衆議院

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第28号 平成14年7月17日(水曜日)

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平成十四年七月十七日(水曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君
   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 達増 拓也君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      大村 秀章君    梶山 弘志君
      阪上 善秀君    下地 幹郎君
      根本  匠君    林  義郎君
      平井 卓也君    増原 義剛君
      松島みどり君    茂木 敏充君
      保岡 興治君    吉野 正芳君
      生方 幸夫君    川端 達夫君
      北橋 健治君    後藤 茂之君
      中山 義活君    平岡 秀夫君
      松原  仁君    松本  龍君
      山田 敏雅君    山村  健君
      漆原 良夫君    福島  豊君
      土田 龍司君    塩川 鉄也君
      矢島 恒夫君    大島 令子君
      西川太一郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   議員           逢沢 一郎君
   議員           甘利  明君
   議員           伊藤 達也君
   議員           林  義郎君
   議員           北橋 健治君
   議員           鈴木 康友君
   議員           田中 慶秋君
   議員           武正 公一君
   議員           平岡 秀夫君
   議員           漆原 良夫君
   議員           江田 康幸君
   議員           遠藤 和良君
   議員           井上 喜一君
   総務大臣         片山虎之助君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   政府特別補佐人
   (公正取引委員会委員長) 根來 泰周君
   会計検査院事務総局第二局
   長            増田 峯明君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局長)      上杉 秋則君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局取引部長)   楢崎 憲安君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   審査局長)        鈴木 孝之君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   牧野 治郎君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房審議
   官)           竹歳  誠君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十七日
 辞任         補欠選任
  山本 明彦君     吉野 正芳君
  松本  龍君     平岡 秀夫君
  大森  猛君     矢島 恒夫君
同日
 辞任         補欠選任
  吉野 正芳君     山本 明彦君
  平岡 秀夫君     松本  龍君
  矢島 恒夫君     大森  猛君
    ―――――――――――――
七月十二日
 中小企業対策など国民本位の景気回復に関する請願(藤木洋子君紹介)(第六六〇一号)
 同(木島日出夫君紹介)(第六六二二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案(山中貞則君外八名提出、衆法第三〇号)
 入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案(田中慶秋君外五名提出、第百五十三回国会衆法第一五号)
 入札談合等関与行為の防止その他の入札及び契約の適正化等に資するための予算執行職員等の責任に関する法律等の一部を改正する法律案(田中慶秋君外五名提出、第百五十三回国会衆法第一六号)
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律等の一部を改正する法律案(田中慶秋君外五名提出、第百五十三回国会衆法第一七号)


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     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 山中貞則君外八名提出、入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案並びに第百五十三回国会、田中慶秋君外五名提出、入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案、入札談合等関与行為の防止その他の入札及び契約の適正化等に資するための予算執行職員等の責任に関する法律等の一部を改正する法律案及び私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律等の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
 提出者より順次趣旨の説明を聴取いたします。林義郎君。
    ―――――――――――――
 入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
林(義)議員 ただいま議題となりました自由民主党、公明党及び保守党の三党共同提案の入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 本法律案が検討されるきっかけとなりましたのは、平成十二年五月に公正取引委員会が排除勧告を行った北海道上川支庁発注の農業土木工事談合事件において、発注者側が受注者に関する意向を示していた等の事実が認められ、公正取引委員会が北海道庁に対して改善要請を行った事件であります。この事件を初め、昨今も発注者側が受注者側と結託して談合を行うことが見られるようになり、国、地方公共団体等の職員が受注者である民間事業者側の入札談合に関与する、いわゆる官製談合に対する社会的批判が高まったところであります。
 このため、昨年三月より与党三党においてプロジェクトチームを設置し、官製談合を防止するための施策について検討を進めてまいったところであります。その検討過程において示されたさまざまな意見を踏まえ、また、検討中に明るみに出て社会的批判を浴びた、国会議員秘書のいわゆる口ききなど昨今の公共工事をめぐるさまざまな事件において、例えば予定価格の漏えいなど、発注機関側に談合への関与について疑惑があることも踏まえれば、発注者も襟を正す意味で立法化が必要であるとの結論に達し、与党三党において議員立法として本法律案をまとめ、提出した次第であります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、本法律案が対象としている発注機関は、国、地方公共団体及びこれらが二分の一以上出資している法人であります。
 第二に、本法律案が対象としている入札談合等関与行為は、第二条第五項第一号から第三号までに規定しておりますが、談合の明示的な指示、受注者に関する意向の表明、発注に係る秘密情報の漏えいの三類型を定めております。
 第三に、発注機関が講じる改善措置について申し上げます。
 公正取引委員会は、通常の業務として、受注者である民間事業者側の入札談合の調査を行っておりますが、その結果、入札談合等関与行為があると認めるときは、発注機関に対し、その排除のために必要な改善措置を要求することができることとし、当該要求を受けた発注機関は、みずから事実関係を調査し、必要と認める改善措置を講じなければならないこととしております。
 第四に、発注機関は、入札談合等関与行為を行った職員に対して、賠償責任の有無等を調査の上、故意、重過失がある場合には、速やかに損害の賠償を求めなければならないこととしております。
 第五に、発注機関は、当該職員の行為が懲戒事由に該当するかどうか調査しなければならないこととしております。
 第六に、発注機関がこれらの調査を行うに当たり、その適正を確保するため、調査を実施する職員を指定することを義務づけております。また、地方分権の精神や団体自治の尊重等の観点から、第八条において本法運用上の地方公共団体等の自主的な努力への配慮について規定しているところであります。
 以上が、本法律案の提案の理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
谷畑委員長 次に、武正公一君。
    ―――――――――――――
 入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案
 入札談合等関与行為の防止その他の入札及び契約の適正化等に資するための予算執行職員等の責任に関する法律等の一部を改正する法律案
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
武正議員 おはようございます。民主党・無所属クラブ武正公一でございます。
 ただいま議題となりました民主党提案の三法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 まず、入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案についてであります。
 官製談合は、発注者側が談合に関与するという、極めて悪質性の強い行為であり、我が党は、その根絶を図るため、発注者責任の明確化を図るべきことを従前から主張してまいりました。
 今国会において、与党三党からも法案が提出されたところでありますが、与党案では、事業者による談合を知りながら、発注者側が黙認をしていた場合について何ら触れていないこと、公正取引委員会と会計検査院との連携の強化のために必要な規定が置かれていないことなどの点で、不十分であると考えます。
 以下、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、対象となる発注機関は、国、地方公共団体及びこれらが二分の一以上出資する法人であります。
 第二に、入札談合等関与行為として、入札談合等を行わせ、助長し、または容易にすることのほか、入札談合等が行われるおそれがあることを知りながら防止措置を講じないことを規定しております。
 第三に、公正取引委員会は、入札談合等関与行為があると認めるときは、発注機関に対し、改善措置を要求することができることとし、当該要求を受けた発注機関は、みずから事実関係を調査し、必要と認める改善措置を講じなければならないこととしております。
 第四に、職員に対する損害賠償請求について規定しております。与党案においては、職員に故意または重過失がある場合に賠償請求をする旨規定しておりますが、本法律案では、これを故意または過失としております。また、損害額について、裁判所から公正取引委員会へ意見を求める旨の規定を設けております。
 第五に、職員に対する懲戒事由の調査について規定を設けております。
 第六に、入札談合等関与行為があると認める場合における公正取引委員会による会計検査院への通知について規定を設けております。
 次に、入札談合等関与行為の防止その他の入札及び契約の適正化等に資するための予算執行職員等の責任に関する法律等の一部を改正する法律案についてであります。
 官製談合は、自由かつ公正な競争のみならず、予算の適正な執行をゆがめる点においても許されざる行為であります。したがいまして、このような官製談合に対する総合的な対策としては、先述の公正取引委員会を中心にした市場の自由競争確保のための措置とあわせて、国及び地方公共団体における予算執行の適正化のための措置を講ずることが不可欠であると考え、予算執行職員等の責任に関する法律等、関係法律について必要な改正を行うこととした次第であります。
 次にその要旨でありますが、国及び地方公共団体における予算執行職員の弁償責任の要件を、重過失から過失に改める等その責任の厳格化を図ること、会計検査院による立入調査権限の規定を追加する等その機能の強化を図ること、地方公共団体に係る外部監査を拡充し、その監査機能の強化を図ること、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律により国が定める適正化指針に一般競争入札の徹底を明示すること等の措置を講ずることとしております。
 最後に、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律等の一部を改正する法律案についてであります。
 現在、公正取引委員会は、総務省の外局として総務大臣の所轄に属するものとされているところでありますが、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適正な執行を確保することの重要性にかんがみ、総務省から内閣府に移管する必要があると考え、公正取引委員会を内閣府の外局として内閣総理大臣の所轄に属するものとする本法律案を提出した次第であります。
 以上が、これらの法律案の提案の理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
谷畑委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、会計検査院事務総局第二局長増田峯明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局長上杉秋則君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長楢崎憲安君、公正取引委員会事務総局審査局長鈴木孝之君、総務省自治行政局長芳山達郎君、財務省主計局次長牧野治郎君及び国土交通省大臣官房審議官竹歳誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中慶秋君。
田中(慶)委員 私は、民主党・無所属クラブの立場から、官製談合等についての質問をさせていただきたいと思います。
 まず、官製談合が今回の法案になる過程の中で、与党案、野党案含めて、一年数カ月にわたったものの、この案がきょうここで審議をできるということは、ある面では非常に喜ばしいことであろう、このように思っておりますが、ただ、言えることは、昨年のうちにこの法案ができていたならば、もっといろいろな問題の解決になったんだろう、こんなふうにも思っているわけでありまして、その辺については大変残念でならないわけであります。
 私は、国会に籍を置かせていただいて、ずっと、この官製談合という問題等々を含めてでありますけれども、いろいろなお話を聞いておりましたけれども、今国会ぐらい、例えば代議士が辞職する問題、あるいは三権の長と言われる参議院の議長さんがおやめになるような問題、さらには、まだまだ今司直の手でいろいろなことをされております議員の鈴木宗男さんの問題等々含めて、いろいろな話題になった国会ではないか。そのときに当たって、もしこの法案があったならばということが、ある面では悔いてならないわけであります。
 こういう一連のことを含めて、国会議員はもちろんでありますけれども、あるいはまた地方の、徳島の知事の問題を初め、いろいろな首長さんが、あるいはまた議員さんがおやめになった例が次々とあるわけでありますけれども、何か見てみますと、この一年で大変官製談合なり口ききの問題が非常に大きく話題になった一年ではないかな、こんなふうに思っているわけであります。
 そのときに当たって、この官製談合の議論ができるという、あるいはまた、きょう与野党の法案を審議して、そしてこの成案が得られるということは、私はそのことを含めて非常に喜んでいるわけでありますが、また、政府の中でも、この一連の口ききの中で、今度は議員と、官と政の接触禁止みたいな問題も今検討されている。ある面では、こういう問題まで発展されるということは非常にゆゆしきことじゃないかな、こんなふうに思っているわけであります。
 自由濶達に討論をしながら、この国の将来を憂い、あるいはこの国の将来の方向性を議論する、そういうことでなければならないものが、接触禁止など、こういう形で出てくるという問題、提案者として、大先輩であります林先生、このことを含めてどのようにお考えになられているでしょうか。お聞きしたいと思います。
林(義)議員 今お話がありましたが、確かにこの一年、政治家の秘書その他のところ、また地方公共団体の長等がいろいろな形で疑いを持たれておる。特にこれらの問題につきましては、口きき料の収入というような格好で所得税法違反云々という話がありますが、根源は、やはり地方におけるところの公共事業等に関する収賄だ、私はこう思っておるのです。
 そういった意味で、お話がありましたように、もしもう一年ほど早くやっていればこういったような問題ももっと解決できたかな、こう思っておるところでありますが、こういったような問題はこういった問題としてやはり処理をしていかなければならない話だろう。
 私は一つだけ申し上げておきたいのは、この問題は、確かに、高級公務員等の処分に関する法律というのがありまして、その法律の中でいろいろやっていく。また、その法律の方もまだ足りない点があるかもしれないという話があります。特に公共工事等につきましては、小泉さんも言っておられますが、建設業界から政治献金をもらうのはもう一切やめたらどうだ、いかなることがあってもやめたらどうだという議論まで出ておるような話でありまして、こうした点で政治家も責任を感じ、また政治家も襟を正していかなければならない、私は当然のことだと思います。
 ただ、その前提としてありますのは、政治家がすぐに事業者に対してどうだこうだと言ったところで、なかなか具体的に仕事が変更になるわけではない。やはり地方公共団体の事務局のところと話をしていろいろやらなくてはならない、そういったことでありますから、この事務局の方の体制をやはりしっかりしていくことが私はこれから大切なことだと思うのです。
 そうした意味で、今回の法律は、その全体をとらまえてやるわけではなくて、発注者の姿勢を正しくしていくことが必要である、そういったことを頭に置いてこの法律をつくったところであります。
 それが広がるところはまだまだたくさんあると思います。それは、例えば、新聞等でありますけれども、鈴木宗男君のような話なんかでも、あれはむしろ、鈴木宗男君が悪いことをしたというような話になっていますが、そうでない、実際に担当しているところの人もやはり責任をとらなくてはいけない、そういったようなところの問題まで含めて私たちはこれを考えていかないと、新聞に書いてあることだけを悪い悪いと言ったのではだめでありますから、そうした根源を直していくことが私は大切なことだろう、こう思ってこういう法律をつくったわけであります。
 なかなか、そういった根源的な問題に入りますものですから時間がかかった、私も申しわけないと思っていますし、先ほど申しましたように、もう少し早くできたらな、こう思っておったのですが、なかなかできなかったことを私も深く反省しておりますが、やはり問題をこれから解決していかなくてはならない、どういうふうな格好で展開していくかというのはまだまだわかりませんから、そういったような問題も十分頭に置きながらこれからの対応をとっていかなくてはならない。私は、そういった不正事実に対する第一歩の話だろう、こういうふうに思っています。
 また、皆さん方と、御協力いただき、相談をしながら、こうしたものの改善を図って、本当に国民から信頼をされるような政治をつくり、国民から信頼をされるような地方公共団体、また、その執行職員のあり方について私たちもやっていかなければならない、こういうふうに思っていることを申し上げておきたいと思います。
 失礼いたしました。
田中(慶)委員 ありがとうございました。
 そこで、時系列的にずっとこの一連のことを調べてみましたら、各省にいろいろなことがあるんですね。例えば、普通であると、国土交通省が、ある面では公共事業が多いから、ここが多いかと思っておりましたら、農水省もあれば、あるいは厚生労働省もあれば、文部省もあれば、あらゆるところに今、一連ずっと見てみますと出ております。
 これは本当に、ある面では談合国家じゃないかみたいなことまで一時報道されたことでありますし、また、地方自治体が、例えば知事が知らなくても、宮城のように知事が全然知らなくても、それぞれ当局と県会議員、あるいはまた地方議会の人たちの中でそういう問題が起こっている。こういうことが、この一連の中でいろいろなことがたくさんございました。
 私は、こういうことを見て、今回の官製談合の問題、特に天の声というものが、私は初めて知ったんですけれども、天の声というものがあるそうですね。天の声ということを、林先生、御存じですか。
林(義)議員 よく天の声というふうに言われますけれども、私は、そういったところから出てくる話というのはあると思いますが、これは、ある程度まではやはり日本の社会にあるところの特性的なものだろう、こう思うんです。ヨーロッパの社会とかアメリカの社会ではないことで、上の方からちゃっと言われたからというような話での天の声というような話、だから少々悪いことをしてもと、こういうようなものが日本で言われているところの天の声だ、こう思うんです。
 こういったような話は、やはり自由主義社会でありますからやらなくてはいけない、規制をしていかなければならない、こういうふうに私は思っておりますし、日本の古くからあるところのその考え方を、全部をやってしまうということは日本の特性として一体どうかなというような基本問題まであるだろうと私は思います。
 しかしながら、やはり自由社会でありますから、自由社会らしいフリートレードの精神というものを持ってやっていく。と同時に、日本社会の持っているところのものも、どういうふうに考えてうまくこれを活用していくか、こういうことだろうと思っておるところでありまして、これは日本の社会あるいは日本の哲学の基本問題だろう、私はこう思っておるところであります。
田中(慶)委員 そんなことを含めながら一つ一つ詰めてまいりたいと思っているんですが。
 実は、議員の秘書あるいは役人のOBの皆さん、こういうところが、何か口ききビジネスというものがあるんだそうです。私は初めて、今回全部調べていたら、そういうことを含めて、口ききビジネス、そして、結果としてそれがいろいろな官製談合につながっている、こういうことでありますけれども、私は、こういう一連のことを考えてみますと、やはりそういう口ききビジネスということが言われるようなこと自体、慎まなきゃいけないことだと思います。
 ところが、現実にそういうものが横行している、こういうことでありますから、今回の法律もそこまで突っ込んでやらなければいけないんじゃないか、こんなふうに思っていたのです。与党案をずっと見させていただいておりますと、第一段階だからそこまで突っ込まないのかもわかりませんけれども、その辺が明確になっていない、それはどういうことなんでしょう。
林(義)議員 確かに、おっしゃるとおり、口ききビジネスというような話があります。この話はやはり確かにおかしいというんですが、先ほどちょっと申しましたように、日本社会の中には、やはり口ききとか天の声だとかというような話があります。天の声という言葉は、言葉自体としては、天の、上の方からの声、話ですから、悪いという意味ではない。やはり上の方からある程度まで言ってきてやる。しかし、民主主義社会ですから、民主主義社会ではお互いが自由競争でもってやりますから、だれが言おうとかれが言おうと、私は、やるべきものはぱっとやらなくちゃいけないというのがルールだと思うんです。その辺の考え方をどう整理していくかということだろうと思います。
 そういった意味で、我々もいろいろな話をやったのです。一年何カ月もかかっていろいろやりました。その中で常にそういった話が出てきて、どうしようかこうしようかという話がありました。そういった話で、一体どこまでが今度はやれるのかね、どうなのかねと。
 天の声でやるということになったら、極端なことを言ったら、天の声でおよそそんなことをやる、談合でもやるというような話になったら、もう一切やめてしまえ、どんなことでも、談合が見つかったならば、後で見つかっても全部拒否してしまえ、こういうような話まで実はあったのですが、そこまでやって果たしてどれだけの効果があるんだろうかと。
 やはり国民に、政治に対する信頼とか、あるいは地方公共団体に対する信頼というようなものがなければならない、こういうことだろうと思いますので、その辺の、悪いところはやはり整理をしていこう、こういうことで第一歩をやっていこう、こういうことにしたわけでございます。
 基本的には、先生おっしゃるように、あるいはこれからさらにいろいろ考えていかなくてはならない問題かもしれません。しかしながら、どこまでそれをやっていくか。全部が全部ひっくり返してしまって、全部が全部ゼロだというような話にしたのでは社会が成り立ちませんから、そういった意味で、本当にこれは悪いぞ、だれが見ても悪いぞというような話を押さえていくというような格好でとりあえず話をしていこう。そして、それからいろいろ調べていく、どういってもおかしいぞ、こういうふうな話が出てきたら、またそのときにやっていく。
 特にこれは議員立法でありますから、議員立法としてやっていくときには、いろいろな形でお互いが相談をしてやっていくということが私はこれからできる話だろうと思うんです。政府の提案でどうだこうだということじゃありません。私は、議員立法として与野党一緒になってやるということも当然に考えていかなければならない話じゃないかと思います。
 これによって全部悪がなくなるなどというようなところまでは、正直言って、どこに悪があるのかわからない。この中に悪があるのか、天井の上に悪があるのかわかりませんから、それを全部が全部きれいにというわけにはなかなかいかない。しかしながら、きれいにするところだけはきれいにしていこう、こういうのが今回の法案の提案だ、こう御理解いただければありがたいと思っています。
田中(慶)委員 そこで、先生、今回も鈴木宗男さんの関係で、予算執行が、予算の価格、予定価格と執行価格、九九・何%なんというようなことは普通考えられないんですけれども、今回いろいろなところでそういうものが報道されております。これは本当は会計検査院、きょう私は呼んでおりませんからあれなんですけれども、ずっと調べてみましたらば、先生、今三割近く九九%の執行率があると言われておりますけれども、これは正常じゃないと思うんですね。このこと自体が、ある面では、談合かな、あるいは官製談合かな、こんなふうに言われるんですけれども、先生はどうお考えになりますか。
林(義)議員 まさにその辺が、これからどう考えていったらいいかということの一つのポイントだと思います。
 というのは、工事をやりますと、工事を発注する方の地方公共団体の土木部とかというようなところが、それでは全部工事をやっているかといったら、やっていないわけですね。そうしますと、業者の人に、ここでこれだけの工事をやったらどのくらいかかるかね、いや、ちょっとそれは調べてみないとわかりません、調べてみましょうか、こういうふうな話になる。
 それは、全部わかれば役所の方が調べていくことができますが、新しい溝をつくるとかどうだということになるとどのくらいかかるかというのは、なかなかそれは正直言ってわかりません。やはり民間のそういった専門家に聞いて話をする、こういう格好で、そのかわり、それはおまえのところから聞いただけだぞ、別におまえのところをそれでやるというわけでも何でもないよ、こういうふうな話になってくるんだろうと思います。
 こうしたような格好でやっていくということが、一つには、今お話しになった九九%もなってきている。それは確かに、言われたものの金額と同じぐらいの金額、九九%も同じだというような話は普通には考えられない話ですよ。
 例えば、私が自分のうちをちょっと改修するときに、私がこことこことここを直してくれ、こう言ったときに、どのくらいかかるか、私がはじいて、これは百万円かかる、それで、工事見積もりを出してきたのが九九万円だ、そういうことはあり得ないので、大体普通には、私がちょっと考えてみたところの金額の倍ぐらいになってくるのが当たり前ですよ。これは高過ぎるじゃないか、いや、それは高いけれども、ここはこういうふうにしてやりましたとか、では先生、ここはこういうふうに直しましょうとかなんとかというのが、工事発注業者の話だろうと私は思いますよ。
 そういったところで、いろいろこれをやっていかなくちゃいけない。そういった形で、少なくとも、建設関係をやっているところの地方公共団体のいろいろな職員は、その方の専門家ですから相当わかるだろうと思いますが、そういったことも含めてこれからやっていかなくちゃいけない、そういうふうな問題がその中にあると私は思います。そういった点も一体どうするのかねえと、こういうふうな話だろうと思います。
田中(慶)委員 そこで、実は今回の与党の法案には、入札談合等の関与行為に対する不作為行為というものが含まれていないんですけれども、今のような話をずっと区分すると、不作為行為というのは法案の中には入っていいんじゃないかと思うんですが、先生、どう思いますか。
林(義)議員 実は、その不作為行為というのを入れようかという話は、自由民主党の中で議論したときもあったのです。いろいろな形があるから、それではどこまでが不作為行為なのかと、こういうことです。
 ちょっと話を持ってきましたと。その前に、役所の方に行って、ちょっと夏ですからお菓子でも持ってまいりましたからと言うて、持ってくる。それで話をして、そのときにこの工事はなかなかかかりますよというような話をしたときに、いや、そうかなというような話で聞いておって、そういったような話が一体不作為行為という形になるのか、いや、やはりそれは話をしたんだから不作為じゃない、作為だよという説もある。しかし、幾ら言うたところで、わあっとかかると言うただけの話ですからね、それを一々とらまえてやるわけにいかない。
 特に、これは、損害賠償をかける、または、職員の規律を直すための懲戒等の処分もある、そういったような原因となる行為ですから、余り厳しいことを言ったところでなかなかやれない。そういったこともありますから、完全にこれはおかしいよと言われるようなところまでやるということになれば、不作為ではなくて作為でやらなくちゃいけない。
 あるいは、単に談合のときの話も、いや、つい、やっていこうとただ言うただけですよというような話もあるでしょうし、それからどうも入札で落ちた工事業者が、いや、あそこは何か変なことを言うてやっておったんだからと、こういうふうな話も私はあると思うんですよ。そういったものを全部、不作為だ何だという形でとらえたら、もう工事もとてもやれない、発注の方もとてもやれないというような話になってくる。だから、余りそこを厳密にやることができない。
 しかしながら、正確なことではないにしても、そういったような格好でいろいろな工事をやはり誠実にやっていくということが必要なことだろう、こう思っておりまして、そういったことで考えたことを私は申し上げておきたいと思います。
田中(慶)委員 先ほど来るる、いろいろな日本の今の実態、先生も御承知のとおり、この入札に対する関与の問題をずっと説明してきて、そして、ことし一年こんな状態になってきました。
 私は、不作為行為だと思っているんですよ、はっきりと。ですから、そういうことがやはりこれから十分検討されていかないと、この談合問題というのは解決になっていかないんだろう、こんなふうに私は思っているわけでありまして、いろいろこの一連のことを全部調べてみますと、結果的にこの手法の全体的な最後の問題は不作為行為につながっているわけですから、やはりそういう問題を含めて、できるだけ今回の官製談合法案に、やはり国民の信頼その他をしっかりと得る意味でも、私は、どうしても不作為行為というものは今法案に盛られていた方が、官製談合を禁止するためにより評価がいただけるのではないかな、こんなふうに思っていたわけです。
 時間の関係もありますが、最後に、この不作為行為について今後も検討する考えがありますかどうか、お伺いしたいと思います。
林(義)議員 与党三党の中でいろいろ御議論し、自由民主党としても再三にわたって議論をしたところであります。どこまでをやるかというような話は非常に難しい。確かにそこが一つの大きな原因ではあるかもしれません。しかしながら、それを全部だめだ、こう言っちゃったら、本当に、正直にやった人も不作為という形になる。全然、風評被害で言われたようなところも、これは風評被害をつかまえられなかったのは発注官庁の怠慢だ、それは不作為じゃないか、こういうことを言われちゃったら、発注官庁としては一体どういうふうにやったらいいのか。自分たちは全然関係していないようなもの、それは発注官庁としては不作為ですから、それを一体どういうふうな形でつかまえてやるのか、全部聞いてやるというわけにはなかなかいかない。そこのけじめ、線引きをどうしていくか。
 また、いろいろな形で、こういったところはおかしいから、こういったものは明らかにやりましょう、こういうふうな話があれば、むしろ、これはお互いの議員立法ですから、議員立法の中の改正という形で出していただく、そういった形で、我が党としては、というか三党としては結論を出したところです。
 そういった意味で、確かにおっしゃるようなことがある。抽象的には考えられますが、では具体的にどことどういうことをやったら本当に不作為になるのか、本当に不作為として悪いことになるのかどうかというのは、これからさらに検討して新しい事態を考えていかなければならないと思っておるところであります。
 先生のお話でございますから、我々も一生懸命勉強しますし、それから、政府の方としても、地方公共団体その他の方に、やはりこの辺についていろいろな調査をしてやっていかなくてはならないだろう。要するに、悪いことをする、こういった談合をしたり、あるいは談合に関与したりすることは決していいことじゃないんだということだけはやはりはっきりさせておきたい。その範囲をどこにするかというのはこれから考えていかなければならない問題だろうな、こう私は思っています。
 これから先生の御趣旨に沿って私たちもやっていきたいなと思っておるところであります。
田中(慶)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 平岡秀夫君。
平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。
 時間が余りありませんので、早速本題に入らせていただきたいと思います。
 今、入札談合等関与行為に不作為を含めないのはなぜかというような質問がありました。我々がいろいろな勉強をした際に、例えば日弁連が平成十一年五月に発表した入札・談合ホットラインまとめの中でも、自治体が談合に関与している類型の一つとして、自治体担当者は、談合がわかっていても見て見ぬふりをしているんだというようなことを挙げ、指摘されています。
 与党案では、なぜその不作為、ここでは黙認ということでちょっと置きかえさせていただきたいと思いますけれども、黙認を入れていないのかという点については、ただいま同僚議員であります田中委員の方から質問がありました。ちょっと時間がありませんから、私の方で概略、要約してみたいと思います。
 入れた方がよいというような話はあったけれども、風評まで含めていろいろな事象が考えられて、線引きをどこにするかという難しい問題がある、さらに、どういう形で限定ができるかということについて考えてまいりたいというふうに答えておられますので、これ以上質問するのは死人にむちを打つようなことになるのかもしれませんけれども、その必要性を我々として訴えたいということで、さらにちょっと質問をさせていただきたいというふうに思うんです。
 まず、平成十二年二月一日付の建設省建設経済局長、自治省行政局長名の通達で、「地方公共団体の公共工事に係る入札・契約手続及びその運用の更なる改善の推進について」というのが出されております。その中の「記」の七番に、「談合情報マニュアルの策定」ということが指定されているわけでありますけれども、この談合情報マニュアルの策定の実施状況というのはどのようになっているか、これをちょっと国土交通省、それから総務省にお聞きしたいと思います。
竹歳政府参考人 お答えいたします。
 談合情報対応マニュアルの策定につきましては、平成十二年度の調査によりますと、都道府県で四十二、指定都市で十、市町村で千三百十五、合計千三百六十七で談合対策マニュアルがつくられております。
芳山政府参考人 ただいまの調査は、国土交通省と総務省と一緒になって調査をしておりまして、以上のとおりでございまして、よろしくお願いします。
平岡委員 都道府県レベルでは多分九〇%近いところがつくっているということだと思うんですけれども、市町村レベルでもかなり、半分近いところがつくっているということでございます。
 このマニュアルの中に、マニュアル化に含まれるべき事項として「公正取引委員会への通知」ということを書いてあるわけですけれども、この通知の対象に談合情報というのは入っているんでしょうか。いかがでしょう。
芳山政府参考人 ただいまの談合情報マニュアルの内容は、指針の中で明らかにしておりますが、談合情報を得た場合等の独占禁止法違反の行為があると疑うに足る事実があるときにおける内部での連絡・報告の手順、公正取引委員会への通知の手順、また通知の事実やその開示のあり方、事実関係が確認された場合の入札手続の取り扱い等について定めることとしております。
 各地方公共団体におきましては、この指針に基づいて談合マニュアルを策定しておりまして、今お尋ねがありました点につきましては、当該マニュアルに基づいて談合情報について公正取引委員会に通知しているという状況でございます。
平岡委員 今のマニュアルの中でも、談合情報については公正取引委員会に通知しなさいというような形で、例えば地方公共団体あるいは国のこうした入札にかかわっている職員は、談合情報があったというときにはこうした通知をしなければいけないということが既にもう行われているというようなことであります。
 さらにお聞きしますと、平成十二年に、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律というのができておりまして、この第十条に、「各省各庁の長、特殊法人等の代表者又は地方公共団体の長は、」独禁法の規定が引いてありますけれども、これは、不当な取引制限あるいは不公正な取引方法、談合が入るわけですけれども、こういう談合があると「疑うに足りる事実があるときは、公正取引委員会に対し、その事実を通知しなければならない。」というふうに明確に書いてあるわけであります。
 既にこれは施行されておりますから、平成十三年度においてどれだけの談合情報が公正取引委員会に対して通知されたのか、この状況についてお聞きいたしたいと思います。
鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第十条の規定に基づき、公共工事の発注者から公正取引委員会に通知があった件数は、お尋ねのありました平成十三年度において十一件でございました。
平岡委員 今答えていただいたように、既にさまざまな仕組みの中で、談合情報があったら、その担当者あるいはその長は公正取引委員会に通知しなければいけないという、これは法律で義務を課している法律ですね。そういう義務が課せられているという事実が法律で既にあるにもかかわらず、今回、そうした情報があるにもかかわらず適正な措置をとらないということについて何らの対応もしないというのは、私は不十分だろうというふうに思っております。
 それからもう一つ、さらに次の視点でちょっと聞いてみたいと思うんですけれども、例えば予算執行職員が、入札をしている業者の間で談合が行われているということを知っておりながら入札手続とか契約手続を実行していったというような場合、会計法規上どのような責任を負うことになるんでしょうか。これは財務省にお聞きしたいと思います。
牧野政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねの、予算執行職員等の責任に関する法律というのがございまして、予算執行職員が故意または重大な過失によりまして、法令に準拠せずに入札手続や契約手続を実行し国に損害を与えた場合に弁償の責を負うこととされております。そのほか、国に損害を与えない場合においても、会計検査院が当該職員の任命権者に対して懲戒処分を要求することができるということにされておりまして、御指摘のように、予算執行職員が業者間に談合が行われていることを知りながら入札手続や契約手続を実行したのが明らかであれば、これは同法に定められた責を負うものと考えられます。
平岡委員 今、明確に答弁があったように、黙認というケースの場合でも、予算執行職員は損害賠償責任とか懲戒処分を受ける、そういう責任を負うということはもう明確になっているわけですね。これをあえてこの法律の対象から外してしまうということについてはいかがなものかというふうに思います。
 さらに、談合についていうと、どれだけのものがこうした黙認によって行われているかということは実はなかなかわからないわけでありますけれども、それをちょっと突っ込んで聞いてみたいというふうに思うんです。
 談合事案について、公正取引委員会が勧告あるいは課徴金納付命令などの法的措置を講じたものというのは、平成八年度から平成十三年度までの六年間でどのくらいあるのか。これは公正取引委員会の方にお聞きしたいと思います。
鈴木政府参考人 平成八年度から十三年度までの六年間におきまして、国、地方公共団体、特殊法人等の発注に係る契約案件で、事業者または事業者団体の独占禁止法違反行為が認められ、公正取引委員会が法的措置をとった事件は九十九件でございます。
平岡委員 それでは、その中で、発注者、これは国とかあるいは地方公共団体になるわけですけれども、その発注者に改善措置を要請したものは何件あるのでしょう。
鈴木政府参考人 ただいま申しました九十九件のうち、発注者側の関与が認められたり、発注方法に問題があるなどにより、公正取引委員会として発注者に対して改善要請を行いました事件は十二件でございます。
平岡委員 今答弁がありましたように、公正取引委員会が談合事案として法的措置をとったのが九十九件、そのうち、発注者側に何らかの行為があったということで改善措置が要請されたのが十二件、差し引きますと八十七件、約九割が発注者側には何らの指摘もされていないということなわけですね。
 世上、談合についていうと、これはやはり発注者側にもいろいろ問題があるんだということを指摘されておりながら、あるいは一般の人たちがそういうふうに認識しておりながら、発注者側に何らの行動もとられていないのが九十九件中八十七件もある。こういう状況を放置しておいて本当に官製談合というものが、談合というものがなくなっていくのか、私は大いに疑問があるというふうに思っております。
 今ずっと述べましたような実態、それから、これは新聞に出ていたわけでありますけれども、昨年の七月五日付の新聞でございましたけれども、公正取引委員会の根來委員長がこういうことを言っておられます。新たな法律で、これは「そこ」と書いてあるので、ちょっとそこは私が意訳しまして、不作為による義務違反を整理し、処罰のルールをつくるのは、私はいいことだと思う。新たな法律で不作為による義務違反を整理し、処罰のルールをつくるのは、私はいいことだと思うというふうに言っておられるわけです。
 こういうことを踏まえてみると、与党案において入札談合等関与行為に黙認を含んでいないということについては、私はこの時点でも大いに問題であるというふうに思っているわけであります。
 この点に対して、国土交通省、財務省、そして公正取引委員会、どのように考えておられるか、最後に提案者にもせっかくですから聞いてみたいと思います。よろしくお願いします。
竹歳政府参考人 お答えいたします。
 発注者が入札談合に関与するいわゆる官製談合はあってはならないことでありまして、その防止を図ることは重要なことでございます。
 また、談合情報が発注者に寄せられた場合には、これを放置し、それを黙認しているなどの批判を受けないよう、直轄事業におきましてはマニュアルをつくりまして、ほとんどすべての談合情報につきましては公取へ通報してきているところでございます。
 ただいま御質問がございました、入札談合等関与行為について黙認が含まれないことについてどうかという御質問でございますが、本法案が議員提出法案でございますので、国土交通省としては、評価することは差し控えさせていただきたいと思います。
牧野政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げました予算執行職員等の責任に関する法律、これはあくまで契約に直接関与いたします支出負担行為担当官、契約担当官についての規制でございまして、それを超えて入札談合等関与行為にどのような行為類型を含めるかにつきましては、入札談合防止のための実効性をいかにして確保するか、そういうことを踏まえて競争政策上の観点を初めとしまして、さまざまな観点から御議論いただくべき問題ではないかと考えております。
根來政府特別補佐人 私どもの立場から申しますと、俗に談合列島と言われているような汚名を何とか晴らしたいという気持ちでおるわけでございますが、独占禁止法の執行自身も隔靴掻痒というところがございまして、私どもは常に反省しているところでございますが、その独占禁止法の執行に絡みまして、やはり発注者の問題があるんじゃないか、発注者の問題についてはもっと何かやる方法はないのだろうかということを常に考えているわけでございます。この点については、私ども、独占禁止法の枠外でございますので、何ともならないところにこれもまた隔靴掻痒という感じを持っているわけでございます。
 このたび、こういう法案について民主党あるいは自由民主党からいろいろ法案が提出されているわけでございます。私どもは、本当に大変ありがたいことと思っているわけです。ただ、内容につきましては、これは立法府がいろいろお考えの上やっておられることでございますので、私ども、あれこれ申し上げるところではございませんが、やはり一歩前進、二歩前進というところで非常にありがたいことだと考えております。
林(義)議員 今、各省並びに公正取引委員会から御答弁がありました。まさに、この官製談合防止法案をつくるときの話の初めに、委員長が、神戸新聞だったと思いますけれども、神戸新聞で、やはりやらなくちゃいかぬという話があった。私もこれについては同感だ。
 しかし、どこまでどういうふうにして具体的にやるかというのを詰めていかなければなかなかできない。抽象的に、不作為のものをやめろ、それから、談合だといってやったら、けしからぬと言って処罰する。それなら、談合に漏れた人から、変なことだけれども、談合に漏れたんだからおれはあいつたちをたたいてやる、こういうことを言って訴えたりなんかする、しかし談合ではないというような話に一体どうするのかね、こういうふうな話から詰めていかなくちゃならない。
 法律ですから、確実に悪いということは確かにあるんだけれども、どういうふうな形で悪いということを直していくか。単に悪いからといって全部直しちゃったら、それで全部がうまくいくような形になるのかどうか、やはりそのことを考えながらやっていかないと本当の立法にはならぬのじゃないかな、こういうことで、平岡さんにも私はいろいろと御厄介になっていますから、確かにおっしゃることはよくわかるし、それから、いろいろな話もやっていかなくちゃならないし、それでは一体どういうふうにしたらこれができるのかね、悪いぞと言うだけではできないので、どういうふうにしたらいい形の修正ができるか、いい方法ができるかということを私どもは詰めてやったところです。
 初めは、不作為の問題も含めてずっといろいろとやっていたのです。しかし、だんだんやっていくと、これもやらなくちゃいかぬ、あれもやらなくちゃいかぬ。しかしながら、やったら、両方の考え方があってだんだんできない。思い切って、もうとにかく、本当に悪い、だれが見てもおかしいというところをまずやって、それからさらに進んでいくというような格好で法案をつくっていかないと、これはなかなか法案の形にならないぞ、百年河清を待つようなことをやっておったのではしようがない、とにかく一歩でも前進していこう、一歩でも進んでいこう、こういうような格好で私どもはやってきたところであります。また平岡さんにも教えてもらいたいな、こう思っていることを申し上げておきたいと思います。
平岡委員 林先生には大変御苦労されている様子がありありとうかがわれましたけれども、我々としては民主党案を提出いたしております。ぜひとも、黙認といったようなことも今回の規制の対象にしていくことが必要であるということを私の方からも重ねて申し述べさせていただきたいというふうに思っております。
 次に、我々の民主党案の中で大きな特徴になっているのは、地方における監査機能というのが十分でない、それが一つ地方における談合というものがなかなか防止できないことの原因になっているのではないかというような視点で、地方の監査機能の強化ということも行っています。先ほど言いました平成十二年二月一日付の通達の中でも「監査の徹底」ということが書かれておりまして、「監査委員による監査の徹底を図ること。」ということで指示がされております。
 そこでちょっとお聞きしたいんですけれども、現在、多くの地方公共団体に入札監視委員会とか談合情報対応のための委員会というのが設置されているというふうに伺っていますけれども、こうした委員会と監査委員とは、どのような関係で、どのように連携をとってこの入札問題について取り組んでいるかということについてお聞きしたいと思います。特に計数的なことでなくても結構ですけれども、お答えいただければと思います。
芳山政府参考人 ただいまお尋ねのありました入札監視委員会の設置状況は、まだガイドラインを出したばかりで、地方団体全体で九十六団体でございますが、談合情報対応のための委員会の設置状況は千三百六団体でございまして、四〇%程度でございます。
 機能としては、入札監視委員会は地方公共団体の長の附属機関でございます。条例の設置でございまして、競争参加資格の設定ないしは指名の件について定期的に報告徴収を受けて、内容についての審査、意見具申という第三者機関でございます。
 一方、談合情報対応の委員会でございますけれども、入札談合に対する情報があった場合の対応について具体的に調査審議をするわけでございます。
 今お尋ねのありました監査委員でございますが、地方公共団体の執行機関でありますけれども、財務に関する事務の執行についての監査をすることが任務となっておるということでございます。入札契約も当然対象になるわけでございます。
 ただ、この監査委員は地方公共団体の長から独立した立場から監査するという点については、入札監視委員会等の機能とは異なっております。ただ、今御答弁申し上げましたように、入札契約に関する事務の状況チェックという点では共通しますものですから、両方適切な役割分担のもとで実施されることを期待しております。
平岡委員 せっかく委員会ができているにもかかわらず、なかなか連携ができていないというような印象をちょっと受けましたけれども。
 今回の我々の法案の中には、監査委員の監査機能の強化の一つとして、例えば会計検査院では、賠償責任の有無あるいは賠償額、これは弁償額と言っていますけれども、賠償額を独自に決定するということができる仕組みになっているんですけれども、地方自治法の方では、地方公共団体の長が求めない限りは監査委員はそうしたことができないんだというふうになっていて、我々はそれを監査委員独自でもできるようにするといったようなことを今回の改正法の中に盛り込んでいるわけであります。
 かように、地方公共団体の監査機能の強化を図ることによって談合をできる限り防止していこう、あるいは排除していこうという考え方はとっているんですけれども、与党の方ではこうした問題について特に今回規定がございません。この点について与党案の提出者の方々はどのように考えておられるのかについて、簡単で結構でございますので、どうぞよろしくお願いします。
林(義)議員 ほかの方からあるいはお答えをしていただくことになっていたのかもしれませんが、私からお答えをさせていただきます。
 与党の方でいろいろな話を聞きました。そのときに、地方公共団体からは、知事会、市長会、町村長会、それぞれ三遍にわたりましていろいろな話を聞いたのです。
 極端な意見を申しますと、地方から、特に小さなところからは、今やっているところで何でこんな新しい法律をつくらなくちゃならないのか、我々は一生懸命まじめに誠実にやっているんだから、それでいいじゃないですかと。法律というものはそういうものじゃない、まじめに誠実にやっているならば、そんなことは必要ない。ただ、やはりやっていないところがあるからという形でやった話であります。
 ところが、今の監査委員を置くとかなんとかというような話、監査委員をどうするかというような話については、やはり小さな地方団体では、一律にやられても、職員が六十人ぐらいしかおらぬところに、監査委員を何ぼ置いてもどうするんだと。しかも、同じ村なり町の役場の人ですから、お互い一緒に今までやっている。それが、おまえ、おかしいぞと言ってやったところで、現実問題としてうまくいきますかというような話もあったのですよ、正直言って。そこをどういうふうな形でやっていくか、独立したものをつくるか、あるいはどういうふうな形でやったらうまくいくかというのは、さらに考えていかなくてはいかぬ。
 今御指摘のような、いろいろな監査をやっていくというような方向は、私はいい方向だと思いますよ。私は、どういうふうにしてそれをやっていったらいいのかというのが法律としての問題ではないかな、こう思っていることを申し上げておきたいと思います。
平岡委員 監査機能の強化は方向としてはいい方向だということがありました。ぜひ、与党プロジェクトチームをこれで解散するということじゃなくて、引き続き検討を重ねていただきたいというふうに思います。
 きょうは、会計検査院関係についてもちょっとお聞きする予定だったんですけれども、時間が来てしまいました。済みません、まことに申しわけございません。また機会がありましたら質問させていただきますので、どうぞお許しいただきたいと思います。
 以上で終わります。
谷畑委員長 松原仁君。
松原委員 私は、この官製談合防止に関しまして、民主党の提案者に対して御質問をいたしたいと思っております。
 御案内のとおり、この談合、特に官製談合、こういったものがあると、大変にさまざまな意味で民間から見ても納得できない。政治の信頼感を回復するためには、最も大事な事柄であろうと思っております。時間が余りございませんので、簡潔に御質問いたしたいと思います。
 まず第一に、官製談合防止のための新法とは別に、地方自治法と入札適正化法の一部改正を行うのはなぜか、これを第一に御質問いたします。
武正議員 松原委員にお答えをいたします。
 官製談合は、自由かつ公正な競争社会をゆがめると同時に、予算執行の適正をも害する悪質性の強い行為であるということで、今お尋ねの点は、新法とは別に、予責法なども含め地方自治法あるいは入札適正化法など、民主党とすれば六つの法案、新法一つに五つの法律の改正、これだけパッケージで出したのはなぜかということだと思います。
 先ほど林議員の方からお話があったように、地方ということなんですが、実は談合というのは地方自治体に多い、これがやはり問題意識にございます。あるいはまた、片山総務大臣が五・五兆円の地方への税財源の移譲ということを言っておりますし、分権の時代でございます。いよいよ地方でのさまざまな発注がよりふえるというふうに予想される中、地方に対して、やはりきちっとした今回の官製談合防止法案、法的な措置が必要だろうといったところにございます。
 また、監査委員は、地方議会においては、やはり地方議会はオール与党といった中で、どうしても首長と監査委員のなれ合いといったことが指摘されておりますし、そういった中、監査委員の補助といったような形で外部監査人制度を入れられたのですが、これもまだまだ監査委員よりも一ランク下のような感じがありますので、本民主党案では、それを同じにしよう、あるいは監査委員への相談機能、そしてまた入札適正化法では、一般競争入札を原則とする、あるいはJVの適正化、こういったことを触れたわけでございます。
松原委員 弁償責任の検定に係る除斥期間を削除した意味はどういうことか、お伺いいたします。
武正議員 この除斥期間、当初、予責法の法制定のときになぜ三年にしたのかというのを、議事録を見ても杳としてその意味がわからないというのが実態であります。実際に、この三年ということは、事実が発生してから三年ですので、予責法に基づいて会計検査院が乗り出しても、もう三年過ぎちゃっている、こういうのが過半であります。そういったことも含めて、会計法に準じていいだろう、やはり五年にすべきだということでこれを削除すべきというふうにしたわけでございます。
松原委員 大変よくわかりました。
 次に、弁償責任の転嫁に係る意見の表示方法の改善、予責法第八条の改正の趣旨はどういうことか、お伺いいたします。
武正議員 弁償責任の転嫁に係る意見の表示方法の改善ということでありますが、これはまだ予責法で戦後一回も使われていないということでございます。私も、片山総務大臣にこの点で、日本の行政組織にはなじまないんだというふうに言われましたが、この法律というのは、上司から法令や予算に違反した命令を受けて、これはまずいなと思ってもそれをやってしまう、それがやはり日本の行政組織の一つの問題点だと思うんですね。
 このときに、予責法八条は、問題があるなといったときには、文書で上司にそのことを申しておけば、ある面で免責になる、責任を転嫁できるという法律なんですが、戦後一回も使われていないというのは、やはり文書で出すというのは難しいわけですね。ですから、例えば同じ課の同僚の職員二人に言っておくとか、あるいは口頭で言うとか、もうちょっと条件を緩和していいんじゃないかというような形で、行政組織にあっても上司の命令は絶対という国家公務員法がありますが、その中でも、やはり法令、予算に違反していれば、それに対して物を言える、これがやはりあってもよいというふうに考えておるところでございます。
松原委員 続きまして、公団等の予算執行職員に係る弁償責任の検定等、これは予責法第九条の二項でありますが、趣旨はどういうものか、これを少しお伺いいたします。
武正議員 公団について、現行法では八つ予責法の対象となっております。民主党案では、これは、国が資本金の二分の一以上を出資した団体にということでふやすわけでございますが、やはり国が二分の一以上を出資している法人であれば、会計検査院による必要的会計検査の対象となり、国の出資の当否が問われるべきであると考えますので、国の予算執行職員と同様に、公団職員にも責任を負わせるべきであろうというふうに考えるところであります。
松原委員 大変に必要な事柄かなというふうな認識を質問しながら感じているわけでありますが、本条の追加等により対象法人はどれぐらいに増加するのかをお伺いいたしたいと思います。
武正議員 先ほどお話ししたように八つが百三十三にふえるわけでありまして、先ほど平岡委員からの質問に対して、公取が、平成八年度以降、発注者に要請をしたのが、九十九件の法的措置のうち十二件であったという答弁がありました。その十二件の中には、例えば郵政省による郵便番号の読み取り機械についての問題点ありというような形での郵政省への指摘もあったんですが、今この話の中で、民主党が、やはり二分の一以上の出資団体、住都公団とか関空などもこの要請の中に入っておりますので、やはりこれは二分の一以上の出資団体に広げるべきだというふうに考えるわけです。
 加えて言えば、今通常国会で通りました郵政公社化法、今の予責法では郵政公社は予責法の対象外であります。ただ、やはりこれは、今回、国会も郵政公社化によってチェックできないといったこともありますので、やはりこの予責法の対象にしていくべきだろう。独法よりも緩いような、そんなところがありますので、これはやはり広げるべきであろうというふうに考えます。
松原委員 一番大事なことは、今のさまざまなことを含んで、本法律の改正によって、談合の防止という一番根本的な部分の実効性があるのか、これが一番大事なわけですが、これに関して、断固談合の防止はできるというふうにお考えかどうか、これをお伺いいたしたいと思います。
武正議員 先ほど触れましたように、地方公共団体に対してやはりきちっと法的措置をとるという民主党案、並びに国が二分の一以上の出資団体、百三十三についても予責法の法的な措置がとれる、こういったところが与党案との違いというふうに自負をいたしますし、入札適正化法の強化ということで、先ほど触れた一般競争入札、JVというところも民主党案は触れているわけですが、この入札適正化法、やはりこれをもっともっと強化をしていかなきゃいけないという課題があろうかと思います。
 もう一点は、今、入札についてさまざまな改正、改革が地方自治体で行われています。これは、林議員が言われたように、地方自治体の自主的な取り組みというのは私はやはり尊重すべきだと思うんですね。ただ、いいところが多いかというと、まだまだ少ないんですね。やはりそのための法的な措置が必要なんですが。
 今国交省も取り組んでいます。例えば、予定価格を事前公表する、こういった地方自治体の流れなんですが、逆にこれが、事前公表があるがために、今までのボーリングということはもう一切なくなったんですね。ボーリング、事前調査はなくなった、予定価格を知ることは。ただ、そのかわり、もう一社が決まっていれば、そこの一社しか見積もりをやらない、あとはもう一切見積もりをやらなくなっちゃったというようなこともありますし、あるいは今、指名事由の公表を行い始めていますので、やはりこういう指名事由の公表というのは一つの改革案だろう。
 あるいはまた、横須賀市の取り組みなんかはやはり参考になりますね。横須賀市の取り組みによって、大体その落札の率、予定価格、設定価格に対して、九五パーが八七パーぐらいに下がってきた。あるいは、逆に、この横須賀市の建設業協会は、百社あったのが半分脱会をしたということも、やはりひとつ談合をいかに防止するかということで、この横須賀市の取り組みが有効であるかといったことのあらわれかと思いますので、本法案とセットでいろいろな取り組みが必要であろうというふうに考えます。
松原委員 今のお話を聞いていまして、談合の防止によって政治に対する信頼度も高まるし、また、コストも安くなる、そういったさまざまなことがあると思います。そういった意味で、この法案の成立を大変に期待したいところでありますが、以上で私の質問を終わります。
谷畑委員長 達増拓也君。
達増委員 入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案という同じ名前で民主党、与党からそれぞれ法案を出していただいているところでありますが、両法案の最大の違いは、入札談合等関与行為の定義の部分にあると考えます。
 すなわち、与党案が、入札談合等関与行為として、一、談合の明示的な指示、二、受注者に関する意向の表明、三、発注に係る秘密情報の漏えいというふうに限定列挙しているのに対しまして、民主党案は、「職員が入札談合等を行わせ、助長し、又は容易にすること」に加えまして、「職員が入札談合等が行われるおそれがあることを知りながら入札談合等を防止するための措置を講じないこと」、これをも、つまり不作為のあるいは黙示の談合放置、そういったことも対象としているところが違うと思いますので、ここは、両者にそれぞれの言い分を言っていただきたいと思います。
 まずは、民主党案の方、このような黙示の談合を含めた理由を教えてください。
平岡議員 お答え申し上げます。
 先ほど来からいろいろと審議の中でも出ていることでございますけれども、入札談合については、よく指摘されているケースとして、信憑性の高い談合情報が寄せられているのにそれに対して適切な措置が講じられていない、あるいは落札率の高どまりが長年続いているといったような状況にある、あるいは毎年行われている工事について、長い目で見ればきれいに持ち回りになっているというのに、何も適切な措置がとられていないといったようなことがよく指摘されているわけでございます。
 我々としては、このような状況を見過ごしてしまうということは立法に当たって適当ではないというふうに考えて、黙認といったような不作為を今回対象に含めることにしているわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、もともと、例えば予算執行職員等については、こうした談合が行われていることがわかっていながらその入札手続を進めるということについては、彼はその責任を問われるという立場にあるわけであります。
 先ほど主計局次長さんの方では、この法律自体は、予算執行職員だけじゃなくてほかの職員も含まれているからいろいろなケースがあり得るんじゃないかということで、その検討が必要だという答弁がありましたけれども、予算執行職員について、少なくともそういう責任を問われるということは非常にあるわけでありますから、こうしたことが除外されてしまうような立法は適当ではないというふうに考えて今回入れさせていただいたということでございます。
達増委員 では次に、与党案、そこのところを含めなかった理由をお答えいただきたいと思います。
林(義)議員 今のお話ですが、平岡君からも話がありまして、民主党の方のお考えも私もわからぬではない。しかしながら、法律というものを書いて、だめだと書いて、人を殺したら罰せられる。人を半分生かしておいたままでも罰せられるというようなことを書くということは、法律としてはできないわけですよ。
 それから、不作為でもってもやっちゃいかぬということはわかるんですが、さあ、それで、やはり損害賠償をやったりあるいは責任をとらせなくちゃいけない、こういうことでありますから、そこまでやるためにはやはり相当はっきりしておかないと、おかしなことがあるから全部だめだぞというのでは、私は、執行職員の方も大変だと思うし、どこまでやったらいいかというのはなかなかわからないというような話ではいけない。法律で書くときには、少なくとも損害賠償の規定とかなんとかの規定を置くということならば、そこをやはりはっきりしておかなくてはいけない。
 だから、今私たちが提案していますところの三つの案だけで果たして十分かどうか、これも私たちは随分議論いたしました。二十何項目にわたって議論を重ねたのですが、その議論の過程において、ここはどうだろう、しかし、逆の場合を考えたら、それはまた逆の考え方じゃなくて同じような考え方ができる場合もある、こういう形で、本当に悪いというところだけはやっていく。しかしながら、それだけで足りるということになるかどうかというのは、これからやはりやってみなくちゃいけない。
 先ほど来お話がありましたように、各地方公共団体等でいろいろ調べておられるわけです。そういったところをやはりベースにして、これからどういうふうな格好でやっていくかというのは、お互いやはり協力をしてつくっていかなくちゃならない。国会はやはりそういったものについて責任を持ってやっていく必要があるんじゃないかと私は思います。
 残念ながら、どこまでがやれるかという話というのは、私らは、正直言って不作為の行為はやれない。はっきりしてやれる、ここだけはまずいですよ、こんなことをやってはいけませんよということからまず始めていって、その後どうするかというのがこれからの問題じゃないかな、こう思います。そうした意味で、私は、いろいろな点でこれから考えていかなければならない問題じゃないかなと思っています。
 こういった談合行為がおかしい、談合関与行為もおかしい、それは、やはり談合をすることによって、国または地方公共団体に対していろいろな損害を与えることになる、また、国民の信頼を損なうようになる、そういったことに対する措置でありますから、やはり厳しいものは厳しくやっていかなくちゃいけない。しかし、何をやっているのかわからないけれどもというような話までやっていくということになったら、かえってまた政治なり行政に対する不信が出てくるんじゃないか、こういうふうに思っておるところであります。
達増委員 自由党で議論した結果は、民主党の考え方に賛成ということであります。
 例えば垂れ込みのようなもので、非常にいいかげんな垂れ込みもあるのではないかということについては、その中身、本当にいいかげんな、だれかわからないような、匿名でいいかげんに行われる垂れ込みと、例えばきちんと名乗った上での垂れ込み、また、その中間として、名乗りは上げないけれども、当該取引、その談合の実態について具体的な日にちとかいろいろ書いてあって、これはかなり信憑性が高い、そこに線を引くということはできると思うんです。それは立法府の意思として国会審議の中で明確にしておくとか、あるいはガイドラインを別途つくるとかいう手段で、その白と黒の間に線を引くことはできると思うんです。
 今問題になっているのは、先ほど平岡委員が質問の中で、九十九の事例のうち八十七については発注者側の責任がとがめられていないという実態を紹介しましたけれども、やはり談合の実態としては、かなりに発注者が関連している可能性が高いわけですね。
 予定価格というものがなければ予定価格ぎりぎりの談合ということができないわけで、その予定価格を知り得るためには、発注者側が何らかの形で、よくジャーナリスティックに言われるところでは、数字を机の上に置いておいてそれを持っていくのを黙って黙認するとか、それは今の与党案ではグレーで、与党案の定義に入るかどうかはっきりできない、そういうグレーなものについてもきちんとカバーして高い抑止効果を持つという点で、この民主党の考え方を支持するものであります。
 さて、民主党案は、入札談合等関与行為の防止その他の入札及び契約の適正化等に資するための予算執行職員等の責任に関する法律等の一部を改正する法律案というものも今回提出していますけれども、この中で一番重要なポイントの一つは会計検査院の強化だと思います。この趣旨について伺います。
武正議員 達増委員の質問にお答えをいたします。
 公取がこの官製談合の件に関して、ある面外部からチェックするといったことに対して、予責法の強化と院法、会計検査院の強化によって、ある面内部というんでしょうか、予算執行責任者のところに会計検査院が関与して、中から、内部からやはりチェックをする、外と内と両面からというのが民主党案の特徴でございます。
 そういった中で、先ほどお話ししたように予責法の強化をしておりますので、これによって会計検査院がさまざま、憲法で独立した機関として位置づけられております会計検査院がより積極的に活動ができる、動きやすくなる。当然、これによって会計検査院の業務は増大するものと予想されるわけでありまして、それに応じるような形で、検査官の人数を三人から五人、あるいは立入調査権限の付与、あるいは会計検査院の組織の拡充と権限の強化などを行おうとしているところであります。
 特に、具体的に述べますと、これまで依頼という形でしかできなかった資料の提出、鑑定を求めることができること、あるいは一般人から異常事実の報告を受けることができること、これまでは各省各庁の長だけだったわけですね。そしてまた、最初に触れましたように、公取へ通告ができる、これまでは検察庁だけでした。このような観点で会計検査院の強化を行ったわけであります。
達増委員 それから、民主党はもう一つ、独禁法改正案も提出されていまして、これは公正取引委員会を総務省から内閣府に移すというのが内容であります。このことは、私も四月にこの経済産業委員会でぜひそうした方がいいということを述べておりまして、その点にも賛成しております。
 さて、これは公正取引委員会、政府参考人に伺いますけれども、いかに官製談合というものが公正な競争をねじ曲げているかということで、予定価格ぎりぎりでの談合が行われることによって、また、特に官側が予定価格の決定についても高目に設定したりすることと絡んで、かなりの税金がむだに使われている可能性がある。
 公取の立入検査や排除勧告が行われた後で入札をやり直した場合に、談合当時の予定価格の二割から三割、新しい落札価格は二割から三割低い価格で落札されているという調査もありますけれども、どのくらい税金のむだ遣いになっているのか、その辺を伺いたいと思います。
上杉政府参考人 お答えいたします。
 国や地方公共団体が入札談合を防止するための取り組みを強化している動きが広がる中で、一部に平均落札率の顕著な低下が見られるという指摘があることを承知いたしております。また、私どもの事件審査を開始した後、談合が崩壊いたしまして入札価格が顕著に下がるという事例も承知いたしております。あるいは、談合が個別の物件について成立いたしませんで、業者間でたたき合いになってしまうというような事例も承知いたしております。
 しかしながら、これらを全体としてどのように計算するのかはなかなか難しゅうございますので、予算全体でどの程度支出が増加しているかは承知していないところでございます。
達増委員 例のムネオハウスについては、四億二千万円で落札されたものを、二億円で落札会社が他の会社に丸投げし、差額二億二千万円、いわば税金のむだ遣い、しかもそれが政治に還流されている疑いがあるということが起きております。
 おととし、予算委員会で私取り上げたんですが、愛媛県八幡浜のトンネル、これは地元の業者が十九億円で落札をしたけれども、ゼネコンに十三億円で丸投げした結果、六億円の差額が出ている。こういう事態が今国会においても、加藤紘一氏の秘書佐藤三郎氏の山形県内における無理な金集めのためのあっせん、口ききといった談合介入、また業際研尾崎氏の同様な談合介入でありますとかあっせん、口きき、また鈴木宗男問題でもいろいろ指摘されております。
 そういった予算のむだ遣いということが、税金のむだ遣いということがこの官製談合に絡んであるわけでありまして、これが今の日本の、これは政治、行政のみならず経済の低迷にもつながっていると思いますので、ここはきちんと対応しなければならないと考えます。
 さて、今答弁の中でもたたき合いという話が出ましたが、談合にも一理あるのではないか、特に中小零細建設・土木関係業者のそういう声がありまして、完全に自由に競争すると物すごいたたき合いで、いわゆるダンピング受注になってやっていけない。
 ダンピングというのも、これは不正競争の一つだと思うんですね。貿易交渉ではダンピングというのは特に問題になっていて争訟にもなっているわけでありますけれども、やはりこういうたたき合い、いわゆるダンピング受注というのを防いでいくことも公正な競争を確保するのに重要だと思うんですが、この点、いかがでしょう。
楢崎政府参考人 先生御指摘の安値受注の問題でございますけれども、御承知のように、会計法等で低入札価格調査制度及び最低制限価格制度というものがございまして、政府としては、昨年の三月九日に閣議決定をして、こういった制度を活用してダンピング受注を排除するという方針が立てられているところでございます。
 一方で、また独占禁止法では、採算を度外視したコスト割れ価格で競争を侵害するあるいは他の事業者の事業活動を困難にするといった場合には、不当廉売として規制をされるわけでございます。
 特に、私ども公正取引委員会といたしましては、情報システム、これから情報化社会に向かって官公庁が情報システムの調達を入札等で行っているわけでございますけれども、特に、この場合には、一たん受注するとその後において有利になるといったことから安値受注がかなりあったわけでございますけれども、昨年一月に私ども調査をいたしまして、どういった場合に独占禁止法上の不当廉売に当たるかどうかという考え方を公表するとともに、昨年の十一月以降、個別の案件につきまして、著しい安値受注につきまして警告、公表等の措置をとると同時に、関係団体に対しまして、会員に対し再発防止策の徹底を講ずるように要請をしている、このような取り組みを行ってきているところでございます。
達増委員 これは、市場原理というものの真価が問われているところでありまして、理論的にいえば、数量一定の需要曲線に対して供給曲線、それがどれだけ低い価格になるかということなんでしょうが、歯どめなく供給曲線が下がっていくという現象、これは、心理的な要因もあるんでしょうけれども、やはり市場自体の健全さという点では工夫の余地があるので、ここはかなり取り組んでいかなきゃならないところだと思います。
 さて、最後に、民主党提案者に伺いますけれども、先ほど述べましたとおり、官製談合というのは日本の政治、経済、社会にとって大きな問題だと思いますが、これをなくしていくことはどのような意義があると考えていますでしょうか。
武正議員 お答えをいたします。
 ことしも、政治家あるいは地方の首長と、お金をめぐるスキャンダルがありまして、国会議員、地方自治体の首長が相次いで辞職をしたり逮捕されたりしております。官製談合をなくすということは、やはり政治家、首長による公共事業への不当な介入を阻むことになり、特に、ことし高まっております国民の政治不信、これを払拭することができるのではないかというのが第一。
 それから二点目でありますが、経済ということでありますが、談合により九九とか九八の高い公共事業の受注価格、これをやはり低目に抑えることによって、もちろん貴重な税金を効率的に使うことができる。
 そしてもう一つは、やはり多くの事業ができるのではないか。例えば、ある市が、一億円の公共事業があって、一千万円で十の事業をやっていたのが、これが、例えば五百万円になれば二十の事業ができる。国民の福祉向上に役立つだろう。加えて、例えば一千万円の事業を五社でやっていたのが、ですから二百万円の五社でしたけれども、百万円の十社になった場合、総事業費は変わらないけれども、経済波及効果でいうと、雇用ということでいうと、十社が事業をやるのと二十社が事業をやるのと、やはり雇用効果が違うんじゃないかなということが経済であります。
 最後に、社会でありますが、日本の国会は、公正な日本社会の実現ということで、やはり国会議員はその務めがあろうかと思います。その実現を目指すといったことでありまして、それがやはりこの法案の目的にもかなうだろうというふうに思いますし、よく言われるお上意識ですね、公権力に近づくことによって公共事業の受注にあずかれるという、このお上意識というものをいち早く脱却しなければいけないというような点で必要と考えます。
 以上です。
達増委員 時間ですので、終わります。
谷畑委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 与党、そして民主党から提出されておりますいわゆる官製談合防止法案について御質問いたします。
 公正取引委員会が昨年度法的措置をとった独禁法違反事件は三十八件、そのうち入札談合事件は三十三件と、その大多数を占めております。地方自治体の中には、入札制度の透明性を高めて、談合を排除する仕組みづくりに取り組んでいるところもありますが、談合そのものは減っていない実態があります。
 談合行為に発注者である官公庁が関与していても、これまでは関係省庁への要請でとどまっていたわけですが、法案では、公正取引委員会の権限を強化し、入札談合に関与した職員らが属する発注者に対して改善措置要求を行えるようにし、改善措置要求を受けた省庁の長に対して調査を義務づけています。談合を防止する一定の効果があると思いますが、与党提出法案では、発注者側の指定職員によるいわゆる身内調査にとどまっている。身内調査で真相が本当にわかるのか疑問に思うわけですが、その点、どのようにお考えでしょうか。
林(義)議員 今のお話ですが、身内調査でまずやるということは大切なことだ。少なくとも発注者として、発注者というのは、仕事を出して、そしていい仕事をしてもらって、安くやってもらってと、こういうことですから、当然に身内でまず調査をしなくてはいかぬ。その身内でやっていること自体がおかしいということになったときに、私は、外に頼むということもあるだろうと思うのです。
 そういった意味で、地方公共団体などでまず身内の調査をやりまして、どうも身内の調査でおかしいぞというようなことを地方自治団体の方で考え出したら、やはりそこはおかしいから、それは地方自治団体の方でどうももう少し調べたらどうだというような話が、これは地方公共団体の方から当然出てきていい話だろうと思うのですね。そういったような格好でまずやっていかなければならない。
 まず発注者が、自分のところでやった職員のこのところがおかしいぞ、あれがおかしいぞ、こういうことをまずやっていくことが必要だ。そういうことを中ではっきりさせてやっていく。発注者側の責任である。公正取引委員会の法律に違反するかどうだということだけでなくて、私は、本来発注者の責任じゃないかな、こう思っておるところであります。そういった形で、まず発注者の身内の中で調べて、それから、足りない、どうもおかしいぞということになれば、発注者の長がいろいろな形でほかの人に頼んで調べてもらおうということは当然にやってしかるべき話じゃないか、こういうふうに思っておるところです。
塩川(鉄)委員 あわせて、この調査について、民主党提出法案ではどのように対応されるのか、お聞きいたします。
武正議員 塩川委員にお答えをいたします。
 民主党では、特定な職員を指定する、そして調査を行わせるというようなことは決めておりません。それは、各省各庁の長の責任においてやるということであります。それは、やはり長の責任として回避してはだめなんだということで、長みずから、まあいろいろなやり方があろうかと思います。当然、第三者機関というようなことも考えられる一つの選択肢かとも思います。
 また、逆に、与党では、地方自治体の自主的な取り組みの尊重というふうに八条でうたっておりますが、地方自治体では、逆に、特定の職員を指定できないような、先ほど林議員からあった、六十名ぐらいの自治体というのもあるわけですから、果たしてこういう形で明記するのはいかがなものかなというふうに思いますし、また与党では、やはり国有林野の監査官とか郵政事業庁の郵政監察官、こういったところも想定されているのかなと思いますが、今回の郵政公社化法でも、郵政監察官、身内が身内を裁くのはいかがなものか、非常に議論になっておりますので、こうした形で特定の職員と明記するのは、民主党としてはやっておりません。
塩川(鉄)委員 この官製談合防止法案をつくられる背景となっていました北海道庁の農業土木工事の談合事件でも、政治家と業者のつながりが記された書類やメモの分析を行った北海道の農政部は、作成した職員の記憶があいまいで、口ききは確認できなかったとしています。農政部長も記者会見で、内部調査の限界、このように述べているわけですから、第三者機関による調査こそ求められているのではないか、そのように思います。
 その上で、今長野におきましては、脱ダム宣言の公約を守ろうとする田中知事に対して、多数会派が不信任を突きつけて、日本共産党のみ反対でこの不信任案が可決をされ、知事選挙が行われようとしております。この長野県でも、公共工事の談合が大きな問題となってまいりました。その長野県が設置をしました公共工事入札等適正化委員会というのがありますけれども、公共工事の入札・契約の適正化を図り、談合をなくすことを目的に設置をされたものです。週刊誌でも、談合バスターズと紹介されるなど、その取り組みが注目をされています。この前、七月九日に開かれた初会合でも、脱ダム宣言でも焦点の一つになった浅川ダムについても、談合疑惑の追及がこの委員会に託されたという報道もされています。
 資料を配付していただきたいと思うのですが、この資料に、浅川ダムの本体工事の入札結果を紹介しておきました。これは県の資料ですけれども、十社のJVの中で落札をしたのが、前田・フジタ・北野のJVになっています。上の方にありますように、予定価格、税抜きで百二十七億七千万円に対して、入札書の記載金額が百二十三億円、これに消費税が入って落札決定額が百二十九億一千五百万円、落札率九六%という数字が出ているわけです。これは、私どものしんぶん赤旗が入手しました、東京に本社がある山崎建設が作成をした内部文書に記載されていたダム工事の本命企業一覧に記されていたものの一つであります。五年前から山崎建設の作成した本命企業一覧に、浅川ダムについても前田・フジタ・北野のJVが記されていて、そのとおり落札をされたわけであります。
 昨年十一月の衆議院の国土交通委員会で私どもの瀬古由起子議員が、この問題について公正取引委員会として調査を開始するよう求めたのに対して、根來委員長が、対処について検討すると答弁をされております。その後、この問題に対して公正取引委員会でどのように対応されたのか、お聞きします。
根來政府特別補佐人 前提として申し上げますけれども、選挙に絡む話でございますので、余り役所からあれこれ申し上げるのは大変困ることでございますけれども、前、瀬古委員からお話のあった案件ということについて申し上げますと、独占禁止法の四十五条に、何人も公正取引委員会に事実の申し立てをしまして調査を求めることができるという規定がございます。だれが申し立てたかということについては今まで公表していないわけでございますが、これは国会で御質問になったことでございますから、瀬古委員のお話はこの四十五条の一項の適用を受けるものというふうに私どもは理解しているわけでございます。
 したがいまして、二項に、この報告があったときには、公正取引委員会は、事件について必要な調査をしなければならないということを受けますので、私たちはこの二項の規定に基づきまして調査をしているというふうに申し上げることができると思います。
塩川(鉄)委員 談合情報というのは県の方にも多数寄せられております。先ほど紹介しました長野の公共工事入札等適正化委員会の最初の会合におきましても、配付された談合情報資料の中には、九九年度に四工事、二〇〇〇年度に十五の工事、二〇〇一年度に四十六工事、今年度も既に十三工事に対して談合情報が寄せられております。ここで紹介した浅川ダムに関連しても、二〇〇〇年度、二〇〇一年度と二回も談合情報が記載をされている。こういう点でも、ぜひともきちんと対応していただきたいと思います。
 その長野においての談合の問題にかかわって指摘をしたいのが、ここに長土会という団体の会員名簿があります。これは配付された資料の右側にも抜粋という形で紹介をしましたけれども、この団体は、長野県土木部及びその外郭団体に勤務した退職者によって構成されているという形になっておりますが、退職後に大手ゼネコンの長野営業所など、公共工事を受注する側である建設会社に多数天下りをしているということがこの名簿からもうかがうことができます。延べ二百数十社への天下りの名簿ということになっています。
 資料については、これは主に大手ゼネコンへの天下りを拾い出したものであります。各建設事務所管内に、退職時の所属のこういう方が現在このようなそれぞれの建設関連企業に在籍しているということを紹介しているものです。
 この会員名簿を見ましても、この名簿の後ろの方に企業の名刺広告があるんですが、この名刺広告の中にもわざわざ長土会会員はだれだれということまできちんと記して、うちの建設会社には長土会の方がだれだれいますよということをきちんと名刺広告にも記載をして宣伝、PRするというような中身になっているわけです。
 この長土会というのは、いわばゼネコンなど建設関連業界に天下った土木部OB組織と言えるようなものではないか。浅川ダムを受注した前田・フジタ・北野JVにも、それぞれの企業に土木部OBが天下っておりますし、入札に参加をした十社すべてのJVで見ても、それぞれすべて二社以上に土木部OBが在籍をしているということが見てとれるわけです。県庁OBが建設会社に天下り、県とのパイプを売りに工事を受注する、こういうような構図が透けて見えるわけであります。
 北海道の官製談合事件でも、北海道自身がみずから組織的な関与、つまり官製談合だったことを認めた報告書、一昨年まとめたこの報告書の中でも、OBが在籍している業者は特定業者のうち約二百十社であり、本庁において目標額を設定する際にOBの在籍状況を配慮していた、また、OBの在籍等の個別要素を考慮して目標額の調整を行っていると述べているわけです。
 北海道の報告書でもこのように指摘をしているわけですね。そういう点でも、OBが談合に関与しているようなことが全国的に行われているのではないか、このような疑念が生じるわけですけれども、こういう現状について提出者としてどのように受けとめていらっしゃるのか、率直にお聞きしたいと思います。
林(義)議員 OBがかつて役所の一職員としてやっておった、仕事も土木関係をやっておった、今度民間に行って、しかも民間の中でOBだけの集まりをしてやりましょうと、これは、OBとして集まってやるということ自体が悪いとは私は思いません。
 しかしながら、そこでいろいろ話をしたりなんかすれば、まさに談合行為の前段階を来すものだというふうに疑われるかもしれない。では、そのOBが話をして、談合でやりましょう、こういうふうにしたときに、今度その話し合いをやったから、それに、役所の人がずっと行って、先輩のところへちょっとごあいさつに行ったからということでやったときに、ごあいさつに行っただけで役所の関与行為だというふうにとられたのでは、これはどうにもならぬじゃないか、こういうことだと思うんです。
 しかしながら、そういったような話し合いというのは、私は、どこそこを全部話し合いをなしにしろというわけには、正直言ってなかなかいかないと思うんです。土木関係のところにずっとおられた、しかも、年はまだそんな、六十にもなっていない、あるいは五十歳代でやめて民間に行ったら、まだまだ仕事をしていかなくちゃいかぬ。もう六十になったら毎日遊んで暮らせるというような話じゃないと私は思いますから、そういったような人の仕事のことも考えなくちゃいけない、こういうことだと思うんです。
 そういったような話の中で規制をしていくというのは相当に、私はこの法律で考えたのは、そのときにも、やはり談合行為だ、こういうふうな話、関与行為だということが明白になるようなことでないと、単に先輩として集まって一杯飲んだから、それで全部だめだというような話になっちゃったら、この社会の中のお互いの友好関係というのは崩れてしまうんじゃないかなという感じを私は持っています。いささか保守的な考え方かもしれませんけれども、私はそういったような格好で日本の社会は動いている、その中でどういうふうなことがいかぬかということをさらに突き詰めてやって、本当に悪いということをやっていくことが必要なことだと私は思います。
 そういった意味で、全部が悪いという、しかしながら、悪いところを、悪いことを出すような土壌を持っているということだけは事実ですから、その辺も十分に考えてもらわなくちゃいけない。それを法律でもって規制するかどうかというのは、私は、むしろそういった、何とか会というのですか、その会の規律の問題だ、その会自体の責任の問題じゃないかなという感じを持っていることを申し上げています。
 これは別に、自民党でこんなことを決めたわけでも何でもありませんが、全く私の個人的な考えとして申し上げておきたいと思います。
塩川(鉄)委員 今回の法案では、OBの関与について物を申すという仕組みにはなっていないわけです。そういう点で、実態とすると、例えば、同じ長野県では、土木部の技監でつくる信濃会というOB組織もあるわけで、そういうことの関連も含めて、田中知事も、ダム工事がとまらないそういう背景にうかがい知れぬ何かがあるんじゃないかと言った中身として、私は、やはりこういった天下りの実態というのが現実にいろいろな弊害を生み出しているんじゃないか。そういう点でも、こういう天下り問題にもメスを入れることが、本当の意味で政官業の癒着、官製談合を断ち切る上での大きな力になる、このことを思うものです。
 それから、もう一点お聞きしたいのですが、北海道庁の官製談合事件に関連して、公正取引委員会に押収をされて道に返却された資料の中、情報公開がされた中を見ますと、こういった道庁OBの口ききの話も出てきましたけれども、北海道知事、それから三人の国会議員、二十五人の道議会議員という政治家の名前もあったわけです。こういった政治家の関与に対してどういう措置がとれるのか、この点を改めて確認したいと思います。
林(義)議員 この問題も、今申し上げましたような先輩の問題と類型として同じような話じゃないかなと思うのです。
 道議会議員とかなんとかというのになって、これはやはり道政に大変関与しているわけですから、道政の中においていろいろなことを一般論として言うこと自体は、私はこれは差し支えないんじゃないか。
 ただし、個別の案件について、ここはぜひこれをやってくれとか、この工事はこれとこれとをやってくれとかというようなことを言えば、やはり口ききになるわけですね。その口ききになってやるということになれば、これはあっせん利得法とかなんとか今度新しい法律ができましたけれども、そういった形での規制をやはり厳重にやっていかなければならない話だろう。
 しかし、こちらの法律はそういったものとは別にして、官の方に対して官製談合行為を、関与行為を抑える、こういうふうな形でやっているわけですから、ちょっと話は、そこは違ってくる話じゃないかな。
 しかしながら、決していいとは私も思いませんし、そういったことがやはり行われているということも事実ですから、これをどうしてやっていくかというのは、あっせん利得法か何かの運用であるとかその他のことも考えていくことが私は必要ではないかな、こう思っています。
 特に知事とか国会議員とかというものについては、やはり相当上の人ですから、相当な権力があるのですから、権力者が権力をかさに着て力を入れてやるということは、私は行政のあり方としておかしい、いいことではない。いい方向でやるのならいいですよ。悪い方向にやるということについて、やはりその辺はそれぞれが襟を正さなければならない問題じゃないかな、私はこう思っておるところであります。
塩川(鉄)委員 官製談合の問題、実効あらしめるものにする上でも、今言った、職員の背後にある大きな力である政治家なりあるいは天下りOBに対してもきちんと対応すべきです。そういう点でも、私は、中身を実効ある、政官業癒着を断ち切るという点での天下りについての是正の措置ですとか、口きき政治を生み出すような、その原因となる企業献金の禁止もきちっと踏み出す、公共事業受注企業からの企業献金の禁止などはぜひとも直ちにやるべきだ、この点も求めて質問を終わります。
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。
 御承知のように、入札談合等については、これまでも独占禁止法が対象を事業者に限って規制しておりましたけれども、官側についても違反支援行為に対して排除措置などの制度をつくるべきという意見があり、私どももそのように考えておりました。したがいまして、今回こうした趣旨の法案が提案されましたことに、まずは評価できると申し述べておきたいと思います。
 入札談合を排除、防止する際にポイントとなるのが公正取引委員会であると思っております。公正取引委員会については、これまで司法改革の中でも議論されてきております。公正取引委員会は総務省の管轄から内閣府に移し十分な機能が必要であるという指摘がある一方で、公正取引委員会が扱う事例に対する姿勢そのものにも問題ありと指摘する意見も出ております。
 さて、小泉総理は、昨年、二〇〇一年の五月七日の所信表明演説で、公正取引委員会に言及しております。「市場の番人たる公正取引委員会の体制を強化し、二十一世紀にふさわしい競争政策を確立」すると述べられました。これは、談合列島とも言われる日本を、公正かつ自由な競争社会につくり変えたいというメッセージとも受け取れました。
 私自身は、競争社会自体に根本的な異論はあるものの、しかし公正取引委員会の現状を考えれば、その後小泉内閣が進めた構造改革にもそうした発言内容が盛り込まれると思っておりました。しかし、小泉総理は、公正取引委員会の所管を総務省から内閣府に移す意向もあったようですが、結局は現在のところ実現されておりません。
 さて、入札談合防止に向けた公正取引委員会の権限強化は、市場の自由化が進む中、市場の番人としての体制づくりが必要であると思います。
 そこで、民主党の法案提出者にお伺いします。このような観点から、与党案に対しどのような御感想をお持ちか、お尋ねしたいと思います。
武正議員 お答えいたします。
 大島委員御指摘のとおり、やはり内閣府に公取は置くべしということで民主党案を出させていただきましたが、与党案ではその法案はございません。総務省に置かれているということで、通信や放送あるいは郵政、こういった事業の監督をする総務大臣のもとに、その適正な競争を監視するべき立場の公取が置かれているのはやはり問題があろうというふうに考えます。
 また今回、民主党案では、公取から会計検査院への通知ということを法改正しておりますのは、公取独自だけでもなかなか、今の強化といった点では弱い点があろうかと思います。公取と各省各庁の長がある面緊張関係にあるためにも、そこに会計検査院を絡ませたというところが民主党案でございますが、与党案ではこれがございません。
 あと、与党案では、これは第六条でありますが、入札談合等関与行為、損害賠償、懲戒事由の調査に当たり、内部の職員を指定して調査させる旨規定していますが、これについての調査の効率性、透明性の確保という点が課題となっていると思いますので、民主党はそこに会計検査院という形で絡ませていますし、特定の職員ということを避けて、長がみずからの責任においてやるといったところが違うかと思います。
 以上です。
大島(令)委員 同じく民主党の法案提出者にお伺いします。
 民主党案の第七条について、この規定は与党案にはない内容でございますけれども、お尋ねいたします。
 ここでは会計検査院への通知義務を規定しておりますが、その趣旨はなぜなのか、御説明をお願いします。
武正議員 民主党は既に日本版GAOということの法案も出しておりますが、それは、会計検査院の独立性をより高めるには、アメリカのGAOのように国会のもとに置くべしといったことも法案として出しているところであります。
 今回、公取から会計検査院への通知の規定を設けたのは、先ほど触れましたように、公取が外部から官製談合に対してアプローチする、一方、予責法の改正によって、会計検査院は、予算執行職員といったところで適正に予算の執行をできているかチェックをするといった点で会計検査院法も改正をいたしまして、会計検査院から公取へも通知できるように、相互連携ができるようにという形での趣旨でございます。
大島(令)委員 第七条の条文では、「公正取引委員会は、入札談合等関与行為があり、又はあったと認めるときは、その旨を会計検査院に通知しなければならない。」としておりますけれども、「入札談合等関与行為があり、又はあったと認めるとき」について、例えば、この件は通知して、この件は通知しないという、公正取引委員会に裁量が働くということはございませんでしょうか。
 例えば、相手は会計検査院ではありませんけれども、談合、カルテルに関し、刑事罰は、公正取引委員会が検察庁に告発しなければならないことになっております。公正取引委員会はこの告発をほとんど実施しておりません。最近五年間で二件だけにとどまっております。相手は検察庁でありますけれども、公正取引委員会に裁量が働かないという保証が必要であると思いますけれども、この件に関して、提出者はどのように考えておりますでしょうか。
平岡議員 お答え申し上げます。
 民主党案では、入札談合等関与行為ということについては、法律の第二条の第五項において明確に規定しております。中身としては、「職員が入札談合等を行わせ、助長し、又は容易にすること」、そして、職員が入札談合等が行われるおそれがあることを知りながらこれを防止するための措置を講じないことというふうに法律上明確に示しているところでございます。
 そして、これらの行為に該当すると公正取引委員会が認める限りは、法律に書いてありますように、「その旨を会計検査院に通知しなければならない。」というふうに義務規定として書いております。義務として通知しなければならないということになりますので、会計検査院への通知についても、公正取引委員会の裁量が働くことはないというふうに法律上は規定しているところでございます。
 なお、現在の公正取引委員会が告発するケースについての御指摘がございました。この点については公正取引委員会が本来答弁すべきことなのかもしれませんけれども、私が理解している限りにおいてちょっと御説明申し上げますと、この告発については、独占禁止法九十六条において、独占禁止法違反の罪があったときには、「公正取引委員会の告発を待つて、これを論ずる。」というような仕組みになっておりまして、必ずしも公正取引委員会が告発をしなければならないという法律構成になっておりません。
 この法律のもとで、公正取引委員会は、平成二年六月二十日に独占禁止法違反に対する刑事告発に関する公正取引委員会の方針というものを定めているというふうに承知しておりますけれども、その中でもいろいろ書いてありますけれども、基本的な方針としては、公正取引委員会の行政処分によっては独占禁止法の目的が達成されないと考える事案について告発を行うんだというような方針が示されているというふうに考えております。
 そのように、法律の仕組みが今回の我々の通知義務と違った仕組みになっているので、委員が御指摘のような、告発についてはちょっと裁量が働き過ぎではないかというふうな事態が生じているのではないかというふうに考えておりますけれども、我々の方は、義務規定ということでございますので、そうしたことはないというふうに考えている次第でございます。
大島(令)委員 次に、公正取引委員会に質問いたします。
 与党案には、第三条の五項と第四条三項で、「各省各庁の長等は、」「調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。」と規定しております。これまで、住民側と発注機関に対し、どのように対応されてきたのか、情報の公開等に関してでございますが。また、与党案が成立した場合にはこの対応はどのように変わっていくのか、御説明をお願いしたいと思います。
上杉政府参考人 お答えいたします。
 公正取引委員会が審査活動を遂行する上で、申告人から提供される情報、申告に係る情報というのは極めて重要でございまして、その情報を秘匿することが極めて我々の審査活動にとって重要でございます。したがいまして、そのために万全の努力をしているところでございます。
 かかる観点から、これまで申告人に係る情報を第三者に提供したことはございません。住民や地方公共団体からの住民監査請求のための資料提供要請、あるいは利害関係人からの謄写・閲覧請求、こういうものもございますけれども、申告人の情報を提供したことはございません。また、情報公開法に基づく情報公開請求につきましても、不開示情報、個人情報ということで、これまで開示したことはありませんし、将来にわたっても開示することはないということでございます。
 また、与党案が成立した場合の対応でございますけれども、私が述べたような対応はこの法案が成立した場合に特に変わるものではないということでございます。
大島(令)委員 もう一度公正取引委員会に伺います。
 東京拘置所がございまして、そこには政治家の方も拘置されております。外に三つ売店があります。かっぱえびせんとかチョコレート、ポテトチップス、大体同じようなものが三百円ぐらいで売られております。缶詰、カニ缶ですとか牛肉の大和煮、これらは千円ぐらいで、三つの売店が大体ほぼ横並びの金額です。私は非常に金額的に、一般のスーパーとかお店で買うより、同じ種類のものが値段が高いなと思っております。
 ここで問題なのは、拘置されている人にこれらを差し入れするときに、ここの売店のものしか差し入れができないわけなんですね。いろいろあると思うんですね。拘置所ですから、自殺をしたらいけないとか食中毒になったらいけないからここの売店でということでございますけれども、非常に金額が高い。そして、拘置所の人がまた自分の金銭で中のものを買うとき、これもそうでございます。
 そして、今回のは、皆さん入札談合ということで公共事業の入札にかかわることを主に取り上げられておりますけれども、物品の調達も今回の法案に関係すると思います。
 それで、官側がこの売店の方に指導的に関与するというふうに私は受けとめられるんですが、こういうケースに関して調べる必要があると思うのか、ないのか、これは仕方がないのか、どのように解釈したらよろしいのか、教えてください。
上杉政府参考人 ただいまのお尋ねで、拘置所には拘置所のいろいろな政策、方針があろうかと思いますので、その点については承知いたしておりませんが。
 それと、私どもといたしまして、特定の狭い市場におきまして価格が高いという場合に、なかなか外からは入れないという場合に高いということも承知いたしておりますが、その場合でも、話し合いによって高くするということであればやはり独占禁止法上問題ということも考えられますでしょうし、近隣の店の価格を参照しながら、向こうも高いからこちらも高いというふうなことであれば独占禁止法上問題にすることは難しいのではないかというふうに考えております。
大島(令)委員 承知していないということでございますが、では、名古屋拘置所、全国に六カ所拘置所があるわけなんですが、名古屋拘置所もやはり同じなんですよね。漫画本ですとか週刊誌、それは定価販売ですから、独禁法の適用除外として、同じ金額で売られています。しかし、ノートとかボールペン、そういうものは本当に市販のものより高いわけなんです。
 私、これはなぜだろうかと常々思っておりましたので、きょうはせっかく公取の局長に来ていただいていますので、拘置所に入っている方への差し入れ、やはりお金のない人もいるんですよね、だから私たち差し入れするわけです。政治家の人はお金があると思いますけれども、ほとんど拘置所に入る方は、犯罪を犯した実行犯の方とか、疑いのある方とか、裁判中の方でございますので、外部からの支援の人たちがしたり、家族の人はこれから弁護士費用もかかるし、そういう意味で高い。鈴木宗男さんの場合は高くてもいいかもしれませんけれども、私、やはりこれは直してほしいんですよ。
 ですから、この物品調達業者に対して、拘置所側、これは法務省の機関ですから、ここ、官ですよね、法務省、官側がお互いに指導的にそういう値段を設定しているのではないかと思うわけなんです。
 もう一度、この件に対して、では、調べていただけるかいただけないのか、見解を示してください。
上杉政府参考人 そういうところの価格が高いということだけでは独占禁止法上の問題にはすることはできないということを申し上げたわけですけれども、いろいろ御指摘でございますので、なぜ高いのか、我々としても検討させていただきたいと思います。
大島(令)委員 委員長、それではお願いでございます。
 この委員会としまして、今の質問に対して、責任を持って質問者の私に回答を下さるように取り計らっていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
谷畑委員長 はい、わかりました。
大島(令)委員 では、お願いします。
 最後に、民主党の法案提出者に伺います。
 私は、内部告発者を守るために法的な措置が必要と思いますけれども、どのように考えていらっしゃるのか、見解を聞かせてください。
武正議員 お答えをいたします。
 今通常国会に、民主党は参議院に、内部告発者の保護制度について重要性を認識し、法案を出しました。行政運営の適正化のための行政機関等の業務の執行に関する報告及び通報等に関する法律案ということでございまして、共通の認識でございます。
 また、若干内部告発と重なるところがある問題が免責ということでございまして、航空・鉄道事故調査委員会設置法、あるいは民主党が既に提出しております医療事故防止法案、こういったところでも、原因究明、再発防止、これについては、事実を知るためにはやはり免責といったことが日本の法体系で位置づけられるべきであろうというふうに考えます。
 以上です。
大島(令)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 栗原博久君。
栗原委員 このたびのこの法案に対しまして、各提案者の方々の御努力にまず感謝を申し上げます。
 この法律は、公共工事並びに物品の調達等についての官の関与についてということでありますけれども、きょうは公共事業の方にちょっと重点を置いて質問させていただきたいと思います。
 ことしの我が国の公共事業予算、大変厳しくなっておりまして、前年度に比べてことしは約一〇%ほど予算が減っておるわけであります。例えば一般公共事業関係予算を見ますと、国費ベースでは平成五年度に相当する、あるいはまた、事業費全体になりますと平成二年、三年の水準であるというふうなことを言われております。また、全体的に見ましても、なかなか厳しいものがあるわけです。
 私は、そういう中におきまして、各地方自治体、もう大変苦しい中で公共事業を推進しているわけでありまして、いかに適正な価格で工事もすばらしいものができるということで、それに対して入札制度というものがあるわけでありますが、その入札制度が曲がった形で、国民の信頼を損なうような形で入札制度があってはならない、このように思っておるわけであります。今回のこの官製談合に関します法律は、第百五十国会でつくりました公共工事の適正化法をまず遵守しながら、そしてまた、談合を防止して、国民の信頼を担っての入札が行われるように、ぜひひとつお願いしたいと思います。
 そこで御質問でございますが、今回のこの法律は、発注者の職員が入札談合等に関与しているということについて問題とする法律でありますが、現行法では、例えば独禁法の第三条、第八条一項などで私的独占または不当な取引の制限をしている。あるいは刑法におきましても、第九十六条の三の一項で競売・入札妨害罪、あるいは第二項では談合罪などがあるわけであります。また会計法令におきましても、あるいはまた公務員法令におきましても、工事や物品の調達に経済性、公平性、公明性、透明性ということを課しながら、それに反するものは懲戒罰あるいは刑事罰、あるいはまた損害賠償を請求するというようなことがあるのですが、そういう中にあっても今回このような法律をつくらなければならなかった趣旨、理由を御説明いただきたいと思います。
林(義)議員 栗原委員からのお話でございましたが、現行法でできるところも多々あります。それは、刑法の談合罪の問題であるとか、しかし、刑法の談合罪の問題は、個人について規制をしているというものでありまして、組織をどうするかというような話にはなっていない。
 それからまた、独占禁止法の問題につきましても、いろいろな意見を申し立てたり、またはいろいろな勧告をしたりすることはできるけれども、それ以上のことはそれぞれの要件があってなかなかできない、こういうふうな話であります。
 特に、この問題が出てきましたのは、談合自体の問題もさることながら、談合に関与しているようないわゆる発注者側、地方公共団体であるとか国の地方機関であるとか等々の機関においていろいろなおかしなことが行われている、これをやはり規制していかなければならない、こういうふうな話でこれは出てきたところであります。
 公正取引委員会の委員長もおられますが、公正取引委員会の委員長が、もう二年ぐらい前ですか、公正取引委員会としてもやはり何か改善を図っていかなければならないんだ、今のままではなかなか足りないんだ、こういうふうな話がありまして、こういった規定を置こうか、こういうことにしたところであります。
 したがいまして、これから、今まで少しは規制があるけれども、なかなかはっきりした規制になっていないというところをはっきりして、官製談合関与行為というような格好でのものでやっていこう、こういうふうな話であります。
 だから、悪いものを全部この法律でやれるということではありませんが、少なくとも談合行為について官側が関与しているような問題について本来のことをやっていこう、こういうふうなことでこの法律を制定することをお願いしているところでございます。
 簡単でございますが、お答え申し上げます。
栗原委員 我が国の公共投資、先ほど申したように大変減っておりまして、国費ベースでいいますと、平成十年度の約六〇%程度なんですね。あるいはまた全体、建設投資、民間も含めて見ますと、現在五十七兆円ほどある。それは十年前には、平成四年には八十四兆円でございまして、約三分の二にこの十年間で減っているわけですね。
 そういう中で、官は、地方公共団体は入札ということで適正に工事を発注するわけですが、最近やはりダンピングが大変横行しているということで、これは社会問題になっています。それは安くできればいいわけですが、しかし、安くできるといっても適正な工事でなければならない。適正な工事を外れている、そういう工事が施行されてはならないと思うんです。
 談合等については、これらのことを踏まえながら、談合がない中で、適正な競争入札でちゃんとしたものができるようにということをこの法律の施行によってなることを私はお願いしたいのですが。
 最近ダンピングが大変されて、私、国土交通省の直轄工事の資料を先ほどファクスでいただいたんですが、低入札価格、要するにダンピングという言葉が当たるかどうかわかりませんが、これは工事の積算の大体六六%、工事によって違うらしいのですが、六六%あるいはまた八五%以下のものを普通低入札価格というらしいのですが、約四年間で二倍から三倍にふえているんですね。いかに業界が、今仕事が少なくなっているか。
 例えば、現在の建設関係は約六百三十二万人おるそうでございますが、この方々は、実は、今は工事量は昭和六十二年と大体同じ工事量ですが、そのときの、昭和六十二年度の建設関係の従業者は五百三十三万人ですから、六十二年と同じ額であるけれども、それに比べて百万人ふえているんですね、建設就業者が。いかに建設就業者の方々が他の仕事に転職できないか。政府は社会保険で失業者に対していろいろ手当てされておりますが、その中でこの建設業というのは特殊なんですね。
 そういう中で、談合の必要性は、あってはならない、やってはならない、やってはならぬけれども、これはもう必要性はないわけですが、しかしながら現実的には、先ほどの現実があるということを私ども政治家は冷静に見なきゃだめだと私は思います。
 それで、質問でございますが、今度は法理論的なことを御質問したいと思うんですが、この法律をつくるについて公取もなかなか御努力されておりますが、これを行うについてやはりガイドラインが必要だと思うんですね。このガイドラインをちゃんと、市町村によっては、この談合法については大変疑義があるようなことを言っている市町村もあるというふうに先ほど答弁の中で御発言がございましたけれども、これをきっちりと、全国あまねく市町村でこれが理解できるように、そういうガイドラインを公正取引委員会で策定すべきと私は思います。また、十分各関係省庁とも協議、調整が必要だと思うんですが、その点について公正取引委員会はどのようにお考えであるか、ひとつ御答弁をお願いします。
根來政府特別補佐人 各党の御熱心な御協議の中で、やはりガイドラインの必要性ということも御検討いただいたようでございますが、これはむしろ、ガイドラインというよりも法律で明確にした方がよいという御意見のようでございました。拝見いたしました法律案ではそこが明確になっているわけでございますから、私ども、ガイドラインをつくる予定はございません。
 ただ、各党における御審議あるいは本日の御審査の中での御意見を踏まえまして、各都道府県あるいは関係官庁と十分協議いたしまして、過不足のないような行政を執行したい、こういうふうに考えております。
栗原委員 では、またお聞きいたします。
 これから公共事業等を発注する場合、その発注の額とか工事の工法等いろいろのものがあると思います。あるいはまた、工事の場所によっていろいろ取り組む体制、JVでやらなきゃならぬし、あるいは地元の本当の業者、その地域を知っている業者を指名するとか、そういうことはあると思うんです。もう一つは、やはり工区を分割するということもあると思うんですね。これは、私は、一つは地場産業の育成。やはり公共事業は、いいものを安くつくって、かつまた、地域にない、地方の産業の経済誘導策をとるのも公共事業の役目ですから、当然、地場産業の育成をどのように政策的に行うかということだと私は思うんですね。
 あるいはまた、工事に特殊な技術が要るかもわからぬ。言うならば、その地域の地形をよく知っている、例えば河川でございましたら、いつどんなに鉄砲水が出るかわからぬから、そういう鉄砲水のことをよく知っている、そういう技術的な水準のある方を指名、いろいろすると思うんですが、こういうことにつきまして、今回のこの法律の施行によりまして、これらを十分加味して私は入札指名というものはあると思うんですね。
 そこでお聞きしたいんですが、私、この法律によって発注の業務に混乱が起きないように、私が申し上げました政策的な必要性あるいは技術的な必要性などを吟味しながら、発注業務にいたずらな混乱が起きないようにすべきと私は思うんですが、この法律の適用に当たりまして、公正取引委員会は、こういうものをどのようにお考えになって、どのように御配慮しているかということをひとつお聞きしたいと思うんです。
根來政府特別補佐人 各都道府県におきまして、地域の特殊性に基づいて産業振興政策をとられることについて私ども容喙することは全くございません。ただ、そういう名にかりて不当な取引制限がありましたときには、私どもは厳正に対処するわけでございまして、御懸念のような点は全くございません。
 御指示のようなところを十分配慮して、適正な行政を執行していきたいと考えております。
栗原委員 それから、この法律によりまして、談合行為が認められる場合、官の関与が認められる場合、損害賠償請求ということが出ておるわけですが、なかなか、この損害賠償請求の算定に当たっては、問題は、その算定は公正取引委員会が算定するわけじゃございませんね。これは発注の責任者が損害賠償請求の額を算定すると思うんですが、これはやはり市町村により、あるいは県により、国によりばらつきがあってはならぬと私は思うんですね。
 そういう場合、この算定方式を、例えば公正取引委員会がそれを指導するのかどうかわかりませんが、これはやはり損害賠償の算定方式を統一化する必要があると私は思うんですが、これについてはどのように公正取引委員会はお考えであるかということをお聞きしたいと思うんです。
上杉政府参考人 お答えいたします。
 この法律案の検討過程で、与党のプロジェクトチームの整理におきましては、損害賠償請求の算定方法については判例の蓄積を待たざるを得ず、現段階では個別の事案に即して判断することとされたものと承知いたしております。
 この与党案の第四条三項というのがございまして、公正取引委員会といたしましては、発注機関から損害の調査を行う場合に協力要請がありました場合には、これに可能な範囲で最大限協力するという形で関与していきたいと思っております。
栗原委員 談合によって利益を得る者は大体業者でございますね、事業者でございますが。発注者側は、それはわいろとか何かを受ければ別ですけれども、贈収賄になれば別ですけれども、そのような利益は余り得ないと思うんですが、こういう場合、私は、やはりこういう発注者側の職員に対する損害賠償請求というものは慎重に行うべきだ。これは刑事罰の方でもちゃんとできるわけです、もしそのような行為があれば。
 これについて、公正取引委員会に対して、これは御答弁できるかどうかわかりませんが、職員に対する損害賠償については慎重に行うべきというふうに私は実は考えておるんです。ほかの刑事罰とか、公務員法あるいは関係法令によってそれは請求もできると思うんですが、これについて、公正取引委員会、お考えがあったらひとつお聞かせ願いたいと思うんです。
上杉政府参考人 お答えいたします。
 その点につきましても、与党プロジェクトチームの整理によりますと、発注機関が損害の回復の観点から事業者に対する請求を優先すべきというふうに判断した場合、職員に対して損害賠償請求を行わなくてもこの法律案の義務違反にはならないというふうに整理されたものと承知いたしております。
 私どもも、そのような趣旨を踏まえて対応したいと考えております。
栗原委員 それから、例えば、公正取引委員会が、官の、発注者側の公務員の入札談合関与行為を認めた。皆さんは発注者側に勧告をいろいろすると思うんですが、ところが、改善要求を皆さんが発注者側に行っても、発注者側がそれに応じなかった。発注者側がそうした事実はないんだと言い張る場合もあると思うんですね。こういう場合は公正取引委員会はどのように調整をされるのか。
 私は冤罪ということを言っているんですが、十分に事実の把握がない中でこのようなことは実はあり得ると私は思うんですね。要するに、発注者側は、いや、私はそんなことはやっていませんよ、あなたたちは、いや、あるじゃないかと。このときの調整はどのように図られるか、お聞かせ願いたいんですが。
鈴木政府参考人 公正取引委員会といたしましては、入札談合等関与行為の認定に当たりましては、事業者のみならず発注者の側からも事情を聴取するなど、事実関係をよく調査して行うべきものと考えておりまして、また発注者に対して改善措置を求める場合には、公正取引委員会の調査結果などを発注者に十分説明することにより、御指摘のようなこの事態、単に風評だけで申すとか、そういうことは全くあり得ないことで、そういった事態が生ずることのないよう努めてまいりたいと考えています。
 それで、公正取引委員会が改善措置を求めた後に、発注者側におかれて調査をされまして、入札談合等関与行為がないとされた場合、こういう場合、法律案に基づきますと、発注者側におきまして、調査の結果を公正取引委員会に通知しなければならないということになっております。
 公正取引委員会といたしましては、発注者側の調査も、よく御説明を聞きまして、これに新たな事情とかありまして納得できる場合もございましょうし、そうでない場合もあるかと思いますが、そのときには、特に必要があると認めるときは改めて公正取引委員会として意見を述べることができるということに法律案ではなっていますが、その過程におきましても、よく発注者側と意見の交換をしながら調整を進めてまいりたいと思います。
栗原委員 公正取引委員会の御努力には私は本当に敬意を表するんですが、ただ、公正取引委員会から改善措置等の勧告があった場合は、大体みんなもう業者の指名停止とか、いろいろなっておりますね。中には、かつて公正取引委員会からそのような措置をされて、事実でなかった、シロクロの問題は別だったということで、公正取引委員会の指摘とは違った形で最終的に裁決された例もありますわね。それによって倒産した会社もあるわけなんです。
 私は、公正取引委員会も本当に一生懸命頑張っているのはわかります。しかし、万分の一でもいいから、間違いないようにひとつ、この法律の施行によって今度これは発注者側の官にも、公務員の方にも影響を及ぼしてくるわけですから、ぜひひとつお願いいたします。
 そしてまた、この法律を提案するに至りまして、諸先生方の御努力に敬意を表して、この官製談合防止法が施行されまして、本当に国民から信頼される公共事業の発注と受注がされ、また社会資本整備、インフラ整備に少しでもこれが貢献することを祈念しまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
谷畑委員長 福島豊君。
福島委員 近年、国、地方公共団体等の職員が入札談合等に関与している事例が発生しておるわけでございます。現行の制度の中では、公正取引委員会はこれに有効に対処する権限を持っておりません。
 財政状況が悪化する中で、予算の執行を適切に行うということは重要なことでございます。また、行政に対しての信頼を維持し、公正性を確保する点から、公明党はかねてより官製談合を防止する法律の制定の必要性について主張してまいりました。
 今般、与党内での議論の集約を見、この法律案を提出するに至ったわけでありまして、速やかにこの法案の成立を期すべきであると考えております。そしてまた、この法案の取りまとめに当たられました先生方の御努力に心より敬意を表する次第でございます。
 先ほどから審議が続いておりまして、さまざまな論点についてただされております。できるだけ重複を避けるという観点から、いろいろと通告いたしておりますけれども、省略をさせていただくことをまずお許しいただきたい、そのように思っております。
 与党案の提出者の皆様にお聞きをしたいと思っております。
 本法案に基づく措置の流れは、まず、入札談合等の調査を通じて発注機関職員の関与行為を探知するというところから始まるわけでございます。まさにここの出発点というものが確保されなければならないわけでございます。談合の防止には、先ほどからるる御指摘がありますように、入札方法の改革でありますとか監査機能の強化などさまざまな取り組みが同時に必要であろうかと思いますけれども、最も大切なところは、公取の取り組みというものがあるというふうに思います。本法案が成立しました後にも、公取がこの関与行為を探知するために適切な調査というものを行っていかなければならないわけでございまして、この点についての公正取引委員会の御決意をお聞きしたいと思います。
根來政府特別補佐人 御指摘のように、私どもの仕事は今以上に重要性を持ってきておるわけでございますし、また、先ほど御指摘がありましたように、公務員の責任の追及の一助ということになりますので、より慎重に行わなければならないということでございますから、御指摘のように、勇敢にかつ慎重に、十分調査を遂げていきたい、こういうふうに考えております。
福島委員 法案成立後いかにその結果が出るかということが問われるわけでございますので、ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。
 そしてまた、この法案におきましては、各省庁の長等は調査の実施を行うというふうに規定をされているわけでございます。この調査というものが果たして適切に行われるのかどうか。内部のことでございますので、お茶を濁すというようなことがあってはならないわけでございまして、この調査の適切性というものがどのように確保されるのか、法案提出者にお尋ねをいたしたいと思います。
江田議員 公明党の江田でございます。福島委員の質問に答えさせていただきます。
 公正取引委員会から改善措置の要求があった場合の発注機関の調査につきましては、調査にふさわしい能力を有する担当職員の指定、さらには調査の公正中立性の確保、それから関係職員の協力義務と、調査の実効性を確保するための措置についてあわせて規定させていただいておりまして、再発防止に向けた発注機関の徹底した対応が求められております。
 さらに、与党案の三条六項におきましては、各省各庁の長等に対し、調査の結果及び改善措置の内容を一般に公表することを義務づけております。
 なお、発注機関における調査結果及び改善措置につきましては、公正取引委員会は必要な意見を述べることになっております。
 したがって、各省各庁の長等の調査がお茶を濁すだけに終わることはないと考えております。
 以上でございます。
福島委員 次に、この発注機関に改善措置を求めるわけでございますけれども、どういった改善措置がとられるのかということも極めて大切でございます。言葉だけの改善措置であってはならないわけでございまして、具体的にどのような措置が求められるのか、この点についての御説明をいただきたいと思います。
遠藤(和)議員 お答えをいたします。
 改善措置につきましては、これは発注機関が、みずからの調査の結果に基づきまして、再発防止の観点からつくるものでございます。
 具体的なことは、具体的な事案に即してつくられますから、ここでは具体的には言えないわけですけれども、一般的なことを申し上げますと、まず考えられますことは、組織内部における内部規則の見直しとか、あるいは職員への周知徹底、あるいは入札とか契約に関する第三者による監視機関を設置する、そして入札のあり方を透明なものにする、こういうふうなことが考えられますね。あるいは、入札に関する情報管理の徹底をする、秘密を守る、こういうことが具体的な事案に即してつくられていく、そして改善をしていく、こういうことになろうかと思います。
福島委員 この改善措置につきましては、公表または公正取引委員会への通知がなされることとなっているわけでございます。どのような措置がとられたのかということについて、公取としてもしっかりと認識をして、適切に対応していただきたいと思います。
 次に、損害賠償請求の件についてお尋ねをしたいと思います。
 先ほども栗原委員から御指摘がございました。官製談合の抑止といった観点、そしてまた納税者に対して損害を与えているんだという視点からも適切な対応がなされる必要があるというふうに思っております。
 この点について判例の蓄積を待つという基本的な考え方が示されておるわけでございますが、そうしたまとめを踏まえつつ、どういう考え方でこれがなされる必要があるのかということについて、方向性といいますか、お示しいただければと思います。
遠藤(和)議員 職員に対する損害賠償額の算定の基本的な考え方ですけれども、これは当該入札談合によりまして契約価格が上昇するわけですが、その上昇分が損害分ですから、これに対して当該職員の責任割合を乗じることによって算定できるのではないか、このように考えております。ただ、具体的にどのように契約価格が上昇したのかとか、それは具体的な入札に従って個別に判断されるわけでございまして、これは個別のケースになる、このように考えております。
 今、判例の蓄積の話がございましたが、事実、判例が蓄積されておりまして、こうしたことが発注機関が損害賠償額を請求するときに大きな資料になる、こういうことは考えられるわけでございます。あるいは、公正取引委員会とも連携することもこの法律に書いてありますから、連携をいたしましてやりたい、こういうふうに思っております。
 なお、具体的なケースといたしましては、発注者は、職員だけではなくて、業者と職員と連帯して請求するということでございますから、その場合は、その職員の額は、業者との具体的な当事者間の問題になる、このようなことになると思います。
 以上でございます。
福島委員 ただいまも御説明がございましたように、個々のケースで判断をしていかざるを得ないというところがある。そういう意味でも、この損害賠償にかかわりましても、調査というものがしっかりとなされなければいけないと思っております。さらにまた、懲戒事由の調査といったような調査もしなければいけない。
 先ほどの御質問は関与行為の有無についての調査ということでございましたけれども、その後の流れの中での調査についても、その適切性というものを確保するためにどのように考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
漆原議員 本法案における内部調査につきましては、その実効性を上げるという観点から、六条に、指定職員による調査という規定を設けておりまして、内容は四つあります。
 第一番目は、内部調査を行う各省庁の長や任命権者が、調査を実施する職員を指定するということであります。二番目は、その指定職員には、当該調査を適正に調査をするに足る能力、経験等を有する職員を指定する。三番目は、指定職員は、調査に当たっては、公正かつ中立に調査を実施しなければならない。四番目は、各省庁の職員は、当該調査に協力しなければならない。こういう四項目の措置を講じておりますので、これらの措置によって実効性のある調査がなされるものと考えております。
福島委員 先ほどから問題になっております点で、例えば会計検査院の関与でございますとか、また監査委員の関与、こういったものが民主党の御提案の中では必要である、多面的な取り組みが必要だという御指摘がありました。
 先ほど武正議員からその理由についてるる御説明がございましたが、この点について、与党として、与党の法案提出者の方にお聞きをしたいわけでございますが、与党案には盛り込まれておらないわけでございますけれども、その考え方というものについて御説明を賜りたく思います。
甘利議員 ようやっと御質問をいただきまして、ありがとうございます。
 御指摘の点でございますけれども、三条六項におきまして、公正取引委員会による改善措置の求めを受けた各省庁の長が調査の結果を公表することとされているわけでございます。公表されれば、当然会計検査院はその事実を知ることができるという状況になります。
 あわせまして、七条に、関係行政機関の連携協力に関する規定を置いているところでございまして、公表及び各種連携協力によりまして支障なく対処できるというふうに考えております。
福島委員 言いかえれば、きちっとその法案の中にはそうした多面的な取り組みを担保する条文はあるのであって、それぞれの機関がきちっとやっていただくということが大切であるということかと理解をいたしました。
 この点について、民主党の提案者の方に御意見がありましたら……。
武正議員 御質問をいただき、ありがとうございます。
 先ほどもお話がありましたけれども、特定の職員ということが指定できないような小さな自治体もありますし、組織の中でそういった役目を負うというのは、ある面、非常に嫌な役回りみたいなところもありますよね。
 そういったところで、やはり長が責任を持ってやるといった形で、民主党とすれば、あえて特定の職員というような書きぶりはしていない。そのかわり、やはり会計検査院を絡ませる必要があるというふうに考えるところであります。
 以上です。
福島委員 先ほど甘利先生から御説明がありましたように、会計検査院がきちっと公表されたものについて目を光らせていただくということが大切なのではないかというふうに私は思います。
 次に、不作為行為の点について御質問したいと思います。
 先ほどからの議論を聞いておりますと、要するに不作為行為というのは、どこからどこまでが不作為行為なのかということをきちっと定める、線を引くというのはなかなか難しいと。今回のこの法案というのは、さまざまな形で罰則規定があるわけでございますので、そこのところをあいまいにして成立させるわけにはなかなかいかないということなのかなというふうに理解をいたしました。
 まず、民主党の提出者にお聞きをしたいわけでございますけれども、対象の限定がそもそも困難ではないかということについてどのようにお考えなのか、御説明いただきたいと思います。
平岡議員 お答え申し上げます。
 先ほどの議論の中にもありましたけれども、既に現在でも、例えば公共工事入札適正化法の中に、第十条でございますけれども、談合があると疑うに足りる事実があるときには公正取引委員会に通知しなければならない、こういう義務規定が書いてあるわけですね。これは必ずしも罰則規定で担保されている規定ではございませんけれども、そうしたものがある、事実があるとわかったときはちゃんと通知しなさいと書いてある。
 では、今回の法律で、例えばこういうものがあったときに何もしなくていいというふうなことには多分ならないだろうと私は思うんですね。そういう意味において、かなり、その不作為についての義務をどこまで具体的に書くかということについてのその工夫は必要かもしれませんけれども、不作為そのものを対象にしないという考え方には立ち得ないというのが我々の考え方であります。
福島委員 先ほどから林先生の御説明を聞いておりますと、決して最初から除外をするという考え方で臨んだわけではないけれども、しかしながら、今も御答弁がございましたが、どこまで責任を負わせるのかというと、やはりなかなか難しいということを民主党の提案者の方も認めておられるんだろうというふうに思うわけです。
 先ほどから林先生がおっしゃっておられますように、その点については否定するわけではないけれども今後の課題というような角度でお答えになっておられるのではないかというふうに私は思うんですが、その点について、最後に林先生から取りまとめの御答弁をいただきたいと思います。
林(義)議員 最初からこのことはお話がありました。
 確かに、不作為の行為までというか、とにかく談合という名がついて、それに関与したら皆というような話で、初めは考えていたのですよ、私たちの方も。しかしながら、それでやっていくと、どこまでが本当にそうなのかどうかというのはやはり線を引かなくちゃならない。線を引くということになると、どこまでどういうふうに線を引くかというのはなかなか難しい。
 しかも一方で、例えば損害賠償の規定とか公務員法の関係の罰則、懲戒処分なんかなければ別ですよ。しかし、相当にきつい処分を与える、損害賠償まで請求するということになると、やはりそこは線を引いておかないと相手の方も大変だ、特に発注者側の方の職員の方も大変だと私は思うし、そこをはっきりしておいてやらないと、何を国会はつくったんだ、こういうふうになってもいかぬのだろうと私は思うんです。
 そういった意味で、やはりそこはぴしゃっとした線を、一応ここまではいけませんよ、これから先は別ですよ、こういうふうな話をつくるのがやはり我々の責任だろうと思うんです。どこで線を引くかというのは、いろいろな問題がこれからまた出てくるかもしれません。私は、発注工事なんかをずっと、会計検査院がやった調査なんかを調べてみましても、毎年によって価格が変わってくる。
 それから、さっき栗原さんからお話がありましたけれども、私は、状況によって公共工事の仕事というのはこれからふえたり減ったりすると思うんですよ。これはやはり国の財政に関連してくる話ですし、地方財政に関連してくる話です。財政そのものがそう景気よく伸びていくわけじゃないわけですから、減ったり何かする。減ってくれば、建設工事屋の人については、やはり大変だということになる、何とかしなくちゃならぬな、こういうふうな話も出てくる。少し金がふえてくれば、まあ今回はいいじゃないかというような、大目に見てやれるような話も出てくる。
 しかしながら、そのときにルールとしてやっておかなくちゃいかぬものをやはりつくっておくことがこの法律の目的であり、また使命ではないか、こういうふうに考えてやってきたところであります。
 そうした意味で、やはりぴしゃっとしたものをこの法律でひとつつくっていくことが、これから、公共事業が税金のむだ遣いであるとか、あるいは国民から何かおかしなことをあの業界はやっているぞというようなことを言われないためにも私は必要なことではないかな、あえて国民の信を問うための法律だというふうにお考えをいただければありがたいと思いますし、そうした意味での行為を積極的に進めていくことが私は必要じゃないかな、こう思っておるところを申し上げておきたいと思います。
 ありがとうございました。
平岡議員 先ほど福島委員の方から、私が不作為を対象に含めるのは難しいという趣旨の答弁をしたような御発言があったので、そこは誤解があったかもしれませんし、後で議事録をちゃんと確認していただければと思いますけれども、私が言いましたのは、不作為をどのように規定していくかということについての議論というのはあり得るということを申し上げたことでございますので、その点、誤解なきようにしていただければというふうに思います。
福島委員 以上で終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 提出者の皆さん、御苦労さまです。
 私は、今まで参議院であっせん利得の提出者でさんざんやられてまいりましたので、提出者の御心境はよく理解できますので、ソフトに質問をしたいと思っております。
 初めに、民主党の提出者に伺いたいのでありますが、与党案は、与党三党の入札談合の防止に関するプロジェクトチームで前後十八回慎重に、林先生、久保先生初め、きょうおいでの皆さんに御努力をしていただいたわけでありますが、特に、全国知事会、全国市長会、同じく全国町村会の地方三団体の方々から何回も貴重な御意見を伺ったわけであります。
 最終的に、そうした皆さんの御意見を十分くみ上げ、また盛り込みながらこの法案を整理されたわけでありますが、民主党は、こういう周到な検討を経た与党案とは別の独自の提出の法案に、言葉は失礼な言い方になるかもしれませんが、こだわっていらっしゃるのはなぜなのか。逆に言えば、どこが違うのかというところを伺いたいと思います。
武正議員 お答えをいたします。
 私も法案提出者としての答弁は今回初めてでございまして、非常にいい経験をきょういただいたところで、感謝しております。
 さて、あえて民主党案を出した理由ということでございますが、今お話がありましたまず第一点、地方のことであります。
 地方分権、民主党は分権型連邦国家をうたっておりますので、この地方分権を行う以上、全国知事会等からの御意向は承っておりますが、やはり、本法案ではより地方に税財源を移譲した、あるいは分権のことを考えてきちっと法的措置が必要ということが第一点。それは、自治法の改正で監査委員等の強化にあります。
 第二点、黙認についてもこれはやはり触れざるを得ない。一挙に刑事罰が科せられるような印象もありますが、本民主党案では、やはり十分調査した上で懲戒あるいは損害賠償を調査するんだといったことでありますので、入札適正化法で公取への通知義務ももう課せられているわけですから、やはり談合の黙認といったことももう線引きはできるというふうに確信をいたします。
 そのほか、予責法の改正で会計検査院とか、入札適正化法によってJVあるいは一般競争入札に触れておりますが、もう一つ、損害賠償の額の決定について、裁判所は公取に意見を求めなければならない、これもやはり民主党案として入れなければならないなといった点でございます。
 最後に触れさせていただきますのは、賠償は職員の方には大変だというようなことが与党提出者からありましたが、やはりこれは公金であります。税金であります。これを一円たりともおろそかにしないということが当然主権者である国民への義務であるということは、国会としてあだや忘れてはならないというふうに考えるわけでございます。
 以上です。
西川(太)委員 武正先生の最後の部分については、後ほどまた私の意見を申し上げながらお尋ねをすることになると思いますが、次に、林先生、与党にお尋ねをしたいわけであります。
 いわゆる入札談合等の関与行為に与党は三類型を規定しておられますね。一番目は、談合等が明示的に指示された場合、それから二番目は、受注者に関する意向の表明があった場合、三つ目は、発注に係る秘密情報の漏えい、これを規定しておられるわけであります。これらの関与行為の類型化というのは非常にわかりやすいし、今後この法案を執行していく上で大事なことだというふうに思うのでありますが、どんな検討を行ったのか、この経緯も含めて伺いたいと思います。与党提出者どなたでも結構です。
林(義)議員 今、西川先生のお話があったときに、検討の資料を出そうと思って探したのですが、ちょっと見当たらないものですから、口頭で御説明を申し上げたいと思います。
 実は、こうした談合行為が行われる、それに関連して発注者側が関与する話というのは、契約をするわけですから、当然にいろいろなことが考えられるということであります。そこで、一体どういうことがやはりいかぬのか、関与行為というのは一体どういうことまで入るのか、こういうことで話をしたのですが、確かにここに三つ書いてありますような具体的な事例、これはわかる。
 しかしながら、発注者、官側に受注者の方の人が行って話をいたします。そうして話をしていろいろな情報が加わった。この川はこういうふうな格好になっていてやっていますから、それは私の方は経験がありますからぜひ私にやらせてください、どのくらいの金がかかって、どのぐらいになりまして、どこはどういうふうにしたらというような話をやはり受注者の方は自分の宣伝かたがたやるということがあると思うんですね。
 そういったような話がありますが、そういったところでいろいろ情報を提供したりなんかする。だから、私が情報を提供するから私に発注してください、ここまではなかなか受注者の方もよう言い切らぬだろうと思いますが、発注者の方からすると、あの人は相当に知っているから、そういった情報を持っているから、やはりやっても間違いないんじゃないかというような判断をする場合もあります。これならまだいい話なんです。ところが、そういったときも、別の業者がやってきて、いや、あの話はこうだどうだというような話をいろいろやるということはあるだろうと思うんです。
 それから、それと同時に、役所の工事関係者のところへ民間の業者としては行って、盆暮れにはごあいさつに行くとか、あるいは正月にはごあいさつに行くとかというような話もあるだろうと思うんですね。それは当然、いろいろと御厄介になりますからということはある。だから、そういったごあいさつに行って、今度はひとつ、ことしはやれそうですから、私にぜひやらせてくださいよと一杯飲みながらやるという話も、実際問題としては出てくるだろうと私は思うんです。
 その辺を一体、どこまでがそうだ、こういうことで関与行為だ、こういうふうな話になるかということを言うのは、具体的な話として私はなかなか難しい。したがって、ここに書いているような三つのことだけは少なくともはっきりしてきている。
 特に、私はもう一つ申し上げますならば、いろいろな項目を二十何項目並べまして、ずっと公正取引委員会や国土交通省やその他のところから、こんな行為があります、こんな行為がありますよということをみんな並べて書いて検討したのですよ。検討したのだけれども、同じような検討の内容で、イエスというものとノーというものと、同じような項目について、場合がある、程度の差によって違ってくる、こういうふうな話もありますものですから、関与行為というのをなかなか整理することができない。
 したがって、そこは、情報を提供する、こういうふうな形で書いてありますけれども、そういったような話の中でいろいろ考えていくよりほかに方法がないだろう。あとは、やはりそのときの官側の姿勢の問題であるし、官側がどういうふうに見てやるかということと、入札を公正な競争でやっていきますという精神が私は大切でありますから、それを何だかんだ言っていろいろ書いてみてもなかなかこれはできない、こういうことで考えましたものですから、この三項目にしたのです。
 また、三項目をやるときも、最後に私たちで議論したときも申し上げますと、私の案としては、政令で定めるところによってというような規定も入れておったのです。しかし、政令で定めるというのは、だけれどもこれは議員立法でしょう。議員立法なら、議員がみんなで決めて、おかしいとみんな判断したならば、そのときつけ加えればいいじゃないか。わざわざ政令でやるとか、あるいは公正取引委員会の規則でやるとかというような煩わしいことをしないで、議員がやればいいんじゃないかな、そういった意味で、こういうふうな形ではっきりした姿勢でやりましょうと。はっきりした姿勢でやるからこそ、おかしな不作為の行為を外しても私はいいんじゃないか、こういうふうなことでやったことを御報告しておきたいと思います。
西川(太)委員 ただいまの林先生の御答弁は、十八回の議論というものがそういう部分にまで及んで、非常に熱心にやられたなということが如実に示されて、大変含蓄のある御答弁だったというふうに私は思います。御努力のほどがしのばれるといいますか、私はそういう意味では、今伺っていてさすがベテランだな、こう思っておるわけでありますが、加わられたメンバーも大変皆さん立派な方々だし、これはいい案ができたな、こう思っております。
 平岡先生にお尋ねするわけでありますが、先ほど与党の福島先生からもお触れになりました、この不作為をあえて民主党がお加えになったということでありますが、先生は法律家であり私は門外漢でありますから、法律議論をしたら太刀打ちできないのは重々承知なんですが、いわゆる刑法で言うところの謙抑主義というか、余り網を広げてみんなひっくくっちゃうみたいなのは、私はやはりよくないんじゃないかという持論なんですね。したがって、ここは今三類型で十分カバーできるのであって、不作為まで入れるというのは行き過ぎじゃないかと率直に思うんですが、いかがでございましょうか。御教示いただきたいと思います。
平岡議員 西川先生からお褒めの言葉をいただきまして、大変ありがとうございます。
 ただ、先ほど刑法の謙抑主義という言葉がございましたけれども、この入札談合等関与行為について、どのようなことをこの法律でやっていこうかという流れを見ていきますと、これは刑罰を求めるということでなくて、損害賠償請求とかあるいは懲戒処分といったようなものをこれから手がけていくための、その端緒になるべきものとしてどういう行為を認めていくかというような位置づけになっているということで、間口は広くとるということは十分にあり得るものだというふうに考えております。
 なぜ我々が、この不作為を今回の法律の対象にしなければならないかと考えたところをちょっと御説明します。
 先ほど私が質問したときのやりとりの中にもございましたけれども、平成八年から平成十三年度までの六年間で、公正取引委員会が談合について法的措置を講じたのが九十九件ありました。そのうち、公正取引委員会が発注者側に対して、何らかの改善措置をとらなければいけないということで要請したものが十二件あるということです。残りの八十七件については、公正取引委員会は何らの注意も発注者に対してはしていないということなんです。
 先ほど、ちょっとお示ししました昨年の七月五日付の神戸新聞の根來公正取引委員会委員長のインタビューの中にも、入札談合の中には信憑性の高い談合情報が寄せられているものもあるんだ、あるいは、落札率の高どまりが長年続いているようなものもある、あるいは、毎年行われている工事について長い目で見れば、きれいに持ち回りになっているということが明らかなものもあるといったような、さまざまな問題点が指摘されているわけでありまして、多分私は、その残されている八十七件の中にこうしたものが多く含まれているのではないかというような推測も成り立つんだろうと思います。
 これに手をつけないでいたら、やはり、先ほど言いました九割方の談合について、全く何も手がつかないといったような問題が残ってしまうという意味で、談合防止の効果の観点からしても、我々としては、黙認といったような不作為も今回の法律の対象にすべきであるというふうに考えているわけであります。
 さらに、先ほども議論がありましたけれども、今回の法律で言っているところの職員、その職員の中には予算執行職員も含まれているわけでありますけれども、予算執行職員は、法令に準拠して予算を適切に執行する義務がある。そして、入札しているときに談合が行われているということが明らかにわかるような場合に、これを防止する形で入札手続を進めないということは、これは法令義務違反になっているということでありまして、これは当然、予責法の世界の中では損害賠償請求につながる、あるいは懲戒処分につながっていく、こういうことであります。これを今回の法律の対象外にするということについては、我々としてはいかがなものかというふうに感じているところでございます。
 一番議論になっているのは、不作為をどこまで法律の中で具体的に書いていくかといったようなところについて、与党の法案の中でもお悩みになったというふうに聞いておりますから、基本的な考え方はそう大きくは違わないのかもしれませんけれども、我々としては、不作為を今回の法律の中で対象から外すということについてはどうしても納得がいかない、こういう形で我々は提案させていただいた次第でございます。
西川(太)委員 なかなか名答弁で、賛成したくなっちゃうような……。
 最後に、もう時間がないので、私はこれで最後の質問で終わりますが、与党案では、第四条において、入札談合等の関与行為があった場合、発注機関の職員に対する賠償責任を追及する義務を規定しておりますね。このような規定を設ける趣旨はなぜなのかということを与党の提出者に伺いたい。
 それから、武正さんには、私は、与党の損害賠償というのは、私どもが説明を伺っている範囲では、発注機関が入札談合等の関与行為に対して厳正な姿勢で臨むことによって抑止効果を職員に対して働かせることができる、これを目的にしている。ところが、民主党案は、予算執行職員に弁償の責任を要件としている。これは、故意または過失に改めたのに合わせたようなものであるのでありますけれども、これは、確かに抑止効果は高まるかもしれませんが、反面、予算執行職員をびびらせるというか、やる気をなくさせるというか、安全主義に陥って行政の進展を阻害するということが考えられるんじゃないかと私は思うのであります。
 この法律の保護法益は、国民の血税をいやしくもむだに使わない、いいかげんなことに使わない、きちっとした競争のもとに厳正に執行されるべきである、そしてこれを執行する公務員も誘惑に負けないようにする、また、それに対して圧力をかけたり不正を働いてはいけない、そういうようなことをいろいろ私どもはやらなきゃいけないんですが、そういう意味では、これから規制緩和をどんどん進めて、いわゆる官業というものに対しても新しい民の介入というものを求めていかなければならない、こういうときにこの官製談合なんというものがあってはならないわけでありまして、やはり私どもとしては、官製談合などということが二度と国会で議論されないようにしていかなければいけない。
 そういう意味では、新規参入者に対する要件を緩和するとか、それから、地域限定とか地域指定だとか、いろいろな意味で、特定の地域だけで特定のグループだけを押さえておけば役所はうまく予算が執行できるなんという、そういう怠慢を許しちゃならない、こういうことも最後に私の意見としてつけ加えてお尋ねを終わりたい、こう思いますが、もう限られた時間でありますので、御答弁をお願いします。
江田議員 まず、先生のお尋ねの、与党案第四条におきまして賠償責任追及義務を規定しているその理由はいかんということに関して、与党提出者として説明させていただきます。
 この第四条におきましては、入札談合等関与行為を行った職員に対しまして、その損害賠償請求権が発生している場合に、その損害賠償請求を行使することを義務づけているわけでございます。先生がもう今まさにお答えを言われましたように、このような規定を設けましたのは、入札談合等関与行為に対しまして発注機関が厳正な姿勢で臨む、そのことを求める趣旨からでございます。
 なお、このような規定を設けることによりまして、発注担当職員に安易に入札談合等関与行為を行わせしめない、そういう抑止効果を期待するところからでございます。
 以上でございます。
武正議員 御答弁申し上げます。
 確かに、弁償責任の要件が緩やかであれば個々の職員の責任の追及がされやすくなる、このことからすれば、職務執行は慎重にならざるを得なくなると思われます。
 ただし、民法の一般原則と同じように、重過失を過失に下げたこと、出納職員は過失でも問われるんですね。ですから、なぜ出納職員と予算執行職員が違うのか、予算執行職員は複雑なことをやるからということでありますが、これはやはり同じでいいんじゃないか、萎縮することはないだろうというふうに思うんですが、逆に、適正な予算執行のためには、会計法規を遵守して慎重に職務を執行すべきであって、むしろ過失による法令違反を除いているというのはやはり法的な問題点があろうというふうに思いますが、何よりも、会計検査院が今の重過失ではなかなか予責法の適用ができないといったのが実態でありますので、やはり過失に下げてしかるべきと考えます。
 以上です。
西川(太)委員 終わります。
谷畑委員長 これにて、ただいま議題となっております各案中、山中貞則君外八名提出、入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案及び第百五十三回国会、田中慶秋君外五名提出、入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案の両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、第百五十三回国会、田中慶秋君外五名提出、入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
谷畑委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
 次に、山中貞則君外八名提出、入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
谷畑委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 ただいま議決いたしました山中貞則君外八名提出、入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案に対し、竹本直一君外七名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合、保守党及び宇田川芳雄君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。
鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案に対する附帯決議(案)
  近年、国や地方公共団体等が行う公共事業の発注や物品等の調達に際し、いわゆる「官製談合」と称される不適正な事件の摘発が相次いでいる。
  このような官製談合は、官公需分野における公正かつ自由な競争を官公庁自らが阻害するのみならず、国や地方公共団体等における予算の適正かつ効率的な執行を歪め、ひいては政治及び行政への国民の信頼をも損ねるものであり、入札談合等関与行為の抜本的な排除及び防止を図ることは喫緊の課題である。
  よって政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 公正取引委員会は、調査の結果、入札談合等関与行為があると認める場合において、必要に応じて会計検査院にこれを通知するなど相互に十分に連携協力をし、もって入札談合等関与行為の抜本的な排除及び防止に十全を期すること。
 二 排除及び防止すべき入札談合等関与行為については、本法の運用状況を十分に注視しつつ、本法第二条第五項に規定される三行為類型以外にも、入札談合等に対する職員の対応について、そのあり方を含め引き続き必要な検討を行うこと。
 三 入札及び契約の一層の適正化や外部監査の積極的な活用など、地方公共団体等における入札談合等関与行為の排除及び防止並びに予算の適正かつ効率的な執行に向けた自主的な取組みを促進すること。
 四 公共事業等の発注事務等に携わる国及び地方公共団体等の職員に対する損害賠償の請求については、国民の税金を運用・執行するという職責の重大性、談合に伴う職員の利益の有無等を踏まえ、そのあり方について必要な検討を行うこと。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
谷畑委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
谷畑委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、片山総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。
片山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
谷畑委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十一分散会


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