衆議院

メインへスキップ



第19号 平成14年5月31日(金曜日)

会議録本文へ
平成十四年五月三十一日(金曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君
   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 達増 拓也君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      大村 秀章君    梶山 弘志君
      下地 幹郎君    西川 京子君
      根本  匠君    林  義郎君
      平井 卓也君    増原 義剛君
      松島みどり君    茂木 敏充君
      保岡 興治君    山本 明彦君
      生方 幸夫君    川端 達夫君
      北橋 健治君    鮫島 宗明君
      中山 義活君    松原  仁君
      松本  龍君    山田 敏雅君
      山村  健君    漆原 良夫君
      福島  豊君    土田 龍司君
      樋高  剛君    大森  猛君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      西川太一郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   経済産業副大臣      大島 慶久君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   経済産業大臣政務官    松 あきら君
   政府参考人
   (総務省自治税務局長)  瀧野 欣彌君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 石井 道遠君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局長
   )            岡本  巖君
   政府参考人
   (経済産業省商務情報政策
   局長)          太田信一郎君
   政府参考人
   (国土交通省道路局次長) 峰久 幸義君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局
   長)           洞   駿君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月三十一日
 辞任         補欠選任
  阪上 善秀君     西川 京子君
  後藤 茂之君     鮫島 宗明君
  土田 龍司君     樋高  剛君
同日
 辞任         補欠選任
  西川 京子君     阪上 善秀君
  鮫島 宗明君     後藤 茂之君
  樋高  剛君     土田 龍司君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 使用済自動車の再資源化等に関する法律案(内閣提出第八六号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、使用済自動車の再資源化等に関する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省製造産業局長岡本巖君、経済産業省商務情報政策局長太田信一郎君、総務省自治税務局長瀧野欣彌君、財務省大臣官房審議官石井道遠君、国土交通省道路局次長峰久幸義君、国土交通省自動車交通局長洞駿君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山村健君。
山村委員 おはようございます。
 大臣、副大臣、そしてまた委員長におかれましては、本法案の審議、長時間、本当にお疲れさまでございますと言いたいのですが、早朝より、朝一番、私なりに今回のこの法案、いろいろと質問させていただきたいと思います。
 ただ、その個別の条文、百四十三条に上る本当に大きなこの法案ではございますが、その前に大臣にお伺いしたいのです。
 最近の国会、これはこの委員会じゃないのですけれども、私、非常にいろいろなニュース等々、または傍聴にお伺いしたりして感じることは、大臣の答弁というのは、本当に失礼な言い方なんですけれども、軽いんじゃないかなと。先ごろマスコミで報道された某問題法案といいますか、注目されている法案で、それぞれの政府の担当者といいますか、大臣の答弁が食い違いがあったりとかする。
 そういうことだけじゃなく、先日は小泉総理が、小渕元総理の、いわゆる住民基本法ですか、住基法の問題というのは個人情報保護法が制定されてからでなければというようなことを、小渕さんがおっしゃったにもかかわらず、いわゆる小泉さんの解釈の違いといいますか、そういうことでころころと変えられてしまっている。まさに、国民からしますと、政治不信という言葉であらわされるのですけれども、執行者である、為政者である大臣の答弁というのは非常に重いと思うのです。
 我々も、国会へ上らせていただいてからまだ二年足らずではございますけれども、やはり過去の事例といいますか、議事録を読ませていただいた上でこういう場へ臨んで、これからの日本のそれぞれの政策ということを検討させていただくんだと思うのですけれども、そういう意味合いから、大臣の所感の中で、国会での答弁の重みというのは、いわゆる優先順位でいいますと何番目ぐらいになるのかということを、まず決意をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 私は、大臣の国会答弁というのは、閣僚として、そして言うまでもなく行政機関の長として、その答弁というものは非常に重いものがあると思います。
 したがいまして、御指摘のような、国会は一回限りのものでございませんので、ずっと流れているわけでございますから、やはり、そういう中での整合性でございますとか、また、その発言に対しての責任をしっかり持たなければいかぬ、こういうことで、答弁というのは、優先順位というのはなかなかつけにくいのですけれども、私は、答弁というのは最重要に属するものだ、このように思っております。
山村委員 まさしく、大臣の方から最重要というようなお言葉をいただいたのですけれども、私なりに解釈させていただきますと、最近の政治不信という言葉に対して、我々政治家が襟を正してということで言いますと、失礼な言い方になるのですけれども、参議院議員の先生方は代議士とは呼ばないのですよね。衆議院の議員に関しては、代議士といって、いわゆる代わって議論をする士と書くわけなんですよ。
 最近、日本人の本当に無責任さといいますか、政治不信ということにあらわされているのは、発言に対しても無責任。自分たちが決めたことをやっているにもかかわらず、何か不公平な社会じゃないかなということで、余りにも為政者、いわゆる権力を持っている人間、それぞれの業界、それぞれの立場で無責任だからということになると思うのです。
 そこが、日本人のいわゆる魂といいますか、本来我々が与えられてきた言葉として、称号としていただいている代議士というのは、間違ったこと、いわゆる秘書がたとえ悪いことをしたら、昔の武士は、自分の部下が悪いことをして、本人は悪くなくても、いわゆる連座といいますか、殿さんが腹を切ったわけですよ。そういう意味合いから、我々は、明治維新の折に、下級武士がそのまま明治維新政府をつくって、代議士というのは普通の人でもなれるよ、そのかわり、責任を負ったら、日本人の心意気といいますか、腹も切れるよと。
 そういう意味で、大臣というお立場にあられる方、政策が間違っていたら間違ったで、自分の身の保身よりも潔くというスタイルを、これから平沼大臣を初めとして多くの閣僚、閣議の場でもそのぐらいのことを、ちょっと、今の内閣は特に正していただきたいなと思う次第です。これは、私からの生意気な意見ですけれども、政治に信頼を取り戻すために、ぜひともお願いいたします。済みません、最初、ちょっと生意気な発言から入りまして。
 それで、法案ということになるのですけれども、だんだんと間口を狭めていきますと、大臣も何かきょう、この後参議院の方へちょっと中座されるというふうにお伺いしていますので、ちょっと質問の順番を変えさせていただきます。
 まず、今回の法律、私は非常に疑問を感じております。というのは、世の中の流れ、ここ十年になるんですかね、十年を超えているとは思うのですけれども、規制緩和という大きなベクトルといいますか、情報公開と相まって、規制緩和という方向にあると思うのです。特に、産業界というものを管轄する旧通産省、現経済産業省におかれましては、模範的に規制緩和という方向に動いていく、そういう省庁だと思うのですけれども、今回の法案、なぜ今このときに、あえてこういう法律をつくって、第三者機関をつくってというようなことをしていくのかということで私は疑問なんですが、いわゆる規制緩和について、大臣の、これはトータルな考え方で結構でございます、お聞かせいただきたいのですが。
平沼国務大臣 規制緩和についてどのように考えるか、このようなお尋ねでありますけれども、規制緩和の推進といいますのは、我が国経済社会の構造改革を初め、新しい産業を創出し、そしてまた、雇用を拡大する今後の日本経済の活力を日本経済に持たせる意味でも私どもは必要不可欠だ、こういうふうに思っています。
 規制緩和の推進という観点から申しますと、これまで、民間の創意工夫が最大限に発揮されますように、経済的な規制は撤廃をしていこう、また、社会的規制はできるだけ最小限にしていこう、こういった原則のもとで、政府を挙げて取り組んできているところであります。
 私どもとしても、今後とも、我が国の経済の活性化に資するために、さらなる規制・制度改革に全力で取り組んでいかなければならないと思っています。したがって、私は、そういう基本姿勢でこの規制改革、こういうものをとらえているところでございます。
山村委員 そうしますと、そんな今回の法案というのを、私が疑問を持っている点でもあるわけなんですけれども、規制緩和、いわゆる小泉さんの改革というより、それ以前、ここ数年の経済、財政の部分といいますか、財政構造改革というのは別においておいてなんですけれども、国民からの大きな要求というのは、御党もそうですし、もちろん政府もそうなんですけれども、我が党も含めまして、規制緩和、地方分権、情報公開、そういう流れというのは動かしがたいと思うんですよ。それぞれの個別の政策論については、それは当然違いがあってしかるべきなんですけれども。そういうときに、官の関与、民間でできることはどんどん民間にゆだねようという基本的な姿勢があると思うんです。その中で、今回のこの使用済自動車の再資源化に関する法案と。
 今、日本の産業の中で一番やはり元気なのは、何だかんだ言っても、トヨタ自動車を初めとする自動車産業、唯一世界に伍してといいますか、世界をリードしていく産業として業界は頑張っていると思うんです。そういう業界というのは、日本のというより、世界のモデル企業でもあるはずなんですよね。大臣が先ほど述べられた、社会的な模範となり得る、要するに、活力を持っている企業、雇用問題にしましても、雇用の受け皿としても、一番すそ野も広い業界であるわけなんです。
 ということは、あえてここで官が主導でこのような法律をつくらなくても、二十一世紀の社会というのは、環境問題、資源循環型社会ということは、これはほとんど、小学生でも多分今知っていると思うんですけれども。今までと流れが違っているよ、お父さん、なぜ今こんなに不景気なのというような問題、小学生の高学年であったとしても、日常の会話の中で、いつまでこの不況は続くの、テレビでも新聞でもみんな言っているよ、友達のお父さん、会社やめたんだってというような話、本当に日常の中でそういう問題というのは出てきていると思うんです。
 ただ、大人が責任を持って答えられないというのは、今までどおりの右肩上がりのベクトルというのがなくなってしまっているから、未来が見えないという不安で今の不況というのはこれだけ長引いているわけなんですよね。
 そんな中で、自動車業界というのは、なぜこれだけ活況を示しているのか。それは、やはり同じ企業の中でも、失礼な言い方ですけれども、国に、官に守られてあの業界というのは成り立ってきたわけじゃないんですよ。問題の金融機関であったり、保険業界であったり、やはり今までの構造の中で国に守られ、ある意味、親方日の丸意識の中で日本国内だけでやってきた企業だけが、我々に今、バブルの負の遺産というのを、十年たってもいまだにまだ残している。
 自動車業界、電機業界というような業界は、そのときから、十年前、二十年前から、日本国内じゃだめだ、じゃ、海外へ出よう、今度、貿易摩擦だ、いろいろな荒波にのまれて、世界がこういう時代になっても、IT革命だ何だと言われても戦える、それだけの強い業界なんですよね。
 私は、今回、この法案に関しては、それは最低限のルールというものは必要かもわからないんですけれども、恐らく優秀な官僚の皆さんが百四十三条にわたってつくっていただいた法案であるんですが、これはメーカー主導で、いわゆる民間主導でつくらせたらもっと現実に即したような法案になるんじゃなかったのかなと思うんですが、いかがですか、副大臣。
古屋副大臣 今、自動車メーカーが非常に厳しい中でも大変元気があると、私も全く同じ認識を持っております。
 やはりそれは、振り返ってみると、昭和三十年代の自動車メーカー、例えば外国に輸出をしても、極めて評判は悪かったですね。しかし、それをばねにして、技術革新、そして日本が一番得意とする物づくりの分野で徹底的に資源を投入した、人的資源を含めた資源を投入した結果すばらしい技術を持つに至った。
 昭和五十三年規制というあの一番厳しい規制のときに、もしかしたら日本のメーカーは消滅してしまうんじゃないかという危機がございましたですね、委員も御記憶にあると思いますけれども。しかし、それを克服して、今、世界で最高水準のエンジンをつくっているのが日本のメーカーであります。私は、そういった意味で、やはり民の力、そして民の創意工夫による産業の活性化というのは極めて重要だと思っています。
 そういった視点から、今大臣からも答弁がありましたように、経済的規制は原則を撤廃をして、そして社会的規制は最小限にとどめる、こういう考えが必要だと思っております。実は、この法案も、ある意味でその精神をしっかり踏襲しているんじゃないかと私は思います。
 自動車メーカーが引き取る品目は三品目にまず限定をするということでありまして、また、いわゆる解体業者、これはいわば静脈産業といったらいいかもしれません。こういった産業の再生を図って民間事業者の活力を最大限生かす制度を考えているということでありまして、規制による公的関与というのは最低限にする。社会的規制、安全とか安定、こういった部分については規制はするけれども、それ以外については民間の自主性に任せていく、これが社会の流れでございますし、また、この法案の精神にもあらわれているのではないかな、こんな気がいたしております。
山村委員 確かに、副大臣がおっしゃられるとおり、精神としては十分に私も読み取れるんです。ただ、残念ながら野党ですので、この法案でどういうところを切り口に質問しようかというふうに、重箱の隅をつつくほど私も知識はないんですけれども、読み解いていきますと、端々にやはり、一般論で、本当に省庁の方、官僚の方には申しわけないんですけれども、官の影響力というのを残しておきたいなというようなニュアンスが非常に感じられる法案なんですよね。
 外郭団体がこれだけ批判されているときに、なぜ第三者機関を資金管理法人という形で初めから決めていかなきゃならないのか。これは、自工会を初めとして業界でまずつくらせて、政府がそれを監視していくという立場でいいんじゃないのかなと思うんですが、いかがですか。
古屋副大臣 この法案をつくるに当たりまして、産構審でも、自動車メーカーあるいは専門家からも相当意見をいただきました。そして、その中でも、自動車メーカー側に徴収、管理をすべて任せたらどうだという意見も一部ありました。しかし、いろいろ議論をしていく中で、やはり自動車メーカーにすべて任せるということだと、幾つかの極めて重大な支障があるということがわかりました。例えば、自動車メーカーであるとか輸入業者、これは指定されておりますね。これが倒産をしたりあるいは解散をしてしまった場合、その必要な資金というものも消滅をしてしまう可能性があるということなんですね。
 それから、もう一点は、もし、リサイクル料金を自動車メーカーあるいは輸入業者が収受するということになりますと、法人税が課税をされることになります。そうなりますと、ユーザー負担が増加をするという危険性もあるわけでございまして、したがいまして、今回は、こういう形で一たんメーカーから切り離して、安全かつ確実に積み上げる方法として資金管理法人による管理を行うというふうに決めさせていただいた次第でございます。
山村委員 まさに、その巨額の資金の扱いというのがきのうまでの議論の中でも一番時間的にも多かったんじゃないかなと思うのですけれども、問題は、やはりそこにあると思うのですよ。
 というのは、いわゆる外郭団体が問題になっている。外郭団体に対する天下り、公務員であるから公平だろうというような認識のもとに、いろいろな天下り先、今整理しようとしてはいるのですけれども、こんな時期になぜそれをつくるのか。
 やはりそれは、私が思うには、失礼な言い方ですけれども、巨額な資金を、これだけ低金利の時代であったとしても、一兆円というような金額で〇・一%でもというような数字、それを扱っていく、それを一カ所にプールしていくということは、まずそこに、どうしたって情報公開というものがもう少しこの条文にあればなというふうには思うのですけれども、実施もされていない、できてもいないから、そういうものになると思うのですが、そこでまず不透明な点が見え隠れする。
 そして、もう一つ言えるのは、無責任さといいますか、車の寿命が十年という流れのもとで、十年先には、今徴収した、お預かりしたリサイクル用の費用はどうなっているかわからないよ、それはメーカーの責任でしょうという条文ですよね。余ったら返します、それより高くなったらメーカーが負担します、では、その第三機関はどうなるのと。
 預かっている間、ある意味、資産運用がうまいこといったらみんながもう少し安くなるわけですよ、上手に民間の発想で使えれば。預託金として預かっています、その間に、企業がリスクをしょって、二万円今預かりましたけれども、十年後にはその二万円の費用が、車の解体もしながら、おたくにまた二万円丸々お返しすることができるかもしれません、ひょっとしたら別にまた徴収しなきゃいけなくなるかもわからない、まあそれはないわけなんですが、法案の中では。
 仮に企業が倒産したとしても、システムとして、いわゆる政府保証という形で、企業の収益にするのじゃなく、企業経由の預託金制度という形にすれば、企業の責任において、政府としたら一筆書くだけでいいわけですよ、リスクに関して、民間にゆだねるということに対して。そういう法律でよかったんじゃないのかなというふうに、まだ法律として決まっていないので、これから見直していただければなというような気もするのですけれども。
 特に、私は前にもIT関連等々で、エネルギーのときにも言わせていただいたのですけれども、やはり二十一世紀の産業構造、先ほど副大臣がおっしゃられたように、静脈産業というのをいかに、特に今の時代育てていくか、起業させるか、今まであるものを発展させていくかということにしないと、雇用問題の受け皿にもならないと思うのです。
 そういうときに、リーディングカンパニーである、業界である自動車産業界が、世界に通用するような本当に合理的なマネジメントで、いわゆる静脈産業も、一連の流れの中、お金の流れ、物の流れ、人の流れという形でまず日本のモデルをつくり上げていく。恐らくこれは、中国であろうとも、ヨーロッパ、アメリカであったとしても、日本のモデルというのは多分通用していくと思うのですよ。そのぐらい、せっかくの自動車メーカーですから、弱い業界なら別ですけれども、民にゆだねた方がよかったんじゃないのかなと思うのですが、まだ今からでも間に合うと思うのですが、いかがですか、副大臣。
古屋副大臣 若干今の答弁と重複する部分がありますけれども、この資金管理団体を指定法人にしたということについて、例えば、もう一つ懸念事項がございまして、それは、これは自動車メーカーと輸入事業者という指定になっていますけれども、御承知のように、輸入事業者というのは相当出入りが激しい業界であります。FAIAという輸入自動車業界の団体がありますけれども、ここに加盟していない方もいらっしゃいますし、また並行輸入という問題もあります。それから、最近はネット取引というのが非常に盛んでありますので、実は個人の車の輸入というものもふえてきているわけでありまして、こういったことはほとんど把握をすることができない、こういう問題もあろうかと思います。
 それと、先ほど答弁させていただいた状況もございまして、こういう形で指定法人による資金管理ということをさせていただく。ただ、その大前提はやはり高い透明性、公開性ということだと思います。
 このため、この法律でも、法律自体で資金の運用制限であるとか一定の情報公開を求めるということになっていますし、また最終的には、主務大臣として指定を取り消し得ることを担保として業務の適切な実施を確保するというふうになっております。
 また、本法案の中では、例えば資金の運用方法についても、やはり安全確実に確保しなくてはいけない問題でございますので、資金の運用方法についても制限を設けております。
 また、業務規程であるとか事業計画、事業報告等を作成したときは必ず公表するということを義務づけておりまして、透明性あるいは公開性を確保させていただいております。
 一方では、学識経験者であるとか一般消費者の代表を委員とする資金管理業務諮問委員会を設けまして、外部の目によるチェックが行き届くように、こういういろいろな角度から万全の対策を講じているということでございます。
山村委員 これもアイデアの部分になるんですけれども、非常に時間を食ってしまいまして、次の問題、やはり個別のことも少し聞かせていただかないとと思いますので進めさせていただきます。
 今回の法案の中でいわゆる三品目ということが決められているわけですよね。いわゆるシュレッダーダストであり、エアバッグであり、フロンの処理でありというようなことなんですが、ほかの、今までシステムは成り立っているんですが、タイヤ、バッテリーといったようなものはどのようにお考えなんですか。
岡本政府参考人 三品目以外、タイヤ、バッテリーにつきましては、従来から関連の業界あるいは事業者における自主的な取り組みによってリサイクルが行われておりまして、タイヤで約九〇%、バッテリーではほぼ一〇〇%リサイクルされております。
 具体的には、バッテリーについては、その多くはガソリンスタンドとか整備業者の方々の段階で発生している、八割方そこなんですけれども、リサイクル業者である鉛の精錬業者に有価で売却されております。鉛の精錬業者がリサイクルした再生鉛というのをつくり出しまして、それを自動車用の鉛蓄電池メーカーが自主的に買い上げてバッテリーの原料として使っていく、そういう形で回っております。
 それからタイヤにつきましては、バッテリーと同様、これも八割方は整備の段階、取りかえの段階で発生しているわけですけれども、廃車の段階では一九%ぐらいでございますが、ほとんどが逆有償で引き取られています。
 それから、リサイクルの用途としましては、再生ゴムあるいはゴムの粉末、それから更生タイヤの台にする、そういったマテリアルリサイクルという方法によるものと、それからセメント焼成用を初めとする熱利用、両方合わせまして八九%がリサイクルされているところでございます。
山村委員 今まで長時間にわたって、副大臣とも、民間にゆだねたらどうかというようなお話もさせていただいたんですけれども、まさにタイヤ、バッテリーというのは、模範的な循環型社会という形で、それだけでもう成り立っているんですよね。だから、メーカーを通じて、フロンの回収もやりなさい、エアバッグについてもそうしなさいというその号令一つだけで、あとは罰則規定だけあれば、恐らくうまいこと回っていく、そのように思うのですけれども。
 もう一つ、次の個別の問題、条文の中から疑問に思った点をたださせていただきたいと思うのです。これもちょっと考えてもらえればなと、規制緩和という一連の流れなんですが。
 いわゆるフロンの回収業者は都道府県知事への登録で済むんですよね。にもかかわらず、解体業者は許可制というふうになっているんですが、いわゆる静脈産業の中で、なぜ登録と許可制、そのまま並行した状態になっているのか、それをお聞かせいただきたいんです。
飯島政府参考人 委員御指摘になりましたように、この法案では、引取業者及びフロン回収業者は登録制度、それから解体業者と破砕業者、これが許可制ということになっております。
 解体とか破砕というような作業の過程では、例えば廃油を取り扱ったり騒音が発生するということになって、引き取り業やフロン回収業と比較いたしまして生活環境保全上の支障を来すおそれが大きいと考えておりまして、より厳重に適格性を担保することとしております。
 廃棄物処理法におきましても、廃棄物処理業は許可制であるわけでございますので、この解体業及び破砕業については、廃棄物処理法と同じように都道府県知事の許可制としたわけでございます。
 また、フロン類回収・破壊法、ことしの十月から施行される予定でございますが、このフロン類回収・破壊法におきます第二種特定製品引取業者、これが本法の引取業者でございますし、第二種フロン類回収業者が本法のフロン類回収業者に当たります。
 こうした役割を本法で引き継ぐ、フロン類回収・破壊法の関係業者の役割を本法で引き継ぐものでございますので、フロン類回収・破壊法においてこうした業者は登録制と整理されている、これをそのまま引き継ぐということでございます。
山村委員 時間が参りましたので、まだまだちょっと消化不良のところもございますが。
 いずれにいたしましても、民間主導、特に今回の場合、自動車業界というような本当に日本の世界に冠たる業界でございますので、もう少し民間の意図といいますか、規制緩和の本当の意味で模範になるように、今後もしっかりと私ども監視していきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
谷畑委員長 山田敏雅君。
山田(敏)委員 民主党の山田敏雅でございます。
 最初に、ちょっと苦言を申し上げたいと思います。質問の通告にありませんので、副大臣、局長、ちょっと考えていただきたいんですけれども。
 今回の自動車リサイクルのワーキンググループというのが産業構造審議会につくられました。ここに委員の名簿がございます。十五人の委員の中で、いわゆる業界の代表の方が九人入っていらっしゃいます。社団法人の委員長だとか会長、それから専務理事、理事、専務理事とずっと、いわゆる自動車工業会、中古自動車販売等々、業界の代表です。
 今回の法律、主なところは、だれがこのリサイクルのコストを負担するか。結論としては、ユーザーが負担する。この中に自動車ユーザーの代表が入っていないんですね。唯一それらしき人は、主婦連の副会長が一人入っていらっしゃる。
 そうしますと、ユーザーの利益というのは一体どうなるのか。最終的には、業界の団体の方が話されて、ユーザーに負担してもらいましょう。しかし、このワーキンググループには、例えば自動車のユーザーの団体とかNPOとかたくさんあると思うんですけれども、その中に一人も入らなかった、これはどういうことなんでしょうか。ちょっとお答えいただけますか。
岡本政府参考人 ワーキンググループの中に、主婦連の方もそうですが、松田美夜子さんというリサイクルの関係の女性の消費者代表の方、それからJAFの代表の方、そういう方々も入っていただいておりますし、それから中立委員ということで、大学の先生、それからマスコミの代表の方々にもお加わりいただいているところでございます。
 関連の事業者が多いといいますのは、この法案でもそうでございますが、自動車メーカーのみならず、整備の関係でありますとか、シュレッダーの関係でありますとか、あるいは輸入業者の関係でありますとか、今御提案申し上げているこの法案で、関係者にそれぞれ役割を担っていただくところがありますので、役割分担について関係者の合意形成を図るという必要もございましたので、そういう方面を代表する方々にもお加わりいただいているものでございます。
山田(敏)委員 副大臣、こういう法律をつくるときは、この委員会、審議会に基づいて意見を出していただいてやる。しかし、今局長が答弁されたように、ユーザーの代表が一人か二人しか入っていない。あと大多数はこういう業界の代表をやる。これは何か考えて、意図があってやったのか。あるいは、単に業界の代表を入れれば審議会はできるのか。余り頭を使わないでやったのか。結果的にはユーザーの方に負担していただくという法律になってしまったわけですから、先ほどの答弁で、今後資金管理団体か何かつくられる、こういうことですね。
 そういうことになりますと、やはりちょっとこれは反省していただいて、この審議会、委員会のあり方、ちょっと考えていただきたいと思うんですけれども、副大臣、いかがですか。
古屋副大臣 私ども、審議会あるいは委員会あるいはワーキンググループをつくる際には、公平に広くその人材をお願いいたしまして、そして公平な意見を聞かせていただくということが一番重要だと思っております。
 また、今回の件に限らず、いわゆるパブリックコメントというものを積極的に求めることにいたしておりまして、今般も二回パブリックコメントを求めているところでございます。
 今後とも、そういった姿勢に立ちながら、しっかり公平に人選を行い、そして広く各界各層の意見が聞けるような体制をつくっていく、これが極めて重要だというふうに認識をいたしております。
山田(敏)委員 そのパブリックコメントなんですけれども、ここにそのワーキンググループの議事録をいただきました。この議事録をずっと読みますと、確かにユーザーの意見として非常に重要な意見が出てきております。
 平成十三年一月十九日に、これはだれが発言したか書いてないんですけれども、これは恐らくユーザーの方だと思うんですが、自動車関係諸税というのはおかしい、一時的につくった税金が永遠化している、税金で取り過ぎている、これをリサイクルの費用に回せば簡単じゃないか、こういう意見が出ています。
 自動車関係諸税、年間九兆円。この意見のとおり、例えば自動車取得税、これは大臣が帰られてから改めて御質問しますけれども、ぜいたく税、今から四十年ぐらい前だと思うんですけれども、いまだにこれは続いている、こういう意見が言われているんですね。
 それから、平成十三年の六月四日に言われた意見の中にも、自動車関連税を用いるべきだ、道路特定財源の一部を環境対応費用として充てるのが一番自然じゃないかと。しかし、これは明らかに、これだけの議事録の中で極めて少数意見、完全にこれは無視されたわけですけれども。
 それから、副大臣が今おっしゃったパブリックコメント、アンケートの結果がここに出ています。三千四百人にアンケートをいたしましたと。自動車リサイクルの費用はだれが負担すべきですか、こういうアンケートですね。
 このアンケートの答えは、ユーザーが負担すべきであると答えた人は一四%しかいないんですね。税金でやる、今の自動車税ですね、税金でやるべきだという人は一九%、メーカーが二三%、こういう結果ですね。一番多いのは、メーカーとディーラーとユーザーが応分に負担すればいいんじゃないか、三七%ですね。
 これはユーザーが一番大事なポイントになった法律なんですけれども、せっかくのユーザーの意見は無視されました。さらに、今副大臣がおっしゃった、パブリックコメントを聞きましたと。しかし、大多数の意見は今回の法律のような意見にはなっていない。これではパブリックコメントを聞いたことにならないんじゃないですか。いかがですか、副大臣。
岡本政府参考人 パブリックコメントを通じて広くユーザーあるいは事業者の方々、両方私どもは御意見をちょうだいし、それはその都度審議会の方に御報告をして、審議会の御議論の参考として供した次第でございます。
 最終的に、費用の点について、いただいた意見というのは委員の方々も十分しんしゃくをされた上で議論を重ねた結果、今御提案を申し上げているような方向に審議会の議論というものが集約をされたということでございまして、この間、いただいた御意見というのは審議会において十分にしんしゃくをしていただいたものと私ども考えております。
山田(敏)委員 この問題は大臣が帰られたらもう一回やりますけれども、局長、僕が言っていることは、この委員の人選についてもうちょっとよく考えていただきたいと。今までの慣例というか成り行きというか、業界の団体をみんな並べれば委員会ができたと。しかし、この法案の趣旨をよく考えてやる場合は、やはりユーザーの代表が半分近くは入っていないと意見が反映されないんですよね。国民から支持されない法律にでき上がっていく。
 この点について、反省されますか、されませんか、それだけお答えください。
岡本政府参考人 人選という点について、消費者の代表の方々の御意見は、分担していただくことになりますので、この議論の中で重要な一翼を担っていく、私どももその点については十分意を用いて人選をしたつもりでございます。
 それから、先ほども申し上げましたが、大学の先生でお二人、それからマスコミの代表の方々、それからJAFというのも自動車ユーザーの代表という立場でございます。それから松田先生は、リサイクルの問題については、家電の場合もそうですけれども、積極的に議論に加わって、この分野で大変御意見をお持ちの、消費者の代表とも言うべき方でございます。
 そういう方々の意見を聞き、それからパブリックコメント、それから、私ども、いろいろな機会にこの間説明会をさせていただいて、そういう場を通じて広範な各層の方々の御意見をいただくべく努力をしてまいったところでございまして、今後につきましても、消費者の代表の方々の御意見も十分に伺いながら制度の設計を行っていくということには努めてまいりたいと考えます。
山田(敏)委員 まあ、反省しますということだと思うんですけれども。
 ただ、今の答弁で、ユーザーというのは、主婦連の副会長というのは本当に自動車ユーザーの意見を代表する方じゃないんですよね。主婦連という仕事の中でやっていらっしゃる。それから、さっきおっしゃった松田さんという方は、リサイクルの問題を一生懸命やっている方で、本当に自動車ユーザーの人たちの声を反映して代表としてここへ出てきた人じゃないんですね。それから、さっきおっしゃった大学の先生、大学の先生は別に自動車ユーザーの意見を聞いたこともないわけですから。そうなると、この中で全く意見が反映されていないということですから。
 副大臣、一回ちょっと、今私が言ったことについてどう思われますか。
古屋副大臣 人選に当たりましては慎重に、やはり広く意見を聞けるような構成をしていくということが大前提でございまして、私どもは常にそういった視点に立ってやっております。
 したがいまして、今回も、今、岡本局長から答弁をさせていただきましたように、ユーザーの立場という意見も十分に聞かせていただいた、そういうふうに思っております。
山田(敏)委員 ちょっと、私の言っていることをよく聞いていただけないので残念なんですけれども。私は、このユーザーの代表の意見はほとんど、この議事録を見る限りにおいても、この委員の人選においても、入っておらないというふうに思います。
 次に、廃棄自動車ですね、不法投棄についてお伺いしたいんですけれども、今回の法律で、この問題は非常に今後とも大きいわけでして、実際にその取り締まりをする法律はあるんですけれども、実態上できないという実態があると思うんですが、今まで、統計によりますと、一年間に二万七千台が投棄されると。そのうち、きのう大臣が答弁されましたけれども、一万五千台ぐらいが地方公共団体がやっているということになりますと、大体一万数千台ずつ日本の中にこの不法投棄の自動車がふえていくということになるんですが、今回の法律でこの点はどういうふうに変わるんでしょうか、具体的にお答えください。
飯島政府参考人 初めに、今二万七千台というお話がございました。これは恐らく道路管理者、河川管理者の方でのデータではないかと思います。環境省の調査で、昨年、全国都道府県を通じて調査した結果、野積みあるいは不法投棄の使用済自動車は全国で十二万六千台ございました。
 それで、御質問は、この自動車リサイクル法で不法投棄対策がどう変わるかというお話なんですが、そもそもこの自動車リサイクル法と違う形で不法投棄対策に環境省では今力を入れているところでございまして、監視パトロールの強化に対する支援であるとか、あるいは、一番大事なことは、野積み自動車によく言われることなんですが、行政指導という形でしておりますとなかなか改善がされないということで、廃棄物処理法に基づく行政処分を、改善命令や勧告あるいは告発、これを行うような行政処分の指針を示しまして、今非常に行政処分の数が多くなっている、不法投棄自動車に対しても行政処分の数が多くなっているところでございます。
 また、それを行う地方公共団体に対する支援制度としては、適正処理推進センターというのが廃棄物処理法に基づき一定の基金を設けておりまして、これで支援するほか、お話にございました、市町村が路上に放棄されている車を処理した場合に、自動車メーカー等の協力会から費用負担の協力がなされているということでございます。
 そういう意味で、この法律と別のところで不法投棄対策はやっているわけでございますけれども、今回この自動車リサイクル法ができますと、不法投棄の台数は大幅に減るだろうということが期待されます。
 その理由は、この法律では、関連事業者、いわゆる引き取り業者、フロン類回収業者、解体業者、破砕業者と自動車メーカーの間で、引き取り、引き渡しあるいはリサイクルが適正になされたことをその都度確認するために、移動報告制度、いわゆる電子マニフェスト制度、これを規定しているところでございます。
 先ほど御答弁いたしましたように、引き取り業やフロン類回収業は登録制、それから解体業や破砕業は許可制を導入しまして、都道府県知事あるいは保健所設置の市長がすべての関連する事業者の所在を把握できます。そして、この電子マニフェスト制度を使いまして、関連事業者に対して報告徴収や立入検査もできるということで、この電子マニフェストによる移動報告制度でこの流れがすべて確認できるわけでございます。
 さらに、今回のこの法律では、すべての使用済自動車を廃棄物とみなしておりまして、廃棄物処理法の規制をすべて適用できるということになっております。すなわち、知事が改善命令や措置命令ができると先ほど申し上げた不法投棄対策で行われていることが、この自動車リサイクル法においてもできるということでございます。
 また、行政代執行、地方公共団体が行政代執行で原状回復を行う場合がございます。本法におきましては、この行政代執行に対しても、資金管理法人におきます剰余金を活用して資金を出捐する制度を設けておりますので、不法投棄対策は一層拡充強化されるものと考えております。
山田(敏)委員 廃棄物処理法、なかなか厳しい法律で、五年以下の懲役、一千万円以下の罰金とか、そういう規定がございます。しかし、現状、法律はあるけれども機能していない、取り締まりが非常に難しいということでありますので、今回の電子マニフェストも含めて、メーカーの製造段階から登録制度をやるとか、もうちょっと、車が最後に廃棄されるまでどういう人を通っていったかというのがはっきりわかるような制度ぐらいをやらないと、法律を幾ら厳しくしてもできないと思うので、その点、今回の法律を機にしっかりやっていただきたいと思います。
 それでは、あと十分しかございませんので、先ほどの問題について、ちょっと大臣の答弁をお願いしたかったんですけれども、副大臣、先ほどのこの議事録、ユーザーの意見としては、自動車関連諸税はおかしいと、九兆円ですから。さらに今度は、約一兆円の負担をさらにユーザーに強いる。この委員会の意見はよく聞いたということなんですけれども、ユーザーの方にとってみれば、こういう非常にアンフェアなやり方が進んでいるんじゃないかという印象を持たれると思うんですね、まさにこの委員会でも発言されておりますけれども。
 例えば自動車取得税。これはぜいたく税として、取得税ですから、七万円ぐらい負担されていると思うんですけれども、もう役割は終わった。もう一家に二台、三台車がある。四十年前に百人に一人とか、そういう時代じゃなくて、もう既にぜいたく品じゃない。例えばゴルフクラブなんかは、四十年前はぜいたく品ですから、三五%の物品税をかけた。しかし、二千万人の人がゴルフをやるようになったら、その物品税は廃止されたんです。
 ここに、一回内閣で、副大臣もあれですので、調整機能というのは、国民のために何か議論するということはないのかということが大きな疑問になってまいります。
 副大臣、今の自動車関係諸税、今後、京都議定書、非常に難しい、日本は達成できないということを言われていますけれども、新たに環境税をやらなきゃいけない、そうするとまた国民の負担がふえる、こういうことも含めまして、その見直しについてどういう意見を持っておられるか、お答えいただけますか。
古屋副大臣 委員の質問の趣旨は二つあると思うのです。まず一つは、今度のリサイクル費用に自動車関連の税制をなぜ活用できないのかといった趣旨の話と、もう一つは、もっと広い、マクロな意味での税のあり方、こういうふうに考えます。
 まず、なぜ今度のリサイクル料金に自動車税を充てないのかということでございますけれども、実は、先ほども答弁させていただきましたけれども、審議会の中でもそういった議論も含めて幅広い議論がございました。確かに、委員御指摘のように、自動車税というのは、国民の皆さんからすると負担水準が高いという指摘があることは事実でございます。
 ただ、一方では、この自動車税というのは、昭和二十五年にでき上がりまして、長い歴史的経緯がございます。また、それを財源とするいわゆる地方財政であるとか道路特定財源制度等々もございまして、こういったものと非常に密接に関係のある問題でございまして、このリサイクルの採用だけにとどまらず、もっと広い観点からの議論が必要でございます。
 実は今、経済財政諮問会議等の場でも税のあり方について幅広く議論をしていただいているところでございますので、私どももそういった議論をしっかり見守りながら対応していくべきだと思っております。
山田(敏)委員 平沼大臣、今お帰りになってあれなんですけれども、自動車関連諸税について、この審議会の議事録でユーザーの代表の方が自動車関係諸税はおかしいということを、意見を言われているんです。
 自動車取得税を初め、もう既に税としての目的が変わってきてしまったものが永遠に取られ続けている。特に自動車ユーザーに対する自動車関連諸税、年間九兆円というお金、余りにも過酷だ。さらに今後、一兆円の負担をしてそのリサイクルをするということであれば、一回この自動車関連諸税を今後ともきちっと議論しないと、これは一般国民、自動車ユーザーにとって非常にアンフェアなことが今行われているということだと思うんですが、いかがお考えですか。
平沼国務大臣 参議院の本会議で中座いたしまして、大変申しわけございませんでした。
 今、山田先生御指摘のように、自動車関係諸税というのは非常に種類も多うございまして、そして今御指摘のように、九兆円という膨大なことに上っております。そういう意味で、ユーザーの方々の御意見ということも、今御指摘の点、あるということは承知しております。そういう中で、これを抜本的に見直すべきだ、こういう御意見であります。
 私どもは、これを始めるに当たりまして、各界各層の方々の御意見も聞かせていただきました。そういう中で、今回こういう法律案としてお願いをしているわけでありますけれども、将来的に見ますと、やはり時代はいろいろ変遷をしておりますからいろいろな角度で検討することは必要だ、私はこのように思っておりますけれども、現時点では、産構審、その中にいろいろ有識者の方々も入っていただいて、そして今の現状を踏まえてこういった形でお願いをさせていただいている、こういうことでございます。
山田(敏)委員 そういう御答弁なんですけれども、これはちょっとほかの税に手をつけるのは大変だ、だから、それはおいておいて、新たにユーザーに一兆円負担してもらった方が話は早い、こういうふうに私は印象を受けます。
 特に、今副大臣がおっしゃったように、自動車関係諸税、先ほど自動車取得税のことを言いましたけれども、これはぜいたく税ということで始まった税金ですから、既に廃止しなきゃいけないものですね。そういうのを、ほかのところに使っているからできないと。こんなことばかりやっていると、どんどんどんどん、今度は京都議定書で環境税をやらなきゃいけないとなってきたら、自動車ユーザーの負担がまた何兆円かふえる。これはもう国民の代表として政治家が仕事をやっているのかということになると思うんですね。
 ですから、大臣、個人的な意見で結構ですから、産構審で意見を言ったか言わないかは別にして、これは政治家として、閣議に出ておられる大臣として、こういう、ユーザーに新たに一兆円の負担を強いるものをつくるときに、もう四十年前につくった制度、これについては少なくとも一兆円ぐらいの見直しはしなきゃいけない、これは国民にとって当たり前のことですね。その点についていかがお考えでしょうか。
平沼国務大臣 自動車に課せられている税目というのはたくさんございます。
 今御指摘になられました取得税というのは、奢侈品というよりは、自動車の取得に担税力を見出して、そして道路損傷負担金的性格を持つ道路特定財源として創設されたものである、こういうふうに思っています。また、自動車重量税というのは、道路損傷負担金的性格を持ち、これは御承知のように、主に道路建設用に充てられている、こういうこともございます。自動車税と軽自動車税というのは、これももう御承知のように、資産課税、こういう分類に相なります。
 当省といたしましては、自動車産業の健全な発展あるいは環境負荷の小さな自動車社会の構築、また負担者である自動車ユーザーにとっての合理性の確保の観点から、自動車関係諸税のあり方について、先ほども申しましたように、私は、不断の見直しはしていかなければならないと思っています。
 同時に、自動車関係諸税というのは負担水準が非常に高い、九兆円にもなっている、こういう御指摘がある一方、それぞれについて歴史的な経緯を踏まえて今日に至っております。また、これはもう言うまでもないことでございまして、それを財源とする地方財政あるいは道路特定財源制度とも密接にかかわる広がりの大きい問題だと思っています。
 こうした状況のもとで、今まさに、きのうも開かれましたけれども、私もメンバーでございます経済財政諮問会議で、税の全般のあり方を六月末までにまとめていく、こういう形で今議論をしております。ですから、御指摘の点も踏まえて、私は、不断の見直しを行う、こういう意味では積極的にやっていかなければならない、そういうふうに思っています。
山田(敏)委員 ぜひ、統治能力というんですかね、内閣、行政に当たる国民の代表として、こうあるべきだということがなかなか進まないというのが今の日本の非常に大きな問題で、こういう制度というのは、つくって大体五年か十年でもう役割は終わってしまうのに三十年も続いている。それをやれば、当然、今おっしゃったように、地方自治体はいろいろなところに使っちゃう、これは起こり得ることです。でも、当初の目的とは関係なくなってしまっているということは非常に多いと思います。
 特にこの自動車関連というのは、今言いましたように、九兆円も国民は負担しているわけですから、もうずば抜けて多いと僕は思うんですね。今回新たに一兆円というものをやる上で、今大臣、答弁を前向きに言っていただいたので、本当に閣議なり経済諮問会議で、この不合理な高負担なユーザーの負担を是正するようにお願い申し上げます。
 以上でございます。
谷畑委員長 鮫島宗明君。
鮫島委員 山田議員に引き続いて、ほぼ同じ立場から、自動車のユーザーの立場から幾つか質問させていただきたいと思います。
 民主党にとって一番大事な政治理念は、権限と財源を官から民へ、中央から地方へというのが民主党の立党の精神になっていますが、なるべくお金が余り官の方に偏らずに、民の方に行くことが景気の回復につながるという考え方です。
 きょうは、政府参考人の方々、大体おそろいだと思いますが、みんなヒアリングの段階で、局長じゃないといけませんでしょうかとか随分気にしますが、私は、別に立場はどういうポジションでも構いませんと。局の次長さんでもいいし、課長さんでもいいし、係長さんでも結構です、しかし、必ず車のユーザーにしてくださいというふうに私はきょう、政府参考人の条件でお願いいたしました。そのぐらい、自動車のユーザーから見ると、今、山田委員からの発言もありましたが、とにかく大変な税金が乗っかっている。
 最近、役人の悪知恵は海より深いといいますが、新手の悪事が二つはやっていまして、一つは、一見、準民間の団体のような形をとっておきながら、その業務内容は法律でがんじがらめに縛る、その法律どおりの仕事をしているかどうかを常時監視するために、やはり役所から何人か天下りしないと十分機能しませんねという形で、特殊法人でもない、認可法人でもない隠れ特殊法人のような形をつくるのが大変はやっている。それが、環境とかリサイクルという看板をつけると、何となく野党も目がくらくらっとして認めちゃうというのが一つのパターン。
 それから、もう一つの悪事は、税金まがいの税金を次々に考えるというのがもう一つの悪事だろうと思います。介護保険も本当はそうだと思いますし、この自動車リサイクルコスト、コストといえばコストですが、これも納付する方に選択権がない。公権力を行使して集めるという意味では、徴収の仕方はまことに税金的。しかし、目的が自動車のリサイクルのために全額使わなければいけないと決まっているんだから、これは税金ではないという国税当局の言い逃れもありますが、では、道路特定財源はどうなんですかと。道路の整備にしか使っちゃいけませんというふうに決められているなら、では、これも税金じゃないじゃないか。国道整備コスト、都道府県道整備コスト、市町村道整備コストと言えばいい。そういうふうに、税金まがいの税金というのが次々と乗っかってくるというのは、私は非常に危険な状態で、要するに、民から官への財源移動がどんどん進んでしまう。
 国民をだますのは割合簡単でして、私も前、多少その悪の世界にいたものですからわかるんですが、例えば、首都圏に近々大地震が来ると思う、この首都の復興だけで、恐らく今の金でいうと、関東大震災級の破壊が起こると二十兆円はかかります、それが地震が起こってから工面しようとしてもなかなかきついので、日ごろから蓄えておきましょう、地震保険というのを、国民一人当たり千円程度だったらこれは負担にならない、新たに地震保険というのを考えたので協力してくださいと国土交通省あたりが言うと、これは割合通っちゃうかもしれない。つまり、そういうふうにして、美しい化粧をして税金まがいの税金というのを次々取るというのは、私は大変、少なくとも国会に身を置く、国民のために働いている立場としては、許しがたいという気がいたします。
 この自動車リサイクル税、まあ自動車リサイクルコストというんですか、これもその典型でして、既に山田議員が言いましたが、揮発油税、地方道路税、石油ガス税、軽油引取税、自動車重量税、自動車取得税、自動車税、軽自動車税、プラス自動車本体とガソリンにかかる消費税、これだけの税金がかかっているわけでして、先ほどから話に出ているように、総額が九兆円。全租税収入額の一一%が自動車ユーザーから巻き上げられている。自動車ユーザーは、それだけの税金を払っているわけじゃなくて、もちろん所得税も住民税も普通に払っているわけです。
 自動車がぜいたく品でごく一部、運転手がクランクを回してエンジンをかけていたころだったら、ぜいたく品だとかいってたくさんの過重税金をかけるのはある程度社会的な正当性があるかもしれませんが、七千万台の車、もう今や日用品となっているものに、消費税まで含めると十種類の税金を乗せるというのは、これは、その額からいっても種類からいっても多過ぎる。
 これは多分、だんだんこの実態がユーザーにわかっていくと、みんな怒り出すと思いますよ。日本人はおとなしいから余りデモや何かしませんが、幾ら何でもひど過ぎる。十種類の税金が乗っかって、さらにもう一種類、税金まがいの、納付の選択権のない金が取られる。私だって非常にこれは許しがたいので、国民の怒りを代表して、もし、こんな二万円はおれは払わないと。そうすると、私はどうなるんでしょうか。議員辞職勧告決議案か何かされるんでしょうか。どなたか、お答え、大臣……。
岡本政府参考人 私ども今回、リサイクル費用というものをユーザーに御負担いただくということで御提案申し上げているわけですが、先生御案内のように、自動車のリサイクルというのは、最終のシュレッダーダストの埋立処分費用が、かつての一万円とかそういうレベルであれば十分有価で回っていた世界なんですが、管理型のしっかりとした埋立処分をするということを契機にして、大変その部分の費用が増嵩して、今二万五千円から三万円になんなんとしているという状況の中で、不適正処理というものを回避するために今度の一連の制度を御提案申し上げているわけです。
 ここで御提案申し上げているのは、税という一律なアプローチではございませんで、各メーカーに、できるだけリサイクルしやすいような設計なり材料の選択なり部品の選択なり、そういうことを努力していただく、それから、後のリサイクルの処理の方も、できるだけ効率的なリサイクル処理ができるような技術の開発なんかを促す、そういうことをにらみながらメーカーにリサイクルの料金というのを決めていただくということでやっております。したがって、税の一律的なアプローチでやるというものでは、これは適当ではないんじゃないかというふうにまず考えております。
 それから、一兆円の御負担という点は……(鮫島委員「質問からずれている、時間がないんですから」と呼ぶ)はい。正確に申しますと、新車の販売台数が六百万台としまして、まだ料金を各メーカーはどこも決めておりませんが、それに二万とか一万とか、そういったレベルのものが課されるもので、年々の御負担が一兆円ということにはもちろんならないかと思います。
鮫島委員 いや、私はどうなるんでしょうかと聞いたので、罰則規定がユーザーに対してあるのかという質問ですが、全然答えになっていないし、今の、いかに悪知恵にたけているかというのを皆さん御理解いただけたんじゃないかと思います。
 自動車メーカーがさまざまに工夫して低コストのリサイクルの技術を考えるなんというのは、別に自動車リサイクルに限った話じゃなくて、それは道路整備だってそうだし、鉄道建設だってそうだし、みんなそうですよ。工夫をして少しでも安い方法を考えるというのは、別に何も自動車リサイクルに限った話じゃないので、だから、税金とは性質が違いますなどという詭弁は通らない。納付の選択権がないものは、税金に限りなく近いんです。まあいいや、それは。議論していてもしようがない。
 それで、今度団体が二つできますが、先ほど言った、お金を、とにかく税金まがいのものを次々に考えるという悪事と、特殊法人まがいの何か法人をつくる、今度、情報管理システムを担うのと資金管理と、二つの団体をつくることになっていると思いますが、これは、両方とも既存の公益法人を活用するんでしょうか。
岡本政府参考人 資金管理法人、それから情報管理センター、それからもう一つ再資源化法人というのがございますが、いずれも申請に基づいて主務大臣が指定をするという法案の規定ぶりになっておりまして、既存の団体から出てくるということも十分あろうかと思いますが、民間の発意、申請を前提にいたしております。
鮫島委員 これは、簡単な説明概要書で、平成十四年四月、経済産業省、環境省、国土交通省、「使用済自動車の再資源化等に関する法律案の概要」という解説書の中の「情報管理システムの導入」のところは、「膨大な情報処理が必要なため、第三者機関(既存の公益法人の活用を想定)を指定し、」というふうになっているんですよね。資金管理団体の方にはその既存の公益法人を活用しというのがないんですが、こういうふうに書く以上は、結構もう具体的に想定しているんじゃないですか。それとも、二〇〇四年だから、まだ大分先だからいいと思っているのか。何で、この「既存の公益法人の活用を想定」と書いたんでしょうか。そこのところだけ短く答えてください。
岡本政府参考人 概要ペーパーではそういうふうに書きましたが、もちろん、この資金管理法人なり情報管理センターというのは、やはり自動車メーカーが中心になって考えるということになろうかと思います。
 今、既存の団体については自動車リサイクルセンターというのがございますが、ここも一つの有力な候補かと思いますが、法律の立て方としましては、申請に基づいて指定するということなものですから、私どもは、今、既存のものをということで決め打ち的に御答弁するということは、ちょっと控えさせていただきたいと思います。
鮫島委員 わかりました。
 では、ちょっと別の聞き方をいたします。
 オーナードライバーのサラリーマンを想定していただければいいんですが、今一番販売台数が多い一・六リッターのカローラを新車で買いました、それで、一年間一万キロ、二年間乗った場合に、この人は一体幾ら税金を払ったことになるでしょうかという問いがあるんですが、自分で勝手に考えた想定問答ですが、そうしますと、取得税が七万、消費税が八万、重量税四万、自動車税が八万、揮発油税、地方道路税約十一万で、合わせて三十九万円も払うわけです、税金として。そのほかに、さらに今度このリサイクル法ができると二万円ちょうだいという話になるわけです。
 では、別の聞き方をしますが、この二万円のうち、二つの法人、さっき三つとおっしゃいましたけれども、そういうリエゾン機能を果たすための団体の手数料、あるいはデジタル情報化等に必要なコストは、これは話を簡単にするために、一応一・六リッターカローラで二万円と仮に想定しますよ、そうした場合に、団体のそういう事務機能、人件費を含めて、この二万円のうちの幾らがそこの部分に行くんでしょうか。
岡本政府参考人 三つの業務をやる法人につきまして、人の面は、一昨日御答弁申し上げましたが、最大でも数十人規模ということで、効率的な運用というのを目指していただこうと思っております。
 もう一つ大きなコスト要因になりますのが、今先生がおっしゃいましたシステムの構築、それから、それの毎年のメンテナンス、運用のコストでございます。そういったものを、特にシステムの方で申しますと、外からのアクセスに対するセキュリティー対策をどうするとか、それから、零細な事業者の方々にも広く利用していただきます共通インフラなものですから、できるだけ操作がしやすいようなシステムにするとか、それから、誤入力を防止するようなそういう工夫をするということで、システムの組み方によって初期投資がかなり違ってくるというところはあるのです。
 いずれにしましても、二万円という、そのおっしゃっている数字自体、これは決して決まっているものじゃないのですが、その辺を想定しました場合に、そのコストはせいぜい数%ということにとどまろうかと思います。
鮫島委員 今、大変大事な発言を最後の二秒でしていただいて、せいぜい数%と。もちろん二万円と決まっているわけじゃないけれども、つまり、ユーザーに新たな負担をかけるわけですから、それは大体幾らぐらいになって、その内訳はこうでございますということを示さないで――それは、私も、循環型社会の形成は大賛成ですし、自動車もリサイクル率は徹底的に高めるべきだと思いますよ。ユーザーとメーカーがお互いに責任を担いながら、そのコストも負担してというのは大賛成。大賛成ですし、だから、いいんですよ。
 今、大変重要な御発言をいただいて、では、二万円払った分のせいぜい数%、一割以下が管理コストで、残りの九割は、解体業者とかフロンの破壊業者とかそういうところに、本当のリサイクルのためのコストとして使われるということは、大変私は大事なことだと思います。
 団体をつくるようですが、今の段階で約束していただけるかどうかわかりませんが、民間からの申請によってつくるというお話でしたが、では、ここに天下りは出さないということは、今の時点で議事録に残せますか。
平沼国務大臣 これは、民間主体、こういう形でやりまして、今の例えば自動車リサイクルセンターにおきましては、役所出身者はおりますけれども、いずれも非常勤で無給でやっております。ですから、我々としては、今度新しいそういう法人ができた場合には、そういう天下りということは排してきちんとやらなければならない、このように思っています。
鮫島委員 今の御発言は大変理解できるというか、これも大事な御発言で、しっかり議事録に残っていると思います。
 仮にカローラのお金を二万円とした場合、シュレッダーダストの処理に約一万円、それからフロンの方の処理に三千円、あとエアバッグが、かなり値段が動くけれども七千円ぐらいとすると、せいぜい千円から千五百円ぐらいが管理コストという話だと思いますが。
 今、実際に解体・再生業者の方の意見を聞いたり、歩いてみると、タイヤの扱いがどうもおかしい。自動車リサイクルという社会を構築する中で、タイヤメーカーの責任というのはどうなっているのか。どうもタイヤメーカーだけが免責されているような気がするんです。つまり、解体業者は逆有償で、古タイヤ、廃タイヤ、タイヤはもちろん二種類あって、廃車にくっついているものと、それから買いかえで、使い古しの、履き古しタイヤというものと、二種類含めて廃タイヤということだと思いますが、タイヤメーカーのリサイクルについての責任というのはどういうふうにこの中で明確化されているんでしょうか。
岡本政府参考人 今、先生も御指摘なさいましたように、タイヤのリサイクルで、八割強は整備あるいはガソリンスタンドでタイヤ交換の際に出てくるもの、それから一九%ぐらいが廃車から出てくるものでございます。
 今度の法律の中では、解体業者の方々に、タイヤを取り外して今ある業界のリサイクルのルートにしっかり乗せていただくということを再資源化の基準として私どもはお願いしようと考えているところでございます。
 タイヤ業界のタイヤのリサイクルということについての役割でございますが、廃掃法に基づくマニフェストというのを関連する事業者の間で回していく。それから、廃タイヤのリサイクルに当たって大変難しいのが、どこでそれを処理する、使ってもらうかというところが非常に難しゅうございまして、この関係で、例えばセメント工場で廃タイヤをサーマルでリサイクルしてもらうということで、タイヤ業界が設備の無償貸与ということでこれまで応援をするとか、あるいは技術開発の面でお手伝いをするとか、それから、収集運搬業者あるいは中間処理業者の方々等にリサイクルに関連する情報の提供というのを今やってもらっているところでございます。
鮫島委員 局長は、自分で車に乗っておられるでしょうか。(岡本政府参考人「はい」と呼ぶ)もうちょっと質問にちゃんと答えていただきたいんですが。
 つまり、リサイクルが非常に難しい、有価物に変換することが難しいと。その場合は、じゃ、メーカーはリサイクル社会から免責されるという説明ですよ、今のは。そういうことでいいんですか。免責されるのかどうかということです、タイヤメーカーは。
岡本政府参考人 リサイクルは、今、業界の自主的なリサイクルの仕組みがあって、それによって今、リサイクル率で申しますと、八九%のものがタイヤについてリサイクルされております。タイヤメーカーも、このリサイクル率を高めるに当たって、先ほど申しましたような協力というのをやっているところでございまして、私ども、こういったタイヤメーカーの協力というのをさらに促してまいりたいというふうに考えているところでございます。
鮫島委員 タイヤ業界から献金を受けている政治家の答弁だったら今のような話はわかりますが、やはりタイヤメーカー、今、リサイクルの制度を構築する中で、ここが最後に非常に問題になってくるんじゃないかと私は思いますので。
 それは、いろいろな知恵を出し技術を工夫すれば、必ず有価物に転換するというのはできますよ、そのもともとが石油製品からできているんだから。どこまで戻すか、どこまで変換するか、要するに、モレキュラー・リフォーミングというやつをやればできるはずだと思います。そこはぜひ、タイヤメーカーもちゃんとリサイクル社会の一員として胸を張って参加できるようにこの世界に組み込んでいただきたいというふうに思います。
 だんだん時間がなくなってきたので、もう一回、許せないという十種類の税金の話に戻りますが、この、消費税も含めて十種類の税金のうちで、地方税が、軽自動車税は市町村税になっていますが、五種類ありますが、このうちで、道路特定財源というふうに決められているのは五種類のうちの何種類でしょうか。あるいは、国が徴収して、地方の道路整備のためにどうぞという形で譲与されるという税金の種類もあると思いますが、地方が道路整備のために使える自動車関係諸税というのは何種類あるんでしょうか。
峰久政府参考人 地方の道路特定財源は、ガソリン税などの地方道路譲与税分、それから石油ガス税の地方への譲与税分、それから自動車重量税、これの譲与税分、この譲与税分が三つでございます。あと独自には、軽油引取税、これと自動車取得税、この二種類、合わせて五種類でございます。トータル金額で二兆二千億ぐらいになっております。
鮫島委員 同じ質問を国税に関してもしたいのですが、国が課税主体となっている自動車関係諸税のうち、道路特定財源になっているのはどれとどれでしょうか。
峰久政府参考人 お答え申し上げます。
 揮発油税、それから石油ガス税、自動車重量税、この三つでございまして、合わせて三兆三千億でございます。
鮫島委員 要するに、地方税で五種類あって、国税で三種類ありますと、両方合わせて五兆七千億ぐらいという、大変、どんどんどんどん道路の整備に使われるという話ですが。
 私は、道路の世界というのは不思議な世界だなと思っているんです。高規格の高速道路ですと、大体何キロが到達点ですというのがあるんですが、それ以外の、都道府県道あるいは市町村道というのは、どこまでどう整備されたら満足のいく状態というふうに、天井がどこにあるのかと思っていろいろ聞いたら、どうも天井はないんですね。そうすると、果てしなく道路関係の税金というのを取られ続けなければいけない。
 国民の側、自動車のユーザーの側からしたら、一体いつまでこの十種類、実はこれ、ほかの、もう時間がないので言いませんが、例えば自動車重量税も、四分の一は都道府県にお渡しします、これは道路特定財源として目的は限定しますよと。しかし、四分の三は国の一般財源に入れますという建前にはなっていますが、昭和四十六年の大蔵委員会の中で、当時の中川一郎政務次官が、この四分の三の国の分のうちの八割は道路整備に使うんだ、だからこれも準道路目的税、特定道路財源というふうに考えてもいいのではないかというところまで入れますと、とにかくかなり、過半がみんな道路整備に使われる。
 目的が同じ道路整備ですよということだったら、何でこんなに五種類も六種類も取るのか。これは、例えば自動車リサイクルに使いますと言って三種類も四種類も金を取るのと同じような話で、やはりここは、先ほどから大臣の御答弁にもありましたが、全体を見直して、とにかく自動車のユーザーから九兆円も、租税収入全体の一一%もここに依存するというのをもうそろそろ考え直すべきではないか。
 ユーザーの方にしても、もちろん道路はよくしてほしい、しかし、自動車が引き起こしているさまざまな環境悪化的な要素、これについても、ユーザーとしては、余り環境に迷惑をかけない、あるいは環境が悪くなったらそれを再生修復するようなことに自分たちが払っている税金も使ってほしいなと思っているはずなんですが、実は、全体の七〇%が道路特定財源で決められている。では、残りの三〇%は一般財源ですが、このうちどのぐらいが環境対策的に使われているかというと、粗っぽく言って一割なんですよね。そうすると、道路整備に七〇%使っています、環境再生に三%使っています、これは、ユーザーの人たちは余り知らないと思いますよ。
 さっきのカローラに乗っている方が、あなたは三十九万円、自動車関係の税金を払ってくれましたと。しかし、そのうちで七割は道路整備、環境にどのぐらい使われていると思いますかといったときに三%だと。このバランスは、世の中がこれだけ変わって環境の重要性が再確認されていく中で、余りにもバランスを欠いている。今徴収している税金のうちのもうちょっと多くの割合を環境に振り向けるべきではないか。この環境に振り向けるという中には、当然、メニューとしてリサイクルに必要な部分も入ってくるはずです。
 余りこの税金の話を一般論的に広げると大変わかりにくくなりますし、二年ぐらい検討期間がかかっちゃうということもあるので、私は具体的に提言します。
 今の揮発油税とか軽油引取税とか、燃料にかかっている税金が暫定税率になっている。これは、オイルショックの後に引き上げて二倍になっているわけです。この暫定税率を、国が課税している揮発油税だけでもいいです、この暫定税率が、今キロリットル当たり四万八千六百円になっていますが、本則に基づく税率、本則税率にすれば、これは二万四千三百円、半分になる。これだけで一兆四千億浮いてくるわけです。今、七千万台の車、平均二万で、あなた方が集めようとしているお金一兆四千億が、実は揮発油税を本則に戻すだけで浮いてくる。こういう限定的な議論をしないと、税とは何かみたいな話から行ったら、いつになっても結論が出ない。ぜひ具体的に御検討いただきたいというふうに思います。
 時間もないので、最後に大臣、きょう、お歴々おそろいですので、お一人お一人から、自動車ユーザーは余りにも過重な税金をしょっているのではないかというふうに私は思います。そこにまた二万円乗せていいのか、このことについての五人のお歴々の御感想を一言ずつお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 確かに、鮫島先生から、自動車に対する税の過重、こういう御指摘がございました。私も、非常に自動車関係税は高い、こういうふうに思っております。
 その中で、やはり自動車税というのは、過去、いろいろな歴史的な背景の中でいろいろな役割があり、それがまた国民生活の上で非常に大きな役目を果たしているということも事実です。また、環境の問題もございまして今回こういう御提案をさせていただきました。
 しかし、今言った御指摘もある意味では本当に正鵠を射ている、そういう御指摘だと思います。ですからこれは、我々としては、やはり不断の見直しを行う、こういう前提の中で取り組んでいかなければならない問題だ、このように思います。
古屋副大臣 大臣の答弁に尽きるわけでございますけれども、私も、やはり世の中の変遷と同時に、税だけではなくて社会システムそのもののあり方というものを大胆に見直していく、この必要性はもう申し上げるまでもないと思っております。
 ただ、今回のこの法案につきましては、やはり循環型社会を実現するためには、ユーザー、メーカーあるいはリサイクルの事業者等々、関係者が皆さんそれぞれ応分に分担をして、全国民が協力をしてこの循環型社会をつくっていく必要がある、こういう認識でおります。
大島副大臣 国民のコンセンサスが得られるということを前提に、今先生がいろいろ展開された御議論は十分検討するに値する事柄だろうと思います。
松大臣政務官 先生のおっしゃることは、私はもっともだというふうに伺っておりました。しかし、税金をいただく以上は、私は国民の皆様が納得いく使い方をすることが大事であるというふうに思っております。
下地大臣政務官 新しい視点のお話を聞かせていただいたと思うものであります。
鮫島委員 沖縄は特に、鉄道がなくて自動車は必需品ですから、私は大いに怒るべきだと思います。
 私も、先ほど申し上げましたように、やはり揮発油税が本則に戻って適正な税率になるまでは、私自身、自動車リサイクルコスト費の二万円は払う気がないし、我が後援会のメンバーにも揮発油税が下がるまでは払うなということを周知徹底させたいと思います。
 以上で終わります。
谷畑委員長 樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうもお時間いただきましてありがとうございました。
 まず、自動車リサイクルについて、大臣初め委員の先生方、熱心に議論なさっておいでであります。私は敬意を表したいと思います。
 しかし、今回出されております自動車リサイクルの仕組みなんでありますけれども、先日も私申し上げましたけれども、どうもちょっと重過ぎるんじゃないか、大き過ぎるんじゃないか、大がかり過ぎるんじゃないかという批判があるよということで大臣にもお伺いをしまして、その御答弁もいただいて、私もまた読み返してもみたんですけれども、いま一つ納得できないという部分がございます、正直申しまして。そして、やはり行政改革という全体の流れの中で、どうしても逆行しているんじゃないかという疑問を払拭し切れないわけであります。
 そもそも今、時代の流れは、やはり中央集権から地方分権、また官主導から民主導、規制社会から自由社会、また大きな政府から小さな政府という今時代の流れの中にあって、大がかりな、重厚長大な仕組み、今の時代にはどうしても合わないんじゃないかというふうにまず思うわけであります。
 自動車リサイクル費用を管理いたします例えば今回の資金管理法人、自動車がある限り半永久的になくならない団体になってくるわけです。そんな中にあって、資金管理法人は、今はそのつもりはないということで、天下りはしないんだということをおっしゃっておいでであります。
 先般も自由党の達増議員の質問に対しまして、そのつもりはないんだということでありますけれども、やはり人はどんどん変わっていきますし、また時代も変わっていきますので、その間に、知らず知らずのうちに、また結局官僚の天下り先になってしまうということが今までのパターンでありますので、そういった観点からしましても、やはり行革の流れに逆行するのではないかというふうに思うのでありますが、大臣、いかがお考えになりますか。
平沼国務大臣 先日来、また本日の御議論の中でもお答えをさせていただいています。
 これからできるそういう資金管理をする団体等、この運用に当たって必要な団体については、私どもは、民間の皆様方の主体的な参画によって運営をする、こういうことでございます。
 先ほどもちょっと触れましたけれども、自動車リサイクルセンターにとりましても、まさに常勤の役員は一人もいない、非常勤で、やはり専門的知見等が必要ですから、非常勤の役員はおりますけれども、これとても無給でやっている、こういう実績もあるわけであります。
 そしてまた、先ほど来の答弁にもありましたように、ここはそんなに肥大化させないで、やはり今ITの時代ですから、そういったデータ管理等は極力IT化をして、必要最少の人数で民間の方々が主体的に運営する、こういうことでございますので、御懸念のようなことはない、そういう形で我々は運営をしていきたい、私はこういうふうに思っています。
樋高委員 大臣の今の言葉の中に肥大化させないという言葉がありましたけれども、大臣がずっといつまでも大臣でいてくださるのであれば肥大化しないのかもしれませんけれども、大臣はいずれ総理になられる方でありますから、やはり人がかわっていくんです。だからここでしっかりと詰めておく必要があると私は申しているわけであります。
 では、この資金管理法人に集まる費用、一体どのくらいになると推計なさっておいでですか。
下地大臣政務官 リサイクル料金がまだ現時点で未定でありますから、推計はまだできません。しかし、国内の自動車の保有台数が七千万台というふうなことになっておりますので、一兆円前後という話が言われております。
樋高委員 新聞でも報道されています。一兆円という金額、大変膨大な金額です。ゼロが全部で十二個つくわけですね。そのぐらいの膨大な金額、やはりそこでストックをする、資金管理法人で管理をするということでありますけれども、これはいわゆる安全な投資をして運用するであろうということが当然想定をされるわけです。以前の御説明の中にも、その利息も含んだ形で料金設定をしてリサイクル料金を徴収するということですから、投資が前提となっているわけです。
 しかしながら、それは元本割れしてしまったのでは大変なことになりますので、きっと安全な例えば国債等の、いわゆる元本が保証される形で運用されると思いますけれども。
 経済の側面からいたしますと、一兆円という金額が市場に流れますと、今経済は本当に低迷をしております。その限られた全体の資金量の中で一兆円という金額がそっちにすぽっと流れていってしまうわけでありますから、やはり日本経済の全体の弱体化を招きかねないという批判もあるわけです。このことについていかがお考えになりますか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 御指摘のとおり、リサイクル料金の水準にもよりますけれども、資金管理法人には多額の資金が預託されることになることは事実であります。先ほどの政務官の御答弁でも約一兆円、こういうことであります。
 その資金の運用につきましては資金管理法人が定めることに相なりますけれども、自動車のユーザーから預託された大切な資金を滅失させないためにも、法律上、運用方法の制限を設けておりまして、御指摘のように、国債、地方債等の安全な債権の保有が中心になる、こういうふうにしております。
 しかし、国債、地方債によって政府ですとか各地方公共団体といった公共部門に集められた資金というのは、公共投資に係る支出等を通じまして絶えず民間部門へ循環をしていく、こういうことでございまして、さらに、これに加えまして、他の投資家による国債、地方債運用額が、資金管理法人の国債、地方債運用額と同等額減少することから、市中の資金が減少をして日本経済の弱体化を招くような影響が生ずるものとは私どもは今考えておりません。
 そういう意味で、循環をする、こういうふうに想定をしております。
樋高委員 大変重要な発言があったと思います。
 国債、地方債、そして、その後民間へ循環をするということでありますけれども、運用方法の制限を設けるということであります。ここのところをしっかりと、いわゆる資金を、大変申しわけありません、もう一度お尋ねいたしますけれども、どういった資金の運用を考えていらっしゃるのか。
 民間への循環、そういうことによって弱体化を招かないという、お尋ねに対する反論なんでしょうけれども、じゃ、それがどの程度であるのか、もう少しちょっと具体的にお教えいただけませんか。
平沼国務大臣 国債、地方債、そういうものに、安全性を確保するために、その資金というものを国債、地方債に運用いたします。それは、国債、地方債を買うことによって、それが国庫あるいは地方公共団体に入るわけであります。そうすると、国や地方公共団体というのは、安全性からいったら一番大きな、非常に大きな安全を担保することで、そしてそこに入った資金は、それぞれの国や地方公共団体が公共投資に係るそういう支出等を通じましてこれは民間に行くわけです。
 例えば、建設国債ということを一つ例にとりますと、その建設国債というものは公共投資に回る、その公共投資がやはり民間部門にいろいろな発注という形で流れて、そこで支払われる、そういうことになると民間部門にも流れて、そこで循環が起こって、経済の活力が起こる。そういう形で、それの大もとは国や地方公共団体が担保する、こういうことで安全性が確保される、私どもはそういう意味で申し上げております。
樋高委員 次に、指定法人につきましてお伺いをいたします。
 適切にリサイクルの処理ができなかった場合、その指定法人からいわゆる業者さんの、まあ大手さんは大丈夫でしょうけれども、中小、小さい業者さんが適切にリサイクル処理ができないことも、一生懸命やろうとはしたけれども現実的にできないことも想定して対策を打っていかなくてはいけない。いわゆる情報管理センターからの話ですけれども、いわゆる使用済自動車などの適切なリサイクル等を行わない業者の摘発を適切に行うことができるのか。もちろん、恐らくこの情報管理センターではなくて、多分地方の、法律の条文には書いてありますけれども、地方公共団体の長、知事さんがきめ細かくそこら辺のところを監督するという話でしょうけれども、確認をしておきたいと思います。
古屋副大臣 お答えさせていただきます。
 指定法人の一つであります情報管理センターは、使用済自動車の引き渡し、引き取りに関する情報をマニフェストを使って集中的に管理をしていくわけでございまして、万一、一定期間内にそういったマニフェストの移動報告が行われない場合、まず、情報管理センターは、最後に報告を行った事業者に対しまして通知をいたします。それで報告を促す対応をとります。その後、まだ移動報告が行われない場合は、都道府県知事に報告をするということになっております。
 都道府県知事は、この報告を受けまして、いわゆる関連事業者に対して指導、助言、勧告を発する権限を有しているわけでございまして、都道府県知事がそういった視点で適切な対応をとる仕組みとなっておるわけでございます。
樋高委員 その際に、都道府県知事に任せっ放しにしてはいけないと思いますので、きちっと運用されているかという部分を今後しっかりと監督していただきたいと強く要望させていただきたいと思います。
 やはり地域地域できめ細かくやるところが今回のリサイクル、私、自動車のリサイクルは大いに結構ですし、賛成であります。循環型社会を目指すべきであると、全体の本質的な考え方は持っておりますけれども、やはりきめ細かくという部分も私重要であると思いますので、しっかりとお願いをいたしたいと思います。
 そして、リサイクル費用の負担についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 このリサイクル料金、まず新車のときに徴収をいたします。そして既販車、今走っている車については車検時に徴収をするということであります。
 そこで、私、ちょっとある意味で一つの盲点じゃないかと思うのでありますが、実際問題、地域の方から聞かれたんですけれども、既販車については、いわゆる施行後最初の車検のときに徴収をしますよと。それで、例えばなんですけれども、制度施行後に、いわゆる中古車ディーラー、よく町中に、大通り沿いに、本当に十台から数十台規模の中古車販売をなさっているディーラーさん、展示されたまま、今のこういう経済状況ですからなかなか買い手がつかないと。買い手がつかなくて、そのまま解体処分にやむなくせざるを得ない場合も出てくるんです。そういった場合に、こういった自動車には、当該中古車ディーラーがリサイクル料金を負担することになるのかというふうに尋ねられたのでありますが、いかがですか。
下地大臣政務官 今委員がおっしゃいましたように、販売時にリサイクル料金をいただく、そして既販車の場合には、第一回目の車検のときにいただくということになっておりまして、車検前に廃車する場合には、引き取り業者に渡す前にリサイクル料金を徴収するということになっているわけでありまして、中古車ディーラーに展示されていて、買い手がなくて解体をするという場合には、車の所有者がディーラーである以上は、ディーラーの方がリサイクル料金を払うというふうなことになっております。
樋高委員 そこで混乱が生じちゃうんじゃないかと。要するに、その方々の理解をやはりきちっと得なくちゃいけない。これは結構多いんですよね、中古車を販売している業者さんがたくさんありますので。そういったところが、今、例えば仮に五十台なり展示して抱えていて、それもやむなく、本当にどうにもならなくなって廃棄、解体しようというときに、まあ一台当たり幾らか知りませんけれども、それぞれ値段のばらつきはあるでしょうけれども、仮に五十台だとしても、二万円だとして、掛けますと百万円かかるわけでありますから、やはりそういったところまできめ細かくきちっと説明をして、そしてきちっとなされるように、その方々が本当に納得してできるような形にしなくちゃいけないんじゃないかと私は思います。
 続いて、自動車メーカーさんは車種ごとにリサイクル費用を算出する、要するに一車種ごとですね。そして公表することになっておりますけれども、車種ごとのリサイクルにかかるコストをどこまで厳密化して公表するのか。いわゆる三品目ごとに分類して計算をして、それを足し上げていくのか、その内訳まできちっと監督というか把握をしてやっていくのかということについて伺います。
大島副大臣 樋高先生にお答えをいたします。
 リサイクル料金は、その品目ごとに各自動車メーカーあるいは輸入業者が定め、そして公表することになっております。その料金設定の基準でございますけれども、適正原価を上回るものではなく、かつ、著しく不足しないよう定めなければならない、三十四条で規定をいたしているところでございます。
 これに基づきまして、その三品目ごとの料金をどこまで細分化して算定するかということでございますけれども、これは、基本的にはやはり各メーカー等が決めていくことでございますけれども、主務大臣といたしまして、まず自動車メーカー等に対して、三品目のリサイクル等の実施状況に関して報告を求めることができるわけでございまして、これは第百三十条の三項に規定をいたしております。なおかつ、こうした報告等に基づきまして、不適正な料金設定に対しては変更の勧告あるいは命令をする仕組みとなっております。これは三十五条で規定をいたしております。
 そういったことを踏まえまして、適正な料金の設定が各メーカー等によってなされますように、我が省といたしましても万全を期してまいりたいと思っております。
樋高委員 決まっていないということであります。メーカー任せであると。
 続いて伺いますけれども、フロンやエアバッグの回収料金の設定方法はどのような仕組みでやるのか。フロン回収業者や解体業者などのいわゆる言い値、言われるままの値段をそのままつけてしまいますと、回収コストの低減、縮減にはつながらないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
大島副大臣 フロンやエアバッグの回収につきましては、これらの回収の適切かつ確実な実施の確保の観点から主務大臣が省令で基準を定め、そして自動車メーカーが当該基準に従って回収料金の額を定め、フロン回収業者あるいは解体業者に支払うべきことになっているわけで、もう先生御案内のとおりでございます。
 回収料金を設定、変更した際には、自動車メーカーは公表する義務を負っております。そして、その料金が基準に適合していないと認められます場合には、主務大臣が料金の変更を勧告、命令することができることとなっております。
 したがいまして、そういった御懸念のような、回収料金がフロン類回収業者あるいは解体業者の言い値となるような制度にはなっておらないだろう、こういうふうに我々は理解をいたしております。
樋高委員 不適正な金額、必要以上に高過ぎるもしくは安過ぎるということに対しては国は責任を負うということでありますけれども、実は、この程度がすごく問題なんです。
 では、市場経済の中でどこまで口を出すのか。要するに、フロン、エアバッグの回収料金が、いわゆる主務大臣がそれについて勧告、命令をするということをおっしゃれば、ああ、これで大丈夫だというように何となく錯覚に陥りますけれども、実は、では、それはどのような基準で指導をなさるおつもりでしょうか。
松大臣政務官 樋高先生にお答えをさせていただきます。
 ただいま大島副大臣もお答えになりましたけれども、自動車メーカーは、省令で定められましたその基準に従って回収料金の額を決めて、そしてフロン回収業者あるいは解体業者に支払うべきこととしているわけでございます。料金を変更すべき旨の勧告、命令は、メーカーが省令で定めた基準に従っているか否かということによって判断されるわけでございます。
 具体的には、メーカーが設定、公表、これは前もって公表いたしますが、その料金が、フロン類の回収・破壊あるいはエアバッグの回収を能率的に実施した場合における適正な原価に即していないと認められる場合は、つまり、余りにも安過ぎる、高過ぎるということは恐らくないと思うんですね、高い値段はメーカーは払うことはないであろうと。安過ぎる場合というのは、今現在も大体値段があるわけです、フロンの業者あるいはシュレッダー業者に払っているわけです。ですからおおよその基準というものはできるわけですね。それですから、余りにも安い、あるいは公表した値段と違う、もっと安く、つまり業者任せのようなことをした場合は、これは是正勧告、命令することができるわけです。
 ちなみに、その命令に従わない場合は、罰則の対象になります。
 以上でございます。
樋高委員 大島副大臣に伺いますけれども、解体のときに、実際に再利用・再資源化可能な金属とか部品、自動車全体に占めるその程度、これはどんどん変わっていくと思います。激変をしていくと思います。そんな中にあって、新車所有者から徴収をいたしますいわゆるリサイクル料金にそのことは反映をされるんでしょうか、されないんでしょうか。
大島副大臣 お答えをいたします。
 一般的には、使用済みの自動車から取り外されます部品が多ければ多いほど破砕された場合に生じるシュレッダーダストの量は減るということは御案内のとおりでございますけれども、自動車ユーザーに預託を義務づけるリサイクル料金につきましては、シュレッダーダストのリサイクルに要する費用が含まれるところでございますので、先生御指摘のとおり、解体業者による使用済自動車の再資源化とリサイクル料金には、確かに相関関係があることは間違いないと思います。
 そこで、自動車製造業者等は、自社製品の解体時における再資源化の状況も勘案しながら、シュレッダーダストのリサイクル費用を含むリサイクル料金を定めることになるものだというふうに理解をいたしております。
樋高委員 この法律案の中で、「特定再資源化等物品」というふうな言い回しをしておりますけれども、これは時代の流れの中で柔軟に見直しをしていくということが問われていると私は思います。
 いわゆる再資源化物質の実態の把握を常にして、そして指定回収物品の指定の追加、削除を機動的に行う、スピーディーに対応するということが私は重要なのではないかと思いますけれども、いかがお考えになりますでしょうか。
松大臣政務官 お答えさせていただきます。
 本法案におきましては、シュレッダーダスト、フロン類及びエアバッグの三品目について、自動車メーカー等に引き取り・再資源化等を義務づけているわけでございます。これは、使用済自動車が関係事業者間でおおむね有価で流通する状況をつくり出すことによりまして、これまで自動車のリサイクルを支えてきた解体業者や破砕業者の活力を取り戻そうとするものでございます。
 これ以外の品目、つまり、例えばタイヤとかバッテリーとかそういうものについては、従来から関連事業者において対応がなされていたり、関係業界における自主的な回収・リサイクルシステムの構築がなされてきていますことから、自動車メーカー等に引き取り・再資源化を義務づけなくても円滑なリサイクルあるいは適正処理が可能であるというふうに考えております。例えば廃油とか冷却液は適正処理をされています。そういうことで可能であるというふうに考えております。
 したがって、現時点におきまして三品目を増減するということは考えておりません。本法案施行後に、制度が円滑に行われているか否かについてフォローをし、自動車リサイクルをめぐるその時々の環境変化も踏まえつつ、必要に応じてその見直しを含めて検討する必要があると考えております。
樋高委員 大臣に伺いたいと思います。
 話はまた総論の方に戻ってまいりますけれども、私は厚生労働委員でありますから、年金の問題、医療の問題を今やっているんですけれども、結局、お金等の問題の中で、今回、新車時に支払いをするということでありまして、既販車からも徴収をするということでありますけれども、新車から徴収をするそのお金だけで、ある意味で年金方式、その場で徴収したのを、一台一台、十年後補てんをしてその分でリサイクルをするのではなくて、その時点から廃車をするものにすぐ回してしまうということにすれば、いわゆる既販車から徴収しないでも、新車から徴収をすることによって、財政的にはシステムとして回っていくんじゃないか、回転していくのではないかというふうに思います。
 その方が、管理をする金額、先ほども、一兆円を超える金額ということでありましたけれども、そういったお金を管理する労力、経費、コストも少なくて済みますし、こんな大きな組織、仕組みを何で今の時代につくるんだという批判にもこたえられるわけでありますけれども、その方がボリュームが大きくならなくて済むのではないかというふうに思います。いかがでしょうか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 リサイクル費用の徴収方法として年金方式を採用しなかった理由についてお尋ねでございますけれども、年金方式と申しましてもさまざまな方法があり得ると思います。一般的に言って、年金方式には以下のような問題点がある、私どもはこういう認識を持ちました。
 一つは、リサイクル料金が当該年度の廃車台数と新車台数によって大きく左右されることとなるために、リサイクル料金がリサイクル容易性を反映せずに、リサイクル容易な車を選択しようとする消費者の選択の機会を奪ってしまうおそれがあるんじゃないか、これが第一点です。
 第二点は、その結果として、リサイクルが容易な自動車の開発、販売に向けての自動車メーカー間の適正な競争が行われなくなる、そういうおそれがあると思います。
 三番目としては、自動車メーカー、輸入業者が倒産した場合、当該事業者が過去に製造等した自動車のリサイクル費用が確保されない、こういうことに相なるわけであります。
 こういった問題点を踏まえますと、年金方式ではなくて、本法案におけるリサイクル料金の負担、管理方法が適当である、こういう判断に基づいて行ったわけであります。
 御指摘の、肥大化をする、そしてこれが時代に逆行する、そういうことにならないように、やはり適正な人数、そしてできるだけ少ないコストで運営される、こういったことを旨として私どもはこういう方式にさせていただいた、こういう次第でございます。
樋高委員 最後に、大臣に伺いたいと思います。
 環境という側面から見ますと、私、今環境問題にも取り組んでいるんですけれども、ある意味で、これはそれぞれいろいろな考え方があっていいと思います。哲学として、やはり簡素であるべき、シンプルであるべき。例えば、紙をリサイクルするのに物すごく金額をかけてしまって、確かにリサイクルはリサイクルだけれども、では、それで本当にいいのかという問題も出てくるわけです。
 ですから、今回の自動車のリサイクルはすべきだと思いますけれども、私、前回申し上げましたけれども、完璧にやろうとすると、どうしても金額的にもコスト的にも人数的にも膨らんでいってしまう。そこのバランスの問題だと私は思うんです。環境の側面からすると、やはりシンプルである、極力シンプルであるということも、私は、これからの時代、重要な潮流である、流れであるというふうに思うからこそ、ちょっときょうはこうして経済産業委員会にお邪魔をいたしまして議論をさせていただいております。
 もちろん経済もとても重要でありますし、日本は経済によって支えられている国家でありますから重要なのでありますけれども、いずれにしろ、環境と経済、これはしっかりと両立をさせていかなくちゃいけないと思いますので、そういった側面からしても、今回の自動車のリサイクルの仕組みは、環境の側面からすると、どうも余りにちょっと大がかり過ぎる、重厚長大過ぎるというふうに思えてならないのでありますけれども、最後に伺いたいと思います。
平沼国務大臣 重厚長大という御指摘であります。確かに、集める金額は膨大でございます。しかし、それを運営する組織というのは、私どもは、繰り返し申し上げておりますように、重厚長大にならない、非常に簡素にやらなければいけないと思っています。
 それから、もう一つ、環境を考えるに当たって、廃棄物を処理するというのは、簡素でやることは私は大切だと思います。ですから、今回のこういう新しいシステムを導入することによって、自動車をつくるサイドでも、いわゆる環境に優しくて、そして廃棄しやすい、リサイクルしやすい、そういった設計も行われる、こういうことも期待しておりますし、また、それによって、それを解体し処理する方々も非常にやりやすくなる、こういったことも私どもは期待して、御指摘の重厚長大に組織的にならないような、私どもは、そういうことはきちっと担保しながら運営をしていきたい、このように思っております。
樋高委員 そもそも、リサイクル・再資源化、もちろん大事でありますけれども、ごみを出さないようにする社会を目指すということの視点も忘れないでいただきたいと思います。
 自由党は経済の自由党とも言っておりますが、環境の自由党であることも表明をいたしまして、きょうの質問を終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 まず、リサイクル料金に関して御質問いたします。
 適正なリサイクル料金というのはどのように設定されるのかという問題なんですけれども、法案では、このリサイクル料金は、適正な原価でなければ大臣は是正勧告できるということになっておりますけれども、この適正な原価というのはどのように見積もるものなのか、その根拠は何なのかをまず最初にお聞きします。
岡本政府参考人 お答え申し上げます。
 適正原価の点につきましては、一つは、現在の処理費用、二つ目は、将来のリサイクル施設の処理能力の見込み、それから、そこで技術がどういうものが採用されるに至って、それに伴ってコストがどういうふうに変動するであろうか、そういったことを多角的に検討した上で判断することになろうかと思います。
 また、各自動車メーカー等が設定する料金の内容を比較して、その差異についての合理的な理由を分析するという方法も有効な方法になり得るのではないかというふうに考えているところでございます。
塩川(鉄)委員 そういった適正な原価の算出方法というのは公開されるものですか。
岡本政府参考人 各自動車メーカーにおいて実際にリサイクルに要した費用について自動車ユーザーに対して公表されるかというお尋ねがございましたが、この点につきましては、一昨日の本委員会での議論を踏まえまして、大臣からも検討するようにという御指示がありましたので、目下検討させていただいているところでございます。
塩川(鉄)委員 政府がメーカーから資料を求める、それについて国民にわかりやすく示されることなしには適正な原価かどうかというのははかりようがないわけですね。適正な原価と政府が言っているだけのことであって、その中身というのがきちんと国民に明らかにされるという、その情報公開の担保なしには、その保証はないということでは、そういう点で、きちんとした公開をする、国民にとって、なるほど適正な原価だと言えるような情報公開を行う、その立場で取り組むということでよろしいですか、大臣。
平沼国務大臣 今局長からも御答弁させていただきましたけれども、やはりそういったことは御指摘のとおり必要なことだと思っておりますし、今鋭意検討させていただいているところであります。
塩川(鉄)委員 検討ということですけれども、その先が大変不安に思うわけです。というのも、結局はメーカーの言い値を追認するだけになるんじゃないかという思いですね。
 というのも、これについては前例があるからで、現在のリサイクル法の中の家電リサイクル法ですけれども、この家電リサイクル法についても、大手家電メーカーすべてが横並びであるわけです。日立も、松下も、東芝も、三菱電機も、皆さん同じ料金設定になっているわけです。この家電リサイクル法でも、リサイクル料金は「適正な原価を上回るものであってはならない。」ということで、適正な原価ということを言っているわけですけれども、これでどうして横並びになっていることを適正な原価と言えるのか、その点も確認したいのですが、いかがでしょうか。
太田政府参考人 お答えいたします。
 家電リサイクル法におきましては、同法第二十条で、再商品化義務を負っている各製造業者等が再商品化等に必要な行為を能率的に実施した場合における適正な原価を上回らない範囲で再商品化等料金を設定し、あらかじめ公表することとされております。
 現在、製造業者等が公表している料金でございますが、エアコンで三千五百円、テレビで二千七百円、冷蔵庫で四千六百円、洗濯機で二千四百円が主となっておりますが、例えば、冷蔵庫で五千四百円とか五千六百円、あるいは洗濯機で三千二百八十円や三千五百円等々、異なった料金を公表している製造業者等もございます。
 私どもの方としては、再商品化等に必要な施設設備の開発、建設、設備等に要した費用や、こうした施設等の運営に要する費用を検討した結果、製造業者等により公表されている再資源化料金は適正な原価を上回らない水準にあるものと認識しております。
 それから、先生が言われましたように、大手の業者の料金がそろっているというところがございます。
 これは、一昨年の九月に最大手の松下が先ほど申しましたような料金を公表したところでございまして、やはり各社営業政策上そこにそろえるということで料金が大体そろったというふうに我々認識しているところでございます。
塩川(鉄)委員 異なった料金を設定しているところもあると。それは全部高目に設定しているわけですよ。というのは、大手メーカーが持っているような施設を持っていない中小のところがそこに委託をしてやるから、その手数料分を上乗せしているだけでしょう。これがどうして能率的に実施をするということが言えるのか。私、この点でも、家電リサイクル法でもきちんとした情報公開がされなくちゃいけない、そんなふうに思うわけです。
 その上で、松下にそろえて横並びだと。これ自身が問題じゃないですか。能率的に実施するからコストが違ってくるということが説明だったでしょう。横並びということでは、それこそ独禁法上の問題があるようなことじゃないですか。これ自身がこの制度上の問題だと言わざるを得ないわけです。リサイクル料金はメーカー間の市場競争で決まっていくと言いながら、現実にすべて同じになっている、ここが大問題だ。こういう現状では、自動車リサイクル法をやったって、どうしてそういった差が出てくるのか、こんな担保というのはどこからも見えてこないんじゃないか、こんなことを思うわけです。
 その上でお聞きしたいのが、そもそもこのリサイクル料金というのが、販売時の処理コストをもとに計算するのか、十年後、十数年後という廃車時の処理コストを想定して計算をするのか、その点はどうでしょうか。
岡本政府参考人 足元のコストの状況も勘案いたしますが、実際には、平均すれば十年ぐらい先においてリサイクル処理が行われますので、将来のリサイクルコストというものが、技術開発等も勘案しながら、どういうことになるだろうかと、将来をにらんで設定されるものと理解をしております。
塩川(鉄)委員 将来を見込んで設定されるというのは、具体的にはどういうふうになるんでしょうか。適正な原価との関係もありますから、その点、答弁をお願いします。
岡本政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたが、今、リサイクルの処理の状況、どういう方法で行われ、それに伴ってコストが幾らかかっているか、それをまず押さえ、それから、将来に向けて、再資源化の基準ということでは、今の八〇%を将来的には九五%に上げていくということを私どもも目指そうかと思っておりますが、それに伴ってやはりリサイクルの高度処理ということを行うことになりますので、それに伴って技術の改良、それからそれを実際に取り入れたプラントの建設ということも必要になってまいりますでしょう。
 それから、九五%まで仮に行ったとした場合にも、最後にやはりASRが残りますので、ASRの最終処分費用というものは、今の管理型処分場の適地の動向等をにらみながら、どういうふうに将来推移していくだろうか、そういった事情も考慮に入れながら、将来のリサイクルコストというものを設定していくことになろうかと思います。
塩川(鉄)委員 この設定の仕方というのは、大変、中身としてよく見えてこないわけですけれども。技術革新などを通じて格段に処理コストが下がるということも想定されるわけで、そうしますと、ユーザーの払ったリサイクル料金、その設定の金額と、実際に処理される実費との差額というのが当然生まれるということが想定をされるわけです。
 この点では、その差額が出た場合については、これはユーザーのもの、その差額分についてはユーザーに所属する部分になるのか、その点を確認したいと思います。
岡本政府参考人 将来のリサイクルコストを、さっき申しましたようなことで、各メーカー、輸入業者が設定していくことになろうかと思いますが、先生御案内のとおり、各メーカーあるいは輸入業者ともに熾烈な販売競争の中にありますので、リサイクル料金につきましても、可能な限り低減化の方向に向かって努力がなされるものと考えております。
 したがいまして、私ども、その設定された料金を実際のコストが上回るということも十分あろうかと予測しておりますが、そういったものについてはメーカー、輸入業者にのみ込んで負担していただくということで、そこは割り切っているところでございます。
 他方で、論理的には今先生がおっしゃったようなケースというのも考えられようかと思いますが、これは、いずれにしましても、そういった場合に、資金管理法人がそこを調整して料金の一部を領するなんということはやるべきではないと考えておりまして、預託された料金はそのままメーカーに引き渡されるべきものというふうに私ども考えております。
 こういったケースというのはそうそう多くはないと思いますが、メーカーは、そういったものがあれば、先々リサイクルの料金なりあるいは販売価格に反映するということを通じて還元していくということも大いにあろうかと思います。
塩川(鉄)委員 産構審の自動車リサイクルワーキンググループに昨年十一月に自動車工業会が提出した資料の中に「ASRリサイクル施設の検討状況」というのがありました。これを見ましても、多数のASRリサイクル事業者が参入する見込みを示しております。規模におきましても、〇二年までに二十・五万トン、〇四年までに三十六・三万トン、〇七年までに七十・八万トンとか、大きくその数字が、具体的な業者を念頭に置いてされているわけです。
 ユーザーから確実にお金を集めて、その処理費用を受け取る商売ですから、多額の預託金の中で商売が回っていくのは当然のことで、新規参入というのも当然見込まれるんだろうと思います。そういう点では、処理実費が競争原理の中で大きく低減するということは見込まれることであります。
 その場合、今の答弁の中でも、メーカーに引き渡される場合に、そのメーカーの手元に差額が残る場合もあるわけで、その差額というのはどのように活用されるのか。販売価格を引き下げる、それだけですか。リサイクル料金を引き下げるということだけですか。
岡本政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたが、メーカーはコスト変動のリスクを負担していただくということで私どもは考えております。コストオーバーランの可能性というのがむしろ高いかと思われるんですが、その変動リスクは負担していただくということで考えているわけです。
 一方で、今先生がおっしゃった、逆に下回ったという場合において、そういうケースはそう多くはないと思いますけれども、それを強制的にだれかが吐き出させるということにするのは、一方でコストオーバーランのリスクというのが生じた場合にどうするかという、そっちの議論も再燃しかねないということになりますので、私どもは、そういったケースというのは多くはないというふうに考えられること、さらには、効率的なリサイクルに向けた企業努力というものが行われた場合に、その分、払い渡し額が強制的に制限されるということでは期待するインセンティブが働かないという面もあろうかと思います。
 一方で、先ほども申しましたように、そういう差分が生じた場合には、メーカーにおいて、販売価格なりあるいはリサイクルの料金なり、将来に向けてそういうユーザーへの還元というのは期待されるというところかと思いますので、そういう方向でこの問題については臨んでしかるべきではないかというふうに考えているものでございます。
塩川(鉄)委員 家電リサイクルの話をしましたように、リサイクル料金の設定金額は松下に横並びだというじゃないですか。そういうことが当然のことながら自動車リサイクルの場合だって想定されるわけですよね。一方で、処理の実費の方は、今お話ししましたように、多数のASRリサイクル事業者の参入によって、当然のことながらそこでの事業者の競争はあるでしょう。低減される方向になれば差額が出るのは当たり前の話だと思うんですよね。
 そこで、この差額をどういうふうに使うかということについては、自動車リサイクルのワーキンググループの議論の中でもこんなふうに言っています。
 新車購入者から徴収するリサイクル料金より実際にかかったリサイクル費用が低い場合には、自動車メーカーがみずからの責務として行う自動車リサイクルシステムの活性化、高度化のための費用として有効に活用すべきだということで、いわばユーザーのお金でリサイクル・処理費用を賄い、さらにリサイクル事業の設備投資の費用まで工面するという話では、ごみになるものを実際につくっているメーカーの責任を結果としてあいまいにすることになるんじゃないかと私は率直に思うわけです。
 その上で、今回の法案では、使用済自動車のリサイクル・処理に要する費用、私はきちんとメーカーが負担すべきだと思うんですけれども、このリサイクル・処理に要する費用をメーカーは幾らかでも負担するんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 使用済自動車のリサイクル料金については自動車メーカーが負担するのか、こういうお尋ねでございます。
 本法案の基本的な仕組みというのは、もう塩川先生よくおわかりのとおり、自動車メーカーが使用済自動車のシュレッダーダストなど指定三品目の引き取り及びリサイクルの義務を負いまして、自動車の所有者には自動車メーカーが設定するリサイクル料金をあらかじめ預託していただく、こういうものであります。
 他方、本法案で規定した自動車リサイクルシステムを構築していく上で必要となります費用は、法律上規定されている指定三品目のリサイクル料金に限られているわけではなくて、法律の規定外におきましても、例えば、システムの立ち上げに要するイニシアルコストでございますとか、具体的には、民ベースの共通インフラとして新たに必要となる情報管理システム構築に要する多額の費用なども想定をされているところであります。
 そして、これらリサイクル料金以外の費用については、新たな自動車リサイクルシステムにおいて中心的な役割を果たすこととなる自動車メーカー等に積極的に対応していただくことを期待しているものであります。
 ですから、そういう意味では、私どもはそういうことを期待し、これは自動車メーカーが負担する、こういうことにはならないということであります。
塩川(鉄)委員 今回の法案では、メーカーの負担というのは出てこない、ユーザーの負担でこの仕組みを回していくんだということになるわけですよね。その点で、私、一昨日も議論になった拡大生産者責任の問題、EPRの問題をお聞きしたいと思うんです。
 政府は、拡大生産者責任の立場に立っていると言うんですけれども、本来、拡大生産者責任というのは、生産者が廃棄物処理の費用を負担する、これが核心だ。廃棄物の処理費を生産者に負担させれば、販売価格に含めることになる処理費用をより少なくしようと企業は努力をするわけで、その結果、リサイクルや解体処理に適した製品が生まれてくるわけです。今回の法案は、この拡大生産者責任とは言えないものだと率直に思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
岡本政府参考人 拡大生産者責任に関しましては、OECDのガイドラインにおいて、製品に対する製造業者の責任が、製品ライフサイクルの使用後の段階まで拡大される政策的アプローチということで定義をされているわけであります。この考え方に立った上で、具体的にどういうふうにリサイクルの制度を構築していくかという点につきましては、それぞれの製品に応じていろいろなバリエーションがあるということをOECDのガイドラインも当然ながら予定しているものでございます。
 我が国において拡大生産者責任の考え方を示したとされております循環型社会形成推進法においては、事業者の責務として、廃棄物の発生抑制やリサイクル及び適正処分に資するように製品の設計を工夫すること、あるいは製品の材質なり成分の表示を行うこと、一定の製品について、それが廃棄された後に引き取りやリサイクルを実施すること等、拡大生産者責任の中身という点においては、費用の点を別にしまして、やはり広範な中身というものが包含されるということで整理されているかと思います。
 今回の自動車のリサイクルについて、費用の点についてはユーザーに御負担いただくということになっておりますけれども、自動車メーカーの責務としては、先ほど大臣が御答弁申し上げましたシステムの立ち上げはもとより、法律の中にも責務として規定されております設計の段階、それから解体業者、シュレッダー業者の方々に対する情報開示、何よりも、やはりリサイクルしやすい車を出していく、そういったことを広く包含する中身として、拡大生産者責任の内実を今回御提案している法律は伴っているものだというふうに私どもは認識をしているところでございます。
塩川(鉄)委員 今のお話ですと、EPRというのは、役割分担、そういうのが入っているんだ、物理的責任はメーカーが負うからいいんだというお話ですけれども、確かにOECDのガイドラインというのは幅がありますよ、ガイドライン、マニュアルですから。各国がいろいろな取り組みをして、いろいろな入口から入っていけるようにしようということでの方向として出されたものじゃないですか。だから、いろいろなバリエーションがあるというのは当たり前なんです。
 しかし、そもそも、拡大生産者責任とは何なのかというやっぱり哲学ですよ。
 ここがどこにあるのかといえば、OECDでまとめている拡大生産者責任の議論の中での、フェーズ2フレームワーク報告、ここにはっきりと書いてあるんじゃないですか。
 EPR、拡大生産者責任を導入するに際し、最も根本的な問題は財源確保であろう。つまり、生産者の責任は財源の確保にあるんだと。「まさに、EPRの核心は、廃棄物処理システムを物理的に運営するものではなく、経営コストを負担するのはだれかの一点にある。」と。メーカーが物理的負担を果たしているから拡大生産者責任と言っていないですよ。費用の負担、財源的な負担、これを求めることが拡大生産者責任だと言っているじゃないですか。消費後製品の処理財源の民間への移行、メーカーへの移行を完全に行うと、民間セクターが廃棄物を減らそうとするインセンティブが最大になる。
 この立場にこそ、拡大生産者責任の哲学がある、こういう立場にこそ立つべきじゃありませんか。大臣、いかがですか。
岡本政府参考人 先ほどの費用の点につきまして、拡大生産者責任を考えるに当たって大変大事な要素の一つだということは、それは先生御指摘のとおりかと思いますが、自動車に関してヨーロッパの中で一番先進的な事例と言われているオランダのシステム、これは既に動いているわけでございますが、その中においても、やはりユーザーの方々にあらかじめ費用を負担していただいて、それを外の法人に預託してやっていくという、私どもが今回御提案申し上げているのと同様のスキームというのが行われていて、これはEUの中でも大変高く評価されている仕組みというふうに私ども伺っております。
 それから、メーカーの方々が一義的に負担するということに仮にしました場合に、それは内部化ということになってまいろうかと思いますが、私ども、今回、繰り返し御説明申し上げていますように、リサイクル容易性ということの指標としての料金が見えるような形、そういう形でやった方が望ましいということで、ユーザーに料金の預託という形で本案で負担していただくという方式をお願い申し上げているところでございます。
塩川(鉄)委員 オランダの例を挙げました。では、オランダには自動車メーカーは幾つあるんですか。
岡本政府参考人 大手の完成車メーカーとしては一社でございます。
塩川(鉄)委員 自動車メーカーは一社しかないんですよ。つまり、オランダの新車の販売は、圧倒的に輸入車なんですよ。輸入車が七割を示している。日本はどうですか。新車の大半が国内の自動車メーカーじゃないですか。輸入はごく一部ですよ。オランダという、こういう輸入車が多数という特別な、こんな特殊な例しか挙げてこられない、これに、今の政府の言っている提案の根拠が薄弱というのがはっきりあらわれているんじゃないですか。
 私は、このEUの廃車指令でもこの点ははっきりしていると思うんですよ。加盟国は、所有者が廃車を無償で処理施設に引き渡すことができるよう確保しなければならない。「加盟国は、これらの実費費用のすべてまたはそのかなりの部分を生産者が負担することを確保しなければならない。」EUの廃車指令というのは、この方向を目指しているんですよ。これは、OECDの目指している拡大生産者責任の方向と重なる方向だと思うんですよね。こういう立場でこそ、きっちり日本のこの法案は出し直すべきじゃありませんか。いかがですか、大臣。
平沼国務大臣 岡本局長からるる御説明を申し上げました。
 拡大生産者責任について、これはOECDのガイドライン、そこをお出しになられて御意見がございました。私どもとしては、それは一つの考え方で、ある意味では目指すべき方向だ、こういうふうに思っておりますけれども、やはりそれぞれの国によってそれぞれのアプローチの仕方があると思います。
 ですから、このOECDのガイドラインも、今塩川委員がお言いになられたとおり、門戸を開いて入りやすい、そういうことでありまして、各国の事情に応じてそういうガイドラインを引いていると思います。その中に従って、オランダもオランダの事情でそういう選択をしていると思います。
 だから、私どもとしては、今回、拡大生産者責任のその流れの中で十分その考え方が反映されている、そういうことで、今回御提案をさせていただいているところであります。
塩川(鉄)委員 今回の法案というのは、拡大生産者責任の一番の核心であるメーカーの費用負担ということを棚上げにしているという点で一番の問題だ、そもそも出し直すべきだと思います。
 その上で、もう一点お聞きしたいのが、この配付資料を、せっかくお配りしましたので見ていただきたいんですが、上の二つの図、左側が今回の法案の説明資料です。右側が産構審の自動車リサイクルワーキンググループでの九月の報告にあるリサイクルシステムのイメージ図です。
 この二つには違いが大きく言って二つあるわけですけれども、一つは、右のイメージ図にあるように、このシステムの目的というのが一番下にあります埋立処分の極小化にあるということですよね。これがはっきりとイメージ図には書かれているということ。もう一つは、その極小化を目指す業者としてASRリサイクル事業者がいるわけです。このASRリサイクル事業者がはっきりとイメージ図には書かれている、概念図にはないわけですが。このASRリサイクル事業者についても、登録ということがはっきりここではうたわれているわけです、この右の図の四角の枠の右上のところに登録というのが入っているわけですけれども。こういうように今回の法案というのは、このリサイクルシステムのイメージ図にあるとおり、ユーザーのお金で埋立処分の極小化を図るということがよく見てとれると思うんです。
 今回の法案が目指す埋立処分の極小化に一番大きな役割を担っているASRリサイクル事業者の義務がなぜないのか、なぜ外しているのか、このことをお聞きしたいと思います。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 本法案におきましては、シュレッダーダストのリサイクルにつきましては、あくまで自動車メーカーにその義務を課すというふうにしております。
 具体的には、自動車メーカーに対しましては、リサイクル基準に沿ったシュレッダーダストのリサイクル義務に加えまして、リサイクルの確実性やその実施による生活環境への影響の有無について事前に確認を行うため、二十八条において主務大臣の認定制度を設けております。
 こういった制度のもとで、自動車メーカーがシュレッダーダストのリサイクル事業者に委託を行う場合には、自動車メーカーに対する認定制度の中でシュレッダーダストのリサイクル事業者の能力の確認を行い、適正なレベルにあることが担保される制度となっております。
 したがいまして、シュレッダーダストのリサイクル事業者に対しましては、参入規制あるいは行為規制といった強い規制制度を必要とする仕組みにはなっていないわけでございます。
 そもそもシュレッダーダストのリサイクル事業者は、その施設につきましては別途廃棄物処理法上の施設許可を有しておりまして、かつ、廃棄物処理基準に従ってリサイクルを行うことが必要となっておるわけでございます。
塩川(鉄)委員 日本政策投資銀行が、こういう「使用済み自動車リサイクルを巡る展望と課題」という報告書をまとめておりますけれども、ここにもあるように、今回の法案が成立すれば、荏原とかNKKなどが取り組んでいる日本独自の自動車リサイクル技術の開発が加速すると分析しているリポートですけれども、この下の図の表にあるとおり、今回の法案のポイントというのは、法律案の概念図には書かれていないASRリサイクル事業者の育成というところにあるわけですよね。この下の右にASRリサイクル事業者があるように、大手の企業がずらりと並んでいるわけですけれども、結局このASRリサイクル事業者のもうけ口というのを……
谷畑委員長 時間が来ておりますので、まとめてください。
塩川(鉄)委員 自動車メーカーの費用負担を消費者に肩がわりさせてつくるものだ。この法案というのは、メーカーが費用負担するという拡大生産者責任を換骨奪胎をして、消費者の負担でASRリサイクル事業者の仕事をつくるというものであり、こういう法案というのは認められないということを述べて、質問を終わります。
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。
 まず大臣に伺います。
 拡大生産者責任について、まず平成十二年に循環型社会形成推進基本法が制定されました。ここで、拡大生産者責任と排出者責任が明確に位置づけられ、廃棄物・リサイクル関連法律にもこの精神が反映され、今回この法案が出されてきたと理解しております。この法案にもその循環型社会形成推進基本法の理念は継承されているはずでございます。
 しかし、この法案内容を見る限り、この拡大生産者責任、つまりリサイクルと環境適合的な車づくりのインセンティブ、刺激、誘因、動機、こういうものが働くような仕組みになっていないように私は思いますけれども、これをどう担保していくのか、まず大臣に考えを聞かせていただきたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 先ほど来の御議論の中でも御返事をさせていただいているわけですけれども、本法案が拡大生産者責任に沿った制度なのかどうか、そういうお尋ねだと思っております。
 拡大生産者責任の考え方というのは、もうこれは大島先生御承知のように、OECDの政府向けガイドラインにおいて、製品に対する製造業者の責任が製品ライフサイクルの使用後の段階まで拡大される政策アプローチ、こういうふうに定義づけられております。
 この考え方に立った上で、具体的にどのようなリサイクル制度を構築していくかにつきましては、それぞれの製品の特性に応じてバリエーションがあるもの、このように私どもは思っています。
 我が国におきましては、拡大生産者責任の考え方を示したとされている今御指摘の循環型社会形成推進基本法におきましては、事業者の責務として、廃棄物の発生抑制やリサイクル及び適正処分に資するように、一つは、製品の設計を工夫すべきだ、二つ目は、製品の材質または成分の表示を行いなさい、三つ目は、一定の製品について、それが廃棄された後、引き取りやリサイクルを実施すること、御承知のように、こういったことが規定されております。
 拡大生産者責任に関するOECDの考え方及び循環型社会形成推進基本法における考え方を踏まえましてこの法案の仕組みを見ますと、一つは、自動車が使用済みとなった段階で発生するシュレッダーダスト、フロン、あるいはエアバッグの引き取り、そのリサイクル義務を自動車メーカー等に課している点があります。
 二つ目としては、自動車の設計とか部品、原材料の種類の工夫を自動車メーカー等の責務として規定をしておりまして、これを促す制度設計になっている、これが二つ目でございます。
 ですから、私どもが今御説明申し上げた拡大生産者責任の考え方にかなっている、こういうふうに認識をしているところでございます。
大島(令)委員 かなっているということであるならば、目標年度を法案に定める、または、リサイクル化率を率として設定するとか具体的な規定が、事業者に課すようなそういう責務としての規定が法案に盛り込まれることがより、今の大臣の御答弁を踏まえるならば、説得力があると私は思うんですが、私どもがいただいたここの中にはそういうものがございません。
 では、その答弁が実効性を持つということであれば、今後どのようになるんでしょうか。
岡本政府参考人 私ども、自動車メーカーあるいは輸入業者それぞれに使用済みの自動車のリサイクルを将来的に可能な限り高めていっていただくということを期待を申し上げておりまして、法案の点で申しますと、再資源化に関する基準を主務大臣が定めるということにいたしておりますが、その基準の中でいわゆるリサイクル率というものを、現状では約八〇%でございますが、これを将来的に、例えば二〇一五年なら二〇一五年に九五%程度に高めていくというような定量的な目標もこれから検討してまいりたいと考えております。
大島(令)委員 私も産構審のワーキンググループの資料を読みました。
 では、政府参考人岡本局長に伺いますけれども、この法案は、リデュース、リユース、リサイクル、この三つのどこに主眼を置いて立法しているんですか。今の御答弁ですと、リサイクル、三つ目の使用済み製品の原材料としての再利用だけに力点が置かれているように思います。本来ならば、リデュース、廃棄物の発生抑制にやはり主眼が置かれるべきではないでしょうか。お願いします。
岡本政府参考人 法案の中の自動車メーカー等の責務としまして、まさにリデュースの線、あるいはリサイクル、廃棄物になった後にリサイクルがしやすいようにといったこと、それから、実際に事業をおやりになる解体事業者あるいは破砕業者、そういう方々が作業をしやすいような車の開発あるいは情報の開示、そういったこともあわせて自動車メーカーの責務としてこの法律の中で規定をさせていただいているところでございます。
大島(令)委員 では、もう一度局長に伺いますけれども、処理費用の内部化という観点から、一昨日、社民党の原議員が質問をしました。その中で、私は、処理コストは自動車の価格に内部化して、生産者が責任を持つべきであると感じました。というのは、自動車の価格というのはメーカーが決めるわけですよね。消費者が、例えばカローラとかブルーバードとかの価格を決めるわけではありません。ですからそれは可能なんです。
 現在でもリサイクル率は悪くなく、七五から八〇%はリサイクルできています。残りの二〇、二五%をどうするのかという解決策が求められる法案だと私は期待しており、その答えがこの法案だと思っていましたが、そういうふうには実際にはなっておりません。
 残りの二〇、二五%がリサイクルできないのであるならば、その部位は自動車全体のどこなのか、どんな材質を使っているからリサイクルできずにごみになっているのか、そして、それらを使わずに済む設計はないのか、代替品や代替物質はないのか、そういう発想に立つことが残りの二〇、二五%のリサイクルを促進させる最短距離であると思っております。リサイクルできていない部位はどこで、どんな材質だからリサイクルができる、そういう今後の明確な未来図とか展望がないわけなんですね。このことに関して私は意見を聞きたい。
 そして、実は、この発想を生産者が持つには、生産者に最も重い責任を負わせるしかないと私は思うんです。しかし今度の法案は、リサイクル料としましてユーザーに、先日来、一台につき一万五千円とか二万円の負担を求めている。生産者に対しては責任感が生まれないような法律になっていると思っているわけなんです。この点に関して局長の、法案作成にかかわってきた責任者として答弁をお願いします。
岡本政府参考人 今、自動車のリサイクル率が約八〇%にとどまっている、二〇%がシュレッダーダストとして、そのほとんどが埋め立てに回っているという状況にあるわけでございますが、それがなかなかリサイクルしづらいという事情につきましての最初のお尋ねでございます。
 シュレッダーダストの中身というのは、シートに使われております樹脂あるいは一部布のようなもの、あるいはフロントガラスを初めとするガラスのようなもの、それから一部はワイヤのたぐい、そういった金属類等があるわけでございます。
 これをリサイクルすることによって大きく減量化をしていくということを今度の法律によって私どもは目指しているわけでございますが、この点に関しましては、まさに今、先生が御指摘になりましたように、自動車メーカーによるこれからの、車自身が後でリサイクルしやすいような、そういう設計に変えていく、あるいは、材料、素材、部品の選択に当たってリサイクルしやすいようなものをどんどんつくっていく、それから、そういうものが進んだという状況を解体事業者なり破砕業者の方々に遅滞なく情報を開示していって、そういった関連の事業者の方々も作業の体制を整えていく、そういったことについて、実は今度の法律の中で、自動車メーカー等のそれこそ拡大生産者責任の一環として、責務として明定をさせていただいているところでございます。
 それから、費用の点につきましては、現在でもユーザーの方々に、廃車を持ち込む場合には、廃車手数料ということで、地域によって開きはありますけれども、かなりの額を御負担いただいているところもございます。
 それで、メーカーが内部化するということにつきましては、長くなりますが、メーカーは販売競争の中にさらされていますので、リサイクル料金、いずれにしても低減化するという方向に私どもはぜひ向かってもらいたいと思っているんですけれども、その部分が見えない形というのはいかがなものかということもございまして、中で、内部化ということでなくて、やはり料金が見える形でユーザーの方々に御負担していただくということにさせていただいた次第でございます。
大島(令)委員 では、大臣に質問いたします。
 私は、ここまで来た法案、すなわち廃棄物処理から生産を考えるという視点が大事ではないかと思っております。廃棄物処理・リサイクルを考えない生産は、循環型社会形成推進基本法の理念が生かされていないと思います。廃棄物処理を考えない企業は、これからは消費者からその製品そのものが拒否されるという関係に持っていく任務を政府はやはり持っていると私は思うんです。しかしこの法案は、拡大生産者責任を明確に位置づける法案になっていない。
 重ねて申し上げますが、リサイクル料をユーザーに負担させている、このことに関して、大臣の見解を聞かせていただきたいと思います。
平沼国務大臣 日本は自由主義経済をとっている国であります。したがいまして、私どもとしては、適正な競争の中でそれぞれメーカーでいい努力が行われて、それが結果、消費者にとって好ましい状況になるということがシステムとしては一番いいんじゃないかと思っています。
 そのような観点から、やはり今回のこの法案に関しましても、いわゆる循環型社会を形成するために、三つのRですけれども、それが円滑に行われる、そのことを期待して私どもは構築しているわけであります。例えばメーカーも、これによってインセンティブが働いて、環境に優しい設計をする、また廃棄物がなるべく出ないような設計をする、また、先ほどちょっと御議論がありましたけれども、材質についても廃棄しやすく処理しやすい、そういうものをつくっていく、そういうことになって、それが循環をしていけば結果的にはいい姿が出る、そういう基本的な考え方で私どもはやっております。
 私は、委員がおっしゃるように、メーカーが何にも努力をしなくて、それが消費者に対して非常に不当な状況になるとは考えておりませんので、やはりそういう自由主義経済社会ということを前提にして、その中でメーカーも努力をし、そしてユーザーにもこの循環型社会形成のために負担をしていただいて、結果的にそれがいい結果をもたらす、こういうことを考えてやっておりますので、私どもの基本的なその考えを御理解いただけるかと思っております。
大島(令)委員 それでは、また観点を変えまして、法案に対する自治体の意見はございませんでしたけれども、法案作成に関しまして経済産業省と環境省、国土交通省が実施したパブリックコメントに対しまして、全国市長会、全国町村会、大阪府から意見が上がっております。
 基本的な考え方について、全国市長会では、循環型社会の構築に向けての一つとして、拡大生産者責任の考え方を基本とすべきこと。全国町村会も、不法投棄の防止だけではなく不法投棄車の処理についても明記する必要がある。これにも、その基本的なところに、拡大生産者責任を基本とすべきこと。そして大阪府からも、拡大生産者責任の観点からという、新たなシステムの構築に当たって留意されたいという意見書が上がっております。
 これらがどのようにこの法案に生かされているのか、局長にお伺いしたいと思います。
岡本政府参考人 もう二年前から産構審の中にワーキンググループを設けて制度設計の議論をやっておりましたので、この間、自治体からいろいろ意見が寄せられました。パブリックコメントについては、今先生が御紹介なさったとおりでございます。また、首長さんが私どものところに直接お見えになって申し入れをされるという場面もございました。
 そういう中でやはり一番強かった御意見というのは、費用の徴収に関しまして、不法投棄というものを避けるという観点から、特に豊島を抱えている香川の知事さんなんかは非常に強い御要請でございましたが、頭で、新車販売時に費用を徴収するというように今度はぜひ制度をしてもらいたい、不法投棄がされた場合の影響の大きさというのは、自動車は非常に大きいものですから、制度を設計するに当たってぜひともその点に力を入れてもらいたいという御要請が非常に強うございました。
 それから、拡大生産者責任については、今先生も御指摘のとおり、全国市長会、皆さん御要望でございまして、その点については今回の法案の中で、先ほど私からもそれから大臣からも重ねて御答弁申し上げましたとおり、単にリサイクル義務というものを法律上規定するのみならず、部品の選択とか設計、あるいは情報開示とか、そういった各方面にわたってメーカーあるいは輸入業者の責任の規定というのをあわせて今回の法案の中に入れさせていただいているところでございます。
大島(令)委員 この各自治体の意見というのは、リサイクルシステムとリサイクルと二通りに対しての意見があったわけなんですね。
 ちょっと時間がございませんので、次の観点から質問をさせていただきたいと思います。
 拡大生産者責任について外国の例を見ますと、二〇〇七年一月以降すべての自動車を無償で引き取るというEUの自動車リサイクルに関する指令を受けて、ヨーロッパではそのように動き出しております。日本でもこうした目標が必要であると思いますが、大臣、先ほど来から多くの委員が質問してございますけれども、我が社民党としましても改めて見解を聞きたいと思います。
古屋副大臣 では、私の方からお答えをさせていただきます。
 今御指摘のEU廃車指令において規定されているように、自動車メーカーが使用済自動車を無償で引き取るべきではないか、こういった趣旨のお尋ねだと思います。
 リサイクル制度というのは、やはりそれぞれの国によっていろいろ事情が異なりますので、それぞれの国の事情に応じて一番最適な制度を構築するということが重要でありまして、先ほど来答弁もございましたけれども、例えば、EU指令に基づき対応しておりますオランダにおきましては、自動車メーカーが使用済自動車を無償で引き取るという制度とはなっておりません。
 そういったことを勘案しまして、我が国においては、今この自動車のリサイクルというものが、例えば鉄のスクラップ価格が下落をするだとか、あるいは廃棄物処理場が非常に逼迫をしている等々の状況もありまして、事実上機能不全に陥りつつあります。そういうこともありまして、かつては、解体業者、破砕業者といった既存の事業者により実効性ある使用済自動車のリサイクルが行われてきたところでございます。したがいまして、一種のいわば静脈インフラとでも申し上げたらいいと思いますが、こういうものができ上がっているわけでございます。
 したがいまして、やはりそういった静脈インフラをいかにうまく活用していくか、こういったところに着目をいたしまして、必要最低限の社会コストで実効性の高いリサイクル制度を構築するということをねらいとして、自動車メーカー等によるシュレッダーダスト等の引き取り・リサイクル等を通じて現在のその静脈部分の中のボトルネックを解消するというアプローチをとったわけでございまして、これはOECDの政府向けガイドラインにも合致をしていることでございますし、また我が国の実情にも適している、こういうふうに考えております。
大島(令)委員 では、局長、EUのモデルが産業構造審議会で検討の対象にならなかったのは、今副大臣が答弁されたように、解体業者ですとか静脈がまだ整っていない日本の状況であるというふうに言われましたけれども、では、その……(古屋副大臣「整っている。そういうインフラはあるので活用しているんです」と呼ぶ)インフラがあるから活用するとおっしゃったんですか。
 では、質問を変えますけれども、私が政府から聞いたところによりますと、家電リサイクル法は施行に三年六カ月要しましたけれども、この法案の完全施行は、平成十六年中の施行というふうになっております。それは、シュレッダーダストのリサイクルプラントの整備ですとか資金管理、情報管理システムの構築に多大の時間を要することからということになっておりまして、私は、そのリサイクルプラントの整備もその静脈インフラの中に入っているのでとは思っているんですが、少しその辺、私が聞いた説明とは違うわけなんですね。どなたでも結構ですから、この点に関してお答えいただけないでしょうか。
岡本政府参考人 リサイクルのインフラという点で、解体あるいは破砕という関係をまさに業としておやりになっている零細中小企業の方々を含めて、そのインフラというのは日本はかなり整っているかと思います。
 一方で、私ども、施行までに二年半猶予をいただきたいというふうにお願い申し上げておりますのは、一つは、リサイクルの率を現状の八〇%から可能な限り引き上げていくということで制度をスタートさせたいというふうに考えておりますので、リサイクルのプラント、ASRのリサイクルプラントというものをさらにこれから幾つも増設をしていただくということが必要になろうかと思います。
 それから、引き取り場所の整備でありますとか、そういうこととも関連をしながらシステムというものを、膨大な移動報告のための電子マニフェストのシステムを準備していきますので、このためにもう相当な時間がかかるということになろうかと思われますので、二年半の施行までの時間をいただくべく御提案申し上げているところでございます。
大島(令)委員 平成十三年一月に完全施行されました循環型社会形成推進基本法、この精神のもとに、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、建設資材リサイクル法、食品リサイクル法、そして今回の自動車リサイクル法ができてきました。
 身近な生活に置きかえてみますと、容器包装リサイクル法は、例えば、以前、百貨店から宅配便で来たときには非常に過剰な包装がしてありました。そして、中から品物を取り出した後の箱でも、紙と金属がありまして、私の町も分別収集が非常に厳しいものですから、私たちにとっては非常に不便でした。
 この法律が施行される前後から、百貨店から配送される品物も過剰な包装がなくなる、そして段ボールも、金具がなくて解体すれば全部折り畳むことができる、紙だけでできているとか、そういうものに対して、私たち消費者は生活の中で間近に、法律の精神とか、もうこういう時代になっているということを感じることが消費者、ユーザーとしてできるわけなんです。
 しかし、この自動車リサイクル法が施行されたときに、このやり方で果たして、ユーザーが一定の負担をするわけでございますけれども、目に見える形でできるのかどうか私は非常に疑問に思っているわけなんです。
 法の精神はこの基本法からできているわけですので、改めて大臣に、この一連の法律の流れの中で、拡大生産者責任、それに対してはやはり、消費者と生産者がきちっと自分たちの責務を自覚して協力し合ってやらなければ、この法律は私はうまくいかないと思うわけです。ですから、それがこの法案にどのように生かされているのかというやはり未来図をもう一度、大臣、示していただけるような答弁をしていただきたいと思います。
平沼国務大臣 大変重要な御指摘をいただいたと思っています。拡大生産者責任につきましては、数次の御答弁で私どもの考え方を御理解いただけたと思っています。
 そういう中で、これから私どもは、今御指摘のように、これが円滑に国民の中に溶け込んで国民の皆様方からわかっていただく、こういうことをやっていくためには、もっともっとこれから国民の皆様方に説明責任があると思います。そういう説明責任はしっかりとやっていく。
 そして、この制度というものがきちんと機能していきますと、私は、一定の年限はかかると思いますけれども、例えば、先ほど包装のお話をされましたけれども、自動車関係でもインセンティブが働いて、非常に環境に優しい設計でありますとか、あるいは循環型社会に適した設計思想の自動車が町にあふれてきて、ああ、これが効果があったんだなということがおわかりいただける、そういう姿が私は想定をされると思いますし、そこに向かってこの法の精神を生かして頑張っていかなければならない、このように思っています。
大島(令)委員 なかなか大きい法案ですので、質疑時間が足りません。また次にやろうということを委員、理事の皆様にお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
谷畑委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
谷畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま審査中の本案に対し、環境委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 なお、連合審査会は、来る六月四日火曜日午前九時より開会することといたします。
 また、来る六月四日の連合審査会において、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 質疑を続行いたします。栗原博久君。
栗原委員 このたびの自動車リサイクル法の今日まで至るに関して、多くの方々が御努力されて立派な法案ができましたことについて、心からまず敬意を表したいと思います。特に平沼大臣に対しては、心から敬意を表します。
 この法律をつくる背景というのは、自動車の商品の特性といいましょうか、我が国はしょっちゅう自動車のデザインを変えたりいたしますから、ユーザーの方々は、他の国に比べて、やはり割合と新車を求めるという感覚があると思うわけでありまして、一年間に新車が六百万台市場に出てくる。そしてまた、年間五百万台の車が廃車されるということで、私ども日本の国に約七千二百五十万台以上の車が走り回っているわけでありますから、この七千二百五十万台の車が、大体十年ぐらいたちますとすべて廃車になるということだと思うのです。その七千二百五十万台という車をどのように、環境を守りながら再生処理を、あるいはまた、いかにして資源の有効利用の中でこれを利用するかということでこの法律の制定に実は至ったと思っているわけであります。
 特に、私ども、田舎に行きましても、山の中に、ああ、車がとまっているのかと思いますと、廃車されている。あるいはまた、河川敷に車が置きっ放しとか、ああいうふうに放棄すれば、十年ぐらいになるともう完全にそれが朽ちて、そこからオイルが漏れたり、あるいはまたフロンが流出したり、あるいは、中には水銀の入っている部品もあるわけですから、そういうものが徐々に徐々に地下に浸透してくるわけでありますから、何としても、このリサイクル法の制定とあわせながら、もはや野積みされて放棄されているこういう車両をどのように環境の対策の中で処理するかということも、我々はやはり真剣に議論をしながらその解決の道を求めなきゃならぬと私はまず思っておるわけであります。
 実は、その中で、今までは自動車の部品は有償で再利用できたわけですが、最近鉄くず等の市況が大変低下しておりますし、また、一九九四年に廃掃法の改正によって、自動車のシュレッダーダストを安定型の中で処理できない。ですから、当然それだけ今度は処理費が高くなってくると思うのであります。そういう中でこのリサイクルということが実は求められていると私は思っているわけであります。
 その中で、私、この法律を見ましたら、シュレッダーダストとか、あるいはオゾン層を破壊するフロンとか、余り再利用できないエアバッグとか、こういうものはメーカーが引き取るということでありますが、私がさっき申しました、例えば野積みにされている中で流出するオイルとか、あるいはタイヤとか、あるいはまた板ガラスですね、そういうものはこの法律の中でメーカーの引き取り責任がないようになっているわけです。
 私は、まず、この指定三品目はどういう視点で指定をされたか、そして、今私が申し上げました板ガラスを初めとするオイルとかタイヤとかはなぜ指定できなかったか、こういうものの処分は本当に大丈夫なのかということをまずお聞きしたいと思っております。
古屋副大臣 まず、どうして三品目を指定したかということでございますけれども、これは、産業構造審議会等でも、専門家の意見、あるいはユーザーあるいはメーカー側等々幅広く意見を聞きまして決定をさせていただいた次第でございます。それは、解体業者であるとかスクラップ業者等々既存のリサイクル事業者を最大限に活用する、そして、なおかつ、的確にこのリサイクルが行われるように公的関与を行うということを基本としてこの三品目を対象とさせていただいた次第でございます。
 まず、シュレッダーダストでございますが、委員も今御指摘ございましたけれども、最終埋立処分量というものを極めて極小化するとともに、使用済自動車がおおむね有価で関係事業者間を流通する状況を創出し、もって既存のリサイクルシステムの機能の再生というものを期待いたしておるわけでございます。
 また、第二点のフロン及びエアバッグにつきましては、これは環境負荷が非常に大きいわけでございますので、安全処理の確保を図る観点からもフロン及びエアバッグを指定させていただいたということです。
 今御指摘の板ガラスにつきましては、フロンとかエアバッグ、シュレッダーダストに比べまして生活環境保全上の観点からの回収の必要性が低いということもございまして、現時点では指定商品に含めるということはいたしませんでした。しかし、ガラスのリサイクルというのは自動車のリサイクル率を上げていくためには重要なポイントの一つとなり得るというふうに私どもも認識しておりまして、当面、シュレッダーダストの減量を図る等の取り組みの一環の中で対応を進めていく、こういう考えでございます。
栗原委員 シュレッダーダストになりますと今逆有償の形ですから、解体業者が最終的にそれを処理するのに大変困っていると思うんですが、Aプレスということで、車のボディーそのものをプレスする、それを中国とかアメリカとか韓国に輸出しているようでありますが、はっきり言うならば、これはもう公害を出しているのが今の現状ですね。あるいはまた、もう一つの方法で、ギロチンで切って車のボディーを焼却する。これだって、結局は、燃やせばダイオキシンとかいろいろなガスが出るわけで、これだって公害になってくる。
 こういう中において、今私が申し上げた例えばAプレス法、これはもうバーゼル条約では禁止されている、実際、公害をよその国にやっているようなものですから。そういうところまで踏み込んでこのリサイクルというのはやはり考えなきゃならぬと私は実は思っているものであります。
 さて、今までの議論の中で、資金管理法人のことについていろいろ御質問がありました。非営利法人としては、高放射濃度を処理いたします機関で、原子力発電整備機構というのがあるんですが、約三兆円の金を予定しているというようなことを聞きました。これに次ぐ膨大な、一兆かあるいは一兆二千億か、七千二百五十万台掛ける二万としたならば、まあ一兆四千億近い金、この金が今後十年間ぐらいで入ってくる、このリサイクルの経費に責任を持つ法人であります。
 皆さんからいろいろ質問があったようですが、私はそれを簡明にひとつ御説明いただきたいんです。この適切な資金運用を、運用を当然されるわけですから、御質問の中にも、運用しても運用益を生まないと悪いからたんす預金にしておいてはいかがかというような御質問もあったようでありますが、今、市況の金利が低い、あるいはまた、なかなかリスクを伴う中で、この資金をどのように運用するかということを御報告いただきたい。
 やはりこれだけの金でございますから、当然外部監査を厳しくして、あるいはそのお金を、例えばユーザーに払わない部分の金もあるらしいですね。そういう金について、いろいろな方面でそれを当然使っていただかなきゃならぬのですが、やはりそういうものを含めて、このお金の公開ですね、公正公明に、透明性のある資金の管理・運用が必要だと思うんです。そういうことについてひとつ簡明に御説明いただければと思います。
平沼国務大臣 お預かりした資金の運用というのは、御指摘のとおり適正にやらなければならないと思っています。
 私どもといたしましては、本法案の中で、一つは、資金の運用方法については制限を設けさせていただきました。二つ目は、資金管理法人が業務規程、事業計画、事業報告等を作成したときには必ず公表をするように義務づけて、透明性、公開性を確保したところであります。また三つ目は、学識経験者や一般消費者の代表を委員とする資金管理業務諮問委員会を設けまして、外部の目によるチェックが働くようにしたこと、こういったことを私どもはやらせていただいております。他の指定法人に比較しまして、ある意味では特段の規定を設けたところでございます。
 また、資金管理法人の業務規程を主務大臣として認可するに当たりましては、公認会計士等による外部監査の実施を前提といたしまして、また、管理するリサイクル料金に係る会計の資金状況につきましては、年一回だけではなくて複数回公開するなど、法律の規定外の事項につきましても、業務、財務の透明性、公開性を高める取り組みを行うべきであると考えておりまして、自動車ユーザーからリサイクル料金をお預かりする立場にある資金管理法人の運営が健全に行われるように万全を期していかなければならないと思っております。
栗原委員 国民は、このリサイクルのために、環境保全のためということで、こうして、自動車購入時あるいは車検時に、二万円前後と言われておりますが、各メーカーによって、その技術力によって異なると思うんですが、平均二万としても、今自動車関連の税を全部含めると、道路財源などを含めても九兆円近い金をユーザーから求めているわけですから、さらに、例えば年間五百万台、六百万台が新車になれば、これから国民が約一兆円近い負担を強いられるわけですから、やはり、今我々政治家に、あるいはまた行政に求められていることは、いかに国民から、納税に対して納得されるものであらねばならぬと。
 でありますから、これからさらに一兆円近い新しい負担が、税と同様なものが国民にかかるわけですから、この金の使途について、ぜひひとつ、本当に国民の皆さんから理解をされ、納得される運用に当たっていただくように、まずお願いしたいと思っております。
 次に、この法律を見ますと、実は、中古車が百万台近く輸出されているんじゃなかろうかと。私、新潟ですが、新潟に新潟東港というところがありまして、最近は少なくなったんですが、朝方、余り昼間見ないような人がよく車の置き場に来るんですね。それで、いい車をめがけて買い取って、ロシアの方に持っていって、大分ロシアの方に私ども新潟の近くの車が運び込まれておりました。最近は、ロシアの方も輸入を大変厳しくしておるようですが。しかしながら、現在、やはり百万台近い車が、廃車になる車が中古車としてよその国に行くと。
 今回も、道路運送車両法を改正して厳しく、これは、自動車重量税を還付するということもございますから、当然、いつ、どの時点であったかということを調べるためにも今回の法律改正もあったと思うんですが。
 例えば、ユーザーから二万円近いお金をもらう。しかしながら、それはリサイクルしなくて外国に行く車もありましょう。あるいはまた、きょうの質問にもございましたけれども、廃車にしてそのまま修理工場に投げておくのもあると思うんです。この点について、こういうものの返還ですね、ユーザーに対してどういう方法で返還するのかお聞きしたい。
 もう一つは、こうして百万台近い車が外国に行くわけですから、当然その車は、今私どもの野山に捨てられている車と同じように、最終的には、その国に行きましてそれに近い形で廃棄される可能性もあると思うんですね。そういうとき、日本の国内で環境汚染となると予測されるものが、やはり他の国において必ずそれはそういう汚染の対象になると思うんです。
 私は、京都会議などにおきましても、やはり地球全体がその責任を負わねばならぬと思うんでありまして、そういう輸出した国に対する、その輸入した国も日本のすばらしい車の恩恵をそれだけ受けているんですが、最終的には環境汚染につながることもあり得るわけで、環境保全の意味で、我々日本の国としてどういうことをせねばならぬか。理念的な回答でも結構でございますが、御回答をいただけましたら、この二点についてひとつよろしくお願いします。
岡本政府参考人 この法案では、ユーザーの方々にリサイクル料金を預託していただくわけでございますが、中古車で輸出されて、実際に国内でリサイクルがなされないという場合には、リサイクル料金預託の趣旨から見まして、やはりお返しをするということにすべきではないかということで整理をしたものでございます。実際には、中古車を輸出する時点での最終の所有者にリサイクル料金を返還する、そういう法律上の整理がなされているところでございます。
 それから、先生御指摘の、こういう形でリサイクル料金を返還するということに伴う輸出先での環境問題についての御心配の点でございますが、中古車を日本から外へ出します場合に、御案内のように、用船費用等が、例えば一台五万とか、場合によっては十万ぐらいかかるというところもあると聞いておりますので、価値の著しく低い廃車同然の自動車を輸出するということは、経済合理性という面から見まして、なかなかそういうケースは少ないのではないかというふうに考えますので、御懸念のようなことは余り起きないのではないかというふうに想定しているわけでございます。
 一方で、そういった点からしまして、私ども、返還するに当たりましては、適切な輸出手続にのっとって輸出されたものであることを確認した上で返還をする、そういう形で事務的な手続を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
栗原委員 では、廃車して市場に出回っても、何年間も野積みのような格好をしているのもありますよね。そういうものについてもちゃんと対応できるんですね。返還しなくても、最終的にそれを処理するということなんですね。
岡本政府参考人 中古で輸出されたという場合には、あるいは廃車がらの場合も同様でございますが、その見合いのリサイクルの料金の部分はやはりお返しをする。それから廃車がらの場合には、これは剰余金ということで、リサイクルセンターで、資金管理法人において、法律に限定列記をしております使途に向かって使わせていただくということになろうかと思います。
 それから、先生の御指摘の、いわゆる使用済みの車が野積みのような状態で、ようよう環境面からも大きなものになっているというような件につきましては、午前中の質疑の中でも環境省から詳細御説明がありましたが、今度のリサイクル法におきましても、市町村が野積みあるいは不法投棄車の処理をやった場合に、その費用について、先ほどの剰余金を使って支援をする、そういう仕組みを用意いたしております。
 それからもう一つ、今度のリサイクル法で、使用済みの車というのはおよそ廃棄物というふうにみなして臨むということにいたしておりますので、従来、市町村が野積みあるいは不法投棄車の処分をしようとする場合に、これは有価物だから手をつけないでくれというようなことで抗弁なさるというようなケースも今度は難しくなるやに伺っておりますので、そういう面から、野積み、不法投棄車の処理というのは、この法律施行後においては大きく前進するものと私ども考えているところでございます。
栗原委員 そうしますと、このリサイクル法のいろいろな過程において、例えば自動車の修理業者、販売業者あるいは中古車業者などが引き取り業者として規定されているようでありますし、あるいはまた、それを解体するのが解体業者、あるいはまた破砕する業者等いろいろ明確に分かれていって、おのおので許可とか登録を必要とするというふうになっておりますね、法律では。
 自動車整備工場はみんな登録及び許可を受けているのですね。改めてまたそういう許可をすることは、規制緩和の中で、そういう手続とか、申請すれば当然申請料とかいろいろとお金がかかると思うのですが、その点はどうなんですか。今回の新しい登録、許可はどのような手続が必要で、どのような手数料が必要かという点をちょっとお聞かせいただけませんか。わかる範囲で結構です。まだ決まっていなければいたし方ありませんが。
岡本政府参考人 この法案で、解体業者あるいはフロン回収業者等の登録、許可というのを定めておりますが、実際の手続に要する負担を極力軽減するということは、私ども非常に大事だと思っておりまして、この法案におきまして、例えて申しますと、フロンの回収・破壊法における第二種特定製品引取業者、それから第二種フロン類回収業者については、整備業者の方々もこれはとられているケースが多いと思いますけれども、今度の法律で、何らの手続も要せず、自動的に引き取り業者あるいはフロン類回収業者の登録を受けたものとみなすというふうにいたしております。
 それから、解体業、破砕業の許可につきましても、制度の施行時に、既に廃掃法の許可を有している事業者の方々につきましては、届け出を行うだけで自動車リサイクル法上の解体業あるいは破砕業の許可を取得できることとする、そういう手当てをしているところでございます。
 そういう形で、事務負担の軽減ということは、運用の面を含めまして十分配慮してまいりたいと思います。
栗原委員 大変的確な答弁だと思います。
 では、そういう業としている方は全部、特別の経費をかけなくてもその登録あるいは許可を受けられるというふうに解釈してよろしいのですね。今、あなたの答弁はそういう答弁だったけれども、間違いありませんか。
岡本政府参考人 登録あるいは許可というものを都道府県知事にしていただくということになっておりまして、いわゆる事務に要する最小限の手数料のようなものは多分必要になってくるかと思いますが、いずれにしても、その負担というのは極力軽いものにすべく、私どもも十分目を配ってまいりたいと考えております。
栗原委員 ちょっとあなたの説明で、若干、私の方が聞き違いかわからぬけれども、納得できないのですが、こういうことを業とする方々は、やはりこれによって負担が出るのですよね。今までずっと整備工場の方々も、ちゃんとそれでやってきたし、フロン回収業者もやってきたんだから、この法律を施行したら、今までの許可とか登録をそのまま援用して通知を出すとか、そういうふうにすることが行政の、こういう新しい法律ができたときの思いやりと私は思うのですよね。今、あなたのだと、やはり当然お金がかかるんだよ。金がかかるにしても、極力金がかからないように、今自動車整備工場もみんな経営が苦しいのですよ。
 私、これから申し上げますが、例えば解体業につきましても、こうしてメーカーが努力すると同時に、解体業者も、これらのものを分別してやる場合、当然これから設備投資が必要になると私は思いますよ。あるいはまた、土地によってはメーカーが解体業者を選別するかもわかりませんね。そうでしょう。メーカーはこれから競争するんだから。いかにして軽い、経費がかからないような車両をつくりながらやるんだから、それを処理する解体業者にも、それに適用できるように当然強いてくると私は思うのですよ。
 ですから、こういう点、今まで全国に約五千の解体業者があるように伺っておりますが、これらの零細の方々が、例えば私どもの田舎においても、零細な中でも、解体してその資源を有効利用している方が多いのですよ。そういう方が、この法律の施行によって、もう仕事をしなくていい、それよりも、設備投資もできないと、メーカー側から要求されるようなそういう対応ができない、ならば、もう閉業するしかないというようなことも起きると私は思うのですよ。そういうことにならないようにひとつお願いしたいのですが、これについて御所見があったらひとつ。
岡本政府参考人 解体業者の方々、私ども今度の審議会の議論の中を通じて、やはり既存の業者の方々の仕事の流れというものを、そこをまず十分押さえて、その上で、メーカー、解体業者の人たちの仕事の流れというものに大きな混乱がないようにというところも一つの大事な要素として、その点をにらみながら今回御提案申し上げているような仕組みということで法律を整理させた次第でございまして、今先生が御指摘になりました、零細な方々が多い解体業者、あるいはそういう方々の事業の健全な存続発展ということについては、常日ごろから、大臣、副大臣から十分に意を用いるようにというふうに注意をされておりますので、私ども実際に実務を担当する者としましても、そういう気持ちで臨んでまいりたいと思います。
栗原委員 こうしてこのリサイクルを完全に管理するということで、伝票でもって当然ちゃんとやるということなんですが、そういう場合は、例えば整備業者が、引き取り業者が解体業者に渡しますわね。そうすると、当然その証票を書くわけだから、事務手続の費用とかそういう手数料というのは、書き賃だから、整備業者に出るのですか。その点、御回答を。
岡本政府参考人 引き取り、それからフロンの回収業者を、例えば整備業者の方々がなさっている場合が多いかと思いますが、抜き取りをなさって、それで実際の作業、それに伴う若干の事務的な、それこそ連絡上の実務というのもありますので、そういうコストの実態というのを含めて、例えばフロンの回収につきましては主務大臣が、自動車メーカーが定める回収されたフロンの引き取りの基準、その中には、料金の基準も含まれるわけですが、それについて主務大臣が基準を示すということにいたしておりますので、その中で今御指摘のような点も配慮してまいりたいと考えております。
栗原委員 今、御回答できないこともあるかもわかりませんが、ちゃんとこの車がリサイクルされているかを、今ちょっと私、言葉を忘れましたけれども、伝票でいわゆる流すわけですから、その間に自動車整備工場もそこに関与するわけですから、彼らにも責任を持ってもらわなきゃだめですね、ちゃんとそこでチェックしてもらわなきゃ。当然そこには対価があってしかるべきだと私は思いますよ。そうでなければリサイクルは完全に担保できませんから。その点について、そういう方にもそういう対価が払えるように、ぜひひとつ制度をつくってくださいね。これは私のお願いです。当然のことですから、対価を払うのは。
 それから、環境問題ですね。環境省からお越しでございますが、シュレッダーダストなどの最終処分場は、ちゃんとこれらのリサイクル法を万遺憾なくやる場合、処理場はちゃんとあるのか、ひとつお聞きしたい。
飯島政府参考人 先生が冒頭に御指摘になりましたように、シュレッダーダストは、現在、産業廃棄物の管理型最終処分場に埋め立てなければいけないわけでございますが、産業廃棄物の管理型最終処分場の残存容量というのが、最近のデータで一億百八十五万立米、一億立米強でございまして、これは大変逼迫しておりまして、その前の年に比べて少し減っている、こういう状況でございます。
栗原委員 適切な御答弁、ありがとうございました。私は前に環境省におりました、これ以上言いません。
 いろいろこの法律を見ますると、私は、このリサイクル法は、まだ細部にわたりまして事務的な点で検討する点もあると思いますが、総体的に見て極めてすばらしい法律だと思っています。このリサイクル法が施行されることによって、やはり新しい技術を、国内のリサイクルの技術を、完璧にこのリサイクル法を行うためにはさらに新しい技術というものが求められると思いますので、その新しい技術がぜひひとつ日本の産業のまた新しい分野の夜明けとしてなるように祈念しまして、大臣、将来総理になる方ですから、一層の御奮闘をお願いします。
 以上です。
谷畑委員長 大村秀章君。
大村委員 自由民主党の大村秀章でございます。金曜日の午後ということでお疲れだと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 きょうは五月の三十一日金曜日、きょうは何の日かといいますと、サッカーのワールドカップの開幕日ということでございます。
 私は、実はワールドカップ議員連盟の事務局の仕事をずっとやっておりまして、実は何カ月も前から、この日は、議員連盟の宮澤喜一会長を初め、何人かでソウルの開幕式に行く予定で、飛行機から何から全部段取りをしておったのでありますけれども、委員会と重なったということで、大変、個人的には腹の中、いろいろ思い悩んだのでありますが。最後まで、この質問をした後に行ける飛行機はないものだろうかと思って、チャーター便まで調べたのでありますけれども、残念ながらないということで、公務優先でこちらで頑張りたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 ちなみに、あす午後四時から国立競技場でイギリスの国会議員チームとの親善試合がありますので、そのうっぷんはそこで晴らしていこうと思っておるところでございます。
 そういう話はおいておきまして、それはそれでございますけれども、使用済自動車の再資源化等に関する法律ということで、自動車リサイクル法につきまして、三十分、短い時間でありますが、質問をさせていただければというふうに思っております。
 我が国は、戦後五十年、ずうっと発展をしてきたわけでありますが、ある意味で工業化社会の優等生ということだったのだろうというふうに思うんであります。大量生産、大量消費、そして大量廃棄ということで、合理的にそのシステムをつくり上げて日本の社会、経済は発展をしてきたと思うんでありますが、それが、なかなかこれからはそのままではいかないということは御案内のとおりでございます。やはり循環をしていく、一度使ったものをもう一度使っていくリサイクル型の、循環型の社会、経済のシステムをつくっていかなきゃいけないということだと思うわけであります。
 それは、ちょうど二年前、平成十二年にその基本法もつくりましたし、また、いろいろなリサイクルの法律もつくってまいりました。建設リサイクル法、食品リサイクル法、またグリーン購入法、それから家電リサイクル法も昨年四月にはスタートいたしました。
 また、地元のことを言って恐縮でありますが、愛知万博も、こういうリサイクル型の社会をつくっていく、その大いなる節目といいますか、その大きなポイント、イベントにしていきたいと思うところでありまして、そういう流れの中での、最後に残った大物というのがこの自動車のリサイクルかなというふうに思っております。
 御案内のように、これは平成九年、当時の通産省が使用済自動車のリサイクルのガイドラインをつくった。それを受けて、自動車工業会が平成十年二月にその自主基準をつくって、これをずっと進めてきたわけでございます。また、通産省の方で、産構審の中にも自動車リサイクルのワーキンググループをつくったのがちょうど二年前。私ども自由民主党の中にも、自動車リサイクルワーキングチームというのを一昨年の秋にスタートをさせました。
 私、その事務局長を仰せつかって、この一年半以上、例のフロンの回収・破壊の法律、そしてこの自動車のリサイクルということで、ずっとそのまとめをやってきた者として、今日こういう形で制度が、この法律が国会に提出されているということを、ある意味で大変感慨深いものがありますけれども、ぜひこれを一日も早く成立させて、そして、法律だけじゃなくて、これから二年間でいろいろなシステムをつくって、日本の自動車のリサイクルシステムを日本型モデルとして世界に向けて発信をしていく、そういう意義深い制度にしていくべきではないかなと思うわけでございます。
 そんなことを思いながら、先ほど来、先日もでありますけれども、各委員の先生方からのあらゆる角度からの御質問を私も拝聴させていただきましたが、今回、自動車の関係は、ほかのものと比べても非常にプレーヤーが多いわけですね。メーカーから新車販売、中古車の販売、整備、解体、それから最後はシュレッダーをする業者さん、それからまた、廃棄物の業者さんということで、非常にプレーヤーが多い。こういうプレーヤーが多い仕組みを回していくためには、やはり法律制度でそこの役割分担をはっきりさせて、その上で、それぞれの皆さんに自分の役割を自覚していただいて、そしてうまく回っていく、そういうことをどうしてもつくっていかなきゃいけないと思うわけであります。
 それが、ややもすると、法律でただ単に縛るとか、上から規制をするということだけではうまく回っていかないと思うわけでありまして、それぞれの段階で、合理的な競争といいますか、市場原理も働かせてコストをできるだけ下げていこうとか、できるだけ競争をしてシェアを伸ばしていくことによってそれが一つの事業になっていくとかいうようなこともやはりつくっていかなきゃいけないと思うわけでございます。
 そういう意味で、そういうことを申し上げながらるるお聞きをしたいと思いますけれども、まず、この制度の一番メーンプレーヤーである自動車メーカーの役割につきましてお伺いをしたいと思っております。
 これまで、自動車工業会を中心に自動車リサイクル・イニシアティブをつくって自動車メーカーはずっとやってきました。また、できるだけリサイクル率を上げていこう、そういう開発というのもやってきたというのは御案内のとおりだと思います。
 ただ、そういう自主的な取り組みに加えて、それだけでは足らずに、今回、こういう法律制度をつくってさらにこれを進めていかなきゃいけないというふうにされたその趣旨とか理由、それにつきましてもお伺いしたいと思います。
 あわせて、自動車メーカーがさらにこのリサイクルに積極的に取り組むために、単に義務を課すだけじゃなくて、その開発段階、設計段階からいろいろなリサイクルのことを開発していく、取り組んでいく、そういったことを進めていくための仕組みを今回の制度にどういうふうに入れ込んでおられるのか、そのことをあわせて大臣の方からお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 大村先生が、循環型社会に大変関心をお持ちいただいて、議員としても大変な御活躍をされた、このことに対して、まず敬意を表させていただく次第であります。
 まず、この自動車リサイクル法の制定に至ったその必要性等についてのお尋ねでございましたけれども、御指摘がありましたとおり、平成九年に当省が策定をいたしました使用済み自動車リサイクル・イニシアティブに基づきまして、これまで自動車メーカーが、リサイクル性の向上のため、自動車の設計上の工夫や、あるいはエアバッグ、フロンの回収といった自主的取り組みを行うなどによりまして実績を上げてきたわけであります。
 しかしながら、昨今、産業廃棄物最終処分場の逼迫が進行しております。例えば、平成十二年四月一日時点の残余年数というのは、もう大分たってしまったのですが、三・七年しかない、また、首都圏では一・二年だ、こういうふうに言われておりまして、そういう問題の中で、シュレッダーダストの極小化は大変喫緊の課題になっております。
 また、最終処分費が高騰しております。例えば、五、六年の間に倍増して、今、トン当たり三万円かかるというようなことに相なっています。そして、鉄スクラップ価格はまた逆に低迷をしておりまして、トン当たり八千円とか九千円、こういうような状況でございまして、従来の自動車リサイクルシステムはある意味では機能不全に陥っている、こういう状況もあります。
 そして、さらにまた、不法投棄、不適正処理の懸念も増大をしている、こういう背景がございまして、関係事業者によるこれまでの自主的取り組みでは抜本的な解決が実は難しくなっているというのが現状でございます。
 本法案は、このような状況のもとで、産構審の場において積み上げられた議論を踏まえ、リサイクルに関する費用を自動車ユーザーに負担していただくことを含めて関係者すべての役割分担を法的に明確化しまして、使用済自動車のリサイクル等を適正かつ円滑、確実に行う仕組みを構築する、こういうことでやらせていただいております。
 それから、自動車メーカーがリサイクルに積極的に取り組むインセンティブを持つような仕組みはどうなっているんだ、こういうお尋ねでございます。
 自動車メーカーは、みずから製造した自動車に関するシュレッダーダストを引き取ってリサイクルする義務を有しております。また、当該リサイクルに必要な費用については、自動車メーカーが各自動車ごとにリサイクル料金を設定、公表しまして、自動車ユーザーが当該料金を原則新車購入時に預託する制度としているわけでございます。
 このため、自動車の購入者が自動車を選択するに当たりまして、リサイクル料金の額や自動車の設計、素材選択においてリサイクルに配慮されているか否かといった情報を判断材料にする、こういったインセンティブも働くわけであります。
 この結果、自動車メーカーは、販売競争の中でみずからの市場競争力を確保するために、シュレッダーダストの発生量が少なくなるような設計・開発、あるいはシュレッダーダストの効率的なリサイクル等に積極的に取り組むことになる、こういうふうに思っておりまして、こうした仕組みを通じてリサイクル料金の低減を図っていきたい、こういうふうに思って設計をさせていただきました。
大村委員 ということで、メーカーにそういうリサイクルに取り組むインセンティブを与えていくということ、これはぜひさらに進めていただきたいと思うわけであります。
 使用済自動車は、メーカーからといいますか、メーカーももちろん大きな役割でありますけれども、実際に引き取る場合は、引き取り業者さん、解体業者さん、破砕業者さん、それから産廃業者さんということで、関係業者さんにずっと渡っていくわけでありまして、こういう幅広いプレーヤーに渡っていく、その連携の強化をどういうふうに図っていくか、これが大変重要であるわけであります。
 そのためには、今回、物の流れとお金の流れを分けた制度とするわけですから、物の流れはもちろん追っていかなきゃいけないので、これを電子マニフェストシステムで追っかけていくわけですね。だから、これは当然大変重要な仕組みでありますし、一方で、お金の流れは、先ほど来各委員の先生方が御質問されたように、この基金、大変大きな額がたまるといいますか積まれるだろうと予想されるこの基金のところに流れていく、このお金の流れのシステム、この両方がうまくいって初めて制度が機能していくということになるわけでございます。
 そういう意味で、これについて、これは古屋副大臣にお伺いしたいと思いますが、まず、費用を、いわゆる年金方式ではなくて自車充当ということで、ある意味で積立方式ということになるのですが、新車時に徴収してお金を資金管理法人にためておくということ。これはさんざん我々も含めて議論をし尽くして、本来であれば、そういう金のたまりとかはできるだけ少なく、できるだけ民間のコマーシャルベースで流れていくということが一番望ましいわけでありますけれども、実際メーカーとか輸入業者の皆さんとかが未来永続するというものでもないということでありますとか、また販売台数が何年かの間に変わってしまう、そのときにどうなるのかとか、またリサイクルに当たってのインセンティブをどう働かせていくのかということとか、また課税問題、各メーカーにそのお金を積んでおくとなかなか課税問題というのが回避できないということもあって、今回、私はあえて申し上げると、これは万やむを得ず資金管理法人という方式にせざるを得なかったのかなということで、これはやむを得ないかなと私自身は思うわけであります。
 いずれにいたしましても、今の、行政改革を進めていかなきゃいけないというこの流れ、それから規模の問題、本当にうまく運営できるのかということの御懸念が、多分各委員の先生方の御質問の中で一番多かったんじゃないかと思うのです。これをどういうふうに進めていくか、その準備の状況でありますとか、どう取り組んでいくか、その基本的なお考えをぜひお伺いしたいと思います。
 あわせまして、先ほど申し上げましたが、物の流れをずっと追っていく電子マニフェストのシステム、これも、とにかく台数が、年間五百万台廃車になるわけですから、それを全部追っかけていかなきゃいけない。これが正直言ってなかなか容易でない制度だと思うのでありますけれども、これもやはりやっていかなきゃいけない。これをどういうふうに組み立てていくのか。これにつきましての基本的なお考えと取り組みにつきましてお聞きできればと思います。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 大村委員もこのリサイクル法制定に党の立場でも大変御協力をいただいたということで、私もよく承知をいたしております。私も政調の方で担当させていただいておりましたので、よく承知をいたしております。
 まず、資金管理団体のことでございますけれども、これは、いろいろな議論がございましたけれども、最終的にはこういった形で対応するのが現状では一番よいだろうという結論に達しました。ただ、そのためには、この運営に当たっては、透明性と公明性を確保していかなくてはならない、一番重要な点であるというふうに我々も認識をいたしております。
 この法案の中でも、そういった公明性、透明性を確保するために、まず、資金の運用方法について制限を設けております。二番目に、業務規程であるとか事業計画、事業報告等を作成したときには必ずこれを公表する、こういう義務づけでございます。また三番目は、学識経験者であるとか一般消費者の代表を委員とする資金管理業務諮問委員会を設置いたしまして、外部からのチェックがしっかりきくようにする、こういった対応をさせていただいておる次第でございます。
 また、運用につきましても、公認会計士等による外部監査の実施を前提といたしておりまして、また、リサイクル料金に係る会計の資金状況につきましても年に複数回開示をするというふうにしておりまして、業務、財務の透明性、公開性を高めていきたいと思っております。
 そして、このような取り組みを万全に整備するため、この法案では、法人の指定に関する規定を、この法律ができ上がった後六カ月以内に施行しろということで、早くその準備に取りかかるということを規定いたしておりまして、また、この実務の構築、あるいは制度やシステムをつくり上げるときにはイニシアルコストもかかりますので、そういったイニシアルコストの負担を含めて、自動車メーカー等にも応分の役割を果たしていただく、こういうことを考えております。
 いずれにいたしましても、政府、自動車関係業界等々が力を合わせてこの制度運用に当たっていかなくてはいけない、こんなふうに思っております。
 またもう一点、電子マニフェストの御質問がございましたけれども、これは、まさしくこの新しいリサイクルシステムの心臓と申しますか頭脳といってもいいと思います。極めて重要な屋台骨であるというふうに考えております。
 具体的には、各工程におけるリサイクルの取り組み状況を追跡できるようにするとともに、リサイクル費用を支払ったその証拠となる非常に重要な機能を果たしているわけでありまして、情報管理センターでは、使用済自動車の引き取りあるいは引き渡しの情報を集中管理するという大変重要な役割を担っておりまして、このような業務を確実に実施することができるように、情報システムの構築を初めとして、万全の体制を整えていく必要があるというふうに思っております。
 この情報管理センターの体制確立の取り組みにつきましては、資金管理団体と同じように、公布後六カ月以内というふうに規定をさせていただいておりまして、イニシアルコストを含めた費用負担につきましても、自動車メーカー等にも御協力をいただく、こういうふうに考えております。
 いずれにいたしましても、資金管理法人と同様に、政府そして自動車関係業界が力を合わせて連携して、このリサイクルシステムが有効に機能するように万全の体制を整えていきたいと思っております。
大村委員 ありがとうございました。
 だんだん時間が迫ってまいりましたので、ちょっと質問事項を少し飛ばしてやらせていただきたいと思います。
 続きまして、廃車の重量の中で非常に大きなウエートを占める、特に二〇%から二五%を占めるシュレッダーダストでございますけれども、現在は七十万トンから八十万トン、これは埋立処分をしているわけでありますが、先ほど大臣も言われましたけれども、このシュレッダーダストをできるだけ小さくしていく、極小化をしていくというのが今回のこの制度の一番大きなポイント、目指すべきところじゃないかなと思うわけであります。
 そこで、このシュレッダーダストをできるだけリサイクルをして小さくしていく、そのための施設設備のプラントといいますか、この整備導入状況というのは現在どうなっているかということもお伺いできればと思います。
 また、目標として、二〇一五年以降は九五%のリサイクル率を達成をするということで自動車リサイクル・イニシアティブではうたっているわけでありますが、これを達成するためにも、シュレッダーダストをぎゅっと小さくしないとこれは達成できないわけでありますが、今現在がどのくらいの設備であって、これをこれから十年少々でどこまで整備をしていくのか、これについてお伺いできればと思います。
 むしろこういったものをいわゆる後押しをしていくことによって、これからの日本の二十一世紀の大きな産業の一つになると私は思っておりますけれども、この静脈産業、こういうリサイクル型の静脈産業を整備していくそのポイントではないかなというふうに思うわけでありまして、その点についてお伺いできればと思います。
岡本政府参考人 現在、シュレッダーダストの処理の施設という点では、シュレッダー業者、それから非鉄精錬業者が有する数カ所の施設で、能力では十数万トン程度になっております。今先生がおっしゃった、二〇一五年、九五%のリサイクル率を目指すということになりますと、今、年間八十万トン程度発生しておりますので、処理能力は大幅に不足でございます。
 したがいまして、今後シュレッダーダストの処理施設を相当程度拡充していく必要がありますので、私ども、環境省とともに、シュレッダーダストのリサイクル基準の検討を新法制定後速やかに着手して進めますとともに、税制面あるいは金融面での支援措置等を講じながら、シュレッダーダストリサイクル事業の事業環境を整えて、今先生がおっしゃいました、まさに静脈産業としてちゃんと必要な施設、それも高度処理のための施設に向けて関連の事業者の方々の取り組みが円滑に進むよう後押しをしてまいりたいと考えます。
大村委員 その際、単に廃車のがらを切り刻んでシュレッダーダストにしてからもう一回リサイクルをするということがもちろん今一番ポピュラーなやり方、これからもメーンだろう、中心だろうと思うんですが、それだけじゃなくて、いろいろな方式を、処理方法、有効利用を含めて開発をしていくということも後押しをしたらどうか。いわゆる再生利用、マテリアルリサイクル、それからまた熱利用ということで、サーマルリサイクルということで、それぞれのいろいろなやり方が考えられると思うんですけれども、それをどういうふうに後押しをされていくか、これは私はぜひ進めていくべきだと思うんですが、その点についてもお伺いしたいと思います。
岡本政府参考人 私どもは、処理のやり方として、マテリアルを優先という循環型基本法の考え方はベースとしつつも、自動車のシュレッダーダストの場合にはサーマルも共用して対応すべきだということで考えております。
 それからもう一つ、このシュレッダーダストの処理に当たりまして、ダストの処理プラントの、その方法による一つのオルタナティブとしまして、解体業者の工程において非常に丁寧に、ワイヤーでありますとかあるいは塩素分を含みます塩ビの樹脂分だとかそういうものを抜き取るという、これはコストのかかる作業でございますが、そういうことをやってプレスをして電炉に投入する、そういう方法もございますので、そういうダストの発生を伴わない、そのかわりその前の段階で徹底した不純物の除去をやる、そういうやり方を含めて、言われているASRの処理というものを積極的に進めてまいりたいとも考えております。
大村委員 続きまして、もっといろいろお聞きしたいんですが、リサイクル料金についてお聞きしたいと思います。
 これも各委員の皆さんからるる御質問がありましたが、今の段階では、これはこれからシステムを組んで、そしてできるだけその処理費用を、リサイクルのコストをできるだけ小さくするように各メーカー、関係者の皆さんが努力をする。ですから、ある意味ではぎりぎりのところまで検討に検討を重ねて、できるだけこの料金を安くしようということで競争されるということになると思うのでありますけれども、今の段階で幾らぐらいというのが見込まれるのか、そしてまた、各メーカーがそのリサイクル料金を設定することに対して、政府としてはどういうふうな関与をされて、どういうふうに指導し、導いていく、持っていこうとされるのか、その点についての考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。
大島副大臣 私の方からお答えを申し上げたいと思います。
 今大村先生がおっしゃいましたように、現時点ではリサイクル料金の前提となる諸条件の分析を行っている段階でございますから、これといった数値が出ているわけじゃございません。車種ごとにリサイクル料金が異なっていること、そしてシュレッダーダストのリサイクルに関する自動車メーカー各社の取り組みの違いによりリサイクル料金に差が出てくることから、一概にどの程度とは言いがたいものでございます。
 産業構造審議会等のこれまでの議論におきましては、きょうもいろいろ議論の中に出てまいりましたけれども、二万円前後というリサイクル料金を一つの目安として議論をされておりますけれども、現時点におきましては、リサイクル料金がどの程度の金額となるかについて具体的な数字を出せる段階ではない、こういうふうに私どもは承知をいたしております。
 けれども、リサイクル料金が不適切な場合には、法律案におきまして、当該自動車メーカー等に対して料金を変更すべき旨を勧告、命令することができると記載をいたしておりますので、こういったことを考えながらこれからも万全を期してまいりたい、かように思う次第でございます。
大村委員 最後に、不法投棄対策についてお聞きをしたいと思います。
 これまでもずっと議論が出ておりましたが、やはり自動車の不法投棄というのは大変社会的に大きな問題になっているわけでありまして、今回は、実際のエンドユーザーが廃車になったものを出してリサイクルを回していくということでありますけれども、ある意味で、そういうルートを経ずにその辺にほうってしまうということで、今でも大きな問題になっております。
 これは、もちろん取り締まりをきちっとやるということも大変大事だと思いますけれども、それとあわせて、やはりできるだけそういうリサイクルのルートに乗せた方が得だよというインセンティブを与えていくということも大変重要じゃないかなと思うわけでありまして、こうした点から、今回のリサイクル法にはどういうふうにそのインセンティブを盛り込まれておられるのか、これもお聞きしたいと思います。
 あわせまして、これは下地政務官にお聞きをしたいと思いますけれども、環境省のデータでは全国十二万六千台と言われております不法投棄の車のうち、そのうちの四割近くが、四万八千台が沖縄県というデータもあるわけでありまして、そういう意味で、特に離島の自動車の不法投棄対策、これはもちろん運搬費もかかるわけでありますから、それをどういうふうにしていくか、これも大変大きな課題だと思います。その点もお聞かせいただきたいと思います。
 特に深刻な沖縄では、私もちょっと前に、いわゆる自動車のリサイクルの画期的な技術開発をした会社があるというようなことも、沖縄の会社なんですが、新聞報道でも拝見をしたこともあります。ぜひそういったものも生かして、沖縄でぜひそういった自動車のリサイクル工場とかプラントを、ある意味で、これだけたくさん、幸か不幸かといいますか、もう現に今あるわけですから、それをどういうふうに処理をしていくか。集中的にそういうリサイクルプラントを立地をさせて、むしろ沖縄をエコアイランド、リサイクルアイランドといったような形のそうしたものを目指したらどうなのかなと。
 私は、むしろ従来型の公共事業よりも、こういったものをどんどんつくっていくということの方が何か波及効果が高いんじゃないかなというふうに思いますし、これは、経済財政諮問会議で経済特区の議論もされておるようでありますから、ぜひそういった特区の構想の中にも入れていただいたらありがたいと思うのでありますけれども、いかがでございましょうか。
下地大臣政務官 今大村委員からお話がありましたように、取り締まりだけじゃなくて、市場原理をきちっとそのシステムの中に入れて、不法投棄をしないようにするというのは非常に大事なことだと思っております。
 また、今度の法律の中で、自動車の排出時に不法投棄がされるということで、とにかく新車の場合には購入時、既販車の場合には施行後から最初の車検時というふうなことも不法対策の一つになっているわけであります。
 さらに、きちっと引き取り業者に渡したら自動車重量税を還付するというふうな制度も今設けられております。
 また、シュレッダーダストについても、これまで引き取りに費用がかかっておりますけれども、これはメーカーがするというふうなことにもなっておりますし、エアバッグとフロン等についても有償で引き取られるようなことになっておりますから、これらの費用はリサイクル料金として別途事前に徴収されることとなるということを含めますと、使用済自動車はおおむね有価で流通されることになることから、私は、大村先生がおっしゃっているような市場原理に基づいてしっかりとやれるのではないかなというふうに思っております。
 沖縄の問題ですけれども、先ほど申されましたように十三万台のうちの五万台近くが沖縄でありますから、この法律ができて一番喜ぶのは沖縄であります。沖縄の経済の七〇%が観光産業でありますので、きれいな海に、海岸へ行っても廃自動車が不法投棄になっているということで、ある意味では観光客の夢を壊しているようなところが数多くありましたので、そういう意味では、この法律が早目に施行されて環境がよくなることは、沖縄の経済がよくなることになるのではないかなというふうに思っております。
 また、今五万台という話がありまして、幸か不幸かという話がありましたけれども、これを処理するということは、しっかりと、そういう意味でも新しい経済の効果になると思っておりますから、よろしくお願いをしたいと思うのです。
 この規制改革特区の中でも論議されていますから、しっかりと後押しをしていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。
大村委員 以上にさせていただきますが、これは大変大きな制度だと思いますし、画期的な制度だと思いますので、ぜひ、政府ももちろんでありますが、関係業界も施行までの、多分二年間だと思いますが、この二年間にこの制度をいかに機能していくように設計していくか、ぜひ関係者の御努力をお願いしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
谷畑委員長 河上覃雄君。
河上委員 九番バッターでございまして、きょうは十番バッターまでおりますので、あと一時間、よろしくお願いをしたいと思います。
 最初に、一昨日の質疑で、リサイクルに要する費用についての議論にやや混乱があったように感じました。
 そこで、国民の、そしてユーザーに御理解を十分得るということは最も大切なことでありますし、議論が未整理のまま進むことは余りよろしくない、こういう意味で、最初にその点について再度整理をして御答弁をお願いしたい、私はこう思っておりまして、質問をいたしたいと思います。
 メーカーに払い渡される料金よりも実際のリサイクルコストが低かった場合の料金についての考え方と、メーカーに払い渡されず資金管理法人に残る余剰金の考え方、この考え方についてやや混乱があったのではないのかと私は感じました。これを踏まえまして、再度整理して御答弁を願いたいと思います。
岡本政府参考人 お答え申し上げます。
 この法案では、ユーザーからリサイクル料金として資金管理法人が預かったものは、その自動車がリサイクルされる時点で、利息を付してメーカーや輸入業者に払い渡すこととなっております。
 したがいまして、資金管理法人には、リサイクル料金をそれまでの間、安全確実に預かっておくということ以上の役割は与えられていませんので、リサイクル料金と実際に要した費用に結果として過不足が生ずるとしましても、それを調整するということはいたしません。
 ユーザーによるリサイクル料金の負担時点を販売時点ということで前に出しましたことに伴いまして、リサイクル料金の設定時と実際にリサイクルが行われる時点の間におおむね十年の長い時間の開きがございます。この法案では、そのような時間の開きというのを見通した、あるいは長期間と言ってもよろしいかと思いますが、費用予測のリスク、実際のコストが上回るということもあろうかと思いますし、下回るということもあろうかと思いますが、そこのリスクを、制度の中心的な担い手とも言うべき自動車メーカー等に負担をしていただくということで整理をいたしております。
 したがいまして、今申しましたメーカーにコスト変動のリスクを負担していただく、そういうものの一環としまして、結果的にリサイクル料金より実際にリサイクルに要するコストが低かった場合も、一義的には自動車メーカー等に資金管理法人は所期の料金を、お預かりしている料金をお渡しするということにすべきだと考えております。
 ただ、この点につきまして、三点補足して御説明させていただきます。
 一つは、自動車メーカー等は、販売競争の中で少しでもリサイクル料金を下げるという努力、あるいはそういう圧力が働いておりますので、下回るという事態は大変ケースとしては少ないかと思います。
 それから二つ目に、メーカーが効率的なリサイクルに向けて料金を設定した後頑張った、そのことも引き続き我々は期待するわけですけれども、頑張った場合に払い渡し額が制限されるということでは、その頑張りに向けてのインセンティブが働きにくいというところもあろうかと思います。
 他方で、そのギャップというものが実際に生じた場合においては、これは、中長期的にはリサイクル料金あるいは販売価格、そういったものを通じてユーザーの方々に還元されていくものというふうに期待をしているものでございます。
 それから、二番目の剰余金の件でございます。
 剰余金の発生事由としては、大きく三つが考えられます。すなわち、輸出中古車のリサイクル料金返還請求がないという場合、二つ目が、廃車がらで輸出された場合、それに伴ってダストの処理が不要になるという場合、三つ目が、フロンの再利用が行われて破壊が不要という、その三つかと思います。
 法律で定める要件に該当する預託金でございますので、私ども、剰余金が発生しました場合には、不法投棄、野積み車対策、それから離島対策、さらには将来のリサイクル料金の軽減、そういった形で自動車ユーザーに還元すべく公共目的に使途を限定するように、今法律上そこを明記させていただいているところでございます。
河上委員 確認、整理の意味で、御質問を冒頭にさせていただきました。
 それでは、以下、一昨日、本日の質疑と重複を極力避けながら、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 一つは、解体業者や破砕業者のリサイクル基準など、関係業者が遵守すべき基準というものについては政省令に定めることとされております。今回、かなりの部分、政省令に落とすというところが重要であり、多いわけでございますが、細かい細部にわたるところの全容がなかなかまだ現段階で見えにくいなという思いも率直にいたすわけでございますので、これらを踏まえて基本的な考え方を議論できればいいのではないのか、こういう視点から質問をしたいと思います。
 こうした基準を策定するに当たって関係業界の意見を十分に踏まえるということは非常に大切なことであると思います。特に私は、この法律は有用だと思っておりますが、一番大切なのは、果たして、実態上、どういうふうに実効性を担保しながらよりよきものに育っていくか、この視点が非常に大切だと思っておりますので、その意味では、関係業界の意見も十分に踏まえまして、関係事業者が対応できますように、施行前に十分な時間的な余裕を持って制定することが必要と考えます。
 この質問に対しまして御見解をいただきたいと思います。
下地大臣政務官 お答えをさせていただきます。
 委員からお話がありましたように、法律が公布されてから二年以内に主務省令で定めることとなっております。
 また、リサイクル基準の内容は、この自動車のリサイクルシステム全体の実効性に本当に大きな意味合いを持つという認識を持っておりますから、しっかりとその基準を関係業界の皆さんと相談をしながら決めていかなければいけないと思っております。審議会にもお諮りをしますし、関係事業者の皆さんからもよくお話を聞きまして、最大限に早目に基準の枠組みを示す、公表するということが大事だと思っておりますから、できるだけ早く公表したいというふうに思っています。
河上委員 次に、シュレッダーダストやエアバッグの再資源の実施量も省令で定めることになっております。このリサイクルシステムの中において実施量を定めるということは、非常に根幹的な問題であろうと思っております。
 この実施量というのはどのように設定しようとお考えなのか、この点について御見解をいただきたいと思います。
岡本政府参考人 シュレッダーダストやエアバッグの再資源化の実施量に関する基準につきましては、それぞれ再資源化されたものの総重量の当該特定再資源化物品の総重量に占める割合を一定割合以上とすべし、そういう旨を定めていくことを考えております。
 具体的にリサイクル率をどの程度とするかということにつきましては、平成九年に通産省が策定しました自動車リサイクル・イニシアティブにおいて二〇一五年にリサイクル率九五%が目標とされていることを念頭に、関係業界におけるリサイクルの実施状況、それから技術の動向、そういったことにも配慮しながら今後検討してまいる所存でございます。
河上委員 一昨日の議論にも出ておりましたが、自動車メーカーが使用済自動車そのものを引き取って、責任を持ってリサイクルすべきではないかという議論がございました。この点について改めまして経済産業省の御見解を伺いたいと思います。
 この場合、自動車メーカーがリサイクル事業全体をコントロールすることを志向する結果、かえってメーカーのリスクが下請の立場に追いやられる解体業者に押しつけられるのではないか、既存業者が急速に淘汰される、すなわちハードランディングを招くのではないのかという懸念も持つわけでございますが、あわせて御回答いただきたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 自動車メーカーが使用済自動車そのものを引き取ってリサイクルすることについての見解はいかん、こういうお尋ねでございますけれども、本法案の作成に当たりましては、可能な限り既存の静脈産業、静脈インフラを活用しまして、必要最小限の社会コストで実効性の高い制度を構築しよう、こういう考え方で臨ませていただきました。
 自動車のリサイクルは、昨今の廃棄物処分場の逼迫や鉄スクラップ価格の下落といった諸要因によりまして、ある意味では機能不全に陥っております。不法投棄や不適正処理の懸念が高まっておる中、かつては、解体業者、破砕業者といった既存の事業者により実効性のあるリサイクルが行われてきたところでありまして、一種の静脈インフラと言ってもいいそういう産業構造ができ上がっておりました。
 こうした中で、自動車メーカー等が使用済自動車そのものを引き取ることとした場合、静脈過程における物、すなわち使用済自動車の流れが激変するおそれがあります。現在の静脈インフラが大混乱に陥る可能性も否定できません。現に、自動車メーカーが廃車の引き取りを行うことを検討しているドイツにおきましては、解体事業者の急激な淘汰が始まりつつあるとの指摘も耳にしているところでございます。
 重ねて申し上げたいと思いますけれども、当省といたしましては、可能な限り既存事業者の活力を生かしながら、自動車メーカー等の責任で、現在機能不全に陥りつつある静脈部分の中のボトルネックを解消させるとのアプローチの方が、より少ない社会コストで実効性の高い自動車リサイクル制度を構築することができる、このような考え方に基づいております。
河上委員 大臣の御見解をぜひとも着実に実行に移していただきたいと思っております。
 自動車メーカーには、シュレッダーダスト、エアバッグ、フロンを解体業者などから引き取る義務がございます。これらの事業者は零細なものも多く、自動車メーカーとの関係において弱い立場ということが想定されます。自動車メーカーが、引き取り基準、指定引き取り場所の設置に関して優先的な地位を乱用することがないようにすることが重要なことだと思っておりますが、どのような手当てが必要なのか、そしてまた、なされるべきなのか、この点についてお伺いします。
古屋副大臣 お答えさせていただきます。
 自動車メーカーが指定三品目を引き取るに際しての引き取り基準であるとか指定引き取り場所の設置に関するお尋ねだと思いますけれども、この指定三品目の自動車メーカーへの引き渡しというのはこの法案の根幹をなすものでございます。
 そういった視点で、まず、引き取り基準については、例えばどんな荷姿なのかとか、経済的あるいは技術的に本当に可能なのか、あるいは合理的なのか、こういったことを各メーカーがどういった基準で定めるかにつきまして、事前に主務省令で定めるということになっております。仮に、自動車メーカーが決めました引き取り基準がこの主務省令に合致していないという場合には、主務大臣が勧告及び命令を行うことができるというふうになっております。
 また、指定引き取り場所につきましては、この法律で、地理的条件あるいは交通事情を勘案して指定引き取り場所を設置すべきであるというふうに規定をしておりまして、関連事業者は、指定引き取り場所の設置が適正でないことにより三品目の引き渡しに仮に支障が生じるというようなことがあるときには、その旨、主務大臣に対して申し出ることができることになっております。その場合、主務大臣は自動車メーカーに勧告をすることができるというふうになっておるわけでございます。
 したがいまして、今後、この引き取り基準であるとか指定引き取り場所の設置に関する制度の細部の設計あるいは運用に関しましては、自動車メーカーや輸入業者による優越的地位の乱用ということがないように、自動車メーカーに対する引き渡しに支障が生じないよう、今後ともしっかり注視をしてまいりたいと思っております。
河上委員 どうぞよろしくお願いをいたします。
 国土交通省にお尋ねをいたしたいと思います。
 リサイクル料金の徴収はすべての自動車ユーザーから確実に行うことが大事なことだと思っておりますが、既存インフラである陸運支局による登録車検制度をリサイクル料金の預託確認に活用することは極めて重要で意味があります。
 そこで、陸運支局において適切な対応を望みたいと思いますが、国交省における取り組みについての姿勢をお尋ねいたしたいと思います。
洞政府参考人 検査登録時におきますリサイクル料金の預託の確認業務についてのお尋ねでございます。
 委員御指摘のとおり、すべての自動車ユーザーからリサイクル料金の預託確認を公平にかつ確実に行うことが重要であるという観点から、すべての自動車が必ず手続を行わなければならない時点をとらえまして、すなわち、自動車リサイクル制度の施行後に販売される自動車につきましては新車の登録時に、また、制度施行時に既に販売されております自動車につきましては最初の車検時に、リサイクル料金を預託済みであるということを証する書面の提示を確認して、陸運支局等が新車登録あるいは自動車検査証の交付を行うこととしています。
 具体的な預託確認方法につきましては、自動車ユーザーが不便や煩わしさを感じないようにすると同時に、検査登録事務の円滑な処理を確保するという観点から考えなければならないと考えておりますが、そのために、資金管理法人の預託窓口を、検査登録窓口の近隣も含めて十分に整備することや、リサイクル料金が預託済みであることを確認印の有無だけで確認できるような簡便な方法とすること、あるいはまた、国土交通省におきましては、平成十七年から自動車保有関係手続のワンストップサービス化、電子手続というものを進めておりますけれども、こういったワンストップサービスにも対応できるようにするということ等を考慮しながら、今後、具体的な預託確認方法につきまして経済産業省と密接に調整してまいりたいと考えております。
河上委員 ありがとうございました。
 私の以降、国土交通省、質問がなければ、もう結構でございますから。
 それから、先ほども出ておりましたが、野積みされた使用済自動車あるいは使用済みのタイヤの火災が頻発をいたしておりまして、十三年八月現在ですと、不法投棄または野積みされている使用済自動車は、先ほども数字が挙げられましたが、全国で約十二万六千台に上ると。この法律が施行されることによりまして離島などの不法投棄対策は促進されると思います。
 ただ、リサイクル商品やリサイクル原料と称して、使用済自動車や使用済みのタイヤ、シュレッダーダストなどの不法投棄、野積みがされたものに対して、別途、抜本的な方策を考えるべきではないかと考えますが、環境省にこれはお答えいただきたいと思います。
飯島政府参考人 先生御指摘になりましたように、この法律が施行されることによりまして、使用済自動車のリサイクルルートが、機能が回復する、整理されるということでございまして、使用済自動車やシュレッダーダストなどの不法投棄は大幅に減少することを期待しているところでございます。
 実は、本法律におきましては、使用済自動車及びシュレッダーダストを廃棄物処理法に基づく廃棄物とみなすという規定を置いておりまして、すべて廃棄物処理法の規制が適用されます。したがいまして、この法律が施行されますと、使用済自動車、シュレッダーダストについては、リサイクル商品だとかリサイクル原料と幾ら称していても、必ず廃棄物処理法に基づく処理基準が適用される、こういう仕組みになっているわけでございます。
 また、使用済みタイヤのお話でございますが、これは別の形で対策をとっているところでございまして、厚生省が平成十二年にこの使用済みタイヤにつきまして通知を出しております。「野積みされた使用済みタイヤの適正処理について」という通知でございまして、そこでは、リサイクル原料と称して野積みされているようなタイヤが廃棄物に該当するか否かの解釈を明確化しております。
 例えば、これまでは、所有者がこれはリサイクルするのだからと言えば、それに対してなかなか証明責任は難しかったわけですが、この通知におきましては、所有者に説明責任を持たせる、すなわち、売買契約等具体的な証明ができなければ、それは廃棄物であるという解釈をしても構わない、外形的には六カ月以上野積みになっていれば、これは販売されたりとかリサイクルされる目的がないという解釈をしても構わない、こういった通知を出しておりまして、現在、この通知に基づきまして都道府県では厳格な対応がされていると承知しております。
 不法投棄対策でございますが、今申し上げたこと以外にも、環境省におきましては、都道府県が最近活発に行っております監視パトロール強化への助成、これは一億円以上の助成をしておりますし、また、新しいシステムといたしまして、ITを活用した携帯情報端末による監視システムだとか、あるいは人工衛星から監視するシステム、こういった開発も進めているところでございます。
 さらに、最後になりますが、地方公共団体が行政代執行で原状回復を行う場合につきましては、この法律におきまして、剰余金を活用した資金の出捐制度を準備しておりますので、こういったことによりまして、不法投棄対策の一層の拡充強化を図ってまいりたいと思います。
河上委員 ありがとうございました。
 トラック、バス等の大型車の扱いはどうなっておりますでしょうか。また、飛行場や工場内にあるようないわゆる構内車の扱いはどうなっているか。
 加えてもう一つ、二輪車の問題です。フロン、エアバッグがない、そして輸出の割合が高い、この二輪車については、自動車リサイクル法の対象とはなっておりません。二輪車のリサイクルについては今後どのように取り組むおつもりか、この三点についてお答えください。
岡本政府参考人 私どもが御提案申し上げております今回の法案の中で、自動車が使用済みとなった後の流通実態を考慮して、解体業者あるいは破砕業者といった関係者の方々が担う通常の四輪車のリサイクルルートになじむものはすべて本法案の対象にしようということで、トラック、バス等の大型車両やそれから構内車、これも法律の対象といたしております。
 EUの場合には、対象車種が七席以内の乗用車、それから三・五トン以下の商用車ということで限られているのですけれども、私ども日本のこの法案では、その点、対象車種は非常に大きく押さえております。
 それから、二輪車についてのお尋ねでございますが、先生御指摘のように輸出が全体の約六割にも上るということで、リサイクルの実際の流れが違いますものですから法律の対象にはいたしておりません。
 他方で、二輪車につきましても、関係の事業者による自主的な取り組みというのが準備されているところでございまして、製造メーカーが中心となって、販売店やユーザーの協力も得ながら、リサイクル実証実験を実施するほか、二輪車が使用済みとなった場合の引き取り拠点を設けること、そういった準備もして、二輪車を適切にリサイクルする体制を自主的に整備していこう、そういう方向で、今、自動車工業会は産構審の場でそういった意図表明もございましたので、準備が進みつつあるところでございます。
河上委員 自動車リサイクル法の制定に先行いたしまして、フロン回収・破壊法が施行されることになりますが、二つの法律はいかなる関係にあるのか。それから、自動車リサイクル法において、フロンの確実な回収と破壊というフロン法における精神は十分に生かされているのかどうか、確認の意味で御答弁いただきたいと思います。
松大臣政務官 私からお答えさせていただきます。
 昨年六月の議員立法でございましたフロン類回収・破壊法は、業務用冷凍空調機器については本年四月から施行されているわけでございます。カーエアコン部分についても、自動車リサイクル全体の制度構築に先駆けて本年十月末までに施行がなされることとなっております。つまり、本法案が施行されるのを待っておりますと平成十六年になってしまいますので、とりあえず先にやってしまうということでございます。
 他方、カーエアコンに充てんされておりますフロン類の回収・破壊につきましては、使用済自動車のリサイクルの過程において一体的に行うことが適当であると考えられております。
 このため、フロン類回収・破壊法におけるカーエアコン部分の規定につきましては、本法案の附則においてこれを廃止し、つまり第二種の部分でございますが、本法案の中で、フロン法の精神を生かすべく、現行フロン法の措置を基本的にはそのまま改めて規定し直すとともに、スムーズな移行を可能とするための経過措置を規定いたしております。
 以上でございます。
河上委員 最後になります。
 本法案では、三つの指定法人がありまして、それぞれ一つに限って指定することといたしていますが、こうした考え方はなぜなのか。そして、競争原理を導入して複数の法人を指定するという考えはなかったのかどうか。
 あわせて、これも一昨日の質疑、本日の質疑で出ましたが、自動車リサイクル事業を一元的に管理するために、これらの三つの指定法人を一本化するお考えはないのか。三つまとめて御見解をいただいて、質問を終わりたいと思います。
岡本政府参考人 指定法人の業務というのは、いわば民間の間におけるやりとりのための共通インフラと位置づけられるものでございます。
 仮にこれを複数設けました場合には、例えば情報管理センターの場合が典型的だと思いますが、関連する零細な方々を含む事業者の方々が複数のメーカーの車を扱っていますので、かつ送り先も複数になってくるということになりますと、大変業務量が煩雑かつふえてしまう、そういう懸念もありますものですから、指定法人は一つに限るということにさせていただいてございます。いわば関係者などの共通インフラというところにかんがみたものでございます。
 それから、逆に、三つの指定法人を一つにするという点については、民間の方々からの申請を待って指定するということですので、今ここで決め打ち的なお答えは控えさせていただきますが、一方で、私ども、仮に三つが一つになるということであれば、それは効率的になっていくという方途につながるものだというふうに考えております。
河上委員 大事な法律だと思っております。新しい仕組みでございますので、ともかくこれがきちっと動くような万全な準備をお願い申し上げまして質問を終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 自動車に関する審議でもございますので、自動車リサイクル法に入る前に、ETCのシステム、これはお尋ねじゃなくて意見、要望を大臣初め副大臣、政務官に申し上げてみたいと思うのです。
 このごろ、私は首都高を毎朝利用しておりますが、入谷というところで乗りますと、三車線あるんですが、一番右側の、上り線の右側がETC専用レーンになってしまって、その分一般車両、まだETC搭載車でないものが集まるところが込むんですけれども、しかし、いずれETCが普及することになればどういうメリットがあるのかなと思って、ちょっと調べてみました。
 これを搭載いたしますと、一応バーが下がったり上がったりするわけですけれども、かなり速い速度で、とまらずに通過ができる。これは、滞留する車がその分だけ少なくなりますから、まず第一に、料金所周辺では著しくCO2の削減が見られる、これは環境政策上非常にいいことである、こう思います。それから、全国の高速道路で滞留しているその部分をざっと換算すると、三千億円のマイナスだそうであります。これが国民経済にプラスになります。
 これは広い意味で通信機器でありますから、ここを特に私は申し上げたいのですが、これを単に国土交通省の道路局の有料道路課というところに任せるんじゃなくて、経済産業省がインタービューローの観点からこういうものの普及のためにいろいろな支援をして、早くこれが普及するようにしたらいかがかと。
 現在これを搭載している車はおよそ十三万数千台しかないんですね。首都高でも二・二%ぐらいの比率であります。これをもっともっと普及させることによって、ただいま申し上げたような幾つかのメリットがあるわけでありまして、経済産業省は、自動車産業を支援するだけではなくて、環境にも、そういう面で非常に協力をする役所であるということをこの機会によくわかってもらわないといけないんじゃないか、こう思って、質疑に先立ってちょっと申し上げた次第であります。
 これは新産業育成という観点からも、ぜひ大臣を先頭に、新たな戦略プランの中にもふさわしい事業ではないかと私は思いますので、大臣にお願いを申し上げたいと存じております。
 質問に入らせていただきます。
 自動車リサイクルをうまく機能させるためには、運用面またプレーヤー、これをしっかりやらなきゃいけない、大村先生からも河上先生からもそういう基本的な御認識に立っての御質疑が行われたと理解をいたしております。
 特にこの運用面では、この法律の二十五条に、自動車メーカーが遵守する再資源化基準というものが御案内のとおりうたわれているわけであります。これは、「特定再資源化物品ごとに主務省令で定める再資源化を実施すべき量に関する基準に従い、行わなければならない。」こういうふうに第二項で書かれているわけでありまして、この特定の再資源化物品というのは、先ほど来お話にありますシュレッダーダストとエアバッグ、これが指定されているわけであります。これらがうまく機能するかどうかというのは、一にかかって、リサイクルの費用、またはこのたび言うところの料金。
 ちょっとこれも途中で恐縮でありますが、この料金についても、この法律の準備段階で局長なども御努力をされた中で、大変な額ですよね、これ。十年間で十兆円ぐらいのものになるんですよね、たしか。違います、そんなにならない。どれぐらいになるんですかね、いずれにしても、兆のオーダーでお金が集まる、こういうふうに見られていることは間違いないと思うんですね。
 そうすると、これは経済産業省の天下り先を確保するための方法じゃないかなんということを勘ぐられてこれはスタートしたんですね。しかし、そういう中で、実は非常にクリアに、明快にそういうものをやっていただけるということ、これはすばらしいということを、質問とは関係なく私はまず申し上げておきたいと思うんです。
 そこで、本題に戻りますが、このリサイクル料金が幾らになるかということがこのシステムが機能する極めて重要なものだと考えているわけでございます。
 そこで、その省令で定める内容は具体的にどういうものになるかということは先ほどちょっと申し上げたわけでございますけれども、平成九年に当時の通産省が取りまとめたイニシアティブにおいては、関係業者の自主的取り組みとして、二〇一五年までにリサイクル率を使用済みは九五%にまでする、こういうふうに規定をしているわけでありますが、この特定の指定物品とリサイクル率の関係をどんなふうに理解したらいいのか、お尋ねをしたいと思います。
大島副大臣 西川先生にお答えをいたします。
 御質問は、自動車メーカーがまさに遵守しなければならない再資源化の量に関する基準についてのお尋ねでございますけれども、これはもう先生も御案内のとおりでございまして、シュレッダーダスト及びエアバッグにつきましては、それぞれ再資源化されたものの総重量の当該特定再資源化物品の総重量に占める割合を一定割合以上とすべき旨を規定することを想定いたしております。
 具体的にリサイクル率をどの程度とするか、この検討に当たりましては、今先生が御指摘をいただいた自動車リサイクル・イニシアティブを念頭に置くこととなります。
 この場合、現時点における自動車のリサイクル率は八〇%前後でございますけれども、自動車リサイクル・イニシアティブにおける目標である二〇一五年にリサイクル率九五%を達成するためには、残る二〇%の部分の大宗を占めるシュレッダーダストのリサイクル率をまさに大幅に向上させることが不可欠でございます。
 今後、リサイクル率の内容については、こういった事実を前提といたしまして、関係業界におけるリサイクルの実施状況、あるいは技術開発動向等も配慮しながら検討してまいる所存でございます。
西川(太)委員 私は、通産省は偉いと思うのは、今は経産省、平成九年当時の通産省を褒めるのは、偉いと思うのは、平成九年の五月にこのイニシアティブをもう既に制定して、綿密なリサイクル率をはじき出しているんですよね。シュレッダーダストがどれくらい出るか、エアバッグはどうだ、こういうようなことをフロンの回収も含めて非常に、すなわち本法の準備段階においてもう既に自動車を循環型社会の中でお荷物にしてはいけないということをきちっとやっている。私は、これは通産省は、悪口を言う人は、猫の目のようにお題目がくるくる変わると言う人はいますよ。確かにそういうところもあるんだ、正直言って。しかし、この点については、私はすばらしい、本当にそう思う。これは大したものだと思いますよ。
 平成九年の自動車リサイクル・イニシアティブの資料を読むだけでも、もう大変綿密です。ただ綿密だ、綿密だと言っているとわからない人がいるといけないから読んでもいいんですけれども、例えば、既に平成九年五月に、二〇〇二年以降に販売が開始される新型車のリサイクルの可能率は九〇%以上できるだろうということをちゃんと算定して、目標に置いているんですね。そのほか、使用済自動車のリサイクル率は二〇〇二年以降は八五%以上、そしてただいま申し上げた二〇一五年以降は九五%以上、ぜひこれはやってください、ぜひ実行してください。これを絵にかいたもちにしないようにお願いしたい、これをお願いしておきたいと思います。
 次に、各自動車のリサイクルの容易性というものがこのリサイクル料金に反映される制度としたことは、自動車メーカーの競争を促進することにより効率的かつ実効的なリサイクルの仕組みを構築するものだと私はこれも評価をしたい、こう思うわけであります。
 それでは、自動車メーカーは、設計であるとか開発であるとか、実際のリサイクル費用の低減化努力のそれぞれの局面において具体的にどのような形で競い合うようになってくるのか、これをお尋ねしたい、こう思うわけであります。
岡本政府参考人 大きく二つに分けてお答えをさせていただきたいと思います。
 その第一は、設計・開発段階でございますが、例えて申しますと、部品の取り外しを容易にするということで解体段階でできるだけ多くの部品が取り外せるようにする。そうしますと、シュレッダーダストの発生量も減ってまいりますので、そういった工夫でありますとか、それからカーエアコンにつきまして、フロンを用いないカーエアコンを開発し、そういうエアコンを搭載した車を市場にどんどん出していく。これをやりますと、リサイクル料金の中のフロンの関係部分というのはもう不要になってまいりますので、そういった工夫が考えられます。
 二番目に、リサイクルを実際実施する段階についてでございますが、引き取ったシュレッダーダストのリサイクルのやり方について工夫することによってコストを下げるということ、解体業者あるいは破砕業者の方々と連携をしながら、例えば、シュレッダーダストを発生させない、その前の段階でワイヤハーネスの部分とか塩ビ樹脂の部分とかそういったものを丁寧に取り除いて、かつプレスをして、それで、ダストじゃなくてそのまま電炉に入れて処理をする、それをやりますと、解体工程での手間は従来よりははるかにかかるんですけれども、シュレッダーダストの発生量は大幅に減りますので、そういった工夫も今現に行われているところでございます。
西川(太)委員 IT革命で、新車の開発は通常十八カ月ぐらいかかるものが十二カ月になったとか、いろいろな意味で企業努力を自動車メーカーもしておられる。そういう中で、この三つのR、今の局長のお話の中にありますとおり、リデュース、そしてリユース、リサイクル、これをぜひ実施してほしいということは、与野党問わず、この委員会でも再三提言の形、質問の形でなされているわけであります。
 さて、次に伺いますのは指定法人についてでございますけれども、これを全国で一つに限られた理由は何なんでしょうか。複数の法人が競い合うということもこれは考えられるんじゃないかと思うんですが、どんな整理で一つになさることになったのか、お伺いいたします。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 指定法人を全国で一つに限る理由についてのお尋ねでございます。本法案における指定法人の業務は、検査・検定法人のように、国の事務を行政委託する性格のものではございませんで、多数の民間事業者の間でリサイクルに係る資金や情報をやりとりするための共通インフラとして位置づけられるものでございます。
 このため、仮に指定法人が複数となる場合でも、業務の基本的部分は統一化、標準化を図る必要があります。競争原理の働く余地は、そういった観点から限られたものとならざるを得ません。逆に、資金、情報等にアクセスするためのルートが複数化をいたしまして、その結果として制度が複雑化することになり、自動車メーカーや多数の関連事業者にとって手間とコストを増加させるものになってしまう、こういったことが考えられます。
 他方、本法においては、指定法人が一つであったとしても、各自動車メーカー等にリサイクル料金を設定させることを通じまして、販売競争の中で料金の低減化が図られること、また、自動車メーカー等が引き取りましたシュレッダーダスト等のリサイクルを行うに際しまして、みずから行うあるいは他の効率的な事業者に委託する等によりましてコストの引き下げに努めること、こういったインセンティブが働くことによりましてコストの低減は十分に図られる、そういう意味で一つ、こういうことにいたした次第でございます。
西川(太)委員 わかりました。
 次に、この自動車リサイクルを機能させるために、先ほどはシステムも大事である、それからプレーヤーが大事である、こういうお話をいたしましたが、メーカーでありますとか解体業者でありますとかにつきましては、この法律でかかわり方というものは理解できるわけでありますが、もう一つ、極めて大勢おられますユーザーのかかわり方というのは極めて大事だと思うのでございますが、このユーザーのかかわり方についてどんな仕組みを考えておられるのか、伺いたいと思います。
大島副大臣 先生の御趣旨には全く私も同感でございます。
 そこで、お答えを申し上げますけれども、まず、この法案におきましては、第五条で、ユーザーの責務といたしまして、自動車購入に当たりリサイクルに配慮されたものを選ぶこと等により、自動車のリサイクルを促進するよう努めねばならないというふうに定めているわけでございまして、具体的には、本法案におきましては、自動車ユーザーがリサイクル料金を原則新車購入時に預託をする、こういう制度になっているわけであります。
 自動車ユーザーは、自動車を購入しようとするときに、リサイクル料金の額や、あるいは自動車の設計、素材の選択においてリサイクルに配慮されているかどうか、そういった情報をもとに自動車を選ぶ、こういう形でリサイクル制度に積極的に参加をすることになるわけでございますから、まさに、ユーザーがこういった法案に対してかかわっていくという先生の御主張は極めて大事だと申し上げるのは、そこが根拠でございます。
 こうしたユーザーの行動こそが、自動車メーカーに対しまして、シュレッダーダストの発生量が少なくなるような設計・開発や、あるいはシュレッダーダストの効率的なリサイクル等に積極的に取り組むことを動機づけるものでございまして、社会効率性にすぐれた自動車のリサイクルを実現する原動力となるものだというふうに考えております。
西川(太)委員 ありがとうございました。
 次に、中古車の輸出にかかわる問題を伺うのでありますが、中古車輸出というのは、我が国自動車メーカーの競争力を示すものでございます。市場のグローバル化の中で、ある意味では当然のものであります。また、その際に、最終的に使用される方々にリサイクル料金を返還することについても、預託金という性格上理解できるものではありますけれども、適正に輸出された自動車の最終所有者へのリサイクル料金の返還とは、具体的にはどんな方法で確保されるのか、実施されるのか、お伺いをしたいと思います。
岡本政府参考人 あらかじめリサイクル料金をお預かりするということですので、中古で輸出されてリサイクルが不要という場合には返還をするということにしているわけでございますが、この返還の手続につきましては、請求により行うということにしておりまして、最終所有者に適正に返還が行われますように、請求に当たって提出を求める証拠書類については慎重に検討する必要があろうかと考えております。
 具体的には、今度の国会に提出されました道路運送車両法の一部改正法案によりまして、新たに輸出抹消登録が行われたことを証する書類、このほかに複数の証拠書類の提出を求めて、不適正な返還が行われないよう、そういった手続にしたいと考えております。
西川(太)委員 きょうは、環境省からもお見えをいただいております。現行の廃棄物処理法の基準では、言葉はあれでございますが、ごみも使用済自動車も同じ基準になっているわけですよね。
 そこで私は、一本の基準になっているけれども、使用済自動車の特性というのは、今も議論になっておりますとおり、これは有価物がそこから再使用できるわけですよね、再利用できるわけですね。これを特性に応じた別の基準に定めるということが合理的ではないかと私は考えております。
 自動車リサイクル法上の事業者の登録、許可があれば、廃棄物処理法上の許可を不要とする特例措置を講じていただいておりますけれども、今後、自動車リサイクル法における登録、許可の基準や、行為規範などの詳細を決定していく段階にあっては、こうした今の特例を入れてくださった思想を大事にしていただいて、環境事業者の意見もよく聞いていただくことが、この仕組みを生かしていく大切なものではないかと存じますが、環境省のお考えを伺いたいと思います。
飯島政府参考人 先生御指摘のとおり、本法案におきます登録の基準、許可の基準、あるいは再資源化等の行為の基準、これは使用済自動車のみに着目して、適正処理の確保とリサイクル促進のためにつくる基準でございまして、一般の廃棄物、生ごみも含めたような廃棄物全般の基準ではなく、使用済自動車に即したものであるべきだと思っております。
 このため、今後、登録、許可の基準や再資源化基準を設定するに当たりましては、引き続き関係事業者の方々から意見を聴取いたしますとともに、パブリックコメントの手続も行っていきたいと思っておりまして、関係事業者を含めました国民の方々の意見をよく聞いた上で進めてまいりたいというふうに思っております。
西川(太)委員 もう一問、電子マニフェスト制度についてお伺いしようと思っていたんですが、先ほど大村先生からもう十分なお尋ねがございましたので、私は、これを割愛させていただきたいと思っております。
 最後に、意見を申し上げて質問を終わりたいと思いますが、家電リサイクル法、そしてこの自動車リサイクル法などなど、経済産業省は、旧通産省からずっと循環型社会というものを基軸にして、環境と経済の両立というものをしっかり踏まえておられると私は思っております。
 これからも、こうした観点から、我が国は、今さら私が申し上げるまでもなく、日本独自で一〇〇%国民を満たすことができる資源は、石灰石と野菜、野菜も最近は外国からの輸入、米、あえて言えば。そんなものしかありません。石油などは、ちょっとライターで、今石油のライターなんというのは余りないけれども、使えばなくなっちゃうぐらい。こういう中で、これだけの経済をいろいろやってきた。
 今、私のインターネットに入ってきた情報によると、ムーディーズがまた日本の国債を二段階も下げた。こんなことに我々は甘んじているわけにいきません。もう一度、我が国の得意わざをみんなで復活して、みんなで心を合わせて、よい意味の豊かな経済大国日本の再生に、経済産業省、特に平沼大臣が中心になって頑張っていただきたい。
 そして、副大臣、大臣政務官も、特に大臣政務官は遠慮しないで、こういうときはどんどん答弁をするように、何のための副大臣、大臣政務官制度であるかということも、私は、特に松、下地両先生に頑張ってほしい。遠慮なく省議でも発言し、時には副大臣、大臣を感激させるぐらいの補佐をしていただいて、頑張っていただきたいとお願いをして、時間でございますので質問を終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 次回の経済産業委員会は、公報をもってお知らせすることといたします。
 なお、連合審査会は、来る六月四日午前九時より開会いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.