衆議院

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第13号 平成28年4月22日(金曜日)

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平成二十八年四月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 秋葉 賢也君 理事 江渡 聡徳君

   理事 小松  裕君 理事 後藤 茂之君

   理事 白須賀貴樹君 理事 西村智奈美君

   理事 初鹿 明博君 理事 古屋 範子君

      あかま二郎君    小倉 將信君

      大串 正樹君    金子万寿夫君

      神山 佐市君    木村 弥生君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    豊田真由子君

      中川 俊直君    永岡 桂子君

      長尾  敬君    丹羽 秀樹君

      丹羽 雄哉君    比嘉奈津美君

      福山  守君    堀内 詔子君

      牧原 秀樹君    松本  純君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      簗  和生君    山下 貴司君

      井坂 信彦君    岡本 充功君

      郡  和子君    重徳 和彦君

      田島 一成君    玉木雄一郎君

      中根 康浩君    本村賢太郎君

      伊佐 進一君    中野 洋昌君

      吉田 宣弘君    高橋千鶴子君

      堀内 照文君    浦野 靖人君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      竹内  譲君

   厚生労働大臣政務官    三ッ林裕巳君

   厚生労働大臣政務官    太田 房江君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官付参事官)           中村裕一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福島 靖正君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         中垣 英明君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    藤井 康弘君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     金子万寿夫君

  田村 憲久君     小倉 將信君

  長尾  敬君     簗  和生君

  丹羽 秀樹君     あかま二郎君

  牧原 秀樹君     豊田真由子君

  村井 英樹君     神山 佐市君

  大西 健介君     玉木雄一郎君

  中島 克仁君     本村賢太郎君

  柚木 道義君     田島 一成君

  角田 秀穂君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     丹羽 秀樹君

  小倉 將信君     田村 憲久君

  金子万寿夫君     赤枝 恒雄君

  神山 佐市君     村井 英樹君

  豊田真由子君     牧原 秀樹君

  簗  和生君     長尾  敬君

  田島 一成君     柚木 道義君

  玉木雄一郎君     大西 健介君

  本村賢太郎君     中島 克仁君

  吉田 宣弘君     角田 秀穂君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 この際、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。

 法務委員会において審査中の第百八十九回国会、内閣提出、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案及び第百八十九回国会、内閣提出、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について、法務委員会に連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、法務委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 内閣提出、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官付参事官中村裕一郎君、厚生労働省健康局長福島靖正君、医薬・生活衛生局長中垣英明君、社会・援護局障害保健福祉部長藤井康弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井坂信彦君。

井坂委員 皆さん、おはようございます。井坂信彦です。

 本日は、B型肝炎の質疑に入る前に、ちょっと一点、緊急で質問させていただきたいと思います。

 国民の年金を預かるGPIFの運用委員会の人事が本日付で発表されました。これを見ますと、もともと、本来、再任をされるはずだった堀江運用委員長代理が、今回、再任をされていないということが発表されております。

 これは通告しておりますが、大臣にお伺いいたします。堀江運用委員長代理は何か再任を辞退されたというようなふうにも聞くわけでありますが、今回、再任されなかった理由は何でしょうか。

塩崎国務大臣 今お話がありましたように、GPIFの運用委員につきましては、昨日、任期満了を迎えまして、本日、五名の方について再任をお願いいたしました。

 今お取り上げいただきました堀江さんにつきましては、かねてから一身上の御都合によって再任を希望しないという御意向を承っておりましたので、御本人の意思を尊重したところでございます。

井坂委員 御本人の意思ということで、私は何か事実上の更迭のようなものかなというふうに思っていたんですけれども、別にこれは事実上の更迭ではなくて、大臣としては続けていただきたかったなという感じなんでしょうか。

塩崎国務大臣 そのとおりでございまして、御本人の御希望で、再任は希望されなかったということでございまして、大変立派な方でございます。

井坂委員 更迭ではなくて、大臣としても、立派な方だったので続けてほしかったということでありますが、この堀江運用委員長代理は、大臣も前からよく御存じの方でしょうか。大臣が、今回、運用委員にそもそも強く推してこの方を入れられたというふうにも、内部ではそういう声が聞こえているわけでありますが、よく御存じだったか、それから、大臣が推薦をしてというような経緯が少しでもあったのかどうか、お伺いをいたします。

塩崎国務大臣 これは、田村前大臣のときに、おととしの四月に任命をされた方で、私は存じ上げておらない方でございます。私が大臣に就任した後、何度かお話をする機会はございましたけれども、特にもともと存じ上げていたわけではございません。

井坂委員 大臣はもともと存じ上げている方ではない、特に大臣が何かプッシュをしてこの方をという事実はないということであります。

 実は、この堀江運用委員長代理に関しては、我が党の細野議員が、問題あるんじゃないかということで追及をさせていただいておりました。

 どういう問題かといいますと、GPIFの運用委員、国民の年金を預かる立場であると同時に、民間の、これはもう記事にもなっていますから名前を出していいと思いますが、りそなホールディングスさんの資産運用アドバイザーなども就任をされていたということで、このあたりを細野議員も追及をしておりまして、急遽、急転直下、今回再任をされなかったように見えるわけでありますが、りそなホールディングスのような民間の資産運用アドバイザーをGPIFの運用委員長代理がやっているというのは、実はこれはGPIFの行動規範に反しているのではないかというふうに私は思いますが、これは行動規範違反ではないか、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 まず第一に、運用委員というのはどういうお役をお願いしているのかということを、きょうお聞きの皆さん方にもよく知っていただいた方がよろしいかなというふうに思いますし、多分、多くの方は、国会議員の中でも御存じじゃない方が多いと思います。

 非常勤の方々ばかりでございまして、運用委員は、委員長を含めて、理事長の諮問に応じてアドバイスを行う機関でございます。したがって、運用の方針を最終決定するような立場でもないし、それから、個別の取引先の選定をする立場でもないということでございまして、決めるのは理事長以下GPIFの方々が決めるということでございまして、報酬も日当ベースで、審議会の委員と同じと考えていただければよろしいかと思います。

 ただ、一方で、GPIF法では、運用委員につきましては、役職員と同じように、取引先企業の、つまりGPIFが取引をしている先の企業の役員になることは禁止をされているということでありますが、基本的には、何回運用委員会を開くかは別にして、二、三十万の報酬を年間合計でお支払いをするような立場の方だということをまず御理解賜りたいと思います。

 したがって、今回のりそなホールディングスのアドバイザリーコミッティーへの就任については、もともと、今お話し申し上げたように、法令的には、別に取引先企業の役員になったわけではございませんし、法令等に違反をするようなものでは全くない。今のアドバイザリーコミッティーの委員というのは企業の役員ではございませんので、そういう意味で、法令違反は全くないということでございます。

 それから、行動規範のことについてお話をいただきましたけれども、もともと、堀江さんがりそなホールディングスのアドバイザリーコミッティーへの就任に当たっては、大所高所からの助言、特に堀江さんは、多分日本の中でも、こういった年金の運用機関のガバナンスの問題についての専門家、第一人者で、この方の右に出る人はいないと言われるぐらいでございまして、そういう意味での、組織体制などについて大所高所から助言をということで、一度お受けになったと聞いております。

 その後、報道された中で、少しこれは大所高所からのアドバイスだけじゃないかもわからないということで、それだったら私は受けられないということで、すぐにみずからおやめになったというふうに聞いておりますので、特に一連の行動に行動規範に関して何か触れるような問題があったかというと、それはなかったと考えているところでございます。

井坂委員 この堀江運用委員長代理は、一旦、りそなホールディングスの資産運用アドバイザーを受けて、そして今回、細野議員がいろいろ追及をさせていただいたわけでありますが、その結果、これはやはり問題だ、まずいということでやめて、しかも、今回再任もされなかったということであります。

 これは大臣、行動規範上問題ない、法令上問題ないとおっしゃいますが、これはやはり問題があったから、民間の投資顧問も急遽辞退をされた。そして今回、再任も、堀江運用委員長代理は今回GPIFに再任されるというふうに私は事前には聞いておりましたが、されなかった。これは、やはり問題があったのではないかなというふうに思うわけであります。

 これは、りそなホールディングス以外にも、堀江運用委員長代理は民間の投資顧問を受けておられたのではないですか。

塩崎国務大臣 細野先生からの御指摘を受けてやめたなんということでは全くない話であって、今申し上げたように、受けた後に報道がすぐあって、そのたしか二日後にはもうみずからやめているので、細野さんは、ずっと後からこの問題にお気づきになられて、お取り上げをされたということと理解をしております。

 他のことについてお話がございました。これは多分、みさき投資株式会社の経営諮問委員になっておられることを言っておられるんだろうというふうに思いますが、これもGPIFと取引上利害関係を有する会社では全くないので、かつ、経営諮問委員というのは役員ではない。したがって、これも関係法令に違反をするということはないわけでございまして、これは、今御指摘のような問題点は全くないというふうに考えております。

井坂委員 りそなホールディングス以外にも、大臣が今答弁された、みさき投資株式会社というようなところでも経営委員のようなものをやっておられたということであります。

 これは、直接の取引関係がないから法令違反ではないというふうにおっしゃるわけでありますが、一方で、行動規範の方には、例えば、国民の疑惑や不信を招くことのないようにとか、あるいは、GPIFにおける職務や地位を自己または第三者の利益のために利用しませんとか、当然、我々年金を預けている側が望む、当たり前の行動規範が書かれているわけであります。

 今回、政権が株式中心の運用に変えられた。そして、当然、短期では損失も出るだろうということで、初年度五兆円の損失を恐らく出しておられるわけでありますが、そういう中に、これは実際、GPIFの中の話も聞きますけれども、こういう民間の投資会社に助言をする立場と兼ねて、そしてGPIFの運用委員長代理をされていた方がおられる。これは私は、まさに李下に冠を正さずではないですけれども、そういうことがないように行動規範があって、そして、実際、運用委員の方は、こういうことに注意をされていたはずであります。

 今回、この堀江運用委員長代理が再任されなかったのは、いい方だったのに残念だ、続けてほしかったと大臣はおっしゃるわけでありますが、私は、やはりこういう、まさに行動規範に触れかねないようなこういった方がGPIFの運用委員長代理としておられた、しかも大臣が、なおまだ続けてほしかったというふうにおっしゃっているのは大変問題だというふうに思います。

 またGPIFの問題は、引き続きいろいろな場所でさせていただきたいと思います。

 本来のB型肝炎の方に移りますが、一番最初ですので、シンプルにお伺いをしたいと思います。

 これはB型肝炎ウイルスに、実際、自分がウイルスに陽性だ、かかっているということにまず気づいて、検査をしていただかなければいけません。そして、検査をして、B型肝炎ウイルスに陽性だという方には、この給付をする仕組みを知っていただかなければなりません。そして、この給付をする仕組みを知っていただいた上で、きちんと提訴をして、和解をして、給付金を受け取っていただかなければいけません。

 この三段階をしっかりやっていかない限り、今、推計の対象者が四十五万人いる中で、まだ三万三千人しか実際この仕組みを使っておられない、こういう非常に低い割合のままになってしまうわけであります。

 まず一つ目の、B型肝炎の検査をちゃんと対象世代の方にやっていただく、昭和二十三年から昭和六十三年の間に子供時代を過ごしていて、集団接種でB型肝炎ウイルスにかかった可能性のある世代、はっきりしているわけでありますから、この世代の方々、放っておくと半分ぐらいしかB型肝炎のオプション検査を受けないという中で、この世代の方には、こういう仕組みもあって、B型肝炎にうつっている可能性もあるのでB型肝炎の検査もやってくださいね、ここをまずしっかりやっていかなければいけないと思いますが、対象世代の方に健診の際に必ずB型肝炎検査を行うように促すべきではないでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほどの、みさき投資株式会社の経営諮問委員に堀江さんがなっているという話について、一点だけ申し上げておくと、運用委員になる前からこの投資株式会社の経営諮問委員に就任をされていたということで、これは法令上問題がないという整理で選任をされたんだろうというふうに、私の時代ではありませんが、私は理解をしております。

 今、対象世代の健診の際に必ずB型肝炎検査を行うように促すべきではないかという御指摘でございました。

 肝炎の克服に向けましては、早期発見、早期治療が重要であることはもとよりでございますが、B型肝炎給付金の対象者を給付金に結びつけるためにも、肝炎ウイルス検査を受けていただくことが重要な課題であるわけでございます。

 このため、検査の勧奨、検査体制の整備、これを進めることは極めて重要でありますので、給付金の対象世代、二十八歳から七十五歳の幅でございますけれども、これを含めて、広く国民に対して、俳優の杉良太郎さんを初めとする著名人の協力によって、「知って、肝炎プロジェクト」といったプロジェクトを通じてウイルス検査の必要性を今日まで訴えてまいりましたし、これからもやはり御指摘のとおり促していくことは大変大事だというふうに思います。

 受検者数をふやすためには、利便性の高い検査体制を確保して御提供するということが大事でありますので、都道府県や市町村が身近な医療機関への検査委託を促進するということが、身近に皆さん方が検査を受ける体制が整うということだと思います。

 とりわけ就労世代の方々には、なかなか時間をつくることが難しいので、職域での検査促進が重要であって、保険者あるいは事業主等に対しても、肝炎ウイルス検査の実施を積極的に働きかけていくことが重要かなというふうに思っております。

井坂委員 そんな大がかりなことを申し上げているのではないんです。

 実際、健診を受けている人がたくさんいます。そして、健診のときは、B型肝炎の検査というのは大体オプション、やるかやらないか選べることが多く、そのときに、対象世代の方は、こういうおそれと、それから、それを救済するためのこういう仕組みがあるので、オプションでB型肝炎もつけてくださいねと。

 健診に忙しくて来られない方をどうこうするという話よりも、もう既に健診を多くの方がやっておられるにもかかわらず、当局にお伺いすると、B型肝炎もついでにやるという方はその半分ぐらいしかいないんだということであります。ですから、自由にやるやらないを選ばせたら、それは半分になってしまいますけれども、対象世代の方は、こういうおそれがあって、こういう仕組みがあるということで、オプションで、健診を受けたら必ずB型肝炎を受けていただくと。対象世代を絞って、しかも、オプションをやるのは別にそんな手間じゃないですから、それをやってはいかがかというふうに伺っております。

塩崎国務大臣 強制をすることはなかなか難しいものですから、オプションとしてやっていただくように促していくということは大変重要だということを申し上げているので、それ以上強制をするということになると、なかなかそう簡単ではないというふうに思っているからこそ申し上げているわけでございます。

井坂委員 強制などと何も申し上げておりませんし、通告どおり、行うように促すべきではないかということであります。私もこれの対象世代ですよ。私もこれの対象世代ですけれども、今回のこの法案審議をする前は、こういう問題あるいはこういう給付金、これを私は知りませんでしたよ。健診を受けるときにこんな話なんか聞いたこともないですし、やはり、健診を受けたら対象世代の方にはこの話が伝わって、では追加でB型肝炎もやろうかなと。これは簡単な話ですから。これをやれば、今半分しかオプションを受けていないのが、八割でも九割でもなれば、B型肝炎の検査をやる人は飛躍的に、今の倍近くふえるわけであります。ぜひやっていただきたいと思います。

 それから二つ目に、対象世代の方がB型肝炎の検査をやって陽性だった場合は、必ず給付金制度の説明をすべきだ、今、ここができていないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 御指摘のとおり、B型肝炎ウイルス検査が陽性であっても、給付金制度のことを御存じじゃないということがかなりあるんだろうというふうに思います。したがって、この給付金制度のことが確実に、今以上により確実に伝わるように取り組んでいかなければならないということはそのとおりで、説明をすべきだというふうに、御指摘の点は全くそのとおりだというふうに思います。

 従来から、保健所とかあるいは自治体検診で検査陽性と判明した方や、それから、医療機関を受診する患者の皆さん方に対しては、それぞれ地方自治体や医療機関から、この制度のリーフレットを配付していただくように依頼をしてきたわけでございます。

 しかし、今おっしゃったようなことで、陽性になっても必ずしも対応していただけないというケースも多かったわけでございますから、こうした取り組みに加えて、今後は、医療機関の例えば他の手術をするときの事前の検査などで陽性と判明をされた方とか、手術の前に検査をされるときには必ずこのB型肝炎についても検査をしますから、こういった方が陽性だというふうに言われたとき、あるいは職域検査で陽性と判明をされた方に対しても制度が周知されるように、医療機関それから検診機関、当然、職域に対してもリーフレット配付をこれまで以上にしっかりとやっていただけるように依頼をするということで、制度のより一層の周知を図っていかなければならないというふうに考えているところでございます。

井坂委員 これは単にチラシを頼むという程度では私は不十分だというふうに思います。対象世代の方がB型肝炎で陽性で、よほど特殊な条件でもない限りは、これは書類をそろえれば給付金がもらえる、これを、もらえる話を知らせないというのは私は不作為に当たるというふうに思いますから、単にチラシを頼むというのを超えて、きちんと確実に周知をする、これは国の仕事としてやっていただきたいと思います。

 最後に、B型肝炎ウイルスが陽性だった、しかも給付金制度のことも知った、それでも給付金を受け取らない方が一定おられるわけであります。もう書類をそろえればもらえるはずなのに何でだというふうに聞きますと、提訴をしなければいけない、弁護士さんに頼まなければいけない、ここが大変だ、弁護士さんに払うお金もかかる、こういう理由があるということであります。

 大臣にお伺いいたしますが、これは別に、必要な書類をそろえれば、ほとんど争いのない、給付金が支払われる仕組みだというふうに思います。提訴、国を訴えるのもこれは大変ハードルが高いことでありますから、必要な書類がそろっていたら給付金を支払う、なおそこで、書類のそろいぐあいとか書類の内容に疑い、争いがある場合のみ、これは裁判でしっかり調べる、こういう仕組みに変えてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 これは、三権分立というのがあって、それにのっとってこの枠組みもできているということに尽きるのだろうというふうに思いますが、和解対象者を訴訟で認定する仕組みにしたのは、平成二十三年の基本合意の際に、加害者たる立場にある行政府である国が救済対象を決定するということは適当ではないこと、それから、認定に争いがある場合には結局は裁判になるということ、さらには、原告側も司法認定の仕組みを想定されていたこと、こういったことから、C型肝炎訴訟の仕組みと同様に、司法認定の枠組みとしたものでございます。

 一方で、御指摘のとおり、訴訟が必要なため申請を、手間が大変だということで、ちゅうちょされることも事実であるわけでございまして、このため、引き続き、訴訟手続の御案内も含めた制度全般について、まず、きめ細かな電話相談等を行うということ、それから、提訴を希望される方が必要書類の用意がより容易にできるように、訴訟の手引を充実してわかりやすく御説明をし、御理解をいただけるようにするという対応をさらに努力するということで、希望される方が提訴をしやすい支援を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

井坂委員 終わりますが、ぜひこの制度の目的をしっかり見ていただいて、やはりB型肝炎の検診を受けていただく、そして陽性だったら給付金の制度を着実にお知らせする、そしてこの提訴のハードルを下げる、この三つをやらないと、対象者は四十五万人なのに三万人しかお金を受け取りに来られないというような状況はなかなか改善しないというふうに思いますから、この三つをやっていただきたいというふうに申し上げて、質問を終わりにいたします。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 冒頭、熊本地震について、被災された皆様に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 強い余震が続いていること、わずか一週間で関連死が十一名を超えたことなどは本当に深刻な事態だと思っております。せっかく助かった命をこれ以上犠牲にしないよう、政府の対応を求めるとともに、党としても、各地のネットワークを生かして奮闘してまいりたい、このように思っております。

 三・一一のときも、障害のある方は、犠牲になった割合が健常者の二倍というデータがございます。助かった後も、例えば、作業所が既に被災をしている、特別な治療食や補装具などが手に入らない、そもそも避難所に受け入れてもらえないなどの困難がありました。こうした実態や支援は、全国の障害者団体が協力して実態をつかみ、取り組んできたものだと承知をしておりますし、既に熊本でもそうした取り組みが始まっております。

 厚労省としても、そうした当事者団体とよく連携をとり合って必要な対応をしていくべきだと思いますが、大臣に伺います。

塩崎国務大臣 これは記憶がまだ新しいわけでありますけれども、東日本大震災のときに、障害者の皆様方の亡くなる率が、健常者の方と比べると倍以上高いということが、本当に胸の痛い、心が痛むこととして記憶にあるわけでございます。

 そういうことも踏まえて、厚生労働省として、今回の地震で被災をされた障害をお持ちの方々、この方々について、既に障害福祉関係団体の皆様方にも情報収集あるいは広く支援をお願いしてまいっておりまして、地震直後から、施設の被害状況の確認、それから利用者の方々の安否の確認、被災をされた障害のある方々などの受け入れ、それから水、食料等の調達がうまくいっているかどうかなどに御協力をいただいて、団体ごとにそれぞれ御報告を厚生労働省に上げていただいております。

 今後とも、障害のある方々の置かれている状況、それから必要な支援、さまざまな支援がありますが、これに適切に、ニーズに合った形で対応ができるように、まずその把握に努め、そして関係団体と緊密な連携をとりながら、被災地における障害のある方々の支援に不足がないように全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 何が必要かは当事者団体が一番よく知っています。でも、当事者団体だからこそ、お互いに困難を抱えながら支援活動をしておりますので、今大臣はしっかり連携をとりながらとお話ししていただきましたので、その点を重ねてお願いをしたい、このように思います。

 さて、法案に入りたいと思うんですが、一九八九年、五名の原告が札幌地裁に提訴したB型肝炎訴訟が、最高裁で勝利、和解したのは十七年後でありました。これを先行訴訟と言っておるわけですが、この報道を見て初めて、自分が長年受けてきた差別や偏見、あるいは理解されない病気に苦しんできた、そういうことが理解されて、原告らが一斉に立ち上がったのが二〇〇八年でありました。全国十の地裁で、どんどん原告の数がふえまして、一千名を超えております。

 原告や弁護団あるいは学生たちなど、支援団体が国会に何度も足を運び、院内集会もやりましたし、各党ヒアリングもやりましたし、そういうことを重ねて、ただ、その間に、解決を見ずに亡くなる原告もいらっしゃいました。そして、とうとう和解が成立して、二〇一一年、この特措法ができたわけであります。

 ただ、発症後二十年が過ぎた重度の肝硬変や肝がん患者などが除斥の対象とされたこと、また、請求期限五年は短過ぎるのではないかなどの指摘があり、課題として残されておりました。

 今回の改正は、さらに五年延長し、二十年が経過したものについても対象としました。また、この五年の間に何の救済も得られないまま亡くなった方もいらっしゃいます。

 なぜ今か。また、この法改正の趣旨、意義について大臣の認識を伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 二十年以上過ぎた対象者の給付金の問題……。

 失礼しました。事前に通告していた順番かなと思ったものですから。

 法案の内容、それから目的全般についてのお尋ねでございますが、集団予防接種の際の注射器の連続使用によってB型肝炎ウイルスに感染された方と、その方から感染をした方に対する給付金の請求期限につきまして、今回、現下の請求状況を勘案いたしまして、つまり、請求がはかばかしく進んでいないという状況を踏まえて、平成三十四年一月十二日までの五年間の延長ということを図るとともに、給付金の支給対象を拡大するということにしているものでございます。

 これによって一人でも多くの特定B型肝炎ウイルス感染者の方が給付金を受けられるようにすることで、過去の集団予防接種によって生じた感染被害の救済に万全を期して、この問題を可能な限り早く全体的に解決するようにするというのが今回の法律の目的でございます。

高橋(千)委員 順番どおりです。表現の仕方が通告より丁寧に言っているので、大臣、よくその趣旨を踏まえていただければありがたいなと思っております。

 二〇一一年十二月二日の本委員会で、原告団長の谷口三枝子さんが出席して意見陳述を行っております。

 谷口さんは、このようにおっしゃいました。「私は、発症後十九年で提訴しました。提訴したのは、その直前に新聞でB型肝炎訴訟のことを知り、弁護団に連絡したことからです。発症がもっと早かったら、あるいは訴訟のことを知るのがもっと遅かったら、発症後二十年の提訴となっていました。除斥という門の外にほうり出されていたのです。」。「除斥という門の外」、この言葉の重みを、改めて議事録を読み返して大変重く受けとめました。

 特措法は、谷口さんら原告が壮絶な体験をしながら闘ってかち取ったものではあるけれども、先行訴訟自体が解決まで長過ぎたために、既に除斥期間を過ぎた人も多かったわけです。このことが大きな課題となりました。

 特措法では、慢性肝炎は、千二百五十万円のところを、発症後二十年経過した者は三百万円、ところが、軽度の肝硬変、死亡、肝がん、重度の肝硬変などは対象となりませんでした。このことについて谷口さんは、「より重い症状で、より長く苦しんできた被害者が、逆に、低い救済しか受けられない、あるいは救済を受けられないということは、どう考えても理不尽」と訴えました。ここをぜひ大臣に受けとめていただきたいなと思っているんですね。

 改めて、除斥期間を過ぎているかどうかは、ある意味、偶然であり、運でもあるわけですね。それを新たに法律で今回救済するわけですが、今さら四分の一にしなくても、同じ額でいいんじゃないでしょうかと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 二十年を過ぎた方についての対応についての御指摘だというふうに受けとめましたが、民法上の損害賠償に係るいわゆる除斥期間の規定、これは民法に定めてあるわけでありますが、これを踏まえて、発症などから二十年が経過した方への給付金というのは、法的な損害賠償責任に基づかない対応として行うということになっているわけでございます。

 この給付金額は、裁判所が、原告、国、双方の意見を聞いた上で示した所見にて提示をされた金額でございまして、原告と国の双方がその所見を受け入れて、締結をした基本合意にも明記をされているわけでございます。

 今回の立法措置は、その基本合意の内容を尊重して行っているものでございまして、御理解を賜れればというふうに思うところでございます。

高橋(千)委員 部分的に、既に前回も、そして今回も、除斥期間を過ぎている方を対象にしているわけですから、民法の規定があるからということは理由にならないわけなんですね。

 それはどういうことかといいますと、二〇一一年の基本合意の際も、それは当時の争っていた原告の中には二十年を過ぎていた方がいなかったわけですから、そののりを越えて、裁判所が、こういう場合もということを言うのはないわけですよ。だけれども、そのときに、札幌地裁の裁判長は、立法の際にはよりよい解決をしていただければと思います、つまり、政治が乗り越えてほしいということを言っているんです。だから今回も、こうして一定前進があったのではないか、こういうふうに思っておりますので、その趣旨をぜひ受けとめていただきたいなと思います。

 それで、二十年以上過ぎて対象とならなかった方で、今回どの程度の方が新たに対象となるのでしょうか。これは病態ごとに答えていただきたい。それから、それがなぜか、なぜそういうふうな計算ができたのかというのもお願いいたします。

福島政府参考人 お答えいたします。

 死亡または肝がん、肝硬変を発症後二十年を経過して提訴する方の、まず、今の法律の二十八年度までの見込み数でございますけれども、現在の提訴状況を踏まえますと、二十八年度までで、死亡、肝がん、重度の肝硬変の方は約三十人、それから軽度の肝硬変の方は約七十人、合計で百人というふうに推計をしております。

 今回の法案で五年間延長するわけでございますが、延長後の五年間、平成三十三年度末の提訴見込みについては、これまで提訴された方が少ないのでなかなか的確に申し上げることは難しゅうございますけれども、現時点では、平成二十八年度までの方と同程度というふうに想定をしております。

高橋(千)委員 つまり、二十年を過ぎて既に提訴をしていた方が同じくらいいらっしゃる、それを踏まえて、これだけの方が対象になるだろうとおっしゃっている。確認、もう一回、そうですと。

福島政府参考人 これまでも提訴をしていらっしゃった方、そして平成二十七年の合意書以降の方も踏まえて考えますとそういうこと、二十八年度までの数で先ほど申し上げた百人ということでございまして、さらに五年延長した場合もこれと同程度というふうに考えているということでございます。

高橋(千)委員 ですから、予想ではなく、実際に、対象にならないけれども提訴した方がいて、百人程度だということを言っているわけですから、根拠のある数字だということなんですよね。ですから、一日も早く救済をしなければならない、このように思っております。

 資料の一枚目に、改正内容のポンチ絵をつけておきました。これを見ると、二十年を過ぎた人とそうでない人の違いが余りに大きいということがよくわかると思うんですね。そもそも現行水準自体が薬害肝炎よりも割り引かれていると弁護団の指摘もあった。これ以上は言いませんけれども、これは、あえて今言っておかなければならないかなと思っております。

 ただ、資料の二枚目にあるように、基本合意その二というのが結ばれてありまして、二枚続きであるんですが、これは、昨年三月二十七日に政府と弁護団、原告団が合意したものなんですね。これに基づいて今回の改正があったと承知をしています。

 ですから、当時、この問題に対して、厚労大臣の誠実に協議していくという答弁があり、実際に協議をしてきて、昨年こうした合意がまとまった。政権が交代した間にあるわけですよね。だけれどもその約束を果たしてくださったということは評価をしたい、このように思います。

 そこで、基本合意のその二の中で、今私が示している資料ですけれども、再発した肝がんの中に、除斥期間の起算点をどのようにするというふうに合意したのか、簡潔にお答えください。

福島政府参考人 除斥の場合の起算点につきましては、基本的には、それぞれの疾病の発生、肝がんであれば肝がんが発症した時点、あるいは肝硬変であれば肝硬変が発症した時点、あるいは死亡であれば死亡をした時点ということになります。

 それから、一点、その例外として、再発した肝がんの除斥期間の起算点について例外を設けておりまして、基本合意書その二におきましては、最初に発症した肝がんの治癒後に新たに多中心性発生による肝がんを再発した場合は、その時点を肝がんの発症の時期とみなすという合意になっております。

高橋(千)委員 あえて資料を出していますが、読んでいただきました。三枚目で、2の二と書いている資料のところに「例外」、原則だけ読んだらどうしようかなと思ったんですが、ちゃんと例外を読んでいただきまして、多中心性発生による肝がん、過去に発症した肝がんの根治後における非がん部、残存肝から発生した新しい肝細胞がんを再発した場合は、再発した時期を発症の時期とみなすということを例外として書いていただいたわけです。

 それで、最初の発症からは二十年以上過ぎているんだけれども、新しいがんが再発した場合、出たときに、そのときを起点とみなす。これは、やはり再発肝がん患者の救済を広げたいという趣旨と理解してよろしいでしょうか。

福島政府参考人 損害賠償における除斥の起算点というのは、ある損害が発生した時点と考えるわけでございまして、その多中心性発生による肝がんというのは、初発の肝がんが根治した後に新たながんが発生するという特異性に鑑みまして、当初の損害とは質的に異なる損害が新たに生じたと評価できるために、例外的に、再発がんの発生時を除斥期間の起算点としたものでございます。

高橋(千)委員 ちょっと事務的におっしゃいましたけれども、やはり再発ということの重さは非常にあるわけです。もちろん、二重に払うことは、三千六百万を二度払うという意味ではもちろんなくて、除斥期間を過ぎていても、また新たながんに向かわざるを得なくなった、こうした方に対して、特異性を認めたから例外なんだとおっしゃったけれども、やはりそれは、そういう患者の皆さんの思いに少しでも応えるということには結果としてはなっていると受けとめたいと思うんですが、それを受けとめちゃいけないということではないですよね。もう一言。

福島政府参考人 やはり、こういう多中心性発生による肝がんのような場合、このように、除斥期間の起算点が再発時にあると評価できるものについては、この合意書の中では多中心性再発がんに限られているというふうに考えておるわけでございます。

 それぞれ、現実に再発をされている方、患者さん方が非常に御苦労されておることは十分に認識をしておるわけでございますけれども、この基本合意書の内容という観点では、再発の肝がんについては、このがんに限定的に取り扱わせていただいているということについては御理解を賜りたいと存じます。

高橋(千)委員 やはり、重度になった方、肝がんになった方、再発された方、その方たちをどう支えていくかということは、後で述べる医療費助成も含めて、まだまだ課題が残されておりますから、これを一つのヒントとして次につなげていきたい、このように思っております。

 時間がないので、少し質問を飛ばします。

 基本合意その二によって和解した方たち、既に三十一人生まれているわけですよね、昨年の合意によって。こうした、やはり本当に待たれているということでありますので、今回、改正を機に、周知徹底を図るべきだと思いますが、一言お願いいたします。

福島政府参考人 厚生労働省といたしましては、感染被害の早期解決に向けまして、これまでも、ポスター、リーフレットの医療機関への配布を初めとした周知、広報を行ってきたところでございます。

 今回の改正によりまして、請求期限、五年延長をするわけでございますけれども、証拠が散逸したり、あるいは除斥期間が経過することがないよう、できるだけ早期に提訴いただくことが重要であると考えております。

 このため、法案が成立した暁には、関係省庁や地方自治体、医療機関の協力を得ながら、従来から行ってきたこの給付金制度の周知、広報、提訴を検討中の方へのきめ細かな相談支援、あるいは肝炎ウイルス検査の受検促進に、より一層取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 あと、済みません、飛ばしたんですが、やはりもったいないので、もう一問、キャリアの問題について、無症候性キャリアについてです。

 これは大きな争点になったんですが、今紹介した基本合意その二のところでは協議の対象に入っていないと思うんですね。変わっていない。それで、その上で、無症候性キャリアの提訴者数、その後発症した方の割合を把握されていたらお願いしたいということと、同じように、その除斥期間の起点の問題がございます、どのようにお考えでしょうか。

福島政府参考人 お答えいたします。

 昨年の八月時点までに無症候性キャリアで提訴された方は六千六百十九名ございまして、そのうち和解された方が四千四百二十二名となっております。このうち、無症候性キャリアで和解された後に病態が進展して追加の給付金を受給されている方は、平成二十七年八月時点で五十七名、和解した方のうちの約一%強ということでございます。

 お尋ねの除斥の考え方でございますけれども、無症候性キャリアの方、仮に除斥であったとしても、その後病態が進展して肝炎になる、あるいは肝硬変になる、肝がんになる、そうならない方がもちろんよいわけでございますけれども、その肝炎になった時点で、そこで新たな損害が発生するということでございますので、そこが除斥の起算点になるということでございます。

高橋(千)委員 新たな肝炎になったところが起算点だ、それを確認させていただきます。ありがとうございました。

 次に、制定当時、四十五万人が対象となるということ、これは最初のポンチ絵にも書いているわけですが、とすると二兆円の財源がかかると言われました。そして、原告の要求を全部入れたら八兆円かかるということがまことしやかに政府の中から言われたわけですね。

 B型肝炎訴訟への対応の基本方針において、財源確保策も含めた全体の枠組みを固めておくことが不可欠だ、本件の原因が集団予防接種であることを踏まえ、こうした枠組みを国民全体で支えていただくことについて、国民の理解を得ることが必要であるということが確認されているんですね。

 私はこのことを、まず二兆円、八兆円というのは過大ではないかということを当時も質問しています。過大な数字を前に出して、要するに特別な枠で増税をしなければ財源が生まれないんだということを言うことによってまた原告を苦しめる、国民の理解を得られなければできないんだと言うことによって。

 しかも、その増税の財源に当時浮上していたのは成年扶養控除だったと思いますけれども、結局、障害のある方などを対象とする、成人になっても対象となる方たち、それで、最も弱い人たちから財源をもらってと、そういうことをやったら、幾ら何でも、被害者だったつもりが加害者にさせられてしまうということを当時指摘いたしました。

 でも、そんな心配はしなくてもやはりよかったんじゃないかと思うんですね。一遍にふえるわけがないんですと指摘をしてきましたが、この間も結局三万人にとどまっている。財源の面でもそれほどはかかっていなかったと思います。

 そのことを確認したいのと、附則についている財源規定、なぜ見直しをしなかったんでしょうか。

福島政府参考人 もともとの法律をつくったときの推計でございますけれども、私どもは、全ての方が提訴され、救済を受けていただくべきと考えて、全ての方が提訴された場合の費用として、平成二十九年一月までの当初五年間で一・一兆円、それから、その後病態が進行することを踏まえ、三十年間で三・二兆円と見込んだわけでございます。

 実際の現在の実績は、病態の重い、慢性肝炎よりも上の病態といいますか、そこにつきましては想定した約七割の方が提訴いただいているわけでございますけれども、無症候性キャリアの方は四%にとどまっております。これが実態でございます。

 財源の議論でございますけれども、これについては、やはり給付金の財源につきましては、これは今、附則の五条に規定をしておるわけでございますけれども、これに基づいて所要の措置を講じてきたところでございまして、引き続き、財源を確保しながら給付金の支給を確実に行っていく、こういうことをやる必要があるものですから、この規定を削除することは適当でないというふうに考えております。

高橋(千)委員 まず、でも実際は一般財源でやれているわけでしょう。そこは言ったとおりだったということをお認めください。

福島政府参考人 現在もこの枠組みに従いまして基金を造成して行っておるわけでございまして、この規定を設けずに行っていくということであれば、今後、提訴していただく方を、私どもとしてはできるだけ多くの方に提訴していただきたいと考えておるわけでございまして、そういう観点で、一般財源で行うのではなく、こういうふうに規定を設けて行っていくことが適当であると考えております。

高橋(千)委員 ごめんなさい、今の話はすれ違っている。

 資料の四に、基金の繰り入れと歳出の実績があります。

 ですから、一兆一千億円というのを毎年かかるというふうな話をされていたけれども、桁が違いますよねということを確認したかったのと、繰り入れは一般財源から繰り入れて、基金という形をとっている、それは当然なんですが、一般財源から入れているわけ。つまり、そのために増税をする必要はなかったんだ、今後も、今考えているわけじゃないんだということを確認したかったんです。

福島政府参考人 財源の確保という観点では、今申し上げましたように、増税をしたということでは……。

 これは、当初、税制上の措置、あるいは厚生労働省における基金の余剰金の返納、あるいは遊休資産の売却等により確保するということをしたわけでございます。

 やはり、この財源確保については、これまでも毎年度、各種基金の国庫返納も活用しながら対応をしてきたことも参考に、今後も対応を考えてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 もう時間が来たので終わります。

 このことは確認した上で質問しているわけですから、当時言っていた、過大にかかって、国民の理解を得られなければやっていけないんだという話ではないんだということを認めていただきたかったんです。

 この後、いっぱい質問があったんですが、もう時間が来たので終わりたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

渡辺委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 西村智奈美です。

 きょうは、まず、B型肝炎特措法についての質疑ということで、平成二十三年六月の基本合意によってスタートしたこの給付金の仕組みでありますけれども、その当時推計されていた給付金支給対象者数は約四十五万人でありました。実際の患者さんが四・五万人、無症候性キャリアの方が約四十万人というふうになっていたわけですけれども、平成二十八年一月末の時点での提訴者数は約三万人、うち和解者が約二万人と、推計を大きく下回っているという現状にあります。

 これはやはり、大変大きな問題といいましょうか課題、今回、五年を踏まえて延長されるに当たっても、大きな数の相違といいましょうか違いがあるというふうに思います。

 一点、まず確認をさせていただきたいのが、この平成二十三年の六月の基本合意のときに、慢性肝炎、軽度肝硬変、肝がん、重度肝硬変、死亡、それぞれ何人というふうに推計をされていたか、そして、この五年間の提訴者数はそれぞれ何人だったか、これを伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 平成二十三年に基本合意書を締結した際の和解対象となる方の推計値でございますが、まず慢性肝炎の方は三万七千人、軽度の肝硬変の方は二千三百人、重度の肝硬変または肝がんの方は二千三百人、お亡くなりになられた方は四千五百人ということで、合計四万六千百人と推計をしておりました。

 それに対して、平成二十七年八月末時点で提訴をされた方につきましては、まず慢性肝炎の方は九千三百人、軽度の肝硬変の方は千百人、重度の肝硬変または肝がんの方は二千八百人、亡くなられた方あるいは御遺族の方は千百人で、合計一万四千三百人となっております。

西村(智)委員 数字を挙げていただいて、やはり、重度肝硬変それから肝がんの方については、ほぼ推計どおりといいましょうか、推計を上回る数字でありましたけれども、それ以外の方々については、推計よりも少ない数字、極めて少ない数字と言っていいかというふうに思います。

 この理由を厚生労働省としてどういうふうに分析をしているか。無症候性キャリアの方であれば、先ほど井坂委員が御指摘になられた、例えば、血液検査なりそういったものが行われていないということが考えられるわけですけれども、実際に症状が出ている方々が提訴をされていないということについては、何らかの理由でちゅうちょされているのではないかというふうに思うんですけれども、この点についてどういうふうに分析をしておられますか。

塩崎国務大臣 確かに、症状が、あるいは自覚がありながら提訴をされないという方がおられるという御指摘でございます。

 推計と実際に提訴された方の差、比較をいたしますと、四十二万人となっておりますけれども、その理由としては、まず、まだ制度が十分知られていないということ、それから、訴訟の手続が煩雑であると感じておられること、そもそも、今の大きな母数でいけば、自分が感染者であると気づいていらっしゃらないことなどが考えられるわけでありますけれども、御指摘のとおり、国を相手に提訴すること自体に抵抗感があるというようなこともお聞きをしているわけであります。

 やはり、提訴をしていただくためには、引き続き、先ほど申し上げたとおり、地方自治体、医療機関の御協力を得ながら、給付金制度の周知の徹底、そして広報、それから、提訴を検討中の方へのきめ細やかな相談支援を保健所や検査を実施する医療機関において行っていただく、あるいは、肝炎ウイルス検査の周知自体もやはり大事かなというふうに思っているわけでございまして、こういったことを積極的にやっていきたいと思っております。

 自覚されているのに提訴されていないということについては、先ほど申し上げたように、制度を御存じでない方も中にはおられると思いますが、踏み出すには手続が煩雑と感じていらっしゃる方々が多いかなというふうに思っているところでございます。

西村(智)委員 制度があるにもかかわらず、大変残念な状況であります。

 基本合意のときには、五年間で約一・一兆円の給付金が必要になるだろうと。このときには五年間での提訴率は一〇〇%であろうというふうにも見込んでいた中での推計額でありましたけれども、きょう資料としておつけしておりますが、給付金基金の歳入歳出実績、なかなか歳入もまた歳出も伸びていっておらないという状況ですので、いかにきちんとこの基金がその目的を果たすように機能していくのか、いかせるのか、これはやはり厚生労働省として極めて大きな責任を負っていると私は思います。

 ウイルス検査を国民の半分が受けておられないという状況も、これまた問題だというふうに思いますし、また、予算の執行状況を見ますと、肝炎対策予算それから給付金、いずれも余り芳しいというふうには言えません。本当にこの給付金の制度が必要な人が、しかるべき人がきちんと提訴をして、十分な司法救済を受けていくということが私は必要だというふうに思います。

 そのために、今後さらにどういう措置を厚生労働省としてとっていくのか。特に、今後、時間の経過とともにますます提訴が困難になってくるということが予想されます。提訴要件として、母親、兄弟の血液検査が必要だということもありますので、さらに困難になっていくという状況の中で、ここは本当に真剣に取り組んでいかなければいけないと思いますけれども、大臣の取り組みに向けての考え方を改めて伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 お配りいただいた資料にもありますように、確かに、予算と給付金のいずれも芳しくないという御指摘をいただきましたが、肝炎は御本人の自覚のないままに感染をしていることもございますが、この早期発見、早期治療につなげるとともに、給付金の対象者を早期かつ確実に給付金に結びつけるために、全ての国民が少なくとも一回は肝炎ウイルス検査を受けることができるように、検査の勧奨それから検査体制の整備ということを進めることが重要だということは先ほど来申し上げているとおりでございます。

 特に、給付金を受けるための要件というのが幾つかありますけれども、母親などの検査結果が重要でありますけれども、こうした証拠が散逸しないうちにできるだけ早く感染を自覚し、提訴していただくことが重要であるわけでございますが、母子感染でないことを示していただくといったようなことが要件としてあるわけでございますので、こういったことをクリアしていただかなきゃいけないというのが一つあるのかなと思います。

 このため、給付金の対象世代を含めて、広く国民に対して、先ほど申し上げた「知って、肝炎プロジェクト」を杉さんたちにお願いして、できる限り必要性を広く知っていただくという努力はしているわけでございますし、また、都道府県、市町村における医療機関への検査の委託の活用で、できるだけ国民の身近なところでの検査が可能になるように、利便性を上げて、検査体制を整備するということもあわせ大事なんだろうなというふうに思うわけでありますけれども、何よりも、やはり認識を持っていただくことが大事ではないかというふうに思いますので、さらにまた努力をしていかなければならないというふうに思います。

西村(智)委員 これまで以上にこの救済制度の周知徹底を図っていただいて、なおかつ、やはり原告団とも協力していただくことが必要になろうと思います。特に、国を相手に提訴するというのは、これはやはり心理的には非常にハードルの高いことだと思いますので、ぜひそういう意味で、救済漏れがないように、努力をもう一段高くしていただきますように要請をしたいというふうに思います。

 それで、きょうは熊本地震についても私は質問したいと思っております。

 この厚生労働委員会でも、お亡くなりになられた方々への黙祷もささげさせていただきました。

 既に我が党としても対策本部を立ち上げ、現地の被災状況の確認、どのような支援が可能なのかということについて現地調査も行っているところでありますけれども、政府としても、厚生労働省としても対応をしていただいているということ、ありがたく思っております。

 厚生労働省からは、まず最初に現地に派遣されたのは水道の調査のための職員であった、熊本市、益城町に派遣をしたということですけれども、その後、厚生労働省現地対策本部が県庁内に設置されたということで、そこに吸収されるという形になったんでしょうか。

 それで、先日、重徳議員がこの委員会で、現地の市町村にやはり厚生労働省の職員を派遣するべきではないかという趣旨の質問をされました。私も実はそのように思っております。

 今回、厚生労働省の現地対策本部が設置されたということですけれども、どういう目的で、どのくらい派遣しているのか。また、内閣府で設置しております被災者支援チーム、ここにも厚生労働省から人員が出ているというふうに思いますけれども、それとの関係性と申しましょうか、実際の権限がどのような違いがあるのかということについて、まず伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 今、政府として、先般、被災者生活支援チームを送りましたが、厚生労働省からは二人、現地で活動をしております。四月二十日から二名の職員を大津町というところと西原村というところに派遣をしておりまして、これは政府全体としてやっておりますので、私どもが選んで市町村に行っているわけではなくて、これは割り振りで、当番のような形で、厚労省からの二人はこの二つのところに行くように、こういうことで、所管分野にかかわらず現場のニーズをしっかりと把握して、被災者生活支援チーム、一つの情報としてまとめて、国との間の連絡役を果たしているわけでございます。

 そのほかに、現地対策本部を、厚生労働省は、最初は労働局に置きましたが、今は、早い段階で県庁に移しまして、そちらに人を置いているわけでございます。

 今般の地震において、益城町を中心に多くの断水が発生をしておりまして、水道に限って申し上げれば、重要なインフラである水道を何とか早く復旧させようということで、水道課から調査職員を派遣しておりまして、熊本市が一番大きな断水地帯でありました、そこと益城町など被災市町村を巡回訪問しながら現場の状況を把握して、復旧支援につなげるための調査業務を行っております。

 そういうことで、二つ、私ども独自に送っているものと、それから、被災者生活支援チームが政府として、その指揮下のもとで厚生労働省の者も二名働いているということでございます。

西村(智)委員 ぜひ、私からの要望は、女性の職員からも現地に入っていただければ、より女性の視点からの避難生活のサポートができるのではないかと考えておりますので、この点、ぜひお願いしたいと思います。現地に行くのもなかなか体力的にきついところもありましょうけれども、前回の中越地震それから東日本大震災のときも、やはり避難所に入っているところから、そこの目線で改善を図っていくということができますので、既に取り組みをされているということであればそれはそれで結構なんですけれども、ぜひそこは追加でお願いをしたいというふうに思っております。

 それで、きょうは内閣府からも来ていただいております。実は、松本副大臣から答弁をいただければと思っておったんですけれども、きょうは四委員会で松本副大臣、引っ張りだこということで、私の方は政府参考人にお越しをいただきました。

 福祉避難所の状況について伺おうと思ったんです。災害弱者、恐らく、十万人を超える避難者の方がいらっしゃるということですと、見積もれば数千人から一万人に近い障害をお持ちの方々も避難生活を送っておられると思います。そういった方々の状況がどうなっているのか伺おうと思ったんですけれども、現時点では現場の状況もなかなか把握できないということで答弁が伺えないということなんですが、避難生活の基本となる考え方について、私はぜひ伺いたいと思います。

 きょう資料でおつけしている二枚目の右側、新聞記事でございますが、ここに、松本副大臣が蒲島知事に、十五日のうち、つまり前震のあった翌日の十五日に、屋外に避難している人たちを全員屋内に避難させるように求めた、求めたところ、蒲島知事の方からは、それは実態をわかっていないということで不快感を示されたという報道がございました。

 まず伺いたいのは、この十五日中の屋内避難を松本副大臣が蒲島知事に要請をした、記事には力説したというふうに書いてありますけれども、この要請は、松本副大臣の独自判断によるものなのか、それともどこかからの指示であったのか、それを確認したいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 十四日夜の地震発生後、役場駐車場など、屋外で毛布にくるまって過ごす方々が多く見られました。このため、朝晩は冷え込む状況でありましたので、屋内の安全な避難場所を十分に確保し、安心して休んでいただきたいとの思いから、屋内避難を強く訴えたというふうに承知をいたしております。

 このような思い自体は、担当職員の多くも共有していたのではないかと思っております。

西村(智)委員 どなたからの指示ですか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 私どもといたしましては、松本副大臣のそういった先ほど申し上げたような思いから、屋内避難を訴えたということと承知をいたしております。

西村(智)委員 本当に副大臣がそういう思いで一人で判断して屋内避難を要請したんですか。

 この記事によると、河野防災担当大臣がきょうじゅうに青空避難所というのは解消してくれと強く言ったから、松本副大臣がそのように力説をしたというふうにこの記事には書かれていますし、それから、その日の、十五日のお昼の報道で、総理が屋外の避難者をきょうじゅうに屋内の避難所に入れるよう指示したという報道が、これはNHKの報道ですけれども、全国に流れています。総理の指示だったんじゃないですか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、松本副大臣がそのような行動をとったことについては、副大臣の思いからというふうに承知をいたしております。

西村(智)委員 認められません、今の答弁は。松本副大臣を呼べないから、ちゃんと答弁できる人に出てきてもらってくださいと言って、あなたに来てもらったんです。

 もう一回答えてください。誰の指示ですか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 何度も繰り返しで恐縮でございますけれども、副大臣の思いというふうに承知をいたしております。

西村(智)委員 委員長、これは、答弁、全然だめですので、理事会で協議をしていただくか、ないしは、内閣府からきちんと回答が出るまで、私、待たせていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

渡辺委員長 質問を続けてください。

西村(智)委員 いや、全然答弁になっていないですよ。どなたかからの指示があったんじゃないかということで私は言っているんですよ。

 報道では、河野大臣からの指示、そして、そのお昼の段階で安倍総理からの指示があって、松本副大臣が、その日のうちの屋内での避難を蒲島知事に要請したと。きれいに符合するわけですよね。それを、松本副大臣単体の思いでやったということは、これはあり得ない話だと思います。

 それで、万が一、松本副大臣が自分の思いで判断したんだ、そして、そのことを要請したんだとしたら、被災者に全く寄り添っていないということじゃないですか。

 地震が起きたときに、何が一番怖いか。しかも、あの震度七ですよ。震度七と聞いたとき、私も身震いしました。余震も続いているということであれば、やはり屋根のあるところで寝るのは怖い。そういうふうに、ほんの少し想像力を働かせれば、そして、被災者に寄り添う態度、姿勢があれば、そんな発言なんて出てくるわけないと思ったんですよ。

 だけれども、私、この報道を見たときに、お昼、テレビのニュースを見ていました。安倍総理がそういうふうに言ったというので、もしかしたら地元の自治体からそういう要請があったんだろうかと、ちょっと甘く考えてしまったんです。私、そのときの自分の判断を今は後悔しています、そのときすぐに政府の方に確認をすればよかったと。

 実際に私も中越地震を経験していますし、東日本大震災のときも、東京にいて、皆さんと同じように揺れも感じましたから、いかに余震が怖いかというのは、本当に身をもって体験しているという中で、とてもこれは、被災者に寄り添った判断であった、政府の対応であったというふうには言えない。

 屋外に避難している人たちがいるという状況は政府にとって不都合だから、それをなくそうという、言ってみれば、パフォーマンス的な発想で指示を出したんじゃないかというふうに、私は本当に懸念をしております。そこは強く申し上げたい。改めて、松本副大臣にも、これは機会があったら質問したいと思います。

 もう一つ、松本副大臣は、テレビ会議で河野大臣に対して食べ物を要請したそうです。その是非について、私は今ここでは問いません。

 ですが、安倍総理が、やはり十七日の午前十一時過ぎに、記者団に対してこういうふうに述べています。きょうじゅうには七十万食を届ける、被災者のお一人お一人に必要な食料、水が届くようにするので、どうか安心をいただきたいというふうに述べられました。ああ、よかったなと、私もそれを見て思いました。七十万食が避難所にいる避難者の皆さんに、お一人お一人に直接届くということであれば、それはよかったなと思いましたけれども、実際は、スーパーやコンビニの店頭に品物が並ぶという話だったんですね。

 避難所で暮らしている皆さんは、食べ物についても大変な御苦労をされておられます。食物アレルギーのある方、離乳食が必要な方、低たんぱく食でないと病気が悪化する方、あるいは高齢者、なかなかかたいものが食べられないという方、そういういろいろな考え方がある中で、内閣府は、被災者の皆さんへの食事の提供のあり方について、基本的にどういうふうにお考えになっているんですか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 避難所における食事というものは、避難生活の健康を維持するに当たって、重要なことの一つと考えております。

 このため、食事の提供に当たりましては、発災当初はやむを得ない面もあるかもしれませんけれども、避難期間の経過に伴い、メニューの多様化、適温食の提供、栄養バランスの確保、高齢者や病弱者、アレルギー、文化、宗教上の理由等について可能な限り配慮することが望ましいと考えておりまして、今般の地震においても、避難されている方々が健康を害することがないように食事の提供に努めていくことが重要と考えております。

 この点につきましては、自治体向けの指針にも盛り込んでおりますので、改めて働きかけてまいりたいと考えております。

西村(智)委員 時間ですので、終わります。

渡辺委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民進党の岡本です。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私も、今般の熊本地震で被害に遭われた方、本当に大変な思いをされていると思います。本当に心よりお見舞いを申し上げるとともに、本当に、亡くなられた方に哀悼の意を表したいと思います。

 地震で今大変な思いをされている皆さんがいるという状況ですから、政府として、繰り返し皆さん言われていますけれども、本当に万全を期して対応していただきたいと思いますし、とりわけ現地のニーズに、先ほどの話じゃないですけれども、寄り添った対応が絶対に必要だと思います。そういう意味で、そこは徹底をしていただきたいと思います。

 一方で、ちょっと気になる話がありまして、先日来、新聞に出ていますけれども、熊本にある化血研の工場が被災をして、ワクチンの出荷が滞るんじゃないかという話があります。これは通告していませんから、そんな厳しい質問をしませんから大丈夫です。

 私は、一部の企業がシェア一〇〇%とか、今回はB型肝炎です、B型肝炎のワクチンは、八割が化血研、二割がMSDと大体承知しています。A型肝炎は、未承認のワクチンが一部流通しているとはいえ、国内で承認されているワクチンは化血研が一〇〇%。狂犬病もそうだと聞いております。それ以外にも、四種混合ワクチンも六割を超えるシェアであり、ほかにハブなんかの抗毒素も化血研が多いですね。こうしたさまざまな必要な製剤が一カ所でつくられているということのリスクを今回すごく感じたんです。

 大臣、これは、どういう製造のあり方がいいのか。やはり、日本は残念ながら地震の被害はどこでも起こり得るわけでありますから、一カ所で製造するリスクについて少し、会社は一社ということでも仕方がないかもしれませんが、製造場所が一カ所ということだとちょっとリスクが高いんじゃないか、こういうふうに思ったんですね。

 大臣、製造のあり方、もちろん民間企業の経営戦略ですから、国がこうしろとまで口を挟めるのかというのは別の問題があると思いますけれども、こうした生産体制のあり方というのを少し考えるいいきっかけじゃないか。今回、そういうきっかけをいただいたと考えて、生産体制を少し分散できるかどうか御検討いただいたらいかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今回、化血研の問題が起きて、一つ一つ、今先生お取り上げを若干していただきましたが、どのワクチンをどのくらい化血研が持っているのかということを見て、ここしかつくっていないというのが幾つかあって、本当に危機管理という面で考えなきゃいけないなということを感じました。

 ただ、世界を見てみますと、今先生おっしゃったように、会社ベースで見れば、数社しかワクチンをつくっている会社がそもそもないわけですので、そうなると、リスク分散という意味では、確かに、先生おっしゃるように、地理的に何があっても万全の供給が確保できるということを考えることは大事であって、今、この問題が起きてから、この問題というのは、化血研の問題が起きてから、タスクフォースを省内に立ち上げて、外部の専門家の方も入っていただいて、今、新しいワクチン行政とワクチン産業のあり方というのを血液製剤とあわせて考えてもらっていますので、今先生御指摘になった点についても考えるように、問題提起を受けて、伝えたいというふうに思います。

 私自身も、確かに、備蓄ができるものであればいいのかもわかりませんが、それは備蓄を分けておけばいいので、そうではない場合にはやはり少し地理的にも考えなきゃいけない、そういうことを、今御指摘のとおりだというふうに思いました。

岡本(充)委員 今大臣が言われた、私はそれを次に聞こうと思ったんです。

 備蓄の場所も、パンデミックワクチンの、備蓄をしている場所、オープンにされていないと思いますけれども、私の記憶が正しければ、かなり限られた箇所に備蓄をしていたと思います。

 そういう意味で、もちろん場所は公表しないということで結構ですけれども、この備蓄のあり方も、一カ所、二カ所といった少ないところで備蓄すると大変ですよ。したがって、この備蓄の場所も地理的に分散をする方向で検討された方がいいと思います。いかがですか。

塩崎国務大臣 よく検討したいと思います。

岡本(充)委員 ぜひよろしくお願いします。

 それでは、通告した質問に入っていきますけれども、一つは、今回、法改正で新たに、発症からもしくは診断から二十年を超えた皆さん、除斥とされていた皆さん方にも給付金をお支払いしようと。

 それで、これは民主党政権のときにこの法律をつくるのに携わった者の一人として、当時は、発症後二十年が経過して、軽度の肝硬変で位置づけるというのはなかなか難しいだろう、なかなかこういう人はいないだろうという判断のもと、ここについては定めをつくらなかったわけです。

 現実的にこういう方がいらっしゃったということで、今回、この皆さん方に給付金をお支払いする法的根拠をつくるということは、合理性を私も認めるところなんですけれども、一方で、今回広げたいわゆる類型や金額について、今後さらに見直す、もしくは拡大をしなければならない余地が残っているのかどうか。

 弁護団からのいろいろな要請もあると思います。こうした原告の皆さん、弁護団の皆さんからの要請も踏まえつつ、広げる余地がどういうところが残っているのか、もしくは残っていないのか、そしてまた金額についてもお答えをいただきたいと思います。

福島政府参考人 お答えいたします。

 まず、今後、今回追加した類型、金額以外にも何かあるかということでございます。

 まず、類型に関しましては、現時点では、今回追加した類型以外には、基本合意書や法律の枠組みを超えて追加、変更を予定しているものはございません。

 また、金額についても、合意書の中に定められたものを法律に規定するというものでございますから、現時点ではこの形でまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 いろいろな他制度との、横目で見ながら制度設計する必要もあるでしょうから、この給付金制度だけが突出するというのはなかなか難しいところもあるし、また一方で、この給付金について現に弁護団から要請があるというわけではないというふうにも聞いておりますので、これで完成形だという理解でよろしいんですね。もう一回、確認です。

福島政府参考人 私どもは、現時点ではそのように、今先生御指摘のように、この形でいくというふうに考えております。

岡本(充)委員 それと、給付金の請求期限も、これは五年延長するんですね。実際になかなか思ったほど提訴をしてこられなかった、こういう話があります。これはちょっと後段で質問をするとして。

 まず最初は、この給付金をいただくために弁護士さんを利用した場合の弁護士費用についてお伺いしたいと思います。

 当時も、私の記憶が正しければ、記者発表の資料の下に小さく、訴訟費用は三百三十億円、こう書いてあった記憶があります。この金額は、お配りの手元にありますB型肝炎基本合意書の中で、弁護士費用相当額、四%とする、こういう話でした。これのさかのぼること三年ほど前に、C型肝炎訴訟で合意をしたときには五%、後続訴訟については五%という扱いでありました。

 この五%、四%、どのような経緯で決まったのでしょうか。

福島政府参考人 お答えいたします。

 まず、それぞれ、先行訴訟の費用が一〇%ということでございましたので、後続の、例えばC型肝炎であれば、そのC型肝炎の特措法に基づくものについては、それよりも、やはりもう既に和解の枠組みができておるということがございまして、五%と。B型肝炎につきましては、C型肝炎に比べますと、フィブリノゲンのものに比べますと、証拠の収集等のことを勘案して、それよりも安い四%というようにしたというふうに承知をしております。

岡本(充)委員 これで弁護団と合意したわけですよね。合意しましたね。合意したんですよ、合意書があるから。

 そうすると、二ページ目、これを見ると、全国B型肝炎大阪弁護団、こことは合意をしているんですか。

福島政府参考人 合意書は、平成二十三年六月二十八日に、全国B型肝炎訴訟原告団、弁護団と国の間で締結した基本合意書におきまして、今後係属する訴訟において支払われる弁護士費用については、和解金に対する四%の割合による金員とするということになっております。(岡本(充)委員「違う違う、この大阪弁護団と合意しているのか」と呼ぶ)

 全国弁護団との合意でございますので、私ども、個別に合意ということではなくて、全国として合意している。基本的には、この訴訟については四%ということで合意をしているという認識を持っております。

岡本(充)委員 全国B型肝炎大阪弁護団、この皆さん方とも、この合意文書、このメンバーもいらっしゃったんですよね、当然、この合意の中には。

福島政府参考人 このメンバーの中には、そういうふうに、大阪の、それぞれの原告団、全国の原告団の方の中にいらっしゃったというふうに認識をしております。

岡本(充)委員 にもかかわらず、ここにあるのは、弁護士費用は、弁護士報酬、和解金の一五%、弁護団活動費、和解金の一%、原告団活動費、和解金の一%、これは合わせると一七%も弁護士費用を要する。そこに御丁寧に、「和解金とは別に国から四%の訴訟手当金が支払われますので、実質負担は一一%になります」、こう書いているんですね。

 これは、四%で合意しておいて、一七%で新たな訴訟提起をされる方に手数料を求める。これはやはりちょっと、少なくともここは合意に反しているというふうに考えられませんか。

福島政府参考人 弁護士費用をそれぞれの原告、依頼人と弁護士さんの間で幾ら支払うかということは、それぞれ私人間の契約の問題でございまして、そういう面では、私どもとして、このこと自体に直ちに申し上げることは難しゅうございますけれども、やはり、基本合意書における訴訟手当金の金額、訴訟費用が給付金の四%となっていることを踏まえた運用としていただければと考えているところでございます。

岡本(充)委員 いやいや、合意した人の中にいたわけでしょう、この方々も。それで、四%で合意しておきながら、訴訟費用を一七%請求している。

 全く違う弁護士事務所が、今盛んに訴訟提起をCMされています。そこは合意している弁護士さんはいないかもしれませんけれども、この中にいらっしゃったんでしょう。その人が基本合意と別の弁護士費用を請求するのなら、では、給付金も違う金額、個別ですから、後訴訟はそれぞれです、こんな話にはやはりできないでしょう。基本合意の中できちっと、少なくともその弁護士さんたちとは合意したわけだから、この弁護士さんには、少なくとも、これはさすがに合意の金額より高いんじゃないんですかと聞けるんじゃないですか。

 そういう意味で、私は、これから物すごく、弁護士法人等が対象者を探されて、そして手数料を基本合意より多くいただく、こういうビジネスが成立するんじゃないかということを大変懸念しています。

 したがって、過去にもこういう話は、厚生労働省案件ではありませんけれども、ありました。過払い金訴訟なんかでも、大変大きなCMを打たれている弁護士法人もありました。経済活動であり、それぞれの民民の契約だ、こういう話でありましょうけれども、しかし、適切な費用はこうであったということをきちっと、原告になられる方、給付金を受け取られる方にも情報提供していくべきだと考えます。

 今小さい文字で書いてありますけれども、そういうことではなくて、しっかり、四%なんですということがわかるように、これが合意なんですということがわかるようにするべきだと考えますが、いかがですか。

福島政府参考人 私どもとしても、今後、訴訟手当金の額が四%であるということにつきまして、原告の皆様に適切に情報が提供されるように取り組んでまいりたいと考えます。

岡本(充)委員 弁護士会ともちょっと協議されたらいかがですか。弁護士会でも、私の聞いている話だと、過払い金のときにも、弁護士会として、五割、六割の手数料はさすがに高過ぎるだろうという話があったと聞いています。

 そういう意味では、基本合意はこうであるということ、これを弁護士会ともしっかり相談の上、弁護士さんへの周知も徹底するべきだと思いますが、いかがでしょう。

塩崎国務大臣 岡本当時の政務官に御努力いただいて、今の弁護士費用についても四%の割合ということでお決めをいただいたわけでありますが、今御指摘のようなものもあるのではないのかということであります。

 私としても、国から四%払っているということは、もし仮に、ここにあるとおり一七%払うということになれば、その差額を和解金から取り崩すような格好になっているんだろうというふうにも考え得るわけでありますので、ここはやはり弁護団としてこの基本合意は守っていただかなければならないわけでありますので、日弁連にも、私どもの方からもただして、どういうことなのかということをしっかり言っていきたいと思います。

岡本(充)委員 ぜひお願いします。

 大臣、なかなかいい御答弁をいただきまして、ありがとうございます。大臣の答弁はいい答弁だと私はいつも評価しておりますけれども。

 和解手続、次にちょっと行きたいと思います。

 厚労省が配っている手引に書いてあるんですけれども、「上図の説明」と書いてある、図の下のところ、「1〜3 救済を求める方は、救済要件を満たしていることおよび病態を証明するため、医療機関などから必要な証拠を収集し、国を被告として、裁判所に国家賠償請求訴訟を提起していただく必要があります。」これは事実なんでしょうけれども、こう書くと、いや、ちょっと何かハードルが高いな、「国家賠償請求訴訟を提起していただく」何か漢字だけ見るだけでもちょっとハードルが高いですね。

 それで、やはりこれは、本人ができるんだ、本人でできるんだということを周知していかなきゃいけないと思います。

 めくっていただいて、この手引、ひもとくと、医療機関がつくるのは、私の資料では四ページ目、例えば予防接種の接種痕があるか、BCGの跡がありますかというようなことをつくってもらう、このペーパーが必要だったりすることもありましょうけれども、多くの場合は、五ページ目、B型肝炎ウイルス持続感染者の病態に係る診断書、この診断書をつくってもらえばいいんですよね。この診断書と、もちろん請求するべき資料、母子手帳等必要なものもありますけれども、必要な資料を封筒に入れて、郵便で裁判所に送ればいいんですね。

 どうですか、その手続でこの給付金を受け取ることができる、それは正しいですか。

福島政府参考人 弁護士に依頼せずに御本人みずから提訴を行う、そういうことにつきましては、現状で、先生お示しのように診断書のひな形をお示ししておりますし、また、「B型肝炎訴訟の手引き」で診断書のほかに必要な書類をお示ししております。また、訴訟手続も含めて、私ども、B型肝炎給付金制度全般に係る電話相談を実施しておりまして、本人による提訴は可能だと思いますが、ただ、実態としては極めて少のうございまして、現在まで、御本人提訴は八十名となっております。

 御指摘のように、依頼せずにできるようなことについての支援の強化については、今後検討させていただきたいと思います。(岡本(充)委員「郵便でできるか聞いているんです」と呼ぶ)

 必要な書類がそろっていて、であれば郵送でも可能でございます。

岡本(充)委員 裁判所に行かなくていいんですよ。

 したがって、大臣、私、きのうのレクで、封筒を用意して切手をつけてあげたって訴訟費用の四%いかないですから、そんな高い封筒はないですから。国の方としても、やはり、封筒も用意して、医療機関で書いてもらってくださいという紙を用意すれば、これはかなりの方ができるんじゃないか。

 もっと言うと、B型肝炎の病名で通院している方がいらっしゃる、わかります、電子レセプトで。その方の領収書の下に、給付金が出ますという一文を入れてあげたら、領収書、病院に通っていますから見ますから、お問い合わせくださいと一言書けば、かなり皆さん、手続、気づかれて、簡便にできることになると思いますよ。

 この制度を始めるまではいろいろな議論がありました。この制度を始めて法律にしている以上は、知っている人たちだけがお金をもらって、知らない人はお金がもらえないという不平等があってはならないと思うんです。やはり、制度が走っている以上は、ひとしくこの権利のある皆さん方に、幾ら申請主義だといっても、その申請の権利が行使できる環境を提供していかなきゃいけないと思います。

 そういう意味では、病名とレセプトとつながっていますから、領収書が。よもや、この診断書を書く病院が紙カルテで、今でも紙でレセプト請求している、そういうところもあるかもしれません、ごくレアだと思います。そういう意味では、電子媒体でつながっていたら、こんなの、領収書の下に注意書きがぱっと出て、給付金がもらえますよと出るようにするのも、そんなに難しい話じゃないと思います。

 大臣、検討されてはいかがですか。

塩崎国務大臣 今回の法改正は、なかなかこの制度に乗っていただけないということでありますから、できる限り給付金が手に入るように、できる限りのことはやるということが大事だと思うので、基本的な枠組みを外すわけにはいかないと思うんですね、ですから先ほど、やはり司法を飛ばして行政だけでやるということはできない、そうですけれども、一方で、今お話があったように、診断書を郵送で送れば済むということであるようなことを含めて、今お話をいただいたことだけにとどまらず、もっと利用しやすくなるような手だてを含めて、よく検討してみたいというふうに思います。

岡本(充)委員 私の提案も検討していただけるということでいいんですよね、そこは。

塩崎国務大臣 先ほど来お話あったように、全国で本当に、そもそも検査もしていないというか、検査した人が約半分というぐらいですから、認知度がやはり低い。そういう意味では、給付金制度がありますよということを下に書くという今の御提案も含めて考えてみたいというふうに思います。

岡本(充)委員 ありがとうございます。

 きょうはいい御答弁、きょうもいい御答弁をありがとうございます。

 その上で、きょうは障害部にもお越しいただいています。やはり、こうした皆さん方の医療費の支援のあり方というのも考え方として重要だと思います。しっかり通院をしていただいて、B型肝炎だけではありません、C型もそうでありますけれども、ウイルス性肝炎の中でもこうした持続感染が指摘をされている肝機能障害、こういうものについてきちっと通院ができる環境を整えていくということが必要だと思います。

 薬代も高くなってきています。そういう意味で、きちっと支援をしていく枠組み、特に医療費が高騰していますから、もう一度考える機会ではないかと思うんですが、御答弁いただけますか。

藤井政府参考人 私どもの方で所管をしておりますいわゆる更生医療の関係で御答弁を申し上げますけれども、身体障害者手帳を所持されている肝臓機能障害の方々は、一般的に、肝臓機能に一定の障害がございまして、かつ、その障害が永続している方というのが基本的な要件となってございます。

 その中で、更生医療は、身体障害者手帳をお持ちの障害者の方に対しまして、自立と社会経済活動への参加促進を図るために、障害の状態の軽減に必要な医療につきまして、その自己負担額を軽減するということを目的にした公費負担医療制度となってございます。

 したがいまして、肝臓機能障害に係る更生医療におきましては、障害の軽減が確実に期待できる治療といたしまして、肝臓移植、肝臓移植後の抗免疫療法、それからこれらに伴います医療を対象としておりまして、そういう意味では、逆に、肝臓移植を除く肝硬変あるいは肝臓がんの治療につきましては、更生医療の趣旨にはなかなか合致をしてこないということで対象外となっておる、こういう状況でございます。

岡本(充)委員 時間が過ぎましたから終えますけれども、今の定義だと、肝機能障害を改善する根本的な治療となり得る肝臓移植をだから対象にしているんだと言いましたけれども、新しいインターフェロンフリー療法は、それに準ずる効果を生じると言っているんです。だからこそ、それも対象になる可能性があるのではないか、検討するべきだと思います。大臣、またよろしくお願いします。

 終わります。

渡辺委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 おおさか維新の会の浦野です。よろしくお願いをいたします。

 本日は特措法の法案審議ですけれども、きょうは時間も今大分押してきておりますので、早速質問を進めたいと思います。

 平成二十三年のB型肝炎の特措法制定時、附帯決議で、B型、C型のウイルス性肝炎の重篤症状である肝硬変、肝がん患者の支援についてどのように扱われていたのかというのを、まず一点、説明をいただきたい。

 それと、それから今五年が経過をしておりますけれども、その間に、ウイルス性肝硬変や肝がんで亡くなった方の人数を把握されているでしょうか。

福島政府参考人 B肝特措法の制定時におきまして、附帯決議におきまして、とりわけ肝硬変、肝がんの患者に対する医療費助成を含む支援のあり方について検討を進める、こういう附帯決議がなされておるわけでございます。

 これにつきましては、肝炎対策に関する基本的な指針の中で、平成二十一年の肝炎対策基本法の後の肝炎対策基本指針の中でも、国は、肝炎から進行した肝硬変、肝がんの患者に対するさらなる支援のあり方について検討する上での情報を収集するために、肝硬変及び肝がんの患者に対する肝炎医療や生活実態等に関する現状を把握するための調査研究を行うということで、調査研究を行ってまいりました。

 また、御指摘のウイルス性肝硬変あるいは肝がんによりお亡くなりになった方の人数でございますが、人口動態調査に基づいて推計をいたしますと、平成二十三年から二十六年までの状況からしますと、この間、毎年、ウイルス性肝硬変で六千人、あるいはウイルス性の肝がんで二万五千人の方が亡くなっているものと見込んでおります。

浦野委員 先ほども岡本委員の最後のお話の中にありましたインターフェロンフリーの経口新薬ですけれども、これが相当効くということで実用化されて、医療費助成のもとで、多くの患者の皆さんがこれによってウイルスを排除できていると聞いておりますけれども、これまで、どれぐらいの方がこの新薬の治療でウイルス排除に成功しているのか、把握をされておりますか。

福島政府参考人 お答えいたします。

 インターフェロンフリー治療につきましては、副作用が少なくて治療効果が高いということで、C型肝炎の患者の皆さんが非常に待ち望んでおられた治療でございますけれども、これは二十六年の九月に保険適用されて、私ども、二十六年の九月から医療費助成の対象としております。

 実際に何人受けられたか、治療成績が最終的にどうだったかということについてはなかなか把握することは難しゅうございますけれども、公費負担の医療制度を利用していらっしゃった方の人数でいいますと、この間、十一万人の方が治療をお受けになっております。

浦野委員 毎年になると思いますけれども、患者団体の皆さんからも、繰り返し、いろいろな請願、お願い、毎年行われております。

 私も、地元に患者の皆さんがいらっしゃって、たまたま、私の事務所の隣のスーパーで催事のときに売りに来られる方もそういう方の一人で、来られるときは必ずうちの事務所に寄っていただいて、いろいろな話をさせていただいているんですけれども、肝硬変、肝がんの医療費助成について、患者団体が今まで請願を行ってきているものに関して、過去及び現在の検討状況はどうなっているのかということと、仮に、肝硬変と肝がん患者の医療費助成を、皆さんがお願いをしているものを全部実施した場合、大体どれぐらいの予算がかかるというふうに推計されているのか、厚生労働省は把握をされておりますか。

福島政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年度の厚生労働科学研究におきまして、肝臓病患者の方の病態とその生活に係る状況の把握を目的として、約六千名の肝炎患者の方を対象に、医療や暮らしの状況に関するアンケートということを行ったところでございますけれども、御要望をいただいております医療費助成の検討に向けては、肝硬変、肝がんの医療費の把握が必要でございまして、この肝硬変、肝がんの患者の方が受けていらっしゃる医療内容あるいは医療費の実態については、この二十五年度の厚生労働科学研究の調査では詳細な状況がわからないということでございまして、これらの方に対する詳細な状況、詳細なデータを把握すべく、今年度、調査を行うこととしております。

 なお、そうした場合にどれくらい予算が必要かということでございますが、一定の仮定を置いた推計は可能でございますけれども、なかなか、その仮定自体の妥当性の問題がございまして、金額を今ここでお示しすることは難しゅうございますけれども、肝硬変、肝がん、その今行っています調査につきまして、今年度、しっかり把握した上で、そのデータを活用して、できるだけ適切な推計を行ってまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、小松委員長代理着席〕

浦野委員 平成二十三年から数えて五年間の間に、肝硬変、肝がん患者の経済実態、仕事につけないといった社会的苦境というのはいろいろと明らかになってきたと思います。

 これはいろいろとこれからも調査研究するということにもなると思いますけれども、重篤患者の皆さんは、やはりそんな悠長な話じゃなくて、今すぐにという思いもあると思うんですね。待っていられないというのが現状だと思うんですけれども、こういったことから、もうちょっとこの部分に関してしっかりと対応するべきではないでしょうか。

福島政府参考人 お答えいたします。

 肝硬変あるいは肝がんに罹患し、今治療を受けていらっしゃる患者の皆さん、あるいは再発のおそれの中で生活をしていらっしゃる皆さん、非常に御苦労されておるということは私どもも十分認識をしておるところでございまして、その治療費の負担、あるいは就労の困難さ、こういうことなどは、患者団体の皆様のお話を通じて私も承知をしておるところでございます。

 肝硬変、肝がん患者の医療費助成につきましては、毎年、大臣協議の事項としても取り上げられるなど、これまで患者団体の皆さんから大変強い御要望をいただいていることは十分認識をしております。

 これは患者団体の皆様にも御参加いただいておるわけでございますが、肝炎対策基本法に基づく基本指針を御議論いただく場である肝炎対策推進協議会で、肝炎対策基本指針の改正の議論をこれまで進めてまいりました。今、ちょうどその新しい指針案のパブコメ中でございますけれども、この中で、この部分については、肝炎医療や生活実態に関する現状把握の調査研究を行うという記載にしておったものを、今回改正しようと予定しております指針の案の中では、肝硬変及び肝がん患者に対するさらなる支援のあり方について、医療やさまざまな施策の実施状況を踏まえ、検討を進めるというふうに変更をしようとしております。

 この検討を進めるに当たっては、先ほど申し上げた、まずは、肝硬変、肝がん患者さんの受けている医療内容、医療費の実態についての詳細なデータを把握することを目的に、今年度、調査を実施することとしております。

 あわせて、肝硬変、肝がん患者も含めた肝炎患者への定期検査費用の助成によって重症化防止を図るなど、既存の支援策の充実も図ってまいりたいと考えております。

浦野委員 恐らく、これからインターフェロンフリーの新薬もかなり効果があるということで、少なくともC型慢性肝炎から肝硬変、肝がんに移行する人が減少していって、医療費の助成に必要な予算額というのは減少していくと思うんですね。他方で、新しいこういった薬の恩恵を受けられないまま重篤になってしまった患者さんの医療費助成というのは、またこれからも必要になってくると思うんですね。早急な実現が必要となってくると思うんですけれども、厚生労働省の見解はいかがですか。

福島政府参考人 お答えいたします。

 インターフェロンフリー治療につきまして、これは、これまでインターフェロン治療が適さなかった患者さんも多くいらっしゃったわけで、そういう待機していらっしゃった患者さんが、二十六年の登場以降、かなりたくさん使われたんじゃないかと考えております。

 二十八年度の肝炎医療費助成の所要額につきまして、今後、自治体等を通じて把握してまいりますけれども、二十七年度に比べますと、助成対象者数は少なくなるのじゃないかと考えております。

 これらの肝炎医療費助成につきましては、肝炎から肝硬変あるいは肝がんへの移行の防止、あるいは肝炎ウイルスの感染予防の観点から、ウイルス性肝炎に特有な治療法である抗ウイルス療法を対象としているということでございまして、一方で、肝硬変、肝がん患者の治療全般を対象とするということになりますと、ほかの疾患、ほかのがんとの公平性の観点での議論もする必要があるのではないかと考えておるところでございます。

 肝硬変、肝がん患者に対する医療費助成を含めた支援のあり方については、先ほど申し上げました、今年度実施する調査を踏まえつつ、検討を進めてまいりたいと考えております。

浦野委員 減る部分の予算を、減らすのではなくて、新たなものに振り分けていくというふうなことをしっかりとやっていっていただきたいというのが私の思いですので、よろしくお願いをいたします。

 以上で質問を終わります。

小松委員長代理 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 冒頭、平成二十八年熊本地震で亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げる次第でございます。

 法案審議に入る前に、震災に関連して一問だけ質問をさせていただきたいと思います。

 今回の地震は極めて強い余震が何度も起こり、家の倒壊を恐れて帰宅をためらう方も多うございます。避難が長期化をするのではないか、こういう指摘もございます。そういった観点から、私どもは、震災に関連をして、震災関連死を絶対に防いでいかないといけない、こういうお願いをしてまいりました。やはり、避難所等での健康管理も含め、これは非常に大事なことである、しっかりやっていただきたい、こういうお願いをるるしてまいりました。

 東日本大震災では、障害者あるいは高齢者のような災害弱者の方、こういった方の犠牲も大変に多かったという御指摘もございました。私は、この熊本地震ではこうしたことを決して繰り返してはいけない、このように思っております。

 例えば、現場に行かれた議員から聞いた話でございますけれども、学校の避難所に行ってトイレに行く、しかし、学校には昔の和式のトイレしかない、そうすると、やはり、障害を持たれた方は、トイレに行くのでも非常に、大変な介助が必要であったり、物すごく御苦労をされている、こういう話も具体的なエピソードとして伺ったりもいたしました。

 特に、障害者の方という観点に立って申し上げますと、避難所に避難している方もいらっしゃいますし、また、やむを得ず自宅にいらっしゃる方もまだまだいるのではないかなと思います。この実態把握というものをまずしっかりとしていただきたいというふうに思っております。

 そしてまた、視覚障害者、聴覚障害者の方も含めて、避難所においては、やはり配慮をしっかりしていく必要があるのではないか。また、医療機関、障害者機関等と連携もしっかりしていく必要もあるのではないか、このように考えております。

 今回の震災に関連して、こうした災害弱者、特に障害者の皆様、こうした方々への配慮、しっかり対応を図っていただきたい、このように思うんですけれども、御答弁をお願いいたします。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、障害者の実態の把握につきまして、熊本県全域の全七十八の障害のある方の入所施設につきましての状況を確認しておりまして、随時、これは情報公開をしております。

 本日の時点では、全施設に人的被害がないことは確認をしてございます。しかしながら、一方、建物につきましては、一つの施設で、施設の一部の建物が損壊をしているというような物的被害を確認してございます。

 また、避難所等での生活を余儀なくされている障害者の方々につきましては、地方自治体におきまして、いわゆる相談支援事業者とか、あるいは障害福祉のそれぞれのサービスの事業者等と連携をしながら、個々の状況の把握に取り組んでおります。

 引き続き、私どもの方でも、障害者の方々の支援がしっかりと適切に行われるように、地方自治体それから諸所の関係団体ともしっかりと連携をしながら、障害のある方々の状況の把握に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

    〔小松委員長代理退席、委員長着席〕

中野委員 厚生労働省におかれましても万全の対応をしっかり図っていっていただきたい、このように重ねてお願いを申し上げます。

 さて、午前中の審議、かなりさまざまな視点から既に問題提起がなされ、非常に大事な視点の議論も多かったのではないかなというふうに思います。

 私もかなり通告はしたんですけれども、重複する部分も多々あったりもいたしますので、特に、しっかり、ここは大事だ、このように私が思う点から、通告からは少し数は減ってしまうかもしれませんけれども、しっかりと議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 平成二十三年、この特別措置法が成立をいたしました。B型肝炎ウイルスに集団予防接種などの際に感染をした方々、こういう方々に給付金が支払われる、この請求期限が平成二十九年一月十二日となっております。当初想定していた支給対象は四十五万人、しかし、実際に提訴されている方は三万人、推計を大きく下回っているじゃないか、こういう御指摘は、先ほど来るるなされてきたかと思います。やはり肝炎の検診率を上げていくということが重症化予防の観点も含めて非常に大事なのではないか、私はこのように改めて思う次第でございます。

 肝炎は、症状がないところから、慢性肝炎、肝硬変、あるいは肝がん、徐々に重症化をしてまいります。この重症化予防を行っていくためには、まだまだ低い検診率、これの受検率の向上の取り組みをしていく必要がございます。また、実際に検査が陽性になっても治療に行かない方というのが多いのではないか、こういう指摘もあるわけでございます。この検査陽性者を実際に治療に結びつけていく、こういう支援もやはり大事なのではないか、このように思います。

 検診率の向上、あるいは検査陽性者を治療に結びつける支援、これについて厚労省としてどうお考えか、答弁いただきたいと思います。

竹内副大臣 まず、検診率の向上の点につきまして、私の方からお答えいたします。

 肝炎の克服に向けましては、早期発見、早期治療が重要でございますが、本人の自覚のないまま感染していることもあることから、全ての国民が少なくとも一回は肝炎ウイルス検査を受検することができるよう、受検勧奨と検査体制の整備を進めることとしております。また、B型肝炎給付金の対象者を給付金に結びつけるためにも、肝炎ウイルス検査の受検促進が重要な課題と認識しております。

 現在の国民の肝炎ウイルス検査の受検状況につきましては、委員から御指摘もありましたように、約半数の方が未受検となっておりまして、受検率の向上が大きな課題となっております。

 今後、受検者数をふやすために、利便性の高い検査体制を確保することが重要でありますので、都道府県や市町村に対して、まず無料検査実施を働きかけるとともに、土日、夜間での検診や出張型検診の実施、さらに医療機関への検査の委託の活用などを働きかけてまいりたいと考えております。とりわけ就労世代に対しましては、職域での検査促進が重要でございますので、保険者や事業主等の十分な理解を得ながら、普及啓発にさらに取り組んでまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 特に、私も患者団体の皆様から毎年お話を伺いますけれども、やはり、例えば現役の世代だと、先ほど御答弁もございました、働いている場所での検診も含めて、これはなかなか、まだまだ取り組みが足りないんじゃないか、こういうお話もいただいたところでございます。しっかりと前に進めていっていただきたい、このようにお願いを申し上げます。

 続きまして、創薬、薬の関係でございますけれども、C型肝炎については、インターフェロンあるいはインターフェロンフリー治療でウイルスを排除させる、こういうことが可能でございます。しかし、B型肝炎については、ウイルスの増殖を抑える、こういうことはできますけれども、排除をする、こういう薬というのはまだできておりません。B型肝炎ウイルスを排除する薬の創薬、この取り組みについて、もっともっと前に進めていく必要がある、私はこのように思います。

 しかし、事務方等といろいろお話を伺いましたけれども、恐らくやはり実用化に向けてはまだまだ時間がかかるんじゃないか、こういうお話も伺ったところでございます。六、七年というふうなことをおっしゃる方もいらっしゃいますけれども、まだまだ時間がかかるんじゃないか、こういう現状がある一方で、こうした御意見もいただいたことがございます。B型肝炎の患者、肝炎で苦しまれている方の数は、世界で約三億人近い数の方がかかっている、こういうことを伺ったこともございます。

 ですから、創薬という取り組み、患者の方々をしっかり救っていく、こういう観点に加えて、日本の成長戦略という意味でも、この創薬の取り組みをしっかりとやっていくというのは非常に大事なのではないか、こういうふうに思います。

 このさまざまな観点からも、日本がB型肝炎の創薬で主導的な役割をしっかり果たしていっていただきたい、研究開発にしっかりと力を入れていただきたい、このように考えますけれども、答弁いただきたいと思います。

福島政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、C型肝炎の方については治療効果の高いインターフェロンフリー治療ができたわけでございますけれども、B型肝炎はまだ根治薬がないということで、この根本的な治療薬の創薬促進、これは患者の皆様からも強く要望をいただいているところでございます。

 これまで、二十四年度からではございますが、三十三年度までの十年間で、B型肝炎の創薬実用化研究を重要課題として位置づけて推進をしておりますが、今回の肝炎対策基本指針の改正の中でも、B型肝炎創薬と肝硬変治療薬を今後の重点課題と位置づける予定にしております。

 これまでの研究におきまして、創薬の実験の基盤の確立、あるいは既存薬の応用、ゲノム技術を利用した治療法の開発を進めてまいったわけでございますけれども、今後は、このような成果をもとに、創薬候補となる化合物の探索、ゲノム技術による治療法開発、それらの有効性、安全性の確認など、創薬等の実用化に向けた研究を加速させてまいりたいと考えております。

中野委員 創薬については、私は、もっともっと国は、まだまだ支援をしていかないといけない、力をしっかり入れていかないといけない、こういう段階だ、このように認識をしております。しっかりとした創薬への支援というものを改めてお願いする次第でございます。

 済みません、通告とは若干前後いたしますけれども、私の地元の患者団体の皆様から毎年御要望をいただいてきたものの中に、肝臓機能障害が重症化した場合の身体障害者手帳の交付の認定基準、これについての御要望というものがございました。厳し過ぎるのではないか、こういう御要望を再三いただいて、私も厚労省に、何とか検討できないか、こういうお願いもしてまいりまして、これについてはかなり検討も進んできた、こういうふうに伺っております。

 現状、どういった状況になっているのかについて、御説明をいただきたいというふうに思います。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 肝臓機能障害の身体障害の認定基準につきましては、国際的な肝臓機能障害の重症度分類でございますチャイルド・ピュー分類というものがございますが、これのA、B、Cの三段階のうち、最重度の分類Cに該当する患者の皆様方を対象として、平成二十二年の四月から運用を開始しております。

 その後、患者団体の皆様方から、認定基準が厳し過ぎるなど、この認定基準の緩和を求める声を受けていたことを踏まえまして、昨年でございますが、厚生労働省におきまして、肝臓機能障害の認定基準に関する検討会を設置いたしまして、検討を行ってまいりました。

 この検討会におきましては、症例調査結果ですとか、あるいは医学的知見、あるいは患者団体からのヒアリングなどを踏まえました検討を行いまして、昨年の九月に、チャイルド・ピュー分類Bの患者さんも認定対象とする等の見直しを行うことが適当とすることが基本的な考え方として取りまとめられたところでございます。

 この検討会の取りまとめを踏まえまして、肝臓機能障害の認定基準につきまして、認定対象の拡大として、チャイルド・ピュー分類Cに加えて分類Bも対象とするということ、また、一級、二級の要件の緩和として、日常生活の制限に係る指標を見直す、こういった見直しを行いまして、本年の四月から施行をしたところでございます。

 厚生労働省といたしましては、この見直し後の肝臓機能障害認定基準が適切に運用されますように、引き続き、制度の周知あるいは関係自治体への助言などに努めてまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 見直しをしっかりしていただいたということでございまして、また引き続き、新しい基準の適用の状況等々も踏まえて、しっかりと見てまいりたいというふうに思います。

 最後に一問、患者の皆様から強い御要望としてよくいただいておりますのが、肝炎治療には助成がなされている、しかし、それが重症化をすると、肝硬変になる、肝がんになる、こういう段階においては助成がないんじゃないか、こういう御指摘をよくいただきまして、やはり医療費助成の要望というものは大変に強いというふうに私は感じております。

 国といたしましても、肝硬変あるいは肝がん、こういうものについて、今後どのように対策を講じていくのか、支援を講じていくのか、これについてお伺いをしたいと思います。

竹内副大臣 お答えいたします。

 肝硬変、肝がん患者の医療費助成につきましては、毎年の大臣協議の事項として取り上げられるなど、患者団体の皆様から大変強い御要望をいただいていることは十分認識をいたしております。

 患者団体も参加している肝炎対策推進協議会で、現在改正を予定している肝炎対策基本指針を御議論いただいたことを踏まえて、従来の、現状把握の調査研究を行うという表現を一歩進めて、肝硬変及び肝がん患者に対するさらなる支援のあり方については、医療やさまざまな施策の実施状況を踏まえ、検討を進めると指針に明記することといたしております。

 検討を進めるに当たりまして、まずは、肝硬変や肝がん患者の受けている医療内容や医療費の実態について詳細なデータを把握するために、今年度に調査を実施することといたしております。この調査に基づいてよく検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

 あわせて、肝硬変や肝がん患者も含めた肝炎患者への定期検査費用の助成を通じて重症化防止を図る事業の対象者の検討を行うなど、既存の支援策の充実を図っていきたいと考えているところでございます。

中野委員 しっかりと前に進めていっていただきたいと思います。

 本当に数多くの方がB型肝炎で、また、その他の肝炎も含めて、本当に苦しまれている方、まだまだ多い現状でございます。政府としても、これからしっかりと肝炎対策、さらに前に進めていっていただけますようお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時十九分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいま議題となっております内閣提出、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、内閣提出、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。塩崎厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

塩崎国務大臣 ただいま議題となりました障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 障害者の地域移行や一般就労への移行が進む中、障害者が望む地域生活の実現や職場への定着を図るとともに、障害者の高齢化や障害児支援のニーズの多様化への対応を進めるため、より一層のきめ細かな支援が求められています。こうした状況を踏まえ、障害福祉サービスの拡充等を図るため、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、重度訪問介護について入院時も一定の支援を可能とするとともに、施設やグループホームに入所、入居していた者等を対象として定期的な巡回訪問や随時の対応等を行う自立生活援助を創設します。また、就労に伴う生活面の課題に対応できるよう、就労定着支援を創設します。さらに、高齢障害者による介護保険サービスの円滑な利用を促進するため、一定の高齢障害者が障害福祉サービスに引き続いて介護保険サービスを利用する場合に、利用者負担を障害福祉制度により軽減できる仕組みを設けます。

 第二に、重度の障害等により外出が困難な障害児の居宅を訪問して発達支援を提供するサービスを創設するとともに、保育所等訪問支援について、乳児院及び児童養護施設に入所している障害児に対象を拡大します。また、地方公共団体は、障害児福祉計画を定めることとするとともに、医療的ケアが必要な障害児が適切な支援を受けられるよう、保健、医療、福祉等の連携を促進することとします。

 第三に、補装具費について、短期間での交換が必要となる障害児の場合等に補装具の借り受けも可能とするとともに、サービス事業者の事業内容等の情報を公表する仕組みを設けます。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、平成三十年四月一日としています。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

渡辺委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 この際、御報告いたします。

 法務委員会との連合審査会は、来る二十六日火曜日午前九時から開会することとなりましたので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十四分散会


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