衆議院

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第24号 平成14年6月28日(金曜日)

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平成十四年六月二十八日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君
   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 達増 拓也君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      大村 秀章君    梶山 弘志君
      後藤田正純君    阪上 善秀君
      下地 幹郎君    根本  匠君
      林  義郎君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      茂木 敏充君    保岡 興治君
      山本 明彦君    生方 幸夫君
      大島  敦君    北橋 健治君
      後藤 茂之君    中山 義活君
      松原  仁君    松本 剛明君
      松本  龍君    山田 敏雅君
      山井 和則君    山村  健君
      漆原 良夫君    福島  豊君
      土田 龍司君    大森  猛君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      西川太一郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   経済産業副大臣      大島 慶久君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  熊谷  敏君
   政府参考人
   (総務省大臣官房審議官) 福井 良次君
   政府参考人
   (総務省行政評価局長)  塚本 壽雄君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   審査局長)        上杉 秋則君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君
   参考人
   (石油公団総裁)     鎌田 吉郎君
   参考人
   (石油公団理事)     鴇田 勝彦君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月二十八日
 辞任         補欠選任
  伊藤信太郎君     後藤田正純君
  川端 達夫君     大島  敦君
  松本  龍君     松本 剛明君
同日
 辞任         補欠選任
  後藤田正純君     伊藤信太郎君
  大島  敦君     山井 和則君
  松本 剛明君     松本  龍君
同日
 辞任         補欠選任
  山井 和則君     川端 達夫君
    ―――――――――――――
六月二十八日
 中小企業対策など国民本位の景気回復に関する請願(大森猛君紹介)(第六四五八号)
 同(大森猛君紹介)(第六五二三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案(内閣提出第九九号)
 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案(内閣提出第一〇〇号)


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     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案並びに独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案の両案を一括して議題といたします。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、参考人として石油公団総裁鎌田吉郎君及び石油公団理事鴇田勝彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として資源エネルギー庁長官河野博文君、公正取引委員会事務総局審査局長上杉秋則君、内閣官房内閣審議官熊谷敏君、総務省大臣官房審議官福井良次君及び総務省行政評価局長塚本壽雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中慶秋君。
田中(慶)委員 石油公団法の廃止等について、民主党の立場で質問させていただきたいと思います。
 特に、行政改革の問題は、党派を超えてこの国の将来のあり方を含めて議論するべきものであり、私はそういう点でまず大臣にお伺いしますけれども、特殊法人について、この改廃というものに内閣を含めて取り組んでいるわけでありますけれども、基本はもう廃止、そして民営化、私はこれが基本だと思うんです。大臣、どうお考えなんですか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 小泉内閣は、民にできることは民間に、そして特殊法人改革ということを、これは率先、そして強力にやる、これが基本方針でございまして、私も、小泉内閣の一員として、そういう考え方で進んでいるわけでございます。
田中(慶)委員 かつて小渕総理が、この特殊法人の問題を含めて行政改革を提案されたわけであります。そのときに、私も予算委員会でバッターに立ちながら小渕さんとその質疑を交わしたわけでありますけれども、そのときに小渕元総理が言われたことは、まず、特殊法人は廃止をする、次に民営化をする、そして、どうしてもできないものを独立行政法人に、最初に独立行政法人ありきじゃありませんという、こんな話をさせていただいたことをつい思い出しているわけでありますけれども、その件についてはどうお考えですか。
平沼国務大臣 小渕元総理のその田中先生に話されたことは、私は基本的に正しいことだと思っています。
 今回お願いしている石油公団に関しましても、国が担保すべき自主開発、そういったことを考えますとやはり必要なことがございまして、私どもとしては、そういう考え方の中で、ぎりぎりの中で、独立行政法人、こういうことを考えさせていただいた、こういうことでございます。
田中(慶)委員 そこで、大臣にお伺いしますけれども、大臣も議会人でありますが、あなたは、委員会とかあるいは本会議等についてどのように重要視されているのか、まずお伺いしたいと思うんです。
 議会制民主主義というのは、やはり民主主義の基本であろうと思います。この委員会で議論し、この委員会で決まったことが、私は、国の大きな、この日本の立法、あるいはまた議会制民主主義の立場からすると、そのことを一番重要視しなければいけない、このように考えておりますが、あなたはどうお考えですか。
平沼国務大臣 今御指摘の、我が国は議会制民主主義でございまして、国会は国権の最高の機関、こういうことでございますから、この議会で決めたことというのは非常にプライオリティーが高いものだ、このように認識しております。
田中(慶)委員 そこで、お伺いしますけれども、昨年の通常国会、この問題で我が委員会は、石油の安定供給確保のための石油備蓄法の一部を改正する法律案を審議いたしました。そのときに、私どもは、少なくともこの日本、あるいは世界全体の環境問題やら京都議定書の問題も考えながら、新エネの問題、省エネの問題等々を含めて抜本的なエネルギー問題を検討すべきである、石油の時代は、もはや二十一世紀の大きな主流ではない、だから、この備蓄の問題を含めて、石油公団というものは、もはや時代にそぐわない、こういう時代であるから廃止をするべきである、こんな議論をさせていただいたわけであります。
 そのときに、あなたは、森内閣を含めてずっと、通産大臣からあるいはまた経済産業大臣を務められてこられたわけであります。公団のあるいはまた大臣の主張は、石油公団の必要性を主張し、そしてその上に、公団業務の拡大まであのときは打ち出されたわけであります。
 昨年の六月十三日にこの法案は成立したわけでありますけれども、しかしその一方で、その段階で自民党は、石油公団の廃止、特殊法人の改廃について、六月十三日、もう既に提案をされている。そして我が委員会も、このことを含めて、新たな必要性であり、日本のエネルギーとしてこの備蓄、安定供給の問題ということを議論されていたわけでありますけれども、そのときに、ここの委員会での決定と自民党を初めとする決定が違っている。同日にですよ、ここでこの法案が成立した日に廃止のことを決めている。なお一年もたたないうちに、この石油公団の廃止というものが平沼さんの、あなたの手によってまた出されている。どうしても私は納得いかない。
 あなたは、先ほどこの委員会というものを、少なくとも、日本の議会制民主主義から考えると、これは重く受けとめ、またこの委員会の決定は大切であるということを述べられておりますけれども、そのことと現実に百八十度変わっているこの決定というのはどういうことなんでしょうか。大臣の考え方をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 昨年の石油の安定的な供給の確保のための石油備蓄法等の一部を改正する法律案、これにつきましては、石油公団の資産買収に係る業務追加に御賛同をいただき、これは私は大変ありがたく、重く受けとめております。
 その御審議に際して、私は、一昨年十二月に閣議決定された行革大綱におきまして、すべての特殊法人等について事業、組織形態を抜本的に見直し、一年以内に結論を出すこととされております、その行政改革大綱を踏まえて、今後の石油公団の事業あるいは組織形態について鋭意検討し、見直しを進める旨の答弁も行っているところであります。また、御指摘の報道については、私自身、当時、報道をめぐる事実関係を承知しておりませんでした。
 本件に対する私の立場は今申し上げたものと全く同様でございまして、その後、かかる検討、見直しを行った結果、昨年末に閣議決定をされました特殊法人等整理合理化計画において、石油公団については廃止をする、こういうことに相なりました。
 もとより、エネルギー供給の大宗を海外に依存する我が国にとって、その安定供給確保というのは重要な政策課題であります。そういう観点から、昨年の石油公団法の改正において御承認をいただきました資産買収案件に対する出資機能を初め、国の責任において果たすべきエネルギー安定供給の確保上の重要な機能である石油の開発のためのリスクマネー供給機能、あるいは研究開発機能及び国家備蓄統合管理機能等につきましては独立行政法人に担わせまして、業務の一層の効率化にも配慮しつつ着実に推進していくことにいたしたところでございます。
 これによりまして、エネルギー政策の着実な遂行と行政改革とを両立させることができるものと認識しておりまして、今回の法案、ぜひそういう観点から御理解がいただければ、このように思います。
田中(慶)委員 私は、この委員会のあの質疑の議事録をもう一度見てみました。あの当時言われていることとあなたが今言われていることは、ある面では百八十度違っているんです。たった一年もたたないうちに、国の政策決定、ましてエネルギーの問題ですよ、それがこんなふうに右往左往すること自体大変おかしいと思う。
 今回も、この二法案プラス一法案というものがセットになって初めてエネルギー政策になり、あなたが今主張されたことが本来ならば網羅されていなければいけない。しかし、あなたがこの政策決定にどうかかわっていたのかどうかわかりませんけれども、私はあなたの考え方を、百歩譲って評価をするにしても、しかし、今度の法案の石油公団の廃止の決定、特殊会社法案を除いた二法案の提出について、あなたが留守のときに、外遊しているときに決まったんじゃないんですか。おかしなことでしょう。責任者である大臣が、少なくともこれを決定する段階で、いなければいけない、方向づけを明確にするときに、あなたがいない間にその方向づけをされているんですよ。あなたはどう思いますか。
平沼国務大臣 私はちょうどエネルギーの国際会議がございまして、ワシントン、デトロイトに出張しておりました。したがいまして、今こういう通信網が発達しておりますから、私は常に電話連絡をとり合い、そして私どもの事務次官と常に連絡をとりながら、そういう中で、最終のいわゆる合意の中でも、私と石原担当大臣が最終的に電話連絡をとり合って、そして私も決断をさせていただいた。
 したがいまして、御指摘のように、本当は私はその場にいなければならなかったと思いますけれども、同時に、エネルギーに関するいわゆる世界のエネルギー担当大臣の会議がございまして、そこはやはり非常に重要な会議でございましたので、そういう意味では、その場にいずに、しかし私は連絡を密にして責任を果たした、このように思っております。
田中(慶)委員 時系列的に見ても、あなたの日程も含めながら公団のいろいろな歩みを時系列的にずっと追ってみたんです。ところが、つかさつかさの政策決定のときにあなたは比較的留守なんですよ、外遊していたり出張していたり。本当ですよ。こういうことを含めて党内不統一じゃないですか。日本のエネルギー問題を、そのような不統一のような形でされること自体、私は問題があると思う。ですから、今度の石油公団廃止法の問題も、去年言っている備蓄のときと、あのときは、石油公団は必要だ、そして業務の拡大を図る。今度は、舌が乾かないうちに、廃止だと言うこと自体、納得いかないですよ。もう一度答弁してください。
平沼国務大臣 時系列的にお調べになって私が不在だったということなんですけれども、私は、今回の場合にも実は、ぎりぎり出発の直前まで官邸で官房長官等と連絡をして、そして私どもの基本的な考え方というのは、私どもとしては全部網羅をして、その上で飛行機に乗り、また着いても早々に連絡をとり合いました。
 もう一つ、不在だという御指摘は、これもまた中東四カ国を訪問したときに、堀内総務会長が総理官邸に行かれた。これは個人のそういう考え方でお行きになられて、私はそういう動きを全く察知をしておりませんでした。したがいまして、あのときも、たしかアブダビだったと思っていますけれども、すぐに堀内総務会長に電話を入れまして、その総務会長の真意というものをお尋ねし、そして帰国後すぐに会談をさせていただく、こういうようなことでございます。
 確かに、御指摘のように、そういう意味では経済産業省というのは間口が広いものですから、いろいろそういう形で常時、非常に枢要なエネルギーのそういうポイント、ポイント、ほとんどはいたと思いますけれども、いない場合もあった、こういうことで、そこは私としても非常に自分自身残念だと思っております。
 そして、さきの国会でこういうふうに我々は石油公団の機能強化という形でお願いをして、その舌の根も乾かないうちにと、こういうことでございますけれども、私は、参議院の質疑の中におきまして、先ほど申し上げたように、行革大綱にのっとって、小泉内閣の方針として一年以内に見直す、ですから、そのことに従ってそれは見直しをしていく、こういうことは国権の最高の機関たる国会の場で私は言明させていただいたところでございまして、確かに、当委員会に対してはそういう意味では正式な表明は議事録からなかったと思いますが、広く国会の場においてはそういう形をさせていただいた、こういうことでございまして、確かにそういう意味では御指摘の点もあるかもしれませんけれども、私自身は矛盾はしていない、こういうふうに思っているところでございます。
田中(慶)委員 私は、当委員会の議事録を全部もう一度探ってみたんです、あなたが一生懸命そういうふうに言うから。ところが、当委員会でそういう言葉は一つも言っていないんです。あなたは、この経済産業大臣にいつつかれたんですか。だれの内閣のときにつかれたんですか。
平沼国務大臣 私は、森内閣の七月の改造内閣、たしか第二次改造内閣で、当時はまだ通商産業省でございまして、通産大臣に就任させていただきまして、もうほどなく丸二年を迎えることに相なります。
田中(慶)委員 少なくとも、今回の石油公団の議論のときにも1P1Cという議論をされましたね、ワンプロジェクト・ワンカンパニーの問題。これも含めながら、あなたはもう二代の総理に仕えておるわけです。
 そして森総理は、少なくとも小渕さんが提唱されておりました行革のものを推進されてきたわけでありますけれども、しかし、今回の小泉さんが言われる前に行革というものは既に決定されてきているわけじゃないですか。それが、前回のこの委員会の議論と今回がまるで百八十度違うということ自体、どうしても納得がいかない。こんな、委員会を軽視するのだったらば、こんな法案、審議できないですよ。国のエネルギー政策がこのような形でころころ変わるようなことがあっていいんでしょうか。
 私は、絶対、もう一度あなたはこの委員会で、参議院では答弁したかもわかりませんけれども、この委員会ではそういうことを述べていないわけですから。少なくとも、この委員会としての考え方が変わっているのなら変わっていると明確に答弁していかない限り、私たちは、議事録を含めて、あなたのこの答弁と今の考え方はまるで変わっているということを指摘せざるを得ない。もう一度答弁してください。
平沼国務大臣 私は、決して国会軽視をしたわけではございません。しかし、国の大方針、そういうものの中で、墨守という形ではなくて、必要であれば、やはり、そういう大きな方針に従って内閣の一員として行動することは当然あってしかるべきことだと私は思っています。
 参議院ではそういう答弁を申し上げましたけれども、本委員会でも、これは全部精査されてよく御存じのことだと思いますけれども、田中先生に対する十三年の十月二十六日のその私の答弁の中でも、特殊法人等についてもゼロベースから見直しを行うべきと小泉総理は述べられております、そういう意味からも、石油公団も当然見直しの対象になっているというふうな、そういう発言は当委員会でもさせていただきました。
 しかし、必ずしも明確でない、そういうことは御指摘のとおりでございまして、そういう意味では、本当に一生懸命、昨年の国会の中で御審議をいただいて、そして石油公団に新たな機能を付与するということで大変御尽力をいただいた、そういうことからして、田中先生のその思いというのは私もよくわかるような気がいたします。したがって、私どもといたしましても、国会軽視ではなくて、しかし、そういう一つの国の方針の中で選択をさせていただいた、こういうことはぜひ御理解をいただければと、こういうふうに思います。
田中(慶)委員 日本は間接民主主義でありますから、国会軽視というのは国民軽視につながるわけでありますので、そういうことを含めてしっかりと対応していただかないと、この委員会で決まったこと、この委員会で議論したこと、そういう形で私は受けとめて、ですから、党利党略ではなくして、特に我が委員会というのは、少なくとも日本の将来のエネルギー問題を今議論しているわけですから、そういう点でしっかりと受けとめておいてもらわなければいけないと思っております。
 さてそこで、大臣にお伺いしますけれども、この石油公団の開発をめぐって、あなたはどう受けとめておられるかよくわかりませんが、少なくとも、今まで石油開発の失敗をあなたはどう受けとめておりますか。要するに、三百の会社をつくりました。次々と失敗しているんです。そして今、恐らく、完全に機能しているのは八十ぐらい、活動をちゃんとしているのは六十幾つ、もうかっているのは十三社、そのぐらいしかないんです。こういうことであります。
 このことについて、国の税金を投入しながらやっているわけでありますけれども、しかし私は、この問題について、今時代というのは大きく変わって、あらゆる規制は撤廃しようじゃないか、スピードを求められている中でありますから。しかし、そこについてくるのは社会的責任、企業責任、個人責任、この責任というものが明確にならなければいけないわけであります。
 ところが、この石油公団の問題について、私は、今知る限りでは、この失敗についての責任はだれもとっていない。民間企業ならば、ある面ではもう社長はとっくに交代している。あなたも民間に勤めたこともあるんですから、そういう点で、リスクマネーとあなたはよく言いますけれども、これをどのようにお考えになっているのか、まずあなたにお伺いします。
平沼国務大臣 これまで自主開発という形でたくさんの会社が存在をし、それはその時点でそれぞれ最大限の努力はしたと私は思います。しかし、この石油探査というのはなかなか確率上厳しいところがございます。したがいまして、国策的な形でやったところもありました。そういう中で、効率的には、御指摘のとおり、二百社余りが結局そういう形で整理をもうしなければならない、こういう状況に相なったわけです。しかし私は、その過程の中で、それぞれみんな一生懸命やったことは間違いないと思っています。
 しかし一つは、確率の悪いそういう一つの事業である、こういう形で一生懸命掘ったけれども、それがうまくいい鉱脈に当たらなかった、こういうこともあったと思います。また、そういう中で、原油価格というものが思ったより大変下落をする、その中でまた円高が進む、そういうような中で非常に経営が厳しくなった、そういう一つの要因もあったと私は思います。
 しかし、総括をいたしますと、今御指摘のように、国民の皆様方の大切な税金を使いながら、天然資源のないこの日本にとって、国の必要なエネルギーを確保する、こういう大義名分があったにせよ、やはり結果的には非常に大きな損失が出た、このことは、私どもは大いに反省をし、そして、こういう経験を生かして、これからなるべくそういう損失が出ないようなしっかりとした体制でやっていかなければならない、こういうふうに思っております。
田中(慶)委員 大臣、後ではだれも言えるんですよ、はっきり申し上げて。ですから責任というものを明確にしておかないと、いろいろなことがこうだったから、価格が下がったとか、そういうことはだれでも、そういうことについては、はっきり申し上げて、いろいろな失敗がこれだけあったからといって、そんな理屈は貨車で持ってきたっていっぱいできるんですよ、そのぐらい。基本的な最初の問題が間違っているんです。そうでしょう。
 例えば、この三百社を見てくださいよ。この三十年間に天下りが約八百人ですよ。いろいろな形で、渡りと言われるものも、民間じゃ想像できないでしょう。こういうものが次々と、天下りの体質、だから責任ないじゃないですか、トップは三年ぐらいでころころかわっていくんですから。あなたにそんなことを言っていてもしようがない。
 総裁が来ているから、総裁に言いましょう。あなたは、このことをどう受けとめているんですか。そうでしょう。みんな天下りの受け皿になっているじゃないですか。まして、一人が十二社も役員を務めたり、そんなことできっこないでしょう。それで経営責任も何もあるものですか。あなたは、どう責任をとりますか、この総裁として。まして、一兆三千億もの負債を抱えているんだ。明確にその辺を答弁してください。
鎌田参考人 ただいま御質問がございましたように、多数のプロジェクトにつきまして、成功に至らなかったという事実はございます。そういった事実……(田中(慶)委員「そんなことじゃない、責任をどうとるのか明確にしてください」と呼ぶ)はい。私自身のことでございますね……(田中(慶)委員「あなたは今はトップなんですから」と呼ぶ)はい。
 私自身について申し上げますと、私は、平成十年の六月に石油公団の総裁に就任いたしまして、以来、通産省の石油公団再建検討委員会、あるいはまた石油審議会の石油開発事業委員会の御指摘を踏まえまして業務改革に取り組んでまいりました。
 ただいま申しましたように、より効果的な、効率的な事業運営を行うということで、将来に向かって業務改革をしていく。あるいは、先ほど大臣からもお話ございましたように、大変リスクの高い仕事に国民の税金を使っているわけでございますので、国民の理解を得ながら事業を進めることが最も大切なことでございますけれども、情報開示について不十分な点がございましたので、徹底的な情報開示をやる。それとも関連いたしますけれども、会計の処理、会計基準につきましても不透明な点があったことは確かだと思います。したがいまして、民間の企業会計原則に準じまして、徹底的に透明度を高くしていく。こういったことをずっとやってまいりました。この結果、先ほど申し上げました両委員会が指摘しました事項はすべて処置済みでございます。
 一方、私が公団総裁に就任しましてから、平成十年度からということになりますけれども、毎年公団の損失が積み上がってきております。平成十二年度は四千二百十五億円という損失になっているわけでございますけれども、これは、両委員会の報告書で整理すべきものとして指摘されました会社を清算する、整理するということもございましたし、それからまた、その他の会社につきましても、キャッシュフロー分析等を行いまして、長期的に事業の採算性が見込めないというものにつきましては速やかに整理する、あるいはまた、損失を引当金として計上する、こういうことをやってきたところでございます。
田中(慶)委員 そういう形で責任を述べられてもだれも国民は納得しませんよ。本当に言いわけにしかとれないですよ。
 大臣、ここに三百社全部調べてありますから見てください、現在稼働しているもの、もう終わっているもの。こういうことを含めて現実に責任をとっていかないと、民間企業はとっくにもうやめていますよ。自分の資産まで没収されていますよ、あなた。そのぐらい今厳しいでしょう。
 大臣、ここで、この委員会は中小企業問題をさんざん言っていますでしょう。どうですか、お金を借りて、そのかわりそれが返せなくなったらば、倒産だけじゃないでしょう、財産まで全部没収されていますでしょう。その議論をさんざんしていますでしょう。何で公団だけがのほほんとしているんですか。納得いかないでしょう。この三百、見てください。
 こんなことがまかり通るんです。それは天下りの体質なんですよ。若杉さんを見てくださいよ。十二社の社長をやって、十二社の役員ですよ。給料は一カ所しかもらっていません、こんなことを言われています。そうじゃない、あと、手当をもらっているじゃないですか。給料は一カ所かもわかりませんけれども、交通費を含めて手当をもらっているじゃないですか。ちゃんと部屋も秘書も確保されているじゃないですか。こんなばかなことを今平気でやっているんでしょう。だから、任命しているあなたの責任はどうなんですか、いろいろなことを含めて。
 少なくとも、今のような天下りが、現在でも、公団関係だけでも約六十七人かな、それだけいるわけです。かつてこの三十年の間、先ほど言ったように、これは経済産業省だけじゃありません、いろいろなところから。何でいろいろなところから来なきゃいけないんですか。会計検査院からも来れば、財政当局からも来る。こんなことを含めて、そして赤字が全部これだけ出ている。負債総額一兆三千億ですよ。あなた、どう受けとめているんですか。とっくにこんなのは首ですよ。だから、責任というものを明確にしていない、理屈は後で幾らでもつくれるんです。今度の会社だって、特殊会社、あなた、恐らくそこの社長か何かで行くつもりじゃないんですか。まさかそうじゃないでしょうね。
 いいですか、石油公団の人事を見てください。あなたはエネ庁から行っておりますけれども、去年、石油公団がなくなるということを決めて、そうしたら事務次官はどこへ行ったんですか。次の石油公団と言われる石油資源開発会社、ここは全く公団と同じようなことを三十年もやっているんじゃないですか。天下りでしょう。まして、公団は廃止になるから、事務次官は次に廃止にならないところにちゃんとついているんですよ。あなたはそれをどう思いますか。
 みんなそれが、大臣の知らないところのOB、あるいは官房長とかそういうことも含めて、これをやっているじゃないですか。だから、責任を明確にしろと言っているんですよ。大体三年ローテーションで、退職金三千万円ですよ、大臣。一年一千万じゃないですか。
 備蓄会社、この前我々の仲間が全部調査しましたよ、開発会社も。備蓄会社の仕事、何をやっているんですか、答えられないんですよ。石油公団に打ち合わせに行き、たまには経済産業省に行きますと。専務は何をやっているんですか、いや、社長を補佐していますと。これで給料を二千万、三千万取る、こんなばかなことがありますか。そのツケは全部国民ですよ、あなた。そのことをどう考えますか。
鎌田参考人 まず、国家公務員のOBが……(田中(慶)委員「そんなことを聞いているんじゃない。ちゃんと」と呼ぶ)備蓄の話でございますか。(田中(慶)委員「いや、先ほどの問題を含めてちゃんと。あなたの責任も聞いているんですから、私は」と呼ぶ)
 備蓄の問題につきましては、国家備蓄の問題につきましては、私どもかねてから、コストの引き下げ、効率化に努めてまいってきております。
田中(慶)委員 よく質問を聞いていてください。私はいろいろなことを述べておりますけれども、あなたの責任はどうですかと聞いているんですから、最後。(鎌田参考人「はい、わかりました」と呼ぶ)
谷畑委員長 石油公団鎌田総裁、しっかりと答えてください。
鎌田参考人 私が就任しまして以来のことは先ほど申し上げたとおりでございます。
 今後につきましては、私は、これまで進めてきました公団の業務改善措置を引き続き強力に継続する。それと同時に、サハリン、イラン等における石油開発プロジェクトの推進、LPガス国家備蓄の推進等、石油公団として果たすべき役割を着実に果たしていかなければならないと思っております。
 加えて、石油公団の廃止と新しい法人の設立に向けまして、今後膨大な準備作業が必要になってくると思います。これを決められたスケジュールに従って着実に実施していくということも必要だと思います。
 私としては、このように今後も課題を着実に実施していくことが私の石油公団総裁としての責務であるというふうに考えております。そういったことで、しっかり今後とも取り組んでまいりたいというふうに考えております。
田中(慶)委員 少なくとも責任は全然感じてないね。だから、今度の特殊会社の問題も、あなた、行くんですかと。今述べられたようなことを言ったら、自分があそこへ行ってやるような考え方じゃないですか。そのために特殊会社をつくるなんてとんでもないことですよ、大臣。
 いいですか、自民党の中でもはっきり言われているんじゃないですか、この特殊会社の問題も。総理みずからが、石油公団の廃止に伴って特殊会社への業務移管については行革に値しないとはっきり言っているじゃないですか。それを、さもまた自分がそれを継承するようなことを言われたって、だから私は聞いているんですよ、あなたの責任はどうですかと。これだけ借金を膨らませて、またエネルギー政策を続行するようなことを言われたって、あなたにそんなことを望んでいるんじゃないんですよ。むしろ、あなたは今、この清算業務を明確にして身ぎれいになった方がよっぽどいい、国民のためにも。いいですか。
 まして、大臣、あなたにもお聞きしたいんですが、例えばこれだけ厳しい日本の財政、六百兆でしょう。そして今、道路の財源を含めて、自動車税の問題を含めて、目的税を一般財源に入れようということで小泉総理は言っているでしょう。そのことをおわかりですね。
 ところが今、石油税はどうですか、特会は。内部を見てくださいよ。この五年間の財務諸表を見てください。毎年大体九千億からのお金です。そのうち五千億は明許繰り越しです、ずうっと。それだったら、これだけ苦しいんだから一般財源に入れたらどうですか。リッター当たり二円、みんなこれは国民からもらっているんですから、ユーザーから。片方で税金苦しい、それだったら入れたっていいじゃないですか、こんなむだ遣いばかりしているんですから。使う費用は大体四千億ですよ、これ。
 この辺も、やはりこの責任なり厳しさの体質、ぬるま湯にどっぷりつかって、潤沢に湯、お金があるから、お金があるところにみんな群がっているんじゃないですか。この財源は一般財源にしたいぐらいのあなたの決意を述べてくださいよ。そのことによって、財政が厳しい中で運用した方がよっぽど改革ができるんです。これだけいっぱい、お金が潤沢にあればあるほど、ぬるま湯につかって、会社をつくって壊し、つくって壊し、こんなことばかりやっているんじゃないですか。どう思いますか。
平沼国務大臣 特殊会社のことにも先ほどの御質問の中で触れられました。そして、石油公団の総裁の責任というお話がありました。
 鎌田総裁は平成十年に総裁に就任をしまして、そして内外からのいろいろな御提言があり、石油公団、内部改革しなければいかぬという形で、鎌田総裁は陣頭指揮をして、会計の透明性ですとかあるいは開示の問題等々、第一次石油公団改革の中で相当成果を上げてきたところであります。
 そういう意味で、さらに今頑張っているところでありますけれども、私どもは、特殊会社をつくる場合には、やはり国民の皆様方が納得いただけるような形でしっかりとした人事もやっていかなければならない、こういうふうに思っております。
 また、今、特会に関してのお話と、繰越金が非常にある、こういう御指摘がありました。
 これに関しては、もう田中先生よく御承知だと思いますけれども、一つは、石油及びエネルギー需給構造高度化勘定については、これは、どうしてそういう五千億が繰り越されるかということ、これもちょっと御質問にありました。
 それは、毎年そういう形に出るということはどういうことかというと、一つは、もうこれも御承知だと思うんですけれども、備蓄事業において、緊急時における備蓄放出に備えて計上している予算が、それはある意味では幸いなことだったと思います、執行を要しなかったこと。それからまた、一生懸命経営努力をして、ある意味では、民間会社からの石油タンクの借り上げ料及び利子補給金の前提となる金利が……(田中(慶)委員「やめなさい、そういうことは」と呼ぶ)ですから、そういう形で、それは一たん緩急あったときのそういう費用として計上していたものを繰り越して、それがそういうことで回っているという側面もあることは御理解をいただきたいと思います。
 石油特別会計というのは、環境保全や効率化の要請に対応して、エネルギーの安定供給を実現するというエネルギー政策の目標を実現するための施策を実施するため、これはもう言うまでもございませんけれども、受益者負担の原則のもとに、石油税等を財源として設置されているものです。現行の石油特別会計制度においては、一般会計に入った石油税収については必要額のみ石特会計に繰り入れているところでございます。
 また、社会経済情勢の変化を踏まえまして、例えば、平成五年度に省エネルギー対策を追加するなどの制度見直しも行ってきています。さらに、歳出内容につきましては、近年のエネルギー・環境制約もございまして、ここでもいろいろ御審議をいただきましたけれども、省エネルギー対策あるいは新エネルギー対策等のエネルギー・環境対策の充実を図るなど、見直しは行ってきています。
 石特会計については、石油公団が廃止された場合にも、引き続き国として、国家備蓄ですとかリスクマネーの供給等を着実に実施していく、そういう必要があることに加えまして、今申し上げました省エネ、新エネ対策の推進等にも幅広く活用しなければならない、そういう形で、今後とも歳出需要が見込まれております。
 当省といたしましては、国のエネルギー政策を着実に実施していく観点から、受益者負担の原則のもと、この石油特別会計は有効に利用していかなければいかぬと思っておりますけれども、確かに、御指摘の、ある意味では見直さなければならない点、そういうこともありますから、そこはやはり国民の皆様方の納得がいただけるように、私どもとしても、しっかりとそのことは運用しなければいけない、このように思っています。
田中(慶)委員 もう大臣の答弁は大体わかっていたんですよ。今までと全く、この会計手法に対して出ていた答えとほぼ変わっていない、一歩も出ていないじゃないですか。五年間全く同じですよ。それだったら、予備費か何かに置いて、何かができたときそれから使えるとか、何かでとっておけばいいことでしょう。あなたは全く役人の答弁をそのまま、感化されてそのまましゃべっているにすぎないじゃないですか。私は、そうじゃないですよ、あなたに期待していたんですよ。あなたは次の総理候補とまで言われている人なんだから、そんなことを、自分の考え方を言ってくださいよ。とんでもないことでしょう。
 炭素税、環境税、税全体いろいろなことをやっているときに、まして道路財源も含めて、みんな目的税だったでしょう、それを、一般財源がないから、六百兆の赤字、まして、収入と歳出を比較しても、年間三十兆円も一方においては国債を発行しなきゃいけない、片方においてはこんなに潤沢にしておいて、そして改革もできなければ、厳しければ厳しいほど改革ができるんですよ、そんな考え、今何もないじゃないですか。まず隗より始めよで、ここから始めなさいよ、あなた。
平沼国務大臣 私どもは、いわゆる特別会計、これは、この委員会でも御審議いただきましたけれども、これから新しいエネルギーをどうするか、あるいは省エネルギーをどうやってインセンティブを与えていくか、私はそういったことに財政需要は非常に出てくると思います。ですから、ただためるという形じゃなくて、私どもは、やはり国のエネルギー全般の政策に生かされるような、そういった観点は当然担当大臣として考えて国のエネルギー政策に役立てていかなければならない、こういうふうに思っています。
田中(慶)委員 僕は今政策論議をしているんですから、そんなペーパー見ないでしゃべってくださいよ。
 では、少なくとも天下りはどうするんですか。三十年間にわたりを含めて約八百人ですよ。今度のこの公団廃止によって、天下り、ゼロにしますか。
平沼国務大臣 私は、今のそういう社会情勢、国民の皆様方の感情、そういったことから考えますと、やはり透明性があって納得がいく、そういう人事が必要だと思います。
 しかし、さはさりながら、そういう意味で、経験と知見、そういうものを持って、だれしもが納得いくものであれば、私はそれを、大宗を占めるという形じゃなくて、やはり国のエネルギー政策のために、そういう識見だとか経験だとか、あるいは海外に対する人的な一つのネットワークを持っている、そういったことがあれば、もちろん皆様方の合意の中で当然しかるべき地位についたってそれはおかしくない。
 ですから、そういうことで、全部をなくすということは、総合的に見て、国家的な見地から、全部ということじゃありませんけれども、そういう本当にふさわしい人材であれば、私は当然あってしかるべきだ、こういう基本的な考え方を持っています。
田中(慶)委員 まず行革の推進はゼロシーリングから始まるということじゃないですか。ゼロから始めなさいよ。そして、どうしてもこのポストにこういう技術が必要だ、それはいいでしょう。関係のない、会計検査院は来るわ、公取は来るわ、財政当局、何で公団に関係あるんですか。
 だから、いいですか、備蓄会社、我々が調査に行ったら、新聞見て、寝ているんですよ。そのことを見て、総裁、どう思いますか。あなたの責任ですよ、これは。だめですよ、そういうことは。だから私は言っているんです。ゼロから始めなさいよ。両方、答弁してください。
平沼国務大臣 それは、小泉内閣の基本方針も、ゼロベースで見直す、こういうことで、私もその点は国会答弁の中で、ゼロから見直す、こういうことで、その基本は変わっておりません。
 それから、確かに、そういう備蓄会社ですとか公団に議員の方々が行かれたときに、そういう姿が散見された、それは非常に私は残念なことだと思っています。ですから、そういう意味では、特に役員の方々は、やはりそういう疑いを持たれるようなことは私はすべきではないと思います。
 しかし、私も備蓄基地とかそういうところを視察させていただきますけれども、やはりあれだけの広大な備蓄基地の中で最前線で頑張っている方は、一生懸命日常の業務をまじめに営々としてやっている。また、そういう姿が一面にあればあるほど、やはり役職にある方は、そこはしっかりと意識をして、全部を監督する、そういうことは私は望ましいことだ、こういうふうに思います。
鎌田参考人 お尋ねを賜りました八つの国備会社の総務部長から、直接私ども事実を確認いたしておりますけれども、先ほどお話ししましたような事実はなかったというような報告になっております。
 ただ、そのような誤解を招くようなことは大変問題でございます。私は、国備会社の職場環境というのは規律をきちっと保った形で行われていると思いますけれども、いささかなりともそういった疑惑を招かないように、今後とも十分しっかり見守って監督していきたいと思っております。
田中(慶)委員 あなたの部下を思う気持ちはわかりますけれども、現場を見ていた、百聞は一見にしかずですよ、見たことがあるんですから。そういうことを言っちゃだめですよ。
 ですから、こういうことを含めて、備蓄会社、今八社あるんですよ。私は一社でいいと思う。倉庫会社なんですから。それぞれの石油メーカーの人たちも一社でいいと言っているんですよ、調べて。また、皆さんのところの、かつて通産大臣をやった堀内さんも一社でいいと言っているんじゃないですか。何で八社必要なんですか。天下りをそこに容認し、現場では一生懸命汗流して働いているのに、管理職の人は仕事がない、こんなところ、むだですよ。そこにお金をつぎ込んでいるんですから。こういうことのないようにする意味でも、私は一社でいいと思っているんです、はっきりと。命かけて私はこれをそういう形でやっていきたいと思っているわけです。
 私も、今から七年前に、これは命かけてつくった本なんです。特殊法人に全部行って調べた。全然答えがないんです。次々といろいろな形でいろいろなことを調べた。邪魔もされた、妨害もされた、夜中にいろいろな電話のいたずらもされた、そういう中で調べた本なんです。だから、私のライフワークとして今申し上げているわけです。
 備蓄会社は一社でいい、私はそのことをずうっと念頭に置いているし、独立行政法人をつくるんだったらば、特殊会社は私は要らぬと思います、はっきり申し上げて。そのぐらい私は今回信念を持ってこの問題に取り組んでいるわけであります。
 特に、大臣、私は、ある面ではこれだけ腐ったんですから、ミカンでも腐ったもの一つ入っていれば全部腐っちゃうんですよ。それと同じように、すべてきれいにして日本のエネルギー政策としてつくり直そうじゃないですか。そのためには、申しわけないけれども、総裁もやめてもらう、それが責任だろうし、大変恐縮でございますけれども、退職金も返上してもらいます。あなた、そのぐらいの気持ちありませんか。大臣も含めて答弁してください。
平沼国務大臣 今のお話の中に、一社にすべきではないか、こういうお話がございました。これは、この計画によりますと、一般の操業、そういった部分は純民間に委託をする、ですから最終的には民間の方々の判断になると思います。しかし私は、一社に絞る、そういったことも可能性としてはあると思っています。
 ただ、やはり今までの中で、それぞれの地域に立脚をして、そして地域の特性、そういったものも加味をし、そして地元の方々を雇う、そういうようなこともあります。そういう形で、私は、一社に限定するということは可能性としてはあると思っています。
 それから、人事の面に関しましては、私は、先ほどの御答弁でも言いましたけれども、やはり国民の皆様方が納得いく、透明性があり、そして民間の活力が生かされるような、そういった形で特殊会社、さらには、それは最終的には民営化ということを視野に入れております。そういったことも踏まえてやっていかなければならないと思います。
 それから、総裁の問題に関しましては、平成十年に就任され、本当に陣頭指揮で一生懸命に、いろいろな問題点の指摘の中で石油公団改革に取り組んできた、このことは事実で、私は相当大きな形で実績が上がっていると思います。ですから、いずれにしても、退職金にいたしましても、そういう時期が来たときに私はしかるべき判断をすることに相なると思いますけれども、鎌田総裁は、今非常に膨大な赤字を抱えていますけれども、平成十年就任以来、非常に真摯に取り組んできた、私はこういうふうに思っておりまして、そういった側面も、努力というものも理解をしてあげなければならない、私は大臣としてそのように思っております。
鎌田参考人 自分のことでなかなか申し上げにくいのでございますけれども、私は、気持ちとしては、先ほど申しましたように、新体制への移行を円滑に行うために、大変な作業も残っておりますし、石油公団総裁としてはまだ道半ばだというふうに感じております。したがいまして、任命権者であられます大臣から格別な御指示があれば別でございますけれども、そういった覚悟で取り組んでいきたいというふうに思っております。
 それから退職金の話も、ちょっと自分のことでございますのでなかなかお答えしにくいのですが、いずれにしましても、私は、最終的に、退任しますときに、その時点での私の業績評価というのですか、功績評価を踏まえて御検討いただく問題ではないかというふうに思っている次第でございます。
田中(慶)委員 大臣、今日本で一番大切なのは危機管理、それからスピードなんです。ですから、備蓄会社は一社でいい。その方が危機管理も十分できるし、何も現場を首にしろなんて言っているわけでも何でもないのですから。倉庫会社は現場がなければできないんですから、そういうことを含めて、組織上、ちゃんとそういう体制をつくることが大切だと私は思います。
 それから、総裁が優秀なことはわかっているんだよ。一生懸命努力していることもわかっている。しかし、組織というものは非情なものなんです。はっきり申し上げて、責任とらなきゃいけないんです。これだけ厳しい日本の財政、そして、これだけ負債がかかっている。努力していることはわかりますけれども、やはりそのことを明確にしなければいけませんし、それを受け皿にして、これだけ天下りを放置していた、現実に今六十七人もいるんですから。あなた、その責任は重いんですよ。そして、みんなわたりをやっているじゃないですか。わたりをやめさせますか。まして、全部OBの人たちが、ある面では背後で人事をやっているんでしょう。だから、あなた、本来ならば事務次官を総裁にすべきものが、あなたも一生懸命やっているからということもあるでしょうけれども、この公団はなくなるから、開発会社、これはずうっと続いている。
 こんな形で、国民が納得いくような、あるいはわかりやすい、こういうことを大臣は言っておりますけれども、現実に行われていることは違うんですよ。やはりそのことを含めて、総裁、天下りの問題、すぐにでも、今一生懸命頑張っている証拠に、あかしに、手をつけなさいよ。どうですか。
鎌田参考人 先ほど大臣からも御答弁がございましたように、あらゆる役職員につきまして適材を選んで就任していただく、こういう考え方で今後もやってまいりたいというふうに思います。
田中(慶)委員 いずれにしても、まだまだこの議論は時半ばですから、まださせていただきますけれども、きょう私の持ち時間は以上で終わりますので、これからが本番ですから、よく心していてください。
 終わります。
谷畑委員長 松本剛明君。
松本(剛)委員 おはようございます。松本剛明でございます。
 石油公団の話に入る前に、下地政務官にちょっと政治資金について御確認だけさせていただきたい、このように思っております。
 二〇〇〇年度に鈴木宗男議員が支部長を務める支部から二〇〇万の政治資金を受け取ったというふうに報道がなされていますが、それで間違いないという理解でよろしいでしょうか。
下地大臣政務官 今委員から御指摘いただきましたように、二〇〇〇年の四月の二十七日、自由民主党北海道衆議院比例区第一区支部から自由民主党の沖縄県の第一区支部へ政治資金規正法にのっとった形で寄附をいただきました。
松本(剛)委員 返却をされたとか、そういうことはありますか。
下地大臣政務官 返還に関しましては、平成十四年の三月二十二日に返還をいたしました。
松本(剛)委員 それは、第一支部から比例第一支部へ、支部から支部へ返還をされたという理解でよろしいんですか。
下地大臣政務官 支部から支部に戻しております。
松本(剛)委員 念のためお伺いをしますが、ほかには、資金の修正申告があるとか、修正報告があるとか、そういうことはないですね。
下地大臣政務官 ないと思います。
松本(剛)委員 思いますでは困るんですが。
下地大臣政務官 ありません。
松本(剛)委員 それだけ御確認をさせていただいたら、先へ進めていきたいと思います。
 石油公団に入る前にもう一点、大臣にお伺いをさせていただきたいと思っております。
 先ほど田中理事のお話の中でもありましたが、ポスト小泉の一番手と言われる大臣でございますので、経済政策について、中身についてここでは議論をする時間はありませんけれども、今回政府が発表した対策に対しまして、昨日、自民党の方で第三次対策が必要であるということで一致をした、追加が必要であると。また、これはNHKの報道ですが、道路や空港設備など、いかにも今までの形、逆に言えば小泉内閣がその点を抑えてきたということかもしれませんが、そういった形での経済対策が必要であると。あとはペイオフの話はありますが、これはここではないと思いますので。三十兆円枠の話もありました。
 この辺について、大臣は、今の経済状況、それから今回の政府の対策についてどのようにお考えか、コメントをいただきたいと思います。
平沼国務大臣 私は、経済財政諮問会議のメンバーでございまして、このたび出しましたいわゆる骨太の方針第二弾、この議論にも一貫して参画をさせていただきました。
 その前段として、やはり今の日本の経済状況は非常に厳しい、こういう観点に立ちまして、昨年の十一月に経済産業省の中に産業競争力戦略会議というものを立ち上げまして、約半年間かんかんがくがく議論をされて、それが骨太の方針の活性化の基本的な部分に入りました。そういう中で、私は、今、この骨太の方針第二弾をやはり着実に、確実に、強力に実行していくことが一番必要なことだと思っています。
 しかし、昨今の株価の現状等を見ますと、またきょう、いわゆる完全失業率等の数字も発表になりました。そういったことを見ますと非常に厳しい、こういうことでございますけれども、そういう中で、この骨太の方針のいわゆる経済活性化策、あるいは税制、規制緩和、そういったものを徹底して実行していく、このことが今一番大切なことだ。
 また、三十兆の枠は小泉内閣の基本方針でございます。したがって、厳しい財政状況の中でその基本方針というものを堅持しながら、やはりいかに強力にやっていくか、こういうことに尽きる、こういうふうに思っています。
松本(剛)委員 今回の与党のああいった形での意見表明というのも、そもそも昨今言われている政と官のあり方に根本的にかかわってくると思うんですね。
 今の政府・与党という形について、私は二種類の問題があると思っておるんですが、議院内閣制でありますから、本来、政府と与党がある意味では一体であるべきなんですが、当然、政府としては限られた選択肢の中からできる政策選択をしていかなければいけない。しかし、それが必ずしも国民に人気がない場合に、与党の側としてはもう少し国民にアピールする発言をされる。ある意味では、そこが政策に反映されるとすれば、政府という責任のある組織でないところからの形のものが政策に実現をされるという問題、これが一つの問題になると思います。
 もし、そうでない、これが政策に反映されないとすれば、実際に行われるのは政府によって決定されますけれども、国民が選挙なりで選ぶときには各党の主張というのは違ってくる。これでは与党というものの本来の評価というのがきちっとできない。
 ちなみに、私は、これはペイオフに関連してですが、柳澤大臣と議論をさせていただいたときは、柳澤大臣は、与党は政策に口を出すべきでない、人事は与党が決めたらいいが、任せたら大臣に任せていただきたい、このようにおっしゃっておられました。大臣のやっていることが気に食わなければ、与党は大臣をかえればいいんだ、このようにおっしゃっていましたが、これについて大臣はどのように思われますか。
平沼国務大臣 必ずしも今の現状の中で政府と与党がセパレートされているということではないと思っています。これは松本先生も御承知のように、政府・与党連絡会議というのを定期的にやっておりまして、そのときに、私も出ておりますけれども、与党もあるいは政府側もそこで議論をして、そしてそれぞれの問題点について合意を図る、こういうシステムになっています。ですから、そういう意味で、私は与党の意見も十分反映される仕組みになっていると思っています。
 それから、今柳澤大臣のことでお話しになりましたけれども、私は、いわゆる政党政治、そして議院内閣制、こういったことを考えますと、やはりそこの連絡会議でのすり合わせは、それはそういう形でやるべきですけれども、やはり与党の政策というものは反映することは当然でありまして、一切口を差し挟まない、そういうことは私はあり得ない、こういうふうに思っています。
松本(剛)委員 この議論を続けていますと、これだけでずっと時間が使われると思いますが、しかし一度、今お話を申し上げたように、これはもう少し整理をしていただく必要があると私は思っております。
 政府と与党という形で、今申し上げましたように、与党が発せられるメッセージというのが必ずしもすべて政策に実現をされるわけではない。しかし、与党はこれをやると国民にアピールされる。野党は、政権がとれたらこういうことをやるとアピールする。与党は今政権にあるわけですから、やると言ったことは逆にきちっとやっていただかないと、国民としてはきちっとした判断ができない。また、逆に言えば政治の責任が極めてあいまいになるということでありますので、その辺の整理はさらに進めていただくということを大臣に御要望させていただいて、話を前へ進めさせていただきたいと思います。
 石油公団についてお伺いをさせていただきます。
 先ほども田中理事の方から天下りについてお話をさせていただきました。一昨日ですか、この委員会で、石油資源開発の棚橋社長の就任について、これは通告申し上げていませんが、エネルギー庁長官ですか、石油資源開発の責任において選任されたと理解をしていると御答弁されましたが、それで間違いないんでしょうか。
河野政府参考人 前回私が申し上げたことは、たしか前若杉社長が在任期間が六年になったということで退任を決意された、そしてそれを受けて、株主総会の前の役員選定の取締役会において棚橋氏が次期の社長に選任をされて、株主総会の承認を受けたという経緯を申し上げたわけでございます。
松本(剛)委員 棚橋氏は、その前は取締役ではなかったと理解していますが、それでよろしいですか。
河野政府参考人 私の記憶であれば、総会で取締役に就任したと思います。
松本(剛)委員 総会は、株主によって行われるわけですよね。ですから、この前も鈴木理事の質問に対して、あたかも石油公団もエネルギー庁も関係なく、石油資源開発が決めたんだ、こういうふうな印象でとられる話をされましたけれども、そもそも、株主である石油公団が取締役就任を認めた、もしくは取締役に選任をしたということで社長になるということなわけですよね。この前の答弁は修正をされる気はありませんか。
河野政府参考人 役員の選任のための総会以前の取締役会、ここで選任されたことは事実でございます。ただ、その前に、株主としての石油公団にそういった説明があったかとは思います。通産省についても、次官を経験した方ですから、何がしかの非公式な相談なり、それはあったかもしれません。
松本(剛)委員 申し上げたいのは、鈴木理事の質問のときに、昨年の公団法改正の直後に社長に就任をした、率直に言っていかがなものかということで質問をさせていただいたら、それは石油資源開発が選任した、こういう答弁だったんですよ。明らかにミスリードじゃないですか。
河野政府参考人 私、細かい日時をとやこう申し上げるつもりはありませんけれども、石油公団の昨年の改正法は、六月のたしか十三日に成立をさせていただきました。そして、石油資源開発の方はたしか、私の記憶が正しければ、先ほど申し上げた取締役の選任の取締役会、これは五月の末だったのではないかと思います。これも私の記憶が正しければ、その時点で石油資源開発は公表しているというふうに認識しております。
松本(剛)委員 鈴木議員は質問で、六月二十六日に就任をしたというふうに聞いていると記憶をしておりますが、その辺、御訂正もなかったと思いますけれども。
河野政府参考人 今申し上げたのは、役員就任の手続でございまして、株主総会で承認を受けるためのその役員布陣の取締役会は五月の末に行われ、その段階で公表をしているという状況でございまして、法案の成立そのものはたしか六月の十三日に通していただいたというふうに思っていますから、法案が通った後でやったということではなくて、確かに就任は六月の二十何日かの株主総会だというふうに思っております。
松本(剛)委員 あらかじめ決まっていた。今、逆に言えば、棚橋氏を社長にすることを前提に五月に取締役会が開かれ、それから株主総会が開かれるわけですよね。ですから、国会の中であれほど天下りが議論になっている、その中で株主総会という形で、これは逆に言えば、石油公団がオーケーを出すも、とめるもできる話ですよね。それに対して鈴木理事が質問をさせていただいたのに対して、それは石油資源開発株式会社の選任だ、この一言の答弁というのは明らかに政府に誠意がないというふうに思いますけれども、エネルギー庁長官、もう一度答弁をされる気はありませんか。
河野政府参考人 私は、選任の過程について御説明を申し上げたというふうに思っております。天下りの問題について政府としてどういう態度で臨むか、その姿勢の問題については、先ほど来大臣からるる答弁申し上げているとおりでございます。
松本(剛)委員 一昨日の議事録がまだ上がっておりませんので、私はビデオを全部見ました。ですから、そのときにはこれほど細かい経緯をきちっと御説明になっておられません。むしろ、鈴木理事の質問に対して、それは資源開発株式会社の選任だ、その一言で終わっておられるわけでありまして、そこはきちっとこれから国会の答弁というものに対して、やはり誠意を持って御答弁をいただきたい。
 これは、総裁とそれから長官、また大臣にも確認をさせていただきたいと思いますが、公団の人事は当然にして経済産業省にかかわりを持っておられると思いますが、今申し上げたように、その先のいわゆる出資会社の役員の選任というのも、株主である石油公団が、ひいてはその責任者である総裁が全責任を負われてしかるべきだ。ほとんどの出資会社において最大株主であるわけでありますから、少なくとも最大株主である出資会社の役員の選任は、すべて総裁が責任を持たれるべきだと私は思いますが、その点は総裁の御認識はいかがですか。
鎌田参考人 お答え申し上げます。
 石油公団が投融資を行っておりますけれども、これはいわば石油の探鉱開発事業に対する支援措置として資金の提供ということでございまして、一般のビジネス社会におけるように、企業を支配するとかそういう意図は、考え方は全くないわけでございます。
 むしろ逆に、そういった意味で、できる限り民間の株主あるいは現在の経営陣の意向を尊重する、できるだけ自主的経営の自主性を尊重する、こういう考え方でやっておりまして、格別に問題がない限りは私どもは株主権の行使というようなことも考えない、こういうことにいたしております。
松本(剛)委員 議決権を行使されないということですか。それとも、議決権は、格別の問題がなければ事実上いつもオーケーということですか。
鎌田参考人 お答え申し上げます。
 事前に協議が参りますので、それについて、事前に協議があるということは、私ども大株主だということで事前の協議があるんだろうと思います。事前の協議があった際に私どもが判断する基準として、考え方として、今申し上げたようなことで、できる限り経営の自主性を尊重するということでやらせていただいているということを申し上げたかったわけでございます。
松本(剛)委員 そうしますと、先ほども話がありましたように、大変多くの方が出資先の会社の役員に就任をされている。これは、民間の側の方々から、ぜひに来てくれ、こうお招きがあって就任をされている、こういう理解でよろしいんですか、総裁。
鎌田参考人 個々のケースについて、私ども、どういう経緯でそういう人選が行われたかということを必ずしも承知しておりません。まあまあ、いろいろなケースがあるんじゃないかというふうに何となしに感じる次第でございます。
松本(剛)委員 先ほどエネルギー庁長官が、通産省の出身であれば非公式に相談もあるかもしれないとおっしゃいました。ある意味では率直なお話であっただろうというふうに思います。
 また、今総裁が、いろいろなケースというのは、ある意味ではもうやみからやみで何だかわからぬということになってしまう。そういうところにきちっとしたルールがないところがおかしなことになる。各出資会社の役員は、いや、私たちは基本的に議決権は向こうから上がってくるものをオーケーしたんだから、私たちは責任がない、そういう意味で総裁はおっしゃったんですか。私は、役員の選任についても石油公団は責任をきちっと持つべきだ、このようにも思いますが、いかがですか。
鎌田参考人 私が申し上げたかったのは、企業の経営の自主性をできるだけ尊重するということで、役員の選任自体は、企業自身が自主的に決定することだということでございます。その決定されたことについて私どもに事前に協議がございまして、その際には、格別の問題がない限りは事前の協議に対して同意する、こういう運用をやっているということを申し上げたわけでございます。
 その背景には、繰り返しになりますけれども、私どもが行っております出資というのは、石油の探鉱開発を支援するという資金の提供の一つの形態として行っているわけでございまして、一般のビジネス社会のように、企業を支配するとか企業を子会社化するとか、そういう考え方でやっている出資ではないということでございます。そのことをつけ加えさせていただきます。
松本(剛)委員 政府としては、石油公団をその政策目的に合致した活動がなされているかどうかということを含めて監督をされておられると思います。そして、その石油公団が事業推進を、政策目的に沿ってそれぞれのところで出資をされているわけであります。当然、その出資をされている先がどのような運営をされているかということについて、我々はただ金を出すだけなんだということでは、国民の方も大変困る話になるわけであります。
 今申し上げましたように、これだけ多くのそれぞれの省庁出身の方、また石油公団の出身の方もそれぞれの役員に出ておられます。中核となっている出資先の役員は、ある意味ではほとんど省庁もしくは石油公団の出身者と言っても過言ではないと思います。
 私も、この質問をさせていただくに先立って、石油公団の公団史とかそういうものもずっと拝見をさせていただきました。二十年史に、設立当時の方々の座談会が載っておりましたが、元理事の方が四人、座談会をやっておられますが、全員出資先の社長か専務になっておられる。これも、いずれも民間の方が、石油公団で御活躍をいただいていた方だから、省庁で御活躍をいただいていた方だから、ぜひにおいでくださいと言っておいでをいただいた、そういう理解でいいんですか。いろいろなケースがあるとおっしゃいましたが、これだけたくさんの方が行っていて、その説明だけではちょっと納得ができないんですが。
鎌田参考人 お答え申し上げます。
 石油公団のOBについての御質問だということでよろしゅうございますか。石油公団につきましては、石油開発分野での人材というのは、欧米のメジャー等に比べまして日本は大変手薄でございます。そういった意味で、石油公団というのは、人材養成というのを広い意味で一つの使命だというふうに私ども受けとめております。
 そういった意味で、技術者を中心に、本人の石油開発分野における能力、知見、経験、こういった点等を踏まえて、会社が役員として選任されているというふうに承知している次第でございます。
松本(剛)委員 もし本当に総裁がそう思われているんだとしたら、もう一度公団の中をしっかりと御点検をいただいて、意見を聞いてください。
 先ほども話が出ましたが、我々も手分けをして各社回ってまいりました。公団の出資を受けている会社ですから、あえて私はお名前は申し上げませんが、省庁出身ないしは石油公団出身の方がいらっしゃいますか、役員がいらっしゃいますかと申し上げました。その時点で実は役員はいない、しかし、今年度の決算で役員になる、公団の出身の方だというお話でした。
 これは、どういう経緯で来られたんですかとお聞きをしましたら、社長が、率直に申し上げて、とにかく人を引き取ってくれと石油公団に言われたと。社長としては、とにかく人をと言われたんだが、我が社もそう楽な経営ではないので、せめて仕事をする人間を出してくれ、こう申したところ、技術者の方が一人来られた、こういう話なんですよね。これは、私がその出資先の社長さんから直接お聞きをした話であります。
 総裁がもしそうおっしゃっているとすれば、公団の中で、総裁の意向と違う形で動いている方がいるということになってしまう。もう一度、公団の中を全部御点検いただくということをお約束いただけますか。
鎌田参考人 御答弁申し上げます。
 ただいまお話ございましたことは、私も承知いたしておりません。早速、どういうことであったのか、調査させていただきたいと思います。
松本(剛)委員 総裁が御存じでここで御答弁をいただいているのか、御存じでなくてこういったことがあり得るということを御答弁いただいているのか、私もはかりかねますけれども、現実の問題として、やはり今申し上げたように、これだけたくさんの公団の方が出資先へ行く。また、公団の監督省庁である経済産業省を中心に、各省庁の方が出資先の会社の役員に就任をしている。これが、公団は株主としての影響力は全く行使していない、民間で決めた結論だと言っても、納得がいかない。しかも、現場を回ってみれば、事実そういう話があるんですよ。きちっとまず公団の中をお調べいただくということをお約束いただけますか。長官、手を挙げておられますが、コメントをお願いします。
河野政府参考人 ただいま総裁がお答え申し上げましたように、プロセス、いろいろな形があったのではないかと思いますが、公団が出資先会社の大きな株式シェアを持つ株主であることは事実でございますから、その人事を承認した以上は、その人事が不適切であったというようなことであれば、やはり公団として一定の責任はあるというふうに思いますし、公団を監督しております経産省の立場としても、どういうかかわり合いか、あるいはその業績等々によるとは思いますけれども、一定の全般的な監督責任の中で考えるべき問題だと思います。
松本(剛)委員 出資先役員のことについて、公団また経済産業省として責任を持つという御答弁をいただいたというふうに理解をさせていただきたいと思います。
 一点だけ、総裁もおっしゃっていましたが、役員は各企業において選ばれるものとおっしゃっておられましたが、これは日本ではほとんどそうですが、これがそもそも日本の株式会社の誤りだと私は思っております。
 今、法務委員会などでコーポレートガバナンスとか商法改正の議論がなされていますが、株主が本来きちっとチェックをしなきゃいけない。どこかがチェックをしないと、きちっと回っていかないわけです。企業は、当然にしてある意味では執行部隊でありますから、そこが役員を選ぶ限りはチェック機能は果たせないわけであります。当然、監査とかそういう仕組みもつくられていますけれども、最大のチェックは株主なんですよ。その意味で、今申し上げたように、責任と同時に、私は公団にきちっとチェックをする責任がある。
 先ほど申しましたように、鈴木理事が聞いた棚橋社長の就任についても、その時期に不適切であれば不適切だと言う義務が私はあると。少なくとも昨年の就任に関しては、その間、先ほど議論が始まる前なのか後なのかという話はありましたけれども、天下りの問題そのものも含めてずっと議論されてきた話でありまして、明らかに公団法改正の年ということで、きちっとやっているわけでありますね。国会に対しても大変軽視をしていると我々が感じてもやむを得ない。不適切な判断であったということだけお認めになるかどうか、総裁の御意見を。
鎌田参考人 先ほど来、申し上げておりますように、公団の出資の意味合いでございますね。そういうことを踏まえて、できる限り会社の経営の自主性を尊重するということでやってきております。
 それで、役員の選任につきましても、基本的には会社が選ぶわけでございますけれども、私どもも、事前協議に当たりまして、経歴、資質等について資料をいただいておりますので、これは必ずしっかりチェックいたしております。今後とも、公団としては、こういったことでしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。
松本(剛)委員 不適切かどうかということに対するお返事はまだいただいていないように思いますけれども、いかがですか。
鎌田参考人 済みません、私、聞き漏らしたのでございますけれども……(松本(剛)委員「昨年の社長就任を株主として認めたことが不適切だったか適切だったか、いかがお考えですか」と呼ぶ)はい、そういうことですね。確認の意味で申し上げたんですけれども。
 私ども、協議を受けまして、これを適切だったというふうに考えております。
松本(剛)委員 大臣、天下りの問題というのは、私はこういうふうに理解をしております。
 公務員というのは、その立場では大変大きな権力をやはり持っている。だからこそ、李下に冠を正さずという言葉もあるんだろうと思います。したがいまして、天下りについても同じでありまして、今申しましたように、影響力は行使していないという話でしたが、株主として最大ということは、やはり大きな影響力は間違いなくあるわけです。したがって、棚橋氏の適否は私はここでは申し上げませんが、李下に冠を正さずという言葉を持ち出したように、そもそも、それだけ大きな影響力が推定をされる場合に、そういう形の人事を行うということが誤解を生むことにもなるし、また不適切なケースを生むことにもなる、これが天下りの問題の本質だと私は思っております。
 その意味で、今回のこのような中でこういった形で出資先の会社の社長に就任をされるということ、私は適当でないと思っておりますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
平沼国務大臣 今、大変厳しい経済情勢でもありますし、また国民の皆様方がやはり厳しい目で国の仕事あるいは特殊法人、そういったことを見詰められております、そういう中で、御指摘のように李下に冠を正さず、このことは私は必要なことだと思っています。
 棚橋氏の就任に関しましては、それぞれその棚橋さんの持っている識見だとか知見だとか経験、そういったことも加味されて選任をされた、こういうふうに思っております。しかし、御指摘のような点も私はしっかりと認識はして、これから対処していかなければならない、こういうふうに思います。
松本(剛)委員 大臣としては必ずしもベストな判断だったとは思わないというふうなニュアンスをいただいたというふうに私は理解をさせていただきます。しっかりそのことを受けとめて、大臣も、これから公団を指導すると同時に、その先の出資先についても報告を聴取しながら監督をしていただきたい、このように思います。
 もう時間が随分たってしまいました。
 さんざん議論が行われてきた話でありますけれども、この石油公団の使命というもの、これもずうっと過去の記録から今回の議論を拝見させていただきますと、公団は石油開発事業の母体である、そしてこの石油開発、自主開発事業こそが日本の国民のための安定供給に大変重要である、こういう論理構成で自主開発が行われているというふうに理解をしておりますが、それでよろしいでしょうか、大臣。
平沼国務大臣 石油公団というのは、御承知のように、昭和四十二年に石油開発公団、こういう形でスタートしました。
 その原点は、やはり日本は天然資源のエネルギーが非常に乏しい、ほとんどない、こういう観点の中で、やはり自主開発をしていかなければいかぬ、こういう形で鋭意自主開発に努めてまいりまして、これも松本先生よく御承知のように、当初は自主開発部分を三〇%にしよう、こういうことでやってまいりました。しかし、現在では約五十八万バレル、一三%まで来ているわけでございまして、目標は達成していないことは、私は非常に残念なことだと思っています。それからもう一つは、やはり一九七三年のオイルショック、この経験を生かして備蓄というものをしなければならない、こういう形で備蓄業務を加えました。
 そういう意味では、石油の自主開発、それからエネルギーの安定供給、そういう観点から備蓄という業務、それからまた石油を開発するに当たってのいわゆる研究開発、技術、そういったものも加味して、私は、今まで非常にある意味ではこの国家の中で相当の役割を果たしてきた、このように思っています。
松本(剛)委員 備蓄についても申し上げたいことはたくさんあるんですが、きょうは時間が限られていますので備蓄の方には触れない予定でございます。
 今、あえてお聞きをさせていただいたのは、石油を国民のために確保しなければいけない、極めて戦略的な物資であるということは私も理解をしているつもりであります。その方法が、自主開発が一つの方法だということであるかもしれませんが、そこにはやや論理の飛躍があるのではないかと私は実は思っております。
 石油公団、当時石油開発公団設立当初は各国ともそういう流れでいっていて、そうだったのかもしれませんが、国際情勢も、石油を取り巻くマーケットも変わってまいりました。しかも、自主開発というか石油の安定供給ということであれば、需給が逼迫した場合の対応、もしくはいわゆる緊急事態が発生した場合の対応の、一種の安全保障的な要素ということになるのではなかろうかというふうに思います。
 そうだとすると、今の自主開発の定義は、私が理解する限りでは日本の資本が入っているということではないかと思うんですが、もっときちっとした自主開発の定義というのがなされていないと、これはどこにお金をつぎ込んでいるのかわからないことになりかねない、こういう見直しの時期だからこそ、これをきちっと議論をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
平沼国務大臣 今、一三%、日量で五十八万バレル、これは自主開発分として確保しているということを申し上げました。その中で、エネルギー安全保障という問題で、御指摘のように、やはりそういう資金的に大きな部分を占めて、そして一たん緩急のときに相当程度の影響力を行使できる、これは非常に望ましいことだと思っております。
 そういう形でも努力はしてまいりましたけれども、いろいろな国際情勢、それから日本は戦いに敗れてこの部分で出おくれた、こういうようなこともありまして、ぎりぎりの努力をしてまいりましたけれども、そういった御指摘の面もあることは否めないと思います。
 しかし、そういう、参画をし、技術を加味して自主開発したということは、私は、エネルギー安定政策上非常に大きな意味があると思っておりまして、私どもは、基本的にそういう方針で今までもやってきましたし、これからも努力をしていかなければならない、その延長線の中で、例えばイランのアザデガンというような油田も、今鋭意日本の技術も注入をしながらやらせていただいている、こういうことでございます。
松本(剛)委員 時間が限られていますので、これ以上あれしませんが、ちょっと大臣に私が申し上げたかったことをやや申し上げれば、例えば、いわゆるメジャーと合弁のものもたくさんある、もしくは事実上オペレーターを外国資本、産油国にゆだねているものもある、また中東依存の率の問題はさんざん議論をされてきていますが、申し上げましたように、日本の国民にとって石油が安定的に供給をされるということであれば、中東から日本まで運ばれるその部分まで含めて、全体でトータルのプランができていなければいかぬということになります。
 とすれば、当然石油は、世界の中でもとれる場所というのは、どこにでもあるというものではありませんから、限られているということもわかりますけれども、戦略的に、日本に近いところであるとか日本と極めて関係の深いところとか、そういった動きが見えてこないと、政策目的として、国民のお金をつぎ込んでやっていくということには不適切だということになりかねないと私は思っております。今申しましたように、自主開発というもの、私が見る限りでは、国民のための要素がないとは言いませんけれども、むしろ石油開発産業の育成ということのウエートの方がはるかに大きく見えてならないわけであります。
 これは、産業育成のために使うという大義名分で使っていただくなら、それはそれで、経済産業省も各方面で産業育成もやっておられますが、これだけ莫大なお金をつぎ込むその理由としては、やはり国民のためということがあるからこそ、これだけ莫大なお金をつぎ込むことが許されていると私は思っておりますので、ぜひこの見直しを機会に、そういった自主開発の定義、戦略の立て方についても、しっかりとこれまでの反省を踏まえてやり直していただきたいと思っております。
平沼国務大臣 確かに、松本先生御指摘のように、今中東依存度というのが八八%になっています。そして、やはり戦略的にやらなければいかぬということで、私どもは、中東依存度を下げるという努力はしてまいりました。
 一時期は七〇%というような形に相なった時期もあるんですけれども、例えば一つ、分散をしていた、これはよく御承知のことだと思いますが、中国自体が輸入国に相なる、またインドネシア、そういったところもそういった形でやはり輸出量がほとんどなくなる、そういうような背景がありました。
 ですから、これから戦略的にやるのは、石油も含めて天然ガス、そういったものも、私どもは、やはり多角的に、分散をして、そしてエネルギー安全保障、そういったものに遺漏なきようにしていかなければならない。ですから、御指摘のように、やはり国民ということを視点に置いて、そして分散をする、こういうことは戦略としてこれからもやっていかなければならないことだ、そういう意識でやらせていただきたいと思っております。
松本(剛)委員 そのお金であります。いわゆる石特、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計という長い名前がついておりますが、これは大変複雑な仕組みになっておりまして、私も、きのう質問の準備で二時間説明を聞いて、やっと理解ができたのですが、個々の細かいことは申しません。
 一つ、私もその場でも議論させていただきました。先ほども大臣、答弁で、石油税、石油ガス税も含まれると思いますが、そこから必要な額を石特会計に入れているというふうに御答弁をされましたが、大臣御自身、石油税の収入と繰入額、比較をされたことがございますか。
平沼国務大臣 報告は受けておりまして、ここに表がございます。それはもう御存じの表だと思いますけれども、その都度報告は、私は受けております。
松本(剛)委員 配下の官僚の方々も、悪気があって大臣に御説明をしているとは思いませんが、先ほど、必要額を石特会計に繰り入れているという話でありますが、そして、必要額を繰り入れることになっているわけですから説明が間違っているとは思いませんが、現実に、石油税が、この三年間だけ見ても、四千八百二十億で繰り入れが四千七百五十億、昨年度予算でも、四千八百八十億で四千六百二十億、本年度でも、四千八百億で四千四百五十六億。昨今財務省がちょっと復権していると言われているせいか、百億ずつぐらい削られていますけれども、基本的に、石油税の収入はある一定の割合でほぼ石特会計に入るというふうに理解をしても、これは間違いないと思うのですよ。
 しかも、この仕組みを理解するのにきのう二時間かかったのですが、基本的に石特会計に入ったお金は出ないのですよ。不用額ということで予算上出ていますけれども、不用額も剰余金でぐるっと回ってまた石特会計に返ってくる。ですから、入りがほぼ一定額は確保されていて、そこからは絶対に出ない、これが今の石特会計の仕組みなんですよね。大変大きなお金を預かっているわけです。
 これも先ほど指摘がありましたが、石油公団の出資金に関しても、大変大きな繰越金が出ている。交付金に関しても繰越金が出ている。これは個々の探鉱事業についても繰越金が出ている。これもきのう議論になったところですが、厳しい財務省にしては、毎年これだけ繰り越しが出ているのに、きちっと予算を認めるというのは大変なことでありまして、逆に言えば、石特会計を管理する経済産業省の責任は極めて重大だと。
 機動的な運用、ないしはその先の公団への出資ということに関して、かなりの裁量権が経済産業省に与えられているからこそ、私は繰り越しが出るんだと理解しておるのです。ですから、大変重要な役目を持っているということを、ぜひ大臣に御認識いただきたいと思います。
 そして、今申し上げましたように、だとすれば、よく各現場の省庁と財務省というのは厳しい査定とチェックのやりとりがあるという話ですが、それと同じことを公団と経済産業省の間でやっていただかないといけないというのが私の考えなんですよ。現実に、公団の実務も預かっておられるのは経済産業省の方々がやっておられる。これは山田議員も前の議論で話しておりました、出資先でも先輩、後輩じゃ物が言えぬということがある。
 これは率直に申し上げて、きのうたまたまで申しわけないのですが、御説明に来ていただいた公団の総務課長は経済産業省の企画官の二巡先輩でしたっけという話でありました。この体制で本当にチェックができるのかどうか。これは一度、組織の中をきちっと見ていただきたいと思いますし、現実に、今の石油政策の部門は当然推進部門ですから、公団とある意味では一体になって前へ進むとすれば、別のお金を支出する際のチェック機能というのを持たないと、私は同じことの繰り返しになるのではないかと思いますが、大臣の御意見を伺いたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘の点は、私は非常に正鵠を得ている御指摘だと思っています。したがって、繰り越しがあるということは、前の答弁のときにもお答えをいたしましたけれども、それはやはりこのエネルギー安全保障のための、いわゆる石油の払い出し、そういう場合に想定して、あった、用意していたものが、非常にある意味では幸いなことですけれども、そういう緊急事態が来なかった。あるいは、やはり内部努力をして、例えば民間のタンクの借り上げ料を低減した。そういうようなことで余剰金が出る。そして、さらに今、こういう中東情勢もありますから、いつ、どういうことが起こるかわからない。そういうために、繰り越し繰り越しに相なっています。
 しかし、御指摘のように、やはり私どもは、監督官庁として、そういう国民の税金をお預かりして、そしてそれを国家エネルギーの安全保障、そういう観点で使わせていただいていますので、その辺は、やはり今までもやっていると思いますけれども、これからもそういう形で、御指摘の点も踏まえてしっかりとチェックをしていかなければならない、このように思います。
松本(剛)委員 もう答弁は結構ですが、私は、特にこういう特別会計では、推進と受け入れ先というのは、これはどうしても一つになってやるわけでありますから、そこに対しては、組織の中でも、別にきちっとしたチェック機能を設けることを御検討いただきたいということを申し上げていたということを、少し念頭に置いておいていただきたいと思っております。
 そこで、時間も限られてまいりましたので、たくさん調べておったのですが、一点だけエネルギー庁長官に確認をさせていただきたいと思います。
 ジャパン石油開発という会社があります。九九年に千九百八十六億円、融資を出資に振りかえておられます。この決裁を拝見する限り、これは大臣決裁ですよね、財務の健全性を確保するためにということでありますが、具体的に、これは自己資本比率を上げるとか、そういう理解でいいわけですか。
河野政府参考人 このジャパン石油開発については、我が国有数の油田ということでございまして、これは何とか維持していきたいという考え方で対応してまいりました。石油公団、一九八六年から九五年にかけてだったと思いますが、貸付金元本の出資振りかえ等の措置を講じてきたわけでございます。
 今御指摘の九九年の九月には、石油公団の貸付元本の一部の千九百八十六億円を一たん弁済させた形で同額の出資を行ったわけでございますけれども、これは、そのまま放置すれば、この企業が債務超過に陥るという事態を回避するために講じた措置でございます。
松本(剛)委員 相当赤字が累積してきていることも事実ですけれども、この千九百八十六億円出資したときに、それまで未計上だったお金を計上されていますね。
 私が拝見をさせていただいたジャパン石油開発出資の理由というのは、国際的な信用を得るために出資をして財務比率を、よく財務の健全性を維持する必要があるということがありましたけれども、このときの少なくとも経理操作を見る限りは、これまで計上されていなかった長期の未収金、棚上げ利息を計上する分の埋め合わせとして出ているのですよ。はっきり申し上げれば、財務の健全性を向上させるのじゃなくて、これまで不適切だった経理を一度清算するために必要なお金をつぎ込んでいるというふうに指摘をされても仕方ないと思いますが、長官、いかがですか。
河野政府参考人 これは、一九九九年二月の石油審議会の開発部会石油公団開発事業委員会報告書の中で、ジャパン石油開発について、財務の健全性を維持するための措置を講じなければならないということで、その内容としては、今先生おっしゃったような、たしかジャパン石油側において簿外で処理をしていた借入金を簿内でしなければいけない、そういう是正措置を講ずる。と同時に、そういう是正措置に対応してこの企業の財務的な健全性を維持するということで、先ほど申し上げたような措置を講じたという背景でございます。
松本(剛)委員 これも、見る限り、恐らく財務の健全性が必要だということで関係方面の決裁をとっていると思うのですよ、そういうペーパーもつくられておるようですから。しかし、実態は、これまでいいかげんな処理をしてきたものを指摘されて、表へ出さなければいけなくなった。これを出したら債務超過になるからお金が要る。しかも、融資がありましたから、とりあえずお金を動かさずに済むのであれば、同日付で融資を回収して出資をするという形で、事実上お金は要らないという形で処理をされているわけでありますね。
 こういう形の処理というのは大変不明朗であります。もし、財務の比率、健全性ということであれば、バランスシートの自己資本比率の割合とかそれは、二年ほどたった今はまた全く同じような自己資本比率まで落ちてきているんです。だとすれば、また出資をしなきゃいけないという計算になるわけですよね。
 こういう、実態と違う理由で上に上げたり決裁を求めたりという形を、作文もある程度必要かもしれませんが、限度があるわけでありまして、ここはきちっとうみを出すべきところでこういう処理を、もう一度、これは総裁にも確認をしたいと思いますが、各出資先の会社の経理なりこれまでのものというのは、これはサハリン石油についても申し上げたいことがあったんですが、時間がなくなりましたので割愛をいたしますが、きちっと見ていただきたいというのが一つ。
 それから、減損会計の精神を取り入れて、ムバラス石油か何かは、出資をしているけれども石油公団のバランスシート上はゼロにしているというふうに理解をしておるんですが、では、このジャパン石油開発、おっしゃるとおり、これは日本の自主開発にとっては非常に大きなウエートを占めているということで、大事な会社だというのはわかります。傷をつけたくないということなのかもしれませんが、かために見るということであれば、今、出資金は丸々石油公団のバランスシートに計上されているわけでありますが、現実には三千億以上の資本金に対して、純資産額は二百億ぐらいしかないはずなんです。これが丸々計上されているというのは、石油公団の会計としても極めて不適切だと思いますけれども、見直される気はありませんか、総裁。
鎌田参考人 ジャパン石油開発の権益でございますが、これは二〇一八年までございます。キャッシュフロー分析によりまして長期損益見通しをジャパン石油開発についてやりますと、出資金の相当の分が返ってくる、こういうことになる、そういう事情がございます。
 一方、私ども、複数の監査法人と相談いたしまして、投融資損失引当金を個別ベースで積み上げているわけでございますが、実は、現在私ども、十年原則ということを採用しているわけでございますね。これは要するに、こういう石油開発事業の採算というのは、油価がどうなるか、それから為替レートがどうなるかによって大変大きく変わるわけでございます。そうしますと、合理的に予測できる範囲内は十年程度だろうということで、十年以内に清算が必要な会社については引当金を積んで、こういうことでございまして、ジャパン石油開発については、そういうケースに該当しないということで、今のような対応になっております。
松本(剛)委員 ジャパン石油開発さんの決算を、私も過去三年のは全部拝見させていただきました。公開の仕方についても、きのう所管の方には、もう少し積極的な公開をお願いしたいということも申し上げた部分があります。一つ一つの議論はいたしませんけれども、大変膨大な金額です。長期未収金も合わせたら大変膨大な金額であります。きちっと評価をする、これはエンロンじゃありませんけれども、粉飾決算と言われかねない可能性があります。
 監査法人まで信用できないと言うと語弊がありますが、たまたまきのうどこの監査法人かお伺いをしたら、二つの監査法人が関係されているそうでありましたが、一つは外務省の支援委員会をずっと監査してきた法人、もう一つは外務省の支援委員会に問題があるということで調査報告書をつくった法人ということであります。
 私は、その調査報告書の内容については予算委員会で質疑をさせていただいて、全く体をなしていないのではないかということを申し上げた記憶があるんですが、これは当然、監査法人は監査法人で責任を果たしていただかなければいけません。監査法人に任せているからいいよということでは全然だめでありまして、これはさっき申し上げましたように、経済産業省と公団の間もある意味ではしっかりした緊張関係を持ってチェックをしていただかなければいけませんし、公団と出資先も厳しいチェックをしていただかないといけないということであります。
 私から見ましても、このジャパン石油開発にしてもサハリン石油の経理処理にしても、かなりの問題を残したままだということを指摘させていただいて、熊代副大臣にもおいでいただいております、行革の、特殊法人の話について質問させていただきたいと思います。きょうは、大変お忙しいとお伺いをしましたが、ぜひにということでおいでいただきまして、大変感謝をいたしております。
 さて、特殊法人改革ということで、既に先般も自由党の達増議員との議論でも展開をされておられました。特殊法人の整理合理化計画で廃止をするというのは、その機能を存続されるような組織は残っても、その組織そのものが廃止をされればとりあえず廃止だという定義だという議論でありました。
 しかし、国民が求めているのはそういうことではないはずです。確かに、行政の文章としてはそうかもしれません。しかし、廃止後ですから、これも山田議員がたしか昨日か何か、その前かな、大臣と議論をしている中で話が出たと思います。要るのだったら閣議で反対をしろというような議論をしていたように私は議事録を拝見させていただきました。公団は廃止する、機能は独立行政法人に受け継ぐ、既存の資産は整理をして特殊会社に受け継ぐ。何が機能としてなくなるのかということについては、減免つき融資だという答弁しか議事録を拝見する限りではなかった。
 これで本当に石油公団は廃止をすると言っていいんでしょうか。まず、熊代副大臣に御意見をお伺いしたいと思います。
熊代副大臣 石油公団につきましては、御承知のとおりでございますけれども、幾つかの機能を独立行政法人に移す、そして、残りは資産処分等の清算のための組織を期限つきで設置する、三年程度ですね、そういうことでございます。
 そして、資産を整理した後に特殊会社として残れるものは残るということでございますが、私どもは、どうしても廃止しなければならないものは廃止する。当然、行政改革でございます。しかし、民間会社として立派にペイできるものは特殊会社としてとりあえずなっていただきまして、そして本格的な民間会社になる。そのことによりまして、それが十分ペイできるものであれば国民の皆様に株を持っていただくということですから、投下した資本は株を売却すれば回収できるということでございますので、国家財政を改善するという意味でも大きな行政改革ではないかということでございます。
 一つのものをどのように処理するかということは、合理的な処理を考えまして、しかも国家財政に大いに役立つ、あるいは民間でできるものは民間ということで、民間機能を活用する、そういう観点で総合的に見るということでございますので、今回のものは立派に行政改革になるというふうに理解しているところでございます。
松本(剛)委員 これで本当に国民に対して、きちっと廃止したと。
 今度できる特殊会社ですが、法律によって設立をされたものであれば、株式会社であっても特殊法人だと私は思いますが、熊代副大臣、いかがですか。
熊代副大臣 現在の特殊法人は法律で設立をされておりまして、いろいろな形がございますが、基本的には予算を認めまして、その予算の執行をさせて、例えば赤字が出て、それも合理的であれば最終的には国の範囲内で処理する、そんなことになります。
 しかし、特殊会社は、特殊というのは法律を定めているということと国が株式を持っているというような状況があるので特殊と言っておりますが、これは完全なる民間会社に移行する過程でございまして、お金を補てんしたり損失を補てんしたりすることは一切ございません。立派な民間会社として立ち行けば、それは株式を売却して国の財政の健全化に資する、立ち行かなければ倒産処理ということでございますので、特殊法人とはまるっきり違うというふうに考えているところでございます。
松本(剛)委員 大臣がお考えになっていることと違いますよね。
 大臣、これは議事録の答弁でも、特殊会社に残すべき資産について、産油国との関係で国との関与が必要なものは、国が関与をしているということがはっきりと示せなければいけないものについては特殊会社に残す、こうおっしゃったわけで、特殊会社というのは明らかに国が関与するということを前提に大臣はお考えだと思いますが、今の熊代副大臣のお話だと、全くのただの民間会社。
平沼国務大臣 私は、これをやる過程におきましては、自主開発でエネルギーの安定供給をしていくという前提に立てば、やはり公団が持っている出資あるいはリスクマネーあるいは備蓄、そういったものは残さなければいけない、そういう一つのコンセプトです。
 したがって、きのうの答弁では、何も全部いいものを残すということじゃなくて、今おっしゃったような形態のものは当然継続して残していかなければいかぬし、そのときはちゃんと検討委員会でこれをよく議論し、最終的には総理大臣がこれを協議になった上で、みんなの合意が得られるような形で移行していく、こういうことでございまして、熊代副大臣は一つの特殊会社の一般論を言われたのではないか、私はこういうふうに思っております。
松本(剛)委員 後で議事録を精査したらわかると思います。
 私の質疑時間が終了しましたが、平沼大臣は、六月十二日に、産油国との関係で国の関与を引き続き示す必要のあるものは特殊会社に承継すると。完全民営化と言われた熊代副大臣とは、完全民営化したら国の関与はなくなってしまうわけですから、明らかに違う話であります。
 最後に、これはやはり石原大臣においでいただき、さらには全体をまとめる総理にもおいでいただいて、ここの委員会でぜひ質疑をさせていただきたいということを委員長にお願いして、私の質疑は終わりたいと思います。
平沼国務大臣 ちょっと一言。
 将来は完全民営化ということを視野に入れているということをつけ加えさせていただきます。
谷畑委員長 達増拓也君。
達増委員 今の松本剛明委員の質問、石油公団廃止というのは本当に廃止なのかということに対して、熊代副大臣の答弁では、特殊法人改革になっているんだという答弁はあったわけですけれども、廃止なのだということは全然答弁の中で言及されませんで、やはり石油公団廃止、これは特殊法人等整理合理化計画に書いてあるわけですけれども、石油公団は廃止するというのは、やはりまやかしにすぎない、これもまた小泉パフォーマンスの一つにすぎないのかなという思いを新たにいたしました。
 石油公団は全然廃止にはなっていないけれども、特殊法人改革にはなっている、その特殊法人改革にはなっているという今の熊代副大臣の答弁についても、ここはちょっと疑問であります。確かに機構いじりにはなっております。それは、特殊法人金属鉱業事業団とともに二つの特殊法人が統合されて、一つの独立行政法人になる。ただ、そこのところが本当に改革の必要性に応じて行われることになるのか、そして、それが本当に改革になっているのかということを検証していきたいと思います。
 この独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構でありますけれども、まず、この機構の理事長について、これは、およそ独立行政法人の理事長は主務大臣が指名するということが独立行政法人通則法の方で決まっておりまして、新しくできる機構の理事長は経済産業大臣が指名する。石油公団の総裁はやはり大臣が任命だったわけですけれども、機構の方も経済産業大臣が指名するということですけれども、まず伺いたいのは、どういう人を指名するつもりなのかということであります。
 これがイギリスのエージェンシーの場合、独立行政法人という制度ができるに当たって参考にされた、イギリスでうまくいったエージェンシー制の場合は、一種、民間会社の社長さんみたいな、そういう改革の顔になる、そして国民に対するサービスを提供する顔になるような人をトップに据え、そのために公募をしたりもしているのですけれども、そういう公募をするつもりもあるのか、あわせて質問したいと思います。
平沼国務大臣 達増先生にお答えをいたします。
 御指摘のとおり、独立行政法人通則法第二十条で、その長につきましては、法人が行う事務及び事業に関して高度な知識及び経験を有する者、法人が行う事務及び事業を適正かつ効率的に運営することができる者、こういう中から主務大臣、経済産業大臣が任命することになる、そういうことを定めております。
 この機構の理事長につきまして、私はこの規定に従ってふさわしい人物を任命するつもりでおります。任命に当たりましては、今英国のエージェンシーの例をお出しになりましたけれども、公募を行うつもりは現時点持っておりません。しかし、いずれにしても、皆様方が納得いくそういう任命をしていきたい、このように思っています。
達増委員 役所の論理で、石油公団時代と同じように、通産省、経済産業省、次官を初めとするそういう高官が自動的に総裁になったように理事長になるのであれば、これは全然改革になっていないということを指摘したいと思います。
 さて、この機構の法案では、理事長と副理事長の任期が四年間ということになっておりまして、石油公団の三年よりも一年長くなっております。激動する国際情勢の中で、エネルギーに関しても機動的な判断、対応が求められる。石油開発についても結構、一年一年、そのときそのとき、理事長の仕事ぶり、副理事長の仕事ぶりというのは厳しくチェックされなければならないのではないかと思いますけれども、そこであえて四年という任期、石油公団よりも一年長い任期を設定した理由は何でしょうか。
河野政府参考人 先生もよく御存じのとおりに、独立行政法人の場合には、国が示しました中期目標に対応いたしまして、独立行政法人の側で中期計画あるいは年度計画をつくる、これを基礎として、いわゆる評価委員会によりまして評価をいたして、そして行われた人事についても、さまざまな評価、あるいはそれに対応する措置を講ずる、こういう仕組みになっているわけでございます。
 そこで、今回提案させていただきました機構の理事長、副理事長の任期を四年といたしましたのは、実は、資源機構の中期目標設定期間として現在想定しておりますのは四年間でございますので、四年間の任期を中期目標設定期間と合わせることによって業績評価を的確に行うということを念頭に置いたものでございます。
達増委員 そこで、独立行政法人通則法に基づいて任期の設定もやっているということなんですけれども、この辺に、無理に独立行政法人にすることでいろいろなゆがみが出てきているんじゃないかという思いがするわけであります。
 今、中期目標を四年間にするので、理事長、副理事長の任期も四年間にするということなんですけれども、中期目標というのは一体どういうものを定めなければならないかというのは、独立行政法人通則法の方に書いてあるんですけれども、
 中期目標においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 中期目標の期間
 二 業務運営の効率化に関する事項
 三 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
 四 財務内容の改善に関する事項
 五 その他業務運営に関する重要事項
独立行政法人というものがもともとイギリスのエージェンシー制を参考にしているのだなというのはこの辺に出てきておりまして、前回の質問でも申し上げましたが、イギリスのエージェンシー制というのは、政府、省庁が国民に対して直接行っている事務について、そのサービスを向上、そしてまたコスト削減、効率化するためにエージェンシーにする。だから、エージェンシーにした結果、ちゃんとその目標が達成されているかどうかをチェックするということが我が国の通則法の中期目標にもあるんでしょうけれども、我が国の独立行政法人というのは、なかなか国民に直接サービスを提供するようなものは少ないわけでありまして、イギリスの場合は、この前紹介したように、わかりやすい例は、刑務所とかあるいは外務省の旅券発給のような、そういうことをエージェンシーに移していく、だからサービスの向上とかはっきりわかるわけです。
 日本の場合だと、博物館なんかは国民に対する直接のサービスだからわかりやすいんですが、日本の独立行政法人はほとんどが研究機関ですよね。なぜか研究機関ばかり独立行政法人になっております。そこも国民に対する直接のサービスというのはないんですけれども、この石油公団の業務もまた国民に対する直接のサービスではないんですね。
 でも、この独立行政法人通則法によれば、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」というのを中期目標に定めなければならないことになっているんですが、この石油天然ガス・金属鉱物資源機構については、これはどのような中期目標になるんでしょうか。
河野政府参考人 先生今御指摘になりましたように、この中期目標は、独立行政法人通則法の二十九条の規定に基づいて、主務大臣が独立行政法人が達成すべき業務運営に関する目標を定めて指示をするということでございます。
 この独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構につきましても、法律に規定された業務の実施に当たりまして、石油、天然ガス、あるいは金属鉱物資源の開発支援、そして石油及び金属鉱物の備蓄、鉱害防止事業、こういった業務の効率的かつ効果的な業務運営を可能とするように目標を設定することが必要だと思っております。
 そこで、お尋ねのこの第三号の「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」でございます。
 確かに、一つの例として代表的な例ということなんでしょうか、「国民に対して提供するサービス」がありますけれども、全体として「業務の質の向上に関する事項」というふうにくくられているわけでございますので、その一環として、御指摘のように、基本的には、この独立行政法人は直接個々の国民の皆様にサービスを提供するということではございませんけれども、この業務の性格から見まして、この法人に託された役割を質よく果たすというために、国民生活あるいは社会経済の安定など、こうした公共上の見地から、例えば、我が国の石油の安定供給確保を目的といたしまして、多角的資源の確保のために、非中東案件、あるいは天然ガス案件、それから量的な側面から埋蔵量の大きい案件などを中心に支援することですとか、あるいは技術開発について申し上げれば、我が国企業が産油国との関係で石油等の権益を獲得するための重要なツールとして、より効果的な技術開発に努力を集中するですとか、さらには、我が国の開発関係企業の支援に際しまして、この独立行政法人に蓄積されております資源関係の情報、あるいは技術、こういったものを積極的に提供していくというようなことを例えば今念頭に置いて指示をしていくのかなというふうに考えているところでございます。
達増委員 中期目標を定める際には評価委員会の意見を聞かなければならないということにこの通則法でなっております。この独立行政法人通則法によれば、およそ独立行政法人については、主務官庁に評価委員会というチェック機関を置いて独立行政法人がちゃんとうまくいっているかをチェックしなければならない。ただ、そのチェックする観点はあくまでも行革の観点であって、ちゃんとサービスの向上とコストの削減、効率化が行われているかをチェックする部局なわけですね。それがこの独立行政法人通則法が想定している世界だと思うんです。
 ところが、今河野長官の答弁にあったような、そういう業務を中期目標の中に入れていくとすれば、かなり戦略的な内容なんですね。エネルギーの需給でありますとか石油、そういう市場の動きなどもにらみながら。
 そうしますと、単に効率化ですとかサービスの質の向上ですとか、行革的な観点のチェックしかできないような評価委員会限りでは、その中期目標の決定に関与できないと思うんですね。当然、総合資源エネルギー調査会ですとかあるいは石油審議会でしょうか、そうした政府の中にある戦略部門、そういったところの関与がなければ、今おっしゃったような中期目標というのは決められないと思うんですが、この辺どのようにやろうとしているんでしょうか。
河野政府参考人 御指摘のように、この資源機構、第三条にありますように、目的がございます。その目的は、石油天然ガス資源あるいは金属鉱物資源の開発を促進するために必要な業務、あるいは備蓄に必要な業務を行うことによって、石油など金属鉱産物の安定的かつ低廉な供給に資すること、これが目的でございまして、おっしゃるような戦略性を持った組織だというふうに思っております。
 そこで、その中期目標を定めるという場合には、当然この通則法の定めによりまして評価委員会の意見を聞くわけでございますが、そうした政策的な側面を念頭に置きますと、やはり経済産業大臣が資源機構の中期目標を定めます際には、総合資源エネルギー調査会の所掌に係る事項にやはり密接に関係するということであれば、その審議を踏まえることが適当だなというふうに思っております。
 なお、評価委員会そのものが全く専門性を欠いたものであるというふうには私は思っていないわけでございますけれども、両面からこの点については意見を踏まえる必要があろうかというふうに思います。
達増委員 やはり、博物館の経営改善というようなことであれば、まさに運営の効率化とか財務内容の改善、そしてサービスの質の向上といったところをチェックするための評価委員会というものがチェックしていればいいと思うんですけれども、そういった独立行政法人の本来想定する世界からやはりちょっとずれた話になるんじゃないかなと思うわけであります。
 この行革の観点から役所が独立行政法人をチェックしていくということについては、この通則法によれば、今の中期目標を定める場合のほかに、中期目標に基づいて独立行政法人が中期計画を立て、その認可を役所がする場合にも評価委員会の意見を聞かなければならないことになっていますし、また、独立行政法人の業務の実績を評価する際にも評価委員会の意見を聞かなければならないわけですが、これもその中期目標を定める場合と同じように、そういう行革の観点からチェックする部門だけではチェックできないような内容をこの石油天然ガス・金属鉱物資源機構というものはやっていくことになるわけでありましょうから、そこにもやはり総合資源エネルギー調査会なり石油審議会なり、そうした政府の役所の戦略部門のチェックというものが必要になってくるんじゃないかと思うんですが、その辺はどう調整してやっていくんでしょうか。
河野政府参考人 今私どもが考えておりますことは、機構の方が策定いたします中期計画につきましては、先生がおっしゃったことと若干異なっておりまして、この中期計画自身は経済産業大臣が定める中期目標、戦略的なものをいかに達成するかという具体的な計画でございます。
 資源エネルギー調査会の政策的な提言といいますか、鉱物資源あるいはエネルギーの安定的、効率的な供給の確保に関する事項に関して調査審議した結果は、既に経済産業大臣が定めております中期目標に反映されているわけでございますから、格別の事情がない限り、具体的な計画について総合資源エネルギー調査会が改めて中期計画の認可に関与することは必要ないのではないかなというふうに認識をしております。
 それから、実績の評価でございますが、これも独立行政法人通則法第十二条二項の規定によりまして評価委員会が評価をするということでございますので、これも中期目標に基づいて独立行政法人が作成した中期計画に沿って業務が行われているかどうか、その観点からの評価はその評価委員会の仕事ではないかと思います。
 ただ、評価委員会が評価をいたしました結果が、まさに総合資源エネルギー調査会が関与するべき政策的な目的が達成されていないとか、そういった問題を提起した場合には、そのことについてまた総合資源エネルギー調査会が何らかの提言なり審議なりをするということはあり得ることではないかと思う次第であります。
達増委員 今の点についてさらに質問をしますが、石油公団の問題点というのは二つあったんだと思うんですね。
 一つは、行革的な観点から見て、効率が悪い、どうもお金をむだに使っているのではないか、また人もむだに使っているのではないか、天下りなどで腐敗を生んでいるのではないか、そういう行革的な観点と、もう一つは、日本の国家の石油戦略のあり方として、いま一つ責任のある体制がとれていなかったのではないか、国家戦略として真剣に石油開発を進めていくという体制になっていなかったのではないか。これは、行革、政府を小さくすればいいとかいう観点よりは、むしろ一部政府を強化しなければならないところでもある、危機管理体制強化のようなものですから。そうした二つの観点が必要だと思うんですね。
 この独立行政法人化を進めて、評価委員会がチェックしていればいいんだという体制にしてしまうと、ともすれば、むだ遣いはないけれども、むだにはお金を投資しないけれども、結果として萎縮してしまって、さっぱり石油の自主開発の結果が出てこないとか、むだ遣いをしなければいいというだけではないと思うんですね。そこは必要な自主開発、またそれも、どの地域、どの国にするかという高度な戦略的な観点からもやっていかなければならない。それが果たしてうまくできるのかということを伺いたいんですが、どうでしょうか。
河野政府参考人 先ほど説明させていただきましたのは、中期目標の策定、これを経済産業大臣が行いまして、独立行政法人に指示をするということでございますので、この段階では、まさにおっしゃるような政策的なあるいは戦略的な側面を十分持っているかどうか、その点について総合資源エネルギー調査会の意見を踏まえてまいる、これが適当ではないかと思います。
 この目標が策定された後、それを具体的にどのように実行していくかということについては、先ほど申し上げましたように、評価委員会の方で主として評価をすることで適当だろうと思います。
 ただ、今先生おっしゃいましたように、せっかく策定した目標が実現されていないと、それについて何らかの評価が評価委員会において下るということで、それがまた政策面にあるいは戦略面にフィードバックされなければならないというようなことであれば、それはまた総合資源エネルギー調査会にもそれに対しての対応策なりをお諮りするということは当然あるのではないかというふうに思います。
達増委員 石油公団改革、あるいは日本の石油開発戦略の改革という観点からしますと、石油公団を廃止するみたいな、とにかく切ればいい、捨てればいいみたいな発想だけではなく、改めて国家の中枢の部分にそういう石油開発戦略をきちっと担える体制をつくっていくという発想も必要だと思うんです。
 自由党は、今回の武力事態特別委員会、いわゆる有事法制の対案として安全保障基本法と非常事態基本法案を二本出しているんですけれども、その非常事態基本法の中では、こういうエネルギー危機管理も含めて、平時から内閣が基本方針を定めて、やはりエネルギー危機管理、備蓄の問題も含め、また自主開発をどういうふうに進めていくかということは、内閣のもとで、石油、ガス、金属等の専門家のみならず、外交でありますとか防衛でありますとか、産業、運輸あるいは環境でありますとか、また恐らく金融の世界、エンロンなどを見ていますと、情報通信なども巻き込んだ、そういう省庁間の壁を取り払ったオール内閣として、そういうきちんとした戦略をつくれる体制をつくっていかなければならないと思うんです。
 今度、いわゆる改革の中で新しい機構ができるわけですが、この政府が出している法案の仕組みの中で、そういった問題点はどう解決されていくんでしょう。
古屋副大臣 委員御指摘のように、今後この資源機構の持つべき役割というのは、いろいろな知識とか経験とかが必要であるということはもう申し上げるまでもないことでありまして、今後も、この資源機構も含めて独立行政法人は非公務員化ということになっておりますので、そういった視点から、そこに採用する職員については柔軟な対応ができるということでございます。
 したがって、必要な分野につきましては、例えば中途採用をするとか任期採用をするとか、あるいは専門的知識のある方を集中的に採用するとか、あるいは出向者を募るとか、そういった弾力的な運用を通じて外部の専門家との交流というのを積極的に進めることにより、この独法がしっかり有効に、そして委員御指摘のような幅広い見地からの運営ができていくように努力をしていきたいと思っております。
達増委員 機構の業務として定められていることをきちんとやっていくためには、そういう外交、防衛から環境だとか金融だとか、いろいろな分野の人を機構の中に入れていくということもあると思うんですけれども、やはり根本的には内閣のもとできちっとやっていく体制をつくっていくべきじゃないかと思うわけであります。
 それで、我が国の石油・ガス開発における官民の役割についてちょっと改めて大臣に伺いたいと思うんですけれども、やはり石油公団の問題点というのは、官民の役割が中途半端であった。それは言いかえると、官民の間にもたれ合いが生じ、そこでさまざまなむだも生じて、また成果も期待するほど上がらなかったということがあるんだと思います。
 それで、物事がうまくいかない場合というのは大体意思決定に問題があると思うんですけれども、よりよい意思決定をするためには、まずきちんとした情報が手に入って、それをきちっと処理することが重要だと思いますけれども、ただ情報があればいい意思決定ができるかというと、最後は意思そのものの強さだと思うんですね。
 つまり、石油開発という一大事業をうまくやっていくためには、民間主導でやっていくのであれば、とにかく稼いでやるぞ、もうけてやるぞという強い意思。あるいは国の側であれば、とにかく、日本国民が石油がなくて困る、油が断たれて油断という言葉がオイルショックのころにありましたけれども、油断という状態は絶対日本には引き起こさないという強い意思。そういう強い意思が民の側にも官の側にもあって、それがうまく響き合ったときに、メジャーでありますとか大国でありますとか、そういったところに対抗してやっていけるんだと思います。
 メジャーというのは、とにかくどんなことをしてでももうけようという感じでやっているわけでありまして、しかも物すごい力もある。アメリカの大統領を決めるのに力を及ぼす、あるいは自分たちの身内から大統領を出すとかまでしちゃうわけでありまして、田中外務大臣が、田中眞紀子さんが外務大臣のとき、たしかオーストラリアの外務大臣だったと思いますが、ブッシュ大統領は石油業界から出た大統領だなんて言っていましたけれども。私は、ブッシュ大統領は石油業界だけを代表しているとは思わないんですけれども、ただ、石油業界、メジャーの側から見れば、自分たちの代表がホワイトハウスに入っているという気持ちでありましょう。
 それは、メジャーの、金を稼いでいくということと、アメリカが国家として、どの国に軍を送るとかどの国にミサイルを撃ち込むとか、そういうことまで関連してやっていく。そういうのに対抗するには、アラビア太郎と言われたあの山下太郎さんのように、もう本当にリスクマネーもとにかくできるだけ自分で調達して、とにかく自分の力でもうけてやるぞという強い意思を持った民間、また、毎度毎度不穏な例えで恐縮ですが、戦前の軍部であれば、とにかく石油の一滴は血の一滴ということで、南方の石油は絶対押さえるとか満州の資源は絶対だとか、それだけの命をかけた迫力で、国が資源というものを国民のために確保しようとしていた。
 ですから、石油公団体制というものには、いずれも欠けていたと思うんですね。そこを解決していかないと、そこを両方、強い意思を官民に育てていかないとうまくいかないと思うんですけれども、最後に大臣の考え、伺いたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 私、非常に重要な御指摘だと思います。
 一次エネルギーの過半を石油に依存しております。そして、今御指摘になられましたように、石油というものに関しましては、やはりメジャーというような存在がある、あるいは地域の問題がある、いろいろな問題があります。
 そういう意味では、やはり民間の活力を最大限利用して、そして活力ある民間産業をそういう部門に育てるということも必要ですけれども、しかし、やはりいろいろな条件がありますから、そういう意味では国がしっかりと担保しなければならない、こういう面は、御指摘のとおりであると思っています。
 ですから、そういう中で、私どもが今回お願いしている法案というのは、まさに民間でできるところは優良なものを育てていきながら、国がやはり担保すべき、そういう自主開発の部分ですとか備蓄の部分ですとか、あるいは研究開発、技術、こういった面は戦略的に国がやはりバックアップをしながら、両々相まって育てていく、これは私は御指摘のとおりだと思っておりまして、そういう方向で頑張らせていただきたい、このように思います。
達増委員 では、時間ですので、終わります。
谷畑委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
谷畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 前回十二日に続いて私は二回目の質問をさせていただきますが、最初に、十二日の委員会での河野長官の御答弁に関連してお伺いしたいと思います。
 去る十二日の委員会で、機構法案の第十一条第一項第三号の機構の業務に関して、河野長官は、「民間の石油探鉱開発企業がいよいよ開発段階に入ったというときに、民間とか政策金融機関などから資金調達する、その信用補完を行うという格好での支援をすることはあり得る」、このように答弁をされております。
 この質問は、私が、もう今後新しい機構に移った場合に減免つき融資などはやらないのかという関連での質問の中でこういう御答弁になったものでありますけれども、法案の第十一条第一項第三号を見ますと、「海外における石油等の探鉱及び採取並びに可燃性天然ガスの液化に必要な資金」に係る債務保証を行うこととなっております。長官の方は、民間の探鉱開発企業がいよいよ開発段階に入ったというときに債務保証を行うという御答弁でありましたけれども、法案では明確に、「海外における石油等の探鉱及び採取」、こう書いてあるわけであります。したがって、この条項からいえば、河野長官の答弁は明白に間違いの答弁ではなかったかと思いますが、いかがでしょうか。
河野政府参考人 前回お答え申し上げましたことについて、十分意を尽くせない、舌足らずであったかとおわび申し上げなければいけないと思います。
 御指摘のとおり、この法律の「業務の範囲」の第三号におきまして、「海外における石油等の探鉱及び採取」とありますから、これは、探鉱段階及び採取の段階、双方に債務保証の機能があるという権限が付与されているわけでございます。また、この規定は、現在の石油公団法の減免つき融資の部分はもちろん削除されているわけですが、債務保証の項目としてはこういう文言が使われているわけでございます。
 そして、典型的に使われるのは、先般申し上げましたように、開発段階に移行したときに債務保証、よりリスクの大きい探鉱段階には出資ということを企業側は選好するわけでございます。恐らく、企業としては、出資については、金利のつかないお金でございます。債務保証で資金調達をいたしますと、金融機関に金利も払い、保証料も払うということになるわけでございます。
 ただ、実際問題として、個々のプロジェクトを見た場合に、そのプロジェクトが開発段階にあるものの、探鉱段階もあわせてやっていかなければいけない、あるいは、産油国から、開発に移行するに当たって、ある部分、同時に探鉱もやってくれというようなケースがあり得るわけでございまして、そういった場合に、探鉱部分についても債務保証が及び得るという規定にさせていただいているわけでございます。
 ただ、いずれにせよ、出資もやった上に債務保証を上乗せするということではございませんので、その点、御理解いただきたいと思います。
大森委員 舌足らずという御発言はありましたけれども、私はこれは明らかに誤りだと思うんですね、答弁は。そうでしょう。私が、特にリスクの多いそういう融資等、とりわけ減免つき融資はもう全面的にやめるということのかかわりで聞く中で、あえて探鉱という言葉はお使いにならないで、いよいよ開発段階に入ったというときから債務保証は始まるという答弁をされたわけで、これは、条文上の探鉱の段階でも債務保証をやるんだということを答弁の中で意識的に隠された。つまり、もうその場しのぎの答弁ではなかったかと思うんです。
 そういう意味では、単に舌足らずということじゃなくて、明確に、それは誤りなら誤り、間違いなら間違いとしてきちんと訂正すべきだし、国会でそういういいかげんな答弁をしたということについては、これはおわびしていただきたいと思いますが、いかがですか。
河野政府参考人 この新しい独立行政法人に付与される業務の内容、政府として御提案させていただいておりますのはこの法文案にあるとおりでございますので、私のお答え申し上げたことで先生に誤解を与えていたということであれば、おわび申し上げなければいけないと思います。
大森委員 先般、私自身も、そして他の同僚議員も、今回のこういう法案改正、公団の廃止ではありますけれども、しかし、看板をかえただけで、全体として、七〇%から五〇%という若干の比率の変化はありますけれども、全然変わらないじゃないかということを指摘したわけなんですけれども、まさに条文上もそうだと思うんですね。
 結局、こういう国民的な批判にさらされた成功払い、減免つき融資というこの探鉱融資を廃止したと見せかけて、実際には、結局は税金につながる、税金で債務保証を行われるということで、これは、従来の減免つき融資、成功払い、その制度を結局形を変えて存続させることになると思うんです。
 これが、保証の比率が七〇%から五〇%と変わりますけれども、今回の質疑の中でも最大の問題の一つになっている膨大な不良債権、それの原因をつくり出す制度を、こういういわばちょっと国民の目をごまかすような形で、答弁上もそういういわばこそくな答弁をしてこれをごまかしていくというような手段をとっているということを厳しくただしておきたいと思います。
 こういうことで、独立行政法人になっても、石油の探鉱開発事業における不良債権の増大ということの歯どめにこれは本当になっていかないんじゃないかということを指摘して、次の質問に入りたいと思います。
 次に、石油備蓄問題でお聞きをしたいと思います。
 今回の改正で、石油の国家備蓄事業は、現在の石油公団の備蓄から国の直轄事業ということで機構に委託をされるわけでありますけれども、その実態は、備蓄されている原油、それを貯蔵しているタンク、それからその備蓄タンクが設置されている土地等の法的な所有関係、この所有権が石油公団や備蓄会社から国に移るということで、国家石油備蓄の見える姿、これには変化がないというぐあいに受けとめておりますけれども、これはいかがでしょうか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 今回の改正によりまして、現在石油公団が所有する国家備蓄原油及び国家備蓄会社が所有する国家備蓄基地は、御指摘のとおり国が所有することにいたしております。また、現在八社ございます国家石油備蓄会社をあわせて廃止することにいたしています。
 他方、以上の制度変更とともに、新たに設立される独立行政法人が国家備蓄の統合管理機能を担いまして、全国十カ所に点在する備蓄基地施設の操業の管理や国内需要に対応した多種多量の原油の調達、品質維持を含めた管理を一元的に行うことによりまして、平時の安全操業と緊急時における迅速な対応を行うことにしております。
 なお、国家備蓄基地の実際の操業につきましては、廃止される国家備蓄会社にかわりまして、危険物である原油を貯蔵する基地施設の運転操業、安全防災、施設管理等といった基地業務の特殊性にかんがみまして、これらを安全確実に行うことができるノウハウ、経験を持った純民間企業に委託をする、こういう形で備蓄をやっていきたい、このように思っております。
大森委員 今の御答弁にもありましたように、八つある備蓄会社は廃止され、それぞれの基地の純民間の操業サービス会社で存続するということになるわけなんですが、その場合、各備蓄基地はそれぞれに中核になっている石油会社があるわけですね。その石油会社が引き続き操業することに当面流れとしてなっていくんじゃないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
河野政府参考人 これは、国家備蓄会社が解散いたしますと、そこで今まで操業しておりました民間側の主体が最終的にどうされるかということになるわけでございますけれども、想定いたしておりますことは、民間側の主体で純民間の企業をつくっていただいて、それに対して独立行政法人がしかるべき業務を委託するというようなことが典型的には考えられるということでございます。
 その体制はいかにあるべきかという点について、きょうの午前中の御質疑で、各場所ごとになるのかあるいは全国一本になるのか、それはいろいろな多様性があるということで、基本的には民間の皆さんの考え方を尊重するというようなことを大臣の方から御答弁申し上げたところでございます。
大森委員 備蓄会社の、民間のサービス会社についてはお話ありましたけれども、現在それぞれの基地の中核になっている石油会社、それはどうなりますか。引き続き石油会社が、これは当面は当然各民間の操業サービス会社の中核となって、少なくとも当面はそういう状況が続くんじゃないかと思いますが、それはいかがですか。
河野政府参考人 これは、国備会社に民間の石油関係企業に約三割といいますか、それぐらいの出資を仰いだといいますか、そういう資金協力を得た背景には、その近傍に精製所を持っている石油会社、そこの危険物といいますか、可燃物であります石油を扱うノウハウなどをうまく使わせていただいて協力を得ようということも念頭にあって行ったわけでございます。
 今、国内の精製所というのは実は数が少し減っておりますので、必ずしも同じ場所に全部あるとは限らないわけでございますけれども、そういった意味での経験、ノウハウというのはこれからも生かされていく可能性はあると思います。ただ、先ほど申し上げたように、それがどのような体制になるかは今後の課題でございます。
大森委員 石油会社が、資金等の流れからいっても、これは当面自然の流れとして、今後民間の操業サービス会社についても、そのものは別として、当然これは出てくると思うんですね。
 そこで、質問を進めたいと思うんですが、今回の法改正が、石油開発あるいは国家石油備蓄の効率的運営、こういう観点から行われるものと受けとめているわけなんですが、国が直轄で石油備蓄を行うというぐあいにした場合、どこがどのように効率的になるのか。これは、定量的にこういうぐあいになりますということが示せるかどうかですね。例えば、直近の予算で各備蓄会社にどういう費目でどのぐらい支払われていて、それが国の直轄になったらこう節約、効率化できるんだということが説明できるのであれば、説明していただきたいと思います。
河野政府参考人 個々の国備会社に現在利用料として払っております費用は一千億円を上回る金額でございます。これを今後どういうふうに合理化していくかというのは現在においても課題でございますし、独立行政法人が備蓄の統合管理を責任を持ち、国の直轄として備蓄制度を運営していく上に当たっても課題だというふうに思っております。
 今回、特に備蓄を国に移すということでございまして、国の方で備蓄原油も、それから施設も保有することになるわけでございますけれども、実は、この備蓄原油と施設に関しては、二兆円の借入金がまだ残っているわけでございます。これも負債として国の負債になります。
 石油公団も公的存在としてそれなりの信用力を持って資金調達をしているわけでございますけれども、やはり国の信用力の方が高いわけでございまして、資金調達コストは低下が見込まれるというふうに思っております。ただ、これは金利情勢にもよりますので、今、それじゃ具体的にそれがいかほどのものかということは、私としてはちょっと申し上げにくいわけでございます。
 それから、今後も課題であると申し上げた、先ほど先生の御指摘にありました国家備蓄会社が廃止になったらどうなるかという、これは、独立行政法人から民間の、施設を持たないサービス会社といいますか、そこに引き続き何らかの格好で委託のようなことをする必要があると思います。そのコストの削減については、純民間企業の創意工夫によるコスト削減、あるいは、もちろん地元のこれまで貢献されてきた方の雇用には配慮していただきたいと思っていますけれども、人員の削減といったようなことで効率性を高めていただきたいという希望を持っております。
大森委員 そうしますと、そういう国費の節約でこのぐらいできると定量的な御説明はなかったようでありますけれども、石油を備蓄する場合、備蓄基地の用地取得費、それから原油を貯蔵するタンクの建設費や貯蔵する原油そのものの購入代金、これは、国で直轄で実施しようと石油公団が実施しようと必要不可欠なものということですね。これらの費用が適切に支出されているということを前提にすれば、効率的かどうかということは、結局直接の備蓄基地のオペレーションにかかわる経費、委託費、これが本当に適切かどうかということが一番この点で重要になってくると思うんです。
 そこで、この委託費の見積もりあるいは運営支出、それが適切かどうか、それをチェックする仕組み、これは、国直轄の場合とそれから石油公団の場合と変更になるのでしょうか。具体的にそれぞれについて、これまでどうであり、これからこうなって、より適切になり、あるいは変化はないんだったら変化はない、その辺を御説明いただけませんか。
河野政府参考人 まず、先ほどちょっと触れさせていただきました、国家備蓄会社に現在利用料として、先生おっしゃいましたように建設コストその他はもう既に固定のものでございますが、平成十三年度の決算において払われて確認されております金額は、千二百三十六億円でございます。前年度に比べますと八十八億円の減になってはおります。
 この予算が適正に使われているかどうか、このチェックでございますけれども、まず、石油公団が国家石油備蓄会社に年間操業予算を出させます、それがまた経済産業省に予算要求として出てくるわけでございますが、これは事前に査定を極力いたしております。
 それから、年二回、その予算が適正に執行されているかどうかの審査を石油公団が行っているという実態にございます。そして、予算の査定などの段階で、国家備蓄会社は八社ございますので、それぞれの備蓄会社ごとの運営経費の比較を行う、若干競争心といいますか、そういうことをやっていただくようなことで効率化に努めているという工夫をしているのでございます。
 さらに、私どもは、石油公団におきます予算執行の検査を行っておりますし、加えて、会計検査院が毎年石油公団に対して監査を行っております。それから、国家石油備蓄会社それ自身においても、公認会計士による監査を受けております。ちなみに、会計検査院の監査の方はおおよそ二年に一回受けているという実績になっていると思います。
 改革後のシステムでございますが、独立行政法人の業務全般について、備蓄も含めまして、独立行政法人通則法に定められた独立行政法人評価委員会の評価を受けることはもとよりでございます。さらに、国家備蓄に要する予算が一層適正かつ効率的に使われるような手続、あるいは先ほど申し上げたような工夫をさらに続けてまいりたいと思います。
大森委員 今、こうした運営費にかかわる費用の支出が適切に行われているかどうかとるる御説明がありましたけれども、こういうものが全く役に立っていなかったんだということが、この委員会でも問題になりましたけれども、国家備蓄会社の保全等工事の入札参加業者に対する勧告が公取委員会から出た、私はこの問題だと思うんですね。
 これに今回公正取引委員会が排除勧告をいたしましたけれども、これによりますと、白島以外の各国家石油備蓄会社七社が発注するメンテナンス等の工事について、それを受注する中核エンジニアリング会社が談合していたということで、排除勧告を出しております。この文書によりますと、遅くとも、遅くともという言葉がついているわけですが、平成十年、一九九八年四月一日以降発注された工事について談合していた、こういう文書になっております。
 それで、公正取引委員会に来ていただいておりますが、それ以前はなかったのか、どういう認識でいらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。
上杉政府参考人 お答えいたします。
 勧告書の記載によりますと、かねてから指名競争入札等の参加者として指名を受けた者の間で、入札において競合しないように入札価格の調整が行われてきたところ、私どもの調査結果によりまして、証拠により認定できる期間としては平成十年四月一日以降における行為であったということで、そのような事実を認定した上で勧告を行ったものでございます。
大森委員 そうしますと、公正取引委員会として確認できた証拠をもって示すことができる期間が平成十年以降だということで、今の御答弁でもかねてからそういう仕掛けがあったという御答弁でした。では、かねてからというのは、いつごろからでしょうか。長官です。
河野政府参考人 今回、公正取引委員会からこのような勧告を受けたということを大変遺憾に存じておりますけれども、今先生がおっしゃいましたシステムといいますか、そのような談合が行われているということは私どもは認識をしておりませんでした。ただし、この国家備蓄会社がその操業に当たって、基地によりますが、基本的に指名競争入札を行ってやってきたというのは大変歴史のあることだと思います。
大森委員 そうすると、経済産業省としては、こうした談合の事実については全く把握していなかったということですか。公正取引委員会が、かねてからそういう指名、正確な言葉はちょっと失念しましたけれども、そういう事実があったという指摘で確認できたのは平成十年ということでありますけれども、では、経済産業省として、そうした談合については一切把握していなかったということでしょうか。
河野政府参考人 そのような談合のようなことがあれば、もちろん私ども、注意するわけでございましょうから、把握しておりませんでした。
大森委員 そこはやはり、そうした、先ほどるる述べられた費用が適切に使われているかどうかという、いろいろなことが全く役に立っていなかったということになると思うのですね。
 去る二十五日付の日経新聞では、日石菱油エンジニアリングが、「系列会社が保全業務を受注し、出資した親会社の負担を軽減することで発注側も了解していた。競争はもともと行われていない」、こういうことまで述べているわけですね。このことは、このエンジニアリング会社が以前から談合を行っていたということを問わず語りに白状しているようなものだと思うわけです。
 公正取引委員会としては、こういうようなコメント、そしてこういう状況から、どういうような御見解をお持ちになるのでしょうか。
上杉政府参考人 私どもが六月二十四日に行いましたのは、独占禁止法四十八条に基づく勧告ということでございまして、公正取引委員会として、そのような事実があったと認めた上で行うものでございます。
 それに対しまして、法律上は、当事者がその内容についていろいろ不服があるということでございますと審判の開始を請求することができるということでございます。もちろん、当事会社、いろいろ言い分があるということは当然あることでございましょうから、私どもとしては、そのようなコメントが実際になされたかどうかは把握しておりませんけれども、しかるべき証拠及び法律上の問題というのを検討の上に行った処分であるということを申させていただきます。
大森委員 これは新聞上のコメントではありますけれども、恐らくこのとおりしゃべったと思うのですね。そういうことであれば、これはもう、かねてからそういう談合は行われていた、そういうことを間違いなく指摘できると思うのです。これは、石油備蓄会社に対して、直接的には当然石油公団が株主としてチェックするという責任があるわけなんですけれども、見逃していた石油公団の責任と同時に、経済産業省にも監督責任があると私は思います。
 これについて、昨年指摘をされ、今回勧告を受けて、それぞれどういうような対応を経済産業省として行ってこられたでしょうか。お答えいただきたいと思います。
古屋副大臣 今回、公取からこういう指摘があったということ、私どもも大変遺憾に存じておりまして、我々は石油公団を通じて国家備蓄会社に対する管理監督を行ってきておるわけでございますけれども、こういった勧告を受けたということは極めて遺憾でありまして、厳正に私どもも対処していかなくてはいけない、こういうふうに思っておるわけでございます。
 具体的には、まず石油公団に対して、措置の対象となった会社の指名停止を含めまして、国家石油備蓄会社への適正な措置及び再発の防止策を図るように指示をさせていただきました。
 そして、再発防止につきましては、例えば入札参加企業をふやすなど、入札方法の改善を含めて検討する場を設けまして、適切な契約方法について今後検討してまいりたいと思っております。二度とこういった不祥事が起きないように、我々としてもしっかり対応していきたいと思っております。
大森委員 指名停止を含む処分といいますか、関係業者に対してのそういうことも検討すること、それは当然きっちりやるべきでありますけれども、事態の認識として、指摘された十年以降のものなのか、それともずっと過去からさかのぼって行われていたのか。
 今回の質問に当たって、私は、例えば十年以前の過去五年間の受注企業はどこであり、それらの入札調書、入札結果はどういう状況であったのか、その資料を出すように言いましたけれども、今日に至るまでこれは出されていないわけであります。
 したがって、公取が証拠等の関係で指摘できるのは、こういう平成に限った十年以前については、五年間はどうであったか、これは経済産業省の責任としてきちんと調べていただきたいと思いますが、これはいかがですか。
河野政府参考人 石油公団を通じて受注実績を調査いたしまして、お知らせできると思います。
大森委員 それはぜひお願いをしたいと思います。こういう談合によって、これは当然国民の税金によって賄われているものが、不当に高額な価格形成が行われていた、そういう意味ではこれは大変重大な問題だと思うのですね。
 そこで、日石菱油のコメントではありませんけれども、むつ小川原と地下備蓄の串木野が東燃テクノ、それから苫小牧東部、地下備蓄の久慈が出光エンジ、それから上五島と志布志が日石菱油エンジということで、備蓄会社の中核石油会社と中核エンジニアリング会社と、これはもう完全に一体のものになっているわけですね、先ほども言いましたように。
 そういう点から、冒頭の質問の御答弁等にかかわりますけれども、こういう関係、こういう一体化している状況について、この談合との関係については、経済産業省は今後どのように対処されるのか、お聞きをしたいと思います。
河野政府参考人 国家備蓄会社が自前のタンクを持ち、そこで国家備蓄基地を運営するに当たって、歴史的に申しまして、先ほど申し上げましたように、近傍にリファイナリーを持ちます精製会社の技術的な力など、あるいは地縁、こういったもので協力を仰ぎながらやってきたという歴史があります。その結果、それぞれの国家備蓄会社に、先生が今中核的企業とおっしゃったようなところが民間出資分のかなりの割合の出資をしているわけでございます。
 今回、国備会社を廃止いたしますから公団の出資がなくなりまして、民間のみの出資のサービス会社になるわけでございます。その民間のみの施設を持たないサービス会社、これがどのような企業によって構成され、ごく自然に考えまして、今までそこの大きな株の割合を持っていたところはそれなりの役割を果たすということは、一方において期待されると思いますけれども、きょうの午前中の御質疑にありましたように、それがその地域だけで会社としてなるのか、あるいは全国共通のものとしてなるのか、その辺は、この民間側のみが株主になりますので、そこでの判断、合理性のある判断を尊重するということかと思っております。
大森委員 私が申し上げたいのは、今申し上げた石油会社、そして備蓄会社、そして行政指導責任を持つ経済産業省、この関係がもういわば一体化し、癒着化している。そのつなぎになっているのが、けさも質問ありましたけれども、天下りの問題だと思うんですね。
 これは前回も私どもの同僚議員が行いましたけれども、この備蓄会社に対しても、行政の側から提出された資料を見ましても、備蓄会社の役員、これを黄色で塗りつぶしましたけれども、官僚とそして公団、これが黄色ですね。あと、残ったところは石油会社系列の役員なわけですね。官僚と石油会社、それがこの備蓄会社の役員の大半を占めるという状況になっているわけですよ。
 ですから、これは、ある人は、油を備蓄するんじゃなくて、官僚、天下りを備蓄するんじゃないかと指摘されるぐらいでありますけれども、官僚だけでも各年度、全役員数の大体四割に達しているわけですね。
 ですから、こういう監督官庁を含む役所からも、直接監督すべき公団からも天下りを受け入れる、しかも、残りの役員は石油会社。そこの石油会社は、先般、石油鉱業連盟の献金が、自民党に対して十一年間で一億円を上回る献金と申し上げましたけれども、各備蓄基地の中核をなすこの石油会社で構成される石油連盟、こちらの方は、十一年間で七億九千八百万円自民党に献金が行われているわけであります。
 官僚と業界の癒着、そして、それにこういう献金という形を通じて政治家、政官業癒着の構造の中で今回の備蓄会社をめぐる談合事件が起こっているんだということで、今後、この石油公団の問題を考える上で、政官業癒着のこういう構造に本当にしっかりとメスを入れていかなくちゃならないということを指摘し、最後にこの点で大臣の御答弁を伺って、質問を終わりたいと思います。
平沼国務大臣 石油備蓄会社に関しましては、民間に操業の部門もゆだね、そして、自主的な運営をしていただくことになっております。御指摘のあった点は非常に重要な点でございますので、そういったことを踏まえて、監督官庁として努力をしていきたいと思っております。
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。
 きょうは、まず、昨日から新聞の報道をにぎわしております原子力立地給付金について、長官にお尋ねいたします。
 原子力立地給付金の拒否者リストが、資源エネルギー庁の外郭団体である電源地域振興センターから道県に渡されていたというものでございます。これは、原子力発電所の地元住民に給付される原子力立地給付金の受け取りを拒否した人が明らかになってしまう、自治体にそういう個人の情報が明らかになってしまうということでございますけれども、長官、この給付金のそもそもの趣旨はどういうものでございますか。
河野政府参考人 この原子力立地給付金は、原子力発電所など原子力施設が立地しております地域において電気料金の実質的な割引を図る、こういう目的で、それぞれの地域の電力の需要家の皆さんに対して、国から道あるいは県へ交付金を出させていただいて、それをもとに県が、この場合、電源地域振興センターを通しているわけでございますけれども、電気料金の割引相当の給付金を交付する、こういう仕組みでございます。
大島(令)委員 長官は、この拒否者リストが道県に外郭団体の電源地域振興センターから渡っていたことをいつの時点で、新聞報道の前なのか、それとも新聞報道で知ったのか、どの時点でお知りになったのか、お尋ねいたします。
河野政府参考人 今先生がおっしゃいました、具体的な作業を行っております電気事業者、これが、中には受け取りをされない方がおられる、その情報を振興センターの方に報告し、その報告が道県に渡っていた。先生おっしゃった、個人の、受け取らないかどうかということ以外にも、電力会社が事情を伺った、そのことが報告の形で道県まで行っていたということを承知いたしましたのは、この新聞報道の時点でございます。
大島(令)委員 では、平沼大臣に質問します。
 この問題は、さきの防衛庁での情報公開請求者リストの問題に通じるものがあると私は考えておりますが、そのような危機感を省の長として大臣はお持ちでしょうか。
平沼国務大臣 大島先生にお答えをさせていただきます。
 今、長官からその実態については御報告をさせていただきました。本件に係る情報収集、提供というのは、本給付金の交付を適正に行うために、電力会社、電源地域振興センター、そして道県の間で、受領を辞退したことについて確認する情報を伝達するものであると認識しております。これは、給付金の受領の辞退などによりまして補助事業に必要な経費が減少したことを証明することが必要なために、当該情報やリストを添付していたことから、道県に提供された、このように思っております。
 したがいまして、それ自体が直ちに不適当であるとは私は判断しておりませんけれども、ただし、個人情報の保護には万全を期すことが重要である、こういうふうに思っておりまして、今後、受領を辞退する事実の確認に当たりましては、その目的の達成に必要最小限の情報収集及び報告にとどめられるように、交付金の交付先である道県や電源地域振興センター、ここをよく指導していきたい、こういうふうに私は思っております。
大島(令)委員 長官に伺います。
 この給付金の趣旨は電気料金の割引ということでございますけれども、なぜエネルギー庁の外郭団体である振興センターが、こういう個人のリストを収集して道や県に渡さなければならないと考えているんでしょうか。
河野政府参考人 この振興センター自身は、国から交付金を受けました道あるいは県との契約に基づいて、この事業を一番直截にユーザーの方に接触できる電気事業者に委託をするという経路をたどってやってきたものでございます。
 そして、その情報がなぜこういうふうにさかのぼって道県に至ったかという点については、今大臣から御答弁申し上げたわけでございますけれども、電気料金の割引に見合う分の給付金を需要家の方に受け取っていただくというのがこの制度でございます。
 この制度をちゃんと運用しているかどうか、需要家の方はこれだけいるのに、予算がこれだけ減少している、執行が減少しているということがあれば、それはどなたかが辞退をされたとか受け取らないとおっしゃったということになるわけでしょうけれども、そういうことであるということを契約で引き受けている者としては確認するということでやってきたのだと思います。
 ただ、そのことと個人情報の重要性ということをよく考えて、今後の対策については、先ほど大臣から御答弁申し上げたようなことを私ども承っておりますので、そういうことで対応していきたいというふうに思っているわけでございます。
大島(令)委員 制度の運用のチェック、補助金がきちっと流れているかということであるならば、私はこのようなリストを電力会社が作成して地域振興センターに出すということに関しまして、非常に疑問に思うわけなんです。物があれば、実際それを、何らかの意思が働けば使いたくなるのがやはり人間の心情だと思うのです。
 電源地域振興センターの役員なんですが、理事長は元科学技術庁の振興局長、そして現在の専務理事は元国土庁長官官房審議官、そして常勤の理事には元通産省の方がおります。天下りの方々で理事長、専務理事、理事に一人おりますけれども、なっております。
 こういう官僚経験者であるからこそ、こういうことがいけないことだということはよく知っている立場だと私は思います。こういう立場の方が地域振興センターにおりながらこういうことが起きたということに対して、大臣はどのように思っていらっしゃいますか。
平沼国務大臣 電源地域振興センターの役員にそれぞれの役所の出身者がおられる、こういう御指摘です。それはやはり一定の経験ですとか知見ですとかそういった能力、そういうものも加味されてそれぞれ就任をしている、私はこういうふうに思っております。
 しかし、そういった情報でも、個人の守るべき情報に関してはやはり慎重にしなければならないと思っておりますから、そういう意味で、ただ、辞退をした人の氏名ですとかその辺はいいですけれども、どういう理由で辞退したかとか、そういうプライバシーにかかわるようなことは厳に慎まなければならないと思っておりまして、先ほどの御答弁の繰り返しになりますけれども、こういったことはあってはならないように私は指導監督をしていきたい、このように思います。
大島(令)委員 昨年、三カ所で、住民投票などによる原発立地の問題が行われました。すべてが、住民投票で住民の方が勝っているわけなんですけれども、私は、一体この制度が何の役に立つのかなと思いました。
 調べてみたところ、非常に難しい計算式でございますけれども、例えば八百から九百万キロワットアワーの原発を立地している地域には、一カ月当たり一戸千百円の電気料金の割引があります。これをわずかな個人の抵抗として拒否した方々が、理由とか名前までリストにされる、これは私は大変大きな問題だと思っております。
 逆に考えれば、思想、信条を試す踏み絵と考えることもできるわけなんですね。こういう補助金を上げますよ、原発反対とか嫌な人は千百円という金額でも要らないと。本当に踏み絵と同じような制度に一つ間違えればなると私は思います。
 大臣に伺いますけれども、経済産業省の部局において情報公開請求者の受け付け名簿ですとか一覧表をリスト化していないかどうか、このことをきっかけに一度検討するお考えをお持ちでしょうか。
平沼国務大臣 お尋ねの件について、私どもは省内で調べをいたしました。
 やはり、行政プロセス管理に必要なものは、私どもはそういうものはありますけれども、個人のいわゆるプライバシーに関すること、思想、信条に関すること、そういったことがいささかも外に漏れない、そういう体制はしっかりとつくっていかなければならない、このように思っています。
大島(令)委員 私は、防衛庁の情報公開リストの問題と、今回の原子力立地給付金のリストがエネ庁の外郭団体を通じて道や県という地方自治体に流れたということは、非常に国民としては深刻な危機であると思っているわけなんです。
 いろいろな形で私たちは思想、信条を持っているわけでございますけれども、それを、情報公開した、こういうものを要らないといって拒否をした、そういうことがすべてそれを扱う人たちの意思によって一覧表にされ、それがいつの間にか何らかの形で出ていく。これは、憲法で保障された私たちの基本的人権をも侵害する、一歩間違えれば非常に大きな問題であると私は思っているわけなんです。
 ですから、大臣におかれましても、経済産業省というのは、特に原子力政策を進めているわけですから、いろいろな方たちが情報公開請求、今後もあると思いますけれども、ぜひこのようなことが起きないように、監督責任者としてやっていただきたい。そのあたりの御決意、いま一度お聞かせ願いたいと思います。
平沼国務大臣 行政サービスを行っていく背景においては、ある限度までの情報管理というのは私は必要だと思っています。しかし、今大島先生が御指摘のように、個人の思想、信条にかかわるようなことはやはり厳に外に出さない、そういうことは基本的に私は守っていかなければならない、そういう観点で私も行政を行っていきたい、このように思います。
大島(令)委員 では、次に移りますけれども、前回、石油公団の資産処分業務を行う総合資源エネルギー調査会について、権限を伺いましたけれども、あいにく長官からは明確な答弁をいただけませんでした。
 ここには大変重要なポイントがあると私は思っております。一つ目は、第三者の有識者による委員会がなぜ石油公団に置かれるのか。二つ目は、石油公団が保有する資産の評価や処分を、総合資源エネルギー調査会が、例えばこの資産については売却して国庫に返すという意見に至ったら、それは本当に実現するのか、つまりこの委員会に権限はあるのか。もし権限がないのだとしたら、なぜそういったものをわざわざつくるのか。権限がない場合、つくるということであれば、ある種のアリバイですとか一応の手順と思われても仕方ないと私は思います。
 簡単な質問でございますので、総合資源エネルギー調査会に権限があるのかないのか、お答えいただきたいと思います。これは長官にお願いいたします。
河野政府参考人 今回御提案申し上げております法案の中には、総合資源エネルギー調査会の意見を聞かなければならないという旨、つまり、資産処分計画について経済産業大臣が石油公団からの申し出を認可するに際して、総合資源エネルギー調査会の意見を聞かなければならない旨明記されておりますし、総合資源エネルギー調査会の任務としても、この廃止法においてそういう任務がつけ加わっているということを、設置法の附則改正というようなこともやっているわけでございます。
 したがって、経済産業大臣からの諮問に応じて、しかるべきことをおっしゃるという権限が総合資源エネルギー調査会には付与されているというふうに申し上げられます。
大島(令)委員 今の御説明ですとちょっとわかりにくいのですが、では、石油公団所有の資産について、評価と処分の実施はどういう図式になってくるんでしょうか。
河野政府参考人 まず、石油公団それ自身は資産の処分の主体でございます。したがって、どのような資産がどのような評価を持つか、これはみずからの責任においてまず精査をする必要があるというふうに思います。その上で、これをまたどのように処分していくかという原案についても業務の一環として作成をして、しかし、それは経済産業大臣の認可を受けなければいけないということでございますので、そういった手続がとられることになります。
 そして、その認可をするに当たっては、経済産業大臣は総合資源エネルギー調査会の御意見を伺うということになっているわけでございます。さらにあわせて、その認可に当たって、行革本部長の内閣総理大臣に協議をするということも法律上の規定になっているわけでございます。
 したがいまして、石油公団がつくった計画がそれだけで終わるわけではなく、経済産業大臣の認可を受けることになっておりますし、また、その際、第三者機関の意見を経済産業大臣として承ることになっておりますし、また、繰り返しになりますけれども、行革本部長たる内閣総理大臣に協議を申し上げるという、いわば多重のプロセスを経て最終的に決定されていくということになります。
大島(令)委員 長官に伺います。
 総合資源エネルギー調査会の議論は公開されますでしょうか。
河野政府参考人 これは、基本的には審議会は公開でやっております。
 一つだけ留保させていただくとすると、個別企業の何か情報で出せないものがあるというときにどうするかという問題は残っていようかと思いますけれども、基本的には公開でございます。
大島(令)委員 では、独立行政法人について長官に伺います。
 特殊法人から独立行政法人に組織を変えることによって、一体何が根本的に変わるのか、以下四点に関して質問をいたします。
 まず、国との関係はどう変わるのか。二点目、国の関与はどういう内容に限られてくるのか。三点目、国の責任はどのように変わっていくのか。四点目、理事長の責任はどのようになるのか、御説明ください。
河野政府参考人 まず、国との関係でございますけれども、独立行政法人の場合には、経済産業大臣が中期目標を定めまして、この指示に基づいて独立行政法人自身が一定期間の事業計画をつくるということでございます。それを経済産業大臣に承認を求める。その際、それを経済産業大臣は通則法に基づきまして評価委員会に諮るということになります。
 目標の設定に際しましては、これはきょうの午前中の御質疑でございましたけれども、非常に政策的といいますか、戦略的な色彩がありますので、そこをあわせて総合資源エネルギー調査会にお諮りをするということが必要かというふうに思っております。現在の石油公団は、事業計画を単年度ごとに経済産業大臣の認可を受けるという仕組みで行われております。
 それから、国の関与は、今の御答弁、ちょっと重複的になりますのであれですけれども、独立行政法人の場合には、まず目標を示す、そして事業の実施については独立行政法人の主体性をむしろ活用する、そして事後評価をしっかりするというような基本的な考え方に成り立っているというふうに思います。
 国の責任でございますけれども、いずれにせよ、政策目標が円滑に達成されているかどうか、あるいは独立行政法人であれ、石油公団であれ、国として、予算を執行したりなんかすることについて適切に行われているかどうか、最終的にある一定のチェックをする責任が国にあるというふうに思っております。
 それから、理事長でございますけれども、これは石油公団の総裁についても経済産業大臣が任命権を持っておりますし、今回の独立行政法人も要件を法律上通則法によって定められておりますけれども、経済産業大臣の任命によるということでございます。
大島(令)委員 理事長の責任についてもう少し深くお答えいただけないでしょうか。
河野政府参考人 独立行政法人の場合には、通則法によりまして、そもそも独立行政法人の中期目標あるいは事業計画の遂行に関する評価委員会による評価というのがございます。この評価の結果いかんによっては、そういった規定が整備されておりまして、例えば大臣の方で、目標が達成されていないというような場合に任免権を発動する、あるいはペナルティーを給与面で設けるというようなことが可能になっているということでございます。
大島(令)委員 そうしますと、総務省の方にお伺いしますけれども、各府省の評価委員会が評価を行い、総務省の中に設けられました政策評価・独立行政法人評価委員会は、通知された評価の結果について、必要があると認めるときは当該評価委員会に対し意見を述べることができるというふうにございますけれども、そういうふうになった時点で初めて理事長の責任、先ほど長官が述べられた任免権ですとかいろいろなペナルティーですとか、そういうものが審議されるというふうになるんでしょうか。
塚本政府参考人 お答え申し上げます。
 この独立行政法人評価の仕組みにつきましては、ただいま先生御指摘のとおり、各府省評価委員会がまず評価を行う。この結果は大臣にも伝えられ、また公表されるということでございます。
 その後で、私どもの総務省に置かれました委員会が、確かにその結果を拝見して意見を述べるということでございますけれども、まず第一に、やはり独立行政法人評価委員会、各府省に置かれた委員会の結果というものは、それとして独立行政法人の仕組みの中でその法人の運営に反映されていくということが働くものと考えております。
 また、評価の結果につきましては、またこの中期計画の範囲内におきましてその業務の改善というのが図られていくわけでございますが、そうした中で直ちに、あるいはその後におきまして、私ども総務省に置かれました政策評価・独立行政法人評価委員会の意見というものも反映されていく、こういう二重の仕組みでこの業務の適切な運営が確保されていく、こういうことでございます。
大島(令)委員 もう少し、わからないので質問しますけれども、新しい独立行政法人というものができまして、国立大学もそのようになっていくということでございますけれども、各府省に置かれた独立行政法人評価委員会と、あとその束ね役の総務省の政策評価、行政評価局がやられるこの評価と理事長の責任というものの関連性に関しまして、少し明快に説明をいただきたいと思います。
塚本政府参考人 ただいま少し言葉足らずの面がございました。
 もとより、長の任免権は大臣にございます。したがいまして、大臣が勘案されるのは、まず各府省の独立行政法人評価委員会の行う評価ということでございます。
大島(令)委員 では、長官に伺います。
 今回の独立行政法人は、石油と金属を扱う法人になります。金属と石油という似ても似つかないものを扱う二つの特殊法人が一つになる、このことによってどのような効率化が図られるのか、お伺いいたします。
河野政府参考人 まず今回の改革でございますけれども、この二つの特殊法人を廃止し、統合ということに至りますに際しましては、それぞれの特殊法人が行ってまいりました事業を見直し、適正にするという作業をさせていただいております。そして、事業の関連性などを勘案しながら、効率的な事業の実施体制を構築するために、必要に応じて関係法人の組織について統合を行うということで、独立行政法人への移行を図ることとしたわけでございます。
 金属鉱業事業団と石油公団、金属と石油という違いはございますけれども、同じ資源エネルギー庁の傘下の組織でございます。両方とも地下資源という共通性もあるわけでございまして、また、安定供給の確保を図るという共通目的もあるというふうに思っておりますので、これが統合されるメリット、効率化ということは十分あるというふうに思っているのでございます。
 具体的に申し上げますと、資源開発などにかかわります情報収集ですとか、あるいはプロジェクト支援などにおける機能を強化していける。それから、地質調査などにかかわりますノウハウですとか、技術者のシナジー効果を図り得る。また、民間の石油備蓄の支援ですとか、レアメタルの備蓄における資金調達の業務を効率化し得る。ある意味では当然でございますが、総務ですとか経理部門の共通化によります整理合理化なども挙げられると思います。
 今後、この改革の趣旨に即しまして、統合メリットが十分発揮されますように、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構が設立が認められましたならば、そういった業務運営の効率化あるいはサービスなどの質の向上について、具体的に中期目標において提示をしていきたいというふうに考えております。
大島(令)委員 時間が参りましたけれども、私は、今回、石油天然ガスと金属鉱物資源機構、一緒になるわけなんですが、非常に幅広い業務を受け持つ、こうした内容をこの独立行政法人の理事長になられる方が一体どのように統括されていくのか。
 普通の理事長と比べますと、責任の重さが違ってくると思います。その理事長には、まさしく、業務量や内容の面においても大きな、先ほどからの政策評価という面で経営判断が求められ、また業績の評価もしていかなければいけない。一体どのようになっていくのか。午前中の質問もテレビで見ておりましたけれども、どういう方が任命されるのかなと、やはり疑問に思うわけなんです。
 最後に大臣、今の私の質問に対して考えをお聞かせください。
平沼国務大臣 午前中の質疑の中でも、英国型の独立行政法人、エージェンシーは公募型もある、こういう御質問もありました。それに対しまして、私は現時点では公募型は考えておりませんけれども、今御指摘のように、非常に広範にわたり、また国の基幹的なエネルギー政策、そして金属鉱業事業団の業務というのは工業国にとって必要なレアメタル等をしっかりと管理する、こういう機能もございますから、私どもは、その任に当たるふさわしい人をやはり国民の納得のいく透明性の中できちっと選ばなければならないと思っております。
大島(令)委員 ありがとうございました。
谷畑委員長 栗原博久君。
栗原委員 今までも与野党の方々、大変内容の充実した御質問をされ、また、平沼大臣初め皆様は本当に真摯にお答えされておるようでございますので、私、若干視点を変えて質問させてください。
 実は私、生まれも育ちも新潟県の新津市というところでございまして、ここは石油の産地でございまして、私の町は今、石油の里と言われて、石油の記念館などもありますし、また最近は、あの栄華を誇った石油王、中野さんというお宅もあるのでございますが、そこもやはり時代の波が押し寄せて、自分の邸宅を市から管理してもらう、そういう状況になっておるので、私は、やはり時代の趨勢の中で、この地下資源の石油というものの大変大きな変遷を感じております。
 例えば、今議論の中でも、いろいろ石油の自主開発などが議論され、かつて石油公団が我が国の石油の安定供給を海外に求めながら、そこにやはり公団の設立の趣旨と意義が実はあったと思うんですが、最近、石油はもはや商品化した中で、あるいはまた石油業法が昨年廃止になって、こうして製油所も大変自由化された。最近は電力も天然ガスもみんな自由化の波が押し寄せているようですが、そういう中にあって、私は、先人が日本のエネルギーを守るために、確保するためにどんなに苦労されたかということを実はしみじみと感じておるわけであります。
 太平洋戦争が勃発したのは、たしか昭和十六年の十二月何日でしたかね、大臣、よく日にちを覚えておられますが。ところがその三カ月前に、我が国は南方に石油を求めて帝国石油という会社を実はつくっているわけであります。まさしく、国家の資源を求めて帝国石油がつくられて、今日、その帝国石油は脈々とまだございますが、これは新潟の天然ガスとかあるいは油田を持っておるわけでありますが。
 そういう中で、議論すべきことは、試掘、油を掘るということはなかなか、これはばくちに相当するわけですね。私ども新津でも、私の友人も一番最初に新津の草水というところにおりまして、真柄家という昔のうちがあるんですが、これも、きょうあす、うちが倒産する寸前まで油を掘って当たった。先ほどの中野邸というのは、これは本当に一家逃亡するまでいって、ある日、石油が当たって莫大なる財産をつくったということなんです。これはもう万分の一の確率もあったかわかりません。
 だけれども、私は、こうして石油公団が海外に、我が国のそういう会社とのお互いに出資の中で、ワンプロジェクト・ワンカンパニーということでやってきて、本当に数%しか当たらない確率もあったと思うんですね。そういう今まで投資したものに比べて返ったものが少ないということで、いろいろ公団に対して批判がある。あるいはまた、公団そのものの運営についても、野党の筆頭の田中先生からもいろいろ御指摘がある。私は、本当にそれは公団の皆さんから反省してもらわねばならぬと思うんですよ。と同時に、我々は今自由にどこからでも油を買えるという時代かわかりません。しかし、いつ何どきまたそういう危機が来るかわからない。やはり自主開発した油田を我々は持たなきゃならない。
 そういう観点で、実は私のふるさとの、かつてのそういう、石油に人生をかけながら、そして石油というものを営々と守ってきた企業がみんな、去年、おととしか、もう会社を閉めてしまいました。一社、結城製油所というのがありましたけれども、これももう全部プラントを壊して、今度新しい温泉のようなものを掘って事業をやると。中野さんのところは、もう家屋敷を守れないということで市に買ってもらって、油田ももう全然動かなくなってしまったのであります。
 そういう中で、それはそれといたしまして、石油公団はナショナルフラッグとしての組織を失うわけですから、今までいろいろ産油国とおつき合いしてもらった、そういう国との信頼関係を失わないように、ぜひ私はお願いしたいと思います。
 また、かつてアラビア石油の問題も、二千億円の金が出なかった云々ということで権益をもう向こうの方にやった。今度、クウェートの問題が来年来るわけでありますが。こういう中で、大臣からは、我が国のこういうエネルギー資源に対してどのような――私はやはり資源外交も大事だと思うんですよ。よその国に参りますと、大統領がみずからその国に乗り込んでいって、自分のところの権益の資源を守るために交渉してくる。かつて日本は果たしてそこまでやってきたかというと、大変私は疑問を持つんですが。
 しかしながら、平沼大臣におかれましては、先ほどもおのおのの方々が、将来の総理大臣のお立場になるお方と言われているんですから、資源を、エネルギーを守るという立場での確固たる御所見をぜひひとつ、ちょっと質問の中になかったんですが、大臣の顔を見たらそれを質問したくなったので、ひとつよろしくお願いします。
平沼国務大臣 我が国で唯一産油県、昔秋田にも一部あったようですけれども、戦後唯一の産油県のそういう実情を踏まえたお話を承りまして、ある意味では一つの感懐を持たせていただきました。
 御指摘のように、天然資源の乏しい、エネルギー資源の乏しい日本にとっては、やはり石油というもの、エネルギーというものを戦略的に確保するということは、私は非常に大切だと思っています。そういう意味で、やはり自主開発というものは、エネルギーの安定供給を考えたときに、避けて通れない重要な課題だと思っております。
 一つは、時代の要請、内閣の方針の中で、御承知のように、いわゆる特殊法人を廃止しよう、そして民にできることは民に任せよう、こういう流れの中で、午前中の質疑の中でも、当委員会の昨年の質疑、それと逸脱した形である意味ではこの廃止法案をお願いしている、こういうこともあるわけですけれども、この法案を提出するに当たっても、実は国が自主開発の部分ではしっかりと戦略的に関与をしなければならない、そういった観点から、自主開発に伴いますリスクマネーといったものは、やはりナショナルフラッグが見えないと産油国も信用しません、そういう形でこれは担保をさせていただきました。
 それからもう一つは、やはり備蓄ということも大切でございます。これは七三年のオイルショック、その後のオイルショックを経験しておりますから、やはりこのことも我々は大切だと。
 そしてまた、日本が戦後いろいろな形で自主開発をしてまいりました。その過程においては、日本独自で開発した技術というのもあるわけであります。長くなりますからその詳細は申し上げませんけれども、そういった技術というものも、例えば国際的なそういうエネルギー外交をしていく上にとっては非常に大切な要素になるわけです。
 例えば、優先権を獲得することができましたイランの日量六十万バレルと想定されているアザデガン油田、これに対しても、日本の三次元の地震探査技術、こういうものが非常にイランをして評価せしめた、こういうことがありますので、私はそういう観点で、やはり戦略的にやらなければいかぬということで、この石油公団廃止の中でもそのことは担保をさせていただいた、このことは御理解をいただけると思います。
 それから、これからのエネルギー政策というのは戦略的にしっかりやっていかなければなりませんので、石油はもとより、天然ガス、あるいは新エネルギー、そしてさらには、日本は非常にこういう形では世界の先進国でありますけれども、省エネルギー、そういったことを含めて、私どもは戦略的に国家百年のエネルギーの計を考えていかなければならない、こういうふうに思っております。
栗原委員 今後もやはり当然、新しい組織でこの自主開発の支援、協力はすると思うんですね。そのとき、私、国の支援するお金のパイが、この新しくなったことによって縮まることも懸念しておるんですが、そうしますと、特殊会社が今度はできるということで、いろいろな先生方から御質問がありましたが、この特殊会社がどんどん仕事をすることは結構なことでしょう、ナショナルフラッグのもとで我が国の基本的なものを持つためにも。
 ただ、今までは確かに、ワンプロジェクト・ワンカンパニーでやる場合、出資をしたりあるいは融資をされましたね。まあ、当たらなければ全部パア、パアというか、国の方で負担するわけですか。債務保証は今度は六〇%から五〇%に落とすということでありますが……(発言する者あり)そうですか、済みません、七〇ですか。
 それで、私は、この特殊会社の方に、やはり特殊会社というのは国の方の意向が大変強いわけですから、そちらの方に金が行きまして、従来のやはりワンプロジェクト・ワンカンパニーのこういうところにお金の流れが少なくなっていくんじゃないかという一つの懸念を持っている方もおられると思うんですね。そういう点については、そういう心配はないかどうか、それを聞きたいと思うんです。
平沼国務大臣 今回、この法律を提出させていただいてお願いをしているわけでございますけれども、現下の厳しい一つの状況の中で、これまでの石油公団の運営の中で膨大な赤字ができた、その中でワンプロジェクト・ワンカンパニー、こういうお話がありました。
 これは栗原先生の御指摘のとおり、やはり石油開発というのは非常にリスクがつきものだ、したがって、一つのプロジェクトに一つの会社ということも、やはり産油国の思惑もあり、また危険分担というような形で、やむを得なく、膨大なそういうプロジェクトはワンカンパニーでやる、それが結果的に非常に大きな赤字に結びついたということも私は事実だと思います。
 ですから、そういう経験の反省の上に立って、私どもはやはりプロジェクトというものを厳選して、そして国民の税金というものを効率的に活用していかなければならない。そういう意味では、今までのように、むやみやたらにやるという形じゃなくて、やはり厳密に調査をして、そして可能性というものをよく検討した上で、その上でやはり思い切ってやる、こういう姿勢で私どもはやらなければいかぬと思っています。
 そういう意味で、何か非常にそれが弱まってしまって効果が全然上がらないんじゃないかというような御懸念のお話がございましたけれども、厳選をしながら、可能性のあるものについてはぴちっとかけるものはかける、こういう基本姿勢でやらなければならないと思っています。
栗原委員 私、大臣の仰せのとおりだと思います。私は、これから、例えばコアの地域も限定して、今までもうどこでもやったような嫌いがあったと思うんですね。ですから、やはりここぞというところの地域を限定して、そこで本当に選別も厳しくして、そのかわり、どんと出してやるということをひとつお願いしたいと思っています。
 資源エネルギー庁長官がお越しでございますので、ちょっと過去のことについて数字をお聞きしたいんですが、これまで減免つき融資や債務保証などいろいろやってきたけれども、事業ではいろいろ失敗を今までしているわけですが、そういう中で、この失敗によっての債務保証の履行がどの程度あったかということを数字で。
 それからもう一つは、今後この特殊会社、あるいはまた独立行政法人による開発の支援はどの程度の規模を行われるかということについてお聞きしたいと思うんです。
河野政府参考人 まず、過去の実績のお尋ねでございます。
 石油公団が行ってまいりました、平成十二年度決算までの石油公団によります石油開発事業に対します融資額の累計でございますが、これは一兆一千五十一億円でございます。それから、もう一つのお尋ねでございます債務保証引受額の累計でございますが、これは一兆一千五百五十二億円でございます。それについて失敗したものがあるという御指摘でございまして、その融資につきまして減免を既にいたしました額、これはこの時点で三千八百七億円でございます。それから、債務保証を履行いたしました金額は、この引き受けに対しまして五百一億円でございます。
 今後のこの独立行政法人が行います石油・天然ガス開発に関する支援の規模についてのお尋ねでございますけれども、現在、平成十四年度予算で石油公団関連の石油・天然ガス開発支援の予算といたしましては、もろもろ合わせまして四百四十五億円というのが実態でございます。
 今後新設されます独立行政法人につきましては、累次御説明申し上げましたように、減免つき融資業務の廃止でございますとか、出資比率の五割の上限化、あるいは今大臣も申し上げましたプロジェクトの厳選ということで効率的にやっていくわけでございます。
 ただ、具体的に将来の規模ということになりますと、独立行政法人が発足いたします時点におきまして、今後具体的なプロジェクトがどの程度立ち上がってくるかというようなこともございますので、もう少し将来の課題とさせていただきたいというふうに思います。
栗原委員 冒頭申しましたように、私ども新潟県は、資源というのは、電力は九百三十二億キロワット、これは柏崎刈羽の原発、それから新潟の東港の火力発電、あるいはまた、新潟には信濃川とか阿賀野川とか多くの河川がございますが、水力発電、実に県内で生産する七三%は新潟県外に行っているんですね。私は常に、新潟県は電力供給県ですから、やはり新潟県の電力を安くしてそこに産業を起こすべきだということは主張しているんですが。
 あわせまして、天然ガスですね。私の町でも今、国のお金で試掘ですか、掘っておるんですが、新潟には、日本海沖に天然ガスのガス田もありますし、あるいはまた、わずか日本の石油の〇・七、八%の生産量しかない石油もあります。あるいはガスは国内のガスの三%を生産して、パイプラインで新潟から、高崎とか長野とか前橋、この辺までずっと来ておるんですね。本当に、資源、エネルギーを出すのは新潟県が一番だと私は思うんですが、こういう地域に対するいろいろの支援策をお願いしたいと思うんですよ。
 それで、私、質問でございますけれども、大臣にお聞きしたいんですが、このような開発可能な探鉱とか、あるいはまたこういういろいろな事業がある。私ども新潟でも今、サハリンの北部から天然ガスを持ってくる。それには日本海ルート、太平洋ルートとあるらしいんですが、最近、需要の新規開拓あるいはまたパイプラインの設置基準が緩和された中で、規制緩和の中で従来よりも大変パイプラインを設置できるというようなことでございます。
 その中で、私ども新潟のようなところの支援は、税制上の問題もあります。こういうことで、生産県に対するどのような支援というものをお考えおき願えるかということを、ちょっと質問より外れている点もあるかもわかりませんが、せっかくの機会ですので。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 国内における石油・天然ガス開発における支援につきましては、まず、民間企業が実施できないような探鉱リスクの高い地域に対しましては、国内石油天然ガス基礎調査委託事業により、国が先行して調査を行い、その結果を民間企業に提供している、これがございます。
 また、民間企業が独自に行う国内での探鉱については、石油及び可燃性天然ガス資源開発法に基づきまして、最大五〇%の補助を行っております。発見された石油・天然ガスの開発段階には、日本政策投資銀行による低利融資を行っているところでございます。
 さらに、国内における石油・天然ガスの開発における税制といたしましては、石油天然ガスの減耗性に着目をいたしまして、開発企業が継続して事業に取り組めるように、探鉱準備金及び新鉱床探鉱費特別控除、いわゆる減耗控除制度、こういった制度を設けております。また、基礎試錐につきましては、現在、国の事業として実施しておりますが、その事業の重要性にかんがみまして、今後とも適宜適切に私どもは対応していく、このように思っております。
栗原委員 今、大臣から基礎試錐のお話がございましたので、長官に一つお聞きしたいんですが、新潟はあちこちによく基礎試錐をしていただいて、そのときに、私は思うんですけれども、掘ると何億かかかりますね。例えば温泉を掘りますと、一千メートルで大体一億かかると言われておるんですが、基礎試錐で掘りますと温泉が出てくるところもあるんですよ。
 今、新潟県で、ふるさと創生支援で一億ぐらい金をかけて市町村は温泉を掘っているんですね。私は、あれを見ましていつももったいないと思うんですが、法的ないろいろな規制もあるかもわからぬけれども、基礎試錐で試掘したところから温泉が出ましたら、せっかく国の金を使ってやるんですから、それをやはり地元市町村とかあるいはまた第三セクターとか、利用できるような、特例とは言いませんが、温情あるお取り扱いはできないものか、ひとつよろしくお願いいたします。
    〔委員長退席、伊藤(達)委員長代理着席〕
河野政府参考人 実は、そういう例もあるわけでございますが、基礎試錐の掘削の結果、石油天然ガスが残念ながら出ませんで、温泉が湧出するというようなことはあるのでございます。そういった場合には、この坑井を地方自治体が温泉として利用するような場合がございます。地方自治体の温泉利用につきましては、試錐を行いました場所の利害関係人でございます土地所有者と、それから、この場合国が事業をやっておりますから試錐者、土地掘削者の国が協議して利用を決めるということに相なります。
 余り多くはないのですが、過去、補助事業によって掘削いたしました結果、残念ながら石油天然ガスは出ず、温泉が出た、たしか新潟県の例だったように思いますが、町にその井戸を譲渡して活用されたという事例がございます。個々の案件については、それぞれ利害関係者との調整の上対応してまいりたいと思います。ただ、保安対策が必要になるという面がございます。
栗原委員 時間が参りましたので、この程度で質問を終わらせていただきますが、原油の市場価格が大変急騰しております。ここ数年はやはり高値に入っているように私は思うのでありまして、今月はアメリカのWTI原油が一時一バレル二十八ドル台になった。
 中東情勢を見ましても、イラクに対してブッシュ大統領が極めて厳しいことを申しておりますし、また、パレスチナとイラクとの、あるいはまたアラブの中で、これらの情勢をかんがみまして、石油の禁輸措置をなんということが最近何か言われているようでありますし、また、アメリカの二番目の輸入国であるベネズエラの情勢を見ましても、この前もクーデターが勃発して、一時大統領が何か拘束されたような話もあるわけです。
 こういう中で、やはり今後、安定しているような世界情勢でありますが、こういう産油国、中東あるいは南米、ベネズエラなどは、政情がこれから大変厳しくなってくると私は思うんですよ。そうしますと、日本のエネルギーを守るために資源外交は大変大事だ。事実、やはりブッシュ大統領が昨年の五月に、石油、ガス、電力などのエネルギーについての新エネルギー政策というものを打ち出しているわけであります。
 ぜひひとつ、先ほど大臣からも決意がありましたけれども、我が日本の国は資源がないわけですから、やはり資源をいかに安定的に輸入できるかということについては、そういう中でのエネルギー資源外交に、外務大臣云々だけじゃなくて、大臣から大いにひとつ指揮を振るっていただきたいと思いまして、私の質問を終わります。
 以上です。
    〔伊藤(達)委員長代理退席、委員長着席〕
谷畑委員長 竹本直一君。
竹本委員 大臣また副大臣の皆さん方、午前中から長時間御苦労さまでございます。
 いろいろ貴重な質問もあり、また、それに対して真摯な御答弁もあったのは重々皆さんもおわかりだと思うんですけれども、私は、今回の法案改正というのは、やはり事の起こりは行革の問題が事の起こりであって、いろいろな公団等の組織に非常にむだがある、だから、それをよくするためには民営化の手法を入れよう、こういう発想から今回行われたのが直接の動機であったと思うんです。
 同時に、この石油公団法の改正、公団の廃止という問題に直面いたしますと、忘れてならないのは、やはり日本という国は世界の中でどういう存在であり、どういう強みと、そして一番問題なのは、どういう弱みを持っておるか、こういうことを忘れてはいけない法改正だと私は思っております。
 言うまでもなく、新潟にはちょっと石油は出ますけれども、石油は全く生産量ゼロであります。比較いたしますと、アメリカの場合は、ふんだんに石油が出るわけであります。対外依存度を五割に抑えることができるわけでありますから、競馬でいえばハンディ戦みたいなもので、圧倒的に差があるんです。だから、それを忘れて議論したら大変な議論に陥る可能性がある。そういう思いで、資源外交がどうあるべきかということを中心に、幾つかの点について、大臣、そのほかの皆さん方にお聞きいたしたいと思っております。
 今、日本の必要原油量は日量四百三十万バレルということになっておりますけれども、供給量だけでいきましても、セブンシスターズと言われた、だんだんセブンじゃなくなってまいりましたけれども、ロイヤル・ダッチ・シェルでもその約半分ぐらいを一社で生産できる、こういうことでありますから、日本の石油消費量というのは物すごいものがあると思うんですけれども、その大半を一社で賄えるというこの現状を見ますと、こういったメジャーといいますか石油精製会社を無視しては何もできないという大前提をまず考えなきゃいけない、そのように思うわけであります。
 そのメジャーでございますけれども、最近、世界の趨勢を見ますと、いわゆるメジャーと言われるところは合従連衡をどんどん進めております。エクソンとモービルの合併、テキサコとシェブロンの合併、トタールフィナとエルフの合併、こういうものがございました。また、そういった結果として、今ロイヤル・ダッチ・シェルを申し上げましたけれども、最大のエクソン・モービルは石油換算で二百十五億バレルの埋蔵量を有しております。一日四百二十万バレルを生産しますから、日本の必要量をほぼ供給できる、こんなことになるのかなと思います。
 そういうことでありますから、こういったメジャーと言われる人たちと、そしてそれを産出している産油国の人たちと、我が国がどのような気持ちでつき合っていく必要があるのかということがやはり一番念頭に置いておかなければいけないことだと私は思うわけであります。
 そういう意味において、これからこういったところに食い込んでいくためには、資源外交の責任大臣として平沼大臣のお考えを過去の経験を踏まえてお聞きいたしたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘のように、天然エネルギー資源の乏しい我が国は、やはり戦略的にこのエネルギー政策を進めていかなければなりません。そういう戦略性の一環の中で石油公団も誕生して、それなりの実績を上げてきました。また、負の部分もずっと御審議の過程で出てきたことも事実です。しかし、例えば今、日本が使っている原油のうち一三%は自主開発の部分だ、こういうことも私は一つの実績だと思っています。
 確かに御指摘のように、メジャーのパワーというのは強大でございますし、また、エネルギー市場に働いている力というものも大変強大なものだと思っています。そういう意味で、私どもが自主開発を進めていくということは非常に大切なことでございまして、したがいまして、今回御指摘の、いわゆる行政改革の一環として、特殊法人の改革の中で石油公団を廃止する、こういうことに相なったわけでありますけれども、やはりエネルギー政策上必要な自主開発の部分でありますとか、あるいは安定供給のための備蓄の問題でございますとか、あるいは研究開発、技術の面、こういったことはやはり国がしっかり担保しなければいかぬ、これを基本に据えさせていただいたわけであります。
 それから、メジャーとの共存でありますけれども、やはりそういう一つの大きなパワーがありますし、また、いろいろな技術の蓄積ですとかノウハウを持っています。そういう意味で、私どもはメジャーと敵対するという形じゃなくて、やはり共存ができるような戦略を立てなければいけない。
 その中の一環として、何回も例を出しますけれども、例えば最優先権をとっておりますイランのアザデガン油田、これは日量六十万バレルというような大変強大な油田です。そういったところの開発に関しても、国際コンソーシアムをつくり、その中にやはりそういうメジャーも仲間入りをしていただいて、そしてお互いの補完関係の中でやっていく、こういう戦略も私は大切だと思っております。
 そういういろいろな総合的なアプローチの中で私どもはしっかりとした資源外交を展開していかなければならないと思っておりまして、昨年は、私は、中東四カ国も訪問させていただいて、そういった形で産油国との連携と理解を深める、こういった努力も引き続き傾けていきたい、こういうふうに思っています。
竹本委員 その資源外交なのでございますけれども、メジャーとの連携あるいは産油国とのいろいろな話し合い、そして握手をする、こういうことも必要だと思いますが、同時に、それに対応する我が国の企業の経営形態、規模等を見ますと、どうも今申し上げましたメジャーなんかは、上流部分、中流部分、下流部分と全部一気通貫で持っておりますね。日本の場合はそういう企業は見当たらない、こういう話でありますから、なかなか対等に扱ってもらえないところもあるんではないか。ならば、むしろ、政府も後押しをして、そういったメジャーと対等の交渉ができるような、上流、中流、下流、そして広大なファイナンス能力を持つような、そういう企業の育成ということも国策として私は考えた方がいいんではないかと。
 こういう話をしますと、石油公団がそうだ、こういうふうな話になるわけでございますが、その石油公団を今回廃止するわけであります。そうなりますと、欧米メジャーと対抗できるメジャー相当の企業を持たなくてもいいのかどうか、持つ必要があるとすればどういうふうな手だてで持とうと考えているのか、その辺についての考え方を聞きたいと思います。古屋副大臣、お願いします。
古屋副大臣 お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、欧米は川上から川下まで、一気通貫というお話をされましたけれども、まさしく包括的に高い国際競争力を持ってこのエネルギーの安定供給に貢献をしております。残念ながら、日本は、先ほど大臣からも何度か答弁がございましたように、参入時期が遅かった等々のいろいろな環境がございまして、出おくれたということは事実でございます。したがって、現時点で我が国でメジャーに匹敵するような企業は育っていないというのが実情でございます。
 ただ、平成十二年八月に石油審議会の中間報告でも、やはり中核的企業グループを育成していくということが極めて大切である、こういう指摘もされておりまして、私どももそういった視点に立って対応していくべきだと考えております。
 今後、この法案の後に、御承知のように特殊会社を設立するための法案を別途提出させていただくということに相なるわけでございますけれども、特に、その特殊会社が将来的にはいわば和製メジャーとでもいうべき中核的企業グループというものを形成していく一因になってもらうことを私どもも大いに期待いたしております。
竹本委員 その特殊会社が和製メジャーのはしりになればいいわけですけれども、その場合、この間からいろいろ議論になっております、政府の援助はどういう格好でやるのか、こういうことでございますけれども、今回の一連の改正の中で、従来の融資比率が七割であったのを五割に下げるとか、いろいろなことをやりました。経営の効率化という意味では、私はそれは一つのやり方だろうと思いますし、より自己責任、そしてリスクテーキングに対する自己責任を十分感じてもらって経営に当たっていただくということが必要でございます。
 同時に、資源ゼロの我が国でありますから、油田によっては、地域によっては、この石油利権はぜひとも確保したいというものがあってしかるべきだ、また、あり得ると思うのであります。そのときに、融資は五割しかできません、金利はこれ以上は下げられません、こういうこと、いわゆる民間ベースでやっておったのではとても対応できないことがあり得るんじゃないか。そこを、そういうものが出てきた場合どうするかという問題に対して、やはり真剣に考えておかなければいけないのではないかというふうに思います。
 平成十二年一月でしたか、当時の深谷大臣がサウジを訪れられまして、例のアラビア石油の問題を交渉されました。そして、国際協力銀行からの融資とか、いろいろな条件を出されたけれども、向こうは全部けってしまって、鉱物鉄道を敷設しろ、総額二千億円、それをくれ、こういう話でありました。私もあのニュースを初めて聞きましたときに、ひどいことを言う人たちだなと思いました。だけれども、事柄を別の面から見ますと、ある人に言わせると、二千億といったって、十年間でたった年間二百億ずつじゃないか、知れているじゃないか、こういう話もあります。
 しかし、私が思いましたのは、一民間企業に対して何で政府がそこまでやらなきゃいけないのか、こういう議論もあり得るんだと思いますが、むしろ、それをさらに逆から見たら、どうしてもこのサウジの油田の権益が必要であれば、採算抜きでやるということも必要だったんではないか。
 二千億、大きいと言いますけれども、年間一兆円のODAを出しておって、そして中国には年間二千億出している。だから、一年間中国へのODAを休ませていただけたら、風邪を引いたと言って休ませていただければ、それで十分賄える額じゃないかと。中国はほとんど礼を言いません。そういう礼を言わないところに金を上げるよりは、自分を守るために一番必要な生命線は、その金を一時転用して使うぐらいのことがあってもいいんではないかと私は思うわけであります。
 今回、日本の国債の評価がムーディーズで非常に下がりました。下がりました理由をいろいろムーディーズの関係者あるいは間接的な関係者も含めて聞きますと、日本は必要なことに対して変化できない政府である、そういう評価をしておるようであります。つまり、財政が赤字だから税金を上げればいいのに、消費税を上げられない。さりとて税金を下げて景気刺激もできない。だから、そういう動きのとれない政府に対して低い評価を与えた、こういう説明をされました。
 私は、やはりある意味では当たっているところではないかと。ならば、資源が必要であるというのならば、ODAをけってでもそれをやるぐらいの大きい動きを政治の力としてとることができるんではないかな、そのように思うわけであります。
 そういった中、先般、アザデガンの開発に係る交渉に平沼大臣が当たられました。いろいろ要求はあったとは思いますけれども、非常な御苦労があったと思いますが、ともかくつなぎをつけられたということは、これは大変なことだと私は思っております。
 そういう意味で、その場合にこちらから出す手だてが余りない、弾がないという状況の中で、幾ら大臣だといったって、何もない、弾を持たずに行って戦争に勝てるものじゃないだろうと。弾を持たせるという意味で、いざというときにはそういう政府の全面的なバックアップ、融資比率五割とは言わないというような、そういうものを政府としてはやはり持っていく必要があるんじゃないかと。
 資源外交に当たる場合の苦労と同時に、こういうものがあった方がいいんではないかという思いは平沼大臣もおありではないかと私は思いますので、その辺についての御意見をぜひ聞かせていただきたいと思います。
平沼国務大臣 大変前向きな御意見をちょうだいしたと思っています。
 アザデガンの油田につきましては、大変これは可能性のある、そして有望な油田でございまして、これは、油田の位置といたしましてはイラクとの国境付近にございます。原始埋蔵量というのが今わかっているだけで二百六十億バレルあります。そして、可採埋蔵量としては五十から七十億バレル、こういう形でございまして、非常に強大な油田でございます。
 これは、二〇〇〇年の八月に第一回のイランエネルギー協議を契機として一生懸命交渉を重ねまして、二〇〇〇年の十一月に、私も立ち会いましたけれども、ハタミ大統領訪日のときにザンギャネ石油担当大臣と、両国のエネルギー分野における協力に関する共同声明を発しまして、今言いましたアザデガン油田の開発に我が国の企業が優先的に交渉する、こういう権限を私どもはとったわけでございます。
 昨年六月から、我が国企業から開発計画が提出されまして、今我が国の企業群とイラン側との間で具体的な条件に関する交渉が順調に進んでいるところでございます。
 そういう意味で、御指摘のように、やはりここぞ一番というときには国として思い切ったことをやる、こういうことは私はある意味では非常に必要な判断があると思います。ですから、そういう御判断というのはある意味では正しいと思っております。
 しかし、今の一面は、例えばイランと実際に交渉してみますと、非常に、若年労働層がたくさんイランは余っている、それの対策がどうしても必要だ、そのためには中小企業を起こしたい。日本はまさに中小企業が経済の基盤を支えているじゃないか、だからそういったノウハウをぜひ日本から欲しいんだ、そのためには人材を派遣してくれ、こういうことをやって非常に評価されています。
 それからまた、我々は立地的には中東の非常にいいところに地政学的にあるんだ、だから日本からの投資をどんどんしてほしい、ですから今言った背景に基づいて私どもは投資ミッションも出させていただいた、そしてイラン側と具体的な投資、そういった形もやっています。
 ですから、ここぞ一番やることも必要ですけれども、同時に、やはり日本の持っているそういう強みというものを相手国との関係において強化をして、そして相手国に対してそれが非常に大きなきずなになって信頼関係を生んで、さらなるそういうリジッドな関係ができる、こういうこともあわせてやるべきだと私は思っておりまして、竹本先生の御判断は本当に心強い御判断だと思っております。
竹本委員 要は、中東産油国とはいえ、持っているのは石油だけでありますから、彼らの理想国家は、アメリカやあるいはEUとかあるいは日本のような、先進国としての豊かな生活を送っている国がやはり理想であります。国民全体の幸せを思えば、いずれそういった状態に一日も早く近づくために石油というパワーをどう使うかということを常に念頭に置きながらやっているんだと私は思っております。
 そういう意味で、今御指摘もありましたような日本の持てる優位性、そしてそれをまねしたいと思っているもの、あるいはそれを導入したいと思っているものをどんどん提供してやり、かわりに石油をもらう、こういうことは当然やっていただきたいというふうに思うわけでございます。
 一方、冒頭申し上げましたように、今回の改正は、今まで石油公団がやってきたこの一連の試掘、石油探しという状況が、余りに民間企業の経営手法から見たら非効率であった、むだが多過ぎる、こういったことが主体となっていろいろ批判があったんだと思います。特に、堀内元通産大臣から非常に厳しい御指摘があったと思いますが、こういった指摘に対して役所の方でも相当対応されたと思うんですけれども、それを簡単にちょっと御紹介をいただきたいと思います。
河野政府参考人 御指摘のように、石油危機などを背景にいたしまして、自主開発原油の量的確保に重きを置き、資金の効率的な運用に関し十分でなかったのではないかという反省がございます。また、大規模なお金を使わせていただいているわけでありますけれども、事業運営についての情報公開が十分であったかどうかという点についても反省をいたしております。また、減免つき融資を含めまして七割、公的機関の方から資金が出るということについても反省をしたということでございます。
 こうしたことから、事業運営についての問題点の検討を石油公団再建検討委員会あるいは石油公団開発事業委員会におきまして徹底的な見直しを行いまして、透明化あるいは連結決算、プロジェクトの審査等々、そこで指摘された事項のほとんどすべてを行っているところでございます。
 もうちょっと具体的に紹介させていただければ、プロジェクトの採択の審査につきましては、メジャーも採用しております定量的評価手法を導入いたしました。また、石油公団の損益見通しの明確化という点につきましては、企業会計原則に準じた会計処理を導入したということでございまして、損失引当金の計上基準の見直しを行ったわけでございます。
 さらに、情報公開という点につきましては、石油公団決算に関します公認会計士による任意監査の導入あるいは石油公団及び出融資先会社におきます上場企業並みの情報開示、連結決算、これらを行いました。
 そこで、今般の特殊法人等改革におきましては、さらに開発関連資産の整理売却を実施するとともに、国として必要なリスクマネー供給機能、研究開発機能等は独立行政法人に行わせ、さらに業務の効率化あるいは対象プロジェクトの厳選を図るということとあわせまして、支援内容についても減免つき融資の廃止と、さらに支援比率を五割までに限定する、こういう措置を講ずることにさせていただいたところでございます。
竹本委員 そういった努力はある意味では当然といたしましても、私もちょっと今回、いろいろ調べてみてわかったんですが、石油公団に経営管理委員会がなくて、今はあるようですけれども、なかったというのは、やはり経営手法という意味では極めて欠落した部分があったのではないか。一概に特殊法人とはいいますけれども、他の公団の中には経営管理委員会をきちっとつくって、形だけでも経営管理をしているという視点、そういう姿勢を見せるだけでもやはり必要なので、それもなかったというのは極めておくれていたのではないかと私は正直思うところでございます。
 それはそれとして、今回、この法律改正が通りまして、そしてやがて特殊会社ができますと、独立行政法人と特殊会社との二輪の車で資源対策をやらなければいけないことになるわけでございますけれども、独立行政法人ができるわけですから、その役割をきちっと把握して、それに対して大いに日本の資源外交のために役立ってもらいたいな、私はそういう気概があるわけでございますが、そのうちの一つに、新しい技術開発ということに対して、なかなか民間ではチャレンジできないものがたくさんあると思うんです。そういったことに大きい力をかしていただきたい、大いに努力してもらいたい、そのように思います。
 そのうちの一つが、先ほど栗原先生から御質問ありましたサハリンのパイプラインプロジェクト。これも、大した技術じゃないと思いますけれども、採算性の問題として当然あり得るんだと思います。より大きくは、例えばオイルサンドの問題、カナダですかアラスカですか、オイルサンドがあって、日本の企業がそれを導入しようとしていたようでありますけれども、その辺の経緯がどうなったのか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
河野政府参考人 オイルサンドは、今御指摘のような場所あるいはカナダなどで存在確認をされております。残念ながら、今までのところ我が国に輸入された実績はないのでございますけれども、石油あるいは天然ガスと同時並行的に、こういったことも資源化していくという動きが世界の中であるのはそのとおりでございます。一時、我が国の企業でも関心を示す向きもあったわけですが、ちょっとこのところ、やはりコスト的な面でございましょうか、このオイルサンドへの関心というものがやや私どもの耳に達してこないような状況になっているわけでございます。
 いずれにいたしましても、こういう従来の石油あるいは天然ガス以外の、オイルサンドから油を出してくる、あるいはメタンハイドレートのような形で新しい天然ガスのソースを探るといったようなことは、我が国への資源供給の多様性を高めるということにつながるわけでございますので、大いに関心を持ってこれから注目してまいりたいと思います。
竹本委員 今長官の触れられたメタンハイドレートでございますけれども、これの利用可能性について少し詳しく説明してください。
河野政府参考人 本年の五月に、平沼大臣は、G8のエネルギー大臣会合で訪米されたわけでございますが、その際、カナダのエネルギー大臣などと個別の会談も持たれたのでございます。
 カナダとの間ではこのメタンハイドレートの話が出たわけでございますが、その背景には、先般、カナダなど五カ国と我が国の共同で、カナダのツンドラ地帯におきましてメタンハイドレートを試掘し、それを、御承知のように、通常メタンハイドレートは地中に固体といいますか、シャーベット状態であるものですから、掘り当てたとしても自噴をしないわけでございます。
 これをいかにガス化して抽出するか、また、それのエネルギーコストを少なくできるかということが課題なわけでございますけれども、少なくも、このカナダでの実験においては、初めて地中においてガス化したものを取り出すことに成功いたしまして、その発掘地といいますか、試掘地でありましたカナダ政府も大いに自慢げであったということでございました。
 メタンハイドレートは、試算によりますと、日本の、いわゆる南海トラフと申します太平洋岸の地層の中には相当量あるというふうに言われておりますので、これを、カナダのツンドラ地帯の方が日本の海底でやりますよりは実験的には易しいということで、まずそこでいたしました。
 今後は、日本の海底での試掘あるいは賦存量の調査、こういったものを実施していくと同時に、地中でガス化して取り出すということのためには、化学的な方法を用いるのか、あるいは熱を用いるのか、さまざまな技術があるわけでございますが、いずれにせよ、取り出すエネルギーより少ないエネルギーで取り出すということが肝心でございまして、そのための技術は残念ながらまだ私どもの手元にはないわけでございます。
 これらを計画的に進めていくということで、できることなら二〇一六年ぐらいをターゲットにして段階的にその調査あるいは技術開発を進めてまいりたいというふうに考えておりまして、これも現在の石油公団の任務の一つでございます。
竹本委員 二〇一六年という具体的な数字を出されましたけれども、そこまでの具体性があるのなら、ぜひとも、そういった技術開発に政府の金を投入してでも当たってもらいたい、そのように思うわけであります。
 先ほど申し上げましたけれども、従来七割の支援割合を五割にする、それは企業経営としては大事なことなんですけれども、物によっては一〇〇%もあっていいんじゃないかというのが私の思いであります。
 そうしませんと、国際的な戦略商品である石油について、我が国の繁栄のために常に安定的に必要だということになりますと、一地域に賦存して偏っている状態というのは極めて危険である、どうしても安定を欠く、したがって世界の幾つかの地点に、ここはだめでもこちらがあるという代替性のある地域を持たないとどうしようもないのではないか、そのように思うわけであります。そのために必要な金は、五割と言わず必要なものは使う、そのかわり、経理とかそういったものは十分公開して国民の理解を得るということが資源外交にとって絶対に必要な点ではないかというふうに思うわけであります。
 石油公団の問題は、もう何年にもわたって議論してきたことではありますけれども、前回、石油公団に新たな業務を追加し、その追加した石油公団を今回廃止するという、国民から見たらちょっとわかりにくい経路をたどっているのも事実であります。
 だから、私は、日本はそれだけハンディを持った国だということを国民にも認識してもらい、そのためには、通常でない方法をとってでもその生命線を確保する必要があるということをもっともっと関係者はPRすべきだと思うわけでありまして、そのPRが非常に欠けている。逆に、企業の透明性だとか効率性ということ、これは大事なことなんだけれども、それだけがすべてのような議論が進み過ぎるのは非常に残念ではないかというふうに思うわけであります。
 関係者の方は、ぜひ、こういった資源外交の必要性、重要性というもの、そして日本が世界に占める地位がいかなるものであるかということを、いかに経済大国とはいえ、この一つが欠ければ何もなくなるんだという危機感をも共有してもらうようなPRをもっともっとやるべきだと思います。
 最後に、こういった私の考えについて平沼大臣のお考えを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
平沼国務大臣 日本のエネルギー政策の基幹にかかわる大変重要な御指摘をいただいたと思っています。
 確かに、PRは非常に必要なことでございまして、私どもも振り返ってみて、いささかそういう面では努力が足りなかったのではないかと思っております。担当大臣として率先して、例えば国民の皆様方にアザデガン油田のそういった可能性についてももっと知っていただく、こういうことも、やはり国民の皆様方がエネルギーに大変理解を持ち、またある意味では、日本もやるべきことをやっているな、こういう安心感にもつながってくると思います。
 そういう意味で、いずれにしても、この経済大国を支えていく大切な石油、あるいはエネルギーというのは血液に等しいものですから、私どもも、しっかりとそのことは踏まえてやらせていただきたいと思います。
竹本委員 これで終わりますが、いずれにいたしましても、私は、今回の石油公団に絡む法改正もそうでございますけれども、政府がとろうとしている目標はどういう状態であるか、そのために今回どういう改正をするのかというPR、これをぜひとも国民に納得させていただかないと、あるときは公団の業務を拡大した、翌年はまたそれを廃止するという現実を、それだけを見てみますとなかなかわかりにくい。その国民的な意識との乖離ということを十分御認識の上、PRの努力、そして国民との一体感の上で資源外交を進めていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
谷畑委員長 増原義剛君。
増原委員 自由民主党の増原でございます。
 本日は、我が国のエネルギーの中でも特に重要なウエートを占めております石油関係、それを統括しております石油公団の関係につきまして、質問をさせていただきたいと思います。
 あらあらもう既に同僚議員からほとんど論点は出切っている、もう指摘をされ尽くしているというようなところがございまして、ダブる点も多々あろうと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
 かつて私が役所に入ったころでございますが、しばらくしていわゆる石油危機というものが二度にわたってまいりました。そのときは本当に大変な状況でございまして、当時私は、ボーナスよりも、給与の差額というのですか、物価上昇によります差額というものが多かった、何か暮れのボーナスを二回いただいたような記憶がございます。そのときは大変に我が国経済は本当にパニクりまして、そういう意味で、当時堺屋太一さんが「油断!」という本を書かれましたが、まさにエネルギーというものの持つ戦略性というのでしょうか、戦略的な重要性、これは私は非常に大きなものがあると。
 全体のエネルギー需給率の中で石油の占める割合が、徐々に下がってきているとはいいましても、まだ五〇%をやや超える、過半を超える状況にあるわけであります。そういった意味で、石油の備蓄、これも大事でありますし、一方で自主開発原油、これをきちっと確保していく、これが大事なんではないかというふうに思っております。
 そうした物の考え方の中で、今、行財政改革が厳しく進められております。とりわけ、石油公団、先ほど竹本議員の御質問にもございましたけれども、やや朝令暮改的な動きを、ジグザグの動きをしてきているなという感じも私も率直に言って持っております。
 そうした中で、もちろん、透明性、あるべき姿、正すべきものは厳にこれを正していかなくてはいけないと思っておりますけれども、それは石油公団のみならず、石油公団が出資、融資、あるいは債務保証をしている石油開発会社、あるいは備蓄会社すべてについて当たっていると思います。
 そうしたわけで、特に石油開発会社でございますけれども、相当以前から、いわゆるリスケを行ったり、あるいは債務、貸付金を出資金に振りかえたりしていろいろやってこられています。そして、最近もさらに鋭意やっていらっしゃるようでございますが、そういった特別対策をしてこられた会社も含めて、最近の石油開発会社に対する状況はどのようになっているか、エネ庁長官の方から御答弁いただければと思います。
河野政府参考人 先生今御指摘いただきましたように、石油公団の財務あるいは事業運営につきましては、さまざまな御意見をいただいた上で、石油公団の再建検討委員会、あるいは石油公団開発事業委員会、こういった場で徹底的な見直しを行わせていただきました。そして、そこで指摘された事項のほとんどすべてについて改革を実施しているという状況にあるのでございます。
 その中でも、御指摘のありましたような出融資先の石油開発会社の処理ということが重要課題でございまして、結論的に最近の状況を一つ申し上げますと、平成九年度末時点で百二十三社あった石油開発会社、これが平成十三年度末時点では八十二社になるまでの処理が進んだという状況にございます。
 また、この再建検討委員会などの御提言で利息を棚上げして資金繰り対策を行っておりますいわゆる特別対策会社の処理につきましても、二〇〇〇年八月に発表されました石油審議会開発部会の中間報告で、今後は、このような資金繰り対策の延長を行わないことによって事業の継続が困難と見込まれてしまうというような会社のうち、自主開発プロジェクトとして将来性がどうも乏しい、あるいは政策的意義もどうかというようなプロジェクトについては、早急に会社の整理を行うべしという御意見でございました。
 他方、自主開発プロジェクトとして将来性もあり、関連企業間の連携、統合の促進、あるいは中核的な企業グループの事業遂行能力向上に寄与する、そういったものなどにつきましては、適切な損失処理を行った上で民間プロジェクトとして再生を図るべきであるという提言をいただいたわけでございます。
 このような提言を踏まえまして、昨年には、二社について権益の売却を行いました。また、一社につきましては民事再生法に基づく再生処理を行うといったようなことで、着実に整理を進めてきているところでございます。
 今般の閣議決定では、「現在石油公団が保有する開発関連資産は、厳正に評価を行い、整理すべきものは整理し、売却すべきものは売却するなど、適正な処理を行う。」というふうにされているわけでございまして、今後、関係者のコンセンサスを得ながら、公明正大にこれが行われるように努めてまいりたいと考えております。
増原委員 どうもありがとうございました。
 次に、法案が成立しますと、この公団が廃止をされます。そして、その保有する、公団が持っております株式あるいは債権、こういったもの、これを今長官が言われましたように、いわゆる整理売却、資産処分等という形で、さらに引き続き公団の廃止まで残るわけでございます。
 問題はその処分なんですけれども、整理売却と言われているときに、整理は恐らく解散だと思います、その会社をもう採算性がないものとして閉める。問題は売却なんですけれども、私は、そのときに非常に注意をしなくてはいけないのは、同僚議員からも随分出ておりますが、それを別に法律で定めるときに特殊会社にしますということになっているんです。
 先ほど来、和製メジャーとかいろいろ言われていますが、非常にそこは、当該特殊会社、さらにはそれが最終的には民営化していくわけですけれども、それがどういう性格のものになるのかということを頭に置いていかないと、資産価値がある、売れるものから売っていっちゃうと、残ったものはまさにごみだけになっちゃう。そういうものはある意味では意味がない、民営化しようにもできない、その株式を売ろうにも売れないということになってくるわけですね。
 加えて一方で、御承知のように、それを今度は良質な重要資産と目されているものを売るとした場合には、それをきちっと買える体力が我が国の石油関係企業、そういうものの中にあるかどうか。ましてや、それに資金を融通する金融機関、御承知のような状況ですから、まさに自己の存廃をかけてやっている、ある意味ではリスクはとれないような状況であります。
 そういう意味で、下手をすればこれはまさに海外のメジャーに買われちゃう、ある意味では買いたたかれてしまう、そういう要素を多分に持っていると思います。そういうことを全く無視してただ民営化すればいいんだという議論は、やはり戦略なき民営化、そういうことなのではないかと私は思います。
 せっかく今、諸外国に比べればなお低いですが、一三・二%という自主開発原油、これを持っているわけであります。これをきちっとさらに引き続き持ちながら、できればそれをヨーロッパ並みの、フランスやイタリアとかそれ並みのシェアにしていく、やはり三割程度を目指していくべきだろうと私は考えております。そうした中で重要資産を売却してしまったのでは、これまでの先人の努力、いろいろむだなこともありましたけれども、先人の努力が灰じんに帰しちゃう、無に帰してしまう、私はそういうことを危惧しております。
 そういう点からしまして、例えばできるだけ重要なものはまとめて残して、その特殊会社がいずれ民営化していくときに、それは株式を売却していくわけでありますが、私も十五年前にロンドンの方で勤務いたしましたけれども、サッチャー政権は大変な民営化を進めておりました。そういうときに、一株だけ政府が残して持つ、いわゆるゴールデンシェア、フランスの方もやっておりますが、ここらあたりをきちっと参考にしながら、一株だけのゴールデンシェアを持つというふうな形でもって何らかの影響力を国が示していく、そういうことが大事なのではないかというふうに思っておりますが、この点につきまして御答弁をいただければと思います。
古屋副大臣 今委員御指摘ございましたように、ゴールデンシェアの問題に限らず、今後特殊会社化をしていくという際にも、効率性だけではなくて、やはりエネルギーの安全保障という視点は非常に重要であるというふうに私ども認識をいたしております。
 今、例のございましたゴールデンシェアの問題につきましては、イギリスとかヨーロッパの国でそういう制度があるということは私ども承知をいたしております。現に、今御指摘のありましたイギリスでも、サッチャー政権のもとでのエージェンシー化のときにそういう対応をしているということでございます。
 ただ、これは今後法律をつくりまして、その特殊会社をどういう形でやっていくか、別途それを検討していくわけでございますけれども、実はその中で、このゴールデンシェアの制度の是非ということにつきましても、実際にJRを初め、我が国でも特殊会社は前例がございますので、そういう前例あるいは世界の例を見ながら、あるいはエネルギー安全保障という視点も考えながら、このゴールデンシェアの問題につきましても対応していきたいと思っております。
 また、ゴールデンシェアに限らず、例えば外資に無節操にその株式を売ってもいいのかという指摘もございますけれども、こういったものも含めて、やはりエネルギー安全保障上の問題から私どもはそういったことは余り好ましくないと思っておりますので、そういったことを十分に踏まえながら今後別途法律をつくって、また、その特殊会社に移す場合には、最終的には大臣の認証も必要でございますので、委員御指摘のようなことも十分に踏まえて対応していくべきであるというふうに考えております。
増原委員 それと関連してなんでございますが、一三・二%の自主開発原油を我が国は持っている。ところが、それぞれのところが細かくて小さくて、なかなか欧米諸国におけるメジャーのような、財務体制にしても持っていないという状況がございます。
 確かに、石油の採掘というのは、はっきり申し上げて通常のマーケットではないと私は思っております。普通の財貨・サービス、例えば自動車であるとか電化製品であるとか、そういったものの市場と全く異なるものだと思っております。
 具体的に言いますれば、それは利権であり、権益であります。その採掘をいわゆる民間ベースに任せるといいましても、膨大な資金量を要するわけであります。欧米のようなメジャーになれば、それはまさに任せてもいいんだろうと思いますが、それがない現状では一刻も早くそういったものを育てていく必要がある、これが私は一番大事ではないかというふうに思っております。
 とりわけ、その特殊会社あるいは民営化するときの会社の形態、考えられるのが、恐らく普通でいけば持ち株会社、ホールディングカンパニー、そういうふうな形になるのではないかと私は思います。二〇%から五〇%、物によっては九〇%近い株式をそれぞれ石油公団は持っているわけですから、それをまとめた形になる。いわば持ち株会社が普通かなという感じはするんです。
 もちろん、これから将来、別に法律を定めて決めることですから、はっきりした御答弁はいただけないのかもしれませんけれども、そういう意味で、確かに、原油として市場に出回れば、それはまさに市場メカニズムが働く。しかし、一方でOPECというようなところもあるわけですから、通常の財貨・サービスとは相当違う。ましてや採掘という初期の段階を考えますと、全くこれは市場ではない。それこそ国家利権をかけた大変熾烈な、そういう意味での競争、一般の市場競争とは違うんだろうというふうに思います。
 そういう意味で、これまで歴代の通産大臣、そして今、平沼大臣もいろいろとやってこられておりますけれども、そうした意味でのいわゆる資源外交、これがやはり非常に重要になってくるんだろうと思います。
 そういう意味で、先般も大臣行かれまして、いろいろな方々に会われておりますけれども、ただ、これから言えることは、先ほども申し上げたように、石油はもちろん大事なんですが、やはり地球温暖化問題などにも照らしてみましても、非常に熱効率がいい、炭酸ガスを出すのが少ない天然ガス、ここらあたりが非常に大きなウエートになってくるのかなというふうに思っております。
 そういう意味で、資源外交のことをお聞きする前に、その天然ガスについて、これからどういうふうに考えていらっしゃるか。特にサハリンの地域、サハリンの方では天然ガスのプロジェクトが動いているやに聞いております。できましたら、そちらの方の、サハリンのプロジェクトにつきまして、少しお聞かせいただければと思います。
平沼国務大臣 御指摘のように、資源外交というのは非常に大切でございますし、石油の依存度というものもだんだんに下がってきていることは事実で、多角化してきております。そういう意味では、先ほどもちょっと御指摘になられました、五二%ぐらいが石油の依存度、こういうことになっていて、それでも非常に大きなシェアがあります。
 しかし、天然ガスについて申し上げますと、これはやはりCO2の排出量が石油に比べて低い。したがって、二十一世紀は環境の世紀、こういうふうに言われておりますから、そういう意味でも非常に重要なわけであります。
 そういう意味で、この天然ガスというものに関しましては、インドネシア、それからオーストラリア、サハリンなど、アジア太平洋地域に相当の埋蔵量が期待されておりまして、そういう意味では、エネルギーの分散という形でも非常にいいと私は思っております。それからまた、他の化石燃料に比べて、今申し上げましたように、地球環境の問題にある意味では大変優位性がある、こういうことでございます。
 そういったことで、総合資源エネルギー調査会天然ガス小委員会では、今後の天然ガス利用拡大のための具体的取り組みについての検討を行いまして、昨年の六月に報告書を取りまとめて答申を行ったところでございます。経済産業省といたしましては、本答申に従って今後とも天然ガスの導入促進に力を入れていかなければいかぬと思っています。
 そこで、お尋ねのサハリンでございますけれども、これは今御指摘のように、もういわゆる試掘段階が終わって、いよいよこれから開発、こういう形で、具体的なプロポーザルも来ております。
 これは、やはり民間が今主体で受け皿になっておりまして、将来の構想としてはパイプラインの構想もあります。しかし、今パイプラインというのは、海上で実績としてはまだ三百キロぐらいの実績しかない。これが千三百キロということでございますから、技術的に非常に検討事項があります。
 しかし、いずれにしても、今言ったような観点から、エネルギーを分散する、中東依存度を少なくする、また、石油の依存度を少なくして環境に優しいエネルギーにする。こういう観点から、私どもはこういった問題も、特に天然ガスについては積極的にやっていかなければいかぬと思っておりますし、それからさらに、天然ガスの中で新しいGTL、そういう一つの液化した新しいタイプのものも今現実のものになります。
 こういったものも含めて総合的に検討して、やはり資源外交、エネルギー政策、この中に生かしていかなければならない、私はこういうふうに思います。
増原委員 今、サハリンのプロジェクトにつきましてお聞きしました。
 そのほかに、例えばイラン、なかなか難しいのでありますが、アザデガンでございますか、このプロジェクトにつきまして、これまでいろいろな中東における紛争とかそういう中をかいくぐりながら、我が国は独自の外交を展開しながら今日まで来ているのだろうと思います。
 悪の枢軸と同盟国であるアメリカは言っておりますが、それはそれとして、我が国の独自外交、これはやはり資源外交であろうと思います。そこにおけるこれまでの我が国の姿勢というんでしょうか、そういったものが相手国にも、イラン政府にも高く評価されて、そして今日に至ってきているんではないかと思います。とりわけイランは、ホルムズ海峡から行きますと東側にありまして、そういう意味で、中東依存を下げるという議論がよくあるんですけれども、中東イコール危険地域という議論からは少しまた違うんだろうというふうに思います。
 そういう意味で、イランとのプロジェクトがうまくいった場合、ぜひともいかせる必要があるんですけれども、これはまだ質問要旨の方にはないんでありますけれども、どの程度自主開発油田のシェアが改善されるというふうに見ていますか。できましたら、あくまでも試算ですから、エネ庁長官の方からお答えいただけたらと思います。
河野政府参考人 先ほど大臣の方から、アザデガン油田は非常に有望であって、原始埋蔵量が二百数十億バレル、可採埋蔵量としてイラン側が見ておりますのが数十億バレル、こういうふうに申し上げたわけでございます。また、日産の規模としても、現在、昨年の六月に日本側からマスター・ディベロプメント・プランというものを出させていただいたわけですけれども、そのときの想定でも、六十とか七十万バレル・パー・デーの生産規模になり得るというような分析を行った上で計画を提出しております。
 これは先ほど大臣が申し上げましたように、日本側におきましても数社のコンソーシアム、そして、日本ひとり占めということではなくて、メジャーとの連係プレーということでロイヤル・ダッチ・シェルとも相談をしている。またさらに、イラン側とのジョイントということになりますので、この中でどれだけ日本のいわゆる自主開発原油として引き取ることになるかは今後の交渉でございます。
 ただ、仮に六十万バレルというのがどれぐらいの数字になるかというふうに申しますと、石油公団の自主開発が始まる前に二十七万バレル・パー・デー、これが約倍増以上になって五十八万バレル・パー・デーになったという規模から見ますと、非常に大きな規模だというふうに申し上げられると思います。
増原委員 ありがとうございました。かなり有望なプロジェクトであるということが、今お聞きしてよくわかりました。
 そうした中で私が危惧しておりますのは、石油公団が解体、廃止されまして、独立行政法人、機構の方と、そして今度は特殊会社、さらには民営会社になっていくということなんですが、独立行政法人になります機構の方は、そういったこれまでやってきた仕掛かり品ですね、イランのプロジェクトがその典型ですけれども、それに対してきちっと対応できることになるのかどうか、それが私は非常に心配でございます。
 そこらあたりいろいろあれもありますけれども、ある意味では独立行政法人のあり方というものにも、もちろん出資、融資もできる形になるわけですから、当然そこに引き継がれていくんだろうというふうに思います。しかし一方で、先ほどの資産処分等を行うということになっておりますので、そういうものもまとめて売却ということになっちゃいますと、全く意味がないわけでございます。
 そういう意味で、まさに仕掛かり品も含めてそういうものをやはりきちっと大事に大事に残していく、まさにそういうものが入ってきたような特殊会社になってくれば、かなりこれは足腰の強い、しかもバーゲニングパワーというんでしょうか、いろいろあちこちに持っているようなプロジェクトがあって、こちらがだめならあっちでやるよというふうな形のバーゲニングパワーを持った和製メジャー、中核的企業グループというんでしょうか、そういったものに十分発展し得る余地があるんではないかというふうに私は思っております。
 ですから、ぜひともそこらあたり、民営化すればいいというものではないわけでありまして、先ほど申し上げましたように、確かに石油市場は、今は平時は普通の財貨・サービスの市場と同じだろうと思いますけれども、それも極めて政治的に変動しやすい、車なんかの売買とは全然違う、そういうところがあります。ましてや試掘、探鉱ということになりますと、これはマーケットではない、市場ではないわけであります。そういうところをやはりきちっと区別をしてやっていかないと、民営化すればいいという議論とは、民営化はもちろん大事なんですけれども、随分違うだろうと思います。
 とりわけ、このたびの行政改革で求められているのは、そこらにおける透明性、あるいは、税金を投入しているわけですから、納税者に対する説明能力、そういったものがやはり一番求められているのかなと。それをきちっとやりつつも、先ほど申し上げましたように、マーケットに任す分野としからざる分野と、はっきりそこは分けて、選択的にここは対応していく必要があるんではないかというふうに思っております。
 少し早いのでございますが、最後に大臣に一言、まさに資源外交につきましてお聞きしたいと思います。
 先ほども少し申し上げましたように、さっきのイランのケース、確かに中東といえば中東なんでしょうけれども、ホルムズ海峡を挟んで東か西かではまた危険度も全然違ってくる、危険性というんでしょうか。また、中東イコール危険地域というような物の考え方でいっていますと、それこそ資源外交はできないわけであります。いかに相手との、産油国との信頼関係を構築していくか、これが私は一番大事なことではないかと思います。
 先ほど同僚議員の質問に対する大臣の御答弁でも、例えば、イランであれば若年層が非常にある意味では、日本流に言えば失業率が高いということで、何とか仕事をつくっていく、やはり中小企業、日本が持っているそういうノウハウも含めて、相手にきちっとオファーできるものはオファーをして、いろいろな多角的な、多層的な協力関係をつくっていく、これが私はまさに外交の基本だろうというふうに思います。
 そうした意味で、これからの我が国の資源外交につきまして、いろいろ打つべき手はあるんだろうと思います。地域によってニーズの違いもそれぞれあるんだろうと思いますが、ぜひ平沼大臣に、そこらあたりにつきまして、所見の一端をお述べいただけたらと思います。
平沼国務大臣 非常に適切な御指摘を私はいただいたと思っています。
 そういう意味で、例えばイランと私どもは、いろいろな国際関係がありましたけれども、一貫してイランとは友好関係を維持してきました。それは私が実際にテヘランに参りまして、そしてイランの要路とお会いをしても、日本の一貫したそういう基本姿勢というのを非常に評価していただいています。ですから、それは国際場裏の中にあって日本がそうやって一貫してとってきた態度が、やはりこういう資源エネルギー外交にとって非常に私は生きているな、こういうことを肌で実感させていただきました。
 そこに加えて、やはりイランというのは、今ホルムズ海峡の例を出されましたけれども、それもそのとおりだと思っています。そういう意味で、やはりイランというのは、ただ単に石油だけのアプローチじゃなくて、多重、多層的なアプローチをイランに限らず産油国とはしていくべきだ。
 そういう意味では、イランとは、相当実績が上がってまいりましたけれども、人材派遣でございますとか、あるいは自動車のそういったいろいろな、これからモータリゼーション、そういったところの研修センターの建設でございますとか、あるいは中小企業の育成、こういったことで我々はしっかりとこれからも協力をしていかなければならない、こういうことが必要だと思います。
 またさらに、中東の産油国の中では、日本では、水は天からもらい水という言葉がありますけれども、あちらはほとんど雨が降りません。そういう意味では、海水を淡水化して水というものを得ているわけでありまして、この淡水化技術に関しても日本は大変高い技術を持っています。ですから、そういったことの協力も非常に私は大きな意味があると思います。
 そういう意味で、御指摘のように資源外交というのは非常に多重、多層で、そしてしっかりと継続性を持ってやっていくことが肝心だと思っておりまして、それを踏まえて、私はこれからも、経済産業省、資源エネルギー庁、頑張ってまいりたい、このように思っています。
増原委員 どうもありがとうございました。以上をもちまして、質問を終わります。
谷畑委員長 次回は、来る七月二日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十九分散会


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