衆議院

メインへスキップ



第5号 平成14年3月29日(金曜日)

会議録本文へ
平成十四年三月二十九日(金曜日)
    午前九時三分開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 竹本 直一君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 達増 拓也君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      大村 秀章君    梶山 弘志君
      阪上 善秀君    下地 幹郎君
      根本  匠君    林  義郎君
      平井 卓也君    増原 義剛君
      松島みどり君    茂木 敏充君
      保岡 興治君    山本 明彦君
      生方 幸夫君    川端 達夫君
      北橋 健治君    後藤  斎君
      島   聡君    城島 正光君
      中山 義活君    松原  仁君
      松本  龍君    山田 敏雅君
      山村  健君    漆原 良夫君
      福島  豊君    土田 龍司君
      大森  猛君    塩川 鉄也君
      大島 令子君    西川太一郎君
      宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   総務副大臣        佐田玄一郎君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   経済産業副大臣      大島 慶久君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   経済産業大臣政務官    松 あきら君
   政府参考人
   (内閣府国民生活局長)  永谷 安賢君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局長
   )            鍋倉 真一君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           加茂川幸夫君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房商務
   流通審議官)       古田  肇君
   政府参考人
   (経済産業省商務情報政策
   局長)          太田信一郎君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十九日
 辞任         補欠選任
  生方 幸夫君     城島 正光君
  後藤 茂之君     後藤  斎君
  山田 敏雅君     島   聡君
同日
 辞任         補欠選任
  後藤  斎君     後藤 茂之君
  島   聡君     山田 敏雅君
  城島 正光君     生方 幸夫君
    ―――――――――――――
三月二十八日
 特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)
同月二十日
 脱原発への政策転換に関する請願(金田誠一君紹介)(第八五五号)
 同(川田悦子君紹介)(第八五六号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇二三号)
同月二十五日
 脱原発への政策転換に関する請願(日森文尋君紹介)(第一〇六六号)
は本委員会に付託された。
三月二十八日
 脱原発への政策転換に関する請願(第五八六号)は「辻元清美君紹介」を「中川智子君紹介」に訂正された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)
 特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)
 原子力発電所の発電単価の計算根拠に関する予備的調査についての報告


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 この際、御報告いたします。
 去る二月二十日、本委員会から調査局長に命じました原子力発電所の発電単価の計算根拠に関する予備的調査につきまして、昨二十八日、本委員会に報告書が提出されましたので、御報告いたします。
 なお、報告書につきましては、同日、私から議長に対し、その写しを提出いたしました。
     ――――◇―――――
谷畑委員長 次に、内閣提出、特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房商務流通審議官古田肇君、経済産業省商務情報政策局長太田信一郎君、内閣府国民生活局長永谷安賢君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、総務省総合通信基盤局長鍋倉真一君及び文部科学省大臣官房審議官加茂川幸夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山村健君。
山村委員 おはようございます。民主党の山村健と申します。
 ことしの一月から経済産業委員の仲間に入れていただきまして初めての質問の舞台ということになるんですが、大臣におかれましては、昨年、予算委員会の分科会におきまして愛知万博の件で御答弁いただいた、非常に光栄でございます。
 最初の質問ということになりますが、自己紹介を兼ねまして、今回の特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、私なりの所信も述べさせていただいた上で、大臣の所信を聞かせていただければと思う次第です。
 まず、この一月から、やっと念願がかなって私、経済産業委員にならせていただきまして、二〇〇〇年の六月に初当選させていただいてから、国会に対して、委員会に対してといいますか、なれてきたところで本格的に仕事をさせていただけるのかなと、本当に期待に胸わくわくとしておったわけですが、御承知のとおり、例のNGOの問題から始まりまして、鈴木宗男議員の問題、そして辻元さん、そして今やまた加藤さんと、本来、経済対策ということが一番大きな問題であったにもかかわらず、いわゆるゴシップネタといいますか、場外乱闘の部分だけが大きく国民の前に露呈されてしまったなと非常に残念に思っている次第です。
 そういった中で、これらのいわゆるスキャンダルといいますか、その問題、その根底は何にあるのかということを考えますと、個々の議員の問題と言ってしまえばそれだけなんですが、私なりに思いますのは、いわゆる明治維新以降の中央集権国家、いわゆる官僚主導でキャッチアップ型の国づくりをしてきたその制度そのものが今疲弊しているといいますか、本当に時代に合わなくなったんじゃないかなというふうに思うわけです。
 その中で、特にこれから大きく変わろうとしていることといいますと、一つは、今回議題にもなっております、特定商取引という名前にはなっておりますが、ITという技術を使った方向に、商取引だけではなく、電子政府等々いろいろございますが、大きく社会の流れというのは変わってくるんじゃないかなと。もう一つは、御承知のとおり、環境という問題を外して二十一世紀は語れないというような事態に直面していると思うんです。
 そこで、大臣にお伺いしたい部分なんですが、今回のこの迷惑メールの問題に関しましても、いろいろ新聞等で報道されてはいたのですけれども、この法案づくりに当たりまして、経産省と総務省と、そしてまた議員立法と、同時に三つの法案がそれぞれ検討されてきて、これは申しわけないんですが通告には入ってはいないんですけれども、制度改革というもとに、昨年、省庁の再編成ということもあった中で、今回の問題におきましても、新しい領域の問題だから、それぞれの省庁が縦割りの中で同じように問題意識を持ってこういう形で法律案になってきたと思うんです。
 昨年の省庁再編以降といいますか、特にIT問題に関していいまして、経産省と、私今までずっと総務委員でございまして、同じようにIT関連の担当をしておったということもあるんですけれども、通告してないので総括的で結構でございます。制度改革の一つであった省庁再編成についていかにお考えかということをまず聞かせていただければと思うんです。
平沼国務大臣 橋本内閣のもとで、行政改革、そして構造改革を進めていこうというような中で、その一環として中央省庁の再編、こういう問題が起きました。それで今の体制ができたわけであります。それはそれなりに一つのコンセプトに基づいて行われた、こういうことだと私は思っています。
 今先生が御指摘のこの法案に関しても、議員立法の面と、それから我が方で今回お願いをしているこの法案、それがあって、その辺、中央省庁の再編の中でもう少しまとめて一本でやればよかったのじゃないか、こういう御指摘だと思うわけであります。
 今回、非常に大きく問題になっております迷惑メールというのは、もともと特定の商取引の範疇に入るものであります。議員立法の方の皆さん方も、今のこのIT社会というものを大変心配されまして、そういう中で、消費者、利用者がそれを利用するに当たって、やはりスムーズにそれが利用できる体制をつくらなきゃいかぬという考え方で、非常に前向きに検討していただきました。
 しかし、今回の迷惑メールという問題に関して言えば、既存の法律があるわけですから、そのある法律をやはり改正する、こういう形で対処をしたらいいという基本的な考え方で、それぞれITを進めるに当たりましても、e―Japan計画のもとにITの戦略会議というものはあります。
 ですから、そういう一つの大きな枠の中で私どもはそれぞれ既存の法律をつくる、そうじゃない部分は議員立法の方でやるということで、よく整合性をとるように話し合って、今回、既存の法律の改正の中で、もともとある特定商取引、その範疇に入るから迷惑メールはやらせていただこう、こういう形で、一本でやればいいかということでしたのですけれども、よくそれぞれ連絡をとり合って、話し合って、そういう形で今回改正案としてお願いをしている、こういう経緯がございます。
山村委員 実は私、自分で今までは、個人事業者といいますか、父ちゃん母ちゃんでやってきた零細事業というのを経営しておりました関係もありまして、国会へ上ってきてから、IT関連、IT、放送といいますか、かつての業務にかかわりのある領域で仕事をさせていただけるということで、逓信委員会から総務委員会というように委員会は変わりましたけれども、当初はその中でIT関連を担当させていただいて、そのときに感じたのが、いわゆるソフトといいますか、人的な要素としては経産省の領域だ、ハード面は総務省の関連なのかなというふうなことで、ちょっと技術音痴の私にしましては、総務委員より経産委員の方がよかったなという意識はあったのですけれども。
 ただ、一年半にわたりまして総務委員という領域でお仕事をさせていただいていたときに感じたのが、せっかく省庁再編というようなことをやられるのであれば、当初そのような話もあったように聞いておりますけれども、いわゆる情報通信省であるとか、その部分だけ新たにつくってもよかったんじゃないかなというふうに思う次第です。
 今回の法案につきましても、一つの迷惑メールという領域ではあるわけですけれども、日本という国は資本主義社会でございますから、経済産業省という省庁が中心となって、その他の省庁と、本当に横の連絡といいますか横ぐしを上手に通していただいた上で、恐らく今後、IT関連の商体系というものがこれから必要になっていくんじゃないかというふうに思う次第です。
 下世話な話で申しわけないんですけれども、いわゆるポスト小泉というようなうわさがいろいろ流れている中で、自民党のニューリーダーとしての大臣が最近ちらほらとあちこちのメディアにも取り上げられるようになっておりますので、将来、我が党が政権をとってしまったら残念なんですけれども、自由民主党が政権をとられた場合には、総理になられた折には、早速、情報通信省といいますか、IT時代に合わせた再編成というのをもう一度試みていただければと願う次第です。
 時間も経過してしまいましたが、それでは早速に、この法案について質問を本来の方でさせていただきたいと思うんです。
 今回の迷惑メールの問題といいますと、本当に急速なIT化といいますか、今ではインターネット、インターネットといいまして、自宅にある卓上のコンピューターを中心に考えてこられたのが、あっという間に、携帯電話といいますか、iモードというような技術のもとに、それぞれが、中学生からもう本当に高齢者の皆さんまで、今までコンピューターにはなじみがないと言われていた人の間にまで普及してしまった。それに関して、個々の電話にメールが入ってくるという、要らないメールが余りにも多過ぎるというようなことで社会問題になったからこそ早急に法案化というものをしたと思うんです。
 この迷惑問題に対しての特定商取引法で対応する旨、先ほどもそのお話はいただいたのですが、この法案、総括しての概要というものをもう一度お聞かせいただければと思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 委員御指摘のとおりのことでございまして、本法案は、いわゆる迷惑メールの問題に対応いたしまして、商取引の適正化と消費者保護の強化を図る観点から、所要の対応を行わなければならないという形でお願いをさせていただきました。
 迷惑メールの問題というのは、昨年春以降、特に御指摘の携帯電話で、いわゆる出会い系のサービスやアダルト関連商品等に関する商業広告というものを電子メールという新たな手段を用いて一方的に押しつけて、そしてそういう実態が広まって、それが社会問題化になりました。
 携帯・PHS関係六グループの企業に対して、前年五月以降、月によっては変動がありますけれども、五万件から十万件、場合によってはそれ以上の苦情の相談が寄せられる、こういう事態になりました。
 また、昨年秋、経済産業省が行った調査では、特に携帯メールの場合には、一般消費者八〇%が非常に迷惑だ、何とかしろ、こういうお声があったわけであります。
 このような状況を踏まえまして、既に現行の特定商取引法のもとで省令の改正を行いまして、通信販売に係る広告については、事業者の電子メールアドレス、商業広告であることを示すマーク、新たな表示義務を追加しましたけれども、こういった問題が起こってまいりましたので、本法案では、さらに十全な対応を行うために、通信販売等に係る規制として、具体的に申し上げますと次の二つの措置を講ずることにいたしたところであります。
 一つは、消費者が通信販売事業者等に対して、電子メールによる商業広告の受け取りを希望しない旨の連絡を行った場合には、その消費者に対する商業広告の再送信を禁止する、このことを明記させていただきました。
 第二は、そのため、消費者が通信販売事業者等に対して連絡する方法の表示を義務づけること、こういうことにいたしまして、このような措置によりましてこういった迷惑メールの問題の対応を図る、こういう形で今お願いをしているところでございます。
山村委員 まさに二月から、本当に私もそれに気づかずにいましたら、自分のiモードの方に「!広告!」というタイトルがいつもついてきまして、ある新聞によりますと、「!広告!」という、省令でそれを表示するというふうに決まってから以降、いわゆるアンダーグラウンドの業者でさえも正々堂々とそれができるんじゃないかというふうな形で数がふえているというような一部報道もあったのですが、私は、それがふえているのかどうか、今までは、その「!広告!」というマークがなかったから、気づかずに、またかよというような状況だったと思うんです。
 そういう観点からしましても、今回の省令でそのように決めていただいた、それで、この場でまた法案という形でなお一層踏み込んだ形をとっていただいたということは非常に喜ばしいことかなというふうにも、当初、法案を読ませていただいたときに思ったのです。
 ただ、それは、今まで全くそういったものがなかったから一気に広まってしまったといいますか、特にこのような経済状況の中で、身動きのとれないような大企業は別といたしまして、何か新しいものはないかなというふうなことを考えているようないわゆるベンチャー系の企業にしましたら、技術革新というものは、ありとあらゆる想像力を発揮して、こういう法律のすき間をついたといいますか、よく考えれば、非常にフロンティアスピリットが発達したような起業家であるんだなというふうにも感心はしているんですけれども、消費者の観点といいますか、受ける側からしたら、これほど迷惑なことはないというふうに思うんです。
 省令が二月から施行されて以降、これまでどのぐらいの効果といいますか、そういうようなデータが出ているのかどうかというのはまだ短いのでわかりませんが、どのように変わってきたのかということを具体的にお願いいたします。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 実は私も、委員御指摘のように、大変迷惑メールで迷惑をいたしまして、私はアドレスを変えましたらまずほとんど入らなくなったんですけれども、実際、変えますと、知らない人は入ってきませんので、変えていない方は迷惑メールがたくさん入ります。
 それで、私どもも、そういうこともありまして、二月一日にまず省令改正をさせていただいたのですが、二月末から三月にかけてアトランダムでチェックをしてみました。そうしましたら、携帯メールでは九〇%に「!広告!」が入っておりました。パソコンの方は大体八〇%程度でございまして、この一カ月間ですけれども、広告マークをつけるということに対しては、この省令の効果が出ているなというふうに認識をいたしております。
山村委員 私どもも、メールが鳴って、不用意に見てみると、「!広告!」というマークがついていれば即座にこれは削除できるということで、若干の手間暇はかかりますけれども、今までに比べたら非常に助かったなというところはあるんです。
 ただ、人的な要素をやらなくても、いわゆるインターネットといいますかコンピューターの世界ですと、「!広告!」というような文字列に対していわゆるフィルターがかかるというようなシステムもございます。
 きょう、いわゆるハード面でもあります総務省の通信基盤局長にちょっとお願いしたのですけれども、いわゆるiモードといいますか、携帯メールに関してのそのようなソフトといいますか、システム開発というようなハード面の方からフィルターをかけるというようなことは、総務省の方からの指導というのはやっているのかどうかということをお聞きしたいんです。
鍋倉政府参考人 先生今申されましたような「!広告!」というのをもし普通のパソコンのようにフィルタリングができるのであれば非常に有効な手段であろうというふうに思いますが、ただ、残念ながらまだ、個別に受信者が設定選択して、多様な条件に基づくフィルタリングの機能というものまでは、携帯電話事業者によっては提供されておりません。
 ただ、迷惑メールの防止の観点から、今申しましたように、こういったフィルタリングの機能の早期導入というのは非常に有益であると私どもも認識しておりますので、より多様なこのフィルタリング機能というものをできるだけ早期に提供するよう、各携帯電話会社には私ども働きかけてまいりたいというふうに思っております。
山村委員 本当にこれは一刻も早く、政府主導でできることかどうかということはわからないんですけれども、いわゆるNTTドコモさんですか、具体的な名前を挙げて恐縮なんですけれども、発信する側は勝手なんですが、受信する側にも通信料はかかっていまして、ふえればふえるほど自分のところがもうかるというようなところもございますので、本当に、早期に消費者保護、受信者保護といいますか、その観点で技術開発を急いでいただけるようにお願いしたいと思います。
 ただ、今回のこの法案について、非常に私も懸念しているんですが、これはいたし方のないことなのかなとある種あきらめもございますが、技術革新というものが余りにも速過ぎて法案が追いついていかないということは、どうしてもここしばらくは出てくるのかなというふうにも思うんです。
 今回の法律に明記してありますが、幾ら発信元に再送信は要りませんというようなメールを送り返したとしても、この法案の実効性といいますか、処罰も含めてなんですけれども、そういったところでいささか疑問に思うんですが、今回のこの特定商取引の法案のもとで、どのような形でその身元を確認し、注意といいますか、いろいろな処罰はあるとは思うんですが、やっていくのかということを具体的に聞かせていただきたいと思います。
古屋副大臣 電子メールで広告を出すということは、消費者に何か連絡をしてもらって物を買ってもらうなりなんなりしないと効果がありませんので、そういった意味では、どこかできっかけがあるというか、端緒があるというのが普通だと思います。特定商取引法は、契約の前の段階から、契約をして、そして実際に取引するまでの段階すべて対象になっておりますので、そこから特商法に基づいてその端緒を探し出すということは十分に可能だと思っております。
 もうちょっと具体的に申し上げますと、例えば私書箱なんというのがありますね。あれは、私書箱ですと、そこに担当を立ち会わせておいて、私書箱にとりに来たときにそれを追跡するなんということもございますし、また、電子メールで案内が送られてきたとき、実際そこに行って調査をするということもできますし、また、電話番号がもし書いてあれば、そこの電話番号から事業者というものを特定することができるということで、いろいろな機会でそういう機会がございますので、そういう機会をとらえて事業者を特定していくという作業をしていくことになろうかと思いまして、現実にそれは可能だと思います。
山村委員 今、副大臣おっしゃられたとおり、いつかどこかで人が、接点といいますか、それがあるからということはわかるんですけれども、あくまでもこれは、事件、事故が起きてからでないと、結果としてさかのぼっていくというような方法しかないと思うんです。
 今回の迷惑メールだけに限らず、最近、インターネット上の取引といいますか、非常に我々の周りに伝わってくる言葉として認証という言葉があると思うんです。いわゆるインターネット上で取引をしていく場合、所在がはっきりしている、そういったことをあらかじめ、公的な機関といいますか、みんなに認められたところの機関というようなことで、そこの保証があるから、認証があるから安心して取引ができるというようなことができると思うんですが、経済産業省としてのそういった認証組織、そういう取り組みというのがありましたら。
 だから、前もってメールを配信する業者が登録さえしていればいいんじゃないかなというふうにも思うんですが、いかがでしょうか。
古屋副大臣 委員御指摘の、よく一般的には知られております消防なんかのマル適マークですね、こういう制度があればいいのではないかということだと思いますけれども、実は、委員御承知のように、オンライン・トラストマーク制度というのがございまして、これは、ネットで販売をする業者に対してオーソライズをするという制度でございます。その条件は、ある程度の事業経験があるとか、法令違反がないとか、身元がしっかりしているとか、そういったことを調査いたしまして、そのオンライン・トラストマーク制度を認定しているわけであります。
 これは民間ベースの制度でありますけれども、かなり効果が上がっておりまして、ちょうど平成十二年の四月からですけれども、一年半ぐらいでございますけれども、現在大体五百七十社がマークを取得いたしております。
 私どもといたしましては、このマークをしっかり取っていただいて、またこれを積極的に活用していただくように、我々もあらゆる場を通じてその啓蒙に努めてまいりたいと思っております。
山村委員 御答弁いただいたオンライン・トラストマーク制度ですか、私も民間のとき、商工会議所の青年部で、IT時代というようなときに、これからのいわゆるインターネット上のビジネスはどうなっていくんだということで、いろいろな方面で勉強させていただいたのがいつの間にかこのような制度化されていたということで非常にうれしく思った次第なんですけれども。
 特に経済産業省におかれましては、昨今の外的な状況といいますか、規制緩和という言葉のもとに、何でもかんでも自由化、いわゆる規制緩和、規制を外せばいいというような考え方で社会は進んでいるようにも思うんですけれども、事ネット上の新たな商取引におきましては、秩序が確立するまでは、もう少しいわゆる政治主導といいますか政府主導というか、規制というものがルール決めとして、たたき台としてあってもいいんじゃないかなというふうにも思う次第です。
 時間も差し迫ってまいりましたので幾つかの質問は飛ばさせていただきたいと思うんですけれども、きょうは、文部科学省の方にもちょっと私質問通告をさせていただきました。
 デジタルデバイドという言葉もございまして、高齢者の皆さんの、インターネットといいますか、IT化ということに関しては非常に危惧する部分もあるんですが、いずれ、なれたのと同時に社会も変わってしまうだろう、それは技術の方がはるかに進歩は速いんですけれども。
 ただ、これから社会に出てくる児童、学生に関して、二週間ほど前の新聞ですか、特に中学生が出会い系のメールというものに対して非常に許容しているといいますか、社会風俗の中で全然違和感なしに受け入れてしまっている実態に関して、学校当局の方では、IT教育に関してはどのように処してみえるのかということをお伺いしたいんです。
加茂川政府参考人 情報教育についてのお尋ねでございます。
 情報化社会に適切に対応できるよう、子供たちがコンピューター、インターネットを活用しながら、必要な情報を主体的に収集したり、判断、創造したり、みずからの情報として発信できる能力、学校教育ではこれを情報活用能力と申しておりますが、これを育成することは大変重要であると私ども考えてございます。
 この情報活用能力を育成する中で、誤った情報または不要な情報に惑わされることなく、必要な情報を主体的に収集して、みずからの情報として発信できる能力等を育成する、いわゆる情報化の影の部分に適切に対応する教育というのも大変大事だという考えのもとに情報教育を進めてきておるわけでございます。
 具体の取り組みでございますが、小中高等学校等の各学校段階ごとに、また教科等の特性に応じまして取り上げられておるところでございます。小学校の段階から、地域やその学校の実情に応じてコンピューターになれ親しませる学習活動が行われておりますし、中学校、高等学校でも、関係の教科で情報教育への取り組みが行われております。
 特に中心となりますのが、中学校の技術・家庭科の教科にございます情報基礎という分野でございます。ここでは、具体には、各種のソフトウエアを取り上げましたり、コンピューターの基本操作、簡単なプログラム作成等の学習活動を行っておりますが、先ほど申し上げました情報教育に必要となります情報化に伴う影の部分につきましても、ここで適切に取り上げられることとなっておる次第でございます。
山村委員 ITというものに対して、いわゆるハードといいますか、技術的な部分での学校教育、非常に学校の現場の中へ入ってきているということは私たちも重々承知はしているんですけれども、また、その担当教員といいますか、そういう方面においてもなんですが。
 最後になりますけれども、総括して、いわゆる教育の現場もそうなんですけれども、どんな便利な技術があったとしても、それを使うのは人間であるということ。今、本当にキーボード一つで世界の各地の情報が手にとるようにわかるんですけれども、特にこれから、生身の情報、触れ合いであるとか、やはり人間である以上、心を磨いていくというような方面にも文部科学省の方は御配慮いただいて、ちょっと委員会は違いますけれども、これからの、日本人といわず、地球人類としてITをよりよい、日の当たる部分だけ活用するというのは非常に難しいのかもわかりませんが、これは本当に党派を問わずといいますか、国を問わずという形で新しいルール、新しい方向性というのを見つけていきたいなというふうに思う次第です。
 時間が参りましたので終了させていただきます。どうもありがとうございました。
谷畑委員長 松原仁君。
松原委員 山村委員に引き続き質問をしたいと思います。
 最近、迷惑メールということが非常に一般的に言われるようになって、知らぬ間に何か知らない人から電話がかかってきている、あけてみると、それがいわゆる出会い系、アダルト系、さまざまなものがある、こういうふうな話でありまして、こういった迷惑メールが社会問題化してきたということでありますが、いつごろからそういったものが出てきたのか、簡単にお答えいただけますか。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 御指摘のありました、いわゆる出会い系サービスでありますとかアダルト関連商品等に関する商業広告を、電子メールという新しい手段を用いて一方的に送りつけるといういわゆる迷惑メール問題でございますが、おおむね昨年春以降急速に実態が広がり、社会問題化してきたというふうに理解しておるわけでございます。
 特に、携帯電話に送られます迷惑メールにつきましては、携帯・PHS関係の六グループ企業に対して、昨年五月以降、毎月五万件から十万件、場合によってはそれ以上の苦情相談が寄せられておりますし、また、昨年秋、当省が行いました調査でも、一般消費者の八〇%以上がこのようなメールについて非常に迷惑だというふうに受けとめているところでございます。
松原委員 今そういったお答えがあったわけでありますが、そういう中で、商業広告メール、非商業広告メール、そういうものがあるわけであります。
 その内容云々ということも御質問しようと思っておりましたが、それ以上に、こういう迷惑メールがどんどんと出てきたということは、言葉をかえて言うと、IT社会というんですか、インターネット社会が、極めて大衆レベル、一般国民レベルに、表現として適切かどうかわかりませんが定着してきた。定着してくるとこういういろいろな迷惑メールが出てくるんだろうというふうに思うので、その部分では、ある意味でIT化が大衆社会に定着してきたということだと思うんです。
 逆に言えば、そういう中で我々は、そういった社会において一つのルールを考えなければいけないというのは当然必要なことだと思っているんです。
 大臣にお伺いしたいのですが、迷惑メールについては現在、そういう観点で、一年間でそういったものがばあっと表に表出してきた中で、与党からも別途議員立法の法案が出される見込みとも聞いておりますし、そういった迷惑メールについてのさまざまな法案、両法案の位置づけ等をちょっとお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 松原先生にお答えをいたします。
 今御指摘のように、与党の方からも議員立法として出る、こういうことになっております。
 現在、社会問題化している迷惑メールの問題につきましては、言うまでもなく、消費者保護の観点からの対応と、電子メールの送受信上の支障への対応、これが必要となっているわけであります。
 このため、特定商取引法の改正案というのは、取引の公正と消費者保護を図る観点から、広告規制の一環として、商業広告メールの送りつけについて規制をしよう、こういう考え方でお願いをしているわけです。
 一方、与党において検討されている議員立法案というのは、一時に多数送信される広告宣伝メール等により電子メールの送受信上の支障が生じていることに着目をする、ここに着目点がございまして、その防止を図るための通信規制を行う、こういうコンセプトでやっているということを承知しております。
 したがいまして、私どもとしては、この両法案を、今起こっている、消費者が大変迷惑をこうむっている、そういったことを解消するために、言ってみれば車の両輪として、関係省庁で相互に連携をとりまして、迷惑メールの問題を効果的に解消する、それに対応していく、こういう基本的な考え方であります。
松原委員 迷惑メールは受け手が迷惑と感ずるメールであるわけでありますが、今大臣がおっしゃったように、この二つの法案によって、商取引の部分からのさまざまな規律をつくり、また、そうではなくて、今度はいわゆる送信上の、技術的にパンクしてしまうとか、そういった部分からの規制をつくろう、こういうふうなことだろうというふうに思っております。
 ただ、ここでお伺いしたいことは、そうした場合に、その規制によって実際どれぐらいの実効性が図られるというふうに思っているのか。つまり、この規制によって、今迷惑メールがあって迷惑を感じているユーザー、消費者は、そういった迷惑感を持つことがなくなる。そういった迷惑メールが実際なくなるということに関して、どの程度確信を持っているのかをお伺いしたいと思います。副大臣でも結構ですが。
平沼国務大臣 迷惑メールの問題というのは、繰り返しになりますけれども、御承知のように、昨年春以降急速に社会問題化したところです。そのほとんどは電子メールという手段を利用して一方的に送りつけられてくる商業広告、すなわち、受け取った消費者を商取引に誘い込む、こういうことを目的とした広告であるわけです。
 昨年秋に当省が行った調査結果によれば、迷惑メールのうち、携帯電話向けメールのほぼすべて、九九・四%、それからパソコン向けメールでは九割弱、八六・八%が商業広告を内容とするメールでございました。
 そういったことで、特定商取引法は、先ほど申しましたように、商取引の公正と消費者の利益の保護を図ることを目的として、商取引に関する最低限のルールを設定している法律であります。
 規制の内容というのは、従来から、取引の準備段階である広告に関する規制が含まれておりまして、新聞、雑誌への広告掲載、郵便のダイレクトメール、テレビでの広告など、媒体のいかんを問わず、取引条件の適正な表示等が義務づけられているところであります。
 今回の改正案というのは、最近、消費者に対して一方的に電子メール広告を送りつけようとする問題が社会問題化してきたことに対応いたしまして、特定商取引法のもとで、広告規制の一環として、電子メールによる広告に着目した規制を追加するものでございまして、具体的に申しますと、商業広告の再送信を禁止する、それから、連絡する方法の表示を義務づける、こういったことをしておりまして、これによりまして、私どもは、先ほど申し上げた数字ですけれども、相当程度これで解消される、こういうふうに思っているところでございます。
松原委員 大変丁寧に御答弁賜りましてありがとうございました。
 私は、実はこの有効性というのは、やってみなければわからないというのは法律のそもそもでありますが、極めてこの有効性は、言ってみれば、当初は効果が上がっても、短期的にその有効性が失われる可能性があるのではないかというふうな気もしております。私はITに関しての技術者ではありませんからつまびらかにはわかりませんが、例えばインターネットの特徴というのは、まさにインターナショナルであるということだと言われております。
 ですから、この議論に関しては、特定商取引に関してもそうでありますが、当然国内に対しての規制であって、国外、海の外からの発信者に対して有効にその規制が働くかどうかというのは多分に疑問になるわけであります。もちろん、コストの問題ですから、そういう迷惑メールをやろうとする人たちが、国内でできなくなって国外に、例えば海外のどこかの国から送信することが、彼らの事業というんですか悪事といいますか、それに照らし合わせてみてコストが合うかどうかという議論になるわけですが、現実にそうやって行われたときに、果たしてこういったものがどこまで有効に機能するのかということをちょっとお伺いしたいと思います。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 御指摘のように、特定商取引法は私どもの国内法でございますので、国内の事業者が実質的に国内の行為として行われたものについてこれを適用するということになるわけでございまして、例えば、国内の事業者が海外のサーバーを経由して国内の消費者向けにメールを送るという場合につきましては、一般的には、実質的に国内の行為だということは言い得ると思うのでございますが、他方、外国の事業者が外国からメールを送ってくるということになりますと、我が国の国内法に基づいて規制、処罰等を行うということはできないわけでございます。
 ただ、欧米諸国におきましても同様な法制が今整備ないしは検討されつつございますので、各国の関係機関との連携を強化するということで対応していくのかなというふうに思っております。
 ちなみに、この三月にOECD消費者政策委員会がございまして、私どもの方から、今般の迷惑メール問題に対する取り組みを御紹介したところでございますが、引き続き、諸外国においても同様の法制度が導入されるように働きかけながら国際連携に取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
松原委員 先ほど我が党の山村さんの質問にありましたが、いわゆる情報通信省というふうな話もあったのですが、まさにこの情報通信という問題は、二十一世紀、国境を越えて、既に国境を越えてお金とか物とか人が動く時代でありますが、情報はもう加速度的にこれが進んでいくわけでありまして、それがインターネットの強みだというふうに言われております。
 かつて、今から十年ちょっと前にはやりましたニューサイエンスという、アメリカの西海岸ではやった学説の中で、グローバルブレーンという話がありまして、これは私は考え方として極めておもしろいと思ったのは、地球というものを一つの大脳の形になぞらえて、そこのシナプスというのが、これはインターネットの光ファイバーみたいなものだと思うんですね、これが張りめぐらされることによって、一人一人の人間が一人一人の脳細胞で、それで地球全体が一つの大脳として成熟していく、ちょっと荒唐無稽な嫌いもあったわけでありますが。そうして子供が、ゼロ歳児から一歳児、二歳児、三歳児とだんだん、このシナプスが張りめぐらされる中で知能が発達していくように、地球全体が一つの知能を持っていくというふうな話を、当時ニューサイエンティストたちが随分と唱えたことがあるわけであります。
 そういった意味では、それが人類の一つの方向性とか、私はそういうふうな議論をここでする気はありませんが、やはりそういった可能性もあるわけでありまして、そういったことを考えると、国際的なインターネット網の中でそういった規制をする必要も一方には発生するだろうというふうに思うんです。
 ですから、私は、ここでちょっと質問したいのは、実務的な話ですが、特に今さまざまな媒体がある中で、携帯電話というのは、これは世界の中で最も日本が普及しているというふうに認識しております、iモードということを含めて。この辺の今の普及状況、世界の他の国等との比較においてちょっと御説明いただきたいと思います。
鍋倉政府参考人 ちょっと手元にございませんので概括的なお話になりますけれども、先生御指摘のとおり、iモードを含めまして日本が一番携帯電話は技術的には進んでおります。ただ、普及率から見ますと、北欧、フィンランドですとか、ああいうところの方が高うございます。そういうことで、普及率からいきますと日本は一位ではございません。それから、携帯電話の所有台数からいきましても、これは中国がやはり人口が多うございますので、たしか一億五千万ぐらいございますので、日本の倍ぐらいございます。
 ただ、技術的に申しますと、iモード等インターネットに接続できる技術というのは日本が一番進んでおりまして、このiモードの技術を今ヨーロッパとかあるいはアメリカへ、ドコモを中心にして欧米の各社に出資をすることによってそのiモードを普及させようという方向になっております。
 それからもう一つは、第三世代の携帯電話というのがございます。これは、映像も鮮明に送れるようになって、インターネットをよりスムーズに接続できるようになる次世代の携帯電話でございますけれども、その技術も日本が一番進んでおりまして、既に去年からドコモはサービスを開始しております。ちなみに、ヨーロッパはことしから来年にかけてということでございましたけれども、少しおくれるようでございます。
 以上でございます。
松原委員 大事なことは、中国の方が量的に、人口十五億とか六億とか言われておりますから、それは量が多いのはわかるんですが、要するにiモードつきの、そういったより高度な通信ができるものにおいては日本が質、量ともに恐らく世界の最大先進国、日本人は器用だとか指が細かく動くとか、こういったことも含めてそうなのかもしれません。
 私がここで申し上げたいことは、そうであるとするならば、先ほどのお話で、国際的な一つの統一的な、グローバルスタンダードというんですかね、そういったものがこの迷惑メールにおいて確立されなければ、もちろん国内的にはそれはそれでやるのかもしれぬけれども、恐らく、事柄からいくと、国内ではなくて国際社会、インターナショナルな部分におけるグローバルスタンダードというものの確立をしなければ、これは実効性という問題からもどうかなという部分もある。
 さらに言うなら、日本のこの携帯文化というものが、今おっしゃったように、そういった技術を含めて輸出するんだというふうな話でしたが、これ、日本の携帯文化の中に、やはりそういった一つの、何と言えばいいのかな、社会的な正義というのかな、社会的なルールも入れて、例えばネクタイを我々こう締めている。夏の暑いときだってネクタイを締めている。これはイギリス人が締め始めて、もともとは日本人はネクタイを締めていなかったんだけれども、これがグローバルスタンダードになったわけです。
 私が言いたいのは、日本も、そういった意味で携帯文化で、ルールづくりで今いろいろとOECDで、三月にやったという話がありましたが、こういった部分では、この携帯文化について、このルールづくりも含めて、もちろん国内的なこれも結構ですよ、しかし私は、今言った実効性の問題でどうだろうかということもこれあり、やはり世界に通用するようなものを目指すという観点から、この法律を――だから、例えばオプトイン方式を既にどこがやっているとか、それは、携帯がどこまで普及しているかわかりませんが、そういうふうな現状をそのままさらなところに描くわけじゃないから、さらのキャンバスに絵を描くわけじゃないから、現実に既にやっているところも踏まえて、最小公倍数というか最大公約数というか、そういう中で我々が一つのモデルをつくっていくというのは、僕は、日本人のプライドからいっても非常に大事だと思うので、この際、その辺どうなのか、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
古屋副大臣 今、二つの趣旨の御質問があったと思います。
 まず一つは、携帯文化を広めるためには、そのスタンダードはどうだということ、これは私どもの管轄ではございませんので、総務省の方で、次世代の携帯のその規格のことも含めてITU等で議論をされていると思います。
 もう一つ、今御指摘のありましたオプトイン、オプトアウトということ、お触れになられましたけれども。
 携帯電話に限らず、電子商取引、インターネットを通じた取引というのは、基本的に自由にする。その自由な中から創意工夫で新しいビジネスを広げていく。そして、規制というのは最低限にしていくというのが基本的な考え方だと思います。そういった視点からすると、今日本はいわゆるオプトアウト方式を採用しておりますけれども、そういった考えからしたら、このオプトアウト規制というのを採用したということは妥当じゃないかなと思います。
 また一方では、ヨーロッパの一部では、例えばドイツなんかはオプトイン規制というのをしておりますので、これはどうかという議論もありますが、現実にほかの取引でも、例えば自宅の訪問販売とか、こういうことにつきましても、消費者の請求や同意がない限り行ってはいけないというような規制はありません。そういう中で、この電子メールだけにそういう規制をするというのはバランスを欠いていると私は思います。
 また、世界的な基準で見ましても、OECDのガイドラインでもオプトアウト規制というのが一応勧告をされておりますので、これがある意味ではグローバルスタンダードに近いものなのかなという感じがいたします。ただ、世界では、今私が指摘させていただきましたように、ドイツのような考え方を持っている国もあることは事実です。
松原委員 オプトイン、オプトアウトということも一つの考え方の中で議論になっていかなきゃいけないと思うんですが、私が今申し上げたのは、総務省の所管云々ということではなく、こういったルールづくりを含めてのものを出すということは、結局日本の経済に大変にメリットがあると私は思っているものですから、そういった意味では、規制も含めて、グローバルスタンダードの携帯文化のいろいろなありよう、こういったものに関して日本が世界の中でぜひともイニシアチブをとっていくんだというその御決意を大臣から一言聞かせていただきたいと思います。
平沼国務大臣 IT関連にしましては、戦略本部というのを立ち上げて、そして二〇〇五年までに日本はアメリカに追いついて追い越そう、そういう壮大な目的で今作業が進んでおります。したがって、そういう中で、先ほど言われたように、省庁の垣根を越えてやはりしっかりとした意思統一でやっていかなきゃいかぬと思っています。その中で、総務大臣も副本部長でありますし、私もそのIT戦略会議の中では副本部長を務めております。
 そして今、先ほど委員が御指摘のように、例えばiモードなんというものが、日本の中では圧倒的に世界に対しても大変進んでいる。ですから、そういうグローバルスタンダードをつくりながら、やはり経済的な日本の強みを発揮していくということは国家戦略として非常に必要なことだと思っておりますし、そういうスタンダード化をするということも大変大事なテーマだと思っておりますので、そういう問題意識を持って私もIT戦略会議、戦略本部の中で提言をし、そして当然のことながら行動をしていかなきゃいけない、そういう問題意識は先生と共有してこれからやらせていただきたいと思っています。
松原委員 先ほど古屋副大臣のお話で、規制は少ない方がいいと、私は、これは極めて大事なことだと思っております。
 先ほど冒頭にお話ししたように、この迷惑メール、一年でこういったものが出てきた。昔からあったのだろうけれども、量的には一年で出てきたということであります。一年先というのは、もうドッグイヤーどころではない変化が行われている中にあって、法律をつくることが、ここが非常に難しいと思うんですよ。
 この法律は、当然ユーザーの立場を守ろう、ユーザーというか消費者を守ろうということでやっておりますし、また一面においては、ドコモを含む、いわゆるパンクしてしまう事業者というんですか、ここも守ろう、こういうことでありますが、一方においては、クリエーターというんですかね、コンテンツをつくる人間とか、技術をつくる人間とか、そこで新しい地球文化、さっきのグローバルブレーンじゃないけれども、地球文化をつくろうという人間とか、こういう人間も、やはり、こちらを守るならこっちも守らなきゃいけないというふうに思うわけであります。
 こういった法律が実際につくられることによって、結局――一方、法律の実効性からいきますと、悪いやつは、悪いやつという表現は適切かどうかわからないけれども、アメリカに現場を移して、アメリカの企業と組んでそれをやるかもしれない。そういうイタチごっこになって、純粋な、ピュアな、ある意味ではまじめに取り組んでいる業者がこの法律で縛られて、登録して何かするのに二カ月かかったとか、そういうふうになってしまうということに仮になるとすれば、これは逆に本末転倒ではないかと思うのですが、そういった意味では、こういった法律をできるだけ緩やかにするというふうにしていかなければいけないと思うのです。そういったことに関しての御認識をお伺いしたいと思います。
古屋副大臣 委員御指摘のように、新しいビジネスを創造していくインターネットあるいは電子商取引でございますので、最低限のルールにとどめてしていくということは極めて重要だと思っております。私どもも、そういった視点に立って今回の法律についての改正もお願いを申し上げております。
 したがいまして、今後とも、私どもとしては、そういう基本的な認識のもとで取り組んでいくべきだと思っております。
松原委員 個別の中身で議論するとまた時間もかかると思うんですが、先ほどの山村さんの話にもあったフィルタリングの機能とか、もしくは料金体系のあり方というふうな、なかなか表現が難しいのですけれども、そういう側面的な部分を固めることによって、さまざまな禁止事項とかそういうのも含めて、もうちょっと緩やかにするようなことはできないのか。
 つまり、そういう技術的なものによって、特に総務省の所管の部分の議論になるのかなとも思うのですが、フィルタリングの機能や料金体系をもっと高めたり機能を強くすることによってもうちょっと緩和できないかなという気はするのですが、これはなかなか質問にもなじんでないかもしれぬけれども、どうでしょう。
鍋倉政府参考人 フィルタリングの話は先ほど山村先生にもお答えいたしましたけれども、やはり有効な手段だというふうに思っておりますので、携帯電話事業者には、早期にそういったフィルタリング技術を開発するように、私ども、今後も強く要望してまいりたいというふうに思っております。
 ただ、料金体系につきましては、インターネット全体の話になってまいるわけですけれども、インターネットにおきましては、これはもう御承知だと思いますが、多数のプロバイダーが介在する形で通信が行われておりますので、料金の決済というのは隣接するプロバイダー相互間のみで行われているというシステムは、これはインターネット全体の世界のことでございます。
 ですから、例えばAからBに、同じところにメールを送るにしましても、メールによりまして通る道は全然違うということでございます。ですから、従来の電話のように、発信者と受信者が明確で、しかもなおかつ、その間をどこのルートを通るかということが明確であれば、料金を発信者から取れるということはできるわけでございますけれども、たくさんいるプロバイダーの中のどこをどういうルートで通っていくかというのが、AからBの間での通信でも、それぞれによって違う、その時々によって違う、これがインターネットの世界でございます。
 ということで、その隣接するごとに料金を決済していくという方式になっておりますので、これは世界的にそうなっておりますから、インターネット全体の料金体系にかかわる問題でございます。
 ですから、やはりそこには、料金体系をどうかうまくしよう、これは、迷惑メールの場合、確かにそういう話が多うございます。迷惑メールを受けながら料金を何で自分が払うんだ、これは一番の頭にくる話だろうと思うのですけれども、そこがなかなか解決できないということで、今回、そういう立法措置で、ある程度そういうところを除いていくということが必要なのではないかなと。料金体系の全体の見直しというのはなかなか、世界的な問題になってまいりますので、非常に難しい問題だというふうに認識をいたしております。
松原委員 非常に難しいのはよくわかっているのでありまして、ただ、それはいいところでもあるので、いいところと悪いところと、本当に難しいんですけれども、人のやっていることですから何とかならぬかなとも思うわけでありますが。
 どちらにしても、そういった意味で、古屋副大臣がおっしゃったように、できるだけ規制を少なくするということと、それから実効性については、本当に高めるためには、やはり国際的な部分での協調をきちっとやっていく。
 さらには、日本の携帯文化を含めてのこういったルールを、ジャパニーズスタンダードがグローバルスタンダードになるようにやっていくんだというあたりをぜひともお願いしたいと思っておりまして、最後に大臣の御決意を聞いて終わりにします。
平沼国務大臣 御指摘の点は、すべて私は正鵠を射ていると思います。そういう意味で、その趣旨に従って私どもは全力で頑張ってまいります。
松原委員 終わります。
谷畑委員長 島聡君。
島委員 民主党の島聡でございます。きょうは、田中理事を初めうちの理事の御理解をいただきまして、経済産業委員会で質問させていただきます。
 きょうは、平沼経済産業大臣に初めて質問をさせていただきますが、商工委員会にはずっと所属していたのですが。
 きのう、ホームページを見ましたら、血液型がA型だそうで、私と同じでございます。そういう意味で、いろいろなことを知られる状態になってきました。そこに書いてあったのが、我が国の伝統文化を守り自主憲法を制定しますと書いてありました。もちろん、閣僚の憲法尊重義務はよく存じ上げていますから、それについて一々言うつもりはございませんが、私も同じ思いは持っております。
 それで、今オプトイン、オプトアウトの話がございました。これは単に――もちろんドイツ、イタリア、オーストリア、デンマーク、フィンランド、ノルウェーがオプトイン方式をとっている。先ほど言われましたが、フィンランドとかノルウェー、そういうふうに進んでいる北欧先進国、進んでいるところがオプトイン方式をとっている。確かにスピードの時代だ。三年前、三年というのにこだわるのは、今平沼大臣も言われましたけれども、IT戦略本部では、二〇〇五年に世界最先端の先進国家になるという目標を掲げている、できるかどうか、私は今もまだ心配していますが。
 私ども民主党にはネクストキャビネットがありまして、そこで私、IT関係の総括副大臣で、きょう、カウンターパートで佐田さんにも来ていただいております。それで、この前も佐田さんと確認したのですが、二〇〇五年、どうなるんだと。IT戦略本部の感覚だと、一千万世帯が超高速通信網、三千万世帯が高速通信網、これはどういうことかと佐田さんにもちゃんと確認しましたから、それで間違いないと思いますが。
 ということは、一千万世帯は画像が送れるようになる、ビデオが送れるようになる。三千万世帯はCDが送れるようになる。一本一時間のビデオが、今三時間かかるけれども八秒ぐらいで送れるようになる、そういう時代が来るのです。それを見据えていろいろなこと、法律をつくっていかないとだめなんです。だから我々、修正案を出しました。ともかく、できるだけ速やかに検討ができるようにという修正案を出させていただいたわけであります。結果として、なかなか大変だったようでありますが。
 それで、今のオプトイン、オプトアウトの話でございますが、今、平沼経済産業大臣が――これは憲法観にかかわるんです。人権の中で、よく言われるのは、通信の秘密とか表現の自由とか、発信者の自由は言われる。だけれども、それはいわゆる供給側の論理です、自分たちの。自分たちが受け取る、発信者の自由はいいけれども、聞く方もやはり自由というのがある。聞きたくないものを聞かない自由、あるいは一方的に、強制的には聞かされない自由というものがあって、それは恐らく、憲法十三条の幸福追求権に含まれると私は解しています。
 ということは、今まさに平沼大臣が、そこまで新しい人権というふうに概念的に考えられるならば、オプトアウトまで検討するというふうに言わざるを得ないし、そうでないというふうに今なっているわけだから、そこまで平沼大臣は新しい人権というふうには考えられていない、人権的には古い体質を持った方だということになりますが、御答弁をお願いします。
平沼国務大臣 私のホームページを読んでいただいて、私は選挙へ出るのに非常に苦労しまして、二度落選して三度目に上がったわけですけれども、最初のときからその主張をずうっと続けてきました。
 そういう中で、今、島先生から、そういった一つの、憲法改正論の中にそういったことも含まれると、こういうことで、非常に勉強させていただいたところでありまして、そういったことも盛り込んでいかなければならないと私は思っておりますけれども。
 憲法に基づくプライバシー権の一つとして、御承知のように、知らされない権利といった、そういう議論もあることは承知しています。一方で、事業者の営業活動の自由も、ある意味では憲法上保障された権利でありまして、私は、憲法の中で十分これは尊重されていることだと思っています。
 ですから、確かに、御指摘のように、そういう世界の趨勢だとか、一つの側面からの考え方では今おっしゃったことは成り立つことだと私も思いますし、そういう発想も必要なことだと思っておりますけれども、私どもとしては、やはり事業者のそういった営業活動の自由、こういった側面から、憲法上保障された問題であるから、オプトアウト規制、これが適当である、こういう考え方でやらせていただいておりまして、そういうこれからの、二〇〇五年に光ファイバーで一千万世帯、あるいはまた高速通信網で三千万世帯、そういった時代というのが、これは現実にやってくると思います。そういった中で、我々としてはそういったことも含めて考えていかなきゃいけない、そういうふうな認識を持っております。
島委員 衆議院憲法調査会で私、基本的人権小委員長を務めておりますので、また憲法調査会にお寄りになられたときにはぜひ議論したいと思います。
 もう一つ憲法関係の話をします。議員立法に関しての問題であります。
 憲法の四十一条は「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」、もちろん、憲法七十二条に、内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出することができる、だから閣法で出していい、そこはよく存じ上げております。だけれども、議員立法というのは非常に重要な話であります。
 この迷惑メール防止法にかかわる観点で、毎日新聞二月二十日、「迷惑メール防止 双方が法案作成」、参院自民対経産省、大きな見出しで、大臣、これを見ていただければいいですが、「議員立法に役所が抵抗」、この役所とは、恐らく経済産業省であろうと思います。大臣は、この記事は読まれましたか、そしてまた、どのように把握しておられますか。
平沼国務大臣 新聞記事というのは、ある意味では、そうやってセンセーショナルにして、そういう対立構図があるということを強調するきらいがあります。
 私どもは、今回の迷惑メールというのは既存の特定商取引法の範疇に入る、したがって、その中で対処をすべきだと。先ほどの御答弁でも申し上げましたように、議員立法でやっていただいているところは通信の部分に着目をしてやっているわけでありまして、話し合いは随分あったと思いますけれども、省益をバックにちょうちょうはっしという形でやったわけではないわけでありまして、私もその過程は承知をしておりますけれども、私は担当大臣として、こういう現象が起きていることをいかに解決をするかという問題だから、やはり両方でよく整合性を持って話し合うべきだ、こういうことで私は申し上げました。
 ですから、そういう意味では、省を構えて奮戦努力をしたというようなこともありませんし、例えば片山総務大臣とこのことで私は一回も話し合いの場を持ったこともありませんし、そういう中で粛々と、整々とそれぞれすみ分けをしてやった、こういうふうに私は理解をしておりますし、私どもの立場もそういう立場だったと思っております。
島委員 一度も話されたことがないわけですね。これは極めて不思議な現象だと思っています。
 副大臣の記者会見があります。若松副大臣の記者会見があります。
 国家行政組織法というのは副大臣の位置づけをきちんとしています。副大臣は、その省の長である大臣の命を受け、政策及び企画をつかさどり、政務を処理するということです。命を受けているんです。
 副大臣の記者会見で、これは政令の方の話ですけれども、経済産業省に対して記者会見で、経済産業省のやり方については疑問を呈したと言っておられる。これは後でちょっとやりますけれども、まず確認します。
 一度も大臣は副大臣、総務大臣とも話されたことはないということでよろしいですね。
平沼国務大臣 私は、この案件を構えて、二人がこの目的のために会って議論をしたということはございません。あくまでも担当者の中での粛々整々とした話だ、これが事実であります。
島委員 担当者同士でやられる、これも不思議な話。
 佐田さん、ちょっとお聞きしますけれども、政令の話に対して、若松総務副大臣が、若松さんにきょうおいでいただくとよかったんですが、若松先生、ちょっとお調子が悪いということでございますので。
 こういう話になっています。今度、政令の話をします。経済産業省がいわゆる迷惑メールについて、業者に対して表示を義務化するということについての一連の経過でありますが。
 若松副大臣は、所掌事務を行うためにはそれぞれの法律が必要であります、経済産業省は、省令ということで業者に一つ義務化する、従来型の行政指導、これは行革に反するから、ぜひともそういったやり方は再検討していただきたいと。そういう所掌事務は省庁が行うべきであって、それを具体化するためには、法治国家ですから必ず法律が必要だという確認を何度も何度も、二、三年ぐらい前までありました行革委員会で議論してきたと。それで、はっきりと、若松副大臣ですよ、はっきりと、総務省の立場から、行革上問題がありますということを申し上げましたと。総務省の立場から申し上げたと。
 ということは、総務省が言っても、大臣も――これはさっきは法律の話だけれども、政令の話もでありますけれども、総務省の立場から行革上問題がありますということを申し上げましたと。さらに若松副大臣は、副大臣として申し上げました、かつ、関係の方にはこの問題についてチェックするように指示をいたしましたと。
 総務省はどのように動き、そして経済産業省にどのようにして、どのような経緯になりましたか、佐田さん。
佐田副大臣 若松さんの記者会見の内容ですから、それがどういうふうに行革の関係に反しているのか、私にはちょっと判然としませんし、余計なことを言う立場ではありませんけれども、私の感ずるところで言わせていただきますと、今回の若松さんの、行革ということになりますと、以前にありましたいろいろな設置法の拡大解釈であるとか、いろいろなことを言われているのかなあという気がしますけれども、今回の場合は、きちっと特定商取引法というものがあるわけでありますから、その中の解釈として省令改正が行われたというふうに判断しております。
島委員 ということは、若松さんがこの段階で間違えていた、記者会見で、そういうことですか。
佐田副大臣 いや、間違えていたかどうかは、私はそれは言えません、これは若松副大臣が御発言したことでありますから。
島委員 副大臣は、今申し上げたように、大臣が任命して、お互いにその責任を共有するんですよ。だから、言えませんじゃなくて、今の話、論理的に言えば、私はそう思っていたと、そうすると、若松さんが間違えたと、そういうことでいいですか。(発言する者あり)
佐田副大臣 決して無責任ということではなくて、ぜひ御理解いただきたいのは、交代で記者会見もしておるものですから、若松先生が行革の関係で言われたということは、表面的なことは聞いておりますけれども、それが間違っていたかどうかということは、私はちょっとここの場で判断することはできないということを申し上げているんです。
島委員 副大臣が言ったら、それは政府の見解ですよ。
 きょう、実は若松さんをと申し上げたのですが、ちょっとおかげんが悪いということでしたので、御本人の話ですから、これは総務委員会でやった方が多分いいと思いますが。
 大臣、この件についてはきちんと聞いておられましたね。
平沼国務大臣 私は、この若松副大臣のそういう発言というのは、詳細には承知をしておりませんでしたけれども、一月十七日に、この手元にある資料では、これは行革に反する、そういったやり方は再検討してほしい、こういったことは承知をしておりました。
 しかしまた、御本人の一月三十一日の記者会見では、今回、経済産業省がいわゆる省令でやった、これが実効性があれば、それで今、国民の迷惑メールに対してはプラスに影響するわけですから、それはやっても差し支えないと私どもは思っています、こういうふうに言われましたから、私どもとしては、そういう流れの中でいろいろ話し合いをした結果、双方納得をしたのかな、そういう感じを持っておりました。
島委員 今おっしゃったように、詳細には承知しておりませんと。総務省の副大臣が言われたことを、経済産業省の大臣が詳細には承知しておりませんと。その経緯は知っていますよ、私も。事前に聞きましたから、その後の話は。
 一体、では大臣、今、官と政の役割のあり方、中央省庁等改革基本法ができて、大臣、副大臣、大臣政務官、そこに下地さんもいらっしゃいますけれども、そういうのが集まってチームでやっていくんだ、政治家同士の話もしていくんだという話でありますが、さっきの話だと、経済産業省の、「議員立法に役所が抵抗」の方も、いや、それは事務方で粛々とやっておられた、それから、今の話も詳細には存じ上げておりませんと。
 総務省の副大臣が言ったことを経済産業大臣としても詳細には知りません、さっきの経済産業省と議員立法の件もよく知りません、これでは大臣、全然省内を把握していないということじゃないですか。
平沼国務大臣 お言葉でありますけれども、私は大臣として最終的な責任を負っているわけであります。したがって、そういう経緯に関しては、報告は受けておりますけれども、そこまで私が細かく、すべて出向いていってやる必要はないわけでありまして、こういった経緯についても私は、それに対して整々と、整合性を持って、そして国民にとって必要なことなんだからそれはまとめてほしい、こういうことは私は大臣として当然のことでありまして、それをもってして私が全く掌握をしていない、こういうふうに言われるんでしたら甚だ私は心外であります。
島委員 内閣法というのがありまして、今ちょっと出てこないんだけれども。小さなことと言うのは大きな間違い。もしそういう認識をしていらっしゃるなら、それはますます大変だ。
 内閣の所掌事務でいろいろな疑義があった場合には、内閣法においては、そういう疑義があることを差配できるのは内閣総理大臣なんですよ。それを、小さなことまでとおっしゃるなら、それは全く認識違いだと思うんですが、どうですか。
平沼国務大臣 私は、その小さなということは相対的に言っているわけでありまして、それはそれで重要だということは当然だと思いますけれども、それが、一々そういう過程において最終的に大臣が乗り出していって最終決裁をする、そういう事項ではない、そういう意味では相対的に小さい、こういう認識です。
島委員 では、大臣の大きいものというのは何ですか。
平沼国務大臣 それは、相対的と申し上げまして、恐らく島先生もいずれ政権が交代されたら大臣になられると思います。そういう中で、私は、経済産業省というのは非常に枢要な役割を担っています。エネルギー政策もしかりであります。そして、通商政策もしかりであります。そしてまた、中小企業を含めた産業政策、こういった国の基幹的な問題にかかわるものは、やはり私は相対的に大きな問題だ、このように認識しています。
島委員 政権交代してからのことまで言われたので別に矛をおさめるわけではありませんが、一つお願いしたいことがあります。
 「議員立法に役所が抵抗」、これは私が言ったのじゃありません、自民党の議員が言っています、名前は言いませんが。新聞報道です。「迷惑メール問題だけでも役所は抵抗する。国のあり方に関する問題でもないのに。議員立法も役所の下請け法案ならばすんなり通った。」と。もしも本当に議員立法に役所が抵抗した、経済産業省が抵抗したということがあったら、私は、これは大変な問題だろうと思います。
 そういうことに対しては、私は大きな問題だと思いますから、大臣としてきちんと調査をしていただいて委員会に報告書を提出していただきたいと思うんですが、どうですか。
平沼国務大臣 その新聞報道に基づいて、与党の議員もそういう発言があったと。しかし私どもとしては、これが省益を守る、そして役所を、とにかく自分たちの既得権を守るというようなそんな次元でやった話ではない。ですから私は、そういう新聞報道に基づいて、書かれていることに関して、それほど我々が省を挙げて調査する事項ではないと思っています。
 そして、現にそういう形で話し合いが、いろいろ話し合いをした結果そういう形で議員立法も通信の部門に着目をして出す、そして我々は消費者の立場に立った、そういういわゆる特定商取引上の問題として出す、こういうことで両方とも決着がついたわけでありまして、私としては、そういう決着のついたことについて、省を挙げて調査をする、そういう必要はないと認識しております。
島委員 省を挙げてとかそういう話じゃないんです。議員立法の考え方なんです。
 議員立法、今言ったように、憲法四十一条は、国会は、国権の最高機関であるといって立法をやっている。七十二条で発議権を認めている。それを、もし役所が抵抗ということがあったらこれは大変な問題だという話を私はしているんです。だからそれを、別に省益がどうのこうの言っているわけじゃないんです。これは、政治家と官の役割のあり方なんですよ。
 だから、省を挙げてやらなくて結構ですけれども、では、その経緯は、いろいろなこのときの経緯というのは、情報公開法で出せばいいんだろうけれども、要するに、公務員が文書をつくったものは全部情報公開の対象になりますからね、国家の秘密に関係すること以外は。それはきちんとお出しをいただけますね、私が請求をしたら。
平沼国務大臣 私どもは、そもそも、議員立法に対して抵抗して、いわゆる政と官とのそういう形で一大戦争をしたというような認識を持っておりませんし、また、そういう文書を、そういう実態がないのに文書を出せるかどうか、私なりにその辺は、せっかくのお話ですから調査はしてみたい、このように思っています。
島委員 調査はしてみたいという話でありますので、よろしくお願いしたいと思いますし、いろいろなメモもあるでしょうから、そういうのを見れば大分わかるのではないかというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 あと五分ありますので、迷惑メールに関しての話を少しさせていただきます。
 今申し上げましたように与党案が出てくる、私どもとも議論しながら今進めていっているところでございます。基本的には、迷惑メールで、いろいろな意味で迷惑をこうむっていらっしゃる方がうまくなっていけばいいわけでありますが、大臣、ちょっと私どもの法案の問題で、これは副大臣にお聞きした方がいいですね、技術的な話ですから。
 今回の特定商取引法の改正で、例えばですけれども、薬を販売する、ある意味でちょっといかがわしいようなものを販売する、そういうのは取り締まれますか、副大臣。
大島副大臣 島先生に私からお答えを申し上げたいと存じます。
 特商法におきましては、今先生が言われました分野、これは法文上適用除外となっているわけではございません。けれども、これらの分野は、それぞれの事業法によって企業の営業活動全般に関して一体的に規制をしいておりますので、その中で広告を含めた必要な消費者保護措置も講じられていることから、特商法の規制対象にはしておらないということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
島委員 薬事法関係だということは存じ上げています。
 ちょっと手短に答えてくださいね。サラ金の勧誘というのはできますか、今回の法律で。サラ金の勧誘、広告メールで。
大島副大臣 消費者金融の分野におきましては、実態として迷惑メールが見られる、これは我々も承知をいたします。
 けれども、貸金業法に基づく登録を受けていない事業者による広告については、それも違法な営業活動に当たるものであります。
 一方、貸金業法に基づく登録を受けた事業者の行う広告については、貸金業法に基づき広告内容の規制が行われているところでございますので、先ほど申し上げたと同じように、それぞれの法律で規制をしているところでございます。
島委員 つまり、無登録だとできない、そういう話なんですよね。
 次、健康食品、ダイエット食品、私も時たま買おうかなと思うときもありますが、これはできますか。
大島副大臣 こちらの方も、商品分野では、実態として迷惑メールの見られる健康食品については、特定商取引法において指定商品として規制対象としているところでございますので、それに基づいて規制をしているということで、同じような答えになると思います。
島委員 具体的にもっとたくさんあるんだけれども、できないものが。時間の関係もあって聞きませんが、こういう状況なんです、今回の法律は。だから修正すべきだと言っているんです。大臣、こういう状況なんです。
 先ほどの話は、薬は薬事法だし、サラ金は貸金業規制法だし、それから健康食品は食品衛生法だと思いますけれども、こういう状況なんです。一つ一つやっていたら、三十分の時間をとったら全部三十項目出ますよ、これ。これで、さあ、大丈夫ですと。
 これは私は、閣法として出しておられるんだから大臣の責任だと思うんだけれども、これだけいろいろな、これできません、あれできませんというような法律で、本当に責任を持って出せますか、大臣。
平沼国務大臣 それは今、大島副大臣から具体的にお尋ねのことについて御説明をしましたけれども、事業法という形でこれはすべて担保され、カバーされていますから、私どもは、そういう考え方で、それは大丈夫である、こういう判断で出させていただいています。
島委員 佐田さん、また質問通告していないと言われるかもしれませんが、総務省としては、総務副大臣としては、迷惑メールというのをきちんと規制していく、国民にとってそれが重要だと思うんですが、私、これだけ穴々の法律だけでは無理だと思うんですが、佐田さんとしては、それに対してどういうふうに考えられますか。
佐田副大臣 先生も御存じのとおり、この法案につきましては総務省が法律を出しているわけじゃないんですね。したがって、細かいことを私が言及するわけにはいきませんけれども、今申し上げましたとおり、今回の場合は、経済産業の関係の品目以外につきましては、今大臣が言われたとおり事業法の方で対応ができるということでありますから、これは網羅できる、そういうことであろうと思っております。
島委員 私どももよく存じ上げているわけでありまして、私どもがいち早く議員立法を出させていただきました、民主党の方で。それは割と包括的だったんですけれども、それを、経済産業省案と、間もなく出てくるであろういわゆる参議院の方で検討されている案と一緒になってやるという話です。
 こういう話、時代が速い話でありますから、平沼大臣は先ほど、私の方に政権交代があればと言われましたけれども、平沼大臣はもっと何かいろいろなことを言われているようでありますから、そういう意味では、小さなこと、大きなこと、きちんと、それは、省庁間にまたがることは内閣総理大臣が調整するような大きなことですから、きちんとそれも御認識賜って、調査をしていただけるというお話でございますから、きちんと調査をしていただきたいと思います。
 終わります。
谷畑委員長 達増拓也君。
達増委員 今回のこの法律案の核心部分は、いわゆる迷惑メールが入ってきたときに、もうそういうのは送ってくれるなというふうに意思表示することによって、二度とそういう広告、その広告が送ってこられなくなる、再送されなくなる、そして、ちゃんとその返事を出せるようにそういう連絡方法をきちっと明示しておくというところが今回の法案の核心であるというふうに理解しております。
 ただ、広告の提供拒否の意思表示ということでありますけれども、もう要らないという返信を送るということでありますが、まともな業者、まともな事業者が相手であればそんなに心配はないと思います。
 実際私のところにも、国会議員ということを特に意識してか、選挙用のソフトの広告などがよく来まして、名簿管理の新しいソフトを考えました、ぜひ買ってくださいというようなものが来ます。ただ、同じのが繰り返し来られても困るので、そういう場合にはもう送らないでくれというのは意思表示したいと思うわけであります。
 ただ、いわゆる迷惑メール、いかがわしいようなメール、携帯電話に来る迷惑メールはそういういかがわしいものが多いわけでありますけれども、そういうのを送ってくる相手に対して返信することはいかがなものかとも考えるわけであります。
 そういういかがわしいメールを特に不特定多数に送ってくる場合には、機械的にアドレスをランダムにつくりまして、もう乱数表のようなものででたらめに送る、実際にないアドレスも含めてたくさん数字、記号を組み合わせて送ってよこす場合に、それに対して返事を出すと、返信することによって、ああ、そのアドレスというのは本当にあるアドレスなんだなということが相手にわかります。
 さらに言えば、この人は項目だけでなくちゃんと中身も読む人なのだなとか、ちゃんと返事をよこす人なのだな、あるいは着信後すぐに返事をするか、あるいは着信して一週間後ぐらいに返事をするか、いろいろな情報がそういう相手に伝わってしまう。その相手がそういういかがわしいものを送る悪徳業者の場合に、そういう情報を提供することというのはかなりの危険を伴うものでもあると思うのですけれども、その点、いかがでしょうか。
下地大臣政務官 達増先生の御質問に答えさせていただきたいと思います。
 今般の措置は、大きく分けて二つの観点があると思います。一つは、事業者への禁止措置というのが一点。そしてもう一つは、消費者に対し選択を提供するという、この二つがあるわけであります。
 まず、先生がおっしゃっている今の件でありますけれども、一回広告をして受信拒否をするというふうなことに関しては、二度と同一業者が送ってはならないというふうな措置をするわけでありますから、メールアドレスがわかることはありますけれども、やってはいけないという禁止措置を今回の場合にはしっかりとつくっているというのが一点であります。
 二点目の、消費者にさまざまな手段を提供するというところの中では、消費者にメールの件名の欄をもって「!広告!」と、すぐびっくりマークでわかるようにして、これを見たくない人は見なくて大丈夫なような、広告なのか何なのかわからないような措置じゃないようにしている。
 そしてもう一つは、必ず電子メールアドレスの表示を義務づけるというふうなことにしておりますので、プロバイダーに対して、このメールアドレスからは二度と送らないでくれと言うこともできますし、また、このメールアドレスのものは私のところに送ってくださいというふうな逆のこともできるという選択ができます。
 三点目には、携帯向けのメールに関しては、フィルタリングサービスをやるわけでありまして、通信事業者の登録をして、「!広告!」と表示されるメールをすべて受信拒否ができるというのが三点目にできます。
 四点目は、通信事業者ではなく、事業者に対して直接受信拒否の連絡をすることもできるというふうなことの四つの選択ができるようになっておりますから、こういうふうな今度の改正法案を消費者に周知徹底する際に、事業者に対する禁止措置や消費者の選択可能な分野だということを、十分な情報提供をしていけば私は大丈夫じゃないかな、そんなふうに思っております。
達増委員 消費者、特に携帯電話を使っている人たちは、今の迷惑メールの流行に困惑しているわけです。どうすればいいんだろうなと。アドレスを変えろとかいろいろなアドバイスも来る。それをいろいろやってみる。アドレスを変えたけれどもまた来る。そういう困惑している消費者に対して、今回の法改正によって新しく決まったことというのは、必ず返事を出せる、そういう連絡案内がちゃんと書いてある、そこに返事を出せばもう来なくなるというふうに多分説明すると思うんですね。
 そうしますと、素朴な疑問として、なるほど、じゃ、今回の法律はそうしろということなのかと。つまり政府として、広告提供拒否の意思表示ということを積極的に推奨しているのかと多くの人は受けとめるんじゃないかと思うんです。その辺、先ほどの御答弁、四つに分けて、業者は、プロバイダーはこういうことができるとかいろいろありましたけれども、携帯電話を使った迷惑メールに悩んでいる消費者に対して、政府としてどう訴えるのかというのが非常に大事だと思うんです。
 そういう消費者の素朴な疑問の一つというか、今回の法改正で一番思うのは、なるほど、じゃ、迷惑メールに対しては返事を出せ、もう要らないという返事を出せと、そういうことかというふうにみんな思うと思うんですが、政府は、広告受取拒否の返信ということを推奨するんでしょうか。
下地大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。
 結論から申し上げまして、消費者に対して、事業者に受信拒否をするということを推奨するわけではありません。むしろ消費者にさまざまなオプションがあるということを知っていただいて、そして、消費者の志向に応じてその措置をとるというふうなことをしていただきたいということを私たちは申し上げさせていただいております。
 そして、オプションには長所も短所もありますけれども、例えば、事業者と直接接触することはもう嫌だと、慎重な消費者がいる場合は、単にメールを捨てたり、今ある通信事業者の各種のサービスを使って、対応しないとかいうふうなこともできるわけでありますから、まあ本人のやり方といいますか、本人の志向によって物事を判断できるような幅広い措置をつくってあげるというのが今必要な私たちの措置ではないか、そんなふうに思っております。
達増委員 基本は、消費者の自己責任原則に基づいた消費者自身の選択ということなんでしょうけれども、一方では、結局どうすればいいんだ、そういう素朴な消費者の悩みに政府としてもきちんとこたえて、こういうことができる、そういう選択肢の中で、これは簡単だけれども効果が余りないかもしれない、これは効果的かもしれないけれどもリスクも伴うといったことをやはりきちっと周知徹底していかなければならないと思います。
 さて、さらに、実際携帯電話を使っている人、消費者の立場から考えてみますと、せっかく決意して、もう要らないという広告提供拒否の意思表示、もう要りませんという返信をしたとして、それでも法律に違反して、同じ広告が同じ業者から送られてくることがあると思います。その場合にどうすればいいのかということもきちんと消費者に徹底しておかないと意味がないでありましょう。そうした場合すぐ一一〇番するのかというと、そうでもないと思うんですよね。そういう違法な広告の再提供があったときに、消費者はどう対応すればいいんでしょうか。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 迷惑メールに関しましては、既にこの二月から改正省令における対応を行っておりますが、その運用に当たりまして、特定商取引法上の指定法人である財団法人日本産業協会におきまして、違法メールに関する情報提供の受け付け窓口を設けて対応しているところでございます。
 同時に、今回の改正法が施行されるということになりますれば、違法な再送信があった場合につきましても、同様に、日本産業協会の窓口に通報いただきたいというふうに考えているわけでございます。
 この二月から設けました日本産業協会の受け付け窓口につきましては、これまでも新聞各紙や雑誌に広告を掲載したり、パンフレットを全国の消費生活センターに配布するなど周知を図ってまいりましたが、この法案が成立しました暁には、さらに一層の周知の努力をしていきたいというふうに考えております。
 特に、御指摘の点について、転送する際の注意事項というようなことできちっとPRをしていきたいというふうに考えております。
達増委員 日本産業協会というのはまだまだ広く知られてはいないと思いますので、そこはネットの番人として、日本産業協会さんがきちんと責任を果たせるように、政府としても対策、施策を行っていかなければならないと思います。
 さて、きょう、文部科学省から政府参考人に来てもらっておりますけれども、こうしたネット社会のそういう可能性と危険性、そうしたものはやはり学校教育の中でもきちんと取り扱っていかなければならないんだと思います。
 いろいろなポイントがありますけれども、まず、消費者教育という観点から、インターネットを使った商取引にまつわるリスクでありますとかそういった問題について、今学校の方ではどういうふうに教育を行っているのか伺います。
加茂川政府参考人 消費者教育についてお答えをいたします。
 学校教育におきましても、児童生徒が、消費者として主体的に判断し行動できるようにすることは大変重要なことと考えております。そのため、小中高等学校を通じまして、具体的な教科は家庭科でありますとか技術・家庭科になるわけでございますが、こういった教科を中心といたしまして、子供たちの発達段階に応じて適切な指導を行っておるところでございます。
 例えば、この四月から新しい学習指導要領が適用になります中学校の例を申し上げますと、販売方法の特徴あるいは消費者保護について知り、生活に必要な物資・サービスの適切な選択、購入及び活用ができるようにするということになってございまして、教科書のレベルで見ますと、通信販売の利点と問題点、あるいはキャッチセールスやマルチ商法等のいわゆる悪徳商法、さらにはクーリングオフ等、消費者の安全、または被害に遭わないための注意工夫についても適宜取り上げるようにしておるところでございます。
達増委員 次に、ネット社会の危険性、リスクというポイントについて伺いますけれども、迷惑メールの中でも、特にいわゆる出会い系サイトなどのアダルトサイトですね、こうしたものも、小中学生でも、携帯電話を持っていれば不特定多数に対するそういう広告メールが入ってきてしまう。今はもう塾に通う小中学生にも携帯電話を持たせるといったことが大分普及してきているわけでありまして、そういう小中学生が出会い系サイト関連のトラブルに巻き込まれるケースも実際出てきております。中学生が命を失うような事件すら発生しているわけで、こうした深刻な状況を踏まえて、教育現場でどのように対応しているのか伺います。
加茂川政府参考人 お答えをいたします。
 昨今の携帯電話の使用に起因する事件の増加等、こういった状況を踏まえまして、各学校において、子供たちが携帯電話等に起因するトラブルに巻き込まれることのないように指導することは大変大切なことだと考えております。
 各教育委員会においての取り組みでございますけれども、携帯電話を利用したいわゆる出会い系サイトの利用の危険性について適切な指導を行うこと、むやみに情報に流されることなくみずから情報を選択する能力を身につけさせるための指導を行うこと、こういったことを具体的にホームルーム活動を活用して指導するといった通知を出しておるところもございますし、また保護者向けの啓発資料を作成、配付しておるところもございます。
 文部科学省としましても、児童生徒の情報モラルの育成等についての指導内容、方法について解説した教師用指導資料を作成しておりますけれども、この中におきましても、いわゆる出会い系サイト等迷惑メールについても適切に取り扱うよう取り上げておるところでございます。
達増委員 次に、広く日本全体のIT化、IT革命の推進という観点から、関連する二つの事柄について質問をさせていただきますけれども、やはり学校というのは、家庭、職場と並んで、日本全体のIT化を進めるためにかぎとなる場だと思うんです。したがって、学校の中でコンピューターですとかインターネットですとか、そういったIT関連のリテラシーを育てることが非常に重要ですし、その場合、学校の先生、教師の役割というのも非常に重要となると思います。
 スウェーデンのケースですが、九八年からスウェーデンでは、初等中等教育に携わる全教員の四〇%にパソコンを無償配付して教師の勉強会を開いている。これは二〇〇〇年に出版された本に載っていた話でありますから、今はもっと進んでいるかもしれません。さらに、スウェーデンでは、すべての生徒に学校でインターネット電子メールアドレスが割り当てられているということで、まさに学校をそういう国を挙げてのIT化の拠点としている。
 自由党も、中高校生全員にパソコンを無償配付すべきということを本年度予算の修正議論の中で唱えていたわけでありますけれども、こういった点について、文部科学省の方の対応ぶり、考え等を伺いたいと思います。
加茂川政府参考人 情報教育の取り組みについてお答えをいたします。
 先ほど申し上げました、子供たちが情報化社会に十分活用できる、主体的に対応していくためのいわゆる情報活用能力を育成する、ソフトの部分でございますが、教科等で適切に扱うことが大切でございますが、これにあわせまして、いわゆるハードの整備、もしくは、最近話題になっておりますインターネットの接続をより進めていくこと、そして先生御指摘の教員の指導力の向上も図っていく、一体となって進めていく必要があろうかと思っております。
 特に、教員の指導力の向上について申し上げますと、十三年度、今年度末まででございますが、全教員がコンピューターを操作できることなどを目標に体系的な研修を実施しておりますし、十四年度以降につきましても、十七年度という目標を掲げまして、おおむねすべての全公立学校の教員がコンピューターを活用して具体的に指導できるようにすることを目標に掲げまして、国、都道府県、各学校における研修を充実いたすようにしております。
 しかも、この研修におきましては、コンピューターの操作技能の習得から、各教科でコンピューターやインターネットを活用した授業実践に重点化をしておるところでございまして、教員の指導力の向上をこういった研修の面から一層図ってまいりたいと思っております。
達増委員 不特定多数に対する迷惑メールの送信というものは、未成年に対して、いかがわしい、みだらな、破廉恥な内容のメールの送信ということにつながりまして、これは取り締まりの対象ということでもあると思うんですね。違法なものは、取り締まり、処罰の対象としていかなければならないと思いますが、そこで、きょうは警察庁からも政府参考人に来てもらっております。警察の方の対応ぶりを伺います。
黒澤政府参考人 委員御指摘の送信でございますけれども、この問題は、青少年の健全育成上、大変ゆゆしき問題となっておると認識をいたしております。
 こういう状況の中で、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する性風俗特殊営業や映像送信型性風俗特殊営業を営む者が、その営業につきまして無差別にメール広告を行うことにつきましては、清浄な風俗環境を害するおそれのある広告または宣伝としまして、この法律の二十八条第五項第六号により禁止されているところでございまして、これに違反する行為につきましては、この法律に基づきまして、都道府県公安委員会による指示処分等を行うこととしておりますほか、メール広告の内容がわいせつ図画頒布罪等の刑罰法規に抵触する場合には、厳正な取り締まりを行っておるところでございます。
 警察としましては、今後とも、このようなメール広告に対しましては、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持しますとともに、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する観点から、積極的な措置を講じてまいる所存でございます。
達増委員 迷惑メール問題については、内容の悪質さに注目して厳しく取り締まるということも有効だと思います。
 さらに提案させていただければ、未成年に対する、これは刑法上のわいせつにまで至っていなくても、いかがわしい、破廉恥な内容のものを未成年に送るということを取り締まりの対象、つまり違法化すれば、かなりの不特定多数向けの出会い系サイトなどのアダルトサイト広告というものは、取り締まりの対象、違法化されて、そういう迷惑メールがなくなる。携帯電話に入ってくるかなりの迷惑メールはそういう内容だと思いますので、そういったことも、ITに関する関係閣僚の会議、関係省庁の会議などもありますから、そういうところでぜひ詰めていかなければならない話だと思います。
 さて、今回の法改正に基づく中身の話についてまた具体的に質問をしますけれども、広告の提供拒否の意思表示をするための連絡方法、これが義務化されるわけでありますが、現在既に行っている業者、事業者、あるわけですけれども、いろいろなやり方があります。
 何も書かずに単に送信すれば、返信すればいいだけのものもあれば、自分のメールアドレスを自分で書き込まなければならないようになっているのもありますし、さらには、もうそういう広告は要らないということを文字で書き込んで返信しなければならないという非常に面倒くさいものもあります。そういう面倒くさい方法になりますと、拒否の意思表示が実質的にもうできないような格好になってしまうと思いますけれども、この辺はどういうふうになっていくんでしょうか。
古田政府参考人 お答え申し上げます。
 現在の、この二月にスタートしました省令のもとでは、連絡方法があればそれを表示するように、こういうふうになっておるわけでございますが、今度の法改正におきましては、これを義務づけるということになるわけでございます。
 今御指摘のようないろいろな実情がございますので、私どもといたしましても、例えば、通常の消費者が気づかないようなところに表示がなされたり、あるいは大変複雑な方法になっておったのでは実効が上がらないというふうに考えておりまして、このような観点から、いずれ経済産業省令で具体的に定めることになるわけでございますが、例えば、メールの本文の目立つところに表示しなければならないといったようなわかりやすい方法での表示を促したり、あるいは、メールで単に返信をすれば済むようにするといったような簡便な方法をとることで工夫してまいりたいというふうに考えております。
達増委員 悪徳業者が法の網をくぐるようなことがあってはならないので、その点、きちんと対応しなければならないと思います。
 さて、先ほど例を一部出しましたけれども、いい広告メールというものもございます。優良な業者、事業者から、いろいろな商品の広告、新しいものが出たら随時送ってほしいというようなこと、メールマガジンのような格好でありますけれども、そういうことを受信する消費者側が希望して送ってもらう、そういう広告もあるんだと思います。そうした、受信する側が希望してもらっている広告というものも今回の法改正、新しい規制の対象になっていくのかどうか、その点、伺いたいと思います。
古田政府参考人 今回の改正案におきましては、電子メールによる広告をしますときには、原則として、受信拒否の連絡方法を表示することが義務づけられるわけでございます。
 したがいまして、今御指摘ございましたように、事業者が消費者から請求を受けて広告メールを送る場合であっても今般の改正案の規定が適用されるわけでございまして、送る際に、あわせて、受信拒否の連絡方法を表示することが義務づけられるわけでございます。
 したがいまして、消費者は、その表示されている連絡方法に従いまして、いつでも事業者に対して配信停止を求めることができるわけでございます。
達増委員 それでは、電子商取引の健全な発展という観点から、理念的なことについて質問をしていきたいと思います。
 その前に、この迷惑メール問題、不特定多数に大量にメールが送られたりするそうした問題は、日本だけではなく世界各国、パソコン、インターネット、携帯電話等が普及しているところ共通の問題なわけでありますけれども、各国の取り組みぶり、国際的な動向について伺いたいと思います。
 特に、いわゆるオプトイン、オプトアウト、メールを受けた時点で拒否したものを再送禁止していくオプトアウトのやり方と、そもそも、受信を希望する者でなければ広告を送ってはいけないとするオプトインの考え方、その辺を軸に、各国、取り組みも分かれていると思いますけれども、その辺の情勢について伺いたいと思います。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 先ほど来話題になっておりますが、OECDの電子商取引消費者保護ガイドライン、これがいわばOECD加盟国の一つのスタンダードな考え方だというふうに私ども承知しておりますが、そこにおきましては、各国政府に対して、受信を拒否する消費者の意向が尊重されるように、つまり、オプトアウト規制が勧告されているというふうに理解しておるわけでございます。
 これを踏まえまして、既に制定されておりますアメリカの幾つかの州法、あるいは欧州共同体の加盟国に対する指令、隔地者間契約指令あるいは電子商取引指令というのがあるのでございますが、多くの場合、ほとんどの場合、オプトアウト規制が採用されておるわけでございます。
 一方、欧州の中に、一般にプライバシー保護に関する意識が非常に強いという背景のもとで、イタリア、ドイツといった一部の国におきましてオプトイン規制が採用されている例もあるわけでございます。しかしながら、同じ欧州におきましても、例えば、現在フランスで法案審議中でございますが、ここではオプトアウト規制が内容になっておりますし、また、欧州議会におきましては、昨年の秋、欧州の加盟国で必ずオプトイン規制を導入するよう求めることには反対という決議が出ておるところでございます。
 それから、米国では、既にでき上がっております州法のほかに、連邦議会に幾つか法案が出ておりますが、主な法案はいずれもオプトアウト規制というふうに承知いたしております。
達増委員 そういう議論を踏まえた上で、今回オプトアウトを原則とした法改正が行われるわけでありますけれども、確かに電子メールを利用した広告というのは、先ほどから述べているような優良な事業者、業者にとっては、特に中小企業、ベンチャーといったそういうニュービジネス、新産業に乗り出そうという意欲的な個人や会社にとっては非常に有効な方法でもありますので、規制を強化すればいいというものではないということだと思います。
 そうした観点から、今回の法改正にどのような配慮がなされているのか伺いたいと思います。
下地大臣政務官 商取引にかかわる規制は、最小限であるべきだという認識を持たせていただいております。
 そして、インターネットは、これから私たちの生活に大きな役割を担ってまいりますし、経済的にも大きなものになってまいりますから、そういうふうな法規制の導入によって新たな技術やビジネスの展開を妨げるようなことになってはならない、そういうふうな観点も持たせていただいております。
 そして、今回の法改正でありますけれども、最小限のルールということを前提としながら、消費者が拒否をしている場合にまで一方的に電子メールによる商業広告を送りつけてはならないというオプトアウト規制を採用させていただいているわけであります。
 これは、知名度が余りない、テレビ広告等に高額な費用をかけられない、余裕のない中小企業やベンチャー企業、今先生がおっしゃる点でありますけれども、そういうふうな中小企業の皆さんが、これからメールを使ってやることにも、この法律ができたから差しさわりがあることにはならないというふうなことを考えておりまして、過剰規制には当たらないというふうな認識を持たせていただいております。
達増委員 今回の法改正は、IT化の推進という広く大きな政策の中で、電子商取引の健全な発展、そういう柱の一環として位置づけられると思うのですが、現在、電子商取引に関するルール整備の全般的状況はどうなっているのか伺いたいと思います。
大島副大臣 お答えをさせていただきます。
 電子商取引に関するルールは、先生が御認識のとおり、非常にITというものが浸透しておりまして、九〇年代後半以降、着実にその整備を進めてきているところでございます。
 我が国におきましても、ここ二、三年来、集中的にIT関連立法の整備が進められております。御案内のとおりでございますけれども、具体的には、一昨年のIT基本法、電子署名法、書面電子化一括法、そして昨年の電子契約法、さらには不正競争防止法改正法、そういった整備が進んでいるところでございます。
 さらには、我が省といたしましても、電子商取引等に関する民法等の既存法の解釈を明らかにするいわゆる電子商取引等に関する準則、これを策定させていただきまして、本日、公表させていただくところでございます。
 これらの取り組みを通じまして、我が国におきましても、欧米諸国と比べて遜色のないレベルまで電子商取引に関するルールの整備が進んできているものと考えております。
 以上でございます。
達増委員 電子商取引の健全な発展、さらにはIT化の推進のためには、ルール整備も重要でありますけれども、さらに、いわゆるネチケットと呼ばれる、ネット市民社会での倫理でありますとか、そういうところの向上も重要であると考えます。
 実際、今回この迷惑メール問題について、インターネットのネット社会でどういう議論が行われているのか、検索しながらいろいろ調べてみましたが、本当にたくさんの意見が交わされており、また、オピニオンリーダーのような人たち、迷惑メール対策かくあるべしという立派な意見を述べるような人たちもネットの中に出てきている。そうしたものにルール、制度、法律等も支えられていかなければならないと思います。
 そういったことも含めて、政府が今後、電子商取引の促進、IT化推進のために施策の基本理念をどう構築していくか、そういうネット市民社会のいわば草の根からの盛り上げと同時に、政府としてのきちんとビジョンや理念を明確にした指導性も重要だと思いますけれども、大臣の所見を伺いたいと思います。
平沼国務大臣 倫理の向上に対しての民間のそういう意見というのは、我々は最大限尊重しなきゃいかぬと思っています。
 そして、電子商取引発展のためには、一つは、民間主導で市場が形成されること、それから変化のスピードが速い、三番目は、国境のない市場が形成されるといった、サイバー空間の特質に応じた施策を展開することが重要だと思っています。
 私は、こうした電子商取引市場の特質を踏まえ、三つの原則があるのではないかと思っています。
 一つは、先ほど来出ておりますけれども、過剰な規制は排除しまして、市場の創意工夫を最大限に引き出すという原則ではないかと思います。
 また第二は、電子商取引市場においても十分な消費者保護と、それから、これも大事ですけれども、知的財産保護を図る、この原則があると思っています。
 三番目としては、国際的に調和したルールを構築するという原則だと思っておりまして、こうした原則に従いまして、技術の進展等が速く、変化の激しい電子商取引の動向を見きわめながら、さらに、既存の制度の見直しでございますとか新たなルールの整備等を不断かつ機動的に、柔軟的に行っていきたい、このように思っております。
達増委員 終わります。
谷畑委員長 大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 社会問題にもなっております迷惑メール、この問題で今回の法改正が提案されたわけでありますけれども、私どもは、今回の法改正が消費者の不利益をわずかでも改善するという面から賛成するわけでありますけれども、しかし同時に、まだまだ不十分な点があるんじゃないかという点で、それを改善する方向で幾つか質問をしたいと思います。
 最初に、大臣の基本的な見解を伺いたいのです。
 産構審の小委員会の提言の資料でも、携帯電話向けであれ、パソコン向けであれ、その種のメールを受け取った消費者の八割以上が迷惑だと感じているということが報告されております。メールで気軽にコミュニケーションが図れることは科学技術の進歩の恩恵でもあるわけでありますけれども、一方で、こういう通信手段を使った、ある意味では暴力とも言えるようなそういう状況まで生まれているわけなんです。
 私、昨年の同じIT関連の法案の審議の際に、かつて活版印刷技術の発明が、社会進歩、とりわけ民主主義の発展に大変貢献したということとの関係でも、この高度情報技術、IT社会の高度な発展は、人類社会の進歩発展、特に民主主義のそういう面での大きな発展という点で貢献しなくちゃいけないということを強く思っておるわけなんですが、現状は逆に、例えば、電子メールの隆盛が健全なコミュニケーションを阻害する、あるいは健全な経済活動を阻害する、そういう状況まで生まれているわけなんですが、消費者の圧倒的多数が迷惑と考えるようなこういう現状を大臣はどのように受けとめていらっしゃるか、まず、その点をお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 今、委員が御指摘のとおり、非常に大きな社会問題になっていると思います。委員御自身が具体的に、一般消費者の八〇%以上が非常に迷惑だと思っている、こういう現状があるわけでございまして、私どもとしては、やはりこのITの利便性というのはこれからますます人類社会にとっては重要な地位を占めると思います。
 しかし、今御指摘のようなこういうような側面がございますから、健全な発展のためにも、現状、八割以上の消費者が非常にという、そういう表現で迷惑を本当に認識をして、何とかしろ、こういう御要望がありますから、やはりこういうことにはきちっと対処をしていかなきゃいけない、こういう考え方であります。
大森委員 きちっと対処していくという点で、この迷惑メールを規制するという面で、一般に三つの段階、まず送り手、そして媒介、そして受け手、この三つの段階があると思うわけなんですが、今回の法案は、結局、突き詰めて言うと、良心的でない業者が迷惑メールはどんどん自由に送らせる一方で、迷惑メール対策を消費者の負担で行うという今回の法案の構図になっているので、これはやはりやや安易な対応ではないか、このように考えるわけなんです。
 そこで、この三つの段階、送り手の段階あるいは媒介そして受け手、それぞれの段階でこの規制のあり方についてどのような検討がされたのか。これは、総務省、経済産業省、それぞれから簡潔にお答えいただきたいと思います。
大島副大臣 お答えをいたします。
 先生御案内のとおり、昨年の十月来、消費者取引研究会、そういったところでこういう問題についての勉強会も行ってまいりましたし、さらには産業構造審議会の消費経済部会、こういったところでもいろいろと提言の取りまとめをいただいたところでございます。
 こういった検討を踏まえながら、こういう問題を解決するために、まず、その原因者である商品の販売等を行う事業者に対して、商業広告のやり方について、先ほど来言われておりますように、必要最小限のルールを設定することが必要である、こういう考え方。そして、事業者と消費者との間に商取引について規制する法律がありますが、特定商取引法のもとで対応を行うということにいたしているところでございます。
 まだ次からの御答弁もありますので、簡潔にということでございます。
 そして、私どもの具体的な内容でございますけれども、第一には、消費者が事業者に対して、電子メールによる商業広告の受け取りを希望しない旨の連絡を行った場合には、その消費者に対する商業広告の再送信を禁止することといたしております。
 第二には、そのため、消費者が事業者に対して連絡する方法の明示を義務づける、こういったことにいたしているところでございます。
鍋倉政府参考人 私どもは主に通信事業の関係を所管しておりますので、携帯電話事業者に対する対策というのが多いわけでございますが、昨年四月に、この迷惑メールが大きな社会問題になったことを踏まえまして、各事業者に対しまして対応策について要請をいたしました。
 その後、関係の事業者と連絡をとりながらさまざまな防止策を検討してきたわけでございますが、具体的には、先ほど古屋副大臣の方から御答弁の中でありましたけれども、初期設定アドレスの電話番号から英数字化等の組み合わせへの変更、これは要するに、非常に迷惑メールが受信しにくくなるということで、英数字化等を組み合わせたものへの変更ということを具体的には事業者にやっていただいたということ。あるいは、メール受信時の通信料金を工夫いたしまして、ある程度無料にするというようなこと。あるいは、指定受信拒否機能といいまして、これ以外のものについては受信しないとか、あるいはこれだけを受信するとかといった機能の拡充等をやってきております。
 それ以外に、我が省で研究会を設けましていろいろ勉強してまいりましたけれども、特にオプトアウト方式等の導入が必要であるというような御提言をいただいております。
 それから、これは私の方からお答えすることになるのはちょっと若干差し支えがあるのかもしれませんが、今回検討されております議員立法案におきましては、発信者が架空メールアドレスを利用して送信する。つまり迷惑メールというのは、ほとんどが架空のメールをアトランダムに作成するソフトを使って発信をするわけでございますが、そこを、送信することを禁止する、根っこを押さえるというようなことも規定をされているというふうに伺っております。
大森委員 これまでの議論でもありましたけれども、迷惑メールが実質上一〇〇%近く、ほとんどすべてが商業系の広告だということからすれば、産構審の小委員会の提言の中でも触れられているいわゆるオプトイン規制、これは、消費者の請求がない限り電子メールによる商業広告を送ってはならないとの規制、これを高い段階での商業規範を求めるという形で提起もされているわけなんですが、これを検討することも必要じゃないかと私は思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
大島副大臣 お答えをいたします。
 先ほど来の議論の中で、こういった分野では新たな技術やビジネスの進展を妨げることがない十分な配慮が必要という観点から、必要最小限の規制にしていかなければならない、これはそのとおりでございます。
 そして一方では、商業広告を行う際の必要最小限のルールとしては、先ほど来申し上げておりますように、消費者が拒否している場合にまで一方的に電子メールによる商業広告を送り続けてはならない、今回の法改正はいわゆるオプトアウト規制を採用したところであります。
 けれども、今先生がおっしゃいましたように、一方ではこういった、消費者の請求や同意がない限り電子メールによる商業広告を送ってはならないという、いわゆるオプトイン規制を導入すべきではないか、こういう議論もあることは確かでございます。
 しかしながら、例えば、自宅を訪問したり電話をかけたりして勧誘することについて、消費者の請求や同意がない限り行ってはならないとの規制がない中で、電子メールによる商業広告についてのみオプトイン規制を導入することはバランスを失するものではないか、こういう考え方から、オプトアウト規制が適当というふうに我々は考えているところでございます。
 ちなみに、OECD電子商取引消費者保護ガイドラインにおきましても、各国政府に対しまして、受信を拒否する消費者の意向が尊重されるように、すなわち、オプトアウト規制が勧告されているところでございます。
 したがいまして、今回の法改正の内容は、国際的な議論とも調和のとれたものと我々は考えているところでございます。
大森委員 いずれにしろ、私は、これらの対応というのは、国際的に見ても日本の国内でも、まだ本当に初期の段階だと思うんですね。そういう中にあっても、一部のヨーロッパの国ではオプトインを採用している。
 先ほど来の御答弁の中でも、規制は最小限であってしかるべきだという答弁が繰り返して行われておりますけれども、私は、その点で言えば、それが金科玉条かのように言われる点に非常に抵抗もあるわけですね。最小限の規制、それが、あるときには発展の促進剤になるときもあれば、状況によってはそれが逆に障害になることもあり得る。それが現に今、一日十億通近いメールの中で八億通もあて先不明のものがある。それが健全なコミュニケーションや健全な商業活動を妨げるということにあらわれていると思うんですね。
 ですから、これをむげにそういう形で、単なるバランス、訪問販売との関係だけじゃなくて、もっとシビアにこれは検討する余地があるんじゃないかと思います。このことを申し上げて次に移りたいと思うんです。
 理屈の上では、御答弁があったように、受信したメールが広告であることが表示されている。一定の判断はできるわけですけれども、しかし、実際問題として、迷惑メールを受信している間、本当に必要なメールの受信が阻害される。それから二番目に、受信した多数のメールの中から、必要なものかどうか、選別の作業がやはり強いられる。それから三つ目が、多数の発信者ごとに不要の意思表示をしなくちゃならない。消費者の負担はやはり大きいと思うんですね。
 これは、今日のITの時代に消費者は甘受しなくちゃならないというぐあいに政府は考えてこの法案を提出されたんでしょうか。
下地大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。
 今回の迷惑メールの規制には、消費者に対して、事業者に受信を拒否するという手段だけを与えるのではなくて、消費者にさまざまな手段を提供しているわけであります。
 先ほども少し申し上げさせていただきましたけれども、広告マークをつけて、開封せずにただ捨ててしまうということもできますよということ。そしてもう一つは、電子メールアドレスの表示を義務づける。そして、このアドレスからの受信はもう、プロパイダーに言ってこれは拒否するということもできますという話もさせていただきました。そして三点目には、フィルタリングサービスをやって、すべての広告マークのものを受信しないという作業。そして四点目には、通信事業者ではなく、事業者に対して直接受信拒否の連絡をする、こういうふうなメニューをつくっているわけであります。
 今先生から御質問いただきました費用負担の問題でありますけれども……(大森委員「費用負担はこれからです」と呼ぶ)ではどうしましょうかね。
 こういうふうな問題で、長所も短所もありますけれども、言えば、消費者が選べる環境づくりをしているというふうなことを御理解いただきたいと思っております。
大森委員 あえて言えば、しなくてもいい選択のメニューと、見なくてもいいメニューだということがまず前提にあるということは忘れちゃいけないと思うんですね。
 それで、今おっしゃった費用の問題。これはもう既にお話もあったかもわかりませんが、これはどう考えても、受信するだけで、少額とはいえ料金の負担が強いられる。それから、不要の意思表示をする通信の料金は、迷惑を受けた消費者の負担になる。それから三つ目に、不要の意思表示を無視して送信された場合、再度業者や、あるいは政府その他に連絡する、通報する、申告するということにもなるわけですね。
 ですから、一つは、送信の費用、これは総務省になるんですか、それから、行政に通報する費用あるいは不要の意思表示の費用、これについての負担はどう考えたらいいのか、これは経済産業省ですか、お聞きしたいと思います。
鍋倉政府参考人 迷惑メールにつきまして、勝手に送ってくるものについて自分が料金を払うということが一番腹立たしいということが迷惑メールの根幹で、どんなアンケートをとりましても、一位か二位は、迷惑メールの根源というのは、勝手に送ってくるのも困るけれども、それ以上に、それについて受信料を自分が払うということは何なんだという、率直に迷惑だというような御意見が多数寄せられておることは私ども重々承知をいたしております。
 そういったものを少しでも緩和するために、先ほどもちょっと御説明をしましたけれども、昨年四月に携帯電話事業者各社に対しまして迷惑メール対策を要請したわけですが、各事業者で、メールの一定文字数まで無料にするとか、あるいは毎月一定通数分相当を無料にするとか、そういったことは対応をやってきております。ただ、これは根本的な解決には当然ならないわけでして、どうして発信者側に払わせないのかという御疑問になると思います。
 ただ、これは、先ほどもちょっと御答弁申しましたけれども、インターネットのそもそもの料金体系ということにかかわってくる問題でございまして、インターネットというのは、そもそも多数のプロバイダーを介在して通信が行われる。AからBに通信をする場合にも、その時々によって、どこのプロバイダーを通るかわからないというような通信方式でございますので、料金の決済というのは、隣接するプロバイダー同士だけで決済をしているということで、発信者で取るということになっておりません。
 そういうシステムでございますので、インターネット全体のこういう料金体系というのを変えないと、なかなか根本的には解決は難しいのかなというふうに思っております。
 そのためにも、今回、この迷惑メールを防止するための法整備を行うことが不可欠ではないかというふうに認識をいたしております。
下地大臣政務官 お答えをさせていただきます。
 先ほどもオプションの話をさせていただきましたけれども、先生から御質問いただきました料金の負担をしないというふうな場合には、このオプションの中の、受信拒否の連絡をするための通信料金の負担をしたくない消費者であれば、事業者に連絡をとることを避けて、単にメールを捨てる、通信事業者の各種サービスを利用するという対応も可能であるというふうに思っております。
大森委員 行政への通報、これも実際にそういう迷惑メールを本当に排除していく上で非常に重要なことだと思うんですが、消費者の側から行政に、こういうものがあったということを通報する、それは一面では、今後の迷惑メール対策に非常に重要なかぎを握る面があるので、その費用はどうなんですか。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 こういった違反事実について、窓口として日本産業協会を用意させていただいておるわけでございますが、そちらに通報するということになりますと、当然それは消費者お一人お一人の御負担になるわけでございますが、通報いただくことによって、その後の取り締まり、規制強化でありますとかあるいは抑止力でありますとか、そういった効果もあるわけでございますので、そこはお一人お一人の御負担にお願いしたいというふうに考えざるを得ないわけでございます。
大森委員 少額の負担でもうそれは我慢せいということですか。
 法律の運用に関して幾つか確認をしておきたいのですが、まず、この法案にもあります、意思を表示するための方法、これは表示義務があるわけなんですが、紛らわしい表示やわかりにくい表示は許されないと思うんですが、どういうような要件を考えていらっしゃるでしょうか。
 あわせて、一般の消費者にどういう形で周知徹底していくか。これは、予算関連ということで、予算のあれを見ますと、約二千四百万、啓発普及となっていますけれども、これほどの問題について二千四百万の啓発普及費で何ができるだろうかという感じを私は率直に言って持つわけなんですが、こういう周知徹底についての対策、それから今、産業協会というお話もありましたが、申告を受ける主体、処理体制、これはどうなっているかということをお聞きしたいと思います。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 御指摘ございましたように、今般の法改正におきまして受信拒否の連絡方法の表示を義務づけておるわけでございますが、これが非常に複雑な方法になったり、あるいは通常の消費者が気づかないようなところに表示されておっては意味がないわけでございまして、今後、経済産業省令で書かせていただくことにしておりますが、例えば、メールの本文の目立つところに表示しなければならないといったようなわかりやすい方法を求めるとか、あるいは簡易にメールで返信をするというような方法を求めるとかいったことを考えていきたいと思っておるわけでございます。
 それから、規制の実効性についてのお尋ねでございますが、特定商取引法は、従来から五つの省庁、私ども経済産業省のほかに、警察庁、厚生労働省、農林水産省、国土交通省で共同して、全国の消費生活センターなどの消費者対策ネットワークをフルに活用しながら運用しておるわけでございまして、これまでも、この五年間で一千件の執行実績を上げてきておりますし、それから、インターネット上の取引につきましても、平成十三年におきまして、約三万件をチェックいたしまして、九千件のサイトに改善指導をしておるということでございます。
 また、迷惑メールそのものにつきましては、既に、改正省令に基づきまして、お話のありました日本産業協会を窓口に情報収集、調査をしておるわけでございますが、予算につきましては、十四年度予算ということで、財政当局とぎりぎりの折衝をいたしましていただいたものでございますので、それを最大限有効に活用していきたいというふうに思っております。
 また、私ども経済産業省におきましては、平成十四年度におきまして、体制充実ということの一環といたしまして、現在の担当百六十名の人員を百九十名に増員する、これは地方の経済産業局も含めてでございますが、あるいは消費者相談室も含めてでございますが、そういった体制の整備も図ってまいりたいということでございます。
大森委員 私が事前に伺ったお話では、本省には若干専門員がいても、地方に行った場合はいろいろな仕事との兼務ということで、今、百九十名というような体制にする、実際、今後の執行をしていく上で私は非常に不安に思うわけなんです。
 これまで、特定商取引法に基づく、特商法ですね、取引の形態に応じて何度か改正というか、訪問販売その他その他やられてきたわけなんですけれども、幾ら法律を改正してもそれを執行する体制、とりわけ、担保となる行政処分をきちっとやられているかどうかということがやはり大きな問題になると思うんですね。
 その点で伺いますと、例えば通信販売について、あるいは連鎖販売について、平成十二年度について、行政処分、これは指示についてはゼロというような状況で、他の年度も一件とかごく限られた数しかないわけですね。やはり執行体制が、実際にこれを執行していく、ちゃんと守らせていく、そういう担保となる行政処分をきちんと行う体制がないんじゃないかということを、この点強く感ずるわけで、これはぜひ大臣も実態をごらんいただいて、執行していく体制、行政処分も含めた担保となるべき措置をきちんととっていただきたいと思うんですが、この点、事前の通告はしておりませんけれども、御見解をお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 やはり執行面というのは大事なことでございまして、そういう不正というものが起きない、それを最大限担保するものでございますから、私どもは、その辺をしっかりとこれからやっていかなければならない、こう思っています。
大森委員 次に、先ほどもちょっと申し上げたのですが、消費者から申告された迷惑メールの情報、これは大いに活用されることが必要じゃないか。やはり消費者からの申告というのは、法を守らせていく大きな柱ぐらいに位置づけることが必要じゃないかと思います。
 そのためには、単に行政処分にだけ活用するということではなくて、広く再発防止等々の面で活用していくということで、こういう情報について、これ自体、消費者の被害情報であると同時に、メールを開いて実際に取引に引きずり込まれていく被害を受けるだろう、いわば消費者の被害予測情報という性格も持ってくると思うのですね。そういう意味からも広く活用されなくてはならないと思うのですが、これまでと、それからこれからとの関係で、そういう消費者相談の現場でどういうぐあいに活用していくかという点はいかがでしょうか。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 ただいま御指摘のありました点については、特定商取引法上の指定法人でございます財団法人日本産業協会におきまして、さまざまな情報収集に加えまして、調査分析、そして典型的な苦情案件といったものを具体的に公表するなど、御指摘のように、できる限り再発防止に寄与するような形で世の中に、消費者の方々にお示ししている、そういう努力を続けているところでございます。
大森委員 これは、消費者相談活動というのはいろいろな形で全国的にも各地方でも行われていますし、そういう中で本当に有効に位置づけていくということで、ぜひ検討し具体化していただきたいと思います。
 これとの関連で、日常的な消費者相談の問題について幾つか聞きたいと思うのですが、これはいろいろケースとして紹介されております。例えば、子供が操作して悪質なメールに入って法外な料金を請求されたり、国際電話会社から何万円も請求されたりする、こういうケースが本当に後を絶たないと思うんですね。私も、日常的に生活相談に当たっている方々から、何人かから相当たくさんの御意見などを伺ったのですが、そういうケースが本当に後を絶たない状況で、これは、この法案が通っても、法律が改正されても、そのことでは解消されないと思うんですね。
 総務省の方では、最近、こういう対策として出されたように伺っておりますけれども、簡潔にその中身について御説明いただければと思います。
鍋倉政府参考人 最近、インターネットを利用していたら知らないうちに国際電話につながってしまって、それで高額の国際電話料金を後から請求されるというトラブルが数多くございます。
 このため、総務省では、先日、国際電気通信事業者等に対しまして、不用意にプログラムをダウンロードしないこと等、利用者に対する注意喚起をするようにと。それから、国際電話に接続されたことを警告するソフトというのがあるわけですが、それを無料配布する。それから、一カ月ごとに料金を請求するわけですが、料金が例えば十日とかそういうところで一定額以上になった場合には、そういう可能性があるわけですので、請求書を発行してもらうというような対応を講ずることを要請したところでございます。
 この要請による効果を私どもは注視してまいりたいと思いますけれども、機会をとらえて周知啓発はやっていきたいというふうに思っております。
大森委員 私も、ごく身近なところで、携帯であっという間に八万円の請求をされたというような話もあったのですが、そこで、消費者相談員の何人かの方にお聞きする中で、数人の方が、国際電話会社の中で、ある外資系の会社の苦情が特に集中していると、共通してこれは御意見があったのですね、企業名などは言いませんけれども。現場の第一線の皆さんが共通しておっしゃっているということは、これはぜひ重視していただきたいと思うんですね。意図している、していないは別として、落とし穴というか、そういうものに陥りやすい何らかの特徴があるんじゃないかと思います。
 そこで、この点で、具体的にその実態などを調査して見ていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
鍋倉政府参考人 私どもも実態を把握いたしておりますけれども、ただ、どういう方々がそういうことをやっておられるのかということを、なかなかこれは、先生も御承知のとおり、私どもの側の国際電気通信事業者だけではなくて、相手の国の国際電気通信事業者も含めて協力関係を結ばなければいけないわけでございますが、相手方の国際電気通信事業者からしますと、顧客情報というものを公開するというようなことが必要になってくるわけですので、その辺はなかなか難しい面もございますけれども、できるだけ協力をして対処をしてまいりたいというふうに思っております。
大森委員 今回総務省の方でいろいろ指導等された五社の中の一社でありますから、現場の皆さんがそういう形で共通しておっしゃられるにはやはり何かの問題があるんじゃないかと思います。そこに着目した調査はぜひ行っていただきたいと思います。
 先ほど来申し上げておりますが、消費者問題を考える際、消費者被害に関する情報の活用の問題についてでありますが、国民生活センター、ここは、従来からPIO―NETを使って全国の消費者センターから消費者の被害情報を収集している。この収集された生の情報、これがどう各地方の消費者センターにフィードバックされているかという点なんですが、フィードバックの点と、それから、実際のそういう生の情報が消費者相談員の相談活動にどう生かされているかという辺をちょっとお聞きしたいと思います。
永谷政府参考人 国民生活センターで集めた情報をどういうふうに活用しているのかというお尋ねであります。
 もう先生御案内かと思いますけれども、私どもの方で、従来から、個々の省庁からの個別の依頼に応じて各省庁への情報提供というのをやる、各省庁でそれぞれの施策を考えるときにそれを前提にしてやっていただくということがまず一点であります。
 それから、特にその中で、悪質な事業者に係る相談事例というのも結構あります。そういうものを、そこはもう、各省から依頼があるとかないとかそういうのにかかわらず、直接国民生活センターから関係省庁に対して、例えば業務停止処分というような形で適切な処置を講ずるように要望しているということであります。
 そういうことで、国センで集めた情報を、これは実は、もう御案内のとおり、個人情報の保護とか、あるいは事業者情報をどうやって保護するかという問題と、他方における、消費者被害の拡大をどうやって防いでいくかという、そこのバランスというのは非常に難しい問題があるんですけれども、そういう微妙な問題が起こらないような形で、もっともっと積極的に公表するような形で、みんなで共有して、それこそ相談員の方にもそういう情報を事前にインプットしていただいて相談業務に当たっていただくというようなことを考えていきたいというふうに思っております。
大森委員 具体的にちょっとお聞きをしたいのですが、消費者との接点で相談活動を行っているというのは消費者センターだけじゃなくて、経済産業省所管の公益法人でも、財団法人日本消費者協会、それから社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会、通称NACSですね、この二つの法人があるわけなんですが、ここではPIO―NETの情報を活用できるようになっているでしょうか。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 委員御承知のように、日本消費者協会というのは、消費者活動の推進機関として昭和三十六年に設立された財団法人でございまして、商品テストの実施・公表等の消費者への情報提供、消費生活コンサルタント養成等の消費者教育、苦情相談の受け付け等の諸活動を行っているわけであります。
 また、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会、通称NACSは、消費者問題の専門家である消費生活アドバイザー及び消費生活コンサルタントを構成員とする社団法人として昭和六十三年に設立されまして、消費者教育、消費者相談の実施や研究会、研修会、シンポジウムの開催等の諸活動を行っております。
 いずれの団体におきましても消費者相談の受け付けを行っておりますが、その中で、インターネットその他の新たな技術にかかわる相談がふえている、こういう傾向にございます。
 このような相談に対応するために、それぞれの団体等におきまして、相談員に対して、インターネット関連の消費者トラブルに関する研修を行っております。また、新たな問題への適切な対応に努めるように今努力をしております。
 経済産業省といたしましても、このような研修等の機会に我が方から講師を派遣させていただきまして、新たな消費者トラブルへの対応について情報提供を行うなど、密接に連絡を行って、その支援に努めているところでございます。
 また、このほかにも、日本消費者協会がその中核事業として実施している商品テスト事業に対する補助を行うなど、資金面でも必要な支援を行っているところでございまして、当省としては、実りある消費者行政を推進していく上で両団体は極めて大切でございまして、この両団体を初めとした消費者団体等の活動との連携は極めて重要でございますので、種々の面で積極的に支援して協力を密接にしていきたい、このように思っています。
大森委員 時間が参りまして終わりますが、大臣から総括的にお答えいただいたわけなんですけれども、私が特に申し上げたかったのは、本当に相談員の方が使命感に燃えて、日進月歩のITに、もう必死にそれをマスターする大変な努力をされているわけですね。それを政府の方でさまざまな形で援助するという点で大臣の御答弁をいただいたわけです。
 同時に、はっきり言えば、省庁間の情報の垣根が、もう前時代的なものがあるんじゃないかという点で、これは内閣府の方からぜひ、そういうことを現場の人から言われるようなことであってはやはり困るんじゃないか、あるいは、同じ政府の部内からも言われるようなことがあってはならないんじゃないかということで、情報の垣根をできるだけ低くするという点で明快な御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
谷畑委員長 永谷国民生活局長。時間が来ております。簡潔に。
永谷政府参考人 各省横断的に消費者関連の情報を使っていくというのは、それはおっしゃるとおりであります。
 先ほども申し上げましたように、消費生活センターというのは自治体が置いている組織であります。そこで集めた情報を我々の方でも活用させていただくということで始まったシステムであります。したがいまして、当初の考え方というのは、ある種、そこでクローズドな世界でやってきた話であります。
 他方、いろいろな問題が起こっていて、その情報を共有してやっていかなければなかなかうまくいかないという要請も来ております。まさに、個人情報保護とか事業者情報、これは、名前が出た途端にその会社がつぶれてしまうとか、そういうふうな話もあるものですから、そのあたりのバランスというのを考えながら、再度、どういう形でこの情報提供を考えていくのかというのを我々の方で検討させていただければというふうに思います。
大森委員 終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。
 質問に先立ちまして、きょうは、私が最後の質問者でございますけれども、その後に採決がございます。この委員会は四十名委員会でございますけれども、ちょっと見ますと、委員の皆さんの出席率が余りよくないような気がしますので、委員長、委員会の出席率が高くなるように、やはり国会が国会らしくなるように、ぜひお願いします。
谷畑委員長 はい、わかりました。
大島(令)委員 そして、政府に関しましては、答弁は簡潔に、明確にお願いいたします。
 では、質問に入ります。
 いわゆる迷惑メールというカテゴリーの中には、通信販売などの商業広告だけではなく、非商業広告である宗教や募金などの勧誘、特に最近ではウイルスメールですとかデマメールなどの危険で有害なメールも出回っております。しかし、今回の特商法では商業広告のみが規制の対象であり、その中でも、指定された商品等についてのみ適用されることとなっております。
 このように、迷惑メールの一部にしか対応していない特定商取引法をもって迷惑メールというカテゴリーの中のメールを防止するという理由とか効果について、大臣はどのように考えていらっしゃるのかお伺いします。
平沼国務大臣 大島先生にお答えさせていただきます。
 今回の改正案というのは迷惑メール問題への対応を行うものでございまして、既存の事業法により不動産、旅行等その他の商業広告メールが規制されていることとあわせて、今回の改正によりまして、迷惑メール問題については十分効果的な対応が可能だと思っております。
 なお、今御指摘のように、迷惑メールの中には商業広告以外のものが少数ながら含まれていることは事実であります。仮に非商業広告まで規制対象にしようとすれば、さまざまな表現活動に対して制約を設けることになりまして、憲法上の表現の自由との関係でも慎重な議論が必要と考えられているところでございます。
 また、例を一つ申し上げますと、OECDの電子商取引消費者保護ガイドラインにおいても、一方的な商業広告メールに絞って対応が勧告されている、こういう事例も踏まえて行わせていただきました。
大島(令)委員 表現の自由と憲法上の問題に配慮しているということでございますので、それは我が党も、そういう趣旨は大切であると思っておりますので、今後に向けてもその精神をよろしくお願いいたしたいと思っております。
 次に、総務省の取りまとめによりますと、実際に迷惑メールに対する苦情内容を見てみますと、受信に料金がかかる、望まないメールの受信自体が迷惑などといった、電気通信サービスの利用者としての苦情が大半を占めています。
 そこで、二点質問をさせていただきますけれども、消費者保護という観点から再送信の禁止という規制を課す以上、やはりそれなりの消費者トラブルが現在発生していると考えられます。迷惑メールが余りにも来るので仕方なく契約してしまったという相談は実際あったのか。
 二点目は、迷惑メールの被害者は、売買契約によって生じる消費者というよりは、いわゆる携帯端末とかの電気通信サービスを利用する人たちの方が多いと思っているわけなんです。
 しかし、この法案は、私も非常に理解しにくくて、送信者、通信事業者、消費者というこの三つの中で、販売業者が広告を送信業者に委託して、消費者にメールを送って販売に対するアプローチをする。しかし、消費者としては、通信事業者から自動的に送られることが不快であるという。
 経済産業省と総務省、通信と販売ということが消費者にとっては一つのメールによって一挙にかかってくるわけですね。そこをやはりどう整理していくのか、その辺の考えを聞かせていただきたいと思います。
古屋副大臣 まず、最初の質問ですけれども、実際に迷惑メールで消費者のトラブルはどんなものが報告をされているかということでございますけれども、国民生活センターの二〇〇一年版の消費生活年報でも、増加をしているという報告がありますし、我が省の消費者相談室にも平成十三年度で五十七件の相談が来ております。そういった意味では、実際にこの迷惑メールによって消費者のトラブルというのは生じている、取引に入った上でのトラブルが生じているということは事実だと思います。
 そして、もう一つの御質問でございますが、なぜ特商法で対応するのかという趣旨の質問だと思いますけれども、もともとこの特商法というのは、昭和五十一年に制定をされまして、それは、契約の前の段階から、実際に契約をして、そして最終的には取引の段階までずっと消費者と一定の商取引があったときの規制をするものでございまして、それぞれ時のニーズによりまして法案の改正をいたしております。
 例えば、平成八年には電話勧誘販売というものを追加いたしました。その中で、例えば電話勧誘で、消費者がもう電話をかけてこないでいいですよ、こういう断りをした場合、事業者がもう一度電話をかけてくる、そういった勧誘というものを禁止しておりまして、一方では、今度は電子メールで切った場合に、拒否をした場合には再送禁止ができる、そういう規定を追加するわけでございまして、そういった意味で、事業者が健全な活動をする中で必要最低限のルールをこの特商法で規定させていただいたということでございます。
大島(令)委員 今回の改正ではオプトアウトという方式を採用しておりますけれども、受信拒否手続ができます。しかし、送信者は、一回目の送信については、表示義務さえ守っていれば容認されることになるわけですが、ユーザーにとっては受信料の課金といった不利益というのは解消されないわけですね。一通信上限約二円ということで金額としては少ないかもしれませんけれども、それが大量になればやはり問題であると思います。
 ですから、消費者が迷惑メールということによって具体的にどのような不利益を得て、一体この法律で消費者の何を保護しようとしているのか。私は、情報通信ネットワークにかかわる問題を特商法で取り締まるにはやはり限界があるのではないか。要するに、ネットワークの中で起きたことなわけですから、それを経産省のこの特商法でよりベストに取り締まることの限界というものを経産省はどのように受けとめているのかお伺いしたいと思います。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 今、私も答弁させていただきましたように、迷惑メールの大宗は商業広告でございますので、そこに着目をして、この特商法を今度の一部改正ということでお願いをさせていただいております。これで、消費者トラブル、消費者というものに着目をしたトラブルは大体防げるんじゃないかなという認識でおりますが、一方では、委員御指摘のように、これだけではすべてカバーできない部分がございます。
 今般は、与党の方で通信に着目をして法案を提案されるというふうに聞いております。これによって、消費者に着目をした部分は私どもの方の特商法、一方、通信あるいは通信事業者というものに着目をして与党案というのが検討されているということでございますので、いわば車の両輪でございますので、この両方の法案によって実質的に十分に対応ができるというふうに私ども考えております。
大島(令)委員 では、副大臣、通告よりちょっと飛んでしまいますけれども、規制をする政府にとっては、通信だから総務省、特商法だから経済産業省ということが、消費者にとっては、普通の国民にはやはり非常にわかりづらいと私は思うわけなんです。だから、この法改正によって、実効性のあるわかりやすい規制をやはり提案するべきだと思っているわけなんですね。迷惑メールというカテゴリー、商業広告、非商業広告も含めて、総合的でわかりやすいルールの整備というのは考えておられないんでしょうか。
 受信者においては、課金されるということと、広告を見て取引に入ってしまったということは、一つの端末で受けることは同じなんですね。政府は、縦割り行政ですから、こういうケースは総務省、このケースは経済産業省ということですけれども、私は、消費者保護という観点からすれば、消費者にとってわかりやすいルールづくりというのがやはり求められると思うわけなんです。
 その辺を副大臣に、経済産業副大臣という立場をちょっと置いて、個人的にどう思うのか、答弁をお願いします。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 今度の特商法、こういう法律がございまして、消費者トラブルについては基本的にこの特商法で対応しておりますので、既存の法律がある以上は、やはりそこの法律を一部改正して対応できるものはまず対応していくということが筋だと思っております。
 一方、確かに、携帯電話あるいはパソコンで入ってくるのは同じではないかという御指摘でございました。そういう視点から、実は、通信事業者、そして通信というものに着目をしてもう一方の与党案が出ているというふうに我々は解釈をしております。
 しかし、問題は、やはり消費者がしっかりと、もしトラブルに巻き込まれたときに対応していただける体制をつくっておけるかどうかということだと思います。そういう視点からは、今そういった消費者トラブルの情報を受ける窓口としてそれぞれ指定法人が整備されるというふうになっておりまして、こういった指定法人の間で緊密な意見交換あるいは情報交換を図る、このことがやはり消費者トラブルにしっかり対応していくということにつながると思います。
 また、今御指摘のありました課金の問題ですけれども、これは、多分に技術的な問題でございまして、むしろ総務省の方から御答弁をいただくのが適切ではないかなというふうに思っております。
大島(令)委員 それでは、課金システムのあり方について総務省の方にお伺いします。
 迷惑メール問題の大きな原因の一つは、受信に課金されてしまうという情報通信ネットワークシステムにやはり問題がある、私はこう思っているわけです。確かに、常時接続環境が整いつつある現在においては、受信者サイドに負担を求めざるを得ない状況にあるのかどうかということに関しては疑問には思っているわけですが、一応、NTTドコモ等の電気通信事業者も一定の利益を得ているわけなんですね。ですから、事業者においても幾つかの取り組みが最近見られておりますけれども、やはり、迷惑メールに関しては通信事業者も一定の社会的責任というのを持つべきだと思っているわけなんです。
 インターネット上での課金システムのあり方について、総務省としては、電気通信事業者が担うべき社会的役割というものをどのように考えているのかお尋ねいたします。
鍋倉政府参考人 確かに、携帯電話の会社が受信者からお金を取るということは、その分で利益を得ているということにはなるのかもしれませんけれども、ただ、それは、迷惑メールであるなしにかかわらず、通信をした者から、携帯電話事業者の設備を使用しているわけですので、その使用の役務の提供に関して、正常であろうが正常でなかろうが受信者からいただいているというのが今のシステムでございます。
 ただ、事業者がこの迷惑メールによってもうかっているのではないかというような、一部誤解みたいなものがあるのではないかと思いますが、そうではございませんで、結論から申しますと、私は、携帯電話事業者も迷惑メールの被害者だというふうに思っております。
 それは、例えば、個人の会社で恐縮でございますが、NTTドコモは一日に九・五億通の受信メールがございますが、このうち八億通があて先不明のメールでございます。このあて先不明というのは、先ほど申しましたように、要するにランダムに、アトランダムにあて先をつくってしまうソフトがありまして、それででたらめに送ります。でたらめに送って、当たるも八卦当たらぬも八卦で、当たったものについてだけ広告がされればいい、そういう思想のもとに送っているメールでございますので、あて先不明のメールが非常に多いということでございます。
 このあて先不明のメールがこれだけありますと、このあて先不明のメールを処理するためのサーバーの増設というのが必要になってまいりまして、それは携帯電話事業者が設備をしなければいけないという問題もございます。
 また、もっと問題なのは、正常なメールが遅延をしてしまうということがございます。例えば十時間とか十五時間とか、場合によっては一日おくれてしまうというような、いわゆる本当に送らなければいけない正常なメールというものが非常におくれてしまうということがございます。
 そういった苦情に携帯電話事業者も対応しなければいけないということでございまして、繰り返しになりますけれども、携帯電話事業者も迷惑メールによって被害を受けているのではないかというふうに私どもは考えております。
 ということで、私ども、先ほどから申しておりますけれども、去年の四月から、携帯電話事業者と一緒になりましていろいろな政策を打ってきているということでございまして、携帯電話事業者にお願いをして、一定通数までの無料化ですとか、あるいは初期設定アドレスの英数字化で迷惑メールが来ないようなシステムに更改をするとか、そういったことをやっておりますが、こういったシステムに更改をするということも、携帯電話事業者が多大なコストをかけて対応をやってきているということでございます。ただ、こういったものには限界がございますので、やはり今回の法律をお願いしているということでございます。
 なお、課金システムにつきましては、繰り返しになりますけれども、インターネット全体の問題でございますので、携帯電話の迷惑メールだけ受信者からではなくて発信者から取るということは、なかなかこれはインターネットの仕組み上難しいということでございます。
大島(令)委員 一日九億五千万通のメールが発信され、八億通が送信者に戻ってくる。差し引き一億五千万通、往復ですから、上限を四円とした場合、一・五億通で約六億円の収入が入るわけですよね。
 では、全く電気通信事業者は赤字なんでしょうか。今の御答弁を聞いていると、サーバーの増設とかいろいろな設備投資も必要ということはわかりますけれども、迷惑メールで利益が上がらないという、そういうことでございますか。
鍋倉政府参考人 ちょっと私、今データを持っておりません。迷惑メールで収支がどうなっているのか、迷惑メールでの収入と、それから設備投資や何か打たなければいけない、あるいは無料化をしなければいけない、あるいはいろいろなコストがかかるといった問題、それについての差し引きがどうなっているのかというのは手元にございませんので、また、これを分計したのがあるかどうかというのは携帯電話事業者に確認をしてみないとわからないので、ちょっと答弁は、そういったことでお許しをいただきたいと思います。
大島(令)委員 では、次の質問に移ります。
 海外から送信される迷惑メールの対応についてお伺いします。
 国内だけではなく、海外から送られてくることも現実にありまして、私も経験しています。そのケースとしては大体三通り考えられまして、日本の業者が海外から送信するケースと、日本にいる業者が海外のメールサーバーを経由させるケース、そして、海外の業者が海外から直接送信するケースなどが考えられますが、三点質問します。
 このようなケースへの特商法の適用はどのように考えたらいいのか。二点目は、海外のサーバーを経由させるなど、巧妙な手口を使った送信者の特定は困難なのではないかと思っているんですが、経産省としてはどういうふうに見通しを持っているのか。三点目は、国境を越えて送られてきたメールでトラブルが発生した場合の消費者の相談先はどこになるのか。
 以上、お伺いいたします。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 海外から送信される迷惑メールの件でございますが、三つのケースをお挙げいただきました。
 そのうち、国内の事業者が海外に行って海外から送信をする場合、あるいは海外のサーバーを経由して、いずれも国内の消費者向けにメールを送る場合につきましては、もちろん具体的な事例に基づいて判断する必要がございますが、一般的には、実質的に国内の行為ということで特定商取引法を適用することが可能ではないかというふうに考えております。
 また、この場合、送信が海外を経由して送られてくるといたしましても、受け取った消費者との間で事業者が商取引を行うことが目的である以上、取引のいずれかの段階で、消費者が事業者に連絡をとるための連絡先といったような形で、事業者の身元に関する何らかの端緒があらわれてくるというのが通常でございます。
 特定商取引法は、今回の商業広告の一方的な送りつけの問題だけではなくて、実際の取引段階までの各局面を一体的に規制する法律でございますので、こういった端緒をもとに身元を特定して取り締まりを行うということで従来からやってきておりますし、今後ともそういうことが可能であるというふうに考えております。
 端緒の例として若干の事例を申し上げますと、例えば、郵便局の私書箱でありますとか、説明会の案内でありますとか、あるいは電話番号についての連絡でありますとか、そういったものを端緒に身元を特定するという努力を現在しておるところでございます。
 それから、消費者は、海外を経由してこようがどうであろうが、違法なメールを受け取った場合には、財団法人日本産業協会の情報提供窓口に御通報いただくということで、財団法人日本産業協会のところでその整理をさせていただくということで、消費者としては、とにかく、これはおかしいなと思ったら、その窓口に御通報いただけたらというふうに考えております。
 それから、外国の事業者が外国からメールを送ってくるという場合の御指摘がございましたが、これはやはり国内法に基づいて規制、処罰を行うということはできないわけでございます。グローバリゼーションの中で、欧米諸国においても同様の問題意識、それから同様の法制が整備されつつあるわけでございまして、各国の関係機関との連携を一層強化しながら対応していくというふうなことが必要ではないかと考えております。
 ちなみに、先ごろ、三月に開催されましたOECDの消費者政策委員会におきまして、我が国から、我が国の迷惑メール問題に対する取り組みにつきまして詳細御紹介したところでございまして、引き続き、国際連携にも取り組んでまいりたいということでございます。
大島(令)委員 次に、訪問販売ですとか通信販売等の特殊取引にかかわる消費者トラブルは、一九九四年度には十万件を超えましたけれども、二〇〇〇年度には約三十万件に迫る勢いです。このようなもとにおける経産省における消費者保護の取り組み状況について質問をいたします。
 先ほど来多くの委員の方も同様の趣旨の質問をされてまいりましたけれども、この特商法の前身である訪販法の改正を重ねてきた結果、改正ごとの効果をどのように把握しているのか。効果が上がらないからトラブル数が減っていないのではないかと思うわけであります。
 それともう一点は、経産省では、インターネットサーフデーと称して通信販売等のホームページを巡回して、違法な表示があれば警告を行っていると聞いておりますけれども、その対象数は過去三年どのくらいだったのか。これはその予防的な措置ということでやっておられると思いますけれども、以上の二点について答弁をお願いします。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 御指摘がありましたように、現在の特定商取引法、旧訪問販売法でございますが、最近では、平成八年に電話勧誘販売に関する規制を追加しておりますし、平成十一年には特定継続的役務提供に関する規制を追加しておりますし、平成十二年には、いわゆる内職・モニター商法に関する規制の追加、それから、インターネット通販に関する規定の追加ということをやってきておるわけでございますが、これらはいずれも、新しいタイプの悪徳商法といったようなことで新たに生ずるトラブルに対応して、ある意味では機動的に、柔軟に対応してきた結果でございまして、その一つ一つの改正に効果がなかったから追加をしたというふうには私どもとしては考えておらないわけでございます。
 むしろ、基本的には、こういったことの規制はできるだけ必要最小限にしたい。そういう中で、実態に応じて機動的に、柔軟に対応していきたいということのあらわれが累次における改正ではなかったかというふうに考えております。
 それから、最近の特定商取引における処分状況でございますが、経済産業省、警察庁、都道府県におきまして、この五年間で検挙、行政処分、報告徴収を合わせまして、ざっと一千件の実績を上げているところでございますし、インターネット上の取引につきましても、平成十三年度において約三万件を点検いたしまして、九千件のサイトに改善指導を行っておるというところでございます。
 それからもう一点、御質問のございましたインターネットサーフデーでございますが、これは無作為に抽出したインターネット上の通信販売の広告につきまして、特定商取引法の遵守状況を集中的にチェックするものでございまして、過去三年では、平成十二年二月、平成十三年二月及び平成十四年一月に実施いたしておりまして、合計で五千サイトを点検いたしております。
 その際、特定商取引法に違反するサイトがありますれば警告メールを発信するということと、その後も是正状況を監視いたしております。そして、改善がなされない事業者に対しましては法律に基づく報告徴収の措置をとってきておりまして、これまでに、ちょうど合計五十件に上る報告徴収をいたしておりまして、おおむね違法状態が解消をされたというふうに報告を受けております。
 以上でございます。
大島(令)委員 それでは、本改正案の実効性についてお伺いしたいと思います。
 今回の改正では、先ほど来出てきておりますが、オプトアウトという方式を採用しており、消費者が電子メールによる広告の受信拒否手続を行うことになる。消費者が、見たこともない業者に対してメールを送信するのはためらうのではないか。今回の措置に伴う消費者マインド、負担についてどういうふうに考えているのか。
 もう一点は、この法案は、メール送信業者には規制が及ばないわけなんですね。ですから、なぜ包括的なメール送信業者、名簿を持っている業者まで含めた規制にしなかったのかという理由を聞かせていただきたい。
 というのは、名簿を持っている業者というのは、パソコンソフト一つで個人でも名簿の収集が可能だと言われているわけで、業者というと何か大きい会社のようなイメージでございますけれども、こういう能力にたけていれば個人でもそういう名簿を収集できるということでございますので、質問させていただきます。
 もう一つは、訪問販売ですとか電話勧誘ですと、消費者から事業者に契約を解除したいということが、実際、簡易書留ですとか内容証明郵便などで証拠が残る形で通知できるようになっておりますけれども、電子メールの送信ですと、送信者の身元不明への意思表示方法を消費者が一体どこまでできるのか、運用上の問題ですけれども、目になかなか見えにくいという問題があると思います。
 以上、三点についてお伺いしたいと思います。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 最初の点でございますが、今回の迷惑メール問題に関する規制は、単に受信拒否という手段だけではなくて、消費者にさまざまな手段を提供して選んでいただくということでございまして、既にきょうも御議論ございましたように、そもそも広告マークのメールを開封しないで捨てるとか、あるいは、アドレスの表示を義務づけましたので、希望しない事業者からの広告をあらかじめ登録しておいて受信拒否をするとか、あるいは、そもそも希望する事業者からのみ受け取ることにするとか、あるいは、近い将来のフィルタリングサービスを利用して、広告マークのついたメールはすべて受信拒否をするとか、いろいろなオプションがあるわけでございまして、そういうさまざまなオプションがあるということをよく消費者に今後周知徹底してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから、規制の対象として、一種の送信者といいますか、広告業者のような間に介在するところをどうして規制しないのかという御質問がございましたが、特定商取引法はもともと、販売業者ないしは役務提供事業者が自分で広告を送ろうがあるいは代行者に委託しようが、要は、その広告に関して違法があれば、その原因者たる販売業者あるいは役務提供事業者に責任を問うという法律でございまして、そういう意味で、従来からの勧誘規制、広告規制についてもそういう考え方でやってきておるわけでございますので、今般につきましても、あえて広告代行業者を規制対象にしなくても、原因者をきっちりと規制をするということで実効性が確保できるのではないかというふうに考えた次第でございます。
 それから、受信拒否の意思表示に関するトラブルでございますが、これは確かにいろいろなトラブルの可能性があるわけでございまして、私どもとしては、今後の運用の中で、消費者に対しては、例えば受信拒否の連絡を行った場合に送信済みのメールを保存しておくとかいったようなことを推奨したいというふうに考えておりますし、事業者に対しましても、そもそも、消費者からの受信拒否の連絡をきちっと記録処理する体制が必要だということで所要の体制を求めていきたいというふうに考えております。
 最後に、そもそも身元不明のメールが来たときにどうするんだ、こういうお尋ねがございましたが、今回の特商法の体制の中ではメールアドレスを正しく書くということも義務づけておりまして、身元不明のメールがあれば、それはそもそも表示義務違反ということになりますので、まずは、消費者の方々から情報提供窓口たる日本産業協会に御報告をお願いしたいということでございます。
大島(令)委員 時間が参りました。
 やはり答弁を伺いますと、この迷惑メールと消費者の立場に立ちますと、そういうカテゴリーの中ではこの法案はまだまだ十分ではないという御答弁をいただきました。今回、附帯決議もついておりますので、ぜひ消費者保護の観点ということで引き続き政府にも努力をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
谷畑委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
谷畑委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、竹本直一君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守党の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。
鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 本法による規制の運用がITの進展に伴う新業態の創出や新規創業等の健全な事業の発展及びインターネットを利用した広告手法に係る技術革新を阻害することのないよう十分に配意すること。
 二 電子メールにより提供される広告の対象が、今後多様な商品、サービス等に拡大していく可能性にかんがみ、指定商品及び役務等の指定追加については、引き続きその実態把握に努め、機動的な対応を行うこと。
 三 本法の実効性を確保する観点から、違法行為の取締りにあたっては、関係省庁、地方自治体等との連携の緊密化により、機動的かつ厳正な行政措置を発動するとともに、そのための取締体制を整備すること。
 四 今改正の内容について、消費者に十分な周知徹底を図るとともに、インターネット上での電子メールアドレス等の個人情報の取り扱いについての啓発を進めること。
   また、携帯電話等の情報端末機器が若年層にも普及している状況にかんがみ、学校教育及び社会教育における消費者教育の一層の充実を図ることにより被害の未然防止に努めること。
 五 迅速な苦情相談処理を図る観点から、いわゆる迷惑メールに係る消費者からの苦情相談等の窓口となる指定法人、全国の消費生活センター、電気通信事業者、業界団体等に対して本法の趣旨を徹底し、相談窓口間の十分な連携を図り、消費者への対応に遺漏なきを期すこと。
 六 今改正により事業者に義務づけられる措置の内容については、事業者の負担軽減の観点から、早期に具体的かつ明確に提示し、その周知徹底を図り、混乱が生じることのないよう努めること。
 七 情報通信技術の進歩に伴い生じる電子商取引に係る新たな課題に対しては、実態に即した対応を引き続き検討するとともに、電気通信事業者において講じられる技術的措置について、一層の向上及び普及が図られるよう官民連携しての対策推進に努めること。
 八 本法をもって規制できないタイプの迷惑メールが今後生じた場合には、その状況を踏まえ、速やかに検討を加えること。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略をさせていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
谷畑委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
谷畑委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、平沼経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平沼経済産業大臣。
平沼国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
谷畑委員長 次に、内閣提出、特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。平沼経済産業大臣。
    ―――――――――――――
 特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
平沼国務大臣 特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 我が国として初めて締結する経済連携協定として、新たな時代における経済上の連携に関する日本国とシンガポール共和国との間の協定が本年一月に署名されました。この協定には、製品に係る技術基準への適合性の評価を相互に承認することが貿易を促進する上で重要であること等にかんがみ、通信端末機器、無線機器及び電気製品についての相互承認が含まれております。
 この協定につきましては、承認をいただくために、今国会に提出されているところでありますが、この協定の的確な実施を確保するため、今般、本法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、法律の題名を改め、題名を、特定機器に係る適合性評価の欧州共同体及びシンガポール共和国との相互承認の実施に関する法律とすることであります。
 第二に、シンガポール共和国向けの特定機器に係る国外適合性評価事業を行おうとする者は、協定に定める基準に適合していると認められるときは、主務大臣の認定を受けることができるものとし、認定を受けた者について協定に従い登録の手続をとる旨を規定するとともに、必要な監督措置の整備を行うこととしております。これらの措置により、これらの者が登録を受けて実施した適合性評価結果はシンガポール共和国に受け入れられることとなります。
 第三に、登録を受けたシンガポール共和国の適合性評価機関が実施した我が国向けの特定機器に関する適合性評価の結果を受け入れることができるようにするため、電気通信事業法等の特例を定めることとしております。
 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律案は、一部を除き、協定の効力発生の日から施行することとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようよろしくお願いを申し上げます。
谷畑委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る四月三日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.