衆議院

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第29号 平成14年7月25日(木曜日)

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平成十四年七月二十五日(木曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君
   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 達増 拓也君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      大村 秀章君    梶山 弘志君
      佐藤 剛男君    根本  匠君
      林  義郎君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      茂木 敏充君    山本 明彦君
      生方 幸夫君    川端 達夫君
      北橋 健治君    後藤 茂之君
      中山 義活君    松原  仁君
      山田 敏雅君    山村  健君
      漆原 良夫君    土田 龍司君
      大森  猛君    塩川 鉄也君
      阿部 知子君    大島 令子君
      西川太一郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   参考人
   (神奈川県信用金庫協会会
   長)
   (湘南信用金庫理事長)  服部 眞司君
   参考人
   (社団法人全国信用保証協
   会連合会特別顧問)    牧野 洋一君
   参考人
   (福島商工会議所会頭)  坪井 孚夫君
   参考人
   (成城大学教授・経済学研
   究科長)         村本  孜君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月二十五日
 辞任         補欠選任
  保岡 興治君     佐藤 剛男君
  大島 令子君     阿部 知子君
同日
 辞任         補欠選任
  佐藤 剛男君     保岡 興治君
  阿部 知子君     大島 令子君
    ―――――――――――――
七月二十五日
 中小企業対策など国民本位の景気回復に関する請願(児玉健次君紹介)(第六九八〇号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第七一八〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 経済産業の基本施策に関する件(中小企業問題)


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     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 経済産業の基本施策に関する件、特に中小企業問題について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として神奈川県信用金庫協会会長・湘南信用金庫理事長服部眞司君、社団法人全国信用保証協会連合会特別顧問牧野洋一君、福島商工会議所会頭坪井孚夫君及び成城大学教授・経済学研究科長村本孜君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますことを心より期待申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人各位からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、まず服部参考人にお願いいたします。
服部参考人 服部でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 こんな経済状況の中でこういう機会を与えていただきましたことを大変光栄に思っておりますし、それから、諸先生方の前で発言をさせていただくというのは大変光栄なことであります。感謝を申し上げます。
 それでは、資料の説明に移らせていただくと同時に、九つの項目にわたって時間があれば皆様に申し上げたいと思っております。
 まず、封筒に入っておりますこの資料は、後で秘書か何かにごらんをいただいて、それでチェックをしていただいて、大事なところだけひとつお願いをいたしたいと思いますので、これは余り見ないで結構であります。
 ただ、申し上げるのは、この中にちっちゃいのが入っております。これは、決算直後につくったものであります。それから、総会が終了いたしましてから金融再生法等に従いましてつくったのが、これがディスクロージャー誌でありますので、これは極めて詳しく書かれておりますが、つまらないものであります。もう一冊は、二カ月に一回、地元の状況を皆様に発表するためにつくっておりますいわゆる景況レポートであります。この三つが入っておりますが、それはひとつ後ほどごらんをいただきまして、早速始めさせていただきたいと思います。
 まず最初は、冷え切った経済、こういうことで皆さんに申し上げてみたいと思います。
 今回は、六月の二十一日に調査したものが皆さんのお手元に行っております。前回は四月の二十五日に調査したものでありまして、ですから、当金庫の景況レポートというのは極めて新しいものであります。しかも、六百ばかりの中小零細企業の取引先に当信用金庫の支店長が直接聞き取りをしながら調査をした結果を一冊にまとめてあるわけでありますから、政府とかその他の関係でお配りをするよりか少なくとも二カ月や三カ月は新しい資料である、こういうふうに御承知をいただきたい。
 しかも、零細企業に対する調査というのは、日本銀行等ではほとんどできていないと思います。中小企業というのは資本金が三億円ぐらいにしか定義ができておりませんが、私たちのところは、個人もあれば、有限会社は三百万円、株式会社は一千万円、こんなものがざらの取引先でありますから、メガバンクと比較をされては大変な大間違いになるということをまず御承知おきいただきたいと思います。
 この結果、二カ月前と比較しますると、全産業で二ポイント回復はしているということでありますけれども、すべての業種にわたりましていわゆるマイナスであります。これも御承知をいただきたいと思います。
 どうしてか。いろいろありますけれども、その中で幾つかピックアップして皆さんのお耳に入れておきたいのは、駅前につくるマンションは売れますが、極めて年齢は若年層に要請があります。
 当信用金庫は、横須賀を中心としていわゆる湘南地帯一帯に店を六十二持っている信用金庫でありますけれども、日産、ペンペン草が全部生えちゃっております、放棄したまま。トヨタ関係の某一部上場会社は撤退。最近では、好調だと言われている武田薬品工業まで撤退をしているということでありまして、産業の構造からいきますと、神奈川県というところは自動車のウエートが非常に高いところでありますので、非常に回復がおくれている、壊滅的な状況が二次下請、三次下請に来ている、これを御承知おきいただきたいと思っております。
 しかしながら、全産業で一番悪いのは卸、小売業でありまして、これはもうどうにもならない、商店街は本当にシャッター通りになっているということであります。わずかに明るいのは、やっと牛肉をみんなが食べ出した、こんなところがわずかに言えるものだと思います。
 雇用とか資金繰りにいたしましては、非常に問題を抱えているところが多々ありまして、新聞やテレビで見るように景気底入れだとか回復の兆しがあるだとかなんというのは、全くの、こういう言葉は適当じゃないかと思いますけれども、うそだ、こういうふうに思います。
 変わった話をいたします。
 今、パチンコ屋もいいところと悪いところがありますが、いいパチンコ屋では、お客様は、これを貯玉というそうでありまして、預けていくんですね、玉を。そして、これが百万円とか百五十万円たまっている人がいるということでありまして、パチンコをやっても浪費しない、ためておく。これを頭金にして子供にマンションを買ってやるなんというような現象さえ起きております。パチンコなんかやるのはろくな者じゃないと皆さんお思いでしょう。しかしながら、私も取引先がありますから時々やりますけれども、昔とは違います。もう、すぐ二、三万円でやめちゃう、こんなような状況で、みんなためているということを御理解いただきたいと思います。
 二番目に申し上げますのは、デフレをとめなければいけない、不良債権は減らないということであります。
 物価の番人の、これはまた問題がありますから、問題があったらこれは消していただきたいんですが、日本銀行は、インフレ対応というのはわかっているけれども、デフレというのを勉強した人は一人もいないのであります。デフレ対応というのをどうしたらいいかというのがわからない人が金融政策をとっているということでありまして、特に県内にいらっしゃる顔見知りの皆さんにはぜひその辺、御理解をいただいて。
 ということは、私も、大学時代、デフレはどうするかということは習ったことがないわけであります。デフレというのをとめなければいけないというのは、これは、物価の安定はインフレじゃないんです、デフレの解決をしなければ物価の安定にならない、こういうことをよく御承知おきいただきたいと思います。
 それから、役所から、担保に依存して人間とか仕事に金を貸していないと再三指摘を受けていたのでありますが、最近の検査になりますと、担保がないじゃないかと。そうすると、ないところは引き当てをしろ、こういう要請でありまして、ことしも、この三月の決算でも五十五億円の業務純益があるんですが、全部引き当てですっ飛んでしまったというのが今日の状況であります。
 しかも、後ほど申し上げますが、不安定な預金がふえました。預金は増加をしておりますが、不安定な預金、何か、これは、要求払い性預金であります。普通預金、当座預金、これがどんどんふえてしまっておりますので、安定した貸し出しができておりません。
 来年三月三十一日で終わって、四月一日から全面ペイオフ解禁、こういうことになりますると、その支払い準備のために、金は貸しません。貸し出しを拒否せざるを得ないような状況にこの完全ペイオフ解禁は我々金融機関を追い込んでいく、こういうふうに御認識をいただきたいと思います。
 全く今の政府と考え方は違うし、きょうの日経新聞に、どうしても完全解禁をするとおっしゃっている方もいらっしゃいますけれども、現実はそうじゃないということを後ほど申し上げたいと思います。
 それから三番目、融資を増加させるためには、ペイオフ全面解禁、同じようなことですが、延期をしていただきたい。ペイオフ全面解禁というのは、個別の金融機関の問題ではなくて、国全体の資金の流れを見て判断をすべきである。これができていないということが一つであります。
 本年四月のペイオフ一部解禁の実態を見ますると、当信用金庫では、定期性の預金が一〇%減りまして、これが全部要求払い性の預金の方に行っちゃっているということでありまして、それを考えますと、もうおのずからどんなふうになるかというのはおわかりいただけると思います。郵貯とか、それから大銀行に資金が移動するということは火を見るよりか明らかであります。
 そこで、皆さんのところにお配りをした、この色のついたのをちょっとごらんいただきたいと思います。
 時間がありませんので余り説明できませんが、この色のついたので、赤のところが、二百五十九億、みんなこれが、いわゆる定期預金が解約をされました。そして、百七十二億普通預金に行っちゃっているところであります。これは一千万から三千万未満のお客さんですが、五百万から一千万、三百万から五百万、三百万未満という、ペイオフには関係がないお客さんまで右往左往して、そして預金を解約しているという状況。これは、ペイオフは何を物語っているかということが全然、国民にはほとんどわかっていない、一部金持ちだけがわかっている、こういう御認識をいただきたいと思います。
 そして二枚目の、色のついた資料二でありますが、ペイオフ解禁の影響としまして、二年前には七八%の定期預金があったんですが、今は六七%になってしまっております。ですから、一〇%以上の定期預金の減少というのは、その分が普通預金に行きまして、三三%、これが不安定である、こういうことであります。いつ引き出しに来ても応じなきゃならない、こういうような預金がふえているということであって、預金は減っておりません。
 貸し出しもそのために自己防衛をして、それからお客様を守るためには、もう新しい融資なんというのは全く考えられない、ちょっとやれば助けてやれるところもできない、こういうことでありまして、融資は減少し続けておりまして、信金全体でも全部減少をしているということを御承知おきいただきたいと思います。
 四番目は、無用の混乱が起きれば莫大なお金がかかるということであります。預金者保護、信用秩序の維持は国民に対する金融当局及び金融機関の最大の責務である、こう考えていただかなければならないと思います。
 この点について、全面解禁を前に、政府は、地域金融機関に公的資金を入れて合併とか再編とかを促そうと言っておりますが、これはかつての護送船団方式と同じなんであります。国民に奉加帳を回しているのと同じであるという解釈を私たちはしておりまして、改革にはこれは逆行をするものであると思っております。
 それから、不良債権の処理に、合併、再編成、基盤の強化、こんなことは百も承知をしております。しかしながら、あと三年欲しいと思います。ぜひその辺を御認識いただきたいと思っております。三年というのは何かといったら、大した根拠はありませんけれども、このデフレがとまって、担保価格の地価の低下がとまる、こういうことを期待しての三年であります。
 当信用金庫は、引当金は一〇〇%積んであります。そのほかに一般貸倒引当金が四十五億円ありますから、現在では一〇〇%以上の融資に対する保全はきいておりますけれども、まだこれでとまるということは全くないと思っております。
 それから、これは前回も申し上げましたが、郵便局は何でも来いなんでありますから、郵便局の改革なくして一般金融機関のペイオフ解禁というのは、これはでたらめもでたらめ。それから、国に金だけみんな集めようという、こんなおかしな話はない。郵便局も我々と同じ条件でやっていただきたい、こんなふうに思うわけであります。
 あと、預金者も、自己責任で選べ、こういうふうに言われておりますが、多くの人々はよくわからないのであります。先ほど申し上げましたように、三百万円、五百万円の預金者が右往左往して、そして、うちから定期預金をおろして、普通預金あるいは貸金庫の中に現金をしまっちゃう、持って帰ってそれで泥棒に入られた、幾らでもそういう例があるわけでして、貸金庫は満杯であります。中には現金が入っているという現実をよく御承知おきをいただきたいと思います。
 十九日の日にテレビ東京に私呼ばれまして、放映をいたしましたけれども、ほとんど、司会者が余りわかっていない、こういう状況でありました。これはテレビ東京に怒られちゃうかとも思いますが、そんなところであります。
 それから、日本の社会というのはコミュニティーの上に成り立っているわけであります。町内会、商店街、隣組、それからお祝い、お葬式、交番、派出所、そして小選挙区、こういうところに成り立っているわけなんですよ。それを否定しているというのが今の金融政策であります。
 それで、メガバンクと信用金庫、あるいは地方銀行と信用金庫と一緒に考えているんですけれども、横浜銀行が地方銀行と言えるでしょうか。そんなことはありません。私たちは、私みずからがセールスマンになって、経営者と毎日のように話をしているわけでありますが、頭取にお目にかかった中小企業者というのは一人もいないということを御認識いただきたいと思います。
 例を申し上げます。県内スーパーで堅実に経営していたのでありますけれども、日債銀、長銀から不動産投資を強引にやられて、そのためにいわゆる債務超過に陥っておるのでありますが、これを助けてくれる人が出てきまして、協調をして、そしてこの地場のスーパーを救済して、そして千三百人の雇用も確保した、こういうことであります。メガバンクやその他の地方銀行の大きいところは、一言も触れないし、一切無視をされている。
 この例は幾つかありますが、時間がありませんので、あと二点ばかり申し上げます。
 ペイオフの解禁の影響でありますけれども、要求払い性預金が八百二十八億円、定期性預金が九百十四億円、これは、要求払い性が八百二十八億円ふえまして、定期性預金が九百十四億減った、こういうことであります。十三年度の要求払い性預金は二三・五、十四年度が三三・四でありますので、一年間に一〇%定期預金がなくなっちゃった、こういうふうに御承知おきをいただきたいと思っております。
 それから、貸出金ですけれども、六千四百五十五億円、これが三月末ですが、この六月は六千四百二十二億円でありまして、三十三億円減少しておりまして、これはすべての全国の信用金庫と共通したものであります。まず自分のところを守らなければお客さんは守れない。そうすると、貸しはがしというんでしょうか貸し渋りは、当然の結果、いわゆるペイオフのこの政策では出てくるということであります。御承知おきをぜひいただきたいと思っております。
 最後でございます。地銀では、業界挙げて預金分散をしよう、こういう計画を立てておりますが、これは預金の回しでありまして、もう完全にモラルハザードがここでつくり上げられております。それで、信用金庫も考えております。このまま本当に突き進むというんだったらば、信用金庫は全国で三百四十九ありますが、これを千万単位で回しっこするしかない、そうすると、お客様はどこの金融機関にどういう意味で行ったかわからない、こういう変な方向に追い込まれるおそれがあるということです。
 最後に一言申し上げます。
 不良債権で利益を上げたのは、外資系の会社ばかりであります。横須賀は特別なところでありますので、アメリカ海軍のいわゆる自動振替を全国で私のところだけやっております。家賃だとか、ガス、水道、いわゆる公共料金、全部やっております。彼らはチェックで今まで払っていたんですけれども、これはトラブルが多いものですから、うちとの自動振替契約を、ネービーエクスチェンジと契約をしてもう五年になります。こんなところで、条件は何かといいましたら、アメリカ海軍は四億円、当信用金庫に預金をしてくれておりますが、これを引き揚げようとは全くアメリカ海軍はしておりません。ですから、どうしようもないとすれば、アメリカの大使館にでも駆け込むしかないんじゃないかなとさえ思っているわけであります。
 何しろ、私は、きょうここにいらっしゃいます先生方と同じように、お客回りに力を入れて、そして企業を守っているのでありまして、選挙区に帰らない国会議員なんか私はいないと思います。それと同じことを我々がやっているということを御認識いただきまして、ちょうど時間になりましたので終わります。ありがとうございました。(拍手)
谷畑委員長 どうもありがとうございました。
 次に、牧野参考人にお願いいたします。
牧野参考人 おはようございます。ただいま御紹介をいただきました牧野でございます。
 平素は、信用保証制度の強化拡充につきまして深い御理解と御支援を賜りまして、感謝を申し上げます。
 本日のテーマは、中小企業問題ということでございます。私からは、信用保証協会の役割、保証業務の現状と重点的な取り組みなどについて、配付をさせていただきました資料に基づいて御説明をさせていただきます。資料は、五枚ほどたしか用意をしておりますので、どうぞお開きをいただきながら、お願いをいたします。
 まず、中小企業金融におきます保証協会の役割についてでございます。お手元の資料一、「保証利用度」の上の方の欄でございますが、平成十三年度の欄をごらんいただきたいと存じます。
 平成十三年度末で、保証を利用しております企業数は約二百十万企業、中小企業者の四四%が、金融機関から融資を受けるに当たって、全国五十二ございます信用保証協会を利用しておいででございます。
 また、この上の表の右側、金額欄なんでございますが、中小企業向け貸出残高は、(A)というところで表示をされていますように、平成六年度末には三百七十兆ございました。それが、(B)の欄のとおり、十三年度末では二百五十兆円になっております。約三分の一、百二十兆円余りの大幅な減少となっているという状況でございます。
 こうした金融情勢の中、保証つき融資の残高、保証債務残高と申すのでございますが、これの利用度を見ますと、平成六年度末で七・四%であったものが、平成十三年度末では二倍の一四・七%と大幅な増加を見せておるところでございます。
 このように、信用保証制度は、中小企業向け貸し出しが減少している現状の中にあって、中小企業が資金供給の道を確保する上でますます重要な位置を占める存在になったと認識をしているところでございます。
 今後とも、私どもは、信用保証制度が中小企業金融の円滑化に果たしている社会的使命を十分に自覚すると同時に、常に、信用保証協会としての対外信用を維持して、地域中小企業の育成発展のため、持てる機能を十分に発揮してまいりたいと存ずる次第でございます。
 次に、保証業務の現状でございますが、一枚めくっていただきまして、資料の二をごらんいただきたいと存じます。
 平成十三年度、昨年度でございますが、昨年度の保証承諾は、件数百三十万件、金額十三兆二千億円の実績を上げることができました。このうち、金融安定化特別保証制度分を除きます保証、これを一般分と表示をしておりますが、これについて見ますと、保証承諾は約百二十八万件、金額は十二兆九千億円と、中小企業向け貸出残高が減少している中にあって、件数、金額とも対前年度一〇%前後と、高い伸びとなりました。
 保証の内容について特徴的な点を申し上げますと、保証承諾の実に八〇%以上が無担保保証でございます。しかも、この無担保保証は、主務省の御指導もあって、その多くは、第三者保証人を要件としない保証となっております。
 また、今年度に入ってからも、表の中で、十四年の四月から六月と表示しておりますが、第一・四半期の保証承諾は、件数、金額とも増加傾向で推移をしているところでございます。
 一方、中小企業の倒産の激増などによりまして、信用保証協会が金融機関に支払います代位弁済について見ますと、平成十三年度は、全体で一兆二千三百億円と、対前年度比一五%の増加となりました。
 また、今年度に入りましても、代位弁済は、六月末現在で、全体で件数三万六千件、金額三千四百億円と、前年同期と比べて、件数で一六・八%、金額で一三・二%と高い増加率で推移をしているところでございます。このように、高水準で推移いたしますと、今年度、この十四年度の代位弁済額は一兆四千億円前後になるのじゃないかと予測をされておりまして、平成十二年度以降三年連続して一兆円を超える代位弁済となる状況にございます。
 このように、信用保証協会を取り巻く経営環境は、かつてないほど厳しい状況になるものと懸念をしているところでございます。
 さて、臨時異例の措置として平成十年十月に創設をされました金融安定化特別保証制度の実績について申し上げます。この資料の下段の方に表示をしてございますので、ごらんをいただきたいと存じます。
 制度創設以来の累計保証承諾は、金額で二十八兆九千億円と、目標といたしました三十兆円に迫る活発な利用となりました。今年の六月末現在の保証債務残高は十兆三千億円となっているところでございます。この結果、中小企業者から返済をしていただいた率は約六〇%となっております。しかも、このすべての企業の中で八四%は、据置期間一年という制度を利用しないで、もうお借りをした翌月から弁済を開始している、こういうことでございまして、一部のマスコミなどで言われます、淘汰されるべき企業の延命を図ったにすぎないといった認識は、大多数のまじめな中小企業の実態を御存じない方々の意見ではないか、こう考える次第でございます。
 一方、代位弁済の累計額は一兆二千九百億円となっておりまして、総承諾額に対します代位弁済率は四・五%、制度設計上は一〇%でございます。これをかなり下回っているのでございますが、現在の厳しい金融・経済環境が今後とも続きますと、今後、代位弁済に大きな影響を与える、このように考えている次第でございます。
 次に、この制度に係る求償権の回収額でございますが、この制度は、ほとんどが無担保で第三者保証人を保証条件としない制度であって、このために、回収の実を上げるという点ではまことに厳しい状況下にあると言わざるを得ないのでございますが、全協会を挙げて回収金額の最大化を図るべく努力をした結果、八百十二億円の実績を現在までに上げているところでございます。
 次に、保証協会の重点的な取り組みについて御報告をさせていただきます。
 保証協会は、目下、中小企業が厳しい金融環境の中で、中小企業の金融の安定化を図るために、セーフティーネット保証の推進、金融安定化特別保証制度の返済条件変更への弾力的な対応、それから、売り掛け債権担保融資保証制度の促進といった点に積極的に取り組んでいるところでございます。
 まず、第一点目のセーフティーネット保証についてでございます。政府の御要請に基づいて、積極的かつ弾力的に対応しているところでございまして、これは資料の三をごらんいただきたいと存じます。
 六月末現在、第一・四半期、この保証承諾金額は一千六百億円でございまして、このうち不況業種、いわゆる五号認定と申しますが、これを対象とした業種の保証承諾金額は九百六十億円と、対前年同期比で二十二倍を超える実績となっております。また、連鎖倒産防止、いわゆる一号認定業種は百十億円と、対前年同期比四倍強の増加でございます。
 中小企業を取り巻く経営環境が厳しさを増す中で、私どもは、まじめに事業に取り組んでおられる中小企業の資金需要に対して、今後とも積極的な対応を図ってまいりたいと存ずる次第でございます。
 続きまして、第二点目の金融安定化特別保証制度の返済条件変更への弾力的な対応について申し上げます。
 信用保証協会は、保証期限を延長する返済条件変更について従来から弾力的な対応を図ってまいりましたが、平成十二年の十二月以降、中小企業庁や金融庁から、数次にわたります金融安定化特別保証制度に係る返済条件変更のガイドラインの周知徹底の要請を受けまして、私どもは、さらに踏み込みまして、個々の中小企業者の実情に即して、できる限り御本人の希望に添った、柔軟かつきめ細かな対応を図っているところでございます。
 ちなみに、私がこの六月まで理事長を務めておりました東京信用保証協会でございますが、資料の四をごらんいただきたいと存じます。
 資料四にございますように、六月末現在で、金融安定化特別保証制度の保証債務残高は、東京の場合、件数二十五万件、二兆四千億円となっておりますが、このうち、返済条件を変更した件数は三万一千件、保証債務残高で三千八百億円、全体の一六%という状況にございます。一般保証を含めた全体の保証債務残高で見ますと、八十万件、六兆二千億円の保証債務残高のうち、七万七千件、八千億円が返済条件の変更に応じた保証債務残高でございまして、これは、金融安定化特別保証制度開始前の平成九年度と比較しまして、件数、金額とも倍増している、こういう状況でございます。
 今後とも、信用保証協会は、特別保証制度に限らず、一般保証も含めて、積極的に返済条件変更の申し出に対応していく所存でございます。
 なお、さきの金融庁の金融検査マニュアルの改定におきまして、信用保証つき債権は、条件つきながらも債務者区分の引き下げ要因にならなくなったということがございます。これは、金融機関にとっても対応しやすくなったのではないかと理解をしているところでございます。
 次に、第三点目、売り掛け債権担保融資保証制度への取り組みについてでございます。資料の五をごらんいただきたいと存じます。一番後ろの資料でございます。
 各信用保証協会は、昨年十二月十七日の制度創設以来、金融機関を初め関係機関、中小企業団体などに対して説明会を開催するなど、その理解と普及に努めてまいりました。
 制度創設当初は、取引先から受ける風評被害の懸念ですとか、保証申し込み企業の取引の相手方となる官公庁を初め大企業に見られる債権譲渡禁止の特約、それから金融機関側の期中管理の煩雑さなどといったいろいろな課題を抱えておりまして、保証利用の出足は鈍かったというのは事実でございます。
 こうした状況を打開しまして、さらなる制度普及のために、中小企業庁を初め各信用保証協会は、くまなく、関係者による地方ブロック会議の開催のほか、ポスター、チラシなどを手段とした広報活動を行ってまいりました。
 特に、中小企業庁におかれては、各中央省庁や都道府県への債権譲渡禁止特約の解除の要請ですとか、保証申し込み手続の簡素化の実施など、本制度の利用促進に向けて、全力を挙げて取り組んでこられたところでございます。
 このような努力の結果、保証承諾件数は、この表にもございます、十四年四月が八十五件、五月が百十三件、六月は六百十八件と月を追うごとに大幅に増加をしてきておりまして、制度創設以来の保証承諾は、資料にありますとおり、千三百七十四件、こういう状況になっておりました。
 これを金融機関業態別で見ますと、地方銀行が三四%、商工中金それから信用金庫群がそれぞれ二〇%を占めております。
 信用保証協会としては、この制度が、物的担保だとか第三者の保証人を必要としない中小企業の新たな資金調達手段として時宜を得た意義のある制度であると評価をしておりまして、今後とも、活発に利用されるように、最大限の努力をしてまいる所存でございます。
 最後に、信用補完制度の当面の課題についてお話をさせていただきたいと存じます。
 信用保証協会は、政府の中小企業対策の趣旨にのっとりまして、金融円滑化のためにその使命達成に努めてまいりました。
 しかしながら、冒頭でも触れましたように、信用保証協会の代位弁済は累増の一途をたどっております。ちなみに、昨年度の保証協会の収支はかつてないほど厳しい状況となりました。五十二協会のうち十協会が収支マイナスを計上することになりました。単年度でこのような数多くの協会が収支をマイナスにするという事態は、協会発足以来のことでございます。現在の景気動向が今後も続きますと、今年度も同数程度以上の協会が赤字計上する、こういうことになると懸念をしているところでございます。
 さらに、我々の行う信用保証について再保険を担当しておられる中小企業総合事業団、ここの保険財政でございますが、平成十三年度に五千八百億円の赤字が発生をしております。このまま代位弁済の増加が続きますと、信用補完制度を維持していくことが厳しくなる、このように危惧をしているところでございます。
 こうした状況に対して、各信用保証協会は、一層の業務の効率化、合理化に努めると同時に、全国五十二の信用保証協会が共同出資をいたしまして昨年の四月から営業を開始いたしました保証協会債権回収株式会社、保証協会サービサーと略称しておりますのですが、これと一体となりまして、求償権の回収増強に向けた自助努力をさらに推し進めまして、協会収支また保険収支の改善に懸命の努力を行っているところでございます。
 しかしながら、中小企業の実情に配慮をしながら回収実績を上げるということは、現下の経済情勢の中で容易でないということも事実でございます。国の財政事情も大変厳しいとは存じますが、信用補完制度を今後とも持続的に運営していくことができるように、特に、代位弁済の支払いの裏づけとなる保険準備基金のさらなる造成については、特段の予算措置をお願い申し上げる次第でございます。
 私ども、全国五十二カ所の信用保証協会は、各界から寄せられております期待にこたえるべく、今後とも努力をしてまいる所存でございますので、どうか、先生方におかれましては、私どもの取り組みに対して御理解をいただいて、一層の御支援、御指導を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げまして、私の説明とさせていただきます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
谷畑委員長 どうもありがとうございました。
 次に、坪井参考人にお願いいたします。
坪井参考人 おはようございます。福島商工会議所の会頭をいたしております坪井でございます。
 私は、日本商工会議所の金融問題小委員会の委員長も務めておりますので、その関係から、今般お与えいただきました機会に、中小企業を取り巻く諸問題について意見を申し上げたいと存じます。
 まず初めに、我が国の経済情勢につきまして私ども地方はどういうふうに感じているかということを申し上げたいと思います。
 政府は、七月の月例経済報告におきまして、「一部に持ち直しの動きがみられる。」と、六月までの景気底入れからさらに改善への判断を示しております。しかしながら、多くの中小企業にはその実感は全くありません。デフレ経済の中で受注の伸び悩みや販売価格の低下などによる収益力の低下に苦しみ、依然として厳しい経営環境に直面をしております。また、株価の下落や、米国経済の先行きが不安定な中で、ドル安・円高も加わり、我が国経済の前途は全く楽観を許さない状況であると感じております。
 小泉政権が進める構造改革は、日本経済を再び持続的な成長に戻すためには避けて通れない道であると考えます。しかしながら、その手順や手法を誤ると取り返しのつかない事態にもなりかねません。改革を成功に導くに当たりましては、まず景気回復を図り、経済を安定させることが肝要であります。今優先すべきは、景気回復に軸足を置いた柔軟かつ大胆な経済運営であり、また、税制改革や金融政策等による経済活性化の施策の展開であります。
 特に税制については、我が国企業の大多数を占める中小企業の活力を高める思い切った改革が求められるところであります。
 しかるに、政府税調の答申や、さきに閣議決定された骨太の方針第二弾においては、デフレ克服のための即効性ある施策に乏しく、反面、法人事業税への外形標準課税の導入問題や消費税の免税点制度等に関して、現下の厳しい経済環境の中で経営努力の限界を超えて苦境に立たされている極めて弱い企業を犠牲にするような方法での言及がなされており、極めて遺憾であります。
 七月十八日に日本商工会議所を初め中小企業四団体では、外形標準課税導入反対の決起集会を開催いたしましたが、同集会での決議を中心に、私どもの主張を申し上げたいと思います。
 まず第一に、法人事業税への外形標準課税導入問題でありますが、外形標準課税を導入すると法人所得税の実効税率は下がることになるとの主張がありますが、総務省案によりましても、所得に係る税率が半分になることから、確かにごく一部の高収益を上げている法人については実質的な税負担率は下がります。しかし、新たに賃金や資本金といった所得以外の基準に課税されることにより、中小企業全体の九割以上が増税となり、その増税分は日本商工会議所の試算で約六千億円を超える、まさに中小企業をねらい打ちした大増税であると言えます。
 それにもかかわらず、現行の所得課税分の二分の一を外形標準課税に置きかえたことで法人所得課税の実効税率が下がるとするのは、国民に誤解を与えるものであり、到底納得できるものではありません。
 また、総務省は、資本金一千万円未満の法人の税負担は四万八千円と強調いたしておりますが、しかし、資本金一千万円から一億円の、中小企業の半数を占める普通の中小企業では、赤字企業でも一社で数十万円から数百万円もの大増税となります。さらには、黒字中小法人においても、八割を超える企業で増税となり、税負担も平均で現行の約一・六倍となるなど、大幅な増税を強いるものであります。
 また、赤字法人であっても、行政サービスを享受しているため、応分の税負担をするべきだという主張もございます。しかし、赤字法人といえども、固定資産税、法人住民税、事業所税など所得に無関係な固定的負担を行っており、中小企業庁の推計によれば、地方税における所得外課税総額の六兆三千億円のうち四兆五千億円は赤字企業が負担しており、赤字企業ただ乗り論は全くの誤解であることを明らかにしたいと思います。外形標準課税は、まさに中小企業いじめにほかなりません。
 第二は、消費税の問題であります。
 消費税の免税点制度につきましても、もともと課税売上高三千万円以下の事業者、所得にしますと年間三百万円程度の事業者でありますが、これらの事業者に対し、消費税を納める義務を免除するものとして設けられたものであります。益税という言葉が、あたかも小規模零細事業者が得をしているような誤解を与えているのかもしれませんが、免税事業者の多くは、特に、デフレ経済が進展し、現在価格競争が激化している中にあっては、仕入れに係る消費税額分ですら価格転嫁が困難であり、益税どころか、むしろいわゆる損税が発生している状況にあります。
 こうした状況の中で、免税点制度の縮小等を実施すれば、経営に直接的な影響を及ぼすこととなります。簡易課税制度についても、撤廃については反対であります。
 次に、中小企業を取り巻く金融面での問題に触れたいと思います。
 当面の大きな課題としては、まず、ペイオフの問題があります。
 既に本年四月から定期性預金に関するペイオフが解禁されましたが、昨年三月と本年三月を比較すれば、定期性預金から流動性預金への移動、あるいは中小金融機関から大手機関への預金の移動は明らかであります。先ほどの服部参考人のお話の中にもあったとおりでございます。
 我が国経済の先行きがなお楽観を許さない状況において、いわゆる金融問題等も解決していない状況において、ペイオフを全面的に解禁すれば、金融システム不安を一層増幅しかねません。
 一番心配に思っていることは、風評によりまして、優良信金や信組という小さい金融機関の預金移動が起こることであります。特に、地方自治体の公金預金が、議会の質問等によりまして大きな金融機関等への移動が始まりますと、直ちにその地域における風評被害が出てまいると予想されております。これは非常に危険なことでありまして、既に福島市において実態がございます。もし時間があれば後ほど申し上げます。
 この問題についてのペイオフネットワークがありませんので、そのため、地域や中小の金融機関の資金流出によって、中小企業の資金調達あるいは決済手続が一層困難になることが大いに懸念されます。そして、中小企業への影響は、地域経済にも甚大な影響を及ぼすことになるでしょう。
 したがって、景気が自律的に回復し金融システムの安定化が確実になるまで、ペイオフの解禁は延期することを早急に決定すべきであります。これは中小企業サイドからの切なる願いであります。
 既に六年前に解禁されるべきものが、金融が安定化できないという形で五年延期され、さらにその後、まだ金融安定化が整っていないということで、いわゆる定期性預金がことしまで一年間延期された例があります。何遍も延期はされてきておりますが、それはなぜか。すなわち、金融状態の安定化がされていないことによってのいわゆる景気の発展があり得ないという現状を考えてのことであります。
 また、現在の経済情勢において、民間金融機関の貸し渋り、取引先の破綻など、中小企業をめぐる経営環境の変化に対応する金融面でのセーフティーネットの必要性はますます高まっております。安定的な資金供給機関を持つ政府系中小企業金融機関の役割は、重要になることはあっても決して低下することはありません。したがって、当分の間、これら政府系中小企業金融機関の見直しの論議についても凍結していただきたいと思います。
 金融面でのセーフティーネットの拡充については、政府系中小企業金融機関のセーフティーネット貸し付けにおける利用要件、担保要件の一層の緩和、あるいは信用保証協会のセーフティーネット保証における連鎖倒産防止の指定基準の緩和や審査期間の短縮化など、中小企業が利用しやすいように制度の弾力的運用を図るべきであると考えております。
 金融検査マニュアルにつきましては、先般、金融庁が別冊の中小企業融資編を策定し、中小企業向け融資に関したよりきめ細かな運用例を示されたところでありますが、これらが適正に活用され、一層適切な中小企業等の経営実態の把握と評価が行われることを期待しております。もちろん、不良債権処理の促進が重要であることに異論はありませんが、金融機関の体質改善を図りつつ、健全な中小企業が資金繰り等金融面での支障を来すことのないよう、十分な配慮をお願いしたいと思います。
 福島地方のいわゆる金融の実態等を添えて申し上げておきたい思います。
 民間金融機関の動向でお聞きしてまいりましたが、中小企業の融資申し込みが、前向きな融資は少なく、特にこのところ、赤字補てん的な融資申し込みが多いということになってきております。地方では地価が底入れしておりませんので、設備投資を図るような、先を見越したようないわゆる設備投資を中心にした企業が少なくなってきております。中小企業では、金融、財務を含めたリストラの最終局面を迎えている状況にもなってきておるために、赤字補てん的な部分の融資申し込みが多くなっているということであります。
 政府系金融機関の貸し付けの状況でありますが、本年第一・四半期の貸し付け状況は、やはり福島県内全般で昨年度に比べて減少傾向に至っております。要するに、金を借りて仕事をしようとする気持ちを持った中小企業者が減ってきているということなんであります。保証協会の動向は、ただいま先生から御発表がありましたけれども、福島県におきましても、本年第一・四半期の保証承諾の件数が対前年比で九〇%と低調であります。いずれも増加傾向にあったものが低調であるということは、やはり仕事をするという意欲が欠落してきている、そういう半面を示しております。
 一方、条件緩和に応じた件数、いわゆるセーフティーネット金融等につきましては、一〇四%という増加を示しておるということでありまして、すなわち資金繰りが非常に厳しくなっているということをここでも証明しております。
 また、商工会議所で取り扱っております小規模企業等におけるいわゆるマル経資金というものでありますが、これは今まで前年を上回る状況でずうっと推移してまいりました。これも、本年第一・四半期では対前年比で九〇%の利用でありまして、こういうことも、大体五百万から八百万以下の融資でありますから、そういうような小規模事業者でも先行き不透明感から借り入れそのものに慎重な姿勢をとってきているということでございます。こういうような状況が地方の実情となっております。
 もちろん、中小企業といえども、また零細企業といえども、自助自立の精神を旨として、過度な保護や甘えを排除すべきは言うまでもありません。しかし現下の、特に中小企業に厳しい経済状況のもとにあって、税制改革にしても、金融問題にしても、今なぜこうした議論が出てくるのか全く理解に苦しむものであります。日本経済のダイナミズムの源泉は、全企業の九九・七%、従業員数の七〇%を占める中小企業の活力であります。経済活性化を図ろうとするための諸改革がこのような形で行われるのであれば、活力を取り戻すどころか、かえって衰退に向かうことになり、日本経済にとって大きな禍根を残すことになりかねません。
 本日御臨席の先生方におかれましては、外形標準課税導入絶対反対を初めとする中小企業の悲痛な声をぜひともお酌み取りいただき、今後の中小企業政策に反映してくださいますよう、衷心よりお願いを申し上げます。
 先ほど申し上げました風評被害の実例でありますが、福島市にあります福島銀行、この間までは福島相互銀行でありました、第二地銀でありますが。ここが、去年の十二月に金融庁から早期是正措置の命令が出たわけです。これは、黒字でありますけれども、資本比率が下がったから、その辺を改めなさいということであります。しかし、その早期是正措置の問題が発表されるや否や、一気に株の下落が始まり、そして、連休を明けましたところで、一日に実に三百五十億円ものお金が他行へ移動いたしました。これを二日続ければ、融資準備金の融資分がなくなって直ちに黒字廃業になります。
 そういう現状で、私どもは防がなくちゃならぬということで、私たちから県並びに地方自治体にお願いしまして、直ちに同日付で二百億円近い預金を実施していただきました。公金預金であります。これによりまして、なるほど、県や自治体がやるのであれば大丈夫だなということから、その日で預金の流出はとまりました。これはまだ去年の十二月ですから、ペイオフ解禁になっていない。要するに、全額保護の対象になっている場合でも、風評でここの銀行が危ないよということになったときに、一般の方がどういう動きをするかということを示しております。
 福島銀行も、後に大変努力されまして、三月末までに百五十億の増資をいたしました。それによって、資本比率も上がりまして安定しております。
 もう一つ、第二地銀で大東銀行というのが郡山にありますが、ここも八十億円のやはり増資をいたしまして、これも安定に、資本比率、大変高くしております。これは、地域において危ないと言われた銀行でも、自分たちの銀行であるという観点から、これをつぶせない、だからみんなで増資に応ずるという形でそれだけの増資をしたということであります。
 この実例は全国に今後起きてくる可能性があるし、小さい銀行であるからそれを、小さい信金であるから、要らないから合併して云々するということは、私は土壌論で言っておりますが、それの土壌をどんどん枯渇させるもとにならないか。そういう意味からも、小さいは小さいなりに大いに役に立っているんだということをぜひひとつ御承知の上、いろいろな諸施策についての御判断をお願いしたいと思うわけであります。
 以上をもちまして私の意見陳述を終わらせていただきます。お聞き取りいただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)
谷畑委員長 どうもありがとうございました。
 次に、村本参考人にお願いいたします。
村本参考人 成城大学の村本でございます。
 このような発言の機会を与えられまして大変光栄に存じております。私は、立場上と申しましょうか、今の三人とはちょっと違った視点から中小企業の問題、特に中小企業金融の問題について所見を申し上げたいと思います。
 お手元に二枚紙がございますので、それに基づきましてお話を申し上げます。
 中小企業の状況につきまして、大変厳しい状況であるということは、もう既にお話がございました。私も同感でございます。その際に、私、中小企業の問題ないし中小企業金融の問題を考える場合に、幾つか視点があるんだろうと思いますが、とりあえず、一枚目の最初に書きました「基本的視点」、(1)の足元の問題とそれから中長期的な問題はやはり区別して考えた方がいいのかなと実は考えております。
 私が一番気にしておりますのは、中小企業向けの貸出残高が、先ほどもお話がございました、大変減っているということでございます。ここ数年で約五十兆ぐらい減っているという現状がございます。実は、この裏側にはマネーサプライの問題があるわけですけれども、マネーサプライがふえても貸し出しがふえなければ経済はよくならないわけでございますから、結局、単純なインフレターゲティングだけでは実は議論ができないという問題があるんだろうと思いますが、いずれにしても、そういう状況がなぜ発生しているんだろうか。つまり、これは裏返して言えば、貸し渋り、貸しはがしが起きているということです。
 貸出先数も実は大変に減っておりまして、この数年間でやはり五十万ぐらい減っているというような状況でございますから、大変これは困ったことだなと実は思っておるわけでございます。
 そんなことで、少し調べましたことがございますが、去年の秋ぐらいからアンケート調査を日本商工会議所を通じてやりましたことがございます。ちょっとそのことに一言触れておきたいと思います。
 四千ぐらいのアンケートが戻ってまいったわけですが、その中で、どういうことが私にとって大変気になったかといいますと、金融機関の貸し出しスタイル、いつから変わったんですかという質問をしてみたわけですね。そうしましたら、検査マニュアルが始まってからという答えが二五%、それから、金融庁ができてから、二八%ということでございまして、一つは金融行政との絡みが大変あるのかなという感じがしております。
 これは実は不良債権の問題と裏腹の問題でございまして、検査マニュアルとかあるいは自己資本比率規制、先ほど福島銀行の事例が出ましたが、自己資本比率規制だけで果たして金融行政というのはいいんだろうかというのが私もともとちょっと気になっているところでございますが、そういう問題、あるいは、先ほどちょっとございましたペイオフの問題もあるのかもしれません。
 そういう複合的な要因によって多分こういう貸し出しの残高が減るという問題が実はあって、それが裏腹で金融システム不安にもつながる。金融システム不安が出てくると、これは歴史が示すところですが、巨大銀行に預金が集まるというようなことが起きておりますから、ある種の因果関係はそこに求められるのかなという感じを持っております。そういうのを経済学では合成の誤謬というんですが、金融機関が身ぎれいになって健全化しても、経済全体が落ち込んでしまったら何も残らないねということになりますので、そこはやはり我々はよく注意しなきゃいかぬのじゃないかと思っております。
 ペイオフの問題が先ほどちょっと出ましたので、ちょっと一言だけ申し上げておきたいと思うんですが、日本では一千万円までということになっておりますが、実はペイオフが先に進んでいるアメリカでも、個人については、幾つか口座があって、それは全部合計できて、実は十万ドルが五十万ドルぐらいまで使えるという話を私も聞いたことがありますので、その辺ももう少し考えまして、風評被害が起こらないようなシステムを提示することが実は大事なことではないかと思っております。
 あるいは、ドイツでありますとかオランダの協同組織の金融機関では、俗に相保証というのですが、相互保証制度を持っておりまして、お互いの預金ないし債務については保証し合うというシステムを持っておりますが、そういったことも実はこういう問題の背後には必要なのではないだろうかというふうに考えております。
 それから、先ほど売り掛け債権担保の話が出てまいりましたけれども、これは実は大事なことでございまして、中小企業は実は担保がない。中小企業問題の最大の問題は自己資本不足だ、あるいは担保がない、あるいは必要な資金が借りられないような、さまざまな要因があると言われておりますけれども、売り掛け債権というのは中小企業レベルでは大変大きくございまして、大体土地と同じぐらいの規模、約九十兆円ぐらいあるわけですから、それを活用しようという制度をこれからどんどん育成するのは大変重要なことだろうと思っております。
 それから、足元で非常に重要なクレジットスコアリングという手法、企業の状況を点数化いたしまして、それに基づいて融資を行うという手法がぼちぼち始まっております。実はこれは、大変重要なことは、企業をスコアリングして、要するに必要な金利を取りましょうということをよく言われるわけですけれども、どうやら勝手に取られている、自分はいい企業だと思っているけれども高い金利を押しつけられるというのは非常に困るわけですが、それをきちっと点数化してやろう。
 これはCRDと書きましたが、国家プロジェクトで今始まったプロジェクトがございます。ただ、これはまだ加盟行が非常に少ない。これ、ぜひ広げてほしいということが私は大変気になっております。これはぜひ中小企業の社会的なインフラとして整備をしていくべき大きな課題であろうというふうに考えております。
 中長期的な視点につきましては、足元の問題ではありませんから、ちょっとコメントだけにいたしますが、先ほど政策金融の問題、これも出ましたが、後でちょっと申します。
 申し上げたいことは、この七月十二日に、金融システムと行政の将来ビジョンという金融庁の報告書が出たわけですが、この中に、括弧書きで引用しておきましたが、要するに、中小企業にとっては、そのビジョンでは、これからは市場を中心とする金融システムなんだから市場型でいこうよ、こう書いてあるわけですけれども、中小企業にとってやはりそれは必要かもしれないけれども、やはり時間がかかるよということが説明されております。
 ですから、中小企業であってもどんどん成長するような、つまり新しいマーケットといいますが、新興市場、ナスダック・ジャパンであるとか店頭市場であるとか、そういうところで上場できないようなところは、やはり今までどおり、銀行とか協同組織、これは協同組織の金融機関ということだと思いますが、対応することになって、実は数としてはこの類型が多いんだ、こう書いてあるように、今後はその方向だろうと。
 ということは、逆の言い方をすれば、従来型の地域金融機関はきちっと健全に育ってほしいというメッセージを私は受けとめたいと思っております。そういうのを経済学者はリレーションシップが重要だという言い方をしますけれども、従来型のいわゆるメーンバンク制度というのは実は非常に必要な問題であります。
 ところが、そこの記述の中に一つ気になることが書いてありましたのは、協同組織の金融機関というのは、先ほど、自己資本比率規制は私は問題だとちょっと申しましたが、自己資本の充実手法がないわけですね、株式を上場しているわけではありませんから。したがって、そういうところには実は別な手法も必要ではないかという問題点の指摘がございましたことをあえて指摘しておきたいと思います。
 それから、もう一つ重要なことは、合併の問題が先ほど出ました。合併すると地域から金融機関がなくなってしまうことが実はあり得る、それが実は大変心配だということが示されておりまして、今後、その問題はどうかねということが実は書いてありました。
 先ほど、日商の調査をいたしましたということを申しましたが、その日商の調査でも、合併をして、その後の金融機関の態度が変わるので、つまりその関係で貸し渋りを受けたというのを、私、ヒアリングに行った先で何カ所か聞かされましたが、そういう問題も実は起きております。ですから、合併がすべての答えにはならないなという印象を持っております。
 もう一つはノンバンクの問題でございまして、日本ではノンバンクの問題というのは商工ローンの問題になってしまうのですが、実はそうではなくて、健全なノンバンクはたくさんございます。そういうところが今後、中小企業の方でも役割を果たす可能性は大いにございます。実は、アメリカなどでも、中小企業金融のかなりの担い手はノンバンク、ファイナンスカンパニーと呼ばれるところでございますから、こちらをどうしていくかというのが今後の課題でございます。例えば信用保証制度の中に組み入れていくなんということもあるのかもしれません。
 それからもう一つだけ、今後の課題で申しておきますと、我々、お金を貸すというのを融資、貸し出しと言っていますが、これは実は幾つかの要素から成り立っておりまして、そこにちょっと書きましたが、例えば、審査をして貸す、その審査作業ですね、それから実際にお金を貸す作業、あるいは、貸したら債権の保全をしなければいけませんので、保証をする作業でありますとか、あるいは、それを事後的に管理をする作業、モニタリングといいますが、そういった作業であるとか、あるいは債権回収、こういった一連の作業を貸し出しと言っているわけですが、今後はこれが分解されていく可能性が出てまいります。これが恐らく今後制度的には重要なものになるのかなと考えておるわけでございます。
 話は二ページ目に参ります。
 先ほど、現状につきましてもう既に話がございましたので、あえて申し上げることはございませんけれども、「現状」の(1)の民間の金融機関の貸し出しの減少の四ポツ目に、先ほど日商の調査ということを申しました。日本商工会議所を通じて調査をいたしましたのは四千社と言いましたが、これは比較的実は中身のいい中小企業さんが多うございました。そういうところでも実はどういうことがあったかというと、貸し渋りに遭った割合がやはり四分の一以上ございました。あるいは、保証協会の利用、必要だね、四割以上ございました。
 そういう中で、やはり、お金に困らないと言うと変ですが、融資に困らないところはほとんどなくて、黒字企業であっても、あるいは収支とんとんの企業であったとしても、昨年に比べて採算がよくなっていないとやはりお金は借りられていないという状況でございました。したがいまして、そういう状況を考えますと、やはり資金不足が起こると、場合によると現在の制度を超えたところにいってしまうような問題も実は起きているなという感じを持っているわけでございます。
 それから、時間の関係で3に飛びます。
 中小企業について、私、どう考えているかということだけ申し上げますと、中小企業金融というのは、すべからくと言ったらいいんでしょうか、お金が行き渡らないことが最大の問題。こういうのを経済学で、情報が非対称的だ、こう言っておるわけですけれども、これを解消してやらないとお金が回りません。ですから、金融機関の役割は非常に重要なわけですね。
 大企業とか中堅企業の場合には、格付を得てマーケットから資金を取る、これは簡単にできるわけですが、中小企業はそうはいかない。そうしますと、民間の情報生産だけで足りない場合、つまり金融機関だけで足りない場合には、当然政策金融が対応しなければいけないんだという問題もあわせて出てまいります。
 ただ、それだけで解決できるわけではございませんで、(1)のポツの最後に書きましたように、市場型間接金融と書きましたけれども、今後は保証制度を完備するとか、つまり市場型システムにできるだけ近づけたところの制度をつくっていくとか、もう現在も信用補完はあるわけですが、これをもう少し整備するとか、あるいは証券化スキームを整備するとかということは、実は重要な問題になるのかな。
 そうしますと、政策金融は、それに対応していくことが実は必要でございまして、現在のような保証スキームだけではなくて、あるいはリファイナンスをやるというようなことも必要になるでしょう、あるいは担保証券というのを整備するのも必要になるでしょうということだろうと思います。
 そうしますと、それだけですべて終わってしまうというような印象を持ちますが、実はそうではなくて、直接融資を使いながら健全な企業を育てていくような問題。つまり、信用保証というのは保険の考え方ですから、大数の法則なんですね。ですから、大数の法則が働かないというようなことも大事だねということでございます。ですから、そういう意味で、直接融資を行うような問題が相変わらず残っていくのかなというふうに考えております。
 それから、少し飛ばしまして、リスクの分担と書きましたけれども、現在は、信用保証の制度はすべて一律で、どこに行っても信用保証協会では一%の保証料率で借りられておりますが、これをやりますと、いい企業にしてみると、何でこんな高いのという感じになります。悪い企業にすると、何でこんなに安いのということになりますので、やはりこの辺も少し、企業の体質に応じて差別化していくことも考える時期に来ているのかなというふうに考えております。そういうのをリスク対応の保証料率なんて言っておりますけれども、今後はそういうことも課題になってくるだろう。
 あるいは、現在は全部保証というシステムが多いのですけれども、保証を一〇〇%つけるのではなくて、八〇%にするとか九〇%にして、一〇%、二〇%は民間の金融機関にもそのリスクを負ってもらおう、こういうのをモラルハザードを除くというんですが、モラルハザードを除去することもあるいは必要になるのかもしれません。
 それから、再度申し上げますが、CRDのような、スコアリングをしてきちっとした企業の評価をするということをしてやりますと、中小企業の側でも、これは、一生懸命点数をよくしようという努力が働きますので、こういう制度をきちっと制度化してやるということがやはり今後の大きな課題になってくるのではないかと思っております。
 最後に、自己資本比率規制の問題を書きました。
 これは、現在、BISで常にいろいろ考えている最中で、二〇〇六年末適用と書いてありますが、中小企業をほっぽっておきますと、これはリスクが高くなってしまうわけですね。そうすると、中小企業にはインセンティブが全くなくなってしまう。中小企業融資というのはリスクが高いからやめてしまおうということになります。それをできれば引き下げた方がいい、大数の法則が働くわけですから、中小企業の融資というのは実は安全な融資なんだ、全体としてみれば安全な融資なんだという形で、最近の新聞では、大企業に比べてリスクを下げましょうという議論が行われているようですが、そういうことに関しましてもやはり発言をし、なおかつ対応を求めていかないといけないのではないかというふうな印象を持っております。
 以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)
谷畑委員長 どうもありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹本直一君。
竹本委員 自由民主党の竹本直一でございます。
 本日は、短い時間でございますが、参考人の諸先生方から貴重な情報を御提供いただきまして、本当に感謝申し上げます。時間が限られておりますので、何点かについて質問をいたしたいと思います。
 まず、牧野連合会特別顧問さんにちょっとお聞きしたいのでございますが、御説明の中で、例の特別信用保証、これは三十兆円近くの融資をし、デフォルトといいますか、代位弁済が四・五、六%という、割合低かったということで、まあ評価をしておられたようにお聞きしたわけでございますけれども、この制度は非常にいい制度だということで我々が推進に力を注ぎ込んだわけでございますが、結局、仕事をやりたい人が必要な資金を、協会の保証によって融資を受けて、そしてやる。これは非常に理想的なタイプでありました。
 しかしながら、非常に金銭のやりくりに困っている、仕事を拡大するわけではないけれども、後始末的な処理に使われた面も相当あるのではないかと私は思うわけでございますけれども、現実、その辺をどのように、どうであったかと見ておられるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
牧野参考人 お答えを申し上げます。
 先生御指摘のとおり、安定化保証の中で、前向きな、設備投資資金関係の保証というよりは、融資でございますが、運転資金、そういうものの方が大半でございました。
竹本委員 ありがとうございました。
 それで、急場のしのぎにはなったわけでございますけれども、借りてしまって、結局借金だけ残ったという苦情を言う人たちも結構いるというのも現実なわけであります。しかし、これも時代の必要性から生じたことであり、やむを得なかったのかなと思います。
 そこで、中小企業を救うといいますか、中小企業の振興を図るためには、私はやはり、要は、仕事をやりたいという需要と、それに必要なガソリンを供給する、つまり融資をしてもらうという、それがミスマッチを来しているのが今の中小企業の一番深刻な事態ではないかというふうに思っております。
 そこで、政府の方では、これも牧野顧問が御説明になりました、DIPファイナンス、売り掛け債権担保融資保証制度、これも九百億ぐらいで利用度が余り上がってこない。理由は幾つか述べておられましたけれども。しかしながら、九十兆円ほどの担保価値があるという先ほどの先生の説明でございましたので、ぜひこれを拡大したいわけでございますが、現時点に立って、どういう方策を強化すればこれがもっと利用できるかということについて、もしお考えがあればちょっと聞かせていただきたいと思います。
牧野参考人 お答えを申し上げます。
 先ほど私が御報告を申し上げましたとおりに、この七月十九日現在の本制度の利用状況は、承諾千三百七十四件、そういう数字でございました。この制度開始は去年の十二月の十七日でございますので、本年の三月末までの約三カ月強、この間では二百一件しか実は実行できませんでした。それからかんがみますと、利用は、徐々にではございますが浸透しつつある。特に、先ほど御報告しましたように、六月はぐっと伸びているわけでございまして、そういう方向にあるわけでございます。
 要因としては、金融機関や商工団体に対する積極的な推進活動を行ったということ、それから、地方公共団体や地元の有力企業に対して本制度の趣旨を説明しまして、譲渡禁止特約の解除要請を粘り強く行った、こういうことがございます。それから、同業者団体などの主催する会合に積極的に私どもも参加をいたしまして、本制度のPRを行ったということが挙げられると私は思っております。また、一面、今後どうするという、今のをもっとやるんだ、こういうことになろうかと思っているところでございます。
 ただ、売り掛け債権を担保提供することは、ただいま先生もお話しでございましたが、本制度の創設前は余り行われておりませんでした。中小企業者は風評被害の懸念を抱いている、もう一つは、商慣習として定着していないために売り掛け先に抵抗感がある、それから、債権譲渡禁止特約が解除されない場合がある、これはかなりあるものですから、などによって利用促進が現在阻害をされております。
 私ども信用保証協会といたしましては、引き続き、積極的な利用を推進することによって本制度の理解と定着に努めてまいりたい、かように存じている次第でございます。
竹本委員 ありがとうございました。
 服部理事長にちょっとお聞きいたしたいわけでございますが、冒頭、湘南地方における大変厳しい景気の状況について御説明がありました。個人的な意見で結構なんでございますけれども、私は常々考えておるわけでございますが、先ほど村本教授からもお話がありましたけれども、事業をやりたいのに資金がない。その資金を借りようとしても貸してくれない。中小企業総合事業団とか保証協会といろいろ手だてはありますけれども、政府系だと金利は安いがやはり限度がある。事業にはもっとたくさんの金が要る。その金を借りたいけれども、銀行は貸してくれない。
 そうなりますと、その中間の領域、ぱっといきまして、商工ローンにいってしまって、二〇%ぐらいいってしまう。この中間の金利でいいから、担保なくして貸してくれる、そういうシステムが今の日本の金融の現状においてはないのではないか。ところが、そういったものを欲しいと思っている中小企業が、事業者が相当いるのではないか。そのように見ておるんですけれども、そういった考え方についてどのように感じておられるか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
服部参考人 お答えを申し上げます。
 貸してやりたいけれども、担保がないということであります。担保じゃなくて、先ほど申し上げましたように、人間と事業の将来性に貸そうと。だったら、ちょっとまずいんですけれども、保証協会さん頑張れといっても、保証協会は私たち以上に担保を要求するということでありまして、そこに大ミスマッチが起きているというのが実態でございます。
 以上です。
竹本委員 そこで、私が考えているのは、そういったところ、要するに、金融、融資の理想論としては、今もお話がありましたように、将来性について貸す、担保なんかとらなくてもいいじゃないか、そういう融資をしなさいということを我々は金融機関に言っているわけです。やりますと金融機関は言うわけですけれども、現実には行われない、これが現実ですね。
 ですから、私が思いますのは、担保はなくしても、もちろん概念的には将来性ということに対して注目して融資をするわけですが、担保なくして融資できるような仕組み、そういうものを何らかの政府の支援のもとにでもつくるべきではないかという考え方を持っておるんですけれども、そういったことに、例えば保険を使う、保険のバックに政府が後押しをするような仕組みをつくるというようなこと、今、中小企業には全然担保はありませんよね、全部何かに使っていますから。ですから、そういう仕組みをつくるという考え方に対して、理事長の感じ方、お考え方をちょっとお聞きしたい、こういうことでございます。
服部参考人 お答えをいたします。
 先ほども話がありましたが、貸出金はリスクウエートはすべて一〇〇なんであります。そんなばかなことはないんですけれども、貸し出しは一〇〇で、国債はリスクウエート、ゼロだ。国債を今売却したら、百円で売れるわけがないんですよ。そんなところをもう一回見直していただかないと、融資は伸びていかない。
 それから、あとは、条件変更とか赤字に対して、金融庁の検査が、要注意債権じゃなくて要管理債権あるいは破綻懸念債権に査定をされてしまうというのが問題でありまして、メガバンクの査定と中小金融機関の査定とはおのずから違うんだ。赤字が二期、三期続くと、これはもう要管理債権。そうすると、貸出金の大体一四、五%の引当金の積み増しが必要になる。いわゆる破綻懸念債権になりましたらば七〇%以上の引き当てが必要になるという、この辺の矛盾が今はっきり出てきているということであります。
 以上、申し上げました。
竹本委員 時間が参りましたので、最後の質問をいたしたいと思いますけれども、要は、BIS基準というのがございますね。国際的な分野と国内とは確かに違います。しかしながら、私は、全く同じ基準ですべての金融機関を律する今の金融政策は非常に問題がある。だから、対外的なものは対外的な国際ルールでやりましょう、しかし国内は、信用組合、信用金庫あるいは地銀、第二地銀、いろいろな問題も含めて、要はダブルスタンダードでやった方がいいんじゃないかというふうに思っているんですけれども、これは村本先生にちょっとお聞きしたいんですが。
村本参考人 ダブルスタンダードがいいかと言われれば、それがまさにいいとは申しませんけれども、それに補足するようなものをやはり用意するべきだと思うんですね。地域に対する貢献度であるとか、あるいは自己資本比率規制以外の何か指標をつくって、これでうまく地域にやっていますとか、そういうことをやらないとやはりいけない、それをダブルスタンダードと言えば、そうかもしれません。そういう考え方をしております。
竹本委員 終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 佐藤剛男君。
佐藤(剛)委員 衆議院自民党の佐藤剛男でございます。
 ただいま参考人各位から非常に有益な陳述を賜りました。特に、私は福島でございますが、坪井会頭は、日本商工会議所の金融関係の責任者でもございますし、東北経済連合会の副会長もされ、まさしく私どもの誇りとしている会頭でございます。そして、広範にわたりまして、今般、税の問題からペイオフの問題から承らせていただきました。まさしく、私は敬服しながら聞いておりました。
 また、何年前でしたか、あのペイオフ延期のときに、自民党の商工部会・中小企業調査会におきまして、会頭が、日本商工会議所を代表せられまして、ペイオフを延期すべきであるという議論を吐かれました。それで、まさしく、それをしたことによって、その後いろいろな銀行がつぶれ、生命保険会社がおかしくなった。そういう意味において、私は非常に先見性のある御発言だと思っております。
 それで、きょうは、特に地元の経済の、実体経済、極めて厳しい、この面について、政治が、また行政がしっかりと主導してくださいと。まさしく我々は今そういう立場にあるのじゃないかということを、今つくづく感じたわけでございます。
 時間が限られておりますので、僕はちょっと重点をペイオフのところに置いてまず申し上げさせていただきたいんですが、ペイオフを導入するという決定をしたときの時点と、今の時点、それからまた、来年からの普通、当座のものとは、大分与件が違っているんじゃないかと。この与件の違いを注意しないと、私どもはとんでもない大間違いをしちゃって、これは日本の経済をがたがたにしてしまうだろうという気がいたします。
 第一は、非常にわかりやすいんですが、ATMが設置されました。それが設置されたことによって、例えば福島から大阪に即座にお金が流れることができるわけであります。銀行をかえることもできるわけであります。そうしますと、金の方に集中されるという御意見がございましたが、そのように、ふえるところの銀行にふえるわけですね。しかし、これは要求されれば出さなきゃならない話ですから、中小企業にも貸せない。これは服部参考人が強く主張された点だと思います。私はその面を、第一は、そういうものが入ったんだよ、機械化されたんだよということを我々は考えなきゃいかぬ。
 それから、ペイオフの延期問題というのが議論され出したのが、あの九四年の東京協和それから安全信組の破綻だったと思います。そして、それ以降、バブル型の金融破綻ががたがたありまして、また生命保険会社もつぶれました。七つつぶれました。それで、ペイオフを実施すると大混乱が予想されるということで、当時、金融制度調査会というのが答申を出しているんですね。私それを見て、いいこと言っているんです。さわりの部分だけ言いますと、その時点において――これは九五年の十二月に提出されたものです、今から約七年前。これには、金融機関が不良債権を抱えていて、信用不安を醸成しやすい環境にあることだから、まだペイオフを行う条件が整っていないと考えられる、こう言っておるんですね。これは九五年の十二月でございます。
 そういうふうなことから、預金保険法が九六年六月にこの答申を受けて改正されて、そして二〇〇一年三月までペイオフ解禁が凍結されて、そしてその後、九九年末に、一年の再延期が決定したわけでございます。
 その間にどういう状況が起きているかというと、民事再生法、千件以上出ています、そごうの。特定調停法、これは議員立法でやりました。五十万件ぐらい出ているんです。ですから、すごい倒産状況というのは現実に表立って見えないが、ああいうデータだとか、陰で出ていないが、たくさん出ておるという問題がございます。
 それから、もう一つの問題としましては、時価評価というのが出てきたんですね、株式等について。ですから、これが出てきたことによって、BIS基準との関係で、先ほど来ありましたが、これも大変な問題を非常に提起するだろうと思います。
 そういう意味で、私は、このペイオフの問題についてはこれから議論が沸騰してくると思いますけれども、参考人各位の御意見につきまして高く評価させていただき、私どもで所要な、間違いないような政策を遂行しなければならないということを申し上げまして、時間が五分間でございますので、恐縮でございますが、十分至りませんでしたが、まだいろいろこの機会にお聞きしたいとは思いますが、かようなことで終わらせていただきます。
 本日は、本当にありがとうございました。
谷畑委員長 中山義活君。
中山(義)委員 参考人の皆さん、御苦労さまでございます。
 村本先生、実は、先ほど、一九九五年から二〇〇一年までに六十四兆円のお金がいわゆる市場から逆に銀行に戻っているというお話でございますね。しかし、本当はもっとひどい状況だと思うんですね。実は、約三十兆円近くを保証協会が保証しているわけですね。それでこの結果ですよね。では、もし保証協会が保証しなかったらどんなことになったんでしょうかね。大変なことが起きたと思うんですね。
 そういう面では、どうも金融庁のやっていることと、我が経済産業省を中心とするこの委員会のやっていることは、やっていることが全然違うんです。我々の方がしりぬぐいしているわけですよ、ある意味じゃ。国がやっていて、片っ方、金融庁が検査マニュアルでがんがんがんがんいじめておいて、経済産業省の方では逆に保証協会で保証させるという、何をばかなことをやっているんだと、今、この政府は。全く逆じゃないですか。そう思いませんか。
 このちぐはぐなことについて、先生ちょっと、ぜひ。
村本参考人 役所間のデマケの問題について私何か発言もしにくいんですけれども、確かにおっしゃった面はあるのかなと私は思っております。
 というのは、先ほどちょっとアンケートで申しましたように、検査マニュアルが出てきてから悪くなったとか、あるいは金融庁ができてから悪くなったとかという答えが結構ある。それは、実はおっしゃったことの裏返しになっている可能性が高いという感じがします。
 ですから、中小企業金融の実態をもう少し金融庁の方に伝達するような作業もぜひお願いしないと、やはりうまくいかないのかなという感じはしておりますけれども、まあ、お答えになりませんが、そんなことを思っております。
中山(義)委員 この間の予算委員会を見たら、やはり与党の人も全く同じことを言っていましたよ。与党のくせにと言った方がいいですね。もっとがんがん小泉さんをやっつけてくれなきゃだめですよ、与党だって、そう思ったら。本当に、おかしなところがある。今の小泉さんはいわゆるフーバー大統領と一緒ですよ。間違いなく緊縮財政、デフレ経済を歩んでいる、そう思って仕方ないんですね。
 そこで、牧野参考人、保証協会で三十兆円近い保証をしましたね。だけれども、あれは、長銀、日債銀に国がいろいろなことで出したお金だとか、貸し渋り対策として十五兆だとか二十兆とかやりましたよね、そういうことから比べれば、代位弁済、大した金額じゃないと思いますよ。私は、あと二十兆円ぐらいやるべきだと思いますが、その辺、どうでしょうかね、保証協会の立場でもうちょっと、じゃんじゃん保証すれば、もっと市場にお金が出るというふうな感覚は持っていませんか。
牧野参考人 お答えを申し上げます。
 安定化的なことをもう一回というような意味でもし先生お話しだとすると、そういうことではなく、やはり、そのためにも売り掛け債権担保融資保証制度、こういうようなものをやる、あるいはセーフティーネット保証を充実する、こういう方向で努力をしているところでございまして、私どもとしてもそういう方向の努力をこれから進めてまいりたい、かように存ずる次第でございます。
中山(義)委員 今一番テレビへ出てきて元気なのは、武富士、プロミス、アコム、レイク。ばんばんテレビに、一番いい時間にコマーシャルに出てくるんですよ。しかも、ハワイアン・オープンだとかなんだとかと、ああいうアメリカのゴルフのスポンサーにまでなっているんだ。何でこんな元気いいんでしょうかね。
 服部参考人、ちょっと、なぜこんな元気がいいんでしょうか。
服部参考人 何で元気がいいかといったら、二九・九%の金利を取れるからであります。私の方は、幾ら頑張ったって二、三%しかいただけない。ですから、いわゆるお客様の格付によって金利を上げていただくことを今、だから先生のおっしゃるのと逆なやり方をしなければ我々飯が食えない。それが、バブル時代は、八百屋も魚屋も、じいちゃんばあちゃんのお菓子屋も、いわゆる長期プライムレートで貸していたんですよ。そんなばかな金利の設定をしたのが今とがめが来ているのでありまして、大部分は金融機関と政府の責任である、こういうふうに思います。
 あとは、いわゆる金融庁の検査に問題があります。これはダブルスタンダードをぜひやっていただかなければならないというのと、一つ、これはちょっとここで記録は余りとっていただきたくないんですけれども、十一月の六日に私はここに参考人として呼ばれました。それで、かなりペイオフ反対、時価会計はまだ時期尚早と言ったんでありますが、食堂に行きまして、卵が載っかっているライスカレーを食べているところに電話がかかってきて、金融庁から検査を実施すると言われました。
 それは偶然なのか、あるいは、この私が答弁しているのをごらんになって、それではちょっと見てやろうじゃなかろうかと言ったのかわかりませんよ。多分、偶然だとは思います、期間も一年六カ月以上離れておりますから。しかしながら、大変怖いことでありますし、そのころはトヨタと信用金庫の検査はマニュアルは一緒であった、そういうことに問題があるんじゃなかろうか。
 それから、七年前については、余り不良債権問題については問題にされていなかった、認識が甘過ぎた、まだ浮かれている部分が大いにあったということを反省しております。
 以上です。
中山(義)委員 いや、本当にもしそんなことがあったら大変ですよ。つまり、検査マニュアルをもってどんどん信用金庫、信用組合をいじめたのでお金が出せない。二年赤字なら金貸すなとか、十年で返済できない負債を持ったら金貸すな、こんな検査マニュアルで中小企業が潤うわけない、私はそう思いますよ。
 ですから、もしそんなことがあったら言ってくださいよ。リークしちゃうよ。我々は、政府がもしそんなことをしたら、徹底して国会でやりますよ。大変なことですよ、今みたいなことがもしあったとすれば。いや、あったと思います。我々の近くの信用組合も、つぶされたと思って間違いないような信用組合があるんです。とんでもないことを金融庁はやっているんですよ。
 だから、金融庁ができてからおかしくなったと言っているじゃないですか、先生も。まさにそう思いますよ。財務省と金融庁は何をやっているんだと。財務省はいつも、今国の負債が大変だ大変だ大変と、一生懸命、大変だと。国がもう経済的にとんでもない、あしたにでもつぶれるようなことを言う、そして税金を取ろうとしているんですよ。そんなふうに私には見えるんです。
 ですから、外形標準課税だっておかしいでしょう。片方地方税で、法人税安くて、国税ですよ、地方税と国税と何を違うふうなことをやっているんだと。ただし、都道府県も、今財源が少ないから欲しいわけですよ。だから、別に地方の方も反対しないし、欲しい欲しいと言えばそれがうまく成立しちゃう可能性がある。これだって問題がありますよ。私たちはもう一度、金融庁のやっていることをよく考えなきゃいけないと思うんですね。
 そういう意味で、ちょっと坪井さん、外形標準課税について、やはりひとつ、もう一度反対の弁を、政府批判とともにやっていただきたいと思います。
坪井参考人 おっしゃるとおりで、頑張りたいと思います。
 ただ、全国知事会がこれの導入に対して賛成の決議をしております。それから、地方議会等も、それに対しての若干の部分では賛成の決議をしているところがあります。
 ですから、ただ乗り論で、要するに、インフラを使っていろいろな利用をしているのに、赤字で税金を払わないのはおかしいじゃないかというのであれば、その人頭税的なかけ方に対して私どもは大いに反対しているわけです。要するに、給与にかけられるということになりますと、人頭税です。そうじゃなくて、もし考えるとしたら、地方消費税とか、その他のいろいろな税制の中で考えてもらえればいいんです。
 ただ、まさに労働生産性が低い地方の、人間をたくさん抱えて低い、私どもはタクシー業をやっておりますけれども、タクシー会社も全くそのとおり、バス会社もそうですが、こういうところで給与にかけられたら一挙に増税になるということははっきりしておるんです。そういうことについてのもっと分析した形での提案であればいいと思うんですよ。
 それからもう一つ、ちょっと意見がありますので、よろしいですか、先生。
 今の金融庁の問題ですけれども、私も去年の三月まで大蔵省の金融審議会の第二部会の委員をしておりました。そこでこの延期を決めたときの当事者であります。その中でいろいろ論議された点もありましたけれども、その後のいわゆる金融庁の検査マニュアルによる圧力というものがいかに地方のいわゆる我々中小企業、零細企業の金融を締めつけてきたか。絞め殺されてきている。ですからそのために相当な、要するに今の論理も、この間、柳澤大臣は、今の大臣は、従えないなら消えてくれというような発言をしているんですよ。
 こんなことは、まさに私どもの地方で一生懸命土壌を耕して、どこに肥料を入れたらいい実がなるかというところを知っている信金、信組等が細かく、それこそ何代も前のおじいさん、おばあさんの時代からつき合ってきて、このうちはどのくらいの能力があるかもわかっている、そういうような信金、信組を、合併すればいいと。そのためには、あめで、要するに三千万円、四千万円の保証を今のペイオフにおいても与えようとか、自己資本を、これはどうせ優先株ですよ、劣後債で入れてくるのならいいですよ、そういう部分を含めて、要するに、あめをなめさせながら合併すればいい、合併すればいいと言うのは全くの間違いです。
 いわゆる本当にきれいな土壌をつくって、肥やしをたくさん入れて耕して、ミミズがたくさんいる土地でなければいい作物はとれない。それをやってきたのが全部信金、信組、第二地銀なんです。そこを、合併すればいい、大きなものにならなければ国際競争力がなくなると。ここは外為もやっていませんよ。アメリカの債券も買っていないし、売ってもいませんよ。そんなところになぜそういうような論をするのか。
 財務省と金融庁が分かれてから、金融庁の姿勢はおかしいと私は思っておりますので、この点は、私どもも一生懸命これから是正をするために運動したいと思います。よろしく一つ御援助をお願いいたします。
中山(義)委員 我が党と商工会議所は全く意見が一緒でございまして、今の弁は、これからも街頭でばんばんやらせてもらいます。
 あと、協同組織である信用金庫、信用組合は、やはり評価されるべきは、地域の企業をどれだけ育てたか、ここが一番大事なわけです。育てるということはどういうことかといったらば、融資だけじゃありません。ある意味では資本を貸しているんですね。だから、すぐに返済を迫れというような金融庁の指導はおかしいわけですね。多少その返済が渋っても金利だけ取って、それは配当だという理解も同時に必要だと思うんですね。それを金融庁が若干許してくれないと、大変おかしな部分があるわけです。
 それと、先ほどなぜノンバンクはもうかっているのかという話をしましたが、金利だと言いましたよね、金利が二九%。この金利というものも若干の工夫をして、お金を貸すときに、事業者ローンの一つの無担保無保証のときに金利を若干上げるとか、また保証協会でも、保証料を若干上げて、もうちょっと無担保無保証、第三者保証人は絶対とらないというような形を考えられませんか。若干保証料を上げて、もっと無担保無保証でお金を出すという保証協会のあり方はないですか、牧野参考人。
牧野参考人 お答え申し上げます。
 現在、私どもも主務省ともいろいろと協議をしながらでございますが、先ほど村本先生がおっしゃられたようなCRDというものを使いながら、今後リスク対応型保証料率というものを展開していく。そういうことによって、この間までのいろいろなデータの中では、今原則一%というのがございますが、〇・九%から一・二%ぐらいで四ランクでやるか、あるいはもうちょっと傾斜配分を高くしてもいいのではないのか、いろいろと議論をされているところでございまして、私どもとしても、今後こういうものの研究を深めてまいりたい、かように存ずる次第でございます。
中山(義)委員 私は、やはり保証協会も、ユーザーに対して、消費者に対して、商品という物の考え方で、できるだけ買いやすい、使いやすい商品をぜひつくっていただきたい。これは売り掛けだけのあれじゃなくて、売り掛け債権だって、ない人もいるわけですよ。だけれども、意欲があって非常に能力のある人がうんといるんですよ、経営者の中で。ちょっとその辺、考えていただきたいと思います。
 それから、やはり日本の場合、グローバルスタンダード、いわゆるアメリカ・スタンダードですね。アメリカの企業がおかしなことになっているじゃないですか。余り市場経済というものに重点を置き過ぎてもやはり問題点がある。弱肉強食という形でどんどん零細企業がやられていっちゃうわけですよ。私たちは、やはり九九・七%が中小企業であり中小零細であるということをもう一度確認をしなければいけないと思うんです。
 最後に、ペイオフは絶対に今やったら大変だ、全面解禁はやったら大変だと思うんです。
 一つは、地方自治体が変な格付をする可能性もあるんですよ。東京都は、大銀行、メガバンク、石原さん、銀行税でやられたから、これはそのかたき討ちみたいに思っているんじゃないですか、格付するというんです、地方自治体が銀行の。これ、都道府県が今度信用金庫や信用組合の格付なんか勝手にやったらどうなりますか。東京都は、格付すると言っているんですよ、メガバンクを。だけれども、信用金庫、信用組合、市町村だとかそういうところが自分の近くの中小のいわゆる地域金融を格付なんかしたら大変ですよ。でも、そうせざるを得ないような状況をペイオフの全面解禁というのはつくっちゃうんです。だから、我々は、全面解禁は絶対に反対をするわけです。
 最後に、服部参考人、高らかに、全面解禁は反対だ、こうでかい声でどなっていただいて、私は、それを聞いて質問を終わりたいと思います。
服部参考人 お答えいたします。
 十一月の六日のこの会に出させていただいたときに、反対だと言っているんです。時価会計も反対だと言っているんです、時期が早いと。にもかかわらず、一言も耳に入れない、挟まない、こういうことであります。
 それから、格付につきましては、なかなか格付をできるようなお客様じゃないんです、対象のお客様が。ですから、先ほどの保証協会が一工夫するというのも、また一つ大事なことだと思います。
 それから、国が本州と四国にかけたいわゆる橋の代金の三十年返済を五十年に変えた。私たちがお客様に五年を十年に変えたら、条件変更で要管理債権であると言うんですよ。こんなばかな話はないのであります。大蔵大臣経験者もここにいらっしゃいますからその辺はよくおわかりだと思いますが、とんでもない話でありまして、絶対に反対。何が起きるかわからぬ、命の二つや三つは飛んでしまう、こういうふうにお思いをいただきたい。私は、体をかけて中小零細企業を守り通します。
 終わります。
中山(義)委員 皆さん、頑張ってください。
 終わります。
谷畑委員長 河上覃雄君。
河上委員 公明党の河上でございます。
 ただいま同僚議員から激しい、盛り上げるお話がありましたので、少し冷静に御質問をさせていただきたいと思いますが、皆様方の厳しい現状を裏打ちするお話をいただきまして、同感の思いがいたします。
 実は、つい先日も、私は神奈川県でございますが、商工会議所の会頭を初め副会頭の皆さん方と懇談をいたしまして、今お話しになられたような、そのままのお話をちょうだいいたしました。しかるべき実情、現状についても伺ったところでございます。と同時に、私も中小企業の皆さんが集積している地域、大田区もつい先日行かせていただきましたし、来週は東大阪等へ足を向けようと思っておりますし、川崎も行っておりますが、そこで大変厳しい御指摘をいただきました。
 ある意味では、私たちは反省をしなくちゃならないんですが、よく視察にいらっしゃる、実情を聞いてお帰りになられる、帰って何をやってくれたんだという厳しい御指摘をいただきました。何にもやらないんだったら来なくたっていいということまで話が出ているわけでありまして、これは、現場の中小企業の皆さん方が極めて厳しい状況にある。普通だったらそんなことは多分申さないと思うんですね。しかし、そこまではっきりと言われるわけですから、この現状は大変厳しいものだ、そのような認識をいたしているわけでございます。
 その上で、何点か質問させていただきたいと思いますが、まず、神奈川県でございますので、服部理事長に敬意を表しまして、うんちくのあるお話をいただきましたが、繰り返しになるところもあるかもしれませんが、もう一度よろしくお願いしたいと思います。
 先日公表された金融庁によります金融検査マニュアルの別冊、中小企業融資編についてお尋ねをしたいと思いますが、地域金融機関のお立場から、今後このマニュアルの運用等につきましてどういった点が考慮される必要があるとお考えになっていらっしゃるか。
 それからもう一点、金融機関においては、信用リスクに見合った金利を取るという観点から金利の引き上げを行っていると言われております。服部参考人の信用金庫におきましては、どのような御対応をなさっているか。地域金融機関としての立場から、こうした問題についてどうお考えになるのか、この点についてお聞かせください。
服部参考人 金融検査マニュアルにつきましては、何回か説明会がございまして、それで、基本的には変えないけれども、いわゆるかげんをすると言ったら言い方がよくないんでしょうね、やはり中小企業に考慮しながらやっていこうじゃなかろうかと。だから、簡単に言いますと、不平不満があった場合は直ちに言ってきてほしい、こういう説明であります。しかしながら、金融庁に文句を言いに行く金融機関はまずないと思いますので。
 それから、検査官の資質だとか経験だとか、あるいはみずからの感情でこれが左右されるということは大いにあるわけであります。
 それから、金利の引き上げについては、私のところでも二億でも三億でも収益を上げなきゃいけないのは、やはり今までの金利体系が間違っていたということであります。六千五百億円の融資が総額でありますが、その中で、金利を引き上げていただける対象というのは二千五百億円ぐらいの先にしかありません。まさか、住宅ローンを上げるというわけにはいきませんし、それから小さなものを上げるわけにはいきませんので、お願いをする先というのは限られております。そこで、〇・二から〇・三ぐらいお願いをしようと。こうやって四月から始めておりますけれども、実際に実現できたのはまだ二〇%にも満たない。これ以上上げたら手が上がっちゃうぞと言われれば、金利の引き上げの要請はできないということであります。
 それから、私は、地元で育って地元で仕事をしました。私は地元で五代目であります。プロパーから上がっておりますから、たたき上げであります。ですけれども、逃げ隠れできないんです。私が子供のころ寝小便しているのまで知っている人ばかり、まだ、八十、九十の人でいるわけであります。おまえは子供のときぜんそくがあったなというのを知っている人ばかりなんです。都市銀行は、半年でも一年でもぱっと支店長をかえちゃう。だけれども、私は地元におりますから国会議員と同じであります、逃げ隠れできないんですよ。ですから、しようがない。
 中国で北朝鮮人が亡命したときに、一番最初に逃げたのは男でありまして、女子供は捕まっちゃった。あれを見ていますと、究極は、多分、男は逃げちゃって女子供がやられちゃうんだ、私はそう思うんです。でも、それだけは絶対にしてはいけないというのが私の信条でありまして、何しろ、いわゆる役割、人格の働きと前回も申し上げましたが、大事なときには命をかけてもお客様と従業員を守るという姿勢をずうっと貫いていきたい、こんなふうに思っております。
 以上です。
河上委員 ありがとうございました。
 牧野参考人にお尋ねをいたします。
 いろいろとお話をちょうだいいたしました。これから新しい制度よりも、売り掛け債権担保保証制度をしっかりと充実させたいと、幾つかの点もお話しになりました。
 具体的な一つでございますが、出発当初は、風評の問題が非常にある。いずれにしても、これを借りるということは、この会社は危ないんだという風評被害に遭う場合も当然起こっているわけでございます。その意味では、企業体質としてもしっかりしたところが、それから頑張っていらっしゃる企業の方々はたくさんいらっしゃる、いいところの人たちもこういう制度を活用して借りていただくと非常に風評も落ちついてくると思うので、ぜひともこういう御努力をしていただきたいと思っております。
 RCCに債権が譲渡された中小企業者に対しても信用保証協会は保証を行っているのか、そして、こうした中小企業の事業再生等についてはどのようにお考えか、この一点だけお聞かせください。
牧野参考人 お答えを申し上げます。
 第一点は、RCCに売却された後でも保証しているか。
 整理回収機構への債権譲渡を行うことによって中小企業者と当該金融機関との与信取引が途絶する、これはもうそういうことですので、中小企業者としては資金調達の道が大変狭まる。加えて、RCCに譲渡されたことが当該中小企業者の他の取引金融機関の知るところとなりますと、これらの金融機関からの資金調達も現実的には大変に困難になってくる、こういう状況は確かにございます。
 整理回収機構は、譲渡を受けた債権について三年をめどに回収する、こういうようなことを言っておることもございまして、中小企業者が返済条件の変更に弾力的にこたえてもらえない場合もあるようでございます。
 以上の点を踏まえまして、私どもとしては、金融機関の保証づき融資に係るRCCへの債権譲渡については、中小企業者への影響を最小限にとどめるべく、目下RCCなどの関係機関と協議を行っている、こういう状況でございます。
河上委員 村本参考人に一点お伺いいたします。
 今後の中小企業金融政策、中長期的な観点を含めまして御陳述をいただきました。そこで、いろいろと今質疑もございましたし、お三方の陳述等もございました。それらの現状を、現下の中小企業のある実態を踏まえまして、中長期的観点というよりも、現状で最も重視して中小企業の金融政策を打たなければならない点はどのようなことか、ぜひともお聞かせいただきたいと思います。
村本参考人 現状でということですから現状だけ申し上げますと、私は、やはり直接融資をしなければいけない分野はまだございますので、これは重要だなと。ただ、もう一つは、信用保証の問題というのも、これもまた重要でございますから、やはり両輪なんだろうと思うんですね。ですから、当面は、現在あるものを、きちっと両輪を動かすこと、車の両輪をうまく動かすことが重要だというふうに考えておりますけれども。
河上委員 商工会議所の会頭にお尋ねしようと思いましたが、先ほどのお話も、そして神奈川でもお話をした直後でもございますので、もう時間も多分超えてしまいますので失礼をいたしますが、ぜひとも皆様方には頑張っていただきたいことを心から御期待申し上げ、終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 達増拓也君。
達増委員 参考人の皆様、大変お疲れさまでございます。
 順番に質問させていただきますけれども、服部参考人に伺いたいと思います。
 それは、痛みを伴う改革ということについてなんですが、今週月曜日、二十二日に衆議院で予算委員会が開かれまして、小泉総理が出てくる予算委員会、そこで自由党の中塚一宏議員の方から、痛みを伴う改革と言うけれども、それは全然うまくいっていないんじゃないかという質問をしました。
 大きく二つの点であります。
 一つは、痛みを伴う改革の理論的根拠として竹中平蔵大臣がよく言うんですが、経済白書、今は経済財政白書といいますが、その白書にも書いていますが、構造改革というのは、要は資源の再配分なので、非効率なところから人やお金が効率のいいところに移ればいいので、そういう意味で、失業、倒産がどんどん起きれば、そこで出てきた人やあるいは経営者というのは効率のいい方に移るから経済が強くなるという論理であります。
 しかし、実際、地域の経済、企業の現場をごらんになって、あるいは一緒に仕事をされて、実際そうなっているのかということです。倒産した会社が、よし、これで古い産業とはおさらばだ、せいせいしたといって新しい成長産業に移って成功しているのか、また、失業した人たちがどんどんニュービジネスとか新規産業分野に移って高収入を得るようになっているのかという点であります。恐らく実態はそうじゃないと思うんです。痛みを伴うというのも、そういう古い産業、効率の悪い産業が痛みを伴うわけでは実際はなく、かなり理不尽に、たまたま金融庁の指導によって運悪く資金繰りの悪くなったところが非常に理不尽に痛みを伴っているんじゃないか。
 その辺について、実態がどうなっているのか、伺いたいと思います。
服部参考人 小泉総理のことは私は言いたくないんです。私は横須賀でございます。それから、住所も、三春町といいまして、小泉さんのすぐそばに住んでおります。高等学校は後輩でございます。八つ後輩であります。
 しかしながら、もうここに来たらそうは言っていられなくなってきました。随分応援をしてきたんですが、痛みは人々の力をなくしちゃうのであります。お医者さんの方もここにいらっしゃると思いますけれども、これはだめなんですよ、痛み。痛みはなくさなきゃいけない。ひょっとしたらモルヒネを打っても、痛みはまず取ってやってから物事を考えていくというのが医者の常道でもあるし、それから、我々の仕事は全部傷んでいる人ばかり相手にしているんですから、信金、信組は。ですから、そういうふうに思います。
 貧すれば鈍するといいますけれども、こういうことになりますと、すべてもう下品になり、余り人のことは言えませんけれども、下品になり、品格をなくして人の悪口ばかりを言うようになっちゃうというのが常態でありまして、しかも、いわゆる地域で生まれ育った人は何とかという気持ちがありますが、出稼ぎに近い、よそから来て居ついて仕事をした人はすぐ逃げてしまう、こういうことがあります。
 それから、先生、皆さんの、一部の方でありますが、目線が高過ぎます。子供というのはすぐ下におっこっているちりも発見します、ちっちゃい子は。大人は、特に、百九十六センチあるそうでございますが、背の高い人、これは目線が高くて、いわゆる庶民の生活を全く見えない。特に国会議員の皆さんは、もう少し目線を低くしていただきたい。だけれども、皆さんは毎週のように選挙区にお帰りになっているからいいんですが、お帰りにならない人はこれがわからない、こういうふうに思います。
達増委員 よくわかりました。
 次に、牧野参考人に伺いますけれども、売り掛け債権担保融資保証制度についてであります。
 これは、当初余りに利用が少なかったもので、中小企業庁の方も驚いたのか焦ったのか、五月二日付事務連絡で全国信用保証協会連合会の方に、どんどんこの制度が使われるように目標を設定してやらなきゃだめだという事務連絡を出し、そこには、「なお、本年度の信用保証協会基金補助金の各都道府県等への配分に際しては、」この制度の「実績を重視する方針です。また、今後の無担保保険等の保険料率の見直しに当たっては、本制度の全体の保証承諾実績を踏まえたものとなると考えております。」つまり、この売り掛け債権担保融資保証制度をどんどん、ノルマを達成できない保証協会には不利にやるぞと読めるような通達を出した。
 これは、当然各現場からとんでもないという反発が起きたからか、六月六日には、中小企業庁、全国信用保証協会連合会あての事務連絡で、この売り掛け債権担保融資保証制度の保証承諾実績というのはあくまで一つの要素として勘案していく考えであって、それのみで判断するものではない、各信用保証協会の財務基盤等の実態等を勘案し、また、信用保証協会連合会とも意思疎通を図った上で基金補助金の交付を行いたいと考えておりますと、わざわざそういう事務連絡を出した。
 立法趣旨としては、一件でも多くの企業を救えるものなら救いたい、そのためにはこの売り掛け債権担保というのはチャンスだろう、可能性が広がるだろうという趣旨で法律を決めたつもりでありまして、これをどんどん数をふやして利用して、それで景気回復の決め手にしようみたいな、そこまで、とにかく数字をふやせばいいという気持ちは、この委員会、衆議院あるいは国会にはなかったと思うんですね。この辺、今はちゃんと中小企業庁との間でもうまくいっているのかどうか、伺いたいと思います。
牧野参考人 お答えを申し上げます。
 私も、その当時は全国連合会長でございました。今先生お話の点、その当時から、これは一つの努力目標でございまして、そういう方向で大いに頑張ってほしいと。現在の中で、土地などの担保とほとんど同額ぐらいあるこの売り掛け債権担保融資保証制度というものは、今後充実されていってしかるべきだろう。担保なしでやる施策としては非常に有効なものになる。十分にわかっていないがために、今出ていないわけでございます。
 というようなことですが、初めから私どもとしては、両方の通知の、後から出されたそういう事務連絡なども加味した形で中小企業庁からお話をいただいていたというように思っておりまして、中で、ただ、初めに出ている書類の方が非常に短絡的というか短い文章で出ていたがために、今先生おっしゃられたような、こういうつながりをつけられるような状況になったかと思っています。
 全国の保証協会としては、そこら辺は重々承知をしておりまして、ただ、やはり中小企業のためにこういう制度を今後とも充実していかなければならない、この件数の増加については精いっぱい努力をしたい、こういうように現在考えているところでございます。
達増委員 金融機関やまた企業の理解が深まって、その結果どんどん伸びていくというのであれば、これは非常にいいことで、そういう可能性は非常に広がりのある制度だと思うので、そういうふうに利用が進んでいけばいいと思っております。
 次に、坪井参考人に伺いますけれども、外形標準課税についてであります。
 法人事業税への外形標準課税については、これが結構、都道府県知事さんたちはもろ手を挙げて賛成していて、今、予算要望の季節でもありますし、またいろいろな機会をとらえて、都道府県としては大賛成ですという感じで国会の方にも来るわけであります。
 各都道府県の商工会議所連合会は、ふだんは、都道府県当局と、一種、二人三脚といいますか、一体となって仕事をしていると思うんですけれども、質問したいのは、県なら県当局とのやりとり、もう少し、それぞれ都道府県の中で、自治体首長さんにも、あるいは自治体関係者に、産業界といいますか中小企業といいますか、そっちの地元事情について理解してもらうようにうまくいかないものか。あるいは、都道府県知事さん初め自治体関係者も、わかっていて、総務省の手前もあり、言っているのか、その辺、どのようにお考えでしょうか。
坪井参考人 いろいろな見方があろうかと思いますけれども、それぞれが頑張っているというのが今の姿勢であります。地方は財源が少ないために、地方で独自の課税権を持ったものでいろいろやりたいということです。福島県の場合、今ちょっと問題になっておりますけれども、核燃料税なんかもるる持ち出している。東京は銀行税を持ち出している。ですから、それぞれの立場でいろいろな考え方があるのは私は結構だと思うんです。
 ただ、大増税になるという前提のもの、特に人頭税的なかけ方については、これは徴税の、要するに費用の問題、費用対効果の問題があるのかもしれませんけれども、私どもとしては、これは反対なんですよね、小さい、弱いところいじめになりますから。そうじゃなくて、要するに、資本金とかもしくは売上高に段階的にかけるということになれば、またこれは考えられると思う。
 そういう話が全くなしで総務省が、十五年度予算措置に対しましても、もう既にこれをやるんだということでどんどん出してきますと、地方の自治体の首長さんたちは抵抗できないですよ。したがって、知事会であっても議長会であっても、これを取り入れるということになります。
 私どもは、大増税反対ですから、もう波状的にどんどん知事さんのところへ上がりまして、これについては反対を言っております。したがって、裁判官がどっちを決めるのかなというような形になってきます。それで、私どもは、六百万人もの署名も集めて、今、外形反対の大運動を起こしております。知事さんたちも、大変な運動を起こして、大運動をやっている。ここはどうも、どういうふうに拾われるのか、私どもは、負けないで大運動をやって、これは何とか撤廃したいというふうに考えておりますので、そういう方向でいきたいと思っております。
 それから、先ほど来の御質問の中で、一つだけ、地方で何で今の売り掛け債権の融資が伸びないのかとおっしゃられたのでありますが、結局は、これを扱うのは全部金融機関なんです、先ほど先生がおっしゃったように。銀行、または信金、信組なんです。そこが金融庁のいわゆるマニュアルでもって縛られていまして、せっかく新しい、再度出ても、それを持ち出して、要するに保証協会に、これを貸すからやってくれという話になっていかないんですよ。
 その前、いわゆる国の制度資金、また県の制度資金、たくさんありますが、これを扱っているのはすべて金融機関なんです。そこが、ここの企業が二年赤字であるからもうお金を出しちゃいかぬ、もしくは、設備投資したら、償却が起きたために債務超過になっていますよ、だから貸せませんよということになってくる危険性があるために、いろいろな制度をつくっていただいても、今の金融庁のマニュアルを解いていただかない限り、ここは、幾ら保証協会や信金協さんが頑張っても、私は、なかなかこれは進まない、そういう実態になるということを御察知いただきたいと思う次第であります。
達増委員 では、村本参考人に伺いますが、情報生産ということ、先ほど意見陳述の中で述べられましたけれども、これがやはり一つ決め手になると思います。特に地域で、経済界、中小企業関係団体、そして金融関係者、またそこに、自治体や、最近でいえばNPOなど、そういった主体が有機的に情報を交換、生産しながら、地域の中で、地方から、地域から景気回復、経済立て直しということが一つ突破口としてあり得ると思うのですが、その辺をもう少し敷衍していただければと思います。
村本参考人 地域のことは地域に聞けという言葉がございますけれども、地域情報というか、地域のことはやはり地域の地元の金融機関しか実はわからないということが特色だと思いますので、そこがきちっと対応する、てこ入れしなければいかぬのだろうという気がしております。
 特に、日本語になかなかしにくいのですが、ソーシャルキャピタルという言葉がございまして、社会の基本的なネットワークといいましょうか、そういうものが経済の回復の決め手であるというのは、あのグローバル化のアメリカでも実は非常に有力な議論として定着しておりますから、やはりその点が非常に重要であろうというふうに私は理解しております。
 以上でございます。
達増委員 では、時間ですので、終わります。
谷畑委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、皆さんの貴重な御意見、本当にありがとうございます。
 最初に、服部参考人にお伺いいたします。
 昨年の十一月の服部参考人の意見陳述の中で、グローバルスタンダードなどと言いながら、メガバンクと中小金融機関が同じ基準はおかしい、こういうことを訴えられて、なるほど、そのとおりだと思い、ことしに入ってから、予算委員会の場で、こういう趣旨について、服部参考人に成りかわりまして小泉総理にも言いましたけれども、まともな御返事はいただけませんでした。
 その点で、金融庁の金融検査マニュアルの中小企業融資編の問題であります。いろいろ配慮とかありますけれども、しかし大枠は変わらずに、多少考慮する、そういうようなニュアンスなのではないかというのは率直に思うわけです。この点で、この中小企業融資編というのが、中小企業や地域経済への配慮が欠けているのではないかという声も多々聞くわけであります。改めて、その点でどのように評価されているのか、お聞きしたいと思います。
服部参考人 再三申し上げておりますけれども、金融検査マニュアルは欠陥が非常に多いわけでありまして、七月の一日から、新しい感覚で検査を行うというふうに聞いております。ですから、これを受けてみたらどうなるかな、そんなところであります。
 予算委員会で小泉さんに質問をしたそうでありますが、私にとりましては、質問していただいてよかったか悪かったか、本当に大変難しいところであります。
 先ほどもちょっと話がありましたが、金融検査マニュアルは、必ず、もう少し弾力的に扱うようになるんではなかろうかなと期待をしております。一番大事なのは何かといったら、地域貢献度であります。
 例えば、当湘南信用金庫は、横須賀市、人口四十三万人です、ここの三五%のシェアを持っております。ですから、地域貢献度だとか地域の密着度だとか、これが大きな物差しになってもらわなければならないわけでありまして、こういうところは全く抜けているというのが今までの金融検査マニュアルであります。私たちがいなければもうそれこそ飯も食っていかれない人が多数いるということをお考えいただきながら、弾力的な扱いを期待しております。
 以上でございます。
塩川(鉄)委員 ありがとうございます。
 そういう点で、地域貢献、そういう役割を果たしてきた地域金融機関の役割というのは、改めて求められていると思います。
 そこで、坪井参考人にお伺いいたします。
 信用金庫、信用組合など、中小企業が相互扶助のためにつくった金融機関であるわけです。主として利潤追求が求められる大手銀行との違いがそこにあると思うわけです。同じ金融検査マニュアルを押しつけるのは、この信用金庫、信用組合の歴史的役割や存在意義を否定するものにつながるのではないかと率直に思いますが、いかがでしょうか。
坪井参考人 再々申し上げているとおりでありまして、まさに金融庁のマニュアルが、地方の、特に私どもの零細中小企業に対しましての融資をストップせざるを得ないような形へ形へと、深く深く入ってきております。そこで、ペイオフの延期等もお願いをしているわけでありますけれども、そういう中で、解禁されると大変だということでお願いしているわけでありますが、その実態は、確かに、大銀行向けのマニュアルでもって入ってきたということがやはり最大の、第一段階の間違いだ。
 そのときに、信用組合はまだ地方自治体の商工部もしくは商工労働部の管轄下にありまして、そこでの監督を受けて今までずっと、もう何十年もの営業してきたわけですね。ところが、金融庁のマニュアルでもって、大金融機関と同じような形の制約を受けることになったことによって大変な戸惑いを持ちました。
 そこで、一年、そういう問題もあったのでペイオフを延期していただいたわけでありますが、ことしペイオフを延期しまして、一応、その一年間である程度の、何といいますか、ならしはできてきて、大きな問題はありませんでした。
 ただ、これから全部のものを、要するにペイオフを解禁するというような形になったときには、まさに今のマニュアルに縛られていて、地方の金融がどんどんどんどん縮小しているのがもっと縮小する可能性がある。ということは、預金の移動等の問題でつぶれる、もしくは、まあ、つぶれてもいい、そのときは合併しなさい、そのときは吸収されなさいと今金融庁が言っているわけです。
 そんなことで地方の、今の土壌論で私は言いますけれども、いい生産ができるような土壌が育つわけはないわけで、おっしゃったとおり、それらは仲よし組合で始まってきたものでありますから、その仲よし組合の中でやっているんです。
 私の住んでいる福島市に福島信用金庫というのがありますけれども、これは、実際、福島市と隣の伊達郡という非常に狭いエリアでだけ商売しているんですが、ところが、ここにやはり六市町村からの預金が入っておりまして、これが、例えば今動き出しましたら、さっき言った風評被害に結びつくということになりますが。
 要するに、そういう問題を抱えていながら、来年になるまで、七月から少しきめ細かな運用、いいですよと言っていながら、基本は大手と同じ形のラインを、先ほど服部さんがおっしゃったように、そういうふうに縛られておりますから、そうなったときには、やはりこれからますます仕事したくなくなってきているという現状がふえていくんじゃないか。これが実は一番、地方の中小零細企業で、廃業もしくは店を閉めるというような形で、後継者問題もありますけれども、どんどんどんどん進展している。
 例えば、中心市街地の空洞化なんというのは、もう商店街だけじゃなくて、すべての空洞化が進んでくるような形になっているのは、まさに金融庁のマニュアルに最大の問題点があるんじゃないかというふうに私は考えております。
 したがって、おっしゃったとおり、これの入り方から間違っているし、今回、きめ細かいといっても基本的には大企業と同じような形のマニュアルでありますから、そういう部分については、私どもはまだまだこれで絞め殺されるんじゃないかという心配を持っております。
塩川(鉄)委員 私も、柳澤大臣に、この間、中小信金、信組がたくさんつぶされた、金融庁主導でつぶされている、今度は合併という形で行うと。どちらにしても、中小金融機関の存在意義がないんだと言わんばかりのこういうやり方自身が問題だと思うんです。
 そこで、村本参考人にお伺いします。
 都市銀行と地域金融機関の果たす役割には大きな違いがある。それを踏まえた実際の施策が求められていると思います。その点で、よくグローバルスタンダードなどと言われるアメリカにおきましても、当然大手の都市銀行と同時に、地域の金融機関、コミュニティーバンクなどがあるというふうに聞いております。
 このアメリカのコミュニティーバンクなど、地域金融機関が果たしている社会的な役割について、この機会ですからぜひ教えていただければと思っております。
村本参考人 アメリカには、御案内と思いますけれども、銀行と呼ばれるものが九千弱、八千数百ございます。この十五年ぐらいで一万五千から相当減りましたけれども、まだそれぐらいございます。
 そういうコミュニティーバンクというのは、ほとんど地域、ルーラルエリアと言いますが、農村にきちっと根差したりしているものも多いと聞いておりますけれども、規模は日本よりもはるかに小さなところでございまして、人口比ですると、日本もオーバーバンクと言われる話ですが、実はもっとアメリカの方が、人口的にも小さなところでやっているわけでございますね。大手行、コミュニティーバンクでも大きなところは上場しておりますが、小さなところはほとんど上場しておりませんので、地域の住民が株を持っているということでございまして、本当に地域、農村のために、本当にコミュニティーのために、ですからコミュニティーオウンズと言うんですね、コミュニティーが持っていて、コミュニティーがガバンする、支配する、統治するというんでしょうか、そういうやり方でやっておりますから、実は日本の信金、信組と似たような形態で運用されているというふうに理解をしております。それがアメリカ経済の草の根を支えているのではないかという理解を私はしておりますけれども。
塩川(鉄)委員 ありがとうございます。
 牧野参考人に、RCCへの債権の売却の問題についてお伺いいたします。
 九九年度からことし六月までにRCCに送られた取引先は、これは金融庁の報告でも七万五千件にも及ぶそうであります。その中で、保証協会の保証つき融資までもRCCに送られている、こういう実態がある。
 全国信用保証協会連合会では、中小企業の保護、そして信用保証制度の健全性維持のために、大手銀行などによる保証つき債権のRCC売却に反対をし、待ったをかけている、こういう報道などもされているところですけれども、優良保証で非分類であるべきはずのものまでRCCに送られるような実態は大変問題だと思うんですが、この現状と、率直な受けとめをお聞きしたいと思います。
牧野参考人 RCCとの現在の状況などについて、関連して御報告をいたします。
 現在、RCCとは、破綻懸念先以下に該当する債権の譲渡方法につきまして、関係省庁とも相談をしながら協議をしているところでございます。
 譲渡後の保証づき債権については、債務者から返済条件変更の要請があった場合などには中小企業者の実情に即したきめ細かな対応を行うように私ども連合会の方から要請をしまして、RCC側もこれに柔軟に取り組む、こういう方向で現在覚書締結を前提として協議を行っている、そういう状況にございます。
 また、全銀協の絡みですが、今回、譲渡に際しまして、保証づき融資を受けている債務者本人が知らない間にRCCへ譲渡されるというようなことのないように、債務者にその趣旨を説明すると同時に、極力債務者の承諾を得るべく努めて、その交渉経過を記録して、必要に応じて保証協会に報告をしていただく、こういうようなことで、所要の覚書を取り交わすべく現在協議中、こういう状況でございます。
塩川(鉄)委員 聞くところによると、今まで銀行がRCCに送る場合には、信用保証協会へきちんと話を通していたと。今度は、話を通さなくても持っていくよ、こんなことも出てくるようなことが言われているわけですから、やはり今のそういった、特に大手銀行のした問題について、大いに告発もし、社会的な問題としてただしていく、こういう運動というのにぜひとも御協力もいただきたいというふうに思っているところです。
 その上で、中小企業の金融をめぐる問題でお聞きしてまいりましたが、やはりその背景に、地域経済、実体経済の深刻な実態があると思います。日本商工会議所でもさまざまな政策活動をなさっておられる。
 そこで、坪井参考人にお伺いをしたいと思います。
 一つは、先ほども少し触れられましたが、大店法の廃止以降での中心市街地の空洞化が大変深刻な実態になっているということが言われております。以前は出店ラッシュだったのが、今、退店、撤退のラッシュの中で、まさに空洞化というのが深刻な実態となって、日本商工会議所としても実態調査などもされておられることをお聞きしています。
 そういう点でも、地域について誤った方向の政策がとられたんじゃないか、こういうことについては反省が必要じゃないか、こういう声も聞くわけですけれども、率直な現状や、その点についての御意見をお伺いしたいと思います。
坪井参考人 三十万から四十万、百万くらいまでの間の都市は、現在中心市街地がほとんど空洞化しております。これはゆゆしき問題でありまして、せっかくインフラを整備して住みよい町につくったのでありましても、駅前からどんどん寂れていくというのは、これは問題、地方にとっては、住んでいる者にとっては大変悲しい話でありまして、何とかしたいということで今頑張っております。
 なぜこうなったのかという原因は二つあると私は思います。
 一つは、やはり日米構造協議の話し合いによって、結局、大店法が廃止され大店審になったというところから、郊外に大型店がどんどん出てきていいですよということになりまして、郊外に新しい町がついてくる、まあ子供のような町でありますけれどもついてくるということになりまして、中心市街地の商業地がまず空洞化してまいりました。
 もう一つの原因がありますのは、これは住宅ローン減税であります。これは去年の六月で本来なら終わりましたけれども、もう二年半、衆議院でも、もちろん参議院でも議決されまして、延びました。この後もまだ延びるという方向での何かお話し合いが続いているようにお聞きしております。
 これは景気対策としては大変すごい話でありますからいいのでありますけれども、その住宅ローン減税で五百七十万から五百万の減税になった部分で、二十五年、三十年の間にそれだけ減税するからうちをつくりなさいというわけですね。そうすると、うちをつくりなさいという人は、大体は若い人になりますと、郊外の方に土地つきの家をつくる。町の中の高いところにコンクリートのうちをつくるということはまずありません。したがって、住宅ローン減税を続けているうちは、いわゆる住宅地の空洞化が進んでくるわけであります。現在、例えば福島市の場合でも、商店街のみならず、住宅地のほとんど虫食いになったところが逆に駐車場になりまして、そういうような形の町になってきている。
 私どもは、何とかそれを回復したいということから、一応駅を中心に一キロ四方くらいはにぎわいのある町にしたいということから、定住圏構想はなかなか難しいということもありますので、ただ経済産業省には、一生懸命になって街なか再生の方のお金もつけてもらって、TMOの援助もしていただいておりますので、これを活用して、その中だけは何とかにぎわいのある交流圏構想にしたい、丸の内のような形につくっていきたいということで、交流をするためににぎわいを持てるような町づくりをもう一遍再建したい。
 そして、あと若い人たちが帰ってこれるように、安いアパート、安いマンション等を、これは自治体が勧誘して、税金の問題もありますから、そういうものもあわせて定住圏も進めていくという形でもう一遍回復したい。そんな形で努力をしているところであります。
塩川(鉄)委員 多々お聞きしたいことがありますが、時間でもありますので。
 産業空洞化問題などでも実態調査もされ、提言をされているということについて、関心を持ってお聞きしてまいりました。金型問題での一定の前進もあるということもお聞きしておりますので、私ども、大いに研究も勉強もさせていただいて、我々としての取り組みを進めていきたいと思っております。
 きょうは本当にありがとうございました。
谷畑委員長 阿部知子さん。
阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。本来であれば私どもの大島令子がこの委員会担当ですが、きょうは私が譲ってもらいましてやってまいりました。日ごろは財務金融という委員会におりまして、きょうここに来て思いました、ああ天国と地獄だなと。どっちが天国でどっちが地獄かは言ってしまうと問題が起きるので。何せ私は、財務金融委員会で柳澤金融大臣に、議員になってのおよそ二年間で五回、ペイオフ問題はお尋ねを申し上げました。
 ほとんど私ほどしつこく聞く人間はいなくて、やはり現時点で、現経済状況下でペイオフを行うことが本当に我が国の経済、金融にいいことをやるのかどうかということも、これは本当にしつこく嫌な顔をされながらも伺いましたが、柳澤金融大臣はおかたい方で、石のような方ですから、表情も動かさず、やるんだというお答えでしたが、きょうは皆さんのお話を伺って、さらに六度でも七度でも八度でも十度でも繰り返し聞いてやろうという勇気をいただきましたので、まず一点、感謝を申し上げます。
 順次、参考人に御質問をさせていただきます。
 まず、服部参考人にお願いいたします。
 実は、私は服部参考人と同じ湘南地区でございまして、服部参考人の湘南信金の活躍というか個性ある活動については、この場に来る前から存じておりました。それもあって、きょうお願いして大島さんにもかわってもらったのですが。一つは茅ケ崎の信金の跡地に保育所をつくろうというお話とか、また逗子でもJRの跡地の利用で、駅前の保育所という問題等々に積極的な融資や地域の産業起こしということも組み込みながら信金活動をされているということで、敬意を大変に表しております。
 小泉さんと同じ地区なので、残念なのか、悪いのかいいのか、ちょっとよくそこは言わないことにいたしまして、その服部参考人にお尋ねがございます。
 先ほど来、ペイオフの延期とかダブルスタンダードの採用とか、時価会計はまだ時期尚早であるというお話等々ございましたが、そうしたことはいずれも、既に金融庁はやるんだ、やるんだで進んでおりまして、この間、税制を用いての合併も強力に塩川大臣は随所でおっしゃっております。
 こういう、まず最初に合併ありきという方向について、先ほど来御意見は承ったようには思いますが、あえて確認で、どのようにお考えかということと、やはりその裏には、各信用金庫、信用組合あるいは地域に近い金融機関の個性の出し方と、逆にこうした冬の時代の生き延び方についてのある種の知恵袋的な知恵の部分があると思いますが、その点についてはいかがお考えか。
 そして、公的資金の注入ということもこれあり、風評被害を伴わなければ、むしろ積極的にやってもらって足腰を強めるべきなんだというお考えか。信用金庫の立場から、以上三点、お願いします。
服部参考人 お答えになるかどうかわかりませんが、申し上げます。
 茅ケ崎では駅前保育をやっておりまして、預かっている子供が八十人に達しました。これは、私のところじゃなくて、地元の皆様にお力をいただいて会社をつくって始めたものであります。場所の提供は私の方の場所であります。ただ、役所の規制というのがありまして、三分の一以上貸しちゃいかぬということですから、極めて制限をされております。それから、逗子には間もなく着工いたします。これは、逗子の市長と葉山の町長から三年も前からお願いをされていることであります。
 これをどうして私たちが力を入れてやるかといったらば、女性に出産後も働いてもらいたい、こういうことであります。きょう傍聴人に来ている一人に、私のところの女性がおります。こういう連中を幹部にしていきたいという意味もありまして、駅前でいわゆる小さな子供を預かって、女性に働いてもらって、それで新しい金融機関をつくっていきたいという思いでの一環でございます。
 それから、合併の話がありましたが、今はもう合併ありきであります。
 私は、昭和六十三年に合併を一つ、それから平成三年に合併をまた一つ、平成七年に合併、それからつい三月の二十八日に事業譲渡を受けておりまして、ですから、それを含めると四回やっておるわけであります。最初に鎌倉と横須賀が一緒になった合併であります。そのときには四面楚歌でありました。もう今は合併しても新聞にも出ない。
 最初に合併ありきなんて、そんなばかな話はないんです。先ほどほかの参考人からも話が出ているように、地域金融機関は必要がないんだというようなこと、つぶれるところはつぶしちゃえということ、それに伴ってだめになる中小企業はしようがないんだ、これが前提にあってやっていることということは極めておかしい。私たちは、個性がおのおの全部違って、役割が全部違ってやってきているということを御理解いただきたい、こんなふうに思います。
 今後も個性あふれた金融機関になっていかなければ、これまた飯が食えないということもあります。全力を挙げて、役に立つ金融機関であり続けていきたいと思っております。
 以上です。
阿部委員 女性と子供ということをキーワードに頑張っていただきたいと思いますので、エールを送らせていただきます。
 次に、牧野参考人にお願いします。
 これは一言で、ちょっとだけ知りたいことですが、せんだって私が、やはりRCCへの買い取りのことで、信用保証協会の担保がついたものを買い取られるということをどうお思いかというふうに金融庁にお尋ねしましたら、金融庁にも企業再建のノウハウ、スキルがあるようになったので、必ずしも買い取ってもうだめなんだというんじゃなくて、企業を積極的に再生させるんだからこういうものもオーケーよというお答えだったんですが、そのあたり、金融庁の現状の能力と、それから信用保証協会としてのこういう考え方に対してのお考えを一言お願いします。
牧野参考人 先ほども別の先生にお答えしたかとは思っておるのでございますが、私どもの方としては、整理回収機構へ債権譲渡されるという問題、確かに持ちかけられております。そういう問題について、RCC側と、債務者から返済条件変更の要請があったような場合、中小企業者の実情に即したきめ細かな対応を行う、そういうように考えておりまして、連合会からそういう要請をしておりまして、RCC側もこれに柔軟に取り組む方向で覚書の締結を前提とした協議を行っている、これが現在の状況でございます。
 それでよろしゅうございましょうか。
阿部委員 もう少し踏み込んでと思いましたが、結構であります。
 次に、坪井参考人にお伺いいたします。
 私はたまたま子供の医者をしておりまして、特に、東京にございます東大病院というところには、福島県からすごく子供たちの入院が多いのです。福島の子供は日本一かわいいかと思うほど純情、素直、素朴、本当にいい子供たちです。
 せんだって、ある関係でいわきに参りましたときに、非常にあの地区、不況にあえいでおりました。外洋漁業が低迷する、林業も落ち込む、その前の炭鉱ももう既にない、いわば何にもないという形で胸がせつなくなるような状況ではありましたが、でも、そうであっても、やはりそこに住まう人がいて、再活性化をしていきたいと願う人の心があれば、また元気な子供たちの声も聞かれようと思いながら、福島に伺ったわけです。
 先ほどのお話の中で、中小企業の借り手側も意気をなくしておるというか、元気がない。このあたりについてどういう形の、いわば内からの活性化ということがおありか、この一点お願いします。
坪井参考人 やはり、だんだん元気がなくなってきて、借りて設備投資をやって再活性化を図ろうというような中小企業はほとんど少なくなってきたとさっきも申し上げましたが、その裏には、まず一つ、やはり大手企業と同じように十五、六年前に、地銀を含めまして大手銀行から、ともかく土地を買いなさい、あんたのところの力は三十億くらいの土地を買っても大丈夫だからというようなことで、どんどんノンバンクまでつくって土地を買わされたわけですね。
 そういうものがなかなか、土地が、その後バブルがつぶれましてからどんどん値が下がりまして、ここへ来まして、先ほども言いましたように整理の段階に入ってきました。そのときに土地を売りますと、十二、三億円という形で半値以下になっております。したがって、その部分の清算をされますとRCCに債権を売られると。そうすると、また、今たたき売りみたいな形で整理されますと、負債きり残らない。
 そういう現状が、今始末をつけるという形になってきたんですけれども、それをやっているのはほとんど都銀です。いわゆる大手銀行です。そして、二、三年で支店長がかわりますから、どんどん前の約束はほごにされまして、どんどん回収に入る。ところが、大手の方で倒産した場合には、青木建設とか佐藤工業とか、一千億、二千億、三千億というようなローンをおまけして、なお五百億、六百億の追加融資をする。
 そういう形で見たときに、現象は実は同じなんですよ。過去において同じように、土地をどんどん買わされる、不動産に投資しなさいということでやられる。そうすると、今に来て景気が悪いために、やはり本業でもその利息補てん、元金の返済ができなくなってきたところに整理が入ってくるということ。そのときに、例えばRCCに債権を売られちゃったような形で整理をされたら、まさに地方の中小企業にとっては泣きの涙もいいところなんです。借金きり残らない。何も、すべて整理しても、借金きり残らない。その原因は、しかし、やはり大きな金融政策の中にあったんじゃないかと思うんですね。
 だから、大手にそういうような措置をとれるのであれば、例えば信用保証協会でもいいんですけれども、何らかの形をとって、中小もしくは零細においても、例えば五億、六億の問題であっても、要するに十年、十五年延ばしてくれるような返済方法をつくってくれれば、まだまだ自分の自力を出して本業を立て直すことによって地域の活性化に私どもは貢献できると思うんですが、その辺の問題が今空虚な形になってきておることによって元気がなくなってきている。もう仕事なんかやめた方がいいじゃないかというような形で廃業が多くなってきている、そういう実情でございます。
阿部委員 確かに、この間大手銀行は、中小企業への金利も上げる、それから、住んでいる土地まで担保として取り上げるという形で、極めて冷たい政策が続いておりまして、さらに財務金融委員会でも頑張って今の御指摘を受けてやっていきたいと思います。
 最後に、村本参考人にお願いいたします。
 今、地域貨幣と申しまして、その地域で自分たちで、ある種信用ということを担保にお金をつくり出していくというか、私のいる藤沢あたりでは、善行で「善」というお金をつくったり、ほかにもいろいろなお金の考え方があると思うんです。
 逆に、今一番日本の国の中で信頼を失っているものは政治と金融だと言われていまして、信頼ということを目に見える形で受け渡すのが金融の心髄だと思うのですが、この地域マネーということについて、一言お願いいたします。
村本参考人 私も藤沢でございます。江ノ島に住んでおります。
 エコマネーというのは、先ほどアメリカでソーシャルキャピタルという議論があったと申しましたけれども、地域の活性化、再生化、あるいは地域のさまざまな福祉活動も含めたもののキーワードになっておりまして、日本でも今数十動き始めておりますが、これからの一つのキーワードで、多分大きな動きになっていくんだろうと思います。それがうまくいけば、ある部分の地域活性化には寄与するのではないかという評価で、もう少し事例がたまればうまくいくかなと思っておりますけれども。別な形で、市民バンクなんという動きもありますが、恐らく同じような動きになっていくのではないかと思います。
 以上でございます。
阿部委員 いずれにしろ、人間に例えれば血液循環と同じ金融ということが目詰まりして、日本の経済も地域の活性化もうまくいかないというのは大変不幸なことと思いますが、なお、きょう皆さんの御意見を承りまして大変勉強になりましたので、さらに頑張りたいと思います。どうもありがとうございます。
谷畑委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 私は、服部、坪井、牧野、三参考人にお尋ねしようと思ったんですが、ずっと一時間余にわたる御発言、その前の御発言を承っていて、もう聞くことは何にもありませんので、時間を有効に使うために、村本先生にだけお尋ねをさせていただきたいと思います。
 もちろん、その前に私の立場は十八日の日に、党を代表して赤坂プリンスホテルで坪井さんの前でもはっきり申し上げたとおりでございますし、服部参考人には前回もお尋ねをさせていただきまして、全くほぼ考え方は一致する、そういうことでもございますし、牧野さんとは古いつき合いだし、今さらお尋ねをする必要もない、こう思っております。
 そこで、実は二点、先生に伺いたいんですが、一つは、ノンバンクの役割の拡大ということについてお尋ねをしたい、こう思うわけであります。
 実はこの問題、私はずっと取り上げてまいりまして、このノンバンクの問題というのは、日本では、先ほどお話がございましたとおり、これはいわゆる商工ローンに矮小化されちゃうわけですね。しかし、本来そういう問題じゃなくて、もっともっとFCの問題というのは、きょうは信用金庫の方や保証協会の方がおいでになる前でお尋ねをするわけでございますが、したがって、なかなかやりにくい面も正直言ってあるんですけれども、率直に伺いたい、こう思います。
 まず、私が調べた範囲では、アメリカでは中小企業向けに比較的低い金利で長期で資金を供給している例が、大どころではGEキャピタルなどがある。それから、ボストンに行って調べてきたのですが、マサチューセッツ・ビジネス・デベロップメント社というのは、貸出件数はおよそ三千件、小規模なファイナンスカンパニーでありまして、プライムレートに二・五%上乗せして、五年から七年貸している。
 そして、日本では、先ほどお話があるとおり、商工ローンに矮小化されて、三カ月、六カ月で、しかも二六パーとか二九パーとか、とんでもない暴利をとっている。だから、さっきの質問者のお話のとおり、元気が出る、こういう話になるわけでございましょうけれども。
 日本でも実は三洋電機グループで三洋倶楽部というのがあって、これは、融資が三年から七年で、金利はちょっと高いですけれども、七から八、しかし、最高三億円、平均五千万、業種を特定するんですけれども融資をしている。こういうものがノンバンクとして日本で育っていく必要があるんじゃないのか。これは決して信金も都市銀も目のかたきにする必要はない、よい意味で競争相手になるんじゃないかと私は思うし、保証協会もそういう面についての保証も考慮してほしい、こういうふうに思うわけでありますけれども。
 そこで、具体的な方策としては、ノンバンク社債法でノンバンクが社債やCPで資金調達を行うことが可能になってきていますけれども、しかし、ディスクロージャーを義務づけられたり、貸金業については登録制が導入されたり、まだまだ規制が強い。
 こういうことを承知の上で教授にお尋ねするわけですが、これらをクリアするためにどうしたらいいか、御教示いただきたいと思っております。
村本参考人 御指摘にありましたように、アメリカでは、ファイナンスカンパニー、日本でいうノンバンクが非常に大きな役割を果たしております。ファイナンスカンパニーが、アメリカでは、向こうのSBAという政府機関ですが、中小企業庁の保証を受けることができる、そういうような支援があるわけですね。ただ、無条件に受けられるわけではなくて、一定の条件がついておりますが、多少専門的になると免許を取らなければいけないようなことがあるんですが、そういうようなことがやはり日本でも今後必要ではないか。
 例えば、三洋のお話がございましたが、リコーグループとか幾つかのところでそういうものをやっておりますので、そういうところ、あるいは、ファクタリングを含めて、政策の中に少し組み入れられるような土壌をつくっていく必要があるかな。そのために、今我々、インフラは何かということを少し研究もしておるんですけれども、今の段階でまだ私自身、答えは出していないんですけれども、何らかの形でやりたいな。例えば、先ほどちょっと申しましたが、信用保証協会の保証が受けられるようなシステムに何か持っていけないだろうか、そのためにはどういう条件をクリアすればいいんだろうか、そんなことを考えております。
 日本でも実は三千数社だったと思いますが、非常にたくさんのノンバンクがございまして、大半は優良なところでございますが、問題は、商工ローンのように矮小化されないようにしたい、何とかそのための手だてを講じるために、現在のフレームワークの中でできること、そして今後やらなければいけないことを整理して議論をして、また提言をさせていただければと思っておりますが、今のところ、そんなふうに考えております。
西川(太)委員 私は、これは緊急にやって、そして、地域金融機関である信金さんは信金さんで、独自の五十年の歴史を踏まえた融資先を健全にお育てくださる、フェース・ツー・フェースをやっていただく。しかし、可及的速やかに、緊急に助けなければならない。例えて言えば、信金さんは、スイミングスクールで子供たちに基本から教える。ばた足を教えたり、クロールを教える。しかし、急に川に落っこちちゃった者には浮き輪を投げてやらにゃならぬというふうに、使い分けていくという意味ではその部分が欠落している、これが三万人の自殺に結びついたり、いろいろするというふうな気持ちを持っておりまして、決して、服部参考人の代表される業界にどうこうしろというようなことを私は申し上げているのではないということもつけ加えさせていただきたい、こう思います。
 それから、もう一つは、先生にお尋ねしたいのは、先ほど先生のお話の中にクレジットスコアリングのことについてお話がありました。これも私、アメリカを調べてみると、約一万軒ある金融機関でクレジットスコアリングをやっているところは十行にも満たないというのが現状なんですね。日本でクレジットスコアリングを仮に銀行や信金がやる場合、これは経済産業省にも若干の責任があると私は思います。
 大臣政務官をやっておりましたときに、日本じゅうの企業にデータベースをつくらせて、そういうものをもとに、物的担保ではなくてもっと属人的な要素、それからやる気、または地域との密着度、こういうようなものをデータベース化してやるべきだ、こう言うのでありますが、日本の場合には、賢すぎて、また、思い切って政府が援助して金をかけるものだから精緻になり過ぎて、やればやるほどやばいところが出てきちゃって貸せなくなっちゃうというデータベースになっちゃう。こういうスコアリングでは私はいけないんじゃないかと。アメリカの場合には、なに面接で決めるんだよ、個人で決めるんだよと、極めてイージーなんですね。そして、スコアリングをやる理由はコストダウンだよ、こういうふうに割り切っている。
 こういうことをどういうふうに整理していったら日本でも物的担保から脱却できるのか、この点について教授の御示唆をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
村本参考人 クレジットスコアリングという手法自体は、もともとは消費者金融の手法でございますので、それこそ物的担保のない消費者が銀行からお金を借りるときに、年収であるとか持ち家であるかとかいろいろな情報をやる、それでスコアリングするという手法でございますから、もともとは小口融資に適した手法だろうと思います。
 我が国では、御案内と存じますけれども、幾つかの金融機関がその手のものをつくり始めてやっております。私が聞いた事例ですと、それでやるんだけれども、最後は、そういう財務情報だけではなくて、定性情報と言っておりますけれども、その企業の将来性というのを見てやろうということですが、ただ、それはコストを抑えるといいながら非常に高い金利をつけてやっているような感じがいたしました。ですから、まだまだ日本では育っていないかな、もう少し育ってほしいなと思っておりますけれども、まだまだ育っていないかなという感じがいたします。
 そこで、おっしゃられましたように、共通のデータベースをつくって、そのデータベースにスコアリングが反映されるようにすればいいんだということですが、これも基本的な情報というのはもう限られてくるんだろうと思うんですね。
 そうしますと、最後は何か。融資は、やる気よりもやる手だ、手を見なさいという言い方をよくしますけれども、その人の手が、例えば金型の業者さんであれば手がきちっとその金型で、汚れていると言うのは変かもしれませんが、その仕事をしていらっしゃることが重要だということにありますように、最後はやる気をどういうふうに判断するかということになるかと思いますので、そういう定性情報をいかに組み込むか。そういうようなデータベースを構築することが一番課題になるんだろうと思いますので、そのような方向性をぜひ目指していただきたいな。
 私はよく言うんですけれども、写真一枚つけたっていいじゃないかというような言い方、あるいはビデオで五分、その人にしゃべってもらったらどうだ、そうするだけでわかりますよと。今はインターネットで簡単にデータを出せるわけですから、そういうようなシステムをつくることが今後の課題になるんじゃないかしらと思っております。
 以上でございます。
西川(太)委員 私は、あと三分ほど時間があるんです。それで、服部、牧野、坪井参考人、せっかくこうして国会にお出まし願ったので、もしこの三分の時間で最後に何かお訴えになりたいということがございましたら、私の時間をお使いいただいて結構でございますので。いかがでしょうか。
服部参考人 一言だけ、西川さんに申し上げます。
 保守党の政策は大変結構でありまして、一番間違いがない。特に、野田党首の言っているペイオフ問題につきましても、それから時価会計問題につきましても、保守党の政策は一番だと私は思っておりますので、よろしくお伝えください。
西川(太)委員 過分なお言葉を期待もしないのにいただいて、まことにありがとうございました。
 どうぞ、それぞれの参考人の先生方、それぞれのお立場で、厳しい状況でございますけれども、我が国の最もの得意わざであります経済の回復のために御尽力を賜りますようにお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。きょうは、ありがとうございました。
谷畑委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。
 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。
 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 次回は、来る三十日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十分散会


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