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第2号 平成14年11月1日(金曜日)

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平成十四年十一月一日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 村田 吉隆君
   理事 阪上 善秀君 理事 下地 幹郎君
   理事 竹本 直一君 理事 谷畑  孝君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 土田 龍司君
      小此木八郎君    梶山 弘志君
      金子 恭之君    小泉 龍司君
      桜田 義孝君    中山 成彬君
      西川 公也君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      森  英介君    山本 明彦君
      渡辺 博道君    生方 幸夫君
      小沢 鋭仁君    川端 達夫君
      北橋 健治君    後藤 茂之君
      中村 哲治君    中山 義活君
      永田 寿康君    松原  仁君
      山村  健君    漆原 良夫君
      福島  豊君    工藤堅太郎君
      大森  猛君    塩川 鉄也君
      大島 令子君    井上 喜一君
      宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   政府特別補佐人
   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局取引部長)   楢崎 憲安君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房商務
   流通審議官)       望月 晴文君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           小島 康壽君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 岡本  巖君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力
   安全・保安院長)     佐々木宜彦君
   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月一日
 辞任         補欠選任
  佐藤 剛男君     金子 恭之君
  山田 敏雅君     永田 寿康君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 恭之君     佐藤 剛男君
  永田 寿康君     中村 哲治君
同日
 辞任         補欠選任
  中村 哲治君     山田 敏雅君
    ―――――――――――――
十一月一日
 知的財産基本法案(内閣提出第一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号)
 中小企業等が行う新たな事業活動の促進のための中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)
 経済産業の基本施策に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――
村田委員長 これより会議を開きます。
 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 両件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房商務流通審議官望月晴文君、経済産業省大臣官房審議官小島康壽君、資源エネルギー庁長官岡本巖君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長楢崎憲安君及び内閣官房内閣審議官中城吉郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小沢鋭仁君。
小沢(鋭)委員 おはようございます。民主党の小沢鋭仁でございます。
 経済産業委員会は、私、初めて所属をさせていただいての質問でございます。どうぞ先輩の諸氏、大臣初め皆さん方、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 十月三十日の大臣所信に関して質問をさせていただきます。
 原子力発電の安全性の確保の問題等さまざまな案件が、この委員会、今あるわけでありますが、限られた時間でありますので、本日は、日本経済の再生、マクロの政策といった点に重点を置きまして絞った議論をさせていただきたいと思います。大臣におかれましては、私も言葉じりをとらえるようなことはしませんので、どうぞ御所見を思い切っておっしゃっていただきたいと冒頭お願いを申し上げます。
 十月三十日は、同時に、いわゆるデフレ総合対策の取りまとめをした日でございます。大臣も重要経済閣僚の一人としてその役割を十分に果たされたと推察いたいします。しかし、残念ではありますが、このデフレ総合対策、小泉内閣になって十本目というふうに承知しておりますけれども、これほどいわゆる失望を買った対策はないと今思っております。新聞論調を見ても、各新聞の社説も、例えば、これでデフレ脱却ができるのかといったような論調でありますし、特に、昨日のマーケットは既に失望の行動を示しています。
 例えば、昨日、御承知のとおり、国債の利回りが四年ぶりに一%を割りました。マーケットがこのような行動をとったことの意味は、大臣は恐らく十分おわかりだと思います。いわゆる今回のデフレ対策ではデフレの脱却はできない、デフレの状態のもとにおいては、いわゆる現金に限りなく近い、それも利付の国債が最も有利だ、そういう判断をマーケットがしたわけでありまして、そういった意味では、既にこのデフレ対策の評価はマーケットにもあらわれている、こう言わざるを得ないと思います。
 さらに申し上げると、いろいろな皆さん方の意見を総合すると、いわゆる不良債権処理の加速に関しては、さまざまな議論があったし、政策があるけれども、いわゆるデフレ脱却ということに関する政策が極めて手薄ですねと、こういった評価があるやに思います。
 そこで、まず大臣にお尋ねいたしますが、私は、現在のその考え方、不良債権の処理を加速していくことは、必ずしも今日の不況対策にとってプラスではない、こう思っています。なぜならば、不良債権を幾ら銀行から切り離しても、いわゆる日本全体の不良債権の額は一銭も変わりません。
 不良債権というのは、裏返して言えば企業の超過債務であります。企業の超過債務はそれを減らして、そして日本経済が立ち直っていくための政策を、まさに経済産業省こそが主導をしてやっていかなければいけないのではないか、私はそう思っているわけでありまして、例えば、そういった観点でいったときに、現在の不良債権処理加速策が今日の不況に正しい方法であるのかどうか、まず、まさに産業的観点から大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 小泉内閣の中で、御指摘のように数々の経済対策は行ってまいりました。そして、小泉内閣以前でもいろいろな対策を行ってまいりましたけれども、日本の場合には、バブル崩壊後、総需要不足、こういうような形の中でなかなか効果があらわれてこなかったわけであります。
 そういう中で、小泉総理は、やはり不良債権の処理を抜本的に進めることが非常に重要である、それをすることによって経済の今のデフレ対策を講じなければいけない、こういう形で、今回、不良債権処理をしなければいかぬということになりました。
 経済財政諮問会議の中でもそういう議論がございまして、私は、その中で、今委員御指摘のように、不良債権処理を金融サイド、産業サイドで進めていくと、それはやはりデフレに加圧することになる、したがって、これはしなければならないけれども、産業を活性化する、そういう政策もやはり同時にやらなければならないということを主張させていただきました。
 その中で、不良債権の処理が進みますと、特に貸しはがし、貸し渋りというようなことが起こりますと、中小企業の皆様方に大変大きなダメージが出る。また、雇用の面でも非常に大きなマイナス要因が出てくる。そこで、積極的なセーフティーネット構築をしなければならない。そういう中で、私は、ある意味では、この国会では、臨時国会では補正予算を組まない、そういう前提でありますけれども、まあ政治家一個人としては、記者会見の中でも、例えば通常国会の冒頭にそういったやはり積極面の対策を講じる必要がある、それは、金融と雇用の、特に中小企業に配慮したセーフティーネットを構築しなければいけない。
 それと同時に、もう一つは、このいわゆる緊急の改革のプログラムの中にも盛り込まれておりますけれども、政策減税等を行って、やはり企業のいわゆる競争力を高めて、そしてデフレを抑制していく、こういう政策も同時に行うべきだ、こういうことも私は主張させていただき、そして、今回の中にそれは盛り込まれたところであります。
 また、中長期的に見ますと、私どもとしては、新規の創業を起こして、そしてその新規の創業の中で活力とそれから雇用、こういったものにいわゆるインセンティブを与える、こういう政策も同時に行わなければならない、こういう形で私はそういう提言をさせていただき、これも今回の対策の中に盛り込まれたところであります。
 それから、もう一つ重要なのは、やはりいかに産業の再生をしていかなければならないか。そういう意味では、企業の中の産業再生と、それから業界全体の産業再編、こういうものも加速をして、中小企業に限っていえば、やる気と能力のあるところはやはりどんどん伸ばす。それから企業も、やはり陳腐化したものよりも競争力のあるところを集中的に伸ばして総需要を喚起していく、こういったこともやらなければならないという意味で、次の通常国会には産業再生法の抜本改正をしてそういう対応をしていきたい、こういうことでございまして、御指摘のように、大変そういう手だてをしなければ、一体としてやらなければならない、私はこういうことで取り組んできているところでございます。
小沢(鋭)委員 大臣、先ほど私が申し上げたのは、一体としてやる、あるいはまた、不良債権の処理を行えばデフレ圧力を加速するということでは、違うのではないですかということを申し上げました。順序が逆なのではないですか、同時ではなくて、デフレ脱却を先行しないとだめなのではないですか、こう申し上げたところであります。
 今、小泉総理の考え方も触れられましたが、小泉総理も国会答弁で言っておりますように、従来型の対策は幾らやってもだめだ、こう言っています。そのとおりであります。それは、そこまでは正しい。では、なぜ従来型の対策ではだめなのかというところは説明していません。
 戦後の日本経済、あるいは各国と言ってもいいですけれども、さまざまな循環的な不況を経験してきました。そういう中で、先ほど大臣がおっしゃられた需給ギャップを埋めていくという政策をとって成功してまいりました。今回はそれが成功していない。なぜですか。デフレのもとにあるからです。今の日本経済は、戦後初めて、あるいは世界の先進国で初めてデフレのもとでの不況だから従来型の対策がきかないということが本当じゃないのでしょうか。
 そういった意味でいうと、小泉総理の言っていることは、半分は正しいけれども、しかしそれでは、構造改革を推進し、不良債権処理を加速することがデフレのもとの不況に正しいのかといった点は少しも答えていないし、私は、それが間違っている、小泉経済政策が根本から間違っているから今の日本経済は不況から脱出できないんだ、こう先ほどから申し上げています。ましてや構造改革は、ある意味ではサプライサイドの政策です。供給力を増大していけば、先ほど大臣がおっしゃった需給ギャップはさらに広がる、そういう話になります。
 今のこの不況ですよ。従来型の不況ではない今の不況では、その構造改革そのものも今の不況には正しくない。さらに不況を深化させていく可能性すらあるということを、大臣、私は申し上げているんです。
 そこで、お尋ねします。
 今回の総合デフレ対策も、デフレ対策と名がついておりますが、今デフレを脱却するというコンセンサスが本当に小泉内閣にあるでしょうか。あるいは、デフレを阻止するというコンセンサスがあるでしょうか。
 大臣のかつての発言には、デフレ阻止という発言があるのは私も調べております。しかし、今回の総合デフレ対策においても、デフレを克服するという言葉はありますが、デフレから脱却するというところは一切ありません。そして、大臣の先般の所信も、デフレ圧力の増大ということを認めておりますが、それの対応策は言っておりますけれども、デフレをとめるということは一言も言っていません。そのデフレをとめるというコンセンサスが小泉内閣にあるのかどうか、お尋ねをいたします。
平沼国務大臣 デフレをとめるというのは、経済の隅々まで資金を潤沢に回すということがやはり一つ大きな前提に相なると私は思っています。
 そういう意味で、小泉内閣というのは、今までの反省の上に立って、今、小沢委員が御指摘のように、今までの手法では、根本的に構造がデフレになっているわけですから、だから何をやってもうまくいかなかった。その中の一つの大きな要因というのが、やはりバブル崩壊後の中で、金融サイド、産業サイドにある膨大な不良債権だと。ですから、そのデフレというものを根治するには、ある意味では非常に思い切った痛みが伴うけれども、この不良債権というものをやはり勇断を持って処理するということがその基盤をつくることである、こういうことで、それがデフレ阻止の第一歩だ、こういうふうに私は思っておりますし、小泉総理の認識もそのとおりだと思っています。
 そして、それを阻止するという中で、やはり経済というものは、今申し上げましたように、隅々まで資金を回す、そういうことをやっていかなければならない。そのためには、やはりいろいろな対策でプラスに働くようなことをやらなければならないという形で、今回の総合デフレ対策の中に、税制の問題でありますとか、あるいは中小企業に対するセーフティーネットでありますとか、あるいは雇用に対するインセンティブを与えることでございますとか、その他この他いろいろな形で、セットで盛り込んでいるわけであります。
 私は、そういう意味では、まずこのデフレというものを、一つの大きな要因である金融、産業サイドの不良債権を処理しながら、同時進行で強力な政策を打っていくことによってそこから脱却をしていく、そういう意味で、私は整合性があることだと。
 経済産業省としても、先ほど御答弁で申し上げましたけれども、そこを達成するために、私どもとしては、中小企業に対するいわゆる信用保証、信用貸し付け、さらには新しい企業の創出、あるいは政策減税、そういったものを強力にやらなければならない。そういう意味では、私は、小泉総理のこのデフレ脱却、そしてデフレを克服して経済を活性化する、これは矛盾のないパッケージの政策だ、こういうふうに思っています。
小沢(鋭)委員 若干、本当にきょうは青臭い議論で恐縮でありますが、まず一つ、先ほど来申し上げておりますことは、いわゆる不良債権処理を加速することによってデフレ脱却を図るといった大臣の話は、私はそれは逆だと思いますということを申し上げております。
 そこに関しては意見が違うのは結構でありますが、いわゆる小泉内閣、政府として、本当にデフレから脱却する、デフレを克服していくというのと、デフレのもとでデフレと共存しながら克服していくというのと、デフレを阻止するという話は決定的に違います。そして、私がさっきから質問しておりますのは、小泉内閣は、デフレを阻止する意思と覚悟がないのではないかということを申し上げております。
 例えば、余り具体的な名前を挙げて恐縮でありますが、先ほどの国債価格の暴騰の話、利回りの低下の話、これは財務省的にいえば、国債の価格が安定するということは悪くないんです。日銀からすれば、日銀のいわゆる商品である一万円という紙幣の価値がデフレによって上がることは悪くないんです。国民も一般的には、所得が一定であれば、デフレのもとではいわゆる物がいっぱい買えますから心地よい部分があるんです。
 しかし、本当に困っているのは、中小企業を初めとする経営者です。経営者は、同じものを売っても、いわゆる生産は上がりません。そして、バランスシートのもとにおいては、借金の額は変わらないけれども、資産の額は目減りするんです。今起こっている不況というのはそういう不況なんじゃないですか。
 ですから、私がさっきから申し上げているのは、デフレをストップするという強い意思がないから、当然マーケットもそう思うし、デフレ期待があるから物価はじりじりと下がる。大臣は、かつてこの委員会の中で、デフレスパイラルの危険がある、こう発言をされておりますが、それが既に起こっていてとまらないんじゃないですか。小泉内閣は、とにかくデフレを徹底的にストップするという意思表示が何にも出てこないじゃないですか、この総合デフレ対策の中で。そこをお尋ねしているんです。
平沼国務大臣 これは先ほど見解の相違と、こういうふうに小沢委員みずからおっしゃいましたけれども、私は、小泉さんは非常に不退転の決意で、まなじりを決してこのデフレ対策というのを主導力を持ってやっていると思っています。
 したがって、順序が逆だ、こういうふうに言われますけれども、私は必ずしもそうじゃないと思っています。パッケージで、一方においては、不良債権の処理を断固かたい決意でやるという形で今度総合の金融の対策を出しました。そして同時に、これは三十日の日に、相当長文になりましたけれども、各分野において、雇用から、中小企業から、あるいは税制からそういうものをやっているわけでありまして、私どもとしては、これをやることによって経済というものが活性化をし、そういう意味では、デフレ脱却につながりますし、これを強力にやることがその対策だ、こういうふうに思っておりまして、私は、別に矛盾をしていない、こういうふうに思っています。
小沢(鋭)委員 ぜひこの機会に、先ほど申し上げた私の論点も、もし大臣の方もそれはわかるなということであるならば、経済、産業を所管する経済産業省の中で、ぜひこのデフレの議論をやっていただきたいとこの際お願いをしたいと思うんです。
 例えば、これが本当に重要な問題であるにもかかわらず、大臣、この議論を私は経済産業省の中のどの部門でやっているのか聞いたことがありません。政府の中で激しい議論が行われたということも聞いておりません。竹中さんと銀行首脳の、いわゆる銀行会計の問題で激しい議論があったというのは私どもも報道を通じてわかっておりますが、この本質的な議論が政府の中でなされているとは思っていません。
 先ほども申し上げましたように、財務省も日銀も、どちらかといえば銀行経営、銀行会計の観点から発言をしておりますが、大臣、日本の中小企業や産業ということを所管するのはこの経済産業省だし、経済産業委員会です。そちらサイドからの論陣が余りに薄いんじゃないですか。かつてはもっとそこがしっかりと論陣を張って、そして闘う中でもう少し政策が出たんじゃないでしょうか。私は、そういう意味で、経済産業省頑張れと、もっとしっかりとこの論陣を張ってもらいたいとお願いするんですが、いかがですか。
平沼国務大臣 中小企業は全国で五百万あるわけでありまして、それを所管している当省といたしましては、私どもは、このデフレに関しては省内で大変議論をしてまいりました。そして、その議論の中で、私どもとしては、経済財政諮問会議の場にもそのことは非常に率先をして強力に出させていただきました。それは経済財政諮問会議の議事録等の中に反映されておりますし、また、いろいろ事務レベルのいわゆる省庁間のそういう中でも、私どもは、このデフレに対しては大変な問題意識を持ってやらせていただいています。
 そういう意味では、今回出たその中に、例えば政策減税のこと一つとっても、ITですとか、研究開発ですとか、あるいは投資、こういった減税をやるということは非常に大きな意味があるということは、私どもが主張してやらせていただいたことであります。
 また、セーフティーネット対策についても、これはかんかんがくがく議論をした中で、例えば、ああいう金融サイドの不良債権を処理するという話が出てきたときに、私どもは、それはこのとおりやったら大変な貸し渋り、貸しはがしが起こるんだと。そういう実態というものをしっかりと見据えて、そのためにはこういう対応策をしなければならない。ある意味では、例えば、そういうセーフティーネットだけじゃなくて、新たなマクロ政策というものもやらなければいけない、こういうことは私どもは主張をしております。
 私どもとしては、一生懸命にそのところは、頑張っているところは御理解をいただきたいと思いますし、当経済産業委員会の委員の皆様方にもひとつぜひいろいろ御意見を出していただき、お力をいただいて、この問題、大変重要な問題ですから、我々は真剣に取り組んでいかなければならない、こういうふうに思っています。
小沢(鋭)委員 もうこれ以上申し上げませんが、ぜひ頑張っていただきたいということと、それから、もう一つ申し上げておくと、いわゆる銀行の財務とかあるいは銀行会計の問題はあくまでもバランスシート、紙の上の問題でありまして、大事な話は実業の問題でありますから。財務の問題というのは、これも具体的に名前を言うといけませんが、アメリカの経営手法ですよ。そうではなくて、本当に実業を強くするという発想で考えないと、ペーパーの上でいいとか悪いとかの議論ではないんだ、会計上の問題ではないんだということを申し上げておきたいと思います。
 そこで、時間も来ましたので、産業再生に関して二点、せっかく来ていただいている方もいらっしゃいますから、あわせて御質問します。
 今回の対策の中で、産業再生機構というのがあります。これは、今申し上げた観点でいうと、実業を本当に回復していく、よくしていくという意味では私は評価を申し上げたいと思っております。しかし、問題は、いわゆる仮称という名前がついておりますから、恐らく最後にぶち込まれたんだろうな、こう思います。まだ詰まっていないという話なんだろう、正直言ってこう思います。
 一体だれが再生できるかどうかの選別を行って、その再生会社がもしあるとしたら、経営はだれが行うのか。そして、融資ができるというのがこのみそでありますけれども、融資の原資はどこから持ってくるのか、これが一点。
 それからもう一つ、あわせて恐縮ですが、構造改革特区ですね。これは本当に大事な話だと思っておりますけれども、これは経済産業省だけではないようですが、本来であれば経済産業省が主導してやらなきゃいけない問題だ、こう思っておりますけれども、これが骨抜きにされている、そういう報道がいっぱいあります。だれが骨抜きにしているのか、どんな問題が例えばその骨抜きだということであるのか。私はデータも持っていますが、それは控えさせていただきますが、そこの二点をお尋ねしておきたいと思います。
平沼国務大臣 これは、産業再生機構、仮称でございますけれども、そういうのを置くという青図はでき上がりました。
 その前に、実は私どもが提唱をしまして、産業再生・雇用対策戦略本部、これを総理大臣のもとに置くべきだと。今までは、厚生労働大臣と私どもでそういう不定期の対策がありましたけれども、これを発展的に解消してその本部をつくるべきだということを提唱したのは私どもでございまして、これが盛り込まれたところでございまして、私はこれは非常によかったと思っております。そういう中で、私どもとしては、これをしっかり運用していく、こういうことが一番大切だと思っております。
 そういう意味では、例えば今、いろいろ事務的にも一つの方針に基づいて詰めているわけでございますけれども、資金の問題というのは、預金保険機構のもとに、図ではもう御存じだと思いますけれども、RCCと、そしてその並列のような形で仮称のものは設置される。そうすると、その預金保険機構の面と、それから、これはやはりいろいろノウハウの問題がございます。ですからそういう意味では、政府系金融機関、ここは今まで企業の再生とかそういうことをやってきましたから、そういった知恵も入れながら、政府系金融機関の原資というものもこの中で活用していく、そういう形で私どもは運営をしていく、こういうことに相なると私は思います。
 ですから、そういう意味では、そのヘッドをだれにする、そういうことはまだ明確じゃございませんけれども、しかし、やはりこのヘッドになるべき人はそういうところに精通をし、そしてだれもが納得する、そういう人選を行って、そして万全を期していくことが必要だ、そういうふうに私は思っております。
 今、それは鋭意、もう早急に固めなければいかぬということでやっておりまして、産業再生法もそれと平仄を合わせる形で、これは来るべき通常国会にお願いしなければいけませんけれども、そことぴちっと整合性を持つようにやる、そういう基本的なコンセプトで頑張っていきたい、こう思っています。
中城政府参考人 構造改革特区についての御質問にお答えいたします。
 私ども、十月十一日の第三回構造改革特区推進本部におきまして、構造改革特区推進のためのプログラムというものを決定いたしましたが、この中では、地方公共団体から出されました九百三の項目につきまして、現行で対応可能なものや事実誤認のものを除きますと、大体約六割のものが今回、特区で対応あるいは全国において対応するというふうな規制改革が実現することになります。
 現在、プログラムを踏まえて作成している法案におきましては、内閣総理大臣が特区の認定を行うに当たりまして、関係行政機関の長の同意を求めるということにしておりますけれども、この同意の要件もできるだけ簡素で明確なものにするとともに、地方公共団体が関係省庁に各規制についての法令の解釈を求める場合に、各省庁に回答の義務を課すというような規定を設けることなどによりまして、できるだけ透明で、各省庁の裁量の少ない仕組みにしたいというふうに考えております。
 また、さらにプログラムでは、特区を実現するための政省令、通達等の案を各省庁が作成する際には内閣官房と所要の調整を行うというふうなこととしておりまして、規制所管官庁の裁量性が働く余地をできるだけ少なくするということで、構造改革特区の推進という一つの目的のもとで、内閣一体となった取り組みができるように努めているところでございます。
小沢(鋭)委員 時間が来たので終わります。
 繰り返しになりますが、紙の上の会計上の問題ではない、実業を本当に再生しなきゃいけない、そのためにぜひ頑張っていただきたいと申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございました。
村田委員長 鈴木康友君。
鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。よろしくお願いします。
 さて、今、同僚の小沢議員の方からも不良債権問題についての御質問がございました。私も、一、二点、不良債権についてお伺いをしたいと思います。
 私は、今の不良債権処理というものが、本当の意味でどこに真のねらいがあるのか、どこに目的があるのかということが非常に不透明だと思うんですね。
 金融システムの安定化をする、あるいは強化をするということがよく言われるわけですが、今の不良債権処理を加速させても、私は、例えば中小企業にお金が回ってくる、金融が正常化をするとはとても思えないのですね。むしろ今、どちらかといえば、金融緩和をずっと行ってきたことによって資金がだぶついている。
 銀行の関係者の方も言っているように、貸し出しがふえないのは不良債権の問題というよりも、むしろ貸出需要がないからだ、あるいはBIS規制などで貸し出しリスク一〇〇%なんということにすると、これは怖くてとても貸せないんだと。こういうことが実は貸し出しがふえない大きな理由である。だから余ったお金が国債に流れるというような異常な現象が起こっているわけでありますね。
 不良債権処理をここで加速させるということは、私は、むしろ真のねらいは、過剰債務の処理をし、そしてオーバーカンパニーを解消していく。言いかえれば、企業の間引きを行ったり、もう古くなった産業の中で企業を淘汰していく、これが真のねらいではないか。企業も、間引きなら間引き、あるいは要らない企業ならマーケットから出ていってもらう、こういうことをもっとはっきりと、もしそれが真のねらいであるならば言うべきだと思うんですが、大臣はその点、いかがお考えでしょうか。
高市副大臣 確かに、鈴木先生御指摘のとおり、産業再編という形、この大きな大きな構造転換期の中で、時代おくれになってしまった産業もあるでしょうし、これから競争力を持ち続けていく産業もあるでしょうし、ある意味では、この産業再編の流れというのは現に起きておりますし、これからも続いていくものだと思います。
 ただ、今回の不良債権の処理の加速ですが、全くセーフティーネットを張らずにやりますと、確かに、先ほど小沢委員からも御指摘がありましたけれども、売り上げは伸びないのに債務はそのままである、むしろ売り上げが減っているのに債務はそのままである、また資産デフレで資金調達も困難になるということから、かなりの倒産、失業という問題が懸念されます。
 ただし、今回の最終的な総合デフレ対策、出てきましたペーパーによりますと、いたずらに企業の整理淘汰を促進しない、それから経営資源を散逸させないように、何とか企業の早期再生を促していこうという視点が明確に盛り込まれております。
 具体的には、産業再生・雇用対策戦略本部においてこれから策定されます基本指針のもとに、産業と企業の再生を実現するための各種施策、つまり、産業再生機構によります企業の再生でありますとか、それから、経済産業省が今検討を進めております、真っ最中であります産業再生法の抜本改正による産業再編でありますとか、それから政策金融、ここは非常に大事なところでございますが、この政策金融を充実させるところで、何とか、これから未来の競争力として可能性のある企業について、中小企業者への資金供給を円滑化していく、こういう視点がありますので、繰り返しになりますが、いたずらに企業の整理淘汰を進めるものではございません。
鈴木(康)委員 今、副大臣の方から幾つかのメニューが羅列をされました。
 しかし、私は、例えばこの企業はつぶしたいけれども、この企業は残したい、ピンポイントでそんなことができるわけがないわけですから、やはり一定のルールのもとに処理をしていくわけですね。これをずっと行っていくと、私は、結局やはり力の弱い中小企業のところにいろいろなしわ寄せが来るのではないかという危惧をいたしております。
 そういう意味で、セーフティーネットを一方で充実させていくんだ、あるいは中小企業対策をきちっとやった上で不良債権処理もやっていくんだと大臣もおっしゃられている。ところが、肝心の中小企業対策について、私は、今回もこの国会で二法案が審議をされますけれども、詳しくはそちらの方にお任せをしたいと思いますが、その財源の措置というものが非常に不明瞭だと思うんですね。財源の措置をきちっとしないと、それはかけ声倒れに終わってしまうわけですね。
 そういう意味で、先ほども大臣がお話しになっておりました、通常国会の冒頭で補正予算の要求もしていきたいんだというような思いもあるやに伺っておりますが、それであれば、例えばその規模をどれくらいにするか、あるいは、こういうことを補正予算に要求していくんだということを大臣の方からお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 今の段階で、どれだけの財源をということは明確に申し上げる状況にはないわけですけれども、ただ、これまでも特別保証制度をやってまいりました。そして、この厳しい中で中小企業の皆様方は一生懸命返済をしてくださっておりますけれども、代位弁済率は一〇%を予定しておりましたけれども、五%を超えるようになった。それから一般セーフティーネットに関しても、これはいろいろな対策は講じておりますけれども、代位弁済率は高まってきました。
 そうしますと、十分準備を、一兆二千億ほど準備をしておりましたけれども、平成十三年度では六千億の赤字が出たわけでありまして、それからまた、平成十四年度でもこれは六千億の赤字が出るわけであります。そうなりますと、財源というものが非常に厳しい状況になってきています。
 ただ、もう一つ、七千五百億の、法律によって緊急的なときには取り崩すことができるという基金がありますけれども、これはとらの子としてまだありまして、何とかこれで食いつなげるような状況がありますけれども、しかし、両三年を考えますと物すごい厳しい状況になるわけでありまして、私どもとしては、今回の金融対策を不良債権の処理という形でやりますと、セーフティーネットというのは相当大きな額を用意しなければならない。
 ですから、そういう意味では、この臨時国会ではやらないわけでありまして、当然、この財源措置というのは、柔軟かつ大胆に総理も対応すると言っておりますから、私は今明確には申し上げませんけれども、相当大きな規模の財源というものは用意をしなければいけない、こういう形で、私どもは、中小企業に責任を持っている立場として、このことはしっかりと主張していきたい、実現させていきたい、こう思っています。
鈴木(康)委員 今、今の段階では明確にはなっていないというお話でございましたが、これから不良債権処理を加速させるという方針も決定をされている中で、今の段階で明確でないというのは私はちょっとおかしいのではないかと思うんですね。七千五百億の基金の取り崩しだけではこれはどうにもならないわけで、私は、やはりきちっとした追加的な財源措置を用意しておかなきゃいけない、それも次の通常国会の補正だけじゃだめだと思うんですね。
 これからしばらくこういう状況が続いていくわけですから、継続的にこれをやっていかなきゃいけないということであるならば、やはり中小企業を、先ほど大臣が五百万社を経済産業省は所管しているんだということをおっしゃいましたけれども、その責任あるお立場として、これは継続的にきちっと内閣の中でもそれを主張していくんだという決意をもう一度おっしゃっていただきたいと思います。
平沼国務大臣 九七年の時点で大変な貸し渋り、貸しはがしが起こりました。そのときには、委員も御承知のように特別保証制度というのを、当初は二十兆の枠で二年間ということでございました。それを、やはり状況を見て、十兆上乗せをして一年延長しました。
 ですから、私どもは、今回そういうことをやるのであれば、やはりそういう規模の、特別保証制度でも結局三年という期限があるわけですから、そういうものに匹敵するものをやりたい。この中にはイメージがありますけれども、今はまだそれを具体的に申し上げる段階ではないわけですけれども、そこのところはしっかりとしなければいかぬ、こう思っております。
鈴木(康)委員 先日、ダイエーに対して政策投資銀行が出資をするということが正式に発表されました。私は前回の通常国会のときにもダイエーの問題については少し御質問させていただきましたけれども、この、ダイエーに対して国が支援することを鮮明にしたという意味でのこの出資の意味合いについてお伺いをしたいと思います。
 現在、やや計画を下回るくらいでありますが、順調に業績も回復しているというような報道もありますが、今後、あるいは業績が悪化をした場合にさらなる追加的な支援措置をするのかどうかということも含めてお伺いをしたいと思います。
高市副大臣 今回のダイエーに対する企業再建ファンドの設立と政策投資銀行によるファンドへの出資でございますけれども、これは、ダイエーの主力銀行、メーンバンクから政策投資銀行に出資の要請があったことを受けまして、政策投資銀行としてこれを検討した結果、ダイエーの再建は十分可能である、また、それが地域の経済や雇用、それから地域住民の生活利便の維持向上のためになるという判断をした上で、企業再建ファンドに対する出資を決定した、このように聞いております。ですから、経済産業省としまして、今回の政策投資銀行の決定を、そういう意味では有意義なものであると考えております。
 それで、今後のことでございます。これからどうなるかということなんですが、現時点においては、その追加出資については全く議論の対象にはなってございません。将来については、その時々の経営状況を踏まえて、メーンバンクの要請に基づき、要請がなかったらだめでございますが、要請に基づいて議論が行われていくものであろうと考えております。
鈴木(康)委員 今のお答えでいきますと、では今後他の企業においても、メーンバンクからそうした支援の要請が来た場合には、それは前向きに検討する、あるいはダイエーのように支援をする企業が今後ふえていくというふうに理解をしてよろしいのでしょうか。
高市副大臣 ほかの企業についてのお尋ねだと思いますけれども、企業みずからの自主的な取り組みに対しまして、産業再生法の要件に合致すると認め、同法にのっとって、登録免許税の軽減などの支援を行うということにいたしました。うちの省としての立場はそうでございます。
 同じようなスキームによる支援を要請してくるようなことがございましたら、今も申し上げましたように、この法律の定める要件に合致するかどうかということを審査して、必要な要件を満たすと判断された場合には、政府として、法律に基づいた支援を行うということでございます。
鈴木(康)委員 このダイエーの問題というのは、私は一つ非常に象徴的な問題だと思うんですね。前回も御質問させていただいたときも、マイカルがああいう形の結果になって、なぜダイエーだけが救済をされるか。今回これは第二弾でございますので、いろいろな人たちがかなり注目をしていると思います。経済産業省としてどういう対応をしていくかということ、私もこれからしばらくこれを継続的に見ていきたいと思いますので、またよろしくお願いいたしたいと思います。
 さて、今回のこの不良債権処理の案の中で私一つ評価をしていたのは、銀行の経営陣に対して非常に厳しい対応をしていくと。公的資金の注入のかわりに代表取締役を更迭するですとか、場合によっては退職金の支払いも停止をする等々を含めまして、非常に厳しい措置を講じるということが内容に当初盛り込まれていたわけですが、これがかなり抵抗に遭って後退をしているわけであります。
 一方で、これはよく我々の議員の中からも指摘があるわけですけれども、中小企業の場合は、有無を言わさず実質的に責任をとらされるわけですね。個人保証を大方の場合金融機関に対してしているわけですから、失敗をして例えば会社が倒産をするようなことになれば、退職金どころではない、もう財産から一切身ぐるみはがされてしまうわけであります。
 今こういう状況の中で、私もいろいろな中小企業の皆さんとお話をすると、その不公平感というのが物すごく大きいんですね。例えば銀行の人たちは、そういう公的資金を注入されても一切経営責任をとらされない、あるいは大企業の人たちは、債権放棄をしてもらってぬくぬくとしている、こういう声をよくお伺いします。こういう中で、今回また銀行の経営陣の責任の追及というものが非常にあいまいにされようとしている。このことに対して大臣はどのようにお考えになるか、お聞かせください。
西川副大臣 御指摘のように、先生の、一般論として、私も全く同様に義憤を感じている一人でございます。しかし、この問題につきまして、当省としては銀行を監督する立場に残念ながらないわけでございます。しかし、公的資金注入行を初め経営陣の責任について、いわゆる一般論として申し上げれば、経営健全化計画の達成状況というものを踏まえて、金融監督当局に適切な対応をとっていただきたい、強くこれは求めていきたいと思います。
 そこまで先生お尋ねになっていないわけでございますけれども、一般の方々に対しては、私どもとしては、セーフティーネットをもっと張っていくとか、または、法制審議会で昨年から審議をしていただいているこういうことについても、強くそうしたお立場を守っていく、再挑戦ができる、こういうことをしっかりやっていかなければいけない、こんな印象を持っております。
鈴木(康)委員 私は、これも総論で申しわけないんですが、大体、大きな企業の方は一般的に言ってやはり強い立場にある、あるいは中小企業の人たちは弱い立場にあるというのは、これは明確にあると思うんですね。だとするならば、やはり大きな企業あるいは力のある人たちに対してはより厳しい対処をしていく、中小企業の人たちあるいは弱い立場の人たちに対してはより救いの手を差し伸べるというのが私は政治のあり方だと思うんですね。
 そういう意味でいけば、やはり中小企業を守る立場にある経済産業省の責任者として、私は、大臣には、閣僚のお一人でありますし、今回の問題にも責任をお持ちであるわけですから、強く銀行の経営陣の責任追及というものを主張していただきたいと思うわけですが、これは平沼大臣、いかがですか。
平沼国務大臣 金融の不良資産、不良債権を処理するに当たって、いろいろなデータが出てきました。そのデータの中に、例えば銀行の最高幹部の給与でありますとか退職金というものがまだ一般に比べて非常に高い水準にある、こういうようなデータを私も見まして、中小企業の皆様方、非常に苦労されている、少しそこはずれているんじゃないかな、一政治家として率直にそういう感想を持たせていただきました。
 今副大臣からも御答弁をさせていただきましたけれども、中小企業に対しては、やはり非常に厳しい、例えば個人保証が非常に大き過ぎるとか、今の法制度のもとでは極端に言うと二十一万円しか残らなくて、あとは全部個人で保証しなければいけない、だから再起もできない、こういう形ですから、そういった面で、今法務省の方でも御審議をいただいて、いわゆる個人の自由財産に関するところはもっと緩くして再起ができるようにしよう、こういうこともありますし、私どもとしては、そうやって頑張ってくださっている中小企業は日本の経済の基盤を支えていただいていますから、そういう意味では、その辺をしっかりとして、そして今御指摘の常識的に見てもおかしい、そういう点は、私は、機会を見ていわゆる経済産業大臣としては発言をしていく、そういうつもりでございます。
鈴木(康)委員 私は、何も中小企業をすべて、何から何まで救えと言っているわけではないんですね。ただ、私は、今のこの世の中がどうも公正感、公平である必要はないと私は思うんですが、公正であるということにみんな欠けているんじゃないか、何となくそういう空気が感じられてならないものですから、ぜひ大臣にはその点、これからきちっと公正な政策運営というものを行っていただきたいな、こんな思いでいっぱいであります。
 さて、ちょっと視点を変えたいと思いますが、この景気をどう立て直すかというのは非常に大きな課題でありますし、今非常に政策の幅が狭くなっているということも、私もそれは理解をしているつもりであります。
 こうした中で、有効な手だてをいろいろ考えていかなきゃいけない、その中で、私は、大臣がかねてより政策減税について非常にその必要性を強く訴えられておるということについて、非常に同感をいたしております。ITの設備投資でありますとか研究開発投資、こうしたものへの投資減税を行うべきであるとか、あるいは土地税制の見直しであるとか、こうしたことを御主張されている。
 私たちの党の中でも、そうした前向きな企業の設備投資や研究開発投資に対する減税を行うべきである、あるいは個人の消費を喚起するためにはローン利子減税のようなものを導入すべきであるということは訴えておるわけですけれども、そういう意味からいくと、非常にその点をこれからも強く推し進めていただきたいわけですが、今回の総合デフレ対策の中でも政策減税について扱われているわけですが、私はちょっと中途半端な気がしてならないわけであります。
 今、もっとこれは大胆に行っていく。非常に政策の選択の幅が狭まっている中で、私はこういう有効であろうと思われる政策についてはもっと大胆にやるべきだと思うんですが、今回の総合デフレ対策の中における政策減税の位置づけについて大臣はどのようにお考えか、御所見をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 大変鈴木議員からも評価をしていただいて恐縮に存じております。
 アメリカは、七〇年代、八〇年代、三つ子の赤字を抱えて四苦八苦の状況の中で、黄金の九〇年代、よみがえった、そういう歴史をたどりますと、一つは、プロパテント政策というようなそういう思い切った政策転換がありました。それは、やはり政策減税というものを非常にしっかりとやって経済に活力を与える、そして新たないわゆる産業だとか新たな雇用を生み出す、そういう形で活力をつけてまいりました。ですから、経済産業省の中でも私どもはいろいろ議論をして、経済財政諮問会議の場でも、いろいろな場で、政策減税の重要性を私は訴えてきました。
 そういう意味で、今回の総合デフレ対策の中に、政策減税として、ITの投資でございますとか、研究開発でございますとか、あるいは土地の部分あるいは住宅の部分、そういったところが幅広く盛り込まれた、このことを私は非常に評価をしているところでございまして、さらに、そういう基本的な考え方にのっとって強力に私はこれを推し進めなければならない、こういうふうに思っています。
鈴木(康)委員 時間がなくなってまいりましたので、地域経済の活性化について幾つか御質問をしたかったんですが、まとめて一点だけ御質問したいと思います。
 先ほど小沢議員の方からも御質問がございました構造改革特区についての構想でありますとか、あるいは産業クラスター計画、あるいは文科省の方では知的クラスター計画等々、地域経済活性化のためのいろいろな構想があるわけですけれども、どうも私はそれが何かばらばらのような気がしてならないんですね。
 ですから、むしろ、例えばこの産業クラスターあるいは知的クラスター、構造改革特区、こうしたものを三位一体として、内閣のもとに地域経済活性化推進本部みたいな本部を設けて、これをより総合的に、強力に取り組んでいくということが私は必要だと思うんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。
桜田大臣政務官 経済産業省と文部科学省は、それぞれ産業クラスター計画と知的クラスター創成事業を進めておりますが、経済産業省では、企業を中心とした実用化技術開発など産学官連携事業を推進し、新事業の創出を図る、文部科学省の方では、大学等公的研究機関を中心とした基礎的研究部門における産学官共同研究を推進し、新技術の創出を図るということで、それぞれ役割の分担をしているところでありまして、施策の重複を避けつつ、両省が産学官連携を推進しているところでございます。
 また、両省は、総合科学技術会議などの内閣の要請を踏まえ、関係自治体と経済産業省、文部科学省の両省が参加する地域クラスター推進協議会を設置しているところでありまして、また、地域ごとに両省の事業の成果を発表する合同成果発表会を年一回開催しておりまして、関係事業の参加者の間で情報交換をするなど、連携体制を構築するということでございます。
 また、構造改革特区制度につきましては、地域の自主性を最大限尊重する形で規制改革を進めることにより、我が国経済社会の構造改革を推進するとともに、地域の活性化を図るものであり、地方自治体からの提案の中には新産業の創出を目指したものも数多く含まれているところであります。
 構造改革特区における規制改革の実現により生じた新産業を創出する効果も、産業クラスター計画及び知的クラスター創成事業において大いに活用し、地域経済の活性を一層推進していく考えであります。
 経済産業省といたしましては、地域の得意分野において新技術、新産業が次々と創出され、地域経済の再生を図れるよう、文部科学省を初めとして、関係省庁や地方自治体と密接に連携を図りながら全力で取り組んでまいる所存でございます。
平沼国務大臣 三位一体というお話、私はそのとおりだと思っておりますし、既に今の御説明にもありましたけれども、やはり我が省の地域の産業クラスター計画と文科省の知的産業クラスター計画というのは相連携をとって、そしてお互いがばらばらにならないように総合力を発揮するようなそういう手だても今やっております。
 そこにまた特区を加えながら相乗的な効果を生むということは非常に大切なことだと思っておりまして、産業クラスター計画というのは非常に今根づいてきまして、全国十九拠点で二百を超える大学が参画して、企業も四千、こういう形で、そこから新しい特許も新しいベンチャーも生まれてくるようになりました。
 ですから、やはり科学技術創造立国でございますので、その観点で、三位一体という、そういう観点から頑張っていかなければならない、こう思っております。
鈴木(康)委員 この地域経済の活性化につきましては、また別の機会に突っ込んだ御質問をさせていただきたいと思います。
 時間が差し迫ってまいりましたので、きょうは公取の委員長に来ていただきましたので、最後に一言御質問をしたいんですが、今非常に厳しい経済環境のもとで、酒販業界やあるいは家電販売業界が、不当廉売あるいは不当競争に非常にいろいろさらされているという話が私のところにもたくさん舞い込んでまいります。
 例えば、今ここにあるチラシですね。これはある大手家電メーカーのチラシなんですけれども、「良品を高く買取ります!」と書いてあるんですね。これは、良品であればリサイクル料金はかかりませんから、ぜひうちに持ってきてくださいと。要は、廃家電のリサイクル料金、これは取りませんよと。これは、良品であるということでうまく逃げて、恐らくこれ、再生をして、例えば中古として販売をするのかどうかわかりませんけれども、そんなことを意味しながら、実はリサイクル料金取りませんよということをうまく訴えている、非常にグレーな広告であります。こうしたことが日常茶飯事のように起こっておりまして、非常に零細の販売店さんが厳しい状況に置かれている。
 この前も、実は私どもの静岡の電機商業組合の方が公取さんの方にクレームをつけました。それは、ある家電販売店が、いわゆるオープン価格の商品に対して、定価を明示して、それから大幅に値引きをするという、明らかに違法な広告をいたしました。それに対して、「法律上の措置は採りませんでしたが、景品表示法に違反するおそれがある表示でしたので、警告しました。」と、たった一行のこの通知書というのが来ただけなんですね。その相手先に対してどういう警告をして、相手先がどういう改善策を提示してきたのか、そういう経過を含めて、私はきちっとそれは報告をすべきであろうと思いますが、たったこの一枚が来ているだけであります。
 こういう状態にあるわけでありまして、これからますますこの不当廉売あるいは不当競争の問題というのは深刻化をしてくるわけでありまして、そういう中で公正取引委員会の果たすべき役割というのは非常に大事だと私は思います。今度、竹島さんが新委員長になられたわけですが、その辺、厳しくやるんだという御決意をぜひ一言述べていただきたいと思います。
村田委員長 竹島委員長。
 質疑時間が終了しておりますので、簡潔にお答え願います。
竹島政府特別補佐人 御指摘のように、デフレ経済のもとで事業者が大変厳しい競争をしている、そういうときに不当廉売とか不当表示という問題が間々起きている、御指摘のとおりでございます。
 公正取引委員会におきましては、ルールある競争というのが非常に大事なキーワードとしてありまして、それに基づきまして、独占禁止法でありますとか景品表示法上の措置を講じているわけです。特に有効だと思いますのは、今お話のありました酒類だとかガソリンとかいうものについてはガイドラインを示しておりまして、未然防止に努めております。
 それから、個別のことにつきましても、消費者に、その実態以上に有利であるとか安いとかいうようなことを思わせるような表示については、きちんとこれからもよくウオッチをして、改善すべきものについてはきちんとした勧告をしていきたいというふうに思っております。
鈴木(康)委員 この公取さんの問題につきましては、また引き続きいろいろな場面で御質問させていただきたいと思いますが、本当に今、末端の販売店の皆さん、非常に厳しい状況にさらされているということをぜひ御認識いただいて、こういう問題については厳しく対処をしていただきたいと思います。そのことを申し添えまして、質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
村田委員長 土田龍司君。
土田委員 大臣の所信に対しまして幾つか質問をさせていただきます。
 我が国が長期の深刻な不景気に陥りまして十年ぐらいになるわけでございますが、何とかしてこの経済を立ち直らせる、活性化する、そして持続的な経済成長を図るということはもう当然のことでございまして、この委員会だけでなくて、あらゆる委員会で、あるいはすべての委員会でこの問題が取り上げられております。
 私は、この委員会で質問するのは初めてじゃないんですが、随分久しぶりになりますが、今後は、この委員会の理事になりましたので、多分、毎回質問することになると思います。よろしくお願いしたいと思います。
 そこで、まず基本的なことを幾つかお尋ねさせていただきたいと思うんですが、現在我が国がこういった長期低迷になった原因、それはどこにあるのか、具体的に幾つかお答えを願いたいと思います。
西川副大臣 今日の経済の長期低迷は、まず第一に、デフレギャップが二十兆とも言われておるわけでありますけれども、お金は千四百兆もあるとか言われておりながら、欲しいものがない、列をつくってでも欲しいというようなヒット商品もない、そういうところに象徴される、具体的にという御指摘でございますけれども、いわゆる需要不足が要因になって、デフレでありますとか、先ほどもいろいろ御議論がございました不良債権問題などが深刻化している、こういうことが一つあると思います。
 特にデフレは、我が国の企業の収益を大きく圧迫して、新規投資というものの魅力をそいでしまっている。したがいまして、発明でありますとか発見でありますとか、そういうことによって新たな投資環境というものを生まない限り、実質債務を増加させる一方でありまして、不良債権の問題をさらに悪化させるという悪循環をもたらしている。
 こういう問題を克服するためには、個人の需要を喚起する、または設備投資の誘因を確保していく、こういうような、いわゆる経済の良循環といいますか、イノベーションと投資のよき関係を生んでくる、こういうことで資金が経済の隅々まで、血流が末端に行くようにいけば持続的な民間需要も創出ができ、これを通じて実体経済の自律的な回復を達成できる、こんなふうに経済産業省としては考えている、こういうふうに申し上げたいと思います。
土田委員 不良債権の処理問題は、第一次的には金融機関の問題でありますけれども、やはり借り手である企業の産業再編やあるいは事業の再編、再生を具体的に進めていかなきゃならない、これは何回もおっしゃられているとおりでございますが、これについて具体的にどうやって進めていくのか、お答え願います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 今般政府で決定をいたしました改革を加速するための総合対策におきまして、新しく産業再生・雇用対策本部、これはまだ仮称でございますけれども、これが設置をされました。この本部が、産業再編でございますとか事業の早期の再生、こういったことにかかわる基本的な指針を策定することに相なっております。この基本方針に基づきまして、企業、産業の再生というものを強力に推進していく、こういう手順になります。私といたしましては、まずこの基本指針の具体策づくりに着手するように今事務方に強力に指示をしておりまして、でき得る限り早くこれを本部に提案していきたい、こういうふうに思っております。
 さらに、先ほど来触れさせていただいておりますけれども、産業再生法の抜本改正について、これは整合性がなければいけませんから、この基本方針を踏まえまして、問題になっております過剰供給構造の解消でございますとか、また、今御指摘がございました過剰債務構造の是正につきまして、産業サイドの取り組みを促進するべく、事業再編等の計画に真摯に取り組んでまいる所存でございます。そして、税制ですとか政策金融等の支援措置を具体的に行う、それから、商法手続の簡素化の特例、そういったものの措置の延長、さらには拡充をする、こういったことも対応策としては具体的に非常に有効だと思っております。
 その上で、関係省庁と連携をとりながら、産業再生法の活用とともに、新たに設置されることになりました、これも仮称でございますけれども、産業再生機構による企業の再生、政策金融措置の活用等を組み合わせて、政府一丸となってこの問題に取り組んでいく、今こういう体制で臨む、こういうことでございます。
土田委員 先ほど西川副大臣から不況の原因について御答弁をいただきました。もちろんそういった認識で結構だと思うんですが、新しい需要をつくっていく、これが必要不可欠であるわけでございますが、この需要創出のためには、具体的にはどういったことを考えておられますか。
平沼国務大臣 先ほど西川副大臣の答弁にもございました、やはり今このデフレの中で総需要というものが非常に低下をしている、これが大きな問題です。
 一方においては、個人の金融資産というのは世界一あるわけですけれども、金は天下の回りものと言われておりますけれども、これが一向に回らない、そこは、今このデフレ圧力のもとで、さらに、老後の不安でございますとか、健康の不安でございますとか、あるいはその他のいろいろな不安、これが非常に複雑に作用して財布の緒を締めてしまっているわけですね。
 それから企業の方も、そういう意味では、このデフレの中で債務が非常に膨大である、こういうようなことの中で、非常にデフレですから緊縮をしつつあるわけです。そこで今回、さらに、経済の活力を縮小するようないわゆる不良債権処理というものを大胆にやる、こういう形ですから、これは総合的な対策をとらなければならないと思っています。
 そういう意味では、この対策の中にも盛り込みましたけれども、雇用の不安を解消するために、これは厚生労働省の主に管轄ですけれども、雇用に対しては、やはりセーフティーネットを張って雇用の不安を解消する。また、年金等の福祉サイドについても、やはり将来像を明示してその不安を払拭していく、それがやはり国民の不安を解消することにつながっていく。
 さらには、中小企業の皆様方には、先ほど来申し上げているそういうセーフティーネットというものをしっかり構築すると同時に、やはり新しく企業を創造し、産業を活性化しなければいかぬ、こういうことに相なってきますと、昨年の秋の臨時国会で大変御賛同いただいた、いわゆる新規創業に対しては、事業計画だけ着目をして、個人保証も第三者保証も何も要らない、これはおかげさまで、こういう中で今、前年の六倍のスピードでそうやって新しく企業を立ち上げる方がふえてきています。
 そういったことによりますと、そこで活力が生まれてくる、さらには産業再生法というものを抜本的に改組しながら、私どもとしては、こういう、やる気と能力があり、そして伸ばす部分のあるところは積極的に支援をして伸ばしていく、それによってやはり需要を喚起していく。
 さらには、これは今回の中で柱として盛り込まれましたけれども、政策減税、こういった政策減税を、いろいろな面で経済に活力を与えるために、投資でありますとか研究開発でありますとか、さらには、いわゆる資産デフレという中で今株価が御承知のように下落しています。それから、土地というものも、日本はずっと土地本位制度で来ましたけれども、土地も下落しています。ですから、土地の流動化、株の流動化でそういった資産デフレを解消するために証券税制を抜本的に動きやすいように変えていく、投資家に対するインセンティブを与えていく。
 さらには、今回の中にも盛り込まれておりますけれども、土地税制についても、やはり土地が動くようなそういった税制、こういったものに対しては、総合的にやはり広いアプローチで、そして先ほど、全委員会がやらなければいかぬ、こういう御指摘がございました。そのとおり、これは経済産業省だけじゃなくて全省庁が協力をしながらこの問題に、それぞれ具体論が出てきておりますから、取り組んでいかなければならない、こういうふうに思っているところでございます。
土田委員 確かに、税制改革とか不良債権処理とかいろいろな施策を行っておられますけれども、総需要の六割を占める個人消費、これの環境整備については、具体的にどう考えておられますか。
平沼国務大臣 これは、ちょっと大きな面で申し上げましたけれども、やはりそういう不安を払拭するとか、それから、そういう形で中小企業に活力を持たせるとか、さらには税制によって資産デフレを抑制するとか、そういったことが最終的には私は個人消費に結びつくと思っております。
 さらに、先ほど西川副大臣の答弁にもございましたけれども、例えば、企業サイドにも、やはり個人消費を伸ばすような魅力ある製品を生み出すような、そういったことをしていかないと、今各家庭においても、例えばお互いの家庭にテレビは二台も三台もある。カメラも何台もある。魅力的な商品というものが余りない。そうすると、それは個人消費に結びつかない、そういったことにもつながりますから、やはり企業サイドも努力をする、そういった総合的なことでやっていかなければならないと思っています。
 確かに、御指摘のように、GDPの六〇%を占めているのは個人消費ですから、その個人消費を喚起するためには、あらゆることをやりながら、個人消費が強くなるような、そういったことを総合的にやることが私は一番大きな解決につながる、こういうふうに思います。
土田委員 国内経済克服のためには、国内経済はもちろんなんですが、やはり諸外国との、外国との経済関係を緊密化するということは極めて重要だと思っているんですね。
 私は、この委員会に来る前にずっと外務委員会におりまして、外交のことばかりやっていたんですが、日本における環境整備ということについては、やはり外国との問題についても真剣に取り組んでもらいたいというふうに思うわけですが、その中で、有効な手段として自由貿易協定、FTAがあると私は思います。現在、アジア太平洋経済協力会議やWTOなど多国間の枠組みでの貿易自由化を図っておりますが、それよりも、やはり二国間の自由貿易化を目指すFTAの方が私はより効果があると思っているんです。
 そうした中で、シンガポールとは終わりましたけれども、メキシコを初めとした我が国のFTA締結の交渉の進捗状況についてお話しください。
西川副大臣 ただいまお触れになりましたメキシコ、それから、その他の国としては韓国を例にして申し上げたいというふうに思います。
 まず、メキシコでございますが、これは、我が国の企業が、欧米企業に比べて、いわゆる自由貿易協定がないがゆえに競争上不利になる状況がメキシコ間との取引で顕在化いたしております。
 これを早期解消いたすためにも、昨年九月から両国共同で、産学官の研究会において両国の経済関係をより強化する方向で検討しておりまして、本年の七月に、FTAの要素を含めた幅広い分野をカバーする経済連携協定の締結を提言する報告書が取りまとめられました。これを受けまして、十月の二十七日、ついこの間でございますが、小泉総理とフォックス・メキシコ大統領との首脳会談におきまして、FTAの要素を含めた経済連携協定の交渉を開始することが合意をされたわけでございます。
 それから、もう一つ、よろしゅうございますか、韓国の例を申し上げたいと存じますけれども、これは言うまでもなく我が国と非常に地理的にも近い、近時密接な関係のございます韓国において、日韓のFTAというのは非常に有意義だ、こういうふうに理解いたしておりまして、東アジアビジネスの経済圏を創設するのにも欠かせない要素だというふうに理解いたしております。
 そこで、簡単に申し上げますと、アジア経済研究所と韓国対外経済政策研究院との間で学術的な研究、日韓両国の経済人から成る日韓FTAビジネス・フォーラムでの検討を経て、本年の七月からは、両国の産学官のメンバーから成る日韓FTA共同研究会を開催しておりまして、将来、政府間交渉の開始を視野に入れつつ、これが両国経済に与える効果、また取り上げるべき分野、そして問題点、それらについて検討を行いまして、できるだけ早い時期に共同報告書を作成する、こういう方向に進んでおりますことを御報告したいと思います。
土田委員 積極的にやるという割にはちょっと遅いなという感じがしますね。韓国とメキシコとまだその程度の話し合いしか進んでいないと。例えばアメリカや中国は、ASEAN諸国と積極的に締結をしようとしているわけですね。こういった、余り積極的でないようなことになれば私はこれは取り残されるおそれがあると思いますよ。やはり、やるならばもうちょっと積極的に話を進めていかなきゃならないと思うんですが、大臣、この点どうですか。
平沼国務大臣 二国間協定の重要性というのは、委員御指摘のとおりでございます。世界は、大きな枠組みでは、もうこれは御承知のとおり、自由貿易体制はWTOという大きな土俵があります。しかし、今度は二国間でより緊密な形で実効性を上げていくということが世界の趨勢になりまして、世界各国でそういう二国間の経済連携というのが結ばれてきていることは事実であります。特に東アジアというのが非常におくれをとっていたことでありまして、東アジアにおいては、中国と韓国と我々日本、そして台湾がずっと二国間協定がない国でございました。
 その先鞭を切って日本が皆さん方の御協力をいただいてシンガポールと締結をし、今御報告したように、遅いと言われるかもしれませんが、メキシコ、韓国とは相当具体化が進んで、メキシコはとにかく来年じゅうにやってしまおう、こういうことに相なっています。
 そして、中国が、いわゆるASEANとやる、十年以内に締結するという形で発表しました。それに対して、小泉首相も、ASEANに参りましたときに、日本も、ASEANととにかく十年以内を目途に我々もやるんだと。私がASEANあるいはAPECの会議に出ますと、必ずあちらの方からそういう話が来て、そして、今まで長い間日本はいろいろな実績を築いてきておりますから、APECの国によっては、我々は中国よりも日本と先にやりたいんだ、それは歴史が証明しているんだと。
 こういう形で、総理の大方針も出ておりますから、これからそういった東アジアあるいはAPECの中の国々と加速化をしていかなければいけませんし、各国から、そのASEAN諸国からの大臣が来ますと、私の部屋に来ますと、皆さん方は、FTAをやりましょうと、こういう機運でございますので、私どもは、おっしゃるとおり、これは非常に重要なことでございますので、この辺は真剣に、そして総理の基本方針もありますから、前向きに取り組んでいきたい、こういうふうに思っています。
土田委員 投資協定のことで一点だけ、ちょっと個別の問題になりますけれども、非常に大事だと思うから一つ質問いたします。
 日本とフィリピンの間で、航空貨物の協定がうまくいっておりません。御存じだと思いますけれども、ラモス政権で認可された航空貨物の協定がエストラダ政権でほごにされてしまった。今回、アロヨ政権にかわって再認可されたわけでございますが、日本の企業とフィリピンの企業の合弁企業です。日本とフィリピンをつなぐ航空貨物を、飛行機を飛ばそうという計画ですね、六年前からやっているわけでございますが、これが土壇場に来てなかなかうまくいかないわけです。
 僕は、この経過を見ていますと、外務省は非常によくやっていると思っているんです。この交渉については、よくやっていらっしゃる。しかも、日比間の首脳会談のテーマにまでなった内容です。
 ところが、これがなかなか進まないことについて、外交交渉だけでなくて、やはり日本の経済産業を担当する所管省としてもうちょっとバックアップしなきゃならないんじゃないか。こういった投資がうまくいかない、円滑にいかない、投資家保護ができていないということになりますと、我が国経済に与える問題も大きいわけでございまして、後に続こうという方がなくなってしまうおそれもある。これについて、大臣、どう考えておられますか。
平沼国務大臣 経済産業省といたしましては、本年五月のアロヨ大統領、私も会談をさせていただきましたけれども、その会談時でございますとか、八月には、下地当時の政務官がフィリピンに行かせていただきまして、機会あるごとに、御指摘の点がございますので、投資環境の改善について働きかけを積極的に行ってきているところでございます。
 そしてまた、現在行われている日本とフィリピン両国間の経済連携に向けた検討の一環として、フィリピンにおける投資の自由化やビジネス環境に関する制度運用の安定性と透明性、今御指摘のように、政権がかわってしまうと全然スタンダードが崩れてしまう、こういうことがございますので、その確保について我々としては真剣に議論をさせていただいています。
 なお、我が国からフィリピンに対してはODAを相当供与しておりますので、その供与に当たっては、我が国のODA協力が同国の投資環境の改善に資するものとなるように、やはりその実施をもっともっとしっかりとしなければならない、私どもはこういう基本的な考え方を持っております。
 経済産業省といたしましては、今後とも、フィリピン進出の日系企業が同国において安定的な事業展開ができるように、私どもは、フィリピンにおけるビジネス環境整備の改善につきまして、経済産業省といたしましても強力に働きかけていかなければいかぬと思っています。
 先ほど、FTAでメキシコの例が出ましたけれども、メキシコも、NAFTAの中でプロセック政策というのがありまして、しかし、NAFTAというアメリカとのそういう経済連携の中で、日本から大変な企業が進出していますけれども、非常に不利な立場に置かれてしまうんですね。同じ条件で競争できない。ですから、ここもそういうことと同じですから、やはり透明性があり、そして確実性のあるそういういわゆる投資協定、そういう連携というのはやはり確立しておかないと将来に対して恒常的な担保がとれない、こういうことにつながりますので、この辺は、御指摘のとおり重要なことですから努力をさせていただきたい、こう思っています。
土田委員 確かに、この日比間につきましては、今申し上げましたCLA以外にはそんなに大きな問題は存在しないと私は思っているんですが、ただ、このくらいを解決できなければ、やはり今後の東アジアあるいは中国に対して、あるいは発展途上国に対して、なかなか後へ続く者が少なくなるという考えもございますので、ぜひ、この件は早目に解決されますように、経済産業省としてバックアップされますように御期待を申し上げたいと思います。
 ちょっと時間の関係で次の問題に行かせていただきます。
 エネルギー問題で、東京電力の問題でございますが、原子力発電所を一年間運転停止処分にするということになるわけでございますが、長期の停止が、需要期である冬場を迎えるわけですが、供給力に問題はないんでしょうか。
岡本政府参考人 東京電力につきまして、福島第一の一年間操業停止ということになりましたが、現時点で、全部で十七基持っているのですけれども、その中の九基が停止という状況にございます。こうした停止中の原子力発電所が、これから冬場に向けて需要が増大いたしますので、運転停止を続けた場合に電力の需給というのは逼迫することが予想されます。
 したがいまして、まずは今、東京電力は、停止をしておりました火力の運転の立ち上げあるいは定検時期の調整、そういったことを中心に、火力の最大限の活用を図るということを予定しておりまして、そういう努力によって何とか供給は確保されるという見通しが立っております。
 しかしながら、原子力発電所のさらなる停止でありますとか、あるいは、火力を使うということは油なりLNGをたき増しするということでございますが、中東情勢もございますので、燃料調達の不確実性など、あるいはもう一つ、厳冬になるというそういう要素も考えられますので、そういう事態をにらんだ上で、万全の需給のバランスがとれるようにということで私ども事態を注視し、東電から毎日のように話を聞いておるところでございますが、需給の確保には、事業者ともども、私どもも最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
土田委員 地球温暖化対策の柱に、十基から十三基の原子力発電所の増設が必要ではないかとされておりますね。
 原子力発電所の信頼が国民から非常に失われてしまったというように感じるわけでございますが、そうしたときに、この地球温暖化対策の目標達成ができるかどうか、非常に困難になったという感じが私はするわけでございますが、この見通しと対策についてお答えください。
岡本政府参考人 京都議定書の批准を踏まえまして、本年三月に、総理を本部長とする温暖化対策推進本部で温暖化推進大綱が決定されておりまして、需要面においては省エネを進めますとともに、供給面においては、原子力あるいは新エネさらには天然ガス等への燃料転換、そういった一連の取り組みを政府として決定いたしているところでございます。
 今先生御指摘のとおり、その中にあって、原子力はCO2を一切出さない電源ということで非常に大きなウエートを占めておりまして、私ども、今回の東京電力の事件を契機に原子力についての国民の皆様の信頼が大きく低下いたしておりますので、先々についてもちろん心配はいたしております。
 そういう中にあって、まずは信頼を回復するということに向けて万全の取り組みをして、その進捗に応じて、原子力の必要性というのはこれからも変わらないと考えておりますので、国民の皆様、なかんずく立地地域の皆様方の御理解をいただきながら、推進大綱あるいは昨年の総合エネ調の報告で見込んでおります原子力発電所の基数、あるいは発電電力量というキロワットアワーベースの二〇一〇年の目標の実現に向けて、事業者ともども最大限の努力をこれからもやってまいりたいと考えているところでございます。
土田委員 以上で終わります。
村田委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、中小企業金融の問題についてお聞きしたいと思います。
 最初に、大臣にお尋ねしますが、中小企業に対する金融機関の貸し出し動向について、金利引き上げの動きが顕著ということが言われております。
 例えば、全国中小企業団体中央会がこの九月に行った主要下請業種団体への調査では、金融機関の融資姿勢について、多くの業界で、金融機関の不良債権処理の関係から金利引き上げ要請が鮮明になっていると指摘をしております。
 また、東京商工会議所が八月にまとめました最近の企業・事業融資の実態に関する調査では、サンプルは少ないですけれども、アンケートに回答した中堅・中小企業のうち半数を超える五六%の企業が、金融機関からの金利引き上げ要請を経験していると答えています。
 その実施時期については、都市銀行が昨年から徐々に行いつつあったことが見受けられるのに対し、信用金庫ではほとんどがことし四月以降であることから、今後、信用金庫の主要な貸出先である小規模企業に影響が及ぶことが懸念される、こういう指摘を東商としてもされておられます。
 大臣は、このような金利引き上げの実態をどのように認識されておられるでしょうか。
平沼国務大臣 塩川先生にお答えさせていただきます。
 御指摘のとおり、現下の厳しい金融経済情勢の中で、貸出金利の引き上げを求められている中小企業が多くなっているということは承知をしているところでございます。
 具体的に申し上げますと、中小企業庁が、政府系金融機関等を通じて毎月実施をしております中小企業への貸出姿勢に関する実態調査におきましても、金利上昇によりまして金融機関の貸し出し態度が厳しくなったと回答する中小企業は、ことしの春から非常に顕著に増加してきております。
 また、本年の八月末から九月にかけまして、私が指示をいたしまして中小企業庁の幹部が全国の二十四道府県に出張いたしまして、各地の地域金融情勢について、地域の金融機関や中小企業の団体に聞き取り調査を行いました。
 この調査の結果、一つは、都銀ないしは上位地銀におきまして、信用リスクに応じた金利引き上げが全国的に実施されている、こういう事実がわかりました。
 また、業況が非常に厳しい貸出先に対しては、倒産のリスクがあるために、金融機関は金利の引き上げにちゅうちょする傾向にある、このため、業況は決してよくないけれども、倒産懸念とまではいかないような中小企業で金利が引き上げられている実態があるということがわかりました。
 また、第二地銀でございますとか信金、信組といった地域性の強い金融機関では、地域とのつながりも強くて、いかに信用リスクに応じたといっても、一方的な金利引き上げには、地域と密接しておりますから、踏み切れていない、こういう実態も把握することができました。
 ですから、おっしゃるように、総体的に言うと、中小企業に対しての金利の引き上げ、こういった状況は非常に厳しくなっておりまして、私は、こういう金融情勢の実態というものもさらに今後注意深く見ていきたい、このように思っております。
塩川(鉄)委員 資料を配付させていただきましたが、大臣が紹介もされました、中小企業庁の中小企業への貸出姿勢に関する実態調査をもとにグラフにさせていただきました。破線の方が民間金融機関のこれまでの貸し出し姿勢について条件が厳しくなったと回答した割合です。実線の方が、条件が厳しくなったと回答した人のうち、その具体的内容として金利上昇を挙げた割合を出しています。
 昨年の十一月の時点、条件が厳しくなったという答えが一三・七%で、これが全体としてじりじりと上がって、ことしの十月には一五・七%になっていますけれども、金利の上昇、厳しくなっていると答えている方が、同じ期間、二〇〇一年の十一月は一六・四%だったのが急激に上昇して、ことしの十月の時点では四七・三%ということにはっきりとあらわれていると思います。
 私がいろいろお話を聞いている中でも、例えば埼玉県の事例で、印刷関係の業者の方ですけれども、都市銀行から、保証協会つきの融資の利息を上げてほしい、現在二・三%の利息を三・三六五%にしたいというふうに言われて、断るとどうなるのかと聞いたところ、次に借りるときに影響する、こういう言い方をされたことですとか、また別な業者の方の話ですが、金融機関から、金利値上げをお願いすることになった、利率二・二%を四・二%に引き上げてほしい、こういう話が突然来る。
 そこで、大臣に伺いますが、不況下で懸命の経営努力で持ちこたえてこられた中小企業の皆さん、大臣もよくおっしゃる、いわばやる気と能力のある中小企業の皆さんが、現在この不況下で懸命な経営努力をされておられるわけです。こういった企業に対して金融機関が一方的でそれも急激な金利の引き上げを要求するのは大変問題だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 まず、一般論とお断りして申し上げますけれども、金融機関の貸出金利につきましては、民間金融機関が取引先の信用リスクを十分見きわめた上で、それに見合った金利を設定するとの考え方のもと、借り手企業との交渉で決められる、そういうものだと私どもは一般論として承知をしております。
 ただ、金融機関の公共的性格にかんがみますと、誠意ある顧客対応を含めた適切な業務運営が行われることが、当たり前のことですけれども、前提だと思います。金利を引き上げる際においても、今おっしゃったように急に四%以上にしろというようなことじゃなくて、当該企業と十分な意見交換を行う、そういったこと等、やはりお互いが納得いく形で契約条件を決める必要が私はあると思っています。
 また、中小企業の経営の安定につき十分な配慮がなされることも、私は金融機関の態度としては必要不可欠なことだと思っておりまして、その急激な金利の引き上げが中小企業の経営の安定を脅かしたり、それが貸し渋りや貸しはがしといった批判を受けることのないように金融機関が十分対応を行う、そういったことは当然期待されるところでございます。
 当省といたしましても、所管の金融庁と連携をしつつ、実態を踏まえて、こうした適切な業務運営への配慮が図られるように、中小企業金融の円滑化の観点から私どもは十分注意をしていきたい、こういうふうに思います。
塩川(鉄)委員 大臣もおっしゃられるように、お互いが納得いく形で十分な配慮が行われるということは当然のことだと思います。
 同時に、冒頭お話しになりましたけれども、信用リスクに応じた金利が設定されるものということについては、現状はどう見たらいいかといえば、信用リスクに応じた金利設定といっても、担保も保証人も一切変わらないままで、ただ金利だけを引き上げるという話ですから、金融機関の方は全くリスクを負っていない契約、金利の変更になっているわけですね。
 東京商工会議所の調査でも、金融機関からの金利引き上げ要請に応じた際に、担保や保証人の設定に変化はなかったという企業は九割を超えています。企業側の立場の弱さが際立つ結果となったとここでも指摘をしています。
 こういった一方的で急激な金利引き上げは、まともな商慣行からいっても問題であります。私、率直に、中小企業の経営をしっかり支えるという大臣のお立場からいっても、金融機関に対してしっかりと直接物を言う必要があるんじゃないか。改めて大臣に、その立場で御決意をお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 私どもといたしましては、こういう今の現下のデフレ下の厳しい経済状況の中で一生懸命頑張っている中小企業の皆さん方に対して、やはり我々は十全な配慮をしていかなければいかぬ、そう思っておりますから、そういうケースの場合には、私どもは金融庁との連携の中でしっかりと対処をしなければいけない。ですから、具体例で余りにもひどいような事例に対しては、金融庁に対して私どもはしっかりお申し入れして、そして、私どもとしては、中小企業の円滑な経営ができるようにやはり側面的に応援をしていかなければいかぬ、こう思います。
塩川(鉄)委員 大臣も紹介されていましたように、業況は決してよくないが倒産懸念とまでいかないような中小企業というのが金利を引き上げられている。つまり、正常先の下ぐらいで要注意先の上ぐらいといった中小企業にだけ金利引き上げという点では、もうリスク対応とはとても言えないような、取りやすいところから取るというだけの話じゃないかと思うんですね。ですから、金融庁云々ということではなくて、大臣、直接金融機関にもはっきり物申す、そういうときじゃないかと率直に思うんです。
 やはり実態というのは大変深刻だと思うんですね。当事者間の合意が得られることが望ましいということですけれども、金利引き上げ要請を受けた企業の大半は、納得できないままこれを受け入れざるを得ないというのが現状です。
 例えば、中小企業団体の中小企業家同友会全国協議会がことし九月に実施をした景況調査でも、過去一年間で取引先金融機関より金利引き上げ要請があったという回答は二四・三%、関東地域で見ると四一・三%に達していますから、都市銀行が先頭に立って今始めて、これが全国に広がるような状況にあると思うんです。これは東京商工会議所の調査も同様な高さだったわけですね。
 問題なのは、金融機関からの金利引き上げ要求を断ることが現状では極めて難しいことで、金利引き上げに応じた企業のうち、納得できる説明があったと回答したのは三四・九%で、一方で、融資がとめられることを懸念したため応じたというのが三二・八%、さらに、二六・六%の企業は一方的通告による金利引き上げだったということです。ですから、およそ六割の企業が納得できないまま金利引き上げを受け入れたことになる。
 私は改めて、こういう一方的で急激な金利引き上げという事態に対し、金融庁どうのというのではなくて、大臣としてはっきり金融機関に物を言うし、経済産業省としてどういう取り組みをするのか、その点について大臣から伺いたいと思います。
平沼国務大臣 そういう実態、それに対しては、私どもとしては、不当なそういうことがあれば、やはり所管は金融庁でございますから、金融庁に強力にそういう問題点を指摘して、その是正に努める、こういう形で対応していきたいと思います。
塩川(鉄)委員 金利引き上げの背景には、金融庁が実施をしている金融検査マニュアルがあるわけです。金融検査マニュアルの中で、信用リスクに応じた金利の設定、これを振りかざして銀行の方は金利引き上げということをやっているわけですね。
 私、そういう点では、こういった中小企業の実態の立場からの是正というのは必要だと思うんです。そういう点でも、もっと大きな問題としても、この金利引き上げの問題について政府としてどう対処していくのか、具体的な施策として今大臣がお考えになっていることをお示しいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 これは、非常に金融機関の態度というものが厳しいようになってきたとき、これは前任者の柳澤金融担当大臣のときでありましたけれども、今御指摘の金融検査マニュアルをいわゆる大銀行と中小金融機関と同じにしてはならない、ですから、そういう中小の金融機関向けのマニュアルをつくるべきだ、こういう形で私どもは提言をさせていただき、それはそういう形にマニュアル化された、こういう事例があります。
 今のお話は、大銀行を含めて中小金融のことでありますから、そういった形での既にそういう実績がありますから、その上で、私どもは相談をして、中小企業に対するそういう配慮を私どもとしては金融庁と話し合って具体化ができればと、こういうふうに思います。
塩川(鉄)委員 ぜひ、金融機関にはっきり物を申すという立場で、改めて要望するものです。
 それとの関連で、公正取引委員会にお聞きします。
 昨年の七月に、金融機関と企業との取引慣行に関する調査報告をまとめておられます。その調査結果では、金融機関から「要請を受けた企業は、意思に反していても、今後の融資等への影響を懸念して要請に応じざるを得ないという状況がうかがえる。」と述べて、「金融機関が融資先企業に対し各種の要請を行った場合、要請を受けた企業は要請に応じることを希望しないものであっても、今後の融資等への影響を懸念して要請に応じることがあり、優越的地位の濫用として独占禁止法上の問題を生じやすい。」と指摘をしています。そして、正当な理由がないのに、要請に応じなければ今後の融資に関し不利な取り扱いをする旨を示唆することによって金利の引き上げを受け入れさせることは、独占禁止法上問題となるとしております。
 これまで紹介した事例を挙げても、この問題は明らかであります。金融機関に対し厳正に対処すべきだと思いますが、竹島委員長、いかがでしょうか。
竹島政府特別補佐人 今御指摘いただきましたように、公正取引委員会におきましても、平成十二年から十三年にかけまして銀行と企業との取引関係についてアンケート調査をいたしまして、今委員御紹介いただきましたような報告をいただいています。
 あわせまして、その際、優越的地位の乱用に当たる場合がありますよということを、それぞれの類型ごとにこの報告書の中に「独占禁止法上の考え方」という形で示してございまして、これらにつきまして、公正取引委員会は、全銀協とか信用金庫の協会、さらには個別行を集めてその周知徹底を図っているところでございます。
 大変厳しい金融環境といいますか、特に中小企業においては貸し渋りとか貸しはがしということが言われておりまして、金利の変更というようなことも行われていると思いますけれども、今委員もおっしゃったように、正当な理由なく、優越的地位、いわば借り入れに依存している中小企業という弱い立場を背景にして、正当な理由なく、一方的といいますか、優越的地位の乱用になるようなことにつきましては、これはやはり、いかに厳しい状況であるといっても、公正な取引ということからしますと問題がございますので、私ども、これからさらに、この調査報告書でうたってある「独占禁止法上の考え方」の周知徹底を図るとともに、個別の具体的な事案についてはきちんと対応させていただきたいというふうに思っております。
塩川(鉄)委員 この金利引き上げについては、金融機関の方から一方的に通告をして、ひどい場合ですと、口座の引き落としのときに一方的な通告だけで上乗せして自動的に取ってしまう、こんな話なんかも出ているということですから、私はやはりきちんとした厳正な対処というのが求められていると思いますし、周知徹底を図るという点でいえば、この報告をまとめたのは昨年の七月です。今お示ししましたように、金利の上昇の影響が大きく出ているのはこの一年ですから、この時点に立った徹底というのをきちっと図る、その趣旨をきちっと金融機関に図っていく、今の時点で必要だと思うんですけれども、改めて竹島委員長、いかがでしょうか。
竹島政府特別補佐人 このように委員会でも御議論いただいているわけでございますし、私どもとしましても、去年の七月に、そういうことで周知徹底を図るように、全銀協等に依頼して、また現に公取の者が、職員が銀行の方々をお呼びして説明もしているということでございますが、これから先も、状況を見ながら、そういった周知徹底について努めていきたいと思っております。
塩川(鉄)委員 実際には、都市銀行の中には、わざわざ、公正取引委員会の対応を念頭に置きながら、金利引き上げの際の想定問答集などをつくっているなどということをお聞きするわけですよね。とんでもない話で、どう言い逃れるか、実態は金利の引き上げを押しつけるということをやっておきながら、どう法の網を逃れようか、そういう対応が現に進んでいるわけですから、こういう事態に対してぜひとも厳正に対処していただきたいというふうに思っております。
 そこで、率直に言って、今、中小企業の資金繰りは大変なときです。年末の資金繰り対策も求められるときですから、特別な手だてをとるときだ。そもそも、中小企業の資金繰りが大変という状況は、かつての特別保証をやっていたああいう時期に匹敵するような中小企業者の思いになっているときですから、私は、やはり、中小企業金融安定化特別保証制度、これに準じたような制度を改めてつくるぐらいのときじゃないかと率直に思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
西川副大臣 私から答弁をお許しいただきたいと思います。
 経産省といたしましては、現下の厳しい金融経済情勢におきまして、やる気と能力のある中小企業に対し円滑な金融が確保できるように、セーフティーネット対策に万全を期しておるところでございます。これまでセーフティーネット保証・貸付制度につきましては、特に適用要件の緩和等累次の制度拡充を行ってまいりまして、本年の九月末の時点で約十二万件、金額にいたしまして約三・三兆円の融資、保証を行っております。
 また、不良債権処理の加速化等により、中小企業をめぐる金融情勢が今後とも一層厳しさを増すことが心配されるわけでございまして、ただいま委員の御心配も私ども十分理解できるところでございます。
 今般の改革加速のための総合対応策にもございますように、セーフティーネットをさらに充実してまいりたいと考えておりますが、具体的には、今のこの臨時国会で中小企業信用保険法の改正を行いまして、店舗の統廃合等金融機関のいわゆる合併等によりまして貸し出しの減少に直面をするというケース、こういうものに対して対応していく、それから、RCCに譲渡された中小企業者で再生の可能性がまだ残っている、こういう方々をセーフティーネットの対象にしてまいる、さらに、再建に取り組んで頑張っておられる中小企業にDIP保証を行う、こういう中小企業金融のセーフティーネット対策に努めてまいります。
 さらに、政府系金融機関を活用いたしまして、十分な担保力を有しない中小企業者がデフレのもとで増加をしているわけでございます。これに対しまして、商工中金の貸し渋り対応無担保融資制度、これを拡充いたします。また、RCCに債権譲渡された中小企業者が再挑戦することを後押しするため、商工中金でございますとか中小公庫の制度融資を充実することを検討しております。
 いずれにいたしましても、現在の状況に対しましては、これらの措置を最大限活用し、その実効を上げることに全力を注ぐことで中小企業の円滑な金融の確保に万全を期してまいりたいと考えております。
塩川(鉄)委員 そういう対応で間に合うのかという問題が率直にあると思うんですが、同時に、現場の中小企業家の皆さんにしますと、既往債務の負担をなるべく軽くしてもらいたいというのが現実には多いわけですね。
 そういう点で、一つ提案をさせていただきたいんですが、今、地方自治体でも積極的な資金繰り対策に取り組んでいます。そういう中で、例えば私の地元の埼玉県でも、県として、県の制度融資の借りかえ制度を今後実施するということを決めました。これは、趣旨として、景気低迷の長期化による売り上げ減少などにより資金繰りが悪化している県内中小企業者に対し、県制度融資の既往借入金の借りかえ融資を実施し、資金繰りの改善を図るためとなっています。幾つかの資金について、それをまとめて借りかえとして行うという制度をつくったわけですね。
 これは、京都から始まって埼玉、今度は東京都も実施をするようになりました。そういう点では、地方自治体が非常に積極的に現場の中小企業家の皆さんの声にこたえた取り組みをされているところです。
 こういう点で、私、それに加えて、国の特別保証も一緒にできないかという御意見をいただいているわけです。自治体の制度融資を一本化するのに加えて、国の制度でもある特別保証も一緒にできないか。特別保証についても保証協会の判断で一本化できるような対応というのにぜひ取り組んでいただきたいと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
西川副大臣 まず私から具体的なことをお答えして、大事なところは大臣から補足をしていただくようにいたします。
 今、塩川委員御指摘のように、埼玉県、東京都、これからこうしたものを予定いたしておることを承知いたしておりますが、現在、保証つきの債務を当初の約定どおり返済することが困難となるケースが御指摘のように増加をいたしております。
 この中で、まず京都で行われている例でございますけれども、これは、借りかえの制度を、地方自治体が独自で行っている保証つき融資について債務の弁済を支援する、こういう地域の実情に合わせて実施するものと承知をいたしております。
 国といたしましても、中小企業の円滑な返済を促進することは大変重要であると考えておりまして、特別保証の付された債務につきましては、個別の中小企業の実情に応じて条件変更を行うようにしておりまして、平成十二年の十二月には、先生御案内のとおり、条件変更ガイドラインというものを策定いたしまして、周知徹底を関係方面に図っております。
 この結果、本年の二月に政府が発しました早急に取り組むべきデフレ対応策、これを受けまして、破綻に追い込まれる取引機関があるとか、また大型倒産の影響を受ける、こういうあしき影響を受けている中小企業につきまして、御要請がございますと原則としてこれに応じておりまして、これまでの実績は十六万六千件の条件変更に応じております。今後とも、セーフティーネットをしっかり張っていきたい、こういうふうに考えております。
塩川(鉄)委員 特別保証の条件変更ということは、大変利用が多いというところに切実さがあらわれていると思うんです。そういう点でも、個々の条件変更に応じるということではなくて、制度として、自治体の借りかえと一体として取り組むということが、現実の困難の中にある中小企業者にとって大変な励ましになるんじゃないかというふうに思うんですね。やはり制度として大いに支えていく、そういう点でも、ぜひともこの時期にふさわしい取り組みではないか。そういう意味でも、率直に検討、研究していただくことを含めて、大臣として、改めてこの問題、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 西川副大臣から今、政府の取り組みについて詳細に御説明をさせていただきました。
 国といたしましては、やはり中小企業が活力を持って、そしてこの国の経済を活性化する、このことは必要だと思っておりますので、今後ともでき得る限りこのセーフティーネット構築には努力をしてまいりたいと思っておりまして、今、新しい総合デフレ対策の中でも、私どもはしっかりとしたいわゆる中小企業に対するセーフティーネットを構築する、こういうことにしておりますので、ここをきめ細かく万全にやっていく、こういうことで当面強力に対処してまいりたい、このように思っています。
塩川(鉄)委員 この不良債権処理のもとでのさまざまな困難さに加えて加速策がとられるということでは、より一層深刻な事態が引き起こされるわけで、私はやはり、この一年間を見ても、十兆円の不良債権を処理しても新たに二十兆円生み出されるという悪循環の道を断ち切るという点でもこの方向を転換する必要がある。やはり、国民の暮らしを応援し、中小企業を支援する方向で今の政策を転換することが率直に言って求められている。そういう中で、ふさわしく支援策というものも実りのあるものになる、そのことも率直に述べながら、時間でありますので終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。
村田委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。
 まず、二〇〇五年日本国際博覧会について伺います。
 先月の十月十七日、私の住んでいる愛知県長久手町の青少年公園でこの起工式が行われました。小泉総理初め、そこにおられる平沼大臣、神田真秋愛知県知事初め、参加国代表のグリーンバーグ駐日カナダ大使等政財界の約六百人が出席したと聞いております。また、この模様は、地元のNHK放送局でもテレビ中継されました。このような国家事業の起工式の案内が、実は、国民の代表である国会議員に対して、特にある一部の政党所属の、地元に事務所を置く国会議員には出されませんでした。
 具体的な質問は三つです。一つ、案内を出さなかった政党名を示してください。案内を出さなかった理由及び目的は何でしょうか。三つ目は、大臣、政党によって案内を出す出さないというような選別があってよいものでしょうか。今回の事態に対する大臣の見解を聞かせてください。
望月政府参考人 お答え申し上げます。
 十月十七日に行われました起工式の招待状の発出につきましては、博覧会協会に問い合わせましたところ、協会といたしましては、過去の行事等への出席者とか各種名簿などをもとに招待者をリストアップしたようでございます。
 結果として、先生御質問の政党別に国会議員を見てみますと、社民党と共産党の国会議員の方に、当初、招待状が発出されなかったということでございます。
平沼国務大臣 まず、大島先生には、先日の起工式に御出席をいただきまして本当にありがとうございました。また、日ごろからこの博覧会につきましてはいろいろな面で貴重な御意見や御支援、激励を賜りまして、これも御礼を申し上げるところでございます。
 御指摘の起工式の招待状の件についてでありますけれども、主催者である博覧会協会において手配されたものでありますけれども、事務的な不手際によりまして、先生方には大変失礼なことをしたと協会においても深く反省をしているところでございまして、私といたしましては、担当大臣でございますので、博覧会協会に対してきつく注意するとともに、今後このようなことのないように、私は強く指導をしてまいります。
 本当に、そういう意味では申しわけありませんでした。(発言する者あり)
大島(令)委員 いえ、まだ解決していません。それは、やじに対することですけれどもね。
 やはり不愉快なんですよ。私は長久手町に住んで、長久手町でやるんです。反対政党なんですね、今の御答弁を聞きますと、社民党と共産党は。これ、結果としてということなんですけれども、最初から選別の疑いがあるんです。
 まず、私が十五日に地元にいまして、テレビ中継をやる。えっ、起工式、うちに案内来ていたのと秘書に聞いたところ、来ていませんと。それで問い合わせたところ、出し忘れていたとおっしゃるんです。出し忘れていたというのと、結果として出さなかったということと、非常に矛盾している。ですから、十月十五日の時点ではうそをつかれたわけなんです。きょうここに、ある新聞社は「反対国会議員はダメ」なんというふうに見出しで出されているわけなんです。
 そしてもう一つ、地元の県会議員や市、町の議員には政党を問わず出しているわけなんです。もちろん共産党、社民党所属の議員にもですよ。国会議員なんですね。これ、国家事業なんです。
 私が問い合わせをしましたので、地元の博覧会協会は急いで招待状と当日参加するのに必要な駐車券とかのセットをこの袋に入れまして、十六日に届きました。私はもう既に、二日前ですから、十七日は予定が入っていましたので代理に秘書に行っていただきました。
 やはりこれは、本当に接遇に対して失礼なんです。共産党の議員さんに対しては問い合わせが行っていない模様なんですね。もしその接遇に対して失礼なことがあったということであれば。我が党の大脇雅子議員のところには、このことがきっかけで事務所に問い合わせが行っているんです。
 四点質問します。他党の議員さんのことに関しますけれども、民主主義の問題ですから聞いておきます。
 なぜ、この段階で文句を言った社民党の議員だけ問い合わせをして、本当に忘れていた、不手際であるということであるならば、共産党の議員の方になぜ問い合わせが行かなかったのか。そして今後、国会と地元地方議員の判断基準というのは同等に扱われるのかということ、これまでもそのような選別をしていたのかということを明らかにしていただきたい。
 で、意見なんですが、私たちの立場が反対と理解するならば、なおさら理解を求めるべきだと思うんです。それが博覧会協会の精神であり、行政のあり方だと思うんです。民主主義というのは、大臣も御存じのように、国民や人民が権力を握って権力を行使する立場であると思います。その中には、基本的人権ですとか自由権、平等、それが主な属性としてあるわけです。その実現が要請される。私たち国会議員は、行政も私たちも、この民主主義社会の日本の中で政治活動、いろいろな活動をしているわけなんです。これが今回崩されたということです。
 もちろん、私たちは反対政党と結果的には決めつけられて、立ち上がりから外されたんです。気がつかなければそのままなんです。どのように税金が起工式で使われ、どのように私たちが見るかということを、私は危うくそこに参加できないということになったわけなんです。
 以上の点に関しまして、大臣及び政府参考人から、はっきりとした、正直な答弁をいただきたいと思います。
望月政府参考人 お答え申し上げます。
 最初の御質問の、どういう基準であるのか、なぜ選別が行われたか、こういうことでございますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたが、協会に問い合わせましたところ、過去の行事、特にこれまでの行事は推進行事ばかりでございましたけれども、過去の行事への出席者であるとか、あるいは各種名簿をもとに招待者をリストアップしたということでございまして、特定の政党について招待状を発出しなかったという意図は全くないということでございます。
 国会議員の先生方につきましては、参考とした名簿に手違いがあったということでございますので、事務局といたしましても、結果として、大変失礼なことをし、申しわけないことをしたということで、深く反省をしているということでございます。
 現に、先生今おっしゃいましたように、県議会や地元市町村議会議員に対しましては、原則として全員に対して招待状を発出していることにもあらわれているように、今回の件は、協会の事務方の全くの事務的な手違い、不手際であり、協会につきましては、私どもの方からもきつく注意をするとともに、今後はこのようなことのないよう強く指導をいたしたところでございます。
 また、いろいろな立場の皆様方への御理解という観点からも、基本的には、博覧会につきましては、博覧会の準備を円滑に進め、また、博覧会により広く多くの人々に来場し楽しんでいただくというためには、多くの人々の理解が不可欠でございます。このため、博覧会協会におきましても、従来から、事業の進捗に応じ、地元を中心にさまざまな形で御説明をするなど、博覧会事業について理解を深める努力をしているところでございます。
 当省といたしましても、本博覧会の事業を今後とも円滑に進めていくためには、こうした理解を深める努力がすべての皆様方に不可欠であるというふうに考えてございます。引き続き努力をするよう、博覧会協会を初め関係者をよく指導してまいりたいと思います。
 以上申し上げましたように、選別の基準に特定の立場、政党などを持っていたということはないというふうに協会からも聞いておりますし、私どもも理解をいたしております。
平沼国務大臣 先ほどもおわびを申し上げましたけれども、やはり国民の代表でいらっしゃる国会議員の、特に地元御出身の大島先生を初め、そういった配慮を欠いた、このことは申しわけないことだと思っておりまして、私どもは、今後とも、御指摘の、やはり民主主義ということを重く受けとめて、こういうことがないように努力をしてまいりたいと思いますので、ぜひ万博の方も御理解をいただくように心からお願いを申し上げます。
大島(令)委員 私は、経済産業省の博覧会推進室に問い合わせしたところ、そこの室長さんは、地元からの話だと出し忘れていたと。地元の電話連絡帳も持ってきましたけれども、博覧会協会の方から、出し漏れていたということで、やっぱり微妙に違うんです。
 私は、手違いと選別されたのとは違うんですよ。来て、行くと行かないのは自由なんです。自民党と民主党の推進議員連盟の人がくわ入れ式をやっていますよ。案内が平等に来て、これは、行く、行かないは私たちの判断なんです、私たちの。しかし、最初からこれは選別なんですよ。それを手違いという形で話をかわすのは、この国会の場で国会議員を侮辱していると私は思うんです。
 もう一回、博覧会の担当の政府参考人からきちっと説明してください。
小島政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど商務流通審議官からお答えしましたように、協会に問い合わせしましたところ、招待状発出に当たりまして、過去の行事の出席者ですとか地元からの推薦ですとか、各種名簿を参考にリストアップをして招待状を発出したということでございまして、特定の政党だからといって発出をしなかったという意図は全くないということでございます。
 出し忘れた、出し漏れたということでございますけれども、そういう意味で、特別の意図なく協会の方で事務的な手違いがあった、不手際があったということでございまして、協会の方は、本件について非常に深く反省をしておりまして、二度とこういうことのないように、今後は、現場において緊張感を持って、細心の注意を払って取り扱うということで言っておりますし、私の方からも協会に対して、今後こういうことのないように、緊張感を持って、細心の注意でやるようにということで強く指導しているところでございます。
大島(令)委員 これは皆さん、たかが起工式と思われるかもしれませんけれども、大事な民主主義の問題なんです。
 特に、今、博覧会の副事務総長はこの前まで中小企業庁長官だった中村さんなんです。彼が現場にいるんですよ。私たちともここで中小企業政策を議論し合った方が、今、坂本さんの下で働いているわけなんです。そこでこういうことが起きているんです。私もお顔を存じております。
 大臣のお耳に入っているかどうかわからないので一応読みますけれども、中日新聞で、これと似たようなことがありました。
 万博反対派の加藤徳太郎さんという瀬戸の市会議員が、博覧会協会から送られてきた案内状に出席の返事をした。ところが、協会は、式場で抗議行動をされると困るとして招待状の送付を取りやめた。加藤市会議員によると、九月中旬に博覧会協会から起工式の案内状を受け取り、万博には反対だが、何が行われるのか見るのも議員活動の一環として出席の回答をした。しかし、十月十日に瀬戸市の幹部を通じて、抗議活動を行うことが新聞記事に書かれていたので招待状を出さないことを決めたと。加藤徳太郎氏は、会員がプラカードを持っても、私自身が式場で抗議活動をするつもりはない、予断と偏見で出席を拒否するのは非民主的だ、本人に連絡をとらないで決めることも非常識であると。
 これは、地方議員が受けたちょっと同質の差別だと私は思うわけなんですね。この人もやはり市民から選ばれた公職者であるわけなんです。ですから私は、幾らここで手違いと言われても、ちょっと意見の相違があるわけなんですが、こういうことが現場で行われている以上、今の答弁には納得できません。しかし、時間もございますので、一つだけ確認をさせていただきたいと思います。
 今後このような選別をしないということであれば、ミスであったということであれば、国会議員に限らず地方議員も選別はされないということを、大臣、約束してくださいますか。
平沼国務大臣 市会議員の方の事例をおっしゃられました。ここは、明確に抗議行動を行う、こういう意思表明をされていた、そういう中で協会が自主的に判断をしたことだったと思っております。
 こういったことに関しては、やはり主催者の判断というものが一つ大きな要素だと私は思っておりますけれども、しかし、全体的に言えば、やはり御指摘の民主主義でございますから、反対派の方々も含めて、それは御招待することが私は筋だと思っています。
 しかし、事前に明確に、例えば外国の大使、公使もみんな来られる、そういう場で万が一そういう反対的な行動が行われるというようなことが事前にわかっている場合には、これはあくまでも協会の判断ですけれども、その時点ではそういう判断をしたと思っておりますが、しかし、さはさりながら、やはり全員にお出しするということが大筋からいって正しいことではないかなと私は思っています。
大島(令)委員 瀬戸の加藤さんという市会議員の件に関しましては、文書でそういう通告があったということでございます。やはりその方と協会の方が直接、こういう心配があなたはあるのでどうなんだという話を詰めて彼の参加を、私は彼にも招待状を送るべきであったと思っております。
 では、次の質問、万博の資金計画についてでございます。
 愛知万博は、会場建設費千三百五十億円を、国と地方自治体、民間がそれぞれ四百五十億円を負担する計画です。そのうち民間分の内訳は、公営ギャンブルから二百二十億円、企業から二百三十億円を見込んでいると聞いております。
 ところが、公営ギャンブルの四競技、競輪、競馬、オートレース、競艇は、長引く不況と娯楽の多様化で、ここ十年間で売り上げが半減しており、赤字団体がふえております。再建が第一であり、万博の協賛レースどころではない団体が多いと私は現状認識しているんですけれども、まず、三つ質問。
 どのようにして公営ギャンブル四競技から二百二十億円を調達するのか、その予定とか見通しを聞かせていただきたい。二つ目は、資金調達のための協賛レースの日程はあるのか、またレースを要請しているのか、それも示していただきたい。三つ目は、今日まで、日本自転車振興会ですとか日本財団、全国地方競馬協会は幾ら出してきたのか。以上のことを伺います。
望月政府参考人 お答えを申し上げます。
 公営競技の関係団体からの資金協力につきましては、現在、博覧会協会におきまして、競輪等の公営競技に関係する団体に対し、可能な限りの協力をお願いしているところでございます。
 日程につきましては、一応いろいろな計画の中で既に実施したものもございますし、これから予定を立てるものもございます。現在、全体として要請をしているところでございます。
大島(令)委員 委員長、質問は三つですけれども、一つしか答弁いただいていないんです。
望月政府参考人 先に、これまで日自振、日動振が補助金を出しているのは三十億円でございます。
 それから日程については、恐縮ですが、今手元に持っておりませんので、また別途必要があればお届け申し上げたいと思います。
大島(令)委員 二百二十億円を公営ギャンブル四競技から集めなければいけない、二〇〇五年の万博の開催までに、まだ三十億円ということで、非常に厳しいと私は思っているんです。
 実際に、この前もここの委員会で競輪、オートレースの法律を改正して、皆さんよく、今不景気で撤退する団体もあるということで聞いております。蒲郡競艇が愛知県にありますけれども、これは全国で二位の売り上げで、一応皆さんの努力で黒字なんです。そこでもこの九月に開きまして、一回開催して五千三百万円拠出できた。
 そうなると、全国で公営四競技の中で二百二十億円というものが集まらなかったときに、民間や自治体への寄附の負担とか割り当ては今後しないと明言できるのか。そして、もし集まらなかったときに穴埋めはどこがするのか、どう考えていらっしゃるのか、日程的にもう時間も限られておりますので、答えてください。
望月政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の部分につきましては、民間側の負担部分でございまして、協会としては精いっぱい努力をしているところでございますが、今後の予定あるいは見込みなどによって収入が変動する場合につきましては、全体として、支出についても節約する等々の工夫をしていかなければいけない場面もあろうかと思います。
 いずれにいたしましても、まずは精いっぱいその目標に向けて、協会において関係団体に御協力をお願いするということが基本であろうかと思ってございます。
大島(令)委員 本当に答えになっていないんですね。
 支出についても倹約ということでございますけれども、ここにマスコットキャラクターの森の精を持ってきました。これは実はメード・イン・チャイナと書いてあるんです。もう既に財政的には相当厳しいんじゃないですか。多分、中国製の方が安いから、日本でやる国際博覧会のマスコットキャラクターがメード・イン・チャイナなんですよ。これは国家事業です。もうちょっとはっきりと、財政難なら財政難であるということをきちっと国民や県民に情報を開示していくという姿勢も博覧会協会は必要じゃないんですか。
 というのは、愛知県も名古屋市も私たちの町も、この万博によっていろいろな意味でやはり負担がかかっているわけなんです。そして、間際になって、資金調達ができなかったから実は税金の方で自治体から負担してくださいなんということは許されないことなんです。その辺のところを少し正直にもう一回話してください。
 私の質問は、集まらなかったときに、これ以上民間とか自治体への寄附、負担の割り当てはしないですねという質問をしているんです。これに対する答弁をお願いします。
望月政府参考人 お答え申し上げます。
 先生今御指摘の部分は、公営競技などに協会が今いろいろ御要請を、お願いしているところでございますけれども、あくまでも民間部分における資金調達の内訳ということでございますので、民間部分の四百五十億円につきましては、民間団体である協会において、これからも精いっぱい努力をして収入を確保していくということであろうかと思います。
 自治体あるいは国とは別の問題でございますので、国、自治体、民間の三分の一ずつの負担ということについては、厳として変更することはないというふうに考えております。
大島(令)委員 ということは、民間枠の公営ギャンブルと民間企業の枠の中で四百五十億を考えるということなんですね。
望月政府参考人 おっしゃるとおりでございます。
大島(令)委員 もし民間枠の四百五十億円が集まらなかったとき、この千三百五十億円という会場建設費の考え方は、これは上限なのか、この枠内でおさめるのか、もし民間が集まらなかったら、もし民間が三百億しか集まらなかった場合に、国の負担と自治体の負担が三分の一ずつとなっていますが、そこも四百五十億から減額されるのか、どういう考え方か示してください。
望月政府参考人 先生御指摘の千三百五十億は、協会というか、本博覧会の基本計画の数字でございます。
 現時点において、例えば国、自治体は九十四億円ずつ平成十四年度までの予算で支出をいたしておりますけれども、全体として三者の資金拠出の目標でございますので、したがいまして、この過程におきまして民間資金の収入の、これはターゲットですから一生懸命頑張って集めていかなければならないと思いますけれども、その推移を見ながらこの予算というものも考えていくということでございます。
 基本的には、その基本計画どおりに実施をしたいということでございますけれども、私どもは今、その時点でこの目標についての変更の可能性ということを想定しているわけではもちろんございませんけれども、そういう三位一体のお約束で始めたということでございますので、その中で、その枠組みを変更しないで考えていくということであろうかと思っております。
大島(令)委員 私は、なかなか今の答弁、理解できないんですが、要は、三分の一ずつという原則は守る、どこか一つ目標の四百五十億に行かなかったら低いところに合わせる、そういう理解でよろしいのでしょうか。
望月政府参考人 とりあえず現時点におきましては、この千三百五十億円を三者が協力して必死になって努力をするということを想定しているわけでございますので、集まらなかった場合について、今未然に考えて計画全体のことを云々するのは適当ではないというふうに考えております。
大島(令)委員 実は、ここにいる皆さんは愛知万博に興味がないでしょうけれども、開催されると運営費というのが必要なんです。
 平成七年の閣議了解におきまして、今のは建設費の問題でした、運営費は入場料収入で賄う、国は、会場運営費は適正な入場料の設定により賄うものとして、国庫によるいかなる負担も助成も行わないということが、平成七年の十二月十九日、閣議了解で示されております。
 この運営費の中でも、公営ギャンブルの枠が実は二百億あるわけなんです。そう見ますと、この不況によって、公営ギャンブル四競技からの収入が当てにできない、そういう中で、私は、二〇〇五年のこの博覧会の資金計画、あくまでも計画とおっしゃいましたけれども、もう工事は始まっているんです、私の町でも。先般、県道で工事のダンプカー同士の事故がありまして非常に道が渋滞するとか、地元ではもう工事が始まって後に引けない状態の中で、協会の方そして経産省だけ机上の論理で物事を進めたら、私たち住民はたまらないわけなんですよ。このことを私は訴えたいわけなんです。
 もう一度、建設費、運営費の中に公営競技からの補助金収入も予定されている、これがもうどうやら危なっかしい、このことに関して、全体的な資金計画を見直すということもそろそろ国民や県民にきちっと公開する時期が来ていると思うんですが、どうでしょうか。
望月政府参考人 先生御質問の、今運営費の問題もございましたけれども、運営費に五百五十億ぐらいを予定しておりますが、基本計画によっておりますが、そのうちの約八割は入場料収入を予定いたしております。したがいまして、その他は附帯事業で、先生先ほど御指摘のバッジであるとか、ああいうものも収入に予定をしているわけでございます。
 こういったことで、現時点においては、その基本計画それ自身に大きな変更もなくやっていきたいというふうに考えているところでございますので、今後の博覧会協会を中心とした努力を見守ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
大島(令)委員 時間が参りましたので。
 入場料収入八割ということでございますが、一千五百万人を想定しての八割ですね、入場料。私の町の長久手町は人口四万人です。一日十万人来てという想定ですよね。私の町の昼夜人口を一としまして三倍に膨れる、それくらい入場者があって初めて運営収入が賄われるというふうに推察できるわけなんです。
 皆さん、委員の皆さんも、愛知万博、日本国際博覧会ということでございますけれども、もう余り人気がなくて愛知万博と言われておりますけれども、これが現状なんです。私は、きょうは、大臣や副大臣や政府の官僚にも言いたいし、ここの委員会の皆さんにもこの愛知万博が決してきれいごとで今進んでいないということも御認識いただいた上で、私の町、長久手がこれからどういうふうにこの万博を受けとめていったらいいのか、委員会としても取り組んでいただきたい、そういう思いできょうは質問をしました。
 終わります。
     ――――◇―――――
村田委員長 次に、内閣提出、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び中小企業等が行う新たな事業活動の促進のための中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。平沼経済産業大臣。
    ―――――――――――――
 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案
 中小企業等が行う新たな事業活動の促進のための中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
平沼国務大臣 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の提案理由を申し上げさせていただきます。
 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 現下の中小企業をめぐる経済情勢、なかんずく中小企業の資金繰りが極めて厳しい中で、今後とも、デフレの一層の進行や不良債権処理の進展等に伴い、やる気と能力のある中小企業に対する円滑な資金供給に支障が生じないよう、中小企業金融のセーフティーネットを一層充実することが極めて重要となっております。
 こうした認識のもと、中小企業をめぐる金融環境の変化に的確に対応し、その資金調達の一層の円滑化を図るため、中小企業信用補完制度を充実することが必要であることから、本法律案を提出した次第であります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 本法律案は、中小企業者の資金調達の一層の円滑化を図るため、以下のような措置を講ずるものであります。
 第一に、経営安定関連保証、いわゆるセーフティーネット保証の対象を拡大いたします。具体的には、金融機関が、経営の相当程度の合理化に伴って金融取引の調整を実施していることにより、借り入れが減少している中小企業者や、金融機関により整理回収機構へ貸付債権が譲渡された中小企業者のうち、その事業の再生が可能と認められるものを、経営安定関連保証の対象に加えます。
 第二に、法的再建手続において再生計画が認可された中小企業者等に対する保証制度を創設するため、信用保険の対象となる信用保証協会の保証割合について所要の措置を講じます。
 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようにお願いを申し上げます。
 続いて、中小企業等が行う新たな事業活動の促進のための中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 我が国経済は、引き続き厳しい状況となっておりますが、その潜在的な力量は依然として高いものがあります。その潜在力を生かし、経済活性化と雇用拡大を実現するため、やる気と能力ある中小企業等の育成、発展を進めることが必要であります。このため、創業、新事業など新たな事業活動に挑戦する中小企業等を積極的に支援することを目的として、本法律案を提出した次第であります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、中小企業等協同組合法の一部改正であります。創業に活用されている企業組合について、組合員資格を個人に加えて企業や中小企業等投資事業有限責任組合の参加を可能とするとともに、従事比率及び組合員比率を緩和する等の措置を講ずることとしております。
 第二に、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部改正であります。中小企業等の資金調達の円滑化を図るため、中小企業等投資事業有限責任組合の投資対象を従来の株式会社に対するもののみから有限会社や企業組合に拡大するとともに、その投資事業の範囲を従来の株式投資のみから中小企業が営む事業から収益の分配を受けるための投資に拡大する等の措置を講ずることとしております。
 第三に、新事業創出促進法の一部改正であります。新たに創業する者について、株式会社の場合は一千万円、有限会社の場合は三百万円という商法、有限会社法の最低資本金の制限を受けない会社の設立を認める等の措置を講ずることとしております。
 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようによろしくお願いを申し上げます。
村田委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十四分散会


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