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第21号 平成14年6月7日(金曜日)

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平成十四年六月七日(金曜日)
    午前九時三十三分開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君
   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 達増 拓也君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      大村 秀章君    梶山 弘志君
      金子 恭之君    阪上 善秀君
      下地 幹郎君    根本  匠君
      林  義郎君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      茂木 敏充君    保岡 興治君
      山本 明彦君    生方 幸夫君
      川端 達夫君    北橋 健治君
      後藤  斎君    中山 義活君
      松原  仁君    松本  龍君
      山田 敏雅君    山村  健君
      江田 康幸君    福島  豊君
      土田 龍司君    樋高  剛君
      大森  猛君    塩川 鉄也君
      大島 令子君    西川太一郎君
      宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   経済産業副大臣      大島 慶久君
   環境副大臣        山下 栄一君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   経済産業大臣政務官    松 あきら君
   政府参考人
   (総務省大臣官房審議官) 小室 裕一君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局長
   )            岡本  巖君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月七日
 辞任         補欠選任
  保岡 興治君     金子 恭之君
  後藤 茂之君     後藤  斎君
  漆原 良夫君     江田 康幸君
  土田 龍司君     樋高  剛君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 恭之君     保岡 興治君
  後藤  斎君     後藤 茂之君
  江田 康幸君     漆原 良夫君
  樋高  剛君     土田 龍司君
    ―――――――――――――
六月六日
 石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案(内閣提出第九九号)
 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案(内閣提出第一〇〇号)
同月七日
 中小企業対策など国民本位の景気回復に関する請願(藤木洋子君紹介)(第三九八二号)
 同(穀田恵二君紹介)(第四一〇九号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第四一一〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 使用済自動車の再資源化等に関する法律案(内閣提出第八六号)
 石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案(内閣提出第九九号)
 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案(内閣提出第一〇〇号)


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     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、使用済自動車の再資源化等に関する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省製造産業局長岡本巖君、総務省大臣官房審議官小室裕一君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木康友君。
鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。
 この自動車リサイクル法も随分と議論をしてまいりました。この後、田中先生が全般にわたって御質問をされるということでございますので、私は、リサイクル費用とそれからシュレッダーダストの処理、この両点に中心を絞って御質問をさせていただきたいと思います。
 さて、前回のときも御質問させていただいたわけでありますが、今自動車関係諸税、これが大きく見直しが問われている時期だと私は思います。
 私の知り合いで税理士の知人がおるんですが、全国の税理士に講演をして回るような税務のプロでありますけれども、彼に先日、この自動車関係諸税について聞いてみました。そうしたら、これらは税理士の業務外の税目であるわけでありますが、税のプロですら簡単に説明できないような複雑な税制というのはやはり問題があるだろうということを彼も言っておりました。
 そうした状況の中で、これは地方税だけでも、自動車取得税、自動車税、軽油引取税、石油ガス税など、さまざまあるわけでありますが、こうした税金が全部で今九兆円あると言われている。こういうものを簡素あるいは軽減してほしいという要望は、業界からもあるいはユーザーからも大変に強いものになっております。
 そういう意味で、きょうは総務省からも来ていただいておりますので、まず地方税を所管する立場として、この点について御意見をお伺いしたいと思います。
小室政府参考人 お答え申し上げます。
 今お話がありました自動車関係諸税についてでございますけれども、まず取得段階で、自動車については、地方税として自動車取得税、それから保有段階でございますが、地方税として自動車税または軽自動車税、それと国税としての自動車重量税がございます。その次の走行段階でございますけれども、ガソリン車についていいますと、揮発油税と地方道路税、国税です。LPガス車については石油ガス税、国税でございます。ディーゼルについては、御案内のとおり、地方税として軽油引取税が設けられております。
 自動車関係諸税について、鈴木委員の方から、税目も多く複雑ではないかという御意見をいただきました。そういった御意見がございますことは私ども承知いたしております。ただ、これらそれぞれの税について、自動車の取得、保有あるいは走行、この各段階に着目して、それぞれ車種または燃料の種類に応じて、全体として適正な税負担を求めているというふうに私ども考えております。
鈴木(康)委員 今、審議官ですらメモを見ないとなかなかすべての税目を言えないくらい、私は、やはりこれはかなり複雑で、もう時代おくれになっているんじゃないかと思います。
 今御説明がありましたけれども、では、自動車取得税に限って御質問したいと思いますが、これはある意味で自動車をぜいたく品ととらえて課税をしているわけでありますね。先ほど申しました税理士も、これはもう時代錯誤、明らかにおかしいというふうに言っております。
 この取得税の課税標準というのは取得金額でございますけれども、この取得金額と例えば道路の修繕、道路の補修というものは直接関係ないわけでありまして、課税の妥当性に私は乏しいと思うんですね。当然地方道路の整備に財源が必要だということも、それは十分私も理解をしております。とするならば、もう明らかに課税としておかしくなったこの取得税を廃止をして、必要ならむしろ新たな税源を求めるべきであろうと思うんですけれども、いかがですか。
小室政府参考人 今、自動車取得税について、ぜいたく税的な意味合いから始まったのではないかという御指摘があったわけでございます。
 御案内のとおり、自動車取得税そのものについては、言ってみれば、自動車の取得に担税力を見出して課税しているわけでございます。昭和四十三年に創設されまして、委員のお話にもありましたように、今地方道路財源として大変重要な役割を果たしているものと私どもは考えております。
鈴木(康)委員 私、ちょっと質問に答えていただいていないように思うんですが、要は、当然地方道路財源として必要なものであるということは理解をいたします。ただ、明らかにそこにギャップがあるんですね、もう既に。奢侈品として取得のときに課税をする、それと道路の補修というものは直接関係ない。私は、これは見直すべき段階に来ているということを再度申し上げたいと思います。
 もう一つ、この自動車取得税についても、今グリーン化の流れの中で、例えば低公害車あるいは低燃費自動車などが軽減措置が講じられたわけですね。どういう経緯でこの取得税のグリーン化というものが導入をされたのか、また、その理論的根拠は何なのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
小室政府参考人 自動車取得税のグリーン化の関係でございます。
 まず一つは、電気自動車とかハイブリッド自動車などの低公害車については税率の大幅な軽減をいたしております。また、一定の低燃費車に対する課税標準の特例、御案内のとおり課税標準から三十万円を控除する、こういった特例措置が講じられております。
 これらを設けた理由ということでございますが、この特例措置については、地球温暖化対策、それと地球環境対策、この双方の面から、環境に優しい自動車を普及促進するため税制上の支援措置を講じている、こういう趣旨でございます。
鈴木(康)委員 要は、今の時代のこれは要請である。いわゆる環境に配慮をしてということで、そうした車については取得の際にも軽減措置を設けよう、そしてそれを促進させよう、こういうことであろうと思います。
 今度は環境省さんの方にお伺いをしたいと思いますが、これは経済産業省がいいかな。
 自動車リサイクル法制定の今回の根拠の一つであり、またその期待される効果として、自動車の不法投棄を削減するということがあると思いますけれども、そういう認識でよいかどうか、その点、確認をしたいと思います。
岡本政府参考人 本法案の目的は、資源の有効利用の促進ということと、それからもう一つ、今おっしゃいました不法投棄の防止ということも目的の一つとしてにらんだものでございます。
鈴木(康)委員 不法投棄の対策ということが、その期待される効果あるいはその根拠としてあるということでございます。
 とするならば、今現在、不法投棄があった場合、これは一体だれが責任を持って、そしてどういった形で処理をするのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
飯島政府参考人 使用済自動車などの産業廃棄物が不法投棄された場合でございますが、廃棄物処理法に基づいて、それが生活環境保全上支障のおそれがある場合には、都道府県知事がその実行行為者などに対しまして撤去等の原状回復措置を命ずることができます。その行為者がこの命令に従わない場合には罰則が適用される。
 まず第一義的には、不法投棄の行為者に対する命令になりますが、この措置命令の対象につきましては、これまでの廃棄物処理法の改正におきまして逐次対象の拡大がなされておりまして、行為者あるいは関与者だけではなく、平成十二年の改正法では、一定の要件のもとでの排出事業者、もともとの排出した事業者も命令の対象にできることとしております。
 また、これら行為者あるいは排出事業者が不明、または見つかっても資力が不足している場合には、都道府県知事は、行政代執行によりまして不法投棄車両を撤去できることとなっております。なお、その代執行終了後に行為者等が判明した場合には、それに要した費用をその後行為者に求償することもできます。
 また、市町村におきまして、よく路上の放置車両がございますが、これにつきましては、市町村が路上放棄車の処理を行う場合には、自動車メーカーなどの自主的取り組みで行われております路上放棄車処理協力会から費用の協力が行われておりまして、市町村の負担の軽減が図られているところでございます。
鈴木(康)委員 今御丁寧な御説明がありました。
 要は、最終的に、不法投棄をした、その原因をつくった者が見つからない場合、これは地方公共団体が責任を持って処理をするということで理解してよろしいでしょうか。お願いします。
飯島政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、最終的には、その地域の環境の保全に責任を持つ都道府県知事あるいは市町村長さんが最後の後片づけをするという立場になります。
鈴木(康)委員 いろいろ回りくどく聞いてまいりました。
 何でこういう質問をしたかということでございますけれども、私は、このリサイクル費用、以前、同僚議員であります鮫島議員も御質問させていただきましたように、これは新たなある種税金であるということの要素が強いとするならば、これはユーザーの負担増になってくるんですね。ただでさえ非常に自動車関係諸税が複雑で、またユーザーに課せられる負担が重いという中で、さらにこうしたリサイクル費用をユーザーに負担させるということを避けるために何らかの減免措置がとれないだろうかというのが私の一つの発想でございまして、結論からいえば、自動車取得税からリサイクル費用を控除するような制度をつくれないかということを考えました。
 幾つか根拠があるんですが、先ほどの税理士の方と話をしたわけでありますが、自動車の取得並びに保有の税のあり方として、今は、いわゆる奢侈、ぜいたく品であるということ及び道路の損傷の度合い、自動車が走れば道路が傷むからという理由で、この組み合わせでいわゆる税金がつくられているわけでありますが、そうではなくて、これからは、道路の補修ということはいいけれども、プラスやはり環境という観点の、この組み合わせになってくるべきではないかという意見をいただきました。
 先ほどの取得税についても、あるいは自動車税についても、グリーン化が進んでいるということを考えれば、当然そこに環境という要素が入り込んでいるということは議論をまたないところであると思うのですが、そうすれば、環境を守るために導入をされる今回のリサイクルシステムに徴収をされる費用については、取得税から控除をしても十分にそれは理論的な根拠となり得るのではないかというのが第一点。
 そして、先ほど御答弁でもありました不法投棄車両の処理を、これは地方公共団体が最終的にはやっているわけでありますね。そういうことを考えますと、今回の法律の大きな目的の一つは、不法投棄車両をなくしていくということでありますから、結果的にはこれは地方公共団体がメリットを得ることになると私は思います。
 そういう意味では、大きな意味で地域の環境あるいは日本全体の環境を守っていくことに今回の法律が大きく寄与をするということであろうと思うのですが、そういうことを考えますと、いわゆる地方税である自動車取得税からリサイクル費用を控除しても、これは十分に、地方公共団体に対するメリットを考えれば、これも一つの根拠となり得るのではないかというふうに思います。
 以上のような観点から、ユーザーの新たな負担をふやさないために、自動車取得税からこのリサイクル費用を控除する制度というものを十分創設するに足り得る理由となると私は思うのですが、この点について、大臣、それから総務省の方にお伺いをしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 委員御承知のように、リサイクル料金につきましては、自動車ユーザーが自動車を使用して便益を受けた後、廃車をするものであることから、自動車ユーザーに負担していただく、こういう考え方をとっておりまして、既に現状におきましても、自動車ユーザーは、廃車処分手数料として、使用済自動車を排出する際に相当程度の費用を負担しているケースも多々あります。今回の制度は、その負担水準を前倒ししたものと考えることも可能だ、このように思っております。
 こうした、自動車の排出者が負担するとの考え方に立脚したリサイクル料金の性格に照らしまして、本法案におけるこういう提案に至った背景がございます。
 委員御提案の案につきましては、つまるところ、自動車取得税の性格、さらには自動車諸税のあり方と深くかかわっております。そしてまた、環境の問題も御指摘になられました。したがいまして、私は、幅広い観点から今後議論をして、そういった精神も我々としては検討していかなければいけない、このように思っております。
小室政府参考人 今鈴木委員の方から、環境の観点あるいは不法投棄に対する地方財政、そういったことを踏まえて、リサイクル料金相当額の税額控除といった具体的な御提案をいただいたところであります。
 今、大臣の方からも御答弁申し上げたように、リサイクル制度は、自動車の所有者の費用負担でシステム構築を図って、リサイクル料金は自動車の所有者があまねく負担すべき、こういうふうな仕組み、観点だと承知いたしております。
 そうしますと、このような料金の性格から考えて、私が先ほど答弁申し上げたように、環境に優しい自動車の普及を促進するための低公害車に対する特例措置ということですが、これとは異なり、特定の場合に奨励的な税額を減額するという税額控除制度、そういったものを設けていくのはなかなか難しいのではないかなというふうに考えております。
鈴木(康)委員 いや、そう言われますけれども、私は、どこが今言われたのと違うのかとまだ納得いかないですね。
 それは、低公害車あるいは低燃費車をユーザーが率先をして選択し環境に配慮をしていこう、当然それに対して何らかのメリットを与えていこう、それがグリーン化の一つの趣旨であろうと思うんですが、とするならば、今回のこのリサイクル費用も、ユーザーが、今までは負担していなかったものを新たに負担して、いわゆるシュレッダーダストを出さない、あるいは不法投棄の車両を減らす、こういうことにつながる新たな制度に対して、ユーザーがいわゆる環境に対して負担をするということでありますから、十分に、同様にこれは控除対象にしてもおかしくはない、理屈としてはおかしくはないと私は思うんですが、どうでしょうか。もう一回お願いします。
小室政府参考人 鈴木委員から、重ねていろいろな観点から御議論いただいたわけですが、私どもが申し上げているのは、このリサイクル料金の仕組み自体、自動車の所有者があまねく御負担いただくというふうに理解しております。
 そうしますと、御提案ございました税額控除制度、これは、言ってみれば、特定の場合に奨励的に税額を減額していく、こういう仕組みですので、この税額控除制度をはめていくということは難しいのかな、こういう趣旨で申し上げました。
鈴木(康)委員 これはここでくどくどやっても始まらないと思いますが、一つの提案として、当然これは税調などとも議論しなきゃいけないことだろうと思いますので、一つの提案としてぜひ前向きに御検討いただきたいということを申し上げておきます。
 それでは、少しシュレッダーダストの方に移らせていただきたいと思います。
 今回、この法律の中に、実際にこの法律の実効性を上げていくという意味でつくられた要素として、全部再資源化、こういう考え方が一つ盛り込まれたというのは大きいと私は思うんですね。いわゆる解体自動車を電炉で溶融をして、これを鉄鋼材料として、いわゆるシュレッダーダストを出さない、こういう全部再資源化というものが一つの処理方法として認められたわけでありますが、この経緯とこの意義についてまず御質問したいと思います。
岡本政府参考人 シュレッダー工程を必要としないで、精緻な解体作業を前提として廃車がらを電炉に投入してマテリアルリサイクルを達成するという行為、これはシュレッダーダストを発生させない処理方法でございまして、主流ではないものの、使用済自動車のリサイクルの一形態である全部再資源化ということで私ども位置づけているところでございます。
 このため、自動車メーカー等が解体業者または破砕業者と連携してこうしたシュレッダーダストを発生させない方法による再資源化を行った場合についても、自動車メーカー等がシュレッダーダストに関するリサイクル料金の払い渡しを受けて、解体事業者に対し、通常より精緻な解体作業を行うことに要した費用を支払うことが可能となるように、この法案の中で全部再資源化を主務大臣が認定するという制度を設けたところでございます。
鈴木(康)委員 今御答弁をいただきました。いわゆるシュレッダーダストの処理費用を充てていいという、ここが非常に大きいと思うんですね。これによって、実は私は業界の皆さんからもお話を聞いているんですが、かなりこの全部再資源化という方向に向けていろいろなところが動き出していると。今局長は、これは主流ではないというふうにおっしゃられましたけれども、私は、これが今後かなり主流になってくる可能性が強いのではないかというふうに思っています。それについてはまた後ほど御質問したいと思いますが。
 今回の法律の最大の目的というのは、いわゆるシュレッダーダスト、特に埋め立てに回るものを減らすということにあろうと思うんですね。そうすると、そのためにはどうするか。まず一番いいのが、自動車のリサイクル率を上げることでありますが、これは御承知のとおり、二〇二〇年までに九五%という目標がございますが、当然、シュレッダーダストをこれで一〇〇%なくすことはできないわけですね。
 そうしますと、結局、シュレッダーダストをごみとして出さないためには、先ほどの、全部再資源化で鋼材として処理をするか、あるいはガス化溶融炉などでサーマル利用するか、燃やしてしまうということですね、こうしたどちらかに収束せざるを得ないというふうに思うわけでありますが、こうした認識でよろしいのかどうか、御答弁をお願いします。
古屋副大臣 お答えさせていただきます。
 シュレッダーダストをいかに少なくしていくか、そして使用済自動車全体のリサイクル率を向上させるためには、シュレッダーダストのサーマルリサイクル、あるいは今委員御指摘のありましたいわゆる全部再資源化、これも重要ではないか、こういう御指摘でございます。
 私どもといたしましては、まず、使用済自動車のリサイクルにつきましては、従来から解体事業者が行ってきておりまして、大体、マテリアルリサイクルによって八〇%がリサイクルを実現いたしております。ただ、とはいっても、そのシュレッダーダストは、こうしたマテリアルリサイクルを行ってもまだ生じるわけでございまして、現状は八〇%ですから、二〇%ということになりますね。
 ですから、委員御指摘のように、このシュレッダーダストのリサイクルを行って埋め立て量を極小化するためには、マテリアルリサイクルを優先はさせる、しかし一方では、技術開発の動向というものもございますので、そういったものをしっかり見きわめた上で、サーマルリサイクルの方法についても適切に組み入れていく必要があるというふうに私ども考えております。
 また、そもそもシュレッダーダストを発生させないような処理を行うということも重要でございまして、そういった視点から、今委員からも御指摘のありました全部再資源化の方法につきましても、主務大臣の認定制度を設け、これを促進することも一方では大切ではないか、こんなふうに考えている次第でございます。
鈴木(康)委員 今副大臣から御答弁をいただきましたが、まさにおっしゃられるように、ある意味で全部再資源化というのは、鋼材として、シュレッダーダストをそれに変えていくわけですからマテリアルのリサイクルである。そしてもう一つは、ガス化溶融炉などでサーマル利用を行っていく、そういう方向に行くんだろうと思うんですね。
 実は、この流れの中で、ひとつコストというものを考えてみますと、このガス化溶融炉というのは新しい技術として非常に期待をされているわけですが、業界の方に聞きますと、トン当たり大体三千万から五千万かかるということなんですね。例えば、仮に百トンの処理プラントをつくれば、それだけでも最低三十億かかるわけでして、さらに大きなプラントをつくるということになると、住民対策費等々も入ってくる、手間もかかるということになると、なかなかこれは新たに、今回の法律ができたからといって、多額の投資をしてこうしたガス化溶融炉がぼこぼことできるとは考えにくいわけですね。
 逆に、いわゆる全部再資源化ということを考えていきますと、がらをプレスする、このAプレスというのは大体五億ぐらいの投資額で済むということでありますから、やはり趨勢的には、全部再資源化ということにかなり業界が向かっていくのではないか、特に、力を持っているところについてはそういう方向で進むのではないかと思うんですね。現に、電炉メーカーなどにかなり今問い合わせがふえているということも聞きますけれども、こういう業界の状況についてどう御認識をされているかという点を再度お伺いしたいと思います。
岡本政府参考人 委員御指摘のように、全部再資源化は、既存の電炉会社なんかと連携して行われるものでございまして、新たにガス化溶融炉を建設することに比較すれば、建設費等のイニシアルコストの面で優位にあるということは御指摘のとおりかと思います。全部再資源化の場合に、プレッサーのほかに、多分、解体ラインをもう少ししっかりとしたものにするという、そっちの設備投資も必要になってこようかと思いますけれども、いずれにしても、イニシアルコストで差があることは事実かと思います。
 他方で、現在、電炉会社が受け入れているプレスした廃車がらの量というのはおおむね十万トン程度でございまして、使用済自動車に換算いたしますと、十数万台という程度にとどまっております。精緻な解体工程で解体を行ってもなお廃車がらに銅分あるいは一部塩ビ樹脂分、そういったものの不純物が含有するというところがどうしても避けられないものですから、したがって、電炉会社が受け入れられる量というのには、現状でも本当に数%ということでおのずから限界がございます。
 したがいまして、依然として廃車がら処理の大宗は、シュレッダー事業者による破砕処理によってなされることになろうかと考えております。そういう意味におきまして、私ども、全部再資源化が主流になるということはないのではなかろうかというふうに認識をいたしているところでございます。
鈴木(康)委員 局長が、全部再資源化は主流にはならないのではないかということでございますが、例えば地域的に見ても、関東は比較的破砕業者が多い、逆に言えば、関西は非常に破砕業者が少ないので、むしろ関西方面というか西の方は、このAプレスによる全部再資源化に向けて今ぐっと動き出しているということも聞いております。
 ですから、私は、全部再資源化がいけないと言っているわけじゃないんですよ。むしろ私はこれを進めるべきだと思うのですね、いわゆるマテリアルリサイクルということでございますので。
 ただ、これはいわゆる鋼材として使用されるわけですから、鋼材の市況も絡んできますし、全部これが電炉で鋼材になってもそれだけ国内で需要があるか、こういう問題も出てくるでしょう。そうしますと、当然これは、中国あるいは東南アジアへ今でもプレスしたものが輸出をされているわけですが、こういう輸出もこれからふえていくということになります。
 ですから私は、こういう流れの中で現場で起こっていることをきちっと押さえられて、例えば今度輸出がふえていきますと、当然そこにいろいろなものが入ってくる。いい業者さんばかりではないわけですから、そういうチェック体制がちゃんとできるのかとか、今度いろいろな現場での問題が出てくるのだろうと思うのですね。そういうことに対してちゃんと把握をされて、少し先を読んでいろいろな手を打っておられるのか、この点について懸念をしているわけでございまして、ちょっとその点、御答弁いただければと思います。
岡本政府参考人 電炉メーカーにとっては、いわゆるスクラップに比べて、Aプレスという、廃車がらをプレスしたものというのは、コストの面で安いというところではそこは魅力なんですけれども、他方で、できる製品の品質という面をどうしてもこれは電炉メーカーとしては重視せざるを得ませんので、その面から見ました場合に、現在のところ、投入量の一、二%どまりというところが今の実態でございまして、それぐらいであれば何とか電炉として使える、そういう状況にはあるのですけれども、そういう意味におきまして、先ほど申しましたように、電炉サイドでどんどん何ぼでも引き受けられる、そういう状況にはないということを電炉サイドからも伺っているところです。
 私ども、全部再資源化の制度を設けて、それはマテリアルということで、その限りでは大変意義を有するものと思いますが、実態的に主流になるところまでいくかというと、今申しましたような難しさがあるものと認識をいたしております。
鈴木(康)委員 質疑時間が終了いたしましたので、最後に、今、全部再資源化の方向性についての御認識を御答弁いただいたわけですが、例えば、当然国内の電炉では限界がある、それも私も聞いていますし、あるいはそこで出てくる鋼材、当然それは品質的に問題があるものということもあります。ですから、それが大きな市場になるかどうかわかりません。そうした中で、一方で、例えば商社なんかが既に、ではそのプレスしたものを海外向けに輸出をしよう、実はこういうビジネスの可能性を探り始めているというような状況もございます。
 いずれにしましても、これは全く新しい試みでありまして、ある意味で、細かな現場の部分まで行きますと、やはりかなり複雑で大がかりだと思うんですね。ですから、机上の組み立てだけでやっていきますと思わぬつまずきというものもあると思いますので、これは十分に現場の声を聞いていただき、その状況も把握をしていただきまして、見直すべき点は早目に見直すということで、世界に誇れるジャパン・モデルをつくるという意気込みのもとに進めているわけですから、そういう方向でぜひお取り組みをいただきたいということを申し上げまして、質問を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。
谷畑委員長 田中慶秋君。
田中(慶)委員 私は、民主党の立場から、この使用済自動車の再資源化等についての質問をさせていただきます。
 副大臣、最初に、この五条の問題があるわけですけれども、ここに、「自動車の所有者は、自動車をなるべく長期間使用することにより、自動車が使用済自動車となることを抑制するよう努める」こと等々がうたってあるわけでありますけれども、こういう一連のことを本法にうたうということ自体、私は、この自動車リサイクル法は基本的におかしいのではないかなと。
 特に、次の問題として、「自動車の購入に当たってその再資源化等の実施に配慮して製造された自動車を選択すること、」とか、こういうことをうたっているわけでありますけれども、こういう一連のことというのは、それぞれ皆さん個人差がありますし、恐らくこの精神というのは、容器リサイクル法とか家電リサイクル法等の中の問題を引用されていると思いますけれども、自動車の場合、単価一つ考えても百万とか二百万、高いものでは五、六百万、一千万というもので、利用するに当たってできるだけ長く利用することなんというのを法律で書くこと自体、私は基本的におかしいんだろうと思っているんです。
 法律なんというのは、極端なことを言えば、ない方がいいわけでありますし、そんなことを含めて、まず、こういうことを考えて行うというのは、ある面では官の発想だからこういうことに出てくる、こう私は思っているんですけれども、その辺はどうですか。
古屋副大臣 大臣は参議院本会議に出席中でございますので、かわりましてお答えさせていただきます。
 本法案第五条の所有者の責務規定についてのお尋ねでございますけれども、この法案は、自動車の所有者を含むそれぞれの関係者に一定の役割を果たしていただくということにより循環型社会の形成を推進していこう、こういう基本的な考えに基づきましてつくられている、お願いしている法案でございまして、いわばユーザー参加型という考え方でございます。
 御指摘の自動車の所有者の責務規定につきましては、自動車の所有者は、自動車の排出抑制に寄与できるほか、自動車メーカー等のリサイクルに向けた取り組みを促し得る重要な役割を担う者である、こういう認識のもとで、過大な負担をかけない形で責務規定として規定をさせていただいた次第でございまして、いわゆる循環型社会基本法を初めとするほかのリサイクル法制にも合致するものであるというふうに考えております。
 したがいまして、自動車リサイクル法に自動車の所有者の責務規定というのを設けることは、循環型社会形成に必要な要素であると考えますけれども、一方、御指摘のように、いろいろと取り組みというものを、単に法律で規制させるだけではなくて、やはり社会全体にそういう精神を植えつける、こういうことも私どもは重要じゃないかなというふうに思っております。すなわち、委員御指摘のように、ただ法律で強制するのではなくて、そういう社会全体の空気を醸成していく、こういうことも大切だと思っております。
 こういった視点から、例えば自動車メーカーに対しましては、リサイクル料金の設定と公表及びリサイクル実施状況の公表を義務づける、これが一点。二点目に、関連事業者間の使用済自動車の引き取りまたは引き渡しの状況についても、情報管理センターがその報告を受けて主務大臣が毎年公表するという制度をとっている。あるいは三番目には、指定法人についても、透明性あるいは公開性を高めるためのいろいろな手段を講じている、こういうことで、社会全体がリサイクルに向けて、そしてまた長期保有に向けての環境づくりというものに対応できるように考えております。
 政府としては、委員の御指摘というものを十分に念頭に置きながら、リサイクルの精神に基づいて今後引き続き努めてまいりたいと思っております。
田中(慶)委員 私は、このような発想で法の組み立てをすること自体、問題があると思うんです。むしろやらなければいけないのは、社会全体として、皆さんも今日の社会をどう見ているのかよくわかりませんけれども、使い捨ての社会であるとか、こういう時代であろう。ですから、この法律でこういうことを問題化するよりは、社会全体として、教育やあらゆることを含めてさせることが必要であって、だれしもが百万も二百万もする車を大切に長く乗ろうとすることは当たり前のことで、そのことを法律でうたうなんということ自体が役所仕事にすぎない、私は少なくともこういうふうに言わざるを得ないと思うんです。
 ですから、むしろこういうところに法文で、法律というものは先ほど申し上げたようにない方がいいわけですから、社会全体として、循環型社会をつくるんだ、その精神を教育の中に入れていくとか、その精神を社会全体のシステムとして取り入れるんだったらともかくも、長く使いなさいとか、リサイクルの部品を使った車、使える車を新車選択のときにそのことを考慮に入れなさいなんということ自体、僕は法律に書くべき精神の問題じゃない、このように思いますけれども、大臣、お帰りなさい、どうですか。
平沼国務大臣 二十一世紀は、いかに地球を守っていくか、こういう観点ですから、今おっしゃったように、国民の皆様方がそういうことをひとしく理解をする、こういうことは大切でございまして、私どもは、教育面でございますとか広報面、そういったことを充実することはもとよりだと思っております。
 そういうことで、法文の中に今おっしゃったような二点を加えるということは蛇足にすぎないんだ、こういうことでございますけれども、やはりそういう全体を国民の皆様方にも御理解をいただきたい、こういう気持ちが込められておりまして、私は、御指摘の、一般的に広報をし、そして皆様方に御理解をいただく、このことは最重要なことだと思っておりますので、そのこともこれから一生懸命やらせていただかなければならないと思っております。
田中(慶)委員 このことだけで時間をとるわけにはまいりませんが、自分の趣味を、車を買うのは、大体どういう車を買うとかいろいろなことを含めて趣味もあるわけだし、大切な、五百万も六百万もする車は長く丁寧に使うんですよ。今、若い人たちは、はっきり申し上げて、家も持てない、極端なことを言えば、ほかの多くの興味も持てない、せめて自動車ぐらいというときに、その趣味も抑制するようなことを法文の中に書くこと自体、やはり物の発想の中に官主導という発想があるからなんです。むしろ喚起をして民主導という形のものをつくり上げていかないと、幾ら笛吹けども踊らぬ、こういう時代ですよ。ですから、やはり法律をつくる段階でそのことを十分考慮に入れなきゃいかぬだろうと私は思っているんです。そのことをよくこれからも検討していってください、あなたは将来性のある人なんですから。
 それで、大臣にお聞きしたいんですが、こんなことを聞くと大変失礼なんですが、あなたは、自動車諸税というものは幾つぐらいあると思いますか。
平沼国務大臣 消費税を入れますと十種類ある、こういうふうに認識しております。
田中(慶)委員 さらに、今度のリサイクルのこれはある面では新しい税金だよね、はっきり申し上げて。すべての人たちに、あまねく自動車所有者にかかるわけですから。そうすると、名前を変えた税金だと私は思っているわけですから、やはりトータルとしてこれは考えていかないと、先ほども議論されておりますけれども、取る方の立場と払う方の立場は同じなんですから、やはり払う方の立場を考慮してこの枠組みというものを考えていかないといけないんだろう、私はこのように思うんですよ。
 ですから、大臣、こういうことを含めて、せっかく自動車リサイクルという循環型社会をつくるに当たって、それが、すべての人に定着をし、かつまた、これについて守られるような形をとるためにも、法体系というのは、全体として一つの税としてのとらえ方を考えていくときに、後ほど申し上げますけれども、リサイクルの費用というものをそういう前提で考えていくと、今ひとり歩きしているんですよ、そうでしょう。一万五千円なのか二万円なのか三万円なのかわかりませんけれども、皆さんがおよそ二万円だと言う、こんな形でひとり歩きをする。こういうこと自体もこの法の精神からするとおかしい。
 例えば、今回の問題でも、電子マニフェストによってソフトをつくっていく。この前、ソフトの段階でもここで議論になりましたけれども、国土交通省の方から約六千九百万ほど出してもらい、あるいは経済産業省の方で五百万を出していただいて、どういうソフトができたんですか。そのソフトの基本的な考え方だってここで述べられないんでしょう。
 結果として、こういうソフトができ上がりました、それによって処理台数はこれだけです、ですから経費はこれだけかかりますということが明示できなければいけないものが、いまだに数%みたいな形で明示ができていない。ですから、この約八千万、七千五百万というお金はどこに使われたのかさっぱりわからない、水泡に帰したようなものじゃないんでしょうか。どうでしょうか。
平沼国務大臣 電子マニフェストのシステム開発に関するお尋ねですけれども、御指摘のとおり、自動車リサイクル促進センターにおいて、平成十二年度に二種類の電子情報システム関係の検討を実施しております。このうち、国土交通省による使用済自動車電子マニフェストの実証研究モデル事業の中では実証実験用のソフト開発を行っておりますが、これは現行の廃棄物処理法を前提としたものでございます。また、当省の自動車リサイクル情報システム調査事業はソフト開発を伴わないものでございまして、電子化の要素分析を行った、こういうことになっております。
 よって、いずれも本法案に対応した電子情報システムに直接活用可能なシステム開発が行われたものではございません。さらに、新たな自動車リサイクルシステムに対応した電子情報システムのイメージが平成十三年度において議論される前に行われた検討でもございます。
 我々としては、これらの検討を通じまして、電子化の際の考慮要素の分析を深めることができた、こういう効果があったと思っています。これらの検討結果は、平成十三年十月に、新たな自動車リサイクルシステムにおける電子化を原則としたマニフェスト制度を産業構造審議会において検討する際の前提として活用させていただいた、こういうことでございます。
田中(慶)委員 いずれも、約七千万台の車をこれからどう処理するかというソフトをつくる段階で、私は、やはりもう少し国土交通省と経済産業省が情報交換をして、しっかりとしたソフトの開発をすべきであろうと思うんですよ。これが、お互いにキャッチボールの中で行くからこういうソフトになってしまう。ある面では、この七千五百万という金は、私からすれば、有効に使われていない。せっかくそれだけのお金を使っても、またもう一度仕切り直しなんですから。新しいソフトをつくっていかなければいけない。
 ということは、現場を知らないからそうなっちゃうんですよ。大臣初め、皆さん、リサイクルの現場を何人見ていますか。局長だって、下手すると見ていないんじゃないですか。要するに、現場を見ていけば、どういう形で伝票が流れて、そうしてどういう伝票をつくっていくかということがわかる。管理伝票なんですから。ですから、少なくとも机上のプランにすぎなくなってくるわけです。そういうことを含めて、恐らく皆さん、ここに大臣、副大臣、政務官いますけれども、現場に行った人は、せいぜい私の知っている範囲内で一人ですよ。
 こういう中で、これから一兆四千億と言われるような財源も含めて議論をするときに、現場を見ないでペーパーでいろいろなことをやること自体、問題点が生ずるんですよ。今度のような管理伝票を、せっかく一生懸命これから新しいソフトをつくるとき、七千五百万というお金ですよ、それをパアにするんですから。
 恐らくこの伝票を、ずっとシステムを全部追っていくと、それこそ七十億、百億近いソフトになっていくんだろうと私は思って見ていたんですけれども、この前の質疑の中で、この問題が明確になっていない。結果として、管理費が数%だと。こんな、これだけの大きな問題を提言するのに、管理費数%だ、数%だとしか言えない根拠自体が私は間違っていると思います。どうですか。
平沼国務大臣 情報管理センターにおける情報管理業務に要する費用に関するお尋ねでございますけれども、今後、申請を受けて指定をする法人がどのような業務体制を構築してこれに臨むかに大きくかかわっているものだと思っております。現時点では、そういう観点から確定的なことは申し上げられない、こういうふうに言わざるを得ません。
 例えば、業務を行っていく上で、非常に大きな電子情報システムが必要となるわけでありますけれども、それをどの程度高度なものとするか。例えば、外部からのセキュリティー対策、利用者の利便性向上対策等をどの程度講ずるか、それによりまして、そのメンテナンスに必要な費用も大きく変わってくると思っております。
 なお、御指摘の平成十二年度に実施した事業は、本法案に対応した電子情報システムに直接活用可能なシステムの開発を行ったわけではございません。現時点において、ランニングコストの算出の前提となる電子情報システムの全貌がつまびらかでないことは、先ほどの御答弁でも申し上げたとおりであります。
 当省といたしましては、電算システムによる省力化やアウトソーシングの積極的活用等によりコストの最小化を促すことといたしておりまして、あえて申し上げますと、御指摘がございました、一台当たり二万円とした場合には、本当に御指摘のとおり、まだあいまいですけれども、数%程度のコストにとどまるのではないか、こういうふうに今考えているところでございまして、御指摘の点は、非常にある意味では正鵠を射ている御指摘だと思っております。
 そしてさらに御指摘がございました、これから効率のよいシステムを構築していくに当たっては、国土交通省そして我が省と密接な連携のもとに行っていかなければならない、私どもはこのように思っております。
田中(慶)委員 これから具体的に行政指導をする所管庁として、構想もあらゆるものもまとまらないで、このシステムのオーダーもできないでしょうし、あるいは、監督官庁としての方向性も私は明示できないんだろうと思います。
 ですから、どういうソフト開発をどういう形でどうしていくかということを、一つの想定をしながらやっていかなければいけないわけですけれども、結果としてそれは料金に加算されていくものですから、例えば三%内に抑えるための努力をするとか五%内に抑えるための努力をするとか、目標を持ってしなければ、今のような形でいくと、何%、それこそ一〇%になるかもわからないんですよ。ですから、目標値というものは最低限定めながら、そのためにするとどういうソフト開発になるのか、どのぐらいの機種になっていくのか、こういう形になっていくんじゃないでしょうか。
 今皆さん方が考えているのは、最初、頭の方だけを決めていくから結果的に数%、こういうことになっていくと思いますよ。物の道理というのは、積み重ねていかないといけない。結果的に、機種が若干違うにしても、どれだけ大きいコンピューターを導入しなければいけないか、最終的には、約七千万台というものが明確になっているわけですから。
 そういうことですから、やはりこういうやり方そのものは、私は、ある面では、法案をつくる段階でもう少し練っていかないといけないことじゃないかな。何でもかんでも、この法律をつくって、こういう形の法律だから、あとは全部任せますということではよくないんじゃないかな。それではお金をいただく側とすれば無責任なやり方だと思いますよ。どうですか。
平沼国務大臣 先ほどの御答弁でも申し上げましたけれども、やはりこれからいかに効率よくやるか、そういうことでいろいろな手法が考えられると思います。その中で、例えばこれからアウトソーシングで外に出して、もちろん安全、秘密、そういうことは担保しなければいけません。そういったファクターもいろいろあるわけであります。そういう中で積み上げるという形は、それは我々もこれからの作業でしていかなければいかぬと思っています。
 しかし、平成十二年度に実施して、国土交通省が六千九百万、当省が四百万を投じてやった。これは、今回目指しているシステムには直接かかわりはありませんけれども、しかし、その第一段階としてのいろいろな予見、知見、そして、そういう実績的なものも得られているわけでありますから、そのあれをむだにすることなく、その上にしっかりとしたシステムを構築していく。
 田中先生御指摘の、そういったいわゆる目標値を設定して、その中でいかに効率よくやるか、そういう手法は、我々としても銘記をしてやっていかなければいけない、こう思っています。
田中(慶)委員 とかく、法律はつくるんですけれども、あとはユーザーであるとかメーカーの責任であるとか、そういう形のことが非常に多いんですよね。ですから、結果として、新しい税金という発想でいくならば、私は、そういうところのきめの細かいことも当然必要であろうと思いますから、ぜひそういうことに心しておいていただきたいと思います。
 そこで、次の質問に移らせていただきますが、今回のリサイクルの中では、フロンやエアバッグあるいはシュレッダーダストという三品目になっているわけですけれども、俗に後づけ部品と言われるタイヤ、バッテリーの問題等々を含めて、今まで、地球温暖化やあるいはまた地球の環境問題、それについて経済産業省として、新エネの問題やら、あるいはエネルギー基本法の議論の過程の中でも、CO2をいかに減らすかということの議論をしてきたと思うんです。
 ところが今回、今度のタイヤの問題はこのリサイクルに入っていない。しかし、その理想となるべきものが、タイヤの場合だって、今、全体の六割が熱処理用として燃やしているんですよ。一方においてはCO2を減らすんだと言っておきながら、一方においてはタイヤの大体六〇%の処理は熱処理ですよ。要するに、燃やしているんですよ。
 こういうことを含めて、経済産業省として、片方のエネルギー問題をやるときには、それについてCO2を減らす、こちらの方については平気で、言葉は悪いですけれども、ある面では垂れ流しみたいなことをするということ自体やはり問題があるだろう。
 そういう点で、このリサイクルの中に、後づけでありますタイヤの問題も担保しなければいけない。フロンと同じような別建ての法律であっても、やはり担保しておかないと、あくまでも、日本全体の取り組みの中でのエネルギーの問題とリンクして考えると、この問題というのは、これはみんなセクショナリズムになっているからタイヤのリサイクルに連動していないんですよ。
 ですからこれは、少なくとも別建てでもいいからそういう問題もちゃんとしておかないと、経済産業省として日本の全体を考えるならば、法律がちぐはぐではないかなと私は思っているんです。どうですか。
平沼国務大臣 タイヤでございますとか、あるいはバッテリーもその中に入るのではないかと思っております。そういう中で、自動車メーカーが引き取る特定再資源化等物品の範囲にタイヤをしっかり入れて追加すべきではないか、こういう御指摘でございます。
 これはもう田中先生が、私から申し上げるまでもなくよく御承知のことだと思うんですけれども、従来から関係業界、関連事業者における自主的な取り組みによりまして、リサイクルというのはおおむね円滑に行われているところでございます。例えばタイヤの場合は約九割、そして、バッテリーのことは直接にはお聞きにならなかったのですけれども、その大部分がリサイクル過程よりもむしろ整備過程において発生をしておりますことから、本法案のスキームとは必ずしも整合的ではない、そういう理由から、現時点におきましては、自動車メーカーが引き取るべき特定再資源化等物品とはしないことにいたしております。
 それから、熱利用のことについて御指摘がございました。
 廃タイヤの熱利用に関しましては、石炭や重油など他の熱源の代替として利用しているところでございまして、追加的なCO2を発生しないという点において温暖化対策に資するものだ、私どもはこういう認識をしておりまして、そういう意味で、全体の循環型社会をつくるということに関しては、やり過ぎてもやり過ぎではない、こういう認識を持って今後いろいろな面で私どもは対応していくべきだと思っておりますけれども、今の段階では、廃タイヤの熱利用については、石炭やあるいは重油などの代替の熱源としてやっておりますから、そういう意味では、やる場合には同じこと、燃やすわけですから、追加的なCO2を発生しない、そういう考え方でやっています。
 しかし、全体を減らすということは、今後我々としては真剣に取り組んでいかなければならない、そういうふうに思っているところでございます。
田中(慶)委員 タイヤから熱利用という形でやる場合においては、CO2そのものが、石炭よりは少ないわけですけれども、ほかの太陽光やあるいは原子力、そういうところからすると多いんですよ。ですから、逆に、京都議定書に調印をする、それで、原子力発電も十年で十三基はつくれない、ほかの火力発電所も、十年もかかるんですからなかなか無理である。にもかかわらず、こういうところがリンクをしていないで、これは約六割が熱処理、燃やしているんですから、そういうことも含めて、やはり一つの国の政策を打ち出すときには、そこまで配慮しない、みんなこれはセクショナリズムになっているからこういうことが出てくるんですよ。
 タイヤだって、年間大体一億七百万本、これだけのタイヤが使用されているんですよ。野積みだけで六百万ですよ。これだけのものがいろいろな形のリサイクルの中で出てくるわけですから、あなたは一〇〇%近くということですけれども、今、これは約六百万本が野積みされておるんですよ。
 こういうことを含めて、一連の今のエネルギー問題、一方においては六百万本の、極端なことを言えば野積みされている産廃の不法投棄ですよね、これについては、環境省からきょう飯島さんが来ていると思いますけれども、これは環境省だ。しかしこれは、附則を全部見たって、免許取り消しとかそういうことは書いてありますけれども、罰則で幾ら罰金を払うということについては書いてないですよね。こういうことを含めて、一つの法律をつくるときに、セクショナリズムにならないで、そういうところも全部組み立ててつくるべきものではないか、私はこう思うんですよ。
 バッテリーだってそうですよ。例えば今度のリサイクル費用は、一方においては外建てにして別に預託をするわけですけれども、そのときに、何で内部にしちゃいけないかというと、それは、倒産する可能性があるとかいろいろなことを述べられましたよね。では、今度はバッテリーはどうだ。バッテリーは一〇〇%処理できます、メーカーもちゃんとしています、だからこれは別建てでいいんだと。おかしいでしょう。バッテリー製造メーカーだって企業ですから、いつ倒産するかわからないんですよ。
 片方の、全体の枠組みのときには、倒産する可能性があるからこれは別にリサイクル料金を外枠で、バッテリーの場合は、極端なことを言えば、一〇〇%処理が済んでおるし、これはこの法律に関係なく別建てで、こういうことでありますけれども、バッテリーだって同じですよ。そんなことを考えて、これは、法律の理論性からすると、このバッテリーをつくっておるメーカーが倒産しないという保証は絶対ないわけですよ。そうでしょう。
 だから、そんなことを考えてくると、これだって、九九・九%の回収をされているバッテリー、しかし、今まで鉛の土壌汚染や人体汚染ということも出てきているわけですから、そうすると、これも、少なくとも後づけ部品の中でありますけれども、やはり別途の法律で何か担保をしておく必要があるだろう、このように思っているんですよ。大臣、どう思いますか。
平沼国務大臣 タイヤ、バッテリーに関しては先ほど御答弁をさせていただきました。
 そういう中で、発生というものが、例えばタイヤの場合は、先ほど申し上げましたように、九〇%以上のものがもう既にシステムができておりまして、その中で処理される。バッテリーの場合には、これはほぼ一〇〇%、そういう形になっています。倒産ということも御指摘になられましたけれども、確かにそういうケースもありますけれども、我々の判断としては、そういった場合にも今のシステムの中でちゃんと吸収される、そういうふうに思っているわけです。
 しかし、先ほども答弁させていただきましたけれども、やはり大きな前提としては、循環型社会で地球環境を守っていく、こういうことであれば、今タイヤを燃やしてCO2を出している、しかし、現時点でも、それを重油や石炭で燃やしている分に充てている、こういうことですけれども、しかし全体的に、これから新しいエネルギー等を一生懸命研究開発をして、そういった新エネルギーの力をかりて地球に優しい、そういったものに全体的には置換をしていく、そういう根本姿勢が大切だと私は思っております。
 現時点では、バッテリー、タイヤに関しては、そういう御指摘の点、それはあると思いますけれども、現時点の判断では、そういう一つの構築されたシステムの中で回っていく、そういうことで御提案をさせていただき、大きな面では、御指摘のことは私はそのとおりだと思いますから、そういう面で私どもは前向きに検討していかなければならない、このように思っています。
田中(慶)委員 自動車というのは、それぞれいろいろな後づけ部品もついてちゃんとなっていくわけですから、リサイクルという前提で、後づけ部品等々を含めて、やはり今後はしっかりと対応していかないと片手落ちになってしまう。リサイクルあるいは循環型精神にと言っていながらそういうものが放置される、こういうことになるわけですから、余りこだわらずに、しっかりとしないと。
 だから、現場を見ていかないとだめですよと僕が言っているのは、そういうことよ。具体的に処理現場を見ていけば、ああ、なるほどなと。ペーパーだからそういう今のような大臣の答弁になっちゃう。やはり大臣、現場を見ていくと私の質問というのは理解できると思いますよ。ですから、そういうことを含めて、やはり現場というのは大切なんですよ。
 このことばかりやっておるわけにまいりませんけれども、いずれにしても、後づけ部品と言われる問題は、しっかりちゃんと対応していかないと、自動車リサイクル全体としての取り組みの中でまま子扱いみたいになりますから、ぜひそんなことのないようにしてほしい。
 それで次に、リサイクル費用について、ここの中でも何回となく議論されてまいりました。それで、大臣、どう思うんですか。このリサイクル費用というものは、あなたも私も、下手するともう何か決まっているように勘違いしているんじゃないでしょうか。二万円なら二万円かかるという、その根底というものはまだ積算されていないように思いますけれども、どうでしょう。
平沼国務大臣 これは、この法案を御提案したときから、何回にもわたってそういう御質問があり、その辺のことについては答弁をさせていただいているところであります。
 御指摘のように、二万円というのは一つの目安でございまして、これは実際に、例えば車種によっても違いますし、エアバッグを装着している車、あるいは今後、別のフロンに代替するものを使ったもの、そういうことでその費用も変わってまいりますので、あくまでも目安であります。
 ですから、私どもは、これから、メーカーあるいは関係者がそういうコスト意識を持って、そしてユーザーに過度な負担が起きない、やはりそういう基本精神でやっていかなければいけない、このように思っています。
田中(慶)委員 そこで、大臣にお伺いしますけれども、大臣がそのようなお考えであるならば、今度の法律の中で、やはりちゃんと今のようなことを担保しておく必要があると思うんです。
 ということは、自動車メーカーにおいてこのリサイクルに実際要した費用というものがやはり自動車のユーザーに対して公表されるべきだ、このことはここでも議論されたと思うんですけれども、私は、やはりそのことを明確にさせる必要があると思うんです。
 今大臣が言っているように、あるメーカーごとに、車種ごとに、競争の原理じゃないですけれども、そういうことも含めてちゃんと担保させることが絶対必要だろう、このことは本来ならば法律に明確にさせるぐらいの問題ではないかな、私はこのように思っているんですけれども、大臣、どう思いますか。
平沼国務大臣 自動車メーカーがリサイクル実施に要した費用を公表すべき、こういう御指摘でございます。
 御指摘のとおり、使用済自動車のリサイクル費用と預託されたリサイクル料金との間に差額があるかどうかを判断するためには、自動車メーカー等において実際にリサイクルに要した費用が幾らかを明らかにする必要があると思っています。
 この点については、今田中先生も御指摘のように、これまでも御答弁申し上げたとおり、五月二十九日の当委員会での御議論を踏まえまして、公表の可能性について担当部局に検討をさせまして、環境省とも相談をさせておりましたが、今般、私の判断といたしまして、リサイクルの実施状況の公表の一環で、資金管理法人から払い渡された資金と実際にリサイクルに要した費用の状況の双方について、自動車メーカー等に毎年度公表をさせる方向で省令において規定することといたしたい、このように存じております。
 このように、リサイクルの実施状況をコストも含めて公表することによりまして、自動車メーカー等が負担したリスクの状況が国民の皆様方に開示をされまして、自動車リサイクルをめぐる競争の中でのコスト削減効果がリサイクル料金の低減等の形で還元される誘因になることを期待しております。
田中(慶)委員 ありがとうございます。
 これだけ自動車諸税があらゆるところで多いわけでありますから、せめてそのぐらいの努力をして、競争もする、公表もする、そしてお互いに納得をする、こういうことでありますから、大変前向きの答弁をいただきましてありがとうございました。このことも含めて、これからもこういう問題についてぜひ検討していただきたいと思っております。
 そこで、次にお伺いさせていただきますのは、預託され、これからこの資金管理団体というものが、やはり一番問題なのは、皆さん、この議論をずうっと通じて、天下りの問題やら、いろいろなことが議論されてまいりました。新たな特殊法人だと言う人もおられました。大臣、こういうことを含めて、疑いをかけられないように、そして透明、ガラス張りであって、こういうものは、新しく設ける一つの第三者機関みたいな形の取り組みとして、公明度を高くしなければいけない、あるいはまた情報公開もしなければいけない等を含めて、第三者機関による監査みたいなものもする必要があるのかな、こんなふうに思っておりますけれども、どうでしょう。
平沼国務大臣 資金管理法人のガラス張りの運営を実現すべきとの御指摘でございます。
 資金管理法人の運営についての透明性、公正性の確保につきましては、新しい自動車リサイクル制度を構築する上でも御指摘のように最も意を用いなければならないところだと認識をしております。
 本法案の中でも、資金の運用方法について制限を設けさせていただきました。また、資金管理法人が業務規程、事業計画、事業報告等を作成したときは必ず公表する、そのように義務づけをいたしまして、透明性、公開性を確保させていただいたところであります。また、学識経験者や一般消費者の代表を委員とする資金管理業務諮問委員会を設けまして、外部の目によるチェックが働くようにしたこと等、他の指定法人に比して特段の規定を設けているところでございます。
 また、資金管理法人の業務管理規程を主務大臣として認可するに当たりましては、公認会計士等による外部監査の実施を前提としておりまして、管理するリサイクル料金に係る会計の資金状況については、年一回でなくて複数回公開するなど、法律の規定外の事項についても、業務、財務の透明性、公開性を高める取り組みを行うべきであると私どもは考えております。
 なお、本法人は民間主体の法人でございまして、ちょっとお触れになりましたけれども、やはり皆様方のいろいろ御批判があり、また皆様方が、しっかりした人事をしなければならない、そういうことでございますので、私どもとしては、例えば常勤役員には民間の方の中から適切な方々が起用されまして、そして、御懸念のような、そういう疑いを抱かれるようなことがないように努めていかなければならないと思っています。
田中(慶)委員 改めて確認をさせていただきますが、今の大臣の答弁では、天下りというものを規制する、こういう理解でよろしいと思うんですが、やり方によっては、一時民間企業に行って、それからまたUターンをする、こういう天下りもあるんです。最近はいろいろなことで世の中の目が非常に厳しいものですから、一時はどこかに行く、そうすると必ず、それは天下りじゃないよという答弁ですから、そういうことも含めてならないようにしておいていただきたいと思います。
平沼国務大臣 私どもとしては、民間主体の団体でございますから、やはり透明性、そして皆様方が納得する人事体制をつくらなければいかぬ、そういうふうに思っておりますから、今御指摘のことも踏まえて、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
田中(慶)委員 それから、大臣、この法律の施行は何年を目途にしておるんですか。
平沼国務大臣 二年半、これを目途にしております。
田中(慶)委員 現在、平成十四年ですよね。そうすると、実施が十六年になるわけですね。そうすると、この法律が実施されてから、見直し規定というものがあるわけですけれども、五年を経過した、いいですか、二年を経過して実施をされ、五年、下手をすると五年半ですよ、時代の大きな流れ等々を勘案して、この七年半というのは長過ぎるんじゃないですか。どう思いますか。
平沼国務大臣 附則第十三条におきましては、本法の完全施行後「五年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」こういうふうに規定されておりますが、期間を短縮してやったらどうだ、こういう御指摘でございます。
 本法においてこのように規定した理由といたしましては、一つは、本法の特殊性として、完全施行後三年間は、既販車についてリサイクル料金の車検時預託を求める、いわば経過措置的な移行期間であるということがございます。また、このため、当該期間中は一定数の使用済自動車について結果として排出時徴収とならざるを得ず、本法案の大きなねらいの一つである不法投棄の防止に関しての本法の効果の十分な見きわめが困難である、そういうことによるものでございます。
 このため、政府といたしましては、附則第十三条の規定を受け、移行期間が終了する三年後の時点から検討に着手して結論を得て、五年以内に必要な措置を講ずることとしております。
 なお、法の施行状況について不断に点検をする、このことはもちろんのことだと思っております。リサイクルシステムの円滑な構築、運営に重大な支障を生ずるおそれがあると認められる場合には、私どもとしては、五年以内を待たずに所要の対応をする、こういう方針でございます。
田中(慶)委員 大臣、考えてください。今から二年から二年半で施行、それから五年。確かに既販車は三年後ですけれども、新車はできるんですよ。ですから、基本的に問題があれば別ですが、年間五百万台以上の新車が売れるわけですから、そういうことを含めて、二年半たって実施する、そして五年後の見直し、下手をすると、七年半なんというと、時代が物すごく変わっているかもわからないね。
 そんなときに、私はいつも思うんですけれども、行政というのは時代の変化にともに対応しなければいけないわけですから、むしろ、ここに五年なんということよりは、私は三年とか、なぜ三年、既販車のことを想定しなければそういうことも分けて検討することができるわけですから、やはりそういうことをしていかないと、これ、ことし実施して五年というんだったらまだともかくも、二年後に具体的に実施していく、また五年なんというと、時代はめちゃくちゃに変わっているかもわかりませんよ。どう思いますか。
平沼国務大臣 先ほどの答弁の最後の部分で申し上げました。やはり御指摘の点もございますから、我々は、状況を見ながら、五年ということにとらわれずに、そこは臨機応変に対応すべきだ、このように思っています。
田中(慶)委員 いずれにしても、こういうことが、法律をつくる段階でいつも私は指摘をしているのは、時間を多くとればとるほどいいというものではないと思うんです。新しいものを実行段階に移すときは、問題が出てきたらやはりその時点で対応していくようにしていかなければいけないと思うんですよ。
 そこで、今大臣の答弁の中に、先ほど出た不法投棄の問題もありましたね。これは、環境省と経済産業省がお互いに、今度の法律は経済産業省がつくっておりますけれども、私は先ほどこの問題に若干触れましたけれども、不法投棄になりますと産廃の中に入ってくるわけですね。法律をずっと見ていくと、産廃の法律の中に不法投棄に対する罰則規定はないんです。飯島さん、ありますか。
飯島政府参考人 この法案では、委員御指摘になりました廃棄物処理法との関係で、百二十一条に使用済自動車をすべて廃棄物とみなす規定を置いておりますので、不法投棄が行われれば廃棄物処理法の罰則が適用されます。
田中(慶)委員 罰則はありますよね、確かに。免許取り消しとかそういうものはありますけれども、罰金はありますか。
飯島政府参考人 不法投棄の罰則は、ほかの公害関係法に比べても特に厳しいものでございまして、この、今先生お持ちの資料でございますが、廃棄物処理法の罰則が適用されますので、平成十二年法改正でまた大幅に強化されまして、現在の罰則は、五年以下の懲役もしくは一千万以下の罰金またはこの併科、さらに法人の場合には一億円以下の罰金となっています。
田中(慶)委員 そうすると、今度の自動車リサイクル法も、大臣、それを適用されるんですね。
平沼国務大臣 使用済自動車に不法投棄に関することの罰則が適用されるか、こういうお尋ねであります。
 私どもとしては、本法案においては、自動車ユーザーからのリサイクル料金について、御承知のように、新車については購入時に、また既販車については、制度施行後最初の車検時に原則徴収することによりまして、自動車が排出時に不法投棄される誘因を大きく減殺する、そういう制度だと思っています。
 さらに、使用済自動車を適正に引き取り業者に引き渡した者に対して自動車重量税を還付する制度を創設することとしておりまして、自動車ユーザーによる不法投棄は相当程度抑制されると思っています。
 私どもとしては、本法案の施行によりまして、シュレッダーダスト等の特定再資源化等物品は、自動車メーカー等により無償または回収料金を支払って引き取られることになりまして、これらの費用はリサイクル料金として別途事前に徴収されることになるために、使用済自動車はおおむね有価で流通される、こういうふうに見込まれております。
 したがって、関連事業者についても、本法案の施行により、不法投棄は相当程度抑制されるものと考えておりまして、万一、使用済自動車を不法投棄した者に対しては、今答弁がございました廃棄物処理法によって処罰されること、こういうふうに思っております。
田中(慶)委員 二年後実施され、そして既販車は改めてリードタイムがあるんですよ。この法律ができて二年後実施されても、新車は適用されますけれども、既販車は適用されませんよ。ですから、そういうことも含めて、法律をつくるときはちゃんと親切にそういうことも明確にしておかないと、今のような重大な罰則規定ですよ。
 そればかりじゃありませんでしょう。では、タイヤの野積みはどうするんですか。産廃に適用するんですか、これは。産廃に適用して、年間六百万本ぐらい野積みなり不法投棄されるんですよ。この問題はどう解釈すればいいのですか。
平沼国務大臣 今、既販車のことですけれども、これも当然今の廃掃法の対象に相なります。
田中(慶)委員 いや、私が言っているのは、だめですよ、後ろで変なことを。
 いいですか、法律が施行されて、既販車が車検を受けるまでの間、この法律に抵触しないのですよ、極端なことを言えば。ある面では今のような不法投棄の問題も出てきますよ。あるいはまたタイヤの問題もそうです。こういうことを含めていろいろなことがあるから、現実問題としてこの法律をしっかりとさせる意味で申し上げているわけです。
 対象になるべきといいますか、具体的に、処理費用が還元されないわけですから、もらっていないんですから。そういうことを含めてしっかりと対応しておかないと、これは問題提起として、野積みのタイヤの問題も産廃法に影響するわけだし、そういうことを含めてやっていかないと、現実には、今回の法律の中の網をくぐるような形になりますから、しっかりと、そういうことのないようにしてほしいと申し上げておきたいと思います。
 以上で、時間が参りましたので、終わります。
谷畑委員長 樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。
 きょうも質疑の時間をいただきまして、ありがとうございました。
 きょうは、この自動車リサイクル法がいよいよ経済産業委員会で採決ということで、私も何回かこうして議論させていただきましたけれども、そもそも、自動車リサイクルにつきまして、法案提出、私は随分遅過ぎたんじゃないかというふうに思うぐらいなんであります。
 例えば自動車のリサイクルに関しましては、フロンの回収・破壊も含めまして、もう十年以上前、つまりバブル崩壊をいたしました直後ぐらいから民間ではかなり言われてきたわけでありますけれども、その間、やっと十年たって政府の方で法律案を出してきたということで、私は、本当に随分遅過ぎるんじゃないかということをまず御指摘申し上げざるを得ないというふうに思うわけであります。
 そもそも、循環型社会を目指すなんというのはもう大分以前から言われている話でありますけれども、政治の役割は何かといいますと、やはり先見性を持って先んじて手を打っていくものである。今回、役所の方でつくりました書類を見ましても、何か物事が起きたから考えたんだよというふうにしか思えないような説明文になっているんですね。
 例えば、不法投棄、不適正処理の懸念が生じたとか、いわゆる最終処分場の費用の高騰、鉄スクラップ価格の低迷によっていわゆるリサイクルシステムそのものが機能不全に陥ってしまったからつくったんだと、それじゃいけないわけでありまして、そもそも、そうなる前に、環境の問題、また経済の問題を考えたときに、もっと早目早目にこの法律案をつくっておくべきではなかったかと私は思うのでありますが、大臣、そのことにつきまして、別に質問通告しておりませんけれども、いかがお考えになりますでしょうか。
平沼国務大臣 御指摘のように、確かに全体を掌握して先手先手で体制を整えるということは非常に必要な観点だと私は思っています。
 今お願いしている自動車リサイクルの法案、これは後手後手に回っているんじゃないか、こういう御指摘ですけれども、やはり経済というのは時々刻々大変大きな変貌を遂げています。そういう中で、私どもとしては、今までもいろいろな形で対処をしてきました。家電の問題にいたしましても、その他の廃棄物についても手を打ってまいりました。
 そういう中で、御指摘の点、確かに私はあると思いますけれども、しかしこの段階で、私どもは、自動車リサイクル法をお願いし、これを一日も早く成立をさせていただきまして、そして循環型社会構築に向けて、まず第一段階としてしっかりとしたシステムを構築していきたい、こういうふうに思っております。
樋高委員 何か物事が起きてから、今回、事件ではありませんけれども、こういったことが起きてから対策を講ずるということ自体が私はちょっとおかしいんじゃないかと思っておりますので、やはり先を、常に五年先、十年先を見て物事を、政策を決定し、それこそ政治のリーダーシップでもって、お役所の方にお任せするのでなくて、政治家がみずから、選挙で選ばれた政治家が大臣、副大臣、政務官となっているわけでありますから、責任を持って決断をして、時代を先取りした施策を講じてしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
 今回のリサイクル費用についてでありますけれども、私もどうしても納得できない部分がありますのでちょっと確認をさせていただきたいと思いますが、まず、先払いということで、新車については購入時、そして既販車については車検時ということでありますけれども、今回のシステムにおいては、いわゆるリサイクル費用を車両代と切り離しました。私は、今環境委員会の理事として環境問題に取り組んでいるのでありますけれども、それを一つの概念として、一つの考え方として、それをごみとして既に認定をしてしまう、固定化してしまう。理屈として、それはいわゆるごみとして決めつけてしまって、十年後その費用でもってそれをリサイクルに回しましょうよと。
 確かに、システムとしては漏れのない完璧なシステムを目指すという部分もあるかもしれませんけれども、そのことについてはやはり行政改革に逆行するんじゃないかということを私は前回の委員会でも御指摘を申し上げたところでありますが、結局、ごみであるということを先払い方式にすることによって固定してしまう、リサイクル料金を外部化することによって、メーカーさんのいわゆるリサイクルに対するインセンティブを下げているんじゃないかという指摘もあるのでありますが、いかがお考えになりますでしょうか。
平沼国務大臣 御指摘の、リサイクル費用を外部化することによりまして、自動車メーカーのリサイクルに対するインセンティブを阻害しているのではないか。
 本法案におきましては、自動車メーカーに各自動車ごとにリサイクル料金を設定、公表させることによりまして、自動車の購入者が自動車を選択するに当たりまして、リサイクル料金の額や自動車の設計あるいは素材選択の面でリサイクルに配慮されているか否かといった情報を判断材料とすることを可能にしているわけであります。
 この結果、自動車メーカーは、販売競争の中でみずからの市場競争力を確保するために、シュレッダーダストの発生量が少なくなるような設計・開発、あるいはシュレッダーダストの効率的なリサイクル等に積極的に取り組みましてリサイクルコストの低減に努めることに相なると思います。
 したがって、リサイクル料金を車体価格から切り離してユーザーに明示する本法案の方式の方が、価格に内部化するよりもリサイクルに対するインセンティブを有している、そう私どもは認識をしております。
樋高委員 私が思うのは、やはり十年先のことを考えて、そこには、物価も変わってくるでしょうし、経済状況、例えばハイパーインフレということも考えられるわけでありまして、そういったことを考えたときに、インセンティブをいかに本制度の中で生かしていくか。
 私、環境問題を考えるときに、いかに商業ベースに乗せて、メーカーさんの立場からも、消費者さんの立場からも、やはりそうした方がいいんだ、得をするんだというところをきちっとよく考えた上で、しかも時間軸を、十年先という余り長い期間じゃなくて、十年先に得をするようなシステムにはやはりなかなか余りインセンティブを感じない部分もありますので、やはりそういったこともよく考えて手を打っていかなくちゃいけないと思います。
 私は、きょうはあと、解体業者さんの視点からちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。
 先般、参考人質疑をいたしまして、さまざまな御示唆もいただいたのでありますけれども、リサイクルといいますとすごく聞こえはいいのでありますが、いわゆる適正に処理がなされなければやはり本末転倒になってしまうというふうに思います。使用済自動車の適正処理については、今までもさまざまなガイドラインがまとめられたり、使用済み自動車リサイクル・イニシアティブがまた発表されたりして、それぞれ環境に負荷を与えない処理のための指針は示されてきたところであります。
 先般、解体業者さん、現場の方からお話を伺いましたらば、適正な処理をしたくてもその費用はどこからも出ないし、さらには適正な処理をしているかいないかの検証をする機能がそもそも存在していない、欠落している。まじめに指導に従った者がだれからも評価されない。むしろ、指導に従わない業者に比べてより多くの処理コスト負担をさせられて、要するに、まじめにやった者がばかを見る、努力したけれども報われない現状があるんだという痛切な訴えがあったわけであります。
 このようなことが起こらないようにするためには、やはりきちんとしたルールを設けて、ルールから外れた者に対してはそれに応じた制裁が加わるような仕組みが私は必要であるというふうに思いますが、下地政務官にお伺いしますけれども、今回の法案ではそのようなことにならないことを改めて確認をしたいと思いますが、いかがでしょうか。
下地大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。
 生活環境保全上の支障を防止する観点から、解体業者等の関連事業者には登録そして許可制度を導入しております。また、適正処理に当たっての行為義務も関連事業者に課しているところでもあります。
 また、今先生がおっしゃったように、このルールを遵守しないという場合には、勧告または命令ないしは刑事罰を科す。この刑事罰の中には、許可された事業者には罰金五十万円以下、無許可の場合には懲役一年以下または罰金五十万円以下、そういう刑事罰もありますし、また登録、許可も監督権者であります都道府県等が取り消すこともできるというふうなことになっております。
 議員の御懸念の、正直者がばかを見ないようなルールを制度の細部にわたって設計しているものと考えております。
樋高委員 自由党では、やはり努力した者が報われる、一生懸命頑張った者が認められる社会をつくっていきたいということで、一つの考え方として、フリーでフェアでオープンな社会をつくっていこう、今までのいわゆる惰性のいろいろな仕組みを一回スクラップ・アンド・ビルド、つまり一回ゼロにして、もう一回新たなルールをつくっていこうじゃないかということも考えているのでありますが、そこの部分をしっかりと、大臣初め、今回の法律案はでき上がっていくわけでありますけれども、その責任が生ずるわけですから、この法律案を上げたという責任が生ずるわけでありますから、きちっと追跡をして検証していっていただきたいと思います。
 続いて伺いますけれども、同じく解体業者さんの立場から、適正処理対象物または処理困難物のうち、今回は三品目、フロン、エアバッグ、あとシュレッダーダストという三つが施行時点での制度の対象物ということで取り上げられましたけれども、きょう、そして以前も、いわゆる環境保全をもっと徹底するためにはほかのものも対象にすべきだということでもう議論がるる出ておりますけれども、やはりそこを、前回も私申し上げましたが、常にきちっと把握をして、常に見直しをするということをやっていかなくてはならないというふうに思います。
 今後、自動車メーカーの引き取り対象品目をふやしていくということを考えていらっしゃると思いますが、どのぐらいスピーディーに新たな対象品目をふやしていこうというふうにお考えでしょうか、具体的に伺いたいと思います。
下地大臣政務官 特定再資源化物品の範囲を広げるかということでありますけれども、今回の法律では、シュレッダーダスト、フロンとエアバッグ、この三つを対象品目にしております。委員の中でも多くの御意見がありましたけれども、今タイヤの場合はリサイクル率が九〇%、バッテリーの場合はリサイクル率が九九%、これら以外の部品に関しても、中古部品の市場において有価で売却をされているというふうなことからしますと、現時点ではその品目をふやすということは考えておりません。しかし、三品目以外の品目のリサイクル状況の実態を注視しながら、またその必要に応じて適切に対応していきたい、そういうふうに思っております。
樋高委員 法律案の場合は、一回三品目と固定してしまうと、もうそれだけでいいんだということで安心しちゃうんですよね。だから私はあえて申し上げているわけでありまして、常に新しいものを見直しをする、そして積極的に取り入れていくというところが、私は、今回の法律案の環境という側面を考えたときに、物すごい重要な部分であるということを御指摘を申し上げたいと思います。
 続きまして、許可基準についてであります。
 許可基準については、環境を守ることが大前提であるということは言うまでもないということだと思いますけれども、幾ら施設が立派であっても、実際に行う人、人間の問題なんですが、人が行う作業内容、また管理が伴わなければ結果的に環境に負荷を与えてしまうというふうに思います。例えば、どんなに油と水の分離槽を、立派な施設を使ったとしても、そこで作業をしてオイルを垂れ流しにしたのでは結局意味がないというふうに思いまして、到底環境を守れない。
 したがって、設置基準については、自動車解体業者の体力に配慮をして、必要にして最小限のものにとどめ、もちろんそのとおりだと思いますけれども、作業基準、管理基準などを併用して、分別回収したものの総量を報告する仕組みをつくるなどして作業内容を検証できる仕組みにすべきであるというふうに考えますが、いかがお考えになりますでしょうか。
下地大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。
 今度の解体業者は許可制にしておりまして、その際に求められる基準に関しては、施設に関する基準を含め、必要最小限のものとすべきだというのが基本的な考えであります。
 また、環境に悪影響を与えることのないよう、法律上、解体業者が従うべき必要十分な行為基準が適用されることにもなっておりまして、また、一台ごとの引き取り、引き渡しも電子マニフェスト制度によってきっちりと管理ができるようにして、野積みや不法投棄など、リサイクルルートにおける不適正な処理を防止するようにしたいというふうに思っております。
樋高委員 全体について大島副大臣に伺いたいと思いますけれども、いわゆる本案につきましては平成十六年中の施行を目指すということでありますけれども、七千万台から七千四百万台と言われている膨大なデータ管理を要するいわゆる資金管理システムあるいは電子マニフェストシステムの構築にはやはり物すごい準備期間を要すると予想されておりますけれども、私は環境委員会の方で議員立法でフロンの方に携わりましたけれども、これは物すごい大変でありました。本当に大丈夫でしょうか。十六年中に施行できるんでしょうか。いかがでしょう。
大島副大臣 樋高先生にお答えを申し上げます。
 先生御指摘のとおり、この制度を円滑に施行するためには相当の準備期間を必要とするだろう、我々もそう考えております。
 しかし、最近の状況を眺めておりますと、いわゆる産廃の処理処分場、これはもうどんどん狭まっております。なくなってきておりますし、最終処分の費用も高騰いたしております。また、鉄スクラップ価格の低迷等によりまして、不法投棄とか不適正処理の懸念はますます高まっているのが現状でございます。このため、新たな自動車リサイクルに係る制度を立ち上げていくことは喫緊の課題であるというふうに我々は認識をいたしております。
 本法案におきましては、こうした事情を十分考慮いたしまして、法律の公布日から二年半以内に本格的に制度を施行するとしたわけでございます。先ほどの田中先生からも、こういったことでは遅過ぎるんじゃないかという御意見もございましたが、本法案ではそういうふうに示しております。
 そして、政府といたしましても、自動車メーカーを初め関係する事業者等と協力をしながら、円滑な制度の施行に向けて万全を期してまいりたいと思います。生易しい状況ではないということを承知しながら、万全を期したいと思っております。
樋高委員 この法律案については二年六カ月以内に施行というふうになっておりますので、それを一カ月でも二カ月でも半年でも早められるように、緊張感を持って体制を整備していただきたいと思います。
 最後に一問、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
 先般、参考人質疑のときも、あれは早稲田大学の永田先生だったでしょうか、私、すごく印象に残ったんですけれども、リサイクルをするのは循環型社会においては当たり前のことであって、そもそも、大量リサイクルということは真の循環型社会とは言えないんだ、つまり、リサイクルする総量も減らすということによって真の循環型社会が生まれるんだということをおっしゃっていたんです。
 要するに、今までは、二十世紀は大量生産、大量消費、大量廃棄の時代であった、これは政府も言っていますけれども。この大量リサイクル、これは四本目の柱、大量リサイクルの時代、今回はリサイクル法ですから、自動車のリサイクルをつくるということなんですけれども、この大量リサイクルということがある限りはまだまだ真の循環型社会とは言えないんだということでありました。
 そこまでやはり見通した上で、今回この法律案を考えていかなくちゃいけないと思うのでありますけれども、再資源化というのはもちろん大切であります。しかしながら、やはりごみを出さなくする、根本の話になるんですけれども、ごみにしかならないものをつくらないようにするいわゆる仕組みもつくり上げる視点というのは私は大切であると思います。
 今後、本法案を、そのような視点に立って、どのように運用なさっていくおつもりなのか、最後に伺いたいと思います。
平沼国務大臣 ごみを出さなくするという視点は、私は御指摘のとおりだと思っています。非常に重要だと思っています。
 その観点から申し上げますと、本法案におきましては、自動車ユーザーにリサイクル料金の負担を求める時点を新車の購入時としておりますので、自動車の購入者が自動車を選択する際に、リサイクル料金の額でございますとか、購入しようとする自動車の設計あるいは素材選択において、これがリサイクルに配慮されているかどうか、そういった情報を判断材料とすることになりまして、そしてリサイクルしやすい車を開発しようというプレッシャーが自動車メーカー等に対しても働きます。
 同時に、自動車製造業者等の責務として、自動車が長期間使用されることを促進することを定め、自動車の設計や部品、原材料の種類の工夫により少しでも長く使える自動車を開発するように求めているところでございます。
 今後、実際の法律の運用に当たりましても、自動車の長期使用、あるいは自動車に関する廃棄物の発生を抑制するために、自動車製造業者等や自動車の所有者を含めた国民の理解と御協力をいただくようにする。根本的な発想は、これからは、御指摘のようにいかにごみを出さないか、そういうことに基本設計を置くべきだ、このように思っております。
樋高委員 ごみにしかならないものをつくらないようにするということも忘れずに取り組んでいただきたいと思います。きょうはどうもありがとうございました。
谷畑委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、循環型社会形成推進基本法では、廃棄物リサイクル対策の優先順位をどのように位置づけているのかを確認したいと思います。
飯島政府参考人 循環型社会形成推進基本法におきましては、廃棄物などの循環的な利用及び処分の基本原則が、環境への負荷の低減という観点から定められております。
 まず第一に発生抑制、リデュース、二番目に再使用、リユース、三番目に再生利用、マテリアルリサイクル、四番目に熱回収、サーマルリサイクル、最後に適正な処分、こういった順序で対策を行うこととされております。
塩川(鉄)委員 今回の法案では、リサイクル率におきましてサーマルリサイクルの位置づけはどのようになっているのかを確認したいと思います。
大島副大臣 塩川先生にお答えをいたします。
 本法案におきまして、サーマルリサイクルにつきましても、シュレッダーダスト等の再資源化の一方法として認めているところでございます。
 マテリアルリサイクルをサーマルリサイクルに優先する、こういう循環型社会形成推進基本法における基本原則を前提としながら、平成九年に経済産業省が定めました自動車リサイクル・イニシアティブにおける二〇一五年にリサイクル率を九五%とのリサイクルの達成目標や、関係業界におけるリサイクルの実施状況、あるいはリサイクル技術の動向等を踏まえながら、今後鋭意検討を進めてまいりたいと存じております。
塩川(鉄)委員 マテリアルリサイクルをサーマルリサイクルに優先するという基本原則を前提としてという話でしたけれども、私は、その点で、EUのように、サーマルリサイクルに安易に流れないようにマテリアルベースでのリサイクル率の目標を持つということはお考えにならないのか、その点をお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 現在、自動車のリサイクル率というのは既に八〇%前後に達しておりまして、他の物品と比べても遜色のないリサイクル率を達成しております。そのリサイクルの手法としましては、マテリアルリサイクルによるものがほとんどでございます。
 そして、残余の二〇%の大宗はシュレッダーダストが占めておるわけでありますけれども、そもそもマテリアルリサイクルが技術的、経済的に容易ではないものがシュレッダーダストとなっているものでありまして、シュレッダーダストは、本来的にはマテリアルリサイクルが容易ではないということを念頭に置く必要があると思います。
 したがいまして、シュレッダーダストについてはサーマルリサイクルを相当程度認めざるを得ないと考えておりますけれども、リサイクル率の具体的なあり方に関しては、御指摘の点を念頭に置きまして、循環型社会形成推進基本法における基本原則、自動車リサイクル・イニシアティブにおける目標、EUにおける取り組みの状況、これは御承知のように、二〇一五年におけるリサイクル率九五%以上、うちサーマルリサイクル一〇%以内、こういうことで設定をしております。すなわち、シュレッダーダストのおおむね三分の二程度がサーマルとなり得る状況でございます。関係業界におけるリサイクルの実施状況やリサイクル技術の動向等を踏まえまして、私どもは今後検討をしていくつもりでございます。
塩川(鉄)委員 この間のいろいろな説明書きを見ましても、リサイクル率が七五%から八〇%、オランダでは八六%ということですから、この点でもまだまだ努力が求められている。そういう点でも、私はマテリアルレベルでの努力というのが重要だというふうに思っているんです。
 その上で、マテリアル優先という循環型社会形成推進基本法の原則を踏まえて進めていくということですけれども、これはこの法案のどこに根拠があるのか。つまり、ASRの処理においてマテリアル優先という考え方は法文上どこに示されているのか。この点はいかがでしょうか。
岡本政府参考人 この法案の中で、今先生御指摘の部分について明示の規定は設けておりませんが、循環型社会形成推進基本法の中に、先ほど来先生も御指摘になりましたような、マテリアル優先という原則が明記されておりますので、その精神というのは当然自動車リサイクルについても適用されるものとして私ども理解をいたしております。
塩川(鉄)委員 私、この点で、家電リサイクルの場合におきましては、熱回収の定義というところに「再商品化されたもの以外のもの」としてということで、マテリアルを優先するということがはっきりとうたわれております。このリサイクル率の基準についても、当面はマテリアルだけが対象となるように政令で定められているわけであります。ところが、今回の自動車リサイクル法案では、再資源化について条文を読みますと、マテリアルとサーマルと同列、並列に置かれているわけですね。サーマルに対する上限がなく、全部サーマルとも読めるような条文にもなっているわけです。
 これで、この法案を読む以上、どうしてマテリアル優先と言えるのか、この点を確認したいのですけれども、いかがですか。
岡本政府参考人 マテリアル優先ということが循環型社会形成基本法の中に明示されておりますので、その原則は自動車のリサイクルについても当然及ぶものでございます。
 一方で、その原則を踏まえながら、実際にどうやってシュレッダーダストの処理を進めていくかという点につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、イニシアティブの二〇一五年で九五%リサイクル率を達成するという大きな目標、それからEUにおける実際のリサイクル、特にシュレッダーダストの部分の処理のあり方、それから技術の動向、そういったものを見ながらやっていくというのが現実的な方法かと思いますので、そういう現実を一方でにらみながら、考え方としては、マテリアル優先という循環型社会形成推進基本法の考え方をこの自動車リサイクルについても当然前提としながら、関係の事業者の方々に取り組んでいただくべく促してまいりたいと考えているところでございます。
塩川(鉄)委員 私は、やはりマテリアル優先という方向では基本法の立場があるわけですから、個別法についてもきちっとその点を確認するような条文の規定が求められている、この点を率直に思うわけです。
 その上で、本来、今回の法案を通じて多くの国民の皆さんの念頭にあるのが、シュレッダーダストが減るということですよね。いろいろな説明書きの中でも、埋立処分の極小化ということがうたわれているわけですけれども、今回の法案の仕組みを通じて、このシュレッダーダストの発生量を減らしていくものになるのか、その点をお聞きしたいと思います。
古屋副大臣 お答えさせていただきます。
 今回の法案によってシュレッダーダストの発生量が減るのかどうかということでございますけれども、まず、自動車メーカーが、シュレッダーダスト、それからほかの二品目を含めてそれぞれリサイクル料金を明示することになっておりますので、当然その際にはユーザーもそれぞれの品目についての費用を確認して車を買うということになりますので、そういう意味では自動車メーカーは、技術革新を通じてその料金をできるだけ抑える、そしてリサイクル分野における競争というものを強く意識する、こういったプラスのインセンティブが働くものと私は考えております。
 そして、このシュレッダーダストというのはリサイクル料金の過半を占めることになりますので、リサイクル料金全体を低減させるためには、シュレッダーダストをいかに少なくさせるかということが設計段階からの大きなポイントになってくるわけでございます。したがいまして、自動車メーカーというのは、当然のことながら、自発的に設計段階からシュレッダーダストをいかに少なくさせるかという努力をしていくものと考えております。
 また、リサイクルの実際の実施段階においても、シュレッダーダストの発生を減少させる仕組みというものを設けさせていただいております。
 すなわち、通常のリサイクルルートにおいてはシュレッダーダストが必然的に発生をするわけでありますけれども、そのシュレッダーダストの引き取りあるいはリサイクルの義務を負う自動車メーカーが、そもそもシュレッダーダストを発生させないように、例えば、解体業者であるとか破砕業者と連携をして通常よりも丁寧な解体作業を行うことによりまして、使用済自動車をそのまま電炉に投入できる。実は、私も西日本のある解体業者を見てきましたけれども、いわゆる全部再資源化という方式でございますね、これに対応しているメーカーでございました。こういうやり方も認めているところでございます。
 政府としては、以上のような設計・製造段階及びリサイクルの実施段階における仕組みがございますので、シュレッダーダストの発生というものが相当程度減少するということを私ども期待をいたしております。
塩川(鉄)委員 埋立処分の極小化というのは二つの面があるわけですよね。当然のことながら、シュレッダーダストそのものの発生量を減らすということと同時に、出てきたシュレッダーダストを減容、減量化するといった両面があるわけです。
 私は、今回の仕組みを通じて、ASRそのものを減らす努力が本当に働くのかと。私は、ASR、シュレッダーダストそのものの発生量を減らすという方向での努力につながるような仕組みであるべきだというふうに思うわけです。
 今、古屋副大臣が西日本オートリサイクルの話をされましたけれども、私どもも委員会で先日視察をしました啓愛社さん、ここでも、それまで廃車がらはシュレッダー業者さんに供給していたわけですが、シュレッダー処理にお金を払わなくちゃいけないという状況下ではメリットがないということで、その廃車がらをプレスして、有償で購入してくれる電炉メーカーに直接出荷をするルートに変更したと聞きました。
 こういうふうに電炉に直接投入すると、この場合はシュレッダーダストと言わないでしょうけれども、言うなれば、廃車がらと一体となるダストとしてのあるべき分も一緒にほうり込んでしまうわけですから、いわばシュレッダーダストに相当するその発生量そのものを減らそうという努力が働かなくなるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
岡本政府参考人 電炉にいわゆるサイコロプレスを投入するその方式というのは、シュレッダーダストを発生させないという点においては、先生のお話のように大変意義があると私ども思っておりますが、先ほどの御質疑の中でもお答えさせていただきましたが、電炉メーカーとして幾らでもいわゆる廃車がらをプレスしたものを引き受けられるということではございませんで、多ければ出てまいります電炉の製品にどうしても影響が出てまいりますので、その影響が出てこない範囲ということで、現状では、重量で一、二%というそのレベルの範囲内で、プレスされた廃車がら、その廃車がらというものも、徹底的に解体工程で銅とかの部分とか塩ビ分とかそういったものを取り除くという作業をやった上で初めて受け入れているわけでございますが、いずれにしても、そこが主流になるということには至らないと思います。
 したがいまして、そのことを別にして、シュレッダーダストそのものを減らすという点につきましては、先ほど古屋副大臣からお答え申しましたような、この法律の制度の立て方あるいは実態でございますので、私どもは、自動車メーカーを初めとして、ダストの減量に向けてドライブが働くものというふうに考えております。
塩川(鉄)委員 電炉メーカーについては、一部とはいいながらも、今回の法案でも解体自動車全部利用者として容認はされているわけです。
 では、その他はどういうふうに処理をするのかとなれば、このASRリサイクル事業者として大半を占めると予想されていますのが、サーマル中心のガス化溶融炉などになってくると思うんですね。この間の政府の取り組みを見ますと、このようなガス化溶融炉などを含むASRリサイクル事業者育成の仕組みがいろいろなところで組み込まれてきているんじゃないかと思うんです。
 例えば、今回の法案でも、ASRの処理費用そのものがユーザー負担できちんとついてくるわけですから、もうけの種として道が開かれているわけですし、施行日の説明についても、法律公布後二年六カ月以内に施行という、二年六カ月という意味合いにつきましては、もちろん資金管理や情報管理システムの構築もありますけれども、シュレッダーダストのリサイクルプラントの整備に多大な時間を要することからこういう措置をするんだということが、説明書きの中でも書かれていたわけです。そういう点では、こういったASRリサイクル事業者をきちんと待ってスタートをしようという構えになっているということでもあるわけですね。
 さらに、経済財政諮問会議の循環型経済社会に関する専門調査会の中間取りまとめでは、マテリアルリサイクルとサーマルリサイクルを同等に位置づけて、両者の合理的選択ができるようにすべきだと提言をして、要するに、サーマルを進めやすいような仕組みづくりの方向が、現に道がつくられている状況だと思うんです。
 ですから私は、こういう方向では、メーカーが解体しやすいような設計の努力、そういうのはおいておいて、もうとにかくサーマルリサイクルという形で、シュレッダーダストをそういったASRリサイクル事業者へ持っていけば事足りると。いわばASRの発生量を削減することに逆行して、そういったASRリサイクル事業者の将来のもうけを保障する、ASRを固定化することにつながるのではないか、こういう危惧も率直に思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
岡本政府参考人 ASRの処理プラントの増設はぜひ必要で、そのために時間がかかるということは当然かと私どもは思うのです。リサイクル率を高めていただくためには、ASRの処理能力が拡大していくということは必須でございますので、それをにらんだ上で、一定の施行までの期間が要るというのも御理解をいただけるのではないかと思います。
 それから、私ども、ASRについて、あくまでもマテリアル優先という基本法の考え方は大前提にいたしたいと思っております。
 一方で、これは先生も御理解いただけると思うのですけれども、技術が進んでそれをマテリアルでやっていくという場合に、コストの面、あるいはマテリアルで出てきたものの後の利用の面、そういう両面からマテリアルがフィージビリティーを高めていくということも同時に見届けなければならない大事な要素でございます。
 そういう意味において、マテリアル優先という大原則は常に念頭に置きながら、技術の動向でありますとか、あるいは、この審議の中でもしばしば言及のありましたEUにおける取り組みの状況でありますとか、そういったことも私ども十分に見きわめながら、具体的なリサイクルの目標あるいは進め方というものをこれから検討してまいりたいと考えているところでございます。
塩川(鉄)委員 ですから私は、ASRそのものの発生量を減らすという努力を強めるよりも、ASRの発生量を前提とした上でサーマルリサイクルという形で減容化を図る、こういう方向を固定化することになるんじゃないのかということを危惧するわけです。
 というのも、この間の政府の施策で、例えば廃棄物発電の問題もあります。この自動車工業会の自主行動計画の中にも、廃棄物発電等のサーマルリサイクルの実現に向けた優遇策の実施などを政府に求めていたわけで、いわば自動車メーカーによる対政府要求がこの前の新エネ法で具体化をしている、そういったインセンティブの方が働く、この道が大いに開かれているというのが現状だと思うんですね。
 もう一つ、こういったASRの発生の問題について、ASRリサイクル事業者を育成する方向というのは、自動車の設計及びその部品または原材料の工夫をすることによってリユースやマテリアルリサイクルしやすい努力を行うなど、ごみにならない物づくりをたな上げする方向に働くんじゃないか。
 ホンダの開発担当者が日刊工業新聞で述べていたことを紹介しましたけれども、ASRをガス化溶融炉でサーマルリサイクルして、九八%までリサイクルできるなら、解体性のよい設計に全力を挙げることの意味がなくなるという現場の声なんですよ。これが本当の意味で、メーカーの解体性のよい設計をするという努力につながるのか、こういうのを率直に危惧するんですけれども、その点をぜひ大臣、答弁いただきたい。
平沼国務大臣 そういうインセンティブが働いて、メーカー自体が努力を放てきするんじゃないか、そういう御懸念ですけれども、私どもとしては、やはり循環型社会を形成するに当たって、法律の中にも入れさせていただきましたけれども、そういう循環型社会に対応したリサイクルしやすい設計をすべきである、また、長期使用に耐えるそういう設計思想をちゃんと入れるべきである、こういうことで、私どもは、法律の中にもその精神を込めているところでございまして、メーカーが安易に流れる、そういう御懸念でございますけれども、私どもとしては、そういうことがないように指導しなければいかぬと思っておりますし、その御懸念の必要はないと思っております。
塩川(鉄)委員 このASR処理について、安易にサーマルリサイクルを容認することで、一つは、設計段階などでのメーカーの努力をあいまいにし、もう一点、かえってASRリサイクル事業者のためにASR発生量を固定化することにもつながりかねない、そのことの強い危惧があるということを指摘して、質問を終わります。
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。
 きょうは、大臣に資金管理法人について中心に質問をいたします。
 まず、資金管理法人でございますけれども、従事する役員、従業員などの人件費、事務所の賃貸料、運営費などを試算していらっしゃると思いますけれども、どれくらいの数字になっているでしょうか。また、既成の団体、自動車リサイクル促進センターを指定した場合、その数字はどのくらい変わってくるのか、まずお聞きしたいと思います。
岡本政府参考人 資金管理法人あるいは情報管理センターにつきまして、先生御案内のように、営利を目的としない法人からの申請に基づいて指定するということでございまして、今お話にございました自動車リサイクル促進センターというのも有力な候補の一つでございますが、まだ私どもとして、具体的にここが指定法人になるということを申し上げられる段階にはございませんものですから、その前提で、この審議の中で御答弁申し上げているように、それぞれの業務をやるについて、私ども、可能な限りアウトソーシングであるとか業務の効率化に御努力いただくということを機会あるごとに関係の方々には促してまいっているところでございます。
 そういうことをにらみながら、最大でも数十人規模にとどまるということでお答え申し上げている次第でございますが、冒頭申しましたように、申請を待って具体的に指定ということなものですから、それ以上具体的にお答えするのが難しい事情について御理解を賜りたいと思います。
大島(令)委員 局長に伺います。
 まず、きょうでおおよそ数回目の質問になるわけでございますけれども、例えば一台一万五千円から二万円としまして、大体七千万台の自動車がリサイクルされる。これの大体何%ぐらいかかると予想されておりますか。
岡本政府参考人 一台当たりのリサイクルの処理費用というものは各メーカーが決めるということで、どこもまだ決めていないという今の状況でございますが、これまでお答え申し上げておりますように、フロンを冷媒とするカーエアコンがあって、エアバッグが二台ぐらい装着されていて、かつシュレッダーダスト処理が行われるという三点フルセットの場合、かなりの額に至ろうかと思いますが、既販車の場合に、特にエアバッグがないというような場合には、言われている二万円というようなところからは相当下回ったものになってこようかと思います。
 そういったリサイクル費用との関係で、この資金管理法人等の業務のランニングコストというのがどの程度のものになるかという点については、これまた正確なところは、実際に手を挙げてこられる資金管理法人がどういう体制で業務をやっていくかというところを見届けなければならぬと考えておりますが、いろいろな要素から考えまして、せいぜい、例えば二万円とか一万五千円とかと言われているものを前提に考えました場合に、その数%にとどまるものというふうに私どもは認識をいたしております。
大島(令)委員 数%ということは、一%ということはないと思いますので、仮に二%としたら二百億円、三%としたら三百億円、これだけかかるのが予測されますよね、副大臣。(発言する者あり)だって、うなずいているから、そういうふうに申し上げていますけれども。やはりそのくらいかかるんでしたら、私は、拡大生産者責任ということをいつもいつも答弁されていましたので、それであるならば、この三百、四百、五百億円を環境に優しい車の研究ですとか開発普及の分野に使うべきだと思います。
 自動車の購入時負担であるがために、資金管理法人をつくって預託金を管理しなければならず、それが適正に行われているかどうかチェックするために資金管理業務諮問委員会を設置しなければなりません。そして、その果ては、確実にリサイクル・処分されたか確認できるようにするために電子管理票制度、マニフェスト制度を導入しなければならないということであります。
 排出者責任のもとでこの制度を進めるならば、排出するときにリサイクル費用を払うわけですから、本来なくてもいい仕事をこの法案は事前につくるわけなんですね。だから私は、このままいったら、本当に政府は自縄自縛に陥るような仕組みにうまくやらないとなっていくのではないかというふうに危惧をしております。
 では、次の質問に移ります。
 このシステムはマニフェスト制度を採用するということでございますけれども、立ち上げるとき、この制度に必要な資金管理法人の端末ソフトなど、全体でどの程度を必要と見込んでいるのか、またそのシステムの維持費、ランニングコストをどの程度見ているのか、お答えいただきたいと思います。
岡本政府参考人 先ほどの先生の御指摘の中で、いわゆる既販車七千万台に例えば一万五千円なり二万円を掛けて一兆円、それの二、三%で三百億云々というお話がございましたが、この資金管理法人等の運営にそんなに巨額がかかるとは私ども思っておりませんで、数%と申しましたのは、これはちょっと説明が不十分だったのですが、毎年六百万台弱の新車が販売されて、それについて一定のリサイクル料金をいただきますが、毎年の額のせいぜい数%ということでございますので、けたが違いますので、その点はちょっと訂正をさせていただきます。
 それから、今お尋ねの立ち上がりの費用がどうかという点について、これはシステムをどういうふうに組んでいくか、先ほどの田中先生の御質問の中の大臣の御答弁にありましたように、セキュリティー対策とか利用しやすさとか、そういったことを含めながらシステムをどう組んでいくかによって随分違ってくるのでございますが、多ければ百億というぐらいのシステムの構築費用に至るかもしれません。場合によってはそれが数十億にとどまるかもしれませんが、いずれにしましても、システムの構築だけでもかなりのお金がかかってまいろうかと思います。
 そういった立ち上げの費用ということについては、これはメーカーを中心に御負担をいただくということになってまいろうかと思います。
大島(令)委員 先ほどのことですけれども、それくらいはっきり答弁できるなら一回目に答弁してください。
 次に、立ち上げのときにはメーカーが汗を出して立ち上げるということでございますけれども、政府が先行投資という形では考えていないわけですね。
岡本政府参考人 これは、私ども考えておりません。
大島(令)委員 では、局長に伺います。
 自動車業界が先行投資した資金は、償還されるべき資金ですか。
岡本政府参考人 資金管理法人は、自動車リサイクルにかかわる関係者の共通インフラとして位置づけられるものであり、そのシステム構築や立ち上げに向けて必要なコスト等については、この自動車のリサイクルシステムにおいて中心的な役割を果たすこととなっている自動車メーカー等に積極的に対応していただくところでございます。
 この立ち上げに向けて自動車メーカー等に対応をいただく額については、本法案が施行前に必要となるものであり、本法案の施行後リサイクル料金として預託いただく金額に含まれることはございませんで、したがって、償還は行われません。
 なお、資金管理法人における資金の管理に要する費用については、事前に預託していただいたリサイクル料金を安全確実に管理することが自動車ユーザーの利益に資するということを踏まえながら、その預託者たる自動車ユーザーに費用負担を求めることができるものとされていますけれども、その内訳の中にメーカー等の負担によって構築されたシステムのメンテナンスの費用というのが一部入ってくるというようなことはあろうかと思いますが、事前の構築費用というものは、今申しましたように、私ども、償還は行われないというふうに考えております。
大島(令)委員 自動車の使用年数をほぼ十年と見ているようですが、この法律が施行されますと、プール金は初年度から順次どのようになっていくのか、お答えください。
岡本政府参考人 お答え申し上げます。
 リサイクル料金については、各メーカーや輸入業者が設定することとなっておりますが、先生御案内のように、今はまだどうとも決まっていないのですが、車体の大きさ、重量によるシュレッダーダストの発生量の違いとかエアバッグの個数等によって車種ごとに料金は異なってこようかと思います。それから、シュレッダーダストのリサイクルに関するメーカー各社の取り組みの違いによって料金に差が出てくるということも当然あろうかと思います。
 産構審等でのこれまでの議論においては、二万円前後ということを一応の目安として議論が行われましたが、現在、リサイクル料金がどの程度の金額になるかについて具体的な数字を出せる段階にはございません。
 したがって、リサイクル料金の総額について現時点で確たることを申し上げる状況にはございませんが、あえて申し上げれば、エアバッグが搭載されていないものが多い既販車のリサイクル料金は、新車のリサイクル料金よりは相当低いものと考えられますこと、それから既販車の台数が七千万台強でありますので、そういったことを踏まえますと、法律施行後三年間を経過して既販車のすべてについて預託が完了した時点で一兆円前後となるものと推測いたしております。
 なお、施行後の預託金総額の推移の大まかなイメージを申し上げますれば、毎年新車約六百万台について預託がされますことに加え、既販車については、施行一年目並びに二年目にそれぞれ三千万台強、施行三年目に約六百万台分の預託がなされるものと見込んでおります。
大島(令)委員 施行後三年をめどに、新車が今年間六百万台、既販車は登録してあるわけですから、いつ車検かということですので、おおよその数字を示していただきました。結局は、それだけの資金を、この資金管理法人が預託金として預かって運営していくわけですね。
 そこで、お伺いしますけれども、大臣、この資金管理法人が赤字になった場合、あるいは損失が出た場合、だれが責任をとる体制になっていますでしょうか。
古屋副大臣 今のお尋ねは、資金管理法人が赤字になったときどうするのかといった趣旨の御質問だと思います。
 まず、資金管理法人の資金運用につきましては、必要最低限の額の銀行預金、これはリサイクルに実際にかかる費用ですね、これ以外は、ほとんど国債とか地方債といったような安全な債権の保有が中心になるものだろうというふうに我々は予測をいたしております。
 また、資金管理法人というのは、自動車ユーザーから預託金としていただいておる、大変重い責任を持っておりますので、専門知識を有する職員の配置体制であるとか、あるいは保有債権の運用状況や預金先の金融機関の経営状況を平時から常にチェックするということでございまして、そのために資金管理業務諮問委員会というものを組織いたしまして、ここから常時意見聴取を行う等専門家の意見を伺って、適切に対応、運営していくということが求められております。
 こういった背景を考えますと、資金運用で実際に損失が生じるというリスクは事実上ほとんどないものというふうに考えております。
 ただ、万が一、それでもそういった損失が生じるような事態については、まず、その損失がどういった理由によって生じたのかということを精査する必要があると思います。例えば、いずれかの者の責任に帰するような場合、すなわち運用方針を逸脱して運用したとか、こういった場合には、その責任関係をまず明確にした上で、私法的な求償措置というのを講じるということになろうかと思います。
 また、例えばペイオフに至ったというような、これはいずれの者の責任にも帰さないような、こういったケースでございますけれども、これは、こういうことになるということ自体が日本経済全体にとって極めてゆゆしき問題でございますけれども、また実際、運用に当たっては、預託をする銀行につきましてもしっかりランクを見ながら選択をしていくということになるとは思います。
 ただ、もしそういった状況になった場合には、類似の公共的団体における対応というものも参考にしながら、関係者の間で十分に検討いただいて、そして主務大臣としても相談に応じていきたい、こんなふうに考えております。
大島(令)委員 私がこの質問をしましたのは、先般も、国債ですとか地方債という答弁をいただきました。しかし、本当に国債は安全なのか。先ほど副大臣がおっしゃった、日本経済のゆゆしき状態というもの、民間の機関ですけれども日本の格付が下がっていますよね。来年度末には国と地方を入れて六百九十兆の負債が予測されている。そういうことになったときに、生産者がこのリサイクル料を出さない、今回の法案はユーザーが出すわけです。だから、ユーザーにとっては、失敗したときに、自分のお金ですから、やはり心配するわけなんですよ。そういうことで、私はこのことを聞きたかったわけなんです。
 では、逆に、ゆゆしき問題になったときの担保として、国債を買わないという方法もあるわけなんですか。必ず買うということなんですか。
古屋副大臣 国債というのは、基本的にリスクというのは極めて少ないわけでございますので、今、一つの例示として国債、地方債ということを想定いたしております。実際に、こういう公的な団体が資金運用する場合には、国債あるいは地方債を活用しているというケースがほとんどでございますので、そういったことを想定してお答えをさせていただいた次第でございます。
 必ずしもすべて国債を買わなくてはいけないということではございませんが、実態としてそういうふうになっているということをお答えさせていただいた次第でございます。
大島(令)委員 重ねて申し上げますけれども、ユーザーの預託金、預り金だからこそ私は心配しているわけです。
 最後の質問に移ります。
 資金管理法人、そしてそこに設置を義務づけられております資金管理業務諮問委員会については、官僚の新たな天下り先になるのではないかとか、役員の報酬は国民の理解を得られる水準のものだろうかとか、いろいろな心配が先般から出ております。そういう運営の透明性を確保するものがあるのか。それには、先ほど田中筆頭も情報公開が大事だということをおっしゃっていました。
 では、ユーザーの相談、苦情などの窓口はどこが担うようになっていらっしゃるのでしょうか。
岡本政府参考人 ユーザーの方々の御相談なりあるいは苦情ということ、一義的には、お金をお預かりしている資金管理法人ということで対応させていただくのが筋かと思いますが、私ども、資金管理法人を監督する立場で、私どももユーザーの方々のいろいろな御意見に対しては率直にお話を伺いながら真摯に対応をしてまいりたいと考えております。
大島(令)委員 時間が参りましたので、私が最後に申し上げたいことは、資金管理法人、短い時間で答弁いただきましたけれども、私自身は不透明である。そして国債を買うということは財務省が喜ぶ。そして……(発言する者あり)だって一兆何千億円も三年後にはたまるわけでしょう、喜びますよ。
 そして、平成十一年七月にできた循環型経済システムの構築というところに取りまとめられております三つのRの順番は、リデュース、廃棄物発生抑制、リユース、部品の再使用、そしてリサイクルには、先にマテリアルリサイクル、次にサーマルリサイクル、そういう方向づけでこの三Rを進めていくべきだという提言がなされている。どう見ても、私はこの法案がこの三Rに配慮された法案だとは理解できないわけです。上流対応の実効性、メーカーの実効性も、ユーザーが最初から払うということは、どう見ても、メーカーに対するインセンティブが、この三Rに対するインセンティブが働かないと思うということを申し上げて、質問を終わりにいたします。ありがとうございました。
谷畑委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。大森猛君。
大森委員 私は、日本共産党を代表して、使用済自動車の再資源化等に関する法律案に対し、反対の討論を行います。
 使用済自動車の再資源化問題は、いわゆる廃車の処理をいかに効率的に進めるかという課題だけではなく、我が国の経済活動の中に循環型社会の実現に向けた企業行動のあり方を正しく位置づけることであり、その課題の実現のために、自動車などの製造業の果たす責任と役割、影響は大変大きいものがあることを指摘したいと思います。
 この立場から、今や国際的な合意になっているEPR、拡大生産者責任を具体化していないために、先行して制定された容器包装リサイクル法や家電リサイクル法が、十分な効果が上がらないばかりか、悪化していることも質問の中で明らかにしました。本法案は、これらの法律の経験と教訓を踏まえて制定されなければなりません。
 本法案に反対する理由の第一は、本法案について、政府は、拡大生産者責任を具体化したものと説明しておりますが、製品に対する製造業者の物理的及び、もしくは財政的責任が、製品ライフサイクルの使用後の段階まで拡大される環境政策アプローチという、本来のEPRとは全く異なるものであるからであります。
 自動車製造業者等は、使用済自動車の再資源化過程で取り出されるフロン類、エアバッグ、ASRの三品を、あらかじめ指定した場所に解体業者が持ち込めば引き取るというだけのものであり、生産から廃棄物になった後まで責任を持つ立場には立っておりません。
 反対理由の第二は、使用済自動車の再資源化に要する費用のすべてを別枠でユーザーに負担させ、自動車製造業者等は一切負担しないからであります。このような仕組みでは、自動車製造業者等が、廃車処理における廃棄物の減量化、再資源化しやすい設計などを積極的に考慮するインセンティブは働きません。
 反対理由の第三は、熱回収を再生利用と同列に置き、循環型社会形成推進基本法に定められたマテリアルリサイクルを優先する原則をゆがめるものであるからであります。
 反対理由の第四は、鉛、水銀、カドミウム、六価クロムなどの使用について、業界の自主規制に任され、規制措置をとっていないからであります。
 最後に、自動車産業が二十一世紀もなお発展し続けることを展望するのであれば、当面の利益に目を奪われるのではなく、本当の意味での拡大生産者責任の具体化が不可欠の課題であることを指摘して、反対討論を終わります。(拍手)
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、使用済自動車の再資源化等に関する法律案に反対する討論を行います。
 反対する第一の理由は、この法案が拡大生産者責任制とは全く異なり、自分の廃車のリサイクル費用は自分が負担するというユーザー責任に基づいているからです。この方式では、企業に対して、あらゆる過程で環境に負荷をかけない自動車を生産させるインセンティブは働きません。
 法案の最大の欠陥は、拡大生産者責任制ではないにもかかわらず、リサイクル・処理費用の徴収を購入時としているため、極めて複雑なシステムをつくらざるを得なくなっているということです。
 購入時や車検時に徴収された費用は、ユーザーが廃車するまで資金管理法人で管理しなければならず、しかも資金管理法人の資金運用をチェックするために資金管理業務諮問委員会を設置したり、徴収されたリサイクル費用の流れを確認する電子管理票制度を導入したりと、まさに自縄自縛に陥っています。こうした仕組みは、本来、ユーザーにとっては何の必要もないことです。しかも、資金管理法人は、一兆円から一兆四千億円もの預かり金の資金運用も行うことになっていますが、この運用によって損失が出たような場合、だれが責任をとるのか明らかにされていません。
 そもそも、ユーザー負担、自車充当方式では廃棄時負担とするのが適当であり、政府案には無理があると言わざるを得ません。廃車時負担では不法投棄がふえるという反論が聞こえてきそうですが、ここでは不法投棄を防止する措置として自動車重量税還付制度が導入されることになっており、不法投棄が増大するとは考えられません。
 第二の理由は、リサイクル・処理をするのがシュレッダーダスト、エアバッグ、フロンの三品目に限定されているということです。
 自動車には鉛、水銀、カドミウム、六価クロムなどの有害物質が含まれており、環境汚染を予防する観点から、これらの有害物質も当然適正処理の対象とすべきです。政府は、業界の自主努力が進んでいるから問題ないのだという認識のようですが、業界の自主努力をそれほど高く評価されているのであれば、自動車のリサイクルそのものも業界の自主努力にゆだねたらどうでしょうか。
 第三の理由は、この法案では焼却がリサイクルとして位置づけられているということです。
 普通、リサイクルと言われて、それを焼却のことだと考える人はまずいないはずです。その焼却を再資源化だ、リサイクルということにしようとする政府の姿勢は容認できません。しかも、ここで言う焼却がごみ発電の推進を念頭に置いたものだとしたら言語道断です。ごみ発電は大量のごみがなければ維持できず、廃棄物の発生抑制につながらないどころか、環境そのものにも大きな影響を及ぼします。
 以上、反対の理由を申し述べ、私の反対討論を終わります。(拍手)
谷畑委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、使用済自動車の再資源化等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
谷畑委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 この際、本案に対し、竹本直一君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、保守党及び宇田川芳雄君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。
鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    使用済自動車の再資源化等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 近年における廃棄物の発生量の増大、不法投棄が国民経済及び生活環境等に与える影響の重大性等にかんがみ、廃棄物及びリサイクル行政を一体的に進める見地から関係省庁間の緊密な連携を図り、不法投棄の防止等に資する十分な措置を講ずること。
 二 使用済自動車の再資源化等に要する費用に関し、自動車の所有者に新たに再資源化等預託金の負担を求めることとなることにかんがみ、複雑かつ国際的にも高い負担水準となっている自動車関係諸税については、その簡素化、軽減に向けて早急に取り組むこと。
 三 中古車輸出の際の再資源化預託金等の取戻し制度については、不適切な返還がなされないよう運用に努めるとともに、その施行状況を注視しつつ、将来的には必要に応じて当該費用を自動車の所有者に返還しない制度とすることも含め、そのあり方について適宜検討を行うこと。
 四 指定回収物品の指定に当たっては、自動車の所有者の負担増加や事業者間の競争促進に十分に配慮しつつ、使用済自動車がリサイクルシステムにおいて概ね有価で流通する状況の創出、環境負荷の発生の防止等の観点から実態の把握に努め、指定の追加及び削除について機動的な対応を行うこと。
   また、タイヤ、バッテリー等の個別部品のリサイクル対策についても適切に取り組むとともに、必要が生じた場合には法律上の対応を含め、速やかに対応すること。
 五 使用済自動車のリサイクル率向上に向けて自動車破砕残さの減量化が喫緊の課題となっていることにかんがみ、自動車製造業者等において自動車の設計、原材料等についての最大限の工夫がなされることを促すとともに、解体業・破砕業における再資源化基準の設定に当たっては、経済性、効率性の観点から処理の実態を踏まえ、柔軟な対応を図ること。
 六 資金管理法人、情報管理センター及び指定再資源化機関の指定に当たっては、法人運営の透明性・公開性の確保に努めるとともに、いやしくも天下り機関等との指摘を受けることがないよう、民間事業者の自主性の尊重及び組織の肥大化の防止に十分に配慮すること。
 七 自動車が国際的に流通する製品であることにかんがみ、今後とも諸外国の動向も踏まえつつ、望ましい法制度のあり方につき検討すること。
   また、技術開発の進展等により実際に要する使用済自動車の処理費用が再資源化等預託金を下回った場合の差額の扱いについては、全体として自動車の所有者の負担の軽減に資するよう、リサイクルに要した資金の状況が自動車の所有者に開示されるべく本法に基づき措置すること。
以上であります。
 附帯決議の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
谷畑委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
谷畑委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、平沼経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平沼経済産業大臣。
平沼国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
谷畑委員長 次に、内閣提出、石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案並びに独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案の両案を一括して議題といたします。
 これより両案について順次趣旨の説明を聴取いたします。平沼経済産業大臣。
    ―――――――――――――
 石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案
 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
平沼国務大臣 石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 我が国のエネルギー供給の大宗を占める石油天然ガスは、国内供給のほぼ全量を輸入に依存しており、その安定的な供給を確保するため、自主開発油田・ガス田の確保と石油備蓄の増強が引き続き重要であります。
 しかしながら、石油公団が、これらを実施してきたこれまでの手法において、効率的な事業運営への要請に対する対応に迅速さ、的確さが欠けていた面があることは否定できません。そのため、今般の特殊法人等改革において、事業及び組織形態について抜本的な見直しを行うことが求められてきたところであります。
 こうした状況を踏まえ、昨年十二月に特殊法人等改革基本法に基づいて決定された特殊法人等整理合理化計画の着実な実施を図るため、今般、本法律案を提出した次第であります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 本法律案は、石油公団及び金属鉱業事業団の廃止等を円滑に実施するため、以下のような措置を講ずるものであります。
 第一に、この法律の公布の日において、石油公団の探鉱融資業務等を廃止するとともに、開発事業資産の管理・処分の業務を新たに加えることといたします。同公団の事業計画を経済産業大臣が認可する際には、当該業務に関する部分について、あらかじめ、内閣総理大臣に協議するとともに、総合資源エネルギー調査会の意見を聞くことといたします。
 第二に、この法律の公布の日から一年八カ月以内に、現在石油公団が行っている国家備蓄を国の直轄事業として行うことといたします。
 第三に、この法律の公布の日から一年九カ月以内に、金属鉱業事業団を廃止することとし、同事業団の権利及び義務は、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構に承継することといたします。また、石油公団の業務のうち、石油開発技術指導、国家備蓄管理等の業務を同機構に移管し、これらに関する権利及び義務を同機構に承継することといたします。その際、石油公団の業務を資産の管理・処分業務に縮小し、臨時の業務として、既に同公団が締結している契約に係る出資及び債務保証を行うことといたします。
 第四に、この法律の公布の日から三年以内に石油公団を廃止し、その権利及び義務を国及び別に法律で定める株式会社に承継することといたします。また、当該株式会社をできるだけ早期に民営化するため、必要な措置を講ずることといたします。
 引き続きまして、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 今般の特殊法人等改革において、石油公団及び金属鉱業事業団の事業及び組織形態については抜本的な見直しを行うことが求められてきたところでありますが、石油天然ガス及び金属鉱産物の安定的な供給を確保するための必要な事業等は引き続き実施していくことが重要であります。
 本法律案は、石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案に基づき金属鉱業事業団が解散し、石油公団がその業務の一部を廃止することに伴い、それらの業務並びに権利及び義務を承継する独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構を設立するため、必要な規定を整備するものであります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構は、石油天然ガスの探鉱等及び金属鉱物の探鉱に必要な資金の出資と債務の保証、それらの鉱物資源に係る技術の実証及び指導、国が備蓄を行っている石油及びその備蓄施設の管理の受託、金属鉱産物の備蓄、金属鉱業の鉱害の防止等の業務を行うことといたします。なお、石油等の開発に係る債務保証については、債務保証のための信用基金を設け、これに基づき一定の限度を設けることといたします。
 第二に、本機構はこの法律の公布の日から一年九カ月以内に設立することといたします。
 第三に、本機構設立後、石油公団が廃止されるまでの間は、同公団の既存契約に係る出資・債務保証については、同公団の臨時の業務として行われるため、本機構の出資・債務保証業務の対象としないことといたします。
 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、これら二つの法律案について、慎重御審議の上、御賛同くださいますようにお願いを申し上げます。
谷畑委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る十二日水曜日午前十時五十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十五分散会


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