悪い就労が広がるんじゃないか、私はそういう懸念を本会議でも指摘しました。

 実際に、要件緩和を都道府県が判断する上での具体的な指標、これはどうなっているのかということで、本会議でもお尋ねをしましたが、さらにこれを、具体的にどうなるのか、地域の高齢化の状況や緩和しようとする業種等の求人の充足率などを想定しているということでありますが、どんな指標がどのようになれば緩和できるのか、できないのか、ここを具体的に示していただきたい。

 それから、就労が請負と派遣が混在する、そういう危惧も私は指摘をしましたが、ガイドラインを策定するんだということでありました。そのガイドラインはいつできるのか、これはちょっとあわせて御答弁いただけますか。

広畑政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、シルバー人材センターの要件緩和の基準でございます。

 今委員御指摘のとおり、都道府県知事が指定する業種と職種については、要件緩和によって高齢者の就業機会の確保に寄与することが見込まれるものであって、かつ、厚生労働省令で定める基準に適合するものであることとしております。

 具体的には、一つは、競合する事業者の利益を不当に害することがないと認められること、二つ目は、他の労働者の就業機会等に著しい影響を与えることがないと認められることを考えてございます。

 具体的な指標といたしましては、御指摘いただきました、地域の高齢者の労働力人口や就業率、シルバー人材センターの職業別の受注の件数、要件緩和を行おうといたします業種等における求人の充足率などを想定してございます。こうした指標をもとに、都道府県において総合的に判断していただくこととしてございます。

 もう一つ、シルバー人材センターのガイドラインについてでございます。

 委員御指摘のとおり、この件につきましては、昨年十二月に取りまとめられました労働政策審議会の建議を踏まえまして、シルバー人材センターの適正就業確保のためのガイドラインを策定することとしてございます。

 ガイドラインには、シルバー人材センターが業務の受注や高齢者への依頼に当たって留意すべき事項を定めることとしてございます。

 今後、ガイドライン策定のための検討会を立ち上げ、留意する事項を定め、来年度のできるだけ早い時期に取りまとめができるように進めてまいります。

堀内(照)委員 これは四月一日施行なんですね。ところが、これだけの重大な緩和がされるのにその基準もまだわからないし、それから、ガイドラインというのも、これから策定して来年度の早い時期にということですから、本当にこれでいいんだろうか、シルバー人材が本当に適正な高齢者の雇用を守りながら、それから他の就労者の雇用にも影響しないようなことに本当になっていくのか。私、これはもうちょっときちんと示すべきだと思うんです。

 ぜひ、これはアウトラインでも、もしくは考え方でも、もう一歩踏み込んで示していただくことはできないんでしょうか。審議に資するように、早く示していただくことは。

広畑政府参考人 今御指摘いただきました厚生労働省令で定める基準につきましては、施行が四月一日を予定してございますので、それに間に合うようなスケジュールを考えてございます。

 それからもう一つ、ガイドラインにつきましては、いろいろ問題となります事象をできるだけ幅広く集めたいと思っておりますが、遅くても秋ぐらいまでには出せるように検討してまいりたいと思っております。

堀内(照)委員 法案審議に間に合わないわけなんですよね。ですから、ちょっとこれはもう少し、きちんと考え方を示していただく必要が私はあると思うんです。

 委員長、ぜひ、厚労省から、ペーパーで、考え方なりアウトラインなり示していただくということを求めたいと思うんですが、いかがですか。

渡辺委員長 理事会で協議いたします。

堀内(照)委員 育児休業取得について伺います。

 有期契約労働者の育児休業取得の要件が緩和をされます。女性が多いだけに本当に大事な問題だと思います。

 非正規労働者でどれくらい、出産をまたいで就労、就業が継続しているのか、また育児休業の制度を利用できているのか、ここが本当に大事だと思うんです。出産前有職者のうち、子の出生後一年の時点で就業継続していた者の割合、及び、そのうち、育児休業を取得して就業継続した者の割合は幾らになっているでしょうか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 二〇一〇年に、国立社会保障・人口問題研究所が第十四回の出生動向基本調査というものを行っております。

 これによりますと、パートや派遣で働いている女性で、出産前、つまり妊娠時に就業されていた方のうち、出産後に継続就業されていた方の割合は一八%、そのうち、育児休業を取得して継続就業された方の数は四%と承知しております。同様に、これを正規職員の場合で申し上げますと、就業継続が五二・九%。育児休業取得者が四三・一%、こういう数字になってございます。

堀内(照)委員 今ありましたように、全然少ないわけであります。

 非正規労働者では、育児休業が利用できて就業が継続できた人は、わずか四%であります。だからこそ、この要件緩和は本当に求められていると思います。

 今度新たに、一つは、当該事業主に引き続き雇用された期間が一年以上であること、もう一つは、子が一歳六カ月に達する日までにその労働契約が満了することが明らかである者を除くとされております。

 大臣は、本会議の答弁で、この要件緩和の効果ということで、粗く見積もってということでありますが、有期労働者の育休取得が六万人ふえるという答弁でございました。しかし、現状は今、四%とあったように、圧倒的に少ないわけですから、さらに踏み込むことが私は必要ではないか。

 少なくとも、一つ目の要件の、一年以上雇用を継続されている人であれば取得できる、こういうことも必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 育児休業というのは、育児を理由とする雇用の中断を防ぐ、その雇用の継続を図るということが大目的でございます。

 これまで、有期契約労働者に関しましては、三つの要件を満たさないといけないということでありましたが、今回、そのうちの二番目の、子供が一歳以降も雇用継続の見込みがあることというものを削除するということが一番大きな変更で、もう一つは、二歳までの間に更新をされないことが明らかである者を除くというときの、二歳までというのを一歳六カ月までとするのが変更であります。

 有期契約労働者のうちで、休業することによって雇用の継続が相当程度図られる方を対象とすべきと考えているわけでございまして、具体的には、申し出時点で一年以上継続して雇用されていること、そして一歳六カ月までの間に更新されないことが明らかでない方、この双方を満たす方を育児休業取得の対象としたわけでございます。

 今先生からの御提案で、申し出時点で一年以上継続して雇用されていることのみの要件にするということになりますと、あらかじめ復帰しないことがわかっている方、すなわち育児休業を取得しても雇用の継続が見込めない方についてまで休業させることを事業主に義務づけることになるということもあるわけでございまして、御指摘のような要件緩和になりますと、育児休業の趣旨に照らして、これは適当ではないのではないかというふうに考えているところでございます。

堀内(照)委員 女性労働者の皆さんの声を聞きますと、仕事はとても充実していて長く勤めたいと考えているが、非正規のために雇いどめがささいなことで起きてしまうので心配だ、妊娠イコール退社となってしまうのが現状で、育休がとりにくいんだという声です。こういう声が後を絶ちません。政府も均衡待遇とは言うわけですから、女性労働者の多くを占める非正規雇用の方々が正規と比べて育休の取得にできるだけ差がないように、これも申し上げておきたいと思うんです。

 一つ確認なんですが、今回の要件緩和、今二つの点があるということですが、二つ目の要件がわかりにくいという声があります。

 この理解の問題をちょっと確認したいんですが、これは一つに、更新されないことが労働契約に明記されている者、それから二つに、契約に更新の上限が定められ、その上限が子が一歳六カ月に達する日までに到来する者、この二つを除くという、この理解でいいのかということを確認したいんです。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいまの点でございますが、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、有期労働者の方でも就業継続ができるだけ可能になるように休暇をとっていただくということになりますので、今お話のありました二つの要件ですが、具体的に申し上げますと、まず一つは労働契約の内容がどうかということと、あと、休業を申し出た時点でどういう事情になっているかということを確認して判断をするということになります。

 事業主から書面または口頭で労働契約の更新はいたしませんということがあらかじめ明示されている、かつ、申し出の時点で子が一歳六カ月に到達する日までの間に労働契約が終わるということがあらかじめ明らかである、それから、同様に、書面または口頭で更新の回数の上限が明記されていて、その更新の期限というのが子の一歳六カ月の間に到達をするということで、いずれの場合も、労働契約が、休業期間中、一年六カ月の間に満了するということが明らかである、こういう方については、休業期間中に、もう雇用が終わるということが明らかだということになりますので、こういう方は除外をいたします。逆に言えば、それ以外の方については基本的には申請ができるという形にするということでございます。

堀内(照)委員 確認しておきたいと思います。

 最後に、野党提案の介護人材確保の特措法について伺います。

 本法案は、額としてはまだ第一歩ではありますけれども、しかし、賃金を引き上げるというメッセージが介護や障害関連の労働者に伝わるということは、本当に大事な意味を持っているんだと私は思うんです。

 一昨日のこの委員会でも、保育士の処遇改善も大問題になりました。この点では、保育士の処遇を改善するということも、やはり待ったなしの課題だと思うんです。その点、所見を伺いたいと思っております。

山井議員 御質問ありがとうございます。

 御指摘のように、介護職員の賃金引き上げのみならず、保育士の賃金引き上げ、これも待ったなしであります。ここにもその要綱が既にでき上がっておりますが、私たちも、来週火曜日には党内手続を終え、そしてほかの党にも呼びかけて、介護職員の賃金引き上げの法案とともに、新しく用意しております、保育士など、幼稚園教諭も含めまして賃金引き上げの法案、これについては与野党違いはないと思うんですね、待機児童政策は待ったなしですから、ぜひとも皆さんの御賛同を得て速やかに成立させて、それこそが待機児童対策の解決に大きな一歩となることと確信しております。

 ありがとうございます。

堀内(照)委員 ありがとうございます。

 終わります。

渡辺委員長 次に、山井和則君。

山井委員 四十分間質問をさせていただきます。

 まず、何よりも、きょうは東日本大震災から五年がたった日であります。お亡くなりになられました方々に心よりお悔やみを申し上げたいと思いますし、何よりも、被災地では多くの方々がまだ被害に苦しんでおられます。国会議員の私たち、力を合わせて震災復興の加速に取り組むことをお誓い申し上げたいと思います。

 そこで、冒頭、一つ塩崎大臣にお伺いをしたいわけでありますが、私たちが非常に気になる問題として、福島県で二月に発表された調査では、甲状腺がんが福島県で百十六人になっている。震災前は、百万人に対して一人から三人の割合とされていたわけです。もちろん、このような甲状腺がんの因果関係というのは非常に難しい部分があると思いますが、私は、たまたま先ほど委員会室の前で塩崎大臣の記者会見を聞いていまして、びっくりしたんですね。甲状腺がんがふえているのではないかというこのような調査結果について塩崎厚生労働大臣はどう思われますかという質問に対して、環境省の担当だからコメントはできないということをおっしゃったんです。

 でも、違うでしょう。国民の健康を守る、がん対策に関しても、これはまさに塩崎大臣の管轄でもあると私は思います。ぜひとも、甲状腺がんの福島県のこの結果に関しても、さまざまなこととの因果関係等、しっかりと厚生労働省として真相究明や対策に取り組むということを御答弁いただきたいと思います。

塩崎国務大臣 厚労省が国民の健康に責任を持つということについては異論はないわけでございますけれども、福島県の原発事故に伴う健康被害、放射線による健康被害の対応については環境省の所管であるということを申し上げたわけでありまして、これは平成二十四年の九月の環境基本法改正によって環境省で行うこととなった、これは法律の事実であるわけでございます。これは民主党政権のときに行われたものでございまして、現在もその枠組みは維持をされているということであります。

 厚労省としては、当然、健康に対しての全般的な責任を負っていることは間違いないわけでありますが、この問題に関して、放射線の健康被害、影響については、専門医の確保など、技術的、人的な支援を当然のことながら行っているわけでありまして、引き続き、環境省と必要な協力を行ってまいりたいと思います。

 そもそも、がん対策につきましては、甲状腺がんも含めて、この一月から、がん登録等の推進に関する法律というものも施行になりました。これは議員立法で私ども皆さん方と一緒にやったところでございますが、正確ながん罹患状況等の把握、それから、適切な医療へアクセスができるようにがん診療連携拠点病院や小児がん拠点病院の整備をする、あるいは、患者、家族の不安や悩みに対応するがん診療連携拠点病院に設置をされた相談支援センターの充実を図るとか、それから、昨年の十二月にはがん対策加速化プランというものも提案をさせていただきまして、これに基づいて、基本計画を加速化するということをやらせていただいているわけでございます。

 同時に、がん対策基本法につきましては、議員立法でございますので、今、超党派の議員連盟で、抜本改正、ちょうど十年を迎えるのがもう間近でございますので、例えば、小児がんの問題であるとか、あるいは、職場でがんに罹患をしても仕事を続けられるようにするためにどうするかといったような問題については、加速化プランの中でかなり提案をしておりますけれども、この基本法の改正についても、当然私どもは議員立法の改正について御支援を申し上げるということで、私の方からも指示をしているところでございます。

山井委員 この問題については後ほど柚木議員も質問をさせていただきますが、がん対策基本法の話とかに話をそらさないでください。私もがん対策基本法の提出者の一人ですよ。十年前にこの委員会でみんなで通したんですよ。そんなことは知っていますよ。

 今深刻な問題になっているのが、甲状腺がんが福島県でふえているのではないか。そのお子さんたちやお母さんやお父さんからすれば、管轄が環境省なのか厚生労働省なのか、そんなことは厚生労働大臣から聞きたくないんです。

 しっかりと、百十六人も、たくさんの方の甲状腺がんが調査結果で出ている。ふえているのではないだろうか、風評被害のことがありますから軽々に言えないことは私ももちろんわかっております。それを踏まえて、やはり、環境省の管轄だからコメントできないではなく、がん対策、国民の健康を守る責任者である塩崎大臣としても、コメントを一言お願いしたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたことと同じでありますけれども、甲状腺がんもがんの一つでございまして、これについて私どもが正面から取り組むことは何も変わらないわけでありますので、環境省とよく連携をしながら対応をしていこうと思っているところでございます。

山井委員 この続きは柚木議員に譲りますが、先日の「保育園落ちた日本死ね!!!」というあのブログの安倍総理の答弁にしても、何か人ごとのような気がしてしようがないんですよ。今までどおり頑張っていきますよと塩崎大臣はおっしゃるけれども、今までどおりじゃないんですよ。深刻な問題が今被災地で起こっているかもしれないんです。そういう被災地の皆さんに寄り添う気持ちが感じられないような答弁、私はいかがなものかと思います。

 さらに、リストラ助成金の質問に入る前に、もう一つ、先日山尾議員も取り上げられましたこの待機児童対策。

 一昨日、二万七千人もの方々の、待機児童のママさんやそして賛同される方々の署名を、塩崎大臣、そこの理事会室で受け取っていただきました。これはもう私は前代未聞のことだと思っています。たった三日間でそれだけの賛同署名、いや、お母さんたちの悲鳴が大臣に届けられた。

 そのときに、塩崎大臣は、財源が見つからないということをおっしゃられたんですね。しかし、これは重要ですよ。民主党政権のときに、自民党、民主党、公明党三党合意で、消費税の子育て支援の七千億のプラスアルファ三千億、保育の質の三千億と言われている、保育士の賃金引き上げ、職員配置基準の引き上げ等々のこの三千億は、財源を確保して実施すると三党合意しているんです。

 にもかかわらず、横から軽減税率が今入ってきて、軽減税率の財源六千億円があるんだったら、その前に約束した、全国のお母さんたちや子供たちの悲鳴が届いているこの三千億、軽減税率より前に、前に約束しているんですから。さらにこれは、政党間の合意だけじゃないですよ。全国のママやパパや子供たちとの、子育て支援を応援するよという、子供たちとの、日本の未来との約束だと私は理解しております。

 塩崎大臣、その署名を受け取られて、一刻も早く保育の人材確保、待機児童対策をせねばならないということで、軽減税率より前にこの三千億円の財源を確保する、そういう決意を固めていただけましたでしょうか。いかがですか。

塩崎国務大臣 三党合意のときに、これは民主党政権の際に行われたものでございますが、そこに、「幼児教育・保育・子育て支援の質・量の充実を図るため、今回の消費税率の引き上げによる財源を含めて一兆円超程度の財源が必要であり、政府はその確保に最大限努力する」というふうに三党合意をしたわけでございます。

 このときの政府というのは民主党政権でもあるわけでございまして、いずれも、三党合意をしたからには、ともにやはりこの財源を探すということについては共同責任を負っているわけでありまして、そこのところは外すことはできないことであって、どっちが先とか後とかいうことではなく、我々にとって大事なのは、今回、一億総活躍社会の中でも、二本目の矢は子育て支援であり、三本目で介護の問題を中心とする社会保障の安定化を言っているわけであって、それぞれに必要な社会保障の充実については、優劣をつけることなく大事なことはやっていくということで、私どもは、最優先課題の一つとして子育て支援をやっていくということは、何ら変わっていることではないというふうに思います。

 今お示しをいただいている「職員給与の改善等」というところに三百八十一億、これに加えて児童養護施設などで働いていらっしゃる方々のことも考えれば、約四百億をどこから恒久財源として持ってくるかということを我々として考えなきゃいけないことでありますので、これはともに、御一緒に考えていただきたいと思いますし、もちろん、一義的には政府がこれを責任を持って考えるということでありますので、予算編成の際に考えていく大事な問題としてやっていかなければいけないというふうに思っております。

山井委員 極めて無責任です。どっちが後か先かじゃないとおっしゃっていたけれども、先に決まっているのはこちらなんですよ。それで、軽減税率の財源は来年三月までに決めると決められたじゃないですか、政府は。ところが、この三千億の財源のめどは立っていないどころか、横入りした軽減税率六千億のために、これは基本的に、事実上、断念になりかかっているんですよ。

 私たちは、先ほども言いましたように、今、保育士さんたちへの一万円の賃金引き上げの法案をつくっております。しかし、軽減税率は、ここにもありますように、一兆円のうち約六千億円は年収五百万円以上の人に行くんですよ。年収三百万円未満の低所得者の方々に行くのは一一%、つまり、たった一千一百億円なんですよ。

 六千億の財源が確保できるなら、今深刻になっている待機児童対策を含む子ども・子育ての三千億に優先してまず回すべきだと思いますが、塩崎大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 いかなる政策であろうとも、恒久財源がなければできないということは、民主党政権、三年余りおやりになってよくわかったことだと思います。あのときは、二万六千円の子ども手当で随分国民の期待はありましたし、その他の政策についてもありましたが、やはり恒久財源が必要だということは、あそこで証明をされたわけであります。

 我々も、大事であることは、もう三党合意で合意をしているわけで、しかし、皆さん方の政権のときもこの財源は見つけ得なかったわけでありまして、我々は、今まさに最優先課題として、二本目の矢の子育て支援の中で、この三千億も含めて、そして、特に人材が大事でありますから、他の産業と比べてみてもなかなか厳しい状況である保育士の報酬についても対応をしていかなければならないということは、当然、この三千億のことをともに約束をした、今度は政権を担っている我々として、責任を持ってこれを実現していかなきゃいけないというふうに思っているところでありまして、何ら皆様方と考えは違わないわけで、唯一違うとすれば、我々は、責任を持って恒久財源を探した上で、これを恒久的な措置としてやっていかなければならない。

 財源なしの提案をするのは簡単でありますけれども、我々は、やはり責任ある政府としてそのようにさせていただきたいと思います。

山井委員 安定財源が必要だという言葉は、そのままお返ししたいです。なぜ軽減税率六千億には安定財源が確保できて、その前から約束していた、子供たちやママさん、パパさんの願いである子ども・子育ての三千億に安定財源が確保できないんですか。私は、本当にこの子ども・子育て支援、待機児童対策に後ろ向きな政府・与党には怒りを感じざるを得ません。

 ついては、先日も浦野議員がこの場で提案をされていましたが、多くのママさん、パパさん、お子さんたちも、待機児童対策、本当に今不安に思っておられますので、ぜひ早急にこの厚生労働委員会で、保育問題、そして待機児童問題、子ども・子育て問題の集中審議を開いていただきたいと思います。

 委員長、理事会で諮ってください。

渡辺委員長 理事会で協議をいたします。

山井委員 本当に残念なことばかりですが、さらに、次に入ります。

 リストラ助成金のことは、事もあろうに、政府、厚生労働省が旗を振って首切りをビジネスにする、首切りビジネスを政府が推進する、そういう疑いが持たれております。大西議員、初鹿議員も先日質問をされました、この問題であります。

 つまり、もう国会でもさんざん議論をされておりますから、一々は申し上げませんけれども、事の発端は、王子ホールディングスという会社が、最近、百人以上退職勧奨をしていった、リストラをしていった、しかし、退職勧奨ではなくて、実際は退職強要、無理やりの退職の疑いが濃い。さらに、そういう首切りに関連して、一人当たり十万円の労働移動支援助成金が雇用保険の財源から流れている。つまり、そのようなリストラ、首切りを国策でやっている。そういうことになれば、一億総活躍社会どころか、一億総リストラ社会になってしまうわけです。

 そこで、お伺いしたいと思いますが、質問通告もしております。きょうも、昨年の七月、このリストラ助成金などによって退職勧奨、退職強要をされた被害者の方が傍聴にもお見えになっております。

 どういうふうなことになったのかといいますと、結局、ある日、人事部長に呼び出されて、退職してくれないか、そういう話が来るわけですね。そのときに示された資料も私は手元に持っております。それで、当然、二十年ぐらい勤めた方ですから、家族もあるから退職できませんと言いますよね。ところが、だまされたと思ってテンプスタッフ、人材会社に行ってください、そういう話になる。何をしに行くんですか、いや、再就職先を探してもらうんですと。いやいや、退職する気はないんですから嫌です嫌ですと言い続けたら、最後にどう言われるか。では、あなたは来月から総務部付でテンプスタッフで仕事をしてください。そこで何するんですか、再就職先を探してもらいます。

 退職を拒む、ある意味では当たり前ですよね、多くの方が。拒んだら、いや、拒んでも、出向で人材会社に行って再就職先を探させる。

 塩崎大臣、これは、今までから国会でも、民主党・維新の党の厚生労働部門会議でも議論となっておりますが、このような、会社側が、退職か、人材会社に出向して再就職探しをするかの二者択一を迫ることは不適切ですよね。今まで抽象的な答弁しかもらっておりませんが、この場で明確に不適切と御答弁願いたい。

 なぜならば、答弁されないのであれば、今週末まで、今月末までに返事をしろと、今もリストラで迫られている人がいるんです、はっきり言いまして。塩崎大臣が不適切とここで答弁しなかったら、とまらないんです。とまらないんです、これ。一回退職届を出しちゃったら、なかなか戻れないんです。先日、初鹿議員も言われましたが、それによってお子さんが進学を断念しているケースも出てきているんです、残念ながら。

 塩崎大臣、会社側が、退職か、人材会社に出向して再就職探しをするかの二者択一を迫ることは不適切だということをこの場で御答弁ください。

塩崎国務大臣 きょうは傍聴席にもたくさんの方がおられるので、あえて申し上げますが、労働移動支援助成金のそもそもの目的は、労働政策の一つとして、言ってみれば、付加価値の低い産業から付加価値の高い産業に産業構造を変えていかないとなかなか賃金が上がらないということで、その産業構造が変わっていくことをバックアップしよう。その際に、当然人材も移っていかなければいけないということで、ほっておいたら、政府が何もしなければ、企業が、言ってみればリストラをするだけで終わってしまう。それではやはりいけないだろうということで、できる限り短時間のうちに別な就職先に就職ができるようにということで、労働移動を支援する制度として組み立てたものでございます。

 そのために導入されたものでありますので、その趣旨に沿っていない使い方をされることに、私たちは、もちろんこれは違和感を我々も考えているところでありますから、今……(山井委員「質問に答えてください」と呼ぶ)ちゃんと答えますから、ゆっくりちょっと聞いてください。説明をさせていただけたらというふうに思います。(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛にお願いします。

塩崎国務大臣 政策意図と合わない形でこの政策が使われることは、私たちとしては本意ではございませんので、それにはきちっと対応をしていく、そういう方針でございます。

 その上で、今、山井議員の御質問に答えるとすれば、退職か、人材会社に出向して再就職探しかの二者択一を迫るということは不適切ではないかということでございますが、企業の従業員に対する業務命令というものが権利の濫用に当たるか否かは、これは当然、個別の事案ごとに、これは民と民の間の問題でありますので、最終的には司法において判断されるものであるということをまず押さえなければならないと思っております。

 一方で、労働者保護を使命とするのが我々厚生労働省でありますから、我々としては、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を労働者に負わせるような人事権の濫用というものは不適切であるというふうに考えているところでございます。

山井委員 ここに配付資料も出ていますが、今の答弁なんか、数日前からもらっているんですよ。それではわからないからということできょうも質問通告しているんでしょう。イエス、ノーでしっかり答えてください。

 裁判しろって、どうやってできるんですか、首を切られた方が、家族もいるのに。無責任なことを言わないでください。どうやって裁判なんかするんですか。そういうリストラを、退職強要を未然に防ぐのが厚生労働大臣の仕事でしょう。ちゃんと答えてください。

 今週末、今月末までにも、退職か、人材会社に行って再就職探しをするか、迫られている人がいるんです。迫られている人がいるんです。私も相談を受けているんです。首がかかっているんです。裁判したらいいじゃないんですよ。裁判できないんですよ、そんなもの。どうやってできるんですか。子供の進学を抱えている人が首を切られて、どうやって裁判するんですか。

 そうならないために、もう一度お聞きします。

 会社側が、退職か、人材会社に出向して再就職先探しをするかの二者択一を迫ることは不適切なんですか、不適切とは言い切れないんですか。はっきり明確に答えてください。

塩崎国務大臣 そんなに大きな声を出さなくてもよく聞こえますので、よろしくお願いしたいと思いますが。

 山井議員も、政権におられたときは労働担当の大臣政務官を厚生労働省でお務めになられたので、よくおわかりの上でおっしゃっているんだろうというふうに思います。

 それは、先ほど申し上げたように、企業と従業員の関係は民と民との間の関係でございます。したがいまして、先ほど申し上げたように、民と民の間の関係が不適切かどうかというような問題を含めて、これは司法の場で最終的には個別によく精査をした上で判断をされるということであることは、これはもう労働の法制の中で基本的なことでありますから、大臣政務官をお務めになった山井さんはよくわかっておられると思います。

 その上で、厚生労働省の使命として、労働者保護を使命としているわけでありますから、その観点から申し上げれば、先ほど申し上げたように、通常甘受すべき程度を著しく超えるような不利益を労働者に負わせるような人事権の濫用というのは不適切だということを申し上げているので、個別の案件については、それは私どもが解釈をする問題ではなくて、最終的には裁判所で判断をするものでありますが、労働政策としてどうかといえば、今申し上げたようなことで、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を労働者に負わせているかどうかということについての判断は、最終的にはこれは裁判所で行われるものというふうに理解をしているところでございます。

山井委員 私もそれは多少興奮する部分はあるかもしれないけれども、実際、リストラされた方は路頭に迷っているんですよ。しっかりとこれが不適切であるというような答弁をいただいて、通知を出してもらわないと、雇用保険の方の採決はできませんよ。当たり前じゃないですか。雇用保険のお金がこういう退職強要に使われている、そんなことで雇用保険料を払えますか。雇用を守るためじゃないですか。

 実際、時間に限りがありますから言いますけれども、例えば、きょうの配付資料の八ページを見てください。失業なき労働移動といいながら、賃金がふえた人は何%ですか。たった一一%じゃないですか。八八%減っているじゃないですか。何が成長産業への移動ですか。何から何に移動しているかというのも、製造業から製造業が一番多くて、そう簡単に成長産業に移動になっていませんよ。

 さらに、ここにも書いてありますように、十ページ、結局、今調べがついている中で、六百五十人のうち百二十三人、つまり、一八%、二割の人は再就職先が見つからずに、路頭に迷っているんですよ。何が失業なき労働移動ですか、二割もの人を路頭に迷わせて。

 昨年七月に王子が行った退職勧奨、退職強要が疑われるものでも、二十六人が退職に追い込まれて、現時点で再就職先が見つかっているのは二人じゃないですか。中には、やめたくない、仕事を続けさせてほしいと泣きながら言ったのに、テンプスタッフに行って再就職先を探してくださいと言われて、私も何人もの被害者に会いましたけれども、これは指示ですかと言ったら、相手の部長が、業務ですよ、業務ですから人材会社に行ってください、そこまで言っているんですよ。

 さらに、きょうの配付資料にもありますように、テンプスタッフは、こういう資料を持って各会社に人員削減をやりませんかとセールスして回って、それをやれば一人十万円のリストラ助成金が出ますよと。ここに書いてあるでしょう、二ページ目、三ページ目。例えば大手の化学企業では、五十人リストアップして四十四人首を切りましたよ。そして、どう書いてありますか。この制度によって、各部門長が自信を持って面談を行い、退職勧奨のための話ができたことと。

 でも、全然違うじゃないですか。たくさん首を切れていますよと言うけれども、泣きながら抵抗しても逃げ切れずに、やめさせられて。例えば、お子さんがおられる方は、そのことがまだお子さんに言えないんですよ、子供がショックを受けるから。今までは七時に出て九時に帰っていた。帰れないんですよ。早く帰ったら子供に何かあったのかと思われるから、晩の七時に帰れないんですよ。一日じゅうどこかで時間を潰して、晩御飯も一人で食べて。

 今、テンプスタッフで見つかりそうな仕事は、今まで七百万円ぐらいあった年収なのが、三、四百万のものしか見つかりそうにもない、半額になるんですよ。これは労働者だけの問題じゃないんですよ。子供の人生も狂うじゃないですか。

 これは、今調査をしてくださっているということですけれども、もし、調査結果によって、本人の意思に反して退職を強いられた事例が明らかになれば、今、塩崎大臣は、裁判しろ、個別労使紛争しろとおっしゃいましたが、言っておきます、そんなことはできません、子供を抱えて。できませんから。

 かつ、これは、国が助成金をふやしたからそれに乗っかっている国策リストラみたいなものなんです。国の責任はあるんです。だから、この被害者の方々がもし退職強要、無理やり自分の意思に反して退職に追い込まれたということが明らかになれば、そのリストラされた方を復職させるなり、補償金を出すなり、救済策を国の責任でやっていただきたい。

 これは、王子ホールディングスやテンプだけの問題じゃないんです。それに雇用保険のお金が流れているんです。国策でやっているんですよ。ぜひとも被害者の救済策を講じていただきたい。いかがですか。

塩崎国務大臣 何度も申し上げておりますけれども、人事権の濫用は不適切であって、それについては、当然、私どもとしては、啓発指導をするということで、実際、王子にも来てもらって、きちっとしたことを伝えているところであります。

 そもそも、これは、先ほど来お話が出てきている労働移動支援助成金とこの一企業の行動というのがリンクしているわけではないわけであって、なおかつ、今お話でありますけれども、例えば、平成二十六年度から本格的にこの助成金を活用するようになりましたけれども、二十五年度と二十六年度とを比べてみても、民事上の個別労働紛争に係る相談というのはむしろ減っているぐらいで、ふえていないんですね。

 ですから、この制度がそういうことをもたらしたのではなくて、企業の中でそういうところがあるということを私たちは認識した上で、なおかつ、日本経済が付加価値の高い産業構造に変わっていくために、この制度を使って、できるだけ早く、失業なき労働移動で、新しい職場で働くことができるようにしていこうということをやるこの政策目的には何ら間違いはない。

 ただ、問題は、それを悪用するのであるならば、どうやってその悪用を阻止して正しい使い方をしてもらうようにするかということが大事なんだろうというふうに思います。

 今、救済をすべきではないのかというお話がございましたが、事業主によって退職勧奨を受けて退職をされた方が、その後、当該退職勧奨が違法な退職強要であったとして事業主に対して復職や損害賠償を求めるような場合、行政にはこのような民事上の事案を直接的に解決する仕組みはございません。

 このような事案については、やはり裁判、あるいは、比較的短期間で結論の出る労働審判というのも用意をされています。さらには、労働局で実施をしております個別労働紛争解決制度というのがございまして、それによって解決を求めることが可能であることから、御本人に対しては、これらの制度について丁寧に御説明を申し上げるということで対応していきたいというふうに思っておるところでございます。

 こういうような中で、御本人が個別労働紛争解決制度の利用を望まれる場合には、お一人お一人に丁寧な対応をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

山井委員 無責任きわまりない。国策のミスで多くの方をリストラさせておきながら、それで問題が起こったら、裁判しなさい、個別労使紛争をしなさい。

 塩崎大臣、全く事の深刻さをわかっていないけれども、これがだめでなかったら、日本じゅうの五千万人の労働者、あした人事部長に呼び出されて、退職してください、そして断ったら、人材会社に行ってください、そういうことになっちゃうわけですよ。

 これは実際、十ページにありますが、王子ホールディングスの進藤会長は、朝日新聞の記事によりますと、この問題が明らかになってから、こうおっしゃっているんですね。「制度にのっとってやったものだし、退職勧奨が違法というわけでもない」。つまり、制度にのっとってやっている、国策に従ってやっているから問題ない。まさに、これは国の問題なんです。

 さらに、塩崎大臣は、退職強要の違法性が明らかになったらとおっしゃいましたが、繰り返し言うように、退職強要の違法性は裁判しないと明らかにならないし、裁判なんかできないんですよ。

 そういう意味では、さらに、ここの配付資料にもありますが、今回問題になっている王子ホールディングス、十一ページにありますけれども、私も驚いたんですが、経団連の雇用政策委員会の委員長、王子ホールディングス会長の進藤氏は、経団連の雇用政策委員会委員長。さらに、テンプスタッフの社長の水田正道社長は、人材派遣協会の会長なんですよ。

 つまり、人材派遣協会の会長、経団連の雇用政策委員長というのは、本来、こういう雇用政策が企業にとっても労働者にとっても一番いいという模範を示すべきものだと私は思いますが、こういう雇用政策委員長そして人材派遣協会の会長の会社が、こういう退職強要と疑われかねない多くの被害が今出ていることをやっていることに関して、適切だと、塩崎大臣、思われますか。いかがですか。

塩崎国務大臣 これは民間の経団連という組織の中での人事でございますので、私どもがコメントする立場にはないというふうに思いますし、それは、今のような御指摘がこの国会であるということを踏まえて、それぞれ、その立場、つまり、今特定されたこの委員長は、適切にみずから御判断をすることだというふうに思います。

山井委員 これは、雇用保険財源ですからね、雇用保険料が退職強要に使われているという前代未聞の、私は大問題だと思っておりますし、今言いましたように、経団連の雇用政策委員長、人材派遣協会の会長がそういうことを進めている。

 ここでブレーキをかけないということは、これを広げていくということですからね、モデルにして、どんどん一億総リストラ社会に近づけていくということですから、看過できませんので、ぜひ、進藤会長そして水田社長を参考人としてこの厚生労働委員会に呼んでいただいて、もし問題がないとおっしゃるんだったらそれで結構ですから、どういう趣旨でこういうことをやっておられて、どうこれが失業なき労働移動で、何人の方が賃金が上がって、何人の方が喜んでいられるのかということをお聞きしたいと思いますので、水田社長、進藤会長の参考人招致をお願いします。

 理事会で協議してください。

渡辺委員長 理事会で協議いたします。

山井委員 それで、私はやはり、こういう、一歩間違うと退職を奨励していって、退職した人を再就職させるビジネスでお金をもうけるというのは非常に問題があると思っております。

 このテンプスタッフ、派遣業の今度の契約がことしの七月三十一日で切れると聞いております。ついては、もし今やっている調査で本人の意思に反して退職を強要されたという事例が発覚したら、この三年後のさらに許可を取り消すということもあり得るのか。

 さらに、今、五百人の再就職した人に調査票を発送されていまして、あした、十二日が郵送の期限と聞いておりますから、来週月曜日からは返事が返ってくると思います。この雇用保険法の採決までにこの問題の真相究明と解決はせねばなりませんので、郵送の返事が十通でも二十通でも戻ってき次第、私たちにその結果を順次報告してもらえる、そのことを、御回答、二点お願いしたいと思います。答弁をお願いします。

渡辺委員長 申し合わせの時間が既に過ぎておりますが、答弁は簡潔にお願いいたします。

塩崎国務大臣 今、有料職業紹介事業の許可の扱いについてお問い合わせがございましたが、許可の取り消しは、職業安定法の規定に違反したときなどに行うことができることとされております。

 また、許可の更新につきましては、職業安定法に基づく許可基準に照らして判断をすることとしたところでございまして、審査に当たっては、今回の事案も踏まえ、許可基準に適合するか否か、丁寧に審査をしてまいりたいというふうに思います。

 アンケートにつきましては、約五百人の方にお願いをしておるわけでございますので、できる限り速やかに結果を取りまとめてまいりたいというふうに思っております。

山井委員 戻ってきたものから、順次私たちに公表をしていただきたいと思いますし、最後になりますけれども、違法性があればじゃないんですよ。裁判をしないと違法性は明らかになりませんし……

渡辺委員長 既に時間は終わっていますので、質疑をやめてください。

山井委員 裁判なんかできませんから、そういう前提ではなくて、問題があると判断したら対応していただきたいと思います。

 以上で終わります。

渡辺委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 きょうも質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私の方からも、冒頭、きょうは三月十一日でございます。東日本大震災でお亡くなりになった方々、御遺族の皆様に、心よりお悔やみと、そしてまた御冥福をお祈り申し上げ、いまだ行方不明の方も多くおられる。けさも、私もテレビ報道等を見て涙をいたしました。多くの委員の皆さんや国民の皆さんとともに、この五年の節目を、復興を本当の意味で前に進めていく、そういう決意を共有させていただければと思っておりまして、後ほど甲状腺がんの対策の拡充等についても質問をさせていただきます。

 前回、私、認知症の最高裁判決、賠償責任の関係を含めて、保障制度等、質問をさせていただきましたが、きょうの保育士の処遇改善、そしておとといの委員会でも介護職員の処遇改善、これはどちらも共通する課題でもありますし、まさに、保育、介護、もちろん、家族で一生懸命子育てや介護を頑張っておられる方がたくさんおられる中で、しかし、やはり社会全体で支えていくことの重要性、必要性が今大きくクローズアップされていると思っておりまして、まず冒頭、この委員会にも提出をされております介護従事者等の処遇改善法案関連について、それぞれ提出者に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、提出者の泉提出者、山井提出者に伺いますが、この法案の必要性、さらに、保育士等の処遇改善の必要性、これもいかに考えるか、また、介護離職ゼロのために本法の果たす役割はどうなのか、それぞれ御答弁をお願いいたします。

泉議員 御質問ありがとうございます。

 私も、当選前、短期間でありますが介護事業所で仕事をさせていただいたときがありまして、そのときにも既に男性の結婚退職というのが随分話題になっていました。寿退社というよりも、養っていけない、だから退職しなければいけない、こういう状況が当時からも介護の現場でありましたが、今もなお、十万円ほど平均賃金が安いという低賃金の状況になっているということでありまして、その結果、離職率も高いということになっております。何とかこの状況を改善したいということで、我々、立法させていただきました。

 そして、今も話題になっておりますが、保育の現場でも同様であると思いまして、やはり月十万ほど賃金が平均的に低いという状況であります。仮に二%今の賃金から上げたとしても、それは五千円台ぐらいの話、四千円から五千円でありますので、我々としては、保育に従事をする、働く方々についてもやはり一万円ほどの賃金アップをまず目指していきたいというふうに考えております。

山井議員 御質問ありがとうございます。

 私も、政治家になる前は老人ホームで実習したり、介護問題も大学で教えておりました。そういう立場からしても、介護離職ゼロの実現のためには、介護職員離職ゼロということがないと、これは実現をしないわけであります。ですから、幾ら介護施設をふやすということを言っても、介護職員の賃金が上がらねばなりません。その意味では、介護離職ゼロ、介護職員の離職をゼロとするためには、介護職員の賃金を一万円上げていく、これをやらない限り、今回の雇用保険法の改正だけでは全く不十分であると思っております。

 ありがとうございます。

柚木委員 それぞれの御答弁を、ぜひこの委員会、与野党を超えて共有いただき、前にお進めをいただきたいと思います。

 続いて、初鹿提出者、井坂提出者にそれぞれお伺いをいたします。

 処遇改善加算というものがありますが、これによって本法がいかに有効と考えられるのか、その理由、そしてまた、今回あえて民間の賃金改善を国が助成する趣旨は何なのか、それぞれ御答弁をお願いいたします。

初鹿議員 現在、処遇改善加算の届け出を行わない理由として、処遇改善加算の事務負担が重いということや、処遇改善加算の対象となる職員が限られていることが考えられます。実際に、厚生労働省が行った平成二十五年度介護従事者処遇状況等調査結果によりますと、介護事業者が処遇改善加算の届け出をしなかった理由として、「事務作業が煩雑」が四四・九%、「対象の制約のため困難」が二七・三%となっています。

 このうち、事務作業が煩雑であるという点については、今般の法案では、申請等について事業者の負担に配慮することを規定しております。また、対象が制約されているという点については、今般の法案では、事務職員等の他の職種の職員も対象とできる介護・障害福祉従事者等処遇改善特別助成金を設け、事業者の実情に応じて選択できることとしております。

 このように、今回の助成金は、現在の処遇改善加算に比べて利用しやすいものとして、より多くの事業者に活用していただけるものと考えております。

井坂議員 賃金は、通常、自由経済の中で決定されるべきものと考えております。しかし、この介護報酬や障害福祉サービス報酬は公定価格であるために、介護・障害福祉従事者の賃金決定には残念ながら市場メカニズムが全く働きません。

 その結果、民間の調査、これは東京商工リサーチですが、昨年の老人福祉・介護事業の倒産は過去最多を記録しており、その要因の一つとして、介護人材の深刻な不足が挙げられているところであります。

 介護需要は増大しているのに業者は倒産をする、また、人手が足りないのに賃金は上がらない、まさにこれは公定価格のまずい面でありまして、本件こそ政治の力で解決すべき課題であると考え、今回の法案を提出したところです。

 ありがとうございます。

柚木委員 今御答弁いただきましたように、私も、地元の介護事業者、従事者に伺っても、やはり今の介護の現場、なかなか仕事が続けられない大きな原因は賃金と人手不足でございます。ぜひそれぞれの提出者の皆さんの御答弁をこの委員会の中でも深めていただきまして、私は、雇用保険法改正の採決のときには、ぜひこの介護従事者等の処遇改善法案が必ず可決、成立をされるということを確信して、引き続き質問に入りたいと思います。

 提出者の皆さんには、それぞれ質問は以上であります。ありがとうございます。

 塩崎大臣、一昨日、私もこの委員会でお聞きをしておりました。保育園落ちたの私だ、私も山尾委員の質問を聞いていて本当に身につまされる思いでございまして、わずか一週間程度で二万七千人を超えるあの多くの皆さんの思いを、急遽当日大臣も受け取られ、そして安倍総理にもお伝えをされるとお答えになられました。

 塩崎大臣、安倍総理にはこの署名をお渡しいただけましたでしょうか。

塩崎国務大臣 本来、私が直接お渡しをする方がいいなと思ったんですが、きのうも参議院の方でずっと厚生労働委員会がございましたので、私が渡すことができないので、事務方から総理に手渡しをさせていただいたところでございます。

柚木委員 事務方から総理にお渡しをいただけたということですよね。

 そうすると、この二万七千人を超える皆さんの思いというのは、安倍総理はどのようにおっしゃっておられるのか、塩崎大臣は、それは今おわかりなんですか。

塩崎国務大臣 直接はお聞きをしておりません。

柚木委員 これはぜひ、本当にあの二万七千人を超える方々、この間署名を提出された方々、私も、山尾さんの質問以降、本当に毎日のようにこの質問日までやりとりをさせていただき、共有メールでさまざまな意見をいただいております。昨年、国会で安保法案採決のときに本当に多くの方が国会を取り囲んだ。私は、恐らく、待機児童問題に直面をされておられる多くの親御さんたちは、子供をおぶって、だっこして、ベビーカーを押して、この国会を取り囲みたいという思いでいらっしゃると思いますよ、今この瞬間も。

 ですから、署名を受け取っただけで終わりじゃありません。ぜひ安倍総理ともしっかり、大臣は直接お会いされたんですから、事務方を通してということではなくて、ちゃんと直接共有をされて、そして総理のお考えを私たちにも、そして署名を届けられた皆さんにもちゃんとお伝えをいただきたいと思いますが、いかがですか。

塩崎国務大臣 今申し上げたように、きのうも委員会で、そしてまたきょうも午前中はこういう形で委員会があるものですから、総理の時間もとれないということだったので、事務方を通じてお届けをして、一刻も早く届けることの方がまず大事だろうというふうに思っておりましたので、そのようにさせていただきました。

 当然、三人の方にお話も聞かせていただきましたし、そういうことをお伝えすることは大事だと思いますので、私から、機会を見て、できるだけ早くお伝えをしたいと思っていますし、お三方の連絡先は私もちょっと聞いておりませんから、お調べをして、お届けをしたということは御連絡をしたいというふうに思っております。

 しかし、一つだけ言わせてもらえば、そもそも、こういう方々がたくさんおられるからこそ、待機児童ゼロを加速してやるぞということを総理は早くから言ってきて、民主党政権時代よりも倍以上のスピードで保育を整備し続けてきているということは明確にしていただきたいというふうに思うのであって、残念ながら待機児童がふえたということは、就業者数がふえて、御希望される方々もふえて、使い勝手もいろいろ変わって改善をされたということもあって、いろいろな意味でそうなったわけですから、だからこそ、これをやろうということで、第二の矢でこの問題の重要さということはかねてより申し上げてきているところでありますので、そこはひとつしっかりと御理解をいただきたいというふうに思うところでございます。

柚木委員 倍以上のスピードで整備、予算の確保も含めて到底胸を張って言える状況じゃないと思いますし、大臣、そういう物言いが、今回のこの問題で多くの自民党の委員の方からやじも飛んで、これだけ大きな問題になった。私は、そういう答弁、認識、もうやめた方がいいと思いますよ。

 民主党政権のときも確かに不十分だったんですよ。だからこそ、その前の自民党政権のときの倍のペースで保育や介護の充実をやったんですよ。でも不十分ですよ、それは。だから、前のときよりやっているんだからと、そういう開き直りの答弁はやめた方がいいと思いますよ。

 それで、このボード、私は、ほかにも種類があると聞いて驚きましたよ。「保育士の待遇改善」、これもごもっとも。そして、「保育園落ちたの僕だ」と。私も恥ずかしながら、残念ながら、これは私のことでもあるんですね。

 昨年、忘れもしません。私も、二人目の子供が、妻が復職をするということで、都内と地元でダブル保育、東京都内、十ほど保育園を保活しましたよ。住まいの港区、勤務地の千代田区、役所にも行って、厚生労働省、国交省、文科省内にある保育園、認可、認証、無認可、もちろん認可には入れない、議員会館の地下を含めて全部当たった。でも、やはり条件が合わない。私の妻は、三泊四日ほどの、家に帰ってこない、そういう勤務、仕事をしていて、それも含めて、上の子は五歳の娘、地元でも幼稚園に入った。では、下の子を平日はこっちに連れてきて私が保育園の送り迎えをする、いろいろなことを考えてやりました。私の妻が、六月一日、復職の日でした。その前日、私が知らない中、妻は会社に退職届を出してしまいました。

 だから、私はそのとき、本当に夫として申しわけない思いになっただけでなく、そういう思いをされておられる多くの方が全国におられて、国会議員として、情けなく、恥ずかしい思いでいっぱいでした。だから、倍のペースでやっているとか、そういうことでこういう方々の気持ちはおさまらない、静まらないと思いますよ。

 ぜひ、今回多くの方が声を上げた、このことをもっと真摯に受けとめていただいて、私は、塩崎大臣、自民党の皆さんの中にはこの問題を共有いただける方もおられるでしょう。しかし、昨日の報道を見て、また、本当に同じ方向を向いているのか、山尾さんに答弁した、そういう認識で自民党の方がおられるのか、非常に私は疑問に思います。

 それは、平沢勝栄議員のきのうの謝罪ですよ、やじに対する。謝罪はいいですよ。しかし、こうおっしゃっているんですよ。平沢議員は、昨日、みずからが委員長を務める自民党の差別問題に関する特別委員会で、ブログに死ねという言葉が出てきて違和感を覚えていると。これは、「保育園落ちた日本死ね!!!」の死ねのことですね。

 塩崎大臣、待機児童問題を所管する大臣として、「保育園落ちた日本死ね!!!」、死ねという言葉に違和感を覚えますか。

塩崎国務大臣 この間会わせていただいた方の中にも、ありとあらゆるところに当たって、みずから住んでいらっしゃる特別区の中で一つもなくて、今月いっぱいで、もしなければ、仕事を失わなければいけない、こういう方もおられました。

 ぎりぎりのところに来ている方もたくさんおられるということは私もよくわかっているところでありまして、そういう思いからいろいろな表現が出てくるので、それは個人差がいろいろありましょうから、やはりその悔しさを我々は政策の原点にしていくということが大事ではないかなというふうに思っております。

柚木委員 私は、その認識は少し、実際にこの保育園落ちたの文章を書かれた方や、それは私だ、自分だ、僕だと言って署名を持ってこられた、書かれた方々の思いに、残念ながら寄り添い切れていないと思いますよ。

 私は、この平沢議員の発言を聞いて、残念ながら、違う方もおられると思いますが、あの多くのやじを飛ばされた方々、ともすれば自民党の今の体質をあらわしていると思いましたよ。

 どういうことか。

 私は、日本死ねとおっしゃった保育園落ちた人、直接、メールですが、やりとりをさせていただいています。この方は、確かに、山尾さんも言ったように、言葉は激しかったかもしれない。でも、日本死ねということが言いたかったんじゃないんですよ。こんなに真面目に生きてきて、働いて、子供を産んで育てて、税金を納めてきたはずのその日本から死ねと言われている感覚なんですよ。

 書かれた方は、待機児童問題の改善を本当に切望されています。だから、その言葉をとって、そういう言葉に違和感を覚えるとか、そうじゃない。その背景にある、その深層にある問題の本質、その人の思いや願いになぜ寄り添えないのか。

 私は、与党の中には同じ思いの方もおられると思う。だけれども、私は、野党時代の自民党の皆さんの中には、もっと謙虚さ、野党に転落して、もう一遍政権に復帰するための必死さ、危機感、そういったものがあったと思いますよ。それが今、巨大与党になって、こういうことに対して、誰が書いたんだとやじが飛ぶ、言葉に対して違和感があるとか、そういうこと。

 そして、もっと言うと、平沢さんは山尾委員の発言の削除を要求されているんですか。そして、この文章、本当に女性が書いた文章ですかねと。高木美保さんが、そんなの関係ないじゃないですかと怒っていたじゃないですか。誰が書いたか、言葉の問題、そうじゃない。その背景にある実態や悩み、そこに寄り添うのが政治じゃないですか。

 大臣、もう一回お尋ねしますけれども、私は、平沢議員の、死ねという言葉に違和感を覚えたというのは、こういう、書いた方や、その背景におられる何万人もの方々の気持ちに寄り添った発言だとは思いませんが、いかがですか。

塩崎国務大臣 先日、三人のお母さん方にお会いをしたときに、その二万七千人余りの方々の署名と、それから、いろいろ率直なコメントをお書きになったのを私も見させていただいたところでありまして、改めて、待機児童解消を、特に都市部において急がなければならないということを強く感じたところであります。

 平沢議員の発言についてのコメントでありますけれども、これは政治家同士でありますから、皆さん方も、他の政治家についてどうのこうのということでは、なかなかコメントしづらいところだと思います。

 私の責任は、厚生労働大臣として、子育てがちゃんと思い思いのようにそれぞれができるような環境をいかにスピーディーに整えるのかということであって、それが、大きな意味では、待機児童解消加速化プランの、またさらにそれを上積みして、これを早く実現するということでありますけれども、この間お話を聞いて、東京を中心として、本当にその困難さは想像以上だなということを改めて私も感じたところでありますので、その期待に応え、そしてまた、悔しさを感じていただかないような状況を一日も早くつくっていくということが私の使命だというふうに思ったところでございます。

柚木委員 ぜひこういう皆さんに寄り添う大臣であっていただきたい。

 確かに、個人の発言、だけれども、それが党全体や政権のイメージにつながって、実際に皆さんの党の中でも、総理の初動ミス、与党も苦言、こういうような発言も出ているじゃないですか。ぜひ塩崎大臣、これはこの後、具体的に、ではどうしていただくことが大事なのか質問いたしますが、与党の皆さんにもお願いしたいと思います。ぜひ寄り添っていただきたい、お願いをしたいと思います。

 前回、山尾さんへの答弁で、保活の実態調査、これについて、行うということを答弁されました。この問題は待ったなしですよ。育児は毎日続きます。待ってくれません。保活、この瞬間もされている方がおられます。私も失敗しました。

 そういう中で、この実態調査、いつから始めて、いつ結果を出される見通しですか。

塩崎国務大臣 先般、山尾議員に対して、保活の問題について調査をしたいということを申し上げました。

 私は、かねてから、このポイント制が本当にニーズに合ったものなのかどうか。あるいは、場合によっては、就業形態を、本来は子供ともう少し一緒にいたいのに、ゼロ歳児で入ることでポイントが上がるからというようなことで、あえて自分の希望を曲げて、育児休業を短期間にして保育に行って、点数を稼いで、それで入れるようにするという努力をする。

 この間、私の身内のことを言って、マスコミでもいろいろ言われていますけれども、ゼロ歳児で入らないと点数、ポイントが上がらないということを実は考えてそうしたんだということも、お嫁さんから私は直接聞いてまいりました。

 この間の実態調査については、いつから始めるかということでありますけれども、まず第一に、どういう聞き方をすることが一番皆さんの困っていらっしゃることにピンポイントの質問になるのかというのは、これはなかなか難しい。

 御案内のように、ポイント制は、それぞれの自治体がそれぞれやはり必要だと思って、優先順位をつけるためにやっていらっしゃると思うんですね。したがって、全部同じだったらば簡単ですけれども、そうじゃないので、これを今集めつつあるわけでございます。

 また、やはり実際に困っていらっしゃる方のお話も聞いた上でこの調査をかけないと、的外れなことを何度も何度もやるわけにはいかないということでありますので、できるだけ早くクエスチョネアを決めて、そして、できるだけ早くそれが政策として結実するような形になるようにやっていきたいというふうに思いますので、具体的なタイミングというのはまだ明確に言えるというところまでは来ていないということであります。

柚木委員 これは本当に、子育て中の委員の方も多いと思いますが、待ったなしですから。探している方もおられると思いますよ。本当にそれで人生が変わっちゃうんですから、我が家もそうですけれども。お願いします。

 それで、このことはもう幾つか行きたいんですが、ほかのもあるので、もう一項目だけ、まずこの問題について伺っておきたいと思うんです。

 この保活の実態調査、今大臣御答弁いただいたように、やはり実際に保育園落ちた人、落ちたの私だ、私の友達だ、僕だ、こういう方々の思いに寄り添うためには、私は今回、この保活実態調査の一環として、実は、署名を提出された方々からもたくさん、この二日間だけでもいろいろな御意見をいただいていますし、やはり、必要は発明の母という言葉もありますが、私は、本当に困っている中からいろいろなアイデア、知恵が出てきているなと思うんです。保育サービスのいろいろなバリエーションのあり方、認可、無認可、認証、さまざまな、シッターの利用のあり方を含めて、バウチャーとかいろいろありますね、今、政府でも考えたり取り組まれている、そういうことも含めて。

 それから、私も聞いて驚きましたよ。私の地元にもいらっしゃるんです。三人お子さんがいて、全員別々の保育園。しかも家の近くじゃないんですよ。一つの保育園に連れていくだけでも、私もたまにしかできませんが、保育園と幼稚園、週末ぐらいはできるときはやります。それでも、それは大変です。ましてや、女性の方が多くの場合送り迎えされています。仕事もされている方、くたくたになって、朝早く、旦那より早く起きて弁当もつくって支度もして、そして、帰ったら子供を寝かせながら、自分が疲れて早く寝ちゃう、そんな中で二つも三つも別々のところに行っている、そういう方だっておられる。

 これはぜひ、この保活実態調査の一環として、さっき大臣が言われたように、こういう皆さんに寄り添うために、私は、厚生労働省のホームページに保活の意見募集をやっていただきたいんです。そして、その中で、調査も踏まえて、どういう対応、施策を今度講じていくか。ぜひ、厚生労働省のホームページのところで一番目立つところに、保活の意見募集ということで取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。

塩崎国務大臣 これはもう、ありとあらゆることをやってみたいと考えています。

 一億総活躍社会づくりのスタートのときに、緊急対策をつくるに当たって、私ども厚生労働省のホームページで、全国から、第一の矢、第二の矢、第三の矢いずれも、ぜひ皆さんのオリジナリティーのある提案をしてくれということで皆さん方にお願いをして、その中から参考にさせていただきながら政策づくりをさせていただきました。

 そういうようなことも今までもやってきておりますので、今先生御指摘の、保活についてホームページを使って意見を募集するということは、私もやってみたいというふうに思います。

柚木委員 まるで受験競争のように保育園を探すための活動を、子育てだけでも大変なのに、仕事との両立だけでも大変なのに、やらなきゃいけない今の社会を変えずして一億総活躍はあり得ないと思いますので、ぜひ早急に、本当に、さっき言っていただいた、一日も早く実態調査を始めていただいて結果を出す、そして、こういった皆さんに寄り添う施策の実施。今の御答弁、出された方々にもお聞きいただけたと思いますので、しっかりと進めていただきたいと思います。

 それで、今回の雇用保険法改正に当たって、私は非常に重要視しているので、資料にもきょうおつけしておりますが、非正規労働者の方々の育休の取得や安定雇用、そしてマタハラの防止、あるいは逆マタハラの防止、こういった観点から続いて質問をしたいと思います。

 資料の三ページ目におつけをしておりますが、これは、直近の二〇〇五年から九年のデータを見ていただければ一目瞭然なんですが、正規職員の方で実際に育休を取得して就業を継続されている方、四三%に対して、パート等の非正規雇用の方は、そのわずか十分の一の四%でございます。

 私は、この問題の質問を準備するに当たって、安倍総理の一つの発言を思い出し、また、どうしてもそのことがひっかかっていたものですから、大臣にもぜひ御認識をお伺いしたいんですね。

 それは、まさに山尾さんが予算委員会で、待機児童増加で安倍総理がうれしい悲鳴と発言ということで、さまざまな議論になりました。もちろん安倍総理は否定されましたが、これは、昨年十一月に総理が、ことし待機児童は前年よりふえてしまった、第二次安倍政権発足以来女性の就業者が九十万人以上ふえたから無理もない、その意味でうれしい悲鳴であるが、待機児童ゼロは必ず達成しなければならないと。安倍総理は、待機児童がふえたことをうれしい悲鳴と言ったことはない、その意味とは、就業者がふえたというところに置いている、普通の読解力があればわかると、私は見ていましたけれども、逆切れぎみに答弁されていました。

 私は、そのこと自体も、ううんと思っていますけれども、仮に、安倍総理の弁解どおり、安倍政権発足以来、九十万人以上女性就業者がふえたのがうれしい悲鳴と言いたいとしても、その多くの方は非正規労働の方なんですね。つまり、非正規労働者がふえたことをうれしい悲鳴だと受けとめる方もたくさんおられますよ。そうしたときに、私は正直、恐らく安倍総理は非正規労働者の実態をおわかりでないんだろうなと逆に思ったんですよ。

 どういうことか。

 この資料を見ていただくと、読み方はもちろん、正規、非正規、非正規の人は正規の方の十分の一しか育休がとれない、こういうデータですね。でも、育休がとれないと保育園にも入れないし、育休給付金も受け取れないわけで、そうすると、これは逆の見方をすると、正社員の方でも五七%、そして、パート、非正規の方は何と九六%もの方が、保育園入れないの私だ状態なわけですよ。

 本当にそういう現実があるということを、私は、安倍総理、やはり認識いただくべきだと思いますよ。保育園に落ちる以前に、保活するところまでいけない、そういう現実ですよ。そして、マタハラ、セクハラ、パワハラなどのハラスメント被害を受けやすいのも、正規に比べれば立場の弱い非正規の方々であるというマタハラネットの方の調査も伺っております。

 塩崎大臣、安倍総理のこのうれしい悲鳴という御発言、非正規労働者の現実を踏まえた上で、私はやはり、寄り添っているとは言えない、不適切な発言だと思うわけですが、そう思われませんか。

塩崎国務大臣 御指摘の総理の発言よりもずっとずっと前から、この待機児童解消加速化プランというのは安倍内閣になってから改めてつくってきたわけで、もちろん、先ほどもお話があったとおり、民主党政権時代にもその問題意識を持ってやっておられたことはわかっているわけでありますが、さっき申し上げたように、そういう問題意識を持ってやっていることはまず間違いないというふうに思っております。

 なおかつ、女性の活躍推進、これを法律まで出して、もう既にそれが施行になっているわけでありますが、女性がどうやったら本当に活躍できるようにするか、政策として何をしなきゃいけないかというまず第一の試みとしてこの法律をつくったわけでありますので、そういう意味で、これは、それぞれ前に進めてきたことだと思います。

 ただ、今、柚木先生からお話がありましたように、非正規の方々が極めて育児休業がとりづらい、これはもうずっと我々も認識をしてきたことでもございまして、それがゆえに、今回、三つの条件のうちの一つを削除し、そして、一歳六カ月までの間に労働契約が更新されないことが明らかである者を除くということで、できる限りのチャンスをということで御提案を今回申し上げているわけでございます。

 なおかつ、同一労働同一賃金に踏み込むというのは、やはりこれは総理が言い出したことで、我々も正直言って、厚生労働省を預かりながら、驚いたぐらい、非正規で働いていらっしゃる方々の処遇が余りにも他の国と比べても低い、これではなかなか生活を実現するにはほど遠いということで、ここまで踏み込んで総理は考えているわけでありますので、そこのところは、私は、最も真剣に考えているというふうに思っております。

柚木委員 私はやはり、このうれしい悲鳴というのは少し地に足のついていない発言だったとどこかのタイミングでおっしゃっていただいた方が、いろいろな直面している方々に、寄り添った、御理解をいただけると思いますよ。

 一点、具体的な質問を、ちょっと二つまとめてします。

 今ちょうど御答弁にもあったんですが、まず、非正規の方々の多くの方は女性の方が多いですが、当然、女性だけではなくて男性も含めてですけれども、育休取得要件のさらなる緩和、今回も改正案の中にあるわけですが、要件一、二、三。二は削除。三の中に、子が一歳六カ月に達するまでの間に、労働契約の期間が満了し、かつ、契約の更新がないことが明らかでないこととあるんですが、これはもちろん、雇用の定着、雇用保険から財源が出ている、いろいろな観点から、一定の期間を入れるのは理解できないわけではないんですが、他方で、こういう期間、しかも一歳六カ月ですよ、一歳じゃなくて。こういう文言が入ることで、企業側が逆に、最近非常に報道もされています、能力不足とか、いろいろな巧妙なやり方で、結果的に、妊娠あるいは出産、そのことによって仕事を失ってしまう、そういうことを誘発しかねないという見方も一方であるわけでございます。

 これは、イギリス、カナダ、フランスなど、他国では、未来の不確定要素は要件となっていないとか、こういう事例もあるようですし、これはぜひ、一歳六カ月ではなくて、例えば育休の原則である一歳とか、一歳六カ月よりもちょっとでも短縮していただくとか、場合によってはこの要件自体を入れないとか、そういうことも含めて御検討いただけないか。

 それからもう一点は、政府は、有期契約労働者について、法改正の周知に特段の配慮を行うとともに、育休の取得要件のうち、今の一歳六カ月の要件について、反復更新の実態があるわけですね、それを踏まえて、それから除外されない労働者について指針等に明記をいただく。これは、今後、労政審等で具体的な議論に入っていくと思うんですよ。

 ぜひ、非正規の育休要件のさらなる緩和について、今申し上げた二点について、今後具体的な議論に入っていくことも含めて、お答えをいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 まず第一点の、一歳六カ月の問題でありますけれども、育児休業は、原点に立ち返ってみると、育児を理由として雇用関係が終了することを防いでその継続を図るということが目的であるわけでありまして、有期契約労働者であっても、契約更新によって継続して雇用される方もたくさんおられるわけでありますから、休業によって雇用の継続が相当程度見込まれると考えられる方について、しっかりと育児休業をとっていただくということが大事だと思います。

 育児休業は原則として一歳までの取得ができることを踏まえて、育児休業から復帰した後の一定期間、雇用継続の可能性がある方として、現在は二歳までの間に労働契約が終了することが明らかでないということを要件としているわけですけれども、有期契約労働者の育児休業取得を促進するために、労働政策審議会でさまざま議論をいただきました。その中で、一歳六カ月までの間ということで今回提案をさせていただいているわけであります。

 一歳に達するまででどうだろうかと今お話をいただきました。しかし、そうしますと、あらかじめ、復帰をしない、または復帰をしても短期間で離職をすることが予定をされている方、こういう方に休業を認めることがあり得るのではないかということがあって、雇用の継続を目的とする育児休業の趣旨及び事業主の負担に照らして適当ではないのではないかということで、一歳六カ月までとしたということでございます。

 それから、もう一つの、有期契約労働者の方が育児休業を取得した場合、育児休業中に労働契約の更新時期が到来をして、更新の有無をその時点で判断する場合があるわけでありますけれども、その場合に、育児休業を取得したこと等を理由として契約を更新しないということは、育児・介護休業法の第十条で禁止をされる不利益取り扱いに当たり、禁止をされております。仮に、休業中に育児休業の取得を理由として雇いどめをした場合には、事業主に対して、都道府県労働局長が、育児・介護休業法に基づいて、その行為が法律違反であって、是正するように指導を行っておりまして、引き続き、これはしっかり対処していかなければならないと思っております。

 いずれにしても、こういった見直し内容や不利益取り扱いの禁止については、有期契約労働者を含めて、広く事業主や働いていらっしゃる方々に対して、リーフレットの配布などを通じて積極的に周知をして、みずからの休めるという権利と言ってもいいものを認識していただくとともに、会社にもしっかり理解をしてもらって、有期契約労働者の皆さん方が育児休業を今まで以上にとれるように努めてまいりたいと思います。

柚木委員 ぜひ、今後の労政審の議論等を含めて、しっかりと取り組みをお願いします。

 ちょっと時間がありませんので、次に参ります。資料の七ページ目をごらんください。

 きょうは東日本大震災から、ちょうどこの後、午後から追悼式典に大臣も行かれるんだと思いますし、多くの委員の方もおいでだと思います。

 福島の原発事故後に甲状腺がんを発症され、かつ再発をされ、さらに肺に転移をし、希望に満ちて夢や目標に向かって入学した大学をやめることを余儀なくされ、きょうこの日を迎え、残念ながら未来に向かってなかなか前向きになれない、そういう方のお話でございます。

 昨晩、この御家族の関係者の方から直接お話も伺いました。支援をされている方です。時間があれば、皆さんもお目通しください。

 この方は、中学校の卒業式の日に被災をされて、その後、甲状腺検査を受け、高校のときに、三年の夏休みに手術を受けて、甲状腺の右半分、そして、転移していた周囲のリンパ組織を切除し、裏に写真もつけております。一度目は甲状腺の下のあたり。

 二回目、再発をします。大学に入って、学芸員、ウエブデザイナーになりたい、その頑張っていた夏休み、がんが再発している。再手術をして、残っていた左半分の甲状腺とリンパ組織を切除。甲状腺は全摘出。さらに、肺への転移も判明。術後しばらくは、かすれた声しか出ない。傷の痛みをこらえながらリハビリを続ける。生理不順にもなり、ホルモン剤を投与。

 その後、その治療を続ける。食事制限。カプセルを飲む二週間前は飲み物は水だけ。飲んだ後も、三日間、隔離生活。強い放射能のため周囲の人が被曝する可能性があるから、お風呂に入るのも家族で最後。医師からは、トイレの水も二回流すようにと言われた。

 今回、報道、その前のページをごらんいただくと、甲状腺の検査で、一巡目、二巡目、合わせて百十六人の方ががん確定、そして、疑いを入れると百六十七人の方ががんの疑いがある、こういう状況なんですね。

 大臣、ぜひお願いをしたいのは、こういう方々に対するサポート体制、きのうヒアリングで聞いたんだけれども、残念ながら、実態は全然追いついていません。心のケア、心身、経済的な部分もそうだと思いますけれども、県立医大等で実はいろいろな患者会があるんだけれども、こういう人たち、あるいはその家族が入る会になれていない。

 がん登録は、所管が、ちょうど法律がこの一月から施行されて、都道府県から、国が所管をして一元管理するようにもなっています。この福島で、例えばこの百十六人のがん確定の方、この方も含めてですよ、あるいは百六十七人の方も含めた当事者、当時十八歳以下、検査を受けている方は、今でも二年に一回、それを超えれば五年に一回受ける。

 そういう中で、まず一問伺いたいのは、そのがん登録等も活用して、移転等も含めて居場所をしっかりと確定して、必要な情報が届くようにして、そして何よりも、そういう方々が寄り添えるサポートできる場を、友の会というのが実はできたんですけれども、そういう方々が、あの家族が入れる状況にまだなっていないと聞いているんです。

 ぜひそういう心のケア等ができるようなサポート体制をしっかりとっていただきたいと思います。質問が前後していますが、厚生労働大臣、お答えいただけますか。

塩崎国務大臣 まず第一に、誰でもやはり、病気に、特にがんになるということは、大変心に重たいものに見舞われるわけでありますので、一日も早く回復することを期待申し上げたいと思うわけであります。

 今のお話でありますが、なかなか相談に乗ってもらったり、心を共有できるような場がないというお話をいただきました。

 私も、福島の中はどうなっているのかということを改めて見ました。福島県内は、がんの診療連携拠点病院が九つありますけれども、この九カ所の中に相談支援センターの設置を義務づけております。

 これは、国立がん研究センターなどの研修を修了した看護師さんなどを配置していることになっておりまして、私の地元にも幾つかありますが、そこでの相談はかなり広範にやれるところでございますので、改めて、私どももそういうようなところでしっかりと寄り添ってお話を聞くように伝えたいというふうに思います。

柚木委員 ぜひよろしくお願いします。

 それで、もう一問、これは前後して申しわけないんですが、今回、一巡目、二巡目、一巡目にひっかからなかった人が、ここにつけているように、新たに甲状腺がん、ここに入って、確定が十六人、疑いが三十五人ふえている。

 これは、私はぜひ検査体制を改善していただきたいんですよ、二年に一回、五年に一回の部分。特に二年に一回の部分は、これは、まずはハイリスクグループに限ってでも結構ですよ。特に十代から十八までです。それで、そこは頻度をふやしてほしい。ベラルーシが、まさに日本の助言に従って半年に一回国でやっている。チェルノブイリで三十年間苦労した国の蓄積の上でそういうことをやっているんですよ。

 因果関係云々、報道もよく出ます。私もこの津田先生に会って話を聞きました。いろいろな意見がありますよ。でも、因果関係じゃないんですよ。現実に起こっていることに対して、お医者さんも向き合って治療、手術をしている。家族の方、当事者。因果関係が後からわかって、放射線と関係がありました、なかった。そうじゃない。今この瞬間できることをしっかりと取り組んでほしいんですよ。

 その意味で、私は、まずはハイリスクグループ、特に十代の方に限ってでもいいんです、頻度をふやしてほしい。例えばベラルーシの事例。甲状腺超音波で異常がなくても六カ月ごとの検査をやっている。それから、そのマンパワーがもし足りないのなら、現地のいろいろな医療関係者の方々に、まさに今取り組んでいますよね、そういう検査をできる人をふやす、そういう方々の御協力もいただいて、ぜひ頻度をふやす。

 今回、福島の復興なくして日本再生なし、安倍総理も、福島のことは国を挙げてこれからも支援するとおっしゃっていますよ、全員が復興担当大臣だと。

 ぜひこの甲状腺がんの取り組み、小児がんのキャンペーンのゴールドリボンバッジ、以前つけておられましたね。厚生労働省としてもしっかりと取り組んでいくという意味で、頻度を上げていく、そのことを省としてもしっかりと取り組んでいく。答弁をお願いいたします。

渡辺委員長 既に申し合わせの時間を経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。(柚木委員「大臣です、大臣」と呼ぶ)

 白石環境大臣政務官。

白石大臣政務官 失礼します。環境大臣政務官の白石でございます。

 柚木委員からの御質問にお答えさせていただきます。

 頻度をふやせという趣旨の意見だったと思います。私も、資料を拝見させていただいて、胸が痛む思いで読ませていただきました。

 ただ、現状を申し上げますと、県民健康調査、甲状腺検査については、県民健康調査検討委員会で常に検討をして、その結果に基づいて実施をさせていただいておる状況であります。

 ですから、今も第二回目の検査を行っておりますけれども、その検査について、変更する場合は、これからも健康調査の結果を我々が受けとめて、それで県を主に検討をしていただくと……(柚木委員「因果関係関係なくですから。大臣、最後、答えてください。それは結構です」と呼ぶ)

渡辺委員長 いや、もう終了してください。(柚木委員「大臣、因果関係関係なくと私は申し上げている。最後、一言だけ。それは所管は厚労省ですから。因果関係関係なくやってほしいと言っているんですから」と呼ぶ)いや、もう既に申し合せの時間が経過しております。(柚木委員「大臣、一言答えてくださいよ。三・一一ですよ、きょうは。復興委員会が開かれていないんですよ、きょう。何で復興委員会を開いてくれないんですか。だからここでやっているんじゃないですか」と呼ぶ)やめてください。質疑は終了してください。質疑は終了してください。(柚木委員「大臣、最後、一言答えてください。答弁してくださいよ。手を挙げているじゃないですか」と呼ぶ)

 では、塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 これは、先ほど申し上げたように、環境省の所管といえども、厚生労働省としては、やはり技術的、人的な支援をしっかりとやって、環境省と連携をしながら、寄り添って、患者さんの皆さん方の不安を解消するべく努力をしていきたいというふうに思います。

柚木委員 以上で終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 本日は、雇用保険法の質疑初日ということで、前半はこの雇用保険関連法、閣法について、そして後半は、この間問題になっております労働移動支援助成金についてお伺いをしたいと思います。

 まず、きょうは震災から五年ということですので、亡くなられた方々への御冥福をお祈りいたしますとともに、被災地復興のために今後も与野党を超えて力を合わせていくことを改めてお誓いしたいと思います。

 さて、雇用保険法で、まず積立金の使い道についてお伺いをいたします。

 失業等給付に係る積立金が過去最高の六・二兆円、六兆二千五百億円に達して、今回、雇用保険料が引き下げとなりました。

 還元する方向は大きく二つあるわけで、保険料の引き下げか、あるいは積立金を使って給付の引き上げ、拡充、大きく二つあるわけですが、今回、給付の引き上げよりも保険料の引き下げが優先されたのは、主に使用者側が給付引き上げに反対したからだというふうに聞いております。給付日数をふやしてしまうと失業が長期化して再就職の意欲がなくなる、いわばモラルハザード論、これが使用者側の言い分だということであります。

 そこでお伺いいたしますが、基本手当の引き上げは使用者側に全くメリットがないことなのか。使用者側が反対をされているということなんですが、給付の拡充、基本手当の引き上げ、使用者側にとっても私はメリットがあると思いますが、いかがでしょうか。

三ッ林大臣政務官 お答えいたします。

 基本手当の給付水準については労働政策審議会で精力的に御議論いただいているところでありますが、使用者側委員からは、求職活動期間中の生活の安定を図り、所定給付日数以内に就職していただくことを目的とする基本手当の受給者の支給終了までの就職率などについて、前回改正時と変化が見られないことや、安易な離職を促す、失業が長期化するなどのモラルハザードの観点から、見直しの必要性は乏しいとの意見があり、結果として、今後のあり方について引き続き検討すべきとされたところであります。

 なお、過去には、労働者の給付の充実を労働政策審議会において取りまとめたこともあるなど、労働政策審議会の使用者側の見解は、個別企業のメリット、デメリットの観点からのみのものではなく、使用者の視点から労働政策のあり方を真摯に検討された結果であると認識しております。

井坂委員 この間、使用者側、産業界側は、雇用の流動化ですとかあるいは解雇要件の緩和、こういうことを求めてきて、現政権も労働移動を推進する立場だというふうに思います。

 やはり、こういうことをする側だって、本当は、積立金を還元する方向は、保険料の引き下げでなくて、まさに労働移動とかするということは失業状態が一時期できるということでありますから、そこを手厚くするというのはむしろ産業界側、使用者側も推進すべきことなのではないかなというふうに私は思います。

 引き上げといいますけれども、過去を振り返れば、二〇〇〇年、あるいは二〇〇三年、当時は雇用保険財政が今とは逆に悪化をしていたという理由で、給付日数とか金額がかつて引き下げられた。引き上げというよりはせめて、これだけ積立金がたまったんだからもとに戻す、こういう発想は私は普通ではないかなと思うんですが、大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 お金がたまっているからどう使うかという発想も大事でありますが、もう一つ、原点に立ち返って大事なのは、失業状態からどう早く脱して納得のできる就職ができるのか、再就職ができるのかということがやはり大事なんだろうというふうに思います。そのために、拠出をしていただいているこの保険料をいかに有効に使うのかということが大事でございます。

 先ほど三ッ林政務官から御答弁申し上げたように、就職率を見てみると一貫して横ばいないしは改善をしているということを考えてみると、これが逆になっていてどんどん下がっているということであれば、何かこれは大問題が起きているのかもわからない、こういうことであり、また、失業を長期化するような考え方でいくのも、やはりできる限り働かない時期というものを短くしてもらって、充実した、働くことの喜びを感じながら生活をしていただくようにすることが大事だろうというふうに思いますので、それはやはり、全体状況を考えて総合的な判断をすべきことの一つに、この基本手当の増額をすべきかどうかという問題があるんだろうというふうに思います。

井坂委員 大臣がおっしゃるのは、やはり早期にちゃんと職場復帰というか再就職をしてもらうのが大事だ、こういうことで、私もそれは同感なんです。

 ただ、では、保険料を下げたら何か早期再就職につながるのか。もちろんそれは何の役にも立たないというふうに思いますし、大臣の最初におっしゃったことは私同感なんですが、ここの失業給付を手厚くするとそれが何かむしろ阻害されるようなイメージを持っておられるんだとしたら、その理屈の行き着く先は、むしろ失業給付は厳しくなればなるほどみんな焦って再就職する、こういう世界、これは私は実態と違うというふうに思います。

 私は、やはり早期再就職はもちろん大事で、そこを目指すべきなんですが、しかし、では、保険料引き下げ、あるいはここを手厚くしないことがなぜそれにつながるのか、答弁いただきたいと思います。

塩崎国務大臣 これは、先ほど申し上げたとおり、さまざまなことを総合判断して決めていることでありまして、不都合なことが起きていることは対処しないといけないということで、その一番不都合なことは、再就職率が下がる、これが一番よくない。これは、今、井坂先生も早期の再就職が大事だということで、ここは意見の一致を見るところであります。それと、保険料率を下げるということと、どうするのかというバランスを考えた上で総合的な判断をしていまして、今回の場合には、いわゆる失業給付のための保険料は下げても、他の、例えば保育のために企業側に負担をしていただく、まさに待機児童解消のためですね、企業内の保育施設について、それの財源とするための負担はしていただくというようなことも今回セットでやっているわけであります。

 ですから、ふやすことがどうなのかというのは、先ほど申し上げたとおり、可能性としては、それは長期化をする可能性はあり得るわけでありまして、ただ、今の状況では、再就職率が悪くなるような形で長くなっているということでもないので、そういうことであれば、これには今回は手を触れないということでいくべきではないかということを労政審では結論を出していただいたんだろうというふうに思っております。

井坂委員 早期再就職を促進するということで、就職促進給付ということが今回強化をされています。基本手当の給付日数を、全体の残り三分の一、まだ日数を残した上で早い段階で再就職した場合にもらえるいわば再就職手当が、今回引き上げられます。

 これによる支出増加が三百四十七億円、逆に、早く再就職する人がふえることでその後の基本手当が給付抑制されることによる支出の減が百六十二億円で、差し引き、この政策で百八十五億円の支出増となるということであります。その結果、政策の効果としては、四万人が再就職を早めるだろうと効果を見込んでいるということでありますが、これは、百八十五億円の持ち出し、要は、雇用保険財政にとって、出る方が多い、その結果として四万人が再就職が少し早まる。

 これは費用対効果は十分だというふうにお考えでしょうか。

    〔委員長退席、秋葉委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 就職促進給付、いわゆる再就職手当というか、これの今お尋ねがございましたが、過去の制度改正、二十一年及び平成二十三年の改正において、再就職手当の給付率、就職促進給付ですね、この給付率の引き上げが早期再就職者の割合の上昇につながったことを踏まえて、早期再就職を一層今回も推進しようという観点で、今般、さらなる給付率の引き上げを行うということになったわけでございます。

 雇用保険受給者の早期再就職によって、まずは、労働者の生活の早期安定が図られる、働くことができるわけですから。さらに、失業者の労働市場への早期復帰によって、働いている方々の職業能力というものの低下が防止されるということ。それから、社会全体として労働力の有効活用が図られて経済効率が上がって、それが結果として経済成長をもたらすという中で税収などを生んでいくということで、社会全体にやはり大きな効果が期待されるということで、今回こういう形で引き上げを行ったというふうに理解をしております。

井坂委員 私、この政策は、最初は、早く再就職したら、ちょっと手当を上乗せする、ただ、残りの分、要はもともと払うべきであった分が減るということで、持ち出しになるとは余り思っていなかったんですね。ところが、お聞きすると結構な持ち出しで、しかも人数、私は、前回も確かに四万人ふえているんですけれども、全体では受給資格の決定の件数は百五十六万件ある中での四万人ということで、費用対効果が十分と果たして言えるのかなという疑問は持っているところであります。

 続きまして、介護休業給付の引き上げ、私はこれは高く評価をしております。

 介護休業の際に、現状では、これまでの賃金の四割もらえていたのが、今後は六七%、三分の二もらえるということで、大変よいことだ。しかし、法律には、「当分の間」というふうに今回の措置が書いてあります。

 雇用保険部会の報告では、一般会計によりこういう財源は賄うべきではないかという意見が労使双方の代表委員の見解として記載をされているようでありますが、お伺いをしたいのは、「当分の間」と法律にわざわざ書いたのは、将来、この財源の調達先は一般会計に移る可能性がやはり少しでもある、こういうことで恒久化せずに「当分の間」と書いてあるんでしょうか。ここの部分が曖昧で、はっきりさせたいので、お伺いをいたします。

三ッ林大臣政務官 お答えいたします。

 雇用保険制度においては、より深刻な保険事故である失業に対して給付される基本手当の給付率は、原則として離職前賃金の五〇%から八〇%となっているため、介護休業給付については、雇用保険法の本則で、それよりも低い四〇%の給付率としているところであります。

 一方、我が国の急速な高齢化の進展や介護離職対策の必要性が高まっている中で、介護休業の取得の促進のために、できるだけ休業中の収入の不安を少なくするため、今般、当分の間の措置として、介護休業給付の給付率を六七%に引き上げ、雇用保険制度における暫定的な対応を図ることとしたものであります。

 なお、育児休業給付も同様に、少子化対策としての要請等も踏まえ、雇用保険法第六十一条の四において四〇%の給付率としているところ、同法附則第十二条において、当分の間の措置として、平成二十六年四月より給付率を六七%または五〇%に引き上げているところでございます。

井坂委員 これは事前に当局の方と一時間半ぐらい議論をして、何がポイントで何をお聞きしたいかというのをもう十分にお伝えし切っておりますので、そこをお答えいただきたいんです。

 再度お尋ねしますけれども、あるならお願いします。

塩崎国務大臣 先生御案内のように、この育児休業給付についても同じ仕組みで今やっているわけでありますが、これも実は「当分の間」と書いてあるわけです。国家的に重要である政策であることはいずれも同様であって、今回、今先生御指摘のように、労使ともに一般会計でやるべきじゃないかという意見があったということになっていますが、それは、この雇用保険の会計の中でやるべきことなのか一般会計でやるべきなのかということについて御意見がやはりあるということなので、そういうふうになったのではないかというふうに推測をしているわけであります。

 しかし、大事であることは間違いないので、今回こうして、やはりこの雇用保険会計から、労使折半で出されたこの保険料の中から介護休業についても同じだけの割合で保育と一緒にやってもらいたい、こういうことで話が一応セットされて、「当分の間」というのは、やはりそれぞれのお考えをそんたくしてこういうものを書いているというふうに私は理解をしております。

井坂委員 ちょっと事前にやりとりした話と方向性が違うのではっきりさせたいと思うんですが、「当分の間」と今回書かれたのは、将来財源を一般会計に求める可能性もあるので、雇用保険会計からやるのは「当分の間」と書かれたと。今の答弁はそういうことですか。

 私は、何か事前にお聞きしたのは、いや、そういう意図は全くありません、「当分の間」と書いたのは、こういう社会状況が政策的に解消されたら別にここまでやる必要はなくなるから、そういう社会状況がよくなったらしなくなるので「当分の間」だ、要は、一般会計に財源を求める可能性を少しでも見込んで「当分の間」と書いた意図は全くありませんとお聞きしたので、そこを大臣の口からはっきり言っていただこうかなと思ったんですが、むしろ真逆で、一般会計に将来行くかもしれないから「当分の間」と書いたんだ、そういうことでしょうか。

塩崎国務大臣 そういう意図で私は申し上げたつもりは全くございません。

 これは、やはり高齢化の状況が改善されるまでの期間としての当分の間ということで労政審で御議論いただいたというふうに理解をしておりまして、高齢化の状況が改善されるまでの間といえば、これは相当な期間がかかるわけでありまして、今はこういうことでいくよということで合意をしているというふうに考えるべきだと私は思っております。

井坂委員 事前にお聞きした話に戻ってきたと思いますが、ちょっとはっきりさせたいのは、「当分の間」と書いたのは、将来一般会計に財源を求める可能性を見込んでいるわけではみじんもない、政府としてはそこはみじんもないということですか。

塩崎国務大臣 これは先生、拠出者がおられるわけで、拠出者がどう考えているのかということが法律に反映をされているということで、私どもの理解は高齢化の状況が改善されるまでの期間ということでありますから、高齢化はまだまだ進んでいきますし、そういうことを考えてみれば、先生が御懸念のようなことが起きるということはなかなか想定し得ない。ただ、それがいつまでなのかとか、そんなことを言われても、これはなかなか難しいことで、拠出者の御意見は御意見として法律にも反映をさせておくということであります。

 いずれにしても、この制度をきちっと定着させていくことが大事だというふうに思っております。

井坂委員 続きまして、高齢者への雇用保険の適用拡大について伺います。

 私も去年の予算委員会でサザエさんの波平さんとフネさんの話を出して、波平さん五十四歳、フネさん四十八歳、閣僚の皆さんの方がよっぽどお若く見えますけれども、波平さん、フネさんの方がはるかに若いんですよと。

 何の議論をしたかというと、要は、昔と今とでは高齢者の体力、知力、働ける力が全然、十歳、二十歳ぐらい違ってきている、あらゆるデータからそうですよ、高齢者の線引き、働く人の線引きもいずれ見直す必要があるのではないでしょうか、こういう議論をさせていただいたところであります。

 今回、六十五歳以上の高齢者も雇用保険の対象となり、雇用保険料を六十五歳以上も払うかわりに、求職者給付であるとか、それから教育訓練給付が受けられるようになるということですが、この高年齢求職者給付金に関するアンケート調査というものを見ますと、これは、受給者、高齢者の仕事につくことへの考え方、条件のよいところがあれば就職したいが二九・六%、仕事はしたいが急がないが二六・七%、できるだけ早く就職したいという方は一七・一%で非常に少数にとどまるということであります。

 当たり前の話で、現役世代の方は、仕事を失ったらすぐにやはり次を探さないと生活が成り立たない、家族も養えないということで急ぎます。ところが、高齢の方は基本的に年金がありますので、いい仕事があれば、あるいは急がないけれどもあればという方が大半で、急いで、失業期間をなるべく短くしたいという切実な方はわずか一七%という現状であります。

 そこでお伺いをいたしますが、今回、高齢者も雇用保険料を払う、高齢者向けのいろいろな給付もする。ここの出入りを見ますと、入ってくるお金よりも、高齢者向けに失業給付とかに使うお金の方が一・四倍だ、要は、ここも保険財政では出が多いということであります。雇用保険財政にマイナスの影響を与えてまで高齢者に雇用保険給付をすることで、一体どのような政策的効果を期待しておられるのか、お伺いをいたします。

塩崎国務大臣 雇用保険というのは本来、労働者のセーフティーネットとして、年齢にかかわらず、一定の条件で働く労働者がひとしく適用されるというのがあるべき姿だろうと思います。

 現在、六十五歳以上の雇用の状況を見ますと、雇用者数、それから新規求職者数、就職件数などがこの十年間で二、三倍に増加をしているということから、他の年齢層と同様に、六十五歳以上の方が失業した際の保障を行うための雇用保険という適用があり得るだろうということで、今回それを導入するということになったわけでございます。

 いわゆる団塊の世代の方々が既に六十五歳を超えている中で、六十五歳以上で働くことを希望されている方々の希望を実現することができるようにこのような方々へのセーフティーネットを確保するということで、言ってみれば、意欲のある高齢者が年齢にかかわりなく活躍することができるようにしなければならない、それを支援しないといけないということでございます。

 このような高齢者の雇用の進展を踏まえて、他の年齢層と同様に能力開発の機会も確保する観点が必要であろうということで、六十五歳以上の方についても教育訓練給付の対象を広げる。それから、ハローワークにおける高齢者の相談窓口などにおいても積極的に就職支援を行って、これから六十五以上の方々に、機会があれば、そして意欲があれば働いていただけるためのインフラをこれまでの制度からさらに延ばした、こういうことだというふうに思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 残された時間で、労働移動支援助成金についてお伺いをいたします。(発言する者あり)テーマ選びで、そうだと応援されました。

 ある日会社に呼ばれて、あなたやめてください、今やめれば退職金を上乗せしますと言われるわけです。やはり続けたいということでそれを断ると、では、あしたからあなたの仕事は次の職探しです、人材会社に出向してください、こういう二択を迫られる。どちらにしても結局やめなければいけなくなるので、だったら、もう本当に、退職金をせめて上乗せしてもらった方がましかなと追い込まれて、退職勧奨に応じる。これは、自由意思もそれから選択の余地も全くない、むちゃくちゃなやり方だというふうに思います。

 そこでお伺いをいたしますが、大臣、次の職探しがあなたの仕事ですという業務命令は、これは違法ですとはっきり法律に明記すべきではないでしょうか。

塩崎国務大臣 静かに議論ができるのはありがたいと思います。

 一般に、企業は従業員に対しまして無限定に業務を命じられるわけではないということは御案内のとおりでありまして、必要性や合理性のない業務を命令するということは、これはまず民法の基本を外していますし、労働契約法第三条第五項に、「労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。」こう書いてあるわけであって、権利の濫用として、必要性や合理性のない業務を命令することは無効となり得るということであります。

 その上で、実際の業務命令が権利の濫用に当たるかどうかは、先ほど余り静かじゃない環境で議論しましたが、個別の事案ごとに司法において判断されるというのが、これはもう基本中の基本であるわけでございます。

 一方で、労働者保護を使命とする厚労省としては、我々は、企業における適切な労働管理を促して、働く方々が安心して働いていただける、そういう環境を整備するというために、啓発指導に用いるパンフレットに、使用者が配置転換とか、あるいは、今お話しになっていらっしゃるけれども、出向などを命じる際に、安心して働ける環境の整備という観点から留意すべき裁判例等を新たに追加をして、通達の上で周知をするとともに、これに基づいて、企業における啓発指導をしっかりと行っていきたいというふうに思っています。

 なお、業務としてみずからの職探しを命ずることは違法であると法律に明記をすべきじゃないかと今御提案をいただきましたが、これについては、類似の事例の裁判例の傾向等をさまざまな観点から精査をした上で、まず労使の合意形成を図っていくことが不可欠だというふうに思っております。その中にあって、どうしても答えが出ないというときは、やはり司法が答えを出すということになるんだろうというふうに思います。

 厚生労働省としては、まずは、今回パンフレットを改定いたします。今回の事案を踏まえて、そして、そのパンフレットの中で啓発指導をしっかりできるように材料をしっかりと提供して、啓発指導もしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

井坂委員 そういう裁判の判例とか個別の労働紛争とかで解決をするというのが失業者にとって現実的ではないから、もういっそ法律で明確化してはどうかということを提案申し上げたんです。

 逆に、大臣にお伺いをしたいのは、次の職探しがあなたの仕事ですという業務命令ができる余地を法的に残しておく必要性が何かあるんですか。これを法律で禁止すると、誰か何か不利益があるんですか。お答えいただきたいと思います。

    〔秋葉委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎国務大臣 これは、先ほど申し上げたとおりであって、出向をするということが一体、では、どういうことをやる出向なのか……(井坂委員「職探しを業務命令することです」と呼ぶ)いや、職探しを業務命令として出すといっても、それをどういう形で出しているのか、どういう伝え方をしているのかも、さまざまな環境があり得るわけであります。

 したがって、先ほど申し上げているように、日本は法治国家ですから、この中で、民法で権利の濫用を禁止し、そして労働契約法においても、労働契約に基づく権利の行使に当たって濫用をしてはならないということが書いてあるわけで、そういうことを一つ一つ、法律であれをやってはいけないと言っても、あれと言うときのあれが一体何を指すのかというのはさまざまあるわけです。

 この間の、最高裁で認知症の方の事故のケースがありましたが、ああいうときの総合判断するときの六つの一つ一つも全部幅のあることであって、それは、それぞれ賠償責任があるかどうかをそれに当てはめて考えるというケース・バイ・ケースの話であるわけでありますので、今のような形で、どういうふうな法律で、法文で職探しがあなたの仕事ですということを書きあらわすかというのはいろいろあるわけで、それが権利の濫用になっているかどうかをしっかりと見ていくというのが裁判所の仕事であろうというふうに思います。

井坂委員 大臣は法治国家とおっしゃいますが、まさに今の法律は、民法、それから民事法規である労働契約法、厚労省が、言ったら、行政法的に余り強行的にやれない、非常に難しい部分だから、今こうなっていると思うんです。ですから、労基法とかその辺にちゃんと、権利の濫用といっても余りにも幅が広過ぎて、曖昧過ぎて、こういうことが何か半ば許されるんじゃないかと企業側は一部思ってやっているわけですよ。だから、権利の濫用では曖昧過ぎるから、それはどこまでいっても、細かくどこまで書くかは議論はありますよ、ただ、次のあなたの仕事はあなたの次の職探し、これが業務命令です、これはだめだ、これぐらいは書いたらいいじゃないですか。そこから先は、もうちょっと、さらに細かい話は裁判かもしれませんが、少なくともこれぐらいは明確化した方がいいんじゃないですか。問題が起こっているんですよ。立法事実はもうあるじゃないですか。大臣、お願いします。

塩崎国務大臣 これは、どういう国の形を追求するかという問題の一つだと私は思っています。

 労働契約法や、今、労基法と、労基法はぜひ審議をしていただいて、一緒に議論したいと思いますが、例えば、では、労働契約法に書くということを提案されたとすれば、労働契約法は、民法に由来する労働契約の原則とか、確立をした判例法理などを定める労働分野の基本法でありますから、判例法理が確立していない事項についてどこまで規定をできるのか、これはなかなか簡単ではないことであるわけであります。

 労働者と使用者の間の権利義務関係という根幹的な事項を定める労働契約法でありますので、労使双方の十分な合意形成が必要であるとともに、私どもは、さっき申し上げたように、民法と労働契約法の中で言っていることをどういうふうに考えるのかというのは啓発指導の中で示すということで、自由主義の国でありますから、そこでどう規律を守って、我々は、厚生労働省として働く人たちを保護するのかということを考えていかなければならないというふうに思っております。

井坂委員 私も自由主義者でありますが、あなたの次の仕事は職探しですという業務命令をする自由はさすがにないというふうに思います。

 最後に、もう一点御提案したいのが、起こってしまった問題、最後どう解決するのかということであります。

 これは、既に退職をしてしまった、今回、王子ホールディングスの話が問題になっておりますが、この退職してしまった労働者についてどうするんですかとお聞きすると、裁判とか個別労働紛争で司法解決してもらうしかない、そこを御紹介します、こういう答弁であります。

 しかし、家族を抱えてそんなことをすることもできないですし、あるいは、給料が三割ダウンしてようやく見つかった次の仕事とかけ持ちでそんなことをしていたら、次の仕事もまた首になってしまう。時間が割けないというのが現実だというふうに思います。

 そこで、お伺いをいたしますが、今回、王子ホールディングスが一定の時期に退職勧奨した労働者については、これは個別労働紛争ではなくて、もうまとめて、厚労省が全員まとめて王子ホールディングスさんに、包括的に和解をしてはどうですか、戻りたい人は戻るのに真摯に応じるし、何か補償金が必要な人は退職補償に応じますと。

 要は、一人一人やったって、やっている企業側は同じマニュアルで同じことをやっているんだから、同じことの繰り返しなんですよ。なので、王子ホールディングスさんに、そういう包括的な和解、一人一人の個別でない、包括的な和解を厚労省があっせんする、これは現行法規内でできると思いますから、やってはいかがですか。

塩崎国務大臣 自由主義にもいろいろ幅があるということがよくわかるわけでありますが、事業主によって退職勧奨を受けて退職された方が、その後、当該退職勧奨が違法な退職強要であったとして、事業主に対して復職とかあるいは損害賠償を求める場合に、行政には、このような民事上の事案を直接的に解決したり、退職された方の組織化を図って集団的労使紛争として、もとの事業主に対して和解をあっせんする仕組みはございません。

 このような事案については、裁判、あるいは比較的短期間で結論が出ます……(発言する者あり)よろしいですか。

 このような事案については、裁判や比較的短期間で結論が出る、準司法であります労働審判、あるいは、労働局で実施をしております、これは行政がやっているわけでありますけれども、個別労働紛争解決制度というのがあるわけでありますので、これによって解決を求めることが可能であるということでありますので、御本人に対してこれらの制度に関する周知を図るということをやっていきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、御本人が仮に個別労働紛争解決制度の利用を望まれる場合には、お一人お一人について、これは御本人のお気持ちに寄り添って、丁寧な対応をしてまいらなければならないというふうに考えております。

井坂委員 個別では、現実的ではないというふうに思います。

 私は、きょうは、別に厚労省の責任だとか、この政策のせいだとか、一言も言っていないですよ。責任の有無にかかわらず、こういう問題がやはり今目の前にあるときに、できることは最大限やりませんかということを申し上げているんです。

 時間が来ましたので、また来週質疑をしたいというふうに思いますが、大臣、これはやはりできることは最大限やりましょうよ。そのことだけお願いを申し上げて、質疑を終わります。

渡辺委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 よろしくお願いをいたします。

 本日は、法案の審議ですので、まず、法案の中身にかかわる質問をしたいと思います。

 育児休業の改正についてなんですけれども、里親の関係で育児休業の改正を行う部分がありますけれども、その部分、少し内容を詳しく一度説明してください。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 今回の育児休業法の改正の中で、育児休業の対象となる子の範囲について改正をお願いしてございます。

 この内容でございますが、実は、昨年の三月に、総務省の行政評価局から私ども雇用均等・児童家庭局長に対しまして、特別養子にするために監護している子については、法律上の子に準じた取り扱いとするということについて、適切な場で御検討願いたいというあっせんがございました。

 このあっせんを受けまして、法律上は、御案内のように、親子関係にある子、実子、養子が育児休業の対象になっているわけでございますが、あっせんのありました特別養子縁組の監護期間のほかに、里親ですとか、いわゆる法律上の親子関係がないままに子を養育している関係が幾つかほかにもありますので、あわせてどのような取り扱いにするかということを労働政策審議会において御検討いただいたということでございます。

 その際、育児休業の対象となる子の範囲についてはどう考えるかということで、まず、そもそも育児・介護休業法は、雇用の継続を図ることを目的としている、お子様を養育するために仕事をやめるということがないように一定の休暇期間を与えるという制度であるということ。それと、育児・介護休業法は、育児休業は、いわゆる形成権という、請求をすれば必ずとれるというかなり強い権利でございまして、規模の大小を問わず全ての業種に必ず適用される、いわば最低基準になっているということと、やはり親子関係があるということが結構大事で、では単に養育しているということだけで休暇を与えるのか、そこをどう考えるんだという御議論がありまして、いろいろ御議論する中で、法律上の親子関係に準じる関係があると言えるかどうかということで少し考えましょうというのが審議会での労使の御議論でございました。

 その結果を踏まえまして、いずれ親子関係が形成されるということを前提に養育しているようなケース、具体的には、あっせんのありました特別養子縁組の監護期間中の子供、それから、養子縁組里親という制度がございますが、これはいずれ養子縁組をするということで里親で委託を受けている、これにつきましては、最終的に養子縁組が形成されて永続的な親子関係ができるということを前提に養育しているということなので、これは法律上の親子関係に準ずるものだということで、こういった関係の者については育児休業の対象とするということで今回の法律改正をお願いしているということでございます。

浦野委員 権限の強い最低基準であるということで、育児休業は申請すれば必ずとれるというものであるからこそ、制限的にやらざるを得ないというような感じなんですけれども、今、里親制度、国の政策で、もっとたくさんの人に子供を見てもらおうということで、里親の人たちをふやそうという政策をとっていらっしゃいますよね。養育里親という方々も、今たくさん、なっている方がふえていっています。実は私も、妻と二人で養育里親の研修を受けて、今やっているわけですけれども。

 養育里親なんかでも、小さい子供を預かる場合があります。養育里親になるにはやはり経済的にもしっかりと仕事をしていなければいけないですし、いろいろな条件があって、子供を預かりたいけれども、そのときに、確かに今のままだと育児休業はとれません。でも、仕事しないといけないので、小さい子供とかでも保育園に入れないと仕事できませんから。では、途中でいきなり、そんな決まった期間に、ではこの何月から何日までですみたいなふうに来ることはほとんどないですから、やはり突然、お願いできますかというふうに来るわけですよね。そうしたら、そんな突然来る子供を保育園に入所なんかもちろんできませんから、結局、養育したいけれども、養育してあげたいけれども、預かってあげたいけれども、自分の仕事の環境が整えられなかったら養育できないわけですね。

 だから、今局長がおっしゃった答弁もわかるんですけれども、今回の改正、拡大になっていますから、僕はいいことだと思うんです、でもさらに、やはり国全体で子供を見ていくのであれば、私はそういう養育里親とかも育児休業がとれるようにした方がいいんじゃないかというふうに思うんです。

 だから、要は、今以上に拡大を検討していく、そういったことは必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 浦野委員と私は思いを共通にするものだと思っております。

 私も正直、今回、育児・介護休業法を見て、実の親子に限っているという条文が入っていて、そういう縛りの中で、昨今虐待がふえて、里親や特別養子縁組を目指している人たちをどう取り込んでいくんだろうかと。

 つまり、本当の親子に準ずる形での親子の形を持つことがやはり子供にとっては一番大事であり、特に、小さなとき、つまりゼロ歳から二歳、場合によっては就学前までの時期に、そういった形で実の親子に近い形の育て方、養育の仕方が愛着形成にとってはとても大事だというふうに思っていたので、私は、養育里親でも、例えば児童相談所長が認めれば実の親子に準ずるものということもあり得るのではないかということを強く主張したわけでありますが、労政審では、拠出者が使用者と働く人たちということで、そこでの合意が得られずに、今回こういう形で養子縁組里親のところまでが親子の関係に準ずる関係だということに育児休業の世界では整理をした。

 今までよりは、実の親子ではない特別養子縁組の監護期間と養子縁組里親が入るということで一歩前進ではありますが、まだまだこれは議論しないといけません。

 今回、私ども、養育に関しては、実の親の養育と、それに準ずる形の養育の中に特別養子縁組と里親が入って、今まで実は、家庭的養護という中に特別養子縁組も里親も入っていたんですね、今、いるんです。しかしそれは、実は、小規模の児童養護施設なども家庭的養護と言っているけれども、これは全然違うだろうと。だから、本当の親子と準ずるもの、それで、小規模の施設でやるもの、ここを家庭的養護と言うべきではないのかということを今提案していますが、これは児童福祉法の改正の際に議論していただければというふうに思っております。

 いずれにしても、愛着形成を幼児のときにしっかりと体得するということが、その子供にとっての将来が開かれることになるのではないかというふうに思いますので、先生の御提案あるいは御指摘は、しかと受けてまいりたいというふうに思っております。

浦野委員 思ってもみない丁寧な前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 私ども、やはり、児童虐待だとかそういったものがもう本当にしょっちゅう起こる世界で、何か少しでもいいからそういう助けになりたい、そういう子供たちを少しでも、自分たちで面倒を見られるんだったら面倒を見てあげたいという、私の妻の、非常に、使命感というか、やはり子供を持つ親としての憤りというか、そういうのがすごく大きくて、今回その里親。もちろん、私の職業上、こっちに、東京にいてる間はずっと妻が見るので非常に大変なんですけれども、それも覚悟をして、今そういうことをやっているんですね。

 私は、やはり、そういった努力をこれからしてくれる方々がたくさん、どんどんふえていっています、今、実際に。そういった方々が、よりいい環境で子供を迎えることができるように、この問題については、もうちょっと拡大をしていく。

 もちろん、これを悪用する人が出て、強い権限を持っているものですから、悪用して、ずっと育休をとっている人とかが出てくるかもしれません。でも、それはそれでやはり何か対策をとって、そういうことができないように、先ほど大臣がおっしゃったように、児童相談所の所長が認めないといけないとか、そういうふうなことをセーフティーとしてつけてやっていけばいいと思っていますので、これからも前向きな検討、よろしくお願いをいたします。

 この育児休業という言葉、育休という言葉で、一時期、非常にいろいろと話題を振りまいた方がいらっしゃいました。あの件があって、私は逆に、国会議員が育休をとったところで、一般的な男性の育休がふえるかといったら、そうじゃないというふうに、私はその当時も言っていました。

 ツイッターには、今、アンケートをとる機能もありますので、ツイッターで、皆さんどう思われますかということでアンケートもしました。八六%の方が、あの件で男性の育休取得がふえるとは思わないという回答をしてくれました。私もまさにそうだというふうに思っています。

 ただ、その後、ああいうことが起きて、逆に育児休業に悪影響を与えることだけは僕は避けたいと思っていますので、その点について、何か一言、答弁をいただけたら。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 男性が積極的に育児を行うということは、子育てに関する希望の実現にもなりますし、また女性の継続就業や、さらに出産意欲の向上と、本当にいいことがたくさんありますので、ぜひ積極的に男性には育児にかかわっていただきたいなと思っております。

 実際、育児休業取得率、上昇傾向にはあるんですけれども、数字を見ますと、平成二十六年で二・三%と、依然、残念ながら低い水準となっております。一応、政府の目標といたしましては、二〇二〇年までに一三%と、かなり大きな数字になっております。

 このため、厚生労働省といたしましては、男性の育児と仕事の両立に取り組んでほしいということで、イクメンプロジェクト、これを実施させていただくとともに、育児休業給付の支給による育児休業期間の経済的支援に積極的に取り組んでいるところであります。

 そして、最近は、厚生労働省も、実は職場の環境も結構影響があるのではないかということで、新たな取り組みといたしまして、実は、平成二十七年の五月から、これは厚生労働省の中だけでやっているんですが、政務三役によりまして、お子さんを出産なさった職員の皆さんと、あと上司の方と、両方集まっていただきまして、そして話し合いをするという機会を設けさせていただきました。

 実は、これは効果がかなりてきめんでございまして、話し合いを声かけする直前は育休取得率は一二・一%、話し合いをして、積極的に男性の育児休暇をよろしくお願いしますと上司と会わせてお話をさせていただきますと二六・七%と、倍以上にはね上がっているということで、これは非常に、やはり男性が育児休暇をとるというのは周りの環境を整えてあげるということが大切であるというふうに考えます。

 これらの取り組みに加えて、今回の法律案では、職場の上司や同僚からの育児休暇取得を理由とする嫌がらせの防止、事業主にそういったことを義務づけていこうとか、男性による育児休暇の取得を促すような企業への助成金、これを平成二十八年度の予算の中に盛り込ませていただきます。

 ということで、いろいろな政策を組み合わせまして、これからも男性の育児休暇取得、積極的に取り組んでいきたいと思っております。ありがとうございます。

浦野委員 もう時間が来ていますので、子育ての集中審議をもう一度求めていきたいと思っています。

 ただ、保育士の給料を上げるといってもそう簡単な問題ではないんですね。まずやはり財源の問題もありますし、公私間格差もどうするのかという問題も出てきます。そのお金が内部留保に流れてしまっては意味がありませんので、そういったところも含めて、やはり一度ゆっくりとこういった審議をするべきだというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

 質問を終わります。

渡辺委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 改革結集の会の重徳和彦です。

 本日三月十一日、東日本大震災から五年がたちました。亡くなられた方々に心から御冥福を申し上げますとともに、御遺族の皆様方に改めてお悔やみを申し上げます。

 いまだふるさとに戻ることのできない方々、復旧復興に御尽力されている皆様方に対しまして、国を挙げて支援をしていくということを改めてお誓い申し上げまして、質問に入らせていただきます。

 きょうは、育児休業制度について質問をさせていただきます。

 資料を配付しておりますが、新旧対照表、第五条があるんですね。これが改正されるという内容ですが、これは堀内委員の質問のときに、育児休業、その労働契約が満了することが明らかでない者は申し出をすることができるとありますが、この内容は、その書面上、契約上、更新しないとか更新回数の上限に達するということが明らかである場合じゃないということですね。

 「明らかでない」というのはそういうことだと思うんですが、わかりにくいという批判、指摘を非常に受けておりますので、この点、香取局長、きちんとこの趣旨を周知徹底するようにしていただきたいものですから、こういうことを要望申し上げますが、一言お願いします。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 条文の立て方は、法制局とも相談して条文をつくりますので、わかりにくいということは確かにあろうかと思いますし、その点は御容赦いただきたいと思います。

 今お話ありましたように、この条文の趣旨は、育児休業期間中、一年六カ月の間にあなたはもう契約が終わります、つまり、育児休業が明けたときにもう雇用計画がないということが明らかでない場合はできますよということですので、例えば、一年半の間、一年二カ月で契約が終わる、その時点でもう雇いどめをします、あるいはもう更新はしませんということがあらかじめ明らかでない場合は、基本的にはとれるということです。

 これは、条文の解釈上も、審議会の御議論もそういうものとしてこの条文はつくりましたので、その趣旨は、今後、成立した後、各企業さんあるいは経営団体を通じて、指針等でもお示しをしますし、指導もいたしますので、ここは、先生の御指摘のように、この趣旨をきちんと明らかにして、御理解いただいた上で運用ができますようにということで努力したいと思っております。

重徳委員 よろしくお願いいたします。

 それから、同じ資料の、十六条の二、これは看護休暇なんですよね。子供が病気になったときなんかに使う看護休暇。これが、新設された第二項によりますと、「厚生労働省令で定める一日未満の単位で取得することができる。」というふうにあります。

 この省令ではどのような一日未満の単位を設けようとされているのでしょうか。

香取政府参考人 看護休暇でございますが、現行法では一日単位ということになってございます。これについては、実際に休暇を使うときの使い方をできるだけ柔軟にという御議論がありまして、分割できないかということで、これは審議会でも御議論になりました。

 一つは、柔軟な休暇が取得できるようにしたいという御要望と、他方、事業主側からしますと、非常に細かい労働時間管理をしなければならなくなるということで、これは、先ほどからも議論がありましたように、労働法規なので、最低基準法規ということになりますので、中小企業も含めて全て必ず適用されるということになりますので、実際に管理ができるかどうかで議論になりまして、最終的には、法律上の規定の仕方としては半日単位ということにしましょうということになりましたので、この省令では半日単位ということで規定をするということになります。

 これは、申し上げたように、やはり業種ですとか業務内容によっては、なかなかそういう時間単位が難しくなるということで、こういう単位にしてございます。

 ただ、これは、いわば最低法規ということで私どもお示しをすることになりますので、例えば、現場の労使のやりとりでありますとか、あるいは、事業主側がある程度そういう対応ができるということであれば、時間単位でもうちょっと細かくやるということはもちろん可能ですので、指針等で、その点については、現場の労働実態や労働者側の御要望を踏まえて柔軟に対応していただくようにということで、それはそれとして、最低基準を置いた上での各企業への働きかけ、指導というのはやってまいりたいと思っております。

重徳委員 資料を二番目につけておりますが、現行の法律に基づく指針が今でもあるんですね。その2の(3)で既に、指針上、「時間単位又は半日単位での休暇の取得を認めること」と書いてあるんですよね。省令をわざわざ今回つくるがゆえに、省令で半日単位と書きながら、実は時間単位でもいいよというのは、すごく、これまた周知されにくい、誤解を招きやすい仕掛けになっていると思います。

 今、現行で既に「時間単位又は半日単位」と書いてある以上、決してこれは誤解が生じないように、しっかりとこれも周知徹底を引き続きお願いします。

 それから、この資料の7に記載があるんですが、現行の法律の第二十二条、これは雇用主が行うべき雇用管理等に関する措置、これは努力義務なんですけれども、育休をとった方が、もともとの、原職ですね、もとの職に、原職または原職相当職に復帰させるということがあるべき姿だと思うんですが、この指針では、これは今回の法律改正事項とは関係ないんですけれども、法律が二十二条でただでさえ努力義務である上に、このアンダーラインがしてあるところに、今の指針では、「原則として原職又は原職相当職に復帰させることが多く行われているものであることに配慮すること。」という、これまた何だか、法規範としてこんなルールの書き方があるのかという書き方になっているように思います。

 「原則として」とか「配慮すること。」と、相当和らいでいる上に、「多く行われているものであることに配慮すること。」非常にこれはわかりにくいですね。書くならぴしっと書くべきだと思うんですよ。原職または原職相当職に復帰させるよう配慮することとか、それでも配慮ですし、原則としてですし、しかも、この指針は法律上の努力義務に基づくものですから、何ら法律上義務づけるものではないわけですね、努力義務ですから。何らと言うと言い過ぎですけれども。

 もう少しこれはきちんとした書き方に直せないものでしょうか。局長。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、労働法規の仕掛けというのは、法律上は最低基準でかなり厳しい基準を決めまして、違反しますと法違反ということになっております。

 そうしますと、これは逆に、全ての企業に必ずひとしく適用されるということなので、厳しい規定を置き、かつ、いわばできるところはそれのプラスアルファでさまざまな施策をやってくださいということを指針で書いて、私どもは指導でお願いする。先ほどの例でいいますと、半日単位というのは、もう指針レベルではなくて、法律の最低基準に上げられるだろうということで今回も上げた、基本的にはそういう構成になってございます。

 今お話しの原職復帰のところなんですが、これは、今回ではなくて、前々回、過去の制度改正の中で議論されたことですが、法律の二十二条は、実はもっとさらに、そこまで書いてございませんで、労働者が実際に育児休業する際に、事業所や事業活動に支障が及ぶおそれがあることや、育児休業を取得した労働者が職場復帰する際に不安を抱く場合が多いことを踏まえて、事業所における労働者の配置等の雇用管理や休業中の能力開発や向上等について必要な措置を講ずる努力義務、そういう規定になっています。

 では具体的にどういう措置を講ずる努力義務があるのかということが実は指針に書かれておりまして、指針は、今先生が御指摘になったところですが、原則として原職または原職相当職に復帰させることが多く行われることについて配慮しなさい、こういう書き方になっています。

 これは何でこういう書き方になっているかということなんですが、基本、原職復帰ということは私どもも申し上げているわけですけれども、いろいろな労働現場もありますし、サービス業もありますが、いろいろな現場で、例えば、休職をしますと、穴をあけておけないので、後任する者の手当てをして、それで仕事を動かしているというような場合もありますし、あとは、もっと短いローテーションで人事をしているケースなんかですと、通常の人事のローテーションでも同じところに帰らないケースというのはございますので、必ず一律に原職に戻せということを法律上できちんと明記するというのは、なかなか、やはり実際の雇用管理なり仕事には合っていないのではないかということで、現在こういうような書きぶりになっているということです。

 他方、職場復帰するときに、通常の人事異動のルールでは説明できないような異動をする、あるいは、本人の希望しない、明らかに不合理な職場に動かすということになりますと、これは、こちらの法規ではなくて、むしろハラスメントの方の規定で、育休をとった場合の不利益取り扱いの禁止、これは法律上の禁止規定で規定が入っておりますので、そういう説明できない不合理な配転とか、原職復帰でない職場の異動がありますと、むしろ、こちらの禁止規定の方で、こちらは強制法規なので、取り締まるなりあるいは御指導申し上げるという形で対応するということになります。

重徳委員 ちょっと時間が過ぎていますけれども、今の質問は、「多く行われているものであることに」という、そういうような回りくどい言い方は何とかならないかということなんです。その点をお答えください。

渡辺委員長 簡潔にお願いします。

香取政府参考人 申しわけありません。

 この書きぶりは、今申し上げましたような経緯があって、労使と調整をして今はこの書きぶりになっているということでございます。

 とりあえず今はこうなっていますが、今後、育児休業法も見直しをして新しく運用いたしますので、この中で、労使で議論させていただいて、ある程度、もうちょっと、実際の運用との関係でいい書きぶりができるということが労使で合意できれば、書きぶりについては考えたいというふうに思っております。

重徳委員 こういう細かい指針に基づいて現場は動いていますので、ぜひきめ細かい配慮をきちんとして、ちゃんと世の中が前に進んでいくように、法律ももちろん大事ですけれども、省令、指針も極めて重要なところですので、きょうはあえて指摘をさせていただきました。これからもよくよく見ていきますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次回は、来る十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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