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第10号 平成15年4月2日(水曜日)

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平成十五年四月二日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 村田 吉隆君
   理事 阪上 善秀君 理事 下地 幹郎君
   理事 竹本 直一君 理事 谷畑  孝君
   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君
   理事 井上 義久君 理事 土田 龍司君
      小此木八郎君    大島 理森君
      梶山 弘志君    小池百合子君
      河野 太郎君    佐藤 剛男君
      桜田 義孝君    西川 公也君
      林  義郎君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      山本 明彦君    渡辺 博道君
      小沢 鋭仁君    奥田  建君
      川端 達夫君    後藤  斎君
      鈴木 康友君    中津川博郷君
      松野 頼久君    山田 敏雅君
      山元  勉君    河上 覃雄君
      福島  豊君    工藤堅太郎君
      赤嶺 政賢君    大幡 基夫君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      金子善次郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   政府参考人
   (警察庁警備局長)    奥村萬壽雄君
   政府参考人
   (経済産業省経済産業政策
   局長)          林  良造君
   政府参考人
   (経済産業省産業技術環境
   局長)          中村  薫君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 岡本  巖君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力
   安全・保安院長)     佐々木宜彦君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力
   安全・保安院次長)    松永 和夫君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 鷲頭  誠君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月一日
 辞任         補欠選任
  小野 晋也君     大島 理森君
同月二日
 辞任         補欠選任
  金田 誠一君     山元  勉君
  大幡 基夫君     赤嶺 政賢君
同日
 辞任         補欠選任
  山元  勉君     金田 誠一君
  赤嶺 政賢君     大幡 基夫君
    ―――――――――――――
四月一日
 中小企業・中小業者の経営振興に関する請願(山口わか子君紹介)(第一三一三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)
 発電用施設周辺地域整備法及び電源開発促進対策特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)


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     ――――◇―――――
村田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案及び発電用施設周辺地域整備法及び電源開発促進対策特別会計法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省経済産業政策局長林良造君、経済産業省産業技術環境局長中村薫君、資源エネルギー庁長官岡本巖君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院次長松永和夫君、警察庁警備局長奥村萬壽雄君、国土交通省政策統括官鷲頭誠君及び環境省地球環境局長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小沢鋭仁君。
小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。
 この法案の質疑に入る前に、いつも申し上げている話をまた一点だけ、手短に申し上げさせてください。
 三月期末の株価が八千円割れで終わりました。去年に比べてことしは、ある意味で言うと、そういった金融危機といったような形での騒ぎは大きくなかったとは思いますけれども、期末の八千円割れのこの水準は、私は日本経済にとって大変大きなボディーブローになると思っております。恐らく、生保業界含めて大変なやはり厳しい局面にあるわけでありまして、そして、この厳しい経済情勢というのは、これまたいつも申し上げてきたところでありますが、小泉内閣が今のような政策をとっている限り、これは当然のこととして、起こるべくして起こったことだ、こういうふうに私は思っております。
 ぜひ、平沼大臣におかれては、まさに経済界のある意味では担当だ、こういうポジションだと思いますので、この三月株価八千円割れ、こういったことをしっかりと受けとめていただいて、そして経済政策の全面的な政策転換に御尽力を賜りたいと冒頭申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、法案の質疑に入らせていただきます。
 イラク戦争、イラクへのアメリカ、英国の武力行使が行われて、今大変厳しい戦闘が続いております。このイラク問題に関しても申し上げたいことはいっぱいあるわけでありますが、ここは法案の話の中で質問をさせていただきますが、当然、我が国のエネルギーセキュリティー、こういったことを考えたときに、この問題は極めて重要な問題であることは論をまたないところであります。
 恐らく、これはアメリカがというか、それの情報で日本が考えていたよりも長期化の懸念も出ている、こういうことでありまして、私が聞くところによれば、五月の連休明けくらいまでに一段落がすればこれはもうベストだということは、少なくてもこれからまだ一カ月以上の、ベストのシナリオであっても期間が必要になるわけで、さらにワーストのシナリオという話になれば、これまたいつまでこの状況が続くかわかりません。そういった中で、我が国のエネルギーのセキュリティーは万全なのか、こういう問題でございます。
 既に、石油危機を契機にして、我が国は石油備蓄を初めとするエネルギーセキュリティー対策はずっと行ってきたわけでありますけれども、この長期化するイラク問題、これに対してしっかりとその準備といいますか対応ができているか、それを担当大臣であります平沼大臣にお尋ねしたいと思います。
平沼国務大臣 イラク情勢を踏まえて、エネルギー対策は万全か、こういう御質問でございました。
 私どもは、これは小沢先生御承知のように、エネルギーの四九・一%が石油に依存しておりまして、そのうちの八六%が中東に依存しているという、非常に偏った状況に相なっています。一九七三年のオイルショックがございまして、一生懸命日本は備蓄に励んできまして、そういう意味では、国家備蓄が九十二日、民間備蓄が七十九日、合わせて百七十一日分の備蓄を確保しております。
 そして、私も大変心配でございましたので、武力行使が二十日でございましたけれども、十八日の日に、OPECの議長でございますカタールの大臣のアティーヤさんに電話をして、我が国は消費国であって、産油国として、OPECとして、その供給というものに対してひとつぜひお話を伺わせてほしい、こういう電話をしましたところ、大変心強い返事をいただいて、OPECは、ベネズエラとそしてイラクを除いて、イラクに関して申し上げますと、日本はイラクからの原油輸入量は一%を切る〇・三%台で、ほとんど影響がないわけですけれども、そのベネズエラ、イラクを除いて、OPEC全体で二百三十万バレルぐらいの一日当たりの余力がある、だから心配しないでくれ、一生懸命それはやると。
 世界最大の産油国でありますサウジアラビアの内務大臣にも電話をいたしました。ここは具体的に数字を挙げていただいて、今サウジアラビアは日量九百二十万バレル・パー・デーだけれども、あしたからでもこれを千五十万バレルにできるんだから、日本はぜひ安心してほしい、我々はその供給に万全を尽くす、こういうふうに言っていただいたので、非常に私も安心したところです。
 それから、もう一つ数字を申し上げますと、やはり日本というのは世界第二位の経済大国でございまして、中東で油を積んで満載したタンカーが、この時点でも六十七隻、日本に向かって帰ってきております。このタンカーにも二十三日分の原油が満載されております。今のところは、御承知のように航行も安全裏に推移をしている、こういうことでございます。
 私は、そういう意味では、先ほど、長期、短期というお話をいたしましたけれども、これが短期に終わる、こういうことであれば、今の価格動向を見ましても、当面は心配ない、こういうふうに思っておりまして、短期に終わることをエネルギー担当大臣として望んでいる、こういうことでございます。
小沢(鋭)委員 まさにこの戦争が短期に終わることは、私も思いは同じでありまして、そういう思いを持ちながら、ぜひ大臣には、その日本のエネルギーセキュリティーに関して本当に万全を期していただきたい、こうお願い申し上げます。
 言わずもがなであると思いますけれども、昭和四十八年のオイルショックのときは、いわゆる風説の流布といいますか、そういったことからトイレットペーパーが買い求められるとかいうことが起きたわけであります。ましてや今日、例の原子力のデータ改ざん問題などでなかなか原子力が今苦しい状況でありまして、そのまさに原子力発電が最も厳しいこの四月の時期に、今度また石油が少し危ないかもしれない、こういうような話になると大変でありますので、そこはぜひそういったことで万全を期していただきたいと御要望を申し上げておきたいと思います。
 次に、その原子力発電の問題でありますが、環境問題、京都議定書の目指す目標達成に合わせて我が国は大綱をつくり、今対応しているわけでありますが、基本的にそうした計画のもとでは、我が国の今後の環境問題と両立するエネルギー政策ということで考えたときに、原子力施設を新たに大体十基から十三基新設をするという話が計画されているわけであります。
 今回、この両法案を私どもの党内で議論をしたときに出た意見でありますけれども、そもそもこうした法案を用意して、特に電源三法等を用意して、いわゆる立地のところに手当てをしていく、こういう話でありますけれども、この新規の施設という話が実現可能なのか、こういう意見が大変強く出てまいりました。
 現時点において、先ほど申し上げましたように、原子力施設のデータ改ざん問題あるいはまた「もんじゅ」の判決もございました。原子力発電というものに対して大変世論は厳しくなっています。そうした中で、やはり十基から十三基の新設の原発施設をつくっていかないとこれはまさに環境問題との両立ができていかない、こういう話でありますけれども、ここは果たして一体それが可能なのかどうか、端的にお尋ねしたいと思います。
 もちろん精神論として、現時点でそうすぐにだめだということも言えないというのは政府としてわかりますが、具体的に、では一体どういう計画で、だれが、どこで、何をしていてそれが頑張れるのか、そういったことも踏まえてぜひ御説明を賜りたい、こう思います。
岡本政府参考人 お答え申し上げます。
 一昨年七月の総合エネルギー調査会の需給見通しでは、二〇一〇年に原子力発電十ないし十三基増設ということでございますが、先月末に電気事業者から届けられました十五年度の電力の供給計画によりますと、二〇一〇年度までに運転開始が見込まれる基数は、大変厳しい環境の中ではありますが、八基ということになっております。それに加えまして、二〇〇二年一月に東北電力の女川三号が運転を開始しておりますので、九基ということになろうかと思います。
 温暖化との関係では、基数も大事でございますが、直接的には発電電力量、キロワットアワーでございます。この点につきまして、約三割増の四千百八十六億キロワットアワーというのが二〇一〇年における目標でございますが、実は、この点に関しまして、需給見通しの作成以降、定格熱出力一定運転というものが導入されるようになりまして、それによって原子力の利用率が高まるということも期待できる状況になっております。
 したがいまして、私ども、キロワットアワーの達成ということについては、二〇一〇年の目標の達成というのはおおむね達成できるのではないかと考えているところでございます。
 他方で、発電所の基数という点では、二〇一〇年は、さっきの八プラス一の九でございますが、翌年の二〇一一年ということで見ました場合には、十三基の運転開始が見込まれております。
 例えてみますと、敦賀の三、四号、それぞれ百五十万キロワットの大きな原発でございますが、電源開発基本計画に組み入れられ、地元の県及び市町村の事前了解が大変厳しい状況ではあったのですけれども、昨年末の十二月に地元から事前了解が得られております。それから、東京電力の東通の一号、二号、こういったものについて、今漁業補償の交渉が大詰めを迎えております。そのほかにも、東北の東通の一号はもう建設に入っておりますとか、浜岡五号も建設に入っているとか、そういうのがございまして、私ども、原子力発電の新増設という点については、実は今厳しい環境にはございますけれども、着実に進みつつあるというふうに認識をいたしております。
小沢(鋭)委員 今、かなり具体的な数字を出していただいて、私も少し安堵感で聞かせていただきましたが、最近の、まさに原子力発電所の立地に関しては、リード期間がすごく長くなっていて、二十五年ぐらいかかるんだ、こういうような話も聞いておりますし、ましてやこれからこの後、電力自由化に関する法案が出てまいりますが、電力会社自由化論になっていきますと、なかなかそういったいわゆるリードタイムが長くなるような施設に関しては、当然のことながらリラクタントになる、こういう話になると思います。
 ですから、ベクトルとしては、大変厳しいいろいろなベクトルが原子力発電には向いている、こういうことだと思いますので、どうぞそこはしっかりと、本当に頑張っていただきたい、こういうふうに思います。
 次に、両法案の特別会計に関しまして質問をさせていただきます。
 この両法案、特別会計ともセットになっているわけでありますが、金額的に言うと、大体石油特会が年間約六千億、電源特会が約三千三百億、こういうことが最近の規模であります。一兆円に迫るという意味で、両方合わせるとかなり大きな金額になるわけであります。そして、これは私の勉強不足もあるのかもしれませんが、両特会の目的も、割とクロスしている部分もあるのかな、新エネルギーの推進というようなところはクロスしているところもあるのかなというような印象も私は受けました。
 そしてまた、これはこの委員会で何度も出ておる話でありますが、いわゆる刈羽村のラピカの問題、これはもう本当に、また私の同僚議員も後ほど質問すると思いますから私は細かくは申し上げませんが、要するに、使わなければいけないお金というのがあると、どうしてもそのお金は、まあむだ遣いになりがちだ、こういうふうに思います。
 これはエネルギー関係の両特会に限らず、いわゆる単年度主義で予算が与えられていると、最後、年度末に予算消化で頑張らなければいけないというのは、いわゆる道路の問題もそうでありますし、あるいはこの間聞きましたところ、特許申請などという話も割とそういう話もある。いろいろなところで、やはり最後、頑張って予算を使い切らなきゃいかぬ、こういう話というのは起こっているんだなとつくづく思ったわけでありまして、そういった観点で見ますと、やはりこの特会そのものの制度が問題なのではないか、こういう話が我が党の中では大変大きな議論になっています。
 もちろん、まだ現時点で結論が出ているわけではありませんが、一言で言うと、もうこういった特会制度というのは廃止をしたらどうかということであります。ましてや、一般会計といいますか、財政そのものが大変厳しい折に、いわゆる特会という形で聖域を設けるようなことはあってはならない、こういうことだろうと思いますので、そういった予算制度そのもののことを考えて特会制度を廃止というような意見に関して、所感をいただきたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 エネルギー政策というのは、石油等の備蓄、それから石油ですとか天然ガスの自主開発、新エネルギー・省エネルギーの推進、さらには電源開発など、長期的な視点から計画的に遂行することが不可欠でございまして、このため、エネルギー特別会計のもとで、受益者負担の観点からその負担をエネルギーの使用者に求めて、所要のいろいろな施策を実施している、こういうことであろうと思います。
 この特別会計につきましては、社会情勢の変化を踏まえまして、我々としては、例えば平成五年には省エネルギー対策を追加するなど、累次にわたる法改正を行いまして、制度でございますとか歳出内容の見直しというものを行ってまいりました。
 今般も、京都議定書を批准し、地球温暖化対策推進大綱をより円滑に、確実に実施していく、こういうために、エネルギー分野における地球温暖化対策の充実強化に早急に取り組む、こういうことも加えさせていただいたところでございます。さらには、この流動的な中東情勢、こういったことも勘案をいたしまして、やはり天然ガスへのシフト、こういうセキュリティー対策も強化をする。
 こういったことで、環境省との連携をもとに、エネルギー起源二酸化炭素排出抑制対策の実施でございますとか、省エネ・新エネルギー対策、そして、今申し上げた天然ガスシフトへの加速化など、エネルギーの政策や歳出構造の見直しを行ってきている、こういうことでございます。
 こうした見直しの中でも、石油備蓄事業や自主開発事業を中心に、予算の効率化もしなけりゃいかぬということで進めてまいりまして、石油対策では、十四年度予算では十三年度予算に比べて約五百億円削減をさせていただき、また十五年予算は十四年予算に比して百八十億の削減を達成させていただきました。
 地球環境問題というのはこれからますます深刻になってまいりますし、今申し上げたように中東情勢というのもますます緊迫化してくる。こういうことを踏まえますと、エネルギー政策の重要性というのはますます増大をしてくると思っております。したがいまして、長期的な視野に立って、こうした課題に確実に、着実に対応していくためには、受益者負担のもとでエネルギー特別会計を有効に活用していくということが私どもは不可欠と考えておりまして、今後とも引き続き、いろいろなそういう御批判、そういうものを踏まえながら、有効的、効率的にこの施策の実施に努めていかなければならない、こういうふうに思っております。
小沢(鋭)委員 今大臣のおっしゃられたエネルギー政策の重要性というのは、私も全く同感でありますし、そこをしっかりやっていかなければいけないという話は大変よくわかります。ただ、それがそのまま本当にイコール、じゃ特会制度がなければだめなのか、こういうことであります。
 大臣は、そこは受益者負担をベースにした特会制度でしっかりと手当てしていきたい、こういう論理だったと思いますが、逆に、国民にとってまさに本当に重要な話であれば、それは別に、電力会社から例えば税金を取るという話じゃなくたって、国民全体で負担するんだ、こういう話があったって逆にいいわけであります。そこはやはり、エネルギー政策の重要性があるから、だから特会だというのは、なかなか私は結びつかないような気が、先ほどせっかく大臣に答弁いただきましたが、聞かせていただいても感じておりました。それよりも、やはりもう少し弾力的な予算を組むということを考えれば、特会制度の見直しという話をもう少し真剣にお考えいただきたい、こういうふうに思いました。
 同時にまた、それに関連して具体的な話で申し上げますと、例えば石油特会の場合は、今回、いわゆる税制上のバランスということで石炭課税が入りました。これもまた私もなかなか問題が多い話だろうと思っておりますが、これまた同僚議員から恐らく後に質問があると思いますので、そこのそのものには触れませんけれども、石炭課税が加わって、いわゆる初年度は百四十億円の増収見込みということであります。
 いわゆる予算執行の方を見ますと、予算の執行率というのは、ここ数年は大変悪い。悪いというか、執行率が低くなっている。昭和五十七年が八五%、それに対して平成十三年は五八%というふうに、石油特会の関係の予算の方ですが、執行は落ちている。不用額の割合も、昭和五十七年が五%であったのが、平成十三年度は二二%まで増大している。こういう話でありますから、そういった意味では、エネルギー政策が重要だということと、この特会そのもののあり方は、ちょっと直接的にリンクしないのではないか、改めてそう思うわけであります。
 もしそういうことであれば、少なくても、特会制度そのものを廃止ができないのであれば減税とかいう話はあり得ないのか、こういう話を御質問させていただきます。
平沼国務大臣 石油特別会計におきましては、小沢先生御指摘のように、平成十三年度決算の剰余金として約一千八百二十億円を計上しております。このうち、石油対策に係る剰余金が一千五百十億でございます。
 この剰余金の主な内訳といたしましては、備蓄事業において、緊急時における備蓄の放出に備えて計上している予算が執行を要しなかった、民間会社からの石油タンクの借り上げ料及び利子補給金の前提となる金利が予算計上額より実際には低かった、こういったことで六百二十億出ております。自主開発事業において、当初の見込みよりもプロジェクトの採択件数が減少した、これが約四百四十億であります。先ほどもちょっと触れましたけれども、各事業において徹底的な節約を行うなど、予算の厳格な執行を行って約三百億、こういうことが剰余金の内訳でございます。
 備蓄事業における緊急時の放出でございますとか金利の変動、あるいは自主開発事業における大型プロジェクトの採択や採択件数の増加等の財政需要の可能性に備えてきた、そういう側面があることも事実なわけでございまして、むだな使い方をしてきたというわけではなくて、今後、備蓄事業でございますとかいろいろなそういう形で需要が発生すれば、やはり適切に執行するためにある意味では必要だ、こういうことも言えると思うわけでございます。
 こうした中で、近時、石油特会の歳出のグリーン化を進めているところでございまして、特に、昨年来、地球環境対策、安定供給の確保でございますとか効率性の向上、こういう観点から、今後のエネルギー政策の重点を見直しまして、そして備蓄事業や自主開発事業を中心に予算の効率化に努めているところでございます。
 一方、今回の石油税の見直しというのは、環境省との連携によるエネルギー起源CO2排出抑制対策の実施、省エネ・新エネ対策拡充、そして天然ガスシフト、こういうことでエネルギー政策の見直しを行って、かかる歳出に対応する歳入について、エネルギー間の負担の公平を図る観点から見直しを行ったわけでございます。
 これからさらに地球環境の問題が深刻化をします。そして、先ほど申し上げたように、中東情勢もなかなか深刻の度合いを深めている。そういう中で、エネルギー政策の重要性というのはこれまで以上に増していくということですから、やはり長期的な視点に立ちまして、こうした課題に確実に対処をするためには、もちろん負担の公平を図るということが大前提でございますけれども、長期的にしっかりとした財源の裏打ちがなければならない、このことが不可欠だ、こういうことだと私ども思っております。
 しかし、いずれにしても、御指摘のような点もございます。当省としては、今後とも引き続き予算の効率的な実施に努めていかなければならない、このように思っております。
小沢(鋭)委員 時間がなくなってきたので、端的に私から一、二点申し上げますが、まず一つは、今回の石炭税の話が環境税ではないという話は、物すごくわかりづらい話であります。それが一つ。それから、もう一つの、長期的な観点からやはり財源の確保が必要だ、こういう話でありますが、これも大臣、程度の問題でありまして、やはり度を過ぎれば、それはその所管の予算を守りたいんだな、こう思われるわけでありまして、そこのところはぜひ、幾ら何でもな、こういう話にならないようにお願いをしたい。この二点申し上げます。
 それから、最後に一点だけ、電源三法の話で質問いたします。
 地方へのいわゆる交付金の使い方、さっきラピカの例で、ちゃんと適正にやりなさい、こういう話を申し上げたわけでありますが、同時に、これはちょっと悩ましい問題でありまして、地域の方は、逆に言うと、もうあれこれ全部細かいことまで国が口を出してくるという、いわゆる過剰な介入というんですか、それがかえって逆に面倒で、いわゆる使用目的もかなり細分化されているから、だから、どうしても同じ施設でも高いものを買って金額を使う形をとらざるを得ない、こういう話になるわけですね。
 ですから、ここは本当に適正な執行という意味で物すごく悩ましいのでありますが、同時に、地方をもう少し信頼して、どうせ資金を渡すのであれば一括して渡すという話が逆にあってもいいのではないか、こういうふうにも思うところであります。いろいろな使用品目を見ると、ほとんどすべてのものに資金が使えるような話になっているわけでありまして、そういった意味では、一括交付金というような考え方というのは成り立たないか、これを御質問させていただきます。
岡本政府参考人 一括お渡しするというのは、これは私ども、特別の税で一定の対策を特別会計で経理しながらやらせていただいているということがありますので、その点は難しゅうございますが、他方で、今先生おっしゃいましたように、地元のいろいろな要望がございますので、私ども、交付金を思い切って統合、一本化をして、ハード、ソフト両面にわたるメニューというものを幅広く用意して、その中で地域のニーズに合ったものを自治体でどんどんやっていただけるように、そういうふうに交付金のあり方は思い切ってここで改善をしようと考えているところでございます。
小沢(鋭)委員 大変いい答弁をいただきました。ありがとうございます。
 終わります。
村田委員長 井上義久君。
井上(義)委員 初めに、京都議定書達成への取り組みについてお伺いしたいと思います。
 京都議定書に我が国は批准をしたわけでございますけれども、二〇〇八年から二〇一二年までの平均で温室効果ガスを一九九〇年比で六%削減する、これは国際公約になっているわけです。
 政府の地球温暖化対策推進本部のもとで、企業、国民の努力で〇・五%、それから森林によるCO2吸収で三・九%、それから京都メカニズムによる手段で一・六%と、各削減目標が提示されているわけですけれども、例えば、企業や国民の努力で〇・五%削減するというとわずかのように思えるわけですけれども、エネルギー消費は年々増大しているわけで、九〇年水準に戻って削減をするということになると、これはかなり大変なことでございます。
 しかも、我が国は、二度のオイルショックを経て、工業製品や生産拠点の省エネルギー化というのは世界のトップ水準にあるわけでございまして、さらに〇・五%削減するというのは、乾いたぞうきんをさらに絞るというような指摘もされているわけでございまして、極めて厳しい目標である、このように認識しておるわけです。
 既に削減数値のカウント開始まで五年を切ったということを考えますと、この目標達成に向けてあらゆる政策を総動員して取り組まなければならない時期に来ているのじゃないか。そういう意味で、大臣のこの問題に対する取り組みについて、まずお伺いしておきたいと思います。
平沼国務大臣 井上先生御指摘のように、大変厳しいと私は思っております。
 京都議定書を批准いたしました。これは、御指摘のように、九〇年比で六%を削減する。しかし、九〇年から十年たった二〇〇〇年で六%以上ふえてしまっている。ですから、まさに、乾いたぞうきんを絞るという例えを言われましたけれども、本当に厳しいことだと思っています。
 私は、地球温暖化対策推進本部の副本部長として、やはり批准をした以上はこれを達成していかなければいけない、こういうことで、一つは、省エネルギー・新エネルギーというものを抜本的にやっていかなければいけない。
 例えば、新エネルギーというのは、今まだ全体では一次エネルギーの一%しか占めておりません。しかし、燃料電池にいたしましても、太陽光発電にいたしましても、あるいは風力発電にしても、だんだんその可能性というのは大きくなってまいりました。私どもは二〇一〇年までにそれを三倍にするということで目標を立てておりますけれども、私は、三倍では少ない、やはりもう五%くらいの目標を掲げて、それに向かって努力をしていくことが必要だ、こういうふうに今ハッパをかけているところでございます。
 ですから、さらに省エネ・新エネに私どもは全力を尽くしていくということが必要でございますし、もう一つの視点では、これは安全性をちゃんと担保するという大前提がございます。この安全性がぴしっと担保できれば、例えば百三十万キロワットの原子力発電所を一基つくることによって二酸化炭素の排出量が〇・七%削減できる、こういうことでございますから、先ほど来の御質疑にも出ておりましたけれども、新しくそういう安全性を担保した原子力発電所を建設していけば、そういう意味では二酸化炭素の排出量も減らすことができる、こういうことであります。
 それから、日本にとって、例えば発展途上国等の効率の悪い火力発電所を我が国の技術によって、そしてそれを効率化するということで我が国の分にカウントできる、こういうことも実績が上がりつつありますので、こういうことも私は進めていかなければならない、こういうふうに思っております。
 それから、シンクという分野もございまして、これは農林水産省、環境省とも協力をしながら、いかにそういった部分も高めていくか。
 ですから、総合的なアプローチの中で私どもは努力をしていかなければいかぬと思っておりまして、私もエネルギー担当大臣として全力を尽くしてやっていかなければならない、このように思っています。
井上(義)委員 今、大臣から力強い御決意をお伺いしたわけですけれども、大臣のお話の中にもありましたように、エネルギーのグリーン化ということを考えますと、やはり省エネと新エネルギーの導入の促進を図るということが車の両輪だ、こう思うわけです。
 それで、特に新エネルギーということについてお伺いしますけれども、太陽光発電とか風力発電、地熱発電、CO2を出さない、しかも再生可能な自然エネルギー、これを電気に変えるということなんですけれども、エネルギー密度が非常に低いということもあって、エネルギー変換にコストがかかって、効率、稼働性が非常に低いわけです。
 したがって、在来エネルギーの補完的な役割の域を出ない、こう思うわけですけれども、ただ、クリーンで枯渇することがない、どこの地域でも得られて需要にも直結しているということを考えますと、持続可能なエネルギー需要構造というものを築く上では非常に魅力的な性格を持っているわけでございまして、国際的にもこれを推進しよう、こういうふうになっておるわけでございます。
 大臣から三%じゃなくて五%というお話もございましたけれども、このことについて、では具体的にどういう形で推進していくのかということについてお伺いしておきたいと思います。
桜田大臣政務官 お答えさせていただきます。
 風力発電、太陽光発電の新エネルギーにつきましては、地球温暖化問題への対応やエネルギー供給源の多様化を図る観点から、その導入促進に最大限の努力を傾注していくことが重要かと考えているところであります。
 一方、新エネルギーは、現時点では、従来型の電源に比べ発電コストが高いということが問題になっておりまして、経済性の問題、自然条件によって出力が左右されやすいという安定性の問題等を抱えておるところでございます。
 こうした位置づけにありますが、我が国では、新エネルギー導入目標を、二〇一〇年には原油換算で千九百十万キロリットル、一次エネルギー供給の三%程度と設定し、その目標の実現に向けて政府として最大限の努力をしているところでございます。
 新エネルギー関係予算につきましては、平成十五年度予算において、前年度に比べまして百十億円増の千五百六十八億円を計上し、地方自治体、事業者に対する導入補助など、施策の強化拡充を図ることとしております。
 また、昨年の通常国会で御審議いただきまして立法化されました電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法に基づきまして、電力分野における新エネルギーのさらなる導入拡大に努めてまいる所存でございます。
 今後とも、新エネルギー源ごとの特性や課題に応じて、導入に対する支援策の拡充など、その導入に向けまして全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 以上であります。
井上(義)委員 大臣、この新エネルギーとして今燃料電池が非常に注目をされているわけです。いわゆる燃料種として水素と酸素を使うわけでございますから、これを電気に変換しても水と熱しか出ないという極めてクリーンなエネルギーでございますし、それから、エネルギー効率が非常に高いので、省エネにもつながる。しかも、この燃料電池というのは、いわゆるモバイルパソコンの長期電源という小さなものから、あるいは自動車のエンジン、あるいは家庭用とかの例えば給湯発電、それからオフィス、マンションの中型の給湯発電、あるいは発電所の大型というところまで、非常に幅広い電源になるわけでございまして、私は、この燃料電池というものが本格的に普及していけば、日本のエネルギーシステムそれ自体も変更可能な新エネルギーだ、こう思うわけです。
 ただ、これは、いわゆる燃料電池の技術開発も必要ですし、社会的なインフラもやらなきゃいけないということで、相当長期的な取り組みといいますか、国としての一定の方向性をきちっと出して、国策としてやらないとなかなかできないことでございまして、私は、将来の日本のエネルギー政策というものを考えますと、いわゆる水素エネルギーを燃料としたこの燃料電池というものを、これから日本の国として最重要課題として考えなければいけないんじゃないか。
 そういう意味で、技術開発からインフラの整備まで含めて総動員して考えなければいけない課題じゃないか、こう思っているわけでございますけれども、その点について、大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
平沼国務大臣 私どもも、燃料電池というのは、エネルギーの効率が高くて、そして何よりもCO2排出抑制に資する、それから環境負荷がその結果非常に低い、ですから、今後のエネルギーと環境技術の中で非常に重要な役割を果たし得るものだと思っておりますし、もう一方では、それをどんどん開発することによっていわゆる産業競争力の強化ですとか新しい産業の創出、こういうことで非常に重要なものだと思っております。
 こういう認識のもとに、経済産業省では一九九九年に産学官から構成される燃料電池実用化戦略研究会を設置いたしまして、二〇二〇年までの展望のもとシナリオを書いて、この実用化、普及に向けて今着々とその手を打っているところでございます。
 まず、二〇〇五年ごろまでを技術実証段階と位置づけております。そして、この中で、技術開発と実証試験等を強力に推進していこう、こういうことになっております。
 さらに、例えば二〇〇五年から二〇一〇年ごろまでは、導入段階といたしまして、自動車で約五万台、そして、さっき先生触れられましたけれども、家庭だとか工場に置く定置用で二百十万キロワットつくろう。それから、二〇一〇年ごろ以降は、普及段階としまして、一応二〇二〇年には自動車を五百万台にしよう、そして定置用では一千万キロワットを賄おう、こういう計画でやっております。
 私どもとしては、平成十五年度予算でも、燃料電池に関しては八十七億増額させていただいて、三百七億を計上して、そして技術開発ですとか、あるいはもう既に一部燃料電池自動車は実用化になっておりますので、公道走行試験、これを産学官一体となってやっております。
 それから、昨年四月、小泉総理の指示に基づきまして、昨年の十二月二日でございましたけれども、当省を含めて、政府全体で五台の燃料電池自動車の率先導入を行いました。そして、インフラということをおっしゃいましたけれども、水素の充てん所をつくらなければいけないということで、第一号を経済産業省の中に導入して、そして今これを着々と進めているわけでございまして、御指摘のように、インフラの整備というのは非常に重要でございますので、そのこともしっかりと私どもは視野に入れてやってまいります。
 今後とも、各省庁としっかりとした連携を図りながら、戦略的な技術開発、実証試験、さらには基準、標準等の整備事業を進めて、包括的な規制の再点検等も当然行って、私どもとしては力いっぱい、この面は御指摘のように大切ですから、努力をしていきたい、このように思っております。
井上(義)委員 化石エネルギーにできるだけ頼らないということで、例えばバイオマスなんかも当然水素源として利用できるわけでありますし、それから、エネルギーセキュリティーの面からいっても、今のようないわゆる大規模集中型発電システムを分散型に変えていかなければいけないという課題もあるわけで、私は、燃料電池というのはその一つの決め手になると思いますので、ぜひ総力を挙げて取り組んでいただきたい、こう思います。
 それから次に、立地関係のことにつきまして、これまで、特に原子力発電立地地域につきましては、電源三法交付金制度等で立地地域の振興を図ってきたわけなんですけれども、市町村では公共施設の整備等が図られ、一定の生活基盤はできたものの、それでは立地地域の自立とかあるいは持続的発展につながっているかというと、必ずしもそうなっていないということがあって、費用対効果を疑問視する見方もあるわけです。
 実はこのことが、私は、原子力発電所のリードタイムが著しく長くなっているということにもつながっているんじゃないかということを思うわけで、電源立地を今後円滑化していくためには立地地域の発展というのは不可欠な要素なので、電源立地に伴う効果を、例えば地方財政面、あるいは地域経済、雇用等の面からも明らかにしていかないと、なかなか進まないんじゃないかというふうに思います。
 そういうことを踏まえた上で、具体的な問題ですけれども、一つは、交付金の対象の拡大と柔軟な運用ということについてお伺いしておきたいと思います。
 これまで原子力立地地域においては、電源特会から交付された交付金によって、教育、文化施設やスポーツ施設等の公共用施設の整備が行われ、地域振興に貢献してきたということは間違いないと思います。しかしながら、こうした公共用施設の維持運営が地方財政を圧迫するなどの事態も見られておりまして、今後、新たな施設整備のみならず、これまで整備されてきた施設の維持運営や改修、あるいはそこでの事業実施が重要になってくると思います。
 事実、これまでの地域からの要望を見ても、交付金の対象の拡大、例えば立地地域では町役場だとか村役場なども非常に重要な施設ということもありまして、対象を拡大してもらいたい、あるいは運用の弾力化を求める声が非常に多いわけでございまして、今回の電源特会の見直しに際して、これら維持運営費を幅広く交付金の対象にするなど、一層柔軟な交付金制度にすべきだというふうに考えますけれども、その点の見解をお伺いしたいということ。
 時間がないので、もう一つあわせてお伺いしますけれども、公共用施設の中で非常に大事なのは、道路の整備ということがあるわけです。
 道路は、地域の住民生活と経済活動を支える基盤でありまして、都市から離れた原子力発電所の立地地域は、道路の整備が十分でないところが数多くあります。地域振興の視点だけじゃなくて、緊急時の避難道路としての重要性も踏まえますと、原子力発電所の立地地域における道路整備について、交付金や原子力立地地域の振興特別措置法によって国として一層支援していくべきではないか、こう思います。
 私の地元の女川原子力発電所なども、立地地点というのが市街地から十六キロで、車で四十分もかかる。しかも、リアス式海岸特有の起伏に富むところで、カーブが非常に多くて、有事の際、現状ではもう対応できないということがあるわけで、そういう緊急避難道路としての重要性も考えた上で、やはり道路に対して一層支援していくべきではないかというように思いますけれども、この二点につきましてお答えいただければと思います。
岡本政府参考人 私ども、交付金の対象事業の拡大でありますとか運用の弾力化ということについて、地元の方々からかねがね御要望がございますので、こういった御要望を踏まえまして、今回、見直しを検討してまいったところでございます。
 具体的には、法案にもございますように、公共用施設の整備に偏りがちでございました交付金の対象事業を、地域の産業振興や福祉サービスの提供などソフトな事業にも拡大するということをやりました。それから施設の維持運営につきまして、これまで三法交付金で整備された施設にとどまりませず、そういう制約を設けないで、交付金で整備されたもの以外の施設の維持運営費ということについても交付金の対象にするということで、地元の方々の御要望にこたえるべく制度の改善を準備いたしているところでございます。
 それから、避難用道路等の点でございますが、私ども、この点も大変重要だというふうに考えております。交付金による道路整備の支援につきましては、従来から、地元の自治体の申請を踏まえまして対応してまいったところでございます。今後とも、地域のニーズに合った事業実施が可能となりますように配慮していきたいと考えております。
 それから、先生方の御尽力で制定を見ました原子力立地地域振興特別措置法に基づいて、こういった避難道路等について国の補助率のかさ上げ措置が講ぜられているところでございまして、関係の省庁とも協力しつつ、こうした制度の活用によりまして道路の整備が進展するように、なお努力してまいりたいと考えております。
井上(義)委員 以上で終わります。
村田委員長 竹本直一君。
竹本委員 非常に限られた時間でありますが、今我が国が当面しております環境問題、エネルギー問題、そして何よりも、我々の生活環境をどのようにいい状態の中で保持していくかということにつきまして、日ごろ考えております点について御質問をさせていただきたい。同時に、今回かかっている法律に関することについても、少しお尋ねいたしたいというふうに思います。
 まず、我が国はエネルギーの大部分を海外に頼らざるを得ない状況でありますが、いろいろな努力の結果、十三年度には四九%という石油依存度に低下してまいりました。これは大変な努力の結果だと私は思っておるわけでございますが、さらに今後は、京都議定書を締結した締約国の我が国としては、加えて議長国でもありましたので、今後のエネルギー政策を展開するに当たり、地球温暖化への対応ということに真剣に取り組まなければいけないというふうに思っている次第でございます。
 ところで、世界の二酸化炭素量の推移を見ますと、現状では、先進国は全体の六割を超えておりますけれども、途上国の排出が、中国、インド等に見られますように非常に増加しつつあります。また、二〇二〇年には世界の半分をこれら途上国が占めるのではないかとも言われておるわけでありますが、特にこれに加えて、先進国の中でアメリカあるいはオーストラリアが今回の京都議定書を批准しない旨を表明している。この非常にいびつな格好をどのように見ればいいのか、私は非常に危惧をしておるわけであります。
 と申しますのは、アメリカは日本の人口の二倍ございますが、石油消費量は、大まかに言って約四倍の消費量を持っております。それだけの消費をしておるということは、それだけ炭酸ガスを出しているわけでありますけれども、そういったところは入らないで、どう見ても、約三割ぐらいの締約国で厳しい取り決めをしても、どの程度の効果が出るのか、私は非常に問題視しておるわけであります。
 特に、京都議定書を発効いたしますと第一回締約国会議が開かれますが、そこで、法定拘束力を有する法律の遵守事項を決めると言われておるんです。その場合、四分の三の多数で決めるということなんですけれども、もしそれを決められますと、世界じゅうの三割の人たちで罰則つきの厳しい取り決めをするところにどの程度の意味があるのか。また逆に、そうすることによって大変なコストの負荷が我が国の産業にのしかかり、そして、わかりやすくは中国との競争を考えていただければいいですけれども、非常に競争力を減少させるのではないか。そういうことをあえてやる必要はないのではないか。むしろアメリカを説得し、そして全部とは言わないけれども、半分以上ぐらいの先進国が参加した状況の中で初めて、厳しい罰則適用というようなところへ進むべきだと私は思うわけでございますけれども、こういった面において外交的な努力をどのように展開されようとしておられるのか、経済産業省の御意見をお聞きいたしたいと思います。
高市副大臣 認識は先生と同じでございます。
 まず途上国の排出量ですけれども、将来は先進国の排出量を超えるでしょうし、それから、日本が物すごく厳しい目標達成のために必死で努力しているときにアメリカや中国は削減義務を負わないということは、やはり国際競争上不公平な立場に立たされているということで、認識は同じでございます。
 昨年のCOP8を初めとしましてさまざまな国際協議の場で、とにかく、アメリカや途上国も含めた枠組みづくりの必要性を日本は訴えてきておりますし、アメリカが離脱を表明した直後も、平沼大臣がアメリカの閣僚に親書を送るなど、その後ずっと、引き続き努力はしてきております。
 これからも、すべての国が含まれる、すべての国が参加する共通のルールづくりということについて非常に強く訴えてまいりたいと思いますし、努力はしてまいるつもりでございます。
竹本委員 さて、この地球温暖化の問題は非常に重要なんでございますけれども、我が国のエネルギーのセキュリティーというところに目を転じますと、石油の中東依存度が十四年度時点で八六%と、非常に上がってきております。これは第一次、第二次の石油ショックのときよりも高いということで、極めて脆弱な構造と言わざるを得ない。この脆弱性をどのように補完するのか、その点についてお聞きいたしたいと思うわけでございます。
 今回のイラク戦争のような事件の勃発がある場合には突然にとまるわけでありまして、私は、アメリカが今回イラクにこれほどまでこだわるのには、アメリカは石油の半分を自国生産しますけれども、残り半分は中東から引っ張っておりますが、その一番大きい供給国がサウジアラビアであります。サウジアラビアが安定しない、あるいはイラクのフセインによって影響を多大に受ける、そのことによる不安定さを除去したいという気持ちが腹のどこかにあることはまず間違いないと思っておるわけでございます。
 我が国の場合も、今申し上げましたように、八六%と極めて高い。こういった危険に対して、かつて平沼経済産業大臣は、イラク戦争の勃発前に、アティーヤOPEC議長、それからナイミ・サウジアラビア石油・鉱物資源大臣と個別に会談し、安定供給を頼むというお話をされたということでございますが、これも一つの努力だと思いますけれども、西川副大臣、どういうふうな対応を考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
西川副大臣 竹本先生は初代の経産省大臣政務官としてこの問題に非常に御苦労されておりましたことを私はよく承知をいたしておりまして、敬意を表したいと思います。
 御案内のとおり、三十年前には七七%も石油に依存していたのが、二〇〇一年の速報値でございますけれども、四九%まで落ちている。しかし、今御指摘のとおり、アラブの地方に八六%依存している。こういうことで、エネルギーの供給の安定化に対する脆弱性を大変御心配いただいているわけでございます。
 そこで、これらに対する対策としては、三つとりあえず私どもとしては方針を立てております。
 一つは、石油の備蓄をしっかりとしていく。それから、加えて自主開発についても力を入れていく。これによって石油の安定供給を確保していく。これがまず第一の柱であります。
 第二の柱は、さはさりながら、省エネルギーを徹底させて、エネルギーのむだ遣いをしないようにしていこう。この伸びを、先ほどの先生の一問目の御質問にも深く関係する環境上の問題とも関連させてしっかりやっていく。
 そして、第三の点は、原子力、天然ガス、それから新エネルギー、石油にかわる新しいエネルギーを積極的に開発をしていく。こういうことで、バランスのとれたエネルギー政策というものをきちっと確保していかなければいけない。
 それから、ただいま御指摘がございましたように、非中東地域に石油の資源を開発していく。例えば極東ロシア、こういうところの石油資源に対しまして積極的にこれを支援して、私どもの国の中東以外のエネルギー源を確保して、この脆弱性を補っていきたい。
 こういうような努力をしていくことが基本ではないか、このように考えております。
竹本委員 はい、よくわかりました。
 ところで、中東以外というところでございますけれども、中東以外でエネルギー源を求めるとなれば、LNGやLPGといったガス体エネルギーが浮かび上がってくるわけでございますけれども、こういったものは、インドネシアとか、あるいはロシアとか、こういったところから出るわけでございまして、中東以外でありますから、安定性を確保するという意味では非常に有効なエネルギー源ではないかと思っておるわけであります。
 まだエネルギー全体に占める割合はそんなに大きくないと私は思っておりますけれども、その普及拡大に政府はどのように努めるおつもりがあるか、お聞かせいただきたいと思います。
桜田大臣政務官 お答えさせていただきます。
 LNGの液化天然ガスは、石油に比べ供給安定性が比較的高いことに加えまして、化石燃料の中では最も二酸化炭素の排出量が少ない、そして硫黄酸化物などの環境負荷が小さな主要化石燃料であります。
 こうした点を踏まえまして、当省といたしまして、老朽火力発電所あるいは産業用のボイラー等の石炭等からの天然ガスへの燃料転換の推進、二番目に、天然ガスコージェネレーションや天然ガス自動車等の導入促進、三番目には、高効率の小型天然ガスコージェネレーション技術等の新たな利用技術の開発の促進などを通じまして、引き続きLNGの利用拡大に努めてまいりたいと考えております。
 また、LPGにおきましては、二酸化炭素の排出量が少なく、硫黄酸化物の排出もほとんどないエネルギーであるほか、液化された状況で容器に入っているため運搬が容易でありまして、全国津々浦々まで供給されているところであります。こうした特徴を有するLPGは、全国の約半数、二千八百万世帯の家庭用燃料として利用されているほか、工業用、自動車用等広範な産業分野におきまして使用されている重要なエネルギーであります。
 当省といたしましても、LPGの安定供給確保のために、民間備蓄に加えまして、二〇一〇年度に百五十万トンを目標とする国家備蓄の整備を推進するとともに、流通の合理化やLPGの効率的な利用の促進を図るため、LPGの充てん所の統廃合やLPGのコージェネレーションの導入支援等の措置を講じているところでございます。
 以上であります。
竹本委員 さてそこで、石油依存度を下げるという意味で次に思い浮かぶのは、新エネであります。風力発電や太陽光発電等の新エネの導入は、海外、例えばドイツなんかでは風力発電は非常に盛んだと、そして一〇%ぐらいでしたか、相当の率を占めておるという話は聞いておるんですけれども、しかしながら、同じことを我が国でやろうとすると、自然条件が随分違います。風は気ままでありまして、なかなか恒常的にこういったエネルギーを採取することができない。
 ある人の話によると、百万キロワット級の原子力発電所一基分を太陽光発電で得ようとすると、山手線の内側を太陽光パネルで埋め尽くさないと無理だ、こういう話を聞いたことがあるんですけれども、それほどエネルギーを集めるというのは大変なことだろうと思いますけれども、しかしながら、今一%とか言われておるこういった分野をやはりもっともっと拡大して、エネルギー源の多様化を図る必要があると思うわけでございます。
 これについて、政府の方ではどのような対応を今後進めようと考えておられるのか。例えば、補助金を出すとか、何か奨励策をもっとやってもいいんじゃないかと私は思っているわけでありまして、ちょっとお答えをお願いいたしたいと思います。
桜田大臣政務官 これは、先ほどの井上先生の方から御質問があった点と全く同様だと思っておりますので、先ほどと繰り返しになりますけれども、新エネルギー関係予算については、平成十五年度におきまして、対前年度比において百十九億円の増加ということで千五百六十八億円を計上して、自治体や事業者たちに導入の補助金を提供しているところでございます。
 また、昨年の通常国会で立法化されました電気事業者による新エネルギーの利用に関する特別措置法に基づきまして、業者に対しまして、新エネルギーの導入の義務化をさせているところでございます。
 新エネルギーの特性や課題に応じて、導入に対する支援策の拡充を今後とも図っていく予定でございます。
 以上であります。
竹本委員 今お話しのように、あるいは私が申し上げたように、密度の薄いエネルギーを集めるというのは大変努力が必要でありまして、またコストもかかる、やはりそうなると原子力だ、こういうことになるわけでございます。
 この間、東京電力をお呼びいたしまして、今、東京電力は、十七基中十六基が既に停止しておる、一つしか動いていない、一つの原子力発電所をつくるのに五千億とか一兆円かかるというようなことを考えますと、これほどむだはないなと私は思うわけであります。それでも家庭、工場に電気を届けられる間はいいんですけれども、東電によりますと、夏季の需要予測を聞きましたら、需要が六千四百五十万キロワットになっているんですけれども、供給が五千五百万キロワットしかない、完全に不足するわけであります。仮にこの状態が続けばということでございますけれども、これはまさに危機対応を迫られるわけでありまして、そうなると、今すぐ対応できるのは、何としてもやはり原子力発電所を稼働させる以外ないんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 この点につきましては、東京電力の報告書が正確でない、不正な報告があった、未報告の事例があった、あるいはその他、裁判のような事例も最近出てきておりますけれども、私はきょうの質問の中で、実はこれを一番問いたかったわけでございますけれども、例えば、東京電力の場合ですと、例の問題になった事件で、シュラウドにひびが入った。そのひびだけでは、ひびは確かにあるけれども、それだけでは安全だと役所の方は言うのですけれども、私に言わせれば、そのシュラウドの外には格納容器があり、その外にはまた、いざというときには外に放射能を漏らさない装置が加わっておるわけでありまして、多重防護システムとでもいうべき装置になっておるわけであります。ところが、こういった危険があるかないかを説明するときに、シュラウドも完璧、格納容器も完璧、その外の防護壁も完璧、すべてについて完璧でなければ危険だ、このような発想で議論されているケースが非常に多いのではないか。
 私は、シュラウドは、今の状態はもちろん完璧だけれども、仮に万が一、一つの仮定の話でそれが穴があいても、その外に格納容器があるわけですから、そこから一歩も外に出ないんだ、だから結果として外に放射能が出ないから安全でございます、こういうような論理を展開していかないと、不正な報告とかこんなのは論外といたしまして、なかなか原子力の立地及び立地地域の住民に対して安心感を与えられないのではないか、そのように思うわけであります。
 危険には、許される危険と許されない危険があると私は思うわけでありますけれども、例えば、一歩外へ出て道路を歩くのも、これも危険であります。しかし、歩道を歩くのは許された危険であります。車道を歩くのは許されない危険であります。そのように考えますと、ぜひ国民に対する原子力発電の安全性を説明する仕方をもう少し論理明快に、人間のやることですから絶対ということはあり得ない、万が一それがだめであれば、その次にこういう防護壁があるからそれで守れますよ、そのように装置しております、ですから大丈夫ですと言ってあげれば、周辺の人々もそれを聞いて安心して、ならば仕方ないというふうに御納得されるのではないかと思っておりますが、副大臣のお考えをぜひお聞きいたしたいと思います。どちらでも結構です、院長でも。
佐々木政府参考人 ただいまの先生の御指摘、私どももそのように思っております。
 原子力の安全は、設計の多重性、あるいは深層防御、建設、運転、そして人間に関するマネジメント、そういうものが総合的に達成されて、原子力の安全というものが確保されるわけでございます。また、規制の側もリスクの程度に応じた合理的な規制が必要であると考えておりまして、地元への説明に私たちも参ってまいりましたが、私もそういう説明をさせていただいておるところでございます。
竹本委員 それであれば結構でございますが、ぜひともそういうわかりやすい説明で、国民の方に不安を与えないようにしていただくことが一番必要かと思います。
 最後に、これで質問を終わりますけれども、私の意見として申し上げさせていただきますが、今回、東電の事故を見ましても、事業をやっているところ、そして監督する役所の方、こういう格好になっておりますけれども、私は、これほど複雑な、そして技術が日進月歩しているものについては、ある種コラボレーション、要するに共同で物をつくり物を監視するといった体制もまた必要ではないかと思っておるわけでございます。今はそうなっていないと思いますけれども、大臣がおられれば大臣にぜひお願いしようと思ったんですけれども、西川副大臣、高市副大臣がおられますので、政務官もおられますから、ぜひそういったことを御検討いただきたいなというふうに思います。
 アメリカの原子力発電を発注しつくるプロセス、そしてその監督の仕方、宇宙開発、衛星の研究も、設立もそうでございますが、そういったことも含めまして、コラボレーションというやり方も取り入れながら万全を期すということが必要ではないか。ぜひ御検討を最後にお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
西川副大臣 原子力の重要性にかんがみて、私どもとしては、信頼の回復のために、今佐々木院長からも御答弁を申し上げましたとおり、単に事業者に任せるだけではなくて、政府として地域の方々に、健全性評価そして安全性についてアカウンタビリティーをきちっと果たすことによって信頼を確保していくことが大事であるということを一生懸命やっている最中でございます。その中に、ただいま貴重な御意見をいただきましたので、これも含めて検討をしっかりして、原子力発電の信頼回復のために一生懸命やってまいりたいと思っております。
竹本委員 情報でございますが、特に技術に関する情報を共有していただきまして、ともに切磋琢磨して万全を期す、そういう体制でぜひ臨んでいただきたい。最後にお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
村田委員長 金子善次郎君。
金子(善)委員 保守新党の金子善次郎でございます。最初に、警察庁の方にお伺いしたいと思います。
 エネルギーでございますけれども、今の現代社会においては欠くことのできない基本的なものである。社会経済の発展あるいは国民生活の安定ということを考えた場合に、これから一連の質問をさせていただきますけれども、長期的な見通しに立った供給体制の整備というものが不可欠である、このように思うわけであります。
 そこで、今イラクに対する武力行使というものが現実に進行しているわけでございますが、我が国の国内におきましても、エネルギーの、例えば発電施設等に対しましてテロがないか、あるいはゲリラ活動というものがないのかというようなことも心配をされている。その危険性は皆無ではない、こういうふうに認識しておくべきだ、このように思います。
 そこで、要望を含めて、その決意あるいは現状についてお伺いしたいと思いますが、どのような安全対策をなさっているのか、またこれに十分配慮してもらいたいという気持ちで質問させていただきたいと思います。
奥村政府参考人 警察といたしましては、今回のイラク攻撃に伴いまして、国内でテロが起きないように万全を期しているところでございます。警察庁に緊急テロ対策本部、すべての都道府県警察に警備対策本部をそれぞれ設置いたしまして、厳重な警戒態勢をしいているところであります。
 具体的には、総理官邸等我が国の重要施設を初めといたしまして、米軍基地あるいはアメリカその他の支援国の関連施設、あるいは公共交通機関などに対する警戒警備を徹底しているところでありますけれども、ただいま御質問の発電所につきましても、国民生活に大変大きな影響のある重要インフラであるという観点から、電力会社と十分な連携をとりながら、必要な警備措置をとりまして、テロの未然防止を図っておるところであります。
 とりわけ原発につきましては、サブマシンガンあるいはライフルを装備しております銃器対策部隊、これは従来から二十四時間態勢で警戒を実施してきているところでありますけれども、今般の事態を受けましてさらにその体制を強化しているところであります。また、これに加えまして、緊急時には特殊部隊のSATを派遣して対処することといたしておりまして、いずれにしましても、テロにつきましては、これが万が一にも起きないように万全の体制で臨んでいるところであります。
西川副大臣 私の体験を一言つけ加えさせていただきますが、ただいまの警備局長のお話にさらに、私、現場を実際に見てまいりましたが、九州電力の川内原子力発電所でございますが、ただいま局長からお話がありましたように、県警が非常に厳格に、誠意を持ってやっていただいている、加えて国土交通省海上保安庁が、海にちょうど位置しておりますので、そこに船を出して厳重に監督をしている、こういう体制でございます。
金子(善)委員 ありがとうございました。しっかりお願いしたいと思います。
 続きまして、原子力発電関連につきましてお伺いしたいと思います。
 先ほども質疑の中で出ておりましたが、例の京都議定書、これは、二〇〇八年から一二年の五年間の平均の温室効果ガスの排出量を、九〇年比で日本の場合は六%削減が求められている。今般の発電用施設周辺地域整備法等の改正、これは、エネルギー政策を見直しまして、地球環境面の負荷が低い安定的な電力供給源でございます原子力あるいは水力、地熱といった、こうした長期固定電源の開発、利用促進を図るものであるというふうに思います。六%削減、これは大変な数字だと思うわけでございますけれども、まだまだ多くの施策を積み上げていく必要があるというふうに思いますし、また言われているわけであります。
 そこで、原子力発電でございますけれども、平成十三年にまとめられました、総合資源エネルギー調査会、「今後のエネルギー政策について」という取りまとめられたものがございますが、二〇一〇年度末まで、わずか八年後まででございますけれども、原子力発電所を十から十三基新増設しなきゃならない、容量で六千百八十五万キロワットを目標としているということでございます。
 ところで、この原子力発電所の建設というのはなかなか大変な仕事でございまして、これまでのところのものをちょっと調べてみたんですが、建設の申し入れから運用開始までの期間、一九七〇年代の運転開始の発電所ではおおむね七年八カ月かかっています。八〇年代になりますと十六年一カ月、九〇年代では二十五年八カ月と、だんだん、最初、想定段階から、いわゆる建設の申し入れという段階から運転開始までというのは大変な時間がかかるという傾向にあるわけでございまして、この傾向というのはこれからも変わらない可能性が十分ある。
 今までのやり方をやっていればという前提でありますけれども、そうなる可能性が大であるということを考えますと、さて、目標達成年次まで丸八年しかないわけでございますが、これまでの進捗状況、そして、先ほど申し上げましたように、最近の事例ですと、建設の申し入れから二十五年以上もかかっている、これが現実の姿でございますが、これに対して、どう対応されていくお考えなのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
岡本政府参考人 先生の御指摘のとおり、二〇〇一年、平成十三年七月の総合資源エネルギー調査会の需給見通しでは、二〇一〇年までに十ないし十三基増設ということを目指しているところでございます。
 先月末に各電気事業者から法律に基づいて届け出のありました供給計画によりますと、二〇一〇年度までに運転開始が見込まれますものは計八基となっておりまして、これに、二〇一〇年十基という場合に織り込んでおりました女川三号はもう既に運転開始をしましたものですから、八プラス一の九基ということになるわけでございます。
 これに加えまして、敦賀の三、四号でありますとか東京電力の東通の一、二号、これは今漁業補償の大詰めを迎えておりますし、敦賀三、四号は去年十二月に地元の事前了解が出たわけでございますが、先ほど先生のお話にございました、リードタイムが非常に長い中の地元のいろいろな調整、折衝というのを相当進めてきて、その上で例えば事前了解が出るという、そういうところに今至っているわけでございまして、私ども、二〇一〇年に十基までいきませんけれども、翌一一年にはさらに追加した四基というものが見込まれているというのが供給計画の姿でございます。
 そして、何よりも重要なのは、今先生のお話にもありましたが、京都議定書の関係では、発電電力量というキロワットアワーの目標が達成できるかどうかという点でございますが、一〇年対比約三割増の四千百八十六億キロワットアワーを原子力で発電するというのが京都議定書の関係では一番大事なゴールになるわけですが、そこの目標の達成ということについては、定格熱出力一定の運転が供用されるというようなことになったこともあったりしまして、原発の稼働率が相当上がってきておりますので、そうしますと、キロワットアワーの目標を達成するということは、おおむね私ども二〇一〇年においても可能だというふうに考えておりまして、原子力発電はその意味において着実に今進みつつあるというふうに私どもは認識をいたしているところでございます。
金子(善)委員 大変心強い回答をいただきました。その調子で進めていただきたいというふうに思います。
 ところで、東京電力さんのケースでございますけれども、この夏の電力の供給が大変心配されている。つまり、四月の十五日から原子力発電所で十七基ですか、出力のベースで見まして千七百三十一万キロワット、これがすべて停止される状況にあるということでございます。
 東京電力が、三月二十七日でございますが、つい最近発表した平成十五年度の電力供給計画、この十七基すべて停止のままでいきますと、夏のピーク時でございますが、九百五十万キロワットの電力不足に陥る、こういうようなことが言われているわけであります。こうした事態を招いた原因はともかくといたしまして、首都圏において日常的に停電の状態が生じるというようなことは、どうしてもこれは避けていかなきゃならないというふうに考えられるところでございます。
 そこででございますけれども、いわゆる十七基について、これから運転を再開するという場合には、立地地域住民の理解を得なきゃならないということも大切であることだとは思いますけれども、この停止中の原子力発電所につきまして、今聞いているところによりますと、検査などの安全面で確認を実施しているということでございます。いつまでも安全面での確認を実施すると言っていられないと思います。
 そこで、安全な運転に支障がないという結論が出るまで、どのような法的な手続、実態的には地元説明とかいろいろあるかもしれませんが、法律面でどういうような手続をとればそれで確認ができたということになるのかをお答えいただきたいと思います。
佐々木政府参考人 現在停止中の東京電力の原子炉の多くは、シュラウドあるいは再循環系配管などの点検にあわせまして、国の定期検査、これを予定どおり、または前倒しして実施しております。
 定期検査の対象項目については、国の検査官の立ち会いまたは記録確認による検査を受ける必要があります。一連の不正問題を踏まえまして、東京電力の各原子炉に関しましては、定められた項目について、結果の確認だけでなく、試験の実施体制や手順についても確認するなど、通常よりも厳格な検査を今行っております。
 また、定期検査の項目には、格納容器漏えい率検査もありますが、格納容器漏えい率検査に関しては、福島第一・一号機におきまして不正があったことから、東京電力の他のすべての原子炉についても、念のため、準備段階から国の検査官が立入検査などによりまして漏えい率試験の実施状況を厳格に監視することとしております。
 こうした定期検査において、安全上の問題がないことが確認されることが運転の前提となります。
 また、炉心シュラウドあるいは原子炉再循環系配管にひび割れが発生しております原子炉に関しては、以上に加えて、運転前に次の法的手続が必要でございます。
 まず、炉心シュラウドのひび割れが発見された原子炉について、国の健全性評価を行った結果問題がなく、ひび割れが存在したまま使用する場合については、事業者は、発電用原子力設備に関する技術基準に定めのない健全性評価手法を用いることによりますので、同基準の規定に基づきまして、この健全性評価手法について経済産業大臣の特別の認可を受ける必要があります。
 また、事業者が炉心シュラウドや再循環系配管のひび割れを取り除く補修工事を行う場合については、強度や厚さに影響する場合は電気事業法に基づく工事計画を届け出る必要がございまして、その後、使用前検査を受けて合格するということが必要でございます。
金子(善)委員 法的な手続をとっていって、絶対安全だという保証を政府が行うということの手続になるわけでありますけれども、実際のところ、いつごろこの十七基については再開できるというような見通しを持っておられるか、今わかる範囲内で結構でございますから、答弁いただければと思います。
岡本政府参考人 先ほど保安院長から御答弁申し上げましたような手続を経て運転再開に至るということで、東電において、夏の需給ということは当然に東電としても、従来のパターンで夏場のピーク電力需要が大きく伸びるということで、今のままであれば大幅な供給力不足が避けられない、そういうことも十分に認識をいたしておりますので、法律に基づいた必要な手続を極力迅速に準備をして、保安院の厳格な審査を受けて、一日も早く必要な基数の原子力発電所が運転再開できるように、事業者として今最大限の努力をしているというふうに私ども報告を受けているところでございます。
 私ども、そういった事業者の取り組みとあわせまして、一方で、需要面で必要な節電対策等の取り組みも、当省としても引き続きしっかりやっていきたいと考えております。
金子(善)委員 今、しっかり、できるだけ早く、一日でも早く再開できるように努力をしているという答弁だったと思いますが、私がお聞きしたいのは、これから夏場を迎えるというようなことで、いつまでということははっきり言えないことはわかりますけれども、おおむね、例えば一カ月、二カ月とか、そういうようなベースでお答えをいただくわけにはいかないんでしょうか。
佐々木政府参考人 現在停止中の原子炉については、今後の私どもの規制側の検査をパスして運転の状態に至れるものには幾つかのパターンが考えられます。
 一つのグループは、いわゆる炉心シュラウドあるいは再循環系の問題がないグループが一つでございます。二つ目のグループは、炉心シュラウドを何らか補修するとか、あるいは再循環系の配管の一部を取りかえたり、あるいは傷を補修するといったグループが二つ目のグループであります。三つ目のグループは、今後さらにデータを集積することによって、特に再循環系配管の検査の精度を向上させた上で、その上で、傷があっても健全性の評価上問題がないとされるものについては傷があっても運転を認める、こういう三つのグループに分かれます。
 したがいまして、今、規制上の立場から申し上げますと、まず第一のグループ、いわゆる炉心シュラウドも再循環系の配管の問題もないものにつきましては、幾つかの号機がございますけれども、最終の私どもの格納容器の漏えい率検査を今準備している号機がございます。これについては、格納容器の漏えい率検査が終了しますと、あと国の検査が幾つかありますが、その後、起動して、そして負荷調整をやりましてから、私どもの最終の総合負荷検査に合格しますと、商業運転という段階に入るものがあります。
 そういう意味では、何日とか月とか、できるだけ早く、今粛々と規制上の手続を踏んで立ち上がっていくものが確かに何基かございます。
金子(善)委員 いろいろな仕事を進める上で、私は原子力の専門家じゃありませんから、どういうあれかとわかりませんけれども、一方において、この夏場を通じて電力不足になるかもしれないと新聞とかいろいろなもので出ているわけなんです。おおむねの、仕事を進める場合に、常識で考えて、二カ月ぐらいだったら何とかなるとか、三カ月かかりますよ、夏場はちょっときついかもしれませんと、きついならきついで、国民にそういうことをはっきり言っておかなきゃならない。
 それで、大臣にお伺いいたします。
 どうも、いつごろまでになったら再開が可能かわかりませんので何とも言えないわけでございますけれども、政府としても、節電を、マスコミなんかはいろいろなことを言っているわけでございますけれども、政府として、ここをはっきり、国民に本当のことをきちっと説明していく責任というものがあるのではないかと私は思いますが、その辺のことにつきまして、どんな具体策を考えておられるのか、万が一の電力不足状態ということに陥った場合でございますが、その辺について、最後の質問にさせていただきたいと思います。
平沼国務大臣 原子力発電所の立ち上げにつきましては、地元の立地の皆様方の理解と国民の皆様方の御理解を得られるように今最善の努力をしております。事業者も現地でいろいろきめ細かな対応をさせていただき、それから原子力安全・保安院長もみずから行って説明会をする、こういう形でやらせていただいておりまして、でき得る限り一日も早い立ち上げ、そのための努力は継続をしていかなければいかぬと思っております。
 それから、節電のことに関しましては、私どもは、当省として率先して取り組んでいるところでございまして、首都圏における節電キャンペーンというのも昨年の十二月から実施をして、節電を呼びかけております。
 具体的にはどういうことをさせていただいているかというと、新聞に広告を出させていただく、それから事業所へのポスターを送付する、ラジオ放送等を通じて広く節電への協力要請を行ってきているわけでございまして、四月以降も引き続き政府としてはこのような取り組み、これをしっかりやっていきたいと思っておりまして、あわせて事業者もテレビ等を使ってやっている、こういうことで、私どもしっかり国民の皆様方には節電のPRをさせていただきたい、このように思っております。
金子(善)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
村田委員長 川端達夫君。
川端委員 大臣、副大臣、政務官、よろしくお願いします。
 今ちょうど東京電力の議論がされておりましたので、若干これについてお尋ねをしたいと思うんですが、今聞いていましたら、推移によっては、夏のピークを含めて、あるいはこの春から急に暖かくなれば相当深刻な事態になるのではないかというのが言われているし、現状のままであればそうではないかと。
 その中で、今の御答弁を含めて、国というものは、経済、産業、国民生活に重大な影響を与える電力というもの、いわゆるエネルギーのセキュリティーに対して、このような事態が起こっているときに何を考えているんだと。今の答弁でも、事業者の最大の努力を待っていると。国は、現実に停電が起こるかもしれないときにおいて、発電事業者がいろいろやっているのを検査し、待っていると。そして使うのは、皆さん、電気はできるだけ使わないでくださいねと言っているだけなんですか。私はここに、特に原子力発電をめぐるエネルギーというものに対する国の関与の仕方が非常にあいまいな部分が露呈をしていると思うんです。
 今、電力、このエネルギーを言われるときに、いわゆる環境の問題、経済性の問題、そして安定供給、この三つがそれぞれ、バランスというんですかね、どこに重きを置くかいろいろな議論があります。しかし、今起こっていることは何なんですか。電力が足りない状況が起こってきた。だから、もうつぶそうと思っていた石炭火力も含めて、石油火力も含めて、使えるものは全部使って今電力をつくっているわけでしょう。ということは、安定供給が危なくなるという事態に直面したときに、環境なんか言っていられないという事態を招いているんですよ、今。そうじゃないですか。いやいや、そんなことを言うたかて石炭は環境負荷が多いからやめようというよりも、停電を避ける方が大事であるという事態を招いているのです。
 ということは、安定供給というものがいかに重大な意味を持っているかというときに、この安定供給に関してだれが責任を持っているんですか、お答えいただきたい。
平沼国務大臣 確かに、今東京電力では十七基ある原子力発電所のうち十六基が停止をして、この中旬にもう一基も検査のために停止をする、こういうことに相なります。
 現在は不需要期ですから回っているわけでございまして、確かに、御指摘のように、休止中の火力発電所を立ち上げる、それから他の、例えば具体的に言いますと、中部電力ですとか北海道電力から余剰のものを回していただいている。こういう形で、現時点では電力供給に不足を来すようなことはありませんが、やはり過去の例で、例えば真夏のピーク時には六千四百三十万キロワット瞬間的に出たというようなこともございます。
 ですから、そうなりますと非常に厳しい局面になってきているわけでございまして、事業者の点検を待っているという形ではありませんで、私どもとしては、国もしっかりとそれに関与しながら、そして、一応、維持基準という問題に関しても小委員会等の一つの結論を出していただいた。そういう体制が整いましたから、事業者も立地の地域で心配している皆様方に一生懸命説明をしていると同時に、また原子力安全・保安院長も現地に出向いて、そして新潟県、福島県等々で議会の代表の方々、住民の代表の方々、また地方自治体の方々、そういった方々にきちっと説明をさせていただいております。
 私も、これはエネルギーのいわゆる責任を持っている大臣でございますので、私も出てこい、そういうような時期になれば、現地に出向いて、そしてしっかりと地域の皆様方に説明をさせていただき御納得をいただく、そういう努力をすることはやぶさかではございません。
 そして、エネルギーの安定供給に一体だれが責任があるかといいますと、それは当然エネルギーを所管している私にあるわけでございまして、私もその責任を果たすべく全力を挙げて今後も努力をしていき、万が一そういった形で電力の途絶が起こらないように、最大限これからも努力をしていかなければならない、このように思っております。
川端委員 最大努力をしておられて、今の御決意と責任を持っておられるということはよくわかりました。ただ、このときに、先ほどの御答弁とかの分は、そういういわゆる政治的な、政治の責任においてというものではなくて、どうしても、手続的にはこうなっていますという話で終わるわけですよね。
 だから私は、ここで、今の、内容的には認識をして言っておられるんだと思うんですが、少なくとも、エネルギーを所管する大臣としては、いろいろ心配をされているけれども、停電は起こさせない、そのためにあらゆる手段、行動をもって最大の努力を尽くす、そして、だから安心してください、責任を持ってやりますということを内外に明確におっしゃるべきだと思うんです。そういう、やっておられるけれども、エネルギーの安定供給は任せてくれ、そしてあらゆる手段を尽くして、このことは回避することをやりますと言われるべきだと思いますが、いかがですか。
平沼国務大臣 私どもとしては、電力の途絶が起こってはならないという形で最大限努力をさせていたただき、国民の皆様方にそういう御不便をおかけしない、この前提で最大限努力を私はしていく、こういうことでございます。
川端委員 ぜひとも、国民に向かってそういう姿勢を強くアピールしていただきたい。そうでないと、結局、先ほどからのいろいろな手順とか含めて、検査も詰めの段階に来たとはいえ、例えばスタンバイをしたというときに、だれがスタートするのかというのを本当に悩んでいるんですよね。
 例えば、地方の議会も首長さんも、いいとは言えないんですよね。安全は確認されたけれども安心はないんですよ、現実に、残念ながら。安心を失ったんですから、みんなが。信用していたのに安心できなくなった、だから、安全だと言われても安心はないぞ、そのときに、だれかが責任を持って、その部分は、最大の努力をしてもうんとは言えないとおっしゃると私は思うんですよ、地域は。
 だけれども、それは責任を持つ、そこの安心に関しても責任を持つ、そして国民のエネルギーに対する安心も確保するということは、必ずやりますと言うことがこれは政治の責任だと思うんですね。だから、先ほど来の行政のまさに部門の担当者は、今聞いていても、事業者の最大の努力を見守りたいみたいなことを言われたら、それは待ってくれという話になるということでありまして、決意の部分はここでお伺いをいたしましたので、ぜひとも、その分を国民に対してお出しをいただきたいというふうに思っております。
 そこで、こういう議論をすると、結局、そうすると、京都議定書も含めて、エネルギーと同時に環境対策も含めて、原子力発電所が大変大きな役割を持っているということは、あちこちで書かれているし、今も認識している。しかし、原発をつくるかつくらないかは事業者の判断であり、努力であり、投資であり、その結果いろいろ、例えば廃棄物の話とか運転基準とかいうことに関しては、国は関与しているけれどもという仕組みですよね。我が国のエネルギーの根幹をなす原子力発電というものに対して、国は明確な方針がないと言わざるを得ないんですよね。
 周辺のことは全部法整備されていますよ、バックアップをされていますよ。しかし、つくるかつくらないかは実は事業者の判断であるという、ここに今の、トラブってとまったときに動かすのも、やはり仕組みとしては事業者なんですよね、動かすか動かさないかは。ということは、一番大事な安定供給の責任というものが非常にあいまいな部分に結果的になっている、こういう議論がずっと続いているわけですね。そういう中で、やはりエネルギーの基本法みたいなのが要るのではないかという、前国会含めていろいろあった中で、あのエネルギー基本法というのができました。
 そこでお尋ねなんですけれども、それまでにも、総合資源エネルギー調査会の長期エネルギー需給見通しとか地球温暖化対策推進大綱というのも出ました。そして、六月にエネルギー政策基本法制定というのがあったんですが、このエネルギー、政府はいわゆる安定供給と環境への適合、市場原理の活用という三本柱の中でいろいろやっていきましょうという法律だったんですが、基本的な計画、エネルギー基本計画を定めなくてはならない、総合資源エネルギー調査会で案を作成して国会に報告する、こういうふうになっているわけですね。これの部分の状況、いつごろ出てくるんですか、エネルギー基本計画なるものは。もう去年法律ができて、一向に音さたがないんですが、どうなったんでしょうか。
平沼国務大臣 これは、今いろいろ作業を進めておりまして、この夏ごろを目途にしっかりしたものを出したい、こういうふうに思っております。
川端委員 この法律が、エネルギー政策基本法ができたのは、まさに日本のエネルギーというものを国としてどう考えるのか、そこの中で少なくとも、例えば原子力の問題もそこへ位置づけをすることによって、結局、ある意味では事業者の自主的な部分ということとリンクをさせる中で原子力というものを位置づけていこうという思いが当然あったと思うんですね。これは、まさに日本のエネルギー政策の基本になるもの。
 昨年の六月に法律ができて、法律の十二条に、「政府は、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るため、エネルギーの需給に関する基本的な計画を定めなければならない。」「経済産業大臣は、関係行政機関の長の意見を聴くとともに、総合資源エネルギー調査会の意見を聴いて、エネルギー基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。」
 それが、夏ごろみたいな部分というのは、私は、そんなものではないのではないかというふうに思いますが、非常に感覚的には遅い。この法律ができたら、待っていました、我々としてはこうあるべきと思っているんですというのがすぐ出て当たり前だと思います。
 そこで、そういう部分でいうと、全体のエネルギーのそういう根幹をつくって、今言った原子力、そして不測の事故が起こったときの問題も含めて、そして環境やという、いろいろな施策の根幹なんですね、これが。この国会にもいろいろな、電力も含めた法案が出てきますが、基本政策というものを決めなさいという法律まであって、まだ決まっていないのに、周辺だけ出てくるんですね、法律が。極めて奇異な話だと思うんですね。せっかく法律をつくって、幹をつくりましょうと言ったら、幹はまだですけれども、多分夏ごろ出るんじゃないですかみたいな話だけれども、枝葉の話か、どの枝かはいろいろあるかもしれませんが、そこだけどんどん出てくるというのは、非常に奇異な感じを私は持っている。
 その中で、今回の大きな目玉の一つが石油税関連ですね。今回は、ここの委員会の法案は、いわゆる歳出の費目の見直しというんですか、既に所得税法等の法律改正の中で、石油税の中で、歳入の部分はもう法律が衆議院は通過をしたということでありますが、今回この部分で、大きな全体のエネルギーの政策、環境も含めた部分、環境と市場原理とそれから安定供給という三つの柱を持ったエネルギーの基本政策をつくりますという法律があって、それがまだ、計画を閣議決定でつくりなさい、国会に報告しなさいというのがまだ出ていないのに、環境にもかかわる、あるいは市場原理にもかかわるこういうものが先に出てくる。これは順番が逆ではないのかというのが一つですね。
 それと、その中で今回、使途として、いわゆるグリーン化の部分に拡大をするんだと。一般論として、こういう特別会計を持つ目的税みたいなものは、本来できた趣旨の部分から枠を広げるべきではない。この目的の部分に、例えば、電源立地の部分で時間がかかると、用意していても繰り延べになるという部分を弾力的にしたいとかいう部分は、私は理解をします。しかし、本来のこの石油税の部分で特別会計を持っているものが、こういう使途のためにつくりましたというときに、今度は環境対策のグリーン化にも広げて、環境庁にもリンクをさせて、また使い道を変えるんですということは、大体のこういう特別会計のものでいえば、慎重ないしはやってはいけないと思うんです。これはいろいろな、ほかのケースを含めて、結局は目的からずるずると広がって、何のために取っている税金かわからないという部分で、道路特定財源が随分議論になりました。
 今回、そういう部分で、それとは違うエネルギーに関する大変重要な問題だと大臣がおっしゃるのもよくわかるんだけれども、グリーン化という部分で環境庁にまでリンクをさせた部分というのは、本来こういう特別会計ではやるべきでない、一般論的に特別会計というのはそういう使途を広げるべきでないということに対する御見解と、それと、このグリーン化ということで広げると、結局、温暖化対策税といろいろ議論されているいわゆる環境税という部分と領域がかぶってくるのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 そういう特定財源をどんどん拡大するというのは本来の趣旨に反しているんじゃないか、こういう御意見ですけれども、それは一つのお考えだ、私はこういうふうに思っています。
 しかし、いわゆる我が省が持っている特定財源に関しましても、過去、例えば平成五年には、その延長線上の中で、省エネルギー・新エネルギーにやはり延ばしていかなきゃいかぬ、こういう形で、その延長線上でやらせていただいたわけであります。
 今回の環境税との相関はどうなんだというような御趣旨でございますけれども、京都議定書というものを批准いたしまして、地球温暖化対策推進大綱をより確実、円滑に実施していくためには、エネルギー分野における地球温暖化対策の充実強化に早急に取り組む必要がある、そのことは非常に重要だと思っています。
 それからもう一つは、流動的な中東情勢等も勘案して、天然ガスへのシフトなどエネルギーセキュリティー対策を強化する必要もある、こういうことを思っておりまして、環境省との連携によるエネルギー起源二酸化炭素排出抑制対策の実施、それに今回あわせて、従来もやってきました省エネルギー・新エネルギー対策の拡充、それから天然ガスへのシフト、こういうことで、私どもは今御検討いただいているわけでございます。
 この石油税等の見直しについても若干申し上げますと、こうしたエネルギー政策の歳出構造の見直しに伴って、歳入についても負担の公平の観点から見直しを行った、こういうふうに御理解をいただきたいと思うわけでございまして、二酸化炭素排出抑制を主たる目的としたいわゆる環境税を創設したものではない、こういうことでございます。
 いわゆる環境税というものに関しましては、当省としては、昨年三月に策定された大綱にありますとおり、他の手法との比較を行いながら、環境保全上の効果ですとか、マクロ経済あるいは産業競争力等国民経済に与える影響、あるいは諸外国における取り組みの現状等の論点について、国際的な連携に配慮しつつ、さまざまな場で引き続き検討されるべきものだ、こういうふうに思っておりまして、今回は、この環境税を創設するという形じゃなくて、負担の公平、そういった観点から我々は見直しを行わせていただいた、こういうことです。
 それから、先生おっしゃるように、やはりそういう特定財源というものは際限なく拡大するものではない、それに関連する延長線上のもので最大の効率を上げていく、こういう形で私どもは考えさせていただきたい、このように思っております。
川端委員 かねてからそういう御答弁をほかの場所でもされておるんですけれども、そうしたら、負担の公平というのは何の負担の公平なんですか。
平沼国務大臣 今回の石油税等の見直しは、エネルギー分野における地球温暖化対策の充実強化、エネルギーセキュリティー対策の強化の必要性等を踏まえたエネルギー政策の歳出構造の見直しに伴って、歳入についても、今申し上げたように負担の公平から見直しを行ったんです。
 石炭に関して言いますと、二酸化炭素の排出割合は高いものの、資源の賦存量は多いわけでございます。また安価な燃料として、引き続き重要なエネルギー資源でございます。だから石炭についてはこれまでも、石炭のクリーンな利用方法の技術開発等を行ってきているところであり、今後とも充実させていく必要があると思っております。
 こうした中で、国内炭に係る産炭地域対策等が平成十三年に終了したところでございまして、エネルギー間の負担の公平を図る観点から、今般の石油税見直しの一環として、石炭を新規に石油税の課税対象に追加することにした、こういうことでございまして、そういう一つの考え方に基づいて行った、こういうことでございます。
    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕
川端委員 役所でお書きになるんだと思うので、あちこちの委員会で御答弁されたのを何か継ぎ合わせて、また同じ言葉をおっしゃったんですが、一般的に、負担という部分でということだけれども、結局トータルとして言えば、皆さんがおつくりになった十五年二月のエネルギー政策の見直しというので、情勢の変化と歳出構造の見直しと歳入構造の見直しというものを皆さんがつくられました。そのときに、歳出でエネルギーが出てくるんですけれども、延長線上としての部分で、例えば天然ガスシフトの加速化をするけれども、結局、歳入においては今回、天然ガスは増税するわけですね。そして、石炭は新たにまた税金がかかるようになるということ。
 歳入に関して言えば、ここの法案にはもう終わった話ですけれども、歳入に関して皆さんがお書きになったこの説明要旨の部分でいえば、今回の政策見直しの根幹は、エネルギー起源CO2排出抑制策の抜本的拡充なんですね。要するに、CO2排出を抑制する策をやるために税金をちょうだいし、使いますという話なんですよ。だから環境税的なものじゃないんですかとお問いすると、違いますとおっしゃるんですね。
 鈴木環境大臣は、三月十八日の衆議院環境委員会で、温暖化対策税というのはどういうものかという問いに対して、中央環境審議会の税制専門委員会で現在検討中であり、ことしの夏までに具体的な案を出すことをお願いしている、検討中であり明確にお示しできないが、イメージとして、温室効果ガスを排出する量によって税金がかかる、いわゆる炭素税というふうなイメージで、温室効果ガスを出さないものより出すものの方が高いですよ、こういう感じになるんだと。
 そういう部分で言うと、厳密にそういうものではないとおっしゃる理屈を多分持っておられるんだと思うんですが、実際にはやはり、一般論で言えば、炭酸ガスを出すものは税金を払いなさいと言っているわけです。石炭も入れた、それからLPGもふやすということは。そして、そのことをやることによって歳出においてグリーン化の政策をやります、こういう話になっている。だから、それは環境税じゃないんですかと。
 しかも、温暖化推進大綱で、第一ステップ、第二ステップ、第三ステップと分けましたね。第一ステップには今入っていて、いろいろ、助走期間みたいなものだと。そこで、中央環境審議会の地球温暖化対策税制専門委員会でも、第一ステップという二〇〇二年から二〇〇四年の間では、今まさにここに出ているように、化石燃料・エネルギーへの課税である石油税、電源開発促進税その他の特定財源についても、より一層使途のグリーン化を進め、温暖化対策に資する予算を充当することが考えられるということで、この部分には一定の理解を示しているわけです。しかし、幾ら読んでも税金を集める話は書いてないんですね、余分に取る話は。
 そして、第二ステップ以降ということの中に、温暖化に関係する税制を導入することを検討すべきだということが第二ステップで入っている。そして、課税はすべての化石燃料あるいはCO2の排出を対象とし、課税のタイプとしてはいろいろなタイプが考えられると。課税タイプに応じた具体的な温暖化対策の制度の構築等を検討していく期間が第二ステップに入っている。
 そこで言うと、こういう部分の話の、使途はそれでいいけれども、石油税の部分に関して、かたくなに環境税ではありませんとおっしゃるけれども、実は、この概念の中にやはり含まれていくんだと私は思うんですよ。そう思われませんか。
平沼国務大臣 今回はあくまでも、受益者負担の世界の中で行わせていただいているということが一つと、それから、今までの推移の中で、石油でございますとか天然ガス、そういったものに関しては課税をされておりましたけれども、国内炭の保護というような観点から石炭には課税をされていなかった。そういう意味で、やはりそっちの公平性の面からも石炭にも課税する、そういうことをさせていただきました。
 そして、環境税というのはむしろ、石炭でございますとか、そういうCO2を排出するもののいわゆる絶対量、使用量を削減するというコンセプトに基づいてあるわけでございまして、今回のものに関しては、例えば石炭も今いろいろ努力をして、技術革新をして非常にCO2が少なくなる、そういう一つの技術も開発されつつあります。ですから、そういったことも含めて、それをさらに伸ばすためのインセンティブを与える、そういうことも、我々はエネルギーを所管する役所として、そういうことも含めて我々は考えておりますから、世界的に一般に言われている環境税とそこのところの根本が違っている、こういうことも御理解をいただきたい、こういうふうに思います。
川端委員 そういうふうに言われるけれども、歳出のこの項目を見れば、中央環境審議会地球温暖化対策税制専門委員会の中間報告の中に、まさにこの石油税の部分の使途に関しても、より一層のグリーン化をしなさいというのが第一ステップの話なんですよ。それにリンクしているわけでしょう、当然、ここに堂々と出てきているのは。
 こちらはその部分を引用されるんですよ。そして税収の、集める側においての議論は、結局どういう仕組みかも決まっていないし、インセンティブがあった方がいい、量に比例した方がいいという議論もあるけれども、コンクリートは当然されていなくて、第二ステップで、そういうCO2のトータルとしての排出抑制に資するような税制を総合的に導入することを議論すべきだと書いてあるわけですよ。ところが、それにリンクしているような税制がこちらで先にとられているという形になっているように思えてならない。そして、それは環境税ではない、ないとおっしゃる。
 そうすると、トータルとして第二ステップで、そういうCO2にかかわるエネルギーも含めた当然いろいろな部分で、大きな税制の改革が組み込まれる可能性があるわけですね。そのときにはこの税制も見直されますか。
    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕
平沼国務大臣 第二ステップでそういう議論がしっかりと固まってくれば、その中で私どもは、いろいろな面でぴしっと対応しなければならない。しかし、この第一ステップの中では、環境省との連携をとりながら今申し上げたような考え方で第一ステップはやっている、こういうことでございます。
川端委員 私の感想だけ最後に申し上げたいと思うんですが、いわゆる環境税的なものがこれからの議論になる、そのときにはトータルとして、払う側は一緒ですから、そういうものの中にこれは包含して再整理をされるべきである。それをされると、何か自分のところの特定財源が、財布のコントロール権が薄くなる、だから使い道に関しては、限りなく環境の議論でされている使い道をするけれども、環境税とかでは関係ないものとして集めているんですから、新たに環境税が導入されてもこれは関係がありませんという、財布を温存しようというふうに思えてならないということだけ、それで、今おっしゃった大臣の御答弁は、そういうときには新たにまた幅広に議論されるとおっしゃったので、後ろからの雑音に耳をかさずに、その部分で貫いていただきたいことを申し上げて、最後に御所見だけ伺って終わりにしたいと思います。
平沼国務大臣 国民の負担という観点から、総合的に考えてどういうものがいいか、こういうことを私どもの視点にしていきたいと思います。
川端委員 よろしくお願いします。ありがとうございました。
村田委員長 田中慶秋君。
田中(慶)委員 まず冒頭に、この法案をするわけですけれども、今のような出席状態は、やはり、少なくても、本当の審議をする、審議促進をお願いされておきながら、これでは余りにもひどいんじゃないかな、こういうふうに思います。ですから、とめませんけれども、現実にこんないいかげんなことをいつまでも続けるような形では、やはり、極端なことを言えば、子供たちに示しがつかぬじゃないですか、これははっきり申し上げて。審議拒否じゃないですけれども、子供たちがそれぞれ正規な授業に出ていないようなものですから、やはりこのことをちゃんとしておかないと、これはお互いに議員としてやっておかなければいけないことだ、こんなふうに思います。
村田委員長 委員長からも与党の理事に、定員確保に向けて最大限の努力をするように申したいと思います。努力願います。
田中(慶)委員 そこで、まず大臣に一つ、若干苦言を申し上げておきたいんですが、先ほども、今回の法案の歳入歳出の問題がございました。財金と我が委員会との問題で、それぞれ連携をしっかりとっているのかなという問題があるわけでありますし、昨今の法案を見ていると、何となく、全部大くくりにしてこの際審議促進をしようかなという、こんな意味があるのかどうかわかりませんけれども、非常に大くくりになり過ぎている。
 ですから、今回の問題についても、本来ならばしっかりと、省エネなり、リサイクルなり、あるいはこの電源特会の問題等についても、ちゃんと明確にして法案の審議をしなければいけませんし、あるいは、今用意されてあります下請代金の問題だって中小企業を含めて大くくりにするとか、あるいは化学物質の問題も、揮発油の問題もまた大くくりにしている。
 こういうことを含めながら、何となく、法案を大くくりにしてやっていっているという、こんなところが見受けられるわけですけれども、真剣にこれからのいろいろな政策を議論するときに、余りにも大くくりにしていくと、本当の意味の政策が生まれてこないような気がするんですけれども、大臣、まず、今後、できるだけ大くくりにしないでやっていただきたいと思いますけれども、いかがですか。
平沼国務大臣 いろいろ関連のあるそういう法案というものを、ある意味では、大くくりという表現をお使いになられたわけですけれども、関連あるものをまとめながら、審議のいわゆる効率的な活用、こういう観点である意味ではやっていることも事実かなと思っております。
 いずれにいたしましても、国会対策委員会等、いろいろ国会の場での御議論もいただかなければならないわけでございますけれども、私どもといたしましては十分、そういうそれぞれの法案というのは国民にとって重要な法案でございますから、今言った御指摘のことは我々銘記しながら今後対処させていただきたい、こういうふうに思っております。
田中(慶)委員 実は、そこで申し上げたいことは、今回は、ある面ではエネルギー政策の見直しですよね。ですから、この見直しに当たり、エネルギー政策を取り巻く現状認識をどのようにされているのか。先ほども議論されておりますけれども、環境の問題もあるでしょうし、いろいろなことがありますけれども、しかし、基本政策が今なぜ問題なのか、なぜ見直しをしなければいけないのか、こういうことがあろうと思います。その辺について答弁願います。
平沼国務大臣 今回の見直しというのは、やはり一つは、この二十一世紀というのが、国として、世界として、いかに環境というものを守るかという一つ大切なポイントがあると思います。それをクリアしていくためには、やはり総合的に基本的な政策を展開していかなければいけない、これが一つあります。
 ですから、そういう意味では、一つは、環境省と所管をしてCO2のいわゆる排出抑制というものに力点を置いて、そしてこれの推進のため、この法律でお願いをするということが一点でございますし、また省エネルギーあるいは新しいエネルギー、これも地球温暖化防止にとっては非常に大きな意味があります。さらに、省エネルギー・新エネルギーを進めていきますと、これは当然のことながら、新しい技術革新というものを招来しまして、その結果、新しい産業分野が出てきて、そして今日本に一番乏しい産業競争力、産業活力、こういうものが高まってくる、こういうことも期待できるわけでございます。
 また、石炭に対する問題に関しましても、従来は、先ほど答弁もさせていただきましたけれども、石炭には課税をしておりませんでした。しかし、石炭というのは、ある意味では効率的で安価なエネルギー源でありますし、また、この地球上にエネルギーとして存在をしている埋蔵量というのは非常に膨大なものがあります。ですから、これを有効的に利用していくということもやはりエネルギーの基本政策にとって非常に必要なことだ、こういうことでございまして、現在、その石炭を新しく、二酸化炭素の排出量を少なくして、そしてさらにエネルギー効率を高めるような、そういった技術も開発されつつあります。そういった面で、私どもとしては石炭というものに対しても、やはり税の負担の公平の観点から一定部分、もちろん、石炭課税に対しては、これを原料炭としてお使いになっているところには課税をしないとか、いろいろな特例を設けておりますけれども、課税をさせていただく、こういうことにさせていただきました。
 それからもう一つ、エネルギー政策の日本の基本的な問題として、やはり、例えば石油なんかを一つ考えますと、中東の依存度が八六%と非常に偏っているわけであります。そういった意味で、石油が今一次エネルギーに占める割合が四九・一%ですけれども、やはりこれからはエネルギーを分散してエネルギーの安定供給ということを図っていく必要がある。そのためには、天然ガス、こういったものに着目をして、この一月に小泉総理もプーチン大統領と会談をして、そしてシベリアあるいはサハリンのそういった天然ガスの導入、そういったものも視野に入れてやる。しかも、天然ガスは、これも田中先生も一番よく御承知のことですけれども、石油に比べて二酸化炭素の排出量が少ない、こういったことがありますので、そういった総合的なエネルギーの基本的な政策の中で今回この法案をお願いする、そういう考え方に基づいてやらせていただいている、こういうことでございます。
田中(慶)委員 大臣の考え方はよく理解できます。地球温暖化の問題やら、あるいは長期の見通しの問題などもあるし、セキュリティーの問題もある。しかし、私は基本的に、先ほども議論になりましたけれども、国家ビジョンとしてのエネルギー政策と、エネルギー基本法という問題を議論させていただいたときの問題があるわけですけれども、何か、せっかくいろいろなことをしているときに、基本法がまだ具体的に、今後、夏になるのか秋になるのかわかりませんけれども、そういうものを明確にして、基本法があって初めてそういうものがいろいろな議論をされるんだと思うんです。
 何でもそうです。自然体というのは私はそうだと思うんですよ。幹があって、それから枝葉が分かれるような問題があるわけですけれども、今回の提案、私はなぜ今見直しなのかということも、その一つは、基本法というものが何か分離されてやられているような気がしてならないわけでありますから、やはり、そういうことがエネルギー全体の、今大臣が言ってきたことはわかるんですけれども、ある面ではちぐはぐになってくる、こういうことだと思いますよ。
 その辺を私はセットで考えるべきだと思いますけれども、大臣、どうですか。
平沼国務大臣 私は、おっしゃっている意味はよくわかります。
 エネルギーの政策基本法に掲げられた三つの柱がございます。安定供給の確保、これは先ほどの答弁で言わせていただきました。それから、環境への適合、これもさっきちょっと触れさせていただきました。それから、市場原理の活用。こういう基本原則には私どもはのっとって今回もお願いをしている、その趣旨の中でやらせていただいている、こういうふうに思っております。
 しかし、御指摘のように、やはり夏ごろ、こういうことで申し上げました。非常に多岐にわたっておりますので、今作業を一生懸命進めておりますけれども、我々はこの基本の三原則を踏まえてやっているということは事実でございまして、それは御理解をいただきたいと思いますし、今御指摘の、基本法と並行して、一体としてやるということはそのとおりだと思いますので、作業を急いで、そして私どもは頑張らせていただきたい、こう思います。
田中(慶)委員 私は、いつも申し上げているように、経済の国家戦略なりエネルギーの国家戦略というものをちゃんとしておかないと、そのことがどうしてもちぐはぐになってくる。
 今回も、環境との問題で、御承知のように、地球温暖化、京都議定書の問題がありますね。そして二酸化炭素の六%削減。しかし、九〇年からそれをスタートとすると、今逆に二〇%またふえているんですよ。今の環境は、経済が落ち込んでいるから、ある面では負荷が少ないわけですから、むしろそういう点では、逆に二〇%にならないわけですけれども、現実にはふえている。
 一方においては、エネルギー政策の対価として原子力を推進するといっても、先ほど来の議論のように、今それぞれ、事故で、検査で、あるいは点検で停止をされている、こういう状態でしょう。これはがんじがらめになって、私は基本的な政策としておかしいんじゃないかと思うんです。二〇%上がっていることは事実。そのためにCO2の少ない原子力を推進しなきゃいけない。しかし、それはおかしくなっている。これが現実ですから、このことを考えただけでも、しっかりとしたエネルギー政策を、先ほど消費の問題で、安定供給の問題で議論されました。
 私は、それ以上に一番問題なのは、大臣みずからが責任あるということですから、先般もいろいろな議論の過程で、あのとき保安院の皆さんは、それぞれ現地に向かって、再稼働に向けて、いろいろな話し合いをしている、こういうことであったわけでありますけれども、国家戦略としてのエネルギー政策ならば、私は、むしろ保安院長が行くよりも、大臣がみずから、先ほど、要請があれば行く用意がある、要請じゃないと思うんですよ。むしろ出向いて、それぞれの地元の、あなたが行くことによってこれに対する理解が多くなるわけだし、議会も、大臣が来て、国のエネルギー政策という形の理解、こういうことを含め、ちゃんとしていかないと、原子力政策そのものもおかしくなってしまう。
 かねて、この委員会で議論されたプルサーマルの問題のときもそうだったと思うんです。住民投票のときに、しっかりと、結果が出る前に、いろいろなことで、これは国の政策なんだから大臣みずから行ったらどうですか、何か、パンフレットを配ったり、全戸配布したとか、いろいろなことがありました。本来ならば、総理が行って、国のエネルギー政策としての取り組みをしたらどうなんだ、こんな議論があったと思います。
 しかし、今は、この委員会を通じて議論していても、要請があれば、こういうことであるので、今回のいろいろな問題等についても、私は、少なくても、大臣のいろいろな取り組む姿勢がもう少し積極的に、前向きにやった方がいいと思うんですが、大臣、どうですか。
平沼国務大臣 今御指摘のように、京都議定書で、一九九〇年を起点として、そして、さらに六%削減しなければいけない、これは御指摘のように大変大きな負担になると思います。
 それで、日本の場合には、産業界というのは、これも田中先生御承知のように、頑張っておりますけれども、民生と運輸部門で非常に伸びてしまっている。そういう中で、我々としては、やはり原子力発電というものは、もちろん安全性をしっかりと担保するということが大前提でありますけれども、先ほどの答弁でも触れさせていただきましたように、百三十万キロワットの原子力発電所を一基つくることによって二酸化炭素の排出量を〇・七%削減できる、したがって、十基つくれば七%の削減につながる、こういう意味があります。
 ですから、そういうことを、やはり国民の皆様方にも、安全性を前提として、しっかりと説明責任を果たさせていただいて、理解をしていただく、このことを私は積極的にやらせていただきたい、こういうふうに思っています。
 それから、そういう状況の中で、やはり、エネルギー所管の責任者としてもう少し前向きにやれ、こういうことでございます。
 私も新潟の柏崎刈羽には行かせていただいたことがございますし、そして今回も、私は、必要とあらばいつでも行く用意がございます。そして、これは言いわけじゃございませんが、この前の原子力保安院長が行ったときは、そういう現地の方々に報告をさせていただくということで行きまして、これはたまたま国会の日程とダブるときでございまして、私は、四月に入りましたけれども、責任者として、御指摘のように前向きにこれはやらせていただかなければならない、そして、電力の途絶が起こらないように、やはり御苦労いただいている、そして心配していただいている立地の皆様方にしっかりと説明責任を果たしていきたい、このように思っています。
田中(慶)委員 必要があらばということじゃなく、別に揚げ足をとるわけじゃないですよ、そういう形で、やはり、予算委員会も大切でしょうけれども、大臣の日程に合わせれば向こうだって受け入れるんですから、そういう形でやっていくことがいろいろな諸問題の、あるいはまた原子力のこれからの再稼働につながっていくわけですから、そのことをぜひ、あなたの姿勢としてやっておいてほしい。
 それから、今回の石油税の問題、石炭税の問題等にしても、ある意味ではこれは新税なんですよ、はっきり申し上げて。何か、経済大臣として、税の問題についての取り組みが私は若干おかしいんじゃないかなと。今これだけ厳しい状態で、税そのものがいろいろな角度で、極端なことを言えば、全部値上げムードになってきている、こういうことだと思いますよ。
 今回のエネルギー税制の見直しも、やはり景気や産業に、経済に与える影響が大きいと思うんですよ、はっきり申し上げて。例えば、産業界、鉄鋼や化学、セメント、紙パルプ等々を含めて、電気、ガス、少なくてもこういうところに与える影響があり、なおかつその結果、国際競争力の配慮が、私は、万策を何らかの形でやっていかないとおかしくなってくるのではないか、こんな心配をしておりますけれども、大臣、どうですか。
平沼国務大臣 産業界に対する影響についての御指摘だったと思います。今回の石油税の見直しに関しましては、私どもとしては、産業界への影響というものに対しては最大限の配慮をしたつもりでございます。
 具体的には、まず石油税の負担構造の組みかえとあわせまして、電源開発促進対策特別会計の歳出を原子力、水力、地熱といった長期固定電源への支援に重点化することに伴いまして、電源開発促進税につきまして所要の減税を行うことにしました。エネルギー使用者全体としての負担に極力配慮したつもりでございます。
 産業界への影響につきましては、原料用の石炭についてはその代替が非常に困難だ、こういうことで、製品価格に占める石炭コストの割合も高いものですから、御指摘のありました国際競争力への配慮が必要である、こういう観点で課税を免除させていただいております。
 それから、激変緩和の観点から税率変更を段階的に実施する、こういうこともさせていただき、また、省エネルギーのための設備導入ですとか、技術開発の支援とか、工業用ボイラー等の天然ガスへの燃料転換支援などの歳出面の対策を講ずることによりまして、新規に負担を求める石炭多消費産業の負担等に配慮する、こういう形で私どもはやらせていただいた、こういうことでございます。
田中(慶)委員 いずれにしても、日本の今の経済情勢がやはり大変厳しい状態なんですから、ある面では、景気対策を含めて、それがすべてプラス思考でいかないと、私は、担当大臣としておかしくなってしまう、こういうことだと思いますよ。
 ですから、ずっと見ていると、小泉総理が行っている経済運営のことを考えてみますと、何か逆に、プラス思考じゃなくマイナス思考、結果としてそれで景気がおかしくなっている、こんなことが感じられるものですから、今回の問題についても、景気に対する、あるいはこれからの国際競争に対する取り組みというのは十分配慮していかないといけないだろう。最悪の状態を本当にあなたたちは実感をしていないんじゃないかな、こんな感じを受けてならないわけでありますので、ぜひそのことを肝に銘じながら、これに対応していただきたいと思っております。
 それから、今回の法案の中で、ガスシフトの加速化という形で燃料転換の問題がありますけれども、そういう中で、政策としてはLNGの増税ということになりますよね。これも私は、ある面では矛盾があるのかな、こんなふうに思うんですよ。矛盾していると思うんですよ。そうでしょう。地球温暖化やCO2に優しいからLNGを使う、しかし、それにまた今度課税する、ちょっとおかしいと思うんですよね。その辺をどう思いますか。
平沼国務大臣 経済産業省におきましては、昨年来、京都議定書の批准を踏まえまして、エネルギー分野における地球温暖化対策、その充実強化に早急に取り組む必要がある、こういう認識を持っております。そしてまた、もう一方では、エネルギーセキュリティーをしっかりと対策を講じて、そしてこの安定供給を含めて日本のエネルギーセキュリティーを確保していかなければいけない。そういったことで、省エネルギー・新エネルギー対策の拡充、天然ガスへのシフト、こういったエネルギー政策、歳出構造の見直しを行わせていただきました。
 そして、いわゆる今回の石油税等の見直しは、こうしたエネルギー政策の見直しに伴って、歳入につきましても、再三御答弁しておりますけれども、エネルギー間の負担の公平を図る観点から見直しを行わせていただきました。
 具体的には、石油特別会計において実施されている諸施策の財源というのは、言うまでもございません、受益者負担の原則のもとに、石油に比べLNG及びLPGの消費者により軽い負担を求めてきたところでございます。
 しかし、一方、歳出面については、今後、工業用ボイラー等における天然ガスへの燃料転換を促進するための支援の拡充、それからまたGTLですとかあるいはDMEの開発利用の促進、こういったことも非常に大切でございますし、さらには、日本近海にも大変埋蔵量があると言われておりますメタンハイドレート、こういったものの開発支援というのも非常に必要なわけでございます。
 ですから、天然ガスシフトの加速化を着実に進めていくとともに、やはり地球温暖化対策、そして安定供給、エネルギーセキュリティー、こういう観点から私どもとしては、御指摘の点は、確かにそういう意味では、LNGそしてLPGをふやしていくのには、むしろ税を上げるというのはいかがなものか、こういう御指摘はその意味ではそうだと思いますけれども、しかし、同時に、全体を高めていって、そしてそれをいわゆる日本のエネルギーの政策上、大きく安定的に伸ばしていくという観点から、税の公平な負担という面もありまして、させていただいたということを御理解いただきたいと思います。
田中(慶)委員 僕は、担当大臣としてやはりそれはおかしいと思う、はっきり申し上げて。片方は環境でやろうといろいろな形で促進して、そして転換をしたエネルギーがLNGである、だから、それがまた税的に安いからそこにまた課税をする、取る側の発想しかないんですよ。今の日本の税はみんなそうですけれども、やはりそれはおかしいと思うんですね。環境に優しく、いろいろなことをしてやっていこうという政策と、そしてそのためにLNGを使う、そうしたらまたそれに税金をかける、こんなばかなことは、あなたも政治家なんだから、やはり、そういう役人の言うことを聞くのではなくして、もう少しそのことを前面に打ち出していく必要があると思いますよ。
 特に、今回だって、その矛盾もありますが、それだけじゃないんですよ。例えば、立地交付税の問題とってくださいよ。その立地交付税の支援対象を、重点化という形で、例えば原子力、水力、地熱、こういう形になるんですけれども、あなた先ほど言った石炭、CO2対策を含めた石炭をと。ところが今度は、この新設火力は支援対象から今回除外されているんですよ。あなたが言っていることとこれと矛盾していませんか。これを除外しているんですよ、はっきり言って、火力は。
 ですから、やはり――その後ろのあなた、余計なこと言わないで、政治家としての議論をしているんですから。私は政策問題をやっているんですよ。だからほかの人たちは要らないと言っているんですよ。余計なことしなさんな。
 こういう矛盾があるんですから、大臣も気がつかないことがあると思いますよ。でも、一方において言っていることと矛盾しているんですよ。こういうものを含めて支援しよう、そして、あなたの答弁が先ほど、石炭もCO2にも優しい、それは、石炭というのは火力なんですよ。ところが、今回火力が削減されているんですよ、その対象外に。おかしくないですか。
平沼国務大臣 私申し上げたのは、やはり石炭のイノベーション、技術革新、そういう中で、今新しい燃焼方法等、これが開発途上にあります。そういうものにはどんどんインセンティブを与える、そういう意味で私は申し上げました。
 そして、今回、石炭火力が除外されているじゃないか、こういうことですけれども、私どもは、大きな考え方で長期の固定電源というものに、エネルギーの安定供給ということを考えれば、インセンティブをより与えることが大切だ。したがいまして、そういう技術に基づいて石炭火力というものが現実の問題になってくれば、そういうものの範疇に入れることは当たり前のことだと思っております。
田中(慶)委員 今の原子力も、永久にこれは、安全対策とかいろいろな形、あれは暫定ですからね、はっきり申し上げて。それにかわるべきエネルギーが生まれてくれば、そして、今石炭を初めとして新しくいろいろなことを、セキュリティーを含めていろいろな努力をされている、そのときに、この新設の火力を入れておかないということ自体は、私は手落ちだと思いますよ。そのことをはっきり指摘しておきます。
 やはりトータルとして、あなたが言っている将来のエネルギー、そしてあなたが言ってきたこと、矛盾するんですよ。ですから、これも今回の、今ここに二法案出されておりますけれども、改めてこれは、つけ加えていた方が将来にわたって整合性がある、私はそう思っておりますので、本来ならば修正をしたいところでありますけれども、今回は、はっきり申し上げて財金と我々との相違、歳入の段階で私たちは財金の問題で反対をしましたから、全体で。ですから、申しわけないけれども、そのことについて、本来ならば、賛成するときであればそういうことを含めて修正をしたかったんですけれども、残念ながら、これはやはり一貫性があるものですから反対せざるを得ない。しかし中身は、今議論させていただいたようなことを含めて、だから大くくりじゃない方がいいですよということを申し上げているわけでありますので、そのことを含めて今後対応していただきたいと思います。
 以上で終わります。
村田委員長 中山義活君。
中山(義)委員 大臣とは、通産大臣に就任したころ、私、ちょっとアメリカのエネルギーに対する戦略性ということで議論をしたことがありまして、通産大臣のその当時、今はもう省の名前が変わりましたけれども、あの当時、アメリカの戦略性ということを、オレンジ計画だなんだと平沼大臣から聞いたような気がするわけです。やはり、アメリカという国が超大国で、非常に戦略性を持っていろいろなことをやっているということがよくわかるわけですね。
 経済の面でも、ヤング・レポート以来、やはり日本をどういうふうに経済的に対応するかということで、BIS規制だとかISOだ、または不良債権の回収をブッシュさんが森さんに言ったとか、あの当時も随分ありましたよね。二〇〇二年までに不良債権を全部なくす、その後小泉さんも同じような約束をしたと。そうやっていろいろな意味で、経済的にもアメリカが日本に圧力をかけてくる。そういう面では、特にエネルギーの問題についても大変戦略性が高い。
 例えば、石油で考えてみれば、ベネズエラの問題は、アメリカは相当、次の戦争をしかけるんだったら、ある意味じゃ北朝鮮じゃなくてベネズエラじゃないかとか、そんな話まで出ていたくらいですし、メキシコ湾からカナダからカスピ海から、すべて石油はこういうふうに自主採掘のようになり、いろいろなルートを保ってやっているわけですね。しかも、じゃ中東依存どのくらいかというと、一四%ぐらいなんですね。いかに全世界にそういう石油のシフトを張りめぐらしてあるか。また、石炭もアメリカに二百年ぐらいはいつでも継続できるぐらいのものを蓄えているとか、いろいろな意味でアメリカがそれだけ戦略を持ってやっているわけですね。
 だから、今回の戦争においても、やはり超大国アメリカが何らかの戦略でやっているような気がして仕方がないんですが、日本はただそれに追従していくだけではやはりまずいわけですね。日本が独自にアジアの石油であるとか、もっと戦略的にアジアを動かしていけないのかどうか、こういうことも考えると、もうちょっと大臣の口から、いや、実はこういう戦略を持ってアジア全体を巻き込んでいきたい、こういうふうに発言があっていいと思うんです。
 例えば、備蓄の問題なんかは、特にリーダーシップをとって日本がやっていくべきだと思うんですね。この辺から始めていって、アジアのエネルギーというものをやはり日本が少し牛耳っていく、または日本がリーダーシップをとっていく、この辺を、お考えがあれば聞かせていただきたいと思うんですが。
平沼国務大臣 そういう戦略性を持ってやるということは、非常に大切です。
 アメリカの例をお出しになられました。例えば、アメリカなんかは、今イラクと戦争をしておりますけれども、実際はイラクのいわゆる輸出量の半分をアメリカが買っていたというような、そんな話もございまして、そういう意味でも非常に戦略的だな。日本はイラクからは、幸いといいますか〇・三%というようなことでございまして、大変戦略的な国だと思います。
 今、備蓄に関しての戦略、こういうことでどうか、こういうお話なんですが、実は、昨年の九月に大阪で私が主宰をいたしまして、いわゆるIEA、石油の消費国の対話をさせていただきました。そのときに、OPECの皆様方も、消費国が大阪でやるんだったら合わせてやろうという形で、非常に異例のことでしたですけれども、産消が一堂に会した、そういう国際会議が開かれました。
 その中で、私どもは、やはりアジアというのは非常に大切だ、こういう観点で、私が呼びかけまして、そしてASEANプラス3、これは日本と中国と韓国、プラス3が入りまして、日本の備蓄は百七十一日ある、そして韓国も備蓄はしておりますけれども、その他の国々はほとんど、先生御承知のように備蓄をしておりません。ですから、一たん緩急あったときに、一国だけの備蓄ということでは事が完結できないわけです。例えば、ASEANとも中国とも韓国とも、それぞれお互いが補完関係にありまして、一国で石油の途絶が起こりますと即それぞれの国の経済にリンクをしている問題であります。
 そこで私が提唱をいたしまして、ASEANプラス3で備蓄の一つの会合をつくっていこう、こういうことで全員の賛成をいただきまして、実はきのうたまたま、私のところにインドネシアのエネルギー・鉱業大臣が来られてもおりましたけれども、もう既に事務的な会合は進んでおりまして、また四月にはさらにこれを拡大してやる、四月十日、十一日にそういう形でさらに拡大会議が行われ、そしてこれから具体的なことについて、備蓄に関するASEANプラス3の枠組みをつくっていって、そしてお互いに協調体制を持って備えていこう、こういう形で努力をさせていただいている、こういうことでございます。
中山(義)委員 私どもは、アメリカにだけ顔を向けているんじゃなくて、やはりアジアというものを相当意識してもらいたいと思うんですね。特に中国は、国家備蓄も一応ない、民間備蓄もないと言われているわけですね。しかも、輸入国になってからもう久しいわけですね。この戦争によって何が起こるかわからないような状況ですよね。だから、今は確かに石油の値段は安定していますが、戦争の状況によっては何が起こるかわからない。パニック状況が起こる可能性だってあるわけですね。
 そういう面で、私どもは、やはり中国に対してもうちょっと影響力を行使してもらって、これを契機に何らかの形で石油に関してもっと中国に対していろいろなことが言えないのかどうか。何か、今の国家の考え方を見ていても、特にアメリカとの問題が一番大きく今クローズアップされていますが、やはり後ろを向いてよく考えれば、日本はアジアの一員なわけですよ。このエネルギーの問題というのは、やはりリーダーシップをとるいいチャンスだと思うんですね。
 だから、端的に言えば、日本はサハリンの方へ向けてパイプラインをつくる、しかし、それでは需要が日本の中ではまだ足りない、その場合には、アジアというものを意識して、サハリンからLNGを輸入するなり、またガスとしてパイプラインを引くなり、いろいろな発想が出てくると思うんですが、アジアというものを意識しないと、ちょっと日本の中の今のLNGの需要や天然ガスの需要というのは、足りないと思うのですよ。だから大きな事業がなかなか成り立たない。サハリンから持ってくるにしても、日本がもっと総需要を高めなきゃならないということですね、天然ガスやなんかの。
 そういう面でも、アジアというものをリードして何かやっていく気持ちがやはり経済産業省に必要だと思うんですが、いかがですかね、その辺。
平沼国務大臣 重要な御指摘だと思っています。
 私どもは、やはりアジアというものは、例えば、北米にNAFTAというのがあり、EUは共通の通貨までつくって、そして、十カ国さらにふえて加盟して、巨大な一つの大きな経済圏ができる。そういう中で東アジアということを考えたときに、やはり東アジアだけでも人口が二十億人を数えるわけでありますし、それから、現時点のGDPも積み上げていきますと、日本が大宗を占めますけれども、しかし七兆ドルのそういうGDPがある。そして、それぞれ非常に発展力、潜在力がある。こういう形で、やはり日本がリーダーシップを持ってやっていかなきゃいけない。
 中国もASEANに向かいまして、自由経済の連携協定を結ぼう、こういう提案をし、小泉総理も同様に、これはほぼ同時期に、こういう経済連携をしよう、こういう形でそれは進んでいるわけであります。
 ですから、私どもは、やはりアジアに、中国との連携も密にしながら、しかし、何といっても日本が一歩、二歩先を行って、リーダーシップを持って、そしてその中でいわゆる中心的な役割を担っていくということは絶対に国家戦略上必要なことでございます。
 私どもは、例えばシンガポールで最初のFTAをやりましたけれども、これをさらにもっともっとアジア諸国に拡大をして展開していく、こういうこともやっていかなきゃいかぬと思いますし、いわゆるパイプライン、天然ガスのお話をされましたけれども、これもことしの一月に小泉総理がプーチン大統領と会談をしたときに、中山先生もよく御承知ですけれども、ここでお互いに共通の認識を持ちまして、そしてパイプライン構想、こういうものをつくりました。
 そういう中で、今これは煮詰めの段階に入ってきていまして、一つは中国の大慶に至る中国のルートと、それからナホトカに抜ける太平洋のルートがございます。それからあと、サハリンの沖に一号、二号という大変有望な天然ガスが既に開発されています。
 こういったことを総合的に考えて、需要の喚起という面がありました。しかし、太平洋側のナホトカにできますと、これは例えばアメリカの西海岸まで視野に入れることができるわけでございますから、そういったことも含めて、我々は、やはり国のプロジェクトとして、そしてアジア圏のそういう一つの大きな布石としてやっていかなきゃいけない。私、おっしゃるとおりだと思っておりまして、経済産業省がイニシアチブを持ってやらなきゃいかぬ、こういうふうに思っています。
中山(義)委員 今まで石油公団という会社がありまして、そこが石油のことについてはリーダーシップをとってやっていたやに言われているわけですが、実は、いろいろ借金を抱えたり、とんでもない負債を持っているということで、やはり大きな問題があったわけですね。これは国が主導していくのか、やはりそういう民間会社にやらせていくのか、国家プロジェクトというような意味合いが私どもよくわからないんですよ。
 例えば国内の需要をふやすにしても、ガス会社と電力会社があります。これは相互乗り入れを最近はするようになってきて、恐らく、電力会社がガス会社をやったり、ガス会社が電力会社をやるような時代が来ると思うんですね。そうしなければエネルギーのうまい活用ができていかないような気もするわけですが、本当に日本だけでLNGの需要がふえていくのかどうか、いわゆる天然ガスがパイプラインで入ってきたとき、ガスとして。そのときに、それだけ需要が喚起できるのか。
 例えば車の場合、天然ガスを活用した、なるべく排気ガスが、環境に優しくするためには、やはり天然ガスを活用した方がいい。ところが、じゃ日本全国に天然ガスのスタンドなんというのをつくれるのかどうかとか、いろいろな作戦が必要なわけですね。だから、そういう戦略なくして、ただサハリンから、サハリン1が有望だ、サハリン2が有望だといっても、需要もないのに持ってこられないわけですよ。
 だから、私は、日本の需要とアジアとの関係でどういう戦略を持ってやっていくかということがないと、これはまた、石油公団じゃないですけれども、全然先行きがわからなくて、国との連係プレーもよくわからないし、国の持っている戦略をそういう企業がやるのか、または企業に勝手にやらせるのか、その辺をちょっとお示しいただきたいんです。
 それからもう一つ、さっき言った、中国が国家備蓄がない、それから民間備蓄もない。これは、中国とはもうしょっちゅう頻繁にエネルギーについては意見を交換しているのかどうか、その辺もちょっと。
平沼国務大臣 天然ガスシフトに関しては、インフラの整備、そういうものは非常に大切だと思っております。天然ガスの利用促進をエネルギー政策上の重点的な課題に位置づけて、さまざまな取り組みを行っておりまして、国内に関しては、例えば老朽火力発電所や産業用のボイラー等の石炭等から天然ガスへの燃料転換の推進、こういうことをやれば相当需要が出てくると思います。
 それから、ガスコージェネレーション、これも最近いろいろ、例えばコンビニなんかで利用するようになってきました。こういったことの利用を進めていく。それから、天然ガス自動車等の導入促進、これはやはりインフラも伴いますけれども、これもやらなきゃいかぬと思っております。それから、高効率の小型の天然ガスコージェネレーション、こういうものを私どもはやっていかなきゃいかぬと思っています。
 日本はやはり自由主義経済の国ですから、私は、小泉総理が言っているように、民間の活力を最大限活用しながら、そして経済効率を高め、経済の活性化を図っていく、これが基本だと思います。しかし、そこにやはりエネルギーですとか今言った天然ガス、こういったものは、国が基本的なそういう一つの戦略部分というものをやはり打ち立てて、その中で、自由な競争原理の中で力が出るような、そういう仕組みをつくっていくことが私は日本では必要だと思っております。アメリカなんかも、そういう戦略と自由主義経済というものを協調させながらやっているということは事実です。
 そのためには、やはりそういう産業が自由に活動しやすい、そういう規制緩和でございますとか税制ですとか、そういった条件整備をしていくということは絶対に必要だと思っています。
 それからもう一つ、中国とのそういう意思の疎通ですけれども、これは資源エネルギー庁のそういうレベルの中で、特に昨年の九月からそういう備蓄の問題でお互いの認識が確立できておりますから、これは頻繁に行われている、これからもやっていかなければいけない、こう思っております。
中山(義)委員 エネルギーの問題はやはり経済にとって相当大きな問題ですし、本当にアジアで日本が存在感を示すいい機会だと思うんですね。ぜひこれは、備蓄がゼロなんという国が隣にあって、日本の消費量を上回っていくというような大きな、今世界の工場が隣にあって、そこがとんでもない問題を起こしたら、やはり波及効果というのはとんでもない形で日本に起きてきますから、中国との話し合いというのはやはり頻繁にやる必要があると思うんですね。それによって、また中国と日本とのエネルギーを通じたかけ橋ができてくるんじゃないか、ぜひ続けていただきたい、このように思うんですね。
 それと、先ほどお話がありましたとおり、インセンティブはやはり、さっき税法だと言いましたけれども、原子力の問題でも、先ほど国家がどこまで、それから天然ガスの問題でも同じだと思うんですね、やはり国家がどこまでやるか。
 パイプラインで引く場合には、これは乗数効果のすごい高い公共事業だと思いますよ。また亀井さんの名前を出して申しわけないんですが、亀井さんがよく、五十兆円だとか、やはり財政出動が今の景気の中で必要だと。その中で、乗数効果の高い公共事業というのは、探していきますと、天然ガスのパイプラインを引くというのは極めて乗数効果の高いものだと思うんですね。そういう面で、ある一番太いパイプラインは、ここまでは国が公共事業としてということも考えられると思うんですよ。
 私は、エネルギーの問題は、原発もそうですが、やはり相当国が責任を負わないと、これは大変な問題になってくると思うんですね。毎日毎日、新聞を読んでいると、東電の方では、いやマイナスで実は一五%、要するに九百五十万キロワットは必ず足りないんだと。この間はゼロだったはずなんですよ。急に今度マイナス一五%になったり、何だか知らないけれども、毎日毎日の新聞記事から見る限りにおいては、国民が非常に不安になる要素ばかりですよ。
 現実は、じゃ国がどうやって管理していくか、いや絶対大丈夫だと大臣が胸をたたけば安心するんだけれども、これは本当に民間にこのまま任せておいて、彼らの口から出る、ゼロだ、マイナス一五だ、こんなことを報道させておいていいんですか。国民に不安を呼び起こすようなことになりませんか。
 もし逆に、わざとマイナス一五だと言っておいて、早く原発立ち上げろという、そういう世の中の世論を沸き上がらせる、そういう作戦か、または節電とかそういうことをやるためにあえて言っているのか、その辺はちょっと、国民によっては間違ったとらえ方をするといけないから、ゼロだかマイナス一五だかはっきりしてくださいよ。新聞によって違ったり、これはすごく国民にとって不安だと思いますよ。これはどうなんですか、ゼロなんですか、一五なんですか。
平沼国務大臣 いろいろの想定でそういうことになっていると思っています。
 私どもが一番心配しておりましたのは、この二月ぐらいの冬場の最需要期、ここは古い火力発電所を急遽立ち上げる、あるいは他の電力会社から融通してもらうという形でしのいでまいりました。現時点は不需要期でございます。しかしこれが、一年に二回需要期があるんですが、夏の一番のピーク時というのは今までの記録でも大体六千三百四十万キロワット。それと、今全部とまった、そういうところを想定しますと、今の事業者が言った数字に相なると思います。
 ですから、私どもとしてはもちろん、そういう厳しい状況にあるということを国民の方々に御理解をいただくことは必要でございますし、また、いかなる場合でもエネルギーをむだに使わないということもこれは大切ですから、節電を呼びかけさせていただくということも私どもは並行的にやることが必要です。ですから、そういう意味では、余りおどかすような、それからまたデータが違うようなことはないように私どもは努力しますし、また、そういうデータが出たときにはしっかりとした裏づけというものも同時に、こういう状況の中ではこうですよと説明責任は果たしていくべきだと思っています。
 そういうことで、この午前中来の御質疑の中でも、今原子力発電所の停止の中で、この夏どうなるのか、本当に国民の皆様方が心配されていますし、また、私どもに来る海外からのお客様もこういうことを御存じで、その辺の状況を聞かせてくれというような話もよく出ます。ですから、世界も心配していることでございまして、私としては、責任者として本当に、これは絶対に電力のいわゆる断絶が起きないように、私どもは最大限努力をしていきたい、こういうふうに思っています。
中山(義)委員 最近、社説を見ても、できる限り国民の不安を解いて、国民によく説明をして、原子力発電を早く再稼働させるべきだというような記事がよく出ています。それに何かバックアップするような、逆に不安をあおって、早くやらせようという世論を喚起するのかななどというふうに勘ぐるような記事ですね。だから、やはりもうちょっとちゃんとしたデータで言ってくれないと私は困るんですね。
 夏の高校野球をやっているころが一番ピークだとよく言われるんですが、高校野球をやっているときに、野球の選手はみんな汗水流しているんだから、冷房をとめて、我々も汗水流してテレビを見ろと。だけれども、そういうような状況よりも、現実問題としてはもう冷房をがんがんかける、そういう生活になれてしまっているんですよ。電気だってつくのが当たり前。
 私は体操教室をやっていて、子供を合宿へ連れていったりなんかしていたんですが、ファイアストームをやるとき、全く暗くなるという状況をほとんど知らないんです。だから、本当に電気が消えた暗さというのは、まずほとんど子供たちは知りませんよ。だけれども、電気がついているのが当たり前だという社会になっているわけですから、もし切れたときの混乱というのははかり知れないものがあると思うんですね。
 私は、そういう面では、安定供給という問題と安心というか安全というような問題、これはやはり絶対ないがしろにはできないんですが、このデータをまともに言って、変な不安をかき立てたり、また、そういう世論を使って早く稼働させるというような意識がもしあったとすると、危険だなという気がするんですね。その辺は、ぜひ慎重にお願いいたしたいと思います。
 それから、先ほどちょっと天然ガスの問題でお話をしたんですけれども、天然ガスを引いてくるというのは、一つは、税法や何かのインセンティブも必要なわけですね。さっき、何だ、天然ガスの税金を取ってと。要するに、石炭から天然ガスへというシフトがうまくいかないのじゃないかというような税のかけ方だという論議をされていましたね。私もそう思うんですが、天然ガスにシフトしていくとすれば、そういうインセンティブを税法というのはやはり考えなければいけないんじゃないかと思うんですよ。
 例えば土地を流動させるとすれば、土地を売買しても税金をなるべく低くするとか、例えば国債を買わそうと思えば、お年寄りが国債を買った場合、それをお孫さんに渡す場合は一切相続税はかけないとか、そういうふうにやれば、税がある意味では物を買ったりするインセンティブになっていくわけですね。そういう面では何か余り、石炭から天然ガスにとか、石油から天然ガスにというようなシフトというのは、税金そのものから見ると余り描かれていないような気がするんです。さっき言った全体の戦略の中で、その戦略と税がぴったり合っているのかどうか、もう一回確認したいんですが。
平沼国務大臣 確かに、そういう御指摘の点というのは考慮していかなければいけない問題であると思います。
 しかし、先ほど来この件で議論させていただきました。例えば石炭を一つとる、あるいは天然ガス一つとっても、これをしっかりとしたイノベーションを起こし、インフラを整備して、そして国が必要なものをきちっと関与してやっていくというためには、やはり相当な経費がかかるわけであります。ですから、そういった技術革新でございますとか、新しいインフラ整備ですとか、そういったものに関して、やはり負担をしていただきながら総体的に伸ばしていく、こういう視点で、私どもはもう一つの視点、税の公平化、こういう形でやらせていただきました。
 しかし、これが将来的に本当に基幹的になって、本当にこれにもっとインセンティブをつけなければいかぬというときには、我々としては、当然考えの中に入れていかなければいけない問題じゃないかな、こういうふうに思っています。
中山(義)委員 そこで、一つはいわゆる安定供給という問題ですね。もちろん安全ということはあります。次は、やはりCO2を出さないという問題ですね。最後に、自由化というような問題もありますね。
 この三つは、どれが一番重要かと聞けば、いや、どれも重要ですというお答えになると思うんですが、この税の中で、重点を置くとすればどこに重点が置かれているのか、ちょっとよくわからないんですね。さっき言ったように、石炭にも税金をかけてガスにもかける。何かちょっと、よく目的がわからないといいますか、安定供給とCO2を出さない、自由競争、この三つは戦略的にはどういう位置づけになっているのか、一回整理をしてお話しいただきたいんですけれども。
平沼国務大臣 これは基本法の三つの柱でございまして、ちょうど、かなえの軽重を問う、こういう言葉がありますけれども、まさにそういうものでして、どれが太くて重いかということじゃなくて、それぞれが非常に重要な意味があると私は思っております。
 エネルギーですから、これは安定供給というのは絶対に必要なことです。安定供給のためには、やはりあらゆることをやっていかなければいかぬ。それから二十一世紀は、いかにこの地球環境を守っていくかということが人類に課せられた課題でありますから、その視点も非常に大切でございます。それから消費者の立場に立てば、自由な競争の中で、それは一定の、一つの監視は必要ですけれども、自由な競争の中で、いい競争の中でコストインセンティブが起こって、そして安価なエネルギーが確保できる。
 ですから、どれがということではない、この三つをやはり中心にして、しっかりとした政策展開をしていかなければいけない、このように思っています。
中山(義)委員 少なくとも、アメリカは京都議定書を批准しないわけですね。中国もそうですね。そうなると、あの二つの国は安定供給と自由競争は一生懸命やっているけれども、CO2を出すということについては、ちょっと非常にひどいことをやっているわけですよ。日本は三つを何とか、今言ったように、何とか三つ一緒にやろう、これはエネルギーの基本法の中でそういうふうにやっているんだと言いましたけれども、これはやはり、CO2を出さないという問題だけに関して言えば、各国が地球というものを守る同じような立場に立っているわけですね。これだけはちょっと私も、もしそういうふうにおっしゃるならば、これは是が非でもアメリカを口説くとか中国を口説くとか、そういう活動をやはりしなきゃならないと思うんですね。
 そういう面で、先ほどの、まずアジアだけでもしっかりやっていこう、発展途上国も含めて、やはり日本がリーダーシップをとるということが大事だと思うんですよ。中国とそれをやらないと、いわゆる自由競争、安定供給、そしてCO2を出さない、これはすごく、我が国だけがCO2を出さない、あとの二つはと、ちょっとこれはおかしいと思うんですね。我が国だけが三つやって、よその国はやらない、これは勝負にならないわけですよね。アジア全体の、先ほどいろいろな会議があると聞きましたけれども、その辺の共通認識というのはどうなんですか。
平沼国務大臣 アメリカは、CO2の全世界の排出の四分の一を排出している最大の排出国です。やはり、このアメリカが京都議定書に参画をしないというのは、御指摘のように大変大きな問題です。アメリカはアメリカとして、自分たちは京都議定書に入らないけれども、我々は別の面でのそういう温暖化対策をやっているんだ、こういうことを言っています。しかしこれは、この枠組みに入ってもらうことが大前提ですから、機会あるたびに日本はアメリカにそのことは慫慂をしている、こういうことでございます。
 それから一方、中国は、人口十三億の国でございまして、そしてさらに、毎年経済成長率が七%とか八%、大変でございまして、石油も、向こう二十年を考えたときには、全世界の石油量のふえる分の半分以上は中国一国だ、こういうふうに言われています。そうなりますと、大変な二酸化炭素の排出ということもありまして、これはやはり非常に大きな問題です。
 ですから、中国が今回WTOにも加盟をした、そういう形で体制が整って、ある意味では世界の自由貿易、そして自由経済の共通の土俵に上がってきたわけですから、日本も、もちろん環境省も働きかけておりますけれども、我が方も事あるたびに働きかける。また、日本だけじゃなくて世界からも働きかけて、中国も、そしてさらには人口十億を擁するインドもそういった形で参画をしてこないと、本当のこの京都議定書の精神は生かされない。そういう意味では、アジアの枠組みの中で日本が一番努力をしていかなければいけない、こういうふうに思います。
中山(義)委員 この質問も、先ほどいろいろ細かい点については個々に質問があって、田中先生も、最後は基本法に戻ってという話がありましたけれども、我々も、やはりこの問題はそういう、日本の国だけで独自の抱えている問題もありますけれども、やはりこのアジア圏で物を考えていかないと今後は済まないと思うんですね、すべてが。
 それで、今回の戦争においても、それは北朝鮮が脅威だったということで、それが主な理由で、日本は安保条約というものについて、やはりこれをしっかり考えながら日本はアメリカを支持したという形になっていますが、超大国アメリカが、だからといって何でも自由にできるわけじゃないわけですね。やはり同じ立場に立って、CO2を出さないという立場に巻き込んでいったり、確固たる日本の立場を見せるには、このエネルギーの問題はいい問題だと思うんですよ。
 それから、アジアのリーダーシップをとるについても大変重要な先進国だと思うんです、エネルギーに関しては。原子力もそうだし、それから、天然ガスにかえていくというような、少しでも環境に優しいエネルギーを使っていこうということもすごく先進国だと思いますし、備蓄に関してもそうですよ。非常に安定供給という面に関してもそう。いろいろな部分で日本がこのエネルギーに関しては先進国なんですから、やはり多くの国を巻き込んで、ここでこそ存在感を示すべきだと思うんですね。その辺はぜひ大臣にもお願いしたい、このように思います。
 それから、今までは、エネルギーの四九%は、全エネルギーの半分近くを石油が担ってきたわけですから、どうしてもその石油を掘ったり石油を売買する会社というのは、日本にとって民間企業の中でも大事な役割ですね。
 それで、最近、ジャパン石油の問題がよく出てくるわけですが、この会社はもともと、今の中東の石油にほぼ対応していろいろやっているんですが、中東の石油というのは自主採掘してもロイヤルティーがすごく高いとか、もう中東じゃもうからないというような話も随分あるわけですね。そこに相当金をつぎ込んで、現実的には失敗した。最近では民事再生法を申請して、ちょっと計画倒産じゃないかというような話まで出ているわけですよ。要するに、民間の資本も入っていた、そういう資本は全部一回抜いちゃって、また石油公団が出資した、一〇〇%で、第二の石油公団になって同じようなことをやるんではないか、こういうふうに言われているんですが、その辺、いかがですか。
平沼国務大臣 ジャパン石油開発というのは、私も現地のアッパーザクム油田へ行きましたけれども、アブダビにおける恵まれた埋蔵量を有する我が国最大の石油自主開発プロジェクトです。このアッパーザクム油田なんというのは、メジャーが見向きもしなくて、非常に掘りにくいロケーションにあった。東京二十三区ぐらいの岩盤、岩の中にしみていたのを、日本が苦労して、努力をして、そして最近は日本が開発した技術が発達をしましたので、あと百年とれる、こういうような、非常に大変なそういう技術の蓄積があるわけでございます。
 ただ、債務が累積をしているということは事実でございまして、これはやはり、為替の変動と設定をした油価とのそういうバランスの中で、不本意なことに財務状況が悪化していることは事実でございます。したがいまして、民事再生手続によりまして債務の処理をしまして、引き続き、これから百年あるわけでございますから、アブダビにおける油田操業を担うにふさわしい財務的に健全な企業として、早期に再生が図られることを私どもは期待しているわけでございます。
 先般取りまとめられました石油公団資産評価・整理検討小委員会、小委員会を開いて答申をいただきました。その答申によりまして、ジャパン石油開発はやはりそういうポテンシャリティーがあるから、債務を速やかに処理した後に中核的な企業の一部を構成すべきものだ、こういう結論をいただきました。中核的企業というのは、横文字がはやっておりますけれども、ナショナル・フラッグ・カンパニーとして、そういう役割を担った自立的な企業として、効率的な海外の権益の獲得でございますとかエネルギー供給の実現を通じて、我が国エネルギー安定供給の効率的な実現に貢献していくことが期待されているわけでございます。
 こういう答申を踏まえまして、必要な民間株主等の合意を得つつ、中核的企業形成に向けた必要な処理を進めてまいりたいと考えておりまして、以上のことから、今御指摘の、第二石油公団をつくる、こういうために仕組まれた、こういうことではないということをひとつ御理解をいただきたい、このように思っております。
中山(義)委員 民事再生法のいいところも悪いところもあるんですが、悪いところは、そこの役員や何かがかわらないというところだと思うんですが、この間の産業再生法のところでも、ある企業を再生する、これは大変な事業だと思うんですね、再生させるというのは。それで、やはり事業そのものが千三つと言われていて、千掘って三つしか当たらないという石油を今後もやっていくとすれば、また赤字が出る可能性もあるわけですよ。そういう会社と、どっちかといえば優良会社である国際石油開発とサハリン石油ガス開発、これをまた一緒にして、特に国際石油開発というのは民間の資本も入っているわけで、そういうところが果たして一緒に、これは経済産業省が恐らく音頭をとってやるんでしょうから、やるときに、一方の会社が、民間の資本が入っている会社が果たしてそれを快く受けて、産業再生法じゃないけれども、すばらしい企業に生まれ変わって、本当に世界というか中東で存分に力を発揮できるのか、その辺がよくわからないのです。
 この辺、ちょっと決意を述べていただいて、私たちもずっとこの十年見守っていきたいと思うんです。これは今、完全に覚えていますからね、私も。これは、もしおかしなことがあったら、そのことは絶対に僕は責任があると思いますね。三社を合体させてジャパン・メジャーをつくるんだということだと思うんですよ。だけれども、これが本当に世界で活躍できるのか、その辺の考え方をちょっと述べていただきたいと思います。
平沼国務大臣 私どもは、必ずこれが中核的な企業として活躍をしてもらわなければならないと思っています。そういう意味では、今まで確かにいろいろ代価も大きかったわけですけれども、先ほどちょっと御紹介したような、例えば油田の探鉱に関しても大変な技術ポテンシャリティーを持っていることであります。それから、例えば三次元の地震探査なんというのも日本が非常に大きな技術を持っています。そういうものが総合されるわけでございます。
 したがって、千三つということを言われましたけれども、確かに不確かな世界であることは事実ですけれども、では、現実に世界の中で、巨大なメジャー以外で中核的にちゃんとやっている企業がないかといえば、そうじゃなくて、イタリアにもフランスにも、規模はメジャーの何分の一かですけれども、そういうリスクを負いながら立派にマネージしている、そういういわゆる上流部門をやっている企業があります。
 ですから、私どもも、そういう今まで培った技術とノウハウ、そういうものをやはり効率的に投入して、そして、今まではどっちかというと親方日の丸で来ましたけれども、民間のそういう一つの力、活力、民間の考え方、こういうものをやはり中心に据えて私どもは運営ができると思っておりますし、しっかり覚えておく、こういうふうにおっしゃいましたけれども、覚えておいていただいて、結果としてよかったなと、こういうふうに私どもは育てていかなければいけない、こういうふうに思っています。
中山(義)委員 とにかく、アジアでの日本の存在感といいますか、これを示すには、やはりアジアの中でのエネルギーの戦略的な計画がなきゃいけないと思うんですね。そういう面で、今後ともアジアを、エネルギーは我々は先進国だ、絶対引っ張っていくんだ、こういうつもりでやっていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。
村田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
村田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。後藤斎君。
後藤(斎)委員 午前中に引き続きまして、経済産業大臣に、二法案並びにイラクの問題も含めてお聞きをしたいと思います。
 午前中もお話がありましたように、本日で、イラクへの武装解除を目的とした米英軍の開戦状態が十三日目を迎えております。いろいろな資料をひっくり返してみますと、三月のちょうど開戦の日、当面の対策ということで、経済産業省も、イラク関係問題対策本部というのを、大臣が本部長になって、備蓄の活用、産油国への働きかけを含めて、八項目にわたって取りまとめをされております。
 ただ、今まで、この数日間、イラクの問題を大臣にお聞きをしておりますと、三月十八日のカタールのエネルギー大臣アティーヤさんとのいろいろなお話はよく出てくるんですが、何か、その後の話が大変少ないようにちょっと感じております。
 全体として、確かに現時点ではイラクのこの開戦状況が日本経済に直接的に大きな影響を与えているとは言えない面はあると思うんですが、これから、短期という終結のシナリオが、この数日間の世界じゅうのマスコミの報道を見ていますと、シナリオが崩れる可能性大ということで、中長期の形も含めて考えていくべきだ。特に、この数日間の我が国の経済界のトップと言われている企業の経営者の方の見方も大変厳しい状況になっている。直接影響はまだないものの、これから、個人消費も含めて、非常に心理的な問題が、長引けば長引くほど悪くなっていくということも言われております。
 現在、十三日目ということで、これから短、中、長という終結のシナリオがあるにしても、日本経済に与える影響をどのように大臣はお考えになられて、それについて、備蓄というのはまた後ほども触れさせていただきますが、どのような対策をとられようとしているのか、まず冒頭お聞きをしたいと思います。
平沼国務大臣 イラクの問題というものに関しては、私は、昨年の秋遅くだったと思いますけれども、やはり経済産業省としてもいろいろ対応策を講じておかなければいけない、こういうことで対応を命じました。
 その中で、いろいろな形で、一種の想定、シミュレーションというものをさせていただいた。そのベースになりましたのは、アメリカのシンクタンクのCSISでありますとか我が国のいろいろなシンクタンク、そういったものを経済産業省なりに把握をして、分析をして、短期、そして中期、長期、こういう形で、いろいろな場面を想定して準備をしてきたところであります。
 私は、二十日の日に、いわゆる武力行使が行われたんですが、御指摘のように、OPECのアティーヤさんのお名前を出されましたけれども、同時にサウジアラビアの方にも連絡をとりました。そのときには、絶対に日本には心配はかけない、こういうしっかりした返事をいただきました。
 実は、きのう、またアティーヤさんに電話しようと思いましたら、ちょっと今、出張しているという形で、私、あした彼とは連絡ができる、こういう状況ですから、いわゆるOPECとしての最新の情報は、あした彼とじかに話し合っていろいろ入手したいと思っています。
 そういうことで、短期に終わった場合には、これは後藤先生も御承知だと思いますが、短期、大体一カ月とか一カ月半以内、長くても二カ月、こういうことであれば、日本のGDPあるいはアメリカのGDPというのはマイナスにならずに、むしろ若干プラスになるかなというような、そういうデータも出ておりますし、油の価格も高騰することはないわけであります。
 しかし、御指摘のように、昨今の情勢を見ますと、なかなか膠着状況がある、こういうことで、これが中長期化しますと、やはり、アメリカなんかは、御承知のように、十万人のいわゆる戦力アップをする、そういう形で、例えば減税法案なんというものも半分にして戦費の調達、こういうような形で、膨大な戦費がかかるというようなことも出ています。
 そういったことになりますと、アメリカ経済というのも非常に厳しくなってきますし、また、輸出立国の日本にとっても大きな影響が出てくる。長期化すればさらに原油の値段が、そういうシミュレーションでは八十ドルぐらいになるんじゃないかというような見通しもあります。
 もちろん、長期化をして、戦火が拡大をして、例えばサウジアラビアの積み出し港、そういったものが破壊をされる、そういうような事態ですけれども、今のところは我が国のタンカーの安全も非常に支障なく運航ができている、こういうことでございます。
 私どもとしては、短期に終わってくれるということを最大限望んでいるわけでありますけれども、中長期にわたった場合には、それぞれ、それが日本の経済にどういうふうに対応するか、どういうことをしなければいけないかということも、事細かにシミュレーションしているところでございます。
 そして、備蓄との関係でございますけれども、備蓄は、御承知のように、今、国が持っている分が九十二日、そして民間の備蓄分が七十九日、百七十一日分あるわけです。これは、IEAとも連絡をして、消費国の連携の中で、石油市場を見ながら、需要動向を見ながら、その放出等は考えていかなければいけませんし、また、消費国サイドだけでもこれを決めるべき問題じゃございませんですから、やはり、産油国側とも連携を密にしてこれを決めていかなければいけません。そして、これが中長期化して、そういう事態が来ましたら、私は、国際連携の中で私が決断をしてやらせていただかなければならない、こう思っております。
 そういう意味で非常に、ちょっと雑駁な御説明になりましたけれども、私どもは、短期で推移する場合にはそう大きな影響はない、中長期的な場合には、やはりいろいろなところで支障が出てきて、そしてそれが株価に反応したり、いろいろな面で経済としては非常に大きな悪化要因になる。ですから、そこのところは十分警戒しなければいけない。その中でも、やはり、エネルギーを担当している我々としては、エネルギーの安定供給というものを第一義にまた考えていかなければならない、そんなふうに思っているところであります。
後藤(斎)委員 大臣は、今のお話では、短期に終結する際には余り大きい影響はないということで、その方向に向けていろいろな御努力をなされるという御趣旨だと思いますが、実際、既に、今回のイラク戦争状況ということで、三月二十日から、大変早い段階で、航空業界や旅行業界並びに、海運は先ほど大臣も触れられましたようにとりあえずまだ大丈夫だというお話なんですが、いろいろなキャンセルが相次いでいる。定期便も、ヨーロッパ便、アメリカ便を含めて、大変減便をしているというお話も聞いております。
 ゴールデンウイークという、日本人にとって、これから四月末から五月にかけて、旅行、観光業界は大変大きな需要期に当たると思うんですが、現時点でどのような影響が出ているのか、国土交通省の方にお聞きをしたいと思います。
鷲頭政府参考人 お答えさせていただきます。
 先ほど先生御指摘のとおり、イラク戦争で、テロによる恐怖感等もございまして、ビジネスの出張だとかあるいは旅行を控えるなどの心理的影響というのが出てきております。
 それで、現在の私ども国土交通省関係の状況でございますが、エアラインの関係では、JALグループが戦争開始前に、四月の国際便の計画を立てるわけですが、それが、五百三十二便ということで計画したわけですが、実際には、戦争後、八%減便、四十四便を減便するというような、少なからぬ影響を受けております。それから旅行関係でございますが、主要十五社の三月の海外主催旅行、パック旅行の取り扱い人数は、速報ベースで対前年度比約十数%という減少になっておりまして、これもかなりの影響を受けております。海運につきましては、先ほど先生もお話がございましたとおり、現在のところ、配船等に大きな影響は生じていないというふうに承知しております。
後藤(斎)委員 今の国土交通省さんのお話のように、大臣、実際影響が出ている業界もございます。確かに、縦割りという中で、経済産業省は知らないよということにもなかなかならずに、三月二十日にはイラク問題対策本部、これは総理が本部長のものが設置をされております。ここには全大臣が本部員になるという定めもございますし、何よりも、私は、確かにまだ二週間足らずだということで、それほど大きな影響はないにしても、やはり、備蓄機能もそうですが、年間数千億の備蓄の費用を使って、とりあえず国民全体に、百七十一日という石油備蓄を持ちながら、安心、安全の二つを提供しているということだと思うんです。
 これはまさに、第二次石油ショック以降のいろいろな苦い経験から、それだけの国民的なコストを支払ってもいいというコンセンサスの中でできたものだと思いますが、だからこそ、何をするかということが今確かに言えないにしても、例えば民間の経営者の方、財界の方を含めて、大臣、もっと積極的にいろいろな意見交換をしたりする必要も私はあるのではないかなと思うんです。確かに、海外の方では大臣はお電話をなさったりしているというお話は先ほどもお聞きをしていましたが、国内の方の経済界とはどんな連携を、対話をされているんでしょうか。
平沼国務大臣 私は、例えば経団連の会長さんとこの問題でさしで会談したということは、武力行使が始まってからはございませんが、ただ、経済財政諮問会議等の場では常に御一緒いたしております。ですから、そういう中ではいろいろこの問題についての話というのはなされるわけであります。
 ただ、役所といたしましては、やはり昨年の秋遅く以降ずっとこの問題に取り組んできましたから、それぞれの業界、それぞれの業種、そういったところにはそれぞれ対応する部局が対応して、きめ細かな連携をとって、そしてそれに基づいて一つの経済産業省としての対応策、こういうものを出しておりますので、それは不断に連携をとっている、こういうことでございます。
 私も、必要があればそういった形で、後藤先生が言われるように経済界の方々ともしっかりとした連携を今後とっていかなければならないかな、こういうふうに思っております。
後藤(斎)委員 これに関連してちょっと、質問通告していなくて大変恐縮ですが、三月二十日の当面の対策の中で、省エネ対策の徹底を四項目めでお述べになっていると同時に、六番目で本省、経済産業局において相談窓口の開設という、二項目が、掲載というか、確認をされております。
 省エネについては、今週の月曜日から衆議院の議員会館でも、共用部分、廊下とかを、ちょっと暗くなって、二つに一つずつやって、これは衆議院の事務局の方にお聞きをしますと、半灯だけすると、廊下部分だけで、衆議院は会館が二棟ございますから、年間で百三十万円省エネ、節減ができるというふうなことになっているようです。何かもう少し数字が出てこないかなと思うんですが、二棟で百三十万です。
 経済産業省として、省エネ広告をやるやるという話で広告はなさっているようですが、実際どんな形で、経済産業省が率先をして政府全体で、この省エネの対策をイラク開戦以降やられているのか。並びに、六項目めで記載をされておる窓口相談、具体的にどんな相談があったのか。簡潔にちょっと御紹介をいただきたいと思います。
岡本政府参考人 省エネにつきまして、一つは、首都圏の電力需給をにらんで、私ども、昨年十二月以降、節電キャンペーンというのをやらせていただいてまいりましたが、それに加えまして、イラクへの武力攻撃が始まりましたものですから、先週木曜日に省エネに関する関係各省の次官レベルの会議を開いて、省エネの一段の強化ということで各方面への働きかけを強めたところでございます。
 相談窓口につきましては、私どもの資源・燃料部の流通課及び全国の経済産業局の中に、相談窓口を二十日に開設いたしました。実は私ども、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、今回の事態を受けて、石油について、こういうことですから量の点については大丈夫ですよ、そういう情報を丁寧に国民の方々に提供すべく、ホームページを直ちに開設いたしまして、そういう情報提供も一方でやっているわけですが、相談窓口の方は、これまでのところ、実は思ったほど相談の件数は参っておりません。最初の段階では、需給に関するお問い合わせが十数件ございまして、その後、末端の価格についての相談、問い合わせが数十件寄せられているという今の状況でございます。
後藤(斎)委員 後ほど東電の問題でもお聞きをしようと思ったんですが、今長官がお答えいただいたように、確かにやっているということは、大臣、よく理解できるんです。ただ、やはり数字の目標設定というのが、確かにしにくい面がたくさんあると思うんです。ただ、先ほども御披露しましたように、電灯の照明を二つに一つだけつけるということで百三十万、冷暖房を、冷房を二十六度から二十八度に設定すると、第一、第二の議員会館で年間六十七万円。確かに、この二つ、電灯の照明を少し減らすのと冷暖房の設定を上げるので二百万ということで、大した数字にはすぐなりませんが、これを政府全体で、地方の通産局、いろいろな関係各省の出先も含めて、本当に徹底してやっていくのか。やはり数字の目標設定がなかなかないと、何を政府はコマーシャル料ばかり使ってやっているんだということにもなりかねないと思うんです。
 その点、大臣、後でもちょっと確認しますが、今回のイラクの問題での省エネ対策の徹底等々を考えて、具体的な目標設定を政府全体でやって、まずみずからできるところからやろうということはお考えにならないんでしょうか。
平沼国務大臣 一九七三年のオイルショックのときは、これは大号令のもとで、例えば銀座のネオンは全部消しちゃうとか、いろいろなことをやりました。私は、先生おっしゃるように、目標設定してやっていくことは非常に望ましいことだと思います。
 ただ、今の段階、私どもは、そういうPRをさせていただいて、皆様方の関心を喚起すると。まあ、夏の最需要期を控えますと、これは今非常に深刻な事態になっていることは事実です。ですから、例えば今お示しいただいた議員会館だけでも、そういう半分に点灯することによって二百万というものが省エネできるということは非常に大きな意味があると思います。
 ですから、今はテレビですとか雑誌ですとか新聞を通じてキャンペーンをしておりますけれども、こういう目標を設定するということもやはり視野に入れて、私どもは今後考えていかなければならない、こういうふうに思います。
後藤(斎)委員 ちょっと順番を逆にしまして、東京電力の話が今ちょっと関連をしていますので、そちらの方をまずお聞きしたいと思います。
 午前中も同僚議員の方から、九百五十万キロワットを本当に具体的にどうするんだというお話もございました。いろいろ考えていくと大変難しい数字の達成だということは言うまでもございません。午前中のお話でも、東京電力の十七基の原子力発電すべてが四月の十五日までにとまるという話でございます。九百五十万キロワットとなると、逆算をすれば九基から十基はどうしても再開をしなければいけない。いろいろなめどを、大臣みずから出かけていってやるというお話もございますが、今まだ、東電さんがみずからやられている新聞の広告、政府広報も含めて、そこまでの切迫感が国民全体に本当に伝わっているかどうかというとまだそうではないのかなと。
 通常の株式会社で考えられないようなことを、今東電さんも、できるだけ節電をしてくださいと、マーケットを縮小するような、いわゆる本当に苦肉の策の中で全力を尽くして、保安院も含めて対応なさっていることは十二分に理解ができます。理解ができるからこそ、これからの住民説明をどうきちっとしていくのか。
 確かに、今までの、昨年来のいろいろな隠ぺい、これは私も農水委員会で、別のBSEの問題でずっと対応してきましたが、一回行政や会社がその信頼を失うと、それを回復するには多大な労力と多大なコストがかかります。BSEのときで三千億以上の予算を補正で組んで対応して、ようやく一年間かけて対応ができた。今回一年間を待つと、本当に電力パニック、要するに、一部の電力がとまるということだけではなくて、政治経済の、要するに首都圏が、経済活動も瞬時かもしれませんがストップをするという大変な問題もはらんだ事件。
 これは冒頭もお話をしたイラクの開戦の問題、そしてこの東電の問題、そして後ほど触れますが、十五年度の供給計画、これも東電の問題から発生をした原子力のこれからのやり方、すべてがかかわって、この半年くらいの間に集中的に発生をした。これは私も、BSEのときにも農水委員会で当時の武部大臣に何度もお話をしてまいりましたが、全く同じことがこのエネルギー政策の部門で今起ころうとしている、これをどう切り抜けるかということが、大臣、私は非常に大きな大臣に与えられた役割であるというふうに思っています。
 今まで東京電力が、節電キャンペーンも含めてどれだけのコストを使ったか具体的には承知をしておりませんが、かなり莫大なものになり、なおかつ石油を使った火力発電にかなりを切りかえたりしているということで、コスト増になっていることはもちろんだと思います。
 この幾つかの重なった要因を、大臣、どういうふうに今とらまえて、これからエネルギー政策の中でどういうふうに今回の事例を生かしていくのかというのが、私は、この「エネルギー政策の見直し」という、この二月につくられたものを、それぞれが「エネルギーを巡る情勢の変化」、「セキュリティ戦略再構築の必要性」、これは確かに地球温暖化防止というものは現状に入ったにしても、三十年前と多分そんなに変わっていないと思うんです、現状認識は。これも後ほど細かく触れますが、石油公団がスタートをしたときの大目標が何だったかということを考えても、それが実際に達成をされなかったことで、この数年間で大きな見直しをしてきた。
 戻って、このイラクの問題、そして東京電力から始まった平成十五年度のエネルギーの供給計画の見直し、二〇一〇年の部分が、原発十基から十三基が結局九基にならざるを得ないという状況をどういうふうにとらまえておられるのか、それで、それをこれからどう生かしていくのかということを大臣にお尋ねしたいと思います。
平沼国務大臣 原子力基本法の中で三つの柱があります。いずれも重要な柱でございまして、今の御質問にかかわっている問題ですけれども、いかに安定的にしっかりとエネルギーを供給するか、それから二十一世紀対応として環境の問題、それからやはり電気を使う方々に対して健全な形での自由競争の中でコストを安くしていく、そういう三つの柱があります。
 私どもとしては、今回の東京電力の原子力の事案というのは非常に大きな意味があると思っています。それはもう後藤先生も御指摘のように、自主点検部分でのいわゆるデータの改ざん、それから虚偽の報告、こういったことで非常に、国民の皆様方が原子力に対していろいろ問題意識を持っておられた、その問題意識をさらに深めるような、そういう信用失墜に結びついて、結果的には、今、東電の十七基のうち十六基がとまり、この四月中旬には最後の一基もとまるという、そういう事態に相なっているわけです。
 しかし、国は安定供給という形でずっと進めてきたということは、やはり最悪のこういった事態も当然想定をしていかなければならなかったわけですけれども、ここまで一事業所の中ですべてがとまるというのは、非常に、これはある意味では残念なことですけれども希有の出来事だったと思っています。
 ですから、我々は、そういう中で相当余裕率を持って、そして原子力、それから火力、それからさらには水力、一部地熱、そういうような形でバランスよくエネルギー供給を行う、こういう形でやってきましたけれども、今回そういった形で非常に希有なことが起こってしまった。私は、これはやはりしっかりとした教訓に据えてやらなければならない。
 現時点で起こっている状況に対しては、私どもとしては、やはり一日も早く、国民の皆様方に安心をしていただいて、そして休止中のものを立ち上げる、このことに最大限の努力をする、このことだと思っておりまして、そういう意味では、小委員会から維持基準に対しても一つの考え方を出していただきました。ですから、それに基づいて、既に事業者も、そして我が方も説明責任を果たさせていただき、行動を開始させていただいています。
 こういったことをやはり着実にやっていくということが必要なことだと私は思っておりまして、今回のことを最大限の教訓として、やはりエネルギーというのは安定供給が大切ですから、バランスよく、そしてそういう厳しい局面に対応したときも、ぎりぎりの余裕を持って切り抜けられるような体制をつくっていくということが基本になければいかぬと思います。
 そういう意味で、今回お願いしている法律の中でも、例えば天然ガスに重点を置くということもその基本的な考え方でございますし、また、今はわずか一%にしかすぎませんけれども、新しい新エネルギーというものも、これも伸ばしていくこともエネルギーの安定供給にとっては必要だと思っています。
 それから、今問題があります原子力発電、これは、今非常に厳しい局面でございますけれども、安全性をぴちっと担保して、国民の皆様方の御納得をいただければ、やはり効率の面からいっても、それから三本の柱の環境保全の面からいっても、いわゆる発電過程においてCO2の排出がゼロでございますから、こういったこともやはり伸ばしていく。ですから、天然のエネルギー資源に恵まれていない日本としては、やはりエネルギー源の多様化ということもこれからの進むべき道だ、こういうふうに思っています。
 そういう中で、十基から十三基が建設を予定していた、そういう原子力発電所が、今御指摘のようにいろいろな事情でこれが下方修正せざるを得ない、大体九基ぐらいが、こういうような今の状況です。ですから、私どもとしては、所定の計画どおりに十基、十三基というのは達成できませんが、一方においては、原子力発電所の効率を高めることによって、十年度に予定をしていたそういった発電量は確保できる、こういう見込みを持っています。
 ですから、そういったことも含めて、そして、さらにこの原子力というのはこれからも基幹エネルギーとして必要でございますし、あるいは核燃料サイクルというものも天然資源のない日本にとっては必要な手法でございます。これは繰り返しになりますけれども、安全性をしっかりと担保するということを前提に、私どもは、総合的に、バランスよく、そして、こういう非常に非常事態が来たときも今回のことが起こらないような、そういったことを私どもは念頭に置いてしっかりと進めていかなきゃいけない、そういうふうに思っているところでございます。
後藤(斎)委員 大臣のおっしゃることは九九%よくわかります。ぜひそんな形でやっていただきたいんですが、一点。
 大臣が今おっしゃった原子力につきましては基幹型エネルギーと、私もそうだと思います。ただ、今までの一基百万キロワットという巨大なものが、今まで、効率というものと安定供給という多分その二つを先人たちがいろいろな工夫をなさって巨大化をした原子力発電を、大規模集中型と称していいと思いますが、それをこれからは、新エネルギー利用法も昨日から施行になっております、いろいろなものを絡めて、まあ補完型というと何か将来に未来がないみたいな言い方で語弊があるかもしれませんが、今は、少なくとも基幹型のエネルギー源を補完するようなものに、私は、小規模で水力発電みたいなものがあると。
 大型なダムをつくると、どうしても四十年か何十年かたつと埋まって、何もその利用価値がなくなる。むしろ中小河川というのは、日本は山をたくさん持った、逆に言えば非常に恵まれた立地の中で、必要性がこれからますますあって、一部、いろいろな電力会社の子会社もマイクロ水力発電事業というのを新規展開しております。
 こういうものが、今回の法律改正も含めて、いろいろな融資対象にぜひなっていくことを望む中で、今ちょっと触れさせていただきました、ちょうど昨日から施行になった新エネルギー利用法の中で、一点、問題点がこれから出てくるとしたら、要するに、義務を果たさない電力会社でも、これも法案審議のときにも話がございましたように、大変な義務を課せられるとコストがかかっていく、では罰金百万円払った方がいいよというふうなことになりかねないと思うんです。
 これも質問通告がしていなくて大変恐縮なんですが、コスト増よりも罰金支払いの方がいいというふうなことも一部言われておりますが、その点についてはどのような形で臨まれるんでしょうか。
岡本政府参考人 中小水力につきましては、私ども、電源特会の中でその中小水力の設置についての補助をいたしますとともに、今先生御指摘のRPS法の対象にすることによって、電気事業者による新エネ利用目標の内数としてカウントするということを契機にして、中小水力の、特に小さいものの利用の拡大が進んでいくものと私どもは期待をして、利用目標の中にもその部分は織り込んでいるところでございます。
 電気事業者が罰金云々という点については、少なくとも私どもこれまで接している限り、そんなことで考えている人はおりませんで、かなりのコスト負担になるということを覚悟の上で、それぞれ精いっぱい、新エネ利用目標の達成ということに向けて、みずから設備を持つか、あるいは新エネの発電事業者の方々が遠隔地等でつくられたものを、そのメリットの部分を買うというようなことを通じて、とにかくまともな方向で、利用目標の達成に向けて、各社懸命にこれから努力をしようとしているところでございます。
後藤(斎)委員 ぜひそんな形で促進を見守っていただければなと。
 続きまして、石油特会の剰余金についてお尋ねをしたいと思います。ちょっと話が飛んで大変恐縮なんですが、すべて関連をしておりますので。
 平成十三年度の会計検査院の決算検査報告書を見ますと、「石油等勘定」の部分で、「資金の滞留を解消するための措置を検討する必要がある」という指摘をされております。これは、先ほど若干触れさせていただきました、現在石油公団が行っている石油備蓄事業、実際発動をしておりませんから、その部分が予算執行しなかったことが主な要因だということもございます。
 現在のこの石油特会の剰余金の現状と、今のような理由だと思うんですが、これからこれは解消していくことが必要だとお考えでしょうか。それとも、このままとりあえず続けていくということで進んでいるんでしょうか。
岡本政府参考人 石特会計、十三年度決算で千八百二十億円の剰余金でございますが、うち千五百十億が石油対策にかかわるものでございます。
 その主要な内訳としましては、備蓄で緊急時に放出いたしますと、備蓄原油というのは、為替レートが平均しまして百八十円を超えている、そういうこともありまして、放出しますと、時価、簿価の差が出てくるということで、それに備える予算というのを毎年計上しているんですが、備蓄を放出しませんと、その部分が使われませんので、そういったことを中心に、備蓄の関係で六百二十億。それから、自主開発の関係で大きなプロジェクトの採択を見込んで予算を組むわけでございますが、不幸にしてそういうものが、実際に日本が権益を取得できなかったという場合には、その関係の公団の投融資に絡む予算の執行というのが不用になりますものですから、そういうもので四百四十億。それから、その他の事業の徹底的な節約ということで三百億というのが主要な内訳でございます。
 先生お尋ねの、私ども、この状態はノーマルとは考えておりませんで、十四年度、十五年度で石油対策の予算の効率化というのを大幅に進めた次第でございますが、これからもその方向に向けて鋭意努力をしてまいりたいと考えております。
後藤(斎)委員 今、この石油特会の部分で六百二十億が石油備蓄の放出にかかわる経緯だというお答えがございました。
 これに関連をしまして、いろいろお話を聞いていますと、確かに、百七十一日の備蓄というのは、今のような、冒頭お話をしたようなイラクのこういう問題も含めて、今の国際的なエネルギー環境という点では必要だと思います。
 ただ、根拠条例とか、いろいろお話を聞いていますと、価格高騰には放出はしないんだと。石油備蓄法には、量で不足をした場合のみ放出をするというお話でございます。実際、備蓄の保有する単価をいろいろ見ますと、一番高い単価でキロリッター五万五千円を超すものから、一番安いものでは一万一千円台のキロリッターで、簿価単価がございます。
 いろいろな、これからもっと工夫をしながら、この石油備蓄というものを、過去三十年余り一回も発動をしたことがない。六百二十億を単純に例えば三十で掛けますとその数字になりますので、それが適切かどうかといえば、私は、冒頭もお話ししたように、今まで正しかったと思うんです。ただ、やはり価格状況も含めて、私はこれからやっていく必要もあるんじゃないかなと思うんですが、これは法律事項で、石油備蓄法の七条の三項にそういう規定がございますから、まあすぐには大臣がどうこう、それは立法府のお仕事ですと言われればそれまでなので、あえてお聞きはしませんが、そういう点もあるというふうに、ぜひ、また改めてお話をしますが、御認識も含めて、思っているということを覚えておいていただきたいと思います。
 最後に、午前中に、中山委員からもジャパン石油開発の問題について指摘がございました。大臣、ちょうど三月末の石油公団資産評価・整理検討小委員会の部分を引かれて、ジャパン石油開発、非常に優秀な会社なので、債務が整理されたら即、これからもきちっとした手当てをしていくんだというふうな趣旨の御発言がございました。ただ、石油公団、いまだにいろいろな問題点があり、一兆三千億とも言われておる不良債権をこれから具体的にどう処理をするのか、できるだけ売却資産を高くしてその資産圧縮に努めていくという国会答弁も大臣の方から以前ございました。
 このジャパン石油開発の民事再生法の適用、これは、結局は負債総額が三千億を超えるということで、できるだけこれからもきちっと手当てをしていくということになると石油公団の全額出資子会社にいずれなるであろう、中核企業の一つになっていわゆる和製メジャーで、大臣のお言葉を借りればジャパニーズ・フラッグ・カンパニーということになるのかどうかわかりませんが、二〇〇五年の三月末に石油公団が廃止をされる間に多分このジャパン石油開発というのが石油公団の資産処理との絡みも含めて何らかの処理をされて新たな、新しい会社が特殊会社になるのかどうかわかりませんが、整理をされていくと思うんですが、その見通し、そして大臣がおっしゃったジャパン・フラッグ・カンパニー、これからどういうふうに経済産業省として育成というか対応をしていくのか、最後にお尋ねをしたいと思います。
平沼国務大臣 先般取りまとめられました石油公団資産評価・整理検討小委員会答申で、ジャパン石油開発は、債務を速やかに処理した後、国際石油開発株式会社、それからサハリン石油ガス開発会社とともに中核的企業の一部を構成すべき、そういうものとすべきだ、こういう答申がございました。私どもは、必要な民間の株主の合意を得ながら中核的企業形成を促進してまいりたい、そして必要な処理をしていかなければならない、こういうふうに思っております。
 また、一昨年の末の閣議決定で石油公団は廃止をする、こういうことになっております。そして、リスクマネーの供給でございますとか技術開発等、今後とも石油開発のために国が行うことが必要な支援機能につきましては、新たに設立される独立行政法人を通じて実施をする、こういうスキームになっております。
 石油公団資産評価・整理検討小委員会の答申にもございますとおり、新独立行政法人によるリスクマネー供給は、過去の反省の上に立って戦略的開発案件の推進など明確な指針を持って支援案件の採択を行い、重点的かつ効率的に行われるべき、こういうふうに答申をされていますから、これをしっかり守っていかなければならないと思います。
 そういう意味で、私どもはこのジャパン・フラッグ・カンパニー、こういうのはあくまでも民間の活力を生かしながら、やはり日本のエネルギー政策上必要な中核的なそういう企業として育成をしていかなければいけない、こういうふうに思っておりまして、最後のところで申し上げたやはり過去親方日の丸でずさんなところがございましたから、そういったことがないようにしっかりと監督をして立派なものに仕上げていく、こういうふうに思っております。
後藤(斎)委員 終わります。ありがとうございました。
村田委員長 松野頼久君。
松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。
 大臣、この法案の審議に入る前に私のライフワークなんですが、ちょうど先週、三月の二十四日に全国で地価公示がありました。全国平均で六・四%、住宅地で約五・八%、商業地で八・〇%、これは十二年間連続の下落なんですね。
 この間、総務副大臣を呼んでこの委員会の一般質疑でも十分やったんですけれども、やはり来年度の固定資産税の額というのが非常に気になるんです。私も地元に帰って商店街を歩いたり中小企業の皆さんに聞くと、本当にこれは不景気で売り上げも上がらないし、お客さんも減ったし、ただ固定資産税だけは賦課課税なんでもうかっていようがもうかっていまいが取られる、これは、本当に今苦しいんだということをおっしゃっているんです。ですから、どうか大臣、中小零細企業を助ける所管の経済産業省として、どうか内閣の中でしっかり、確かに地方財政、大変だと思いますが、何も地方税の五二%を固定資産税に偏る必要はないわけですから、どうか声を上げていっていただきたいということと、ぜひその決意をお聞かせください。
平沼国務大臣 松野先生がライフワークとしてこういった地価の問題、それから固定資産税を含めたいろいろな税制の問題に取り組んでおられるということはよく承知をしておりますし、敬意を表させていただきます。
 御指摘のように、三月二十五日に国土交通省から地価公示が発表されまして、商業地において、ただ一部、本当の一部限定の銀座ですとかその辺はちょっと上がっているようでございますけれども、下落をして、十二年連続というのは御指摘のとおりでございます。
 御指摘のように、固定資産税については、地価が下落をしているのに依然として据え置かれている、こういうことは中小企業の皆様にとって非常におつらいことだ、こういうふうに私どもは理解しております。
 そういう中で、今もちょっとお触れになりましたけれども、一方、これはやはり市町村税の主要な、そういう形で基幹税になっていることも事実でございます。
 ですから、私どもとしては、中小企業を預かる身としては、やはり中小企業の皆様方のそういうお声というものをしっかりと踏まえながら、閣内でも中小企業に立つ立場としていろいろな形で意見も言わせていただき、一生懸命頑張っていきたいと思っておりますし、また中小企業に対しては、それだけではなくて、セーフティーネットを張るですとかいろいろな対策も講じさせていただいています。そういうことも含めて、総合的に私、対処させていただきたいと思っております。
松野(頼)委員 大臣、ありがとうございます。
 とにかく、しつこいことが実現する道だと思っていますので、そのたびに折々しつこく言わせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、法案に入らせていただきますが、まず、電源特会を中心にきょうは質疑をさせていただきたいと思います。
 といいますのは、石油特会と電源特会、二つ合わせますと約二兆円なんですよね。二兆円分の資金をずっと追っかけていくのは、莫大な量で、何か海の中で手こぎボートをこいでいるような気分なので、一つだけちょっと取り上げてやってみたいなというふうに思いましたので、電源特会中心に質問をさせていただきます。
 それでも五千億円実はありまして、やはりこれは大変な量と、そして交付先、また委託金、非常に複雑に絡み合っていまして、大変な作業でありました。大臣、お読みになったでしょうか、この各目明細書。読まれましたか。
平沼国務大臣 精査はしておりませんけれども、さらっと見たことはあります。
松野(頼)委員 これで拾っていきますと、この五千億円の特会、立地勘定と多様化勘定、二つありまして、これは、立地勘定だけで、二十五の委託事業、十件の公益法人に三百十六億円の補助を出しているんですね。特に、この立地勘定の創設されたときの一番基本的な理念は、電源立地地域の公共的な施設を建設するという、地域の福祉の向上だとか利便性の向上だとかいうことで、公共的な施設の整備が目的であって、本来委託事業というのはこの特会の成立のときのそもそもの目的じゃないと思うんです。多様化勘定も、四十二の委託事業で十八件の公益法人に二百四十六億円という金額を支出しているんです。
 確かに、特別会計を設けて、電源立地を国が主導をとって推進しよう、電力会社だけに任せずに国がその援護をしようというこの基本理念は、僕は賛成なんです。当初まだ、電力需要が戦後どんどん伸びて、高度成長とともに伸びていた時代は、これはこれでよかったんだと思うんですが、例えば立地勘定を見ましても、今なかなか立地ができていないし、住民投票しても負けてしまう中で、特会だけがどんどん膨らんできて、その委託事業だとか交付金の種類がどんどんふえていっているというのが私の今回の感想なんですね。
 大臣、これだけ特会が肥大化している、これについてどうお考えですか。
岡本政府参考人 特別会計の額につきましては、先生の挙げられた数字は歳計剰余金というものを含めた数字でございますので、実力ベースでいいますと、電源特会、石特会計、合わせまして約一兆円というのが今の実際の歳出規模でございます。
 それから、今先生御指摘の委託の関係でございますが、例えば電源立地勘定で見てみますと、一つは、広報・広聴といういわゆるパブリックアクセプタンスのための一連の取り組みというのが、これは全国ベースでも、あるいは主要な要対電源の地域において小まめにやっていくということを、これは立地勘定の本来の仕事としてやらせていただいております。そういったもののかなりの部分を委託でやらせていただいているというのが一つでございます。
 それからもう一つは、安全の関係で、安全実証という、立地につながっていくような安全関係の技術の実証のようなもの、これも立地勘定の中でやらせていただいているものが多々ございまして、そういったものを中心に、先ほど先生が挙げられましたような数字に至っているものでございます。
松野(頼)委員 そうおっしゃいますけれども、では、昭和四十九年の創設時に委託費というのはありましたか。
岡本政府参考人 四十九年の創設当初においても、委託費は若干ございました。
松野(頼)委員 それは交付金が中心であって、委託費は何ですか。
岡本政府参考人 立地勘定の本来の趣旨からいいましてメーンになりますのは立地促進対策交付金、いわゆる三法交付金というのが断然中心になるものでございますが、あわせまして、当時からやはりパブリックアクセプタンスということは原子力を初めとします電源の立地にとって非常に大事な施策でございましたので、その関係を中心とした委託の事業というものは、当初から私ども予定を入れさせていただいているところでございます。
松野(頼)委員 その具体的な委託事業は何でしょうか。
岡本政府参考人 これは、今日でいいますと、電源地域振興センターでありますとか、原子力文化振興財団でありますとか、あるいは生産性本部でありますとか、そういったところにお願いをして、各種の、それこそエネルギー全般、その中での原子力の必要性というようなこと、あるいはそれに関連をして、安全等に関しての住民の方々のいろいろな疑問にお答えするような広報・広聴の一連の事業というのを私どもは各地でやらせていただいております。
 そういったことと、それから安全実証のための一連の委託、こういったものが中心でございます。
松野(頼)委員 その電源地域振興センターは、設立は平成二年ですよ。設立当時、昭和四十九年当時の委託事業を聞いているんです。
岡本政府参考人 電源地域振興センターは、先生がおっしゃったように四十九年当時はございませんが、最初のころでいいますと、日本立地センターでありますとか、それから原子力文化振興財団でありますとか、そういったほかのところを通じてのパブリックアクセプタンスのための活動というのは私どもは随分前からやらせていただいているところでございます。
松野(頼)委員 それは、四十九年、この特会ができた当時ですか。
岡本政府参考人 四十九年当時の委託先につきましては、今手元に資料がございませんので、早急に確認をさせていただきたいと思います。
松野(頼)委員 では、それは後で知らせてください。
 ただ、基本的に、電源三法交付金ですから、補助金じゃなくて交付金にしているのも、要は地元の持ち出しがないようにという、ある意味じゃ手厚い施策で交付金にしているわけですよ。この委託事業というのは、本来、三法交付金というわけですから、そもそも交付金の趣旨からは外れていると私は思うんですね。これはやはり、今回これだけの委託事業が起こっているというのは、特会の金が余っているからできているという見方をされても、これはしようがないと思うんですよ。どうでしょうか。
岡本政府参考人 立地勘定の歳出の中身につきましては、その時々、私ども自身がまず率先して、その要否あるいはその執行の状況、効果といったものを不断に評価しながら、これまでも見直しをさせていただいているところでございますが、今先生御指摘のように、大きな目的は電源立地を進めるということでございますので、その意味で、三法交付金というものが中心になるのは御指摘のとおりでございます。
 それにあわせて、一連のPAでありますとか技術実証のような事業も、立地を進めるということに結びついていく限りにおいて、必要最小限のものはこれからもやらせていただこうと思っておりますけれども、その必要性なり効果ということについては、まさに御指摘のように、これからも不断に厳しい見直しというものをしてまいりたいと考えております。
松野(頼)委員 あと細かい部分はまた後で質問させていただきますけれども、やはり消費者にできるだけ安い電力を供給する。電力の自由化の法案がこの後出てくるわけですけれども、やはりこの特別会計で促進特別税、少し公的な部分のお金を下げていく、今回、まず二円五十銭ですか、若干安くなりますけれども、やはりこれを下げていくことが産業の振興にもつながりますし、中小企業にとっては公共サービスのお金というのは非常に大きく響いてくるわけです。特に製造業なんかは、この電気料金というのは非常に大きなウエートを占めますから、できるだけそのむだを省いて、少しでも安い、消費者に実際安く提供するということをどうか考えていただきたいと思います。
 続きまして、これもまた細かくなりますからそちらで結構ですけれども、電源立地促進対策交付金というのがありますね。私は、これが多分、電源三法の電源立地勘定の一番基本的な部分の、本当の目的を持った交付金だというふうに理解をしているわけですが、平成十三年度の予算ベースで七百二十五億円あるんですが、これの決算ベースの金額は幾らですか。
岡本政府参考人 十三年度予算は七百二十五億円でございますが、これに対しまして決算は百八十三億円となっております。
松野(頼)委員 七百二十五億円の予算で百八十三億しか使っていないわけですよ。この電源立地促進対策交付金、これだけ余っていながら、また次の年にも、予算ベースで七百三億円要求しているじゃないですか、平成十四年も。平成十五年は、ついにこれを二つに割りまして、多分これが後で今回の法案の一つの焦点になるかと思うんですけれども。
 要は、その利用、また後で出てくると思うんですけれども、結局、七百二十五億円の予算ベースで百八十三億しか使わないで、平成十四年度はまだ決算終わっていないですから出てこないんでしょうけれども、またこれだけ七百三億円予算要求するという、この感性はちょっと私にはわかりませんけれども、どうでしょうか。
岡本政府参考人 この点は私どもも遺憾に存じておりますが、その理由というのは、多分、先生も御推察かと思いますが、原子力の立地が予定どおりに進まなかったからというところに大きくよるものでございます。
 原子力発電所が、一基百三十万キロワットクラスのものができました場合には、何年間にわたりますけれども、五百五十億以上の交付金が出ていくということで、予定どおりに立地が進んだ場合にはこの交付金というものが大きく、実際に歳出として必要になってまいります。
 一方で、予算を私どもが組みますときには、期待を込めて、立地は当然動くということで、私どもは必要な基数見合いの交付金というものを予算計上させていただいて、実は、比較的立地が順調に進展していた時期にはこういった決算じゃありませんで、交付金の予算と決算額とのギャップというのも非常に縮まった時期もあるんですけれども、直近の十三年度というようなことで申し上げますと、今のような、残念ながら立地が進んでいないということから、予算に対して大きく乖離した決算になっているという点については、私どももこれから努力をして是正に向けて頑張ってまいりたいと考えております。
松野(頼)委員 それはもう全く詭弁で、これも後で指摘しますけれども、立地勘定の剰余金はもう既に千七百二十億、平成十二年で持っているんですよ。平成十三年で千七百九十七億持っているんですよ。にもかかわらず、まだ、原発一基で平均五百億と言われているわけじゃないですか。いきなり来年度三基できるんですか。それはないでしょう。それはあり得ないでしょう。できますか、三基。どうぞ。
平沼国務大臣 確かにそういう御指摘の剰余金があるわけですが、ただ、過去、例えば平成五年ですとか六年、七年、八年、九年、十年というところは順調に立ち上がっていました。そういったところで逆に収支はマイナスに出ておりまして、これはもう御存じの数字だと思いますけれども、平成十二年には剰余金までマイナス二百十五億になりました。
 これから原子力発電所は十基から十三基つくらなければいかぬ、こういうことで、例えば敦賀の三号、四号ですとか、東通ですとか、いろいろあります。ですから、そういう中で、確かに厳密にやれば今それだけ余っておりますが、過去そういう事例があった。そういう中で、いつでもそういうものができたときには対処をしようという配慮もあったということは御理解をいただいて、決してそれを何か蓄積して変なものに回そうとかそういうことじゃなくて、過去そういう一つの、どんどん立ち上がっているときにショートを来した。
 ですから、これからも何も未来永劫つくらないということじゃなくて、地域の皆様方の納得をいただいてやっていかなければいけませんが、しかし、現実にそういう期待も込めて、こういうことでございまして、しかし、さはさりながら、そこのところは、この厳しい時代ですから、しっかりと対処しなければいけない、こう思っています。
松野(頼)委員 大臣はそうおっしゃいますけれども、大臣、これはもしかしたら御存じないかもしれませんが、今回のこの法改正の一つの、これはちょっと順番を後でやろうと思ったんですけれども、周辺地域整備資金というのを創設しますよね。役所からいただいたこういう紙にはどこにも書いてないんですけれども、余った剰余金を、特会法改正の第九条の二項で、財政融資資金での運用をすると書いてあるんですよ。一体毎年幾ら繰り入れるのかも、今年度二百六十億らしいんですけれども、毎年その予算措置の数字は入れていませんので、こうやって余った特会の金を財投に回して運用までしますよというのが今回の法律に潜り込んでいるんです。
 ですから、今おっしゃった、特会の金が余ったからって別に使うわけじゃないという一方で、今回の法律案の中にこれが紛れ込んで、九条の二項の改正で、法案でうたっているんですよ。不思議なことに、役所からもらったこういうのには一切出ていないんですよね、財投での運用というのは。法案をよく読んでいたら一項目あるんですよ。これはいかがでしょうか。
岡本政府参考人 まず数字について、百三十万キロワットクラス一基動いた場合に、交付金は五百五十億ぐらい数年度にわたって出ていく、そういうマグニチュードでございます。
 それから、千八百億の剰余金ということで御指摘ございましたが、実は、決算書における剰余金といいますのは、十二年度の決算として十四年度の歳入に繰り入れる額というのが八百四十億ございまして、それに十三年度の剰余金九百億、さらには十四年度への繰越金六十億、以上を合わせたものとして千八百億でございまして、いわゆる通常の決算における十三年度の使い残しという意味の剰余金ということで申し上げれば、私どもの所管でいえば八百五十億円というものがそれに当たるものでございます。
 それから、今のいわゆる旧資金運用部、そこへの運用ということでございますが、これは、従来から特会はそうでございますが、いわゆる資金についての余裕がありました場合に、それを特会自身でプールしておくということでありませんで、それを財政融資資金、従来でいえば資金運用部に預託をするという形で、特別会計としての資金の余裕がある場合にはそういう運用をすべしということで特定されているものでございまして、これは多年度にわたってやるものではございません。
松野(頼)委員 いや、この特会の資金運用というのはちょっと時代に錯誤しているんじゃないですか。雇用保険特会で、二千七十件の施設の売却が今問題になっています。また、ほかの特会でも、運用の失敗による売却損というのが今どこの特会でも問題になっている中で、新たに今審議している法案に電源特会で余った金を財投に回して資金運用するんだなんという法律を入れて、別にこれは、電源特会はだれかから集めて、郵便貯金で集めてきた金じゃないわけですから、利子をつけて返す金じゃないでしょう。これはちょっと時代錯誤していますよ。どうですか。
岡本政府参考人 私どもとして、運用益を稼ぐ、そういう意味において運用するというものではございませんで、余裕金があります場合に、政府の勘定、特別会計等で多くがそうですけれども、従来のいわゆる資金運用部、そういうところに寄せて運用部の資金繰りに協力をするという形、他方で、安全確実というところは私どもとしても当然押さえなければいけませんので、そういう意味で、余裕金の一時的な預託の方法としていわゆる運用部への預託という形を従来からさせていただいているところでございます。
松野(頼)委員 法案にどういう運用の仕方というのは全く触れていなかったので、それも後で聞きたいところなんですけれども、ただ、僕は決して、原子力の立地はどんどん推進する、どんどんと言ってはいけないでしょうけれども、推進するべきだと思うのです。やはり環境を考えても、原子力は基本的な発電源になるべきだ。立地も、大変なのはよくわかっています。ですから、根本的な理念からひっくり返しているわけじゃないんです。
 ただ、原子力立地、また発電所立地のために集めた目的税なわけですから、これを、立地は今非常に苦しいですよ、全国で。これからIT化でどんどん電力需要がふえていった場合に、立地できないと本当に苦しい状況になるのは私もわかりますし、逆に、ある意味では、立地本来の姿に使っていただいて、どんどん立地をしていってもらいたい。
 今回の東電の問題もそうですけれども、非常に電力危機が今目の前で叫ばれようとしている中で、全国的にもまだ今日本は不況で産業がそんなに上向いていないからあれですけれども、上向き出したらば、特にこれだけIT化が進んでいる中で、電力は足りなくなる。今のように立地にとんざしていたんでは困るんじゃないかというふうに思うんですね。
 だから、このシステム自体を私は否定しているわけじゃないんですけれども、ただ、立地で集めた金を、これは会計検査院に平成十三年度指摘されていますよね。千七百億円、さっき八百何十億円とおっしゃいましたけれども、会計検査院は千七百億で指摘しているんですよ、余剰金として。これはもう間違いないですよね。ですから、この余剰金を抱えながら、まだ今の促進対策交付金も、七百二十五億予算ベースでやりながら百八十数億しか使えないというこの状況を何とか改善してもらいたい。そして、改善して立地をどんどん僕は進めてもらいたいから、逆にこういうことを言うんです。
 今の、余剰金と、新しく周辺地域整備資金の運用について、もう一回答えてください。
岡本政府参考人 原子力発電、核燃料サイクル施設を含めまして、その立地を進めるべしという先生の御指摘については、私ども全く同感でございます。
 先ほど来御議論のこの剰余金の問題というのも、実は原子力発電施設及び核燃料サイクル施設の立地が予定どおり進んでいないがために、ひとえにそのゆえに発生している問題でございまして、私ども午前中の御質問にもお答えさせていただきましたが、実は原子力発電施設については、かなり厳しい中にはございますけれども、去年の暮れに、敦賀の三、四号、百五十万二基でございますが、事前了解がいただけたり、それから東京電力の東通の一、二号も漁業補償が今大詰めに来ているということで、前に向けて着実な動きもございます。
 したがいまして、こういった動きというものを、私どもも、地元との関係で原子力を中心とした立地対策ということで職員は駆けずり回っているわけですが、そういう努力を進めることによって立地が前に動く、そのことを通じて今申しましたような剰余金も減ってまいりますでしょうし、それから整備資金ということで今回お願いしているものも、まさに立地が大きく動いた場合に、それに備えるための、リンクした資金プールという形で今回用意をさせていただいたものでございまして、ほかに使うのではなくて、まさに原子力を中心とした立地のためにイヤマークされた資金だということを明確にする観点から、今回こういう整備を御提案させていただいているところでございます。
松野(頼)委員 では、お尋ねしますけれども、これは平成十三年度七百二十五億ですね、それで平成十四年度七百三億。平成十五年度、今審議している法案の改正で電源立地地域対策交付金というのを新たに創設しまして、大体同じぐらいの金額なんですが、立地促進対策交付金が百七十六億円、今の地域対策交付金五百十四億円に、これを割った意味は何ですか、二つに分けた意味は。
岡本政府参考人 十五年度の予算につきましては、今回の御提案申し上げております法律の施行時期ということで十月一日を予定させていただいておりますので、年度の前半は現行の電源立地促進対策交付金により、それから年度後半につきましては、従来の各種交付金を統合しました新たな制度であります電源立地地域対策交付金として予算を計上させていただいている、そういう意味で二本立てになっているものでございます。
松野(頼)委員 そうすると、この促進対策交付金はなくなるんですか。
岡本政府参考人 促進対策交付金を核にしながら、関連する交付金を大きく束ねて一本化して、名前が先ほど申しましたような電源立地地域対策交付金ということに大きく統合するということでございます。
松野(頼)委員 では、これでソフト事業だとか今回の法案に出てくるあれをやるわけですね。ソフト事業、要はいろいろ使える使途を拡大したということですね。ですから、今までの用途だと、七百二十五億円の予算ベースに対して百八十三億しか使い切れなかった、だから今回法改正していろいろな用途に使えるようにして使いましょうという話ですか。
岡本政府参考人 御指摘のとおり、統合後のものについてはソフトの事業というのも一元化して束ねますので、地元の方々のかねての御要望で、非常に使い勝手のいい、そういう交付金により改善されていくものと私どもは期待しております。
松野(頼)委員 ぜひ、使い勝手よりも、住民の方が、ああこれなら原子力が来てもいいな、これなら水力発電があってもいいなと思えるような、使う側から考えるのではなくて、なるべく受け手側から考えるようなシステムに、どうか今回せっかく法改正するわけですから考えていただきたい。
 今までの枠組みでずっときていると、どこも住民投票をやって負けるのは、多分、支出側と受け手側の理解が違うと思うんですよ。もちろんそれがすべてじゃありません、金で安全は買えないとかそういう考え方はありますけれども。ただ、そういう中で、なるべく立地をしやすい、住民が歓迎するような設備、またそういうものにお金を使っていただきたいというふうに思います。
 では、さっきの周辺地域整備資金の運用についてもう一回伺いますが、これはどのように運用するんですか。資金運用部に一回入れて、損失が出る可能性がある運用なのか、もし出た場合はどうするのかというのを教えてください。
岡本政府参考人 従前も、剰余金という形で特別会計が余剰金を持っている場合には資金運用部に預託するということをしておりましたので、今回も、確実な資金の管理、預託という意味において、従来のいわゆる資金運用部、そこにお預けするということを私ども考えております。
    〔委員長退席、下地委員長代理着席〕
松野(頼)委員 これは、損失が出るおそれはあるんですか。
岡本政府参考人 財務省の管理している懐の大きいしっかりとした特別会計でございますので、その点の心配はまずないと私ども考えております。
松野(頼)委員 あともう時間が、そろそろきつくなってきましたけれども。
 例えば、多様化勘定ですね。多様化勘定の当初の目的、石油からの脱却ということで、原子力は随分主力になってきて、ある程度僕は目的を達成したと思うんですけれども、利用勘定に今回変えますが、多様化というところで、新エネルギーに非常に大きな投資をされているんですけれども、新エネルギーに今まで幾ら投資をして、全体の何%発電できるようになったのかというのを教えてください。
岡本政府参考人 平成九年以降でとりあえず数字を集計しましたところ、四千百億強ということで、新エネの関係、これはソーラーそれから風力、そういったものが中心でございますが、大変大きな予算を技術開発とそれから普及促進、導入促進という両面にわたって私ども投入をしてまいってきているところでございます。
松野(頼)委員 特会から四千何百億ですが、全体の新エネ予算というのは七千億ぐらい今まで投入していますよね。それで、全体の何%の発電量ができたんですか。
岡本政府参考人 新エネルギーの発電量ということでいいますと、今現在一%強というところかと思います。近年、風力を中心に、あるいは廃棄物発電等かなり伸びてきているんですけれども、全体の中でいえば比較的まだ小さいものにとどまっておりまして、そういうこともありまして、昨年の国会でいわゆるRPS法というものも制定をされて、これが大きな弾みになっていこうかと思います。
 それからもう一つは、風力はかなりコストの面で競争力も見えてきたんですけれども、ソーラーの方は、まだキロワット当たり約五十円ということで、大変コストがなお高いものですから、そこのコストを下げるための技術開発というのを一方で精力的に進めながらの導入促進ということでございますので、まだ電力の全体の供給の中に占めるウエートということでは、今直ちに大きなウエートというのは難しいかと思います。
 そういう現状ではありますけれども、私ども、方向としては、ぜひともこういったものを大きく伸ばすべく、各方面にわたって努力をしてまいりたいと考えております。
松野(頼)委員 どうか、莫大なお金を使われているわけですから、本当に現実的な発電源として育つのか育たないのか、確かに技術ですからこれから必要だと思いますけれども、七千億使って一・二%というのは余りにも費用対効果が悪いので、どうか、しっかりその辺は注意をしてやっていただきたいと思います。
 大臣、この原子力の立地というのは、やはり環境問題を考えましてもどんどん推進するべきだと私は思います、もちろん安全性というのは大前提でありますけれども。そして、これから、集まった特別会計をどうかその立地のために、そしてなるべくその特別会計は少しでも税金を安く、集める税金は極力抑える。そして、電気事業者にしても、合理化の中で非常に今苦しい状況でやっていますし、また自由化の波が今来ているわけですから、コスト問題がこれから意識されるわけです。また、環境税という問題も将来、もう目の前に見えているわけですから、どうか、産業構造が高コストにならないように、なるべく集める税金は少なくという努力をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
下地委員長代理 土田龍司君。
土田委員 発電用施設と電源開発の法案について、基本的なことを幾つかお尋ねしてまいりたいと思います。
 これまで、電源三法交付金などによって、発電用施設の設置の円滑化を図るために各種の施策が講じられてきたわけでございますけれども、計画から運転開始までのいわゆるリードタイムが非常に長過ぎるというふうに感じております。
 そこで、各電源ごとのリードタイムの推移とその長期化の要因、あるいは設置円滑化に向けた今後の対策について具体的な所見をお聞きしたいと思います。
    〔下地委員長代理退席、委員長着席〕
西川大臣政務官 確かに、御指摘をいただきましたように、リードタイムが近年長期化の傾向にあります。どの程度延びているかといいますと、七〇年代は、地元申し入れから運転開始まで大体八年から九年でした。八〇年代は十五年から十六年に延びている。そして、九〇年代は残念ながら二十七年が平均でありまして、大変延びております。
 原因は何だといいますれば、漁業関係者あるいは地元住民と事業者の理解、こういうところが困難を伴っておる、こういうことかと思います。また発電所用地の取得、これもなかなか容易でない、こういう状況でありまして、残念ながらリードタイムが非常に延びておる、こういう状況にあります。
 私どもは、電源三法交付金の交付によりまして地域振興の支援、ここで議論をしてきておりますけれども、支援の対策の充実をやってきました。さらには電源立地の必要性を、広聴・広報活動を続けて少しでも国民の皆さんの理解が高まるように、こういうことで努力してきましたが、今後とも、引き続き立地の円滑化に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
土田委員 次に、電源三法交付金が電源立地の円滑化に資する効果を見ますと、原子力発電所については、既にできている地点での増設が中心となっているわけですね。新規立地に資する効果はむしろ薄いのではないかというふうに聞いております。
 そこで、電源三法交付金創設後に立地申し入れあるいは増設の申し入れがなされた原子力発電所の運転、建設状況について具体的にお尋ねしたいと思います。
岡本政府参考人 三法交付金制度が創設されました昭和四十九年以降の原子力発電所の新設の立地申し入れは四地点で六基、それから増設の申し入れは十二地点で二十二基となっております。
土田委員 電源三法交付金によって立地地域への支援対策が行われた結果、生活の向上という効果が見られるわけでございますけれども、一方で、立地地域の自立的あるいは持続的な発展には必ずしもつながっていないのではないかということを感じます。
 そこで、原子力発電所の所在市町村ごとの公共用施設の整備状況、あるいは所在市町村以外の市町村や全国平均との比較など、電源三法交付金による従来の地域振興施策の効果と問題点についてお尋ねしたいと思います。
岡本政府参考人 発電所の建設、運転やこれに伴います交付金の交付等によりまして、地域における事業機会の増大や地方の財政力が強化されるなどの効果が見られるところでございます。
 しかしながら、十三年度に当省で実施しました調査によりますと、公共用の施設の整備は進んできたものの、企業誘致といった産業の振興や雇用創出効果の面でなお不十分であるという指摘が地元の住民や事業者の方々からなされているところでございます。
 こうした声におこたえするために、今般の制度改正によりまして、公共用施設というハード面での整備のみならず、地場産業の振興や地域の人材育成といったソフトな事業を法律に基づきます支援の対象として追加をすべく御提案申し上げているところでございます。
 当省としましては、電源立地が地域の経済等に十分な効果がもたらされますように、こうした制度を最大限活用してまいりたいと考えております。
土田委員 電源三法交付金の現状の問題点も踏まえながら、今回の改正案によってどのような改善措置をとり、これが新規立地の受け入れやリードタイムの短縮化とともに、原子力発電所や公共事業依存型の地域経済からの脱却に資する効果について具体的にお尋ねしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 電源三法交付金につきましては、交付先の地方公共団体を初めとして、一つは制度が複雑でわかりにくい、こういうお声があります。また二つ目としては、対象事業がハードに偏重していて地元のニーズにこたえていない、こういうお声もあります。三つ目は、交付対象が狭く運用されておって活用がしにくいんだ、こういう指摘があるわけでございます。
 私どもとしては、こういう御指摘を踏まえまして、今回の法改正によりまして交付金の対象事業を、公共用施設などのハードの面のみならず、地場産業振興あるいは福祉サービスの提供などのソフト的な事業に大幅に拡充するとともに、交付金の制度につきましても、複数の交付金制度を統合しまして、一本化して骨太な交付金に改編しまして、運用面での弾力化を図る、こういうことを予定しております。
 このような制度改正によりまして、交付金額を大幅に増額することなく、地方公共団体の現状とニーズに即して交付金を活用していただけるものと考えておりまして、効果的に地域における住民の福祉の向上が図られ、これにより円滑な発電所の設置に資するものと考えております。
 私どもとしては、今後とも、立地地域の皆様方の声に耳を傾けさせていただいて、より効果的な仕組みとなるように、さらに検討を続けていきたい、このように思っております。
土田委員 次に、この交付金の適正化のことでございますけれども、新潟県の刈羽村の生涯学習センター、ラピカの建設工事のように、電源交付金に基づく事業の一部にその執行が不適切だというようなことがあって、国民の関心が非常に高まったわけでございますが、このラピカ問題を踏まえて、証拠書類の審査や実地検査の充実など、交付金の適正化を図るために講じられた措置について、具体的にお尋ねしたいと思います。
 また、電源三法交付金の財源が国民が電気料金の一部として負担している電源開発促進税であるということを踏まえながら、電源三法交付金により整備された公共用施設が有効に活用されているか否か、交付金対象事業の成果を適切に評価して、積極的に情報公開する必要があるんではないか。国及び地方公共団体における電源三法交付金事業の実績評価や、あるいは情報公開の現状、今後の取り組み方、これらについてお尋ねしたいと思います。
岡本政府参考人 ラピカ問題を踏まえまして、当省といたしましては、今後、この種の事態の再発を防止するために、事業の執行管理を的確に行い、適正な事業執行を確保するための体制の整備を図ることが重要だと考えております。
 具体的には、第一に、交付金事業に係る確定検査を行う際のチェックリストの作成とその使用の徹底であります。第二に、研修や説明会の実施を通じました検査担当職員の能力の向上。三つ目に、事業執行管理等に当たっての中立的専門家の活用。それから最後に、交付金事業に関係する地方公共団体に対する適正な執行の周知徹底。こうしたことによりまして、交付金の適正な執行を確保すべく努力をいたしてまいりたいと考えております。
 それから、三法交付金事業についての実績評価でありますとか情報公開の点でございますが、当省の政策評価基本計画というものに基づきまして、三法交付金の事業につきましても政策評価を実施しているところでございます。具体的には、三法交付金制度の各事業について十五年度予算分から事前評価を実施しまして、それぞれの目標、有識者の意見及び当該目標の実現のための手段としての有効性なり効率性、そういった諸点についての評価結果を報告書にまとめまして、インターネットでも公表しているところでございます。
 今後、当該事業が実施された後の事後評価についてもこうした評価を実施していく予定でございまして、こうした政策評価の結果も踏まえまして、三法交付金制度がより実効性ある施策となりますように不断の見直しを図ってまいりたいと考えております。
土田委員 次に、基本的な方針や審査基準についてお尋ねするんですが、電源三法交付金の支援対象に追加するソフト事業の実施に当たって、画一性を排しながら、立地地域ごとの地理的あるいは経済的な特性やニーズを踏まえた上で、創意工夫が必要であるというふうに考えるわけです。そこで、現在、電源立地地域から寄せられている要望、あるいは政令で事業分野を定める際の基本方針等について、具体的にお尋ねしたいと思います。
 そしてもう一つ、また、ソフト事業の実施に当たっては、国による関与を極力最小限度にとどめる必要があると思います。国の審査基準をあらかじめ明確化しておくことが必要であって、そこで、利便性向上事業計画あるいは同意基準及び交付決定に当たっての審査の基準等について、具体的にお尋ねしたいと思います。
岡本政府参考人 電源地域の地方公共団体などからは、随時、三法交付金制度を中心にさまざまな要望が寄せられておりますが、中でも最も大きな声となっておりますのは、交付金の対象事業の拡大と運用の弾力化であります。具体的な事例として、観光振興でありますとか住民生活の向上のためのソフト事業の手当て、それから施設設備の維持運営費を対象に拡大して追加してもらいたいといったような諸点が挙げられます。
 こうした地域のニーズを踏まえまして、今回の交付金制度の改編におきましては、地場産業振興や住民への福祉サービスの提供などのソフトな事業を交付対象事業に追加いたしますとともに、施設の維持運営費についてもその対象を拡大することといたしております。
 政令で定めることとしております事業分野につきましては、現在のところ、地場産業の振興を支援する事業、地域の魅力を向上するための事業、住民への福祉サービスを提供する事業、地域の自然環境などの維持向上を図る事業、住民の日常生活の利便性を向上する事業、地域経済を担う人材を育成する事業を予定いたしております。
 なお、こうした事業を内容といたします利便性向上等事業計画の同意や交付金の交付決定に際しましては、地域の自主性と創意工夫が最大限に生かされ、地域振興の効果が上がるように、その運用に努めてまいりたいと考えております。
土田委員 ソフト事業の件でございますけれども、あくまで地域のニーズに応じて多様な施策をすることが必要であると思われるわけですね。特に、歳出対象が無限大に広がっていくということは非常に問題が多いわけでございまして、制度の趣旨に照らして、必要性が疑われることのないようにしてもらいたいというふうに思います。
 そこで、ソフト事業の適切性を確保するため、具体的にはどういった方策を考えておられますか。
西川大臣政務官 先ほど長官からお答えしましたように、確かに地方公共団体からは、とにかく幅広く使い勝手のいいようなものをという要望が非常に強いわけであります。しかしながら、私どもとしましては、無制限に広がるわけにもいきません、対象がですね。さらには、本当に立地の推進に対して効果が上がるのかどうか、これをやはり重点的に考えていかなければならない、こういうことを基準に範囲を決めております。
 これからも、交付対象事業を検討する最初の段階から、地域との連携あるいは調整、これらを密にしまして、事業の意義あるいは効果が最大限発揮されることができるように交付金の運用をしてまいりたい、こう考えております。
土田委員 次は、剰余金の問題でございます。
 たびたび問題になっておりますけれども、平成十三年度の検査報告において、電源開発促進対策特別会計の電源立地勘定において毎年継続的に巨額の剰余金が発生している、出ないことが望ましいというような所見が示されているわけでございますけれども、そこで、多額の剰余金が発生してきた要因と、会計検査院の所見を踏まえた今後の対応策、改善策といいますか、電源開発促進税の税率見直しの前提となる電源三法交付金に対する財政需要の見込みについて、どのように考えておられますか。
西川大臣政務官 電源立地勘定におきます剰余金の大半は、原子力発電所を初めとしました発電用施設の建設計画のおくれによりまして、支出を想定していたその交付金の財政需要が現実のものにならなかった。御指摘のとおりでありますが、これらが後ろ倒し、こういうことで蓄積がふえていった、こういう状況にあります。
 こうした中、剰余金でありますけれども、発電所の建設計画が進展すれば剰余金の問題も解決するわけでありますけれども、努力をしてとにかくリードタイムを縮めていく、こういうことに私どもは最大限の努力を払っていきたい、こう考えています。
 確かに、会計検査院の指摘も受けましたので、このような性格の資金の位置づけを明確にするために、今般の法改正案におきまして、電源立地勘定の中に周辺地域整備資金を設ける、こういうことにいたしました。
 今後の財政需要の見込みにつきましては、確定的には申し上げられませんけれども、発電所の建設計画が着実に実行されますように、地元を初め国民の皆さんの御理解を得られるように最大限の努力を努めてまいります。
土田委員 平成十五年度の電力供給計画によりますと、二〇一〇年度までに運用を開始する原子力発電所は九基の予定である。これまでの目標であった十三基から大幅に縮小されるわけでございます。原子力開発計画の縮小に伴って、今後、電源立地勘定における剰余金の発生に大きな影響を与えるわけです。
 平成十五年度の電力供給計画が計画どおりに推移したと仮定した場合の剰余金の適正規模や、あるいは今後の剰余金の推移について、試算結果をお尋ねしたいと思います。
岡本政府参考人 原子力発電所の新増設の計画が縮小されましたり中止をされたという場合には、交付金等の財政需要が縮小あるいは不用になるということで、大変大きな剰余金の発生事由ということとなってくるわけでございますが、先般電気事業者から届けのありました十五年度の電力供給計画におきまして、確かに一部、後ろへ倒れるということのおくれは計画として出されているんですけれども、従来考えていた新増設の計画それ自体をやめるあるいは縮小する、そういう内容ではございません。
 例えて申しますと、従来十基ないし十三基と言われたものが、二〇一〇年ではそれが九基にとどまっておりますけれども、翌一一年度までを見ますればさらにそこから四基が追加されるということで、原発の計画が多少後ろへずれるということはあっても、事業としては引き続き各社とも堅持をして進めていくということでございます。
 したがいまして、交付金の必要額というものは、多少の時間のずれはあろうとも、私ども従来考えていたものと大きく変わるところはないと考えておりますので、したがいまして、剰余金についても、こういったことで立地が着実に進んでいけば正常なものに戻っていくというふうに考えております。
土田委員 今回の改正によって創設される周辺地域整備資金の設置目的とともに、平成十五年度予算から繰り入れられる二百六十億円の算出根拠、政令で定める周辺地域整備資金への繰り入れ方法についてお尋ねしたいと思います。
 また、現在の剰余金の発生状況にかんがみますと、毎年度剰余金の組み入れが継続し、周辺地域整備資金において過剰な資金が滞留する、そういったことになるということが懸念されるわけです。そこで、この資金規模の推移に応じて適時どのような対策が講じられていくのか、具体的にお尋ねしたいと思います。
岡本政府参考人 今回、立地勘定の対象を発電所の規模が大きい、あるいは長期固定電源に重点化をするということといたしておりますが、これに伴いまして、事業者の投資判断や立地地域における調整などの要因によりまして、財政需要の不確定性が従来以上に高くなることが予想されます。周辺地域整備資金は、こうした状況にかんがみまして、電源立地勘定の財政支出に弾力的に対応するための資金を設置しようとするものでございます。
 十五年度予算における電源立地勘定の歳入は、電促税収千六百九億円、前年度剰余金受け入れ九百億円と見込んでおりまして、足しますと総額二千五百七億円の歳入を見込んでおります。他方、歳出につきましては、公共用施設の整備等の電源地域振興策として千六百三十二億円、発電用施設に関する理解増進活動として百三十六億円、原子力発電施設等の安全性実証等として四百七十九億円という支出の方を見込んでおります。
 したがいまして、歳入額との差分である二百六十億円を資金への繰り入れが可能な額として計上いたしているところでございます。
 決算時点での周辺地域整備資金への繰り入れにつきましては、政令で定めることといたしておりますが、具体的には、先ほどの二百六十億円と、発電用施設の建設スケジュールのおくれによって、当初は予算で支出を見込んでいた交付金が支出されなかった範囲内において、財務当局と協議をして定めた額を決算ベースでも繰り入れるということを予定しているところでございます。
土田委員 次に、電力の自由化が進展するわけでございますが、これに伴って、投資回収期間の長い原子力とか水力発電とか、こういった電源開発に事業者が慎重にならざるを得ないという状況にあるかと思うんですね。
 そこで、電力自由化の推進政策と原子力政策との整合性、電力自由化が原子力開発に及ぼす影響及び長期固定電源の安定運転を確保するための施策について具体的にお尋ねしたいと思います。
平沼国務大臣 小売自由化の進展に伴いまして、御指摘のように、特に初期投資が大きく投資回収期間の長い原子力発電あるいは水力発電等の長期固定電源については、事業者が投資に慎重になることが懸念されます。
 今般の電気事業制度改革におきましては、原子力発電等の大規模電源の開発と関連送電施設の整備の一体性を確保し得るよう、発電から送電そして小売まで一貫して責任を有する一般電気事業者概念を維持する等の措置を講ずるとともに、特に長期固定電源に関しましては、安定的に運転を確保できる場合にその強みを最も発揮し得ることにかんがみまして、長期固定電源固有の措置として、優先給電指令制度あるいは送電容量の確保のための仕組みを構築する等、長期安定運転に資する環境の整備を図っていきたいと思っております。
 さらに、今回御審議をしていただいている電源開発促進特別会計法の一部改正におきましても、長期にわたり安定的に運転し得るよう関連対策への予算の重点化等の措置を講ずる、こういうことにいたしております。
土田委員 最後になると思いますけれども、国際的に遜色のないコスト水準を目指して電気事業制度の改革が進められているわけでございますけれども、電気事業連合会の資料によりますと、平成十三年度の電力会社の納税額が、十社合計で一兆四千七百億円に上っているわけですね。一家庭当たりの電気料金が月平均七千二百円でございますが、消費税を含めて約千円、約一四%が税金となっているというわけです。
 そこで、電気事業者が負担するエネルギー関連諸税の現状とともに、今回のエネルギー税制の見直しが電気事業者の税負担額に及ぼす影響についてどう考えておられるのか。また、多額の税負担が電気料金の高コストの一因になっているというふうに思われるわけでございますが、この高コスト構造の改造に向けた現下の取り組みに与えるマイナス面、これの影響についてお尋ねしたいと思います。
岡本政府参考人 ただいま先生が引用されました数字は、多分、固定資産税でありますとか法人税でありますとか、そういったものを含めた総額で一兆四、五千億という税の負担と御指摘かと思いますが、いわゆるエネルギー関係の諸税ということで見ますと、石油税と電源開発促進税でございますが、電気事業者による負担額はおおむね四千三百億円ということで、売り上げの三%を占めております。
 これに対しまして、今般のエネルギー関係の税の見直しに当たりましては、電気事業者の税負担、ひいては電気の使用者の方々の負担ということにも私ども思いをいたしまして、石油税の見直しにつきましては、電力業界で平成十五年度の場合でおおむね百億円程度の負担増ということになろうかと思いますが、他方で電促税につきまして所要の減税を行いますので、差し引きその負担は大きいものにはならないというふうに考えております。
 エネルギーの関係の諸税ということにつきましては、私ども、一方で地球環境問題への対応でありますとか安定供給ということでやっていくということでありますが、他方でそれを御負担いただく方々の負担ということについても十分な配慮をしてまいりたいと思います。
 それから、エネルギーのコストの低減ということについては、これは本当に各方面にわたる対策ということになってまいろうかと思いますが、先ほど先生から御指摘のありました、電力あるいはガスの自由化範囲の拡大ということも、競争を通じた事業の効率化をさらに促すということでコストの低減ということに資する側面もあろうかと考えております。
土田委員 以上で終わります。
村田委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 前回の質問で、維持基準の問題にかかわり、その維持基準の前提となる検査手法の信頼性が問われている問題を質問いたしました。少しそのおさらいをして、入っていきたいと思います。
 東北電力の女川一号機の再循環系配管のひび割れのデータについて、超音波探傷の計測値と実測値との間に大きな誤差があるということを、昨年十一月の電気事業法改正、維持基準を導入したあの審議の際に保安院は認識をしていたということだったわけであります。保安院の松永次長は、実測値と超音波探傷との間に誤差があるというのは、東北電力自身が十一月の末に公表、プレス発表をしており、いわば公知の事実だと答弁をしたわけですけれども、この公知の事実というのは、広辞苑など辞書ではどういう意味なのか、確認したいと思います。
松永政府参考人 お答え申し上げます。
 若干繰り返しになりますけれども、東北電力は、昨年の九月の二十日に、再循環系配管のひび割れに対しまして、以前に実施をいたしました超音波探傷検査、UTの測定結果を公表いたしました。また、十一月の二十八日に、これらのひび割れにつきまして、新たに実測した測定値につきまして、その深さでございますけれども、数値を公表しております。
 今御指摘のとおり、先週の委員会で申し上げました公知の事実といいますのは、これらの測定結果がそれぞれ公表されておりまして、公開されたデータを対比すれば、測定結果についていわば差が生じているということは認識することができたのではないかという趣旨でございます。
 私どもといたしましては、東北電力が十一月二十八日に公表したことをもって、報道機関による適切な報道を含めて、公に知らせたものというふうに考えております。
 また、原子力安全・保安院といたしましては、こうした形で、新たな材料について、再循環系配管のひび割れの深さの検査においてこういう乖離が生じたということにつきまして、昨年の十二月に、東北電力に対しまして、その原因の分析、検討ということを指示したということでございます。
塩川(鉄)委員 広辞苑には、そんなたくさんのことは書いていないんですよね。紹介しますと、公知という言葉は世間に広く知られているという意味で、公知の事実というのは世間に広く知られている事実ということだったわけです。
 昨年十一月の時点で、このように、UT、超音波探傷の計測値と実測値との間に誤差があるということは世間に広く知られていた事実だということを保安院としては答弁したわけですけれども、私は率直に言って知りませんでした。
 大臣はいつお知りになったでしょうか。
平沼国務大臣 私も、それは塩川先生と同時期だと思います。
塩川(鉄)委員 二月、三月に報道がありましたので、我々もそれで認識をしたわけですけれども、保安院自身は十一月の末に知っていたわけですよ。それは、まさに維持基準導入を図る電気事業法改正の真っ最中にそういうことを認識していたにもかかわらず、大臣にも報告をしていなかったということになるわけで、そういう点では、私、一連の保安院をめぐるやりとりでの隠ぺい体質の問題にかかわるような、それと同じことが繰り返されたのじゃないかということを率直に思わざるを得ないわけです。
 この維持基準の導入の前提である検査手法の信頼性の問題については、二月に朝日の報道であって私も承知したわけですけれども、十一月のときに新聞報道があったか。東北電力のプレス発表のはありますけれども、そんな、実測値と計測値に誤差があるなんということはどこにも書いてないんですよ。とてもじゃないけれども、普通の人に、世間に広く知られた事実として誤差があるなんということを認識できるような状況じゃなかったということが実態であるわけです。
 このことで問われている問題の一つというのは、昨年十一月の時点で保安院が認識したと言っているように、維持基準導入のための電気事業法の改正の前には、再循環系配管のSUS316L、このひび割れデータに実測値との乖離が大きいという認識はなかった、何らの検討も行っていなかった、そういう極めてずさんな検討状況のまま維持基準の導入を図ろうとした。このことが第一の問題。
 もう一つの問題は、実測値と計測値の間に大きな誤差があることを認識したのに、まさにそのことが国会で議論をされている最中に、その事実を公にせず、いわば、大臣にも報告もせず隠し通してしまった。保安院の隠ぺい体質が改めて浮き彫りになった。これでは、やはり、国民の原子力への不安、不信を払拭するどころか、保安院自身がみずから広げているものになるんじゃないでしょうか。
 こういう隠ぺい体質が生まれる、安全軽視の体質が生まれるのはなぜか、大臣の率直な認識をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 これは松永次長からも御答弁しましたように、報道で、そういう形で数値が出ている。こういうことですから、そういう意味で、公に知ることができる。広辞苑とは違いますけれども、そういう意味で、隠ぺい体質とかそういうことではなくて、私どもとしては、そういう報道にもデータとして載っているからそれでいい、こういう判断ではなかったかと思っております。強いて言えば、そういうことをちゃんと説明することが望ましかったのかな、こういうふうに思っております。
塩川(鉄)委員 維持基準の導入の前提となる検査手法の信頼性が問われるという重大問題だという認識があるのかということが今問われているんじゃないんでしょうか。
 この間、保安院が新潟やあるいは福島で説明会を行った際にも、例えば福島の会場などでは、この計測値と実測値の誤差の問題についてどうなのか、こういう質問も出る、そういう心配の声も実際にあるわけです。
 保安院がずうっと説明会をやったのを踏まえても、例えば柏崎の西川市長さんは、保安院の説明を、これでおしまいというわけにいかないということをおっしゃっておられましたし、新潟県の平山知事も、争点が出尽くしていないということを言っておりましたし、福島の富岡町の遠藤町長も、国の説明は始まったばかりだ、まだ運転再開には言及できないと言う。
 そういう意味では、住民の皆さんの不安の思いからこういう発言が自治体の首長さんから相次いでいるという状況、それはやはり保安院としてきちっと受けとめるべきだし、この間の経過というのは、残念ながら、そういう不安、不信を拡大するようなことになっているんじゃないか、そういう点でも、私は、やはり保安院の組織のあり方が前提としても問われていると思います。
 そこで、そもそも電源特会の目的そのものが、発電所の設置、建設の円滑化にあるわけです。電源特会は原発などの電源開発の促進がその目的とされているものであるわけですけれども、この電源特会から保安院の人件費も支出をされているというふうに承知していますが、その点を確認したいと思います。
松永政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十五年四月一日現在、鉱山保安監督部を除きました保安院の定員四百三十名中、電源特会から人件費が支出されております定員は、立地勘定で八名、多様化勘定で三名でございます。
 これらの職員は、いずれも、水力発電所、原子力発電所等の立地の際の環境アセスメントに関する新たな手法の検討、あるいは電気設備に関する各種の技術調査など、電源特会の歳出対象となってまいりました事業につきまして、予算執行等の事務を取り扱う職員でございます。
 また、現在御審議いただいております法案におきましては、電源利用勘定の歳出対象といたしまして、安全を確保するために大臣が行う措置が明記されることとなっております。
 この改正が具体的に実施されますれば、平成十五年度末時点におきまして、原子力安全・保安院の定員四百六名中、これまでの立地勘定の八名、今申し上げました八名に加えまして、水力発電所や地熱発電所、原子力発電所の施設などに関しまして、安全審査や検査などの安全規制を実施する職員につきましても歳出対象となりまして、電源利用勘定から三百十名分の人件費が支出されることとなっております。
塩川(鉄)委員 配付いたしました資料にもありますとおり、「電源特会と原子力安全・保安院等の定員・人件費」の表ですけれども、これはこの電源特会の法改正が行われたという前提での〇三年度末の定員というふうになりますが、原子力安全・保安院についていえば、今、松永次長からのお話にあったように、鉱山保安監督官署などを除いた数字として、原子力安全・保安院の定員四百六人のうち三百十八人、約八割が電源特会の予算で計上されているわけであります。あわせて、安全確保策をとると言われている原子力安全基盤機構の運営交付金も、大半がこの電源特会から出されているということがここで言えるわけです。
 原発推進の特別会計から、安全確保といって、利用勘定で保安院や機構の人件費の手当てをしようとしているわけです。
 私は、そういう点では、この間もずっと、昨年の議論以来、推進と規制の分離の話があり、その点を求めてきたわけですけれども、残念ながら、財布の面でも、会計面でも、推進と規制が一体化をする。電源特会という原発の推進を図るという財布から、規制側の保安院の人件費も出ている、その大半が出ているという点での一体化の状況があるわけです。
 現地の説明会でも、保安院は規制のためだけに存在をする、あるいは、我々は規制に特化した職だと思っているということが保安院長の方からもお話があったそうですけれども、実態は、自分の給料は原発推進のお金から出ているということで、本当の意味で規制に特化した職になり得るのかなということを率直に思わざるを得ません。
 こういうことでは、安全、安心第一の願いを持つ立地自治体や国民の不信を払拭することができないんじゃないでしょうか。大臣、率直にお答えください。
岡本政府参考人 今、御提案申し上げております特会法の改正におきまして、電源立地対策それから電源利用対策というものを、二つ、定義を明確化させていただいております。
 今御指摘の保安院の人件費の関係は、御提案申し上げておりますように、電源利用対策の定義の中の一環として、安全の確保のための施策というのを明記いたしているところでございまして、電源立地対策とは区別した、電源利用対策の一環として、法律の中に明確に位置づけた形での保安院の安全確保に関連する人件費を含む予算というものを手当てしているところでございます。
塩川(鉄)委員 電源三法の目的そのものが、原発などを含む発電所の設置、建設の促進にあるわけですから、原発推進に当たるのは当然なわけで、その中に幾ら仕切りをつくろうとも、その大もとの性格は変わるわけではない。
 私は、そういう点でも、会計面、財布の面でも、自分の給料という面でも、規制と推進が一体となっているような状況、これが今の、率直に言って、不安、不信を拡大するその根っこにつながっているんじゃないでしょうか。
 大臣、改めていかがでしょうか。
平沼国務大臣 私どもといたしましては、従来から御答弁させていただいておりますけれども、原子力行政を進めていくに当たりましては、安全性を担保するということは非常に大切なことであります。しかし、一方において、国の基本的なエネルギー政策として原子力の推進もしていくことも事実でございます。
 ですから、そういう意味で、一本化という御議論がありますけれども、あの中央省庁再編のときにもいろいろ議論いたしまして、立地を促進する側には、その知見を有し、そして責任を持って立地の地域の皆様方と接する、そういうことで、やはり、この原子力安全・保安院というのは、いわゆる立地を推進する、そういう我が省の枠の中で活動する。しかし、一方においては、国民の皆様方が原子力に対して非常にいろいろ問題意識を持っておられる。ですから、そういう意味では、内閣府の中に原子力の安全委員会というのをつくりまして、そこでしっかりとしたダブルチェック体制をしく、これが基本的でございます。
 そういう意味で、今、給料の問題について言われましたけれども、今資源エネルギー庁長官から答弁をさせていただきましたように、そういう形で、ぴしっと、判然と分けているわけでありますから、私どもとしては、このダブルチェック体制というものをしっかりと運営していけば、御懸念の点は出ないと思いますし、また御懸念の点が出ないように我々としてはしっかりと監督をしていかなければならない、このように思っております。
塩川(鉄)委員 分けているといっても、子供のお小遣いと同じで、お父ちゃん、お母ちゃんの大きな財布の中からの一部である、そのお父ちゃん、お母ちゃんの制約を受ける。そういう意味合いとして、我々、この問題というのが、会計面でも分離していないという点で問われていると思うんです。
 安全軽視の体質や隠ぺい体質が生まれるというのも、原発推進政策の枠内でしか安全規制の対策をとれないことに問題があり、この間主張してきましたように、推進から独立した規制機関の確立という国民の要求にこそこたえるべきだ、率直に要求しておくものであります。
 その上で、次に、省エネ・リサイクル法にかかわっての質問ですけれども、京都議定書で、九〇年比温室効果ガス六%の削減義務がありますけれども、地球温暖化対策推進大綱では、足し算しましても、四・四%削減までにしかならないわけです。六%削減に届かないのはなぜか、残りの一・六%をどうするのか、お聞きします。
岡澤政府参考人 御指摘のように、大綱で、目標六%削減のうち四・四%しか施策は明示してございません。残りの一・六%分につきましては、現在穴があいているという状態でございまして、これにつきましては、既存の対策のさらに推進を図るとか、あるいは新しい対策を追加するということをしていかなきゃならないと思っています。あわせて、CDM、JI、排出権取引といった京都メカニズムの活用によって、この一・六%の穴について埋め合わせていく所存でございます。
塩川(鉄)委員 穴があいている状態を、CDMやJI、排出権取引で埋めていく。いわゆる京都メカニズムの活用ですけれども、環境NGOからも抜け穴と批判をされておりますし、京都議定書でも、国内対策に対して補足的なものとされているものであります。
 今回の省エネ・リサイクル法の改正の柱の一つがこのCDM、JI支援を盛り込んだことにあるわけですけれども、この法律の趣旨はエネルギー使用の合理化ということになるわけですが、このCDM、JIが国内の省エネには結びつかないと思うんですが、その点、お聞きしたいと思います。
中村政府参考人 今般、省エネ・リサイクル法を改正いたしますのは、御指摘のとおり、海外で行う省エネルギー等によるエネルギー起源CO2の排出抑制事業に対する支援を今回の法案の柱の一つとするという点にございます。今回の法案の柱は大きく分けると二つありますけれども、もう一つは、リサイクルをリデュース、リユースに膨らましていくという部分とここの部分であろうかと思います。
 ただ、これは、委員からちょっと御指摘がありましたけれども、今までやっている省エネ・代エネ対策につけ加えてこういうものもやるという趣旨でございます。また、大綱においても、京都メカニズムの活用については、CDM、JIについてはこの仕組みを活用できるようにするための体制について早急に整備することとされており、また、CDM、JIについては民間も積極的に使うことが期待されているという点でございます。
 以上でございます。
塩川(鉄)委員 お話しのとおり、CDM、JIというのは海外の省エネ支援策であり、国内対策ではない。私は、本格的にグローバルな地球温暖化対策をやるのであれば、やはり国内対策をきちっとやる、そこにこそ全力を挙げるべきだ、CDM、JIを強調すれば強調するほど、国内での削減努力に手を抜くような言いわけにもなりかねない、そういうふうに率直に思います。
 大事なのはやはり国内での削減努力であるわけで、その国内対策で主要なのは産業分野に当然なっていくわけです。温室効果ガスの九割はエネルギー起源のものであり、そのエネルギー消費の七割から八割は産業界になります。この間の産業界での省エネ努力がどうだったかというのを、配付した資料の、産業界におけるエネルギー消費の過半を占める製造業での、鉱工業生産指数当たりのエネルギー消費原単位の推移のグラフで見たいと思います。
 エネルギー消費原単位というのは、一つの生産物をつくるに当たってどれだけのエネルギーを投入するかということの単位ですから、いわば省エネ努力というのをはかる指標としてよく使われているものですけれども、ごらんいただいたように、第一次オイルショック以降、第二次オイルショックも経て、七〇年代、八〇年代では確かに大きく省エネ努力が行われているということが見てとれるわけですが、九〇年の五三・一をボトムに九〇年代が増加に転じて、〇一年度では六五・一という指標になっているわけです。
 ここを見たときに、産業界、特にその過半を占める製造業での省エネ対策というのが九〇年代では進んでいないんじゃないかと私は率直に思わざるを得ないんですが、この点、大臣はどのように受けとめていらっしゃいますか。
岡本政府参考人 二度の石油危機以降、我が国の製造業は省エネにそれこそ生き残りをかけて取り組んでまいりまして、その取り組みというのは相当進んだわけでございますが、一方で、その対策というのは費用対効果の面からおのずから限度があるというところもあろうかと思います。
 それから、九〇年以降、製造業の生産指数が横ばいないし低下する中で、IIP当たりのエネルギー原単位が徐々に上昇しているというところはあろうかと思いますが、工場で消費するエネルギーには、工場の操業条件のいかんにかかわらず固定的に消費される部分と、それから生産量に応じて消費される部分というのがございまして、稼働率が低下する中にあっては、一般的にエネルギーの消費原単位が上昇するという傾向にございます。
 それから、もう一つは高付加価値化ということでございますが、例えば半導体の製造ラインでありますとか、液晶とかDVDのような、そういう高付加価値のもの、あるいは素材でも、鉄で高張力鋼なり自動車用の薄板をつくるという場合に、どんどん薄板の厚みを薄くするというので工程がふえますので、生産物単位当たりの投入エネルギー量というのはふえてくる、そういう面からエネルギー原単位がむしろ悪化するというところも一面ではございます。
 私ども、今申しましたことは、原単位が上昇しているということを釈明、弁護するというつもりはございませんで、引き続き産業界には省エネに向けてしっかり取り組んでもらいたいと思っております。そのためには、一つは、やはり技術開発という面でいま一度産業界に本気になっていただくという必要がございますし、それから、開発されたいい成果というのを実際の生産現場に導入していただくという両面の取り組みを強化する必要があると考えておりまして、十五年度の予算の中では、まさにこうした産業界における省エネの技術開発、それから導入促進対策というものを思い切って強化するということで、予算も組ませていただいたところでございます。
塩川(鉄)委員 産業界にも一層努力を迫るというお話で、技術開発の促進や導入の促進というお話、私は本当にその点が問われているんだと思うんですね。
 そういう点でも、産業界、製造業においても、エネルギー消費の高いのは鉄鋼業界であります。鉄鋼業界は、我が国の最終エネルギー消費の約一割を占める産業です。そこでの努力がどうなのか。
 これは少し前の新聞記事でしたけれども、〇一年十一月の朝日新聞に、「次世代製鉄法、宙に浮く」という記事がありました。これは、いわゆるDIOSと言われる次期溶融還元製鉄法についての記事になっているわけですけれども、鉄鋼大手や経済産業省が開発した次世代の製鉄技術、溶融還元製鉄法が宙に浮いている、同省の補助金百億円がむだになる可能性が高まっている、鉄鋼業界が取り組むCO2の削減計画はこの新技術の導入を前提にしていた、鉄鋼は電力とともに大量のCO2を排出する産業で、鉄鋼連盟は削減量の半分近くを溶融還元製鉄法などの新技術で賄う予定だったということなんですが、CO2を削減できる新技術を国から百億円もお金を出してつくったのに、棚上げということなんですけれども、棚上げでいいんでしょうか。
岡本政府参考人 鉄についての突然のお尋ねですので、記憶を頼りながらお答えさせていただきますが、溶融還元製鉄、各社、九七年に自主行動計画を策定した時点においては、二〇一〇年の以前に導入するということで計画に織り込んでいたかと思います。ところが、実際には、高炉のいわゆる巻きかえの時期というものが、高炉のいわゆる炉面材の長寿命化というようなこともあったりして非常に延びてきておりまして、したがって、高炉メーカーの実際の炉の更新の計画という中で、その導入時期が従前考えられたところよりは多少後ろにずれるという可能性は否めないかと思います。
 他方で、溶融還元製鉄は、一つは省エネという面と、それから設備対応の面で比較的小規模でも高効率の製鋼ができるという一方のアドバンテージもありますものですから、技術としては非常に大事なものでございます。
 ちなみに、鉄鋼業界における省エネということでは、溶融還元製鉄も大事な取り組みでございますけれども、実は、歩どまりでありますとか、連鋳でありますとか、炉頂圧でありますとか、そういった各方面から、エネルギーをたくさん使う業種であるだけに、できるだけエネルギーのセービングということにおいては、コストとの見合いというところもありますけれども、可能な限りの取り組みをやって、今世界の中で日本の鉄鋼業界は、省エネという点ではまさに間違いなくトップの水準を走っているところでございまして、そういった取り組みというものは、これからも私どもも強力にサポートをしていきたいと考えております。
塩川(鉄)委員 今お話しのように、九八年の鉄鋼連盟の文書で「鉄鋼業の地球温暖化対策への取組み」では、この溶融還元製鉄については二〇一〇年に五%の導入、こういうことを書いて、いわば鉄鋼連盟で一度導入しようと決めていた話であるわけですね。それが棚上げという状況で、設備更新が延びたとか、いろいろ話としては出てくるわけですけれども。
 私はやはり今、CO2の削減のためにとれる手だてはすべてとるべきときだ、打てる手だてはすべてとるべきだ、深刻な地球温暖化対策のためには持てる技術をすべて活用し、いわば前倒しにしてでも実施すべきじゃないか。岡本長官が強調していたように、技術開発で本気になってもらうのと、その導入の促進をやるということですから、百億円かけているんですよ、この導入というところで本格的に迫るということこそ、率直に大臣として求めていくべきじゃありませんか。
平沼国務大臣 非常に有用な技術だということは塩川先生も御指摘になられましたし、また岡本長官からも答弁にありました。そういう新しい技術で、そしてCO2の排出量が削減できるということは非常にいい技術だと思っております。
 しかし、現状、いろいろな面で検討しなければなりませんけれども、今御指摘のように百億という、そういう補助金も出ているようでございまして、私どもとしては、鉄鋼業界にもその一日も早い導入、こういうものも私どもからもよく申し入れていきたい、こういうふうに思っております。
塩川(鉄)委員 鉄鋼連盟の中にありますDIOS推進委員会、ここでは、国内対策ではなくて海外における実用化に焦点を置いているという現状だということなんですよ。私は、やはり国内対策に本気になっていない証拠がこういうところにあらわれているわけで、本当に迫っていくということが求められていると思います。
 同時に、やはりEUで取り組んでいるような、事業者に排出枠を設けてその目標達成を迫るというような、そういう積極的な取り組みにも大いに取り組んでいくべきだということを求めて、質問を終わります。
村田委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子です。
 きょうはまず、三月二十六日の法案審議の際、少しやりとりができなかった分を改めてまず最初に長官に伺いたいと思います。
 今度の改正案につきましては、交付金の限度額の計算方式が、実際の発電電力量を勘案した計算方式に変更というふうに聞いております。発電所の立地地域への交付限度額を計算する際に、発電電力量の実績を加味する、この仕組みは、安全の確保をないがしろにしてとにかく発電所の運転を強要することにもなりかねず、強い危惧を抱いております。そうであれば、世の中には受け入れられないことと思います。安全性確保のための運転停止によりまして地元の地域にペナルティーを科すような制度では、住民の理解と協力など得られないと思っております。
 先日の委員会で、長官は、安全の確保のため運転停止している期間は発電所が運転中とみなして発電電力量を計算することとし、交付金額を減らさないために安全確保がおろそかになる制度にはしないという答弁がありました。これを再度確認したいと思います。
 発電電力量の実績を加味して交付限度額を計算する際には、事故、トラブル、不祥事で停止している原発については、運転しているものとして発電電力量を計算し、安全であることが確保されていないのに運転再開を迫るような仕組みにしてはならないということでよろしいでしょうか。また、技術的に安全だと評価されていても、安全性について地元の理解が得られずに引き続き運転停止している場合にも同様の取り扱いになるのか、このことが制度として明確に担保されることが必要だと私は思いますが、改めて答弁を伺いたいと思います。
岡本政府参考人 御指摘の発電電力量の実績を交付限度額の計算に加味するに際しましては、発電施設の事故やトラブルへの対処、安全性の確認など、安全上の問題を解消するために運転が停止している場合について、これを運転を行っているものとみなして発電電力量を計算いたします。
 また、現在、東京電力の原子力発電所が安全確認のために停止しておりますが、この運転再開については、安全性の説明を十分に行い、地元住民の理解と協力を得て、順次運転再開できるよう努力してまいりたいと考えておりますが、安全性が確認されて運転が再開できるまでは運転中とみなすことといたします。
 さらに、この計算方法につきましては交付金の交付規則に明記をした上で、新たな制度を運用してまいりたいと考えております。こうしたことによりまして、ゆめゆめ安全の確保をおろそかにして発電所の運転がなされるようなことがないように、適切な制度の実現、運用に努めてまいりたいと考えております。
大島(令)委員 今の答弁の中で、この計算方法については交付金の規則に明記をした上でということでございますが、このまま明記されては実はペナルティーを科すようなことになるから質問しているわけなんですね。事故、トラブル、不祥事で停止した原発については、安全性が確認され、地元の理解が得られるまでは運転中とみなすという考え方を、この今言ったことを交付金規則に明記すべきと、私はこう理解してもよろしいんでしょうか。
岡本政府参考人 正確な文言は規則を定める際に詰めたいと思いますが、私先ほど先生の御指摘を踏まえて御答弁申しました趣旨を交付金規則の中ではっきり書いていくということにいたしたいと考えております。
大島(令)委員 それでは、先般、会計検査院の平成十三年度会計検査報告の指摘を踏まえて、石油特別会計法に基づき毎年度行われている石油税収入の一般会計から石油特別会計への繰り入れにおいて、繰り入れが行われずに一般会計に留保されている金額が十三年度末で累計二千九百六十四億円あると指摘しました。これはどのような形で留保されているのかという旨の質問をしましたが、長官の答弁ではその説明が明確な説明でなかったので、改めてもう一度質問をしたいと思います。
岡本政府参考人 先般の法案審議でのお尋ねにつきまして、説明が不十分でございましたので、改めて答弁させていただきます。
 先生御指摘のとおり、石油特別会計制度におきましては、特会法第四条の規定によりまして、毎会計年度、その年度の石油税の収入予算額と、前年度以前の一般会計からの繰り入れ未済額との合計額に相当する金額を、予算の定めるところにより、一般会計から石油特別会計に繰り入れるということが規定され、さらに、その際、その年度における石油及びエネルギー需給構造高度化対策に要する費用に照らしてその金額の一部につき繰り入れる必要がないと認められるときは、繰り入れないことができるというふうに規定されているところでございます。
 石油税収のうち特会への繰り入れに充てられませんで、一般会計に留保されました金額、いわゆる繰入未済額は、平成十三年度末で二千九百六十四億円となっておりますが、かかる繰入未済額に見合う財源は、積立金のような形で現実の財源として一般会計に留保されているものではないというふうに承知をいたしております。
大島(令)委員 ということは、毎年約三千億円という金額が法の目的と関係なく消化されている。これは望ましいことなんでしょうか、それとも望ましくないのか。このお金はどこに消えてしまっているのか。この点を説明してください。
岡本政府参考人 繰入未済額につきましては、これは石油税収の繰入未済額ということで、私どもは、まさに先ほど御答弁申し上げました特会の規定にありますように、過去の繰入未済額とその年度に見込まれる石油税収を足したものの中から、一方で歳出需要というものを勘案して、実際の毎年毎年の特別会計への繰入額が決められるということでございます。
 私ども、繰入未済額があるということはある意味では心強いというところもありますけれども、それを意図的に、歳出需要があるにもかかわらず繰入額を低く抑えられるということでは、これは本来の趣旨と違ってくるというところがあろうかと思いますので、毎年の繰入額の決定につきまして、財政当局との間で、長期的な視点から事業を進めていくに必要な額というものは、これは石特会計に繰り入れを認めてもらうべく、これからも鋭意折衝に当たってまいりたいと考えております。
大島(令)委員 それでは、必要な財政需要の中に、新エネルギーに対するさまざまな、例えば送電線の補強ですとか、そういうものにもこのお金は使っていいわけなんですね。
岡本政府参考人 新エネの発電をやります場合に、多くの場合、かなり既存の系統のラインから離れたところで、そういうケースが多うございますので、送電線の増強あるいは新規の敷設ということで、新エネ事業者の方々の側で電力会社から負担金を求められる、あるいは工事費の一部を負担してもらう、そういう話がございまして、そういったものを、今も、風力なら風力の発電についての、私ども、今、導入促進事業の補助金の中でそういったものも見させていただいておりまして、従来であれば多様化勘定、今度はそういったものも石特会計に一元化をしてまいりますので、これから、必要な予算の確保ということについては引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
大島(令)委員 では、今の御答弁をまとめますと、自然エネルギーの促進ですとか地球温暖化対策に需要があれば使うことも考えられるというふうに理解してよろしいんでしょうか。
岡本政府参考人 これは先生も御推察のとおり、一方で財務省という手ごわい査定官庁もありますので、そことの折衝、そこに向けて我々がいかに説得的な説明ができるかというところにかかっているところも少なくございませんので、まさにこういった委員会での御議論なども踏まえながら、私ども、毎年毎年、必要な予算の確保ということに向けて引き続き努力をさせていただきたいと考えております。
大島(令)委員 それでは、新エネルギー利用特措法の実効性について伺います。
 四月一日から電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法が施行されました。しかし、政省令に多くの問題があると思いますので、法の目的の実効性が疑われております。
 私は、そこで、新エネルギーの電気の利用目標について伺いたいと思います。
 この利用目標量は、平成十五年度で七十三・二億キロワットアワー、二十二年度には百二十二億キロワットアワー、利用目標率は、十五年度〇・八八%、二十二年度一・三五%となっております。この数値の根拠は何か、御答弁ください。
岡本政府参考人 二〇一〇年度の利用目標は、長期エネルギー需給見通しで示されております電気事業者の発電電力量のうち、新エネルギー電気の量、すなわち百十五億キロワットアワー、これに中小水力の発電電力量七億キロワットアワーを加えまして、百二十二億キロワットアワーとさせていただいたところでございます。
大島(令)委員 数値の根拠はというふうに聞いていますので、ちょっと答弁が違っていると思うんですが、次に行きます。(発言する者あり)関連がありますので。
 平成十三年六月の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会の報告では、二〇一〇年における新エネルギーの比率を三%としております。今度の政省令の利用目標量は一・三五%で、一見すると大幅に後退しております。政策的な整合性はとれていないと思っています。三%から一・三五%に後退した理由を述べてください。
岡本政府参考人 二〇一〇年の総合資源エネルギー調査会の需給見通しにおける新エネの目標数量三%というのは、これは電気として利用するものと熱として利用するものと両方を含んでいるものでございます。他方で、RPS法における二〇一〇年度の一・三五%というのは、これはもう先生もお気づきのとおり、販売電力量に占める比率でございますので、電気として利用する新エネの量というもので設定をしている目標でございまして、この両者を一概に比較するということは、今申しましたような難しさがございます。
 いずれにしましても、RPS法のみならず、導入支援策などのさまざまな施策を総動員しまして、私どもは、三%という目標の達成に向けて、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
大島(令)委員 それでは、義務量と利用目標量の関係について質問します。
 電気事業者への義務量の推計値が、資源エネルギー庁から一月に示されております。これによりますと、十五年度には十社の合計で三十二・八億キロワットアワーで、利用目標量の七十三・二億キロワットアワーとは大きな隔たりがあります。ところが、二十二年度の推計値は百二十二億キロワットアワーで、利用目標量の数値と一致しております。この違いはどこから来るのか、計算根拠を示してください。
岡本政府参考人 RPS法に基づきます利用目標は、長期エネルギー需給見通しを踏まえまして、二〇一〇年度までの利用目標を定めて、各電気事業者に販売電力量に応じて一定割合の新エネ電気の利用を義務づけるものでございます。
 現時点では、義務対象者であります電気事業者の間で新エネ電気の利用の程度に相当な隔たりがございまして、販売電力量に応じた義務比率の設定を全国一律の一本の数字でやるとしますと、利用が進んでいない者にとって義務の達成というのが著しく困難となってまいります。
 このため、制度の開始時点において新エネ電気の利用実績が低い電気事業者につきましては、経過措置期間を設けて、現実に即した形で義務比率、義務量を設定することにいたしております。
 したがいまして、経過措置期間においては、各電気事業者の義務量の合計値は利用目標値より低くなりますけれども、二〇一〇年度におきましては、すべての電気事業者に一律に義務比率が課されるということで利用目標を設定しておりますので、そこの達成に向けて各社の懸命の努力を私ども促してまいりたいと考えております。
大島(令)委員 それでは次に、登録された新エネルギーについて伺います。
 適用対象になる新エネルギーの登録は、法施行時の四月一日時点で何万キロワットアワーかお答えください。
 また、その内訳、風力発電、小水力発電、バイオマス、これはごみ発電が入っているかもしれませんが、それと太陽光発電などそれぞれ電源別に何キロワットアワーかお示しください。
 また、登録された新エネルギーで十五年度の利用目標量を達成することができるのか、この見通しについてもお答えください。
岡本政府参考人 RPS法九条に基づきます新エネ発電設備の認定につきましては、昨年十二月六日より認定作業を行っております。
 ことしの三月三十一日現在で認定を行いました設備の件数は、住宅用太陽光発電設備を除きまして五百八十一件であります。これによりまして、申請に関する相談を受けておりました設備も含めました潜在的な総設備件数、ここで七百三十二件ですけれども、三月末までに約八割が認定を受けたことになっております。
 認定の数でございますが、風力で百二十八件、中小水力二百五十一件、バイオマス百六十八件でございます。
 利用目標量に基づく義務量の達成については、認定された設備の今後の稼働状況等にもよりますけれども、現状の設備認定の状況を踏まえますれば特段の支障の生ずることはないと考えております。
 先ほどの件数見合いのキロワットの方でございますが、三月三十一日時点で、風力で四十一万三千キロワット、水力で十万七千三百四十キロワット、太陽光で千九百二十八、バイオマス発電設備百二十七万九千キロワット、そういった内訳でございます。
大島(令)委員 今電卓がないので、今答弁いただいた合計額というのは、済みません、どのくらいになるんですか。三月三十一日末での登録が各電力ごとに示されているわけなんですが、七十三・二億キロワットアワーになっているんですか。
岡本政府参考人 設備容量としましては、三月三十一日時点の認定設備の容量の合計は百八十万二千六百七十一キロワットでございます。
大島(令)委員 そうしますと、新エネルギー等電気の利用目標量というのが、平成十五年度、七十三・二億キロワットアワーというふうになっておりますが、到底達成できるとは思えませんけれども、どういうふうにしていくんですか。
岡本政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたが、特に、風力なんか稼働の状況によって発電電力量、キロワットアワーというのはかなり変動がございますけれども、私ども、従来の実績にかんがみますれば、この設備容量で百八十万というものが、内訳は先ほど申しましたような内訳でございますが、これだけの設備容量があれば十五年度の利用目標量を賄うことは十分に可能だというふうに考えております。
大島(令)委員 では、大臣に伺います。系統接続権について。
 まず、風力発電などの自然エネルギーによる発電事業者にとって、現在最も負担となっているのが送電線、つまり系統への接続の問題であります。法律の枠組みの中では、多様な発電事業者に対して系統接続を保障するための措置が盛り込まれておりません。そのため、系統接続のための費用負担が事業者にとって非常に困難と聞いております。
 政府として、費用負担を補助するなどの対策は考えておられるのか、おられないのか。まず、お伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 新エネルギー、特に風力発電につきましては、風況、風の状況に応じて出力が不規則に推移するとともに、特に風況条件のよい建設適地が送電系統の整備されていない遠隔地にある場合も少なくないことから、その導入に当たっては、系統に接続するための送電線の整備や既存系統の増強でございますとか出力安定化対策等を講ずる必要があります。
 こうした状況を踏まえまして、経済産業省といたしましては、これまでも風力発電事業者への補助金、新エネルギー事業者支援対策費補助金を交付する際に、風力発電機のみならず、系統へ接続するための送電線や系統接続に伴う電力会社への負担金も補助対象としてきたところでございます。
 また、平成十五年度予算におきましては、大規模風力発電所における出力安定化技術の開発に対して、新たに約二十四億円の予算を計上したところでございます。
 さらに、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会におきましては、風力発電の大規模な導入に伴って必要となる系統連系対策の内容及び費用規模並びにその実施、負担のあり方について、今後三年間をめどに検討を行うべき旨の報告がなされておりまして、政府といたしましても対応方策を含めて検討を行っていきたい、このように思っております。
大島(令)委員 北海道電力、東北電力は、立地上、風の道とかいうことで、風力発電をしましても、日本は島国ですから、例えば北本線のように送電線、海底を走って本州に持ってくるとか、そういうことを国が考えてやらないとなかなか新エネルギー、この法律ができましても事業者にとっては負担になると思うわけなんですね。
 聞くところによると、送電線を一キロ敷設するのに一億円かかると言われております。先ほど、石油特会の消える留保資金というのが約二千九百億円ほどあったわけですから、一キロ一億円としましたら、島国ですから、やはり北海道でたくさん風力発電しても本州に持ってこられるような、本当に国が新エネルギーに対して予算を投じてやる気があればできると思うわけなんです。そういうことをすれば、北海道の風車の問題はクリアできると思うんですね。新エネルギーの一番目玉の風力発電が、今北海道ではこういう系統接続権のために危機にあると聞いているわけなんです。
 大臣は、新エネルギーに対して理解を示すならば、こういう送電線への問題を予算額の面でどのように今後考えていくのか、聞かせていただきたいと思います。
平沼国務大臣 新エネルギー、風力を含めてこれを拡大していくということは、地球温暖化対策にとっても非常に必要なことでございまして、大島先生も御承知のように、国としてもこれに対しては非常に努力をしているところでございます。現時点では、御承知のように全体の一%程度でございますけれども、二〇一〇年には、これを少なくとも三%、私はもっと目標値を大きくしてやれ、こういうことを号令をかけているところでございます。
 ですから、そういう意味で、これまでも新エネルギーに対しては随分予算を投入してきました。また、規制の問題あるいは税制の問題等々、いろいろやってまいりましたけれども、非常に重要な問題でございますので、私どもといたしましては、この新エネルギー、風力を含めて、この拡大発展のためにはさらに努力をしていきたい、このように思っています。
大島(令)委員 ヨーロッパでは、陸続きですので、各国がループ状のネットワークをつくって風力発電ですとか自然エネルギーの取り組みをしてきたわけなんですね。日本では、やはりこのような石油特会で消える留保資金があるならば、私は、島国である日本、まず北海道・東北電力の間の北本線、地中を走るそういうところにもっと予算をつぎ込むとか、そういう大胆な政策をやはり大臣が出してもいいのではないかというふうに思っているわけです。
 今回の法の目的にもしっかりと、エネルギーの使用に伴い発生する二酸化炭素の排出を抑制するために、経産大臣、環境大臣が行う施策に対し必要な財政上の措置を講ずる等の必要がある、だからこの法律を出すというふうに言っているわけですから、この新エネルギー、風力発電などは、まさに二酸化炭素の排出抑制にも貢献するわけですから、法の趣旨から考えても予算の措置をお願いしたいということを申し上げて、質問を終わります。
村田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより両案に対する討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。
赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、省エネ・リサイクル法及び石油特会法の一部改正案並びに発電用施設周辺地域整備法及び電源特会法の一部改正案に対する反対討論を行います。
 反対理由の第一は、省エネ・リサイクル法、石油特会法改正案で新たにCDMなどを支援対象とすることです。
 CDMは、日本の温暖化ガス排出量の削減につながらないだけでなく、発展途上国での排出抑制への貢献を理由に、国内排出削減努力の緩和を容認するものです。これを公的資金で支援する必要はありません。
 第二に、発電分野の新エネルギー対策を電源特会から石油特会に移し、電源特会を事実上原発支援に特化することです。
 これは、東京電力などによる原発トラブル隠しによって高まった国民的な原発不信のもとで、原発増設、プルサーマル、使用済み核燃料中間貯蔵施設など、危険なプルトニウム循環方式を軸としたエネルギー政策を推し進めるためのものであり、認めることはできません。
 第三に、原子力安全・保安院など原子力の安全規制部門の人件費まで電源特会から支出することです。
 原発などの電源開発促進を目的とする会計で規制部門の費用を賄うことは、会計面での推進と規制の一体化であり、推進から独立した規制機関の確立という国民の要求とは真っ向から反するものです。
 第四に、周辺地域整備法、電源特会法の改正に伴う立地交付金の増額は、自治体財政をさらに原発に依存させることにつながるからです。
 福島県のエネルギー政策検討会中間取りまとめが提起した、発電所への依存度が高いモノカルチャー的な経済から自立することが求められているのではないかという問題を真摯に受けとめるべきです。
 最後に、原発の危険性に対する国民的な不安と不信に対し金で対応するという手法をやめること、国内での省エネ対策と自然エネルギー等の利用促進策を抜本的に強化することを求めて、討論を終わります。(拍手)
村田委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより採決に入ります。
 まず、内閣提出、エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、下地幹郎君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、保守新党及び宇田川芳雄君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。中山義活君。
中山(義)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、エネルギーの安定需給を図りつつ、環境と経済の両立を達成する実効性のある対策を講じるため、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 地球温暖化問題は、人類の生存基盤に関わる地球規模の問題であり、全ての国・地域の参加なくして解決は望めないため、米国や途上国を含めた真に望ましい国際的ルールができるよう最大限の努力を行うこと。
 二 京都議定書における我が国の温室効果ガス削減目標達成に向け、産業・民生・運輸部門における省エネルギーに対する支援策を一層推進し、新エネルギー等環境負荷の少ないエネルギーの普及・技術開発を促進すること。
 三 原子力は、エネルギーの安定供給の確保と京都議定書における二酸化炭素削減目標の達成の観点から不可欠な電源であることにかんがみ、増加するエネルギー需要を満たしつつ、地球温暖化防止のため必要となる原子力発電所の新増設計画を着実に実行するよう努めること。
 四 省エネ・リサイクル支援法の助成対象となる特定事業活動及び特定設備について、施行状況等を勘案し、必要に応じ対象の見直し、助成措置の充実・強化を図ること。
 五 地球温暖化問題の解決と経済発展の同時達成に向けた取組みが不可欠であることにかんがみ、廃棄物の発生抑制、部品等の再利用の促進に当たっては、実用化のための技術研究開発に対する支援策を積極的に行うとともに、中小企業等の環境関連産業の育成を図り、新たな需要や雇用の創出に努めること。
 六 省資源・循環型社会形成に向け、エネルギー多消費につながるライフスタイルを見直し、意識の改革を図るため、国民に対する啓発活動、広報体制の充実に努めること。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
 以上です。(拍手)
村田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 次に、内閣提出、発電用施設周辺地域整備法及び電源開発促進対策特別会計法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、下地幹郎君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、保守新党及び宇田川芳雄君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。下地幹郎君。
下地委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文の朗読をいたします。
    発電用施設周辺地域整備法及び電源開発促進対策特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、電気の安定供給の確保が国民生活と経済活動にとってきわめて重要であることにかんがみ、発電用施設の設置及び運転の円滑化に資するため、本法施行に当たり、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 電力の安定供給の確保に些かの支障も来すことのないよう、現在、運転が停止している原子力発電施設の徹底した安全確保を大前提とした上で、立地地域の住民等に対する積極的な情報提供等により、早期の運転再開に向けた理解促進に努めること。
 二 利便性向上等事業計画に基づく事業については、歳出対象が無限定に拡大し、制度の趣旨に照らして必要性が疑われることのないよう、事業計画の厳正な審査を行うこと。
 三 周辺地域整備資金に関し、電源立地の推進に向けた理解促進活動により、過剰な資金が滞留することのないよう一層努めるとともに、電源開発計画の進捗状況や周辺地域整備資金の資金規模の推移等に応じ、電源立地勘定の歳出・歳入構造の見直しを含め、引き続き検討を行うこと。
 四 電源開発促進税の実質的な納税者が国民であることにかんがみ、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づき、電源三法交付金の厳正な執行に努めるとともに、事業の成果を適切に評価し、情報公開に努めること。
 五 エネルギー政策基本法の規定に基づくエネルギー基本計画を定めるに当たり、我が国のエネルギー政策における原子力の位置付けとともに、国、地方公共団体及び事業者の役割を明確化すること。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
村田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、両附帯決議について平沼経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平沼経済産業大臣。
平沼国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、これらの法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
村田委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
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村田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三分散会


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