衆議院

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第22号 平成14年6月12日(水曜日)

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平成十四年六月十二日(水曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君
   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 達増 拓也君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      梶山 弘志君    阪上 善秀君
      桜田 義孝君    下地 幹郎君
      根本  匠君    林  義郎君
      林田  彪君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      茂木 敏充君    保岡 興治君
      山本 明彦君    生方 幸夫君
      川端 達夫君    北橋 健治君
      後藤 茂之君    中山 義活君
      松原  仁君    山田 敏雅君
      山村  健君    漆原 良夫君
      福島  豊君    土田 龍司君
      大森  猛君    塩川 鉄也君
      大島 令子君    西川太一郎君
      宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   経済産業副大臣      大島 慶久君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   経済産業大臣政務官    松 あきら君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (内閣官房行政改革推進事
   務局長)         西村 正紀君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           広田 博士君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月十二日
 辞任         補欠選任
  大村 秀章君     林田  彪君
  塩川 鉄也君     小沢 和秋君
同日
 辞任         補欠選任
  林田  彪君     桜田 義孝君
同日
 辞任         補欠選任
  桜田 義孝君     大村 秀章君
    ―――――――――――――
六月十日
 中小企業対策など国民本位の景気回復に関する請願(松本善明君紹介)(第四六四二号)
同月十二日
 中小企業対策など国民本位の景気回復に関する請願(瀬古由起子君紹介)(第五四一二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案(内閣提出第九九号)
 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案(内閣提出第一〇〇号)


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     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案並びに独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官広田博士君、資源エネルギー庁長官河野博文君及び内閣官房行政改革推進事務局長西村正紀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山義活君。
中山(義)委員 おはようございます。
 ちょうど昨年、まだ森政権のころに我々は、この石油公団を廃止した方がいい、そういう論点で随分論議をしてまいりました。そのときに、私どもも附帯決議までつくりましていろいろ論議をして、その当時、経済産業省の並々ならぬ意欲で、どうしてもこの公団を廃止しないで、新しい探鉱開発をすると同時に、今ある既存の油田でいいものがあれば日本が買っていくとか、新しい業務まで加えまして大変意欲のあるお話があったのですが、あるときに急にそれがポシャってしまった。
 これは一つは、堀内私案というものができ上がってきて、それが行革と結びついて、また小泉行革と結びついて一気に変わってきた、こういうふうに、一般的に見れば書かれているわけですね。しかしながら、何かどうも論議の過程で感情的なものが残っていて、何でこの堀内私案が出てきたのか。本来であれば、自民党の中でごく当たり前に論議がされて、ちゃんとしたものが出てくるのが普通ですね。それが突如として、省庁の批判をわっとぶち上げてきた。ここにすごく問題があると思うんですね。
 やはり、政党としてしっかりその中でまず論議をして、いいものを我々に提示してもらいたいし、または、そういういいものを、省庁でお互いに切磋琢磨してもっといいものを出してくる、そういう過程ならいいんです。ですから私は、今回この法案を審議するに当たっては、どっちかといえば、今やっている有事法制と同じように、どこか欠陥があって、しっかり論議をしている間にその方向性を見出そう、我々はそのように考えているのであって、今の時点で、この新しい法案に賛成も反対もちょっとできないような状況だ、このように思っております。
 また、法律の中に特殊会社というのがありまして、特殊会社という言葉がよく出てくるんですが、法律を読んでいると、いや、それはできる限り早くつくっていくというような形もありますし、我々がこの法律をぱっと見て、しっかり枠組みができているというところまではまだ行っていないような気がいたしております。そういう面で私どももこれから、経済産業省の中と自民党の中に違いがあるんじゃないか、この辺も伺いながらまず論議を進めていきたいというふうに思っています。
 前回では私ども、その自主開発のあり方、それから日の丸原油といいますか、そういうものの定義づけとかいろいろやってきたつもりなんですね。でも、もう一度ちょっとやらないと、今後の経済産業省の考え方というのがよくわからないわけでして、今までこの四、五年やってきたことについて、まず、反省といいますか総括といいますか、そういうものをちょっとお示しいただきたい、このように思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 中山先生から、森内閣のときに、石油公団廃止、こういった形で民主党さんの方からそういう御提言も出た、そういう中で、何か急に変わったのではないか、また、自由民主党の中で十分なすり合わせも行われていなかったのじゃないか、こういう御指摘でございます。
 御承知のように、今般の特殊法人等改革におきましては、すべての特殊法人等について、事業、組織形態の抜本的な見直しを行うことが求められています。昨年末に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画の中で具体的な方針が示され、その中で石油公団については廃止することに相なったわけです。一昨年十二月の行政改革大綱で、すべての特殊法人の事業、組織を見直し、一年以内に結論となっておりまして、昨年四月の、この前の公団法改正時においても、私はこの趣旨で御答弁をさせていただきました。
 他方、エネルギー供給の大宗を海外に依存する我が国にとって、その安定供給確保というのは重要な政策課題であると思っています。
 かかる観点から、昨年の石油公団法の改正において御承認をいただきました資産買収案件に対する出資機能を含めまして、国の責任において果たすべきエネルギー安定供給の確保上の重要な機能でございます石油開発のためのリスクマネー供給機能、研究開発機能、さらには国家備蓄統合管理機能等については、この法律の中では、独立行政法人に担わせまして、業務の一層の効率化に配慮しつつ着実に推進してまいる、このようになっております。
 そういう中で、堀内総務会長からの提言、党の中でも政調会等でしっかりと議論をしながら、そういう議論の過程の中で、私どもとしては、御指摘の資源エネルギーの乏しい日本にとって、やはりエネルギーの大宗を占める石油の確保というものを自主的にやっていかなければいけない、そのためには、リスクマネーあるいは備蓄、あるいは研究開発、こういったものをしっかりと担保しながらやっていこう、こういう形で今回御提案をさせていただいている、こういうことでございます。
中山(義)委員 私たちはそのときも、前回に、探鉱をやって千に三つしかなかなか見つからないし、非常に事業が非効率じゃないかと。どうもそれには資金の供給のやり方に問題がありまして、石特会計というところからじゃぶじゃぶお金が流れるために、これはちょっと掘っても無理かなというところまでどんどんやってしまった。だから、それがそれで千に三つになってきちゃって、もっと確率性のあるものをやればよかったんじゃないか、そういうような論議もしました。
 そういう結果で、今度は、新規案件の出資、債務保証、こういうところはかなり厳しくやるということだと思うんですが、今までの人間関係や何かを全部断ち切りませんと、どうもあいつから頼まれたんじゃしようがないとか何だとかとあるので、我々が本質的に考えなきゃいけないのは、もう一度しっかり、今までの機構の悪かったところ、それから、よかったところがもしあるならばそれは何なのかというところだと思うんですね。
 現在、実績だけで見てみますと、特殊会社という話が出てくるんだけれども、堀内さんの場合は、この特殊会社にいいのも悪いのも全部売ってしまえ、一回国家の金として入れろというふうなことを言っているんですけれども、今回のスキームでは、いいものは残して、それを特殊会社に入れて、いわゆる持ち株会社みたいにして和製メジャーをつくっていこうというようなお考えなのかなとも思うんですが。
 この法律の部分にありますね、特殊会社についてはこれからの問題として、法律には入っていませんけれども、特殊会社をつくることは間違いない。それは、ある意味では和製メジャーということを目指して日本の将来の石油というものを考えているのかどうか、その辺がひとつ、今後の取り組みについて、いろいろ、何をやろうとしているのか我々ちょっとわからないわけでございまして、中東の石油に対して日本が九〇%近く依存していることも、これは大きな問題点ではありますが、そういうものも全部勘案して、どういう方向に向かっていくのか。
 要するに、今までやってきたものを残すのか、それとも全部売却しちゃうのか、それで、新たに民間同士で自然に合併するのを待つのか、または、いや、そうじゃない、売却させないで、悪いものを全部売却させちゃって、いいものだけ残していくんだと。
 というのは、要するに、端的に言うと、平沼私案と堀内私案の違いがそこにあるわけですよね。私にはどっちが正しいというのはよくわからないんですけれども、これは、やはりもうちょっと党内で、もしくはお互いに話し合って、わかりやすく我々に見せてもらわないと、何をやっているのかわからない法律、また、どうなるかわからない法律を今審議しているような気がしてしようがないんですね。その辺、いかがなんでしょうか。
平沼国務大臣 経済産業省といたしましては、平成十二年八月の石油審議会中間報告におきまして、自律的に石油開発事業の維持拡大を行うことができる中核的企業グループの形成の必要性が示されているところでございます。したがいまして、引き続き、石油の安定供給確保の観点から、重要な政策課題、このように認識しております。
 なお、石油公団廃止法附則で別に法的措置で設立することを明らかにしております特殊会社につきましては、整理処分後の石油公団の開発関連資産を引き継いで設立をされまして、将来できるだけ早期に民営化することにいたしております。
 いずれにいたしましても、特殊会社の目的、業務等については別に法的措置をとることになっておりますので、今後の議論の中で具体的な姿が明らかになってくる、こう思っています。
 石油公団の保有する開発関連資産の取り扱いにつきましては、整理売却するもの、それから特殊会社に承継されるもの、選別の基準については検討委員会における議論にゆだねることに相なりますけれども、基準の策定に当たって留意されるべき視点としては、例えば以下のようなものが私どもは想定されると思っております。
 一つは、事業内容の悪いものは、原則早期に整理売却することが適当だ。
 二つ目として、事業内容の悪くないものであっても、将来民営化をし、国際的な石油天然ガスビジネスを自律的に展開することを予定する特殊会社にとって中核的な事業とならないものは、やはり売却する方向で検討することが適当ではないかと思っています。
 また、三つ目は、探鉱中あるいは開発移行中の仕掛かりの案件を有するものを含めて、将来性がありまして、産油国との間でも国の関与を引き続き示す必要のあるものは特殊会社へ承継することが適当ではないか。
 四つ目としては、現在事業内容の悪いものでございましても、他のプロジェクト、他の事業と連携することによりまして、将来資産価値の増大が見込まれるものは特殊会社に承継することが適当ではないか、こう思っております。
 そして、堀内私案、平沼私案、こういうことで御指摘になられましたけれども、これをまとめていく過程におきましては、私どもは総務会長とのすり合わせもいたしまして、最終的に、それではこれでいこう、こういう形で御提示をいただいている、こういうことで御理解をいただきたいと思っております。
中山(義)委員 お互いにいいものを集めてやっていく、または、そのいいものは、全部悪いものを売却しちゃってから自然に民間の人たちが集まって持ち株会社をつくるのを待つ、どちらも民営化していく一つの過程だとは思うんですが、堀内私案なるものが出てきて、何でこんなふうにお互いぶつかり合ったのか、その過程がちょっと私どもよくわからないんです。
 どうも堀内さんに初め、バス屋さんと言ったりなんかしたとかしないとか、いろいろな感情論まで週刊誌を見ると出ていまして、堀内さんはこんな経理上のことはわからないんじゃないかと甘く見て出したら、やはり経営者ですから、見ているうちに、いや、こんなずさんな経営は許さない、こういうことで始まったというふうに私はいろいろなところから聞いています。
 ですから、この問題について我々が審議するときには、本当は、ある程度完璧な形で法律になってきてそれを審議するならいいんですが、どうもまだそこにくすぶっているような問題があって、この論議というのは、審議している過程でまだまだいろいろなものが出てくるので、私たちはこの段階では賛成でも反対でもなくて、もっと審議を深めていこう、我々こういうような結論になって、田中筆頭からそういう命令を受けて、よくいろいろなことを聞き出せ、聞き出してから我々は態度を決めようと。もっと端的に言わせれば、ここに堀内さんを呼んで、平沼大臣ともやり合ってもらって、それからこの法律案の本当の真意をもうちょっとしっかり酌み取ろうなんて意見まで出ているんです。
 そういう面では、私どもは、今度の法律案の中に、この特殊会社というのは最終的に結論だと思うんですが、これが法律の中に入っていないわけですよ。特殊会社をいまだに、さっき言ったように、全部売り飛ばしちゃうか、または、いいものだけ残すかとか、こういう論議も、外ではやっていても、中ではまだちゃんとした形で出てきていない、こういうことだと思うんです。
 もう一つは、今のそういう話と同時に、これから日本が本当に自主開発、いわゆる日の丸原油というものが必要なのかどうか、この辺についても再度お示しをいただきたいと思うんですね。大臣が、アザデガン、これも大分努力されてきた。こうやって論議がどんどんおくれているうちに、いやあ、アザデガンの方、まずくなっちゃうんだよ、早くこっちで結論を出してくれないと、お金の問題やいろいろなことがあって、時期的にすごくイランとの関係がうまくいかなくなるとか、そういうことがあるんでしょうか。または、絶対に日の丸原油をやらなきゃいけないのかどうか。
 それから、日の丸原油とは何だろうなと最近思うんですけれども、アラ石は、あれはかつて自分の会社で、「プロジェクトX」なんかを見ると、山下太郎さんが自分で開発したわけですよ。ところが、それから後の日の丸原油というのは、石油公団が国のお金をある程度じゃぶじゃぶ使ってやったので、どうもああいう山下太郎さんみたいな開発じゃないような気もするんですが、一様に日の丸原油というのはこういうものだ、これはどうしても基本的に自主開発が必要であるなら必要であると、なぜ必要なのかもちょっとお話をしていただきたい。
平沼国務大臣 これはもう委員もよく御承知のことだと思いますが、我が国においては、石油等の安定供給の確保を図るため、昭和四十二年以降、石油公団、設立当時は石油開発公団と言っておりましたけれども、そこを通じた出融資等によりまして自主開発原油の確保に努めてまいりました。公団設立時、これは一九六七年でございますけれども、日量約二十七万バレルでございました石油公団の出融資対象会社の自主開発原油輸入量は日量五十八万バレル、原油総輸入量の一三%まで増加をしてきております。このように、自主開発原油というのは、緊急時における安定的な供給源として一定の役割を果たしてきているものと私どもは認識をしております。
 ただし、これまでの石油公団の運営や財務面については、石油危機などを背景に、自主開発原油の量的確保に重点を置く余り、御指摘のように、資金の効率的運用に関して十分でない面もあったことは、私どもは率直に認めなければならないと思っています。
 しかし、天然エネルギー資源のない国にとりまして、石油の価格が三倍に上昇したり、非常にフラクチュエートが多い、そしてまた石油危機、そういうものもある中で、やはり自主的な開発による安定的な供給、日の丸原油というふうにおっしゃいましたけれども、それを確保していくことが日本のエネルギー安定のために、エネルギー安全保障政策上非常に必要である、こういう認識の中で私どもは一生懸命にやってきたわけであります。
 私どもとしては、引き続き、やはり二十一世紀も当分の間は、今の予想では二〇五〇年ぐらいまでは石油がある部分主要な部分を占める、こういうことを考えると、これだけの経済大国の日本にとって必要な石油というものは自主的に開発をし、そして後顧の憂いのないようにしておく、これが基本的にございまして、今回の法律の中でも、特殊会社、それが最終的に民営化されて、これからのことですけれども、でき得べくんば皆様方の御協力の中で和製メジャー、そういうものができればいい、その第一歩として位置づけさせていただいているところでございます。
中山(義)委員 そうすると、特殊会社というのは、法律案の中にはできる限り早くとなっておりますが、いずれは必ずつくってやっていくというふうにこれは読み取った方がいいわけですね。
 この特殊会社というのは、これはたった一行ぐらいで、「別に法律で定めるところにより前条第一項の規定により公団からその権利及び義務を承継する株式会社として政府がその資本の全額を出資するものを設立」するということ、これ、できるだけ早く民営化するというふうに書いてありますね。この一項というのは、全体的にはすごく大事なことなんですよね。初め、これは完全に法律に盛り込む話になっていて、堀内私案でも、ここに全部一回売却しちゃって、どういう企業が買うかわかりませんが、それが集結して特殊会社をつくっていくような形を想定したのかなとも思うし、平沼私案では、いいものだけをそこに集めて、そこを和製メジャー的なものにしようという、そんな意図も読み取れるわけです。
 きょうは、質問は、ジャブぐらい出しておいて、そちらの考え方をよく我々も知ろう、こういう段階でございますので、そういう面では、特殊会社というこの会社は、法律には盛り込んでいないけれども、かなり重要なことは確かですよね。
平沼国務大臣 石油公団廃止法附則で別に法的措置で設立をすることを明らかにしております特殊会社につきましては、整理処分後の石油公団の開発関連資産を引き継いで設立され、将来できるだけ早期に民営化する、こういうことになっております。
 いずれにいたしましても、特殊会社の目的、業務等については別に法的措置をとることとなっております。今後の議論の中で具体的な姿を明らかにしてまいりたいと考えておりますけれども、私どもとしては、先ほどの御答弁で申し上げたような、そういったことを将来描いている、こういうことでございます。
中山(義)委員 ちょっとしつこいようですが、もう一回だけ自主開発のことについて一応確かめておきたいんです。
 アラビア石油は、自分たちの会社の株式会社としてやった。その後の後発組の方は、ある意味では日本の全体の状況、石油ショックで、やはり日本に石油がなくなったら大変だ大変だという気持ちで、世論にも押されて、そういう石油公団みたいなものが一生懸命探鉱事業を始めた。そこには、はっきり言いますと、石油特別会計というものがついていて、これは税金ですからね、そこからじゃぶじゃぶお金が流れて、国民的に、もうとにかく油を掘り当てないと日本の国の将来がない、危ない、こういうふうなことがあったわけですね。それで、一たんその熱が冷めたときに、日本人によくあることなんですが、急に今度は石油公団に冷たくなってがたがたがたがたやっているというところだと思うんですよ。
 ただ、私たちは、今現実に、堀内さんの言うように会計がずさんである、これは間違いないと思うんです。ですから、行革の視点からいけば、相当これからも一つ一つのものにチェックを入れなければいけない、このように思うんです。
 しかし同時に、石油というものがこれからも、先ほどのお話のように、自主開発も必要だし、日本に安定的に供給されるということが、それもすごく重要なことだというふうに考えているのならば、これは、単なる行革という視点だけじゃなくて、石油を日本にいかに安定的に供給するか、しかもそれは、自主開発がこのくらい必要で、市場を利用して買うのはこのくらい必要でというものをこの時点で示した方がいいんじゃないかと思うんですよね。
 だから、例えばアザデガンという、大臣がお世話をしているところは、これはどういう形の開発なのか、いわゆる日の丸原油なのか、それとも、アザデガンでぼんぼん出てくるものは、いや、あれは市場にちゃんと持っていって市場から買ってくるんだとか、よくその辺がわからないんですよね。
 だから私たち、全体的にもう一度、日の丸原油というのはこういうもので、自主開発はこういうもので、市場で買うものはこういうもので、アザデガンのものはこういうふうに考えていると。それで、今のこの法案が通らないとアザデガンはだめになっちゃうのかどうか、その辺も含めてちょっとお話をいただきたいと思うんです。
平沼国務大臣 アザデガン油田の開発につきましては、二〇〇〇年八月の第一回日本・イランエネルギー協議を契機といたしまして、その後交渉を重ねた結果、同年十一月のハタミ・イラン大統領の訪日のときに同行されたザンギャネ石油大臣と私との間で、両国のエネルギー分野における協力に関する共同声明を調印した際に、この油田の開発に我が国企業が実質上優先的に交渉する権限を得ることについて合意をするに至りました。
 以降、昨年六月、我が国企業から開発計画が提出されまして、現在、我が国企業とイラン側との間で具体的な契約条件等に関する交渉が前向きに進んでいるところでございます。
 同油田につきましては非常に大規模な埋蔵量が期待されておりまして、日量五十万バレルとかあるいは六十万バレル、こういうような数字が出てきているわけですけれども、我が国の原油調達先の多様化の観点から、我が国エネルギーセキュリティー上重要なプロジェクトである、このように認識しております。
 当省といたしましては、できる限りいろいろな面で応援をして、可能な限り早急に契約が締結されることを期待しております。また、我が国企業の参入が実現した際は、当省としても当然必要な支援を行っていかなければいけないと思っています。
 我が国のエネルギーセキュリティーの観点から、自主開発を含めまして、中東産油国との協力関係を一層強化していくことが重要でございまして、今後とも、自主開発の推進に加えまして、イランを含めた中東産油国との間で、石油開発・精製分野における技術協力でございますとか、幅広い分野における研修生の受け入れ、専門家派遣等の人的交流、投資ミッションの派遣、あるいは事業可能性調査への支援などの投資促進策の実施により協力関係を築いていきたい、こういうふうに思っております。
 アザデガン油田としても、今、民間の中でコンソーシアムをつくりながら、そして、これは国の自主的ないわゆる日の丸原油として位置づけ、将来的に特殊会社あるいは完全な民営会社、そういったもの等の推移を見ながら総合的に考え、私どもは、しっかりとした自主原油として位置づけていかなければならない、このように思っております。
中山(義)委員 そうしますと、これはいわゆる独立行政法人、新規案件の出資や債務保証とかいうところで、ちょっとここではっきりわかってきたんですが、国のやる仕事というのは、例えば外国との交渉。それで、外国の交渉が済んだと。今度は、残った独立行政法人から出資をするけれども、それは相当厳しい、掘ってみたら必ず出てくるという、かなりの高い確率でそういうものがあるところにしか出せないわけですよね。しかも、スケールも、今話を聞いていると、かなり大きいスケールのものをねらっていると、こういう考え方でいいのですか。
 国がまず、イランならイランと交渉する。かなり確率が高い油田である。それには今までのようにお金を出していくけれども、レベルもかなり高いものでなければ今後は出せなくて、今みたいなアザデガンよりもっといいかげんなものには出さない。今度のアザデガンは絶対自信を持っているから出すと。その基準ですね、最後の。出さないか出すか。アザデガンとかは、もう先ほど言ったように出すと決めているわけですね。
 では、出さないという基準はどんな基準なんでしょうか。
平沼国務大臣 これは、例えばアザデガン油田に関しましても、石油公団が開発をしました三次元のいわゆる地震探査等も含めて、その可能性というものをより高めるための技術的なこともやっております。そういう観点の中で、アザデガンというのは非常に有望でございまして、そういう意味では厳しくチェックをしなければいけません。ですから、その時点で本当に有望である、そして、それが周囲に納得がいく、そういう形であればそれは踏ん切る、こういうことに相なります。
 その他、天然ガスも含めて、これからいろいろな案件が出てくると思います。そのときは、やはり私どもは厳しい基準を設け、その審査の中で結論を出していくべきだと思っておりまして、従来は、先ほど千三つというようなことをおっしゃいましたけれども、そういう意味では割合安易な形で進んでおりました。しかし今回は、従来は石油公団は七〇%までやっておりましたけれども、それも今度は五〇%、こういう形に限りまして、有望な案件に限定をして精査をしてやっていく、それが基本になければならない、このように思っております。
中山(義)委員 細かい石油会社をうんとつくって、そこに今までやらせていましたよね。こういう経理のずさんな部分については、何か同僚議員が後からうんと資料をもって厳しくやるというのですが、私は全体的な面から言いますと、今のお話は、じゃ、もう細かいやつはやめようと。大きくて、絶対そこに油田があるとかなり自信の持てるもの、それから、今までみたいに減免つき融資、出世払いみたいなのがありましたね。もし出たら返してくれよ、出なきゃしようがないというような感じのもの、そういうものも全部なくなるわけですよね、今回の新しい試みというのは。
 要するに、今までのことはまた今までで、いろいろな意見で質問があると思いますが、これからのこととしては、小さなものはやめる、全部やめて体力勝負のできるでかいものをつくっていく、そういう形でいいんですね。
平沼国務大臣 ある意味では、過去の反省の上に立ちまして、そういう可能性の低い、そしてまた小規模のもの、そういうものに関しては、原則的には私どもはやらない。ただ、やはり石油依存度を余り高めず、石油依存度を落としていく、こういう観点から、例えば天然ガス、そういうものに関しては、ちゃんと探査をした上、有望なものであれば、それはエネルギーの多様化という面で私は必要だと思いますけれども、原則としては、おっしゃるように、私どもとしては、厳選して余り細かいものはやらない、こういう形で進んでいきたいと思っています。
中山(義)委員 今の意見ですと、中東依存を避けるためには、よその地域も考えているということですね。それは石油というよりもむしろ天然ガスだ、こういうような考え方でよろしいわけですね。そういう志向をしている、それでいいわけですね。
 だんだん少しずつ見えてきましたけれども、どちらにしても、本当の意味でのエネルギー政策といいますか、戦略的なものをもうちょっとお示しになった方がいいと思うのですね。
 今回は、石油公団というその公団を、今まで経理がずさんだったからそれをやめたんだ、大分いろいろ堀内私案で経済産業省がちくちくやられて、それで今度は変えたんだというのではなくて、もし今回新しい法律をやるのだったら、やはりこれは不退転の決意で、中東依存というものはこうなったけれども、こういうセキュリティーを考えているとか、または、石油依存度を下げるためにはサハリンの天然ガスはこういうふうに考えているとか、それから小さな油田はもう全部整理する、大きな油田だけで勝負する。
 それからもう一つは、市場で買うためには何が必要なのか、市場から安定供給を受けるにはどうしたらいいのか、その国との友好はどういうふうにやっていくのかとか、その辺はもうちょっと詰めていただきたいと思うのです。
 それから最後に、石特の問題もあるわけですね。これも税金でうんとかけるわけですよ。今アメリカだったら、原油が入ってきてガソリンになったとき、ガソリンは全然安いですね。ところが日本の場合、税金がいろいろかかっている。今回、リサイクル法のときもありましたよね。石油に関する、また道路に関する、車に関する税金が高過ぎるわけですよ。だから今ガソリンが日本でも高い。でも、このガソリンが余り安くなっちゃうと、またじゃぶじゃぶ使ってCO2がふえるということもあり得るかもしれませんが。
 基本的には、この辺の税金の使い方をできる限りうまくやって、できればこの税金を使わないで、私の会社がどんどん伸びていって、その特殊会社という会社が、もし持ち株会社となって、政府とはもう別個に利益というものを追求して、株主からも本当に敬意を持たれるような会社でやってもらえば心配ないわけです。
 最後にちょっと申し上げますが、アラビア石油が放棄されたときに、最後は、民間会社だったということで放棄された。しかし、その前に二千億円の鉄道の問題がありましたね。このときにも、いろいろな週刊誌なんかを読んでいると、どうも経済産業省は、あの鉄道をけってもサウジアラビアは頭を下げて権益は続行できる、こんなふうに読んでいた節もあるわけですよ。だからやはり、諸外国との関係といいますか、本当に日本と中東との関係、そういうものもしっかりしていくことがすごく大事だと思うのです。
 ですから、共同開発などいろいろな投資をしながら、今回のイランの問題なんかは、恐らく中国も石油が欲しいでしょうし、韓国も欲しいでしょうし、東アジアの景気が上がっているところは全部中東に集中してくる。そのときに、やはり日本だけが安定供給を受けるということはできませんけれども、すべての国が安定供給をできるように外交的な努力がすごく必要なんですね。ですから、外務省が今の力で本当にそういうことができるのかも、我々すごく不安なわけですよ。
 それからもう一つ、備蓄だってそうですよね。我が国だけが備蓄したってどうしようもないわけですよ。諸外国も一緒に備蓄をしてくれないと非常に不安定な状況になる。そういう面でも経済産業省からそういうアピールをしておいてもらって、我々はこういうことで、中東から石油が、大変、九〇%近い依存はしているけれども、こういうセキュリティーでやっているんだという、そういうものが全部伝わってこなくて、今回も何か堀内私案に振り回されて、何かいいように経済産業省がいたぶられたような気もするので、もっと、冗談じゃないと、我々が今回変えるのは、日本の石油政策をもっと表に出して、安定供給とそれから市場原理と、そしてなるべくCO2を出さない天然ガスに変えていくという大方針を発表してくださいよ。
 そうじゃないと、我々質問していても、何だ、また前回と一緒じゃないか、悪いところだけちくちくやっている委員会になっちゃうと思うのです。そうじゃなくて、もっと夢のある、日本の石油の将来がこんなに明るいのかという形の委員会にしたいと思っているのですけれども、大臣、どうでしょうか。
平沼国務大臣 大変重要な御指摘だったと思います。
 決して堀内私案に振り回されたということではありませんで、たまたま行政改革、そして特殊法人改革、これとタイミングが重なったという面があります。そういう中で、堀内私案というものも、私どもは一つの大きな参考にはさせていただきました。しかし、私どもとしては、長期的に見て、冒頭の御答弁でも申し上げましたように、やはり自主的に開発をし安定供給、この道を残すことと、それから、おっしゃった備蓄というものは大切でありますから、その備蓄というものの最終的担保はやはり国がしなければいけない、それから研究開発、この辺は、我々は、今御指摘の総合的なエネルギー対策にのっとって、この三点というものはきちっとさせていただいたと思っています。
 しかし、いずれにいたしましても、国の大切なエネルギーの政策でありますから、やはりおっしゃるような視点も踏まえて、我々としては、これから皆様方の納得のいくようなことをやらせていただかなければならない、このように思います。
中山(義)委員 私は、行革という視点で今回のことを、恐らく後の方がちくちくちくちくやるでしょうから、どんどんやってもらってください。
 だけれども、今回の問題、あの山下太郎という人があそこで石油を掘り当てた。この山下さんの心意気というのは、日本はなぜ戦争になったか、要するに、油をとめられたから戦争になったんだ、それから、世界のこれからの趨勢というのは、油を持つ国が大きくなっていくんだ、こういうすごい大きな理念に基づいて山下太郎さんがアラビア石油であそこで掘り当てたわけですよ。
 そういう理念にもう一回しっかり石油公団の人が立ち返って、本当に日本人の心意気で再度石油を掘り当てる、やはりそういう努力を、汗をかくようなことをもっとやってもらいたいし、そうじゃなかったら、トルシエ・ジャパンのように外国人を呼んできて、監督にもっと優秀な人間を呼んできて、どうも日本のやつのやっている探鉱技術はだめだ、こういうのなら外国から技術者を連れてくるし、鋭いプレーヤーを連れてきてやるべきだと思うんですよ。本当に石油を生み出す努力をしているのかどうかというところに、今まですごく問題があったと思うんですね。
 やはり日本のこれからの将来のことを考えたら、石油も、天然ガスができるまでまだ十年ぐらいはかかると思いますよ、中東依存も。だから、もうちょっとしっかり外国との人間関係やそういうものもやっていかないと問題があるわけですね。相手は、ほとんど石油大臣を相手にするわけでしょう。そうすると、石油大臣は、やはりお互いに石油の問題で協力し合わないとなかなかその国と仲よくなれない。インフラだ、下水だなんていろいろ日本が協力する部分はあるかもしれないけれども、相手の石油大臣と対等にやるためには、やはり石油の問題でその国とやることが一番いいわけですから、これからの問題として、今回の行革の視点は大事な視点かもしれません。
 それは、今回もいろいろ出てくると思いますけれども、大きな戦略というものを常に示しながら答弁をしていただかないと、このせっかくの論議がおかしくなっちゃう。私、前回の論議の方がよかったのかなと、前回はそういうのがなかったから。かなり一生懸命やったつもりなんですよ、エネルギーの将来という問題についてね。ですからやはり、その辺も含めて、その辺をしっかり固めて答弁をしていただきたい。
 それから最後に、特殊会社については、法律になっていませんが、もっと表に出してもらって、特殊会社が何をするのかはっきりしてもらわないと、これは最後、結論がありませんよ。その辺を指摘して、私、質問を終わりまして、堀内さんよりもっと厳しい山田敏雅にかわりますので、よろしくお願いします。
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谷畑委員長 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、会計検査院事務総局第五局長円谷智彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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谷畑委員長 山田敏雅君。
山田(敏)委員 山田敏雅でございます。
 大臣、あと何分ぐらいなんでしょうか。(平沼国務大臣「あと五、六分」と呼ぶ)それでは二問、十分だったら四問だったんですけれども、二問いたしますので、お答えください。
 まず第一に、去年、先ほど中山議員も言われました、石油公団が新たに自主開発をやるための法律の改正案をやりました。大臣は、再三答弁に立たれまして、このことについての意義を説かれました。今日、同じ大臣が、今度、石油公団を廃止する、こういうことでございますので、その点について、去年のあの議論では、総理大臣に対して、あるいは閣議で、そういうことはやらないんだと突っ張るべきだったと思うんですが、そうではなかったということについて一言、御感想なり意見を聞かせていただきたい。
 もう一点は、石油公団というのは自主開発油田をやるということで、どういう大義があったのか、日の丸原油三割ということであれば多少日本のセキュリティーもいいだろうということでやられたと思うんですが、そういう大義のもとに、しかし、実際よく見てみるとそんなものじゃなくて、まさに採算を度外視する、あるいは経営感覚が全くない、あるいは素人の天下りの方が全然仕事をしないで地位をたくさん占める、まさに、普通の国民の感覚からいうと、とんでもないことが、これは後で、大臣が出られた後、副大臣にいろいろ申し上げますけれども、起こったわけですね。
 それでは、二兆円使って一兆四千億円を海の藻くずにしたことについて、これは単にリスクがあったからではなくて、明らかにこの手法、やり方、行政にこれは責任があると思うんですね。
 そこで、まず、行政責任はどうなるのか。一切責任は問われませんという、今度の法律ではそれは出てきません。それから、経営の責任はだれがとるのか。公団の総裁は一体何をしたのか。開発会社を二百九十八社もつくって、そのうち何にもしない会社がいっぱい出てきました、後で述べますけれども。経営責任はあるのか、もちろんあります。では、とるのかとらないのか。退職金を払うのか払わないのか、公団総裁ですね。その責任を明確にされないでこれから先どういうことをやるのかということが全然出てこないと思うんですね。
 以上、この二点についてお答えください。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 先般の石油公団法の改正におきまして、御協力をいただいていろいろ審議をさせていただきました。そのときの答弁の中でも私は申し上げておりますけれども、特殊法人整理合理化計画の中で国の方針が出ました。そういう中で、私どもとしては、今回、石油公団を廃止をするけれども、御審議をいただきました、国の自主開発の機能、リスクマネーの機能あるいは備蓄の機能、そしてさらには研究開発の機能、これはしっかりと担保をする、そういう形でやらせていただきました。
 閣議でそれに反対をしなかった、これはけしからぬというようなニュアンスのお話でしたけれども、私どもといたしましては、この前の委員会の中でも将来の方向は私は申し述べさせていただきましたし、やはり、国のそういう方針が出れば、我々は重要な機能というものを担保しながら、新しい一つの合理化計画の中で決断をさせていただきました。
 それから、役所の行政責任及び経営責任をどうとって、具体的にはどうするんだ、こういうことでございます。
 石油公団というのは、自主開発原油の確保に貢献してきた結果、一九六七年の設立時には日量約二十七万バレルであった出融資対象会社の自主開発原油輸入量は倍増の五十八万バレル、原油総輸入量の一三%まで増加をいたしました。したがって、私は、緊急時における安定的な供給源として一定の役割を果たしてきているものと認識しております。
 他方で、御指摘のように、石油公団による探鉱投融資制度の事業運営について国民に対し十分に説明責任を果たすべきという認識が必ずしも十分でなかったこと、出資及び減免つき融資を合計して七割まで財政資金による支援が可能であったことなどから、主体であるべき民間事業者の経営責任の所在があいまいとなるという弊害があった、そういうことも事実だと思っています。
 このような状況の中で、近年、各方面から、石油公団の財務、事業運営についての問題提起がなされまして、これを受けて、公団内の石油公団再建検討委員会及び部外第三者による石油公団開発事業委員会において、一つは、プロジェクト採択審査の定量的評価の導入でありますとか、企業会計原則に準じた会計処理の導入、それから出融先会社の整理、情報公開の徹底等の改善が示されまして、以後、それらの指摘事項のほとんどすべてについて着実な改善を進めてきているところであります。
 さらに、今回の改革では、自主開発支援につきましては、プロジェクトを厳選するとともに、減免つき融資を廃止し、支援比率は五割を上限とするなど、より一層の効率化を求められておりまして、かかる改革を着実に実施することとして当省としては責任を果たしてまいりたいと思っております。
 そして、行政の責任あるいは経営の責任をどうするかということですけれども、今言った、御指摘の、そういったことを着実に実行することによって役所としては責任を果たしていかなければならないと思っております。
 また、石油公団の役職員のことについても、私どもとしては、やはりそこは意識を喚起するということは非常に必要だと思っております。また、退職金等のことに関しましては、私どもは、将来石油公団が廃止されまして、その役員が退任するときに、その時点での職務実績に照らして検討されるべきものだと認識しております。
 欠損金を抱えている石油開発会社を含めて、石油公団が保有する株式については、総合資源エネルギー調査会の意見を聞いた上で、内閣総理大臣に協議しつつ、公明正大に整理売却を進めていくこともやはり責任を果たすことに相なると思います。
 その際、このような企業の役員に対する退職慰労金の支払いについては、まず、石油公団が株主として十分に関与すべきものとは思っておりますけれども、必要があれば、石油公団を通じて私どもは厳密に、適切に対処をしていかなければならない、この辺は厳しくやらなければいかぬ、こういうふうに思っています。
山田(敏)委員 一兆四千億、全く海の中にお金を捨てた、このことについて、普通の会社で、例えば百億円の会社で十億円損した、これは明らかに責任をとらなきゃいけないのですよね。今の御答弁では、だれも責任をとらないということをおっしゃったので、これはやはり国民の立場としては納得できないと思いますので、引き続きまたよろしくお願いいたします。
 副大臣、実態は、今、改善したから責任をとらなくてもいいんだ、こういうことなんですけれども、二百九十八社つくられたんですね。この中で、天下りの方が入られました。実態はどうなったかといいますと、石油開発については全く素人です。その方が社長になって行った。これは産経新聞の二〇〇一年の十一月二十二日の記事でございますけれども、大蔵出身の理事、「石油開発のことはわからん。それは専門家に任せればいい」と。これ、経営の責任者ですよね。わからぬから専門家に任せると。この人の言葉にあるように、実体上の開発会社のトップは天下りして素人ですから、しかも二、三年でかわるわけですね。また別の天下り先に行く。腰かけなんですね。しかも素人なんですね。
 まさに、この大蔵出身の理事の方のお言葉のように、仕事をしなくてもいい、実はできないと。では、それについて経営責任、行政責任はだれがとるのですかという質問なので、それはとりませんという答弁じゃおかしいんじゃないですか、副大臣。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 今大臣が答弁をさせていただきましたのは、今度の石油公団の廃止に伴いまして、リスクマネーであるとかあるいは技術開発の機能、こういったものはしっかり移転をして、国として関与すべきところは関与し、また、過去の反省に立って、例えば減免つきの融資の廃止をするとかあるいは支援を五割以下にするとか、そういうことをきちっと行うことによってけじめをつけていくということが一つ。
 それからもう一つは、では、石油公団の退職をされる方についてはどうなるのか。実は、石油公団の職員の退職金につきましては、退職手当支給規程というのがございまして、これは経済産業大臣の承認を受けることになっております。
 したがいまして、現在の石油公団の退職につきましては、三年後には廃止をするということでありますので、そういったいろいろな機能が順次独法等々に移管をされていきますと、その節々で退職ということになっていくと思いますけれども、その時点でその人の職務実績等々を見て公正に判断されるべきものでありまして、あくまでも支給規程というのは大臣の承認でございますので、その内容の検討も含めて対処していくべきものというふうに私は考えておるわけであります。
山田(敏)委員 経営者としての責任を見るという視点があるんだったら今のはいいんですけれども、そのお言葉がないんだったら、やはりもう一回、普通の会社が普通にやっている、多額のお金の損失を出した、そのことについてはきちっと責任をとるべきだと私は思います。
 もう一つ、本会議で私は大臣に質問いたしました。副大臣もお聞きになっていたと思うのですが、私、天下りのことを申し上げました。ある公団の中の、これは石油公団じゃないんですが、内部告発。本会議で申し上げましたように、十一時に出社します、一時間、新聞を読みます、昼休みは二、三時間とります、夕方に帰ってきて、一時間、夕刊を読んで帰宅すると。こういうことを中で働いていた方が言われたわけですね。それに対して、大臣が答弁に立たれまして、今後の天下りについて、厳重にそれは調べる、勤務実態もちゃんと見る、こういうふうにおっしゃいました。
 私は、今、石油開発会社のこともちょっと言いましたけれども、これは、よく役員をごらんになったらわかるんですが、二百九十八つくって、一人の社長が五つも、十社ぐらいだった方もいらっしゃったと思うんですけれども、数社の社長を兼務しているんですね。そんなことできますか、五十億とか百億とかのお金を任された人が、五つも六つも、私は社長ですと。しかもその人は、私は石油開発の素人ですと。しかも、私は二、三年しかここにいません、それで国民の税金を任されましたと。これは勤務実態を調べるまでもなく、こんなひどい話はないと思います。
 大臣が勤務実態を見るとおっしゃっているんですが、その後やられましたでしょうか。どういうふうにやるつもりなのか、ちょっとお答えください。
古屋副大臣 委員が本会議において、一般的な特殊法人についての御指摘をされたということを私も聞かせていただきました。
 念のため、石油公団の役員の実態について確認をさせていただきました。石油公団からの報告によりますと、石油公団の役員は、一般企業の取締役と同様、委任契約に基づいておりまして、勤務条件を定めた規則類というものは存在はしておりませんけれども、勤務時間、昼食時間、休暇等につき、勤務は規律をもってなされておるということでございまして、また各役員からの個別の聴取におきましても、批判を受けるような実態はないという報告を受けております。
 ただ、御指摘のように、役員の勤務状況により企業の経営状況というものがゆがめられているという事実があるならばこれはゆゆしき問題でございますので、また、公団の出資先企業に対しても、石油公団を通じまして適切な対応を講じていかなければならないと思っておりますし、私どもといたしましても、そういう実態をしっかり把握した上で適切な対処をしていきたいと思っております。
山田(敏)委員 非常に抽象的な話でございますので、資料をもって答えていただきたいと思います。
 また、石油公団の下につくられた開発会社、また膨大な数の備蓄会社、これについて、もう一度資料をもってやっていただきたいと思います。委員長よろしいでしょうか、資料を請求いたしましたので。
 ここに……(発言する者あり)
谷畑委員長 はい。そうしたら、理事会で諮らせていただきます、この件につきましては。
山田(敏)委員 ここに、備蓄会社がございます。八つの備蓄会社がございます。これの天下りの方のリストを調べました。職員の数、全部で七百八十名、そして管理部門の方が百六十三名、その上に役員がずっといらっしゃいます。社長は、大体通産省からの天下りの方ということになっております。
 国家備蓄は、御存じのようにもう既に終わっております。しかも、この備蓄会社、ある会社は役員が十人いる。職員は全部で七百八十名ですね。管理部門の方はほとんど東京にいらっしゃる。これは全部地方なんですね。この備蓄会社の仕事というのは一体何なんでしょう。もう既に石油は備蓄基地に置いてあるわけですね。普通の会社のように一生懸命営業するとか、こういう仕事は一切ありません。それから、研究開発を一生懸命やろう、これも一切ありません。では一体何なんだ。しかもその会社に、一つの会社に十人も役員がいる。毎日何しているんだと。
 しかも、備蓄の専門家というのはあるのかどうか知りませんけれども、仕事が余りないのに専門家はないと思うんですけれども、素人の方が社長で来られた、二、三年たつとどこかへ行っちゃう。こういう感覚というのは、これは経営感覚というんですかね、世の中では考えられない。初めて見たらみんなびっくりしますけれども、知らなかったら知らなかったですけれども、まさに採算なんかもう度外視する。二千数百万円の役職手当を払って、勤務実態は明らかではない。
 どうも私が聞いた話では、ジャーナリストの方が会社を訪問して、どうですかという話を聞くと、ほとんど仕事がない。私はそう思います、仕事はないと思いますよ。あるとは考えられないですね。これについて、勤務実態を調査される考えはありますでしょうか。
古屋副大臣 今私の方からも答弁させていただきましたけれども、委員の前回の本会議質問を聞かせていただきまして、まずは実態の調査、確認をさせていただきました。その内容につきましては先ほど答弁をさせていただいたとおりでございますが、しかし、やはり委員御指摘のように、実態というものを把握していく必要がございますので、引き続き、必要があればそういった調査はしていきたいと思っております。
 具体的な実態につきましては、今事務方の方で把握している限りのことは答弁をさせていただきたいと思います。
山田(敏)委員 それでは、それはしっかりとお願いして、これは石油公団だけではなくて、七十七の特殊法人に通じる問題でございますので、よろしくお願いいたします。
 次に、天下りのことでございます。
 私は本会議で申し上げました。私自身も通産省におったんですけれども、非常にお世話になった先輩、御飯をごちそうになったり、マージャンを一緒にしたり、マージャンも、私も大分負けましたけれども。その方が公団の理事あるいは開発会社の社長、これは普通の感覚で――法律にはこう書いてあるわけですね。通産省はこれを監督するわけですね、石油公団並びにその子会社を。監督責任がありますと法律には書いてあります。
 しかし後輩である、もし私がエネ庁の責任者であるとして、後輩である私が、世話になった先輩、あるいは特別の感情を持っている、人間ですから、その方に対して、あなたは働いていないから首です、あしたから来なくていい、これは普通の会社では行われますね。全然働かない役員がいて、月給百五十万円も取っていれば、当然首ですよね。これ、言えるはずがないんですね。
 実際、公団ができて三十年間、堀内さんの発端ですね、改革が行われる前、三十数年間一度も、これはおかしい、あなたがやっていることはだめだ、経営感覚何にもない、税金のむだ遣い、めちゃくちゃやっている、そういうことを、監督をきちっとやったという形跡はありません。そういう事実もありません。そして、それによって後輩が先輩を監督するということは、法律には書いてあるけれども、現実としては起こり得ないことなんですね。これを私は本会議で申し上げました。これでは税金をどんどんむだ遣いしてくださいというのを奨励しているような話ですね、監督する人がいないんだから幾らやってもいいと。
 では、一体これからどうしたらいいのか、こういう特殊法人、またこれから独立行政法人。もちろん、独立行政法人も法律としての制度はありますね、第三者機関を置くと。しかし、過去一年間の独立行政法人を見ましたら、役員の数が倍になりました、しかし、それについて第三者機関は、おかしいじゃないか、チェックをして減らす、こういうことをやっていないんですよね。実効が上がっていないんですよ。
 副大臣にお答えいただきたいんですけれども、例えば外国企業の監査法人を入れる、非常に厳しい監査、数字、きちっとできるというような制度を導入しないと、やはり今後も、今大臣がお答えになりましたように、自主開発の開発部門は残す、研究開発の部門は残す、備蓄も全部残す、石油公団がやっていたことは大体全部残しますということであれば、多少、八〇%が五〇%になったぐらいのことでは同じことになるんじゃないか。その天下りの制度に関して、これは他の特殊法人にも通じますけれども、抜本的な改革を、ぜひ政治家として御意見を言っていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
古屋副大臣 この役員の天下り問題に限らず、今各方面から、石油公団の事業運営につきましてもいろいろな意見とか批判が出ております。したがいまして、まず我々としては、石油公団の再建検討委員会を組織をさせまして、部外の第三者による検討の場として、当時の石油審議会でございますけれども、そこに石油公団開発事業委員会というのを設置をしまして、いわゆるディスクロージャーの徹底であるとか会計監査の徹底等々見直しを行いまして、今その指摘事項についてはおおむねその改革が実践をされまして、確実な改善はなされているというふうに思っております。
 ただ、委員御指摘のように、やはりこういった問題は不断に見直しを行っていくということはもう申し上げるまでもないことでありまして、こういった実情でございますので、私どもといたしましては、しっかりその運営実態を把握をしながら、また退職の問題につきましても、あるいは役員の問題につきましても、その勤務実態というものをしっかり照らし合わせながら、世間から批判を受けることのないようなそういった運営をしていくことが大切だと思っておりますし、また監督官庁としてもそういった責任はあるものというふうに考えております。
山田(敏)委員 公務員制度改革も含めて、抜本的にやるべきときに来ていると思います。もう国家の財政が七百兆円も借金を出すような、史上、地球上にあり得なかったような大借金国が出現したわけですから、このことをぜひ覚えておいていただきたいと思います。
 会計検査院に来ていただいておりますが、私は決算行政監視委員会でたびたびやったのですけれども、会計検査院から天下りの方が石油公団に入っていらっしゃる、あるいは他の公団もそうですけれども。それでは会計検査院が会計検査できるわけないですよね、公平で公正、国民の立場に立った。それはどういうふうにお思いになりますか。
円谷会計検査院当局者 公団にはただいま確かに本院のOBが一人再就職いたしております。これは役員としてではございませんで、常勤職員ということで、本院におきます長年の経験を生かしまして、公団内部の効率的な、経済的な業務執行に寄与するように、指導業務あるいは内部審査業務あるいは相談業務にあずかっているということであります。
 本院は、今おっしゃいましたように、会計検査という非常に重要な使命を持っておりますので、公正、厳正な立場というものは決して貫かなければいけないということでありますので、本院OBが再就職しているからといって、それで検査に影響が出るということはもう絶対にないようにしております。
 いずれにいたしましても、本院の職員の再就職に関しましては、国民の信頼を損なうことのないように今後とも留意をしてまいりたいというふうに考えております。
山田(敏)委員 そんなめちゃくちゃな話はないのでね。会計検査院の先輩がいて、後輩が検査に来て、一切影響ありません、そんな子供だましみたいな話はないでしょう。これはおかしいから改革しなきゃだめなんじゃないですか。今僕は言いましたよ、私は役人やっていましたから。人間には感情というのがあるんですよ、先輩、後輩というような。見直さなきゃだめじゃないですか。そんなむちゃくちゃな話ないですよ。
円谷会計検査院当局者 検査院OBといいましても、検査の立場に、検査の当局に出てくるわけじゃございませんで、直接本院の職員とやり合うということはございません。常日ごろから、内部において効率的な業務執行に寄与するように、中で指導したり審査をしているということでありますので、検査に当たりましては、本院の職員は公団の職員とかなり厳しい検査を実施しておりますので、そういう影響はございません。また、検査のときにはこちらの方にも来ませんので、顔を合わせるということもございません。
山田(敏)委員 石油公団三十数年の歴史の中で、会計について非常にずさんなことがたくさん行われた。一度も指摘していないじゃないですか。機能していないじゃないか。だからこういう問題が起こったんじゃないか。
 ひとり石油公団だけじゃない、ほかのところにもみんな天下りしているじゃないか。それについて一切見直しもしない。これはいいことをやっていますということでは、国民は全然納得できない。それはおかしいですよ。
円谷会計検査院当局者 一切指摘をしていないということではございませんで、例えば、先ほど先生も御質問されましたような海外探鉱事業につきましては、既に昭和五十一年度の検査報告におきまして、現在の問題点を国会報告いたしております。それから平成九年度におきましても、さらにこの海外探鉱につきまして、再度、特定検査項目ということで、問題点をみんな分析して報告いたしております。ですから、OBが行っているからといって指摘をしないということはございません。
山田(敏)委員 ちょっとこれは話にならないので、改めて私は別の場所でこれを取り上げてやっていきたいと思います。(発言する者あり)いや、これはもう何回聞いても同じことを言われるので、もう一回改めてやります。
 自主開発のことについてお尋ねいたします。
 自主開発というのは本当に日本のためにちゃんとなったのか、あるいはなっているのかということを本会議で質問いたしました。ジャパン石油開発のことを聞いたんですけれども、大臣は、オイルショックのときも自主開発の石油は入っています、こういうふうに答弁されました。
 個々に資料を調べまして、ジャパン石油開発のオイルショック前後の持ち込み量、それから価格、そして全体の輸入量ですね。オイルショックのときは価格が高騰したんです。入ってくる油がなくなったわけじゃないんです。総輸入量はほとんど変わらないんですね。七三年に四百九十四万バレルだったのが、七四年に四百八十三万バレル、油はちゃんと入ってきたんです。価格が上がったからオイルショックになったんですね。
 そして、その価格はどうなったかというと、ジャパン石油の自主開発だから、安く入ったわけじゃないんです。量が確保されただけなんです、自主開発の原点は。そうしますと、この自主開発全体の輸入量は、七三年四十二万バレル、七四年四十七万バレルと、全体の輸入量の約一〇%は自主開発だったと。
 要するに、大臣が本会議で言われたような、オイルショックになったからばあんと量が減って、その分、自主開発の油で日本はセキュリティーを守られたのだということじゃないんです。しかも、自主開発油田と称して外国で全部やっているわけですから、イランのように、突然思想が変わりました、国策が変わりました、アブダビのように、オイルショックがあったらこれからは全部国営化します、突然二五%の権益が六〇%ですと。これで本当に二兆円のお金を、国民の血税を使う費用対効果があったのか、明らかになかったと思います。
 大臣の、オイルショックのときに自主開発があったから大丈夫だと。こうじゃないということを今指摘させていただきましたけれども、エネ庁長官、副大臣、いかがお考えですか。
河野政府参考人 先生、先ほど、例えばジャパン石油開発の数字をお挙げになりました。七三年から七四年にかけまして、オイルショックの過程で全体の輸入が減ったわけであります。もちろん、実際に減った量よりも、そのときに生産制限あるいは輸出制限ということによって非常に不安定な社会情勢にもなったということの影響は多かったと思います。しかし、そういう過程にあってもやはり持ち込み原油量をふやすことはできたということは、我々にとっては当時非常に大きな安心材料の一つであったということを申し上げられると思います。
 それから、自主開発原油一般について若干申し述べさせていただきますと、やはり現地で直接生産あるいは操業に携わるということが産油国との間では非常に大きなきずな、太いきずなでございます。そして、それを通じて、場合によっては弾力的に原油引き取り量を拡大することもできるということになります。また、人的関係も密になるということでございますから、我が国のエネルギーの安定供給上やはり極めて重要というふうに思っております。
 確かに、価格面は、最近とみに石油市場はグローバル化しておりますので、国際的な市場価格によって決まる要素が強いわけであります。ただ、長期取引の原油の場合は必ずしもスポット価格そのものではございません。もうちょっと平準化効果はあると思いますけれども、しかし、それが価格面で非常に大きなメリットというよりは、やはり安定的な引き取り、そして、場合によっては弾力的に増産も期待できるというようなことでもあります。
 加えて、やはり日本のような大きな石油消費国が世界的に、増産余力といいますか、石油生産ポテンシャリティーを高めることに寄与するということも非常に意味あることだというふうに思っております。
古屋副大臣 今エネ庁長官が答弁をさせていただいたことに尽きると思います。
山田(敏)委員 エネ庁長官、数字を変なことを言わないでくださいね。自主開発は、七三年に四十二万バレルから四十七万バレル、七五年には四十万バレルと、自主開発がふえたとか、ほとんど変わらないんですよ。それから、輸入量が減ったと、七三年に四百九十四万バレルが四百八十三万バレル。そんな大きな輸入が減ったということもほとんどないので、僕は、そういう説明じゃちょっとないと思います。
 今ちょっと言われましたけれども、実際、自主開発というのは価格じゃなくて量なんですよね。ですから、量が余り変わらなかったら、自主開発が本当に日本のセキュリティーを救ったとかそういうことはないというふうに思います。
 それから、今二百九十八社、そのうちに十三社の会社が何とか生産しているんです。このリストをいただきました。各会社は非常に規模が小さいんですよね。今まで過去十年間全部出していただいたんですが、総生産額で大体一千億円ぐらいの、一番大きなところで一千八百億ですね、旧インドネシア石油。少ないのになると、本当に百億とか二百億、もうほんのわずかな、十三社の中でも非常に小さなものをやっていらっしゃるんですね。
 しかも、もっと大事なことは、オペレーター、要するに、実際にオペレーションをほとんど外国の会社に頼んでやっているんですね、アメリカとか。これはメジャーの子会社ですね。そうすると、石油公団、今一生懸命、大臣がおっしゃっている、技術開発の能力を石油公団は持っているからもっとやろう、こういう一つの看板がございましたね。実際は、オペレーションは外国の会社に任せてやっているという実態がありますね。しかも、今までの油田の規模は非常に小さいですから、これから先、さっき大臣がおっしゃった、和製メジャーを目指していくなんというようなことには到底なり得ないような、言葉ではいいんですけれども、そういう状況になっております。
 今後、この石油公団、自主開発は残す、技術開発は残す、こういうことなんですけれども、ちょっとこれでは今大臣がおっしゃったようなことにはならないと思うんですが、副大臣、いかがお考えですか。
河野政府参考人 先生御指摘のように、個々のプロジェクトによりまして、日本の企業が直接オペレーターシップをとっているケースと、経営に参画するけれども、オペレーターは、メジャーと組むことによってメジャーに任せているというケースがございます。
 ただ、オペレーターをメジャーに任せているケースであっても、これは、経営管理委員会といいますか、ジョイントコミッティーというものをつくりまして経営に参画しているわけでございます。加えて、その持ち分については、日本への原油の引き取り権などのような形で安定供給のもとになっているということでございます。
 そして、その開発を進めるに当たりましては、オペレーターであろうとなかろうと、その経営委員会なりの場で、どういう技術を使って開発していくか、あるいは、そもそも原油のポテンシャリティーというものをどういうふうに評価するか、それにはやはり技術的な蓄積が不可欠であります。
 また、オペレーターをとる、あるいは経営のやりとりをしていく過程でも、日本の企業、あるいは日本の企業が規模が小さくて直接持てない場合には、石油公団の持っている技術を背景として渡り合っていくというためにもやはり技術開発が必要だというふうに思っています。
山田(敏)委員 ある専門家の方に聞きますと、こういう実態ですので、オペレーターのほとんど、日本がやっているというのは一社しかないんですよ。石油資源開発。あとは全部外国のオペレーターですね。こういう状況ですから、日本の石油公団というのは、技術的な蓄積とかレベルとか開発能力とか、およそこういう会社に比べてあるとは思えないと。これは私、その意見の方が正しいと思うので、今後そういう部門を残すことについては、費用対効果を考えて、やはりもう一回慎重に検討し直した方がいいと思います。
 また、自主開発をこれからやるのかどうか。今後の基本的な方針です。先ほど中山先生のお話もありましたけれども。
 三十五年前に石油公団をつくったときはメジャーが市場を支配していました。これに何とかしようということでできたんですね。その後、これがなくなりました、第一次オイルショック、第二次オイルショックで。そしてOPECが市場をコントロールする、こういう時代になりました。これについては、石油公団は中東の依存度を減らそうと、現実にはその反対に中東依存度が八七%になっちゃったんですけれども、こういうことをやりました。
 そして、もう二十年ぐらい前から、このOPECの市場支配力というのはなくなってしまいましたね、御存じのように。非常に自由な市場になりました。ここ数年は、特に、九月十一日のテロにもかかわらず、石油市場というのは非常に緩くなってきました。
 すなわち、どこでも、どんな国でも、石油を買えるか買えないか、そういう心配をする時代ではなくなった。三十五年前の時代と今の時代は、全く変わってしまったんですね。この石油市場でだれかが強いコントロールを持ってやるという時代はもうなくなったんです。この時代に、日本の石油政策はまだ自主開発に莫大なお金をかけてやっていこうと、こういうのはちょっと合わないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
河野政府参考人 先ほど先生も、グローバル化したマーケットの中で、自主開発の役割というのは価格面よりもむしろ量ではないかというふうにおっしゃいました。
 総合資源エネルギー調査会で昨年七月に取りまとめました報告書でも、二〇一〇年度の一次エネルギーの中で、石油が四五%程度、天然ガスが一三ないし一四%程度やはり依存せざるを得ないという見通しを持っております。その中で、安定的に取引が可能であって、かつ産油国との協力関係の太いきずなになる、さまざまな意味を持つ自主開発はやはり依然として必要なことだというふうに思っております。
山田(敏)委員 産油国とのきずなとか、そういうことをおっしゃったんですが、先ほど言いましたように、今、日本が持っている自主開発油田というのは非常に規模の小さいもので、しかも参加シェア五%なんというのがあります。言葉で言うのはそうなんですけれども、国としてこういうことをやる意味が余りないんじゃないかと思います。
 最後に、副大臣、今後の方針をちょっとお聞きしたいんですが、ちょっとあいまいな点がたくさんございます。
 まず、資産処分の方法、これはまだ全く見えておりません。それから、先ほどありましたけれども、資産を引き継ぐ特殊会社はどういう内容なのかというのも一切ない。それから、私が今指摘しましたように、廃止後の開発部門、これも全く明らかになっておりません。
 今後、法律の審議の中で、今の状況では全く明らかになっておりませんけれども、だんだんそれを明らかにしていく方針はあるのでしょうか。それとも、このまますべてをあいまいにしてこの法案を通そう、こういうお考えなんでしょうか。お答えください。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 まず、今後、この法案の附則にも指定されております特殊会社の設立に関連いたしましては、どのような資産を継続させていくかといったことがございますけれども、これは、まず石油公団の資産の処分というものをしっかり、公明正大、なおかつ公正に行っていくということが大前提でございます。その処分を行った上で、最終的には、特殊会社がどういう形で組織されていったらいいのか、これはまだ具体的に決まっておりませんので、まだここではっきりしたことを申し上げるわけにいきませんけれども、その特殊会社法を設立する過程の中で、どういう具体的なものが必要かというものを議論の上で、またその姿を明らかにしていきたいというふうに考えております。
 引き継ぐべきものは引き継ぐ、そしてまた、独立行政法人に移管をするいわゆるリスクマネーの供給、それから技術開発あるいは備蓄の計画につきましてはしっかり対応させていただく。当然、その前提となるものは、やはりプロジェクトの厳選をしていくということ、これは先ほど大臣からも答弁があったとおりでございます。こういう基本的な考え方に基づいて対応していきたいと思っております。
山田(敏)委員 今の答弁では、開発部門の御答弁もありませんでしたけれども、このままこれをあいまいにして、明らかにしないでやっていくということでございますので、私は、これはちょっとまずいと思います。ぜひ、今後の議論の中でしっかりこの三つの点を明らかにしていただきたいと思います。
 最後に、今後の石油政策、石油を一体どうするのか。どんどん、安定供給、安定供給ということで、今までどおり。どうも、大きな石油政策の変換というか転換、これを機にというところが全然見られないんですが、エネ庁長官、いかがですか。
河野政府参考人 御指摘でございますので、開発部門に限らず、石油全般についてちょっと触れさせていただきたいと思います。
 戦後日本は、海外の石油資産は一切持たずに、そしてリファイナリーについてもメジャーに依存するような環境の中で、石油産業を何とか自前で持ちたいということで始めてまいりました。その結果、石油業法に基づいて、精製分野については一定の地歩を築くことができたと思います。しかし、その際も、やはりアップストリームについてまでは十分に手が回らなかったということもあろうかと思います。
 結果的に、産油国との歴史的なつながりが薄い、そして後発であったというようなことで、総合石油産業、いわゆるメジャーのような産業が出なかったということは非常に残念なことであったというふうに思っています。
 しかし、そういう中で、可能な限り強靱な石油産業をつくっていこうということで、先国会でも自由化の法律を通していただきました。これを通じて、精製分野を中心として、強靱な石油産業をこのマーケットの中で育てていきたいというふうに思っています。
 アップストリームにつきましては、石油審議会でも中核的企業の育成の重要性というものが指摘をされております。先ほど大臣の御答弁にもありましたけれども、今後も自主開発政策を、厳選しながら続けていく、そしてこの公団改革を推進していく、そういう過程の中で、石油審議会でも提言のあった中核的企業、こういったものも念頭に置きながら対応していきたいというふうに思っているところです。
山田(敏)委員 ちょっと実態とは違うんじゃないですか、今のアップストリームの話。今僕は十三社申し上げましたけれども、過去十年間の総生産額は二千億円ぐらいの会社で、今おっしゃった、これを強靱なアップストリームにするとか、そんなことは現実的にちょっとあり得ないと思うんですね。
 それから、今の御答弁、ちょっともうかなり時代におくれているような気がします。メジャーは、石油というものをもうメジャーに置いていないんですよね、風力とか太陽光とか、風力なんかは莫大な投資をして、もう石油に頼る政策というのはやめようというのをはっきり打ち出しているんですよね。今のお考えなり石油政策どうするのかというのは、そんなの全然出てこない。
 この間の新エネルギー法案で、風力を国家の買い取り制度にすれば大きくふえるのに、それをやめてごみ発電を持ってくる。こんなことをしたら、今の再生可能エネルギーは我が国の中には全然育たなくなってしまう。世界を見て、メジャーがやっていることは、石油をこのままやっていこうなんて視点はもうなくなっているんですよね。その点、副大臣、いかがお考えですか。
古屋副大臣 今度の一連の石油公団法改正の中で、やはり過去のいろいろな意味での政策的な、失敗と言うと語弊がございますけれども、対応が好ましくなかった点というのがございますので、その反省の上に立って今度のこの法案をつくらせていただいているわけでございます。
 そして、やはり我が国は依然、この石油依存度というものは、好むと好まざるとにかかわらず多いという現実がございます。そういった視点に立てば、やはり安定的な供給をしていくために、引き続きその機能をしっかりと充実していくという必要があると思います。
 そういった視点に立って、今度は、資産の処理をして、特殊会社に移すものは移す、あるいは独立行政法人に移管をして、リスクマネーの供給であるとか技術開発は、プロジェクトを厳選した上でやっていく、こういうことを整理させていただいて対応させていただいているわけでございます。したがって、石油に対する、そういった安定供給するためのいわば仕掛けというかスキームは、依然必要だというふうに認識をいたしております。
 ただ、委員が御指摘のように、将来的には、例えば天然ガスの開発であるとか、こういったものに対してもしっかり我々としてもそこに対応していく必要があるという認識でおります。
山田(敏)委員 私は、脱石油ということで日本政府は今からしっかりやっていかないと、もちろん世界におくれますけれども、四十年後の石油需給を見ると、このままこういう政策を続けていくと日本が一番被害を受ける、こういうことがありますので、なるべく石油を使わない社会、私、本会議で申し上げました、電気自動車を、一千億ぐらいかければ数十万台できる、石油を使わない社会が大きく前進していくわけですけれども、この点をぜひ御配慮いただきたいと思います。
 ありがとうございました。質問を終わります。
谷畑委員長 松原仁君。
松原委員 きょうの民主党の一番バッターだった中山義活さんからも同じような質問があったと思いますが、いわゆる石油に対する、公団を含むこの行政の今までの総括をどういうふうにとらえているのか、成功したのか、失敗したのか、いや、こんなものだったのかというふうないろいろな感想があると思いますが、私は、この問題についてはやはり非常に不十分だったのではないかという認識を持っているんですが、この件をまず、行政の側のエネルギー庁長官にお伺いしたいと思います。
河野政府参考人 石油公団は、発足以来、自主開発原油の増強という目標に取り組んでまいりました。設立当初二十七万バレルであったものが、六十万バレル弱までいわゆる自主開発原油を増大することができました。そういう意味では一定の成果も上がったというふうに思っております。
 ただし、この間、特にオイルショック以降、やはり量的な確保を優先したということで、効率性、採算性についての判断が十分でなかった、そういう反省がもちろんあります。
 また、加えまして、これは石油公団の改革検討委員会あるいは事業委員会等での報告書にもありますけれども、情報公開に欠けるところがあったのではないか、そして経理処理についても、欠損金をきちっと計上する、あるいは第三者機関による会計検査を受けるというようなことも指摘を受け、そういった点に取り組んで今日までやってきたわけであります。
 また、今回の公団改革におきましては、石油公団は、そういう過去のいろいろなこともあり、反省に立って廃止という結論になりました。
 ただ、国として、この自主開発関係の政策で必要な点は、大臣も申し上げましたけれども、リスクマネーの供給と技術の蓄積であります。また、石油政策全般にとって、国家備蓄という大きな使命もありますので、これは独立行政法人に移していくということでございます。
 同時に、これは廃止法の附則にありますように、今後、石油公団の開発関連資産を適正に処分してまいりますけれども、総合資源エネルギー調査会の意見も聞き、そして内閣総理大臣に協議をさせていただいて、処分計画を認可し、それを進める。そして、残された資産につきましては特殊会社に移行して、速やかに民営化をするという道筋をつけることによって、これまで不採算のものも多々ありましたけれども、一つの新しい方向に向けて進んでまいりたいと思っているところでございます。
松原委員 日本が石油を輸入して、日本の場合は特に資源がないわけでありますから、このエネルギー問題というのは、言ってみれば本当に一番の骨格というか、エネルギーが入ってこなかったら、これはもう日本という国が成り立たない、大問題であります。
 したがって、この問題は大変重要でありますが、当初、輸入全体に占めるパーセンテージを三割ぐらい頑張ろうじゃないか、こういう話もあったというふうに認識をしておりますが、結果としては、トータルそこに行っていなかった。
 諸般、何が目的で、何をもって成功とするか、何をもって不成功とするかというのは、これは議論ありますよ。それは、技術が上がったからとか、産油国と少し人間関係ができたとか、いろいろとありますわ。しかし、何が一番の主目的だったか、その主目的に関して貫徹したのかどうか。
 石油公団は、つくってこの長い期間があって、金をつぎ込んで、今回まあ廃止ですわ、現実。しかも、その間において目標を達成したか達成しなかったか。
 やはり何が大事かというと、日本の行政できちっとやらなきゃいけないのは、目的、目標にしたものが達成されたかどうかということの総括をしなきゃいかぬわけですよ。いやまあ、これはこうでいい部分もあって、悪い部分もあって、まあ、もやもやもやと、これではいかぬわけです。
 率直に言って、河野長官が初めからこの問題にずっとかかわってきたかどうかは、その経歴は知りませんが、この石油公団に関しては、頑張ったけれども、総括としては、私は事務方としてずっとそれを二十年、三十年見てきた、まあ三十年は長過ぎるか、事務方として、失敗だったとまず認めるべきだと思うんですが、まず答弁してください。
河野政府参考人 先ほど申し上げましたように、石油公団発足当時、いわゆる自主開発原油二十七万バレル、これのほぼ倍増を達成いたしました。
 御指摘のように、たしか昭和四十二年だったと思いますが、石油審議会で、自主開発原油の目標を三〇%ぐらいに置くべきではないかという提言をいただいて、私どももそれを目指してやってきた、そういう面があります。この三〇%には届きませんでした。さまざまな理由があると思います。ナショナルプロジェクトとして期待をかけたものについて成功しなかったということもありますし、やはり産油国との関係に距離があった、あるいは後発だった、さまざまな理由があると思います。しかし、これを倍増させたことについては一定の成果だというふうに思っております。
 それからまた、今後のことについて、改革とちょっと離れて恐縮でありますけれども、これまでロシアと長い間、旧ソ連の時代からやってきました案件、幸いにして、昨年、商業化宣言ができた、こういった経緯もあります。
 また、先ほど来お話が出ております、この石油公団の支援を念頭に置いて、イランとの交渉で非常に大きな規模の油田開発について日本に優先交渉権を与えるといったような展開も出ているわけでございます。
 これらは、石油公団の支援というものが具体的に実を結んでいるかあるいは結びつつあるものだというふうに私は考えております。
松原委員 僕は、成果はゼロだったとは言わないんです、こういうのは。ゼロか一〇〇かという議論じゃない。しかしながら、総括は総括でしなければいけないということを言っているわけですよ。
 石油公団が成功しているのであれば、廃止という議論は起こってこなかったかもしれない。非常に効率よく、もうむだもない、どんどんうまくいっていますよ、目標の三〇パー達成しました、大変貢献しています、廃止という議論にならないですよ、それだったら。ここで、例えば堀内さんの発言があったりしてこうなってきた経緯を考えると、やはり総括としてみると、残念ながら、努力したけれども現実には成功とは言えなかったのであって、その部分の総括をするべきだと私は思うんですよ。
 例えば、アザデガン油田というんですか、今度のそのイランのでかいものは。本当であれば、そういうものにたくさんの額、もう一兆円からの金をつぎ込もうというんだったら、本来、石油公団は今なくすべき時期じゃないということになりますよ、機能しているんだったら。それでもそういうふうに議論が上がってきたというそこの反省がまずなければ話は進まない。反省があって、ではなぜ失敗したのか、天下りが多過ぎて失敗したのか、技術がなくて失敗したのか、そういうものの検証から行かなかったら話は先に進まないと僕は思うんですよ。答弁してください。
河野政府参考人 石油公団の財務あるいは事業運営について反省をしている点は多々あります。
 これは、石油公団の再建検討委員会あるいは開発事業委員会の指摘を受けたことを繰り返すことにもなりますけれども、プロジェクトの採択の審査について甘さがあったのではないかということで、メジャーでも採用している手法であります定量的評価を導入いたしました。
 それから、損益見通しの明確化について、企業会計原則に準じた会計処理ということで、引当金の計上基準を見直して引き当てをいたしました。
 そして、この時点ですけれども、出融資会社についても整理すべしという意見がありまして、これは、やはり整理すべき会社を長く持っていると管理費もかさむし、あるいは見かけ上のといいますか、金利がさらに増大して不良債権化していくということで、見切りをつけて整理をしろ、これについても実行してきております。今後さらに実行すべき分もございます。
 そして、情報公開については、先ほども申しましたけれども、公認会計士による任意監査の導入等々の措置を講じてきております。
 また、今回、公団改革に当たって、成功払い融資を、減免つき融資ということになりますが、これを廃止する、そして出資の上限を五割で運用していくということにいたしました。これも、国の資金が七割、民間の自己負担が三割という探鉱段階の資金のやりくりではやはり民間としてリスクテークの判断が甘くなるのではないかという反省に立ったものでございます。こうした反省を踏まえながら進めていくという考え方でおります。
松原委員 やはり国民は見ているわけですよ。国民は何を見ているか。それは、例えば中小企業がありますね。中小企業の人は、おれのところで同じことをやったらどうなるだろうなと。常に、国は、これをやってこうだと報道されますよ。そうすると、僕の会社でこれをやったらどうなっちゃうんだろう、これを国民が考えたときに、しかし違うな、全然何もないじゃないかと。
 反省ということは今おっしゃった。僕は、はっきり言って、反省をするということは、失敗ということを少し認めなきゃいけない。それは全部がだめだとは言いませんよ。それは努力の成果もあるだろうし、そういう評価があるけれども、しかし、目標とするべき三〇パーに対してもあれだったし、今このイランのアザデガン油田が出てきても、それでも廃止せざるを得ないという状況は、やはりそういうことなんですよ。
 そのときに、反省とおっしゃった。僕は、反省をし、やはりその総括をしなければ、終わったことはもういいよ、未来があるよということでは、全く別の新規事業をやるなら別ですよ、そうじゃない、やはり延長線があるわけだから、そこはやはり、反省の中には総括があり、責任問題、けじめの問題というのが出てくると思うわけですね。
 そういった部分で、今回の、今までの長い間の石油公団のこの経緯の中で、責任問題、これはどういうふうに考えているのか。
 例えば、三百の小さな、それなりの会社がやって、当たったところもあれば当たらないところもある。二百は、もうこれはやめました。残りのうちの例えば六十は検討中で、四十は一応石油をとっていますよと。そうすると、この二百に関しては失敗ですよ。それは千三つの世界だとか百三つの世界だとか、言うのはいいですよ。しかし、そこに対して公的な資金も入っているわけです。民間がやるんだったら民間がやって失敗するんだったら、それはそれでいいですよ。おれは、リスクは自分の資金でリスクテークするんだ、おれがすってんてんになるんだと。
 七割ですよ、三割、四割で七割。それを考えたときに、二百の会社に出た民間部分の三割の金というのは、当然民間に戻らないんでしょう、会社に。それで、そのこと自体が責任をとっているわけですよ。民間は責任をとっているわけですよ、それは。株主に最終的に損が行くのかどうかは別に、民間は責任をとっている。
 しかし、七割の金は、基本的には税金をベースにしてできている。この七割の金について、では、これは国民が責任をとりましょう、国民が政府を信託しているんだからそうだという議論があるかもしれぬけれども、それはそうは簡単にはいかない。やはりそこでだれがそのときに腹を切るのかというか、そういう意味での責任というのが、二百の会社が撤退したときにあってしかるべきなんですよ。
 それは、どういうふうな具体的な責任をとってきたのか。退職金は要りませんと言ったのか、過去にさかのぼって給料を返したのか、何かその辺、どういうのかわからぬけれども、そういうのも含めて、責任という問題についての所在は明らかになっているのかどうか、ちょっともう一回お伺いします。
河野政府参考人 石油公団の改革、今回のみではありません。改革委員会それから事業委員会の検討を経て、先ほど申し上げたような改革の指摘があり、これを実行してまいりました。そういう意味で、情報公開でございますとか審査基準の厳格化あるいは定量化、そして組織の改編等々を行うことによって責任を果たさせていただいてきたものと思っております。
 今後につきましても、今回、公団は廃止ということになるわけでございますけれども、この廃止を伴う大きな事業改革、これを着実に進めるという形で責任を果たさせていただきたいと思っております。
松原委員 いや、未来は未来でそれはそうですよ。しかし、民間であればそれは責任をとるんですよ。今、中小企業なんか特に、この委員会の中山さんとかみんながやっているんだけれども、例えば、自分の判こを押してやるから、保証人で個人保証をするから、はっきり言って、失敗すればもう自殺している人だってたくさんいるわけですよ、簡単に言えば。民間はそういうふうにして、しかも税金を出しているわけですよ、これは。国の方は、失敗しました、大変な額ですけれども、済みません、責任は税金の方で補てんしましょうと。それはやはり通らない議論だと私は思うんですよ。
 だから、その部分の責任に関しては、いや、なかったらなかったと言えばいいんですよ、責任を問うことは一切なかったと。そういう答弁だったらそういう答弁で結構ですよ。おっしゃってください。
河野政府参考人 先般、石油公団の改革委員会の提言を受け、また事業委員会の提言を受けて、先ほど来申し上げたような幾つかの改革を実行してまいりました。その実行を、行うことを通じて責任をとらせていただきたいというふうに考えてきましたし、今回の事業改革に当たってもそういう考えでございます。
 ただ、当時の小松総裁は、そういった事業改革を行っていくに当たって、新しい体制で臨むべきであろうということで身を引かれたという経緯はございます。
松原委員 だから、人の部分でのそういった責任問題というのはなかったということですよね。それをもう一回。
河野政府参考人 当時の経緯を申し上げれば、さまざまな御指摘にこたえて改革を提言し、実行する形をとり、そして、新しい体制で臨むべしということで当時の小松総裁は身を引かれたということを申し上げました。
松原委員 これは総裁一人の問題じゃないと思うのです。やはり民間であればなかなか、二百の会社が、やめた、投下した金を放棄した、そういったことを考えたら、これは私は、この部分が一番根本だと思うんですよ。先ほど反省をするとおっしゃった。これは、何で緊張感がなくて、真剣勝負でできなかったのか。
 僕は、人間というのは隠された能力があると思っているんですよ。隠された能力というのは、例えば火事場のばか力というかもしれぬし、ある種の直観的な能力。ぬるま湯だとこれもだめなんですよ。やはり、本当に危機的な状況になれば人間というのはそういった能力は出てくるんですよ。ぬるま湯でやっていては出てこないんですよ。
 責任をとるという、そのことにおいて初めて命がけに、松下幸之助さんという経営者が言っていますよ。経営は真剣勝負だと。チャリンといってやいばがぶつかったときに、一瞬油断すれば首が飛ぶ、それですべて終わるんだ、真剣勝負だと。命がけで真剣であるところでそういったものが出てくる。責任が問われない体質というのは、まさに真剣さがなくなってしまう。そうだと思うんですよ。この部分、僕は責任をとっている人間が、総裁が一人、そういったことをおっしゃったけれども、しかし、そのときにどれぐらい退職金が出ているかどうか僕は知らぬけれども、きっともらっていないんでしょう。それ、もらっているんですか。
河野政府参考人 当時の総裁は、たしか退職金の四分の一を自主返納されたと記憶しております。
松原委員 四分の一じゃないと思うんですよね。それは、形としてはエクスキューズで扱われるけれども、そうじゃないだろう、やはり責任の重みというのはわかっていないんじゃないかと思うんですが。
 私は、そういった意味で責任をとらせる体制でなかった、反省点の最大は、責任をとらせる体制でなかったということだ。率直に今、僕は、そこに平沼大臣もいらっしゃるけれども、エネ庁長官、長いこと、二十年、三十年の歴史の中での話だし、ちょっとやはり、長官がそれについては責任をとらせなかったことは非常に遺憾であったと言ってくださいよ。
河野政府参考人 確かに長い歴史の積み重ねの中で事業をやってまいりました。そして、それを改革検討委員会そして開発事業委員会の指摘を受けて、その反省に立ってそういった体制を築く、そういう努力をしてきたわけであります。そういう意味で反省もしておりますし、また新しい仕事のやり方を築いていくということでの責任をとらせていただいてきているというふうに思っております。また、先ほどちょっとつけ加えさせていただきましたけれども、当時の総裁もそういった反省に立って、新しい体制で石油公団の事業に取り組むべしということで身を引かれたという経緯があるということを繰り返し申し上げました。
松原委員 民間であればそういったレベルでの責任のとり方では通らない。民間だったら通ると思いますか、ちょっと答えてください。
河野政府参考人 ちょっと民間との比較は、難しい御質問でございますので、うまくお答えができません。
松原委員 そういうことを言っているからなかなか政治が信頼されないということになると思うのでありますが。
 石油公団及び石油公団が出資している会社への天下り、他省庁を含め、例えば役員数や年収、退職金はどうなっているのか、エネ庁長官お答えください。
河野政府参考人 石油公団あるいは公団の投融資先会社の一部に公務員出身者が就職しているのはそのとおりであります。これは、それぞれの個人の見識とか経験、国際感覚、人脈等を評価したということで行われております。行政の中立性を損なうことのないように、国家公務員法上厳格な定めのもとに行われているということを申し上げさせていただきたいと思います。
 実態について御説明をさせていただきます。
 平成十四年五月時点におきまして、石油公団の役員のうち他省庁出身者も含めた国家公務員出身者は五名でございます。公団の出融資先石油会社には十二名、備蓄会社には二十五名が在籍をいたしております。
 特殊法人役員の給与、退職金等の賃金体系につきましては、平成十四年三月十五日に閣議決定がございました。これに従った役員の給与及び退職金支給率の引き下げ措置を実施しておりまして、石油公団についても同様の措置が講じられております。
 具体的なお尋ねでございますので、石油公団の役員の年間報酬額は、経済産業大臣の承認を受けた給与規程に基づいて行われておりますが、総裁が約二千四百万円、副総裁が約二千百万円、理事が約一千八百万円、監事が約一千六百万円でございます。
 石油公団役員に支払われる退職金額でございますが、これは在職期間により一概には申し上げられません。一定の比率を掛けるという仕組みになっております。
 それから、石油公団が出資しております民間企業の役員の給与、退職金等の待遇でございますが、これは、直接的にはまずは、石油公団が株主でございますので、ここで把握しているということだと思います。また、必要があれば石油公団を通じて適切に対応するというのが私どもの考え方でございます。
松原委員 成果が上がるかどうかというのは、結果責任というのは政治の部分はあるので、例えば、さっき言った三〇%に行くとか、もう大変に目が覚めるような成果が上がっているかどうかというと、実際は上がっていない。それは、エクスキューズ的にはいろいろと言いますよ。現実にはやはり上がっていないから廃止になった。上がっていない。反省をしているとおっしゃった。
 例えば、公団の幹部の皆さんはどういう活動をしていたんですか。いいですよ、金がどうだとかこうだとかという質問も当然あるけれども、具体的に彼らはどういう成果を上げたんですか。彼らがいることによって具体的にどういう成果が上がったか、それはなかなか言えないかもしれぬけれども。
 では、具体的に例えばイランに行ってこういう交渉をしてこういう成果が上がったとか、それをちょっとおっしゃってもらえますか。
河野政府参考人 イランのアザデガン開発について申しますと、日本が優先交渉権を受けましたので、石油公団の傘下の企業でコンソーシアムを組んで対応してきています。石油公団は株主でございますから、このコンソーシアムの組成に尽力をしてもらいました。
 また、アザデガン開発に当たって、昨年平沼経済産業大臣がおいでになったときに、ザンガネ石油大臣との間で三次元の地震探査ということについて合意いたしましたが、これは石油公団が実施するものでございます。これを実施するに当たりましても、石油公団総裁自身がイランに参りまして、その実施を働きかけ合意に達したということもございます。
 また、残念ながらこの三次元地震探査につきましては、イラン側の幾つかの事情で実施がおくれたという経緯がありますけれども、このプロセスにおきましても、石油公団総裁がイランに足を運んでその早期実施について話し合いを持ってきた、そういった経緯もございます。
 今思いつくままに思い出して申し上げるとそんなことでございます。
松原委員 アザデガン油田は、これは我が国にとっても非常に重要な一つのプロジェクトですよ。従来の中でどこまでやってきたのか。
 僕は、石油公団総裁とか理事は、例えば十二人いたら十人はアラブのどこかの国に常駐、日本にいない、東京にいない、それぐらいのやはり目に見える、まさに燃えるような熱意を示さなくては、こっちで踏ん反り返っていてはいけない。やはり陣頭指揮ですよ。例えば、エネ庁長官の顔色を見ているとか、昔だったら通産大臣の顔色を見ている、そんなことじゃなくて、やはり、やるんだったらそれは陣頭指揮でやるんですよ。成果が上がっていないんだったら陣頭指揮でやるんですよ。思ったように上がっていなかったら、一部上がっていても。
 そういう陣頭指揮でやるという決意をした人がその中にいたのかどうか。エネ庁長官、おれはずうっと、イランの方へ行ってやるぞと、そういう熱意とかはあったのかなかったのか。全くなかったんじゃないかと実はみんな思っているわけです。あるのかと。それができるのかどうかですよ。兼職していたらできないでしょう。やはりそれは本気でやらなかったら、敵だって本気で見ていますよ。
 そういう意味で、どれぐらいの時間、どれぐらい行って、どう交渉したのか、隗より始めよで。今わからなかったら、後でまた教えてください。ちょっと御答弁を。
河野政府参考人 今この場でというお話でございましたから、ごく最近の事例でイランのことを御紹介申し上げました。ほかにもいろいろあると思いますので、後ほど御紹介をさせていただきますけれども、公団の幹部が、そういった自主開発案件の成就に向かって、あるいは海外のメジャーとの連携を図る、あるいはメキシコのペメックスのような石油公社、メキシコは鉱区を開放しておりませんけれども、そういった先のことをにらんで、こういったところと情報交換を密にする、そういった努力を積極的に展開しているのは事実でございます。
松原委員 すぐれてこの問題は、例えばアラブの人間というのは対面でやりますからね。人間対人間だとさっきどなたかが御答弁していた。だから、そういった意味では、どれぐらいそういった現地に行って日本のトップは頑張っていたのか。その姿を見て下も燃える。どういう活動でそういった中近東の国々に行っていたのか。そういうのを、恐らく記録が残っていると思いますから、一応、恐縮ですが、理事、理事長その他幹部職員のそれを資料請求させていただきます。
谷畑委員長 はい。また、理事会で諮らせていただきます。
松原委員 理事会で今の件はお取り計らいをいただきたいと思います。
谷畑委員長 はい。
松原委員 そういう中で、私は、さっき山田議員も言っていたけれども、日本という国は石油に対する依存度が非常に高いわけですよ。しかし逆に言えば、日本における石油の産出量は少ない。産出量が少ないというか、ほとんどない。三〇パーと言ったけれども、そこまでいかない。
 一定のところで別に見切るわけじゃないけれども、今、新エネルギーというのが随分言われているけれども、新エネルギーに対してもっと金を使ってもっと行動しようというのを、エネルギー政策としては、ヨーロッパの国や世界のほかの国が環境問題で新エネルギーを言う前に、我々は、エネルギー安全保障の観点から新エネルギー問題に踏み込むべきだったと思うんですが、そういう議論は、この二十年の間になかなか思ったようにいかないという反省の中で、あったのかなかったのか。
河野政府参考人 この国会でも御審議をいただきましたように、新エネの電気事業者による導入法を通していただきました。これも、新エネルギー導入に弾みをつける政策でございます。しかしこれは、新エネルギーに私どもが取り組みましたものとしては最近のものでございます。これに先立ちまして、新エネの導入促進法を既に制定させていただいておりまして、さまざまな支援措置を講じてきたところであります。
 さらに深くさかのぼれば、オイルショック後、例えば新エネルギーということで太陽光発電のような技術に取り組んでまいりました。いわゆるサンシャインプロジェクトでございます。こういったものが今になって一定の成果を上げて、日本は太陽光発電では世界一の発電規模になっているというふうにも思っております。
 そういう意味で、環境問題に着目して、最近さらに新エネの導入に力を入れておりますけれども、いわゆるエネルギー安定供給の一つの方策という観点からも、新エネルギーには一生懸命取り組んできたつもりでございます。
松原委員 太陽光の取り組みで今世界一になっている。結構だと思います。どれぐらいの予算を使ったのですか。
河野政府参考人 ちょっと過去にさかのぼったすべての金額、今手元にございませんが、例えば平成十四年度でございますと、特に、今これは主として御家庭などで実用化、導入段階にありますので、この普及のために三百億円前後の予算を投じて補助をさせていただいているという状況でございます。
松原委員 私は、すべてのスケールを金ではかるというのが適切かどうかというのは非常に疑問だけれども、やはりもっと規模を大きく、途中で方向転換ではないけれども、やはり複眼的な、戦略というのはそういうことですよ、それをやるべきだったと私は思っている。僕は、日本のエネルギー政策を見ると、戦略なきエネルギー政策ではないかという気がしているんですよ。本当の戦略はそこにあるんだ。
 では、今度この法案ができてきて、特殊会社か何かつくりますよ。これはどういうふうな内容になるかというのは、まだこれから議論しましょうということになる。そのイメージというのはまだ明らかになっていないと思うんですよ。どうですか、それは。
河野政府参考人 これは、先ほども大臣が答弁させていただきましたけれども、この特殊法人の合理化計画の中で、石油公団の開発関連資産については適正な処分をして、その後、特殊会社を設立するということでございまして、今回御提案させていただいております廃止法の附則でその設置を規定しているわけでございます。
 したがいまして、そのための新たな立法作業が今後さらに必要になるわけでございますので、そのプロセスの中で、具体的なイメージ、あり方というものをさらに具体化させていただきたいというふうに思っております。
松原委員 ただ、具体化するにも、例えば石油公団の廃止に当たって、保有の関係資産、厳正な評価、処分をする。売却するものとしないものを区分する。売却するものは入札でするのかどうか、どれぐらいの規模になるのか、こういうものも、日本のエネルギー戦略としてどうするのか、自主開発をこれからさらに拡大するのかどうか、そういうふうな戦略がなければこういった問題も明らかにならないと思うんですが、そういう部分で、僕は、どうも戦略的なものがまだまだ不十分じゃないかというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 石油公団の廃止に当たって、保有の開発関連資産の厳正な評価、処分について具体的にどうするのか、それから、どのぐらいの規模、そういったお尋ねだと思います。
 石油公団の開発関連資産の整理部分につきましては、経済産業大臣は、その事業計画を認可するに当たって、総合資源エネルギー調査会の意見を聞くとともに、内閣総理大臣に協議することにいたしております。関係者のコンセンサスを得つつ、公明正大に行われるよう努めてまいらなければならないと思っています。資産処分の規模については、かかる整理処分の遂行の過程において明らかにしてまいりたいと思っています。
 それから、特殊会社にどのような資産を承継させるかについては、石油公団資産の整理処分につき、今申し上げましたとおり公明正大な検討を行いまして、最終的には、別に法的措置をとるとされた特殊会社法の議論の中で具体的な形をあらわしていきたい、こういうふうに思っております。
 私どもとしては、さっきちょっとお触れになりましたけれども、やはりこれを議論していく過程の中で、日本のエネルギー安全保障上、和製メジャーのような最終形態になるのが望ましい。ですから、今回の改革を議論する過程で、私自身は、政府は与党関係者と累次意見交換をしました。多くの方々がこういった方向への期待を強く持っておりまして、私自身も、今回の改革がそのような方向の実現に資する、そういうことを期待してこれから努力をしていきたい、こういうふうに思っています。
松原委員 今、大臣が和製メジャーということをおっしゃったわけであります。優良会社、特に剰余金を出しているところが十三社あるということでありますが、ここを統合して和製メジャーをつくろうというふうなお考え、また将来的に、石油公団を廃止させて新設する特殊会社の社長に、純粋民間人を起用する方針を大臣は明らかになさったわけでありますが、将来的には民営化して日本初の中堅石油メジャーを目指す、こういうふうなお考えがあるというふうに聞いております。
 その辺の具体的なイメージというのは、もうちょっと、大臣、やはりイメージというのは大事なんですね。イメージがなければ行動というのはなかなか強烈にアクセントがつかないわけでありますので、この和製メジャー、中堅石油メジャーというもののイメージ、どんなイメージで、今言ったような道程の中でそれが出てくるというふうな認識でありますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
平沼国務大臣 さきの答弁でもちょっと触れさせていただきました。日本は、やはり天然資源エネルギーというものはありません。そういう中で、オイルショック以降大変な努力をして、そして今、日本の原油輸入量の自主開発の部分が一三%というところまで来ました。実際の目標は三〇%という形でありましたけれども、しかし、いろいろなことの中で努力をしてそこまで来たことであります。
 そしてまた、全体のエネルギーに占める石油の依存度というのは五二%、こういうことでありまして、そういう中で、今後とも、石油というものは、日本の経済大国を支えていく意味で重要な地位を占めていく。
 そういう中で、私どもは、やはり自主開発という部分を、これからさらに安定的な形で自主開発ができるような、そういう方向性を模索しておりまして、今回のこの法案で、私どもはまず特殊会社をつくらせていただく。そして、その先には、今中堅メジャーとおっしゃいましたけれども、これは比較の問題でございまして、やはり世界のメジャーと言われるのは非常に大きな規模を持っています。しかし、ヨーロッパの国等を見てみますと、いわゆる中ぐらいの規模の中でもその機能を果たしている、そういうメジャーが存在していることは事実であります。
 そういう中で、今、実は石油業界の統合も進んでいます。やはりそういったところと整合性を保ちながら、タイアップしながら、私どもは、やはり最終的に、和製メジャーとして、安定的なエネルギー、石油供給、また、天然ガスを含めてそういったものをつくっていかなければいけない、今の段階では、そういったイメージで私どもはこれから努力をしていかなければならない、こんなふうに思っているところであります。
松原委員 この和製メジャーのイメージ、特殊会社から転換していくのかどうか、こういう流れの中で、そこがはっきりしておらなければ、例えばこの資産処分についても、何を処分して何を残すのかというのは、極端に言えば、処分して、後であれは必要だったとなる可能性がある。そういった意味で、私は、このイメージづくりが先にきちっとなければいけないと思うわけであります。
 先ほどの話で、アザデガン油田という議論もありました。私は、産油国が今一部において鉱区開放の動きを示しているというふうに聞いております。御案内のとおり、技術力が高いか低いかによって、石油の埋蔵量の中の二五%しか使えないケースもある、三〇%の場合もある、四〇%の場合もある、これは御案内のとおりであります。そういった意味では、我々がそういった高度な技術を持っていれば、四〇%いきますよ、百のうちの四十は日本が行けばやれますよということであれば、それは鉱区開放するだろうというふうに思うんです。
 そういうふうな鉱区開放の動きに対して、石油公団廃止後、とりあえずどうやって取り組んでいくつもりか、今タイミングが来ているという議論であります、タイミングとしては。人に言わせれば、一番冬の時代をやっていてこれから春になったときやめるみたいな議論もあるけれども、それは、それだけずさんなことを、さっきエネ庁長官が言ったように、反省していると言ったんだから反省してもらわなきゃいけないんだけれども、それはやってきたからしようがないんだけれども。
 しかし、この鉱区開放の動きに対してどういうふうな考えがあるのか、和製メジャーをつくろうというんだったら。それはちょっと、今の石油公団廃止の問題と平仄がとれるのかどうかというのが僕は非常にまた疑問なんですよ。このチャンスを逸して、また産油国が鉱区開放の動きを閉めちゃったら、これはまた困るわけですよ。その辺、大臣、どういうふうな御見解か、お伺いします。
河野政府参考人 まず、鉱区開放の動きについてちょっと触れさせていただきます。
 確かに、イランのように国内で開発資本の不足しているところについては、ハタミ大統領の訪日の際に日本側と優先交渉権の合意がありましたように、バイバック方式という変わった形態ではありますけれども、鉱区開放の動きがあります。
 それから、中央アジアの国々においても、やはり自国資本が十分でないということで、海外の資本を活用して資源開発を図っていこうということで、鉱区開放の動きがございます。
 それから、南米の国においてもやはり同様の国がありますので、このところ、やはり国際的に一つの鉱区開放の動きが表面化しているというふうに認識しております。
 石油公団もこれについて取り組んできたわけでございますが、この改革後は、独立行政法人がプロジェクトを厳選しながら重要案件について引き続きリスクマネーの供給などを行うということでこの鉱区開放の流れに対応していくという考えでございます。
松原委員 今、エネ庁長官が答えたけれども、これは大変な国家戦略上の問題ですから、大臣に答えていただきたいんですよ。
平沼国務大臣 御指摘のように、鉱区開放というのは、今、ある意味ではそういう流れがあることは事実です。
 今、エネ庁長官から、中央アジア、それからさらに中近東、そういったお話がありましたけれども、実はプロポーザルとしては、例えばアフリカのアンゴラ、そういったところからも、実は鉱区開放をして日本とやりたい、こういったところもあります。ですから、そういうものに関して、やはり日本は自主的に開発して安定的なエネルギー供給を確保する、こういうことはこういう観点から非常に大切なことでございます。
 そういう中で、今石油公団を廃止するということは、相手国にとって非常に不安を呼ぶことですね。というのは、今までは、どっちかというと、石油公団即日の丸、こういう感じで、それだったら日本とやろう、こういうことでありました。
 しかし、私どもが心配したのは、今そういう状況の中で、今ちょっとこういう表現を使われました、閉めてしまう、こういう懸念があるんじゃないか、こういうことでしたけれども、そこで、独立行政法人に移管して、リスクマネーも含めて、そういう自主的な開発の部分については、やはり我々国がある意味ではちゃんと責任を持ってやらせていただく、こういう姿を見せて継続性を持たせた、こういうことで私どもは担保していく。
 そして、いわゆるそういう新しい鉱区に関しても、もちろんしっかりとした精査はしなければいけません、そしてその可能性もやはりしっかりと検索をしなければいけませんけれども、そういう中で、私どもは、やはり今までやってきた石油公団の仕事の継続性、これを担保していかなければならない。そういう意味で、この法案にもそのことは盛り込ませていただいた、こういうことであります。
松原委員 今の御答弁で、継続する、自主開発も継続するという御意思があると。和製メジャーということでそういうことかもしれぬが、大事なことは、国が担保すると言う。しかし、さっき言った責任の問題が極めて重要でありまして、国が担保するのであれば、国がこれからも日の丸を担保するというのであれば、従来の石油公団の経緯、エネ庁長官は反省すると言った。反省するというのをお題目のように言うのではなくて、具体的にするならば、どういうふうな責任を、さかのぼってとらせることができるのかどうかわからぬけれども、とらせるのか。もし責任をとらせていないとしたら、それは陳謝をする、そういうけじめがあってその次の議論になると私は思うんですよ。
 当然、今後の特殊会社にしても独立行政法人にしても、けじめを、中小企業だったら、いや、中小企業じゃなくてもどこでもそうなんですよ。責任をとる。個人が、やはり責任とその関係の所在が明らかになっていないので、責任をとるということをきちっと、失敗したときは大変な責任を連帯してとるような、そういう、国民が納得するような、そうしなければ、やはり真剣な鉱区開発なんか私はできないと思うんですよ。
 ですから私は、そういった意味で、けじめをつけるという議論は、これからまだ十分審議があるでしょうからきちっとやっていきたいけれども、さらにやっていかなきゃいかぬ。
 同時に、このけじめ論を今後本当にどういうふうに、例えば民間の会社だったら個人保証しているわけですよ。どういうふうにそれをやるんだということもやはり明らかにしていかなければいけないと思いますし、それは大臣の強烈なリーダーシップをもってやっていただかなければできないことだろうと思っております。
 それと、もう一つ、やはりリスクヘッジというのが必要なのでありまして、一つは石油という中におけるリスクヘッジ、一つはエネルギー全体のリスクヘッジ。私は、石油に関して、もう一兆四千億という話もあるし、計算のしようによっては一兆四千億とか八千何ぼだとかいろいろと議論がある。それだけの金をかけてきたんだから、エネ庁長官、それはほかのものに関してもやはりやらなきゃだめですよ。さっきの山田議員の、メジャーはほかをやっていますよという話もあるけれども、それをやらなきゃだめです。本当のリスクヘッジはそれですよ。
 しかし、一方において、このリスクヘッジ、石油に関していうならば、僕はこの間議論で聞いたんだけれども、軍隊がある国、ない国では向こうの対応が違いますよと。軍隊がある国に対しては、やはりバイの契約でも、あなたはいいですよと指定してくる。日本に対しては脅威もなければ応援もないということですよ、向こうにしてみれば。そういう部分では、これは単にひとり経済産業省だけの議論ではなく、まさに国家全体の、極端に言えば防衛庁まで巻き込むような、そういう議論としてあるのか。
 そうじゃないならば、我々は顧客としてたくさんの石油を買っていますよと、もう中近東における最大の石油輸出国は日本ですから、そういう買い手であるという強みを売り手に対してどう生かしていくのか、そういう戦略、軍隊のかわりにそういうものを持つという戦略をやるのか。それはいろいろなやり方があるだろう。
 そういう、日本対産油国だけの関係ではない、第三国までも巻き込む関係も含め大所高所からやっていかないと、私は、これはバイだって、いいところ、本当に当たりのいいところ、魚でいえば大トロですよ、大トロ。掘れば当たるところ、僕は赤身の方が好きだという人もいるけれども、掘っても当たらないところをもらってもしようがないので、掘れば当たるところをもらった方がいいに決まっているんですよ。大トロのところをもらうためには、それはやはり、そういった他の部分の要素がたくさんあるんですよ。そういう戦略的なあすを持っていただかなければいけない。この辺についての決意を。
 今いろいろと言ったけれども、他の産業、エネルギーの問題、それから産油国との関係で、それは、さっき言ったように、公団の理事長はずうっと、もう一年二年、現地でひげもそらずに頑張らなきゃだめなんですよ、こんなのは。そういうのをやらないで退職金をもらっているから話がおかしくなるんですよ。そういうことも含め、けじめの問題、今言った問題、ちょっと時間があれしてしまいましたが、きちっと答えてください。大臣、お願いいたします。
平沼国務大臣 責任の問題、これは結果責任でございまして、大変厳しい結果が出ましたから、ここは厳しく受けとめていかなければいかぬと思います。
 しかし、七三年のオイルショックの後、やはり国民の中からほうはいとして、とにかくエネルギーの確保をしなければいけない、また、財界の方々も、そういう中で資源小国の日本としてはぎりぎりの努力をし、それに携わった人たちも、その時点では本当に一生懸命努力をしたと思っています。
 先ほど中山先生も言われましたけれども、ある意味では千三つの世界ということも事実です。ですから、不本意な結果に終わったことが多々あった、これももちろん反省しなければいけません。それから、赤字が累積したということも、振り返ってみますと、御承知のように、原油安になり、そして円高が進む、そういう中で想像もしなかった差損が出る、こういった中で国際的な経済条理に非常に大きく揺れ動かされた、こういう背景があります。
 しかし、そういう事由を幾ら挙げても、やはり現実厳しいところは本当に御指摘のとおりで、エネルギー庁長官も反省をしなければいけないと言ったのは、まさにそういうことだと思います。そういう意味で、こういう経験も踏まえて、こういうことが起こらないように安全を担保する、そして利益が上がるようにしっかりやっていく、そういう体制をその反省の上に構築していくということも、私は大きな責任のとり方だと思っています。
 それから、御指摘のように、やはり産油国と密接な連携を持って、そして日本は、やはり平和の国でありまして、武力を誇示する国じゃありません、そういう中で、例えばイランに対しても、サウジアラビアに対しても、あるいはアブダビに対しても、今までもできる限りのいろいろな、中小企業の支援ですとか人材派遣ですとか、あるいは海水の淡水化ですとか、そういったことでも協力をし、それなりに評価をされているところもあります。ですから、日本は日本の持ち味を生かしながらそういった産油国との関係を強化する、このことは御指摘のように大変大切なことですから、私も陣頭指揮でこれからも頑張らせていただきたいと思います。
 また、御指摘のエネルギーというものも、石油は例えば中東に八八%も依存している、これも是正していくためにこれから大きな戦略をつくっていかなければいかぬと思いますし、また、新しいエネルギーへの置換ということも、これは非常に大切なことでございます。
 そういう意味で、私どもとしては、この問題についても大きな問題意識を持って今鋭意取り組んでいるところでございまして、この新しい法案を通じて、そういった戦略も皆様方の御意見を聞きながら打ち立てて、より万全を期してまいりたい、こう思っておりますので、今後ともよろしく御指導、御叱正、そしていろいろな御協力をお願いしたい、このように思っております。
松原委員 今の答弁にあったように、中小企業感覚の厳しい責任をきちっと総括する、そして、産油国に対しての戦略、これをきちっと確立するということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 山村健君。
山村委員 大臣、朝から、我が党の先輩諸兄、同僚議員、いろいろと質問させていただいたわけですが、昨日、私も省庁の担当者に、質問ということで要旨をお渡しさせていただいたんですけれども、朝からの議論を聞いておりまして、若干変更をさせていただきたいと思います。
 といいますのは、田中筆頭、今はちょっと席を外していますが、私、この一月からの通常国会で、平沼大臣のもとでこの経産委員会でいつもいつも議論させていただいて、率直に申し上げて、最近、本当にポスト小泉というそのうわさにたがわぬ大臣だなというふうに評価させていただいていたんです。でも、きょうの大臣の答弁を聞いていますと、非常に、何といいますか、今まで光を感じていたものを、影しか感じないんですよね。
 何でだろうと考えたんですよ。そうしましたら、今回の法案、公団廃止関連法案の目的、本法案の提案は、昨年十二月十九日に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画においてということがまず第一義にあるわけですよ。それで、非常に矛盾を感じた点というのが、昨年の通常国会ですか、アザデガン油田開発等々話されたときの石油公団の立場、そして、きょうの答弁を聞いたときに非常に矛盾するようなことを感じるというのは、これは大臣の意思で、公団の廃止に関するこの法律案というのをこの国会中に何とか決めなきゃいけないなという強い思いがやはり感じられないんですよね。
 その辺の、本音の部分というのはいかがですか、難しいとは思うんですが。
平沼国務大臣 けさ一番の答弁のときにも申し上げましたけれども、特殊法人の整理合理化計画、これは御承知のように小泉内閣の命題であります。そして、昨年の通常国会の御答弁でも、私は、やはり自主開発の部分が大事だから、その自主開発の部分はひとつぜひやりやすい体制をつくる、こういったことで御協力をいただきました。しかし、そのときの答弁の中でも、やはり一年以内にそういった形で再点検をする、そういう事態は今の趨勢からいって必ず来る、こういう形で御答弁もさせていただきました。
 そういう中で、国民の皆様方の大変大きな批判というものが今の特殊法人のあり方といったものに集中をしてきた。それに対して、やはり政治としてはっきりしたメッセージを出さなければいけない。そういう中で、私は、今までの特殊法人としての石油公団のあり方を改めよう、そして国民の皆様方の御要望におこたえをしなければならない、こういう立場に立たせていただきました。
 しかし、昨年の通常国会で御議論をいただいた中で、エネルギーの資源小国であります日本は、やはり安定的に自主開発をしながらエネルギーを確保しなければいけない、石油、天然ガス等を確保しなければならない、こういう中で、石油公団の廃止は、国民の皆様方の御要望にこたえてこれは喫緊にやらなければいかぬけれども、しかし、その中に集約すると三つの大切な機能があるんじゃないか、自主開発、安定供給のためには、ある意味ではこれはどうしても国がかかわらなければならない問題だ、こういうことで、党とも、それから、非常に問題意識を持っておられる今自由民主党の堀内総務会長とも議論をさせていただいた。
 その中で、三つとは、自主開発部分のリスクマネーを含めたその機能はやはり国で担保をさせていただく、そのためには独立行政法人の中にその機能を持たせよう、こういう形で、たくさんの議論の結果、合意をさせていただきました。
 それから、オイルショックのときに大変な事態になって、やはり石油の備蓄というものも、これは国が関与しなければならない非常に大きな問題だ。そういう中で、備蓄基地のいわゆるデーリーのマネジメントとかは、これはもうアウトソーシングで民間に任せる。だから、今ある石油の備蓄基地というものの日常運営というものは民間に任せてもいいけれども、しかし、肝心かなめのときに、どういった形でその備蓄というものを有効に国民の経済生活に活用するかというところは、やはり国がかかわることが必要である、こういう形で、ここも実はいろいろな議論の中で担保をさせていただきました。
 三つ目は、やはり今まで培った研究開発の蓄積された技術があります。
 ちょっと長くなりますけれども、私は、びっくりしましたのは、石油というのは、井戸水と同じようにすぐとれやすいように層になっていると思いましたら、実は日本人の技術陣が悪戦苦闘したアッパーザクム油田なんというのは、東京二十三区と同じような岩盤がありまして、その岩の中にしみている。だから、とりにくいところだからということで、もうメジャーはいいところを全部つけて、メジャーはそこには全然つばをつけなかった、こんなのは採算に合わないと。
 それで最後、では、日本がどうしてもやりたいのだったら、ここをやってみたらどうだと言って、そのアッパーザクム油田というのは、海の真っただ中にある、東京二十三区くらいの海底の大きな岩山です。そこから、一生懸命技術を開発して、そしてさらに技術を高めて、実はあと百年採掘ができる、そこまで技術を高めました。そうしたら、それを見ていたメジャーがこれを買いに入ってくる、そういう事態。
 ですけれども、私ども日本人というのは、やはり石油の発掘技術に関しても、そういった国が持っている優秀な技術がある。こういう技術開発のノウハウというものも、やはり自主開発をするときに非常に大きな役に立つ。だから、このこともやはり国が担保をしなければいけないということで、これもいわゆる独立法人の中に入れる。そういう形で、私どもは昨年の通常国会で大変御協力をいただき、私も自主開発の必要性を訴えました。
 しかし、私どもとしては、国民の皆様方のそういう御要請の中でこういう一つの御提案をさせていただき、そして日本の自主開発、安定供給に今後とも希望が持てる、そういうシステムをつくろう、こういうことでやらせていただいたことを御理解いただければと、こういうふうに思っております。
山村委員 まさに、朝からの議論におきましても、我が党の立場といたしましても、キーワードというのは、石油公団に対するいわゆる負の部分、マイナス部分に対しての責任、その総括をというような論旨だったと思います。
 私のきのう出させていただいた質問の要旨につきましても、そういう観点からきょう質問に立たせてもらうつもりだったわけなんですが、大臣ですら、石油開発技術であるとか、そういう貢献を、貢献といいますか、プラスの部分が日本はあったんだという認識を今語られたわけなんですが、多くの国民というのはそれを知らないのですよね。
 それで、昨年の十二月十九日の特殊法人整理合理化計画ですか、これに関して、あえて私、もう一度大臣に頑張っていただきたいなと思いますことは、今、他の省庁ではありますけれども、小泉さんという、八〇%、九〇%というような支持率を得て、国民受けするような形で総理・総裁になられたわけですけれども、郵政の民営化問題しかり、道路の問題にしてもそうなんですけれども、国民受けはすれども、実体政治としてそれをやってしまっていいのかという問題が多々あると思うのですよ。
 私は民主党という政党で、自由民主党の議員ではないわけなんですけれども、その必要性があって公団というものができて、それなりのことはやってきた。でも、表にあらわれてくるのは、その公団を利用した外郭団体の不正というものが表にどんどん出てくるから、これはだめだ、これは何とかしなければいけないという議論になってしまっていると思うわけなんですよ。
 先ほど松原議員の方からも言いましたとおり、国家のエネルギーに対しての戦略というものがあって、このように日本は進むのだから、それこそ防衛庁も外務省も巻き込んだ形で、石油に関しては中東地域で八七%ですか、輸入を占めている。中東の平和があってこそ日本の経済の発展というのもつながっているんだというようなことを正々堂々と述べられるべきだと思います。
 特に、昨年のいわゆる研究開発というような形で、ある意味、日本の大きな国家プロジェクトという形で臨むイランの油田開発という問題があったわけなんですけれども。
 話はちょっと余談になるかもわかりませんが、ロヤ・ジルガ、アフガニスタンはまだまだどうなるかわからないという状況にあるのですけれども、アフガニスタンという国、いわゆるカスピ海油田という二十一世紀に残された大きな油田を、相変わらず旧ソ連、今のロシア、そしてアメリカという超大国が、はっきり言いましたら、パイプラインも含めて、パワーゲームでアフガニスタンという国をどうしていこうかという、そういう策略のもとに動いているというのが見え見えなわけですよ。アフガニスタンの国民のためにというやり方じゃなく、自国の利益のためにアフガニスタンという国をどのようにコントロールしていこうかというような国際政治だと思うのですけれども。
 私、昨年の十二月にアフガンにもお邪魔させていただいたのですが、日本人に対しての受けが非常にいい。なぜなのかといえば、それは、アフガン、イスラムの国に対して日本がそれなりの援助をやってきたから。日本は、援助をすれども自分のところに対する利権というのを欲しがらない、そういうことを言っているわけですよ。でも、日本が一番必要なのは、そのカスピ海油田であり、中東諸国からの石油という資源が一番必要なわけです。だから、単にオイルマネーとしてペイしている分、返してもらっている以上のことを向こうの国にしているわけなんですよね。
 ということは、それが、いわゆる旧通産省としてそれをやる場合というのは、日本の政治のシステムで、いわゆる外務省の管轄であったり他省庁をまたいでしまうから難しい。でも、石油公団という形でいくのなら、省庁のそれぞれの受け皿、それこそマトリクス的にプロジェクトチームを組んでどうやって中東諸国へ出ていくんだというようなことを、さまざまな階層が重なり合ってやってきたと思うのですよ。
 今、政治がこれだけ閉塞感を持ってしまっているというのは、あるときはその縦割りの逃げ道、あるときはその辺で制度疲労といいますか、矛盾が起こってきていることが整合化されていないから、もうそれぞれの立場立場で、本来このように変えていかなきゃいけない、いわゆる改革していかなきゃいけないということに対して、失礼な言い方ですけれども、勇気を持って挑戦する大臣もいなければ官僚もいない、特殊法人の総裁もいないというような状態で、みんな、特に外郭団体の人ですと、いわゆる天下りの問題といいますか、二年三年の任期中に、仕事をやらなくて平々凡々と過ごしていれば、前任者の言うとおりのことを踏襲していけば、それなりの退職金、それなりの退職金でもとんでもない金額なんですが、もらえるから、仕事をしないことが自分たちの保身につながる。
 その積み重ねが、特殊法人に対しての改革といいますか、批判であって、大臣というか総理といいますか、国のリーダーがこのようにいくんだという旗を振り上げて、政策として正々堂々と出して、そのためのフォーメーションとしては、いわゆる経済産業省からこういう人材が必要です、外務省からこういう人材が必要です、セキュリティーのためには元自衛官と言われる人たちがこれだけ必要ですというような形で、いわゆる国家戦略として、特に中東諸国というのは難しい国なんですけれども、石油という問題、原油の問題ということを含めましたら、もっともっと日本が積極的に出ていかなければならないと思うのです。
 その辺のいわゆる省庁の縦割りということも含めて、特殊法人という存在も含めて、大臣、今の制度のもとでどういうふうにしていくのが、国際的な日本の立場も含め一番有利に働いていくのか。大臣の本当に私案で結構でございます、これは通告してない質問ですので。
平沼国務大臣 確かに、御指摘のように、戦略を持ってこの国の非常に枢要な課題でありますエネルギー政策をやっていかなければなりません。そのために、日本というのは、先ほどの御答弁の中でも触れさせていただきました、やはり日本の持てる力というものを有機的、効果的に発揮していかなければいかぬと思います。
 そういう中で、私も一昨年通産大臣に就任させていただいて、資源エネルギー外交というのもやらせていただきました。その中では、やはり相手国との、産油国との関係を強化して、お互いに信頼関係を築くということが私は一番大切なことだと思っています。
 そういう一つの中から、実はアザデガン油田の優先権も得られることが出てきました。しかし、そこに行く過程においては、やはり日本がODA等を通じて示した戦略、それが相手に信用を与え、評価をされた、これにつながっていると思います。
 さらには、例えば、長い産油国との歴史の中で、日本が、あちらはほとんど雨が降らない国ですから、海水を淡水化して飲料水等を賄っている、それに関しては日本も大変積極的に協力をして、そういったことも評価されています。
 例えば、イランという国を一つ例にとりますと、イランという国は今中小企業が育っていない。その反面、非常に若年の労働者の失業者が多い。そういう中で、日本にぜひ協力をしてくれという形で、経済産業省が主体となりまして、例えば自動車の修理、そういうものの拠点、学校も日本が積極的につくらせていただく、そのことがイラン人にとっては非常に大きな日本の貢献、こう映っています。
 ですから、御指摘のように、いろいろな形での協力関係を築いていくということは大切なことでありまして、私も、この二年、まだちょっと、もうすぐ二年になるんですけれども、二年間そういったところに心を砕いてまいりました。
 ただ、経済産業省だけではそのことは成就できません。したがって、外務省の協力も必要です。そしてまた、防衛庁とおっしゃいましたけれども、例えばあの湾岸戦争のときに、やはり日本の自衛隊がアラビア海等のいわゆる機雷の除去で非常に大変な貢献をした、そういったこともやはり総合的には日本の評価につながっています。それから、日本は、長い産油国との関係の中で、例えば受け入れ量だとか貿易取引で相手側を一回も裏切ったことはない、そういう信用も非常に大きな評価として日本に対してはあるわけですね。
 ですから、私どもとしては、そういう日本の技術力でございますとか、あるいは、例えばODAを通じての協力ですとか、あるいは、中小企業が日本の経済を支えているノウハウがありますから、そういった中小企業の育成ですとか、ただ単にいわゆる油だけの関係じゃなくて総合的な関係を築いていく、このことがやはり基本戦略になければいけませんし、私ども経済産業省は、そういったことも戦略の基礎に置いてこれまでもやらせていただきました。
 そういう中で、いわゆる行政改革そして特殊法人の整理合理化計画の中で、国民の皆様方の要望が非常に高いものがございました。繰り返しになりますけれども、やはり国が行うべき三つのファクターについては、私どもはしっかりと担保をさせていただいて、そして、今るる申し上げたような戦略をますます高めながら、日本のエネルギーの安定供給の中で我々は努力をしていかなければいけない。これからそういう関係を強化していくことは、その必要度は、私はますます高まってくる、そういう認識で私どもは努力をしていきたいと思っております。
山村委員 きのう、きょうの話といいますか、けさからの話で、私が、本当に大臣の答弁、力強い答弁じゃないなというふうなところからスタートして、今までの質問といいますか、その辺の矛盾があるんじゃないかというふうに思ったんですけれども。
 決まったことは仕方ないので、廃止した後、いわゆる独立行政法人ですか、そういう形で新たな組織立てをしていただいて続けていただく、そういう方向にしかならないのかなと思うんです。
 副大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、では、新たな独立行政法人としてやはり一番問題になってくるのが、今までの、朝からの議論の中にあります責任という、これは大臣に対しての質問のつもりだったんですが、一兆三千億の不良債権ですか、その問題であったり、日本の原油が三〇%の目標をどのように達成するのか、それもできなかった。明らかに石油公団というのは失敗であったんじゃないかというふうな表面的な意識しかなくて私は質問書をつくったわけなんですけれども、反省があってこそ発展があるといいますか、新たな独立行政法人のスタートが切れると思うんですけれども、その辺、今度ちょっと副大臣にお伺いしたいんですが、いかがですか。
古屋副大臣 今般のこの石油公団の廃止法案につきましては、やはり長年にわたって石油公団が行ってきたことに対するいわば反省と総括、そしてもう一つ、未来志向、そういう要素があると思っております。
 やはり自主開発をしていく、三〇%という大きな目標を掲げました。残念ながら、三〇%までは行きませんでしたけれども、当初の二十七万バレル・パー・デーから比べると、六十万バレル近くまで確保することができた。これは一定の成果があったと思います。ただ、反省すべき点は、もう今何度も答弁されておりますけれども、やはり量的確保にバイアスがかかったんですね。だから、資金の運用だとか効率的な運営という方には余りバランスが行かなかった、これは大きな反省点の一つであります。
 それから、国民に余り知られていないということでございましたので、この点はやはり情報開示というものが不十分だった。これだけ国策として重要な自主開発というものをしているにもかかわらず、石油公団の実態が余り国民に知られていなかった。これは、私どもとしても反省する一つの大きな要素ではないかと思っております。
 したがって、そういった反省点も踏まえて、石油公団の改革委員会等で既に実施した改革案もございますけれども、今般は、大臣からも答弁をさせていただいておりますが、国として絶対に残していかなくてはいけない機能、それはまず、リスクマネーの供給、それから技術開発、そして国家備蓄の計画、この三つについてはやはり日本が引き続きしっかり国として関与していかなくては、対外的な信用性等々でも極めてふぐあいが生じるだろう、その辺で整理をした。
 一方では、プロジェクトというものをしっかり厳選して、今までのいろいろな批判が二度と起こらないようにしていく、こういうことでありまして、現在の日本が脱石油を目指していくという長期的な計画がある中で、現実問題としてまだまだこの石油に依存せざるを得ないという実態を見たときには、この改革というのは、これによって二歩も三歩も前進していくのではないかというふうに私は思っているわけでございます。
山村委員 まさに石油公団だけでなく、いわゆる特殊法人の改革といいますか、いろいろ批判が出ているということは、ベールに包まれて情報開示をしてこなかったということが一番大きな原因だと私は思うんですよ、いい部分も悪い部分も含めて。これからはやはり、情報公開法という法律もできていることもありまして、情報開示ということをまず第一義にやっていただきたいのです。
 今からでもできることで、一つだけ私きのう気がついたことですが、石油公団財務諸表等閲覧室というのがあるんですよ。これは、インターネットで調べただけなんで実際はどうなっているのかわからないんですけれども。この時代に、わざわざ公団へ行って閲覧室で見なければならない、なぜインターネットでこれが公開できないのか。いかがなんですか、これは。どうですか、資源エネルギー庁長官。
河野政府参考人 これは、公団の改革検討委員会あるいは事業委員会の結論の一つとして、情報公開の徹底ということにいたしました。これは、公団のみならず、企業並みの会計、そして連結ということで、公団の出資会社すべての連結までやっております。そういう意味では非常に膨大な資料でございますので、閲覧制度ということで今やらせていただいております。
山村委員 インターネット上での公開ということはやらないわけですか。
河野政府参考人 公団の基本的な諸情報、こういったものについてはインターネット上でも公開をいたしております。
山村委員 それはわかるんですけれども、財務諸表についてなんですが。
河野政府参考人 検討委員会などで御提言をいただいてやっておりますのは、石油公団単体のみならず、関係会社についても同様の情報公開、そして連結ということでございますので、そういう意味で今膨大な資料になっていると思います。その資料的な量の制約がなければインターネットで可能だと思いますけれども、現在はそういうことで閲覧制度にさせていただいているわけであります。
山村委員 ですから、企業会計を導入してこれからどうこうしていくというのであれば、企業の場合でも決算書というのは堂々とインターネット上で公開しているわけですよ。本来、企業の模範にならなきゃいけない政府が関与する公団ですから、どんどんそれは、要するにそれこそ法律にのっとって前へ前へやるべきじゃないかと思うのですけれども。
平沼国務大臣 今、資源エネルギー庁長官から、連結決算等のそういう事務上の問題がありましたけれども、これは本来やらなければいけないことですから、私は、そのようにするように指示をしたいと思います。
山村委員 やはり大臣の答弁は、そのような形で出てきてもらうと非常にさわやかなイメージを受けるのですが。
 それで、時間がちょっと過ぎてしまったのであれですが、今回の法案の中で石油石油ということがエネルギーの中心に相変わらず置かれているのですが、つい先日、この委員会でも通りました、これはいわゆる議員立法であったわけなんですけれども、エネルギー政策の基本法というのがございます。それとの石油に関する整合性といいますか、それはどうなっていくのかなという心配があるのですけれども、いかがですか。
古屋副大臣 先般、議員立法で提案させていただいておりましたエネルギー政策基本法との関連はどうなのかといった御趣旨の御質問だと思いますけれども、まず、エネルギー政策基本法の第二条で、我が国にとって重要なエネルギー資源の開発、そしてエネルギーの備蓄等を推進するという規定が実はなされておりまして、また第四条では、エネルギーの安定供給の確保に十分配慮しつつ、事業者の自主性及び創造性が十分発揮される旨、こういった規定がなされておりまして、そういう意味では今回の法案との整合性はとれているというふうに考えております。
 また、今般の特殊法人改革におきましても、国としての関与のあり方についての抜本的な議論を行っておりまして、その中で、いわゆるエネルギー安定供給を確保する上で重要な機能が三つございます。これは何度も今まで答弁をしているとおり、リスクマネーの供給機能、研究開発機能、国家備蓄統合管理機能、この三つでございますけれども、今後も独立行政法人に担わせるということになっておりますので、石油開発における民間主導、備蓄基地操業における民間ノウハウの活用と相まって効果的に運営をしていくことができるという視点からも、エネルギー基本法、そして今般お願いしている法案との整合性はとれているというふうに考えております。
山村委員 確かにエネルギー基本法の条文にはそのように書いてあるわけなんですけれども、お伺いしたい点というのは、過去の流れから、経緯からしたらこれは仕方ないのかもわかりませんけれども、柱がやはり石油なんですよね。でも、基本法というのは新エネルギーという方面へのシフトをしていると私は思っていたのですけれども、その辺との整合性ということで、どうなんですか、比率として。
平沼国務大臣 今の日本のエネルギー事情、それから将来の世界のエネルギー、こういったことを総合的に見てみますと、これはもう委員もよく御承知のとおり、日本のエネルギーで石油の占める比率というのは五二%であります。しかし、これはいろいろ努力しまして、かつてはエネルギーに占める石油の比率が七七%ありましたものを、いろいろ、やはりエネルギー安全保障、こういう観点から比率を弱めてまいりました。それが、今五二に来ております。
 それからまた、分散ということで、これは安全性を担保しなければなりませんけれども、やはり原子力発電、これも非常に、二酸化炭素を発電過程では発生しないし、安定的に、また科学的にも電力を供給できるというシステムでありますから、これももう御承知のように、今電力の三割を超える量を賄っている状況です。
 そういう、ひとつエネルギー政策というのを考えたときに、やはりその比率はだんだん低まってくるとは思いますけれども、石油も依然として、我が国にとっても、世界のエネルギーの事情にとっても、主要なエネルギー源であり続けることは事実です。
 しかし、今の地球の温暖化等を考えますと、やはり新しいエネルギーというものを積極的に導入しなければならない、これが基本法の精神にも盛り込まれてあのような条文になっておりますし、また私どもが出させていただいた新エネルギーの促進に関しましても、そういう意思が込められております。
 しかし、現実の問題として、これから大きく開花していくと思いますけれども、これも御承知のように、風力発電をとっても、太陽光発電をとっても、あるいはバイオマスをとっても、さらにはこれから開発される燃料電池、こういうのをとっても、今現実には一%、そういう状況であります。ですから、これが飛躍的に数十%になるということは現時点では、努力はしていかなければいけませんけれども、ある意味では一朝一夕にはそういう状況にはならない。
 そういう中で、これからは主にそういう努力というものを新エネルギーに向けて、そして、二十一世紀の人類の最大の課題はいかに環境を保持するかということですから、そこにとにかく、新エネルギーに対しては大いにプライオリティーを与えてやっていこう、それが私は基本法の精神だと思っておりますし、私どもとしても、それを十分に踏まえながら、しかし、現実に立つと、石油ですとか天然ガス、そういうものの比率もやはり否定できない。
 ですから、そういう中で、当面これからの半世紀のことを考えれば、石油に対しても、自主開発をし安定的な供給を確保しておくことが、総合的に日本のエネルギー政策にとっては私は大切なことだ、そういうことで、基本的には、おっしゃる新エネルギーの比率を高める、このことは絶対に進めていかなければならない、このような認識であるということは御理解いただきたいと思います。
山村委員 まさに私の認識もそのとおりなんです。ただ、これから新たに独立行政法人という形でできるわけなんですよね。いかにも公団廃止までのプロセス、これからの計画といいますと、今まであった金属鉱業事業団そして石油公団というのを、とりあえず数を減らせばいいからというふうな発想しか見えてこないわけですよ。
 だから、エネルギー政策、戦略があって、それをやるために、既存の、今の資源、石油だ、昔の、昔といったらしかられますけれども、石炭も含めて化石燃料、そして今言われた太陽光、風力、これからの新エネルギーというものもあわせた上で、独立行政法人といいますか、新たな枠組みでこれからスタートしていくのであれば、それら、今までいろいろある、原子力もすべて含めた中での独立行政法人、その中で日本のエネルギーを、安定供給であったり、開発であったり、備蓄ということも含めて、三本の柱をなしていく独立行政法人というものを設立すべきじゃないかと思うのですけれども、その辺いかがですか。
平沼国務大臣 特殊法人整理合理化計画、そして国民の皆様方の強い御要望の中で、今回、金属鉱業事業団というものを独立行政法人化をしてまとめるということにいたしました。この中には、やはり新しいエネルギーの一つ、これから開発をしていかなければいけないといういわゆる石油天然ガス、そういったものも含まれているわけであります。
 おっしゃるように、そこに新しいエネルギーもすべて包含すべきではないか、こういうことでございますけれども、それは一つのお考えではあると思いますけれども、今回は、母体が石油公団、そしてその石油公団に石油天然ガス、そういうものも含まれましたから、その中で、まずそこに一つ重要な機能を担保しながら、そしてエネルギーの安定供給、こういう考え方でやらせていただいたところでございます。
山村委員 大臣、そこの部分でお願いしたいのが、先ほど言いましたこの表にしましても、非常に優秀な官僚の皆さんを前に失礼なんですけれども、官僚的な発想なんですよ。今あるものからどのように変えていこうか。
 我々は、政治家というプライドを持ってやっているのであれば、先ほど松原議員も言いましたけれども、エネルギー政策といいますか、戦略的なイメージを描いた上で、国家のスタイルを描いた上で、それに合うものに組織を合わせていくというふうにしなければならないと思うんですよね。その中で、使命を終えた公団は、それなりにしっかりとした総括をした上で進化させていくという形にならなきゃいけないと思うんですよ。特にエネルギーの問題というのは、外交も含めて、ましてや産業を引っ張っていく、それと環境との共生ということも踏まえた上で、一番これは重要なポジションになると思うんですよ。
 私、なぜあえて今言わなきゃいけないのかという、自分でも葛藤があるんですけれども、ある意味、自由民主党の大臣に対しての大きなプレゼントになるかと思うんですけれども、特殊法人改革を進めるのであれば、そういう切り口で、新たな独立行政法人として、今までのものを本当に総括した上で新しいものをつくっていただきたい、そういうふうな政策にしていただくのが、約一名の総理大臣がぽんぽんぽんぽん走るだけじゃなく、実のある改革につながっていくと思うんですよ。
 最後、時間がないので、いつもこれは最後にちょっとだけしか触れられないんですが、メタンハイドレート、日本の大陸棚にあれだけ豊富な資源が埋まっているわけですよね。それの開発ということも、新しい時代の新しいエネルギーといいますか、これは化石燃料には違いないんですけれども、その辺の研究というのは今現状どうなっているのか、それもあわせて御答弁いただきたいんですが。
平沼国務大臣 新しい切り口で戦略的にエネルギー全般を見る、そういう独立行政法人、これは一つのお考えだと思っています。
 しかし、私どもとしては、ここにも長官がおりますけれども、資源エネルギー庁というのがございまして、これが全般的に、新エネルギーも含め、エネルギーに対して大変大きな責任を持っています。そういう一つの中の石油部門、こういう形で、私どもとしてはこれからも、新しいエネルギーに対しても、総合的なエネルギー政策にそごがないように一体化してやっていかなければならない、このことは申し上げておきたいと思います。
 メタンハイドレートというのは、今おっしゃるように、日本近海に相当量の賦存が期待されております。その利用が可能となれば、我が国のエネルギー安定供給に与える効果は非常に大きいものだと思っておりまして、二十一世紀における新たな国産エネルギー資源としては非常に期待できるものだと思っています。
 しかし、メタンハイドレートというのは、我が国近海のいわゆる賦存量を評価するためにさらなる調査が必要であるとともに、通常の天然ガスとは異なりまして、よく御承知のように、地中に固体で存在しているため、井戸を掘っても自噴をしない、こういったことから、新たな採取技術の開発等中長期的な視点での取り組みが必要だと思っています。このため、昨年の七月に、メタンハイドレートの開発検討委員会によりまして、我が国におけるメタンハイドレート開発計画が取りまとめられました。
 今後、まず一番目は、メタンハイドレート賦存海域の探査及び資源量評価手法の確立をしよう、二番目は、メタンガス生産手法の確立及び現場産出試験の実施をいたしていこう、三つ目は、開発に伴う環境影響評価及び経済性評価手法の確立等を図ろう、こういうことが示されております。
 しかし、一つの朗報としては、これももう御承知だと思いますけれども、日本も共同して、カナダでこのことを実験しました。そうしたら、固体であるものをその場所からいわゆる気体状で取り出す、そういった技術開発に成功しましたので、これは一つ大きく道が開けたことだと思っておりまして、これからの研究開発に拍車がつき、そして埋蔵量としては非常に大きなものがございます。今これは調査をして、相当量あるということだけしか申し上げられませんけれども、そういう形で技術的にも一つ弾みがついた、こういう段階であるということを御承知おきいただきたいと思います。
山村委員 時間が参りましたので、簡単に締めくくりとして、大臣は、未来志向で語られるときは元気あるんですよね。
 ただ、未来への、石油からメタンハイドレートに移るにしましても、今までの過去の清算ということはこれはしっかりやってもらわないと前には進めないと思うんですよ。やはり、情報開示ということを含めて、石油公団の廃止に関しては、あるものないもの、ないものを出せというわけにはいきませんけれども、あったことをこれは客観的に全部洗いざらい出していただきたい、そのようにお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
谷畑委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
谷畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。達増拓也君。
達増委員 いわゆる石油公団廃止法でありますけれども、この法律は、世間的にはいわゆる小泉改革の目玉の一つ、特殊法人改革の先行改革法人の、その中でもトップを切って法律でその改革を進めるということで出てきた法律ということになっていると思いますけれども、およそ改革の法律というのは、光り輝くといいますか、やった、これで世の中が変わるという、わくわくするようなものでなければならないと思うんです。
 それで、この法案なんですけれども、例えば目的という条項があって、そこで、これから石油にかかわるあるいはエネルギーにかかわる政策はこういうふうにしていくし、それにあわせて機構もこのように変えて、これから改革も進めて、経済、産業も発展していくとか、何かそういう希望に満ちた目的が法案に掲げられているのかなと思って見ますと、目的条項というのはないんですね。
 そこでお聞きするんですけれども、この石油公団及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案の目的は一体何なんでしょうか。
河野政府参考人 確かにこの提案の法律には目的条項はございませんで、廃止に関する規定が組み込まれているわけでございます。
 今般のこの特殊法人等改革におきましては、すべての特殊法人等につきまして、その事業、組織形態の抜本的な見直しを行うことが求められました。昨年末に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画におきまして、石油公団については廃止をする、金属鉱業事業団は、一部事業を廃止した上で石油公団と統合して独立行政法人とするというその内容が定められているのでございます。
 一方、この閣議決定におきましては、石油公団は廃止いたしますが、エネルギー政策上、国の責任において果たすべき役割は引き続き全うするということで、現在の石油公団の有するリスクマネーの供給機能あるいは技術蓄積の機能、さらには国家備蓄の統合管理等の機能などにつきましては、金属鉱業事業団に統合の上、独立行政法人化するということになっております。
 また、石油公団の保有いたします開発関連資産につきましては、厳正に資産評価を行いまして、整理すべきものは整理し、売却すべきものは売却するなどの処理を行った上で、これを承継する特殊会社を設立してこれを速やかに民営化するという方針を述べております。
 現在御審議いただいておりますこの石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案につきましては、この閣議決定を確実に実施に移すために、石油公団、金属鉱業事業団の解散、あるいは国として果たすべき機能の独立行政法人への承継、こういった所要の措置を定めているのでございます。
達増委員 今の答弁を聞いていて思うのは、大きく三つの柱があるのかなと。今回のこの法案の目的としては、まず、今答弁にもあったように、特殊法人等改革基本法に基づく特殊法人等整理合理化計画が石油公団廃止と決めたので、だからこの法律をつくるという、身もふたもないといいますか、内閣でそう決まっちゃったから法律をつくるということがまず一つ。
 あと、これは昨日大臣が説明された法案の提案理由の中にも書いてありますけれども、石油公団が今まで実施してきたこれまでの手法において、効率的な事業運営への要請に対する対応に迅速さ、的確さが欠けていた面があることは否定できないということで、そのため、今般の特殊法人等改革において、事業及び組織形態について抜本的な見直しを行うことが求められてきたところであります。
 そこで、そういう提案理由からすれば、事業の抜本的な見直しと組織形態の抜本的な見直し、内閣で決めたからやるんだというのが形式的な理由だとすれば、その中身について、事業の抜本的な見直しをやるということと組織形態の抜本的な見直しをやるということが中身の理由なのかなと思うわけであります。
 しかしながら、今回の法案によるいわゆる改革でありますけれども、事業については、石油公団のほとんどの事業は残るわけであります。なくなるのは融資業務、石油公団のいわゆる不良債権がどんどんたまっていくのに大きく貢献したと言われている融資業務について廃止はするわけでありますけれども、出資業務は残るわけでありますし、そういう事業は残るわけでありますし、石油公団の主な事業は結局残存するのではないかと思うわけであります。
 また、組織形態について抜本的な見直しということでありますが、確かに、姿形や名前が大きく変わるようには見えるんですけれども、結局、金属鉱業事業団と統合されて独立行政法人になる、二つの特殊法人がくっついて、それが独立行政法人になるということでありまして、実は抜本的な見直しというくらいの組織形態の変化ではなく、むしろ看板のかけかえにすぎないのではないかと思うわけであります。
 もしこの中身の点が全然かなっていないということであれば、単に形式的に、内閣が決めたから仕方がない、法律でやっちゃおうというだけの法案なのかなと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
河野政府参考人 先ほどもちょっと述べさせていただきましたが、今回のこの特殊法人等改革においては、まず、それぞれの法人の事業を徹底的に見直す、その結果を踏まえまして、その事業見直し後の事業実施主体にふさわしい組織形態を決定するという方針で全体として臨まれております。その内容が先ほど御紹介いたしました整理合理化計画でございます。
 これを踏まえまして、石油公団については、先生も今御指摘になりましたけれども、減免つきを含む石油等の開発に係る融資は即座に廃止をいたします。また、これに類似する探鉱用機械の貸し付けなどの業務、これらも廃止をいたします。
 また、金属鉱業事業団の方につきましても、こういった事業の見直しを行いまして、例えば、国内の地質構造の広域にわたる調査は、平成十五年度限りで、いわゆる広域地質構造調査でございますけれども、終了する。さらに、広域地質構造調査の結果に基づいて調査地域をさらに絞って行う精密地質構造調査、これは平成十八年度を限りとして終了する。また、銅などのいわゆるベースメタルの備蓄資金を民間企業に融資をいたしてまいりました金属鉱産物備蓄資金融資、さらには、経営が悪化した国内鉱山に緊急融資を行う金属鉱業経営安定化融資、また、海外の探鉱資金を民間企業に融資し探鉱の成功時のみ返済を求める、石油公団みたいな仕組みでございますが、減免つき融資、この五つの業務を廃止するということで体制のスリム化を図ることとしております。
 組織形態としては独立行政法人化ということでございますけれども、この独立行政法人化によりまして、事業遂行におきます法人の自主裁量性が高まるということになる一方で、中期目標を指示し、計画を法人がつくるということになりまして、その達成度につきまして、評価委員会による厳しい業績評価が課されるということでございます。業績いかんでは経営陣等に対しましても給与等のペナルティーが及ぶこともあり得るというのが通則法によります組織形態でございます。
 資源エネルギー政策の主たる担い手であります石油公団と金属鉱業事業団がこのように独立行政法人化するということで、より効率的な情報収集ですとか、柔軟かつ機動的なプロジェクトの支援、さらには経営者意識の向上を背景とした厳正なプロジェクトの選別、管理、こういったことを期待したいと思っております。
 したがいまして、今回の統合、独立行政法人化は、いわば単なる特殊法人の統合ということではありませんで、真に必要な業務に限定した上で独立行政法人制度の評価システムなどを活用して、効率的かつ効果的な業務運営を可能にする、そういう趣旨でございます。
達増委員 今回の法案提出に至る経緯を振り返りますと、去年六月に制定された特殊法人等改革基本法、それに基づく特殊法人等整理合理化計画の中で、石油公団については、「石油公団は廃止する。」と冒頭はっきり書かれた、そこがまずターニングポイント、転換点になっているわけであります。
 それ以前も石油公団をめぐる議論というのはありまして、特に平成九年から平成十年にかけて、堀内当時通産大臣が石油公団問題を問題提起し、かなり官民で議論が行われたわけであります。通産省、経済産業省の方でも、石油審議会でありますとかさまざまな場で議論を重ねてきたわけでありますけれども、ただ、その中で石油公団廃止という結論は出てなかったわけですね。
 だから、きょう午前中の審議の中でも同僚委員から指摘があったように、去年も、石油公団をいわば一部強化するような法律改正を私たちは決定したわけであります。それが突然、石油公団は廃止するというふうに特殊法人等整理合理化計画で決まったわけでありますけれども、ここは、内閣府の特殊法人等改革推進本部で、内閣で決めたわけでありますけれども、そもそも、この石油公団は廃止するとした理由を内閣に伺いたいと思います。
西村政府参考人 お答えいたします。
 特殊法人の整理合理化計画、昨年十二月に決定いたしました。この計画をつくるに当たりましては、特殊法人、民間法人等すべてにつきまして、事務事業の徹底的な見直しを行ってもらったわけでございます。そして、見直した結果、その後、事業についてはどういう主体で実施するのがふさわしいかという検討も行いまして、十二月の計画でそれぞれの法人形態について決めたところでございます。
 石油公団につきましては、事業見直しを行いまして、石油開発のリスクマネー供給機能とか研究開発機能、また国家備蓄統合管理等の機能については、これを金属鉱業事業団に統合する。それから、国家備蓄は国の直轄事業として行う。それから、現在石油公団が保有しております開発関連資産については、厳正な資産評価を行って、整理すべきものは整理する、売却すべきものは売却するという適正な整理を行う。そして、資産処分等清算のための組織を期限つき、三年程度で設置して処理を行い、その終結を待って特殊会社を設立し民営化を行う、ということを決めたわけでございます。
 整理合理化計画の考え方は、事業を見直しまして、その事業が廃止される、あるいは民間その他の運営主体に移管されるような法人については、これを原則廃止という形で整理をしておりまして、石油公団についても以上のような点から廃止としたわけでございます。
達増委員 一つ、言葉の使い方の問題を内閣に伺いたいんですけれども、石油公団は廃止するということになっているんですが、実態としては、金属鉱業事業団と一緒になって独立行政法人になるわけであって、この世の中から消えてなくなるわけではないんですね。まさに、事業の見直しということのその事業はかなりの部分存続するわけでありますから。
 そこで質問なんですけれども、言葉の使い方の問題として、そういう場合でも、特殊法人等改革推進本部としては、廃止という言葉を、当該特殊法人は廃止されたんですという言い方をするんでしょうか。
西村政府参考人 お答えします。
 言葉の整理の問題でございますけれども、整理合理化計画では、事業は徹底的に見直しをしていただきまして、その結果、主たる事業が廃止されるか、他の運営主体に移管されたものについては廃止という整理をして、ほかの法人でも同様なものもございます。
達増委員 今回のケースですと、もし石油公団は廃止ということであれば、金属鉱業事業団もまた廃止というふうに言っていいんだと思いますけれども、特殊法人等整理合理化計画の中で使われている言葉は、金属鉱業事業団については、「石油公団と統合し、独立行政法人を設置する。」という言い方をしていて、金属鉱業事業団は廃止するとは言っていないんですね。
 だから、実は石油公団の方も金属鉱業事業団と同じでありまして、石油公団の方には、金属鉱業事業団と統合し、独立行政法人を設置すると書くのが素直なやり方だと思うんですけれども、そこを、「石油公団は廃止する。」という言葉を使っている。これは一種のパフォーマンスにすぎないんじゃないかと思うわけであります。何か物すごい改革をやっているんだと、国民を欺くと言うと強い言葉になるかもしれませんけれども、実態としては、他の特殊法人と統合して独立行政法人を設置するという実態なのに、石油公団は廃止すると言い切っているのは非常にミスリーディング、誤解を招くようなやり方だと思うんですね。
 それに関連して質問しますけれども、この石油公団というのは、いわゆる先行七法人という、特殊法人等改革推進本部の第四回会合で選ばれた七つの特殊法人のうちの一つです。七つというのは、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団、そして都市基盤整備公団と住宅金融公庫、そして石油公団の七法人。最初の四つは高速道路関係で、その次に都市基盤整備公団と住宅金融公庫、プラス石油公団ということで、大体三つのうちの一つと言ってもいい。たくさんある特殊法人の中の本当に代表選手として選ばれた、決勝トーナメントに上がってきたということだと思います。
 予選リーグを勝ち抜くための条件として、特殊法人等改革推進本部で言っているのは、「改革全体を牽引する観点から、国からの財政支出が大きく、国民の関心も高い」七法人を他の法人に先駆けて改革の方向性を示すという言い方をしているんですね。
 財政支出が大きいというのは、これは数字を見ればわかることですが、もう一つの、国民の関心も高いという基準が気になるわけであります。この石油公団については、どのように国民の関心が高いと判断して先行法人に選んだのでしょうか。
西村政府参考人 石油公団につきましては、その開発について多額の欠損を出しておって、経営に問題があるのではないかとか、プロジェクトの審査体制に問題があるのではないかというような指摘が各方面から行われてきたわけでございます。
 そういうような面で、国民の関心が高いものの一つということで先行七法人とされたというぐあいに理解しております。
達増委員 国からの財政支出が大きく、国民の関心も高いからといいますと、本当に、目立つものからやる、国民に対して、見てすぐわかるものからやるという非常にパフォーマンス的なものを感じるわけであります。
 行政の観点から、国等のかじ取りの観点から考えますと、特殊法人改革の優先度は、むだの大きさということで優先順位を決めていくべきだと思うんですね。そういうむだの深刻さといいますか、改革に急を要する度合いということで決めるべきで、単に規模が大きいとか、単に国民の関心が高いとかいうことで選ぶのはおかしいと思うんです。
 今の答弁の中でも、なぜ国民の関心が高いかというと、多額の欠損が生じていて、そこに大きなむだがあるのではないか、したがって、そういうことがあるから選んだというならわかるのでありますけれども、この点いかがでしょうか。
西村政府参考人 お答えいたします。
 特殊法人の改革は、これまでも何度もやってきたわけでございますが、非常に困難な課題なわけでございます。
 今回の特殊法人改革は、昨年の一月から各法人の業務等についてのヒアリング等をしながら検討を進めてきたわけでございます。一部の法人だけではなくてすべての法人につきまして、法人あるいは各省からヒアリング等を行い検討をしたわけでございますが、先ほど申しましたようになかなか難しいテーマでございますので、先行七法人ということで、他の法人に先駆けて改革の方向を示させていただいたわけでございますが、これだけということではなくて、すべてについて同じように厳しく見直しをしていただき、計画を策定したということでございます。
達増委員 その割には、ほかの特殊法人の改革の具体策がなかなか出てこないのでありますけれども。
 石油公団については、平成九年、平成十年あたりからかなり質の高い議論が官民超えて行われてきたわけでありまして、そうした議論を踏まえてかなり改革の方向性というものが煮詰まってきたところだと思うのですけれども、そこにいきなり、パフォーマンス的な、何か目立つ特殊法人改革をしなきゃという要請で、とにかく廃止廃止、形だけでも廃止、見かけだけでも廃止ということで、今までの議論の積み重ねがねじ曲げられた、いわゆる改革の名に値しない改革という格好で法律の制定ということになると、それは非常によくないと思うわけであります。
 そこで、今、国民の関心が高いという基準の問題点を指摘しましたけれども、もう一つ、国からの財政支出が大きいということがその先行七法人が選ばれた理由のもう一つでありましたけれども、財政支出の大きさ、つまりお金がこれだけかかっているというところに着目して先行法人を選んだのであれば、その改革の結果、国の財政支出はこれだけ変わるんだということを示さないと改革したことにならないと思うんですね。
 これは、今度の法律が成立したらどうなるのかということで、経済産業省の方に聞く質問でありますけれども、この法案による改革で、石油公団に対する国からの財政支出というものはどのように変わるんでしょうか。
河野政府参考人 今回の改革におきましては、先ほど御紹介しました閣議決定に従いまして、石油公団と金属鉱業事業団を廃止いたしまして、それぞれの機能のうち必要なものを独立行政法人に承継するということでございます。
 この新たに設立されます独立行政法人の仕事でございますが、石油開発につきましては、出資あるいは債務保証、あるいは技術開発、そういったことをやらせていただくわけですけれども、それらの事業の効率性を高めるために、対象案件を厳選する、また支援比率を出資について五割以下とするなど、事業運営の効率性の確保に努めるという考え方でございます。
 また、備蓄体制の改革でございますが、これは、国家備蓄の原油とそのための施設、タンクを国の直轄化をいたしまして、それらに係る資金調達を国の信用において行うということで、まずコスト低減を図るということを考えております。
 さらに、独立行政法人に各地にあります国家備蓄基地などの統合管理機能を担わせるわけでございますけれども、基地操業に係ります具体的な業務、これは国家石油備蓄会社八社を廃止いたしまして、完全な民間資本によります操業サービス会社に委託をするという考え方でございます。これを通じて、より効率的な実施体制を構築したいというふうに考えております。
 それでは、今後、この石油公団に対します予算がどのようになるかということでございますが、まず十五年度について、備蓄あるいは開発予算については、この行政改革の趣旨を踏まえまして、事業の見直し、重点化を通じて効率化を図った結果を反映してまいりたいというふうに思っております。
達増委員 石油公団には、石油特会という毎年毎年数千億円規模のそういう巨大な予算の中からお金が流れているわけでありまして、それがどうなるのか。
 特殊法人改革は行政改革の一環ですが、行政改革は、行財政改革と呼ばれることもあるように、結局はお金がむだに使われないということがポイントのはずでありまして、そういう、具体的にどれだけむだがなくなるかということがきちんと示されないと特殊法人改革にはならないんじゃないかと思うわけであります。
 さて、もう一つ内閣の方に質問したいと思いますけれども、石油公団は廃止すると言いつつ、実態としては事業のほとんどが残されるように決まったわけであります。そして、その中で、石油開発のためのリスクマネー供給機能、これについて、結局そういう機能は金属鉱業事業団に統合するということで残されてしまいました。石油公団は廃止するというのであれば、その中核的機能のリスクマネー供給機能の部分を廃止するのであれば、廃止という言葉に値する抜本的な見直しだと思うんですけれども、この点を完全に民間に任せない、石油開発、日の丸油田、そういった開発については、力のある日本企業が自力で資金を調達して開発すればよいという方向にはせずに、国の、特殊法人から独立行政法人に変わるわけでありますが、そういう公的な団体がリスクマネー供給をやるというふうにした理由はなぜなんでしょう。
西村政府参考人 先ほど申しましたように、石油公団の事業すべてについていろいろな見直しを行ったわけでございます。石油開発について、エネルギー安定供給確保の上で非常に重要な機能であるリスクマネー供給については、やはり国の支援を全くなくすということは困難である。しかし、徹底的な見直しを行って、リスクマネー供給機能についても出資を限定する、そして出資割合を五割以下にするという厳しい見直しをしたものと考えております。
達増委員 次は経済産業省の方に聞きますけれども、平成十二年の八月に行われた石油審議会開発部会基本政策小委員会で中核的企業グループの育成云々ということを決めた由でありますが、そういう中核的企業グループ、和製メジャーとも呼ばれると思いますけれども、こうした企業に石油開発を任せていく。資金調達も含めて、そういう民間主導でやった方がうまくいく。実際、世界のメジャーというのは民間企業としてやってうまくいっているわけでありますから、日本をベースにしたそういった企業をつくっていくという趣旨だったのではないんでしょうか。
河野政府参考人 確かに、平成十二年八月に、御指摘のような石油審議会基本政策小委員会の中間報告を受けました。
 これには、自律的に石油開発事業の維持拡大を行うことのできる中核的企業グループの形成は必要であるという認識が示されております。そういう意味で、エネルギーの安定供給確保の観点から、中核的な企業グループが形成されるということは、引き続き重要な政策課題だというふうに考えております。
 ただ、これは一朝にして成るものではございませんし、また、その間政府として支援することなしに達成可能であるというふうにもこの報告書は述べていないのでございます。我が国開発企業は、資金調達力、技術力などの点で欧米のメジャーと比べまして大きな格差があるのは事実でございます。
 こうした状況をかんがみますと、国の支援割合を上限五割とし、またプロジェクトを厳選する、そういうことをしつつも、引き続き政府としてリスクマネー供給等を実施していくことが必要だというふうに考えておりまして、この考え方自身は、平成十二年八月の中間報告の考え方にも沿っているというふうに考えております。
 今般の改革でございますが、石油公団は廃止をいたしますが、先ほど来申し述べておりますように、エネルギーの安定供給を確保する上で国としての重要な機能でございます石油開発のためのリスクマネーの供給機能あるいは研究開発機能など、これらは引き続き、やはり国の責任において果たすべきという考え方の整理でございまして、具体的には独立行政法人が担うというふうに考えているところでございます。
 他方、石油公団の資産の整理売却プロセスを経た上で設立されることを予定しております、この附則に規定されております特殊会社でございますが、これについても、できるだけ早く民営化することによって、いわば民間資本の論理のもとで経営されていくことを想定しております。
達増委員 今回の法案が単なるパフォーマンスにすぎないんじゃないかという疑いを持たざるを得ない理由として、今回の法案で石油公団改革、我が国としてのガス田や油田の開発のあり方の改革ということになるんでしょうが、改革の方向性として、和製メジャーの育成のような、民間の活力によって自主開発、日の丸油田あるいはガス田ということを進めていくのか、それとも、やはり国が強いリーダーシップと責任を持って、国の責任でそういう自主開発、日の丸油田・ガス田の開発を進めていくのか、その百八十度違う方向のどちらに行くのかがよくわからないわけであります。
 先ほどは和製メジャー育成、中核的企業グループ育成のことを取り上げましたけれども、論者によっては、そういうのはもう無理なんだ、日本の業界の環境やあるいは安全保障上の日本の置かれた位置などから考えて、これはやはり国が引き受けてやっていくしかないという意見もあるんですね。
 そういう中で、一体どっちの戦略を国としてとろうとしているのかがわからないんですけれども、この点いかがでしょうか。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 今度の公団廃止後の体制で、自主開発は民間主導を基本とするのか、あるいは国主導なのか、こういった御趣旨の質問だと思っております。
 結論から申し上げると、民間の責任を明確にしつつ、やはり国が関与すべきところはしっかり関与していく、こういう形だと思います。
 具体的に申し上げますと、まず、どうしても日本のいわゆる石油関係企業は経営基盤が脆弱でございます、諸外国メジャーと比べると。そういう意味では、厳しい国際ビジネスの荒波にもまれるわけでございますから、あるいは産油国との信頼とか信用という視点からも、国の責任において関係企業の開発努力を支援していくという必要があると思っております。
 そういった意味から、今回は、いわば国が関与すべきところはある程度限定をした、それは、リスクマネーの供給機能と技術開発ということである。特に、例えば、今までですと、七〇%支援するとか、あるいは減免つきというものがあって、ややもすると民間の責任というものが明確でなかったというところがございます。したがって、支援を五割以下にするとか、減免つき融資というものを廃止するということ。
 それからもう一つは、今後、具体的なプロジェクトにつきましても、あらゆる角度から厳選をしていくということによって対応していく。これによって、民間の責任をしっかり明確化した上で、やはり国として関与していくべきところはしっかり関与していく。このバランスをとっていくということだと思っております。
達増委員 多分、今までの石油公団のやり方でも、一応責任は民間にあるんだ、民間が自己責任でやるんだという建前を持ちつつ、国もしっかり関与という、つまり、民の責任を明確にして国もしっかり関与というのは、今までの石油公団もそういう基本方針だったと思うんですね。
 ただ、答弁にあったように、減免つきの融資でありますとか、そういう制度、仕組みの幾つかにそういった方向性に反するような悪いところがあって、そこは直していかなければならないというのはそのとおりだと思うのですけれども、実は、石油公団はうまくいかなかったと私は思っているんですけれども、その根本的な理由は、そういう民の責任を明確にしつつ国もしっかり関与という、いわば足して二で割るような中途半端なあり方が、戦略の問題として、石油公団の事業を中途半端な、かなりの資本を投下した割には成果が得られないという格好になったんじゃないかと思うんですね。
 例えば、民の責任を明確にしてといいつつ、開発会社の社長、役員には、多く天下りの元官僚が入って、午前中の議論にもありましたけれども、外国のメジャーは、本当に飢えたけだもののような、これはいい意味で言っているんですけれども、絶対これはもうけてやるぞという、民間ならではのそういうすさまじいエネルギーと意欲を持って、ウの目タカの目で世界のエネルギー戦略を描いていく。それに比べると、やっぱり、天下りで開発会社の社長さんや役員になった人たちというのは、結局そうじゃなかったということだと思うんですね。
 そういったことは、今回の法律では全然変わらないんじゃないかと思うんですよ。したがって、そういう民間主導か国主導かよくわからない中途半端な、今までと同じ体制では全然変わらないんじゃないかと思うのですが、この点いかがでしょうか。
平沼国務大臣 ある意味では重要な御指摘とは思いますけれども、自主開発政策の実施に当たりましては、すべてを国あるいは民間のどちらかが実施していくという二者択一でとらえるべき問題ではないと私は思っています。
 今回の改革といいますのは、我が国の置かれた供給構造の脆弱性でございますとか民間企業の力量、そういった問題もございまして、そういったことを勘案しながら、行革の精神を徹底しつつ安定供給に努めよう、そういう考え方のもとで、ある意味では官民のベストミックスといいますか、そういったところを追求したところでございます。
 中途半端、こういう御指摘でございますけれども、私どもは、限られたそういう条件の中で最大限の効果を発揮しなければならない、こういう考え方でやる、こういうことでございます。
達増委員 油田やガス田の開発というものは、いわゆる千三つ、なかなか当たらないことが多い、当たったときのもうけで当たらない損失を埋めるようなやり方をしていかないと、そういうリスクを補っていかないと成り立たないビジネスだと言われているわけでありますけれども、諸外国のメジャーなどは、まさにそういう成功と失敗を合わせた結果もうかっているわけでありまして、我が国の石油公団の事業、成功もあったが失敗もあった、一兆円になんなんとする損失は出たけれども、それなりに自主開発油田、幾つかは成功しているというだけでは、決して成功したとは言えないと思うんですね。やはり、かえって利益が上がるくらいを目指していくべきだし、ビジネスの世界では、まさに民間主導でやってもうかっているわけでありますから、そのくらいの成果を上げる厳しさというものを改革の目的として掲げていかなければならないんだと思うんです。
 そういう意味で、今回の法律は、とにかく、小泉総理が石油公団廃止と決めちゃったので、一日も早くそれをやったというアリバイづくりのような法律を上げなきゃならないということで、かなりそういう改革の本質からいくと食い足りない内容だなと思うのでありますけれども、最後に政府の考えを伺いたいと思います。
平沼国務大臣 確かに、自主開発をする、その場合には利益が出る、そして安定供給も図れる、こういう体制がとられることは、それはベストだと思っています。
 しかし、我が国がたどってきた軌跡を振り返ってみますと、一生懸命努力をしましたけれども、例えば中国の油田開発、あるいはインドネシアとの開発、こういった中で努力をしたけれども、千三つとおっしゃいましたけれども、そういう厳しい条件があり、その結果が報われなかった。そしてまた、例えば、膨大な赤字が出ているという御指摘もあるんですけれども、これも、原油が一方的に安くなり、円高が進むというようなことで非常に大きな差損が出た、こういったことはいろいろあったと思います。
 メジャーはそういう中でしたたかにやっているじゃないか、こういうことで、それは、いろいろ与えられた条件の違い等があると思いますけれども、私どもとしては、今回こういう新たな体制をつくらせていただきました。そして、その先には、やはり私どもとしては、和製メジャー的なそういうものも育成をしていきたい。その中で、今までのいろいろな経験も踏まえて、そしてその過ちを繰り返さないような、そういったしっかりとした方針のもとに、私どもは、これからの日本の安定供給、自主開発を進めていかなければならない、こういうふうに担当大臣として思っているところでございます。
達増委員 では、時間ですので、終わります。
谷畑委員長 大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 端的にお伺いをしますので、端的にお答えをいただきたいと思うんですが、まず最初に、今回、石油公団を廃止、こう打ち出されたわけでありますけれども、なぜ今廃止をしなければならないのか、この点からお聞かせいただきたいと思います。
平沼国務大臣 これは午前中の質疑の中の答弁でも申し上げさせていただきました。これは、昨年末に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画の中で具体的な方針が示されました。石油公団については廃止すること、こういうことでございますので、私どもとしても、やはり国が担保すべき必要な機能は残しながら、国民の御要請におこたえをして廃止をする、こういうことにさせていただきました。
大森委員 結局、内的な要因としてはないけれども、特殊法人等整理合理化計画、これで廃止が盛り込まれた、これが唯一の理由だということですか。
平沼国務大臣 やはり、国民の皆様方が特殊法人のあり方について大変大きな問題意識を持っておられます。私どもとしては、それにこたえて、政府といたしましても、まず整理合理化計画で国民の皆様方のそういった御要望におこたえをしなければならない。そして、つけ加えさせていただきましたら、石油公団の今までのあり方、随分御指摘があり、いろいろ体制を整備してきたところでございますけれども、そういう中で、さらに、私どもとしては、合理化をし効率化を図る、こういったことも一つの目的として含まれているわけであります。
大森委員 どのような国民的な批判があったかはまた後ほど伺いますが、そうしますと、政府としては、これまで石油公団を通じて、石油開発はリスキーな仕事だから国が積極的に関与しなくてはならないとしたわけでありますけれども、今回は、石油公団を廃止するということは、堀内元通産大臣などは、もう石油開発は民間に任せるということを提起されていたわけでありますけれども、そういう、民間企業のリスクで石油開発を進めるというぐあいに方針の転換を意味することでしょうか。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 メジャー等と比べて、今、日本の石油関連企業は、その経営基盤は脆弱であるということは否定できません。一方、自主開発というのは、今までにも何度も答弁させていただいているように、エネルギー政策あるいは石油政策の中で極めて重要な柱でございますので、引き続き国が責任を持って自主開発の努力を支援していくという必要があろうかと思っております。
 そして、今までの石油公団のいろいろな御批判の上に立って、今までは、量的な支援、量的なところにウエートを置く余り、例えば運営の効率性であるとかそういったものについては、ややもすると余り重要視されていなかったという批判がございました。あるいは、情報公開等々も十分なされていなかった。こういう批判の上に立ちまして、今度は、独立行政法人というところに移管をして、国として一体何を支援していくのかということをしっかり定めさせていただきました。それが三点ございます。
 それは、もう幾度か答弁させていただいておりますけれども、リスクマネーでございます。それから研究開発機能、それから備蓄の管理、この三点でございまして、これは引き続き、我が国として、やはり国が積極的に関与していくべき課題だというふうに考えております。
大森委員 そうしますと、国の責任、国の関与、これは引き続き継続する、それは独立行政法人で引き継いでいくということでありますが、では、独立行政法人に引き継がないのは何でしょうか。
河野政府参考人 石油の開発関係で申しますと、従来、減免つき融資という融資を探鉱段階について実施してまいりました。民間が三割出資をいたしますと、公団が三割見合いで出資をいたしまして、残る四割については減免つき融資という形でリスクマネー供給をやってきたわけでございます。こうなりますと、公的資金の割合が七割に及ぶということもありまして、やはり民間企業としてリスク管理に甘さが出るのではないかという見方もございましたので、今回は、この減免つき融資、あるいはそれに類するような事業はこの法律の施行と同時に廃止をすることにさせていただきました。そして、国の支援としては、出資を中心に、これは五割を上限として行うということでございます。
大森委員 減免つき融資を廃止するということですね。そうすると、一般の融資はもう廃止をするということですか。
河野政府参考人 石油の探鉱開発関係につきましては、石油公団は今後、あるいはそれを引き継ぎます独立行政法人も、融資機能は持たないということでございます。
大森委員 そうすると、今後、海外で石油探鉱をする企業に対しては融資は一切行われないということになるのでしょうか。
河野政府参考人 我が国の石油の探鉱開発関係企業の資金調達方式でございますが、今申し上げましたのは、石油なり天然ガスがあるということが十分確認されるような段階のいわゆる探鉱事業でございまして、これにつきましては、出資とか減免つき融資という、いわば非常にリスクテークをするような資金供給方式をとってやってまいりました。ある時点からは、石油の埋蔵量も確認され、昨年の十一月の例で申しますと、サハリンについては商業化宣言ということで、生産段階に移行するという段階がございます。この後以降の資金調達につきましては、それぞれの石油開発企業が、政策金融機関の支援も受けますし、民間金融機関からの融資も受けるというようなことで資金調達をいたします。
 今回、独立行政法人は、この段階につきましては債務保証という機能を有するということをこの法律案では規定をいたしております。これも五割を上限として保証するという方針で臨むわけでございますが、これはいわば、こういった民間の石油探鉱開発企業がいよいよ開発段階に入ったというときに、民間とか政策金融機関などから資金調達する、その信用補完を行うという格好での支援をすることはあり得るわけでございます。
大森委員 そうしますと、石油公団からのあるいは独立行政法人からの減免融資はないけれども、政策投資銀行やあるいは民間の銀行からは融資が行われる、しかも独立行政法人から債務保証は受けられるということになると、では従来と何が変わるんだろうかという強い疑問が出るわけです。これまでの基本的な制度というのが基本的にそのまま維持をされるということになるわけですね。先ほど同僚議員も指摘をしましたけれども、石油公団という看板を独立行政法人の看板につけかえるだけじゃないか、実質的内容は変わらないんじゃないかということになると思いますが、それはいかがですか。
河野政府参考人 先ほど政策投資銀行と申し上げたとしたら、国際協力銀行に訂正をさせていただきたいと思います。失礼しました。
 特に探鉱段階につきまして減免つき融資を廃止するということは、非常に大きな意思決定だというふうに思っております。また、それとあわせまして、国の支援割合を上限を五割として運用していくということも、民間にとってリスク管理への認識をさらに深めることになると思いますし、また財政的な負担という意味でも限度が生ずるわけでございますから、そういう意味で、大きな意味のある決定だったというふうに思っております。
大森委員 若干の時期の違いとかその他はありますけれども、しかし、大きな枠組みとして、石油探鉱に当たって独立行政法人が債務保証した融資が行われるという点では、実質的にその内容は変わらないんじゃないかということが、そこで私は明らかだと思うんですね。
 そこで、先ほど債務保証の点で、国際協力銀行と。政策投資銀行は、融資は行わないんですか。
河野政府参考人 政策投資銀行は、恐らく国内の開発案件については融資機能があるように思いますけれども、今、私ども、実際問題として、大幅に支援をいたしております国際的なプロジェクトにつきましては、国際協力銀行が政策金融機関としては融資を行っていただいているという機関でございます。
大森委員 先ほど来議論もありましたけれども、一九九七年の十二月に決算委員会で集中審議が行われた。以来、当時は現職の通産大臣も含めて、大臣のおっしゃったような国民的な批判がこの公団に対してあったわけですが、特にそれは、膨大な不良債権、一兆円をはるかに超えるそういう不良債権やら経営体質、こういうものへの批判だったと思うんですけれども、一兆三千億とかそういう不良債権の額まで言われている、このことに対して経済産業省としては、それは不良債権などではないというぐあいにお考えになるのか、この点いかがでしょうか。
平沼国務大臣 御指摘のとおり、石油公団の財務、事業運営については、九七年の衆議院の集中審議を初め各方面から問題提起がなされました。
 集中審議では、今おっしゃったように、多額の損失を出して経営に問題があるんじゃないか、それから、公団におけるプロジェクト審査に問題があるのではないかとか、あるいは出融資先会社の事業、財務内容についての情報公開が不十分でありますとか、いろいろな面で御指摘をいただいたところであります。
 これを受けまして、石油公団再建検討委員会及び石油公団開発事業委員会において、石油公団の業務運営について徹底的な見直しを行いまして、そこで指摘された事項のほとんどすべてについて着実に改革を進めているところでございます。
 具体的には、一つは、プロジェクトの採択の審査について、メジャーが採用している手法である定量的評価を導入させていただきました。二つ目は、石油公団の損益見通しの明確化につきましては、企業会計原則に準じた会計処理を導入しまして損失引当金の計上基準を見直しました。三つ目は、出融資先会社の整理について、整理方針が示された会社、これは十三社でございましたけれども、事業を終結したところであります。四つ目は、情報公開の徹底につきまして、石油公団決算に対する公認会計士による任意監査を導入いたしまして、石油公団及び出融資先会社における上場企業並みの情報開示及び連結決算を実施する、こういうことをやらせていただいたところであります。
 そこで、こういう多額のいわゆる損失が出た、そこは、御指摘の点、そのとおりのところはあったと思いますが、しかし、石油探査、石油開発というのは非常にリスクが伴うわけであります。そしてまた、再三申し上げておりますように、例えば原油の価格あるいは為替の変動、そういったところでも予測し得ないような事態がある、そういったことも加味して、私どもは、膨大な損失が出た、このことは大変遺憾なことだと思っております。
 そういう中で、やはり関係者はその時点その時点で私は全力でやってきたことは事実だと思っておりまして、しかし、結果としてそういう御指摘の点があったことは事実でございますので、今申し上げたような改善を施させていただいたところでございます。
大森委員 私も再建検討委員会あるいは開発事業委員会の報告も読ませていただきましたけれども、今大臣の御答弁にあったようなことだけで本当に改善されるだろうか。第一、一兆円を超えるようなそういう不良債権、そういうものに対して、大臣も結局、あれこれのことを言われる中で、原油価格あるいは円高、そういう外的な要因だけしか言われない。
 こうした膨大な国民の税金を投入したそういう事業を、不良債権が一兆円を超える形でなぜ残しているんだろうかという辺を徹底的に究明し、それに基づいて抜本的な改善策を提起しないと、同じ過ちはこれは必ず繰り返されることになると思うんですが、重ねてその点お聞きをしたいと思います。
平沼国務大臣 これまでの石油公団の運営や財務運営については、今申し上げましたように、石油危機などを背景に、自主開発原油の量的確保に重点を置く余り、資金の効率的運用に関し十分でない面があった、このことは私ども認識しております。
 また、石油公団による探鉱投融資制度は巨額の財政資金をリスクマネーとして供給する制度であるにもかかわらず、その事業運営について国民に対する情報の公開が必ずしも十分でなかった面、これもあったと思います。
 さらに、出資及び減免つき融資を合計して七〇%まで財政資金による支援が可能であったことから、主体であるべき民間事業者の経営責任の所在があいまいとなる、こういう点もあったと思っております。
 さらに、これに加えまして、石油公団支援対象企業の中には、これは繰り返しになりますけれども、原油価格の下落や急激な円高等によりまして、当初見込まれた収入が減少した企業もあることから不良債権が増大した、こういうふうに思っておりまして、私どもは決して、為替だとかあるいは原油価格、それだけではなくて、今申し上げたようなそういったことも確かに膨大な赤字をつくる要因になっていた、このように思っております。
大森委員 今御答弁にありました減免つき融資、一言で言えば、探鉱が失敗した、出油があっても商業生産量に満たない、つまり、失敗したらもう返さなくていいと。本当にこれは安易な資金提供であると思うんですね。これが経営陣の本当に驚くべきモラルハザードを起こしたと思うんです。
 出油への真剣な検討をしないまま、安易なプロジェクト設定あるいは無責任な運営、こうした無責任なやり方を本当に正していくということが今後も必要になっているわけですが、重ねて、この点は、今大臣から御答弁がありましたけれども、今後の運営でこういう安易なプロジェクト設定等々をやらせない、そういう制度的な保証ですね、この辺、御答弁をいただきたいと思います。
平沼国務大臣 今般の特殊法人等改革においては、エネルギーの安定供給の確保上、引き続き国の責任において果たすべき石油開発のためのリスクマネー供給機能、研究開発機能等については独立行政法人に行わせまして、これにより、業務運営の効率化、対象プロジェクトの厳選を図っていくほか、支援の内容についても、成功払い融資である減免つき融資を廃止するとともに、支援比率についても五割までに限定するなど、そういった措置を講じております。
 さらには、やはり、リスクマネーでございますから、これを出すに当たっては、よほどしっかりと吟味をして、安易な形でそういう債務保証が行われないように、これまでのいわゆる経験に照らして、しっかりとした反省の上に立って、そこのところはしっかりやらなければならない、こういったことで、私どもはその辺を担保していかなければならないと思っております。
大森委員 先ほど来御答弁にありますように、この独立行政法人の機構の方の法案第十一条で、機構の業務の範囲として融資業務は外してあります。しかし、その同じ第十一条第一項第三号で、債務保証ができると。しかも、第四項では、「債務の保証は、当該保証に係る債務の履行が確実であると認められる場合に限り、行うよう努めるものとする。」こういう条項が設けられている。
 ということは、これまでは、債務履行が確実でないものもどんどん保証していたということにもなるわけですが、この条項は、「行うよう努めるものとする。」という単なる努力条項で、今までの三十数年間の石油公団の流れからいっても、こういう努力条項ぐらいでは何の歯どめにもならないんじゃないか。またどんどんどんどん債務保証を行っていく、こういうことにつながるのではないでしょうか。
平沼国務大臣 前の答弁でも申し上げさせていただきました。やはり、これまでのそういういわゆる苦い経験、そして大変な赤字をこさえた、そういう本当に忌まわしき実績、これを私どもはしっかりと受けとめまして、そして、単にそこの条項は、条項だけじゃなくて、本当にあらゆる角度から検討して、そして、いわゆるその実現性が非常に高いものに限って私どもは債務保証する、こういう形で、今までの経験を踏まえてしっかりやっていかなければならない、こういうふうに思っています。
大森委員 そういう多少の手直しはやられておりますけれども、基本的には、やはりそういう支援の枠組みは変わらないということだと思うんですね。
 もう一つ、この間のこういう事態をもたらした大きな理由というのが、いわゆるワンプロジェクト・ワンカンパニー方式、これであります。
 これは、堀内元通産大臣も、この制度は随所に悪弊があって、無責任ななれ合いをつくっている、税金で私企業を援助するものだということで痛烈に批判をされておりましたけれども、出資企業が、プロジェクトが失敗したときの影響を限定するために別会社にしておく、火の粉がかからないようにするということで、これまた無責任な経営ということで、大きな要因の一つになっていると思うんです。出資も多くの企業に呼びかけてリスクの分散も図る、結果として、本当になれ合いの無責任体制、こういうものがつくられたと思います。
 こういういわゆる1P1Cですか、ワンプロジェクト・ワンカンパニー方式、こういう問題には今後どう対処されていくのか。この点、いかがでしょうか。
河野政府参考人 今御指摘のありました、いわゆるワンプロジェクト・ワンカンパニー方式でございます。これは、プロジェクトごとに、あるいはその事業が実施される国ごとに事業会社を立ち上げるというやり方でございまして、もちろん、御指摘のように、資金調達に当たりまして、やはり探鉱段階は特にリスクが高いものですから、そこにリスクマネーを集中するに当たって親会社と信用関係を遮断するという意味はもちろんございました。
 ただ、これだけではございませんで、やはりプロジェクトごとに収支を明確化していくという意味もあり、あるいは鉱区ごとにプロジェクト会社を設立して開発をするようにという産油国の要望を受けたケースもありました。そういう意味では、我が国の開発会社のみならず、欧米のメジャーなどでも、具体的な開発案件についてはプロジェクトカンパニー方式というのを採用しております。
 ただ、このような中で、メジャーに比べて、我が国の石油産業は、参入時期が海外において特におくれた、また、歴史的なつながりも薄かったということで、自主開発を進めるに際しましては、やはりプロジェクト失敗のリスクを親会社との間では遮断したい、また、そうでなくては、日本の企業としてはそういった方面に資金を拠出するだけの事業能力がないという面もございまして、石油公団からの融資の減免制度も享受できるようにということで、ワンプロジェクト・ワンカンパニーをとってきた。結果、中小規模の石油開発企業が多数設立されたという事実はあると思っております。
 今回の改革との関係でございますけれども、先ほど来申し上げましたように、経営責任の明確化といった趣旨からもその減免つき融資を廃止いたしますし、また、支援比率の上限を五割にするということになりますので、中小規模の石油開発企業が乱立をするということについては、事業会社の方でも見直しがなされていく契機になるというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、中小規模の石油開発企業が多数乱立するということは好ましくないと思っておりますから、先ほど来御議論もありますような、中核的な企業グループの育成ということが一つ望ましい方向だろうというふうに思っているところでございます。
大森委員 中核企業の問題については、今後私どももまた改めて取り上げたいと思うんですが、そうすると、このワンプロジェクト・ワンカンパニー方式は、従来のは改めるということですか。
河野政府参考人 今申し上げましたように、今回の改革に伴いまして、減免つき融資制度を廃止する、あるいは国としての支援比率について五割という上限で運用していくということになるわけでございますので、こういった制度改革を経まして、いわゆるワンプロジェクト・ワンカンパニー方式で中小規模のものが乱立していくということが見直されていくという環境がつくれるのではないかと思ったわけでございます。
大森委員 親会社がどんどん子会社をつくって、もうかったら親会社に利益が行って、失敗したら全部子会社に責任を押しつける、こういうやり方が本当に無秩序にどんどんやられたことは、七〇年代、八〇年代、九〇年代、例えば解散した会社の数でいったら、七〇年代全体を通じて十社もなかったのが、九〇年代はもうそれが一年で十社ぐらいになってしまうというようなところにもあらわれていると思います。こういうのが本当に無責任ななれ合いをつくり出した最大の要因だということで、この点は厳しく対処していただきたいと思います。
 石油公団のこういう一兆円を超える不良債権発生のもう一つの大きな要因であり、同時に批判の対象だったのが、通産省などの高級官僚の天下り問題、これはもう既に午前中にも何度か、何人か質問をされましたけれども、石油公団、石油開発会社、さらには国家備蓄会社、これらに対しておびただしい数の通産あるいはその他の省庁の国家公務員が天下りをしております。
 先ほど、現時点での数字についてお話がありました。改めて、石油公団それから開発会社、さらに備蓄部門、これらで、通産省と、あるいは経済産業省と他の省庁の天下りの実態をどのように掌握されているか、お聞きしたいと思います。
大島副大臣 大森先生にお答えを申し上げます。
 一部の当省出身者がそういったところへいわゆる就職をしているということは、先生が御指摘のとおり事実でございますけれども、これは、個人としての見識あるいは経験、国際感覚、人脈等を評価したことによるものでございまして、国家公務員法上の厳正な定めのもとに行われている、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。(発言する者あり)はい。今からお答えいたします。
 そして、平成十四年五月の時点でお答えいたしますけれども、石油公団の役員のうち当省出身者は三名、そして石油公団の出資先石油開発会社には九名でございまして、備蓄会社には十八名が在籍をいたしております。
 そして、平成十年の時点におきましては、石油公団の役員のうち当省出身者は三名、そして石油開発会社には二十名、備蓄会社には二十二名が在籍をいたしておりました。
 いわゆる天下りの問題として国民の強い批判があったことを真摯に受けとめさせていただきまして、特殊法人等の公的部門を再就職の安易な受け皿とすることのないよう、国民の信頼を確保し得るルールを確立するとともに、当省といたしましても、そのルールの確立に協力をし、確立されたルールを遵守する立場をとらせていただきたいと存じております。
大森委員 午前中の資源エネルギー庁長官の御答弁にも、そして今の御答弁にも、私は、国民の感覚、先ほど不規則発言もありましたけれども、天下りに対する批判というのはどれだけ痛烈か、にもかかわらず、見識とか能力とかでこれは構わないんだというのがまず第一に出てくるというところに、私は、国民の皆さんの意識と皆さんの感覚とがもう大きく乖離しているということを改めて感ずるものであります。
 どういう見識か、どういう能力か、とにかく、支援する方と支援される側が、かつて同じ職場で働いていた人たちがやっていると、そこにいろいろな問題が出てくることは、当然これは予測されることだと思うんですね。こういうのが、これでいいんだ、その能力が生かされるから大いにいいんじゃないかということで開き直っておったら、私は、こんな石油公団の法案をつくったって、今回こういう法案を提出しても、もう何ら中身は変わらないということにやはりなると思うんです。そういう点から、機構やあるいは国の支援を受ける開発企業、備蓄企業に対しては、天下りは厳しく規制すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 国民の御批判があるということも事実でございますし、また今委員が御指摘の問題点があることも事実だと思っております。その中で、この天下りというものも厳正にチェックをしてやるような体制ができております。さらにそれを強化して私どもはやっていかなければならないと思っております。
 しかし、やはり長年培った人脈ですとか、産油国を相手にする場合に、経験と知識、あるいはそういう交流関係、そういった得がたい人材もいることは事実ですけれども、ゆめそういったことが疑われないような形でしっかりとした体制で厳しくやっていく、このことが必要だと思っております。
大森委員 前回、九七年の国民的な批判の中では次々と子会社を十もつぶして至っているというようなこと、そういうことも引用されておりましたけれども、いろいろ調査をされている中では、今数字の御答弁もありましたけれども、とにかく複数の会社の社長をやったり、それから退官後いろいろ関係企業を渡り歩く、そういうところを渡り歩いて現在の役職につくというような方も少なくないわけですね。
 そこで、先ほど数字もお答えいただきましたけれども、ここで委員長に、この天下り問題は、私はこの問題は大変重要な問題であると考えますので、先ほど御答弁のあった役員について、名称と最終官職、それから退官後の主な天下り先、それを資料としてぜひ提出していただきたいということを要求をしたいと思います。
谷畑委員長 理事会で取り計らってまいりたいと思います。
大森委員 わかりました。
 給与総額、給与についてもあわせてお願いできますか。
谷畑委員長 はい、わかりました。
大森委員 こうした公団への批判というのは、先ほど九七年という時期が答弁にもありましたけれども、実は、一九六七年ですか、石油公団発足当初から、直後からもうあったということなんですね。これは先ほど午前中、会計検査院の方の答弁もありました。
 会計検査院は何もしていないんじゃないかという追及もあったわけですが、一九七六年、昭和五十一年の会計検査、ここで石油公団について厳しい指摘をしているんですね。
 例えばコロンビア石油株式会社ほか十社について、二百五十一億円の出資を受けながら探鉱開発に失敗し、一九七一年十月から七七年六月までに探鉱利権を放棄したり、長期間探鉱事業を実施していなかった、休眠状態のまま存続している、そういうところに二百五十一億円の出資をしているとか幾つかの事例を指摘しているわけなんですが、こういう幾つかの事例を指摘して、検査院の報告は、「石油探鉱開発事業に対する公団の投融資事業は今後も引き続き行われるものであり、探鉱事業が不成功に終わり事業を取りやめる事態となる会社も更に発生すると思料されるので、このまま推移すると公団が保有する不良資産は累増する」ということを、これは昭和五十一年、一九七六年ですから今から二十六年前、約三十年近く前にこういう指摘をしている。
 このときに、真っ正面から公団が受け、改善していたら、私は、国民の税金を一兆円以上投入して、不良債権が一兆円以上というような今日の事態はつくられなかったと思うんですね。
 そこで、この一九七六年の会計検査院の指摘に対して、石油公団、経済産業省はどういう対応をしてきたのか、これをお聞きしておきたいと思います。
河野政府参考人 御指摘のように、昭和五十一年の会計検査の報告で、ワンプロジェクト・ワンカンパニー方式で多くの会社が設立された、そのうちの十一社が、御指摘にありました会社も含めて、探鉱事業が失敗に終わったにもかかわらず長期休眠状態に陥っている、これを放置しておくことは石油公団の不良資産の累増を招くことになるという指摘がなされました。その後、これらの十一社につきましては、昭和五十二年から平成三年までの間に全社解散をしたということで対応したわけでございます。
 しかし、この時期以降、またオイルショック以降の石油の量的確保の必要性、そういったことで多くの投資案件が出てまいりまして、これに石油公団が支援をしてまいったことも事実でございます。
 また、オイルショック後、かなり高値の石油市場の予測がある一方で、現実には石油価格が下落をする、そして、当時予測をできませんでした円高が進行するというようなことで、欠損状態に陥る会社も多くなりました。もちろんそれ以外の、開発に失敗した案件もあることは先ほど申し述べたとおりでございますが、そういった会社について、油価の再上昇があればより回収可能金額も増大するのではないかというような希望もあったことも事実でございます。
 この五十一年の反省を十分に生かし切れずに欠損金の出た状態の会社を長く置いた、そういったことは反省しなければならないというふうに考え、現在対応しているところでございます。
大森委員 石油開発のあり方については、私どもも、パソコンで検索しまして大体五十七回、八〇年代以降五十七回取り上げて、その中で、今回、もう廃止すると。実態的には、中身は私は変わらないと思いますが、そういう減免つき融資など、あるいはワンカンパニー・ワンプロジェクト、この問題も本当に繰り返し私ども指摘をしてきたわけですが、多少でもそれを謙虚に聞く姿勢は全くなかったと言ってもいいと私は思うのですね。こういう会計検査院の言うことをきちんと受けてやっておれば今日のような事態はなかったと思うのです。
 結局、経済産業省、そして石油公団がやってきたことは、石油の開発、備蓄に関連する大企業に対しては支援措置をどんどんとっていく、一方で、こういうエネルギー、石油の問題で国民生活を本当に充実をさせる、そういう方向での対策は置き去りにされてきたんじゃないかと思います。
 冒頭来の私の質問の中でも、結局この公団を廃止するのは、そういうことが決められたからだということにすぎない。石油公団の不良債権批判、これをともかく今かわすことが必要だということで、小泉内閣の構造改革、特殊法人整理縮小・改革、そういう方針を実行する、そういうふりをしながら、もう実態は実はとっているということが本当に明らかになっていると思うのですね。
 その他さまざまな問題があり、この問題での質疑は数日にわたりますけれども、その都度私ども取り上げてまいりたいと思いますけれども、改めて私は、そういう視点から平沼経済産業大臣の見解を伺って、質問を終わりたいと思います。
平沼国務大臣 確かに、会計検査院の昭和五十一年の御指摘、そういうものが出ていた、それに対して、今資源エネルギー庁長官から答弁がありましたけれども、いろいろな理由がございましてそれが後手後手に相なった。そういう形で、結果的には今大きな累積の赤字が出ている、このことは本当に反省をしなければならないと思っておりまして、こういうことがないように、私どもは、この法律改正をいわゆる出発点として、しっかりとした体制を築いていかなければならない、このように思っております。
大森委員 終わります。
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。
 まず、大臣、質問に先立ちまして、昨日の夕方に行われました事態特、有事法制特別委員会でございますけれども、そこに、防衛庁のリストを公開すると言いながら、実は概要版が調査報告であるということで出されました。理事会の皆さんが、明らかにこれは、文言を読みますと、これだけが調査報告書ではないという疑問を多くの理事の皆さんが持ちまして、夜行われました記者会見の席上で、調査報告書が立派に四十ページにわたりあった、これを中谷防衛庁長官は夜の九時からの記者会見の中で認めたわけなんです。
 法案審議に当たりまして、やはり政府・与党が国会に対してこのようなうそをついた。今非常に政治が国民から信頼を失っております。そういう意味で、今度の法案も、昨年、私どもが四月に法案を審議したときには、石油公団は廃止しましょうということを言いまして、そのときには全然違うことで、今回は廃止しましょうという法案が出てきた。
 そういう意味で、私は大臣に、今の内閣を構成している国務大臣として、このことに関してどのような御意見をお持ちか、まず冒頭にお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 まず、昨年の通常国会の中で、石油公団に関する法律、大変御協力をいただいたわけでありますけれども、私が今石油公団廃止をしている、それと、今御指摘の防衛庁のことと関連づけてお話しになられましたけれども、これは基本的に私は関係ないことだと思っております。
 ただ、その防衛庁の、いわゆる、ある意味では意図的な報告書、それを非常に短く改ざんをしているということは、私は非常に遺憾なことだと思っておりまして、今、情報公開、そういう中で、国民の皆様方が注視をしている中で、そういうことは二度とあってはならないことである、やはりそこはしっかりと反省をしなければならない、このように思っております。
大島(令)委員 わかりました。
 では、この大きな法案でございますけれども、今大臣が述べられたようなそういう真摯な姿勢で、お互いにこれから民主的な議論に入らせていただきたいと思います。
 私たち社民党は、一貫して石油公団の廃止を提案してきました。しかし政府は、そのときには必要性を非常に主張されましたね、去年の四月のちょうど通常国会でございます。
 その政府が、一転して今回石油公団の廃止に踏み切った最大の理由、今まで、午前中から午後にかけて、特殊法人整理合理化計画ですとかいろいろな理由が述べられましたけれども、それ以外の本当のねらいは何なのか、見解を伺わせていただきたいと思います。
平沼国務大臣 昨年の通常国会で公団法の改正を御審議いただきました。
 私はそのときにも、実は、一昨年の十二月の行革大綱に基づいて、すべての特殊法人について一年以内に見直しの結論を出す、こういう一つの結論がございましたので、そのことも頭に入れまして、昨年四月の公団法改正のときもそのような趣旨で御答弁をさせていただいています。
 しかし、これは午前中来の答弁の中でもお答えさせていただいておりますけれども、特殊法人等改革におきましては、すべての特殊法人等について事業、組織形態の抜本的な見直しを行うことが求められまして、昨年末に閣議決定された、今御指摘の特殊法人等整理合理化計画の中で具体的な方針が示されました。
 ですから、昨年の通常国会の中で、私もそのことは、ある程度そういう状況になるということは予測をしておりまして、そういう答弁をさせていただいたわけでございますけれども、やはり、国民の皆様方が今特殊法人のあり方について大変大きな問題意識を持っておられ、またその改革を強く望まれている、こういう背景の中で、小泉内閣も、この整理合理化計画を一日も早く実施しなければいけない。そのために、私どもとしては、石油公団というものをこの際本当に思い切って廃止をさせていただいて、しかし、国が担保すべき枢要な、安定的なエネルギー供給、自主開発の部分、このことは確保しなければならないという形で三つの大切な機能は残させていただく、こういう決定をさせていただいて今回法案でお願いをしているところでございます。
大島(令)委員 小泉内閣発足後の昨年の七月の新聞があるわけなんですけれども、まず、石油公団が、先ほど来言われております一兆円を超える不良債権を抱えている。それは一番決定的な理由であるとは思いますけれども、小泉内閣発足当初、やはり不良債権処理、公的部門の改革を優先する方針を総理が表明しました。その後、景気の後退がはっきりしてきたため、小泉改革の中心を特殊法人改革にシフトし世論の支持をつなぎとめる、こういうふうに報道されております。
 いろいろな理由でこういうものは出てくると思うのですが、私は、やはり政府・与党の、ある意味では政治的な思惑もあったのではというふうに推測しておりますが、大臣は、この件に関しては、どのような御見解をお持ちでしょうか。
平沼国務大臣 報道はいろいろな角度で物を見ます。ですから私は、小泉内閣は、報道が言っておりますように、やはりそういうことにおもねってそれを目玉にするために特殊法人の廃止というものを言ったとは思っておりません。
 小泉首相は、その就任時から改革を断行する、改革なくして景気回復なし、そして改革断行の内閣である、こういう形でそもそもスタートをされています。ですから、そういう中で、やはり特殊法人改革というのも改革の大きな柱の一つだ、こういう形で、最初からの信念に基づいて改革断行内閣としてこれを取り上げる。報道が言っているように、世論におもねる、迎合する、そしてそれを目玉にして人気回復を図る、決してそういうことではない、私はこのように思っております。
大島(令)委員 では、独立行政法人について質問をいたします。
 廃止するということで意見は一応一致はしているわけでございますけれども、問題は、廃止後のことであると思います。石油公団は、業務の一部は金属鉱業事業団に継承されまして、後を独立行政法人で引き継がれることになっております。現在、石油公団は、特殊法人の中でも予算規模はトップクラス、二〇〇一年度で国からの出資金、補助金は総額が三千六百二十七億円でございます。
 そこで、具体的に伺いますけれども、独立行政法人となると、国から交付される運営費交付金が、使途を特定しない渡し切り交付金として使用できるようになるわけです。この渡し切り交付金は、平成十六年三月、具体的に発足する時点はどのくらいの規模になるのかお伺いしたいと思います。
河野政府参考人 現在の石油公団そして金属鉱業事業団に対します国からの予算措置でございますが、今、十三年度の数字について御紹介ございましたが、平成十四年度の予算額も申し上げさせていただきますと、石油公団について千九百五十一億円、金属鉱業事業団について六十三億円という数字でございます。
 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構につきましては、特殊法人等整理合理化計画に沿いまして、事業を本当に必要な事業に限定をする、そして、これを効率的に実施していきたいというふうに考えております。
 具体的には、石油公団と金属鉱業事業団との統合、独立行政法人化に際しましては、先ほど来申し述べておりますけれども、減免つき融資の業務を廃止するというようなこと、また、金属鉱業事業団においても業務の整理を行う、そしてまた、統合の効果を上げていきたいというふうに考えております。
 そこで、この独立行政法人について、例えば、平成十五年度においてどのような交付金の額になるかということでございますが、これは今後の予算作業において検討させていただきたいというふうに考えておりまして……(大島(令)委員「委員長、質問と答弁が違いますので、もう一度質問させていただきます」と呼ぶ)
谷畑委員長 わかりました。大島令子さん。
大島(令)委員 私は、石油公団廃止までのプロセスということで、平成十六年三月を目途に独立行政法人がスタートする、そのときの交付金の金額を幾らと想定していますかと質問しましたので、平成十六年三月のスタートの時点の金額を教えてください。
谷畑委員長 河野長官、ひとつ簡潔にお願いします。
河野政府参考人 平成十六年三月以降ということになりますと、今申し上げました平成十五年度の予算よりもまださらに先ということでございますので、今後合理化努力をし、さらに予算を経て具体的な交付金額を検討させていただきたいと思います。
大島(令)委員 そういう答弁ですと、何かもう、こういう法案が具体的に出てきまして、こういうプロセスまで出てきて、何も先が見えないということでございますと、私たちは一体どういう責任を持ってこの委員会で国民に対して審議に臨んでいいのか少しわからないですね。
 次の質問に移ります。
 運営費交付金は使途を特定しないわけですから、言ってみれば何にでも使えるわけで、その透明性と妥当性はどのように図れるのか、お伺いします。
河野政府参考人 独立行政法人は、その業務の執行につきまして、部内におきましても評価委員会を組織して評価をいたしていくことになりますし、また、経済産業省におきましても中期的な方針を指示する、そしてこれに基づく計画を提出してもらう、この出された計画に基づきまして評価委員会において業績評価を行っていくというメカニズムが働くことになっております。
大島(令)委員 それでは、独立行政法人は、特殊法人通則第六十条で、その常勤職員数を主務大臣に報告し、主務大臣は国会に対してそれを報告しなければならないとなっております。
 国会への報告が職員数だけで十分だとお考えでしょうか。
河野政府参考人 今先生が御紹介になりましたのは独立行政法人通則法の規定でございますので、国会でお決めいただいたルールでございます。これに沿って報告するのが政府の役目でございます。
大島(令)委員 いや、法律によってやるのは政府で当たり前ですよ。どこの自治体だって条例や法律にのっとってやるのが当たり前ですが、それを一歩踏み込んでどうするのか。
 では、政治家である大臣か副大臣にお伺いします。今の質問です。――いや、委員長、ですから、行政マンは法律にのっとって仕事をしないといけないから、この通則法に従ってしか答えられない。であるならば、政治家である大臣か副大臣に同じ質問をしたいということでございます。
谷畑委員長 どなたか手を挙げてください。(大島(令)委員「もう一度読みましょうか」と呼ぶ)
 では、もう一度お願いします。大島令子さん。
大島(令)委員 では、この分の時間、二分延ばしてもらってよろしいですか。
 まず、独立行政法人は、特殊法人通則第六十条で、その常勤職員数を主務大臣に報告し、主務大臣は国会に対しそれを報告しなければならないとなっていますが、国会への報告が職員数だけで十分だとお考えですかという質問でございます。
平沼国務大臣 これは、今資源エネルギー庁長官からも答弁がありましたけれども、いわゆるこの独立行政法人の業務運営、その規定の中、通則法の中でそのことが規定されております。
 その他のことに関して国会に対して報告をするかどうかということは、私どもとしては、今のこの通則上ではそれは読み取ることはできません。ですから、そういうことはこれから検討をして、どういうふうにするか、そういうことを決めていくべきことだと思っております。
大島(令)委員 こういう質問をさせていただきましたのは、一兆円の赤字になるまでほうっておかれた、そして国民からいろいろな意味での批判が強い特殊法人が、これから何年か後に独立行政法人になる、そして組織の二百人の人たちはそのまま行くわけですから、もっと緻密な対応が国会として必要ではないかということで、この通則法どおりでは問題ではないか。これは現在使われている通則法なんです。ですから、新たに、心を改めて、こういう形で、改革というならばこういうところにも改革の姿勢を見せるべきではないかという趣旨の質問でございます。
 もう一度御答弁をお願いします。
平沼国務大臣 その通則というのは、過去の国会の議論を経てそういう形で規定をされています。したがいまして、そういったことを盛り込むということは今後の課題でございまして、御指摘のそういったことを盛り込むことについては、今申し上げたように、私どもはこれから検討をする事項だ、このように思っています。
大島(令)委員 では大臣、しっかりと検討をお願いいたします。
 少しわからないことがありますので、独立行政法人になった暁に、その職員についてお尋ねします。
 ここで採用される職員はみなし公務員ということになるようでございますけれども、平成十六年三月以降設立されますこの職員が、具体的にどういうことをしたときに罰則が科せられるのか、少し質問をさせていただきます。これは長官の方がよろしいですか。
 まず、職員がいわゆる口ききをした場合、どのような罰則が科せられるのでしょうか。国家公務員と同じでしょうか。
河野政府参考人 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構につきましては、法律の第十条で、「機構の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」ということにしております。
大島(令)委員 では、次は、わいろを受け取った場合と横領を行った場合はどのようになるのでしょうか。
河野政府参考人 お答えいたします。
 この規定によりまして、この独立行政法人の職員などは、通常の公務員と同様、収賄罪あるいは業務上横領罪等の適用対象となるというふうに思っております。
大島(令)委員 では、あと三つ。選挙活動を行った場合、あと、兼職はどうなんでしょうか。あと、守秘義務は課せられるのか。以上です。
河野政府参考人 守秘義務は課されると考えます。それから兼職は、これは非公務員型だと思いますので、可能ではないかと考えます。それから、選挙活動については特段の定めがないというふうに理解しております。
大島(令)委員 ということは、兼職はできる、選挙活動はいい。ということは、今七点質問をさせていただきましたが、口ききと収賄と横領と守秘義務は公務員と同じということでよろしいわけですね。ちょっと確認だけお願いします。
河野政府参考人 おっしゃったうちの口ききというのは、ちょっと概念としてはどういうことなのかいま一つ判然といたしませんが、横領ですとか収賄、これらは、先ほど申し上げたように、刑法の適用対象でございます。
大島(令)委員 では、次の質問に移ります。大臣に伺います。天下りについてでございます。
 特殊会社が、今度は特殊会社のことでございますけれども、肥大化すれば再び官僚の天下り先となりかねないと心配をしております。政府は、官僚の天下りは公務員制度全体の問題で早急な改善は難しいという趣旨の見解のようでございますけれども、官僚の天下りをなくすことがそんなに難しいことなのか。大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 特殊会社というのは、委員も御承知のとおり、最終的にはいわゆる純民間会社、株式会社にする、こういう前提でございます。したがいまして、その特殊会社には私どもは天下りというものは想定しておりません。
谷畑委員長 大臣は、党首討論がありますので十分前には退場しますので、質問があれば集中してお願いいたします。
大島(令)委員 天下らないという御答弁でございました。昨年、二〇〇一年の四月十一日に、私もこの委員会で質問をしました。その折、大臣は天下りについて、「世間一般で天下りの批判というのは非常に大きいわけでございますから、私どもといたしましては、そういう天下りというものは、やはり世間の批判を浴びないような体制に持っていかなければならないと思っています。」と述べられ、加えて、「すべてが癒着構造で、そしてそこが非常に危険だというような認識を払拭するために、我々としては一連の改革を行い、堀内元通産大臣の御指摘もございましたけれども、そういった改革を通じて、皆さん方にしっかりと信頼していただける体制を構築する」ことが大切だと思っていると答弁されております。
 そこで、平成十三年、二〇〇一年四月、それと平成十四年、二〇〇二年四月、天下りの人数は減ったかふえたか同じかだけお答えください。
河野政府参考人 恐縮ですが、現在手元にある数字をまず御紹介させていただきたいと思います。平成十四年の四月一日現在の数字でございます。
 石油公団について、経済産業省から三名、そして石油開発関係で九名、そして備蓄関係で二十二名でございます。
 他の時点の数字については、もう一度御説明させていただきます。
大島(令)委員 もう少し、質問をして一年たっているわけですから、大臣はそれに対して、癒着構造はいけない、信頼していただける体制を構築すると言われたんですから、それから一年たったので、天下りの人の人数が減っているかふえているかそのままなのか、この大臣の答弁を受けてどのように改革されたのか、その結論だけシンプルに答えていただきたいんです。
平沼国務大臣 正確な数は後で御報告できると思いますけれども、しかし、一定の任期があります、そういう理事にしても総裁にしても。だから任期の途中で、よっぽどのことがない限り、それを馘首するということはできません。ですから、私は、ふえたという報告は一切受けておりませんから、恐らく、後で正確なことを申し上げますけれども、現状だと思っております。
大島(令)委員 以前平沼大臣に御質問させていただきましたときに、課長さん以上の方が経済産業省を去るときに、大臣が判こを押して、君、どこに行くんだねというふうに聞かれるということをおっしゃっていました。ですから、大臣の感覚として、何人ぐらいの人に判こを押したのかとか、そういう御記憶があると思うので。
 でも、やはりそうであるならば、この去年の四月十一日の質問に対する答弁の重さというのは非常に、この大臣の発言いかんによって重たいか軽いかなんですよ、この国会の質問という、委員会の質問が。だから私は、この国会での質問の一年後の結果というのがよければ、私が昨年した質問の意味は重かった、そういうふうに認識したいわけなんです。
 そういうことで、もう一度、申しわけないんですがお願いします。
平沼国務大臣 私は、課長の人事というのは大臣は判こを押さない、そういう建前であります。それは私は、課長から全部見ているということは、どの場でも申し上げたことはないと思っています。ですから、それは議事録を調べていただきたいと思います。
 それから、私がそういう答弁をしておりますから、もしそういう公団等の、あるいは特殊会社、そういったものの理事、役員数がふえているということであれば、そこは私の決裁ですから、私が、ふやしますという報告を受けたこともございません。したがいまして、これは正確にお答えをしますけれども、現状の維持ではないかな、こういうふうに思っておりまして、そういう問題意識は役所の中、徹底していますから、私に隠れてふやすようなことは、私はないと思います。
 それからまた、国会軽視ということでは決してない、こういうふうに思っております。
大島(令)委員 そういう大臣の誠実な、前向きな御答弁でしたら、ここで提案でございますけれども、やはり官僚の天下りに対する明確な禁止規定ですとか、そういうものを法案なりいろいろな形で盛り込むとか、古屋副大臣、そういうことは考えていただけないでしょうか。
古屋副大臣 やはり実態というのは大切なんですね。世間から、天下りがたくさん来ている、こういう批判を受けているわけですよ、この石油公団に限らずすべて特殊法人に対して。私は、すべて天下りが悪いとは思いませんけれども、公平に見て、十分にこの人なら余人をもってかえがたい方だという方が行くことは問題はないと思いますが、何となく既得権のような形で天下りをしているということは好ましからざる状況だと思いますので、そういうことはしっかり是正をしていく必要があると思っておりますし、また、そういう視点に立って私どもも運営をさせていただいております。
大島(令)委員 そういうことであれば、古屋副大臣だって、政治家ですからいつほかの省の大臣になるかわかりませんので、そういうお考えをこの経済産業省に残しておくには、やはり明文化したものなり、そういうルールをきちっとしないと、せっかくのこの生きたいい答弁も引き継がれないわけなんです。ですから、今の答弁をきちっとこの石油公団の天下りの問題に関しては残していくという方法を、具体的にどのようにしたらいいのか、ちょっと考えを聞かせてください。
古屋副大臣 私どもが、副大臣でもあるいは大臣でも、答弁をさせていただいたことはすべて議事録に残してあるんですね。この議事録に基づいて、いろいろな役所として運営をしているときに、これが前提になって対応されているわけです。仮にこの答弁と相矛盾するようなことが行われるということ自体が問題になるわけでありまして、その辺は、私どもはしっかり間断なくチェックをしていく必要があると思っておりますし、また、事務方もそういう趣旨をしっかり徹底して取り組んでいただいているというふうに思っております。
大島(令)委員 随分事務方を信頼された御答弁でございまして、それはそれで個人のお考えですからいいと思いますけれども。
 私は、同じく昨年の四月の経済産業委員会で、石油公団の現状について、堀内元通産大臣の発言を引用しながら平沼大臣のお考えを聞きました。そのとき、石油公団の使っている金は全部税金であると、これは堀内元通産大臣のお言葉です。公団は自由に使えると思っている、国民の税金で国策に沿って成果を上げなければいけないという感覚を持っていない、また、石油公団はもう要らない、自主開発油田が歴史的使命を終えた今、彼らの存在は日本のためにならないと断言しておられます。私が平沼大臣に感想を求めたところ、大臣は、「堀内元大臣の御指摘というのは、ある意味では非常に的確な御指摘もあったと思っておりまして、引き続き石油公団の業務改善に努めていかなければならない、このように思っています。」と答弁されております。
 石油公団はもう要らないというのは、一つには、公団としての使命を終えたということで、少々の改革ではもうその体質は改善されないということであると思いました。それなのに、今回の手続にいまだ使命が残されているかのような含みを感じるのは何が問題なのか、副大臣、お願いいたします。
古屋副大臣 堀内現自由民主党総務会長でございますけれども、からの提案を受けまして、私ども与党として、あるいは平沼経済産業大臣として、詳細なすり合わせもさせていただきました。その結果として今回のこの法案を提案させていただいた次第でございまして、今御指摘のありました堀内先生にも、今度のこの改革については十分に賛同をいただいた上で実は提案をさせていただいているということをひとつ御理解いただきたいと思います。
 すなわち、石油公団の持っている役割のうち、これからも国がやはり関与していかざるを得ない分野、それは、先ほど来答弁をさせていただいておりますように、三つの分野でございます。これについては、独立行政法人化をして引き続きその業務をしていくということでございます。
 ただ、その業務遂行に当たっては、今までのような、いろいろなふぐあいが生じた、そういった反省の上に立って、例えば減免つきの融資を禁止するとか、あるいは実際に具体的なプロジェクトを選択するときに、幅広い見地から厳密に選んでプロジェクトを選択していく等々、十分にその堀内先生の意向あるいは全体の行革の流れというものも踏まえた上で実は提案をさせていただいているということをぜひ委員も御理解いただきたいと思います。
大島(令)委員 では、この際伺っておきますけれども、石油公団の保有する資産の整理基準を明確にして、特殊会社に関する法律をきちんと出す、このことが今回できなかったわけですね。
 私たちも事前に政府から説明を聞きましたけれども、特殊会社の設立というところが点線の枠で囲んであるんです。これが小泉さんの言う行革、そして特殊法人改革の大きな目玉であるとするならば、平成十六年三月までは線なんですね、その後、独立行政法人のところは実線、石油公団廃止は平成十七年三月めどと書いてあります。
 やはり疑問に思うのは、そういうプロセスがあるならば、なぜこの段階で特殊会社の設立の法律を今回出せなかったのか、理由を聞かせてください。
河野政府参考人 今回のこの石油公団等の廃止法の附則第三条におきましては、「政府は、特殊法人等改革基本法に基づき、」云々でございますが、中略いたしますが、「別に法律で定めるところにより前条第一項の規定により公団からその権利及び義務を承継する株式会社として政府がその資本の全額を出資するものを設立し、並びに当該株式会社をできるだけ早期に民営化するために必要な措置を講ずるものとする。」という規定を置かせていただいております。
 これを御審議いただきましてお通しいただくということが、将来に特殊会社を設立する法案を別途、法律的措置が必要でございますけれども、そのプロセスを定めることになるというふうに考えております。
 ちなみに、今回、特殊会社法そのものを提出しておりません理由につきましては、三年かけて石油公団の資産の整理等を行う業務を移管していくというプロセスを踏むことにしておりますので、その状況を見ながら新しい法律を用意するという手順を踏むというふうに考えたものでございます。
大島(令)委員 今の長官の答弁は、次の私の質問をそっくりお話しされてしまいましたので、ちょっと言い方を考えておりますけれども、三年程度で資産処分等清算のための組織を期限つきで設置するということで、しかし、資産処分に関する明確な基準がつくられない中、特殊会社の設立というその全体像がわからない中で、私たちと言うのは語弊があります、どうして社会民主党としてはこの審議ができるのかなという非常に大きな疑問を感じているわけです。
 では、具体的にお伺いしますが、この資産処分に関する明確な基準、それは経済産業省が主導でするのか、石油公団が主導で行うのか、どちらなんでしょうか。
古屋副大臣 まず、石油公団が保有する関連資産の処分の取り扱いについての一つのメルクマールというか判断基準はあるのかどうかということでございますけれども、これについては、整理売却をするものあるいは特殊会社に継続されるものについては、検討委員会で議論をしてそこで決められるということになります。
 それで、実は、その検討委員会での判断基準の中で留意すべき点というのは幾つかあろうかと思いまして、例えば事業内容の悪いものというのがありますね。これは、原則早急に整理売却するということが適当ではないのかな。あるいは、事業内容が悪くないものであっても、将来民営化をしたり、あるいは国際的な石油天然ガスビジネスを自律的に展開することを予定する特殊会社にとりましてある意味で中核的な仕事にならないというようなものは売却する方向で検討することが適当ではないかとか、あるいは、三つ目としては、探鉱中、開発中の案件につきましては、それが将来性があって、産油国との間でも国の関与というものを引き続き示す必要のあるものは特殊会社に継承することが望ましいのではないのか。あるいは、現在事業内容が決してよくないというものであっても、ほかのプロジェクトの連携とか他の事業と連携することによって将来十分物になるということが見込まれるのは、特殊会社に移行した方がいいんじゃないかとか、大きく分けるとこんなような基本的な考え方があろうかと思います。
 いずれにしても、そういったものは詳細に検討委員会で検討されるべきものというふうに認識をいたしております。
大島(令)委員 検討委員会で検討するということでございますが、その検討委員会は経済産業省の中に設置されるのか、それとも石油公団の中に設置されるのか。
 ある雑誌には、今国会に三本目の法案として公団の資産整理機構設立法案、これは仮称ですが、これが出されるはずだったのがなくなってしまったということでありまして、そういう検討というものは、法律をつくって検討しないという方針は、どういう理由でそういうふうになったのか。私は、やはり法案のような形で出された方が国民の理解を得られると思うんです。
 というのは、石油公団は本当に一兆円も赤字を抱えているわけですよね。すごい金額なんです。それをやはり何年間かかけて独立行政法人に持っていくわけですから、そういう意味で、内部での検討といいましたら、公正さとか透明性というものがやはり欠けていると思います。
河野政府参考人 御審議いただいておりますこの石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律におきましては、資産処分業務に関しまして、総合資源エネルギー調査会への意見聴取の義務、ここに検討委員会が設けられることになっておりますが、さらに内閣総理大臣への協議の規定が設けられております。こういったプロセスを通じて、公明正大に対応策を検討していくという考え方でございます。
谷畑委員長 質問時間を二分追加しております。プラスしております。
大島(令)委員 どうもありがとうございます。
 私は、政府全額出資の特殊会社に最終的に優良会社を一たん移管していくという道筋でございますので、国民にわかりやすい姿を見せるべきだと。今までこれだけ批判されてきたわけですから、内部で検討ということではなく、やはり法案によってきちっと出すべきではないか、そういう趣旨で私はお尋ねしているわけです。
 副大臣、最後にお願いいたします。
古屋副大臣 石油公団がこの事業をどういった形で継承していくか、その基本計画を出してきました場合には、最終的には、今河野長官から答弁がありましたように、内閣総理大臣に協議をするということになっております。
 いずれにいたしましても、そのプロセスがはっきり公明正大に行われること、そしてそれがしっかり情報開示をされること、私はこれが極めて大切だと思っておりますので、そういった視点にのっとりながら私どもは対応していきたいと思っております。
大島(令)委員 では、古屋副大臣の答弁を期待して、ひとまずきょうの質問はこれで終わらせていただきます。
谷畑委員長 次回は、来る十四日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五分散会


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