衆議院

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第10号 平成13年4月11日(水曜日)

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平成十三年四月十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 青山  丘君 理事 岸田 文雄君

   理事 新藤 義孝君 理事 馳   浩君

   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君

   理事 久保 哲司君 理事 達増 拓也君

      伊藤 達也君    石原 伸晃君

      小此木八郎君    梶山 弘志君

      左藤  章君    高木  毅君

      竹本 直一君    中馬 弘毅君

      中野  清君    林  義郎君

      増原 義剛君    松野 博一君

      松宮  勲君    茂木 敏充君

      保岡 興治君    山口 泰明君

      吉田 幸弘君    北橋 健治君

      後藤 茂之君    後藤  斎君

      鈴木 康友君    中津川博郷君

      野田 佳彦君    松本  龍君

      山内  功君    山田 敏雅君

      山元  勉君    石井 啓一君

      若松 謙維君    土田 龍司君

      塩川 鉄也君    矢島 恒夫君

      大島 令子君    西川太一郎君

      宇田川芳雄君

    …………………………………

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   外務副大臣        衛藤征士郎君

   経済産業副大臣      中山 成彬君

   経済産業副大臣      松田 岩夫君

   経済産業大臣政務官    竹本 直一君

   経済産業大臣政務官    西川太一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  中野  清君     吉田 幸弘君

  松宮  勲君     増原 義剛君

  鈴木 康友君     野田 佳彦君

  肥田美代子君     山元  勉君

  赤羽 一嘉君     若松 謙維君

  大森  猛君     矢島 恒夫君

同日

 辞任         補欠選任

  増原 義剛君     左藤  章君

  吉田 幸弘君     中野  清君

  野田 佳彦君     鈴木 康友君

  山元  勉君     肥田美代子君

  若松 謙維君     赤羽 一嘉君

  矢島 恒夫君     大森  猛君

同日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     松宮  勲君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 石油の安定的な供給の確保のための石油備蓄法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五号)




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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、石油の安定的な供給の確保のための石油備蓄法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁長官河野博文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田敏雅君。

山田(敏)委員 民主党の山田敏雅でございます。

 大臣にお伺いいたします。

 平成八年に特石法が廃止されました。輸入の自由化が行われました。それ以降、四年が経過いたしました。大きく業界の秩序が変化して、いろいろな問題が出てまいりました。

 まず、特石法廃止以降、この四年間の日本の石油業界の実態について、大臣、どのように認識されておりますでしょうか。一言お願いいたします。

平沼国務大臣 一つのことといたしまして、平成八年に特石法が廃止をされまして、不正軽油という問題が社会問題化しているという事実がございます。このことは大気汚染上からも非常に大きな問題があるということで、これは一つの問題点だったと思っています。

 しかし、そういう中で、特石法自体の廃止に伴って、石油業界というものに関しては、こういった事例はありますけれども、円滑に推移をしている、このように私は意識をしております。

山田(敏)委員 円滑にということでございますが、実態がなかなか経済産業省の方に伝わっていないんではないかというふうに私は感じております。不正軽油の問題は、現在、日本じゅうに大きな問題を起こしております。確かに、自由化というのは時代の流れでございます。しかし、野方図な自由化というのは社会に大きな影響を及ぼす。やはり私は、この際、秩序のある自由化を経済産業省に認識していただきたいと思いまして、きょうの質問をさせていただきたいと思っております。

 実態上、いろいろな問題が起こっております。一番大きいのは、不正軽油でございます。業界自体が不当競争、過当競争になってまいりましたのも、一つ、その不正軽油の問題があります。また、実際にアウトローの分野で非常に不正軽油が業界にかかわってきている、あるいは韓国からとんでもない油が入ってきて、それが国内に流通するということでございます。

 ここに一つの実態がございます。一体どのくらい不正軽油が業界の中に入っていったかということでございます。東京都の主税局がずっと平成十年から抜き取り調査をやっております。一番最近のデータをいただきましたので、お手元に配付いたしました。この中で、重機械等の軽油を使う工事現場とか、そういうところに抜き取りを行いました。千二百五十八本とりまして、そのうち三百二十五本。これは重油あるいはA重油そのものを使っている場合もあります。それから、重油と軽油をまぜて、そして脱税をした油を軽油として売って、それを使っていた。これが二六%ですから、全体の三割近いものが不正軽油で、今業界の実態として流通しているということでございます。全体を平均してみますと一四%。これは車両等のすべての軽油をやってみますと、約一四%がこのような不正軽油の実態になっております。

 これは、三つ大きな問題があると思います。一つは脱税ということでございます。脱税は、この資料にも書きました。これは東京都の主税局が東京都のデータをもとにして全国を推計したものでございます。詳しくは申し上げませんが、総額にいたしますと約二千億円近い脱税が軽油について行われております。

 大臣、二千億円という脱税は、脱税の額としても未曾有のものでございまして、我が国の税法の体系からも非常に大きな問題だと私は思いますが、いかがでございましょう。

平沼国務大臣 脱税軽油の問題といいますのは、基本的には税務当局の問題であると認識をいたしております。軽油引取税の脱税額全体は把握はいたしておりませんけれども、軽油脱税の一形態である、軽油を輸入しながら軽油引取税を滞納したまま意図的に会社を倒産させる手口による脱税額につきましては、総務省の資料によりますと、平成十二年九月末時点で累計二百三十億程度と承知しております。

 今委員がお示しいただきました数字というのは東京都の資料からの数字だと思っておりますけれども、非常に大きな額で大変深刻な問題だ、こういうふうに私は認識しておりまして、確かにこれは国の税収にとっても、また税務体系を構築していく意味でも、大変大きな問題だ、このように認識しています。

山田(敏)委員 次に、業界の不当競争、過当競争のことでございますが、このような脱税をした軽油、すなわち重油と軽油がまぜられた状態で軽油として売られている。ですから、コストが脱税の分だけ三十二円安いわけですね。このような軽油が流通経路に乗って全国に今流れております。

 例えば、あるガソリンスタンドで脱税をした軽油を販売すると、周りのスタンドより二円でも三円でも安く売ることができます。それを一たんやりますと、隣のスタンドもまたそれに追随して値段を下げなきゃいけないということで、今この脱税された不正な軽油がどんどん広がっているという実態がございます。これを、競争しないとお互いの生活問題になっております。

 大臣、御存じのように、今まで、平成八年の自由化の前は業界の秩序というのは保たれていたわけですね。元売から卸に入ってそしてガソリンスタンド、このルートで油が流れていくと、その段階で不正な油というのはチェックできるわけですね。今、平成八年の自由化の中でこれが崩れてしまっているわけです。例えば出光とか日石とか、系列で仕入れているスタンドでさえもこの脱税した軽油を仕入れていく、こういう実態が今出ております。

 冒頭に申し上げましたように、野方図な自由化では国民の生活は守られないということがございますので、秩序のある自由化を図っていくには、経済産業省が、自由化をやった、それで終わりですという状況じゃなくて、やはり今の業界の秩序がこのような形になっているということを認識していただきたいと思うんですが、いかがでございましょう。

平沼国務大臣 そういう事態であるということは経済産業省も認識をいたしております。

 ただ、先ほども申し上げましたように、脱税という問題はやはり総務省が所管をしているわけでございまして、私どもとしては、それに全面的に協力をしながらそういった不正に対して対処していかなければならない、こういうふうに思っております。経済産業省といたしましても、石油製品の適正な流通を確保する観点から、税務当局に対しましても、徴税の適正化を働きかけてきているところでございます。

 また、脱税防止に関して、税務当局より、当省の所管をする事項に対して協力要請があれば、前向きに応じてきているところでございまして、今、先生御指摘の、そういった大きな問題でございますから、これからも積極的に我々としては不正防止のために努力をしていきたい、このように思っています。

山田(敏)委員 各都道府県、警察が一緒になって、この不正摘発をずっとやっているわけです。次第にその実態が次から次へとあらわれてまいりました。

 先ほど申しましたように、非常に不正な、軽油以外のいろいろな油を輸入してそれを流通形態に流すとか、それからアウトローが関連して、今大臣がおっしゃったように、二カ月で会社を清算して脱税分だけを持っていく。ある例では、二カ月の間に二十億円も脱税分を持って消えていなくなるというような実態もございました。

 三つ目の問題で、これは大気汚染の非常に大きな原因になっております。特に浮遊粒子状物質が、このような重油と軽油をまぜたものを使うと、一四%から一七%ふえる。さらに、窒素酸化物については三五%も最大ふえるというような実態がございます。さらに、建設機械なんかの実態でございますと、先ほど申し上げましたように、A重油をそのまま入れてディーゼルエンジンを動かすというようなことになりますと、さらに大気汚染の面でも深刻な問題が発生します。

 この大気汚染について、大臣、いかがお考えでしょうか。

中山副大臣 お答えいたします。

 混合することによりまして、環境にも影響があるんじゃないかという御質問でございますけれども、どういった油を、あるいはどれくらいまぜたかによりましてもいろいろ影響が異なりますし、また、その油を実際に利用した自動車の種類とかあるいはその使用条件によりましても窒素酸化物等の排出量が大きく異なるということから、一概に申し上げることは困難である、このように考えております。

山田(敏)委員 ここに摘発の実態のデータがございます。平成十年十月以降、全国各地で、いろいろな場所で摘発を行ってまいりました。

 しかしながら、最初に申し上げましたように、東京都で三十名の専従、さらに三十名の警察の特捜、計六十名で重点的にやっても、二千七百七十六件の摘発をやるのがやっとでございます。車はもう数百万台走っているわけですから、これではとても、実効のある政策をやることはできないわけですね。

 この実態はどういうふうになっているかと申しますと、不正の重機械とか車両を摘発した場合、どこで買ったかという追跡調査をやっていくわけですね。どこのスタンドで買った、そのスタンドはどこが卸売をやったか、その先はどうか、これを地道にやっていって、ある業者を摘発して逮捕する、そういうことをやっているわけですけれども、その段階で、捜査の上で非常に困難が起こるわけですね。このスタンドは、いや覚えていないとか、このスタンドは、いや、いろいろなところから入れたからわからないとか、せっかく貴重な摘発をやっても、その先の効果が上がっていかないということでございます。

 私、附帯決議にも御提案申し上げましたけれども、せっかく今回の備蓄法の改正で、今までのように野方図な自由化ではなくて、輸入業者は届け出をするということでありましたら、この輸入業者を最初に押さえて、ここから先、どこに流れてそれが混入されたというのが、摘発が非常に簡単になるわけですね。一気にこの問題を解決することができるわけです。

 ですから、私が御提案申し上げたいことは、輸入業者の届け出というのがせっかく改正案で出ていますので、それに経済産業省への、どういう形でもいいと思うんですが届け出義務を、どこに売ったかという売り先を一緒に届けなければいけないということを明確にしていけばこの問題は大きく進展すると思いますが、この点、大臣、いかがでございましょうか。

平沼国務大臣 今委員から、届け出制を義務づけたらどうだ、こういう御指摘がございました。

 税法に基づく納税義務を履行しない脱税問題については、先ほど申し上げましたように、基本的には税務当局が対応すべき問題であると認識しております。現に今国会において、現在、特に大きな問題となっている輸入軽油に係る脱税問題に対処するため、御承知のように地方税法の改正が行われたほか、地方税法を執行する立場にある各都道府県においても、脱税業者の摘発等、軽油引取税の徴税強化に努めていると承知をしております。今後、以上のような制度改正や税務当局による徴税強化の取り組みにより、軽油脱税問題に対する厳正な対処がなされることを期待しております。

 なお、詳細は所管省である総務省にお尋ねをいただきたいと思いますけれども、現行の地方税法においては、軽油輸入業者に対しまして、軽油の引き取り、引き渡し、納入、輸入に関する事実及びその数量その他必要な事項を都道府県知事に毎月報告することが義務づけられている、こういうふうに承知をいたしておりまして、私どもとしては、そういった形で対処をし、また、総務省と連携を密にして、この問題の解決のために最大限の努力を傾注していかなければならない、このように思っています。

山田(敏)委員 今、私の手元にも総務省の説明資料がございます。今御説明していただいたとおりなんですが、先ほど私が十五分御説明いたしましたけれども、輸入業者が単に数量を届け出るということだけでは、全く今の不正軽油の問題を解決することはできないという実態がございます。

 後でお届けいたしますけれども、ここに、平成十年からどのように取り組んできたか、今、これからこういうふうに取り組みますという答弁をいただきましたけれども、実際にそれをやっているわけですね。平成十年から、大阪とか愛知とか福岡とか鳥取とか。非常に一部の限定的な摘発で、今申し上げましたように、日本全体でこれをなくしていくということにもほど遠い現状なんですね。

 ですから、今言いましたように、一番もとの輸入業者がどこに売ったかというのが明らかになればいい。平成八年の自由化の理念は正しいんです。しかし、野方図な自由化が行われて、業界及び社会、国民が被害を受ける。やはり経済産業省がこれを平成八年にやったわけですから、経済産業省としての責任というのは明らかにあると思うんです。ですから、今御答弁になったように、総務省がやるからこれでいいんだということでは、問題は一つも解決しないというふうに思います。

 今、経済産業省として、どういう形でも考えられると思うんです。省令とかいろいろな形でこの義務をつけ加えていただければ、この問題は一気に解決する。また、業界の秩序というのが必要だと私は思います。特に、不法な販売、不法な流通、これが一五%に上っているわけですから、流通の段階で相当大きなダメージを受ける方たちが多いわけですから、ぜひ検討をお願いいたします。

平沼国務大臣 脱税防止に関しましては、繰り返しの答弁になりますけれども、主体的にはやはり税務当局が厳正に対処すること、こういうことになると思います。

 しかしながら、御指摘のように、我が省も全面的に協力をしてその実を上げていかなければならないと思っておりますので、今御指摘の点も含めていろいろ前向きに検討しなければならない、そういうふうに思っております。

山田(敏)委員 どうもありがとうございました。

 次に、石油政策について御意見をお伺いしたいと思います。

 先月のアメリカの雑誌にアメリカのメジャーのトップの発言が載っておりました。その中で明快に述べておられました。石油産業はもはや衰退産業である、石炭と同じである、こういう認識で我々は考えている。これがアメリカのメジャーのトップの発言でございます。我が国の石油政策の、石油産業についての認識と非常に異なる認識でございます。

 この石油メジャーのトップが、石油産業は二十一世紀に向かってもはや既に衰退産業であるというふうに述べたことについて、どういうことでそういうことを言ったのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 一つは、今後の石油産業の制約要因といたしましては、可採埋蔵量が、常に言われてきたところでありますけれども、四十年程度ということで、資源として限りがある。また、二酸化炭素の排出等によりまして環境への非常に大きな負荷がかかる。また、それが特定地域に賦存しておりまして、脆弱な供給構造であること。今後、新エネルギー等、他のエネルギーに代替されていく可能性がある。こういったことをそのエネルギーメジャーのトップは総合的に勘案されてそういう発言になったのではないか、私はそういう形で推測をいたします。

 しかし、他方で、発展可能性がある要因といたしましては、他のエネルギーに比べて輸送面等で利便性、経済性があること。また、技術革新によって追加的な可採埋蔵量が確保できる。これはたしか今までずっと四十年ぐらいだとここ半世紀ぐらい言われ続けてきましたけれども、探査技術の向上でございますとか、あるいは一生懸命努力をした結果、今現在でも四十年、五十年、さらには百年というようなことを言っている方々があります。それから、今後のクリーンなエネルギーの一つとして期待されている燃料電池、この燃料としてガソリンが有力視されている、こういうようなことも逆の方向で考えられます。

 私どもとしては、いずれにいたしましても、石油産業というものが当分の間主要エネルギー供給産業であるのは間違いがないのではないか、このように思っておりますし、また、石油から天然ガスへのシフトや、産油国における鉱区開放の動きをつかんだビジネスチャンスも存在をする。

 ですから、確かに今山田先生御指摘のエネルギーメジャーのトップの発言というものは、私が最初の部分で申し上げた、そういうことを総合勘案して言われたんじゃないかと思っております。また、もう一つ、エクソン・モービルのトップでありますレイモンド会長というのは、同じメジャーのトップでありましても異なった見解を持っておられまして、今から二十年たってもエクソン・モービルは今の姿であって、そして産業の頂点に立つであろう、こういう形で、やはりメジャーのトップの中でもいろいろな観点から意見が分かれている、そういうことでございます。

 ただ、そのエネルギーメジャーのトップの言われることは、やはり化石燃料であり、埋蔵量は限られている、それから、二十一世紀は地球環境の時代だから、そういう意味ではやはり二酸化炭素の排出量、そういった問題、そういったことを大きく取り上げられてそういう発言になったのではないか、このように思っています。

山田(敏)委員 その記事の内容は、今大臣がおっしゃった、あと何年石油があるからとかいうことではございません。今後、石油そのものの需要がどんどん落ちていくという見通しを持っている、こういうことでございます。

 これは二つの意味がありまして、我が国の政策としても石油の需要が落ちていくという見通しと、もう一つは、石油の需要が落ちていくような政策に持っていかなければ、これからの地球環境の問題を含めてそうならなきゃいけないんじゃないかという意味も私はあると思います。

 化石燃料をこのまま燃やし続けますと、御存じのように、地球温暖化が、もう既に手おくれでございまして、大変重要な問題になってきます。我が国が率先して石油をできるだけ使わないような政策に誘導していく。先ほど申されましたように、電気自動車に抜本的に取り組んでいく、あるいは自然エネルギー法案、これはまだペンディングになっておりますけれども、大胆な、石油を使わないエネルギー源の政策に持っていく、こういう意味が私はあると思いますが、いかがでございましょうか。

平沼国務大臣 先ほどのお答えの中にも、石油メジャーのトップの、恐らくこういうことで将来性がないと言われた中に、新エネルギーというようなことも私は言わせていただいておりますけれども、やはり、化石燃料にかわる新エネルギーの導入ということは、日本のみならず、世界共通の非常に重要な課題だと思っております。

 そういう形で、我が国といたしましても、まだまだ十分な形じゃございませんけれども、現時点ではまだエネルギーの中のわずか一%程度でございますが、これを二〇一〇年には三倍にしよう、できることならさらにもっと大きな形で伸ばしていこう、こういうことでございまして、私は、大きな方向といたしましては、二十一世紀というのは、繰り返しになりますけれども、いかに人類が環境問題を克服するか、こういう問題もございますから、そういう観点で、化石燃料にかわるこういう新しいエネルギーの分野を総合的に着実に伸ばしていかなければならない、そのために、国もそういうナショナルゴールを持って一致協力してやっていく、そういうことが必要だ、このように思っています。

山田(敏)委員 ただいまの風力の問題でございますが、現実には、今の見通し、二〇一〇年までに三%というのは非常に難しくなってきたという状況が起こっております。入札制度であるとか、買い取りの量を北海道電力が限定してしまうとか、現在もう風力発電に対する熱は急速に冷めております。これから新たに風力をやろうという会社はどんどんなくなってきております。

 繰り返しになりますけれども、十年前にドイツが電力の買い取り義務というのをやって、そしていろいろな実験をして、今日七百万キロワットという非常に大きなものを達成して、さらにそれが進んでいる。さらに、数カ月の間にさらに一〇%、一五%のコストダウンを図っている、ここ最近の話ですけれども。革新が革新を呼んでさらに進歩していく。今、四千億円ぐらいのマーケットになりました。すなわち、環境産業というのがドイツあるいはデンマーク、オランダで興ってきたわけですね。

 先日、日本鋼管の方が来られまして、北海道に予定している。これはすべてオランダ製でございます。日本鋼管は何千人という技術者を持っているわけですね。その技術がヨーロッパに比べて十年ぐらいおくれてしまって、日本の技術ではもう風力をつくるものは何もない、すべてのシステムを全部オランダ製でやらなきゃいけないという状況に今なっています。

 この教訓を生かして、日本はこれから環境産業を世界に先駆けて、ドイツがやったようにやっていくことが重要であると思います。一つは、自動車を電気自動車化していくこと、これを量的に拡大する。それには政策が必要であります。十年後をめどに、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの製造と販売を禁止する法律、例えばそういうものをもって、法的な強制力をもって、まあこの議論が正しいかどうかは国会で議論しなきゃいけませんけれども、それが日本が二十一世紀の産業をリードする立場になると思いますが、いかがお考えでしょうか。

平沼国務大臣 前の委員会でも、山田先生から、風力発電に対してドイツの取り組みの御紹介がございました。確かに、ドイツというのはそういう形で非常に、法律までつくってぴしっと対処しています。ですから、御指摘のような方向というのは一つの方向性を示していることだと思っております。ただ、既存の産業とのいわゆるいろいろな関連、そういった現実の問題もございます。そういう中でいかに整合性を持たせつつ、そして将来必要なことをやっていくか、そういう形であると私は思っておりまして、非常に貴重な御指摘でございますので、我々経済産業省としましてはよく体してこれから努力を傾けていかなければならない、このように考えています。

山田(敏)委員 どうもありがとうございました。質問を終わります。

山本委員長 中山義活君。

中山(義)委員 質問に入る前に、去る九日、本経済産業委員会の酒井調査室長がお亡くなりになりまして、私ども、心から哀悼の意を表したいと思います。また、大変、調査室におきましては日ごろからいろいろな意味で、私どもにすばらしい資料をいただいたり、そしてまた問題点をしっかり把握させるように御努力をいただいたことに感謝を申し上げる次第でございます。酒井室長のこの気持ちを残った方たちが引き継いで頑張っていただきたい、このように思うわけでございます。

 それでは、質問に入らせてもらいます。

 今回の日本のエネルギーの問題、特に法律の名前も安定的な供給という言葉が入っているんですが、自由化の問題と安定した供給という問題は非常に矛盾した部分が多くあるわけですね。自由競争というのがいいのか悪いのか、これはまずいろいろな段階でやっていく必要があると思うんです。先ほど、山田委員から御指摘がありました。規制を外していいのか、規制を外すことによって悪徳な業者が出てくる、だからもっと規制をせよ、この部分は規制をした方がいいとか、この部分は規制をしない方がいいとか、いろいろあろうかと思うんです。

 今回の安定的な供給という意味と自由化の問題、これは、規制緩和をすれば自由化になって、必ず石油が安くなって業界の競争力がつく、うまくいけばそういう話なんですが、石油は乱高下するわけですね。つまり、安くなることもあるけれども高くなることもある。自由経済というのは、まさに高くなったり安くなったり、これが市場によって行われる。この間、吉野家の牛どん、四百円が二百五十円になった、あっという間に売れて材料がなくなってしまった。これがアメリカのカリフォルニアの電気事業と同じだとは言いませんが、自由競争の危険というのは結構あると思うんですね。

 そういう面で、今回の法律を出すに当たって一つの理念をお持ちになって当然出したんでしょうから、まず大臣の、いわゆる日本のエネルギーというものを頭に描きながら出した背景を説明いただきたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 確かに、中山委員御指摘のように、先ほどの山田先生の御質問にもありましたけれども、自由化をするというような過程の中でそういう弊害が起こってきていることも事実であります。

 今般の石油関連法案においては、安定供給を担う我が国石油産業の一層の効率化を促そう、強靱な石油産業の形成を図るためにこれまで累次にわたって行ってまいりました規制緩和、自由化の総仕上げとして石油業法を廃止することにいたしたわけであります。これとあわせまして、規制緩和、自由化の後におきましてもエネルギーセキュリティーの確保に遺漏なきを期すために、石油備蓄法を改正いたしまして、民間の備蓄でございますとか、緊急時における石油供給の主体である石油業者の把握、国家備蓄の放出命令等の緊急時に対応するための制度を整備することにいたしました。このような安定供給確保のための体制整備に加えまして、石油開発分野においても、さらに自主開発を促進するために、既発見油田等の資産買収案件に関しましても石油公団が出資できるように、御承知のように石油公団法も改正をいたしたわけであります。

 そういった形で、グローバライゼーションが進んでいる、そして市場の自由化というものが要求されているこの日本を取り巻く環境の中で、また、市場性を重んじて、そして国民の皆様方がその恩恵に浴することができる、そういった方向を我々は確立をしなければいけない、こういう考え方で平成八年以来累次にわたっていろいろな措置を講じてきたことでございます。

 強靱な石油産業の形成を図るための自由化とエネルギーセキュリティー確保の双方のバランスをいかにとるか、今るる申し上げましたけれども、その両方を担保する、こういう形で我々は今お願いをしている、そういう状況であります。

中山(義)委員 平沼大臣のお話ですと、当分の間はやはり行政側がよく監視をしながら行政指導をしていくと。先ほどの山田委員の質問の中でもいろいろ御答弁がありました。あの中でも、行政指導といいますか、やはりある段階までは強く指導していかないと間違った方向に行ってしまうと。例えば石原都知事のように指導力が強ければ、都道府県を強く規制して、軽油の不正取引や何かをなくしていく、脱税をなくしていく、こういうことはできるわけですね。そういう面でもやはりこの二、三年の間は、自由化はした、しかし、エネルギーの大事な問題をやはりしっかり導いていかないと逆にえらいことになると思うんですね。カリフォルニアのあの電力のいろいろな問題点、これはしっかり把握されていると思うんですが、日本でも起こり得る問題点だと思うんですね。

 私ども、この間、柏崎原発へ行ってまいりました。原発が相当成熟しているということも私ども見てまいりましたし、原子炉の上に立ってしっかり場内を見渡して、どういうセキュリティーがあるかしっかり把握してきたつもりです。そういうこともありますし、または、風力であるとかこれから太陽光であるとか、買い取り義務が出てきたり、一方で安くしろということ、一方で今度はCO2削減の問題でやはり国が多少お金を出してもやらなきゃならないことがあると思うんです。しかしながら、今本当に自由化してしまえば、それは企業が負担をするわけですね。その辺の考え方もこれからしっかり持っていないとおかしな方向に行ってしまうと思うんですね。

 それから、備蓄の問題も、各委員から随分出ました。企業の負担が多いんじゃないかと。しかしながら、やはり、国家が備蓄をして三千億円も年間投じるよりも、少しは民間に負わせた方がいいんじゃないか。これもある意味では、自由化の話からいえば矛盾する部分が随分あるんですよ。

 この多くの矛盾をどうやって解決していくか、この問題点をしっかり把握していかないと、今後ガス、それから電気も小売になりますね、大口から小売になっていく、二年後ぐらいになるというふうに言われておりますし、ガスの方も何かもう検討に入っているそうでございまして、すべてエネルギーが自由化になったときに果たして日本のセキュリティーは大丈夫なのか、こういう部分についてもう一度大臣から御答弁をいただきたいと思います。

平沼国務大臣 自由化を進めるに当たってやはりいろいろな問題点がある、こういう御指摘でございました。

 確かに、国民にエネルギーを安定的に供給する、これを確保することは非常に大切なことだと私は思っています。そしてまた、安価に、そして利用しやすい、こういう体制をつくるということがエネルギー政策では非常に重要だと私は思っています。

 今中山先生御指摘の、他山の石としなければならないわけですけれども、カリフォルニアは電力の自由化に伴って大変大きなエネルギー危機が起こりました。これはやはり、今自由化の方向で進めている我が国もしっかりと検証して、どこに問題点があったのか、こういう形で、そのような愚を繰り返さないことが必要だと思っております。私どもといたしましては、調査団を派遣いたしまして、徹底的に調査いたしまして、今その分析をしているところであります。そういう中で、幾つか問題点というものもはっきりしてまいりました。

 ですから、我が国におきましては、セキュリティーの問題、安定供給の問題、このことがやはりエネルギー供給にとっては必要なことだ、こういうふうに思っておりますから、それが確保されるように自由化との中で整合性を見出しつつ、やはり方向としては力強く推進をしていかなければならない、私はこのように考えているところであります。

中山(義)委員 ただいま、安定供給という面では今後も努力していくというお話、よくわかりました。

 しかし、石油が乱高下することは間違いないので、安くなるときは自由化の効果が上がったということなんですね。仮に石油が上がったとします。これはどういう要因によって果たして上がっていくのか、この辺はしっかりつかんでいるでしょうか。

平沼国務大臣 石油というのは値段の乱高下があるわけでございまして、直近の例で申し上げますと、これは中山先生よく御承知のことだと思いますが、一九九九年の三月より約一年にわたるOPECの生産削減と、世界的ないわゆる石油需要の増大を背景といたしまして、急激に高騰をいたしました。これは、九九年の三月に十ドル台後半であったものが二〇〇〇年六月には三十七ドル、こういう形で乱高下をいたしました。

 ですから、これは分析をいたしますと、今申し上げたように、やはりOPECの生産削減。それから、私も一月にアメリカに行きましてエバンス商務長官、私のカウンターパートと話をしましたときに、アメリカの電力需要というのが予想しない形で非常に急激に伸びた、その一つの大きな要因はIT化、まさかそこの部分が七%も伸びると思わなかった、こういう形で電力危機も起こったわけでございます。

 自由化に伴うエネルギーコストの上昇は、米国・カリフォルニア州における電力危機の原因として指摘されているような自由化に際しての制度設計、あるいは供給力の問題も影響するものと私どもは考えています。こうした自由化の失敗例についても、今申し上げましたように、調査研究を行ってその結果を公表するとともに、電力分野等の自由化の検討に役立てていかなければならない。

 石油というものは日本では産出しない、そういうエネルギー源でございます。そういう石油産油国の一つの思惑、それから今申し上げましたように需要の急増、こういったものが乱高下の背景にあると思います。ですから、こういったことを担保するために、将来にわたって幅広い安定供給先を確保する。それからまた、備蓄等をしっかりと進めて、なるべくそういう影響を受けないようにする。また、石油に関しては、世界で機関がございますから、消費国の連携のもとに産油国としっかりと話し合いをしながら、そういう形で意思の疎通をよくしながら安定供給を確保していく。

 ですから、そういう意味では、不確定要因によって乱高下するということが明確でございますから、それをいかにうまく対処して影響を少なくしていくか、そういうことが大切だ、私どもはこのように思います。

中山(義)委員 今のお話で、安定供給、そして自由化の問題、非常に矛盾している問題であっても何とか調整していこうという意欲はよくわかりました。しかしながら、天然ガスの問題とかいろいろありますけれども、この十年ぐらいは結果的には中東依存は変わらないということだと思うのです。

 私は、外務省の方にここでちょっと聞きたいんですが、中東依存がどうしても変えられないとすると、これからも中東に相当な外交的な力が働かないと安定した供給が得られないんだと思うんですよ。

 私は、本当は、もうちょっと外務省の質問は後にしようと思ったんですが、先に申し上げますと、サハリンの天然ガスの問題なんかも、すぐにそれが解決できるかどうかはわからないわけです。それから、風力にしても、太陽光にしても、そんなに簡単にいくものじゃないわけですね。そうすると、まだこの十年ぐらい非常に石油に頼らざるを得ない、こういう現状があるわけです。ですから、中東依存ということは現実の問題だ。だから現実の問題としてとらえたときに、この間河野外務大臣が言ったように、水の問題だとかイスラム社会の文化の交流だとか、そんな問題でできるような気がしないんですよ。アメリカは、軍事という大変大きな力で、軍事協力をしながらやっているわけですね。日本はそれはできません。だったら、それにかわるものは経済協力とかなんとかだと思うんですよ。

 そこで、アラ石の問題、サウジアラビアで失効しましたね。あのときも、二千億円の鉱山鉄道が敷けなかった、こういう問題なんですね。だけれども、何も二千億円をここへすぐぼんと積めというわけじゃないわけですよ。十年ぐらいで分割して何とか鉄道をつくる。それから、アラビア石油という会社をあそこに置いて、二百人ぐらいの従業員が外交官と同じようにサウジアラビアとの外交、人間関係をつくっていく、こういう部分があったんですね。ですから、そういう面では、外交というのは、やはり経済というものがすごく大きいと思うんですよ。何の経済ももたらさないのでは、やはり相手も、よし、石油を安定的に供給しようと心からそう思わないと思うんですね。

 その辺で、外交というものがどのように中東に働いているのか。本当の意味で何をやろうとしているのか。この間も言ったように、水だ、文化交流だ、こんなもので本当に交流ができるのかどうか。彼らはかなりはっきりとした計算のできる人たちですから、じゅうたん商人なんて、これは悪い表現だと思うのです。本当はもっと非常に商売というものをしっかり考えた人たちだと思うんですよ。損も得も考えている人たちだと思うのです。そういう面では、文化交流で済むのかどうか、その辺、ちょっと外務省の方から御答弁をいただきたいと思います。

衛藤副大臣 中山委員にお答えいたします。

 ただいま中山委員の方からいろいろお話がありました。実は、私は同じような気持ちを持っておりまして、先般、三月にバーレーンとオマーンを訪問してまいりました。私の認識は一新いたしまして、実は同じような考えを持っていたわけです。

 現地に行ってみたらそうじゃなかったわけでして、河野イニシアチブと言われる、いわゆるイスラム文明世界との対話、あるいは切実な水資源の開発の問題、さらには政策対話、そういったものを積極的にやりましょう。日本は、どちらかというとストレートに石油に来る、石油、石油、石油と。そうじゃないでしょうと。もっと幅広くアラブ世界、イスラム世界のことをよく理解してくださいと。そういう意味で、一月に河野外相がカタール、アラブ首長国連邦、クウェート、サウジを訪問されたわけですが、非常に高い評価を受けたわけです。私も、そのときに行けなかったバーレーン、オマーンを三月に訪れてまいったわけでございます。

 ただ、先方に行って感じましたことは、石油の分野だけではなく、非石油製品の分野についても日本の投資をお願いすると。これは非常に難しい問題です。しかし、切実な声でありました。さらには、サウジを初めとする、投資保護協定をお互いに結ぼうではありませんか、日本からの投資環境をさらによくする、まずはそういう投資保護協定だと。これは大変難しい問題があります。私も投資保護協定のことをいろいろと勉強しましたが、とても難しい問題がある。しかし、こんなことを一つ一つやはり乗り越えていかなきゃいけない。

 御指摘のように、今、平沼大臣の御答弁されたように、産油国と消費国との産消対話、これは非常に重要でありまして、昨年十一月、リヤドで行われました第七回の国際エネルギーフォーラム、二〇〇二年、第八回を我が国で主催してやるわけでありますが、非常に意味があるわけであります。遠回りのように思われるかもしれませんが、実は近回りである、このように思います。

 しかし、中山委員御指摘のとおり、中東という国は、湾岸諸国という国は、我が国のエネルギー安全保障にとって極めて大事な国でありまして、今までの反省に立ちまして、これからの中東外交を積極的に地道に進めてまいりたい。特に、エネルギー安全保障という観点を持って、明確なガイドラインを持って、我々としては努力をしてまいりたい、このように考えております。

中山(義)委員 よく外交辞令という言葉がありまして、外交的にいろいろな言葉を交わしたりなんかをすることは当然のことなんですが、実際に彼らに利益をもたらすといいますか、非常に合理的な人たちですよ、ほとんどの人がアメリカの教育を受けていて、そんな外交辞令では逆に通用しない相手だと最近は思うんです。

 そういう面では、石油の自主開発はなぜするのかという問題にも言及しますが、やはり相手の国に利益をもたらさないと、いざというときに石油はくれない、こういうことから、やはり石油公団に自主開発をやらせようというような意見も、石油・天然ガス課の意見を聞いてみると大変強いわけですね。それは経済産業省の中の意見ですよ。その中でも、自主開発がなぜ必要かという論点は、やはり相手に利益を与えないでこっちだけが利益を得るということはあり得ないんだということがすごく大きく問題視されているんです。

 ですから、この間のアラビア石油の失効の問題というのは、一回総括をしてクウェートの問題にも取り組まないと、同じような要求が来たときにどう対応するのか。それでいて自主開発はしろと言っているわけですから。私は、日本の国がそういう世界にあるエネルギー資源をどう考えているのか、これはすごく外交的にも大きな問題だと思うんですね。ですから、クウェートの今度の、二年後ですか、これはどうするのか。この辺も今のうちから示してもらわないと、前回も、去年の今ごろですか、もうあと一カ月ぐらいのときに初めてわいわい騒いだって、もう間に合わないと思うんですよ。その辺、いかがですか。

衛藤副大臣 御指摘のとおり、アラビア石油のクウェートでの、我が国のいわゆる採掘期限が西暦二〇〇三年の一月四日に来るわけでありまして、このことをしっかり見据えまして、今委員御指摘のことについて対応せねばなりません。

 私が思いますことは、平素から、政治レベルあるいは行政、政官の高いレベルの人事交流、また経済界の経済ミッション、そういうものを積極的に派遣しなければ、そのときになっていきなり派遣しても意味がないと思うんですね。ですから、戦略的な外交といいますか、あるいはそれをしっかり積み上げていく努力といいますか、特に人事交流ということが極めて大事だ、アラブの世界ではとにかく人事交流だ、このように思い知らされました。そんなことをしっかり見据えながら、努力をしてまいりたいと思います。

 ぜひ先生も湾岸諸国に御訪問をいただきたい。お願い申し上げておきます。

中山(義)委員 私は、アラビア石油の会社の皆さんともいろいろ意見交換をした、今後の外交はどうあるべきかと。ですから、要するに何の見返りもないいわゆる対話ではやはりまずいわけで、お互いに対話をすることによってどういう契約条件をつくっていくか。

 アブドラ皇太子が来たときも、総理大臣は石油の話をほとんどしていなかったという話ですよ。サウジアラビアのアブドラ皇太子が来たときもそうらしいんですね。やはり、一国の総理大臣が、そのときは小渕さんですけれども、しっかりとした話し合いをして、石油をどうしても安定供給させるためにしっかりとした外交をする、こちらも何かできることはしていくというふうに考えるべきだと思うんですね。

 そういう面では、森政権が唯一やったことといえばアザデガンですか、これはイランといろいろな契約事項が出てきた。この問題も、実際、総理大臣が出ていった、話をした、こういうことがきっかけなんですね。本来は、イランの方がこっちへ来る前に、やはり総理大臣が向こうへ行って、一番大事なエネルギーの問題、どんどん論議すべきだと思うんです。

 ですから、クウェートの問題も、恐らくこれからどんな問題が突きつけられるかわからないわけですね。その辺についても、どういう要求があるのかもう今から想定して、もしできるのであれば、それをお互いに経済交流としてやっていくというような、経済面、ここをやはり重要視しないとまた失敗すると思いますよ。単に、お互いに文化交流だ、またはサッカーの試合をやりましょうとか、これだけではだめだと思うんですね。

 そういう面で、外務省におかれましては、強い意欲と、それからやはり外交面の交渉までしていく、外交面の中で経済面まで交渉していくというやはり強い意思を持っていかないと、ただ行っても同じ結果になる。そして、あのときの二千億円、これは出せないという判断をしましたが、結果は、きのうの参考人のお話にもありました、それは十年たってからわかると。十年たって、あれがよかったかまずかったか。だから、今のうちに総括して次のクウェートに向かわないともう一回大きな失敗をしますよというのが、きのうの参考人の意見だったんですよ。私、その人と意見が全く一緒なんですが、もう一度外務省の考え方を示してください。

衛藤副大臣 政治の要諦は国益を確保することにあると思いますが、その国益とは何か。それは、国のエネルギー安全保障を初めすべての安全保障の全きを期する、そして国の繁栄を期する、これが国益そのものでしょう。我が政府の外交として、この国益をしっかりと確保するためにあらゆる努力をしてまいりたい、かように考えております。

中山(義)委員 我々は、中東依存をなくすために天然ガスという話をしているんです。だけれども、その期間は、これから経済産業大臣、計算高い大臣に聞きたいと思っているんですが、この問題について、一番問題なのは、本当に中東依存から我々は逃げられるのかどうかということなんですよ。ところが、現実上は逃げられないんですね。

 そういう面で、本当にもうちょっと何か違った方法でしっかりとした外交をしていかないと、同じ失敗をするんじゃないかという危惧を私は先ほどから申し上げているので、今後は、経済とか、それからもう一つ何か相手にもメリットがある、そして日本にもその見返りがあるというような、経済交流をしっかり考えておかないとえらいことになるなと思っているんです。

 さっき言いましたように、アメリカは、サウジアラビアに対して軍事の協力というのがすごいわけですよ。アラブ諸国に水が欲しいか軍事が欲しいかと聞いたならば、これはどう答えると思いますか。恐らく軍事と言いますよ。だけれども、日本はそれができないんです。

 日本からいったらそれができないんですから、それにかわる交流をしていくためには何をやるかということを、もう一度腹を固めて交渉しないと、結果的に、ぱんと突きつけられて、結局日本に帰ってきて、国会へ行って、みんなに反対されて、いや、一千億とか二千億だめだと言われてまた失効しちゃったということになるので、今からいろいろな予測ができるわけですから、頑張ってやっていただきたいという要望を外務省にいたします。以上でございます。

 それから、今の話を平沼大臣にもお聞きしたいんですが、今後の問題として、本当にサハリンから天然ガスのパイプラインが引けるのかどうか、そういうようなところを私はまず一つお聞きします。できるとすれば何年ぐらいかかるのか、または天然ガスの需要というものが本当にふえて、天然ガスが石油にかわることができるのか、この辺について御答弁をいただきたいと思います。

平沼国務大臣 天然ガスというのは、CO2の面からいきましても、非常に将来有望なエネルギーだと私は思っております。エネルギーセキュリティーの観点からいいますと、そういう意味では二十一世紀の有望なエネルギー源だと思っています。

 天然ガスというのは、インドネシア、オーストラリア、サハリンなど、アジア太平洋地域に相当の埋蔵量が期待されているわけでありまして、その導入というのは、石油依存度の低減のみならず、中東依存の低減にも資するものだ、このように考えられるわけであります。また、今申し上げましたように、地球環境の面からも優位性がある、こういうことで、その普及を図ることが大変重要だと私どもは思っているところでございます。

 ちょっとお触れになられたわけですけれども、近年、サハリンにおいて大規模な天然ガス田が発見をされました。国際パイプラインによって天然ガスを日本に供給する、それが今民間のベースで検討をされておりまして、これが経済性を確保しつつ実現される場合には、供給手段の多角化、そういった観点から非常に望ましいものだ、私はこのように思っています。

 サハリン1プロジェクト、この操業主体であるエクソン・モービルは、輸出用パイプラインの建設を二〇〇三年初めに開始をしたい、日本向けのガス輸出の開始は二〇〇八年とする、このような構想を持っているわけであります。

 しかし、パイプラインによる天然ガスの供給が実現するには、まず需要の確保、これが前提条件となっておりまして、私どもといたしましても、需要家に対しまして供給の安定性と価格面の優位性を示せるかどうか、このことを事業化の必要条件と思って、今いろいろ検討を加えているところであります。

 このような観点から、現在、エクソン・モービルと協力しつつ、サハリン1プロジェクトに参加している我が国の企業が主体となりまして調査会社ができておりますけれども、事業化調査をそこで行っているところでございまして、その結果などを踏まえてパイプラインの実施の有無が総合的に判断をされていく、そういうふうに今思っております。

 私どもといたしましても、環境整備として、このことは将来的に非常に必要なことだと思っておりますので、もし私どもでやれる、そういう必要があれば積極的に取り組んで、そして天然ガスの導入に関しては、やはり将来の主要なエネルギー源として私どもは考えていく、こういうスタンスでおります。

中山(義)委員 今のお話からしますと、まだ十年ぐらいかかるということですね。本当に日本の中で天然ガスの需要がふえてきて、そしてまたパイプラインができて、実際その稼働を始めるのはやはり十年、私はそういうふうに見ているんですが、そうすると、やはりあと十年は中東依存が続くということですね。

 ですから、私は先ほど外務省に申し上げましたけれども、ただイスラム文化と日本文化の交流だとか水だとか言っていますが、もっと現実的な問題が本当はあるんじゃないか。しっかり交流していかないとえらいことになりますよ。中東依存は変えられないという前提で、しっかり十年ぐらいはやっていかなきゃいかぬ、こういう厳しい状況にあるわけですよ。

 ですから、先ほど外務省の衛藤副大臣がおっしゃいましたけれども、平沼大臣も、クウェートの問題、こういう問題についてどういう構想がおありになるのか、これはしっかり考えてもらいませんとえらいことになるわけですね。それを再度御答弁いただきたいんです。

平沼国務大臣 今私から申し上げましたように、このサハリン沖の天然ガスの主体的な会社がパイプラインを開始するのは二〇〇三年で、日本の市場を想定しているのは二〇〇八年でございますから、中山先生御指摘のように、十年ぐらいかかる問題であります。

 そしてまた、我が国の今のエネルギー事情からいっても、確かにその間はその他の新エネルギー、こういったものも推進をしていく、これは当然でございますけれども、やはり中東依存というものは必要なことだと思っております。

 そういう中で、これも御指摘のとおり、クウェートに関しましては、四十年の期限が来まして、二〇〇三年の初頭には一応これの期限が切れる、こういう今の状況の中で、私どもとしましては、アラビア石油と同じような形で失効する、こういうことがあってはならないということで、私もいろいろなチャネルを通じて、経済産業大臣として一生懸命努力をしているところであります。

 その中で、私はクウェートの要人の皆様方とお会いをしますと、クウェートの皆様方は、湾岸戦争のときの日本の協力に対して、非常にそれを多としている、そのことを必ず皆様方は言われます。あのときには、これもよく御承知のことでございますけれども、九十億ドルの追加支援をするとか、あるいは機雷の掃海艇を特に出した。そして、日本の機雷撤去技術というのは非常に高度なものがあって、そういうことで非常に評価をされている。そういうベースがございますから、それを押し売りするという形ではなくて、やはりいろいろな面での協力をしていかなきゃいけない。

 そういう中で、要人の方々とお話をしたときには、やはりクウェートというのもIT化を進めていかなきゃいけない、そういうIT化を進める中で、ぜひ日本の協力が欲しい。そういうことで、我々としてはでき得る限りの協力をするために、研修生の受け入れあるいは専門家の派遣、それからまた投資に関しては非常に高い関心をクウェートの皆さん持っておられますから、投資ミッションの派遣。それから、やはり石油産業だけに偏っちゃいけない、そういう中で、すそ野産業の中小企業を興していかなきゃいかぬ、そういう問題認識もお持ちでございますから、投資ミッションを派遣したり、あるいは事業化可能性調査、こういった形でやはり積極的に支援をしていく。

 こういうことが大事でございまして、私どもとしては、今申し上げたようなそういういろいろ一連の支援、協力関係に対しては、十三年度予算としては、総額でございますけれども、百八十億準備をいたしまして、そしてそういった形でしっかりとした関係を外務省と協力をしながら構築していかなければならない。

 先ほど、ちょっとアザデガン油田のことも言っていただきました。十年ということを考えていきますと、やはり中東依存というのは御指摘のとおりだと思います。そういった形で、今回、世界最大の油田級だと言われているアザデガン油田、ここの最優先交渉権ももらいまして、これも六月をめどにしっかりと具体化をしていく。こういった形で総合的に我々はやらせていただきたい、このように思っています。

中山(義)委員 とにかく、CO2を削減するとか、いろいろな問題の中で、やはり天然ガスというのは大変有効だということでございます。しかし、今お話しのように、まだまだ十年ぐらいかかるということなんですね。

 ですから、中東依存はこの十年ぐらいは逃げられないという前提で、やはりしっかりとした協力体制を持っていかないと、とんでもないミスになりかねないし、日本のエネルギーの根幹にかかわる問題で大変な失敗をする、こう思いますので、しっかりと天然ガスの事業は確実にやっていっていただきたい。

 先ほどから、現実的に今のエネルギーの状況がどうか、こうやって考えてみますと、化石エネルギーは二十一世紀はかわるんだ、こう言っても、なかなか現実はそうじゃないんですね。

 ですから、天然ガスに一生懸命シフトしていくことも大事だし、今後、風力、そしてまた太陽光、しかしながら、これも自由化という問題と大変相反する問題ですね。安く電力を卸そうとか、安く電力を売ろうとする側にとってみると、なかなかこれが容易じゃないと思うんです。これは、国家がどの程度補てんしていくかとか、そういう問題にもかかわってくると思うのですね、この買い取り義務。今の石炭や石油でつくっている電力よりうんと仕入れ価格が高かったら、その高い部分を税金で補てんしなければ、やはり自由化になったわけですから、企業としてはできないわけですね、現実問題として。

 そういうようなことも含めまして、今後の問題、大変厳しいと思うのです。この太陽光やそれから風力、そして天然ガス、もう一つはやはり原子力ですよ。日本の原子力発電が大変成熟したものになっているにもかかわらず、京都会議で議定書の中に、いろいろな部分で、原子力発電がある程度否定されている部分もあるのです。原子力発電全般を見ますと、確かにまだ昔のソ連圏の中に危ない原子力発電所があることは間違いない事実だそうです。しかし、日本の沸騰型軽水炉であるとか、またはアメリカで今やっている、百三カ所あるわけですが、この新しい原子炉なんかはかなり成熟したものになっているわけですね。そういう面では、やはり京都会議の中に、日本が、日本の性能のいい原子力は安全なんだというようなことで、もっとちゃんとやらなきゃいけないと思うのですね。今のやり方でいくと、風力だ太陽光だといったって、それは難しいですよ、現実問題として。

 やはりCO2を減らしていくのに原子力発電が大変有効であるということを思うわけですが、経済産業省はその辺どういうふうに思っておりますか。

平沼国務大臣 私どもは、やはり二十一世紀のエネルギー、それを考えたときに、原子力発電というのはやはり否定することはできない。今御指摘のように、主要な電力源としてその地位を保ち続ける、私はこういうふうに認識しております。

 これは、もう常に申し上げていることですけれども、原子力発電というのは、やはり安全性をいかに担保するか、これを本当に第一義として取り組んでいく。この前柏崎を御視察になられて、中山先生も、実感としては相当日本の場合はその辺はうまくやっている、こういう御感想をお持ちになったと、先ほどちょっとお触れになっておられましたけれども、日本の場合もこの安全性に対しては幾らやってもやり過ぎじゃない、こういうことがございます。

 そういう中で、私どもとしては、先ほど御指摘のように、COP3の中でも二酸化炭素の排出量というものを九〇年のレベルに抑える、それを達成するということが国際的な公約でもあるわけでありますから、そういうことも踏まえても、安全を担保しつつ、私どものエネルギー政策の基幹の一つとして原子力発電を進めていく、このことは我々としては一生懸命取り組んでいかなければならない、このように思っています。

中山(義)委員 私は、風力それから太陽光とともに原子力がCO2を出さない大事な原動力であるということは一番強く感じているんですね。私は、NHKなんかでやっている「エネルギーシフト」なんか見ましたけれども、やはりチェルノブイリという名前が出てくるわけですね。チェルノブイリと日本の原子力発電が同じように見られているということ自身が残念でありまして、やはり政府もしっかりした原子力発電に対する考え方を、もうちょっと国民の皆さんに知らしめる。

 東京電力が今テレビでやっています。これは四三%が原子力発電だ、それと、第一次石油ショック、第二次石油ショックから今の安定供給につながっているのは原子力発電と省エネだ、このようにテレビでやっているわけですね。

 ああいうのは非常に有効性があるわけですが、やはり政府でエネルギーの問題をしっかりやってもらいませんと、この十年間でどれだけ温暖化されてしまうのか。こういうことから考えると、原子力発電がいろいろな問題点があるように言われていますが、かなりそういうものも精査されてきているという前提で物を考えていかないと、これは要するに、COP3で原子力発電は入れてもらえなかった、いわゆる削減の有効性が相当あるということでは取り上げられなかったようなことが書いてありますが、それは、世界にある原子力発電はおかしなものもあるんです。それから、相当有効性のある、事故の少ない、全く事故のない、こういうものもあるわけですね。

 そういう面から考えていくことがすごく大事なんでありまして、全部原子力発電は一緒だ、こういうものじゃないと思うんです。日本の今の沸騰型軽水炉はどうなのか、アメリカの百三基ある原子力発電はどうなのか。アメリカ自身もまた原子力発電に非常に有効性があるということを認め出したわけですね。ですから、日本は、お互いに経済交流をしていったり、またはいろいろな外交の中で、やはり学ぶべきところは学んでいかなきゃいけないと思う。

 原子力発電というのは、お互いに、どの国が事故を起こしても全世界が危ない。だから、原子力発電の事故というのは、地球全体を間違った方向に行かせる場合もあるわけですよ。それだけその国の責任は重いんですね。そういう訓練であるとか熟練をやはりどんどん勉強していく必要があると思うんです。原子力発電でのアメリカとの交流、それからまたは、いろいろな日本の周りの諸国で酸性雨がどんどんできるような、褐炭で火力発電か何かやっていて、日本にどんどん酸性雨が来る、そういうところにはこういう安全なものであれば輸出も可能だというふうに考えられるわけですよ。

 ですから、私たちは、そういう面で、原子力発電も非常に有効なものであるというふうに考えていただいて、この安全性を求めるとともに、やはりもうちょっと日本の中で使ってもいいんじゃないかとか、この十年間、手っ取り早いのは何かというふうに考える必要があると思うんですね。その辺、もう一度御答弁いただきたいと思います。

平沼国務大臣 私は、中山先生御指摘のとおりだと思っています。そういう中で、これも繰り返しになりますけれども、やはり原子力に対するアレルギーというのは、今御指摘のチェルノブイリのああいう本当に危機的な事故、こういうものがやはり非常に大きな影響を与えていると思います。

 そういう中で、原子力発電に関しては、その安全を担保するということにし過ぎということはございません。ですから、日本は、そういう安全面ではある意味では非常に進んでいる、そういうステージにもあると私は思っています。また、世界の中では、例えば原子力発電大国フランス、こういったところも大変大きな比重でエネルギー源を原子力に依存しています。

 ですから、そういう有用性というものを、やはり我々としては、さらなる努力の上で、今御指摘のように諸外国にもよくPRをする。また、中国は十二億の人口がございまして、これから経済の高度化に伴って化石燃料をどんどん使い出しますと、酸性雨の問題等大変大きな影響も考えられます。そういう中で、安全面を担保しつつ、協力できるところは協力をしていく、そういうことが必要だと思います。先ほど御指摘のように、国内的にも、やはり国が率先をして、国民の皆様方の御理解を得る、そういうPR活動ももっと強力にやっていかなければならない、そのように思っておりまして、私は、先生の御指摘のとおりだ、そのような認識でございます。

中山(義)委員 原子力発電に対しては、今までちょっとイデオロギー的なところがあって、何か原子力発電所の見学すら、これは私たちの敗北だなんて言っている人たちもいるわけですよ。やはり、原子力発電所でも何でもすべて見学をして、しっかり安全性を確かめてくるということはすごく大事なことなんですね。

 もう十年間ですよ。この十年間で温度が五度ぐらい上がって、今の海水の水位がもっと上がってくるということがあり得るわけです。

 この間の筑紫哲也の話では、要するに、今の新しいクリーンエネルギーというのは、次世代でやるんじゃなくて、もう既に今の世代でやっていかないと間に合わないというんですね。そのためにはどのエネルギーが必要か、そう考えてみれば、原子力発電というのは、もし有効であればそれもすぐ使わなきゃならぬし、いろいろな意味で、できるものからやっていかないともう間に合いませんよと。CO2をなくすエネルギーは次の世代なんだ、そんなことを言っていては間に合わないわけですよ。

 そういう面でも、この委員会でも、原子力発電所に対する見学であるとか安全性であるとか、実際に行って、すぐにでも行って、CO2を出さないようなエネルギーを考えていくべきだ、私はそれを要望いたしまして、質問を終わります。

山本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時二十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。北橋健治君。

北橋委員 石油関連法案の質問に入ります前に、セーフガードの二十三日暫定発動のお話が急浮上いたしました。これについて大臣の所見を承りたいと思うのです。

 実は、私、二週間ほど前に、繊維の関係の企業家なんですが、中国に進出をして向こうでつくっていて、もし繊維のセーフガードが発動されると大変困る立場の方からお話を聞いております。そのときに、韓国がニンニクの件で、何と四十倍ぐらいの、工業製品、いわゆる携帯電話等によって報復を受けた、大変に怖い事実があるんだというお話を聞いております。

 今回、暫定的に発動する措置を決めたということなんですが、私は、中韓関係と日中関係ではまた違うとは思うのでありますが、これも何しろ昨年のお話でございまして、そういった意味では、今回の政府の措置が工業製品の形で報復を受ける余地もあるのではないか。

 現に、きょうの新聞報道によりますと、中国側の公式なコメントの中にもそういったことを指摘する声もあるやに聞いております。大臣は、財務大臣あるいは農水大臣と協議に加わっておられますけれども、こうした懸念を指摘する意見に対してどのようにお考えでしょうか。

平沼国務大臣 今御指摘の韓国と中国の件といいますのは、韓国が、中国が主たる輸出国であるニンニクについて、暫定措置期間終了後、関税の全面引き上げを内容とする確定措置を発動した後に、中国が韓国製携帯電話等の輸入禁止措置をとった、このことでございます。

 その後、韓国と中国の間で協議が行われまして、措置内容を関税の全面引き上げ制度から関税割り当て制度にすることで両国の合意が成立して、中国はそれに伴って輸入禁止措置を解除した、こういう経緯がございます。

 今回の我が国の暫定措置発動に当たりましては、関税割り当て制度をとることといたしておりまして、ネギ、生シイタケ、畳表の三品目の主要輸出国である中国側にとっても、一定量の輸出を確保したところでございます。

 ただし、今御指摘のいわゆる報復措置の発動を含めまして、今後中国側がどのような対応をとるかについては、現時点では予断することはできないわけでございますけれども、我が国といたしましては、中国との間の意思疎通は極めて重要と考えておりまして、私も経済産業大臣として、この発動に当たる関係の閣僚の会談のときにも、そのことは付言をさせていただいたところであります。

 今後とも、農林水産省におきまして、中国との精力的な協議を継続していかれることを私どもとしては期待をいたしておりますし、その一環として、恐らく今週の十二日だと思いますけれども、農林水産省の松岡副大臣が訪中される方向で調整中だ、このように農林水産省から承っております。私どもとしては、しっかりとした密なる連携のもとでそういう破局的なことが来ないように一生懸命努力をしなければならない、このように思っています。

北橋委員 今回はシイタケとかネギとか畳表でありますけれども、あるいは今度はウナギだとかいろいろなものについて広がっていく可能性があります。繊維の場合は、御案内のとおり、予備的な調査に二カ月以内、そして本格的にも半年かけるということで、それは余りにも長過ぎるのではないかということで、私どもはかつてその迅速な調査を求めたところではありますけれども、慎重な調査をしていくわけです。

 そういった意味では、今回、農林関係者の強い意向によってあっという間に何かこういう措置になってしまった。場合によっては日中の貿易関係にいろいろな支障が出る可能性もございますので、経済産業大臣のお立場というのは、農産物だけが貿易ではないわけでありまして、このようなセーフガードの発動に至らないように事前に日中間のよき話し合いのイニシアチブをとっていただくべきではないか。農林水産サイドに任せることだけではないと思うのでありまして、大臣としても、ぜひともこの問題について慎重に対応していただければと思っております。要望しておきます。

 それでは、石油関連法案でございます。今回、規制緩和の一環ということで、言うなれば今までやってきた需給調整規制、そういったものを撤廃いたしました。今後は石油産業の効率化を期すということで、業法の廃止を打ち出されたことは、これは時代の流れに即している、当然の流れだろうと私どもも思っております。

 ただ、この新しいステップを踏み出すに当たりまして、かつて石油業法を中心にした旧通産省の規制行政あるいは監督行政というものが、いわゆる上流部門におきましても、外国のメジャーに比べるまでもなく、小規模開発企業の乱立という問題を起こしましたし、また、下流部門におきましても、ガソリンスタンド等の過当競争という問題を起こしました。非常に構造的に大きな問題を持っていた。

 片や、自動車、家電を初めとして日本の産業界は、メガコンペティションの中で競争力をつけるためにリストラという厳しいことにも耐えながら必死の思いで競争力を高めるための努力をしてきたわけであります。

 石油業法というこれまでやってきた監督行政のもとで、世界で最も弱い、立ちおくれた業界の体質になっているということは大変残念だと思うのですけれども、そういった意味で、過去の石油行政の総括をきちんとされることが必要であります。大臣の所見を承りたいと思います。

平沼国務大臣 石油の安定的な確保、その観点から、従来、石油業法等に基づきまして需給調整等の規制を実施してまいったところでございます。これにより、国内に精製能力を有する石油会社を育成するとの目標を果たした反面、今御指摘の石油産業における競争がある程度抑制された、そういう面があったことは、私は事実だと思っております。こうした規制については段階的に緩和をしてきたところでございますけれども、今回、こうした規制緩和、自由化の総仕上げとして、石油業法の廃止を御提案申し上げました。

 また、過去の石油危機のときでございますけれども、国民生活の安定の確保、便乗値上げの防止の観点から、石油価格に関する行政指導を行ったことも事実であります。しかし、このような指導というのは、昭和五十七年以降は全くなされておりませんで、石油製品価格は、国内の需給動向や原油価格の動向等を反映いたしまして、各石油会社がみずからの判断により設定をしており、価格体系のひずみは是正されていると思っております。

 御指摘のように、上流部門における小規模企業の乱立の問題については、いろいろな要因がそこにあったと私は思っています。

 一つは、産油国側からの要請によりまして、プロジェクトごとに外国企業とのコンソーシアムを組む、そういう必要があった、このことも一つだったと思っておりますし、二つ目は、プロジェクトのリスクを親会社から遮断いたしまして、失敗した場合には石油公団からの融資の減免を行えるようにすることがその一因となっている面がありました。それから、大きな背景としては、やはり日本は第二次世界大戦で敗戦国側の立場に立った。そういう本当にハンディもあった、私はそのことも大きな背景として言えるんではないかと思っています。

 今後は、中核的企業グループの育成の観点から、小規模石油開発企業の乱立を是正する方向で各種の措置を講じていかなければならないと思っています。

 そして、もう一つ御指摘の、下流部門における過当競争等の問題につきましては、現在、石油産業におきまして、経営基盤強化の観点から集約化の方向への取り組みがなされております。具体的には、石油精製業界においては、合併あるいは事業提携によりまして四つのグループへの再編集約化が進んでおります。また、石油販売業界においても、事業の多角化でございますとか集約化等の構造改善事業が行われております。

 経済産業省といたしましても、これらの取り組みに対して積極的に支援をしてまいり、御指摘の、そういう一つの背景の中で、いろいろな規制それから行政指導、こういうことがありまして、その進展をある意味では阻害した面があったと思いますけれども、総体的には、日本の石油産業はその中でやはり自由化、そして安定化の方向、そういう形に進んできておりまして、今回それをさらに一層拍車をかけて、そのための支援をこれからも強力に行っていかなければならない、このように思っています。

北橋委員 私どもは結果が何よりも大事でございまして、今日、国際競争という面におきまして、非常に脆弱な経営基盤のもとに石油産業があるということは、過去の規制行政の弊害であった、このように認識をいたしております。

 そこで、今後の対応でございますが、大臣の御答弁から、四グループへの再編集約が進んでいることを受けまして、今後は積極的に中核的な石油企業、石油産業を育成していくということを述べておられます。これは政府の石油審議会等におきましても、また、いろいろなところで経済産業省はこの中核的な石油産業の育成ということをおっしゃっているんでありますが、この委員会でのやりとりを聞いておりましても、まだ具体的なイメージといいましょうか、そこに持っていく道筋というものがよく見えないのでございます。具体的にスケジュールを含めて、どのようにして中核的な企業を育てられるんでしょうか。

松田副大臣 御指摘のとおり、平成八年の石油製品輸入の自由化以降、我が国石油産業は厳しい経営環境の中で、各社ごとのコスト削減努力に加えまして、企業の枠組みを超えた合併、提携による再編集約化、四グループ化が進んでおるわけでございます。

 御案内のとおり、日石三菱・コスモ石油グループ、ジャパンエナジー・昭和シェル石油グループ、出光興産グループ、エクソン・モービルグループ、この四つのグループ化が今進みつつあるわけでございます。強靱な経営基盤の確立に向けた懸命な努力を行っておられるところでございます。

 今回の石油業法廃止は、これまで累次にわたって行ってまいりました規制緩和、自由化の総仕上げでございます。これを契機として、一層の構造改革に向けた石油産業の創意工夫や迅速な意思決定が促されて、国際的な競争の中で、石油の安定供給を担う石油産業が形成されることを強く期待しておるわけでございます。

 経済産業省といたしましては、御提案申し上げている法案の中で、既発見油田の資産買収への支援や、石油公団が保有する石油開発会社の株式売却等によりまして、今後十年間を、自律的に石油開発事業の維持、拡大を行うことの可能な中核的企業グループを形成するための重点期間と位置づけまして、精力的に中核的企業の育成に努めてまいりたいと考えております。

北橋委員 今のお話の中で、石油公団保有株の売却というのが重要な手だての一つのように承ったわけでございます。今まで石油公団の業務改善をめぐりましては各方面で指摘をされて、そして、政府の方もおおむねその改善方向に沿って実施をしてきているわけでありますが、一つ未解決といいますか、これからお決めになるという項目の中に、この公団保有株の売却という問題があります。

 これをうまく使って、中核的な企業を育成されるということでありますけれども、十年かけるんですか。十年もかけなければできないことなんでしょうか。私は、十年という話は、今の減免つきの融資、いわゆる成功払い融資、これを十年続けるということを聞きまして、どうして十年間も不良債権化するかもしれないような探鉱投融資を続けるんだろうか、そう思っておりました。

 要するに、審議会の方針も、とにかく五年刻み、その次が十年ということで、一つのタイムスケジュールを決めてあるべき方向に持っていかれようとすることは、審議会の報告書でははっきりしているわけでありますが、十年もかけなきゃできないことなんでしょうか。

 つまり、十年かけて、株をどのように売るんでしょうか。上流、下流といろいろとあります。電力、ガスもございますけれども、公団保有株の売却をおっしゃるんでしたら、もう少し具体的に道筋を示していただきたいのであります。

松田副大臣 ただいま申しましたのは、今後十年間かけて、幾ら遅くともという意味で申し上げたわけでございますが、当面、この五年間という目標を一つの区切りといたしております。そしてまた次の五年目、そしてさらに十一年目以降、そういった考え方で、石油公団による支援のあり方というものを、逐次、民間の自力でできるような方向に移行していく。そういう中で、少なくともこの中核的な企業グループの育成というのは、この十年間でなし遂げたいということを申し上げたわけでございます。五年、五年、五年ということで、段階的に政策としては考えております。

北橋委員 もう一遍聞きますが、中核的な石油企業のイメージです。要するに、石油の分野と電力とガスと統合した、そういう企業グループに、株の売却等を使って誘導するんでしょうか。

松田副大臣 まさに委員御指摘のとおりでございます。上流、下流、そしてユーザー、すべて関係者含めて、中核的な企業グループを編成していきたいという考え方でございます。

北橋委員 もう一度、石油公団法のところで触れるかもしれませんが、一つの方向性はわかりました。

 そこで、今回、石油の自主開発をめぐる議論を党内でいたしましたところ、まず、そもそも論、かつてスタートしたときの自主開発をめぐる当時の時代的な要請と比べて、現時点で果たして巨額の財政資金を使ってこの自主開発を続ける意義がどこにあるかという議論を党内でたくさんいたしました。

 経済産業省からの御説明では、鉱区の開放ということもあるし、産油国との信頼関係、協力関係の強化ということもあるし、どうしても中東依存度は上がらざるを得ないんだといういろいろなお話を聞いてまいりました。しかし、私どもは、巨額の財政資金を使って自主開発をするというのは、エネルギーセキュリティーというところに端を発していると思います。その点、アメリカという国は、中南米でありますとかいろいろなところに多角化をいたしまして、そして、セキュリティーという観点から見ても非常にうまくこの間対応してきた。ところが、日本の場合は、八十数%まで中東依存度が逆にどんどん上昇してきている。その一点をとらまえるならば、セキュリティーという面からして、中東への依存度をこのまま考えてよいのかという議論であります。

 同僚委員からも、中東への依存度はなかなか下げることは難しいだろうという指摘がございました。私どもも一面にそういう環境があることは承知いたしているわけでありますが、それだけに、このアジア大洋州にある天然ガスあるいは油田の買収、そういうところに戦術の大きな意味が出てくるんだろうと思うのであります。

 そこで、大臣にお伺いしておきたいと思いますが、私ども民主党は、自主開発、これを続けるに当たりまして、石油、ガスの中東依存度を引き下げていくという戦略がやはり不可欠ではないか。容易ではないことはわかっておりますが、やはりそれをはっきりと打ち出していただきたい。したがいまして、今後、限られた財源で新規の買収であるとか探鉱投融資をする場合には、中東地域以外のところに傾斜をする、そのような根本方針をお示しいただきたいと思うわけでありますが、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 我が国の石油の中東依存度は、今北橋委員御指摘のとおり一九九九年度で八六%、非常に高い水準にあるわけでございます。他方、我が国の自主開発原油の中東依存度というのは六五・四%となっておりまして、我が国の原油の総輸入に占める中東依存度に比べれば低い水準にはなっております。石油の自主開発というのは供給先の多角化に効果があると思われます。

 また、昨年八月の石油審議会開発部会の中間報告において、今後の石油公団による支援は、中核的な企業グループの育成に寄与する案件及び天然ガスの開発、利用促進につながる案件とあわせて、石油調達先の多角化等につながる案件に対して支援を重点化すべきだ、このような提言がなされているところであります。

 こうした提言を受けまして、今後の自主開発政策につきましては、引き続き、より効果的、効率的に実施するとともに、石油調達先の多角化に資する案件の支援を実施しまして、天然ガスの導入促進とあわせまして、エネルギー供給全体の中東依存度の低減に努めていかなければならないと思っています。

 ただし、中東地域の案件であっても、中東地域内での多角化、産油国との関係強化等に資する案件にも同時に配慮する必要がある、このように思っておりまして、先行きの話になりますけれども、具体的には、例えば中東以外では、プロポーザルが現時点まだ具体化はしておりませんけれども、アンゴラでございますとか、そういったところからのそういう話もございます。

 そういったことも含めて、やはり中東依存度を脱却する、そういう形で我々は努力をしていかなければならない、そういうふうに思っています。

北橋委員 八六%の、日本にとって大事な取引先が中東ですから、それに対して政府が公式的にこの依存度の問題について触れるということはなかなか難しかろうと思います。ただ、セキュリティーの見地から、その多角化に向けまして努力をしていただくという答弁をいただいたことを評価させていただきたい、こう思っております。

 さて、石油公団の問題につきましては、堀内元通産大臣のときからも、マスコミからも、またこの委員会におきましても、業務の抜本的改善につきましてやりとりが繰り返されてきたところでありまして、今回、新しい買収という業務をつけ加えるに当たりましては、やはり石油公団の業務の改善状況についての厳格な検証が不可欠であろう、こう思っております。

 そこで、まず一番目にお伺いしたいと思いますが、これまでたくさんの石油掘削、ガス開発をやってきて、百本掘って三本しか当たらない世界のようであります。欧米のメジャーがやってもやはりこの問題は非常にリスクがあるということはわかっているわけでありますが、それにしましても、大変多くの欠損金が出ていること等も考えますと、プロジェクトの採択とか、そして採択した後、やってみてなかなか採算がとれそうにないときに投資をとめるというのは、これはなかなか大変難しい作業でありますが、その中間段階での評価もあります。そういったマネジメントを含めまして、今までは、説明では、公団内部のチームを組まれてやっていらっしゃる。ただ、これは、堀内大臣の指摘以来、採択する部門と、それが投資の面で有益かどうかという評価とは別のセクションにしているんだというふうに聞いてはいますけれども、いずれにしても、公団内部のチームでそういった作業をされているんではないか、このように聞いております。

 この問題については、先般の基盤技術研究センターの件につきましても、なかなか特許料収入等のリターンがうまくいかなかったこともありまして、外部評価委員会の設置を法定できないかという議論があったところでありますが、石油公団につきましても、さらに一層透明化を図る見地から、こういったものについての改善が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 現在、石油公団におきましては、中立的な外部有識者から成る経営諮問会議において、石油公団の業務改善のあり方について意見を伺っており、さらに、探鉱投融資プロジェクトの審査につきましても定量的評価を導入し、効果的かつ効率的な自主開発に努めてまいります。

 以上に加えて、今後は、探鉱投融資プロジェクトの新規採択に当たりましては、石油公団において経営諮問会議に毎年の採択方針を諮るとともに、事前に経済産業大臣の承認を得ることといたしております。また、経済産業省は、採択の方針を総合資源エネルギー調査会に付議するとともに、採択案件を報告することといたしております。

 経営諮問会議が外部の中立者による評価の機能を発揮する、こういうことにいたしておりまして、資産買収の案件の採択審査に当たっても、このルールにのっとりまして厳正なプロジェクトの審査を行ってまいる所存でございます。

 なお、石油公団の欠損金というのもあるわけですけれども、そういう膨大な欠損金につきましては、保有株式の売却等によりまして中期的に処理を進めつつ、より一層の効果的、効率的な事業運営を行い、今冒頭御指摘になったそういう欠損金に対しては、その縮小に私は努めていきたい、このように思っています。

北橋委員 石油公団の再建検討委員会の報告書にもございますけれども、一九八五年から九六年までの間に数倍にもわたってその出融資先会社の設立数がふえた、そして百八十七社が設立されて、配当会社あるいは余剰金のある会社は百八十七のうちの六社にすぎない、そこから、石油公団のプロジェクトの審査能力やリスク管理能力はこれでいいのかということが始まっているわけです。

 今、大臣の御説明では、今後、探鉱投融資、買収の採択あるいは途中での評価等はいろいろと工夫されているということではございますけれども、大胆に外部評価を活用する、あるいはディスクロージャーする。これは、今回、基盤技術の開発センターのときも、新たに再スタートを切るに当たりまして、ディスクロージャーというのが非常に強調されて、法律に明定されていないけれども、できるだけ外部の方々の御意見を承った上で、できるだけその内容を外部にお知らせする、そういうことによって透明化を図ろうというのが経済産業省が打ち出された方向であります。それからすると、石油公団の方はまだ立ちおくれている感が否めないのでありますけれども、どうでしょうか。

平沼国務大臣 御指摘の点があるわけでございますけれども、石油公団の経営諮問会議、委員といたしましては、これは北橋先生もよく御承知だと思いますけれども、例えば、委員長には商法の権威であります学習院大学法学部の前田教授でございますとか、あるいはそれぞれ委員には、企業会計の専門家でいらっしゃいますとか、あるいはまた、かつて中近東で実際に外交畑の第一線で活躍された方でございますとか、また金融のエキスパートでございますとか、エネルギー経済の専門家の方でいらっしゃいますとか、あるいは石油工学の権威の方でいらっしゃいますとか、そういった方々に外部からこの経営諮問会議に入っていただいております。

 そしてその中で、先ほど御答弁しました、そういう形で石油公団の一層の運営の効率化、透明化に努めておるところでございまして、これは十分機能する、このように私は思っているところでございます。

北橋委員 今、私どもの田中筆頭理事、中山理事を中心に、附帯決議案についても各党といろいろと御相談をさせていただいておりますが、石油公団につきましては、多額の欠損金を出している。膨大な二兆円を超える財政資金を投入して、これまで石油公団の業務内容につきましては、大変多くの疑問点、批判というものが集中的に浴びせられたところなんですね。

 そういった意味からいたしますと、やはりトップの経営諮問会議に外部の方が入れられましても、現実にはそれぞれのプロジェクトの審査あるいは評価ということになるわけで、もちろんこれも企業秘密もあるでしょうから、そう簡単にディスクロージャーはできないかもしれませんけれども、私は、やはり石油公団の現状は、国民の皆さん方の理解をまだ得られないのではないか。

 そういういった意味では、附帯決議において、個別のプロジェクトの審査、評価に当たっても外部の皆さん方の意見を取り入れる、そしてそれをできるだけ公開していくという方向でぜひとも改善を図っていただくように、私どもは強く主張してまいりたい、こう思っております。

 さて、これまでの公団の仕事を振り返ってまいりますと、公団始まって以来、探鉱投融資につきましては、成功払い融資ということをやってきたわけであります。そして、利息の棚上げという特別対策も、オイルショックを機会に始めました。

 私は、今ここで成功払い融資についてのみ説明を求めたいと思います。

 石油審議会の答申でも述べられておりますけれども、やはり減免つき融資というものはやめるべきではないか、そして、ワンプロジェクト・ワンカンパニー方式がたくさん乱立をしたことにもなるので、それは是正すべきではないか、そういうことで、基本的には全額出資で対処する方策を求めているわけであります。

 私は、石油審議会の先生方がこれを十年是認される方向を出したことを非常に疑問に思っている一人でございます。やはり成功払い融資というやり方は健全な姿と言えない。先ほど大臣、副大臣がお答えになったように、中核的な、和製メジャーというんでしょうか、電力、ガスも含めた、そういう強い経営基盤を持つエネルギー企業を育てていくという見地からして、いつまでもこのような成功払い融資等を続けるということは果たしていかがなものであろうか。

 そういった意味で、十年後と言わずに、早くそれを前倒しして変えていくという意気込みを示していただきたいのでありますが、いかがでしょうか。

松田副大臣 石油の探鉱事業は、資金回収が始まりますまで長期間を要しますので、融資を受けて資金調達すると、その間に発生する金利負担によって事業の収益性が上がらず、企業の投資能力を損なうことにもつながります。また、探鉱事業はハイリスク・ハイリターンの事業であり、本来、融資より出資になじむものと考えられます。

 現状におきまして、我が国企業の資金調達力が不足しておりますため、今直ちに融資を廃止して、民間主導原則に基づき、石油公団の出資比率が五〇%を超えないようにいたしますと、支援比率が七〇%から五〇%に低下いたしまして、事業実施が滞るおそれもございます。また、世界的に鉱区開放が進んでいる新たな状況に対応できなくなるおそれもなしといたしません。そのため、当面は現行の支援水準を維持することが必要ではないかと考えております。

 なお、昨年八月の石油審議会開発部会中間報告におきましても、今後五年経過時点、十年経過時点と、段階的に減免つき融資の縮小、廃止が提言されているところでございます。

北橋委員 日本の石油開発にかかわる企業の体力が弱いからだということは、今までずっと石油について旧通産省が一貫してとってきた、官主導の姿勢だと思うんです。いつまでもそれではだめだからということで、少しずつ自由化をして、今回業法を廃止された。そして、より強靱な民間企業を育てていくんだという方向になってきているわけでありまして、私は、十年間は続けます、十一年目以降はこれはやめますというのは、昔ながらの官主導の、民間はまだ弱いんだという発想につながっているように思います。

 例えば、外国のメジャーの探鉱投融資の額というのは、オール・ジャパン、全体よりも一社で多いところが一般的でありまして、物すごい資金力を持っておりますが、実際、探鉱開発の投資成功率は向こうの方はかなりいいのかなと思いますと、経済産業省の説明では、リプレースメントコストというもので比較をすると、日本の場合はアメリカのメジャー各社と大体同じ程度の成功率だ、こういうことでありまして、外国は七割まで出融資をしてもらって、成功払い融資をしてもらってやっているんでしょうか。そこまではやっていないでしょう。

 それを考えますと、十一年目から変えますという石油審議会の答申のうのみであってよいのだろうかということでありますが、やはりこの成功払い融資というのはできるだけ早くやめていく。ワンプロジェクト・ワンカンパニー方式にも、乱立になるからやめるべきだという理屈もあったわけですね。石油公団の保有株を売却しながら、これから中核的な企業を育てていくわけでしょう。そういった意味からしても、私は、その計画の前倒しが必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

松田副大臣 先生御指摘の点、よくわかります。そういう方向であろうと思います。先ほども申しましたけれども、本来的に、融資より出資になじむものであると考えております。

 しかし、現実、先生今まさにおっしゃいましたけれども、日本全社、全部合わせた探鉱開発投資額が、例えばBPアモコアルコは五・一倍というような規模でございます。エクソン・モービル、約四・九倍。ですから、先ほどから大臣も答弁しておりますように、先生もよく御案内のように、我が国の探鉱開発段階の企業の実力というものはやはり現実としてあるわけでございます。

 そういう意味で、現実を踏まえながら、しかし理想は、先生おっしゃるように、ぜひこの際、本当に全力を挙げて中核的な企業に育てていきたいという思いでおりますので、一歩一歩ではありますけれども、五年、十年と段階を区切って、しっかり対応させていただきたく思います。

北橋委員 私は、石油公団の問題を議論するときに、一体この公団の監督責任者はだれなんだろうかということを感じます。基本的には経済産業大臣だと思いますけれども、結局は審議会の事務局が責任者のような感がいたします。

 審議会の先生方の意向を大事にされることはわかりますけれども、政治のイニシアチブによって変えていくものでありまして、五年、十年、十一年目以降、そんなスケジュールは尊重されるにしても、やはり強力なイニシアチブが必要だろうと思っております。私どもは、政権交代の暁には、ぜひともこれを前倒ししていかなくちゃいけない、こう考えております。

 さて、この公団の新しい業務を認める前に、百八社の出融資先会社というのが現在ございますけれども、生産中は四十六社であります。探鉱中は二十九社、そして、失敗して解散準備中が三十三社、合わせて百八社でございますが、私は、生産中の四十六社の中にも、途中で、ここでやめてしまったら資金の回収ができなくなって、かえって公団の債務が膨れ上がるから生かしているという企業も結構あると思うんですね。

 この際、成功払い融資あるいは特別資金対策、これは田中筆頭理事が後で詳しく質問される予定でございますけれども、こういうことをきちんとやって、そして、審議会も求めているように、基本的な財務の改善対策をやって、だめなところはやはり整理すべきじゃないんでしょうか。私は、生産中の会社でももうあと十社ぐらいはあるのではないか、そういう話を巷間伝え聞くわけでございますが、思い切ってこの機会に、不良債権の抜本処理を政府を挙げてこれからやろうとしているわけでございますから、いつまでも公団の債務が膨れ上がることを恐れて生かし続けるのはいかがなものか、心を鬼にしても、やはり投資をしてその回収の見込みが余りよくないところは、いろいろな手だてを使って生かすよりも、きちんと整理をして、そしてまたけじめをつけた上で、今度は間違いのない物件を採択する、買収するというふうにいった方がいいと思うのであります。

 既にお決めになっている十三社に加えまして、さらに整理統廃合される考えはないでしょうか。

平沼国務大臣 事業の採算性が見込めないことから整理をすることといたしました十三社につきましては、すべて事業終結の承認を完了しているところでございます。

 石油公団では、事業の見きわめが可能なすべての出融資先会社に対しまして、毎年キャッシュフロー分析による見直しを行っており、採算性が見込めないものについては、生産中の会社であっても速やかに事業を終結し、会社を整理しているところでございます。

 今後、さらに、一時的に石油公団の損失が発生をいたしましても、資金繰りが悪化して将来性のない会社については、私どもは適切に処理をしていかなければならない、このように思っています。

北橋委員 毎年各企業のキャッシュフロー分析を公表されているということでございますので、私ども、それを注意深く見守りたいと思います。そして、これからは、一時的に痛みを味わうとしても、不良債権の抜本処理をやらないと国の全体が成り立たないという時代だと思いますので、百八社につきましても厳しい監視を怠ってはいけない、このように思っております。

 続きますが、石油公団の業務の中で、これまで石油備蓄会社、国備八社と言われておりますけれども、出融資、あるいは民間企業に対しましても、備蓄の石油購入資金を融資するという業務をしておりますね。これは政府系金融機関のほかの業務と非常によく似ておりまして、政府の方も平成十二年に行革大綱の中で、類似の事業が行われている場合には、廃止、整理縮小・合理化などを図るというふうに方針を示されております。

 そこでお尋ねをいたしますが、石油公団の融資の中には、ハイリスクの探鉱投融資の部分と、ローリスクの新たに加わる買収の業務と、そして民間と国備八社に対する出融資という業務があります。この備蓄に関する出融資というのはほかの銀行で対応できると思いますので、私はここの部分は廃止すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

松田副大臣 何度も御答弁申し上げておるかと思いますけれども、石油備蓄は我が国の石油の安定供給確保のかなめとして行われているものでありますが、その事業の性格上、多額の資金負担を要するものであることから、これを円滑に実施するために、石油公団による国家備蓄会社への出融資や民間企業に対する備蓄石油購入資金への低利融資等をやってきておるところでございます。

 石油備蓄会社への出融資につきましては、国家石油備蓄事業のコストをなるべく抑制するとの立場から、国家備蓄基地建設のための出資や無利子融資を行う必要があること、また石油公団が緊急時における国家備蓄原油の放出に係る業務を行うに際して、国家備蓄会社等の事業の内容を株主の立場として把握しておくことが適当であることから、石油公団において一体的に実施させていただいておるものでございます。

 また、民間企業に対します備蓄石油購入資金の融資につきましても、通常、事業を行うために必要のない余剰在庫を持たせる負担をなるべく軽減するために、通常の政策金利より極めて低い金利で融資する必要がございまして、その際、備蓄の仕組みや石油全般の知見が必要とされること等から、石油公団が行うことが適当だと考えております。

 こうした点を踏まえまして、御指摘の出融資業務につきましては、石油公団において一体的に実施させていただくことが適当だと考えております。

北橋委員 甚だ残念な答弁内容でございます。そういういろいろな理屈を皆さんおっしゃるから、いつまでたっても行革は進んでいない。

 私は、政策投資銀行、完全にここに統合するのがいいかどうかは議論があると思いますけれども、基本的には、いろいろな理屈をつけていろいろな金融機関なり特殊法人、認可法人があり過ぎる。それを政治が黙認してきた。そこをきちんとしないと、官から民へということにはならない。その意味で、備蓄が大事とおっしゃるのならば、備蓄の業務はエネ庁のセクションに戻せばいい。金融についてはあえて公団に残す意味がない、政策投資銀行に一本化しても十分やっていける、このように表明をしておきたいと思います。これ以上やりとりしましても、納得のいくお答えが出ないでしょうから。

 せめて一つだけ改善をしてほしいものがあります。国備八社というのは、それぞれのローカルな備蓄の現場業務をしておりますけれども、なぜ東京の一等地に事務所があるんでしょうか。すべてそこは処分をして地方に行くべきだと思います。

松田副大臣 国家備蓄会社の本社についての御質問でございますが、御指摘のように、今後は、地元官庁、経済界、地元住民等との調整、連携による基地の安全かつ効率的な運営及び緊急時の円滑な払い出しに業務の中心が移ってまいります。そういったことも考えまして、複数の基地を有する日本地下石油備蓄を除く七社につきましては、平成十四年度末までに地方に移転することといたしております。

北橋委員 備蓄は三千億円前後の巨額の財政資金を投入しておりますだけに、今後とも、そのあり方については私どもウオッチを続けたいと思っております。

 さて、今回、石油公団の新しい業務として資産の買収を加えられたわけでありますが、基本的に私どもはそれに理解を持つものであります。ただ、探鉱投融資に比べるとリスクは小さいわけでありまして、それをなぜ市場からの調達として資金ができないのか。それについては既に説明はいただいております。先ほどから欧米のメジャーを出しておりますけれども、果たして、リスクがあるから民間では背負い切れないからだということで官が出ていってお世話をするということをいつまでも続けるんだろうか。本当にこれは市場からの資金調達では今はできないということをどのようにして結論づけられたのか。外国は民間でやっていると思うんですね。

 したがいまして、なぜ今はできないのか。そして、それを何年ぐらいからはできるようにしていきたい、持っていきたいと思っているのか。いつまでもお世話をされようとしているのかどうか。買収にかかわる資金調達、これについての方針を聞かせていただきたいと思います。

平沼国務大臣 既発見油田の資産買収は、探鉱案件のように試掘の結果全く石油、天然ガスが存在しないというリスクはないものの、事前評価の結果どおりに埋蔵量が確保できない場合、あるいは油層のトラブルによる原油回収率の予想外の悪化等の地質リスクというものが存在しています。また、既にある程度の埋蔵量が発見されていること及び既に投下された多額の開発費、操業費を負担することから、購入価格も高くなり、多額の資金が必要となる、こういう背景があります。

 その際、再三御指摘がございましたけれども、メジャーに比べて企業体力が弱い我が国の石油開発企業が十分な自己資金を用意しつつ必要な資金を市場で調達するということは、ある意味では困難な面を伴います。したがいまして、石油公団による出資を通じた支援が私どもは必要だと考えております。

 また、資産買収案件につきましても、事業資金のすべてを自己資金、石油公団の出資金で賄うのではありませんで、開発資金については、国際協力銀行でございますとか、市中金融機関等からの融資も受けている、こういうケースでございます。その際、今のようなケースでは、公団としては、その一部について債務保証をする、そういう形でも支援をしているところでございます。

 確かに御指摘のように、すべて公団におんぶにだっこ、こういうことじゃなくて、国際協力銀行のようなところが積極的に行い、あるいは市中の金融機関からも資金の支援を得て、そして業務に携わるということは、ある意味では理想的でございまして、そういう方向に行かなければならない、こう思っておりますけれども、今るる申し上げましたように、現時点ではまだそういう日本の企業の体質の脆弱性がありますし、やはり石油公団の支援がそういう側面から考えても必要だ、そういうことでやっているところでございます。

北橋委員 私どもも、現在の民間企業からの非公式なヒアリングを通じましても、まだまだ、ローリスクとはいっても、今の民間銀行が背負うにはそのリスクは重過ぎるということでございますから、当面はこれでよろしいかと思います。ただ、やはり欧米メジャーを目指してこれから日本の企業の体質を強くして、自前でできるような方向に誘導していくことも大事ではないかな、こう思っております。

 もう時間が来たようでございますが、十三年度予算では二百億円、そして買収に九十五億円ですか、かつて探鉱融資で一千億円台にあったことを思いますと、大変な縮小合理化という経緯をたどっております。十三年度では、探鉱投融資そして買収はそれぞれどこを考えていらっしゃるでしょうか。それから、十四年度以降、何かこれについて具体的な考え方があればお示しをいただきたいと思います。

松田副大臣 平成十三年度予算におきます資産買収としましては、企業がその収益基盤を強化、確立させるための重点地域における事業や供給先の多角化に資する事業といたしまして、豪州、イラン、アルジェリア等における案件が現在検討されております。また、探鉱事業といたしましては、ベトナム、インドネシア等の案件が検討されております。

 なお、平成十四年度以降におきましても、企業がその収益基盤を強化、確立させるための重点事業地域として、豪州さらに北海、東南アジア等における案件が現在想定されております。

北橋委員 時間が参りましたので終わりますが、ぜひともこれから電力、ガスを含めた、強靱な経営基盤を持った日本のエネルギー企業を育成していくために、万全を期して頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 田中慶秋君。

田中(慶)委員 私は、民主党の立場で大臣に質問申し上げたいと思います。

 二十世紀は石油文化の時代と言われました。二十一世紀は新たなエネルギーとして天然ガスの時代、このような形で問題提起がされております。政治は、ある面で先見性が求められ、ある面ではそれをグローバルに対応しなければいけないわけであります。

 そこで、一八六八年、明治元年の四月十一日、きょうでありますけれども、江戸城が無血革命によって渡された記念すべき日でもあります。あるいはまた、一九二一年、大正十年のきょうは、日本に外国の文化ともいえるメートル法の使用が認められた日であります。偶然にもこのようなときに新しいエネルギーの問題を含めて議論をされるというのは、やはり時代とともに二十一世紀の大きな政治を私はしっかりと期待をしていかなければいけないんだろうと思います。特に、けさのニュースにおいては、原発のプルサーマル使用について、新潟の柏崎においてその使用が延期をされた、こういうことも報道されております。

 こういう一連のことを含めながら、今申し上げた時代の背景と、一方においてはクリーンエネルギーが求められる、まして石油依存度も年々歳々低下をしているわけであります。そして、天然ガスを初めとする、太陽エネルギー等々含めながらクリーンエネルギーが求められる等々について、私は、今の委員会において少なくても大臣は新しい一つの問題提起としてぜひこれを受けとめていただかなければいけないと思います。役所はどちらかというと今までの長い間のことだけを死守しようとするわけでありますから、新しい時代に新しい変化を求めてと、このように考えておりますけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 田中先生から、きょうはちょうど江戸城の無血開城の日であった、またさらにはメートル法の記念すべき日であった、非常に勉強させていただきました。

 今御指摘の新エネルギーの導入というのは、私は、日本だけではなくて全地球的に見ても非常に重要なことだと思っております。今、先生はよく御承知だと思いますけれども、日本のエネルギーというのは、石油依存度というものがかつてよりは、原子力あるいはその他のエネルギーで、全体の五二%、こういう形で低下してきていることも事実であります。しかし、この新しいエネルギーで今お話しになられました天然ガスというのは、現在まだ一次エネルギーに占める割合というものが一二%でございます。また、CO2を排出しない、安全性を担保しなければなりませんけれども、原子力エネルギーということも否定し得ない一つの大きな地歩を占めている。そして、二十一世紀というのはまさに、人類が環境問題を克服できるかどうか、こういう瀬戸際に立っている大切な時期でもございまして、私どもとしましては、天然ガスの導入、あるいは風力でありますとか太陽光発電さらには燃料電池の導入、こういった新しいエネルギーにやはり大胆に発想を転換して取り組んでいく必要があると私は思っています。

 風力に関しましては、まだエネルギー全体に占める割合というのは大変少ないものでございます。しかし、まだまだドイツ等に比べてはその進捗状況は遅い、こういう御指摘もありますけれども、二〇一〇年までにはそれを三倍以上にしていこう、あるいはもっとインセンティブを与えてやっていかなきゃいけない、こういうことで取り組んでおります。

 私は、エネルギーを担当する大臣として、先生の御指摘、特に、役人がどちらかというと保守的で今持っている殻から出たがらない、そういう風潮はある意味ではあるかと思います。そういう中で政治サイドの大臣として、そういうことに対しては御指摘のように大胆にチャレンジをしていかなきゃいけない、そういう意味でも問題意識を持ってこれから力強くやらせていただきたい、このように思っています。

田中(慶)委員 大臣も政治家でありますから、ぜひ思い切った政治主導でやっていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 特に、昨日ですか、オゾン層の拡大が指摘をされました。確かにフロンということがありますけれども、その因果関係はむしろエネルギー問題にあると思います。冷暖房の問題を含めてであります。自動車もその一つでしょう。また、これらの問題は、石油エネルギー等の問題、あるいはまた自動車についてもガソリンの問題等々あるわけであります。

 今回の法案では、このような問題についてどのように検討されてきたのか。私は、表裏一体であろうと思っているから申し上げているわけであります。大臣の答弁をお願いしたいと思います。

平沼国務大臣 今回御審議をいただいておりますこの法案は、石油及び天然ガスの安定的な供給、これを確保するための法案でございます。

 今御指摘のオゾンホールの拡大でございますとか、CO2排出を伴う化石燃料が起因している地球温暖化、そしてまた今非常に大きな問題となっております大気の汚染、こういった問題に対してこの法案というのは直接に対応するものではないと思っております。しかし、例えば天然ガスの安定的な供給を確保するということは、石油に比べて天然ガスというのはCO2の排出量も少ないわけでございますから、これを安定的に、拡大的にやっていけば、今言った問題にも大いに資する、そういうことにもつながっていくと思います。

 また、本法案に含まれている石油公団法の改正では、既発見油田の資産買収等が含まれておりまして、これは今申し上げた天然ガスにも活用できる制度となっておりますので、石油からよりCO2の排出が少ない天然ガスへのシフトの一助となるということで、間接的に今言った目的に沿うものだ、このように思っております。

 また、地球温暖化問題につきましては、これは田中先生よく御承知のように、温暖化ガスの排出量を一九九〇年度比六%の削減を目標にしているわけでありまして、近時のエネルギー需給両面における各種情勢の変化を踏まえまして、現在、総合資源エネルギー調査会において、需給両面における現行施策の評価や施策全般にわたる今後のあり方、さらには長期エネルギー需給見通しについて検討を行っております。

 また一つ大きな問題の大気の汚染につきましても、ディーゼル自動車の排出ガス低減対策に対する社会的要請が非常に強いわけでございますので、二〇〇四年までにはディーゼル自動車の燃料となる軽油の品質の規制強化を行うこととしているところでありまして、今後とも、必要に応じ大気環境改善のための燃料品質対策を講じていかなければならない。

 経済産業省といたしましても、今後とも、地球温暖化の問題や大気汚染問題等にも配慮をいたしまして、適切なエネルギー政策を構築していかなければならない、そのように思っているところでございます。

田中(慶)委員 さて、若干本題とはずれますけれども、先ほど、私どもの山田委員から重油の問題等々を含めてありました。今、大臣が答弁されたわけでありますが、軽油の問題で、石油業法において、一方においては輸入業者に対する規制解除、一方においては現在の悪質な業者に対する指導強化というものは当然やらなければいけない。

 クリーンエネルギーなり、今の大臣の答弁のように、COP3の問題等々を含めて環境問題に与える影響、そして一方においては、このような悪質業者によって軽油の脱税までやられていることについて、先ほどの答弁では、取り締まりを含めて今後検討するみたいな形で余りにも先送りをされている。むしろ、COP3の問題やらいろいろなことを含めてエネルギー全体として考えるならば、あるいはまた税制の問題も含めて、やり得みたいなことをさせないためには、やはりその辺の姿勢を明らかにする必要があるだろう、私はこのように思っております。

 先ほどの山田委員の質問に関連して、私はここで今詰めをしているわけでありますけれども、このことは先送りじゃない、はっきりとした形で、今のような姿勢の中でやるべきじゃないかと思いますが、大臣、答弁を求めます。

平沼国務大臣 午前中の山田先生との御質疑の中で、悪質業者によります非常に質の悪い軽油の問題が、一方では大気汚染を促進している、また一方では大変な脱税が行われて国庫に入るべき貴重な税収というものがここで遮断をされてしまっているということで、私は、この脱税行為に関しましては、やはりこれは総務省が担当する事項であって、それに対しては、我が経済産業省は一致協力してでき得ることは一生懸命側面的にお手伝いをして、その脱税行為を未然に防止する、また脱税が現に行われていることに対しては、総務省、警察、そういったところと協力をしてしっかりと摘発の実を上げていくことが必要だ、こういうお答えを午前中いたしました。

 先ほどの午前中の山田先生の御意見の中には、やはり経済産業省が入り口のところを受け持っているんですから、そこでのチェック機能というものをしっかり果たせ、こういうことでございました。

 それに関しまして、今まで石油業法というものを段階的に自由化を目指して解消してきた、そういう中で、ある意味での新たな規制措置をとる、こういうことにもつながることでございます。しかし、先生から御指摘のあったCOP3の地球環境の大きな問題もございますので、今御指摘をいただいたことに関しましても、私どもは、その御意見をしっかりと受けとめながら、どういった対応ができるかということも真剣に検討させていただかなければならない、そういう形でしっかりと受けとめてこれから省内でもよく検討を加えていきたい、こう思っております。

田中(慶)委員 COP3の問題は、日本が議長国であったわけですから、まさしくその役割を果たさなければいけない。それは、単なる環境省の問題だけではなく、経済産業省も、あるいは極端なことを言えば総務省も関連するでしょうけれども、あらゆる機能がマッチしてやっていかないといけないことでありますから、そういう点では、もっと具体的にその実現のためにどうするのか等々を含めて、輸入のまず入り口で、これははっきりとめます、政治家としてこのくらいの決意があってしかるべきだと思うのです。でなければ、今度のアメリカのブッシュ大統領じゃありませんけれども、あんなふうに次々にいろいろなことをやられたのでは、COP3は名ばかりになってしまう。

 議長国の日本が、税制の問題もさることながら、輸入の入り口でとめる、このくらいの強い関心を持つ。あなたは役人じゃないんですから、政治家なんですから、そのくらいのリーダーシップをとってやることが今求められていると私は思いますけれども、どうですか。

平沼国務大臣 確かに、田中先生御指摘のそういう面はあると私は思います。今御答弁をいたしましたけれども、そういうことも含めて、京都のCOP3で議長国を務めた我が国でございますから、そういう問題意識を持ちながら、省内でこの問題はどういうふうに対処すればいいか、前向きに、積極的に検討をしなければならない、私はそういうふうに思っています。

田中(慶)委員 いずれにしても、大臣のリーダーシップをしっかりと求めます。期待をしております。

 さて、大臣もおわかりのように、省庁再編成をされました。そういう中で、石油公団という、今までの石油を中心とするプロジェクトあるいはポジションから、石油・天然ガス課というものができたわけであります。こういうことについては、私は評価をするわけであります。しかし一方において、先ほど申し上げたように、石油は二十世紀の文化である、二十一世紀は石油及び天然ガスがエネルギーとしての役割を果たさなければいけない。私は、この審議に当たって、石油公団の名前の変更を修正として求めてきたわけであります。その考え方やあるいは皆さん方のやっていること、まさしくそのとおりなんですけれども、役人さんは、いざ文章を変えるということになると、非常に抵抗を持っている。だから、政治主導でやりなさい、官主導じゃない、政治主導でやることが二十一世紀の政治である、こんなことを繰り返し申し上げてきたわけであります。

 大臣はこのことについてどのように評価をし、あなた自身はどう考えているのか、明確に答えてください。

平沼国務大臣 石油を主要なエネルギー源といたしまして、そのほとんどを輸入に依存している我が国においては、今まで御議論が出たわけでありますけれども、天然ガスや原子力等の石油代替エネルギーの開発導入は極めて重要な課題だと思っています。また、我が国といたしましては、過去の石油危機の経験を踏まえまして、これまで石油依存度の低減に努めてきたところであります。この経緯はある意味では私以上に田中先生がよく御承知だと思いますので、細かい数字は省かせていただきたいと思います。

 天然ガスにつきましては、インドネシア、オーストラリア、サハリンあるいはアジア太平洋地域に相当の埋蔵量があるわけでございまして、その導入というのは、石油依存度のみならず中東依存度からも脱却をする、そういう意味で非常に重要なテーマだ、このように思わせていただいています。また、これも釈迦に説法で恐縮ですけれども、他の化石燃料に比べてCO2の排出割合が非常に低い。そういう意味では、COP3でうたわれております地球環境への対応の面でも非常にいいエネルギーだ、こういうふうに思っています。

 このような観点から、総合資源エネルギー調査会天然ガス小委員会におきまして、今後の天然ガス利用拡大のための具体的な取り組みを議論をしているところでございまして、経済産業省といたしましては、石油公団による自主開発事業の支援、そして天然ガス利用技術の開発促進等を通じまして、今後とも天然ガスの開発及び導入の促進に力を入れてまいる所存です。そういうことで、今御評価をいただきました資源エネルギー庁の課の名前も、そういう形で対応をさせていただきました。

 そこで、さらに石油公団においても名前を変えろ、こういうお話でございますけれども、これは重要な検討課題だと思っておりまして、これはやはりそういう流れの中では真剣に考えるべき課題である、このように私は受けとめさせていただいています。

田中(慶)委員 大臣、やはり何でもタイミングの問題ですよね。二十世紀から二十一世紀になって初めての議会であります。そして、あなたも言っている、役所も言っている、審議会も言っている、これから天然ガスを初めとするクリーンエネルギーに移行すると。が、しかし、石油公団というネーミングを変えることは非常に抵抗している。

 大臣は、今後検討課題、前向きにということでありますが、そうじゃない。こういうものはすっぱりとやればいいんですよ、はっきり申し上げて。ところが、あなたも政治家ですけれども、理解をしながらも、役人が後ろについているものですから、なかなかそのことに踏み切れない。これでは政治はよくなりませんよね。

 自民党さん、これから総裁選挙で、二十世紀、もうこれで終わりにして、二十一世紀、新たなスタートを切るようでありますけれども、このしがらみを切っていかない限り、政治も経済も行政もよくならない、私はそう思っている。

 大臣、あなたは、一時は総理候補にも名前が挙がった人なんです。そのくらいの決意とリーダーシップで、名前を変えるぐらい、あなただったらできるものをなぜやらないんですか。今後の検討課題ということでありますけれども、このエネルギー問題というのはすべてに影響するんです。先ほど言った、少なくてもオゾン層の問題、あるいは世界環境の問題で、COP3等々を含めて時代がそういうふうに変わってきているにもかかわらず、しがらみを切らなければ、一向に政治はよくならないし、行政もよくならないと思う。

 大臣、もう一度決意のほどをお伺いします。

平沼国務大臣 先ほど御答弁をいたしましたように、石油公団の名前もやはり変えていく、そういう時代の流れの中にあると思います。そういう中で、私どもとしては、今の田中先生の御指摘も政治家として踏まえさせていただきまして、最重要課題として検討させていただいて、なるべく早い時期に実現をする、こういう形で私どもは努力をさせていただきたい、このように思っています。

田中(慶)委員 さて、石油公団の業務がさらに拡大することになったわけでありますけれども、この石油公団のあり方について、先ほども私どもの北橋委員から御指摘をさせていただきました。その業務の評価というものが、内部の評価であってはいけないと私は思うんです。

 今、省庁再編の一環として、地方自治体税制の外部監査が導入されつつある中、私は特殊法人の評価についてこそ第三者機関に任せるべきだと考えます。まして、これから業務拡大をする、そしてエネルギーという一つの大きなものを担うわけであります。

 そのことについても私は、今回の法案の修正の一項目として取り組んできたわけでありますけれども、これについても皆さん方は認めながらも、が、しかしというものがまたついてきている。これはどういうわけか、大臣の答弁を願いたいと思います。

平沼国務大臣 第三者機関で、やはり開かれた時代、こういう観点からそういう手法を取り入れたらどうか、こういう御指摘であります。

 先ほどの質疑の中でも私は答弁をさせていただきましたけれども、現在、石油公団におきましては、北橋先生の御質問に対しての答弁と同じになると思いますけれども、中立的な外部有識者から成る経営諮問会議がありまして、石油公団の開発事業でございますとか備蓄事業の活動について評価をしていただいて、そして、石油公団の事業運営、管理のあり方について、ここから意見を承っております。

 これも田中先生御承知のように、この経営諮問会議のメンバーというのは公正な専門家集団でございまして、非常にある意味では公正、そして開かれた、そして中立的な立場で物事を判断する方々、この方々にお願いをしている、これが第一点ございます。

 これに加えて、探鉱投融資プロジェクトの新規採択に当たっては、これも重要な問題でございますので、石油公団において、経営諮問会議に毎年の採択方針を諮る、そして、その場合事前に経済産業大臣の承認を得る、ここで私どももしっかりとチェックをする。また、経済産業省は、採択方針を総合エネルギー調査会に付議いたしまして、そして採択案件を報告して、そこでもう一度しっかりとフィルターにかける、こういう手だてをやっております。

 また、資産買収、この案件に関しましても、その審査に当たっても、今申し上げたようなルール、これを適用して厳正にプロジェクトの審査を行ってまいる。

 また、石油公団では、出融資先企業の上場企業並みの情報開示でございますとか、連結決算の実施、さらには長期債務見通しの公表等、今情報開示の時代でございますから、情報公開を広く行うことといたしておりまして、これらを通じて国民全体の評価を受けているところでございます。

 また、外部の中立的な専門家から成る石油開発事業委員会において御提言をいただいた石油公団の業務改善については、ほとんどすべての事項を着実に実施している、こういうことがございます。

 そこで、第三者の、もう一つ外部でそういうチェック機能をつくる、こういうことでございますけれども、私どもの判断としては、今るる申し上げたそういう体制の中でちゃんと機能して担保されている、こういうふうに思っておるところです。

田中(慶)委員 大臣、あなたも役人の皆さん方に丸め込まれているんですよ。これは特殊法人ですよ。特殊法人は、詰めていってごらんなさい、情報公開の対象になっておりません。来年、再来年になって情報公開します。これが現実なんですよ。だから私たちは第三者機関を置きなさいと言っているわけですよ。そうでしょう。

 そればかりじゃありません。例えば、先ほども議題になっておりますけれども、今の石油公団のそれぞれの系列の企業といいますかグループ企業、見てください。経営状態が全くいいかげんですよ。つくって、赤字だとつぶして不透明にする。これが現実なんですよ。

 だから、私どもはこの問題についても、今後将来にわたって健全な経営をさせるために、リスクは大きいかもわからないけれども、三年ぐらいで、わかりにくいあるいはまた中途半端なものは整理しなさい、このように申し上げているわけです。

 ですから、その判断をするにしても、内部の委員会ではなかなか重い腰は上がらぬ、だから第三者機関をつくってそのことを明確に判断するように。従来のしがらみですから。そうなんですよ。なかなかこの決断はできませんよ。大臣、どう思いますか。

平沼国務大臣 そういう御指摘の点も確かにあると思います。

 しかし、今私が御答弁でるる申し上げましたように、いろいろなチェック機能も設け、また経済産業大臣もそこに関与をしながら、そして国民の皆様方に対して迷惑がかからない、そして不信感を抱かれない、そういった体制を構築していく、こういうことでございます。私も、確かにそういう御指摘の点はある面ではある、こういうふうに思っておりますけれども、今の体制の中で、担当大臣として厳正に、厳重にやって、そして国民の皆様方の御負託におこたえをしていかなきゃいかぬ、このように思っています。

田中(慶)委員 確かに、制度上、大臣は関与されます。しかし、こんなことを大臣に言っては酷かもわかりませんが、あなたは永久にここの大臣を務めているわけじゃないし、また将来は、逆にもっと日本をリードする立場になってもらわなきゃいけない人かもわからぬ。そういうところで関与するといったって、関与できないんですよ。

 では、責任はだれがとるんですか。役人は責任を一人もとりませんよ。大臣も二年、三年でころころかわって、膨大な資金供与をしながら、日本のエネルギー問題を考えたときに、今はその責任をだれ一人としてとれない仕組みになっているんです。

 だから私は申し上げているんです。第三者機関でそういう点で評価をして、そのことを含めてやるべきじゃないかということを申し上げておるわけです。

 大臣、もう一度、しつこいようですけれども、このことに答弁願いたいと思います。

平沼国務大臣 私もしつこいようでございますけれども、御指摘の点はよくわかります。

 そういう中で、確かに今大臣の任期というのは非常に短いわけでございますけれども、しかし大臣が、私がやめても後はいないということじゃございませんで、やはりしっかりと継承する、引き続き担当する大臣がいるわけであります。私は、しっかりとその引き継ぎを行いながら、今御指摘の点は確かに存在している問題でありますから、そういった問題を本当に繰り返さないためにも、また国民の皆様方に不信感を抱かれないためにも、やはりしっかりとやっていかなきゃいけない、このように思っているわけであります。第三者機関ということも含めてこれから検討はしていかなければならない、こういうふうに思っています。

田中(慶)委員 大臣、政治家はやはり先を見越した形でやっていかなきゃいけないし、まして今いろいろな問題が公団含みであるわけですから、それをクリーンにするために、あなたの先輩であるかつての堀内大臣もここにメスを入れました。そして、やっと今少しずつよくなってきている。ですから、ああ、平沼大臣はあそこにこういう思い切った政策を打ち出したなと言われるくらい、過去の歴史にちゃんと名前が残るようにしておいていただきたい。

 そこで、今度の法案も、この見直しが五年ということであったわけです。五年という期日は、少なくても今の二十一世紀、ITの時代と言われ、規制緩和やスピードが求められる、世界じゅうがめちゃくちゃに変わるときには長過ぎるということで、三年という形で修正に応じていただきました。高く評価をしておりますけれども、やはり三年、しっかりと見直し、あるいは、スピードがある時代なんですから、あらゆる点をそのことを含めて見直し、指摘をさせていただいたような問題について、やはり今から取り組んでいかなければいけないと私は思っております。

 特に、公団及び公団の関連、天下りがすごく多いですよね、はっきり申し上げて。現実に、十一人のそれぞれ役職者も本庁からの天下りであります。あるいはまた、それぞれのところで、管理職程度のことになりますともっと多い。やはりこの際天下りというものは、抜本的に見直しをする必要があるだろう。これは新しい時代への取り組みだと私は思います。

 まして、民間企業ならば、系列企業に行ったときに、上限は親企業と同じぐらいなんですが、今天下りなり特殊法人は逆に優遇されるんですよね。これが今の日本の仕組みであります。我々がいろいろなことを申し上げてまいりましたから、そういう点では若干待遇も変わったようでありますが、一時は年間五千万ですよ、年俸。今は下がりました。石油公団の総裁は、そのくらいちょうだいしていたんです。今の金額でもまだ私は多いと思う。

 やはり、もう少しこの辺についても大臣はメスを入れる必要があるのではないかなと思いますが、いかがでしょう。

平沼国務大臣 石油開発事業におきましては、産油国政府等との友好関係の構築でございますとか利権交渉、こういったさまざまな課題に取り組むことが不可欠でございまして、組織運営、業務管理に関する幅広い経験、そしてエネルギー分野における識見が必要と考えています。

 石油公団や石油公団の出融資先、その開発会社に当省の出身者が就職しているのは事実でございます。これは、各機関の事業の性格に照らしまして、個人としての経験、能力等に基づきまして、適材適所で人材が配置されていると認識しています。

 なお、石油開発会社等を初め営利企業への再就職は、行政の中立性等を損なうことのないように、国家公務員法上の厳正な規制のもとに行われているところであり、今後ともこれらのルールを守っていかなければならないと思っています。

 これは田中先生も御承知だと思いますが、十三年の一月一日現在で、我が省からは、石油公団には三名の役員、またその他関係会社等には、六社に九人が天下っているわけでございます。ほかの省庁を入れますと十二名、こういう形でございます。やはり今のこういう経済情勢の中、また、国民の皆様方のある意味での批判がある中、私どもはこういったことに対しては厳正に対処していかなければならないと思っています。

 ただ、冒頭申し上げましたように、非常に専門性を要する職種でございまして、そういう意味ではやはり適材適所という面もございますので、今御指摘の点は重く受けとめさせていただいて、そして厳正に対処をしていかなければならない、私はこのように思っています。

田中(慶)委員 大臣も、少なくともそう違った認識ではないと思います。ただ、いいですか、専門職、適材適所、それはもう一度見直ししてください。私は、現場をちゃんと確認して、いろいろなことをリサーチしましたから。いなくてもいいと言う人もいましたよ。それが適材適所ですか。そうじゃないと思いますよ。ここにはどういう人間を、何年かたつとまた次のポスト、このシステムはやめましょうよ、はっきり申し上げて。これをやらない限り、この石油公団の名前も変わらぬでしょうね、はっきり申し上げて。

 民間を見てください。どれだけリストラして、どういうことをしているか。納税者がしっかりして、そういうことに取り組んでいる。消費者がしっかりそれをちゃんと受けとめているにもかかわらず、官だけがそのことに甘んじている時代ではないと私は思うのです。

 大臣は今のような問題等についてやはりもう一度チェックしてみてください、私が言っていることが間違いないということがよくわかると思いますから。大臣のお考え方について。

平沼国務大臣 私も、公団等に関しては、今までもいろいろ私なりにはチェックをいたしました。そういう形で、御指摘がございますから、さらによくチェックをしてみようと思っています。

 やはりこの天下りをなくすという問題というものにはもう一つの側面がございまして、役人の就業体系というもののサイクルがございます。ですから、そういう大きな枠の中の見直しもある面ではしていかないと抜本的な解決にはならない、そういうことも含めて私どもは今取り組む時期に来ている、こういう認識を持っております。

田中(慶)委員 それは、私ども民主党がこれから政権を担うようになりましたら、そのことを明確にしております。今までのピラミッド形の人事であっては、そのようなことがいつまでも続くわけでありますから、円筒形の人事構成を考えて、やはり将来とも、そこで十分それぞれの能力を発揮してもらえるようなシステムをつくり、まして外郭団体、特殊法人、認可法人は基本的にはもうゼロにする。ですから、今度の問題も、ゼロかエネルギーか、こんな議論をしてきたんです。でも、最終的に日本のエネルギー政策にしようということで、この問題について取り組んできたわけであります。

 あと二つほど質問したいわけですが、時間の関係もあるので、大臣には簡潔に答弁いただきたいのです。

 日本のエネルギーあるいは備蓄に対する国家目標というものが薄れている、ある面ではない。石油はどれだけ、原子力エネルギーはどれだけ、あるいはまた天然ガスやその他風力を含めて、国家目標というものを明確にもっとやるべきだと思うのです、はっきり申し上げて。そうすると、今までの議論の問題が、当然のごとく、三年なのか五年なのか十年になるのか、こういう点で明確にされるわけですけれども、部分的には、環境問題ではどうするとかという問題があるんですけれども、総合的な国家目標というものが今ないんですよね。そのことを大臣はどうお考えですか。簡潔に答えてください。

平沼国務大臣 当委員会でもたびたび、そういう国家目標に関して日本は明確ではない、例えば米国などは非常に国家戦略にたけた国で、その辺はしっかりしているじゃないか、こういう御指摘があります。確かに、そういう米国に比べては、私どもとしては、エネルギーに対しての国家目標は劣っている、こういうことはある意味では言えると思います。しかし、田中先生御指摘のように、やはり国家のそういうエネルギーは非常に大切でございますから、しっかりとした長期計画、こういうものを立てていかなければならないと思っています。

 ただ、何もしていないというわけではございませんで、今お話がありましたCOP3、この合意を踏まえまして、長期エネルギー需給見通しも策定をいたしたところでございますし、また、近時のエネルギーの需給両面における各種の情勢の変化を踏まえまして、総合資源エネルギー調査会におきましても、各種施策や新たな長期エネルギー需給見通しについての検討を行っておりまして、これは、二〇一〇年度におけるエネルギーの需給像を基準ケースといたしまして、いろいろ策定をしています。

 そういうものを骨子として、そして御指摘の点は非常に必要なことですから、やはり国の長期にわたるしっかりとしたエネルギー政策、そして国の目標、こういうものをクリアにしていく、こういうことで私どもは努力をしていきたいと思います。

田中(慶)委員 エネルギーはある面では安全保障みたいなものですから、やはりしっかりとその辺をやっていただきたい、このように思っております。

 最後の質問になりますけれども、これはまたローカルの問題で若干質問させていただきたいんです。

 実は最近、LPガスの問題で、それぞれの地域でいろいろな紛争が起きております。そして、このLPガスは、それを業としている人たちは中小零細企業が多いわけですが、大企業が参入していろいろな問題を強引にやってきている。なおかつ、LPガスそのものは安全であるということが一番大切でありまして、そのエネルギーが今、大手がいろいろな形で中小零細のエリアを侵食している等々を含めて、地域での紛争があるわけであります。そういう中で、先般も、このLPガス、特に首都圏が多いわけですけれども、埼玉で、河原実業というところとトータルエネルギー、トーカイというところが不祥事を起こして警察ざたになったり、いろいろなことをしている。

 そういう中で、訪問販売法の指定にする動きが政府にあると言われておりますが、石油や石炭製品、木炭、生鮮食料品等を含めて、エネルギー問題はこの訪販法の対象じゃない、こういうふうになっているわけであります。特に、安全やいろいろなことを含めて検討しなければいけないわけでありますけれども、その政府のコメントの中に訪問販売法の指定の動きがあるような報道をされておりますけれども、これはいかがでございましょう。

平沼国務大臣 今、田中先生御指摘のように、特に首都圏におきまして顧客の獲得、契約の切りかえ、その競争が激化しておりまして、LPガス販売事業者間または販売事業者と消費者との間でトラブルが増加をしております。

 このため、経済産業省といたしましても、LPガスの適正な取引を確保し、消費者がトラブルに巻き込まれることを回避することが必要である、このような認識に立ちまして、LPガス協会、業界ですね、それから行政、都県自治体、消費者代表とともにLPガスの流通問題に関する連絡会を設けまして、これら顧客獲得競争に伴う実態把握及びその解決に向けた対応等について検討を行っているところでございます。こういったことをしっかりやって、こういうトラブルが起きないように努力をしていかなければいけない、このように思っています。

田中(慶)委員 私が申し上げたのは、そういう形で努力をしておりますけれども、反面において、訪問販売法の指定にする動きが政府の中にあるということが報道されておりますので、私は、今の大臣の説明からするとこの新聞報道は誤りじゃないか、こんなふうに思っておりますので質問しているわけです。

平沼国務大臣 消費者の中には、供給契約が長期にわたる、契約に当たって情報不足であったり販売業者の不実告知もあり得ることから、訪問販売法のクーリングオフを求める、そういう声があることは承知いたしております。

 経済産業省といたしましては、LPガス取引をめぐるトラブルについては、LPガス取引の適正化のためのルールを定めた、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の着実な実施によることが適当と考えておりまして、さらには、本年四月から消費者契約法が施行されること、そして無断撤去禁止の省令改正を行うことによって消費者利益を確保する、そういうことが可能である、このように判断をしておりまして、当面はLPガスを指定商品とすることは考えておりません。ですから、今申し上げたような範囲の中でしっかり対処していく、こういうことで対処してまいります。

田中(慶)委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 達増拓也君。

達増委員 今回提案されています石油業法の廃止、これは、今までの一連の石油業界に関する規制改革について一区切りつけるものだと思います。八〇年代の後半から九〇年代の前半にかけていろいろな規制緩和措置がとられてきたわけでありますけれども、九六年の三月の特石法の廃止によって規制改革が加速しているわけであります。この一連の石油業に関する規制改革の趣旨について、まず確認させていただきたいと思います。

 これは、激しい競争にさらすことで、それまで脆弱だった石油業界の体質を改善することにある、それが一連の規制改革の趣旨という認識でよろしいでしょうか。

平沼国務大臣 これまで、我が国の経済社会活動の基盤である石油の安定供給を確保するために、石油業法に基づく精製業の許可制等の需給調整規制を実施してきたところでございます。こうした規制については徐々に緩和してきておりまして、今御指摘のとおりでありますが、今般の石油業法の廃止も、これまで行ってきた規制緩和、自由化の総仕上げだ、このように思っています。

 このような規制緩和の趣旨については、達増委員御指摘のように、安定供給を担う我が国石油産業の一層の効率化を促しまして、強靱な石油産業の形成を図ることにあります。規制緩和を契機に、一層の構造改革に向けた石油企業の創意工夫や迅速な意思決定が促されまして、国際的な競争の中で石油の安定供給を担う強靱な石油産業が形成されていく、このことに期待を込めているわけであります。

達増委員 今回の石油業法廃止の審議に当たっては、今までの一連の規制改革が、その強靱な石油産業の形成という目的を達成するのに今どこまで来ているのか、これからどれだけさらに進んでいかなければならないのか、そういうことを今評価しておく必要があると考えます。

 一連の自由化の流れの中で、我が国の石油業界は、いわゆる四グループ体制、既存の大手企業が合併あるいは提携、結びつきを図ることによりまして四グループに収れんされてきている、そういう情勢になってきているわけでありますけれども、この石油業界の再編の現状についてどのように評価いたしますでしょうか。

中山副大臣 お答えいたします。

 我が国石油産業は、特に石油製品が輸入自由化されました平成八年以降、従来にない厳しい経営環境に直面しておるところでございます。このような状況に対応すべく、石油産業は、経営基盤の強化を図るために、各社ごとのコスト削減努力に加えまして、企業の枠組みを超えた合併あるいは提携による再編集約によっていわゆる四つのグループ化を図っているものと認識しております。

 経済産業省といたしましては、こうした動きにつきまして、石油の安定供給を担う強靱な石油産業の形成の観点から、望ましいものと考えておるところでございます。

 今般の法律におきましても、これまでの累次にわたる規制緩和、自由化の総仕上げといたしまして石油業法を廃止することとしておりますが、これを契機として、一層の構造改革に向けた企業の創意工夫や迅速な意思決定が促され、国際的な競争の中で石油の安定供給を担う強靱な石油産業の形成が図られることを期待するとともに、経済産業省としては、自由化後も引き続き、石油産業の構造改革に向けた取り組みを支援していきたい、このように考えておるところでございます。

達増委員 政府の規制のもとで産業界が保護されて、その規制の枠の中で小さい幾つかの企業が激しく競争していくという形は、石油業界のみではなくて、日本のいろいろな業界で共通する一つのパターンであったと思います、自動車業界ですとかあるいは金融業界ですとか。

 中の競争がうまくいっているうちはいいのですけれども、特に外国との競争にさらされた場合、外国の巨大な企業に比べると、国内のそうした規制の枠の中で競争していた企業というのは一つ一つの体力がどうしても弱くて、国際的な競争についていけなくなる嫌いがあった。石油業界についても、まず、再編がそれなりのスピードで進んでいるという点は評価できると思いますけれども、国際的な競争力という意味ではまだまだ課題が多いと思いますので、そこのところは適切な行政を希望したいと思います。

 さて、石油小売業界について質問したいと思います。

 小売業界の方でも激しい淘汰、再編が進んでおりまして、西暦二〇〇〇年の三月末の数字を挙げますと、小売店、販売店は約十万、そのうちサービスステーション、ガソリンスタンドは約五万五千という数になってきている、そういう現状であります。この石油小売業界の淘汰、再編の現状についてどのように評価するか、伺いたいと思います。

平沼国務大臣 平成八年の特石法廃止による輸入自由化等に伴うガソリン価格の大幅低下などによって、例えば、平成六年一月にはレギュラーガソリンで百二十二円、これが本年三月には百四円、こういうような形になっておりまして、全国のガソリンスタンド数も、今、達増先生御指摘のように、平成六年度末の六万軒をピークに減少傾向で推移をしています。

 これは、達増先生が述べられたそういう背景、小売業というのはこういう自由化の中で、今までは業法で保護されていましたけれども、非常に厳しい局面になっている。ですから、私といたしましては、石油製品販売業界は厳しい経営状況にある、こういう認識を持っています。

 しかし、他方、厳しい経営環境の中におきましても、販売業界の経営効率化が顕著に進んでいることも事実でございまして、事業者によりましては、カーケアビジネスでございますとか、また一つの例では、SSの横にヘアサロンを併設して集客をしている、そういうような例もございまして、一生懸命努力をして経営の安定化、収益の向上を図っている、そういういい事例もあるわけでございます。私は、今申し上げましたように、総体的に厳しい環境でありますけれども、そういう中で一生懸命皆さん方に頑張っていただいている、こういう認識を持っております。

達増委員 厳しい環境の中で競争力がどんどん高まって価格も低下していくことは、消費者にとっていいことですし、また、燃料を使う産業全体にとってもこれは助かる話であります。

 しかし、そういった自由化、規制の改革が進んでいくに当たっては、無理が生じてはいけないということにも意を配らなければならないと思います。教科書どおりの理想的な自由市場経済というのはあり得ないわけでありまして、情報の偏りですとかさまざまな、全知全能ならざる人間が行う経済活動でありますから、特にこのような変化の時期に当たっては、かなりきめ細かく市場の動向を見て、いわば思いやりのある市場経済という言葉がいいと思うのですけれども、スイッチ一つぽんと押して、後はもうお任せというような市場ではなく、きちんといくかどうかをきめ細かく見ていく必要があると思うのです。

 その中で、ヘアサロンの併設のような劇的な成功例もあるわけでありますが、いろいろと現場の話を聞いてみますと、かなり混乱あるいは混迷も生じているということがあると思います。

 価格がどんどん低下していって、もう小売店にとっては値崩れという事態にまで至っているという声を聞きました。一リットル当たり十円しか収益がない。私の地元の岩手県で聞いてきた話でありますけれども、岩手県のSSは、平均すると一軒当たり一カ月に百キロリットル、ガソリンと軽油を合わせて売り上げがある。一リットル十円で百キロリットルですから、月百万円の収益で、一軒当たり大体四、五人、人を雇うそうですから、もう人件費をやっと払えるか払えないかぐらいしか入ってこないということです。

 そういう激しい競争の中で元売は、ともすれば量で稼ぐ薄利多売を強制してきて、その小売店にしわ寄せが来るという体質になってしまう。また、系列の小売店に一定の価格で卸していて、一方で在庫がだぶついてくると、系列の小売店に卸すよりも、安いお金で新規参入してきたところに卸してしまう、そういう現場での混乱、値崩れ、そういった事態が大分発生しているということであります。

 また、経営の多角化、私もアメリカのガソリンスタンドをたくさん見たことがあって、コーヒーショップですとかコンビニですとか、そういうものが大体併設されているのですけれども、日本の場合、面積が狭いですから、既存の設備にガソリン、軽油、そういうスタンドの本来機能以外のものを広げる余地が余りない。しかしながら、ガソリン、軽油等の本来の商品で売っていくだけでは経営が成り立たない、いわばもう兼業農家、それも第二種兼業農家、本来の仕事だけでは食べていけないようなそういう状態になっている。

 また、経済情勢が今のようなありさまですので、転職ですとか転業とか、こういったこともなかなかチャンスをつかみかねて、ただただ無理な経営に苦しんで展望がないような状態になっている、こういう声を聞きます。

 この点について、政府としてどのように対応していくか、伺いたいと思います。

平沼国務大臣 厳しい経営環境に置かれている石油製品販売業界につきまして、公正な条件のもとで競争ができる環境の確保に努めること、販売業界による構造改善のための取り組みを支援していくこと、この二つの方向が重要だ、このように認識しております。

 このうち、公正な競争環境の整備につきましては、不当廉売案件処理の迅速化のための臨時の措置といたしまして、公正取引委員会に対して当省の職員を平成十年から派遣開始をいたしまして、現在併任を含めて九名がこれに従事いたしております。差別対価についての判断基準の作成及び公表を公正取引委員会に働きかけるといった措置もあわせて講じているところであります。

 また、販売業の構造改善の取り組みに対する支援につきましては、石油製品販売業者が事業の多角化や転換を図るためのセミナーの開催、あるいは消費者ニーズの調査に対する補助、事業者が事業多角化を行うために必要な設備資金の借り入れに対する利子補給、ガソリンスタンド施設の撤去に必要な費用の補助等、平成十三年度予算において総額二百十億、しかし、これは撤去費用というものが大宗を占めるというような状況でございますけれども、そういう支援策を決定いたしておりまして、さらにそういった取り組みを着実に実行していかなければならない、このように思っております。経済産業省といたしましても、引き続き石油製品販売業の支援に力を尽くしてまいりたいと思っております。

    〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕

達増委員 努力した人がそれだけ報われる、きちんとした経営努力というものが実を結ぶような形での自由化、規制改革を希望したいと思います。

 さて、次に、いわゆる上流部門、開発の分野について質問をしたいと思います。

 開発の分野について、これまた企業の過多過小、多過ぎるし、小さ過ぎる、そういう体質が、これは精製から元売の方の業界が大きな再編統合の過程にあるのと比べて、まだまだ体質が改まっていないと思います。業界の構造が今後どのように進展していくのが望ましいと考えているのか、政府に伺いたいと思います。

中山副大臣 現在、我が国におきましては、石油開発を行っている主要な会社が約二十社ございます。現在、世界的に石油開発会社の合併等大規模な再編が進む中で、我が国の民間企業にも統合あるいは提携による競争力強化を目指す動きもありまして、政府としては望ましいものと考えております。

 今後、石油の安定供給を効率的に達成するためには、経済性を重視しつつ、自律的に石油開発事業の維持拡大を行うことができる中核的な企業グループが形成されることが重要である、このように考えております。その際には、石油産業の上流のみならず、精製・元売企業、さらには石油産業以外の電力・ガス企業等の、業種を超えたエネルギー企業間の連携促進を視野に入れていきたい、このように考えております。

 このため、経済産業省といたしましては、今後、本法案で提案しております既発見油田の資産買収への石油公団の出資による支援や、石油公団が保有します石油開発会社の株式売却等によりまして、このような中核的企業グループの形成に努めてまいりたい、このように考えております。

達増委員 上流部門というのは、うまくやれば非常に大きい収益を得ることができて、メジャーですとか、あるいは欧州のナショナル・フラッグ・カンパニー、そういったところは上流で稼いで、その分で下流の方を補っていく、そういう体質になっているわけでありまして、日本がそうなっていないというのが一つ大きな問題であると思います。日本のそういう上流の弱さを克服していくことが、石油業界全体の強靱さを獲得するために非常に重要だと思います。

 その点、今回の法改正で、石油公団の役割を広げて、上流部門についてさらに大きな役割を果たしていこうということなんでありますけれども、果たして民間企業と協力しながら石油公団がこの上流部門の発展をやっていけるのかどうか。その石油公団の経営の体質については、なかなか抜本的な改善が見られないということもありますけれども、この点、どのように考えているでしょうか。

中山副大臣 石油開発事業は、民間企業の自主性と責任を原則として、石油公団はそうした民間企業の取り組みを後押しするような形で出融資等による支援を行っているところでございます。

 また、産油国等の関係では、政府も積極的な役割を果たしておりまして、特に、昨年十一月のイランのハタミ大統領訪日の際に、平沼大臣とザンギャネ石油大臣との間で、日本企業がイランのアザデガン油田の優先交渉権を得ること等について合意するに至りました。また、カスピ海での大油田の開発に日本企業が参加するなど、官民一体となって成果が得られているところでございます。

 今後とも、我が国企業が優良な資産を獲得し、石油、天然ガス開発事業が国際的な競争力を持ち、国際市場に十分通用するような経営基盤を築いていけるように、石油公団の有します支援制度、人的資源などを効率的そして効果的に活用いたしまして、各企業の戦略を十分に把握した上で、石油公団はプロジェクトの組成段階から企業と協力して取り組む体制を整備いたしまして、迅速かつ実践的な支援を行ってまいりたい。また、政府としても、産油国との関係強化に積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。

達増委員 今御答弁の中で、民間の自主性を重んじつつ、石油公団がそれをサポートしていく体制でやっていきたいということでありましたけれども、現状では、民間企業というのが、国際的に見てなかなか強靱さの点において足りない、国際競争力について劣る。また、この上流部門の開発、採掘、買収については、今の日本のそういう弱い民間に任せっ放しではやはり難しいところだと思うんですね。

 石油公団という特殊法人は、やはり民間主導でそれをサポートする、どうしてもそういう位置づけになってしまうと思うんですけれども、この際、もっと国家的なプロジェクトという発想で、政府が、経済産業大臣の強いリーダーシップのもとに、開発戦略を立てて取り組んでいく必要があるのではないかと思うわけであります。

 現状のスキームですと、どうしても特殊法人としての石油公団の事業はルーチン化して、たくさんある個別のプロジェクト、それも小さいものがたくさん出てくる、そのプロジェクト一つ一つを法律やルールに基づいて事務的に処理していくということで手いっぱいになる、地球全体を眺めながら、ある程度期間限定、そこにお金の力とそして官民が持っているさまざまな知見ですとか経験ですとか、そういう力を結集して注ぎ込んでいくというような戦略的なアプローチが必要ではないかと思うんですね。

 ぜひ、経済産業大臣、与党の関係議員を背景として、そういう政治主導で、やはり役所任せにしておくわけにはいかない問題だと思います。まして特殊法人任せにするわけにもいかない。やはり、政府・与党の中の政治的な力を結集して、作戦を立てて、経済産業大臣のリーダーシップのもと、一種参謀本部のようなものを設けて、そこを中心に戦略的に取り組んでいくことが必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 非常に、ある意味で重要な御指摘だ、このように受けとめております。

 石油開発の投融資プロジェクトの新規採択に当たっては、石油公団において、経営諮問会議に毎年の採択方針を諮るとともに、事前に経済産業大臣の承認を得ること、こういうふうにいたしております。これは、ある意味では、私が大臣を担当させていただいておりますけれども、経済産業省が責任を持って判断を下す、こういうことを明確にするものでございます。また、経済産業省は、採択方針を経済産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会に付議するとともに、採択案件を報告することといたしております。

 石油開発プロジェクトの遂行というのは民間企業が行い、政府はそれを支援する立場でありますが、昨年のイランの例に見ますように、私が向こうのザンギャネという石油担当大臣とじかに交渉いたしまして、そして経済産業省の大臣室で調印をする。その中に、やはり民間を主体としたそういう方々がそのプロジェクトに入って、そして優先交渉権を持って、ことしの六月までにぴちっとした姿を描く、こういうことも一つございます。

 こういう成功例もございますから、御指摘の点、非常に重要だと思っておりますので、そういうことを踏まえて今後やっていくことが非常に必要だ、このように思っています。

達増委員 開発の部分は、採掘権の問題、外交関係など、民間の市場経済の論理だけで動かないところもあるわけで、答弁にあったように、成功例もあるわけですから、いい意味での政治主導、個別の案件の、族議員的なそういう政治家主導という意味ではなく、本当に国全体のことを考えた、戦略的な力と意思の統一という作業を政治家がトップに立って行うという意味での政治主導をぜひぜひやっていただきたいと思います。

 次に、備蓄について伺います。

 石油の備蓄について、今回の法改正の中で、また新しいスキームができるわけであります。今我が国は民間備蓄と国家備蓄の二本立てになっているのでありますが、アメリカなど、国によっては民間備蓄なしで国家備蓄だけでやっている国もあります。やはり民間企業の負担を軽減させていく必要があるという観点からは、民間備蓄から国家備蓄の方に重点を移していく必要があると思うんですけれども、この点いかがでしょうか。

中山副大臣 国際石油市場の発達とともに、近年、石油の供給途絶等の緊急時の初期段階におきまして、市場の安定化等を目的として、国際エネルギー機関、IEAでございますが、この加盟国が協調して備蓄を放出するということの重要性が高まってきております。このような国際協調のための備蓄量をIEA加盟主要国と比較しますと、我が国の備蓄水準は、その平均を約五日分程度、五百万キロリットル程度下回っている状況にありまして、平成十一年八月の石油審議会石油部会報告におきまして、IEA加盟主要国平均を下回らないよう、五百万キロリットル積み増すことを当面の目標とすべきとの提言が行われました。

 これらを踏まえまして、平成十三年度より国家備蓄の新規積み増しに着手することとしたところでございますが、かかる状況を踏まえますと、現時点において民間の備蓄義務量を引き下げることは適当でないと考えております。

 しかし、一方におきまして、民間の石油備蓄義務というのは企業にとりまして負担となっていることは事実でございまして、平成十一年八月の石油審議会石油部会報告におきましても、将来的には民間備蓄義務の軽減の可能性について検討していくことが適当であるとされたところでございまして、これを踏まえまして今後検討していきたい、このように考えているところでございます。

    〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕

達増委員 やはり国際的な競争にさらされているわけでありますから、諸外国の制度も参考にしつつ、日本企業がハンディキャップを背負うということにならないように進めていってほしいと思います。

 さて、このように規制の改革から始まって、競争力の強化、産業の強靱性を高める、そういう措置を進めていけば、高コスト構造が是正され、価格は低下、その結果、石油の利用が増大していく、そういう傾向になるんだと思います。これは経済効率の観点からは非常に好ましいことでありますけれども、石油をめぐる議論で忘れてならないのは環境問題であります。効率性と安定供給、セキュリティーの問題、そして環境問題というこの三つの連立方程式を解いていかなければならないわけであります。

 これは非常に大きい問題ではあるんですけれども、一方で、高コスト構造の是正、競争力のある強靱な産業の育成ということを進めていきつつ、もう一方では、地球温暖化対策として、九〇年を基準としたときに、CO2排出量を六%削減していく約束もしているわけでありまして、この辺のバランスをどうとっていくのか、伺いたいと思います。

中山副大臣 高コスト構造の是正ということと環境問題、相反する面もあるわけでございます。近年、国際石油市場の発達、欧米メジャーズの再編に代表される石油産業のグローバル化が進展する中で規制緩和が進められてきたところでございますが、特に我が国におきましては、特石法廃止による石油製品の輸入自由化の前後から、ガソリン価格を中心に石油製品価格の低下が見られているところでございます。

 一方、我が国は、エネルギー安定供給の観点から、石油依存度の低減に取り組んできております。こうした取り組みの結果、石油依存度は、御承知のように、第一次オイルショックのときの七七%という水準から大幅に低下いたしまして、最近の輸入自由化後も低下傾向にございまして、九九年度では五二%になっているわけでございます。こうした中にありまして、石油の需要量はほぼ横ばいで推移してきているというのが実情でございます。

 また、エネルギーコストの低減、安定供給とともに、環境保全の要請に対応することも委員御指摘のように重要であると考えておりまして、かかる観点から、我が国といたしましては、省エネルギーに取り組みますとともに、環境負荷の相対的に小さいエネルギー源でございます新エネルギーや原子力、天然ガスの導入等を引き続き推進してまいる所存でございます。

達増委員 この環境問題について、特にCO2排出量については、産業界はかなり自主的な努力を行って、省エネ、CO2排出量の削減が進んでいるけれども、民生部門についてなかなかそういう歯どめがきかず、九〇年基準に比べてむしろふえる傾向にある、そういうデータが出ているわけですね。ですから、この点、大きい課題でありますけれども、経済効率性、セキュリティー、安定供給、そして環境問題というそれぞれに応じた政策をやはりとっていかなければならないんだと思います。そうすると、民生部門の環境対策としては、環境税のような、市場原理を活用しつつ、そのコスト意識を高めて節約を促すような政策がどうしても必要になってくると思いますが、まずきょうはその問題提起にとどめておきたいと思います。

 次に、セキュリティー、安定供給の問題についても伺います。

 国際情勢によって大きく左右される石油の供給でありますけれども、非常にはっきりわかる中長期的な傾向として、アジアにおける石油需要の増大というものがあると思います。中国が石油輸出国から輸入国になり、インドネシアも輸出国だったのが輸入国になろうとしています。アジアの経済成長率を考えれば、石油の消費量も物すごい勢いで伸びていき、一方で、アジア各国は備蓄の体制がいま一つ不備でありますから、何かあったときに、アジアにおいて大きな油断、石油の供給の断絶が起きる危険性があるわけであります。

 日本が自分が使う分についてきちんと備蓄をしていたとしても、そのような大きな供給の断絶によって価格の高騰ということが特にアジアを中心に起きるとすれば、日本にとってこれは非常に大きな問題と考えますけれども、このアジアの石油需要の増大という傾向に対して我が国としてどう対応していくのか、伺いたいと思います。

中山副大臣 アジア諸国が、人口増あるいはまた経済成長ということがありまして、石油を初めといたしますエネルギー消費量が増大しておるわけでございまして、エネルギー輸入依存度の高い我が国といたしましては、エネルギーの安全保障の強化に向けて積極的な取り組みを行うことが必要であると考えておるところでございます。

 このような認識のもとで、我が国といたしましては、アジア各国との間で、APEC等の多国間協議あるいは中国、インドとの二国間協議等を通じまして、エネルギー安全保障に関する意見交換、協力を進めておるところでございます。

 現在、総合資源エネルギー調査会におきまして、エネルギー安全保障確保に向けた方策の検討を行っておりまして、今後とも、アジア地域におけるエネルギー安全保障の強化に向けて、情報提供あるいは技術協力等積極的な取り組みを充実していきたいと考えておるところでございます。

達増委員 最後に、石油に関する三要素、経済効率性、セキュリティー、安定供給、そして環境という問題について、それらを考慮した上で石油政策をうまく遂行していくための決め手となるでありましょう情報収集について質問したいと思います。

 経済学でポリシーミックスという言葉があって、達成したい政策目的に応じてその数に応じた政策を打っていけば、複数の目的を同時に達成できる。したがって、石油をめぐる政策についても、経済効率性、セキュリティー、環境という三つに合わせてそれぞれ政策を用意して、それを追求していけば三つの達成が可能になってくると思いますが、その政策を遂行する大前提として情報収集ということがあると思います。

 石油に関する平時からの情報収集ということでは、ともすれば市場動向について議論されることが多いと思いますけれども、以上のような趣旨からすれば、セキュリティーにかかわる紛争でありますとか政変、あるいは外交、そういう国際情勢の変化というものの情報収集を怠らないことが重要でありますし、また、環境という面については、気候変動をめぐるさまざまな国際的な議論、最新の研究成果、このままでいくと何年後に何度上がるであろうとか、それを防ぐにはCO2を何%削減しなければならない、そうした知見というものは、まだまだ、これが絶対正しいというものが出ておりませんで、国際社会でまだ議論の対象となっているところであります。

 しかし、そういう科学的な知見が確立して初めて行動するわけにもいかないので、やや不確実性の残るデータをもとに、国際的に、では六%減らそうとか五%減らそうとか、そういう意思決定が行われていくわけですが、それに関する国際世論の動向といった情報も非常に重要になってくると思います。そういった各種情報をきちんととらえて的確な政策を配していくことで、この三つの相矛盾する目的をうまく、バランスよく達成させることができると思うんですけれども、この点、政府の取り組みはいかがでしょうか。

平沼国務大臣 石油というのは、国民経済の発展や国民生活の安定に欠かすことのできない基礎的物資でございます。我が国は、御承知のように、その大宗を海外からの輸入に依存しているところでございます。

 我が国の石油の安定供給を確保するためには、市場の動向のみならず、その時々で変化していく国際情勢等を的確に把握いたしまして、それを分析して評価することが重要だ、それは御指摘のとおりだと私は思います。

 総合資源エネルギー調査会総合部会のもとに置かれましたエネルギーセキュリティーワーキンググループにおきましても、石油を含むエネルギーセキュリティーを確保する上で、情報収集、分析評価体制の強化が重要である、こういうふうに指摘をされております。具体的には、国際的なエネルギー市場構造を含めた国際エネルギー情勢や、我が国のエネルギー供給に特に関連が深い中東地域及びアジア地域における国際政治情勢について、多面的に情報収集や分析評価が行われるべきとの議論がなされております。

 こうした議論の中で、政府といたしましても、今後とも、在外公館あるいは石油公団の事務所等の活用、産油国協力を通じた平時からの産油国との関係強化、国内企業やメジャーとの接触等を通じまして、国際情勢に関する情報収集、分析評価の強化に努めていかなければならないと思っております。

 このエネルギーセキュリティーワーキンググループ、これは、達増先生も御承知だと思いますけれども、昨年七月二十四日に第一回を開催いたしまして、この三月上旬まで九回会合を開催しまして、四月下旬に十回目をやりまして取りまとめる、こういうことになっております。

 今御指摘がございましたそういう三要素を含めて、やはり総合的に分析をして、そして我が国のいわゆるエネルギー政策の上で非常に重要な提言がいただける、このように思っております。

達増委員 そのような気配りが行き渡ることで、思いやりのある市場経済というものが実現すると思います。

 以上述べさせていただいて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 塩川鉄也君。

塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今回の法案の提出に当たりまして、提案理由説明の中で大臣は、今日、国際石油市場の一層の発達等、石油の供給をめぐる経済的、社会的環境に新たな変化が生じている中で、石油産業の需給調整規制を撤廃すると述べておられます。これは、石油の安定供給を市場メカニズムの活用を通じて行うということを意味していると思います。

 そこで、考えなければいけない大きな教訓的な問題が、一昨年から昨年にかけての欧米諸国での石油価格高騰の問題であります。

 九九年二月から二〇〇〇年十月の間で比較をしますと、アメリカにおけるガソリンの上昇率は六四%、軽油は六八%、灯油は六八%の増加でした。イギリスでは灯油が二・二倍、フランスでは軽油が一・五倍、灯油が二倍となっています。

 このような原油価格の高騰はなぜ起こったのか、この点について伺いたいと思います。

河野政府参考人 御指摘のように、一九九九年から原油価格が著しく上昇したわけでございますけれども、この基本的な要因は、一九九九年の三月から約一年間、OPECが生産削減を行ったということと、世界的に石油需要が増大してきたことによるものだという基本認識でございます。

 また、これに加えまして、米国におきましては、精製能力の不足がありました。石油製品需要の季節的変動に合わせた在庫の積み増しがなかなか進まないということで、石油製品価格が上昇したことにつれまして原油価格がまた上がったという要素もありました。加えて、石油市場への投機的な資金の流入というものがありまして、これも価格変動の幅を大きくしたのではないかと考えております。

 さらに、このほかに、米国においては、好景気で石油需要が増大したこともありますが、さらに、夏季のいわゆる大気汚染対策として、一部の大都市圏で改質ガソリンの使用規制が強化されたというようなことで、精製業がこれに対応するのに苦労したこともあります。また、ヨーロッパにおきましては、いわゆるユーロ安が進んだことによりまして原油の輸入価格がさらに大きく上昇したということで、これがきいたという面もありますし、また、石油諸税が高率かつ従価税であったということも影響している、このように考えております。

塩川(鉄)委員 今、幾つかの複合的な要因を述べられました。その中で、石油精製能力の不足という問題が挙げられています。

 昨年十月四日のIEAの臨時理事会に当たっての通産大臣の談話、その中では、原油価格高騰の背景として、一部の市場における石油製品の在庫不足と石油精製能力のボトルネックが指摘をされている。石油会社の精製能力の不足を要因としても挙げております。

 そこで、この精製能力の不足の原因として、石油会社、メジャーにおけるリストラの問題が指摘をされております。

 昨年の十月二十七日付の日経産業新聞で、「石油メジャー 合理化が招く原油高騰」という記事が挙げられております。

 ここでは、「メジャーは今、猛烈な勢いで経営合理化を進めている。企業の合併・買収で規模を大きくする一方で、短期的に必要な量だけを持つジャスト・イン・タイムの考え方を取り入れて在庫を徹底的に削減している。」「再編で先行したBP、エクソンモービルや、単独での生き残りを目指すロイヤル・ダッチ・シェルも大規模なリストラを断行、ピーク時に三百カ所あった製油所は半減」、その上で、「有事に備えた余剰生産能力を温存するゆとりはない。メジャーが効率を追求すればするほど、消費国は危機への対応力を失うジレンマに陥っている。」このように述べております。石油会社のリストラによって精製能力が不足をしており、需要の突然の変動に対応できなくなっていたことが、全体としての供給不安をあおり、価格高騰につながる要因の一つとなったと言えます。

 この点、日本においても大いに教訓とすべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 一九九九年からの石油価格上昇の基本的要因といたしましては、先ほど資源エネルギー庁長官からお話がございましたように、約一年間にわたるOPECの生産削減、それから世界的な石油需要の増大、米国における精製能力の不足、そして石油製品需要の季節的変動に合わせた在庫の積み増しが進まなかった、さらに、石油市場への投機資金の流入等があると私どもは考えております。

 今先生の言われるように、メジャーの中のリストラもその要因の一つにあったかな、そういうふうに私どもは思っておりますけれども、我が国におきましては、規制緩和の進展に伴いまして、自由競争の中で石油会社が需要動向等を勘案しつつ、基本的には過剰な精製能力の縮小等の合理化による構造改善を志向する流れにあることは事実だと思っています。

 しかし、我が国におきましては、石油精製能力というのは、メジャーがある欧米に比べましてまだゆとりがあります。我が国石油会社は、石油備蓄法に基づく備蓄義務によりまして、原油及び石油製品の形で、現在、御承知のように、約八十日間分その備蓄を保有しております。したがって、現状においては、石油製品の供給不足や需要変動に対応できないような事態は想定しがたいと考えております。

 また、今回の法案における石油備蓄法の改正においては、平時における規制緩和を進めつつも、緊急時における安定供給に遺漏なきを期すため、備蓄制度の強化を図ることにいたしておりますので、我が国では当面そのような心配はないと思っておりますけれども、メジャーのリストラが一つの原因になったということの御指摘がありましたので、その辺はよく検証しながら、そういった影響が出ないような体制も構築をしていかなければならない、このように思っておるところであります。

塩川(鉄)委員 過度のもうけ優先のリストラのもとで今回の価格高騰がいわばあおられるというような事態になったということ、ここはやはり具体的に起こった事実の問題としてしっかりと見ておく必要があると思います。よく検証しながらというお話がありましたけれども、やはり日本にも大いに生かすべき点だと思い、価格面での安定供給のためにも、生産設備に対して一定程度の余力を持たせる必要があるんではないか、このように考えます。

 さらに、この原油価格の高騰の問題にかかわって、石油会社の精製能力の不足にもつけ込む形で投機資金が大量に石油市場に流れ込んだ、これも大きな要因となったということは、エネルギー庁長官の答弁の中にもございました。昨年の原油価格高騰の特徴は、投機資金が主導してきたということが指摘をされております。

 昨年九月十四日付の日経新聞で、三菱総合研究所専門研究員の須藤さんが指摘をされておられましたが、石油価格高騰のかぎを握るのは、「実需だけではなく、九〇年代の石油市場の特徴としての先物市場の影響、つまり投機性であり、それを考慮することが欠かせなくなってきている。」と述べておられます。ヘッジファンドの運用資金の規模というのは三千五百億ドルから四千五百億ドルに達するとも言われております。それに対して、NYMEXの石油先物市場の一日当たりの取引の規模はわずか十数億ドルにすぎません。須藤氏は、株や債券、為替市場に比べて原油先物市場は圧倒的に規模が小さく、金余りで膨張した金融市場からあふれ出た資金でヘッジファンドなどが活動することで変動性が極めて大きくなっていると指摘をしておられます。

 私は、安定供給という場合に、物の流れ、量の確保と同時に、価格についても乱高下せずに安定的に供給されることも考慮されなければいけないと思います。このような自由化のもとでの市場メカニズムに任せて価格の安定をかち取ることができるのか、この点についてお尋ねしたいと思います。

河野政府参考人 国際的な石油市場のグローバリゼーションといいますか、自由化といいますか、こういった動きは、確かに投機資金の流入ということを考えてみますと、石油価格の乱高下、こういった動きを助長する側面もあるわけでございますけれども、他方、市場化、グローバリゼーション、こういったことによって、例えば特定国が特定国に対して輸出ができなくなった、そういったような事態が仮に生じたといたしましても、これがマーケットの中で、価格上昇ということで、世界全体の中で吸収されていくというような側面もまた持つわけでございます。ですから、一概に市場化の流れが安定化を阻害するということばかりは言えないと思います。

 ただ、一方で、さまざまな形で政府が一定の役割を果たしていくことは必要だと思います。例えば、産油国との間でいろいろな話し合いをしていくこと、また、先ほど先生御指摘になりましたIEAという国際機関を通じてさまざまな協力をしていくこと、そういったことを通じて国際的な石油市場の安定化に日本としても努力をしていきたいというふうに思っております。

塩川(鉄)委員 昨日の参考人質疑で、新井参考人から、価格高騰の問題にも触れられて、日本の今の状況が自由化に傾き過ぎているのではないか、このような危惧の声を上げられて、かつてのオイルショックのときの千載一遇という言葉を挙げて、その懸念の旨を表明されたわけであります。

 需給が逼迫をしたときに、そのときの高い価格で販売して大もうけするのが石油会社であることは、過去二回の石油危機のときも、湾岸戦争のときも、昨年の原油価格高騰のときも例外ではありませんでした。実際、投機資金も大もうけしましたけれども、欧米諸国の石油メジャーも、また日本の石油会社も大きなもうけを上げたわけであります。

 例えば、最大手のエクソン・モービルは、昨年の純利益が前年比二・二倍の百七十七億ドル、約二兆円と過去最高を記録した、このことが報道されておりました。アメリカにおけるシティグループですとかゼネラルエレクトリックを大幅に上回って、アメリカの企業として史上最高の利益となるのは確実だということであります。また、日本においても、ジャパンエナジーも昨年度の営業利益は前年度比三・四倍となっております。過去最高の利益水準ということです。いずれも、原油価格の高騰が背景にあると思います。

 私は、市場メカニズムに任せるということが、石油会社の利益を保証する一方で、消費者に相対的に高い価格を強いる仕組みをつくることになるのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 今回の石油業法廃止は、これまでの規制緩和の総仕上げとして、精製業の許可制等の需給調整規制を廃止しまして、石油産業がみずから創意工夫を発揮して構造改革に取り組み、強靱な経営基盤を確立できるようにすることを目的としたものでございます。

 一方、地球温暖化問題、こういう問題があるわけでございますけれども、我が国はCOP3において、温室効果ガスの排出量を一九九〇年に比べ六%削減するとの目標にコミットしたところでございまして、その目標達成に向けて地球温暖化対策推進大綱に基づき官民を挙げて今努力をしているところでございます。

 石油業界におきましても、経団連の自主行動計画において、精製プラント効率向上等の省エネルギー対策により、エネルギー消費原単位で一九九〇年度比一〇%の削減を目標としておりまして、その達成に鋭意努力をしているところでございますけれども、これは、こうした合理化を通じて今回の石油業法の廃止が目指す石油産業における競争力強化、経営基盤強化にも資するものと認識しております。

 そして、企業の活動自由化により、市場メカニズムにゆだねますと、政府としてコントロールを失うのではないか、こういうことでございますけれども、私どもとしては、やはり今言ったいろいろな取り組みを通じていきますとそういうことは心配はない、こういうふうに思っているところでございます。

塩川(鉄)委員 多少質問の答弁が前後したようですけれども。

 私、今この問題でぜひともお話ししたいのが、今日の日本においては自由競争のもとでの一定の価格ということも言われておりますけれども、しかし、実際の欧米諸国などでは寡占化が進んでいる。この点での問題があらわれてきているわけであります。

 私、昨年九月二十日付の朝日新聞、ここに堺屋当時経済企画庁長官のインタビューが紹介されていたのを大変興味深く拝見いたしました。堺屋長官は、イギリスやフランスの石油業界は自由化による競争が一巡して寡占状態が成り立っているので、石油会社がこれを好機とばかりに上げたのではないか、このように述べておられます。原油価格高騰時の経済企画庁長官自身が、自由化による市場メカニズムのいわば行き着く先をはしなくも語っているのではないかと思いました。

 そういう意味でも、今の流れというのが、このような寡占化ということを含めて、原油価格の高騰、国民の生活にとっての価格面での安定供給を損なうことになるのじゃないか、この点についての大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

平沼国務大臣 石油自由化の中で、先ほど、エクソンが史上最高の利益を上げた、そういう中で消費者の利益を損なう側面があるのではないかという御指摘でございましたけれども、私どもとしては、石油業法というものを廃止して自由化をしていくことによって、やはり健全な競争力が生まれて、そしてその中で市場原理が働いて、そして石油価格というものもやはり消費者にとっては望ましい形に相なる、こういうことで考えております。一つの例をお示しになりましたけれども、私どもといたしましては、石油業法を廃止して自由化を進めることによって、やはりいい形で競争原理が働き、その中で価格が低減をし、そして消費者にとっては望ましい方向が出てくる、そういう形で考えております。

 今、そういう投機に走ってそして非常な利益を得た、こういうことは一つの事例だと思っておりますけれども、一九九九年、昨年の石油のいわゆる価格高騰、十ドル台から三十ドル台を超えるような激変がございましたけれども、我が国は備蓄体制が整っていたり、そういう中で比較的平穏に、欧米では一部パニックが起こったようでありますけれども、我々はそういう形で非常に危機的な状況にはならなかった、こういう側面もあります。

 そういう中で、堺屋さんの話を例に引き出されましたけれども、そういうことの影響が少ないように我々としては留意をしながらこの問題に取り組んでいく、私はそういうことに尽きるのではないかと思っています。

塩川(鉄)委員 市場メカニズムにゆだねる問題点としての環境保全の問題は、深海参考人からも指摘をされました。現在、総合エネルギー調査会が長期エネルギー需給見通しを検討しておりますけれども、検討する上で大事なことが、COP3での国際的な公約となっております、化石燃料を起源とするCO2の削減をどのように達成していくかということであります。石油製品の需給を市場メカニズムにゆだねるということでその達成に支障を来すおそれがないのか、改めての確認ですけれども、大臣からお願いいたします。

平沼国務大臣 まず、今回の石油業法の廃止というのは、これまでの規制緩和の総仕上げといたしまして、精製業の許可制等の需給調整規制を廃止いたしまして、石油産業がみずから創意工夫を発揮して構造改革に取り組み、強靱な経営基盤を確立できるようにすることを目的といたしております。

 一方、地球温暖化問題については、我が国はCOP3において、温室効果ガスの排出量を一九九〇年に比べ、御承知のように六%削減するとの目標にコミットしたところでございまして、その目標達成に向け、地球温暖化対策推進大綱に基づきまして、官民を挙げて積極的に取り組んでおります。

 石油業界におきましても、経団連の自主行動計画において、精製プラントの効率向上等の省エネルギー対策によりまして、エネルギー消費原単位で一九九〇年度比一〇%の削減を目標といたしておりまして、その達成に鋭意努力をしているところでございますけれども、これは、こうした合理化を通じて今回の石油業法の廃止が目指す石油産業における競争力強化、経営基盤強化にも資するものと認識いたしております。

 いずれにいたしましても、経済産業省といたしましては、我が国の温暖効果ガスの削減目標の達成に向け、このような企業の自主的な取り組みが着実に実施されるように、引き続き適切に対処をしていきたい、支障のないように努力をしていきたい、このように思っています。

塩川(鉄)委員 私は、自由化、市場メカニズムにゆだねれば何でもうまくいくというわけにはいかないということを質問してまいりましたけれども、石油製品のような国民生活にとって欠くことのできない物資については一定の需給調整の機能を置いておくことが必要なんではないか、このように考えますが、いかがでしょうか。

河野政府参考人 先ほど来の質疑で大臣からも御答弁させていただいておりますけれども、我が国の場合は、石油産業を国内で育成するということで石油業法を守ってまいりました。これも、実態上累次にわたって自由化をいたしてまいりました結果、今回御提案申し上げておりますように、石油業法の廃止ということで、特にその需給調整機能については法律を廃止するということを御提案申し上げているわけでございます。

 だからといって政府が何もしないということではございませんで、緊急時に対応できるように石油備蓄法の改正もあわせて御提案をさせていただいておりますのは、またそういった緊急時対応の面で政府としての役割を残すということでもございます。

 それから、需給調整機能という意味ではございませんけれども、ある種の需要見通しのようなものを政府と民間企業がある種シェアをするということは一つの考えではないかと思っておりまして、石油審議会の場を活用いたしまして、経産省といたしましても石油の需要見通しを五年先ぐらいまで立てまして、これを情報提供していくという役割を果たしていきたいというふうに思っております。

塩川(鉄)委員 IEAでも、今回の価格高騰の問題が議論されたそうですけれども、要するに、量的な面については対応するけれども、価格の高騰については具体的には対象とならない、これが備蓄についての現状だろうと思います。私は、今回の法案は、規制緩和を理由に一切の需給調整機能をなくして石油製品の供給を全面的に不安定な市場メカニズムにゆだねるもので、石油の安定供給に対する政府の責任を放棄するものである、このように思います。

 その上で、次にお聞きしたいのが、昨年八月の石油審議会開発部会基本政策小委員会中間報告書で出てまいります、中核的な企業グループの形成ということですが、この中核的な企業グループとはどのようなものなのか、このことについてお聞きしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今御指摘の、昨年の八月の石油審議会開発部会中間報告におきまして、自律的に石油開発事業が進められる中核的な企業グループを育成することが重要である、このことが示されました。

 また、中核的企業グループに必要な要素といたしましては、第一に事業規模拡大に資する複数の収益源の確保、二つ目に中長期的な経営戦略の策定、実施、三つ目に高い情報収集、分析能力、四つ目に高い技術力と人材の確保、五つ目に高い販売力の確保が考えられております。

 このため、経済産業省といたしましては、今後、本法案の中で提案している既発見油田の資産買収への石油公団の出資による支援や石油公団が保有する石油開発会社の株式売却等によりまして、このような中核的企業グループの形成に努めてまいりたいと思っております。

 イメージの一例といたしましては、石油開発会社を中核といたしまして、石油精製・販売会社といった石油の中下流部門や電力、ガスといった石油のユーザー部門が、事業の提携や株式取得等によりまして一体として企業グループを構成する、そういったものがイメージとして考えられます。

 そして、このような中核的企業グループが形成されることによって、緊急時における安定的な供給源として重要な役割を果たす自主開発原油の確保が図られ、我が国の円滑な経済社会活動に不可欠なエネルギーの安定供給確保にも資することになり、国民や関係者の理解を得られる、こういうふうに考えておるところでございます。

塩川(鉄)委員 この中間報告では、「欧米のいわゆる「メジャーズ」とは異なるものの、総合エネルギー企業としての性格を持つ等の中核的な企業グループを形成」と述べております。この審議会の中心メンバーで、昨日も参考人としておいでいただきました橘川東大教授が、氏の論文の中で、日本のエネルギー産業のあるべき企業の姿の一つとして、石油、電力、ガスの異業種に展開する総合エネルギー事業ということを挙げております。これが、先ほど大臣もお話しいただいた政府の考える中核的な企業グループの姿と考えてよろしいんでしょうか。

河野政府参考人 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、石油あるいは天然ガスのユーザー産業であります電力、ガスなどとの連携も視野に入れ、また、開発会社から見ますと、精製部門を持っております精製・元売企業との連携も視野に入れ、そういった意味での総合的なエネルギー産業グループというようなことがイメージにあるわけでございます。

塩川(鉄)委員 今お話しになったような石油、電力、ガスが一体となるような総合エネルギー企業、このようなものに対し石油公団を通じて国民の財産を投入する取り組み、これがどれだけ国民的な合意が図られているのかは疑問であります。現時点でそのような合意が得られているとは言えないのが実情じゃないでしょうか。

 その上で、公団の事業の業務の拡大の問題ですけれども、海外における石油開発の問題です。公団の業務を拡大して既発見油田の資産買収等も対象とすることになっておりますが、そうした事業の対象となるようなプロジェクトはどのくらいあるのか、その実情、見通しについてお聞きしたいと思います。

河野政府参考人 昨今の状況は、国際的な石油メジャーズのような大資本の提携あるいは合併のような動きの中で、一部資産の売却を図る動きもございます。そういった動きとあわせまして、先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、例えばイランとの間では、既に外国企業がその開発に着手をしたり、あるいはしそうなものについて、日本の企業が後から参入することについてイラン政府として好意的に配慮するというような話がございます。

 そういうことが背景にあるわけでございますが、例えば平成十三年度予算で念頭に置いております地域といたしましては、豪州、イランあるいはアルジェリア、こういった案件が現在検討対象になっていると承知しております。

塩川(鉄)委員 石油連盟の岡部会長も、歓迎するとは言いながらも、一方で、既存の油田がいい可能性があるのにそれを簡単に手渡すはずはないとか、全く白紙の状態から我々にいいものが来るような既存油田はない、このようにも述べておられます。

 メジャーは今激烈なリストラを進めているわけで、その一環として採掘権を手放す、こういうこともあるかと思いますけれども、効率のよい油田が市場に多数出回るとは考えられない実態ではないでしょうか。業務を拡大することによって、余り効率的でない資産買収に乗り出して、改めて不良債権をつくることにならないのか。その点での見通しはあるのか、お聞きしたいと思います。

河野政府参考人 これも、先ほど大臣から御答弁申し上げたことの繰り返しで恐縮でございますけれども、石油公団におきましては、経営諮問会議に新規案件の採択の方針をまずお諮りをする、それを受けまして、新規の採択案件につきましては事前に経産大臣のチェックを受けるというようなことを考えておりますし、また、既に改善を施しております石油公団の審査体制におきましても、審査の定量化ですとか、審査担当部局と開発プロジェクト担当部局を切り離すですとか、さまざまな努力をしておりますので、そういう中で健全なプロジェクトの発掘、採択に努力をしてまいりたいというふうに思っております。

塩川(鉄)委員 探鉱に成功して採掘段階になったメジャーなどがリスク分散のために一定部分の参加を求めてくる、そういう程度ではないかというふうに思います。探鉱投融資制度に対する今のいろいろな批判にどれだけこたえられるのか、この点での疑問を持たざるを得ません。その上で、石油の安定供給のためには、産油国との平等互恵の立場に立った資源外交や経済外交を積極的に進める必要があると思います。

 九八年六月の基本政策小委員会の報告は、産油国協力の問題に関して、「石油のみならず、政治、経済、社会全般にわたる交流の深化を図り、我が国を含めた国際経済社会と産油国が中長期的に利害を共有するような関係の構築を目指すべきである。 今後とも、外交、経済協力、投資、貿易、共同事業などにより、政府、民間あらゆるレベルにおいて、我が国と産油国の関係を深化させなければならない。」と述べておりました。

 それなのに、なぜアラビア石油はあのような事態になったのか。この点についての理由をお聞きしたいと思います。

河野政府参考人 御指摘のように、産油国との協力関係を維持強化することは大変重要なことだというふうに思っております。そういう観点から、アラビア石油のサウジにおきます利権、これも何とか延長したいということでたび重なる交渉を経てきたわけでございます。

 しかし、最終的に、サウジ側としては、約二千億円に上る鉱山鉄道の無償供与というものをどうしても譲らないという状況でありまして、これを打開することはできずに更新はならなかったというのが実態でございます。

塩川(鉄)委員 サウジにおけるアラビア石油の失敗の問題というのがどれだけ事の真相として明らかになっているのか、このことの事実経過が正確に国会にも報告をされていないのではないか、このように思います。

 九七年の橋本元総理大臣のサウジ訪問、そこで橋本元総理が何を語り、何を約束したのか、このようなことも問われてまいりますし、その後の与謝野通産大臣や、また深谷通産大臣がそれぞれサウジを訪問してどのような協議を行い、何を約束し、何を約束しなかったのか、こういった一連の経過について改めて明らかにすべきだと思います。

 この点について、アラビア石油問題について国会に対して改めてきちんとした報告を行ってほしい、その点についてぜひ大臣の見解をお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 この経緯に関しては、委員会の中で質疑があった、このように私は報告を受けております。そういう委員会の質疑の中で、与謝野通産大臣あるいは深谷通産大臣あるいは橋本総理、そういったいろいろ現地での話し合いの内容等が明らかになっていると思っております。また、そういう内容に関して、私どもとしては、そういう記録等がございますから、国会の質疑の範囲内の話だと思いますけれども、これからまたそういうことは明らかにできる、このように思っています。

塩川(鉄)委員 二千億の鉱山鉄道、これにお金もかかる、経済的に採算がとれないから交渉が決裂した、このように受け取れるわけですけれども、もしそうなら、先ほどの報告にも述べられていた中長期的な展望を欠いた対応だったのではないかというふうに思います。鉄道事業だけを見るのではなくて、石油や天然ガス資源の安定供給やその他の事業でのメリットなどを総合的に検討すべきだと思います。

 サウジは大変若い国で、二十歳以下の人口が全体の半分を占める。そういう意味でも、雇用問題が大変大きな課題となっている。この点に対して日本がふさわしい役割を果たすことができたのではないか、このような立場から、取り組みをさらに強める、打開をしていくということが必要だと思います。

 両国が平等互恵の立場から自主的な資源経済外交を推進する、こういうことで大いに日本政府も努力をすべきではないかと思いますが、大臣の決意のほどをお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 それは、私、当然なことだと思っておりまして、サウジアラビアの要人が来られましたときも、非常に若年人口が多い、いろいろな形での交流も図りたい、こういうことで、我々としては、人的な交流を含め、またIT関連、そういった問題も含めて、両国の関係を緊密にする、こういうことは当然必要だと思っておりまして、そのような方向で今後とも努力をしていかなければならない、このように思っています。

塩川(鉄)委員 今回の法改正において業法の廃止を通じての需給調整機能をなくすという問題が、先ほど述べたような石油企業のリストラの大幅な推進、そういう中での精製能力の不足の問題、あるいはヘッジファンドなどでの投機資金の問題、さらにはCOP3など環境保全の立場からも、それぞれ調整機能を改めて重視すべきではないか、この点を改めて指摘をして、質問を終わりにしたいと思います。

山本委員長 大島令子君。

大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。

 私は、初当選してから、商工委員会、経済産業委員会に所属させていただいておりますが、お世話になってきました調査室の酒井室長が先般亡くなられたということで、これからしばらく国会もどうなるかわからないということでございます、本当に哀悼の意を表させていただき、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず平沼大臣に、堀内元通産大臣の発言について感想をお伺いしたいと思います。

 堀内光雄元通産大臣は、大臣の退任後に、雑誌等で石油公団について厳しい発言をしています。以下述べますので、この発言について大臣の率直な感想を聞かせていただきたいと思います。

 まず、一九九八年十一月の文芸春秋では、石油公団が湯水のごとく金が使えるのは豊富な財源を持っているからである、石油公団問題はこれまで指摘されてきた特殊法人という組織の象徴的な問題である。一九九五年の雑誌「エネルギーフォーラム」のインタビューでは、石油公団で使っている金は全部税金だ、公団は自由に使えると思っている、国民の税金で国策に沿って成果を上げなければいけないという感覚を持っていない。また、二〇〇〇年五月の文芸春秋においては、石油公団はもう要らない、自主開発油田が歴史的使命を終えた今、彼らの存在は日本のためにならないと、非常に手厳しいことを雑誌の中で語っているわけです。

 大臣の率直な感想を聞かせてください。

平沼国務大臣 堀内元大臣の御指摘については、今お読みくださいました文芸春秋、私も読んでおります。堀内元大臣の御指摘というのは、大きく分けて、一つは石油公団の審査の強化に関するもの、二つ目は情報開示の徹底に関するもの、三つ目は会計処理に関するもの等があったと私は理解しております。堀内元通産大臣は、企業の経営者でもいらっしゃいまして、経理に非常に明るい方でいらっしゃるので、非常に各般にわたって的確な御指摘が多かった、このように認識しております。

 こうした御指摘も踏まえまして、経済産業省、石油公団は、これまでに石油公団再建検討委員会及び石油公団開発事業委員会を設置いたしまして、石油公団の業務改善に関する報告書を取りまとめるとともに、その中のほとんどすべての事項について実施してきたところでございます。

 そういう意味では、堀内元大臣の御指摘というのは、ある意味では非常に的確な御指摘もあったと思っておりまして、引き続き石油公団の業務改善に努めていかなければならない、このように思っています。

大島(令)委員 石油公団のあり方に国民も大きな不満を抱いていたから、こういう御指摘が堂々とできたわけだと思います。政府及び公団自身の真剣な総括の上に立って、納得できる業務遂行に関する明確な方針というものが今求められている時期に来ていると思います。

 石油というのは一〇〇%輸入に頼っている、そういう現状があるわけなのです。石油公団にすべての日本の石油政策における役割が期待されている、そういうところでコスト意識が薄いとか甘えの構造があったのではないかと私は思うわけでございます。

 石油公団の業務内容は、石油開発事業に対して多額の財政資金をリスクマネーとして供給しているわけなんですね。ですから、常に効果的な、効率的な事業の運営を図らなければならなかった。この堀内大臣の指摘を受けて、朝から大臣初め副大臣の、相当省内においてもいろいろな形で改善に向けて、欠損金の減少に向けても取り組んでいるというふうな御答弁を聞いてまいりました。しかし、それらが本当に実行されるのかどうか。

 例えば大臣の在任期間を調べてみましたところ、堀内大臣は一九九七年九月十一日から翌年の七月二十九日、約十カ月、そして与謝野馨大臣はその後一年二カ月、そして深谷大臣は七月の選挙までということで九カ月。平沼大臣がこの議論を踏まえて続投していただけるのであるならば、きっと政治的なリーダーシップを発揮して、私はこの議論が前向きに進むと思うわけでございます。

 しかし、やはり行政と政治家の溝というのはあると思うんですね。例えば、法務省でも大臣がかわる。余談ですが、私は死刑廃止運動をしています。大臣が判こを押すと二週間後に執行される。大臣は官僚に、事務方に一生懸命判こを押せ、押せと迫られるそうなんです。

 きょう私の質問がこの法案の最後の質疑でございますけれども、その溝が埋まらない限り、この議論がやはり空論になってしまうのではないかという危惧を抱いているわけです。改めて大臣の見解を聞かせていただきたいと思います。

平沼国務大臣 今、直近の通産大臣の任期をお示しになりました。私は昨年の七月からでございますので、九カ月目に入ったというようなところでございまして、そういう意味で、継続性、こういうことの御心配の御意見がございました。

 しかし、今堀内元通産大臣の御指摘、このことを先生はお出しになられたわけでありまして、堀内大臣がおやめになって、そしてその指摘が出て、そしてそれが次の大臣のところで遮断をされたわけでなくて、先ほど御答弁で申し上げましたように、検討委員会を経済産業省そして石油公団の中につくりまして、そういった問題について個々検討をいたしまして、そして検討して解決すべき事項についてはその成果を上げているところでございますから、私は、その継続性の中において、そういう問題はずっと引き継がれていくと思っています。

 したがって、経済産業省といたしましても、さらによく石油公団を監督して、そして国民の不信を招くことがないように継続してやっているところでございます。今我が党は総裁選挙をやっておりまして、いろいろ微妙な段階でございますけれども、私も引き続きやる場合もあると思いますし、またかわる場合もある、そのときはやはり継続をして、こういったことは基本的な問題ですから、しっかりと取り組んでいかなければならない。

 そういうことで、御心配の向きがあるようですけれども、私どもは、一貫性という形でその辺はしっかりとやっていかなければならないと思っています。

大島(令)委員 では、石油公団に関してきょうは最初に質問をしてまいりますけれども、今経産省は、公団が保有する石油開発会社の株式売却に向けて、買い手候補となるエネルギー関係企業と本格的な調整に入っているということでございます。これに関しては、株式評価益の見込める優良十三社について、保有株の三分の二を民間へ売却する方針と聞いております。

 売却に当たっての売却先は、電力、ガス、石油、商社を対象とし、指名競争入札を採用するということでございますけれども、ここで問題になるのは、石油公団が保有する株式、この関係企業の役員に通産省のやはり天下り、OBの方たちがいる。例えばインドネシア石油等では、会長、社長とも通産事務次官、通産審議官、中小企業庁長官などを経験した有力OBがいる。

 実際に民間の電力、ガス、石油、商社の会社などが、この株式評価益、この金額は四千八百五十億円となるそうなんですが、これを買う立場にしてみれば、購入後も通産OBを経営者に株式と一緒に受け入れなければいけないのかという非常に困った、ややこしい問題がある。本音を言えば、幾ら株に魅力があったとしても、官の影響力を排除できない限り買いたくないという一部のエネルギー会社の幹部の意見もあるそうなんですね。

 この件に関しては、やはり通産OBの進退問題というのが、石油公団改革に、単なる省益の拡大ではなく、本当に国益の拡大になるような問題として一歩踏み込めるかの試金石になると思うんです。

 この件に関して、大臣は先ほどから、職員の天下りに関しては、やはり閣僚としてチェックをする、目を通すという御意見でございました。どうでしょうか。

平沼国務大臣 天下りに関しましては、石油公団に経済産業省出身の者が役員で入っている、そしてまた石油公団の傘下のそういった企業にも、天下りという形で皆さん方が呼んでおられますけれども、経済産業省出身の人たちが働いている、事実であります。

 先ほどの答弁で私は申し上げましたけれども、やはりこういう石油関係の業務というのは非常に専門性がございますし、また海外との折衝も多い、そういう特殊な業務でございますから、ある程度知見だとか経験、そういうものに力点を置かざるを得ない、そういう中で適材適所という形で配された、そういう人事でもあるわけです。

 しかし、今世間一般で天下りの批判というのは非常に大きいわけでございますから、私どもといたしましては、そういう天下りというものは、やはり世間の批判を浴びないような体制に持っていかなければならないと思っています。

 もう一方においては、今までの官僚の就業システムの問題があります。今官僚というのは大体五十代の後半で第一線の役所を退く。今人生八十年の時代で、いろいろ人生設計もある。そういうような既存の枠組みの中でやはり天下りというものがあるわけでありますから、大きくそういう土壌というものを変えていくことが抜本的な改革にもつながる。

 だから、そういうことを含めて、今橋本行革担当大臣の方で、行政改革の一環として、特殊法人や公益法人の人事をやはり抜本的に見直そう、そして新しいシステムの構築をしていこう、こういう取り組みが行われているわけでありまして、私どもといたしましては、そういう観点からこの天下りの問題は大きく是正していかなければならないと思っています。

 そして、本当にそこに出資をしたいけれども、官の影響が強くて、そういう出資もちゅうちょしている、こういうような事例を今お述べになりましたけれども、そういう不安を抱かないように、やはり体制を整備して、皆さん方が納得する体制をつくっていく、こういうことも必要だと思っております。

 すべてが癒着構造で、そしてそこが非常に危険だというような認識を払拭するために、我々としては一連の改革を行い、堀内元通産大臣の御指摘もございましたけれども、そういった改革を通じて、皆さん方にしっかりと信頼していただける体制を構築する。もう既にいろいろな面で解決を図ってまいりましたけれども、これからも努力を積み重ねて、そういう不安がないようにしていく、このことが大切なことだと思っております。

大島(令)委員 では、大臣にまた石油公団について質問をいたします。

 橋本龍太郎行革担当大臣は、去る四月三日の閣僚懇談会で、特殊法人の事業見直しの論点整理を報告されたと聞いております。取りまとめを行った行政改革推進事務局は、約百六十の特殊法人、認可法人を対象にヒアリングを進めてきており、六月をめどに改革の一定の方向性を中間的にまとめ、平成十三年度中に特殊法人等整理合理化計画の策定を進めると報道されております。

 特殊法人、認可法人に対しては、平成十三年度の予算ベースで、約七兆五千八百億円の補助金等や、約二十四兆四千百億円の巨額の財政投融資が予定されているわけなんですね。このような特殊法人等への抜本的な見直しは当然すべきと思うのですが、予算ベースでも、平成十三年度はこれだけもう予算が通ってしまっている。

 こういう背景の中で、石油公団についての業務の改善を含めて私はお尋ねしたいわけなんですが、今回の法改正は、例えば、具体的には油田開発支援などが拡大されるわけですが、これまでの公団業務の見直し等の要請に対して、同様の轍を踏まないためにも、公団業務の範囲拡大については国会の論議を経た上で法制化などの明確な対応を図る必要はないのかという疑問を持ちました。

 ここに法案の説明書がございますけれども、一部改正でお茶を濁すようなものではなく、石油公団が新たな業務の範囲として油田開発の支援事業を行うわけですから、全体で議論できるような抜本的な修正がなぜこの法案提出の前にできなかったのか。その件に関して質問をさせていただきます。

平沼国務大臣 経済産業省そして石油公団では、石油公団再建検討委員会及び石油公団開発事業委員会の提言を踏まえまして、これまで、石油公団業務の抜本的な改善に努めるとともに、石油審議会開発部会での審議等を通じまして石油開発政策全般の見直しを行ってまいりました。

 そうした検討を踏まえまして、今般お願いをいたしております石油公団法の改正に当たっては、資産買収への支援のため、石油公団の出資に関する条文の一部修正を行う、こういう結果になりました。今回の国会審議におきまして、条文のみならず石油公団の業務及び石油開発政策全般について御審議いただいている、このように私どもは認識しております。

 今回の法律改正案の提出に当たっては、御承知のように、探鉱投融資予算の大幅な削減、石油公団業務の徹底的な見直し、こういうことも行っているわけであります。

 先ほど、特殊法人改革、これについて御言及があったわけでありますけれども、御指摘のように、昨年十二月一日に閣議決定されました行政改革大綱において、すべての特殊法人等の事業、組織全般を抜本的に見直して、一年以内に結論を出すべきとの指示を受けたところでございまして、経済産業省といたしましても、今後とも、石油公団が一層効果的、効率的な事業運営を行うよう指導するほか、行革大綱を踏まえて、今後の組織形態のあり方について検討を進めてまいる。

 そしてまた、財政投融資、非常に多額のものが平成十三年度の予算の中でもある、こういう御指摘でありましたけれども、やはり大綱で大きく見直して、そして将来どうするかという構想にのっとって全体が動いていくわけでございまして、現にこれが動いているわけでございますから、それだけ国の事業、国のエネルギー政策にとって必要なことでございますので、そういう巨額なものが現時点では必要なことでございますから、私は、当然のことだ、このように思っています。

大島(令)委員 今大臣がおっしゃいました行政改革大綱、閣議決定で、ここにございますけれども、では、これが公団の業務が今後的確に実施される担保措置というふうに私どもは理解してよろしいということなんでしょうか。

平沼国務大臣 それは私、今ちょっと触れましたけれども、今現にそういう形で動いています。しかし、特殊法人でございますとか認可法人、そういったものがやはり時代の流れの中で見直さなければならない、そういうことで、橋本行革担当大臣のもとで、今、大綱に基づいて具体的な将来の方向を出していこう、こういうことで作業が進んでおります。

 それをあした、あさってやるということじゃなくて、その基本方針が出たら、それに沿って全部が改革に向かってやっていくわけでございまして、したがって、その大綱が一つの大きな指針になることは間違いありませんし、これから出る具体的なそういう取り組みについて、当然すべての特殊法人、認可法人、公益法人、そういうものはそれに従って改革を行っていく、こういう順序になると私は思っています。

大島(令)委員 私があえて石油公団にこだわるのは、石油は一〇〇%輸入に頼らざるを得ない、その日本の窓口を石油公団が担っている。石油はエネルギー需要の今五二%を占めておりますし、そういう大切な仕事をされているからということで、一部改正でお茶を濁すのではなく、国会全体で議論のできるような何か法制化ができなかったのかという問題提起でございました。そういうことで御理解をいただきたいと思います。

 では、次の質問に参ります。

 堀内元通産大臣が一九九八年七月二十七日、大臣退任二日前に、衆議院の決算行政監視委員長に提出した、「石油公団の現状分析と今後の対策について」というものがございます。これが現在どのようになっているのか、これは長官に伺いたいと思います。

 この中の四つの項目だけちょっと拾って質問させていただきます。

 一つ目は、石油公団は、出融資先会社に対する多額の不良債権を抱えており、剰余金がマイナスの会社、現時点、一九九六年度末ですべて清算した場合、一兆三千六十九億円の損失をこうむることになる、個々の出融資先会社について、石油公団の将来の資金回収見込み額、回収不能見込み額などを精査すべきではないか。

 二つ目は、財務内容が不良な会社を清算し、石油公団の欠損金の累積を防ぐとともに、将来の可能性を残している出融資先会社の優良会社への統合などの再建策を実施すべきではないか。

 三つ目は、石油公団及び石油公団出融資先会社の事業、財務内容について情報公開を徹底すべきではないか。

 四つ目は、先ほど北橋委員もおっしゃっていましたが、一九八五年以降一九九六年末までの間に、出融資先会社の年間設立数がそれ以前に比べ数倍に増加し、百八十七社が設立されている一方、成功会社、これは配当会社、剰余金のある会社ということですが、これは六社にすぎない。石油公団のプロジェクト審査能力及びリスク管理能力のレベルアップを図ることが必要ではないかという内容でございます。

 これについての、現在までの状況に関して御説明をお願いいたします。

河野政府参考人 まず第一番目の、出融資先会社の関係で、個々の会社への出融資額の回収見込み額、不能額を精査すべきであるという点でございますけれども、平成十年度の決算から、石油公団では、個別のプロジェクトごとに将来の損益見通しを行いまして、回収見込み額あるいは不能額を精査、さらに、一定の油価、為替の前提のもとで回収不能と見込まれる額を引当金に計上するということを実施しております。これで、より精緻な財務内容の公開を図ったところでございますけれども、その結果、平成十一年度の決算では約三千五百億円の欠損金を計上することになりました。

 それから、第二番目の石油公団の出融資先の整理についてでございますが、これは、採算性の見込めない探鉱中あるいは生産中の会社については速やかに整理を進めるということで、平成十年度二十二社、平成十一年度二十一社、平成十二年度十六社、着実に事業の終結を承認して、会社解散の手続をとってきております。

 今後も、事業の見きわめが可能な出融資先会社について、毎年将来の損益見通しを行い、そして事業の継続によって石油公団の損失の拡大する会社あるいは開発移行の見込みがない会社につきましては、速やかに事業を終結し、会社を整理するという方針で対処をしてまいります。

 それから、石油公団出融資先会社の事業、財務内容の情報公開の徹底ということでございますが、まず、平成十年八月に発表いたしました平成九年度決算から、各出融資先会社ごとに、出資額、融資額、債務保証額、それから各社の財務諸表及び事業内容の概要などについて詳細な情報開示を行ってきております。

 加えて、石油公団の出融資先会社は現在のところすべて非上場でございますけれども、平成十一年三月期の決算以降は、上場会社に作成が義務づけられております有価証券報告書並みの情報公開を行ってきております。これまでに、すべての出融資先会社について、各社の本社及び石油公団において、有価証券報告書に準じて作成いたしました事業報告書の公開を行っております。

 それから、一九八五年から一九九六年までに設立した百八十七社について、このうち平成十二年度末時点で三十二社が生産に移行しております。十二社が現在も探鉱活動を継続しております。残りの百四十三社につきましては、探鉱の不成功などによって事業を終結しているという状況でございます。

 さらに、最後に第四番目、石油公団のプロジェクト審査能力、リスク管理能力の向上を図るべきという御指摘でございます。

 これは、まさに公団の核となる業務そのものでございまして、さらなる業務改善を実施してきているところでございますけれども、具体的には、プロジェクトの採択審査につきまして、欧米メジャーズも活用していると言われております定量的評価を導入する。さらに、審査体制につきましても、採択を行う部門と経済性審査を行う部門を分離いたしまして、内部牽制機能を強化するというような努力をさせていただいております。

大島(令)委員 ありがとうございます。

 では、長官にもう一度質問させていただきます。以上の報告内容なんですが、経産省、通産省の中でどういう立場の人が陣頭指揮をとってこれらのことを実行してこられたのでしょうか。教えてください。

河野政府参考人 これは資源エネルギー庁では、直接的には、現在は名前は石油・天然ガス課となりましたが、旧開発課を主体といたしまして石油部、そして、資源エネルギー庁として責任を持ち、またさらには大臣にそれぞれ御報告を申し上げながら進めてきている事柄でございます。

大島(令)委員 では、最後の質問を大臣にさせていただきます。国家石油備蓄事業の公的負担と今後の課題について質問させていただきます。

 国家石油備蓄事業に係る備蓄石油の購入元本、約一兆三千億円は財政投融資資金及び民間からの借入金や公団債により賄われております。また、国家石油備蓄のため民間との共同出資により設立された国家石油備蓄会社に対して石油公団が貸し付けている国家石油備蓄基地建設資金の元本、約一兆三千億円の償還はその当該会社からの回収資金で賄われ、発生利息は国庫からの補給金で支弁される仕組みとなっております。また、国家石油備蓄は、国家石油備蓄基地のほか、民間会社からのタンク借り上げによっても行われており、これらへの施設利用料は国からの交付金をもって賄われています。

 平成八年度において、補給金は約九百億円、また交付金で賄われている施設利用料は千七百六十億円になっております。

 今後約二十年間に必要となる補給金の総額は約一兆円程度に達するとの石油公団の試算があるわけでございます。これに対して総務庁は、国家石油備蓄を継続するには多額の公的資金が必要となることから、国家石油備蓄事業については、緊急時対策としての重要性を踏まえつつ、引き続き事業の一層の効率的な実施に努めることが課題であると指摘されているわけなんです。

 以上の課題について、今後どういうふうに対応していくのか、聞かせていただきたいと思います。

平沼国務大臣 大島委員御指摘のとおり、国家石油備蓄事業を実施するに当たりまして多額の費用を要している、そのことは事実でございます。国家備蓄制度創設当初は、第一次石油危機の経験から、何よりも迅速に備蓄の積み増しを行うことが求められました。限られた財源の中でこれを行うため、借入金で原油の購入及び備蓄基地の建設が実施された経緯がございます。

 御指摘の利子補給金につきましては、かかる資金の借り入れに伴う利払い金に対して予算措置を講じているものであり、平成十三年度予算におきましては合計約五百七十億円、累計で一兆五千二百億円となっておりますが、経済産業省といたしましても、できる限り効率的に事業を進めるべくコスト削減に取り組んできたところでございます。

 近年におきましては、金利が低位で推移していること、また国家備蓄基地建設の終了に伴う減価償却、借入金償還の進展によりまして、平成十三年度予算におきましては対前年度比で三十三億円の減少となるなど、これらの費用についても年々減少をしてきております。また、平成十二年度からは、原油購入に係る借入金の償還も始めているところでございます。

 いずれにいたしましても、国家石油備蓄事業は我が国の石油の安定供給確保のかなめでございまして、経済産業省といたしましては、今後とも国家備蓄事業のより一層の効率化に向けて最大限の努力をしてまいりたい、このように思っております。

大島(令)委員 石油の安定供給には備蓄費がかかるということを、この四日間のいろいろな審議の中で議論をしてまいり、私も勉強させていただきました。

 私の先回の質問では、COP3の問題であるとか日本のエネルギー政策は今後どうあるべきかという観点で、社会民主党としまして、やはり再生可能エネルギーに力を入れていくべきではないかということを質問してまいりました。

 例えば太陽光パネルの補助金に際しましても、平成十二年度は百四十億円、そして今年度は二百三十五億円と、五万戸分でございますけれども、経産省としましては予算的には約倍くらい出してきているわけでございます。しかし、これだけ備蓄費でお金がかかる、これは捨てていくお金になる部分もあるわけなんですね。であるならば、私は、こういうものにもっとお金を使っていただきたいと思うわけなんです。

 大臣は先般も、再生可能、新エネルギーとおっしゃっていましたが、十年後は現在の一%から三%に、それ以上にという決意をこの委員会で述べられました。

 しかし、補助金という制度である限り、例えば太陽光パネルを設置した家は、その補助金は個人がもらうのではなく、その家を建設する対価として企業、建設会社に入るわけなんですね。私はやはり、例えば家を建てた場合、住宅取得控除などは、御自分が確定申告をする中で自分の税金から税の優遇措置が受けられる、事業者に補助金が行く形ではなく個人の税金が引かれるということになれば、もっともっと促進されると思うわけなんです。

 例えば、マンションを建てるために自分の家を譲渡した場合に、優良住宅ということで認定されれば譲渡所得税が減免されるわけなんです。

 ですから、補助金という形ですと、どうしてもそれを建設する会社に建築主を通してお金が流れるわけですから、やはり個人にメリット性を持たせるような税制優遇措置をぜひ新エネルギー対策でも財務省と闘っていただき、細かいことでございますけれども、国民全体にそういう方向に向かって協力していただくためには、やはり国民自身の税の軽減という対策をとらない限り、こういう制度というのは光が当たらないと思うわけなんです。

 来年度の予算の策定の時期には、経産省から財務省に、再生可能エネルギーを三%にするんだから、補助金でなく税制優遇措置をやってほしいというような御決意をぜひいただきたいと思うわけですが、どうでございますか。

平沼国務大臣 大島先生に冒頭にちょっとお願いをしたいわけですけれども、経済産業省を省略して経産省と言っていただいておりますけれども、私どもとしては、経済に主体的な責任を持つということで、省略名は経済省にさせていただいておりますので、ひとつぜひよろしくお願いを申し上げます。

 今、個人の住宅を建設する方々に太陽光発電のインセンティブを与えろ、こういう御指摘がございました。

 今のシステムでも応接にいとまがないぐらい大変好評でございまして、そういう意味では大変な普及が図られて、これが実際には個人の方々にその利便性というものが還元をされている、こういう側面もあります。

 しかし、ある意味では一つの御提言だと思っておりますので、私どもとして、検討材料の一つにさせていただければと思っております。

大島(令)委員 どうもありがとうございました。

山本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、本案に対し、青山丘君外七名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合、保守党及び21世紀クラブの七派共同提案に係る修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。岸田文雄君。

    ―――――――――――――

 石油の安定的な供給の確保のための石油備蓄法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岸田委員 ただいま議題となりました石油の安定的な供給の確保のための石油備蓄法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合、保守党、21世紀クラブを代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の趣旨は、改正後の石油輸入業の登録、石油精製業等の届け出、経済産業大臣の報告徴収及び立入検査、生産予定数量の増加の勧告等の規定並びに石油公団の既発見油田の資産買収資金等への出資に係る制度について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる場合を、この法律の規定の施行後五年を経過した場合からこの法律の規定の施行後三年を経過した場合に改めることであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川(鉄)委員 私は、日本共産党を代表して、石油の安定的な供給確保のための石油備蓄法等の一部を改正する等の法律案に対し、反対の討論を行います。

 一九六二年の石油業法制定を根幹とする政府の石油政策は、国内的には、中東原油の輸入をアメリカ系メジャーに依存した国内石油産業の保護、和製メジャーの育成であり、対外的には、アメリカの石油戦略に従属した探鉱権取得による自主開発偏重の資源外交でした。

 その結果は、二度の石油危機による国民生活への打撃とエネルギー自給率の五〇%から実質数%への激減です。このようにエネルギーの自主的基盤を崩壊させた政府の責任は重大です。石油業法の廃止というのであれば、戦後の石油政策に対する深い反省と総括こそが必要です。

 反対理由の第一は、本法案が、規制緩和を理由に一切の需給調整機能をなくして、石油製品等の供給を全面的に不安定な市場メカニズムにゆだねるもので、石油の安定供給に対する政府の責任を放棄するものだからです。

 第二に、電力、ガス、石油などの総合エネルギー企業としての中核的企業グループの育成のために、石油公団などの国民資産を集中投資することは、到底国民の理解を得られるものではないからであります。同時に、これとの関連で、日米エネルギー規制緩和協議を通じたエネルギーの全面自由化政策は、根本的な検討が必要です。

 第三に、石油公団の業務に既発見油田の資産買収資金の供給を加えることは、石油公団の不良債権を一層増大させることにつながるおそれがあるからであります。

 なお、修正案もこれらの点を改めるものでなく、賛同できません。

 以上、反対理由を述べて討論を終わります。

山本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、石油の安定的な供給の確保のための石油備蓄法等の一部を改正する等の法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、青山丘君外七名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、新藤義孝君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合、保守党及び21世紀クラブの七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。中山義活君。

中山(義)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    石油の安定的な供給の確保のための石油備蓄法等の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、石油をはじめとするエネルギー供給の安定的かつ効率的な確保は、我が国経済の維持発展と国民生活の向上に不可欠な最重要の政策課題であることを深く認識し、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 石油輸入業に対する登録制度は、石油備蓄義務の履行能力を確認するために必要最小限のものとして導入されることにかんがみ、登録は透明性かつ公正性の確保を旨としつつ迅速に処理されるべきであり、いやしくも、石油の輸入を行おうとする事業者の参入を不当に制約することがないよう、最大限の配慮を払うこと。

   また本法に定める見直しに当っては、石油輸入業者の新規参入状況や備蓄義務の履行状況等を勘案しつつ、石油輸入業者についても石油精製業者等と同様の届出制度とすることは出来ないかという観点から積極的な検討を行い、その結果及び理由について国民及び当委員会に対し、明確に説明すること。

 二 三年後の見直しにあわせ、公団の名称についても、可燃性天然ガスに係る業務が逐次拡大する等の状況を踏え、「石油天然ガス公団」等実態を踏まえた名称に変更することを考慮すること。

 三 今後の石油公団の支援は、中核的企業グループの育成に寄与する案件と併せ、天然ガスの開発・利用促進につながる案件及び石油調達先の多角化に資する案件に支援を傾斜し、中東依存度の低減をはかること。

 四 石油公団の石油開発業務において巨額の棚上利息や欠損金等を生むに至っている実態を真摯に反省し、「石油公団開発事業委員会」報告書等により指摘を受けた業務改善事項を的確に実施するとともに、公団及び関連企業が多数の官僚の天下りの受け皿となっている状況を厳に抑制するなど所要の措置を講ずるよう努めること。

 五 今次改正により石油公団の業務に追加される既発見油田の資産買収等に対する支援については、出資や資金供給等の効率性及び透明性を確保する見地から、油田の有望性等に関する評価基準をあらかじめ明確に定めるとともに、対象油田の選定時に止まらず中間段階及び最終段階においても、外部専門家を積極的に活用することにより事業評価を行うこととし、その評価基準及び評価結果については、インターネット等を利用して、可能な限り広く国民にも公表すること。

 六 緊急時において国民が石油供給制約等に的確に対応することを可能とするよう、緊急時における広報体制を点検・整備するとともに、平常時における省エネルギー等も含めたエネルギー広報体制を抜本的に強化すること。

 七 中小零細事業者が過半を占める石油小売業の厳しい経営環境に鑑み、経営基盤強化や経営革新のための支援施策を強力に推進すること。また、転廃業を余儀なくされた場合に必要な金融面等の支援策に特段に配慮すること。

 八 最近、税を免れることを目的とした軽油取引の不正の摘発事例が見られる。このような行為は取引の公正の確保、クリーンな環境の保全、地方公共団体の適正な税収の確保等の観点から、見逃すことは出来ず、関係地方公共団体とも協力してその是正に努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、平沼経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平沼経済産業大臣。

平沼国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

山本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十二分散会




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