衆議院

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第5号 平成16年3月19日(金曜日)

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平成十六年三月十九日(金曜日)

    午前九時三十三分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今井  宏君 理事 江渡 聡徳君

   理事 櫻田 義孝君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君

   理事 吉田  治君 理事 井上 義久君

      今村 雅弘君    遠藤 利明君

      小野 晋也君    大野 松茂君

      川崎 二郎君    小島 敏男君

      小杉  隆君    小西  理君

      河野 太郎君    佐藤 信二君

      菅  義偉君    平井 卓也君

      藤井 孝男君    増原 義剛君

      松島みどり君    宮路 和明君

      梶原 康弘君    菊田まきこ君

      近藤 洋介君    篠原  孝君

      高山 智司君    樽井 良和君

      辻   惠君    中津川博郷君

      中山 義活君    計屋 圭宏君

      村井 宗明君    村越 祐民君

      渡辺  周君    江田 康幸君

      河上 覃雄君    塩川 鉄也君

      坂本 哲志君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   内閣府副大臣       伊藤 達也君

   経済産業副大臣      坂本 剛二君

   経済産業副大臣      泉  信也君

   経済産業大臣政務官    江田 康幸君

   経済産業大臣政務官    菅  義偉君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            大久保良夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           齋藤  浩君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           桑田  始君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          杉山 秀二君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   参考人

   (日本銀行企画室審議役) 山口 廣秀君

   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  小島 敏男君     大野 松茂君

  辻   惠君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  大野 松茂君     小島 敏男君

  篠原  孝君     辻   惠君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 商工会議所法及び商工会法の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案及び商工会議所法及び商工会法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本銀行企画室審議役山口廣秀君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として金融庁総務企画局審議官大久保良夫君、経済産業省大臣官房審議官齋藤浩君、経済産業省大臣官房審議官桑田始君、経済産業省経済産業政策局長杉山秀二君及び中小企業庁長官望月晴文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。櫻田義孝君。

櫻田委員 自由民主党の櫻田義孝でございます。

 本日は、中小、中堅企業関係法案に関連しまして、幾つか質問させていただきたいと思います。

 言うまでもなく、日本経済というものは中小企業で支えられておるということで、企業の九九・七%が中小企業である、また従業員も七割近いというようなことにかんがみ、中小企業の健全育成と発展というものが日本経済を支えていると言っておいても過言ではないと思います。もちろん、トヨタのように一兆円近い利益を出す企業も必要でありますが、百万円の利益を出す企業が百万社あることが最も現在の日本に必要なのではないだろうか。こんな観点から、景気の明るさが見えつつある中でも景気回復の地合いを確かなものにするために、中小、中堅企業というものをしっかり育てていくことについて質問させていただきたいと思います。

 今回は、中小企業金融公庫の証券支援化メニューの増大という、いろいろと改正案が出ておりますが、私のこれまでの問題意識をもとにいたしまして、中小企業金融に関し、幅広い観点から率直な意見を申し上げたいと思っております。

 まず第一に、我が国の中小企業を見た場合、特に土地の担保をしっかりととって融資をするという方法が、従来、長い伝統の中で金融界にはびこっているところであります。二、三%の金利を取って土地をがっちりとるというやり方がありますが、一方では、多くの問題を残した商工ローンのように、一〇%から二〇%、三〇%近い、上限金利に近いような金利までも取って貸すという金融があります。

 しかしながら、その中間にある七、八%、七%から一〇%程度というようなミドルの融資主体というものが日本にないのが現状であります。これに対して、私は、今後、このミドルにある金融機関というものの存在があってもいいのではないか、それに対しましてリスクもあると思いますので、土地担保主義から離脱をさせる意味でもこのような金融機関があってもいいと思いますが、そういった観点から、こういうミドルの金融機関の育成につきまして、無担保無保証も含めまして、役割を担う金融機関のあり方として、経済産業省の所見というものをお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

菅大臣政務官 おはようございます。

 今、櫻田委員からお話がありましたけれども、中小企業の経済状況を考えるときに、全く私も同感であるというふうに考えております。

 まず、今、我が省の政務官をやられて、当時からこのことを強く訴えられた、そうしたことにかんがみまして、我が省としましても、無担保無保証の融資の拡大、これに現在努めておるところであります。

 具体的に申し上げますと、ことしの四月から、中小公庫や商工中金の創業・新事業向け融資制度においては、経営者本人の保証をとらない融資額、これは三千万までというものを創設します。あるいは、国民公庫におきましては、無担保無保証、新創業の融資ですね、今日までは五百五十万でしたけれども、これを七百五十万と二百万を拡大する。さらに、第三者保証なしの融資制度でありましたけれども、これも一千万から一千五百万までとリスクを若干緩和した中で、こうしたことを今行っています。

 そして、今回の法律改正にありますように、中小公庫による証券化支援策、こういうものをしっかりと、私ども、皆さんの御理解をいただいて確立することによって、無担保無保証、やる気のある中小企業を支援する仕組み、政府を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っています。

 さらに、七%から一〇%のミドルの問題もありましたけれども、これも金融庁と緊密な連携をとりながら前向きに取り組んでいきたいと思います。ぜひ御理解をいただきたいと思います。

櫻田委員 大変前向きなお答えをいただいて、ありがとうございます。

 民間金融機関でも、やはり連帯保証人というものがあります。昔、昔というのはちょっと前ですけれども、私が経済産業政務官になったときに、一番最初に私のところに陳情という形になったのは、連帯保証人に私がなっているんだけれども、そもそも地縁、血縁で連帯保証人を頼まれるので、実際はその事業に携わっていないので、事業のわからないところの保証人になるんだから大変なんだよ、何とかこの第三者保証人というものはぜひ撤廃をしてくれるような政策を打ち出してもらえないかと言われたのが、陳情の第一でありました。

 そんな中で、平沼前経済産業大臣が、私の地元柏に来たときに、第三者の連帯保証人というものは世界でもまれに見る制度であって、これはぜひ撤廃をしたいというふうに、私のところのタウンミーティングの発言でありましたけれども、大臣みずからのそんな発言がありましたので、脱連帯責任保証というものを今後とも強力に進めていきたいと思いますが、それにつきましても、さらにもう一歩踏み込んだ形でひとつお願いをしたいなというふうに思います。

 かつて、住友何がしという銀行にいた役員の方が、我が社は担保なしで融資をしようと言ったら、そのときに頭取に怒られて、その会社をやめてからあるビール会社に行って、シェアを半分以上とっていたビール会社を席巻して社長になって、目ききというものを大事にして成功したビール会社の社長も日本においででございますので、そういった点、目ききという観点からも、ぜひ経済産業省の所見を聞きたいなというふうに思います。

中川国務大臣 おはようございます。

 今、櫻田委員の御指摘ですが、非常に大事なポイントだと思います。もちろん、企業あるいは資金需要が必要なところに対して資金を供給するというとき、特に議論の前提であります日本を支えている中小企業に対して資金需要にこたえるというときには、リスクが伴うわけでございます。お金を貸すということは、必ずリスクが伴う。

 したがって、担保があったり保証があったりということでありますけれども、こういう経済情勢、あるいは今平沼前大臣のお話がございましたけれども、世界の先進国を見ていると、余りにも今まで有担保原則、特に土地を中心とした有担保原則、そしてまた保証、本人保証、第三者保証を含めた保証。保証というのは無限責任ということになるわけでございますから、そういう意味でそれが、こういうスピード感が必要な時代、あるいはまたいろいろなニーズにこたえていくときにできるだけ軽減をしていかなければならないということは、一つの大きな時代の要請だと思っております。

 と同時に、リスクを伴うわけですから、そのリスクに対してどこまで、ハイリスクでノーリターンということになってはこれはまた経済に対する影響があるわけでございますから、その辺をどういうバランスをとるかというところが、さっき言った中程度のところに対する視野が必要ではないかという御質問にも通じていくんだと思いますけれども、いろいろなラインナップをそろえて、そしてまた、それが提供する側にももちろんリスクがあると同時にメリットもある。あるいはまた借りる側は、もちろん必要なお金が提供できると同時に、過度ながちがちの保証があったりがちがちの担保が必要だということでも意味がないわけでございますから、その辺のバランスが難しいんですけれども、総じて、担保なり保証なりを軽減していく方向。

 それから一部には、今答弁いたしましたように、無担保とか無保証というものもございますけれども、流れとしては、やはり今までのような担保がなきゃだめだ、保証がなければだめだということから、よりいろいろな、自由なというか、いろいろなラインナップをそろえて、その中には御審議をこれからいただくでありましょう証券化の手法なんかもあるんだろうと思いますけれども、いろいろなラインナップの中で、いろいろなスピード感あふれる資金調達、あるいはまた資金供給の体制に向かっていくというのが、今我々が求められている基本的な方向ではないかというふうに考えております。

櫻田委員 民間の金融機関について、引き続きお尋ねしたいんです。

 民間の銀行の頭取は、今大臣が言われましたようなことが非常にこれから大事なわけでありますけれども、よく目ききをして事業性について融資をするようにということを言うんですけれども、今の銀行の頭取自身が、目ききによった、事業計画に基づいた融資をする、こういう習慣、訓練を全然受けていなくてそのノウハウを持っていないということが明らかにありますので、そういった面をぜひ留意していただきたいなと思っております。

 そして、民間金融機関から、政府系金融は民業の圧迫だ、こういう批判が、よく我々のところに陳情に来るんですけれども、何を言っているんだ、民業圧迫どころか貸し渋り、貸しはがしで苦しませているのはあなた方銀行ではないかというようなことを私はお話しさせていただくんですけれども、今銀行のシステムが、やはりこういう初めて新しい事業家に融資をする場合、政府系の金融公庫から借り入れをして、保証協会を使ってまず融資をさせて、それから一年か二年返済状況を見て、それから民間の銀行さん、金融機関が融資をするというのが定番になっておりますので、政府系の金融機関が貸す前に民間の銀行が融資をして、その後政府系が民業の補完としての融資をしているのか、どっちが先なんだかよくこれから吟味をする必要があるなというふうに私は思っておりますので、民間の融資と兼ね合わせながら、ぜひそういったことについても政府系金融のあり方というものを考えていただきたいと思っております。

 また、私は、今政府系金融が、この三年間程度を見ますとほぼ横ばい、それに対して大銀行は、特に貸しはがしというか貸し渋りが多い、中小企業に対する割合はもっと大きいということが言われておりますが、政府系金融におきまして、今後の方針として、現状程度で横ばいでやっていこうかという考えを持っているんだか、これからはやはり民間の方に任せてだんだん手を引こうという考えを持っているんだか、やはり民間には今頼れないのでもっと拡充していこうと言っているんだか、その方向性についてお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 先ほど金融の一般的なお話をさせていただきましたけれども、今こういう状況ですから、ある意味では何としても政府、そしてまた民間も含めて日本経済が元気になるように、特に中小企業が元気になるようにということで、我々全力を尽くしておるつもりでございます。

 したがって、いろいろなメニューがこれからも御審議をいただくことになるわけでございますけれども、今後どうなるかということについては、基本的にはさっき申し上げたように、一つはいろいろなメニューを、利用する側に判断をしていただきたい。他方、我々政府系金融機関を見ている立場から申し上げますと、基本的には官業は民業を補完する役割である、なぜならば日本は自由主義経済であるからという大前提があるわけでございます。そのときに、補完とはどういう意味なのかというときに、もちろんぶつかり合って民間をはじき飛ばすということがあってはならないわけでございますし、慎重にしなければならないわけでありますが、他方、頑張ってもらいたいというところに、民間としてはなかなか出ていけない部分に対して、ひとつ政府系が先に一歩出てやっていこう。

 例えば、今きょうも御審議いただくでありましょう証券化のときの中小企業事業団の出資や融資、あるいは引き受けといったものも、ある意味では無担保のものに対してやっていくわけですから、若干リスクを先行してやっていく。どうぞ民間が出ていらしたら、そのときには民間主導になりますということでございますから、今後、経済状況によってどういうふうになっていくのかということは、今の段階では、一日も早く日本経済が正常な状態、力強く全体として前進してもらいたいということでございますから一概には言えませんけれども、とにかく全体として民間のニーズにこたえられるように、そしてまた官は民の補完に徹するようにということが二つの原則だろうというふうに思っております。

櫻田委員 最後になりますが、中小・ベンチャーファンド法の一部改正というものが今回上程されているわけでありますが、余りよく、この法案もこの程度で十分なのかなというのはありますけれども、中小・ベンチャーファンドがなぜアメリカの三十分の一で英国の三分の一なのか、抜本的な解決策としてはこの程度でいいのかどうか、私は疑問に思うんですが、時間でありますので、次回にわかりやすい説明ができるように、ひとつ資料を提供していただければありがたいと思います。

 以上をもって質問を終わります。

根本委員長 松島みどり君。

松島委員 おはようございます。

 今大臣も、常日ごろ指摘されておりますけれども、今の経済の状況というのは、大企業が景気がよくなりつつある、中小零細企業はまだまだそこまで及ばないという状況かと思います。

 その中で、私の地元も中小というか零細企業ばかりの町でございますけれども、状況を見ておりますと、過去の負の遺産、つまり借金を昔から背負い、借金がたまりにたまっているところで、その海の中であっぷあっぷしているというか、あがいているというか、そういう状況じゃないかと思います。これから大企業がよくなって、それが中小零細企業にも及んでくるまでの数年間をどのように、海に漂っているのが海底までおっこっちゃわないで何とかそこの状況でいて、数年後、海面に顔を出すことができるようになるか。

 その場合に、今見ておりますと、どうしても、たとえ政府系金融機関であっても、借りるのが、運転資金が五年、設備資金で七年、そういう短さ。もちろん、理屈からいいますと、設備資金は七年で回収できるようなものでないとだめだというのは理屈はわかるんですけれども、なかなかできない状態で、これを長い期間に延ばせないか。いろいろな借りかえなんかやっているけれども、期間がどうしても短いままなので厳しい。これを、例えば十年、十五年といったような期間を、政府系金融機関が、中小企業金融公庫を初めとするところがそういう融資というものを設定するか、あるいは、そうでなければ、保証機関が保証という形で、そういう長い融資を民間ができるような形をとることができないか。

 今回のとは直接は、今回の法律の質問じゃございませんけれども、要望を込めて、これは、信用金庫協会などから、あるいは商工会議所などからも要望が上がっているのですが、大臣にお考えをお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 長くしたいということは、気持ちとしてはよくわかります。

 ただ、長くすると、一般的に金利が安くなるかどうかということを含めて、総負担としてどうなるかということもあるわけでありますが、今厳しい状況ですから、とりあえず少し期間を延ばしてくれというニーズというのは当然のニーズだろうと思います。

 七年とか五年とかいろいろ融資期間がありますけれども、例えば借りかえ保証、非常に御活用いただいていると思いますけれども、これは最長十年の制度もございますので、そういう意味で、借りかえあるいは期間の延長といった貸し付け、保証といったもの、これは、借りかえ保証については今申し上げたような制度がございます。それによって企業がよくなるというきちっとした見通しがあるということであれば、我々としてもそういうニーズを重く受けとめなければならないと思っておりますれども、とりあえずはその借りかえ保証の方で対応、現状としてはニーズが非常に高いものというふうに私は認識を持っておりますが、御意見として承らせていただきたいと思います。

松島委員 つまり、短期ですとどうしても一カ月の、総コストの問題はございますけれどもそれ以外に毎月毎月返すのが、三千万借りても毎月三十万返さなきゃいけない、四十万返さなきゃいけないということが非常に月々の重い負担になっているものですから、ぜひいろいろな形でこれからも進めていっていただきたいと思います。

 それと、今回の中小企業金融公庫による証券化の支援、証券化促進業務、これは保証型と買い取り型があると思うんですけれども、これのうちの保証型というのは、中小企業の方から見るといわば中小企業金融公庫が第二の保証協会みたいな存在になる、私はそういうふうに受けとめさせていただいています。

 それはいいことだと思うんですけれども、これまでの保証協会のやり方というのは、一〇〇%保証してもらえるか、おたくなんかいろいろ過去に問題点があるからだめよと言われるか、一〇〇かゼロというのが基本でございました。それでは非常にチェックも厳しくなる、つまり、保証協会から見たチェックは厳しくなるんだけれども、同時に、民間金融機関は、保証協会が判断してくれればいいんだからということで、全部リスクもぶん投げちゃって、本来ならば一番中小企業のこと、実情をわかっていなきゃいけないはずの銀行なり信用金庫の支店というものが、じっくりどうするかということも考えないで全部保証協会に投げちゃう。

 ですから、できれば保証協会が、例えば相手先によって六割だか七割だか八割だか保証する、そのかわりに、一緒にセットを組む金融機関、銀行の方も、信用金庫の方も負担を、リスクを二割とか三割とか四割とか背負ってくれ、そういうリスクシェアみたいな形でそれぞれが負担し合うという考え方がいいと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

望月政府参考人 信用保証協会に関する一〇〇%保証については、いろいろ先生今御指摘あったような御議論もございます。それで、部分保証をもっと導入すべきではないかという御議論があって、私どもとしても、御指摘の部分、かなり傾聴しなきゃいけないことがあろうかと思っております。

 したがいまして、これを一気に導入するというのはなかなか、社会的に激変でございますので大変でございますが、例えば新しい手法で、売り掛け債権の担保保証融資制度などを導入いたしましたときには、新しい制度で、しかも、リスクについて金融機関もきちんと負担していただいた方がいいということもございましたものですから九割の保証にとどめて、一定程度の部分保証を試みで導入したりしているわけでございます。

 全体として、今後信用保証協会の部分保証についてどういうふうに考えていくかというのは、少し時間をかけて考えていかなきゃいけない問題だろうというふうには思っております。

 ただ、本件、御審議いただいております中小公庫の証券化の仕組みにつきましては、保証型におきましても、当初から、事後の管理も非常に大切なものでございますので、民間金融機関もリスクをきちっとシェアをするという観点から、七割の保証にとどめて制度をスタートしているところでございます。

松島委員 いい試みだとそれは評価させていただきます。

 一般に中小企業という言葉で総称されるのですけれども、現実には中小企業、中堅企業と中小企業と零細、零細という言い方が悪ければ小規模事業というのは、やはりかなり異なるものだと思っております。私自身は、中小企業基本法、これは私が当選する前に資本金三億円以下まで引き上げられたんですけれども、そうしたら逆に資本金が五千万以下の小規模事業基本法みたいなものをつくらなきゃいけないんじゃないか、全く状況が違うというふうに常に考えている人間でございます。

 それで、零細企業ということ、従業員が例えば五人未満とかそういった会社が非常に多いわけですけれども、そのことを考えますと、今回の中小企業金融公庫のやり方でも、保証型の場合、主に都銀を通じて貸している一件三千万円ですとか五千万円とかそれぐらいの規模を考えておられるようで、それから買い取り型の方、これはより小さい、それよりは小さいところを考えておられるようですけれども、それでも一件一千万円とかぐらいからのそういう規模で、オーダーで考えているように伺っております。

 ただ、現実には、一千万借りるために悩んでいるんじゃなしに、三百万、五百万がなかなか借りられないで、あるいはそういったような状況で大変な思いをしている、資金繰りにも苦しんでいる零細企業は数多く世の中あるわけでございまして、このあたりの小さな会社そして小口についてはどのように、これにまで対応を広げていただきたいんですけれども、大臣、どのようにお考えになりますか。

坂本副大臣 今般の証券化事業というのは、民間金融機関の無担保無保証というものが円滑に行えることを支援する目的で行われています。

 先生おっしゃいますように、いろいろな規模があるわけでございますが、この制度の運用に当たっては、できるだけさまざまな地域、さまざまな業種、さまざまな規模、幅広くこの支援が行われますように制度を運用したいと考えております。

 また、特に小規模零細企業のために、国民金融公庫がことしの四月から、先ほど来から話もありますように、無担保で無保証の融資制度を五百五十万から七百五十万に、それから第三者保証人を不要とする融資の限度額を一千万から一千五百万に拡充することにしております。

 さらに、零細企業の方々に活用していただけるように、簡素でわかりやすいパンフレットを作成して、政府系金融機関等々で相談や説明会の実施に当たっておるわけでございます。

 また、全国どこからかけても最寄りの中小企業・ベンチャー総合支援センターにつながる、なんでも相談ホットラインというのが去年の十二月から開設されておりまして、一生懸命頑張っております中小企業者の相談等に対して、きめ細かく今後ともこたえていくこととしております。

松島委員 そのわかりやすいパンフレットと称されるものを私も時々いただくんですけれども、何か、色がグリーンだとか黄色だとかいろいろカラフルできれいだけれども、文章自身がわかりにくかったりしますので、ぜひよろしくお願いしたいなということを思っております。

 最後に、今度は繊維のことでございます。

 中小企業基盤整備機構法改正の中で、繊維関係基金の活用について、これが一緒に出てくると思います。

 私は、実は地元にニット、ニットというのはTシャツとかカットソーとかこういうセーターとかでございますけれども、東京にも産地がございまして、これの産地を抱えておりまして、非常に切実な問題でございますので、ぜひ中川大臣にお伺いしたいと思っております。

 繊維全般について言えることでございますけれども、既に中国からの輸入がもうこれだけふえてきて、今大変な思いをしております。遅きに失した感はあるんですけれども、ただ、昨年から始まりました新しい自立支援事業、私、高く評価しております。これは、個別企業に対して平均三千万円を補助金として、助成金として出す、それも総事業費のうち三分の二まで助成金で出す、かなり思い切ったもので、個別の会社に対する基本的助成金はだめだという、財務省なんかそういうかたくなな姿勢をもともと持っていますけれども、それを打破した非常にいい試みだと私は思っております。

 それで、これについて、三つ要望プラス質問をさせていただきたいと思います。

 今申し上げましたように、非常に使ってお得な助成金なものですから、私の地元でも、通信販売でこれを使って、通信販売で、新しいチャネルで売り上げを伸ばしている会社もございます。しかし、その一方で、五百七十五件応募があって、昨年度というか平成十五年度、今、間もなく終わる年度ですから、五百七十五件応募があって百十件しか受けられなかった。競争率五倍以上でございました。

 今、基金はおよそ百五十億円あると聞いているんですけれども、これを何年もかけて少しずつ使っていく、取り崩していくというんじゃなくて、今もう、最初に申しましたように、今でも遅いぐらいですから、もうぎりぎりのところまで来ていますので、どうか、今が生きるか死ぬかのこの業界の潮どきだと思って、十六年度はもっと、ばんと多くの、たくさんの会社が受けられるように、思い切ってお金を使っていただきたいということが一点。

 もう一つは、これがどうも、役所の方や学者が考えた基準とか論文的基準によって合格したりはねられたりするのじゃなくて、実態として、意欲のある会社に対しては幅広に適用していただきたいということですね。それが二つ目でございます。

 それから、最後に、補助金が出るといっても、その出るまでの間、新しいことをやろうと思ったら資金がどうしても先行でかかります。その資金に対して、つなぎというか、融資なりするなり、別枠で、今まで言ったようなこととは別枠で何か考えられないか。

 以上、要望と質問でございます。

中川国務大臣 今、松島委員御指摘の繊維関係の自立支援事業でございますが、繊維産業というのは、川上から川下まで非常に幅広で、しかも日本にとって伝統的であり、また今も大事な産業だと思っておりますので、こういう自立支援事業ということをスタートしたわけであります。

 まず第一点の、去年は三十億ということでございましたけれども、十六年度は必ずしも、いわゆる百五十と言われている数字を五で割って三十ということがスタートだったんだと思いますけれども、私は、もっと柔軟に対応したい、決して三十億を十六年度はリミットというふうには考えておりませんので、これは第二点の質問に関係するかもしれませんけれども、この自立支援事業にふさわしい事業であれば、三十億というリミットにこだわるつもりはないということでございます。

 それから、第二点については、これはあくまでも国内産業育成、育成といいましょうか国内産業のために支援をするということでございますから、基本的には国内生産ということが中心ではございますけれども、絶対にそれでなければだめだということではなくて、いずれにしても、柔軟性を持たせてやっていきたいというふうに考えておりますし、そのためには、先ほどの目ききじゃございませんけれども、経験ある人たちの判断というものが必要になってくると思っております。

 それから、三点目のつなぎ資金、つなぎ的なものについては、商工中金に中小繊維製造事業者自立事業関連相談コーナー、長たらしいんですが、要するに、商工中金にこういう自立支援のための相談コーナーを設けまして、御相談をいただき、場合によっては必要な融資も行いたいと思います。

 さっきの、パンフレットがわかりにくい、まことに申しわけないと思っております。わかってくれなければパンフレットの意味がございません、相談に乗ってくれなければ相談に乗った意味がございませんので、またその辺もきめ細かく御指導いただきたいと思います。

松島委員 すばらしい御答弁、ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

根本委員長 河上覃雄君。

河上委員 おはようございます。公明党の河上でございます。

 三十分間でございますので、すぐ質問に入りたいと思います。

 まず最初に、中小企業金融におけるファンドの活用の意義についてお尋ねを申し上げたいと思います。

 中小企業の事業再生、創業あるいは起業、この促進のために、ファンドを通じた資金供給の活性化というものが私は大変重要であると思っております。しかし、我が国のファンドは、平成三年の実績ベースで見ますと、アメリカの六兆円強、イギリスの七千億強に対しまして二、三千億円と、かなり投資規模としては小さいわけでございますが、この実績は、アメリカの三十分の一、イギリスの三分の一と、欧米に比べてかなり低い水準であります。

 そこで、お尋ねをしたいわけでございますが、今回の改正によってファンド投資額はどの程度伸びるとお見込みか。また、ファンドの振興のためにどのような支援策を用意されているのか。さらに、中小企業にとってどのようなメリットが期待できるのか。こうした観点からお答えいただきたいと思います。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、我が国のファンドの実績というのは、アメリカとかイギリスに比べていいますと大変少ないというのは、御指摘のとおりでございます。

 御質問の最初の、では、今回の法改正によってどの程度こういったものが改善されるかというお尋ねでございますが、それは、今の状況は、ある意味では、日本の千四百兆円と言われている個人の資金というものがあるわけでございますので、これからそういったものが活用される余地があるというふうにも言えるかと存じます。

 具体的にどの程度ふえるかというのを、数字をきっちりと申し上げるのは、正直申し上げてなかなか困難なことだと思いますけれども、ただ、今言いましたような状況でございますので、今後、中長期的に見ますと、現在の数倍ないし十倍程度ファンドによる投資が拡大するということを期待してもそれほど、あながち過大なものではないんじゃないかというふうに考えておりまして、こういった法改正を一つの契機にしていろいろな課題が克服されて伸びていくということに、私どももいろいろ工夫をしていきたいというふうに考えておるところでございます。

 それから、どのようなメリットが中小企業、中堅企業にあるのかというようなお尋ねでございました。

 今回の法改正によりまして、従来の出資だけではなくて、融資あるいは債権の買い取りといったようなこともこの有限責任組合でできるようになるということでございますので、いろいろな、多様な仕事、あるいは多様なニーズにファンドがこたえることができるということになるかと存じます。そういった意味では、中小企業あるいは中堅企業へのメリットというものはかなりあるのではないかと思っております。

 それから支援策、こういった法改正以外の支援策のお尋ねでございました。

 私どもとしては、こういった法改正のほかに、民間の投資資金をファンドに呼び込むためのいわば呼び水という観点から、政策投資銀行とかあるいは中小企業事業団による出資制度を既に設けておりますけれども、こういった制度をより実際活用されるような努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。

河上委員 ありがとうございました。

 ベンチャー企業の育成というのは、非常に我が国の経済の活性化にとりまして大事なことだと私は思っておりますし、一つのキーワードであろうと思います。

 このベンチャーの育成を考えるときに問題となるのが、やはり資金力の不足。今回の改正、あるいはエンゼル税制などの拡充による直接融資の道を拡充するということは、非常に大切なことだと思っております。さらに、直接金融の拡大とともに重要なウエートを占めているのが、個人保証の問題や、あるいは再挑戦が可能となる環境の整備であろう、このように思います。

 今回の国会で、個人保証の問題にかかわる破産法が他省庁から改正案として出ておりますが、起業家の再挑戦を阻害している個人保証あるいは第三者保証の問題につきまして、中小企業庁としては、これとは別に何らかの具体的な施策をお考えなのかどうか、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 先生御案内のように、今の、現状の中小企業の実態を拝見しますと、企業の資産と個人の資産が混然としている場合も多くて、あるいはまた、担保に供する十分な資産を企業として有していないというような場合も多いことから、現状で、経営者本人や第三者の個人保証が求められているという実態があろうかと思います。現実問題、昨年の私どもの中小企業白書の調査におきましても、八割以上の中小企業は、経営者などの個人保証を提供しているという実態にございます。

 経済産業省といたしましては、こういう背景を勘案しますと、やはりこの金融慣行の改善に向けた環境整備をすることが必要だろうということから、一昨年の六月に中小企業庁において、中小企業向けの会計基準というものを作成いたしまして、これを普及することによって中小企業の決算書類の信用力の向上を図る、つまり、中小企業の経営の透明性を図るということなどを取り組んでいるところでございます。

 現に、この結果、税理士協会あるいは公認会計士協会等々の御協力によりまして、こういう透明性を図られた中小企業に対して、民間金融機関がこういった保証のないような融資に向けての新しい制度を発足させるなどの動きが出てきているというわけでございます。

 しかしながら、こういった動きをさらに一層強力にするためには、私どもの関係しております政府系金融機関におきましても、無担保無保証、本人保証もなしというような融資の制度を、例えば国民金融公庫の新創業融資制度の、先ほど来出ておりますが、貸付限度額を五百五十万から七百五十万に引き上げるとか、あるいは、中小公庫、商工中金はもともと第三者保証はとっておりませんけれども、この中でも新事業向け融資制度におきまして、例えば財務制限条項などを締結するというようなことを前提といたしまして、経営者本人の個人保証を免除する制度などの創設を行う等々の努力をしているところでございます。

 あわせまして、先生今御指摘がありましたように、個人保証を行っております経営者が後に過大な責任を負わないよう、破産した場合の手元に残る自由財産の拡大とか、あるいは包括根保証制度などにつきまして、金融庁、法務省等の関係省庁との必要な見直しのための努力を続けているというような実態にございます。

河上委員 もう一点だけこの関連の質問をいたしますが、中小・ベンチャー企業向けの支援メニューがたくさんございます。しかし、中小企業に浸透していない。先ほどの同僚委員の質問にも出てまいりました。なかなか難しいわけでございまして、多くの中小企業は、その支援を未活用のまま経営や事業再建に取り組んでいるわけでございまして、資金調達の幅を広げますための今回の改正ではございますが、この新たな制度をどれだけ中小、ベンチャーに浸透させることができるのか、この点がかぎだと思いますが、御見解を伺いたいと思います。

泉副大臣 せっかく委員会での御意見をいただきながらいい改正法ができましても、御指摘のように、関係者に周知徹底できなければ全く宝の持ちぐされとなることをよく承知しておるところでございます。

 我々としましては、経済産業省のホームページに本制度の内容やQアンドAを掲げるというようなことをやるほか、わかりやすいパンフレットをつくらせていただく、あるいは全国の商工会議所などにおける説明会を徹底して行う、銀行協会とかあるいはベンチャーキャピタル協会などのファンド関係の業界団体に対しても説明会を催して、啓蒙普及を幅広くやっていきたい。先ほどのお尋ねにございましたような、わかりやすいものでなきゃならないということもよく踏まえて徹底してまいりたいと思っております。

河上委員 ありがとうございました。

 中小公庫法の改正等について、質問を移します。

 まず、証券化支援業務についてでございますが、不動産担保や個人保証からの脱却を目指しながら、政府は今までさまざまなメニューをつくってまいりました。提供いたしてまいりました。売り掛け債権を利用いたしました融資や、トラック等の動産を担保とした融資制度、この創設については我が党も強く主張してきたところで、大変評価できるものであると思っております。

 しかしながら、今回新たに行おうとする貸出債権の証券化が、民間金融機関のリスクを肩がわりする目的ではないということはわかっておりますし、あくまでも中小企業向けの無担保融資の拡大を目的とするものであるということで理解をいたしておりますが、ともすると、中小企業者にとってどのようなメリットがあるのかわかりにくいという問題もございます。

 そこで、証券化支援の実効性を高めるという観点、あるいは利用を促進するという上から、民間金融機関等のリスクの分担の考え方、そしてまた、中小企業のメリットとは何か、この点についてぜひともわかりやすく御説明いただきたいと思います。

中川国務大臣 長官なり局長から、補足があれば答弁させますけれども、あえてわかりやすくということでございますから、私もともすれば頭がごちゃごちゃになるので、私の説明が間違っていたらという意味で、わかりやすく私の理解で御説明を申し上げますと、今御指摘のように、借りる側から見ると、資金調達の手段の多様化、しかもそれが無担保であるということになりますし、貸す側から申し上げれば、先ほど申し上げたように貸すときにはリスクが伴うから、本当は担保なり保証人なり、がちがちにしておかなければならないということからの脱却だということになるわけでございます。

 だから、お互いにメリットがなければならないということで、無担保融資であり、また、その無担保によることによるリスクを、お金の出し手としてはとりあえず出すんですけれども、証券化することによってそのリスクをマーケットに預ける、マーケットが判断をするということになるわけでございます。

 したがって、ポイントは、そのマーケットが、先ほど、冒頭御質問がございましたように、マーケットが健全に発展をしていかなければならない、これは規模としても発展をしていかなければなりませんけれども、質的にも発展をしていかなければならない。この債権は、債権を買う投資家にとって果たしてどういうメリットがあるのかないのか、どのぐらいのリスクはあるけれどもどのぐらいのリターンも見込めるのかといった、投資家、これは専門的な投資家から場合によっては個人の、引退された方がちょっとしたお小遣いでというような投資まで含めて、マーケットが健全に質的にも発展をしていかなければならない。

 したがって、先ほど副大臣からも答弁ありましたように、きちっと御説明をしなければいけませんし、そのマーケットを健全に引っ張っていくための専門的な人材というものの育成も必要だと思います。

 したがって、出し手と借り手との間にメリットがありますねといっても、そのマーケットがきちっと量的にも質的にも発展をして、文字どおりマーケット機能が健全に機能していくことが、この制度がうまくいくための私はポイントではないかというふうに理解をしております。

河上委員 大臣が簡潔にわかりやすくお話しをいただきましたので、補足はないと思いますから次へ進めます。

 中小公庫と信用保険部門の統合の問題でちょっと気になるところがございますが、この信用補完制度は、事業団の信用保険部門が中小公庫に移管されて、中小企業融資にとっての重要性は変わらないというふうに考えておりますが、他方、信用保険部門の財政状況というのは非常に厳しい。本年六月の中小公庫への移管時には、基金残高は三百八十億円まで減少する見込みでございまして、業務移管に伴って、十六年度には事業団の高度化勘定から二千五百億円ぐらいの基金が移される、このような状況のもとで、果たして、信用保証制度を維持していく上で支障はないのかどうか、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 信用保険収支について、先生御指摘のように、非常に厳しい状況になっていることは事実でございます。平成十三年度に五千七百九十六億円、平成十四年度に六千四十八億円の赤字を計上したわけでございます。

 私どもといたしましては、この信用保険制度の運営基盤を強化するために、昨年の四月より保険料率を〇・三%引き上げ、それから、平成十四年度までに一兆八千億円の財政資金を投入し、さらに、平成十五年度補正予算と平成十六年度の予算案で、合わせて九百七十二億円の信用保険準備基金への出資金の手当て、それから、信用保証協会の設立した債権回収会社、サービサー会社の活用を含みます中小企業者の実情に即した適切な回収の促進というようなことに取り組んでまいったわけでございます。

 今後の見通しでございますけれども、本年度の保険収支赤字は四千三百億円程度となると考えております。来年度以降はある程度減少していく、ピークアウトしつつあるというふうに考えております。しかしながら、さはさりながら、当面は引き続き大変厳しい状況であることには変わりはございませんので、信用保険制度の運営基盤の改善、先ほど申し上げましたような改善策をさらに一層強化していく、あるいは取り組んでいく所存でございます。

河上委員 大事な問題でございます。ぜひともしっかりと運営ができるようなことを対応していただきたいと思います。

 別な観点で、売り債の話を一ついたして質問いたしますが、中小企業が保有する売掛債権は約六十二兆円、土地に次ぐ規模を有しているわけでございますが、不動産担保や個人保証に過度に依存してきた中小企業金融の改善の一環といたしまして、売り債の保証制度が創設されたわけでございます。制度の発足時はともかくといたしまして、現在、十六年三月時点で、約一万一千件を超えて利用されている実績がございますが、しかし、いまだ、現場を歩いてまいりますと、まだ知らない、利用しにくいという声がございます。

 ちなみに、経済産業省が昨年の十月に実施いたしました譲渡禁止特約債権に対する金融機関の解除交渉経過アンケート結果によりますと、解除してもらえなかったというのが四二・一%、それから難航したが解除したというのは三七・七%、スムーズに解除したというのは二〇・二%という結果でありました。また、これも昨年の二月で、全国の四十七都道府県における譲渡禁止特約条項の解除の状況を伺いましたが、保証協会、金融機関相手の場合に解除する部分解除対応は二十県で行われておりまして、四十七都道府県でございますからこれは四二・六%に相当します。また、案件別に申し出があった場合に解除する個別解除対応というのが二十四都道府県で五一・一%。特約なしと回答をもらっているのが三県でございまして六・四%。このような実態でございます。

 今御報告のとおり、都道府県におきましても、部分解除あるいは個別解除というのが主力でございまして、私は、さらに利用率を高めるために、制度上のネックと指摘されておりました債権譲渡禁止特約の解除ということをより一層進める必要があろう、このように思っておりますが、今後どのような対応をなさっていくのか、御見解を賜りたいと思います。

望月政府参考人 売掛債権担保融資保証制度の利用拡大のために、今先生御指摘の債権譲渡禁止特約あるいは風評被害に対する懸念の除去、あるいは売掛債権を担保とする商慣行というものをいかに広めていくか、そういった点についての努力が必要だというふうに考えております。

 特に、最初におっしゃいました債権譲渡禁止特約の解除につきましては、まずは国が率先して実施をするということで、これは各省庁挙げて御協力をいただいているところでございます。それから、市町村や県あるいは民間企業に対しても、解除を繰り返し要請しているところでございます。

 具体的には、昨年末に私も経団連に参りまして、関係の皆様にお集まりいただいてこの要請をいたしました。それから、日本商工会議所あるいは事業者団体、これは大手の二十九の事業者団体を訪問いたしまして、直接本制度の利用促進や特約解除を要請しているところでございます。また、テレビ、新聞、雑誌などによる広報、説明会の開催などを通じまして、中小企業や金融機関の普及啓発に取り組み、売掛債権を担保として活用することの風評の払拭を図っているところでございます。

 制度の使い勝手につきましても、中小業者や金融機関などの要望を踏まえまして、先日、売掛債権の掛け目、担保としての評価額を引き上げるなど、利用者のメリットの向上、手続の簡素化などを累次行ってまいりました。

 まだまだ潜在的な能力からまいりますと低い水準ではございますけれども、引き続き万般の努力をすることによりまして、広げていきたいというふうに努力しております。

河上委員 御努力をいただいておりますことはよく承知をいたしております。さらに市町村に対する対応等、しっかりとお願いを申し上げたいと思っております。

 もう一点、中小企業は、不動産担保の価値が下落したことなどによりまして、新しく資金を借り入れることが非常に困難な状態になっておりますが、担保によらない融資へのニーズというものがそれに対して大きく拡大しております。不動産担保からの脱却を目指す上で、在庫設備などの動産、そしてまた知的財産の担保化、これらの環境整備ということが必要になろうと思いますが、今後、これらの問題に対してどのようにお取り組みになられるのか、見解を伺いたいと思います。

泉副大臣 過度に不動産担保に依存した融資のあり方が大きな問題になってまいりましたことは委員御指摘のとおりでございます。このため、いわゆる動産あるいは知的財産を活用した資金調達の道を広げるべきだ、そうした環境整備を整えることが大変重要になってきておると思っております。

 こうした認識から、昨年の十二月に、産業金融機能強化関係閣僚等による会合というものがございまして、包括的かつ抜本的な産業金融強化策をまとめたところでございまして、その中に、先生御指摘の動産や知的財産を活用した資金調達に関する制度改正が盛り込まれておるわけであります。

 これを受けまして、動産の担保化につきましては、動産譲渡の公示制度の創設、こうしたことを盛り込みました必要な法案を年内にも提出できるように、法務省が中心になって御検討いただいているところでございます。また、知的財産の担保化につきましても、既に政策投資銀行において一部実績を上げているところでございますが、この通常国会において金融庁が信託業法の改正法案を提出しておりまして、知的財産権信託による資金調達の道が新たに開かれようといたしております。

 このようなことをしっかりと詰めてまいり、不動産担保に偏った資金供給の道をもっと広げてまいる所存でございます。

河上委員 ありがとうございました。

 ぜひしっかりとお取り組みをお願い申し上げたいと思います。

 商工会議所、商工会の件等、まだ通告いたしました質問がございます。あと五分になってしまいまして、きょうは割愛をさせていただきたいと思いますが、最後に、先ほども同僚議員から出ましたパンフ等のお話を少しさせていただいて、今後の取り組みをお願い申し上げたいと思っております。

 中小企業の活性化なくして日本経済の再生はない、私はこう思います。そこで、中小企業経営者の皆さん方と、私の地元でも、あるいは、我が党といたしましても中小企業活性化対策本部、こういう本部を立ち上げて動いておりますが、全国をいろいろと回ってまいりました。そこで、何が足りて何が足りないのか等、いろいろな御意見やさまざまな要望を聞いてまいりました。それがいろいろと反映されているところもございますが、私はそこへ回ってみますと、政府がいろいろ政策をやっておりますが、案外知らない、結構知らない、そういうことに驚きました。

 そこで、中小企業庁にも昨今お願いをいたしましてパンフレットを作成していただいたわけでございまして、御努力はいただいていることはわかりますが、我が党としても、実はパンフレットをつくって、全国の地方議員の皆さんに持ってもらって、そして、それを活用してやってもらいます。どうぞ、きょうは見本で持ってまいりましたが、二冊今発刊をいたしまして、一冊目に出したのがこれでございます。

 大臣は、冒頭の同僚議員の質問に対しまして、わかりやすいという。

 宣伝はここだけでございまして、あと二ページ以下は、「資金繰り円滑化借換保証制度」、シンプルにわかりやすく、文字は少なく、だれでも読めるように、「これまでの借入金」「セーフティーネット貸付制度の拡充」、さまざまな簡単でわかりやすいパンフレットをつくって私どもの党として出した。後でごらんいただきたいと思います。

 もう一つは、「中小企業応援ブック 中小企業の元気が日本の元気!」こういうことで、資金繰りのサポート等々、こういうものを、「個人の保証・担保は要りません!」「新規開業の方に無担保・無保証融資を」「自動車の買い替えをバックアップします」、NOxの問題、PM法、排気ガスの問題、さまざまな問題、「まだまだやります!中小企業支援策」、こういうような、まだまだ続きますが時間の関係で、ございませんが、中小企業にとって重要な税制も、わかりやすくつくって、現在二冊出して全国に回しております。

 先ほど、泉副大臣からの御答弁もございました。だれが見てもわかりやすいということと、そして、どんなにいい制度をつくっても、知らなければ使い道がないわけでございまして、そういう意味で、わかりやすいパンフ、ホームページ等だけではなくて、本当に皆さんが、ああ、使い勝手がよくなったなと言えるような周知徹底のお取り組みを、ぜひとも全体としてお願いを申し上げたいと思いますが、大臣、ぜひ御答弁をよろしくお願いします。

中川国務大臣 先ほども似たような御指摘がありましたが、我々、もちろん、よかれと思って、お役に立ちたいと思ってやっているわけでありますが、知らない、あるいはまたパンフレットを見てもわからない、あるいは相談に行っても説明がよくわからないということでは、これは全然、意味、目的を達成できないわけでございますから、まさに御指摘は非常に大事なポイントであります。どんなにいい制度をつくっても、相手に届かなければ何の意味もないわけでございます。

 そういう意味で、パンフレットとかあるいはテレビ、あるいはいろいろなマスコミ媒体、あるいはインターネット等々を通じてやっておりますし、例えば中小企業の再生であれば支援協議会、あるいはまた全国八ブロックの相談窓口、五十七、そしてまた、商工会議所単位でもいろいろ相談窓口をとっておりますけれども、どうも実態としては、聞こえてくるのは、わかりにくいとか、どこに行っていいかわからないという御指摘でございます。

 その辺は、もう折に触れて事務当局にも、発信する側が頑張ったからといって終わるんじゃなくて、さて、向こう側の、困っている人、利用したい人、意欲のある人のニーズにこたえられるかどうかが最終目的でございますから、できるだけ本当にわかりやすいようにしていくためにどうしたらいいか。

 今のところ、頑張りますと言うだけでは答えにならないわけでありますが、まさに、御党が、全国十カ所ですか八カ所ですか、いろいろなところを回られて、実態をお聞きになった上でつくられたパンフレットということでございますので、そういうものも参考にさせていただきながら、どうやって、広い意味の広報活動といいましょうか、説明も、ある意味では説明責任の時代でございますから、制度をつくっただけではだめでございまして、説明責任まで含めて我々努力をしていきたいと思いますので、そのパンフレットも参考にさせていただきながら、さらに努力をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

河上委員 ありがとうございました。終わります。

根本委員長 近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 本日は、中小企業関連三法案につきまして我が党民主党から七名の議員がこれから質問に立つ予定でございますが、トップバッターとなる私は、中小企業金融公庫法改正案につきまして、関連しまして、中小企業金融政策そして産業政策についてお伺いしたいと思っております。

 政府は景気の回復を盛んに喧伝しているような気がするわけでありますが、その中身を見ますと、大都市型であり、輸出型であり、大企業型であると言えるかなと思っておるわけであります。その意味では、日本の国内の産業が非常に二極化が進んでいる、二極分化がますます進んでいるような気がしてなりません。日本の土台である中堅企業、それも地方の企業の状況というのは今瀬戸際ではないかと思っておるわけであります。

 このたびの中小企業金融公庫法の改正によりまして、証券化という仕組みを活用して、中小企業に対して無担保、さらには第三者保証人なしの融資をふやす道が広がる、民間企業の金融機関の背中を押す、そして中小企業金融公庫も一部リスクを負担するという改正案であると伺っておりますけれども、現在の中小企業を取り巻く環境を考えれば、その趣旨自体は悪いことではないなと私個人は思っておったわけであります。

 しかし同時に、この施策はやや遅きに失した部分もあるのではないかと感じておるわけであります。

 私は、議席を預かる前は経済記者として、金融であるとか産業の現場を歩いてまいりましたけれども、バブル崩壊以降の経済失政の最大の要因は何かと言われれば、現状認識を政府が誤ったこと、さらには経済政策のTPOを完全に間違ったことだ、このことが言えるかと思っています。結果として、金融がぼろぼろになってしまったと思うわけであります。その最大の被害者が地方経済であり中小企業なわけである、現在の状況だと思っておるわけであります。

 そこで、大臣にぜひお伺いしたいのですが、経済産業省はこれまで何度か中小企業対策というのを、過去、これまで打ってきたわけでありますけれども、今回の施策で総額で約二千四百億円の無担保融資を実現させるということで当局から伺っておりますけれども、今回の新しい証券化を活用しました無担保融資の仕組みの一連の施策の中での位置づけと、さらには、あえて言います、ぼろぼろになってしまった金融、とりわけ中小企業金融の立て直しに向けた大臣の思いをまず最初にお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 私も経済認識は近藤委員とほぼ基本的に同じでございまして、これで経済政策を巡航型、あるいはまた抑制型にするなんという状況にはとてもないというふうに思っております。特に、御地元の山形、あるいは九州、そして私の北海道のようなところを含めて、多くの地方は大変厳しいと思っております。特に中小企業、日本の屋台骨である中小企業については一層厳しいのだろうと思っております。

 そういう中で、政府の今までとってきた政策がどうこうということについては立場が違いますのであえてお答え申し上げませんけれども、とにかく今やるべきことはやっていこうということで、この証券化という手法が、多くの、ここ数年やってきたあらゆる、いわゆる産業金融に対する手法の一つでございます。

 遅きに失したかと言われれば、失したとは言いませんけれども、もっと早くやりたいという気持ちはあるわけでありますが、先ほど申し上げたように、マーケットが健全に発展をしていかないとこの制度は機能しないわけでございます。

 だから、いわゆる投資家としてのある意味では目、あるいは経験等が必要になってまいりますし、また極端に言えば、個人投資家であれば、それに対するアドバイザー的な人、ある意味では専門的な人の、人材等のノウハウというものも必要になってくるわけでございますし、またマーケット自身のきちっとしたルールの確立というもの、これは証券取引法の改正を今後我々は考えているところでありますけれども、きちっとしたルールにのっとって健全にマーケットが発展をしていくということとこの証券化の手法とは裏腹である、一体であるというふうに考えております。

 そういう前提が確立される、あるいは育成されるという前提で、私は中小企業等に対して、また、今までも頑張っているけれどもさらに頑張るぞというところもあれば、これからゼロから立ち上げようというところもあれば、ちょっと今厳しいから再生のためにいろいろな支援をしてくれというような、ニーズもいろいろあるわけでございますから、そういう意味で、多種多様なニーズを我々としても、官業が補完という立場という位置づけを基本的に守りながら、日本全体として、資金の出し手、そして資金を借りてそれをうまく活用していただくという多くの手法をラインナップをさせていただいて、先ほどのお話じゃないですけれども、利用したいと思っている方々によく御理解をしていただく、その上で判断をして御利用していただくという中の一つとして、この証券化という、あえて言うならば、間接金融から一つ直接金融に踏み込んだ形という意味では新しい世界により入った形で、マーケットというものを大きな機能としてこういう手法を考えたということでございます。

近藤(洋)委員 御丁寧に答弁、ありがとうございます。

 まさに共通認識はそんなに変わらないとは思うわけでありますが、現実としまして、やはり中小企業金融を取り巻く環境というのは非常に真冬状態なわけであります。メニューをそろえていただいたということはいいわけですが、やはり実際、数字だけを見ますと、政府系金融機関が中小企業に占める割合というのは、平成十年末と比べて、占める割合だけは若干伸びてはおりますけれども、金額ベースでもこれは減って、二十九兆円から二十七・三兆円、商工中金、中小企業金融公庫、国民生活金融公庫の三機関合計で数字が減っているわけですね。

 もちろん、全体の民間金融も含めてですとこれは二割減っている中で、この数字のとらえ方でありますが、民業補完という観点から見ても、二割減っている、全体が二割減っているわけですから、補完するというのは、せめて、二割全体、民が減っているんだから、官はここで一割ぐらいふやすというのが補完という意味ではないのかなという気がしているわけであります。

 今の状況は、完全に官が民を圧倒しているという状況ではないわけでありますので、改めて全体の数字を、さっきも質問が出ましたけれども、ここはまさに政府系金融機関が踏み込んで全体の融資をふやす時期ではないか。そうでもなければ、逆に言えば、この時期ふやせなければ、まさに郵貯の議論とも関連して、ではもう要らないのかと言われかねない状況なんではないかなと思うわけです。ここでふやさなければ何のための政府系金融機関なのかという気がするわけでありますが、ぜひ大臣、御当局の御見解を、副大臣でも結構でございます、伺えればと思います。

坂本副大臣 先生おっしゃいますように、確かに十四年度の政府系金融機関の貸出残高は、対前年度二・六%減なんですね。これは設備投資の落ち込みということが原因しているのかと思いますが、民間金融機関が本当に大幅に落ち込んでおります。そういう中では、政府系金融機関、私は民間金融機関の補完としては十分役割を果たしてきたんじゃないかという感じはしています。

 特に、セーフティーネットの貸し付けは増加しております。これは、十三年度から十四年度まで見ますと、国民金融公庫のセーフティーネット貸し付けは六・九%から一六・三%にふえております。それから、商工中金は三・五%から七・九%にふえています。それから、中小公庫は四八・四%から五六・〇%にふえているんですね。

 こういうわけで、重要な役割を十分に果たしてきているなという感じはいたしておりますが、今後とも、円滑な資金需給のために適切な監督指導を行ってまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 私ども、まだまだ足りないという認識でございます。ぜひ進めなければいけない、ここは本当に瀬戸際の中小企業だ、この認識は多分副大臣とも一緒だと思っております。

 今回の法改正による無担保融資証券化の仕組みについて、一つ具体的に伺いたいと思うんですが、この実効性が、新しい仕組みでありますから、やはり何よりも大切だと思うわけであります。

 ちなみに、昨年スタートしましたいわゆる同じような政府の証券化支援業務に住宅金融公庫の証券化支援事業というのがございます。モーゲージバック証券なわけですが、民間金融機関の住宅ローンを背景にした証券化支援業務なんですが、これは国土交通省肝いりでやった事業なんだと聞いておるんですけれども、平成十五年度予算の買い取り目標が一万戸だったそうであります。ところが、この一万戸の目標に対して、現時点での実績が何と四百六十六戸、要するに目標の四%しか達成していないんですね。

 これだけ、まさに住宅金融公庫が、肝いりで、住宅ローンを背景にした証券化のスキームが目標の四%しか達していない。これは、委員会が違いますが、石原国土交通大臣、責任ものじゃないかと思うわけでありますが、経済産業省は、まさに産業界の現場を知る役所ですからそういうことはないと思っておるわけでありますが、いずれにしろ、非常にやはりうまくいくんだろうかという危惧がございます。

 まず、入り口の問題だと思うんですが、融資といいますか、証券化の対象になる窓口をどれだけ広げられるかということがやはり大事ではないか。対象、間口をどれだけ広げられるか。さらには、地域をやはりどれだけきめ細かく広げるかということが極めて重要になると思うんですね。大都市とか大きな窓口だけでお客さんいらっしゃいといっても、絶対に来ない。これは、住公のこの四%実績を見ても明らかなわけであります。

 政府として、失態を繰り返さないためにどのようにお考えなのか。できれば、この問題は、かつて産業金融の雄とされた日本興業銀行で、銀行の、金融の、バンカーとしての御経験もあります中川大臣も、産業界の金融の実務も御経験されているわけでありますから、もし御見識があれば伺いたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。

坂本副大臣 先生も今おっしゃったように、この証券化実施に当たりましては、できるだけ広い地域から、できるだけあらゆる業種から、できるだけいろいろな規模の中小企業、零細も含めた、そういうところを全部束ねて証券化するということが合理的で、やりやすくなってまいりますので、そんなような、可能な限り多様な中小企業が無担保無保証融資が受けられるようなやり方をしてまいりたい、こう考えております。

 したがいまして、一部優良中小企業を対象にということは決してございません。

近藤(洋)委員 ぜひ、そこはお願いしたいところというか、そこをしないと、結局のところ、こういった住公の証券化のような状況になるのではないかと思っているわけであります。

 また、そうした新しい制度につきまして、実行部隊がどうかということであるかと思います。中小企業金融公庫の体制がどうかということ、さらには、買い手に対しての、先ほど大臣の方が、市場をつくらなきゃいかぬという話、市場環境を整備しなきゃいかぬというお話がありましたけれども、投資家に対してどうやってPRをしていくんだということ。この件について、中小企業庁長官、お伺いいたします。

望月政府参考人 証券化の支援業務は、既存の貸し付け業務と違いまして、民間の金融機関、格付会社、投資家などと調整をしながら実際の証券化プログラムを構築、運用する、そのための新しいノウハウが必要となります。

 このために、証券化支援業務を開始する平成十六年、できればこの法律が成立をいたしましてから七月には、証券化支援業務を専門的に行う部署というものを中小公庫の中に置きたい、証券化支援部のようなものを置きたいというふうに考えております。

 また、円滑に業務が開始できますように、既に中小公庫内に準備チームを設けまして、民間金融機関の証券化プログラムや中小公庫の支援業務などにつきまして、具体的な証券化準備を念頭に置いて、民間金融機関との間で実務的な情報交換を進めております。

 加えまして、民間金融機関において証券化の経験を積んだ人材を中小公庫の方でも活用するというようなことも考えて、実施体制の強化を図ろうと努めているところでございます。

 また、この中小企業向けの無担保貸付債権を裏づけ資産としました証券化の商品というのは、投資家にとってまだ目新しいものだということでございますので、関係する民間金融機関などと中小公庫が協力をいたしまして、投資家向けの説明会の実施、あるいは投資家の投資判断やリスク分析に資するようなデータにつきまして情報交換を行う等々、大臣が申し上げましたように、まだ市場が必ずしも十分に整備されていないところを十分に考慮しまして、投資家の開拓に努力したいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 まさにそういった努力がぜひとも必要だと思うわけであります。そういった内部体制、これも、中小公庫、政府系金融機関のあり方論というのがまだこれから政府内で、また、私たち民主党も政府系金融機関のあり方について意見を言っていくわけでありますが、まさに今回のことというのは、その一つの大きなテストケースになるんじゃないか、存在意義を問われる状況になると思っておりますので、頑張っていただきたいと思っておるわけであります。

 証券化市場というのがまだ未整備だという中で、やはりその受け手の開拓ということが、政府一体となった取り込みが必要だと思うわけであります。

 その中で、日本銀行が昨年から資産担保証券の買い取りというのを実施された。これは、世界の中央銀行でこうした資産担保証券の買い取りに踏み切ったというのは、過去ないというふうに伺っております。この制度、二〇〇五年度までの時限措置、総額一兆円ということでありますか、まさに今の、現下の中小企業を取り巻く環境を考えれば、ある意味で一つの大きく一歩踏み出した措置かと思うわけであります。

 今回の措置に対して、もし日銀がこの引き受け手となれば、非常に市場に弾みがつくのではないかと思うわけでありますが、本日は、日本銀行の山口審議役でございますか、いらしていただいておりますが、ぜひ日本銀行の考え方を伺いたいと思います。

山口参考人 お答えいたします。

 先生も御承知のとおり、私どもも資産担保証券市場の育成というのは非常に大事だというふうに認識しております。

 特に、今我が国全体におきましては、金融の仲介機能というのがいろいろなところで障害が生じているというところもありますので、資産担保証券市場のような市場型の間接金融あるいはもっといって直接型の金融というようなものが広がりを持っていけば、これは日本の金融にとっても非常にいいことではないか、こういう認識でございます。

 ただ、そういう中で、私どもとしてはオペレーションの対象として資産担保証券を買うというようなことを去年の夏から開始したところであります。実際には、まだなかなか私どもの買い入れ額というのはふえてはきておらないというのが実情でありますが、私どもとしましては、今回中小企業金融公庫がこうした形で証券化支援業務にタッチされるということであるとすれば、その具体的な内容等を見させていただきながら、私どもとしても出てきた証券について可能な限り前向きにオペレーションの対象として取り込むよう努力したい、このように考えております。

近藤(洋)委員 中央銀行というのは、レンダー・オブ・ラスト・リゾートといいますか、最後の貸し手と言われるわけでありますが、今回は全く最後の貸し手とは次元が違いますけれども、経済、今の金融を取り巻く環境のことを考えれば、やはり日本銀行が一定の役割を果たしていただくというのは必要な措置ではないかと思っているわけであります。

 本件につきましても、ぜひ、アナウンス効果だけでなくて、先ほど審議役がおっしゃったように、まだ実績がやや少ないということでありますから、ぜひ実弾といいますか、アナウンス効果だけではなくて御検討を前向きにいただきたいと思っているところであります。

 さて、全体の金融の、金融といいますか産業金融だけではなくて、資金循環の話をちょっとあえてこの場で御質問させていただきたいと思うんですけれども、昨年来ややちょっと、私に言わせると異変というか、異常事態が起きているんではないかなと思っているわけであります。

 すなわち、政府が巨額な為替介入をやっているわけですね。これは、財務省、日銀が、財務省の指示のもと日本銀行が行っているわけでありますが、為替介入をやられている。これは円高を抑制するということで円売り・ドル買いを続けているわけでありますけれども、日本政府が米国の短期証券を買う、持っていくというわけでありますが、介入額がこの二カ月間で、年明け二カ月間で十兆円を超えた、昨年一年間の半分の介入額になったということであります。

 これは、政府予算が今度成立しますと、この限度額が、これは枠が百四十兆円、既に八十兆円という国家予算並みの借金といいますか、特会の部分八十兆円できているわけですが、今度百四十兆円に引き上げるということであります。

 これは大変大きな、過去のことをかんがみますと、経済政策におきまして大きな踏み出し方だと思うわけですけれども、経済産業大臣は経済の重要閣僚でありますし、まさに産業なり通商を担うわけでありますから、この政府の巨額介入についてどんなお考えをお持ちなのか、まずお伺いしたいと思うんです。簡単で結構でございます。

中川国務大臣 近藤委員は、国会議員になられる前は日本の先端かつマクロの第一線の気鋭のジャーナリストであったわけでありまして、そういう観点からこういう御質問が出るんだろうと思います。

 私は、直接の担当者じゃございませんけれども、産業という立場から見ますと、もうこれは言うまでもなく、輸出業者にとってみれば円安がいいし、輸入関連であれば円高がいい、こういうことになるわけでございます。

 去年一年間で千八百八十億ドルですか、約二十兆円介入をしたというふうに言われておりますし、二カ月で十兆円というのは過去に比べれば大きいということは、結果としてそういう数字になるんだろうと思いますが、我々としては、輸入して輸出するわけですから、必ずどっちがいいんだというふうに単純に言えないということはもう委員も同じだと、御理解いただけると思いますが、いずれにしても、急激な乱高下が影響を与えることは言うまでもないということで、財務大臣もそういう観点からいろいろなことをやっておられるというような御趣旨の答弁をしているわけであります。

 予約等々いろいろ手法はあるんでしょうけれども、とにかく、きょう見ましたら、今は百七円二十二銭とかいうのが五分ぐらい前の数字でございますけれども、今は、ここのところまたちょっと円高で数日安定的な状況でありますが、またぽんと五円ぐらい動いたりすると、どっちに動いたにしてもやはりどちらかの部分に影響を与えるということは、日本の産業にとってみれば決してプラスなことではないということでございます。

近藤(洋)委員 せっかく山口審議役お見えでございますので、日本銀行さん、そこを改めて。簡単で結構でございます。

山口参考人 お答えいたします。

 為替介入は財務省の所管のことでありますので、私の方からあれこれコメントというのは差し控えたいと思いますが、為替相場につきましては、基本的にファンダメンタルズに即して動いていくということが望ましいというふうに考えております。

 仮に、そういう形での為替相場の動きというのが実現すれば、それは経済活動全体に対して安定化効果を持つもの、このように認識しておりまして、これは広い意味では、大企業ですとか中堅、中小企業あるいは都市とか地方といったようなことに限らず、幅広くそうした効果というものが及んでいく、そういう性格のものであるというふうに認識しております。

近藤(洋)委員 大臣も日銀の山口審議役も、基本的には乱高下を防ぐことが重要なんだということで今回の為替介入に政府として取り組んでいるんだというお話でありましたが、ただ、これはやはり大変なリスクというかを抱え込んでいるんだと思うんですね、日本の金融というか経済全体についてなんですけれども、これだけ大きくなりますと。

 というのは、あえて申し上げたいと思います、というのはドルが、今百七円という話でありましたけれども、本当に一気に下落したらどうなるのかということとか、さらには日本の金利が上昇したらどうなるんだという、日米の金利差が変わったらどうなるんだということを考えていきますと、政府は大変な大損をするわけですよね。また、財政負担も一気に膨れ上がるわけなんですよね。

 確かに乱高下はおかしい、これはよくわかります。それはよくわかるんですけれども、しかしながら、一年間以上こういった政策を続ける、しかもこの規模の異常さ、さらに言えば国が、基本的には借金ですね、借金をしてじゃぶじゃぶ、まさに中小企業にお金が回らぬとか云々議論している全体の資金繰りの中で、一生懸命国がそうやって調達をして、それこそ金融機関から政府が調達をしてアメリカにぼんぼんぼんぼん為替介入という形でお金を流して、そして円高を阻止するということなんでしょうけれども、この額は、円高阻止という建前をもう超えちゃっているんじゃないかと思うわけであります。

 さらに言えば、経済政策の中心を、金利政策もできない、財政措置もできない、しようがないから外為特会で、わけわからぬから為替かと、為替政策に経済政策の中心を置いて何とか輸出企業に青息吐息というか任せているというのは、やや、あえて言えば策がないのではないかと思うわけであります。

 しかも、大臣、この恩恵を受けているのは基本的には輸出大企業なわけですね、基本的には。この施策の恩恵を受けているのはいわば一部に限られるということだと思うわけであります。恩恵はいろいろな出入りがありますから一概には言えませんが、本来あるべき経済政策というのは、やはり中小企業の足腰を強くするという産業政策が必要であって、もういいかげん為替介入はやめたらいいといいますか、やめたらいいと言うとあれですが、もう切りかえないといけない。まさに産業政策というか中小企業政策を、政府として為替介入でこれだけやるのであれば、本質論をつかなければいけないのではないかなと思っているわけであります。

 そこで、最後にお伺いします。

 中小企業の関連予算というのは年間一千七百四十億円ということですが、これは余りに、予算の規模だけ言うわけではありませんが、小さい。まず額として小さい、一点。予算は今まさに審議していますからこれは仕方ありませんが、しかし、産業政策のノウハウといいますか、経済産業省のノウハウを総結集して中小企業政策を打ち出さないとこれは大変だと思うわけでありますが、新しい、もう一歩踏み込んだ中小企業政策、ぜひ大臣、踏み出していただきたいというか、お考えはないか、大臣のこれからのお考えをぜひ聞かせていただきたい、このことをよろしくお願い申し上げます。

中川国務大臣 まず為替ですけれども、やはり我々の立場から見ても、乱高下しないということが経済にとって少なくともマイナスにならないという意味で、これは、政府としてやっている政策は私の立場からもありがたいことだと思っております。

 それから、一部の輸出産業のためにだけメリットがあるじゃないかというのは、ちょっとそれは、何か中小企業やほかの企業を切り捨ててというイメージで理解をするとすればちょっと違うんであって、今までは輸出産業すらだめであった、今から二年前がボトムだと言われておりますけれども。ですから、そういう意味で、それはそれとして頑張っているから全体としての数字も少しよくなっていますね、ただ、多くの中小企業や、山形や北海道のような地域はその恩恵をこうむっていませんから、だから我々はいろいろな中小企業対策を一生懸命やっていかなければならないんですという意味で、先ほどから我々、一生懸命御説明を申し上げているところでございますし、また責任を持ってやっていかなければならないというふうに思っているところでございます。

 むしろ、私が最近、為替と、もちろん関心ありますけれども、並んで関心を持っているのは、原材料高という問題、これがコストアップ要因になる、あるいはまたいろいろな経済的な影響を及ぼすということに対して、経済産業省としても先週からこの問題に対する特別チームをつくっておりますけれども、この問題にも同じように関心を持っていかなければならないと思っております。

 さて、中小企業予算でございますが、金額としては、もちろん全体の中では数字としては大きくございませんけれども、総理も答弁しておりますように、厳しい財政状況の中で数少ない伸びを示しているところでもございますし、政策予算としては少ないんですけれども、産業金融の政府系金融機関の規模としては巨大なものを他方持っているわけでございます。

 もっと知恵を絞れと、御指摘はごもっともでございまして、現場に出たり、またいろいろなところの御意見を聞いたり、いろいろと勉強しながらやっていきたいと思いますので、またこういう機会を含めていろいろな立場で御示唆をいただければ、我々あらゆる方からのアドバイス、声、あるいはまた雰囲気というものを真摯に受けとめて、一刻も早く、中小企業を中心にして、また民需あるいは個人消費主体の健全な経済発展のところに行くように最大限努力をしていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 どうもありがとうございました。

根本委員長 高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司です。

 私もこの委員会では初めての質問なんですけれども、実際この出席、先ほどのことからですけれども、委員会の出席状況ですとか、あるいは、例えば昨日質問取りに来られた方にお願いした資料がきのうのうちに来なかったりですとか、あるいは質問取りに来た人が名刺も全然出してくれないとか、私は確かに若いので、ちょっと軽視されている部分はあるとは思いますけれども、本当に民主党のことをそういうふうに軽視されているんだとすれば非常に問題だと思いましたので、委員長に、委員会の運営に関しまして強く改めていただきますように要望いたします。

 それでは、早速質問に入りたいと思いますけれども、私は、特に中小ベンチャーファンド法に関しまして、まず質問をさせていただきます。

 今、冒頭部分、ちょっと攻撃的なことを言いましたが、実際、大臣、この法案、非常に、自分の友人の会計士やら、あるいは会社を経営している人、いろいろな人に聞いても、すごく評判がいいわけです。それで、今実際、例えばワインファンドとか、何かラーメンファンドだとか、身近なものがいろいろ出てきて、みんなも、ファンドなんてすごくいいじゃないか、本来はこれ、金融庁がやらなければいけないところを経済産業省がやってくれているんじゃないか、だから、すごくいい法案だね、応援してあげればいいんじゃないのというような意見が多かったと思います。ですけれども、やはりこういうおいしい話には必ず穴があるということで、きょうはそこの辺だけを中心に聞いていきたいと思います。

 まず、このベンチャーファンド、初め、そもそも投資を目的として株式を取得することでそのリターンを得るんだということで組合をつくるということが基本だと思いますけれども、今回の改正で債権取得や、また融資もできるようになるというふうに金融手法が広がるわけですけれども、これはそもそも論なんですけれども、株式を出しているのと、さらに債権を取得するというと、利益相反のおそれがないのか。要するに、ベンチャーファンドに出資している人からすると利益相反のおそれがあるのではないかというふうに思うのですけれども、それに関しては、何か意見は省内では出なかったのでしょうか。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、出資者というのは、出資をいたしまして、それに対する配当で利益を得る、他方、債権者というのは、保有する債権に付随する利息などによって利益を得るということでございますから、特に経営が怪しくなるといった場合には、配当の方でとるのか、あるいは利息の方でとるのかという点をめぐりまして、おっしゃるように出資者と債権者の間でもって利害が対立をするというような場面ということも生ずることがあり得ると思います。

 ただ、今回の改正で可能となりますようなファンドに即して考えますと、これは、出資を行う者と、それから債権を保有する者が同一の者でございますので、こうした利益の相反ということは起こらないというふうに考えております。

 現に、今の、実際におきましても、幾つかのファンドにおいてそういったことを、これは無限責任組合とかの制度を使っているわけでありますけれども、そういった活用を両方でやっているということもあるわけでございまして、同一の人がやるという点にかんがみまして、利益相反というのはないというふうに考えております。

高山委員 ありがとうございます。

 先ほど、今までのベンチャーファンド法の実績ということに関しまして伺おうと思ったんですけれども、それは河上先生が伺いましたので、それを踏まえてといいますかのことなんですけれども、現在のファンド、今までも、改正前ですね、何年か実績があるわけですけれども、これが将来的には十倍程度を期待していると。しかも、投資対象も、大企業なんかも対象にもできるし、また、その出資する人も、一時期はプロ投資家に限るんだけれども、だんだん一般の人にも広げていくんだと。すごくいい法案だとは思うんですけれども、そうしますと、このファンドがどういう形で運営されていくのかということが非常に気になります。

 というのも、これと似たような形で投資顧問業法というので、人からお金を集めて、自分が目ききだということで投資をする、そういう仕事をすることに関しては規制がかなり強くあったと思うんですけれども、この点に関しまして、金融庁の方に、投資顧問業法はどういう規制になっているのか、まず伺います。

大久保政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、証券投資顧問業法におきまして、他人から有価証券の価値等の分析に基づきます投資判断の全部または一部を一任されまして、当該投資判断に基づいて当該他人のために投資を行うことを業として行うというためには、この法律におきまして、認可が必要というような位置づけになっております。認可に際しましては、業務を健全に遂行するための財産的基礎、業務を公正かつ的確に遂行ができる知識、経験等が審査されるほか、営業保証金の供託が義務づけられております。

 また、顧客に対する情報開示に関する規定も設けられておりまして、契約締結時におきまして、報酬の額、投資判断の一任の範囲等、契約内容を明らかにするための事項を記載いたしました書面の交付や、運用結果についての報告書の交付が義務づけられているところでございます。

 また、顧客との間の利益相反を防止するという観点から、勧誘に際しまして、特別の利益を約束するというようなことが禁止されておりますし、また、お客の損失の補てんを禁止するといった条項も置かれております。さらに、自己または第三者の利益を図るというために正当な根拠を有しない投資判断に基づく投資を禁止しておりまして、こういった行為規制が求められておりまして、この仕組みを通じまして、この法律において投資家保護を図るという制度になっているということでございます。

高山委員 それでは、今回のこのベンチャーファンド法ですけれども、もちろん今までもそうなんですけれども、このファンドを運営していくいわゆるファンドマネジャーが、どういう資格の人がなるのかということ、これは今度は経産省の方、教えてください。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、今対象としておりますファンドの場合につきましては、投資事業を共同で営むという意味で組合をつくって、そこで運営をするということになります。したがいまして、そのファンドの運用者、それから投資をする人がいわば組合員としてどういった格好で投資をするか、あるいはどういうところに投資をするか、こういったことについていろいろ組合の中で話し合いをしながら決めていくという格好が一般的でございます。

 そういった意味で、先ほど説明がありました投資顧問業のように、投資家から一任を受けて運用するというものとは実際の運用が異なっておりまして、私どもとしては、組合という理念に合致する格好で、共同事業として運営されているということでありますれば、それは投資顧問業法上の規制がこのファンドの運用者には適用されることがないというふうに考えております。

 ただ、今後、こういった私どもの今考えておりますような法改正によりまして、今まで以上に多種多様なファンドが出てくるということも考えられます。そういった場合におきまして、場合によってはファンドの運用者に投資先を一任するというようなケースも出てこないとも限らないと思っております。したがいまして、私どもは、今後ファンドの実態、特にどういった格好で投資先等を中で議論をしながら決めていくかというようなことをよくフォローしたいと思っていまして、そういう実態に即しながら、投資顧問業法を所管する金融庁ともよく相談をしながら、投資顧問業法との関係をどう整理するか、あるいはこれをどう活用してファンドの健全な発展につなげていくか、そういうところにつきましてはよく考えていきたいというふうに思っておるところでございます。

高山委員 ありがとうございます。

 今の政府参考人の方の答弁ですと、私の質問は、このファンドマネジャーになるのに何か資格が要るんですかということだったんですけれども、投資顧問の仕事と、またこの投資事業組合の、今回のベンチャーファンドは質的に異なるんだというようなお話でしたけれども、将来的に問題があるかもしれないと。

 これは大臣にちょっと伺いたいんですけれども、ファンドマネジャー、今のところ、条文上は、無限責任社員の人がなることが多いだろうという、ファンドマネジャーということは言葉では書いてありませんけれども、この無限責任社員の人が、自分が責任を負ってファンドマネジャーになることがあるだろうと。そうしますと、これは投資顧問業法で禁じているものと非常に似通ってくる部分があると思うんですけれども、これは何の資格も要らないでだれでもなれるというのは非常に問題だと思うんですけれども、大臣は、この辺の投資家保護という意味から、ファンドマネジャーは、投資顧問業法で規制されているような、同じような厳しい行為規制などをつけるつもりがあるかどうか伺います。

中川国務大臣 この前提として、産業金融の手法の多様化ということが目的でこういう手法を考えたわけでありますから、さっきから申し上げているように、マーケットが健全に発展をしていくということが大前提でございます。したがって、まずそのボンドをつくるときのいろいろな審査とかそういう前段階もあるでしょうし、また、その投資家に対して、いろいろな正しい運用方法とかあると思います。

 したがって、この運用の実務に当たる人は、当然のことながら、例えばその業界に詳しいであるとか、あるいは金融、特にボンドのマーケットに詳しいであるとか、そういう専門家の人がこの業務に携わるということを我々としては期待して、また、そうなるべきであるというふうに思っております。

高山委員 大臣も、その期待されるということはすごくあれだと思うんですけれども、実際問題として、これはお金を集めるときに、非常に、今度ITだとかバイオだとか、おれは目ききである、だから出資しませんかというふうに、事業組合ですよ、しかも有限責任なんですよ、だからそんなに危なくないですよという形でお金を集めるのは随分簡単なことだと思うんですね。

 それで、しかも今、投資先がこれだけない現在ですから、ああ、何かおいしそうな話だなと。しかも実際、自分もこの法案を皆さんに見せたら、おお、何かそれはすごくいい法案だなと、みんな反応がいいわけですよ。これはすごく危ないなと。ファンドマネジャーの人が、自分が目ききで、自分を信頼してくれということで集めて、それでやはり失敗しました、済みませんということにこれは多々なりはしないかと。だから、これは投資顧問業法と同じような行為規制を自分はかけるべきだと思っております。

 それで、今その問題点があるまま、例えばこの三月なり四月なりにこれを成立させてしまうということは非常に危険だと思うんですけれども、たしかこれは説明を受けたときに、証取法の改正もあわせて今行っているんだと。この証取法の改正は、一応予定ではいつごろになっているのかだけ教えてください。これは金融庁でしょうか。

大久保政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員の御指摘のとおり、証取法の改正につきましてお願いしたいということで提出されているところでございますが、当該部分につきましては、本年の十二月に施行させていただきたいというふうに提案させていただいております。

高山委員 そうしますと、これは十二月に施行されるということは、この今のベンチャーファンド法、もしこれを今の委員会で通してしまうということになると、かなりタイムラグができると思うんですけれども、その間の、八カ月ぐらいあくわけですよね。この間はどういう形で保護をされるつもりなのか。これは経産省に伺います。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のありましたように、私ども、ファンドの発展のためには投資家保護というのは非常に重要であるということは、先生の認識と私ども同一でございます。

 今御説明がありましたように、証券取引法の改正が成立いたしました暁には、その改正証券取引法によりまして投資家保護の観点からルールが導入されるということでございますが、おっしゃるように、タイミングにずれがございます。したがいまして、私どもは、今回の法律改正におきまして、改正証券取引法が施行されるまでの間はこの法律におきまして投資家保護のための必要な手当てを行うということで、法的な整理をいたしております。

 具体的に、例えばこの証券取引法の改正が済むまでの間は、このファンドに対する投資家について、基本的にはプロの投資家の方に限定をして、一般投資家の方が、先生御指摘のようないわば混乱とか紛争に巻き込まれないような、そういった格好をしながら、証券取引法が改正を済んだ暁にはその一般ルールの中で対応していくというような二段構えで投資家保護を考えているということで、法的な整理をいたしました。

高山委員 ありがとうございます。

 そうしますと、やはり十二月までは投資をしていただく投資家の人たちはプロの投資家、だから機関投資家の人だとか大きい会社だとか。だからそういうだましに遭うようなこともないだろうし、また、仮にだましに遭ったとしてもそれは自己責任なんだな、しようがないね、こういうことだと思うんですけれども、これはその後、今度証取法の改正をした場合に、このベンチャーファンド法の組合でつくられた取引というんでしょうか、これは証取法の規制がかかるんでしょうか。これは金融庁に伺います。

大久保政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、御指摘のように証取法の改正をお願いしておるわけでございますけれども、この改正が成立いたしますと、投資事業有限責任組合契約に基づく権利、また組合契約もしくは匿名組合契約であって投資事業有限責任組合に類するものとして政令で定めるものにつきます権利につきまして、有価証券ということに指定をいたしまして、証券取引法上の規制が全体としてかかる。すなわち、開示の規制あるいは公正取引の規制等がかかる、こういうふうな仕組みにしていただくようにお願いしているところでございます。

高山委員 その場合に、改正後なのでこれはまた金融庁にちょっと伺うんですけれども、この改正後もやはり、これは例えばファンドマネジャーになる人は他の投資顧問業と同じような行為規制がかかるのか、それともそれはかからないままなのか、それはどちらなんでしょうか。

大久保政府参考人 お答え申し上げます。

 証取法の改正と、ファンドマネジャーあるいは投資顧問業の適用とやや別の観点がございますけれども、先ほどの、経産省の方からお答えがありましたように、投資事業有限組合につきましては、法律上は、組合員の共有に属します組合財産を組合員の共同の事業といたしまして運用するというふうな組合の規定で運用されているわけでございまして、実務上も、組合の業務を執行する無限責任組合員とその他の有限責任組合員との間で話し合いを行いながら投資判断をしているということが一般的であるというふうに聞いておるわけでございます。

 一方、今回、改正案を契機といたしまして投資事業組合のあり方が多様化してまいりますと、証券投資顧問業法に規定いたします投資一任業務を行う無限責任社員が出てくるというような可能性も否定できないところだろうと思います。このような場合におきましては、当該無限責任組合員は当然、証券投資顧問業法の規制に服するべきものであるというふうに考えております。

 私どもといたしましても、引き続き、経済産業省と連携をとりつつ、投資事業組合の実態を注視いたしまして、適切な投資家保護に努めてまいりたいというふうに考えております。

高山委員 今政府参考人の方からも御説明ありましたように、法的にはこれは組合契約ですから、投資顧問のように広く募集をかけてというのとは異なっていますということですけれども、大臣にこれは伺いたいんですけれども、実態として、募集をかけるときに、特に十二月以降ですか、一般の方に募集をかけるときに、自分はITの目ききだ、ITファンドというのをやりませんか、ファンドマネジャーですからと。

 そのときに、今度は大企業にも投資できるわけですから、目論見書を見たら、ソニーだとか東芝だとかにも投資しますよと、あとわけのわからない会社が入っているわけですね。それを見たら、一般の人だったら、じゃやってみようかな、ソニーなんかにも投資するんだったら安心だな、こういうふうに思うと思うんですけれども、大臣としては、そういうだましの危険がないか、その辺の認識をまず伺いたいと思います。

中川国務大臣 今の御質問は十二月以降ということですから、証取法改正ということで、いわゆる罰則の強化、情報の開示等が必要になってくるわけでございます。

 それまでのこともありますけれども、十二月以降に関して言えば、先ほどから委員御指摘のような、委員の周りでは、いい話じゃないか、でもおいしいものには何かだましがあるんじゃないかということがないように、我々も責任を持って、健全な産業金融の出し手と受け手との関係をマーケットを通じてやろうということでございますから、健全なマーケット育成のために、細心、最善の注意を払っていきたいと思っております。

高山委員 ありがとうございます。

 今まで、産業金融に関しましても、金融庁やほかの省庁がやらなければいけないことをこの経済産業省が先駆け先駆けでやられてきたということですから、ぜひ、投資家といいますか、新しい金融商品がふえるようなものですから、また、その取引に関しまして、他の省庁に先駆けて経済産業省がルールをつくることが非常に重要だというふうに私は思います。

 その観点からも、今回のベンチャーファンド法、確かにいい話が多いんですけれども、ファンドマネジャーが無資格でなれてしまうというのは、ちょっと穴の部分なんじゃないかなということは強く指摘しておきたいと思います。

 あと、次の質問なんですけれども、ベンチャーファンドが今後どういう見通しでこの法改正をされたのかという部分なんですけれども、今まで地域再生だとか産業再生なんかにも多少ニーズがあったということでしたけれども、今後はどういう新しいファンドが出てくるというふうに予想されてこういう改正をされたのか、それをお願いします。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 今までのファンドの実績を見てみますと、ベンチャーファンドといいますか、ベンチャーに投資をする、出資をするというものが全体の八、九割を占めているというふうに承知をいたしております。

 ただ、最近は、企業の再生でありますとか、あるいは地方の、地域の企業の再生といったようなものにつきましても、ファンドが非常に関心を持っておるといいますか、そういうものについて熱意を持っているというような状況にございます。

 したがいまして、私どもとしては、ただ単にベンチャーというものだけでなくて、企業再生あるいは地域の再生といったようなものについて、このファンドの力といいますか機能というものが貢献をしてもらいたいというような趣旨も込めて、本改正に臨ませていただきました。

高山委員 ありがとうございました。

 あと、ファンドにどんどんお金をこれから入れていかなければいけないと思うんですけれども、それを入れるに際しては、要するに、投資家がもっともっとお金を入れるようにしなければいけない。

 それで、先ほど伺いましたら、日本ではまだ二千億から三千億円の規模である、アメリカの三十分の一の規模なんであるということでしたけれども、これは、アメリカがなぜこんな三十倍も入っていて日本が少ないのか、この原因は何だというふうにお考えでしょうか。これも経済産業省に伺います。

中川国務大臣 これはやはり、直接金融のマーケットが昔から実は欧米に比べて発達していなかったということが基本的にあるんだろうと思います。

 私は、昔ある委員会で昔のマーケットの話を聞いたことがありますけれども、個人の投資家、株の投資家が割と比率が高かった時代があったんですけれども、あるときから、数十年前から個人の投資家の株式市場への参加がぐっと減ってしまったということが現在まで続いておる。だから、一千四百兆前後の個人資産の中でのポートフォリオも、アメリカと日本ではかなり違うわけであります。

 そういう中で、我々は、産業金融の立場からではありますけれども、直接金融というか、マーケットを通じて、結果的にマーケットに行くわけですけれども、そういう形で投資家が参加をするという形での資金調達手段、それがしかも無担保である。リスクは基本的にマーケットで判断をしていただくという形でやっていくことがうまくいけばという前提でありますけれども、仕組んだというか最初につくった金融機関あるいはマーケットの判断、そして資金の受け手である企業の発展、再生、今申し上げた地域再生も含めてメリットがあるということで、こういうことを今後一つの方向性として目指していきたいということでございます。

高山委員 ありがとうございました。

 今大臣のお話にもありましたように、個人資産というんでしょうか、個人資産がこういう株式市場、直接金融の方にどんどん流れていくようにするためにも、一見おいしいんだけれども本当は結構問題があるんだ、そういう怪しいファンドマネジャーが出てくるかもしれない、ファンドマネジャーなんて結構格好いいですから、そういう名乗りたくなっちゃうような資格ですから、そういうのはやはり資格制限をつけるなりあるいは行為規制をかけるなり、金融庁に先駆けて強い規制をつけるべきである。

 そして、そういうことをすることで、どんどん個人資産が安心して株式市場に流れてくる。とにかく、一般の人から見たら、政治家とか官僚が怪しいと思っているのと同じように、何か株式市場は怪しいな、何か怪しいから、とりあえず銀行に預けておこうと。ATMで引き出したら本当は損するのに、だけれども預けておこうというのは環境整備ができていないから、ひょっとするとだまされるというリスクがある、そのリスクを考えたら、実は銀行に預けておく方がまだ安全でしかも得じゃないかという経済的な合理的な判断かもしれないわけです。

 ですから、ぜひその環境整備に、金融庁がぼやぼやしているわけですから、経済産業省が先駆けを切ってやっていただくということを強く要望して、質問を終わります。ありがとうございます。

根本委員長 菊田まきこ君。

菊田委員 よろしくお願いいたします。民主党の菊田まきこと申します。

 私は、昨年の衆議院選挙で初めて当選をさせていただきました。私の選挙区は新潟四区でございまして、昔からのかじ屋の町といいますか、刃物を中心とした金物で栄えてきました三条市を中心とする十三カ市町村、これが私の選挙区でございます。

 冒頭、まず大臣にお願いさせていただきたいと思いますが、先般、三月十二日の本会議の際に、我が党の吉田先輩議員が質問の中で述べられましたけれども、現在、鉄鉱石そしてまたステンレスなどの原材料の価格が非常に高くなっている、あるいはまた、ほとんど原材料が入ってこない、大変に不足しているということで、中小企業から大きな悲鳴が聞こえております。金物の町なのに全然供給されていない、あるいはまた建築資材のH鋼までも入ってこないということで、政府は景気は回復しているということを言っておりますけれども、しかし、私たちの地方、地場産業においては、まだまだ景気は大変に厳しい状況にあります。

 そんな中で、追い打ちをかけて、昨年、そしてことしに入りましてからもこういう現象が起こっているわけでございますが、大臣は先日、経済産業省挙げてこの問題に取り組んでいくという御答弁をされましたけれども、一刻も早くこのことに対応していただきたい。

 韓国では、現在、やはり同じような現象が起きておりますけれども、輸出を制限しても国内の供給を優先的に守っていこう、そういう政策をとられております。私は、日本もやはり、これは世界的な流れであったとしても、日本はどうするのかという立場を明確にしていただきたいと思うんですが、まず、大臣のお考えと決意を述べていただければありがたいと思います。

中川国務大臣 菊田委員の御出身の燕三条というところは、洋食器と金属産業の、もう本当に、昔からのすばらしい、我が国産業のある意味では大変な財産の地域でございますが、今御指摘のように、ここ一、二年といいましょうか、認識としては私自身一年ぐらいでありますけれども原材料、輸入原材料、あるいはまた、それに関係する船賃、運賃等々が非常にここに来て上がっている。その要因の一つは中国であったり、また世界経済全体がよくなったりということでございまして、そのほか、そういう需要増もあれば、いろいろな、自然災害とか事故とか、そういう供給側のアクシデントもあるようでありますけれども、総じてそういう状況にあるわけでございます。

 したがって、そういう原材料を使うところで影響を受けるところがどういうところで、どういう原因で、どういう対策をとったらいいかということで、今御指摘のように、経済産業省の中に原材料に関する調査のための連絡会議というものを設置したところでございます。

 これは、原因がわかったねといってレポートを一発出しておしまいということでは、行政の責任を果たすことができませんので、できるだけ、現に影響を受けておる地域が存在をする、産業が存在をするわけでありますから、これは早急に実態を把握して、特に悪い影響を受けている部分についての対策、何ができるかということを答えを出すために、今、早急に調査をしております。

 全然答えになっていないみたいな感じもいたしますけれども、実情を把握した上で、どういう対策がとれるのかということを、最善を尽くしたいと思っております。

菊田委員 ありがとうございました。ぜひ早急な対応をお願いしたいと思います。

 それでは、私は、きょうは商工会議所法及び商工会法の一部を改正する法律案に関して質問させていただきたいと思っております。

 今回の法改正は、五十年ぶりの改正ということでございますので、私は、これを機会に、いま一度商工会議所と商工会の地域における役割を問い直していく、本当に、地域の小さな商工業の振興のために、中小企業や商店街、小売店のために本来の力を発揮する組織として生まれ変わっていくんだ、そんな機会としてとらえて、この問題について質問させていただきたいと思っております。

 まず、商工会議所と商工会の地域における役割とは何であるか、お聞きしたいと思います。

泉副大臣 この両者は、地域のいわゆる商工業者が自主的に設立し、運営をしておる団体でございまして、商工業者の意見を代表し、行政への意見を申し上げる、あるいは地域の商工業の発展にとって重要な役割を果たしておるということは御承知のとおりでございます。

 現に、商工会議所には百三十七万人、商工会には百三万人というような方々が加盟しておられまして、地域の小規模事業者に対する個別の経営相談、指導の実施等に当たっておられると理解をいたしております。

菊田委員 それで、この商工会議所と商工会の数、それから会員ですけれども、この推移を見てみましたらば、今ほど御答弁がありましたように、商工会議所の場合は、今全国で、約ですけれども百三十七万人の会員数がおられる。そして、会議所の数としては、五百二十七カ所ということでございます。

 しかし、これがどのように変わってきたのかといいますと、例えば五年前、平成十年と比べた場合、会議所の数としては、平成十年では五百十七カ所ございましたので、この五年間でちょうど十カ所ふえているわけでございます。しかし、会員の数を見ますと、平成十年では百四十一万六千人ということでございますので、会議所の数はふえたんだけれども、実はそこに加入されている会員の数というのは約四万六千人減少しております。会員の数は、平成十二年が最もピークだったんですけれども、そのピーク時と比べると、やはり五万四千人ぐらい減ってしまっているという状況にあります。

 あるいはまた、商工会の方も、今現在、平成十五年の統計によりますと、商工会の数は、全国で二千七百七十六件ございます。そして会員数が百三万三千人ということでございますけれども、これも先ほどと同じように、ちょうど五年前、平成十年の数字と比べてみますると、商工会の数としては、平成十年が二千八百八件でございますので、ちょうど三十二件この五年の間に減ってしまったということになります。会員の数についても、同じく平成十年では百十万八千人加入されておられましたが、平成十五年と比べますれば、ちょうど七万五千人減ってしまっている、こういう現状になっております。

 本当にこの商工会議所と商工会が重要な役割を果たされて、そして本当に事業者の皆さんのお役に立っていれば、私は、このような、毎年毎年会員が減少して、そして商工会議所、商工会も、大変に経営的に厳しくなっているために年会費を上げなきゃいけないなんというところもあるようですけれども、この会員が減少していることについて、それはなぜだというふうにお考えですか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、商工会議所、商工会の会員数は、それぞれ若干減少傾向で推移しておりますけれども、これは、経済状況の悪化などによって廃業が開業を上回り、商工業者数全体が減少傾向にあることなどの外的要因によるところが多いというふうに考えております。

 このため、商工会議所、商工会においては、会員の増加を図るために、例えば、新規加入者に対する加入特権の付与や、あるいは巡回指導の徹底などによって新規加入を積極的に進めております。また、既存会員企業へのサービス強化などを図ることによって、商工会議所、商工会の魅力を高めて、任意脱会者の防止に努めているというふうに承知しております。

菊田委員 まさに今おっしゃったように、不況の影響ももちろんあると思います。会費を納める余裕さえないという声も聞こえてまいります。そしてまた、さほど魅力がなくなってきているのではないかということも指摘しておきたいと思います。

 昔と違って、例えば税理、経理、経営指導あるいは社会保険等、従来は商工会議所や商工会に頼らないと個人の事業所ではできないというところがありましたけれども、もう最近はさまざまなパソコンのソフトもございますので、自分のところでやれるんだというようなところも出てきて、余り商工会議所に加入しているメリットがないというようなことではないかというふうに思います。

 私は、しかし、今こそ中小企業のための商工会議所の存在意義、商工会の役割というのが非常に問われているんだというふうに思います。

 例えば、本当に苦しい思いを抱えていらして、自殺に追い込まれてしまっているというところもあるわけでございますし、あるいはまた、商工会議所、商工会にはさまざまな事業者が加入されております。小売店や飲食店、サービス業だけではございません。今大変苦しんでおられる建設業とか不動産業、あるいは製造業、運輸、通信、金融、保険という本当に多種多様な事業者が加入しておられるわけですけれども、私は、こういうさまざまの商売をされていらっしゃる方々が、いつでも商工会議所に行けばタイムリーにいろいろな情報を得られるんだ、そういうメリットをもっとつけ加えていく必要があるというふうに思っております。

 例えば、厚生労働省が建設労働者の転職支援策を行うことになりましたけれども、こういうことは、小さな建設業が例えば商工会議所に行けばこういう制度がある、こういう支援策があるというのがよくわかるようにしていくべきではないか。地域の情報発信地として機能を果たしていくために、商工会議所、商工会が生まれ変わっていかなければならないというふうに思っております。

 それで、次にお聞きしたいことは、政府の政策に対して、商工会議所そして商工会はどのような役割を担うのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。

 あわせて、これからの商工会議所、商工会に経済産業省としてはどのような役割を期待されているのか、お聞かせいただきたいと思います。

泉副大臣 委員御指摘ございましたように、両者が、その地域の抱えているそれぞれの企業のいわゆる相談を受けて、それにきちんと対応できるような役割を今まで以上に担ってほしい、情報の発信基地としての役割を担っていくべきだ、このことが商工会議所、商工会のこれからの大きな役割だと思っております。

 非常に需要が、要請が多様化しておる、あるいは町村合併などによってこれまでの区分が変わってきておる、あるいは物理的な時間距離が短くなってくるというような、いろいろなことが変わってきておりますので、両者が時代の変化に対応して、先生のお言葉をかりれば、情報発信基地としての役割を一層高めることが期待されておると思っております。

菊田委員 実はこれ、新潟日報という新聞なんですけれども、これは新潟県民がほとんど読んでいるという新聞でございまして、三月十六日火曜日の新聞ですけれども、全面広告で、「事業者のみなさん! 手続きはお済みですか? 消費税が改正されることにより 本年届出が必要となります。」という全面広告が出ました。消費税がこんなふうに変わりますというふうに大きく書かれているわけです。今問題になっています総額表示のことについてもこの中で書かれているわけですが、この広告は新潟県商工会連合会が出したんだと思いますけれども、この総額表示の問題は私の地元では大変な問題になっております。

 私も質問主意書を出させていただきましたが、とても納得できるような回答が返ってこなかったので大変不満に思っているんですけれども、例えば、商工会議所に行きますとこういうパンフレットを今配っているんです。「あっ、消費税が変わった。」ということで、「平成十六年四月一日スタート」、「ご理解ください、消費税の新しいルール。」ということで、こういうパンフレットが行けばもらえるということになっております。それからあわせて、財務省が「「総額表示方式」がスタートします。」ということで、こういうパンフレットを出しているものも、これも商工会議所とか商工会に行くと手渡されるということになっているんですけれども、私が先ほど質問させていただきました、商工会議所そして商工会が、政府の政策に対してどのような役割を担うかというのは、ちょっとこれは一例を挙げてお聞かせをいただきたいんですけれども、こういうふうに、一方では、政府の政策に対して事業所の皆さんに周知徹底を図っていく、情報の提供を行っていく、広報を行っていくということですね。

 それからもう一方では、例えば、私が商店街を回ってみる、中小企業を回ってみると、みんな口々にこの総額表示問題に対して、何とかしてほしいという声を上げていらっしゃるんですね。具体的にどうしたかといえば、まず、商工会議所にこれを凍結するための旗振りをやってくれということで、皆さんが商工会議所にそういう話を持っていくわけですね。現実に、商工会議所を中心として、これを先送りしてもらいたいとか凍結すべきだという陳情が出されていると思います。私の地元からも出ているはずでございます。

 そうすると、商工会議所としては、一方では、こういう政府が決めた政策に対してこれを周知徹底していくという役割と、そしてもう一方では、商店街の皆さん、中小企業者の立場からいえば、これをぜひ反対の音頭をとって頑張ってもらいたい、そういう二つの立場をとらざるを得ないということで大変矛盾しているというか、相反する立場の中で二つの行動をとったわけでございます。私は、商工会議所や商工会が一体どちらに顔を向けて仕事をしていくのか、政府の方を向いていたらいいのか、そしてまた、そうではなくて、本当に御商売をされている方々の声を受けとめる立場で活動をしていくのか、大変苦しい立場に置かれたのではないかなというふうに思っているんです。

 私の考えは、やはり商工会議所、商工会は、幾ら政府でこういう政策が決まったとしても、我々の立場はそうじゃないんだ、現実的にこういう問題が出ているんだということを受けとめて、私は、それをストレートにむしろ抗議を伝えていくという立場で商工会議所、商工会が活動していくことが、中小企業、そこに所属している、加入している事業者の皆さんからすれば、我々の味方として我々と一緒に歩んでくれる会議所なんだ、商工会なんだという意識を持たれると思うんですけれども、その点について、お考えいただけますでしょうか。

中川国務大臣 今の、消費税の総額表示方式について、新潟日報ですか、十五段でお使いになったということは、多分相当な経費を使って政府のこれからやろうとしておりますことに対して応援をしていただいていることになっているわけでありますが、あくまでも自主的な、地域の商工業を営んでいる皆様方の組織でございます。

 もちろん、経済産業省とは関係が多少ございますから、お願いすることもありますし、お願いされることもございます。しかし、お願いしたということと、やれということとは全く別でありまして、場合によっては、いや、それは商工会議所、商工会としてはできませんということも過去にもございましたし、今後もそういうことになるわけでありますから、あくまでも自主的な御判断において、今回の場合には総額表示方式について御理解をいただいたものとして、我々としてはありがたく受けとめさせていただきますけれども、あくまでも商工会議所、商工会の自主的な御判断によったものだというふうに考えております。

菊田委員 私は、このことを一つとらえても、商工会議所とか商工会がこれから地域の中でどういう役割を果たしていくのかということが一つ非常に考えさせられた事例であったなというふうに思っているわけでございます。

 それでは、次の質問に移らせていただきますけれども、商工会議所と商工会に地域の商工政策を積極的に担っていく権限と裁量をもっと与えたらどうかというふうに思います。

 例えば、市町村の商工費を全部一括して商工会議所に預ける、そして地域の商工振興施策は商工会議所や商工会が中心となって組み立てていく、こういうあり方があってもいいのではないかというふうに思います。あるいはまた、全国の商工会議所五百二十七、そして商工会二千七百二十六が、これは現在は、もちろん当然のことですけれども同じ法律のもとで、同じ形態で、同じ活動をしているわけですが、私は、これでは地域の独創性といいますか独自性が生まれないのではないか、これから地方分権ということを考えれば、もっと地方の商工会議所、商工会が積極的に地域の振興施策を行っていく中心になれるために、権限と裁量を与えていったらよいのではないかというふうに思うわけでございますが、その点についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。

 あわせて、今、商工会議所の許認可権限というのも、これは現在は経済産業大臣になっておりますけれども、これを都道府県に移譲すべきではないかというふうに思います。商工会議所が合併するときの許可、あるいは商工会議所を設立するときの認可、あるいはさまざまな罰則についても、その権限を持っているのは経済産業大臣なわけでございますけれども、繰り返しになりますが、地方分権という流れからいえば、このことについて見直しをしていく考えはあるのかないのか、お聞かせをいただきたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 商工会議所、商工会は、先生おっしゃいますように、地域の実情に即して、地域の実情に精通した中小企業の身近な支援機関として、経営相談の実施など広範な中小企業支援業務を行っているということでございまして、中小企業の支援において重要な役割を果たしていると思います。

 また、地域の活性化を図る経済団体としての役割も重要でございまして、現に、市町村との連携により、商工会、商工会議所が、TMO、タウン・マネジメント・オーガニゼーション、まちづくり推進機関などとして、中心市街地の商店街の活性化に取り組むなどの地域の活性化のための活動も行っているわけでございます。

 このように、商工会議所とか商工会と市町村との間では密接な連携が図られているというところではございますけれども、商工会議所や商工会は、地域の中小企業によって自主的に設立されている団体でございますので、市町村行政の持つ権限、裁量を与えて、商工政策自体を担わせるというものとしては、その性格上そぐわない面があるのではないかというふうに考えているところでございます。

 いずれにしても、商工会議所、商工会が市町村と緊密な連携をとって中小企業の支援や地域の商工業の活性化のために活動を行っていくということは、今後とも、地域の中小企業にとっても大変重要なことであろうかと思いますし、それから、先生おっしゃいましたように、同一の法律と申しましても、この法律自身は大変基礎的な部分だけを定めているわけでございますので、現実の商工会、商工会議所のそれぞれの活動は、地域によって大変バラエティーに富んだ活動を工夫をされながら行っているというふうに私どもは見ているわけでございます。

 それから、今お話ございました商工会議所の許認可権限を都道府県に移す件につきましては、実は、商工会議所の事業につきましては、もちろん第一の柱は地域に根差した地区内の商工業のための経営指導などでございますけれども、第二の柱が、輸出品の原産地証明を行うこととか、あるいは国際的な商事取引の紛争に関するあっせん、調停または仲裁を行うことなど、広域的、国際的な事業活動というものも第二の柱としてあるわけでございまして、特に後者は、商工会議所が沿革的に欧米各国の都市部における商工業の自主的な組織として発展してきた、いわゆるチェンバー・オブ・コマースとして、世界共通の歴史的な視点から担っているものでございます。

 日常的な業務に関する事務については、地方公共団体との連携の観点から都道府県にお願いをしておりますが、商工会議所の有する国際的、広域的な性格にかんがみて、設立の認可、事業内容、地区等の重要な事項に係る定款変更の認可等の組織の根幹にかかわるものについては、国が行うことが必要であるというふうに考えております。

菊田委員 残り五分でございますので、多分最後の質問になると思いますけれども、経営指導員の果たす役割というのは非常に重要だと思いますけれども、この人材の育成と確保について最後にお聞かせをいただきたいというふうに思っております。

 先ほどからの繰り返しになりますけれども、本当に地域のために経営指導員にますますきめ細やかな対応をして頑張っていただかなければならない、何でも、身近に、いつでも相談に乗ってくれるという姿勢で頑張っていただかなければならないわけですが、しかし、実は、経営指導員などの補助金というのは、平成六年度までは国と県、半分ずつの負担であったわけでございますけれども、平成七年度からは地方交付税措置となりました。そのために、県の裁量によって予算化されるようになったわけでございます。

 例えば、長野県や岩手県では、商工会が合併しても、従来の配置基準を適用して予算化をすれば大幅に経営指導員を削減することになるというようなお話も聞いておりますし、私の地元の新潟ではこの合併についての事例が余りないものですから、ちょっと他県の方を調べてみたのでございますけれども、そのように、大事な経営指導員が、合併となると、職員の給料がカットされる、あるいは県の裁量ということで、県がしっかりとした予算措置をしてくれなければ、自然とこの経営指導員が削減される。人材の育成、人材の確保どころか、ますます商工会議所の中で大事な役割を果たせなくなってしまうのではないかというふうに考えるんですが、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。

望月政府参考人 先生おっしゃいましたように、経営指導員の人件費の財源につきましては、現在は地方自治体の自主財源ということになっておりまして、地方交付税によって手当てをされているということでございます。

 地方分権の流れの中で経営指導員の扱いがそういうことになっているわけでございますけれども、私どもとしては、経営指導員というものは非常に大切な商工会、商工会議所の小規模政策の中の柱でございますので、ここが弱体化することについては大変危惧を持っているわけでございます。したがいまして、私どもとしては、例えば、合併によって経営指導員の数が減少して、商工会の事業活動の弱体化を招くことがないように、そういうことはもちろんのこと、そういった観点から、都道府県に対して、確かに自治事務ではございますけれども、常に経営指導員の支援について要望をしているところでございます。

 また、私ども限りでできることでございますれば、経営指導員の人材育成という観点からの資質の向上ということで、経営指導員の教育あるいは経営指導員に対する私どもの情報提供などなどについて、精いっぱいの努力をしているところでございます。

 今後とも、私どもとしては、経営指導員がこういった小規模政策の柱であるということを、繰り返しになりますけれども、十分念頭に置いて、都道府県などとも意見交換を深めていきたいというふうに考えているところでございます。

菊田委員 もう県はお金がないんですよね、本当に。要望したって、なかなかこれに対応できないという現実が私はあると思いますので、ここをきちんとしないと、多分、法を改正しても合併がなかなか進まないんじゃないのかなというふうな懸念を持っているところでございます。

 質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 梶原康弘君。

梶原委員 民主党の梶原康弘です。

 中小公庫法について質問をさせていただきます。

 まず、中小企業総合事業団から中小公庫に引き継がれる信用保険業務について伺いたいと思います。

 バブル崩壊で中小企業への貸し渋りが相次いだ。そこで、経営安定化資金として特別保証がなされたわけでありますけれども、確かに大きな成果があったわけでありますけれども、保証協会に対して事業団が支払った保険金、平成十四年で九千三百億。その収支は、六千四十八億の赤字、特別保証の部分ではやはり急激にふえて、平成十四年で三千三百九十九億の赤字ということになっております。

 先ほどもお話あったかと思うんですけれども、改めて、国費をどれくらい投入したのか、お答えいただきたいと思います。

望月政府参考人 先生おっしゃいました特別保証も含めまして、ここのところ、平成十三年度の五千七百九十六億円、平成十四年度の六千四十八億円の赤字対策といたしまして、信用保険制度の運営基盤を強化するということで、保険料の値上げ等々やっておりますけれども、十四年度までに、財政資金は一兆八千億円を投入いたしました。それから、十五年度の補正予算と十六年度の予算案で、合わせて九百七十二億円の信用保険準備基金への出資金を手当てしているところでございます。

梶原委員 大変な金額に及んでいるわけでありますけれども、私も、実はその当時、この特別保証の五千万の融資を受けて大変助かったという思いもあるわけですけれども、一方で大変な焦げつきをつくっているわけです。

 代位弁済した債権の回収がどのようになっているのか。これから公庫が引き継いでいくわけですから、どのような姿勢で取り組んでいくのか、あるいはまた、その状況についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 代位弁済後の求償権の回収率というのは、一般的には、保証つき融資が代位弁済となった後七年間で回収を行った総額と代位弁済額との比率ではかっておりますけれども、足元の実績を見ますと、有担保保証につきましては四一・一%、無担保保証については二六・六%の実績となってございます。

梶原委員 特別保証で特に大きな焦げつきをつくったというふうに思っているんですが、その実態がどうだったかということを申し上げたいというふうに思います。

 私も、先ほど、特別保証で融資を受けたということを申し上げたんですが、私は兵庫県の篠山というところで製造業を十五年営んでおります。振り返ってみると、いつも銀行とけんかしていたなというふうに思うんですけれども、この特別保証がスタートするその三カ月ほど前に、地元の都銀の支店長さんが私のところにも回ってこられました。しかも、もう三カ月も前にこのお話があった。

 さらにまた、うちのではないんですけれども、よその企業に対しては、これまで融資をしていたものを引き揚げて、切りかえたということが大変あったようであります。その当時、金融機関が抱えてきた問題のある債権を特別保証に切りかえたということであろうと思います。その結果が、平成十四年度、特別保証で、収支で三千三百九十九億円の赤字、保険金の支払いは多分五千億ぐらいになっているんじゃないかなというふうに思っております。

 私が申し上げたいのは、どんないい政策でも、中小企業対策については銀行側に利用されて、そのツケだけが残ったということが言えるのではないか。こんなことは繰り返してはいけないと私はまず思っております。

 そのときに、確かに問題になったわけでありますけれども、どういう対応をとられたのか、あるいは、そういう事態に対してどういうふうにお感じになっておられるのか、お伺いしたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 特別保証を実施しておりました平成十年十月からの二年間半の間、一部の金融機関が中小企業の利益とならない、先ほどのお話は旧債振りかえのお話であろうかと思いますけれども、そういう旧債振りかえを行って、社会的な批判を浴びたと承知しております。

 こうした旧債振りかえは、金融機関と信用保証協会との間の保証契約上、利用者に明らかにメリットがある特定の場合を除きまして、原則として禁止をされております。信用保証協会は借入金の使用実態の把握に努め、金融機関が旧債振りかえを行ったことが明らかになった場合に、保証契約を無効とし、仮に事故があっても代位弁済をしないということになっております。

 私どもとしては、平成十年十二月に各信用保証協会に対して、旧債振りかえを行った場合は代位弁済の対象としない旨を金融機関に警告することを内容とする通達を発し、その防止を図りました。

 また、民間金融機関を監督する立場の当時の金融監督庁は、旧債振りかえを行っていた民間金融機関に対して業務改善命令を発出したというふうに承知しております。

梶原委員 銀行というのは知恵があって、そのときそのとき、いろいろな形で抜け道をつくっていくんだと思います。

 今ちょっとお話があったんですけれども、それで、実際に代位弁済しなかったというものがあるんですか。

望月政府参考人 正確な統計は実はございませんけれども、全国信用保証協会連合会によりますと、旧債振りかえを理由とする保証免責、つまり代位弁済を行わないというのは年間百件から二百件、金額にして十億から二十億円程度というふうにされております。

梶原委員 私たち中小企業にとっては、無担保で第三者保証がないというのは本当にありがたいことなんですよね。それだけに、ぜひ、この証券化についてもしっかりと取り組んでいかないと、また銀行の問題債権の処理みたいなことにならないか、こういうことを心配するわけであります。

 その証券化の問題に入りたいと思うんですけれども、証券化に当たって、保証型と買い取り型というのがあるということで、いずれにしても、金融機関もやはりリスクを負うということではあろうと思います。しかし、今まで以上に中小企業がそういった融資を受けていけるのかどうかというと、僕はまだまだいろいろな抜け道というか問題があるんじゃないかなというふうに思っています。

 例えば、ある会社に対して既に一億円の融資がなされている。担保価値というのは、途中にしてもまだ決して、下がっているわけですし、構造的に大変厳しい業種というのがあるわけですよね。今、一億円融資していて、例えば五千万を証券化して、その五千万で担保の土地をしっかりと保全するというと、従来の一億円の融資というのは変わらないで、銀行を保全しただけなんですよね。企業に対しては、中身が、五千万が証券になって、それで銀行からの五千万ということになってしまうんじゃないかな。僕は、こんなことはもう当然銀行は考えると思います。

 もちろん、あと、証券化したときに、五十社も百社もたまるんでしょうから、その中に問題のある会社を、その債権を入れていくというようなことは、こんなことももう当然のこととしてあるんじゃないかなと僕は思っているんですよね。

 リスクが軽減されるということに対して、もっとそういった認識を持って、その歯どめをかけていかなくちゃいけないというふうに思うわけですが、結局は金融機関がいいとこ取りしているということについて、その危険性があるということについてはどうお考えでしょうか。

望月政府参考人 今回の証券化のスキームにおきましては、中小公庫とそれから民間金融機関が協力関係に立って、このスキーム全体を成立させるという考え方、仕組みになっているわけでございます。

 したがいまして、一たん組成されましても、事後的にも民間金融機関が常にかかわり合いを持ち続けてこのスキームを維持するこということになる。そのために、民間金融機関は、ある一番、リスクの高い、私どもは劣後部分と呼んでおりますけれども、劣後部分の一定割合は、もとの民間金融機関に持たせるという仕組みが基本にあるわけでございます。

 したがいまして、このスキームに乗せるべき中小企業の貸出債権というものが、民間金融機関が特定の意図を持って悪いものを組み込んでいくということは、自分自身がリスクをしょっていくということになるというのが一つの私どもの歯どめであろうかと思っております。

梶原委員 今のリスクの部分なんですけれども、今回の保証型、買い取り型、ともに劣後部分は金融機関が持つということなんですが、保証型で三・五九だと思うんですよね、その劣後部分。間違いないですよね。買い取り型で四%ということなんですが、これは、例えば、百社入っていればその百社それぞれにその割合だということなんですよ。百社全部まとめて下の三・五%ということであれば、例えば、この会社がどうしてもしようがない、その会社については全部銀行でリスクを負うということだったらわかるんだけれども、百社それぞれに三・五%なんですよ。ですから、投資家も、確かに優先部分かもしれないけれども倒産をする危険性のある債権を、リスクを受けるわけですよ。そういうことだと思います。

 もう一つ、先ほどの特別保証で、たしか代弁の比率が六・八だったと思うんですよ。六・八%、特別保証で代位弁済しているわけですよ。そこの下の三・五九なり四ですから、やはりその差というのは明らかに銀行にとっては有利な形になっているんですよね。

 それについてはいかがですか。

望月政府参考人 お答えします。

 先生、思い出していただきますと、あの特別保証を開始したときの金融情勢というのは、希代まれに見る異例の金融情勢でございました。したがいまして、当時の設計も、事故率を、一〇%までいっても仕方がないかなということを前提として設計された、それから審査に当たっても、とにかく困った中小企業の皆さんのために果敢に保証していくということでございましたので、書面審査中心の審査をしたというようなことを考えますと、大変リスクの高いものであったと思っております。それが、現時点ではかなり終局に来ておりますけれども、六・八%の代位弁済率に一応とどまっているというふうに私どもは理解しております。

 今度私どもがこの証券化をしていくときのイメージは、保証型にしても買い取り型にいたしましても、やはり審査のところを含めて、そういう意味ではマーケットにたえられるような商品をつくるということになるわけでございますので、一定程度のきちっとした審査がされて行われるということだろうと思っておりますので、若干、同じ比較は困難であろうかと思っております。

梶原委員 今、マーケットにたえられる審査をしてということだったんですが、本当にそこが大切だと思うんですよね。それで、確かに投資ですから投資家にとってもリスクがあって当たり前なんだけれども、的確な情報が提供されているかどうか。私は、先ほどの話でいえば、商品の中に意図的にそういった危険な債権が組み込まれているんじゃないかとか、はっきりとした情報が出ていかないんじゃないかということを心配するわけです。

 その審査の部分なんですけれども、これまた保証型と買い取り型で審査が違うということを聞いているんですけれども、まず、金融機関が介在することでそういった情報がきちっと出てくるのかなと。いずれにしても、まず第一義的には審査するのが現在の金融機関だということだと思うんですが、そういった問題があるんじゃないかなと。まず、民間の金融機関に中小企業の財務諸表とかあるいは業績の見通しなんというのがなかなかできないから、今の金融が担保主義になったり第三者保証をとろうということになっているんだと思うんですよね。

 ここでは、中小公庫のことに絞ってその審査の体制を聞いていきたいと思うんですが、先ほども同僚議員が聞いたように、できるだけ幅広く融資をしていく、証券化するというのは、これはそうだと思うんですけれども、果たして十分な審査ができているのかというのは問題だと思います。

 中小公庫は、全国で五十九の店舗で現在約五万社と取引をされているということなんですよね。一店舗平均で八百五十社なんですけれども、これは本当に長い間にわたってつき合いをしてきた八百五十社だと思うんですよね。しかも、中小公庫とおつき合いしているというのは、これはもう小企業じゃなくて、売り上げ何十億もあるような、あるいは何百億あるような、本当にしっかりとした大きな会社なんですよね。今の中小公庫は、そういったしっかりとした会社、しかも一支店で八百五十社、長い間にわたっておつき合いをしてきたというところの審査しかしていないわけです。

 ところが、今度保証型については、証券化される債権を持つすべての会社について審査をするということになっている。保証型の予算の枠が九百億ですから、例えば、五千万借りる会社だったら千八百社審査しないといけないんですよね。これが中小公庫で今果たして、こんなのを一年かけて、あるいは二年かけて審査するというものじゃないと思うんですよ。商品として上がってくる、それをそれだけの短期間に、何百社という会社、あるいは百社か二百社かわからないけれども、しかももっと小さい会社ですよ。これまでおつき合いしていたような立派な会社じゃなくて、売り上げ三億とか五億とか、本当にちっちゃい会社がどんどんどんどん出てきたときに、果たしてこんなものを審査できるんですか。

望月政府参考人 先生おっしゃいますように、保証型の証券化支援業務というのは、多数の中小企業の保証審査を行うことが中小公庫としても必要でございますけれども、まずは、基本的には、先ほど申し上げましたように、民間金融機関とのベースの基本設計におきまして、個々の案件については、あらかじめ財務内容に関する一定の基準を満たしているかどうかという外形的な要素で審査をいたしまして、それを前提として融資対象とするという予定でございますので、中小公庫の審査事務は一定程度は簡素化できるとは思っております。

 それから、加えまして、今私どもとしては、審査における科学的な手法でありますところのスコアリングであるとか、今回の中小公庫であれば、私どもが中心になって一生懸命やっておりますが、CRDというようなスコアリングシステムなどを使いながら、できる限り簡素に迅速にやりたい、そのための体制を今から一生懸命整えたいというふうに考えているところでございます。

梶原委員 その辺も、本当にできるか大きな疑念を持っています。

 それから、買い取り型の方については、これは一定の要件を満たせば中小公庫はノーチェックということになっているんですよね。要するに、民間の金融機関、特に買い取り型の方は、地方の、特定の地域の会社の債権を証券化するということ。ですから、大体信金、信組とか小さいところが扱うんじゃないかと思うんですよね。

 そういったところが、また予算でいうと千五百億ですから、例えば、三千万借りる会社、債権だったら五千社に及ぶんですよ。これは中小公庫では審査しないということなんですが、審査しないということがどうなのかなと。民間の特別保証なり先ほど来ずっと申し上げていることにつながるんですけれども、果たして民間の金融機関の審査なりその商品が本当に信用できるんですか、いろいろな思惑があるんじゃないかというふうに思わざるを得ない。

 ですから、やはり僕は、いい市場をつくってこそこれから証券化がどんどん進んでいくし、将来にわたって中小企業がいい形で資金調達できるんですよね。こんなところで金融機関に悪用されて、証券化そのものが台なしになったら困るわけですよ、こんなことじゃ。それをきちっとやはり担保していかないと、特別保証のときのあの金融機関の態度、これはもう皆さんもよく認識あると思います。そのことに対してきちっとやはり歯どめをかけていかないといけないんじゃないか。ですから、これは全くノーチェックでいいのかなというふうに僕は思っているんですけれども。

望月政府参考人 ノーチェックと言うとあれでございますけれども、もともと組成を行う冒頭に中小公庫が民間金融機関と協議をして、一定の基準を満たす中小企業というハードルをつくるわけでございますけれども、それからもう一つは、先ほど来申し上げておりますけれども、民間金融機関自身にリスクの一番濃いところを持ち続けさせるということの歯どめもあるわけでございます。

 それから、最後に、私どもとしては、最終的にそれを集めて評価して証券化して売り出すときに、第三者の格付機関に手元にあるすべての情報を開示いたしまして、そこで格付させるということもまた、これは一つの担保要因になっているんじゃないかと思っています。

 そういったことで、現在日本で行われているそういった証券化に関する関係者の英知を集めて、悪用をされないようにはしたいというふうに考えております。

梶原委員 今言われたんですけれども、そういった審査体制とかあるいは銀行への指導というか、そういったところをきちっとしていかないと、せっかくの制度が台なしになってしまうということを心配いたします。

 まずは、中小公庫、今定員が千七百三十六人、ですから、五十九社ですから一店舗平均で二十九人ということなので、どれほどの方が企業の審査に当たっているのか、あるいはそれだけの能力を持っているのか、そういったことが問われていくんだと思います。そういったところも、この制度による限り、当面、充実が必要なんだろう。

 自分は、もう一つ、今の金融機関が中に介在するから何かそういった余計な心配が出てくるので、もっと企業の業績がストレートに市場に明らかになるという形になれば、これは投資家の判断でやっていけばもっといい形になるんだと思うんですよね。

 ただ、今回の形については、中小の金融機関、本当にまだまだ金融機関も厳しい中でやっている、どうしてもその条件をよくしていこうと。金融機関にとっても、いいお客さんというのは絶対証券化なんかしないですよ。少しでもリスクを回避したい、この人はちょっとまずいなと思うから証券化するというのが本音じゃないですか。ちょっとお願いします。

中川国務大臣 先ほどから伺っておりますと、金融機関が介在してとか、いろいろと、多分、委員は御自分の御体験を含めて、生々しいというか、まさに御体験で言われているんだろうと思いますけれども、確かにおっしゃるように、借り手の側の中小企業だけではない、中堅等も含めて資金調達をするための手法としてマーケットというものを利用してということでございますけれども、もともとは、もう委員御承知だと思いますけれども、金融機関の無担保の貸し付けを中小企業にします、それを一定の要件において債券化をしてマーケットに出して、そこで、マーケットでもって格付なりをいろいろ判断しながら、リスクも勘案しながら、投資家が買うか買わないかというところに流れていくということでございますから、もともとは、無担保の金融機関と資金需要を求めておる中小企業等、中堅等との間の融資というところからスタートをしているというところから債券化、マーケットということに入っていくということは多分御承知だと思います。

 ですから、先ほどもありましたけれども、おいしいものには何か変なものがあるんじゃないかということは、ひょっとしたら、それは、リスクはマーケットがとりますよ、つまり投資家がとりますよという意味では、言葉は、表現方法は違うけれども、そういうリスクは十分存在するということは我々も承知しておるだけに、制度をきちっとしたものにしていかなければいけないということでございます。

梶原委員 ぜひそのようにお願いしたいと思います。

 ただ、先ほどちょっと申し上げたんですが、現在の金融機関が貸し出しをしているその中で証券化をされても、融資量の増加にはつながらないわけですよね。結果としてどうかというと、まさしくリスクの分散ということになってしまう危険性があるんではないか。やはり、本当に、意欲があって、ただ担保がないという中小企業に対して少しでも融資をしていく、そういう条件をつくっていくということが目的だと思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 最後に、少し時間がありますので、組織のことにちょっとふれたいと思うんですが、今回、中小企業総合事業団が分離して、中小公庫と独立行政法人の中小企業基盤整備機構に移管をされるということで、これは既に決まっていたということであるんですけれども、今、独立行政法人というと、天下りの問題とか職員の問題とかいろいろな問題があるわけで、ぜひ適正に事業運営がなされるようにお願いをしたいというふうに思います。

 人員も、今の中小企業総合事業団の職員は、たしか四百名ほどが中小企業基盤整備機構に行くんだと思うんですけれども、それであと五百人ぐらいが中小公庫の方に行くんだと思います。先ほども申し上げたように、中小公庫でそういった融資の審査であるとかそういったことにこれから相当な人員というのも割いていかないといけないんじゃないかなというふうに僕は思うんですよね。そういったところについて弾力的に人員の配置とか適切にやっていくということが必要じゃないか。

 特に、独立行政法人というと、どうもこれからそういったいろいろな関与が及ばないんじゃないかな、勝手に増殖してみたり、そんなことが言われているわけで、そういったことを十分配慮して、お願いをしたいなということを最後に要望して、質問を終わりたいと思います。

根本委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。樽井良和君。

樽井委員 民主党の樽井良和です。

 昼のちょっと眠たい時間になりますので、ちょっと私の自分で起業したりあるいは経営したりした生々しい経験から、実際に国の金融機関を利用した経験でありますとか、そういった中で感じたこと、こういったことも中心に、この中小企業金融公庫法の改正について、この中で御質問をさせていただきます。

 無担保、そして第三者の保証人なし、これは本当にすばらしいことであります。実際に自分が経営していて思ったのは、例えばお金を借りに行ったときに、これでは保証人が要ると。それで、親が、ちょうど四十ぐらいが大体社長の年齢ですから、それは退職しているんですね。親も、要するに退職しているから保証人になれない。そういった中で、じゃ親戚、だれか保証人になってくれないか、こういうことを言われることによって、物すごく嫌な思いをした経験がありますから、そういった中で、保証人なしで貸してくれるシステム、こういったことは、本当に取り組みとしてはすばらしいと思います。

 ただ、普通の経営者の立場としての実感として、単純なんです、単純に思うのは、本当に貸してくれるのか、そして、貸してくれるとしたら幾らまで貸してくれるのか、そして、実際には、そういいながらも、審査する、そうした目きき能力のある方に見ていただかないと、この事業の様子あるいはそういったシステム、こんなのでどうでしょうかと持っていっても、なかなか見てくれない。

 そういった中で、将来性のある事業に対する審査体制、あるいは目ききのある能力、こういった方が必要なんですが、そういった方をどうやって人材育成していくのか、こういったことに対するお考えをお聞かせください。

望月政府参考人 お答えいたします。

 中小企業に対する融資を行うに当たりましては、財務諸表等定量的な情報に基づく客観的な評価はもちろん重要な要素でありますけれども、同様に、中小企業の技術力、販売力、経営者の資質など、必ずしも数字にできない定性的な情報というものも勘案して融資の可否を判断することが非常に重要でございます。

 したがいまして、政府系金融機関におきましても、融資判断に当たって、各支店の融資担当者が実際に企業を訪問し、経営者の姿勢や、技術開発や販路開拓など企業の将来見通しにつき十分調査することによって、目きき能力を生かした審査をしっかり行うということが大切になってまいります。

 このような目ききのできる人材の育成のために、各機関では相応にいろいろ努力をしているわけでございます。例えば、定期的に融資担当職員に対して、企業分析、経営改善指導、企業再建支援などの能力を高めるために、MBA資格を有する大学教授や税理士などの専門家を招いた研修や、あるいは中小企業大学校への職員の派遣などを行っているほか、中小企業診断士あるいは税理士等の資格取得を促進するというようなことによりまして、この能力の向上に努めているわけでございます。

 さらに、来年度から、私どもとしては、中小企業大学校において最新の産業実態等に関する研修を実施することにいたしておりまして、それに政府系金融機関職員の参加を促していくというようなことも考えておりますので、一層の努力をしていきたいと思っております。

樽井委員 すばらしいお答えだったと思います。

 でも、実際に、先ほど梶原議員からもありましたように、私たち、お金を借りに行った。そうしましたら、なかなか、そういう審査能力があるふうには見えなかったわけであります。

 実際に、まあ恨みで言うわけじゃないですけれども、私が例えばゲームの会社をつくるんだと。そしたら、ゲームなんか、そんなもの、ファミコンがはやっているのは今だけですよ、八年で終わりですよなんて言われる。実際に今、プレイステーションとか、ずうっと続いているじゃないですか。

 それで、では私が、例えば古本とかあるいはCDの中古とかの大きいデパートみたいな規模のをつくりたいんだ、そう言ったときに、そんなもの、はやるわけないんだというような審査をされて、融資を断られた経験があるわけです。実際にその後、ブックオフとかあるいはブックマーケットとかいって、僕が考えたのと同じようなのがばあっと全国にできていく、こういったことも実際に経験しているわけであります。

 それとともに、梶原議員も生々しい話をしていましたけれども態度ですね、貸し付ける側の態度というのは本当に、けんかしたくなるような、そういった態度でやる。それ自体は融資自体には全く問題ないようにお考えかもしれませんが、経営者としては、そういうのが長いこと続いていけば、蓄積して、いざ銀行が不良債権で困っているといったら、ざまを見ろというような、そういう経営者サイドの感覚になるわけです。

 そういったときに、銀行が困っているんだったら、じゃ、税金を投入してでも何とか助けてやろうではないかという感覚が生まれなかった、そこには、そんな、経営者に貸すときに偉そうな態度をとったとか、そういった意味でのいろいろな思いがずっと蓄積している、こういうこともあるので、実はそういった部分にも配慮していただきたいと思います。

 それで、実に、クレジット・リスク・データベース、CRDなんですが、これで、機械的に、あるいは今までのデータを分析して、信用能力を判断する基準を設けられるということなんですが、ちょっとしつこいようですけれども、この審査基準、これで本当に、例えば爆発的にどおんと伸びる企業、こういったものがわかるんだろうかという疑問があるわけです。

 例えば、アメリカン・エキスプレスであるとかああいうカード会社にしても、最初につくると言ったときは、そんなばかなのがもうかるわけない、事業として成り立たないと言われていたわけです。CNNのような、ニュースのずうっと二十四時間の番組をつくると言われたら、そんなものが成功するわけないと判断されていたわけです。実際に、爆発的にどおんと伸びる、そういった企業のものは、この指標では全く出てこないんじゃないか。

 そういった中で、このCRDのリスク情報データベースで判断される部分において、正確さというものを徹底していただきたいと思うんですけれども、その国の取り組みはどうでしょうか。

望月政府参考人 CRDは、先生、会員の金融機関等に対して中小企業の財務データベースなどを提供する、我が国最大の中小企業情報データベースでございます。与信の際に、定量的データに基づく企業リスクの把握という面では、審査の迅速化という観点から申しますと、役に立つものだと思っております。

 しかしながら、先ほども申し上げましたように、実際の融資判断に当たっては、数字にあらわれない中小企業の資質を評価するということは、おっしゃるとおり、非常に大切なことだと思っております。

 したがいまして、こういった話は、私どもだけではなくて、金融庁が昨今地域の金融機関に要請をしておりますリレーションシップバンキングの中でも、民間金融機関に対して、借り手の定性的な情報を勘案した融資を行う取り組みを盛んに推奨している、指導しているわけでございまして、私どもは、中小企業、借り手の立場から申しますと、こういった指導が徹底して行き届くということが非常に大事だと思います。

 したがって、私どもは今回、金融検査マニュアルの中小企業版別冊マニュアルを金融庁と協議した際にも、そういった定性的な情報を取り入れた与信判断、検査に際しての判断というものもぜひ検査マニュアルに取り入れてほしいということをるるお願いして、現行の今提案されている検査マニュアルではそういうものがかなり取り入れられて、評価されているわけでございます。

 ということは、こういうことが必要だということと現実の現場でそれが徹底しているということはまた別問題でございまして、こういった努力を積み重ねることによって、そういった適正な与信判断が行われるということを私どもは期待しているところでございます。

中川国務大臣 今の樽井議員の体験に基づく御経験のお話というのは、私自身、非常に実感ができます。

 というのは、私の方は逆の方で、銀行におりましたので、今から振り返ると、特に新規のお客さん、あるいはまた、本当にいろいろありますけれども、まあお若いころからいろいろ事業をやられていると伺っておりますけれども、ベンチャーでこれからやろうと思っている方に対して、特に、まあ私はいわゆる大手におりましたから、非常に、リスクを冒したくない、それによって過去何十年の間に大変大きな取引先を取り逃したという経験もあるわけでありますけれども、まさにソニー、ホンダというような代表的な会社も最初は町工場から始まっていって、それに対しての与信を銀行として、ある銀行は断ったけれども、ある銀行は、おもしろいからやってみようじゃないかというようなところが大変な差に結果的になっていっているわけであります。

 また、金融機関と、今よく言われるエンジェル、ベンチャー、インキュベーターみたいなものと違うと思いますけれども、要は、総合的な意味での目ききという言葉というのは、最終的には出し手、あるいは出し手の責任者の判断によって、結果的に微妙なところで大きく、出し手も天国と地獄になりますし、お金を借りる方も天国と地獄になるわけであります。

 その辺の反省も含めて、我々は政府系金融機関という立場ですから、あくまでも補完という前提ではありますけれども、そういうものに対して柔軟に、スピード感を持って、リスクももちろん勘案しながらではありますけれども、そういう意味でリスクを、証券化の、この法案についていえば少しマーケットの判断にも任せるというようなことも含めて、貸し手の側の方も、ある意味ではより大きな判断能力というものが必要だと思いますので、御質問の趣旨である貸し手の側の人材育成というものは非常に大事だと思っておりますので、そういう認識を強く持っております。

樽井委員 ありがとうございます。

 いろいろな経験を積まれているようなので、その辺のリスク、そしてチャレンジ精神、そういったもののちょうどいいところをきちんととれる、そういった目ききのある人材をたくさん育てていただきたいと思います。

 それと同時に、CRD、このデータベース、これもだんだんとより正確に、よりすばらしいデータベースに進化していくように全力をいただけたら、そう思います。

 それで、実に、おいしい話にはとげがあるんじゃないか、先ほどからずっとありましたけれども、何か利権があるんじゃないか、こう勘ぐってしまうのが野党のさがであります。

 そんな中で、投資家と投資先、それから、要するに投資家、民間金融機関、中小企業、これが名前は一緒だろうが違おうが、例えば同じ系列の会社である、そういった場合に、そういうふうに、言葉は悪いですけれどもぐるになって、お金を証券化して借りようとすることができるんじゃないかというふうな懸念をちょっと持っているんです。

 同じグループ内で金融機関、中小企業、全部紹介し合って、そのリスクの一部を要するに中小公庫に担当させれば、それはまあ中小公庫、いわゆる国の税金によってリスクを担当させながらも、自分たちのグループは、ある程度お金をもう一回融資してもらうことができるというような構図ができ上がるんじゃないか、こういうふうなことをちょっと疑っているわけですけれども、その辺についての審査はどうなっておりますでしょうか。

望月政府参考人 この仕組みをスタートさせるときには、ある民間金融機関と中小公庫が、その証券化の全体の枠組みについてのきちっとした話し合いを相当することになるわけでございます。

 したがって、中小公庫は、その民間金融機関の背景を含めて、きちんと戦略を立てて相談をしてやるということでございますので、中小公庫だけが一方的にそのグループにだまされるというようなことはあってはならないと思いますし、当然十分に気をつけてやらなきゃいけないと思っておりますので、まだ始めておりませんから、法律成立後でございますけれども、留意する点があるとすれば私どもとしても十分留意しながら運営していくようにというふうに指導してまいりたいと思っております。

樽井委員 ありがとうございます。

 ただ、例えば大きなグループだけが得をして、最終的に国民にそのリスクなり負担なりを負わせる、こういう構図自体が起こらないようにしていきたいものだと考えておりますし、また、そういった厳正な審査をしないと、今後の国のこういったシステムがなかなか機能しなくなりますので、その辺の管理運営の方は、ぜひ、力を入れて、よろしくお願いします。

 それと、この証券化スキームの要するに対象になる、いわゆる融資の対象になる、大体でいいんですけれども、普通、例えば僕なんかが地元に帰って、うちなんかはこれ頼んだら貸してくれるんだろうかというような企業とか出てくると思うんですね。だから、実際問題、例えば数値的に挙げるとすれば、例えば従業員幾らとか、例えば資本金幾らぐらい、あるいはそういう基準とか、大体これぐらいの規模の会社を想定してこの融資制度をつくりましたというものがあれば、ぜひ教えていただきたい。

望月政府参考人 証券化支援業務の実施に当たりましては、元利金の円滑な返済が見込まれる事業者というものを対象とするというのが原則でございますので、財務状況などについて案件ごとに一定の基準なり枠組みを設けることはございますが、先ほど来御答弁申し上げておりますように、できるだけ広範な地域、あるいは多様な業種、規模の中小企業が無担保融資を受けられるようにするという目的の制度でもございますし、それがまたリスクを分散する方途でもございますので、お尋ねのような中小企業者の規模についてあらかじめ一定の数値基準を設けるというようなことは、現在のところは想定しておりません。

樽井委員 例えばよくある町工場とかで二十人ぐらいの従業員がいるような会社とかも、そういった貸付対象として、言えば含まれるということなんですか。

望月政府参考人 窓口になる民間金融機関、この場合いろいろなタイプがかかわると思いますけれども、地域の金融機関、信金を含めてあるわけでございますから、当然そういうところとお取引も通常もしていることもあろうと思いますし、対象になるものと考えていいと思います。

樽井委員 ありがとうございます。

 けさの議員の質問にもありましたけれども、実際には、大企業が今利益をぐっと上げています。それにもまして中小企業はやはり困っている。それよりも零細企業はさらに困っているわけであります。ですから、なるべく困っているところにお金が行くようにということをぜひ考えてほしいと思うんです。

 実際に高いお金で、本当に、マンションとかいろいろなものをバブルのときに投資して、土地がばっと目減りしたりして借りられずに困っている、実際には利益を会社としては上げているんだけれども、そういった借金があったりして困っている企業、こういったものが地元にはたくさんあります。そういった小さいところにもなるべく範囲を広げていただければと強くお願いしていきたいと思います。

 それで、これもちょっと頻繁に出ている質問であるんですが、実際にこういったシステムができますと、本当に商品開発をしていこうとか、物すごく一生懸命この会社の中で、国のため、あるいは人々に喜んでもらおうと思って頑張っている社長さんというのは、意外と金融とかのこういった制度、システムには関心がないというかちょっと疎いところがありまして、実際にこういう制度がばっとできると、大阪なんかですと、本当にいつも金、金、金、金と言っているちょっと目ざとい経営者がばあっと手を突っ込んで借りて終わる、こういったことも考えられるわけです。

 実際にこんな技術を持っていながら、こういうふうに、こんな融資制度できましたよ、そして、これを利用することによって本当にもう一回立ち上がってすばらしい会社になりますよ、そういうふうなことを広告、そして告知して、みんなで周知徹底していこうということをしていかなければならないと思うんですが、その辺の周知徹底について、例えばどこかの金融機関に借りに来たらこんな制度がありますよと教えてあげるとか、そういうことに取り組むのかどうか、教えていただきたいんですが。

菅大臣政務官 委員おっしゃるように、確かに中小企業者においては証券化支援というのは目新しいものでありますから、周知徹底、なかなか難しいのかなということがありますので、これは何も中小公庫だけでなくて、本省も挙げて、わかりやすいリーフ等をつくって周知徹底をするとか、あるいは実際は、これは民間の金融機関を中小公庫が支援をするわけでありますから、民間の金融機関におきましても地元の中小企業等に幅広くこれを宣伝をしてもらう。あるいはまた、どこでこうしたものを行っているかということを、中小公庫のホームページあるいは支店の窓口、さらには各県にあります中小企業支援センター、こうしたものを含めて周知徹底を行っていきたい、こう考えております。

樽井委員 周知徹底、ぜひ図っていただきたいと思います。

 その中で、例えば経営していて、この今回の、中小企業の、証券化によってお金を貸し付けるんだとかいう制度以外にも、さまざまな制度が民間そして国の金融機関にはあるわけです。そんな中で、実際にお金を借りに行こうと思うときに、普通、例えば旅行に行こうと思ったら、グアムに行く、サイパンに行く、いろいろなパンフレットがずらっとあるところで、そこで契約するわけです。それと同じように、銀行だからあるいは金融機関だからといって、一カ所に行ってそこの商品しか見ずに判断する、そういうこと自体もあれですし、適切なアドバイスをしてくれる方がいるところにやはり行きたいわけです。

 例えば、経営者としてこういったことをしたいんだ、そしてそれには幾らぐらいかかる、担保はこれだけ今のところあります、今までこんなことをやってきました、そういうことを説明すると、例えば、貴社ならばこういう融資制度があるのでこの銀行のこのシステムから何ぼ、そして国の金融機関から何ぼ借りるのが一番条件的には有利でいいと思いますけれどもというふうに、ホテルにあるコンシェルジュみたいな、窓口の案内所ですけれども、そういうものがあれば実にすばらしいし、そういうものがあってしかるべきだと思うんです。

 それとあわせての質問なんですが、例えば、会社を経営する、あるいは新しく登記することにおいても、普通だったら、こんなことをしようかと思ったときに物すごく手続が面倒くさいんです。公証役場に、定款をつくって書いていったのを見せて、またそんなところでも結構お金を取られるんです。それで、法務局に届けて、一週間ぐらい待って、それをまた、定款の、例えば謄本とか写しとかを持ってまたいろいろな役所なりなんなり行かないといけない。例えば、それが飲食業にかかわることだったら、また保健所に行かないといけない。税金を払うのにしたって、府税事務所に届け、また普通の市役所にも行ってとか、本当に面倒くさい。それで、こういうのは経営者にとってはまた力が要るし、むだなエネルギーになってくるわけであります。

 さっきのコンシェルジュと同じように、例えば起業したり登録したりするのでも、一カ所で、ワンストップでまとめて、あなたの企業だったらこれとこの許可が要りますね、では、この書類です、これですと、一カ所で受け付けて終わるという、そういった一つの、ワンストップの場所、そしてコンシェルジュ、こういったものをつくっていただきたいと思うんですが、その辺について、大臣、どうお考えでありますか。

中川国務大臣 今の、先ほどからの御質問は、資金面だけではなくて、例えばいろいろな企業運営上のアドバイスでありますとか、販売、販路の問題であるとか、いろいろな面について総合的に、企業の立ち上げ、そして、企業ですから、それがうまくいくためにみんなで頑張るために知恵を出せという、いろいろな観点からの御指摘だと思います。

 いわゆる立ち上げあるいはベンチャーという観点でいいますと、商工会議所、商工会というものが一番身近だろうと思います。これが全国に今大体二百六十六ぐらいの、商工会議所単位ぐらいの身近な地域中小企業支援センターというものがございますし、また、四十七都道府県プラス政令指定都市で五十七の地域に対応した都道府県の中小企業支援センター、そして、全国に八ブロックで中小企業・ベンチャー総合支援センター、これは一応三段階つながっておりますけれども、と同時に、商工会、商工会議所あるいは都道府県、市町村の窓口があると思います。

 また、窓口自体が、今説明していると、縦横いろいろある、こういうことになりますので、私は努めて横の連携もよくとるように、どこかに行けばほかのところのそのような窓口センターにつながるように、いわゆるネットワーク化といいましょうか、そういうことも大事だろうと思っております。

 先ほどの広報じゃありませんけれども、これだけやっていますというだけじゃだめなので、これだけ窓口がそろっていますというだけじゃだめなので、文字どおりユーザーというか、我々から見ればお客様ができるだけ利用しやすいようにするように、これからも努力をしていきたいというふうに考えております。

樽井委員 ぜひその点は強く努力をしていただきたい部分だと思うんです。

 実際に、例えば私の経験なんかで、ゲームソフトを買い取って売る、そうしたら古物商の許可が要るんですね。それが、例えば法務局に届けます、でも何にも言わずにこれでオーケーですと返ってきます。税務署も届けます。そういう許可が例えばこの業種だったら要るんだということは、僕が勉強しないとわからないことなんです。そういうのも、普通だったら、法務局に届けた段階で、許可が要るんだったら一緒にその許可証も出すとか、何かそういうアドバイスなり、もうちょっと親切にやっていただけたらというふうに思うわけであります。実際に何日も時間があいて、移動しながらやっていくというのも、本当にこのe―Japanを構想している中で、もうちょっと管理して、一カ所でできるような取り組み、ぜひお願いしたいと思います。

 それで、時間がありますので、質問ではないんですが、実際に、いろいろな意味で、これから企業化なり、今度はベンチャーファンドなりで育てていこう、そういった企業を育てていこうという取り組みを国がやっているんですが、どうも経営者で、私なんかまだ当選して三カ月しかたっていないので、まだ頭の何%か経営者の部分なんですが、政治家頭と言ったら非常に失礼かもわからないですけれども、何でも税金、そして補助金、何かあれば大学というような、そういう発想で成り立っているような気がしてしようがないんですね。

 実際に、例えば会社ができるときに、普通の企業家なんかに話しますと、例えば、今起業したら何年間税金保障されますよとか、そういう制度を政治家がつくったとしても、税金が安いから新しい会社を立ち上げようなんて思っているやつがいるのかといったら、いないんです。何かこういうアイデア、すばらしいのがある、夢があるんだ、こういうふうなことをしたいんだというからやるのであって、あとの税金のことなんかを考えて、では今、安いうちに起業してやろう、そういうのはないわけです。

 そういう誘発する部分においても、例えば大学発のベンチャーをつくろうという部分であっても、では、実際にとんでもないものに育った企業というのがそういう形式で育ってきたんだろうか。あるいは、中小企業を育てることによってそこが育ってきたのかということに関して言えば、例えばアップルでもマイクロソフトでも、本当に、二人ぐらいで自分の部屋でやっていたような、そんなところが実はスタートであり、むしろ大学を中退している、私なんかも中退なんですが、そういった方の方が多いように思われます。

 松下幸之助さんであるとか本田宗一郎さんであるとか、そういった力が国から出ていくために、何か税制とかそういった取り組みだけでなくて、本当にモチベーションが高まる、もっと大きな面で、これを経済産業省で言うのではなんですが、夢のある社会であるとか、あるいは教育にもっと、「十三歳のハローワーク」にもありましたけれども、もっとこういうことをして将来の役に立とうというビジョンを描けるような教育をしていくとか、そういったところにもお金を入れて取り組まなければならないと強くふだんから思っているわけであります。

 そういった中において今後、景気回復しているとはいえやはり大企業がほぼ占めていまして、実際には、経済体の多くを、ずっと百個ぐらい経済組織体で物すごく高いのから順番に並べていきますと、国が五十八ぐらいで、四十二は実は企業なんだ、そんな状態にもなってきているわけであります。例えば、デンマークよりもウォルマートの方が経済組織体としてはでかかったりする。そういった国際的に足をずっと広げているグローバルな企業がどんどん伸びる一方、国の方はさほど伸びていかない、こういう現象になっているわけであります。

 日本に住む、そして日本で働く、そして日本の発展というものも考えた融資をしていかなければ、海外へ飛んでいく企業にお金を貸すとかいうことばかりでいけば、企業がどんどんでかくなって、国破れて企業ありみたいな、そういう世の中になりかねないと思いますので、国の金融機関は、できたら国の、日本人の、日本の利益を優先する企業にぜひとも力を注いで、この日本の経済を発展させていけるように強くお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

根本委員長 村井宗明君。

村井(宗)委員 民主党の村井宗明です。

 長引く不景気の中、今、景気は回復している、いや景気は回復している、小泉総理はそうおっしゃられますが、実際、景気が回復しているのは一部の大企業だけ、しかも一部の業種だけ、多くの中小企業は、まだ不景気にあえいでいます。大臣、あなたには、小規模事業者の全国から聞こえる悲鳴、そして失望の声が聞こえますでしょうか。今、やはり私たちは、本当に日本全国の小規模な、そして中小企業、そういった事業者の声に耳を傾け、そのための政策をしっかりととっていかなければならない、そのように思います。

 ここで、確認する意味で、あえて数字を挙げさせていただきます。総務省の統計によれば、我が国の中小企業の数は四百六十九万社で、実に全企業の九七・七%。一方、それに使っている予算、お話ししたいと思うんです。国の一般会計予算八十一兆七千八百九十一億円に占める中小企業所管分は、何とわずか千八十二億円、率にすれば〇・一%にすぎません。それに対して、例えば農林水産省所管分は二兆七千六百二十一億円なんです。

 さて、大臣、中小企業の予算は、農林水産の予算の何分の一なんでしょうか。(発言する者あり)そうなんです。今、二兆七千六百億円と千八十二億円、たったの二十五分の一にすぎないんです。私たちは今、本当に全国の中小企業の声に耳を傾けて、今までの行政の縦割りにとらわれた予算配分、それを打ち破り、本当に日本の景気回復、中小企業のため一生懸命頑張っていかなければならないのじゃないのか、そのように訴えさせていただきたいと思います。

 その問題意識をもとに、本日議題となっております中小企業、中小・中堅企業対策関連三法案について、特に私は、商工会議所法及び商工会法の改正を中心に質問させていただきます。

 商工会議所も商工会も、それぞれの地域の中小企業のために経営指導、融資の相談、支援事業などの身近な窓口となっていて、欠かせないものです。その合併が今議論されようとしています。その中で、やはり、合併をしたはいいけどサービスが下がるとか、合併して補助金が減るとか、合併して結局足した分の経営指導員の数が減るとか、そういったことがあってはならない、私は、今そのように訴えさせていただきたいと思います。その問題意識をもとに、商工会の合併規定の方から質問させていただきます。

 まず、合併の地区の問題です。

 今回提出されています改正案によりますと、商工会議所同士、商工会同士の合併に際し、飛び地など合併の地区の特例が認められるのは、「商工業の状況により、特に必要があるとき」とされていますが、具体的にはどのような場合でしょうか。事例も含めてお答えいただきたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 商工会議所、商工会は、その地区における商工業の総合的な改善発達を図るということを目的としているものであります。通常、市町村の区域と地域の経済圏の間には一体性が見られるということで、その目的を達成するための事業は市町村の商工行政と類似の性格を有するので、それぞれの地区は市町村の行政区域と一致することが原則となっております。

 ところが、近時、市町村合併は、地方自治体の行財政基盤の強化であるとか、高齢化問題などの社会問題への広域的な対応などの観点から進められております。このため、市町村合併の動きが活発化していく中で、市町村の区域と経済圏とが一致しなかったり、あるいは、同一市町村内に都市部の性格を有する商工業の状況にある地域と町村部の性格を有する商工業の状況にある地域とがさまざまな形で混在するというような場合も生じてきております。

 こういった場合には、地区の特例を認めて、商工会議所、商工会それぞれが多様な形態で合併を行えるようにした方が地域の商工業の総合的な改善発達という観点からよろしいのではないかということで、今回こういう規定を提案させていただいているわけでございます。

 具体例というのはなかなか、これは自主的な判断で合併というものは行われるものでございますので、私どもの方からこれとこれは適当ではないかとなかなか申し上げにくいのでございますけれども、ただ、具体的な動きがある中で申し上げますと、例えば、岐阜県の坂祝町商工会地区という商工会の地区があるんですが、そこと富加町商工会地区というのが、隣接しないところがありまして、両地区は二キロメーターしか離れていない上に、坂祝町には車両製造とか機械製造を行っている企業が多くて、それから一方の富加町にはその下請工場が多い。しかしながら、二キロぐらいちょっと離れていて、隣接はしていません。そういった産業面でのつながりが非常に強いという状況にあるような場合に、合併によってその地域の商工業の総合的な改善発達という観点からは適切ではないかというような例があるわけでございます。

村井(宗)委員 ありがとうございます。

 今まさにおっしゃられたように、これからのこの法案の改正によって行政の区域と商工会議所そして商工会の区域がずれる、そういったことがよく起こってくる、そういうふうに変わります。

 その中で、今まで、例えば町、町役場と町の商工会、これは密接不可分なものであったケースが非常に多い。また、商工会議所と市役所なども、しっかりと連携して今まで取り組んできたケース、こういったものが非常に多いんです。そしてまた、いろいろな事業、地域発展のための事業や町おこしの事業、そういったものなどが一緒に行われてきた。そんな中で、今後は区域が違ってくる場合がふえてくる。行政の区域と商工会議所、商工会の地域が違う場合、会員である中小企業事業者の立場に立って、行政と商工団体の一体的な活動に支障が生ずることがないように十分配慮するようお願いしたいと思います。

 この点についての経済産業省の取り組み、考え方をお聞かせください。

江田大臣政務官 先生がおっしゃられますように、市町村の行政の区域と商工団体の地区が異なるようなケースも、今回、合併が認められることになりました。こうした場合には、地域の商工業の実態から見てそれが適切であるかどうか、また、行政と商工団体の一体的な活動に支障が生じないかどうかを、この改正法の第二十七条第二項に、「関係市町村内の商工業の総合的な改善発達に支障を生じないこと」ということをこの認可の要件にしております。

 また、こうした合併や設立の認可を行うに当たりましては、関係都道府県知事及び関係市町村の意見を聞くことと、これも二十七条三項にしておりますので、この一体的な活動が発展的に行われますことを十分担保できる改正内容になっている、そのように思っております。

村井(宗)委員 ありがとうございます。

 今、支障を生じないことを認可の要件にされるというふうにおっしゃられました。広域合併や行政の区域と一致しない合併の結果、商工会議所や商工会、本来のきめ細かな経営指導などのサービスが低下してしまうのではやはり本末転倒なんです。この懸念に対して、今おっしゃっていただいたこと、しっかりと取り組んでいただければと思っております。

 さて、今回の改正が実施されますと、合併により同一市町村内に商工会議所と商工会が併存する事例が多く生じてくるんじゃないかと思うんです。しかし、商工会には商工会のよさがある、商工会議所には商工会議所のよさがあるんです。商工会には、やはりそれぞれの地域の零細企業、そして個人事業主、そういったところともしっかりと連携や人間関係をつくって取り組んできたこと、また、商工会議所には、地域の経済をしっかりと支えてきた伝統と役割があるんです。それぞれの長所と役割をしっかりと残す必要がある、私は今そのように考えています。

 今、将来的な商工会議所と商工会の合併も検討されているとのことですが、いかがでしょうか。これは中川大臣御本人からの所見をお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 この法律は、そもそも、市町村合併に対応して、商工会議所あるいはまた商工会同士が、合併した方がいいだろうというそれぞれの商工会議所、商工団体の判断があったときに、それを、いろいろな手続や税制上の問題を、その負担を軽減するためにお役に立たせていただきたいという趣旨の法律でございます。

 他方、先ほど中小企業庁長官からも答弁ありましたけれども、また委員からも今御質問の中でございましたけれども、その町には長い歴史があって、伝統的な産業やまた町があって、そういう中の集合体である商工会議所、商工会ですから、また自主団体でもございますから、町が合併して市町村が合併したから無理やり商工会議所、商工会は合併しなさいというような権限は私どもにはないわけでございまして、あくまでも自主的な組織だということでございます。

 しかし、そういうメリットがあるということであればそのときにそれを支援するという法律でございまして、法の趣旨としては中立的ではございますけれども、市町村合併も、いろいろ、町の皆さん方、市の皆さん方の御判断で合併することがいいと判断したときに、商工団体もそういうふうにした方がいいという御判断になったときのための法律であると思っております。

 他方、そういうことも念頭に置きながらだと思いますけれども、商工団体同士の全国団体レベルでの協議会もスタートするというふうにも聞いておりますので、そういうものも我々としても関心を持って見守っていきたいというふうに思っております。

村井(宗)委員 今、関心を持って見守っていくというだけでしたので、やはりもう少し明確に、今後はそういうこともあり得るのかどうなのかについてお答えいただければと思います。

中川国務大臣 ですから、あり得るかといえばあり得るんだろうと思いますけれども、我々がこうしろということが言えない、こういうことでございます。

村井(宗)委員 ありがとうございました。今大臣がおっしゃられたように、無理やりの合併はない、団体同士で合併した方がいいという話になればするというお話を大臣みずからしていただきました。

 今、いろいろな市町村、行政が無理やり合併をされる、その方向に持っていかれるということで、非常にいろいろな問題、そして地域からいろいろな声が起こっています。くれぐれも、商工会の合併についてはそれぞれの地域で判断する、上から無理やり合併を持ちかける、そういったことがないようにお願いしたいと思います。

 さて、今、商工会や商工会議所を通じて行っている中小企業支援事業についても、中小企業庁長官にお願いしたいと思います。

 まず、全国商工会連合会が平成十五年から実施している受託事業ですが、町の起業家等資金支援調達マッチングモデル事業について取り上げたいと思います。

 地元の企業と地域の投資家をしっかり結びつけるというモデル事業なんです。各地の商工会によりますと、貸し渋り、貸しはがしなど、そういった時代のため、モデル事業実施についての非常に高いニーズがある、そんなふうに地元の商工会等からもお聞きしました。その推進についてお願いをしたいと思います。

 これまでの実績や今後の推進のための取り組みについてお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 町の起業家の資金調達マッチングモデルという事業、私どもの政策としては大変ユニークな、小規模企業を起こそうとされる方に町の人たちが資金面での支援をするというようなことをぜひ広めたいということで始めた事業でございます。

 本年度から始めているんですけれども、ちょっと私がここで申し上げるには余り格好はよくないんですけれども、予算額が九百七十万円でございます。私ども、いい構想ではありますけれどもどうなるかなと思って細々と始めたわけでございますけれども、これが大変全国から人気がございまして、要すれば、お金の額の問題ではなくて、こういった発想で、商工会、商工会議所が中心になって、そういう町の起業家、小さい起業家の方々を町全体で支援する人たちを募るというような仕組みが好評を博しているんだろうと思います。

 実際に、今年度では五つの企業が、少人数私募債を活用いたしまして、直接地域の方々から新事業展開のために必要な資金の調達を実現しているわけでございますし、今後、七つぐらいの企業が同様な点でそれを実現する見込みだというような一定の成果が上げられております。

 私どもとしては、これだけある意味では地域にニーズのある話でございますので、十六年度予算案では七千六百万円という額にいたしまして、一件一件は小さい額でございますけれども、幅広く御要望におこたえをして、こういった町の起業家を地域で支えるような事業というものが広まっていけばいいなというふうに考えているところでございます。

村井(宗)委員 ありがとうございました。

 今おっしゃられたような形で、まだまだ予算額が少ないですが、多くの地元の商工会、そして今後事業を起こそうという方々にとっては非常に注目されている事業なんです。今後はもっとしっかりと予算をつけていただいて、そして新しく事業を起こそうという方と今どこかに投資をしたいという方、それぞれの町の地域経済の発展のためにマッチングを進めていただければいいのではないかと思うんです。

 さらに、今、マッチングの話、もう一つしたいと思うんです。

 大臣の地元で、例えば個人事業主の方でかなり年配の方がやっておられる、そして後継者がいない、だからやめる、そういった企業はないでしょうか。特に、数名おられるところじゃなくてもっと零細企業、個人一人でやっているような企業、そういったところで、いや安定した顧客もある、今ある程度収入もある、だけれども後継者がいないからやめざるを得ない、老夫婦二人でやっていたけれども、もう七十を超えてしまったし、やめにゃならぬ、そういったところが少なくなく、全国にたくさん見られます。その一方、私たち若い世代で、いや事業を起こしてみたいな、創業してみたいな、だけれども初めの資本金はないし、安定した顧客がない、最初顧客を開拓するのは難しいだろうな、そんな両方、その両方にメリットがあるような方法、これが後継者人材マッチング事業なんです。

 今、中小企業庁の方がそうやって後継者人材マッチング事業をどんどん進めようとしている。これは私、非常にいい制度だと思うんです。若い世代にとっても、そしてある程度顧客がついているところで後継者難のところも、これは両方にとってしっかりプラスになる。そして地域の経済を支えていく手法だと思いますので、これをもっと進めていくようにお願いしたいと思います。

 中小企業庁長官、やはり今後の取り組みについてお答えいただけますでしょうか。

望月政府参考人 今御説明ございまして、ありがとうございました。

 後継者人材マッチング促進事業ということを今年度から始めまして、それで、後継者難に悩む事業者と新規創業を希望しながら実現をちゅうちょしている方々の、後継者となることに関心を有する人とのマッチングを支援しております。

 一つは、インターネット上に後継者人材マッチングサイトというものを立ち上げまして、後継者を求める事業者と後継者となることに関心のある者からの情報登録を受け付けて、マッチングを行っております。もう一つは、全国二十一カ所の商工会、商工会議所におきまして、こういうことを希望する方々に対するセミナーの実施、現地交流会の開催などのモデル事業を実施しており、実際にマッチングが成立を始めておりまして、私どものところでわかっておりますのは、マッチング成立したのは六件、マッチングに向けて協議継続中五件などというものがございますし、先ほどのインターネットのサイトにも数多くのものが登録されているところでございます。

村井(宗)委員 今後もそういった形で後継者難に悩むそれぞれの地域の小さな個人事業主、そういったところを支援していただければ、そしてなおかつ、若くて意欲があって創業してみたい、そういった思いを持っている人たちをしっかりとつなげていただければと思います。

 また、今回時間がないので省略させていただきますが、JAPANブランド育成支援事業など、行政の方から商工会を通じて行っている事業にはやはりいい事業がたくさんあります。そういったところを通じて、地元の零細企業、そして、個人事業主をしっかりと支援していただければと思います。

 中小零細企業の経営者の立場に立ってみますと、毎日毎日が商売と資金繰りの連続です。今月の給料はちゃんと払えるだろうか、今月の手形は確実に落とせるだろうかとか、まるで綱渡りのような経営に悪戦苦闘をしているわけなんです。そんな中で、経営指導から金融相談に始まり、創業支援から町づくりの支援まで、商工会議所、商工会にかかる期待はますます高いものと言えるのではないかと思います。

 商工会議所、商工会には、国、地方公共団体の補助金が大なり小なり投入をされているわけです。地域における加入率の向上を図り、会員からの会費収入を呼びかけるなどと言ったとしても、一朝一夕には難しいものがあるわけです。

 今現在、やはり商工会では補助金によって運営している部分が少なくありません。しかし、昨今の補助金削減によって、一部の自治体では商工会議所、商工会への補助金削減の動きがある、そんなふうな声をよく耳にします。地方の方が入れなければ、国の補助金もそれとほぼ同じ額を入れているということなので、地方から商工会議所への補助金を削減すれば、国の方で予算をとっていたとしても、それを消化できずに、結局、商工会全体が二重に予算を減らされてしまう、そういった事態も少なくありません。

 これに対し、国は、地方自治体に対してどのような指導あるいは助言を行っておられますでしょうか。

江田大臣政務官 今、先生も御指摘のとおり、商工会、商工会議所が経営相談・指導の実施等各種事業を円滑に進めていくためには、都道府県からの必要な助成が得られるということが大変重要でございます。このため、国としましては、都道府県の商工会等に対する助成に対しまして、必要な地方交付税等を講じるとともに、都道府県に対しまして、商工会等が商工業者のニーズに即してきめ細かい、質の高い事業を実施できるように十分な配慮を行うよう要請しているところでございます。

 三位一体という行政改革の中で、先生御指摘のように、補助金、交付税と減っているようなところでもございますけれども、むだを徹底して省きながら、しかし、必要なところにはちゃんとお金を持ってくる、こういうことで対応をしていかなければならないと私自身もしっかりと思っておりますので、このように、今後とも、都道府県に対しまして、十分な配慮が得られるように努めてまいる所存でございます。

村井(宗)委員 ありがとうございます。

 今、地方公共団体の方にもそうやってニーズに即してきめ細かい事業を要請していただくというふうに言っていただきました。

 そんな中で、やはり特に守っていかなければならないもの、それは経営指導員なんです。商工会の経営指導員、第一線の人員が合併等によって削減されたりすると、本来期待されている小規模商工事業者へのサービスの低下を招きかねない、そういったことが少なくありません。

 特に、それぞれの商工会で、今やはり人間関係を持って、それぞれの人間関係、顧客の状況、そういったものは町の商工会の経営指導員がよくわかっているわけです。一緒くたに合併して減らす、ほかの方が担当する、そういったことがあったとしても、実際は、その町の状況がわからない、隣の町から来てもよくわからない、そういった状況が行われるわけなんです。

 今、そうやって、ニーズに対してきめ細かい事業をやるように都道府県にも要請していただくというふうに言われましたが、特に、補助金の部分で、経営指導員の人員を削減しないようにお願いしたいと思いますが、それについてはどのようにお考えでしょうか。

江田大臣政務官 経済産業省としましては、この経営指導員、これは非常に重要な方でございます。商工会議所、商工会が十分な中小企業の支援策を、この機能を果たしていくためには、経営指導員の人材育成というものが非常に重要でございまして、また、経営指導員の数の確保ということも非常に重要でございます。

 したがって、本省としましては、合併によりまして経営指導員の数が減少して弱体化するようなことがないように、また、合併の本来の目的でありますこの事業の広域化、それから、指導内容の専門化等に対応して、より充実した小規模事業者支援が行われることが望ましいと考えておりますので、そのように県に対しても指導を徹底できるようにしたいと思っております。

村井(宗)委員 それでは、最後のまとめに中川大臣にお尋ねしたいと思います。

 選挙のときには、ほとんどの候補者が中小企業の支援、そういうことを訴えてきました。日本経済を支えるのは圧倒的な数の中小企業だだとか、中小企業が元気にならなければ本当の景気回復はない、もう皆さん、ここにおられる方、そういうふうに言ってこられたんじゃないかと思うんです。言葉の上では非常によく言われているわけです。

 しかし、本当に厳しい財政状況の中ではありますが、商工会、商工会議所を通した地域の中小企業支援は、特に地方の中小零細事業者の物心両面の支えとなっているわけです。選挙のときみんなこう言っていたけれども、やはり補助金の削減などで、今、商工会、商工会議所が非常に苦しんでいる。そして、それによって中小企業対策が十分に行われなくなりつつあります。

 そんな中で、やはり私は、財政の一律カット、補助金の一律削減と処理するには、これは好ましいものではない、そのように考えております。

 大臣、商工会、商工会議所に対する地域中小企業支援の充実、そして、期待されているめり張りをきかせたタイムリーな行政の取り組み、これらの点について、これまでをまとめて所見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

中川国務大臣 大変情熱的ないろいろな御意見をいただきました。

 実は、先ほどの後継者マッチング事業のときに、私、地元にそういうことがあるかというお話がありましたが、もちろん、お客さんがいっぱいいて、例えば、おいしいお菓子や、北海道ですからラーメンなんかをつくるお店屋さんが後継者がいなくて、さあこの人がいなくなっちゃうと、あとどうなんだろうなんて私も心配することがよくあります。

 よく農業後継者の話が私のところなんかは問題になって、あるとき東京に農業地帯の後継者が本当にいないんですよと訴えに来たら、実はそのとき、ある銀座のしにせの商店街の世話役の人から、実は銀座のど真ん中の由緒ある、歴史のあるお店屋さんも後継者不足で非常に困っているんだ、どんどんお店が減っていっているんだという話を聞いて、それは間接的に聞いたんですけれども。

 実は、商店あるいは小さな企業であっても、後継者不足というものは、これはある意味では、単にその地域だけの問題じゃなくて日本全体の、何といいましょうか、たくみといいましょうか、一つの誇れるものの消失になってはならないというふうに思っているわけであります。

 そういう意味で、我々、何も選挙のときだけの公約ではなくて、冒頭、予算の話をされましたけれども、我々は、確かに農業予算や福祉予算に比べれば金額的には少ないかもしれませんけれども、小泉内閣としては、厳しい財政状況の中で、福祉あるいは科学技術、これは皆さん認めていただけるでしょう。しかし、それと並んで、中小企業予算も、微々たるとはいえプラス〇・五%をふやしているということは、これはやはり我々、中小企業対策が極めて日本経済の屋台骨を支える、北海道から九州、沖縄に至る全国を支えているという意味で大事だということのあらわれだとぜひとも御理解をいただきたいわけであります。

 そして、知恵は、やはりその地域、地域が考えていただく、それを、資金面だけではなくて、人材面、技術面その他いろいろなノウハウ、あるいは、データベース化したような形で、全国でそういうものに対してアクセスできるというようなことも含めてやっていくのが我々の仕事だと思っております。

 そういう意味で、委員のいろいろなお話、実体験あるいはまた情熱含めて、我々に対してまたいろいろ御意見をいただき、また参考にさせていただき、中小企業が真に元気になることによって真の意味で日本がまた元気になっていくという共通の目的に向かって進んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

村井(宗)委員 ありがとうございました。質問を終わらせていただきます。

根本委員長 村越祐民君。

村越委員 民主党の村越祐民でございます。

 村井委員の熱気が冷めやらぬ空気があるかと思いますが、私は淡々と進めてまいりたいと思います。

 私は、中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案につきまして、とりわけ、中小公庫の証券化支援業務追加にフォーカスをいたしまして質問をさせていただきたいと思います。

 政府の誤った金融政策によってバブル経済が発生して、また、政府の誤った金融政策によってバブル経済がいわばスーパーハードランディングの形で崩壊し、国民は大混乱に陥っております。そして、政府は引き続き誤った政策を貫いて、長い不況からいまだに脱出をすることができていない状況があります。この間、国民は痛みに耐え、苦しい生活を強いられ、とりわけ社会的弱者は、不況による社会保障の縮小傾向のあおりを受けています。経済面からいえば、大企業に対するいわば経済的弱者とも言える中小企業が最も被害を受けているわけであります。

 そもそも中小企業は、必要最小限度の規模で運営されている構造からいってリストラの余地は少なく、また、付加価値を高めていくための研究開発や設備投資のための資金調達に関して、民間金融機関による貸し渋り、貸しはがしによって非常に困難な状況に陥っています。

 中小企業金融公庫は、現在まで、民間金融機関が消極的になっていた中小企業への融資の重要な一翼を担ってきたわけですが、融資を事業としてとらえれば、民間ができることは民間に任せる、つまり、政策金融が民業圧迫になってはならないわけであります。先ほど大臣が民業補完というふうにおっしゃっておりましたが、まさに、民間金融機関が積極的に中小企業に融資できる環境を政策的につくり上げていくことが早急に望まれているわけでございます。

 そういった観点から、本法案による中小公庫の証券化支援業務は、民間金融機関の中小企業に対する融資が拡大し、また、中小企業の資金調達が多様化するための一つの可能性として大いに議論をする余地が私もあると考えまして、以下にお伺いをしたいと思っています。

 まず、本法案における証券化支援業務ですが、これは一体どちらを向いた政策なのでしょうか。中小企業なのか、それとも民間金融機関なのか。本法案の究極的な目的に関しまして、確認の意味を込めまして、大臣の御答弁をお願いいたします。

中川国務大臣 今、冒頭のお話の中で、我々の役割というのは、あくまでも政府ですから、要するに、これは小泉内閣の公約でもあるわけでありまして、国から地方へ、官から民へということですから、しかし、我々は、補完とはいえ重要なことをやっていかなければならない。

 これは景気の再生であり、特に中小企業の再生であるわけでありまして、そのためにいろいろな手法が求められているという中での一つの方策でありますから、あえて第一番目のこの証券化の目標は何かといえば、中小企業だけではない、中堅その他も含めた意味での産業の活性化のための資金を供給する手段の一つであるということであると思っています。

村越委員 そもそも、先ほど述べました中小企業の厳しい資金繰りの問題を解決するために、本法案の最大の目的は、やはり中小企業に対する運営投資資金を供給する環境を整えていくことにあるんじゃないかと私は考えています。そして、本法案がその本来の目的を達成できるか否かということは、今から私が申し上げる三点をまず検討しなければならないのではないかと考えています。

 まず一つ目は、本法案によって発行される資産担保証券、CLO、これが果たして本当に市場に受け入れられるかどうかということ。そしてもう一点、二点目は、民間金融機関が証券化に本当に積極的になってくれるかどうかということ。三点目、これが一番大事なことだと思われますが、果たして最終的に本当に中小企業に対する融資が拡大するのかどうかということを検討しなければならないのではないかと思います。以下、この三点に関しまして、いろいろと質問させていただきたいと思います。

 まず、一点目ですが、今回のCLOが本当に市場に受け入れられるのかどうかということに関してお尋ねします。

 まず、今年度、本法案によって発行されるCLOは、市場に流す分と民間金融機関及び中小公庫が引き受ける分は、それぞれ総額がどれくらいの規模を見込まれているのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

望月政府参考人 今年度予算で前提としております事業規模は、これは保証型と買い取り型があるという議論を先ほどからしておりますけれども、保証型の事業では九百億円、それから買い取り型の事業では千五百億円というものが一応全体の事業規模になっておるわけであります。そのうちで、これを組成していって、でき上がりでございますけれども、劣後部分を除いて市場に売却をするということになると思いますので、かなりな、九〇%超える部分が市場に売却されるということになろうかと思っております。

村越委員 この証券が市場において、そして投資家に本当に魅力のある証券になり得るんでしょうか。例えば、既存の証券市場における金融商品の中でどういったような位置に位置づけられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 これから実は設計をしていくべき話であろうかと思いますので、一定の想定で考えざるを得ないと思いますけれども、例えば保証型のような場合に、先ほど来申し上げておりますが、全体としての、七割ぐらいは中小公庫がもともとの入り口のところで保証をしてやっていくことになるわけでございます。それを前提として、最後に出口のところで、証券化をされたもののシニア部分という非常に条件のいい部分と中間部分とに分けて売られることになるのが一番一般的だろうと思います。

 したがって、全体、最初に保証が七割ぐらいしてあるものでございますので、これについてはかなりリスクが低いということになるわけでございますので、その辺を勘案いたしますと、これは格付を別途第三者の格付機関がしてレートが決まるということになると思いますので、私がここで何ぼになるだろうということはなかなか申し上げにくいところでありますけれども、かなり低いレートでしてもマーケットで売れるような商品に仕上がるのではないかというふうに思っております。

 ただ、いずれにしても、この商品がマーケットで売れるか売れないかという観点から申し上げれば、そのレートとの見合いということになるんだろうと思っております。

村越委員 長官は、この格付というかレートに対して非常に自信を持っておられるようですが、それでは、この証券はどういったターゲットに、つまり、どういった投資家に対して専らニーズが見込まれているんでしょうか。

望月政府参考人 これは、まず第一義的には、機関投資家の方々に買っていただこうというふうになると思います。ただ、その機関投資家の中には、それを再度小型の証券にして一般投資家に販売される方も出てくるんだろうと思っておりますが、第一義的な引き受け手は機関投資家だと思っております。

村越委員 先ほどこの証券が日銀のオペの対象になるんだというような旨の御答弁がありましたが、政府系金融機関がこの証券をどのぐらいの割合で保有するようになるとお考えなのでしょうか。また、政府系金融機関が大量に保有することになるとすれば、それは望ましいことなのかどうか、お答えいただけますでしょうか。

望月政府参考人 発行の回数とか等々まだ未定でございますので何とも申し上げにくいところではあるんですけれども、基本的には、かなりの部分をマーケットで売ってしまうわけですから、政府系金融機関自身が売却残を持つというケースは非常に小さくしなければいけないというふうには思っております。

 日銀の件は、先ほどの日銀の御答弁でもありましたように、出たものを見てから判断されるようでございますけれども。

村越委員 実際その制度が始まって運用していかなければ、具体的なところはよくわからないということなんでしょうが、引受先が制度が始まってどうなるかは一たんさておきまして、リスク情報の開示ということが大きな問題になると考えます。

 いわゆる中小企業の情報の非対称性というのが今問題になっているわけですけれども、それの緩和のために平成十三年度より、CRDですか、中小企業信用リスク情報データベースというのが運用されているというふうに承っておりますが、現時点でデータの保有量がまだ少ない、それから匿名に限ったデータの運用がされているというふうに聞いていますが、証券化支援の促進のために、このデータベースのさらなる充実化というのが非常に急務であると考えますが、今後の方針があればぜひお聞かせください。

望月政府参考人 CRDにつきましては、百七十万件ぐらい現在登録されておりますけれども、まず、これの量的充実ということが非常に大事なことだと思いますので、今、関係金融機関等々に対して参加を非常に呼びかけているところでございます。

 それからもう一つは、質的充実ということも大事だと思っております。そのためには、このデータの公開等々で、最新のデータにいかにしてリニューアルしていくか、こういうことも大事だと思いますので、その点の努力をしている最中でございます。

村越委員 それから、我が国の金融というのは、圧倒的に間接金融に偏っていると言われているわけです。そして、これが金融機関にリスクを集中しているという問題を起こしているわけですけれども、その金融機関に集中しているリスクを分散させる観点からも、我が国が抱えている大量の個人貯蓄を投資に向かわせることが経済を活性化させるかぎになるんじゃないかと考えるわけです。

 そういった観点からも、機関投資家だけではなくて個人投資家も視野に入れた証券化市場が求められてくるんじゃないかと思いますが、これに関してはどのようにお考えでしょうか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、私どもは、決して個人投資家のところについての視野を忘れているわけではございませんで、機関投資家は一たん引き受けた上で、その中には、場合によっては個人投資家に販売される方がおられるだろうというふうには思っておりますし、それをまた推奨していきたいとは思っております。

 ただ、それも含めまして、全体として、逆にマーケットの方の成熟度というのも非常に大事なことでございますので、私どもは、このマーケットが、私どものこのことだけで成熟するわけではもちろんございませんので、本件のような動きをすることによりまして、PR等々でマーケットにそういうものが浸透していくということを心から期待しているわけであります。

村越委員 今マーケットの成熟度というお話がありましたが、その点に関してちょっと後ほどまたお伺いしたいと思いますが、先ほど御答弁の中にありました、いろいろなリスクレベルのものがあると。メザニンとかなんとかかんとかというのがあると思うんですけれども、そういったさまざまなリスクレベルの債権をまとめ上げたものになるがゆえに、個々の債権のリスクから発生する証券そのもののリスクをどのように分析するかというような技術的な手法が恐らく重要になってくると考えるんですけれども、現在どのような分析手法を想定しておられるのか、またその分析はどちらの責任において行われるのか、お聞かせいただきたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 証券化支援業務の中では、多数の中小企業向け貸出債権を束ねた上でそれを裏づけとして証券を発行して投資家に売却する、こういうことになるわけでございますけれども、投資家に売却する際には、先ほど申し上げましたように、格付機関の格付が必要となることから、格付を得ている国債、社債等の債券と同様に、投資判断に必要な情報を開示する、そういうことになります。

 具体的には、証券化のもとになる債権の貸し出しを行った金融機関が、貸出先たる中小企業の数や一件当たりの貸出額、貸出先の業種構成、貸出先を選定する際の財務基準などの情報を民間の格付機関に説明をし、格付機関はそうした情報を投資家に開示するとともに、それらをもとに資産担保証券の格付を行うことになるということでございます。

村越委員 これで二つ目の論点に入りたいと思うんですが、金融機関は証券化に果たして本当に積極的になるのかどうかというところなんですが、このたびの証券化は、主にどの種別の金融機関がターゲットになってくるのか。都銀、地銀、第二地銀、信用金庫等々、具体的なものがあればお答えいただきたいと思っています。

 また、そういった金融機関が中小企業に対してどのような立場をとっているのか、中小企業支援に本当に積極的になっているのかどうか、お答えいただきたいと思います。

菅大臣政務官 申し上げるまでもなく、これは中小企業を支援するための制度としてスタートするわけでありますから、当然中小企業向けの無担保融資を促進するものにならなきゃならないというふうに私は思っています。

 二種類ありまして、保証型、買い取り型、先ほどから申し上げていますけれども、保証型におきましては、証券化事務自体をみずからが行うことができる、ですから、これは都銀が当たるというふうに思います。

 さらに、買い取り型は、地域や業種の偏り等により単独では証券化が困難な金融機関、これを想定いたしておりますので、地銀だとか信金、そういうものが当たる、このように考えております。

村越委員 この事業によって、中小企業に対する新規融資のリスクを軽減することが本当にできることになれば、金融機関の財務状況も当然ながら改善されていく可能性があるわけですが、この事業の効果として、民間金融機関が抱えている既存の不良債権の処理も加速するようになるかどうか、どのようにお考えでしょうか。

菅大臣政務官 いわゆる民間の金融機関は、証券化される際にみずから劣後債を負うということを先ほど来説明しておりますけれども、それを一定程度に抑えることによって、自己資本比率、これを考えたときには、向上するなどのメリットがあるというふうに考えています。

村越委員 この法案の作成に当たって、先ほどいろいろ挙げた金融機関からヒアリングをしていると思うんですけれども、そういった金融機関からどういった評価をいただいているのか、お聞かせください。

菅大臣政務官 本年の一月から二月にかけて、いわゆる金融機関からヒアリングを行っておりますけれども、幅広い、極めて高い関心を金融機関が持っている、このことを私どもは感じ取っております。

村越委員 先ほどの買い取り型と保証型で、保証型が九百億、それで買い取り型が千五百億と算定されているというふうに承りましたが、その数字の根拠が一体どこにあるのかということ、また、金融機関にそれだけのニーズが本当にあるのかどうか、どのように見ておられるのでしょうか。

望月政府参考人 先生、これはまず、基本的には、予算要求をする際の私どもの一つのある意味では目標みたいなところもあるわけでございますので、予測値とは若干違うものと受け取っていただきたいと思います。

 しかしながら、現実性があるのかということでございますれば、やはり東京都とか大阪におきまして地域版のCLOがもう既に前例が幾つかございます。そのCLOの一回当たりの発行規模などを前提として、私どもはそれをある程度全国に、仮に、東京、大阪はある程度自分でもできるような企業の集中度等があるわけでございますけれども、これをそういうのができないようなところも含めて全国に展開をしていくとすれば、それぐらいの可能性があるのではないかということで想定をしたところでございます。

村越委員 結局のところ、先ほど三つの点から検討する必要があると申し上げましたが、最終的に中小企業に対してお金が本当に行くようになるのかどうかということが一番大事だと思うんですが、中小企業に対する支援というのは経済産業省だけではなくて、きょう副大臣もお見えですけれども政府が一丸となってやはり取り組んでいかなければならない問題だと考えています。とりわけ金融庁と経済産業省が連携してこの問題に取り組んでいく必要があると思うんです。

 そこでお尋ねをしたいんですけれども、本法案によって、この証券化が行われた際に民間金融機関等が一部の劣後債を引き受けることになっているんですけれども、これも予測であって細目はわからないということなのかもしれませんが、大体どのぐらいになるのか、もし見当があればお答えいただきたいと思います。

望月政府参考人 先ほどちょっと申し上げましたけれども、全体の規模の中では、三から四%ぐらいの劣後部分が残るというふうに考えておりますので、これを引き受けることになろうかと思います。

村越委員 民間金融機関が引き受けることになるであろうこの劣後債がどういった資産評価をされるようになるんでしょうか。特に、金融庁の検査でどういう評価がなされるようになるのか、お答えいただきたいと思います。

伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 委員から、証券化した劣後債が金融庁検査でどのように評価をされるか、こういうお尋ねでございましたが、私どもといたしましては、他の劣後債と同様の会計基準に基づきその評価がなされているかどうか、そうした検証を行うことになろうかと思います。

 この部分についての会計基準でありますが、金融商品会計に関する実務指針の百十八号及び三百号で詳しく取り扱いが記載をされておりまして、具体的には、劣後債の会計基準での評価について、特定の条件下において通常の債権を上回る高い信用リスクが生じるためその発生し得る損失見積額を引き当てるとされており、検査においても会計基準に沿った検証を行うことになります。

村越委員 加えてちょっとお伺いしたいんですけれども、金融庁が貸し渋り・貸し剥がしホットラインというのをやっている。一部、ホットラインじゃなくて、ほっとくラインだという意見もあるようですけれども、(発言する者あり)ありがとうございます。そういうのをやっているそうなんですけれども、この利用がだんだんだんだん減っていっているというような数字が出ていると思います。

 一方で、現実は、貸し渋りとか貸しはがしというのは一向になくなっていないということも耳にしているわけですけれども、これについてどういった認識をお持ちなんでしょうか。状況は改善されているとお考えでしょうか。

伊藤副大臣 ほっとくラインというようなお話がございましたけれども、私どもといたしましては、借り手の声を幅広く聞くためにこのホットラインというものを十四年の十月に開設させていただきまして、そしてこの受け付け状況については四半期ごとに情報開示をさせていただいているところでございまして、この推移を見ますと、御指摘のとおり減少傾向が見られるところでございます。

 この減少の要因でありますが、必ずしも明確にすることがなかなか難しいところでございますけれども、中小企業関連の指標というものが最近少しずつよくなってきておりますので、借り手の企業全体からすれば幾分改善している可能性はあるのではないかというふうに思っております。

 例えば日銀の短観を見ましても、中小企業に対する貸し出し態度判断のDI、これが少しずつよくなってきておりますし、また、当委員会の調査室が行った調査においても、貸し渋り、貸しはがしを受けた経験の有無について過去と現在を比べた場合に、これが改善をしているというアンケート調査結果が出ているところでございます。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、引き続き、このホットラインを周知していく、そしてホットラインに寄せられた情報については、検査監督に当たって重要な情報として活用していきたいと考えております。

村越委員 貸出債権の証券化自体は、中小企業の資金供給の円滑化に即時的な効果があるというよりも、証券市場が拡大したときに民間金融機関が融資をしやすくなるという、即時的な効果よりも二次的な効果が大きいという指摘があります。

 そうだとすると、我が国における証券化市場がまだ未成熟であるということ、また、そのニーズがまだ未知数だ、具体的な目標が立てにくい、そういったことに加えて、金融庁の方で二〇〇六年度末から適用予定の新しいBIS規制等によって証券化商品のリスク評価基準が厳しくなったとすると、貸出債権の証券化市場の拡大にむしろ若干懐疑的にならざるを得ない部分があるわけですけれども、そういった点に関して、金融庁のこの証券化市場の将来に対する御所見を副大臣からお聞かせいただきたいと思います。

伊藤副大臣 今、新BIS規制についてのお話がございましたが、この新BISの規制については、所要の自己資本の水準を平均的に、現行基準よりも重くも軽くもしない方針のもとで作業を進めているところでございまして、見直し案の一部についてのみ、国際的な合意が得られる前に先取りして何か今のようなお話がされるというのは適当なことではないのではないか、軽くも重くもならないというふうに御理解をいただきたいと思います。

村越委員 よくわかりました。

 今後、この事業が仮にうまくいったとすれば、当然ながら、中小企業に対して民間金融機関からの融資が拡大していくことが期待できるわけですけれども、その際に、中小公庫の本来の目的である直接融資の総額というか、本来の業務の行く末というのはどういうふうになっていくのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 七月一日からこの信用事業が中小公庫に合体というか統合されるわけでありますけれども、今御指摘のように、片っ方では融資、片っ方では信用、あるいはまた証券化事業ということになるわけでありますが、基本はあくまでも、何回も申し上げますが民間の産業と金融の関係の補完であるという前提に立つわけでございますけれども、あくまでもトータルとして、私の立場からは、産業あるいは中小企業を中心とした日本の事業会社の発展、あるいはまた再生のために資するという観点でございます。

 そういう中で、融資事業と信用その他の事業と、この証券化の事業も含めまして、それぞれ一つの、メニューの中のそれぞれということでありますけれども、きちっとした目的の実現のために、例えばファイアウオールも含めまして、体制をきちっと整えていかなければならないことは当然のことだと思っております。

村越委員 最後にちょっとお伺いしたいんですけれども、ちょっと先の話になるかもしれませんが、貸出債権市場が成熟して中小企業に本当に資金が還流するようになったときに、公的な関与のあり方をどのようにお考えになっているのか。民業補完が原則だということを大臣が先ほどから繰り返しおっしゃっていますけれども、貸出債権市場における政策金融のいわば出口戦略みたいなものがあればお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 民業の補完であるという大前提でございますが、実は民業の補完といいましても、民業を圧迫しないという意味の補完と、それから、今後あるべき一つの新たな産業金融の形態をひとつ一歩先に、試してみると言ったら変ですけれども、先駆的にやってみる役割というものも補完の中にあるのではないかというふうに考えます。

 そういう意味で、先ほどから委員御心配になっていらっしゃるように、このマーケットのシステムがきちっと機能するかどうかということがこの証券化の大きなポイントになるわけでございますから、そこが今のところ、投資家も、あるいはまた格付機関も、あるいはまた、もともとの債権のつくり手といいましょうか、もとの金融機関の方も含めてまだまだ経験不足、技術不足。あるいはまた、特にアメリカなんかに比べればまだまだ未成熟な部分があるので、今後、こういう手法あるいはこういうマーケットも必要だという前提に立って先駆的にやっていくということも、ある意味では一つの補完的な機能であろうというふうに考えております。

村越委員 ありがとうございました。以上で私の質問を終わります。

根本委員長 塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 最初に、商工会・商工会議所法改正案について一問お尋ねいたします。

 今回の法改正におきまして、商工会議所同士及び商工会同士の合併というのは市町村合併の動きと直接連動するものではなくて、合併の可否はあくまでも商工会議所同士、商工会及び地域の自主性に基づき検討され得るものだ、これが基本だと、その点を確認したいんですけれども、いかがでしょうか。

中川国務大臣 今、市町村合併という一つの政府としての意向があることは事実でございます。それによって、それぞれの市町村の商工団体、会議所、商工会が、やはり自分たちも合併をした方がメリットがあるというときには、今の制度においてはいろいろとふぐあい、税制上等のふぐあいがございますので、そういう自主的な判断で合併をしたいというときのための応援というか、余計な負担をかけないための法律でございまして、あくまでも合併の判断は自主的なものだというのが前提でございます。

塩川委員 それぞれの自主性が尊重されるということで承知をいたしました。

 次に、政府の政策金融改革の方針と中小企業公庫の問題についてお尋ねをいたします。

 この間、一連の政府の方針が出されておりますけれども、二〇〇一年の十二月ですからもう二年余り前ですけれども、特殊法人等整理合理化計画の中に中小企業金融公庫についても指摘があります。その中で、中小企業金融公庫の一般貸し付けについて、「市場のニーズに応じ、規模を縮減する」とあります。この「規模を縮減する」というのはどういうことなのか、この点をお聞きしたいと思います。

菅大臣政務官 確かに、委員のおっしゃるように、そういうことが言われております。

 また同時に、十四年には経済財政諮問会議の中で、不良債権処理の集中処理期間とされる十六年度までは政策金融機関を最大限活用し、円滑な中小企業金融が確保されるようにする、こういうこともあるわけであります。

 私どもは、こうしたことを踏まえまして、現下の中小企業金融をめぐる状況の中で、大体前年度と同じぐらいの一兆九千億円程度の規模の融資を実は行っております。そしてまた、経済財政諮問会議の結論では、民間金融機能の正常化への道筋を踏まえて段階的に政策金融改革を進めていく、こうされておりますので、私どもは、こうした二つの方針を踏まえながら、中小企業の皆さんに円滑に金融が渡るように取り組んでおります。

塩川委員 来年度いっぱいの不良債権処理集中期間については維持する、しかしその先はわからない話で、実際、民間金融機関が大きく中小企業向けの貸し出しを減らし続けているこの傾向がもし続くのであれば、政府系金融機関、今回の場合、中小企業金融公庫の一般貸し付けも縮減するのでしょうか、維持するのでしょうか。

菅大臣政務官 あくまでも政府系金融機関というのは、先ほど来大臣が申し上げていますように、民間の金融機関を補完する、そういう観点の中で、中小企業の方に円滑に資金が行くような形で私どもは進めていく、そういうつもりで行っていきたいと思います。

塩川委員 いや、要するに、民間金融機関が減らし続けても維持しないで、将来は減らすということなんですか。

菅大臣政務官 円滑に中小企業金融が回るようにするということです。

塩川委員 維持するということではないというお話になると思うんですけれども。

 あわせて、今お話もあった経済財政諮問会議の「政策金融改革について」では、「政策金融の手法の革新」というのがあります。ここには、「諸外国の民業補完の事例を参考にしつつ、間接融資、債務保証等の手段への移行」を図るとあります。

 ここにあります「間接融資、債務保証等の手段」というのはどういうものを指すのか、また外国のどんな事例を参考にされるのか、この点をお聞きいたします。

菅大臣政務官 今回、法案としてお願いをしています証券化支援業務、これを私どもは考えておりますし、諸外国の事例といたしましては、アメリカの中小企業庁の貸出債権の流動スキームを参考といたしております。

塩川委員 アメリカの中小企業庁というのは、直接貸し付けは余りなくて、保証業務中心だというふうにお聞きしているんですけれども、そういうことでよろしいんでしょうか。

中川国務大臣 アメリカの場合には保証業務が中心でございます。しかし、今回の日本のスキームは、買い取り型と保証型と二つあるわけでございますが、先ほど政務官が申したように、アメリカのスキームを参考にしているということでございます。

塩川委員 いや、私は、証券化支援のことを聞いているんじゃなくて、政策金融そのものの大きな話としてどうですかということでお話を聞いたものですから、アメリカのSBAの場合で言えば、日本のように直接貸し付けということではなくて、保証業務中心なんじゃないでしょうかという趣旨でお聞きしたんです。確認だけ。

中川国務大臣 そのとおりでございます。

塩川委員 特殊法人等整理合理化計画の「中小企業金融公庫」の中では「リスクに見合った金利設定の導入を検討」という部分があります。

 信用力の乏しい中小企業にとっては、金利引き上げにつながるリスクに見合った金利設定は大変な負担だと思うんですが、この文言どおりで見ると、金利引き上げとなるようなリスクに見合った金利設定を推進するという立場だということでよろしいでしょうか。

菅大臣政務官 リスクに見合った金利設定もその一つとして考えるということであります。それは、これだけ中小企業の金融が厳しい状況にありますので、無担保無保証という制度、これを私ども今お願いをしていますし、これ以外にも、ことしの四月から、例えば中小公庫あるいは商工中金の創業・新事業融資制度、こういうものについては、経営者本人の担保なしでこれはお金を貸しますから、そういう場合は、やはり通常の金利よりも若干上乗せをするとか、そういうことはあってしかるべきであると私は思いますし、そういうことを考えております。

塩川委員 要するに、借り手の方の融資の条件が改善されるという中で、多少のリスクに応じたという意味での金利の引き上げというのは、それはそれとしてある話だと思うんですよ。

 私がお聞きしたいのは、同じ条件であっても、民間金融機関などは収益性の向上という立場から、この間、随分金利の引き上げ交渉をやって、応じなければ貸しはがしだと大分やってきたわけですよね。それと同じようなことを、政策金融機関、中小公庫でもやることになるんじゃありませんか、その点はどうですかとお聞きしているわけなんです。

菅大臣政務官 それはありませんし、民間の金融機関にもそういうことがないような形で、私どもは新たに無担保無保証のものを実は考えているということであります。

塩川委員 諮問会議の「政策金融改革について」の文書の中では、「融資条件の適正化の徹底」ということで「民間に準拠した、リスクに見合った金利設定の導入」と言っているものですから、私が頭に思い浮かべるのは、金利の引き上げか貸しはがしかと、あの大問題になった、このことをやっぱり念頭に置かざるを得ない。

 中小公庫にあってはこれと同じことが起こり得ない、そういうことでよろしいですか。

中川国務大臣 委員が先ほどから言われていることは、二つのことに分けて考えなければならない。

 まず、十六年度までの集中的な金融、中小企業に対する特別の期間、これは十六年度をもって、正常と言ったら変ですけれども、中小企業に対する特別の対策というものは脱却するであろうということと、その後の経済、中小企業も含めた日本経済が健全な状態になる、あるいはまた、名目成長率も含めて、きちっとしたそういう状態に日本経済がなるという中で、先ほどから申し上げている、国から民ができることは民へという流れとも類似するような、要するに、採算ベースも配慮に入れたという形でそういう表現を使っているわけであります。

 現在は、あくまでも集中改革期間でございますから、その中での政府系金融機関のあり方というのは、民間ではできないところは一層頑張っていくんだということでありますけれども、通常状態においては、あくまでも官は民の補完に徹するという、今もある意味では徹しているんですけれども、普通の形といいましょうか、通常型の補完型に戻るということでありまして、今の状況がそのまま続くか続かないかによって、先生の御質問の答弁は若干変わってくるんだろうと思います。

塩川委員 要するに、中小企業の資金繰りがまだまだ大変な状況が続くのであれば、一方的な規模の縮減だとかリスクに見合った金利の引き上げなどは、政策金融機関としては行わないというふうに考えてよろしいんですか。

中川国務大臣 これは、今のような、過去数年間のような状況、つまり中小企業をめぐる金融情勢が非常に厳しいということが仮に続くのであれば、我々は、中小企業を中心とした産業金融に対して特別の配慮を引き続き続けていかなければならないというふうに考えております。

塩川委員 次に、証券化支援にかかわって何点かお聞きいたします。

 経済財政諮問会議の「政策金融改革について」では、何点かお聞きしましたけれども、例えば対象分野の厳選ですとか規模の縮減ですとかリスクに見合った金利設定の導入という、そもそもここでうたっている政策金融のあるべき姿という、改革の中身として語られているわけですけれども、それとあわせて、これは一番最後の方に、こういう改革とあわせて、「市場型間接金融や直接金融の拡大など、資本市場、民間金融機能の高度化を進める。」という文言があります。

 こういう市場型間接金融とか直接金融、これは今回の証券化支援もその中に含まれるということでよろしいんでしょうか。

中川国務大臣 一般論として、金融手法の多様化という中に、間接金融重視型から幅広い、つまり直接金融型といいましょうか、直接金融の手法も大いに取り入れた産業金融手法というものもこれからどんどん取り入れてくる、メニューを多様化していくということでございます。

 それから、現時点において、中小企業はまだまだ厳しいので、そのための手段としても、無担保という形での融資、それが証券化されるという意味での今回のスキームも、これは両方といいましょうか、今の厳しい状況においても十分役立つものというふうに理解をして御提案をしているところであります。

塩川委員 言葉の問題で、市場型間接金融の一種として証券化支援があるということでよろしいんでしょうか。

望月政府参考人 市場型間接金融というのは、定義の方が余りない言葉でございますけれども、私どもは、今回の中公法の証券化業務を検討する際には、市場型間接金融のカテゴリーの一つというふうに考えて構想したものです。

塩川委員 民業補完という大きな方向性での政策金融機関の改革、それと一体に、あわせての市場型間接金融や直接金融の拡大というのがあるということで、今回の証券化支援というのが政府の政策金融改革と一体に行われているというのがここに示されているんだと思うんです。

 そこで、今回の貸出債権の証券化によって無担保融資の受けられるような中小企業は、来年度、大体幾つぐらい想定しているのか、ざっとで結構なんですけれども、お聞きします。

望月政府参考人 法律が成立いたしましてからの仮定の話でございますから、なかなか幾つと言うのは難しいのでございますけれども、例えば、ある程度証券化しようとしますと、規模の大きい融資になることが多いわけでございまして、仮に一千万の融資だといたしますと、例えば保証型で言えば、九百億あるわけでございますから九千件になりますか、そういう程度の想定をしているというぐらいにお考えいただいたらと思います。

塩川委員 多様化という流れの中ではあるんでしょうけれども、まずは第一歩みたいなところが当然あって、広い中小企業の資金需要に、即これとこたえられる即効性のあるものじゃないということではあると思うんです。

 そこで、これは、中小企業庁の内部で取りまとめられた、中小企業金融の新たな手法に関する研究会というのが昨年の二月、最終取りまとめをなさっております。そこで書かれていることでなるほどと思う指摘があったんですけれども、この証券化の問題で、中小企業向けの貸付債権の証券化は難しく、アメリカでも証券化されているのは大企業向けに限られているとか、また、海外でも地域金融機関は、リレーションシップバンキングの観点から、取引先企業の貸付債権をオフバランス化する証券化には消極的だと。リレバンについて言えば、当然、顔を見てやるわけですから、それを切り離しちゃったらそもそもその前提が失われるわけですから、消極的だと。

 そういう意味での広い金融機関、地域の金融機関が活用するという条件がどれだけあるのかと率直に思うんですが、こういう指摘には経済産業省としてはどのようにお答えするんでしょうか。

望月政府参考人 それは私どもの部内の勉強会の報告書だと思いますけれども、実際、そういう御指摘はもちろんありますけれども、実際にサーベイしてみますと、そういう証券化が行われているということもございますので、これは、それぞれの国の金融事情、あるいはそのときの金融事情によって随分左右されるんではないかと思っております。

 現に、私どもとしては、例えば今、民間金融機関の姿勢、これは大手都銀も含めて、中小企業金融に対してむしろこれが随分積極的になりかかっているわけでございまして、そういった状況を考えてまいりますと、こういったものへの、新しい手法への需要というものは掘り起こせるのではないかというふうには思っております。

塩川委員 やはり、地域金融機関がリレーションシップバンキングを推進する流れの中で、オフバランス化になるようなこういう証券化というのは、率直に言って難しいんじゃないかという思いがありますし、海外でも大企業向けが中心と言われる中で、中小企業向けがどれだけ成功し得るのか、その点について懸念を持っているところであります。

 それから、今回、中小公庫に中小企業総合事業団から信用保険業務が移ってまいります。その信用保険制度について何点かお聞きしようと思うんです。

 今紹介しました中小企業庁の中小企業金融の新たな手法に関する研究会の取りまとめの中でも、この信用保証制度について指摘があります。ここでは部分保証制度についても指摘をしておりますけれども、部分保証制度のあり方では、「将来的に部分保証制度の導入について検討を進めていくべき」とあります。

 しかし、金融機関の中小企業向け貸し出しが減少している中で、部分保証の導入というのがかえって担保余力がない中小企業への融資の道を狭めることになるのではないか、こういう懸念を持つんですが、この点はいかがでしょうか。

望月政府参考人 おっしゃるとおり、双方の御議論があろうかと思います、本件につきましては。ただ、一方で、一〇〇%保証に対する御批判もきょうの委員会でも御指摘をされた方はおられたと思いまして、私どもは、そのはざまの中で、例えば売掛債権融資保証制度などのように、今先生おっしゃいましたような、担保に懸念のないような、制度を導入する際には、九〇%の部分保証にするというようなことを試み的に導入をしているという状況でございまして、私どもとしては、そういった両面から研究はしなきゃいけないということを思っているわけでございます。

塩川委員 衆議院の方の経済産業調査室がこういう「中小企業金融の現状と今後の在り方」という冊子をまとめました。これは、拝見しまして立派だなと思ったのは、アンケート、実態調査を行っていまして、帝国データバンクに力をかしていただいて、一万一千社から回収をした調査なんですね。そういう意味では、かなりリアルな、地方や業態にも目配りをしたような調査が行われています。

 その中で、零細の事業者が金融排除を受けやすいということを指摘しておりまして、「メインバンクから貸してもらえなかった企業の割合」というのが、三百一人以上の企業では二・八%、百一人から三百人が五・三%、二十一人から百人が一〇・二%、二十人以下では一八・二%と際立って高いわけであります。このような零細事業者に配慮した施策こそ必要で、そういう点でも部分保証の問題についての懸念というのを率直に感じるわけです。

 あわせて、信用保証制度については、信用リスクに応じた保証料率の導入の話もあります。導入を検討していくことが必要だというふうにこの研究会の取りまとめでも紹介をしておりましたけれども、信用リスクに応じた保証料率の導入は、本来、今紹介しましたような政策支援が求められている、信用力の乏しい零細事業者の負担を大きくすることになる、率直にそう思うんですが、この点はいかがでしょうか。

望月政府参考人 先生おっしゃるような側面というのもございますものですから、私ども、直ちに全面的にそういう思想をここに導入するという答えを出しているわけではございません。

 他方、リスクに見合った保証料率の導入について、例えば有担保保証の場合と無担保保証の場合で、有担保の場合は一・二五%の保証料率、無担保の場合には一・三五%の保証料率といったような点で区別をして保証料率を決めてみるというような、痛みの少ないところでまず公平感を得るために導入しているというようなことがございます。

 全面的な話につきましては、私どもとしては一層の検討が必要だというふうに思っております。

塩川委員 よく部分保証の話では海外の事例を紹介していただくんですけれども、この信用リスクに応じた保証料率を設定している、外国ではそういう事例というのはどうなんでしょうか。

望月政府参考人 現時点で私どもが知り得る範囲では、諸外国では一律が多いと思います。

塩川委員 ですから、調査でも、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、韓国の事例の調査を踏まえて、確かに貸し出しの金額に応じて若干の保証料率を変えているところは、お隣の韓国なんかもあるそうですけれども、信用リスクに応じた保証料率の変更をやっている国というのはないわけですよね。そういうのは、事務手続の煩雑さを防ぐとかそういうことも含めて、現実にはそういう対応をしているわけで、私は、やはりそういうところに本来保証料率のあり方というのが求められているんじゃないかなということを率直に思うわけです。政策的な取り組みという意味で、そういうことが基本ではないかということは率直に思うわけです。

 ですから、特にこういう部分保証の導入ですとか信用リスクに応じた保証料率の導入とかいうのは、方向として、今の金融情勢とか経済情勢のもとで直ちに行うようなものではない、私はそのことを率直に思うんですが、この点、いかがでしょうか。

中川国務大臣 主に中小企業を前提にお話をさせていただきますが、日本経済の中で中小企業が総じて厳しいというか、依然として厳しい状況にある中小企業が多いわけでございまして、そういう中でどういうふうに産業金融をやっていったらいいのかということで、いろいろと御指摘もございました。

 一番いいのは、ただでお金を貸してあげるのが一番いいんでしょうけれども、そこにはリスクというものが伴うわけでございますから、そこに担保があり保証がありということでありますが、その担保や保証をどうやって少なくしたり、一部なくしていったりしているかという現行の制度にさらにどういう手法があるかということで、この法案の御審議をいただいているところでございます。

 部分保証の問題とかリスクに応じてとかいろいろありますけれども、ぎりぎりのところで、さっき、補完という中には、民間がまだやり切れていないところを一歩先に行くのも国の仕事として、特に中小企業の産業金融の分野では必要なのではないかと私自身は思っているわけでございますので、そういう観点から、検討中のところもまだございますけれども、ぎりぎりのこの厳しい、今まさによくなっていくか依然として厳しくなるかという状況のところで、いかに政府系の制度あるいは金融、保証も含めたいろいろなことについて何ができるかというぎりぎりのところでこの法案、それからまた今の御議論もいろいろと御審議をいただいているわけでございまして、そういう意味で、いろいろ、塩川委員から見たら百点満点の制度ではないのかもしれませんけれども、リスクを伴うという中でのぎりぎりのところだということをぜひとも御理解いただきたいというふうに思います。

塩川委員 産業金融の新たな担い手の多様化ということが今回も議論になっているわけですけれども、その担い手の方なんですが、信託会社の中小企業向け融資について、公的な信用補完制度の対象とする、信託業法の改正とあわせて信用保険法の政令に信託会社を入れるということがこのたび行われることになりました。

 具体的には、どういうところを想定されておられるのか。つまり、既に中小企業金融で実績も重ねているような、信用保険法政令の改正で新たに加えるような事業者、ちょっと具体的に教えていただければと思うんです。

望月政府参考人 今回の産業金融の政策の中で、担い手の多様化ということの一つのテーマではございますけれども、事業会社などで、経営で、事業金融に関心を持ち、あるいは実績のある会社が信託会社をつくってそういう事業金融に進出するような場合に、本件のようなことの対象になるのではないかというふうに思っております。

塩川委員 現在、信託業法に基づいて信託業法の免許を受けた信託会社というのはないというふうに聞いているんですけれども、要するに、だからこれから参入してくるわけですよね。そういうところというのは、例えば、リコーリースさんですとか三洋倶楽部さんとかトヨタファイナンスさんとか、何かそういうイメージというのが具体的にあって話も進んでいるのかなと思うんですが、何か具体的にそういう動きがあるのであれば、その点を紹介していただけますか。

望月政府参考人 ちょっと個別具体的に申し上げるのはいかがかと思いますけれども、ポテンシャルは、そういう会社があろうかと思います。

塩川委員 終わります。

根本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十三分散会


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