衆議院

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第10号 平成28年4月1日(金曜日)

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平成二十八年四月一日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 秋葉 賢也君 理事 江渡 聡徳君

   理事 小松  裕君 理事 後藤 茂之君

   理事 白須賀貴樹君 理事 西村智奈美君

   理事 初鹿 明博君 理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    大串 正樹君

      木村 弥生君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      田村 憲久君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    中川 俊直君

      中谷 真一君    永岡 桂子君

      長尾  敬君    丹羽 秀樹君

      丹羽 雄哉君    比嘉奈津美君

      福山  守君    堀内 詔子君

      牧原 秀樹君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      山下 貴司君    井坂 信彦君

      大西 健介君    岡本 充功君

      郡  和子君    中島 克仁君

      中根 康浩君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    角田 秀穂君

      中野 洋昌君    高橋千鶴子君

      堀内 照文君    浦野 靖人君

    …………………………………

   議員           初鹿 明博君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   内閣府副大臣       高鳥 修一君

   厚生労働副大臣      竹内  譲君

   厚生労働副大臣    とかしきなおみ君

   厚生労働大臣政務官    三ッ林裕巳君

   厚生労働大臣政務官    太田 房江君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 宮地  毅君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            生田 正之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          宮川  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       香取 照幸君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  三浦 公嗣君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  唐澤  剛君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       鈴木 良典君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月一日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     中谷 真一君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     田畑 裕明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 児童扶養手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

 児童扶養手当法及び国民年金法の一部を改正する法律案(初鹿明博君外八名提出、衆法第一六号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官宮地毅君、厚生労働省医政局長神田裕二君、職業安定局長生田正之君、職業能力開発局長宮川晃君、雇用均等・児童家庭局長香取照幸君、老健局長三浦公嗣君、保険局長唐澤剛君、農林水産省大臣官房生産振興審議官鈴木良典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。新年度になりまして最初の質問者を務めさせていただきます。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

 質問に入る前に、一言ちょっと苦言を申し述べさせていただきます。

 一昨日の当委員会で、我が党の山尾議員から塩崎大臣に対して、保育士の処遇改善を求める署名簿を受け取ってほしいという申し入れをいたしました。そのときの大臣の答弁では、国民の声にはきちんと耳を傾けなければいけないと思っているので受け取りますよと答えているんですね。前向きに答えてくださったと思います。ただ、日程も立て込んでいるから理事会で協議してほしい、そういう発言を大臣はされているんですが、理事会で協議をした結果、厚生労働省からなのか自民党からなのか、どこからかわかりませんけれども、この手渡しはできないということで、結局、事務方に手渡しをすることとなってしまったわけであります。

 大臣の気持ちとしては、その署名を受け取ることはしたい、しようという意思だったと思うんですが、それを、厚労省の担当者が邪魔をしたのかどうかわかりませんけれども、大臣の意向を尊重しないで、日程が無理だということでこれを断るというのは私はいかがなものかなということを一言申し述べさせていただきたいと思います。

 我々も、何の問題でも署名を持ってきて、こういう委員会で受け取ってくださいということをやるつもりはありませんよ。ただ、今回やはりこれだけ待機児童の問題が話題になっていて、政府も緊急対策を打っている、そして我々野党も処遇改善の法案を提出している、そういう状況で出てきた署名簿ですので、私はぜひ受け取っていただきたかったなということを言わせていただいて、質問に入らせていただきます。

 では、質問に入ります。

 さて、新年度のスタートです。四月一日ということになりますと、いろいろな法律がきょうからスタートするんですが、我々の厚生労働委員会に関係するところですと、きょうパンフレットを持ってきましたが、障害者差別解消法、きょうから施行になります。皆さん御存じですよね。障害のある人もない人もともに暮らせる社会をつくっていく、その上で、障害を持っている人たちに対して差別をすることがないように、また、差別を解消していくようにということで定められた法律であります。

 このパンフレット、せっかく立派なものをつくっているんですが、資料の二枚目を見ていただきたいんですが、「対象となる「障害者」は?」というところをごらんになっていただきたいんです。

 これは、障害者差別解消法における障害者というのが、条文だと、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。」という条文になっているので、それを受けてこういう書き方がされているということは理解をするんですけれども、難病団体の方から、難病が明記されていないという指摘を受けました。

 皆さんも御承知のとおり、今国会でこれから審議に付されます障害者総合支援法、これを成立させるときに、谷間のない支援を行っていこうということで、難病を障害者施策の対象にする、障害福祉サービスの対象にするということで難病も加えたわけですよ。そういうことを考えますと、せっかくつくったパンフレットですから、難病の患者さんたちもこの対象になりますよということをやはり明記してほしかったなと私は思うんです。残念ながら、ここ、書かれていないんですが。

 特に、これは啓発用のパンフレットですから、事業主の方とかいろいろな方にこれをお配りすると思います。そのときに、やはり、難病患者さんが対象になっているということがはっきりわかるのとないので、難病の患者さんに対する合理的な配慮がなされるかどうかということに差が出てくると思うんですよ。

 一般の方々は、我々この厚生労働委員会で議論をしている者のように、障害の中に難病が入っている、そういうことを理解されている方というのは多くないと思うんですね。そういう人たちにきちんと啓発をしていこうというパンフレットなわけですから、やはりここに難病という単語を入れていただきたかったなと思います。

 できれば刷り直しをしていただきたいんですけれども、予算的に、大量にもう刷っていて難しいというのであれば、せめて、この下ちょっと、一行うまいぐあいにあいているんですね、ここに一行、シールか何かを張るとかできるんじゃないかと思うんですけれども。

 きょうは、高鳥副大臣がお越しいただいておりますが、ぜひ、これは難病患者さんも含まれているんだということがわかるような対応をしていただけないでしょうか。

高鳥副大臣 初鹿委員にお答えをいたします。

 今御指摘いただきました難病に起因する障害のある方についてでございますが、障害者差別解消法の国会審議におきまして、同法案の障害者に係る定義規定、こちらにおける「その他の心身の機能の障害がある者」に含まれるという旨を政府から答弁いたしまして、その中身は確認をされております。

 今回つくらせていただきましたリーフレットにつきましては、差別解消法の趣旨、内容について広く国民に御理解いただくために作成をしたものでございます。

 御指摘の、本リーフレットにおける箇所でございますが、障害者差別解消法の障害者の定義を明らかにするものでございまして、同法の規定ぶりに沿って、定義を一般の方にわかりやすく記載いたしました。

 その中で、障害者につきまして、身体障害のある人、知的障害のある人、精神障害のある人、これは発達障害のある人も含むということでありますが、その後に、「その他の心や体のはたらきに障害がある人」で記載をしております。

 先ほどからお話をいただいております難病に起因をする障害のある方については、さきの国会の答弁のとおり、「その他の心や体のはたらきに障害がある人」に含まれているものでございます。これは、要するに定義をわかりやすく言い直しただけでございますから、この中に含まれているということでございます。

 そして、本リーフレットの大部分を、御案内のとおり、既に関係機関、団体等に送付済みでありまして、訂正シール張りつけ等の対応が難しいということでございます。

 本リーフレットにつきましては、国民の皆様の障害者差別解消法の理解を促進する手段として作成したものでありまして、同法の普及啓発につきましてさまざまな御意見がございましたら、今後参考にさせていただきたいと考えております。

初鹿委員 国会答弁で確認をされている、そのとおりなんですけれども、そんなことは一般の人は誰も知りませんよ。

 わかりやすく書いたと。わかりやすくと書いているんだったら、難病患者を加えた方がわかりやすくなるんじゃないんですか。

 このパンフレット、事業主の方とか一般の方に合理的な配慮をしてくださいということをお願いする中身なわけですよね。それをやらないと差別ですよということを伝えるパンフレットなんですよ。そのパンフレットで難病患者に対する配慮が足りないというのは、本当にこれはお笑いだと思いますので、確かに、配布をしてしまったということはわかりますけれども、それだったら、関係各所に、シールを作成して、これを張ってくださいということでお配りをして、それで、対応してくれるところは対応してくれるでしょうし、対応してくれないところはそれはやむを得ないかなとは思いますけれども、何らかのことはしていただきたいし、少なくとも、次にパンフレットをつくるときは手落ちがないようにぜひしていただきたいとお願いをさせていただきます。

 例えば、シールをつくって、それを張る作業を障害者の作業所とかに頼めば、今、優先調達推進法というのもあるわけですから、自治体もそれを使ってできるし、障害を持っている方々の工賃のアップにもつながるじゃないですか。こうやって失敗しちゃったときは、逆にそれがプラスになるように、ちょっと考えてみましょうよ。

 ぜひそれぐらいの検討はしていただきたいと思いますので、最後にもう一回お答えいただきたいと思います。

高鳥副大臣 わかりやすくと申し上げたのは、文言を平易にしたという意味でございまして、今の先生の御指摘も、貴重な御指摘として受けとめさせていただきたいと思います。

初鹿委員 受けとめるだけじゃなくて、やはり行動するのが政治家だと思いますので、よろしくお願いしますね。

 では、続いて質問に入らせていただきますが、待機児童問題について幾つかお伺いしたいと思います。

 一昨日の審議を見ていて、ちょっと私が違和感を覚えたのは、あれ、これは緊急対策でしたよねと。緊急というのは、今この状況に対して緊急的に対応しなければいけないという対策なんですけれども、今回、この緊急対策を実施する対象の自治体というのは、どこが対象になるんですか。まずそこをお答えください。

塩崎国務大臣 今回の緊急対策の取り組みは、国のさまざまな支援策などを盛り込んでいるわけでありますけれども、保育の実施主体であります市区町村に積極的に進めていただくことが重要という考え方で、今回は特に、国と一緒に支援を強めていこう、こういうことであります。

 この対象自治体については、平成二十七年四月一日現在の待機児童が五十人以上おられる百十四の自治体、それに加えて、平成二十七年度に待機児童解消、解消を持続する場合を含めて、これに向けて積極的に保育の受け皿拡大に取り組んでいる、これは私どもとしては、一応の目安として、百五十人以上の受け皿拡大を目指しているという百九十六の自治体、これを対象とする考えでございまして、重複を排除いたしますと、一応、二百二十七の自治体というのが対象となるということにしています。

 ただ、これは一応の目安であって、今申し上げた自治体以外でも、当然のことながら、待機児童の問題を抱えているところ、この問題について困っていらっしゃる、御苦労されている自治体などは、特に、例えば就学前の児童数に比べて待機児童数の割合が多いとか、ですから、地方に行ってもそういうことはあり得るわけでありますから、積極的に待機児童解消に向けて取り組むことを希望する自治体については、当然これは対象にすべきという考え方で、今回のこの対策を出していただいているということでございます。

初鹿委員 ここに対策の原文がありますけれども、この上の二行にかかわらず広げていくという、その辺はいいと思うんですが、大前提として、平成二十七年の四月一日現在の待機児童数ということになっていること自体が、私は、やはりこれは緊急な対策ということではちょっと違うんじゃないかなと思うんですよ。

 わかりますよ、確かに、今わかっている数字は二十七年の四月一日なんだと思いますが、一年前の数字ですからね。多分、このときに対象になっている人は、この四月一日の段階では、半分以上、大半の人はどこかの保育園に入っていますよ。緊急にやらなければいけないのは、きょうから入れなくなっている人たちに対してどうするかなんですよ。

 ですから、おとといの議論でも、待機児童の数、旧定義と新定義で、きちんと新定義じゃなくて旧定義で公表しろ、それも自治体ごとに公表しろというやりとりがずっと続いていたんですが、そもそも、今困っている人たちは、旧定義だろうが新定義だろうが、どちらでも余り関係はないんですよ。つまり、保育園に申し込んで断られた人たちが困っているわけですよ。

 ですから、私は、対策を打つ上で何を調べなければいけなかったか、何を厚労省として把握しなければいけなかったかといったら、四月一日から入園を希望していて断られた数を把握すべきだと思うんですよ。不承諾になった数ですね。

 そういう数を厚労省は把握されているんでしょうか、自治体ごとの数を。

塩崎国務大臣 おっしゃるとおり、きょうから、言ってみれば、お一人お一人から見れば待機児童になってしまったということが確定をするということ、そのとおりだと思います。

 きょう、私は横浜市に行って、待機児童はどうなったか、コンシェルジュも見てまいろうと思っていますが、そういうふうに思っておりますから、先生の問題意識は全くそのとおりだと思います。

 今回対象となっている自治体で、二十八年四月に入園できなかった方が多い自治体とすることも、もちろん、今のように、私もそのとおりだと思いますが、実は、今、四月時点の状況というのは、現時点では統一的に把握ができていないという状況であります、正確な数字は。横浜も、きのうの段階ではまだ正確に集計できていないという話でもございました。

 こういうことで、取り組みの対象となる自治体を決定するに当たっては、先ほど申し上げたとおりの対象を一応目安としているわけでありますけれども、しかし、問題意識としてはそのとおりでありますけれども、たった今、では、きょうの時点での待機児童はどうなったかという正確な数字という意味では、まだ集計し切れていないということでございます。

初鹿委員 集計できていないということですけれども、私は、そんなことはないと思うんですよ。

 どこの自治体も、まず入園の希望があって、それに対して承諾をするかしないか、もう通知を出しているわけですから、少なくとも不承諾を一次選考で何人に出したかというのはどこの自治体も把握しているはずです。その後、辞退をしたりして二次選考で新たに入れるようになったりする人が後から出てくることはあると思いますが、少なくとも一次選考で不承諾だと言われた数は全ての自治体は把握をしていると思いますので、私は、まずその段階で一回厚労省に情報を集めるということが今後必要なんじゃないかと。そういうことをしないと、本当の待機児童数というか、本当に入れなかった数がわからない。本当に入れなかった人の数がわからなければニーズがきちんとつかめないと思いますので、どこの地域に対策を打っていけばいいのかも正確なことがつかめないんじゃないかと思うんですね。

 この間、いろいろなお母さんたちと話をしてきました。あるお母さんから情報をいただきましたけれども、東京近郊のある自治体の例ですけれども、そこは待機児童数は五十人だと言っているんですよ。この緊急対策は五十人以上だから、ぎりぎり入るか入らないか、まあ入るんですかね。ですが、四月の入園申し込みの不承諾数は四百六十三人だったそうです。公表しているのは五十人で、実際には四百六十三人ですよ。何倍ですか。つまり、待機児童数で公表されている数で保育園の足らない数を考えてしまっていると、本当に入れないで困っている人たちのニーズに応えられないと思うんですよ。

 ですから、私は、不承諾数というのをきちんと把握することが必要だし、それを自治体ごとに公表すれば、事業主も、ああ、入れなかった人がこれだけいるんだ、今ここに出店をすれば、ある程度人数は確保ができるな、子供たちは来るなという見込みが立てやすいと思うんですよ。それによって、保育園も数がふえていくことにつながっていくと思います。

 私は、今までの待機児童の考え方で数を把握していくということも必要だと思いますが、入園のタイミングごとに、何人断っているのかということもきちんと厚労省で把握をする、できれば自治体ごとに公表させるようにしていくことが今後の本当の待機児童対策をすることにつながるのではないかと思います。

 大臣、御見解をお伺いいたしますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 お気持ちはよくわかります。

 一方で、第一次選考というか、そういう段階での結果、入園が決まらずに、その時点で一応待機児童という定義になってしまうという人数の公表をすることについて、市町村ともいろいろ議論をしていますが、最終的な数値でない途中の段階で、つまり、例えば、特定の保育園を希望されている方が、とりあえずそこはだめでしたと、しかし、次にいろいろな可能性があるわけですね。十キロ離れているところだと思った、オファーされるとしたら遠いところ、それはだめだといって終わって、でも、もうちょっと自分の住んでいるところに近い、二、三キロ離れたところで、だったらいいということでおさまるというようなこともあり得るわけだし、また、小規模をオファーされて、ではそこでもいいかみたいなこともあります。

 一次選考で不承諾となったケースについても、いろいろな相談対応、それこそコンシェルジュが機能して、マッチングをして、最後、入園を何とかかち取るというか、そういうところまで持っていくということの努力をされているわけでありますので、一次選考の段階での数字を発表することにどういう意味合いを持たすかというのは、なかなか、それぞれのケースで違うんだろうというふうに思うんです。

 したがって、今度四月に、今月ですね、市、町のトップとお話をしてみますし、それから、部局長会議をやはりやろうということで、事務方がやることになっていますが、そういう中で、どういうふうな発表の仕方が最終的に待機児童解消を促すかということを議論してみたいというふうに、今の問題意識も受けて、いきたいというふうに思います。

初鹿委員 入園のタイミングというのは、四月募集だったり十月募集だったり、多分、自治体によって異なるのかもしれませんが、幾つかタイミングがあると思いますので、その都度その都度、やはり情報をオープンにしていくことが私はいいんじゃないかと思うんですよ。

 保活をしているお母さんたちの話を聞くと、やはり、入りやすいところに、待機児童が少ないところに引っ越そうみたいなことまでやられている方というのはいるわけじゃないですか。そういう方にとってみたら、直近、ここだと不承諾数が少ないなとか、こっちは多いなとか、そういう情報の方が、どっちに行くかを判断するのに、より正確な判断がしやすくなる。

 事業主にとっても、やはり、その都度その都度出していってくれれば、このタイミングで、例えば、四月も多かった、十月も多かった、それだったらここで出しても大丈夫だという判断になるし、四月は多かったけれども、今度は十月は減っているとなったら、あ、ちょっとこれは競争相手が多くなっているのかなという判断にもなるし、事業主にとっても出店しやすくなると思います。

 市長、区長さんたちとお話をするということでしたら、その点もぜひ御指摘いただいて、前向きに、できる限りいろいろな情報を出すような方向に進めていただきたい。それが、私は、待機児童を本当に解消することにもつながるし、本気で国がやる気になっているということを示すことにもつながると思いますので、その辺はよろしくお願いをいたします。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 今度は、リストラ助成金と言われている労働移動支援助成金についてです。余り時間がなくなってしまいましたけれども。

 部門会議等で担当の方々には指摘をさせていただいておりますけれども、今までは、王子ホールディングスに対してテンプスタッフの関係会社がコンサルをして、そして退職強要をして、そしてこの助成金を受け取っていたということが一つの例としてこの委員会でも提示をされておりましたけれども、今、私の手元に、これはリクルートキャリアコンサルティングという会社がつくった、担当者がつくった営業用のペーパーがあります。

 ここを見ますと、参考、労働移動支援助成金というページがありまして、そこには、二〇一四年度から刷新され、活用範囲、対象企業が拡大されている助成金の利活用の助言及び実際の申請のサポートを行いますということが書かれているんです。そしてここに、既に担当○○は、人の名前、個人名が書いてありますが、担当○○は、二〇一四年度新助成金の対応実績として、二十社を超える対応を行っていますと書いてあるわけですよ。リクルートキャリアコンサルティングの一担当者は、二十社に対して営業をかけて、退職勧奨という名のもとにリストラを強要しているか、テンプスタッフと同じようなことをして、労働移動支援助成金をもらえるようにコンサルをしている。二十社既にやっているということがここに書かれているんです。

 さらにめくっていくと、一番最後、七ページ目には、今までの実績というのが書いてあるんですよ。弊社が担当した早期退職施策コンサル担当実績、過去三年間というのが書かれていて、年により異なりますが、三年間で小型案件も含めて二千二百件の事案に対応しており、比較的規模の大きいコンサルティング案件は三年間で二百件強対応しておりますと書いてあります。

 そして、具体的な数字も書いてあるんですよ。電機メーカー二千八百人、電機メーカー二千四百人、化学メーカー千人、エネルギー八百人、電機メーカー二千人。

 そのほかつらつら書いてあるんですが、これだけ多くの方々に、この人材紹介会社がコンサルをする形で、退職強要とも思われるようなやり方で仕事をやめさせて、そして自分の会社で次の再就職先を探させる。そのことによって助成金が支払われている。その実態がここで明らかにされているんですね。

 もう一つ資料を添付しておりますけれども、日本労働弁護団が、緊急ホットラインということで、電話で相談を受けました。

 まず一ページ目。一、この企業もまさに王子とテンプの例と同じように、早期退職募集の面接がされ、退職勧奨を受けている、退職拒否をしたところ、本社に呼び出され、社内に仕事がないから、四月一日からは東京の雇用創出機構へ出向し次の仕事を探すようにと告げられたと書かれております。

 もっとひどいのは、ちょっと一枚めくっていただいて、六と書いてあるところを見てください。これは、私は非常に問題だと思うんですが、六行目、「社内にはパソナを幹事会社としてテンプ、リクルート、マンパワーの四社のキャリア相談室が置かれ、個別面談の中で、キャリア相談を受けるようにと勧められた。」四社がかかわっているというんですよね、この会社。

 これを見ても、やはり人材紹介会社、人材会社が業界ぐるみで、テンプがやったようなスキームで、この労働移動支援助成金を使って営業をして回っている。退職をさせてお客さんをつくって、自分のところで紹介をする、それによって、自分たちはお金をもらう、仕事をやめさせた方の企業には税金から助成金が入る。まさにこれは業界ぐるみで行われているあかしだと思うんですよ。

 これまで厚生労働省も、テンプの問題をきっかけにして、各人材紹介会社に当たってどういう状況かヒアリングはされたと思います。しかし、この資料が出て、具体的な話も出てきているわけでありますから、私は、改めて、このもう具体的な名前が出ている人材紹介会社にきちんと当たって、テンプと同じようなことをやっていないのか、指導すべきだと思います。

 それと、この人材紹介会社を使ってこの助成金を受けた企業もかなりの部分が明らかになってきておりますから、その企業に対しても、王子と同じようにきちんと厚労省として接触をして、あなたたちのやった退職勧奨、そして出向させて自分の仕事を見つけることを業務とさせた出向命令、これは不適切だということをきちんと企業の側にも指導をしないといけないと思います。

 この両方、人材会社に対しても、そしてリストラをしていった会社に対してもしっかりと指導を行うべきだと思いますが、これは改めてということです、いかがでしょうか。

渡辺委員長 既に今、申し合わせの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

塩崎国務大臣 なかなか簡潔には難しいわけでありますが。

 企業の労働者に対してその自由な意思決定を妨げるような退職強要を実施することは許されないということは申し上げてまいりました。企業に対して積極的に退職勧奨の実施を提案することも適切ではないということを言ってまいりました。

 つまり、職業紹介事業者が失業者をつくり出すみたいなことはだめだよ、こういうことを言ってきたわけでありまして、そういう意味で、今お話がありましたが、実は、職業紹介事業者六社に対して個別に呼んで指導をもう既にして、今申し上げたような不適切な事案はなかったかという過去のことについても触れながら、指導を既に行ったところでございます。

 そういう意味で、今後、こういうような問題がまたさらに出てくれば、当然その指導をしなければならないというふうに思っています。

初鹿委員 時間が過ぎているので、最後に簡潔に申し上げますけれども、やはりこの問題は、不適切なことをやっていながら、人材紹介会社もリストラをした企業も何のペナルティーもなく、ただやめさせられた労働者の方だけが被害をこうむっているという状況にあるわけですから、私は、この間違った不適切なことをやった企業に対してきちんとペナルティーを与えるということと、この制度を使って退職された人を救済する措置を政府として早急に検討すべきだということを申し上げさせていただいて、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 井坂信彦です。

 きょうから新年度ということで、まず冒頭に、昨年度の年金運用についてお伺いをいたします。

 平成二十七年三月末、ちょうど一年前の日経平均株価が一万九千二百七円でした。そして、昨日の株価が一万六千七百五十九円ということで、昨年度一年間で株価は一二・七%下がったということになります。

 まず、大臣に端的にお伺いをいたします。

 平成二十七年度、GPIFによる年金積立金の運用では巨額の損失が出ているのではないでしょうか。

塩崎国務大臣 GPIFは、年金積立金を、国内外の債券と株式の組み合わせをベストミックスをつくって運用しているわけであります。日経平均株価などの国内株式の指標がそのまま運用収益に反映されるものではないわけでございます。

 年金積立金の運用というのは、もういつも申し上げているとおり、長期的な観点から安全かつ効率的な運用を行っていくことが重要であって、最も大事なのはお約束どおりの年金を支払うために年金財政上必要な利回りを確保できるか、今でいえば名目賃金上昇率プラス一・七を確保できるかどうか、これが一番大事なので、それも長期的にその観点から見てどうかということで、短期的な動向に過度にとらわれるべきではないということを申し上げてきているわけであります。

 年金積立金については、平成十三年の自主運用開始以降のトータルの収益率は年率でプラス二・九九%、累積の収益額は五十・二兆円。二十六年度は十五・三兆円のプラスになるなど、安倍政権発足後の収益額は三十七・八兆円のプラスとなっておりまして、長期的には年金財政上必要な利回りを十分確保できているというふうに思います。

 年明けからの短期的な市場動向によって、このような年金積立金の運用状況が大きく変化するものとは考えておらないところでございます。

井坂委員 全くお答えになっておりませんので、繰り返しお尋ねをします。

 これは確かに、別に、国内の株が下がったから直ちに年金積立金がそれに比例して減るというわけではありません。

 そうおっしゃると思ったので、私、もう大まかに計算してきました。年金を株で運用することをふやした初年度ですから、実際どうなったのかということで、国内債券は、ベンチマークを見れば大体五%ぐらいふえているはずであります。ところが、国内株式は、さっき申し上げたように、TOPIXでも一二%減っている。そして外国債券も三%減っています。それから外国株式は一〇%減っています。大体、毎年GPIFの運用はベンチマークとそれほど変わらない成績を出しておりますから、ここから大幅にずれることはないというふうに思います。

 この運用割合、国内債券三八%、国内株式二三%、外国債券一三%、外国株式二二%、去年一年間ほとんど変わっておりませんので、大まかに計算すると、国内債券で随分プラスが出ておりますが、それでも、株のマイナスが大きく足を引っ張って、昨年一年度でマイナス五兆円ぐらいだというふうに思います。

 ちなみに、株の割合をふやす前のポートフォリオであれば、昨年度一年間でも損失は出ておりません。しかし、株の割合を大幅にふやした初年度、まさに昨年度、平成二十七年度に株が原因で巨額の損失を出した、長期的動向はお聞きしていません、昨年一年間で株が原因で巨額の損失を出したということはお認めになりますね。

塩崎国務大臣 先ほど来申し上げているように、年金財政にとって大事なのは長期的な運用の結果でありまして、それを見ながらいかなきゃいけないわけであります。

 昨年度の数字は、つまり二十七年度の数字はことしの七月に公表される予定でございますので、それを今試算していただきましたが、それが合っているかどうかは七月に結果としてわかりますので、具体的な数字などについては、今私が答える立場でも、能力的にもできない。それは、数字がまだ固まっていないわけでございますので、この三月末までの数字については七月までお待ちをいただきたいというふうに思います。

井坂委員 数字と理由もお示しをして、この数字からそんなに大きく上下ずれることはないというふうに思います。それはもう仕組みも大臣は御存じなわけで、これが急に、七月にふたをあけてみたらプラスでしたなんていうことはないというふうに私は思います。何か、こんな簡単な事実すら認識されていないということでしょうか。

塩崎国務大臣 旧民主党の皆さん方も、政権を担われて、あの三年余りの間にいろいろ知り得たこと、学ばれたことがあるんだろうと思いますけれども、前も申し上げたように、これは小宮山大臣のときでも、マイナスになったのではないかということで共産党の方から御批判を受けたときにお答えになっているのは、「積立金の運用というのは長期的な観点から行われるということが重要だ」ということを明確におっしゃっているので、先ほど申し上げたように、長い目で見て、安倍政権になってからでも三十七・八兆円収益が上がっているわけでありますから、長期的なトレンドとしてどうか。これは二十五年の財政計算をしているわけでありますけれども、その中でどういうふうになるのかということが大事であります。

 これは、当然、きょうも朝のニュースで、日本郵政が、債券の運用だけではとてもやっていけないのでリスクを管理しながらより利回りの高いものに運用をふやしていくということをおっしゃっていました。

 この間、参議院で民主党の尾立先生が御質問になったときに、まず最初にゆうちょの方を呼んでおっしゃいました。まさに負債に見合った利回りを稼ぐことが大事で、それ以上のことをやる必要はないので、今は彼らは株式はやっていないということでありましたが、きょうの長門日本郵政社長さんの御発言を聞けば、やはり、負債の求める利回りについて、現状であってももう国債中心ではやっていけないということをゆうちょも言っているということだろうと私は理解をいたしました。

 これは資産運用の常識中の常識でありまして、このような、かつてのようなことではない経済状況の中でしっかりと年金の利回りを確保していくということは、やはり資産運用上も工夫をしていかなければいけないということでありますので、いずれにしても、小宮山大臣もおっしゃっているように、長期的な観点で物を見ていくということが年金財政の常識であろうというふうに思います。

井坂委員 長期で見ることを私は何も否定なんかしていないんですよ。それは、長期的に、最後、利率を確保することは大事だと思います。

 そんなことはお聞きしていなくて、私がお聞きしているのは、ポートフォリオを大きく変えた、特に初年度ですから、単純に、その運用成績は大幅に損失を出したのではないですかと。別に、それはお認めになった上で、去年は損失を出したけれども、しかし長期的にはまたこれから取り返していくんだということでいいんじゃないんですか。(発言する者あり)多分おっしゃらないと思いますよ。

 実は、これは発表の日付のことなんですね。七月というふうに大臣はぼかしておっしゃいましたけれども、これは七月二十九日に損失額を発表されるということであります。ちなみに、参議院議員の任期は七月二十五日ですから、それまでには参議院選挙が行われます。ですから、公表日七月二十九日というのは、もう見事に参議院選挙後ということになるわけであります。

 GPIF、去年は七月十日に発表しています。おととしは七月四日、その前は七月二日、その前は七月六日。GPIFが平成十八年にできてから、平成十九年度以降はもう毎年必ず七月初旬、早い年には六月末に前年度の運用実績を公表してきました。ところが、ことしに限って参院選後の七月二十九と、もう今から公表の日時を決めているわけであります。これは、株で年金を運用した結果、五兆円の損失を出したことしに限って、運用結果の公表日を参議院選挙後に先送りしている。

 まずお伺いしたいのは、なぜかということ、年金運用の損失隠しではないかということをお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 まず第一に、損失隠しとかいう発想で我々は年金運用をやっているわけではない、長期の年金財政にとって必要な利回りを確保できるかどうかという観点で、経済情勢を考えた上で新しいポートフォリオの組み合わせをつくっているわけであります。したがって、参議院選挙があろうとなかろうと、我々は発表すべきものは発表するというのが基本であります。

 この二十七年度の運用状況の公表についてでありますけれども、これまで、もともとこれは七月末までにということになっていたわけでありますけれども、実は、今回一歩前進をさせたのは、末とか言うと、いつだろうか、七月一日も末に近い、までにですから。そういうことになると、やはりいろいろと臆測を呼んだりいたしますので、今回は、確定日付でGPIFが発表をして、七月二十九日という日にちを選びました。(発言する者あり)いいですか。少し聞いていただけますか。(発言する者あり)よく聞こえないような気がしたものですから。

 そこで、年度ごとに今までまちまちでありましたけれども、公表日をあらかじめ明確にするために、GPIFが、平成二十八年度計画において、具体的な公表日を初めて明記いたしました。

 その際、開示内容につきましては、検討を加えて、より充実をさせること。なぜかというと、二十八年度計画においては、GPIF設立からちょうど十年になるんですね、その間の運用状況を分析し、また公表するというのも、年金受給者や年金加入者に対する大きな責任であります。それから、保有する銘柄に関する情報の開示のあり方についても、検討して、よりオープンな形での情報開示をしようということになっています。

 したがって、市場への影響に留意もしながら、情報公開の充実をどう図るのかということもじっくり考えなければいけないというふうに考えているわけでございます。

 先ほど日付のことをおっしゃいましたけれども、かつて、例えば、平成十三年度は七月の三十日でありました。それから、GPIFがスタートした平成十八年度は七月三十一日でございました。したがって、早いときもあれば遅いときもあり、なおかつ……(発言する者あり)いいですか。聞いていただけるならお話ししたいと思うので。

 要は、ちょうど十年で、これまでの十年のGPIFの中の運用は一体どうだったのかということもやはり虚心坦懐に分析をしてお示しをするということが私は大事なことだと思うので、GPIFがそこのところをよく考えてやるものだというふうに理解をしております。

井坂委員 いろいろごまかしておられると思いますが、GPIFになってからは、これはずっと早いんですよ。GPIFの初年度は、たしか何かあったのかもしれませんよ、七月下旬になっていますが。それから後はずっと七月初旬、または六月末で一貫してやっているんです。

 大臣、お伺いしたいのは、公表日を決めたのはどなたでしょうか。GPIFなんでしょうか。

 それから、もう一つお伺いしたいのが、大臣や厚労省側、あるいは総理や政府側から、発表をおくらせてくれとか、七月末にしてくれとか、GPIF側に伝えたことはありますでしょうか。

塩崎国務大臣 当然、これはGPIFがお決めになったことであります。

 先ほど来申し上げているように……(井坂委員「伝えたことはありますか」と呼ぶ)もちろんございません。今申し上げたように、GPIFが決めたことだということなので、私どもがいつにせいなどということは一切言っていませんし、何度も申し上げるように、当然、きちっとした分析を示して、十年目というのは十年に一回しかないことですから、少し時間がかかってもおかしくはない話であって、今後どうするかということは、GPIFがまたお決めになることだと思います。

井坂委員 保有する銘柄の発表なども今回から同時に行うんだということで、それも理由で、ずっと早くやってきたのを遅くするということであります。

 私は、年金の運用は、大臣のおっしゃるように、長期で見るということ、その視点は大事だというふうに思います。

 一方で、年金の積立金というのは、政府が国民から預かっている預かり金です。ですから、国民の側からしたら、預けている政府がちゃんと毎年どういう運用をしてくれているのか、そして、まさにその運用成績もよくよく見ながら、この政府に預け続けていいのか、それとも、この政府にはおきゅうを据えなければいけないのか、まさにその判断材料になるものだというふうに思います。

 私は、もう今はGPIFはパッシブ運用ですから、保有銘柄の公表はそれほど重要な意味は持たないというふうに思います。まあ、やってもいいですよ、十年の歩みもやってもいいですよ。ただ、毎年やっている、平成二十七年度の運用結果、五兆円損失を出しているわけでありますけれども、取ってつけたような理由でことしだけ公表日をおくらせるのではなく、銘柄の発表とか十年の歩み、これは別途やったらいいと思いますよ、ただ、例年どおりやっている年度の数字は、これは例年どおり七月初旬に年金運用の結果を発表して、堂々と国民の審判を仰ぐべきだと考えますが、どうでしょうか。

塩崎国務大臣 もともとこれは年度で発表していた数字であります。それを四半期ごとに発表した方がいいだろうということで、速報のような形でこれまでも出してきたわけでありまして、いつも年度はやはり年度できっちり出すということをやってきたので、今回もそのようにお願いをしたいというふうに思っています。(井坂委員「年度を七月初旬に出しているんですよ、毎年」と呼ぶ)

 さっき申し上げたように、今回はいろいろ年度の通期での分析もしながらやるということでありますので、そのようなことを含めてGPIFがきちっと判断するものだというふうに思っています。

井坂委員 年金は、もちろん必要な額に届く利回りを確保しなければいけない。ただ、私は、この議論をすれば、きょうはしませんが、いろいろ言いたいことがあって、要は、年金というのは、本来は手がたく運用をしてちゃんと届くようにやっているはずなんですよ。ところが、リスクを負ってギャンブル的なことをしないと必要な利回りが確保できないような状態に現状落ち込んでいる、そちらの方の問題が、実はこのGPIF、単年度の損失よりもはるかに大きな問題だというふうに思っておりますので、これはまた大きな問題ですから別途議論をさせていただきたいというふうに思います。

 本来の保育所の話に移りたいというふうに思いますが、前回の議論で、私、最後までわからなかったのは、結局、国基準の保育士で人数は十分なのかということであります。私、別に保育の質とかゆとりとか、そういうことは前回一切言っておりません。そうではなくて、それで現場は本当に回るのかというその一点であります。

 前回お聞きできませんでしたので改めてお伺いいたしますが、前回は、自治体で独自に加配をしているところがいっぱいあるのではないかとお聞きをしました。きょうは、重ねてお伺いするのは、国基準あるいは自治体の上乗せ基準、これにかかわらず、保育所独自で保育士さんをたくさん配置している、こういうところが全体の何%ぐらいあるか、お伺いしたいと思います。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 委員おっしゃるように、今、加配している保育園の具体的な数や割合、これについては残念ながら把握しておりませんが、参考になる資料をちょっと御案内申し上げますと、平成二十二年ですけれども、「「新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度」の設計に向けたタイムスタディ調査」によりますと、平均的に、保育園で配置基準上必要とされている保育人材より五、六人程度多くの人員が配置されている傾向にあるということがわかりました。この中には、もちろん、休憩保育士や十一時間開所に伴い必要となる保育士の確保など、国の運営費上の加配も含まれております。

 さらに、このほかには、自治体の単独事業となる助成を受けて行われているものもあれば、園独自として、運営費全体のやりくりの中で人を加配しているというケースもあります。

 ということで、いろいろなケースがあるということで、実態は残念ながらまだ把握できておりません。

井坂委員 今、保育所独自で大体国基準より五、六人多く配置をしているという御紹介がありました。もちろん、これは、十一時間保育とか休憩保育ということで、国の基準で加配している部分もあるんですけれども、国基準の加配は、私、仕組みを調べましたけれども、二、三人だというふうに思います。ですから、やはり国基準よりもさらに多く保育士を配置している、自治体としてそれを条例として求めている市もたくさんあるし、自治体が求めていなくても国基準以上に保育士をたくさん配置をしている、これが現場の現状だというふうに思います。

 これが何か保育の質とかゆとりとか、まあ、ぜいたくとまでは言わないですけれども、ある種余裕のあるような話で保育士さんをふやしているとは私は思わないんです。やはりいろいろお聞きをすると、本当に国基準どおりの保育士の人数だとさすがに現場は回らないという声ばかりを聞きます。

 しかし、実態は把握をしておられないということでありますから、やはり私はここは把握をしていただきたいというふうに思うんです。各保育所が国基準に加えてどれだけ保育士を配置しているのか、これをわからずに、今回の緊急対策のように、国基準でまだ余裕があるんだったらその分受け入れてくれみたいなことをやると、私は保育の質とか以前に、もう現場が回らなくなるところが出てくるのではないか、これを心配しておりますので、大臣、この件、一言だけお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 やはり実態はきちっと押さえた方がいいと思いますので、私も調査をした方がいいと思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、保育士の給与アップ、我々も提案しておりますし、大臣もそれが一番重要な問題である、ボトルネックであるとまではお認めになっておりませんが、重要な問題であるということはおっしゃっているわけであります。

 ただし、これは誰でも彼でも保育士さんであれば給与を上げればよいというものではありません。

 資料一をごらんいただきたいんですけれども、公立の保育所の保育士さん、それから私立の保育所の保育士さん、これは給与に差があるわけであります。

 現状をお伺いしようと思っていたんですけれども、ちょっと時間がないので、これと同じ数字を多分お答えになると思いますから、これを見ますと、公立の保育所の保育士さんは一人当たり月額二十八万円、私立は二十五万円というふうに政府の保育所経営実態調査ではなっています。

 ただし、ここにはからくりがありまして、公立の保育所の保育士さんには大きく二通りおられます。それは、公務員である保育士さんと公務員でない臨時職員、常勤ですよ、パートでなくて常勤でも公務員でない臨時職員の保育士さんがおられるわけであります。

 そこで、お伺いをいたしますけれども、公立保育所の公務員である保育士さんと、それから、公務員ではない臨時職員である常勤保育士、非正規だけれども常勤の保育士さんの平均給与はどうなっておりますでしょうか。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 公営の保育園に勤務する臨時職員である常勤保育士の給与については、残念ながら把握しておりませんが、公営保育園に勤務する常勤保育士の平均給与は、先ほど資料でお示しいただきましたように、平成二十五年の幼稚園・保育所等の経営実態調査によれば、保育士一人当たり年収三百四十五万円となっております。

 ということで、公営保育園の保育士の処遇については、今大変問題になっておりますし、それに対しては、保育園を運営する自治体において、それぞれの実情に応じて職員規程等によって定められているというふうには承知しておりますけれども、いずれにいたしましても、公営の保育園に勤務する職員の正規、非正規といった区分も含めて、保育士の実態をやはり把握していくようなことがこれから必要なのではないかなと思っておりますので、これから実態把握の方に努めていきたい、このように考えております。

井坂委員 実態把握、あらかじめ事務方にもお願いしておりましたが。

 これは、三百四十五万円とおっしゃいましたけれども、もう雲泥の差がありますから。公務員である保育士さんと臨時職員である保育士さんで、給料は倍ほど違うというふうにも聞いておりますので、それの平均をとったら三百四十五万ということですけれども、この数字はほとんど何の意味もない数字です。二通り全然違う人、しかも、大体半分ずつぐらいいますから、それの平均をとってといったら、この三百四十五万という給与の保育士さんは果たして存在するんだろうかというぐらい意味のない数字です。

 ですから、実態を把握するとおっしゃいましたけれども、公務員である保育士さんの平均、それから臨時職員である保育士さんの平均、ちゃんとこちらを把握していただきたいというふうに思います。こういう基礎的なデータもないと処遇改善も何も議論できないと思いますから、これは早急にお願いをしたいというふうに思います。

 さらに、資料二をごらんいただきたいと思います。

 今申し上げたように、公立保育所の方が非正規の保育士さんの割合が非常に高いんです。これをごらんいただきましたら、公立はもう半分以上が非正規じゃないかというふうに思うわけであります。下の私立と比べても、非正規の方が圧倒的に多い。非常に賃金構造上もゆがんでいる上に、下のグラフを見ていただきたいんですけれども、その非正規の職員さんのほとんど全員が正規職員と同じような仕事を行っているというふうに現場から報告をされているんです。

 大臣、お伺いいたしますが、私も昨年、同一労働同一賃金法を通していただきましたし、今や安倍総理も同一労働同一賃金をうたっておられるわけであります。この非正規の保育士さんの処遇改善、特に公立保育所の内部の公務員それから常勤臨時職員の格差について、どう解消していかれるのか、大臣にお伺いします。

塩崎国務大臣 つぶさな実態がわからないというところがございますが、その件については、先ほど私が申し上げたとおり、やはり実態は把握をした方がいいというふうに思いますので、先ほどとかしき副大臣から申し上げたように、きちっと調べたらいいんだろうというふうに思っています。

 今の、公立の保育園の常勤と非常勤の格差、この問題については、やはり……(井坂委員「常勤と非常勤じゃないです。常勤と非常勤じゃなくて、常勤の中でも公務員とそうでない人の差を言っているんです」と呼ぶ)公務員と私立の保育士ですか。

渡辺委員長 では、もう一度。

井坂委員 これは事前に事務方の人が何度も間違って、常勤、非常勤の差ばかり出してきて、私、三往復ぐらいそれを突き返して、違うんです、常勤の中でも公務員である人とそうでない人で倍ほど給与が違うでしょうという話をしているんです。そこが伝わっていないとしたら、ちょっと事務方の怠慢だというふうに私は思いますよ。

 それで、その数字は持っていないということだったから、しかし、実態はもうみんな知っている話ですので、別につぶさな数字がなくたって、格差はあるんですよ、同じ仕事をしているのに、公務員の人とそれから常勤の非公務員の人とで物すごい差があると言っているんです。同一労働同一賃金の考え方からいったら、これは全然説明のつかない状態になっていますから、大臣、どうされるんですかということです。

塩崎国務大臣 正規、非正規のつもりで言ったので大変失礼しましたが、そこにおける格差は、やはり、同じ専門職としての保育士でありますから、適切な給与が払われるのが当然だろうと思います。いわゆる多様な正社員というのと同じような発想で払われるべきではないかというふうに思うわけであって、やはり保育士の実態を、どういう働き方をしているかということも含めてですけれども、さらなる処遇改善について考えていかなきゃいけないというふうに思います。

井坂委員 時間が参りましたので、三枚目の資料は、これは私立の方が長時間やっていたり、あるいは低年齢をたくさん受け入れていますよという資料であります。

 この処遇改善と同時に、官民格差、また、公立の内部でも公務員である人とそうでない人の格差、ここも含めて人件費の問題はしっかり総合的に解決をしていくべきだということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 岡本でございます。

 きょうは、一般質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速ですけれども、質問に入りたいと思います。

 これまでも、この委員会でもたびたび話題になりました労働移動支援助成金について、まずお伺いをします。

 当委員会でも資料要求をしておりました資料が出てまいりました。お手元の一番、二番の資料であります。ことしの二月末時点で、平成二十六年度に労働移動支援助成金による再就職支援を受け離職をされた方のうち、再就職できていない人が五百七十四人いるという実態、そしてまた、平成二十七年度、昨年度でありますけれども、こちらで労働移動支援助成金による再就職支援を受けるという名目の中、退職をしていったにもかかわらず、再就職ができていない方が二千八百六十一人いるという資料であります。

 そもそも、再就職ができていない方で失業給付を受けている方がどれだけいるのか、失業給付すら受けられていない方がどれだけいるのか、気になるところであります。この皆さん方の実態をぜひさらにお調べいただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の未就職の方のうち、雇用保険の給付を受けている方、受けていない方という数字については今ございませんので、これから調べたいというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 加えて、例えば二十七年度分、二ページですけれども、四千四百三十四人が再就職しているとはいうものの、再就職者のうち労働移動支援助成金の支給申請があった方は、このうちの二千六百九十八人と、この数字も合っていないんですね。したがって、それぞれ詳細がどうなっているのか、大変気になります。四千四百三十四人の方がどういう働き方をし、そしてまた、なぜここにこれだけの差があるのか、これについても、二十六年度、二十七年度ともにお調べをいただきたい。すぐには出てこないのはわかりますけれども、調べることは可能だと聞いておりますので、調査をいただきたい。この場できちっとお約束いただけますか。局長で結構です。

生田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のデータにつきましても集計をさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 どちらにしても、国がある意味主導をして行っているこれらの事業で離職を余儀なくされて、結果として、みずからの意思だという人ももちろんいらっしゃいましょうけれども、退職勧奨があったという方が現にいらっしゃるわけでありますから、しっかり調べていただかなければいけないと思いますし、これらの方々の中でも、退職勧奨が過度にあった方について調べていっていただけるということも聞いております。

 これらの政策をどのように変えていくかは後ほど確認をしたいと思いますが、七ページ目をごらんください。

 これで見ると、如実に、自民党政権になって、労働移動支援助成金の助成率が、中小企業が二分の一から三分の二へ、大企業はなかったものが二分の一、これが契機になって大幅に人数がふえています。特に、二十七年度は大企業が大きく伸びているわけでありまして、大企業でよりこの助成金を使い、職員が離職をしている、こういう状況であります。

 私は、この制度、大企業でこれだけふえていることについて、一定見直しをしていく必要があるんじゃないかという思いを持ってもおります。

 そこで、大臣にまずお伺いをしたいと思いますが、この労働移動支援助成金、いろいろと御批判があったことは御承知のとおりでありますから、それを踏まえつつ、どのような見直しをしていくおつもりなのか、期限とあわせ、お答えをいただければと思います。

塩崎国務大臣 いろいろな問題が浮き彫りになってきたというふうに私も思っています。

 それをどういうふうにしていくかということについては、これから考えていかなきゃいけないことだというふうに思っていますが、私どもとしては、やはり、今お話をいただいているような大企業を対象とすべきかどうかとか、そういうことも含め、真に労働移動をバックアップすることになるような制度として、どう仕組んだら今回のような不適切なことがこの制度を使って行われることがないようにするかということが大事だというふうに思っておりまして、私どもは、最終的には労働政策審議会で御議論をいただかないといけないわけでありますが、それにつきましては、私どもの省内においては、やはり今月中には中身を詰めていきたい、案をつくっていきたいというふうに考えておりまして、労政審にその後しっかりかけて、本来あるべき姿の制度にしていくという努力をしていきたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 大企業に対して委託時に十万円が支払われるというこの状況、再就職実現後ではなく、委託時に出る十万円、ここはやはり少なくとも見直すべきではないかと私は思うんですが、その点について、大臣の御見解はいかがですか。

塩崎国務大臣 おっしゃるように、これはもともと、さっきちょっとお言葉がございましたけれども、この制度があるからリストラが行われるわけじゃなくて、リストラがあるので、この制度を使ってもらって人の移動を応援しよう、そういうことでありまして、当初は私も、何で十万円を先に払うんだということを実は事務方に聞きました。何か変だなというふうに思いました。それはやはり、そこまでして面倒を、ちゃんとおやめになる方の先々をお世話するかどうかということを考えるためのインセンティブとしてという話だったわけであります。

 しかし、それを今御指摘のように、大企業がちゃんと、自分の会社からおやめをいただく方の行き先についてお世話をするというのは、特に日本の場合には、社員を大事にするという意味では本来やるべきことでありますから、そこまでやるのかどうかという議論は私は十分あり得ると思いますので、こういったことについても速やかに検討していきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 大臣おっしゃるように、労働が移動していれば、ある意味この政策目的を達したと言われるのは、私もわからなくはない部分はあります。もちろん、それが非正規であったり、大変給与が下がったりという問題はありますよ。ただ、労働者が自分の能力や自分の職歴を考えて次の職に転職をすることを、後押しすること自体が悪いと言っているわけじゃないんです。

 ただ、現にこれだけの方々が、おやめになった後、再就職できていない。そして、失業給付も給与もなく年を越しているというこの実態。労働移動が現にできていないじゃないかということを私は繰り返し指摘をしているわけでありまして、私は、この労働移動を支援だという政策目的と実態が乖離をしているということも、強くこの委員会で繰り返し指摘をしてきているわけであります。

 そういう意味で、大臣、見直しに当たって、やはり、次は六月末にでも退職を要求されている方がいらっしゃると思います。こうした皆さんが本当に自発的な意思での退職なのかどうか、しっかりチェックをする仕組みが必要だと思います。

 きのう事務方の方に聞いたところ、大体三、四%の方々を抜き取りで調べて、そして電話番号を書いてもらっている方の紙、会社に提出する紙に、あなたに退職強要があったかなかったかのチェックをつけさせ、そしてそれは会社が見た上で厚労省が入手する。この仕組みだと会社が介在していますね、途中に。あなた、退職強要があったと思いますかという質問を会社が見ることになるんです。これはやはりまずい。それから、集まってきた票から三%から四%抜き取りでチェックをして、電話をしてみて、いや、特に問題ありませんでしたよと言われれば、残りはもう見ない。こういう説明でありました。

 私は、四月から改善策を行うというのであれば、こうした本当にごくわずかの抜き取りで全てを見られるのか、大変疑問もある。こういうやり方も問題。

 それからもう一つは、そもそも退職強要があったかどうかを、会社が見るところでチェックをさせるのは問題。ストレスチェックの問題、労働安全衛生法もそうでしたけれども、会社の関与をなくして、労働者の本心を見るというのが目的でしたよね。そういう意味でいったら、今回のこれも、労働者の心理の問題です、心の問題です、感じ方の問題です。これを会社がまた見るというのは、そうしたこれまでの厚生労働省がやってきた法改正の趣旨とも違うじゃないですか。だから、ここは、会社が介在しない工夫をぜひしていただきたい。

 この二点、いかがですか、大臣。

塩崎国務大臣 後者の、やはり会社が介在をしない形で本人の意向確認をするというのは大事なことだと思います。

 今のお話であったように、二、三%とか一桁のようなことでは私は十分じゃないというふうに思いますので、これはやはり一定程度確認をする、ちょうど変わり目でもありますから、そういうことをきちっとやるべきではないかというふうに思います。ですから、全体を、では一つ一つチェックできるかというと、なかなかそれは全部をやるというわけにはいかないかもわかりませんけれども、しかし、やはり有効な判断ができるぐらいの割合はチェックしていかないといけないんじゃないかなというふうに思っています。

岡本(充)委員 会社が介在する調査票のあり方についても見直すという理解でよろしいですか。

塩崎国務大臣 フォーマットという意味ですね。

 今申し上げたように、本人が正直にリストラに当たって強要を受けたかどうかとかそういうことを、正直にこちらがお聞きをできるためのフォーマットがどうあるべきかということにおいては、やはり見直すことは大事だというふうに思います。

岡本(充)委員 ちょっと今のだと、見直すというふうに明言されたように私も聞こえなかったんですけれども、介在しないような形にするという理解でいいんですね。そこだけ答えてください。

塩崎国務大臣 それを含めて検討したいというふうに思います。

岡本(充)委員 それを含めて検討して、結果、結局介在しても、大臣、それでいいと思うんですか、本当に。それできちっと本心が吐露されると思われますか。やはりそこは、会社や上司やこれまで退職強要されている人たちの目の前で、あなたから退職強要を受けたんですと丸をつけて退職するより、立つ鳥何ちゃらで、もうここはなかったに丸をつけておきますよ、そういう人が多いと思いますよ、日本人。

 やはりこれは、きちっと、そうした職制が介在しない形で厚労省がチェックできる仕組みをつくるべきだ。いや、どういうふうにするかはまた検討ですよ、ただ、そういう趣旨の仕組みをつくるかつくらないか、そこだけ、お願いします。

塩崎国務大臣 ですから、正直に御本人の意向が伝わるような方式はどうやったらいいのかということを考えていきたいと言っているので、先生がおっしゃっているようなことを含めて考えますということを申し上げているわけであります。

岡本(充)委員 本当に残念な話ですけれども、はっきりと、趣旨はそのとおりで、やり方はさまざまありますけれども、そこは検討だと思いますけれども、会社が介在しないように検討しますと答えていただければもう少し明確なんだと思いますが、大臣、そういう趣旨でよろしいということであれば、そうしたら、次に行きたいと思います。

 その上で、では、こうした見直しを含めて、ぜひ次の大きなピークだと思われる六月三十日までに、六月三十日に退職をされるような方でこうした方が出てくることを防がなきゃいけない、そう強く思っています。十分間に合うと思います。四月三十日退職の方に間に合うようにせい、今の制度全体の見直しもというとなかなか難しいかもしれませんが、少なくとも、六月三十日に退職する方でそういう方が一人でも出てくるというのは、僕はまずいと思うんです。

 これはかなり緩いですよ。四月三十日退職の人でもすぐやれと言いたいところですけれども、絶対六月三十日には間に合う、そういう制度改正も含めて、その方針でよろしいですね。

塩崎国務大臣 さっき申し上げたように、私どもの役所の中での検討は四月中にやって、五月に労政審で諮りたいというふうに思っていますので、今お話しの、まあ六月というのは多分ボーナスをもらった時期におやめになるということかもわかりませんが、六月には形になっているようにしたいというふうに思います。

岡本(充)委員 よろしくお願いします。

 では、次の保育の話に行きたいと思います。

 保育の待機児童の話、すごく議論になっています。本当に二十九年度末に待機児童がゼロになるのか。厚労省が出しているさまざまな数字、きょう局長がいらっしゃっていますけれども、私は本当に懐疑的なんですよ。実は、掘れば掘るほどまた新たな待機児童の方が出てくる、こういう状況が残念ながら昨今続いているんじゃないかと正直思います。多くの働きたいと思ってみえる御家庭において諦めている方がいらっしゃる、こういった方々の推計のあり方というのは、厚生労働省はこれまでいろいろな方法でされてきたと思いますけれども、残念ながら、それでは当たっていなかったんじゃないかと思うこともあるんですね。

 現に、この三ページの右上の図にもありますように、待機児童数がふえてしまっているという現状、いろいろ取り組んでいるんだけれどもふえてしまっているという現状。それから、その次のページにありますけれども、なかなか保育士の数がふえてこないというこの現状。

 もちろん給与も、私どもの出している法律も、それから与党でも、給与面での処遇改善をという話が出ているようでありますけれども、給与も重要だと思いますけれども、私は、それにプラスして一工夫がなければ、保育士の皆さんが集まらないんじゃないかと思っています。試験の回数を二回にするなんていう話は聞いております。十数%ですか、合格率。この試験を二回にするというのも結構ですけれども、もう少し抜本的な見直しをするべきだと私は考えています。とてもじゃないけれども、二十九年度末にゼロにならないと思う。

 したがって、このいわゆる待機児童の数の推計と、そして、保育士がなぜ集まらないかということについての調査を改めてやるべきだと思うんですが、国として各自治体に今、自治体の事業ですから自治体でやってくださいという話ではなくて、やはりきちっとこういう手法でということを示した上でやるべきだと思います。

 きょうは局長にお越しいただいていますから、ぜひ、ちょっとそこの点について答弁いただけますか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、いわゆる待機児童の問題でございますが、これも、この委員会で大臣からも私どもからも御答弁申し上げていますが、昨年四月から始まった新制度の中では、保育を利用される方、必要とされる方の考え方をかなり大きく変えております。ということで、そういう意味でいいますと、保育の必要性がある方について、幅広く制度の中で取り込むという考えに立ちました。

 今私どもが足元に置いております加速化プランの中では、現在は五十万という数字になっているんですが、当初は四十万という数字を出したわけですが、実は、このときは各市町村に調査をしていただいております。

 この調査の中では、いわゆる足元の待機児童だけではなくて、例えば今働いているかいないか、働いていない方についても、今後将来働きたいと思っているかどうか、そのときにどういう保育サービスを必要とするか、あるいは、どういう働き方をするのでこういうサービスが欲しいかといったような、いわばいろいろな働き方との関係での条件ですとか御意向、これもお父さん、お母さん両方に聞くといったような調査をして、かなり将来的に幅広のいわばニーズを見込んで数字をつくったというのが、実はこの四十万人という数字でございます。

 それを踏まえて各市町村で整備をしていただいて、御案内のように実は四十万を上回る整備量で市町村は整備をいたしまして、それをさらに今回私ども上乗せをして五十万という数字をつくっているということなんです。

 もちろん、お母さんたち、お父さんたちの実際のマッチングは市町村で行いますので、二十九年に完全にゼロにできるかどうかということになりますと、私どもの施策と各市町村の努力との組み合わせということになりますが、私どもとしては、そういった数字も含めて、将来にわたってかなり大きい、いわばそのベースを頭に置いた整備量を考え、さまざまな施策を講じているということでございますので、ゼロにできるかどうかという確約はもちろんできませんけれども、そういう意味では、そういったニーズも含めて、いわゆる足元の待機数だけでなくて、私どもが施策を講じて、新制度の趣旨がそういう考え方に立っておりますので、整備を進めてまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 大臣、私に、本会議で、二十九年度末にゼロにすると答えちゃっているんですよね。一方、局長は、二十九年度末にゼロにできるかどうかわかりませんがと言っているんですよね。正直だと思いますよ、局長はかなり。

 でも、私、そういう不安があるんだったら、市町村に推計してくれと言ってもなかなか、それは推計、難しいですよ。どういうモデルで、どういうふうに調査をするかということをもう少し具体に言ってあげないと、いろいろなお母さんに話を聞きますけれども、市町村から待機児童の調査が来たという話、私、地元で聞いても聞きませんよ。

 そういう調査のあり方、どういうふうにしてやるのかも含めて、国で少し、手法も含め、もう一度調査をしないと、四十万から五十万にえいやとふやしましたからこれでいくはずだとか、さっきの話で、保育士の給料を上げて、試験を二回にしましたからこれでいくはずだとか、こういう、はずだ、はずだが結局ならなかったというこの現状を考えると、大臣、思い切ってここは、もう少し厚労省が身を乗り出して、もちろん調査をする主体、実施主体は市町村ですから、それは市町村にきちっとお願いをすることはあるでしょうけれども、さっきの話じゃないですけれども、統計学的な手法だとか、もしくは調査の仕方だとか、こういうことも含めて、厚労省の統計部とよく相談をして、もう少し精緻な数値を出さないと、目標がないまま走り続けている。

 これは、二十九年度末になったらゴールがさらに遠くなっていて、実はゴールにたどり着かなかったという話になりかねないというふうに思っていまして、ぜひとも足元をきちっと評価をするべきだというのが一つ。それから、保育士の確保がなぜ進まないかも、私はもう一度調べた方がいいと思います。それも含めて、ぜひ検討していただきたいと思います。

 大臣、お答えいただけますか。

塩崎国務大臣 これは私が本会議で御答弁申し上げたように、定義がある待機児童の二十九年度末までの解消を目指すということは何も変わらないところであります。

 ただ、それで、では全部、国民、皆さんが御安心をいただけるかというと、そんなことはないということで、いわゆる新定義、ずっと民主党政権時代も一緒にやってきたこの定義の待機児童のゼロを目指すということでありますから、それで全部が解決するわけではないことはもう皆わかっているわけでありまして、それをどういうふうに、では、どこまでやることがいいのか。

 やはり、大きなことは、去年の四月に、さっき局長からも申し上げたとおり、定義を変えて、かなり大きくなって、申し込みが物すごくふえた。これは決して悪い話じゃないので、働こうという社会参加をする女性がふえるということは歓迎すべきことだと思いますので、それでも大丈夫なようにしていくためにどうするかという意味において、おっしゃるように、どういうニーズがあって、いわゆる求職活動を休止しているかしていないかの判断とかいろいろ、市町村によってもいろいろある、こういったことも含めて、今、統計学的にどうかというお話がありましたが、私も、今後工夫をしていかなきゃいけないし、より実態を把握することをした上で、解決をそれぞれのニーズに合った形でやっていかないといけない。

 そういう意味では、近々開催をいたします市長、町長さんたちとの話し合いや部局長との話し合いの中で、今先生がおっしゃったような、新たな調査のあるべき姿というものが浮き彫りになってくれば、これはやはりやらなきゃいけないし、何らかの形で、今申し上げたとおり、調査を、実態把握をしなければいけないということは、これは揺るぎないことだろうというふうに思います。

岡本(充)委員 本当にいろいろな考え方があると思いますよ。私も知っているのは限られていますけれども、恐らく、統計や調査の世界ではいろいろな手法があるんだと思います。これまで、残念ながら、それでは把握できなかったニーズがあったりするわけですし、保育士さんのニーズもあるでしょう、それをしっかり調べていただきたいと思います。

 その上で、きょうは質の話にも行きたいと思います。

 昨年も質問しましたけれども、病児保育について、まずお伺いします。

 病児保育、なかなか、ふえてきているようで、まだまだふえていないようであります。二十七年度分については集計中ということでありますが、年間百件そこそこの増加という状況でありますが、より簡便な施設でも病児保育ができるんだという答弁は、昨年、政府参考人からいただきました。

 今度は、もう一歩踏み込んで、シミュレーションをつくってみたらどうかと思うんですよ。いろいろな医療法人、社福、どのくらいの規模でどういう病児保育をすれば結局収支はどのくらいになるのかというイメージが湧かなくて、なかなか手を挙げられない、私の地元ではそう聞きます。

 いろいろな各地で、それぞれの実情に合った規模、形態があると思いますけれども、どのくらいの公的な支援があり、そして、法人としてはどのくらいの支出が見込まれる、こういう絵姿になるのか、規模別に少しイメージを出してみられたらいかがかと思いますが、どうでしょう、お答えいただけますでしょうか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 病児保育については、お話しのように、実は、いろいろな場所でやっています。病院でやっていただいている場合もありますし、通常の認可保育所でやっている場合もありますし、それ以外の場所でやっている場合、あるいは訪問型でやる場合もあるということで、病児といっても、本当に恒常的に手当てが必要な障害児に近いような方から、ちょっときょう風邪を引いたお子さんみたいなのもありますので、実は、さまざまなタイプで事業を行っております。これは、今の新制度では、個々の病児保育施設という形ではなくて、事業として行うという形にして、それぞれ事業の規模に応じて補助金をお出しするという形になっています。

 御案内のように、病児保育は定期利用するようなものではございませんので、かなり利用児童数の変動がありますので、そうしますと、子供の利用数に見合って補助金をつけるという形、利用に見合ってつけるという形になりませんので、今申し上げたような形にしてあるわけなんですが、経営の問題はかなりありますので、今回、二十七年度からの新制度では、消費税財源が入りましたので、単価の引き上げも行いました。二十八年度は、今度は事業主拠出金も入りますので、そちらの事業も使いたいと思っています。

 お話しのように、常に病児保育は経営の問題がありますので、やはり、新制度のもとでどういった形で運営ができるのか、あるいは、今の十三事業の形でやっている形でどこまで補助金の形ができるのか、その辺も含めて、実際よく見た上で、改めて判断をしてまいりたいと思います。

岡本(充)委員 大臣、ちょっと今の話だと、やるのかやらないのか、香取さんの話だとよくわからない。

 大臣、やはり皆さん、本当にこれで自分たち、踏み出して経営が成り立つか、すごく気にされているんです。どういうモデルケースで、どういうことであれば事業として成り立つのかというモデルケースをやはり示してあげることが、法人が一歩踏み出す大きなきっかけになると思うんです。

 したがって、少しそうしたモデルケースを提示されてはいかがかと思っておりますが、そうした提示、検討していただけますか。大臣にお答えいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 いろいろなパターンがこの病児保育についてはあることはもう先生御案内のとおりで、いわゆる保育園の中で病児保育ができる保育園というのは、なかなか認可では、私ども、地元なんかで見てみると少ない。むしろ小児科の先生が担っていらっしゃる場合が多いというのが、先ほどの事業ということでやっている。その補助金を上げていこうということになっているわけです。

 もう一つは、私どもの地元の愛媛大学の附属病院の横にあるところは、ちゃんと、企業内の保育施設でありますけれども、そこにお医者さんも看護師さんもおられるので、あるというようなことで。

 いろいろなパターンがあるんだろうと思うので、モデルケースとおっしゃいますけれども、それはいろいろなパターンでモデル的なものがあるんだろうと思うので、そういうところについてどういう支援の強化ができるのか。

 私ども、正直言って、この病児保育がふえるのがもっとハイペースでふえていかないと、職場に行った途端に戻されるというケースが多々あるように私も聞いていますので、それをやらなきゃいけないと思うので、今先生おっしゃったように、一定のパターンごとにどういうふうに今後支援があるべきかということは考えていきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 支援があるべきかもそうですけれども、どのくらいの規模でやったらどういう収支になるのかという見通しというか、そういうイメージですよ、それは事実とは違うと思います。こういうお金が入ってきて、こういう支援があって、こういう部分は利用者にも負担を求めなきゃいけないという絵姿が見えないと、要するに、補助金額を積み増されても、各法人としては、先行事例が近くになかなかないから、やはり踏み出せないんですよ。やはり最初の、先行事例がふえてくれば、私はふえると思うんです、これは。

 その最初はちょっと大変だから、経営のイメージも含めて、少しお調べいただいてお示しをいただきたい、こういうことです。

塩崎国務大臣 その考え方は大変いいと思いますので、既にもうやっていらっしゃるところもあるわけでありますので、そういうところの御意見も伺いながら、何らかの形でのモデルケース的なものを示せれば示していきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 ぜひそれをお願いしたいと思います。

 それから、きょうは医政局にお越しいただいていますけれども、二十四時間の院内保育、これはなかなかやはり進んでいかない。これも同様に、やはりモデルケースを示すべきだと思います。どういうような収支の、経営にどういう影響を与えるのか、同様の趣旨です。

 医政局長にお答えいただくのか、大臣、同じように検討していただくというのであれば、大臣からで結構です。いかがでしょうか。

神田政府参考人 私どもの方で、地域医療介護総合確保基金に基づいて、病院内の保育所運営事業に対する助成を行っております。

 現在、その状況を調査しているところでありますけれども、五つの都道府県でまだ回答不備等があって、中間的な、今手元に来ているのは、千四百ぐらいの病院、診療所の院内の保育所の運営状況について調べておりますけれども、その中で二十四時間保育についても、何日やっているのかとか、毎日できない理由は何かとか、あるいは今後の実施見込みはどうかということも調査をいたしておりますので、先生御指摘のような、どういう点が問題で実施ができないのかということも含めて検討をした上で、さらに進めていく方策を検討していきたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 ぜひ大臣、これも、ビジネスモデルも含めて検討してお示しをされると、より進むと私は思います。したがって、それもあわせてお願いをしておきます。

 続いて、きょうは農水省にもお越しをいただいておりますが、ちょっと労働の支援のあり方、これは私の提案でありますけれども、ここは厚生労働委員会ですから、農林水産省の施策を議論するという場ではないのかもしれませんが、農水省が、農業労働力最適活用支援総合対策事業というのをやってみえます。

 皆さんのお手元には五ページですけれども、多彩な人材がいわゆる生産地に行って就業してもらうといいなという話でありますが、ハローワークをやはり使ってやっていくのがいいんじゃないか。

 きょうは安定局長もおいでいただいていますし、能開局長にもおいでいただいておりますけれども、一つの提案は、やはりハローワークで求人をし、結果としてその求人で面接に行く場合は交通費が出るわけでありますから、遠距離の、北海道であっても交通費、宿泊費が出る中で、面接をし、そして場合によっては事業所を見て帰ってくるというようなことができれば、よりイメージが湧く。

 また、もう一つの提案は、求職者支援制度。あり方はいろいろ課題があって難しいということは事務方から聞いておりますけれども、能力開発の一つとして農業をもっと、もしくは林業、一次産業がメニューにあってもいいんじゃないか。農業はむしろ減っているという話であります。

 地方において農業の担い手がいなくて、そして新たな労働力を求めているという農林水産省と、厚生労働省の連携ができていないのではないかということを、私は痛切にこの話を聞いていて思ったわけでありまして、ぜひこの場で、それぞれの施策を融通しながら、新たな労働力、例えば、先ほどの子育てしているお母さんでも、場合によっては家族で移住して地方で農業をなりわいにしていく、これも、就業の機会の確保という観点に立てば、それは確かに、一人で農業をやるから、雇用保険の被保険者にならないから、厚生労働省としては支援の対象じゃない、こう冷たく言い放つものでもないような気がするわけでありまして、就業の機会の確保というのが一つの大きな目標であると厚生労働省がするのであれば、こうした三者できちっと協議をして、こうした、農業も新たな就職先の一つとして、より力を入れていくというのがあってもいいのではないかということで、きょうはお三方、お呼びをいただきました。

 端的に、それぞれお答えをいただければ幸いです。

生田政府参考人 お答えいたします。

 まず、広域求職活動の経費の関係でございますけれども、ハローワークの紹介によりまして、広範囲の地域にわたり求職活動を行います場合につきましては、交通費と宿泊費が出るということで、これを広域求職活動費と呼んでおります。

 委員御指摘の農水省が実施する事業に関しまして、広範囲の地域にわたる面接等の求職活動を行う際にこの事業に参加される場合につきましては、広域求職活動費が支給できるものでございます。

 委員の御指摘も踏まえまして、この給付金が積極的に活用されて、受給者の希望に応じた就職活動に資するように、とにかく農水省とも十分連携をとって、相談しながら対応していきたいと考えてございます。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 求職者支援制度は、労使の保険料と一般会計による国庫負担を主な財源としている制度でありまして、主に雇用保険を受給できない方を対象に、職業訓練、就労支援によりまして、雇用保険の被保険者として就労いただくことを目指しているものでございます。

 このため、求職者支援訓練の就職実績につきましては、雇用保険適用就職率を用いておりまして、訓練実施機関は、一定の雇用保険適用就職率を満たすことが求められているところでございます。

 現時点におきましては、農業分野では、一般的に雇用保険の適用対象となる就職機会が十分でなく、農業分野において訓練を実施したとしても、訓練実施機関が一定の雇用保険適用就職率を満たすところは多くないものと考えられるところでございます。

 しかしながら、将来的には、農業法人での雇用など、雇用保険の適用対象となる就職機会が増加することも考えられ、その状況も見つつ、農水省とよく連携した上で、農業分野の求職者支援訓練の推進については検討してまいりたいと考えております。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 農業就業者や農村人口の減少、高齢化などによる労働力不足が進行する中、産地においては、収穫などの作業ピーク時や規模拡大に合わせた労働力の確保が大きな課題となっております。

 このため、平成二十八年度予算では、農業労働力最適活用支援総合対策事業において、産地における農業労働力の確保を推進する体制として労働力確保戦略センターを立ち上げ、このセンターにおいて実施する労働力の募集、研修、産地とのマッチング、農作業を受託する事業体などを活用した労働力の提供などの取り組みを支援することとしております。

 労働力を確保する上では、ハローワークを通じた人材募集も重要な取り組みであり、農林水産省としては、農業労働力の確保に向けてハローワークとどのように連携することができるのか、厚生労働省とよく相談、調整した上で、各地の労働力確保戦略センター段階でも積極的に連携が図られるよう促してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 ぜひお願いしたいと思います。

 最後に、保険局と老健局に来てもらっています。

 保険局は、調剤の話。きょうから始まった新しい診療報酬改定で、かかりつけ薬剤師指導料というのが始まりますが、これが過度に患者の奪い合い等になったり、本当に真の指導が行われているか、しっかり見てもらいたいというのが一つ。

 それから、老健局長には一つ。強化型の老健が余りふえていない現状を踏まえると、やはり対策を考えていかなきゃいけないと思います。

 この二つ、それぞれしっかりやっていただきたい。決意だけいただいて、端的でいいです、終わります。

唐澤政府参考人 御指摘のかかりつけ薬剤師指導料、これは、今までちゃんと一元的にやっているのか、指導をちゃんとしているのか、こういう御指摘を受けて取り組んだものでございますので、先生の御指摘の内容を踏まえまして、きちんと患者さんがメリットを感じていただけるように、私どもも取り組んでいきたいと考えております。

三浦政府参考人 老健施設についてお尋ねをいただきました。

 病院から施設、施設から在宅への復帰への流れを円滑に進めるということは非常に重要なことでございまして、そのために、多職種協同ですとか、在宅サービスの基盤の整備などを進めていくことが重要でございます。

 具体的には、地域の医療や介護の関係者が基盤の整備状況について把握するということ、課題を共有し、退院から在宅での医療、介護の支援体制が一体的に提供できる枠組みづくりを支援するという事業を私どもとしては進めたいと考えております。

 よろしくお願いします。

岡本(充)委員 ぜひよろしくお願いします。頑張ってください。

 終わります。

渡辺委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、放課後児童クラブについて質問いたします。

 放課後児童クラブは、子ども・子育て新制度に位置づけられており、野党が先週提出した法案、保育士等の処遇改善の中でもちゃんと入っております。こちらも極めて深刻な状況だという認識を持っていただきたいと思っております。

 この放課後児童クラブの実施状況については、昨年十二月十八日に公表され、また、ことし二月二十三日に追加の詳細調査結果の公表がございました。この詳細調査というのが、これまではやられてこなかった、新たに公表されたものだなと思って注目をしております。

 そこで、資料の一枚目なんですけれども、まず、クラブ数の増加について書いております。放課後児童クラブは今や二万二千六百八カ所、登録児童数百二万四千六百三十五人。ともに年々伸びております。そして、利用できなかった児童数は一万六千九百四十一人。グラフで見ていただくとわかるように、何と前年より一・七倍もふえているわけです。

 政府の放課後子ども総合プランでは、平成三十一年度、二〇一九年度末までに約三十万人を整備する、全小学校区で一体的にまたは連携して実施するとあります。

 大臣に伺いたいんですが、利用できなかった子供の数が大幅にふえております。また、小学校区の八二%しか実際はカバーできておりません。どのように進めていくのでしょうか。

塩崎国務大臣 放課後児童クラブについても大変大事な問題だと思います。

 平成二十六年七月に、文科省と共同で放課後子ども総合プランを策定いたしました。学校施設を徹底利活用して、平成二十六年度から平成三十一年度末までに新たに約三十万人分、合計で約百二十二万人分の受け皿を確保することによって、小一の壁、これを打破するとともに、利用できなかった児童の解消を目指すこととしています。

 このため、平成二十七年度からは、放課後児童クラブの量的拡充に向けて、学校施設内で設置促進を図るために、施設整備費補助基準額を引き上げるということをやってまいりました。十人未満の小規模クラブにも補助対象を拡大する、それから、学校の余裕教室など市町村における公有財産の貸し付けを積極的に促進するといったことをやってまいりまして、整備を今鋭意促進しているところでございます。

 本年度、二十八年度の予算では、こうした従来の取り組みに加えて、余裕教室等の既存施設を改修して整備をする際の国庫補助基準額を引き上げる、それから、受け入れ児童数を増加させるために、実施場所を移転する際に必要な移転関連費用というのを補助するというのを新たに導入いたします。

 こういった新規メニューも盛り込んで、受け入れ児童数のさらなる拡大を促して、利用できない児童の解消に向けた取り組みをより一層強化していただけるように市町村を支援してまいりたいというふうに思います。

    〔委員長退席、小松委員長代理着席〕

高橋(千)委員 せっかくこの質問を大臣に聞いたわけですから、メニューはよく承知しておりますので、もう少し、意義といいますか、そうした観点から御紹介いただければよかったなと思っております。

 保育所の待機がこれほど問題になっておるんですけれども、やはり、せっかく保育所を卒園したのに、今、小一の壁とおっしゃいました、放課後児童クラブに入れないという新たな壁が待ち受けて、頑張って保育所に預けながら仕事を続けてきたのに、小学校に入って退職に追い込まれる方も少なくありません。

 大分前の話ですが、私は、息子の小学校に学童保育がありませんでした。隣の学区にお世話になって、しかも、小学校ではなく公民館だったんですね。ですから、本当に小学校区ごとにというのは大事だと思っているんです。しかも、隣の学区なので一定距離があります。入学当初は担任の先生が引率していくんですけれども、担任も新任だったので、途中で道に迷ったと電話が来るという、本当に日々はらはらで、また余りいい思い出がないなと思っております。ただ、その後、自分たちが運動してつくって、学童保育ができました。やはり一体的ということが本当に大事だと思っておるんですね。

 それで、そういうこともあって、学童保育の設置基準をつくれということも繰り返し質問をしてまいりました。二〇〇七年にガイドラインができ、昨年、放課後児童クラブ運営指針が策定されました。

 二年前の四月の厚労委員会で、その運営指針の案段階だったので、それに基づいて質問をしているんですね。そのとき、こういうことを指摘しています。子供の専用区画は一人当たり一・六五平米以上、畳一畳分とされて、その専用区画をカウントするときに、トイレとか洗面所とか指導員の事務机なんかもカウントするのかと聞いたわけなんですね。

 何でそんなことを聞いたかというと、それは当然ヒアリングのときに否定されなかったわけなんですね、それもあり得ると。つまり、そういうものを全部ひっくるめちゃうと、実際は子供たちのいるスペースはもっと狭いんだけれども、間に合っていることになっちゃう、だからこういう質問をしたわけなんです。

 そのときに、当時の石井局長の答弁は、児童の生活の場としての機能が十分に確保される場所を想定しているものでございますので、少なくともトイレといったようなものは含まない方向と答えたわけなんですね。ああそうか、トイレは含まないんだ、当然だねと思ったけれども、ただ、そのほかは否定をしなかったので、大変心配をしておりました。

 ただ、それが、指針を見ますと、「子どもが安全に安心して過ごし、体調の悪い時等に静養することができる生活の場としての機能と、遊び等の活動拠点としての機能を備えた専用区画が必要である。」と、ちゃんと二つ分けて書いてあります。そして、今紹介した昨年の調査にも、専用区画のほかに静養スペースを置いているかどうかを聞いてくれているんですね。ただ、一一%ですけれども。ただ、分けているんだということがわかりました。

 また、指針には、「子どもの遊び及び生活の場の他に、放課後児童支援員等が事務作業や更衣ができるスペース等も求められる。」と書いてある。ああ、これでちゃんと机も分けているんだなというふうにわかった。これで少し安心したんです。

 それで、ちょっと香取局長に、申しわけありません、通告はありませんけれども聞きたいんですが。指針と実態は、今言ったように、そうはいっても一一%とか、かなり乖離をしています。ただ、これを目指していくんですね、確認したい。

    〔小松委員長代理退席、委員長着席〕

香取政府参考人 今先生お話がありましたように、放課後児童クラブについては、保育所のように昔からきちんと法律でつくられたものではございませんで、むしろ、地域の現場でそういったものが必要だということで、制度の外でできてきたものを制度に入れ、予算をつけ、ガイドラインをつくり、指針をつくってきたというものでございますので、その意味では、今回、子ども・子育て支援法の中できちんと法律に事業として位置づけまして、運営指針等についても省令できちんと定めるということで今回の形をつくったものでございます。

 そういう意味でいいますと、現実の、いわばクラブの実態が先行している後から指針をつくって整備をしていっているということがございますので、我々としても、専用スペースの問題にしても職員配置の問題にしてもお願いをして、きちんとこれをできるだけ守っていただくということで御指導は申し上げますが、基本的には、強制的にできるというものではない部分もどうしてもございますので、できるだけその方向で各施設が運営ができるように、いろいろな補助金等、支援も行っております。

 考え方はそういうことでございますが、強制をしてやるということではないので、そこはできるだけお願いをし、私どもも指導なりあるいは助成相当で、補助金等々で御支援申し上げるということでやってまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 今、外にあったものから位置づけられたというお話をされた。児童福祉法に位置づけられたところからやはりスタートしていると思うんですが、今でも保護者会が運営しているクラブがかなり多いわけですよね。そういう中で頑張ってここまで来たというのは、本当に私は評価をしているんです。

 同時に、今おっしゃったように、実態からいうと相当乖離があって、だからなかなか強制できないよ、それはそのとおりなんです。だけれども、この指針に書いているんですが、クラブの運営の多様性を踏まえ、「「最低基準」としてではなく、望ましい方向に導いていくための「全国的な標準仕様」としての性格を明確化」する。これは、「「最低基準」としてではなく、」と、何かとてもいいことのように聞こえるんですが、実は、理想は高いけれども、最低基準ではないから、逆にできなくてもよいということになっちゃうわけですね。これは、いつまでもその状態が続いてはまずいということで、本当に目指していく、しかも早く近づけていくということをお願いしたいと思うんです。

 それで、最も困難なのは支援の単位の問題なんですが、四十人以下が望ましいと設置運営基準を決めました。それを超しているのがどのくらいで、基準に合わせるためにどのような支援をしているのか、簡単にお願いします。

香取政府参考人 放課後児童クラブにつきましては、毎年五月一日で調査を行っております。

 二十七年度の調査でいきますと、今御指摘のありました四十一人以上の規模のある支援単位の放課後児童クラブが一万八百三十九ございます。先ほど全体で二万三千幾つという数字がございましたが、全体の中での約四〇%ということでございます。

 私どもは、先ほどお話ありました設置運営基準の中では、おおむね四十人以下でお願いしますということでお示しをしています。これは、今先生お話ありましたように、私どもは参酌標準としてお示ししていますので、今回、放課後児童クラブにつきましては、各市町村で条例で基準を定めていただいて、それに基づいて運営していただくとなっておりますので、各市町村において決めるということになっております。

 私どもとしては、市町村が定めます条例のいわば参酌基準の中では、考え方として、放課後児童クラブ運営指針の中では、「子どもが相互に関係性を構築したり、一つの集団としてまとまりをもって共に生活したり、放課後児童支援員等が個々の子どもと信頼関係を築いたりできる規模」ということで、この四十ということをお示ししています。

 なので、基本的にはこの四十に近づけていただけるようにお願いをする、あるいはいろいろな支援も申し上げるということで、特に、最近利用者数がふえてまいりましたので、実は分割をお願いしているんですが、分割するにしても、同じ場所でなかなか分割ができないというケースがございますので、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、引っ越し、場所をかわるとか、あるいは既存の施設を改修するといった形で分割ができるような御支援ということで、補助金等々で支援を行っております。

 四十というのは、何度も申し上げますが、強制をするものではありませんが、私どもとしては適正規模としてその規模をお願いしていますので、できるだけそれに近づけていただけるように、私どもとしてもできる限りの御支援を申し上げたいと思っております。

高橋(千)委員 参酌基準だから、確かに強制はできない。だけれども、目指すためには補助を出すわけですよね、今おっしゃったように分割すると。そこの補助の出し方で指導はできるわけなんですね。

 例えば、ガイドラインのときは七十人以内、これはクラブ単位で計算をしていたわけですよね。ですから、七十一人以上の場合は、今現在五%残っておるわけですけれども、これはいわゆる補助金、国庫補助を減額するという形で差をつけて、なるべく一定誘導をしてきました。

 実は、例えば東京都のある市では、一から三年生までは全員入会ということで今まで対応してきたんですが、定員が四十五名だそうです、四十三のクラブ中、守られているクラブは七カ所しかない。実際は、八十名以上が在籍しているのが二十カ所、百名以上いるのが九カ所、百二十名以上は五カ所もあるんですね。それで、実際は、トイレ、台所、手洗い場が分かれていないのに、パーティションで仕切って、これで分室です、二つのクラブです、こうやって補助をもらうことになるわけですよ。そして、学童クラブ数、これは、市全体としては四十三クラブなのに、箇所数は六十三カ所、こうなっちゃっている。

 これはやはり許しちゃいけないですよね。今回これは支援の単位となったわけですから、これまたパーティションで区切ったら倍下さいという話になるんですか。これではちっとも子供にとってもいいことでもないし、厳密に見ていただきたい。

 ちょっと一言、お願いします。

香取政府参考人 御指摘は私どももよく理解しておりますが、現実に、非常に人数が多くなってしまった施設は、例えば、今の例でいくと、八十人、九十人をいわば一単位でクラブとして運営するという形ですと、おっしゃるように、先ほど私どもが申し上げました指針の考え方にもそぐわないことになりますので、クラブの中に、いわば二つ単位を分けてくださいということで、二つにする、あるいはそのために改修が必要であれば補助金も出します、いよいよ狭いとなりますと、広げるか半分どこかに移転するかということになりますので、そこは御支援申し上げますということなんです。

 やはり、一単位一クラブということで全部ができるかといえば、そうでもないので、申し上げたように、一つのクラブの中で二つの単位を置くという形で運営する。そのときの分割の仕方ということでいえば、もともとの四十人単位の考え方というのがありますので、二つになった場合でも、それぞれの四十人の単位において適切な集団生活が行えるように御指導申し上げる、そのために補助金等々も用意をしてお願いしているということでございます。

高橋(千)委員 かなり抑えた表現ではあったと思うんですが、適切な対応をしていただきたいという意味だと思っております。

 それで、後の方、またこの間みたいに問いを残しそうなので、一つ飛ばして、指導員の問題なんです。

 低賃金が大変問題になってきているわけですけれども、なってきているというか、ずっと言われてきているわけですけれども、実態をつかんでいるでしょうか。

香取政府参考人 私ども、先ほど申し上げた実施状況調査というのを行っているんですが、これはクラブ単位に、そもそも補助金の出し方が、一カ所幾ら、定員で幾らという出し方をしておりますので、その積算も、人件費幾ら、物件費幾らということではなくて、クラブ単位の経営ということでお話ししているものですから、この実態調査の中では、これまで個々のクラブの職員の方の賃金まで完全にはつかんできておりません。

 これにつきましては、国民生活センターが二〇〇八年に調査をしてくださっていまして、私ども、直近だとこの数字を持っております。

 これによりますと、放課後児童クラブの常勤の方の平均月給は、賞与、交通費を除くいわゆる月給ベースで大体十五万から二十万という方が全体の六割、それから、非常勤の方がいらっしゃいますが、非常勤の方についても同様に、平均の月給を調べますと五万から十万という方が四割ということで、放課後児童クラブは、午前中は皆さん学校に行かれているものですから、午後あくということで、非常勤とかパートの割合が高いのでこういったことなのではないかと思っています。

 放課後児童クラブの方の処遇につきましては、私どもも、保育所の職員と同じように問題意識を持っておりまして、消費税が引き上げになりましたときに、基本的に、保育園の先生と同様に、放課後児童クラブの指導員の方の処遇改善ということでも一定の予算を積んでおりますが、こちらにつきましても、今後、財源もきちんと確保しながら、できる範囲で手当てをしてまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 やはり、周りの人が言うのはともかくとして、局長がそうおっしゃるのはよくないと思うんですよ。というのは、学童保育は放課後のわずかな時間を預かるだけ、だからパートで仕方ないんだという認識がだめなんですよ。

 もう既に、ガイドラインや指針と言われる過程の中で、学校よりも子供たちがいる時間が長いんですよというところをきちんと認識して始めてきたじゃないですか。今は、学校の休みの日は一日八時間を基本としております。土曜日も夏休みもほとんど休んでいません。ですから年間総労働時間は千七百時間、地域父母会委託などでは二千時間前後も働いているんですね。

 しかも、今おっしゃったように、非常勤は大変給料は安いし時間も短いわけですが、時間が短いけれども、本当は子供たちが来る前に、当然、教材の準備だとかおやつの準備だとかいろいろしたいんですよ。だけれども、早く来るなと言われる。早く来れば、その分の給料が出ないから、子供が来る三十分前に来ればいいんだ、残業もするなと言われる、これが実態なんですね。そういうことをちゃんと見て、本当に指針で言っているようないい指導ができるのかという立場に立たなければだめなんじゃないでしょうか。

 今回の厚労省調査の中には雇用形態の調査はあります。常勤職員は二六・八%、三割を切っている。残りは、非常勤職員三五・一%、次に多いのがパート、アルバイト二七・七%。でも、ここまで調べたんだったら、逆に賃金も調べればいいと思うんですよ。

 資料の三枚目につけたんですけれども、これは建交労全国学童保育部会の調査です。

 先ほど紹介いただいた国民生活センターの調査も本当に低いなと聞いたと思うんですが、指導員の全国平均は、勤続年数十・一年、基本給十七万七千円ですよ。一番低い新潟は十二万九千円。平均ですから、もっと低い人がいるということですよね。ですから、全産業と比べて十三万円弱、保育士と比べても六万円も低いんですね。だから、指導員の悩みのトップは、賃金が安い、六七・三%、突出して多いです。

 大臣に伺いますが、やはりもっとこういう実態を把握して、処遇改善を急ぐべきだと思いませんか。

塩崎国務大臣 先ほど局長の方から答弁申し上げたように、この制度の生い立ちが、最初から公的なものとして始まったものではないというところがあって、いろいろ改善に改善を重ねて今日まで至っているということでありまして、そういう意味で、処遇の問題についてはさまざま課題があるということはそのとおりだというふうに思います。

 一方で、時間が必ずしも、平日の場合には特に八時間労働ということで、標準的な働き方とは少し違うので、ここのところをどうするかということですけれども、やはりこれも、言ってみれば、大事な放課後の子供さんを預かって、働く女性たちが安心して働けるようにということを考えてみると、多様な正社員的な働き方で一定程度の専門性を持ちながら御指導いただけるような、そういう人たちをちゃんと確保できるような賃金体系があるということが大事なんだろうというふうに思います。

 なお、今申し上げたように、実態をつかんでいるのかというお話もさっきございましたけれども、なお一層これについてもよく考えて調べてまいりたいというふうに思います。

高橋(千)委員 よろしくお願いします。

 ちょっと時間の関係で、また一つ飛ばします。

 資料の二枚目に、設置・運営主体別クラブ数の状況というのがあります。

 これは、公立公営が三八・二%で、公立民営が四三・六%なんですね。さっき保護者会が多いですねと言ったのはここに出てくるわけなんですけれども。この公立民営の中に含まれていると思うんですが、厚労省は分けていない、カウントしていないんですね。それで聞きたいのは、この公立民営の中に指定管理者制度がどのくらいあるのかということをちゃんと調べるべきだと思います。

 それで、総務省に直接伺いますが、放課後児童クラブを指定管理者制度で行っている自治体がどのくらいあるのか、また、ふえているのか、お願いします。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 地方行政サービス改革の取組状況等に関する調査というものを行っておりまして、平成二十七年の四月一日時点で、児童クラブ、学童館等という分類で調査をしておりますが、この児童クラブ、学童館等の指定管理者制度の導入状況は、都道府県で十四施設中十二施設の、割合でいいますと八五・七%、指定都市で一千六十五施設中七百五十九施設の七一・三%、市区町村で一万一千三百八十三施設中二千五百六十三施設の二二・五%となっております。

 なお、この調査は二十七年度に初めて実施をしておりますので、増減については把握をしておりません。

高橋(千)委員 総務省からいただいた資料を五ページにつけておきました。指定都市と市区町村の割合、これは初めての調査だということを伺ったんですが、正直驚いたのは、介護支援センター一〇〇%、そして、児童クラブが指定都市だと七一・三%ということで、非常に普及が多いんですよね。

 それで、ふえているかどうかわからないとおっしゃったんですが、全国学童保育連絡協議会の二〇一三年の調査では、二千三百九十三団体、一一・一%という数字があるので、着実にふえていると思います。

 この指定管理者制度は、二〇〇三年、地方自治法改正により創設されて、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに経費の縮減等を図ることとあって、初めからコスト縮減を狙いとした制度なんですね。

 自治体のガイドラインを見ますと、各市が発表していますけれども、必ずコスト縮減効果という言葉が入っています。毎年議会で予算を決めますので、シーリングがかかって予算が減り、もう運営は限界という声が聞こえております。

 放課後児童クラブあるいは介護など、生身の人を扱う仕事、しかも人件費が経費の大部分である労働集約型の仕事は、やはり運営費削減はすなわち人件費カットにつながります。指定管理者制度になじまないと思いますが、総務省の考えを伺います。

宮地政府参考人 指定管理者制度の運用につきましては、平成二十二年の十二月に地方公共団体に対して通知を出しております。この中で、「指定管理者制度は、公共サービスの水準の確保という要請を果たす最も適切なサービスの提供者を、議会の議決を経て指定するものであり、単なる価格競争による入札とは異なるものであること。」と助言をしております。

 また、あわせまして、「指定管理者が労働法令を遵守することは当然であり、指定管理者の選定にあたっても、指定管理者において労働法令の遵守や雇用・労働条件への適切な配慮がなされるよう、留意すること。」と要請をしているところでございます。

 各自治体におかれましては、こうした点も踏まえながら取り組んでいただいているものと考えておりまして、指定管理者制度の導入が、必然的に不当な人件費の削減などに直結するものではないと考えております。

 また、この通知におきましては、「指定管理者制度については、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときに活用できる制度であり、個々の施設に対し、指定管理者制度を導入するかしないかを含め、幅広く地方公共団体の自主性に委ねる制度となっていること。」を示しております。

 地方公共団体におきましては、質の高い行政サービスを効率的、効果的に提供する観点から、地域の実情に応じて、直営あるいは民間委託、指定管理者制度等といった事業の実施方法から適切に選択をしていただきたいと考えております。

高橋(千)委員 今紹介いただいた通知は資料につけてあるんですけれども、その翌年に、当時の片山総務大臣が年頭会見で、指定管理者制度が導入されてから今日までの自治体の制度の利用状況を見てみますと、コストカットのツールとして使ってきた嫌いがありますとおっしゃって、指定管理者制度というのは一番の狙いは行政サービスの質の向上にあるはずなんです、ところが、アウトソースすることによって、いかにカットするかということに力点が置かれてきたような印象を持っておりますということで、軌道修正を図ったということがあって、今そうなっているんだと思う。

 ところが、今現在も、このクラブは、直営を指定管理者制度にするとか、あるいは、随契だったのに公募にして、短い単位で競争して、人もかわる、こういう状態が起こっているんです。

 大臣、この資料、最後のところを見ていただきたい。これは、指定管理者制度によって何が起こっているかということなんです。

 このK市の場合なんですが、指定管理委託料、二〇〇九年度と二〇一二年度を比較してください。一千三百四十一万六千円減っています。常勤指導員がそのため五人減らされ、賃金が千九百四十一万九千円減っている。これは、単純計算して一人頭百万近く減給しなきゃやっていけないんですよ。

 こうやって毎年毎年委託料を減らされるから、それで、あわせて指導員を減らすとか賃金を減らすとか、それ以外に道がないんですよ。これで運営指針は継続性とか安定性とか言っているわけでしょう。できるわけないじゃないですか。これは指定管理者制度になじまないとはっきり言うべきだし、クラブはやるべきじゃないと思います。いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど総務省からもお話ありましたけれども、指定管理者制度そのもの自体については、いろいろな知恵の中から出てきた制度だろうというふうに思いますが、大事なことは、公の施設の設置目的にちゃんと合った運営がなされるかどうかということが大事なんだろうというふうに思います。

 一方で、選ぶのは、要するに指定管理者制度を導入するかどうかというのは、一義的に地方公共団体の自主性で選んでいるわけでありますから、そこの自治として、今申し上げた公の施設の設置目的、今回であれば放課後児童クラブ、この設置目的に合った運営がなされているかどうかというのは絶えずチェックをしていただかなければいけないというふうに思います。

 我々にとって大事なことは、放課後児童クラブの設備運営基準とかあるいは運営指針、ここに質の確保ということが明示をされているわけでありますから、これにのっとって、運営をされるべきところがそのとおりになっているかどうかということについては、やはり市町村についても、責任を持って、この質の担保を図るということはやってもらわなきゃいけないなというふうに思います。

高橋(千)委員 残念ながら時間が来たので終わりますが、これを見て質の担保ができると答えられるはずがないと思うんですね。そこはきちんと、なじまない、やめるべきだと、何でもいいから言ってくださいよ、そのくらいのことを。人ごとのような答弁を繰り返さないでいただきたい。

 これは後で続きをやりたいと思います。

 終わります。

渡辺委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 おおさか維新の会の浦野です。

 きょうはエープリルフールですけれども、答弁はちゃんとやっていただけたらと思っています。

 本日も一般ということですけれども、先日保育の関係で言及できなかった部分も含めて、きょうは質問していきたいと思います。

 我々が政府に対して、短期的な緊急提言と長期的な対策の二つを出させていただいていますけれども、その中の短期的な要望の中に、無認可保育園に対するいろいろな補助を出すべきだという項目を設けております。

 これは、なぜ我々が認可保育園だけじゃなくて無認可保育園にもという話をするかというと、やはり、例えば認可の保育士、本当に、給与を改善する、待遇をよくするということになると、また、無認可の保育園で勤められている方も、では認可の保育園に行こうとか、そういうことが必ず起こります。

 そうすると、保育園に入れずに、やむを得ず無認可に入っておられる方が今現在二十万人ぐらいいらっしゃるということですよね。だから、実は無認可の保育園が経営できなくなっても困るんですよ。二十万人の方がまた行き先を失う。認可保育園に入っている方と無認可の保育園に入っておられる方、もちろん、認可保育園に入りたくて、どうしても入れないから無認可に行かれている方と、無認可しか自分の雇用形態で対応できるところがないから無認可の保育園に行かれる方、それはいろいろとありますけれども、両方、認可も無認可も社会的なそういう役割を今現在もう既に担っているわけですから、そこはやはり認可にも無認可にもきっちりと、今回の手当てをやるのであれば、しっかりとやるべきだと思うんですね。

 もちろん、我々は、人件費に対してと、子供たちの食事の質の改善をしてほしいということで給食と、あと施設の整備も、やはりなかなか追いつかない、余りよくない環境で子供をたくさん預からざるを得ない、経営上の理由でそういうふうになってしまっている施設もありますので、主にその三つを拡充して、補助を打つべきだと。

 ただ、補助を打つときに、やはりある程度ハードルというのは考えないといけません。しっかりとハードルを設けて、それをクリアしたところに関しては公的資金を入れていくということをしなければいけないと思うんですけれども、この件について、政府は今現在どういうふうに考えられているかというのをちょっとお聞きしたいと思います。

香取政府参考人 先生御案内かと思いますが、認可、無認可という表現を今されましたけれども、新制度になりまして、御案内のように、昔で言うと認可保育所でないという意味では認可外と言われてきた小規模保育ですとか、あるいは幼稚園型の認定こども園ですとか、そういったものを新制度では子ども・子育て制度の認可施設として認めたということになります。

 その意味で申し上げますと、いわゆる昔で言っている無認可でも、新制度の中では公費の出る認可の施設として扱うようになった。これにつきましては、基本的には、新制度の中で公費の出る施設ということですので、いわば、いわゆる認可保育所と同じ扱いになりますので、この間、処遇改善等々をやってまいりましたし、今後、これから行うさまざまな処遇改善の議論の対象に当然なりますので、同じように支援を申し上げるということになります。

 もう一つは、現在の子ども・子育て新制度でもさらに認可外になっている、例えば、ちょっと例がいいかどうかわかりませんが、ベビーホテルのようなものもございます。こういったものは、そもそも、いわば拡大した、多様化した認可基準をもクリアしていないところということになりますので、ここは、そのままの形でお金を入れるということは難しい。

 むしろ、こういった施設は、認可施設なり、今度新しくできた小規模保育なりの形にできるだけ頑張って移行していただく、そこの御支援を申し上げて、制度に乗っかっていただいて、そこで処遇改善等の御支援を申し上げる、基本的にはそういう形で対応していくということで考えております。

浦野委員 無認可という言い方はちょっとややこしいので認可外というふうに言い方を変えますけれども、認可外の保育園で、例えば、今おっしゃるような基準をクリアして認可の内訳に頑張ってなってほしいということですけれども、それをすると、先日高橋委員も質問の最後に取り上げられていた、認可外の保育園が今度認可になるというのが、もちろん、それはありやとは思うんですね、ですけれども、認可外の保育園が認可に移行したときに何が起こるかというと、それまでそこに入れていた子供たちが入れなくなるという状況が起こるわけですよね。

 だって、保育要件をやはり考えないといけなくなるので、入れなくなる子も出てくるんですよね。施設としてはその方が経営は安定しますけれども、本当にやむを得ず認可外のそういう施設を利用されている方もいらっしゃるわけですから、そういう子供たちを、そういうふうに移行してしまうと、預かれなくなるんです。

 それは、経営者、認可外の保育園を経営されている方々の本意かどうかというと、そうじゃないんですよね。やはり、現行制度の枠でいろいろな認可の保育園の中に入れない人たちの受け皿になって、今現在、最後のとりでとして認可外の保育園は頑張っておられるんですよね、既にもう。私は、そこはしっかりと公的資金もある程度入れてあげないと、認可外に行っている子供も認可に行っている子供も同じく日本国民ですから、そこは、認可外に行っているからといって何も手を差し伸べないというのは、僕はちょっとおかしいんじゃないかと思うんですね。

 そこは、同じ日本国民として、日本の宝の子供たちだということで、私は、それはしっかりと、それは、劣悪な、昔問題になったベビーホテルとかああいうのは、そこは別の問題です。そこは別の視点から改善してもらわないといけませんけれども、私は、そういう公的資金を少し、もちろん水準をつくって入れてあげることでそういうことが改善をしていくのであれば、僕はするべきだと思っています。

 今現在、既にもうそういうところに入っている子供たちがたくさんいるからですよ。いてないんだったら、そんなわざわざつくる必要はないですけれども、今現在もいてますので、そこはもうちょっと議論していただきたいなと思っています。

 次に、この件についてもそうなんですけれども、やはり、きょうも各委員から、データの把握は重要だという話がありました。私も、それを本当にこれまでもずっと言ってきました。

 例えば、保育士の給与改善。多分、補正予算をつくってやるんだ、ここは信じていますけれども、例えば、今我々が手元に持っているような資料で、平成二十七年賃金構造基本統計調査というので、各都道府県の保育士の平均賃金というのが、データとして、資料として我々ももらえるんですけれども、これなんかを見ていると、全国平均は確かに二十一万九千二百円です。

 でも、例えば愛知県、何でか知らぬけれども、この表だと一番高いのは愛知県なんですね、二十六万五千三百円。一番低いのは鳥取県だったと思います、十六万七千三百円。もう既に、ここで十万近い開きがあるんですね。平均以下しか保育士が給料をもらっていない都道府県は、四十七都道府県中、三十三道県あります。というか、ほぼほぼです。給与は、それは平均したら二十一万九千二百円ですけれども、都道府県によってすごくばらつきがある。上と下ではばらつきがある。

 私、正直、これはほんまに正確な数字かなと思います、ここまで差があると。実際、この統計をとっているデータがどれぐらいの分母でとられているのかというのは私たちはちょっとわからないんですけれども、例えば、厚生労働省から幼稚園・保育所等の経営実態調査結果という資料もいただいています。これがどれぐらいの数で調べられているかというと、有効回答数というのを見たらわかるんですけれども、公立の保育所、五百五十八カ所が回答してくれている。調査の対象に送って、回答してくれたところが二〇%と書いています。これ自体もかなり低いですけれども、回答してくれたところが二〇%しかないというのは。でも、全体の公立の保育所は一万一千百三十二カ所あるんですね。そのうちの五百五十八カ所なんですよ。全体でいうと五%しか数字を把握できていないんですね。五%の数字で全体の数字がわかりますかという疑問がまずは僕はあります。

 職員の給与等の回答もそうです。全体でいうと、公立の保育所は七・六%しか回答してくれていないんですよ。こんなんじゃ、まともな数字は多分出ないと思いますね。少なくとも、やはり半数以上は調査に協力していただかないとだめかなと正直思っています。

 このかなり根拠の薄い数字をもとにこのデータがつくられているので、この表自体も僕はちょっと懐疑的なんですね。

 井坂委員がきょう資料をつけていただいているので、同じもので言いますけれども、これも給料が並んでいますけれども、これも正直、例えば主任保育士が四十九万六千六百二十三円、私立は三十八万三千円、同じ主任でも十万以上差がついています。

 こういう数字も、このとおり額面で捉えたら物すごく差があるけれども、でも、実際、もっとあるかもしれません。そこはわからないです。僕はもっとあると思っています。恐らく、ほとんどの委員がもっとあると思っています。だから、僕は、これは本当にちゃんとしたデータをとるべきだと思うんですね。

 今回、民進党さんが出されている、野党さんが出されている、私も野党ですけれども、改善の法案と、政府が、恐らく、多分、絶対出すだろう給与改善の法案、これは、全国一律に保育士の給料を上げるという話になるのかなと思っているんです。

 実際、さっきも言ったように、もう既に、地域ですごく差が出ているんですよね。あの数字に出てきていないけれども、高いところというのは絶対、特に東京なんかはめちゃくちゃ高いんじゃないかと僕は思っているんですね。公立の保育所のことは前回指摘しましたけれども。

 例えば、埼玉県のある市が、東京に保育士人材をとられるから、八万、九万家賃を補助しましょうよと。八万、九万ってすごい額ですよね。この額を補助して保育士を確保しようとしたけれども、それでも保育士は来てくれない、東京にとられるというんですよ。ということは、それ以上に東京の保育士の給料がいいということなんですよ。八万、九万、毎月ですよ、家賃補助やから。毎月家賃補助をそれだけ出してでも、来てくださいとやっても、東京に勝てない現状なんですね。ということは、想像するに、めっちゃ給料はいいんですよ、東京は。でも、そこは正直わからないです、データがないから。

 だから、こういう議論をするときに、しっかりしたデータがないと本当にわからないので、私はぜひ、かなりの詳細なデータをこれからやっていただきたいと思うんですけれども、地域差も含めてデータをとるということについて、どうお考えですか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 例えば、診療報酬改定を行う場合には、二年に一度行われておりますが、病院あるいは診療所あるいは薬局の経営実態調査というのを、サンプル調査ですが行って、それに基づいて経営状況を判断する。それから介護の場合も同様なルールがあって、これは三年に一遍ですが行っております。

 保育の場合には、新制度前は、いわば措置費制度ということで、公費で、公務員給与の改定率あるいは物価の上昇で改定するということをやってきたということもありまして、いわゆる経営実調のようなものというのは行われてこなかったわけでございます。新制度発足に当たりまして、今先生御指摘の、平成二十五年に行ったのが、そういう意味でいいますと、初めての調査ということになります。

 実は、新制度になってからでも、診療報酬や介護報酬のような何年かに一遍の全体の公定価格の改定というルールのような形になっておりませんので、その意味では、公定価格の改定と経営実調がリンクした形になっていないという、今現にそうなっているところでございます。

 ただ、今回の議論でもありましたように、今の経営実調は当時のものですので、サンプル数も少ないですし、その後さまざまな制度改正が行われていますので、やはり何らかの形で給与なりなんなりの実態をきちんと把握するということは検討せざるを得ないのではないかと思っております。これは、実施をするに当たっては、自治体側あるいは実施を受ける各施設、今回非常にたくさんの施設を制度の中に入れましたので、それも含めて検討が必要なので、ちょっと時間はかかるかもしれませんが、それは考えないといけないと思っております。

 それから、賃金の話ですが、一つは、保育士さんの場合は、例えば潜在保育士の例を見るとわかりますが、保育士さんとそれ以外の職種とのいわば選択ということになりますので、一般の給与が例えば東京と地方でどういう格差があるかというバランスも見ないといけませんし、それから、もちろん保育士同士で比較するということもありますので、例えば、改善をするとなった場合に、どういう改善の仕方をするのか。

 お話しのように、東京は大変だから東京だけつけるとやりますと、周りからみんな保育士を吸い上げるということが起こってしまいかねないので、上げ方も難しい。あるいは、初任給で上げるのか、あるいはキャリアパスのどこかで上げるのかということになりますので、これもかなりいろいろ改善の仕方は考えた上でやらないといけませんので、その辺も含めてよく政府部内で検討して、五月のプランの中で適切な形で御提案申し上げたいというふうに思っております。

浦野委員 例えば、全社協さん、全国社会福祉協議会さんがやっているデータとかもありますけれども、全社協は一応民間の団体なので、アンケート調査は定期的にやっていますけれども、資料でもお使いになっている委員もいますけれども、例えば賃金について、運営主体別賃金で初任保育士の賃金は幾らかとか、それを回答してもらっているんですけれども、公営の保育所は七五・六%が無回答なんですよ。二五%しか答えてくれないんです。何でかいうたら、答えたらばれるからやと思うんですよね。僕はそういうふうに勘ぐっているんですよ。そうじゃないんやったら真面目に答えてくれたらいいんですよ。民間は、同じ問いで無回答は二五%しかないんですよ。だから、回答数が逆転しているんですよね。

 私は、これは、公立は正直、絶対高いと思っています。確信しています。だから、僕は、そこがばれるのが嫌やから回答していないんやと思うんですよ。でも、これは想像です。今は想像でしか物を言ってないです。でも、それをはっきりとさせるためには、こういうところもちゃんと答えさせる、それは国にしかできないので、よろしくお願いします。

 きょう四月一日、エープリルフールですけれども、保育園はきょうから新学期が始まりました。今、国が出しているルールで、一二〇%を二年続けて三年目から減額というのをなしにしようと言っています。でも、これは、今もう既にきょうから保育所は新学期が始まっているので、このルール、もしもっと早目に通達してもらえたら協力できる保育園が出てくると思いますけれども、これは、通達とかはいつしますか。

香取政府参考人 二十八日に私どもの大臣から御公表いたしました緊急対策につきましては、その日のうちに概要と中身につきましては、事務連絡という形で各自治体には御通知申し上げております。その中で、今先生お話しになったことも含めて、一応、事務連絡では流しております。この後、交付要綱の改正でありますとか予算の具体的な中身でありますとか、予算も通りましたので、こういったものについては正式な通知なり交付要綱の見直しでお示しをします。

 これは、できるだけ早く、早急に通知いたしたいと思っておりますし、四月には各自治体との会議もいたしますので、そこには間に合わせるように、できるだけ速やかに連絡をいたしたいと思っております。

浦野委員 毎回、三浦さんに座っていただいて、質問が時間がなくてできないので申しわけないです。ライフ協会の件は、ちょっとまた別にしっかりとやりたいと思います。答えたくないかもしれませんけれども。

 以上で質問を終わります。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、内閣提出、児童扶養手当法の一部を改正する法律案及び初鹿明博君外八名提出、児童扶養手当法及び国民年金法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。塩崎厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 児童扶養手当法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

塩崎国務大臣 ただいま議題となりました児童扶養手当法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 一人親家庭は、子育てと生計を一人で担わなければならず、生活上のさまざまな困難を抱えております。特に、子供が二人以上の一人親家庭においては、より経済的に厳しい状況にあります。

 このため、児童扶養手当について、特に経済的に厳しい状況にある一人親家庭に重点を置いた改善を図ることとし、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 児童扶養手当につきまして、支給要件に該当する児童であって母が監護するもの等が二人以上である場合における加算額のうち、第二子に係る加算額を月額五千円から月額最大一万円に、第三子以降の児童に係る加算額を月額三千円から月額最大六千円に増額するとともに、これらの加算額について、全国消費者物価指数の変動に応じて改定する物価スライド制を設けるものであります。

 なお、この法律の施行期日は、平成二十八年八月一日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

渡辺委員長 次に、初鹿明博君。

    ―――――――――――――

 児童扶養手当法及び国民年金法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

初鹿議員 ただいま議題となりました児童扶養手当法及び国民年金法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 まず、本法律案の提案理由について御説明いたします。

 我が国の子供の貧困率はOECD加盟国の中でも高い水準にあります。特に、一人親世帯等の貧困率は五〇・八%とOECD加盟国中最下位という深刻な状況です。

 子供たちの将来と我が国の未来をより一層輝かしいものとするためには、子供たちがみずからの将来を切り開いていけるようにすることが重要です。しかし、現実には、生まれ育った家庭の経済状況に、その将来が大きく左右されてしまうという悲しい状況があります。

 実際、高校卒業者の大学、短大、専門学校への進学率を見ると、全体の進学率は七割を超えているのに対して、一人親家庭の子供の進学率は四割にとどまっています。一人親家庭の子供は、経済的な理由により、進学の希望が実現できていないのです。

 日本財団の推計によると、貧困家庭の子供を支援せずに格差を放置すると、現在十五歳の子供の一学年だけでも、社会がこうむる経済的な損失は約二兆九千億円に達し、政府にも約一兆一千億円もの財政負担が生ずるとしています。子供の貧困問題は、我が国の経済、財政的に見ても大きな損失になっているのです。

 今般、政府は、児童扶養手当法改正案を提出しました。しかしながら、政府案の内容は、多子加算の微々たる増額だけであり、全く不十分です。また、第二子と第三子以降とで手当の額に差を設ける必然性は乏しいと言わざるを得ません。

 以上のような状況を踏まえ、貧困の連鎖を断ち切るためには、一人親家庭の子供が大学等に進学しやすくなるように支援するとともに、特に経済的に厳しい状況にある子供が二人以上の一人親家庭への支援を拡充することが必要と考え、本法律案を提出しました。

 次に、本法律案の概要を説明いたします。

 第一に、児童扶養手当の支給要件に係る児童、障害基礎年金の加算対象に係る子及び遺族基礎年金の支給対象、加算対象に係る子に、二十歳未満の学生等を加えることとしております。

 第二に、児童扶養手当の多子加算額について、第二子月額五千円、第三子以降月額三千円から、第二子以降月額一万円に引き上げることとしております。

 第三に、児童扶養手当の支払い期月について、四月、八月、十二月の年三回から、毎月に変更することとしております。

 なお、この法律は、平成二十八年八月一日から施行することとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、速やかに御審議の上、御賛同いただきますようお願いいたします。

渡辺委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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