衆議院

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第26号 平成14年7月3日(水曜日)

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平成十四年七月三日(水曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君
   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 達増 拓也君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      大村 秀章君    梶山 弘志君
      阪上 善秀君    下地 幹郎君
      高木  毅君    根本  匠君
      林  義郎君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      松野 博一君    茂木 敏充君
      保岡 興治君    川端 達夫君
      北橋 健治君    桑原  豊君
      小林  守君    後藤 茂之君
      中村 哲治君    中山 義活君
      長妻  昭君    松原  仁君
      松本  龍君    山田 敏雅君
      漆原 良夫君    福島  豊君
      土田 龍司君    大森  猛君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      西川太一郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   経済産業副大臣      大島 慶久君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   審査局長)        鈴木 孝之君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           広田 博士君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君
   参考人
   (石油公団総裁)     鎌田 吉郎君
   参考人
   (石油公団理事)     鴇田 勝彦君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月三日
 辞任         補欠選任
  山本 明彦君     松野 博一君
  生方 幸夫君     桑原  豊君
  松本  龍君     長妻  昭君
  山村  健君     中村 哲治君
同日
 辞任         補欠選任
  松野 博一君     高木  毅君
  桑原  豊君     小林  守君
  中村 哲治君     山村  健君
  長妻  昭君     松本  龍君
同日
 辞任         補欠選任
  高木  毅君     山本 明彦君
  小林  守君     生方 幸夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案(内閣提出第九九号)
 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案(内閣提出第一〇〇号)


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     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案並びに独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、参考人として石油公団総裁鎌田吉郎君及び石油公団理事鴇田勝彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、会計検査院事務総局第五局長円谷智彦君の出席を求め、説明を聴取することとし、また、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官広田博士君、資源エネルギー庁長官河野博文君及び公正取引委員会事務総局審査局長鈴木孝之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山義活君。
中山(義)委員 おはようございます。
 中小企業は大変不景気のさなかでございまして、質問に先立ちまして、ちょっと御質問をさせていただきたいのです。
 中小企業といえば、地元の金融機関は第二地銀、信組、それから信金ですね。今、ペイオフの問題がいろいろと出ております。政府のいろいろなアナウンスは、やはり新聞の一面、二面に出ますから大変重いと思うんですね。いろいろな各商店街や何かにも、何だ、自民党の方で、与党の方で、地銀や信金や信組はペイオフは延期だ、こう言っている、いいことじゃないか、ぜひやってくれ、こういう要望が強いんですが、私たちは、個人的な意見としては、ここで信組、信金のペイオフ解禁をやられてしまったら大変だと思うんですよね。
 それでなくたって、今テレビで一番元気なのは、武富士とかプロミスとかアイフルとかアコムとか、こういういわゆる金融業をやっていて、銀行とは別個のところにお金を借りていて、そこに事業者ローンとして二〇%前後のお金を借りているわけですね。これでは中小企業は立ち行かないと思うんですね。
 そういう面では、中小企業の守護神でなければいけない経済産業大臣、しかも、閣議でしっかりとした意見をほかの先生方にも言っていただきたいのです。特に、中小企業は今まで金融庁に大分いじめられてきましたから、金融庁にはっきり、経済産業省はこうなんだという意見を中小企業を守るために言っていただきたい、このように思うんですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 おはようございます。
 本年四月に定期性預金等のペイオフ解禁、こういう形に相なりました。来年の四月から全面、こういうことで、現下の経済状況を見ますと、非常に厳しい状況があると思います。
 本年四月からのペイオフ解禁、こういうことで、一部、定期性預金から流動性預金へのシフトが見られますけれども、今まだそんな顕著な状況ではありません。しかし、これから加速されるような状況もある、こういうことでございまして、私どもは注意深くそれを見守っていかなければならないと思っております。
 中小企業庁を有している我が経済産業省といたしましては、委員も御承知のように、とにかく早急に対応するデフレ対策等におきまして、セーフティーネットの貸し付け・保証を大幅に拡大いたしましたし、また、従来の既往の債務に関しましては、その支払い条件を緩和する、こういったことの対策は既に講じております。
 いずれにいたしましても、来年の四月、大変厳しい局面も想定されますし、日本の経済の基盤を担っているのが中小企業でございますから、私は、担当の大臣として、注意深く見守りながら、また適宜適切に行動はさせていただきたい、このように思っております。
中山(義)委員 普通預金だから大丈夫だというので、地元の信用組合、信用金庫に入れている場合もあるし、または、その決済性の預金として、中小企業としては一番大事な信組、信金にあるお金、こういうものを頼りに商売をやっているわけですね。これがちょっと危ないからというので大きな銀行へ移す、こういうことをやると、その信金、信組とその商店街であるとか商店の信頼関係まで崩れてくるのですね。
 こういう問題というのは、要するに、決済性の預金がいよいよペイオフ解禁になるという段階で、いろいろな戸惑いが今経営者にあると思うのですよ。中小企業のためにというその一点から見れば、今ここでペイオフの全面解禁はちょっとまずいと思うのですね。
 これは、何も、外国に公約しているから、こういう話だと思うのですが、私自身テレビを見ていまして、何回も出ましたが、一切アメリカは公約と思っていない、こういうふうにリチャード・クーなんかははっきり言っていますね。ですから、これは公約じゃないんだ、中小企業のためという方に重点を置かれるんだ、ここを考えてもらいませんと、日本の経済をおかしくしちゃうと思うのですよ。
 中小企業庁は経済産業省にあるのですから、経済産業省にある以上は、自分がもう既に総理になったぐらいのつもりでこれはやってくださいよ。九九・七%が中小企業なんですから。中小企業を救ってもらわなきゃ日本の経済は絶対に立ち上がれない、このように断言しますので、閣議で隣に金融庁の柳澤さんがいたら、ふざけるなと言ってくださいよ。もう一回答弁してください。
平沼国務大臣 先ほど御答弁させていただきましたけれども、これからなかなか厳しい状況に相なると思いますので、私は、中小企業を所管する担当大臣として適宜適切に行動をしてまいりたい、このように思っています。
中山(義)委員 私たちは、日ごろから銀行さんが中小企業に対して不公正な取引を大企業に比べてやっているということを随分言っているわけです。例えば、個人保証の問題でありますとか、契約や、金利や、金利のまた上げ下げも、約定書も交わさないで銀行がやっているなんというケースは随分あるのですよ。
 要するに、貸す立場の強さ、借りる立場の弱さ、ここを利用して随分銀行に痛めつけられてきた、それが中小企業の実態ですから、今回、ペイオフの全面解禁によって中小企業が多大な被害をこうむったとなれば、これはやはり政策の間違いだと思うのですね。日本の大きな転機になると思いますので、ぜひ大臣には、中小企業の守護神として頑張ってもらいたい、このように思います。よろしくお願いします。
 それでは、質問に入ります。
 ずっと私も質問を聞いていまして、二つの側面があると思うんですね。一つは、行政改革という側面から、大変厳しく私どももやっているつもりでおります。一方は、石油政策というものと、それから、我々に言わせれば石油戦略というものがちょっと甘いんじゃないか、この両面からあったと思うんです。特に与党の先生方は、石油戦略の方に重点を置かれて質問されている。一方、野党側は、行政改革について鋭く、また厳しく追及をしていると思うんですが、やはりこれ、両方分かれてやっていたのでは余り意味がないと思うんですね。
 やはり我々は、そろそろここで、行革の方については、もう責任においてこういう書類とこういう書類を出すというぐらいのはっきりした結論を出してもらいたいんですが、まず、過去五年程度の、石油公団がいわゆる出資をしている会社の、そういう詳細なものを分析したり、財務評価とかそういうものは五年間ぐらいさかのぼって出すべきだと思うんですね。それで、しっかり、こことここがまずいんだ、経済産業省のはっきりとした所見を添えたものをまず出していただきたい。
 それからもう一つは、天下りに関する規制を、はっきりこういう規制をしていくというものもしっかり出していただきたい、そのように思うわけでございます。そういうものを出した上で、これからの石油政策といいますか、エネルギー全般にわたった論議をしていきたい、このように思うんですね。
 そういう面で、過去五年にさかのぼって、今までの石油公団関係のすべての財務評価、こういうものについて出すお気持ちはあるでしょうか。
河野政府参考人 石油公団の財務関係でございます。
 これまで、資金の効率的運用の面ですとかあるいは開発企業の経営責任の所在、こういった問題提起を受けまして、御案内のように、石油公団再建検討委員会あるいは石油公団開発事業委員会、こういった場で徹底的な見直し等が行われてきたわけでございます。そこで御指摘を受けたことについてはほとんどすべて実施に移していると申し上げられると思いますけれども、具体的には、その中に、今先生がおっしゃったような透明性の確保等の事項は含まれております。
 例えば、第一番目に、プロジェクトの採択の審査に当たりまして、メジャーが採用しておりますような定量的評価分析手法を導入しております。
 第二番目に、石油公団の損益の見通しの明確化につきまして、企業会計原則に準じました会計処理を導入して損失引当金の計上基準を見直したということがございます。
 第三番目に、出融資先会社の整理についてでございますが、この当時、整理方針が示された会社十三社につきましては、すべて事業を終結したということでございます。
 第四番目に、情報公開の徹底についてでございますが、石油公団の決算に対する公認会計士によります任意監査の導入、そして石油公団及び出融資先会社におきます上場企業並みの情報開示、連結決算、こういったことを措置しているところでございます。
 今後とも、石油公団事業の運営状況あるいは出融資先会社の経営状況については、積極的にこれを公表して、さらにまた、問題があれば適時適切な指導監督を実施していくという考え方でございますが、さらに、今回のこの石油公団関連法の成立を受けまして、これから申し上げるような手順がとられることになっております。
 まず、開発関連資産の整理売却についてでございますが、経済産業大臣は、その事業計画を認可するに当たりまして、総合資源エネルギー調査会の意見を聞くとともに、昨年末に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画の着実な実施を担保する観点から、特殊法人等改革推進本部長たる内閣総理大臣に協議するということにいたしております。この過程で、資産の十分な評価・分析を行いまして、その結果は答申でありますとかあるいは報告書の形で公表していくということを考えているところでございます。
平沼国務大臣 ちょっと、天下りの件についてもお触れになりましたので、私からお答えをいたします。
 公務員の再就職につきましては、いわゆる天下り問題として国民に強い批判がある、このことは真摯に受けとめなければならないと私は思っています。今内閣で取り組んでおります公務員制度改革におきましては、特殊法人等の公的部門を再就職の安易な受け皿にすることがないように厳にすること、国民の信頼し得るルールをしっかりと確立する、このようにしておりまして、当省といたしましても、こうしたルールの確立に協力をして、そのルールを遵守していかなければならないと思っています。
 いずれにいたしましても、適材適所でない機械的ないわば押しつけ、こんなものは絶対に排除していかなければいけない、このように思っています。
中山(義)委員 私、与党さんの質問もずっと聞いていまして、その中にいろいろ石油の、いわゆるエネルギーの将来について多く語った後、過度の規制と天下りはいかぬ、こう、ちゃんと与党の先生でも、最後にそこをぴしっと言っているんですね。ですから、この点については与野党関係なく、本当の意味でやはり書類は透明性を出して出していただくと。それと、今言った天下りに関しては、厳しい規制をやはりしていくということが大事でございます。
 私は、本当に、今お話ししたように、どんな与党のやってきたことを評価した方でも、西川先生のように、絶対天下りはいかぬ、過度の規制はいかぬとはっきりこう言い切っているわけです。ですから、与野党問わず、この点については一緒なんですね。ここをクリアしないといつまでも戦略的なエネルギーの話に入れない、私はこのように思いますので、必ずこういうものを取りまとめて出していただきたい。とにかく、五年間にさかのぼって、本当に、反省の意味も含めて、透明性のある書類を出していただきたい、このように要望いたします。
 それでは、今度はエネルギーの全体的な問題について入りたいと思うのですが、今回の法律でも特殊会社について随分問題がありました。なぜ法律でこれをしっかり規定しないのかというような問題が随分問われたと思うのですね。それは、将来におけるエネルギーの展望がないではないか、こういうことだと思うのですね。
 昨年、石油業法が廃止になりまして、自由化に向かってがっと進んでいったわけですね。自由化に向かって進んでいったということは、昭和四十年ぐらいの間はちょうどあのころに業法やなんかをつくって、精製に関する規制とか、とにかくもう規制規制で石油会社というのはがんじがらめになっていた。ですから、やはりこの規制のもとで経済産業省ともたれ合いの関係でずっとやってきたと言われていたわけですね。
 そこにやはり大きな一つの問題点があって、自分たちで物を考えない、自分たちで発想しない、役所に頼ればいい。役所は役所で、実際やっているプレーヤーの方にいろいろ自由にやらせてしまったり、または、規制をしているんだけれども、ちゃんとした指導をしていなかったということもあって現在の状況が出てきたと思うのですが、一番大切なことは、この自由主義経済に向かってマーケットというものがだんだん育ってくる、この自由経済の中で石油というものはどう扱われるんだ、石油業法というものを廃止して自由にした、これは精製の方ですね、では今度、その精製の前の入ってくる石油に関しては、どうやってその自由経済の中に石油というものを組み入れていくんだ、こういう問題だと思うのです。
 その前は、自主開発ということが一番大きなテーマでありまして、安定供給という一番大事な側面があったと思うのですが、今問題になっているのは、安定供給と自由競争の中で、石油というものの輸入や石油というものの採掘がどういうふうにあるべきか、ここが問われているわけでございますけれども、今後の見通しみたいなものをまず述べていただきたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘のように、石油の安定供給というのは非常に大切なわけであります。そういう意味で、一九七三年のオイルショック以降、日本の自主的な開発によって石油の安定的な供給を絶やすことなく続けなければならない、こういう形で自主開発の部分を進めてまいりました。
 これは、御承知のように、当初では輸入量の三割程度は確保したい、こういうことでやってきましたけれども、諸般の事情の中で、現在これが一三%程度にとどまっている。そして、それ以外は、やはり石油というものは日本ではほとんど出ませんから海外に依存しているわけですけれども、そういう中で、石油の自由的な市場の中で、私どもは、産油国とのいろいろな戦略的な連携のもとにそういう関係を構築し、安定的な供給を得ているわけであります。
 その中ではいろいろなことがあるわけですけれども、例えば、この中東諸国というのは、若年の労働者が非常に多くて、それがやはり将来の大きな課題になっている。そういう意味では中小企業の育成をしなければならない。そのためには、日本にノウハウが蓄積をしているからぜひそういう面ではひとつ協力をしてほしい。
 また、石油というのは有限でございますから、産油国もいつまでも石油に依存するわけにはいかない。そういう中で中小企業を起こし、やはり独自のそういった経済活性化をしていきたい、そのためには投資をしてほしい、その他この他、日本ができ得る限り、やはり石油の安定供給を確保するためにいろいろ外交関係を構築しながら、そういう形で私どもは石油を確保してきているわけでありまして、今後も自主開発の部分と、そしてまた、産油国とのそういう連携のもとで私どもは安定的な供給を図っていかなければいかぬと思っております。
 また、石油というものが、現在は約五二%、一次エネルギーを占めているわけでありますけれども、さらに省エネルギーあるいは新エネルギー、そういったものもしっかりと視野に踏まえて、やはり石油の依存度を減らしながら、そしてまた、二十一世紀は環境の時代と言われておりますので、環境に配慮したエネルギー政策、そういうものを総合的に私どもはやっていかなければならない、このように思っています。
中山(義)委員 私ども、堀内元通産大臣の書いたその当時のいろいろな現状分析や今後の対策、いろいろ読みました。私ども、随分、読んだ中に、やはり権益を買うときに結構高い権益を買っているんですね。そして、私どもちょっとよく考えてみると、アラビア石油のときに二千四百億円の鉄道を敷いてくれと言うので権益を失効した。これはいろいろな、初めて書類でわかったんですが、よそでも二千何百億円の権益を買っているわけですね、結構。そのくらいの大きなものを買っているものもあるわけですよ。今度、アザデガンだってどのくらいので買うかわからないんですが。
 要するに、あの当時、石油がもう既に出ている、日量三十万バレルぐらい出ていて、十八万バレルぐらい日本に持ってきたというようなことですね。これをあの場面でやめて、もう権益、失効してもいい、これを最終的に失効してもいいという最終的な判断というのは、あの当時だれがやったんですか、最後の判断は。
平沼国務大臣 これは、当時通産省で最終的に、もちろん内閣の判断も仰いで決めたと思いますけれども、経済産業省、当時の通産省としては、当然最高責任者たる通産大臣が決めた、このように思っております。
中山(義)委員 今、総合資源エネルギー調査会は、いろいろなことを諮って、いつも、常に世界の情勢も分析しながらやっているんだと思うんですが、どうも本当に石油のことがわかっていて、十年二十年先でも、ああ、あの政策はよかったと言われることをやっているのかどうかということがちょっと心配なんですよ。今ここへ来ていろいろなものが出てきていますね。
 というのは、十年ぐらい前にそういうことを計画的に、戦略的にやっていたのかということが今非常に問われているんだと思うんですね。さらに十年すると、アラ石を失効したのはやはりまずかったということになるかもしれませんよ。だって、今ある石油のいろいろな油田を見ていても、あのくらい日量で出るところは余りないし、しかも、同じくらいの権益を買った上でやっているわけですから、新たにアザデガンで今度権益を買う、買ってやったときに、最低でもアラビア石油と同じぐらいのものが上がらない限りは、やはり失敗したんだということになるわけですよね。やはり既存で、既に実績のあるものの方がよかった、こうなりかねないわけですね。
 だから、それをだれが決めているのかという、最終的に総合資源エネルギー調査会ですか、そういうところでやっているならば、もうちょっと石油事情というか世界のエネルギー事情というか、そういうものもしっかり表にあらわして、今こうなっているからこれが絶対正しいという答えが出てくるような方向でないとまずいと思うんですね。
 そこで、よく今回のサッカーの例が出されますが、トルシエは背広を着ている、背広を着ている人は要するにプレーヤーじゃないから、あそこで戦略を練るんだ、プレーヤーは中に中田がいて、それが司令塔になってやっているんだと。そうすると、経済産業大臣というのは、やはり背広を着てそこにいるわけですか、それとも、もうちょっとプレーヤーの方にいるんですか、それとも、全然観客で見ているとか、どの辺なんですかね。
平沼国務大臣 一概にサッカーに例えるというのは、そのとおりかなと思っておりますけれども、私は経済産業大臣として、資源エネルギー庁、そこの責任も負っています。そして、今御指摘のように、総合資源エネルギー調査会といった諮問機関もあるわけでありまして、私は、その例えで言えば、やはり全体の戦略と最高意思、その決定をいたしますから、背広を着てネクタイを締めて、そして総合戦略をやる、こういう立場だと思っております。
中山(義)委員 きのうの参考人の中にも、石油に対する者はやはりプロが必要だ、できれば、トルシエさんやゴーンさんみたいな、要するにはっきり戦略を出せる人をやはり専門家として入れたらどうかなんという意見も参考人の方からありましたよ。そういう面では私も、今回の問題については、本当にこれで日本のエネルギーは大丈夫なのかといつも思うわけですね。
 というのは、なぜかというと、特に石油の問題に関しては、去年、石油公団を廃止しないで、もうちょっと油田の買収なんかも入れて組織を強化してやっていくんだという意気込みがすごく大臣から感じられて、これを強化して必ずやっていくというようなことだったんですが、まあ堀内さんや行革の方からつつかれて簡単に変わっちゃったというところに、やはり僕らは何か腰の弱さをちょっと感じるんですけれども。
 原点は、やはり今我々が言ったような、アラ石をやめて今度アザデガンにするとか、何かちょっと本当に、過去にやったことを反省しながら、これをやったのがよかったのか悪かったのか、そういうことを踏まえながら次に進んでいるのかどうかちょっとわからないわけですよ。
 今回も、独法がありますね、片っ方に特殊会社がある。この二つがあると、また、戦略をやる人が、海軍と陸軍が二つあって、勝手なことをやって、それを戦略的にできなかった。大体、日本が戦争でああいうふうに敗北したのは、海軍と陸軍が勝手な行動をして、それを総合的に戦略を練る人間がいなかった。何かやるなら、勝負に絶対勝つ方法としては、どかんと座ってしっかり戦略を立てられる人がいるということが必要なんですが、今回の、一気に公団を廃止してここまで来る過程に、ちょっとおっ取り刀でやったんじゃありませんか、短い期間で。堀内さんにせっつかれて、バス屋さんがどんどんどんどん後ろからバスで押してきて、そういう感じじゃないですか。どうでしょうか。
平沼国務大臣 一連のこの法案の御審議をいただいている過程で、同じような趣旨の御指摘がありました。
 確かに、昨年の委員会では、石油公団の機能を高める、こういう形の法案をお願いして成立をさせていただきました。ただ、これまでの御答弁でも申し上げましたけれども、私はあの委員会の答弁の中でも、実は、国の行政改革の基本方針、これはやはり特殊法人等の徹底的な見直しがあるので、その見直しに関しては、私は勇気を持って鋭意やっていく、こういうことも答弁の中で申し上げています。そういう中で、特殊法人改革、これが小泉内閣の至上命題に相なったわけでありまして、そういう意味では、私は、石油公団法を改正していただいた、そういう流れの中で、さらに必要な機能というものはちゃんと担保をしながら、そして日本の石油、エネルギー安定供給に必要なことはしっかりと継続性を持ってやる、こういう配慮をして今回法案をお願いしております。
 そういう意味では、確かに御指摘の点もあるかと思いますけれども、私どもとしては、一貫して、そしてその流れの中で担保すべきものは担保してしっかりやらせていただいた、こういうふうに思っております。
中山(義)委員 石油業法が廃止されましたね。これはどういうきっかけだったんですか、石油業法が廃止されたのは。
平沼国務大臣 これは、先ほども委員のお話の中にありましたけれども、やはり自由化という一つの大きな流れがありました。そういう中で、やはり日本の場合には、ある意味ではいわゆる高コスト構造がある。ですから、そういう意味ではいろいろな競争を起こさなければいけない。そういう中では、自由化というものが日本の経済の一つの大きな方向である、その一環として業法を廃止させていただいた、こういう背景があったと思っております。
中山(義)委員 この石油業法を廃止したのは、いずれ石油公団というかそういうものも廃止して、できるだけ民間にゆだねる準備をしていた、こういうふうに考えると、こうやって準備よくいくんですが、やはりあのとき、石油公団をやろう、維持しようとしていたわけですよね。それで、石油業法を廃止したことによって、民間の人は精製の許認可事項や何かで役所からいろいろな制約を受けなくなりましたよね。それはある意味では、石油公団や何かに、または政府に言われて、今度新しい石油を開発するんだけれどもそこへ出資しろ、でも、そういうことが関係なくなってくれば、出資なんかについても自由に会社が考えると思うんですね。
 今までのいろいろなものを見ていますと、やはり細かい会社がうんと出資しているわけですよ。もちろん、石油公団から七割出資している。それ以外の細かいものというのは、民間のいろいろな会社から一%とか〇・何%とか、みんなそういうのがあるわけです。それは、石油業法という法律があって、いわゆる精製や何かに加わるときに認可してもらえないということがあって、行政から言われてやってきた、そういうもたれ合いがあったわけですね。これがなくなって、それが解けたわけですよ。
 そのときに、本来は、民間に滑り出していって一気に、すばらしい、行政から離れて独立した新しい和製メジャーをつくる、そういうチャンスでもあるわけですね、ある意味では。今回のことは、それをチャンスととらえるか、何か堀内さんや何かにぎゃあぎゃあ言われて行革の形でこうなっちゃったのか、その辺がまだ明確でないんです。
 なぜかといえば、さっきから言っているように、特殊会社がどういう会社になるか明確に出ていないものですから、無理やりに、堀内さんの行革の視点から攻められてやってしまった。私は、そうじゃなくて、今がチャンスだから、今が和製メジャーをつくる最後のチャンスだと思って今回のこういうことをやったんだという決意とは随分違うと思うんですよ。その辺で、再度ちょっと御答弁をいただきたいと思うんですけれども。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 今委員御指摘のように、最終的に金探と石油公団を統合して、独法として対応していく。これは、あくまでも国がやるべき事項、リスクマネーの供給であるとか国家備蓄、技術開発、こういったものはしっかり国でも担保していこう。一方では、石油公団の廃止に伴いまして、その資産を特殊会社に移します。この特殊会社がどういう内容になるかということにつきましては別途法律をつくって検討いたしますので、その時点で検討して明らかにしていきたいと思っておりますが、しかし、その内容としては、例えば石油・天然ガス開発事業の維持拡大をみずから行うことができ、世界の石油ビジネスにおいてメジャー等に伍して一定のプレゼンスを示せるような日本企業、こういう形として発展をしていくということを私どもは実は期待いたしております。
 そういった視点に立ちまして、今後、総合資源エネルギー調査会の意見であるとか、最終的には、内閣総理大臣の協議もいただいた上でこの法案が作成され、そして大臣によって承認をされていくという形になるわけでございますけれども、私どもは、そういったいわばメジャー等に伍して一定のプレゼンスを示せるような日本企業というのは、ある意味では、平沼大臣がいつも答弁をしておりますように、和製メジャーというふうに位置づけすることができるかもしれません。私どもは、そういった企業に育ってもらうことを大いに期待いたしております。
平沼国務大臣 私、和製メジャーという言葉を使わせていただいておりますけれども、人によってはいろいろな意味で使われていると思いますが、私自身といたしましては、石油・天然ガス開発事業の維持拡大を行うことができ、世界の石油ビジネスにおいてメジャー等に伍して一定のプレゼンスを示せるような日本企業、こういう意味で和製メジャーという表現をさせていただきました。こういう意味で、私が申し上げた和製メジャーと中核的企業グループとは基本的には同じだ、私はこのように思っております。
中山(義)委員 ちょっと質問の角度を変えてみたいんですが、要するに、エネルギーを総合的に考えたときに、やはり石油だけを考えているとこれは間違っちゃうと思うんですね。天然ガスとか原子力とか、石油が安い、石油が安いからどんどん石油を買っていく、石油で何でもやるというと、原子力は要らなくなる可能性があるわけですね。だけれども、原子力は何のために使うのかということになれば、コストだけで考えてみますと、どうしたって石油や石炭の方が安いわけですよ。では、今度はCO2のことで考えていけば、いや、危険度や何かいろいろなことを考えたら天然ガスがいいとか、天然ガスと原子力と石化エネルギーで要するに何かベストミックスをつくっていくという方法もあるでしょう。
 今回のエネルギー基本法なんかでもそうでしたけれども、この三つのいろいろな要素というのが、常にこういう石油の問題についても考えられると思うんですね。
 一つは、やはり石油というもののセキュリティーということを、やはり地域で、よそから石油を買うという方法があるのと、よそから天然ガスを買ってくるという方法もあるわけですね。今、頭の中には、サハリンの天然ガスとかこういうものについても相当考えなきゃいけないと思うんですね。
 私ら、いつも資源外交というのは、やはり外交的な問題ですから、北方四島の問題で鈴木宗男さんがいろいろみそをつけたようなところもあったんでしょうが、日ロの関係からいっても、サハリンから天然ガスを引く。それで、ヨーロッパなんかを見ていても、ロシア等の天然ガスをこうやって、結構国と国をうまくやっているわけですよ。日ロの関係からいっても、日本とロシアがうまくいく一つのきっかけにもなるような気もいたしますし、中東のこれと同じくらいこちらにもそろそろ力をかけていかないと、まずい時期に来ているんじゃないですかね。
 私ら、これは一番今いいチャンスだし、ある意味では、この間参考人の人は、最後のチャンスだ、こう言っていましたので、何かこういうときにエネルギーの総合的なものをしっかり組み立てて、これからは石油はこのくらいで、いや、天然ガスはこうやっていくんだというようなところをちょっとお示しいただきたいんです。
平沼国務大臣 言ってみれば、エネルギーの確保のベストミックスのお話だと思っております。
 エネルギーというのは、御指摘のように、国民生活や経済社会活動の基盤をなすものでありまして、先般成立いたしましたエネルギー政策基本法に規定する安定供給の確保、それから環境への適合、市場原理の活用、こういった基本方針にのっとりまして、エネルギーの需給に関する施策を総合的に策定し、実施をしていくということは極めて重要な責務だと思っています。
 政府といたしましても、去る三月十九日に、総理が主宰し、全閣僚等が出席をいたします総合エネルギー対策推進閣僚会議におきまして、今後のエネルギー政策のあり方について御議論をいただいたところであります。
 ここでは、従来から積極的に取り組んできている省エネルギー対策でございますとか安全対策に万全を期しつつ、原子力発電の導入についてこれを着実に推進するとともに、さらなる省エネルギー対策あるいは新エネルギー対策、新たな電力等の燃料転換等に取り組んでいくことが確認されました。具体的には、各種新エネルギーに関する技術開発や普及促進政策を行うとともに、省エネルギー機器の普及に努めているところであります。
 また、今国会に提出し成立を見ました新エネルギー、省エネルギーのさらなる促進のための法律の円滑な施行に向けて最大限の努力を行っていかなければならないと思っています。
 原子力につきましては、もうこれは委員よく御承知でありまして、多くは申し上げませんけれども、やはり安全を担保しつつ、国民の皆様方の幅広い御理解をいただくために広報活動もしていかなければなりませんし、そしてCO2を出さないエネルギーというものも、その推進に私どもは努力をしていかなければならないと思っています。
 そういう意味で、当省といたしましては、エネルギー政策基本法に基づきまして、今後、各関係省庁や総合資源エネルギー調査会の意見を聞きまして、エネルギーの基本計画を作成しまして、閣議の決定を求めるとともに、今御指摘のエネルギーのベストミックスを含めまして、長期的に、総合的にやっていかなければいかぬと思っています。
 そこで、御指摘の天然ガス、サハリンの問題ですけれども、これはもう非常に有望なものが現実のものに相なっております。そういう意味で、これは今民間の手にゆだねられて、そして具体的な計画が進んでいます。そういった中で、どういう形で引っ張ってきて、そしてそのベストミックスの中でどういう地位を占めさせるか、このことも我々は、今申し上げたこういう基本政策を策定するに当たって、しっかりと位置づけをしていかなければならないと思っています。
 まだ技術的には、前の御答弁でも申し上げましたけれども、パイプラインで運んでくる、こういうことになると、今までの実績は、海底は三百キロぐらいの技術的なことは解決できておりますけれども、これが非常に長大な距離になる、こういうことになりますとやはりいろいろ技術的に解決すべき問題もありますので、私どもとしては、おっしゃるとおり、いかにうまく組み合わせてこの国のエネルギーの安定供給を図っていくか、そのことは最大限の優先順位に置いてやらなければならない問題だと思っています。
中山(義)委員 いろいろ話を聞いて大体あれなんですが、そろそろここで、さっきの司令塔というか、戦略を持った司令塔の話になりますが、サハリンにしても石油にしても原子力にしても、やはり全般を考えていませんとえらいことになるわけですよね。
 安いエネルギーがある、自由市場に任せた、安いエネルギーがどんどん入ってくる。そうすると、今度は、ああ、では原子力は要らないやということになりかねないわけですよ。ところが、原子力は何のために要るのか。これもちゃんとした、やはり大臣が、何のために原子力は必要なんだというものをしっかり、理念を持っていないとえらいことになると思いますよ、ただ安いだけで自由市場に任せると。
 今回の、だんだん市場に任せるという話は、ある意味では、自由化に伴ってマーケットをつくって、そこで安く石油を入れられるということだと思うんですね。それが一つなんだと思うんですよ。安く入る、自由化、この問題と、新たにCO2を出さないような電力施設であるとか、そういうものに対して必ずしわ寄せが行くんですよね。だから、ベストミックスを中心にした戦略をしっかりお持ちでないとえらい目に遭っちゃうと思うんですね。特に、特殊会社というのは、まずそういう戦略的な意味を含めてしっかりしたものが出てこなきゃいけないと思うんですね。
 例えばエンロン、この間つぶれましたけれども、サハリンから天然ガスを引くのに、まだ需要が足りない、こんな需要じゃパイプラインを引いてももうからないからと。エンロンの方は、何か随分いろいろ変な約束をして、いや、あそこにパイプラインを引いて、ここにパイプラインを引いてなんてやって、需要がうんとあるようなことを言って向こうにどんどん仕事をやらせたりした。そうやって、自由市場だったら変なのもうんと入ってきますよ。いろいろな取引もありますよ。その中で振り回されちゃったらまずいわけですよね。だから、本当に戦略があるのかどうか。
 それから、総合資源エネルギー調査会ですか、ここはどういうことをやっているのかももうちょっとはっきり、透明性がないといけないと思うんです。私、さっきから申し上げているように、石油業法、きのう、新井さんかな、石油業法が廃止になったときも、国民はだれも知りません、こう言うんですよ。今回の、石油公団が廃止になった、国民は余り関心ありません。ところが、日本の将来にとっては非常に大きなことなんですね。だから透明性を持って、今エネルギーというものはこう変わろうとしているんだ、国はこういうふうにやりたいんだということをもっとしっかり広報していきませんとえらいことになりますよ。
 例えば原子力発電は、新たにつくるといったら相当なコストがかかるでしょう。しかし、現在あるものはどうですか。打ち出の小づちみたいにどんどん電気、できますわね。これは、だからそういう問題も含めて、これからつくる原子力発電、今あるもの、それから天然ガスの問題、これは、外交的な努力によればロシアとの仲直りにもうまく使えるかもしれないとか、いろいろな要素があるわけですよ。こういうものを総合的に判断する人がやはり必要じゃないか。そういう意味で、私どもは、この特殊会社について、それから、いわゆるエネルギーについての総合的な戦略というものが今までなさ過ぎたんじゃないか、こう思うんですね。
 ですから私は、今度の法律についても、どうして特殊会社についてちゃんと法律をつくってもっとしっかりした論議をしなかったのか、こう思うわけです。それと、堀内さんにせかされて、慌てておっ取り刀でやったんじゃないかなというような法律に見えてしようがないんです。
 だからこの法律は、見ていると、ちょっと何か未成熟な法律のような気がしてしようがないんですよ。やはり、エネルギーのベストミックスはこうだ、将来こういくんだというものが私には見えないし、この全体の中からは、サハリンの問題についても、どうしてサハリンの天然ガスが必要なのか、この辺も明確でないような気がするんです。
 その辺で、最後に大臣に、この法案をどうしても我々に理解してもらって通したいと思うなら、その思いと戦略をしっかり言ってください。それじゃないと、我々はいまだに迷っているんですよ。本当に将来どうなるかということが見えない以上、はいと言えないようなところがありまして、ちょっとその辺の思いを最後に答弁してください。
平沼国務大臣 エネルギーを安定的に確保して、そして経済大国日本の血液として有効にエネルギーを使う、このことは日本にとって一番最優先の課題だと私は思っています。御指摘のように、エネルギーというのは、私は戦略物資だと思っておりますので、そういう意味では、戦略的な観点から総合的に私どもはこれを検討していく必要があると思っています。
 そういうことで、今回お願いしている法案も、私どもは、やはりエネルギーを確保していくに当たって、特に今まで石油公団がやっておりました重要な自主開発の部分で、例えば石油を得るため、あるいは天然ガスを得るためのリスクマネーの供給、こういったことは国がしっかりと担保する、このことはしっかり残させていただきました。
 それから、二度にわたって経験したオイルショック、この経験を踏まえて、備蓄というものもしっかりとこの法律の中では国が関与をして、そして担保をしていく。しかし、その備蓄も、やはり操業に係る部分はアウトソーシングをしてコストダウンを図っていく、そういう形で国民の皆様方に納得をしていただく。
 それから、今までいろいろな技術を開発してまいりましたけれども、特にアッパーザクム油田等で日本が独自に開発をした石油の採掘技術、あるいは三次元の地震探査、そういったこともやはり国がこれからは自主的にやっていくためには、しっかりと国がその中枢に据えて、そして産油国としっかりとした関係を構築していく。そのために私どもは、この三つのことはしっかりとこの法律で担保させていただきました。
 そして、特殊会社のことをおっしゃいましたけれども、先ほどの御答弁でも申し上げましたけれども、中核的な企業グループをつくっていく、そういう中で、今の石油公団が努力をした結果、可採量というのは、今メジャーに次ぐぐらいのものを我々日本は確保しております。
 そういうものをこの大きな枠の中で生かしながら、そして中核的企業グループというのをつくりながら、日本が、いわゆる自主開発、安定供給、こういった形で石油あるいは天然ガスといったものを安定的に確保する、こういったことも我々しっかりと担保しておりまして、この法律を通していただくことによりましてこれが確保される、そのためにもぜひ御賛同いただいて、この法律に対してひとつぜひお認めをいただきたい、私どもは、こういう決意で臨んでいるところでございます。
中山(義)委員 最後に申し上げますが、ブッシュ大統領が、エネルギーに対して非常に大きな視点から見て、世界の、地球儀を見ながら言ったようなエネルギーの政策を出しています。そういう面でも、ぜひ早く大臣が、総合的なエネルギーの、こうあるべきだというものを日本でも出してください。
 以上で終わります。
谷畑委員長 山田敏雅君。
山田(敏)委員 民主党の山田敏雅でございます。
 前回の質問で、私は、参考人招致をお願いいたしました。公正取引委員会の排除勧告が出まして、備蓄会社の修繕を引き受けるエンジニアリング会社、これが公取に違反しているということでございますが、これに対しては、理事会で諮っていただきまして、係争中というか、公取の方にこれから不服を申し立てるということでございますので、参考人招致はふさわしくないということで今いただいているんですが。
 それで、ここでちょっとお願いしたいんですが、前回も申し上げましたように、この備蓄会社の財務諸表、よく見ますと、修繕費、それからタンクを掃除する費用、これは普通に考えても非常に高いわけですね。この間申し上げましたように、一回タンクを空にして、そして掃除をするのが、一回やるのが六十五億円、これは白島のケースですけれども。苫小牧の方でもやはり二、三十億円かかる、こういうことで、実質的に随意契約。要するに業者が、やる人が言った値段で引き受けます、これが随意契約ですね。競争入札であれば、だれかが競争で、一番安い人、こういうことなんですけれども、この非常に不自然な形。
 日石菱油エンジニアリングの方が新聞記者に言われたように、入札はしたけれども形式的なもので、本当は随意契約だったんだ、これは朝日新聞に載ったケースなんですけれども。ですから、備蓄会社八社が発注している工事は全部随意契約であった、こういうことを内部の方が言われたんですね。随意契約というのは、この人しかやりませんということですから、非常に高いものにつく。これは、八社がそれぞれ三十億も四十億もやるということで、非常に不透明性が高いということでございます。
 それともう一点、タンクを清掃する期間、あるところは五年に一回やります、五年に一回空っぽになります、あるところは九年に一回やります、こういうふうに、別々に私はインタビューに行ったんですけれども、言われました。五年と九年では何の根拠をしてそんなことをやっているのかわからない。
 それで、ちょっと大臣にお願いしたいんですけれども、この修繕費、そしてタンクの清掃を含めて、これの内訳を、随意契約ですから、公平に見て、これはすべて国民の税金が使われているわけですから、明らかにしていただきたいと思います。
 それから、五年でやるのか十年でやるのか、これも各会社が勝手に決めてやる。五年でやるのと十年だったら、費用が倍かかるわけですね、六十五億を五年に一回やるのと。これも明らかにしていただきたい。
 前回の答弁で言われました、今後、随意契約という形ではやはりかなりまずいと思いますし、どう考えても一回のタンクの清掃で六十五億円というのはちょっといかにも不自然という感じがしますので、その辺を明瞭にしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
河野政府参考人 修繕費、補修費、これらについて、内訳、調べられるものは調べてお知らせしたいと思います。
 それから、九年と五年の差があるというのは、実はそういうケースがあるわけでございますけれども、陸上のタンクについては一定の期間内に安全を確保していくということで足りるわけでありますけれども、洋上のいわゆる船舶方式の場合には船舶安全法の適用を受けるものですから、これは五年に一度修繕、保全、開放点検がどうしても必要になります。それがこの期間の違いでございます。
 契約方式については、先般来申し上げておりますように、今回、国備会社は廃止になりまして、日ごろの操業は純粋の民間会社への委託という形になるわけでございます。この民間の企業がどのような組織形態をとるかというのはこれからの議論でございまして、契約方式などについてもそういった組織論と並行して議論していく必要があるかというふうに思っております。
山田(敏)委員 後ほどちょっと明らかにしていこうと思うんですけれども、行政改革に本当になっているんだろうかというところを後で今の御答弁に関連してやっていきたいと思います。
 さて、きのうの新聞で、トヨタが燃料電池の自動車をことしじゅうに販売するという発表をされました。私もトヨタの研究所へ行ってまいりました。二千五百人、東富士にあるんですけれども、恐らく世界一の自動車の研究所だと思います。そこの燃料電池に関する棟も、大きなビルが一棟あって、それが全部、上から下まで燃料電池の開発をやっている。また別の場所で水素の開発をなさっている。詳しくはおっしゃらなかったんですが、私の推測では大体数千億円ぐらいかかるんじゃないかな、年間に一千億じゃちょっときかないな、そんな感じで燃料電池の自動車の開発が進んでいるわけです。
 今回の発表で、私が聞いたところによると、年度末に大体二十台ぐらい発売しよう、そして官庁とか大きな会社とかに、余りにも車両価格が高いのでリース形式でやろうと。価格をつけたら一億、二億でも全然赤字だと思うんですけれども、一億か二億ぐらいは軽くかかっている。それをつけるわけにいかないからということなんですが。
 水素を積む、水素スタンドが首都圏に五カ所しかない、こういう状況で発売されたんですけれども、まずこのニュースについて、大臣どういうふうにお考えになるのかお聞きしたいのです。
平沼国務大臣 せんだって、日本を代表する自動車メーカー三社が国会の前庭で、市販車に燃料電池を装着してデモンストレーションが、各社社長も来られてありました。私も担当大臣の一人として総理大臣とともに試乗をさせていただきました。
 そのときに、今山田先生が御指摘のように、市販車にはついているけれども、一台当たりやはり一億円から一億五千万かかりますと。しかし、これは今一生懸命コストダウンというものも検討しているので、たしか、そのときには二〇〇三年には一千万円台ぐらいを目指していますというようなお話がありました。それを受けて小泉首相が、一千万円台ぐらいになるんだったら、やはりこういう環境に優しい未来の乗り物というものは、率先、国がやはり試験的にでも採用すべきであるなと、そういう感想も言われていました。そういう中で、まだ非常にコストが高いわけですけれども、トヨタ自動車がそういう形でリースに踏み切った、私はこれは一つ大きな第一歩だと思っています。
 そういう意味で、これからいろいろな技術開発が行われてこれが現実のものとなり、今水素スタンドのお話も、五カ所ということでございましたけれども、やはり時代につれてそういうものがふえてきて、あるいは安全性等の面で克服すべきことも克服する、こういうことになれば、将来非常に有望な自動車の形態の一つだ、私はこういうふうに思っておりまして、経済産業省といたしましても、そういう面では支援すべきところは支援しながら、私どもは注意深く見守っていかなければならない、このように思っています。
山田(敏)委員 地球温暖化は非常に緊迫して、五十年後には地球は住めなくなるんじゃないかということで京都議定書ができたわけですね。日本は一番世界で不利な条件、もう既に省エネルギーは我が国の産業はやっておりますので、それに対して十何%削減をすると。下手をするとこれは排出権を、取引量を買ってこなきゃいけない。そうすると、一兆円とか二兆円とか、こういう状況に今なっているわけですね。
 一番大事なのは、地球温暖化を世界に先駆けて我が国の技術、産業をもってやっていくということだと思うんですね。それには戦略が要ると思うんですね。これもいい、あれもいい、こういうふうにやると日本は誤ってしまう。
 これは一番いい例が風力発電の例だったと思うんですが、日本は、二十三年間、通産省が数百億円のお金をかけて風力発電の開発をやったわけですね、研究開発組合で。その結果、世界で最もおくれた技術水準になっちゃって、日本で今風力発電といえば、ドイツやオランダの、ヨーロッパの技術を一〇〇%入れてやっている。ドイツの場合は、戦略性をはっきりして、これでいく。日本の場合は、二十三年間それだけのお金をかけたけれども、中型でいくのか小型でいくのかわからない。あれもやる、これもやる、海上でやる、あれでやる、これでやる、やった結果何もできなかった、こういうことになったんですね。
 そこで、燃料電池車なんですけれども、私は、トヨタの研究所へ行って、上から下まで歩いてみて、現場で研究していらっしゃる方に聞きました。
 最初、水素を積むというのは非常に危険ですから、ガソリンをついで開発をするということをトヨタは発表されましたので、そのガソリンの改質をやっていると。その現場でやっている方は、この装置を常時七百度、八百度にいつも保たなきゃいけないんだと。これは大変な技術です。材料から開発しなきゃいけない。しかも、その七百度、八百度のものを常時車の中に積むという安全性もまだわからないと。
 だから、トヨタの方は、これでいくんだ、トップの方が、いや、一千万でやりますなんて言われたんだけれども、とんでもないけれども、やっている現場の方は、そんな意見を持っていらっしゃらないんですよね。要素技術が多過ぎるんですね。燃料電池そのものの開発、膜の開発、それから改質、それの開発、それからそれを注入する、これはまだできていない。それだけ要素技術が多いものを量産化してもそんな簡単には下がってこないと。
 私がいつも言っているので、もう大臣、耳にたこができたと思うんですが、電気自動車はモーターとバッテリーだけなんですね。ほかは何もない、一番シンプルな技術。十万台つくるとコストダウンが非常に図れる。世界一の電池メーカーに行って、工場の中に入って聞いてみました。
 今、電気自動車の一番最大のネックはバッテリーが高いということですね。それはつくっていないからなんですね。一年間に百台とか二百台しかつくっていないから。その方に聞いて、もし十万台つくったら幾ら下がるのかというと、だれも計算できない。しかし、使っている材料は、マンガンとかそういう高いものじゃないんですね。ですから、これは鉛電池と同じ価格になる可能性は非常に高いですと。では、これはやってみないといけないわけですね。それは鶏が先か卵が先か、こういうことでございます。
 それと、一番大きいのは、日本のエネルギー体系を見て、四〇%は原子力発電所ですから、これは二十四時間発電していて、夜中に発電して、どんどんポンプを使って山の上に水を上げて昼間発電する。二五%から三〇%のエネルギーをロスしている。電気自動車というのは、夜中に深夜電力を使って充電するわけですから、日本じゅうの七千万台の車が使っても発電所をふやす必要がない。そうすると、今議論になっている石油の備蓄とか石油の開発とか、そういうのはもう全く我が国では議論にならなくなる、そういう戦略もあるということを申し上げたいと思うんですね。ちょっと長くなって申しわけないんですけれども。
 今経産省は、燃料電池車を二〇一〇年に五万台にします、二〇二〇年、わずか十年後に五百万台にしますと。これは我が国の車の一〇%ぐらいですよね。この間、自動車リサイクルでやりましたけれども、これだけ燃料電池の車の中にはたくさんの要素技術が入っていますね。そうすると、リサイクルするときも大変なコストがかかりますね。この辺も考えて、もう一回日本の石油政策、エネルギー政策、環境政策も考え直す必要があるんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 燃料電池車に関しては、日本のみならず欧米もしのぎを削って、その将来性に着目をして研究開発が進んでいます。したがいまして、日本の自動車ということを考えたときに、やはり避けて通れない大切な私は選択肢だと思っています。
 同時に、今御指摘の電気自動車というのも、例えば私の承知しているのは、慶応大学で開発した電気自動車というのは時速五百キロぐらい……(山田(敏)委員「三百キロ」と呼ぶ)三百キロですか。三百キロ出て、そして三百キロの走行ができる、こういうものが現実のものになっておりまして、非常に有望だと思っています。そして御指摘の、そういう非常にすぐれたところもございます。
 ですから、現実には、まだ走行距離が短いだとかあるいは電池が高いというような問題がありますけれども、これはこれでしっかりと開発をしていく。そういう意味では、幾つかの選択肢の中で、それぞれ前向きに開発をし、そしてその中ですばらしいものを決めていく、こういう基本姿勢で私はやるべきだと思っています。
山田(敏)委員 最後に一言申し上げたいのは、燃料電池をもし水素でいくということであれば、水素スタンドというのは大体一億円以上かかる、土地があって、新たにそこにつくる場合。これは一千カ所ぐらいでは全然使えないんですね。この燃料電池の普及・開発コストというのは、物すごく大きいんですね。既にもう一兆円近い開発費を使っていると思うんですけれども、これを実用化していくにはさらに莫大なコストがかかる。費用対効果を考えて、電気自動車の場合には、もう既にインフラは、電気はもう既にあるわけですから、新たな莫大な投資が要らない。一千億円ぐらいで最初の十万台をつくっていけばできるということでございますので、よろしくお願いいたします。
 さて、金属鉱業事業団のことをちょっとお尋ねしたいと思いますが、独立行政法人にして今度一緒になるということでございまして、ヒアリングを受けました。
 金属鉱業事業団は、昭和三十八年に設立されまして、かなり古いものですね。時代とともに当初の設立目的もほとんどなくなってしまいました。どんどんどんどん変質していったんですが、よくよく話をお伺いしますと、どうも大した仕事はほとんどやっていないというような感じになってまいりました。
 この際、行政改革をやるということであれば、やはり金属鉱業事業団を、わずかな調査をするとか、海外に事務所を十カ所置いてあるとか、そういうことであれば、もう民間のニーズの高いところに任せて、大幅にこれを縮小したらどうかなというふうに思うんですが、大臣はいかがお考えでしょうか。
河野政府参考人 金属鉱業事業団の業務について、若干御説明をさせていただきたいと思います。
 例えば、融資実績でございますが、平成十二年度で、探鉱部門で約七億円、鉱害部門で約十二億円という規模になっております。また、金属鉱業事業団の事業は、今先生もおっしゃいましたように、海外のメタル関係の情報収集、あるいは衛星の画像解析技術、海外地質構造調査、あるいは発展途上国などで、資源保有国の希望がございますので、ODAの調査、あるいは探査技術開発等々の技術、さらにレアメタル備蓄事業、あるいは国内鉱山による鉱害の防止事業まで、多岐にわたる事業をいたしております。
 現在の職員数は百八十九名ということでございますが、総務、経理で約四十名弱でございまして、また、鉱害防止部門で六十二名ということでございまして、約九十名で探鉱開発促進とレアメタルの備蓄の事業をやらせていただいております。
 金属鉱業事業団の最近の例でございますけれども、毎年三十件近いプロジェクトを海外地質構造調査あるいはODA調査で行っておりまして、海外地質構造調査を契機として、日本の企業がそうした鉱区に展開できた事例もありますし、ODAの結果、そういった資源を持つが豊かでない国の経済に貢献をしてきているという実績もございます。
 また、鉱害防止事業でございますけれども、全国四カ所の支所に十四人を配置しておりまして、地方公共団体などからの依頼を受けて、鉱害防止工事の設計に必要な技術指導などを鉱山の現場でやらせていただいておりますけれども、これが毎年二十数件に及んでいるということでございます。
 金属鉱業事業団自体、職員の数についても極力合理化をしながら今日まで至っておりまして、今回の改革におきましても、事業の必要性を精査いたしまして、国内地質構造調査等の廃止などの措置を講じたわけでございます。
 例えば、国内広域地質構造調査は平成十五年度に廃止をいたします。そして、国内精密地質構造調査につきましては平成十八年度までに廃止をいたします。また、銅などのベースメタルの備蓄資金融資については、この事業を廃止するというようなスリム化を図った上で石油公団との統合ということをさせていただきたいと思っております。
山田(敏)委員 役所の説明はそういうことだと思うんですけれども、金属鉱業事業団、最初できたときは全然違う目的で、本来、その目的を達すればこの事業団は廃止すべきものなんですね。ところが、どんどんどんどん目的や仕事を広げていっちゃって、二百人近い人が海外に十カ所の事業所を持ってやる仕事ではない。これはODAのお金をもらって調査をやっている。ほとんど調査は委託しているわけですね。ですから、民間の方がやっていらっしゃることですので、これはぜひ一回、独立行政法人化を機に重要な見直しをしていただきたいと思います。
 さて、本題に入りますけれども、備蓄会社、私ども調査をしてまいりました。この備蓄会社八社の総数が、七百八十名の社員の方が働いていらっしゃいます。それに対して、役員の数を数えてみましたら六十七名。大体十人に一人役員がいらっしゃるんですね。
 備蓄という仕事はどういう仕事なのか。原油というのは保存がききますから、そこにずうっと置いてある。これを時々空にして掃除をする、こういう仕事ですね。その従業員に対して十人に一人。百人ぐらいの中小企業の会社はたくさんあるんですけれども、役員が十人いるというようなことで役員報酬を払って、その人たちに二千万円以上の報酬を払うという会社は常識的にはあり得ないんですね、普通の会社の感覚で。
 これは一つの例でございますね。この間も申し上げましたけれども、オフィスを借りるのに一億円の家賃を払って、それぞれが借りて、やる。しかも、役員は三年から四年ごとに交代して、退職金をもらって次に行く、また行く。三千万円ずつですね。国民の普通の常識からいうと、これはもう本当に耐えられないというか、こんなことはあり得るはずがないということでございます。
 実際に、通産省のOBの方で、五十前に退官されたと思うんですが、石油公団の子会社を何回も、三、四年置きにやめて、また退職金をもらってまた退職金、ずうっとこれを繰り返されて、ついに九十歳まで、その方は鎌倉から運転手つきの黒塗りの車で霞が関まで来られる。こういう方まで出てきまして、ああそうか、これは三、四年で九十歳までやればできるんだという見本みたいになっちゃって、これでは国民も納得できない。その方はお亡くなりになったからもうやめられているんですが。それを契機に、この備蓄会社八社をつくるとか、御存じのように二百九十八社つくるとか、それにずうっと天下りを入れるとか、こういうことが行われたというふうに思います。
 そこでお聞きしたいんですが、今言いましたように、私の目から見ると、役員の数が十人に一人、実際私、お会いしてお話を伺っても、毎日何をやっているんですかと仕事を聞いたんですけれども、明確な答えが返ってこないということでございますので、具体的に、今後、備蓄会社八社というのは本当にどうなるのか、ちょっとお答えいただきたいと思うんです。
河野政府参考人 現在あります国家備蓄会社の八社は廃止をすることにいたしております。廃止をいたしまして、国家備蓄自身を国の直轄化ということにいたしますので、国家備蓄会社は現在タンクを保有しておりますけれども、このタンクも国有化するということになります。そして、この備蓄会社について、現在、石油公団が七割、民間の企業などが三割の出資をしているわけでございますが、そういうプロセスを通じまして石油公団の出資はなくなります。そして、純粋の民間会社になるわけでございます。
 一方、その国家備蓄の統合管理機能は独立行政法人が担うことになりますので、日々の操業については、基地の保有をしない純粋民間資本の操業会社と申しますか、サービス会社が誕生することになると思います。これがどういう組織形態になるかは先般も大臣の方からも御答弁申し上げたわけですけれども、基本的にはそうした民間の株主の皆さんの意向を尊重するということになると思います。
 その過程で集約化が図られることもあるかと思いますが、民間の皆さんの意向を尊重して、私どもとしては、備蓄を日ごろから安全に管理する、そしていざというときに適切に放出する、それだけの経験なりノウハウが維持されることを前提として、そういった民間の方の意向を尊重していくという基本的な考え方でございます。
山田(敏)委員 長官も大臣も副大臣も誤解なさっているんですが、備蓄会社は売り上げというのがあるんですね。一〇〇%国の税金から払われているんです。例えば白島だと毎年三百億円、ある会社は二百億円、それは一〇〇%国のお金なんですね。これは株主がかわっても、七〇%の公団の株を減資するということがあっても、その三百億円の費用というのは必ず毎年国から払われる。要するに、普通の会社のように、努力して売り上げを上げたとか経費を下げたとか、そういうのはないんですよね。
 ですから、これは、今の非常にむだな管理のやり方、マネジメントのやり方、あるいはその経費の、先ほど言いましたように、毎年五十億円近いお金を随意契約で払っているとか、そういうことを国がしっかりやらないと改革にならないんです。形だけなんです。
 会社の名前が変わって株主がかわるだけで、その中身は、売上金は、ことしは三百億円かかります、はいどうぞ、三百億円どうぞと。これは、石油公団がなくなっても、国の備蓄になっても、独立行政法人が今までどおりずうっと同じ仕事をなさっていくんですよね。原油は石油公団が所有している、土地は石油公団の保有、施設だけが備蓄会社ですと。
 しかし、その施設も、この間の白島みたいに四千三百億円かかったら、この減価償却は全部国から出ますということなんですよね。だから、これ、根本的にやり変えないと行政改革にも何にもならない、こういうことになるんですね。その辺をよく理解していただいて、ちょっと御答弁いただきたいんです。
平沼国務大臣 今回の改革によりまして、国家備蓄事業というのは国の直轄化することとしておりまして、備蓄石油及び国家備蓄基地を国有化するとともに、国家備蓄会社は廃止をすることにいたしております。
 具体的には、基地の操業につきましては、石油公団による出資がなく、かつ施設を保有しない純民間企業が民間株主によりまして設立をされまして、かかる会社に委託することになる、こういうことでございます。
 こうした改革の結果、専門性を有し、弾力的な業務運営が可能な独立行政法人による一元的な管理のもとに、基地の操業については、長官も答弁をさせていただきましたけれども、純民間企業の経営、そして創意工夫によるコスト削減を含む業務の効率化が図られることを期待しております。
 また、国直轄化に伴いまして、国の信用力によりまして資金調達コストの低減をする、このことも見込まれておりますので、幾らということは具体的にはまだ申せませんけれども、相当程度私は経費の削減は可能だ、また、そのことをしっかりとやっていかなければいけない、こういうふうに思います。
山田(敏)委員 今まで八社は、今答弁がありましたが、民間の創意工夫でこの備蓄の事業を行うことができなかったんですよね。役員が十人もいる、そんな経費がかかることは民間の創意工夫ではやらないわけですよ。天下りの方が三人も四人もいらっしゃる。監査役が三人もいる。常任監査役に仕事を聞いたら、答えられない。毎日朝から晩まで何をやっているんですか、監査法人の報告を聞きますと。報告は毎日あるんですかと言ったら、ありませんと。では、何をやっているのかわからない。その人が二千数百万円の報酬をもらって、それぞれ八社にいらっしゃる。民間の創意工夫でやるような仕事じゃないんですよね。今まで行われてこなかったんだ。
 今回、今御答弁されたように、本当に民間の創意工夫でやるんだったら、この役員の数は十分の一ぐらいにならないとまともな経営とは言えないし、あるいは年間三百億も石油公団がばんばんお金を払い続けて、その中身を、今言いました五十億円から六十億円というお金を払って、ちゃんとできているのかどうか。民間の創意工夫でこれはもっと安くできますということをはっきり今回の改正案の中に意志を持ってやっていただかないと、こういうふうに形が変わって、株主がかわったら何とかなるでしょうという今お考えなんですけれども、これではちょっと余りにも国民の税金を、今後も一〇〇%税金が払い続けられるわけですから、その辺をしっかりと御答弁いただきたいんですけれども、いかがですか。
平沼国務大臣 さきの御答弁でも申し上げましたけれども、そういった意味で、純民間という形で委託されて、操業の面はそういう民間の考え方が最大限入ります。そういう中で、やはり徹底的なコスト削減というのは当然されると思いますし、また、国が直轄をいたしますから、これも触れましたけれども、やはり国の信用という形でそういう金利等も非常に節減できる。私は、まだ今明確には額は申し上げることはできませんけれども、相当程度その節約はできるし、また、国としてもその辺はしっかりと監督をして、国民の皆様方の御期待におこたえをしていかなければならない、このように思います。
山田(敏)委員 独立行政法人で今後やっていくと。では、その独立行政法人が今大臣がおっしゃったことをきちっとやらなかったらどうするのか。今まで通産省のこの管理監督責任、この間申し上げましたけれども、今までやられていなかったということの方がたくさんあるわけですよね、今この議論でたくさんなっていますけれども。
 では、その理由は何なのだろうと。法律では書いてある、経済産業省が石油公団を管理監督しますと。しかし、その管理監督をする石油部長なりエネ庁長官なりは、その先輩が石油公団の総裁で、その人に対して、あなたは監督能力がないからやめなさい、役員報酬を半分にしなさいとこれは言えないわけですよ。今まで一度も言ったことがないんですよ。言えないんですよ、具体的に。法律はあるけれども、事実上機能しない。
 今後、独立行政法人になると――今まで、独立行政法人の内容がいろいろ明らかになると、行政法人になってかえって役員が倍になったとか、自主性を持って経営しなさい、わかりました、では、私たち思い切ってやりますと役員を広げたり、役員報酬が三千万円ぐらいの人が出てきたり、そういうことが現実に起こったわけですよね。
 監督官庁として今までやってきたこと、実質ワークしなかった。例えば東京に八つも本社を置いて、役員をたくさん置いてやるとか、こんな常識のないことはだめです、やめなさいということを言わなかったわけですよね、今まで。監督しなかったんです。
 これからは、今大臣がおっしゃった、監督官庁は独立行政法人に対してきちっとやるということを根本的に考え直さないと、実質的に機能しないですよ。おわかりになりますね。後輩が先輩に、あなたは働いていないから首ですと言えないんですよね。その辺のところをもう一回よく考えていただきたいのですけれども。
平沼国務大臣 独立行政法人には評価委員会というのがあります。そういう中で、これは役所関係の者が入らずに、厳正に評価をする評価委員会というのがございまして、ここできっちり評価をしてもらいます。
 さらに、担当大臣として、その任にふさわしくない、こういうようなことであれば、やはりその任免に関しましても大臣が責任を持つ、こういう体制がございますので、私どもとしては、そういう御懸念のことがないように万全の努力をしていかなければならない、こういうふうに思います。
山田(敏)委員 これはサンデー毎日の記事でございまして、五十七の独立行政法人の役員報酬のリスト、いかにこれが改革をされなかったかという実証をこれは記事にしてあるんですね。
 これは、報酬は今申しません。もう御存じだと思うんですが、これは、産業技術総合研究所、経済産業省所管、非常に高い報酬を得ておられました。こういうのは御存じですよね。これについて、その後下げられたということなんですけれども、この独立行政法人の実態は、天下りポストがどんどんどんどんふえていった、平均すると倍ぐらいになっちゃった、こういう実態があるわけですね。
 大臣が今申されました評価委員会というのがやはり機能しないんですね。本当に、これはだめです、やめなさいと言える人がいないんです、この委員会の中に。では、あなた任命します、どうぞと座って、名前は私は委員ですと。しかし、今言いましたように、これは経営をおやりになった方はわかると思うんですけれども、非常に厳しい目で、この人をカットする、これをやめる、これはだめと、どんどんやっていかなきゃいけないんですね。そういう委員がこの中に一人も入っていないんですね。その結果、どんどんどんどん、「焼け太り」とここに書いてありますけれども、なってしまいました。
 ぜひ、この独立行政法人の評価委員会のあり方、本当にその人たちが、これは仕事をやっていないわけですから、今度は評価委員会を評価しなきゃいけない、そんなことにならないように、大臣、ちょっともう一回最後に決意表明を。
平沼国務大臣 産業技術総合研究所、その例をお出しになられましたけれども、やはりそれだけ国の大切な産業技術、そういったものを総合的に受け持つ、それだけの経歴の方をお迎えして、そして能力を発揮していただこうと。そういう意味ではいろいろな評価がありますけれども、私は、ある意味ではしかるべき報酬でもあるんじゃないかと思っています。しかし、それが業績が上がらない場合は当然その報酬は下げる、こういうことも当然していくべきだと思っています。
 それから、評価委員会のあり方については、余り機能していないんじゃないか、こういう御指摘ですけれども、私どもとしては、そういうことがないように監督をしっかりしていかなければならない、このように思っています。
山田(敏)委員 しっかりやっていこうということですが、しっかりやっていかれない場合も多々出てきますので、これはやはりマネジメントの手法を入れていただいて、この人の評価をどういう数値で評価するのか、業績を上げたのか、利益を上げたのか、あるいはコストの削減はどの程度やったのか、それを評価するマニュアルをつくってやっていただきたい。それが非常に厳しい、委員が、勝手にこの人は厳しいとかできないわけですから、そういうふうにやっていかないと僕はだめだと思うんですが、大臣、いかがお考えですか。
平沼国務大臣 それは重要な御指摘だと思っておりますし、独立行政法人の例えば中期的なそういう目標、計画、その中に定量的な手法を取り入れていく、こういうことは私はやっていきたいと思いますし、それは非常に重要な御指摘だ、こういうふうに思います。
山田(敏)委員 もっと重要なことは、その評価マニュアルで芳しくなかったということが出たら、直ちにその人たちをやめさせるという制度がなかったら、これは単なる言葉の遊びになりますので、その点だけをよろしくお願いします。ありがとうございました。
谷畑委員長 長妻昭君。
長妻委員 民主党の長妻昭でございます。
 時間も短いので、端的に御答弁をいただければ幸いでございます。
 資料を何点か用意させていただいております。皆さんお持ちだと思いますが、今お配りをしておりますけれども、その中に、石油公団が出資をした会社で平成十年以降清算がされた会社、つまりはつぶれた会社、簡単に言うとそういうことであります。そして、清算された会社というのは、基本的には当初の目的を達成できない、簡単に言うと、なかなか油のところがうまくいかなかった、失敗したというようなこと、ありていに言えばそういう状況だと思うんです。
 そして、今お配りをしているところの資料六、これは調べていただいたものでございますけれども、平成十年以降清算した会社が全部で四十四社あります。そのうちに、国家公務員のOBの方がそこに役職としておられるのが三十五社ある。そのうち二十二社は国家公務員の方が社長を務められておられたということでございます。ありていに言えば、平成十年以降つぶれた会社の二十二社が国家公務員の方が社長をされている、最高責任者であったということでございます。
 そして、ここに、三十五社に天下っておられた役員の方々が会社がつぶれた後どうなさったのかというのを調べてみますと、ここの「兼職」という欄がございますけれども、結局は、会社がつぶれても前の会社に、兼職はそのままでいて、この中でお一人として、全部やめられたという方は一人もおりません。
 私は、これは驚くべき話だと思っておりまして、というのは、私も過去、民間企業の経験がございますけれども、例えば、親会社の役員が、プロジェクトをつくってかなりの金額をつぎ込んで、子会社の社長として兼任していく、それで失敗したら、普通は親会社の役員は首になるんですね、基本的には。それとこれ、民間、一般、中小企業を考えていただきますと、プロジェクトというか会社がつぶれちゃった、倒産した、そうしたときに、やはり社長さんは個人保証、家屋敷とられて大変な目に遭う。自殺者が今百人近く毎日おられるということですけれども、そういう状況の中、二十二社、それも、その社長を国家公務員OBの方がされて、事業が失敗してつぶれているわけでありまして、その方々がまた同じ親会社に戻っておられる、それで、多分退職されるときにまた巨額の退職金をもらうというような状況になると思うんですけれども。
 こういう話は、与野党対決というんじゃなくて、一般国民感情からしても本当にゆゆしき話、そう思います。ここの資料の後ろの方には公団のOBの方の一覧表もつけておりますので、ぜひ大臣には、会社がつぶれた、清算したその役員は、親会社にもうとどまらずに辞任をしていただく、こんなような措置をやはりとるべきじゃないか、そういうことをすべきではないかというのをぜひ大臣から御答弁いただければありがたいと思っております。
平沼国務大臣 石油公団の出融資先開発会社の中に、今具体的な数字をお示しいただきましたけれども、国家公務員出身者がたくさんいることは事実でございます。これによりまして、多くの御批判をいただいていることは十分私ども認識しております。このような国家公務員出身者の就職というのは、行政の中立性等を損なうことのないように、国家公務員法上の厳格な定めのもとに行われている、このように理解しております。
 いずれにいたしましても、公務員の再就職については、いわゆる天下り問題として国民の皆様方の中に強い御批判があることも私どもは真摯に受けとめて、今内閣で取り組んでいる公務員制度改革において、特殊法人等の公的部門を再就職の安易な受け皿、そういうことにならないようにすることが国民の信頼を回復し得るために必要なことだ、そのためのルールづくりというのをしっかりやっていかなければならないと私は思っております。
 いずれにいたしましても、そうやって押しつけ型の天下りはもう排除すべきでございまして、そして今御指摘の、そういう新たな開発をするという会社は、それまでの知見だとかいろいろな形で、ぜひなってくれということでなった、それがうまくいかなかった、そしてまたもとの親会社に戻る、これは一般的に言って、失敗したところがまたぬくぬくともとに戻るということは御批判があると思いますけれども、しかし、ある意味では、開発会社をつくるいろいろな過程ということもよく吟味しなければならない問題だと思いますが、一般論から言うと、やはり民間の、国民の皆様方に納得をいただく、そういう出処進退というものはあってしかるべきだ、私はこのように思います。
長妻委員 親会社に戻るだけではなくて、お名前を挙げて恐縮ですけれども、ここの二枚目の、日中石油開発株式会社の社長だった方は、会社がつぶれた後、秋田石油備蓄株式会社の専務取締役として転職されている。あと、この一覧表で見ていただきますと、お名前を言って恐縮ですけれども、松尾さんとか河野さんとか、同じような名前の方がたくさんおられて、その方が複数の会社を清算している。そして、そのまま親会社、親会社といってもいろいろな会社を兼務されておりますから、そこでまた戻っていくということで、これ、責任というのが全然明確でないということで、逆に言えば、人の能力を殺すシステムでもあるというふうに私は思っております。
 やはり本当に失敗したら大変な、自分の出処進退が厳しく問われるということであると、優秀な方はそこで能力を発揮する。こういうような、失敗してもおとがめないですよというような状況でありますと、その人の本来持っている能力も引き出せなくて、お互い不幸になってしまうというふうに思っております。
 大臣、今の趣旨は、もう一度確認しますけれども、こういうふうに会社を清算したら、役員は親会社も含めて辞任する、もうこういうふうにけじめをつける、これも一つの検討の対象として今後検討されるということでよろしいのでございますか。
平沼国務大臣 先ほどの御答弁で申し上げました。例えば親会社みたいなものがあって、そこが出資するという形では、民間にもありますように、そういう出資する場合には、そこの役職を兼ねて責任をとる、そういうケースは随分あると思います。ですから、今例えば松尾さんの例を出されましたけれども、そういった、親会社として出資した先の子会社の開発会社の役職を兼ねた、こういう形は民間にもあるケースだと思います。
 それが危殆に瀕し、失敗して、そしてまたもとに戻り、退職金等の問題ですね、そういうことは、一般論として言えば、国民の皆さん方の理解をなかなか得られることにはならない。ですから、そういうものはやはり我々としては今後厳正に対処をしていかなければならない問題だと思っております。
 それから、もう一つ例をお出しになられた、日中石油の例でございますけれども、この方は、最終的には、会社を整理した場合、千五百億以上の損失を石油公団に与えること等を勘案して、退職慰労金は受け取らなかった、こういうことが言われておりますので、そのこともちょっとあわせて申し上げておきます。
長妻委員 それは当たり前じゃないですかね。会社をつぶして、退職慰労金を受け取らなくて、何か偉いというか、そういう話ですけれども、これ常識的な、本当に感覚が全く違うんですね。
 今御答弁で、ちょっと退職金のお話、厳正に対処するということはありましたけれども、私が言っている退職金は、当然つぶした会社から退職金をもらうというのは言語道断でありまして、会社を例えば社長なり役員という立場でつぶして、それで親会社に行く、親会社でまた退職したときに退職金を多分今現在は支払われるような状況だと思うんですが、こういうふうに会社を清算したそういう過去、そういう経歴がある方は親会社の退職金はもう支払わない、大臣、こういうような措置もぜひいただきたいと思うんですが、その部分はどうでございますか、御検討。
平沼国務大臣 石油開発業務というのは、委員も御承知のように、非常に確率あるいはリスク、そういう面では、いろいろ一般のものと比較をそのままするわけにはいかないと思います。ですから、そのプロジェクトがどうであったかということもやはり勘案をしなければならない一つの点だと思っていますけれども。
 しかし、繰り返しになりますけれども、一般論として言わせていただくと、そういった形で多額の退職金が支払われるということは、私はやはり、厳にここはしっかりと監督をし、そして厳正な形で臨まなければならない、こういうふうに思います。
長妻委員 その退職金というのは、つぶれた会社から支払われる退職金というのもありましょうけれども、そうじゃなくて、会社をつぶしてしまった役員が親会社に行って、そこの退職金の話も今言われたということで、うなずかれておりますので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
 そしてもう一点は、資料七でございますけれども、これはことし六月、株主総会というのは六月でございますが、出資企業で役員が退任をされた、そのうち、赤字会社で、かつ退任された役員が公団または国家公務員出身者の方というふうに限定してお調べをいただきましたら、このお二人がおられたと。
 この支給金額というのは退職された全員のグロスでございまして、割り算を単純にすると、上の方が二千八十六万円、サハリン石油ガス開発株式会社の方ですね。そして下の方が日本インドネシア石油協力株式会社、単純計算すると一人六百二十一万円という退職金が支払われておりますけれども、これは赤字会社でございます。そして、下の方は今度は転職をされまして、サハリン石油ガス開発株式会社常勤監査役ということで、こういう利益が出ない赤字会社、また転職先があるというのは、今職安で苦しんでいる一般の方から見たら、まあ何と貴族のような生活、天国のような生活だなというふうに思われる向きもあると思うのでございますが。
 そこでお尋ねするんですけれども、こういう、渡り鳥という言葉もございましょうけれども、特に石油公団のこういう出資会社に関しては巨額の損失の可能性というのが言われておって、実際に巨額の損失が出ている部分もあるわけですけれども、その意味で、やはり渡り鳥というのはいかにも責任をあいまいにしていくというふうに考えておりまして、事前にちょっと質問通告しているんですけれども、例えば、最高何回出資会社を渡り歩いたか、五、六回なのか七、八回なのか、最高の渡り歩いた回数の方というのは何回ぐらいなのでございますか。
河野政府参考人 ちょっと私ども今その具体的な数字の資料を持ち合わせておりませんので、後ほど御報告させていただきたいと思います。
長妻委員 今、後ほどという話がありましたので、複数回の方がおられるわけですけれども、あとこの際、大臣、今後私は新規の天下りは全面禁止というふうに考えを持っているんですが、全面禁止といってもすぐにおのみにならないとは思いますので、まずは、新規の天下りは、新規というか、天下りはもう一回にする、例えば国家公務員のOBの方が退職されて出資の株式会社に行かれる、そこをやめられたらもうほかに移らない、御自分で職業を探していただく。これは普通は当たり前なんですけれども、そういう一回に限るという措置を御検討いただくおつもりはありませんか。
平沼国務大臣 御指摘のことがあります。それで、私は、そういうルールをつくるということもこれは検討に値すると思っています。
 その前に、今の人生八十年という平均寿命の時代に、今、国家公務員のいわゆる勤務体系というもの、ある意味ではそこから見直して土台をしっかりするということもあわせて検討していく課題ではないかと私は思います。例えばどこの役所も、人生八十年の時代に、大体の人たちが五十代前半ぐらいでその職を去って新たな職を探す、こういうことになっています。ですから、給与体系も含めて、人生八十年のそういう設計を一方でやはりしていくということがある意味では根本的な解決にもつながると思っています。
 しかし、さはさりながら、何回もそうやって天下ってその都度退職金をもらう、この厳しい今の経済情勢の中でそれは国民の納得が得られるものではありませんので、私は、そのお考えはお考えの一つだ、こういうふうに重く受けとめさせていただきたいと思っています。
長妻委員 お考えの一つ、受けとめるということでございます。
 それともう一点、こういうような就職に関しては、国家公務員のOBの方、今もお役所の官房がいろいろ段取りなんかをされておられるんでしょうか。
河野政府参考人 現役を去られた国家公務員の方がどのようなところに再度就職されるかということについては、いろいろなケースがあると思います。その中には官房が御相談に乗ったり、それは公式と言えるかどうか存じませんが、そういったケースのものもあろうかと思います。
長妻委員 この際この方も、私も別に、全く役所を離れて本当に自力で就職先を見つけていくという、役所の力を背景でない再就職というのはもちろん自由でございますけれども、官房が、どういうところにおられるという統計ぐらいはとってもいいと思うんですが、もう一切口ききみたいなことは一〇〇%しませんと、これは当たり前だと思うんですが、今明言していただけますか。
河野政府参考人 退職された方がどういうふうに人生設計していくかということについて、役所の現役として相談にあずかる場合もあると思います。それから、今大臣が御答弁申し上げたわけですけれども、全体として、公務員制度のあり方の中でこういった問題を、大きな枠組みの中で検討するというのは現在の仕組みとして動いていることだと思いますので、私どもはそういった動きに協力させていただきたいと思います。
長妻委員 いや、相談に乗るのは別にいいと思うんですね。OBの方がこれから人生設計どうしようと、人生相談みたいなものでしょうけれども。
 だから、相談に乗ったときに、官房なりが会社に電話をしてちょっと何々さんどうかねとか、そういうようなアクションを、その部分ですよ、その部分は一切もうこれからは起こしませんということは、これは明言していただきたいと思うんですよね、本当に。
平沼国務大臣 五十代前半で退職されるような方が第二の人生設計をする、それから、役所で大変大きな経験を積み知見を有している、そういった人材をやはり欲している民間企業もあるわけであります。そういったことが役所に具体的に、私どもはこういう人材を求めている、そういったものをマッチングするということは、私は、強制的にやることはともかくとして、そういうことは必要最小限あってもいいことではないかと思います。
 そういうことも含めて、先ほどの御答弁で申しましたけれども、やはりそこをちゃんとやっていくためには、公務員制度のあり方、人生八十年、そういった時代に、もうずうっと右肩上がりばかりの給与体系じゃなくて、ある一定の年数が来たら、せっかくまだ元気でそうやって知識もあり経験もあり体力もある、こういう方々がその知見を生かしながら国家のために働いてくださる、そういうシステムがやはり少子高齢化の中でも大変国の活力になると私は思いますから、そういったこともあわせて考えていき、また、今おっしゃったことは極力なくしていく、こういうことはもう絶対に必要なことだと思っています。
長妻委員 次の質問に移ります。
 新しく独立行政法人としてできる資源機構でございますけれども、これは先ほども評価委員会というお話が出ましたが、この評価委員会のメンバーは、ほかの省庁を見ても、国家公務員のOBの方あるいは公団なりのOBの方というのが入っていないケースが多いわけでございまして、この資源機構の独立行政法人の評価委員会のメンバーには一切国家公務員OBの方、公団OBの方は入れないというのを今ここでぜひ御答弁いただければと思います。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 経済産業省の独立行政法人の評価委員会の委員につきましては、四十六名現在ございまして、内容的には、行政組織、企業経営あるいは会計監査などの分野で高度なあるいは専門的な知識を有する者を委員として委嘱をいたしておりますけれども、この四十六名の評価委員のうち、当省の出身者は含まれておりません。
 今後、この独法が新しくできた場合の評価委員会についても、この考え方に基づいて対応していきたいと思っております。
長妻委員 一切入れないということだと思います。ありがとうございます。
 そして、もう一点は、三年以内に石油公団廃止と同時に特殊会社が設立される。私は特殊会社は必要ないという立場をとっておりますけれども、この特殊会社の社長は国家公務員OBはしませんよというふうに大臣は明言されました。役員も、国家公務員OBあるいは公団OBは入れないというのを今この場で明言をしていただきたい。もうこのチャンスしかないと思うんですね。
平沼国務大臣 特殊会社の役員につきましては、その法人が行う事業の性格に照らしまして、個人としての経験、能力等に基づきまして、適材適所で人材が配置されるものと認識しております。
 なお、私といたしましては、この前の御答弁で申し上げましたけれども、特殊会社のトップには民間人を起用することとしたいと思っております。その他の役員構成は、経営トップの意向を尊重するのが適当だと考えております。
 したがって、役人、公団出身者だからということで役員に一切つかせるべきではないということではなくて、個々人として適材であれば、経営トップの意向を尊重して役員につくこともあり得ることだと私は思っています。
 要は、先ほども御答弁で申し上げましたように、機械的に押しつける、こういうことであってはならないと思います。そういう長い経験を積んで、そしてその知識や経験というものをパワーとして生かすということもやはり大きな目で見たら必要でありますから、機械的に押しつけるという形ではなくて、私は、トップの判断、そういう中で、適当であれば、そしてまた納得が得られれば否定するものではない、このように考えております。
長妻委員 私の考えと違うわけでございますけれども。
 役所のOBの方、公団OBの方というのは一つの能力を持たれている、いろいろノウハウがあるということもあると思うんですが、これは、一つは、余りそれを過信し過ぎた、そこの能力という部分がある意味幻想であったということが、今までの経緯の中で、長い歴史の中で、これはもう国民の皆さんもお気づきになっておられるのではないか。
 お配りをした資料一という資料がございます。ここに書かせていただいておるんですけれども、資料を二種類お配りしておりますけれども、石油の開発で二つの目標というのがあったのではないかというふうに考えております。一つは、よく言われる自主開発が、日の丸原油というのですか、三〇%というもの、もう一つは、中東依存度を減らしていくんだということでございます。
 これは、ここの資料一にも出ておりますけれども、昭和四十二年にも、三〇%だと。それと、(四)でございますが、昭和五十八年にも、基本的には百二十万バレル・パー・デーというのは三〇%ですけれども、これは三〇%なんだと。六十一年にも、昭和七十年度というのは平成七年ですけれども、平成七年には三〇%だ、こういうふうにすると。それで、平成五年の十一月、(六)ですけれども、ここにも、来世紀初頭、二十一世紀初頭には三〇%だと。こうずっと言われていて、資料二でございますけれども、今、平成十二年でいえば一三・二%ということで、とっくにその目標期限は過ぎているものの、こうなってしまっている。
 資料三、次のページでございますけれども、これは中東依存度の問題でございますが、これは石油の価格等の問題もあるんでしょうけれども、八八・四%、二〇〇一年ということで、上昇機運にもある。
 そういうような状況がありまして、私は、この自主開発あるいは中東依存度を下げるという目標自身は、では、すぐもうそういう目標を捨てるべきだとかそういうことは思いませんで、いや、やはり自主開発の比率を上げる、そして中東依存度を下げる、これは今も今後も重要であるというふうに考えています。
 ただ、この資料で、今の、過去の現実で何が見えるかというと、もはや、半官半民といいますか、官のノウハウが半分入ったような形で、結局この目標がもう失敗した、これは確実に我々は総括しなきゃいけないと思うんですね。もうだめだったと、官のノウハウというのがすばらしいものだというのは幻想だった、もうそこじゃなくて一度民間にすぱっと任せてみようと、それで民間にやってもらおう。
 もう一つは、資料四にもございますけれども、ジャパン石油開発というのがせっかく油田を掘ったのに赤字になってしまっている。これは、一九七三年に、初めは権益としてシェアが二二・五%あった。ところが、翌年突然、アブダビ政府がOPEC諸国の石油産業の国有化を進めるということで、初めは二〇一八年まで権益が二二・五パーだよということで、これはジャパン石油よくやったということになったわけですけれども、結局、翌年に突然国有化の方針で、ジャパン石油さんは一二パーですよ、二〇一八年まで契約を結んでいたにもかかわらず、突然こういうふうになった。
 これからは、国情も含めて、他国の領域内で採掘しているわけですので、それがどうなるかというリスクもあるわけでありまして、その意味でも、自主開発は官がきちっとやって、外交ルートでやればこういうような契約変更もないんだということでありますので、その意味では、特殊会社も、ここの予定では三年で石油公団を廃止して特殊会社とありますけれども、仮にここにつくっても、同時に売却していく、石油公団出資の会社を。売却する整理の会社としてこの特殊会社を位置づけて、三年もこの法律ではあるわけでありますので、私は長過ぎると思いますけれども、こういう期間にきちんと売却先を見つけて、そして石油公団が廃止と同時に全部出資会社を売却するというようなことをぜひ御検討いただきたいと思うのです。
 条文では、「できるだけ早期に」という言葉が特殊会社の民営化にはありますけれども、「できるだけ早期に」じゃなくて、同時に完全民営化をするということはいかがでございますか。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 特殊会社につきましては、別に法的措置をとることとなっておりまして、民営化のプロセスも含めまして、今後の議論の中で具体的な姿を明らかにしたいと考えています。
 なお、特殊会社は会社発足後できるだけ早期に民営化を行うこととし、特殊会社の経営が民間資本の論理にのっとり効率的に行われるように、これも先ほどの答弁にもありましたけれども、トップには民間人を起用する、このことを考えております。
 他方、設立当初国が一〇〇%保有する特殊会社の株式を直ちに全額民間に売却する、すなわち、直ちに完全民営化できるか否かは、その時点における株式市場の動向でございますとかあるいは売却益をどう最大化させるか、そういった状況に左右されることから、現時点では明らかにすることは私はできないと思っています。
 いずれにいたしましても、天下りの温床にする意図は私ども毛頭ないところでございまして、そうならないように万全を期していきますし、また、今御指摘のように、完全の民営化を一日も早くやれ、こういうことでございますけれども、私どもは、できるだけ早く、今言ったその状況を見きわめながら適切に対処しなければならない、このように思っています。
長妻委員 ということは、この法律で言う、石油公団廃止と同時に特殊会社、その石油公団廃止と同時に特殊会社の株式を株式市場で売るというのは、今株式市場の動向等も見ながらということはありますけれども、もし、市場も含めて、すべての条件が合致すれば、石油公団廃止と同時にそれを全部民営化に、一〇〇%売却するという選択肢もあるということでしょうか、一言。
平沼国務大臣 そういうすべての条件が整って、そして、判断すべきところのすべての判断がそういう形でそれでいいということであれば、その選択肢は当然あると思っています。
長妻委員 それと、特殊会社の設立というのがありますけれども、例えば、特殊会社というのはつくらないで、そのまま売却をしてしまう。特殊会社をつくって売却ということは、ある意味ではその傘下に子会社として出資会社が入って、まとめて売却というイメージが多分あると思うんですが、そうじゃなくて、それぞれの出資会社を切り売りでもオーケーといいますか、そういうような発想で、特殊会社をつくらずに、そのまま売却を市場でしていくというふうにするのは私は一つの考え方だと思うんですが、それはなぜだめなんですか。どういうデメリットがあるのでございますか。
河野政府参考人 今回提案させていただいておりますこの廃止法案の構造は、三年間をかけまして、現在石油公団が保有しております資産について厳正な評価をいたしまして、そして、それを総合資源エネルギー調査会にお諮りする中で、どのような適正処分をするかということを決定いたし、その事業を三年間かけて遂行していくということでございます。もちろんその過程で、処分の計画の認可に当たりましては、経済産業大臣は内閣総理大臣に協議をするというプロセスを経るわけでございます。
 ただ、同時に、この廃止法の附則三条で特殊会社を設立するというふうに規定をいたし、また、これを早期に民営化するといたしましたのは、やはり一定の資産について特殊会社を一つの受け皿として継承させる、そして、かなうことならば、先ほど来大臣も御答弁しておりますが、我が国のエネルギーの安定供給にとって役に立つような、一定のプレゼンスを持つような企業として育っていくことを期待したい、そして、その過程で、やはりトータルとしてのこれまでの石油公団が投資してきましたものをより価値あるものとして売却をする、また、必要な金額については国庫納付の規定があるわけでございますから、国庫にも納付していくというプロセスを経たいというのが私どもの提案でございます。
長妻委員 いや、今お伺いしているのは、特殊会社をつくらないで、出資の受け皿、資産の受け皿になる特殊会社は、そういうのをつくらないで直接市場で出資の会社を売る。特殊会社をつくらないといけないのはなぜか。逆に言えば、特殊会社がない場合はどんなデメリットが発生するのかということなんです。
河野政府参考人 どういうものを特殊会社に継承し、どういうものを売却するかということについては、今後、総合資源エネルギー調査会の御意見も踏まえて決定していくということでございますから現在明確に申し上げられないわけですけれども、ただ、これまでも大臣、副大臣の御答弁で申し上げておりますように、例えば、業績が非常に悪いということでこの際整理していくことが適切であるものは整理するということになるのではないかと思いますし、有望な案件については、産油国との関係で国の関与なりが有意義であるというようなものについて特殊会社で引き継いでいくという考え方もあり得るでございましょうし、また、これは今後の検討にまつわけですけれども、例えばさまざまな権益の期限のばらつき、地域的なばらつき、こういったものを一定の固まりとして持ってこれを売却するということがより有効な資産売却といいますか、そういったことにもつながる可能性ももちろん模索したいと思うわけでございます。
長妻委員 これは、過去の石油公団の長い歴史の中の、私は失敗と言っていいと思うんですが、それの反省に立っておられないのではないかというふうに今の御答弁を聞いて思うわけであります。
 結局は、和製メジャーをまた、初めの立ち上げは国が関与して育て上げてあげよう、こういう通産省からの発想が見え隠れしておりまして、もう育てられないんですね。結局これまでいろいろな出資企業は失敗しているわけですから、もうそんな、お役所が主導で、卵を産んでそういうところに育てていこう、これはおこがましい話でありまして、それが一点。
 もう一点は、今のお話ですと、売却するものと売却しないものは、ある意味では、総理と相談するということもあるんでしょうけれども、お役所が決めていくと。これもおこがましい話でして、日本の国の将来にとってどれが必要でどれが売却するか。何か、民間に売却するのは必要のないもので、まあ、そうは言われておりませんと思いますけれども、それで特殊会社があらかじめ持つものは非常に有望なものでと、こういう切り分けもおこがましい話だと私も思います。
 そして、国の関与が必要なものもあるというお話が今ありましたけれども、そこが間違ったわけですよね。これまでの石油公団の問題等でも、何しろ国の関与が必要だ、特にこの会社は必要だからというような発想でやっていく。これは、一民間企業でも本当に、国に対してお願いをして、こういうような外交ルートで例えばこういう交渉をぜひしてくださいというような話というのは、それは国が国益を考えてやればできる話でもあると思います。
 いずれにしましても、政府、お役所、官庁が売却するもの売却しないものを選んでいくというのは、私はおかしい。一挙に出資企業全部を市場に提示して、そして売っていくということが石油行政を一歩前進させる道だと思うんですが、いかがでございますか。
平沼国務大臣 私どもは、それは一つのお考えだと思います。
 今までの自主開発の部分が官主導で全部だめだった、そういう御認識ですけれども、私はその認識とはちょっと違う認識を持っています。現に、三〇%という目標を立ててきて、現時点では一三%ですけれども、当初二十七万バレルから始まって今五十八万バレル、これだけの必要なものは確保できております。
 そして、民間にすべて任せて、そして民間が必要なことを政府に頼んでやればすべて解決できるというようなお話ですけれども、実際にその衝に当たってみますと、例えば最近のアザデガンの油田の開発に関しても、やはり産油国というものは、本当に国の後ろ盾があるかないか、これが彼らの価値判断の非常に大きな部分であります。したがって、民間企業が前面に立って、そして国が腰を引けた状況でやっていましたら、アザデガン油田の最優先権というのは私は獲得できなかったと思っています。
 もちろん、これまで非常に厳しい、確率の低い、これはどの国がやっても、いわゆる自主開発、石油の採掘、それはなかなかリスキーなもので、危険の多いものでありまして、私は、だから全部肯定できるということは言っておりません。
 もちろん、国民の大きな税金を使ったという反省の上には立たなければなりませんけれども、私は、そういう意味で、特殊会社というものも、やはり国が自主的にエネルギーを確保する、そういう使命というものも当然負わなければいけない、そういうことで、全部売却をしてしまって民間にゆだねる、そのことには私どもとしては賛成をいたしかねます。
長妻委員 そこが私と発想が違うと思うんですけれども、本当に国益にかなうというふうに国が判断すれば、そのために経済産業省というのはあるわけでしょうけれども、民間企業でもやはり支援していくわけですね、国が。そういう意味で、先ほど申し上げたジャパン石油開発なんかは、国の後ろ盾があってもこういうふうに突然契約を変えられてしまうということもありますので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
 そして、もう一点でございますけれども、先ほど山田議員からもお話が出ましたが、石油備蓄基地、国家石油備蓄会社でございます。これが八社あるということでございますけれども、この八社、東京に本社がある。素人考えでは、東京に一社本社があって、備蓄基地を八つ管理すれば事は足りるのではないか、各地元での出資は全部トータルで出資をしていただくということでいいのではないかと思うんですが、八社つくったということは、今の時点ではこれはやはり失敗だったというふうにお考えですか。
河野政府参考人 八社の国備会社ができました経緯は、時系列的にも区々でございます。八社になりました一つの大きな発想は、国家備蓄基地という、石油という可燃物を保管する、そういう施設を新しくつくるに当たりまして、その近傍、隣接の場合もあったわけですけれども、そういったところに存在いたします精製会社のタンク補修から始まって地元との関係に至るまで、そういった協力を仰ぐということで、それぞれの基地に当たって、中核会社というものに協力を仰ぎ、また出資も依頼をいたしました。そういう経緯がございます。その結果、それぞれの基地が株主構成が異なるということで八社になったわけでございます。
 そして、本社の議論につきましては、これも先日来御答弁をさせていただいているわけですけれども、確かに、建設途上にある時期などについて言えば、官庁との連絡、あるいは予算の問題等々あり、東京にあることが便利だという時期がありましたが、十三年度から地方に移転ということで進めていたところでございますが、今回さらに思い切った改革ということになったわけでございます。
 そして、これが将来、今回の改革でどうなるかという点については、今までのお話とやや重複して恐縮でございますけれども、国備会社は廃止になります。八社とも廃止になるわけでございまして、油は石油公団から国へ、そしてタンクについては国備会社から国へということで、国の直轄事業になります。それぞれの国備会社が純粋の民間サービス会社にどのような形態でなるか、これはこれからの検討課題でございまして、先般大臣からも御答弁申し上げましたけれども、幾つかの操業サービス会社が集約されて、場合により一社化するという判断がなされることも、民間の御判断として、可能性はあろうかと思います。
 いずれにしても、私どもといたしましては、この備蓄制度が円滑かつ安全に遂行されていくということが重要で、これが担保される限りにおきまして、民間における判断を尊重したいというふうに大臣も答弁申し上げたところでございます。
長妻委員 今の御説明は、八社でないとだめだという御説明にはなっていないと思うんですね。中核会社、地域地域にある、それは別に、一社の会社に出資をそれぞれしていただければいいわけでございまして。
 いずれにしても、私がお尋ねしたいのは、政府当局、大臣も含めて、やはり権限があって、国会では、我々野党としては、ポイントの問題を是正するように全力で取り組んでいるわけですけれども、残念ながら我々、与党ではなくて、最終的な責任は現在は政府・与党ということでございますけれども、こういう備蓄会社八社の問題も、当然、失敗だったとかいうお話は、言葉は出ないわけでございますが。
 いずれにしても、今回改革があって、国費が巨額なものがつぎ込まれ、多くが不良債権化しているということ、あるいはもろもろの問題があるわけでございますけれども、これらをやはりトータルにどなたかが責任をきちんととるというような御発想というのはないのでございますか。
平沼国務大臣 石油備蓄会社は、七三年から始まった二回のオイルショック、こういう中で、日本のエネルギー安全保障上必要だという国民の皆様方の御要望で、私どもとしては鋭意整備をさせていただき、私は、一定の非常に大きな成果は上がっていることだと思っています。
 そういう意味で、備蓄会社に限らずいろいろな、例えば公団の大変なそういう出資先の債務といった問題は、非常に国民の皆様方に大きな負担をかけていることは事実であります。そういった意味で私どもとしては、その反省の上に立って、そしてこれからの体制をしっかりしながら、国民の皆様方の負託におこたえをしていく、このことが大切なことではないか、このように思っています。
長妻委員 それと、もう一点お尋ねするんですが、今時点以降、こういうような、仮にこの法案の形でいきますと、石油公団の清算といいますか廃止のプロセスが始まってくると思うんですが、そうすると、石油公団が廃止をされるというのはいつか、この法律では三年以内にあるということでありますけれども、そうすると、石油公団が廃止をされて、債権債務も含めて全部きれいにしていくとなると、この石油公団問題に対してトータルで国費で幾らぐらい、大体の金額で結構なんですが、このくらいの国費が清算というかそれを廃止にする段階でかかりますよというのは、どのくらいのめどなんでございますか。
河野政府参考人 石油公団には国はこれまで一兆二千億円の出資をして開発事業に支援をさせていただいてきました。これは、現在までに確定した損失が約九千億円近くございます。そして、欠損金として十二年度決算で四千二百億円を計上したというようなことがございますが、ただ、これは、整理の過程で、他方、価値のある株式の売却なども行われるわけでございまして、この辺の相殺の結果、最終的な損失額は確定するということになります。(長妻委員「どのくらい」と呼ぶ)
 これは、現時点で、利益を上げている企業のみの株価評価といいますか、これは、十二年度決算におきまして五千数百億円というような評価をいただいたことはありますけれども、やはり、この公団の整理のプロセスの中で厳正な資産評価等を行わないと金額的には確定をいたしませんので、現在、軽々に御発言するのはちょっと控えさせていただきたいと思います。
長妻委員 では、質問を終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 松原仁君。
松原委員 民主党の松原仁であります。
 この石油公団の問題を含めて、小泉さんの行政改革の、恐らくこれが最も早い方の一つの先行事例になっていくだろうと思っておりますので、大変に重要な認識をこの問題に持たなければいけないというふうに思っております。
 そこで、まず基本的なことを問うていきたいわけでありますが、今回は、石油公団及び金属鉱業事業団が、言ってみれば独立行政法人として石油天然ガス・金属鉱物資源機構なんとかとなるわけでありますが、石油と金属という全く異質なものが行政改革の一環として一緒になるということは、水と油という言葉が日本のことわざには随分あるわけですが、極めて異質なものが合わさっているのではないかというふうに思うわけであります。
 このことに絡んで、なぜ石油と金属なのかという、こじつけの理由ではなくて本当のところ、もっと言うならば、行政改革というのはしばしば数合わせの行政改革というものが行われているわけでありますが、これは、そういった数合わせではなくて、このことによる整合性があるのかどうか、この辺をまず冒頭お伺いいたしたいと思っております。
河野政府参考人 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案、これは、昨年末に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画に基づき作成をされたものでございます。
 石油公団と金属鉱業事業団が扱っております対象の物資につきましては、おっしゃるように石油と金属という違いはありますけれども、いずれも地下資源でありまして、私ども資源エネルギー庁傘下の組織でございます。また、探鉱開発を促進あるいは備蓄を行っているというような点で業務の共通点もあるということで、整理合理化等の統合のメリットが生ずるというふうに考えているものでございます。
 今回の改革の趣旨に即しまして、統合メリットが十分発揮されますように、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構に対します中期目標におきましても、業務運営の効率化などについて極力具体的に提示することを検討してまいりたいというふうに思っております。
松原委員 今、両方とも地下にあるということであります。地下にあるといえば地下にあるので、それはそういう議論かもしれませんが。
 しかしながら、いわゆる石油と金属というのは大分違う要素があって、戦略性の観点からいくと、やはりこれはどうも違和感があるんですよね。今回のこういうふうな石油と金属を合体するという議論になる前に、その経過としてほかの議論というのはあったんですかね。ほかのところとくっつくとかくっつかないとか、そういう議論があったのかどうか、ちょっと経過を教えてもらえますか。
河野政府参考人 私ども自身が事務的に検討いたしましたときには、やはり地下資源であって、備蓄あるいは開発支援、そういった事業を行っているというその共通性、もちろん、おっしゃるように、石油と金属鉱物は精製の過程が違うものもかなりありますから、地下にあるからといって何もかも一緒ということはもちろんないわけなんですけれども、ということで、共通性が念頭にありましたので、私どもの検討の過程では、まず金属鉱業事業団との統合が正直なところ頭にありました。
松原委員 具体的に石油と金属という異質なものを統合すると、業務内容で、備蓄という点からいけば、両方備蓄しているという議論があるわけですが、メリットというのはスケールメリットが出てくるんですか、どういうメリットが統合によって出てくるんでしょうか。
河野政府参考人 資源開発に関します情報収集ですとか、プロジェクト支援に対します機能をシナジー効果で強化していきたいというふうに思います。また、地質調査に係りますノウハウ、技術者のシナジー効果、これは地質的には異質な面もありますが、基礎的な面で共通性もあるというふうにも承知をいたしております。それから、民間の石油備蓄の支援、他方、レアメタルの備蓄における支援、こういった面での資金調達の業務の効率化ということも見込んでおります。そして、総務、経理部門の共通化による、これはさまざまな組織の統合の際の共通のあれでございますけれども、その共通化による整理合理化などが挙げられると思っております。
松原委員 そういった意味での、特にノウハウ的なものの共有項もあるかもしれないけれども、総務的な部門を効率化しよう、こういうふうな理解が一番中心であるという認識でよろしいんですか。
河野政府参考人 今申し上げたようなノウハウ的なこと、業務面、そして総務系統の問題、さまざまと思っております。
松原委員 そういう議論になれば、今、長妻議員が指摘したように、同じような発想でいくならば当然そういう方向かもしれませんが、石油公団の関係の備蓄会社、これも総務部門というのは八社あるけれども、効率化というのは当然同じように出てくるんだろうと思うので、恐らく、今の延長線上にそういう議論が当然成り立つだろうと思っております。
 次に、石油に関しての話であります。
 石油外交、石油は、石油資源に関しての議論というのは、まさにそれは外交である、石油を獲得するということは、これはもう外交という位置づけをするべきだというふうに私は認識しておりますが、平沼大臣の御所見をお伺いいたします。
平沼国務大臣 石油というのはエネルギー資源の枢要な部分を占めておりまして、私どもは、まさに戦略的な物資に位置づけられるものだと思っています。そういう意味で、やはり外交というものも非常に大切だと思います。
松原委員 もっと言うならば、今言ったように、石油は外交が一番大事だ、外交は大事だという大臣の御答弁がありましたが、まさに、この石油問題というのは外交と裏腹であって、外交できちっとフォローしなければこれはうまくいかないわけであります。
 そういった意味では、平沼大臣もその外交の部分で、外務大臣を含め、経済産業省も外務省とそういったさまざまな議論をしていると思っておりますが、実際、これはどれぐらいの頻度で、頻繁にやっていると思うんですが、どういう感じでこれは行っておられますでしょうか。
平沼国務大臣 相当程度の頻度でやらせていただいているわけですけれども、まず、私は経済産業大臣としてエネルギーの責任者でございますので、私どもとしては、頻繁に外交という形で石油資源の獲得、そういうものに動いております。
 具体的に申し上げますと、昨年は中東四カ国を訪問させていただきまして、それぞれの首脳と会い、そして、石油だけの問題ではなくて、幅広い、例えば人材の派遣、投資の促進、海水の淡水化あるいは中小企業の育成、そういった面で石油以外の関係を強化する、そういう外交面も私は努力をさせていただいております。それは、当然、外務省と連携をさせてやらせていただいているところであります。また、イランのアザデガン油田の優先権を獲得する、こういうことに当たりましても、もちろん、現地の大使を初めとして外務省と緻密な連携を行いながらやらせていただいているわけです。
 それからまた、産油国と消費国、やはりこれの対話を促進して共通理解を得なければいけない、こういうことで、産消対話というのも積極的に外交としてやらせていただきまして、ことしは私どもの国で、九月に大阪に産消対話の会合で全世界から産油国、消費国が集まりまして、そういった両方のいわゆる関係者が集まって、エネルギーの世界のバランスのあり方、そして産油国の使命あるいは消費国の使命、そういったことについてもやらせていただきますし、さらには、ことしは、ちょうど連休のときでございましたけれども、私自身が、いわゆるエネルギーの閣僚会議、これはデトロイトで開かれたわけですけれども、そこに出席をさせていただいて、エネルギー担当大臣として、世界のそういう担当閣僚とも積極的に外交をさせていただいたわけであります。
 いずれにしても、これは御指摘のとおり、外交というものが非常に大きなファクターを占めますので、私どもとしては、各国との外交、外務省との連携のもとにしっかりとやっているところでございます。
古屋副大臣 私の方からもお答えをさせていただきます。
 大臣が今答弁させていただいたとおりでございますけれども、実は私、副大臣といたしましても、産油国を訪問いたしまして、特に技術支援であるとか、あるいは現地にやはり水がございませんので、淡水化プラントだけではなくて水道事業への支援事業、こういったものに対して、私も現地に赴きまして、現地の責任者とも精力的にお話し合いをさせていただいております。
 中東協力センターがジャパンデスクというものを開設いたしまして、そこに専門的知識を有する人間を我が方から常駐をさせまして、そういう窓口をつくって常に産油国との連携の強化に務めておりますし、また七月下旬にはAPECでエネルギー関係の会合もございまして、こういうところにも積極的に参画をして、我が国のエネルギーの安全保障問題につきまして、私としても最大限のお手伝いをさせていただいているところでございます。
松原委員 日本は、中東におけるさまざまな事件、さまざまな紛争が起こると、今の小泉総理、もちろんそういった方針を出しているわけで、日米共同という話になるわけであります。
 つまり、日本とアメリカというのは、もちろん日米安保条約というのも存在しておりますし、そういった意味では、現実に軍事、政治、行政、経済の部分でかなり一体化している。現実にはそういう存在になっていることは否定できないし、そういう方向でまた我々の政治も振る舞ってきた。したがって、今回の紛争が起こったときも、九月十一日、このときも、結果としては、日本はアメリカと同盟関係というのを色濃く出す行動をとったわけであります。
 アメリカはそういった意味で世界的な戦略を描いているわけでありまして、まず第一にこの点でお伺いしたいのは、エネルギー戦略について、日本のエネルギー戦略をアメリカに対して理解をしてもらうとか説明するとか、そういうふうにこちらが下手に出るということではなく、もしかしたら日本のエネルギー戦略についてアメリカと議論をしているというふうな背景があるのかないのか。
 私は、今大臣、副大臣がおっしゃったように、現地のそれぞれの王族とか担当者と会って話をするというのは極めて重要だと思っております。しかしながら、日本はアメリカの意思によって、アメリカによって大分我々の外交も変わってくるし、我々の戦略も変わってくるわけでありますから、アメリカが黙認しているうちはいいですよ、しかし、そうでなくなるとこれは困るわけでありますので、それは次の質問でお伺いしたいと思っておりますが、まず第一に、アメリカに対してエネルギー戦略のことでどういうふうな話をしているのか。それとも、全くそういうことはしていないのか。これを大臣にお伺いいたします。
平沼国務大臣 先ほど申したデトロイトにおけるエネルギー大臣会合で、アメリカのエネルギーの責任者のエイブラハム長官、こういった方と緊密な連絡をとっておりまして、そのときも日本のいわゆるエネルギー、石油等の基本的な政策、これはしっかり話し合いをさせていただいております。
 したがいまして、私どもは、そういうカウンターパートであるエネルギーの長官と話をする、また外務省からも日本のそういうエネルギー事情についても常に連絡をとり合う、こういう形で私どもはアメリカとは緊密な連携をとっている、こういうことでございます。
松原委員 イランという国はアメリカにとっては制裁対象国ということでありまして、後でこれも御質問いたしますが、例えばカザフスタンの油田、これをパイプラインでイランを経由してというのに対してはアメリカが反対をしてなかなか実現していないというふうにも仄聞をいたしているわけでありまして、そういった意味ではアメリカという国は、経済についてもかなり自国の戦略を押しつけてくる国であります。そういった意味では、世界の今最大の覇権国になっている、これは事実であります。
 そういった意味で、私がお伺いしたいのは、今大臣はそういう議論をやっていますという話でありますが、平沼大臣が大変に御苦労して獲得した例えばアザデガン油田に関して、アメリカはこれに対してどういう今認識を持っているか。現状では、これを黙認という形なのか、それとももっと深く進んで、それは日本のために大事なことだという認識なのか、それともそういう議論ではないのか、ちょっとその辺をお答えいただきたいと思います。
平沼国務大臣 このアザデガンに関しましても、事前に外交ルートを通じて私どもの立場はアメリカに伝えてあります。それに対しては、今複雑な国際情勢の中で、今松原先生が言われた幾つかの類型の中では、私は黙認という形だと思っております。
 これは、日本だけではなくて、例えばイランに関しましては、イタリアでございますとかフランスといったところのアメリカと友好のある国、あるいは英国も含めて、これはいろいろ日本と同じようなアプローチもしている事実があります。
 いずれにいたしましても、アメリカは最大の同盟国であります。しかし私どもは、石油、エネルギーといったものが自国ではほとんど産出しない、こういった国の事情、そういうこともアメリカに理解を求める、そういう形で連携をしながら私どもはしっかりとしたそういう立場を築いていかなければならない、こういうふうに思います。
松原委員 そういう中で、今は黙認ということでありますが、アメリカの外交方針が対イランにさらに強硬になって、その一端として、同盟国である日本はイランから、イランのこの問題について、だめだ、この油田はもうやめろというふうな、そういう話が、もう一番最悪の事態にイランと、もっと言えば、日本がイランに対してアメリカと一緒になって何か行動を起こさなければいけないというような、それは外交の話で可能性はゼロじゃない、そういったこともあり得るわけですが、そこまで行かないまでも、アメリカがこれに対して、黙認ではない、黙認しない、やはりだめだというふうに、言ってこないと思いますが、言ってきた場合はどうするのかというふうなことをちょっとお伺いいたします。
平沼国務大臣 中東情勢というのは、非常に複雑であり不安定要因があります。しかし、その中で私どもは今、アメリカとは、日本も最大限の努力をし理解を求めているところでございまして、松原先生がおっしゃるように、そういう最悪の事態ということは、可能性としてはあると思います。しかし、我々としてはそういう事態にならないように、やはりこれから連絡を密にし最大限努力をしていくことだと思っておりますし、そのときは、日本だけじゃなくて、それぞれ自由主義陣営の中で日本と同じようにイランにコミットしている国々もあります、そういった国々との連携も含めながら、やはり最大の友好国であるアメリカの理解を求めていく、そういうことをやはり地道に、着実に、強力に私はやっていかなければならない、そういう破局を迎えないように最大限私どもは努力をしなければいけない、こういうふうに思っています。
松原委員 私が冒頭、石油は外交であると。私は、この石油は外交であるというのは、一つのキーワードだというふうに思っております。
 ですから、本当にそういった意味では、我々のエネルギー安全保障というのは、実は我々と産油国との関係というよりは、むしろアメリカのそのときの戦略的な動き、考え方、思想によって大変に左右されるということを一つには申し上げたいわけであります。
 ですから、外務省と経済産業省との連携というものは、恐らくそういうのはあるんだとは思うのですが、密にというような抽象的なものではなく、そういったエネルギー戦略のための外務省と経済産業省との具体的な連携組織というものがないと、今の外務省は最近、大分頭の痛いことが多いわけでして、果たして、あの状況で国益のために頑張れるのか。瀋陽の領事館でも、火中のクリを拾わず帽子を拾った、しゃれにもならない。
 そんな軟弱なことで果たして、経済産業省の平沼大臣は、その辺は気迫がみなぎっておられるのは私は昔から重々承知しておりますので間違いないと思いますが、やはりつかさつかさでありますから、外務省の方で、ちょっとその辺が僕はどうなのかなと。やはりそれは、あうんの呼吸ではなくて、そういった部署なりが僕はなきゃいかぬと思うんですよね。それはむしろ、外務省というよりも国家的な問題ですから、官房そのものとの直結かもしれませんが、そういったものはこれから必要だと思うんですが、いかがでしょうか、その辺についての御所見は。
河野政府参考人 実態について若干申し上げさせていただきますが、外務省にも、国際エネルギー課という課がございます。先般、G8のエネルギー大臣会合、デトロイトに平沼大臣が御出張の折も、外務省からは植竹副大臣が御出席になって、共同で参画をしているというようなこともございます。また、そういった窓口になっておりますのは、今申し上げた外務省内の国際エネルギー課でございます。他方、御案内のとおり、外務省には地域割りの局があるわけでございまして、私ども、中東関係の局長とはもちろん頻繁に連絡をとらせていただいております。
 また、平沼大臣も、資源外交ということで海外出張を昨年されたわけでございますけれども、外務大臣も、中東をたびたび御訪問になっております。それらの折には、必ず私どもからも、そのときそのときのそれぞれの国の資源案件などを御説明させていただいて、また、外交の一環として、そういった面についても御発言をいただけるように御連絡をさせていただいているところでございます。
平沼国務大臣 先ほどの答弁の中でも触れさせていただきましたけれども、エネルギー関係閣僚会議というのもございます。そういった場で、我々としては、外務省との連携というものもしっかりとれると思っておりますし、また、場合によっては、官房長官等をキャップとして、緊急対応のときにはそういう仕組みも私はとれると思います。
 いずれにいたしましても、今資源エネルギー庁長官が言ったような形で、私は外務省と連携を密にしていくべきだと思っておりますし、また今の、さらに形のあるものをつくるべきだという御指摘は、重く受けとめて、私も検討させていただければと思います。
松原委員 これは国家の一大事ですから、このエネルギー戦略に関しては、ぜひともそういった特別の組織でもって頑張っていただきたいと思っております。
 次に、サハリン・プロジェクトについてでありますが、下世話な表現を使うならば、LNGでやる場合はこれは同棲関係、そしてパイプラインの場合は結婚関係というふうに、パイプがあるから結婚だというと非常に問題があるわけでありますが、やはりそれはくっついているわけですから。そういった意味では、パイプラインをつくれば、これは安定供給、安定需要という、一番相互に信頼関係が発生する。我々の国は、そういった意味では、常に安定が欲しいわけですよ、自前のエネルギー源というのは極めて少ないわけですから。最後に、時間があれば、私の持論でありますメタンハイドレートをまたお伺いしたいと思うのですが。
 私が申し上げたいのは、やはり安定供給を得るためにはパイプラインをつくるべきだ。私は、やはり経済というのは、それはいろいろな事象の下部構造をなしていますから、経済の同盟関係、経済の同盟関係という表現は、実際熟語として使われているかどうかわからないけれども、経済の同盟関係ができれば、友好関係というのは非常によくなるわけですよ。
 日ロの国際的な親善も含めて、私は、サハリン・プロジェクトでいわゆるパイプラインができれば、日ロの協調にとって極めて、日ロの友好を進める上で一番これが、しかも継続的ですから、どこかの島にどうだという議論よりは、それはそれで大事ですよ、しかしそれよりもさらに、継続的にこのパイプでずうっと、このパイプがある限り、赤い糸ですよ、あなたと私は赤い糸ですよと、こういうふうなことでありますので、パイプラインを引くなりするべきだと思います。
 とりあえず、そういった意味で、これを引くことがLNGよりははるかに友好を進める上でメリットがあると思うのですが、大臣の感想をお聞かせください。
平沼国務大臣 サハリンの天然ガスは、これは現実のものとなりつつありまして、今、民間が検討をしている段階でございます。
 パイプラインで結ばれるのは結婚の関係だ、こういう御指摘だったと思いますけれども、私は、そのとおりで、非常に大切な問題だと思っております。
 サハリンから引くということは非常に大きな意義がありまして、例えば、エネルギー供給源の分散にもつながります。また、天然ガスというのはCO2の排出量が他のものに比べて低いというようなメリットもあります。しかし、これを引くに当たりましては、やはり需要面でしっかりとしたものが構築できるかというような問題、それから、再三再四答弁で言わせていただいておりますけれども、この長大なパイプラインを海底を通して引くという、そういう技術的な検証も我々は必要だと思います。
 そういったことで今、民間を中心に、我々もいろいろ応援をさせていただいて検討をさせていただいているわけでありまして、これは非常に大切なことだと思っておりますので、私どもとしては、日本のエネルギー供給源としてこの問題は前向きに検討していかなければならない、このように思っています。
松原委員 今大臣が前向きにということなので、これ以上は申し上げませんが、要するに、このパイプラインを引くべきだというのは、私は、大事な、結論ありきということで進めていきたいと思うので、この点についての御決意をもう一回、大臣、お願いします。
平沼国務大臣 今申し上げましたように、いろいろ技術的にも検証したり、需要面、そういう問題があります。民間が今そういうことを判断しておりますけれども、大切な隣国であるロシアとの関係を考えて、やはり長期的なエネルギーの安定供給それから分散化、あるいは二十一世紀を踏まえた環境問題、こういうことを考えれば、パイプラインというものは大変強力な、有力なそういう手段だ、このように思っています。
松原委員 エネルギー庁長官にお伺いしますが、それは、パイプラインを海底に引くのも大変だし、いろいろな問題がありますが、一部には、さまざまな規制があって、これがネックになっているという話がありますが、その辺の現状はどういうふうになっているか、ちょっと教えてください。
河野政府参考人 私ども昨年、天然ガスに関しまして総合資源エネルギー調査会のもとに小委員会をつくりまして、この活用といいますか、御案内のように、環境問題の点からも、地域分散の観点からも、天然ガスを従来より以上に活用していこうという基本的な考え方がございますので、検討いたしました。
 その過程で、先ほど大臣が御答弁申し上げましたサハリン1、サハリンには二つのプロジェクトがあるわけでございまして、サハリン1の方は、エクソン・モービルと日本のジョイントベンチャーで運営をされております。このサハリン1の方が、今パイプラインのFSを検討しております。他方、サハリン2の方は、シェルと日本の商社のジョイントでやっておるわけでございますが、こちらはシェルの伝統的な技術ということだと思いますが、LNGという提案を今しているように聞いております。
 そこで、パイプラインの方ですが、先ほど来お答え申し上げておりますように、大変魅力のあることでございます。その際、エクソン・モービルがこの天然ガス小委員会に一回説明をしたいということがございまして、話を聞く機会がありました。先生おっしゃるように、日本のガス体のパイプによる運送は、安全規制についてかなり、都市部を通っておりますようなものもございますので、厳しいということを言っておりました。
 そういった意見も受けまして、今、原子力安全・保安院の方で、ガス保安の安全基準について検討をしております。そのプロセスで、このエクソン・モービルのような国際企業の国際的なスタンダード、こういった点についても意見を聞いて検討を進めているところでございます。
松原委員 次に、カザフスタンにあるカシャガン油田、西部中近東最大の油田とも聞いているわけでありますが、これに対しては今どんなふうな動きになっているか、お伺いいたします。
河野政府参考人 このカシャガン油田は、確かに、カザフ、この地域では非常に大規模な油田という認識でございます。幸い、日本の資本も約八%の権益を保有しておりまして、欧米のメジャーと共同でこの開発に当たる立場にあります。
 たしか六月の末に、カザフの政府、それからこれに参加する企業との間で開発段階の移行への合意ができて、その旨カザフ政府の方から発表があったというふうに聞いております。相当膨大な投資になりますので、実際に油が出ますのはまだ先でございますが、そういう開発に向かった一歩前進した状況にあるというふうに申し上げられると思います。
松原委員 カザフスタンのこの地域における外交状況というんですかね、いろいろな込み入った、それぞれの国の権益の状況、こういったものについて、エネルギー庁長官はどの程度把握をして、どの程度認識しているかというのを、ちょっとこれも参考までにお伺いしたいと思います。
 例えば、カザフスタンがロシアに対してはどういうふうな認識を持っているのか、イランに対してどうなのか、こういったこともお伺いします。
河野政府参考人 実は、この地域は、もう先生御案内のように、民族的に、ロシア系の人が多い国もあれば、イラン系の人の多い国もあるというようなことで、パイプライン一つ引くにもなかなか難儀をしております。カザフスタンにつきましては、このカシャガンは非常に大きな油田なんですけれども、カザフからの輸送手段は今後の検討課題という状況になっております。
 他方、アゼルバイジャンにつきましては、既にパイプライン計画ができているわけでございますけれども、これも、たしかアゼルバイジャンとその隣国との間で関係が非常によくないというようなことがありまして、御案内のように、パイプラインが迂回をしてトルコ方面に向かうというような計画ができたという経緯がありまして、おっしゃるように、大変複雑な国柄だと承知しております。
松原委員 そこで、エネルギーの実務的な長官である河野さんにさらに聞きたいのは、だからこそ外交が極めて重要であるという認識だと思うんですよ。そういった意味では、この半世紀の日本の石油外交、もちろん効果もあった。しかし、いま一つしたたかさに欠けたのではないかというふうな気がしてならないわけであります、アラ石の問題もそうでありますが。
 この辺、日の丸をバックにしながらということですが、その日の丸が、火中のクリを拾わず、何といっても帽子を拾ってしまうぐらいでありますので、ちょっと頼りにならなかったんじゃないかというふうな議論が聞こえてくるような気もするわけでありますが、本音の部分でちょっと長官の真意を聞かせてください、この辺についての。
河野政府参考人 私自身、この二年余り資源エネルギー庁におりまして、平沼大臣にお供して中東四カ国訪問などを経験させていただきました。この間、アラ石のサウジについては非常に残念な結果でありました。他方、大臣が御出馬になり、また、ハタミ大統領がおいでになるということで、イランとの間では優先交渉権を得るというような成果を得たと思います。また、そういうさまざまな展開の中で、クウェートに関しては、アラ石の操業が現地で維持される見通しがついたというふうに思います。
 そのプロセスで、例えばイランとの関係、もう本当に現地の大使との密接な連携プレーでやれたと思いますし、先ほど米国にも連絡をしたと大臣から申し上げましたけれども、このプロセスも外務省と協力をしながらやってきたと思っております。
 そして、クウェートのアラ石の交渉も、これは企業の交渉でもありますが、やはり国の支援があるということがクウェート側にとって非常に大きな側面でありまして、これも昨年の平沼大臣のクウェート訪問の際の大きな成果だったというふうに思っておりますが、これも日ごろはやはり現地の大使に随分フォローをしていただいております。
 そういうことを本省ベースでも連絡をとりながらやってきているということでありますので、私は、御指摘のように、外務省とこれまで以上にさらに連携をしていかなければならないと思いますが、これまでも随分協力をしてやってもらっているという認識を持っています。
松原委員 本音ではない発言だと思っておりまして、本音は、外務省もっと頑張ってくれれば何とかなったのになと、いや、みずからの自責の念も込めておっしゃっているんじゃないかと私は理解をしているわけであります。本当に、そういった意味では石油は外交でありますから、きちっとこの外交をやり抜くという決意を持っていただきたいと思っております。
 そういう中で、私は、やはり日本に固有の資源をここで考えるべきだというふうに思っておりまして、前回の質問のときも申し上げたんですが、やはりこのメタンハイドレートというのは一つの大きなテーマになってこようかと思っております。
 メタンハイドレートは、これは百年分の資源が日本の近海に眠っているわけであります。石油を含むいわゆるエネルギー安全保障という観点からいった場合に、費用の問題もある、しかし安全保障の問題もある、安い方がいいけれども、安全保障もある、こういう議論であります。そのときに、例えば第一次石油ショック、第二次石油ショックで石油価格が高騰したりもするわけでありますが、そういう中で、リスクを分散するという意味で、私は、かなり、今よりももっと大胆にこのメタンハイドレートの開発に対してお金を振り向けてもいいんじゃないか。
 今の外交の問題は、しょせん、さっき大臣はそうおっしゃったけれども、例えばアメリカがイランと何かあったときに、我々にとっては最大のところが断たれる可能性がある。これは可能性は否定できないわけでありますから、そういった意味で、私は、自前のところにあるこのメタンハイドレートに対してもっともっと我々は積極的に、二十年後、三十年後、四十年後だというふうなことではなく、やはりそれを短期で物にする決意を、新たに行動するべきだと。
 やはり外交は入り組んでいます。自分の力では及ばないところがある。人事を尽くして天命を待つみたいなところがありますから、そういった意味では、私は、やはり自前の部分でということで、メタンハイドレートというものをもっと現実的なものにする努力をするべきだと思うんですが、これについての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 メタンハイドレートに関しましては、これはもう松原先生御承知のように、なかなかとりにくいという技術的な制約がありました。しかし、日本も参画をいたしまして、共同開発をした結果、カナダで、これは固体で持ってくるんじゃなくて、ガス化をして、そして抽出に成功した、こういう非常に明るいニュースがあります。これは、このメタンハイドレートを考えるに当たっては非常に画期的なことだと私は思っています。
 そういう意味で、御指摘のように、これから精査をしなければいけませんけれども、日本近海にそれが本当に大量にある、こういうことは事実でございますので、今までも相当予算は計上してきましたけれども、やはり自前のと、こういう観点で我々はこの開発にさらに拍車をかけていきたい、こういうふうに思っております。
松原委員 御決意を今聞いて、非常にありがたい、これは日本の国民、国のために大事だと思っておりますが、具体的に何か、とりわけきょう、今おっしゃるような内容があったら、一言お願いいたします。
河野政府参考人 メタンハイドレートについては、私ども、大変魅力がございます。
 アメリカのエネルギー政策、過日御議論になりましたけれども、あの中には米国には二百五十年分の石炭があるというくだりがありまして、資源のない我が国が聞きますと、おっという感じがするわけでございます。
 メタンハイドレートについては、そういうことで、昨年の七月に検討委員会を立ち上げまして、今後、三段階ぐらいのフェーズで実際に実用化するためにやっていこうということで、その第一歩として、先ほど大臣が御紹介申し上げましたのは、実際、カナダのツンドラ地帯の地下でのガス化ということを行いました。これから具体的に、日本近海での賦存状況の調査と実際の試掘、それから取り出し方法の技術開発、これを並行してやっていきたいというふうに思っておりまして、十四年度の予算も、十三年度に比べてほぼ倍増させていただいております。
松原委員 メタンハイドレート、ぜひエネ庁長官も頑張っていただいて、平沼大臣の大臣在任中というふうにはなかなかいかないかもしれませんが、やはりその間にやるぐらいの、私は、例えば石油だって、三〇%から七〇%、一気に消費が拡大するというふうなドラスチックなエネルギー体系の変革というのはあるわけですし、そのことがCO2の問題、山田議員もさっき質問しておりましたが、こういった問題に関しての、高い金を出して、銭出して、一兆円、二兆円出して買い取るというふうなことをする必要もなくなるわけでありますから、やはり断固としてこれはやっていただきたいと思っております。
 最後に、本当はこれが一番の問題なんでありますが、まさに国家的なプロジェクトになってくる、外交が絡むプロジェクトである。個別の企業がやっているならまだいいんですよ。例えば日本型の中核メジャー、石油メジャーをつくるというふうな話をするにしても何にしても、それは国がバックボーンにいる。国がバックボーンにいて外交も行えるし、メタンハイドレートだって、そういう国家的なプロジェクトじゃなければ開発できないわけですよ。そういうときに何が一番大事かというと、やはり国民の理解と共感になるわけであります。
 エネルギー戦略の第一は、当然これはもう冷酷無比に、戦略的にきちっとエネルギーが入るようにするというのは大事でありますが、しかしそれ以上に、やはりそれを行い得る政治状況、行政状況をつくっていかなければいけないというふうに私は思っております。
 そういった意味では、何が国民の共感を得るための大事な条件か。私は前回も質問した。きょうも長妻さんが質問した。要するに、責任の問題なんですね。
 民間人というのは、我々だったらどうなんだろうかという話になる。すると、今までの来し方、つまり過去の総括、反省、今後の見通し。山田さんも言った、失敗したら、すぐこれはもうだめなんだ、やめる、やめさせるということも、条文でつくるのなら条文というか、何か規約でつくれというふうな話も言った。
 民間では個人保証ですから、世界一野蛮な制度とも言われる個人保証、これも我が党の何人かが個人保証をやめさせようというのでいろいろと法案をつくったりしているみたいでありますが、この世界一野蛮な個人保証があって、実際死んでしまうわけですよ、中小企業だったら。自分の命まで担保に預けるような。これを考えたら、片一方は、ワンカンパニー・ワンプロジェクトでやって、だめだったらもとへ戻ればいいというのでは、これはもういかにも感覚が違い過ぎるというふうに思うんですね。
 この部分の責任のことが、過去の総括、今のもので、大臣は現状の総括でよしとしているのか、これをまず第一に聞きたい。
 第二に、その辺の、例えば山田さんがさっき言ったように、今後に関してはどういうふうに経営責任を問うていくのかと。それは民間であれば、くどいようでありますが、自分の田畑というか自分の敷地をとられていますよ、大田区もたくさんいます、品川区も。本当に、死んでいる人もたくさんいますよ。そういう状況であります。別にそこまでやれと言うわけじゃないけれども。じゃ、どういうふうに今後は責任をとらせるのか。
 やはり、人間というのは、私は、火事場のばか力というのがあると思うんですよ。真剣にやるときに神の声が聞こえてくるんですよ、真剣にやるときに。そういうものをどのように出させるか。緊張感というのは大事ですから、ここ掘れというときに、その鉱床についても真剣さ、鉱区を選ぶときにもその真剣さというのはあるわけですから、過去の責任とこれからの真剣さのために、国民の共感を得るために、責任問題をどういうふうに考えているか、これを最後にお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 過去、やはりエネルギーを自主開発しなければいけない、そういう大命題の中で、なかなかリスキーで、そして確率の非常に低い、そういった形で大変大きな累積をつくったということは、これはもう猛反省すべき点が多々あると思っています。
 したがいまして、その反省の上に立って、今御指摘のように、本当に探査技術もそのころから比べれば随分発達をしてきています。ですから、火事場のばか力という言葉を使われましたけれども、やはりやるに当たっては、本当に精査をして、そしてもうぎりぎりまで精査をしてやるという姿勢が必要でございますし、また、そういう中で、責任問題等は、これはこれまでを総括して厳格な形でやっていかなければいけない。そのためには、評価委員会というものもあり、私も担当大臣としてその任に当たっている人たちの罷免というものもちゃんとできる、そういう体制で、反省の上に立って、御指摘の点をしっかりと踏まえて、責任体制を明確にしていきたい、こういうふうに思っています。
松原委員 以上で終わります。
谷畑委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
谷畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。達増拓也君。
達増委員 先週、カナナスキス・サミットが開催されまして、そこでロシアがG8全面参加ということで、今度のサミットサイクルの中ではロシアでもG8サミットが開催されるということが決まりました。
 来るべきものが来たという感じではあるんですけれども、しかし、改めてその現実を目の当たりにしますと衝撃的なものがあると思います。
 といいますのも、これはおよそ三十年近く、サミットの中で日本が西側先進国クラブ、日米欧三極の協力の中でかなり居心地のいい立場にいたわけでありますが、それが終わってしまったということ、三十年続いたそういう構造が終わりを告げ、同時に、これは冷戦後のポスト冷戦という体制、あるいは冷戦後という体制が終わったポスト冷戦後という新しい体制の成立ということでもあると思います。その新しい体制の中で日本がどのような役割を果たしていけるのか、かなり心もとないものがあると思っております。
 そもそも、先進国首脳会議、サミットというものは、フランス、ランブイエ・サミットが原点でありますが、七〇年代、オイルショックによりまして、国際的なエネルギー問題について先進主要国が共同で取り組もうというところ、実はエネルギーがサミットの原点であったわけであります。
 その後、サミットは、いわゆる新冷戦というレーガン大統領の時代、アメリカ、ソ連、東西の対立が深刻さを増したときには、主として安全保障の面で日米欧、西側の団結を示す場ともなりましたし、その結果、冷戦が西側の勝利に終わって、冷戦後、ポスト冷戦という時代に入った九〇年代においては、環境問題でありますとか地球規模問題、そういった新しい分野に取り組んできたわけであります。
 ただ、いずれにせよ、日本は西側先進国クラブの一員、日米欧協力の一員として、あるときは産油国と対峙、あるときは東側と対峙、そしてあるときは地球規模問題という新しい問題と対峙していたわけであります。
 ところが、ロシアの全面参加ということでサミットの意味が大きく変わることになると思います。これは日本を取り巻く国際情勢の構造変化を反映しているわけでありまして、単にサミットのメンバーが変わるというだけではありません。
 まず、エネルギーの問題についていえば、産油国また天然ガスの産出国としてのロシアが近年急速に台頭し生産をふやし、また旧ソ連諸国も含めたカスピ海周辺での石油やガスの開発についてかなりオープンな姿勢、外国との連携を視野に入れたオープンな姿勢をとり始めた。そういうロシアとエネルギーの関係でまず欧州、ヨーロッパが関係を深めようとしてきたわけでありますし、また、ブッシュ政権になってアメリカもまたロシアとエネルギーに関する対話を深めている。
 これは安全保障上の米ロ、欧ロの協力の高まりということとも軌を一にしておりまして、特に昨年九月十一日テロ以降のアメリカのテロとの闘い戦略の中で、直接、中央アジア、そして中東といったいわばユーラシア大陸の火薬庫に当たる部分に接するロシアとのアメリカの協力が非常に発展、テロとの闘いというパートナーについていえば、ロシアは日本以上に頼りになるパートナーではないかという状況になってきているんだと思います。それは、ヨーロッパにとっても同様で、先ごろNATOにロシアも参加して、NATOとロシアの協力ということも大きく進んだわけであります。
 テロとの闘いということを特に念頭に置きながら、安全保障においても米ロ、欧ロの協力が進み、こうした、エネルギーでありますとか安全保障といった重要な課題について、日本を抜かした米ロ、欧ロの協力が進んでいる、そういう国際情勢の構造変化がロシアのG8全面参加という結果になってあらわれてきていると思うんです。
 そこで質問でありますが、エネルギーをめぐる国際協力において日本が米欧ロから取り残されるのではないかという懸念が今あると思うんですが、この点について、政府はどう考えるのでしょうか。
平沼国務大臣 ポスト冷戦後、こういうことで、やはり外務省御出身でいらっしゃって、大変、私はその分析、感銘を受けて拝聴させていただきました。
 ちょっと話はそれるかもしれませんけれども、小泉首相がこの前サミットに参加をしたときに、来年はフランスで開催をされる、そのときに、参加をしておりましたロシアのプーチン大統領が、実は来年ロシアのペテルブルクが三百周年だ、ですから、ここに集まっているサミットの首脳全部おいでをいただきたい、こういう提案があったときに、最初は、ブッシュ大統領が、またすぐフランスに行かなければいけない、みんな忙しいし、こう言ったときに、フランスの大統領が、それだったら七月に開催するのを六月に開催しよう、ですから、五月三十一日、一日だけとにかく首脳がロシアに行けばいいじゃないか、こういう裏話がありました。
 今、お話を聞いていて、やはりそういう一つの、フランス、ヨーロッパもそういうことまでちゃんと便宜を図るということは御指摘のような背景があるのかなと思って聞かせていただきました。
 ロシアについては、御指摘のように、近年は積極的なエネルギー外交を展開しておりまして、ロシアのエネルギー資源の地政学的な重要性がある意味では再認識されています。石油・天然ガス市場におけるプレゼンスもそれに従って増大をしているものと私どもは認識しておりまして、昨年来のOPECの減産の際に、OPECがロシアを初めとする非OPEC産油国との協調を模索したということもその一つのあらわれだ、このように思っています。
 我が国は、エネルギー協力を日ロ協力の重要な柱と位置づけておりまして、私自身も、今年五月のG8エネルギー大臣会合の際に、ロシアのユスホフ・エネルギー大臣と会談を行いまして、今年九月に我が国が主催する国際フォーラムへの参加を招請するとともに、エネルギー憲章条約の批准見通し等についての意見交換を行ったところです。
 また、G8エネルギー大臣会合では、ロシア及び米国、欧州のエネルギー大臣とともに活発な議論を交わしました。事務レベルにおきましても、九七年の日ロ首脳会談で両国間のエネルギー対話促進が合意されたことを受けまして、翌九八年より日ロ・エネルギー協議を開催しているところであります。
 カスピ海、中央アジア諸国につきましては、石油、天然ガス等の豊富なエネルギー資源を有するこれらの地域との関係強化を図るために、石油公団の支援も受けまして、我が国企業のカスピ海周辺国における石油開発が推進されているところでございます。
 さらに、中央アジア諸国と我が国を含め他のアジア地域との協力の推進の具体化を目指しまして、小泉総理大臣の提唱に基づきまして、今月、シルクロード・エネルギー・ミッションを派遣する予定にもなっています。
 加えて、今年九月、我が国が主催する第八回国際エネルギーフォーラムにもロシア、カスピ海、中央アジア地域諸国の参加を招請しているところでございまして、これら石油等のエネルギー生産国と消費国のエネルギー担当大臣とともに、国際石油市場安定やエネルギー投資の促進など、国際エネルギー政策にかかわる忌憚のない意見交換を行っていきたいと思っております。
 御指摘のように、ロシアというのはそういう意味では大変重要性を増しております。ですから、私どもとしてはやはり、日米欧の基軸に加えて隣国の大国であるロシアとのパイプもさらに太くし、エネルギー外交を中心に密接な関係を構築して、そして決して取り残されることのないように努力をしていかなければならない、このように思っています。
達増委員 今まででありますと、サミットの場あるいは日米欧の三極の連携の場においては、日本とロシアとの間にある懸案については、北方領土問題など、日本びいきといいますか、アメリカ、ヨーロッパは、どちらかというと日本をかばうような、日本に有利になるような計らいをしてきたと思うのですけれども、今やそういう構造にはなっていなくて、むしろロシアびいき、ロシアの方が歓迎されているような国際的なムードであると思います。
 そういう意味では、日ロ間、二国間のさまざまな懸案、エネルギーの協力についても、より広い文脈の中で、ユーラシア大陸全体におけるエネルギー協力といった中でうまくアメリカ、ヨーロッパの支持も日本が得るような形で、新しい国際秩序の中で日本の生き残り、また国際貢献を図っていかなければならないんだと思います。
 そういう意味で、今の大臣の御答弁の中にもあったG8エネルギー大臣会合でありますが、これが非常に重要な場だと思います。G8のエネルギー大臣会合は、九〇年代の後半から何回か行われているわけで、ことしの五月にも行われているわけでありますけれども、どうも日本のプレゼンスが弱いように思うのですけれども、この点、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 先ほども触れましたけれども、G8エネルギー大臣会合については、一九九八年春にロシアのモスクワにおいて開催された後、今年五月に米国デトロイトで開催された、このような実績があります。
 九八年のモスクワ会合では、エネルギー需給の見通し、エネルギー市場における競争促進と政府の役割、あるいはエネルギーと環境の問題などについて議論が行われました。我が国からは、アジアの代表として、中長期的なアジアのエネルギー需要の増加を満たす上でロシアのエネルギー資源の重要性を指摘いたしまして、エネルギー開発に向けた一層の投資環境整備を強く求めておりまして、このことを踏まえて、御承知のようにコミュニケが発表されたところであります。
 本年のデトロイトの会合におきましては、近年のエネルギー情勢、短期、中長期のエネルギー安全保障、持続可能な開発でございますとかエネルギー技術の研究開発などのエネルギー政策について幅広く議論を行いました。
 我が国からは、柔軟な緊急時対応の重要性でございますとか、産油国、消費国間の対話の重要性、特に、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この九月に我が国が主催します第八回国際エネルギーフォーラムの意義を強調するとともに、原子力、再生可能エネルギー等によるエネルギー源の多様化の推進の必要性などについて主張いたしまして、これらの我が国の主張も反映した形で、デトロイトにおいて共同議長声明が発表されたところでございます。
 したがいまして、G8のエネルギー大臣会合の中で、日本は、そういう意味では積極的に参加をしながら、影が薄くならない、そういう形で我々行動しておりまして、今後一層積極的に、国際的な視点を踏まえてエネルギー政策を推進していかなければならない、このように思っております。
達増委員 今回のいわゆる石油公団廃止に関連します法案は、石油開発政策の改革という観点から議論されなければいけないと思います。単なる組織いじりでは改革にならないのでありまして、要は何のための改革かと考えますと、広い大きなエネルギー戦略というものの見直しの中で、我が国としていかなる石油開発体制をとるべきかという観点から改革の議論がされなければならないと思います。
 そういう意味で、エネルギー戦略を見直していくに当たって前提となる、世界の石油需給の現状について伺いたいと思います。
 世界の石油需要を考えた場合に、アジアにおける石油の需要の伸びというものが注目されておりまして、世界的に需要は逼迫してくるんじゃないかという予想もありますが、一方で、ロシアなど旧ソ連諸国の増産も目覚ましいわけであります。
 また、メジャーが、統合などスーパーメジャーへの脱皮を図る中、開発技術や掘削技術などもどんどん進んで、きのう参考人質疑の中で、参考人としていらっしゃった読売新聞解説部の新井光雄参考人は、千三つが今百三つぐらいにまで高まっている、開発技術が非常に高度化して、今までであればとても無理だと思われた地域でも油田の開発が可能になってきているということを、「エネルギーが危ない」という著書の中で述べていらっしゃいます。
 さらにまた、石油と並んで天然ガスの開発ということも今進んでいるわけでありまして、石油需要に対して石油供給、供給側のかなりの伸びもあると思うのですけれども、政府として、当面の世界の石油需給をどのように予測しますでしょうか。
河野政府参考人 今先生がおっしゃいましたように、石油開発の技術力、これは大変アップしていると思います。北海石油などが寿命を長らえ増産をしてきましたのも、こういった技術開発の成果でございます。
 また、ロシアにつきましては、ごく最近の八百六十万バレル程度から、二〇二〇年に向かって千二百万バレル超への増産、こういった見込みもなされているわけでございまして、先ほど大臣もプレゼンスの上昇ということを申し上げたわけでありますけれども、そういう増産は期待されているところであります。
 しかし他方、北海油田、欧州の油田でございますが、これは長年、そろそろ枯渇するのではないかと言われて、技術開発によって補ってきている状態でありますから、それ以外の地域での増産余力というのはそれほど大きいかどうか疑問があります。
 他方、アジアの需要は今後大幅に伸びるというふうに想定されておりまして、現在アジアの需要は世界で約四分の一ぐらいを占めていると思いますが、将来的にはこれが三分の一ぐらいのウエートになっていくだろうと思われます。
 そういったこととアジア域内の生産状況を見ますと、これはIEAなどの分析で御紹介させていただければ、アジアの域内での調達比率はやはり下がってきて、域外へ八割前後の依存になっていくだろう、なかんずく中東への依存度は六割に迫るのではないかというような状況でありますので、なかなか、特に我々アジアにとっては石油の需給情勢は案外厳しいというふうに申し上げた方が適切ではないかと思います。
達増委員 石油公団がやってきた石油の自主開発、そしてこれから独立行政法人に移そうという自主開発でありますが、これは国家戦略からすれば、エネルギー、特に一次エネルギーの安定供給という観点からの国策ということになると思うんですけれども、ともすれば、足りない足りない、とにかく日の丸原油をふやせという感情的な議論にもなりかねませんので、かなり冷静に石油に関する国際市場、国際情勢の現状を見たり、また、実際想定される危機に応じた安定供給確保の体制というものを戦略的に考えて取り組んでいかなければならないと思うわけであります。
 その点、我が国にとっての石油・ガス需給、これはガスも含んだ方がいいでありましょう、石油とガスの需給でありますが、まず、石油の国際市場はかなり安定しているんだと思います。それが中東依存というのをもたらしている部分もありますが、非中東のロシア、旧ソ連圏の産出も伸びているわけでありますし、そうした石油市場の安定、これに加えまして、地球温暖化への対応ということで、国内的にかなり化石燃料の使用を抑えようという動きがあるわけであります。
 したがいまして、よほどの戦争勃発といったことがない限り、当面、我が国にとっての石油・ガス需給というのは、逼迫の反対であります、緩和ぎみに推移するのではないかと予想されるんですけれども、この点、政府はどのように考えているでしょうか。
河野政府参考人 我が国のエネルギー需給でございますが、我が国についてのみ分析をした結果について若干の御紹介を申し上げさせていただきますけれども、総合資源エネルギー調査会から昨年七月に長期エネルギー需給見通しの報告をいただいております。
 この見通しによりますと、石油代替エネルギーの導入促進ですとか省エネルギー対策の推進などがきちんと行われるということを前提といたしまして、石油の必要供給量は二〇〇〇年度の三億一千三百万キロリットルから、二〇一〇年度には二億八千万キロリットルということでございまして、絶対的な量は若干減る、一次エネルギー供給に占めるウエートも若干減るということでございますが、しかし、ほぼ半分ぐらいですから、依然として中核的なエネルギーでございます。
 また、同じ化石燃料の中でも燃料転換を進めませんと、原子力発電所の立地問題などから考えまして、CO2対策として不十分であるということになりますので、これは化石燃料の中では天然ガスの需要が伸びるということに相なるわけでございまして、その必要供給量は、原油換算で、二〇〇〇年度の七千九百万キロリットル相当から、二〇一〇年度の八千二百万キロリットルまで伸びるということを見込んでおります。
 しかし、我が国にとっての石油需給は、我が国のみの需要がどうなるかということによってのみ規定されるわけではないことは御承知のとおりでございまして、近年のアジア地域全体のエネルギー消費、これがやはり大きく拡大しているということ、さらには、今後も大きな拡大が見込まれているということは、先ほど御紹介申し上げたとおりでございます。
 このIEAの統計によりますと、一九九七年から二〇一〇年までの日本を除くアジア全体の石油需要は四億八千万キロリットルということで、約一・七倍の伸びということになっているわけでございまして、アジアに身を置きます我が国にとっても需給を楽観していいということにはならないのではないかと思います。
達増委員 自主開発、石油の自主開発、またガスの自主開発、それを公的に支援する際、巨額のお金がかかる。実際、石油公団の場合にはかなり、返ってこない、一兆数千億円に上るお金が出っ放しで投じられたということもありますので、もう少し、自主開発をどんどんやれという方向の反対側の方から見た質問をさせていただきます。
 油断という言葉は堺屋太一さんがはやらせましたけれども、自主開発の必要性ということには、そのようなオイルショック等々、国際危機における油断ということを防がなければならない。
 その油断によって、石油ショックのときは、国民経済、生活もビジネスも大きな打撃を受けてマイナス成長に落ち込んだわけでありますから、今はそれがなくてもマイナス成長に落ち込んでおりますが、そういうことは絶対避けなければならないわけでありまして、そのための安定供給対策をとっておく必要があるわけであります。
 石油ショック後、さまざまな危機、湾岸戦争でありますとか去年のアフガニスタンでの戦争もそうでありますが、そういった国際危機があったわけでありまして、ある程度のガソリンの高騰などあったと思いますが、石油ショックのときほどの打撃を国民経済に与えることはなかったと思います。
 さまざまな、石油市場の安定化や、国内的にも脱石油あるいは省エネ、そういった工夫が進んでおりまして、かなりのことが起きないと油断ということを真剣に懸念すべき事態ということにはならないと思うのですけれども、政府が、安定供給のため、特に脱中東しなければならない、特定地域に依存してはならないというような場合に、いかなる非常事態を想定しているのでしょうか。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 安定供給をさせるということは、我が国のエネルギーセキュリティー上、極めて大切でございます。これはもう委員御指摘のとおりでありまして、過去の事例でございますけれども、まず、第一次のオイルショックは一九七三年でございまして、このときには、御承知のように、備蓄がございませんでしたのでパニックが起きました。その結果、国民生活安定緊急措置法というものをつくりまして、価格規制をしたりして対応したわけでございます。
 その後、第二次オイルショックが七九年にございましたけれども、そういった反省をもとに備蓄を始めた。この当時はまだ民間が主体でございましたけれども、ちょうど第二次のときには八十五日間ほど民間の備蓄がありまして、結果として大体一〇%ほど放出をして、この危機管理に当たったわけであります。
 九〇年には、もう既に民間と国の備蓄があったということ。九〇年の湾岸危機のときには、世界各国が、メジャーも含めて、やはり安定供給に対して相互に協力をしたという要因もございますけれども、一方では、やはり国内的には官民の備蓄が十分にあったということもございまして、結果的には大きな混乱にならなかった。ただ、この時点でも協調放出を、二百四十万キロリットルですから、大体四日分程度、放出をさせていただいております。
 いずれにいたしましても、やはり危機というのはどういう状況で起こるかわかりません。それは外交的要因であるときもありますし、あるいは災害というような要因もあるし、あるいは不測の事態ということもあるわけでございまして、そういうときのために、安定供給を図るために、これからもエネルギー安全保障の視点から取り組んでいかなくてはいけないというふうに考えております。
達増委員 答弁にあったとおり、備蓄、また必要な関係の法整備、そうしたことがなされていれば、かなりの程度、緊急事態における油断、安定供給の損なわれる事態というのは回避あるいは低い水準に抑えることができるんだと思います。
 そういう意味では、いざというときの備え、非常事態に対する対応の体制を、備蓄も含めてきちんと整えておくということを国が責任を持ってやる。そこの体制を今以上に強化していくということと組み合わせれば、もう一つは、脱石油、原子力の推進等の脱石油も重要でありましょう。そういったことをきちんとやっていきますと、自主開発部分に国のお金を投入していくということは、かなり最小化することができるのではないかというふうにも思います。
 そこで、まず、平素から非常事態対処の体制をつくっておく重要性について伺いますが、自由党は今回、有事法制の対案として、安全保障基本法プラス非常事態対処基本法という法案を提出しております。きょうも、今審議されるところでありますけれども。
 その中で、平素から非常事態対処の基本計画を内閣としてつくっておくべきということを法案に入れてありまして、これはエネルギーに関する危機管理のことも含まれております。そうしたエネルギー問題に関しても、非常事態対処の基本計画のようなものを平素からつくっておくことが重要だと思いますが、この点、いかがでしょうか。
河野政府参考人 先ほど副大臣から御答弁申し上げましたように、緊急時におきます対応体制、これは備蓄あり、また、長期的な視点から、るる申し上げておりますように、自主開発の問題も重要だと思っておりますが、さらに、いざというときの石油需給適正化法の運用それから国民生活安定緊急措置法、そして備蓄の放出、さまざまなシナリオを念頭に置きながら、対応できるように備えているつもりでございます。
 昨年七月に総合資源エネルギー調査会で報告をいただきましたけれども、これに先立ちまして二年近い検討をさせていただきました。オイルショックから随分たちまして、いわゆるエネルギーセキュリティーという言葉も余り聞かなくなっていた時期でございましたので、セキュリティーワーキンググループというものを設置いたしまして、そこで、地域の専門家の方あるいはエネルギーの専門家の方、外交関係の方にも御参加をいただいて、エネルギーが危機的な場面に遭遇する可能性、若干のそういったシナリオのような分析をお願いしたところでございます。
 そこで、いろいろな意味でまだ世界的な不安定性があってエネルギーの需給が安心できる状況でない、それに対する対応が必要だということを基本的に御提言いただいたわけですが、その御提言の中には、おっしゃるように、関係の各府省と密接な連携をとるべきだという御提言もいただいておりまして、また、先ほどの質疑でもそういった御議論があったわけでございますが、私どもはその際も、この御提言に従い、分析を行いました結果を外務省ですとか内閣府などにも紹介しながら、連携を深めていきたいと努力しているところでございます。
達増委員 エネルギー戦略の見直しという観点から石油開発体制の改革を進めていくことこそ、石油公団をめぐる改革の本道ではないかという問題意識から質問を続けてきましたが、やはり、国の予算で、いただいている国民の税金でこの安定供給、エネルギーセキュリティーという問題に対処していく場合、まずは、備蓄でありますとかその他危機管理体制の整備、そして原子力の推進等脱石油に関する努力、そうしたところにお金を回すのが先決で、自主開発という、不確実性が高く、かつ本質的には民間が主導してやるべき分野については、かなり大胆な改革をそこに行うべきではないかと考えます。
 必要なのは、リスクマネー調達、日の丸開発会社のリスクマネー調達に今までのような石油公団と同じような安定した公的資金を供給する仕組みを温存することではなく、むしろ、例えばベンチャー支援制度のように、そういうリスクを伴う開発といったことに民間からのお金が集まりやすくするような税制の改正でありますとか、その他諸制度の改正でありますとか、そういう公的資金に頼らないリスクマネー調達が容易になるような改革を石油・ガス開発にも導入することが重要だと考えますが、この点、いかがでしょうか。
河野政府参考人 ベンチャー的な資金の調達、この点は昨日の参考人の質疑の中でも先生から御提起があり、石油開発企業の方からもお考えについて述べられたところがあったと記憶しておりますが、私どもが今後とも政府として支援をしていかなければいけない重要案件のようなことを念頭に置いて考えますと、やはり石油開発事業というのは非常にリスクが高い上に巨額の資金を必要とするということになります。
 また、欧米のメジャーの自己資金といいますか、エクソン・モービルの単年度の純利益二兆円というような規模の企業と、ある意味では競争しながらそういったプロジェクトを開発していくということを考えますと、いわゆる経済産業省が通常ベンチャー支援というふうなことで念頭に置いておりますようなやり方の支援的ファイナンスでこれは足りるのだろうかなというふうに、率直に、正直言って疑問に思うところであります。
 そういう意味では、国の責任において、出資とか債務保証などを通じまして、関係企業の開発努力を支援していくことが適当ではないかというふうに考えているところでございます。
 また、税については、活用の余地があるのではないかという御指摘、昨日の参考人の方の御意見にもありましたので、そういった点は今後の検討の課題かと思います。
達増委員 ITの発達によりまして、かなり高度な金融工学というような、そういう資金調達の新しいテクノロジーなども開発されております。また、企業の積極的なディスクロージャー、自分の信用を高めることで資金調達を容易にする、石油公団、そしてまた法案にある新しい独立行政法人の機構も債券を募集するようなこともありますけれども、そうしたことをできるだけ自前で企業がやれるようにしていくべきだと思いますし、また、公的にサポートするとしても、例えば債務保証とか、そういう極力民間の自力がついていくような手法というものを考えていく工夫の余地はかなりあるんだと思います。
 さて、通告していた質問の、一つ戻る格好になりますが、備蓄、自主開発、また脱石油などなど、安定供給確保のための国としての政策にはいろいろあるわけでありますけれども、例えば、今回石油公団の仕事から備蓄というものは外して国直轄とする、また脱石油というのは、その基本は原子力の推進だと思います。
 これはかなり文部科学省ですとか、他省庁も関連している分野でありまして、そうした縦割り行政でありますとか、新しい機構のあり方などに絡んで、ますますこうした本来統合的に進めなければならない安定供給政策というものがばらばらに進む危険性というのがあると思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
古屋副大臣 お答えさせていただきます。
 我が国のエネルギーの基本政策の理念は三つございまして、安定供給、環境保全、そして効率化、このややもすると相矛盾するような方程式をうまく組み合わせて、我が国のエネルギー政策の基本的な考え方にしているわけであります。
 具体的には、例えば、石油備蓄であるとかあるいは自主開発の推進ということで、まず石油供給の安定化を図る、これが一つ。二つ目は、省エネルギーの推進等々によりましてエネルギー需要そのものを低く抑えていく。三番目は、天然ガス、原子力あるいは新エネルギーなど、いわゆる石油にかわる新しいエネルギーの開発あるいは導入を図っていく、こういうことでございます。
 そして、それに基づきまして、政府としてはエネルギー政策の基本目標を掲げておりまして、それを達成するためにはさまざまな具体的、個別的な政策が必要でございまして、今申し上げました、そういった視点に立って、整合性のとれた政策を推進するということに努めておりますし、またそういった基本的な考え方でございます。
 一方、先日成立をいたしましたエネルギー政策基本法がございますけれども、この中にも、安定供給の確保であるとか環境への適合、市場原理の活用ということがしっかり記されておりまして、この基本法でも、そういった考え方に基づいてエネルギー政策を推進していく。そういう意味では、政府としてはしっかり基本的な考え方に基づいた政策の整合性はとりながら、あるいは各省庁との連携をしながら対応しているというふうに認識をいたしております。
達増委員 時間なので終わりますが、きのうの参考人質疑で、十市参考人だったと思いますけれども、記憶によれば、やらなきゃならないことは今回の二法案の外にかなりあるというようなことをおっしゃっていましたが、今の答弁を聞いていても同様の感想を持ちますので、やはりそういう骨太のエネルギー政策改革というものが必要だなということを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、最初に備蓄問題について御質問いたします。
 国家石油備蓄基地の保全業務に関してですけれども、公正取引委員会による中核エンジへの勧告、国備会社への要請などが行われました。この件について、経済産業省としてどういう措置をとったのか、最初に伺いたいと思います。
古屋副大臣 お答えさせていただきます。
 今般、公正取引委員会から、エンジニアリング会社七社に対して独禁法に基づく勧告がございまして、国家石油備蓄会社に対しては、再発を防止するための発注方法を見直すよう要請があったということでございます。このように、公正取引委員会から勧告を受けたということは私どもはまことに遺憾に思っておりまして、厳正に対処をしていきたいというふうに考えております。
 具体的には、まず、こういった事態が再発をしないように、措置対象会社の指名停止、あるいは国家備蓄会社への適正な措置、再発防止を図るよう石油公団を通じまして指示をさせていただきました。
 また、こういったことを再発させないような具体的な対応につきましては、例えば入札の参加企業をふやす等々含めまして、こういった改善策を検討する場を設けまして、今後とも適正な契約方法につきまして検討していきたいというふうに考えております。
塩川(鉄)委員 経済産業省として入札方法の改善などを検討するというお話でした。
 そこで、重ねてお聞きしますが、新聞報道では、この中核エンジの一つである日石菱油エンジが、入札は形式上のもので実質的には随意契約だ、違反を問われる余地はないと認識しているですとか、競争はもともと行われていないんだ、このように述べていると報道されているわけです。
 こういう話を聞きますと、そもそも実質的に競争がなかったんじゃないか、それが公団、ひいては国民に損害を与えることにつながったんじゃないか、このように思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 今回、国家石油備蓄会社から各種工事等を受注したエンジニアリング会社による談合につきまして、公正取引委員会から勧告を受けたということは、まことに遺憾だと思っております。
 新聞紙上に掲載されました日石菱油エンジニアリングの「競争はもともと行われていない」とのコメントについては、当省としては、同社がそのようなコメントをしたと言われておりますけれども、国家石油備蓄会社のエンジニアリング業務の契約に関しましては、各国家石油備蓄会社の契約規程に基づきまして、原則として指名競争入札を行うこととしておりまして、「競争はもともと行われていない」というような状態ではなかったと私どもは認識しております。
 いずれにしましても、独占禁止法の規定に基づき公正取引委員会において適切に対応されていると思っておりまして、当省としてはそれを見守ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
塩川(鉄)委員 原則指名競争入札、競争があるんだというお話でしたけれども、公正取引委員会に確認をしたいんですが、この中核エンジに対して過去三年間の受注実績がどういうふうになっていたのか、九八年から二〇〇〇年の保全工事等の受注状況の数字が出ていると思いますので、各国家備蓄基地ごとのこの中核エンジの受注率を金額ベースで明らかにしていただきたいと思います。
鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十年度から十二年度において国家石油備蓄会社七社の本社がいわゆる中核エンジを含む複数の関係人を指名した指名競争入札等により発注した保全等工事のうち、中核エンジの金額ベースの受注率は、苫小牧東部石油備蓄株式会社の九九・二%、福井石油備蓄株式会社の九四・八%、そして、志布志石油備蓄株式会社の九九・七%がございます。他の石油備蓄株式会社につきましては、中核エンジニアリング会社が一〇〇%受注してきております。
塩川(鉄)委員 一〇〇%、あるいはもう一〇〇%近くの受注状況だったということでした。
 資料の配付をお願いいたします。今お配りしております資料には、各国家石油備蓄基地の対応する中核会社、また中核エンジ及びこの中核エンジの受注状況の一覧表となっております。
 ごらんいただいてわかりますように、例えば、むつ小川原の中核会社は東燃ゼネラルですが、その中核エンジは東燃ゼネラル一〇〇%出資の子会社である東燃テクノロジーになっております。
 この東燃テクノロジーが、指名競争入札ということが言われておりますけれども、九八年から二〇〇〇年の三年間、五十四件の受注を受けて、受注額が六十一億円余り、受注率は一〇〇%、すべてこの中核会社の子会社の中核エンジが受注をしている。
 これはほかのを見ても、日本地下備蓄の三つの事業所を含めても、このようにはっきりと尋常でない受注率の状況というのが見てとれるわけですけれども、率直に、これで競争があると言えるんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 確かに、お配りいただきました公正取引委員会資料によって作成されたこの表では、お示しのデータだと思っております。ただ、これは本社発注分でございまして、そして、各事業所発注分を含めた総額ベースでは、二〇〇一年度では六〇・二%、二〇〇〇年度では六五・六%、こういうことも実態としてはあるわけでございます。
 しかし、本社発注分がこういったお示しの図のようになっているということ、ここを公正取引委員会が指摘をされたところだ、こういうふうに思っておりますので、今後を私どもは注意深く見ていかなければならない、このように思っています。
塩川(鉄)委員 先ほど紹介しました新聞報道で、やはりこの日石菱油エンジニアリングが、「系列会社が保全業務を受注し、出資した親会社の負担を軽減することで発注側も了解していた。」中核会社が核となっている国家備蓄基地、国家備蓄の会社と中核エンジというのが、いわば親子の関係でよろしくやっていたという含みの、そういった報道にもなっているわけですね。
 私、そういう意味では、身内が身内に対して出しているだけじゃないか、こんなので、何でそもそも競争だということが言えるのか。もともと、こういった各国備会社に中核会社が置かれているわけです。それは経済産業省のこの間の措置として行われてきたものですけれども、その中核会社が中核エンジに、率直に言えばそのまま仕事を出していたんじゃないか。こういうことでは、実際競争がなかった。こういう競争がない状況を経済産業省自身がつくってきたんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 国家石油備蓄会社のエンジニアリングの業務の契約に関しましては、先ほども申し上げましたように、各国家石油備蓄会社の契約規程に基づいて指名競争入札を行うこととなっております。
 指名業者の中には中核会社の子会社であるエンジニアリング会社も含まれておりまして、指名競争入札の結果として、当該エンジニアリング会社が相当程度、先ほど言いましたように六割受注しておりますけれども、各国家石油備蓄会社からは、各社の契約規程に基づき適切に契約、発注を行ってきておりまして、当該エンジニアリング会社に有利になるように取り計らったことはないと私どもは聞いております。
 しかしながら、今回、国家石油備蓄会社から各種工事等を受注したエンジニアリング会社による談合につき公正取引委員会から勧告を受けたことは、本当に遺憾であり、私どもとしては厳正に対処しなければならないと思っています。
 具体的には、こうした事態が再発しないように、石油公団に対しては、措置対象会社の指名停止など、国家石油備蓄会社への適正な措置及び再発防止を図るように指示をいたしました。再発防止に向けた具体的な対応については、入札参加企業数をふやすこと等を含めて改善策を検討する場を設ける方向でございますが、いずれにいたしましても、適切な契約方法について私どもは検討していかなければならない、このように思っております。
塩川(鉄)委員 もともとこういう系列のような仕事の発注、受注のやり方をとってきたという経済産業省、石油公団の責任はやはり免れないと率直に思います。
 その上で、会計検査院にお聞きしますが、このような国備会社の保全業務の委託費用について今までどのような調べを行ったことがあるのか、また、今後の問題ですけれども、今回のような談合摘発もあるわけですから、一層厳格に検査等は対応すべきだと思うが、その点、お聞きします。
円谷会計検査院当局者 国家石油備蓄会社は、会計検査院法の第二十三条一項第五号に規定します国の孫出資法人でございますので、毎年五社程度を選定いたしまして、会計実地検査を行ってきておりました。
 この会社が発注します工事につきましては、予定価格の積算、あるいは発注行為、あるいは履行等が適切に行われていたかどうか、経済性や効率性等の観点から検査を行ってきたところでございます。
 今後とも、こういう問題がございましたので、力を入れて重点的に検査をしてまいりたいというふうに考えております。
塩川(鉄)委員 しっかりと対応していただきたいと思います。
 なぜこういった異常な受注状況になっているのか。私は、やはり国家備蓄会社の役員構成を見れば、その姿もよくわかると思うんです。
 そこでお聞きしますが、国備会社の創設以来二十年来の歴代の社長、専務、ここに占める通産、公団出身者の人数及び中核会社系列出身者の人数は、それぞれ何人となっているでしょうか。
河野政府参考人 国家石油備蓄会社八社の歴代の社長、専務の人数でございますが、通産省または石油公団出身者が四十人、中核会社またはその関係企業出身者は四十人、これですべてを占めております。
塩川(鉄)委員 つまり、二十年来の八つの国備会社の歴代社長、歴代専務全部足し上げますと八十人になるわけですけれども、その八十人のうち、通産、公団OBが四十人、中核会社出身者が四十人と、ちょうどきれいに分け合っているわけであります。
 そういう点で、いわば税金を流し込む側の通産OBあるいは公団OBと、仕事を受注する側の中核エンジに対応する中核会社の出身者で役員が占められているのが国家備蓄会社ですから、国備会社というのは、通産省と中核会社のいわば共同子会社のような実態というのがこの役員構成を見てもはっきり出てくると思うんです。
 こういう役員構成で見たときに、やはり結果としてこのような保全工事の受注状況が一〇〇%になるような、こういう異常な状況が生まれるんじゃないですか。こういった組織形態そのものにもメスを入れる必要があるんじゃないでしょうか。どうでしょう。改めて、いかがでしょう。
平沼国務大臣 先ほどの御答弁でも申し上げましたけれども、全体として、本社発注はお示しいただいた表のとおりでございますけれども、事業所等を含めますと六〇%台、こういうことでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、公正取引委員会から御指摘を受けたわけでございまして、私どもは、先ほど御答弁で申し上げたように、やはり厳正に対処をし、そして正すべきものはしっかりと正していかなければならない、また、今後の対策もしっかりととっていかなければならない、このように思っております。
塩川(鉄)委員 石油会社の談合の問題というのは、今回の事例だけではありません。御承知のとおり、防衛庁発注の燃料納入をめぐる談合事件というのも過去にありました。公正取引委員会が告発もし、地検特捜部の捜索まで受けた石油元売会社が十数社あったわけであります。
 今回の中核会社と同じ、出光ですとか日石三菱など複数の石油会社が談合に関与をしていたわけで、やはりこういう石油業界の談合体質そのものが問われているわけであり、そこにもメスを入れる、そういう点では、ここにあらわれた役員構成に見られるような、談合を生むような背景となっている体制そのものについてもきちんと対処をする、このことが強く求められていることを指摘したいと思います。
 その上で、やはりこの石油会社自身の社会的な責任の問題についても、もう一つ問うていきたいと思っています。
 石油会社の備蓄、民間備蓄の問題ですけれども、日本の石油会社は国際的に見てもみずからの備蓄の責務を果たしているんだろうか、この点を思わざるを得ません。
 原油輸入量の大きいフランスとドイツ、そして日本の民間石油会社の備蓄の義務量及び実績がどうなっているのか、お聞かせください。
河野政府参考人 まず、我が国の民間備蓄でございます。
 現在、石油精製業者あるいは輸入業者などに対しまして、前十二カ月の日本国内におきます生産量、輸入量などを基礎として計算しました七十日分の備蓄義務を課しております。これによりまして、平成十四年の四月末現在でございますが、製品換算で約四千二百万キロリットルを備蓄しておりまして、国内需要を実際上は七日分上回る七十七日分に相当いたしております。
 そして、フランスでございますが、これまた前十二カ月の国内販売量の九十五日分をまず基礎といたしまして、そのうちの二〇%かあるいは四六%に相当する備蓄量を、民間企業みずからがどちらかを選択して保有するという義務が課せられております。
 その選択した日数と九十五日の差であります残る量につきましては、フランスは公的機関備蓄を行っておりまして、国の組織に準ずる組織であります戦略石油備蓄専門委員会という組織に対して分担金を支払うという方式でありまして、我が国の石油税に似通った方式と認識しておりますけれども、そういう義務を有しております。
 その結果、平成十三年一月時点のデータによりますと、フランスにおきます民間備蓄量は六百万キロリットルということになっております。これに公的備蓄を合わせますと、一千五百万キロリットルの備蓄が保有されているということになります。
 ドイツでございますけれども、ドイツは民間備蓄の義務はございません。ただし、これも、いわゆる協会備蓄と訳されている仕組みでございます公的備蓄ですけれども、石油精製業者などの民間企業が、石油備蓄協会という公的機関に対しましてマーケットシェアに応じた負担金を支払う義務が課せられてまいりました。この負担金を受けて、石油備蓄協会が備蓄を行っております。平成十三年三月現在の備蓄量は、三千万キロリットルになっております。
塩川(鉄)委員 日本の七十日に対して、フランス九十五日、ドイツ九十日、協会備蓄の話ですとか公的な備蓄がありましたけれども、これはどちらでも、費用負担そのものは石油会社が負担をするという点では日本の民間備蓄のスタイルをとっているわけですね。
 日本の場合は、九〇年代に入ってから、民間備蓄九十日だったものを七十日に引き下げているわけです。私、そういう点でも、国際的な比較で見ても、民間会社がよりふさわしく責任を果たす必要があるんじゃないか。一方で談合をやっておいて、一方でみずからの責任も引き下げるというんじゃ、これじゃ国民の皆さんは納得しないんじゃないか。
 そういう点でも、民間石油会社にふさわしく、こういった国際的にも準ずるような備蓄についてきちっと対応させていく、こういうことが改めて求められると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 フランスとドイツ、そういった例が今示されたわけであります。我が国としては、やはり、それぞれ国によって方針、政策があります。我が国の場合も民間備蓄というものはある意味ではしっかりと確保されているわけでありまして、国際標準、それも一つの標準になるかと思いますけれども、やはり我が国は我が国のいろいろな状況の中で決定していくべき問題だ、私はこのように思っています。
塩川(鉄)委員 今、七十日の備蓄というのはあるわけですが、七三年の石油危機時の備蓄がどのくらいだったかというと、六十七日という話もあります。そういう意味では、もう三十年間たって結局同じ水準なのか、これでいいんだろうか、このことも思わざるを得ません。
 こういう問題も含めて、先ほどの中核エンジの受注状況を見ても、私はやはり、国備会社、中核会社、中核エンジ、こういうなれ合い、もたれ合いの関係を見直す必要がある。そういう点で、今回の法案はこういうのを見直す、是正をする、これを担保することに資するものなのかどうか、この点は、大臣、いかがでしょうか。
河野政府参考人 今先生がおっしゃいました民間備蓄の日数でございますが、先ほど私申し上げましたのは、フランスでは九十五日のうちの二〇%ないし四六%を選択して民間備蓄義務量とする、そして、残りは、我が国でいえば石油税に相当いたしますような、エンドユーザーまで負担が行くような形での負担金を求めているということを申し上げました。
 ところで、今回の改革でございますけれども、八社あります国備会社は廃止をいたすことになります。したがいまして、現在、国備会社はタンクを保有いたしまして、これの管理等も全面的に行っているわけでございますが、このタンクは国の資産になるのでございます。
 そして、資産を持たない、地元に雇用などを持っております現在の国家備蓄会社が行っております業務のうちの日常的な操業業務、これは石油公団の資本の全く入らない民間の資本のサービス会社が設立されて、そこが担うことになると思います。それがどのような組織形態になるかという点については、これは純粋民間資本ということでございますので、今後、民間の皆さんの御意見が尊重されながら検討されていかなければならない。
 ただ、私どもは、やはり、地元に蓄積されております雇用、そして緊急時に放出する際のノウハウあるいは日ごろの安全の確保、こういったものが確保されることが前提だというふうに考えているところでございます。
塩川(鉄)委員 そうしますと、これからできる民間操業サービス会社についても、いわば中核会社系列になるということも当然含まれるということですね。
河野政府参考人 これは、今あります会社に民間の各地域の中核会社の資本が入って、そこに雇用関係が発生しておりますから、そういった歴史的な関係というのを考えますと、こういった方々の出資を念頭に置いた民間会社というのはやはりあり得るような気がいたしますけれども、その具体的な姿を今描いているわけではございません。
塩川(鉄)委員 当然そういった能力を持つという点では排除されていないわけで、私、今回の法改正では、ここに示したような異常な受注率、こういった談合体質を改めるような、ゆがみの根本にメスを入れるような方向になっていないというのを率直に思わざるを得ません。そういう点でも、今度の法案の中身について重大な疑念が率直にあるということを重ねて申し上げたいと思います。
 次に、石油開発関連資産の整理売却問題についてお聞きしたいと思います。
 最初に、おととしに出されました石油審議会の開発部会基本政策小委員会の中間報告書の内容に関連して、ここで述べております石油公団保有株式の売却の指針、これは現在も生きている指針と考えてよろしいんでしょうか。
河野政府参考人 この開発部会で検討いたしました際に、いわゆる中核企業グループといったような考え方が示されたわけでございます。そういった国際市場などで自律的に活動していく企業グループといったような基本的なコンセプト、こういったものは共通する問題だと思っております。
 ただ、この時点では、今回のように石油公団を廃止して特殊会社に一定の適正処分後の資産を引き継ぐという構想があったわけではございませんので、細部については違う点があるかもしれません。
塩川(鉄)委員 中間報告の石油公団保有株式の売却の指針というのは、この前段としての、今長官も述べられた中核的企業グループをどう形成していくのか、これに資する方向での整理売却の指針であるわけですね。それは共通する、生きているという話だったわけです。
 そこで重ねてお聞きしますが、中間報告では、主な事業会社、例えば石油資源開発とかインペックスとか、こういうのが想定されているわけですけれども、この主な事業会社の石油公団保有株式の売却はできるだけ速やかに、この報告では五年以内にもと言われていたわけですけれども、株式の上場なども含めた主要な事業会社の公団株式売却の方針はどうなるんでしょうか。
河野政府参考人 先ほど申し上げましたように、この報告書の時点におきまして、石油公団の廃止、そしてその適正処分後の特殊会社への承継、そういった構想はなかったわけでございますから、現時点においては、私ども、現在提案させていただいておりますように、石油公団については三年間の期間をもって適正処分を行い、そして残余の資産については特殊会社が承継して速やかに民営化を行っていくということが基本的な考え方でございます。
 その際、具体的にどのような資産を承継するかという点につきましては、るる御答弁申し上げておりますように、総合資源エネルギー調査会の御意見を承り、これを踏まえ、また内閣総理大臣への協議も経て決定されるということでございますので、個々具体的な、事業会社であれ何であれ、今具体的にどれを売却するというふうに申し上げることはできないわけでございます。
 ただ、その際の方法として、例えば特殊会社が将来民営化するということであれば、上場などのことも含めて当然考えていくという考え方になろうかと思います。
塩川(鉄)委員 法案の審議中ですけれども、今現在の問題でお聞きしているわけなんですが。
 例えば、この主な事業会社を速やかに、五年以内にもと売却の方向が出された中で、昨年来、この事業会社の一つとして想定されています石油資源開発の上場の話が出ているわけですね。ことしの七月とか秋とか、そんな話なんかも含めて言われていたわけですけれども、こういった石油資源開発の株式売却、株式公開については、石油公団、経済産業省として、今現在ストップをかけるんでしょうか、どうなんでしょうか。
河野政府参考人 石油資源開発が上場の準備をしているという事実は承知しております。ただ、これも石油公団保有の資産の一部を構成しているわけでございますので、やはり最終的な決定に至りますには、この処分計画の中でどういうふうに扱っていくかということと関係してくると思っております。
塩川(鉄)委員 この中間報告では、事業会社の株式の公開については、その企業の株主及び経営者が判断するようになっている。株主はどこかといえば一番は国ですから、政府の判断というのは一番大事だ。今現在どうするのかということについて、政府としてのしかるべき判断があっていいと思うわけです。
 重ねて聞きますけれども、そうすると、この石油資源開発の株売却の問題についてはどうなんでしょう。この法案ができるまでは何もしないということなのか、それとも検討委員会の指針が出るまでは何ともしようとしないのか。その辺はどうなんでしょうか。
河野政府参考人 この石油資源開発は、先ほど申し上げたように、上場の準備をしている状況にもありますので、できるだけ早くその考え方を私どもとしても固めなければならないとは思いますが、現在御提案を申し上げておりますこの法案では、やはり全体の処分計画について経済産業大臣の承認を得ると。その際、総合資源エネルギー調査会の意見を聞くということになっておりますので、その一部を構成するという考え方に立つものでございます。
 ただ、具体的に、この固有の会社について、どの時点でどのように処分計画の一環として経済産業大臣として結論を出し、また内閣総理大臣に協議を申し上げるかというのは、今の時点では申し上げられないタイミングでございます。
塩川(鉄)委員 なかなかよくわからないわけですが。
 では、別な角度でお聞きしますが、この中核的企業グループ形成のために、この中間報告では、残された十年間と言われている重点期間を設定したわけですけれども、この十年間の重点期間というのは、今回の法案を通じて要するに三年に短縮されるというふうに考えてよろしいんでしょうか。
河野政府参考人 この重点期間の考え方は、今後五年あるいは十年を区切りにして、従来七割の出融資をしてまいりました、これをまず五年をめどに見直す。あるいは、その先については五割に減少させるというようなことを提言しているわけでございます。
 今回、この石油公団改革に当たりまして、減免つき融資は、この御提案申し上げております法案を御承認いただけました場合には業務から直ちに消えますので、減免つき融資はなくなるということになります。また、出資比率も五割を上限とする、債務保証比率も五割を上限とするということでやってまいることになりますので、ここで十年間かけて段階的にその支援を見直していくということについていえば、むしろ前倒しの内容になっているかというふうに思います。
塩川(鉄)委員 それから、中間報告で言っておりました石油公団保有株式の売却の方針、これと、この間大臣も示されておられます開発関連資産の扱いについての四つの留意点、この二つはどういう関係になるのか。引き継ぐのか、同じものなのか、どうでしょうか。
河野政府参考人 この報告書で述べられております基本的な考え方も、先ほど共通点があると申し上げましたのは、中核的な企業グループの育成に資するという方向で対処していきたいという考え方であります。
 今回も、最終的に特殊会社を設立して、そこで中核的企業グループの形成に寄与することを期待するというふうに大臣からも御答弁を申し上げているわけでございます。そういう意味では、考え方において共通なものを受け継ぎながら今回の提案になっているというふうに申し上げられると思います。
塩川(鉄)委員 共通なものもありながらも、しかしその後についてはやぶの中というお話をずっと聞いているわけですけれども、この四つの留意点に関して、少し何点かお聞きしたいと思います。
 四つの留意点、この間も何度かお聞きしているわけですけれども、そこの文言の中に、国際的な石油・天然ガスビジネスを自律的に展開することを予定する特殊会社と述べています。
 特殊会社というのは、国際的な石油・天然ガスビジネスを自律的に展開するという性格を持つということなんでしょうか。大臣、いかがでしょう。
平沼国務大臣 私自身といたしましては、特殊会社が石油・天然ガス開発事業の維持拡大をみずから行うことができまして、世界の石油ビジネスにおいてメジャー等に伍して一定のプレゼンスを示せるような日本企業となることを期待しております。この点も含めまして、総合資源エネルギー調査会において関係者の意見も聴取した上で十分検討され、そして内閣総理大臣にも協議した上で、全体としてのコンセンサスの形成がなされる、このように思っております。
 いずれにいたしましても、今後の議論の過程において、特殊会社の事業内容やあるいは民営化のプロセス等を含めて、具体的な姿を明らかにしたい、このように思っております。
塩川(鉄)委員 もう一つ、この四つの留意点の中では、将来性があって、産油国との間でも国の関与を引き続き示す必要のあるものは特殊会社に承継するのが適当とありますけれども、特殊会社に対して何らかの国の関与があるということを示す中身でしょうか。
平沼国務大臣 先日の法案審議の際に、石油公団の保有する開発関連資産の取り扱いにつきまして、基準の策定に当たって留意されるべき視点の例示として、今御指摘のように、将来性があり、産油国との間でも国の関与を引き続き示す必要がある開発資産については特殊会社に承継する、こういう発言をいたしました。
 特殊会社については、将来できるだけ早期に民営化することを予定しておりますが、設立当初は、整理処分後の開発関連資産を引き継いで、一〇〇%国から出資を仰ぎ、その限りにおいて国の監督を受けるものであるため、産油国との関係で国との関連を示すことが必要なものは特殊会社に引き受けさせることが適当である、この趣旨で申し上げたところでございます。
 いずれにいたしましても、特殊会社の目的、業務等については、別に法的な措置をとることとなっておりますので、今後の議論の中で具体的な姿を明らかにしていきたい、このように思っております。
塩川(鉄)委員 一〇〇%出資の当初の段階、国の監督を受ける、国の関与があるということですけれども、民営化をする、その先についてはどうなんでしょうか。
河野政府参考人 これは、将来、民営化の段階に応じて国の関与が変化していく可能性はもちろんあると思います。そして、完全民営化された場合には、原則として国の監督がなくなり、あるいは場合によって設置法も不要となるというようなケースも考えられるわけでございますけれども、産油国との関係でやはり特段の国の関与を引き続き必要とするものが仮にあるというようなことであるならば、それはまた、その時点でどのような国の関与があり得るかを検討していかなければならないと思っております。
塩川(鉄)委員 議論を通じてコンセンサス云々というお話がありましたけれども、しかし、今回の大臣が出された四つの留意点などを含めても、一定の方向性で枠が示されているわけですね。でも、こういった特殊会社の性格づけ、方向性というのが特殊会社法案も出ていないのに何でできるのか、私はこれは率直に思わざるを得ないんですが、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 これはやはり政策論でございまして、これから特殊会社というものも将来設置する、こういうことになっておりまして、今のお願いしている法案、それを通した中で特殊会社というものに対して政策的にいろいろ判断をして決めていく、こういうことだと思っております。
塩川(鉄)委員 しかし、検討委員会では、四つの留意点などを念頭に置いて、開発関連資産の切り分けについて一定の方向を出そうというわけでしょう。でも、本来であれば、当初は特殊会社法案についても一体のものとして国会で議論がされるものだった、そのように言われているわけですね。
 私は、こういった今のやり方だと、結局は、開発関連資産、もとをたどれば国民の財産ですけれども、それについて政府や経済産業省に白紙委任だという話だと思うんですよ。本来であれば、今回の二法案にあわせて出される予定の特殊会社法案が一体となって議論されて、開発関連資産についてもこの国会の場で議論がされて、国会の議論を通じて結実していく、このことこそ必要だと思うわけです。
 やはり、公団廃止関連法案と一体に、国会でこそ議論し、決めるべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 特殊会社の法案が今後できるときに、当然国会の場でもこれは議論をしていただくわけでございまして、今、その四つの基準というようなことは、私どもとしては政策論の中で一つの方向を示しているわけでありまして、必ず何も経済産業省や資源エネルギー庁、それの専権事項じゃなくて、いわゆる法案を提出したときにやはり国会で御承認をいただく、こういうことに私は相なると思っています。
塩川(鉄)委員 この公団廃止問題で一番の焦点は開発関連資産の扱いの問題だったわけですから、それこそ一体のものとして議論をすべきだ、それ抜きの議論というのはそもそも成り立たないんじゃないかということを私は申し上げているわけで、政府にこういった大事な問題を白紙委任するわけにいかない。私は、特殊会社法案と一緒に改めて出し直すべきじゃないか、このことを改めて申し述べて、質問を終わります。
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子です。
 まず、平沼大臣に質問します。
 石油公団に対する監督責任について、大臣は現在どのように思われておりますか。
 私は、日本の企業、特に大企業の一番の問題点は経営者責任であると思います。ある会社が経営難に陥り、責任問題に発展した場合、大抵その会社の社長が辞任しておしまいにされています。会社が不祥事を起こした場合でも、経営陣がやめたりあるいは減給になったりでおしまいです。BSE関連をめぐるいろいろな問題でもそうでしたよね。経営難を理由にリストラされる会社員などとは違って、辞任した社長は次の就職先が用意されたりしてもおります。日本は経営者に対して非常に優しい、甘いと私は日ごろから思っております。
 大臣に具体的にお伺いしますけれども、石油公団という特殊法人が廃止され、独立行政法人にその仕事が引き継がれることになりますけれども、問題が生じた場合、責任のとり方について、本質的にどのように特殊法人と今度できる独立行政法人と違いがあるのか、そしてまた、大臣は御自分の石油公団に対する監督責任についてどのように感じていらっしゃるのか、あわせてお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 石油公団を監督する担当大臣といたしましては、公団の財務、事業運営についての問題提起を受けまして、石油公団再建検討委員会及び石油公団開発事業委員会において石油公団の業務運営について徹底的な見直しを行わしめ、そこで指摘された事項のほとんどすべてについて着実にこれまで改革を行わしめてきたところでございます。
 今般の特殊法人等改革におきましても、これまでの反省に立ちまして、石油の開発のためのリスクマネー供給機能、研究開発機能等については独立行政法人に行わせることといたしまして、これにより、業務運営の効率化、対象プロジェクトの厳選を図っていくほか、支援の内容につきましても、減免つき融資を廃止するとともに、支援比率を五割まで限定するなどの措置を講ずることにいたします。
 したがいまして、私どもといたしましては、そういったいろいろな御指摘を踏まえて、徹底的な見直しで、そして改善を着実に進めてきたところでございます。
 また、石油公団のことでございますけれども、現在御審議いただいております本法律案に先立ちまして、本法律案の前提となった昨年十二月の閣議決定の内容を早期かつ着実に実施する、こういうことで、本年一月に私が指示をして、石油公団総裁を本部長とする石油公団廃止準備本部を設置したところでございます。
 こういったところで、その総裁のもとでこの廃止の手続が着実に進み、そして新たな段階に進む、このことに全力を尽くしていく、このことがやはり責任、こういうことだと私は思っております。
大島(令)委員 石油公団廃止方向への道筋をつくってきた、そういうことが監督責任であるという印象で今の答弁を聞きました。
 私は、違う観点からもう一度監督責任というのを大臣にお尋ねしたいと思います。その組織とか機構はどのように変わるのか、職員の責任体制はどのようになるのか。
 少し回り道になりますけれども、ここに行政学の本がございますので、そこの一文を引用しまして今から少し読ませていただきますので、大臣に見解を求めたいと思います。この本の題名は「行政学教科書」、著者は村松岐夫さんです。
 日本の高級官僚の集団の管理において、最大の注意が払われているのは、激しい競争をさせるが、同時に「脱落者を出してはいけない」という人事管理戦略であると思う。
 具体的な事例をあげれば、たとえば、大蔵省が行う税務署派遣がある。これは、経験七年くらいの若者の派遣である。ここでは、失敗しないように補佐がついている。仕事への学習の機会を与えると同時に、失敗の危険回避が行われている。外国経験・省間委員会への参加なども大事に扱われていることを実感させる場面である。その他、挫折感をいだかせないメカニズムが各所で働いている。そして、最終的には、天下りが保障されるのである。
少し飛びまして、日本の官庁の大部屋主義について書いてあります。
  日本の官庁の大部屋主義は、日本の上下の協力関係をよく現している。
 アメリカでは、「個室主義」が組織形成の原理となっていると言う。そこでは個々の職務について権限と責任を明細に規定したマニュアルとか規則があって、誰にも分かるようになっている。だからある職務への新任者は、それを読んですぐに仕事を始めることができる。
  アメリカでは、さらに、仕事が分割されて個々の職位に明定されているから、その特定の職務を遂行するのに必要かつ適切な能力が不足していると考えられる場合には、その職務から解任し、その都度、役所外の人材を含めて他に有能な人材を公募して採用してもよいことになる。
また、
 トップダウンの命令系統と執務情報の集中があり、他方で、命令された任務の範囲で命令を受ける者に権限が委譲される。
受ける者に権限が委譲されるわけです。
 たとえばアメリカでは課長レベルに、人の採用に大きな影響を与える権限がある。
 採用に関する人事権が職長レベルにまで分権化していることがアメリカ
の特徴である。
  これに対して、わが国の自治体の職場風景は、課長以下(時に部長も)一般職員まで同室にいて、全員が協力して所属組織の仕事を行う。
 大部屋主義では、同室の全員が、一方で仕事の分担をするのであるが、他方でお互いに協力しカバーしあう関係にある。そのため、個々の職員の仕事実績を個別に評価しにくい面がある。このことが、日本の組織が比較的に画一的な昇進システムをとる理由になっているのかもしれない。
 同じことから課や係の仕事を何人の職員で行うのが最適であるか、判定しにくい。
 大部屋主義として物理的に表現される行政システムは、誰が何を行い、いかなる効果をあげたかを明らかにするような個人レベルの評価と責任を明らかにする点では不便である。現在、日本の行政をめぐる環境は、大きく変わりつつあり、個々の公務員の責任の所在を明らかにするような活動の分業とルール化が促されると考える。
とこの人は指摘しております。
 つまり、現在は個々の公務員の責任の所在がはっきりしない仕組みになっているわけです。ですから私は、器だけかえても中身が変わらないのであれば体質も変わらないということを、このくだりを読んで思いました。
 大臣は、特殊法人から独立行政法人に公団が移りますけれども、組織、機構、人事、職員体制の面につきまして、今のこの本、引用しましたくだりを読んでどのような感想をお持ちになったか、見解を聞かせてください。
古屋副大臣 今その著書、村松先生とおっしゃいましたか、大変私も関心を持って拝聴させていただきました。
 個室主義なのか大部屋主義なのか、それはいろいろな要因があると思いますけれども、突き詰めていけば、そこの仕事に対してどういう評価をして、そしてどういう結果責任をとるか、そこが私はポイントではないかというふうに思っております。
 今回、独立行政法人化をいたしますけれども、御承知のように、独立行政法人というのは評価委員会をつくります。この評価委員会も公正な人事を含めて対応していく。そして、ここに対してまず中期目標をつくる。その中期目標に対して正しく運営されているかどうか、それに対して業績の評価をすることとなります。
 もし、その業績の評価によって芳しくないという、中期目標に対して目的が達成されていないというような状況があった場合には、例えば理事長あるいはその経営陣が減給あるいは解任をされるという結果責任も含めた具体的なペナルティーを受けるということに相なるわけでございまして、そういった視点から、今村松先生が御指摘の趣旨というのは、今回の独立行政法人化によって十分そういった内容は含まれているのではないかというふうに考えております。
平沼国務大臣 今村松さんの御著書を、肝心なところを読んでいただきまして、その感想はどうだということでございます。私は、それは一つの考え方だと思っております。
 ただ、日本が今まで培ってきたシステムですとか、そういうものが全部悪いとは私は一概には言えないと思います。例えば、チームで工場内で品質を向上させるというようなことに関しては日本は非常に大きな実績を上げておりますし、アメリカの場合には、もうそれぞれが役割が決まってしまっていますから、そこから建設的なものがわき起こってこない。
 しかし、日本の場合には、やはりその現場の中でみんなが共通の問題意識を持ちながら、ともに例えば品質の向上なんというような形で努力をさせていく。ですから、そういったシステムが逆にアメリカからも評価されている面もあるわけであります。
 私はやはり、今度責任体制をとる、そういう形でぴちっとやっていくためには、今村松さんのそういう著書で述べられることは非常に必要なことだと思っておりますけれども、しかしそれだけが最高至上のものではない。やはり責任に関して徹底的に追及していく、そういう面は厳しさがなければならない、私はこういう感想を持たせていただきます。
大島(令)委員 副大臣に再質問です。
 評価委員会は、事が起きて表面化してからというか、業績が上がらないということが指摘されてから結果が出るまでにどのくらいの期間がかかるんでしょうか。
河野政府参考人 評価委員会は、中期計画に即しまして、中期目標の期間ごとに当然評価をいたしますが、それに加えて、毎年度業務目標の達成状況について評価をするというふうに承知しております。
大島(令)委員 きょうはお忙しい中を鎌田石油公団の総裁にお越しいただきましたので、そちらに質問を移させていただきます。
 総裁のお立場というのは、国と国会の審議、国の方針に従って業務を進めていく、言うならば実行部隊の部隊長であると総裁の部下に教えていただきました。これまでの審議で大臣や資源エネルギー庁長官に法案に対して質疑をしてまいりましたけれども、やはり最後に、当該の公団の総裁、しかも廃止時の最後の総裁になるであろう鎌田総裁にあえて私は感想なり御意見を忌憚のない形で答弁いただきたいと最初にお願いしたいと思います。
 まず、総裁、公団の経営責任者ですから、多大な損失を残していることに対してどのような責任をこれから果たされるおつもりなのか。前回田中慶秋委員も指摘されましたが、私からも改めて総裁からの説明を伺いたいと思っております。
 鎌田総裁にとりまして、石油公団が今回廃止されることになったところの最大の、私は反省点という言葉を使いますが、反省点は何であると考えていらっしゃいますでしょうか。
鎌田参考人 お答え申し上げます。
 まず、私がこれまでどういう形で責任を果たしてきたかということにつきましてお答え申し上げたいと思います。
 私、平成十年の六月に石油公団の総裁に就任いたしまして、以来これまで、先ほど大臣からも御説明がございましたけれども、石油公団再建検討委員会の報告書や石油公団開発事業委員会報告書において指摘をいただきました業務改善事項につきまして、これを真摯に受けとめまして、効果的・効率的な事業運営、情報公開の徹底、会計処理、会計基準の改善等に関する業務改善措置を、私自身、改革実施本部をつくりまして、その本部長ということで陣頭に立って講じてまいった次第でございます。この結果、両報告書の指摘事項につきましては、これまですべて実施済みとなっております。
 他方、私の在任中に石油公団の欠損金の額は、平成十年度決算以降毎年増加いたしまして、平成十二年度決算では四千二百十五億円となっております。これは、両報告書の指摘を踏まえまして、整理すべきものとされました出融資先の会社につきまして着実に整理を進めますとともに、その他の会社につきましても、キャッシュフロー分析等の結果に基づきまして、事業採算性が将来見込めないという場合につきましては速やかに整理する、あるいは予想される損失を投融資損失引当金という形で損失処理をする、こういうことの結果でございます。
 また、今後につきましても、これまでの業務改善措置は継続して取り組んでまいりたいと思いますが、さらに、サハリン、イラン等における石油開発プロジェクトの推進、現在動いておりますLPガス国家備蓄の推進等々、石油公団として果たすべき役割を着実に果たしていかなければならないというふうに考えております。
 先ほど大臣からお話がございましたが、石油公団の廃止と新法人の設立に向けまして、今後は膨大な準備作業が必要となってまいります。私ども、この一月に石油公団廃止準備本部というのを設置いたしまして、事実上廃止に向けまして準備作業を進めてきておるわけでございます。いずれにいたしましても、膨大な準備作業になると思いますけれども、これを決められたスケジュールに従いまして着実に実施していくということに今後取り組んでいきたいというふうに考えておる次第でございます。
 こういった課題を今後も一つ一つ着実に実施していくことが石油公団総裁としての私の責務であるというふうに考えておる次第でございまして、それにしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
大島(令)委員 ありがとうございます。
 私は、総裁が今廃止に向けて非常に御尽力されているということを伺いまして、少し今ほっとしているんですが、しかし、やはり少しだけ質問させていただきたいと思います。
 すごく単純な質問なんですが、組織の長として、今、石油公団の職員はおおよそ何名ぐらいいらっしゃって、御自分のところの組織図は、幾つ部とか課があるのか、大体把握していらっしゃるんでしょうか。
鎌田参考人 お答え申し上げます。
 定員は、これは予算でございますが、現在、平成十四年度定員、三百五十四人でございます。
 部、課の数でございますけれども、多分、部は十一でございます。(発言する者あり)申しわけございません、いいかげんなことを申し上げてはいかぬと思いましたので。おおよその数字は頭に入っているのでございますが、正確を期して。(大島(令)委員「おおよそでいいです」と呼ぶ)はい。部の数は十一でございます。
大島(令)委員 失礼しました。というか、私、自分が組織の長であるならば、自分が株式会社の社長であるならば、大事な自分の会社員がおよそ何人で、こういう部があって、その下に何課あって、その課はどういう仕事をしているかということがとても気になりながら、船長として、どういう方向に自分の会社を向けて、利潤を追求していくかということを常に念頭に置くと思っていたものですから、総裁にそういう御認識があるのかどうか、ちょっとお伺いしたんですね。
 インターネットのホームページですと、十二部一センター三十七課ということでございます。しかし、部の中に課がないところがあるんですね。計画第二部とか計画第三部、経済評価部ということで、課のあるところはきっと細かないろいろなお仕事をされていると思うんですが、この組織に関しましても私は少し疑問に思っているわけなんです。
 話をもとに戻しまして、また田中慶秋委員のことを引き出させていただきますが、総裁はそのときの御答弁でも、情報の徹底した開示と会計処理の透明性に心がけてきたとおっしゃいました。このことは非常に評価されることでありまして、私が、歴代の石油公団の総裁がかわるごとの会計の貸借対照表を資料請求いたしましても、鎌田総裁になる前は時価会計方式ですので、赤字なのか黒字なのかわからないんです。そして、鎌田総裁になられてから企業会計にされました。それによって、欠損金がどのくらい生じたかということで、先ほど御答弁のありました平成十三年三月三十一日、十二年度決算では四千二百十五億円という欠損金が出たということで、いわば私たち国民にとって、石油公団がこれだけの帳簿上の赤字があるということが初めて明らかになったわけです。
 そこで、総裁に伺います。
 ちまたでは、いろいろな評論家、いろいろな雑誌にいろいろなことが書いてありますが、本当のところ、時価会計から企業会計に決断した理由を教えてください。
鎌田参考人 私ども石油公団につきましては、私が公団に参りましてから、各方面からいろいろ御批判、御指摘を受けたわけでございます。そういった反省の上に立ちまして、先ほど申し上げました二つの委員会で、公団として取り組むべき課題を御提示いただいたわけでございます。そういった、御指摘いただきました改善措置の一環として、企業会計原則を、原則すべて、民間の企業原則に準じたものにするということに踏み切った次第でございます。
大島(令)委員 御自分で決断されたのですか。それとも、どんな国会での議論を踏まえて決断されたのか、その辺の背景を御説明ください。
鎌田参考人 各方面からこの問題については御議論がございましたけれども、結局、石油公団の仕事は、石油探鉱開発という大変リスクの高い仕事に国民の貴重な税金を使わせていただいているわけでございますので、それだけに、ほかの組織以上に情報開示を国民に対して徹底するという姿勢が必要だ、こういう議論が大変強うございました。私ども、そのとおりだというふうに考えまして、思い切った情報開示、これは、石油公団だけじゃなくて、投融資先の会社にもお願いいたしまして、投融資先の会社につきましても上場企業並みの情報開示をしていただいている、こういうことでございます。
大島(令)委員 いろいろなところで言われております。日中開発では税金が海の藻くずにですとか、開発リスクはほとんど公団持ち、元官僚の公団経営陣には国民の税金を預かっているという意識がない、もう惨たんたる、ひどい、公団に対する御批判のいろいろな雑誌が出ております。そういうところをひとつ申し上げておきたいと思います。
 石油公団は、いわば経営が立ち行かなくなって、それも廃止されるわけで、極端に言えば、指弾される側にあるわけです。
 総裁は、この公団の運営しているお金は国民の税金によってなされているという意識は現在お持ちですか。
鎌田参考人 お答え申し上げます。
 それは、私ども、大変貴重な国民の税金を使わせていただいて、石油探鉱開発の事業を支援させていただいている、こういう問題意識は十二分に持っているつもりでございます。
大島(令)委員 石油公団は、設立以来何十年という間、約三十数年でございますけれども、お役人ですとか、天下りした経営者によって運営されてきました。ビジネスマン的な発想で商売をしていけばそれなりに核になれたと、ある雑誌にも書いてありました。数年ごとに天下り社長が来て、借金しても失敗してもだれも責任をとらなくて済んだ、そういうことが事を深くし、こういう問題になってきてもおかしくはないというふうに指摘されております。
 こういう国会の内外からの御批判に対して、総裁は今どのようなお考えをお持ちでしょうか。
鎌田参考人 石油公団、御指摘のとおり、発足以来三十四年でございますが、自主開発原油の確保や産油国との協力関係の強化という点で一定の成果を上げたと思っております。
 ただ、累次申し上げておりますように、一方で、当公団の運営や財務面に関しましてさまざまな問題が指摘されていることも確かでございまして、私ども、これにつきましては真摯に改善に向けた努力を積み重ねてまいったところでございます。
 このたび石油公団が廃止されることになったわけでございますが、これまでの反省を踏まえ、今般の法案に基づき新たな体制に円滑に移行できますよう、私どもも最大限の努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
大島(令)委員 総裁にお伺いします。
 就任して翌年の平成十一年二月に、石油審議会開発部会のもとに設置されました石油公団開発事業委員会が、石油公団の業務改善に関する報告書をまとめたことは御承知だと思います。このことを受けて、政府と公団はそれぞれの指摘に対し対応を図ってきています。
 細かく二点、お伺いいたします。
 一点目は、プロジェクト採択審査の定量化を指摘されたのに対し、採択基準の定量化、経営諮問会議の設置等管理体制の充実を図られたようですが、この成果は具体的にどう得られたのか。
 二点目は、出融資先会社の整理方針の明確化に対する対応については、出資先の整理、保有株式売却による欠損金の処理を行ってきているとのことですが、どのような効果があったのか。この二点、お伺いさせていただきます。
鎌田参考人 お答え申し上げます。
 初めの審査体制の強化でございますが、欧米のメジャーでは先行して採択されておりました経済性や技術性、プロジェクトごとに違うわけでございますが、これを定量的に評価する、確率論でございますけれども、あるいはそういう失敗するリスクを含めての経済性の評価、こういった審査基準を導入しております。
 一方、先ほどお話ししました計画部でございますね、プロジェクトを推進し、採択する、これは地域別に分かれている部門でございますが、従来は、その部門でプロジェクトの採択と経済性の評価を一緒にやっておったわけでございますけれども、その経済性の評価をもっと中立的に行わせる必要があるということで、経済評価部というのを新たに設置いたしまして、ここで、今申し上げましたそういう採択部門、推進部門とは別の立場で、中立的に経済性の評価が行われるようにいたしております。
 それから、経営諮問会議でございますけれども、これは、各界の有識者に、七人ほどでございますけれどもお集まりいただきまして、一種、石油公団のいわば社外重役的な感じで、少なくとも三月に一回はお集まりいただきまして、石油公団のいろいろな方針につきまして御協議し、御意見をいただいておる次第でございます。
 こういったことで、プロジェクトの採択につきましては、より徹底した形で経済性を確認する、こういったことが現に行われていると思います。
 それから、投融資先で事業採算性が見込めないものについての整理でございますけれども、これは、個別のプロジェクトごとに、キャッシュフロー分析と言っておりますけれども、長期的な経済性の見通しを出しまして、これに基づきまして、長期的に事業採算性が見込めない、こういうものにつきましては、これは毎年キャッシュフロー分析を行うわけでございますが、そういうものが判明した時点で直ちに整理ないし損失の手当てをする、こういったことで進めてきております。
大島(令)委員 今、御答弁の中で、経済性の評価という言葉が私はとても印象に残りました。
 質問するに当たっていろいろ考えたんですが、今の鎌田総裁になっての一番の違いは、会計制度が変わったということだと思うんですね。企業会計というのは、企業の財政状態ですとか経営成績を取引記録に基づいて明らかにし、結果を報告する制度で、財務会計と管理会計がありますよね。それはもう御承知だと思います。
 その財務会計の方は、株主や債権者などの企業外部の利害関係者に分配可能利益に関する情報の提供ということで、ここで言う株主や債権者というのは国民であると私は思います。そういう外部の人たちに、国民であるその利害関係者に分配可能利益を開示するということで、今回三十数年ぶりに累積の欠損金が明らかになったということで、私は一つは成果はあったのかなと思います。
 もう一点、今度は、総裁として管理会計にやはり目を向ける必要があると思うんです。そこでは、石油公団内部の経営管理者に意思決定や業績評価などに必要な情報提供をすることを目的とした会計でございます。予算書の中からいろいろなものが、数字の中からいろいろなことが読み取れる、そこから、いろいろな政策、これはだめだとか、これはいいことだとか、数字の中から読み取れることもあると思うわけなんです。
 そういう中で、総裁にお伺いしますけれども、会計制度が御自分がなったときに変えられたのと、それ以前に総裁をやられた方と懇談などをして、どういう点がやりやすいとか責任を感じるとか、何か御感想をお持ちでしょうか。
鎌田参考人 石油公団の企業会計原則につきましては、監査法人にお願いしまして監査証明が発行されます任意監査というのを受けておりまして、これに基づきまして、私ども、財務の状況を最終的に確認しているわけでございますけれども、監査法人からは、企業会計原則に照らしても財務処理は適切である、そういう監査証明をいただいておる次第でございます。
 もちろん、こういった財務諸表につきまして、私ども、いろいろな形で常時勉強して、一層の事業の改善に向けて、将来の改善のための種にする、こういう努力を払っているつもりでございます。
大島(令)委員 会計は会計のためにやるのではなくて、お金の出し入れが一円合っているということではなくて、その業績を評価することによって、これは国の税金ですから、政策目標がこの財源によって確実に国民のために使われているか、政策目的が実現されるかというためにも必要であると思いまして、私は、会計と石油公団というエネルギー政策が分離して存在しないと思っているわけでございまして、そういう観点から質問をさせていただいたわけなんです。
 時間もございませんので、最後に総裁にお伺いいたします。
 任期内に今後どのような任務を具体的に果たされる御予定なのか、また、国民の税金で運営されてきた膨大な損失は鎌田総裁一人の責任ではないと思いますけれども、国民が最大の債権者であるというお考えはお持ちなのかどうか。この二点お伺いしたいと思います。
鎌田参考人 私の今後の任務でございますが、先ほど申し上げましたように、石油開発の分野、備蓄の分野、それぞれ課題をいろいろ抱えております。その一つ一つを、今後私としては着実に推進してまいりたいというふうに考えております。また、これも先ほど申し上げましたけれども、石油公団の廃止と新しい法律の設立に向けまして膨大な準備作業が待ち受けております。これを的確に処置いたしまして、円滑に、スケジュールどおり新しい体制に移行していくということも私どもの仕事じゃないかというふうに思っておる次第でございます。
 いずれにいたしましても、先ほど来申し上げておりますように、私どもの仕事が国民の大変貴重な税金をもとにして行われていることについては十二分に認識いたしておりまして、そういった問題意識を十分念頭に置きまして今後とも事務の遂行に当たっていきたいというふうに考えている次第でございます。
大島(令)委員 最後に、きょうここで御答弁いただいたお話が、この委員会の場のことではなく、実際の職務の中で果たしていただきたいという期待を私は持っております。
 今回の審議を通じまして私が抱いた感想は、四千五百億円という石油税が、一般会計を通じて、永遠にといいましょうか、石特会計に入り、守られている間は、エネルギー政策をどれだけ論じようと、役所としては、石油をめぐるビジネス、たくさんの開発会社、いろいろなことが数十時間の審議を通していろいろな委員から指摘されましたけれども、利権が隠されている、ビジネスの中に発生してきている、要は、担う人の問題であると私は思っております。
 最後に、大臣に、やはりこれだけ国民から指摘を受けた行政改革、これは、何も組織や機構を変えるのではなく、要は、担う人の問題であると私は思っております。先般、首都機能移転の問題でも申し上げましたけれども、国会の機能をどこかに移転したからそれで日本に活力ができるというのではなく、そこで働く人たちの基本的な意識とか認識が変わらない限り、この役所の体制、人事が何かの形で変わらない限り、私はこういう問題は永遠に続くと思います。それが今回の法案を通しての私の感想でございます。
 以上を申し上げて、質問を終わります。
谷畑委員長 河上覃雄君。
河上委員 長時間にわたります御審議、大変御苦労さまでございます。私と、あと保守党の西川先生の三十分ずつでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 まず最初に、エネルギー施策の方向性につきまして、石油公団廃止の議論の前に、政府のエネルギー政策全体についての認識と、そして政策のあり方についてお尋ねをいたしたいと思っております。
 まず一つ目でございますが、世界のエネルギー需要というものは、今後、アジアを中心とする発展途上地域の需要の伸びによりまして、二〇二〇年には九七年比で五七%も伸びる見通しもございます。このうち、半分近くはアジア地域に集中するということです。
 特に、このアジアの動向は我が国へも大きな影響を与えることとなりますが、こうした国際的なエネルギー需給を含む情勢についての現状認識、そして将来の見通しについて、概括的にお尋ねを申し上げたいと思います。
河野政府参考人 御承知のように、世界的に人口が増加し、経済水準が向上してきた歴史がございます。世界の一次エネルギー消費について申し上げますと、既に、一九七一年から九九年までの間に約八〇%の増加を見たのでございます。さらに、今先生御指摘になりましたように、これはIEAの見通しによるものでございますけれども、将来的にも、やはりアジアを中心とするいわゆる発展途上地域のエネルギー需要の急速な伸びが見込まれますので、二〇二〇年には九七年比で五七%の増加ということが見込まれております。
 一方、エネルギーの供給でございますけれども、大きな構造といたしまして、石油で約四割、天然ガス、石炭でそれぞれ四分の一ずつぐらいという、化石燃料が大宗を占めるという状況で来ております。長期的に将来を見渡しますと、天然ガスのシェアが何がしか増大するということは見込まれるわけでございますけれども、石油が引き続きエネルギー供給の中心を占める基本的な構造、この四割を占めるという基本的な構造は、IEAなどによりましても、やはり大きな変化がないという見通しになっていると承知しております。
 こうしたエネルギーの国際的な需給の展望を踏まえますと、中長期的には世界各地域の石油の輸入依存度はさらに高まることになります。特に、アジア地域の輸入依存度について申し上げますと、二〇二〇年時点では八割を超えるというふうに予想されております。
 そして、エネルギー供給の中心を占めます石油は、他のエネルギーに比べますとやはり可採年数が少ない、また、賦存が中東地域に集中をしているということがございまして、中長期的にはアジアを中心に中東の石油供給比率がさらに高まるということが見込まれます。
 こうした将来見通しを踏まえますと、世界的に増加いたしますエネルギー需要を、いかなるエネルギーで、またどのような地域から安定的に確保するか、このことが今後の世界の、特に我が国を含めましたアジアにとって大きな課題になるというふうに認識をいたしております。
河上委員 そこで、今度は我が国のエネルギー供給構造でございますが、他の先進国と比べて、石油の中東依存度、エネルギーの石油依存度というものが非常に高うございます。その意味では、供給構造というのは脆弱と言わざるを得ないわけであります。こうした中で、エネルギーの安定供給確保は非常に重要な課題でございますが、他方、環境の保全あるいは自由化といった要請も強くあります。
 このような中で、政府として、今後のエネルギー政策というものをどう進めていくのか、大臣に御見解をお尋ねしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 エネルギーをめぐりまして、我が国は、不安定要因を抱える国際エネルギー情勢、地球的規模での環境制約の高まり、経済活動におけるグローバルな競争の一層の進展、こういった諸環境に今直面をしていることは事実であります。
 こうした状況下におきまして、政府といたしましては、先般成立をしましたエネルギー政策基本法において明らかにされた、一つは安定供給の確保、二つ目は環境への適合、三つ目は市場原理の活用という基本方針にのっとりまして、エネルギーの需給に関する施策の策定、実施をすることにいたしております。
 具体的に申し上げますと、まず、石油備蓄、自主開発の推進等によりまして、一次エネルギー供給の約五割を占める石油供給の安定化を図る。さらにもう一つ、省エネルギー対策の推進によってエネルギー需要の伸びを抑制するとともに、天然ガス、原子力、新エネルギーなど二酸化炭素の排出量の少ないエネルギー源を中心として、石油にかわる多様なエネルギーの開発導入を推進することによりまして、環境調和型のエネルギー需給構造を構築することが重要である、こういうふうに思っております。
 また、御指摘の、安定供給あるいは環境保全を十分考慮しつつ各分野の自由化を進めまして、各種エネルギー間の競争を促進し、効率的なエネルギー供給を図っていくことが必要である、このように考えております。
 経済産業省といたしましては、エネルギーが国民生活や経済社会活動の基盤をなすことを踏まえまして、以上の取り組みを通じてエネルギー政策に遺漏なきを期してまいりたい、このように思っております。
河上委員 今回の石油公団改革の位置づけにつきまして、特にエネルギー政策、石油政策との関係の観点から、何点か御質問したいと思います。
 まず一つは、石油公団の開発支援政策についての総括でございますが、石油公団の開発事業への出融資の累計額は二兆一千億円、損失額の累計は八千七百五十億円に上っております。当然、事業がうまくいき、配当などによりまして回収されたものもございますが、公団の財務は、政府が出資した一兆二千億円に対しまして四千二百億円が欠損金になっている、これは厳粛な事実でございます。
 そこで、欧米のメジャーはビジネスとしてうまく機能している、なぜ石油公団では損失が膨らんだのか、そしてナショナルプロジェクトはどのように影響したのか、またメジャーと公団の違いについてどのようなことがあったのかについてお答えいただきたいと思います。
河野政府参考人 いわゆる欧米のメジャーとの比較において、石油公団の出融資先の開発企業、これはやはり石油開発への参入時期が遅かった、そして産油国との歴史的なつながりが薄かった、さらには投資規模が小さかった、こういったことがございまして、開発分野で国際競争力を有するメジャーのような企業が育つには至っていない、このことは事実でございます。
 また、投融資事業を通じまして、先生が先ほど御紹介になりましたような金額の損失が発生していることも厳粛な事実でございます。
 その点について、私どもの反省点を申し述べさせていただきますと、これまでの石油公団の運営や財務面について、やはり石油危機などを背景に自主開発原油の量的確保に重点を置く、その結果として資金の効率的運用に関しては十分でない面があったというふうにも思っております。
 さらに、出資あるいは減免つき融資を合計いたしますと、民間で三割、石油公団の支援で七割ということが可能でありましたので、主体であるべき民間事業者の経営責任の所在があいまいになるという面があったのではないかと反省いたします。
 また、石油公団支援対象企業の中には、原油価格の下落、そして急激的な円高、さらには産油国の政策の変更などの環境の悪化などもございまして、当初見込まれた収入が大幅に減少した企業もあったことも事実でございまして、こういったこともあり、不良債権が増大したものと認識しております。
 また、ナショナルプロジェクトについて御指摘がございました。
 先ほど先生がおっしゃいました損失累計の約八千七百五十億円の中で、ナショナルプロジェクト関係のものが三千億円を上回る規模になっております。
 多数の小口出資者の参加によりまして推進されたいわゆるナショナルプロジェクトについても、事業の健全性の維持ということについての責任が不明確になりがちな傾向があったことに加えまして、やはり事業環境が悪化したというようなこともありまして、事業の健全性が損なわれ、不良債権化したという経緯がございます。
 なお、メジャーと公団の違いでございますが、公団出融資企業とメジャーの歴史などの違いは先ほど申し述べさせていただきましたが、メジャーは、みずから油田で操業を行う企業体でございます。公団は、民間の開発企業を支援する機関である。
 そういった性格的な違いはあるわけでございますが、公団がこれまで出資してまいりました開発企業のいわゆる可採埋蔵量は、全体で約五十五億バレルに上ります。このうち、公団の持ち分としては約三十億バレルになるわけでございますけれども、これは、先ほど申し上げたような組織としての性格の違いはありますので単純な比較には難しい面もございますけれども、埋蔵量から見た公団資産の規模は、メジャーの次ぐらいに位置する有力石油開発企業に比肩するレベルというふうに申し上げられるのではないかと思っております。
河上委員 他方、石油公団の機能が開発に対するリスクマネーの供給であるとすれば、その資金の性格上ある程度損失を見込むのはやむを得ない面もあると考えます。公団の欠損は、主として探鉱プロジェクトの失敗から出ておりますが、こうした経験を踏まえ、これまでどのような改善努力をしてきたのか、その点が非常に大切だと思います。
 特に、損失を最小化するための努力、例えば撤退判断を適時行うこと、また案件採択の際の技術的な評価の厳格化、データとしての経験の蓄積などや情報開示を行うことによって国民の理解を得る努力というものが非常に大切だと考えますが、どうでしょうか。
大島副大臣 河上先生にお答えを申し上げます。
 石油公団の出融資によります我が国の自主開発原油輸入量、これは日量五十八万バレルまで増加をいたしてきております。このような自主開発原油は、緊急時における安定的な供給源としての一定の役割は確かに果たしてきたものと認識をいたしております。
 ただし、これまでの石油公団の運営とか財政面に目を向けてまいりますと、石油危機などを背景といたしました自主開発原油の量的確保に余りにも重点を置く余り、資金の効率的運用に関しては十分ではない面もあったのは事実であると思っております。
 また、石油公団による探鉱投融資制度は、極めて巨額の財政資金を供給する制度であるにもかかわらず、情報公開が必ずしも十分ではなかった面があった。このことも我々は反省をいたしております。
 さらに、出資及び減免つき融資を合計して、原則として七割まで財政資金による支援が可能であったことから、民間事業者の経営責任の所在があいまいになるという面もあったかもしれません。
 こうした提起を受けまして、石油公団再建検討委員会及び石油公団開発事業委員会におきまして、石油公団の業務運営について徹底的な見直しを行いまして、そこで指摘された事項のほとんどすべてについて着実に改革を進めているところでございます。
 具体的に申し上げますと、まず、プロジェクトの採択の審査につきましては、メジャーが採用している手法であります定量的評価を導入いたしまして、技術面の評価についても厳格化いたしました。
 また、石油公団では、事業の見きわめが可能なすべての出融資先会社について、毎年キャッシュフロー分析による見直しを行い、採算性が見込めないものにつきましては、生産中の会社であっても速やかに事業を終結し、会社を整理いたしているところでございます。
 さらに、情報公開の徹底につきましては、石油公団決算に対する公認会計士による任意監査を導入いたしまして、石油公団及び出融資先会社における上場企業並みの情報開示及び連結決算を実施しているところでございます。
 引き続きまして、このような改善努力に努めてまいりたいと思っております。
河上委員 ただいま、損失を最小限化する努力の取り組みについてお尋ねをいたしたわけでございますが、失敗は成功のもととか失敗は成功の母とかいろいろな言い方がございますが、いつまでも失敗を繰り返すことは許されないことでございまして、むしろ私は、失敗の教訓から成功を導く、こうした観点に立って今後取り組まれることが重要であると思っております。
 そこで、一点、確認をさせていただきたいわけですが、こうした取り組みが、今後新たな体制で独立行政法人に引き継がれることになりますが、どうぞこの取り組みそのものがそれに引き継がれ、反映されるようにしていくべく、確認をここでさせていただきたいと思います。
大島副大臣 お答えを申し上げます。
 独立行政法人の業務につきましては、主務大臣が定めた中期目標による目標管理と独立行政法人評価委員会による業績評価を実施、また、中期目標期間終了後に組織、業務の見直し等を行うとともに、法人経営に関する幅広い内容の公表、企業会計原則の導入を図ることといたしております。
 石油天然ガス・金属鉱物資源機構におきましては、これまで石油公団再建検討委員会及び石油公団開発事業委員会の指摘事項等を踏まえ、石油公団が取り組んできましたプロジェクト採択の際の基準の明確化や審査の厳格化あるいは内部管理体制の充実、財務会計処理の改善、情報開示の向上等につき、独立行政法人制度にのっとり、引き続き取り組んでまいる所存でございます。
河上委員 続きまして、自主開発に係る国の関与の必要性についてお尋ねをいたしたいと思います。
 私は、実は見たことないのですが、五年前ぐらいの某石油会社のコマーシャルに、日本が毎日使うエネルギーに日本の会社が責任を持てなくてどうする、こういうコマーシャルがあったそうでございます、大臣、ごらんになったかどうかわかりませんが。今議論をしているこの自主開発の取り組みあるいは外資系石油会社への抵抗なのか、いろいろな考え方ができると思いますけれども、いずれにしてもこういうコマーシャルがあった。
 この石油開発に関しては、いろいろな考えがこの委員会でも出てまいりましたし、市場で買えばいいじゃないか、自主開発は不要であるという立場もあるかもしれませんし、反対に、すべて自主開発をしっかりと推進して賄えという考え方があるかもしれない。
 政府の目標としては、オイルショックの経験を経て、これらも踏まえて三〇%目標、こういうものもございました。あの当時は大変な、第一次、第二次オイルショックがございました。最近では、私は、これとは全く離れまして、少子高齢化社会に対して老いるショックなんという言葉も使っているわけでございますけれども、いずれにしても大変な時期がございましたが、まあ五分五分でもいいんじゃないかとか、いろいろな考え方がこれはできると思います。その意味では、オール・オア・ナッシングではなくて、どの程度まで自主開発に力を入れるべきかという全体戦略をしっかりと踏まえながら政策を考えることがやはり必要ではないのか。
 そうした観点から、自主開発の意義、必要性についてどのような認識をお持ちなのか。また、メジャーズとの力の差を埋めまして、国際競争の中で自主開発石油・天然ガスを確保するためには、政府・経済産業省みずから前面に出まして資源外交を展開していくことも必要と考えます。経産省としては、資源外交にどのような姿勢で取り組むお覚悟か、お聞かせいただきたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 御指摘のとおり、石油市場が発達した昨今、石油はいつでも市場から購入できる、そういう御意見もあるわけであります。他方、石油価格というのは世界経済の動向に大きな影響を与えること、石油埋蔵量が中東に偏在していること、それからOPECの価格影響力、また産油国の政治的動機による禁輸など、石油は依然として一般の商品とは異なりまして戦略商品としての側面があることは否定できません。
 このような観点から、石油等の安定供給の確保を図るため、昭和四十二年以降自主開発原油の確保に努めてきた結果、公団設立時、これは一九六七年でございますけれども、よく例示として出させていただいている数字ですが、日量約二十七万バレルであった自主開発原油輸入量は五十八万バレル、しかし、三〇%の目標に対してまだ一三%でありますけれども、増加をしてきておることは事実でございまして、自主開発原油というのは緊急時における安定的な供給源として一定の役割を果たしてきた、このように思っております。
 ただし、これまで、数々御指摘がありましたとおり、やはり運営面あるいは資金管理面でまだまだ十分でない面があった、こういうことは我々としてはしっかりと、まあ、失敗は成功の母、こういうことをおっしゃいましたけれども、こういう失敗を一つの成功例に導く、こういう姿勢で今後臨んでいかなければならないと思っております。
 資源外交を通じた産油国との関係強化というのは、自主開発権益取得を初めとする石油安定供給確保の観点から、非常に重要な課題であると認識しております。そういう意味で、私もこのような認識の上に立ちまして、私自身、昨年夏に中東産油国を歴訪させていただきまして、当省といたしまして、ハイレベルでの交流等を通じて産油国との協力関係強化に鋭意努めてきているところでございます。
 具体的には、現在、中東産油国との間で、石油分野における技術協力あるいは研修や専門家派遣等の人的交流、投資ミッションの派遣や事業可能性調査支援等の投資促進施策を実施しているところでございまして、引き続き資源外交としての産油国との協力関係の強化に取り組んでいかなければならないと思っております。
 また、もう一つ、本年九月に大阪におきまして、七十カ国、そして十三国際機関のエネルギーの担当閣僚、事務局長が大阪に一堂に会しまして、産消対話、国際エネルギーフォーラムを開催いたします。こういう会議も非常に外交上必要なことでございますし、エネルギー政策上大変重要な意味を持つと思いますので、全力を挙げてこうしたことを展開していきたい、このように思っております。
河上委員 時間も五分になってしまいましたので、通告したところからちょっと先に進ませていただきます。
 今回の法案では特殊会社法の提出が見送られました。公団の資産を承継して設立される特殊会社は、早期民営化が前提となっております。早期民営化を図り、また、中核的企業グループをつくるという政策目標に寄与する形で自立しようとするのであれば、公団の資産の整理処分の段階におきまして、資産を単にばら売りするのではなくて、特殊会社が資本の論理等に基づきまして株主に対する価値を高めていけるような形で資産を承継すべきだ、私はこう考えますが、この点、いかがでございましょうか。
平沼国務大臣 石油公団の開発関連資産は、我が国のエネルギー安全保障の観点から自主開発原油を確保すべく、過去三十年余りにわたって石油開発プロジェクトに資金供給をしてきた結果得られたものでありまして、我が国の国民経済上重要な財産だと思っております。
 このような開発関連資産の整理売却につきましては、経済産業大臣は、その事業計画を認可するに当たって、総合資源エネルギー調査会の意見を聞くとともに、昨年末に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画の着実な実施を担保する観点から、特殊法人等改革推進本部長たる内閣総理大臣に協議することにいたしております。
 このような業務に当たっては、今御指摘もございました関係者のコンセンサスを得つつ、公明正大に行っていかなければならない、このように思っています。
河上委員 もう一問質問しようと思いますが、多分時間を超えてしまいますので、早いですけれども、これで終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 私は、大臣、副大臣、資源エネルギー庁長官に、原油価格情勢と資源外交、アジアの石油需要増大と日本のエネルギーセキュリティー、和製メジャーの必要性、国家備蓄体制の改革と有事の際の対応、そしてエネルギー特定財源の一般財源化、この五つについてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 私は、今回の質疑で石油公団ばかり取り上げられて、金属鉱業事業団、そっちはだれも聞かないので、取り上げなきゃ悪いと思っていますけれども、きょうは通告していないので。いや、結構レアメタルとか大事なんですよ、こっちも。すごく大事なんです。しかし、それは、いずれまた機会があったらと思っております。
 そこで、大臣に率直に伺うんですが、もうここまで来ると、与党も野党も同じような質問ばかり出てきてと言うと失礼ですけれども、皆さん非常によく勉強しておられて、私がこれはいい質問だと思ったのもみんな先にやられちゃって、困っております。ダブる部分はできるだけ割愛していただいて結構ですので。
 まず一番目でありますが、原油価格は、昨年の九月のアメリカの例の同時多発テロで三十七ドルに一気に高騰したわけであります。しかし、十一月には十七ドルまで価格が、これはWTI価格ですけれども下落して、本年二月以降また上昇してきた。テロ事件前の水準に戻っているわけですけれども、原油価格の動向というのは世界経済に大変重大な影響を与える、これは言うまでもありません。
 そこで、中東情勢は引き続き不安定な状況が続いているということも加味して、原油価格の安定というのは我が国の生命線を制すると言っても言い過ぎでないわけでありまして、コンソーシアムが必要だということは前回お尋ねをしたわけでありますが、先ほど来大臣がおっしゃっておられます、先般のG8エネルギー大臣会合、また、本年九月の、我が国が主催国になって、アラブ首長国連邦とイタリアが共催国になって、大臣は議長を第四部会でお務めになる。六十九とさらに十幾つの団体が加わって、大変重要な第八回国際エネルギーフォーラムが開催される、先ほどの御答弁の中で二度ほど伺いました。
 そこで、もう言うまでもないことでありますけれども、大事なことですから、私としてはここでぜひもう一度押さえておきたいと思うんです。
 エネルギー外交、このエネルギー外交という言葉、大臣は非常に努力をされております。私も、大臣政務官のときに、大臣から、西川君、これが中東の石油を含んでいる岩盤のサンプルだと、こういうおせんべいみたいなものをちょうだいしました。お金のかからないお土産でいいな、こう思ったわけでありますが、エネルギー外交について大臣の御見解を承りたいと思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 確かに、御指摘のとおり、石油というのは一般の商品と違いまして戦略的な商品だと私は思っております。したがいまして、御指摘のように、昨年の同時多発テロ、このときには急騰をいたしましたし、また一気に下がる、こういう、世界情勢によって非常に変動の幅が大きい。そして、我が国のような経済大国というのは、石油がまさに経済の原動力になっておりますので、非常に大きな影響を受けます。
 そういう観点から、この戦略的な商品に対しては、やはり外交というものを基軸に、産油国、そしてまた消費国同士の連携を深めて密接な連携のもとにやっていかないと、国家百年の計を誤ることに相なる。
 そういう意味で、私は、中東も訪問をさせていただき、そして、ただ石油資源のことだけではなくて、やはり外交上幅広いきずなを構築すべきだ、こういう形で、投資あるいは人材の派遣あるいは中小企業の育成等々、そういったいろいろな選択肢の中で、やれることは積極的に我々は外交努力の中でやっていこう、外務省との連携の中でそういうことも構築させていただいています。
 また、九月には、今御指摘のエネルギーフォーラムが大阪で開催されますけれども、このときは、産油国としてのいろいろな立場、また消費国としてのお互いの立場、そして、お互いが利害で結びつけられておりますので、それぞれ言うべきことは主張しながら、その中で、世界の安定、世界の経済の発展のために協力をし合っていくことはし合っていく、こういったことも外交上非常に大切なことでございますので、私は、そういった貴重なエネルギー資源を安定的に我が国が得るために、外交を基軸として、そして今申し上げたようなことを基本戦略として努力をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
西川(太)委員 ありがとうございます。私、なぜこれをしつこく何度もお尋ねするかといえば、先ほど古屋副大臣の御答弁にもありましたが、エネルギー基本法の六条だったか八条でしたかでございますが、国家が国民に対する責任をエネルギーについて持たなければいけない、こういうことであります。
 アメリカやヨーロッパ諸国は伝統的に中東産油国と太いパイプを持っている。アクセスをしっかり確保している。それから、これは憲法上の規制もあって、軍事協力というカードを切れないんです、日本は。だから、日本は結局経済力ということでやっていくわけでありますが、いろいろな問題もあって、残念ながら、今日本は元気がないので、こういうカードも切れない。
 そういう中で、この大阪で行われる会議というのは非常に重要だと思います。どうぞ省を挙げて大臣をバックアップして、ぜひ第四部会における議長を見事にやっていただいて、全体をしっかりまとめていただきたい、これはお願いをしたいと思っております。
 次にお尋ねするのですが、実はもう端的に、中国でモータリゼーションが今以上に普及した場合、ただでさえアジアのエネルギー圧力というのは世界に今物すごいプレッシャーをかけているわけですね。倍々ゲームで来ているわけです。
 例えば中国は、専門家に伺いますと、精製に使うトッパーという機械に簡単にかけて、そして得油率を、油を得る率を三割、これはもう自然に上げられるように、いわゆる軽い油を世界じゅうに求めて中国は輸入している。日本の場合には、中東から重い油を買ってきても、さらにその重油にしたものから再精製ができて、三割に上げている。そういう精製技術の違いが中国と日本ではあると承知をしております。
 この中国が、こういう十三億の民が、モータリゼーションが今以上に普及してきた場合、これが早く燃料電池であるとかいろいろなものに取ってかわられればいいけれども、当面はやはり石油需要というものは大圧力が中国からかかってくる。
 このときに日本のエネルギーのセキュリティーというのは、私は、先ほど達増議員から油断という懐かしい言葉を聞かせていただきましたが、まさに同じ視点でお尋ねをするわけでありますけれども、これは非常に国民に対して責任を持たなきゃいけない、先ほどの古屋副大臣の御答弁のとおりでありまして。私からもこの点について、副大臣に決意というか方針を承りたいと思います。
古屋副大臣 委員御指摘のように、今、中国が大変近代化を進めておりまして、石油の需要が大幅にふえるということが予測をされているわけでありまして、ほかにインド等々も大国でございますので、そういった影響は極めて大きいのではないか。特に、IEAの予測によりますと、二〇二〇年には一九九七年レベルの九六%増でございまして、世界の石油需要の増分のうち四六%がアジアにおける増分というふうに実は見込まれております。その背景は、今私が申し上げましたとおりでございます。
 そういうふうになりますと、アジア全体におけるエネルギーの需給というものが逼迫をします。これは我が国だけの問題ではないというふうに認識をいたしております。アジア全体にとって極めて、そしてもちろん我が国にとっても、エネルギーの安全保障上からも問題であると思っておりまして、そういった視点から、アジア全体でのエネルギー安全保障の確保をしていくことが重要だと思っております。
 そして、私どもといたしましては、御承知のように、APECにエネルギー大臣会合がございます、それからもう一つは、事務局レベルでエネルギーワーキンググループがございますので、この組織を積極的に私どもも活用いたしまして、このエネルギー安全保障、特にアジア全体でのエネルギー安全保障に、我々としても、このAPECの場、いわゆる大臣会合あるいはEWGの場を通じまして積極的に関与していきたいというふうに考えております。
 ちなみに、本年は七月の二十二、二十三とメキシコでエネルギー大臣会合が開会をされますので、お許しをいただければ、私どもとしてもぜひここに参画をして、我々としてのプレゼンスを提供していきたいというふうに思っております。
西川(太)委員 ぜひ頑張っていただきたい、そう思います。
 今、副大臣から具体的な数字をお示しいただいたのですね。まさにそのとおりであります。二十九年前の第一次石油ショック以降、世界全体のエネルギー需要の伸びは年率二%弱に低下したのに、アジアだけが四%半ばまで伸びている、こういう事実。そして、第一次石油危機当時には七分の一程度であった世界のエネルギー需要に占めるアジアの割合が、今は四分の一、二五%、ここまで伸びている。こういうことをぜひ私たちは考えていかなきゃいけない。
 二〇二〇年は、今副大臣がおっしゃるとおり、私流の言い方ですれば、世界のエネルギー需要の三分の一程度をアジアが占める、こういうことになるわけでありますから、ただいまの御答弁のように、あらゆる手段を使ってプレゼンスをぜひひとつ示していただきたいとお願いをしたいと思っております。
 そこで、きのう読売新聞の新井参考人が、今がある意味では和製メジャーをつくり上げる最後のチャンスであると。日本のいわゆる和製メジャーは、というか、今まで日本の石油会社は、精製とか販売とか、いわゆる川下には強かったけれども、また大きな利益を上げているけれども、探査から始まって、この前もちょっと申し上げました、五、六年から十年かかる、物にするまでのいろいろな努力、これは石油公団が本当に努力をしてきたんですけれども、時に利あらずということで撤退をするということもありましたでしょう。
 いろいろなことがあったわけでありますが、そういう中で、いわゆる開発分野については日本は弱い、努力不足である、こういうような御指摘があったと私は承知をしているわけであります。
 実は、中国ばかり引き合いに出して恐縮でありますが、江沢民さんが先頭に立って中東産油国を訪問して、エネルギー資源の確保に取り組んでいるということを聞いているわけでありますけれども、こういうますます熾烈になる国際競争の中で、エネルギーの確保というもののためにも、大臣がおっしゃるところの和製メジャー、これをつくっていく必要がある、こう思います。
 これについても、実は、同僚、先輩各位からお尋ねがもう既にあったところでありますが、もう一度、私は最後の質問者でありますので、基本的な御認識を伺いたいと思います。
平沼国務大臣 平成十二年の八月の石油審議会の中間報告におきまして、自律的に石油開発事業の維持拡大を行うことのできる中核的企業グループの形成の必要性が示されたところでございまして、経済産業省といたしましては、引き続き石油の安定供給確保の観点から重要な政策課題である、このように認識をしているところでございます。
 和製メジャー、こういう言葉につきましては、人によっていろいろな意味で使われていると思いますけれども、私自身は、石油・天然ガス開発事業の維持拡大を行うことができ、世界の石油ビジネスにおいて、メジャー等に伍して、そして一定のプレゼンスを示せるような日本企業、こういう意味でこれを育てていかなければいけない、こういう意味で和製メジャーという表現を用いさせていただきました。この意味で、私が申し上げた和製メジャーと中核的企業グループとは基本的には同じ考え方でございます。
 先生御指摘のように、確かに日本は戦いに敗れました。そして、国の経済を立て直して、そして先進国に追いつこう、こういう中で、本当にこの上流の部分については当時は戦争に負けたという立場でありました。また、資本もなかった。そういう中で、当時のメジャーに頼って、川下の方を整備して、そしてこれだけの経済大国をつくり上げてきた、こういう私は一つの歴史背景があると思っています。
 しかし、これからのエネルギー政策を考えていくに当たりまして、やはり中核的な企業グループを育てながら、きのう参考人で来ていただきました新井さんからもそんな御指摘があったということは聞いておりますけれども、そういう形で中核的な企業グループが形成され、そして川上から川下まで一貫をしてエネルギーの安定供給ができるような体制をとるために、各般の皆様方の御意見を聞きながら私どもはやっていかなければならない、このように思っています。
西川(太)委員 第一次石油ショックのことを思い起こしますと、あのころは大変だったんですよ。民主党の羽田特別代表が今半そでのお洋服を着ておられますけれども、実はあれは羽田さんより先に、通産大臣をやった江崎真澄先生とか、私のお師匠様の石田博英さんとか、みんな英國屋へ行ってつくったんですよね、そこがちょっとあれですけれども、半そで。大平正芳先生もそうですよね。
 それはなぜかというと、私、当時秘書でして、暑がりですからよく覚えているんですけれども、国会の空調が二十八度に全部戻される。それから、私のお師匠様なんか、西川君、ふろへ入っちゃいけないよ、ふろへ入ると家族何人でこれだけのエネルギーを使う、十分心行くまでシャワーを使ってもふろの五分の一だなんて言われたり、やかんはガスを全開にして使っちゃいけない、むだなことであって、三分の一でも十分にお湯は同じ程度の時間に沸くなんて言ってみんなでやったんですね、あのころ。
 それをみんな忘れちゃって、今日、備蓄は百六十日もあるわけですよ。昔は、備蓄が少ない少ないと言って、中曽根元総理の通産大臣当時から、このことに、いわゆる安全保障政策とも絡め、いろいろな議論が起こったことは大臣御記憶のとおりだと存じます。副大臣初め皆さんも御記憶だと存じます。
 そこで、私は四つ目の質問として、百六十日になっております備蓄、今度は八社、十カ所ですか、これがすべて純粋な民営になるわけですね。今でも、タンクであったり、船の形をしているものであったり、または地下に設けているものとかいろいろな形のものがあります。これは、民間の企業が石油公団から委託を受けてやっているような部分もあります。
 話が唐突ですが、実は防衛庁が、訓練用の油にも事欠くというか、これをめぐって、入札が随契に近かったり、いろいろな形であるので、いっそのこと、防衛庁の基地の周りに備蓄庫を設けて管理をし、守る、かわりに訓練の油は潤沢に供給できるようにしたらどうだなんということを私は提案したんですが、うまくいかなかったわけでありますけれども。
 話を戻して、これを民間が全部やる、こういうことでありますが、特に私が心配しているのは、今の国家備蓄の体制から純民間の体制に移っていくそのプロセスにおいて、こういう御時世ですから、そんなことはあっちゃいけないと思うけれども、何かあったらどうするんだと。たったその期間であっても、これは非常に重要なことであって、このことについて、果たして有事の際に緊急の放出とかこういうものに問題はないのか。これも国の責任だと思うんです。これについてお尋ねをしたいと思っております。
河野政府参考人 先生おっしゃいましたように、今回の改革に伴いまして、国家備蓄事業は国の直轄事業となるものでございます。したがいまして、備蓄石油も、そして備蓄基地の施設も国の所有ということになります。
 したがって、日々の操業については、おっしゃいましたように、民間の操業会社に委託をするということになりますけれども、石油公団が従来担ってまいりました全国十カ所に点在いたします備蓄基地施設の操業の一元的な管理でありますとか、あるいは国内の需要の構造にマッチいたしました多種大量の原油の調達ですとか、品質維持、さらにはいざというときにどの基地からどれだけの量を放出する、そういったことの企画のようないわゆる国家備蓄の統合管理機能につきましては、石油市場あるいは石油施設などについての広い知識と各分野におきます専門的能力を必要といたしますので、これを独立行政法人に行わせる。そのことによりまして、平時の安全操業と緊急時におきます迅速な対応を確保するということにしているわけでございます。
 この措置と、国として緊急時にしかるべき決断をするということによりまして、機動的に備蓄の放出が行えるというふうに考えておりますけれども、この体制の引き継ぎにつきましては、先生おっしゃいましたように、そういったときに万が一のことが起こって混乱が生じてはいけませんので、万全の準備をして円滑な引き継ぎを計画いたしたいというふうに思います。
西川(太)委員 長官、これは大事なことでありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、実は六月十日の新聞に、エネルギーの特定財源の一部を一般財源化する、政府が来年の予算編成方針でそういうことを固めたという記事が載ったんです。
 これは、リスクマネーの支援に充てる予算をしっかり確保していくということが、石油公団を廃止していくプロセスの中で保全された条件だと思うんですね。道路財源でもそういう議論がありましたけれども、エネルギーの特定財源が一般財源になるとこうしたことを担保することができなくなるという心配がありますが、これは影響の大きな記事だと思うのですけれども、こういう事実はあるんでしょうか。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 エネルギー特別会計というのは、環境保全や効率化の要請に対応しつつ、エネルギーの安定供給を実現するというエネルギー政策の目標を実現するための施策を実施するため、受益者負担の原則のもとに、石油税等を財源として設置されております。
 こうしたエネルギー特別会計について、石油公団が廃止された場合にも、引き続き国としてリスクマネーの供給や国家備蓄等を着実に実施していく必要があることに加え、現在、地球温暖化防止等の観点も踏まえまして、省エネあるいは新エネ対策の推進等にも幅広く活用されているところでございまして、今後とも歳出需要というものが見込まれているわけであります。
 以上のように、当省といたしましては、国のエネルギー政策を着実に実施していく観点から、受益者負担の原則のもと、引き続きエネルギー特定財源を有効に活用していくことが必要だと考えておりまして、六月十日の新聞記事に関してはある意味では憶測に基づくものである、私はこのように思っております。
西川(太)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 次回は、来る五日金曜日午前九時理事会、午前九時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十八分散会


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